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2000-03-08 第147回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月八日(水曜日)     午後四時一分開議  出席委員    委員長 金子 一義君    理事 衛藤征士郎君 理事 鴨下 一郎君    理事 根本  匠君 理事 渡辺 喜美君    理事 上田 清司君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君       石原 伸晃君    大石 秀政君       大野 功統君    河井 克行君       桜井  新君    桜田 義孝君       塩谷  立君    下村 博文君       砂田 圭佑君    高市 早苗君       西川 公也君    林  幹雄君       宮本 一三君    村井  仁君       村上誠一郎君    渡辺 博道君       岡田 克也君    河村たかし君       末松 義規君    仙谷 由人君       中川 正春君    藤村  修君       旭道山和泰君    佐藤 茂樹君       並木 正芳君    安倍 基雄君       一川 保夫君    西田  猛君       佐々木憲昭君    矢島 恒夫君       横光 克彦君     …………………………………    大蔵大臣         宮澤 喜一君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 谷垣 禎一君    金融再生政務次官     村井  仁君    大蔵政務次官       大野 功統君    政府参考人    (金融再生委員会事務局長    )            森  昭治君    大蔵委員会専門員     田頭 基典君     ————————————— 委員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   岩國 哲人君     藤村  修君   谷口 隆義君     旭道山和泰君   若松 謙維君     佐藤 茂樹君 同日  辞任         補欠選任   藤村  修君     岩國 哲人君   旭道山和泰君     谷口 隆義君   佐藤 茂樹君     若松 謙維君     ————————————— 三月七日  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二一号)  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提出第二二号) 同月二日  所得税基礎控除引き上げ課税最低限度額抜本的改正に関する請願石井郁子紹介)(第三一五号)  同(大森猛紹介)(第三一六号)  同(金子満広紹介)(第三一七号)  同(木島日出夫紹介)(第三一八号)  同(児玉健次紹介)(第三一九号)  同(穀田恵二紹介)(第三二〇号)  同(佐々木憲昭紹介)(第三二一号)  同(佐々木陸海紹介)(第三二二号)  同(志位和夫紹介)(第三二三号)  同(瀬古由起子紹介)(第三二四号)  同(辻第一君紹介)(第三二五号)  同(寺前巖紹介)(第三二六号)  同(中路雅弘紹介)(第三二七号)  同(中島武敏紹介)(第三二八号)  同(中林よし子紹介)(第三二九号)  同(春名直章紹介)(第三三〇号)  同(東中光雄紹介)(第三三一号)  同(平賀高成紹介)(第三三二号)  同(不破哲三紹介)(第三三三号)  同(藤木洋子紹介)(第三三四号)  同(藤田スミ紹介)(第三三五号)  同(古堅実吉紹介)(第三三六号)  同(松本善明紹介)(第三三七号)  同(矢島恒夫紹介)(第三三八号)  同(山原健二郎紹介)(第三三九号)  同(吉井英勝紹介)(第三四〇号)  消費税増税反対消費税率三%への減税に関する請願木島日出夫紹介)(第三四一号)  同(佐々木陸海紹介)(第三七九号)  不況打開地域経済振興緊急対策に関する請願大森猛紹介)(第三四二号)  同(金子満広紹介)(第三四三号)  同(木島日出夫紹介)(第三四四号)  同(児玉健次紹介)(第三四五号)  同(佐々木憲昭紹介)(第三四六号)  同(中林よし子紹介)(第三四七号)  商工ローン問題に関する請願木島日出夫紹介)(第四五二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二一号)  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提出第二二号)  金融に関する件     午後四時一分開議      ————◇—————
  2. 金子一義

    金子委員長 これより会議を開きます。  金融に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として金融再生委員会事務局長森昭治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 金子一義

    金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田清司君。
  5. 上田清司

    上田(清)委員 民主党上田でございます。  閣僚の皆様方、御苦労さまです。  それでは、早速お尋ねをしたいと思いますが、さきに東京都の石原都知事の方から旋風的に提案されました外形標準課税についてお尋ねをしたいと思います。  既に御承知のとおり、六七%の法人赤字企業だということで、法人税を払わないでいい状況になっております。個人所得税もまた同じように、かなりの層の方々が所得税を払わなくてもいいような状態になっておりますし、日本国じゅう、ある意味では、景気動向とはいえ、かなり人たち法人個人とも所得税を払わないで済む、あるいは払わない状況ができているということについても、やはりこれも異常な状態ではないかというふうに考えておりますので、おのずからこの外形標準課税についても政府税調の方でもさまざまな研究をなされてきておりますし、私たちも重大な関心を持っているところであります。  そこで、早速ですけれども政府としてこの外形標準課税について基本的な考え方というのはあるのでしょうか、ないのでしょうか。あるとすればどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思いますが、まず宮澤大蔵大臣の方から。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは御承知のとおり、閣議を開きまして、それまでに各省庁の見解の調整をいたしまして、政府としての意見閣議後、官房長官が発表いたしましたので、それは御案内でいらっしゃると思います。基本的には違法だとは断じておりませんけれども、この際、そういうことをやられることについて幾つかの点に政府としては疑問を持っておる、こういうことでございます。  私が一番率直に自分の感じておりますことをお聞き取りいただけますならば、石原知事は恐らく、東京都知事のお立場において、東京都にとって最もいい道を選ばれたと思うのでございますが、私から言いますと、石原さんは国務大臣もやられたし、国政のこともよく御存じでございますから、知事としてのお考えもさることながら、国全体にこれがどういう意味を持つかということもお考えいただきたかった、そういうのが私のこの問題に対する全体的な批評でございます。
  7. 上田清司

    上田(清)委員 前金融担当大臣もこの件についてはいろいろアナウンスしておられましたので、谷垣大臣にもこの件についてお願いしたいと思います。
  8. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 外形標準課税一般につきましては、これは御担当大蔵大臣でございますので私から多くは申し上げませんが、政府税調の中で、昨年の十二月にも、景気動向等を見きわめながらできるだけ早期に導入するように議論を詰めろ、こういうことになっておりますことは承知いたしておりまして、いろいろ議論を尽くしていかなきゃならないのだろうと私は思っております。  ただ、今回の東京都でお考えになっている外形標準課税につきましては、私どもこのように金融再生担当しております立場からしますと、いろいろなことを考えて今金融秩序の立て直しに努めているわけでありますから、そのことと平仄が合うかと言われますと、いかにも平仄が合わないところがあるのではないかという感じをぬぐい切れません。  やはり、各金融機関資本を充実しなきゃならない、こういうことで安定させようとしているわけでございますけれども、基本的にそれと矛盾するような結果にならないのか。あるいは、東京金融市場というものを育てていこうというようなこととも矛盾するのではないか。あるいは、健全化計画というものを資本注入した銀行に出していただいておりますけれども、そういうもののこれからの先行きにも影響が出てこないか。いろいろなことを私は感ずるわけでございまして、東京都の御議論でもそういうことを少し考慮に入れて御議論をいただければありがたいな、こう思っているわけでございます。
  9. 上田清司

    上田(清)委員 法制度の関連の部分での不備というのでしょうか、すき間を縫ったということに関しての議論というのは、政府の中で議論されたでしょうか。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 各省庁が、法制局も入れまして、その問題についても議論をいたしました。殊に、いわゆる地方税法第七十二条の十九でございますか、現在の負担と著しく均衡を失することがあってはならないという部分は、現在の税収が三十億円ぐらいであるようでございますが、それが突然千億円に飛び上がるというのはいかにも均衡を現実には失するのではないか。取れないから突然課税方法を明年から変えるというのは、いかにも結果としても均衡を失するという意見と、いや、かつては二千億円ぐらいの税収が取れたのであるから、少なくともその半分ぐらいのところまで行くのは必ずしも均衡を失することにならないという意見とがございまして、結局、最終的には、どうもそれは地方税法の違反であると断ずるには至らないまま政府立場が決まったところでございます。
  11. 上田清司

    上田(清)委員 民主党立場に関しては、ネクスト担当大臣の方からきちんとしたコメントを出しておりますので、この際、省略させていただきますが、そうした意味での法整備についてもきちっと対応をしていく必要があるということを御指摘させていただきたいと思います。  それでは、かねてから私の問題意識で、先般も予算委員会あるいはこの大蔵委員会でも越智大臣お願いをしておりましたけれども中小企業向け貸し付け貸し出しについて、銀行経営健全化計画の中で示された計画達成について、これは極力、国民との約束だから私は達成すべきだという立場に立っております。  仮に達成できなくても、極力その理由をディスクローズしていかなければ、資本注入を行ったときの立場に対して、我々は国民に対して欺くことになるという考え方を持っておりますので、極力、昨年の九月末の締め切りではなくて、もう既にたしか日銀の方でも一月のものも出たのではなかろうかと思いますが、少なくとも十二月の部分は出ておりますし、金融監督庁立場の中で、極力直近数字を明らかにしながら、そして、未達成銀行に関しては何らかの形で報告を求めたり開示を求める努力をしていただきたいということを申し上げましたところ、越智大臣は、可能な限り努力してみましょうというか、少し工夫をしてみましょうというようなことで御答弁をしておられましたが、事務局も含めて、どのような進展状況に来ているのか、谷垣大臣にお伺いしたいと思います。
  12. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 早期健全化法では、金融再生委員会経営健全化計画履行状況報告を求めてこれを公表すること、これは条文にもそう書かれているわけでございますね。それで、この履行状況報告公表というのは、決算期ということを基準にいたしまして、半期決算期ごとに行っているわけでありますけれども、これによって、資本増強を受けた金融機関中小企業向け貸出額増加等は、広く国民の監視のもとに置かれるもので、金融再生委員会としては、これを一種のパブリックプレッシャーとして使って、金融機関自己規制を求めて、これで的確な履行の確保をできるだけ図っていきたいと思っているわけであります。  それから、計数が把握できない期中におきましては、金融監督庁の方で定性的なヒアリングを行っているわけでございますが、さらに、例えば昨年末の資金需要期などでは、各金融業態代表者にお集まりをいただいて、その際、資本増強行に対して、残された期間内に計画目標達成に向けた一層の努力、これはたしか越智大臣御自身が代表者の前でお願いをしているわけでありますけれども、そういう形で、機会をとらえて、中小企業への信用供与円滑化に向けた努力を促しているわけでございます。  上田委員がおっしゃいましたように、経営健全化計画の中で約束されたああいう中小企業向け融資というのは、これはできるだけ達成していただかなければならないのは当然のことでございますし、私たちも法の手法の中でできる限りこれを追求してまいりたい、このように思っております。
  13. 上田清司

    上田(清)委員 状況把握担当大臣として十分理解をされているということはよくわかりましたが、御承知のとおり、半期の九月末で予定の四分の一にも満たない状況がある以上、極めて心配なわけですね。そのペースでいくと、達成率は五〇%にいくかどうかわからないというような感じがいたします。それで三月末になって、実は半分しかいきませんでしたということでは、責任はだれがとるんですかということになるのですね。  終わってしまってから説明されても困るので、したがって、今の時点でどういう状況かということを、少なくとも各企業別には、各行別には出ておりませんが、日銀の十二月末についての二月十七日付の報告の中では、どんどん中小企業向け融資の額が減ってきているわけですね。では、どの銀行がきちっとやって、どの銀行がやっていないのかをできればディスクローズしてほしいということを申し上げているわけでありまして、それが明らかにならないと、終わってしまって、いや、実は済みませんというわけにはいかない。  済みませんと言ってもいいのです、今の時点であれば。実はこういうことで、こういう理由でこれだけの貸し付けしかできないのですという説明もなしに、結果として実は五〇%しか貸し付けはできませんでした、健全化計画中小企業向けは実は半分でしたと言って我々は国民の前に出るわけにはいかなくなってしまいますので、この点についてはどうなさるつもりでおられるのか、お伺いしたいと思います。
  14. 村井仁

    村井政務次官 いわゆる早期健全化法に基づきます資本増強を受けた金融機関フォローアップでございますが、公表いたしますのは、確かに今大臣からお答え申し上げましたように四半期別のものでございます。  しかし一方、私ども金融再生委員会早期健全化法により資本増強を受けた金融機関フォローアップというものをやれ、このように指示を受けておりまして、金融監督庁におきまして、フォローアップの一環といたしまして、経営健全化計画履行のための施策につきまして、四半期ごとでございますけれども、定性的なヒアリングをやっております。  そういう意味で、平成十一年十二月末の四半期でございますね、これの定性的なヒアリングを実はやっておるところでございまして、経営合理化のための方策、それから資金貸し付け、その他信用供与円滑化のための方策、こういったものにつきまして聞いております。  特に、お尋ね中小企業への貸し出しにつきましては、貸し出しを増加させるために現在どういう施策を行っているか、その実施状況、それから平成十二年三月末までにどういう取り組みをするのだというようなことをあえて聞きまして、私どもとしましても、経営健全化計画における中小企業向け貸し出しをしっかりやれということを慫慂する、こういう努力も重ねております。  ただ、申し上げなければなりませんが、私ども金融監督庁が現在やっておりますこのヒアリングは、法に基づくものというよりは、相手方との納得ずくの世界でございますので、あくまで定性的なものでございまして、数字でちょっとお答えができるということではない。  ただ、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、パブリックプレッシャーを使って、ともかく銀行中小企業への貸し付けを大いにふやさせようという方向でやっておるわけでございますから、その意を体しました努力はいたしているということを申し上げておきたいと存じます。
  15. 上田清司

    上田(清)委員 そういう御説明だったら要らないのです、わかっておりますので。そうじゃなくて、実は十二月の時点ヒアリングをしたら、七〇%はいっていますよとか、あるいは、もしきちっとした達成ができなかったら、私の首をかけてきちっと責任をとります、そういう話を国民は聞きたいのですよ。回りくどい言い方でわけのわからない説明よりも明確なものを聞きたいのですから、どういう状況だったのかを教えてください。
  16. 村井仁

    村井政務次官 ただいま申し上げましたように、現在十二月期のものにつきましてヒアリングをやっているところでございます。現在進行中でございますので、まだ取りまとめておりません。そういう状況でございます。
  17. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、十一年の十二月に出した金融再生委員会事務局の「資本増強行中小企業向け貸出状況等公表について」ということに関して、この三の部分の「残された期間内に計画目標達成できるよう、引き続き、努力を促していくこととしている。」こういう文書をわざわざ出されても、もう三月末まで間近なんですよ。何もわからない、五月になってわかるという話なんですか、これは。それはおかしいでしょう。もし五月になって五〇%だったらどうするんですか、我々は国民に向かって。それまで何もわからなかったと。  そうではなくて、ある程度の見える部分だけでも出して、プレッシャーを本当にかけたいのだったら、具体的に名前を出せばいいじゃないですか、この銀行は五〇%です、この銀行は七〇%ですと。そのことを言って、何か法律に違反しますか。それをお伺いしたいと思います。
  18. 村井仁

    村井政務次官 先ほども申し上げたつもりでございますけれども決算期ごとに出します数字でございますけれども、こちらの方は法律にはっきり公表するということを前提しているわけでございますが、私どもがやっております作業というのは、公表を前提として履行状況報告させるという性格のものではございませんで、あくまで金融機関との間のお互いの了承で、お互い納得ずくで任意に情報を出してもらっている、こういうことでございますから、これを公表するということになりますと、やはり資本増強時に想定していなかった新たな負担を課するということにもなり得るわけで、やはりそこはちょっと慎重にいかざるを得ないのではないか。  ただ、こういう御議論が今こうして上田委員との間で行われていますことも、やはり世の中の非常に強い関心がここにあるのだということを明らかにすることにもなりますから、私どもはその御意を体しまして、また金融機関に対しましてしっかり中小企業に対する貸し付けをやれということをさらに慫慂を重ねていくという努力をさせていただきたいと思います。
  19. 上田清司

    上田(清)委員 谷垣大臣も同じような立場なんでしょうか。
  20. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 私も今政務次官が御答弁申し上げた態度でございますけれども、やはり我々としてもいろいろ持っている手段をどう使うかということはいろいろ考えているわけでございまして、そういう定性的な取り組みの中で、あるいは今までの数字の中で数値が下がってきているようなものに関しては一層督励をするというようなことはしなければならない、こう思っております。
  21. 上田清司

    上田(清)委員 大体、資本を注入するときには、まず火事が燃えているときに、失火なのか放火なのか、原因を追及するのは後だ、まず消せ、まず入れろ、そして、その後はゆっくり様子を見ましょう、そういう議論なのですよ、今の政府答弁は。私には納得できません。少なくとも、私たちの仲間、国民にはこういう説明で納得していただけません、選挙区に戻って。  これは委員長お願いをしたいと思いますが、十五行の頭取をぜひ大蔵委員会に呼んでいただきまして、そしてヒアリングをさせていただきたい、このように要求いたします。取り扱いをお願いいたします。
  22. 金子一義

    金子委員長 理事会で協議させていただきます。
  23. 上田清司

    上田(清)委員 はい。  それでは、次の問題に移ります。  この委員会でも、横光議員中心議論されました、商工ローンに関連して、実は私ども法案の中にも入れておきましたけれども日掛け金融と言われる部分電話担保に基づく貸付金融業でありますが、この部分は、先般のいわゆる商工ローン関係出資法あるいは貸金業法改正の中から外されまして、いまだに日掛け金融に関しては一〇九%という高利率が法的に許されております。あるいは、電話担保に関しては五四%という極めて高い利率が許されております。このことをねらって、ややシフトがえというのでしょうか、大変恐縮な言い方ですが、貸金業の中でも日掛け金融にシフトしているような傾向も見え隠れいたしております。  こういう点について、極めて九州方面中心被害が続出しておりますし、またこれが全国に拡大する傾向にあるということも出てきておりますが、この点について金融監督庁は、例えば日掛け金融業者がどんな登録の推移になってきているか、特に直近において、どういう把握をなされておられるか。また、被害実態についてどのように把握されておるか。また、この問題について非常に熱心にやっておられます弁護士会からなんかのヒアリングなどはどのようにされたのか。この三点についてお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  24. 村井仁

    村井政務次官 日掛け金融につきまして、ただいま上田委員御指摘のとおり、いろいろ最近問題が起こっていることを私ども承知しております。これは、実は大部分都道府県の所管の貸金業者であるということもございまして、その実態は私ども直接には把握を即座にはできない。そこで、現在、都道府県財務局と連携しまして、実態把握努力をしている、こういう段階でございます。  また、ことしの二月でございますけれども、各財務局担当者を集めて会議を開催し、この問題につきましても意見交換を行っているところでございますけれども、その限りで私ども把握している感触をまず申し上げますと、非常に問題がございますのは、出資法上は貸し付けの対象にならないサラリーマン等に対して貸し付けている、融資の勧誘を行っている、こんなようなことがあります。  それから、御案内のとおり、日賦金融というのは百日以上、それから返済につきましては、その百分の七十以上の日数にわたって毎日毎日取り立てていくということをやらなければならないのに、月払いの契約をしている、こんなようなケースもある。それから、取り立て貸し付け利率をめぐってトラブルがある、こんなような話を聞いております。  ただ、この利率をめぐるトラブルというのは、上限が一〇九・五%ということでございますから、そのことを必ずしも借りている方が御存じない、こういうケースもあるのかもしれません。あるいは、毎日毎日取り立てに来られてかなわぬ、こういうような話もあるのですが、毎日毎日取り立てに行くのが日賦金融の建前でございますから、そういう意味では、その本質を理解しないで契約をしておられるケースもあるのかもしれません。  そんなような問題がございまして、私どもとしましては、いずれにいたしましても、監督体制の強化を図り、さらにいろいろな意味日賦貸金業者情報把握するように努力しているところでございます。  数でございますけれども、現在三月末の数字把握しておりますのでそれをちょっと申し上げさせていただきますと、平成九年の三月末で、貸金業者登録者数が三万一千六百六十八ありますうち日賦貸金業者が千八百四十七でございました。それが十年三月末には、貸金業者登録数、トータルでは三万一千四百十四と微減しておりますが、日賦貸金業者は二千三十五という数になっております。それから十一年の三月末でございますが、同じく貸金業者登録者数が三万二百九十ということでございますが、日賦貸金業者は二千百八十一ということで、ややふえている、こういう状況でございます。  それから、私ども、この問題に御関心をお持ちの弁護士さんなどからいろいろなお話も伺っておりますが、概して申し上げますと、今私が冒頭申し上げましたような苦情というようなカテゴリーで、大体同じようなことを把握しておられるのではないか、こんな感じがいたします。  私どもといたしましては、いずれにいたしましても、出資法違反を含めて、債務者等からの法令違反や苦情等の申し出に対しては的確な取り扱いで対応するように都道府県にもお願いを申し上げる、そういう姿勢をとっておりますし、それから、出資法の規定が守られていないと疑われる場合に、警察当局への情報の提供でございますとか、あるいは財務局都道府県、警察、この間の協議連絡でございますね、これをとっていただくようにお願いを申し上げる、こんなような対応を現段階ではさせていただいております。
  25. 上田清司

    上田(清)委員 商工ローンのときもそうでありましたけれども、やはり金融監督庁の対応がおくれたことは否めない。それ以上の大きな問題があったということを認めた上で、それでもやはり対応がおくれていたというふうに私どもは思っております。  そういう意味で、まあモグラたたきではありませんが、こちらをたたけば今度は違うものが出てくるというような、そういう状況の中で、これは基本的には金利がむちゃくちゃ高いということがすべてでありますので、もう今日的にこの特例措置の根拠がないというふうに私は思っておりますが、この点について基本的な御見解があるのかどうか。あるいは、この特例措置について、私はもう廃止していいというふうに思っておりますので、そこも含めて御見解があればお伺いしたいと思います。
  26. 村井仁

    村井政務次官 私ども執行官庁といたしまして金融監督庁立場で申し上げますと、制度論ということになりますと、これは大蔵省、現段階では大蔵省金融企画局あるいは金融再生委員会事務局の問題でございましょうが、あえて申し上げますれば、日銭が入ってくる零細な業態に比較的少額の運転資金貸し付けて、そしてそれを毎日出かけていって取り立てるという業態、これは今委員既に御指摘のように、九州で非常にいろいろなトラブルが起こっているという御指摘がございましたが、どちらかというと、全体を見ますと比較的西の方、関西の方で行われている業態であるという感じがございます。  そういう意味で、その一〇九・五%という率が、そのような取り立てのコストも含めて高いのかどうかというあたり、それにまた便宜を感じられる顧客もあり得るのではないだろうかという感じもございまして、これが、業者でもない方にまで貸し付けるとか、あるいは、これはそもそもそういう営業形態が認められておりませんから、現在の法制では、日賦をやる方は日賦だけ専業でなければならない、こういうことになっておるわけでございますから、そういうところから外れたのは、これはもうとんでもない話でございまして、私どもは違法の事実があれば厳正に処置をしていく決意でございますけれども、その実態が、それなりのニーズがあるのかないのか、このあたりは少し慎重に見きわめなければいけないことであろうかと思っておりまして、私どももそれなりに勉強をさらに続けさせていただきたい、このように思っております。
  27. 上田清司

    上田(清)委員 引き続き監督官庁としてはぜひ研究をしていただきたいというふうに思いますが、先ほど、理事会の非公式な発言の中でも、この問題について与野党ともに関心が強いものがあるということがわかりましたので、立法府においても、この問題、場合によっては議員立法という形で、超党派で出させていただきたいということも考えておりますので、またいろいろとお知恵をかしていただきたいというふうに思っております。  それでは、ちょっとこれは質問事項には入れておりませんでしたが、考え方の問題ですので、余り資料的背景とかそういうものは要らないというふうに思っておりますので、ぜひ金融担当大臣にお答えしていただきたいのです。  いわゆるイトーヨーカ堂とソニーの新規銀行参入の話でございますが、申し出があってから相当時間がたっておる、こんなふうに私は思っているところでありますが、基本的に、担当官庁として、この問題について前向きにとらえておられるのか、それとも、過去に類例のない話でありますので、さまざまな法律、条文の中でひっかかる部分ばかり追っかけてぐずぐずしているのか、一体どちらなのか。いろいろ条文だとかひっかかる部分があれば、そういうものをクリアしながら前向きにとらえようとされているのか、それとも、そういうところばかり指摘して、いつまでもビッグバンの本来の趣旨に沿う形での中身をつくろうとされておられないのか、どちらかを伺いたいと思いますので、どうぞ御見解をお願いします。
  28. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今具体的なお名前をお出しになりましたが、具体的な問題、具体的にどこがどうということは抜きといたしまして、事業会社が銀行に進出していこう、こういうことに関しましては、私は金融再生委員長に就任する前からも大変個人的に関心を持っておりました。  今までの自分の事業の中で得られたいろいろなノウハウ、情報化の知識、こういうものを金融業に生かしていったときにどういう新しい効果が生まれてくるだろうかとか、あるいは、そういう新しい金融業態というものが、いろいろな組み合わせによっては新しい産業を生み起こしていく力になるのではなかろうか、そういうことが利用者の利便を高めたり、それから、先ほどもちょっと触れたことでありますけれども、新しい金融技術を開発していったりすることにつながるのではないか、私自身としてはそういう関心を持って見てまいりまして、前任者の越智大臣がどのようにさばかれるのかなと実は思っていたわけでございます。  ここへ参りまして、実は、先々週の金曜日でしたか、土曜日でしたか、海外に調査に行っていたのが帰ってまいりまして、その報告もざっと聞いております。  それで、聞いてみますと、確かに今先生が指摘されましたようにいろいろな問題があることも事実でございます。事業会社が金融業を営んでいく場合に、銀行を営んでいく場合に、今私どもが苦労しておりますけれども金融機関というものは、やはり健全性というものが確保されませんと国民の信頼にこたえることもできないわけでありますから、事業会社と銀行との距離のとり方をどうしていくかというような問題でやはり詰めておかなきゃならない問題があるなということは感じております。  余り問題点を細かに羅列することは控えさせていただきますけれども、そういう観点から、できるだけ早く検討を進めたい、こういうふうに思っているところであります。
  29. 上田清司

    上田(清)委員 すべからく、いつまでにきちっとした結論を出すかということを明示することが、ある意味では作業を早めることになりますので、そういうことを常に明らかにしていただきたいなというふうに思います。  事業会社との距離の問題の話もちょろっと出ましたけれども、そういう点でいえば、今回、リップルウッド関連の新生長銀の関係も、やはり事業会社があってまた銀行がある、こういう仕組みになって、既にお認めになっておられることも現にあるわけでありますから、そういうことからすると、ややちょっと時間がかかり過ぎるのではなかろうかということを、国民の意識の中でそういう感じを私は感じておりますので、そのことだけお伝えしておきたいと思います。  それでは、いよいよ次の週あたり、あるいはその次の週あたりから、預金保険法、いわゆる預保の改正問題が出てまいりますが、ここでまた、生保に対する資本注入の話であるとか、あるいはまた、来年度、都道府県から金融監督庁に信組の検査監督が移るというような問題だとか、あるいは朝鮮銀行関係に大量の資本注入とかも御検討されている、朝銀の信組でありますが、こういう問題も考えますと、やはり、今までの銀行の検査体制あるいは監督体制がどんなものであったかということを、先ほども私は申し上げました、とにかく火を消すときには理屈抜きだ、こういうことを常に言われまして、私どもは正直言って余り協力はしませんでしたけれども、問題がある、問題があると言ってまいりましたけれども、事実、問題がたくさん出てまいっております。  なみはやの特定合併にしてもそうであります。あれほど議論をして、最終局面で大蔵委員会にわざわざ当時の橋本総理が出てきて説明をされても、納得がいかないまま強行採決で、結果的に破綻した。あるいは、兵庫銀行の受け皿になったみどり銀行が破綻をして、そして阪神銀行と合併させてみなと銀行というような形になっていく。こういう仕組みの中も何か釈然としない。だれも責任がない。こういう状態が続いておりますし、私は、本当はペコラ委員会みたいなものをきちっとつくって、やはりきちっと精査する、そういうことが極めて大事じゃないかなというようなことを感じております。  この辺について、幾つか代表的な事例だけをどのように総括されているかを確認させていただきたいというふうに思っております。この部分に関しては、新任で、大臣になられたばかりですので、大変大臣には申しわけないと思っておりますので、その辺はまた村井総括次官でも結構でございますので、できるだけ正確にお答えをしていただきたいというふうに思っております。  まず、兵庫銀行から受け皿銀行としてみどり銀行になって、阪神銀行と合併させてみなと銀行という形になっております。この過程の中で、兵庫銀行とみどり銀行がなぜ破綻をしたのか、まずこの点を。
  30. 村井仁

    村井政務次官 兵庫銀行につきましては、バブル経済の崩壊に伴う資産内容の急激な悪化に対しまして、経営再建のために自主的な努力を続けていたわけでございますけれども、不動産価格が一層に下落いたしましたこと、それから阪神・淡路大震災の影響、こんなようなことがございまして経営内容が悪化いたしまして、資金繰りにも困難を来す、こんな状態になりまして、平成七年の八月三十日、今後の業務継続が困難であるという旨を発表しまして破綻に至った、こういうことでございます。  みどり銀行につきましては、こうして破綻いたしました旧兵庫銀行の破綻を受けまして、震災復興という特別なニーズのあるもとで、復興需要への対応と震災地域における信用秩序維持のために、全国の金融機関及び地元企業等に出資協力を得まして平成七年十月に受け皿として設立され、震災復興に支障が生じないよう金融機関としての使命を果たしてきていたわけでございます。  しかしながら、改正前の預金保険法のもとで、旧兵庫銀行の損失等を引き継いで出発をしたこともございますし、また震災後の地元経済の落ち込みによりまして債権の劣化が一層進むというようなことで経営内容が悪化いたしまして、結局、平成十年の五月の十五日、阪神銀行及びみどり銀行の両行から、旧兵庫銀行に係る損失、不良資産等について預金保険機構からの資金援助が行われることを前提に、阪神銀行がみどり銀行を吸収合併するということにしたいということになったわけでございまして、それがただいま御指摘のように、みなと銀行という形になったということでございます。
  31. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  そこで、当然みどり銀行にも兵庫銀行の損失が受け継がれた、そうすると、みどり銀行と阪神銀行が合併してできたみなと銀行にもそういう損失が受け継がれて、またみなと銀行も破綻するのでしょうか。
  32. 村井仁

    村井政務次官 そういうことにならないように、私どもとしましてもしっかり検査また監督もやってまいりたいと思っております。
  33. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、兵庫銀行とみどり銀行に関しての当時の銀行検査というのは正しかったのですか。
  34. 村井仁

    村井政務次官 私ども、いずれの今御指摘の金融機関に対する検査につきまして、業務の健全かつ適正な運営を確保するという観点から、業務もしくは財産の状況について適切な実態把握に努めていたもの、このように理解をいたしております。
  35. 上田清司

    上田(清)委員 理解をしている、それは事実として理解をされているのでしょうか、それとも勝手に理解されているのでしょうか。
  36. 村井仁

    村井政務次官 その時点でできる限りの対応をいたしたということであります。
  37. 上田清司

    上田(清)委員 わかりました。  それでは、兵庫銀行とみどり銀行に関して、民事、刑事の訴求はどのような形になったでしょうか。
  38. 村井仁

    村井政務次官 兵庫銀行それからみどり銀行の旧経営陣に対する責任追及につきましては、民事、刑事上の責任を明確にするために、みどり銀行におきまして社外弁護士を含む与信調査委員会というものを平成十年の十月に設置をし、調査を行っておりまして、その調査結果につきましては預金保険機構の方に引き継がれている、このように承知しております。調査結果を引き継ぎました預金保険機構及び整理回収機構でございますが、ことしの二月、兵庫銀行の旧経営陣三名に対しまして総額九億円の損害賠償を求める訴訟を提起しているところであります。  以上でございます。
  39. 上田清司

    上田(清)委員 兵庫銀行については。
  40. 村井仁

    村井政務次官 みどり銀行が兵庫銀行を引き継いでおりますから、そこでみどり銀行に置かれた与信調査委員会調査をして、それでこれが預金保険機構に引き継がれましたから、そこで今申し上げましたように兵庫銀行の旧経営陣三名に対しまして総額九億円の損害賠償を求める訴訟を提起している、こういうことでございます。
  41. 上田清司

    上田(清)委員 確認しますが、実は兵庫銀行は破綻して、そして受け皿としてみどり銀行がつくられたわけですね、地元の出資で。そういう経緯の中で、兵庫銀行の経営陣に対する民事、刑事の追及というのは一切なかったということなんですか。
  42. 村井仁

    村井政務次官 いや、ですから、現段階では、非常に単純化して言えば、預金保険機構及び整理回収機構が兵庫銀行の旧経営陣三名に対しまして総額九億円の損害賠償を求める訴訟を提起している、それが今の状況でございます。
  43. 上田清司

    上田(清)委員 みどり銀行の経営陣と兵庫銀行の経営陣は違うでしょう。
  44. 村井仁

    村井政務次官 違うと承知しております。
  45. 上田清司

    上田(清)委員 時間が全然足りないことがよくわかりましたが、先ほど次官が言われましたのは、調査委員会はみどり銀行の内部につくられたというようなことでありますから、そしてみどり銀行の内部の調査委員会が兵庫銀行の旧経営陣を追及したと。そうすると、みどり銀行の経営陣に対しての追及はなかったということでしょうか。
  46. 村井仁

    村井政務次官 そもそも問題は、兵庫銀行の破綻に発するわけでありますから、そういう意味で兵庫銀行の旧経営陣をまさに刑事、民事の面で追及する、こういうことになっているということでございます。
  47. 上田清司

    上田(清)委員 ちょっと私には理解できない部分があります。新しくできた銀行もまた破綻したら、受け継いだ銀行の前のところだけが追及されるというのも何かわけのわからない話で、これはもう時間がありませんので、また改めて細かく事務的にもお伺いしたいと思っております。  それから、本当に時間がなくなってしまいましたが、鳴り物入りでやりました特定合併の、なみはや、福徳、なにわ、これは後から見ても資産内容が極めて劣悪な状況にあった二銀行に、資本注入というか資金を贈与しながら、なみはや銀行をつくって、この大蔵委員会の席でも再三再四その根拠を述べよと言っても根拠もわからない、明確に答えることもできない、とにかく合併というとにかく論で押し切った経緯がございます。これについてまたお話をするとちょっと時間がかかりますが、今こういうのをきちっとやはり精査する必要があるということを私は感じるわけであります。  先ほどの村井次官の兵庫銀行とみどり銀行の関係もちょっと何かよくわからない感じがいたしますし、また資料として、それぞれの役員名簿と出身母体あるいは役員給与と退職金の状況はどうなったのか、これも全部お伺いしたいと思いますし、また、福徳、なにわ、なみはやについてもそうでありますし、この議論をし始めるとずっとさかのぼっていけば東海銀行の話にもなってまいりますし、富士銀の話にもなってまいります。東海銀行の出島運送事件なんかでは、判決の中にはっきり大蔵省が隠ぺい工作をやったと、それについて何も大蔵省は文句を言っていないので認めたということになるのでしょうから、そういう状況があるわけでありますし、富士銀行に至っては六千三百七十億、戦後最大、不良債権だけでも二千五百七十億という回収不能が、これは実は富士銀行に多分五千億前後資本注入されたと思いますが、確認はしてきておりませんけれども、そういう論点からすると、その国民の税金の中で処理をされたことにもなるわけですから、私はこれをしっかり精査を改めてやっていく必要があるということをきょうの段階では申し上げて、質疑を終わらせていただきます。また改めて後日やらせていただきます。  ありがとうございました。
  48. 金子一義

    金子委員長 次に、矢島恒夫君。
  49. 矢島恒夫

    矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。  早速ですが、谷垣大臣にお聞きしたいと思います。  大臣は今月三日の記者会見の中で、破綻した幸福銀行から政治献金を得ていたということが判明したので二十九日に全額返した、こう述べておられるわけですが、幸福銀行からの献金というのは、金額が幾らで、どんないきさつから政治献金を受けるようになられたか、お答えいただきたいと思います。
  50. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 再生委員長に就任しましてから、こういう職務を担当いたしますので、私の秘書に命じまして、今までどういう関連のところから政治献金を受け取ったのか少し精査をしてみろということで調べてみましたら、五年前の平成七年、八月であったと記憶いたしますが、五十万円幸福銀行から政治献金を受けておりました。その後、幸福銀行は破綻をいたしまして、今、金融整理管財人が派遣されている。こういうことを考えますと、今の私がこれをこのまま放置しておくのは適切ではないと考えまして、二十九日に返却をいたしました。  五年前のことですので、私もどういうことでこの政治献金を受けたのかはっきりした記憶がございませんが、このとき限りで、その前にもいただいた記録もございませんし、記憶もございません。
  51. 矢島恒夫

    矢島委員 今お話があったように、平成七年政治資金報告書によりますと、あなたの資金管理団体である政経文化研究会というところに、寄附の団体分として千四百四十六万円ある、その内訳という中に幸福銀行五十万円という記載がございます。  今大臣は、この一回だけでとおっしゃられました。平成七年というのは、ちょうど政治資金規正法が改正されまして、五万円以上についてはすべて団体名も個人名も記載する。その前の年の平成六年というのは、まだこれは百万円という境だったわけです。団体分としてそのときの政経文化研究会へは千百七十五万円寄附があるわけですけれども、そのほとんどが百万円以下ということで、団体名はすべて記載されておりません。その中にもない、この一回だけだということを確認したいのですが、それでよろしいですか。
  52. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 その一回限りだと思います。
  53. 矢島恒夫

    矢島委員 そのほかの金融機関からの寄附というのはございますか。
  54. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 私、余り金融機関と従来おつき合いがなかったのですが、全くなかったわけではございません。いずれも政治資金法上適正な処置をしておりましたが、今回こういう職につきましたことにかんがみまして、すべて返却をいたしました。
  55. 矢島恒夫

    矢島委員 金融再生委員長という要職につかれました。金融機関を直接に所管する立場になられたわけであります。そういう意味からも、みずからの公正さというのを内外に鮮明にする必要があると思います。  そういう意味から、金融機関から政治献金は受け取らないのだということを明確にできますか。
  56. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 私がこの職についております間、そういうことは私は慎むべきである、こう考えております。
  57. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、ぜひそういう立場金融行政の任に当たってもらいたいと思います。  そこで、次の質問に移ります。長銀の旧経営陣の責任の問題でお聞きしたいと思います。  私は、国民負担はなるべく少なくするという方向、できれば国民負担ではなくて、まずはこの業界や経営陣に応分の負担を求めるのが本筋だと思っております。国民負担をここまで膨らませた長銀の旧経営陣、これへの責任追及はどうなっているかという問題です。せめて退職金ぐらいは返すべきだという声にこたえているのか、どの程度返還されているのか、お答えいただきたいと思います。
  58. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今退職金のことをおっしゃいましたけれども、旧経営陣が、頭取経験者及び平成元年以降に退職した代表取締役経験者二十三名おられます。故人は除きますが、その二十三名で支給された額は、税引き後の手取りでございますと、二十九億九千三百万でございます。その中から五億五千五百万円が返還を受けているということでございます。
  59. 矢島恒夫

    矢島委員 その旧経営陣の中の筆頭であるところの日本長期信用銀行の杉浦元頭取が、平成四年度に受け取った退職金九億三千万円のうち、納税額を除いた手取り分五億ないし六億を同行に返還する見通しとなった、こういう新聞報道記事もあります。同時に、そこには、今大臣が言われたように、二十三人の代表権を持つ取締役についても総額三十億円の退職金を返還するよう要請したという記事もございました。今答弁にありましたように、二十九億九千三百万円のうち、返還されたのは五億五千五百万円、大体一九%程度、二割にも達していない。  そこで、一体だれがどのような方法で返還の要請をしてきたのか、その辺を明確にされたいと思うのです。
  60. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 長銀の旧経営陣の退職慰労金の返還につきましては、長銀が金融再生法に基づいて作成して、金融再生委員会が承認した経営合理化計画、これに基づきまして、先ほど申しましたように、頭取経験者及び平成元年以降に退任した代表取締役、故人を除く二十三名に対して、退職慰労金の自主的な返還ということで、ついこの間、特別公的管理はおしまいでございましたが、特別公的管理の長銀がかつての経営陣に請求をしていたものでございます。
  61. 矢島恒夫

    矢島委員 金融再生委員会の運営の基本方針というのがありますが、たしか昨年の一月二十日ごろでき上がっている方針だと思います。この中にも、破綻した金融機関の経営者に対しては厳格な責任追及を行うとなっているわけですね。  今のお話ですと、実際に返還のための見るべき努力もしていないのじゃないか。何でも国民にツケを回すのでは、国民は納得しない。少なくとも、退職金を返すんだと言って、三十億になるんだと言ったのだから、それに近い数が出てきて当然だろうと思うのですが、二割にも満たない返還で終わりになっている。  こういう状況について、大臣はどのようにお考えですか。
  62. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今、この退職金の返還というのは、民事、刑事の責任追及というのとはまた別の範疇に属するものでございまして、自主的、自発的な部分によらざるを得ない性格のものだろうと思うのです。  そういう中で、先ほど申し上げた金額は、当事者としてはそれなりの努力を払ったものだろうとは思いますけれども、率直に申し上げて、これだけの公的資金を投入して、債権の全額保護、負債の全額保護というものを図って、国民経済への破壊的なインパクトを避けるように一生懸命みんなで努力をしてきたわけでございますから、そういう点から見ると、果たして十分な数字と言えるかどうかということに関しては、私も首をかしげる面がございます。しかしながら、これはあくまで、法的な枠組みというよりも自主的な返還努力というものでございますから、これ以上、さてどういう具体的な手段があるかということになると、なかなかそこは難しいものがございます。  ちなみに申し上げますが、長銀の旧経営陣のうち、長銀の経営に関しまして、民事、刑事上の責めを負うべきものと判断された者につきまして、現在司法手続が進められております。そういう形で責任追及が図られているわけでございますが、総額六十三億円の損害賠償を求める四件の訴訟が現に東京地裁で係属しておりますので、その経過も私どもとしては注目してまいりたい、こう思っております。
  63. 矢島恒夫

    矢島委員 もちろん、この退職金の返還というのが、法的な根拠、民事や刑事と違うということは十分承知していますし、自主的なものであることも承知しております。おりますけれども国民感情としては、あれだけ公的資金を投入して国民に迷惑をかけながら、これで終わりになってしまうのかという率直な感じがあるということです。  日債銀についても、これは今後の問題も含めて、やはり退職金について、可能な限りというとあれですが、全額返還させるという方向などについても御研究いただきたい、こういうことだけ申し上げておきたいと思います。  つまり、破綻処理というのはやはり国民負担というのを最小限にとどめる、こういうことが基本にあるわけであります。退職金を返還させるということは、経営陣の責任問題と同時に、国民負担の問題としても重要であることを指摘しておきたいと思います。  この国民負担の関係でもう一つお聞きしたいのは、長銀や日債銀からの政治献金の問題であります。  小渕首相は、これは二月十四日の予算委員会ですけれども、長銀と日債銀からの自民党への政治献金について、長銀と日債銀につきましては、いわば国有化という事態となったことを考慮いたしまして、道義的な観点から既に返却しております、こういう答弁をされました。  そこで、国有の長銀あるいは日債銀、これを所管しているのが金融再生委員長だと思いますのでお聞きしたいのですが、この返却の日時とか金額について確認できるでしょうか。
  64. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 長銀につきましては、去る二月三日、平成八年及び九年に受けました計三千六百九十六万円の寄附、これは国民政治協会に対してでございますが、これを返却されております。また、日債銀からのものに関しては、同じく平成八年及び九年に受けた計三千六百九十六万円、すべて返還されたものと承知をしております。
  65. 矢島恒夫

    矢島委員 そうしますと、二月三日ということですので、この返却分は、長銀の方について言いますと三千六百九十六万円というのは、譲渡契約を交わしたあのリップルウッドグループの側に渡るということはないわけですね。返却したのはその分だけ国民負担が軽くなる、こう考えてよろしいですか。
  66. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  そのとおりでございます。特公管期間中の損失額を縮める効果がございました。
  67. 矢島恒夫

    矢島委員 日債銀につきましては、現在、譲渡先が決まって譲渡条件の交渉が行われていると思いますが、国民負担の最小化の原則というのを貫くことを強く要求しておきたいと思います。  次に、瑕疵担保特約の問題でお聞きしたいと思います。  前回、二十九日に私この問題でお尋ねしたわけですが、何分にも時間の関係ですべてをお聞きすることができませんでした。その二月二十九日の当委員会で私が、正常先と見たものがその後おかしくなった、これも瑕疵とみなすのかという質問に対しまして、森事務局長は、譲渡時に渡す資産一覧表を添えて向こうに渡します、その中に例えばただいま先生がおっしゃったような企業が入っているならば、それは三年の間、瑕疵であるかどうかの判定の対象になりますと答弁されました。どうも質問に対して、きちんと答弁になっているのかどうか、当然のことを言われたのだろうと思うのですが。  そこでお聞きしたいのですが、その相手側に渡した一覧表の中の正常先債権、これについて、企業別に、長銀が引き続き保有することが適当と判定した根拠が書かれているのですか。
  68. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  資産判定基準、これは既に公表してございますけれども、その基準では、正常先は原則として適資産でございますし、要注意先はA、B、C、三つに分けまして、Aは当然、適資産でございます。破綻懸念先、実質破綻先、破綻先、これは基本的に不適でございます。そういうものを前提とした上で、ただいま委員のおっしゃられました一覧表の中には、正常先につきましては正常とあるわけでございます。それ以上の理由はございません。  ところが、要注意先のB、Cになりますと、それぞれ当該企業の経営合理化計画等を見て、ここは例えば繰越損失はあっても三年内に回復する見込みがあるから適資産にするとか、そういうことが書いてございまして、それぞれの債務者区分によって、理由は書いてあったり書いてなかったりということでございます。
  69. 矢島恒夫

    矢島委員 そうしますと、この株式売買契約書の「瑕疵の定義」というところを見ますと、「再生委が「長銀が引き続き保有することが適当」と判定した根拠について、基準日から三年以内に変更が生じたか、又は、真実でなくなったことが判明したことを言い、」と以下書いてあります。  しかし、今の答弁ですと、正常先債権については判定した根拠が書かれていないわけですね。そうしますと、預金保険機構は、それは譲渡以前の瑕疵ではないとか、あるいはNLPまたは新長銀の責めに帰すべきものだ、こういうことで、検討したり、あるいは相手と争ったり、そういうこともできなくなる。この株式売買契約書の素直な読み方ではそうなるのかと思うのですが、そういうことですか。
  70. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  確かに、正常先については、なぜ適資産かというのは、いわば正常であるということが適資産の理由になっているわけでございますけれども、そのために最終契約では、正常先が、いわばもともと適資産と判定したことに瑕疵があるかどうかの問題でございますから、どういう場合に瑕疵があるのかということについて推定規定を設けました。  それは、例えば正常先と再生委員会が判定した企業がその後、つまり譲渡後、元本または利息の三カ月以上の延滞を起こしたとか、実質債務超過または繰越損失の発生だとか、あるいは貸し出し条件緩和の要請をしてきたとか、こうした場合には、金融再生委員会の正常という判定に瑕疵があったということで、瑕疵の対象になるわけでございます。
  71. 矢島恒夫

    矢島委員 これからどれだけ瑕疵担保として買い取らなければならなくなるのか。これは将来の国民負担にかかわる重要な問題で、先ほど事務局長が言われたように、正常先債権でも四つの推定規定というものに該当する場合には瑕疵となる、こういうわけですね。ですから、私がここでぜひお願いしたいのは、この瑕疵担保についての検討をするためにも、先ほど事務局長が言われた譲渡時に相手側に渡した譲り渡し資産の一覧表、これをぜひ資料として当委員会に提出していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  72. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  特別公的管理銀行でありました長銀は、三月一日をもって譲渡実行が行われ、新生長銀にすべて適資産は承継されたわけでございまして、現在の新生長銀と申しますのは、いわばもう特別公的管理ではない通常の民間銀行でございます。そういう民間銀行のいわば取引先の中身について、それを明らかにするということは、いろいろな取引等に影響が出るという観点から、当方としては控えさせていただきたい、そのように思う次第でございます。
  73. 矢島恒夫

    矢島委員 そもそもその一覧表をつくって渡したのはこっちなのですよね。では、百歩譲って相手側に渡したそのものでなくてもいいです。せめて、譲渡された債権について、債務者の区分別一覧表、つまり区分別の件数あるいはその割合、こういうものの資料はいただけますか。
  74. 金子一義

    金子委員長 矢島委員、区分別というのはどういう意味ですか。
  75. 矢島恒夫

    矢島委員 一つの区分の中の件数ですから、こういうのが何件ある、こういうのが何件あるという件数、あるいは全体の中で二〇%はそういうものがありますよ、こういう資料です。
  76. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  実は、以前にもそのような御要請を受けました。当方もいろいろ検討したのでございますけれども、長銀の場合、取引先数、七千ぐらいでございます。先生が御指摘したのは、正常先がそのうちの何先か、要注意先A、B、C、あるいは破綻懸念先、そういうことかと思いますけれども、長銀につきましては、マスメディアでいろいろ言われておりまして、仮にパーセントであれ先数であれ、それが出ますと何となく特定されてしまうというリスクもございまして、また一般的に、一般の銀行も確かにリスク管理債権だとか金融再生法開示債権、そういう不良債権を公表しておりますが、これは取引先数ではなくて債権額で公表しております。そういうものとの対比でいきましても、取引先数で債務者区分別というのはぜひ御容赦いただきたいと思います。  なお、リスク管理債権、あるいは金融再生法開示債権という意味でございましたら、昨年の九月期の中間決算を出した段階で公表しております。
  77. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、相手側に渡したそのものを資料として出せなんということを言ったのではないのです、百歩譲ったのですから。この債務者の区分一覧表、要するに件数とか割合、名前が出るわけではないのですよ、どこの企業のどういうものだということが。だから、そういう資料を提出しろということを要求したのですよ。こういう資料がなかったら、これから三年間あるわけですから、そういう問題に対して国会として十分責任が果たせないですよ。  委員長お願いがあるのですが、この債務者の区分一覧表をまとめたものを本委員会に提出するかどうか、そのことについてぜひ取り計らっていただきたい。
  78. 金子一義

    金子委員長 既に理事会でもこの問題を一度協議したことがあると思いますけれども、改めて理事会でまた取り上げて、議論していただきたいと思います。  この件に関して、事務局長、何か発言はありますか。あればどうぞ。
  79. 森昭治

    ○森政府参考人 もちろん御要請があれば再度検討させていただきますけれども、先ほど申しましたとおり、かなりいろいろ債務者区分によっては非常に小さな数字が出てくる。そうすると、いろいろマスメディア段階では、ここはどこの企業だというような話にもなり得るもので、そういうことで、今の経済の現況のもとでそういう意味での余り混乱を起こしたくないという気持ちから、ぜひ差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  80. 矢島恒夫

    矢島委員 私が言うのは、これは委員長の方で、理事会で相談していただけばいいのですが、マスメディアがどうのこうのという話、そこまで考えるのか、それとも、それをでは別の方法で何かこの資料を見ることができるような状況もあるのか、そんなものも含めていろいろ理事会で御検討をよろしくお願いしたいと思います。  次の質問に入ります。  ことし二月に長銀の資産を判定するときに、正常先債権、基準をつくったわけですね。「正常先とは、業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者をいう。」こうなっています。つまり、こういう正常先が三年間に、先ほど事務局長が言った推定規定、これに該当した。その当時の判断が悪いから責任をとれというのでは、余りにも相手側の言いなりではないかと思うのですよ。業況がよくても財務もよくても、三年間におかしくなる場合だって少なくないと思うのですよ。ところが、この推定基準を満たせばすべて三年前が悪かったと推定してしまう。  もともと長銀の債務については、判定委員会で一本一本厳重に審査したとあなた方は言っている。その判定というものは、本来、瑕疵はないわけだとしたのではないですか。そうではないのですか。
  81. 森昭治

    ○森政府参考人 再生委員会におきまして、金融再生法に従いまして、いわば適資産と不適資産の仕分け作業をいたしました。その際には、正確に申し上げれば、債権ごとではなくて債務者ごとに債権を束ねまして、債務者の健全性をはかった次第でございます。そして、公表しております資産判定基準に基づきまして、適の債務者、不適の債務者に分けたわけでございまして、当方、長銀の譲渡に際しまして、瑕疵担保の法理に従った特約というものを考えましたのも、金融再生法が、そういう適、不適を再生委員会が判定しろと。通常は、MアンドAでございましたら受け皿の方がデューデリをするのを再生委員会の方がデューデリをしているわけでございますので、いわばその責任を明確にするという考え方のもとに瑕疵担保特約というものを設けた次第でございます。  なお、先ほど言葉足らずでございましたけれども、正常先が譲渡後におかしくなったという場合は、当然なぜおかしくなったかというものを精査いたします。それが先方、すなわち新生長銀の側の責めに帰すべき理由によりおかしくなった場合は、当然のことながら瑕疵担保責任は負いません。
  82. 矢島恒夫

    矢島委員 どうも今の説明ですべて納得するわけにはいきません。正常先債権ですらこのように推定されるわけでしょう。先ほど事務局長は、債務者別に適だとか判定していったのだと。しかし、それを判定するためには、やはりそれぞれの債務についてきちんと見たのだろうと思うのですが、それを繰り返してやると、もう時間がなくなりました。  そこで、例えば、あえて熊谷組とは言いませんが、再建計画を立てた。しかし、この三月末の状況ではとてもその計画を維持できそうにない、そこで再建計画達成が不可能になった、これは瑕疵ですか。
  83. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃられた例につきまして、三月末でおかしくなったということかと思いますけれども、そういう例で申し上げれば、それが適資産として判定されて、新生長銀に引き継がれたものである、そして、その適資産の判定というのは当然譲渡前にしていたわけでございまして、それが譲渡後において正常でございましたら、先ほど言った推定規定が働く。要注意先のB、Cでございましたら、それぞれの理由がその理由どおりにならなくなった、例えば、繰り越しが回復するだろうという理由がそうではなくなったとか、そういうことであれば、それは瑕疵になるということでございます。
  84. 矢島恒夫

    矢島委員 どうも納得できない。これはどんどん、どこまで国民負担が多くなるかわからない。長銀が一時国有化された際に、金融再生委員会は、長銀の貸出先について、引き続き長銀が保有するものとRCCに送って処理するものと分けたわけです。保有し続ける融資先の中には、ゼネコンや流通関係の問題企業が含まれているのですよ。これらのバブルに踊った問題企業の融資リスクを、貸出関連資産の瑕疵担保といって国民負担しなければならないということは全く許せない。  長銀が保有している資産は約十兆円と言われています。このうち瑕疵担保特約で買い戻す資産が例えば一割にとどまったとしても、一兆円の負担になるわけですよ。これを公的資金で買い取る、こういうことを合意したわけですね。しかし、金融再生法にも、それから六十兆円の支援枠にも、このような支出ができるようになっていない。一体どの勘定からこれを出すつもりですか。
  85. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  ちょっと言葉足らずだったかもしれませんけれども、単なる瑕疵であっただけでは要件が十分でございません。先生百も御承知で御質問されていると思いますけれども、プラス二割減価というものがつくわけでございます。  その上で、将来確かに瑕疵のあった債権が出てきた、それが当初簿価に比べて、当初簿価と申しますのは、いわゆる簿価マイナス引当金、これで考えます、これに比べて、そのときの、つまり将来判定する時点での簿価マイナス引当金、その引当金というのは、より債務者区分が落ちるわけですから大きくなるわけですけれども、その比率で二割落ちているかどうかを見るわけでございます。その結果、もし二割以上であった場合には、契約を解除するということは損害賠償するわけではございませんで、その債権はRCCに引き取るわけでございます。  したがって、RCCはもちろん当初の簿価でお金を払いますから、それが一〇〇であって実は価値は八〇であったとすれば、先生おっしゃるように二〇のロスが出るわけですけれども、そのロスはどこで埋めるのかといえば、それはRCCの損益計算書の中に反映される、そういうことでございます。
  86. 矢島恒夫

    矢島委員 本当に言いなり、至れり尽くせり、国民負担の増大、こういうことは全く許せないわけですが、株式の含み益で資本増強をやった、そして譲渡後にも新たな資本注入をやりました、もう申請が出されました。今、これと同じやり方を日債銀の譲渡でもやろうとしている。こんな譲渡の仕方はやめるべきだ。  時間が来てしまいました。私は、このことを強く要求して、終わります。      ————◇—————
  87. 金子一義

    金子委員長 次に、内閣提出国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案及び関税定率法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。大蔵大臣宮澤喜一君。     —————————————  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案  関税定率法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  88. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案及び関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  国家公務員等旅費に関する法律につきましては、最近の国際航空路線における運賃体系の変化等に対応するとともに、行政コストの削減を図るため、外国旅行における航空賃の支給基準の改定等を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして御説明申し上げます。  国家公務員等の外国旅行における航空賃について、運賃の等級を三以上の階級に区分する航空路による旅行の場合について規定するとともに、最上級の運賃の支給は内閣総理大臣等及び指定職の職務にある者のうち事務次官級以上に限定するなど、支給基準の見直しを行うこととしております。  その他、鉄道賃について特別車両料金の支給対象を指定職以上に限定する等の附則の内容を本則で規定するなど、所要の規定の整備を行うこととしております。  次に、関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応する等の見地から、関税率等の改正を行うとともに、納税申告の前に輸入貨物の引き取りを可能とする簡易申告制度を導入することとし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、原油及び石油製品関税の改正であります。  原油関税について、現行平成十三年度までの期限を平成十七年度まで延長するとともに、平成十四年度から税率を引き下げる等、原油及び石油製品関税の改正を行うこととしております。  第二は、その他の関税率等の改正であります。  粗糖の関税率の撤廃、精製糖等の関税率の引き下げ等を行うこととしております。  第三は、戻し税制度等の改正であります。  個人的な使用に供する一定の輸入貨物を返送する場合にその貨物について納付した関税を払い戻すことができることとする等、戻し税制度等の改正を行うこととしております。  第四は、暫定税率及び関税の還付制度の適用期限の延長であります。  平成十二年三月三十一日に適用期限の到来する暫定税率及び関税の還付制度について、その適用期限を一年間延長することとしております。  第五は、簡易申告制度の導入であります。  輸入者の利便性の向上等のため、法令遵守の確保を図りつつ、あらかじめ税関長の承認を受けている輸入者が、継続的に輸入しているものとして指定を受けた貨物について、納税申告の前にこれを引き取ることを可能とすることとしております。  その他、覚せい剤、銃砲等の輸入禁制品を輸入した場合の罰金額を引き上げる等、所要の改正を行うこととしております。  以上が、国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案及び関税定率法等の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  89. 金子一義

    金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十四日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十九分散会