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2000-02-29 第147回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月二十九日(火曜日)     午後四時四十五分開議  出席委員    委員長 金子 一義君    理事 衛藤征士郎君 理事 鴨下 一郎君    理事 根本  匠君 理事 渡辺 喜美君    理事 上田 清司君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君       石原 伸晃君    大石 秀政君       大野 功統君    河井 克行君       桜井  新君    桜田 義孝君       塩谷  立君    下村 博文君       砂田 圭佑君    高市 早苗君       西川 公也君    林  幹雄君       宮本 一三君    村井  仁君       村上誠一郎君    渡辺 博道君       岡田 克也君    鍵田 節哉君       河村たかし君    木幡 弘道君       末松 義規君    仙谷 由人君       中川 正春君    中山 義活君       藤村  修君    谷口 隆義君       並木 正芳君    若松 謙維君       安倍 基雄君    一川 保夫君       西田  猛君    佐々木憲昭君       矢島 恒夫君    横光 克彦君     …………………………………    大蔵大臣         宮澤 喜一君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 谷垣 禎一君    金融再生政務次官     村井  仁君    大蔵政務次官       大野 功統君    政府参考人    (金融再生委員会事務局長    )            森  昭治君    政府参考人    (金融監督庁検査部長)  五味 廣文君    大蔵委員会専門員     田頭 基典君     ————————————— 委員の異動 二月二十九日  辞任         補欠選任   岩國 哲人君     中山 義活君   河村たかし君     木幡 弘道君   中川 正春君     藤村  修君 同日  辞任         補欠選任   木幡 弘道君     河村たかし君   中山 義活君     鍵田 節哉君   藤村  修君     中川 正春君 同日  辞任         補欠選任   鍵田 節哉君     岩國 哲人君     ————————————— 二月二十九日  商工ローン問題に関する請願堀込征雄紹介)(第二〇七号)  延納相続税の支払いに困窮している相続人に対する相続税法緊急改正に関する請願西村眞悟紹介)(第二一六号)  年金生活者に対する課税最低限度額引き上げに関する請願大口善徳紹介)(第二一七号)  消費税増税反対消費税率三%への減税に関する請願大森猛紹介)(第二二四号)  同(児玉健次紹介)(第二二五号)  同(中路雅弘紹介)(第二二六号)  同(中林よし子紹介)(第二二七号)  同(平賀高成紹介)(第二二八号)  同(古堅実吉紹介)(第二二九号)  同(矢島恒夫紹介)(第二三〇号)  配偶者特別控除の廃止に関する請願石井一紹介)(第二五六号)  同(土井たか子紹介)(第二八〇号)  不況打開地域経済振興緊急対策に関する請願坂上富男紹介)(第二九七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  平成十二年度における公債発行特例に関する法律案内閣提出第一号)  租税特別措置法等の一部を改正する法律案内閣提出第二号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第三号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案大畠章宏君外三名提出、第百四十六回国会衆法第一五号)     午後四時四十五分開議      ————◇—————
  2. 金子一義

    金子委員長 これより会議を開きます。  この際、今般就任されました谷垣金融再生委員会委員長より発言を求められておりますので、これを許します。金融再生委員会委員長谷垣禎一君。
  3. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 このたび、金融再生委員長を拝命いたしました谷垣禎一でございます。  金融行政大変重大な折、このような仕事を引き受けまして、大変重責を感じております。  どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  4. 金子一義

    金子委員長 内閣提出平成十二年度における公債発行特例に関する法律案租税特別措置法等の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案及び第百四十六回国会大畠章宏君外三名提出租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  各案審査のため、本日、政府参考人として金融再生委員会事務局長森昭治君、金融監督庁検査部長五味廣文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 金子一義

    金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木憲昭君。
  7. 佐々木憲昭

    佐々木(憲)委員 日本共産党佐々木憲昭でございます。  きょうは、谷垣大臣大蔵委員会に初めて御出席をされていますので、幾つか御質問をさせていただきたいと思います。  越智大臣は、自分発言について責任をとって辞任をされました。前大臣辞任について、谷垣大臣はどのように受けとめておられるか。まず、この点についてお聞きをしたいと思います。
  8. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 越智委員長は、金融行政について大変明るい方で、私も、いろいろ越智委員長から今まで教えていただいたことがあるわけでございますが、今の金融をめぐる情勢を十分御存じの方でございますから、私は、直接大蔵委員会等での越智委員長の答弁は伺っていないのでありますが、越智委員長真意と違ったところで、今の金融行政に何か透明、公正に進めていくというのとはちょっと違うところがあるような印象を、誤解をもし与えたとすれば大変残念なことであった、そういうことで越智委員長はあのような決断をされたのであろう、こういうふうに思っております。
  9. 佐々木憲昭

    佐々木(憲)委員 真意と違ったところで発言をされ誤解を与えた、このようにおっしゃいましたが、問題は、そのような認識でよろしいのかどうかということでございまして、越智発言は、二月十九日に栃木県塩原町のホテルで開かれた、自民党代議士国政報告会の一環としてセットされた金融関係者への講演で行われたものでございます。一般的な講演会ではございません。特定議員支援するための集まりでそのような発言をされたわけでございます。  そこで、前大臣はこうおっしゃっているのですね。私の下に金融監督庁がある、こう言ったり、私のところには、全国の信用金庫と信用組合一覧表をつくって、三カ月に一遍チェックしています、こう述べております。その上で、こちらに伺うので、もう一遍表を自分で見直してみてですねなどと言って、その地域信金信組状況について述べています。これは、大臣地位を利用して、いわば自分の知り得る情報を利用して、ある意味では参加者に対して自分権限をひけらかすといいますか、別な言い方をすればおどしともとれるような、そういう発言をされたものでございます。  その上で、約八百人いるんですけれども、これが一斉に信用組合に行きます、七月から三月までの間に全部検査します、三百を。それは手配がつきました、こう述べました後で、検査の仕方できついとかあったら、どんどん直接仰せください、あるいは、ここにお集まりの皆さんは蓮実さんにどんどん言ってください、書類か何かで渡してもらったら、彼が私のところに来たら、最大限考慮しますから、それは。こう述べているわけですね。  前大臣は、これらの発言は不用意な発言だったと言っておるわけであります。これは、不用意という程度のものではないと思うのです。前大臣は、これで大変な国民的な批判を浴びていわば失脚したわけでありますが、同じ過ちを繰り返さないためにもはっきりさせておきたいのですけれども、このような行動、このような発言は、特定議員候補者のために大臣という地位を利用した利益誘導であり、露骨な集票活動だと私は思います。  谷垣大臣はそのように思われませんか。大臣自身は、越智発言のどこがどのようにまずかったか、どのようにこの点をお考えでしょうか。
  10. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 私は越智委員長自身ではありませんので、越智さんの真意を十分に私が申し上げるというわけにもいきませんけれども、要するに、私も金融再生委員長になりまして改めて金融再生委員会それから金融監督庁金融監督のそれぞれの検査権限あり方というものをもう一回勉強し直してみたわけでございます。  このことは既に官房長官政府統一見解としておっしゃっているところでございますけれども、条文上、法文上は検査金融再生委員会権限となっているわけでありますが、しかし、それは実際上金融監督庁に委任をしているという関係になって、ふだんは細かなことは言わぬという仕組みになっているわけですね。  それで、金融監督庁は御承知のように、これは官房長官のおっしゃったことの繰り返しになるわけでありますけれども金融再生委員会の下にあるわけでありますから、それは金融再生委員会はやはり指揮監督権というものがあるわけであります。それを全然行使しない、こう言い切ってしまいますと、これは本来法で与えられている責任を放棄することにもなりかねないわけでありますけれども、あくまでもその場合、指揮監督をするとしても、私は今委員長といたしまして金融再生委員会を代表する者でありますけれども、その場合、金融監督庁指揮監督するのはあくまで合議体としての金融再生委員会であって、政治家である私が個々にこうしろああしろと言って動くような仕組みにはでき上がっていないわけでございます。  そしてその背景に、これはこの数年、金融行政仕組みも逐次変化をしてきたわけでありますけれども、その根底に流れます一種の思想というのは、金融行政あり方というものをできるだけ公正なルールに基づいて透明にやっていこう、こういうことであったわけでございますから、政治的に圧力をかけて検査の実態が変わっていくというような仕組みにはそもそもなっていない、こういうふうに思っているわけであります。  でございますから、私はこのたびこういうふうに就任をいたしまして、先ほど申し上げたように、公正なルールに従って透明に進めていくという精神を繰り返し自分の念頭に思い起こして、きちっとした金融行政を推し進めていきたい、こういうふうに思っております。
  11. 佐々木憲昭

    佐々木(憲)委員 今、金融再生委員会監督庁に対して指揮監督権を持っているということをお認めになった上で、合議体であると。しかし合議体ではあっても、その最高責任者担当大臣であるということは明確でありまして、再生委員長でありますから。ですから、そういう意味で、指揮監督権限を持っている最高責任者が、あたかも個別に言ってくれば自分が何とかしてやるよといういわば利益誘導的、地位利用的発言をされた、そこに問題があったというふうに思うわけであります。  それ以外にも前大臣は、公的資金注入に関してこうおっしゃっています。危なかったら早く言ってもらいたい、金を僕らが出せるのはあと二年しかないと言っています。蓮実代議士に対して、音頭をとって栃木県内金融地図をつくってほしい、県の信用組合のをつくってほしい、こう言っているわけです。検査金融再編についての権限一体この代議士にあるのか、どのような意味地元金融界の公的な代理人とこの代議士はなっているのか、全く説明がつかないと私は思います。  しかも越智大臣は、そのための手段として資本注入というものを振りかざしまして、資本注入でどうにか手を打てますから、こういう発言をされているわけです。これは、地元代議士を通じて自分に言ってくれば、国民税金公的資金自分の裁量で出せるかのような言い方であります。公的資金というのは大臣ポケットマネーではありません。  谷垣大臣は、この発言についてはどのような感想をお持ちですか。
  12. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 資本注入をいたしますときの公的資金大臣ポケットマネーでないなどということは当たり前のことでございまして、私は、そんな認識は毛頭持っておりません。  そしてそれに加えまして、これも申し上げるまでもないことでございますけれども資本注入をいたしますときは、これは申請主義でございます。当事者が、自分のところの体力の強化あるいは地域において健全に金融の機能を果たしていくためにはそういうことが必要である、自己資本をもう少しふやしていくことが必要である、こういうふうに判断して初めて申請が出てきて、その出てきた申請を私どものところできちっと審査をしてやるということでございますから、無理やりやれというようなものでもないし、だれかがそういうことをやると、その音頭をとるという場合ももちろんないとは言えないと思いますが、金融再生委員会からやりなさいと言う立場ではありません。  ただ、あえて申し上げますと、我々金融再生委員会が法のもとに権限責任を負っております。そして金融の、二年前の金融国会でこれは議員立法でつくっていただきました仕組みに従いまして、やはりできるだけ健全で、競争力があって、国際競争にも耐えて、地域地域経済にも役立ち得るような、そういう金融秩序をつくっていかなければならない。そのために、私たちも全く中立であるわけではないのです。やはり与えられている資本注入という手段をできるだけ有効に使って、望ましい金融秩序をつくっていきたいという気持ちは当然私どもにもございます。  そういうような考えでございますけれども、あくまでこれは、私どもポケットマネーではなくて、厳正に審査をして使っていく、こういうことでございます。
  13. 佐々木憲昭

    佐々木(憲)委員 谷垣大臣は、あくまでも公平、公正にというふうにおっしゃいました。資本注入あるいは検査の問題について、これを利用して地位利用するとか、利益誘導するとか、そういうことは一切しない、公平な立場で対応するというふうに私はぜひやってもらいたいと思いますけれども、もう一度これを確約していただきたい。
  14. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 私どもが所管しております法に従ってきちっとやりたい、このように覚悟を新たにしております。
  15. 佐々木憲昭

    佐々木(憲)委員 私は、信金信組の問題というのは地域経済にとって極めて重要な役割を果たしていると思っております。したがって、大銀行と同じような自己資本比率を当てはめて、その基準で輪切りにして切り捨ててしまう、こういうやり方には反対であります。そんなことをしますと、信金信組はもうばたばたつぶれてしまう。やはり、国際的な分野で活動する大手銀行地域密着型の中小金融機関というのは、これは区別して扱うというのは当然のことだというふうに私は思います。  しかし、そのことと、それを利用して何か地位利用利益誘導を図っていくということと、これは全く別問題でありまして、谷垣大臣に確認をしたいのですけれども信金信組地域経済に果たしている役割、これをどのように考えておられるか、また都銀などと同じような考え方で一律に検査してもいいというふうに考えておられるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  16. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今おっしゃった信金信組というのは大変地域に密着して、地域の方々の経済活動生活に密着したものであって、我が国の地域経済にとって重要な役割を果たしておるところが多いわけですね。それはおのずから都銀等の大銀行と違うではないかという御趣旨だと思います。  それで、今、これは実は政務次官に答えていただくべき分野なのですが、我々の金融検査マニュアルというのがございます。この金融検査マニュアルについて、別なものをつくれ、こういう御議論ももちろんないわけではないのですけれども、私どもはそれは必要はないと思っております。  そして、金融検査マニュアルの中に、やはり画一的な運用は、ちょっと私、着任したばかりで、金融検査マニュアルの用語を逐語的に覚えているわけではないのですが、画一的、硬直的に使ってはいかぬという趣旨の記述があったと思います。そういうところを使いまして、それぞれの金融機関の目的や地域経済に果たす役割を勘案しながらやっていただくということではないか、こう思っております。
  17. 佐々木憲昭

    佐々木(憲)委員 地域金融機関というのはその地域中小企業地域経済にとって非常に重要な役割を果たしております。したがいまして、大手と同じように一律に基準を当てはめてやっていくということになりますと、地域経済にとっても大変重大な事態を結果としてもたらしかねない。  その点について十分配慮をされることを最後に要望いたしまして、時間が参りましたので終わりたいと思います。
  18. 金子一義

    金子委員長 次に、矢島恒夫君。
  19. 矢島恒夫

    矢島委員 一昨年、九八年にあの金融国会の中で、銀行支援六十兆円枠というのが決まりました。それからわずか一年余りですけれども、過去最悪の借金予算の中で、銀行への公的資金枠が十兆円上積みされる。たびたび話題になっていることですけれども小渕政権になって、国と地方合わせて百一兆円、こんなにも借金がふえた。その中で最大の金食い虫金融機関ということが言える状況にあると思います。十三兆円が銀行破綻の穴埋めに使われるわけであります。こういう状況に対して、経済誌の中でも、金融危機は既に公的資金の乱発などによって財政危機へと変質してきていると指摘しているわけです。  そこで、この六十兆円の銀行支援の問題で質問したいと思います。  ことしの一月現在、六十兆円の支援枠のうち二十二兆七千億円もの公的資金使用が確定しております。そのうち、返済見込みが全くない公的資金も、例えば長銀の三兆六千億円など、当初の予想をはるかに超えて膨らんでいるという状況だと思います。  再生委員会に聞きますけれども一体返済見込みがないのに投入しなくてはならない公的資金の額は、長銀も含めて、九七年の福井第一信組が破綻して以降、九九年の紀北信用組合までの処理に使われたもので幾らになっているのか、お答えいただきたい。
  20. 森昭治

    森政府参考人 お答え申し上げます。  九七年以降の金融機関破綻処理につきまして、預金保険機構により行われました金銭贈与の総額は、昨日現在、すなわち昨日日長銀につきましての金銭贈与を行いましたものですから、昨日を含めまして八兆六千百五十億円でございます。  このうち、保険料収入によって賄われるもの、すなわち金融機関全体からの保険料収入によって賄われるもの以外の公的資金使用額、これが先生御質問のところかと思いまして、すなわち、言葉をかえれば交付国債償還額ということにもなるわけでございますけれども、その額は四兆七千八百四億円でございます。
  21. 矢島恒夫

    矢島委員 今後、国民銀行あるいは幸福銀行東京相和あるいはなみはや銀行新潟中央、いろいろとこれらの破綻銀行に対して巨額公的資金投入されるということははっきりしているわけです。  そこで、また再生委員会に聞きますが、森事務局長で結構ですが、長銀処理に使われた公的資金、既にきょう終わっておるわけですが、返ってこないもの、それから返る可能性のあるもの、これは最終的に一体幾らになったのか、各勘定ごとに示していただきたい。
  22. 森昭治

    森政府参考人 お答え申し上げます。  長銀に絞っての御質問かと思いますけれども長銀に絞りますと、まず特例業務勘定のうちの特例業務基金、これが七兆の枠をいただいております交付国債による償還でございますけれども、それにより充てられました長銀ロス補てん額は三兆二千二百四十四億円でございます。ただし、この中には、長期信用銀行はほとんどの資金調達金融債で行っていましたが、一部預金もございましたので、預金部分については一千万円以下のペイオフコスト内の部分一般保険料からカバーされることになっていますが、その部分が少しございます。ただ、全体は三兆二千二百四十四億円でございます。  さらに、金融再生勘定から支払われました分、これは長銀が破綻いたしまして特公管特別公的管理状況にある間の損失は金融再生勘定から埋めるとなっておりますが、それは三千四百八十九億円でございます。これにつきましては、基本的に返ってこない額と認識しております。  それに対しまして、長銀につきましては、二千四百億円、今後、長銀が三月一日、すなわちあした受け皿の方に譲渡されまして、三月二日に新しい銀行として営業を始めますが、その際には最終契約に従いまして資本注入申請する予定になっております。その額は二千四百億円を予定しております。  これにつきましては、早期健全化法に基づく通常健全行への資本注入と同等でございますので、あえて言えば、政府からの投融資のジャンルに入るかと思います。この分については、将来長銀がしっかりした銀行となり再上場された際には、優先株を処分することによりまして戻ってくるものと認識しております。  さらに、株式の含み益を二千五百億円、長銀資本勘定に繰り入れることにしてございます。これにつきましても、佐々波委員会の際に優先株式が一億株、日本長期信用銀行投入されたわけでございますが、これは長銀が破綻した際には、株価がゼロということで一たんは無価値になったものでありまして、受け皿において全額減少するのが通常でございますけれども、これにつきまして、交渉の結果、約七千四百五十万株ほどをそのまま政府が留保することで交渉がつきましたので、将来、これも長銀がしっかりしたものとして再上場された際には大きな価値になり、それによりまして、先ほど申しました二千五百億円の含み益の分について相当部分取り戻せるものと考えております。
  23. 矢島恒夫

    矢島委員 今内訳を言われたわけですが、そうすると、いわゆる銀行保険料による負担というのは多分百四十六億円だと思うのです。全体のわずか〇・四%にもならないわけです。預金者保護と言ってきたけれども、まさに九九・六%というのはいずれも公的資金の枠内でやっていく、それが銀行への支援という形になる。銀行業界のための公的資金投入だと言わざるを得ないと私は思います。  そこで、大蔵大臣にお聞きするのですが、提案されている予算の中の十兆円の公的資金の積み増しのうち、六兆円は交付国債上積みだと思います。まさに長銀放漫経営、そしてこの間にもいろいろ論議されたように、これを隠してきた大蔵省の責任、その結果長銀が破綻した、さらに一時国有化した、この中でも赤字はどんどんふえてきた、そしてアメリカのリップルウッド・ホールディングス、これを核とするところの投資集団、いわゆるNLPによって買収条件が九月に出される、それをそっくりそのまま受け入れた形で進められた。その結果、この処理のために三兆六千億円を超える税金投入が必要になった。  そこで、大蔵大臣、この長銀処理巨額税金投入をしなければならなくなったこと、これが交付国債上積みをしなければならなくなった大きな原因だと思うのですが、それでよろしいですか。
  24. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 お答えとしては、私はそれでよろしいと思うのですが、これは御記憶のように、一昨年の国会で両院で非常に御議論がありまして、こういう方式が編み出されたわけでございますね。院のお決めになられました法律に基づいていたしました行政ですから、今の段階で私はそれについて批判がましいことを申し上げるのは適当でないと実は思っております。  が、お尋ねでございますから、小渕内閣ができましたのが一昨年の八月でございますが、小渕首相と私もかかわりましたが、長銀がある信託銀行と合併の話がありまして、これを小渕さん、私が推進したことに当時大変御批判がございました。非常に御批判がありまして、そういうことはむしろよき行政ではないという御批判が、主として衆議院の予算委員会でございましたけれども、ありまして、長銀は実際は債務超過ではないかといったような御議論が連日ございました結果、長銀はワリチョーがだんだん売れなくなる、あるいは解約というかもう一遍更新するということがなくなる、それから長銀の株も最後に……(矢島委員大臣、済みません」と呼ぶ)しかし、これは大事なところでございますので。最後にああいうことになりまして、こういう処理に入ったわけです。  それが、国が、この際は預金と申しますよりは大部分ワリチョー、長銀債でございましたけれども、国がその責めを一〇〇%背負っておりますから、したがって、国はそれに従いまして、それに相当する金額を新しい銀行に移行をしなければならないことになった。したがいまして、もしそうならない段階で長銀が何々信託銀行と合併ができましたら、そういう債務はそこの新しい銀行に移行したはずでございますから、納税者の負担にならなかったのではないか。  そういうことを多分お尋ねになっていらっしゃいますので、これは考え方の筋道としては私はそういうことであろうと思いますけれども、ちょっとまだまだ今、ある意味で、将来もう一遍そのときのことをレビューしてみるというような多少アカデミックな意味でありませんと、余り具体的に申し上げない方がいいのではないかと思っております。
  25. 矢島恒夫

    矢島委員 谷垣再生委員長に聞きたいのですが、再生委員会というのは国会の承認のもとに設置が決まりました。そのもとで仕事をしてきているわけであります。国会で決めたのは、交付国債七兆円というのを決めたわけであります。ですから、つまり、この七兆円というのは国会の意思であったわけであります。当初はこの七兆円で賄うつもりで来た、しかし足らなくなったから積み増しだと。余りにも無責任だと私は思うのです。つまり、また足らなくなったらまた積み増しか、こういう論議もあるわけです。  今度の六兆円の積み増しで、大体いつまで賄うつもりでいらっしゃるのですか。
  26. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 積み増しは余りにも無責任であるという御指摘でございますが、今宮澤大蔵大臣が二年前のことを思い出されて、当時の経緯をいろいろお話しになりまして、私もあの当時は大蔵大臣のもとで政務次官を務めておりましたので、いまだにきのうのことのような気がするわけでございます。  それで、この金融再生委員会ができまして、その金融再生委員会にやはり各分野の練達な方にお入りをいただいて、それぞれ衆知を集めて御議論もいただき、そしてこれは時間を置くとだんだんロスもふえてくるわけでございますから、いろいろな御苦労の中で今日こういう形になった。  私は、そういう意味では、この三兆六千億というのは巨額な金でございますけれども特別公的管理というものの中でこれは最善を尽くしてこういう形になったのではないかな、こういうふうに考えておるわけでございまして、そしてさらにほかの銀行もあったわけでございますから、決して無責任上積みをしたというようなものではない、こう考えております。
  27. 矢島恒夫

    矢島委員 紀北信用組合までの処理で二兆八千七百億円ぐらいですか、それから長銀へ三兆六千億円、これで六兆四千七百億円ですから、残りはもうほんのわずかしか残っていないというのが今日の状況だろうと思います。  そういう中で、先ほど来、越智委員長栃木での講演の中身がいろいろ取りざたされておりますが、その中で、きょうの予算委員会でもありましたが、まだ私のところからお金が出せるんですよ、いわゆる六十兆円、また伸ばして十兆円つけたんです、そんなに使っちゃいません、くれたお金が一兆五千、貸したお金が十五兆、今のうちにだめなものは言ってきてください、こういう発言そのものも極めて重大ですけれども、十兆円つけたのですと言う。  それから、もう一つこの問題でお聞きしたいのは、先日二月二十四日の日ですか、三兆円を超える支出が確実になっている日債銀の問題です。譲渡先としてソフトバンクとの覚書が取り交わされたわけです。そうしますと、大蔵大臣、この六兆円の交付国債の追加の問題を含めて今国会で論議されているわけですね。まだ決まっていないわけですよ。ところが、その十兆円の上積みはもう決まったものだというような形で、いろいろと事が運んでいるわけですよ。まさに私はこれは国会無視だと思うのです。大臣、このことをどうお考えか。
  28. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 裏からお答えを申し上げますと、十二年度の予算を編成いたしますときに、あとどのぐらい積み増せばよろしいだろうかということを、正確にはわからないことでございますけれども、まあ大体、金融監督庁も、また大蔵省も、大きなケースがあるかとかないかとかいうことは、ある程度の予想ができることでございますので、したがいまして、六兆を積み増せばこれでまず不足を生ずることはない。ケースは数はあるかもしれないが、大変に大きなケースというのは多分考えられない。したがいまして、その六兆全部を国債整理基金で現金化できるだけの金を積んでおく必要がある。したがいまして、それが四兆五千億円と電電公社の売上代金一兆五千億弱、これで六兆でございますが、これだけのものを国債整理基金に積んでおけばまずこれで十分、十分と申しますか、まあこれで不足になることはない、こう考えていたしました。
  29. 矢島恒夫

    矢島委員 結局、いろいろ言われましたが、七兆円が守れなかった、七兆円でやろうという当初のあれは守れなかったということで、六兆円の積み増しをせざるを得なくなったと。そして、リップルウッドとの合意によって国民負担はさらに膨らむのじゃないかということを私は非常に心配するわけです。  その前に、二月十五日に再生委員会が、一時国有化中の長銀の保有株式を預金保険機構が買い取り、このための公的資金投入額は二兆二千七百六十四億円となるということを発表いたしました。  そこで、お配りした資料なんですが、実はこれは「長銀保有株式の買取り」という題になっております。右側に総計がありますが、銘柄、それから金額とも、上場、非上場の合計になっています。実際に今度はどういうふうに分割されたかということで、含み損を抱えた株式、これは上場株式だけで、実行日前にもう既に売却されている。それから、含み益を有する株式、これも上場株式で、実行日前に預保に売却されるもの。そのわきに書いてあるのが、銘柄、それから金額、含み益です。それから、その実行日後に売却する第一次売却、これは二千五百億円の中身ですけれども、第一次売却、それから第二次売却、一応ここに数値を入れてみたわけですが、上場株式だけの形としてこれで間違いないですか。ちょっと確かめたい。
  30. 森昭治

    森政府参考人 お答えを申し上げます。  先生大変わかりやすく示していただきました。基本的に何の間違いもございません。  ただ、細かいことを申しますと、第一次売却分のところでございますけれども、二十九銘柄、千七百四十億円が売却価格になっておりますけれども、千七百四十六億円が正確なところでございます。
  31. 矢島恒夫

    矢島委員 そうすると、この表でいえば含み損千二百一億円、非上場を加えればもっと額は上がると思いますけれども、大した額ではないかもしれません、千二百五十数億円になるかと思いますけれども。これはいわゆる国民負担になる、こう考えてよろしいですね。
  32. 森昭治

    森政府参考人 お答え申し上げます。  現在のところ、二月二十九日基準の予備的貸借対照表というものをつくっております。その貸借表の中でこの千二百一億円の含み損はどういう立場にあるかと申しますと、実は、その下の欄の含み益二千四百三十億円と時価で相殺しました残り、千二百二十九億円でございますか、これがいわばロス埋め額を、益の方が多うございますから、縮小する効果がございます。
  33. 矢島恒夫

    矢島委員 縮小する効果があるというわけですが、その答弁は私、いろいろな問題があると思うんですよ。というのは、二千四百三十億円含み益がある、差し引き千二百二十九億円上回っている、こういうお答えですが、これは五年間塩漬けする地銀などの株ですよね。  私は、この含み益の問題を、昨年の十一月十日だったと思いますけれども大蔵委員会で取り上げました。そのときに、この含み益というのは本来国民税金が姿を変えたものなんだから、国に入ってくるものと考えていいかと質問しましたら、森事務局長が答弁に立たれて、「それは国の方に返ってくると考えるのが自然ではないか」、こういう答弁をされました。にもかかわらず、国に戻されるべきこの売却益二千五百億円を持たせてやるわけですね。  含み益を含む株式のうち、実行日前に売った売却益が二千四百三十億円、長銀の資本増強のために投入するのが二千五百億円、大体フィフティー・フィフティーになっているわけです。ところが、損した方は、千二百一億円は半々にはしないで、これを全部国民負担だ、こういうわけですね。もうどうしても道理に合わないです。  そこで、具体的に聞きたいのですが、一体この二千五百億円という株の含み益自己資本比率はどれぐらいになるのかということ。それから、本来国民に返ってくるべき株の含み益二千五百億円を使って資本増強をやる、そして長銀健全行と認定する、こんなことができるのか、こんな資本増強を再生法でやれるのか、その辺が私疑問なんです。こういうやり方が再生法のどこに書いてあるのか、何条なのか、教えてもらいたい。
  34. 森昭治

    森政府参考人 お答え申し上げます。二千五百億円が自己資本比率の上でどのくらいの貢献度があるかという御質問かと思います。  大ざっぱにいきまして、リスクアセットが十兆円弱でございます。仮に十兆円といたしますと、二千五百億というのは二・五%でございます。ただ、長銀の場合、ティア2に入るべき劣後ローン、劣後債等がたくさんございますので、二千五百億がティア1に入りますとティア2も二千五百億円復活いたしますので、合わせれば五%ぐらいの効果があるということでございます。
  35. 矢島恒夫

    矢島委員 大体五%ぐらいにまず引き上げるということだろうと思います。  後半の質問なんですが、これは再生法でできるのか、これは谷垣さんでも結構なんですが、それぞれ、あるいは事務当局でも結構ですが、これは再生法の何条に書いてあってこういう形で資本増強することができるのか、それを教えていただきたい。
  36. 森昭治

    森政府参考人 お答え申し上げます。  先生のおっしゃる意味は、この二千五百億を、いわば三兆六千億弱のロス額を縮める効果があったにもかかわらず、それを資本勘定に入れたのはという御質問だと思うのでございますけれども、再生法上の根拠という意味におきましては、そこを明確に再生法は書いているわけではございません。ただ、譲り渡し実行日における予備的貸借対照表上、どうロス額をあらわすかという際に、これは、長銀を売却する、MアンドAでございますので、いろいろな契約の仕方がある。そういう中で、当方としては、いろいろ先方に譲り渡した債権について、原則三年間保有し続けてくれ、その間に急激な回収はしないということをあれしたわけでございますので、その反対側の条件としてこういうことをのんだということでございます。
  37. 矢島恒夫

    矢島委員 明確に書いていないのですよ。再生法の中で、こういうやり方で、例えば株の含み益によって自己資本比率を上げてもいいんだなんというのはどこにも書いてありやしないのですよ。  そこで、再生委員長法律にきちんと書いていない今の問題ということなんですが、こういうやり方で健全行にするわけです、約五%に自己資本比率を上げるわけです。今度は、早期健全化法によって二千四百億円の資本注入をやるわけです、健全行だというので。  本来国に入るべき株の売却益で資本増強をもししなければ、NLPが出資するのが千二百億円ですから、これを入れるとすると、自己資本比率は大体二・七%ぐらいだと思うのですよ。これでは健全行として二千四百億円の資本注入ができないから、そこで、国民税金自己資本を膨らませた銀行をつくる。これが健全行だという解釈なんですね。  なぜこういうことをするのかという問題なんです。これは実態に合わせて過少資本行として扱えばいいじゃないですか。なぜそうしないのですか。
  38. 森昭治

    森政府参考人 お答え申し上げます。  長銀が破綻いたしまして、金融再生法で、破綻銀行というのは、営業の譲渡または株式の処分によって特別公的管理を終了させるということが基本命題として書いておるわけでございまして、再生委員会としては、再生法に従いまして受け皿探しをしたわけでございます。その結果、最後の段階においては二グループが残った。それを再生委員会でいろいろな条件を審査して、国民負担最小の原則にのっとりまして、この受け皿先に決めたわけでございます。  その中においてはいろいろな交渉が行われたわけでございまして、先生御指摘のような点も含めまして、この最終契約の条件というのが我々としては再生法の趣旨にぎりぎりかなっているものだというふうに認識している次第でございます。
  39. 矢島恒夫

    矢島委員 再生法にもないことをやって、そして五%の銀行にして、健全行だとして、そして二千四百億円の資本注入をやる、こういう形をつくったわけです。それは、交渉の中でといえば交渉の中だけれども、果たしてそういうことができるのかという問題と、今答えていないのは、なぜこれをこういうふうにしないで過少資本行としてやらなかったのか、なぜこういうやり方で健全行にしなければならなかったのか、その辺を。
  40. 森昭治

    森政府参考人 先方は、当然のことながら健全行としての資本注入申請したいということでございまして、二月二十九日、基準日による予備的貸借対照表、そして三月一日にロス補てんをいたしました。そして三月二日に千二百億円を向こうが資本投下する。それをしますと、当方にそれから後早期健全化法に基づいて資本注入申請してくるわけでございますけれども、そのときの貸借対照表からすれば確実に四%を超えているわけでございまして、国内基準行として申請してくる限り、これはやはり早期健全化法上は健全行への資本注入になるというふうな認識をしております。
  41. 矢島恒夫

    矢島委員 いろいろ言われましたが、結局は言いなりなんですよ。向こうの要求をそのままのんで健全行にしてやって、二千四百億円を注入する、とんでもないやり方だと思うんですよね。  さて、再生委員長、今いろいろやりとりしていたのですが、見てくれさえよければすべてオーケーということにはならないと思うのですよ。長銀にこうした手法でやったわけですけれども、これからの譲渡契約の中でもこれが一つの基準になるのじゃないかと私は心配するわけです。そういうやり方がこれからもあり得るのか。つまり、含み益の株、それについてはどうぞとやって、自己資本比率を高めて、さらにそこへ資本注入をしていくようにしてやっていくというやり方。これは今回限りなのか、長銀関係だけなのか、日債銀でもやるのか、その辺について伺いたい。
  42. 森昭治

    森政府参考人 お答え申し上げます。  先般、日債銀につきましては、日本の出資グループを優先交渉先として決めております。その際の先方の買い取り条件というものは公表させていただきました。その条件そのものは、含み益はそんな二千五百というものではございませんけれども、基本的な枠組みとしては、長銀受け皿が示した買収条件に似たものでございます。  ただし、これは、強調させていただきますが、優先交渉先を決めただけでございまして、それがどうなるかは今後次第でございます。
  43. 矢島恒夫

    矢島委員 とんでもないやり方なんですよ、こういうやり方は。だから、私たちは、法律そのものが問題だと。だから、一昨年の金融国会では、この立法に私たちは反対したわけです。まだまだ法律上の問題があるのです。  時間が少なくなりましたので、二、三問やりますが、国民の負担はこれからどれだけ膨らむかわからないという部分がある。それが、何回もこの委員会でも出てきた瑕疵担保特約の問題ですよ。  長銀の譲渡は言うまでもなく会社の売却ですから、本来資産はすべて買収先に渡されるはずであるのに、今回の最終契約書というのを見ますと、融資先の貸し出し関連資産については譲渡したとみなすとなっています。なぜわざわざみなすという規定にしたかが問題なんです。  これは、この後三年以内に、譲り受けたとみなされた融資先の経営が金融再生委員会の予想に反して悪くなった場合、回収不能額が二割を超えたら譲渡はなかったものとしてもとの値段でそっくり買い戻す約束になっている。だからみなすと。そういうことで間違いないですね。
  44. 森昭治

    森政府参考人 お答え申し上げます。  営業譲渡の場合でございますと、まさに貸し出し資産そのものの売買契約になるわけでございますけれども、今回の場合は株式の譲渡でございます。ただ、銀行の場合、株式の価値の大宗を占めますのは貸し出し資産でございますので、瑕疵担保特約との関係で、その関係のみで債権を譲渡したものとみなすという規定を最終契約の中に入れた次第でございます。
  45. 矢島恒夫

    矢島委員 二月十四日に流通準大手の長崎屋が破綻しました。これに伴って、長崎屋に対する長銀の融資約百八十億円が焦げつくことになるわけです。これも国民負担になることは確実ですよね。長銀譲渡の最終契約が行われた直後にこういう事態が起こったわけです。これはいわゆる瑕疵担保だったわけですよね。瑕疵担保として買い戻さなきゃならない、そういうことですね。
  46. 森昭治

    森政府参考人 お答え申します。  個別取引先のことにつきましては言及を控えたいと思いますけれども、一般論で申し上げれば、先生御指摘のとおり、ただいまの申された企業が仮に適と判定されておりまして、譲渡実行日から三年以内に、それがいわば実質破綻になったという場合に、当初簿価、すなわち今の企業が会社更生法なら会社更生法になる前の姿の現在価値より二割減価しているかどうか、これは正直申しますと、担保価値等にもいろいろ左右されるところがございまして、二割減価であるかどうかは、もう少したたないとわからないと思います。
  47. 矢島恒夫

    矢島委員 重大なのは、譲渡前の瑕疵であるのか、譲渡後に生じた問題なのか、どう判断するのかというのは、これは何回もここでやられているのですよ。  前の再生委員長越智委員長は十二月三日の大蔵委員会で、「将来売却後に生ずる損失については何にも保証するつもりはございません。」「瑕疵担保は、あくまでも譲渡以前に生じた瑕疵について、一定の限定のもとに見ざるを得ないということを申し上げているわけでございます」、こうはっきり答弁している。  三年間もみなし期間がある。正常先と見たものがその後おかしくなった。これは譲渡前の瑕疵なのか、譲渡後起こったことなのか。これも瑕疵とみなすのですか。
  48. 森昭治

    森政府参考人 お答え申し上げます。  ポイントは、譲渡時に、譲り渡す資産一覧表を添えて向こうに渡します。その中に、例えばただいま先生がおっしゃったような企業が入っているならば、それは三年の間、瑕疵であるかどうかの判定の対象になります。
  49. 矢島恒夫

    矢島委員 大変な合意をあなた方はしたものだと私は思うわけです。外資の言いなりで、資本増強でも、あるいは瑕疵担保特約でも、この後一体どれだけ膨らむかわからないのに、国民負担で処理することだけは簡単に約束する。こんなことを許して財政再建どころじゃないということですよ。  不良債権の実態を隠して、その処理を先送りしたツケを国民税金ですべて処理する金融再生法と、これに基づく外国資本の言いなりの税金投入、まさに税金をどぶに捨てるようなものだ。私たちは、こういう長銀破綻のような処理は直ちに中止すべきだということを申し述べて、質問を終わります。
  50. 金子一義

    金子委員長 次に、横光克彦君。
  51. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  最初に、谷垣金融再生委員長にお尋ねをいたします。  まずは御就任おめでとうございます。おめでとうございますと言いましたけれども、大変な緊急な事態の中での就任、そしてまた経過が大変思わぬことからでの就任ということで、本音はかなり戸惑いもおありなのではないかと私は思っております。  今、越智委員長発言もそうですが、国民の中から、政治を含めていろいろな問題に対する不信感が炎のように噴き上がっている、私はこのように思うわけですね。神奈川県警、京都府警、新潟県警の問題もしかりでございます。また、越智委員長発言もしかりでしょう。国民感情からすると、どうしても納得のできない発言であろうと私は思うわけでございます。  私、基本的には、金融再生法で財政と金融が分離の方向が一応示されたわけですから、それが口先だけでなく本質的に変わらなければ意味がない、そのためにはやはり金融再生委員長のポストというのは大蔵省出身じゃない方がいいのじゃないかという思いをずっと持っておりました。  柳沢元委員長は、金融行政また金融改革に大変積極的に取り組んだわけですが、越智委員長同様、やはり大蔵省出身の方でございましたし、そういった意味で、私は、谷垣委員長の就任をまず歓迎したいと思うわけでございます。  そこでお尋ねいたしますが、就任される以上、ここのところをはっきりした上で、どのように認識しているのかということをはっきりお聞きしなければならない。それは、やはり越智委員長の後段の発言です。恐らくテープを聞かれたか、テープ起こしの文書を読まれたかと思いますが、あの後段の発言、あのことは、これからあなたは同じポストにつかれるわけですから、あのポストの立場にある委員長としてはあの発言は間違いであった、このように認識されているかどうか、まずお聞きいたしたいと思います。
  52. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 今横光委員がおっしゃいましたように、国会議論もちょうどたけなわになってきておりますところに、いわば途中から参加するようなことになりまして、しばらく後方におりました時差を早く埋めようと思って、今一生懸命やっているところでございます。  そこで、基本認識をまずはっきりさせろということでございますが、先ほども申しましたように、越智大臣……(横光委員「間違いであったか、間違いでないかだけでいいです」と呼ぶ)やはり国民に今の金融行政の基本的な姿勢を誤解させる点があったという点で、私は残念な発言であったと思います。
  53. 横光克彦

    ○横光委員 やはりそういった意識でもってまず取り組んでいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  ここで問題になったのは、やはり権限の問題だと思うのですね。金融機関に対する監督権限、このことに対する政府統一見解が示されました。銀行法や保険業法といった個別の業法により、実際の権限金融監督庁長官に委任されていると。確かにそうです。実務上、当然のことだと思っております。  しかし、そもそも金融再生委員会設置法、ここでは金融再生委員会の所掌事務、権限になっているのです、金融監督庁の仕事というのは。そしてまた、金融再生委員長金融監督庁長官の任命権を持っている。こういうことからすれば、実務上は金融監督庁に委任されていると思いますが、やはり金融再生委員長というものは金融行政最高責任者である、すべてのものに権限を持っているのだという意識は必要だと思うのですが、そのところの御認識はいかがでしょうか。
  54. 谷垣禎一

    谷垣国務大臣 なかなかここのところは表現が難しいのでございますが、先ほど佐々木委員にも申し上げましたけれども、組織の上で、要するに合議体としての金融再生委員会権限を持っている、その代表者が委員長である私である、こういうことになっております。  そして、確かに権限金融監督庁長官に委任をいたしておりまして、はしの上げ下げまで我々が言うというようなことは基本的に慎まなければならない、こういう仕組みになっているわけでありますけれども、今委員がおっしゃいましたように、金融再生委員会のもとに金融監督庁というものがあるわけでありますから、やはり我々がそこに指揮監督権限を持つということも、これは官房長官統一見解としてお述べになっているとおりであろうと私は思います。個人といいますか、委員長としての私が持っているわけではありませんけれども、やはりその責任感というものは持っていかなければいけない、こういうふうに思っております。
  55. 横光克彦

    ○横光委員 ありがとうございます。  それと、やはり今回こういった発言が出たということは、検査マニュアル、先ほどもお話が出ておりましたが、ここには「金融機関の規模や特性を十分踏まえ、機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮する」こととなっております。しかし、実際の検査現場では、それぞれの金融機関地域の実情やあるいは取引先や、ここに書かれております規模や特性、こういったことを含めて、それぞれのケース・バイ・ケースというものがあるわけですね。そうなりますと、それぞれの検査官の裁量の入る余地がどうしても残ってしまうのですね。それだけに、この監督検査というものは、言われておりますように公正でなければなりませんし、透明でなければなりませんし、厳格性も必要ですし、そしてまたそれぞれの金融機関との信頼もなければなりません。  ところが、検査、考査が厳しければ考慮するといった意味の今回の発言は、そういったことはすべて必要ないんだと言ったようなものですから、これは国民からすると本当に理解に苦しむ発言であると思うわけです。  でも、なぜあのような発言が出たか。そこには、やはり地域金融機関検査大手銀行と同じであっていいのかという思いもあったのだと思うのですね。そうしますと、やはり信用金庫や信用組合といった中小企業取引が多い協同組織金融機関に対しては、先ほど申しました地域金融機関の特性を考えた上で、今のマニュアルとは違った感じの別途の検査マニュアルも必要ではないか、それがあればあのような発言をする必要はなかったのですし、いろいろな問題もクリアできるのではないかという気がいたしておりますが、そこのところは、これから四月、七月という検査の時期が始まるわけで、期限はないわけですが、そういった考えはいかがお持ちなんでしょうか。
  56. 村井仁

    村井政務次官 ただいま委員お尋ねの点で、業態といいましょうか、あるいは規模に応じて違う検査マニュアルを用意するべきではないか、こういう御指摘かと存じますが、私ども、償却、引き当てですとか、その準備作業である資産査定というようなものを見てまいりますと、金融機関の与信業務において抱える信用リスクをどう見るかという問題なんでございますが、この点においては、業態の規模の大小とかそういうところで違いがあるわけではない。そういう意味では、私ども、別途のマニュアルをつくる必要はないと思っております。  それより大切なのは、やはり借り手の実態の把握、これはただいま委員も御指摘になられましたように、一体どういう相手に貸しているのか、その実態がどうなのか、そこをちゃんと見て判断をするようにということを、これは検査マニュアルにもしっかり書き込んであるわけでございまして、そういう意味では、私ども現在の検査マニュアルでその運用をきちんとやってまいれば透明な検査がやっていける、そのように思っております。  ついでながら一言だけつけ加えさせていただきますと、結局、受検した受検金融機関検査官との間で意見の対立が生ずるということは十分あり得ることでございます。したがいまして、ここのところもクリアにしますために、受検金融機関から何かどうしても検査官の言っていることに納得がいかないというようなことがございましたら意見を公式に述べてもらう。これはもちろん財務局などを通じてもようございますし、あるいは私ども金融監督庁検査部長に直接持ってきてもらっても結構だ、こういう仕組みも別途、去年の十二月でございましたか、用意いたしまして、通達をしているところでございます。御参考までに申し上げました。
  57. 横光克彦

    ○横光委員 あくまでも、言われております公正さ、公平さ、透明性、このことを十分配慮しながらこれからも職務をしていただきたいと思っております。新大臣も、やはり金融行政の信頼が大分傷つけられたと私は思いますし、どうか強い指導力のもと、信頼回復のために頑張っていただきたい、このように思います。  特例公債について大臣にお聞きしますが、もう耳が痛くなるほど予算委員会や本委員会でも聞かされていると思いますが、来年度予算の歳入に占める公債依存度、実に三八・四%にまで膨れ上がっているわけですね。国債残高はこの十年で倍以上に大きくなってしまった。その一方で、景気回復後の見通しにおいても、かつてのような高成長のもとでの多額の自然増収に過大な期待をかけることはかなり望みにくくなっているという現状でもあります。さらに心配されることは、着実な景気回復軌道に乗ったとしても、もし金利上昇が伴えば、税収の自然増より利払いの負担の方が上回ってしまい、結局は財政が悪化する、そういった危険性さえあるわけでございます。  大蔵省の試算、いわゆる二〇〇五年度までの見通しが先般発表されました。今のような状況をこのまま引き延ばしたとして、名目で三・五%の経済成長を達成しても、毎年三十兆円程度の新たな国債を発行し続けなければならない、そういった情勢を明らかにしたわけですが、三・五%の経済成長を遂げるということがいかに難しいかというのは大蔵大臣が一番よく御存じですが、それでさえも三十兆の新たな国債が要る。仮に二%あるいは一%であれば四十兆、五十兆の新たな国債が毎年必要になるであろうというような状況にまで来ている。まさに八方ふさがりの泥沼に今はまり込んでいると言っても私は過言ではないと思うわけでございます。  こういった公債返済の困難性が増すばかりとなっているわけですが、現実的かつ実効性ある打開策として大臣は何を据えるべきだとお考えなのか、御所見を伺いたいと思うのです。
  58. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今お話しになられましたことは、おっしゃるとおりだと思っていまして、その御認識に私は誤りがないと思います。したがって、財政改革というお話をされますが、そのためには、そのエネルギーは日本経済が生むしか仕方がありませんので、その時期になりませんと、マイナス成長ではやれませんけれども、やはり基本的には、二十一世紀の最初の十年でしょうか、二十年でしょうか、日本の経済社会というものも恐らく今と全く変わったものにならざるを得ないだろう、そういうことをもとにして、財政だけの話でもない、税制だけの話でもない、地方と中央の話もあるでしょうし、いろいろなものを全部、ある意味で日本経済をマクロにつかまえて、その中で財政の役割は何だ、こういうふうにやるしか私はないのじゃないかと思っています。
  59. 横光克彦

    ○横光委員 大変厳しい、難しい問題だと思います。  この公債のこれからの返済の一つの考えとして、やはり当然お考えのことでございますが、財政の構造改革というのが一つの道だと思うのですね。橋本政権のときに財革法を成立させました。あらゆる聖域を設けずに上限にキャップをかけたわけですね。しかし、これが結果的には景気の足を引っ張るということで小渕政権のときに凍結されまして、そして膨大な景気対策を行ってきたわけでございます。これは一兎を追うという名目でやってきた。私たちもそれはやはりまず景気回復が最優先であろう、これは政府国民も最大の願いであろう、そういう思いは持っていました。ですから、あれだけの膨大な財政をつぎ込んで景気回復を図ってきたわけです。そして、ようやく下げどまった、あるいはやや明るさが見えた、そういった経企庁の発表がなされるまで来たわけですね。  ですから、ここに来た以上、やはりもう次なる対策を考える必要があるのではなかろうか。いわゆる景気対策と同時に財革もやらなければいけないのではなかろうか。二兎を追ってはいけないという意見もありますが、もう一兎だけではない、二兎を追うべきではないか。景気対策もやりながら財政構造改革もやらなければならない時期がもう来たのではないかという思いがするわけでございます。  大臣には釈迦に説法でございますが、アメリカは一九九二年度、二千九百億ドルを超す財政赤字だったわけですね。それから六年後、九八年にはこれが黒字に転換した。このときに、いわゆるOBRA、包括財政調整法、これに取り組んだわけですね。いわゆる冷戦構造終結の結果を受けて、平和の配当ということで国防費を下げた。そしてその下げた分を情報通信市場の方につぎ込んだ。いわゆる財革をしながら景気対策をやったわけですね。これが非常に効果を奏したというお話もございます。  OECDの九七年の分析では、米国の財政収支が改善した大半の要因は歳出歳入面の改革によるもので、好景気による税収増の寄与は一部にとどまる、こういうふうに言っておる。今、景気がよくなればそのよくなった分で返すとかいろいろ言っていますが、アメリカはそうじゃない、両方をやったわけです。  ですから、私は、やはりこれだけの公債依存度が激しい中で考えるべきことは、財政構造改革に全部シフトせよと言っているのじゃないのです。両方不可能ではないということを私は申し上げているのですね。アメリカのOBRAを参考にして橋本政権では財革法をつくったわけですが。  そこで、一つの提案でございますが、そのように、この財革法も凍結をそろそろ部分的に解除をすべきではないかということでございます。つまり、冷戦終結後、先進各国の国防費は前年度マイナスというのが主流なんですね。我が国も、平和の配当で捻出した分を少子高齢化対策とかいろいろな景気対策につぎ込むことができるのではないか。  もちろん、防衛予算、人件費とかあるいは基地対策費とかそういったものはずっと必要でございますし、そういったものを抑えろと言っているのじゃないのですよ。やはり、正面装備契約とか在日米軍提供施設整備費とか、そういったものを少しずつ抑えていく時期が来ているのではないか。  そしてまた、もう一つ、ODAの部分ですね。毎年一兆円以上の予算が組まれております。この必要性も十分わかっております。しかし、私は地元でよくいろいろな人に聞かれる、非常に素朴な質問をされるのですね。総理あるいは各閣僚が外国に行くたびに経済支援を約束してくる、何百億、何千億の円借款や無償支援を約束してくる、何で私たちの国がこんなに借金をしょって厳しいのに、あんな外国に援助をする余裕があるのか。そしてまた、その援助をしたことがどういった効果を示して、日本に対してそれに対する感謝のあらわれがあるのかということがさっぱり国民にはわからないわけですね。非常に素朴な疑問だと思うのです。  こういった日本の景気状況のときには、やはりキャップをかけるところはかけていって、周辺諸国には大変申しわけないけれども、日本の国の実情を理解してもらって、やはりODAも少しセーブするとか、あるいは本当に効果がある形で、ODAを有効に使う形を国民に示さなければ、やはり疑念とか不信がおさまらないという思いがしているわけでございます。  戦前の大蔵大臣には、国の財政を守るために軍縮の断行を訴えた浜口雄幸、あるいは井上準之助、高橋是清といった、信念の方がいらっしゃったわけですが、平成の高橋是清とも言われております宮澤大蔵大臣の、この件に関してのお考えをお聞きしたいと思います。
  60. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど途中まで申し上げかけましたが、財政改革というのは財政だけではとてもできませんで、新しい二十一世紀の日本がどういう日本になるか、そこから考えないといけないということを申し上げました。  そういう同じ意味で横光委員もおっしゃっていらっしゃるのですが、アメリカの場合には、国防費という大きなものがありまして、あの歳出が切れたというのが成功のやはり半分近くあったのだろうと思います。  しかし、同様に、そのことは、アメリカ社会が変わっていったということでもありますから、我々にとっても、新しい日本の二十一世紀というのはどういうものであるかという、もとからやっていかないといけないと思いますので、何が切れない、何が切れるということをあらかじめ考えるよりは、もう一遍日本のあり方というものを考えていく。  同じような意味で、国民負担をどうしたらいいかという、やはり社会保障も、給付と負担という問題は一つの大きな問題であると思うのです。  今防衛費のことをおっしゃいました。四兆九千億円でございますか。それからODA九千億円余り、一兆円足らず。大蔵大臣があれはこれはと申すべきではありませんけれども、アメリカが国防費を切ったような効果は、我が国の防衛費を切るということからは私はなかなか生まれないと思いますし、同時に、我が国がこれだけのODAをやっているということは、軍備を持っていないということの一つのメリット、それにかわる我々の一つの貢献ということだと思いますので、そう理屈を言っているとなかなか切れないじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、全部のものについてやはり新たに考えるという考えでないといけないと思います。
  61. 横光克彦

    ○横光委員 今一つの考えを申し上げました。  終わります。ありがとうございました。
  62. 金子一義

    金子委員長 ただいま議題となっております各案中、内閣提出平成十二年度における公債発行特例に関する法律案租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  63. 金子一義

    金子委員長 ただいま質疑を終局いたしました三案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。石井啓一君。
  64. 石井啓一

    石井(啓)委員 私は、自由民主党、自由党、公明党・改革クラブを代表して、ただいま議題となっております内閣提出の三法案に対し、賛成の討論を行うものであります。  まず、平成十二年度特例公債法案について申し述べます。  平成十二年度予算は、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せるため、経済運営に万全を期すとの観点に立って編成されたものであり、一般会計予算規模では八十四兆九千八百七十一億円、前年度当初予算に対して三・八%の増加となっております。この結果、特例公債については、二十三兆四千六百億円の発行をせざるを得ない状況にあります。  本法律案は、こうした厳しい財政事情のもと、平成十二年度の財政運営を適切に行うために必要不可欠なものであります。  次に、租税特別措置法等の一部改正法案について申し述べます。  本法律案は、住宅ローン減税の適用期限の延長やいわゆるパソコン減税の継続実施などの民間投資等を促進するための措置や、エンゼル税制の拡充、留保金課税の特例の創設などの中小企業、ベンチャー企業の振興を図るための措置など、我が国経済の喫緊の課題である経済新生を図る上で不可欠な内容を含んでおります。  また、児童手当の拡充とあわせて十六歳未満の扶養控除の額の割り増しの特例を廃止し、少子化対策の拡充を図ることとしているほか、所要の改正を行い、社会経済情勢の変化に対し税制面でも適切に対応していくこととしており、賛成するものであります。  最後に、法人税法の一部改正法案について申し述べます。  本法案は、法人税において、売買目的の有価証券については時価により事業年度末の評価を行うこととする等の改正を行うものであり、商法及び企業会計における金融商品の評価に係る時価法の導入を踏まえた、時期をとらえた適切な措置であります。  以上、三法案に対する賛成の理由を申し述べましたが、これらの法案は、財政、税制を通じて小渕内閣が目指しております経済新生の実現に資するとともに、経済社会の構造変化に対応する上で適切かつ必要不可欠のものであることを申し上げ、賛成討論といたします。
  65. 金子一義

    金子委員長 次に、末松義規君。
  66. 末松義規

    ○末松委員 私は、民主党を代表して、ただいま議題となっております三法案のうち、平成十二年度における公債発行特例に関する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案反対し、法人税法の一部を改正する法律案に賛成する立場から討論を行います。  まず、特例公債法案について申し上げます。  我が国財政は、地方も含めた長期債務残高で見れば、GDP比一三〇%という先進国中最悪の状況に陥っておりますが、政府予算編成に関する態度は、このような財政状況に対して何ら手を打つこともなく、今は景気回復が最優先の一点張りであります。  しかし、昨年の税制改正で累進税率の緩和等を行った結果、今後景気が回復しても直ちに税収が大きく伸びるような歳入構造にはなっておりません。大蔵省の中期財政試算によっても、仮に名目三・五%成長が続く場合でさえ公債発行額は年々三十兆円超、それも年々ふえ続けていきます。  民主党は、このような無責任きわまりない政府の財政運営を批判し、財政構造改革に直ちに取り組むべきとの立場から、本特例公債法案について予算案と一体として反対するものであります。  次に、税制改正について申し上げます。  民主党は、来年度税制改正について、景気対策一辺倒の発想を転換し、できるだけ将来の我が国税制の望ましいあり方を展望した改革の方向を明確にしていくことが必要だと考えております。  その視点は、納税者主権の確立と自発的な申告の重視、次に、自立とチャレンジ、社会的連帯を支援する税制、さらに、地方税財源を抜本拡充し、地方分権を支える税制、さらに、持続可能な経済社会を目指す税制、最後に、財政規律に留意した責任ある税制などであります。  しかしながら、政府の来年度税制改正の姿は、このような視点を一つとして明確にするものではないと言わざるを得ません。  租特法案に盛り込まれた来年度税制改正の内容は、昨年一年間限りの措置として実施したはずの住宅ローン減税や中小企業向け減税の適用期限延長、青色申告特別控除額の引き上げを初め、細々とした選挙対策的な減税の積み重ねに終始するものにすぎません。中小企業の成長の足かせになっていると批判の強い同族会社留保金課税を一部停止するという政府の措置については、民主党は既に昨年から全面停止を提案してきたものであります。個人所得課税のあり方の抜本的見直し等の重要課題もすべて先送りした上で、昨年創設したばかりの年少扶養控除の割り増し特例を廃止するという朝令暮改、意味不明の改正も行っております。  念のため申し添えれば、民主党は、個人所得課税における扶養控除等の人的控除は基本的に廃止し、児童手当等の社会保障給付に置きかえることにより、税制と社会保障の適切な役割分担を図っていくべきであると考えております。しかし、与党案はこのような理念から説明されているわけではなく、単にばらまき福祉の財源をどこからか見つけてきたという程度の議論しか聞こえてまいりません。  なお、法人税法改正案につきましては、企業会計制度を国際会計基準に合わせて見直すことに対応するものであり、当然の措置と考えております。  以上申し上げました理由から、法人税法を除く二案には反対することを重ねて申し上げるとともに、民主党が政府案に先駆けて提出していた留保金課税停止に関する租特法改正案の採決を行わせないという与党の不当な取り扱いに抗議し、私の討論といたします。
  67. 金子一義

    金子委員長 次に、矢島恒夫君。
  68. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出公債発行特例法案並びに租税特別措置法等の一部改正案両案に反対法人税法の一部改正案に賛成する討論を行います。  公債特例法案は、二〇〇〇年度政府予算案の歳入不足対策として二十三兆四千六百億円もの赤字国債を発行するためのものであり、これは、景気対策の名のもとに、ゼネコン型公共事業の拡大や大銀行への公的資金枠拡大などで財政の浪費を拡大した結果です。我が国財政を、大蔵大臣も認めたように、戦争末期の危機的な水準にまで陥れるかかる法案には反対であります。  今日の財政赤字は、景気が回復すれば自動的に解決するような生易しいものではありません。このままでは大増税か悪性インフレという国民にとって重大な事態を招きかねません。  ところが、政府は、財政再建は景気回復が軌道に乗った後で考えるという無責任な態度をあくまでとっています。財政再建の見通しも計画も示せないでは、財政に対する国民の信頼は決定的に失われ、景気も財政も両方とも悪化するだけだと言わざるを得ません。  租税特別措置法等改正案に反対する第一の理由は、十六歳未満の年少扶養控除の割り増し特例の廃止です。  昨年、恒久的減税としてつくったばかりの制度をわずか一年で廃止することは、朝令暮改のそしりを免れ得ないばかりか、児童手当支給対象にならない千数百万人の小中学生を扶養する世帯に増税となるもので、反対です。企業関係の特別措置に全体として減税しながらここに負担増を求めるのでは、国民は納得しません。  反対する第二の理由は、景気対策優先を口実に、原子力発電施設解体準備金の積立限度額の縮減、海外投資等損失準備金制度の手つかずの延長などに代表されるように、大企業優遇税制にメスを入れず温存していることです。  第三の理由は、我が党が反対した新事業創出促進法や、産業再生法に基づく中小ベンチャー企業等の育成を、同族会社の留保金課税の不適用、登録免許税の軽減等で支援しようとしていることです。  また、SPC法など不動産の流動化支援のための登録免許税の軽減にも賛成できません。  さらに、使途秘匿金の課税特例措置の延長については、今日でもやまない政財官の癒着の根を絶つには不十分と言わざるを得ません。  なお、租特法改正案には、住宅ローン減税の延長、不動産に係る相続税延納の利子税の軽減、阪神・淡路大震災にかかわる特例措置の延長を初め、中小企業者や勤労国民など国民の利益に沿った改正も若干含まれていますが、全体としては反対します。  法人税法改正案については、あえて反対するものではありません。  以上で、日本共産党を代表しての私の討論を終わります。
  69. 金子一義

    金子委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  70. 金子一義

    金子委員長 これより採決に入ります。  まず、平成十二年度における公債発行特例に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  71. 金子一義

    金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  72. 金子一義

    金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、法人税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  73. 金子一義

    金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  74. 金子一義

    金子委員長 ただいま議決いたしました租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案に対し、鴨下一郎君外四名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。鴨下一郎君。
  75. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして案文を朗読し、趣旨説明といたします。     「租税特別措置法等の一部を改正する法律案」及び「法人税法の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 中長期的な財政構造健全化の必要性にかんがみ、今後の経済動向にも留意しつつ、歳出の重点化に努めるとともに、歳入の根幹をなす税制に対する国民の理解と信頼を確保する観点から、課税のあり方についての抜本的見直しを含め、社会経済構造の変化に対応した税制の確立に努めること。  一 租税特別措置については、政策目的、政策効果、利用状況等を勘案しつつ、今後とも一層の整理・合理化を推進すること。  一 変動する納税環境、業務の一層の複雑化・国際化・情報化、更には滞納整理等に伴う事務量の増大にかんがみ、複雑・困難であり、かつ、高度の専門知識を要する職務に従事する国税職員について、税負担の公平を確保する税務執行の重要性を踏まえ、職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配意し、今後とも処遇の改善、定員の確保及び機構・職場環境の充実に特段の努力を行うこと。  一 高度情報化社会の急速な進展により、経済取引の広域化・複雑化及び電子化等の拡大が進む状況下で、従来にも増した税務執行体制の整備と、事務の一層の機械化促進に特段の努力を行うこと。 以上であります。  何とぞ御賛成賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
  76. 金子一義

    金子委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  77. 金子一義

    金子委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付すことに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣宮澤喜一君。
  78. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意いたしてまいりたいと存じます。     —————————————
  79. 金子一義

    金子委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  81. 金子一義

    金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十二分散会