○横光
委員 大変厳しい、難しい問題だと思います。
この
公債のこれからの
返済の一つの
考えとして、やはり当然お
考えのことでございますが、財政の構造改革というのが一つの道だと思うのですね。橋本政権のときに財革法を成立させました。あらゆる聖域を設けずに上限にキャップをかけたわけですね。しかし、これが結果的には景気の足を引っ張るということで
小渕政権のときに凍結されまして、そして膨大な景気対策を行ってきたわけでございます。これは一兎を追うという名目でやってきた。私たちもそれはやはりまず景気回復が最優先であろう、これは
政府も
国民も最大の願いであろう、そういう思いは持っていました。ですから、あれだけの膨大な財政をつぎ込んで景気回復を図ってきたわけです。そして、ようやく下げどまった、あるいはやや明るさが見えた、そういった経企庁の発表がなされるまで来たわけですね。
ですから、ここに来た以上、やはりもう次なる対策を
考える必要があるのではなかろうか。いわゆる景気対策と同時に財革もやらなければいけないのではなかろうか。二兎を追ってはいけないという意見もありますが、もう一兎だけではない、二兎を追うべきではないか。景気対策もやりながら財政構造改革もやらなければならない時期がもう来たのではないかという思いがするわけでございます。
大臣には釈迦に説法でございますが、アメリカは一九九二年度、二千九百億ドルを超す財政赤字だったわけですね。それから六年後、九八年にはこれが黒字に転換した。このときに、いわゆるOBRA、包括財政調整法、これに取り組んだわけですね。いわゆる冷戦構造終結の結果を受けて、平和の配当ということで国防費を下げた。そしてその下げた分を情報通信市場の方につぎ込んだ。いわゆる財革をしながら景気対策をやったわけですね。これが非常に効果を奏したというお話もございます。
OECDの九七年の分析では、米国の財政収支が改善した大半の要因は歳出歳入面の改革によるもので、好景気による税収増の寄与は一部にとどまる、こういうふうに言っておる。今、景気がよくなればそのよくなった分で返すとかいろいろ言っていますが、アメリカはそうじゃない、両方をやったわけです。
ですから、私は、やはりこれだけの
公債依存度が激しい中で
考えるべきことは、財政構造改革に全部シフトせよと言っているのじゃないのです。両方不可能ではないということを私は申し上げているのですね。アメリカのOBRAを参考にして橋本政権では財革法をつくったわけですが。
そこで、一つの提案でございますが、そのように、この財革法も凍結をそろそろ
部分的に解除をすべきではないかということでございます。つまり、冷戦終結後、先進各国の国防費は前年度マイナスというのが主流なんですね。我が国も、平和の配当で捻出した分を少子高齢化対策とかいろいろな景気対策につぎ込むことができるのではないか。
もちろん、防衛
予算、人件費とかあるいは基地対策費とかそういったものはずっと必要でございますし、そういったものを抑えろと言っているのじゃないのですよ。やはり、正面装備契約とか在日米軍提供施設整備費とか、そういったものを少しずつ抑えていく時期が来ているのではないか。
そしてまた、もう一つ、ODAの
部分ですね。毎年一兆円以上の
予算が組まれております。この必要性も十分わかっております。しかし、私は地元でよくいろいろな人に聞かれる、非常に素朴な
質問をされるのですね。総理あるいは各閣僚が外国に行くたびに
経済支援を約束してくる、何百億、何千億の円借款や無償
支援を約束してくる、何で私たちの国がこんなに
借金をしょって厳しいのに、あんな外国に援助をする余裕があるのか。そしてまた、その援助をしたことがどういった効果を示して、日本に対してそれに対する感謝のあらわれがあるのかということがさっぱり
国民にはわからないわけですね。非常に素朴な疑問だと思うのです。
こういった日本の景気
状況のときには、やはりキャップをかけるところはかけていって、周辺諸国には大変申しわけないけれ
ども、日本の国の実情を理解してもらって、やはりODAも少しセーブするとか、あるいは本当に効果がある形で、ODAを有効に使う形を
国民に示さなければ、やはり疑念とか不信がおさまらないという思いがしているわけでございます。
戦前の
大蔵大臣には、国の財政を守るために軍縮の断行を訴えた浜口雄幸、あるいは井上準之助、高橋是清といった、信念の方がいらっしゃったわけですが、
平成の高橋是清とも言われております
宮澤大蔵大臣の、この件に関してのお
考えをお聞きしたいと思います。