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2000-02-24 第147回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月二十四日(木曜日)     午後二時二分開議  出席委員    委員長 金子 一義君    理事 衛藤征士郎君 理事 鴨下 一郎君    理事 根本  匠君 理事 渡辺 喜美君    理事 上田 清司君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君       石原 伸晃君    遠藤 利明君       大石 秀政君    大野 功統君       河井 克行君    木村 隆秀君       桜井  新君    桜田 義孝君       塩谷  立君    下村 博文君       砂田 圭佑君    高市 早苗君       西川 公也君    林  幹雄君       宮島 大典君    村井  仁君       村上誠一郎君    渡辺 博道君       石井 紘基君    岩國 哲人君       岡田 克也君    河村たかし君       末松 義規君    中川 正春君       藤田 幸久君    谷口 隆義君       並木 正芳君    若松 謙維君       安倍 基雄君    一川 保夫君       西田  猛君    佐々木憲昭君       矢島 恒夫君    横光 克彦君     …………………………………    議員           大畠 章宏君    議員           上田 清司君    大蔵大臣         宮澤 喜一君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 越智 通雄君    金融再生政務次官     村井  仁君    総務政務次官       持永 和見君    大蔵政務次官       大野 功統君    厚生政務次官       大野由利子君    通商産業政務次官     茂木 敏充君    自治政務次官       平林 鴻三君    政府参考人    (金融再生委員会事務局長    )            森  昭治君    政府参考人    (環境庁企画調整局長)  太田 義武君    政府参考人    (大蔵省理財局長)    中川 雅治君    政府参考人    (厚生大臣官房審議官)  吉武 民樹君    参考人    (年金福祉事業団理事長) 森  仁美君    大蔵委員会専門員     田頭 基典君     ————————————— 委員の異動 二月二十四日  辞任         補欠選任   石原 伸晃君     遠藤 利明君   宮本 一三君     宮島 大典君   渡辺 博道君     木村 隆秀君   岩國 哲人君     藤田 幸久君   仙谷 由人君     石井 紘基君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 利明君     石原 伸晃君   木村 隆秀君     渡辺 博道君   宮島 大典君     宮本 一三君   石井 紘基君     仙谷 由人君   藤田 幸久君     岩國 哲人君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  平成十二年度における公債発行特例に関する法律案内閣提出第一号)  租税特別措置法等の一部を改正する法律案内閣提出第二号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第三号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案大畠章宏君外三名提出、第百四十六回国会衆法第一五号)     午後二時二分開議      ————◇—————
  2. 金子一義

    金子委員長 これより会議を開きます。  内閣提出平成十二年度における公債発行特例に関する法律案租税特別措置法等の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案及び第百四十六回国会大畠章宏君外三名提出租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として年金福祉事業団理事長森仁美君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として金融再生委員会事務局長森昭治君、大蔵省理財局長中川雅治君、厚生大臣官房審議官吉武民樹君、環境庁企画調整局長太田義武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 金子一義

    金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田克也君。
  5. 岡田克也

    岡田委員 民主党の岡田克也です。先日に引き続きまして、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  まず外形標準課税について一つお聞きしたいと思いますが、先般、私の方で、外形標準課税を考える際に、全国一律の外形標準課税というのはいかがなものかという趣旨質問をさせていただきました。大蔵大臣お答えをいただいたのですが、質問に対して必ずしもストレートにお答えいただかなかったように記憶しておりますので、もう一度お聞きをしたいと思います。  私は、今回の石原提案が非常に意義を持つとすれば、それは、まさしく地方自治体課税することができるという当然のことを思い出させたことだと思います。この銀行に対する外形標準課税そのものについてはいろいろな議論があるところだと私も思いますが、しかし、そういったことは可能であるということを改めて確認、思い出させたというところに意義がある。その石原構想から出てきた、それをきっかけに外形標準課税の話がもう一度議論をされるようになったわけであります。  そこで、例えば全国知事会全国一律の外形標準課税ということを要望された。それは私は、せっかく出てきた芽を殺してしまっているのではないか、こういうふうに思います。もちろん、何でもかんでも自由にできるということではないと思います。ですから、例えば、課税中立性を確保しなければいけないとか、あるいは中小企業者に対しての配慮をしなければいけないとか、そういった基本的な原則は法律の中で定めながら、しかし、ある程度都道府県に、税率でありますとか、あるいは課税対象でありますとか、そういったことについては選択を認めていいのじゃないか、こういうふうに考えているところでございます。  例えば、政府税調の中で、長い時間をかけながら、何を外形基準とするかということで議論をしてきております。今四つ挙がっておりますが、四つ全部かどうかはわかりませんが、例えばこの中の給与総額にするのか、資本金にするのか、あるいは事業活動によって生み出された価値にするのか、そういうこともそれぞれの都道府県に自由に選んでもらったらいいのじゃないか、そういう立法をすべきじゃないかというふうに私は考えますが、大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題は、最近では石原知事の御提言によってにわかに注目を浴びましたが、岡田委員を含めまして私ども議員の間では長く議論されてまいりましたし、私どもの方の党内も、また政府税制調査会もずっと議論をしてこられました。  ちなみに、この私の答弁は、本当は自治大臣がなされるべき答弁だと思いますので、それも含めましてのつもりで申し上げますが、自治省としては、基本的には外形標準というものをやりたいというお立場であると私は了解をしておりますが、それに対して、通産大臣のお立場は必ずしもそうではありませんで、中小企業のことを考えると今の段階でなかなかそうい決心ができないという、そういうお立場であるように、これは、ことしになってからでなくて、しばらくの間、この間、そういうものとして私はお見受けをしております。  そうでございますから、今知事会全国一律にやろう、それがいいとおっしゃったのは、恐らく自治省のお立場は基本的にそうであろうと思うのでございますが、その場合の自治省のお立場は、私の推測では、今岡田委員の言われましたように、四つ基準をばらばらに各府県がやりますと、課税を受けるのは一体でございますから、あるところは人数で、あるところは面積で、あるところは工場の幾つかとか、ばらばらにやられますと、課税を受ける方の立場からいうと非常に複雑になりますし、また各県の配分も複雑になるということを恐らく自治省としては懸念されておるのではないかと思います。  ですから、恐らく、今の自治省立場は、全国一律に、必ずとはおっしゃっていないのですが、できれば、お互いに了解のできる、一つと申しますか、とにかく話し合いのできる基準でやるのが望ましい、こう思っておられるのではないか。  それに対して、通産省の今日までのお立場は、今の中小企業のことを考えると、殊に全国法人の六〇%以上が赤字でございますから、事実上、実質的な税負担の増になるということ、その方法、時期については通産省としては慎重に考えなければならない、こう思っておられるのではないかと思います。
  7. 岡田克也

    岡田委員 この税のタイミングの問題は確かに一つあると思います。そもそもいつ導入するかというタイミングの問題は、景気との関係では議論があるところだと私も思います。  そのタイミングの問題を今議論しているのではなくて、入れる場合の中身の問題として、私の申し上げたことは、私は地方分権あるいは地方自治という趣旨から申し上げているわけでありますが、そこは、例えば、越智大臣は今一生懸命首を振っておられますが、それはやはり、私は、中央集権的発想に立つのか、地方分権発想に立つのかという基本的考え方の違いだろうというふうに思います。課税される企業からすれば、例えば全国的な規模で展開している企業からすればやや面倒くさいことはあるかもしれませんが、それは計算だけの問題であります。むしろ、都道府県ごとにそういった課税対象が違うということで、都道府県ごとの競争ということもその中に出てくるわけであります。それから、税率も変えていいということになれば、税率を下げることでむしろ企業誘致を図ることもあり得る。それこそ分権考え方ではないか、私はこういうふうに思うのです。  これは基本的な入り口が違えば、議論していても、答えようのない、それは考え方の違いですねということで済んでしまうのかもしれませんが、できれば私は宮澤大臣に、そういった考え方について、頭からそれはもうないのだということじゃなくて、もう少し地方分権ということにも思いをいたした御答弁というのをいただきたかったものですから、あえて重ねてお聞かせいただいたわけでございます。もし何かございましたらおっしゃっていただきたいと思います。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 現実の問題として考えますと、今岡田委員タイミングの問題についてはなるほど考えなければならぬ問題もあるのかもしれないとおっしゃいましたけれども、そうしておりますうちに、実は昨日もお話のありました、財政改革というものは、しょせん中央地方の行財政、その再配分まで及ばざるを得ない、それはもうそんなに遠い先の話ではございませんので、この話は恐らくそういう問題の一環として議論されることになるのではないかな、そういう予感を実は持っております。
  9. 岡田克也

    岡田委員 地方分権考え方に基づいて課税対象を変えるということについてどう思いますかというのが私の質問趣旨だったのですが、それについてはお答えはなかったわけですので、あえて求めることはいたしません。むしろ、そこは入り口の、基本的考え方の違いだというふうに認識をさせていただきたいと思います。  ただ、この前申し上げましたように、そういう、全国一律でと言っている限り、そこには当然、では財政調整もきちんと全部しなければいけないとか、そういったことにもつながってまいります。私も財政調整をしなくていいと言っているわけじゃありませんが、それを全部至れり尽くせりでやってきたところに、地方自治体の責任というものが育たなかった、結局全部お上任せ、国任せになっている、そういうことが今までの歴史だったのじゃないか。  それに対して、石原さんの今回の話にしても、あるいは三重県における北川知事の原発の白紙撤回の話にしても、もうそういう時代じゃないよというサイン地方から上がってきている、そういうことだと私は認識をしているところでございます。ここは基本的認識の違いですから、これ以上申し上げるつもりはございません。  さて次に、預金保険法の話について少し御質問したいと思いますが、まず、ペイオフ解禁延期したことについて前回御質問をし、そして大蔵大臣の方から御説明をいただきました。信用金庫信用組合というものがあって、その処理のためには時間もかかるという御説明だったと思いますが、越智大臣に同じ御質問をしたいと思います。  ペイオフ解禁を一年間延期した、その理由についてお聞きをしたいと思います。  そして、そういう信用組合の問題は、ある意味ではスケジュールとしてわかっていた話であります。それにもかかわらず、なぜ十二月になって延期をされたのか。わかっていたのならもっと前から一年延期するということをきちんとサインとして出すことが適切だったのじゃないか、そういう見方もあると思いますが、いかがでしょうか。
  10. 越智通雄

    越智国務大臣 一般論として申し上げますと、まず信用金庫信用組合は、協同組合組織法に基づく団体でございますから、金融機関健全化法をつくったときに適用できなかったわけです。  組合というものは、構成員が出資をして、得が出ても分かち合う、損が出ても背負い合う。ですから、あそこには資本注入の道がなくて、劣後債的なものを出せばいいというやり方もあったのでしょうけれども、実際にやったところはございません。したがいまして、今回優先出資法改正案国会に出しておりまして、今度初めて資本注入ができるようにするわけであります。  それから、信用組合に関しては、これを今まで都道府県監督下に置いて、国に回すと言ったのが去年の七月、今から八カ月前に通った地方分権法で実はその機関の権限が中央に集まったということでございますので、そんな話は法案をつくる前からわかっていたのだから考えておけということかもしれませんけれども、役所の対応としましては、昨年の七月の法律が通って以来急いで都道府県検査マニュアル等をお配りしてというかお見せして、都道府県の方も国に、これはあと一カ月で来るわけですけれども、行く前に都道府県の手で一通り検査しようというのが今大体終わりかかっている、こういう状態でございます。  でも、これを引き取ってから、実は三月決算の分でやるわけですから、三月決算が固まるのは六月でございまして、七月からしか信用組合検査に入れない。そうすると、来年の三月までに三百からの信用組合検査して、かつそれらの対応策を打てと。健全化法を使うための優先出資法改正案だっていつ通していただけますか、こういうことも重なりますと、私はむしろ二年延ばしてほしいということを申し上げたのです。  そうしましたら、信用組合だけやるわけにもいかないし、協同組合組織ということもあるから、信金、信組を含めて一年で何とかしろ、いわば一年で検査して、あと一年で決着をつけろと。  今まで破綻しております信用組合処理は、一年間二十何個実は信用組合がつぶれております。大体、破綻ということで、大抵の場合に、経営者が何とか助けてくれと言ってきてから、じゃ助けますという手続が全部完了するのに九カ月かかっております。それから、じゃ、あそこの信用組合に里親になってもらって一緒になりなさいといって決まってから、実際にそういうふうに営業が全部移るのに九カ月かかる。都合一年半かかっておるものを、最大限短縮して、私は一年かかると思っています。  したがいまして、この一年で検査を何とかやります、実質は九カ月でやります、そして次の一年でそれらのものを何とかその後において破綻が起きないようにする。ペイオフというのは、何としても目標は破綻させないことでございまして、どうしても破綻せざるを得ないものがあれば早期に治療していくということでありますので、そういう意味で、ペイオフを一年延ばしていただいて何とかやれるかなというところが現状であります。  なお、銀行と名のつくところに対しましては、一年延長はあなた方には直接の影響じゃないから従来どおりのつもりでやってくださいという手紙を私は一月の半ばに出しましたところ、各業種団体全銀協会長とか地銀協会長とかそういう方々でございますが、お手紙趣旨、よくわかりました、まさにそのとおりです、そういうふうにやってまいりますという御返事をちょうだいいたしております。
  11. 岡田克也

    岡田委員 手紙を出して、そのとおりやりますと言ったからそのとおりやるだろうというのは、私は余りにも安易な考え方じゃないかというふうに思いますね。そういうことがうまくできていないから、この数年間金融の問題がこれだけ大きくなってきたわけだというふうに思います。  それから、信用金庫お話をされましたが、信用金庫の話、資本注入の話というのは、例えば前国会に出すことだって可能だったはずですね、そのことだけをとれば。  そこで、私は大蔵大臣にお聞きしたいと思いますけれども大蔵大臣は、たしか十二月の十五日ぐらいまで記者会見で、一年延期でいいと思う、そういうふうにおっしゃっていたと思うのです。しかし、信用組合検査をやって、そして破綻処理をするのにもし一年ではできないのだということを、それは事実関係ですから、その時点でおわかりになっていたはずですね。ですから、もし本当に一年でできないということであれば、もっと早い段階延期すべきだというふうにおっしゃるべきだったのじゃないか、それが誠実な対応だったのじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今越智大臣お話しされましたことが、実際真実であると思います。  私もその中に仕事をしていたわけでございますから、おまえ、なぜ早くそれを言わなかったのだとおっしゃいますと、自分の心理を申し上げるようなことになるのですが、先ほどのように、七月になって、信用組合政府移管に来年の四月からなるということになったわけでございますから、それまではそういう状態は考えていなかったということになります。ただ、金融審議会がいろいろな問題点一つ一つ拾い上げて、ぜひ年末までにはしっかりしていただきたいということをお願いして、夏休みにその作業をしていただきました。かなり問題の整理が実際にできました。その段階で、私としては、これから国の移管になることでもあるし、三百やそこらはどうしてもあるしするのだけれども、調べてみると一件当たりの預金は平均して千万円足らずである、九九%までそうであるといったようなことも聞いておりましたから、何かあってもこれはシステミックリスクにかかわるというようなことではない、大まかに申しまして、何となく私自身心配しながら、そういうふうに考えてもよかろうという気持ちを持っておったことは確かなのでございます。  ところが、この話がだんだん、もういよいよ煮詰まるということになりまして、私どもの党でも、また与党の中でもいろいろ御議論になって、皆さん自分地域信用組合というものは持っておられますから、マクロには大した出来事ではないにしても、地域ではこれは実はなかなか大変な出来事で、時々政治が絡んだりする出来事でございますから、信用組合はそう気にしなくてもいいでしょうといったような金融的な発想は、同僚の代議士各位はなかなかお持ちにならない。無理もないことであります。信用組合だって大事だよ、仮に来年の四月からそうなって、もう越してことしですが、しかし七月ごろから検査はできないし、金融監督庁にそんな人間は十分にいるのかね、そして是正命令までやるとすれば、とてもそれは七月から始めて一年足らずでやれっこないだろうというようなことを、そうお考えになる代議士さんが多い。  それに反して、実は金融審議会では、学者の方、あるいはどっちかといいますと代議士のような方でない方々とでも申しますか、そういう方々純理論みたいなものが割に勝っておりまして、仮に何かあったってそれはシステミックリスク関係ないでしょうといったようなことの流れであった。しかし、政党の方でそういう御意見がありまして、そこまでおっしゃるとすればそれはもうまさしく、言ってみれば信用組合だから多少のことはどうなってもというような話は、実はそう大きな声でいつまでも言っていられる話でもなくなりまして、現実的な処理としては、越智大臣は本当は二年だと思っておられるわけですけれども、二年としますと、これは全体の話がまた崩れるのではないかということではあるししますから、いわゆる銀行については処置はこれで従来どおりでございますよ、信用組合信用金庫のために一年ということでこれだけいたします、そういう決心を暮れの二十七日か二十八日、遅くなっていたしました。  というのが経緯でして、その間の報道も、時期が時期ですから、必ずしも十分でございませんでしたので、一部、何かこれは全体が崩れるのではないかというような印象を与えましたが、それはもうそうでないことは御承知のとおりでございます。
  13. 岡田克也

    岡田委員 宮澤大臣は、今、代議士という言葉を何回も使われましたが、今回一年おくらせたことは、結局衆議院選挙の前に破綻処理をするのが難しいのじゃないか、ですから、検査はして、衆議院選挙が終わってから本格的な破綻処理に入るためではないかという憶測もあります。そういう憶測を呼んだのは、今回の不自然な延期というものが原因になっているのだというふうに私は思います。  大蔵大臣は年末の記者会見で、今回一年間おくらせたことで、破綻処理といいますかコストがふえることはないのだ、そういうふうにおっしゃっていますが、しかし、やはりこういう処理の問題で大事なのは時間との闘いでありまして、時間がたてばたつほど不良債権の額は膨れ上がるというのが今までの歴史だろうと思います。そういう意味で、コストがふえることがないという発言は根拠がないというふうに私は思いますが、いかがでしょう。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 あるかないかというお尋ねでございましたから、大したことはないと申しました。それはやや、不謹慎のつもりで申すのではないのですが、信用組合三百足らず、それが全部ということももとよりありませんでしょうが、かなりのものが仮に破綻になる——私はそうなると言っているのではないが、としましても、その金額というものは実際知れたものだし、また一人一人の預金についても知れたものでございますから、国の金融システムそのものに危険を及ぼすような事態ではない。大まかに言って、そういう点では大したことではありませんと申しましたし、今でも思っております。
  15. 越智通雄

    越智国務大臣 ペイオフの時期をいろいろ検討しましたが、それは選挙とは全く関係ありません。私どもとしては、今までの、そうした流れの中で、あとどれだけで一番早くできるかということを心配してやったわけでありまして、その点、明確に否定しておきます。  なお、そのために信用組合その他の処理がおくれているわけではありません。きょうも、先生のお地元近くだと思いますが、三重県の県信用組合を百五銀行に抱かせるためにどれだけ我々が苦労しているか、おわかりいただけていないのかもしれませんが、三重県下の信用組合幾つもいろいろ提携してもうまくいかなくて、最後に、今地方銀行信用組合の世話をしてもらうところまで、やっときょう決定してまいりました。ほかにも岡山県で三信用金庫の合併もやらせております。  一年間に二十幾つやるということは、毎月二件くらいずつ片づけなければいかないわけでございまして、それを我々が急がせたからといって、一カ月、二カ月では話はまとまりませんから。そういう意味で時間もかかりますけれども、それを何とかあと二年間で全部やり遂げるといって、夜中まで職員みんな働かせて頑張っておりますから、選挙とのそういう絡みでやったわけでは全くないことを、しっかり御認識いただきたいと思います。
  16. 岡田克也

    岡田委員 衆議院選挙との関係というのは、そういう憶測を呼んでいるというふうに私申し上げましたが、大臣はそれを否定する権限はないはずです。つまり、それは党の方でおくらせるという話が出てきたわけでありまして、党の個々の議員全員がそういうことはないということを大臣が断言する根拠はどこにもないはずであります。そういう根拠のないことを言わないでいただきたいと申し上げておきたいと思います。  さて、時間が限られておりますので、預金保険法の改正について申し上げたいと思います。  システミックリスクが予想される場合の特例というのがこの法案の中に置かれておりますが、システミックリスクが発生した場合には、一千万以上も超えて全額保護される、こういう仕組みになっていると思います。ここのところが非常にわかりにくいわけでありまして、システミックリスクが発生しないような破綻の場合には、原則一千万までは全額保護するが、それ以上は保護されないことがある、しかし、システミックリスクが発生する場合には全額保護すると。預金者から見たらこれは同じですよね。同じなのに、全額保護される場合とそうでない場合があるというのは非常にわかりにくい。こういう規定がありますと、すべてシステミックリスクというふうに認定してもらった方が全額保護されるから、そっちの方がいいというインセンティブが、どうしても預金者から見ると働くということにもなりかねない。結果的には、すべて全額保護されるということになってしまうのではないか、こういうふうに思いますが、なぜこういう規定を置かれたのでしょうか。
  17. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは重大な問題、大切な問題でございますので、御理解をいただいておきたいと思いますが、この規定は、まずめったに発動されることのない、いわばエマージェンシーのときの規定だというふうに考えております。そのために、勝手にこれを認定するというようなことはございませんで、今度新しく内閣にできます金融危機対応会議の議を経るということになっております。  言ってみますと、こういう規定を全く置かないということも一つの立法政策として考えられますけれども、何かの拍子にこういう問題が起こったときに、すなわち、法律第七章第百二条のような事態が起こったときに、昔でございましたら緊急勅令でしょうが、そういうことがございませんから、立法をしなければならないということでは間に合わない。したがって、こういう規定そのものはやはり置いておいた方が一種のセーフガードになるであろう。ただ極めてまれな、あるいはめったにあってはならない場合ですから、その発動についてはこれを重い条件のもとに置く、考え方としてこういうことにいたしました。  さて、そこまで決心いたしますと、あとはもう簡単でございまして、千万円とか二千万円とかの話じゃない。これは、もうみんな御心配なさいますなというような規定にするのがいいに決まっておるというような決心をしたわけです。
  18. 岡田克也

    岡田委員 本当の意味でのシステミックリスクが発生した場合の規定としてそういうことがあるというのは、あるいは必要かもしれません。しかし、この百二条に書いてありますように、金融危機対応会議で決めるということですが、その要件というのはほとんど何も書いてないに等しいと思います。  「当該金融機関が業務を行つている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認めるときは、」ということで、これは全国でなくて地域でもいいことになっておりますし、それから「極めて重大な支障が生ずる」という非常に抽象的な表現にとどまっておりますので、ある意味では相当裁量の余地が大きい。  おっしゃるようなことであれば、もっときちんと要件を書いておくべきじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  19. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大切な問題だと申し上げましたのは、この法案あるいはこの条文の審議が国会で行われますときに、いろいろなお尋ねがあり、政府側としてそれにお答えをするということが、将来これを発動するかしないかという御議論がありましたときの一つの大切な参考になることは明らかでございますので、もしこれを細かく法制上書けまして支障がないということであればベターだろうと思いますが、その性質上、細かくそれを書くことは事実上難しい。  しかし、そうかといって野方図にちょっとのことで発動されることはならないということで、具体的にはこの金融危機対応会議にその最高判断にゆだねたのでありますけれども、そのゆだねることの意味は、ちょっとやそっとでここへ持っていってもいいという意味ではございませんで、法律にこれ以上詳しくは書くことは現実的ではありませんけれども、しかし、そんじょそこらのことでこの規定を発動するという気持ちは政府にはございません。  このことは御審議の過程で申し上げておきたいと思います。
  20. 岡田克也

    岡田委員 続きは法案の審議のときにしたいと思いますが、少なくとも多大の国民負担を招く可能性が高い話でありますので、私は、より法律上の要件を明確にしておくべきだ、そういうふうに考えていることを最後に申し上げたいと思います。  終わります。
  21. 金子一義

    金子委員長 次に、上田清司君。
  22. 上田清司

    上田(清)委員 民主党の上田でございます。お世話になります。  それでは、きのう予算委員会で越智金融担当大臣に若干お時間をいただきまして質疑をさせていただいたところで、特に私は昨年来の資本注入十五行の中小企業における貸し出し状況がどのような状態であるかということについて非常にウオッチャーとして気にはしているということをきのう申し上げて、日銀の統計によれば、十二月の段階でも前年比で中小企業には極めてマイナスの状況が出ているということも御指摘をさせていただきました。  しかも、金融再生委員会事務局で昨年の十二月に「資本増強行の中小企業向け貸出状況等の公表について」という文書がございますが、この三項目めに「金融再生委員会としては、各銀行の履行状況を踏まえ、残された期間内に計画目標を達成できるよう、引き続き、努力を促していくこととしている。」このような文章を残しておられます。  もう委員の皆様方御承知のとおり、昨年の九月期においては、中小企業向けは予定額の約四分の一消化の六千八百億。予定額では一年分で二兆九千九百億、約三兆円予定しているのですが、半期で六千八百億、こういう傾向であれば、何となく半分ぐらいしかいかないのじゃないかという危惧を私は持っておりますので、これをできるだけ早く進行状況を明らかにしてほしいということも常々言っておりましたが、三月期に発表である、こういうお話でございますので、それでは間に合わないと。例えば三月に終わって、経営健全化計画の中で出した予定額三兆円が仮に一兆円で終わったときに、私たちは国民に対してどういう申し開きができるだろうか。  もとより、この資本注入も、経営健全化計画書を出して、これだけリストラをやります、これだけ中小企業向けの貸し付けをしますといって出していただいた経緯がございます以上、やはりその計画についてはきちっと履行していただく、このことが大事だということを昨日申し上げましたところ、大臣には極めて前向きな答弁もいただいております。  これは未定稿でございますけれども越智大臣のお言葉をかりますと、一応、金融監督庁並びに再生委員会としましては、その部分の行政を担当している者として、私どもで各行の状況はしっかりヒアリングして、報告すべきものは国会に報告させていただきたい、こんなふうに御答弁をいただきました。  しかし、これが三月の終わった後に報告されては困るわけでありまして、もう残された期間もあと一カ月少々でありますが、場合によっては大いにしりをたたいてたたいて、できるだけ履行していただくということが大事だと思っておりますので、具体的に事務当局の方に聞かれたと思いますけれども、いつ報告が可能なんでしょうか。大臣がお答えできないのであれば、森事務局長でも結構でございます。
  23. 越智通雄

    越智国務大臣 昨日の予算委員会で先生から御質問いただきまして、日本銀行の統計と申しますか、報告を拝見させていただきますと、四半期ごとでございまして、私どもの方はそこまでやれていない。  ただ、暮れに九月の数字を見て、これはちょっと心配だなということで、だからこそきのうも御報告したように、十二月の半ば過ぎに全国銀行業態ごとの幹部を呼びまして、まああれで百人ぐらいになりましたか、そして私が、しっかりやってほしい、中小企業金融をもっと前向きでやってほしいと。もちろん、中小企業金融の場合には政府の施策の方も随分出ておりますから、競合するというか、相呼応してと申しますか、部分もございますけれども、その要請はやったわけであります。  なおまた、きのうも御報告したように個別行のヒアリングをいたしておりまして、実は私の手元にも、個別行の理由、どうしてこうなっているかという理由も書いたものもございますが、これはやはり企業関係としましては、公開の場というか、こういう公の場で一々申し上げるのはいかがかということであれしておりますが、今先生からお話ございましたように、この二月三月にかけてもっとしっかり銀行に督励しろということにつきましては、きょうまたいろいろ相談いたしまして、先ほど打ち合わせもいたしましたけれども、方策を練って対応していかなければならない。  中小企業金融、実はきのうは率でお答えいたしましたけれども、私は、きのうのお答えで間違えていないと思っておりますが、いわゆる大銀行の貸し出しの半分は中小企業に向けられないかと言っておるのです。半分向いていた時期もありました。平成六、七年ごろです。それで、その後だんだん、やはり申し込みの中で銀行としてはなかなか乗りにくいのもあるのだろうかと思いますが、今のところ、全貸し出しの四六、七%が中小企業に向いている。要するに、そこの二、三%ですね。だけれども、健全化計画の方は実額で乗っけていくわけですから、先生おっしゃったように、二兆九千億を一年間で乗せられるかどうかということについてはなかなか、正直に言うと全体の貸し出しが縮んでいますものですから、率からいうとえらい高くしないとおさまっていかないと思いますので、そこら辺についての方策は至急検討させていただきたい、こう思っております。  ただ、民民の話でございますから、こちらから命令を出すわけにはいかない、その点は御了解いただきたいと思います。
  24. 上田清司

    上田(清)委員 森事務局長に聞きますが、この健全化計画に基づいての計画が履行されない場合には、何かこれは処罰だとかそういうことはあるのですか。
  25. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、経営健全化計画の履行を確保するために、早期健全化法五条四項でまず報告徴求を課して、そしてその数字を公表する。これはいわばパブリックプレッシャーにかけて、各銀行に目標を達成するよう強く慫慂するという意味を含んだものと思っております。さらに、早期健全化法二十条第二項におきまして、経営健全化計画の履行を確保するため、銀行法上の業務改善命令も出すことができる、こう書いてございます。  ただ、基本的には、中小企業向け貸し出しというその項目だけで物を考えた場合には、当方は、いわばあえて中小企業向けの貸し出しを控えているような銀行があった場合には、これは二十条第二項に基づきます銀行法第二十六条で業務改善命令をかけられると思いますけれども中小企業向け貸し出しの伸びが、いろいろ他の要因、景気の情勢とかそういうことで、その銀行中小企業向け貸し出しを一生懸命努力したにもかかわらず達成しなかった場合に何かできるかということになりますと、それはまた話が別の問題だと思います。
  26. 上田清司

    上田(清)委員 越智大臣、今お話がございましたけれども、実は昨年の八月の段階でも、数字を上げるために私どもの仲間の中小企業経営者に、さる銀行は、とにかく二千万借りてくれ、そしてすぐ返して結構だからと、そういう操作を銀行がやっている可能性もあります。たまたま私が聞いたのは一店だけでしたので、どの程度のものかわかりませんが、何の借りる必要もないところに借りていただいて、そしてすぐ返していただいて数字の実績を残そうとした嫌いがあります。  こういうことも含めて、中小企業向けの貸し付けについていまだに相当厳しい。こういう状況があるということを踏まえれば、三月に終わって発表されても全く意味がない。極端なことを言うと、今月末までに発表していただいて、そしてやはり国民の前にオープンにしていただいて、きちっとやっていただかなければ全く意味がない。この大蔵委員会にぜひ公表していただかないと意味がないと思いますので、そのことが可能かどうか、もう一度。
  27. 越智通雄

    越智国務大臣 いわゆるウインドードレッシングをそのためにやっていたという話は、申しわけありません、今初めて伺いまして、むしろ金融機関から言われておりますことは、実はオフバランスをすると、これは実額ベースでやっていますものですから、貸し金と担保を相殺してしまうと貸し金が下がってしまうわけですよ、実際問題は。そういうのをどうするか。むしろ全体の経営の健全化からいうとオフバランスを要求されるケースが多いものですから、アメリカなんかのやり方はそうなものですから、それとのバランスがあるなということで、ですから、いろいろな資料を見ると、ここの話は統計ごとに数字が多少違っておるのです。だけれども、今のようにウインドードレッシングをやって膨らませているということになると、これは大変法の趣旨に違反するやり方ですから、しっかり調べていかなきゃならない。  ただ、今どういう方法があるかというのを、急いではやらせますけれども、先生の御要望のとおりにいけるかどうかはまたよく相談させていただきたい、このように思っております。
  28. 上田清司

    上田(清)委員 相談ではちょっと間に合わないのですね、本当の話。やはり我々は、資本注入意味はとにかく金融システムの基本システムは守るのだ、だからぜひ御理解くださいと言って、特に最初の一兆八千億のときには中小企業貸し渋り対策だと言って、皆さんはごまかして資本注入をしたのです。あのときはごまかしたのですよ、国民の批判が強かったので。そしてやっと国民の御理解をいただいたので資本注入を基本的にした。そのときの条件の一つであったわけですから、この条件の一つをきちっとできないようであれば、我々は国民に対して公約違反だということで指弾を受ける。そのためにも、この大蔵委員会できちっと報告をしていただく、あるいは大蔵委員会でなくても金融再生委員会の中で、事務方できちっと報告をしなければ、本当に履行したとは言えないのじゃないでしょうか。  もし三月になって半分も達成していなかったら、越智委員長、責任とれますか。例えば、この大臣の首をかけるというようなことを言えますか。もう一度言ってください、そのことを。
  29. 越智通雄

    越智国務大臣 繰り返し申し上げておりますように、金融機関中小企業に金を貸すということでございますから、借り手の側、貸し手の側にそれぞれの事情がございますので、私どもの方で金融機関の貸し出しを幾らにふやしますと受け合うといいますか、お約束して、それで責任とります、そういうことはちょっと申し上げられません。  ですからこそ、やる方法をよく相談しないと、借りてくださる方にもそういうふうに言わなきゃいかぬ、貸す方にも言わなきゃいかぬ。それじゃ、今経営の健全化という話もしながら、不健全な貸し出しをじゃんじゃんやってしまえと。むしろそういう一番苦しいところを救うために実はいろいろな、通産省その他でやっている中小企業金融特例的な措置も行われているわけでございますので、それら全般を見回して、できます限り最大限の努力をさせていただきます、方法を探し出して考えていきます、こういうことでございますので、ぜひ御了承いただきたいと思います。
  30. 上田清司

    上田(清)委員 なかなか私は了承できないのですね。ただ押し問答になります。何らかの形で早目に国民の皆さんにわかっていただいて、そしてきちっと、実はこういう理由で貸せなかったのですよということを示していただかないと、三月が終わってしまってから言われてもどうにもなりませんので、このことは後で明らかになってまいりますので、もし公表されないということであれば、改めてそのときに責任を問いたいと思います。  ちょっとトピックで恐縮ですが、たまたま私のところに内部文書というのでしょうか、こういうものが入ってまいりました。  越智大臣は、二月十九日土曜日の午後一時に、栃木県塩原町のホテルニュー塩原で御党の蓮実代議士の主催されるところの講演会にお出かけいただいて、御講演をされたということは事実でしょうか。
  31. 越智通雄

    越智国務大臣 そのとおりでございます。
  32. 上田清司

    上田(清)委員 このとき金融関係の皆様方が、ほとんどが出席されておるのですが、出席者が約四十名、地元最大大手の足利銀行は中山専務を初め十名ほど、栃木銀行は竹中常務を初め八名ほど、県北の五つの信用組合からも各二名ずつ十名、その他宇都宮商工会議所の会頭、あるいは県同友会代表幹事、また県税理士会会長等が御出席をされておられますが、この中で、テープもございますが、大変越智大臣は貴重なというか、余り芳しくない御発言をされております。  信用組合について、ことし七月より来年三月にかけて、先ほど岡田同僚議員質問にもありましたように、金融監督庁検査が実施されることに触れ、このように言っておられます。検査の仕方がきつかったら私のところにどんどん持ってくるように、蓮実代議士に頼んで持ってくれば最大限考慮をする、危なくなってからでは救いようがない、早目に言ってほしいと。これはどのように解釈していいか、この文脈全部を細かに起こしてからまた改めて問う機会もあるかと思いますが、極めて不見識な発言であります。  また、信組の再編問題についてもこのように言っておられます。県内十二組合は数が多過ぎる、蓮実代議士が音頭をとって金融地図の勉強と再編の取りまとめをやると。蓮実代議士がやるのですか、あなたが言うところのこの地域においての金融再編成というのは。それから、日銀考査の方も厳しくなってくるから、その辺も私に言ってくれというようなことも言っておられます。  これはテープを起こしてきちんとまた議論させていただきますが、このようなことを言った御記憶はございますか。
  33. 越智通雄

    越智国務大臣 言われてみますと、実はこういう事情でございます。  蓮実代議士の年次大会がある、そして来てくれということで行きました。それは、何か何百人かの大ホールでの講演、講演というか決起大会というのですか、年次総会。その前に、せっかく越智さんが来たのだから、金融機関の人が集まっているから、最近の金融情勢についてお話をしていただきたい、こういうので、時間にしてどのくらいでしょうか、二十分か三十分、そこでお話をいたしました。  今の発言については、そのとおりかどうかは十分記憶いたしておりませんけれども、せっかくのそういう会でございましたから、私が直接知っている銀行ないしは信用金庫信用組合の方も少のうございましたので、何かあれば蓮実さんに言ってくれ、蓮実さんが私の方に伝えてくれ、こういうことは申しました。  それから、信用金庫信用組合については、あそこに両方で二十ほどありましたものですから、隣の県、茨城県では県信用組合というのをつくって大変立派に堂々とやっている、やはりこういうところでは、金融機関が、これから県内の金融をまとめていくのには、皆さんでよくお話し合いをして、そういう栃木県内における金融の円滑な実施というもののために努力をしてもらいたい、そういうことは申しました。
  34. 上田清司

    上田(清)委員 今のでは差しさわりのない発言みたいに聞こえますが、テープの中身は違いますけれども、仮にもこれは大蔵委員会の席でございますから、公的な席でありますから、もし間違っていたらどうするのですか。——よくわからなかったみたいですが、テープの中身と今御発言されたことと違ったら、どういたしますか。
  35. 越智通雄

    越智国務大臣 どういうふうに違っているかわかりませんけれども、それは、テープをよく聞いていただいて、またそれについての御質問があれば、お答えさせていただきます。
  36. 上田清司

    上田(清)委員 テープの中身は、極めて、あなたが職権を背景に何でもできる、そういうニュアンスを、確かに同僚国会議員の後援会に行けばよいしょの一つもしなければならない、そういう部分もありますが、しかし、余りにも度を外した発言で、これは大変問題だ。  日銀の考査あるいは金融監督庁検査を、御自身があたかもねじ曲げることができると言わんばかりのことをこの中で申されておりますよ。  では、もう一回確認いたします。  検査の仕方がきつかったら、私のところにどんどん持ってきてくれ、あるいは蓮実代議士に頼んでくれれば最大限考慮をする、危なくなってからでは救いようがない、早目に言ってほしい。このことについてはどうですか。
  37. 越智通雄

    越智国務大臣 そのとおりの発言かどうか知りませんけれども検査その他につきましては、いろいろあり方についてのお話も伺うことがございますから、何か問題があれば私に言ってほしい、そういう考え方であります。  私がどうこうするという意味ではなくて、金融監督行政の関係においては実情をよく把握しておきたいという意味で、何かあれば教えてほしい、こういうことでございます。
  38. 上田清司

    上田(清)委員 検査の仕方がきつかったら、それから、日銀の考査も厳しくなったからというようなことを言っておられます。
  39. 越智通雄

    越智国務大臣 それは、私が申し上げているのは、日銀の考査に関しては、考査というものを今お願いしておりますから、間に合わないのですね。間に合わないから、日銀の考査も監督庁の検査と一緒にやっておりますから、日銀の考査があった場合に十分対応するようにと。  それから、検査に関しては、今申し上げたように、検査マニュアルそのものを適用するについてはしゃくし定規にしてはいけないという規定が十一カ所も書いてありますけれども、それがそのとおりいっていないのじゃないかという苦情が来ますから、だから、何かあったら教えてほしい、検査の実情を知っておきたい、こういうことであります。
  40. 上田清司

    上田(清)委員 蓮実代議士に頼んでくれれば最大限考慮をするというのは、どういう意味なんですか。
  41. 越智通雄

    越智国務大臣 それはよく覚えておりませんけれども、せっかく隣にいたものですから、今先生もおっしゃったように、蓮実さんに対してエールを送ったようなことでございまして、どうこうするという意味ではありません。蓮実さんによく話をしてくださいと。
  42. 上田清司

    上田(清)委員 今幾つか確認をさせていただきました。  少なくとも、大蔵委員会の席でそうじゃないという御答弁をされて、事実が違っていたら、やはり大臣として不適格者であります。私たちは、当然、辞任の要求をしたいというふうに思います。  特に、足利銀行に関しても、これは問題行ですよ。いろいろなところからいろいろな指摘をされているでしょう。北朝鮮との関係や、私も一回やろうと思ったのですよ。やろうと思っていて、これからでもやるつもりでいます。  そういう問題行が入り、資本注入もした、そしてなおかつ信組の問題に関しても極めて重大な発言をしばしば越智委員長はやっておられる。そういう中でこういう発言が出ているということは極めて問題であるということを、私はこの席で強く御指摘をさせていただき、別の機会でこの問題について明らかにさせていただきます。  まだテープを起こしておりませんので、起こした段階で明らかにさせていただきますので、とにかく、ぜひ越智大臣は首を洗っていただきたいと思います。  それでは、どうぞ、お時間があるそうですので、何か会合があるということを聞いておりますので、御退席いただいても結構であります。
  43. 越智通雄

    越智国務大臣 今お話し申し上げましたようなことでございますので、不適切な発言があれば、もちろん心からおわび申し上げますけれども、そういう意味で申し上げたことでございますので、どうぞ事情を御了解いただきたいと思います。
  44. 上田清司

    上田(清)委員 今、越智大臣が言われました件は、少なくとも私がテープを聞いた限りでは、程度を超えているというふうに理解をしております。テープを起こしていただいた後に、改めて決着をつけさせてください。ありがとうございました。  それでは、お忙しい中、大野総括政務次官にまでお越しいただきまして、ありがとうございます。  過日十二月一日あるいは三日にこの席でもちょっとお伺いして、きのう予算委員会の方で厚生大臣にも若干確認をさせていただきまして、その後、私もこの運用の実績に関しては相当丁寧に勉強をさせていただきました。昨日も少し問題を明らかにさせていただきましたので、今御出席の各委員の皆様方にぜひ見ていただきたいのですが、年金の運用の問題について、実は、私の一つの問題意識の中に、手数料をたくさん取っている、つまり、運用を多くさせていただいている金融機関が意外に運用実績が悪い。  なぜ悪いところにたくさん運用させてわざわざ手数料を稼がせて、そして運用の実績を悪くして国民負担をふやしているのか、こういう構図がありますので、二の一を見ていただきたいのですが、これをずっと見ていただければわかりますように、昭和六十一年から運用が始まりまして、今日に至っておりますが、各年度もそうでありますが、累計においても、国内大手の信託銀行あるいは国内の大手の生命保険会社がたくさん運用をしておりまして、その運用に応じて手数料がたくさん支払われているところであります。  それで、私がまた指摘させていただかなければいけないのは、三の資料でありますが、実は年金福祉事業団が運用を実態的にやっているのではなくて、グリーンピアで有名な保養協会の中に年金資金運用研究センターというのをつくっておりまして、ここで実態的に運用の中身を研究し、なおかつ運用の実態を数字として明らかにしていく、そういうセンターがあるのですが、そこに派遣先の金融機関、これはいろいろ出ておりますけれども、母体会社がございまして、それぞれ、MTECは三菱信託銀行であるとか、DKFTB年金研究所は第一勧業富士信託銀行であるとか、あるいは住信基礎研究所は住友信託銀行であるとか、それぞれ研究機関からの派遣ではありますが、母体行はちゃんと手数料をしっかり稼いでいる、あるいは運用をかなりの程度任されている会社が、研究員をただで派遣している、こういうどす黒い癒着を年金福祉事業団並びに保養協会はやっておりまして、ゆえに、運用実績がよかろうと悪かろうと、特に悪かろうと、引き続き研究先、それはそうですね、自分の母体行にたくさん運用させた方が母体行はもうかるわけですから、運用実績が悪くても、次の運用はここにしましょうというようなことを当然出しますわね、出さなければ行った意味がないから。そのことを二の二で見せておりますので、ちょっと見ていただきたいと思います。受託金融機関別の収益率、これは資金確保事業の部分でありますが、その中の信託銀行の部分であります。  そこで、もう既に年金局長も御答弁されまして、年度年度の実績ではなくて、ある程度期間を区切って、そしてその実績で運用先も決めているというようなことを言われましたので、とりあえず二つに私は区切ってみまして、これは大蔵の調査室の皆さんの大変な御努力、御協力をいただきましてつくりましたところ、ずっと後段の、平成三年から平成十年に至っては、実は運用実績がいいにもかかわらず、運用を余り任せられないというような形になっておることがよくわかるわけであります。例えば、収益率からしても上位にあるのは外国系でありまして、これらのところは、二の一を見てわかりますように、極めて運用手数料が少ないということは、たくさん運用を任されていないということであります。運用実績が高いところに運用を任せないで、運用実績の低いところに運用を任せるという構図が出ております。  これはまた三つに区切っても同じような結果が出ております、六十一年から平成十年までを三つに区切った資料は今渡してありませんが。これも二の三を見ていただくとわかりますように、受託金融機関別の収益率、これは年金財源強化事業の方であります。これも同じような結果が実は出ております。このように、大臣、運用実績が必ずしもよくなくても運用をたくさん任せて、そして運用手数料を稼がせるという、こんなおかしなことを平気で長年やってきている、これが年金福祉事業団の正体であります。  二の四を見ていただきたいと思います。これはわかりやすいように、運用手数料と平均収益率の順位を書きました。例えば、昭和六十一年から平成二年までの間に運用手数料が一番多かったのが、平均で、三菱、住友、第一勧銀、三井、大和と。これはみんな、先ほど申し上げました年金資金運用研究センターに常勤研究員をただで派遣している母体行であります。これは全部上位の方に入っております。  ところが収益率の順位を見ますと、三菱の二位、住友の三位、こういったところはいいとしても、年金財源強化事業に至っては、八、七、五、九、六と惨たんたるものでありまして、三井などに至っては両方とも十位とか九位とかです。にもかかわらず、ずっと、平成三年から平成十年に至ってもこの順位を余り変えようとしていないという実態があるわけであります。  大野総括政務次官、ひどいところでしょう。こんなことを平気でやってきたわけでありまして、生保においてもそのような傾向があるわけですね。総括政務次官、まず御感想はどうですか。     〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
  45. 大野由利子

    大野(由)政務次官 今委員から多岐にわたる御指摘がございましたが、大きく分けると二点の御指摘があったかと思います。  一点は、運用実績の悪い受託機関が大きな資金を運用して手数料をたくさん稼いでいるではないかという点が一点と、もう一点は、なぜそういうふうになっているかというと、年金資金運用研究センターに常勤の研究員を派遣している母体行との癒着があるのではないか、この二点の御指摘があったかと思うのですが、まず最初の御指摘の問題につきましては、年金福祉事業団が資金運用事業を開始されました最初の時期は、受託運用機関は信託銀行と生命保険会社に限られていた、こういうことがございます。しかもまた、運用資金の配分が、厚生年金基金等の企業年金の運用実績がある、こういう受託機関に対してのみ行われてきた、こういうことがございます。  委員が配付していただいた二の一の資料を見ていただきましても、それは昭和六十一年、六十二年、このころはずっとこういうふうになっておりまして、外資系の企業は参入がうんとおくれた、こういうことがございます。しかも、最初のころは、新規の運用資金が毎年度二兆円、三兆円と増加をしておりまして、受託機関の管理の課題も、資金の回収というよりも、新たな資金の運用、資金をどこに配分するか、運用実績を考慮してどこに配分するかということが大きな課題だったわけでございます。そういったことで、どうしても大手の信託銀行や生命保険会社に集中をした、こういう経緯がございます。  平成七年度からは、投資顧問会社の参入が認められましたために、年金福祉事業団は、運用の委託先を多岐にわたるよう、多様化をさせてまいりました。そして、その運用評価手法というものの確立をいたしましたけれども、このころから運用資金の伸びが当初に比べたら毎年一兆円程度、当初の二分の一か三分の一ぐらいに低くなってきた、こういうことがございまして、大きな資産の移動がそういった意味ではちょっと少なくなっている、こういうことがあるかなと。  運用機関の評価につきましては、定量的な評価だけではなくて、定性評価が大変重要である。委員からいただいた資料の中で、二の二のような、実績だけ並べるとこういう表になるかと思うのですが、運用対象となる資産とか運用手法が異なるものを同じレベルで比較することは難しい面があるのではないかと思いますし、また、単年度だけではなくて三年以上の期間で評価をする、こういう必要がございます。それで、資金配分が行われた時期というものも考慮に入れなければいけない。こういった観点で、どうしても信託銀行の大手のところにたくさんの運用が任されているという実態がございます。  それから、年金資金運用研究センターへの派遣についてでございますが、センターの事業趣旨に賛同するそれぞれの金融機関が人材育成等の目的を持って派遣をしているものでございまして、資金の配分とは直接全く関係はないということでございまして、現に、センターの常勤研究員の派遣元に関係する受託機関からも、成績がもう一つ芳しくない、下から四分の一の成績だというところに関しては資金回収を実施をしている、こういう実態もございます。
  46. 上田清司

    上田(清)委員 尊敬する大野政務次官の発言とも思われません。これ、どの三年ずつでローリングしてもこのような実態になりませんよ。今次官がおっしゃったようなことにはなりませんよ。いろいろな形でやったのです、私も。たまたま六年で並べていますけれども、三年ずつのいろいろな切り方でもやりました。それでも三井などは上位に出てくる資格なんかありません、実績からすると。そういう説明はできませんよ、本当に。いいのですか、今みたいな説明をしていて。議事録に残りますけれども、いいですか。  それから、この年金運用研究センターに賛助会員という形で八十五社、賛助費を集めているんですね。全部受託している運用会社じゃないですか、賛助会員が。こういうのは何なんですか。こういうのを癒着と言うのですよ。全部じゃないですか、八十五社。信託銀行十六行、生命保険十社、投資顧問会社二十四社、都銀や長銀八社、証券会社十社、その他十七社、八十五社からそれ相応のお金を集めて賛助会員。何なんですか、この賛助会員というのは。それでも癒着じゃないとおっしゃるのですか。
  47. 大野由利子

    大野(由)政務次官 先ほど答弁させていただきましたように、定量評価だけではなくて定性評価も大変重要である、そしてまた、運用対象になる資産や運用手法というものも考慮して決定をしてきた、こういうことでございますが、いよいよ、年金福祉事業団の廃止に伴いまして、年金資金運用センターにつきましても年金の自主運用の開始時期平成十三年四月予定を目途として廃止をいたしまして、公的年金、企業年金などを含む年金運用に関する総合的な調査研究組織のあり方を検討をすることとしております。  官民の透明性の確保という視点に立って、誤解を招くことのないように今後もしっかり努力をしてまいりたい、このように思っております。
  48. 上田清司

    上田(清)委員 私たちもいろいろ行政改革だとかを訴えてまいりましたけれども、こういうことをやめさせようということをやっているわけでありまして、いいわけがないということをまずきちっと言わなくちゃだめですよ、こんなことはもうやめますと言わないと。やめるのですか、やめないのですか。
  49. 大野由利子

    大野(由)政務次官 今まで、どちらかといえば民間にそういう専門家というか人材がいらっしゃったということもございまして、そういう民間の方の力をかりてきたという経緯もございますが、今委員が御指摘のように、年金の自主運用に当たりましては、従来の年金資金運用センターを誤解を招くことのないようにきっぱりと廃止をして、そして、今後のあり方については別途また考えてまいりたい、このように思っております。
  50. 上田清司

    上田(清)委員 要するに、ただで専門家を呼んで、そしてきちっとただでやってもらって、それはやはり情も入れば情けも入りますし、賛助会費を取っていれば、これもまた情けが入れば新規参入しなくなりますし、こういうことをやめるということですので、いい御答弁をいただきました。自主運用のときには必ずやめると、こういうふうに理解いたします。  それで、細かい話ですので年金局長から少しお伺いしますが、前に聞きましたときに、事業団の運用実績が信託銀行等よりもいいということでありましたけれども、どのような事実に基づいてそのような御答弁になったのか。
  51. 吉武民樹

    吉武政府参考人 年金局長は参議院で年金法の審議に出席をいたしておりますので、私からお答えをさせていただきます。  年金福祉事業団におきます運用実績につきましては、直近五年の平均の収益率で見ますと、信託銀行が年金信託で運用しております厚生年金基金でありますとか適格退職年金等、相当の規模の運用をいたしております。その運用の実績が五・一%でございますが、これを〇・一%でございますが上回っておりまして、五・二%になっております。  それから、さらに最近十年の平均で比較をいたしましても、信託銀行の三・八%に対し四・四%という収益率となっておりまして、信託銀行を上回っているという状態でございます。
  52. 上田清司

    上田(清)委員 その資料を提出してください。よろしいですか。
  53. 吉武民樹

    吉武政府参考人 はい、後ほど提出させていただきます。
  54. 上田清司

    上田(清)委員 今審議官が挙げられました数字ですけれども、これはどのようにして算定された利回りなんですか。
  55. 吉武民樹

    吉武政府参考人 ちょっと一点訂正させていただきますが、先ほどの信託銀行の運用収益でございますが、厚生年金基金を委託しております部分についての運用収益でございます。それで、この収益については時価評価の収益率でございます。
  56. 上田清司

    上田(清)委員 いや、信託銀行の年金分野でのいわば算定利回りはどのようにしてつくったのかということです。わかりますか、言ったこと。信託銀行側の利回りはどのようにして算定されたのかということを聞いているのです。
  57. 吉武民樹

    吉武政府参考人 厚生年金基金の方が信託銀行に運用委託をしております。したがいまして、信託銀行の方から厚生年金基金に対して運用実績はもちろん報告もあります。それで、厚生年金基金の実際に委託しております運用収益につきまして、厚生年金基金連合会で全体を集計をいたしまして出したものが今申し上げた数字でございます。基本的には、時価評価でございますので、時価評価の評価を行ったものの基金全体の利回りという状態でございます。
  58. 上田清司

    上田(清)委員 こんなふうに理解してよろしいですか。  信託銀行全体の各社の年金分野の平均数値が出たものだというふうに理解していいのですか。
  59. 吉武民樹

    吉武政府参考人 利回りを計算いたしますときに、いろいろな計算方法があるわけでございますが、例えば単純平均という形で、A信託、B信託、C信託というものを、運用収益だけを足してその数で割りますと、ウエートづけが入りませんので、資金量を含めまして全体の加重平均で出した数字でございます。
  60. 上田清司

    上田(清)委員 厚生省からいただいた運用機関別運用実績一覧表、平成八年度から十年度までの資料を私は見ているのですけれども、ここで言う資金確保事業の一の運用機関、これは信託銀行関係ですが、ここに実績と複合市場平均という形で、時間加重収益率の中の実績と複合市場平均という形で出しておりますが、この部分で言うところの複合市場平均というふうに理解していいのですか、今の数字というのは。
  61. 吉武民樹

    吉武政府参考人 まことに恐縮でございますが、今先生おっしゃいました資料は、受託機関別収益率という形で、資金確保事業それから年金財源強化事業について先生の方へ御提出した資料だろうと思いますけれども、それでよろしゅうございましょうか。  この資料で申し上げますと、この一番右側の通期、例えば三井信託について三・八五%となっております。これと、左の昭和六十一年から平成十年まで、これはそれぞれの年度の収益率でございますので、実はこの間に資金量がございますので、昭和六十一年から平成十年まで足しまして、これは十三年間でございますが、これで割りましても、右のものには一致をいたしません。右のものは、それぞれの機関の平均の運用残高に対してどれだけの利回りがあるかということで、そういう意味で、先ほど申し上げました資金量の概念を入れまして平均したものでございます。  今申し上げました、厚生年金基金が委託をしております信託銀行におきます利回りにつきましては、今申しましたような資金量を加味いたしまして、トータルとしてどういう状態になっているかという比較をいたしております。
  62. 上田清司

    上田(清)委員 この複合市場平均という概念ですが、これはどういう意味になりますか。
  63. 吉武民樹

    吉武政府参考人 複合平均収益率と申しますのは、例えば運用をいたしますときに、いろいろな収益率がございますけれども、例えば債券の収益あるいは株の収益といった形で、運用資産の、資産の種類といいますか、それを加味いたしまして、そこで出したものでございます。通常は、ベンチマークと申しまして、目標値として設定するものでございます。  したがいまして、例えば最近の状況で申し上げますと、株が非常にいい状況でございますから、これは単に、株がいいということで収益率は上がるわけですけれども、それだけではなくて、全体の株の収益率はどれぐらいになっているかという形で、先ほど政務次官からちょっと御説明申し上げましたが、最近の、例えば三年間の私どもの委託をしております資金運用機関につきまして、どういう形で定性的、定量的に見ているかと申し上げますと、今申しました複合収益率を、市場平均をとりまして、それでそこの運用機関の資産構成割合に置き直しをいたしまして、どの程度の形になっているだろうと。それに対して、現実の運用機関の収益率がどうなっているだろうかということで、そこの乖離を見る手段としてとっております。
  64. 上田清司

    上田(清)委員 そうすると、この複合市場平均という概念、これは、どちらかといえばモデルというふうに理解してよろしいのですか。
  65. 吉武民樹

    吉武政府参考人 年金福祉事業団の例で申し上げますと、例えばAという信託銀行が、平成十年度で、トータルの資産で、相当部分が債券でございますけれども、株式も一部ございますし、それから外国株式もございますし、それから外国に対しての債券もございます。  そこで、非常に単純に申し上げまして、例えば国内債券が八割ある、株式が一割ある、それから外国の債券が一割ある、あるいは、実際は少し手元のために現金性のある金を持っておりますので、それが五%ぐらいあるというような形で運用をいたしましたときに、それぞれ、例えば国内株式におきまして、市場の平均収益率がどれだけだったというのを出しまして、それにウエートづけをするという形。それで、現実にしかしそこの運用機関が収益を出したものは違いますので、そことの乖離を見るという形でございます。  最近の資金運用ではこういう見方をするというのが大体定着しているというふうに私どもは理解をいたしております。
  66. 上田清司

    上田(清)委員 要するに、実績というよりはモデルというふうに理解してよろしいわけですね。
  67. 吉武民樹

    吉武政府参考人 モデルというふうに申しますか、例えば今年度で申し上げましたら、今年度の全体の平均の市場収益、それを御自分の型に当てはめたときに、平均であればどれだけになるだろう。資産構成割合が違いますので、そこをそれぞれの型に当てはめて、一方で実績がございますので、実績との関係で比較をする、そういう手法でございます。
  68. 上田清司

    上田(清)委員 はい、わかりました。  それでは、これもまた資料を提出してください。信託銀行の純民間ベースでの平均運用利回りの表面利回りの資料を下さい。信託銀行の表面利回りを。  それで、なぜこんなことを聞いているかというと、どうしても私は、財投から四%で借りて、そして四・四%の利回りをしているということが信じられませんので、それで細かく聞いておりますので、お許しをいただきたいと思います。
  69. 吉武民樹

    吉武政府参考人 後ほどまた先生に、できましたら個別に御確認をさせていただきたいと思いますが、信託銀行自身は、今申し上げましたように、国債で運用をし株式で運用しという形でございますので、通常の債券のような、A信託銀行の債券における通常の利回りというものは、実は存在はいたしません。  ですから、信託銀行における年金運用の場合には、その実際の運用資産についてどういう市場収益を上げているかという形で収益が出ますので、これは、今申し上げました過去五年、十年、それぞれの年度分が出ますので、これについて後ほど出させていただきたいと思います。
  70. 上田清司

    上田(清)委員 年福の運用利回りは、総合収益ベースなのか、それとも実現収益ベースなのか、どちらでやっていらっしゃるのですか。
  71. 吉武民樹

    吉武政府参考人 先ほど私が申し上げました、年金福祉事業団の直近五年の五・二、あるいは直近十年の四・四というのは、総合収益、いわゆる時価で行っております。  ただ、実際上、これは先生御案内のとおりですが、年金福祉事業団は特殊法人でもございますので、基本的には時価ということは必ずしも定着をいたしておりませんので、年金福祉事業団の運用実績を例えば公表いたします場合には、もちろん簿価についても公表をいたしております。
  72. 上田清司

    上田(清)委員 総合収益ベースの数字だというふうに聞きましたが、今のは資金確保事業だと思いますので、年金財源強化事業についての利回りはどうなっていますか。
  73. 吉武民樹

    吉武政府参考人 まことに恐縮でございますが、ちょっと今数字を確かめさせていただきたいと思います。  平成十年度で申し上げますと、今申し上げました総合収益率が二・七一%でございます。それから、実現収益率については二・六七%でございます。それから、九年度で申し上げますと、総合収益率が七・〇六%、実現収益率が四・九五。全体でございます、資金確保事業と年金財源強化事業、両方のトータルでございます。
  74. 上田清司

    上田(清)委員 そのトータルの数字がよく聞こえなかったので、申しわけありません、もう一回。
  75. 吉武民樹

    吉武政府参考人 直近の平成十年度で申し上げますと、総合収益率が二・七一%でございまして、実現収益率が二・六七%でございます。それから、平成九年度につきましては、総合収益率が七・〇六%、実現収益率が四・九五%でございます。
  76. 上田清司

    上田(清)委員 これもちょっと資料を出していただきたいと思いますが、これはまた後で申し上げますが、一応念のため委員会ベースできちっと確認をしていただきます。  運用資金額の内訳、中身ですけれども、資金確保事業と年金財源強化事業が運用しているそれぞれの運用資金額を出していただきたいというふうに思います。これも開始されてから今日まで、毎年度の資金残高です。  それから、毎年度の運用収益と利回りを時価ベース、簿価ベースで出してください。さっき一部出ていますので、全部出ると思います。  それから、二つの事業の利払いも全部出してください、毎年の部分を。  それから、自家運用と委託運用の部分、それぞれの、年金財源強化事業と資金確保事業の自家運用と委託運用が多分あると思いますが、まずこの確認をさせてください。自家運用と委託運用に分けてあると思いますが、そうでしょうか。
  77. 吉武民樹

    吉武政府参考人 先生御案内のとおり、債券でございますが、インハウスとしまして一部自家運用をやっておりますので、自家運用分と委託運用、そこの部分を分けたものを後ほど提出させていただきます。
  78. 上田清司

    上田(清)委員 私も、かくのごとく、やっていればなかなかわけがわからなくなってまいりまして、質問している方もわけがわからなくなってくるぐらい、答える方もわけがわからなくなってくるぐらいこの運用が難しくて、わざわざ二つに分けてやったり、いろいろな仕組みや基準やもろもろがあってわかりづらくなっております。  この百四十兆の部分がこれから自主運用されるということでありまして、そのうちの二十数兆を今まで運用していて、時価総額あるいは簿価総額で平成十年度までマイナスになっているということが問題だということを各方面から指摘されておりますが、何か十一年度ベースでいくと累積でプラスになるというふうなお話も新聞記事でちらりと読みましたけれども、この中身はどうなんでしょうか。
  79. 吉武民樹

    吉武政府参考人 御案内のとおり、まだ平成十一年度三月末まで終わらないとわからないという点がございますが、平成十一年十二月末時点でございます、ある意味では瞬間値というふうに考えていただいた方がいいと思いますが、十二月現在での時価ベースでの運用実績を申し上げますと、先ほど申し上げました総合収益で二兆七千億円の黒の状態でございます。先生にもこれまで御指摘をいただいております累積の損失が相当ございますが、これを十二月時点で差し引きをいたしまして、これまでの累積の時価ベースで申し上げますと、七千五百億円の黒字になっております。  最大の寄与要因は、株の価格が相当程度上昇しているというところでございます。割とこれは厳密にやっておりまして、例えば、利払い費用が出てまいりますので、利払い費用につきましては、基本的には十二月末までの利払い費用を計上いたした形で比較をいたしております。そういう形で十二月時点で切ったときにどういう状態かということでやっております。  ただ、三月末につきましては、まだこれからの市場の動向がございますので、私どもは、これから三月末までの運用結果を、また改めて結果が出ましたところでよく御報告し、公表したいというふうに思っております。
  80. 上田清司

    上田(清)委員 新しくできますところの年金資金運用基金の中の枠組みをどのようにしていくのかということで、少し気になることを二つ、三つ聞きたいと思いますが、まず、今まで資金確保事業と年金財源強化事業という形で、なぜ二つに分けるのかはよく意味がわからない部分もあるのですが、これはそのまま分けてからやっていくのか、それとも一本化するのか。
  81. 吉武民樹

    吉武政府参考人 これは、端的に申し上げまして、年金の資金運用につきましては、特に国民年金制度が発足をいたしまして国民皆保険体制の発足以来、いろいろな経緯がございます。かつては、労使の御要望で、年金資金を積立金として保有をし、年金の資産として自主的に運用をしまして、そのことによって、例えば、この資金を他の目的のための資金としてできるだけ使わないという要望がございまして、そういう意味で自主運用の要望の歴史というのは非常に古いわけでございます。  最初に現在の形の自主運用が入りましたときの最初の状態が、これは先生御案内のとおり、例えば被保険者住宅につきまして年金で融資を行うというような仕組みがとられておりますが、そういういわば年金の受給者あるいは年金の現役の被保険者の方のための福祉的な事業といいますか、この財源として運用を行おうということで年金の資金確保事業というのが始まった経緯がございます。  その後、財源強化事業という形で、年金のまさに保険料の負担といいますか、ここに資するというために始まった形でございまして、そういう歴史的な経緯がございまして、現在二つの事業を実施いたしておりますが、年金が自主運用になりますと、今後に向けましてはトータルとして運用を行うという形になります。  ただ、これまでも当委員会でも御審議の中でお話がございましたように、これまでの運用実績なり、そういうことについては明確にしておく必要があるという形でございまして、今回基金に移行いたしました場合には、基金がこれを承継いたしまして、ただ、運用のロットは元金を返してまいりますのでだんだん小さくなってまいりますので、運用としては大きなロットで運用した方が収益性が高まる可能性が十分ございますので、運用は全体としてやりながら、勘定とか今申し上げました運用の結果をきちんと区分してやっていこうという形になってございます。そういう形で法案を今御審議いただいているところでございます。
  82. 上田清司

    上田(清)委員 では、同じように今度も分けてやるということで理解してよろしいのですか。
  83. 吉武民樹

    吉武政府参考人 非常にラフに申し上げますと、約百四十兆の年金の積立金がございまして、これが今資金運用部に通常七年で預託をいたしております。したがいまして、資金運用部からは七年で返ってまいりますので、非常に単純に申し上げますと、二十兆返還があります。  ただ、この問題につきましては、実際に、資金運用部におかれましては、いろいろな政府系の金融機関でありますとかあるいは特殊法人等に貸し付けを行っておりますので、そこが三十数年という状態であります。そこの段階的な移行をやらなければならないということはございますけれども、いずれにしましても、新たに返ってくる部分がございますので、そこに入れかわってくるという形でございまして、新たに返ってくる部分につきましては一括して運用をしようということであります。  ただ、これは逆に減少しております。今の二十四兆が、これも資金運用部に対する返済で申し上げますと、財源強化事業につきましては七年目に一括して償還をいたします。それから、資金確保事業につきましては十年で資金運用部からお借りをしておりますけれども、五年目から、五年間で分割して償還をいたします。これはいずれ、端的に申し上げますと、十年たちますとすべて償還が終わりますので、十年後には実はこの事業はなくなるわけでございますが、その間は今の状態で継続して承継をしていこう、こういう仕組みで考えてございます。     〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 上田清司

    上田(清)委員 年金資金運用基金法の法案の中では、厚生大臣が基本方針を定めて、審議会の中でその運用のあり方について決めていくというようなことが書いてあるのですけれども、前にもお聞きしたのですが、運用機関を選定する場合のきちんとした基準があるのかということで、何かペーパーがないのかと言ったら、文章上の規定ではないが一応内規的なものはあるということで、こういうペーパーをいただいた経緯があるのです。  先ほど私が幾つか指摘させていただきましたように、国民の大事な年金を自主運用するだけの器量が本当にあるのかどうか、非常に不安を持っているわけでありまして、新しく衣がえをする年金資金運用基金において、運用機関の選定基準がどのようになるのか、この部分が本当は明らかにされないと国民が安心できない、こういうことではないかなというふうに思います。法案の中ではこれから定めるということですが、内部的には相当詰まっているのでしょうか。
  85. 吉武民樹

    吉武政府参考人 法案の中では二段階になってございまして、巨額の年金資金を自主運用いたしますので、基本的にはこれは統合になってまいりますけれども、厚生労働大臣が責任を持って運用の基本方針を定めるという形でございます。  これにつきましては、もちろん内外の経済動向でございますとか、あるいは市場や民間活動に相当影響もございますので、そういうものに留意して、ただ、その基本といたしましては、安全、確実を基本として、それから、最近のポートフォリオ理論にのっとりまして分散投資をする、そのことによってリスクをできるだけ軽減しようということで行うというふうに規定をいたしております。そういう意味で、運用の基本的考えは厚生大臣が明確に示すという形で、これはもちろん公表をいたします。  それから、これを受けまして、例えば五年間の運用の基本方針を定めましても、最近の状態でも御案内のとおり、例えば金融の状況でありますとか市場の状況が非常に変わってまいりますので、その間、運用の基本方針に沿いながら、基金の方で、具体的な運用の方針といいますか、これを定める必要がございますので、そこを定めていくということでございます。  最初に大臣が定めますときには、これは御案内のとおり、厚生年金の保険料なんかを見ていただきますと、労使の拠出でございますので、ある意味では事業主とサラリーマンの方が拠出していただいたお金を私どもがお預かりしておるわけでございまして、そういう労使を初めといたしまして、もちろん金融、経済の専門家の意見も十分お聞きをいたしまして、これは、社会保障審議会という統一した、厚生省で基本的な審議会を一つにまとめた審議会ができますので、そこにお諮りをして策定をするという形で考えております。  それから、今先生の御指摘がございました選定基準でございます。  これは、先ほど来申しましたこれまでの歴史的な経過もございまして、それから、こういう年金の運用の世界というのはある意味で年金福祉事業団の運用の歴史とともに発展しているようなところもございますので、なかなか確定的な選択基準をこれから十年という形で確定的に定め得ないというようなこともございまして、いわば内部の共通認識というような形で保持をいたしておりましたけれども、これは、できますれば自主運用基金が発足を、私どもが今考えておりますのは来年の四月でございますが、その前に、現在の年金福祉事業団の体制の中でも明確にできるものはできるだけ明確にするように検討していただいたらどうかというふうに私どもは考えております。  できるだけ文章化する、基準化するということは必要ではないかというふうに考えております。
  86. 上田清司

    上田(清)委員 最後ですが、仮に元本割れやロスが生じた場合にはこれはどうなるのですか。この運用基金で運用した後、元本割れしたときなんか、これはどうなるのですか。
  87. 吉武民樹

    吉武政府参考人 今先生のお尋ねの側面は多分二つあるのではないかというふうに思っています。  先般来、私どもの局長の方がお答えを申し上げましたが、今回の法案の中では、厚生省の職員、これは運用に関連する職員でございますが、これにつきましてはいわゆる忠実義務というのを課すことをいたしております。それから、運用基金の職員につきましてももちろん忠実義務を課しますとともに、理事あるいは投資の決定をする役員につきましてはいわゆる専門家ルールというのを課しておりまして……(上田(清)委員委員長質問趣旨とちょっと違っているみたいですから」と呼ぶ)
  88. 金子一義

  89. 上田清司

    上田(清)委員 仮定の話には答えられないということですが、国民の立場からすると、元本割れしたときにはどういう形で補てんがなされるのかということです。それを聞いているのです。
  90. 吉武民樹

    吉武政府参考人 これは、例えば昨年の自家収益は非常に厳しかったわけでありますが、ああいう中でも実は二・七%という運用収益は実現をいたしております。現在の状態で資金運用部からお借りをしている金利が徐々に下がっておりますけれども、これは過去十年分の金利の集積でございますので、四%をやっと切るぐらいでございます。それに対して二・七でございますので、年金福祉事業団自体としては赤字が出ておりますけれども、ゼロから考えていただきますと、二・七%という収益を確保はできております。  したがいまして、全体として元本割れをする、あるいはマイナスになるということは非常に想像しがたい状態でございますので、私どもは、先ほど来申し上げておりますが、リスクとそれから逆に収益性という両方ございますので、そこを、先ほど申しました金融の専門家にももちろん入っていただきまして、現代のポートフォリオ理論、そこを慎重に検討いたしまして、できるだけ先生がおっしゃるような事態が起きないようなポートフォリオをまず設定いたしたいというふうに思っております。
  91. 上田清司

    上田(清)委員 現に十年度の累積でも赤字ですし、単年度で赤字のときもございますし、野球とかに例えられる話ではありませんが、年度別でいけば、四勝九敗というのが年福の実績であります。十一年度は黒になるということですから、五勝九敗ということになるのかと思いますが。  単年度で決するものではないということはよくわかっておりますが、しかし、自主運用という形になれば、これはまさに新しくできる運用基金の存在そのものが国民の大事な年金の使命を担っているということになりますので、これは相当、もっと丁寧にやらなければいけないというふうに思います。  幾つかちょっと資料を提出させていただいて、私は、最初に言われた四・四%利回りを財投から、前の部分と最近の部分といろいろ分けて計算しなければわかりませんが、どうしても財投金利四%で借りて四・四も利回りを稼げるというふうに思えなくて、こういう極めて細かい質疑をさせていただきました。これをきちっと精査して、また改めてお伺いしたいと思いますので、厚生省関係の皆様方、どうぞ御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。  それでは、大蔵大臣、お待たせいたしまして申しわけありません。  いよいよ日本の財政、どのように評価するかということで、いろいろ議論があります。我が党でも、きょう河村議員などは、国債残高を強調することによって増税路線の陰謀であって、それでも日本は大丈夫なんだ、こういう議論もありますし、また、年金、預貯金等々の部分も考えれば、まだまだ日本の財政というのは、国は借金をしておるけれども、実際はそうじゃないのだ、こういう議論をする方々もおられますが、私は、もう少し国家全体の収益バランスみたいなものを明らかにしていった方がいいのじゃないかなというふうに思っております。  例えば、国有財産も帳簿の中では百兆円ぐらいの数字が出たりしております。しかし、それは簿価で、本当に時価で計算されているのかどうかとか、あるいは、建設国債を発行しておりますけれども、これも見合い資産みたいなものが全然ないわけでありまして、何かおかしいなと。建物ができる、橋ができる、そういうときに、一般の企業であれば、物として、資産としてきちっと資産の部に入っていく、こういうことが現にあるわけでありますから。国有財産法の中で、そういう道路だとか橋だとか、そんなものは除外規定になっております。  国家として、きちっとバランスシートをつくる時代が来たのではないかなというふうに思いますが、大蔵大臣、私は、今の国の財政の現況から見ていくと、そういうことをきちっとしないと、実態がわからない部分があるのじゃないかというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  92. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず、事実関係だけ御説明申し上げまして、あと大蔵大臣に大所高所からのお話をいただきたいと思います。  上田先生から、バランスシートをつくれ、確かにそうでございます。国民の前に、国が持っている資産と負債を明らかにする、当然のことでございますけれども、他面、企業と違いまして、資産、負債だけじゃなくて、行政サービスをどうするか、フローの概念もまた必要な世界が政治の世界じゃないか。このことも一方、頭の中に置いていただきたいと思う次第でございます。  この問題は、平成十年に国会で提起されました。それ以来、大蔵省といたしましても、昨年から主計局次長のもとで勉強会をいたしております。具体的に論点整理をしていかなきゃいけないのでありますけれども、減価償却をどう見るか、しかし十年前、二十年前に予算として支出したものをどういうふうに考えるかという問題もありましょうし、あるいは原価主義、それから低価主義、まあ低価主義という話はないでしょうが、時価主義、原価主義の話をどういうふうに考えていったらいいのか、こういう論点整理をまずやっていかなければいけないわけでございます。  それから、もちろん、将来発生する、例えば退職給与引当金あるいは年金等の問題、こういうものをどういうふうに考えていけばいいのか、こういう論点整理を今やっている段階でございまして、なるべく早く論点整理を終えて、夏ぐらいには一つの試作品をつくらせていただければ、こういう方向で進んでいるところでございます。
  93. 上田清司

    上田(清)委員 大変結構なことだと思います。大変期待をしておりますので、ぜひ論点を整理した上で、どのような仕組みが可能なのか、提案をしていただきたいというふうに思います。  それで、大蔵大臣、先ほど、実は年福の運用の問題をお聞きしておりまして、非常に危なっかしい運用の実態があるわけでありまして、それはそれとしても、例えば、公的年金を含めて日本の財政を考えていけば政府債務は先進国中、GDP比でいけば最低だ、こういう議論もあるのです。いわゆる財政赤字という部分をどこで本当に見るのかということについて私は少し疑念がありまして、こういう公的年金とかの部分を一つの資産としてきちっと入れていけば必ずしもそうじゃないという議論があるのですが、この点について、大蔵大臣としてどのようにお考えでございますか。
  94. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今の最後の部分だけお答えを申し上げるといたしますと、よくOECDなんかで、国の債務というのは、これは公的年金の部分を入れた分か入れない分かという議論が前からございまして、かつては、あそこに随分余剰があったけれどもだんだんそれがなくなるといったような、おのおの、国によって事情が違っております。国際的にも、入れて勘定する、入れないで勘定するという両方の考え方があるように思います。  御質問の、しかし、先ほどのと関連して考えますと、そういったような国のいわばバランスシート、あるいは国の財産というものを考える上で、そういうものが現に存在しない。存在しないがゆえに、先年から、国としても考えろという御指摘があり、先ほど政務次官が申しましたように、ともかく夏ぐらいまでに何か最初の試作品をつくってみようといって、今、主計局が各省庁からデータをもらってつくっております。そういう場合に、例えば今の問題が出てくるわけでございます。  そういうことによって、だんだん御批判もいただいて、本当に、何が債務で、何がポテンシャルな債務で、何がポテンシャルな資産でというようなことぐらいは、そのぐらいは何かしなければ申しわけないのじゃないかということでただいまやっておりますので、いずれ、最初の試作品をお目にかけますが、それはむしろ、その上で御批判をいただいて、批判にたえ得るものにつくり上げていきたい。  企業のようなことがそのままできるとは思いませんけれども、何もないということになりますと、今のような年金なんかの資産はどうなるんだということになりますから、できるだけのことをやってみて、御批判をまたいただきたいと思っています。
  95. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  建設国債も百五十八兆ぐらいあって、それに見合う資産がないというのも、どうしても私には、やはりこれはおかしな話だなというふうに思いますので、ぜひ資産というものが一体何なのかということも。  負債の話ばかりをされて、何かこのままだともう真っ暗だという感じがいたしますので、資産がどのぐらいあるのかということをぜひやはり検討していただいて、この間の中でバランスがどうなっているのかということを知ることによって、また国民は未来に対する確信も持てる、こんなふうに私は思っておりますので、そういう問題意識からお尋ねをいたしました。  そこで、もう六百三十兆からなる赤字国債の累積がそこまで迫っているのですが、もうこれは、利払いを含めると、予算の中で三十兆からやっていかなくちゃいけないということですから、一体、経済企画庁が言うような二%の経済成長で国の財政が、本当に返していけるのか、回っていくのかどうかということに、私は決定的な疑念を持っていますからこそ、先ほどの話をして、一気に違う収支バランスを考えなくちゃいけない。今の会計基準、今の財政の考え方だけでいけば、今の債務を返すことは到底不可能だというふうに私は思っております。  そこで、インフレ待望論みたいなのが乱暴に出てくるようなところがございますので、そういう意味で、国家のバランスシートともいうのでしょうか、あるいは資産と負債のきちんとした仕分けというものを早急につくっていかないと、一方では悲観論と、一方では乱暴な超インフレを期待するような、そういう二つの、あるいは、もう一つは悲観論につながるわけですが、増税という、これもまた大変日本の経済にとってマイナスに響く話と重なってきておりますので、この悲観論と、そして暴論を防ぐには、やはりここは、きちっと国家のバランスシートというのをつくっていかなくちゃいけないということで、私は、大蔵のサイドでも総力を挙げてこれは研究していただきたいということを強く申し上げます。  そこで、一点だけ大蔵大臣にお尋ねしますが、今日のこの借金財政の中で、先ほど申し上げました、経済企画庁が言うところの二%成長で、借金の返済というのは本当に可能なのでしょうか。これだけちょっとお伺いしたいと思います。
  96. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 多分、そういうことを頭に置いてお尋ねになっておられると思いますが、この国会になりまして、財政再建ということについていろいろ御議論がございます。それで、今その時期でないという事情も申し上げておる一方で、実際には、しかし、これは必ずやらなければならない仕事でございますが、財政だけの問題にとどまることは恐らく難しい。これは逃げるという意味ではありませんで、二十一世紀の初頭における日本の経済社会のあり方全体に関係をするであろう、財政、税制、地方中央といったそれをもっと超えまして、いろいろなことに関係をするだろう、せざるを得ないだろう。  そのときに、これは、私、人に相談したことでございませんので私見としてお聞き取りいただきたいのですが、それから先、五年なり十年なりの日本の経済についてのマクロモデルみたいなものをつくりませんと、計数的なプランニングが立たないのではないか。マクロモデルが当たるとは思ってはおりませんけれども、少なくとも、それだけのことをしなければ、国民が納得をされる答えが出ないのではないかと思っておりますが、それは実は問題を非常に大きく広げることになりまして、今上田委員の言われましたような、日本のこれから何年間か先の債務はどうで、その債務が減る方向に行くのには国民負担をどうしたらいいかというばかりにとどまらずに、実は、日本経済のよって立つ基盤というものが、これは少し話が飛ぶようでございますけれども、しかし、アジアの経済なんかとは切れないというような面を持っております。  そういうことで、広いベースで考えた上で、その中から集約して日本の財政はどうあるべきかというような問題にならざるを得ないと実は思っております。これは実はそんなに先のことを申しておるような悠長なわけには本当はまいらないことでございますから、そういう基本的な物の考え方のようなものは、そういつまでもほうっておくわけにいかない。  そのためには、現実には、経済がポジティブな成長に入ることが大事でございますけれども、しかし、それをただ大蔵省だけで財政の再建計画が立てられるようには、そういうことをやっていきますと、必ず問題がもっと大きくなるに違いないと思っておりまして、そういう中で、日本の財政が今持っている債務を多少とも将来に向かって軽減していく方法は何かということは、私は、そこで答えを出さざるを得ないように考えています。
  97. 上田清司

    上田(清)委員 難しい大蔵大臣の胸中が言葉の端々にかいま見ることができまして、心ある人たちはやはり真剣に考えていただいているものだというふうに私も思います。  素人的な形の中では、先ほどのバランスシートをきちっと出せば、あるいは明るい展望も見えるのかなというふうに思ったり、あるいは、国有財産にしても、大前研一先生なんかに言わせれば百兆という数字が出ているけれども、それは簿価であって、時価に直せば三百兆、四百兆の数字がひょっとしたら出るのではないかというようなことも言われております。そうすれば、それを担保にお金を出して、一気に二百兆ぐらい使って債務を返済するとか、そのことがまた市場の中でどのような状態になるかということをまだ試算したわけじゃありませんが、相当な部分を民営化していくだとか、現実に、NTTが民営化される過程の中で、既に国庫に十兆円納付されておりますし、以後、まだ二十兆ぐらいの可能性が残っているわけであります。  そういう形で、政府機関をどんどん民営化する過程の中で、もちろん株の放出について、また市場との関係だとかいろいろありますけれども、そういうのを全部含めて、相当手短に、なおかつスピーディーにやっていかないと、利子だけどんどん膨らんでいくというようなことで、大変私は危惧をしておりますので、意見としてだけ申し上げておきます。  それで、これもまたバランスシートと重なってくるのですが、財投の問題であります。  財政投融資計画が今度、特に郵便貯金二百五十兆、あるいは先ほど申し上げました年金百四十兆、合わせて四百兆からの自主運用が始まるわけでありますが、これについて改革案が出されておりまして、幾つか私は気になっている点がありますので、この点についてお伺いをしたいと思います。  まず、自主運用ということでありますが、先ほど年金の話をいたしましたが、いかにも心もとない、こんな感じがいたしております。あるいは郵便貯金にしても、郵政省、今度は総務省ですか、三省が一緒になっていく過程の中で、どのような形できちんと自主運用ができるのか、本当に自主運用ということが市場性を持っているのかどうか、そのことを私は考えております。財投で、それぞれ、入り口の部分は入り口の部分として、今度は出口の部分でそれぞれの機関機関債を発行していく、そしてその機関債を求めながら、きちっと仕事をしていくということが本当に可能なのかどうか、大変私は危惧をしております。  まず最初の入り口の部分からですが、まず、基本的に自主運用ということで、本当に市場に大混乱を起こすようなことにならないのかどうか、そういうシミュレーションについて御研究をされたことがあるかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  98. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今の上田委員のお尋ねの部分は、今後自主運用をされるのは、今の関連で申しますと郵政省と厚生省でございますので、後の部分の、一体財投機関というものがどうやってやっていくのか、また、変なことにならないのかという部分は、これはどうも私の方でお答えを申し上げなきゃなりませんが、前の方については、ちょっと私どもからお答えしにくい問題でございます。
  99. 上田清司

    上田(清)委員 確かにそうでありました。なかなか難しいところでありまして、所管外の話をしたような気がいたします。  そこで、出口の財投機関債でありますが、特に、私などは思い浮かべるのが本四連絡公団、どう考えても、あの公団が機関債を発行して、応募する方々が本当にいるのだろうか。とてつもなく建設費にお金がかかり、とてつもなく通行料が高く、通る人が本当にいるのかどうか。巨大赤字はずっと半永久に続くのじゃないかというようなことが何となく感じ取れるものですから、こういうことを事例に挙げた方がわかりやすいと思いますので、あえて具体的な名前を申し上げます。  本四架橋公団などは、機関債を発行して、本当にマーケットにたえられるのかどうか、このことについて、仮定に答えられないというふうなことを言わないでください、ぜひお答えしていただきたいと思います。
  100. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御心配のことはよくわかっておりますし、これは真剣に考えなければらないことでございますが、私どもが考えております基本的な原則を申し上げますと、財投機関債、財投機関は、基本的には、自分の責任において債券が発行できるということが基本でございます。  ただ、その発行条件というものは、その機関の能力によりまして、政府保証はつけないつもりでございますから、機関自分の責任において発行しなければならない。したがって、発行条件はそれによって異なる。場合によっては、機関によっては発行できないということが現実にはあるだろうと思います。なければよろしいのですが、今お互いに頭に浮かぶような幾つかの大きな財投機関は、これは発行する力があるだろう。しかし、そうでないものは、政府保証をつけないつもりですから、自分では発行できない。としますと、機関としては、それに身の丈を合わせるような活動をするしかしようがありませんし、また、銀行に借り入れをするなりなんかの工夫もしなきゃならない。最後に恐らく、いわゆる財投債に頼るということができるかできないか。ここのところは、財投債もこれはコストのある金でございますから、そう簡単に、はいよと言って金を出してやるわけにはいかないという形で、財投機関というものが初めて一人立ちをして、苦労をして、だめになるものははっきり言えばだめになる、それが基本の原則だと思っております。  その次に、今本四架橋公団のお話がございましたが、今後政府保証というものはございませんので、したがって、恐らく縁故で買ってもらっているに違いないということでございますが、その縁故ということも、それは本四公団と金融機関との間のいわば商取引で決まることであって、地方金融機関が買うつもりなら買えばいいし、しかし政府がそれについて別段の保証も何もいたしません、そういう状況になっていくだろう。  ただ、そういっても、自分のところで財投機関債は出せない、金は借りられない、しかし仕事は客観的に見てしなきゃならないというような場合に、財投債の方でどれだけ支援するかという、そういうところへ詰まってくるのではないかと考えております。
  101. 上田清司

    上田(清)委員 結構ドライな話を伺いまして、実は今、本四架橋公団の話をしたのは、総務庁の行政監察局の九九年四月末に出された報告の中で、同事業に関して、実質的に債務超過で、実質的にじゃなくてすごい債務超過で、今後も交通量の見込みからして償還計画がなかなか難しいのではないかというような指摘を行政監察の中で出されているのですね。そういう機関が財投機関債を出して、本当にマーケットに頼ってできるのだろうかといったら、多分できないのじゃないかなと。では、しょぼくれて、何らかの身の丈に合わせていいのですという議論に本当になれるのかなというふうに思っておりまして、私は、その後どうなるだろうということで心配してあげる必要もないのかもしれません。  ただ、過去に、例えば昨年議論されました北東公庫の話にしても、何だかんだ救っているのですね、破綻させないで。そういうことをまた繰り返すのかと実は私は思っておりまして、そこでこの問題提起もしておりまして、また損失を違うところで補てんして、結局国家の債務をふやしていくことになりかねない、そんなことを考えておりまして、ではしからば上田はどういう方法があるのだといったら、ちょっとイメージが十分私にもわかない部分があります、正直言って。  ただ、今の状態のまま、本当に財投機関債を財投機関すべて、一部政府保証がつくところもあるかもしれませんが、原則そういうことであるということに関して、非常に私は疑問を持ちますので、その点を一つ指摘して、もし政府保証がつくとすれば、それはどういう概念、どういう基準になるのかということもお伺いしたいと思います。
  102. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 財投債そのものは国債でございますから問題ございませんが、機関債には政府保証はつけません。(上田(清)委員「一切ですか」と呼ぶ)はい。したがって、自分の責任でやってもらいます。
  103. 上田清司

    上田(清)委員 もう一回確認しますが、一切つかないのでしょうか。
  104. 大野功統

    大野(功)政務次官 基本的に大臣がおっしゃったとおりでございます。  ちょっと大事なことですから読ませていただきますと、政府保証債については、財政規律の確保等の観点から、直ちに政府保証なしで財投機関債を発行することが困難な機関等について、個別に厳格な審査を経た上で限定的に発行を認める、こういうようなことでございます。
  105. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私の申したことが少しあやふやですから、もうちょっときちっとお答えしなきゃなりません。
  106. 金子一義

    金子委員長 では、中川理財局長。
  107. 中川雅治

    中川政府参考人 財投機関債というのは、あくまでこれは自分の力で政府保証なしに市場から資金調達をするものでございまして、今私どもが整理しておりますのは、政府保証債というのは、これは政府保証をつけますと市場の評価にさらすことにはなりませんので、ある意味では別物ということでございますので、政府保証債というのは極めて限定的に考えなければならない。これは保証というのが、いわば審査が安易になりがちだということもございまして、政府保証債というものは、もちろん限定的には今後とも存在しますけれども、極めて厳格に考えていきたい。  例えば、いずれ一人立ちして自分の力で財投機関債を出せるようになる、しかし、まだその機関が市場の評価が十分に得られていない、あるいは債券発行ということになれていないような場合に、経過的に政府保証を付して、いずれは一人立ちしていただく、こういうような場合が一つ考えられるかと思います。  もう一つは、基本的にこの事業が政策として重要であるというような場合に、その資金は最もコストの低い財投債で調達をいたしましてそれを融資をするというような場合を認める場合でも、例えば補完的に、その機関が資産負債管理、ALM管理をしていく中で、中短期の補完的な資金調達につきましては、自分機関で財投債に頼ることなく、限定的に、補完的な資金調達につきましては政府保証債でやっていく、これはALM管理の必要性上やっていく、こういったような場合もあろうかと思います。  そういったようないろいろな場合が今後とも考えられると思いますが、いずれにしても、保証というものが安易にならないように、将来の国民負担に結びつかないように、限定的に考えていきたいというふうに思っております。
  108. 上田清司

    上田(清)委員 よくわかったようなわからないような話で、言わんとすることはよくわかるのですが、そういう基準というのは、ペーパーとかでつくられているのですか。
  109. 中川雅治

    中川政府参考人 ペーパーというものは現在特にございませんけれども、今までも資金運用審議会で懇談会をつくって財投改革についての御議論をいただきまして、その取りまとめが平成九年の十一月に出されておりますけれども、その中でも、政府保証債につきましては極めて限定的に認めるべきだという考え方をいただいております。
  110. 上田清司

    上田(清)委員 今回の財投改革について、非常にある意味では勇気のある、評価すべき点を私は考えております。多分、財投機関債しか発行できない、政府保証なしということであれば、先ほど身の丈に合ったというような言葉が大臣から出ましたけれども、相当中身がクリアにされないと、つまりディスクローズされないと、今までの延長線上でいけば、これは投資家が悪いのだと言ってしまえば身もふたもありませんが、少なくとも公社、公団、事業団というのは、イメージとしてどうしても国の機関だということでありますから、錯覚として国の保証がある、きちんと保証されていなくても国が保証しているようなものだというふうな錯覚を持って、当然マーケット、投資家の人たちはそのような考え方を持つ可能性が高い。  それに対してきちっとそれぞれの財投機関がディスクローズを本当にしなければ、せっかくいわば自主独立で頑張れという、場合によっては、これが契機になって、特殊法人の民営化やあるいは改革が大いに進む可能性を妨げることになるのではないかということを私は危惧しておりますので、ディスクローズについての基本的な部分について、どのように整理されているか、このことを最後に確認させてください。
  111. 大野功統

    大野(功)政務次官 御指摘の点、当然のことでございます。  今後の方向といたしまして、例えばすべての特殊法人につきまして、貸借対照表、損益計算書、附属明細書、事業報告書等、作成されていない場合には新たに作成する。今たしか三十八ありますけれども、二十四ぐらいはやっているはずでございますが、そういうきちっとBSをつくっていく。それから、財務諸表等につきましては、特殊法人の各事務所で一般の閲覧に供していこう、国民の皆さんによくわかるようにしていこう、こういう方向で処理していくつもりでございます。  ちょっと失礼しました。三十八というのは特別会計の方でございまして、三十八特別会計のうち二十四の特別会計はつくっている、こういう意味でございました。ちょっと特別会計と特殊法人と混同してしまいまして、済みませんでした。
  112. 上田清司

    上田(清)委員 どうもありがとうございました。  ちょっと出張をしておりましたので、質疑内容について一部説明が十分できなかったところ、大臣には御迷惑をおかけしまして失礼いたしました。できるだけ迷惑のかからない部分で、哲学の部分でやったつもりでありますが、一部御迷惑があったことはお許しいただきたいと思います。  また改めて丁寧に、しつこくやらせていただきますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  113. 金子一義

    金子委員長 次に、末松義規君。
  114. 末松義規

    ○末松委員 民主党の末松義規でございます。  きょう、幾つか御質問させていただきますが、まず石原東京都知事の銀行に対する外形標準課税問題についてお話をお聞きしたいと思います。  閣議口頭了解ということで、政府の見解は極めてクールでしかも批判的であったかと思います。もちろん、今世上議論になっておりまして、銀行業界を中心に、これはねらい打ちだとかいろいろな反対の声も上がっておりますし、一方賛成だという議論が出てきておりますけれども政府の中にあるいは識者の中に、このような、地方が、課税権限そのものの余地を残しておいたこと自体が問題であったという声も出てきているのです。  基本的に国が法的にこの問題についてどうこう強制力を発揮することはないということでございますが、こういう識者の声をさらに反映して、例えば大蔵大臣として、国が地方のこういうふうな課税自主権を制限するような方向で検討を始めるとか、そういうふうなお考えがあるかどうか。そこについて、まず大蔵大臣、そして自治省の政務次官の方にお伺いをしたいと思います。
  115. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政府の見解は、ただいまお話しになりましたように閣議で口頭了解をいたしまして文書にいたしましたので、これで私ども閣僚の立場はこの見解に従うことになっております。  今お話しの点について言えば、例えばいわゆる外形標準課税をするときに、現在の負担、今の方法による課税による負担から著しく権衡を失するような負担になってはいけないという種類のことが法律に書いてございますので、それをどう読むかはいろいろございましょうけれども、そういうことについても知事としては慎重に御配慮を願いたい、こういうことを言うにとどまっております。  そこで、今お尋ねの点は、むしろこれは自治大臣が基本的にはおっしゃるべきことでございましょうけれども、各地方がああいう課税権を持つということはむしろ好ましいことであろうと私自身は思っております。ただ、このような、税収いかんによりましては、各都道府県が全く別々な外形標準基準をとりますと、納税者の立場からいうと、ある県では頭数でやる、ある県では仮に面積でやるとか、ある県では何々とか、いろいろなことをばらばらにやられますと、納税者としては、全国に工場を持っております納税者は非常に応接に困難でございましょうし、恐らくそういう場合には、各都道府県が、ならば共通のスタンダードでやってもらうことが望ましい。しかし、それも余り厳密には言えないことであろうと思いますが。外形標準はこのような課税でございますと、そういうことを、厳密にではないが、全くばらばらにあちこちで別々にやられた場合の調整というのは、非常に困難になるのではないかなということは想像できます。  それから、基本的に、いずれにしても財政の抜本改革をしなければならないときには、どうしても中央地方両方の税法も検討の対象にならざるを得ないと思いますが、その場合の方向としては、私は地方税のことを申す立場にはありませんが、より地方に自由が与えられるということが方向ではないだろうか。しかし、そうだとすれば、基本的にどういう税源をとか、中央地方との関係はどうするかとかいうことをベースに考えなければなりませんけれども地方自治からいって、その権限が狭められるのではなくて広げられるのが本来の方向ではないかと想像をいたしております。
  116. 平林鴻三

    ○平林政務次官 地方分権一括法という法律が前国会で成立をいたしております。さような諸情勢で、総括的に申しますと、地方税財源の充実確保について検討せよということは一括法にも書いてあるし、またそういう議論が高まっておるということは我々認識をいたしておるところでございます。さような傾向の中で、地方団体が独自にみずからの財源を確保する努力については、これはもちろん尊重すべきものだと思います。  したがいまして、国と地方との間の調整のシステムといいますか、そういうものを法律で今設けるということになりますと、課税自主権に対して抑制的な作用が心配をされますから、さような法律制度を設けることについては慎重な討論、議論が必要であろうと思っております。  そこで、課税自主権の行使に当たって、税の公平中立の原則にのっとるということは当然のことでございます。また、国の経済政策等にも地方が十分配慮をする必要があるということもこれまた当然のことであろうと私は思っております。そこで、地方団体において課税自主権の行使を図ろうとなさる場合には、今申し上げましたような当然のことに考慮を払って責任ある対応がなされるように求めてまいりたいと思っております。  ただいま大蔵大臣が閣議の了解とおっしゃいましたが、これは自治省だけの見解でなくて政府の見解として存在するわけでございますし、自治大臣も東京都知事に疑問点、懸念をすべき点につきましてはお話しになっております。  また、大蔵大臣が、余りにばらばらの税制を課税自主権に基づいてつくられるということもどうかという疑念を申されましたけれども、いわゆる普通のスタンダードでやるということは我々も考えておるところでありまして、法人事業税の外形標準課税政府部内といいますか政府の税制調査会でも従来から検討いただいておりまして、できるだけ早くその結論を得て税制改正を行うということをお願いしておるところでございます。
  117. 末松義規

    ○末松委員 宮澤大臣お話は本当に御見識だと思いますけれども、納税者にとりまして、確かに各地域でばらばらにやられても困る、県と県の境が、あるいは市と市の境かもしれませんけれども、余りにも近過ぎたりすると本当に困ってしまうという話。ただ、この議論を突き詰めていきますと、結局何らかのガイドラインあるいは何らかの統一的な対応という話になるのだろう。では、それをだれが主導するのかというと、国かなと。もうちょっと民主的な形で地方自治に根差したようなやり方ということであれば、全国知事会議か何かで結論が出るような、そんな行き方が形としては穏当なのかなという気がします。  私も今民主党というところに属しておりまして、民主党のデザインの中で連邦制という形の姿を示しているわけなんですけれども課税自主権問題、これは基本的に地方独自のことをやっていくのがある意味では当たり前にならないと、連邦制ということもできなければ、地方主権あるいは地方自治といってもできないわけですね。ですから、やはりある程度ばらばらになるという、過渡期というかそういうことをやらないと、結局最後は一つの統一基準しかないという話になるとどうしても国の対応ということになってしまうと思いますので、その辺、大臣もまた自治省の政務次官の方も、本当にそういった意味では御見識は示されましたので、私も今お聞きして安心しておりますけれども、ただ、この議論は、詰めていけばいくほど中央対応という話になりますので、そこの点はぜひお考えをいただきたいと思います。  さらに、この閣議口頭了解、紙を見ておりますと、ちょっと気になるのは、一点から五点まであるわけなんですけれども、例えば一を読むと、「銀行業等という特定の業種のみに対して外形標準課税を新たに導入すること、資金量五兆円以上の銀行業等に対象を限定することに合理的理由があるか疑問がある。」と書いてあるのですね。つまり、疑問があると。これは二番目もそうなんです。「この規定との関係において、東京都案には疑問がある。」と書いてあるのですね。四番目もそうなんですが、「銀行業等という特定の業種について業務粗利益を課税標準として導入することが妥当か疑問がある。」  五番目につきましては、最後に、「また、世界の金融センターを目指す東京金融市場に対する予見可能性、信頼性について、国際的な疑念を招くおそれがある。」この疑念というのも非常に強い表現なんですけれども。  ただ、この政府の閣議というものが一番強い、権威ある有権解釈でありますから、一、二、四番目の「疑問がある。」というような書き方というのは政府としてはどうもおかしいと思うのですね。政府政府考え方で、例えば、銀行業等に対象を限定することに合理的な理由があるとは思えないとか、そういうはっきりとした立場を示すべきだと思うのですが、疑問があるということはどういう立場に立っておられるのか、そこははっきり言っていただきたいと思うのですが、宮澤大臣のお考えをお伺いしたい。
  118. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 基本的に、政府口頭了解というものは、石原知事がおやりになろうとすることは法には違反していないということが基本でございます。法に違反しているとすれば政府としてはそれに即応した意思表明をしなければならないわけでございますが、そうではないというのが基本でございます。そうではないということが基本で、しかし、政府立場から申しますならば疑問に思っていることが幾つかございますと。これは自治大臣が都知事に述べられましたことを基本にここにつくってございますけれども、もし政府立場であったならばこの点は果たしてどうであろうか、それを疑問があるということで大体表明しておると思います。違法であるということを言っておりません。  それから、一番最後の疑念というのは、これはそういうことと全然違いまして、国際金融市場を目指している東京都が、こういうことをある日突然に、しかも政府から思えばいろいろ疑念のあるような方法で、もうすぐ来年からでもおやりになろうということですと、世界から見ているといかにも東京市場というのはプレディクタブルでない、何をするかわからないなという心配がございますねと。それが、国際的な疑念という、ここはそういう意味でございます。
  119. 平林鴻三

    ○平林政務次官 自治省で閣議了解を受けてこの閣議了解の取り扱いを今進めておるところでございますけれども、閣議了解自体の考えはやはり課税自主権を尊重しなければいかぬということが根本にあると私は思っております。  それから、この閣議了解をいただきました内容をもちろん早く東京都にお伝えする、そして、条例を審議されるわけでございますから、条例審議の際に私どもが疑問点として申し上げておりますようなことを慎重にひとつ御審議を願いたい、そういうことを願っておるところでございます。同時に、他の道府県に対しましても、かような閣議了解がありましたということを通知いたしております。
  120. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私のお答えがちょっと不十分であったかもしれませんのでつけ加えさせていただきますが、今自治省の総括政務次官が言われたことがもっと正確でございます。  政府としてはこういう疑念を持っている、したがって条例の制定の過程においてそれを考えてほしい、こういう、課税自主権を持っている人に対しての政府の態度表明ということでございますから、私の言おうとしましたのは、これが明白に違法であれば政府としてその状態を放置するわけにはいかないわけですけれども政府の見るところでは、それこそいろいろ疑問があるので、それを条例制定の過程で慎重に考慮してもらいたい、こういうことでございますから。  違法でないということを突然言い切ったとまで申しますと、それは少し私の表現が適正でありませんで、ただ、完全に違法であれば政府としてはそういうことを言わざるを得ないわけでございましょうから、課税権を持っている都に対して、政府としての疑問を呈して、そして慎重な考慮を促しているというのが正確な表現であるかと思います。
  121. 末松義規

    ○末松委員 中央政府地方政府というのは、どっちが上でどっちが下というのはあるのですかね。  つまり、やわらかい言い方だから疑問があると言ったといえばそれまでの話なんですけれども、ちょっとこだわるようなんですけれども、要するに、違法性があろうがなかろうが、見解はきちんと政府の見解であるべきなんですね。何か疑問があるという言い方じゃなくて、こうなんだということを言って、だからあなたのところはこういうふうに考慮してほしいと言うのはいいのです。違法性があろうがなかろうが、我々としてはこう考えているということは中央政府としてきちんと言っていいのだろうと思うのです。  疑問があるという言い方をすれば、何か、自分はこれが本当は八割、九割正しいと思うのだけれども、でも一〇%はひょっとしたら自分も間違っているかもしれないというようなことにならないか。そこは余りこれ以上私もこだわる気もないのですけれども、何かそこに無言の、従わせようみたいな立場が見える。政府立場立場ではっきり言えばいいのだろうと思うのです。  だから、ああいう疑問もあればこういう疑問もありますというのは、何かはっきりしないというのが私の印象なんですけれども、特にコメントがあればどうぞ。
  122. 平林鴻三

    ○平林政務次官 国と地方公共団体関係につきましては、地方自治法に種々の、いわゆる関係を調整する規定がございます。さようなことは御承知のところであろうかと思いますから説明は省略いたしますが、最近の国と地方関係は、いわゆる地方分権という考え方が強く入ってきておりまして、国と地方は、従来型の縦の関係でなくて横の関係でお互いに役割分担をしていく、そういう観念で新しい地方分権が導入されつつあるということで御理解がいただければと思っております。
  123. 末松義規

    ○末松委員 今の次官の発言、横の関係だと。つまり、上下ではないという位置づけですね。それを確認させていただきました。  次に行きますけれども、きょうの日経に、外形課税導入なら、消費税引き上げを六月に政府税調でまとめて、消費税引き上げを打ち出す段取りだったのだが、今回、こういうふうな最悪のタイミングで東京都がやったものだから、消費税の引き上げを打ち出しにくくなったというような報道が書いてあるわけですが、この報道は事実なんでしょうか。あるいは、大臣の消費税についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  124. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 けさのそれは、私はざっとしか読みませんでしたのですが、私の理解では、恐らくあそこで言おうとしていることは、先ほどから、外形標準に何を取るかという、いろいろ議論があることをおっしゃいましたし、お答えをしていますが、その中に付加価値分を取ろうという意見が私はあるのだろうと思うのです。  つまり、ある企業がつくりました付加価値に課税をするといったような考え方がありますでしょうね、恐らく。その場合に、消費税というのは考え方によってはかなり付加価値課税になりますから、バリューアデッドというほどのものでございますから、両方がそこで競合しないか、そうした場合には両方まかり通るということはおかしいだろうという議論があるというのが、けさのあれじゃないかと私は読んだのですが。
  125. 末松義規

    ○末松委員 大臣の解釈はよろしいのですが、大臣の御意向でそういうふうな付加価値型、消費税をさらに引き上げていくというお考えがあるかどうかということをお聞きしたいのです。
  126. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 一つの思いつきの御説だなと私は思いましたですけれども、消費税も地方税にもないわけじゃありませんが、片っ方は国税として考えているし、片っ方は地方税として考えているし、だれもまだ付加価値に課税しようと言っているわけでもありませんし、一つの頭の体操にはなるのかなというように私は読みましたのですが、これ以上のことはちょっと私もまだ何とも申し上げるほどわかっておりません。
  127. 末松義規

    ○末松委員 そこでちょっとわからないと言わないでください。  消費税の引き上げについて、政府の税調がこういう形で、別に、大蔵省が裏で糸を引いて、政府の税調の意見をきちんとここでそういう方向に動かしたいという意思でもって動かそうという意図があるのかどうか、そこはわかりませんけれども、大臣御自身は、消費税の引き上げについて、六月でそういうふうにまとめてやりたいというお考えがあるのかということを率直にお聞きしているのですけれども
  128. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのことなら、そういうことは考えておりません。
  129. 末松義規

    ○末松委員 それを言っていただければ別に問題ないわけであります。  国債のファイナンスについて話題を変えさせていただきますけれども、先ほど上田議員からもいろいろとお話しされておられたと思いますけれども、小渕内閣が誕生してから、九八年、九九年、二〇〇〇年度で、大体三年間で百六兆円もの国債の増加があると見込まれているわけです。一方、GDPの三年間における増加はたった十兆円ぐらいじゃないかと。  これは、コストパフォーマンスでいけば非常に悪いということであろうかと思うわけですけれども、今、小渕内閣の方で、二兎を追う者は一兎を得ずということで、景気対策を最初にやるというお話でやっていますけれども、いろいろな雑誌なんかを見てみますと、なかなかそれでは本当に財政危機というものを乗り越えられないのじゃないかということが言われているわけです。  例えばアメリカでは、八〇年代、貿易赤字、財政赤字という双子の赤字と言われていたあのひどい状況でさえ、例えば公債依存度が二十数%だった。対する日本は、公債依存度が、十一年度は四三%、十二年度が三八%と非常に高いわけですね。あと、GDPに対する国と地方の債務残高比率も、アメリカは八〇年代当時で六三%ですが、日本ではその倍の大体一二三%とよく言われているわけなんですけれども、こうなりますと、ほとんど財政再建を考えもしていないし、もうどうしようもないのじゃないかという絶望感的なものを私なんかも感じるわけなんです。  先ほど宮澤大蔵大臣の方が、これをすべてマクロモデルでやり切ろうとすると、しかも、日本のよって立つ基盤といいますか、広い基盤の中でこれを考えていかなきゃいけないというお話もございましたけれども、その辺をもう少し敷衍してお答えいただければと思いますけれども。     〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
  130. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先方は今一番いいときでございますし、こっちは今一番悪いときですから、比べるといかにも情けないわけですが、十何年前にはちょうど反対のことがございましたわけですから、そんなに悲観する話でもないだろう、基本的にまず私はそう思っております。  ですから、つまりこれから日本の経済活動が正常になって経済の基盤が大きくなって、これはもうもっともっと大きくなるに違いない、世界がそうでございますから、そうなったときに、そういう中でこの債務の処理を考えるということだということを抽象的に申しましたので、しかし、そういうことを二十一世紀の初頭に本当に考えていくとすれば、しなければなりませんが、それはやはり、仮にマクロモデルでもつくって、かなり、各方面に目をやりながら、可能な成長の度合いはどのくらいであろうか。もちろんこうなりますと、環境とかいろいろなことを考えなければなりませんから、青天井ということはありませんが、しかし今のようなことでいいわけでもありませんから、そういう総合的な、五年なり十年なりの国の経済というものを、やはり、恐らくやるとすればマクロモデルでするしかないのだろうと思いますが、そういう中で政策も考えていく、その中の一つとして財政の再建というものがあるのでないか。  ただ、先のことを考えたままに申し上げましたので、やがてそのときには新しい政府の、行政の体制になりますから、どこでどうするということまで申し上げられませんが、恐らく政府を挙げてそういう作業をやるようになるのではないか、私はそういうふうに想像しているわけでございます。
  131. 末松義規

    ○末松委員 何かことしも八十五兆円ですか、国債を出して、そのうち新規は三十三兆円という話で、これは多分ずっと続いていくのでしょうけれども。そういったマクロモデルの中での借金返済のプログラム、これはいろいろなところで、こういったいろいろな計画を出せと大臣も言われておられるし、小渕総理大臣も言われておられるわけですけれども、大蔵省の中で、あるいは大蔵省だけではなくて政府の中でそういったプログラムをつくるべきだろうと思うのです。その辺についてのお考えをお聞きしたいのですけれども
  132. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは私が申し上げることは僣越でございますし、また今年にすぐ、あるいは明年にすぐ行われることでもございませんけれども、新しい政府の行政組織ができますと、そういう頭脳に当たる部分が内閣に置かれることになりますから、やはりこれは内閣を挙げて取りかからなければならない。  これはとりもなおさず、二十一世紀になって最初の十年とかなんとか、日本はこれからどう歩くんだということの見取り図になるのだろうと思っておりますが、それは私が申し上げるのは僣越なことでありまして、そのときに内閣として御決定になることだと思います。
  133. 末松義規

    ○末松委員 いや、むしろ宮澤大臣が、とにかくやろうやろうという感じでやっていただくのが筋だろうと思うのですけれども。  私もこれ、本当に素人考えながら、見ていて、やはり借金を返すのに、増税か、あるいは日銀の輪転機を回すという、インフレですか、マネーサプライを増加させるか、あるいは公共部門を大幅に縮小するか、それぐらいしかないのではないかという感じなのですね。でも、それを進めていけば、例えばインフレを嫌い、そして増税を嫌う国民の方々、特に高額所得者なんかが非常に、日本から、キャピタルフライトといいますか、資本が逃げていくのかなという気もするのですが、キャピタルフライトの現状とか、その辺についておわかりになれば教えていただきたいのですけれども
  134. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず事実を申し上げたいと思います。  まず結論から言いますと、キャピタルフライトという言い方がいいのかどうかはわかりませんけれども、そういうようなことが起こっていないというふうに言わせていただきたいと思います。  それで、九八年と九九年を比べてみますと、対内外の証券投資、ネットで見まして、三兆三千二百億円の流出超、これが九九年でございます。それから九八年は八兆五千五百億円でございますので、九八年から九九年にかけて減っている、こういうような感じでございますから……(末松委員「何が減っているのですか」と呼ぶ)流出が減っているということでございます。  基本的に申し上げますと、問題は経常収支が黒字でございます。これは基調でなっております。したがいまして、資本収支は流出超になっている。その中で、九九年はもちろん流出超にはなっているのですが、その流出超の幅が減ってきている、こういうふうに御理解をいただければと思います。おわかりいただけましたでしょうか。
  135. 末松義規

    ○末松委員 その資本流出ですが、私も全く素人でよくわからないのですけれども資本流出だけを見ていればキャピタルフライトが起こっていないよという位置づけで国際的にも大体常識になっているのですかね。そこのところをちょっと教えてください。
  136. 大野功統

    大野(功)政務次官 どういう見方をするかという問題でございますけれども一つは国際収支、資本取引の流れ、それからもう一つは証券取引の流れ、それからもう一つ言えるのは、国債保有というようなことも言っていいのかなという感じがいたします。  ただ、全体でどう見たらいいかというのはまたよくわからないところがありますけれども、見るとすれば国際収支、それから有価証券取引の流れ、こういうところから見たらどうかというふうな感じでございます。  まず、国債で見ますと、これは十一年三月末の日本銀行の統計でございますが、全体で国債の残高が三百四十五兆円でございますが、そのうち外国人が保有しておりますのが約十兆円、三%程度でございます。  それからもう一つ、今申し上げましたことでございますが、流出超が減ってきている、こういう傾向でございまして、ネットでございますが、九八年の約八兆五千億から、九九年には三兆三千億円になっている、こういうことでございます。  それからもう一つ預金につきましても、日本人の海外預金ですね、これにつきましても特に著しい増加はない、このように聞いております。  これらをあわせまして、キャピタルフライトというような現象は全く起こっていないと判断していいのではないかと思います。
  137. 末松義規

    ○末松委員 今は顕著ではないという話かもしれませんが、これから破綻というものが見えてくれば、非常に大きな流れになってくる、そのときはもう遅いということだろうと思いますので、絶対そういう形にはならないようにしてほしいのです。  今国債の外国人保有のことを述べられました。三%くらいしかないという話なのですけれども。国債の議論で、ちょっと私もよく聞く議論で、基本的に外国人が保有していないとすると、日本国民の間だけで国債が保有されている、そうすると、リッチな方が国債を持っているだけではないか。国民の中で、両方見てみたら、どうせ所得の偏在が起こっているだけだというような議論で、余り日本から資産が流出するわけでもないから、まあいいのじゃないか。右手から左手の議論というのですかね、そういう議論が行われているのです。  これを同じ世代間で見てみますと、リッチな方とプアな方の不平等がふえていますねという話にもなるし、今度は垂直に見ていきますと、今の現役世代と将来の世代との間で、現役世代がたくさん持っていて将来世代がほとんど資産がないよね、あるいは借金だけだよね、こうなってくると、世代間の大げんかになるのですけれどもね。  今のこの右手から左手の議論というのですか、要は、日本国民の間だけで結局チャラにできるじゃないかという議論について、大蔵大臣として、御認識はどういうふうに思われておりますか。
  138. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今総括政務次官から、外人の保有している国債は十兆、三%ぐらいという話がありました。実感もそうだろうと思うのですが、今のお話は、私は誤解を受けてはいけませんので余り申し上げないのですけれども、国債というものがきちんと信用を持って流通している、現にそうでございますけれども、それである限りは、持っている人々にとっては非常に貴重な金融資産でございます。仮に冗談としてお聞きいただきますけれども、親から国債を三億円もらったといって怒る人は多分いないわけでございますから、要は国債というものが信用を持っているということが大事なのではないか。ただ、これは余り申しますと、幾ら出してもいいのかねということを言っているようになりますが、そう申しているのではありません。  我が国の場合は、そこのところは間違いなく信用を維持しているということは私は申し上げてもいいし、それゆえに、マクロでお話しになりますと大変だなと。富士山の何倍とかいうのはそもそも大蔵省がよく言うことですけれども、しかし、持っている人にとってそれがきちんとして価値のあるものであれば、持っている人にとっての不安というものはないのだと私は思うのでございます。  これは、うっかり言い違えますと不謹慎な表現になりますのでめったに申しませんけれども、そういう面は確かにあると私は思います。
  139. 末松義規

    ○末松委員 そうすると、持っている人がたくさん持っていて、親から子に相続されるときに、そこで相続税で国家がある程度それをまたもらうというふうな循環ということなんかも踏まえての話になるのですかね。
  140. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そう申したのではなくて、日本の国債というものが、昨今もいろいろ議論がございましたけれども、価値を持って、法人、個人に持たれているということは確かでございますから、そういう意味での不安というものはございませんし、また、毎月十年物の国債を発行しておりますけれども、クーポンレートも一・七とか一・八とかいうことでございまして、その消化にも問題がないという限りにおいて、金融資産としての不安はない。  ただ、発行者である、借金をしております国にとっては、借金にはやはり金利も払わなければなりませんし、借りかえもいたさなければなりませんので、幾ら出してもいいわけのものではないということであると思います。
  141. 末松義規

    ○末松委員 ちょっと、私の今の問いかけに直接は答えていただいていないのですけれども、とにかくそれじゃなかなか通らないのじゃないのですかね。  要は、言いたいことは、国が本当に返すといいますか、次の質問にちょっとかかわってきますから、この次の質問に言いますけれども、要するに、国債のファイナンスなんかももうかなり限界に、大蔵省はすぐに国債の割り当てでどんどんはめ込んでいきますよ。はめ込んでいくけれども、国家がこれはもう払い切れないのではないかと返済能力に疑義を持たれ始めると、結局そのはめ込みもできないし、どうしようもなくなるという破綻がやはりいずれ近いうちに出てくるのではないか、数年のうちに。  だから、それの危機感をもっと大蔵大臣の方が出して、何とかしなきゃいけないという話をやっていただかないと、二兎を追う者は一兎を得ずという原則にすべて収れんされるということで本当にいいのかというのを私は強く感じるわけです。  この問題について最後に、国の信用低下で、今、民間に八十兆円ほどまたことしも引き受けさせようとしていますけれども、それも含めて、このファイナンシング、国債の暴落とかいろいろとちまたでは言われていますけれども、そういうふうなことについて本当に危機感はお持ちではありませんか。
  142. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大蔵大臣といたしまして、あるいは政府といたしまして、このような債務が増大していくことにはもとより非常な危惧を持っておりますし、しかるがゆえに、このような状態はできるだけ早く改革をしなければならないということを申し上げておるわけでございます。  他方で、発行者といたしまして、国債が間違いなく価値を維持しているということについては絶対の責任を持っておりますので、そういう状況については絶えず腐心をいたしております。  現状、クーポンレートが一・七、一・八というのは極めて低いレートでございますが、はめ込むといいますと何か無理して押しつけているようにちょっと響きますが、もちろんそうではございません。毎月一定額の発行を無事に、無事にといいますか、やや応募超過の状態で出しておりますし、金利の動向については常に見ております。したがいまして、今年も、今おっしゃいます新規発行と借換債とあわせまして、まず間違いなく市中で順調に、個人を含めまして消化される。またそれを確かにいたしますのは私の責任でございますから、そのためには全力を尽くしておる次第でございます。
  143. 末松義規

    ○末松委員 ちょっと、ある意味ではお役人のようなことを言わないでください。  要は、そういったことで淡々とやっていっているところが、結局、庶民、皆さんも含めて、これはひょっとしたら将来増税になるのじゃないかということで消費も進まないという一因になっていますから、ぜひそこは意欲的な計画を今度きちんとつくる、これは要望しておきたいと思いますし、我々も政党人で、こちらも一生懸命につくらなきゃいけないと思うわけですけれども、そうしないと国民の信頼がいずれはじけるのだろうと思うわけであります。  ちょっと時間がなくなりましたものですから、留保金課税についてお話をさせていただきます。  まず政府の方に、本当に手短で結構ですけれども法人税の場合、繰越控除というのがありまして、五年間で大体ならして税金を取るという状況でございますが、一方、同族会社に対しては留保金課税ということで、これは当期。例えば、繰越課税の場合は、数年間赤字でことしがちょっと黒字であっても、ならせば税金を払わなくていいという話になるのですけれども、同族会社に対しては、ことしちょっとでも利益を上げると、これが税金の対象になってしまう。  この辺について、今中小企業は一番厳しい状況ですから、非常に問題ではないかと思うのですが、趣旨とともにその認識を簡単にお願い申し上げます。
  144. 大野功統

    大野(功)政務次官 留保金課税につきましては、法人税の世界と個人所得税の世界との接点にある問題だと認識しております。  法人の方はもちろん欠損繰越金控除ができるわけでございますけれども、なぜ留保金課税をやるか。これは、同族会社でございますから、意思決定が同族の間でなされて、利益が出ましても、それを所得でとる、あるいは配当でとりますと、当然課税される、配当課税がされます。あるいは所得でとりますと、累進課税によってより高い税率によって課税される。したがいまして、社内に留保しておいた方が得だ、こういうようなことになるわけでございます。  したがいまして、そこをひとつ所得税の世界として考えて、この留保金については課税していこう、こういう仕分けをしているわけでございますから、その留保金の世界は一年間のフローでとらえる、それから法人税の世界は何年間の累積で考える、こういう仕分けをしているところでございます。
  145. 末松義規

    ○末松委員 私が問題にしたいのは、今民主党案が出ておりますけれども、要は、景気のどん底から、大体ほとんど中小企業も含めてみんな赤字なわけですね。そのときに、たまたま、ことしようやく少し芽が出てきて黒字になった。なった途端に、これが同族会社であるという理由から、例えば留保金を、大体赤字ですから、銀行からお金を借りているわけですね。これを、借り入れに対する返済をやろうと思ったら税金がかかってしまう、これはあんまりではないかというのが多くの企業の方から御不満をいただいているところでありますから、きちんとこの点について、民主党が今やっておりますように、時期として、ここは特例として税金をかけない、そういったほとんどは借り入れの返済に使われている状況を踏まえた形で対応しないといけないと思いますが、その辺のタイミングについて、大蔵大臣に一言御認識をいただきたいと思います。もしあれだったら政務次官でも結構です。
  146. 大野功統

    大野(功)政務次官 民主党の御提案はすべての中小企業ということでございますけれども、今回改正でお願いいたしておりますのは、設立後十年以内の中小企業者に該当する法人、それから新事業創出促進法の認定事業者である法人、これについては二年間に限って留保金課税をいたしません、こういう提案でございます。  御趣旨はすべての中小企業ということでございますけれども、そうすると、先ほど申し上げました税の論理として少しおかしいのじゃないかという問題が一つ出てくるわけでございますし、また、これまでも、中小企業にとりましては、中小企業投資促進税制あるいはメカトロ税制その他、エネ革税制もそうでございますが、やっておりますし、また、パソコン税制その他もやっているわけでございますから、そういう意味では、特にこれから、設立後十年以内の中小企業者に該当する法人、それからもう一つ、新事業創出促進法の認定事業者、この二つに限って留保金課税課税しないということにさせていただいているのが今回のお願いいたしております税制改正でございます。     〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
  147. 末松義規

    ○末松委員 民主党提案の法律ということについてちょっと質問させていただきますけれども、今政務次官もおっしゃられましたけれども中小企業の活性化、これにどう資するかという話でありますけれども、とりあえず、中小企業の活性化について民主党としてどういうふうに取り組んでいるのかということをお聞きしたい。  その前に、私の方の地域方々から、いろいろと中小企業者から承継税制について取り組んでほしいという話がございますから、まず承継税制のお話をいただいて、そして、民主党の中小企業活性化についての取り組みについてちょっとお話を伺いたいと思います。
  148. 大畠章宏

    大畠議員 大畠でございます。  末松議員質問お答えを申し上げたいと思います。  歴史と伝統あるこの大蔵委員会で答弁の席に着かせていただきまして、大変ありがとうございます。  今お話ありましたように、中小企業の皆さんの希望は何が一番強いかということでありますが、さきの、昨年暮れの中小企業国会と言われました臨時国会のときにも、いろいろな論議をしてまいりました。その中で一番強いのは、融資問題と承継税制という話が出ております。したがいまして、今委員御指摘のとおり、承継税制をどうするか、私は大変重要な問題だろうと思います。戦後、企業を起こした方々が、もう七十、八十になってきまして、そういう方々が次の世代に事業を受け継ぐ、しっかりとした中小企業を次の世代に引き継ぐというのは大変重要でありまして、この承継税制は、私ども民主党としては強く推進すべきだと思っているところであります。  いろいろな論議がありますが、今回、承継税制といいますか、こういう問題について不十分な状態が続いていることは、私は大変問題だろうと思います。中小企業の雇用の維持あるいは活力の継続等の観点からも、この承継税制が重要であるというのは委員御指摘のとおりでございます。  民主党としては、承継税制の成立に力を入れてまいりたいと思いますが、今回は特に要望の強かった留保金課税の見直し法案をまず提出したというのが経緯でございます。
  149. 末松義規

    ○末松委員 中小企業活性化についてもお答えいただけますでしょうか。
  150. 大畠章宏

    大畠議員 中小企業の活性化問題については、先ほど申し上げましたように、昨年の暮れの中小企業国会の中でも大議論をしてまいりました。どうやったら活性化をするか、すなわち、何とか面倒を見てやるという姿勢じゃなくて、みずからやる気を起こすような施策を講じないといけない、いわゆる保護をしてやるという政策じゃなくて、やる気を引き出すような政策が必要である、これが基本的に私ども民主党が考えているものであります。  そういうことからも、幾つかの論点を踏まえて、民主党としての政策を今まとめまして、それをパンフレット等にして中小企業の皆さんにお渡しをし、改めてまた中小企業の皆さんの御意見を伺っているというのが現状でございます。
  151. 末松義規

    ○末松委員 ありがとうございました。私もそれについてはいろいろと評価もさせていただいております。  ちょっと先を急ぎますが、政府の法案と民主党の法案は、どこがどう違うのだ。先ほどちょっと政務次官の方からお話がございましたけれども、これを民主党の方からぜひ御説明ください。
  152. 上田清司

    上田(清)議員 お答えします。  政府案にも留保金課税改正案が盛り込まれている、そのこと自体は評価したいところでありますが、私どもは昨年の十二月にこの案を提案しておりますし、そもそも留保金課税という仕組みそのものがいびつであるというふうに考えている。このことがまず基本的に違うということでありますし、特に、外部資本の導入が困難な中小企業に対してこの種の課税を行うことは基本的には困難であろうと思います。  政府案は、創業十年以内の中小企業、新事業創出促進法の認定ベンチャー企業に限定して留保金課税を撤廃するとしていますけれども、ここまで対象を狭めてしまえば、逆に不公平になるというふうに私たちは考えています。  民主党案が金額に直すと千三百億、政府案が約百七十億の減税ということでありますが、この数字もやはり中小企業にとっては大きな数字ではないかなと思います。  基本的に、新しい企業を育成するという視点からエンゼル税制やストックオプションの強化を中心に取り組むべきだという基本姿勢を私どもは持っておりますし、昨年私どもも提案しました起業家支援法案、この精神というものをきちっとこの中で盛り込んでおりますし、この起業家支援法案が通っておればこういう問題も解決するというふうに考えております。  とにかく、留保金課税にしてもベンチャー支援税制にしても、民主党が先に出して、そして後から同じようなものを少し小ぶりにして持ってこられる、コブチ内閣、小渕内閣だからそうなのかなと思っております。
  153. 大野功統

    大野(功)政務次官 今、提案者上田先生からお話がございました。幾つかの論点があると思いますので、若干補足説明をさせていただきたいと思います。  まず、いびつじゃないか、留保金課税の存在自体がおかしいじゃないかというようなことでございますけれども、これは先ほど御説明いたしました。留保金課税というのは、個人所得税という世界で見て、どうしても租税回避が起こるので、そういう仕組みをつくっているわけでございます。したがいまして、こちらの方が公平な税制である、このことをまず御認識いただきたいと思います。  それから、中小企業対策としては、いろいろなことをやっておりますけれども、では、留保金課税に該当している会社、法人はどのぐらいあるのだろうか、こういう点をひとつ指摘したいと思いますが、現在二百三十万件ぐらいございます。その中で、留保金課税を課せられている会社というのは二・七%でございます。三%弱でございます。一社当たり平均いたしまして二百六十二万円の税金を支払っている、こういうところにも着目していただきたいと思います。  それから、留保金課税といって、所得全体に課するわけではございません。その所得から控除、三種類ございますが、その細部は言いませんけれども、例えば所得全体の三五%は初めから引きますよ、千五百万円は引きますよ、その他一番大きい額を引いてください、こういうようなことをやっておるわけでございます。  承継税制につきましては、我々自民党、あるいは私たち連立与党でございますが、真剣に考えて議論してきておりまして、今回も、例えば承継税制については、個人の場合は土地三百三十平米までは控除されますという規則があるわけでございますけれども法人の場合には類似比準方式、つまり同じような会社と比較してどのような評価をやっていくか、こういうことにつきまして、今後、詳細はもうやめますけれども、より実態に即した評価をやっていく、こういうことまで考えているところでございます。  そういう意味で、まず税の本来の姿はこうなのだ、それから中小企業対策もきちっとやっている、承継税制対策もきちっとやっております、こういうことを申し上げて、終わります。
  154. 金子一義

    金子委員長 せっかくですから、民主党の発議者から反論はありますか。いいですか。——末松君。
  155. 末松義規

    ○末松委員 今政務次官の方からもお話がございましたけれども、ただ私の地元なんか、中小企業方々だとか、あるいは税理士の方々が、この税制、留保金課税について物すごく強く私の方にも何回も要請してきていますね。だから、全体の二・七%だけだという話ではないような気が私はするのですよ。そういった意味で、今民主党というお話がございましたけれども、一千数百億円の効果があるのか、あるいは二、三百億円の効果かというのも、彼らにとって大きな話であろうかと思います。  最後になりますけれども、この法案の成立の見通しについて、民主党の方からどなたか御説明をいただきたいと思います。
  156. 上田清司

    上田(清)議員 ぜひ成立をお願いしたいというふうに思っております。  与野党の違いはございますが、過去の御発言からしましても、例えば昨年の十一月五日の日に衆議院本会議で、公明の大口議員は、留保金課税の廃止が極めて重要、このように言っておられますし、同じく四月二十一日の大蔵委員会で若松議員も、不労所得は別にして同族会社への留保金課税は外せ、このような御主張もされておりますし、また参議院の方で、昨年十一月十七日に自民党の須藤良太郎議員が、留保金課税税制の廃止が不可欠、このようなことも言っておられますので、自由党の意見が出ておりませんが、しかし参議院の本会議では、自由民主党、公明党及び自由党を代表して質問された経緯がございます。与党の皆様方もこれは賛成ということでありますので、若干の違いがあるにしても、より中小企業のために突出した法案が民主党案だというふうに理解しております。  中小企業支援のためにも、与党の皆様方、特に政党の枠組みが変わったり、そういうことは関係なく、ぜひ御支援を賜りたいというふうに思っておりますので、十分法案の成立は可能だというふうに見ております。よろしくお願いします。
  157. 末松義規

    ○末松委員 どうもありがとうございました。これで終わります。
  158. 金子一義

    金子委員長 次に、北橋健治君。
  159. 北橋健治

    ○北橋委員 民主党の北橋健治でございます。  特例公債並びに税法二法の審査に当たりまして、きょうは上田委員の方より、閣僚としての見識を疑うような、耳を疑うような発言の問題についての提起がございました。これにつきましては、先ほど上田委員より御指摘がございましたように、テープをしっかりと起こして、その動かぬ証拠を皆様にお示しをさせていただきます。そしてまた、若干のやりとりが必要でございますので、同法の質問時間を削らせていただきまして、あすの晩、決着をつけさせていただきたい、こう思っております。  きょうは他省庁から政務次官等にお越しをいただいております。本来でしたら、大蔵大臣から今後の経済展望等をお伺いするところから始めるところでございますが、大変お急ぎだと聞いておりますので、まず環境税という問題についてお伺いいたします。  きょう私が取り上げる税というのは、税は皆どれもこれも重要でございますけれども、とりわけ毎年のように政府税調で十二分に審議をされ、そして今後の大きな検討課題ということで特記事項として記されていることが幾つかあります。きょうは、その中で納番制の問題、そしてNPOへの取り組みの問題、そして環境税、この三つについてお伺いするわけでございます。  御案内のとおり、CO2等の削減のために各省庁におきまして大変な御努力が続けられておりますが、私も衆議院環境委員長を仰せつかりました間に、地球温暖化防止対策措置法並びにダイオキシンの対策の議員立法そしてPRTRという外国の制度の導入ということで、環境行政は飛躍的に大きな前進を見た一年だったと思っております。  そしてまた、東京都知事が、今は外形標準課税の問題で大変思い切った石を投げられたわけでございますが、続きまして、ディーゼルのトラックから排出されるガスの問題につきましても一つの新たな取り組みをされようとしておりまして、今や待ったなしで環境問題への取り組みが求められていると思います。したがいまして、政府税調におきましても、るる御検討されて、一定の方向を出されていることは当然だと思います。  そこで、まず環境庁にお伺いしておきたいと思います。  これまでは、政府で、各省庁がいろいろな審議会を持っております。そうしますと、例えば自動車等のグリーン化の問題になりますと、それぞれの省庁にブレーンがいらっしゃいまして、なかなか調整するにも出口は大変だということもあるのですけれども、スケジュールは早まってくるのでしょうか。政府税調もこれまで環境問題への取り組みについては例年のように指摘されておりますが、かなり議論は集約されてきている感も一面にあります。  そういった意味で、今後、環境庁は、環境問題、税制の面でこの問題に対応するためのスケジュールをどう考えていらっしゃるか。そして、そのための経済的手法というのは、政府税調のお考え方では増税ということが非常に念頭にあるように思うのでございますが、現実問題、省エネ減税など、あるいはアメリカにおける仕組み等を考えますと、ペナルティーを科す方向での増税という形よりは、むしろ減税その他の方向で動機づけを図るという手法もあるわけでございます。そのオプション、それは増税に限ってのオプションで御検討されているのか。  二点、お伺いいたします。
  160. 太田義武

    太田政府参考人 お答えいたします。  まず、環境庁における環境税の検討の状況でございますけれども、勉強そのものは平成のかなり早い段階で進めてきておったわけでございますけれども、つい最近のものとしては、平成十年三月に、環境税を含みます経済的手法に関しまして、実は環境基本法の中にもある程度規定がございます、それからそれを受けました環境基本計画の中にも規定がございまして、そこでは環境税を含む経済的手法の有効性というものが期待されております。  そこで、環境庁では、平成十年三月に、環境政策におきます経済的手法活用検討会というものを設置いたしまして、自来十二回にわたりまして議論を重ねております。その間におきましては、経済界の方々、有識者の方々あるいは外国の先生も含めまして、いろいろな方々からヒアリングといいますか御意見を伺ってきておりまして、大体、現在議論の最終的な整理をしたいというような段階になってございます。いついつまでというはっきりした日にちはまだ申し上げられませんけれども、最終段階議論の整理の段階にあるというふうに私どもは思っております。  それからもう一点、それに関連しまして、今先生からもお話ありました、平成十二年度の税調の答申におきましても、いわゆる原因者負担の原則を基本とした環境関連税制の検討も今後の課題の一つというふうにされておりますので、環境庁としてもこうした動きと連携を深めて検討を進めてまいりたいというふうに思っております。  それから第二点の、どういう形のものを考えているかということだと思うのでございますが、まだ最終的に私どもも結論を得ておりません。環境税そのものにつきましては、汚染物質の排出源が多数に上る場合に市場メカニズムを利用して効率的に汚染物質の排出が抑制できる、また直接規制に比べて執行が容易であるというような長所があると思いますけれども、いずれにしても各手法の有効性は十分吟味、把握いたしまして、また諸外国の状況も私どもなりに勉強しておりますので、それも踏まえながら環境保全上必要な手法に向けての努力を進めてまいりたいと思っております。
  161. 北橋健治

    ○北橋委員 通産政務次官、お越しいただきましてありがとうございます。  そういうことで、かなりこれからピッチを上げて議論が集約されてくるわけでございますが、私、たまたま去年の夏、鉄鋼問題のアンチダンピング問題でアメリカ政府の方に二回ほどかけ合いに行ったわけですが、そのときに、アメリカではこういった炭素税、環境税についてどうお考えなのか、環境庁の高官にお会いしてまいりました。  答えは極めて明快でございまして、その方は民主党のポリティカルアポインティーであったわけでございますが、環境問題に非常に熱心でございますけれども、ヨーロッパ型の炭素税という形で税を導入することは効果は期待できない、アメリカとしてはそのような手法には反対であるという、法律顧問のお立場から個人的な見解とは思いますが、非常に確たる見通しを述べられたわけでございます。  通産省はどのような認識をこのヨーロッパ型の炭素税についてお持ちか、お伺いいたします。
  162. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 委員御指摘の環境税についての御質問でございますが、環境の観点で税を導入することにつきましては、これまで国内におきましてもさまざまな議論の中で問題点等も指摘をされております。まず、この環境税でありますが、実質的な効果を上げていくためには、かなり高い税率というのが必要になると考えられておりまして、これによって国民とか企業の負担が大きくなることが懸念されます。  次に、世界的な整合性、委員もアメリカの方でいろいろ御検討されているということでありますが、これをとっていかないと、例えば導入した国の産業の空洞化を招いていく、一方では当該産業の移転先国においては環境悪化を招く、これによって世界全体としては環境が改善しない可能性があること等々の問題も指摘をされているわけであります。  このような点にかんがみまして、税制を含む環境に関する経済的措置の導入につきましては、平成五年の環境基本法、平成六年の環境基本計画、そして平成九年十一月の地球温暖化対策関係合同会議などにおきまして、国民の理解を得つつ、国内外の動向も踏まえて引き続き慎重かつ総合的な検討が必要とされているところであります。  当省といたしましても、この考え方に基づきまして、環境税につきましては慎重かつ総合的な検討をしてまいりたいと考えております。
  163. 北橋健治

    ○北橋委員 環境庁、通産省、お忙しいところありがとうございました。御退室して結構でございます。あとは大蔵省の方にお伺いをいたします。  そういうことで、今関係省庁でこの問題の議論を進めているわけでございますが、政府税調の直近の答申によりますと、今後の重要な特記事項として、最初に「環境問題への対応」とあります。この中で私が注目しておりますのは、税制面での対応を今後検討する場合には原則というものがある、その原則の基本は何かというと、「環境への負荷により生ずる社会的費用を、製品やサービスの価格等に反映させることなどにより、環境負荷の原因者に対して負担を求める」、当然といえば当然の考え方ではあるのですが、そういう方向で大蔵大臣初め関係者は議論されるのかもしれませんが、今の通産省、あるいは環境庁も幅広いオプションの中から考えていくわけでございます。  例えば、ある企業がCO2等がいっぱい出る、それを減らすために大変な自助努力をして設備投資をする、それによって減っていくということで、京都会議で決められた方向に向かってそれぞれ産業界も必死の自助努力を続けておりまして、そういった意味での減税という手法、あるいはアメリカで考えているように、国際間での排出権取引、あるいは国内での企業に対しても、頑張ったところには一定のメリットがあるという方向で円滑に誘導していく手法もあります。  今回の政府税調答申を見ると、そういった議論からすると、ひょっとしたらこれは第二消費税の導入のきっかけにもなりかねない。環境というのは、要するにすべての人にかかってきますから、その意味で、環境問題についてずっと政府税調がこのテーマを追い続けてこられた、随分長い期間特記事項として載せておられるのですけれども、ここに来て、要するに増税という形で環境問題に対応されるということにもしも結論を出すとすれば、私は大変に大きな問題があると思いますが、いかがでしょうか。  きょうの委員会の日程セットは、与野党ぎりぎりの中から急遽決まったことでございますので、大臣あるいは政務次官の方に十分意思が伝わっていないのかもしれません。しかし私どもは、別に細かい数字のことを議論するつもりはございませんで、やはり大所高所から立って率直に意見交換をしたい。といいますのは、正直申し上げて、この環境税の問題は民主党の中でもいろいろな議論があります。各党ともいろいろな意見がありますから、大変に難しいのですね。ですから、私どもはできるだけ政府官僚の答弁を排除して、政治家同士で本音の議論をしたいということでございますので、主税局長が答弁されたいことはよくわかるのでございますが、当方としましては、きょう通産、環境にあらかじめ来ていただいたのは、増税だけがオプションではない、地球温暖化を防止するための施策というのは、例えば省エネ減税もあるし、排出権取引とかいろいろな手法もある。また、通産省の方からは、増税というのは安易に考えると手法も疑問だし効果もどうであろうか、反対だという趣旨の御答弁があった。そういう中で、政府税調の中では増税の基本原則みたいなのが書いてある。これは少しバランスを欠いているのではないかと思うのです。  お答えしにくいかもしれませんが、大蔵大臣、この問題は増税だけじゃないのじゃないでしょうか。やはり減税という手法もあるし、ヨーロッパの炭素税だけがすべてではない。もちろん民主党はこのやり方については相当評価をしているのですね。炭素税というのがあるのですけれども、そういった意味ではもう少しバランスのとれた議論というのを大蔵大臣としては主導されてはどうかと思いますが、いかがでしょう。
  164. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大変に長い間議論をされてきたこの問題がCOP3まで来まして、そして、今となっては結局、前にはポリュータースペイというようなことを言っていましたけれども、さらに進んで、経済の中にインターナライズするということが、もうこれはほとんど確立した原則になってきたと思います。インターナライズする方法には確かにいろいろありまして、増税もありましょうけれども減税もある、これは当然のことだと思います。  税調としては、税調の立場からこれをどう扱うということで今のような御意見があったと思いますが、各省庁、利害という言葉は適当でございませんが、いろいろな立場がございますので、最終的に、かなりの時間がかかってまいりましたが、ここまで来ますと一種の、お互いに譲り合いながらコンセンサスで、一つの方法ではないかもしれません、幾つかの方法で対応しなければならないと思いますから、増税だけが方法であるといったようなことは、そう思いません。
  165. 北橋健治

    ○北橋委員 外形標準課税を都知事が決断をされ、次はディーゼル車における環境問題で相当思い切った方向を出されるのじゃないかと思うのですね。したがいまして、私はこれはもう待ったなしではないか。私は、政府税調答申で税負担の基本原則がさらりと書かれているのですけれども、意外と早く政府の方は環境税の手法を導入しようとされているのじゃないかとも推測されるのですが、そういった意味で、環境税の導入は近いのでしょうか、手法は別にして。
  166. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 何と呼びますか等々は別にして、このことについて政治はもう長いこと無関心ではいられない状況になってきていると思います。
  167. 北橋健治

    ○北橋委員 この問題については、いろいろな機会に質疑をすることができると思いますが、私も、民主党の中ではこの問題はまだ完全に合意に達してはいないのですけれども、やはり現在の経済情勢というのが大変な設備過剰を抱えていて、雇用、リストラ不安というのが蔓延をしているときでもございますので、安易な増税論議というのは、いかにそれが大義が国民的共感を得るものだとしても、非常に慎重に対処すべきことではないか、そのことだけを申し上げておきたいと思います。  もう一点、きょうは他省庁から、総務庁政務次官にお越しをいただきました。ありがとうございました。  二回目の質疑でございますね。前回は大蔵大臣が参議院の御出席だったのでいらっしゃらなかったのですが、きのう公明党の谷口先生も御指摘されましたが、全く同じ趣旨でございます。この大蔵委員会におきまして、どれだけ回を重ねて、国税庁職員の方の定数増、処遇改善について、税関の方も御一緒なんでございますが、附帯決議をしてきたかわかりません。そのことを総務庁に対しましても、ぜひともこの委員会の附帯決議、超党派による、全会一致による附帯決議、しかも一回や二回ではないわけですね、天下国家を考え、その立場から、党派を超えて協力をし合ってきた附帯決議をぜひとも重く受けとめて、定員査定に取り組んでもらいたいという趣旨質問をさせていただいたところであります。  いろいろと仄聞いたしますと、総務庁におきましても、そういった附帯決議に一定の御理解があったやにも聞いているのですが、結果を見まして愕然といたしました。マイナス百八十四人の純減でございます。私は、その意味で、定員の問題というのは、ほかの委員会でも附帯決議の形で議会の意思を明確に示したことがほかにもありますけども、それはたまたま、たまたまといいますか、一回とか二回とかそういうことでございまして、一つのテーマに絞って、毎年こうやって連続して附帯決議で議会がお示ししたものはないと私は思っております。そういった意味では、総務庁の今回の対応の結論というのは、委員会附帯決議の重みを軽んじたとしか私には思えない。その点について、何かお言葉がありますか。
  168. 持永和見

    ○持永政務次官 前回も先生から御質問をいただきました。私どもとしても、この大蔵委員会の方で、特に国税職員の、国税徴収が大変複雑化している、あるいは国際化している、しかも、最近の経済状況から見て、大変滞納処分がふえつつあるというような実態を踏まえながら、重い決議をいただいておる、そのことについては十分認識をいたしておるところであります。  ただ、全体として、国家公務員の定員問題については大変厳しい状況があるわけでありまして、そういった中で、政府としては定員の計画的な削減もやっております。そしてまた、国税庁について申し上げますと、地価税の凍結というような、いわば減員要因もある中でありますけれども、実は、私どもは、今回の定員の配置につきまして、国税庁についてはしかるべく増員も、特に国税滞納処分を中心として増員も認めております。結果的には、先生御指摘のように百八十四人という減員にはなっておりますけれども、たしか二百八十八人ぐらい、滞納処分を中心とした増員も認めておりまして、それに定員の計画削減、これも国税庁の場合は、特に税の公平性の確保とかあるいは業務の重大性にかんがみまして、めり張りをつけた形で削減をお願いしているところでありますけれども、一方、地価税の凍結の問題もありまして、こういった面で、全体として百八十四人という純減の形になっておりますけれども、以上、申し上げましたように、私ども、決して国税の問題についておろそかに考えているということではなくて、今申し上げたようなことで、それなりの十分な配慮はさせていただいているということは、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  169. 北橋健治

    ○北橋委員 配慮されていることは、御苦労は一たんは認めたいと思いますが、もっと配慮してほしいということですよね。  それから、地価税のことをおっしゃいましたけれども、確かに、定員をつけるときに、官庁間のやりとりというのは私はよく存じ上げませんけれども、地価税という時の大きなテーマがあって、そこで何人というのはあるかもしれませんが、仮に、この地価税の業務が、その仕事がなくなったとしても膨大な事務量の増大が一方にあるわけでございまして、そういった意味では、そういった膨大な事務量というものをもっと正確に評価をしていただきたいと思っているわけです。  大野政務次官にちょっとお伺いしておきたいと思いますが、前回の質疑で、大臣が席を外しておられましたので、大蔵省を代表して、めり張りをつけて要求して頑張るというお答えだったわけですね。私は、百八十四人の純減は大変残念に思っている、極めて遺憾だと思っておりまして、総務庁を中心に査定をしている手法の限界というものをつくづく感じたわけです。そこには政治のリーダーシップというものがほとんど機能していないのではないか、そう思えてなりません。  それで、私が特に驚くのは、滞納額が三兆円近くになる、あるいは法人の実徴率が六%の下の方に来てしまった、これは、私は欧米先進国の詳しい数字は今ここで具体的には持っておりませんけれども、驚くべき現実ではないかと思うのです。やはり、例えば足りなくなったときに人をすぐ集めるというわけにはいかない。大変な専門的な訓練をして、そしてモラルといいますかそういった志、士気を高める、組織として訓練をしていくというのは大変な長い年月が必要でございまして、そういった意味で、これから財政再建、ますます大事になるわけですけれども、現実というのはすごく冷え冷えとするような、これで本当に国家が存立していくのだろうかと大変心配に思うわけです。  そういった意味で、めり張りをつけて今後頑張るということだったのだけれども、結果はマイナス一八四であります。そういった意味で、長いこと大蔵行政に通じていらっしゃいますから、本当にこんなことでいいのですか。大変なことだと思うのですね。その現状をどう認識されているのか、お伺いします。
  170. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず、北橋先生に、国税庁職員頑張れと、税務行政しっかりしろと、大変な温かい御激励をちょうだいしましたことを、本当に涙が出るほどうれしくありがたく思います。ありがとうございました。  それで、まず、めり張りつけて要求すると言ったじゃないか、こういうことでございますけれども、めり張りは徴収部門、先生御指摘のとおり、徴収ではこの十年間で二・六倍に徴収額が上っております。徴収部門の問題。  それから、国際化、機械化等、大変複雑化した問題があります。経済取引が大変複雑化している。それから、不正手口等の巧妙化等の問題がございます。したがいまして、調査、査察、こういうことで、二百八十八人要求をさせていただきました。  あと、細かいことはやめますけれども、そういうめり張りをきかせたつもりでございますが、また、私自身も総務庁へ参りましていろいろお願いをしたということもございますが、全体をごらんになるその総務庁の方で、結果は御存じのとおりでございます。  そこで、先生御指摘の実徴率の問題が確かに問題になってこようかと。昔、例えば十年ぐらい前でしょうか、九%ぐらいあったものが、今六%ぐらいにたしか落ちているはずでございますが、したがいまして、我々は工夫を凝らして、資料、情報等を十分収集した上で集中的に調査している、こういうことをやっているわけでございます。いろいろ工夫しながら効率的な税務調査をやっておりますけれども、人手、職員の数につきましては、今後とも努力してまいりたいと思っております。  今の状態でどう思うか。これはもう、要求しております官庁としましては、もうちょっと欲しいな、そうすればもう少し公平公正なる税務行政ができるのではないか、このように思っておりまして、今後とも頑張ってまいるつもりでございます。
  171. 北橋健治

    ○北橋委員 もうちょっと欲しいなどとおっしゃらずに、やはり税務行政は国家の存立にとって大変大事なことなのだから、これだけは必要だという不退転の決意をお示しにならないと、これはやはりみんな減らしていく作業ですからつらいわけですから、やはり政治家のリーダーシップが必要だと思うのですね。  最後に、大蔵大臣に、この問題について締めの御発言をいただきたいのですけれども、今まで、定員にしろ予算にしろ、減らしていくという作業になると大変につらいものがあります。したがいまして、勢い一つのルールを決めて、例えば投資経費は何%だ、経常経費は何%だとか、決めてやらないとなかなかまとまらない。したがいまして、一つの官庁の中でも、官房を中心にああだこうだ、大変なことになる、せめぎ合いでございます。しかし、そういう手法でやはり一つのルールをぽんと投げて、その中で官庁同士でやれといってもなかなかできるものではない。やはりここに政治のリーダーシップがあると思うのです。  そういった意味で、これから小渕総理を先頭に、国家公務員を減らすということを実践されるというのですけれども、前途は大変多事多難です。ただ減らせばいいのではなくて、ほかを削っても大事なところを残す。十年、二十年先の将来を見据えて据えるということが政治です。それは今までの総務庁中心、官僚中心の集約ではできないだろうと私は思うのですね。  そういった意味で、断固たる決意を持って、大蔵大臣がこういった問題について今後リーダーシップを発揮していただきたい。そういう意味で、最後に大臣のお気持ちを聞かせていただきたいと思います。
  172. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 国税職員の処遇につきまして御理解を表明していただきまして、まことにありがとうございます。昨夕もこういう御発言がありまして、感謝をしております。  予算を削減する立場の大臣として、あるいは政務次官も同じ立場ですが、なかなかつらいところがいろいろございますが、こうやって立法府において御発言がしばしばあるということは、これは行政府として大事にしなければならないことだということはよくわかっておりますので、その点も重々考えまして、ベストを尽くしてまいりたいと思います。  御関心をお持ちくださいまして、ありがとうございます。
  173. 北橋健治

    ○北橋委員 総務政務次官、ありがとうございました。全会一致でまたことしも国税職員の定員増、処遇改善についてはぜひ御決議を皆様でしたい、このように思っております。地価税その他、そういう部面もあるでしょう。しかし、物すごい事務量が増大していて大変なことになりかねませんので、今度はいい数字を期待しておきたいと思います。次官の御奮闘をお祈りします。ありがとうございました。  続きまして、政府税調答申の重要な特記事項である納番制、この問題について所見がございますれば承りたいのでございます。  納税者番号制度というのは、これは政府税調でもかなり長い間議論をされてきた問題でございます。そして、大蔵省がおつくりになっているのだと思いますが、毎年税調の委員の皆様方にお示しをするこの資料は、アクセントが毎年違っているのですね。あるときは世論調査という手法を入れたことがございまして、果たして国民世論は納番制というものについてどのような温度差を持って眺めているのか、そういったことをやったこともございます。毎年毎年いろいろと、手をかえ品をかえ資料を出されているわけです。  ことしの資料を見ると、例えば、アメリカ、カナダではきっちりやっております、そして北欧、北ヨーロッパの方がこういったものに熱心であるということがわかります。そしてまた、具体的に、納番制というのはそもそもどんな仕組みなのか、そういったデッサンもございました。  そして、ことし書かれていることを見ると、具体的な問題点というのを集約して書かれているのですが、はっきり申し上げまして、民主党は、この問題は導入すべきであるという立場を主張してまいりました。それにはいろいろな意見があるのですけれども、やはり税に対する国民の信頼が弱くなったり、揺れるところに国家の繁栄はあり得ないと思っております。  そういった意味で、クロヨン、トーゴーサンピンといいまして、依然として所得の捕捉という問題について不公平感があります。例えば中小企業者の必要経費の扱いについても、現実には税務署の調査は大変厳しくて、そんな甘いものが入る余地はないというのですけれども、これも給与所得者から見ますと、源泉徴収でございますので、不満の一端ともなっております。  そういった意味で、アメリカのように全部申告、サラリーマンの申告も選択できるようにしろというのが民主党の一つの方針、そうなれば、タックスペイヤーとしての自覚を持って、もっともっと、私は、投票率を上げる方法は、そういうふうにするのが一番いいと思います。そうすると、自分たちの税金が何に使われているか、政治に関心を持つ。そういった意味で、大胆な一つの制度改革が税制には必要だ。その一環として、私どもは、納番制の導入については積極的に応援をしてきたはずでございます。  率直に申し上げまして、堂々めぐりをされているようにしか思えません。毎年のように議論をされて、いろいろな資料が出ていますけれども、いろいろな問題点が依然としてあるということで前に進んでいない。こんなことで本当にできるのでしょうか。そもそも、こういった問題をずっと重要な事項として、検討材料として残してきたというのは、主税局を初め関係方面は、非常に、こういった制度に対する深い関心だけではなくて、将来のあり方として、やはり重要な政策として考えていらっしゃるからだと思うんですね。  ところが、私は前、大蔵委員会で松永大臣の答弁を聞いたときに、やはり世論というものが余り、今納番制を認めるだろうかという大臣の発言があったりして、これはなかなか政治的にも、与党内部でいろいろな意見があるだろうとは察しています。  大臣、やるのですか、やらないのですか。かつて、消費税上げのときに、村山総理大臣はこの納番制の導入に積極的な発言を明言されたことは記憶に新しいところです。この問題はいつまでも堂々めぐりをしていていいのでしょうか。私は、もうそろそろ結論を出して、具体的に問題点を乗り越える努力を事務当局に指示すべき段階ではないかと思いますが、お伺いいたします。
  174. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いろいろこれに関しまして行われている議論は御存じでございますので、省略をいたしますが、昨年の暮れの私どもの党の税制改正大綱におきましては、「納税者番号制度の導入についても、国民の理解を得つつ、検討を進める。」こういう表現になっておりまして、国民の理解を得るという点においてまだ十分ではないということが表現されておると思います。しかしながら、方向としては、国民の理解を得てやろう、そういう表現になっております。  税制調査会におきましても何度もこのことは御議論になっていまして、実はこれはもうまことに長い長い間の、もう二十年、初めは徴兵制に使われるというようなことがあったほどですから、長いあれでございますが、最近になりまして、またプライバシーというものが今までと違った意味で国民の間に考えられるようになっておるように見えます。少しこれについての支持のあり方が変わってきておるのではないかというふうに思います。  税だけから申しますと、それは何物にもかえがたい、恐らく税行政からは有力な方法である、問題ないと思いますけれども、それから起こりますいろいろな問題についての税制調査会等の考え方は、なお国民の、世論の熟成に努力をしなければならないということであると思っております。  私もそう思っております。
  175. 北橋健治

    ○北橋委員 今回の政府税調答申を見ますと、これを導入するとした場合にかくかくしかじかの問題点があるということがずっと羅列されている。それはわかっていることなんですが、そもそもなぜそれを議論しようとしているのか、そこに政府の顔が見えないのではないかと思います。  国民への理解を求めるといいましても、これは別に所得を完全に、ぎりぎり把握するということではなくて、税制に対していろいろな不満がある、特に給与所得者から不満がある、そういった信頼をかち得ていくためにこういう議論があるのですね。現実には、連合を初めとして、とりわけサラリーマンの皆様方から強い要請があるところでございまして、そういった意味では、なぜこれが必要であるかというのが欠落されて問題点だけ書かれていることには、民主党は不満であります。  ぜひとも、国民の理解成熟を求めるとおっしゃるのであれば、顔の見える、この問題についての一つの踏み出した方向づけを期待したいと思います。  いろいろと質問したいことがあるのですが、ちょっと話をかえまして、景気の問題について、もう残された時間はあと数分でございますので、大臣の御所信を承りたいと思います。  まず、テレビでも雄弁に大臣は物語っておられますし、そしてまた国会でも、非常に慎重な言い回しながらも一つ宮澤ビジョンというものを語っていらっしゃると思います。その中で、個人消費と民間設備投資、これが今は苦しい、とりわけ十—十二月が苦しかった。いろいろな事情もある。しかし、一—三月期、ことしになってからかなり、私どもは、どうしてそんな強気の見通しが持てるのかなと率直に感じているのです。個人消費というのは、私は素材型産業の町である北九州の出身でございますが、その町にいる限り、それはもう業種を超えてまだまだ氷は解けておりません。  そこで、私がちょっと聞き落としたのかもしれませんが、大蔵大臣が、個人消費の動向について、あるいは見通しを語るときに、幾つかいろいろなお言葉を使っていらっしゃるのですが、先行き不安というその言葉が、五文字が私には聞こえなかったのです、おっしゃっておられたらお許しをいただきたいと思いますが。現在の消費不況が冷え込んでいるというのは、先行き不安という五文字に私は一番大きな意味があるように思っております。  とりわけ、去年の自動車メーカーの大リストラ計画というのは大変な衝撃でございました。また、民間企業では、抜本的医療改革が先送りになってきたために健保組合が解散。あるいは四〇一Kの導入の話も、前向きな選択オプションといいながらも、現在の企業年金の企業の持ち出しがとても耐えられない。そしてまた、雑誌を見ると、満員電車に揺られての雑誌のあの見出しというのは、私は世論には相当影響力があると思うのですけれども、○○生保が倒産、我々の生保は大丈夫か。そして、国会では年金の問題で大揺れに揺れる。どこを見ても、我々の身近なところで大変な不安が渦巻いている。そのことを大臣はどの程度認識されているのかな。  それを考えると、一—三月期、とてもじゃないけれども、個人消費がふえていく見込みは私どもには感じられない。それをあえて、来年ではなくてことしの桜でしたか、見えるとおっしゃっておられるのですけれども、その根拠は一体何でございましょうか。お伺いできれば幸いでございます。
  176. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は桜ということを申し上げたことはありませんし、むしろ、私の申しましたことは、結局、家計簿で見ておりますと、収入がふえない、したがって支出がふえないということは端的な事実でございます。理由はともかく、それは事実である。私は、先行き不安もありますでしょうが、やはりリストラというものがあって、どうしても常雇用からパートタイムになれば収入は減る、そういうことが昨年の秋ごろから続いてきていて、これは多少希望的な観測がございますが、ここへ来まして労使の賃金交渉というものがあって、その結果を云々するのではございません、そうではなくて、その中から雇用というものについてあるいはリストラについての何がしかの理解が深まって、そして、その間に多少は企業の側も当期利益が大きくなってきたということから、多分四—六にはプラスがあらわれてくるのではないか、それがわかるのは九月になりますがということを申し上げています。  それは個人消費についてでございます。設備投資はもう少しおくれるかなと思っておりますけれども、そういうふうに実は考えておりますが、それは確かに将来のことでございますから、多少の希望的な見方が入っておりますことは事実です。  そういうふうに、先行き不安ということはあると思いますが、それは消費の問題であって、その手前の収入そのものがふえていかなければこれはどうにもならぬのでございまして、そこのところがまず大事なんだと思っております。
  177. 北橋健治

    ○北橋委員 最近のアメリカの雑誌に、日本政府の失われた十年というのがございまして、きょうは詳しく述べることはできませんが、三・五兆円に上る国民の税金を死に体の経済に注ぎ込んだ、しかし一般国民は政府の支出による経済回復を容易に信用せず、用心深い消費行動しかとらなかった云々でございまして、これはアメリカ人の見た今日の状況です。これはまた別の機会に譲らせていただきますが、私は個人消費は凍ったままだと思うのです。  そういった意味で、時間もございませんが、最後に、財政の中期展望については当委員会でるる議論されたところであります。そして、これは今まで与野党の話し合いを通じて毎年のようにお出しいただいております。その努力の一端は認めたいと思います。しかしながら、ここには宮澤イズムといいますか宮澤ビジョンというのはどこにもございません。ただ機械的に延長しただけでございます。  今、EUの動きというのが注目されています。あのいろいろな生い立ちの違う国々が集まろうとするときに、例えば、GDPに対して公債の依存度を六〇%までにしよう。そういった意味におきますと、六七・六は、どの数字を見ても八〇とか八四とか九〇だとか、信じがたいような姿になっているわけでございます。  そういった意味で、これを見たら、我々国会議員はこんなものかな、毎度ながらと思いますけれども、少なくとも外国のプレスはびっくり仰天で、これは一体何なんだ、毎年三十兆円以上の公債が出ていくのか、これじゃ日本は悪性のインフレになるのは時間の問題じゃないか、あるいは、金利が上がってきてアメリカだって影響が出てくるじゃないか。外国のプレスはこれを事務当局の意図とはとらないと思うのですね。  そういった意味におきまして、今は財革法が凍結されているからだ、そして順調に軌道が回復してから財政構造改革だとおっしゃるのだけれども、私は、ここでもう一度、未来に対する責任を我々も負っているわけです。財政再建は野党にとっても大変言うことは難しい。しかし、そういった未来に対することを与野党、まあ野党は避けているとは思いませんが、私どもはきっちりやりたいと思いますけれども、少なくとも政府がはっきりと示されないと、どんどん次の負担がたまっていくと一体どうなるんだろうか。  この先行きに対する不安を解消するためにも、少なくとも財政の中期展望を、もう一つ宮澤バージョンというものをぜひ出していただきたい。それに対して、私どもが、国民もそれを見て、今は厳しくても将来こうなるのだという確たるものが見えたときに、初めて個人消費の氷は解けると思っております。これでは外国人プレス初め、誤解を招くだけであります。何も物語っていない。出し直してほしいのですが、大臣、いかがでしょうか。
  178. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨日も申し上げましたが、昭和五十六年でございましたか、予算委員会の御要求がありまして、これは一種のプロジェクションでございます、バージョンでもございませんし、ビジョンでもございませんということはおわかり願いまして提出いたしましてから、ずっと毎年慣例的に提出いたしておりまして、昨年もまた御要求がありましたものですから続いて提出をし続けておるわけでございますが、殊にこういう変動のときにそれをごらん願いますと、どうも誤解を持たれる向きの方が多い。昨晩の鈴木委員の御発言によりますと、百害あって一利なしとまで酷評される。  私は、実は、こういうときにそういう資料を差し上げましても、よほど御説明をいたしませんとおわかりいただけないし、おわかりいただいても、実は余り大したお役には立たないと私自身も本当は思っておりますので、慣例によりまして予算委員会に提出をいたしておりますので、当委員会でもごらんを願っておるわけでございます。
  179. 北橋健治

    ○北橋委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  180. 金子一義

    金子委員長 次回は、明二十五日金曜日午後三時理事会、午後三時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時六分散会