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2000-05-10 第147回国会 衆議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月十日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 中山 成彬君    理事 伊藤 達也君 理事 小林 興起君    理事 河本 三郎君 理事 山本 幸三君    理事 大畠 章宏君 理事 吉田  治君    理事 久保 哲司君 理事 吉井 英勝君       岩永 峯一君    小野 晋也君       奥田 幹生君    奥谷  通君       奥山 茂彦君    粕谷  茂君       小島 敏男君    古賀 正浩君       桜井 郁三君    桜田 義孝君       新藤 義孝君    菅  義偉君       田中 和徳君    中山 太郎君       能勢 和子君    桧田  仁君       古屋 圭司君    細田 博之君       村田敬次郎君    茂木 敏充君       山口 泰明君    渡辺 喜美君       渋谷  修君    島津 尚純君       中山 義活君    半田 善三君       山本 譲司君    横路 孝弘君       赤羽 一嘉君    西  博義君       金子 満広君    青山  丘君       小池百合子君    塩田  晋君       北沢 清功君     …………………………………    通商産業大臣       深谷 隆司君    経済企画政務次官     小池百合子君    科学技術政務次官     斉藤 鉄夫君    通商産業政務次官     細田 博之君    通商産業政務次官     茂木 敏充君    政府参考人    (科学技術庁原子力局長) 興  直孝君    政府参考人    (科学技術庁原子力安全局    長)           今村  努君    政府参考人    (環境庁企画調整局長)  太田 義武君    政府参考人    (外務省総合外交政策局軍    備管理科学審議官)   服部 則夫君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君    参考人    (地圏空間研究所代表    東京大学名誉教授)    小島 圭二君    参考人    (財団法人原子力環境整備    センター理事)      坪谷 隆夫君    参考人    (東京大学大学院工学系研    究科教授)        近藤 駿介君    参考人    (特定営利活動法人原子    力資料情報室共同代表)  西尾  漠君    商工委員会専門員     酒井 喜隆君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   岡部 英男君     能勢 和子君   小島 敏男君     渡辺 喜美君   竹本 直一君     奥山 茂彦君   山口 泰明君     岩永 峯一君   山本 譲司君     横路 孝弘君   西川 知雄君     西  博義君 同日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     菅  義偉君   奥山 茂彦君     桧田  仁君   能勢 和子君     桜田 義孝君   渡辺 喜美君     小島 敏男君   横路 孝弘君     山本 譲司君   西  博義君     西川 知雄君 同日  辞任         補欠選任   桜田 義孝君     岡部 英男君   菅  義偉君     山口 泰明君   桧田  仁君     竹本 直一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案内閣提出第六六号)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 中山成彬

    中山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案を議題といたします。  本日は、参考人として地圏空間研究所代表東京大学名誉教授小島圭二君、財団法人原子力環境整備センター理事坪谷隆夫君、東京大学大学院工学系研究科教授近藤駿介君、特定営利活動法人原子力資料情報室共同代表西尾漠君、以上四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人各位からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質問にお答え願いたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際は、その都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、御了承願います。  それでは、まず小島参考人にお願いいたします。
  3. 小島圭二

    小島参考人 私は地質工学という分野専門にやっておりますので、きょう、ここにプリント二枚ばかりお配りしておりますものに関して、特定廃棄物最終処分地層に関しての法律案における意見を少し述べさせていただきたいと思います。座って失礼いたします。  まず、順を追って、プリントに従って説明させていただきます。  まず、全体としまして、今までサイト特定されていなかったということが研究開発技術的な大きな問題でありました。そこで、今まではサイト特定されていない、場所が決まっていない、そういう段階での一般的な研究開発、したがって、非常に広い範囲でいろいろなことについて研究開発が進められてきた。しかし、地面というものはばらつきが多くて不確実性が多いものですから、そこの場所場所でどの程度のものを、どういう問題、技術を扱っていったらいいかということで、場所が決まらないとそれ以上進まないという点で、この法律案の中で、この方式に従いますとサイト特定される、これが少なくとも推進されるであろう。その際に、施設設計の具体的な問題が検討できる。  さらに、今まで広範な領域の技術を開発研究してきましたが、そのうちの各要素技術のどれをとったらいいかという取捨選択、そういうものをやりながら、より深い詰めができるようになってきたというところに、この法律地層側から見た非常に期待できるところがあるのではないかということを全体として感じております。  次に、今の法律案の中身で特に地層に関して特記すべきこと、これについて意見を述べさせていただきますと、二番目としまして、法律案基本方針、その中の概要調査地区等というところで、いわゆるサイト選定ということに関して、概要調査から精密調査、それから最終処分地の決定、こういう三段階に分けて処分地を決定する、こういう思想になっております。  このようなことを法律で明確に今まで示したという例は多分ないのでございまして、そういう点で画期的なものであると思いますし、また逆に、そういうやり方に対して経験が浅いものですから、それに対してどういうふうにやったらいいかというやり方、これを、今までの慣習とあわせてどう持っていったらいいかというふうに考える必要があろうかと思います。  従来どうやっているかというと、日本の場合には、建設工事をやる場合に社会環境とか慣習とかそういうものがございます。ここで行おうとしているような、先に詳細な設計仕様を決めて、要するにこういうものをつくるんだ、そういう性能が要るんだということで合ったサイトを探すというよりは、むしろ社会的条件で立地が決まって、そこの地質にどうやって合わせていくかというところに技術の振るいようがあるというのが日本の普通のやり方でございます。したがって、その際には設計条件というものをサイトに合わせて裏腹で考えていかなくちゃならないというところが従来のやり方でありまして、やはり、これを受け入れながら、この画期的な一つの三段階選定ということへ踏み込んでいく必要があるだろう。  そうすると、いずれにしても、地層特性というところだけを考えていい地層を探す、これは当然のことでありますが、そのほかに、施設設計で対処できる部分、それを勘案しながら処分地選定を行っていく、こういうやり方がやはり評価に重要なところであろう、そういうふうに思われます。  それから次に、最終処分計画それから実施計画というのがありまして、この中で特記すべきことは、時期時期に、五年ごとにといいますか見直しをやる、リシンキングをやって変更の余地を残してやる。これが明記してあるということは、そういう計画を練る上においてやはり重要なことであろうかと思います。  特に、この地層処分最終処分というものは、かなり長期プロジェクトでございます。長期プロジェクトでは余計今のような変更というものを常に考えていかなくてはならない。例えば、このプリントに書いてありますように、土木工事一般、大きなプロジェクトは大体三十年ぐらいかかっております。それで、この三十年の間に、やはり技術日進月歩でありまして、初め考えていた設計あるいは施工の方法ががらりと変わってしまうのが通例であります。  ここでは東京湾での例が中に書いてありますが、時間の関係で省略させていただきますが、例えば本州四国の架橋でも、当初は、つり橋のピアの間ですね、千メートルぐらいと考えていたものが、あるいは技術的にそれしかできなかったものが、完成時には二千メートルと倍の長さまで可能になったというようなことも含めまして、いろいろ変化するものであります。その際に、こういう変更を常に考えながら日進月歩技術を取り入れた新しい方向に持っていくということが、どうもここで規定してある内容でできるのではないかと期待している、そういう点が評価されるということが三番目の説明でございます。  それから次に四番目としまして、また基本方針に戻りまして、技術開発についてという条項がございます。  これでは、地層処分あるいは最終処分というもので常に問題になりますのが、長期制度的管理に依存しないこと、そのために、処分後は人の手が入らないでも安全な施設を深い安定な地層に構築する、これが世界的なコンセンサス基本であります。しかし、一方では、一般地域社会、これがどういう受けとめ方をしているかというと、聞いた人の多くは、やはり何らかの人の管理といいますか、人の関与がないと不安であるというのが大勢の声であります。  これに対して、やはり何らかの安全の確認と、それから、社会が安心する、こういうものだという見せ方をしなければいかぬであろう。それの一つが、やはり地層処分シナリオについて、そろそろ、幾つかのオプションというものがあればそれを考えたい。それで、それに関する研究開発が並行して進んでいると、地域社会がどちらがいいかという検討を加えながら、少し前向きに地域選定に対しての地域環境条件がそろうであろうというふうに考えられます。  例えば、長期地質環境変化というものが、設計当初の性能が許容される範囲にあるということをモニターする。こういうようなことがあれば、十年に一度でもいいですが、地下というものはそんなに変化するものではございませんので、ごく緩い管理、この程度のものは場合によっては不可能ではないかもしれないという気もいたします。  それから一方では、世界各国が今少しずつ研究開発に着手しました技術的なオプションがいろいろございます。できるだけ長期間モニタリングをするやり方とか、それから、処分場が長い間にわからなくなったとき、その記録を残しておく、あるいはどこにあったかを外から探す技術とか、万一物質が流出した場合にその除染技術ですとか、さらには、いざというときには再取り出しをするという技術とか等々、いろいろございます。  さらに、これは日本でも手がけております、放射性核種の分離とか変換技術というようなものによって、長寿命放射能期間を短寿命のものにできるだけ変換していこうというような技術もございます。等々、いろいろ国際的なコンセンサスで行われております一般オプション地層処分シナリオから外れたオプションについて、各国が少しずつ模索し出した。我が国もそういう点では、研究開発段階に当面のこの現在のシナリオを進行しながら、追行しながら、並行してこういうようなオプションについての技術も調べる、これも技術開発の項で今後の課題であろうかと思っております。  二枚目に移りまして、一方では、社会が安心するということの中には、実際に処分場と同じようなもののミニチュア版をつくって実証実験をする、実証試験をやるということが、社会が安全、安心を感じる直接的な道具となろうかと思います。現に、現在もうできております地下石油備蓄、これではこういう実証プラント小型版をつくりまして、その地域の住民の三分の二以上の方が見学に来られて納得された、こういうような実績も得られております。  それと同時に、こういう地面現象では、安全の限界というものをきちんととらえるという、どこまで、どれ以上になったら壊れるか、壊れたときどんな問題があるかというようなことに対しての技術開発も必要になってくる。これは、サイト特定された段階では有効になる問題でありまして、ぜひ今後の技術開発の展開に期待したいと思っております。  それから最後に、法律案定義の中で、最終処分というところで、地下三百メートル以上の深いところという定義がされております。従来の表現では、これは地下数百メートルより深いという表現になっていたのですが、確かに明快になってよろしいのでございますが、深さについては、そこの下にも、世界の国々ではいろいろな条件によって浅いところもあり深いところもございます。  ベルギーのモルでは二百メートルぐらいの深さを考えておりますし、アメリカのユッカマウンテンでは、地下水位が三百メーターぐらいですからそれより上にしようというようなことで、比較的浅い。それに関して、地殻変動や氷河による削剥というものが大きいスイスでは、できるだけ深いところに入れておこうというような発想があります。というように、特定されたサイトではこういうことを考えながら現にいろいろな研究開発を行っているという点で、やはり具体的な地域選定されて、それからその際に深さを選定していく、こういうようなやり方の方が地区選定施設設計柔軟性が出てくるだろうということで、ちょっと気になる数字でございます。  ということで、ちょうど時間が、ちょっと過ぎました、申しわけありません。これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
  4. 中山成彬

    中山委員長 どうもありがとうございました。  次に、坪谷参考人にお願いいたします。
  5. 坪谷隆夫

    坪谷参考人 おはようございます。ただいま御紹介にあずかりました坪谷でございます。本日はお招きをいただき、我が国の高レベル放射性廃棄物処分につきまして私の意見を申し述べる機会をいただきましたことに、まずもって感謝を申し上げます。  私は、本年三月まで、核燃料サイクル開発機構におきまして、放射性廃棄物処分技術基盤研究に携わってまいりました。ただいまは財団法人原子力環境整備センターにおりまして、処分分野の業務に携わっております。したがいまして、本日は、お手元にお届けいたしました資料に基づきまして、主に処分技術状況について申し上げて、私の意見とさせていただきたいと思っております。座らせていただきます。  表紙を一枚おめくりいただきますと、まず高レベル放射性廃棄物について、先生方御高承のとおりでございますが、特徴が四点お示しをしてございます。  一つは、原子力発電に伴い必ず発生するものであるということ。もう一つは、例えば火力発電所から出てまいります炭酸ガスなどに比べますと、発生量は極めて少ないということ。三番目に、寿命の短い放射性物質の量と発熱量は当初非常に高いけれども、数百年で急激に減少するという物質が含まれ、かつ四番目として、寿命は長いけれども発熱量は少なく、長い時間をかけて徐々に減少していくという放射性物質が含まれている。こういう特徴がございます。  ちなみに、千年ぐらいの後には、当初の放射能のおよそ一万分の一ぐらいまで放射能は減衰をいたします。いわゆる高レベル放射性廃棄物たる高レベル放射能という名前のゆえんでございますのは、初めの数百年でその放射能を急激に失いますので、そのゆえんそのものを失っていくというふうに私は考えているわけでございます。この放射性廃棄物は、自然に分解しがたい物質を含むような廃棄物と比べますと、一定時間たちますと毒性のもとになります放射能が失われていくということが、廃棄物対策の上で極めて重要なポイントになるわけでございます。  ポイントでございますので、時間の関係で一枚めくっていただきますと、まず、こういう高レベル放射性廃棄物特徴を踏まえまして、どのような処分方法が考えられるかということでございます。要点は、とにかく時間的に有限ではあるけれども、長い期間人間生活環境からいかに安全に隔離をするかということでございます。  幾つかの方法が考えられたわけでございます。例えば宇宙空間への放出、海洋底の下にあります堆積物の中に隔離をする、あるいは南極の厚い氷床のもとに隔離をする、さらには地上人間がずっと見守るという方法も考えられるわけでございます。これらの考えにはいずれも、下の、少し色をかえてございますが、その状況によりまして実現が極めて困難な方法でございます。  それに対しまして、安定で深い地層隔離するということにつきましては、最も現実的な方法として、世界各国専門家の間では既にコンセンサスができ上がってきている方法でございます。  具体的には、深い地層は、私ども生活環境から遠い世界でございます。地上に比べますと、天然現象人間活動影響が及びにくいということは御案内のとおりでございます。あるいは、地上に比べて物質の動きが遅い。これは、岩盤という非常に物を動かしにくい構造の中でございます。それから、人間関与に依存しなくて自然の条件隔離を行うことができる。あるいは最後に、過去の地層活動履歴というものを記録しているということでございます。  そういう深い地層特性を利用いたしまして、それでは具体的に、地層処分というのはどういう考え方に基づけば安全が確保できるかということでございます。  まず一つは、ガラスというものに高レベル放射性廃棄物がなっているということでございます。これは後ほど御紹介いたしますが、物理的にも化学的にも極めて安定な物質であることはよく知られているわけでございます。  一つは、その持っております放射線人間が近づかないようにするということでございまして、これは、深い安定な地層に、人間生活環境から離れたところに隔離をするという手段が一つございます。それから、この放射性物質地下水に乗って人間生活環境に戻ってくるということに対してどうすればいいかという対策でございます。これがいわゆる放射能対策でございます。放射能人間生活環境に戻ってこないようにするという対策でございます。  放射線対策であります安定な地層隔離をするということにつきましては、安定な地質環境を選ぶということが何よりも大事でございます。具体的には、幾つかのポイント地震断層あるいは火山活動などの影響のないところを探して、そこをまず隔離場所とするということでございます。  また、放射能対策でございます地下水とのかかわりにつきましては、地下水がみだりにこの廃棄物接触をしたり、あるいは接触をした結果として廃棄物中から放射能が漏れ出さないような人工的な構造をつくって、地下に埋設をするという考え方でございます。  一枚めくっていただきますと、最後のページでございますが、昨年の十一月に、核燃料サイクル開発機構が「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分技術的信頼性」と称する取りまとめをいたしました。これは従来のさまざまな分野研究成果を集大成したものでございますが、まず、先ほど申し上げました安定な地質環境というものが日本にあるのかどうかということでございます。それにつきましては、火山断層のような急激な天然現象による影響や、著しい隆起、侵食は特定地域に限定できるということが、今この報告書に述べたところでございます。  特に、活断層あるいは火山の分布につきまして、現在多くの地球科学分野成果が、この特徴を既に十分承知をしている、熟知をしているというところまで至っているわけでございます。あるいは、地下深部地上に比べますと、この下に折れ線のような形でずっと示しておりますが、地震影響地震が非常に小さいということが実証されているわけでございます。  一方で、地下水対策につきまして、具体的には、地下深部になりますと、地上の、例えば鉄をさびさせるような性質を持っております雨水。これは私ども生活で実感しておりますが、雨水は、地下深部に浸透してまいりますと、物を極めて溶かしにくい性質に変わるということが普遍的に言えるわけでございます。具体的には還元環境ということでございます。こういう地下水あるいは地下深部になりますと、地上に比べますと水が極めて流れにくい、そういう特徴もあるわけでございます。  これらの特徴を前提といたしまして地層処分長期安全性を検討するわけでございますが、具体的には、真ん中の図にございますように、まず安定な地質環境というものをしっかり選んでいく。その上で、この真ん中真ん中にございますように、廃棄物そのものガラス化する。その外側を、鉄材のようなものでしっかり周りを固める。鉄は地下水には非常にさびにくいという性質を有します。さらに、その外側粘土で固める。この申し上げました三点は、いずれも従来自然界に多く存在する物質でございます。  この自然界に多く存在する物質ということにつきましては、下の図に幾つか、コラムに例をお示ししてございます。例えば、富士山の火山ガラス研究をしてみる。あるいはローマ人の残しましたガラス研究をしてみる。あるいは鉄製の水道管についてどんな状況かということを調べる。あるいは鉱山粘土鉱床長期間にわたってどういう変化をしてきたかということを調べる。そういうこともあわせまして、いわゆる温故知新と申しましょうか、古いことを勉強しながら、一方で、一番右にございますように、コンピューターの最近の長足な進歩を利用しまして長期安全予測をするわけでございます。  この安全予測につきましては、一番右にございますように、もし地層処分システムがこうなったらということを想定しまして、そのシナリオ、それからモデル、さらに研究成果に基づくデータベースを使って数値解析を行って、長期間の安全解析をするわけでございます。現在得られております知見では、この地層処分の安全の仕組みに基づきますと、地上生活する人間の受ける放射線量は、将来にわたっても最大で自然放射線の一万分の一以下というふうに試算をされたわけでございます。  この長期にわたって地表面での放射線量が低いということにつきましては、世界各国にございますウラン鉱床がその一番いい例でございます。日本では岐阜県東濃鉱山、あるいはカナダの優良ウラン鉱床などは、いずれもウランの極めて豊富な地層深部に寝ているわけでございますが、地表面放射線量はほかの地域放射線量と全く同じでございます。このように、自然界においても既に例証がございます。  技術的な状況でございますが、以上をもって私の意見にかえさせていただきますが、最後に、残りましたお時間をちょうだいいたしまして、この機会に三つの点について申し上げたいと思っております。  第一は、研究開発の一層の推進でございます。  先ほど申し上げましたいわゆる第二次取りまとめによりまして、いよいよ実施に向けた準備に入れる段階技術は達したと考えております。今後、安全性や信頼性の一層の向上に向けて研究開発を進める必要があるわけでございます。とりわけ、地下深部に設けます研究施設につきましては、早期に建設をし、そこでの研究を行うとともに、多くの方々に実際の地下深部を見ていただく、体験をしていただくということが極めて重要と私は考えております。  また、第二の点でございますが、技術を用意するコストと相まちまして、実施主体の設立あるいは処分費用の確保、さらに立地の手順を法制化するという今回の立法化につきましては、長年、高レベル放射性廃棄物処分研究してまいった者の一人として、極めて期待をしていたところでございます。この法制化は、我が国が高レベル放射性廃棄物最終処分の実施を準備していく上で最も重要な一歩と考えております。特に、立地の手順の法制化につきましては、その立地の準備が透明性を持って進められるということに関して、基本となるものと考えております。  最後に、地層処分につきまして、社会に正確でタイムリーな情報の提供が望まれることでございます。  従来、研究開発段階から事業の段階に進もうという段階になりますと、社会一般の参加をもとに地層処分について意思決定をしていくという必要があるわけでございます。今後、国、実施主体などによる正確でタイムリーな情報提供が、極めて有力な、社会の意向も取り入れて、日本に適した制度をつくり上げていくためにも重要と考えております。この考え方につきましては、OECDにおける専門家の集まりにおいても基本的に共有されている考えでございます。  以上、いただきましたお時間で私の意見を述べさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  6. 中山成彬

    中山委員長 どうもありがとうございました。  次に、近藤参考人にお願いいたします。
  7. 近藤駿介

    近藤参考人 御紹介いただきました近藤でございます。  私、通産省の総合エネルギー調査会原子力部会の部会長を仰せつかっておりまして、本日御審議のこの法律の早期制定について、原子力委員会レベル放射性廃棄物処分問題懇談会の御提言を踏まえて強く御提言申し上げたところでありまして、その観点から、考えるところを幾つか申し述べさせていただきます。  さて、現行の我が国のエネルギー政策は、さまざまな経済的手段を通じて、省エネルギー、原子力発電それから新エネルギー利用の積極的推進を図って、我が国のエネルギーの安定供給を確保しつつ、環境を保全し、適切な経済成長を維持しながら、我が国社会を二十一世紀にふさわしい循環型社会に移行する、これを目標にしていることは御高承のとおりでございます。  この政策に関しまして示されました、原子力発電が四千八百億キロワットアワーの電力供給を担うことを含む二〇一〇年の数量的見通しは、その後、電力需要の伸び率が停滞したことや、原子力に対する国民の信頼を損ねるさまざまな事故等が発生したこと等により、見直しが必要であるとも言われているところでございます。  しかしながら、私の考えるところ、二〇一〇年におきますエネルギー起源の炭酸ガス排出量を一九九〇年水準に安定化させるという国際約束を遵守する観点に立ちますと、今後とも省エネルギー、新エネルギーの利用とあわせて原子力発電の推進が重要であるというふうに考えるところでございます。  さてそこで、原子力発電でございますが、原子力発電我が国の電力供給の三六・八%を、一九九八年でございますが、分担していまして、環境を保全し、質のよいエネルギーを安定に供給するということに貢献していると考えます。この実績を踏まえますと、今後とも原子力にこうした貢献を期待することは適切であると考えるところでございます。  これを主張するのは、一つには、原子力発電技術集約型で燃料のエネルギー密度が高いため、発電コストの輸入資源価格依存性が低いということ。そして、発電に際して、地球環境保全の観点から問題となっております温室効果ガスの発生がないということ。そしてまた、他の同種の非化石エネルギー、そうした特徴を持つと言われています非化石エネルギー、太陽その他と比べまして、経済性がいいということ。さらに、将来、高速増殖炉など燃料の高効率利用技術を用いることができれば、原子力によって人類のエネルギー需要を長期にわたって満たすことが可能。こうした特徴を有しているからでございます。  もちろん、この利用に際しましては、原子力施設は大量の放射性物質を内蔵して災害ポテンシャルが大きいということがございますから、多重防護を堅牢に実現、維持しまして、これの発現確率を十分に低くする必要がございますし、放射性廃棄物が発生いたしますので、これが、人類の生存空間における放射線レベル、御高承のとおり我々の環境には自然界自然放射線があるわけですが、これのレベルを有意に変化させないように管理する必要があるということ。そして三つといたしまして、核兵器と原材料が共通なので、その物質あるいは取扱施設を国際原子力機関の保障措置のもとで透明性高く管理する必要があるということ等に十分配慮すべきことは当然でございます。  さて、このような原子力発電に今後ともこの貢献の継続を期待するといたしますと、今申し上げました三つの配慮のもとで、さらに、一つとしまして、効果的かつ効率的に安全を確保しつつ、軽水炉の高信頼度運転を維持していくこと。それから、軽水炉におきますプルトニウム利用、すなわちプルサーマルを確実に、着実に推進すること。三つといたしまして、新規発電所の立地を着実に推進すること。そして、再処理工場の建設を確実に進め、一方、燃料サイクルの柔軟性を確保する観点から、使用済み燃料の中間貯蔵事業を整備すること。そして、再処理廃棄物である高レベル放射性廃棄物処分推進体制を確立すること。さらに、地球的観点から、国際原子力安全及び核不拡散体制の維持向上に貢献すること。こういう活動を的確に実施していくことが必要であると考えるところでございます。  本日御審議の特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案は、以上の課題のうち、原子力を将来にわたり責任を持って運用していく上で不可欠の、再処理廃棄物であります高レベル放射性廃棄物最終処分計画的かつ確実に実施させるために、必要な措置を講じるものでございます。これによりこれらの制度の整備がなされることは、諸外国に比べて遅過ぎるという御批判はあるところでございますが、しかし、とにかくもこれによって原子力の将来に対する国民の信頼を得ることにつながるわけでございますから、極めて意義深いと考えるところでございます。  また、この法律案は、使用済み燃料は再処理して有用な成分を回収、再利用していくという、我が国の原子力政策の基本方針を踏まえております。  この方針に関しましては、そもそもウラン価格が現在安い状況で、再処理は経済性が悪いのではないか。再処理により高レベル放射性廃棄物の体積は確かに減少するけれども処分場の大きさはそもそもその廃棄物発熱量で決まるところ、これはほぼ発電量で決まるわけだから、処分場の大きさは減少しないのではないか。それから、再処理は発電量当たりの鉱山廃棄物発生量を減少させるので、環境面の利益はその点ではあるけれども、他方でプルトニウム利用が各国に広まることによって核拡散リスクが増大する可能性があり、これと見合わないのではないか。そしてまた、プルトニウムの利用方法でありますプルサーマルについては、炉心の安全性を低下させるのではないか等々の批判が内外から出されてきたところでございます。  しかしながら、まず第一に、プルサーマルについては長い歴史があり、現行の炉心安全設計条件を満たす範囲で行われるものでございます。それから、再処理で資源を回収利用するということは、当然ウラン鉱山の鉱滓や高レベル放射性廃棄物量が減少する、少なくともウランとかプルトニウムを廃棄しないわけでございますから減少する、そういう意味で環境面の利益がある。  そして三つとして、燃料費は確かにいわば余計なことをするわけですから上昇するわけでございますけれども、これにより資源をめぐる不確かさに備えることができる。リサイクルすることによって海外資源に依存する割合が減るわけでございますから、こうしたことが言える、こうした利益がある。そして、環境負荷の小さい発電を行うことになるわけですから、そうした利益もある。こうした利益を手に入れるための追加費用としてその燃料費の上昇は受け入れ可能か否かということを検討するところ、それをアクセプタブルな範囲にとどめることは可能であると考えます。  そして、しかもこの投資は将来よりすぐれたプルトニウム利用技術体系を実用化していくことにもまた貢献するのではないか等々を勘案いたしますと、この方針に沿って、経済性や、核拡散に関する国際社会の懸念に十分に配慮しつつ、使用済み燃料を再処理して有用成分を再利用する技術体系を運用していくことは、二十一世紀における循環型社会を目指す我が国のエネルギー政策とも適合するというふうに考えるところでございます。  それから、最終処分方法ですが、地層処分を選択するということにつきましては、先ほど来御紹介ありましたとおり、世界各国の選択するところでございます。  これに対して、さまざまな機会に御説明申し上げ、御意見を拝聴するところ、目に見えるところに保管することの方が安心できる、そういう趣旨で地上保管が提案されることがございます。  しかしながら、地層処分というのは、先ほど来も御承知のように既にありますが、その安全性、信頼性についての研究成果を踏まえて、精密調査候補地を選定した後、処分の安全評価に関する十分なデータを得た段階で安全審査を受け、事業許可を得て処分場を開設し、処分を行い、埋め戻し後にも適切にモニタリングをするというように、立地選定作業と並行して行われる各種の研究活動の成果を反映して、いわばリスクの不確かさを順次減じながら段階的に推進されるものでありまして、当然のことながら、各段階におきまして十分な情報公開を行って、関係者の安心を得つつ実施されるものでありますから、そうした意味では、地上保管にまさるとも劣らない安心感を得ていただけるものというふうに考えているところでございます。  この点で、この法律案が、そうした段階的に確認を行いながら最終処分としての地層処分を実施する制度設計になっているということは、適切であると考えるところでございます。  さてまた、本法律案は、処分の実施主体を認可法人としているわけでございます。  処分の実施主体については、事業の長期性を考えると米国のように費用を取って国が処分活動を行うという方が適切ではないかという御意見もございますが、しかし、これにつきましては原子力委員会レベル放射性廃棄物処分懇談会等におきましても、やはり発生者責任を明確化する観点からして、これを民間の事業とすることが適当としたわけでございます。本案におきましては、これが政府の政策に沿った安全な処分を行うべき主体であることを踏まえまして、その技術的能力、経理的基礎、運営管理能力、非営利性、解散に対する歯どめ等を法的に担保できるよう、民間の発意に係る認可法人として設置するとしたわけでございまして、これについても適切と考えるところでございます。  なお例えば、この機構が処分候補地を探索するために最初に行う概要調査地区の選定作業、これは文献調査によるとされているところでございますが、これ自体はそうしたことであるといたしましても、それを踏まえて調査地区に指定することについては当該自治体の首長の意見を求めるというふうにされております。この段階では当然、当該自治体住民を含みます国民各位が、この処分の重要性、この選定対象地域の満たすべき条件、それからこの処分の安全性、そして処分場受け入れに伴う利益と不利益について理解をしていることが前提条件になると考えるところでございます。  この理解を得る活動ですが、これにつきまして、国は既に各地で廃棄物シンポジウム等を行っているところでございますが、みずから前面に立ってこの処分についての理解を得る活動になお一層広範に取り組み、国民との対話を重ねていくこと、そしてあわせて、先ほどございましたが、理解を得るのに極めて適切有効な地下研究施設の実現に力を尽くすことが重要ではないかと考えるところでございます。  以上を要すれば、この法律案は、我が国のエネルギー供給において引き続き大きな貢献が期待されます原子力の将来に対する国民の信頼を確保するために、必須の再処理廃棄物最終処分に係る制度の整備を行うもので、極めて時宜を得たものであること。  ただし、この処分の実施主体をかなり以前に決定した国の多くが、その後、立地点について地域社会の理解を得ることに苦労しており、今のところ、現実にこうしたプロセスを経て処分を開始できたのは、米国のWIPP、ウエースト・アイソレーション・パイロット・プラントだけであることを踏まえますと、世紀を超える長期の事業であっても、その推進に当たっては国民の理解と協力を一歩一歩得ていくことが不可欠であるということを当事者は肝に銘じるべきであると考えますし、また、国会におかれましても、現世代の責任を果たしていくための事業に対して、今後とも関係者に対して適宜適切に御指導いただけることを切にお願いする次第でございます。  以上、私の意見でございます。(拍手)
  8. 中山成彬

    中山委員長 どうもありがとうございました。  次に、西尾参考人にお願いいたします。
  9. 西尾漠

    西尾参考人 西尾です。  この法律案の問題点についてお話をさせていただきます。座って話させていただきます。  お手元に、この特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案の問題点ということで、幾つかの問題点を挙げさせていただきました。ただし、これはあくまでも十五分間で話ができる程度ということで書いてありまして、ほかにもたくさん問題があるというふうに思っています。そういうことからすれば、非常に超長期の問題を扱う法律案としては、失礼な言い方になるかもしれないですけれども、余りきちんと考えたものではないのではないかというふうに言わざるを得ないということがあります。  それから、この法律案が出ていることすらほとんどの国民は知らないだろうと思います。ましてや、その中でどういうことが問題になっているのかということについては、全くと言っていいくらいに知らされていないのではないかというふうに思うんですね。  これはまさに国民一人一人がきちんと考えるべき問題だということを、先ほどからお話に出ている高レベル放射性廃棄物処分懇談会でも言われてきたことであるわけですけれども、そういうことからすれば、本当に国民一人一人がどういうことが問題なのかということを理解していかないといけない。そういうことからすると、急いでこの法案をつくるということについては余りに拙速という気がいたします。  その意味からすれば、これは一たん廃案にして、もっときちんとした国民的な議論を行うべきだというふうに考えております。  さらに、この法案の中で、例えば安全規制については別に定めるということが書かれているわけですけれども、いわば国民の立場からすれば一番知りたいことが、それは後で決めますから、それでいいでしょうということになってしまうということも問題だろうと思います。  そういう意味からすれば、安全規制のあり方も含めてトータルな提案がなされて、それについて十分な時間をかけて議論して、それから決めていく。この法案が扱っていることの中身の時間的な長さからすれば、それぐらい時間をかけることの方がよりよいことだというふうに考えています。  その上で、幾つか個別の問題点についてお話をしたいと思うんです。  一つは、この法律案原子力発電の推進ということを目的に掲げている。  確かに、原子力発電をこれからも進めていくべきだという御意見はあるだろうと思います。しかし、もう一方で、原子力発電を進めていくことについてはやはりいろいろ問題があって、むしろできることならやめたいというふうに思っている。これは、総理府の世論調査等を見ても、これからも積極的に進めていきたいというふうに思っている国民は非常に少ない。そのことの、私自身の意見を別にして言えば、やめられるものならやめたいけれども、結局やめられないんじゃないかというふうには思っているかもしれないけれども、少なくとも積極推進だという国民的な世論はないだろうと思います。  そういうことを考えるときに、これが原子力発電推進のための法律ですということになってしまうと、ますます国民の側からはこの法案そのものをきちんと考えないことになっていくのではないか。  いずれにしても、放射性廃棄物、既に現在目の前にもあるわけですし、残念ながら、これから先も原子力発電を続けていくとすれば、それに伴って発生をしてくるものがあるわけで、これを何とかして安全に管理をしていかなくてはいけないということを考えたときには、原発を推進するのかそうじゃないのかというようなことが目的に書かれているのではなくて、むしろこれをいかに長期的に、きちんと安全に管理していくのかということが法律の目的にされるべきであるというふうに考えます。  そのことと絡めていいますと、安全の確保ということについて非常にこの法律案は意識が薄いというふうに言わざるを得ない。原子力安全委員会の役割についても非常に軽視をされていると思います。  これはこの法律案に限ったことではないのかもしれませんけれども基本的な政策はすべて原子力委員会が決め、あるいは場合によっては総合エネルギー調査会原子力部会の方で決めて、その上で、原子力安全委員会はそれに従って安全規制をすればいいという考え方になっている。これでは本当の意味で長期的な放射性廃棄物の安全性を確保するということは非常に難しいと思います。そういう意味からすれば、基本的な政策をつくる段階からきちんと安全委員会関与をするような形にするべきであろうというふうに思っています。  それと、この法律案は再処理ということを前提にしている、それから地層処分ということを前提にしているわけですけれども、やはりこれは非常に硬直化した考え方だと思います。  再処理は再処理のメリットがある、デメリットについてもそれはカバーできるというお話もあるわけですけれども、しかし、一方で再処理そのものに対して内外から非常に強い批判の声があることも確かであるわけですし、原子力発電を進めている中でもさまざまな意見がある。そういう中で、ほかのところで決まるのではなくて、この法律の中で再処理が前提になって決められてしまうというのは、議論の進め方の流れからしてもおかしいのではないか。むしろ、そうではないもっと柔軟な規定の仕方があるのではないかというふうに思います。  それから、地層処分ということについても、先ほどからもお話がありましたように地層処分そのものの概念がいろいろと変わってきている。もう将来の世代は全く何もしなくていいんですよというのがもともとの地層処分考え方だったと思うんですけれども、この法律案の中でも例えば記録を永久に残しておくということがあるわけです。ということは、将来の世代が全く関係なしでは済まされないことになるわけで、そうすると、その地層処分そのものの概念も揺らいできているといいますか、さまざまな考え方が出てきている、そういったことがこの法案では全然反映されていないのではないか。  それから、施設をつくった後の長期的な管理についても、法案の説明の資料等を見るといろいろなことが書かれていたりはするわけですけれども法律案そのものの中には、それではどういう形で長期的な管理をしていくのか、回収の可能性みたいなことについてはどうするのかといったようなことについて全く何も書かれていないということがあります。これはやはり非常に問題が大きいというふうに思っております。  それから、段階的に処分地を選んでいくということがあるわけですけれども、いわばだんだんに絞り込んでいくそもそもその出発点になるところ、文献調査で決めていくというのですけれども、ではどういうふうな形でその文献調査をする、場所を選んでどういうふうにそれは調査をするのか、その調査をした結果はどういうふうに公表されるのかといったようなことについては全く知らされていない。そうすると、この法文の上では、概要調査地区にあなたのところは選ばれましたよということになったときに初めて知らされることになるわけで、これは非常に不透明だというふうに思います。  それから、そのときの基準なんですけれども、どういうところを選ぶのか、これはまさに最終処分地というものを絞り込んでいく過程ですから、現実にその処分地はできるところを選ばなくてはいけないわけですけれども、そういったものになっているのかどうかということがあると思います。  通産省の方では、アメリカの核廃棄物政策法では基準の項目しか規定していないけれども、この法案では基本的要件を規定しているというようなことを説明されているわけです。お手元の紙の三枚目に今回の法案とアメリカの核廃棄物政策法の項目を並べて示してありますけれども、それを見ていただくとわかるように、確かに基本的要件を規定しているという、言葉はあるにしても、その中身について言えば非常に薄い。アメリカの項目だけを挙げているものの方がはるかにさまざまな項目を挙げているわけですし、あるいは先ほどの坪谷さんのお話の資料の中にも、選ぶところの「安定な地質環境選定(考慮すべき事項)」として、地震断層火山活動、隆起・沈降・侵食、気象・海水準変動、地下資源の存在というようなことが並べてあるということから比べても、ほとんど何も書かれていないに等しいということが言えるだろうというふうに思います。  あるいは、核燃料サイクル開発機構のいわゆる第二次取りまとめの中ではそのことが、可否の要件、いわば除外条件みたいな形と、それから考慮すべき条件として、幾つか挙げられている。そういったことすらこの法律案の中には入ってきていない。  そういうことがきちんと明らかに示されていないとすると、現実問題としては、従来の方法と言われました、先に場所を決めて後から条件がついてくるようなことになりかねない。これではやはり困ったことになるというふうに思います。そういう意味では、きちんとした要件があらかじめもっとはっきり示されるべきであるというふうに思いますし、その要件がきちんと選定されているのかどうかについて評価をするシステムというものも、あらかじめきちんと決めておく必要があるだろうというふうに思っています。  それから、概要調査地区等選定の手続で、都道府県知事、市町村長の意見を聞くことにはなっているわけですけれども意見を聞いた後で、ではその意見に従ってどうするのか。意見を聞いてノーと言われたらばもうそこは候補地にしないということがここには書かれていないわけですけれども、そうすると、一たん決めたところをいつまででも、何遍も何遍もイエスと言うまで聞き続けるようなことにもなりかねない。そういったことについての歯どめというものもないわけですし、都道府県知事あるいは市町村長の意見を聞くときに、住民の意見を聞くことについては全く制度化されていない、そのことも非常に大きな問題だろうというふうに思っています。  それから、金額について、必要な金額が本当に確保されるのかどうかということについて非常に不安です。実際には、今言われている金額よりもはるかに大きな金額がかかるのではないか。しかも、作業が進んでいく、後の方になればなるほどかかってくるときに、今ここで言われているような資金確保の方法で本当に資金が確保できるのかということがあるだろうと思います。  さらに責任の問題について言えば、電力会社の発生者責任ということについて、この法案はやはり非常に軽いと言わざるを得ない。もともと電力会社が廃棄物を発生させているわけですけれども、結局この法案ではその電力会社の責任はどこかへ行ってしまって、処分の実施主体がその責任を負うことになるわけですけれども、その責任の負い方についてもまだはっきりしないところがあります。  特に、埋設が終わった後、閉鎖をしたその後はどうするのかというようなことについての責任の所在というのは、非常にあいまいなままになっていて、通産省の説明資料として事前に配られているものからすると、かなりのところを国が関与するようにも見えるし、きのうあたりの国会の答弁を聞いていると、その辺もまたそうでもないようなことも言われている。非常にあいまいなままになっている。そこはやはりきちんと法律の中に決めておく必要があるだろうというふうに思います。  それに関して言えば、国が最終的に国民の安全を守るという責任はあると思うのですけれども、事業者が本来やるべき責任を国にかぶせるようなことというのは、非常にまずいというふうに思っています。やはり国の責任と事業者の責任ということをきちんと明確に区分することが必要だろうというふうに思っています。  そういったことを含めて、まだまだたくさん問題がある。そのことを本当にきちんと議論するような機会というのがやはり今までつくられてきていなかったというふうに思います。確かに高レベル廃棄物処分懇談会であるとかで意見を聞く会みたいなことを何カ所かでやられたりということもしているわけですけれども、残念ながら、多くの国民がそのことについて本当に一人一人自分の問題としてとらえるようになっているかというと、そうはなっていないというふうに思います。  そういうことからすれば、もっときちんとそういうことができるような時間的余裕がないわけではない。確かに諸外国よりおくれているという話もありますけれども、諸外国が進んでいるといっても、実際にそれによって処分ができているところというのはないわけですから、ここで慌てることよりも、もっと本当に国民的な議論ができるようなことをする方がより堅実なやり方だというふうに思っています。  特に、高レベル廃棄物をどういう形で管理する、あるいは最終処分ということをするにしても、いずれにしてもその施設というのは恐らくだれも引き受けたくないところ、しかしどこかでやらざるを得ないということになるとすれば、そのことを、このままでいったらばむしろ法律はつくったけれども何も進まないということになってしまう。そうではなくて、本当に引き受けるところがきちんとつくられるようにするには、もっときちんとした議論があらかじめ必要だろうというふうに思います。  まとまらない話で大変申しわけないのですが、一応、最初の意見ということにさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  10. 中山成彬

    中山委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 中山成彬

    中山委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜井郁三君。
  12. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 おはようございます。自民党の桜井郁三でございます。きょうは、参考人の皆さん、大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。  私も国会に出て初めて商工委員会に所属させていただきました。そういう中で、このエネルギー問題というのは大変重要なことでございますが、今回の法律についてはまだまだ不十分でございます。そういう意味では、大変貴重な御意見をいただいたことをうれしく思っているわけであります。  そういう中で、今西尾さんから、原子力発電だけで、将来、新エネルギーはいいのだろうか、こういうようなお話があったわけでございますが、いろいろ、地球温暖化対策だとかあるいは新エネルギーをどうしていくのか、こういうような考え方の中で、原子力の位置づけというのをどう考えておられるのか、西尾参考人を除いて三人の方に御意見をいただければありがたいなと思います。
  13. 坪谷隆夫

    坪谷参考人 私は長らく原子力開発の現場におりましたが、いろいろな多くの知識などに基づきますと、原子力は、現状、既に日本の基幹的な電気エネルギーの発生源でございます。特に地球温暖化問題などを見ますと、火力発電について、なかなかこれ以上困難な部分がございます。あるいは、私も新エネルギーについて関心を持ちまして多少勉強いたしましたが、やはり、これが日本の高度な産業技術を維持することができるのには、その量的な面で到底不十分と考えております。  今後かなり長期にわたって軽水炉を中心とした原子力発電に依存することが、日本の経済を維持していく、国民生活を維持していくためには不可欠なものというふうに考えております。  以上でございます。
  14. 近藤駿介

    近藤参考人 私は、最初の意見表明の中で、原子力の位置づけ、利害得失についてお話し申し上げたつもりでございますが、一言つけ加えさせていただきますと、およそエネルギー問題を考えるときに、短期、中期、長期の視点を欠いてはいけないと考えております。  その意味で、短期と申しますのは、今既にもういろいろなものが動いているわけでして、この現状、つまり少なくとも原子力が今我が国電力供給の三六%、三七%を担っているという事実がある。これは戦後五十年の国民のいわば蓄積、財産でございますから、これをいかに有効に使っていくかという観点で考えることが非常に重要なことであって、そういう意味で、原子力が、短期的には少なくとも今果たしている役割を果たさせ、かつ、およそ右左を見渡してみましてもそれに匹敵するものがないとすれば、これを継続的に維持していくということは重要だ。  中期の観点は、しかし恐らく世の中の環境というのは変わっていくわけでございまして、さまざまな不確実性がある。その中でどんな不確実性があるかと考えると、一つにはもちろん、新エネルギーが最もすばらしいエネルギーなのかもしれない。あるいは石油、石炭、天然ガス、そうしたものがもっと便利に使える、例えば炭酸ガスを除去して海の底へ沈めるというような技術が非常に経済的にできて、石炭がどんどん使えるかもしれない。そういう、世の中がどう変わっていくかわからないところがある。  そういうことを考えると、そうした変化する不確実な未来のさまざまなシナリオの中で原子力がどういう役割を果たし得るかということをよく考えてみて、その中でもさらに使っていける技術であるという特徴を原子力に付加していく、そういう活動をしていく、そういう中期的なとらえ方。  それから、やはりエネルギー政策全体としましては、特に申し上げるまでもなく、原子力であろうと何であろうと常に国民に豊かなエネルギーが供給できればよろしいわけでございますから、そういう意味で、さらに知恵を尽くしてさまざまなエネルギー技術を開発していく。これはもちろん原子力をやめるという趣旨じゃなくて、原子力も常に有力な候補たるべく原子力関係者は努力するし、新エネ関係者は努力する、そういういわば未来の市場のシェアを求めてそれぞれがみずから努力するという活動を国はなるべく積極的に支援していく、そういう競争的な活動を支援していく。それが長期的な国の取り組みであると思います。  そういう短期、中期、長期の視点で、それぞれの中で、原子力をメニューから外すということはおよそ考えにくいというのが私の立場でございます。
  15. 小島圭二

    小島参考人 私は、一次エネルギーといいますか、石炭とか石油、そういうものの開発に携わっておりますが、そういう立場からいうと、やはり第一次エネルギーというものは、石炭を除くと、徐々に減衰の傾向にある。原子力も、現状そのままですと、ウランというものにはやはり資源の限度がある。これも原料は第一次エネルギーであります。そういう点から考えますと、やはり第一次エネルギー、特に石炭は、今どなたかおっしゃいましたように、CO2の問題、これは深刻でございます。原子力も、ウランの核分裂だけに頼っていると、まさにこれにも資源の有限さがある。  そこで、日本の現状のエネルギーの使用量、それから現状の今の比率等々を考えますと、やはり原子力というのは近未来もかなり基幹のエネルギーでありますし、さらに核分裂から次の世代へ向けて研究開発をやらないと、相当エネルギーに逼迫する時代が来るであろう。新エネルギーあるいは省エネ、これはもう限度があるものでございまして、どなたもおっしゃるとおり、日本の大消費量に比べたら、当分はやはりそれを全面的に賄うことはできないであろうというふうに考えております。  ということで、現在、それから近未来も含めまして、当分は現状の原子力というものはかなり基幹のエネルギーだと心得ております。
  16. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 もう一つ、皆さんからいろいろ出た中で、安全性だとか国民に対する安心、こういうものを、できるだけ早く実験室だとか実験できるところをつくって、そして見せていかなければならないんだ、私はこれが大変重要なことだろうというふうに思います。特に、情報の公開というのをしっかりしていかないと理解が得られない。  そういう中においては、参考人の中には、早く法律ができることによってそれが早くできるんだというようなお話もあったわけでございますが、公開あるいは国民に見せる、こういうものをどういうような形で早急にやっていくのか。そして、まだまだ国民一般的には原子力の処理の仕方というのはそれほど浸透しているわけではない。そういう中での理解をしてもらうために、どういう方法でどう考えたらいいのかをお答えいただければありがたいと思います。各参考人にお願いします。
  17. 西尾漠

    西尾参考人 今のお話で、地下研究施設、特にそれをいわば見せていくものというふうにもおっしゃられました。そうすると、研究施設というよりは、むしろPR施設に近いのかもしれないと思います。ですから、そういった施設を仮につくるのであるとすれば、だれが何のためにどういうものとしてつくるのかということをきちんとしないと、何だかPR施設を国がお金をかけてつくるようなことにもなりかねない。それは非常におかしなことだというふうに思っています。  あるいは、法律案そのものの中に研究施設については全く書かれていないわけですけれども、むしろこの法律案の中で、では、研究施設についてはどういうふうにしたらいいのかということをきちんと明記をするべきであるというふうに思っています。
  18. 坪谷隆夫

    坪谷参考人 ただいまの先生の、いわゆる深地下、深い地下研究施設につきまして、まずもって研究をする場として極めて重要である、これは原子力委員会ほかさまざまな場でも主張されているわけでございます。また、この研究施設が、単に今御審議なさっております放射性廃棄物問題にとどまらず、例えば日本地下について調べることによって、地震に対して極めて堅牢な構造地下にあるということから、防災上も非常に意味があるのではないかということも考えられます。いずれにいたしましても、この研究施設を進めるためには、処分場計画、いわゆる処分地を決めていく計画とは明確に区別をするということが既に言われているわけでございます。  一方で、この法律の中で、例えば概要調査地を選定する際に、地元の知事さんあるいは市町村長さんの御意向が十分に反映されていくということがうたわれております。そういう観点では、この深地層研究施設につきまして、一方で概要調査地の選定の方で十分地方自治体の御意向がくみ取られるということから、この研究施設が将来そのまま処分地に転用される、処分場に転用されるのではないかという御懸念を払拭するのに非常に重要ともなるわけでございます。これは裏表の関係がございます。  その上に立ちまして、多くの方にとにかく地下深部をごらんいただく。やはり地層処分の問題は、技術の問題のみならず、社会の受け入れという問題でもあるわけでございますので、一日も早く、多くの方に実際に見ていただく、また見やすいように施設を整備していくということが極めて重要と考えております。
  19. 近藤駿介

    近藤参考人 私も最後にそのことを提案して、それを具体的にどうするかということについての御質問といたしますと、その先は詳細に考えているわけではございませんが、基本的なことは、地下もまた我が国の貴重な資源であるという観点から、これを適切に利用していくということについては恐らく国民合意があるというふうに考えるわけです。したがって、それを可能にするために科学的研究を推進するということの重要性、これについても国民各位に合意が得られるところというふうに思うわけでございます。  さまざまな表現がされていますけれども基本的には、こうした地下研究の重要性、その意義の大きさということについて御理解をいただきながら、そうした研究の場をこの我が国の地に用意していく。  既に先ほど、石油備蓄の場合にはそうしたある意味では即応性を考えた合理的選択をなさっていると伺っていますが、しかし、ほかにもたくさん、深部施設というもの、深い鉱山とか既にあるものもこれありで、そうしたものを、引き続き我が国社会に寄与していくことを考えるということも含めて、さまざまな形でそうした研究の場を用意していくということが重要で、それは一つの道だ。  しかし私、もう一つ申し上げたいのは、そのことだけにすべてを託すというのもまたいかがなものか。大事なことは理解を得ることでございますから、方法論としていろいろな技術があるわけでございますので、そうしたさまざまな技術を使って、この問題の、いわば常識と申しましょうか、国民の常識のレベルを上げていくということが重要で、そうしたことでは、例えば最近はやりのバーチャルリアリティーというんですか、情報技術を使うとか、現在既に行われている地下の探鉱活動の状態が地上からすぐ見られるようにしておくとか、そういうさまざまなことでもって国民の地下に関する常識レベルを上げていく、そういうことを知恵を出してやっていくことが重要というふうに考えております。
  20. 小島圭二

    小島参考人 今の地層処分の問題のみならず、現在、科学技術というのは急速に発展していまして、技術の安全ということを地域社会あるいは一般社会に伝達していくというのが非常に難しいことでございます。むしろ、今の地域社会の納得というのは、そういう技術を、ある概観がわかったぐらいのところで、これなら安心だという安心感を得られるということが非常に重要な問題になっている。  そこでまず、今、最先端の技術をどうやって社会に伝達するか、この技術が非常におくれている。これに対して、伝達する側も受け取る側も、科学技術に対しての理解が、あるいは知識が非常におくれているというのが、昨今のアンケートでもよく問題になっている理科教育の、少し貧困とか世界から差をつけられた、こういう問題も絡んで、非常に難しい技術だと思います。  それをやるのに、やはり普通の、一方通行の情報公開ではどうもだめであろう。要するに、社会に根差した、医者でしたら地域の町医者、そういうものに相当するような組織あるいは人、こういうものがいないとだめであろう。世界には割とそういうのがありまして、一部は試みているところもあるというようなことで、伝達技術、あるいは伝達する地域社会との密接なつながりを持つ経路をどうやってつくるかということが非常に重要なことではないかと思っております。  それからもう一つは、特に地下について、日本社会は非常に、どちらかというと不安感、恐怖感を持っております。それに対して、先ほど参考人の方からも出ました、地下をやはり見てもらうということは、もう一つの手法だと思っています。これは私も先ほどちょっと申し上げました石油の備蓄で、あれも危険物の貯蔵タンクでございますので、社会が非常に不安を感じていた。それをほとんどの人に見てもらうことによって、納得した、そういう経験もございます。  この二つ、とにかく社会と密接に技術の伝達を行うということをもう少し心がけるということが、やはり基本になるんじゃないかと思っております。
  21. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 西尾参考人にお伺いをしたいんですが、地層処分だとか、処分というのはこれからまだ時間をかけてもいいんだというようなお話があったわけであります。ヨーロッパやアメリカから日本が既にもう三十年ぐらいおくれておる、早くやらなければというようなことがあるわけでございますが、そういうようなことをどう考えるのか。  あるいは、今もう既にあるものを地上にそのまま置きっ放しにしておいた方がいいのかどうか。早目に何らかの処理をしていかなければならないんだろうと思うんですが、その辺のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  22. 西尾漠

    西尾参考人 早目に対策をきちんと考えていかなくちゃいけないというのは、おっしゃるとおりなんだと思うんですね。ただし、早目にというのが、例えば今度の国会でこの法律をつくらないとというような早さでは全くないということを申し上げているのでありまして、いつまでも置いておいていいということを言っているわけでは全くないんですね。  そういうことからすれば、もっときちんとした議論をするべきことがたくさんあるわけですから、むしろその意味でいえば、今回この法律案が出たということを一つの契機にしてもっと大きな議論をして、なるべく早く方策は決めていく必要があるというふうに思っています。  海外に比べておくれているというお話ですけれども、先ほども申し上げましたように、法律とかをつくったからそれで済むというわけではありませんので、法律をつくってしまったことがかえって後を硬直化させるということもあり得るわけですから、むしろ最初の段階にきちんと時間をかけるべきだというふうに思います。
  23. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 ありがとうございます。  近藤参考人にお伺いしたいんですが、廃棄物最終処分を講じましたら、これからの原子力発電廃棄物問題はすべて解決するものなのかどうか、その辺のところをお伺いしたいと思うわけであります。
  24. 近藤駿介

    近藤参考人 原子力発電にかかわる廃棄物は、御高承のとおり、発電所の使用の廃棄物というのはいわゆる低レベルの廃棄物。それから、今の法案にあります再処理にかかわる、従来我々が高レベル放射性廃棄物と呼んでいるこういう廃棄物以外に、さらに原子力発電所の解体に伴う廃棄物、これはさまざまな種類、範囲があるわけでございますが、それをどう考えるかということ。それから、ウラン等、燃料の加工施設から出てきます廃棄物、これは、いわゆるウランとかその他のアルファ放射体を含む廃棄物、こうしたものがあります。  現在、処理が実用化していますのは低レベルの放射性廃棄物であり、現在まさに制度をつくろうとしていますのは高レベルでありますが、その他につきましても鋭意今、原子力委員会、原子力安全委員会でその取り扱いについて議論をしているところでございます。  この最終処分というのは、いわば一つの大きなカテゴリーとしては非常に重要な部分を占めますが、これだけ、つまり再処理廃棄物だけを処理すればすべての廃棄物処分がなくなるかというとそうではなくて、今申し上げました、そのレベルが非常に低くて、クリアランスレベルという言葉を使っていますが、事実上自然物と同じに扱っていいと考えられる、発電所からの解体にかかわるコンクリートとかそういうものをどう扱うかということについての国民的理解を得ていくとか、それから、ややレベルが高いものをどうしましょうとか、そういうことについて順次、しかし大きく分けますと、低レベルとして扱うのか、高レベルとして扱うのかという、大きな枠の中にそれぞれどうおさめていくかということを今後も議論していく必要があるというふうに理解していますし、現にそういう議論がなされているところでございます。
  25. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 私の質疑時間が終わりましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  26. 中山成彬

    中山委員長 島津尚純君。
  27. 島津尚純

    ○島津委員 民主党の島津尚純でございます。それぞれの参考人の皆様方には、きょう、御多用の中、御出席をいただきまして貴重な御意見を賜りますことを、まずお礼を申し上げたいと存じます。  では、御発言の順序に従って、四人の参考人にそれぞれ質問をさせていただきたいと思います。持ち時間は二十分ということで、四で割りますと五分ということでありますので、その範囲でひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  では、まず小島参考人からお尋ねをさせていただきたいわけでありますが、いろいろな参考人のお書きになったもの等々を読ませていただいていますと、地層専門家であるというようなことであります。そういうことで、きょうお話しいただいた中でお聞きをしたいわけですが、日本の建物を建てるときの社会的な環境として、まずその社会的な条件というものが第一に来て、その後で、そのような地層といいましょうか、そういうものに合わせていく設計技術を持っているんだというようなお話を聞きました。  それで、私たち素人の一般的な考えでいきますと、今回の特に高レベル廃棄物最終処分といいますのは、それよりもやはりまず第一に、地層条件というものが完璧であるといいますか、最大の優先課題として来て、それに設計が後からついていくというようなことが第一ではないかなというふうに考えますが、私たちの普通の考えとちょっと違ったものですから、それを聞かせていただきたいというのが第一点であります。  それから、西尾参考人からもお話がありましたけれども地層処分という中で、欧米の流れというのがだんだん回収可能というような流れになってきておるんではないかというようなお話もありましたし、参考人の方からもそのようなお話がありました。地層処分だけれども回収可能性を確保するということは、私たちも、それの方が国民の皆さん方は安心をされるんじゃないかな、説得力があるんじゃないかなとこういうふうに思うんですが、この二点につきまして御質問させていただきます。
  28. 小島圭二

    小島参考人 まず第一点でございますが、おっしゃるとおりのことがございます。  私の言いたかったのは、その後の方にあります、地層設計条件というのは、逆にそれで対処できる部分があるので、それも勘案した上でないとここがいい悪いという最終判断ができないだろう、その辺が重点でございますということでお答えになっていますでしょうか。  それから、先に二番目のお話をいたしますと、回収可能性等でございますが、これも一つ方法ですが、かなり、やはりコスト等を含めまして、できないわけじゃないけれどもという、安全性、経済性が絡んでの話でございます。  そこで、いろいろな方法があると思います。私も先ほどの陳述の中で申しましたように、例えば緩いモニタリングというのも一つあります。地層特徴としまして、地層というのは、ある異常があってからそれが拡大するまでに非常に時間がかかります。地表で、原子力発電所で、何か事故が起こると一瞬にして空気中を拡散する事故とは、そこが非常に違う。ここが地層処分の、地下というメリットであります。  そういう点を考えた策というのが幾つか考えられると思いまして、その一つに、世界で言っている再取り出し制とか、それからモニターの強化とかいう話がございます。そういうことで、どれが適切であるか検討の余地がある。  申しましたように、まだ世界でも取り組み出したというところでありまして、本当にそれがどこまで行くかということは、きちんと詰めてというところまではまだ行っていません。日本もそのしょっぱなを始めてもいいんじゃないかというところで賛成でございますということでございます。
  29. 島津尚純

    ○島津委員 小島参考人に追加でもう一つ聞かせていただきたいのは、例えば回収可能性ということを残した地下処分場の建設ということになった場合に、設計とか構造というものはやはり変わってくるんじゃないか。埋め戻したけれども、もう一回取り出す可能性ということになってきましたら、構造設計等々は変わってくるんじゃないかなというふうにまた一般的に考えるんですが、先生はどう考えられますか。
  30. 小島圭二

    小島参考人 まさにそのとおりだと思います。ですから、設計絡みでどれがいいかということは、再取り出しすればいい、後でそれを今つくった形からということよりも、最初からそういう、オプションシナリオと申しましたが、別なシナリオを考えた上でこういうことも成り立つかどうかということを議論していかないといけない。ですから、並行してそういうこともそろそろ考えていかないといけません、そういう意見を申し上げたわけでございます。
  31. 島津尚純

    ○島津委員 大変先生ありがとうございました。  次に、坪谷参考人一つお尋ねをさせていただきたいと存じます。  参考人が所属されていらっしゃいます核燃機構で、昨年の十一月ですかね、地層処分研究開発に対する第二次取りまとめ報告というものが出されまして、この地層処分に適する我が国地層というものは広く分布しておるというようなことが発表されたというふうに聞いておりますが、例えば、地層的にはいろいろあるかもしれないけれども、しかし、今度は地表の問題、人口の密集地が近くにあるとかいろいろな問題を考えていったときに、絞れる候補地といいましょうか、そういうものはどのぐらいの数になってくるんだろうかなとこう考えるんですね。まずそれが一点。  それからもう一つは、皆様方もおっしゃっておりますけれども、国民の皆様方に御理解をいただけるためには、やはり地層研究施設というもの、モデルみたいなものをつくって、そして多くの国民の皆さん方に見てもらって、耳で聞くよりも目でまず見てもらって、だから安心なんですよというような研究施設の建設がスタートの第一だろうなと私も思います。  ところが、例えば岐阜県の東濃地区、あるいは北海道の幌延ですか、こういうところで今いろいろな実験をやられているんですけれども、こういうものはありませんね。ないのは、やはり地元の皆さん方が、そういうものまではつくってもらっちゃ困る、そういうものまでつくってもらったら、もうそれがそのまま最終処分場になっちゃうんじゃないかなというような気持ちを持っておられることは確実ですね。そのために、こういう施設というものが必要だと言われながらもできないんじゃないかと思うんですけれども、その辺の二点を聞かせていただきたいと思います。
  32. 坪谷隆夫

    坪谷参考人 まず第一の、第二次取りまとめに関連いたしましての御質問でございます。  先生の御質問は、どちらかといいますと、いわゆる社会環境の課題でございます。この第二次取りまとめ——まずその前に、今私は財団法人原子力環境整備センターにいるわけでございますが、核燃サイクル開発機構が中心となって取りまとめましたものについては、技術的に広く日本にその地層があるのかどうかということが中心でございました。  それで、もう一つ地層処分場所を探していくという観点では、社会環境が非常に重要でございます。これは既に諸外国でも、スウェーデンでもそういうことの調査をやって、その技術的な地質環境とあわせて、本当に処分場としていい場所があるかどうかということを探していくということでございまして、先ほどの御質問にお答えしますと、どのくらいの数かという御質問は大変答えにくいわけでございます。  これは、処分場の面積と申しますと、数平方キロぐらいでございます。ちなみに、適切な例かどうかわかりませんが、ゴルフ場の大きさぐらいなんですね。人口の問題と地質の問題とあわせまして、そういう場所が果たして幾つあるかというのは、日本列島の地図を広げますと、実はだめな場所をまず決めていくということが、私ども報告書、第二次取りまとめにございます。  例えば、火山の近傍で、今有珠山が噴火しておりますが、火山によって地下水影響を受けているような場所は避けよう。あるいは、断層で破砕帯があるような場所は、断層の問題として直接影響がございますので、そういうところは避ける。そういう技術的なことでだめなところをまず押さえていこう。  一方、実施主体ができますと、やはり社会環境というものについて十分勉強をなさるというふうに私は理解をしております。  それから、深地層研究施設につきまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、この研究施設についての課題は、そこがそのまま処分場になるのではないかという御不安だと私は理解をしております。  そういう点で、今回の法律案で、概要調査地の選定が地方自治体の御意向を十分酌んで選ばれていくということになりますと、私の理解では、例えば今の岐阜県は、あそこを処分地にしないでもらいたいという御意向でございますので、そういう場所を実際に実施主体が考えたといたしましても、なかなか処分地にしていくことは難しいというふうに私は理解をしているわけでございます。  いずれにいたしましても、先生御指摘のとおり、一日も早く地域の御理解をいただいて、この研究が円滑に進むように私は祈念をするものでございます。ありがとうございました。
  33. 島津尚純

    ○島津委員 ありがとうございました。  次に、近藤参考人にお尋ねをさせていただきたいと存じます。  まず、近藤参考人のただいまのお話の中で、処分場選定する場合に大事なことは、地元の知事あるいは市町村長、また住民の皆様方の気持ちというものを大事にすべきだというようなお話がありました。昨日のこの商工委員会の審議の中でもそういう議論がたくさんありました。  その中で、通産大臣の方からは、意に反した立地の選定というものは行わないというような明確なお話があったわけでありますけれども、まず、この点につきまして、参考人、地元の理解ということにつきましてどのようにお考えになっていらっしゃるか。今私が申し上げたように、やはり地元の首長の皆さん方の御意見というものは特に大事にしなければいけないということだろうと思いますけれども、その辺について一点お伺いさせてもらいます。  さらに、この地層処分にかわり得るものとして、いわゆる放射性核種の消滅処理技術ということの研究が諸外国でなされておりまして、我が国でもされているわけですが、まだまだ基礎研究的な段階であって、実用化するためにはまだ相当長期的な時間がかかるというようなことになっております。その技術的な開発のスピードと、それからいま一つの回収可能性という問題もリンクしてくるんじゃないかなと思うわけでありますが、この消滅処理技術の見通しについて、お答えをいただけたらありがたいと思います。お願いいたします。
  34. 近藤駿介

    近藤参考人 第一の、敷地の各種の各段階選定プロセスにおきまして、地域社会の御理解をいただくべきとするところにつきましては既に申し上げたとおりでございますが、重ねて、その重要性については委員お話しのとおりでございまして、我々日本社会はさまざまな機会に、成田等々を踏まえまして、多くのことを学んできたわけで、そうしたものを踏まえて、今後ともより合理的あるいは民主的な手続に基づいてこうした公共施設の立地がなされていくべきだというふうに考えているところでございます。  例えば、最近カナダが、技術的には合理的な選択がなされたけれども国民の理解がまだ不十分であるところを、先に一歩、歩を進めることはいかがか、そういうようなことをしかるべき諮問委員会が答申したこともございます。我が国社会におきましても、先ほど来御紹介のように、原子力委員会におきましては、二年余の懇談会の審議におきまして、全国各地において意見を聞く会を行い、総合エネルギー調査会原子力部会もこのことについては全国四カ所で御意見を聞く会を催しまして、大変厳しい、あるいは励まし、そういう御意見をいただいているところでございます。  しかし、とてもこの程度で済む話ではないわけでございまして、引き続き御理解をいただくプロセスを十分に進めていくことが重要で、しかも、それに基づいて適切な判断を自治体の長からいただけるものというふうに考えているところでございます。  二番目の問題、簡単に申し上げますと、結論を先に申し上げますと、このいわゆる消滅処理、実際よく調べてみますと完全に消滅するわけではないので、最近これは分離変換技術というふうに原子力委員会では表現を変えたわけでございますが、これによりまして廃棄物の量を変えることができる。しかし、すべての高レベル廃棄物のカテゴリーに属するものがなくなってしまうわけではなくて、やはりこの形での処分をすることは引き続き必要になる。  量が減るというふうにお考えいただいた方がいいわけで、そのうちにはこれができるかもしれないから、これを待って、その結果を見てからこの事業に取りかかるべしという御議論には賛成しがたくて、やはり、これも重要、あれも重要ということで、大変ずうずうしいかもしれませんけれども、しかし責任ある立場としては、ぜひにこれをまず進めて、もし将来においてその技術ができれば、さらに引き続き設置するべき地層処分場の数が減るというふうにお考えいただくとよろしいと思います。
  35. 島津尚純

    ○島津委員 大変ありがとうございました。  最後に、西尾参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。  西尾参考人のただいまの御意見でございますけれども、その中で、原子力安全委員会の役割について述べておられます。今回提出されました法案の第三条第三項に、大臣が基本方針を定めるときには原子力委員会意見を聞かなければならない、さらには安全規制に対しては原子力安全委員会意見を聞かなければならない、このように定められているわけでありますが、このような表現だけでは十分ではないというふうにお考えなのかどうか、一つ。  それから、いま一つは、これもきのうの審議の中で出てきた話でありますけれども、この費用を、拠出金を取るという話があります。  電力会社が今後の電気料金にオンさせてその拠出金を集めていくというようなことなんですけれども、その場合に、既に部分自由化されてしまった二八%の大口需要家、新規参入が当然あってくると思いますが、その人たちにはオンをされないということに対する不公平感がありますね。そうした場合に、この新規参入者は現在の電力会社の送電設備を使って託送をしていくわけでありますので、その託送料金の中に、例えば一キロワットアワー当たり十四銭なら十四銭のものをオンさせたら公平になるんじゃないかな、私はこのように考えておりますが、この二点についてお伺いさせてもらいたいと思います。
  36. 西尾漠

    西尾参考人 まず初めの、原子力安全委員会の役割なんですけれども、この法律案の中で「安全の確保のための規制に関するもの」というふうに限られていて、しかもそれは「前項第四号及び第五号」ということで、例えば最終処分基本的方向といったようなことについて、あるいは概要調査地区、精密調査地区等の選定に関する事項とかそういったことについては安全委員会意見を聞かなくてもいいことになっている。これではやはり本当の意味での安全確保にはならないのではないかというふうに思っています。その意味からすれば、基本的方向というところからきちんと安全委員会意見を聞くべきだというふうに思います。  それから二番目の話、まだちゃんと考えていないんですけれども、確かに、託送料金の中に入れることによって、その分の不公平さをカバーすることは可能なのかもしれないということはあります。それはきちんと考えてみたいと思うんですが、実は、不公平さというのはその点だけにあるわけではなくて、結局、今の時点で想定できないさまざまな費用、いわゆる立地対策の費用等も含めて、そういったものについてはどんどん後へ送られていって、やはり後の世代が負担することになりそうだ。そういうことの不公平感というのは、今おっしゃっているような技術的な対処でできるかどうかということについては、なかなか難しいというふうに思っています。
  37. 島津尚純

    ○島津委員 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
  38. 中山成彬

    中山委員長 西博義君。
  39. 西博義

    ○西委員 公明党の西博義でございます。  きょうは四人の先生方の貴重な御意見を拝聴いたしまして、まことにありがとうございました。時間が短いものですから、早速質問に移らせていただきます。  小島先生からお願いをしたいと思います。  長い間地質研究をされていた、その貴重な経験をもとにお話しいただいたのですけれども、先ほどからも若干議論になっているのですが、サイト特定することによって初めて設計というものが確定するということだと思うのですが、このサイト特定の件で、総合エネルギー調査会の原子力部会の中間報告にも、十一のケースにわたって、それぞれ設定条件に応じた所要の費用というのが出ております。  私、ちょっと見せていただいた感じ、岩盤もいろいろ、堆積岩があり、花崗岩がありという、条件もそれぞれ変えてやっていらっしゃいますけれども、意外におさまりがいいのかな、そんなに費用は変わらないという結果に少し驚いているのですが、率直に先生が今この事業をされるとして、今までの経験から、こういう感じで大体よろしいというふうにお考えなんでしょうか。
  40. 小島圭二

    小島参考人 費用については、もう御存じのように、いろいろな条件がありますので、非常に誤差が多いものであるということを前提として考えまして、しかしこのごろ、コストということを必ず考えていかないと、事業それから地域社会も納得しないというところでこういうやり方になってきておりまして、今のこれを見た点では、前提が幾つかありますが、それは、一般的に考えられる前提としてとれば、絶対値のばらつきはあるとしても、比較した、相対的な費用としてはそんなに外れた線は行っていないんじゃないかというように考えております。
  41. 西博義

    ○西委員 大体一割前後の振れのようでございますが、その間に入りそうというふうに考えてよろしいかと理解させていただきました。  さらに、先ほどからいろいろ議論がありました、例えば回収可能性とかいうオプションをつけるとか、その後若干モニタリングができるものが欲しいとかいう、この設計には入っていないと思うのですが、仮にそういうことが考えられたとして、その振れの幅の範囲というのはどういうふうな幅だとお考えでしょうか。
  42. 小島圭二

    小島参考人 先ほども申しましたけれども、恐らく、回収とかオプション、そういうものをやるには、やはりシナリオが初めから違ってくるのではないかと思います。ですから、その辺から検討し直す、その技術的データというのは、まだ世界でもそんなに集まっていない。だから、現在国際的なコンセンサスでやっているシナリオとあわせて同等の比較というのは今できないんじゃないかということで、それも、世界に肩を並べるといいますか、やはりそろそろ始めないといけないんでしょうかという意味で言ったのは、その辺も含まれております。
  43. 西博義

    ○西委員 よくわかりました。  それから、先生の御指摘の、非常にそのとおりだなと私もうなずいたのは、計画変更の余地を残しているという今回の法案の仕組みでございます。逆に西尾先生は、そのあいまいさを指摘されているというふうにも思うのですけれども。戦後、この放射能の平和利用という時代、約五十年を経て、地層処分ということを今考えようとしているのですけれども、その五十年という時間感覚と、これから数百年にわたって管理をしていくという、この時間との、また学問レベルで技術レベルの進展ということから考えれば、私は確定する必要はないんじゃないかというふうに基本的には思っております。  ただ、確定しないといっても、これからその事業をするためのお金を集めるための基礎データ、どれぐらいのお金が要りそうだという積算の根拠は何らかの形で要るから、そういう意味でこういう幾つかのケースについて計算をされたというふうに思っているのですが、それについては全く私も同感でございます。  それから、この地層処分シナリオオプションをつければつけるほど、やはり住民の方の意向に沿うといいますか、国民の意向に沿う形にこれからなり得るのではないかというのが、先生の安全性という観点からの御主張だと思うのですが、これについて先生は幾つか具体的なことも挙げていらっしゃるのですが、今後、こういう方向は非常に可能性がある、こういうものがございましたらひとつお教えを願いたいと思います。
  44. 中山成彬

    中山委員長 参考人に申し上げますが、委員長の許可を得てから発言してください。
  45. 小島圭二

    小島参考人 今、オプションで一番対立しているといいますか、これが、人手を離れた処分と、それからいつまでも管理しようという、この二つであります。  そういうものを並べて、ここではどっちがいいんだと、その間にいろいろなケースがあると思いますので、ただそれを地域社会が、これだ、あれだというので自分で提案するというのは、恐らく、技術が多岐にわたっていますから難しいでしょう。そういうことで、やはり提案をして地域が選択できる余地を残す、その中で、地域がどの辺なら容認するかという一つの道があるのではないか。そのやり方についてはいろいろあると思います。  そういうような意味で、一番対立している概念というのは今の二つであります。これについてもいろいろ長い間議論されて、それのよしあしが議論されているところであります。細かいことでありますが、例えばの例としてはそういうところが両極端でございますということだけ御返答させていただきます。どうもありがとうございました。
  46. 西博義

    ○西委員 続きまして、坪谷参考人にお伺いをしたいと思います。  今までの地層処分等の経験を生かして、非常に具体的なお話をいただきました。基本的なことでお伺いをしたいと思うのですが、数百メートルないし千メートルぐらいまでの地層を掘るということを考えていらっしゃるのだと思うのですが、保管をした場合には、通常は地下水がしみ出してくると思うのですが、この状態というのは、埋め戻すことも含めて考えていただいていいのですが、全体が地下水に一応満たされるというふうに、数百メートル下の保管しているところが地下水に満たされている状態を想定して我々は物事を考えたらいいのでしょうか。まず、そのことについてお伺いしたいと思います。
  47. 坪谷隆夫

    坪谷参考人 御指摘の点につきまして、特に処分場を、いわゆる専門的には帯水層と呼んでおりますが、地下水のレベルより深いところにつくる国々は、すべて、地下水で満たされるということを前提にした処分概念でございます。  地質の中には、例えばドイツがいい例ですが、岩塩の中に処分場をつくるという考え方があるわけでございまして、岩塩は全く水を含まない、そういう環境であります。それから、アメリカのユッカマウンテンという候補地がございますが、そこは地下水のレベルよりも高いところに処分場をつくろうという考え方であります。日本を含めまして、カナダ、スウェーデン、スイス、フランス、いずれも地下水で満たされるということを前提にして、徹底的に地下水対策をしていく処分概念でございます。
  48. 西博義

    ○西委員 としますと、地下水対策最後おっしゃいましたけれども、それは、満たした状態の上で、地下水のいわば移動というか循環といいますか、そういうものをどうするかということになるんでしょうか。
  49. 坪谷隆夫

    坪谷参考人 そのとおりでございます。
  50. 西博義

    ○西委員 そうなりますと、これもまた素人考えで申しわけないんですが、もちろん地下水面以下のところに設置した場合のことなんですが——その前に、大体、日本では地下水の水面というのは一般的にどんなレベルなんですか。
  51. 坪谷隆夫

    坪谷参考人 ケース・バイ・ケースでございます。  例えば海のそばなどをちょっと頭に入れていただきますと、もうすぐそば、すぐ深いところに地下水でございます。しかし、内陸になりますと、地下水の深さというのはもうちょっと深いところにございます。決して、海の深さ、海水面より深いというほどではございませんが、場所によって異なるわけでございます。
  52. 西博義

    ○西委員 埋め戻す場合に、花崗岩でもよろしいんですが、長年堆積したところに比べて、後から埋め戻す部分の地層といいますか、その水の移動、またその境界、埋め戻すところともともとの岩盤との境界というあたりが、やはり水の移動からしたら通常の自然の岩盤よりも大きいのではないか。計算によりますと、地表まで千メートルあたりから水が循環してくる時間ですね、大体一万年、たしか十の四乗という計算結果が出ていたと思うんですが、本当にそういうレベルまでいくような技術なのかどうかというのが若干心配なんですが、埋め戻すことによる影響、そこの部分の影響というのを教えていただきたいと思います。
  53. 坪谷隆夫

    坪谷参考人 今、地層処分の概念では、埋め戻す材料を何にするかということにつきましては、例えば粘土で埋め戻してしまおうとか、そういうことも考えているわけでございます。  粘土は、先生御案内のとおり、もともと水を通さないとして人類が昔から利用してきたわけでございます。沢の水などというのは、その下に粘土とか水を通さない岩盤があるから沢がそのまま上を流れていくわけでございまして、粘土でしっかり封入をすることによって、そこは地下水の流れはとまります。後は自然の環境になります。  それからもう一つは、処分場の大きさが数平方キロということでございますので、大きな地下水の流れの区切りという観点から申しますと、それほど大きな面積で地下粘土で埋めてしまうというわけではないわけでございます。計算上は、地下水粘土の周りをみんな避けて通るという答えが出ているわけでございまして、まず一点、そういうことであります。  それから、地上まで水が戻ってくるのにどのくらいかということでございますが、これは、コップの中に水を入れておいて、この水がどうなるかというと、対流のような形で水がぐるぐる回るということでございますが、熱対流がなければそのまま水はとどまっております。あとは、この中に廃棄物を置きますと、拡散という現象地上まで来るということを考慮すればよろしいわけで、一概に何万年で地上に水が戻ってくるということを決めつけるものでもないというふうに思っております。
  54. 西博義

    ○西委員 わかりました。  次に、近藤参考人にお願いをいたします。  先生の原子力発電全体に対する基本的なお考えもここに記述していただいていますので、基本的には核燃料サイクルをさらに充実させていって、その中で、再処理をした高レベル廃棄物を今回の地層処分をする、こういう流れを基本的に踏襲されているというふうに思うんですが、このときに、今は「もんじゅ」もごらんのような状態で研究が中止されているという形の中で、プルトニウムの消費という面から見ますと、プルサーマルが今唯一と言ってもいい利用ではないかというふうに思うんですが、一方、そのプルサーマルも、なかなか現実には発電所の数がふえていく段階にはない。  こういう状況の中で、プルトニウムのバランス、それを少し長期的にどういうふうに持っていくかということが大きな問題になってくるというふうに思うんです。それが一つ、まずそれをお答えいただきましょう。
  55. 近藤駿介

    近藤参考人 プルトニウムバランスの長期的展望ということに関して御質問でございますが、原子力委員会が掲げた我が国の原則は、使う当てのないプルトニウムはつくらない、そういう原則になっているかと思います。その観点で、例えば二〇一〇年とか、あるいは二〇一五年とか、そういうある程度期間を考えて、その間にどういう消費需要があり、それに対してどういう生産があるかということのバランスをとって、これまでのところ、バランスがとれるように基本的には研究開発とプルサーマルでこれをこなしていく、これは御高承のとおりでございます。  これに関して、おっしゃられましたように「もんじゅ」が、これから先どうなるかわかりませんが、原子力委員会あるいは円卓会議等では研究開発のためにこれを運開すべし等の御提言をいただいているところでありますが、それが最終的にどうなるかはわからないということはおっしゃるとおりでございます。  したがって、短期的にはプラスマイナスのプラスサイドに振れるということもあるわけだと思いますけれども、しかし、余剰を持たないというのをどこまで詰める、毎日毎日のバランスをとるのが果たして合理的な議論かということを考えますと、やはりそれは余り常識的ではないわけで、ある程度の合理性、要するに国際社会に誤解を与えないというところがポイントであるのと、それからもう一つ、およそ事業としてむだなことはしないという原則もあるということを含めて、二〇一〇年なり一五年なりの長期展望の中で今考えますと、計画されているプルサーマルが円滑に進められるとすれば国際社会に十分説明可能な状態になるということを考えております。  プルサーマル、確かにスタートでつまずきまして、私どもいろいろな機会に総合エネルギー調査会の原子力部会の結論として国民の皆さんに御説明申し上げたところと背馳してしまって、私自身も困惑しているところはあるわけでございます。しかし、物事がすべて完璧に進むということを期待するのもまた間違っているわけでございまして、そうした困難を克服しながら、しかし努力されているようでございますので、私はここはひとつ前向きに考えて、二〇一〇年なり一五年ではちゃんとバランスがとれる形で物事が進んでいくというふうに考えて、それを今徹底的に見直せというようなシチュエーションにはない。  原子力委員会で今、長期計画の見直しの議論をしていますけれども、そこでも、それを全く見直せというような御議論はいただいていないというふうに理解しております。
  56. 西博義

    ○西委員 もうあと時間が二分ということで、西尾参考人には時間がなくなってしまうかもしれません。もう一問だけ近藤先生にお伺いしたいことがございます。  この先生の最後の三の六のところでおっしゃられた、先ほどもちょっと質問があったのですが、住民に対する説明または住民の意見聴取等のことでございます。  私、午後の質問でちょっとやらせていただくつもりで準備しているのですが、実は産業廃棄物の処理施設の場合にも、この間の法律改正によって、環境アセスメントをやり、それから住民の意見を聞くというところまで踏み込んでおります。それに比べると、これは数はたくさんというわけではありませんけれども、非常に重要な、また長期にわたる計画ですので、それぐらいの仕組みといいますか、やはりそういうものをつくるべきだというふうに私は提案申し上げようと思っているのですが、たまたまこういう御主張をなさいましたものですから、先生の御意見をちょうだいしておきたいと思います。
  57. 近藤駿介

    近藤参考人 そのことについてこの法律で、その手続まで書くべき法律かどうかという問題があるわけでございますが、少なくとも、産業廃棄物基本方針等について閣議決定等も行うような形になっているかというと、恐らくそちらはそちらでまた別のコンテクストというか政治的な了解の中で設計されているわけでして、この法律の趣旨は、基本方針というものについてさまざまな国家的なレベルでの議論を踏まえた決定をするということでございますので、当然、国家的な決定を行うときに住民の意向を無視した決定というのができないことはさまざまな事例が示しているところでございまして、私はそのことに関しては、最後に申し上げましたように、むしろ国会が適切に御指導していただくのが適切ではないかなというふうに考えております。
  58. 西博義

    ○西委員 時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  59. 中山成彬

    中山委員長 青山丘君。
  60. 青山丘

    ○青山(丘)委員 四人の参考人の皆様には大変ありがとうございました。非常に有意義なお話を聞いて、私は感謝しております。ぜひこれからも引き続き御指導、御教示をいただきたいと思いました。ありがとうございます。  そこで、私も少し述べさせていただきたいと思いますが、現在の我が国の電力を取り巻く状況というのは、景気低迷が続いてきておりましたので、電力需要は横ばいの状況にあると私は見ております。  一つは、民生の面で見てまいりますと、生活水準が非常に高くなってきておって、クーラーなどを初めとして家庭用の電化製品が相当普及してきておる。それから、業務用で見てまいりますと、インターネットのいわゆる情報通信機器が普及しておりまして、電力への依存はこれからなお強まっていくであろう、私はそういう気がいたします。とりわけパソコンやインターネットなどのいわゆる情報技術関連産業は成長を続けておりまして、これからの我が国の産業の牽引力になっていくであろうと私は期待しておりますが、その意味でも、従来にも増して電力の安定供給が強く求められてくる、それから質の高い電気の供給が要求されてくると私は考えております。  そこで、一つは、現在、重要な地球的規模の対応が必要であるCO2の発生を抑制していかなければならない問題。それからもう一つは、省エネに対する意識が高揚しておるという問題。しかしながら、現在私どもが強く期待しており、また取り組んできたところでありますが、景気回復による電力需要は今後増大していくであろう。これに対する対応についても考えていかなければならない。  そこで、先ほど近藤参考人のお話を聞きますと、現在、原子力発電の発電量、電力供給は、全体の三六・八%を占めている。我々の経済社会や日常生活を大きく支えてきている原子力発電、非常に意義がある。しかも発電時にCO2を排出しておらない、この点でも意義は非常に高い。  実は、私の地元であります中部電力は、東京電力や関西電力に比べまして原子力発電は幾らか少ないようでございます。しかし、電力の施設で見てまいりますと、ここでも原子力発電は一六%、発電された電力量で見ますと約二〇%を占めている。重要なベースロード電源として位置づけられておりまして、こうした状況の中で、電力供給に重要な役割を果たしてきている原子力発電から生じる高レベル放射性廃棄物処分の問題、これは国民的な観点から早急に取り組んでいかなければならないと私は思います。  その際、高レベル放射性廃棄物処分のあり方、それから費用負担の問題、これに対して、現実に原子力によるさまざまな恩恵を享受している我々の世代の責任だという理解が必要ではないか、こういうふうに私は考えておりまして、将来の世代にこのような負担を先送りするというのはできるだけ避けていきたいし、いかなければならない。我々の世代の責任であるこういう問題について、コメントがありましたらひとつぜひ述べていただきたいと思います。  そこで、それに加えて、まず小島参考人にお尋ねいたしたいと思いますが、我が国は大陸と違いまして地殻変動が大きい。実は私は全く地質学の面では素人でして、何もわからない一市民と思って、ひとつこの機会に幅広い国民の皆さんに教えていただくという意味で、地質学の専門家として、今回の地層処理に適している地質構造を有する地層というものが、私は率直に言うと我が国はもしかすると少ないのかな、いや、そうではなくて意外と幅広くあるのか。地域における理解や協力という問題ではなくて、地質学的にそういう地層がさて少ないのか多いのかという点について、ぜひひとつこの機会に幅広い国民に説明をいただきたいと思います。     〔委員長退席、河本委員長代理着席〕
  61. 小島圭二

    小島参考人 確かに、北欧は非常に岩石がいいと言われております。それに比べると、日本というのはやはり変動帯といいまして、これは生活レベルの時間じゃないですけれども、ゆっくりゆっくり地殻が動いている。それによって岩石、岩盤には傷が多いですし、断層ですとか割れ目ですとかが多い、そういうところがかなりございます。  ただし、今のレベルでの話というのは、非常に大きく地球規模といいますか、日本列島あるいはスウェーデン、フィンランドという国単位ぐらいで見たときの総論でございまして、日本も今、地層処分をやる大きさというのはせいぜい一キロから二キロ四方でございます。その範囲でいいますと、日本にもそれ相当のいいところがあります。  現に今、石油のタンク、さっきちょっと話しましたが、地下にかなりの量の石油を入れている大規模なタンクがございます。それは日本の中でも非常にいい岩盤を使っております。断層等々はございますけれども、普通に海外とも勝負できるぐらいあります。  それと、卑近な例で石切り場を想定していただければいいと思うんですが、石切り場というのは、ある大きさの範囲に割れ目もほとんどない、断層もない等々を考えますと、これも先ほどのサイト選定の手順になりますけれども、その大きさで考えると、日本日本なりに、かなりの場所にかなりのいい地点があるというふうに理解していただいていいんじゃないかと思います。
  62. 青山丘

    ○青山(丘)委員 ありがとうございます。  小島参考人にもう一点。地層処分において、今のお話で十分安全を担保することができるであろうというふうに理解させていただきました。そういうふうに前向きに理解していくべきであろうと思います。それでよろしいんでしょうか。
  63. 小島圭二

    小島参考人 はい。基本的にはそういうことでよろしいんじゃないかと思います。
  64. 青山丘

    ○青山(丘)委員 それでは、坪谷参考人にお願いをいたします。  核燃料サイクル開発機構に在職をされて、去年、技術評価報告書の作成に当たられて、特に地層処分の調査それから技術開発研究を進めてこられた立場から、先ほど御説明をいただきましたように多重バリアシステムの採用を進めてこられました。我が国における地層処分技術的な有効性、我が国における地層処分技術的に見通しが立ち有効であるという点についての考え方を、ひとつぜひお聞かせいただきたいと思います。
  65. 坪谷隆夫

    坪谷参考人 先ほども申し上げましたとおり、地下水の存在するような深い地層において、多重バリアシステム、特に地下水対策というものについて十分な方策を講ずるという考え方が極めて重要でございます。  幸いにしてと申しましょうか、人類は、例えば粘土、例えば鉄、あるいはガラスという、非常に長い期間人類とともにしてきた資源あるいは物質に周りを取り囲まれているわけでございまして、そういう知識を十分に活用して、まず人工的な設備を地下深部につくったわけです。いわゆる隔離設備というのをつくる。それは概念でつくるだけではなくて、一方で最新のコンピューター技術を使って、果たしてそのところで考えられるいろいろな現象がどういうふうに処分の仕組みというものに影響を与えるかということも検討する。そういうことをやりました結果として、日本において技術的には十分この多重バリアシステムが成立するという答えに今立ち至ったわけでございます。  もちろん、先ほど来出ておりますように、多くの方々に技術の信頼をいただく、あるいは安心をしていただくということにつきましては、なお一層知識を高めていくということが重要でございます。長い期間をかけての処分の実施に向けて、なお技術開発を並行して進める時間がございます。また、多くの方にその知識を承知していただくということも重要でございますが、お答えとしては、既に日本地層処分についての技術的有効性が十分確かめられているということでございます。
  66. 青山丘

    ○青山(丘)委員 実は私は愛知県瀬戸市の出身でして、瀬戸物の町でございまして、地球どこを掘っても出る陶器ができる粘土ではなくて、私の地元は非常にすぐれた陶磁器の原材料の土の出るところ、それからもう一つは珪砂、ガラスの原料の出るところでございまして、地球の表面のことは比較的よく理解できるのですが、いわゆる大深度、百メートル以上となってきますと、さてよくわからないのです。  安全で、低コストで、そして処分技術が十分に期待されるというふうに現在の日本技術でも見通しが立つのかなと思いますが、なおしかし、今後技術開発の進むべき方向、この面も非常に重要だと思いますが、どのような見通しをお持ちでしょうか。
  67. 坪谷隆夫

    坪谷参考人 まず、先生のいらっしゃる瀬戸物の産地ということでございます。これは、岐阜県の方も同じく瀬戸物の産地でございまして、地表面は確かに御指摘の珪砂のようなものがその材料になるわけであります。この珪砂のもとは、大深度にございます、列島あるいは大陸を構成している花崗岩でございます。例えば墓石になるようなものがもともと地下深部には存在をして、それで陸をつくっていくという、もともとの自然のさまがあるわけでございまして、まず大深度にそういう花崗岩が広く分布しているということは自然の一つの姿でございます。  それから一方で、処分場をつくるもう一つの形として、堆積岩というものがございます。珪砂とかそういうものは堆積岩の中にあるわけでございますが、処分場の安全性はもとより、そういうしっかりとした岩盤の中に、一方、粘土地上から持ち込んで廃棄物をしっかり包み込む、そういう概念でございます。  粘土日本の中でも非常に多い資源の一つでございます。もちろん、お隣中国でも大量に粘土が生産をされる場所がございます。粘土は安価に入手することができるということもございまして、粘土でしっかり周りを包み込むということをもって大深度での安全性を確保する、そういう考え方でございます。  今後の研究開発の方向でございますが、より地下深部の、先ほど来出ておりますような地質性質というものを一層勉強していく。日本はこういう場所にあるために、この分野地球科学専門家が大変多くいらっしゃるわけでございまして、そういう先生方になお一層の研究を進めていただくということも期待をしなければなりません。  一方で、まだまだ、より安心をしていただく、安全性を高めていく、例えば今後安全性についてのさまざまな国の基準などもつくっていく必要があると考えているわけでございまして、そういうものに役立てるような研究開発をしていくということが重要だろうというふうに思っております。
  68. 青山丘

    ○青山(丘)委員 次に近藤参考人にお願いしたいと思います。  総合エネルギー調査会の原子力部会長を務めてこられまして、平成十一年三月に公表されました中間報告を踏まえて、本法律案に対する評価、どのように見ておられますでしょうか。  それからもう一点いいですか、ついでで申しわけありませんが、我が国における今回の地層処分、これについて、今後なお実効性を確保できるための一層の考え方、この問題についてなお取り組んでいかなければいけない、こういう面に取り組んでいきたいということがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  69. 近藤駿介

    近藤参考人 最初の、この法案に対する評価ということでございますが、一番最初にコメントございました、高レベル放射性廃棄物処分はこれが発生した現世代の責任としてなされるべきということ、それについては、原子力委員会レベル放射性廃棄物処分懇談会等でも広く国民の御意見を伺ったところ、基本的にそのことについては多くの方の賛同を得たということでございます。  それに基づきまして、原子力部会では、そこで指摘されました優先的に決定すべきところ、すなわち、実施主体とそれにかかわる費用の確保、この二つについて優先的にその方法論を議論し、しかるべき姿でのということで御提言申し上げたところ、それがこの法律の形をなしたということで、原子力部会といたしましては、適切な法律の姿をとっているというふうに考えております。  もちろん、先ほど来御指摘のように、処分実施に至るさまざまな活動の全体像についていえば、これで全てが尽くされているわけでは決してなくて、いろいろなことが原子力委員会の高レベル処分懇談会でも御指摘されていて、仕事として残っているところでございます。例えて言えば、一つの安全性についても既に原子力安全委員会で議論しているところですけれども、その成果をなるべく早くいただいて、それもあわせて国民の皆様に説明していくことができるようになったらいいなと考えているところでございます。  したがって、二番目の、実効性を確保するための方策いかんという御質問に対して言えば、喫緊の課題としては、安全の確保の基本考え方を、これは中間取りまとめは既にたしか二月に安全委員会から提出されておりますけれども、これを引き続き審議を進めていただきまして、今後当然始めなければならない国民の理解活動のところで有効に使わせていただくこと、これは喫緊の第一の課題でございます。それから、当然のことながら、先ほど来御説明のように、基本方針、とりあえずここで地層処分というものを方策として取り上げたところ、その中身についてはさまざまなことこれありで、御提言も既にあるわけですが、そういうものを踏まえつつ、事業主体がそれを実現するべく必死の意思を持ってさまざまな問題を整理して、つかさつかさに発注をしていくということがなされるべきというふうに考えております。  その一つには、繰り返しになりますけれども、理解促進のためのさまざまな方策、御提言のありました地下研究施設等も含めまして、これを整備することについて、これも先ほど申し上げましたように国の基本的な政策にかかわることでございますから、国も相当の力を入れてやっていただけないかなというふうに考えているところでございます。
  70. 青山丘

    ○青山(丘)委員 西尾参考人にも質問を用意してきたのですが、時間が来てしまいました。  四人の参考人の皆さんには、きょうは本当にありがとうございます。私たちにとっても大変有益なお話をいただきました。これからもひとつよろしく御指導いただきたいと思います。ありがとうございました。
  71. 河本三郎

    ○河本委員長代理 吉井英勝君。
  72. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。きょうは、四人の参考人の皆さんには大変ありがとうございます。  ところで、国会解散前の時期ですが、非常に密に審議に付してということになっているのですが、私などは、やはり時間をかけてきちんと議論をして、法律はつくるからには粗製乱造はいかぬと思っているのです。野党は皆出席なんですが、ちょっと与党の皆さんは、これは参考人の皆さんに対しても大変失礼なことだと思うし、果たして委員会が成立しているのかなと。野党の数で何とか成立しているのかもしれませんが、私はまずそのことはぜひ委員長の方に、よくお図りいただいてきちんとしないとこれは問題だなというふうに思っています。(発言する者あり)
  73. 河本三郎

    ○河本委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  74. 河本三郎

    ○河本委員長代理 速記を起こしてください。  吉井英勝君。
  75. 吉井英勝

    ○吉井委員 参考人の皆さんには、大変お忙しいところを来ていただきながら、失礼なことになりました。  私は、やはり委員会が成立していないもとで発言していただいては大変失礼だと思いまして、しばらく待っていただきました。今から私の二十分間の持ち時間で質問をさせていただきます。  最初に近藤参考人に伺いたいと思うのですが、高レベル放射性廃棄物の問題を考えていくときに、やはり幾つかの考え方というのがあると思うのですね。  一つには、まず入り口の方から考えますと、装荷した燃料を燃やし尽くして、燃やし切って、再処理しない。つまり、燃やし切る場合も、そのことによって基本的に高レベル廃棄物を残さない、そういう原子炉というものの検討や研究開発というのも一つあろうかと思います。  それから、出口のところでは、出てきたものについての消滅処理を行って、短寿命、低レベルに変換していく。そして、現役世代で責任を持って管理可能なものにするということですね。もちろん、現在の技術的レベルからいうと、それにしても千分の一ぐらいは高レベルが残るとかいうことはありますが、しかし、とりあえず残ったものはさらに今後の技術開発などを待って、きちんとした、数十年単位の、現役世代で管理できるところまで消滅を図る技術を確立する、こういう選択も一つあろうかと思うわけです。  それから、それはなかなか難しいよと。数千年、数万年の将来世代にまで管理をゆだねる、モニタリングなどを含めて。あるいは、もし地殻変動によって出てきた場合については将来世代にやはり問題を残す。そういう、将来に管理をゆだねざるを得ないということから、それじゃ原発を断念しようか、こういう発想も一つ考え方かなというふうに思うわけです。  いずれにしろ、今私申し上げました、入り口、出口の研究開発というものがまだ非常に大事な分野じゃないかと思いますが、この点の現状はいかがなものかというのを伺いたいと思います。
  76. 近藤駿介

    近藤参考人 今おっしゃられたとおりでございまして、つまり我々は常に最善の道を探るということで研究開発を進めるべきということでございますが、一方で、御指摘のように現世代の責任ということで、後世に過大な負担を残さないということも我々として現世代で考えなければならない。このバランスの中で最善の選択肢は何かということを考えていくということでございますが、そのコンテクストで、研究開発の現状について御質問がございました。  まず、燃やし切る原子炉ということでございますが、これは原子炉の中だけで燃やし切る原子炉があり得るかという御質問と、方法論としまして、それ以外に、今まさにやろうとしている高速増殖炉のように、リサイクルをして燃やし切るという考え方と二つあり得るわけでございまして……(吉井委員「リサイクルしない」と呼ぶ)リサイクルしないで燃やし切る原子炉というのは、設計はいろいろやっていますが、最後の、原子炉が原子炉である以上、臨界量というのは必ず必要でございまして、そこに必ず、原子炉の炉心分の、いわばそれをここでやめたと決めたらそれが直ちに高レベル放射性廃棄物となるべきものが残るということは、紛れもない、どう考えても避けられないことでございます。そういう意味で、それが最終的な答えになるとは考えにくいということはございます。  ただし、その間に減らしていく、だんだんにスケールダウンしていって減らしていくという形で、最終的に残る量を極めて少なくするということは可能性があるというふうに考えております。  それから、分離変換して、最近まで消滅処理と言われていた方法論ですが、これにつきましては先ほど来御説明申し上げたとおりでございまして、これについてもある程度技術的な検討をこれから投資をしてやろうということでございまして、これを待ってその後処分の道を決めるかどうかについては、先ほど最初に申し上げた原則、哲学としての現世代の責任論からすればいかがなものかということで、この処分を、事業体と資金を確保するという行為をまずやることが適切というふうに考えているところでございます。  問題は、常にトレードオフがあるわけでございまして、しかし、それがあるから今決めないでいるということは、恐らく多分、最初の哲学、すなわち現世代の責任をある意味では放棄することになりかねないわけでありまして、しかるべき研究開発をして常にいい道を探しつつ、しかしやるべきことを、少なくとも事業主体を決めるとか、少なくともそのための費用を用意するということは手を打っていくということが適切な政策選択じゃないかというふうに考えて、この原子力部会はそういう御提言を申し上げたところでございます。
  77. 吉井英勝

    ○吉井委員 燃料につきましてウランを選ぶか別な燃料かとか、未臨界原子炉という考え方など、さまざまなものがあろうかと思います。  次に伺っておきたいのは、深地層への埋立処分が唯一の方法なのか、これしかないというお考えでいらっしゃるのか。その点もあわせて近藤参考人に伺っておきたいと思います。
  78. 近藤駿介

    近藤参考人 これについても既に他の参考人からも御発言がありましたが、方法論として、技術的にはさまざまな方法論が考えられるということは御紹介されたというふうに理解しておりますけれども、そうしたさまざまな方法論の持つ利害得失を検討したところ、処分活動を、これから事業主体を決め費用を算定するという行為を考えるときに、深地層における最終処分が現在最も適切な選択肢という判断を原子力委員会にいただいた、そういうふうに理解しております。     〔河本委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 吉井英勝

    ○吉井委員 現在の技術レベルその他での、一応適切というお考えだなというふうに理解をしておきたいと思います。  次に、西尾参考人に伺いたいと思います。  再処理工程でプルトニウムを取り出す、そのときに生ずる高レベル廃棄物ガラス固化して地層処分という今の発想ですが、これはプルトニウム循環方式を進めていくということを前提としていると思うのですね。ですから、このプルトニウム循環方式の考え方を改めるならばまた別な探求の道もあろうかと思うのですが、私はこの点で、プルトニウム循環方式についての西尾参考人のお考えというものを伺っておきたいと思います。
  80. 西尾漠

    西尾参考人 プルトニウムを循環するとかリサイクルと言われているわけですけれども、その場合には、確かにウランの資源としての有効利用という意味ではプルトニウムを利用するということがあり得るのかもしれないですけれども、そのためには、先ほどからのお話の中でも、これこれこうすれば、こうすればという仮定の条件幾つもついてしまう。その上で、それが何年先に現実のものになるのかわからない、そういったものに期待をする。その間、実はプルトニウムというものがたまり続けて、それがいつ核兵器に転用されるかわからないという状態が続いていくということは、非常にまずいことだと思っています。  私は、そういう形でプルトニウムをリサイクルするという考え方自体をやめるべきだというふうに個人的には思っております。
  81. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、小島参考人に伺いたいと思います。  放射性廃棄物シンポジウムでよく御発言していらっしゃるのを読ませていただいたりしておりますがその中で、地面というものは本当に、不確定要素、いろいろわからないことが多い、一見深い方が安全そうに見えてもそうではないという指摘もしておられました。また、日本は変動帯、地面もよく動く、地震も起こる、火山もある、温泉変質があり、割れ目の多くは粘土で充てんされている、水が通りにくいが岩が弱いという指摘もあるということなどを、シンポジウムなどで指摘されたりしておりました。  そこで、日本の国内で安定した地層というものはどの地域に、どことどこというふうに言えるとさらにいいのですが、どの地域に存在するという見方をしていらっしゃるのか、このことを伺いたいと思います。
  82. 小島圭二

    小島参考人 先ほど坪谷参考人の方から図が示されていたと思いますが、大きなスケール、日本列島という規模で考えると、幾つか、長期の今の安定した地層、それが存在しそうなところというのは空白部として多分示されていたと思います。そういう空白部には、安定した地層がある可能性が多い。  その次には、先ほども申し上げましたが、今度は、地層処分処分施設場所としては、その大きさではどういう地層があるのか。その段階地層処分のシンポジウムでお話ししたのは、先ほどは、いい岩もありますというお答えをしましたが、同時に悪い岩もありますという、両方を認識した上で地層処分サイトというものを一般の方は考えてくださいよという意味で、弱いものもあります、強いものもありますという話をしました。  それで、その結論的なところは、先ほどもお答えしましたとおり、地層処分サイトの大きさでは設計にのるいい岩があちこちにございます。当然、弱いものもございますということをつけ加えさせていただきます。
  83. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、空白部の可能性という問題なんですが、活断層がなくても直下の大地震が起こった例があると思うのです。それから、震源に対応する活断層の知られていない地震の例もあると思うのですが、幾つか覚えていらっしゃるところで御紹介いただければと思います。
  84. 小島圭二

    小島参考人 活断層についての考え方原子力発電所と地層処分の場合に異なっておりまして、原子力発電所の場合には、活断層というのは、それがあることによる地震動が大きな問題になります。それに対して地層処分では、活断層がずれて動く、それが地層処分場に影響を与えるかということが問題になります。  そういう観点で、先ほど言いました、施設の大きさがせいぜい二キロ四方ぐらい、大きくても二キロ四方ぐらい、その中に活断層があるかないか、それを避けられるかどうかという問題にだけ特化したのが地層処分活断層問題であります。その規模のものですと、断層の認定というのはいろいろな調査法でできます。そこから疑わしきものを避けるという発想が今基本になっております。  ということで、地下に埋没した伏在断層ですとか、それから活断層がないところに地震が起こったとか、これは位置の関係ですが、いろいろ誤差もありますけれども、そういう問題については地層処分設計の場合には余り問題ないんだということで、むしろ、ずれが一番怖いんだということで御認識いただければと思います。
  85. 吉井英勝

    ○吉井委員 二キロ以内だから、狭いから大丈夫、こういうことにはなかなかならないわけで、やはり活断層がなくても直下の大地震が起こったというところがあるわけです。それから、震源に対応する活断層の知られていないところもあるわけです。  ですから、いろいろ調査してというお話もあるのですけれども、実際には、ここは大丈夫、空白だと思っておったって、本当はそこには活断層があるんだけれども知られていなかったとか、活断層はなくても直下の大地震が起こったということなどもありますから、今おっしゃったように二キロだから大丈夫というふうなことには簡単にまいらないと思うのです。  これは、二キロ程度だから大丈夫だという確信を持ったお考えなのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  86. 小島圭二

    小島参考人 今の、二キロと申しますのは、地震のときにずれが起こりますと、必ずそこに弱い面、割れ目ですとかそういうものがございます。普通、そういうものの大きいものでずれるのが一般であります。したがって、今、何もないところに云々という、それは大きなスケールでですよね。  二キロの中に活断層があるかないかということは、まず一つ認定です。それで、そこに活断層がなかったときになおかつ起こるかということに対しては、起こるとしたらその中にある断層のどれかであろう。それをどういうふうにするかというのは、地層処分の場合には、疑わしきものはその中でも避けることができる、そういうような設計考え方もできるということで、いろいろ対処の方法はあるだろうということであります。  だから、二キロの、狭いからその中に活断層がないという話ではございません。
  87. 吉井英勝

    ○吉井委員 今のお話に少し関連して、時間が大分参りましたから、坪谷参考人にも伺っておきたいと思うのです。  坪谷参考人は、昨年十月の科学技術ジャーナルで、第二次取りまとめを十一月末に公表する準備を進めているとした後、成果の一端として紹介された中に、「日本における活断層の分布のほとんどが把握されており、活断層の無い地域も広く存在する」というふうにしておられるわけです。しかし、実際には、震源断層が地表にあらわれるような地震でも、その三分の一近くは認知されていないC級活断層に起こると予想される、首都圏、南関東の活断層は厚い堆積層に隠されている、というふうにみなされているのじゃありませんか。
  88. 坪谷隆夫

    坪谷参考人 お答えいたします。  いわゆる活断層の中でも、沖積層、今先生御指摘の非常に厚い地層の下に存在しているものについて、必ずしも把握されていないものがあるということは、この第二次取りまとめの中でもお示しをしております。  そういう前提に立ちまして、実際に処分地選定していくときにはその辺を十分考慮して調査をするということになるわけでございます。
  89. 吉井英勝

    ○吉井委員 いずれにしても、震源断層が地表にあらわれるような地震でも三分の一が認知されていないとか、実は、事ほどさように、日本活断層というのはまだ十分わかっているわけじゃありません。ですから、何かこれが既に解明済みで、空白で大丈夫なところがあるというふうな発想というのは、私はそれは少し走り過ぎじゃないかと思うのです。  活断層のない地域はここで、ここは大丈夫ですという地域を何か具体的に示すところがあれば、せっかくですからお聞きしておきたいと思います。
  90. 坪谷隆夫

    坪谷参考人 実は活断層について、先ほどもお答えいたしましたが、ここは活断層がないから大丈夫だということよりも、こういうところは活断層があるから避けた方がいいということについて、今までの技術成果としてまとめてきているわけでございます。  そういう点で、ここはいいというようなことをお示しすることは、今、適切でないと私は思っております。
  91. 吉井英勝

    ○吉井委員 活断層のあるところを避けてというのは、これは当たり前だと思うんですね。しかし、ない地域を示すことは、適切じゃないというよりも、できないということだと思うんですよ。  最後に、時間があと二分になりましたので、ガラス固化体の安定性の実験で、何度Cまでは壊れなかったか、あるいは溶解しなかったか。それを坪谷参考人の方は手がけていらっしゃったと思いますので、それもあわせて伺っておきたいと思います。
  92. 坪谷隆夫

    坪谷参考人 そもそもガラス固化体をつくる過程をちょっと申し上げた方がいいと思います。  ガラス固化体、私の資料にも、先ほど時間がございませんので省略いたしましたが、およそ千二百度程度ガラスをつくっていく過程がございます。初めつくりましたものは溶岩のようにどろどろしているわけですけれども、これが時間とともに、周りに熱を奪われて冷えてまいります。冷えてまいりまして完全に固体になる、ガラスになる、固体状のガラスになるということでございます。実際に処分をいたします段階まで十分地上で冷却をするというプロセスがあるわけでございますが、処分をする段階での温度としまして、中心の温度がおよそ百五十度から二百度とか、そのくらいの温度まで下がっているわけでございます。  このガラス性質、温度の性質を踏まえて、周りの粘土が、ガラス固化体の周りに取り巻いて設置をいたします粘土が、熱によって化学的に変化をしないというような実験をまず一つしております。  それからガラスにつきましても、先ほど申しましたように、高い温度でどろどろ溶けたものから固体になっていくわけでございます。そのガラスが今度は逆に、どういうふうに温度が上がっていくとどういうふうに変わっていくかということにつきまして、ガラスの安全を考える上で、これはつくる過程の安全性ということの方が極めて重要というふうに認識して、そういう実験を中心にしてきたわけでございます。
  93. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  94. 中山成彬

    中山委員長 塩田晋君。
  95. 塩田晋

    ○塩田委員 自由党の塩田晋でございます。  本日は、参考人先生方には貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。  以下、各参考人に対しまして御質問を申し上げたいと存じます。  まず、本法は、特定放射性廃棄物最終処分についての法的枠組みを決めるものであります。これは、やはり地層処分が最適であるという前提に立っておるものだと考えるわけでございますが、先ほど小島参考人がおっしゃられましたように、技術はまさに日進月歩でございます。  技術開発について例を挙げて御説明がありましたが、本四架橋にいたしましても、千メートルが二千メートルになり、ついに明石海峡大橋におきましては四千メートル近い全長の橋ができたわけでございます。五十年かかったわけでございますけれども世界一の大橋が完成した。これを例に挙げて説明されたわけでございます。  地層処分をするということが、技術の開発、進歩によりまして必ずしもそうでなくていける、言うならば非常に有害、危険な放射線をなくしてしまうということが、建設工事にしたって三十年の期間で考えられるということでございますから、ましてや今の特定放射性廃棄物につきましては数十年、あるいは三百年、あるいは一千年、一千年で一万分の一になるということを言われましたが、期間を短縮して早期にそういった有害放射線を除去することができるような技術開発といったものが考えられないか。これについて、御意見をお伺いいたします。小島参考人にお願いします。
  96. 小島圭二

    小島参考人 私は、消滅処理等々の各種の技術については専門でございませんので、専門の方がおりましたらそちらの方にお答えいただいた方が適切じゃないかと思いますが。よろしくお願いします。
  97. 塩田晋

    ○塩田委員 小島参考人にお伺いしましたのは、そういった技術開発のことについてお述べになりましたのでお尋ねしたわけでございますが、他の参考人の方でこれについてお考えがございましたらお伺いいたします。
  98. 近藤駿介

    近藤参考人 いわゆる放射能を消滅させるということは大変魅力的な概念でございますので、各国の原子力研究者が現在研究しています。そのアイデアは、基本的にはそういう高レベル放射性廃棄物にかかわる放射性核種を中性子あるいは陽子、さまざまなものでたたいて壊して、別のものに変えていくという方法でございます。そうした方法は、現在、日本原子力研究所並びに高エネルギー加速器機構等が共同で、そうしたための研究装置としての巨大加速器をつくろうというようなことをお考えであって、国としてもそういう方向に力を尽くしているということがございます。  それから、原子炉自体が実はそうした能力を持っている。原子炉がプルトニウムを燃やすときには、プルトニウムがまさにそういう一つのアクチナイドと申しましょうか、高レベル放射性廃棄物を構成する核種と似たものでございますから、原子炉自体がそういう機能を持っている。特に例えば高速炉はそういう機能がある、高速中性子炉はそれに適しているということで、高速炉をそういう格好に使えないかという研究もまた現在議論されている。  そういうことでございまして、おっしゃる、そういう夢のあるアイデアを実現するべくの研究開発は現在なされておりますが、大事なことは、それにはかなり時間と費用がかかるということと、それがすべての放射性廃棄物を、地層処分をするものにかえられるかというと、そこは、先ほど吉井委員からもそういう方向を目指せという叱咤激励をいただいたと考えますけれども、努力はいたしますけれども、現在のところ、それが完全になくなるというふうなことを申し上げられる段階ではないというふうに思います。
  99. 西尾漠

    西尾参考人 今の話なんですけれども、そういうことができれば放射性廃棄物がこれからもふえ続けていいかのような印象になってしまうのは何か非常にまずいなというふうに思っていまして、余り安易にそういうことを考えるべきではない。特に、技術的にできるかどうかということもありますけれども、そうしようとすることによってまた別の種類の放射性廃棄物をつくり出してしまったり、いろいろな問題がありますので、そういうことをすることによって放射性廃棄物の問題を、もっときちんと考えなくちゃいけないところを横にずらしてしまうようなことになっては困るなというのが一つ意見です。  それから、しかし同じことは地層処分にも言えることであって、簡単に地層処分ができるかのように言われると、そんなふうに考えてはとても問題の解決にならないというふうに思います。
  100. 塩田晋

    ○塩田委員 小島参考人にお伺いいたします。これも御専門のところからあるいは外れるかもわかりませんが、地層関係があると思いますのでお伺いいたします。  先ほども出ましたけれども地震関係ですね。例えば阪神・淡路大震災のときでも、各地に活断層があるということ、今までないと言われたところも随分あるというような、地図を入れた書物まで一気にたくさん出たと思うんです。我々もそれを見てびっくりしたわけでございます。今までないと思っていたのに、例えば私の選挙区なんかでも、山崎活断層が、その端の方が区域内に入っているとか、あるいはまた新しい活断層が記入されておったり、そういうことがあります。  それから、火山につきましては、我が国火山が非常に多いということで、これは十分調査をされておりますから避けられるということだと思いますけれども、非常に常識的に考えますと、休火山だと思っていたところが突然活火山になり、例えば富士山の宝永山なんというのも、つい二、三百年前に突如噴火したといったこともあります。  そういった不測の事態が地層で起こった場合、ガラス固化体で固めて、またそれを鉄で覆い、また粘土で固めておる、そして地中深く、三百メートル以下一千メートルということでございますが、そこでもし不測の異常な事態が起こった場合、ガラス固化体を含めてどういう事態が起こるのか。火山が直下で起こって噴火すれば、これはどうなるのか。地震の場合、あるいは地下水が大量に出て固化体ガラス棒を破壊したような場合、一体どういうことが起こるのか。お伺いいたします。
  101. 小島圭二

    小島参考人 今の不測の事態に対する対応というのはいろいろあると思うんですが、技術的、科学的に起こらないとしても、それが起こったらという扱い方もあろうかと思います。それは一種のリスク評価で、その影響というのはどういうものかというのを予測していく。  そういうことをやるにしましても、先ほど言いました、今の心臓部はキャニスターあるいはそれを含む廃棄体というものでございますが、それが破壊したときに、あるいはどういう条件で破壊するかというようなことの、さっき言った限界試験といいますか、そういうものをやっておきますと、どの辺までその影響があるかという予測がつきます。まだそういうことをやるところまでは至っておりません。そういうデータを集めながら、本当の不測の事態、技術的には論理としては起こらない形にはなっていますが、今言いましたように、それは抜きにして万一起こったらというときを逆にやる、そういう技術というのはこれから発展していくんだと思います。  まだデータが物すごく少なくて、解析にのっける云々までいっていないのが現状でございます。ですから、さっき私も提案といいますか、そういうことを今後の技術開発としてやっていかなくちゃならないうちに挙げさせてもらったのは、そういうことがございます。
  102. 塩田晋

    ○塩田委員 次に、坪谷参考人並びに近藤参考人にお伺いしたいと思います。  特定放射性廃棄物最終処分につきましては、先ほどもお話しされましたように、宇宙で処分するとか、南極の氷の下だとか、あるいは海底に沈める、こういったことのほかに、今あります地層処分、それから地上での管理という選択肢がある中で、国際条約の関係一つ一つ消去していきまして、残るのが地層処分地上人間による管理、この二つになろうかと思います。  先ほど近藤参考人は、諸外国に比べて我が国の対応が非常におくれておるというお話がございました。これも一般的にそう思われていると思いますが、諸外国の例を御説明いただきたいんですが、ガラス固化体で処分するものは各国状況を見ると少ないのじゃないか、日本とフランスとかスイス、あるいは一部アメリカ等でございますが、他のところの処分の仕方、どういう形で最終処分を考えておるのか。各国の事情につきまして御説明を、坪谷参考人並びに近藤参考人にお伺いいたします。
  103. 坪谷隆夫

    坪谷参考人 お答えいたします。  各国状況で、今最後に先生おっしゃったガラスにしている国は少ないのではないかという御指摘について、再処理をして出てまいります高レベル廃棄物、これは最初液体で出てくるわけでございまして、この液体で出てくる高レベル廃棄物を有する国は、すべてガラス化をいたします。今先生御指摘のアメリカでは、再処理というものを原子力発電、軽水炉発電の場合にはとっておりませんので、その場合は使用済み燃料を直接処分しよう。  この使用済み燃料の安全性、処分という観点からの安全性は、先ほどある先生から御指摘がございましたセラミックス、瀬戸物と同じような材料でございます、現在の使用済み燃料は。ガラスも似たような材料でございまして、どちらも物質を非常によく閉じ込める性質があるということで、廃棄物そのものの物を閉じ込める性質という点では、ガラスも使用済み燃料も、いずれも同じような性質を持っておるということでございます。  少ないのではないかという御指摘は、再処理をする国か、しない国かというところで大きな分かれ方があると私は理解しております。
  104. 近藤駿介

    近藤参考人 今の坪谷参考人の御発言につけ加えることはありません。
  105. 塩田晋

    ○塩田委員 西尾参考人にお伺いいたします。  西尾参考人は、この法案については、非常に長期間にわたる問題の処理であるから、ここで急いで法案を成立させる必要がないのじゃないか、もっと長期間かけて論議をすべきではないか、こういう御意見であったと思います。私は、これは一つ意見としてやはり聞くべきところがあると思うわけでございますが、しかし、外国に比べておくれているという一般的認識からいって、やはり我が国においても本格的に、慎重の中にもこれを推進していかなければならない状況でないかと思うわけでございます。  そこで、御発言がありましたことに関連いたしましてお伺いしたいのでございますが、最終処分サイトにつきましては、一方、極端に考えますと、原子力発電所を持つよりはずっと安全性が高い。したがって、適地であれば、どんどん誘致合戦が行われるようなことがあるいはあるかもわからない、安全性の面からいって。よくわかれば、地中深く埋めて安全が保たれるということであれば、原子力発電、その処理、あるいは研究所よりはずっと安全性が高いということの認識が高まれば、適地は、ぜひとも誘致したいというところがあるかもわからないと思います。  しかし、一般的に常識で考えますと、ガラス棒にしても、固化体になったものが三百年ほどの間ですか、二百度、三百度の高温をずっと保ち続けておるというような状況を聞けば、そんな危ないものをという感じは皆持つと思うんですね。そういったことを考えると、やはりそういう危険なものは来てもらいたくないという住民感情というものは当然あると思います。  そこで、都道府県知事、市町村長、いわゆる自治体の首長がノーと言った場合にはどのような事態が起こるか。国として、ノーと言われれば、知事、市町村長が言えばもうあきらめるということになるのか、いや、それでも押し切ってやるというのか。あるいは、先ほど西尾参考人が言われましたように、住民投票とか住民の意向を聞いてということになると、なおさらなかなか難しい状況が起こるのじゃないか。これはどのような事態になると西尾参考人は考えられますか、お伺いいたします。
  106. 西尾漠

    西尾参考人 最初に申し上げたいのは、要するに、こういう法律は必要がないというふうに言っているわけではなくて、議論するための材料としては非常に、こう言ってはなんですけれども、ふできだ。もっときちんとしたものが示された上で行われるべきだということが一つです。  それと、途中ちょっと省略して最後の話で、どう考えても誘致合戦ということにはなりそうもなくて、どこでもみんな嫌われるだろう、普通に考えればどこでも拒否される、そういうことを前提として考えないといけない。何か、どこか手を挙げてくれるところがあるだろう、あるいは押しつけられるところがあるだろうということを前提にこの問題を考えてはいけないと思うんです。むしろ、どこからも嫌われるものを何とかしなくちゃいけないとしたらどうしたらいいのかということを考えなくてはいけない。  ですから、最初の段階できちんと時間をかけろと言っているのはそういう意味です。
  107. 塩田晋

    ○塩田委員 都道府県知事なり市町村長がノーと言った場合、これは、やはり必要だから通産大臣の決定によって適地を国が推進するべきか、やはり市町村長なり知事の意見を尊重してやめるべきか、この辺のことをどのように考えておられるかということです。
  108. 西尾漠

    西尾参考人 それについて言えば、やはり、地元の住民の意見ということを尊重するべきだというふうに思います。
  109. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。終わります。
  110. 中山成彬

    中山委員長 北沢清功君。
  111. 北沢清功

    ○北沢委員 社民党の北沢でございます。きょうは、私も全く素人でございますが、参考人の皆さんの御意見をお伺いして、今後におけるこの問題の審議に非常に有益な御発言であるということで、私は感謝申し上げたいと思います。  私ども、きのうの委員会もそうですが、何か今回の法案は未知の分野というか、これから研究開発をする分野が非常に多いわけであります。また、発電のコストといいますか、そういうものの分野も、規制緩和を中心としたいわゆる負担が、大企業が他の石炭電力とか石油電力とかそういうものから購入をして、そういう負担が広く国民の肩にかかってきはしないか、そういう心配も含めていろいろございます。  この問題は民間で進めるということでありますから、国の責任は明らかにその時点その時点の法案なり監督が中心でございます。だからなおさら、これに十分な審議を尽くすということは、先ほど西尾先生の御発言のとおり大事だろう。そのことを抜きにして進めることは決して将来について有効ではないというふうに私は理解をしております。  しかし、共通して言えることは、四人の先生方からの問題は、いわゆる原子力発電世界的な趨勢、特に日本では先ごろの東海事故を含めて大変な不安がありまして、埋蔵すること自体も大変な抵抗があるのではないか、私はそういう感じをいたしております。そんなことで、いわゆる共通している問題としては、新エネルギーをやはり考えていかなければならないのではないか。  むしろ、今までの国の予算というのは原子力優先主義でありますから、その方向に使って、いわゆる新エネルギーなり特定エネルギーというものは、最近では若干CO2の関係がございますからこれは重要視されておりますが、ただ言えることは、CO2をどうするんだということをぱんと頭から出されると私どもは実は大変、新エネルギーが毛頭力がない状況の中では、非常に私どもは——原子力についての世界的な趨勢というのは、ヨーロッパやアメリカを含めてむしろ今までのように伸ばさない方針である。日本も二十四カ所から今度は縮小するということでありますから、韓国と二カ国ぐらいが原子力を進めていくことになるわけでありますから、そういう面で、そういう世界的な趨勢をどういうふうに理解されておられるか、西尾先生にお伺いをいたしたいと思います。     〔委員長退席、河本委員長代理着席〕
  112. 西尾漠

    西尾参考人 世界的に原子力というものはもういわゆる先進国の中ではやらなくなってきている。確かに一方で二酸化炭素を出さないとかという問題もあるわけですけれども、二酸化炭素の排出を減らすというのは、原子力発電を進めればそれで減るわけではなくて、むしろエネルギー全体の問題として、どれだけエネルギーの消費を少なくしていけるのか。特に、むしろこれから先エネルギーをたくさん使わなくてはいけないところもあるのを踏まえた上で、今までたくさんエネルギーを使ってきた私たちがどうするのか、そういったことの問題だと思います。  先ほど、新エネルギーというお話もありましたけれども、新エネルギーというのも、これからたくさんエネルギーを使っていくために新エネルギーを開発するのではなくて、むしろ、新エネルギーというものの持っている特質がエネルギーの消費を減らしていくことにうまくリンクする、分散型であるとか、再生可能ということとか、あるいは効率のよさとか、そういったものとして新エネルギーというものを考えていくべきだというふうに思います。  その意味で言えば、原子力発電を進めないと炭酸ガスがふえてしまうというふうには私自身は考えていませんし、世界の多くの国でも、そういうふうに考えているからこそ原子力発電というのはなくしていく方向になっているのだというふうに考えております。
  113. 北沢清功

    ○北沢委員 先ほど、非常に未知の分野というか、開発を研究する分野が多いということでありますが、民間が進めるということになると、この法案の中には研究という部面が非常に欠落をしているような感じがしております。そういう中で、もっと研究分野に力点を置いて、国民の皆さんが安心するような状況をつくり出すことが非常に重要であると思いますが、未知の分野があるほど、私は、国民のこの問題に対するPRを含めて、問題があろうというふうに思っております。  特に、今度の法案は、いわゆる特定放射性廃棄物という表現ですが、これはむしろ高レベル放射能廃棄物にも将来及んでくるのではないか、そういう疑問を実は持つわけでありますが、いわゆる地下深く埋蔵すると、事故として、中で爆発することが起きるのかどうなのか。  または、それを利用して再生するということになると、私も六ケ所村に実は勉強に行ったことがありますが、六ケ所村は地表です。あれだけ六ケ所村は広いところだから、地表のものももっとできるのではないか。そういう感じで、今後原子力発電所がふえてくると各地であるから、現地で廃棄物を処理するために、当時の説明としては、もうあそこでは行き詰まっている、行き詰まっているということは泥縄式なわけでありまして、そういう意味で、運搬やその他含めて廃棄物を処理するということは、恐らく、ブロックなり発電所の近くへ発電所の経営主体が越せるのではないか、そういうふうに私は実は理解をして帰ってきたわけであります。  しかし、これが今回法案として、国の責任なり民間の責任でそれぞれの位置づけをするということでありますから、そういう意味で、埋蔵だけが問題なのかどうか。世界状況も埋蔵だけをしておるのかどうか。そこら辺について、小島先生から教えていただきたい。
  114. 小島圭二

    小島参考人 今のは、いわゆる埋設ということが一般になっている、先ほどから出ている話でございますけれども、いろいろ勘案して、いろいろな実験もやりました。海洋もやった、いろいろなところをやっております。その結果、やはり地下に、深いところに埋設するというのが一番基本的であろうということで進んでおります。  事実、地下というのは、先ほども申しましたように実に閉鎖的でございまして、それから放射線の遮へい性もある。だから、いろいろ未知の世界でございますが、地下の有効なところというのは随分ございます。そういうものをいろいろ比較してみますと、地下というのは見えないけれどもかなりいい特質も持っているというところを、もう少しきちんとPRしなければいけないかなと私自身も思っているのですが、そういうメリットがたくさんございますので、世界も、コンセンサスとしてはそういう方向へ動いているということでよろしいのでございましょうか。
  115. 北沢清功

    ○北沢委員 ありがとうございました。理解させていただきました。  私は、コストの問題なんですが、六ケ所村を見て感じたことは、これは、発電そのものも大切かもしれぬが、後の廃棄物の処理というのは大変なことだろう。とにかく、長期的に何十年、八十年、百年、三百年ということですから。そういう面で大変なことであろうというふうに思って帰りました。  今後、一兆円ということで国は考えているようですが、到底、地域の協力費だとかまたはいろいろの費用というのは思いもよらずふえるのではないか。例えば埋蔵する場合についても、モニタリングといいますか、監視期間が長くなるわけでありますから、そういう費用も含めてコストがかかる。いわゆる追加料金というふうに先ほどどなたかの先生から御発言がございました。  そこへもってきて今、託送、いわゆる売電、受電の自由化ということで、自由に電気が売買できるということになると、持てるところなどはやはり火力発電所なりそういうものに持ってくるが、いわゆるコストとしては、これらのものを一切含めてコストとして算出をしなきゃいけないんじゃないか、そういうふうに考えておりますが、この面について西尾先生からお教えをいただきたいと思います。
  116. 西尾漠

    西尾参考人 今おっしゃられたように、今言われた一兆円、三兆円と言っているのですか、ちょっと数字はともかくとして、言われているその数字でおさまるかどうかということについていえば、極めて信頼性は低いということが一つです。  それとさらに加えて、今おっしゃられた、地域対策という言葉はいい言葉かどうかわかりませんけれども、そういったものについては、まだどれだけになるかわからないから、結局今の段階では組み込めていない。そうすると、それが非常に大きなものになるかもしれない。そもそも、それをだれがどう負担するのかについても、まだあいまいな点を残しているということがあります。  先ほどの自由化の問題ということもありますけれども、それ以上に、まさに今の世代と後の世代との間の不公平は、このままでは非常に大きなものになるだろうというふうに思います。
  117. 北沢清功

    ○北沢委員 委員の皆さんの御発言の中には、後の皆さんに負担をしょわせないということを言っておりますが、そうでもないようであります。  いずれにしても、この問題は、研究開発というのは今後進むし、いろいろの問題の解決をすることが大事でありますから、それらを含めて議会審議をもっと徹底的にする必要があるのじゃないかということを最後に私の感想として述べて、四人の先生方に重ねて御礼を申し上げて、発言を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  118. 河本三郎

    ○河本委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  119. 中山成彬

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案について議事を進めます。  この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  ただいま審査中の本案に対し、科学技術委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 中山成彬

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  また、連合審査会において、参考人及び政府参考人から意見または説明を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、意見等を聴取することとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 中山成彬

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、連合審査会は、明十一日木曜日午前九時より開会いたしますので、御了承願います。     —————————————
  122. 中山成彬

    中山委員長 引き続きお諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として、横路孝弘君の質疑の際に資源エネルギー庁長官河野博文君及び科学技術庁原子力局長興直孝君、西博義君の質疑の際に科学技術庁から原子力局長興直孝君、原子力安全局長今村努君及び環境庁企画調整局長太田義武君、吉井英勝君の質疑の際に科学技術庁原子力局長興直孝君、北沢清功君の質疑の際に資源エネルギー庁長官河野博文君、科学技術庁原子力局長興直孝君及び外務省総合外交政策局軍管理科学審議官服部則夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 中山成彬

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  124. 中山成彬

    中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横路孝弘君。
  125. 横路孝弘

    横路委員 この高レベル核廃棄物処分問題というのは、十数年前にこの問題に直面させられました一人といたしまして、ようやく法律が出てきたのかという思いでございます。  十五年ほど前になりますけれども、北海道の幌延町という町がこの高レベル核廃棄物処分の地として手を挙げまして、手を挙げたものですから科学技術庁も動燃も大喜びいたしまして、本来ならばしっかりと科学的に対応しなければいけないところ、まだほとんど当時日本において、ガラス固化体の研究地層処分研究もそんなに進んでいたとは言えない状況の中で、科学的な根拠なしに、手を挙げたからということで、この場所に立地をしようということで大変なエネルギーをそこに投入したのですね。動燃の職員の方などは、北海道の地方議会の自民党の控室に来られて、質問づくりまでやられるというような努力を、エネルギーをそこに費やしたわけです。そのうちに肝心のおひざ元が、いろいろな事故が発生するということで、今日の事態になっているわけでございます。  私は、そういう中で時間をかけてできた法律、しかも先進国の中で、ある意味でいうと一番後になったというか、新しい法律であります。この問題というのは非常に深刻な問題でありますし、各国とも悪戦苦闘して、いろいろな努力をしてきているわけですね。場所を決めるに当たっての手続をどうしたらいいのかということ、やはり国民的に開かれた大きな議論というものをしなければ、どこかで隠して場所を何か決めてしまおうというようなことはとてもできる問題じゃありません。  そんな意味で、期待をしてこの法律を見たわけでありますが、しかしこの法律は落第ですね、私に言わせますと。そういう今まで各国が努力してきたいろいろなことが、ほとんど生かされていないと言っていいと思っております。そのことがこれからの質問の内容でございます。  私は、基本的には、今日本の中で再処理をすべきだというようには思いませんけれども、しかし既に多くの核廃棄物がある以上、これを何とかしなければいけないという意味で、このような法律は必要だというように思っています。しかし、この法律は本当に内容にたくさんの問題がありますので、慎重に時間をかけて議論すべきだ。少なくとも、一万年以上この日本列島に住む人々の安全に責任を持つことができるかどうかということを、今審議に加わっている我々一人一人が問われているのだ、このように思っています。  そこで、通産大臣にまずお尋ねしますが、この法律は、一体これは何を目的とした法律なんでしょうか。
  126. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 横路議員が北海道知事の時代に大変御苦労なさったこともよく承っております。  エネルギー問題というのは、我が国にとって、あるいは我が国だけではありませんけれども、人類が生きるために非常に大事なことであります。そして、日本の場合には、残念ながら、石油エネルギーといったようなものについては他国にゆだねなければならない。したがいまして、そこでは原子力発電に期待をつなぐということは、どうしても必要なことになってまいるわけでございます。  その原子力発電に期待をいたし、現実にエネルギーの供給を続けているということに相なってまいりますと、その後の放射性廃棄物最終処分についてどうしたらいいか、当然のことながらきちっと定め、今お話がありましたように、次の世代の人たちに迷惑のかからないような、そういう状況をつくっていかなければなりません。したがいまして、高レベル放射性廃棄物最終処分の実現ということは、私どもにとりまして喫緊の課題でございます。  そこで、その重要な課題を解決するために、費用の負担についてはどのようにしていくか。次の世代の間の公平性の確保というような観点からも、一刻も早い取り組みが不可欠でございます。  お話がありましたように、各国におきまして、高いレベルの放射性廃棄物処分について、地層処分を行うための資金確保とか処分実施主体の設立等を進めておりますけれども、まだ残念ながら我が国にはこれらの制度の整備が行われておりません。また、原子力発電関連施設の地元自治体からも、処分実施主体の二〇〇〇年設立に向けて、その取り組みの強化を求められておりまして、一刻も早い制度の整備が必要でございます。  このような状況を考えて、当省としては本法案を提出させていただいた次第であります。
  127. 横路孝弘

    横路委員 この法律の目的というのを読んでみますと、私はよくわからないのですね。それで、お手元の、皆さんも御存じだと思いますけれども、「この法律は、発電に関する原子力の適正な利用に資するため、発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理後に生ずる特定放射性廃棄物最終処分計画的かつ確実に実施させるために必要な措置等を講ずることにより、発電に関する原子力に係る環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄与することを目的とする。」こうなっているのですね。安全という言葉が一つもないのです。  そこで、ちょっとアメリカの法律と比較してみたいと思うのですが、アメリカのいわゆる核廃棄物政策法の百十一条を見ますと、高レベル処分場の認定及び目的ということで、議会は次のことを認定し、そして次のことを目的とするとなっているのですね。まず、放射性廃棄物は潜在的なリスクを創出し、そして安全かつ環境的に受け入れられる処分方法を必要とするということを現状として認識しています。  当然のことなんですけれども、この法律の目的は何かといえば、ともかく、今出てきている、あるいはこれから出てくる高レベル核廃棄物、この高レベル核廃棄物というのは御承知のように放射能がとても強いわけですね。ストロンチウム90、セシウム137。あるいは、何万年も放射能がなかなか弱くならないもの、こういうものもたくさんあります。例えばネプツニウムのように二百十四万年とか、セシウム135のように二百三十万年とか、そんなものもあるわけですね。したがって、まず何をするための法律なのかというと、ある意味でいうと、非常に危険性を持っているものをどうやって安全に処分をするのかということがこの法律の一番大きな目的とならなければいけないのじゃないですか。それがどこにもこれは入っていないのですね。  大体、この法律の名称だって、特定放射性廃棄物とは何ですか。この特定なんという言葉、突然出てきましたよ。高レベルでいいわけでしょう、高レベル核廃棄物でいいわけですよ。この法律というのは本当に、高レベル核廃棄物を何とか処分しなければいけない。なぜ処分しなければいけないのか。そこら辺に置いておいたら危険だからですよ。しかも、その半減期が非常に長い。どうですか、違いますか。  この法律の目的の中に、国民の生命、国民の命を守る、安全を守るということが全く入っていない。こんな法律ありますか。
  128. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 安全体制を確保するということが最も必要なことであることは言うまでもありません。  この法律の中で安全規制体系の整備を行わないで、何で本法案だけ出すのか、そういう御質問でありますが、まず、高レベル放射性廃棄物最終処分の事業というのは、第一に巨額の資金が必要であります。第二に、処分候補地の選定等に非常に長時間を要するだろうと思われます。第三に、安全規制が必要とされるのは処分施設の建設段階以降である。この三つの点を考えまして、安全規制に関する法律はこの法案の後に策定する。これは諸外国等の例を見ましても、そのような形で行われているというケースが多うございます。  一方、処分の費用の手当てを先送りしないためには、本来は原子力発電を行った時点で費用を手当てするということが必要でありまして、また、その処分を行う主体を明確にする、そういうことも必要なことでございます。  そこで、私どもといたしましては、原子力安全委員会で安全規制についてはただいま鋭意検討が進められておりまして、今回の法律案においては、安全規制については別途法律で定めるということを法文上明確にしているという形になっているわけであります。
  129. 横路孝弘

    横路委員 私が聞いているのはそういうことではなくて、この目的を見ると、まるでこれは原子力産業を守ることを目的とする法律みたいじゃないですかと言っているのですよ。  問題は、高レベル核廃棄物というのはやはり危険性を持っているわけでしょう。非常に長い間、この持っている放射能の能力というのは半減しないものもある、長期間にわたる。ですから、それを安全にどうやって処分するのかということのための法律じゃないのですか、この法律は。
  130. 河野博文

    ○河野政府参考人 この法律の目的には、「特定放射性廃棄物最終処分計画的かつ確実に実施させるために必要な措置等を講ずることにより、」云々と先ほどおっしゃいましたように、措置を講ずることが中心になっておりまして、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、費用の負担、あるいは処分地選定、あるいは処分主体の設立、そういったことをこの法律で決めさせていただくということでございます。  もちろん、放射性廃棄物の安全な処分ということは当然のことながら重要でございまして、その点につきましては、これも大臣御答弁申し上げましたように、安全の確保の規制という第二十条におきまして、「別に法律で定めるところによる。」という規定を設けたわけでございます。  先ほどお話にございましたように、現在、原子力安全委員会でこの基本的な考え方も検討中ということでございまして、これを別途の法律によって定めていくという考え方でございます。
  131. 横路孝弘

    横路委員 しかし、それはおかしいと思いますよ。この法律に基づいて最終処分地をどうやって決めるかということ、この法律の中に規定されているじゃありませんか、六条から八条まで。ですから、本来ならばこの目的に、最終処分を安全に実施させる、そして国民の安全を守るということがはっきり出てこないとおかしいんじゃないですか。  大臣、これは認識がおかしいと僕は思うんですよ。これは原子力産業を守るための法律に形としてなっているのです、この目的は。しかしそうじゃなくて、問題は、この廃棄物はやはり危険だから安全にどう処分するかということでしょう。そのためにいろいろなことを準備しようということが目的のはずですよ。私は、この法律が非常にずさんなのは、まずこの目的を見て、これは一体何のためにつくった法律なのかと。もっと明確に、国民の安全を守る、そのためにつくるのです、当然じゃないでしょうか。
  132. 細田博之

    細田政務次官 おっしゃるとおり安全の問題もこの問題に関しては大変大事な問題であって、法律で決めなければならないわけでございますが、まず最初に枠組みをつくるということを各国とも実際はやっておりまして、しかる後に、その枠組みができました後に安全規制に関する規定を設けている例が多うございます。  例えば、ドイツにおいても、一九七六年の原子力法に対して、安全法は六年後。あるいはフィンランドは、八七年に対して十二年後。スイスにおいては、一九七二年に対して二十一年後。スウェーデンにおいては、八四年でございましたが、現在未整備ということでございます。アメリカにおきましては、八二年に対して九三年。  これは、さまざまな具体的計画との関連で整備すべき内容があるということもあると思いますけれども段階的に法整備をしていくという考え方であることと、巨額な費用等もかかるということでございますので、やはり環境整備の法律からまず制定させていただきたい、こういう趣旨でございます。
  133. 横路孝弘

    横路委員 それならば、この法律は、実施主体と費用の負担だけを決める法律にすればいいわけですよ。処分地を決めるのも段階を追って決めるように、要件だって、極めて不十分ですが、書かれているじゃありませんか。安全に関する点に入っているんですよ。  だから、今のお話だったらこの法律はちょっと出し直しをして、実施主体と費用の負担だけ当面明確にさせます、そして、あとは安全のちゃんとした法律ができてからやりましょうということでいいじゃないですか、どうせ時間のかかる話なんですから。
  134. 河野博文

    ○河野政府参考人 この法律処分地選定の手続を決めているのは、御指摘のとおりでございます。  ただ、先ほど申しましたように、第二十条で、安全の規制については別途の法律で手当てをするということにしておりますのは、処分地選定を行いました後、安全の規制というものは処分地選定に加えましてそれにどのような施設がつくられるか等を総合的に判断して決められるべきものだということでございますので、選定の後、さらに厳格な安全規制が実行されて実際の事業が許可される、そういう手続になるものと了解しております。
  135. 横路孝弘

    横路委員 いや、問題は、処分地選定そのものが、やはりいかに安全な地層を選ぶのかということでしょう。それに至る手続がこの法律に書いてあるんですよ。それは何を優先させなければいけないかというと、一万年間にわたってこの列島に住む人々の安全なんですよ。そのためにこの法律をつくったんでしょう。  だから、先ほどの答弁だったら、まず枠組みをつくるというならば、実施主体と費用の点だけこの法律でしっかりつくればいい。あとはもう少し時間をかけて議論して、どういう地層処分がいいのかということならば、そこに向かって議論をもう一度するということの方が正しい選択じゃないですか。あれもこれも何か物すごい拙速にできている法律ですよ。  大臣、どうですか。
  136. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 今まで日本でこの法律の整備がおくれていた。残念ながら、私どもは早くこの整備をしなければならないというふうに考えておりました。  それと同時に、外国のこのような手続の進め方等々も参考にいたしまして、まずこのような法律のスタートをいたして、安全性の問題については、先ほど申しましたようにこの法律の中で別途定めるということを法文上きちっと明確にしているわけでありまして、今後安全に対して万全を期するための新たな法律をつくる、そのために今原子力安全委員会において鋭意検討が進められておる状態でございまして、安全を考えないでこの法律をつくるということとは全く違うというふうに私は思っております。
  137. 横路孝弘

    横路委員 それならば、法律の目的でその趣旨を明確にすべきだというように思います。ぜひ議員皆さんの中でその点の御議論をひとつお願いいたしたいと思います。  私が非常に心配しているのは、よく原子力の安全神話ということが言われました。そうした中でジェー・シー・オーの事故などが発生したんです。  私も一つ体験したことがあるんです。北海道で泊の原子力発電所ができたときに、避難訓練をやろうということでやったわけですが、そのときに通産も科学技術庁も反対しました。安全なのに、わざわざ危険だということを宣伝するようなものだといって政府は反対された。それからもう一つ、反対運動をやっている方も反対されました。チェルノブイリのような事故が起きたらそんな避難訓練なんかやったって意味がないということですね。  しかし、避難訓練を年に二回ほどやっていますが、やってみると、消防の人たちの防護服がないだとか、保健所にヨードがないとか、避難を知らせるのに広報車で回っただけでは伝わらないとか、冬に逃げ道がないとか、いろいろなことがやはりわかってくるんですね。やはり人々はそれでもって何かあったときの心構えも準備もできてくるわけですし、行政の方も何を整備しなければいけないかというのがわかってくるんですね。  日本の場合はどうも、安全といったら安全、だめといったらだめになってしまって、そこに共通の土俵がないんですね。私は、この原子力問題の扱いは、原子力発電所だってやはり危険性はあるわけです、事故を起こせば大ごとになるわけですから。しかしそれを何とかコントロールしていこう、こういう考え方でなければいけないと思うんですね。安全なんだということを前提にしちゃって、そうするともう行政の、動燃なんかがそのケースですが、何か起きると隠すということになるんですね。安全だ安全だと言っているから隠そうということになってしまうわけですよ。  やはりその体質をまず改めなければ、この処分地を決めるというのは簡単なことじゃないですよ。大臣、どうもそういう考え方があるんじゃないだろうか。やはり危険なんだ、しかしそれを何とかコントロールしなきゃいけない、コントロールしていくためにはどんな手続とどんな国民的理解が必要なんだということでなければいけないんですね。この法律はそのスタートですから、どうも私の今の点からいうと非常に不十分な法律です。  どうですか、大臣。やはり危険なんだ、しかしそれを何とかコントロールしていこうということが原子力発電所を含めた関連施設全体に共通して言えることだと思いますが。
  138. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 私は、横路議員のそのお考えには同じような考え方を持っています。  例の東海村のあのような事故が起こりましたときに、原子力全体への不信感というのが一気に国民の脳裏に駆けめぐっていったわけであります。もちろん、東海村のあの燃料工場での事故と原子力発電所のそれとは、安全性には全く違いがあります。原子力発電所はそれこそ多重層の安全防御の体制をつくっておりますから、東海村イコール原子力発電所ということとは全く関係ないのでありますが、しかし、それにいたしましても、国民の皆様は同じように御判断なさって心配をされるわけであります。あの事故が起きましてから、法律改正等を行いまして、いざというときにいつでも対応できる、そういう体制を築いたわけであります。  原子力発電の今後の運営の過程におきましても、透明性というのは明確にして、隠すなどといったそんな体質は完全に払拭しなければなりません。そして、国民の皆さんの御理解を求めて御協力をいただきませんことには、これを維持運営していくことはできないわけであります。そういう意味では、私は、安易に目先をごまかしていくというような体質がもし残っているとするならば、それは断然変えさせていかなければならない、そのように考えております。  いずれにいたしましても、今後の高レベル放射性廃棄物最終処分に当たりましては、安全ということには万全を期すことは当然であります。  ただ、先ほど御説明申しましたように、これらの最終処分事業というのは非常に資金がかかるわけであります。あるいは、処分候補地の選定にもおっしゃるとおり長時間かけるつもりでございます。そして、そういうような状況が生まれ、安全規制が必要とされるのは、これらの処分施設の建設段階以降であるという特性があるものでありますから、そういう意味では、今回の法律の中で、法制上安全についての規制体系を法律としてつくるということをきちっと明記して、そしてその意思を示している、そのように私どもは考えております。
  139. 横路孝弘

    横路委員 アメリカの法律は、まず、現状の認定として、非常にリスクがあるということ、それからこの問題の三十年間の政府の努力がやはり足りなかったということ、それから三つ目に、やはり政府が責任を持つ、費用はやはり発生者が責任を負うべきだということ。それから、何といってもこの計画については関連する地方自治体と人々、国民の参加ということが必要不可欠だ、そして、この廃棄物というのは、健康や安全が今世代ばかりじゃなくて将来の世代にも不利にならないようにしなければいけないという認識のもとに、目的をこのように定めています。  目的として四つあります。一つは、処分場処分される高レベル放射性廃棄物によってもたらされる危険から公衆と環境を十分に守るという合理的な保障を提供するような処分場サイト選定、建設及び運転のためのスケジュールを確立すること。そして、処分のため政府の責任と明確な政策を確立するということ。それから、この問題について政府と州政府との関係を明確にすること。それから、費用の負担について明確にすること。こういうことがアメリカの法律の目的になっていまして、非常にこれはわかりやすいんです。  今回提起されているこの法律の目的は、くどいようですけれども、その辺が全く明らかにされていませんね、今のこのアメリカの法律と比較してみますと。この法律の目的は何が何だかわからない。これは委員長、各党間でいろいろな修正の議論もあるんだろうと思いますけれども、やはりこの審議を踏まえてよりよいものにしていくという御努力をされることを希望しておきたいというように思います。  そして、大臣どうですか、このアメリカの目的というのは明確ですよ。安全を守ること、責任は連邦政府にあること、政策を確立すること、連邦と地方と責任分担すること、費用の分担を明らかにすること。それが本来のこの法律の目的じゃないんですか。アメリカの法律の方がこの法律の目的を言いあらわしているように思いますが、いかがですか。
  140. 河野博文

    ○河野政府参考人 アメリカの法律におきましては、私ども法律上の整理でございます第二十条の安全規制の考え方、これは別途の法律で手当てするということでございますけれども、こうしたものもある種取りまぜた法律体系といいますか、そういった考え方をとっているように思われます。  ただ、再度申し上げますが私ども考え方は、この法律におきましては、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、制度の枠組みをつくる。特に費用の負担、あるいは実施主体、それから選定手続でございまして、安全体制につきましては別途の法律で手当てということになっておりますので、この法律の目的におきましてもそういったことを措置するということをうたっているわけでございます。
  141. 横路孝弘

    横路委員 それならば、六条から八条のところ、処分地選定というのは後回しにして、別の法律をつくってやるというようにした方がよろしいと思います。  後でまた議論しますので、次の質問に移ります。  一つは、プルトニウムの関連ですが、この法律でいいますと、使用済み燃料を全量再処理することを前提としているというように受けとめてよろしいでしょうか。
  142. 河野博文

    ○河野政府参考人 この法律におきましては、特定廃棄物処分の対象は、使用済み燃料を再処理した後のものでございます。
  143. 横路孝弘

    横路委員 全量再処理するということにしかこれは読めませんけれども、それでよろしいのですか、そうではないのですか。
  144. 河野博文

    ○河野政府参考人 全量の再処理が前提でございます。
  145. 横路孝弘

    横路委員 そこで大臣、これは非常に大事なところなんですけれども、いろいろな技術開発がこれから進んでいく、コストの問題もあるという意味でいいますと、やはり柔軟にして選択肢を広げておくということは大変大事だと思うのですね。  今、再処理を見ますと、アメリカは再処理をしていませんし、イギリスはビジネスだけですね。ドイツも、法律を変えまして義務づけしないようにしまして、将来は再処理をしないというように聞いておりますし、フランスは、スーパーフェニックス、二年前に廃棄を決めたわけですね。ヨーロッパでは電力が自由化されていますので、割高なプルトニウム利用というのは敬遠されているわけなんです。  そこで、すべての使用済み燃料からプルトニウムを取り出すという路線をそのまま続けるというのはいかがなものか、そこに少し選択できる余地を残したらどうか、このように思いますが、いかがですか。
  146. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 エネルギーの大方を輸入に依存しているという我が国状況を考えますと、エネルギーの長期的な安定供給の確保ということは非常に大事でございまして、そういう意味では、使用済み燃料を再処理して得られたプルトニウム等を再び利用するという核燃料サイクル政策、これを着実に推進していくということが私どものエネルギー政策として重要であると考えております。
  147. 横路孝弘

    横路委員 しかし今、電力業界からも、もうちょっと柔軟にすべきじゃないのかというような議論が出ています。  それはどういう議論につながっていくかといいますと、要するに、再処理をしてプルトニウムを取り出す、その結果、高レベル核廃棄物が出てくるわけですが、使用済み燃料のまま保管か処分をしたらどうかというような議論とか、中間貯蔵に重点を置いたらどうかというような、いろいろな議論が出てきています。  こういう、一辺倒ではなくて選択肢を残すべきだということは、ともかくこれから長期にかかわる問題でありますから、これからの技術開発がどうなるかということもありますし、大変重要な点だと思いますが、いかがでしょうか。
  148. 河野博文

    ○河野政府参考人 エネルギー資源の大宗を輸入に依存している状況の中で、プルトニウム等を再び利用する核燃料サイクル政策を私どもの政策の基本にしているということは、先ほど大臣が申し上げたとおりでございます。  このため、平成九年一月の原子力委員会決定、同じく平成九年二月の閣議了解に従いまして、政府としては核燃料サイクル政策を推進しているというところでございます。  当省といたしましては、我が国の核燃料サイクルの早期確立に向けましてさまざまな対策に取り組んでいるということでございまして、この政策を私どもの方針にしているということを再度申し上げさせていただきたいと思います。
  149. 横路孝弘

    横路委員 この法律で、基本方針を第三条で決めることになっていますが、決めた方針も、「改定するものとする。」というのがありますが、そこは改定の対象にはなるのですか、ならないのですか。
  150. 河野博文

    ○河野政府参考人 先ほども申し上げましたように、この法律の枠組みといたしましては、再処理をいたしました後の高レベル放射性廃棄物処分を対象としておりますので、この基本方針もこの範囲内に限定されるということでございます。
  151. 横路孝弘

    横路委員 当面、処分するガラス固化体の量というのは、二〇一〇年ぐらいでどの程度の量になるのですか。そして、それだけの量を生み出すプルトニウムの量は、どのぐらいになるのでしょうか。
  152. 河野博文

    ○河野政府参考人 現在、我が国に保管されておりますガラス固化体は、約三百本余りあると認識しております。  それから、これまでに使用されました使用済み燃料から、ガラス固化体に換算いたしますと、約一万二千本余りのものが生成されるという状況にあろうかと思います。  今回、この法律を提案させていただくに当たりまして、総合エネルギー調査会の原子力部会で検討していただきました費用算定の基礎となりましたのは、二〇一五年までに約四万本のガラス固化体がつくられるということが計算の基礎になっております。
  153. 横路孝弘

    横路委員 その四万本の場合ですと、プルトニウムは何トンぐらいになりますか。
  154. 河野博文

    ○河野政府参考人 お許しいただければ、後ほど計算の上、御報告させていただきたいと思います。
  155. 横路孝弘

    横路委員 大体でいいですよ、大体で。
  156. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  大方、六十トンぐらいだろうと思います。
  157. 横路孝弘

    横路委員 私の承知しているところでは、四万本ですと大体四百トンぐらいではないかと言われていますが、一本はウラン燃料換算で大体一トンというように聞いていますが、違いますか。
  158. 河野博文

    ○河野政府参考人 正確に計算の上、後ほど御報告させていただきますけれども、私どものプルトニウムバランスの計算でいきますと、二〇〇五年以降、いわゆる二〇一〇年代の後半に、日本で再処理をいたしまして生成されますプルトニウムは、年間約五トンのオーダーでございます。
  159. 横路孝弘

    横路委員 しかし、それとこのガラス固化体四万本というのは違うんじゃないですか。
  160. 河野博文

    ○河野政府参考人 御指摘のように、今申し上げました年間五トンというものは、それまでに使用が済みました燃料を日本の再処理施設で再処理いたしまして生成されるプルトニウムの量を今御紹介しましたので、使用済み燃料の量をそのまま、その時点で再処理するかどうかは別にいたしまして、いわゆるプルトニウムに純粋に換算いたしますと、恐らくそれ以上の数字になると思いますが、計算の上、御報告させていただきたいと思います。
  161. 横路孝弘

    横路委員 この点は非常に大事でして、御承知のように、世界の課題というのは核不拡散でございますから、そのために、余剰プルトニウムを持つと、それはすぐ核に転用するといいますか、やはり不信感を持たれるので、日本政府としては余剰プルトニウムを備蓄しないということでやってきたわけですね。  しかし、これは幾らプルサーマル、MOX燃料利用とやっても、これだけの、二〇一五年にガラス固化体四万本、それを目的にしてやっている。その四万本に相当するプルトニウムの量を換算すると、これはやはり相当余剰プルトニウムが出てくるということになるんじゃないでしょうか。それは当然の帰結だと思いますけれども
  162. 河野博文

    ○河野政府参考人 先ほどの御指摘のプルトニウムの量でございますけれども、今、手短に換算いたしましたので、やや正確性に欠けるかと思いますけれども、約四万本といいますのは、これに含めますプルトニウムをざっと計算いたしますと、約百億トンオーダーになろうかと思います。
  163. 興直孝

    ○興政府参考人 先ほど私六十トンと申し上げましたのは、海外再処理の方でプルトニウムを大体約三十トンでございまして、このほか、東海の再処理工場、六ケ所の再処理工場の運転が二〇〇五年以降行われてくるというふうなことを考えますと、二〇一〇年代に約六十トンぐらいになるだろう、こう申し上げた次第でございます。
  164. 横路孝弘

    横路委員 それは、一九九四年の長期計画におけるプルトニウム需給見通しが今のような答弁の数字ですよね。問題は、この法律で二〇一五年までに処理をするガラス固化体というのは約四万本ですよというお答えだったから、その四万本に相当するプルトニウムの量というのはどれだけなんですかということをお伺いしたわけです。  では、その点、現在所有しているプルトニウム、それから、これから生産されてふえていくガラス固化体が四万本という場合にどのぐらいなのか。それは二〇一五年ですから、では二〇二五年、二〇三五年と、十年おきにどのようにガラス固化体がふえていって、そしてそれに相当するプルトニウムの量はどういう量なのかということを、ちょっとまとめて資料として提出していただきたいと思いますが、よろしゅうございますね。
  165. 興直孝

    ○興政府参考人 承知いたしました。
  166. 横路孝弘

    横路委員 それでは、その問題は資料をいただいてからまた御質問させていただきたいと思います。  次に、この法律処分地決定のプロセスについてお伺いをいたしたいと思います。  私、今回資料を当たっていて、平成十年五月二十九日、原子力委員会レベル放射性廃棄物処分懇談会の「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本考え方について」というのを見まして、大変びっくりいたしました。びっくりしたというのは、役所も大分変わってきたのかなということを感ずるぐらい、ここは非常に危機感にあふれて、どうしたらいいのかということをいろいろ議論した結果がこの考え方の中にまとめられています。それで、この考え方法律に生かされているのか生かされていないのかということがこれからの質問のポイントであります。  まず通産大臣にお伺いしますが、何といっても大事なのは、情報の公開だというように思います。情報の公開なしに、つまり国民の理解なしに、処分地を決めるということはとてもできない。先ほども情報公開について、ジェー・シー・オーの事故に関連して通産大臣からお話がございましたが、情報の公開、これがもう一番の命なんだというように思いますが、大臣、いかがお考えですか。
  167. 茂木敏充

    茂木政務次官 本法案の第六十条におきまして、この運営主体であります機構につきまして、「適切な情報の公開により業務の運営における透明性を確保する」、このように努めなければならないことが明記をされているわけであります。  また、先ほど委員の方から御指摘ありました概要調査地区の選定等におきましても、三段階選定プロセス、そこの中での明確な基準を置きまして、適切な情報公開を図ってまいりたいと考えております。
  168. 横路孝弘

    横路委員 適切な情報公開などという、その言葉自身がもう古いんですよ。それはこの時代の情報公開の規定の仕方じゃないのです。  この原子力委員会基本考え方の九ページ「情報公開」というところに、このように書かれています。「処分事業の透明性を確保し、意図的に情報を隠しているのではないかという不信感を招かないために、事業のすべての段階を通じて情報公開の姿勢を徹底することが不可欠である。このたびの動燃事業団の事故をめぐる情報の取扱いは、この点に関する基本的な認識の欠如によるものであって、すみやかに情報を公開することが社会的な信頼を得る第一歩である。」このように原子力委員会報告書の中で書かれています。  このとおりだと思いますが、いかがですか。
  169. 細田博之

    細田政務次官 全くおっしゃるとおりでございまして、そうするつもりでございます。  ただ、三条、四条等におきまして公表規定があり、そのほかの条文については情報公開によってやるということは、たまたま、この第三条、第四条、基本方針とか最終処分計画は閣議をもちまして大臣が決定するということでございますから、官報等に公表するという在来型の法律的手法によってそれは確定するわけでございますが、当然ながら、その後の一番大事なところの個別の問題については、インターネット等を通じてすべて公開するという原則、方針で考えております。
  170. 横路孝弘

    横路委員 すべてを公開するということを今御答弁されたわけですが、それはやはり法律上はっきりさせてもらわないと、適切な情報の公開に努めるものとするといえば、いや、役所がまた判断して、これは適切でないからやらないとかやるとかということになるんです。  もうちょっとこの報告書、なかなかいい報告書ですが、九ページの同じその下に、「情報公開のあり方」ということでこのように書かれています。「予備的調査の段階を含め処分事業の各段階で、処分事業に関する情報を公開するのが原則である。 例えば、処分候補地や処分予定地の選定を行うさい、選定過程の科学的・社会経済的な情報を公開して、選定の根拠を提示することが必要である。また、選定プロセスにおける予備的調査やサイト特性調査で得られたデータや操業中に得られたデータなどを公開すべきである。さらに、事業を通じて、定期的にデータや報告書を公開することも重要である。」とまでここに書かれているんです。  非常に大事なのは、予備的調査の段階を含めて処分事業の各段階でその情報を公開しなさい、選定過程の科学的、社会経済的な情報も公開をして、選定の根拠を提示することが必要である、このように書かれています。これも本当にすばらしい考え方、画期的なことだと思いますよ。これを実行してくださいよ。
  171. 細田博之

    細田政務次官 基本的には、おっしゃった内容どおり、特にデータも含めまして、インターネット等を通じて公開する所存でございます。
  172. 横路孝弘

    横路委員 それならば、これは提案でございますけれども、結局、この法律は、基本方針それから最終処分計画のところについては公開規定があるんですけれども、実施主体が行っていく実施段階のいろいろな作業には公開の規定が全然ないのです。最後に、適切な公開をというこの怪しげな形容詞のついた規定があるわけですよ。こんな「適切な」などというのは、今の御答弁はすべての情報を公開するということでございますから、そのことを明記すべきじゃないですか、法律に。  だから、この法律、ちょっと十分じゃないと思いますよ。いかがですか。
  173. 河野博文

    ○河野政府参考人 条文でございますので御説明させていただきます。  第六十条におきましては、実施主体の業務につきまして、先ほど御指摘のありました「適切な情報の公開により業務の運営における透明性を確保する」ということがうたわれておりまして、この運用方針については、先ほど政務次官が御答弁申し上げたとおりでございます。
  174. 横路孝弘

    横路委員 やはり法律家の目から見ますと、情報公開に努めるとただ書いてあるならばともかく、「適切な」というような表現がつきますと、そこでやはり選択してしまって、これは適切でないから公開しないということになってしまうんですよ。  だから、この法律のつくり方は本当にそういう点で従来型の法律であって、これから一万年の国民の安全を守るためにその枠組みをつくろう、この原子力委員会の報告にあったようにともかく情報の公開なしに国民の理解は得られないという基本的な点からいうと、とても不十分ですよ、この法律の規定も。直したらどうですか。
  175. 細田博之

    細田政務次官 適切という意味についてでございますけれども、それは例えば、他の法律で個人の権利ですとかさまざまなものに抵触したり侵害したりするような不適切なもの以外はすべて公開するという前提で「適切な」と書いてあるのでございまして、適当に公開するとは言っておりません。そこのところは御理解いただきたいと思います。
  176. 横路孝弘

    横路委員 いみじくも言われたように、やはり適当な公開になってしまうんですよ。ですから、そこは法律上はっきりさせた方がいいと思います。  具体的にちょっとお尋ねをいたしますが、これから議論の方は少し六条の方とも関連をしてきますが、例えばこの六条の中で、まず文献調査を行いますね。  まず文献調査を行うわけですが、文献調査を行って、どこがだめでどこがよかったのかというようなことももちろん公開、公表していただけるというように思いますし、概要調査地区、精密調査地区、そして処分地というようになるわけですが、これも今私が申し上げたように、選定過程の科学的、社会経済的な情報も、予備的調査の段階も含めて公表するということを、くどいようですがもう一度確認をさせていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございますね。  原子力委員会のこの報告書に書かれている方向性で運用は考えていくんだというように理解させていただきます。よろしゅうございますね。  大臣、どうですか。これは大臣。大事なところですから。
  177. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 結構でございます。
  178. 横路孝弘

    横路委員 もう一点、この委員会報告書の中で私が見て大変すばらしいなと思いましたのは、外部からのチェックという項目があるんですね。これも大変すばらしい考え方でございます。  このように書かれております。「国レベルでは、処分事業の進行に応じて各段階でチェックする機能が重要となる。まず、国は、実施主体による処分地選定過程や活動を監督するとともに、技術面については、処分の安全性の観点から見た妥当性について各段階で検討する制度と体制を整えるべきである。」というのが一つ。「さらに、これらについて公正な第三者がレビューを行うことが考えられる。」第三者のレビューということは大変大事だ。これは二十九ページにあります。  九ページの方では、「処分地選定の過程や事業活動に対する外部者による確認」「事業について透明性を確保し、信頼を高める必要があることから、処分地選定の過程や処分場の建設・操業の過程における安全確保策など、実施主体の事業活動について外部から確認する仕組みを検討しておくことが必要である。 例えば、処分地選定経過や選定の理由について、公正な第三者がチェックを行うことや、実施主体の活動内容や操業状況について、外部から安全性を含めて定期的に確認し、評価する仕組みが考えられる。」  これも大変大事な考え方で、この報告書は本当にすばらしい内容を持っている。これは、各地でずっと公聴会があって、いろいろな人の意見を聞いて、そしてまとめたものなんですね。非常にこの問題について危機感を持って、どうしたらいいかということを議論されてこのようにまとまったわけです。  それで、まず一つ、大臣。これからいろいろな選定過程が進んでいく中で、公正な第三者がチェックを行う仕組み、これはとても大事なことだと思うのですね。これはどのようにお考えになられますか。
  179. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 原子力委員会の高レベル放射性廃棄物処分懇談会で提言されました処分地選定プロセスに関する基本的な考え方は、これを尊重して本法案に反映するように努力をしていこうということであります。  本法案中では、原子力発電環境整備機構が処分地を絞り込んでいく各段階において、通産大臣が国の最終処分計画の改定を行い、その際、原子力委員会意見を聞くことを義務づけているということになっております。さらに、処分地選定過程において、国及び機構が公平な第三者の意見等をいただくことは重要と考えておりまして、適切な仕組みを設けてまいりたいと考えています。
  180. 横路孝弘

    横路委員 まず一つは、国がチェックする仕組みですね。これは原子力委員会並びに原子力安全委員会があります。これも後ほど議論します。その上で、なおかつ第三者のチェック。ぜひ今の大臣の答弁を生かしていただきたいと思いますが、アメリカはその仕組みを持っているわけですね。アメリカは、科学アカデミーが推薦した人間を大統領が任命をいたしまして、そして評価する仕組みがつくられています。  やはり、そういう第三者がチェックしてやるということはとても大事だと思いますので、枠組みを決める法律なんですから、本来ならばこの法律にその仕組み、規定が入っていなければいけないという点でも、せっかく立派な懇談会の方針が出ていながら、この法律の中には生かされていない。つくった人に危機感がなかったのか、こっちの方を無視したのか、どちらかだと思いますが、大臣の今のつくりたいということをぜひ進めていただきたい、このように思っております。  それともう一つ、今の国のチェックということで、原子力安全委員会のチェックなんですけれども、これもちょっと尋ねておきたいと思います。  これは、第三条「基本方針」のところにも、基本方針を定めるときにはあらかじめ原子力安全委員会意見を通産大臣が聞かなければならないというように規定されています。しかしその内容は何かというと、前項の四号、五号ということで、第三条二項の四号、五号というのは「特定放射性廃棄物最終処分の実施に関する事項」「特定放射性廃棄物最終処分に係る技術の開発に関する事項」というように、そこだけに限定されているんですね。  しかし、私は、例えば一番の「特定放射性廃棄物最終処分基本的方向」も、二番の選定に関する条項も、それから七番の「その他特定放射性廃棄物最終処分に関する重要事項」もやはり原子力安全委員会意見を聞くというように、意見を聞く範囲を何も限定する必要はないんですから、そこは広げて考えるべきだと思いますけれども、いかがですか。
  181. 河野博文

    ○河野政府参考人 法律上の規定について御説明をさせていただきますと、原子力安全委員会は、所掌上、原子力委員会及び原子力安全委員会設置法において、原子力利用に関する重要事項のうち、安全の確保のための規制にかかわるものを審議事項ということにしているわけでございます。  この法案の中で、基本方針のうち、第三条の第二項第一号あるいは第二号、さらには第七号、これは私どもは、例えば第一号でございますと、一定の冷却期間を置いた後の地層処分といったような方向性でございますし、その他の項目についても、安全の確保のための規制ということを明示的に想定しておりませんので、原子力安全委員会意見を聞くということにはしていないのでございます。  ただし、先ほども御質問ございましたように、この法律第二十条におきましては、安全規制については別途の法律で定めるということになっておりまして、安全委員会は当然その際のダブルチェックの主体でございますから、この処分全体が安全に行われるという観点からいたしますれば、安全委員会の保障といいますか、審査は当然のことながら全体に及ぶということになるわけでございます。
  182. 横路孝弘

    横路委員 例えば、この二号の、概要調査地区、精密調査地区それから最終処分施設建設地の選定に関する事項というのは、結局、一言で言えばどういう場所が安全かということでしょう。地震火山のあるところはだめですよとか、安全に関することなんですから、それをいろいろ基本方針の中で決めていく基準をつくるときに、やはり安全委員会が物を言う、チェックする、当然ではありませんか。何もそこを分ける必要ないでしょう。
  183. 河野博文

    ○河野政府参考人 法律体系の考え方でございますが、先ほど来ちょっと重なった答弁で恐縮でございますが、原子力安全委員会は、別に定める法律によりまして、この処分に関する安全審査を総括的にいたします。  そういう意味で、この基本方針あるいは処分計画の中で、これは実際の処分地選定が行われ、さらにそこにどのような施設がつくられるかという、安全審査よりもかなり前につくられるものでございますので、その中で安全にかかわる部分につきましては安全委員会の御意見を伺うということでございますけれども処分地選定と、その後そこにどのような安全対策を施した施設ができるかということは、安全審査として一体に安全規制当局及び原子力安全委員会が審査するという考え方でございますので、処分が安全に行われるということについて安全委員会が十分な機能を発揮し得る仕組みが全体として確保されているというふうに考えております。
  184. 横路孝弘

    横路委員 この法律構造そのものも、議論するといろいろな問題があるわけです。  例えば、基本方針というのは、決めるのはまだこれからでしょう。最終処分計画もこれからですよね。どういう基本的方向にするのか、どのように建設していくのかという、技術開発も含めてみんなこれからなんですよ。これからなんですが、概要調査地区、精密調査地区そして処分地と、場所を決める方だけはこの法律の中である程度の要件が書かれて、極めて不十分な要件だと思いますが、進む仕組みになっているんですよ、この法律は。  本当は、基本方針を決めて、そして実施計画も全部決めて、その上で科学的な技術の基準というものが決められて、そこからスタートしなきゃいけないわけですよね、手順からいうと。ところが、こっちを決める方は後回しになっていて、場所だけ決めるというのはとっとことっとこできるようになっているんですよ。それが問題なんですよ、この法律全体。  基本方針最終処分計画実施計画も決まっていないのに、どうやって進めていくんですかね。どうなるんですか、この文献調査から始まる規定は。
  185. 河野博文

    ○河野政府参考人 基本方針あるいは処分計画、これにつきましては、この法律を御審議いただきまして成立をさせていただきましたならば、できるだけ速やかに制定をしたいと思います。  ただ、実際の処分地選定は、先ほど先生もおっしゃいましたように三つの段階を経て選定されていくわけでございますけれども、これには非常に長期間を要するわけでございまして、まず、政府といたしましては、基本方針処分計画の策定を行う、また、処分計画につきましては五年ごとに見直し、十年タームで計画をつくっていくという仕組みをまずここで構成しているわけでございます。
  186. 横路孝弘

    横路委員 国会は、この法律だけ通してあとはお任せという感じなんですね、この法律は。本当は基本方針だとか、これは閣議の決定事項になっていますけれども、やはりどこかで国会が関与することも大いに必要だなと思っております。  そこで、次の質問に移りますが、チェック機能もつくっていただく、国の方の原子力委員会関与もできるだけやはり拡大していただくということをお願い申し上げまして、もう一つは、住民の意見、参加ということであります。  この点につきまして、この原子力委員会基本考え方は、二十九ページになりますか、「関係自治体や関係住民の意見の反映」ということで、こういうぐあいに書かれています。「処分事業の各段階について、住民の意見を十分に聞き反映させていくことが重要である。住民の意見を聞くにあたっては、自治体を通じてなされることに加えて、広く住民の参加する公聴会や公開ヒアリングなどの方法が考えられる。」というように書かれているんです。  この法律を見ると、どこにも住民が参加するというのはないんですが、これはどのようにお考えなんですか。
  187. 河野博文

    ○河野政府参考人 法律上は、通産大臣が概要調査地区等を定める際に、都道府県知事あるいは市町村長の意見を聞かなければならないという、こういった関係の法令の中では非常に強い、地方自治体の御意見を拝聴する義務規定を設けているわけでございます。  住民の皆さんからの直接の御意見ということについては、法律上の定めはございませんけれども、今後何が必要な手続であるかということは別途検討する余地はあるというふうに思っております。
  188. 横路孝弘

    横路委員 この原子力委員会報告書の中に、わざわざ、海外の例も参考にすべきであるということで、フランスとカナダの例が紹介されています。  フランスでは、地下研究施設の建設に当たって、政府、実施主体、国会、地方議員、職業団体、環境保護団体、住民などによって構成される地域情報監視委員会というものを設置するということになっているんですね。それから、カナダでも、事業者と自治体と地域住民の人々によってコミュニティー対応委員会というのが構成されて、情報の交換を行っている。各国ともやはり理解を得るために大変な努力をしているわけですよ。  ところが、わざわざこの原子力委員会報告書の中で、公聴会や公開ヒアリングの方法が考えられると述べているんですが、どこを見たってそんな規定がないですね。規定があるのは、第三条に「関係住民の理解の増進のための施策に関する事項」というのを基本方針の中に決めるということであって、これは意見を聞くということではないですよね。  大臣、やはり公聴会や公開ヒアリングということも制度的に、ここは各段階でというように原子力委員会の方で書かれていますけれども、それも大変大事なことだと思いますよ。これはともかく大変な施設なわけですから、決めるのは、本当にみんな明らかにして、そしてみんなが安心するということがなければ、なかなか処分場は決まらないと思いますよ。  だから、どうしてもこういう手続というのは必要なんです。各国が苦労しているのもそこなんですね。ぜひ大臣、お考えをいただきたいと思います。
  189. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 今回の法律案の策定時において、立地点の選定に関して、情報の公開による透明性の確保、そのための地元の意見の十分な聴取、その声を反映するということに格段の努力をいたしたつもりでございます。  今法案中では、処分実施主体が最終処分施設の立地点を絞り込んでいく各段階で、通商産業大臣が国の最終処分計画の改定を行って、その際、当該地点を所管する都道府県知事及び市町村長の意見を聞くことを義務づけておりまして、立地点としての選定についての地元の意思を反映することができる制度としているところでございます。  また、原子力委員会レベル放射性廃棄物処分懇談会で提言されました処分地選定プロセスに関する基本的な考え方については、これを尊重して、本法案に反映するように努力していかなければならぬというふうに思っております。  いずれにしても、委員御指摘のように、十分な公開と住民の理解、協力が最も大事でありますから、その点には十分な対応を図るべきと考えます。
  190. 横路孝弘

    横路委員 今の大臣の御答弁ですと、法律の方をちょっと修正をして、そして公聴会、公開ヒアリングというのを法律に明記すべきではないかというように思います。  そこで、もう一点。今御答弁ございました、自治体の知事並びに市長の意見を聞かなければいけないという点でございますが、意見を聞くというのは、内容的には、意見を聞いてどうされるんですか。反対だと言われたら、どういうことになるんですか。
  191. 河野博文

    ○河野政府参考人 この処分地を各段階選定いたすに際しまして、先生御指摘のように、地方公共団体、都道府県知事あるいは市町村長の御意見をいただくわけでございます。これも、「聴かなければならない。」ということでございますから、強い規定というふうに考えております。  私どもといたしましては、こういった処分方針あるいは処分計画に即しまして、またそれまでに行われた調査に即しまして、地元の御理解と御協力を得るべく最大限努力をさせていただくつもりでございます。しかし、それでもなお、地元の御意見をいただくということでございますから、さまざまな御意見があれば、これを極めて重く受けとめて、国が決定するということでございます。     〔委員長退席、小林(興)委員長代理着席〕
  192. 横路孝弘

    横路委員 これはやはり同意がなければやらないというように解釈してよろしいんですね。反対してもやるということですか。
  193. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 最終処分計画においてその調査地区等を決定する際には、先ほどからお話がありましたように、これを管轄する都道府県知事及び市町村長の意見を聞いて、これを極めて重く受けとめて、最終的には国が決定するものだ、そういう規定であります。
  194. 横路孝弘

    横路委員 つまり、都道府県知事、市町村長の同意がなければならないということとは違うということですね。意見を聞いて反対でも、やるときはやるんだ、こういうことでございますか、今の答弁は。
  195. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 本規定は法的拘束力を持つものではありません。しかし、「意見を聴かなければならない。」このように明確に規定しているわけでありますから、その意見を極めて重く受けとめて対応するという意味であります。
  196. 横路孝弘

    横路委員 意見を聞くというのは、別に規定がなくたって当たり前のことじゃないですか。だから、それを聞いた上でどうするかということですよ。やはりここで、中央政府と地方政府、特にこういう大きな問題というのは地方政府が反対しているのを強行してやるということにはならないんじゃないんですか。原子力委員会の中でいろいろ提案してあるのも、やはりそこじゃないでしょうか。これは、知事や市町村長の理解があって初めて進められることだと思いますよ。
  197. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 私は横路委員と同じ意見でありまして、この仕組みの中で、知事及び市長の意見を重く受けとめて聞くということは、おのずから政府の姿勢を示しておることだと思っております。
  198. 横路孝弘

    横路委員 それでわかれといったって、そういうあいまいなところが結局混乱するのですね。だから、そこは、アメリカなんかの場合は、反対は反対でちゃんと受けとめて、その場合には、アメリカの場合は上院、下院で議決をするという方法が残されていますけれども、手続が明確なんですね。  この手続は、明確なようで、今のお話だと、重く受けとめるというだけで、どうもこれははっきりしない。例えば幌延の問題ですと、町長は推進し、私は反対。外国やあちこち調べたり、議会も反対の決議をしたわけですけれども、しかし、それでもやはりどんどん予算をつけて進められましたからね。この意見を聞かなければいけないというのがその程度だと、これはそんなに重要にということにはならないのじゃないでしょうか。  だからここも本当は、市町村長の同意を得なければいけない、そういう気持ちで、情報も公開して、ともかく何かお金をばらまいて処分地を決めようといったって、決まりませんよ、今までのやり方では。これは、科学的にいかに明らかにしていって説明がきちんとできるかということにかかっていると思うのですね。ですから、その場合、都道府県知事、市町村長の同意というのは大変大事な要件じゃないでしょうか、大臣。
  199. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 他の法令を比較してみますと、地方自治体の意見をどう反映するかという点についての比較をしてみますと、私は、本法律案の方がはるかに、いわゆる義務規定としているというふうに考えております。「通商産業大臣は、」「都道府県知事及び市町村長の意見を聴かなければならない。」これは明確な義務規定でありますから、私は、地元の意に反して行うということはないというふうに理解しております。
  200. 横路孝弘

    横路委員 本当に意に反してならないようにしていただきたいというように思いますが、この点も、法律表現として、私は、もっと強い、しっかりした表現が必要だというように考えております。  そこで一つお尋ねしますが、これは科学技術庁の方になりますか、既に、処分地にはしませんよ、中間貯蔵施設にもしないというように都道府県知事あるいは市町村長に約束しているところがあると思うのです、今までの経緯、経過の中で。それはどこですか。どことどういう約束をしているのかということを明らかにしていただきたいと思います。
  201. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 一つは北海道の幌延でございまして、地元の同意が得られない状況でそういう施設を建設することはないという約束をしております。  また、もう一つは岐阜県の東濃地区でございます。同様の発言をしております。
  202. 横路孝弘

    横路委員 二カ所だけですか。
  203. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 青森の六ケ所地域も同様です。
  204. 横路孝弘

    横路委員 それは、いずれも都道府県知事との約束ですね。それは、その県に置かないという話なんですか、それとも、特定のこの地域にはつくりませんよということなんですか。どんな内容なんですか。
  205. 興直孝

    ○興政府参考人 当該三県の知事とのお約束でございますが、岐阜県におきましては、別途、瑞浪の市長に対しましても文書でもって回答はしてございます。
  206. 横路孝弘

    横路委員 ちょっと、その内容をそれぞれ明らかにしてください。
  207. 興直孝

    ○興政府参考人 まず、青森県の六ケ所村におきましては、これは第一回目の高レベルの返還固化体が我が国に返ってまいりますとき、平成六年から七年にかけてでございますが、この際、青森県知事と科学技術庁長官とでお約束をしてございます。  二つ目は、岐阜県の瑞浪に超深地層研究施設をつくろうというふうなことで地元の方々に御協力を要請したことでございますが、その際、平成七年に瑞浪の市長と科学技術庁の大臣との間で、その上で、さらにそれを補完する形で、平成十年の九月に科学技術庁長官から岐阜県知事に対しましてお約束。  さらに、もう一点は、北海道の幌延の問題でございますが、特に今回新しく深地層研究所をお願い申し上げました折、すなわち平成十年の十二月でございますが、これに対しまして、科学技術庁長官から北海道知事に対しましてお約束をしている次第でございます。  この内容は、基本的には、例えば北海道を例にとりますと、「北海道知事をはじめとする地元が中間貯蔵施設及び処分場を受け入れない意思を表明されているもとでは、北海道内が高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵施設及び処分場の立地場所になることはないものであります。」など、このような形のお約束をしている次第でございます。
  208. 横路孝弘

    横路委員 それぞれの約束はしっかり守っていただきたいと思いますが、通産政務次官、通産大臣ですか、あるいは科学技術庁になるのでしょうか、ちょっとそこを確認してください。
  209. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 地元とのお約束は、厳格に守ってまいります。
  210. 横路孝弘

    横路委員 次の質問に移ります。  これからは、六条、七条、八条について、第二次取りまとめとの関連で御質問をさせていただきたい、このように思っております。  まず、概要調査地区でございますが、概要調査地区につきまして、まず文献その他の資料による調査を行うわけですね。この文献調査を行うというのは、私の理解では、まず調査をして、まず外すべきところは最初に外しちゃおうということだと思いますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  211. 茂木敏充

    茂木政務次官 そのような御理解で結構でございます。
  212. 横路孝弘

    横路委員 ですから、例えば、この規定もちょっとあいまいなところがありますが、消去法でいいますと、明らかに地震火山などの変動の記録があれば、それはまず外すということでよろしいですね。
  213. 河野博文

    ○河野政府参考人 第六条第二項の規定におきましては、文献調査対象地区におきまして「地震等の自然現象による地層の著しい変動の記録がないこと。」あるいは「将来にわたって、地震等の自然現象による地層の著しい変動が生ずるおそれが少ないと見込まれること。」という具体的な規定がございますので、こういった基準に適合していないものは外れるということになります。
  214. 横路孝弘

    横路委員 これもはっきりしないのですが、要するに地震火山などのあるところはだめだというように理解してはだめなんですか。火山のあるところでも、どこかいいという余地を残しているのですか。
  215. 細田博之

    細田政務次官 基本的には適当でないと思います。  先ほど午前中も参考人の学者の方からも言われましたけれども、そういうところはまず外すべきだとはっきりおっしゃっておられました。活火山の場合はですね。
  216. 横路孝弘

    横路委員 学者が言われたのはいいのですが、政府の方もそれでよろしゅうございますね。確認してください。
  217. 細田博之

    細田政務次官 結構でございます。
  218. 横路孝弘

    横路委員 次に、活断層、これも除くということでよろしゅうございますね。
  219. 細田博之

    細田政務次官 これは、活断層自体の分析も必要でございます。活断層は大小さまざまございますし、私も島根原発の、小選挙区内に原発のある地域で、原発周辺に活断層がございます。しかし、その長さ、深さ等を厳密に分析いたしまして、耐震性その他から見ると、震度幾つの限度のものが発生する可能性があるけれども、それ以上はないということでゴーサインが出たわけでございますが、そういった分析ももちろん必要でございます。
  220. 横路孝弘

    横路委員 それではどういう活断層がだめなのかというようなことになると、これはどこにも規定がないわけですよ。つまり、これから処分をする地層を決めていくに当たっては、やはりその基準というものは非常に大事なんだと思います。活断層はまた後で議論をしますので、それは横に置いておきます。  そこで一つ、この第二次取りまとめの中に「サイト選定の要件」というのがここの第六章にありますね。この中の「サイト選定における地質環境上の要件」ということで、このレポートは、一つは「可否の要件」「考慮の条件」というように分けて書いています。つまり、可否の要件というのは、アメリカでいうとやや除外条件といったように理解していい内容かなというように、その後の記述を見て思って読んでおるわけなんですが。  この中で、例えば、処分場の建設可能性として、岩盤の規模、深度、その確保が必要という項目がございます、この第二次取りまとめの中には。そして、処分場を建設する上で十分な規模の岩盤が適切な深度に分布していることが大切であるというように書かれていまして、要件として、特に第四紀の未固結岩などの分布している地域は除外されるというように、除外規定としてここに明記されているんですね。  これは調査を見ますと、文献調査でもそれはわかるわけでして、そこのところはこの法律の中にどこにもあらわれてこないんですが、これはどのようにお考えになったんですか。
  221. 河野博文

    ○河野政府参考人 この法律第七条第二項第二号でございますけれども、この精密調査地区の選定につきましては、坑道の掘削に支障のないものであること、これが選定要件の一つになっております。この要件を満たすための調査として、地層の形状あるいは広がり及び厚さの観点からも調査が行われるということになります。  したがいまして、地層の形状ですとかあるいは広がり及び厚さについては、別途規定を設けずとも、この項目で調査対象になるというふうに理解しております。
  222. 横路孝弘

    横路委員 私は文献調査のところを今聞いているんですよ。その前の六条の規定のところを言っているわけです。  というのは、この第二次取りまとめの中では、文献調査として、しかも文献調査だけで除外できるという地層がありますよ、地質がありますよということを述べているわけですね。それがこの法律の規定には入っていないわけなんですが、これはそれともあれですか、「その他通商産業省令で定める事項」というのがどこにも入っていますが、その中で、これは除外するということを明記するということでございますか。これは、これだけ明確に第二次まとめの中で除外すべきだというように明記されていて、法律に入っていないんですね。
  223. 河野博文

    ○河野政府参考人 第六条におきましては、第二項におきまして、地震等の自然現象による地層の著しい変動の記録がないこと、あるいは将来にわたって変動を生ずるおそれが少ないと見込まれることといった規定でございます。  これが文献調査の内容でございますが、最終的な処分地選定段階的に進めていくに当たりましては、今御紹介しました第七条の中で、坑道の掘削可能性調査ということで、御指摘のような岩盤の広がり等についても調査が行われるということを御説明申し上げました。
  224. 横路孝弘

    横路委員 いや、私が聞いているのは、第二次取りまとめの処分地選定、「サイト選定の要件」ということで詳細に書かれておりまして、その中でずっと、文献調査、最初の概要調査地区の場合どういうことをやるか、精密調査地区でどういうことをやるのかと。  例えば、この第二次まとめの考え方によりますと、ともかく、サイト選定のプロセスとして、最初に地質環境長期安定性として断層火山、隆起・侵食。それから、処分場の建設可能性として岩盤の規模、深度。それからもう一つ人間の侵入として地下資源。こういうことについては、むしろさきの段階で、文献調査それからボーリング調査も入っていますが、そこで行うというようになっているわけですね。文献調査の段階で外すことができるということの中に、この岩盤の話が出ているわけですよ。  処分場を建設する上で十分な規模の岩盤、これはともかく二キロ四方ぐらいの広大なものでしょう。それを地下千メートルなら千メートルでつくるというわけですから、どういう岩石の状況なのかということで、この中にはもう外さなきゃいけないよという規定が入っていますよ。外さなきゃいけないというのが、ここで見ますとある程度は文献調査でもわかるということにこの第二次まとめではなっているんですが、この法律を見るとどこにもそれがないということなんですから、これは文献調査の段階で除外するようにされたらどうですかと。  この第二次取りまとめ、これも十分だとは思いませんが、しかし、これよりもこの法律はまたさらに後退しているということを申し上げているんです。これはやはり除外条件としてはっきりさせた方がいいと思いますが、いかがですか。
  225. 河野博文

    ○河野政府参考人 核燃料サイクル機構の第二次取りまとめの理解でございますけれども、今御指摘の岩質あるいは領域、広がり、こういった観点はボーリング調査の対象としても記述されていると理解しております。  そういう意味では、この精密調査地区の選定の中で、まず概要調査が行われるわけでございますが、その七条関係も、これはボーリング調査を前提とした調査内容でございますので、この段階で除外するということが当然あり得るということだろうと思います。
  226. 横路孝弘

    横路委員 そうなんです。七条の方になっていて、これから議論をしていきますが、本来、この第二次まとめだと早い段階で除外していく話が、ずっと、だんだんおくれていっているんです、規定が。だからともかく、文献調査でわかる除外事項ということで明記されているんですから、それは法律にも明記したらどうですか。
  227. 河野博文

    ○河野政府参考人 御指摘のような岩盤といいますか、そういった岩の状況を除外するには、ボーリング調査をやるということが一つ考え方だと思いますので、先ほど来御説明していますように、第七条で調査をするという対象として私どもは考えているわけでございます。  もちろん、ボーリング調査をやるまでもなく、岩盤等の状況がわかっているというようなことが仮にありますれば、例えば、今後の検討でございますけれども、第六条の第二項には、一号、二号に続きまして第三号「その他通商産業省令で定める事項」というものがございますので、こういった内容で検討をすることは可能だというふうに思っております。
  228. 横路孝弘

    横路委員 可能なんですが、本当は、この一号、二号、三号、それから二項の方の一号、二号というようにずっと書いてありますよね、何というか、中途半端なんですよ。ちゃんと基準としてふさわしいものかといいますと、こっちだけ書いてあるけれどもこっちは落ちているとか、あとはみんな政令、省令でやるということになっています。政令、省令でも何を定めるかということがはっきり書かれていないんですね。  ですから、本当は、私はこの法律は出し直しをされて、実施主体とお金をどう集めるかということだけの法律をとりあえずは急いでつくって、あとはゆっくり議論をするということがいいのではないかと思います。  もう一点、この第二次取りまとめの中で、可否の要件というのはいわば除外要件なんですね。それから、考慮の条件というのは、アメリカはこの考慮の条件は除外条件にむしろ近い方ですけれども日本の場合はこの二次取りまとめは可否の要件、考慮の条件となっています。その可否の要件の中に人間侵入というのがありまして、地下資源のことに触れております。  この中で、「地下資源が存在する地域でないこと」ということで、処分候補地を選定する段階に、鉱床の分布や過去の鉱業活動などに関する既存の資料に基づいて検討することが可能であるということで、どこの国でもこれは外しているのですね。それが、この法律にはどこかへ消えてなくなっている。これはどうしてなんですか。
  229. 河野博文

    ○河野政府参考人 鉱業権のような権利との調整でございますけれども、この法律の第二十一条には、最終処分施設の保護という規定がございまして、一定の範囲を立体的な区域として、保護区域として通商産業大臣は指定することができるということになっております。この規定を通じまして、鉱業権等との調整が図られるということでございます。
  230. 横路孝弘

    横路委員 あなたは何を言っているのですか。調整の問題じゃないですよ。そういうところはだめだと言って除外しなさいというのが世界の流れですよ。この第二次取りまとめもそうじゃないですか。そこはこれから人間が将来にわたって、例えば五千年たって侵入していく可能性があるかもしれないから、資源のあるところは外しなさいという話であって、鉱業権と調整するなんという話じゃ全然ないですよ。
  231. 河野博文

    ○河野政府参考人 基本的にはこの処分、非常に重要な措置だというふうに考えておりますので、調整が要するようであれば、この処分施設の保護ということで補償をする等を通じまして調整をするという考え方でございますけれども、仮に、そういった資源が極めて、何といいますか、国益上この処分にまさるような有益なものであるというようなことが、今私どもは想定しているわけではございませんけれども、仮にあるというようなことでございますれば、条文上は、先ほど申し上げました第六条であれば、第二項第三号「その他通商産業省令で定める事項」として含めることは可能でございます。
  232. 横路孝弘

    横路委員 いや、ちょっと基本のところの認識ができていないと思うんですけれども世界じゅうどこでも地下に資源のあるところは処分地選定から外しているのです。どうして外すかといいますと、これは一万年にわたって安全確保をしなければなりませんから、何千年かたったときに、地下に資源があるといって人間がそこを目指して掘っていったら大ごとになるから、地下資源のあるところは今から除外しましょうという話なんですね。鉱業権の調整というのは全然そうじゃない。  だから、鉱床の分布や過去の鉱業活動なんかがあってわかるから、文献調査をやっても、資源のあるところは最初から外しましょうということで、この第二次取りまとめもそういう趣旨なんですよ。  だから、外す、外しますというように言ってくれれば、それでいいのですが。
  233. 河野博文

    ○河野政府参考人 鉱物資源の賦存状態との関係は、先ほど申し上げましたように、公益上どちらが優先するかということの考え方というふうに思います。  したがいまして、この最終処分を進めるに当たっての公益上の重要性と、そして御指摘のような鉱物資源の賦存、このことの国民的な有用性と、もしそれがまさるようであれば、この通産省令に定めるところによりまして除外するという考え方は可能というふうに思っております。
  234. 横路孝弘

    横路委員 そうするとあれですか、世界各国の流れとは別に、地下に資源があるところも処分地の対象になるという考えなんですね。
  235. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 鉱物資源に関しましては、本法案の第四章第三節で、最終処分施設を保護するために、施設の敷地及びその周辺並びに地下の一定の範囲を保護区域として定めて、当該保護区域内の地下掘削の制限だとか鉱業権の取り消し等の措置を講ずることができるように手当てをされておると思っております。
  236. 横路孝弘

    横路委員 いや、ですから、外国は、いろいろな措置をとったとしても、千年、二千年たったときにはそういうことというのはわからなくなるから、要するに地下に資源のあるところは外しておこうという考えなんですよ。  今のお答えですと、地下に資源があっても、周辺を保護地域にして立入禁止にしておけば二千年たっても人は侵入してこないという考えなんですか。だから、基本のところが外国と違うのじゃないか。しかも、この第二次取りまとめで、それはだめだというように書いているのですよ。  では、この法律をつくるときに、通産省が頑張ってこれは変えたのですか。
  237. 河野博文

    ○河野政府参考人 二つの点をお答えさせていただきたいと思います。  一つは、現実に私ども、監視等々、あるいはこの処分機構が管理しております機関を中心に、この地下資源との調整を図るということでございます。  他方、先生御指摘のように、仮に非常に貴重な地下資源が賦存しているという状況になりますと、非常に長い将来にわたって、その地下資源を、仮に保護区域があろうとなかろうと、掘削する可能性が出てくるではないかという懸念を持っていることは、諸外国においても御指摘のとおりでございます。その貴重な資源というものをどういうふうに認定するかという問題はこれからの検討でございますけれども、そういった可能性を排除するというのはこの六条において検討するべきことだというふうに考えております。
  238. 横路孝弘

    横路委員 いやしかし、今の大臣の御答弁を含めて考えると、結局、地下に資源があってもそこに処分場をつくりましょう、しかし将来は入ってこないようにそこは保護区域に指定すればいいのじゃないかというお考えで、これは各国考え方基本的に違いますね。各国は、大体資源のあるところはだめだと言って、特にアメリカのガイドラインなんかは明確ですけれども、そこは外してしまっていますね。  それは何かというと、やはり将来、長い期間の話ですから、どうなるかわからないわけですよ。どうなるかわからないから、その場合には、できるだけ人間がそこに迷って侵入することのないように、資源が何かあるとそこを掘っていきますから、そうすることがないように、ともかく資源のあるところはみんな外して場所を考えようというのがほかの国の考え方、特にアメリカのガイドラインで明記されている点だと思うんですね。  では、その考え方日本政府はとっていないのですね。とっているのですか、とっていないのですか。この第二次レポートとそこは非常に違うところですよ。
  239. 河野博文

    ○河野政府参考人 二つ、改めて申し上げさせていただきたいと思います。  一つは、この法律で保護区域を設定いたしまして管理をし、安全を保つということで、鉱業権との調整をするということでございますけれども、先生御指摘のように、貴重な資源、これはどのようなものをこれから貴重資源として考えていくかという考え方はさらに詰めていく必要がございますけれども、貴重な資源があるということは、将来的に、非常に長い将来を考えますと、御指摘のような人類といいますか人間のアクセスの可能性が高まるという要素は確かに御指摘のとおりでございまして、諸外国でもそういった考え方が念頭に置かれている、これまた御指摘のとおりでございます。  そういう意味で、どのようなものを貴重な資源と考えるかはこれからの検討でございますが、そういった資源が賦存していることが明らかな場合に、この第六条第二項第三号の通商産業省令によって除外することは今後検討させていただきたいと思います。
  240. 横路孝弘

    横路委員 まさに貴重か貴重でないかという議論じゃなくて、ちょっとこれを読んでみますが、この第二次取りまとめの六章の12の(3)「人間侵入に関する要件」で、このように書いています。「地下に資源が存在する場合、将来の世代が採掘や探査の目的で地下深部地質環境に接近することが想定される。処分場への人間侵入の可能性をできるだけ低減する観点からは、地下資源が存在する地域でないことが重要な要件となる。このような考え方は、諸外国においても示されている。」貴重であろうと貴重でなかろうと関係ないのです。
  241. 細田博之

    細田政務次官 貴重であるという表現が必ずしもいいとは言えません。  つまり、特に欧米などでは、大油田とか大炭田とか金属鉱床とか非金属鉱床とか、さまざまな形で鉱業の賦存、鉱物の賦存が考えられているわけでございますが、日本は残念ながら、今までのところ、本当の大地下資源というのは見つかっていない。北海道の炭田とか筑豊の炭田とか、そういうものはかなりの大鉱床でございますけれども。そういった規模の概念も含めて、これは将来的に開発の必要があるというものは、やはり貴重なものとして行政的に除外する必要もあると思います。  しかしながら、日本じゅう至るところに鉱業権が設定されております今日でございますから、小規模でほとんど採算性等から見れば、鉱物はどこにでも多少は賦存はしておるわけでございますが、やはり判断が必要な事項であると考えますので、そういった意味を含んだ貴重なという表現でございます。
  242. 横路孝弘

    横路委員 何か、もう既に大分あちこち調査されておられて、鉱業権のあるようなところも大分頭の中に入れておられるんでしょうか。  この第二次取りまとめとは、したがって、違う選択を法律ではされたというように考えていいんですね。  こっちは専ら、資源の内容について言っているわけじゃなくて、どんな資源でも、あればそこに人間が侵入していく危険性があるから排除しようという、極めてわかりやすい論理構造になっているんですが、今のお話ですと、理由が二つあって、一つ日本の将来にとって貴重な資源というのはありますねということと、あちこちに鉱業権が設定されていてそれを除いたんじゃとても場所が見つからないという要素。その要素も大きいんですか。
  243. 興直孝

    ○興政府参考人 この二次報告書は、原子力委員会の原子力バックエンド対策専門部会から平成九年四月に部会報告が出ておるわけでございますが、これに基づきまして第二次のレポートが平成十一年十一月に取りまとめられたところでございますので、そういう観点から、原子力委員会の事務局であり、かつまたサイクル開発機構の担当の局長ということで、私の方から事情を御説明させていただきます。  この二次報告をつくる過程で、原子力委員会の原子力バックエンド対策専門部会では、安全基準の策定に資する技術的よりどころをきちっと考える必要がある、こう言っておりまして、その安全基準の策定に資するため、サイクル機構は二次取りまとめにおいて、処分場設計要件と設計施工基準、あるいは安全性の評価手法に関する技術的よりどころを示す必要があるよ、こういうふうに宿題を出したわけでございます。  その宿題の中に、接近シナリオに対する考察といたしまして、天然現象が発端となるシナリオであるとか、先ほど来先生からお話ございます将来の人間活動に起因するシナリオとして、掘削、資源採取、地下構造物の建設などについての考察をしてほしい、こういうことで、それを踏まえて、サイクル開発機構が十一年十一月に、先ほど来先生お話ございますように「人間侵入に関する要件」として、「処分場への人間侵入の可能性をできるだけ低減する観点からは、地下資源が存在する地域でないことが重要な要件となる。このような考え方は、諸外国においても示されている。」このように触れております。  したがいまして、この問題は原子力委員会の部会が出してございますとおり、基準策定の際にこれが生かされていく話ではないか、このように考えておる次第でございます。  恐縮でございます。
  244. 横路孝弘

    横路委員 もう時間が来ているようでございます。  ですから、この法律の特に六条、七条、八条は、もっとちゃんと時間をかけて整理をしないとだめなんですよ。法律でちゃんと決めるべきこと、それから、ちゃんとガイドラインのように具体的にかなり細かく決めていかなければいけないこと。だから、法律基本でいうと、この中に混在しているんです。それで、今までやってきたことが抜かされていたり、今まで余り、後で再開されたときに質問いたしますけれども、非常に大きな問題もまだあるんですね。  ですから、これは議論していかなければいけない問題だと思っていますので、くどいようになりますが、こうやって議論すればするほどやはり問題がはっきりしてきて、法律の規定としてはどうも十分ではないというように思います。  ともかく、実施主体をつくって、お金を集めて、そちらをスタートさせるということは必要だと思うんですね。とりあえずそれをやって、あと、内容に関することはもう一度法案を提出し直した方がよろしいんじゃないかということを申し上げて、時間になりましたので、あとはまた再開後にいたしたいと思います。
  245. 小林興起

    ○小林(興)委員長代理 午後三時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後二時四十五分休憩      ————◇—————     午後三時五十五分開議
  246. 中山成彬

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横路孝弘君。
  247. 横路孝弘

    横路委員 それでは、引き続き質問させていただきたいと思います。  最初に、概要調査地区、精密調査地区なんですけれども、これは何カ所かに絞り込んでいくのですか、初めから何カ所と決めて選定をしていくのでしょうか。国によってはそうやって、この段階で五カ所に絞る、その後最終的に絞り込むとかいうように段階に応じて箇所を決めておりますが、この法律には明示されていませんが、その点はどうお考えでしょうか。
  248. 河野博文

    ○河野政府参考人 基本的な考え方といたしましては、概要調査地区の方が数が多く、そして徐々に絞り込まれて詳細調査地区、そして最終的に処分地というふうに、数字的には少なくなっていくものと理解しておりますけれども、ただ、具体的に何カ所ということを明らかに念頭に置いているものではございません。
  249. 横路孝弘

    横路委員 いや、それは数を決めてやれば幾らでもできるわけなのですが、絞り込む数は明記しないということですね、最後になって突然ぽっと処分地が決定されるということになるのですか。例えば精密調査地区の場合に、ここにおいては例えば五カ所にするとか、そういうことはしないのですか。
  250. 河野博文

    ○河野政府参考人 今この法律を提案させていただく段階で、例えば概要調査地区については確実に何カ所、あるいは詳細調査地区については何カ所というふうな具体的な数字が念頭にあるわけではございません。ただ、考え方といたしましては、先生おっしゃいましたように、徐々に候補地が絞り込まれていくということは当然あり得ることだというふうに思っております。
  251. 横路孝弘

    横路委員 ただ、徐々にといったって、概要調査地区と精密調査地区で、あとは処分地ですから、そこのところは情報を公開されるということでございますので、除外条件がまず最初の段階で適用されていって、おのずから残されていく中で、今度は、可能であってもベターとベストというように、だんだん分かれていくものだというように思っています。  そこで、また先ほどの質問の続きになりますが、第七条「精密調査地区の選定」というところで、初めて地下水の水流という問題が出てくるわけであります。そして、第七条の二項の二号、三号で、精密調査地区を選定するその要件として、坑道の掘削に支障のないもの、それから、地下水の水流などがある場合はこれが坑道その他地下施設に悪影響を及ぼすおそれが少ないと見込まれるものというように、非常に施設のつくりやすさ、施設の機能というところに重点が置かれているように思いますが、そのような理解でよろしいのでしょうか。
  252. 河野博文

    ○河野政府参考人 第七条の精密調査地区の選定は、具体的に書いてありますことは、概要調査の内容及びその概要調査を行った結果精密調査に行くに当たっての選定要件ということでございますけれども、ここにございますように、第一号におきましては「地震等の自然現象による地層の著しい変動が長期間生じていないこと。」それから「坑道の掘削に支障のないものであること。」また先生の御指摘にありましたような「活断層、破砕帯又は地下水の水流があるときは、これらが坑道その他の地下施設に悪影響を及ぼすおそれが少ないと見込まれること。」ということでございまして、一号におきましては、もちろん施設も加味されますけれども地層の大きな変動がないということ、それから二号、三号、主として御指摘のように施設の建設が可能であるということを念頭に置いた要件でございます。
  253. 横路孝弘

    横路委員 例えば、地震等の自然現象による地層の著しい変動が生じていないというのは、これはもう文献調査の段階で除外されていく話なんですね。その辺のところが非常にあいまいなわけであります。  私は、ちょっと地下水のことについてお尋ねをしたいと思いますが、これも第二次取りまとめとの関連になります。第二次取りまとめでは、先ほども申し上げましたように、可否の要件、除外すべきものは何かということがあって、考慮の条件というのがあります。その中に、人工バリアの設置環境、天然バリアの機能ということで、地下水と岩盤のことがここで触れられております。  地下水の流動特性、それからもう一つ地下水の地球化学特性。つまり、流動特性というと、流れが例えば速いか遅いか、地球化学特性というと、酸性かアルカリか、あるいは核種が溶解するものか沈殿するものかというようなことで、これは人工バリアの設置環境で、余り流動性が速過ぎると緩衝材の流失を引き起こさせてしまう。それから化学特性でいうと、腐食や溶解など、つまり酸性の地下水だとそういうことが起きてしまう。ということで、第二次取りまとめの中では、地下水の流動特性ということについて、人工バリアの場合の要件が書かれております。  ところが、ここの第七条の方では、地下水があるときはその概要による事項の調査を行って、しかしそのことが何か明記されているか。  つまり、精密調査地区を選定する場合に、水の関係でいうと、坑道の掘削に支障がないということと、地下施設に悪影響を及ぼすおそれが少ないということになっていて、どうも施設の機能の方に重点が置かれているのではないかというように思うのですけれども、この点も第二次まとめが必ずしも反映していないというように理解しますが、いかがですか。
  254. 河野博文

    ○河野政府参考人 第二次取りまとめで、先生御紹介になりましたような地層の物理的特性あるいは腐食等に関係いたします化学的性質について、その選定要件というふうに記載されていることは、そのとおりでございます。  私どもが、この第七条及び第八条で具体的な選定基準を極力具体的に書いてありますのは、第七条ではボーリング調査が主体の調査でございます。その中でできる限りの情報を収集するということで、第七条第二項の各号にあるような判断をするということでございます。  さらに、第八条では精密調査の内容が記載されているわけでございますけれども、この中には、先生今御指摘になりましたような岩石の強度、あるいは水素イオン濃度等々の化学的性質に関する事項、さらに、地下水の水流があるときはその詳細ということで、順を追ってこういった化学的特性あるいは物理的特性について、特に第八条の精密調査の内容でございますので、これは地下に具体的な施設をつくって調査をいたしますのでそこまで調べ得るということで、ここに記載しているとおりでございます。
  255. 横路孝弘

    横路委員 第二次取りまとめとこの法律との違いは、段階が、だんだん調査する事項と対象というものがずれていっているのですね。第二次取りまとめでは、今の点は、むしろ八条の最終処分地選定という前の段階で調査をしなければいけない点になっているわけであります。  その点と、もう一つ、岩盤中の物質移動特性というのが第二次取りまとめの「サイト選定における地質環境上の要件」の中に挙げられております。これは天然バリアの問題としてあるわけです。  今までの考え方は多重バリアということで、人工バリアプラス自然バリアということでございましたが、自然バリアで一番大事なのは何かというと、やはり岩盤の持っている物質移動特性、つまり核種が移行しづらいということが自然バリアを選定する場合の非常に大きな要件だというように思うのですね。そして、第二次取りまとめの中でもその点はかなり詳細に書かれておりまして、天然バリアの機能として、岩盤中の物質移動特性、核種の移行に対して十分な遅延効果があるということが天然バリアに対する期待なわけでありますけれども、そこが記載をされています。  ところが、この法律を見ると、その辺のところがどうも極めて不明確だというように言わざるを得ないと思うのですね。先ほど、坑道の掘削に支障がない、あるいは地下施設に悪影響を及ぼすおそれが少ないというように、専ら何か建物の施設そのものの機能とか、そこに重点が置かれておりまして、天然バリア全体についてどうだということが必ずしも明記されていないんじゃないだろうかと思いますけれども、いかがでございますか。
  256. 河野博文

    ○河野政府参考人 私どもの理解するところ、その第二次取りまとめの中で、物質移動特性も当然考慮するべきであるということでございますが、私どもの第八条をごらんいただきますと、精密調査を行う内容として、岩石の強度その他の物理的性質に関する事項、あるいは化学的性質に関する事項ということが具体的に示されているわけでございまして、こういった段階におきまして、物理的な移動特性の問題も調査対象になるというふうに理解をしております。
  257. 横路孝弘

    横路委員 例えば、八条の二項で最終処分施設建設地の選定として、ここに要件が掲げられておりますが、三つあります。  地層内で異常な圧力を受けるおそれがないと見込まれること、物理的特性が設置に適していると見込まれること。それから、異常な腐食作用を受けるおそれがないと見込まれることその他化学的性質が設置に適していると見込まれること。地下水や水流が地下施設の機能に障害を及ぼすおそれがないと見込まれること。ということなんですが、では、一体それは何を基準として適しているのか適していないのかということを判断するのかというと、これでは、何か書いてあるようで実は何も書いていないというのと同じなんですね。  どういう点を基準にするのかということをはっきり言わないと、これではどうしようもないんじゃないでしょうか。ある意味でいうと、どれでも該当するといえばどれでも該当するということになりかねないと思いますが。
  258. 河野博文

    ○河野政府参考人 例えば、今御指摘の第八条第二項第一号でございますけれども、「地下施設が当該対象地層内において異常な圧力を受けるおそれがないと見込まれることその他当該対象地層の物理的性質最終処分施設の設置に適していると見込まれること。」ということでございまして、「異常な圧力を受けるおそれがないと見込まれること」は、例えば岩盤のひずみ等でございますけれども、こういったことを例示としつつ、「物理的性質最終処分施設の設置に適していると見込まれること。」ということで、御指摘のような岩盤内における移動特性等も考慮して選定要件を検討するということでございます。
  259. 横路孝弘

    横路委員 ここを見ていますと、その岩盤の中の核種の移行というものをどうやって遅延させるかという観点よりは、例えば異常な圧力を受けるおそれがない、あるいは異常な腐食作用云々、これは、施設の金属に対する、だから人工バリアに対する腐食作用のことでしょう。それから、地下施設の機能に障害を及ぼすおそれがない。むしろ、専ら施設の機能が中心であって、天然バリアという、その岩盤特性については、これだけ読んだのじゃはっきりしないんじゃないですか。そこはやはり明確にした方がいいんじゃないでしょうか。  どうも、何かこれを読んでおりますと、多重バリアというけれども、ほとんど人工バリアにウエートが置かれているというのがこの法律の規定の仕方だと私は思いますけれども
  260. 河野博文

    ○河野政府参考人 この法案を起草させていただくに当たりまして、さまざまな方々の御意見もちょうだいし、私どももこの天然バリアあるいは人工バリアということを念頭に置きつつ対処してきたつもりでございます。  そういう意味で、この八条の第二項各号に掲げてありますことは、先ほどと重ねた答弁で恐縮でございますけれども、例えば「異常な圧力を受けるおそれがない」ということは例示でございまして、そういったことも含めた物理的性質を適正に判断するということでございますし、また「異常な腐食作用を受けるおそれがないと見込まれることその他」ということで、これも例示でございまして、さまざまな化学的性質の適否の判断ということがこの要件になっていると理解しております。
  261. 横路孝弘

    横路委員 ただ、この第二次取りまとめの方でいいますと、天然バリアの機能のところに岩盤中の物質移動特性ということがありまして、もちろん物理的な要件もありますけれども、例えば、物理的特性といえば、温度みたいなものがどうなのかというようなこともあるように思います。  いずれにしても、核種に対して十分な遅延効果ということを期待しなければいけないわけなんですが、ちよっと質問をかえまして、最初の定義のところをちょっと見ていただきたいと思いますが、第二条の定義です。  第二条の定義のところで「特定放射性廃棄物及びこれによって汚染された物が飛散し、流出し、又は地下に浸透することがないように必要な措置を講じ」というと、実は、天然バリアの考え方というのは、時間がたてば人工バリアというのもやはり崩壊をして地下に浸透するということがあることを想定して天然バリアという考えは成り立つわけですね。ところが、この法律を見ていると、浸透することがないように必要な措置を講ずるということで、浸透はしないということを前提に書かれているわけです。違いますでしょうか。  したがって、ここの考え方から、後の、地域選定する要件という中に、天然バリアのウエートがずっと削られていって、専ら坑道だとか施設だとかというところに重点が置かれていっているのも、人工バリアでかなりカバーするのだ、一万年の間、そういう考え方に立っているからじゃありませんか。  本来、多重バリアで、天然バリアと人工バリアといいながら、実は人工バリア中心になっているというのはここにもあらわれていると思いますが、これはどういう意味でしょうか。
  262. 河野博文

    ○河野政府参考人 ただいま定義でお尋ねがございました、特定放射性廃棄物等が飛散し、流出し、または地下に浸透することがないように必要な措置を講ずるということでございますけれども、これは、こうした飛散等が生じないように十分な措置を講ずるということを規定したものでございます。  ただ、何度も申し上げることになりますが、立地地点の選定のプロセスで、安全措置としての人工バリア、そして天然の条件としての天然バリア、こういったものをすべて勘案して選定していくということは、両方念頭に置いているというつもりでございます。
  263. 横路孝弘

    横路委員 しかし、規定の仕方がそうなっていないわけですから、もしそうじゃなくて、自然のバリアも重視するというと、自然バリアの中の一番大きい要素は岩盤中の物質移動特性が要件として非常に大事だということでありますので、それをちゃんと明確に明記しなければいけないというように思います。いかがでしょうか。
  264. 河野博文

    ○河野政府参考人 岩盤中におきます移動特性等も考慮して、そういった立地選定といいますか、用地選定といいますか、順を追って立地地点の選定をしていくということは天然バリアのことを念頭に置いた考え方でございますけれども、具体的な処分におきまして、飛散等をしないようにという、できるだけ十分な措置を人工バリアにおいて講ずるということは、これまた安全確保の観点も含めまして必要なことではないかというふうに考えております。
  265. 横路孝弘

    横路委員 アメリカでは、要するに、ガラス固化体にしてステンレスのキャニスターに入れまして、岩盤の中に処分をして、一万年間水に接しないということがたしか大きな要件になっていたと思うのですね。日本の場合は多分、地下はどこでも水だらけだと思うのです。そうしますと、問題は、水の要素それから岩盤の要素、二つの要素が大変大きな要素になるということなんです。  くどいようですが、どうもこの規定になりますと、坑道だとかそれから腐食作用とか地下施設の機能というような、専らそこに重点が置かれていて、それ全体の、岩の持っている特性みたいなところが規定としては非常に不十分だ。  それは、やはりこれからガイドラインをつくっていかれるわけでしょう。そのガイドラインの中に、そういった岩盤中の物質移動特性とか、あるいは水の持っている流動性とか化学的な特性とかというようなもののガイドラインを明確に決めていただきたいというように思うのです。しかもそれはできるだけ早いレベルの段階でやる必要があるだろうというように思いますので、文献調査を終わりまして、その次の段階に行く中ではそういったガイドラインを明確にしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  266. 河野博文

    ○河野政府参考人 先ほど来申し上げましたように、この法律上の要件といたしましては、具体的な例示を挙げつつ、ある意味では包括的に記載をしております。御指摘がありましたように、これから具体に科学的知見を積み上げまして、さらに具体的なガイドラインといいますか、判断基準をつくり上げてまいりたい、こういうように考えております。
  267. 横路孝弘

    横路委員 そこで、アメリカの場合の人工バリアの考え方というのをちょっと御紹介しますと、まずアメリカは、このガイドラインの中で、自然バリアを何よりもまず重視しなければいけないということですね。そして、工学的な障壁が、つまり人工バリアですね、地質的な媒体の欠陥を補うために依存することのないよう考えなければいけない。したがって、不適切なサイトを補うための人工バリアはだめですよ、サイトの本質的な欠陥を隠すため、あるいは一つサイトと全体的なシステムの長所及び欠陥を隠すため、そういった、何か自然バリアの不十分さというものを隠すために人工バリアで補ってはいけませんよというのがアメリカの考え方です。  日本の場合はどうもそこがはっきりしないのですが、こうしたアメリカの考え方についていかがでしょうか。賛成なんでしょうか、いや日本は違うよというのでしょうか。
  268. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 横路委員の数々の御意見を含めた御質問をずっと伺っておりました。  基本的には、どうやって安全性を確保するかということ、その一点に尽きるわけでありますが、先ほどの長官の答弁でもそうでございますけれども、私たちの想定しているのは、人工バリアと自然のいわば天然バリアと、両方の力を合わせて、そして安全性を確保していこう、そういう考え方でございます。  本法律案の中での立地点の選定基準についていろいろお話もございましたけれども最終処分施設の立地点として備えるべき基本的な要件を規定しているということでありまして、ただいまお話のありましたようなさまざまな問題については、今後の知見も踏まえて、省令等で必要な事項は定めていきたいというふうに考えます。
  269. 横路孝弘

    横路委員 その点で、ちょっとまた一言お願いといいますか、やってほしいことがあります。  アメリカのガイドライン、午前中もお話があったと思うのですけれども、この中で、例えば水源への近接度、あるいは国立公園などの環境の保全の問題、それから輸送、つまりガラス固化体を処分地へ輸送するその輸送の安全、あるいは人口への近接度、こういった点について、やはりこの規定の中にないわけでございますけれども、ガイドラインの中ではそこも要件をはっきりさせるべきだというように思います。  ぜひアメリカのガイドラインも参考にされまして、これはもう、岩石から地下水からいろいろな要件について、除外条件、それから好ましくないものとなり得る条件、好ましい条件、適正条件というように向こうは分けています。日本の二次取りまとめでいえば、可否の要件と考慮の条件ということになるのでしょうけれども、その辺のところをはっきりさせながら、できるだけ具体的なガイドラインをつくる。  今大臣からもお話がございましたけれども、アメリカの幾つかのケースを申し上げました。こういう点などを参考にされてつくられるように、ぜひ御努力をいただきたいと思います。
  270. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 何よりも安全性を確保するということが最終的な目標でございますから、横路委員言われましたような御意見のとおりに、アメリカその他、いろいろな角度から、ガイドラインの中でどこまで示せるか、十分に考えながら対応していきたいと思います。
  271. 横路孝弘

    横路委員 最後一つ二つお尋ねしたいのですが、一つは自然エネルギーです。  超党派の議員連盟の方で立法作業を進めておりますが、いずれにしても、この状況を見ると、やはり自然エネルギーのウエートを高めていく努力というのはしていかなければいけないと思いますし、今までのものよりもそのウエートを高くしていかなければいけない。  議員連盟の議論としては、電気事業者に自然エネルギーの買い取り義務を負わせようかどうかとか、あるいは一定の割合、例えば一〇%の自然エネルギーを確保するように何とか目標としてやっていこうじゃないか、いろいろな議論がありました。議論がありましたが、いずれにしても、自然エネルギーのウエートをもっと高めていく努力をしよう。風力、バイオマス、太陽光、いろいろありますけれども、この点について、大臣、超党派の立法ができましたら、従来の自然エネルギーについての位置づけをやはり変えて、もっとウエートを高めるようなことでの御努力をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  272. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 そもそも、エネルギー安定供給の確保であるとかあるいは地球環境の問題等々考えてまいりますと、やはりこれから自然エネルギーをいかに確保するかということに全力を挙げるべきだというふうに考えます。  横路委員も参加しておられる超党派議員による自然エネルギー促進議員連盟が、先般、自然エネルギー発電促進法案の大綱というものを発表されました。私どもも大変大事なテーマとしてこれを受けとめております。法案大綱に盛り込まれております自然エネルギーの普及促進策のうち、例えば電力会社への勧告の問題とか電力会社に対する補助制度の導入等々について、かなりまだ慎重な検討を行うべきものがあるとは思いますけれども、私は、せっかくの議員の皆様のこういうお声というのは大事に受けとめていくべきだと考えます。  また、政府としては、昨年十二月から総合エネルギー調査会に新エネルギー部会を設置いたしまして、最近の新エネルギーの現状、欧米諸国の状況あるいは政策動向についてただいま検討を進めているところでございます。また、本年の四月に開始されたエネルギー政策の総合的な検討の中でも、今後の新エネルギー政策のあり方について幅広く検討していこうということで、鋭意努力をしているところであります。
  273. 横路孝弘

    横路委員 エネルギーの事情、状況も、例えば燃料電池の開発などを含めまして、こうした自然エネルギー、いろいろこれから変わっていくんだろうと思うのですね。  今、政府の方でも原子力開発利用長期計画について改定の作業をやっておられるようですけれども、ヨーロッパを見ますと、建設中の原子炉もありませんし、発注も将来のプロジェクト計画しないということで、かなり脱原子力といいますか、それぞれの国の事情、状況に応じて、新しく拡大はしないとか、今動いているのが稼働し終わったらそれで終えるとか、いろいろな方針で非常に動いてきています。  大臣はこういう状況をどうごらんになっておられるのか、今度の改定作業の中でどのような基本的なお考えを持っておられるのかをお伺いして、ちょうど時間になりましたので、私の質問を終えたいと思います。
  274. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 我が国の資源のない状況を考えますと、中心は相変わらず石油資源、これは輸入に頼っているわけでございます。そのほかさまざまなエネルギー源として開発しておりますけれども、やはり原子力に負うところはかなり大きいと思わなければならぬと思います。安全性あるいは安定供給、経済性、その他もろもろを考えましても、私は、原子力発電という意味あるいは重要性というのは余り変わっていないというふうに考えます。  しかし、いずれにしても、全体のエネルギー政策というものをきちんと立てなければいけないということで、過般、私は、エネルギー政策についてもう一回じっくり一年がかりで検討してもらおうではないかということで、ただいまその動きが始まったばかりでございます。  新エネルギーにつきましては、お話しのように、大事であるということ、ふやさなければならないことはわかっておりますけれども、まだ量的にもあるいはコストの面でも越えなければならないハードルが非常に高いというふうに思われます。しかし、これは着実に開発をしていかなければなりませんで、今まででも、例えばジメチルエーテルでありますとか、あるいはメタンハイドレートとか、いろいろな提案があるたびに、私ども、現場を視察するなりあるいは状況の報告を受けるなり、種々努力をいたしてまいったところであります。  新エネルギー全体で、予算の面で申しましても、前年度と比較して五十億円増額になる九百二十五億円を計上しておりまして、ぜひ、新エネルギー開発のために全力を挙げていきたいと考えております。
  275. 横路孝弘

    横路委員 終わります。
  276. 中山成彬

    中山委員長 半田善三君。
  277. 半田善三

    ○半田委員 私、先月四月二十五日に繰り上げ当選で衆議院議員となりました民主党の半田善三と申します。なれないところもあるかと存じますが、よろしくお願い申し上げます。  私は、国民の目線ということを大事に思いながら質問をさせていただきたいと存じます。  昨年のジェー・シー・オーでの臨界事故では、二人のとうとい人命が犠牲になりました。原子力事故は、ほかにも九〇年代だけでも「もんじゅ」のナトリウム漏えい、東海再処理工場の爆発、あるいは美浜二号炉、敦賀二号炉などでも起こっています。絶対安全であるはずの原子力施設でこのように事故が多発しますと、一般市民は当然、原子力と聞いただけでアレルギー反応を起こしてしまいます。  さらに、事故が起こった後の原子力施設や行政の対応が国民の原子力に対する不安を増幅させた大きな原因です。「もんじゅ」の事故では、当時の動燃が事故情報を意図的に隠し、かつ捏造していました。ジェー・シー・オーでは、ずさんな工程管理が表ざたになるのを恐れて、事実をなかなか公表しませんでした。  原子力の技術というのは、専門知識のない一般市民、特に素人にはブラックボックスのようなものでありまして、専門家や行政側の言うことを信用するしかありません。にもかかわらず、事実を歪曲し、隠すというのでは、だれを信用すればよいのでしょうか。今回の特定放射性廃棄物最終処分も、幾ら法律ができてみても、この失墜した原子力に対する信頼を回復しなければ一歩も前に進まないのではないかと思わざるを得ません。  本日の原子力資料情報室の西尾参考人意見にも同様の趣旨が述べられていましたが、どのようにして原子力政策に対する信頼を築いていくのか、お伺いいたします。
  278. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 半田委員の最初の質問に答弁させていただくことを大変光栄に存じます。  先ほど半田委員から御指摘のございました「もんじゅ」の事故、また東海村の再処理工場の爆発事故、そしてジェー・シー・オーの事故等によりまして、原子力に対する国民の皆様の信頼が失墜した、このことを私ども科学技術庁といたしましても厳粛に受けとめております。  特に、今、半田委員御指摘のありました情報隠し、また真実を明らかにしようとしないその体質、このことにつきましては、我々科技庁といたしましても抜本的に改革しようということで、動燃につきましてはサイクル機構ということで再出発させていただくことになりましたし、情報公開ということについて徹底をしているところでございます。  また、国民の信頼を得ていくため、特にジェー・シー・オーの事故を教訓といたしまして、昨年の臨時国会で二つの法律を通しました。一つは原子炉規制法の改正でございます。これまで確かに規制として行き届かなかったことがあるという反省のもとに、規制の抜本的強化を行いました。また、その規制の強化によって事故が起こらないようにする、その万全の努力をするというのは当然でございますけれども、万一事故が起きたときのための原子力災害対策特別措置法、これを新規立法したところでございます。  また、原子力安全委員会につきましても、これまで事務局が科学技術庁にございましたけれども、総理府に移し、また陣容についても抜本的に強化をし、国民の皆様の信頼を取り戻す努力をしているところでございます。  現在、原子力研究開発利用長期計画の策定に当たっておりますけれども、この策定に当たりましても、ジェー・シー・オーの教訓を踏まえ、国民の皆様の意見を伺う手続を経ることとしておりまして、今後も引き続き国民の皆様の信頼回復のために努力をしていきたいと決意をしております。
  279. 茂木敏充

    茂木政務次官 原子力は、安全確保が大前提でございまして、常に緊張感を持って、慎重の上にも慎重を期して臨むことが不可欠であると考えております。通産省といたしましては、このような基本的な考え方のもとで、原子力発電所に対しましては、原子炉等規制法並びに電気事業法に基づきまして厳正な安全規制を実施しているところであります。  また、ジェー・シー・オーの事故に関して、その経験、反省から新たな立法をしたと今斉藤次官の方から答弁があったところでありますが、通産省といたしましても、サイトに常駐する保安検査官などの人員の倍増、さらに災害対応を実効的に行うための防災訓練の実施など、安全規制体制の一層の強化に努めているところでございます。  また、原子力発電所において発生したトラブルにつきましては、徹底した原因の究明を行いまして再発防止対策を講じるほか、得られた教訓、知見を、当該発電所はもとより、必要に応じてほかの発電所にも反映させることによりまして、同種のトラブルの未然防止に努めているところでございます。  今後とも、これらの取り組みを通じまして、委員御指摘の安全確保の一層の徹底を期し、原子力に対する国民の信頼の回復に努めてまいりたいと考えております。
  280. 半田善三

    ○半田委員 一層の御努力をお願いしたいと思いますが、御努力をされているということが国民になかなか認知されていっていないのではないかという感じを持っております。もっとわかりやすい情報を提供するとか、情報開示の徹底を図りながら、もっと国民に具体的に広報活動というか、こういう形で進んでいるんだということをもっともっと機会を多く提供されてはいかがかと思います。  特に、動燃の問題でございますが、名称が核燃料サイクル開発機構という形で変わっております。衣を変えて中身も変わってきたんでしょうが、体質というものが動燃と比べてもう変わっているんだというように認識されておられますかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  281. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 動燃の事故、またそれに伴いますいろいろな情報隠し、事故隠し、これが続きました。このことを踏まえまして抜本的な原子力研究開発体制の見直しを行ったわけでございまして、その一つのあらわれが動燃の改革でございます。  そのときにいろいろな改革すべき点が議論されましたけれども、主に大きな点が二つございました。一つは、研究を担当している技術者が、自分たちは専門家であって専門家にしか難しいことはわからないんだ、難しいことを一般に、また国民に説明する必要はないというふうな意識が根底にあったのではないかということ、それが第一点でございます。第二点は、いろいろな方策決定が透明化されていなかったということ。この二点でございます。  この点につきましては、まず第一点目の専門技術者の意識改革ということについては、これは動燃に限らず、原子力関係、科学技術関係研究所でその意識改革を今一生懸命進めているところでございます。また、政策決定の透明化ということにつきましては、いろいろな委員会をすべてオープンにする、議事録を公開する、またシンポジウム、フォーラム、説明会を開催する、このような取り組みを今積極的に推し進めているところでございまして、私は、実質的に今大きく変わりつつある、このように見ております。
  282. 半田善三

    ○半田委員 ひとつよろしくお願いをいたします。まさに情報公開なしに国民の理解は得られない、この問題は特にそうであるという認識のもとに進めていただきたいと存じます。  次に、本法案の第二条は、「特定放射性廃棄物」を「使用済燃料の再処理後に残存する物を固型化したもの」と定義していて、再処理を前提としています。  しかし、プルトニウムの本格的利用を図る高速増殖炉は技術的なハードルがかなり高いようです。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどでも開発が放棄または中断されておりまして、我が国でも、「もんじゅ」の事故以来、高速増殖炉の開発はとんざしております。また、プルサーマル計画の実施も延期されておりまして、イギリスやフランスから返還されるプルトニウムが今後大幅に余ってまいります。余剰になります。  我が国では余剰のプルトニウムを持たないことを基本方針として、あるいは国際公約的に進めてきておりますが、この矛盾にどのように対処されるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  283. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 我が国の原子力開発の基本方針は、使用済み核燃料を再処理し、そこからプルトニウムを取り出して、そのプルトニウムを高速増殖炉サイクルの中に入れる、これが基本方針でございまして、その方針にのっとって今一つ一つ技術開発をしているところでございます。したがいまして、再処理した段階でプルトニウムが出る、それを即時に、すぐ使うというわけにはいきませんので、どうしてもプルトニウムが国内に存在する、これは原理的にどうしても生じてまいります。  問題は、その量と期間ということになってくるかと思いますけれども、このようにプルトニウムが存在するということにかんがみまして、私たち日本は、核不拡散上のプルトニウムの保障措置、日本は原子力基本法に基づいて平和目的に限って使うということはもう大前提でございますけれども、その上でIAEAの保障措置を厳格に守っていこう、そういう意味では、IAEA加盟国の中で最も日本は優等生ではないかと思います。  また、日本がイニシアチブをとりまして、一九九七年に国際プルトニウム指針というものを策定いたしました。これは、プルトニウム利用の透明性向上のために、毎年、分離プルトニウムの管理状況を原子力白書等でオープンにして公表するというものでございます。我が国を含めた九カ国がこの指針に基づいてプルトニウム保有量をIAEAに報告し、それをIAEAが公表しているところでございます。  このように、必然的にある期間プルトニウムを国内に持たなくてはいけないということになります以上、それを透明化し、オープンにする、そして、その使い方についても、管理状態についても情報公開をするということで、この保障措置の徹底を図っていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、この核燃料サイクル、「もんじゅ」等の研究開発に使う、そして高速増殖炉ができるまではプルサーマル計画によって利用するというこの計画が進展するように、今後も一生懸命努力をする決意でございます。
  284. 半田善三

    ○半田委員 核燃料サイクル開発機構地層処分研究開発第二次取りまとめ報告書によりますと、地層処分に必要な条件を満たすところが我が国に広く存在することを確認したということのようです。  それでお尋ねしたいんですが、地層処分に必要な条件とは具体的に言えばどういうものなのか、詳しく御説明をいただきたいと存じます。
  285. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 昨年サイクル機構が出しました第二次取りまとめには、次のようにその条件がまとめられております。  岩盤の破断、破砕、それから変位、少しずつ動いていく変位、そういう断層活動の影響の少ないところ。それから、マグマの貫入、地熱、熱水の侵入など、火山活動影響によって処分システムの所期の性能が損なわれるような場所ではないこと。それから、隆起、侵食によって地下深く埋設した廃棄体が地表付近に接近するような場所ではないこと。このように、地質環境長期安定性、これがまず一番重要な条件でございます。  二番目に、これは建設可能性ということでございますが、処分場を建設する上で十分な規模の岩盤が適切な深度に広く分布している、これが二番目でございます。  それから三番目に、先ほど横路委員からも御質問がございましたけれども人間侵入について、地下資源が存在する地域でないこと。  この三点が挙げられております。  この第二次取りまとめにおきましては、我が国における活断層の分布などに関する知見や情報の整理、それから火山分布などに関する情報や知見の整理、それから過去百年程度における測地データや地形・地質情報から隆起・沈降情報の整理などを行いまして、我が国においても、火山断層などの活動地域とその影響範囲、大体数十キロメートルだそうですが、を除けば、少なくとも将来十万年程度期間にわたって、廃棄物人間環境から物理的に隔離し、廃棄物に含まれる放射性核種人間環境への移動を妨げるなどの、地層処分システムに期待される機能を有する地質環境我が国に広く存在するということが示されております。
  286. 半田善三

    ○半田委員 おおよその条件はそういうことなのかもわかりませんが、本日の参考人質疑でも若干のやりとりがありましたけれども、主に地学上の制約が多いような感じがいたしますけれども、そのほか社会的条件とか含めて、実際に最終処分場になるような可能性を含めているというところは、日本じゅうで全体で、まだわからないのかもわかりませんが、可能性としてどれぐらいの箇所あるのでしょうか。わかれば教えていただきたいと思います。
  287. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 この第二次取りまとめは、あくまでも技術的な観点から、地層処分をするにふさわしい地域が備えるべき条件という形で整理をされました。ある意味では技術的な観点からの報告書でございます。その観点から、日本の中に、我が国の中にそれに適した地域は幅広く存在するということが示されておりまして、ではこの技術的側面から見て具体的に何カ所かということについては、研究をされておりません。  その点についてはちょっとお答えできません。
  288. 半田善三

    ○半田委員 例えば地表に人間が住んでいるとか、あるいはこの地域は国定公園になっているとか、それからさっきの話では、地下では、ここは地下資源があるからとか、それから文献調査で少しここはこういうことがあるからという、何か聞いているとだんだん、余り可能性のあるところがないのじゃないかというような気が少ししたものですから、まだまだ広く本当にそういう可能性のあるところがあるのだろうかということでお聞きをいたしました。わかりました。  関連しますけれども日本地層は堆積岩と結晶質岩に大別されて、核燃料サイクル開発機構によって、堆積岩については北海道の幌延で、結晶質岩については岐阜県の東濃地区で調査研究が進められていると聞いております。この両地区で今日までに行われた地層処分研究のためのボーリング調査等の実績、またはその結果についてお伺いいたしたいと思います。
  289. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 まず、幌延につきましては、まだボーリング調査等は一切行っておりません。  東濃におきましては、主坑道、一番主な立て坑でございますが、主坑道の掘削に先立ちまして、地質構造それから地下水を調べることを目的としたボーリング調査を行ってまいりました。現在までに千メートル級ボーリング三本の掘削が完了しておりまして、地下水の流れ方の調査、それから岩石試料の観察、試験などから岩盤中の割れ目の分布や地下水の通りぐあいなどのデータを蓄積しているところでございます。今後、これらのデータをもとに、深部地質環境を予測して、主坑道の掘削を伴う次段階研究に取り組む予定でございます。  また、同じ東濃地域におきまして、そのサイトに限らず、広い範囲における地下水の動態の把握を目的とした広域地下水流動研究を行っております。その一環として、千メートル級を含めたボーリングを十一本掘削いたしまして、地下水の流れ方や水質の調査等についてデータを蓄積しているところでございます。なお、ボーリングにつきましては、すべてが千メートル級というわけではございません。  以上です。
  290. 半田善三

    ○半田委員 ありがとうございます。  それに関連するんですけれども、これらの地下調査施設をさらに進めていただいて、きょう何度か出ましたけれども地下研究施設をつくって、国民にその視察を通して地層処分についての知識を深めてもらうようなことを考えるのが立地選定にとっても大変有効だと思われますし、現に諸外国では実施されていると聞いております。  この地下研究施設の早期建設についての見通しについてお伺いいたしたいと存じます。
  291. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 実際に地下研究施設を国民の皆様に見ていただくというのは、半田委員おっしゃいましたように、非常に大切だと思います。研究という目的と同時に、実際にどういう施設になるのかということを想像していただくという意味でも、これも主目的の一つだと私ども考えておりまして、ぜひそういう形で国民の皆様に見ていただく施設にしたい、このように考えております。  また、今後の研究施設建設の見通しでございますけれども一つは、先ほど申し上げました結晶質岩につきましては、岐阜県の瑞浪市、東濃地域にぜひ超深地層研究所をつくりたい、このように計画を進めておりまして、地域の皆様の御理解をいただくよう今努力をしているところでございます。  また、北海道幌延町につきましては、堆積岩を対象とした深地層研究所の計画を申し入れているところでございまして、これにつきましても、道また地元の御理解をいただいて建設を進めたい、このように考えているところでございます。  このいずれの地域にしましても、実際に研究所を建設させていただくということになれば、ぜひ広く公開して、実際の地下の環境を国民の皆様に肌で感じていただけるような、そういう施設にしたいと思っております。
  292. 半田善三

    ○半田委員 私も本当に、そういう一般国民にわかりやすい情報提供ということで、やはり肌で感じるということで、そういう施設を本当に早くつくって理解を広めていただきたい、そう思っております。  次に行きますが、地層処分を実施するための技術的問題についてお伺いいたしたいと思います。  まず、地下数百メートル、三百メートルより深いところで、二キロ四方という巨大な処分場をつくることが本当に技術的に可能であるのかどうか。また、放射線影響があるために無人で遠隔操作で作業をするという話も聞いたりしますけれども、そういう計画だとしたら、また技術的にこれは本当にできるのでしょうねということをお伺いしたい。  それから、ガラス固化体から出てくる放射線量は、ガラス固化体をつくった時点と五十年ぐらいかけて冷却した後で、それぞれどれぐらいなのか、放射線量についてお伺いしたい。また、その放射線はオーバーパックで外に漏れないようにできるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  293. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 まず、二キロメートル四方、こういうものが地下深くに建設可能なのか、技術的に可能なのかという御質問でございますが、けさほども参考人質疑で、地下深くにゴルフ場の広さのものをつくるようなものだという説明があって、私も感覚としてぴんときたのですけれども、この第二次取りまとめにおきましては、こういう施設の製作、施工は、現在の技術、もしくは近い将来実現するであろう技術を使って十分に可能である、このように結論づけられております。  それから、非常に高熱になるものを遠隔操作で扱うことになるが、それは可能なのかという御質問でございますが、この処分施設に入る前に中間貯蔵という形で、三十年ないし五十年、ある意味で冷却期間を置きます。その時点では外表面温度は百度前後になっているだろう、地下施設におきまして百度前後になっているだろうと言われております。この百度前後の外表面温度で十分遠隔操作の技術は可能というふうに見積もられております。  それから、このガラス固化体、非常に高熱で、オーバーパックして三十年から五十年冷却する、または長期地下に貯蔵するわけですが、この遮へい性能は大丈夫かということでございますけれども、オーバーパックが設計上考慮すべき項目、オーバーパックに何を期待しているかといいますと、一つ地下水の浸入を防ぐ、それからこの地下水に当たっても所定の期間腐食しない、それから構造の健全性を維持し閉じ込め性を損なわない、それから放射線遮へい性ということが挙げられております。  先ほど御質問にありましたこのオーバーパックの放射線遮へい性については、外側を流れている地下水放射線が当たって、その放射線の放射化学効果によってその水が酸化性になる、それによってオーバーパックが腐食されやすくなるということを防ぐための遮へい性能でございますが、こういう機能が要求されております。  このオーバーパックにつきましては、これからの一つ一つの基準の設定によりますけれども、千年ないし一万年程度このオーバーパックが機能するということを前提にした基準になると考えられておりまして、そういう機能を長期間にわたって維持できる、そういうスペックにしてまいります。
  294. 半田善三

    ○半田委員 ありがとうございます。  時間が迫っておりますので、最後の質問を一つさせていただきたいと思います。  地層処分について今まであらゆる御研究もされてきておりますが、地殻運動、活断層地下水火山、熱水、物理的、化学的見地から検討されていると思いますが、原子力事故はいつも想定外のところで起こってきました。地層処分をするに当たって、余りよくわかっていないものに土壌微生物の問題があるのではないか。これは、土壌微生物の中に、ウランを運んでくる細菌が、わかっているだけで五種類いるということです。実際、カナダのあるウラン鉱山では、細菌に毎月数トンのウランを集めさせているということでございます。  地中にはどんな働きをする微生物がいるか、まだよくわかっていません。このような微生物の影響についてどのような検討がなされたのか、お聞きしたいと思います。
  295. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 第二次取りまとめにおきましても、まさしくその点について詳しく慎重に検討を行っております。この地下数百メートルに生息する、我々人間が知らない微生物が存在するかもしれない。また、建設や操業に当たって、地上の微生物がそこに侵入していくかもしれません。そういう微生物の活動による放射性核種の移行について慎重に検討を行っております。  その結果、微生物の移動による影響については、微生物の大きさがミクロンオーダーであり、オーバーパックと地層の間の緩衝材として用いられるベントナイトのフィルター効果により移動が妨げられるため問題にならない、このように結論をこの第二次取りまとめではされております。実際に大腸菌を用いたベントナイト中の透過試験を行い、菌がろ過されることを確認しております。  このような微生物による影響については、先ほど想定外というお言葉が半田委員からございました。またいろいろな新しい微生物も登場してくるかもしれません。今後、具体的な地質環境条件下、実際の場所での環境条件下で研究を行い、さらに詳細に研究をして、遺漏なきよう努めてまいります。
  296. 半田善三

    ○半田委員 時間が参りました。ありがとうございました。
  297. 中山成彬

    中山委員長 西博義君。
  298. 西博義

    ○西委員 公明党の西博義でございます。  私は初めに、去る四月二十七日、ジェー・シー・オー事故のお二人目の犠牲者となってお亡くなりになりました篠原理人さんの御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族の方にお悔やみを申し上げます。  さて、本法律案の質疑に入る前に、先日、輸入されましたコンテナから放射線が検出された問題を取り上げたいと思います。  この問題は、フィリピンのマニラから住友金属工業株式会社和歌山製鉄所に輸入されたステンレススクラップ入りのコンテナから放射線が検出された、こういうことでマスコミにも大きく取り上げられました。この問題は法体系のすき間を縫うような出来事だ、こういうふうに言われておりますが、この事態がなぜ発生したのか、法的に、または行政のどこが問題であったのか、政府の方から説明をしていただきたいと思います。  また、今後こうした事態が起きないように対処するには、私は、放射線など危険物質の搬入に対して放射線検知器を使って監視を強化し、水際で阻止すべきだ、こういうふうに思います。実際、住友金属工業のヤードの入り口で検知器によって検出され、阻止されたということがございますので、その方法も取り入れるべきだと私は思いますが、政府はどのような手段を今後講ずるつもりか、お伺いをしたいと思います。  早期にコンテナ処理をするために、政府の指導と速やかな対処、原因の究明を強く要望したいと思います。御答弁をよろしくお願いします。
  299. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 この件に関しましては、西委員の地元の和歌山の皆様に大変御心配をおかけしております。  科学技術庁といたしましても、報告を受けました四月二十八日、即現地に検査官を派遣して、このコンテナ表面の放射線量測定、また、一体この放射線は何なのか、どういう線源なのかということを調査したところでございます。  現在までのところ、ガンマ線と中性子線が出ておりまして、中性子線が出ているということを最初聞いたときは一体何が起こっているのだろうと私も大変心配いたしましたけれども、ガンマ線につきましてはセシウム137ではないか、それから中性子線につきましては、ラジウム、ベリリウムの組み合わせによる中性子源、もしくはアメリシウム、ベリリウムの組み合わせによる中性子源、いずれもこれはまだ類推でございますが、いわゆる非破壊検査等の、また中性子源については中性子水分計というものがございますが、いろいろな物質の水分の量をはかるものでございますが、そういうものではないかと類推しているところでございます。  この放射性同位元素につきましては、もちろん、所持することにつきましても放射線障害防止法において規制が実施されております。また、放射性同位元素は、輸入貿易管理令上の規制対象物質でございまして、放射線障害防止法上の許可証が必要でございます。  今回の事例は、輸入者が放射性同位元素の混入を認識することなくステンレススクラップとして輸入したものでございまして、混入の経緯につきましては現在関係者から情報収集に努めているところでございます。今後さらに、コンテナ内の放射性同位元素の状況確認とあわせて、必要な取り組みを行ってまいります。  そして、このような事態の再発をいかに防止するかにつきましては、現在、関係省庁、この場合の関係省庁は通産省、税関を管理しております大蔵省、また輸入ということで外務省、運輸省と大変多うございますけれども、この関係省庁で連携をとりつつ、再発防止について検討を行っているところでございます。  それから、水際について、きちんと水際で防ぐしかないのでその対処をとれということでございます。現在、民間企業の方で自発的に搬入のところに放射線計測機器を設けて水際管理をしているところでございますが、これについても今後また徹底をしていきたいと思っております。  いずれにせよ、今回のような事態に対しましては、今後とも地元自治体や関係事業者と連携をとりつつ、安全を確保して着実かつ早期に処理を行うよう取り組んでいく決意でございます。
  300. 西博義

    ○西委員 ぜひとも早期の解決をお願いしたいと思います。  続きまして、処分方法についてお伺いをしたいと思います。  高レベル放射性廃棄物の問題に関しては、ことしの三月にスペインで開催されましたIAEA、国際原子力機関の国際会議において、A・ゴンザレス放射線廃棄物安全部長がこのように言っております。公衆の批判及び政治的反対のため、放射性廃棄物管理プロジェクトが多くの国で暗礁に乗り上げていることを認識している、このため、放射性廃棄物に関する合意形成のための公開フォーラムを組織することを提案している。このように述べているんです。  ここにあるように、各国とも困難な中でこの処分については模索をしているというのが現状だろうと思います。そこで、各国の動向も参考にしながら、今後、高レベル放射性廃棄物問題にどのように取り組むべきかということについて質問を申し上げたいと思います。  現在、日本の原子力政策は、核燃料サイクル構想を柱としております。しかし、「もんじゅ」それから東海の再処理施設、先ほども議論がありましたがジェー・シー・オーの事故など、相次いで起こった事故はすべて核燃料サイクルに関連した施設から起こっているということを見ましても、核燃料サイクル構想はかなりの部分で今破綻を来しているという状況ではないかと思います。  特に、高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開が難しいために、プルトニウムの消費は、普通の原子力発電所、つまり軽水炉ですが、そこで燃やすプルサーマルに頼らざるを得ない状況に現在のところなっております。当面は海外に再処理委託したプルトニウムがプルサーマルに使われる、こういうことです。そういう意味で、国内でプルトニウムを生産しても使い道が今のところ見つからないということから、六ケ所村の核燃料再処理工場は操業が今のところ延期という現状でございます。  このように、あくまで使用済み燃料の再処理を前提とするということになると無理が生じてくる、こう思います。  一方、日米欧、ロシアなどの二十カ国は、十一月に放射性廃棄物に関する国際会議を開いて、使用済み原子燃料の処理について技術協力を推進する、こういうことを合意しております。この席上で、アメリカのDOEのリチャードソン長官は、使用済み原子燃料から取り出したプルトニウムを核兵器に転用できないように固めて埋設する、こういう方法を推進しているというふうに報道されております。  発電所で使用された後の燃料である使用済み燃料を諸外国ではそのまま廃棄する、例えば一部アメリカでもそうだと思うんですが、そういう国もあります。こうした直接処分とか、使用済み原子燃料から取り出したプルトニウムを核兵器に転用できないように固めて埋設する、こんな処分も考えているわけですが、日本では、今回の処分方式の基本方針としては、そういう方向、つまりそのまま直接処分とかそういうことについては全く検討の対象にしていないのかどうか。この点についてお伺いをしたいと思います。     〔委員長退席、小林(興)委員長代理着席〕
  301. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  使用済み燃料を再処理するか、あるいは直接処分するかにつきましては、各国がそれぞれの国情に応じて選択しているところでございます。  先ほど来、国の原子力政策についてお話を申し上げておりますが、資源に乏しい我が国といたしましては、将来にわたってエネルギーの安定確保を図ることが重要であること、また放射性廃棄物の環境への負荷の低減を図るという観点から、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウムを貴重なエネルギー資源として有効利用する核燃料サイクルが原子力政策の基本でございます。  このため、我が国におきましては、使用済み燃料やプルトニウムを廃棄物として処分するのではなく、安全確保を大前提に、国民の理解を得つつ、高レベル放射性廃棄物処分対策を含めた核燃料サイクルの確立に向け努力しているところでございます。  日本のプルトニウム利用を含みます原子力開発利用に当たりましては、原子力基本法にのっとりまして、平和利用に限ってこれを行い、核不拡散と原子力平和利用の両立を図るための国際的な枠組みでございます核不拡散条約上の義務を遵守し、また、国内にありますすべての核燃料につきまして、国際原子力機関の厳格な保障措置の適用を受けているところでございます。  さらにまた、国際的には日本がイニシアチブをとりまして、民生用のプルトニウムの計量上、どう施設に置かれているのか、その計量上の観点から、プルトニウム利用の透明性を図るための積極的な役割も果たしてきているところでございまして、これらに基づきまして現在、原子力白書に分離プルトニウムの管理状況を公表しているところでございます。  原子力の廃棄物の問題につきまして、先ほど先生から、昨年の暮れ、アメリカのコロラド州デンバーにおきまして国際的な会合が行われましたその折、国際的な協調の枠組みの問題の議論もありましたけれども、私ども日本といたしましては、核燃料サイクルの確立に向けた努力の点についても御説明も申し上げたところでございますし、また今般、科学技術庁長官がアメリカを訪れ、リチャードソン・エネルギー庁長官にお会いしました折にも、この点について米側の理解を得てきたところでございます。  なお、六ケ所再処理工場の竣工時期の変更の問題につきましては、動燃の再処理工場の火災爆発事故などございまして、技術的評価作業を追加したり、必要建設工事期間の想定をさらに加える、また試運転に十分時間をかけて行うこととしたなど、技術的な事情によりましてこの竣工時期がおくれてございますけれども、この問題につきましても、地元の方々の御理解を得ながらきちっと進めていくことが政府としての責務である、このように考えてございます。
  302. 西博義

    ○西委員 再処理を行うということでございますが、このメリットとしては、プルトニウムやウランをとり出すことによって、使用済み燃料をそのまま廃棄物とするのに比べて高レベル放射性廃棄物の量は少なくなる、こういうことが言われております。  確かに燃料だけに着目すればそういうことでございますが、一方で、再処理工程でさらに汚染され、低レベルの放射性廃棄物がふえる、こういうデメリットもあるというふうに考えられます。こうした廃棄物は、再処理事業者、それからMOX燃料の加工事業者、それから日本原子力研究所、それから核燃料サイクル機構など、多くのところから発生する可能性があります。  低レベルの放射性廃棄物は、現行の政令濃度上限以上と上限以下の二種類、つまり低レベルの中の中レベルといいますか、そういうところの部分の仕分けがあるように思います。  このうち、現行の政令濃度上限以下の放射性廃棄物の処理場については、つまり一番低いレベルですね、これについては六ケ所村に浅地中のコンクリートのピットがあり、そこに収容される、こういうふうにお聞きしております。  一方、現行の政令濃度上限以上の放射性廃棄物については、地下利用に余裕を持った深度、百メートル前後かというふうに言われておりますが、その程度処分が必要だというふうに今のところ言われております。現行法では、そうした処分場を建設するということは法律上は規定されておりませんし、また、その処分をするための事業もまだ手当てされていない、こういうふうに理解をしております。そんな意味で、今回議論しているこの高レベル放射性廃棄物と同じ問題をこの問題も抱えているのではないかというふうに思います。  この低レベル、いわば中でしょうか、低レベルの上のレベルの方ですが、低レベルの放射性廃棄物についてもこのような法案の対象にすべきではないか、こう思いますが、政府の見解をお伺いしたいと思います。
  303. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  ただいま先生の方からお話ございました政令濃度上限値以上の放射性廃棄物についての取り扱いの問題でございますが、低レベル放射性廃棄物のうち、発電所の運転、解体に伴い発生してまいります放射性廃棄物のうち比較的濃度が高いもの、また、再処理施設とかMOX燃料加工施設の運転、解体に伴いまして発生します放射性廃棄物のうち比較的濃度の高いもの、あるいは、RI、放射性同位元素とか研究所等の廃棄物の一部、こういうふうなものにつきましては、原子力発電所から発生します通常の低レベル放射性廃棄物とはその性状が異なるため、政令濃度上限値を超える放射性廃棄物として別途の処分方策を講じることが必要でございます。  第一の、発電所の運転、解体に伴います廃棄物の一部につきましては、原子力委員会の原子力バックエンド対策専門部会が平成十年の十月にその結果を取りまとめたところでございまして、処分基本考え方が示されてございます。具体的には、一般的であると考えられます地下利用に十分余裕を持った深度、例えば、五十メートルから百メートルの地中にコンクリートピットと同等以上の放射性核種の閉じ込め機能を持った処分施設を設け、放射性核種濃度の減少を考慮して数百年間処分場管理するなどの対策を講じるということがうたわれてございます。  また、第二の、再処理施設、MOX燃料加工施設の運転、解体に伴います廃棄物の一部につきましては、同じく平成十二年三月、ことしでございますが、原子力委員会のバックエンド対策専門部会から結果報告書が出てございまして、処分基本考え方が示されてございます。具体的には、放射性濃度の比較的低いものにつきましては、青森県の六ケ所村で行われておりますような浅い地中のコンクリートピットへの処分、あるいは、一般的であると考えられます地下利用に対して十分余裕を持った深度、五十から百メートルぐらいでございますが、への処分の適用可能性について検討し、これらの処分概念により処分できるものが比較的多く存在するとの見通しが得られてございます。  さらに、三番目の、RI・研究所等廃棄物の一部につきましては、平成十年五月に基本考え方が示されてございまして、再処理施設、MOX燃料加工施設の運転、解体に伴い発生する放射性廃棄物の一部と同様の考え方が適用されるだろうと考えてございます。  このように、政令濃度上限値を超えます放射性廃棄物は、含まれます放射性核種の種類、濃度等に応じまして適切な処分方法が異なるものでございますので、高レベル放射性廃棄物地下深部地層処分することを前提とする今回の法案の対象とするのは、経済性等の観点から適切でないと考えてございます。今後、安全かつ着実な処分の実施に向けまして、適切に取り組んでいくことが私どもの役目と考えてございます。
  304. 西博義

    ○西委員 さて、本法律案の内容に移ってまいりたいと思います。  今回の法律案は、原子力行政において長年懸案となっていた高レベル放射性廃棄物処分のための法案でございます。国の責任、それから三段階処分地選定のプロセス、電力会社の処分費用の拠出義務などを定めており、最終処分実施主体が設立され、処分事業推進の枠組みがつくられることとなるわけでございます。私は、法案の目的にあるように、処分費用の積み立て、実施主体の設立など必要な措置を講ずるという基本的な趣旨には全く賛成でございます。  そこで、原子力委員会が平成十年五月にまとめました「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本考え方について」という報告書の参考資料に、「処分事業全体スケジュールの概要」、こういうスケジュールが添付されております。それによると、二〇一〇年までに処分地の予定地選定を行い、十年後の二〇二〇年までに処分地を決定、二五年ぐらいから処分場の建設を開始、そして三五年ぐらいから廃棄物受け入れ、およそのスケジュールが記入されております。  こうした作業の前提となる処分実施主体、原子力発電環境整備機構の設立は、ことしの秋を予定ということでございますけれども、通産大臣が定めることとなっている処分事業の基本方針及び最終処分計画について、それぞれいつごろをめどにつくられようとしているのか、まずお伺いをしたいと思います。  さらに、設立される原子力発電環境整備機構の存続または管理責任は、いつまで続くと考えればいいのか。例えば、閉鎖後三百年と言われているモニタリングが終了するまで機構の存続、管理責任が続くのかどうか。これについてもお伺いをしたいと思います。
  305. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 基本方針及び最終処分計画は、今国会で法案を御審議いただきまして、成立させていただければ、早急に作業に着手いたしまして、可能ならば秋以降にぜひ決定をしたいと考えております。また、最終処分計画については、基本的には十年を一期として、五年ごとに改定を行うというふうに考えております。  それから、いつまで機構の存続、管理責任はあるかということでありますが、モニタリング等の措置の必要な期間や、あるいは処分事業が終了したとみなす時点について、安全規制の一環として検討してまいる必要がございます。安全規制体系によって必要とされる措置は一義的には機構が行うものでありますが、そのために、基本的に、必要とされる措置を講じなければならない間は同機構が存続する必要があると思います。  こうしたことから、機構の解散については、いずれ別の法律で定めることといたしてまいりまして、その解散の歯どめについては、一定の形を設ける必要があると思っています。
  306. 西博義

    ○西委員 今回の法律によりますと、最終処分場の建設までには三段階、つまり、概要調査地区の選定がありまして、その次に精密調査地区を選ぶ、その中から建設地を最終的に確定する、こういうことでございます。いずれの段階でも、関連する地域の市町村長の意見をその都度聞くということになっております。  ところで、産業廃棄物、これも、午前中も参考人の方からもお話がありました迷惑施設という意味ではよく似た概念かとも思いますが、産業廃棄物に関しては、産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律があります。この法律は、産業廃棄物処理施設を整備するための基本指針、整備計画の策定、施設整備のための資金の融通などを行う産業廃棄物理事業振興財団の規定など、現在審議されている法案と同じような基本構造を持っております。  このほかに、廃棄物の処理及び清掃に関する法律があって、いわゆる廃掃法でございますが、産業廃棄物施設それから最終処分場をつくる際には、住民の理解を得られるように環境アセスメントを行い、その結果や設置計画や維持管理計画を告示、縦覧に供し、さらには利害関係者に対して意見書の提出を認める、こういう法律の改正を数年前に行いました。  それで、環境アセスメントについては、環境基本法第十三条において、放射性物質による環境汚染の防止に関しては原子力基本法その他の法律で対処するとして、原子力施設に関しては環境影響評価法の対象外というふうに法律的にはなっております。私は、原子力施設もアセスメントの対象とすべきだと思いますが、まず環境庁のお考えをお聞かせ願いたい。  時間がございません、続いて聞きます。  もし環境影響評価法で対処しないということになりますと、原子力施設の建設に関しては、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、いわゆる炉規法ですが、この中で環境アセスメントに関する規定を盛り込むべきだというふうに思われます。あわせて、情報の告示、縦覧や、関係住民に意見書の提出を認めるルールを盛り込むべきだ、こう思いますが、それぞれ御意見をちょうだいしたいと思います。
  307. 太田義武

    ○太田政府参考人 お答え申し上げます。  放射性物質によります汚染の扱いにつきましては、環境基本法それから環境影響評価法の国会審議の際に御議論をいただいておりますが、放射性物質による汚染につきましては原子力基本法体系で規制等が行われているということから、環境基本法十三条において適用除外とされ、また、これを受けまして、環境影響評価法におきましても、その五十二条におきまして、放射性物質による汚染にかかわる措置につきましては環境影響評価の対象外となったものでございます。  したがいまして、放射性物質による汚染に着目しての原子力施設は、環境影響評価法の対象事業とはならないというふうに考えております。
  308. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 放射性廃棄物廃棄施設を初めといたします主要な原子力施設につきましては、国として、周辺環境への影響を考慮して、かつ国民の合意を得た上で設置を行うべく努めているところでございます。  具体的には、行政庁は、許可あるいは指定をする場合には、あらかじめ原子力委員会及び原子力安全委員会意見を聞くことが原子炉等規制法により義務づけられております。いわゆる行政による安全規制とのダブルチェックでございます。  この原子力安全委員会は、事業の許可あるいは指定にかかわるダブルチェックの過程において公開ヒアリングを開催することとしており、実施に際しましては関係自治体において設置許可申請書の縦覧を実施しておりますし、また、行政庁による安全審査書もあわせて縦覧することとしております。  この事業許可もしくは指定申請書、また行政庁の安全審査書には、施設が設置された場合に周辺環境に与えるおそれのある放射線放射性物質による影響について、周辺の環境条件や周辺に居住している方々の生活形態、どういうものをたくさん食べられているかとか、そういう生活形態等も考慮して評価を行った結果が盛り込まれておりまして、公開ヒアリングでは、これらの内容について関係住民の方からの御意見をお聞きし、ダブルチェックに反映をしているところでございます。  さらに、原子力安全委員会は、ダブルチェックを終了し答申を行う際にも、国民から意見公募を行い、結果に反映することとしております。  いずれにいたしましても、今後とも、周辺住民の皆様の意見を適切に反映しつつ、安全規制に万全を期してまいる所存でございます。
  309. 西博義

    ○西委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  310. 小林興起

    ○小林(興)委員長代理 吉井英勝君。
  311. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  私はきょうは最初に、この法律は、高レベル放射性廃棄物を高レベル、長寿命のまま深地層に埋め立てるということを前提にしているわけでありますから、何万年、何十万年の将来にわたって子孫に管理責任を持たせ、将来の土地利用にも制約する条件を課すことにもなってきます。地表の方は戦乱、動乱など人類社会の将来の変動によるリスクがあるから、深地層に埋め立てれば心配ないという発想がここにもあるわけです。  しかし、見方を変えれば、埋立処分を考える前に、まず徹底研究、検討をなされるべき政策方向があるのではないか。私は、そこがまず最初に大臣に少し伺っておきたいところであります。なお、いろいろ詳細にわたるところはまた、科学技術庁の局長にも政府参考人で来てもらっていますので、質問いたします。  そこで、大臣、長寿命・高レベル放射性廃棄物を生み出す原発、今日の軽水炉方式でやってきたこの原発というものを、原発依存からのエネルギー政策の転換というものも一つ考え方です。それから、再処理をしないで最初に装荷した核燃料のすべてを燃やし切って、長寿命・高レベル放射性廃棄物を生み出さない原発の開発というものが可能なのかどうかという点で、これは、ウラン以外の燃料で未臨界原子炉という発想で進める行き方もあるわけです。それから、燃やし切るという点では、増殖しない高速炉という考え方もあるわけです。  それらを含めて、実は、軽水炉で突っ走ってきたわけですが、さまざまな可能性やそれに伴う基礎研究というものが、そしてもちろん、単なる基礎研究だけではなくて、そもそも安全に管理できるかという安全技術の確立ということも求められるわけですが、そういった基礎研究、原点に立ち返った発想というものも一つ大事になってくるだろうと思うのです。それから、しかし現に使用済み燃料ができているわけですから、この使用済み燃料の消滅処理などの技術開発で、長寿命・高レベル放射性廃棄物を短寿命・低レベル放射性廃棄物に変えることができるのかどうか。  そういう点で、私は大臣に最初に、エネルギー政策を、個々の技術の問題ではなくて、基本的な考え方としてそうしたことを考えたときに、長寿命・高レベル廃棄物をつくらないという方向での政策を考えていくということはやはり考えるべき課題だと思うのですが、この点について伺っておきたいと思います。
  312. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 高レベル放射性廃棄物を出さないようにする、あるいは、処分方法について何か適切な、基礎的な研究が必要ではないか、委員のその御指摘はごもっともだと私は思います。  ただ、今般のこの法律をつくるに当たりましての私ども考え方を申し上げますと、まず、平成十年の原子力委員会レベル放射性廃棄物処分懇談会、この報告書が示しておりますように、長年各国であるいは国際機関でさまざまな方策の検討がなされてきた結果、現在では、我が国を含めて国際的にも最も好ましい方策として地層処分が共通の考え方になっている、こういう報告がございました。  放射性廃棄物の全体量を減らすという観点から、長寿命の核種の分離変換技術などいろいろな研究が始まっておりますけれども、まだ残念ながら基礎的研究段階にあると認識しております。これはこれからもひとつきちっと研究を進めていく必要は十分にあると考えています。
  313. 吉井英勝

    ○吉井委員 物事は、地層処分、これがすべてだ、これが今日の到達点だというふうに決めつけての出発ではなくて、やはり政策の方向として、高レベルそして長寿命のものをそもそも人類社会に大量に生み出すというやり方そのものについて、根本的にそこを転換する。それが技術的に他の方法によって可能なのか、可能でなければ、今日の原発依存のやり方からの根本的転換ということを含めて、これはどういう立場で原子力というものを考えるにしろ、やはりそこを政策方向としてはきちっと持って、考えていかなければならぬ問題だ、こういうふうに私は思います。  さて、今問題になっておるのは、出てきてしまったものをどうするのかというところから始まっているわけですが、長寿命のものを短寿命のものに、せめて我々現役世代の間に問題にならないくらいの、問題にならないという表現はいささか語弊があるかもしれませんが、そういうレベルまで放射線強度を引き下げる、そういう消滅処理の技術が本来確立されていくということが大事な課題です。  その点で、例えば、核燃料サイクル開発機構地層処分に関する研究開発予算は、九八年度に九十三億八千万、九九年度は六十一億六千万ですが、これに対して、分離変換技術開発の方は、九八年度で十億三千万、九九年度で十六億四千万、大体六分の一から九分の一。これは原研、サイクル開発機構、それから電力中研など合わせた全体で見ても、大体五分の一くらいなのですね、この間。  私はまずこれは局長の方に聞いておきたいのですが、今分離変換技術の話がありましたが、現在、予算に示された取り組んでいる方向としては、これが現実の姿ではありませんか。
  314. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  ただいま先生の方からお話ございました分離変換技術の問題でございますが、日本の歴史をさかのぼってまいりますと、昭和四十七年以降、この問題についての政策的な取り組みが行われたわけでございます。今、予算の直接のお話がございましたが、群分離・消滅処理技術研究開発長期計画が取りまとめられましたのが昭和六十三年でございまして、これに基づきまして、その研究開発が非常に大きく動き始めたところでございます。  それで、核種分離・消滅処理技術研究開発の予算では、オメガ計画というふうな形に基づいて実施されてきております長寿命核種の分離変換技術に関します予算といたしましては、平成二年度から十一年度までの累計では、日本原子力研究所が九十三億円、核燃料サイクル開発機構が百五十一億円、財団法人電力中央研究所では四十四億円でございまして、以上、この間、二百八十八億円の資金規模の事業が施行されているところでございます。
  315. 吉井英勝

    ○吉井委員 今おっしゃったように、原研で八八年にオメガ計画に取り組んでからの三機関での合計が二百八十八億円、これは私もいただいたデータで足し算すればそれが出ているからそのとおりですが、高速増殖炉ですね、これに幾ら予算を使ってきたのかということを見てみると、「もんじゅ」関係の合計で七千六百五十五億、それからこれにナトリウム関係が入りますから千八百八十二億、さらに常陽関係を含めると、高速増殖炉関係では大体一兆一千億円くらい使ってきたと思うのですが、これは間違いありませんね。
  316. 興直孝

    ○興政府参考人 「もんじゅ」の建設費並びに運転費の関係で、平成十二年度まで、所要の事業規模といたしまして、建設費が五千八百八十六億円、運転費が千七百六十九億円の予算となってございます。  これは「もんじゅ」の建設費、運転費でございます。
  317. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、今申し上げたように、ナトリウムの分と常陽を合わせると、一兆一千億円という規模を使ってきておるのですね。「もんじゅ」事故後の運転管理費だけでも六百億近く使っているわけです。  そうすると、消滅処理などの研究開発というのは「もんじゅ」事故後の予算と比べてもその半分という状態なのですね。だから、ここに見られることは、つまり、プルトニウム循環で進めていく方にはうんと予算を組んできた。高速増殖炉を中心として一兆一千億、この分野だけでも使ってきておる。しかし、消滅処理という問題とか、高レベルそして長寿命のものを一体どういうふうに解決していくか、そういうところについては余り力を入れてこなかった。やはりそのことが方向としてはっきりここには出ておるのではありませんか。
  318. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、長寿命核種の分離変換技術に関します政策的な取り組みは、昭和四十七年の原子力長計にさかのぼるところでございまして、この中で、放射性廃棄物の有効利用という観点から、その研究開発の必要性が指摘されたところでございました。その後、原子力委員会放射性廃棄物対策技術専門部会等の議論を経た上で、昭和五十一年あるいは六十二年等のいろいろな議論を経た上で、昭和六十三年に群分離・消滅処理技術研究開発長期計画が原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会で取りまとめられたところでございます。  この計画は、昭和六十三年から平成十二年ごろまでの研究開発内容を示すものでございまして、当初、一期から二期に分けて、その概念の評価と要素技術研究開発を一期に、第二期では要素技術の工学的試験や概念の実証を行うこととしていたものでございます。先ほど通産大臣の方から答弁がございましたが、まさに群分離・消滅技術はまだ基礎的な段階のものでございまして、それを実利用の段階にどう生かしていくかは、これからその成果をもとに考えていくべきもの、そういう段階でございます。  なお、実は昨年の十一月でございますが、原子力委員会のバックエンド対策専門部会におきまして、長寿命核種の分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方についての考えが出されてございまして、これをもとに、国民の方々の御意見をもとに、原子力委員会として、その対応の仕方をこの四月に打ち出したところでございます。     〔小林(興)委員長代理退席、委員長着席〕
  319. 吉井英勝

    ○吉井委員 いろいろお話されたんですが、要するに私が言っておりますのは、この予算に見られる政策方向がどうなのかということが、こういうところにきっちり出てくるわけですね。  これは以前の委員会で取り上げましたが、原発関係研究開発の予算と再生可能エネルギーの研究開発の予算でいいますと、原発に対して、再生可能エネルギーの方は大体二十六分の一ぐらいの予算なんですね。同じ原子力の予算の中でも、プルトニウム循環を中心とする方向には、この間、一兆一千億円使われてきた。  今、局長の方は、これから頑張るような話ではありますけれども、オメガ計画を立ててもう十年以上になるわけですが、しかし、その間の取り組んできた実績は、地層処分の予算とオメガ計画でやっている部分を単年度で比べてみても五分の一ぐらいで、非常に少ない。まして、トータルで見れば、けた違いに小さい。  だからやはり、消滅処理とかそういう方向よりも、これはプルトニウム循環の考え方に基づいてやっている。地層処理というのも、あくまでも、再処理工場をやってプルトニウムを取り出すと高レベル廃液が当然残りますから、それの後始末をどうするかというところから出発して考えている。  ここにあるのは、どうしても、いかにプルトニウム循環方式をどんどん進めていくかと。その立場が突出しているために、再生可能エネルギーの予算だって少ないし、それから本来、地層処分に移る前にもっと研究、検討しなければいけないはずの高レベル、長寿命のものの消滅処理の技術開発研究をどうするか、こういうところが非常に弱い。このことが予算の上ではっきり示されている、私はそう思うんです。  局長、オメガ計画の説明だとか予算の数字の方はいいですから、そこが今問われていると私は思うんですが、ここはどうなんですか。
  320. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  この四月、原子力委員会は、先ほどの長寿命核種の分離変換技術に関する研究開発の進め方についての決定をしたところでございます。  この技術は、産業活動に伴います有害廃棄物の発生を極力抑制する観点から、高レベル放射性廃棄物の減容等処分に係る負担軽減とか資源としての有効利用に資するものとして有用な技術となる可能性があるということ、こういう観点で、この技術をきちっと取り扱っていくべきだろうという考え方を原子力委員会は打ち出したところでございます。しかしながら、先ほど冒頭申し上げましたとおり、この技術はまだ基礎的な段階でございまして、今後とも着実に研究開発を進めることが適当であるものとして、研究開発の推進に必要な事項を考えようとしているものでございます。  この長寿命核種の分離変換技術の問題は、若い原子力関係者のみならず、科学技術関係の方々にとりましても、その持っております技術の意味合いであるとか、あるいはその技術が将来に発揮できるような可能性というふうなことを考えますと、原子力研究の活性化に資するもの、こういうふうに考えてございますので、政府としてはこの取り組みに努力をしてまいりたいというのが現状でございます。
  321. 吉井英勝

    ○吉井委員 まず、長寿命、高レベルのものをつくらない、これは基本だと思うんです。しかし、現実にはできてしまっている。そのできてしまっているものをどうするのかというのが今日の課題です。  本気で長寿命、高レベルのものの消滅処理を研究開発をやろうとするのならば、地層処分前提の法律をまず出してくるというのは、私はこれはおかしいと思うんですね。プルトニウム循環方式を進めるために、再処理工程から出てくる高レベル廃液をガラス固化して、そして深地層処分という発想に走っているというのが、この法律を出してきている根底にある考え方ではありませんか。
  322. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  この分離変換技術と高レベルの廃棄物処分技術と申しましょうか、これとの関係でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、この分離変換技術はまさに基礎的な研究段階にあるものでございます。  その技術的な期待感というものは極めて高いものではございますけれども、この分離変換技術をもっていたしましてもすべての放射性物質を変換することは不可能でございまして、科学的にも、工学的に見ましても、これによって放射性廃棄物を高レベルの固化体処理をする必要がなくなるというふうなことは考えられないというものでございます。  そういうふうな意味で、まさに実用段階にある高レベルの廃棄物処分技術開発あるいはその事業と、長寿命核種の分離変換技術に関する研究開発の取り組みとを同じレベルで考えるわけにはいかない、このように考えている次第でございます。
  323. 吉井英勝

    ○吉井委員 消滅すべてが不可能だという決めつけは、今の段階ではおいておいた方がいいと思うんですね。千分の一ぐらいは残るという、現在の技術レベルはそうです。ただそれは、将来的にどうそこをまたクリアする研究開発を進めるかという課題があるわけですから、不可能だなんだという決めつけは、今ここで決めつけた発言はやめておいた方がいいと私は思います。  原子力研究者の方々からは、地層処分は、日本の自然環境での運用可能性、安全性については未知という状態だ、この法案は地層処分を強引に推進する体制をつくるためのものだ、こういう指摘がかなり広くありますが、今、地層処分が実用段階のようなお話ですけれども地層処分方式と決めつけた根拠はまず何ですか。
  324. 興直孝

    ○興政府参考人 私が申し上げましたのは、高レベル廃棄物処分技術が実用化段階にある、こう申し上げたものでございます。  高レベル廃棄物処分技術のうち、一つ重要なものは、固化体の耐用の問題でございます。あわせて今回、核燃料サイクル開発機構が、原子力委員会の高レベルの専門部会の指導を得るような形で、二〇〇〇年レポート、第二次レポートを提出してきたところでございますけれども、これによりましても、技術的に見て、現在あるいは近い将来の技術をもってして、さらに現在我が国においてこのような地質環境を国内に探すことが十分可能であるという考え方のもとに、国内に高レベル廃棄物処分を行うことが現実的に可能な、そういうことでございますので、先ほど申し上げました、技術的に見て十分可能だと申し上げたものでございます。  なおまた、分離変換技術の効果とか意義の問題におきましては、原子力委員会が、ことし、対策部会の報告書をもとに委員会として判断をしたわけでございますが、その専門部会報告書におきましても、本技術によって長寿命核種を一〇〇%分離変換することは原理的、工学的に不可能で、長寿命核種は廃棄物として残るため、最終的に地層処分が必要である、このような提言と決定をしている次第でございます。
  325. 吉井英勝

    ○吉井委員 将来問題については、決めつけた考え方というのは私はやめるべきだと思います。  本来、原発に進む前に、高レベル放射性廃棄物最終処分まで考えた、それらも含めた安全技術の完成とか原子力利用のシステムの完成が必要なわけですが、これを、すべての段階で問題解決を先送り先送りしながらやってきて、ひたすら原発増設の道を進んだ結果、さまざまな矛盾、ゆがみを生み出してきたというのが今日の問題です。  だから、高レベル放射性廃棄物の処理の方法として何が科学的で、数十万年の単位で安全で合理的なものかということの探求というものが必要で、それを、不十分なやり方で、例えば今おっしゃったガラス固化体の耐用がもう実用段階であるかのような発想で、そういう非常に不十分なやり方で決めつけて、法律にして強行するというのは、これは本当の解決にはならない。私はこのことを指摘して、次の問題に移りたいと思います。  国際学術連合、これがICSU高レベル廃棄物処分問題委員会というのを設けて、三つのワーキンググループで詳細な討議を行い、これは少し古くなりますが八二年に調査報告をまとめて、各国政府に、ハリソン報告、ハリソン委員長が配付しておりますが、この報告書日本も受け取っていますね。
  326. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  できております。
  327. 吉井英勝

    ○吉井委員 これは、この報告書の冒頭に、日本学術会議日本原子力安全協会から特別に資金の援助を受けたことを述べて謝意を表しておりますから、受け取っておられて当たり前なんですが、その中でも、ガラス固化方式についていろいろな議論がされております。  日本国内での高温多湿、あるいは高温、水中での特性について、私も読んでおりましていろいろな角度からの検討が必要だなと思ったのですが、例えば、動燃、サイクル開発機構の研究として従来からよく持ち出されていて、そして、きょうもたしか午前中配られた資料にあったと思うのですが、ガラスは非常に安定した物質です、ガラスは高レベル放射性廃棄物の固化処理材として極めて有効です、ガラス長期にわたり安定した物質であることは、博物館にある紀元前のガラス工芸品が今なお美しい光沢を保っていることからもわかりますという、これはよくこの宣伝がされてきました。  常温常圧の乾燥状態では、確かにガラスは強いです。しかし、二百度Cぐらいの高温、そして多湿という水の作用が働くこの状態、条件下になれば、非常にもろいというのが硼珪酸ガラス特徴であるのじゃありませんか。
  328. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  硼珪酸ガラスは、現在、我が国も、また世界のほとんどの国々が高レベル放射性固体廃棄物としてその処理を行おうとしているそのガラスでございますけれども、これにつきましては、何十種類もの元素のほとんどを均一に固溶あるいは分散できること、また、物理的、化学的安定性にすぐれていること、熱的な安定性であるとか浸出性に対する対抗性であるとか、あるいは放射線の対抗性であるとか、こうすぐれたところがございます。  また、硼珪酸ガラスは、御案内のとおり、一般産業での長い蓄積のある工業用ガラスの製造方法が応用できるというふうな観点から、そのガラス特性については、長い研究開発の歴史の上でその期待感があるものでございます。
  329. 吉井英勝

    ○吉井委員 常温常圧のもとでの乾燥状態では強い、それはあなたが今おっしゃったとおりなんです。しかし、二百度Cとかあるいは三百度Cとか、そういう高温多湿という条件になったときには、これは非常にもろいというのが特徴ではありませんか。もう一度聞いておきます。
  330. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  サイクル機構によりまして取りまとめられました第二次の取りまとめでは、ガラス固化体は、五十年間程度冷却のための貯蔵を行いました上で、地下の深い地層中に処分することとしてございます。  処分後のガラス固化体の温度は、最大でも約百度C程度であることが示されてございます。ガラス固化体は、温度が高くなりますと、水と接触した場合の溶解速度が大きくなることが示されておりますけれども、オーバーパックの破損とか地下水との接触を想定した一千年後では、ガラス固化体表面の温度が約六十度Cになることが示されてございまして、この程度の温度では、ガラスの耐久性に大きな影響を与えることはないと考えるところでございます。
  331. 吉井英勝

    ○吉井委員 今おっしゃった第二次取りまとめのデータ、これは同じデータを多分見ていると思うのですが、大体二百度Cぐらいになりますと、常温のときよりも二けたほど溶解度が高くなるのですね。ですから、七万年たって全量溶解という話が七百年で全量溶解ということになってくる、こういうデータを今おっしゃったということにもなるわけです。  ですから、このガラスの話は、非常に安定して強いものだというのは、全く、第二次取りまとめデータを読んでおっても当たらないということを申し上げておかなきゃならないし、特に、深地層というのは非常に温度の高いところで、しかも、冷却して入れたといっても、もともと崩壊熱が出るものですから、崩壊熱が排除されない限り蓄熱ということが起こるわけですから、おっしゃったようなそう簡単な話じゃない。  次に、あわせて伺っておきますが、シンロックと硼珪酸ガラスの水に対する強度試験というのがかつてやられたことがあります。シンロックは、二百度C七日間でも、三百度C四日間でも全く破損しなかった。しかし、硼珪酸ガラスは、二百度C七日間でかなり変化する、三百度C四日間では完全に破壊した。こういうデータなども実験データで出されておりますが、ガラスが強くて安定だという、そのデータがあればお聞かせいただきたい。
  332. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  データについては、ただいま持ち合わせておりませんけれども、後ほどお出し申し上げたいと思います。  また、今先生の方からお話ございましたが、地下水の水質との関係におきます放射性の高レベルのガラス固化体の関係でございますが、これまでの研究開発の結果では、一般的に、地下深部の水は弱アルカリ性でございまして、ガラスマトリックスの溶解反応を抑制する効果を持つ溶存珪素も存在しますところから、ガラス固化体の健全性を維持するためには好ましい環境が存在しているものと考えている次第でございます。  また、シンロック、チタン化合物とかアルミニウム化合物を主成分とするセラミックとの関係で先生がガラス固化体のお話をなさったわけでございますが、シンロックの技術開発につきましては、日本といたしましてこれまで、日本原子力研究所が一九八〇年からその研究を進めてきたところでございます。昨年までオーストラリアとの研究協力によってその研究開発をやってきたところでございますが、一つには処理プロセスが複雑であるということ、また元素の取り組みが選択的である、そういうふうな事情などから、シンロックを今私どもが考えてございますような高レベルの固化体全般として適用するのは、日本としてはなかなかとりづらい状況ではないか、このように考えているところでございます。
  333. 吉井英勝

    ○吉井委員 深地層における水の流れその他の話はまたいずれ、後ほどやりたいと思います。  国際学術連合の調査報告では、ガラス固化方式については、ガラスは室内の条件下では安定であり、製造方法も簡単であるが、高温になると再結晶作用が進み、細かな割れ目ができ、水中の溶解度が高くなると。  あなたがおっしゃったように、私もわからぬことはないんですけれども、非常に良好な条件が全部そろえばそれは心配ない。しかし、そうでないときには、また別な条件のときには、室内条件下で幾ら安定であっても、再結晶作用が進んだり、細かな割れ目ができて、水中の溶解度が高くなるという問題などを指摘しているのではありませんか。
  334. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  一九八二年九月に国際学術連合で、先ほど先生お話しになられましたハリソン報告書が出されているわけでございますけれども、この報告書の中で、高レベル放射性廃棄物処分に関します勧告として大方十九項目にわたります示唆が、勧告が示されてございます。このうち、地層処分に関します勧告と考えられます十一項目については、平成十一年十一月、サイクル機構によります二〇〇〇年レポート、二次取りまとめに当たりまして、この内容についての検討が行われたところでございます。  ただいま先生がおっしゃられた内容がこの勧告のどこに該当するか、今全部チェックしておりませんので、その内容がこの中に盛り込まれているかどうか、この場でちょっとまだお答えしかねるところでございます。
  335. 吉井英勝

    ○吉井委員 それから私、ガラス固化体という話ですから、この分野でもいろいろな研究の余地があろうかと思うんですね。  今さっき局長がおっしゃった中のセラミックス化方式について、結晶は必ずしも安定な相とならない、また、鉱物中の放射能により結晶構造が破壊されメタミクト現象が起こり、そのための体積膨張により割れ目ができ、核種の溶出が起こるおそれも増大する。そういう問題もあるから、だからセラミックス化方式にしてもいろいろな考え方が必要だということが指摘されていることは、私もよくわかるわけです。  それから、サーメット法、陶性合金。これにしても、核種は合金の中に溶け込むとされているが、その安定性についてはさらに研究が必要だという指摘。  それから、今おっしゃったオーストラリアとの研究で、リングウッド教授のシンロック、合成岩石という考え方ですが、この方法であると、放射性核種はこの合成岩石の中に安定して取り込むことができるという研究もある。今おっしゃったように、安定して取り込むことが難しい核種というものもあり得るでしょうが。ただ、いずれにしても、シンロックの考え方というのは、加工が複雑になり、高レベル放射性廃棄物は少量しか取り込めない、その結果としてコストが高くなるという欠点もある。  こういう、セラミックについてもさまざまな検討もされて、そういう指摘も今日行われているんじゃありませんか。
  336. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  シンロックに対します日本としての取り組みの問題については先ほど申し上げましたとおりでございまして、日本原子力研究所がオーストラリアとの協定を結んだ協力協定によって、昨年までその基礎的な研究をやってきたところでございます。  ただいま先生の方からお話ございましたとおり、加工の困難さ等の問題で、結果として経済的に非常に高くなるだろうというふうなことも承知している次第でございます。経済性の問題よりも前に、加工の困難さの問題、それと同時に、固化体として取り組むものが非常に一様でないというふうな問題もございます。  具体的には、例えばプルトニウムについてはシンロックの固化体が非常にすぐれているというふうなことはあるわけでございますけれども我が国の場合は、核燃料のリサイクル政策をとっておるものでございますので、そういうふうな意味では、プルトニウムは、全くないわけではございませんけれども、非常に少量しか高レベルの放射性廃棄物の中には含まれていないわけでございます。そういうふうな事情で、シンロックの国内適用の限界があろうかと思います。  他方また、我が国のみならず世界的な全体の傾向でございますが、先ほど申し上げました、高レベル廃液に含まれます何十種類もの元素のほとんどを均一に固溶あるいは分散できるかどうか、さらには物理的、化学的安定性にすぐれているかどうかなど、そういうふうなことが世界各国で議論、検討がされました上で、アメリカでは、一九八一年にその検討、評価が行われまして、固化体からの放射性物質の溶け出しにくさ、処理プロセスの工学的な難しさ、処理経費などを相対的にランキングし、硼珪酸ガラスが最も高い評価が得られているところでございます。
  337. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、シンロックの考え方というのはある意味では、本来、将来世代に負担をかけないという点では、安定した、もとの、今取り出しているウラン鉱石並みの、いわば鉱石に戻すのと比較的似た手法であるわけですから、鉱石に戻して深地層にある安定な岩石としてもとへ戻す、こういう発想という点では非常に、確かにプロセス、加工の複雑さのお話ありましたけれども、これはやはり非常にすぐれた面を持っていて、ただ非常にこれにはコストが高くつく。  しかし逆に、ガラス固化程度の安上がりの手法では、これは先ほども紹介しましたように、二、三百度とか湿気の多い雰囲気では非常に短い年月でもって再結晶化が進んだり壊れてくる。そういう問題があって、そうなると、安上がりの手法では将来世代に管理責任なり土地利用計画でツケを回すという問題が出てくる。  こういう点で、シンロックで確かにコストは高い、しかしこれをもっと研究をして安定な岩石に戻すという方向を考えるのか、安上がりでいくのかということを含めて、やはり今そういうことも私はまだそれぞれが全くの研究段階にあるものだというふうに思うわけですが、ガラス固化の方式は完成したという考え方ですか。
  338. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  ガラス固化体、今先生のおっしゃったガラス固化体は硼珪酸ガラスによるガラス固化体、こういうふうに考えてございますけれども技術的にはほぼ確立し得たものというふうに考えてございます。  しかしながら、再三先生の方からお話ございますように、湿度の高い状況下でどう管理をしていくのかというふうな問題がございますけれども、その点に留意した管理を十分行うことによって、安全性は十分確保できるだろう、このように考えている次第でございます。  さらに加えまして、シンロックに対する取り組みの問題は、昨年、日本原子力研究所が、オーストラリアとの協力協定に基づきます研究を、大方めどをつけたわけでございますけれども、一番重要なのは、核種による均質性の依存性があるということでございまして、特に、プルトニウムに対する特異的なメリットと申しましょうか、よさはあるわけでございますが、そういう意味で、ウランの、その他の、プルトニウムを除きましたものに対してどう固化体を形成していくか、このあたりの問題を考えてまいりますと、先ほど申し上げましたように、ガラス固化体は既に、世界的に見ましても、また我が国も既に動燃事業団で、茨城県の東海村の再処理工場でその固化体をつくっているわけでございます。  これまで六十二体の固化体を作製してございますが、十分技術的にその信頼性を実証し得る、そういう段階になっているものでございます。
  339. 吉井英勝

    ○吉井委員 今おっしゃったように、プルトニウムに対してシンロックは非常に有効だということですが、プルトニウム循環方式をとるからシンロックには行かない、その他のものに対しては非常に選択性があって、うまくないものもあるからこれはとらないということですが、私は、まさにプルトニウムというのは、半減期が二万四千年とか、もっと長いのもありますね。そういうものについて、いわばシンロックというのはウラン鉱石のように鉱石に戻して、まだこれの方であれば、溶け出すとかそういう点では非常に有効だという今お答えがありましたが、そういうものであるのに、ただ、プルトニウム循環方式に走るからシンロックは選ばない、この道は選ばない、あくまでもガラス固化の方式だという立場ですよ。  しかし、では、動燃の方で何体かできたというお話ですけれども、それはできたばかりなんです。まさに数万年あるいは数十万年というオーダーでこれから考えていかなければいけないのですが、できたばかりのもので非常に信頼性が高いの安定だ何だのということを言い出すと、これはまさに新しい形での安全神話と違いますか。
  340. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  まず、ガラス固化体は、日本がその製造に着手する前、ヨーロッパ等において既に実用に供されてきたものでございます。青森県の六ケ所村の方に日本原燃株式会社の管理施設があるわけでございますが、ヨーロッパの方から固化体が既に我が国の方に搬入されているところでございます。既にそういうような形で、世界的に見ましても、この固化体の製造技術、固化体に関しますいろいろな知見は得られているものでございます。  日本におきましても、平成九年に旧動燃事業団が再処理火災爆発事故を起こします前まで、この動燃事業団では六十二体の固化体の製造を行ったところでございます。十年に近い期間をかけて製造したものでございまして、我が国においても固化体の製造技術が確立してきたというふうなことで申し上げたものでございます。  なお今、シンロックというふうな問題で、本件、この問題をずっと議論させていただいているわけでございますが、先生の方から冒頭お話ございましたとおり、分離変換技術というふうな観点からは、長寿命放射性核種を短寿命の核種あるいは安定な核種に変換する、そういう変換技術と、分離技術としては、高レベルの放射性廃棄物に適用されます技術から、有用な核種を取り出して、環境に優しいような形で、廃棄物発生量あるいは廃棄物処分に向けた試みをとっていくことは重要であるというふうなことは、日本の原子力界としてそういう思いを持っているものでございますので、念のため申し添えておきたいと思います。
  341. 吉井英勝

    ○吉井委員 まず、ガラス固化体が海外でできているとか、それから日本で動燃で六十二体つくったとか、つくったということと、これが数万年オーダーで安全である、壊れない、そのことが実証できたということとは全く違う話なんです。それを、つくったから大丈夫なんだというのは、これは文字どおり新しい安全神話ですよ。私はそういう発想というのはやはり変えていかなければいけないと思います。  私は、プルトニウムがシンロックだったらいいとかそういうことを言っているわけじゃないんですよ。本来的には、長寿命、高レベルのものはやはり消滅をするべきであって、将来世代に数万年単位でツケを回すべきじゃないと考えておりますが、皆さんの方が、プルトニウムだったらシンロックでも可能なんだが、しかしプルトニウムは循環方式で使う方に回すから、シンロックはやらないと。私は、そこのところに非常に大きな進め方の矛盾というものを持っているということを指摘しておきたいと思います。  いずれにしても、国際学術連合の指摘にもあるように、ガラス固化の方式というのは高温多湿条件等では非常に壊れやすいものだ。非常にもろいということがガラス特徴ということで指摘されているものでありますから、私は、これが完成された方式だという決めつけというのは改めるべきだ。実証できてないのですから。  ガラス固化の方式は完成したものという、この決めつけはしませんね。
  342. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  サイクル機構によります二〇〇〇年レポートについては先ほど御説明申し上げたところでございまして、約一千年後、オーバーパックの破損とか地下水との接触が想定される時代では、ガラス固化体表面の温度が約六十度Cになることが示されておって、この程度の温度ではガラスの耐久性に大きな影響を与えることはないと考えるとの第二次取りまとめが行われているところでございます。  そういうふうな意味で、これが技術的に実証されたかどうかというふうな点については、そうならないような対応策を講じていくことが一に必要であり、かつまた、それについての安全評価をきちっと行っていくことが必要である、このように考えてございます。
  343. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですからはっきりしていることは、実証されたものじゃないんです。安全評価の話もこれからなんです。つまり、それなのに、あくまでガラス固化方式、そして深地層方式が完成された技術だとみなすのは、これは私は全くの新しい原発安全神話であるということを指摘せざるを得ないと思います。  次に、国際学術連合のハリソン調査報告では、処分地選定基準は安全性と科学によって決定されるべきであり、経済や政治に左右されてはならないとしています。  七八年にプレデホルトらがアメリカ地質調査所での共同研究の総括として要約していることは、一つは、サイト構造的に安定、地下水運動が遅いこと、かつ地表への通路が長いこと。二つ目に、地域の内部と周辺の地質地下水調査を十分に行うこと。三つ目に、最初の状態と将来に対する仮定から、処分場としての挙動を予言すること。四つ目に、この予言に伴う危険度を評価すること。五つ目に、この危険度が許容し得るか否かを決めること。以上の五項目が満たされることが必要だということを指摘した上で、地殻変動、地球内部のマントル物質の上昇運動、ディアピールと言われるもの、それから地震活動、火山活動によって核種が地表に運搬される可能性がある、こうしたことも考える必要がある。  そうなってくると、現実に即して有効な地層条件というのは、一つは、地下水含有量が低い。二つ目に、断層、特に活断層や割れ目がない。三つ目に、浸透性が低い。四つ目に、テクトニックな変動を受けない、地震火山がない。五つ目に、地下資源が存在しない。六つ目に、岩質が均質で堅硬であること。こういうことが必要だというのが学術連合の調査報告で示されております。  世界ではこれが、仮に深地層処分を考えるとしても、処分地選定基準としてかなり広く取り入れられている考え方だと思いますが、どうですか。
  344. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  サイクル機構が取りまとめました二次の取りまとめにおきましても、サイト選定の可否にかかわります地質環境の要件といたしまして、ただいま先生の方からお話しございました地質環境長期安定性という観点から検討が行われたところでございます。  断層活動の影響ということで、岩盤の破断、破砕あるいは変位によりまして処分システムの所期の性能が損なわれるような場所でないこと。また、火山活動影響に関しましては、マグマの貫入、地熱、熱水の侵入によりまして処分システムの所期の性能が損なわれるような場所でないこと。また、隆起、侵食によりまして地下深部に埋設した廃棄体が地表付近に接近するような場所ではないこと。さらに、処分場の建設の可能性につきましては、その建設に当たり十分な規模の岩盤が適切な深度に分布していること。さらに、人間侵入等の問題では、地下資源が存在する地域でないことなどが挙げられてございます。こういう観点に留意して、地層処分のために少なくともこれらの要件が満たされる場所選定する必要があるだろう、こういうふうに検討して、この二次取りまとめを行ったものでございます。  そういうふうな意味では、先ほど先生がおっしゃられました数項目、あのほとんどの項目はこれらの要件に合致しているもの、このように考えてございます。
  345. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、国際学術連合、ICSUのカナダの西オンタリオ大学ファイフ教授は、世界には最終処分に全く不適な国がある、例えば日本、スイス、ニュージーランドなどのように、国土が小さいこと、プレートの境界にあること、あるいは社会的政治的問題のため大いに制約を受けている云々、こういうことを述べておりますが、この指摘は承知しておりますか。
  346. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  承知しておりません。
  347. 吉井英勝

    ○吉井委員 そうすると多分、ICSUのこのファイフ教授らの指摘に対して日本地震学者の皆さんがどういうふうに受けとめているかとか、その御意見は聞いていらっしゃらないと思いますから、次に進みたいと思います。  第二次取りまとめでこれにかかわったサイクル機構の、現原子力環境整備センターの坪谷氏、けさも来られたので伺ったわけですが、日本における活断層の分布のほとんどが把握されており、活断層のない地域も広く存在すると発言していらっしゃることも紹介してけさも質問しましたが、しかし実際には、震源断層が地表にあらわれるような地震でも、その三分の一近くは認知されていないC級活断層に起こると予想されるということ、首都圏、南関東の活断層は厚い堆積層に隠されている、こういうふうにみなされているというのが、この活断層問題についての日本の現状ではありませんか。
  348. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  今回、地層の安定性の問題に関しましては、過去数十万年の地質情報に基づきまして、将来十万年程度天然現象の及ぼす影響範囲とか幅を推定して、その地質環境長期安定性について議論が行われたところでございます。  我が国における地震断層活動、火山・火成活動、隆起、沈降などの天然現象は、日本列島周辺におきますプレートの運動などに関連して起こっておりますけれども、現在の地殻変動の傾向や火山活動の場は数十万年から数百万年間にわたって著しい変化が認められているものではございません。また、今後プレートシステムに何らかの変化が生じた場合におきましても、システムの転換には百万年以上の期間を要することから、将来十万年程度であれば、現在の地殻変動火山活動などの傾向が著しく変化することは考えにくい。これらのことから、少なくとも今後十万年程度は現在の安定な地質環境が維持されると考えられる。このようにこの二次報告では取りまとめが行われているところでございます。  現在、原子力委員会は、この取りまとめについて、専門家の方々にお集まりいただきまして、もとよりこの部分だけじゃございませんが、全般について評価を行っているところでございます。
  349. 吉井英勝

    ○吉井委員 二次取りまとめの中で問題になってくる、日本における活断層の分布のほとんどが把握されて、活断層のない地域も広く存在するというこの考え方というのは、これは、私が今取り上げたのは実は測地学審議会の地震火山部会報告に出てくるんです。「震源断層が地表に現れるような地震でも、その三分の一近くは認知されていないC級活断層に起こると予想される。」「首都圏や南関東の活断層は厚い堆積層に隠されている」と。  ですから、この測地学審議会の報告などでも示されているように、活断層の分布がほとんど把握されているとかこういう第二次取りまとめの中の発想というものは、現実には当てはまらない。本当にこれまた安全神話に取りつかれていると私は指摘せざるを得ないと思いますよ。  測地学審議会の部会報告などを、いやそういうのは軽く見過ごすのですというお話だったら、それはそれでそういうお答えかと思いますが、この部会報告などを尊重する立場に立てば、震源断層が地表にあらわれるような地震でも認知されていないところで起こる、起こってきたということですが、その立場に立てば、日本で問題がないなんというような見方は簡単にできないんじゃありませんか。
  350. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  今回、サイクル機構が二次取りまとめを行うに当たりましては、原子力委員会専門部会の指導を得、どういう点に留意したらいいかということをもとに今回の取りまとめ報告ができたわけですが、その過程にありましても、サイクル機構のリポートについて、世界地質関係の方々のチェック・アンド・レビューもいただいてきているところでございます。そういう中で実は今回の報告が出ているわけでございます。  我が国では、過去の調査において活断層の存在や可能性が認められなかった場所で、地震に伴って新たに断層が出現した例は知られていないということ。また、これまで述べているような地質学的な情報からも、テクトニクスに関連する地殻応力場の顕著な変化が想定されない地域においては、活断層が現存していない地域に、新たに断層が発生するとは考えがたいということ。また、新たな断層が発生する際、何の兆候もない場所に急激に断層破砕帯が出現するわけではなく、発生初期の断層は小規模な破断の集合帯として徐々に成長するとされているということなど、先ほど申し上げました世界の方々のチェック・アンド・レビューと同時に、今申し上げましたのはショルツさんという方の論文から引用しているものでもございますけれども、そういう状況でございます。  かつまた、けさの参考人質疑の折に、小島先生でございましたか、高レベルの処分場場所選定の問題に当たって、非常に限られたエリアの場所選定は十分可能であるというふうなお考えを専門家の立場からお述べになられていたことがあったものと承知してございます。
  351. 吉井英勝

    ○吉井委員 ICSUのカナダのファイフ教授の話を先ほど御紹介しましたが、世界には最終処分に全く不適な国がある、例えば日本だと、国土が小さく、プレートの境界にあることなどを挙げております。けさのその先生のお話を今おっしゃったが、私は、恐らくその先生は、この事実を聞けば恥ずかしい思いをされると思うのです。  一九二七年北丹後地震、死者が二千九百二十五人出ております。一九四三年鳥取地震は、千八十三名の死者。一九四八年福井地震は、死者三千七百六十九人ですが、いずれも地表地震断層を伴う海岸近くの直下地震で、活断層が認識できないところで発生した。それから、一七九三年の西津軽とか一八〇四年の象潟、一八七二年の島根の浜田、いずれもマグニチュード七級の地震が発生しておりますが、震源に対応する活断層は知られていない。これは神戸大学の石橋教授の論文の中に出てまいります。  私は、これまで実際に活断層など見当たらなかったもの、そういうところからもこういう地震が現実に起こってきたという、これは地震学者、専門家の御指摘ですが、そういうことも無視して安全神話に取りつかれるという、それは本当に大きな誤りだということを指摘しておかざるを得ないと思います。  それで、ちょっと飛びますが、大臣にあらかじめ通告しておりましたのを最後一つだけ伺っておきたいと思います。  これは岐阜県東濃地方の核燃料サイクル開発機構の超深地層研究所について、私もかつて科学技術委員会で質問したときに、高レベル放射性廃棄物は将来にわたって持ち込まないという答弁がありました。科学技術庁と県知事との約束もあるということです。しかし、この地層処分を行うのは、原発環境整備機構という全く別の組織なんですね。核燃料サイクル開発機構の約束を引き継ぐというものに必ずしもならないわけです。  ですから、ここは大臣、原発環境整備機構にも、高レベル放射性廃棄物は将来にわたって持ち込まない、この約束をするということができるかどうか。私は、この地震の問題とかさまざまな角度を取り上げましたのは、やはり現に問題のある中で、しかし約束をたがえるというふうなことになってはいけませんから、それだけは大臣の方からきちっと確認しておきたいと思います。
  352. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 科学技術庁長官が、岐阜県の知事に対しまして、平成十年九月十八日付の文書におきまして、「貴職をはじめとする地元が処分場を受け入れる意思がないことを表明されている状況においては、岐阜県内が高レベル放射性廃棄物処分地になることはないものであることを確約します。」こういう文書が出されたわけであります。これは回答でございます。  当然のことながら、省庁再編後の文部科学省及び経済産業省が引き継ぐことと相なります。経済産業省が引き継いだ後も、回答の方針には変更はありません。
  353. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  354. 中山成彬

    中山委員長 北沢清功君。
  355. 北沢清功

    ○北沢委員 社会民主党の北沢でございます。きょうは遅くまで御審議をいただいて、感謝申し上げたいと思うわけです。  私は、今までの委員会のやりとりをお聞きして、幾つか問題点や御意見がありますが、実は三つぐらいに集約できるのではないか。  その一つには、非常にこの問題の難しさというか、しかも一万年という気の遠くなるような長期の問題でございまして、このことの国の責任と、実施主体は民間でございます、機構とはいっても民間でありますから、国は適切な法律、法令を決め、監督をするということでありまして、実施主体は民間の機構において行うということ。  それからもう一つは、研究開発という問題は、いろいろ取りまとめをしておられるのですが、中身はまだまだ手探り状況であるということ。そういう段階で、もっと明確にしたいのは、どういう段階に問題があるか、ねらいは何かということを明確にしていただければ一番いいと思うのですが、この面については改めて審議があると思います。  それともう一つは、大臣の御答弁を含めて、目的は全量のプルトニウムを再生する、そういうことであります。  その三つが主なる明らかになった点でございますが、このことの中で、私も最終回でございますから、いろいろダブる点がありますので若干ニュアンスを変えて御質問をいたしたいと思うのです。  先ごろ、四月一日から一年程度をかけて、我が国のエネルギー政策の見直し、検討が政府で行われることになりました。これまでのエネルギー政策の欠陥を認めて、現実に合った、環境にも配慮した政策を打ち出されれば、このまま原子力発電を続けていくことの是非は当然問われていくべき課題であると考えるわけですが、それとは別に、少なくとも現在存在している高レベル放射性廃棄物の後始末は、早急に検討されなければならない重要な問題であるというふうに考えるわけであります。  しかし、今回の法案には、多くの疑問点がございます。  まず、この法案の名称の用語が、既に一般的でわかりやすい高レベル放射性廃棄物ではなく、「特定放射性廃棄物」と変更されているのはなぜなのか。このあたりからして、放射性廃棄物に対する国民のアレルギーに配慮した結果ではないかと思いたくなる。  というのは、定義として「「特定放射性廃棄物」とは、使用済燃料の再処理後に残存する物を固型化したものをいう。」とあります。固型化したものとは、使用済み燃料の再処理によって発生した高レベル放射性廃棄液をガラスにより固型化したガラス固化体のこととされているのだから、わざわざ「特定放射性廃棄物」とする理由は理解できないわけでありますが、その理由についてお聞きをいたしたいと思います。
  356. 細田博之

    細田政務次官 法律上の定義を定めるやり方でございますが、一定の定義を設けるときに、それらを特定何々ということで定義を定めるやり方は非常に広範に行われておりまして、それの一つであるということでございます。特に、ガラス固化したものに特定しておるという意味を含んでおります。  今、高レベルという表現を使ったらどうかというような御趣旨でございましたけれども法律上そういうふうに決めようと思いましても、今度は高レベルの定義云々ということもございますので、むしろ法案に規定しておりますような表現が適当であると判断したものでございます。
  357. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、国民の信頼を得るということは、ある面では率直な、真実といいますか、そういう目標をはっきりしてこそ初めて信頼が増すのではないかというふうに考えるわけであります。  それから、この法案は、原子力発電からの使用済み燃料をすべて再処理施設においてプルトニウムを分離回収する再処理を前提としております。先ほど申し上げたとおりです。使用済み核燃料の直接処分が選択の一つとしてあってもいいのではないか、あくまでも全量再処理にこだわるのはなぜかということについてお尋ねをいたしたいと思います。
  358. 細田博之

    細田政務次官 御質問の趣旨は、出てまいりました使用済み燃料をそのまま例えば埋めてしまうようなワンススルーといいますか、そういうふうなことの可能性についておっしゃっているのだと思います。  エネルギー資源の大宗を輸入に依存しております我が国におきまして、大事なエネルギーの安定供給を確保するとともに、使用済みの燃料を再処理する、リサイクルするという考え方は非常に大事でございます。  きょうの午前中にも、東大の小島名誉教授もおっしゃっておられましたけれども、石油が非常に資源として短命である、それに次いでウラン等の燃料も非常に希少資源であって、これも大事にしなければいけないというような御発言もあったわけでございますが、我が国としては、プルトニウム等を再利用する核燃料サイクル政策を採用しておるわけでございますので、この政策を着実に推進していくことが重要と認識しております。  したがいまして、平成九年一月の原子力委員会決定、同年二月の閣議了解に従いまして、本法案におきましても、ワンススルーは対象とせず、リサイクル、核燃料サイクル政策を前提とした法案を作成した次第でございます。
  359. 北沢清功

    ○北沢委員 リサイクルという問題もございますが、国内でも、研究者等から、使用済み燃料の直接処分に関する選択肢もあってしかるべきだという意見も多いわけでありますし、また、諸外国においても直接処分一般的だと聞いておるわけであります。また、電力業界からさえも、これは朝日新聞で元東京電力副社長の方が、原子力政策はこれまでのような再処理、プルトニウム利用一辺倒でなく、柔軟であるべきだと述べられております。  こうした状況から、各界の意見や声に対してどのように考えているか、配慮する考えはあるのかないのか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  360. 河野博文

    ○河野政府参考人 御説明申し上げます。  この法案作成に際しましては、先ほど来御議論ございますように、原子力委員会のさまざまな場面での検討、そしてまた通産省の関係で申し上げますと、総合エネルギー調査会の原子力部会での検討を経て作成されたものでございます。  通産省の原子力部会について申し上げますと、これはもちろん学識経験者の皆さんにもお入りをいただいておりますけれども、同時に、電力業界も含めたエネルギー産業の方々の御出席もいただいた上での結論でございますので、そういった方々の意見も集約させていただいたものというふうに御理解をいただきたいと思います。
  361. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、外務省の方にも御出席をいただいて、御質問いたしたいと思うわけでありますが、次に、余剰プルトニウムについてお尋ねをしたいわけであります。  この法案が立法化されれば、多くの余剰プルトニウムが生まれることになります。この法案どおりだと、二〇一五年までに四万トンのガラス固化体を発生させるということは、一トンから十キロのプルトニウムを取り出すとして、四万トンということは四百トンのプルトニウムという計算に私の資料ではなるわけであります。  主として米ソですが、世界の核兵器のプルトニウムの量は二百五十トンであることを考えると、とてつもない量を想定していることになるが、余剰プルトニウムを持たないと宣言している日本として、国際社会に対してどのように説明をするのか。外務省は、プルトニウムのこの量についてどう考えるのか、諸外国に対してどう説明するのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  362. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  余剰プルトニウムの処理をどうするのかということでございますので、私の方から御説明させてくださいませ。  我が国の当面のプルトニウムの全般的な需給の展望につきましては、海外再処理委託によりまして回収されますプルトニウム、さらには、二〇〇五年以降運転が予定されております青森県六ケ所村の再処理工場により回収されますプルトニウムは、一部はサイクル開発機構の常陽あるいは「もんじゅ」等の研究開発用に利用されることとなってございます。その大宗はプルサーマル計画により利用することとなるものでございます。  今後、プルサーマル計画の着実な進展を図ることによりまして、適切なプルトニウム利用を図り、この余剰プルの問題についての対応を考えていくことが重要だろうと考えてございます。  「もんじゅ」の事故、イギリスのBNFL社のMOXデータ問題等によりまして、高速増殖炉に係ります研究開発や、我が国におきます一連のプルサーマル計画の初期の計画影響を受けていることはまことに残念でございますけれども、これらにつきまして適切な対策を講じ、核燃料サイクルの着実な展開を図ってまいりたいと考えてございます。  先ほど申し上げました海外再処理のプルトニウムは、現在、海外にございますものなど、海外でなお追加的に再処理されるものを考えますと、約三十トンございます。六ケ所の再処理工場が二〇〇五年の七月以降操業に入るわけでございますが、これは再処理能力から見ますと、年間約五トンのプルトニウムが生産されてまいります。  また、東海にございます再処理施設の、これは再処理能力が非常に低いわけでございまして、また、平成九年の三月の火災爆発事故以降、現在運転が停止されてございますけれども、そういうものなども考えまして、先ほど申し上げましたように、今後は、研究開発用で約一トン弱、プルサーマルで年間約四トン、こういうものを使いながら、六ケ所再処理工場の稼働時期を迎えて、大宗をプルサーマルで利用して、プルトニウム利用全体を、需給バランスを何とか考えられるような、そういう計画を私ども責任を持って対応していくことが必要だろう、こう考えておる次第でございます。
  363. 服部則夫

    ○服部政府参考人 お答え申し上げます。  外務省といたしましても、我が国におきますプルトニウムの利用は、利用計画のない余剰のプルトニウムは持たないという原則のもとで計画的に進めていくこととしているというふうに理解しております。  国際社会との関係でございますけれども我が国のプルトニウム利用政策の透明性を確保する必要がございますが、我が国のプルトニウム保有量につきましては、国際原子力機関、IAEAの国際プルトニウム管理指針というものがございますけれども、これに沿いまして、毎年IAEAに通報するとともに、自主的に原子力白書に我が国のプルトニウム管理状況を公表いたしておりまして、各国の理解を深める努力を行っております。  また、プルトニウム利用も含めまして、我が国の原子力開発利用は、原子力基本法に基づきまして厳に平和目的に限って進めており、核兵器不拡散条約、NPTでございますけれども、その義務を遵守し、国内にあるすべての核物質についてIAEAの包括的な保障措置の適用を受けております。  我が国といたしましても、今後とも国際的な核不拡散体制の維持強化に積極的に貢献することは当然でございますけれども、プルトニウム利用の透明性の一層の向上に努め、我が国の原子力開発利用についての国際的な理解を得るための努力を一層行ってまいりたいというふうに存じております。
  364. 北沢清功

    ○北沢委員 プルトニウムが核兵器に転用できるという意味で、核拡散の問題が国際的な問題になるというふうに理解されますが、先ほどの答弁ですと非常に少ないということですが、実際は、六ケ所村に私も行きましたけれども、やはりプルトニウムの使用についてはまだ手探り状況でございます。したがって、案外、量が非常に、余剰プルトニウムを保有しているんではないかという思いをしておるわけであります。  特に科学技術庁にお伺いしたいのですが、日本はプルトニウム余剰は持たないという方針を持っているのに、既に現在でさえ国内外に約三十トン余の余剰プルトニウムを保有しております。それさえももてあましている感があるのに、これから次々と取り出すプルトニウムの処理について、具体的な処理方針があるのかないのか、お伺いをいたしたい。
  365. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 先ほど原子力局長が答弁申し上げましたとおり、今後の余剰プルトニウムにつきましては、大宗はプルサーマルで燃やしていくということ、それから高速増殖炉の研究で常陽そして「もんじゅ」でこれを使っていくというのが基本的な方針でございます。  しかしながら、北沢委員御指摘のように、余剰プルトニウムがこの日本国内に存在するということは変わらないわけでございまして、これに対しては、国際的な透明性を非常に高くする、プルトニウムがどこにどれだけあるかということを国際社会に対して明言をしていくということが、国際社会から信用を得ていく上で非常に重要になってまいります。  このことにつきましては、日本がイニシアチブをとりまして、国際プルトニウム指針というものを一九九七年に策定をいたしました。この指針によりますと、プルトニウム保有量をIAEAに報告し、それをIAEAが世界に公表するというものでございまして、これを厳格に適用することによって、日本がプルトニウムを保有しているということの透明性を高くして国際社会からの信用を得ていきたい、このように考えております。  基本的には、先ほども原子力局長が申し上げましたとおり、このプルトニウムをプルサーマルと高速増殖炉研究に使っていくということでございます。
  366. 北沢清功

    ○北沢委員 透明度を増すということでありますし、その面で理解がされればいいことなんですが、外務省としても、私どもの常識ですと非常に苦しい御答弁ではないかというふうに推察をするわけでございます。  では、具体的に細かい技術的なことについてでありますが、人間が直接作業できないほど放射性が強い廃棄物を運搬、埋設するという具体的な作業についてお伺いをしたいと思うわけであります。  人間が近づいて作業できないものを貯蔵場所から処分場まで運び、専用の金属容器に入れて溶接密封し、それを地下におろして坑道内を運搬し、定置した後、埋め戻すという作業を実際にどう行うかということを、実は説明をいただきたいと思うわけであります。  例えば、ガラス固化体は三十年から五十年の間、貯蔵、空冷されるということで先ほど御答弁がありました。ガラス固化体が封入されている厚さ五ミリの金属容器は、ガラス固化体の強い放射能によって劣化することが実は指摘をされております。三十年から五十年たって、貯蔵場所からつり上げるための突起部分が十分な強度を持っているという保証はあるのかどうか、また、仮にガラス固化体が運び出せたとしても、それを運ぶ交通手段はどう考えているのか、これらについての安全性をどう保証できるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  367. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  まず、最終処分場に至るまでの中間貯蔵地から、管理施設から処分場への問題でございますが、現在、青森県の六ケ所村の方で、ヨーロッパの方から返還されてまいりました固化体が既に管理されているところでございます。この管理の態様は、強制循環というか、強制で温度調整をするようなものではございませんで、自然な状態のままに、縦置きの状態でコンクリートピットの中に収納されているところでございます。乾燥状態もきちっとされてございまして、三十年から五十年定置される状況でございます。  先生の御質問は、そのような三十年、五十年の定置されたガラス固化体を最終処分場にどう搬送するか、その際の安全性についての技術的な問題点はどうなのか、こういうことでございますが、今回、核燃料サイクル開発機構がこの二〇〇〇年レポート第二次取りまとめを行いました際、この搬送、定置作業におきます遠隔操作設備などの概念を構築しました上で、受け入れから廃棄体定置までの一連の作業方法の具体例を示しまして、最終処分技術的可能性を明らかにしてございます。  具体的には、まず、地上施設におきまして、ガラス固化体を収納しました輸送容器を受け入れて、ガラス固化体を抜き出し、オーバーパックに封入して廃棄体とする作業を行うこととしており、ガラス固化体や、それを収納します輸送容器、廃棄体に関しまして適切な検査を行いまして、受け入れ時やあるいは地下への搬出前にそれらの健全性を確認しておく必要があることが示されてございます。  その上で、廃棄体の地上施設から地下施設までの搬送につきましては、エレベーター搬送による立て坑の方式と、あるいは搬送に車両を利用する斜坑の方式が考えられるであろうこと、また、地下数百メートル以深への搬送となることから、落下事故などの防止対策や機器の保守点検性について留意する必要があることが示されてございます。  また、廃棄体を定置位置まで搬送し定置する作業は、廃棄体のような重量物を、約六トンでございますが、狭い処分坑道で取り扱う作業となることから、作業の確実性やトラブル発生時の対応について特に留意する必要があることまで指摘されてございます。  以上のように、この二次取りまとめにおきまして、安全性に配慮する点を示した上で、基本的には、現在の技術の延長線上にある技術により、廃棄体の搬送、定置等を含めた埋設処分を行うことができる見通しが明らかにされているところでございます。
  368. 北沢清功

    ○北沢委員 私も六ケ所村、先ほど見たと言いましたが、空冷といいますか、自然冷却で八十年かかるんじゃないかというようなことを現地で説明を受けて、それも相当いっぱいになってきた。ですから、そういう意味では、地下埋蔵という今回の問題というのは急がなければならないんじゃないかという思いをして実は帰ってきたわけです。  今御説明がありましたように、こうした作業はほとんどの部分、無人化せざるを得ないのではないか。埋設されたガラス固化体は厚さ十九センチの金属容器に格納されているが、その容器表面でさえ一時間当たり百ミリシーベルトもの放射線強度があると試算をされております。  これまで何の実績もないこうした作業が実施できるという根拠を示せるのかどうか。無人化は可能であったとしても、機器が故障してしまったときどのように対応するか、当然そうしたことは今までの例から見ても想定しなければならないはずでありますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
  369. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 先ほど原子力局長が御答弁申し上げましたけれどもガラス固化体を、いわゆるオーバーパックもしくはキャニスターと呼ばれる金属容器で完全に密封をいたします。そのものにつきましては、運搬、そして処分場に搬送するまでは、それをも一つの大型の輸送容器に入れます。したがいまして、その輸送容器全体から見ますと十分に放射線を遮へいしておりまして、ある意味で、近づいても非常に高い放射線を被曝するというものではございません。  したがいまして、当然、無人化という作業はするわけでございますけれども、完全無人化ということではございませんで、それぞれのいろいろなケースに対応できる形でこれを取り扱うということになっております。  ただ、その輸送容器は大変重たいものでございますので、すべて機械化をしたそのシステムの中で行いますので、故障ということに対しても、それをバックアップする二重三重もの体制が必要かと思っておりますが、これについても技術的に対応可能という結論が得られております。
  370. 北沢清功

    ○北沢委員 突発事態ということも私申し上げたのですが、そこら辺の対応についてもやはり深い安全性というものを配慮すべきだというふうに思います。  すべての核燃料サイクル機構からの報告書によりますと、可能であるということだけで、実際にその実績があるわけではないのですね。実績のない技術について安全性が担保できるのか。実際に事が起こってみなければ、やってみないとわからない技術に頼ってこの重要法案が成り立つというのは、頭の中で、机上の設計図にすぎない危険性を実は感ずるわけであります。  次に、これまで大変な手間暇かけて処理しなければならない原子力発電のコストについて、昨年十二月、総合エネルギー調査会原子力部会が、一キロワットアワー五・九円との試算をされておりますが、今回、この法案によって加算されるコストはどのように計上されておるのか。  プルトニウム処理といった、通産省、科学技術庁関連だけでなく、各般の地域振興施策なども含めて、想定されるすべてのコストを考慮した場合を含めて、具体的な試算を教えていただきたいわけであります。将来にわたるさまざまなコストを考えると、決して安価なものではないというふうに私は考えておりますが、いかがでしょうか。
  371. 河野博文

    ○河野政府参考人 今先生御紹介いただきました昨年十二月の総合エネルギー調査会原子力部会におきます原子力発電の経済性にかかわる試算、これには、いわゆるバックエンド対策、つまり中間貯蔵ですとかあるいは廃棄物処分といったようなコストも含めておりまして、ここで原子力発電コストがキロワットアワー当たり五・九円でございます。なお、そのバックエンド費用は、この中で〇・二九円という試算になっております。  今御指摘がございました、例えば通産省が電源立地地域に交付しておりますいわゆる原子力関係予算などもこれに加えてはどうかということでございますけれども、原子力関係予算については、発電所周辺地域の皆様方に還元するということでございますので、これを直接発電に要する費用に算入するべきことではないというのが、この原子力部会にお諮りいただいたときに御了解をいただいた考え方でございますけれども、ただ、こうした費用はどうなのかという御指摘もございますので、通産省関連の原子力関係予算を原子力発電による発電電力量によって割ってみますと、近年私どもの原子力立地対策予算は大体一千三百億円ぐらいでございまして、これはキロワットアワー当たり〇・三九円になるものでございます。  これは、先ほど申し上げましたように、五・九円には加えてはおりませんけれども、私どもの試算についてさまざまな御意見をいただく中で、こういった数字も御紹介をし、その積算も公表をしているところでございます。
  372. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、今までの原子力予算というものは、原子力産業のコストを、研究開発時代でありますから相当な金が必要だし、むしろ非難すべきは、ソフトエネルギーといいますか、新エネルギーにもっと金を注ぐべきではなかったか。そのことのおくれがあることが今日問題になってきているわけでありますが、最近はこの面はふえております。  それと、今回の、民間の主導であるということと、もう一つは規制緩和による売電、受電の自由化という問題があり、大企業なりそういうものよりもむしろコストを個人消費者が負担しなきゃならない。そういうことを含めて私は申し上げているわけでございます。  この法案は日本のエネルギー環境の将来に重要な意義を持つものであるにもかかわらず、ここで示されていることは、まことにまだまだ問題点がある。具体的に本当に意味を持つものはすべて政令とか省令、または別の法律で定めるということで、あいまいな内容がございます。  危うい前提の上に立っておるわけでありますが、この重要な政令、省令の策定に当たって、通産省はどのように対処をするつもりか。その過程の透明性、公開性の確保についての責任をもっと持つべきであるというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  373. 河野博文

    ○河野政府参考人 先生御指摘のように、例えば、御審議いただいております法案の第十条には、省令への委任というような規定もございます。また十一条におきましても第四項で、通産省令で定めるという規定もあるわけでございまして、幾つかの部分で政令、省令に、弾力的な対応あるいは最新の知見を反映するということで委任をされているものでございます。  ただ、この政令、省令の制定に当たりましては、まさに御指摘のとおり、透明性を確保することが必要だというふうに考えておりまして、政令案、省令案を策定いたします段階で、いわゆるパブリックコメントということで国民の皆様方に御意見をちょうだいし、その寄せられた御意見を踏まえてこの政令、省令を策定するという透明な手続を経ていく、そういう考え方でございます。
  374. 北沢清功

    ○北沢委員 最後に大臣に御決意をお伺いしたいわけでありますが、これまでの委員会での議論を聞いておりまして、大臣として、この法案の施行に対してどのような責任と決意を持っておられるか、その点について御答弁を煩わしたいと思います。
  375. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 高レベル放射性廃棄物最終処分の実現は、原子力発電を進めていく上で残された最重要課題の一つだというふうに思っております。また、費用負担に係る世代間の公平性の確保、これも極めて大事でございまして、一刻も早い取り組みが不可欠だと考えております。  既に各国においては、高レベル放射性廃棄物地層処分を行うための資金確保あるいは処分実施主体の設立等を進めていますが、我が国においてはまだ制度的にその整備が行われておりません。また、原子力発電関連施設の地元自治体からも、処分実施主体の二〇〇〇年設立に向けた取り組みの強化を求められておりまして、一刻も早い制度の整備が不可欠でございます。  これらの状況を考えまして、通産省といたしましては、この法案を提出させていただいて、そして、皆様の御理解をいただいて法案成立の上は、直ちに他の準備その他を進めながら、間違いのない状況をつくり出すために全力を挙げていきたいと思っております。
  376. 北沢清功

    ○北沢委員 ひとつ、ぜひ全力を挙げてお取り組みをいただきたいと思います。  以上で終わります。
  377. 中山成彬

    中山委員長 次回は、公報をもってお知らせいたします。  なお、科学技術委員会との連合審査会は、明十一日木曜日午前九時より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時十四分散会