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2000-04-26 第147回国会 衆議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月二十六日(水曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 中山 成彬君    理事 伊藤 達也君 理事 小林 興起君    理事 河本 三郎君 理事 山本 幸三君    理事 大畠 章宏君 理事 吉田  治君    理事 久保 哲司君 理事 吉井 英勝君       小野 晋也君    奥田 幹生君       奥谷  通君    小島 敏男君       古賀 正浩君    桜井 郁三君       菅  義偉君    田中 和徳君       竹本 直一君    戸井田 徹君       中野  清君    中山 太郎君       古屋 圭司君    細田 博之君       村田敬次郎君    茂木 敏充君       森  英介君    森田  一君       山口 泰明君    渡辺 博道君       小林  守君    渋谷  修君       島津 尚純君    樽床 伸二君       中山 義活君    半田 善三君       山本 譲司君    赤羽 一嘉君       西川 知雄君    金子 満広君       青山  丘君    小池百合子君       塩田  晋君    北沢 清功君     …………………………………    通商産業大臣       深谷 隆司君    経済企画政務次官     小池百合子君    通商産業政務次官     細田 博之君    通商産業政務次官     茂木 敏充君    政府参考人    (環境庁水質保全局長)  遠藤 保雄君    政府参考人    (厚生省生活衛生局水道環    境部長)         岡澤 和好君    政府参考人    (通商産業省環境立地局長    )            中島 一郎君    政府参考人    (通商産業省基礎産業局長    )            岡本  巖君    政府参考人    (通商産業省機械情報産業    局長)          太田信一郎君    政府参考人    (通商産業省機械情報産業    局次長)         林  良造君    政府参考人    (建設省道路局長)    大石 久和君    参考人    (早稲田大学理工学部教授    )            永田 勝也君    参考人    (社団法人経済団体連合会    参与)          太田  元君    参考人    (生活環境評論家    リサイクルシステム研究家    )            松田美夜子君    参考人    (社団法人全国都市清掃会    議専務理事)       篠木 昭夫君    商工委員会専門員     酒井 喜隆君     ————————————— 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   樽床 伸二君     半田 善三君 同月二十六日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     森  英介君   新藤 義孝君     菅  義偉君   山口 泰明君     渡辺 博道君   渋谷  修君     小林  守君   半田 善三君     樽床 伸二君 同日  辞任         補欠選任   菅  義偉君     戸井田 徹君   森  英介君     粕谷  茂君   渡辺 博道君     山口 泰明君   小林  守君     渋谷  修君   樽床 伸二君     半田 善三君 同日  辞任         補欠選任   戸井田 徹君     新藤 義孝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  再生資源利用促進に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八四号)     午前九時一分開議      ————◇—————
  2. 中山成彬

    中山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出再生資源利用促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、参考人として早稲田大学理工学部教授永田勝也君、社団法人経済団体連合会参与太田元君、生活環境評論家リサイクルシステム研究家松田美夜子さん、社団法人全国都市清掃会議専務理事篠木昭夫君、以上四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位におかれましては、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうかよろしくお願い申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人各位からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際は、その都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、御了承願います。  それでは、まず永田参考人にお願いいたします。
  3. 永田勝也

    永田参考人 早稲田大学永田でございます。本日は、このような場で意見を述べる機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。  委員長、座って発言してよろしいでしょうか。
  4. 中山成彬

    中山委員長 はい。どちらでも結構です。
  5. 永田勝也

    永田参考人 お手元の方に資料をお配りさせていただきました。図面中心でございます。これに沿いながらお話をさせていただければと思っております。  循環型社会資源有効利用促進法案意義について意見を述べさせていただきます。  まず、循環型社会のイメージでございますが、世界各国がこの循環型社会構築に向けてさまざまな取り組みあるいは制度化を行っておるところでございます。二十一世紀は資源環境の制約の時代というふうにも言われておるところでございます。従来のワンウェイ社会から循環型社会に移り変わるときに、何を我々は基本原則として将来維持、保全すべき対象を考えておくべきなのかということで、まず真ん中の四角のところにその部分を入れさせていただきました。「人間の生命・健康」、それから「生態系健全性」、それからもう一つ重要な視点として「将来の生活生産基盤」の維持というのが挙げられようかというふうに思っております。  ここで循環型社会とは、かなり幅広くいわゆるサステーナブルソサエティーという言い方が適当だと思いますが、そうした視点でとらえておりまして、資源循環だけで申し上げますと、あるいはクローズドループという言い方もあろうかと思いますが、ここではかなり広範にその内容を見ているというふうにお考えおき願いたいと思います。  時間もありませんので、循環型社会の方だけ御説明申し上げますが、使われておりますような物質だとかエネルギーといったようなものにつきましても、いわゆる従来の枯渇性中心に用いてまいりました流れから、更新性あるいは無尽蔵性と言われるものに切りかえていく、それから有害物質もできるだけ使用を回避するということが重要な視点ではなかろうかと思っております。また、排出についてもできるだけ少なくするように。そうした中で社会効用を大きくしていくというのが循環型社会基本でございまして、また社会の中で行われますさまざまないわゆるリサイクルにつきましては、多重、多層のループが構成されることになろうかというふうに考えております。  こうした循環型の社会構築に当たりまして、評価軸として一番妥当だと思われますのは、エコエフィシェンシーの概念でございます。環境効率というような訳がされております。図の二の方に原典を示し、また、この七項目のうち重複しそうなものあるいは足らないものを加えまして、全部で八項目エコエフィシェンシー定義を私なりにしてございます。  その定義が図の三でございまして、製品あるいはサービスの提供に当たりまして、使用材料を削減するとか、あるいは使用エネルギーを減少させるといったようなこのMIEI定義されるもの、これは前からよく用いられてきた話でございます。それ以外に有害物質の問題等含めまして、このような図で表現させていただきました。  ここで強度と申しますのは、基本的にはMIEIHI等につきましては、効用が同じ場合のその使用量の削減が有効に寄与するというような視点で、右の方に、できるだけ少なくということで「小へ」と、あるいは逆に、リサイクル等につきましてはできるだけ大きくということで「大へ」というあらわし方をしてございます。  基本的には、図の中で一つ御指摘申し上げておきたいのは、このDI、ここでは長期使用強度というふうに規定させていただきましたのですが、ある意味においては、これまで日本製品の弱点の一つであったというような認識を私自身は持っております。  エコエフィシェンシーの文章上の定義は、自然からの採取あるいは生態系への影響を削減させつつ、人々のニーズにこたえ、かつ生活の質を向上できるような財やサービス等を提供することということになっておりますが、こうした考えは恐らく社会にも適用できるものだろうというふうに思っております。結局のところ、自由主義経済環境配慮を協調させ、よく言われておりますが、経済環境化あるいは環境ビジネス化というような視点で展開されるものだろうというふうに思っております。  こうした中にありまして、市民とそれから事業者がこの循環の輪を動かす大きな両輪となるわけでございまして、その中で、環境経済の統合が行われることになるというふうに考えております。これまでのこうした視点での日本評価はどうであったかという一例を、次のページの図の四に示してございます。出典は下に書いてあるとおり国立環境研でございまして、同じような、そこに書き上げましたドイツ、オランダ、米国の研究機関と共同で実施された成果でございます。  ここはTMRということで、総物質需要量というものを尺度に用いております。TMRは、真ん中の図を見ていただきますとおわかりいただけますように、隠れたフロー量というのが出てまいります。隠れたフロー量と申しますのは、例えば海外で資源を採掘するとか、それを輸送するとか、あるいは国内でも道路を工事するとかといったような、実際には資源量としてあらわれてこないようなものも含めて、トータルで考えるために規定された量でございます。両方合わせてトータルということになります。直接投入分ですね。  これで見ていただきますと、日本というのは、欧米諸国の約半分の一人当たり、年当たりの総需要量ということになっておりまして、こうした意味でのパフォーマンスは非常にすぐれたものがあるわけでございます。  ただ、これで果たして十分かといいますと、ファクター10という言い方もされております、ドイツブッパタール研究所が提案している思想でございますが、世界各国六十億の人口が先進国並み生活レベルを望みますと、資源問題で破綻する、それではどこまで資源有効活用を図るような状態をつくればいいかというと、今の十分の一にしなくてはいかぬというのがこのファクター10の思想でございます。そうした流れの中では、日本レベルではまだまだ不十分であるということも言えるかと思います。さらに、創資源創エネあるいは脱有害物質流れ対応を図っていかなくてはならないだろうというふうに思っております。  次に、二番目に、資源有効利用促進法案意義について少し触れさせていただきます。  基本的には、市民環境意識に支えられた社会インフラ構築、あるいは制度の整備、技術革新、またそれらの進展を円滑化させるための情報共有システムづくりというのが重要でございまして、こうした視点がかなり法案には盛り込まれているというふうに考えております。  また、移行に当たっての行動規範といたしましては、重要な点は二点ございまして、一つ未然防止、後世にツケを回さない。これは、実は私自身が豊島の廃棄物の問題を今担当させられておりまして、そこでもつくづく感じた点でございます。二点目は共創の思想、共創と申しますのはともにつくるという字を書きますが、関係主体がともに参加、共同して、新しい関係価値観を築いて問題の解決に当たるという思想でございます。この二つの思想にのっとった行動規範が求められようかと思います。  また、目的へ向かっての前進に当たりましては、現状の問題に対する当面の解決だけでなく、現状を認識した上で、また現状には拘泥しない対応をこれからはとっていかなくちゃいけないだろう、また、そのような視点がこの法案には盛り込まれているというふうに考えております。  法案意義につきまして、さらに加えて二点ほど指摘させていただきます。  まず一つは、出口静脈動脈の接点という言い方をした方がいいかもしれません。静脈出口の方から考えていくという必要がありそうだということでございます。前から言われておりましたが、分ければ資源、まぜればごみという言い方に加えて、これからは産業界側取り組みとして、そのままならごみ、見方を変えれば資源になるんだということが重要かと思いますし、また、今の生産体系に合わなければごみごみに合わせた体制をとっていけばそれが資源になるんだという考え方も重要な視点ではなかろうかと思います。  そうした流れの中で、廃棄物問題につきましては、いわゆる廃棄になる段階のさらに上流での対応策が求められているわけでございまして、今回の法案につきましても、リサイクルだけでなくリデュースリユースといった取り組みへの拡大、これが上流対策になろうかと思います。また、後ほど議論にもなろうかと思いますが、EPRの視点拡大生産者責任への対応というのも重要なテーマかというふうに認識しております。  二点目は、孤立系あるいは閉鎖系と言われるものから開放系へ移っていかなければ、これからの循環型社会構築できないだろうというふうに思っております。  孤立系というのは工学的にはエネルギー物質やりとりのない系でございまして、閉鎖系の方はエネルギーやりとり、これはありますが、物質の出入りはない。開放系両者があるということでございます。  これまでのように狭い地域で考えておりますとごみになりますが、それを広域で対応すれば資源となる。その地域にそれを資源化するような施設がない場合にはごみになってしまいますが、もう少し開かれた目で見てみれば、これを資源として活用できるような産業があるんだということになろうかと思います。こうした流れの中で、自区域内だけで何とかしようという思想から転換していくことが求められるのではないかというふうに思います。  こうした流れの中で、一つ製品で見てみますと、さまざまな連携が生まれてこようかと思います。その図を最後の四ページ目のところに示しておきました。ちょっとこれは複雑になっておりますけれども、上部の部分動脈部分で、下の部分静脈になります。一つ製品流れを書いたつもりでございます。  こうした製品流れにありましても、メーカーあるいは流通、あるいはそれを使用した後に回収するというような体制の中で、ここに書きましたようなプロダクトリユースとか、あるいは部品として活用するパーツリユースというような方策も取り入れられるようになってまいりました。これは、製品中心とした縦の連携というふうに言うこともできようかと思います。一方、素材を中心とした横の連携というのも考えられるわけでございまして、その一端というのは、上の方の産業間リサイクルというような言い方でそれを示してございます。こうした各種の連携地域的な連携あるいは国際的な連携を通じまして循環型社会構築できるものと考えております。  また、この図の真ん中に示したような部分におきましては、新しい産業としてそれが生まれてくる。これにつきましては、動脈の方からも、また静脈の方からも、両者から参入できる産業になり得るというふうに考えております。  最後に、我が国の原則、あるいはこれから進むべき方向についてはどう考えているかという点に触れさせていただきます。  先ほど申し上げました、一つは共創の原則であり、もう一つ循環型ライフスタイル原則といいますか、廃棄物問題だけではなくて今後さまざまな環境問題がまた新たに起こってくるかもしれません、そうした環境問題への対応の仕方と共通性を持った方策というのを今のうちから考えておかなくちゃいけないんだろうというふうに思います。  これまでも幾つかのリサイクルに関する法案が成立してまいりましたが、日本の高い民度に合わせた実効性効率性公平性が伴った施策が展開されてきているわけで、それが賢明な消費者を育て、廃棄物だけでなくて環境全体に対する社会コスト最小化へつながっていく方策になるというふうに信じております。  以上、甚だ雑駁な話を申し上げましたが、私の意見を述べさせていただきました。どうもありがとうございました。(拍手)
  6. 中山成彬

    中山委員長 どうもありがとうございました。  次に、太田参考人にお願いいたします。
  7. 太田元

    太田参考人 経団連太田でございます。座って発言させていただきます。こういう機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  早速、再生資源利用促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、経団連考え方を申し述べさせていただきます。  まず最初に、今回の改正案についての考え方でありますが、従来のリサイクル対策に加えまして、新たにリデュースリユース対策を盛り込んだことが特徴と理解をしておりまして、その方向性経団連は賛成をいたしております。  後ほど、経団連循環型社会に向けた取り組みを御紹介いたしたいと思いますが、今回の法改正は、産業界の自主的な取り組みと一体となってリサイクル等推進を図るものと考えております。  ただ、ここで一点だけ強調をしておきたいと思いますのは、この法律運用に当たりまして、産業界が既に行ってきた業種業態を踏まえた、自主的取り組みと言っていいと思いますが、そういう取り組みを最大限尊重していただきたいという点であります。政省令を定め、具体的な取り組みの枠組みをこれから規定されていきますと、それに伴って業種製品についてはそれにある程度従ってまいりますが、その際、十分に実態を踏まえていただくことが不可欠でございます。  それでは、産業界が、これまでリサイクルリデュースリユース、いわゆる三Rへの取り組みをいろいろやってございますが、それを踏まえまして、今回の改正法運用に当たり特に御考慮いただきたい点について、やや具体的に四点ほど申し上げたいと思います。  まず第一の廃棄物発生抑制、つまりリデュース対策でございますけれども、産業界は既に、設計段階から製品長寿命化に努力するですとか、あるいは使用済み製品リサイクルしやすくするようにさまざまな取り組みを行っております。  ここでのポイントは、発生抑制につながる省資源長寿命化というものと技術革新バランスの問題でございます。例えば車を例にとりますと、いわゆる排ガスですとか燃費の効率ですとか、こういった環境に配慮することが一方で求められておりますので、技術進歩対応してこうした対策車を買いかえていただくということも重要でございます。つまり、製品特性に合わせて長寿命化技術進歩バランスをうまくとっていただくことが重要であるという点であります。  それから次に、リユース対策部品等の再使用の問題であります。  ここでは、企業としては安全性の確保にも努めなければならないということでございますので、これまた自動車の例をとりますと、経年劣化した部品を組み入れるという場合には、安全性が十分に担保されていなければならないという問題もございます。  それから、技術開発とのバランス観点から申し上げますと、例えば情報機器の場合には、省資源観点からしますと、小型化あるいは多機能化のための技術開発が極めて著しい、激しく行われております。したがいまして、部品を保管しておりましても、必ずしもそのまま使えるわけではないという問題もございます。  それから三つ目ですが、回収リサイクル推進の問題、これは拡大生産者責任考え方に密接に関連していると思いますが、この回収リサイクルの問題について、今後政省令で定められる際、やはりこれも、製品使用形態等特性を踏まえた製品ごとの仕組みをつくっていただきたいということでございます。  拡大生産者責任考え方について経団連がどんなふうに考えているか、やや皆様には当然のことと思われるかもしれませんが、あえて申し上げさせていただきますと、既に容器包装リサイクル法家電リサイクル法では、使用済み製品の引き取り、処理リサイクルにかかわる地方公共団体事業者消費者役割分担が明確にされております。これらは、いわば業種業態特性に合った合理的、実効性のある製品ごとシステムであるというふうに評価をしております。  そこで、問題は、こうした拡大生産者責任議論をしておりますと、いつの間にか生産者事業者が引き取りから処理まですべての責任を負うべきであるという、いわば、私どもはこれを全面生産者責任と言っておりますが、ゼロ生産者責任というのはつくったものに一切関知しない、関与しないというのがゼロとしますと、その対極にある全面生産者責任というのは、すべて責任を負えという、これが無意識のうちに展開されている場合がよくあるという点であります。  この全面生産者責任という考え方は、製品価格リサイクルするためのコスト、つまり、引き取り、回収処理コストを上乗せする、あるいは内部化されているということになりますと、どんな価格であれ、消費者リサイクル費用をもう既に払っているということになりますので、生産者事業者が個々の消費者の使い終わった製品を引き取りに行くべきであるという結論になってしまいます。これは極端なケースですけれども、空き地などに捨てられた製品の引き取り義務、そして適正処理する責任も負わなければならないといういわば極めて不合理なことになってしまいます。つまり、不法投棄対策処理回収コストまで負わなければならない。  しかしながら、申し上げるまでもございませんが、循環型社会形成推進のためには、生産者はもとよりでございますが、行政の参画と並んで、製品の購買、保守を含む使用段階あるいは廃棄という段階で一定の役割を持つ消費者の協力が絶対に不可欠であると思います。これは、製品ごとにいろいろなシステムが組めると思いますが、基本的には、消費者が使い終わった製品廃棄する場合には指定の引き取り場所へ持っていくとか、もしそれがかなわない場合には、運送業者運搬業者等、あるいは販売店等負担をして引き取っていただくとか、さらに、処理費用についても適宜負担することが妥当ではないかと考えております。  消費者による排出時の処理費用負担というのは、メンテナンスに注意を払うでありますとか、いわば長期使用を助長する、そういった観点から排出抑制にもつながってくると思います。もちろん、若干、不法投棄という極めて厄介な問題もあるということは承知しております。そもそも、製品価格内部化をされるといっても、製品販売時に、将来廃棄される時点での処理コストというのを算定するというのは極めて困難だという問題もあると思います。  いずれにしましても、製品回収リサイクル推進というのは、社会全体として循環効率性実効性公平性が確保されて、製品ごと流通形態あるいは消費形態、さらには製品の持つ有害性処理困難性、こういったものに合った形で、事業者消費者行政一つの輪となって、これはいずれが欠けても成り立たない問題でありますが、輪となって進めるということが重要であるということを申し上げたいと存じます。  それから、次の問題ですが、副産物、いわゆる産業廃棄物と言われる副産物の発生抑制リサイクル対策の問題であります。既に産業界では、リデュースリサイクルの結果として、最終処分量を極力減らすということが最重要であるという認識のもとに、最終処分量削減の観点から廃棄物対策に取り組んでまいりました。  それで、最終処分量の削減についての経団連取り組みというのは後ほど申し上げたいと思いますが、原則として、やはりリデュースリサイクルの対策は、みずからの産業について技術的、経済的に熟知したそれぞれの業種が、業界が最も効率的と思われるそれぞれのやり方で自主的に取り組むことが、効率性実効性観点から望ましいというふうに考えております。  この点に関連して、今回の改正リサイクル法案について一点申し上げますと、いわゆる事業者に対する副産物有効利用計画の策定義務というのが導入されております。これは、廃棄物処理法に基づいて既に一部の地方公共団体において行われている、多量排出事業者による産業廃棄物処理計画作成との重複という点がございますので、これについて十分留意をしていただきたい。法案には、第十四条におきまして、環境大臣と密接に連絡して行うものとすると書かれておりますが、改めて指摘させていただきました。  以上が、改正リサイクル法案への経団連考え方でありますが、関連して、今後循環型社会の形成に向けて社会全体として取り組む必要がある、いわば残された課題というものについて、三点に絞って説明をさせていただきたいと思います。  まず一つは、処理・処分場の整備の促進の問題であります。リサイクル施設も含めまして、廃棄物処理・処分施設の整備促進が極めて重要でございます。先ほど触れましたように、経団連は昨年、産業廃棄物の最終処分量の減量化目標を発表いたしております。  いろいろ資料をお配りしておりますが、資料第三をごらんいただきたいと存じます。ほかの資料につきましては適宜お目通しをいただければ幸いでございますが、資料第三の一ページをごらんいただきたいと存じます。一番下に、経団連産業廃棄物最終処分量の減量化の目標の内容を記してございます。  かねてから、廃棄物問題について業界ごとにいろいろな目標と対策を立てて、それを世の中に発表してまいりました。しかし、産業界全体としてどういう取り組みをしているかわからないではないかというような御批判もいただきましたので、二〇一〇年度におきましては産業廃棄物の最終処分量を一九九〇年比七五%削減する、つまり四分の一にするということであります。これを九六年度に比べますと七〇%削減する、つまり三〇%に落とす。これを産業界全体の目標として設定し、今後、最終処分量の削減を対策の基本として各業界において自主的取り組みを一層進め、みずからの定めた目標の達成を目指すことにいたしております。  一ページめくっていただきますと、二ページ目にはグラフを載せてございます。  この目標は、政府が昨年九月に発表いたしました二〇一〇年度の最終処分量を九六年度の半分にするという目標からしますと、経団連では三〇%にするということで、その目標を上回っております。しかし、農業部門あるいは私どもが使います上下水道から出る汚泥、これは産業廃棄物に入っておりますが、これが産業廃棄物全体の三五%強を占めておりまして、経団連の目標にはこれが入っておりません。したがって、政府の目標とは直接比較することはできません。  そうはいっても、その点を差し引きましても、産業界取り組みというのはかなり思い切ったものであるというふうに我々は自負をいたしております。これは毎年レビューをいたしまして、その結果を公表いたしますし、できれば目標の改善にも努めてまいりたいと思っております。  ここでの問題は、このようにリサイクル対策などを進めて最終処分量をできるだけ減らすといっても、ゼロにはならないということであります。  厚生省の調査によりますと、ここへ来て最終処分場の新規の許可件数というのは激減しておりまして、処分場の残余年数というのは、昨年九月末現在で一年半というようなことになっております。このまま推移いたしますと、幾ら最終処分量を減らしていっても、早晩我が国の経済社会は行き詰まってしまうのではないかという、いわば非常に緊急事態に直面する可能性があるということであります。  施設整備に当たりまして、産業廃棄物処理、処分の責任を持つ排出者である企業が中心的な役割を果たすべきは当然であります。しかしながら、企業が土地や資金、設備や人員を手当ていたしましても、周辺住民を初めとする利害関係者の合意を得ることが極めて難しい、そのために建設許可がおりないというのは御承知のとおりでございます。民間企業の力にはどうしても限界がございます。したがいまして、国や地方の政府が協力をしていただきまして、利害関係者間の合意形成に向けた透明性のある手続をぜひとも確立していただきたいと考えております。  例えば、施設整備の作成計画についての必要性についての合意、計画そのものについての合意、実行段階の手続面についての合意、あるいは立地基準、どんなところに立地できるのか、さらには施設基準、それから運営基準、運営には例えば住民の代表者がマネジメントに参画をするとか、情報開示のルール、こういったものを早急に整備をしていただくことが重要と考えております。  二つ目の点は、不法投棄あるいは不適正処理対策であります。厚生省の調査によりますと、不法投棄量そのものは、産業廃棄物四億トンのうち四十万トン程度でございますが、事態はかなり深刻でございます。しかも、不法投棄自体が小口化、多発化している、いわば悪質化しているという点であります。  今後は、まず第一に、一層不法投棄に対する取り締まり、摘発に取り組んでいただく必要があるということであります。  第二は、処理業者の許可要件の見直しの問題であります。これは捨て得を許すといいますか、捨て得が認められ、優良なといいますか当たり前にビジネスをやる処理業者が報われない、そういう状況を改善して、当たり前のビジネスが持続可能となるような条件整備をしていただきたい。  例えば、不法投棄行為者が逮捕されましても、行為者が資金不足であるという場合が間々見受けられます。そこで、あらかじめボンドを積んでいただいて、ボンドを積むことを義務化するということによって、例えば資金不足で支払えないといった場合には、このボンドを徴収するというようなこと。  あるいは、廃棄物を取り扱う人が何の知識も持たないで運んだり処理をするというのも問題かと思います。有害性の有無等について必要最小限の知識を持つ技能者を置くことを義務化するというのも一つ考え方であろうかと思います。また、優良な事業者を国等が選定するいわゆるマル適マークの導入、あるいはドイツなどで行われております監査制度の導入なども有効ではないかと思っております。  最後になりましたが、不法投棄の問題というのは、排出元である企業の責任のとり方の問題もございます。適正な処理委託料を支払うことでありますとか、最終処理までの確認を含むマニフェスト制度の遵守、これを厳密に遵守するということであるとか、あるいはみずから自社処理推進する、優良業者との連携強化ということについても努力をする必要があると思います。この点については、廃掃法の改正によって若干強化されつつあるというふうに理解しております。  なお、不法投棄問題につきまして、御参考までに申し上げますと、経団連は、優良な産業廃棄物処理施設の整備促進を図ることを目的といたしまして、財団の設立、運営に協力しておりまして、二十億円の拠出を行っております。また、不法投棄の対策につきましても、社会責任から、産業廃棄物不法投棄原状回復基金に資金を拠出いたしまして、地方公共団体不法投棄物の撤去などの原状回復事業を行う際には、その必要経費の半分を負担しております。  最後に、三点目でございますが、現行法において見直すべきやや長期的な課題についてつけ加えておきたいと存じます。  それは、まず一般廃棄物産業廃棄物の区分を見直すといいますか、廃止をしていただくということであります。これは有害性の有無に着目して、一体的、合理的、適正な処理推進するという考え方であります。ヨーロッパの多くの国々では、日本のように一廃、産廃と分けて別々のルートで処理をするのではなくて、有害性の度合いに応じて一括してリサイクル処理あるいは廃棄物処理をする体制が確立しております。  また、自区内処理原則というのがございます。これも考え方としてはよくわかりますが、例えば東京都をとりましても、都内で発生する廃棄物をすべて自区内で処理するということは、実際には困難でございます。そうした実情を踏まえまして、都道府県を超えて広域処理ができるような必要な措置を講じていただきたい。  今後、循環型社会推進していくに当たって、現行の法制度の中には、今申し上げたような問題、あるいは規制の問題というのがあるということをつけ加えておきます。  以上、改正リサイクル法案についておおむね賛成であるということ、そして循環型社会の形成に向けて取り組むべき課題等について御説明をさせていただきました。  どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
  8. 中山成彬

    中山委員長 どうもありがとうございました。  次に、松田参考人にお願いいたします。
  9. 松田美夜子

    ○松田参考人 松田美夜子でございます。  まず、私の自己紹介からさせていただきます。  私は、専業主婦として市政モニターとなり、川口市の瓶、缶の分別システムづくりにかかわったのがきっかけで、欧米のリサイクル文化や環境政策を調査研究するようになりました。日本循環型社会へ向かうためにはどのような社会システムが必要であるかを国の専門委員として発言を続けるとともに、全国の、ごみ問題に関心のある市民行政、企業の人々と緩やかに連携をしていくための情報交換の場として、元気なごみ仲間の会、会員千二百名の代表も務めています。本日は、そのような活動を通して、この法律への私の考えを述べさせていただきます。  一九九九年七月に産業構造審議会がまとめた循環経済ビジョンを拝見したとき、国が描く循環型社会への意気込みがひしひしと伝わってきました。その後の動きを気にかけていたところ、新聞の一面トップで、再生資源利用促進法が資源の有効な利用促進に関する法律と名称を改め、リサイクルから、リデュース発生抑制リユース、再使用へと枠組みを広げた本格的な法律として再スタートすることを知ったときは、長年の願いがやっと実ったようで、本当に心強い気がしました。  内容を拝見していきますと、法律として基本を押さえ、熟慮されており、この法律が制定されていくと、一気に日本は、循環型社会へ向けての土台づくりを終え、ごみの少ない社会の実現へと動きそうに思えます。  その理由は、今までの再生資源利用促進法は使った後のリサイクル推進するものでしたが、この改正法は、廃棄物発生抑制を最優先し、次に部品の再使用を行い、その次に原料として再利用最後に熱回収を位置づけた循環型社会推進基本法案の受け皿となって、循環型社会に向けた取り組みを現実に実行する法律となっていると思うからです。  産業界と一口に言っても、業界や業種により取り扱う製品は個々に違ってきますので、業界、業種は政令で、何をすべきかは省令で具体的に規定されることになっています。既に公表されている政令案や省令案を見ますと、法律で指定されるのは、ごみの組成として、容器包装、使用済み家電製品に次いで自治体での取り扱いが困難なものばかりです。法律上の手当てが待ち望まれていたものばかりです。それらが、省令により、目標とする判断基準やリサイクル率が決定されていくのは、本当にうれしいことです。  現在、政令指定が予定されている自動車、パソコン、複写機、家電、ガス・石油機器、大型家具、パチンコ台、二次電池、ニカド電池などは、これから省資源化、長寿命化、再使用推進リサイクル率の設定などが、製品特性により、それぞれ何をすべきかが省令で決められていきます。  関係する企業の人々にとっても、これまでは何を基準にして環境に配慮しているとするかの判断基準がなかったので、取り組みが進まない面もありましたが、この改正法により、業種ごとの方向軸がそろい、各企業ごとにごみ発生抑制や再使用への仕組みづくりが進んでいくことでしょう。今までもつれていた循環型社会づくりのイメージが、やっと方程式が解けていくような、未来へ向けての明るさを感じます。  とはいえ、大量生産、大量消費になれてきた企業の人々にとっては、このような法律ができてくると物が売れなくなるのではないかという不安があるかもしれません。それについても、循環経済ビジョンでは次のように述べており、ごみの回避を願う私たちにとり、大変心強い記述になっています。今の世論をきちんと反映させていると思いますので、引用します。  製品の長期利用リデュース製品の再使用リユース推進すると、経済が縮小し、物が売れなくなるのではないかという指摘があるが、この点については、一、産業活動が製品の提供から機能の提供に重点が移ることにより、新たなビジネスチャンスや新たな活動が生まれる。二、ごみの発生量が少なくなることにより、廃棄物の最終処分場の寿命が伸び、有害物質排出など環境にマイナスになるものが減る。そのため、それらに使われていた財産が新たなサービスのために投資されるようになり、社会全体としては大きな効果を生む。このことを考えれば、リデュースリユース促進によって持続的な経済成長は十分に可能である。  通産省の産業構造審議会という産業政策を束ねる委員会がこのように明確に言い切る自信があるということは、既に産業界にその下地ができているということであり、日本は瞬く間に、環境政策の理念についてはヨーロッパの環境先進国と肩を並べるようになったことがうかがえます。  しかし、ここで一つだけ、この法律について見守りたいところがあります。それは、さきの再生資源利用促進法は、制定された後企業の自主的な取り組みが十分に行われず、随分頼りなく思えた時期がありました。自主的な取り組み任せではきっと十分な成果は上がりません。ニカド電池にしても回収量は低く、この法律ができたから急に回収量がふえるとも今の状態では思えませんし、回収されたニカド電池が自治体の不燃ごみの日に出されているのを見たこともあります。つまり、今回の法律も、政令や省令によって中身が薄くならないよう、目標設定は高く掲げる必要があります。また、政令案が確実に実行されていくことを望みます。  さらに、当事者だけで政令や省令が決まると、どうしても企業寄りになり、目標値が低く設定されやすくなります。その点が要注意です。目標設定を決めるときには、企業と市民が十分に意見を交換し合える場を設け、目標設定を決める過程にも市民が加わり発言できる仕組みをつくってください。また、その目標設定が公的な機関の評価を受け、国民にも公表されていく仕組みを必ず盛り込んでいただきたいと思います。  戦後五十年間続いてきた大量生産、大量消費、大量廃棄経済発展の原動力という考え方では、二十一世紀は資源が枯渇し、日本ごみで埋もれてしまいます。大量リサイクルをしてみたが、やはり反省点はあることに気づいた私たちは、学習と実践を通して、発生抑制や物の再使用をする社会こそ健康な社会であることを今学んでいます。そして、ゆっくりと循環型社会へと方向軸を変え始めました。  国民にとっても企業にとっても初めてのことばかりですから、何の問題も起きずに方向軸の転換ができるとは思いません。むしろ、問題が起きるたびに原点に戻り、問題解決の糸口を見つけた気持ちで、知恵を出し、工夫をしていきたいと思います。そのとき、循環型社会形成推進基本法の理念と、それに基づいて、企業に対して、発生抑制リデュース、再使用リユース、原料の再利用リサイクルを企業の責務として定めたこの法律は、今後誕生が予想されてくる製品別個別法の親法として、きちんと法律が動いていけば、大きな効果を上げると思います。  公害問題は、個別の企業がはっきりとした汚染者だったので、その企業にのみ責任を問えば解決へ向けることができました。しかし、環境問題は、一人一人の人間が出す汚れが原因ですから、その解決には一人一人が参加しなければなりません。つまり、この法律が育っていくには、企業の取り組みとともに、消費者としての国民の意識も試されていきます。つまり、企業と消費者は両輪となり、お互いに支え合っていく時代となります。  環境に配慮した製品は、環境のことを考えていない製品より価格が高くなるかもしれません。しかし、それを購入することで、消費者はその企業を応援できます。長寿命の商品を選び、丁寧に取り扱い、修理して使えば、価格の値打ちを十分に生かして使い切ることもできます。リサイクルにかかる費用は、結局のところ商品の価格へ組み込まれていくのですから、消費者が適正なリサイクル費を払うのは当たり前のことだと思います。消費者は、価格の安さだけが商品選択の基準ではないことを二十一世紀のライフスタイルの基本とすべきです。私たち国民は、この点についてきちんと学び、環境を考えて行動する消費者として企業の応援団を務めていきたいと思います。  二十一世紀は、二十世紀の反省を踏まえて、ごみの少ない循環型社会を目指したいと思います。その第一歩が、今回名前も新しくなった資源の有効な利用促進に関する法律です。この法律の誕生を心から願っています。松田美夜子。(拍手)
  10. 中山成彬

    中山委員長 どうもありがとうございました。  次に、篠木参考人にお願いいたします。
  11. 篠木昭夫

    篠木参考人 全国都市清掃会議の専務理事をしております篠木でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。座ったままで発言させていただきます。  私は、いわゆる一般廃棄物処理実務を担っております市町村の行政関係者の一員として、ただいま提案されております法律案につきまして、賛成の立場から意見を述べさせていただきたいと存じます。  まず初めに、現行法ができ上がった時代にさかのぼってみたいと思うわけでございますが、現行法ができましたのは、先生方御案内のとおり、平成三年でございました。当時の社会状況を一口で申し上げますと、バブル経済が崩壊をして、その後どういう変化が起こってくるか、暗中模索をしていた時代と言っていいのではないかと思っております。  そのころは、やはりごみが、平成三年度全国のごみの発生量、一般廃棄物でございますが、ピークを迎えた時期にも符合してございまして、それ以降、今日までごみの発生量が高原状態を続けているという時代になっているわけでございます。いわば、当時はやった言葉でございますが、消費は文化のバロメーターと言われましたし、また、紙の消費量がそれぞれの国の文化水準を決めるという価値判断がそのころまで使われていた時代と言っていいのではないかと思っております。そういう時代に現行法ができましたので、その意味では、現行法ができた意義というのは極めて高かったと言っていいのではないかというふうに思っております。  そういう意味での現行法の成果、それを一口で申し上げますと、それまでの大量生産、大量消費、そして大量廃棄という社会システム、この中にリサイクルという視点を入れたということが、やはり一番大きい意義と言っていいのではないかと思っております。  この問題を市町村の立場から見ますと、市町村の扱っております廃棄物の中で、粗大ごみないしは不燃ごみというのが多数含まれております。最新の統計でも、年間五千百十五万トン発生する一般廃棄物のうち、約一一%強、五百九十万トン程度がいわゆる不燃あるいは粗大ごみと言われている廃棄物になっているわけでございます。  こういった廃棄物に対して、現行法は一定の対応策を提示してくださったわけでございまして、いわゆる当時の第一種、第二種指定製品となって、そういった廃棄物に対して、産業界も含めて何らかのリサイクルに取り組むという視点が打ち出されたことを高く評価していいのではないかと思っております。そういった動きと同時に、資源循環型の芽が産業界にも芽生えてきたわけでもございましたし、また、その後の容器包装リサイクル法とか廃家電リサイクル法を生み出す土壌も、そのころから少しずつ醸成されてきたのではないかというふうに受けとめていたところでございます。  その法律ができましてから、もう既に九年以上たっているわけでございますが、やはり今日の社会経済環境から見ますと、課題があったわけでございます。それは、一番大事な発生抑制という視点が現行法では欠けていたということに尽きるのではないかというふうに思います。当時の大量生産、大量消費の時代では、発生抑制というところまではなかなか踏み込めなかったことは十分理解できるわけでございますし、そこまで要求するのは酷であったと言ってもいいのではないかと思うわけでございますが、あれから九年、やっとそういう発生抑制を真剣に考える時代に入ってきたのではないかというふうに私は現在の状況を受けとめているわけでございます。  そういう意味で、新しい改正案を高く評価しておるわけでございますが、その評価する点は、大きくいって二つあるかと思います。  一つは、ただいまも申し上げました、リサイクルという視点に対して、発生抑制ないしは再利用という視点システムにして取り入れようとしている点、これは極めて大きいと思います。現行法が「再生資源利用促進に関する所要の措置」をとるのだということに対して、新しい法案では、「使用済物品等及び副産物の発生の抑制並びに再生資源及び再生部品利用促進に関する所要の措置」ということで、考え方部分から明確にその考え方を明示しているという点を評価したいと思っております。  それからもう一つは、事業者に対する自主回収及び再資源化の実施を義務づけている点を高く評価していいのではないかと思っております。そういう意味では、まだまだ多くの議論がございます事業者責任について、やはり法律の面から一定の位置づけを与えたということを高く評価していいのではないかというふうに思っているわけでございます。幾つかまだございますが、代表的にはこの二つの視点が今回の新しい改正案の骨格をなしていると思いますので、その意味で、この二つの考え方は高く評価をしたいと思っております。  そういう意味で、私ども市町村から見ますと、この法律のできるだけ早い成立を期待しているわけでございますけれども、なお今後にも課題がございますので、今後についての意見を幾つか申し述べさせていただければと思います。  御案内のとおり、新しい法律案は、法律ではございますが、法律の性格上、これはシステム基本的な枠組みをつくるものでございまして、法案にもございますとおり、これからの具体的なソフトウエアにつきましては、基本方針等につきまして政令等にゆだねられているわけでございます。  したがいまして、我々の関心はそちらにこれから移っていくわけでございますが、改正案基本的な考え方、これを高く評価していただきまして、その考え方を最大限に生かすような基本方針等をぜひつくっていただきたいということでございます。そのためには、ソフトウエア部分については関係者が非常に多くいるわけでございます。消費者から生産者までさまざまな方々がいらっしゃいますので、そういった方々の意見を十分受けとめていただいて、合意の得られる基本方針等をぜひつくっていただきたいということでございます。  それから、新しい法律の中には、指定再利用促進製品ないしは指定省資源製品という考え方が打ち出されております。これらの対応品目についても、考え方に沿って幾つかの例示がなされているわけでございますが、既に通産省等から出されております例示製品についてはぜひやっていただきたいと同時に、そういった考え方対応できる製品開発を事業者においては努力されるとともに、対象範囲を広げる努力もあわせて実施していただきたいというふうに思います。  特に、指定再資源製品という制度の中に自主回収システムが取り入れられたわけでございまして、この部分の円滑、スムーズな拡充が求められるわけでございまして、対象品目の段階的な拡大を含めまして、円滑なシステムができるように御検討いただければ大変ありがたいと思っているわけでございます。  この分野におきましては、自主回収という言葉でございますので、事業者中心となって回収していただくわけでございますが、そのことによって市町村がその義務を全く免れるということは恐らくできないだろうと思います。何らかの役割を果たしていかなければならないと思っておりますが、やはり事業者による自主回収中心として、これからのよりよいシステムづくりのために、市町村も事業者と共同してこれからこの対応に取り組んでいきたいと考えておりますので、そういう意味でのこの自主回収システムをできるだけ拡充する方向で検討をしていただければというふうに考えております。  それから、三つ目でございますが、この機会に、製品に対する修理体制というものを事業者中心となってぜひ確立をしていただきたいと思います。  私どもの生活を豊かにする製品、商品が数多く出て、販売されているわけでございます。よく一方通行ということで問題になっておりますけれども、やはり今の商品が使い方においても一方通行に流れている嫌いがあるのではないかという気がしております。もっと修理をすれば長く使えるものが、小売店等においても修理ができないということのために新しい商品と買いかえさせられているという実態がございます。  先ほど、他の参考人の方から、技術革新対応する必要があるのだというお話がございました。それはそのとおりでございますが、それ以外にも、物を大切にするという部分は当然残されているわけでございますし、小売店ルートでもっと修理をすることによって、消費者のニーズにこたえていけるようなシステムをぜひつくっていただければと思っております。それは、やはり製品開発の段階部品のユニット化を進める等を図ることによって、故障部分をもっと簡単に発見して進める方法もあり得るのではないかというふうに思っております。  また、これからは高齢社会に入っていくというふうに言われております。恐らく、これからの二十一世紀におきましては、民間企業で活躍された多くの技術者が、高齢者として社会参加していく形になっていくのだろうと思いますが、そういった方々の英知なりノウハウを積極的に使うことによって、やはり新しい仕組みの修理体制というものもつくり得るのではないかと思っておりますので、そういった視点も新しい考え方の中でぜひ生かしていただければありがたいと思う次第でございます。  以上、るる申し上げまして、基本的にはこの法案に全面的に賛成するものでございますが、冒頭申し上げました、平成三年当時は消費は文化のバロメーターと言われました。そのキャッチフレーズを、これからの二十一世紀では、物を大切にする気持ちをバロメーターにするという時代に一日も早く変えていく努力を、私どもも含めて事業者消費者ともどもこれから努力をしていく必要があるのではないか、そういう決意を申し上げまして、私の意見とさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)
  12. 中山成彬

    中山委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  13. 中山成彬

    中山委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹本直一君。
  14. 竹本直一

    ○竹本委員 参考人の諸先生方、卓越した御意見をお聞かせいただきまして、どうもありがとうございました。  まず永田参考人にお伺いしたいのですけれども、お話の中で、そのままではごみ、見方を変えれば資源というお言葉が非常に私にとっては印象強く響いたわけでございますが、今、日本社会はまさにそういう時代に来ているのではないかなというふうに思います。  十数年前に、アルビン・トフラーが大量生産、大量消費、それを美しい新しい文化スタイルだということを強く訴えた本が出て、ベストセラーにもなりました。私もそれを読んだ記憶がございますけれども、それがたった十年前でございます。今全く逆のことを我々は叫んでいるわけでございまして、言ってみれば、一般の人々はその思想の変わりに戸惑うのではないかとさえ思うぐらいであります。しかしながら、現実生活においては、リサイクル中心とした循環型社会をどうしてもつくらないと社会がもたない時代まで来ているわけでございます。  そこで、お聞きしたいのは、日本廃棄物処理あるいはリサイクルのいろいろなシステム、こういったものを全体的に見まして、ヨーロッパあるいは米国、こういったところと比較して、一体進んでいるのか進んでいないのか、そして日本の特徴はどういうところにあるのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  15. 永田勝也

    永田参考人 日本循環型社会レベルというお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げましたように、循環型社会というのは、先進諸国がそれぞれ自分のベースを背負いながら目標に掲げて取り組んでいるわけでございます。  そうした中にあって、方法論で見てまいりますと、一つドイツ中心とした理念をベースにした組み方といいますか、これはよくコンチネンタルスタイルというような言い方もされることがございます。一方で、経済的なインセンティブをベースにしたアメリカンスタイル、この両者が両極にあろうかというふうに思っております。  廃棄物の問題は、社会あるいは文化と非常に密着した場面で生じるものでございますので、そういう意味では、解決の方法も異なる。家電リサイクル法をジャパン・モデルとして打ち出してきたわけでございますが、それも日本の土壌をベースにして制度化を図ったという意味が非常に強く込められておるわけでございます。  ドイツとの比較という点になってまいりますと、この家電リサイクル法を取り上げましても、提案自体はドイツの方が先でございましたけれども、実態としての成立は日本が先行いたしました。恐らく、今後かなり精力的に日本の家電のリサイクルは進行するものというふうに考えております。  今般、本法案も含めまして、議員立法も含めて六つの新しい法案改正法案が審議されるということを聞いております。こうした法案が成立した暁には、またその実行に向けて動き出したときには、日本は恐らく循環型社会構築に向けて世界の先陣を走っているということになろうかと私は思います。  こうした点が、これからこのような問題に行き当たる発展途上国等の参考にもなるでしょうし、また一方で、こうした法案の対象となりました製品等に当たりましては、今後の一つの競争側面としての環境部分で、非常に国際競争力の高まりが図れるものというふうにも考えております。  以上です。
  16. 竹本直一

    ○竹本委員 ありがとうございました。  それでは次に、太田参考人にお聞きいたしたいと思います。  私は、経団連の自主行動計画というのは、各企業において相当の努力を払っておられる結果だと思って、尊敬をいたしておるわけでございますけれども、ちょっと考えてみますと、大体三十年ぐらい前、日本でも、鉄は国家なりと言われました。その当時日本の対抗馬は、アメリカではUSスチールでした。ところが、そのUSスチールが、鉄鋼産業はどんどん衰えていって、ほとんど何かおかしくなったのではないかと言われておりましたけれども、最近すっかりまた盛り返してきておる。  どういうことかというと、粗鉱をつくるのに石炭と鉄鉱石で溶かしてやっておった。ところが、既に使った廃棄物の鉄材がございますね。そのごみを全部集めてきて、そしてそれをプチミルと言われる小さい平炉でどんどん溶かして、それを再生利用する。そうしますと、鉄鋼業が新しい産業としてどんどん芽生えてきて、今アメリカは鉄鋼業は非常に盛んでありますし、国内生産だけでは国内需要を賄えないということで、海外からどんどん輸入します。余りに輸入するものですから、鉄鉱石のダンピングだといって、アメリカ政府から日本に対してもあるいは韓国に対しても騒がれたわけでございますけれども。  このように、既にある廃棄物を再利用することによって産業自身がよみがえってきたわけでございますが、この一つの実例を見ますと、我が日本社会においても、いろいろな分野で生じます廃棄物をきっちりと再生、リユースする、そういうシステム社会全体にやはりつくっていく必要がある。その場合に、心構えだけでは実際これはできない。それを社会システム化しなきゃいけない。そのためにどうするか。  例えば、バージン材だと、原材料だとまだ安くつくわけですね。再生材だと高くつく。その差をどのようにして補うか。あるいは、再生した方が少し有利だというような社会システムをつくっていくか。具体的な手段であれば、減税とかそういうようなことだろうと思いますけれども、実際、産業界のいろいろなこういう問題を担当しておられる太田参考人の方では、このインセンティブのシステム化ということについてどういうお考えをお持ちかということをまずお聞きいたしたいと思います。
  17. 太田元

    太田参考人 リサイクルシステムあるいはリユースシステムをつくるに当たって、インセンティブというものが活用できるのではないかという御指摘だと思うのですが、考え方としてはもちろんそのとおりだと思います。  ただ、具体的に、例えばバージン原料と一度使った原料との差をどのように処理していくか、これは私ども、特に中できちっと議論をしたことがございませんので、経団連考え方というわけにはまいりませんが、一般的な考え方としては、やはり市場というものを重視していくということでありまして、必ずしも、インセンティブをつけることによって解決しようという考え方が強く打ち出されているというふうには、私どもは思っておりません。  あくまでも、その差があった場合に、技術開発技術力によって、あるいはニーズを十分見きわめて、コストが高くても使う消費者、ユーザーもおりますし、また、使い方によっては十分、やや劣化していても問題ないとか、いろいろな市場で解決をされるのが望ましいのではないかと一方では思っております。  それからまた、バージン価格使用原料に差をつけるということは、通商上、海外との通商摩擦、WTOとの問題も生じてくると思います。つまり、補助金をつけるということでありますから、いい補助金、グリーン、レッド、イエローとこうありますが、その点も考慮しなければいけないと思います。  また、古い原材料を使っても本当に競争力が出てくるかどうか。いろいろな部品に組み立てられるわけでありますから、それが海外製品との間で競争力を本当に持ち得るのかどうか。やはり市場というものが評価するわけでございますので、考え方としては理解できますが、かなり複雑な問題を持っているのではないかというふうに考えております。
  18. 竹本直一

    ○竹本委員 太田参考人最後のお言葉でございますが、市場というものが評価する、まさにそのとおりだと思います。ですから、単なる金銭的インセンティブのみならず、市場がその方向に動くような、そういう動きを社会システム化することが大事だと私は思うわけであります。そういう意味で御質問させていただきました。ありがとうございました。  次に、松田参考人にお聞きいたしたいと思います。  お話を伺っておりまして、元気なごみ仲間ということが出てまいりました。私は、昔、オレゴン州のポートランドというところで、あそこにある大学でしばらく講師をしたことがあるのですけれども、しばらく住んでおりまして、非常に町がきれいなんですよ。いろいろ市民の方々の行動を見ておりますと、徹底してごみを拾って、回収して、そしてそれを、市の外郭団体みたいなものがありまして、第三セクターみたいなところで完全に再利用しておりました。結構前の話でございますけれども。  その姿を見ておりますと、やはり最後は、永田参考人の論文にもございますが、市民事業者という言葉がございますけれども、その両方でリサイクル社会を支えていく中で、特に市民の意識というのは非常に重要だと思います。したがいまして、そういう意識を市民に広く広めるためにはどういう工夫が実際上必要かということについて、少し御意見をいただきたいと思います。
  19. 松田美夜子

    ○松田参考人 まずは、いろいろな正しい情報を正しく伝えていくことが必要ですので、学校教育をスタートとして、生涯学習、毎日ごみとかリサイクルの話が話題になる社会をつくることが一番大事だと思います。
  20. 竹本直一

    ○竹本委員 もう一つ思いますが、みんながごみを平気で捨てている中で、一人だけごみをきれいに片づけておっても、その行為はきれいですけれども、社会全体としてごみをきれいにするという目的には相反する結果になっていますね。  したがいまして、結果としては、みんながやることがやはり大事だ、みんながごみを拾い、再生利用するという精神を持つことが大事だと思いますけれども、そのみんなでやる社会にするためには、今おっしゃったような、まず小学校からの教育ということも大事だと思いますけれども、同時に私は、きれいな、清潔な、こういう循環型社会にするとこういういいことがいろいろあるんだということもまた、いろいろな機会をとらえて教えていくことが必要なのかなというような感じがするわけです。  最近、江戸文化の礼賛ということがよく言われます。あれはある種の循環型社会であって、だからうまくいったんだというような本も出ておりますけれども、そういう意味で、先生のおっしゃるみんなでやることが大切ということは本当にそのとおりじゃないかなというふうな私の印象でもございます。  次に、篠木参考人にお伺いいたしたいと思います。  市町村の立場で、消費者の協力を得るのにどういう点で苦労がおありなのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  21. 篠木昭夫

    篠木参考人 一言で申し上げれば、いかに理解をしていただくかということに尽きると思います。  御案内のとおり、今、市民の方にお願いすることは、今までまとめて出していただいていたものを、あれを分けてください、これは分けてください、出す日をこの日に決めてくださいということをお願いしていくわけでございますが、なぜそういうことをしなければならないのかという原点から理解をしてもらわなければ、市民の方々の協力はなかなか得られないということがございます。  そういう努力は、例えば、一枚のチラシをつくって新聞折り込みで配っただけでは、なかなか徹底しない部分がございます。もちろん、そういうマスの手段を使った方法も必要でございますが、それと、やはり個々に説明をして理解を得るという努力を重ねていく必要がある。  そういう意味では、時間を問わず、昼夜問わず、きめ細かい市民との意見交換、話し合いの場を持っていくというのは極めて大事だろうというふうに思っておりまして、そのためには、限られた人材、職員でやりますので、時間が限られてくるという部分がございます。  市民の方にも協力をいただきまして、ある程度まとまっていただいて、例えば学習会方式でいいわけでございますが、そういう方法で協力していただけると、お互いの立場を理解することが進むのではないか。そういう意味での努力はこれからも私どもはしていかなければいけないのかなと思っているところでございます。
  22. 竹本直一

    ○竹本委員 今、最終処分場が余りなくて、東京、大阪、非常に困っております。大阪でもフェニックス計画に基づいてやっておりますが、あと本当に一、二年という感じになっているのではないかと思います。  そうしますと、どこかに最終処分場をつくらなきゃいけない、またごみの焼却場をつくらなきゃいけない、これは市民生活を送る上で当然つきまとってくるものであります。しかし、この施設は嫌悪施設であります。人々が嫌がる施設であります。それをどのように市民に納得してもらうかということでございますが、私が思いますのは、もう少し自治体の指導性ということを期待したいなと思うのです。どちらかというと、ごみの持っていき場所がないから、いろいろ業者が提案して、この辺に処分場をつくるのを申請する、そうすると、付近の住民はそれを、どうせ悪徳業者だろうからということで非常に嫌がる、問題になるということが全国各地で起こっておるわけであります。  したがいまして、都市計画を立てるときに、将来この地域ではごみ焼却場をつくるとか、あるいは最終処分場をつくるとか、そういったことをもっと積極的に行政が事前に長いスパンで提案していくことが必要なのではないか。そういう視点から見ると、行政はおくれている点が多分にあるのではないかというような気がするのですけれども、いかがでしょうか。
  23. 篠木昭夫

    篠木参考人 御指摘のとおりだと思っております。  自治体もそのための努力を重ねてきているわけでございますが、古くさかのぼりますと、昭和三十年代につくった清掃工場ですと、迷惑施設という言葉がごく当然のことのように言われておりました。その当時は、先ほども話題になりましたけれども、迷惑の公平な負担ということが市民の理解をいただく大きな前提になった時代がございました。それと同時に、市町村では技術開発にも努力してまいりましたので、最近の清掃工場ではまず迷惑施設と言われることはなくなってまいりまして、都市計画ときちんと整合性のとれた施設づくりがかなり普及してきました。  そういうこともございまして、清掃工場、中間処理施設についてはほとんどの自治体ででき上がりまして、現在はダイオキシン対策に真剣に取り組んでいる状況でございますけれども、恐らく、市民の理解は相当得られてきたと思っております。  ただ、最終処分場につきましては、これまでの施設に構造的に欠陥等があったがために、まだまだ十分理解が得られていないという部分がございました。必要な施設でございますので、つくっていかなければいけません。どこにつくるのが一番公平か、公正かという視点がやはり大事になってくるだろうと思います。その判断は、やはり都市計画決定の中でどう位置づけるかということを避けて通ることができません。  その際に、最終処分場だけで考えますとやはり問題がございますので、中間処理施設である清掃工場とか、それからリサイクル施設、最終処分場、これからは広域化計画という位置づけのもとに、都道府県が中心となって市町村行政を補完していくというシステムに移ってきておりますけれども、広域化計画の中で、やはりどの施設をどの地域に配置するか、土地利用状況もにらみながら、合理性のある公平性のある施設配置計画をこれから確立するということが一番大事だろうと思っております。  それにあわせて技術開発市民の理解と協力が得られる技術水準の施設をつくっていく。この二つが一番大事だろうと思っておりますし、そのための努力は惜しまずやっていかなければいけないと思っております。
  24. 竹本直一

    ○竹本委員 日本環境技術においては先進国と言われております。こういうごみ処理については相当技術が発達しておりますから、京都で行われましたCOP3におきましてもそういった技術を世界に見せたところでございます。したがって、この技術をもっと自治体を含む一般関係者に流布、PRをしていただきまして、そして必ずしもごみの施設は嫌悪施設じゃないのだ、安全だ、したがって、みんなで負担しなければならない施設は、この地域においてはこの場所にというような合意を市民の間で形成していただくような、そういう努力がやはり必要ではないかなと思います。  この四月から介護保険制度がスタートいたしましたけれども、あれもまさにある種の広域行政の中でお互い助け合っていこうという一つの実験でございます。それと同じ発想で、この循環型社会におけるごみの処分ということについて、そういった意味での環境技術を示すことによって市民を安心させることによってその普及を図っていく、そういう努力が必要ではないか。きょう、先生方のお話を聞きましてそういう感じを持ちましたので、その感想を述べまして、この質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  25. 中山成彬

  26. 中山義活

    中山(義)委員 参考人の皆さんには、大変お忙しいところを貴重な御意見をいただきまして、ありがとうざいます。民主党の中山義活でございます。  この新しい循環型社会というのは、今までの大量生産、大量消費、大量廃棄、このツケをこれからどうするかというような大変せっぱ詰まった問題になっておりまして、どこの最終処分場もいっぱいだ、または産業廃棄物を捨てるところもいっぱいだ、ある意味では追い込まれてやった、そんなような法律にも思うのですね。  これからのこの循環型社会というのは、ある意味では物の売れない社会をつくるかもしれないのです。経済活動にとりましては、あるものを大事に使う、修理して使う、またはそのものを再利用する。さらには、リサイクル活動についても、できる限り大量につくらないで何とかやっていく。例えば食べ物にしても、一番のいいリサイクルは全部食べてしまうことですね。残さないことです。または、残さないくらい食物をつくってそれを食べる。これから学校給食でも何でもそうだと思うのですね。つまり、物が循環しない、逆説的に言えばそういう社会が生まれる可能性があるわけですが、経団連の方でそういう社会を、私は逆説的に質問をしているわけですが、そういう社会が生まれる可能性があるから、ある意味ではある種の覚悟が必要だと思うのですよ。  私はそういう面では、循環型社会というのはある意味では、地球人がどんどんふえてきて、将来百億人ぐらいになる、そのとき本当に地球がやっていけるのか。今の日本の大量生産、大量消費をこのまま続けて、地球人が全部やったら地球が三つぐらい必要だと言われているのですよ。そういう面では、本当の意味での循環型社会をつくるというのは、やはり経済界である種の覚悟が必要だと私は思いますが、いかがでしょうか。太田参考人にひとつお願いします。     〔委員長退席、河本委員長代理着席〕
  27. 太田元

    太田参考人 ただいまの先生の御指摘は大変先進的といいますか、逆説的とおっしゃいましたが、確かに、循環をしないで済むような社会というものが究極の姿なのかもしれません。ただ、そういう社会を実現するに当たってどういう方策をとっていくかということだろうと思いますが、経済界はやはり今の段階では、これまでどちらかというと物をつくって消費者に渡すというところまで極めて力を入れてきて、残るといいますか、食べ残しも含めて、残った場合にどうするとか、あるいは消費がし終わったときにどうするか、リサイクルしやすい設計はどうかとか、要するに、動脈から静脈もすべて考慮した、今までどちらかというと力を入れてこなかったところに踏み込んで生産活動をこれから行っていこうということで、いろいろな取り組みをしております。  それで、今までは、環境をビジネスとしている産業にとっては何の問題もないわけですが、産業環境化といいますか、例えば自動車ですと自動車そのものが環境ビジネスではないわけですが、その自動車でも、消費者がこのぐらいだと多少高くても買ってくれるのではないか、今までは高いと多分買ってくれないだろうということだったのですが、一部の志の高い消費者というのが必ず市場にいるということであれば、これはやはり挑戦していく。これは例を挙げるのはどうかと思いますが、例えばトヨタのハイブリッドも、あれは現実問題として高いわけですが、しかしあれだけ売れている。  そういう積極的、果敢に消費者の動向というものを先取りしていく、あるいはこれを踏まえて物をつくっていくという時代に入ってきた。これはやはり世の中が、永田先生がおっしゃったように、消費者事業者のパートナーシップといいますか、両輪として物が動き出したという時代、今そういう局面に入ってきているのではないかということでして、先生のちょっとその先を行っているお話には、私としてややレスポンドできないというのが実態であります。
  28. 中山義活

    中山(義)委員 今度は、消費者の立場で松田参考人にお聞きします。  今、私たちが生活をして、昔の世の中に戻って考えてみると、物を大切にした、それから一汁何菜とか本当につつましく食事をしてきた、それからふだん着るものでも大事にしてきた、こういう社会だったわけですね。それが、いわゆる高度成長期になってきた。そうすると、やはり消費者の皆さんとしては、単純に昔の社会をよく勉強して、昔の社会がどういう社会だったか、本当に物を大切にするとかそういう新しい原点に戻っていくということで、ある意味では時代が下へ、昔に戻っていくようなこともあり得ると思うのですね。  だから消費者も、今回のこの問題についてはやはり今言ったように、理想はハイブリッドカーを買ってくれる人がうんといる、だけれども、そうはいったって、一般にそんなお金があるわけではないわけですよ。そうすると、消費者の場合はライフスタイルを変えていくということだと思うのですね。リサイクル品をできる限り使うとか、または物を大切にする、長期間使うとか、家でも百年ぐらいもつ家をつくっていけばいいわけですが、そうすると、今度は家をつくる期間というのはだんだん長くなってしまうから建築屋さんが困ってくるということですね。  ですから、消費の方もそうやって本当に節約をしていけば世の中の形態が変わってくるわけですが、消費者としてのやはりある種の決意といいますか、それがあると思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  29. 松田美夜子

    ○松田参考人 私たち自身が本当に大量消費の社会を望んでいたかというと、私は、消費者としてはそういう社会に持っていかされただけのことであって、日本人というのはもともと昔から物を大事にする国民であったと思います。ですから、江戸時代のことがいろいろ話題になりますけれども、よく考えると、高度成長が始まる前は日本の国民はみんなそうだったわけです、戦争が終わってからずっと。ですから、たった三十年くらいのことなので、覚えている人がたくさんいますから、二十一世紀は、私は、この法律によって、この法律がうまくいけばまたいい日本社会を取り戻せるというふうに思っています。
  30. 中山義活

    中山(義)委員 今の、要するに理想の社会、松田参考人の考えているすばらしい社会は、ある意味では、経済という面から見ると難しい社会でもあると思うのですね。  私が言いたいのは、本当に、ゼロ成長でもマイナス成長でもこういう循環型社会をやっていくのだというある種の覚悟がないと、なかなかこの社会は生まれてこないと思いますが、永田参考人、実は、先ほど経済との共創といいますか、そういうふうに環境を大事にする社会をとらえておりますが、本当に、今もし理想どおりやっていったら、経済成長がなくてゼロ成長、マイナス成長、それでもやはり本来は環境の問題というのはやっていかなきゃいけないのかもしれませんが、どういうふうに予想されますか。
  31. 永田勝也

    永田参考人 ただいまの御質問に対しましての、私自身一つの答えになるのかなというふうに思っていますのが、先ほどお配りした資料の中に入っております三ページ目の図の四なんですが、私も経済の専門でございませんので、こうした予測をどういうふうに進めていくかという点については全く知識がございませんが、ただ、時間的な尺度を平面的にといいますか、空間的に置きかえてみますと、ほかの国との比較という視点でも見ることができるのだろうというふうに思います。  先ほど申し上げたように、資源の消費が日本欧米諸国の半分、それでもある意味においてはこれだけの豊かさを実現できたという経緯を見てみますと、御質問された方が言われているような状況に果たしてなるのかどうか、私自身は、逆になる可能性も高いのかなというふうに認識をいたしております。  こうした日本社会効率性というものを、あるいはますます促進させていけば、物質的な豊かさという言い方はしません、機能面も含めあるいは精神面も含めた豊かさ等も含めて、それなりの発展は私自身はあるのではないかというふうに考えております。  以上です。
  32. 中山義活

    中山(義)委員 確かに、NOVAじゃありませんけれども、英語をどんどん勉強していくとか、または健康になるためのそういう教室へ行くとか、違ったサービス産業がふえてまいりまして、いろいろな意味でそうやって産業を転換していく、いわゆる物づくりだけじゃなくて、知恵の社会ですから、そういう知恵の部分を伸ばしていってその産業を伸ばしていくという方法論はあろうかと思うのですね。  そういう面では、これからの世の中、この理想に向かっていったときに、それが経済活動に結びついていく、いわゆる自由主義社会経済に結びついていけば、一番それはいい方法だと思うのです。  篠木参考人は、東京都におりましていろいろ行ったと思うのですが、東京都のいわゆるごみの予算というのは三千億円ぐらいかかっていましたね。ごみが大体四百三十万トンぐらい年間出ていたと言われる。しかし、実際は六百万トン以上出ていたのですね。では、その二百万トンの違いは何かというと、製紙原料ですね。いわゆる古紙を集めてそれを古紙パルプにする業者が、全然東京都には関係なく二百万トンのごみを商売として処理をしていた。もしこれが、あとの四百万トンもそういうことになれば、東京都の三千億円の予算というのは要らなくなるわけですね。ですから、民間の方がそういうことをやっていることをどう助成をしていくかということが必要だと思うのです。  それは、さっきいろいろ先生方のお話の中で永田参考人太田参考人が言ったように、出口論ですね。さっき、紙を、どんどん古紙パルプをつくっていくけれども、需要がもう精いっぱいなわけですよ、二百万トンの古紙を使って古紙パルプをつくる、しかしもうこれでいっぱいだ、さっきお話がありました。そうしたら、どうやって広げていくかといったら、輸出ですね。  つまり、中国は文化がどんどん進んできた、経済も発展してきた、紙が必要だ。東アジアもだんだん紙が必要だ。しかしながら、紙をつくるパルプなり木もだんだん枯渇してきている。最近は、もうアシだとかカヤとか竹だとか使って紙をつくる。それはすごい水を汚すわけですね。世界の水を汚しているわけです。だから、紙で中国に援助するとか、さっき言ったWTOの問題にひっかかるのであれば、これは援助だ。つまり、中国というところは、自由主義経済はやっているかもしれないけれども、国の統制がきくところだから、そこに紙で援助をするとか、そういうような方法もあるのではないか。  または、今の古紙パルプが大分日本のやり方がうまくなりまして、バージンパルプと値段がそう変わらなくなってきたということで、十分外国にも輸出できるような状況にしてきて、かなり売っているんですね。しかし、こういうものを伸ばすことによって出口論を広げていきませんと、幾ら補助金を出してもなかなか広がっていかない。  今まで補助金を出していたのは、古紙を集めるところに補助金を出しているんですよ。だから、地域社会の婦人部だとか青年部だとか、廃品回収というので一生懸命皆さんが手押し車でやっているのです。これに十五億ぐらい東京都が出していた。だけれども、私たちがやってほしいのは、古紙を集める作業じゃなくて、それを古紙パルプにして売る出口の方をしっかり行政が研究をしていかないといけないんじゃないかと思いますが、篠木参考人、ひとつお願いします。
  33. 篠木昭夫

    篠木参考人 御指摘のとおりでございまして、事業育成という部分も避けて通れないと思います。  しかし、私は、一番やはり考えなきゃいけないのは、先ほど来問題になっております出口論でございまして、需要をどういうふうに確保していくかということがやはり基本だろうと思っております。  先ほどから東京都の例でお話ございましたので、経験から触れさせていただきますと、東京都では、新聞紙の中に古紙利用率を高めてほしいということをお願いし続けてまいりました。それから、これは全国的な動きとして、教科書も古紙でつくってほしい、それが学生に対する一番いい教育になるんだということも含めてお願いをしてまいりました。そういう努力の積み重ねによって古紙の需要も相当伸びてまいりまして、最近では需給バランスが非常にいい方に好転をしているという話も聞いております。  第一義的に取り組むべきことは、出口をいかに育てていくかということが一番大事だろうと思っております。そこが溝が埋まらない部分を、行政公平性の原点に立って支援をしていくということを進めていくべきだろうと思いますので、その両面からこの問題に取り組んでいく必要があるのではないかというふうに考えております。
  34. 中山義活

    中山(義)委員 今お話しのとおり、新聞をもっと古紙を使うように我々も委員会でやってきて、新聞社が並んでいると、あなたたち、日ごろ環境だ何だかんだ、再利用しようとか言ったって、自分がやってないじゃないかと、僕は新聞社に指さして東京都で随分やりましたよ。そのくらいやはり出口というのはすごく大事でございまして、インセンティブはどこに引いていくかということが必要ですね。  ですから、では、もしデポジット制度なんかの場合も、あれは本当の東京ルールとしてインセンティブになってきたのかどうか、これもすごく難しい問題ですね。  ある意味ではこういうことだ。僕はこの間も質問したのですが、都立高校で一日千本の何か飲み物が売れるんだそうですよ。それをつぶす機械があるのです。つぶすと五円ぐらいもらえるんだそうですが、それが一日千五百つぶれている。ということは、千しかないのに千五百ということは、家から持ってきているわけですよ。そのくらい、たった五円とか十円でも、やはり経済というものの中でうまく生かせばインセンティブが引ける。しかも、そのつぶしたものは非常に運びやすいし、後で再利用しやすいという形をつくるわけですね。  そういう面で、お金と言ってはいけないのですが、経済というものがある以上、経団連太田参考人、この辺はどうですか。本当に、やはりお金というもの、または経済というもの、この辺は大きなインセンティブになると思うのですが、いわゆるこの社会の中に、自由主義経済に組み入れたリサイクル事業、ここを考えない限りは、さっき言った、結果的には経済の力を弱めていっちゃう、こう思うのですが、いかがですか。
  35. 太田元

    太田参考人 価格がもうとにかく市場で唯一というか、唯一に近い形での指標になっているわけですから、これが大きな決め手だろうと思います。  ただ、価格に加えて、商品の性質でありますとかその利用の仕方とかいろいろありますから、それがすべてであって、そのほかのものは、価格以外のものは何もないということでもないと思いますが、大体基本的な考え方は、やはり価格に反映されてくるものだと思います。そこから考えますと、やはりインセンティブというものも、いわゆるリサイクル市場がございませんと回っていきませんので、それはある種のインセンティブというのは必要だろうと思っております。  ただ、そのインセンティブのつけ方とか、どういう仕組みをつくったらいいかというのは、製品であるとか原材料によってかなり違うのではないかと考えております。
  36. 中山義活

    中山(義)委員 永田参考人にお聞きしますが、ごみというものをいろいろ分別したりなんかする作業があります。これは消費者がやるのですが、さらに、もうちょっと逆の発想をする方もいるわけですね。全部集めてしまえ、全部燃してしまえ、その燃やしたエネルギーを活用するのもリサイクルじゃないか、こういう発想をする方たちもいらっしゃるわけです。  私は、基本的にはごみは燃やさないというのが絶対原則で、それをどうやってリサイクルするか、そこが一番大事だと思っているのですが、燃やすということ、例えば電力をそれでつくって、卸電力もできるようになりましたから、そこで電力を買ってもらう、電力を卸していく、こういう方法もあるわけですが、この燃やしてつくるエネルギーということに関して、永田参考人、これはリサイクルと言えますか。そういう方法は非常に効率がいいとか、いろいろ御意見があるでしょうが、その辺、いかがでしょうか。
  37. 永田勝也

    永田参考人 実は、私は機械工学科というところに所属しておりまして、基本的には熱関係の出身なもので、そういう意味ではエネルギー回収というものに関してそれなりの思い入れがないわけではございません。  最近、大分言葉の定義が入り乱れてきて、海外でも若干混乱はないわけじゃないのですが、リサイクルと言われるたぐいのものは基本的にはマテリアルリサイクルのことを指すのであって、お話しのような熱回収システムというのは、いわゆるエネルギー回収、エナジーリカバリーという格好で、別の定義の分類に入るというふうに思っております。  基本的な優先順位というのは、リデュースリユース、マテリアルリサイクル、それからエネルギー回収、それから適正な処理ということで、この原則論は私は変わらないというふうに思っています。  ただ、私どもも、ライフサイクルアセスメントということで、さまざまな環境負荷、先ほどの図の中で一の図に書きましたような、例えば廃棄物焼却炉でしたら、そこに入ってくる物質だとかエネルギーだとか、それから燃やした後に出てくる排気ガスの有害成分だとかというものを相対的に評価するような手法をとっていって、例えばマテリアルリサイクルとサーマルリサイクルの比較をしてみる。そうした中にあっては、サーマルリサイクルとここでは言わせていただきますが、あるいはサーマルリサイクルの方が環境の負荷が少ない、そういう判断ができるものもあり得るかもしれません。そうした流れの中で、サーマルリサイクルの位置づけというものを見きわめていかなくてはいけないのだろうというふうに思っております。  一方で、サーマルリサイクルの位置づけを決定するに当たっては、マテリアルリサイクルとの境目というのも大分あいまいになってまいります。それから、今度は、単なる焼却に近いものも含めて、そこの線引きというのも重要な視点かというふうに思っております。  実は、容器包装リサイクル法のその他紙容器包装につきましては、一部サーマルリサイクルが認められるという方向になっておりますが、そこでの基準づくりに私も参画しておりましたが、かなり厳しい。熱回収で七五%、総合的なエネルギー利用で七〇%というような、そうしたレベル一つの目標を設定させていただいたわけでございますけれども、今後の流れの中で、こうした目標を一つの参考にしながら、サーマルリサイクルの位置づけを先ほど申し上げた総合的な環境負荷の視点で判断していくということを実施していかなければいけないだろうというふうに思っております。
  38. 中山義活

    中山(義)委員 最後にちょっとお礼だけ申し上げたいのです。本当にありがとうございました。  私たち民主党も、ある種の覚悟を持って循環型社会を目指してやっていきたい、このように思っておりますので、それだけ申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
  39. 河本三郎

    ○河本委員長代理 久保哲司君。
  40. 久保哲司

    ○久保委員 参考人の先生方、本日はまことにありがとうございます。公明党の久保哲司でございます。  今国会には、循環型社会推進基本法がありまして、それ以外に、きょうこの商工委員会で審議をしております再生資源の話、あるいは廃棄物処理等の関係法案は厚生委員会で、あるいはまた食品循環資源というような形でもって農林水産委員会、あるいはまた建設資材の再利用というようなことでこれは建設委員会でという、まさに循環型といいますか、再資源として使っていくんだというのが、言うならば、この国会、オンパレードのような形で、今審議が進められておるところでございます。  とはいえ、先ほど来四名の参考人の先生方からさまざまなお話をお伺いしまして、いろいろな角度からのお話を聞いて、私も大変に勉強させていただいたわけでありますけれども、考えてみると、人間がふえたこと自体がやはり一番問題なのかなと思うときが多々ございます。  と同時に、その中で、人間の欲求といいますか、要望といいますか、欲望といいますか、便利さを追求する、あるいはきれいな環境で住みたい、におい、汚いのはかなわぬ、そういう中で、結局は、例えば昔の田んぼであればふん尿を肥料として使っておったのが、近くに人が住むようになると、そんなにおいはかなわぬということでもって化学肥料が使われるようになる。確かに便利なんだけれども、それが結果として土地の力を落としてしまうみたいなところが出てきてしまう。  あるいは、田んぼでさまざまやるのでも、稲を刈った後、昔はそのわらでもって結んでやっておった。それをビニールのひもでやるようになる。そうなると、今度は、ビニールのひもは腐らないから、次に耕運機等でやるときには必ずひっかかってしまう。まさに、科学を取り入れて便利になった分、片方で大変不自由になっている部分がある。  ごみもそうだと思います。今、燃やす燃やさないという議論一つありましたけれども、これも完全に自然に返るものばかりであれば、基本的に問題がない。だけれども、自然に返らない化学製品がまざるから、そこでダイオキシンだ、何だかんだとこういう問題も起こってくる。  一方、昔一度聞いたことがあるのですけれども、台所で出る家庭の生ごみというのは、まさに生ごみというのは、五十年間分ためても、それが自然に返っていって土に還元されるということでいえば、土の量というのはこのくらいしかふえないよということを聞いたことがあります。だから、例えば敷地がある家であれば、穴を掘ってそれを腐らせていけばそういう状態になるんだ、こんなことを聞いたことがありますけれども、これも今は腐るものばかりじゃないからそうはできなくなってしまっている。一方また、人口がふえた、都市化が進んだ団地形式のところでは、それ自体もままならない、こういう部分も当然ございます。  小学校、中学校のときに我々が学んだ理科の本あるいは社会の本等の中で、食物連鎖あるいは動物連鎖といいますか、小さい魚をもうちょっと大きいのが食べて、もうちょっと大きいものがまた食べて、それをとってきて人間が食べてという、あるいは木の葉っぱであれば、それが落ちて腐葉土になって肥料になってというこういうものを、我々は、科学というものが発達し便利さを追っかけた結果、それをどこかでぷちっと切ってしまった。切ってしまった結果が今日にあって、この循環型社会というものをもう一回考え直さぬといかぬ、こんなところに来ているのかな、そんな思いを強く持っておるところなんです。  とはいえ、今さら五十年前を振り返ったところでどうしようもないわけで、今目の前にある問題をどうにかしなければならぬ、それはそれでまた我々の課せられた仕事なんだろう、そんなふうに思っております。  そこで、まず最初に永田参考人にちょっとお伺いをしたいのですが、今国会、先ほど申し上げました、いわゆる我々が扱っている法案の根っこにあるような基本法案としての循環型社会推進基本法があるわけでありますけれども、この基本法の中では、やっていく仕事の優先順位ということで、一つは、リデュースがまず第一だ、その次にリユースだ、あるいはマテリアルリサイクルだ、三番目には環境保全に万全を期した適正処分というふうな順序づけをやっております。  一方、我々が今回審議をしております法案の中では、言葉としてリデュースリユースリサイクルとこう並んでおるわけでありますけれども、あえて法案の中で優先順位等は明示をしておりません。  そういったことを比べたときに、法律が違うからということも当然ございますけれども、今回の我々が扱っております再生資源利用促進に関する法律の中にあって、今後具体的に行政の側でそれを料理していっていただくわけでありますけれども、先生の立場から見られたときに、この優先順位というのはどうあるべきなのか。と同時に、この法律を本当に意義あるものとするためには、その運用をどのように展開していけばベストな形を望めるのかといったことについての御意見があればお伺いをしたいんです。     〔河本委員長代理退席、委員長着席〕
  41. 永田勝也

    永田参考人 優先順位につきましては先ほども申し上げましたし、今も基本法の方の話を御紹介いただきましたですが、その流れ原則論というふうに私も理解しております。これは世界各国共通というふうになっていると思っております。  ただ、先ほど申し上げたように、状況によってはこれが変化する場合も起こり得るということになるわけでございますが、一方で、今般の改正案の方でそれを積極的に順位づけしてという形では、確かに明示的には示されていないというふうに思いますが、そうした中にありまして、新たに取り入れたものというのは、そういう意味ではかなり難しい取り組みの中に入ってくるものが多い。そうした点を踏まえて、これからの取り組みの状況を見ながら、あるいはその目標値を決めていくとか、そうした方策で誘導していくことも必要ではなかろうかというふうに思っておるところでございます。  ただ、先進的な企業においては既にかなりの実績が積まれ、また、その実績を見てみますと、経済的にも十分成立する。特にリデュースの場合には、これは省資源化の話が中心でございますから、そうした視点からするとプラスの面というのはある程度見えてくると思いますけれども、リユースにあっても、そうした取り組みではその高度化を図る、あるいは量的拡大を図ることによってプラスに転換しているという実績もございます。そうしたことも積極的にアピールしながら、その有為性というものを皆さんに見ていただいて、そちらの方向に向かうようになっていただければというふうに思っております。  以上です。
  42. 久保哲司

    ○久保委員 ありがとうございました。  それでは、順次ちょっとお伺いをしたいと思います。  経団連太田さんにちょっとお伺いをしたいんですが、こういう循環型ということになってきますと、経済の分野においても、ある意味ではそれに対応した形の循環型の経済システムというものを考えていかなければならないのかな。そうなっていきますと、今、新聞報道等でもさまざまありますけれども、リサイクルするための費用が物すごく高くつくんだよ、それをだれに持ってもらうのか、こんな部分もございます。そういう意味では、リサイクル等にかかるコストをダウンさせること、あるいは一方でまた、より品質の高いリサイクル材、これを提供できる構造をつくっていかぬとあかんというのが大前提としてあると思うんです。  そういう社会になったときに考えられるのは、今までのように新たな材料を持ってきて設計し、開発し、生産する、そういう工程から、逆に、物の生産に当たっても、回収してそれを分解、分別して、そして再利用するといったような、今までの形を考えれば逆のような工程を経て製品化していく、こういった工程につくりかえていく分野も当然出てくるのかなと思います。その変革が求められていくことについて産業界としてどう対応していけるのかというのが一点。  もう一つは、そういう効率的なリサイクルを行って、それで産業廃棄物処理を再生物の生産へと変革をしていく、言うならばいわゆるゼロエミッション社会の実現、こういうこともこれまた求められていくんだろうというように思うんですが、この点についてもお考え、御所見があればちょっとお伺いをしたいと思うんです。
  43. 太田元

    太田参考人 循環型社会を、とにかく私どもはこれから不断の努力によって少しでもそういう社会に近づけるように努力をしていかなければならないんだということだと思うんですが、その際、一番キーワードみたいなものはやはり省資源であり、省エネルギーであり、そして最終的には、環境負荷が結果として一番少ない、今よりもあす、あすよりもあさってが少ない社会というものを築くための不断の努力あるいはプロセスだというふうに理解しておるわけです。  今お話しの、例えばリサイクルコストが高い、そしてリサイクル材がいいものでなければいけない、これも新しい材料を使うよりもそちらの方がよいものであるようにこれから取り組んでいかなきゃいけない、おっしゃるとおりでありますが、その全体、トータルの中でのやはりリサイクルであって、リユースであって、またリデュースだろうというふうに考えます。  リサイクルコストをできるだけ下げるには、そもそもリサイクルしやすい製品づくりに努めるであるとか、それから分解する際にどこを取りかえればリユースとして使えるかとか、ありとあらゆる局面があって、一律にこうだという決め手、手品のようなわけにはいかないのではないか。  そういうふうに考えますと、やはり新材料という、新しい原料、これは当然なしではやっていけないものだろうと思います。基本的には、材料というのは何度も使っていると劣化するそうであります。これを劣化しないような技術というものがいろいろな形で出てくる、あるいはそもそも劣化のしにくいマテリアルをつくっていく、これもまた一見それが正しそうに見えますけれども、後々になってみると、えらい大変なものだったりとか、その処分がとんでもないことになるというふうなことだってあるわけですから、常に光と影があって、その辺のバランスで物を見ていくのではないか。  それから、ゼロエミッションというお言葉がございましたが、これも、循環型社会というのを定義し始めると大変と同じように、ゼロエミッションというのも物の考え方としては大変結構な考え方、コンセプトであろうと思います。  ただ、世の中でよく使われているゼロエミッションというのは、局部的あるいは一定の条件のもとで、一定のごみなり、排ガスとかそういうものを入れてしまいますとそもそもあり得ないことだと思いますが、ある一定の条件を満たしたものをゼロエミッションと呼んでいるわけですから、廃棄物が実際になくなるんだというのではないではないかというふうに考えております。  もちろん、ガス化溶融とかいろいろなことをやってできるだけごみを少なくする、減量化をする、あるいは有効に使っていくという意味での、ゼロエミッションコンセプトに近づけるという意味でのゼロエミッションという考え方は賛成はいたしますが、現実問題としてゼロエミッションというものが実現できているということではないというふうに理解しております。
  44. 久保哲司

    ○久保委員 ありがとうございました。  続いて、松田参考人にちょっとお伺いしておきたいんですが、先ほどお話の中で、消費者という言葉が出てまいりました。また、環境を考える消費者として企業を応援していきたい、こういうお言葉もあったわけでありますけれども、まさに私も、そういうふうに消費者と企業が一体になって物を考えるというのは非常に大事だろうと思います。  と同時に、消費者というのは、ある意味ごみの直接の排出者といいますか、最終排出者であると同時に、また一方で購入者でもありますし、また消費行動を通じて事業者の生産行動といったことにもいろいろな意味で影響を与えていく。今までもそうであったし、これからもまたその基本形態は変わらないと思います。  そんな中で、いわゆるNPOといいますか、先ほど団体の、千二百人のグループの代表も務めているとおっしゃっておられましたけれども、そういったいわゆる今日注目をされておりますNPOという形のものが、こういう循環型社会をつくっていく中で、またみんなの力でそれをつくり上げていこうという中で、どういう役割を果たせる、また果たしていただけるのか、お考えがあればちょっとお伺いをしたいんです。
  45. 松田美夜子

    ○松田参考人 今おっしゃったことを私たちは運動の中の理想的な形として展開しようと思って努力しております。  私たちNPOにかかわっておる者たちは、今楽しんでやっています。昔の消費者運動というのは企業と対立する形であったので、しかめ面をしていないと負けちゃうところがあったのですが、今はライフスタイルの中にそれを取り込むことがステータスになっていくというような雰囲気づくりをしておりまして、NPOに参加することは楽しいのだ。ですから、今は町内会もNPOだし、隣組もNPOだし、福祉にかかわることもNPOで、その方たちが地域社会の中でいいことをしたい、そのときに、ごみを減らしたい、そしていい企業のものを買いたいというのは当然の流れだと思っております。  日本の国民というのはある意味で賢い方たちが多いですから、私は、二十一世紀は、賢い消費者というのは案外NPOからスタートしていくだろうな、そのいいお手本を示したいと思っております。
  46. 久保哲司

    ○久保委員 ありがとうございます。  松田さんのお話を聞いていると、にこやかな顔で、本当にこっちの方もうれしくなってくるようなお話で、ありがとうございました。  最後に、篠木参考人にちょっとお伺いしたいのですが、先ほど、参考意見を陳述していただく冒頭で、基本的にこの法案については全面的に賛成だというふうにおっしゃっていただいた。そのお立場上からいうても当然そうあるべきかなと思うのですが、一つは、賛成とおっしゃっていただいたその理由として、この法案について評価されている特徴的な点を、こういう点で、こういう点でということをお示しいただきたいなと思うのが一点。  もう一つは、ことしの三月だったですか、新聞報道で、これは広島の件だったと思いますけれども、一トン一銭での入札というのがございました。  これは、この業者は、実は昨年度は一トン五千二百五十円で入札して契約されている。昨年度は、だから市から業者に二億九千万円の費用が契約に基づいて支払われる。ところが、本年度の契約ですか、一トン一銭で入札した。そうすると、その支払われる金額は五百五十円。ある年度二億九千万、次は五百五十円、こんな話。  これは業者の間の競争の余りにも激しさがそういうことを生んだのか。かつてコンピューターの関係で一円入札なんということも聞いたことがございますけれども、こういった状況というのは、清掃会議の専務理事をなさっておられる立場からどのように感じておられるのか。また、市民にとっていいことなのか。もちろん、税金を使うのが少なけりゃいいとはいうものの、だれがどう考えたって一銭でできることもないわけですから、こういった点についての御意見をお聞かせいただければと思います。
  47. 篠木昭夫

    篠木参考人 新しい法律考え方評価する特徴というお話でございました。  これは総論的に申し上げれば、大量生産、大量消費、大量廃棄という仕組みに対して、大量という言葉を消す努力をしているというのがやはり一番大きいのだろうと思います。もちろん、物をつくる上で市民生活を豊かにすることは大事ですので、生産は大いに進めるべきだと思いますけれども、それが廃棄物になるシステムをできるだけとめていこうという考え方だろうというふうに理解しておりますので、そういう意味で高く評価をするということを申し上げたわけでございます。  先ほど二つ申し上げましたのは、そういう意味で、発生抑制という視点を明確に位置づけたということと、それから廃棄物についてだれが責任を持つべきか、その考え方の中で、事業者責任も含めて、法律の中で一つの枠組みをきちんと決めたということが私は高く評価できる事項ではないかということで、代表的な二つのことを申し上げましたけれども、そのことが一番大きな特徴だろうと思っております。  それから、広島の例でございますが、これはやはりある意味では公正な競争関係を阻害することにもなりますのと、関係業界の健全な育成という点から考えますと、非常に問題の多いやり方だと思いますので、やはり現実にかかる経費をきちんと積算する手法をとって、公明公正な形で入札に参加をしていただきたいというふうに思います。  恐らく、その業者の方は、ことしきちんととっておけばほかの競争相手を排除できるのではないかという思惑から、一年間頑張ってほかの競争相手を排除しようとしたのではないかと思うのですけれども、やはりそうなりますと競争を阻害しますし、裏を返せば、そういう料金でできるわけはありませんので、やはり仕事をきちんとやらないという部分が出てくるおそれもあるわけでございます。そういう点では、こういったやり方は好ましくないと思っております。  そういう意味で、市町村側は、やはり一般競争入札の場合に最低価格を決めるとか最高価格を決めるとか、どの範囲をこの仕事をやっていただく上で必要なのかということを、ある程度ガイドライン的なものを持って入札に臨むという工夫も必要なのではないか。  いずれにしても、入札問題、契約問題についてはいろいろな問題がございますので、我々、これから工夫をしていかなければいけない大事な分野だろうと思っております。
  48. 久保哲司

    ○久保委員 ありがとうございました。  きょうお聞かせいただいた意見を参考にして、さらに我々も頑張ってまいりたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  49. 中山成彬

    中山委員長 吉井英勝君。
  50. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  きょうは、四人の参考人の皆さんには、大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。  私は、最初に、永田参考人にお聞きいたしたいと思います。  きょういただきました資料の三ページ目の一番上の図にありますように、総物質需要量を全体として減らしていくという努力は非常に大事な課題だというふうに私も思っておりますが、その中のオランダが再生可能資源の比率が非常に高い。ですから、これは確かに総需要量としてはかなり使っていても、再生可能資源であればこれまたリサイクルをしながら、持続的に発展していくといいますか、そういう方向も出てこようかと思うのですが、なぜオランダの場合これが多いのかとか、再生可能資源をふやす取り組みをオランダの場合はどういうふうに進めてきたのかとか、このあたりのことをまず最初に伺いたいと思います。
  51. 永田勝也

    永田参考人 詳しい調査につきましては原本をたどっていただけるとありがたいと思うのですが、私がこれを見て思いましたのは、オランダの国の実情、例えばオランダの道路に敷いてあります石、これ一つ取り上げましても、海外から輸入しているという実績もございます。また、補修するときには、それをきちっとまたもとのところへ戻して使っている。そういう流れの中で、再生可能資源というのは、そうしたものも含めての量として入っているというふうに私自身は理解をいたしております。  国情の違いによりまして、かなり大きな差が出てきているものもございます。例えば、日本の場合ですと、ほかの国と比率的に見て多いものが、建設工事による掘削というのが出てまいりました。こういうのが特徴的でございます。  一番下の図を見ていただきますと、総じて、こうした資源エネルギー全体にわたって自給できる国というのは米国きりないという実態も見えてくるわけでございます。  以上で説明を終わりにさせていただきます。
  52. 吉井英勝

    ○吉井委員 あわせて永田参考人に伺いたいと思います。  先ほど拡大生産者責任の話は一言ございましたけれども、ドイツとかヨーロッパなどでの拡大生産者責任についての考え方の発展とか取り組みの発展について伺いたいというふうに思います。
  53. 永田勝也

    永田参考人 拡大生産者責任ドイツ循環経済廃棄物法の中で明示的にうたわれ、その段階ではいわゆる生産物責任という言い方で、プロダクトレスポンシビリティーという言葉だった。この生産物責任が製造者責任にどうして変わったかという理由につきましては、何人かの方にいろいろお伺いしたのですが、なかなか明快なお答えを得ることはできませんでした。  拡大生産者責任でいえば、私の浅はかな勉強の成果で十分なお答えになるかどうかわかりませんが、廃棄物発生抑制資源の有効利用を、社会コストをできるだけ少ない状態で実現するための一つの政策コンセプトだという言い方をヨーロッパの人たちはしております。  したがいまして、製品廃棄物処理リサイクル等におきましては、一般的にこうした政策が妥当だろうということが想定されるわけでございますが、これはあくまでも一般的な話でありまして、製品個々ではあるいは自立的で健全な既存の処理システムを活用した方が社会コストが少なくて済むという場合もあり得るでありましょうし、また、特に回収についてはそうした点がより一層強くあらわれてくることも考えられるというふうに思っております。  OECDの議論の場でも、いわゆるシェアドレスポンシビリティーといいますか、役割分担を考えた上での対応という案もいろいろ検討されておるところでございます。私といたしましては、こうした政策コンセプトというものを適用するに当たりましては、廃棄物だけの視点ではなくて、一番最初の意見のときにも申し上げましたように、今後の環境問題に対する対処のあり方との共通性というものも十分私は認識しておかなくてはいけないのではなかろうかというふうに思っております。  廃棄物になって捨てればだれかが対応してくれるとか、事業者対応してくれるというような考え方、捨てるときに痛みを伴わないような考え方が根づいてしまったのでは、先ほどからもお話のあるような、もったいないとかあるいは物を大切に使うというような我々の美徳も失われてしまうのではないかというような気が一方でいたしております。  以上です。
  54. 吉井英勝

    ○吉井委員 それでは次に、篠木参考人に伺いたいと思います。  容リ法以降、確かにPETボトルの回収などが飛躍的に進んできたということはデータでも出ているわけですが、それに伴って全国各地で回収したPETボトルの野積みがこれまた問題になっておりまして、せんだっても川崎市の浮島処理センターに三メートルの高さに積まれたのが五十メートルにわたってのPETボトルの土手ができてしまったということも紹介されておりましたが、実は、私たちも各地方自治体、地域取り組みを見せていただいたりいろいろしていると、やはり回収して、古紙にしろPETにしても、そこでいっぱいになってしまうか、ではこれはリサイクルの工場ができたら全部解決するかといったら、確かにその部分がなくなる、しかし問題の場所が移ってしまって、今度はリサイクルチップなりあるいはリペレットなりの形で、その場合は野積みは少なくて倉庫の中かもしれませんが、いっぱいになってしまう。  だから、やはり優先使用とか需要の拡大というものに本格的に取り組むということと結びつけてやらなかったら、最初の野積みで問題を起こすかリサイクル工場を出た段階で倉庫がパンクしてしまうか、いずれにしてもなかなかこれは解決できない。そのところが自治体の皆さんも実は非常に悩んでいらっしゃるところじゃないかと思うのですが、この辺のところを少し詳しく伺いたいと思います。
  55. 篠木昭夫

    篠木参考人 昨年来、新聞紙上等をにぎわしておりますPET問題につきましては多くの方々に関心を持っていただいたところでございます。  実は、私ども、昨年の十月に全国三千二百の市町村の代表百人が集まりまして評議委員会を開催したときだったわけでございますが、その時点でPETボトルの収集量が当初の計画より大幅に伸びてしまうという状況が出てまいりまして、容器包装リサイクル協会、指定法人でございますが、指定法人の方から全量とても引き受けられませんという話が出てまいりまして、市町村側にとって大きな問題になったわけでございます。  これは、最大なのは、せっかく市民の方々が協力してくださって出してくれているものをやはりきちんとリサイクルに回さなければいけないだろうということと、それから、市町村は限られた施設の中でやっておりますのでストックヤードがない、したがって置き場所がないというので困ってしまうということで大きな問題になりました。  この問題については、やはり短期的な問題と長期的な問題が先生御指摘のとおりあるわけでございまして、短期的な問題としては、昨年の十二月時点で約五千トン程度超過してしまうという可能性があったわけでございますが、これを極力減らすために指定法人で可能な限り多く引き取ってほしいということをお願いしてまいりました。と同時に、各市町村では指定法人ルートを通さないで独自で再商品化事業者を探してお願いしようという取り組みをやってまいりました。両々相まちまして、少なくとも年度末には、五千トンという大きな数字じゃなくて恐らく千トン程度のオーダーにおさまったのではないかと思っておりますが、いずれにしても、そういった量を翌年度に繰り越してきていることは事実でございます。  生産量が大幅に伸びておりますので、それから参加する自治体もふえておりますので、恐らく収集量がふえていくことも間違いないだろうと見込んでおりまして、私どもとしては、現時点で新年度に向かってお願いしておりますことは、まず再商品化事業者処理能力を大きくふやしてほしいということで一つお願いをしてきております。  それから、PETボトルを再商品化する経費を利用する事業者負担をしていただくわけでございますが、その作業、どのくらい義務量が出てくるかという計算は関係四省庁でやっていただくわけでございますが、四省庁の方で既に計算した数字ではなくて、現時点で生産量を踏まえた見直しをやっていただいて、実態に対応した再商品化義務量を算定してくださいということの二つをお願いして、昨年の十月以降取り組んでまいりました。  ことしに入ってからだったと思いますが、PETボトルのリサイクル促進協議会という業界団体がございますが、そちらの方では、これからもPETボトルの収集量がふえるということが確実になってまいりましたので、新年度からは再商品化能力をふやしますということで設備を増強してくださいました。  国におかれましても、四省庁協議をして再商品化義務量の再算定をしようということで取り組んでくださっておりますので、十二年度においては一応市町村が野積みをしてしまうというようなことが避けられるのではないかというふうに今の時点では考えておりますけれども、我々が想像する以上に生産量が伸びておる関係、あるいは消費者のニーズが瓶や缶からPETに移っている、そういう消費者ニーズもございますので、恐らく我々が現時点で想定している以上に集まるかもわからないという危惧も持っておりますので、その対応についてはきめ細かくこれから対応していかなければいけないかなというふうに考えているところでございます。  もう一つの長期的な視点としては、PETがどういうふうにリサイクルされていくのかということにも問題がございます。  我々として最低限やっていただきたいことは、PET・ツー・PET、PETをさらにPETとして再利用していくというシステムをつくってほしいというふうに願っているわけでございますが、現時点での技術ではそれは非常に難しいというのが局面のようでございます。  ドイツ等では厚いPETボトルをつくってリターナブル化を進めているようでございますが、どうしても傷がつきやすいという問題もございまして、これはなかなか日本消費者には合わないのではないかという思いもございまして、そういった面でも難しいという感じがしてございます。  現状でPETボトルの用途を見ますと、例えば作業服とか私どもが使うワイシャツのような繊維として使うのが全体の約六割以上を占めてございまして、それ以外は卵を包装するパックとかそれから洗剤等の不透明なボトルあるいは植木鉢等々で使われておりまして、実はPETとして使われたものが廃棄された段階の使い道としてはPETとしては使えないという問題がございまして、残念ながら、繊維として使うといっても限界がございますので、将来にわたっての有効な再商品化手法にはなり得ないのだろうと思っております。  そういう意味で、消費者のニーズにこたえてPETボトルの使用量がふえていくならば、この再商品化の手法を開発していただいて、少なくともPETからPETに戻す、リサイクルしていくような仕組みをつくっていただかないと、早晩このPETの問題は行き詰まってしまうのではないか。  その際には、私ども、業界に対しましてPETの使用をやめてほしいということをお願いせざるを得なくなるのではないかということまで危惧しておるところでございますので、そういう意味では、消費者行政、業界、三者一体となってこの問題にどう取り組んでいったらいいのか、これから検討していく重大な課題ではないかというふうに受けとめているところでございます。
  56. 吉井英勝

    ○吉井委員 今の深刻な実情をよくお聞かせいただきまして、それで実際データを見ておりましても、回収量も確かに物すごくふえているのですね。だけれども、回収量のふえた以上に生産量がPETでふえているのですね。ですから、このやり方を続けておったのでは本当に、しっかり回収すればするほど野積みがふえる、センターの処理をふやせばふやすほどリペレットの形でふえていく、こういうところへ来ておりますから、今フラワーポットとかいろいろなお話ありましたけれども、ポリプロピレンその他のリサイクルの分野でも、一番簡単に考えるのがちり取りであったりフラワーポットみたいなものですから、同じものばかりやっておったのでは、この分野でも需要の面で解決できない、今そういう問題にぶつかっているのだろうと思います。  そこで、太田参考人に伺いたいのですが、家電リサイクル法議論いたしましたときに、ソニーとかNECとかトヨタでは、ドイツ循環経済法に見合う製品開発を既に進めていらっしゃって、大体見込みがついているということを伺いました。  そうすると、これらの企業は、もちろんかなり日本国内でもリサイクルの厳しい、リユースの厳しい基準値を設けて、数値目標を立てて、それに向かって努力をしていくということはかなり可能ではないかな。ドイツ向けで可能なわけですから、そういうふうに思うわけですが、日本の企業全体としても、いわばこのソニー、NEC、トヨタなどがトップランナーになって頑張っていかれるということが、ほかの企業もやはりもっとこの問題の解決に向かって努力する、そういう非常に強いインセンティブを与えることになるかと思いますが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
  57. 太田元

    太田参考人 まことに申しわけないのですが、私は経団連という組織におりますものですから、各企業あるいは各業界の詳しい事情は承知しておりません。  しかしながら、最近、会員企業の皆さんとお話をしていますと、やはりそれぞれの取り組みというのを、例えば環境報告書であるとかいろいろな形で情報発信をしております。また、トップランナーという言葉が出ましたが、これは省エネ法の中にそういう考え方がありますし、いざというときには伝家の宝刀で、トップランナーにおくれること何年たっても追いつけないというような場合には、最終的には市場から退場ということも場合によってはあり得るわけですから、こういう非常に緩やかな方向性を示した枠組みというのはかなり有効ではないか。  家電リサイクルについてはまだ端緒についたばかりでありますので、専らいろいろな仕組みが来年の施行に向けて行われているところでして、私どももその実情を細かく知っておりませんので、申しわけございませんが、以上で終わりたいと思います。
  58. 吉井英勝

    ○吉井委員 太田参考人にあわせて伺っておきたいのですが、今篠木参考人の方からもお話を伺いました。要するに、リペレットしたもののその先ですね、ここを経済界の皆さんとしてもどう実現していくかということが大事だと思うのです。そのときに、バージンペレットとリペレットあるいはバージンチップとリサイクルのチップの混合比率を、リサイクルのものをうんと高める、その目標を立てて進むということも一つの道ですし、同時に、製品アセスメントの段階で、最初から最終処分までを考えた技術開発によって、技術的にも、リサイクルのものを使ったって強度がちゃんともてばいいとか、安全とか衛生の面でもてばいいというものであれば、最初からそのことを考えたやり方にすると、例えばPETにしても、透明で始めてしまっているものですから何か薄汚れた感じだから評判が悪いように感じますが、しかし別に安全とか衛生の面で問題なければ、あるいは強度面で問題なければ、最初から透明でないものであったっておかしくないわけです。  その辺の製品アセスメントとか、あるいはリペレットなどの数値を高める、目標を持って取り組んでいくということが大事ではないかと思うのですが、この点についてのお考えというものを伺って、それで私の持ち時間が参りましたので終わりにしたいと思います。
  59. 太田元

    太田参考人 今の御指摘については、必ずしも一〇〇%私ども解答を持っていないというのが実態であります。  結局、供給サイドの話、つまり技術開発の面であるとかアセスの考え方、これは古いものをどこまで使うか、それも技術によってはかなりの安全度が高まるわけであります。ただ問題は、消費、需要側ですね。先ほども御指摘がありましたが、例えばドイツのように分厚いPETボトルで何度もリターナブルとして使うということが消費者にどうやって受け入れてもらえるか、こういうことがあると思います。ですから、これはまた先ほどの消費者の教育あるいは啓発、これをだれがどうやってやるかというような、その両輪を考えてやっていかなければならないのではないか。
  60. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。
  61. 中山成彬

    中山委員長 青山丘君。
  62. 青山丘

    ○青山(丘)委員 四人の参考人の皆様には本当に示唆に富んだ有意義なお話をいただきまして、私は十年、いやいや、数十年前のあの授業に出た、少しまじめで少しふまじめな生徒の心境になっておりました。本当に教えられるところがたくさんありまして、ありがたい気持ちで授業を聞いておりました。ぜひひとつこれからも、引き続き長く私は皆様方に御指導をいただきたいと思います。  循環型社会構築については大体国民の合意が大きく形成されてきておるような気がいたしますが、実は全く違う分野でいいますと、私は、社会がとかく人のせいにするというような、そして、人は悪いけれども自分は正しいかのような社会になってきておったあの風潮を、非常に残念なことだ、こんな風潮が社会にはびこってきたら決して創造的な社会になっていかない、むしろ社会は破壊的な社会になっていってしまうのではないかと憂慮しておりました。しかし、私は先ほど来お話を聞いていて、それが、この循環型社会構築については合意がだんだんできてきていて、非常によい方向に世の中が動いてきつつあるという感じを強く持ちました。  私自身は企業の売らんかなの戦略に非常に激しい反発を持ったときもありましたし、それに踊らされた消費者の立場でいたときに、自分の至らなさをやはり感じたこともありました。したがって、先ほどからのやりとりを聞いておりまして、たくさん、これから我々が創造的な社会をつくっていくときに考えなければならない点を幾つか教えていただいたことで、私はその意味で本当にありがたくお話を聞きました。  さてそこで、私は、生産者事業者使用済み製品処理リサイクルに重要な責任を負うという拡大生産者責任考え方について、各参考人の皆さんにこれからお尋ねをしていきたいと思います。  既に容器包装リサイクル法家電リサイクル法に見られますように、国と地方公共団体役割事業者消費者役割、いずれも分担をして役割を担っていくという点では明確化された分野があります。また、自動車についても、使用済み自動車対策が事業者の自主的な取り組みによって進められております。このように、業種業態特性を踏まえて実効性のあるシステム構築を目指すものについては、私は理解をしております。  ただ、一律的に、生産者事業者が引き取りから処理まですべての責任を負うべきであるとする考え方には、私は疑問があります。循環型社会構築に当たって、生産の段階流通、消費、廃棄の各段階における分野ごとの役割分担をきちっと担っていくことがこれから必要になってくる。その意味で、事業者消費者及び地方公共団体役割分担のもとで、最も望ましいシステム構築していくことが私は基本にあるのではないかとまず思います。  この点について、皆様に御質問を申し上げるときに、御所見がありましたら御意見をお聞かせいただきたいのでございますが、まず、永田参考人にお尋ねいたしたいと思います。  先ほど、分ければ資源、まぜればごみと、まことに名言を私は聞きまして、目からうろこが落ちる思いがいたしまして、まさに生徒の心境にさせていただきました。  そこで、産業界においては多くの産業分野で既に自主的な取り組みが進んでおりますが、今後循環型社会構築に向けて、一つは、産業界環境に配慮した構造に転換するための一層の取り組みが求められてくること、そして、新たな環境ビジネスの発展や展開にこれがつなげていくことができるのかどうか、つなげていく必要があると私は思いますが、その進め方について。  つまり、産業界循環型社会構築に果たすべきみずからの役割、それから新たな環境ビジネスのあり方についてどのようにお考えでしょうか、お聞かせいただけますか。
  63. 永田勝也

    永田参考人 まず初めに、先ほどの、分ければ資源、まぜればごみの話は、これはそれこそ松田さんの専売特許のようなもので、もう大分前からこういう言葉は存在しておりましたので、決して私の発明じゃないことをお断りしておきますが、済みません。  一つ、先ほどのお尋ねの中に、環境ビジネスの展開のことが主題だったかというふうに思っております。  実は、環境ビジネスに関しまして、私も、研究会、過去何回か出ていた経験がございまして、そのときに産業界の方がおっしゃられた話の中で印象的だったのは、数年前なんですが、環境でお金もうけをしていいのかという言い方をされた産業界の方がおられました。ある意味においてのこれまでの日本考え方あるいは日本人の考え方というのが、その辺のところにも集約されていたのかなというふうに思いますが。  我々、どちらかといいますと、環境ビジネスの展開、もう少し積極的にというふうに思っている人間からいたしますと、環境ビジネスの隆盛こそが、その社会環境をいかに大切に考えているかのあらわれであるという見方もできるわけでございまして、そうした視点で企業の方も環境問題の展開に取り組んでいただきたいというふうに思っております。  そうした意味からいいますと、ベースは市民環境意識の高まりであります。それが、例えば環境ビジネスとしての需要側の方への圧力として、例えば環境規制の強化とか、あるいは先ほども話題になりました拡大生産者責任の展開であるとか、あるいは企業経営の中への環境配慮視点の導入であるとか、また、今度は環境ビジネスを供給する側への支援措置といたしましては、一つはやはり今度の法案のように、将来どういう方向が重視されるのかというような目標、あるいは、できればその中にも数値目標的なものを入れていただく。そうなってきますと、ビジネスの方では、それを一つの指標にしながら、いつの時代までにどういうものを仕上げていけばいいのかというようなことが見えてくるということで、一つ重要な柱だというふうに思っています。  それから、役割分担それから費用負担の問題について、やはり明確な考え方を示すということも重要だというふうに思っています。  それから、環境関係のビジネスの中には、かなり長期的な流れの中でそれなりの収益が上げられるというようなものもございます。そうした意味では、そのようなビジネスに対応できるような契約形態とか取引の場というものをつくっていかなくてはいけないのではないかというふうに思っておるところでございます。  いずれにいたしましても、私自身の思っていますところは、リサイクルとかという名前のつくものは、これからはやはりできるだけビジネスとして仕上げていくという必要がありそうだ、当面はなかなか成立しないものでも、いずれやはりそういうものはビジネスの展開できる形に持っていく。こんなこと言うとなんですが、ボランタリーでやっていますということほど不安なものはありません。ビジネスになったときにみんな真剣に取り組み、またきちっとした健全な市場としても育っていく、そういうことになるのではなかろうかというふうに思っております。  以上です。
  64. 青山丘

    ○青山(丘)委員 ありがとうございます。私も、非常に今の御意見、強く感じるところがあります。  それから次に、松田参考人にお尋ねいたしますが、松田参考人は、例の二十年ぐらい前の川口方式に参加をされた方だそうでございまして、その後全国各地で相当な運動を進めてこられたようでして、また、世界の先進国の廃棄物政策についても勉強をなさったということで、先ほどお話を聞いておりまして、非常に健全な思考で、現実を肯定的にといいますか、前向きに理解しておられるということを私は強く感じまして、ぜひ松田参考人のような考え方を、まだ気がついておられない多くの消費者や、あるいは行政を担当しておられる方があるかもしれませんから、ひとつ広めていっていただきたいし、指導を進めていただきたいと思いました。  そこで、複合素材の分別や分別ごみの家庭内一時保管、実は私のうちにも今捨てられないのでたまっておるものがたくさんあります。私は最初は、女房、女は何でもためておくのかと思ったら、そうじゃないのですね、あれは。そう簡単に捨てられない。今、私は東京では独身生活ですから、毎日、これはビールの空き缶、こちらのかご、これはPETボトル、こちらのかご、書類や雑誌の古いのはこちらのかごということで、毎日やっていますよ。そういう立場からすると、家庭内の一時保管などの消費者負担も少なくないと考えます。  そこで、現在のごみの分別収集について消費者の方々が苦労されている点、行政へこういう点で要望したいという思い、これを、お気づきの点、お話しいただきたい点と、それから、現在、再生資源利用促進法において、スチール缶、アルミ缶、PETボトル、密閉形アルカリ電池について事業者に表示義務が課せられておりまして、今回の改正案によりますと、政令指定で、新たに紙製容器包装、プラスチック製容器包装についての表示義務が恐らく課せられることが考えられますが、分別収集に当たって、これらの品目以外に、なおまだ分別収集の円滑化のために表示が必要だと思っておられる製品はどんなものなんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  65. 松田美夜子

    ○松田参考人 御声援いただきまして、ありがとうございます。  まず最初の、消費者が苦労する点ということでございますけれども、私たちは、今は分けることが楽しいという気分です。分けておけば資源に戻っていくものですから、そういう社会システムに参加することが楽しいことであって、これは、習慣になってしまえば歯を磨くのと同じ生活習慣ですから、ほとんどの方が苦労するというふうに思っていないのではないでしょうか。むしろ、リサイクルされて資源に戻るから楽しい。むしろ、それでたくさん置き場がなくて困るというのであれば、発生抑制ということで、缶を瓶にかえるとか、缶ビールを瓶ビールにかえるという生活の工夫をすることの楽しさも出てくると思います。  行政に要望する点はどうかといいますと、これは、今回の法律でもかなり企業に対しては厳しい規制がかかってきますし、行政に対しても、分別収集の仕組みづくりということで厳しい点があるんですけれども、消費者に対しては理念規定だけで、協力しなさいというだけで、余り義務規定がありません。  つまり、ヨーロッパと日本と比べてどこが違うかといいますと、ヨーロッパでは、税の公平な負担ということで、ごみが有料制になっていますが、日本の場合は、ごみがただで、税金で処理されているので、たくさん出す人と出さない人との間に税金の不公平感がある。このところを行政がクリアしていくことが循環社会に向けての第一歩だと思います。  さらに、もう一つ行政にお願いする点は、缶、瓶、PETボトルなどのような分別の先行している容器リサイクル法についてはシステムがほとんど整いましたけれども、これから新たにスタートしていく紙製とそれからプラスチック容器についての参加率が少ない。これは、私は行政がもっと積極的に、せっかくできた仕組みに参加する義務があると思いますので、どんどん参加していただきたいと思います。また、参加すべきだと思います。  次に、分別収集啓発のために新たに事業者に表示義務ということは、紙とプラスチックについてのこれはわかるようになりましたので、もうこれでほとんど区分表示についてはわかりやすくなったと思いますから、一日も早くそれが企業の中に全部広がることを望むわけですけれども、さらに望むものがあるとしますと、この法律だとか循環社会基本法が指定しているマテリアルリサイクルに結びつくように、プラスチックの素材表示というのを、やはりこれは、市民が分けるという話じゃないんですが、分けた後の用途を広げるためには、マテリアルリサイクルをやるためには、プラスチックの表示をきちっとしていくことがこれからは大事だろうと思っております。  以上です。
  66. 青山丘

    ○青山(丘)委員 ありがとうございます。  先ほど松田参考人が方程式が解けていくような気がするとおっしゃられましたが、大体方程式が解けていくんですけれども、解けない方程式が時々出てきますから、これから社会が変わっていきますから、その段階にもまた対応できるような方程式もお互いにひとつ考えていきたいと思います。  それから、消費者は企業の応援団であるとおっしゃられた。本当にそうだと思いました。  もう時間がないようですので演説はやめまして、篠木参考人にも御質問をしたいと思っておりましたが、ごめんなさい。  最後に、太田参考人に一点だけ。  経団連では、既に、先ほどもお話がありましたように、二〇一〇年においては一九九〇年度比七五%削減、一九九六年度比七〇%削減を設定されておられまして、自主的かつ積極的な取り組みを進めてこられることを私は評価しております。  本年一月に発表されました「循環型社会の課題と産業界役割」という提言において、こうした産業界として引き続き取り組むべき課題を再確認するとともに、政府、消費者にも役割分担を求めていると承知しておりますが、どのようなお考え方で政府や消費者に対してその役割をきちっとそれぞれの立場で担ってもらいたいという気持ちも、みずからの役割はこうして示していただいておりますが、消費者に対しても、政府に対しても、今どうお考えでしょうか、お聞かせいただけますか。
  67. 太田元

    太田参考人 ありがとうございます。  まず、消費者につきましては、先ほど松田参考人からも御指摘がございましたが、廃棄物処理コスト負担していただくということをぜひ地方行政まで実現をしていただく、これが一番わかりやすいのではないか。つまり、今まではどうしても、直接支払っておりませんので、ごみはただ、ごみ処理コストを十分自覚をしない、あるいはリサイクルすると非常に有効であるということが十分理解されてこなかったのではないか。それが消費者に対する期待でもありますし、行政、政治に対する期待でもあります。  それからもう一つは、先ほども申し上げましたが、循環型社会をつくっていく際に、どうしても避けて通れないリサイクル施設、中間処理施設、最終処分施設、これは一般に迷惑施設でありますが、これを、先ほども何度か御指摘がございましたが、中央政府、地方政府のイニシアチブ、あるいは政治のイニシアチブで、国民の理解を得ながら、適宜みずから施設を運営をする、あるいは民間と協力して運営をする、あるいは民間、PFIということがありますが、そういったものを活用して、実際に必要な施設ができるように何とかお力をお願いしたい。  以上でございます。
  68. 青山丘

    ○青山(丘)委員 お話を聞いていて、私も同感な点が本当にありまして、ぜひ、生産者も、消費者も、それから行政も、苦労を喜びとしていって、創造的な循環型社会を築き上げていきたいと思います。ありがとうございました。
  69. 中山成彬

    中山委員長 塩田晋君。
  70. 塩田晋

    ○塩田委員 私は兵庫県第十区選出の自由党の塩田晋でございます。  本日は、参考人の皆さん方におかれまして、ここで貴重な御意見を賜りましたことを心から厚く御礼を申し上げます。  ただいま議題となっております再生資源利用促進に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆるリサイクル法案でございます。これは、法律案が通りますと、資源の有効な利用促進に関する法律となるわけでございますが、この法律案は、循環経済社会構築のため、事業者による製品回収リサイクルの実施などリサイクル対策を強化するとともに、製品の省資源化、長寿命化等による廃棄物発生抑制、いわゆるリデュース対策や、回収した製品からの部品等の再使用、いわゆるリユース対策などを新たに講じるための法律案でございまして、我々としては全面的に賛成するものでございます。  そこで、永田太田参考人にお伺いいたします。  循環型社会実現のための考え方に二つあると思います。一つは、先ほども言われましたように、拡大生産者責任中心に考えていくという考え方であります。確かに、市町村が一般廃棄物処理責任を全面的に負う今の体制というものには限界があると考えられます。一方で、何でもかんでも事業者責任を負わせてよいのか、こういう考え方があるわけでございます。いわゆる排出責任を考えるべきだ。ポイ捨てのあるような現象、これを責任者として生産者まで負わせるのはどうかというような考え方で、この二つの考え方をどのように評価しておられますか、お二人の参考人にお伺いいたします。
  71. 永田勝也

    永田参考人 拡大生産者責任の問題につきましては、先ほどもお話を申し上げたところではございますが、基本的には、物によって、特に例えば動脈サイドでの生産の体系とか流通の体系、それから静脈サイドでの処理の実態、こういうものをきちっと踏まえた上で、どういうシステムを適用していったらいいのだろうかということを考えておかなくちゃいけないのだろうというふうに思っております。  若干主題からずれるかもしれませんが、例えば拡大生産者責任という考え方で、日本で二つこれまで実現された法律、よく例示されるのが、先ほどの容器包装リサイクル法家電リサイクル法ですが、容器包装リサイクル法の方は、費用徴収という問題に関しましては、基本的に三十四条で価格上乗せという形で取られているわけでございます。一方、家電リサイクル法は、排出時点での徴収ということになっております。こうした一つ製品の特徴から申し上げれば、耐久消費財的なものと、いわゆるフローで流れているような消耗品的なもの、こうしたものの費用徴収の問題というのは考え方が変わってくるわけでございます。  この費用徴収の問題も、ある意味においては拡大生産者責任の中の主要な論点の一つでございますが、今申し上げたように、製品の特徴をとらえながらこうしたシステムをうまく適用していくことが、リサイクル促進、あるいは、ひいては循環型社会へ向かう流れを強力に推し進める上で重要かというふうに思っております。  以上です。
  72. 太田元

    太田参考人 先生の御指摘のとおり、やはり市町村が使用済み製品をすべて処理するということは非常に難しい、コストもかかるということから、生産者に一部責任を負わせるということで世の中は動いていると思います。かといって、全面的に生産者責任を負わせるというのも、これも無理がある。  そもそも拡大生産者責任というのは、私どもの理解では、フィンランドの白物家電が、あの小さな市場で独占的に供給していた業者が、長年事実上売った製品回収して処理していたということ、そういう事実といいますか、そういうケースがございまして、それをOECDの場で、極端に言いますとやみくもに、ほかの製品でもできるのではないかという考えに立っているのではないか。  ただ、フィンランドにおいても、それではほかの製品についても同じことが行われているかというと、そういうことではございませんで、拡大生産者責任というのは、いろいろな形で消費者行政生産者役割を分担していく、いわばシェアド・レスポンシビリティーと言ってよろしいと思いますが、そういう考え方処理していくということが、これからの流れではないかというふうに思います。  それから、コストですけれども、最終的には、回収コストであろうが処理コストであろうが、これは消費者負担をするということでありますが、やはりどの時点でそのコストを支払っていくかということになりますと、その点においても排出時点で消費者が何らかのコスト負担をしていくということを、先ほど一般廃棄物ごみ処理代を取るというのが一つ消費者に対する信号として有益ではないかと申し上げましたが、この拡大生産者責任においても排出時点で何らかのコスト負担をしていただくというのは、もちろん消費者の理解がどの程度進むかにもよりますが、妥当なところではないかと考えております。
  73. 塩田晋

    ○塩田委員 続きまして、松田参考人にお伺いいたします。  循環型社会の実現には、事業者取り組みが重要であるということはもちろんでございますが、それと並んで重要なのが、やはり消費者の行動であると思います。リサイクルは、消費者が分別排出するということ、またリサイクル品を購入していくということ、また環境に配慮している会社の製品を優先購入する、こういったことが必要ではないかと思います。いずれにいたしましても、消費者の果たす役割は大きいのではないかと思います。  そこで、二点お伺いいたします。  消費者のこのような意識を高めるというためにはどういうことをやればいいか、これが第一点でございます。第二点は、これに関連いたしまして、デポジット制度というものについてどのように考えておられますか、お伺いいたします。
  74. 松田美夜子

    ○松田参考人 まず最初の御質問に対する私の考えですけれども、今は、意識の高い方たちの活動と、先ほど御指摘ありました無関心層との間のギャップが広がっておりますので、すそ野を広げるようにする仕組みが大事だと思います。そのすそ野を広げる仕組みとして、ドイツやヨーロッパの環境先進国のことを見ていきますと、自治体の行っていく、公共機関の行う役割も大きくなってきます。つまり、公共機関が、グリーン調達といって、環境にいいものを使っていく。きょうもここに、使い捨て容器じゃなくてコップがありますけれども、もしこの席に使い捨て容器があったら、私は何て言おうかしらと思ったぐらいでして、このように国会の場で使い捨て容器を使わない、こういうことが一番大事だと思います。公共機関でもお手本を示す。  次に、二番の御質問に対する私の考えですが、デポジット制度というのは、今出てきた法律については次のときに考えるとして、これからデポジット制度で有効なものは何かといいますと、自主回収システムにデポジット制度は適用できると思います。その中でも、個人が、大きいものはなかなかルール違反をして捨てるということはできませんが、小さなニカド電池などは、デポジット制度に一番適応したものではないかと思います。それは、どういうふうに達成できるかといいますと、まずは高い回収目標を省令の中で決めて、その高い目標のためには、消費者が持っていけばお金が戻ってくるという仕組みが一番有効だと思います。  以上です。
  75. 塩田晋

    ○塩田委員 次に、篠木参考人にお伺いいたします。三問お伺いします。  一つは、現在の環境基本法がございますね。そして、このリサイクル法、その上に、今環境委員会で審議されております循環型社会形成推進基本法、これも基本法ですね。二本の基本法があるわけでございまして、そして今、本案のリサイクル法がございます。そしてまた、廃掃法だとか食品リサイクル法だとか建設リサイクル法だとか、そういった個別法があるわけですね。言うならば四階建てになっているわけです。こういった立て方についてどうお考えかということが第一点です。  まとめて申し上げます。  第二点は、そういった各省法律がどんどんできることは非常にいいことであるとは思いますけれども、それの実施主体また責任主体、これがもうどんどんと行政、市町村に行ってしまって、実際末端では大変なことではないかと思うわけです。市町村、行政のみならず、町内会だとか、そういった行政組織でないところまで協力を求めて、こなしていかなければならない。こういった状況についてどのようにお考えか、お伺いします。これが第二点です。  第三点は、ちょっと後にしましょう。まず、この二点についてお伺いします。
  76. 篠木昭夫

    篠木参考人 第一の質問にお答えいたします。  環境基本法を初めとして新たな基本法ができるんではないか等々のお話でございますが、環境基本法と循環型社会形成基本法とは基盤がちょっと違っているんではないかと思います。環境基本法は、どちらかというと、環境に対する影響をできるだけ少なくするという視点中心として組み立てられておりますし、その法律に基づいた環境基本計画の中にも廃棄物対策は入っておりますけれども、排出基準なり環境基準をいかに守るかという視点中心になっていたと思います。それに対して、今度の循環型社会基本法の方におきましては、そういった社会システムを変えていく一つ基本的な進め方を規定した法律ということでございますので、両者が矛盾することはないだろうというふうに思っております。  私は、廃棄物対策というのは、住民と事業者行政が一体となって体系的に取り組んで初めてうまくいく事業分野であろうというふうに思っております。そういう分野であるにもかかわらず、これまで廃棄物問題についての全体的な基本法、全体をカバーする基本法は、そういう意味環境基本法しかなかったというふうに言っていいんではないかと思っているわけでございまして、これまではいわゆる廃掃法に頼り過ぎていた部分があるんではないかという印象を持っておりました。そういう中で今回の基本法が出てきておりまして、これまでの適正処理、処分ということにウエートを置かれていた考え方循環型社会形成に持っていこうという大きな枠組みの変化でございますので、これはどうしてもやはり基本法は必要だろうというふうに思いますので、そういう意味で、この基本法が今回国会に提案されたということについては、大変評価をしていいんではないかというふうに思っております。  それから、今回の一連の法律の中で、建設廃棄物それから食品廃棄物を受け持ってくださっているわけでございますが、これはいずれも事業系廃棄物ということで、これまでも市町村には一部参りましたけれども、これからは、特に大口発生者を中心としてみずから事業責任でやっていこうという取り組みでございますので、そういう意味では、市町村の作業が減ることはあってもふえることはまずないだろう、事業者がきちんと責任を果たしていただくという意味で、内容的にも非常に実現可能性の高いシステムだろうと思いますので、私は、これらの法律が成立することによって、それですべて解決するとはとても申し上げられませんけれども、大きな第一歩を、解決のための第一歩を踏み出すことができるんではないかというふうに受けとめているところでございます。
  77. 塩田晋

    ○塩田委員 私が申し上げましたのは、環境基本法と循環型社会形成推進基本法と矛盾しているということを申し上げておるわけでないんです。同じような理念とか方針というか、そういったものを両方の基本法は定めているわけですね。矛盾はしていないけれども、一本化はできないかなということは思いますけれども、私は、この法案についても賛成しておる立場でございます。四階建てで、しわ寄せと言うとあれですが、すべての責任が市町村、行政にかかることについて、大変じゃなかろうかという観点から申し上げたわけでございます。  最後の第三点でございますが、先ほど参考人意見の中に、使用製品の修理体制の整備ということを言われました。私は、これは非常に結構な御意見だと拝聴したわけでございます。  確かに、使い捨てといいますか、ちょっと壊れるとすぐ捨てて新品を買いかえるという、そういった風潮があります。これは確かに社会的にはコスト、むだであると思いますし、ちょっと直せばいいものをという観点から、これは必要なことだと思うんですね。  そのためには、やはり一つは、故障を簡単に発見できるような、また取りかえが簡単なような、製品設計の段階から考えないといけない問題だと思います。  それから、いずれにしましても、修繕費のコストが高い、これはもう手が出ない、面倒だからすぐ新品を買っちまおう、こうなるので、コストの問題もあると思いますね。  それから、第三点は、そういった修繕できるところが身近にあるということが大事なんですね。東京と大阪まで全国から出かけていかないとそういう修繕ができないというようなことでは困りますからね。非常に複雑化して高度化した技術の中では、そういうなかなかできない分野もあろうかと思いますが、やはりそういった身近で手軽に修繕に持っていけるというような体制、これが必要だと思うんですね。  先ほども、高齢者対策としてもというか、労働力の活用、技能、技術の活用ということを言われましたけれども、私は、一つは、全国に今大変普及して喜ばれておりますものにシルバー人材センターというのがありますね。もう各市町村にほとんどあります。こういったところで、そういった各般に、製品が多様にわたっているでしょうから難しいとは思いますけれども、研修、訓練をして、そういった修繕に応じられるように体制をつくるということも一つの考えではないかと思うんですが、この点に関しましていかがお考えか、お伺いいたします。
  78. 篠木昭夫

    篠木参考人 お話しのとおりだと思います。  現在も、市町村、恐らく人口規模でいいますと二十万人以上の自治体になるんじゃないかと思いますが、リサイクルセンターというのをつくっておりまして、家庭から排出される廃棄物として出てきたものでまだ使えるものにつきましては、修理をして展示をしておきまして、使いたい人には無償で差し上げるというようなことをやっておりまして、それが大体月に一回ないし二カ月に一回程度、オープンで希望をとってやるわけでございますが、非常に高い評価を得ておりまして、ある意味では、リサイクルセンターをベースにして廃棄物として出てきた品物が回っているということが現実に行われております。  それから、自転車等については、やはり高齢者、シルバー人材センター等からの御協力をいただきまして、修理をして再利用できるように消費者の方に戻しておりますし、また、海外に提供している例等々も、自治体では取り組んでいるところでございます。  そういう意味で、比較的高度の技術を必要としないものについては既にやっているわけでございますが、残念ながら、テレビ等々のようにかなり技術レベルが高くなってまいりますのと、それから複雑化してきているシステムだとなかなかそういうことはできないという部分がございますので、それを機能ごとにユニット化した部品の構成でつくっていけば、ある部分の故障の部分というのは見つけ出し得るのだろうと思いますし、その部分だけかえればまた使えるということもあり得るのではないかと思います。  そういう意味で、修理ということを視点に置いた物づくり、そういったこともこれからやっていただければ、やはりリサイクルセンターで扱う商品も広がっていくのではないかという気がしておりますので、そういう意味で、この機会にそういった分野の拡充をお願いしたいと思った次第でございます。
  79. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。
  80. 中山成彬

    中山委員長 北沢清功君。     〔委員長退席、小林(興)委員長代理着席〕
  81. 北沢清功

    ○北沢委員 社会民主党・市民連合の北沢でございます。  きょうは、先生方、大変御苦労さまでございました。私は、率直に感想を申し上げて、ありがとうございましたという文句を実は加えたいと思うわけであります。  というのは、いわゆる二十一世紀は、社会経済システムが今までと逆な、大量消費、大量生産ということから大きく変わるわけでありますし、加えて、先ほど永田先生からも御指摘のございましたように、熱を中心としたいわゆる地球温暖化の環境問題というのが、いろいろの政治課題がございますが、我々の生存にとって大変な、重大なかかわりを持ってくるということでございます。  したがって、四人の先生方からそれぞれ御意見は私ども教えていただいたわけでありますから、改めて、まとめて、一番大事なものは何かということの御感想をいただきたいわけでありますが、最後に時間がございましたらお述べをいただきたいというふうに思います。  それで、私は、やはり基本ごみを出さないことであるということに尽きると思います。その目標、例えば生産者責任拡大責任問題がこの論議の中でしばしば出てまいりました。この認識も、私は生産者責任というものはもっと単純に解釈していたのですが、やはり太田先生のお話にもございますように、いわゆるドイツ循環型社会の問題、それから廃棄物法は参考になる我々の目標であると思います。  私も、ここ四、五年の間、政務次官をしていた関係でヨーロッパへ行った経験がございまして、私、その中で、四、五年前にウィーンの街角で、鋳造した、色分けをした立派な分類の容器が街角の至るところにありました。当時、私は長野県の田舎なのですが、分類もなしに山のように野積みをされていたわけでありますから、帰ってきて、当時小泉厚生大臣に、わざわざ厚生省に行きまして、日本経済大国であるならば、小さな国でさえもそういう取り組みをしているのだから、大いに学ぶべきであると。そのことが、厚生省も分類回収には積極的に取り組んで、今は日本的には定着をしつつあるわけであります。  それと同時に、篠木参考人にもお尋ねしたいのですが、いわゆるPETボトルに代表されるような、あの当時私が質問したときは、その解決策はなかった。いわゆるごみの山になるんじゃないか、ボトルの山になるんじゃないか。そういう費用分担が、いわゆる生産者責任は包装の分野にあって、いわゆるPETボトルは利便性がありますから、相当大量に生産されて、その後の対策というものが技術的にも、それからもう一つは、それを回収してどのように処理するかということにおいても非常に難関がございまして、最近は若干改善されておりますけれども、そういう意味での技術対策を含めて自治体の負担というものが非常に多いのです。そのことを、あらゆる分野で、自治体の分野のリサイクル問題については、身近な問題ですから負担が大きくなっていく。ですから、そうそう安心できるような私は自治体の負担ではないという感想を実は持っております。  そこら辺を含めて実態と、それをどういうふうに国、消費者生産者解決をしていくかという問題も大事であります。しかし、自治体が手を抜くことは、これはまさに身近なごみの山、または事業ができない状況になるわけでありますが、そこら辺についての実態についてお尋ねをいたしたいと思います。  それから、松田先生には、NPOも含めて取り組んでおるわけでございますが、一般の消費者の感覚というものは、意識の高い人、低い人、むしろ低い人の方が大多数を占めております。国会の論議ももっと活発になったり、そういう論議が活発になればなるほど国民に理解をされるわけでありますから、そういう意味での、参加型といいますか、そういう論議をもっと身近で深めるようにするにはどうしたらいいかということ。その必要が多くあるのではないかというふうに私は感じますから、そこら辺を含めて現状認識をいただきたいと思っております。  それから、太田参考人には、私は、産業界取り組みが非常に積極的であり、先ほど聞きまして感心をいたしました。私どもの地元でも、産業廃棄物処理しようとしても、反対があってできないのです。先ほど、一般廃棄物産業廃棄物が一緒に処理できるような、今のダイオキシンも含めて処理能力というのは、もう小型では解決できないのです。大型でないとダイオキシンまでいかないし、もちろん、今言った産廃処理等も含めて大変なことでありますから、そういう中における国の奨励施策、地方の奨励施策、そこら辺について、ただいま非常に参考になるお話を聞いた。  それから、やはり商品のリサイクルは、後までずっとかかわる、永続されていくわけでありますから、そういう面での生産者責任というものをある程度積極的にしないとこの問題は前へ進まぬじゃないか、そういうふうに私は感想を持っておりますが、そこら辺を含めて、その面での取り組みについて御示唆をいただきたいというふうに思っております。  逆になりまして申しわけございませんが、永田先生からは、貴重な御意見をいただいたわけでありますが、一つだけ、先ほど分類ごみと混合ごみと一緒にした方が非常に有効な処理ができはしないかという、ちょっとそういう、私の聞き違いかもしれませんが、そこら辺のことは私もまだ知識がないわけですから、お教えをいただけたらというふうに思っております。  以上、幾つかの問題がございますが、一括して御質問を申し上げて御回答をいただきたいと思っております。以上です。
  82. 篠木昭夫

    篠木参考人 ただいまPETボトルの例から経費負担の問題について言及をいただいたかと思います。御案内のとおり、PETボトルにつきましては、システムができ上がりまして、収集運搬は基本的に市町村が行って最終処分を事業者責任でやっていただくという、経費負担も含めて一定の役割分担ができ上がって、現在取り組んでいるところでございます。  そういう意味では、収集運搬経費が市町村にかかってくるという意味では市町村の負担は大きいわけでございますが、これまでの処理から比べれば、少なくともリサイクルがきちんと回っていくような方向で検討されておりますので、現時点ではある程度の費用負担を含めて取り組むのは市町村としてはやむを得ないと思いますし、今後の課題を含みつつも、何とかPETボトルのうまいリサイクル構築していかなければいけないかなというふうに思っているところでございます。  一般論で申し上げますと、市町村の負担する経費の中には、収集運搬する経費と中間処理する経費、最終処分という経費があるわけでございます。大体どのぐらいの経費がかかっているかという点で申し上げますと、市町村によってかなりばらつきがございますが、少ないところで全体の経費でトン当たり一万五千円、高いところで六万円ぐらい、六万円というのは東京都の例でございますが、トン当たりの処理経費が六万円かかっているという実態がございます。そのうち約六割強が収集運搬経費でございまして、残りの三割強が収集それから清掃工場等の設備費も含めた経費ということになっておりまして、収集運搬のコストが非常に高いということが一つのネックであったわけでございます。  そういった中で、今まで一度に集めていたものを品目別に分けていくということになりますと、それだけ手間暇がかかっていくわけでございますので、経費増という問題が出てくるわけでございますので、市町村にとっては、リサイクルは大変いいことではあるわけでございますが、経費の点でかなり大きな課題も抱えているという問題がございます。  最近、市町村で取り組む大きな課題の一つが、最近はコスト問題を真剣に考えようというところまで状況は変わってまいりまして、コストをどう考え、リサイクルコストをどうとらえていかに低減化していくかということを最近考えるようになってきております。  当面の対策としては、例えば、東京都の例で大変恐縮でございますが、一般の家庭ごみを週三回集めておりましたけれども、それを二回にして、そのうち残りの一回を資源ごみに回すことによって、収集回数なり職員なり機材の増加を抑えようという取り組みをすることによってコストを削減する努力をやってまいりました。それから、できるだけ細かい分別を市民の方にお願いすることによって、収集コストをできるだけ市民の協力で減らしていこうという取り組みもあちこちで行われております。  そういう、いかに経費を節約するかという視点での工夫をこれから自治体は責任を持ってやっていかなければいけないのだろうと思いますし、そのかかる実態についても情報公開をして、市民の理解を得る努力をこれからしていかなければいけないのではないかというふうに考えているところでございます。     〔小林(興)委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 松田美夜子

    ○松田参考人 容器リサイクル法のことでまだまだ課題が残っているということはよく言われますけれども、私は、容器リサイクル法のいい点をきちっと押さえておきたいと思います。  それは、この法律によって分別の仕組みが全国に行き渡りましたので、市町村の格差がなくなりまして、一億二千五百万人の人たちが、瓶と缶とPETボトルと紙、新聞紙などについては分ける仕組みが整いまして、月に何度かは分け始めました。これは、一億二千万の方たちが、体験学習の中で、なぜごみになるのか、どうすればごみが減らせるのかを考え始めるいい環境学習になっています。そのことで国民がだんだん育っていっておりますので、現実、今はまだ整わない部分もございますが、バターが溶けるように循環型社会に向けて日本の方たちは動いていくと私は思います。そのときに、今回御審議いただいているこの法律がそれを前取りする形で方向づけをしていってくださることを心から願っています。
  84. 太田元

    太田参考人 一廃と産廃を一緒に効率よく処理できないかということについて御賛同をいただきましてありがとうございます。これは、これから大きな課題だろうと思っております。  日本は今まで、公衆衛生の観点から、一廃を自治体で扱ってきたという歴史がありますので、そう簡単なことではないと思いますが、長い将来のことも考えて、ぜひとも循環型社会を一歩でも二歩でも進める一つの大きなてことしてお考えをいただきたいと思います。  それから、使用済み製品リサイクルについて、生産者が大きな責任を有しているのではないか、この点についてはまさにおっしゃるとおりでございます。これから、恐らく長期にわたって、使用済みの段階も含めて、全体として製品のライフサイクルを通じて環境への負荷が小さく、なおかつ処理コスト、運搬コスト等が最も小さく、なおかつ消費者のニーズに的確にこたえる製品を提供できる企業が生き残っていくのだということ、これも事実でございますので、おっしゃることを受けとめて、企業としても取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございました。
  85. 永田勝也

    永田参考人 お尋ねの件なんですけれども、基本的には、きっと私の知っている範囲内ですと機械的なリサイクルシステムということになるのかと思いますけれども、従来、手選別等でやっていたものを機械的な選別に置きかえながら、高効率な、またコスト削減も図るという方策もないわけじゃございません。日本でも技術開発が非常に進んでおりますので、これからそういう意味では何をリサイクルするのか、どういう分別をするのかによって集め方というのも考えていく必要があるんだろうというふうに思っております。  以上です。
  86. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、今度この法案ができても、これから具体的に省令だとかまたは内容そのものも相当改善をして、やはり二十一世紀に対する経済社会というものができるような努力が必要だろうと思います。  それで、先ほど永田先生からは、環境問題が今までは企業なりの負担になるという表現、表現ではないようですが、そのことが即成り立つといいますか、環境問題が大きな、企業として今までの産業のあり方が変わるべき時代である。  昨晩、実は私は、NHKの、本田技研の排気ガスを十分の一にするという取り組みを見ておりまして、企業そのものも、会社に仕えるということから社会に仕えるというふうに、研究者五百人で当たったわけですが、そういうものに変わって、社長そのものも大変驚いた、そういう放送がございました。  どうか、そういう意味で、リサイクル法については今後もっと論議を深めて、もっと問題点を、次から次へと出るわけでありますから、そこら辺を含めて、我々国会もそうですし、政官財、消費者、そういうものにする必要があるんではないかということを、先生方の御好意にこたえて、私どもの決意として申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  87. 中山成彬

    中山委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  参考人の皆様には、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  88. 中山成彬

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出再生資源利用促進に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として、小林守君の質疑の際に通商産業省環境立地局長中島一郎君及び環境庁水質保全局長遠藤保雄君、吉井英勝君の質疑の際に通商産業省から環境立地局長中島一郎君、基礎産業局長岡本巖君、機械情報産業局長太田信一郎君、機械情報産業局次長林良造君、環境庁水質保全局長遠藤保雄君、厚生省生活衛生局水道環境部長岡澤和好君及び建設省道路局長大石久和君、青山丘君の質疑の際に通商産業省環境立地局長中島一郎君、北沢清功君の質疑の際に通商産業省から環境立地局長中島一郎君及び基礎産業局長岡本巖君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 中山成彬

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  90. 中山成彬

    中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。樽床伸二君。
  91. 樽床伸二

    樽床委員 民主党の樽床でございます。民主党を代表いたしまして、本改正案につきまして質問をさせていただきます。  これまでいろいろな委員の先生方の質疑も行われてまいりました。若干、質問内容がオーバーラップするかもわかりませんが、極力そのようなことは避けながら質問をさせていただきたい、このようにも思っております。大臣、また政務次官の皆様方におかれましては、何とぞよろしくお願いを申し上げる次第であります。  まず基本的な、ざくっと大まかな点からお聞きをしたいわけでありますが、本改正案の提出理由は、言うまでもなく、大量生産、大量消費、大量廃棄、このように、戦後、我が国が重厚長大型で発展途上の段階、もっと言いますと、敗戦のあの廃墟の中から復興、そして発展、ただいちずに駆け上がってきた時代のシステムからの決別をうたう、こういう側面も一面あろうかと思っております。  よく私、当委員会でも申し上げるわけでありますが、発展途上の段階から全体の底上げを図っていくときに当たりましては、底上げを図るということが最も重要でありますから、少々の、個々のいろいろな皆さん方の思いとかそういうことよりも、全体の底上げが優先せざるを得ない。こういうことも、ある意味で言うと、その時代の要請ではなかったのか。  また、多くの国民の皆様方も、同じような認識の中で、いろいろなことをつべこべ言うよりも、まずは国家としての安定、そして経済の全体としての発展を図ってほしい、こういう多くの皆さん方の要望、また思いがあったことも事実であります。まさにそういうような国家国民の要請に従って、我が国は非常にうまく戦後の発展を行ってきた、このように思うわけであります。  しかし、この発展途上の段階、つまり、右肩上がりが終わって久しくなるわけでありますが、この右肩上がりが終わって、これがどういう表現をしていいのか、水平飛行というのか成熟段階というのか、いろいろ言い方はあろうかと思いますが、私は、今、間違いなく我が国は成熟段階に入っているという認識を持っております。  過去を振り返りまして、そんなのはわかっているとおっしゃるようなことを申し上げるかもわかりませんが、ずっと一本調子で、右肩上がりで来たということは、要は、その右肩上がりであったということそのものが発展途上であったということであります。  成熟段階というのは、常にきのうよりもあすがいい、きのうよりもきょうの方がいい、きょうよりもあすがいい、必ずそうなっているというのは発展途上の段階の現象でありまして、成熟段階に至っては、きょうはきのうよりちょっと悪いかもしれない、しかしあすはきょうよりもちょっとよくなるかもしれない、こういう波がありながら、ある安定したところの線で波を上下しながらやっていく、こういうことが大変重要な時代になったのではないかというふうな認識を持っているわけであります。  こういう成熟段階といいますか、右肩上がりの時代が終わった段階で、今回、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄型のシステムを変えよう。これは、当然、たくさんの廃棄物が出てまいりまして、環境に対する配慮、もろもろ資源の限界等々からの要請でもあります。  しかし、私は、そういう差し迫った、ごみをこれ以上ほうるところがもう限界だとか、いろいろな現象から出てきたわけでありますが、時代認識からいくと、一つの時代が終わって次なる時代の、ある側面の非常に典型的な側面からのお話が、今回のこのような法案基本的な中心にあるのではないかというふうに認識をいたしております。  そういう観点からいきますと、このような時代認識と、過去の我が国の経済のためにとってきた政策というものの整合性も当然考えなければならないというふうに思うわけでありまして、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済システムの中では右肩上がりを前提としておりますから、当然、税収が上がるわけでありますから、国の出せる補助金もたくさんある。  そして、公共事業も、まだまだ整備せねばいかぬところがたくさんあるので、少々のむだがあっても、税収がたくさんあるから、とにかく、もうたくさん振り分けなさい、こういうこととほとんど平仄を一にしておるわけでありますが、今回、片一方の時代が変わった、循環型社会に行くということからいくと、そのような大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済システムの一面として国が管理をしたこれまでの、従来型の経済政策というものがある。  片一方の一面が変わろうとしているわけでありまして、そのための法案でありますから、そうすると、裏側の、これまでの経済政策というものとの整合性が果たしてとれるのか。少し抽象的な意見になっておるかもわかりませんが、こういう観点を私は非常にベースのところで感じているわけでありまして、そういった点からまいりまして、これまで過去に我が国の経済の発展に寄与してきた経済政策、そのベースと今回の法案が目指すべき方向性との整合性というものは、どのようにお考えでございましょうか。
  92. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 樽床委員の御指摘のように、戦後から、つまり丸裸の状態から今日まで、日本は順調に発展をいたしてまいりました。それは、まさに右肩上がりの経済の発展でございました。ただ、バブルを境といたしまして経済が全く低迷をしてまいりまして、大きな変化があったように見えますけれども、私たちは、二十一世紀に対する経済のありようというのは持続的な発展を目指すということであっていいのではないかと思うのです。極端な右肩上がりというわけにはまいりませんけれども、いろいろな角度から手だてを講じていくことによって、要するに、持続的な経済発展を続けていく、そういう二十一世紀にしていきたいというふうに考えているわけでありまして、ある意味で、経済が低迷し、あるいは場合によっては鈍化してきた場合には、むしろこういう法律は要らないではないかといったような議論も起こりやすいのですが、そのこととは別に、やはり今日の段階でも既に大量生産、大量消費、大量廃棄ということで廃棄最終処分場も全く逼迫してきているし、それから、このままでいきますと鉱物資源も将来的には枯渇してしまう。だから、ここで新たな循環型の社会を築いていかないと持続的な経済成長には結びついていかない、そういうような背景を考えてのこのたびの法案でございます。  また、持続的な経済成長と私申し上げたのでありますが、今回のこういう循環型社会ということを考えて、企業、事業者あるいは国民、地方自治体、さらに国が協力する過程の中で、当然のことでございますけれども、環境対応ということを企業は考えていかなければなりません。そういうことになりますと、新たな投資の促進にもつながってまいるわけであります。また、環境型のさまざまな製品を生み出していこうという新たなる競争が強化されていくという面もございますし、環境コンサルティングといったような環境サービス産業なども創出されていくわけでございますので、そういうような意味で考えれば、持続的な経済成長という面から考えましてもプラスの成果を生んでいくという形になっていくのではないか、そんな認識を持っています。
  93. 樽床伸二

    樽床委員 今の大臣のお答え、私もそれはそれでよく理解ができるわけでありますけれども、特に後段で、環境対応にするとそこに要は新しいビジネスチャンスが生まれるのだ、こういうお話であったのだろうと思います。  そういう点でいきますと、私は、そこからちょっと大臣のお言葉を受け取って質問することになるわけでありますが、今回のこういう形、大きな意味リサイクルというものを進めていくために、今おっしゃったように、そういう方向にいくと新しい産業の芽、新しい商品というものが当然民間の活力の中で生まれてくる、また、生まれてきやすいような状況をつくらなければならぬというふうに思うわけなんです。  そういう観点からいくと、今回の法案が、成立するのかどうかまだわかりませんけれども、成立をしたといたしますと、そういう民間の企業に対して、新しい設備投資等々に対するどのようなインセンティブを与えていこう、ただ法律で決めたからという、いろいろまた政令で決めるとかいろいろなことはあろうかと思いますが、どのように民間にそのような分野に対するインセンティブを与えていこうとされておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  94. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 今申し上げたように、企業が新たな循環型社会構築していくに当たっていろいろな工夫をしていかなければなりません。その工夫をする場合には、今申しましたように、地方自治体との協力関係あるいは一般国民との協力関係、そして政府や行政の協力関係ということをきちっと保っていくということが大前提でございます。そして、企業がさまざまな環境産業を新たにまた起こしていこうという場合に、いろいろな国や地域、その他の支援を行うことによってやりやすい環境をつくっていく、また、こういうふうに持っていったら消費者は大いに歓迎してくれるのではないかといったような、そういう目安を示していくということなどがインセンティブということにもなっていくのではないかと思います。  これからこの法案を通しまして、具体的な姿が次々に見えてくるに当たって、通産省は、そういう角度からも企業者の循環型社会に向けての生産や企業努力に対する応援というものをしっかりやっていく必要があるのではないかというふうに思います。
  95. 樽床伸二

    樽床委員 大前提のお話をいただいたわけでありますが、その場合、新規のそういう新しい分野が生まれてくる。そこに積極的に参入をして、新しい発想でビジネスを開拓していこうという意欲のある方、これが俗にベンチャースピリットというのかもわかりませんが、ただ単にIT関係のベンチャー企業ではなくて、こういう面においてもどんどんベンチャー企業が生まれてくるべきであろうというふうに私は考えているわけであります。  そういうときに、今非常に抽象的な、大方針的なお話をされましたけれども、民間の人が、そういうベンチャースピリットのある人というのは、ややもすれば行政の存在が邪魔になりがちな感覚を持つ方もおられるわけであります。  よく我々いろいろな方と話をしておりますと、こういうことをやりたいのに政府が許してくれないとか、自治体がそれは困ると言ったとか、そういう話があちこちに散見されるわけでありまして、これがある種の規制の緩和ということであろうと思いますけれども、こういう問題でいくと、どこまで規制を緩めて民間の人がやりやすくするのか。それが、こういう分野においては社会的規制の問題と絡んでくる。経済的規制と社会的規制が非常にオーバーラップしやすい分野でもあるのかもしれないなという気がいたしております。特に、産廃とか考えますとそういう点が多々感じられるわけでありますが、そこら辺のことについて、規制緩和的な話についてはどのようにお考えでございましょうか。
  96. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 今申し上げたような新たな産業をそれぞれ生み出していく、それは、おっしゃるとおり、ベンチャー企業の育成にもつながってまいります。既に中小企業基本法を改正して、多面的な政策、行政の展開を始めているわけでありますが、そういう中でのベンチャー企業の育成に関しては、税制のあり方あるいは金融面での応援の仕方、いろいろそろえているわけでございまして、ベンチャー企業が前進していくための環境というのはかなり整備されてきていると思います。  ただ、一方においては、ただいま委員が御指摘のように、さまざまな規制でやりづらいという意見もあるようでございますが、いずれにしても、これからは規制緩和の時代でありますから、そういうものをできるだけはぎ取って、自由濶達に新たな産業がベンチャー企業として伸びていくような、そういう体制をつくっていくということは非常に大事なことだと私も思います。  また、今度の法律を通させていただいて、まずこの循環型社会構築に向けての制度面の整備をしていくわけでありますが、同時に我々は、当然でありますが、予算とか税制とか財政投融資による支援措置などを含めた積極的な応援体制をしいていくということで具体的なインセンティブを示していくということになってくると思います。
  97. 樽床伸二

    樽床委員 事前にそこまでは通告をしていなかったわけでありますが、ちょっと今ふと頭をよぎりましたので、お許しをいただいて質問をしたいと思うわけであります。  今国会で、当委員会で、産業技術法案のときにいろいろ私も質疑をさせていただきました。要するに、こういう技術の発達、技術進歩ということも、やはりこの分野にも多大なる関係があるであろうというふうに、今、遅きに失したかもわかりませんが、頭をよぎったわけであります。当然、こういう循環型社会にしていくには、どんどん技術が発達すればするほどその効果が高まるのは当たり前の話でありまして、こういう分野における技術の開発についてどのようにお考えでありましょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  98. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 リサイクルあるいは環境社会をつくり出していく上のいろいろな技術の改革、革新ということは、おっしゃるとおり、まことに重要でございます。技術力強化の法律をつくらせていただいたのも、これらの観点に立ってであります。  特に、これから伸びていく新しい産業あるいは伸びていく可能性のある分野というのは、一つは情報革命と言われる分野、二つはやはり高齢化等を含めた福祉厚生関係、医療関係、もう一つ環境でございます。  これらの技術を開発していくということで積極的に政府が応援していこうということでありますが、平成十二年度は約七十五億円という予算措置を計上いたしまして、リサイクル関連技術開発に寄与していただこうというふうに思っているわけであります。  あるいは、リデュースリユースリサイクル対策をこういうことによって促進させていくわけでありまして、まさに技術力強化というさきに皆さんの御理解をいただいてつくった法律は、いわば循環型社会構築する場合の技術革新を全面的にバックアップできる、そういう条件になっていくというふうに考えております。
  99. 樽床伸二

    樽床委員 そういうことでありますと、特に今回の法案リサイクルを進めていくに当たりましては、確かに行政役割も重要でありますが、民間のそれぞれの業者、業者といいますか事業者といいますか、やはりそういった方々が意欲を持って、こういう社会の実現に向けてそれぞれの方が努力をしていただかないと、かけ声倒れに終わってしまうわけでありますから、当然、民間企業の、さきの法案は、大体、国立大学とか、そういう公に関するところに対する重点的なことがどうしても感じられたわけであります。それを私もあのときの質問で申し上げた記憶があるわけでありますが、あれはあれでもう一応成立をしたわけでありますから、それをどうのこうのと申し上げるつもりはありませんけれども、よりよいものにさらにしていくという観点からすると、こういうようなことを一つ一つの分野で、見れば見るほど、民間の技術力をどう高めていくのかという点が大変重要になってくるだろう。そういう発想をさきに成立をした法案にさらにつけ加えていくというようなこともぜひともお願いをしたい、このように思っております。  感想がありましたら、よろしくお願いします。
  100. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 おっしゃるとおりでございます。やはり今の経済の動向を考えても、官需を中心に何とか景気回復をしようとしているわけですが、本格的な景気回復は、それが民間の力にバトンタッチするということでようやく確定づけられるものであります。  同じようなことで、技術革新と申し上げても、産官学の一体化とか、あるいは学者が研究した成果の事業化に当たっては役員兼業できるとか、いろいろな角度からやりますが、それは、ことごとくと言っていいくらいに民間の力を最終的には伸ばしていくという目標でなければならぬというふうに思います。  とりわけ、独自の発想と創造力あるいは活力あるような事業を展開しようという場合には、中小企業の果たせる位置というのはあるわけでありまして、さきの委員の御指摘のベンチャー企業も含めて、むしろ、こういうような分野で中小企業が新たな事業展開をしていく、そのためにさきの技術力強化の法律などが下敷きとして生かされていく、そういう時代をつくっていくことが大事だというふうに考えます。
  101. 樽床伸二

    樽床委員 ぜひそのような観点から、大臣も未来永劫、そのお立場にあると限っておるわけでもありませんし、いつ解散・総選挙があるのかわかりませんが、巷間言われているようなことでありますと、その後もまた大臣をしていただけるのであるならば、我々はそういう状況がないように頑張らないかぬということで、現在、我が党は頑張っておるわけでありますが。  そういうようなことで、当然、次の後任者の方に今大臣がおっしゃったような思いをきっちりと伝えていただいて、その路線を、深谷大臣はそのように考えておられると言っていたけれども、次の人になったら方向が変わっちゃったとか、それは何か雲散霧消してしまったというようなことがないように、ぜひとも強力な引き継ぎをお願いしたい。特に、現内閣の中でも中枢におられる深谷大臣でありますから、そのあたりはぜひとも強くお願いを申し上げておきたいと思います。  今、ばくっと全体的な質問をさせていただきましたが、次に、昨今、御婦人方のいろいろ意識の中でも、環境とかごみという問題は非常に敏感に考えておられる方が大変ふえてまいりました。そういうものを受けて、企業の方も、やはり環境に配慮をしている企業ですよということをその企業のイメージとして打ち出していく企業もふえたわけであります。  それはそれで、今回のこの法案の趣旨にのっとってはいい方向だろうと思いますが、ただ、要するに、そういうイメージが定着をしつつあるわけでありますが、それから次に実態にそれが合っていかないかぬ、このように思うわけなんです。  これはいい循環をつくればいいわけでありまして、企業の方も、そのように環境に配慮したという企業イメージをつくりたい、こう思って、そういう取材を頼る。そういうことを今度は、国民の皆さんといいますか消費者というかでありますが、それがしっかり受けとめて、それを実際に消費者も協力する。協力したものを今度はまた事業者が受けて、ここで口だけで実際やっていなかったら、これはそこで循環がとまってしまうわけでありますが、そこで企業もしっかり受けとめてまたやれば、いい循環ができて、どんどん転がっていきまして、いい方向へいい方向へ向かっていく。  これがどこかでぷつっと途切れてしまうと、その場で立ち往生してしまうわけでありますから、そのように考えると、事業者に対して、いろいろなものの回収義務とか、こちらの方からお願いをしてやってもらう。消費者の方も、ばくっとしては、ごみ環境というのは大事やな、そういうのを大事にする企業がいいなと思っておられますけれども、今回のこういう法案ができて、それをきっちり企業がやる。そのためには、消費者みずからもいろいろなことで協力をしてもらわないかぬ。  そのためには、今回の法案の内容また方向性というものをきっちり広報していかなければいけませんし、国民の皆様方に理解をしてもらわなければならない。また、いろいろなことの回収協力へのきちっとしたインセンティブも、押しつけじゃなくて与えていくような方策も考えていかなければならない。このように思うわけでありますが、そこら辺につきましてどのようにお考えでございましょうか。
  102. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 事業者消費者とのかかわりで、お互いにこの循環型社会構築していくんだという気構えと実践がうまくつながっていくことによって、循環型社会というのが生まれてくるわけでありますが、その中にもう一つ地域の関連というものが大分重要になってくると思いますね。特に、廃棄物処理なんかは地方自治体がやっていくわけでありますから。  そこで、我が国全体として、循環経済社会構築するためには、事業者、地方自治体、それから消費者、このかかわりがうまくつながっていくということがとても大事だというふうに思うわけであります。  事業者が、地元の市町村との連携のもとに、消費者などから使用済み製品回収してリサイクルすることを規定しているといったようなことなどが本法律案の中にもありますけれども、これらはそれらのかかわりを一層きちっとしていかなければならないということの意思としてのあらわれであろうというふうに思います。  また同時に、樽床委員の御指摘のように、やはり国民全体が理解して協力するという体制がなければなりませんので、通産省といたしましては、リサイクル推進月間、これはもう前から始めておりますけれども、これをさらに積極的に国民に参加を呼びかけて、国民の皆さんがリサイクルあるいは循環型社会に対する認識と理解と協力をしていただくということが大前提でございまして、そういうようなことも一層強化していきたいと思います。  それから、何よりも教育の現場の中で、子供たちの時代からきちっと循環型社会をつくっていく必要性というのを教えていかなければなりません。既に、通産省の職員を小学校に派遣して、そういうような教育現場で協力をするとか、副読本などを用いた授業も実施しています。  ありとあらゆる状況、シンポジウムの開催、その他もろもろ、大いにひとつ力を入れて国民の理解を一層図っていきたいというふうに思います。
  103. 樽床伸二

    樽床委員 今の大臣のお答えの中で、ちょっともう一つお答えに対して突っ込んでお聞きしたいのですけれども、教育現場というお答えがございました。確かに、教育現場というのは大変重要でありまして、個人的なことで恐縮でありますが、私にも小学校に通う子供が二人おりまして、見ていると、牛乳パックの回収とかそういうことに非常に理解があるのですね。それは学校で教えられているんだろうと思うし、学校の先生が持ってきなさいとかそういうことを常々言っているんだろうと思いますね。  そうすると、全く変な色に染まっていない心の中に、一番最初にリサイクルといいますか、別にそんな難しい話じゃないのですね、ただ、使ったものは、これはまた使えるから家から持ってきなさいよと。非常に単純にわかりやすい表現の中で子供の心の中にしみ込んでいくというのは、子供のそういう言動を見ていてもなるほどなというふうに昨今思っているわけであります。  今、通産省として、各学校の教育現場に出張っていっていろいろやっておられるというような御趣旨の発言がございましたが、もしよろしければ、もう少し具体的にお聞かせいただけたらなと思うわけでありますが、急な質問で申しわけないのですが、いかがでしょうか。
  104. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 こういうパンフレットなどかなり全国に出しております。また、学校には、今私が申し上げたのは、北海道の小学校の現場に通産省の職員が行って子供たちに直接教えたという例などがあります。しかし、これはもっと本格的に、積極的にやっていかなければならぬというふうに考えます。
  105. 樽床伸二

    樽床委員 ちょっと突然の質問で申しわけなかったと思いますが、とにかく、ちょうど私もそういう小さな子供がおるというのは、非常に日々の暮らしの中で感じるものですから、その重要性というのは大変大きいなというふうに、改めて大臣のお話を聞いても思ったわけなんですね。特に、お母さん方というのは子供たちの意識の変化には非常に敏感でありますし、子供がそういう方向に向かっていっているのに、母親が、そんなことをせぬでもええ、そんなことを言うはずないわけでありますから、そうすると、どんどん社会の中にそういう芽といいますか、そういう空気が広がっていく、このように考えます。  ですから、下手に心がいろいろな色に染まってしまってはなかなか考えも改めることができない、そして、我々小さいころは、余り物をむだに使ってはいかぬ、こういうことを教えられてきたわけでありますが、そういう風潮が昨今若干なくなりつつある。最近はまた復活したのかもわかりませんが、そういう、浪費が善であるみたいな風潮がいっときあったわけでありまして、そういうことに染まっている人たちよりも、これからの子供たちに、そのような思いをしっかりと理解するように、これは、単に学校の教育現場であるから文部省に任せるということではなくて、通産省でもやっておられるということでありますから、さらに鋭意努力をしていただきたいとお願いを申し上げる次第であります。  また、地方自治体ということを大臣の方からお話がございました。私も、確かに、今回の循環型社会をつくり上げていくに当たっては、中央政府がただ単に音頭をとるだけではこれは絶対無理です。私自身は元来地方分権論者でありまして、非常に極端な言い方をすると、私は、日本型連邦国家みたいな方向に大きく変わっていった方がいいという個人的な意識は常に持っているわけでありますが、その前提は、我々の日々の暮らしに関係する施策は、基本的に自治体、一番近い自治体でやるのが一番いい、それが一番効果が高いというふうに私は実は思っているからであります。  それは、私は今大阪に住んでおりますが、大阪と大臣がお住まいの東京と、同じ下町というのでは似ているかもわかりませんが、東京と大阪で恐らく地域事情も違うでしょう。また、政務次官の島根県と私の住んでいる大阪とはかなり様相が異なります。私も島根県で生まれましたから、昔を思い出すと、全然環境が違うなというのはよくわかるわけでありまして、そういった観点からすると、やはり今回の施策は、自治体がしっかりしなければ絶対に効果は上がらないというふうに実は思っているわけであります。  そういう点につきまして、先ほどちょっと大臣の方から、国、地方自治体、住民、事業者、こういうお話がありましたけれども、もう少し地方自治体をきちっと理解をしていただいて、施策を推進していただくための方策というものをお考えでありましたら、よろしくお願いいたします。
  106. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 これからの時代というのは、やはり地方に重きを置いた時代、言いかえれば地方分権の時代だと思います。私もかつて自治大臣を務めて、その推進に当たった一人として、委員のお考えとは全く同感でございます。地方にできる限り地域の皆様の求める地方政治を構築していくということは非常に大事なことだと思います。  特に、こういうリサイクル関係でいきますと、やはり最終的な処分施設等は地方自治体がやっておるわけでありますから、そことの関連の中で、環境型、循環型の社会構築という点で、事業者消費者と一体となって事を進めていくということは、より有効であるし、大事なことだというふうに考えています。  例えば、具体的な話で申し上げるとエコタウン事業などがございますけれども、これは、環境と調和した町づくりを目指して地方自治体と地元の事業者が協力して取り組むリサイクル事業、こういうものに対して補助金をお出しする、こういう施策も実際に行っているわけでありますが、今後とも通産省としては、こういうリサイクルに携わる地域事業者地方公共団体及び消費者等による適切なパートナーシップが図られるように、いろいろな角度から、それは制度の上で、税制の上で、予算の上で手だてをしていって、結果的にはその目的が達せられるようにしていくことが大事だと考えます。
  107. 樽床伸二

    樽床委員 補助金というお話がございましたが、エコタウン事業、これも大変結構なことであろうとは思いますが、どうも、これはどこがどうのこうのというわけじゃありませんが、大体予算が国会で審議をされております二月、三月ぐらいになりますと、車に乗っておりましても、道路があちこち掘り返されておるという現象に今なお我々車に乗るとぶつかるわけであります。これはもうここで説明する必要もなく、多くの国民の方は、なぜそのような事業が二月、三月にたくさん集中しているのかということは、もうよくよく御存じなわけであります。それは予算を消化するためであるということは、もう皆さんおわかりであるわけであります。  こういうような観点から、施策は、それはそれでいいんだけれども、そういうことを推進するベースといたしまして、せっかくいい事業をしても、これまでと同じ発想で、行政はややもすれば予算を余らすと来年またその予算が削られる、そういうことで、とにかくきちんと予算を消化しよう、こういう発想が働きがちである。  国、都道府県、市町村というのも、確かに地方分権が大きく進みつつあるとはいうものの、まだまだ縦割り的な発想が非常に強くありまして、そういう中で、地元自治体から都道府県、都道府県から国、こういう話をしていく過程の中で、例えば末端の市町村が、新しい技術ができた、これを導入するといいものが安くできる、こういうことに取り組もう、こうすると、どこかの中間段階のところが、余りそんな安いものにしなはんな、せっかくこれだけ予算がついてんねんからという形で、逆にそのものが回っていくのを遮ってしまうというようなことが、事実はどうかわかりません、事実を確認しないでこういう場で申し上げるのもなんなんですが、ちょろちょろと我々の耳に、こんなことで言うてはんねんということが耳に届いてくるわけなんですね。それを一々糾弾してやっていこうという体質に私はありませんから、それでけしからぬとかいうてそうされる方もおられますが、私はちょっと性格的に謙虚なものですから、なかなかそういうことはしないわけでありますが。  しかし、システムとして、そういうことはやはりあっちゃならぬと思うんですね。安くいいものができるのであるならば、当初、例えばあるものを一つするための補助金を出す、それで結局自治体、地元が一生懸命、事業者の方、また国民の方の協力を得て、よりよいものが安くできる。だったら、もうちょっとその予算の中で、本来一つできるんだけれども、そうやったら、二つ、三つその予算の中でできるんだったらやってくださいよという形でやっていくと、同じ予算でもどんどんそれがよくなっていくわけでありまして、確かに技術の発達というのは継続的にいくわけでありますけれども、予算というのは年度ごとでいくわけであります。年度の途中に新しい技術とか新しい取り組みが生まれて、三月、四月の初めに予算を決めちゃったから、六月、七月に新しいものができても、それはもう来年まで待ってくれ、こういうことじゃ話にならぬわけであります。  特にエコタウン事業についてどうのこうのということじゃないわけでありますが、これから行政改革が大事である、こういう一番ベースのところで限りある財源を有効に使っていく、そういうことについて、特に先ほど冒頭申し上げましたように、内閣の中で枢要な立場におられる深谷大臣とされましては、政府のあり方として、そういうようなことについてはどのようにお考えで、そして、当然指導していただけるとするならば強力に指導をしていただきたい、このように思っておりますが、いかがでしょうか。
  108. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 今委員が御指摘なさるような話というのは巷間よく聞かれる話でありますが、私は、各省庁とも予定された事業についてのむだのない、しかも効果的な使い方をしているものと信じておりますし、また常にそのような指導を行って、税金というものが間違いなくその目的にきちっときれいに使われていくようにしていかなければならないというふうに考えます。  一番大事なことは、いろいろな事業を行う場合に、これは国民の血税であるという大前提をまずきっちり認識すること、当然のことでありますけれども。それで、お金があるから何かをしようというのじゃなくて、何かをするためにこのお金が必要だという発想をきちっとしていくということが、政治、政府、行政の立場の者としての当然の判断、持っていなきゃならない倫理だろうというふうに思っておりまして、そういう意味では、しばしばうわさになるようなことのないように、各大臣が自分の役割を存分に果たしていくことがとても大事だろうというふうに思います。  そういう意味では、通産省に関しましても、例えば決算のときに指摘されたような問題というのを二度と再び起こさないようにというので、省内でも職員の皆さんが全力を挙げて努力をしているというのが現状でございます。  エコタウンの事業に関しての問題と今のお話は直接かかわりがあるわけではありませんが、エコタウンの事業にいたしましても、平成十二年度は十五億三千万円、十一年度は五十億二千万円という予算を用意しているわけでありますから、お話のように、予算があるから使わなければならないというよりも、何にどういうことが必要だからこの予算をどう活用するかという観点に立って、例えば今おっしゃったように、一つの場所が半分ずつで二つできるなら、それはより効率的なことかもしれませんから、そういうことをきちっと踏まえて対応していくように指導していきたいというふうに考えます。
  109. 樽床伸二

    樽床委員 巷間言われるようなことについてはないと信じておる、こういう大臣のお話でありまして、当然我々、そういうようなことをないと信じなければならないと思います。  しかし、これはすべて人がする世の中でありますから、ややもすれば、そういうことが逸脱しがちなときも当然あるわけであります。これは行政だけではなくて、民間の企業においても同じでありますし、またそれぞれの家庭の中においても同じであるのかもわかりません。  そういう観点からいくと、ないということを信じていくという大前提のもとで、しかし権力というものは必ず腐敗するという、ここのところで歴史の必然があるわけでありまして、行政もある種の権力というものをやはり持っているわけであります。いや、それは行政に権力はないとおっしゃるのかもわからないけれども、しかし、権力というのは、ばくっとした意味で、何か権力というのはすべて悪いもののようにとらえられがちでありますが、私はそうではないと思っております。  先ほど、行政、企業、家庭、こういうふうに言いましたけれども、家庭の中にも親としての権力はあるわけです、父親としての権力がある。最近はそれがちょっと弱くなっているのかもわかりませんが、家内の方に権力がとられつつあるわけでありますけれども、そんなことは横に置いておきまして、会社においても、社長は社長なりの権力を持つ、部長は部長の権力を持つ。それをきちっとうまく活用することによって会社も発展をし、家もよくなり、それでいくわけであります。  それが、行政が持つ権力というのは、公の権力としては大変重要なものであります。しかし、先ほど言いましたように、ついつい我々は、ちょっと気を緩むと権力は腐敗するという、この必然に直面せざるを得ない事態が必ず来るわけであります。そういうものが、この戦後のずっと長い発展の中で、一つの硬直化したのではないかと言われている行政、また政治も同じであります。  私は、政治家だけがそこから離れているとは言っていないわけでありまして、政治家も当然その中にどぼっといるわけでありますが、そういう観点からいくと、信用しているのは当然でありますが、信用しながらも、大臣または政務次官、そして我々政治家というものは、そういう方向に逸脱しないようにするのが我々の役目であろう、このように思っているわけでありまして、先ほど大臣がおっしゃいましたような趣旨をしっかりと、通産省の中だけに限らず、政府の中に全体に広く浸透させていただきたい。  先ほどから何度も申し上げておりますように、万一総理に何らかのことがあった場合に、それを引き継ぐ順位としては大変高いところに位置されておられる通産大臣でありますから、そのあたりのことは政府全体としてしっかりとよろしくお願いを申し上げたいと考えております。  さらに、少し技術的なことになりますが、今回の法案が成立をするという前提でいきますと、目標値としてかつていろいろ決めた中で、リサイクル、減量化、最終処分、この目標値というものを定めておられるわけでありますが、これを実際実現可能なものであるとお考えなのか。さらには、馬力を入れてやるんだったら、この程度の率のアップでいいんですかということも思うわけであります。  そのあたりのことを、例えばリサイクル率が平成二十二年には四八%を目指す、こういうことでありますが、平成八年では四二%までリサイクルしている、こういうことであります。六%のアップですね。これだけ大々的に循環型社会を目指す、こうやっていて、六%しかアップしない。これがどうしても限界とお考えになるのか、もっといかなければいかぬと思っておられるのか、また、その実現性はいかん。よろしくお願いを申し上げます。
  110. 細田博之

    細田政務次官 昨年九月に、ダイオキシン対策関係閣僚会議におきまして、二〇一〇年度を目標年度とする廃棄物の減量化の目標量を決定しておりまして、ただいま樽床委員がおっしゃいました数字を含めまして、一般廃棄物リサイクル率を一〇%から二四%へ、産業廃棄物リサイクル率を四二%から四八%に向上させると言っておるわけでございますけれども、本法案によります廃棄物の減量化効果につきましては、今後、政令において具体的にいかなる製品業種を対象に指定するのかにもよるわけでございます。私ども通産省を含めた政府としては、できるだけ関連する方々も説得をしながら、その範囲を広げていきたいと思っているわけです。  ところが、もちろん生きた経済でございますので、消費物資がそれぞれの個性を持たなきゃいけない。個性を持つためには、何でもかんでも監督されて、統一規格化しろと言ってもなかなか難しい面がある。  これはビール瓶の例でも申し上げましたけれども、一種類にすればいい、日本酒の瓶も一種類にしろと言ってもなかなかそう現実がいかないという部分がありますから、そういったことも含めまして、できるだけ実現可能なものを中心にということで、今、紙製、プラスチック製容器包装、自動車、家電、あるいは鉄鋼業や紙パルプ製造業に係る産業廃棄物といったような主要なところから片づけていくということでございますので、樽床委員御指摘のもっと上げろというようなことについては、さらに改善を図って、これには消費者の、あるいは一般家庭の方や産業界の皆さんの協力が必要でございますが、できるだけ上げてまいりたいという気持ちでおります。
  111. 樽床伸二

    樽床委員 ぜひとも大幅アップを図るように、よろしくお願いを申し上げたいと考えております。  時間がもうそろそろやってきそうでありますが、最後に、これも少し具体的な、技術的なことになるかもわかりませんが、さまざまなリデュースリユースの目的のために業種や、特に商品とか製品の指定をしていく、こういうことでありますが、確かに、我々が聞いておりますのは、自動車とかパソコンとか、いろいろそういう形で、などなどという、対象として想定される例としてお聞きをいたしておるわけであります。  これもかつて御質問が当委員会で出たかもわかりませんけれども、そういうばくっとしたことはそうなのかなとは思いますが、そこら辺の決定の過程においてどういう裁量範囲が働くのか私らよくわかりませんし、つくられる側からすると反論があるのかもわかりませんが、その反論について、どのような過程で決定をしていくのか、どこまで、どういうものまで決めていくのかよく私らもわかりません。当然、情報公開してもらわないといかぬわけでありますが、そこら辺のことについて、その決定過程、よくおわかりのパソコンだったら、ローマ字、アルファベットがあって、数字があって、何とか2000とかいろいろありますけれども、そういうところまで指定するとは当然思われないというのが現実的だろうと思いますが、その決定過程についてどのようにお考えでございましょうか。
  112. 細田博之

    細田政務次官 平成十一年七月に、産業構造審議会で循環経済ビジョンを審議していただきまして、そこでも、排出される量が多いこと、それから市町村が処理に困っていること、有用な資源を大量に含んでいること、こういった三点に着目いたしまして、優先的、重点的に実施して、また徐々に広げていく、こういう考え方でございます。  今後、政令によりまして具体的な対象製品や対象業種を指定する際には、産業構造審議会などのオープンな場を活用いたしまして、関係業界、学識経験者、消費者などの関係者の方々の御意見などを伺いながら検討していきたいと思っておりますし、原案を作成した段階では、これを公開しまして、広く意見を求めるパブリックコメントを実施していく所存であります。  そういう幅広い意見を徴しませんと、消費者側からは、余り画一的にやらないでほしいという人もありますし、逆に、つくる者や売る者からすると、そんなものが売れるか、これじゃ経済が縮小するじゃないかというような話もありますので、ちょうどいいところを求めながらいくというのが、来年から経済産業省になって推進するときに、適当な方々から御意見を伺いながら最も妥当な線で実現するにはちょうどいいことではないかと思っております。
  113. 樽床伸二

    樽床委員 私の質問時間が参りましたので、これで質問は終了させていただきますが、余り厳しい質問をしなかったように反省をいたしておるところでありますが、ともかくこういう時代の変化であります。また、こういうときにこういう循環型社会をつくっていくという取り組み、それはそれで時代の中で時の流れに沿った方向であろう、私はこのようには思います。  しかし、最後にもう一つ申し上げておきたいことは、今国会でも、この基本法に関連する法案が、各省庁、いろいろなところからいろいろな法案が出てきておりまして、この商工委員会でもこの循環型社会についての法案が今審議されておる、建設委員会でもされておる、厚生委員会でもある、いろいろ出ているわけですね。そうすると、ややもすれば、いやいや、それは厚生省に言ってくれとか、それは通産省に言ってくれとか、そういうことになると全体の整合性がとれないということになりますから、私の個人的な見解でいくと、このような循環型社会についての……
  114. 中山成彬

    中山委員長 樽床委員、もう時間が過ぎていますから、そろそろやめてください。
  115. 樽床伸二

    樽床委員 我が党の中で調整すればいいでしょう。
  116. 中山成彬

    中山委員長 では、そうしてください。どうぞ。
  117. 樽床伸二

    樽床委員 私は、通産省がもっとほかの関係する省庁の中でも特に主導権を持ってやっていかなければならないことではないかというふうに考えております。そういうような認識を強くお持ちいただきたい、このようにお願いを申し上げる次第でございます。  ですから、通産省としては、いやいや、それは通産省以外の省庁がどうのこうの、こういうことではなくて、すべてを全部引き連れていくぐらいの決意でこの社会方向に向けての御努力をいただきたい、このように最後にお願いを申し上げまして、私の質問を終了いたします。
  118. 中山成彬

  119. 山本譲司

    山本(譲)委員 民主党の山本でございます。  早速質疑に入らせていただきたいと思います。  今国会で提出をされました循環型社会形成推進基本法案とあわせまして、この再生資源利用促進法改正案、さらには廃棄物処理法の改正案、そして建設廃材リサイクル法案、食品廃棄物リサイクル法案など、関連します個別法案の改正と新設案の提案、こういうことは従来の使い捨て社会が限界に達したということを如実に示していることだと思います。  それと同時に、やはりこれだけ法律を出して、それぞれの法律が単に訓示的と申しましょうか精神的な意味しか持たないというものであれば、人間活動と環境とを調和させて、そして持続的な成長を保障する循環型社会構築という基本法の趣旨は、結局、絵そらごとに終わってしまうのではないかと思います。  それだけに、再生資源利用促進法改正案は、従来の大量生産、大量消費、大量廃棄システムから、回収、分解、分別、再利用、生産といった逆工程に着目をされたわけでございまして、こうしたシステムへの抜本的改革をやるいわば切り札として期待をされるわけでございますが、従来の施策の限界というものもやはり一方で十分に検討しなくてはならないと思います。それが今回の法案に反映をされて、実効性を持っていくということが、これが大事だと思います。  そこで、まず最初に伺いたいと思いますが、平成三年に施行されました従来のリサイクル法によりまして、確かに、家電製品などを中心に、リサイクルしやすい製品設計でありますとか、古紙の利用促進といった一定の効果はあったということは認め、また評価をしたいと思いますが、通産省の資料にもあるとおり、我が国の廃棄物の発生量が約四トン以上、そしてそれに対して最終処分地の残余年数が、一般廃棄物でいいますと八・八年、産業廃棄物でいいますと一・六年という、これは危機的な状況だと思います。そんなに悠長に構えていられるような状況ではないと思います。これまでの法律が果たして有効に機能してきたのか、どうも抜本的なごみ問題の解決にはつながっていないのではないか、そんな思いもするわけでございます。  そこで、まず大臣に伺いたいと思いますが、この間のリサイクル法の施行によってどのような効果があったのか、そしてどの辺が不足していたのか、そんな点をどう総括されているのか、まず伺いたいと思います。
  120. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 お話しのように、リサイクル法は平成三年にできたものでございます。そのリサイクル推進にはかなりの成果が上がったと私どもは思います。  具体的に申し上げます。  まず家庭や事務所から一般に排出される廃棄物、この法律はまず容器包装について、分別のための表示の義務というのを行っているわけでありますが、このうちのスチール缶、アルミ缶のリサイクル率は、法を施行する前の、つまり平成二年、約四割でありましたのが、平成十年には七割から八割程度まで大幅に上昇してまいりました。また、ガラス瓶について、製造業者に、ガラスくず、カレットでありますけれども、の利用を義務づけていますけれども、このガラスくずの利用率は、平成二年、施行前の四八%から七四%まで上昇している。自動車とか家電製品などについても、これまで二十一品目について、リサイクルが容易な設計、製造等を義務づけて、それぞれ成果を上げております。  工場等から排出される産業廃棄物についてはリサイクルを義務づけておりますが、鉄鋼業は、鉄鋼スラグのリサイクル率は平成三年で九六%から、平成十年で九八%、これはほぼ、これ以上は望めないという限界にまで達しているのではないか。また電気業は、石炭灰のリサイクル率が平成三年では四五%、十年では六七%に向上しているわけでございまして、そういう意味では、この法律が平成三年にできて今日まで、リサイクルに関して大きな成果を上げてきたというふうに思います。  ただ、これから考えていかなければなりませんのは、リデュースとかリユースとかそういう面にまでこれは広げていきませんと、どちらにしても最終的な処理、処分する状態ではなくなっておるものでありますから、今回はこのような法律改正を行ってさらに成果を広げていきたいと考えておるところであります。
  121. 山本譲司

    山本(譲)委員 今確かに大臣が御答弁をされましたように、例えばガラス瓶などはリサイクル率が大変上がってきているわけでありますが、それと同時に、これは「循環型社会に向けて」という、財団法人クリーン・ジャパン・センターというところが出された資料で、リサイクル現状、この間のリサイクル率の推移についてそれぞれ書かれているわけなのですが、ガラス瓶はそうなのですが、例えばアルミ缶なんかは、確かにリサイクル率で見ますと、例えば平成元年が四二・五%だったものが平成十年には七四・四%、これはリサイクル率は大変上がっています。しかし、発生量を見てみますと、平成元年当時、これは、アルミ缶は十四万七千トンですね。ところが平成十年には二十七万一千トンになっている。リサイクル率というのは、そのパーセンテージをその中から引けばいいわけなのですけれども、結局リサイクルされていない。資源化されていない量というのは余り変わっていかないのですね。それだけ大量生産されていますから、結局は資源化されずに放り出されるごみという数が、量が減っていない、こういう現状もございますので、まさに発生抑制という視点に目をつけられてこの問題に取り組まれるというのは、非常に時宜にかなった、有意義なことだと思います。  しかし、特に最近は、市民の皆さんのリサイクル意識が高まってまいりまして、いろいろ市民団体、町会単位で廃品回収なんかもやっていまして、うちの家内も月に一回は必ず駆り出されて、町内会の廃品回収を一生懸命やっているわけなのですが、自治体が、市民の、そういった町内会などの回収意欲をさらに高めていこうということで、奨励金なんかを交付したりしている例もあります。  しかし、そのため、どうも回収価格が下がってしまって、古紙などの資源が大量に出回ってしまう。その結果、もう回収価格が低い水準で、横ばいというか安定してしまって、前は新聞で一キロ一円だとか、雑誌だったら一円もとれない、ゼロ円だとか、そういう事態も発生しまして、せっかく回収した古紙が焼却をされたり、また赤字で輸出されたり、さらには逆有償というような事態まで発生しているようなことも伺います。  こうした再生資源市場の実態についてどうお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
  122. 細田博之

    細田政務次官 リサイクルにつきましては、その製品が市場で購入されて初めて完結をいたすわけでございます。したがいまして、そういった観点から、政府としては、「国の事業者消費者としての環境保全に向けた取組の率先実行のための行動計画」というものを平成七年六月に閣議決定いたしまして、通産省は既にその目標を達成しているわけでございます。また、消費者リサイクル品を識別して購入することが可能になるように、例えば、再生紙であることを示すグリーンマークなどのリサイクル製品の情報提供を行うとか、あるいはガラスカレットをタイルとして再生させる技術開発によりまして、リサイクル材料の新たな用途を開拓して、リサイクル品の市場を拡大するといったような取り組みを鋭意進めているところでございます。  また、当省といたしましては、そういったさまざまな取り組みによりまして需要拡大に取り組んでまいる必要がある、つまり、新しいものの市場がどんどん狭くなって、結局自分で足を食っているようなことになってもいけない。  しかし、地球的規模で考えれば、資源の有効利用ということで必ずいい面がございますし、またさらに加えて申しますと、全体的な技術開発、そしてこれからの新しい仕事といいますか、雇用の場、産業のチャンスがふえるという意味で、非常に大きな二十一世紀の産業になるということは確実だと言われております。私どももそういう分析をしておりますが、そういった大きな観点で取り組んでいかなければならないと思っております。
  123. 山本譲司

    山本(譲)委員 心意気はわかりましたが、具体的な政策がまだまだこれからというような感じがいたします。  先ほども申し上げましたように、今回の改正案で、新規に廃棄物発生抑制と再利用、これが盛り込まれたことは大いに評価をするところでございます。しかし、原材料の再利用については、資源化対策が強化されたということにどうもすぎないのではないか。再生資源市場の整備でありますとか、あるいは再生品を使用すること自体に対する、例えば税制優遇などの支援でありますとか、どうもそうした誘導策に欠けるのではないか。これでは、資源の有効な循環、つまり、循環ですからちゃんと輪ができなきゃならないのですけれども、このきちんとした輪が実現しないように思えるのですが、その点はどのような対策を講じるのか、より具体的にちょっとお願いします。
  124. 細田博之

    細田政務次官 リサイクル促進のための支援策ということでございますが、現在政府が講じている支援策としては、エコタウン事業などによるリサイクル施設整備への補助、これは先ほど大臣が御説明申し上げましたけれども。それからリサイクル施設整備に対する税制、財投による助成、それから第三に、企業等からの提案公募によるリサイクル関連技術開発に対する支援といった措置を講じておるわけでございます。  具体的にはいろいろ細かい予算措置等がございますが、必要があれば申しますが、細かい説明は省略したいと思います。
  125. 山本譲司

    山本(譲)委員 これまで確かに、例えば、では私の方からちょっと一例二例挙げさせていただきますと、再生紙の製造過程での、脱墨施設というのですか、溶かした古紙からインク成分を取り除く施設でありますとか、こうした施設でありますとか、ガラス瓶のカレット処理施設などへの税制優遇措置でありますとか低利融資制度などが行われてきました。  しかし、先ほど申し上げましたように、再生資源使用すること自体に対する支援策、例えば、製品に古紙を利用した場合に税制上優遇するとか、逆にバージン資源使用には課税をするといった、こうしたインセンティブ、これはどのように考えているのか。
  126. 細田博之

    細田政務次官 御指摘のような体制一つのやり方だと思いますけれども、余り、この問題はまだ緒についたばかりですから、いわゆるプライスメカニズムに介入して、こういうものはそれこそ課徴金的な何か税金を取るよとか、こういうものは結構だから補助金を出すよとか、価格差において何か介入するとか、そういうことをやりますと、必ず逆のひずみも出ますし、大きな市場経済の中への介入になりますので、当面はそういうことは控えながらできるだけ誘導策でやっていきたい、そして産業界の活力で取り組んでいただき、消費者の協力によってそれが実現するようにという考え方基本ではないかと思いますが、山本委員の御提案も一つ考え方だとは思います。
  127. 山本譲司

    山本(譲)委員 いずれにしても、これまで、循環の中で最も重要な部分再生資源使用するという部分がどうも動脈硬化を起こしていたんじゃないかというような感じもいたします。あめとむちという言葉がありますが、余りむちは使いたくないでしょうから、実際、そういった制度の中の一部を利用するというようなところもぜひ検討していただきたいと思っております。  こうした中で、結局、中間処理業者や自治体の負担というのがどうしても今の制度の中では増大せざるを得ないのではないかと思ってしまうのです。分別回収を一生懸命やって、資源化を進めれば進めるほどコストがかさんでいく構造になってしまうわけで、では、今回の法改正でこれがきちんと、循環の、先ほど申し上げましたような輪ができるのか。循環社会といいながら、実態として循環してこなかったこれまでの悪循環、これを断ち切ることができるのか。  先ほど、参考人の質疑の中でも、全国都市清掃会議篠木専務理事からのお話にもありましたように、自治体の皆さん、先ほども自治体の話が出ましたけれども、本当に一生懸命努力をされていると思います。そうした自治体の皆さんが努力をすればするほど経費がかさんでいくというような矛盾というのが起きないように、今回の法改正によって、自治体のコスト役割分担の軽減に一体つながるのかどうなのか、その点についてお答えください。
  128. 細田博之

    細田政務次官 今回の法改正におきましては、新たに、廃棄物発生抑制及び部品の再使用促進するための措置を盛り込んでおるわけでございますけれども、これらによりまして、部品等の再使用リサイクルの需要が拡大いたしまして、廃棄物として最終処分されるものが減量されること、そしてもう一つは、製品の省資源化対策により廃棄物の発生そのものが削減されることが期待されるということから、自治体や処理業者の負担の軽減に貢献すると考えておるということが基本でございます。  他方、リサイクル推進に当たりまして、自治体や処理業者の役割が重要であることは言うまでもありませんので、改正後の法律第九条で、「地方公共団体は、その区域の経済社会的諸条件に応じて資源の有効な利用促進するよう努めなければならない。」との地方公共団体の責務規定を置くとともに、通産省としては、リサイクル産業の振興のために、施設整備に対する税制面、資金面での支援あるいは技術開発に対する支援といった措置を講じておるところでございます。  おっしゃいますように、本当に地方公共団体あるいは処理を行う皆様方の大変な御苦労を前提としているわけでございますので、負担が余り増大しないように、一生懸命、これからの展開に従いながら協議をしていかなければならない問題もたくさんあると考えております。
  129. 山本譲司

    山本(譲)委員 今、このごみ問題で地方自治体の皆さんの悩みというのは、先ほどお話をさせていただきましたように、本当に最終処分地がもう見つからない、見つかっても、どんどん次から次にふさがってしまう。  さらには、もう一方では、本当に、リサイクル関係産業廃棄物、一般廃棄物、こういった処理に自治体が負担をする事業費、これが莫大な額になってきておりまして、これは厚生省の資料ですが、昭和五十年当時は自治体全部で五千億ちょっとぐらいだったのですね。それが、これは平成八年までしかないのですけれども、これはすぐ出ると思うのですが、厚生省もなかなかこういうのが、間近な数字というのが出てこないのですね。ここで言ってもしようがないですね。  今や二兆七千億ぐらいになっているのですね。これは大変な額でございまして、そういった自治体の、これは何もしないでこれだけ事業費が膨らんだというわけじゃなくて、大変な御苦労をされている中でも、それぞれの自治体の中で、こういうリサイクル関連の条例でありますとかいうものをつくりながら、ある部分では、もしかして国の法律に上乗せ、横出ししている部分もあるかもしれませんけれども、そうした血のにじむような努力をしている自治体に対するぜひ配慮と申しましょうか、今まさに政務次官おっしゃったようなことを実際に行えるような体制をすぐつくっていただきたいと考えております。  そこで、今回、これで、事業者による製品回収リサイクルの義務づけが特定の品目について加わっていくということは評価しますが、やはりこれらのことがきちんと実行されるか、この実効性が確保されるかが重要なことだと思います。  そこで、罰則でありますとかあるいは監視システム、これを含めて、実効性をいかに担保されるのか、お答えをいただきたいと思います。
  130. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 このたびの法律案というのは、事業者リサイクルなどについて守るべき判断の基準を定めて、その事業者が取り組むという形、体制をつくっていこうというものでございます。  まず、事業者取り組みを行う場合に、その判断の基準に照らして著しく不十分であるという場合には、主務大臣は事業者に対して、とるべき措置をまず勧告いたします。これに従わない場合には、事業者の氏名を公表する。さらに、氏名を公表されても勧告に従わない事業者に対しては、主務大臣はとるべき措置を命令する。さらに、命令に従わないときには、五十万以下の罰金が適用されるというようなぐあいで、勧告、公表、命令、罰則、こういうようなことを通じて、その実効性を確保できるものと考えます。
  131. 山本譲司

    山本(譲)委員 それでは、今回の法改正によりまして、生産者コスト負担は一体どう変わってくるのか。どうでしょうか。
  132. 細田博之

    細田政務次官 今回の法改正によりましてどの程度の負担事業者に生ずるかについては、基本的には、政令による品目指定、省令における具体的な義務内容に応じて変わってまいりますので、現段階では具体的に申し上げることはできないわけでございますが、リサイクル推進に当たりましては、設計、製造段階での環境配慮の能力と技術力を有するなど、事業者は主体的な役割を担うことが期待されるわけでございまして、本法で定める取り組みに最大限の努力を行っていただくことを期待しております。  また、循環型社会取り組みは、今山本委員おっしゃいましたように、廃棄物処分場の逼迫とか有害廃棄物排出等の対策上のコストを減少することとなるために、従来これに振り向けていたコストの削減となる面もあるということでございますので、事業者社会全体から見れば、むしろ有益であることも多いと考えております。
  133. 山本譲司

    山本(譲)委員 そこで、今の生産者コスト負担について、基本的な考えをお聞きしたいんですが、一九九五年に制定をされました容器包装リサイクル法、これを例にとって、事業者負担基準についてお聞きをしていきたいと思うんです。  この法律は、容器包装を製造もしくはこれに中身を入れて販売しただけで、容器包装によってごみがふえたという無過失のリサイクル責任を課せられることになったわけでございますが、このような環境上の責任事業者に課したという点では、日本環境法制上画期的なものだったと思います。また、事業者は、容器包装を使用すればするほど、その使用量に応じて再商品化費用を負担しなければならないわけでありまして、逆に、容器包装を減らせば経済的メリットが得られるという仕組みでございます。  このようなことが法制度として確立をされ、過剰包装が削減をされて、リサイクルしやすい素材への転換が図られつつあると私も評価しております。さらに、本年の四月からは、品目の追加でありますとか、対象事業者を大規模事業者、これは約五百社ぐらいだったようでありますが、これからさらに中小事業者、十数万社ということに拡大をされたという点も私は評価をしております。  ただ、あくまでも十一種類の分別収集、中間処理した後の再商品化に限ってのコスト負担ですね。したがって、結局は、分別や収集や運搬といった大変手間とコストのかかる真ん中部分、これは、自治体でありますとかそういうところ、中間処理業者なんかがやって、どうも生産者としてはただ乗りになってしまっているんじゃないか。これでは、自治体や中間処理業者、それも、分別収集でありますとか再処理に大変熱心な当事者ほど高負担を迫られる仕組みになっているわけでありまして、少なくともこの部分はちょっと改善をしていく、その辺は、ただ乗りはさせないんだ、そういう発想が必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  134. 細田博之

    細田政務次官 その問題は非常に難しい問題でございます。  現在、分別回収問題につきましては、回収拠点の設置ですとか回収車の調達、そのための人員の確保など、多くの投資が必要とされております。したがって、回収に係る役割分担については、社会システム全体の実効性効率性観点から、製品ごとの実態を踏まえつつ、回収を行う者、あるいは費用を負担する者を決めていくことが重要だと考えておりますが、やはり一つ一つ実行しながら、委員が御指摘のような問題をさらに前進させていく、よりよい制度にしていくということも必要ではないかと思っております。
  135. 山本譲司

    山本(譲)委員 ここは大事な点でございますから、また大臣にも伺いたいと思います。  大臣、東京都では、五百ミリリットルのPETボトルが発売をされた、それをきっかけに、回収段階から事業者が一定の責任を果たすべきであるとして、スーパーでありますとかコンビニなど、流通業者によりまして、PETボトルの店頭回収でありますとか、中身のメーカーによる収集と中間処理を義務づけるという東京ルール、これを打ち出している。これに対して関係業界では、容器包装リサイクル法の枠組みを逸脱しているんじゃないかというような反対もあったようであります。  その後、東京都と事業者の間で話し合いが続けられた結果、これは三年前でありますが、収集は都が行う、しかしそれ以降は業者が責任を持って行うということで落ちついたようであります。  また、容器包装リサイクル法の仕組みに対して、どうも事業者責任が少な過ぎるのではないかとか、排出者から集める段階から事業者責任とすべきだという、こういった意見が、学者の方でありますとか市民団体などからも強く要望されているわけであります。  そこで大臣に伺いますが、事業者発生抑制リサイクルしやすい製品開発を行う上でのインセンティブを与えるための今後の方策についてどのようにお考えなのか。
  136. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 山本委員が御指摘のように、事業者に対して回収とかリサイクルの義務づけを行うということになりますと、コスト負担を回避しようという考え方が働いてまいります。ですから、事業者は、廃棄物の発生を抑制しようとかリサイクルが容易な製品を新たに設計していこうとか、そういう前向きの努力がなされるというふうに私も思います。  こういう考え方に基づいて、容器包装リサイクル法では、事業者に容器包装の製造量、利用量に応じてリサイクルコスト負担を負わせるということによって廃棄物発生抑制というものを促しているところでございます。  一方で、容器包装の回収をどのような主体が行うかということについては、社会システム全体の実効性とか効率性という観点から、製品ごとの実態を踏まえなければならないというふうに考えまして、それを踏まえつつ回収を行う者を決めていくということが重要ではないだろうかなというふうに思います。  従来から、市町村の責任のもとで回収が行われておりますので、新たな回収システムを今つくるということではありませんで、引き続いて市町村が回収を実施するということになっていくであろうと思いますが、いずれにしても、事業者が、自分たちの企業を経営していく場合でも、当然このような社会の要求にこたえていかなければならない、その努力を前向きにすることが廃棄物の発生の抑制であるとかリサイクル促進につながっていくものと考えます。
  137. 山本譲司

    山本(譲)委員 今申し上げましたリサイクルしやすい製品開発と関連をしますが、部品などの再利用の強化の対策の中で、部品の統一化が挙げられているわけであります。この考えをさらに拡大しまして、製品素材でありますとか組成の統一について検討する必要はないのかどうなのか、この点について幾つか聞いていきたいと思います。  特にプラスチック製品やPETボトルにつきましては、ほかの樹脂の混入でありますとか、あるいはシール、PETボトルについているシールでありますとか、あるいはキャップの存在、さらには組成の違いが、分別段階においても大きな負担とロスをもたらしているということを聞いております。さらに、せっかく今全国で幾つかありますが、油化プラント、これも、こういった結果十分に機能していないというようなことも聞いております。  業界の協力を前提にすることでありますが、素材の統一化が進めばやはり飛躍的にリサイクル量も増大をしていくと思います。一方で、当然大幅なコスト削減になるとも考えられます。  まず、これは、今油化プラント、幾つか全国であるようですが、この運用をする上で、やはり、今申し上げましたように、素材の統一というのが必要なのかどうなのか、こういった運用面と絡めてちょっとお答えをいただきたいと思います。
  138. 細田博之

    細田政務次官 まず、素材の統一化の問題についてお答え申し上げますが、PETボトル以外のプラスチックを容器包装リサイクル法の対象に追加して、油化等によりリサイクルを行うことと平成十二年度よりしておるわけでございますが、油化については、異なる種類のプラスチックが混合排出されることは考慮した上で、十分実用にたえ得るものと考えております。  ただ、問題は、私も議員宿舎におりまして、皆さんも単身で議員宿舎に泊まって、自分でごみを捨てておられる方多いと思うんですけれども、一生懸命分けて捨てる。しかし、どうも、中にはもう全くむとんちゃくに捨てている人、たくさん見受けられますね。またあるいは、大きな産業廃棄物のようなものも含めまして、金属とか土砂とかそういう異物の混入というものがありますと大変に処理プラントが困るわけでございまして、財団法人の容器包装リサイクル協会では、市町村に対する啓発活動を強化してほしいということで、それをまた実施しているわけでございまして、やはり、このことにかかわっているのは、日本国民のうち一億人ぐらいが少なくとも生活からの廃棄物について認識を十分してもらわなきゃならない。ちゃんと分けてもらえればプラントは非常に有用に働いているというのは、今技術的な結論でございます。
  139. 山本譲司

    山本(譲)委員 実は、これは私の地元の話で恐縮でございますが、三年前に厚生省から十八億円ぐらい補助金をもらって、まさに鳴り物入りで、立川市のリサイクルセンターというところに油化プラントができたわけなんですが、これは操業して二十日後ぐらいに火災が起きまして、今もう操業はしてないという状況なんですが。その調査書を拝見しても、これは、この火災の原因というのは、異物の除去、排除中に異物のかみ込みが起きた、閉まっているはずのゲートが閉まらなくなってしまった、その後かみ込んでいた何か残滓スラッジというのがゲート弁を圧迫して、結局扉が開いて、そこで熱分解油が流出したということが何か火災の原因になったということですが、要は、最新の装置をもっても、異物の除去がいかに困難かを示す一例だと思います。  先ほど来、大臣からもエコタウン事業についてお話がありましたが、エコタウン事業によって、先週も、札幌でどこか油化プラントがオープンしたようでございますが、かなりの金額を使ってやるわけでありますが、やはりこうした技術開発のこれをきちんとやっていくということは当然大切でありますが、その前段として、意識の問題を先ほど言われましたが、素材の一定程度の統一というのもきちんと制度化をしていかないと、やはり大規模な、立派な、お金を投じた油化装置がその性能を十分発揮できなくなる。その前に火災で使えなくなるというようなこともあるので、その辺はしっかりと対応策を考えていただきたいと思います。  そこで、今、さらにこの問題を続けますが、せめてこれは素材について、部品が統一したわけでありますから、素材についても一定の統一化を打ち出すべきだと私自身思っていますが、部品の統一化をするときは、これは生産者側ともかなり話し合われたんだと思います。そのときは一体どういう経緯だったのか。そして、今後素材の統一に向けてどういう方針で、また統一に向けて努力をされるんだったらそのことも生産者団体ときちんと現段階議論をされているのかどうなのか、その前提について御説明をいただきたいと思います。
  140. 細田博之

    細田政務次官 山本委員おっしゃいますように、そのことは大変重要な前提となるわけでございます。  現在、素材や部品の統一化のために、日本工業標準調査会環境リサイクル部会というところにおきまして、今後のリデュースリユースリサイクルに関する標準化の進め方について検討を行っております。  また、素材産業と加工組み立て産業連携等によります素材の種類、グレード、例えばプラスチックの材質、種類のようなものでございますが、グレード数の低減等を促進するため異業種間での検討を鋭意進めるところでございます。これまで、例えば自動車のバンパーやパネルに使用されるプラスチックを高機能化することに加え、その種類数を、二十数種類これまで使われておりましたものを二種類にしたという事例もございますし、PETボトルのキャップに金属を用いることをやめようという取り組みがあったとか、いろいろな例がありますが、それらをむしろJIS化するということも大事なことではないかと考えておりまして、民間事業者にいろいろな知恵を出していただきまして、あるいは業界団体で知恵を出していただきまして、それらの取り組みを支援してまいりたいと思います。
  141. 山本譲司

    山本(譲)委員 まさにそこだと思うんですよ。業界団体は、別に、何も一切変えたくないと言っているわけではなくて、大変な努力もされて、また知恵も使われている。そういった知恵、技術というものをしっかりと聞いた上で、ぜひこういった素材の統一についても結論を早く出していただきたいと考えております。  次に、自治体の役割について先ほどもちょっと触れましたが、今回、事業者責任が一部拡大したことに伴いまして、自治体の責任役割というのは一体どのような影響があるのかというところを聞いていきたいんですが、その前に、先ほど来ちょこちょこ話が出ておりますエコタウン事業、これは各自治体が通産省の助成によって、先ほどは年間十五億円というお話もありましたが、助成事業でありますが、これは大体どういう成果が上がっていると考えられているのか。どうも、しょせんは一種の箱物行政じゃないかというような批判も一部あるように聞いておりますが、その辺どう考えられておりますでしょうか。
  142. 細田博之

    細田政務次官 エコタウン事業は、地域の独自性を踏まえました、廃棄物発生抑制リサイクル推進を通じた環境調和型の町づくりを行うというものであります。本事業は、県などの地方自治体が、地域企業や地域住民とともに、その地域の特徴に応じました環境調和型の町づくり基本構想を作成し、その構想を国がエコタウン構想として承認して取り組みを支援するということになっております。  平成九年度に創設して以来、平成十一年度までに九地域のエコタウン構想を承認し、その中核となるPETボトルリサイクル施設、家電製品リサイクル施設、廃プラスチック油化施設、エコセメント製造施設など、合計十五のリサイクル施設整備に対し補助を行っているところでございます。  これらの地域におきましては、地域住民、地方自治体、地域企業が一体となって環境リサイクル社会の形成へ取り組むことによりまして、先進的な環境調和型の町づくりが行われているというふうに理解しております。  ただ、委員おっしゃいますように、通産省は余り、公共事業官庁と違いまして、膨大な予算があってそれを各市町村に分配しながらやってもらうという役所じゃございませんので、競争があるとは思いますけれども、その中で一番先導的な例を抽出して、じゃ、あなたやってください、そしてそれをほかのところも見、あるいは関係事業者もこれでいいものができたということで、あとは市場原理で広げていく。こういうことの、まず第一歩のインセンティブを与えるという意味でございますので、数が少ないじゃないかという御指摘もあるかもしれませんが、より先導的なものを選ぶという作業を専門家にお願いしてやっていることを御理解いただきたいと思います。
  143. 山本譲司

    山本(譲)委員 時間も限られてきましたので、自治体の役割についてというところでさらに御質問をさせていただきたいと思います。  四月十八日の本会議で、この後に質問をされます小林守議員の循環型社会形成推進基本法に対する質疑で、清水環境庁長官はこう答えられております。結局、小林議員からの拡大生産者責任の一般原則が確立したのかどうかという質問に対して、環境庁長官は、生産者の責務や国の施策として、特定の物質を対象とするのではなくて、一般的な規定として拡大生産者責任考え方を規定しており、このことにより拡大生産者責任の一般原則が確立できる、こう答弁をしておられるわけであります。  一般原則の確立に伴ってどのような施策の転換が生じるのか。特に、これまで回収から最終処理まで責任主体となってきた自治体の役割負担はどう変わるのか。この辺について御説明をいただきたいと思います。
  144. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 通産省といたしましては、これまで再生資源利用促進法、容器包装リサイクル法家電リサイクル法といったような、そういうリサイクル推進を進めてきたわけであります。  これらの法律に盛り込まれた措置については、循環型社会形成推進基本法案の中では拡大生産者責任を打ち出していまして、その基本的な考え方は、一つは、事業者リサイクルしやすい製品設計や材料選択などを行う、もう一つは、事業者が国、地方公共団体消費者と適切に役割分担をする、そして製品業種特性を踏まえた回収リサイクルシステム構築していくという考え方と同じ歩調にあると私は思っています。  今度のリサイクル法の改正で、パソコンなどの特定の製品の製造者にも回収リサイクルを義務づけるといったような、さらに品目を拡大してまいります。  この考え方に基づいて、ただいま申しましたように、地方自治体、地方公共団体というのはその役割をきちんと果たしていただいて、つまり、このリサイクルシステムの中での地方自治体の役割というものを明確にさせていくということが必要だと思います。
  145. 山本譲司

    山本(譲)委員 ドイツのDSD方式なども参考にしながら、ぜひその辺はきちんと明確化し、また、何が何でも自治体がやるんだという、これまでの法律にこだわらない柔軟な姿勢でお願いをしたいと思います。  最後に、やはり四月十八日の本会議環境庁長官は、廃棄物及びリサイクル行政の一元化、これに向けて強い意思を表明されたと私は思います。そこで、環境省の発足に合わせて、この環境省がリサイクルの問題、循環型社会をつくるために総合的、一体的に監督をする、所管をする省庁となるのか、その辺について伺いたいと思います。
  146. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 廃棄物発生抑制対策、部品等の再使用対策及び原材料としての再利用対策を講じることは環境の保全に資するということは、もう当然のことでございまして、本法律案では、主務大臣が判断基準を制定するに際しては環境大臣に協議するということになっております。同時に、環境大臣は本法律運用において環境の保全という観点から積極的な役割を果たすということになってまいります。  他方で、資源の有効利用対策を推進していくには、対象となる製品あるいは業種ごとに、生産、流通、消費、それぞれ、あるいは回収リサイクルの実態といったようないろいろなものがあるわけでありますから、その技術的、経済的な対応の可能性を十分に検討して、やはり効果的な、そして効率的な措置を講じていくということが大変大事になってまいります。そのために、対象になる製品であるとか業種の実態に一番精通しているのが事業所管官庁でございますので、その果たす役割というのは極めて重く、判断基準の作成の主たる責任は事業所管大臣ということになってまいるわけで、そういうような分担、位置づけというものがこれからなされていくと思います。
  147. 山本譲司

    山本(譲)委員 終わります。
  148. 中山成彬

    中山委員長 小林守君。
  149. 小林守

    小林(守)委員 民主党の小林守でございます。久々に商工委員会に戻ってまいりまして質疑の機会を与えていただきましたことを、まず感謝申し上げたいと思います。  私もかつて商工委員会に所属をし、そして、現在は環境委員会の方で働かせていただいているわけですけれども、今日、循環型社会をつくらなければならない、こういう国民共通の課題の中で、今国会でも循環型社会形成基本法案が提案され、そして、関連の個別法では、既存の廃棄物処理法の改正とかリサイクル法、再生資源利用促進法の改正とか、さらには、新法でありますけれども、建設廃材のリサイクル法、さらには食品廃棄物、そして、議員立法になるであろうと思われますが、グリーン調達法というんですか、グリーン購入法などについても、現在取り組みを進められているところであります。  そういう点で、まず、循環型社会というものはどういう社会なのか。今日まで既に何度も触れておられますけれども、経済成長、発展を進めてきた日本の特に高度経済成長は、大量生産、大量消費、大量廃棄の一方通行型の、ワンウエー型の経済成長を図ってきたわけであります。そのことによって、資源を大量に投入する、そして環境負荷を伴う廃棄物を大量に環境の中に放出する、こういうことを、コスト負担をせずに、動脈経済部分を強力に肥大化させてきたと言っていいと思うのです。  今日、私たちの社会経済活動に対して、資源上の制約、さらには環境上の制約が明らかになってきた、このままではそのこと自身経済の発展にとっても足かせになる、こういう視点からリサイクル法の改正ということも提案をされておるわけであります。  実は、経済の発展、それから環境保全、このテーマについては、成長経済を主軸とした時代では対立の概念であったとよく言われますけれども、少なくともそのような対立の概念として考えていく時代はもう終わった。九二年のブラジルのリオにおける地球サミットが行われたときに、持続可能な開発という概念が世界の共通課題、テーマとして掲げられてきているわけでありまして、私たちは持続可能な社会を二十一世紀に向かってどうつくっていくかというようなことも言われているわけであります。  そこで、循環型社会というのはイコール持続可能な社会とは言えないのではないかなと私は常々考えているわけでありますけれども、要は大量生産、大量廃棄、大量リサイクル社会をつくってしまってはだめなのだよということを、循環型社会をつくっていくという中で注意しなければならないのは大量リサイクル社会をつくることではないのだということを確認しながら、新しい持続可能な経済社会をつくっていかなければならないだろう、このように考えているわけなのですけれども。  そこで、まず大臣の方に、経済発展と環境保全という価値概念について、どのような関係にあるべきであるというようなことについてお聞きをしたいと思います。
  150. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 現在までの日本経済社会の動きを考えてみますと、今小林委員が指摘されたように、大量生産、大量消費、大量廃棄ということの繰り返しでありました。このままでやってまいりますと最終処分場の逼迫というのはもう目に見えているわけでございます。  さらに、鉱物資源その他やがて枯渇してしまうだろう、しかも、環境問題を考えてもこのままの状態は看過することはもう絶対にできない、そういう状況に至ったというふうに思います。そのために、廃棄物の発生を抑制するとか、部品等を再使用するとか、原材料としての再使用などが積極的に行われるような、これを称して循環型社会と考えているわけでございます。  ただ、私どもは、先ほどもちょっと申し上げたのでありますが、こういうような循環型社会構築する中での事業者のこれからの物の考え方というのは、そういうニーズに応じたものをつくり出していく、あるいはつくり出すための作業というものをいかに考えていくか等々、いろいろな形がございます。製品をつくり出す場合には、製品を長期間使えるようなことを考えていくとか、再利用が可能なような部品をそもそもつくっていくとか、あるいは新しい生産システムを整備していくといったような、そういうことを考えていかなければなりませんから、これは逆に言うと、新たな投資とか新たな雇用を生み出す可能性も持っているわけでございます。  だから、旧来型の過激な右肩上がりを志向するわけではありませんが、二十一世紀に持続的に成長していくという穏やかな流れの中でこのような循環型社会構築されていくとするならば、ただいま申し上げたような新しい産業、新しい雇用、そういうものも生まれてまいるわけでありますから、右肩下がりの経済流れになっていくということとは全く違うというふうに私は思っております。そういう意味では、経済環境の持続的な発展がそれぞれの努力によって図られていくものだというふうに考えます。
  151. 小林守

    小林(守)委員 お考えについては基本的に同感でございますし、私もそのように考えているところであります。  ただ、先ほども申しましたとおり、リサイクル社会というのは、資源を多量に、現状維持ぐらいに投入しても、システムが、リサイクルの仕組みがちゃんとできれば可能な社会なのだろうと思うのですね、理論的には。ということになると、GDPは物すごく膨れ上がるのですね、リサイクル社会というのは。しかし、資源の投入量が変わらなければ、そういう状態になっていくわけなのですよね。  ただ問題は、そうなった場合に、いわゆる資源の枯渇上の制約がどうなるのかという問題、さらには、地球上の資源という人類共有の財産というか、将来世代が今日レベル生活をする権利を我々は今どんどん使ってしまっているというふうに言っていいと思うのですけれども、将来世代の生存の資源をやはり現世代だけがどんどん浪費していくということは許されない。  ですから、地球のあらゆる国々の人々と、それから将来世代の人々に対する私たちの今の責任、そういう視点から考えるならば、大量リサイクル社会であっても大量の資源投入の社会ではやはりまずいのではないか、このように考えるわけです。それが、よく言われているように、循環型社会というのは大量リサイクル社会をつくることではないのだ、その辺について、大臣、もう一度触れていただきたいと思います。
  152. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 私は、小林委員のおっしゃるとおりだというふうに思っています。  今まで急成長を遂げてきた、結果的に、大量生産、大量消費、大量廃棄となってきた。しかし、これが急激な成長でなくても、人類はやがて廃棄物処理には困るでありましょうし、それから、鉱物資源、その他資源、もろもろの消費についても、やがては枯渇していく可能性を持っておりますし、また、環境の問題についても常時考えていかなければならないわけで、私は、ある意味では、二十一世紀を迎えようとしている今日的な地球規模の課題が循環型社会だというふうに考えているわけであります。  ドイツでもかなり積極的に行っているわけでありますが、我々も、このたびは、従来からのリサイクル法の成果を踏まえ、これを改良し、リデュースリユースの面にまで広げていって、そして、今ある資源を大事に使っていくということやら、環境の整備を行っていくということやら、それからまた、そういうことを工夫することで新たな産業を生み出していくというような、そういうことなどを考えながら、次の世代にもつなげていけるような地球、つなげていけるような日本を今つくっていくということではないかと考えます。
  153. 小林守

    小林(守)委員 それではもう一つ、別の言葉で言うならば、環境経済の統合というようなことがよく言われます。同じことを言っているのだというふうに思いますが、エコロジーとエコノミーの統合というか、そういうふうなことになろうかと思います。そういう基本的な考え方に立って、それでは循環型の人間の社会経済活動に伴う物質循環社会をどうつくり上げていくかというのが今回の法改正の大きなねらいなのだろうと思うのですね。  それで、具体的に人間の社会活動に伴う物質循環といえば、廃棄物リサイクルの問題なのだということになります。その廃棄物リサイクル資源循環については、一体的なものとして、一元的なものとしてとらえていく、体系的なものでなければならない、こういうふうに言われるわけですけれども、私は、かつて商工委員会でいろいろと経済の勉強をさせていただきました。今は環境保全という立場で経済活動についての見方を勉強させていただいております。基本的には、やはり商工委員会環境委員会というのは、廃棄物リサイクルの問題では、厚生委員会も含めて、リサイクル法とそれから廃掃法は一体のものとして運営されなければならないし、運用されなければならないのではないか、このように考えておるわけであります。     〔委員長退席、小林(興)委員長代理着席〕  省庁の問題がありますから、現実の問題として、資源ごみという問題が一つ不法投棄の実態でありながら、資源を今ストックしているのだというような隠れみのまたは言い逃れによって、環境への悪影響、不適正管理を行っている、こんな実態も現実にあるわけですけれども、資源ごみというものをやはり一体のものとして、いや、新しい概念の中では、今度の環境基本法の中では、循環資源というような考え方が導入されました。そんなことも既に説明を受けているわけなんですけれども、それでは、今までの廃棄物とかそれから再生資源とか循環資源というのはどういう関係になっているのか、どうも幾ら説明を聞いてもなかなかよくわからないというのが私の能力であります。  とにかく、循環基本法とリサイクル法上の再生資源廃棄物処理法上の廃棄物、これらがどうも一体のものとして整理されていないのではないか。非常に混乱があるのではないか。また、その混乱に乗じて、それを隠れみのにしてうまく不法投棄などが行われてしまう、不適正管理が行われている、こういうことが現実の生活の周辺に起こってきているわけですね。それらについて、やはり法の一体的な整理というものが必要ではないか、このように私たちは考えて、今国会では間に合いませんけれども、廃棄物処理法と再生資源利用促進法を統合したものとして、やはり環境基本法のもとに置かれる廃棄物リサイクル関連法というものが必要ではないか、このように考えているわけですけれども。  そこで、我が党の考え方ではなくて、政府法案である循環型社会形成基本法案再生資源利用促進法で言う、ごみとか資源にかかわる概念の問題について説明を受けたいなというふうに思います。  実は、法案のいろいろな説明の中でヒアリングを受けてまいりまして、大体こんなことなんじゃないかというような、ポンチ絵みたいなものを皆さんのお手元にもお配りをさせていただきました。これを見て、何かよくわからないんですけれども、大体考え方としては、再生資源利用促進法の再生資源、それから廃棄物処理法上の廃棄物、それから、今度、循環資源という言葉が出てきたり廃棄物等という言葉が出てきております。それらの包摂関係というんでしょうか、どういう関係にあるか、どういう包みぐあいというんですか、概念が重なっているのか、それらについてまず御説明をちょうだいしたいというふうに思います。  きょうは、そういう点で環境庁の方からも、廃棄物等とか循環資源とかについて説明が必要になればしてもらえるように、局長さんに来ていただいております。そんなことで、きょうは商工委員会の方ですから、担当の局長さんの方から御説明いただきたい、このように思います。
  154. 中島一郎

    ○中島政府参考人 お答えを申し上げます。  せっかくお配りいただきました絵でございますから、これに即して御説明を申し上げたいと思いますが、先生のお話の中にございましたように、再生資源利用促進法改正法案では、使用済み物品や副産物のうちの有用なものであって、原材料や部品、つまり物質としてもう一度再利用できるものを再生資源あるいは再生部品というふうに定義をしているわけでございます。この絵で申しますと、この黒い太い線の楕円形の、卵形の中に入っているわけでございます。下の方に、部品等の再利用、原材料としての再利用ができる部分、こういうことでございます。  一方、循環型社会形成推進基本法案の中では、廃棄物等のうち有用なものを循環資源というふうに定義がされておりまして、これは私ども、再生資源、再生部品とほぼ同義というふうに考えてございますが、より正確に御説明を申し上げますと、下の方に整理していただいております廃棄物等というのは、まず廃棄物、それから使用済み物品、副産物、全部含んだ概念でありますが、循環資源はその中で有用なものであるというふうに下に書いてございます。  循環資源と、その再生資源利用促進法改正法案の対象になる再生資源、再生部品とわずかに異なる部分は、この黒い実線のところから右の方へ細い点線ではみ出している部分がございまして、これは下の方に熱的な利用を、熱を回収するということで書いていただいているものでございますが、再生資源利用促進法改正法案の中では物質としての循環ということを考えてございまして、熱またはエネルギーとしての回収というのは、通産省の世界で申し上げますと、石油代替エネルギー利用推進に関する法律とかそういった世界で進めておりますので、この中では扱ってございません。  ただ、循環型社会形成推進基本法案は、これは先生御承知の内容でございますが、まずは発生の抑制をした後、そのままの再使用をする、あるいは物質に戻しての再生利用をする、ここまでが再生資源利用促進法改正法案の中身になるわけですが、その後、さらに熱回収をして、どうしても最後に残ったものだけは適正処分をしようじゃないか、こういう優先順位が法案の中で書かれてございます。  もう一回整理させていただきますと、循環型社会形成推進基本法案では、この実線の部分、黒い太枠の部分と、それから廃棄物と言われている部分とまとめたものを廃棄物等として扱い、それをできる限り循環していくという骨組みになってございます。  それから、先生御指摘ありました、本法律案に規定をしております再生資源、再生部品であっても、実は廃棄物処理法に規定する廃棄物であって、それを例えば有価物、すなわち廃棄物でないかのごとく装っているというものがあってはならないではないかという御議論でございますが、そうしたものにつきましては、この下のところで整理をしていただいております有償、逆有償のところで明らかに廃棄物であるというものは客観的に決まるわけでございますので、そうしたものは、たとえリサイクルあるいはリユースをすべき、私どもの対象とする、再生資源利用促進法改正法の対象であっても、廃棄物としての扱いも受ける。ちょっとややこしゅうございますけれども、その部分のものについては二面性がある。廃棄物としての性質と、もう一つはもう一回循環利用すべきものであるというものの性質と二つありますので、二つの法律の適用を受けるということで考えてございます。
  155. 小林守

    小林(守)委員 説明を得て、この絵を見ながらいろいろと頭を整理してきたわけですけれども、ひとつそのポンチ絵に絡んでお聞きしたいんですが、今後の方向として、この実線の部分再生資源、再生部品という丸がありますね、楕円形があります。それに重なるような形で、廃棄物処理法にかかわる廃棄物という点線の枠がありますね。これの方向としては、将来の循環型社会をつくっていくという、持続可能な社会をつくっていくという視点から考えると、この二つの、実線の楕円と点線の楕円はどういう方向に動いていくべきなんですか。そこをちょっとお聞きしたいなというふうに思います。
  156. 中島一郎

    ○中島政府参考人 非常に多数の品目あるいは業種がございますので、一概には申し上げられません。  一概に申し上げるのは大変難しゅうございますけれども、循環資源というふうに定められたものについては、循環資源廃棄物等ということとほぼ同義だというふうに考えておるわけでございますけれども、できる限りそれを物質として、あるいは物質としての循環はできない場合でもせめてエネルギーとして循環していくということを考えていきたい。そういう意味では、この黒い実線の部分でございますが、これがどんどん右の方まで広がっていく、そういう社会を目指していくということでございます。
  157. 小林守

    小林(守)委員 わかりました。  私自身も、そういう方向で、その破線の部分の実線と重ならない部分ができるだけ少なくなっていく方向をつくっていかなきゃならないのかな、このように考えている一人であります。楕円形そのものをいたずらに大きくしていくということではないんだろう、このように考えております。  もう一つ、ぜひ確認しておきたいなというふうに思いますのは、再生資源、再生部品、これは再資源化しなければできてこないですね、再生資源ですから。再利用ではなくて再使用に使われるものですから、再生資源とか再生部品を取り出すという工程は、廃棄物も含まれている。ですから、再生資源とか再生部品をつくり出してくる過程は、廃棄物も含まれているのだというふうに考えていいかどうか。そして、その過程までは廃棄物処理法の規制がかかりますよという理解でいいかどうかを確認しておきたいと思います。
  158. 中島一郎

    ○中島政府参考人 先生が御指摘のとおりでございまして、この再資源化の対象となります使用済みの製品廃棄物処理法で言います廃棄物である場合には、御指摘のように、再資源化の工程以前はもとより、その当該の使用済み製品から有用な資源部品を取り出す行為そのものも廃棄物処理に当たるというふうに考えてございます。したがいまして、その場合、廃棄物処理法に規定する規制が適用されるものと考えてございます。
  159. 小林守

    小林(守)委員 一定程度、廃棄物処理法とリサイクル法との重なる部分再生資源といわゆる廃棄物というものの概念の整理は少しできたのかなというふうに思います。  ですから、有価物、無価物にかかわりなく、資源廃棄物の網はかかるのですよ、資源であっても、有価だ、無価だにかかわりなく廃掃法の網はかかっていますということですね。
  160. 中島一郎

    ○中島政府参考人 今、有価、無価とおっしゃいましたのは、先ほど先生のお示しになりました絵でございますと、有価の物は廃棄物処理法の対象ではない、逆有償の部分廃棄物処理法の対象でございます、こういうことでございます。  ですから、この場合、例えば廃自動車あるいは廃テレビがあったとしまして、それ自体は逆有償の世界にございますから廃棄物処理法の対象になります。例えばその中から有用な部品を取り出しますと、これは多分有償で売れるということになりますけれども、この場合、先ほど御説明申し上げましたのは、その取り出す行為は廃棄物処理という行為に当たるということでございまして、それは廃棄物処理法の規制を受けます、そういう御説明でございます。
  161. 小林守

    小林(守)委員 廃自動車の話が出ましたので、もう一度理屈を整理する意味で、例えば廃タイヤの野積みの問題があります。事業者は、これは有償なんだ、有価物なんだ、資源なんだという形で野積みをしている。しかし、いつ売れるのかわからぬ、何十万本も重なってしまっている。たまたま落雷があったのか、犯罪的に放火があったのか、自然発火があったのかわかりません。何だかわからないのですよ。あれは自然に発火するんだという話もあるのですが、犯罪的な行為があったのではないかというようなことも言われますけれども、廃タイヤの火災の問題、そんなことが大変な問題になってきているわけなんです。しかし、廃タイヤの野積みそのものは、所有者が、有価物だ、これは買ってきたんだ、そういうふうに強く主張している、そして再生資源に使うんだといって野積みをしている場合に、これは廃掃法の適用は受けないのですかということをもう一回確認したいと思います。
  162. 中島一郎

    ○中島政府参考人 事業活動を実施する場合には、環境保全の観点から、悪臭防止法、水質汚濁防止法等の環境の保護に関する法律の定めるところによりまして、悪臭、排水などの規制がされることとなっておりますが、仮に有価物と称するものでありましても、このような規制は適用されるものでございます。  また、今御指摘のございました、有価物と称しながら実態的には廃棄物でありますという場合には、本来、廃棄物処理法に基づいた適正な処理が求められるものである、そういう御説明を申し上げてございます。  廃タイヤに即して申し上げれば、これはほとんどの場合、廃棄物に該当するということでございます。このために、産業廃棄物処理事業者または適正な処理を行うことが可能と厚生大臣が指定した事業者、そういうものがございますが、そうした事業者回収またはリサイクルを行うことになります。このいずれの場合でも廃棄物処理法の規定が適用されますので、今御指摘のような生活環境の破壊とかそういったことがないように、生活環境の保全が図られるという仕組みになってございます。
  163. 小林守

    小林(守)委員 そこまではわかりました。  ただ、問題は、今回法改正の中で、例えば二十七条にかかわる部分で、指定再資源製品というものにパソコンなどを指定しようというようなことが考えられておるようでございますが、その際に、なぜ廃タイヤなどについて指定再資源製品に指定ができないのか、廃自動車はなぜそのものに入らないのか。それについて、この法案にかかわって、指定再資源製品の指定には入っていないのはなぜか、ちょっとお聞きしたいなというふうに思います。
  164. 中島一郎

    ○中島政府参考人 二十七条は事業者による自主回収リサイクルといった定めでございますが、これにどのようなものを、どのような業種、品種を指定していくかということにつきましては、政令で定める事項ということで、これから法案の成立をしていただいた後検討してまいることになります。  なお、廃自動車につきましては既に廃棄物処理法の中では対象となってございますので、その中での規律はされております。  また、これは自動車の例で申し上げますと、廃棄物としての処理というのと離れまして、リサイクルあるいはリユースという観点で申し上げれば、現在既に、リサイクルあるいはリユースの長い歴史が廃自動車の場合ございまして、そういった現実を踏まえながら、関係事業者あるいは関係の自治体、関係省庁と連絡をとりながら、いい仕組みをつくっていきたいというふうに考えております。
  165. 小林守

    小林(守)委員 廃自動車とか廃タイヤについては、廃掃法の適用を受けるということですね。  野積みされていて、例えば環境保全上、タイヤには、水がたまってボウフラがわいて蚊が出たり、間違って火がついてしまうというようなことだってあるわけですね。それから、廃自動車が一定の、三段ぐらいか四段ぐらいに重ねられて、沿道に、空き地みたいなところに積んである。もうさびて、とてもこれはスチールとして再生資源化できるかどうかよくわかりませんが、酸化鉄が水とともにどんどん土壌にしみ込んでいるというようなことが考えられますね。もう数年置いてある。これに対して、廃棄物処理法上の規制というか撤去命令は出せるのですか。
  166. 中島一郎

    ○中島政府参考人 廃棄物に該当する場合には出せるというふうに聞いております。
  167. 小林守

    小林(守)委員 現実に、撤去しなさいということをやっていませんね。栃木県でそういう例がありました、火災が起こったところに対して、これはもう大変だということで早期に措置をした。しかし、業者がこれは資源だということで言い張ってなかなか撤去しなかったのだけれども、排出事業者責任を、その業者に頼んだガソリンスタンドとかタイヤショップの方々が、うちからあそこへは廃タイヤが行っているということで、モラルの問題にもなってくるのでしょうが、それぞれ金を出し合って片づけようではないかという形で、自主撤去が始まりました。だけれども、なかなか進んでいません。そんな状態なんです。  火災が起こったから大変だという動きがあっただけであって、野積みのタイヤ、野積みの廃自動車について、どこでも、撤去しなさいとかなんかという指導はないのではないでしょうか。
  168. 細田博之

    細田政務次官 例えば、廃タイヤのリサイクルの率などを見ますと、平成十年度で八七%というふうに、大宗はちゃんとやっている。自動車についても大宗はやっている。  しかし、小林委員のお地元でもそうでしょうが、我々の地元、特に地方、過疎の山の中などにどんどんそういうものを積み上げるような不心得者もあるわけですね。おっしゃいましたように、なかなかこれは有用なものである、必ずこれを再資源化するんだというようなことをその特定業者が言ったりするものですから、あるいは、場合によってはだれが捨てたのかもわからないような部分もありますので、行政がなかなか困って、これまでおくれておる面があると思いますけれども、この問題は社会的問題でございますので、やはり関係省庁とよく相談しながらより厳しく対応していかなきゃならない現実にあると思っております。
  169. 小林守

    小林(守)委員 総括政務次官の方から前向きの姿勢の御発言がございまして、法律のはざまみたいなところの問題なんだと思うのですね。お互いに法律の解釈があって、また何か行政裁判に持ち込まれても困るとかいろいろあって、自治体も思った対応がとれないというような現実なんですね。やはり今回、指定再資源製品などという引き取り回収義務を課す、そういうものが制度化されてくるわけでありますから、むしろそういう中に入れていく。  例えば、ではほかにパソコンの問題などについては、家電リサイクル法に入れてもいいのかなというふうに思うのですけれども、家電製品であると同時にオフィスの機器でもありますけれども、例えば、指定再資源製品の中にパソコンを入れるんだったらば、そのほかの、複写機とか携帯電話とか、そういうものだってしっかりと入れれば、どんどんリサイクルの輪が広がるというか、対象が広がっていくんじゃないかということを考えられるわけであります。現実の社会問題としては、廃タイヤ、廃自動車の不適正管理というんでしょうか、環境配慮視点から、やはり一定の措置命令がかけられるようなものを制度的に、ぜひ運用も含めて対応していただきたい、このように期待したいと思います。  それでは続きまして、今回の法律で、基本法で三Rの原則というようなことが明確に法律に規定されました。三Rの原則については、先ほど来の議論の中でも、リデュースリユースリサイクルというような言葉がしょっちゅう出ておりますから、この再生資源利用促進法の中でも、三つの優先順位を含めた三Rの原則については十分議論をされ、また法の解釈の上で位置づけられているんであろう、私はこのように思っているわけでございますが、再生資源利用促進法の中で三Rの原則はどういう優先順位に位置づけられているのか、基本法だけでその趣旨を体しただけの対応なのか、ちょっと読めません。この法律を読むとちょっと読み切れないのですが、それについてお聞かせいただきたいと思います。
  170. 細田博之

    細田政務次官 この法案に基づきまして、委員おっしゃいました優先順位というのは、原則として、第一にリデュース、第二にリユース、第三にリサイクルとの優先順位が定められておるわけでございます。再生資源利用促進法の改正法案は、循環型社会形成推進基本法案による廃棄物リサイクル対策の枠組みのもとに位置づけられるものであり、本基本法案に示された基本原則によって運用されるべきものと考えております。  具体的な運用に当たりましては、技術的、経済的可能性とか、環境負荷の低減効果を考慮いたしまして、個別の製品等の特性を踏まえつつ、リデュースリユースリサイクルの対象となる製品や対策の内容等を決めてまいりたいと思います。
  171. 小林守

    小林(守)委員 新しくリデュース、それからリユースの概念と政策が導入されました。それから、リサイクルについては従来からありましたけれども、さらに政策を強化するというような中身だろうというふうに思います。  今すっと読まれちゃったのでよくわからないのですけれども、有害性のある物質、例えば有害物質を含んだ製品などもありますね。実際に、テレビの中でもブラウン管とか、それから車でいえばバッテリーとか、いろいろ有害物質というかそういうものを使わざるを得ない製品だってあるわけですね。そういう三Rの原則というのは、一般の製品リサイクルを、再資源化を容易にさせていく。そして、環境負荷を少なくするというような趣旨で、三Rの原則を、川上から川下にきちっと流していく、そして川下から川上にまた戻っていくような、循環の輪のよどみない流れをつくるための優先順位として、まずリデュースから始まる順序が決められたんだと思いますが、これは有害物質を問題にしたものではなくて、一般の製品、一般の資材を利用したものなんだろうというふうに思うのですね。  しかし、有害物質はどんどんリサイクルされていいのかという問題が残ってくるのですね。特に、これは今回の法律においてはどこにも出てこないのではないかな、このように思いますし、基本法でもこれは触れていないのですね。そういうことなので、しかし、有害物質に対するリサイクル循環利用というのはどうなんだということを整理しておく必要があるんではないかと思うのですよね。どんどんリサイクルして、どんどん循環したらば大変なことになっちゃうんですね。  ですから、有害物質についての循環ということは、一般のリサイクルの三Rの原則は適用できない原則をやはり持っていかなきゃならないのだろう、このように思うのですが、これは環境庁でも結構ですし、通産省の方でも結構ですが、お答えいただきたいと思います。
  172. 中島一郎

    ○中島政府参考人 ただいま細田総括政務次官がお答えになりましたのは、リサイクルあるいはリユースリデュース、これの優先順位のお話でございますが、先生がお話しになりました有害物質、つまり環境に負荷を与える物質につきましては、これは、循環経済社会あるいはその産業といったものとは別に、まず第一の原則としてそういうものは環境に出していかないということで、この優先順位の外で、基本的な原則としてそう考えて、そういうものは環境に出していかない。例えば、今テレビの例をおっしゃいましたけれども、水銀あるいは有害金属も使われてございます。そういったものは環境に出していかないということをまず第一の前提とした上での、現在のリデュースリユースリサイクル、そういった優先順位が定められている、そういうことでございます。
  173. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  先生、循環型社会形成基本法案の中に有害物質についての言及がないというコメントがございましたので、ちょっと補足説明させていただきます。  循環型社会形成推進基本法案の二十条におきまして、事業者がみずから評価を行いまして、まず発生抑制、そして各種工夫によりまして循環的な利用、そして処分という順位を定めておりますけれども、その評価事項の一つといたしまして、二十条の四号でございますけれども、有害物質に関しての評価をきちんと行うという規定を置いております。かつまた、二十一条におきまして、環境保全上の支障の防止という条項を置きまして、有害物質問題についてきちんと配慮するという形になっております。
  174. 小林守

    小林(守)委員 わかりました。ちょっと不勉強なところがあったようでありますが、普通のリサイクルの三Rの原則は適用してはまずい物質、材質もあるんだということをぜひとらえた形で進めていただきたいな、このように思います。  そこで、有害性のある物質という中で、私は、通産行政に特にかかわって、環境行政の方から強く要請をしてまいりました問題として、特定フロンの回収、破壊の義務化、これについて、きょう通告はしておりませんけれども、フロンというのはオゾン層を破壊する有害性物質だったというのが明らかになって、これは製造禁止、そして排出はいけませんよという国際的な約束ができています。しかし、これは自主的に行われている。自主的にというか、自主的な努力義務ですから、実態的にはほとんど野放しで放出されてしまっているという現実です。  フロンというのは、特定フロンはオゾン層を破壊する、なおかつ温暖化の物質なんですが、それにかわる、オゾン層を破壊しない代替フロンというものが開発されて、それが使われるようになった。しかし、この代替フロンという、HFCなど、これは大変な温暖化物質だということが明らかになって、京都議定書の中では、温暖化対象の排出ガスという指定がなされたわけなんです。有害性物質を外に出しちゃいけませんという基本原則、そういう視点に立つならば、私は、商工行政の中で、これは環境行政と共管の問題だと思うんですけれども、業界が絡んできますので、通産省の方なり商工委員会の御協力がないと、何ともこれは進まない法案です。自民党の中でも、この問題について議員の皆さん方が、頑張ってつくろうじゃないかという動きもありますが、なかなかこれも思うようにいかない、こんな現実もございます。  そこで、特定フロンなり代替フロンについて、私は有害化学物質だと言わざるを得ない。しかし、有用ではある。有用ではあるんですよ。そういう問題について、これは、大臣、政務次官、また局長さんでも結構ですから、通告外の質問なんですけれども、ちょうだいしたいと思います。     〔小林(興)委員長代理退席、委員長着席〕
  175. 中島一郎

    ○中島政府参考人 御指摘の特定フロンにつきましては、新たな生産あるいは新たな使用はしないということでございますし、代替フロンにつきましては、今先生に御説明いただきましたように、地球温暖化上大変大きな効果を持っているガスであるということで、京都議定書の中でも、当初三つのガスというのに加えて、三種類の代替フロンガスが特定をされたわけでございます。これを主として使用しておりますのは、断熱材あるいは熱媒体、一部半導体製造工程などに使っております。  したがいまして、先生今御指摘なされましたように有用な物質でございますし、これに代替するものがなかなか見つからないという困難な点もございますが、これを環境に放出しないということをどうやって進めていったらいいかというのが今の課題だろうと考えてございます。  例えば、家電あるいは自動車のエアコンの中に代替フロンが使われております。現在、家電リサイクル法の施行を来年、あるいは自動車につきましては業界の自主行動計画、ガイドライン、あるいは私どもの産業構造審議会のガイドラインという形でリサイクルを進めているわけでございますが、そうした活動の中で代替フロンにつきましても、現在一〇〇%回収するというめどがついたわけではございませんが、関東地区から始まりまして、どんどんモデル地区をふやして、全国で代替フロンの回収を進めていくというふうなことで代替フロン回収努力を推進しているところでございます。
  176. 小林守

    小林(守)委員 フロンの回収の問題についても、長年私も、長年といっても大した年数ではないんですが、ずっと関心を持って見てきているんですが、やはり、家電のエアコンとか冷蔵庫、これらについての回収率は非常に高くなっています。ところが、自動車のエアコン、カーエアコンなどの回収については、このデータが、まだ業界とそれから通産省の発表の数量が合わない。そして、なおかつ、回収率が上がらない、一二%だと。これはどうするんですかということですよね。自主的に業界ではやっていますと言いながら、いつになっても上がってこない。どんどん放出されていって、もうあと十年から二十年間ぐらいオゾン層の破壊はピーク状態を続けると言われています。  そんなことを考えると、やはりこれも何らかの、指定回収物品なり製品に指定をして、回収を義務づけする、外に絶対出さない、なおかつ、使いようがないんだったらば破壊する、そういう新しい取り組みをぜひこれはやはりやっていただきたいな、このように思いますし、自民党の議員さんの中でも熱心にそういうことを提言されている方もいらっしゃいます。大臣、または政務次官、いかがですか、この問題について。
  177. 細田博之

    細田政務次官 家庭用冷蔵庫などについては、おっしゃるように、家電リサイクル法により、来年から非常にきっちりやれる見通しでございますけれども、さらにやれる見通しでございますが、カーエアコンについては、まだまだ、使用済み自動車のカバー率が二、三割という状況でございまして、これから高めていかなきゃなりません。我々としても、七割というようなことが言われておるわけでございますけれども、これを達成するために、いろいろな知恵を出していかなきゃいけない。これは、自民党の中でも、政治家が検討委員会を設けておりますし、伺いますと、民主党の中にもそういう動きもあるというふうにも聞いておりますが、我々も大いにこれから知恵を出していかなければならない論点だと考えております。
  178. 小林守

    小林(守)委員 ぜひ、お互いに知恵を出し合いながら、何とかこれが実現できるように頑張っていきたいなというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいなと思います。  それでは、次に移りたいと思いますが、今度の法改正の中で、特定業種とか、それから指定製品について、政令で指定をして、それについての回収とか引き取り義務とか、それから、その減量化とか工程の合理化によって、資源の節約とかそういうものを進めなさいというような、いろいろな一定の取り組みが進められることになります。  気になるのは、一つは、特定業種の中では、第二条八項にある特定再利用業種、これの対象としては、大体自動車とかパソコンとか複写機、それからパチンコ台、こういうものを、そういう業界を特定再利用業種と指定して、再利用をどんどん進めなさいというふうにやるわけですね。それからもう一つは、これは法第二条の十二項なんですが、指定再資源製品という形で、ここでも、再資源化をしなきゃならない製品として、パソコンとか二次電池とかいうようなことが指定されるというようなことなんですけれども、その条文の中に、「技術的及び経済的に可能」という一定の限定が付されていますね。この技術的、経済的に可能ということを緩く解釈すれば、どんどん、緩くと言っていいか、これを厳密に解釈すれば、ほとんどやらなくていいということになっているんじゃないでしょうか。もっともっと弾力的に、最大限その可能性を追求するという立場で解釈するんだということであれば、どんどん広がっていくというふうに思うんですが、この限定という運用の方針について、これは極めて重要な、今後のこれからの取り組み基本になる部分だと思うんですよ。これはぜひ大臣にお答えをいただきたい、このように思います。
  179. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 本法案では、廃棄物リサイクル対策を実施する上で、事業者が具体的に取り組むべき内容を個々の製品業種ごとに事業者の判断の基準として規定する、事業者の努力をそのことで促すということで、その業界全体の水準を引き上げていこうとしているものでございます。だから、この判断の基準に規定する事項については、廃棄物リサイクル現状とか技術水準などを踏まえて、事業者が相当の努力を行って初めて可能になるような水準を規定するということを予定しているわけであります。つまり、我々としましてはやるべき方向をきちっと示す、やる方法は業者が全力を挙げて努力しなさい、こういう考え方だと受けとめていただきたいと思います。
  180. 小林守

    小林(守)委員 それでは、時間も迫ってまいりましたので次に移りたいと思いますが、もう一度、廃掃法と本法との関係について幾つか答弁をいただきたいなというふうに思います。  この法律の第一条の目的の中に、「使用済物品等及び副産物が大量に発生し、その相当部分廃棄されており、かつ、再生資源及び再生部品の相当部分利用されずに廃棄されている」、こういう状況というのは、それらが無価物の廃棄物であったからだということではないかと思います。これは解釈の違いがちょっとあろうかと思いますが、そういうふうに私は考えています。  それで、第二条の六項に、再資源化という定義がなされていますが、「「再資源化」とは、使用済物品等のうち有用なものの全部又は一部を再生資源又は再生部品として利用することができる状態にすること」であり、これは廃棄物を再資源化する工程を経て再生資源及び再生部品になることをあらわしている。ですから、これは先ほどの答弁の再確認になろうかと思いますが、再資源化の工程までは廃掃法の定義及び適用を受ける、こういうことでよろしいですね。
  181. 中島一郎

    ○中島政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたとおり、再資源化の対象になります使用済み製品廃棄物処理法に規定します廃棄物である場合には、御指摘のように再資源化の工程以前はもとより、当該使用済み製品から有用な資源部品を取り出す行為そのものも廃棄物処理に該当するということで、廃棄物処理法に規定する規制が適用されるということでございます。
  182. 小林守

    小林(守)委員 それでは次に、先ほども触れましたけれども、二十一条第三項の指定再利用促進製品及び指定副産物、指定副産物は十四条になりますが、この指定再利用促進製品及び指定副産物はこれまで、指定副産物は産業廃棄物、それから指定再利用促進製品等については事業系一廃、パソコンとか複写機とかパチンコ台とかこういうものは事業系一廃と言われてきたわけですね、こういうことから取り出されたものであります。  したがって、これらの事業系一廃については、また産廃については地方自治体の廃棄物処理の現場実務に深いかかわりがあるわけです。そういう現場実務に支障が出ないように、ぜひ都道府県それから市町村、現場としっかりと緊密な連携を図って対応していただきたいわけなんですが、それらについて、通産省並びに環境省では、廃掃法が環境省の所管になりますので、環境庁の方からも御答弁いただきたいと思います。
  183. 中島一郎

    ○中島政府参考人 今御指摘の指定再利用促進製品あるいは指定副産物の指定またはその対策をどうとっていくかという点につきましては、御指摘のように自治体、地方公共団体に支障が出ないように、また廃棄物処理を通じてリサイクルの分野に知見を有している地方公共団体の専門家の方々を加えて議論をしていき、またその他のさまざまな方々の意見も踏まえて指定をしてまいりたいと考えてございます。
  184. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 先生御指摘の物品につきましては、いずれにしましても今回の基本法の循環資源に該当するということになりますので、国、地方公共団体、さらに事業者等々の役割分担もきちんと踏まえ、かつ連携もきちんとやっていくような形での体制をとるよう今後いろいろ検討してまいりたいと思います。
  185. 小林守

    小林(守)委員 それでは、もう一つ。  二十七条の第二項にかかわるんですが、使用済指定再資源製品、非常に回りくどい言葉なんですが、「使用済指定再資源製品の自主回収及び再資源化の認定」というような項目があります。これについて、この二十七条の第二項にかかわる事業者の認定申請、これには主務大臣というふうな言葉がありますが、この主務大臣はどういう大臣になるでしょうか。
  186. 中島一郎

    ○中島政府参考人 今御指摘の、事業者が主務大臣の認定に必要な書類を提出することとなっておるわけでございますが、その書類の提出先は、主務大臣でございます環境大臣及び事業所管大臣、これは通産大臣等でございますけれども、となってございます。
  187. 小林守

    小林(守)委員 環境大臣も入るんでしょうか。
  188. 中島一郎

    ○中島政府参考人 今御答弁申し上げましたように、環境大臣も入っております。
  189. 小林守

    小林(守)委員 ですから、あわせて環境大臣にも出すということになりますか。
  190. 中島一郎

    ○中島政府参考人 もう一度お答え申し上げますと、環境大臣及び事業所管大臣、これが通産大臣等でございますけれども、両方に出す、こういうことでございます。
  191. 小林守

    小林(守)委員 時間が参りましたので、終わります。  実は、今度の再生資源利用促進法の環境大臣と主管大臣との関係をずっと私も調べさせていただきまして、随分環境大臣が共管をしたりまたは緊密な連携をとりなさいというような条文があったり、環境大臣に協議というようなこともあります。法文の中にも環境行政リサイクル行政の中に相当協議の対象に入ってきたな、このようには思うんですが、実は四十条をちょっと読みたいと思うんです。  「主務大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、環境大臣に対し、廃棄物処理に関し、再生資源又は再生部品利用促進について必要な協力を求めることができる。」というようなこの読み方。どういうふうな趣旨で入ったのかわかりませんけれども、環境大臣について主務大臣はその協力を求めることができるというような条文が入っていますが、この四十条というのは見方によるとまた補完するような意味で使われるのかなというように思うんですが、これについて、法案の趣旨を、どういう背景があってこういうのが入ったのかということをちょっと説明していただけますか。そして終わります。
  192. 中島一郎

    ○中島政府参考人 これは、改正前から入ってございます「廃棄物処理」というところから、環境省になりますと環境大臣ということになるわけでございますけれども、先ほどから御説明申し上げております、廃棄物処理法とそれから私どもの再生資源利用促進法の改正法案というものは物事の裏表でございますので、両方から緊密な連携をとらなければ円滑な循環型社会の形成をしていけないという趣旨で従来から入っているものでございます。
  193. 小林守

    小林(守)委員 では、委員長、終わります。
  194. 中山成彬

    中山委員長 吉井英勝君。
  195. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  私は、資源利用の上での基本となる考え方のところから伺っていきたいと思います。  これは家電リサイクル法のときにも質問をいたしたりしましたが、ドイツ循環経済法におけるEPR、拡大生産者責任について、同法第二十二条の一項では、製品の開発、製造、加工、施工、販売にかかわる事業者に対して、商品の最終的に廃棄物となる段階までを見通したアセスメントを行って、製品を製造、使用する場合に廃棄物の発生を可能な限り低減し、使用後に発生する廃棄物を確実に環境にかなう方法でリサイクル及び処分できるように設計することを義務として、生産者に製造物に関する責任を課す、こういうものであると思うんですが、まずこれを最初に確認しておきたいと思います。
  196. 中島一郎

    ○中島政府参考人 まず、本改正案の内容とドイツの法制度と比較してどのような特徴があるか、そういうことを御説明申し上げたいと思いますけれども……(吉井委員「いやいや、またそれは順番にいきますから。ドイツの。環境庁の方に伺っておりますのは」と呼ぶ)
  197. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 今先生おっしゃいましたとおり、二十二条一項の規定はそういう規定となっております。
  198. 吉井英勝

    ○吉井委員 続いて、もう少し最初に確認しておきたいと思うんですが、設計責任に見合うものとして、反復使用できること、技術的に耐久性があること、使用した後で有害性のないリサイクル環境にかなう処分に適している製品を開発、製造及び流通させることというふうにしていると思うんですが、これも確認しておきたいと思います。
  199. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 二十二条二項一号から五号に、先生、今御指摘のような規定が規定されております。  ただ、設計責任というのはございませんで、製造物に関する責任は今先生が御指摘になったような各号列挙になっているということでございます。
  200. 吉井英勝

    ○吉井委員 今は、第二項一号のところでは、設計責任に見合うものとしての発想から出ているものだという解説的なコメントも環境庁の方からいただいておりますので、それをつけ加えておきました。  さらに、もう一点伺っておきたいのは、製品及び使用後に残る廃棄物を引き取り、かつリサイクルまたは処分することを生産者責任として定めていると思うんですが、この点も改めて確認しておきます。
  201. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 ドイツ循環経済法二十二条二項五号に、製品及びその使用後に残る廃棄物を引き取り、かつリサイクルまたは処分することという責務を定めてございます。
  202. 吉井英勝

    ○吉井委員 そこで、今回の法律改正案について伺っておきたいんですが、廃棄物を引き取り、かつリサイクルまたは処分することを生産者責任と明確にしているのかどうか、この点を伺いたいと思います。これは通産省に。
  203. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 循環型社会形成推進基本法案の十一条二項におきまして一定の要件がございますけれども、事業者は、みずから当該製品、容器等が循環資源となったものを引き取り、もしくは引き渡し、またはこれについて適正に循環的な利用を行う責務を有する、こういう規定を置いております。  ただ、その場合に、国、地方公共団体事業者、国民がそれぞれ適切に役割を分担することが必要であること、あるいは、その商品につきまして、原材料の選択、当該製品、容器等が循環資源となったものの収集等の観点から重要と認められる、そういうような要件はございます。
  204. 吉井英勝

    ○吉井委員 いや、それは、今のお答えも、環境庁の方のお話はもうよくわかったんです。先ほども二十二条二項五号のところで、要するに、製品及び使用後に残る廃棄物を引き取り、かつリサイクルまたは処分することを生産者責任として定めているということですから、これはよくわかったんです。  それで、今回の通産省が出している法律改正案の方ですね。この改正案で、廃棄物を引き取り、かつリサイクルまたは処分することを生産者責任と明確にしているのかどうか、ここのところを伺っております。
  205. 中島一郎

    ○中島政府参考人 今回の改正法案の中では、指定再資源製品という名前で呼んでございますが、パソコンあるいは小型二次電池等を想定いたしておりますけれども、事業者がみずから自主回収をし、リサイクルを進めるという形で規定をいたしてございます。
  206. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、自主回収ということで、そしてそれは指定製品であって、一般に廃棄物を引き取り、かつリサイクルまたは処分することを生産者責任、こういうふうに明確にしている部分はありませんね。これだけ確認しておきます。
  207. 中島一郎

    ○中島政府参考人 法律の中では、回収技術的、経済的に可能である場合ということで定めてございます。
  208. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、いろいろ前提をつけてのことで、そして自主回収ということで、それは指定製品の話であって、一般に廃棄物を引き取り、リサイクルまたは処分することを生産者責任と明確に規定したものではないということです。今の御答弁は結局そういう意味ですからね。何だったらもう一遍確認しておきましょうか。
  209. 中島一郎

    ○中島政府参考人 法律の第二条のところで、指定再資源製品についての御説明でございますけれども、  一度使用され、又は使用されずに収集され、若しくは廃棄された後それを当該製品の製造、加工、修理若しくは販売の事業を行う者が自主回収をすることが経済的に可能であって、その自主回収がされたものの全部又は一部の再資源化をすることが技術的及び経済的に可能であり、かつ、その再資源化をすることが当該再生資源又は再生部品の有効な利用を図る上で特に必要なものとして政令で定めるものをいう。 という形で一般的には定めてございます。
  210. 吉井英勝

    ○吉井委員 要するに、一般的に定めた定めたということでずっとレクのときでも御説明があるんだけれども、いろいろな前提条件をつけてそして自主回収を進めるということで、生産者の側の引き取りの責任という形で明確にされているということにはならないというふうに思います。  現在、EUでの方では、WEEE、廃電気・電子機器リサイクル指令が検討されておりますが、このドイツ法の廃棄物を引き取り、リサイクルまたは処分するというのと同様に、指令案の第八条で、一般家庭からのWEEEを無料で返却できるようにしなければならない、また、一般家庭からのWEEEの回収処理、再生及び環境に健全な処分の費用を製造者が負担するようにしなければならない、今こういうふうに指令案では検討されていると思うんですが、これも、事前にこの質問はするというふうにお伝えしてありますので、確認しておきます。
  211. 中島一郎

    ○中島政府参考人 製造事業者が設計、製造段階環境配慮の能力あるいは技術力を有しているわけでございますから、こうした製造事業者リサイクル推進に当たって主体的な役割を担うということが期待される立場にあると私どもも考えております。  ただ、製品ごとに製造、流通あるいは消費、廃棄後の実態は異なっております。したがいまして、製造事業者に求められる対応というものも、おのずから異なってくるというふうに考えられます。すべての製品につきまして一律に、製造事業者製品廃棄後の回収あるいはリサイクルの義務を負うべきとの議論は妥当であるとは考えてございません。OECDにおきましても、拡大生産者責任をすべての製品に一律に義務を負わせるといった議論ではございませんで、今委員御指摘のドイツにおきましても、個別の製品特性に応じた制度設計を一つ一つしていくという形の仕組みになってございます。
  212. 吉井英勝

    ○吉井委員 今のEU指令としてまだ確定したものではないということはわかった上なんですが、指令案として検討されているのは、一般家庭からの廃電気・電子機器リサイクル、廃電気・電子機器、これを無料で返却できるようにしなければならないということ、あるいは同様に、一般家庭からの廃電気・電子機器を回収処理、再生及び環境に健全な処分の費用を製造者が負担するようにしなければならない、こういうことが検討されているということは、これは間違いありませんね。
  213. 中島一郎

    ○中島政府参考人 EU指令案の中でそのような検討がされているということは、私ども聞いております。  ただ、これは今後、産業界消費者あるいはその国ごとのそれぞれの議論を経て確定していくということでございますので、現在確定したものでもないということもまた事実だと考えてございます。  なお、ただいま電子・電気機器の回収リサイクルについての御質問がございましたけれども、我が国の家電リサイクル法におきましては、既に販売済みの製品に対処する必要があるとか、あるいは購入から廃棄まで十年以上の時間がかかるとか、あるいはつくった企業が倒産した場合のリサイクルの費用の負担の問題とか、あるいは排出時にコスト負担できる方が排出抑制あるいは製品長期使用に資するといった理由から、排出時に負担を求める方が適当であるというふうに日本での議論は考えておりまして、現在の家電リサイクル法はそのような仕組みをとっているわけでございます。
  214. 吉井英勝

    ○吉井委員 大臣にもお聞きいただいておりましたのは、もちろん、倒産した企業の場合どうするかとか、これはファンドを考えておくとかいろいろな手法がこれまた別にあろうかと思います。要するに、今、リデュースリユースリサイクル、問題は、これを本当に実効性あるものにしていくにはどうするのかということが一番大事なところで、この三Rを考えていくときに、設計責任、それから引き取り責任、費用負担ということを明確に規定して、そしてそのことに見合ったインセンティブなどを与えながら規制と誘導の手法を使って本当に進んでいくということを考えていかないことには、漠とした理念的な枠は一応考えましたけれどもと。しかし、それだけではやはりうまくいかないわけです。  私は、そういう点で、設計責任、引き取り責任、費用負担、本当にこれを実効性あるものにするということで、こういうヨーロッパでのさまざまな取り組みや、当然そこには試行錯誤も私はないというふうには思っておりません、いろいろなことをやりながらでしょう。しかし、少なくともそういうことは、その方向は目指していくということをしておかないと、なかなか実効性あるものにならないと思うのですね。この点だけは大臣に伺っておきたいと思います。
  215. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 今それぞれお話を申し上げたように、このたびの法律改正に当たりましては、まず我が国の直面する環境制約とか資源制約というものを一つの背景にし、またお話のようにドイツ循環経済廃棄物法を参考にしたり、OECDでの議論を踏まえて、新しく構築する循環型の社会というのは、廃棄物の発生の抑制、あるいは部品の再使用、原材料としての再利用等が積極的に行われるように持っていこう、こういう考え方でございます。つまり、環境経済が統合された、資源の有効利用を図る循環型社会構築が図られるべきだ、こういう考え方に立っています。  こうした認識を踏まえて、本法案では、自動車などの特定製品の製造者が、設計、製造に当たって省資源化、長寿命化、長くもつということですが、ということを図ることによって廃棄物の発生をリデュースしていくということやら、あるいはコピー機など特定の製品の製造者が、設計、製造に当たって使用済みの製品から部品を取り出してリユースできるようにしていくことなど、あるいは二次電池など特定の製品の製造者に回収リサイクルを義務づけることによってリサイクル対策を一層強化するといったような措置を追加して出したものでございます。
  216. 吉井英勝

    ○吉井委員 やはり一番大事な点というのは、設計段階から開発した製品廃棄物に至るまでの先を見越した製品アセスメントをやって、そして今おっしゃったような長寿命化とか、むだなものをできるだけ使わない、素材の面でも要らないものは使わないとか、そういう点で設計責任が大事になってくる。それから、これは本当にリサイクルなりリユースに乗せようと思ったら、引き取り責任とかそのときの費用負担、こういうことをきちっと組み合わせてこそ実効性あるものになりますから、私は、その方向でやはりそれを目指して進んでいくということが大事だということを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  これまでごみの減量化とかリサイクル取り組みの中で、全国の先進的な自治体の一つでもありました埼玉県の久喜市、宮代町の衛生組合の実情というのを、最近私どもの方で調査をしてまいりました。  資源として、飲料用瓶、缶それからPETボトルの不燃系、これを一つに数えて、それから新聞、雑誌、雑紙類、段ボール、牛乳パック、古着類の可燃系のもの、これで今六品目ありますが、及びプラスチック類の合計八分別と、それからスプレー、蛍光管等と廃乾電池、ライター、燃やせないごみ、粗大ごみ、燃やせるごみの七分類で、合計十五分類で分別収集をやっているのですね。十五分類でやっているところというのは全国の自治体を見ても私は非常に珍しいケースだと思っています。私が知っているところでは、大阪府下で十五分類まで徹底してやっているところというのはなかなか見当たらないし、全国的にもなかなかのものだというふうに思います。  ただ、ここでの悩みは、燃やせるごみと燃やせないごみ、粗大ごみは確かにそれぞれ減っていっているのです、この十五分類の分別収集をやりまして。しかし、資源類の収集が急速にふえてくるのですね。だから、自治体の収集する資源類とごみの総量の方は、つまり足した方は減ってこないのですね。十五分類の分別収集、そこは頑張るのだけれども、ごみは減らない。  結局、排出抑制ということを本当にやらないことには、これはなかなかうまくいかない、自治体がどんなに努力しても。消費者の皆さん、市民の皆さんも随分頑張っているのです。しかし、どんなに頑張っても、肝心の、もともと容器包装その他を含めていろいろなものがついてくるものですから、それがある中では減らない。  だから、生産段階流通段階での徹底したリデュースに取り組んでいくということを、やはり通産大臣を先頭に、この法律を本当に生かしていこう、あるいはこれまでの法律を生かしていこうと思ったときに、本当にその立場に立って、自治体の取り組みをどう支援するかとか、ここへ進まないと、私はなかなかうまくいかないのじゃないかというふうに実は調査をして実感しているわけです。  まず、この点での徹底したリデュースの必要性というものについての大臣のお考えというものを聞いておきたいと思います。
  217. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 今の埼玉県のいわゆる市民団体の活動ぶりというのは私も聞いております。循環型社会構築するために一体何が必要かというと、どこか一カ所が重要であるということではなしに、やはり国民の側、特に地方自治体でどう啓蒙、協力関係構築されるかということ。そして、何よりも事業者リデュースを含めた思い切った努力をするということ。それらを国や行政がしっかりと支えて、協力をしていく。まさにこのような形が整っていかなければ、目的を達成することはできないというふうに思っています。  いずれも重要な分野で、どこに重点を置くということを限定することはなかなか難しいとは思います。しかし、通産省としてやれることは、特に力を入れてやれることは何かと考えれば、やはり事業者リデュースに真剣に取り組むというその分野でのかかわりは特に深いというふうに考えておりますから、そういう意味では、委員御指摘のように、全力を挙げてリデュースについての事業者の努力を促進するような、そういう我々は努力をしなければならぬと思っております。
  218. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、排出抑制ということになりますと、では具体的にどのように抑制をしていくのかということで、個々に数値目標も持ってそれを示して取り組んでいく。それに合わせて生産者の側の、事業者の側の引き取り責任などを含めてどうしていくのか。  実際、本当に市民の方は随分頑張っているのです。自治体も頑張っているのです。しかし、自治体も市民も頑張るのだけれども、ごみが減らないということは、もともと市民のところへごみが持ち込まれてくるからなのですよ。いろいろな形で入ってくるからですから、それを数値目標を決めて本当に抑制する、引き取る、そういうことを具体的に考えていく、この立場に立つことが私は大事だと思うのですが、これについても大臣に伺っておきたいと思います。
  219. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 これまでの再生資源利用促進法においては、例えば古紙の利用率やカレットの利用率などのリサイクルの数値目標を事業者の守るべき判断の基準と定めて、事業者リサイクル取り組みを促してまいりました。  本法律案に基づく措置においても、措置の内容やその技術的、経済的な可能性を考えながら数値目標の設定を活用することが必要であると考えております。例えば、指定再資源製品に指定することを想定しているパソコンなどについては、こうした観点から、再資源化の数値目標を設定することを含めて検討してまいりたいと思っています。  また、発生抑制対策、リデュース対策ですが、あるいは部品等の再使用対策、リユース対策については、対象となる製品に関する技術動向だとか経済的な可能性などの状況、あるいは本法に基づいて行われる対策の実施状況などがどうなっているのか、個々の対象製品ごとに十分に考慮して検討してまいりたいと思います。
  220. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、まずその抑制の面で数値目標を持って頑張っていただきたいということもあるのですが、そこから先がまた問題なんですね。  実は、これは午前中もごみ関係の方から参考人として来ていただいて伺いましたけれども、そのときに私は申し上げたのですが、例えばPETボトルの問題ですね。  九七年から九八年にかけて、PETボトルの回収量は二万一千から四万七千へと二万六千トン余り、回収量は確かに二倍以上ふえているのです。ところが、この間の生産量が二十一万八千から二十八万一千ですから、六万トン以上生産量がふえているのですね。回収量は二万六千ほどふえたのだが、その倍ほど生産量の方もPETボトルがふえてしまっていると。  回収率は確かに九・八%から一六・九%にうんと、これも飛躍的に伸びた。しかし、肝心の生産量の方がどんどんふえていくものですから、実は、絶対量として見れば回収は進んでいないということにもなってくる。  その上に、実は、容器包装リサイクル法に基づいて、PETボトルはPETの処理センターへ送るわけですが、私どもが調査しました久喜市などの組合のPETは、一応引き取ってもらえるように今はなっているのですが、周辺の自治体のおくれていたところが始め出すと、このセンターの方は処理し切れないから引き取らなくなる、引き取れなくなるのですね。  それから合成樹脂製品などは、ここの場合はRDFにしているわけですが、これは福島のRDFを燃やす方のセンターへまた引き取ってもらっているわけですが、これは上限がある。だから、事務組合の倉庫は引き取ってもらえないRDFで今やいっぱいになってきているのですね。もちろん、熱回収というものを簡単にリサイクルの範疇に入れることがいいのかどうかという議論が別にありますが、とにかくRDFの方も倉庫がいっぱいになっているのです。  PETの方は、ここの組合についてはまだましで、一応引き取ってはもらえているのだが、これはマスコミ等でも紹介されておりますが、川崎市の浮島処理センターには、PETボトルが三メートルの高さに積み上げられて、五十メートルのPETボトルの圧縮したパックの土手ができてしまっている。これは何もここだけに限らないで、全国各地に今そういう状況が見られます。ですから、かなりよく進んできたところでも、回収した資源の多くが処理できずに今困っている。すべての自治体で取り組み出したら、処理センター不足で、回収した資源が全国であふれることになってしまう。  ですから、そういう点で、本当に、リデュースの数値目標を定めてやるということとともに、この既にどんどんふやしてしまっているPETボトル、回収よりも生産の方が多くなってしまっているというこのPETボトルなどについて、では、これをセンターの施設機能を強めて処理するように取り組んでいくという、これもあるでしょうし、いずれにしても、もう野積みになってしまっている状態、この現実をどういうふうに打開するのかということについて、今このことを考えなきゃいけないところへ来ていると思うのですが、この点について政府参考人の方から伺っておきましょう。
  221. 中島一郎

    ○中島政府参考人 平成九年度から施行されました容器包装リサイクル法に基づきまして、分別収集が行われているわけでございますが、PETボトルのリサイクル量は、先生御指摘のように平成九年度の施行以降、大変大幅に拡大しております。その一方で、市町村によって分別収集されましたPETボトルの一部が引き取られないという事態が昨年度発生をいたしたわけでございます。  今先生のお話の中にございましたように、一市町村におきます分別収集、これはあらかじめ年度の初めに計画というものをつくっていただいて、その計画に基づいて引き取り量、引き取りの計画を立て、処理をしてまいるわけでございますが、大変市民の方々の協力が積極的に行われて、当初の市町村の計画しました約五万トン、これを上回るペースで収集が行われまして、再商品化工場の方はなかなかそれに追いつかずに、昨年度は工場の能力が不足したという状況がございました。  それで、年度の半ばでそういう状況が明らかになってまいりましたので、私ども、関係省庁と協力しながら、日本容器包装リサイクル協会におきまして、再商品化工場の稼働率の向上などを進めてもらうといったような努力をしてもらいまして、処理能力を可能な限り増大するようなことで努めてまいりました。当初の引受計画量を上回る約五万七千トンまで拡大することができたわけでございます。ただ、それでも、市町村の方で集められましたものが、最終的に約五千トンほど年度末でリサイクルされずに今年度に繰り越されたという格好になりました。  しかしながら、今年度は、昨年度のこのような教訓を踏まえまして、さらに工場の設備投資の前倒し等によりまして再商品化能力を一層拡大していくということで、昨年度からの繰越分も含めて、今年度は市町村の方でもさらに拡大された分別収集が計画されておりますが、それを含めて全量リサイクルするという形で今対処をしているわけでございます。  この分別収集量と再商品化能力の乖離といいますのは大変深刻な問題ではございますが、現在、その再商品化能力の拡大制度の定着、これは平成九年度から始まったわけでございますので、それが制度の定着の段階にあるということで、その定着が終われば解消されていくと私どもは考えてございます。  今後とも、市町村あるいは分別収集に協力している消費者関係事業者関係省庁と力を合わせて解決していかなければならない問題だと考えております。
  222. 吉井英勝

    ○吉井委員 今のお話を伺っていると、とにかくPETが集まった、野積みになっている、この状態を何とか全量再商品化ということでめどをつけるというお話なんですが、実はもう一つ問題があるのですね。  では、それで、処理センターの工場能力の方、これが済んだら今度はどうなるか。そのときには、処理した後の再生資源利用先が、現在、実は多くないのですね。これは午前中の参考人の方の御意見を伺っていても、それが今悩みなんですね。  だから、処理工場をつくってよく処理しました、再商品化のめどがつきましたといっても、それはペレットの状態なんですね。PETボトルの野積みで山積みされるか、ペレットの状態で倉庫の中がいっぱいになるか、この問題が今あるわけですね。ですから、再生資源利用先をどうするのかと同時に、回収からあるいは処理センターの増設や維持、それを処理する費用負担の問題、これをどうするのかということがやはり問題になってくると思うのです。  まず、処理した後のペレットのめどは立っているのですか。
  223. 中島一郎

    ○中島政府参考人 先ほど申し上げました再利用化のための工場設備の増強と相まちまして、ペレットの需要拡大にも努めているところでございまして、今年度の計画の目途は立っていると考えております。
  224. 吉井英勝

    ○吉井委員 現実から余り離れたことを言ってはだめだと思うのですね。  計画は立っていると今おっしゃったんだけれども、しかし現実に、PETボトルの再生チップ、これを全量、全部処理したときに、一体何に使うというめどが立っているのですか。素材としてどこでどう活用するかということに一番今ぶつかっているんですよ。
  225. 中島一郎

    ○中島政府参考人 再生利用に当たっております財団法人日本容器包装リサイクル協会でございますが、そちらで再生事業者と契約いたしますときに、ペレットの段階までして、その需要先についても確認をとって契約している、こういう状況でございますので、私どもとしましては、それの合計量については利用がされるというふうに考えております。  なお、利用先でございますが、さまざまなものに利用されておりますけれども、衣料品のほかに、例えばカーペット類であるとか一部建設資材であるとかといったものに利用されていると承知しております。
  226. 吉井英勝

    ○吉井委員 私、悪いけれども、本当に現場をよく見てほしいと思いますね。なるほど、私も工場へも行きまして、ワイシャツなどになったものを見てきました。それは部分的にそういうのにつくれますということなんですよ。  PETボトルのリサイクルペレットを射出成形するなりなんなりして、糸状の繊維にしてこれを全部カッターにするなんというようなことは、とても現実的な話じゃないんですよ。それから、フラワーポットなりなんなりもありますよ。しかし、今、ポリプロピレンその他の合成樹脂の再生工場から出てきたもののペレットだって、どうしようかということでみんな同じことを考えておって、PETボトルの方のリペレットも別な合成樹脂のリペレットも、みんなフラワーポットだとかちり取りだのごみ箱などと、今大体似たようなものになっている。ですから、私は、リデュースというのはそういう現状を踏まえて、新しい素材の投入については本当に抑制しないと、出てきたものの、再生したものの使い先も生まれてこない、バランスした社会の中では。  ですから、大臣、やはり私はそのことまで考えて、そして回収から、センターにお願いしての処理からして、自治体財政も大変になってきているときですから、こういう点では、資源回収や再生産処理コスト、これらを含めて生産者負担の仕組みというものを考えて、それを一つのインセンティブにして、生産者の側でもリサイクルしたペレットの使い先まで考えた設計に移っていく、そういうところまで本当に踏み込んで考えないと、これはなかなか、口で言うのは簡単ですが、システム全体が機能するようにならないと思うんですね。  これは大臣、大臣のお考えを聞いておきたいと思うんですけれども、やはり私は、そういうものをどう構築していくのか、そこのところを大臣として今考えてもらう必要があるんじゃないですか。
  227. 岡本巖

    ○岡本政府参考人 お答え申し上げます。  PETボトルをリサイクルして、それをペレットというかフレークにして、現状で申しますと七割ぐらい、作業衣あるいはワイシャツその他の繊維の原料として、そのほかに卵の包装容器でありますとかそういう分野に使われているわけですが、七割を占めております繊維用にフレークにした回収PETボトルを使うという分野の需要が、幸いなことに大変近年急速に伸びております。それが一つございます。  それから、私ども、十一年度の補正予算で、回収したPETボトルをもう一度PETボトルの方に再利用するということを技術開発によってブレークスルーできないかということで、そういうことの予算も実は手当てをいたしておりまして、今、回収したPETを、ポリエチレンとテレフタール酸、重合したものでございますが、そのままではもう一度PETボトルにするというのは難しゅうございますから、ビズ(β—ヒドロキシエチル)テレフタールというものに分解をすることによって、もう一度、色素、不純物を取り除いた上で、PETボトルと同等に純度の高い樹脂を開発するということができないだろうかということで、今技術開発も進めておりまして、これは先ほど来先生の御質問にございましたように、大変需要も大きく伸びておりますPETボトルという容器の分野でもう一度使うということに道を開くものでございます。  御指摘のように、リサイクルした製品をちゃんと有用に使えていくその方途をしっかりつくり出していくということに向けまして、私どもも引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
  228. 吉井英勝

    ○吉井委員 後でゆっくり聞こうと思ったら、先にその話に入っておられるので、それではそこのところを聞いておきます。  今大事なことは、私は、製品アセスメントに基づく設計、製作時の考慮と技術開発が非常に大事だと思うのです。今あなたがおっしゃった技術開発は、私は非常に大事だと思っているのです。ただ、現状はどうなのかと。  これは、古紙を回収した場合だってそうなんです。バージンチップとリサイクルチップ、価格の違い、純度の違い、それから、これは合成樹脂、PETボトルにしてもそうですね。バージンペレットとリペレット、価格や純度の違い。それは、私、技術開発というのは当然必要だと思っているのです。それをどう進めるかということを、非常に必要だと思っていますから、それを聞こうと思ったら、私の質問に入る前に、余り丁寧にレクチャーをやっておくと、質問レクやると、先走ってやってもらって段取りが狂って仕方がないんだけれども。私は、それはそれで大事だと思うのです。  だけれども、現状、なかなかそれはコスト的に引き合わないのです、今は。純度を上げれば上げるほどコストがかかってくるのです。そうすると、リサイクルペレットを使うよりもバージンペレットを使った方が安いというふうになってしまうわけですね。ここでその格差をどう埋めていくのか。私は一つは、純度を同じところまで高めますと、リサイクルペレットの方がうんと高くなりますから、それはさまざまなコストが入って高くなるのですよ。そうすると、それは税財政上の配慮などによって、バージンペレットなりバージンチップとリサイクルペレットなりリサイクルチップの品質を同等にできる価格上の配慮とか支援措置を考えていくのか。これは一つの方法だと思うのです。  もう一つは、何も必ずしも、強度とか安全性とか純度の面で、例えばPETボトルにしても、最初から透明のものになれてしまっているから、何か透明でないといけないような感じがしますが、確かにミネラルウオーターは透明の方が感じがいいでしょうけれども、ボトルの強度安全性、衛生その他について見れば、これがすべてリサイクルペレットによって、少々色が、透明度が悪くても何ら機能的に問題ないときに、それを普及することによって解決するとか、幾つかの方法があると思うのですが、これについてどういう取り組みをしていこうと考えているのか、これを伺いたいと思います。
  229. 岡本巖

    ○岡本政府参考人 PETボトルについて、リユースということの可能性を私どもも選択肢の一つとして勉強はしているわけでございますが、ただ、先生も御承知のように、非常に傷つきやすいという性質を持っておりますのに加えまして、高温での洗浄になかなか向かないというところがありますものですから、消費者の方々が衛生面の御懸念をお持ちになるというようなところもあろうかと考えますので、リユースということにつきましては、現状ではかなり難しいんじゃないか。  あえてそれをやろうとしました場合には、あれだけの大きな容器で空気を運ぶということになりますから、輸送のためのコスト、あるいは高温洗浄になじまないということですのでほかの方法での洗浄をするということで、そのための設備面のコストがかかってくるというようなことも伴ってまいりますので、リユースという方法について、今すぐその現実的な可能性ということについては余り期待できないのではないかと考えております。  先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、PETボトルにつきましては、それをリサイクルしたいわゆるペレットと申しますか、それについて繊維の分野の若干の数字を申し上げますと、平成九年で六千トン、それが平成十年で一万七千トン、十一年度は二万三千トンということで、大変な勢いで回収したペレットの需要というのが大きく伸びておりまして、私ども、先生の御指摘にあった古紙なんかはまさにこの需要のところがなかなか伸びないということで大変苦労したわけでございますが、PETボトルについては、最大の需要分野での用途が急速に拡大しているという事情が一つありますのと、それから、先ほどもちょっと御答弁申し上げました、PETボトルとしてもう一度使うという方向に向けての技術開発も今あわせて進めているところでございます。  こういう方向によって、回収したPETボトルの有効な再利用ということの見通しが十分立つのではないか、あるいはそういう方向でぜひこれからも努力を強めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  230. 吉井英勝

    ○吉井委員 幾つかの問題を全部固めて、いささか混同しながらおっしゃっておられると思うんですが、リユースとおっしゃったのは、お話を伺っていると、リターナブルをイメージしておられるんですね。私が言っているのはそうじゃないんです。リターナブルはリターナブルでPETボトルの場合もあって、ドイツその他ヨーロッパでもあるわけですね。二十回ぐらいはリターナブルする、少し厚目であっても。私は、それはそれで一つの行き方だというふうに思っているんです。  それともう一つは、リターナブルじゃなくて、再生ペレットを使った新しいPETボトルを射出成形でつくるということがあるわけですね。そのときに、不純物が入っているために、最初のバージンのペレットでやるよりも透明度が悪い。しかし、透明度が悪くても、強度とか安全性、衛生面で何ら問題なかったら本来一向構わないわけですよ。そういう使い方があるということが、私は、PET・ツー・PETにしてもそのことが一つある。  純度を高めるというのも、私もそれは大事な研究分野だと思っているんです。それはまたもっと純度の高い、文字どおりバージンペレットを使って、PETボトルなどじゃなくてもっと別な分野でこれを使っていくという点では、大いにそれは研究してやるべき分野だと思っているんです。  同時に、もう一つ考えなきゃいけないのは、設計段階から、バージンペレットを使ってそれで一度市場に回ったPETボトルにしても、途中で余分な不純物が入らなければ、本来極めてバージンペレットに近いもので製品ができるはずなんですね。しかし、そこにはさまざまな、色を出すための添加物なりあるいは標識をつけるためなりなんなりで入ってしまいますから、その純度が落ちるわけです。  そうすると、PETを回収して新しい再生ペレットをつくるにしても、純度のいいものでつくれるようなものを設計段階から考えていく、途中で、商品化する段階で余計な塗料その他を使わないとか、あるいは色のついたPETボトルも結構ありますが、色のついたものは使わないとか、色のついたものであれば最初から再生ペレットでもってつくっていくとか、やはりそういうことを本来設計段階から考えれば本当は解決できるわけで、まさにそういうことを組み合わせて考えるべきじゃないか。このことを言っているんですよ。
  231. 岡本巖

    ○岡本政府参考人 消費者の方々のPETボトルというものに対するリクワイアメントというものがどういうふうに変わっていくかというところに、先生の今の御指摘というのは大きく依拠する部分があろうかと存じます。  メーカーのサイドの対応としまして、塗料でありますとかあるいはコーティングでありますとか着色でありますとか、そういうことによって不純物がある程度加わるという、これは工程上やむを得ないところで、表示のために何がしか印刷をしなきゃならぬというようなところもあろうかと思うんです。  例えて申しますと、化学業界における取り組みとしまして、PETボトルもポリエチレンとトリフタル酸でございますが、ポリエチレン一つとりましても大変なグレードの数が多いというような現状にございまして、これが、リサイクルをする場合にアディショナルなコストをもたらすというようなところもございまして、従来、グレードというものをちょっとずつ違えることによって製品の差別化ということで各社競ってやってきているところですが、そういったものをこの際思い切って削減をしよう、そういう問題意識を持った取り組みも一部に行われつつあるところでございます。  先生のただいまの御指摘については、まさに消費者の方々、ユーザーの方々の、PETボトルならPETボトルという製品についてどういう機能というものを求められるか、それを見きわめをしながら、それに見合った製品というものを設計し供給していくという方向解決の方途というのが見出されていくべきものというふうに考えております。
  232. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、こういう点で消費者の意向を全く無視してできるようなものだとはもちろん思っていません。  ただ、例えばコカコーラの瓶、あれが最初から透明だったらみんな透明だと思うんです。我々、コカコーラを飲み出したときの、あの色がついているコカコーラのボトルになれたものだから、あれがコカコーラと思っているわけですね。ですから、それは商品化された最初のものが、例えば炭酸水であっても透明のPETでないもので我々がなれておったら別段どうということもなかったわけですよ。ですから、その点では、もちろんこれは資源という問題についての市民的合意を得る努力をしながら、やはり方向を変えていくということをやらなかったら、本当に、今おっしゃったような問題というのを根本的に解決することは、これは極めて困難だと思います。  私は、その点で少し、実は順番が逆になっちゃっているから、もう少し私の順番でいった方が問題がわかってもらいやすかったと思うんですが、次に、現在うまくリサイクルできなくて最終処分に持っていっているというものも随分多いわけですが、廃棄物を埋立処分にすると、その後さまざまな問題が現に起こっております。  ことしに入ってからも、大阪市淀川区の工場跡地、日本油脂というところの工場跡地のところで、大阪市が買い上げて老人ホームなどの計画を進めたら、環境基準の千四百倍の砒素、八百四十倍の水銀が検出され、四万一千トンの土砂の運び出しが必要になってしまったというのが明らかになっておりますし、それから、同じくことしに入ってから、豊中のマンションの建設現場の土壌から有機系化合物九種類や、重金属、猛毒シアン、PCB、砒素、トリクロロエチレンが検出されました。ここは以前産業廃棄物の処分地だったんですね。これを開発した野村不動産は、対策工事は不可能だと判断して工事を中止してしまいました。  今、かつての廃棄物の埋立地の中でこういう事態が各地で起こっているのではありませんか。
  233. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 最終処分場の跡地についてのお尋ねでございますけれども、最終処分場には大きく分けまして、瓦れき類など汚水を発生させるおそれがないような廃棄物を埋め立てる安定型処分場と、それ以外の汚水を発生させるおそれのある廃棄物を処分する管理型処分場とに分類されているわけでございます。  このうち安定型処分場につきましては、もともと汚水などが発生することはないような廃棄物を埋め立てるものでございますので、埋め立て終了後に当たりましても、特段の管理を行うということは要求しておりません。一方、管理型処分場につきましては、埋め立て終了後も汚水がしみ出してまいりますので、この汚水がしみ出してこなくなるまで引き続き汚水処理施設を運転するなどの管理を行うこととしておるわけでございます。  それから、最終処分場は、今大体、安定型処分場ですと年間で百件ぐらい、あるいは管理型処分場ですと三十件ぐらい廃止されている状況にございますけれども、廃止によりまして廃棄物処理法の規制対象から外れますものですから、厚生省として、廃止された処分場の跡地がどのように利用されているか、あるいはどういう問題があるかについては、詳細な把握はしておりません。
  234. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、つい二、三日前にも夕刊に紹介されましたが、枚方市が水道用地を購入するということになったときに、横にやはりそういうこれまでの処分場があって、水道局の施設ですから、随分問題が出てきた。  管理型処分場、遮断型処分場、安定型処分場の話がありましたが、このほかにも化学工場内等の埋立処分がかつてやられたというところも随分あります。その土地の住所、面積と、何が埋め立てられていたかという埋め立て内容物、例えば六価クロムであるとか、それらの登録台帳というものは存在していますか。全国のそういう埋立地の現状というものは、こうした登録台帳によってきちっと把握されていますか。
  235. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 廃棄物処理法に基づきまして、最終処分場の埋め立て終了の届け出が設置者から都道府県知事になされることになっておりますけれども、それがなされた場合、都道府県知事は当該届け出に係る台帳を作成することとなっております。それからまた、当該跡地を将来購入しようとするなど関係人からの請求があれば、この台帳を閲覧させなければならないという規定を設けておるところでございます。  この台帳には、設置者の氏名、埋立地の面積、深さ、埋め立てた廃棄物の種類や量などにつきまして記載することになっておりまして、都道府県において永久保管ということになっております。  ただ、これは都道府県単位で台帳を保管しているものでございまして、全国的に一本化して保管しているという状況ではございません。
  236. 吉井英勝

    ○吉井委員 先ほどの日本油脂にしてもあるいは野村不動産が直面した土地にしても、こういう問題が、市がやる場合でも、不動産業者の方がやる場合でも、現に頻発しているわけです。重金属やPCBなどの処分場が、台帳が一定年限来て廃棄されたりすると、土地利用に不都合が生じたり、住民の安全にかかわる問題が出てきては大変ですし、掌握されていないものも随分あります。  それぞれの廃棄物処分場の正確な登録台帳をつくるか、あるいはアメリカやカナダなどのように、不動産譲渡証明書または不動産権利証書に土地の用途が廃棄物の処分場であったことを記録して、過去の土地利用が処分場であり、かつ、閉鎖後管理要件によって土地の用途が制限されることが土地の購入者に対し通知される仕組みを、これはやはり政府として、全国的に調べて台帳をきちっとつくるとともに、そういう土地の購入者に通知される仕組みというものを私は考えていく必要があると思うんですね。  これは、通産だ、厚生だ、環境だ、建設だという、いろいろなところそれぞれに考えなきゃいけないでしょうけれども、縦割りで考えるという段階じゃなしに、私は、政府として今後やはりこういうことをきちっと検討していかなきゃいけないと思うんですが、これは大臣にちょっと聞いておきたいと思います。
  237. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 実効性の高い廃棄物リサイクル対策推進していくためには、個別の製品廃棄物特性とか実態を十分に踏まえて、対策として実効性のあるもの、それから効率性のあるものをあわせて制度設計していくということは非常に必要なことだというふうに思います。  しかし、いずれにいたしましても、各省庁が縦割りの形のままでこの全体的な循環型社会構築できませんから、それぞれの立場は立場として十分な対応をするとともに、横の連絡調整はきちっとやっていくべきだと思います。
  238. 吉井英勝

    ○吉井委員 土地の問題について最後に一言だけ触れておきますが、実は、アメリカの例では、完璧に有害物質が除去され、証明された場合は、処分場であった記録は州政府によって抹消される、そういう扱いになっているようであります。  ですから、廃棄物の問題というのは、リサイクルリユースに回っていくものもあれば、どうしようもなく最終処分にいくものもある。しかし、その最終処分の問題は、今、埋め立て可能容積や可採資源量だけの問題ではなくて、管理の問題と将来の土地利用の規制を考えても、やはりこれは最終処分量を限りなくゼロに近づける。今本当に、この間、全国どこでも産廃処分地が満杯で、ですから、海外まで持ち出されたりして問題になっているときですから、最終処分量を限りなくゼロに近づける。  それには、もともと最終処分地に持っていかざるを得ないようなものは設計段階から減らす、さっきのリデュースという排出抑制考え方ですね。それは本当にすべてのところで貫いていくということが、私は、この問題を考えるときに極めて大事であるというだけじゃなしに、これはまさに緊急課題になっている。  今日の東京でも大阪でも産廃は満杯で、ですから、出てきたものをどうするかこうするかという心配だけじゃなくて、今申し上げましたようなすべての段階を含めて考えたときに、これはもう最終処分量を限りなくゼロに近づけるということが緊急課題なんだというこの受けとめ方をして、排出抑制というものに臨んでいくということが私は必要になっていると思います。  この点も大臣にもう一言聞いておきたいと思います。
  239. 中島一郎

    ○中島政府参考人 御指摘のとおりでございまして、昨年の九月にダイオキシン対策関係閣僚会議がございました。そこでは、二〇一〇年度を目標にしまして、廃棄物の減量化の目標量というのを決定いたしております。  この中で、ただいま産業廃棄物処理場の逼迫の問題が指摘されたわけでございますけれども、廃棄物の最終処分量を、一般廃棄物もそれから産業廃棄物もほぼ半減するということを目標といたしているわけでございます。  御審議いただいております本法律案の制定を初めとしまして、廃棄物の最終処分量のほぼ半減化ということを目指しまして必要な施策の推進に努めて、循環型社会構築に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
  240. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、現在、石油からつくられているプラスチック製品について見てみますと、年間千二百万トンになりますが、それを再生処理している工場を、実はせんだって滋賀県の方へ行って見学してまいりました。  この工場では、一カ月に約一千トンの廃プラスチックが工場に持ち込まれて、全量を再生しています。ここは全国で五指に入るところの一つなんですね。ですから、ここで年間製造量一万二千トンになりますから、プラスチック全体の年間製造量千二百万トンからすると、千分の一を再生しているということになります。これが五指の一つですから、五社合計して考えても、大体再生されているのは一%に届くか届かないかぐらいかなという感じで受けとめているんです。  ですから、本当に多くは最終処分場に行ったりとか、今日、この問題は非常にさまざまな問題に直面しているわけです。  そのときに、石油価格が低下すると、石油からのバージンペレットが安くなって、リペレットが買ってもらえなくなる。その結果、プラスチック製品の再生工場ですが、事業の採算がとれなくなって設備投資した資金の返済もきつくなってくる。市場経済の論理がまかり通っておればプラスチックリサイクルというのは厳しいというのが、実は業界の方の声でした。価格が高くても環境保全に役立つならプラスチックのリサイクルを受け入れるように、ヨーロッパのように法的に義務づけてほしいという業界の方の声は非常に強い要望となって私の耳に響きました。  まず、リサイクル業界のこういう声はちゃんとつかんでいらっしゃいますか。
  241. 中島一郎

    ○中島政府参考人 御指摘のように、プラスチックにつきましては、特に一般廃棄物の中で占める容積あるいは重量が非常に大きいものがございますし、または使われている部分も多種多様にわたるということから、規格的、量産的な処理が非常に難しいというところで、処理コストが大変に大きくかかる。一方で、できました再生プラスチックあるいはそれに派生するような物品でございますけれども、こういったものについての市場がまだまだ未成熟である。そういうことから、できました製品の売り先、あるいはプラスチックの量産型の処理といったものについては大変困難が伴うということは、私どもの審議会での議論の中でも伺っているところでございます。
  242. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、この点でも、ドイツ循環経済法第二十二条第二項の二のところで、製品の製造に際してリサイクル可能な廃棄物または二次原料を優先的に投入することとしておりますが、法律基本はやはり示しているわけですね。私は、そうして具体的に努力をしていくということが大事だというふうに思うのです。  そこで、環境コストを考慮に入れて、バージンペレットと価格的に競争できるようにするか、あるいは高い一定割合でのリペレットの使用を義務づけていくとか、そういうことを本当にこの際考えていかないと、幾ら再生業者の方が取り組んでいって、そして幾ら法律をつくったといっても、現実にはなかなか進まないと思うのですね。  ここは大臣、やはり環境コストを考慮に入れて価格競争ができるようにするか、あるいは一定割合のリペレットの使用の義務づけというものを今真剣に考えていく必要があるのじゃありませんか。ここは私は大臣に聞いておきたいと思います。
  243. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 すべてのものについての生産に当たってリデュースを命ずるというのは私は必ずしも適切でない。つまり、いろいろな形で再生可能なものであるとか、そういうような配慮、あるいは、産業界の状況等も含めて全体的に物を見なければならないのではないか。現在は、まず廃棄量が本当に多いところ、それから、市町村では処理できない、例えば家電といったようなところ、あるいは資源の有用性というようなものにこれらのリデュースを位置づけていくという考え方に立って対応していこうと思っているわけであります。  さっきのPETボトルの問題でも盛んにいろいろな議論がございました。確かに生産量が大幅に増加していて、市民団体から生産規制を行うべきだという声もございます。しかし、一方でこのPETボトルのリサイクル率は毎年非常に順調に進んでおりまして、平成五年には〇・四%であったのが十一年には二三%になっているというような状況でございます。ですから、そういう意味では、今、着実なリサイクル率向上に向けて努力をしているというふうに私は期待できるのではないかと考えています。  いずれにいたしましても、事業者がその生産過程の中でそれぞれリデュースに重きを置いてやっていくということは、これはもうあらゆる企業は考えるべきでありますけれども、政令で指定するという範囲の場合にはおのずから限界があるのではないかと考えます。
  244. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、あらゆる可能性を追求していくことがやはり大事だというふうに考えております。  それで、このプラスチックのリペレットの場合でも、実際にハイキングコースに当たるところへリペレットを使ってつくった擬木が階段や土どめ用に使われたり、公園のベンチとか、市内の案内板とか、あるいは建設省近畿地建の野洲川せせらぎ水路整備事業などで使われているのですね。今、採算度外視で業者の方も協力してやっているわけです。  ですから、用途の拡大とかリペレットを使う製品の開発とか、用途や販路を初め需要を拡大する取り組みというのは非常に大事であって、国としてもこのことについてやはり本当に取り組むという姿勢を持たなかったら、法律をつくってもなかなか事は進まない。この点では、国としてどういう取り組みをしてこの需要を進めようとしているのか、私は、これは一言で結構ですから、伺っておきたいと思います。
  245. 中島一郎

    ○中島政府参考人 今度の法改正の中でも、例えば特定再利用業種にあっては、再生品を一定比率以上使おうとか、そういった定めがあるわけでございますけれども、まず、再生材の利用促進という出口の方の対策も必要だろうと考えてございます。このためには、リサイクル製品の需要を拡大するといったことが何にも増して重要だ、そういうふうに考えてございます。  一例でございますけれども、政府が率先して再生品も使っていくといったようなことも考えてございまして、例えば、平成七年六月の閣議決定で、国自身がそういったものを率先して使っていこうではないかというようなことも進めてございます。  いずれにしましても、市場でのそうした再生品の需要の拡大を背景にしまして、再生材を一定比率以上使った製品を使っていくということを義務づけていく、そういったことを検討してまいりたいと考えてございます。
  246. 吉井英勝

    ○吉井委員 一定割合で使うというお話で、ちょっとそこは大臣と違うかなと思って、そっちの方が前進しているなと思っているのですが。  建設省の方で、ポリエチレン樹脂製のスノーポールが年間一万四千本程度、約七十七トンが廃棄処分され、新たに一万八千本、九十九トンが同じ樹脂製のスノーポールを設置するということにされておりますが、この廃棄処分したものをリサイクルすれば新しいポールで使えるはずだ、そういう取り組みを現にしているわけですね。リサイクルしやすいために、反射テープなどを今までのものをやめてポリエチレンテープへ変更するなど、実際にそういう取り組みをすることによってリサイクルできるものにという、これは現にやられているわけです。  こういうことをもっと大規模に進めて、そして実際にどういう分野で需要が起こせるのかとか、どういう分野に需要を生み出していくのかとか、私はそういう点では、やはり生産段階での製品アセスメントとか商品アセスメント、例えば今の建設省の場合ですと、建設省という需要側とよく協力しながらそこを研究すれば、実際にリサイクルすることによってリサイクルペレットが使い物になるようになるわけですね。特に、本来、本当に必要な強度安全性とか、そのことを満たせば十分使える。それなのに、従来どおりバージンペレットを中心にしてやるためになかなか進まないとか、そういうところを私はやはり今根本的に変えていかなきゃいけないときだというふうに思います。  最後に、私は、こういう議論をしましたのも、やはり本当にこの法律を生かしていこうと思ったら、設計段階からの取り組み、設計責任ですね、それから、引き取りをして責任を持つということと費用負担についても、やはりドイツ循環経済法の考え方というのは、それを本当に進めていく上での大事な参考になるものだと私は思います。  大臣、改めて、そういう角度から法律実効性あるものになるために何をしていくのか、私が今申し上げましたそういう三つのことを本格的に検討し取り組んでいくという方向はやはり出さないと、なかなかこれは進まないと思いますが、この点、改めて伺っておきたいと思います。
  247. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 ドイツ循環経済廃棄物法が廃棄物利用や処分の優先順位を理念として打ち出したということが大きな影響を持っているというふうに認識しています。  日本でも、こうした廃棄物利用だとか処分の優先順位等では、循環型社会形成推進基本法案で規定されている一方で、本改正案は、従来の原材料としての再利用の強化、廃棄物発生抑制部品等の再使用を具体的に事業者に義務づけたわけでございます。  さらに、食品、建設資材の個別分野のリサイクル法案等が整備されることとなりまして、既存の個別リサイクル法を加えると、我が国における循環型の社会形成のための法体系は整備されたものとなると考えます。  このような法体系の整備は、ドイツを初めとする諸外国の廃棄物リサイクル法体系と比べても、決して遜色のないものだというふうに思います。これから環境先進国として世界のリーダーシップをとれるように、一層私どもは、この法案を成立させていただいた上、努力を続けていかなければならぬと考えます。
  248. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  249. 中山成彬

    中山委員長 青山丘君。
  250. 青山丘

    ○青山(丘)委員 核心に触れた意義深い質疑が続いておりまして、私は評価したいと思います。私からは、まず基本的な意義から少し触れさせていただきたいと思います。  現在、我が国は、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会活動を続けておりまして、消費者においても、使い捨て文化に象徴されるように、資源多消費型の消費生活を享受してまいりました。  しかしながら、今後、経済活動がさらに発展してまいりますと、一つは、廃棄物の最終処分場の制約の問題が相当深刻になってまいります。鉱物資源の枯渇の問題が出てきております。そういった資源面での制約や環境問題が顕在化しておることが実は懸念されております。  このため、これらの制約、環境問題への対応経済社会活動のあらゆる面に織り込むことによって、環境経済が両立をする循環経済システム構築することが極めて重要な段階でありまして、昨年秋の連立政権発足に当たりまして取りまとめられました合意文書の中に「平成十二年度を「循環型社会元年」と位置づけ、基本的枠組みとしての法制定を図る」という文言が盛り込まれてきたところであります。  これを受けて与党内で検討の上、今般、廃棄物リサイクル対策基本的な枠組み法として、循環経済社会構築に関する基本理念、これを定める、いわゆる循環型社会形成推進基本法案として結実を見たところであると思います。  現在、当委員会で審議されております再生資源利用促進に関する法律の一部改正は、この基本法案を実行に移すための法律として提出をされたものであると理解しております。この基本法案と本改正案との具体的な仕組み、システムというものをどういうふうに理解すべきだと思っておられますか。まずお尋ねいたします。     〔委員長退席、小林(興)委員長代理着席〕
  251. 細田博之

    細田政務次官 今国会に上程されております循環型社会形成推進基本法案は、循環型社会構築のために基本理念を定め、国、地方公共団体事業者及び国民の責務を明らかにしますとともに、政府による計画の策定等施策の基本となる事項を定めるものであります。  一方、本法律案は、循環型社会形成推進法案が理念としております三つの施策、すなわち廃棄物発生抑制推進部品等の再使用推進、原材料としての再利用推進などの施策を具体化するものであり、まず第一に、製品の省資源化、長寿命化による廃棄物発生抑制対策、第二に、部品等の再使用が容易となる製品設計や、回収した製品から取り出した部品を新たな製品に再使用する対策、第三に、製品回収リサイクルの実施などのリサイクル対策の強化などの措置を事業者に対して講ずるものであります。  本法律案、さらには今国会に提出されております他の建設資材リサイクル法案及び食品リサイクル法案循環型社会形成推進基本法案の理念のもとに施行されることにより、循環型社会構築に向けて一体的な運用が図られていくものと理解しております。
  252. 青山丘

    ○青山(丘)委員 ことしが循環型社会元年としての位置づけで、我が商工委員会の方でも、この再生資源利用促進意義あることだと私は思っておりますが、循環型社会構築していくために、その取り組みを既に企業が進めてきておりますが、この企業に対してどのような支援やどのような助成をしていかなければならないのかということが、これから我々の重要な課題であろうと思っております。  そこで、環境に対する経営者の意識も近年大きく変わりつつありまして、環境保全が経営の重要な柱の一つとして位置づけられております。例えばレンズつきフィルムといったような商品が、回収リサイクルを念頭に置いて取り組みがなされてきた。こういう製品開発や商品開発が新しい需要を生んで、そして市場に評価をされてきておる。いわゆる新たな事業活動の展開が既に図られてきているところでありまして、こうした取り組み環境ビジネスをさらにつくり上げていくのであろうと実は私は受けとめております。  問題は、環境ビジネスの創造にとどまらず、コスト削減に役立つ場合もありますので、環境保全に向けての先進的な取り組みを進めている企業に対して、その企業は相当な創意工夫や努力、取り組みをしてきておるわけでありますが、こうした先進的な取り組みが市場で評価されているような社会環境をつくっていく必要があると思います。一つはこういう問題があります。  それから、前向きに対応しておる企業に対して、例えばこれからはもっと公表をして、非常に循環型社会に適応しておる商品であり、こういう企業であるということを明らかにしていくということが必要になってくるでしょうし、例えば大きな成果を上げたところには表彰を行っていくというような問題。もう一つは、こうした取り組みに必要な設備の導入をした企業に対しては、税制の面でどう優遇措置をとっていくのか、あるいはまた融資制度の拡充が必要になってくる。  こういう社会環境と具体的な施策をどう進めていこうとしておられますか、お尋ねしたいと思います。
  253. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 レンズつきフィルムというのは今大変脚光を浴びていますけれども、一番最初はあれは使い捨てカメラといったんだそうですね。使い捨てカメラというのはまさに大量生産、大量消費、大量廃棄の典型的な姿だというので批判もあったらしくて、そこで、フィルムを全部使い切ると、持っていけばそのまま中身だけ取り出してまた再利用できるような、名前もレンズつきフィルムに変えて、非常にヒットした。  これなんかは企業のアイデアとしては非常に抜群でありますし、また利益率も、一たんつくり上げてしまえばそのままずっと続いていって、企業にとっても非常にプラスである、そういう効果もあったと思います。  どちらにしましても、循環型社会構築するに当たって、事業者が積極的にこの問題に取り組んでいくということは最も大事なことであって、それをきちっとさせるための行政上のさまざまな協力関係というのをこれからも一層構築していかなければならない。  同時に、委員が御指摘なさったように、そのような努力をしている企業に対して、事業に対して、消費者の側がきちんとした評価をするということも非常に大事なことではないだろうかと思いまして、その点については全く同感でございます。特に、リサイクル等に多大の貢献をした事業者に対して、例えば内閣総理大臣賞等を初めとした表彰を行う、今現在やっておるわけでありますけれども、やはりこのような取り組みを積極的に進めていくということがとても大事だというふうに思います。  また、最後にお話がありましたように、事業者によるリサイクル取り組み促進していくためには、予算とか税制とか財政投融資等の支援措置を講じていくことが大事でございまして、これらについては積極的に行いまして、今後ともリサイクル等環境の保全の取り組みに努力をしていきたいと考えます。
  254. 青山丘

    ○青山(丘)委員 大臣にお答えいただいたように、やはり循環型社会社会全体の仕組みの中でつくっていくという環境を築き上げていかなければいけない。そして、具体的に取り組みをしておる企業に対してはそれなりの評価をし、インセンティブが与えられるような制度をきちっと確立していくことが、全体としてそういう環境をつくり上げていくことにもなるのではないかと思います。  そこで、環境関連産業が今後どんな将来像になっていくのかという点で触れていきたいと思います。  もう既に先日来の質疑にもありますが、大量生産、大量消費、大量廃棄型の現在の経済システムから循環型社会への転換は、一方で、我が国経済の活力の向上という重要な課題と両立しないのではないかという議論がけさほどからも実はありました。  しかし、実はそうではないのではないか。環境関連産業の市場規模を見てまいりますと、現在約十五兆円、雇用の面で見てまいりますと、現在約六十四万人でありますが、新たな事業展開を踏まえてまいりますと、二〇一〇年には三十七兆円、百四十万人という雇用の拡大につながってくる、こういう規模となるであろうという試算が政府によって示されております。  例えば、製品を長期間使用することとなれば修理、メンテナンスにお金もかかるし、人も要る。そういうメンテナンスサービスの需要というのはさらに増加してくると思われますので、これによって我が国の経済の活力は十分賄えるのかどうか。そこでまた、具体的に、どのような環境関連産業に将来成長すると見込まれる新しい面があるのか、ありましたら、ひとつ紹介いただきたいと思います。
  255. 中島一郎

    ○中島政府参考人 先生が今御指摘のとおりでございまして、今引用されました環境産業の市場規模が現在約十五兆円のものが二〇一〇年には約三十七兆円になりますというのは、平成十一年の一月に試算がされたものでございますが、先ごろ、通産省の産業構造審議会で二十一世紀の産業構造ビジョンというものを御審議いただきました。その中では、二〇二五年まで参りますと六十兆円まで膨らむだろうということで、先ほどの質疑で大臣がお答えをされましたけれども、環境産業日本にとって非常に大切な成長産業である、基幹産業になるだろう、そういうことでございます。  具体的にどのようなものが環境産業として想定されるだろうかということでございますけれども、私ども産業構造審議会の昨年の夏にまとまりました循環社会ビジョンの中で御議論をいただいたものを御紹介させていただきますが、例えば環境コンサルティング業とかいったような環境支援関連産業がまずあるのではないかということでございます。  また、今先生がおっしゃいました修理サービスあるいは中古品の流通といいましたような廃棄物処理リサイクル関連の産業、これもまた第二の柱として大きなものではないかということでございます。  さらに、第三の柱としましては、これから低公害車の開発とか、あるいは生分解性プラスチックスのような新しいプラスチック材料を研究開発していくという、どちらかといいますと、大きな技術開発をして新しい製品を生み出していく、そういった大変夢のある環境調和型製品製造業、これもまた大きな分野になるのではないか、そのような御議論がされております。  最後につけ加えますと、そうしたものはいずれも大きな設備投資あるいは研究開発を伴うものでございまして、そうした技術開発を行います研究開発産業、これもまた伸びていくのではないか、そういうふうに考えてございます。  ただ、一方で、こうした環境関連産業でございますが、初期の段階におきましてはマーケットが未成熟である等の理由もございまして、事業者にとりましては、コストあるいは技術面でのハードルも決して低くないということでございます。したがいまして、その初期の段階ではビジネスとしてなかなか成り立たない場合もあるということが想定をされます。ですから、そうした負担を軽くしまして、立ち上がりを早くしていこうという政策が必要になろうかと考えております。  通産省といたしましては、施設の整備をするときの補助金の交付、あるいはそうした方々に対する税制面、資金面での助成、さらに先ほど大臣がおっしゃいましたけれども、技術開発に対する支援といったものに積極的に取り組んでいるところでございまして、今後とも、リサイクルを初めとしましたこうした環境関連産業を積極的に育成していくという政策を講じてまいりたいと考えております。
  256. 青山丘

    ○青山(丘)委員 やはり、環境関連産業の将来図をきちっと持っていかなければいけないと私は思っています。  けさほどの参考人意見陳述の中にもありましたが、環境で商売していいのかという声が経団連の中であったようでございまして、そうではなくて、環境一つの事業として経済社会の仕組みの中に必要な段階になってきておる、しかも、それが成り立っていくんだというような考え方がこれからはないと、一面に目をつぶったまま他の面で幾ら力を入れていっても、これはやはり循環型社会にはなっていかないという気がしておりますので、そこのところも考えていただきたい。  それから、今技術支援の話が出ておりましたが、現在、動脈産業中心とした技術基盤のもとでは、リサイクルは高コスト構造となっております。そういうところから、循環型社会の実現のためには、低コストで高品質のリサイクル材の生産を可能にしていかなければならない、それにはこれから相当な技術開発が必要になってくる、今お話しになられたとおりであります。  例えば、その一つは、加工適性にすぐれて、処理リサイクルの際にも有害物質が発生しない原材料の開発が必要になってきます。実はこれも、例えば今、建設資材などで廃棄されたものに非常に有毒なガスが発生していて、深刻な問題が出てきております。当時はそういうふうに思われておらなかった。  それから、製品使用の途中でも適切な点検ができる、あるいは修理が可能となっていくという、リデュースリユースリサイクルの面で低コストで高品質な製品を生産していかなければならない。あるいはまた、そうした製品を生産するに必要な素材を開発していかなければならない、部品や組み立て技術や解体、再生技術を開発していかなければならないということが求められてきております。  そこで、金属、プラスチック等の素材ごと、あるいは部品製造、組み立て、改修、解体、再生の各産業ごとの横断的な技術開発が、研究開発の体制がなされていかなければならないという点があります。組み立てや回収や解体や再生の各産業ごとの横断的な幅広い研究開発体制というものが必要になってきます。この点でどのように取り組もうとしておられるのか。  それから、現在行われている政府の支援制度、この支援制度について、今後さらに必要だと思われている点について述べていただきたいと思います。
  257. 中島一郎

    ○中島政府参考人 低コストで高品質なリサイクル材の生産を行うためには産業横断的な技術開発体制をつくっていかなければいけないのではないかという御指摘だと考えております。まさにおっしゃるとおりだと思います。  先ほど御説明申し上げました、産業構造審議会の昨年の循環経済ビジョンにおきましても、素材をつくる産業と加工組み立て産業、機械類をつくっているわけでございますが、そういった産業の間で、加工組み立てあるいは素材、両方の立場から連携をしながら、製品設計段階において異なる素材を分離、うまく分離しませんとこれが再使用できないわけでございますが、そういったことができるように、容易になるように設計段階から配慮していく。あるいは、再生材の利用拡大を、これは素材の方の努力が必要でございますが、していく。あるいは、合金の種類、樹脂のグレード数、これが多岐にわたっておりますとまたリサイクルが難しいということから、できる限り統一しその種類を減らしていく、これは素材産業と加工組み立て産業の協力がないとできない話でございます。まさに業種横断的な取り組みが必要かと考えております。  これを踏まえまして、昨年末の産業構造審議会の中で、業種別・品目別廃棄物処理リサイクルガイドラインの改定という作業を行っていただきました。プラスチックにつきましては、マテリアルリサイクルにつきまして、化学メーカーなどのプラスチック素材製造業、あるいは自動車のバンパーをつくっているようなプラスチック成形加工業、それを組み上げて自動車にする自動車メーカーのような組み立て加工製品製造業、こうしたところが連携をして、プラスチック素材のグレード数の削減というものの検討を進めていこうというガイドラインを定めたところでございます。  また、従来より素材産業におきましては、リサイクルが容易な製品製造を推進したり、低コスト、高品質のリサイクル製品の実用化技術の開発としまして、雑誌古紙、これは原則古紙は紙に戻すわけでございますけれども、どうしても古紙に戻せないものも緩衝材、クッション材として使うような研究開発をしようとか、あるいは廃プラスチックでプラスチックに戻せないものでも油化という技術で油にしてしまおう、そういった技術開発推進してきたところでございます。  日本は、先生御指摘のように、要素となる技術につきましては世界の最高水準のものを持っていると思っております。こうした業種横断的な取り組みを進めていくことによりまして、環境産業の成長の基礎となる大きな、重要な技術開発を進めていくということが大切だと思っております。通産省としましては、技術開発に対してこれまでも支援をしてきたところでございますけれども、これから業種横断的な取り組みということで、大きな技術開発、難しい技術開発につきましても国が積極的に支援していくということで取り組んでまいりたいと考えております。
  258. 青山丘

    ○青山(丘)委員 まだ質問が四つほど、答弁を求めてある問題がありましたが、きょうは、実は私はちょっと風邪ぎみでございまして、鼻声で皆さんにお聞き苦しい点があったかもしれませんが、私は、前向きに取り組もうとしておる企業に対する支援、それからそういう環境開発の面で横断的な研究開発をしていこうという企業に対して、政府がきちっと支援、助成ができるような面について、ひとつ十分配慮して取り組んでいただきますように要望して、質問を終わります。
  259. 小林興起

    小林(興)委員長代理 北沢清功君。
  260. 北沢清功

    ○北沢委員 社会民主党の北沢でございます。  きょうは初めに、大上段に振りかぶって御質問をいたしたいと思うのですけれども、循環型の社会形成というものの問題は、二十一世紀における社会経済システムの根本的な過去の反省に基づく転換であるというふうに、重要な要素でありまして、今回出されました資源の有効利用促進に関する法律は、廃棄物の発生を抑えるということ。これは先ほどの参考人の招致の中では、一九九六年から二〇一〇年の間に七〇%を削減するということを、実は経済団体の太田さんからお話がございまして、教授の方もさりげなく三分の一になりますよということを実は言われまして、認識不足かもしれませんが、私は非常に驚きました。  いわゆるCOP3と言われる地球温暖化問題は、逆に温度の上昇がさらに二十一世紀末には四%になるのではないか。これは、この間私もこの席で質問をいたしましたが、通産省の取り組む要素も大切であるということを強調したわけでありますが、そういう面では、世界的な展開をしなければならないし、先ほど問題になりましたフロンガス等についても、いわゆる地球の将来にわたっての問題でありますが、今回の問題は、我々の身近な、資源のない日本の中での、どういうふうにするかという意味で、重要な要素になると思います。  その基本は、ごみを出さないことである。発生を抑えて資源有効活用を図り、部品等の再使用、原材料としての再利用事業者に義務づける、そして推進するということでありまして、今までの大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済システムが、環境面からも資源の面からも行き詰まっている、新たなシステムに転換するための極めて重要な法案であるというふうに思うのであります。  だから、私は、通産省の果たすべき役割は非常に大きい。そういう意味で、通産大臣の考えておられます環境社会とはどのようなものか、まず基本的な考え方をお聞きいたしたいと思います。
  261. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 今までの経済社会というのは、大量生産、大量消費、大量廃棄型を前提としていました。これでは、もう最終的な処分場は逼迫してしまうし、それから鉱物資源も枯渇してしまうし、しかも環境から考えましても大変な状況になる。そういう、言いかえれば二十一世紀に向けての日本経済社会の持続的な発展を阻害する大きな要因になってくるというふうに思われますし、それはひとり日本のみならず、地球的な規模において同じようなことを考え、対応していかなければならない、そういう時代になったというふうに認識します。  何とか大量消費、大量生産あるいは大量廃棄型の経済社会から脱却していこう、そのためには、事業者消費者行政の適切なパートナーシップを構築することが大事だ、こう考えるわけでございます。  事業者は、環境に配慮した製品をつくっていく、あるいはリサイクル材料などを使用する、消費者は、環境負荷の少ない製品を購入していただく、リサイクルのための分別回収などに協力していただく、行政は、リサイクルシステム制度の設計、事業者消費者取り組みへの支援といったようなことをやっていく。こんなふうに、それぞれがしっかりしたパートナーとなってその目的を果たすために努力をしていくということで、廃棄物の発生の抑制、部品等の再使用、原材料としての再利用なども積極的に行うことで、環境経済が統合された資源の有効利用を図る循環型社会構築されるものと考えて、それらを実現するための改正案として本法案を出したわけであります。
  262. 北沢清功

    ○北沢委員 御答弁の趣旨は極めて重要でありまして、私は、やはり循環型社会をつくるためには従来の発想の根本的な転換をしなくてはならないと。そういう意味で、よく廃棄物対策で非常に成功して挙げられる例としてはドイツでございますけれども、先ほども御答弁がございまして、模範にすべき点もあるという御答弁でございました。容器包装は、事業者にです。それから、電子・電気機器とか自動車などの製造業者や輸入業者に厳しく責任を負わせて、回収リサイクルの費用はすべて、その面では、拡大生産者責任であるというふうに実は思っております。先ほども、そういう面では積極的に、太田さんからは、決して我々は逃げるべきではなくて積極的に取り組むべきだという、御質問に対する御答弁がございました。  拡大生産者責任の発想の企業は、廃棄物処理のための出費を抑えるために自主的にごみを減らす原動力になる。そういう意味で、このことは、ただ単に処理ということではなくて、私はこれからの発想の実際における大きな力になる、原動力になる。こういうやり方については、どのように考えておられるか、再度御答弁を煩わしたいと思います。
  263. 中島一郎

    ○中島政府参考人 いわゆる拡大生産者責任についてのお尋ねでございますけれども、拡大生産者責任は、製造事業者にその製品使用されて廃棄された後も一定の責任を課していく、こういう考え方でございまして、その根本にございますのは、製造した人間が一番製品について技術的にも内容的にも明るいということが背景にあるわけでございます。したがいまして、そうした製造者が一定の責任を持つことによって、社会全体としては非常に効果的な循環型社会をつくっていくことができるのではないか、そういう考え方でございます。  今先生がおっしゃいました、ドイツ循環経済廃棄物法におきましても、そうした考え方から、一般的な規定としまして、そうした拡大生産者責任という責務を課しているわけでございますが、そのドイツでも、具体的に、例えば自動車あるいは家電という例をお引きになりましたけれども、そうしたものにつきましては、個別具体的な検討をして、個別具体的に、これはドイツの上院の了解をとる政令ということだそうでございますけれども、そうしたもので定めていくというふうに伺っております。  我が国におきましても、拡大生産者責任考え方を今回の循環型社会形成推進基本法案の中で取り上げておりますし、それを受けまして、私ども、今御審議願っております改正法案の中でも、幾つかの品目、幾つかの業種につきまして、製造事業者責任を課していくということを取り上げているわけでございます。     〔小林(興)委員長代理退席、委員長着席〕
  264. 北沢清功

    ○北沢委員 ぜひお願いをしたいと思いますけれども、やはり製造物のリサイクルといいますかライフスタイルといいますか、そういうものは長期であり、長くかかわるわけでありますから、そのことは拡大生産者責任というものを認識してくる妥当性があるんじゃないか、私はそう思います。日本では、利便性、使い捨て文化がまかり通っておりまして、こうした社会を見直さなければならないわけでありますが、まず、ごみ処理するに、出さないことを考えていくのが大切である。そういう意味で、ドイツのやり方は、私は効果的であろうというふうに思います。  この四月から完全実施がスタートして、我が国の初の個別リサイクル法の対象となっているPETボトルが、ガラス瓶よりもはるかに処理が難しいと言われまして、先ほどいろいろと吉井委員から御質問がございました。  私は、この問題は三年前に実は取り上げて、当時は解決策がなくて、厚生省も、当時は小泉さんでしたが、もう有効な手段がない、そうなってくると、やはりPETボトルの山ができるんじゃないか、またその費用をどうするかという意味も含めて、非常に心配をしたわけですが、再利用ということについて積極的に取り組んでおられる。しかし、まだまだこの面については、経済性の問題も含めて大きな問題になるわけでありまして、ガラス瓶よりもはるかに処理が難しいと言われるPETボトル対策に大変力を入れているということは大変に結構なことでありまして、しかも、回収量を上回る生産量が今もってふえている現実でありますから、使いやすいPETボトルによって、清涼飲料の、循環型社会の優等生であるリターナブル瓶が市場から追い出されているのが現状であります。問題は、PETボトルにこだわることなく、今言ったリターナブル瓶を使うということもこれは一つ処理方法で、それは消費者の利便性というものが極めて重要視されてくるわけでありますが、やはりこのリサイクル法案も、そういう面で、消費者自身も認識をしてくる必要があるんではないか、そういうふうに思います。  また、処理責任の分担も、自治体に重くメーカーに軽いわけでありまして、現実には、二〇〇〇年度中にプラスチックの分類収集を始めた市町村は、約三千三百のうち、実は二割強の七百八十四にすぎないわけですね。計画していながらなかなか取り組めないということ、一方では、利便性、経済効率のよいPETボトルを大量に生産させて、企業の負担は軽くて、住民や自治体にばかり義務を負わせることは、この法案の趣旨からいってどんなものかというふうに私は考えます。  これは古紙、古新聞等も、かつてはそのことが、PTAを含めて小学校の皆さんの活動の資金にしたんですけれども、過剰になって野積みになって、家庭でも困る、むしろ金を出しても片づけてくれと。また地方自治体でも、東京郊外の市町村では、八百万、一千万を出して古紙を処理しておるわけであります。  これもいわゆる再生紙については供給というものが非常に過大になって、過剰生産によってそういう現象が出てきているわけでありますから、そういう面でも、この法案の趣旨からいって製造業者や企業に、発生源での廃棄物の抑制をすることも大事で、どうかひとつ通産省こそが主体的に、具体的に指導していただきたい、そのことを望みたいと思いますが、お考えはいかがでしょうか。
  265. 茂木敏充

    茂木政務次官 委員の方から幾つかの観点から御質問いただいたわけでありますが、まずPETボトルでありますが、委員御指摘のとおり非常に軽くて丈夫でありまして、一度栓をあけてからでもまたふたができる等々、ガラス瓶なんかにはない容器の特徴を有していますために非常に高いニーズがございまして、最近利用がふえているわけでございます。  通産省といたしましては、平成九年度より容器包装のリサイクル法の円滑な施行に努めておりまして、この結果といたしまして、平成十一年度のPETボトルのリサイクル量は平成八年の十五倍に相当いたします七万六千トンに達しております。  こういったリサイクルを一方で進めていく、こういうことは大変重要だと考えておりますが、同時に、PETボトルにしてもそうでありますし、それからリターナブル瓶にしてもそうなんですが、消費者が積極的にそういったものを選択する、こんなことが重要なのかなと思っております。  先ほど委員の方からドイツの御紹介等々あったわけでありますが、ドイツでは例えばコーラの瓶等、いわゆる一度使用したPETボトルをまた使っている。ですから、棚なんかで見てみると随分古いコーラじゃないかなと思っていますと、中身は新しい、こういうものもあるわけでありまして、そういった意味からも、消費者が積極的にリターナブル瓶であったりとかPETボトル等々を選択するようなことも同時に考えていく必要があるのではないかな。  こういった観点から、国といたしましても、リユース推進する消費者への普及啓発を行いますとともに、リターナブル瓶の製造施設等につきまして税制優遇措置を図るなど、支援措置を活用することによりましてリターナブル容器の推進を図ってまいりたいと考えております。
  266. 北沢清功

    ○北沢委員 改正案では、プラスチックだとか紙容器の分類収集のための実は表示をすることになっております。通産省は表示によってどんな効果が期待できるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  267. 茂木敏充

    茂木政務次官 ことしの四月に容器包装リサイクル法が完全に施行されまして、従来のガラス瓶、PETボトルに加えまして、紙製の容器包装、それからプラスチック製の容器包装がリサイクルの対象となったわけでございます。これらの容器包装の分別収集を促す観点から、分別のための表示を行うべきとの消費者、それから市町村の要望等を受けまして、昨年十二月に産業構造審議会において、紙及びプラスチック製容器包装に表示を行うとの方針を決定したところであります。  では、これによってどんな効果がもたらされるかということでありますが、これらの表示を行うことによりまして、まず消費者にとりましては、収集の対象となる容器包装を消費者が容易に認識できる。それから、最近は紙のようなプラスチックのようないろいろなものが出てきておりまして、紙製かプラスチック製か容易に判別できないものも区別できるようになる。さらに、リサイクルの対象であることを示すことによりまして、消費者の側に分別排出の動機づけを行うことができると考えております。  また、市町村の側でいってみますと、消費者に対する分別の指導がしやすくなる、こういう効果が期待できると考えております。  これらの表示を行うために、現在表示マークの具体的なデザインを検討しているところでありまして、今後、速やかに表示の実施のための作業を進めてまいりたいと考えております。
  268. 北沢清功

    ○北沢委員 違う方向から発想をして、PETボトルのリユース、再利用というのは考えられないのかどうか。先ほどちょっと御発言がございましたが、そうした発想の転換が十二分に進んでおるかどうかということは、先ほどの私が心配しておるということを含めて御答弁を煩わしたいと思います。
  269. 岡本巖

    ○岡本政府参考人 PETボトルのリユースというのは、選択肢としてそれができれば非常にいいとは思うのでございますが、先生御承知のように大変傷つきやすいというところがございます。それから、高温で消毒する、洗浄するというのが難しいという事情もございまして、それに加えまして、リユースをするという場合に、あれだけのかさばる容器でございますので輸送のためのコストというのがかなりかかってくる。それから、高温洗浄にかわる方法で、洗剤を使ってきれいにする、日本消費者の場合には多分リユースをするという場合に衛生の面の御心配が大変強いでしょうから、間違いなく洗浄するというところを徹底しなきゃいかぬと思いますので、その辺の設備面でのコストというのもかかってまいろうかと思いますので、それができればいいとは思うんですけれども、実際問題としてはかなり難しいのじゃないかと思っております。  一方で、私ども、そういう中で、やはりリサイクル、それももう一度マテリアルとして再利用をするというのをできるだけPETボトルについても進めていくべきだと考えておりまして、作業衣とかワイシャツとかポリエステル系の繊維の原料としてPETボトルを回収したものというのは結構需要が強いものがありますので、そこに向けてやっていくという方法が一つあろうかと思います。  さらに、先ほども政務次官がお答えになりましたように、利便なPETボトルの需要というものを間違いなく回収したペレットでもって引き続きまたつくっていくことができればということで、十一年度の補正予算でそのための技術開発の予算も用意して、今その開発を進めているところでございまして、そういう方法でPETボトルのリサイクルというものを着実にこれからも進めてまいりたいと考えているところでございます。
  270. 北沢清功

    ○北沢委員 私がしつこくPETボトルの問題を取り上げるというのは、これはリサイクルの問題の一つの象徴的な問題だろう、そういうふうに思っているから取り上げておるわけであります。PETボトルが再利用されず現在大量に野積みをされているという事態があるというふうに実は私は聞いておりまして、再利用の見通しの暗さの見本となっておりますが、こうした事態の解消策はあるのか、そしてまた今後の見通しについてお尋ねをいたしたいと思います。
  271. 中島一郎

    ○中島政府参考人 PETボトルのリサイクルは、容器包装リサイクル法の平成九年度の施行以降大幅に拡大しておりまして、リサイクル率が平成十年度で一七%、十一年度で二三%ということで大変伸びてきているわけでございます。  一方で、今御指摘の、市町村によって分別収集されましたPETボトルの一部が引き取られないという事態が昨年度発生をいたしました。これは市町村で分別収集、当初の計画が約五万トンでございましたが、それを上回る努力がされましてたくさんPETボトルが集まったということから、当初予定をしていた再商品化工場の能力が不足したためでございます。  この事態に対処をすべく、財団法人日本容器包装リサイクル協会におきまして、再商品化工場の稼働率の向上等の処理能力の増大等の努力を続けてまいりました。その結果、昨年度中に当初引き受けを予定しました五万トンを超えて約五万七千トンまで拡大することができましたが、最終的にそれでも約五千トンが残ったわけでございます。これは今年度に繰り越されました。  しかしながら、今年度は、さらに工場の設備投資を前倒しする等の再商品化能力の一層の拡大努力をするということで、昨年度からの繰越分を含めまして全量、リサイクルされる見込みでございます。  今御指摘の、分別収集されたものと再商品化能力の乖離は深刻な問題ではございますが、現在、平成九年度からの施行でございまして、言ってみれば分別収集と再商品化能力の拡大というものの追っかけっこという状況でございます。こうした制度が定着するに従って解消されていくと私ども考えてございますので、今後とも、関係者、関係省庁、力を合わせて解決していきたい、そういうふうに考えてございます。
  272. 北沢清功

    ○北沢委員 見通しについては、解消される見通しも若干あるということでありますが、私は、そういう意味でまだ非常に心配をしているわけであります。特に、処理のための設備投資、効果的なだろうけれども、根本的な発想がPETボトルについては必要だというふうに考えて、先ほども、これはリサイクル法の象徴的な問題であるということを申し上げたわけであります。  地方の負担が非常に多くなって、先ほど言ったように、地方でも実際の計画がありながらなかなか取り組めないということ、また負担も現実にあるわけでありますから、一般論的ですが、後始末の投資をすることも大切でありますが、やはり企業だとかごみ排出者に全般的な責任を負わすべく、やはり通産省としての費用分担についての発想も考えてはいかがかと思う。まさにこの廃棄物対策は待ったなしだと思いますので、御質問をいたしたいと思います。
  273. 細田博之

    細田政務次官 生産段階でのさまざまな取り組みという御提案でございますが、まさにそういうことも必要でございます。  生産段階で省資源化や長寿命化対応の設計、製造を行うことによりまして、廃棄物発生抑制リデュースを図ることや、製品廃棄された後に製造事業者みずからが回収リサイクルを行うことなどの取り組みを行うことが基本的に有効であります。  また、国の支援によりまして、リサイクル製品の市場拡大、新たな技術開発などを行うことや、リサイクル施設整備を図っていくことも有効であります。また、もう一方の主たる担い手であります消費者も、環境に配慮した製品の選択とか、製品をむだに捨てずに長く使うことなど、ライフスタイルの転換を図っていくことが求められております。  しかし、このたびの法案考え方も、長い歴史で見れば一つの過渡的な、しかも急速に国民の意識が拡大し、また意識が高まっている中での一つ考え方ということでございますから、また今後、これはいろいろな可能性について考えていく余地は当然あると思いますので、北沢委員の御指摘も大変重要な点だと思っております。
  274. 北沢清功

    ○北沢委員 法案の眼目としておりますリサイクル廃棄物抑制の重要な役割を持つ特定省資源業種の指定でございますが、指定に当たって、「技術的」ということもとにかくでありますが、「経済的」という限定がつけられておりますが、「経済的に可能」という意味はどういうことなのか、通産省にお尋ねをいたしたいと思います。
  275. 中島一郎

    ○中島政府参考人 副産物の発生抑制再生資源としての利用を図ることを義務づけます特定省資源業種等の業種指定を政令で行うことになっておりますが、政令で指定を行うに当たっての条件としまして、今御指摘の技術的及び経済的に可能であることということが条文上規定されております。  ここで、「経済的に可能」とはどういうことかというお尋ねでございますけれども、これは、単に経済原則に合致して、おのずと事業者取り組みがなされているようなものだけに限定するということを意味するものではございませんで、事業者が相当な努力によって初めて可能となるような水準というものを念頭に置いて指定することとしております。  現行の再生資源利用促進法におきましても同様の規定がございまして、例えば、特定業種において古紙、ガラスカレットの利用を製造事業者に義務づけてございます。  例えばガラス瓶のカレットの例を申し上げれば、現行の再生資源利用促進法の御審議をいただいていました平成二年には四八%、その利用率があったわけでございますけれども、これを平成十三年度に六五%という、当時としては非常に挑戦的な目標を掲げてきたわけでございます。  その後、状況がいろいろ変化してまいりましたけれども、実は平成十年に七四%というものに達しまして、現在は、六五%ではなくて、さらに高い目標を掲げていこうではないかという検討を進めているところでございます。  今、一例を挙げて御説明を申し上げましたけれども、繰り返しますと、事業者の相当な努力によって初めて可能となるような水準ということでございます。
  276. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、企業が倒産してしまうような経済負担というものはやはり本末転倒であると思いますが、消費者や地方団体も含めて、納得のいくような、目に見えるような負担といいますか、不公平負担というものを解消することがやはり非常に大事であるというふうに思いますから、この面については、経済的に可能であるかどうかという判断の基準について特に強く要請をして、現状追認に終わるだけでなくて、公平な、実効あるものにしていただきたい。これは要望です。その点について質問は省略します。  あともう一問だけ、大事なことでありますが、実は私の近くには、産廃の不法投棄ということが大きな問題になって、つい二、三日前に、小さな業者ですが、懲役二年半という実刑を受ける、栃木県ですか、茨城でもそういうような状況があるわけです。都市から不便な、へんぴなところに不法投棄をするという問題が、昨年の六月に改正廃棄物法が施行されて以降、許可された産業廃棄物の埋立最終処分場が激減をしております。簡単には処分場がつくれなくなったという実態が私の周辺にもあるんじゃないかというふうにも思いますが、不法投棄をますます心配するわけであります。  これは、生産者の最終責任と委託業者の責任というものは、警察においては、委託責任者でなくて、やはり生産者責任というものについて問題にしなければならないんじゃないかというふうに言われておりますが、これらについて通産省として、産業界に対してどういうふうに指導していくか。それからもう一つ大事なことは、産業廃棄物への反対というものが必要以上に非常に多いわけでありますが、こういうものをどういう形で、国の、地方の支援なり住民の納得のいくような、そういう理解を得るようなことが非常に大事である、これはもう既に激減をしているわけですから。  先ほどの参考人のお話では、都市ではいいということを言っていますが、私は、それは都市にあるものも何も、へんぴなところへ、どんどん目立たない山の中へ不法投棄をするというふうに実は理解をしておりますが、そこら辺を含めて通産省の態度についてお尋ねをいたしたいと思います。
  277. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 日本全体の廃棄物の量というのは四億五千万トン、そのうちの産業廃棄物が四億トンといいますから、九割を占めるのが産業廃棄物でございます。そのために、最終処分場の逼迫というのが特に大きく出ているわけであります。この処分場の逼迫などに対応するためには、最終処分量を減らすということでございまして、そのためのリサイクルを進めていくということが大事でございます。  通産省としては、現在までに現行の再生資源利用促進法で、鉄鋼業とかあるいは電力、電気業でありますが、こういうところを指定して、排出される副産物のリサイクル促進排出業者に義務づけているという形になっております。また、産業構造審議会廃棄物リサイクル部会の業種別ガイドライン、これも個々の業種のとるべき対策を定めて排出事業者取り組みを促すとともに、毎年そのフォローアップをしているわけでございます。これからも排出事業者に対する規制と指導を一層進めていかなければならぬと考えています。
  278. 北沢清功

    ○北沢委員 産廃をたんと量を出さないということが非常に大事であると思いますが、それにしても、廃棄場の問題は依然として問題であります。  だから、そういう行政を、たまたまきのうのテレビを見ますと、原子力の周辺の市町村には非常に優遇措置や補助金を出すということでありますが、それは金で解決すればいいのですが、今のこの反対の中には、いろいろと問題や心配を住民が持っているわけでありますから、そのことを一つ大きな重要な問題として取り組んでいただきたい。その中における通産の果たす役割は非常に大事であるということを強く私は要望をいたしたいと思います。  ちょうどたまたま環境庁の方がお見えになっていますから、一つだけ、質問外ですが、答弁は要しませんけれども、したいと思いますが——帰った、ああ、そうですか。  一つこれは大事なことですから、大臣からもあれしたいのですけれども、実は、政府の中央省庁の出す廃棄物は、先ほど三分の一にする、七五%にするというのが積極的に業界の取り組む目標でありますが、九八年度中に実は一四%逆に増加をしているのですね。これはやはり私も、実際自分たちの周辺の印刷物や封筒を含めてみると、これは大変なことだというふうに思っております。我々は優遇されることは好ましいけれども、しかし再生紙の利用だとかまたはその量だとか使い方、そういう面でやはりこれは積極的に、政府全体として一四%もふえているということを御認識いただいてひとつお取り組みをいただきたいということを、これも大臣に御要望をいたしたいと思いますが、御決意を。
  279. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 これはもう当然、分別排出に全力を挙げていくということが大事だし、また再生紙等につきましても、積極的にこれを使っていきたいと思います。
  280. 北沢清功

    ○北沢委員 終わります。
  281. 中山成彬

    中山委員長 次回は、来る二十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四分散会