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2000-03-09 第147回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月九日(木曜日)     午後一時三十分開議  出席委員    委員長 岡島 正之君     理事 稲葉 大和君 理事 今村 雅弘君    理事 高市 早苗君 理事 吉田六左エ門君    理事 日野 市朗君 理事 渡辺  周君    理事 上田  勇君 理事 達増 拓也君       浅野 勝人君    岩永 峯一君       奥谷  通君    嘉数 知賢君       栗原 博久君    栗原 裕康君       小林 多門君    佐田玄一郎君       砂田 圭佑君    田中眞紀子君       竹本 直一君    野田 聖子君       蓮実  進君    桧田  仁君      三ツ林弥太郎君    宮腰 光寛君       宮路 和明君    宮島 大典君       目片  信君    望月 義夫君       山本 幸三君    渡辺 博道君       渡辺 喜美君    小林  守君       辻  一彦君    葉山  峻君       松崎 公昭君    山本 譲司君       漆原 良夫君    旭道山和泰君       丸谷 佳織君    三沢  淳君       平賀 高成君    藤木 洋子君       北沢 清功君     …………………………………    国務大臣    (国土庁長官)      中山 正暉君    国土政務次官       増田 敏男君    政府参考人    (内閣審議官)      有馬 一馬君    政府参考人    (内閣審議官)      中村  薫君    政府参考人    (防衛庁運用局長)    柳澤 協二君    政府参考人    (科学技術庁研究開発局長    )            池田  要君    政府参考人    (科学技術庁原子力安全局    長)           間宮  馨君    政府参考人    (国土庁防災局長)    生田 長人君    政府参考人    (文部省教育助成局長)  矢野 重典君    政府参考人    (厚生省社会援護局長) 炭谷  茂君    政府参考人    (運輸省鉄道局長)    安富 正文君    政府参考人    (海上保安庁長官)    荒井 正吾君    政府参考人    (気象庁長官)      瀧川 雄壯君    政府参考人    (建設省都市局長)    山本 正堯君    政府参考人    (建設省道路局長)    大石 久和君    政府参考人    (建設省住宅局長)    那珂  正君    衆議院調査局第三特別調査     室長           澤崎 義紀君     ————————————— 委員の異動 三月九日  辞任         補欠選任   小林 多門君     宮島 大典君   松下 忠洋君     栗原 裕康君   三ツ林弥太郎君    野田 聖子君   宮本 一三君     山本 幸三君   望月 義夫君     宮腰 光寛君   赤羽 一嘉君     丸谷 佳織君 同日  辞任         補欠選任   栗原 裕康君     嘉数 知賢君   野田 聖子君     三ツ林弥太郎君   宮腰 光寛君     望月 義夫君   宮島 大典君     小林 多門君   山本 幸三君     岩永 峯一君   丸谷 佳織君     赤羽 一嘉君 同日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     宮本 一三君   嘉数 知賢君     松下 忠洋君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  災害対策に関する件  地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件     午後一時三十分開議      ————◇—————
  2. 岡島正之

    岡島委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として内閣審議官有野一馬君、内閣審議官中村薫君、防衛庁運用局長柳澤協二君、科学技術庁研究開発局長池田要君、科学技術庁原子力安全局長間宮馨君、国土庁防災局長生田長人君、文部省教育助成局長矢野重典君、厚生省社会援護局長炭谷茂君、運輸省鉄道局長安富正文君、海上保安庁長官荒井正吾君、気象庁長官瀧川雄壯君、建設省都市局長山本正堯君建設省道路局長大石久和君及び建設省住宅局長那珂正君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡島正之

    岡島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 岡島正之

    岡島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原裕康君。
  5. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 自由民主党の栗原でございます。御高配をいただきまして質問の機会を与えられましたことを感謝いたします。せっかく大臣、政務次官がおそろいでございますけれども、若干細かいことまで触れさせていただきますので、どうぞ御了解をいただきたいと思います。  御案内のように、東海地震ということが言われて久しいわけでございます。毎年、防災の日を決めてさまざまな訓練をさせていただいておりますけれども、だんだん住民の意識が薄れてくるというのはこれは否めない事実でございます。災害は忘れたころにやってくる、こういうことわざが昔からございますので、私どもは常に緊張していなければいけないなというふうに自重自戒するところでございますが、東海地震が起きた場合、起きる前に警戒宣言というのが発令されるということになっております。この警戒宣言が発令されてそれが公になりますと、地震防災強化地域においては、例えば新幹線でございますと、これは当然走っているわけにはいきませんので、新幹線最寄りの駅にとめて、そして乗客の方に避難をしていただくことになっております。  しかし、例えば私ども伊豆半島でございますと、伊豆急行とか伊豆箱根鉄道とか、あるいは県内には大井川鉄道とか静鉄とかいろいろございますけれども、そういう民鉄の場合には、直接市町村長と話をして、乗客はどういうふうに避難させようかという話し合いが進んでおるようでございます。  例えばJR東海の場合、熱海駅あるいは三島駅、これは新幹線でございますけれども、あるいは新富士静岡、ずっとございますが、そこに相当程度旅客が、あるいは観光だけではなくて、それこそ東京—大阪間のいろいろなお仕事の関係で、大変大勢の方がそこに滞留をする。地元の皆さんであれば、駅のそばのどこが避難所になっているかというのは、土地カンがありますので大体わかるわけでございますけれども旅客の場合には、言葉は悪いかもしれませんが、烏合の衆でございます。  したがって、そこで警戒宣言が発令をされて、新幹線がストップをし、最寄りの駅にとまる。すると、乗客皆さんおりて、駅が危ないと思えば駅の近所の避難場所に移動するというようなことが要求されるわけでございますが、いわゆる鉄道事業者はあくまで旅客を守るという立場、そして駅の構内を一歩出ますと、今度は市町村長避難保護の責任を負うわけでございます。そこの話し合いというのはどういうふうになっておるのかということを、まずお尋ねさせていただきたいと思います。
  6. 安富正文

    安富政府参考人 お答えいたします。  御指摘大量旅客避難誘導保護等につきましては、平成十一年の七月に東海地震地震防災対策強化地域に係る地震防災基本計画が修正されまして、先生指摘のとおり、あらかじめ関係地方公共団体鉄道事業者との間で協議を行って、具体的な事項について定めることが必要だというふうに言われております。  現在、鉄道事業者民鉄JR東海で実は若干相違がございますが、JR東海については第一回の話し合い検討会を昨年の十二月十四日にやっておりまして、現在、当事者間で具体的にどういう項目を検討していったらいいのか、それぞれについて、全体的な方針についていろいろ話し合いをしているようでございます。  今後、第二回、第三回と続いていくかと思いますが、我々としても、この大量旅客誘導措置の問題、人命にもかかわる話でございますので、JR東海にも十分指導して、早急に関係地方公共団体との協議を進めていくように指導していきたいというふうに考えております。
  7. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 今のお答えですと、去年の十二月に第一回をしたということですね。局長案内のように、例えば新幹線熱海駅は、これは山側熱海という地形がそうでございますけれども、ここで滞留しますと、逃げ場所というのがそう簡単になかなか見つからない、そういうところでございます。あるいは、三島駅でございますと、これはすぐそばに学園がいっぱいございますので、これは多分、三島駅でおりる方もたくさんいますから、その人たちがみんなで行こうと言えば案外すっと逃げられると思います。新富士そばに大きな工場等がございます。  今の御答弁ですと、鉄道事業者市町村との連携をさらに強化するように運輸省としても指導していきたいということでございますが、もっと具体的に、例えば三島駅、新富士駅は割と簡単に解決するけれども熱海はこれはかなり難しいということが容易に想像できるわけですから、もっと突っ込んだ指導を本来はしなければいけないと思うのですが、いかがでございますか。
  8. 安富正文

    安富政府参考人 先生がおっしゃるように、各駅ごとにこの問題というのは考えていかなければいけない、その駅に関係します大量旅客が、具体的にどういう避難地に、どういう避難経路で、どういう係員あるいは地方公共団体職員のもとに誘導されていくかということは、個別具体的なその地域の問題であるかと思います。そういう意味で、我々としては、地方公共団体十分連携をとって、JR東海事業者として具体的な個々の駅ごとにそれぞれの役割分担も含めてやっていただく必要があると思っております。  そういう意味で、先生がおっしゃるように、個別具体的な話について、我々としても、この検討会の中に我々の職員も含めて入っておりますので、今後そういう形で指導していきたいというふうに考えております。
  9. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 ぜひ、難しいところを重点的にやっていただいて、できるところはどんどんやっていくということを、少しめり張りをつけてやっていただきたいというふうに思います。  次の質問をさせていただきます。  御案内のように、私どもの国は四方を海に囲まれておりますし、特に、半島地域というのも多いわけでございます。御案内のように、半島地域でございますと、道路大変山側に迫っておったりして、地震あるいは地すべり等道路寸断をされる、あるいは鉄道寸断をされますと、陸の孤島になるおそれがあるわけでございます。  そういった場合には、当然考えられるのは空と海でございます。空の場合にも、これは飛行場がすぐそばにあればいいわけですけれども、そうはいかない。あるいは、ヘリポート等もあればいいわけですけれども、これもなかなか、御案内のように器の問題がございまして、それほど大量な、例えば避難民を誘導するとか重たいものを持ち上げるとかということはできないわけです。そうすると、当然、海というものが大変重要になってくるわけでございます。  御案内のように、過去に伊豆大島の三原山が噴火したときには、海上保安庁巡視船あるいは防衛庁海上自衛隊の艦船が輸送に当たりました。あるいは、医療救護、こういったものも海上保安庁自衛隊人たちが大変懸命な御努力をいただいて、過去に大きな実績がございます。特に、最近では、海上保安庁でいわゆる防災機能を備えた船舶というものも順次就航しているというふうに聞いております。  お聞きいたしますと、政府の方では、防災機能をかなり高度に備えた船舶の建造というものを検討しているというふうに聞いておりますけれども、その検討状況はどういうふうになっているか、お尋ねをしたいと思います。
  10. 荒井正吾

    荒井政府参考人 海からの救難体制につきまして、海上保安庁から説明させていただきます。  海からの防災救難体制でございますが、今委員おっしゃいました災害対応の強化した巡視船を、平成九年から、「いず」と命名しまして、三千五百トンの船を横浜の第三管区保安本部に配備しております。この船は、応急外科手術ができる医療施設でございますとか、百二十名程度宿泊できるような施設でございますとか、被災者輸送はもちろんでございますが、水の輸送、あるいは救難防災資機材輸送等もできる対応船でございます。そのほか、災害対応強化型の巡視艇あるいは航空機を、特に東海沖地震対応した配備をしております。  それを動員する計画訓練ということを毎年やっております。海上保安庁防災業務計画を持っておりまして、特に東海沖地震対応した動員計画を持っております。それにおきまして、特に静岡県の防災対応計画連携する計画も入っておりますし、毎年九月には共同の防災訓練を実施しているというようなことで準備をさせていただいております。
  11. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 海上保安庁が大変御努力をいただいているというのはありがたく感じておるところでございますが、また同時に、きょうは防衛庁にもおいでいただいておりますけれども海上自衛隊自衛艦、これも実は防災機能を備えた船が最近出てまいりました。  例えば、輸送艦「おおすみ」という船が現在就航しておりますけれども、たしか五十五人乗りのヘリコプターが二機、そしてLCACという、これは五十トン運べる、いわゆる上陸用舟艇のような、強襲揚陸艦と申しておりますけれども砂浜に直接乗り上げて、そして砂浜の上を走り回って、例えば観光バスとかそういったものを、これは戦車が積めますので、すっと積んで沖に行くというようなこともできるというふうに、聞いておりますといいますか、私は実際に現場を見ておりますので、それも大変実は頼りにしておるところでございます。  海上自衛隊輸送艦「おおすみ」が実際に防災に役立つと私は思うわけでございますが、防衛庁としてはどういう対応をしていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。
  12. 柳澤協二

    柳澤政府参考人 お答えいたします。  今先生お触れになりましたように、特に防衛庁装備品は、基本的には日本の防衛ということで整備をさせていただいておりますけれども、近年特に、「おおすみ」に限りませず、いろいろ防災面等での利用も考慮した機能を果たせるようにしております。  もう言うまでもないことでありますけれども、特に船の利点と申しますのは、一度に大量の人員、物資輸送できるというその輸送力の大きさと、もう一つは、先ほど先生言われました、陸上の交通路が遮断された場合でもその現場の近くまで到達することができるという二つの特色がございます。  中でも、今の御指摘の「おおすみ」というのは、平成九年に就役をいたしました八千九百トンの大型輸送艦でございますが、輸送艦であるだけに、人でありますと最大二千名を乗せて運ぶことができますし、また、物資ですと最大千三百トン、大型車両にしますと六十両を積んで移動することができるというものでございます。  さらに、これは大型ヘリコプターの離発着が上部の甲板でできるようになっておりますので、ヘリコプターを使って被災現場と船の間を被災した方を運ぶとか物資を運ぶとかいう使い方も可能でございますし、それから、強襲揚陸艇とおっしゃいましたけれどもエアクッションで移動する揚陸艇を二隻腹の中に抱えておりまして、これは、おっしゃったとおり、五十トンの九〇戦車一両を運搬することができるということで、今、兵員の場合ですと三十名ということでありますが、被災した方を緊急時にお運びするならば、恐らくもっとたくさんの数を運べるということだろうと思います。  さらに、申し落としましたけれども、「おおすみ」の中には一定医療施設、ベッドも九床固有のものがございます。そういうものを使って応急の治療を艦内で行うといったようなこともできるということで、非常にそういう緊急時における使い勝手のいい船ということで、現にいろいろな自治体の災害訓練現場でも活用させていただいておるところでございます。
  13. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 先ほどから、海上保安庁防衛庁からお答えをいただいて、大変意を強くしているところでございます。先ほどからのお答えにもありますように、ぜひ市町村と連絡を密にしていただいて、例えば、この場合には海上保安庁は出ていくけれども防衛庁知らんぷりとか、逆に防衛庁は出ていくけれども海上保安庁知らんぷり、それはちょっとあり得ないと思いますけれども、よく連携をとってやっていただきたいというふうに思います。  それから、私どもの県では、テクノスーパーライナーという災害にも対応できる実験船を抱えております。実は、これは大変経費がかかりまして、静岡県だけで持っているというのは大変なんですね。  今、私ども、こういう御時世でございますので、できるだけ海上保安庁あるいは防衛庁装備しているものをもって災害対応するべきだというふうには思っておりますけれども、しかし、先ほど言いましたように、テクノスーパーライナーみたいなものは県で持っているのはとても大変だ。であるならば、そういう発想からいくと、全国に一隻くらい災害専門のいろいろな機能を備えた船を用意してもいいんじゃないか、そういう意見もあるわけでございます。  そういった中で、先ほどもちょっと御質問しましたけれども政府の方でそういったものを検討しているということも漏れ聞いておりますので、検討状況を教えていただければというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  14. 有野一馬

    有野政府参考人 お答え申し上げます。  多目的船舶につきましては、中東湾岸危機の際の輸送問題等を契機に、海外及び国内の大規模災害発生時の救援、国際協力などに活用できる船舶につきまして検討することの必要性指摘され、政府におきまして、局長レベルの多目的船舶調査検討委員会を設置しまして、検討を行っております。  この検討に当たりましては、船舶の具体的な使用目的、その目的に応じました船舶機能装備、平常時の活用方策等、解決を要する課題が多いことから、平成九年七月に、学識経験者等から成ります多目的船舶基本構想調査委員会を設置いたしまして、船舶の明確なコンセプト、船舶概略等基本構想検討を行っているところであります。  政府といたしましては、この基本構想調査検討結果を踏まえつつ、さらに検討を深めてまいる所存であります。
  15. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 わかりました。  それでは、三番目の質問に入らせていただきます。  東海沖地震というような大規模なものを私どもは考えなければいけないわけでございますけれども、その前に、伊豆半島というのは割と地震多発地域でございまして、例えば伊豆半島東方沖地震というのがございました。これが、マスコミで伊豆半島東方沖地震が起きましたというようなことを報道されますと、伊豆半島東方沖ですから、観光地でいえば、熱海、伊東なんですね、それが打撃を受けるんです。それはもうやむを得ないんですね、やはり伊豆半島東方沖ですから、近いところですから。  近いんですからしようがないにしても、実は、伊豆半島東海岸から箱根、山を越えますと、今度は伊豆長岡、修善寺、天城湯ケ島、そういう観光地がございます。さらにまた、もう一つ、天城山を越えますと、西海岸になりまして、土肥、松崎堂ケ島とかという観光地があるわけですね。  これは、気象庁伊豆半島東方沖地震という名前をつけますと、例えば、私の議員会館の部屋に同僚の議員から電話がかかってまいりまして、今度実は後援会人たちがみんなで伊豆へ行こうとしているんだけれども、大丈夫だろうか。どこだね、こう聞きますと、いや、実は松崎である。松崎なんか全く関係ないんだよと言うのですけれども、いや、どうもテレビで伊豆半島東方沖地震、こう言っているから心配でしようがないというふうなことを言うのです。それで、調べてみますと、実は、西海岸では観光客が激減するんです。  ですから、気象庁は、これはよかれと思って一番わかりやすいネーミングにして、伊豆半島東方沖としているんですけれども、それは気象庁の気持ちはわかりますが、結果として基幹産業である観光が、その地震影響を全く受けないところまで、いわゆる風説みたいな格好で、風評のような格好で大打撃を受けるということが現実に伊豆半島はあるわけです。  したがって、気象庁がつけるネーミングというのを、一体そもそもどうしてこうつけるのか、何か工夫はないのかなというふうに私は思うのですが、その辺はいかがでございましょうか。
  16. 瀧川雄壯

    瀧川政府参考人 ただいま御指摘ございましたけれども気象庁では、地震が発生いたしますと、すぐに、地震発生場所でございますとか地震規模等地震情報で発表してございます。その際、その地震情報の中におきまして、地震発生場所を明示するために、都道府県並びにその周辺海域をある一定地域ごとに区分して、その地域名称を付して発表しております。これは全国で二百七十八に分けて現在発表しております。  この地域名前につきましては、防災機関等応急対応の立ち上がりが速やかに行えますように、また、報道機関また国民の皆さんが戸惑うことのないように、できるだけその地域を一般的に代表するわかりやすい名称をつけております。  先ほど委員指摘のように、わかりやすいことはわかりやすいけれども、誤解する人もいるということで、また、地震情報の中におきまして、私ども震度情報も出してございます。これは気象庁の持っております観測点のほかに、ほぼ市町村単位データが入ってまいりまして、それもあわせて発表しておりまして、そういうものを見ていただきますと、どこが揺れているということがわかるようになっておりますので、いろいろなデータを使って判断していただきたい、そういうふうに考えております。
  17. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 長官の今の御答弁、わかりますよ。わかりますけれども、それでは余りにもお役人答弁過ぎるんですね。だったら、北緯何度、東経何度ですと言ったら、それは大体普通の人だったらわかりますよ、地図を見れば。それをわざわざ伊豆半島沖とつけるんだから、それによって地域観光客打撃を受けるというのは事実なんですよ。それを、よく勉強して調べてくださいみたいな話ですと、それはちょっと、大変恐縮ですけれども、いかにもお役所的な答弁じゃないかなと思うのですが、何も工夫する余地はないんですか。  例えば、伊豆半島東方沖地震ですと言ったら、しかしそれは今の答弁ですと、震度が各地区出るのだから、例えば、西海岸なんか全然震度が出ていないはずだから、要するに、これはよく調べれば影響ないということがわかるはずです、あるいは、中伊豆の方は揺れていないんだから、わかるはずですという言い方じゃなくて、もっと積極的に気象庁の方からそういうふうに言うということはできないんですか。
  18. 瀧川雄壯

    瀧川政府参考人 お答えいたします。  最初に緯度経度の話がございましたけれども地震情報の中には緯度経度もつけてございます。ただし、緯度経度では一般の方にはそれがどこに当たるものか恐らくわからないと思いますので、先ほど申し上げましたような一般的な名称をつけているわけでございます。  それから、こちらは揺れているけれどもこちらは大丈夫だという情報は出せないかという御指摘でございましたけれども、どこまでの範囲まで大丈夫だと出せばよろしいか非常に難しゅうございまして、例えば、静岡県の場合ですと、現在、出し方としましては、静岡県の東部、中部、西部、そういうふうに分けて出す場合もございます。それから、静岡県の伊豆地方というふうに出す場合もございます。それから、伊豆半島東方沖伊豆半島の南方沖、場合によってそういうふうに使い分けて、できるだけわかりやすいように出しているつもりでございます。
  19. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、ぜひ私は、現実に、特に観光地の場合には、もともと揺れる危険があるところが観光客が減るのはしようがないにしても、全く影響のないところまで巻き添えを食らうということについては非常に納得できないものがありますので、これはよく今後も検討していただきたいということをお願いをさせていただきたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  20. 岡島正之

    岡島委員長 次に、奥谷通君。
  21. 奥谷通

    ○奥谷委員 自由民主党の奥谷通でございます。  私は神戸生まれの神戸出身でございまして、どうしてもあの阪神・淡路大震災のことが頭から離れるわけにいきません。そういうことで、きょうも若干お時間をいただきまして、その件について二点御質問をさせていただきたいと思います。  また、きょう三時半から自民党の復興プロジェクトチームというのも再開されるそうでございまして、そういう意味でも時宜を得ているんじゃないかと思うわけでございます。  阪神・淡路大震災につきましては、この委員会でももう再三再四取り上げられております。しかしながら、地元では、震災後五年を経過いたしましたけれども、まだまだ次から次と新たな問題が発生をしておることも事実でございます。それは、ただ震災の直接的な問題ということから、むしろそれによって引き起こされました日本の高齢化社会の二十年後の姿、すなわちそういったものが引き起こす問題を同時に抱えておると言っても差し支えないと思います。五年前の一月十七日の早朝の阿鼻叫喚の地獄絵は二度と味わいたくございませんし、また引き起こしてはならないと思っております。  今から思いますと、ライフラインや交通手段あるいは通信手段が寸断される中で、六千四百三十二名のとうとい犠牲者はありましたけれども、多くの人々の忍耐と協力によりまして、まだまだ問題は残っておるとはいうものの、ここまで来たかというような感もあることも事実でございます。  先般のこの委員会でお時間をいただきましたときに、中山国土庁長官に、阪神・淡路復興対策本部が二月二十三日に解散する、その後の復興対策はどうなるんでしょうかというような御質問をさせていただきましたところ、復興本部の期限満了後においても関係省庁の施策が円滑に実施されるような体制について関係省庁間で検討している、実務者による組織をつくりたいとの御答弁をいただきました。それがこのたび実現し、発足いたしました阪神・淡路大震災復興連絡会議でございます。本当にありがとうございました。どうぞ、引き続きこの震災に対する力強い御支援をお願いしたいわけでございます。  話は地元被災地へ戻します。  震災後、多くの家をなくした人々のために、応急仮設住宅の建設が始まりました。小学校を初めとする避難所での生活状況は大変厳しいものであり、一日も早く仮設住宅へ引っ越しをしたいとの要望で、約三万二千戸の応急仮設住宅が建設をされました。  当時は冬の真っただ中でございましたが、冷暖房装置や、あるいはいろいろな改造をしていただきましたけれども、その期限は二年であるということから、今度は恒久住宅の建設が急いでなされたわけでございます。これが災害復興公営住宅でございます。この数は二万五千戸にも及んでおります。  ここで問題となりましたのが家賃の問題でございました。応急仮設住宅は平成十一年、去年の十二月二十日に全戸閉鎖されまして、既に全員の方は恒久住宅へと転居をされております。  御承知のように、阪神・淡路大震災は世界でも初めての都市直下型地震でもありました。長田や兵庫にありました、月額五千円程度の家賃の、通称木賃住宅と言われる家屋はほとんど壊滅いたしまして、そこの人々は応急仮設住宅から恒久住宅へと移られたわけでございますけれども、その家賃設定は、Sタイプという一番狭いものがございますけれども、これは通常、月額二万五千六百円いたします。  これではもうとても払えないというようなことで、当時、建設省の方々も大変御尽力をいただいたようでございますが、なかなか解決をしない。そんなことから、当時の橋本総理の英断によりまして、政治的に、月額六千六百円という非常に安い家賃が設定されたわけでございます。その他、Mタイプ、本来家賃三万八百円が八千三百円、Lタイプ、三万七千三百円が一万八百円という、三分の一に近い、いや三分の一以上の安い値段設定でございます。しかしながら、その対象期間は五年間ということになっておりまして、その第一次の期限が来年の七月にいよいよやってまいります。  ところが、現在になりましても、そういった方々の生活状況やあるいは収入状況というのが余り改善をいたしておりません。というよりも、まだまだ厳しくなっておると言ってもいいと思います。月収入が二万円以下という方が六〇・七%、八万円以下ということになりますと四分の三、すなわち七五・五%の方がそのような収入でございます。  当時の状況下での政治的あるいは社会的判断によりまして設定されましたこの家賃補助、大変ありがたかったわけでございますけれども、もう既にいろいろな委員会で同僚議員も発言をいたしておりますけれども、財政的に大変苦しいときではありますが、ぜひとも、国、県、市によりまして内容をもう少し精査した上で、この制度を延長していただきたいと考えるわけでございますけれども、そのあたりの御意見を伺わせていただきたいと思います。
  22. 那珂正

    那珂政府参考人 お答えいたします。  御指摘の特別の家賃低減対策の制度は、ただいま先生からるる御説明いただいたとおり、当時の、被災直後の地元公共団体の大変な財政事情等も勘案いたしまして、被災者の方々が早期に生活再建をできるようにという特別の措置として、入居後五年間に限って国の補助を入れて、通常の公営住宅の家賃をさらに低減しようというものでございます。  御指摘のように、来年の六月に一応五年の期限を迎えるわけでございますが、その期限の延長の扱いにつきましては、目的等から考えてみましても、被災者の方々の生活再建の状況、あるいは他の公営住宅の入居者とのバランス、そしてまた、地元公共団体でもいろいろ具体的に事情が違うと思いますが、財政事情等、それらを総合的に勘案して判断すべきものと考えております。  具体的には、平成十三年度概算要求時点をめどに、関係省庁間で鋭意協議してまいりたいと思います。
  23. 奥谷通

    ○奥谷委員 ありがとうございます。  きょうも兵庫県から副知事が参りまして、また自民党の方でも、復興プロジェクトの方でそのような説明があり、またそのプロジェクトでもいろいろと意見をまとめ、党の方針として、またお願いに上がらなければならないと思っておりますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。  それから、第二点目は、復興に当たっての町づくりに関してでございます。復興というのは、ただ単にその町をもとどおりに戻すというようなものでなくて、創造的な復興というような、こういった哲学を持って町づくりに当たっております。そういう意味で、災害に強い町づくりと良好な住宅の供給及び住居環境の整備を早急に行う復興土地区画整理事業と市街地再開発事業が行われておるわけでございます。  これらにつきましては、それぞれの私権が絡み合うために、なかなか意見の一致ができません。そのために多くの時間がかかっておるわけでございますが、その中でも毎年毎年着実に前進しておることも事実でございます。  しかしながら、当初の予定よりはかなりおくれるものと思われるわけでございまして、そこで、まず第一に、復興土地区画整理事業及び市街地再開発事業に係る事業費の確保というものをしていただかなくてはならないと思います。それからまた、第二におきましては、復興市街地再開発事業というのは、補助率が三分の一から五分の二というふうにかさ上げをされておるようでございますが、その補助率のかさ上げ措置というのは毎年お願いしていかなくてはなりません。これもまた気の早い話ではございますけれども、来年度分についてのお考えもあわせてお伺いをしたいと思います。
  24. 山本正堯

    山本政府参考人 御説明させていただきます。  今先生指摘の復興市街地再開発事業、阪神・淡路大震災の復興に大きな役割を果たしてきておるわけでございまして、新長田駅南地区等で実施をされておるわけでございます。  この事業につきましては、着実な推進が図られるよう、私ども国としても最大限支援を行っているところでございます。平成十二年度におきましても、最優先で事業費の確保に努めてまいりたい、区画整理事業ともども最優先で事業費の確保を図っていく所存でございます。  それから、具体的に、お尋ねの市街地再開発事業の関係でございますが、一般会計補助で補助率のかさ上げをやっておるわけでございます。通常三分の一のところを、先生指摘のとおり、五分の二に特例的にかさ上げする措置を毎年度講じてきておるところでございます。平成十二年度におきましてもその継続を行う、五分の二ということでかさ上げを引き続きやっていくということを考えておるところでございます。  今後とも引き続き、阪神地域被災市街地の復興に資する、こういう市街地再開発事業の推進に最大努力する所存でございます。
  25. 奥谷通

    ○奥谷委員 いつもこの委員会ではお願いのことばかりが多いわけでございますけれども、市民、県民また行政が一体となって努力をいたしております。これから日本のどの地域にも地震の起こらないことを祈るわけでございますけれども、起こったときのよい先例となりますような措置をよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  26. 岡島正之

    岡島委員長 次に、渡辺周君。
  27. 渡辺周

    渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。  この後八十分の時間をいただきまして、私と日野市朗委員と二人で、民主党の災害対策に対する考え方、あるいは、今回で期限が切れますいわゆる地震財特法の所見につきまして、国土庁長官並びに政府参考人に御質問をさせていただきます。  まず、今も御質疑がございました阪神・淡路大震災の関連につきまして、まず国土庁長官お尋ねをしたいと思うわけであります。  長官も大阪の御出身、在でございます。私も、身内が、おふくろが大阪の出身でございまして、親族が随分向こうにいるわけでありますが、阪神・淡路大震災のあの朝のことを思い出しますと、ちょうどテレビをつけまして、朝六時半ごろのニュースだったでしょうか、たしかあのときは統一地方選挙の年でございました。選挙区内の企業の朝礼に出るために早起きをして、朝、目を覚まそうと思って顔を洗おうと、いつもの習慣でテレビをつけましたら、あの阪神・淡路の、まさに大震災の状況がたしかNHKのニュースで放映をされておりました。そのときは番組の中にほとんどコメントが出てこなかったわけです。というのは、まだ報道するところも対応ができていない、とにかく上空から映した映像だけがひたすら繰り返し流されていたわけであります。  最初見たときに、私は、たしか阪神高速だったでしょうか、橋げたもろとも橋脚ごと倒壊をした、たしかあの映像が、上空から見たときに、これはまたどこかよその国で何か、失礼な言い方ですが、どこかの国で手抜き工事でもあって、アジアのどこかの国でそういうことでもあったんだろうかと。にわかに、まさか日本の国で、あの神戸の町を中心にして起こったなどということは思いもしなかったわけです。ところが、それを見ていくうち、実はこれは紛れもない神戸の話で、今の話であると。  当初の発表された被災者人数がどんどん膨らんでいきました。御案内のように、もう終日、朝から晩までテレビ、ラジオはあの報道にかかりっ切りになったわけでありまして、六千四百三十二人という方のとうとい命が失われました。そしてまた、今もなお大勢の方が生活再建でありますとか、あるいは精神的な大きなショックを受けたまま引きずっている。  私の身内も、老夫婦が二階で寝ておりました。二階で寝ておりましたら、まさに本当に何と表現のしようもないような衝撃を受けました。そのまま布団の中に潜ったまま、一階部分が倒壊をしました。上から屋根がおっこちてきた。お父さん、もうこれで死ぬんだねと本当に二人覚悟したそうでありますが、幸いにして、しばらくして近所の人の声が聞こえてきて、瓦れきをかき分けながら地域の人に救っていただいた。後で、あのときには本当に一体何が起きたのかわからなかったと。  そしてまた、そうした話は枚挙にいとまがないわけでありますけれども、そんな中で、その後、最大時四万七千九百十一世帯が仮設住宅での生活を余儀なくされたわけでありまして、もう早いもので五年という歳月が経過をしました。  今回のこの五年という一つの節目に立って、委員会でございますので、まず冒頭に大臣のお考えを聞きたいわけでありますが、そうしたその後五年の歳月のうちに、本年一月十四日をもって応急仮設住宅が解消されました。そしてまた、全閣僚をもって構成されたいわゆる阪神・淡路復興対策本部もその設置期限を二月二十三日に迎えまして、新たなるこの復興対策本部にかわるものとして連絡会議を設置するということが決められたわけであります。  これはまず冒頭、長官の、まさに御自身の御経験、御体験、それからまた、今後のこうした復興策につきまして、この連絡会議をどのような形で組織化をして、先般の大臣所信の中にもございました、そしてまた、一月十七日の阪神・淡路大震災の追悼式におきましても小渕総理がこの点についても触れられておりますけれども、ぜひとも、ここでまず最初に長官の御所見をお尋ねしたい。またその点についてお尋ねをしたいと思います。
  28. 中山正暉

    ○中山国務大臣 まさに今先生のおっしゃるとおりで、私も東京におりましたが、娘が電話をかけてきまして、こんなにひどいからもう東京は全滅したかと思ったというようなことを最初に言っておりました。  三十八万平方キロのこの日本列島は、二千カ所の活断層に八十六の火山、そして三つのプレートがユーラシア大陸の下へ潜り込みますものですから、私の六十七年間の人生経験の中でも、ちょうど昭和二十年でございましたか、中学校へ上がる、戦争の終わる年だったと思いますが、私は枚岡東小学校というところへ疎開をしておりました。  そして、大阪の生駒山の中腹でございますが、地震が来まして、運動場へ出なさいと言われて、私は駆け出しましたら、ちょうど和歌山の方に下から稲光みたいなものが七本ぐらい、稲光は上から降るものが、あれは電気らしゅうございますけれども、青い光が和歌山の方に七本ぐらい立っているのを、私は強烈な印象で、今でも目をつぶるとそれを思い出しますが、南海大地震というのがありました。それから福井大地震とか新潟の大地震とか、本当に自分の生きている間だけでもいろいろな体験をいたしました。  ちょうど吉野川のところから淡路島へ入って、そして木曽谷を越えて新潟へ出て、新潟から間宮海峡までが、これが日本列島の中央構造線の大活断層だそうでございますが、そこで起こりましたこの大地震、六千四百三十二名の本当にとうとい犠牲、心から改めて御冥福を祈りたいと思います。  先般、皇太子殿下にお出ましをいただきまして、神戸でシンポジウムがありました。翌日は小渕総理も出られまして五周年の追悼式がありまして、この法律の期限は終わりを告げましたけれども、その後、私どもは、阪神・淡路復興対策本部の設置期限の満了に伴いまして、阪神・淡路地域について関係地方公共団体が行う復興事業への国の支援を推進し、関係省庁間の円滑な連携を図るため、阪神・淡路大震災復興関係省庁連絡会議、これは略称を連絡会議ということで設置をいたしまして、この連絡会議の構成員は次のとおりとする、ただし、議長は必要があると認めるときは構成員を追加することができるということで、議長に内閣内政審議室長、警察庁長官官房総務審議官、経済企画庁調整局長科学技術庁研究開発局長、環境庁長官官房長、国土庁大都市圏整備局長国土庁防災局長、外務大臣官房長、大蔵省大臣官房審議官、文部大臣官房長、厚生省大臣官房総務審議官、農林水産大臣官房総務審議官、通産省環境立地局長運輸省運輸政策局長、郵政大臣官房総務審議官、労働大臣官房長、建設大臣官房総務審議官、自治大臣官房総務審議官、以上のメンバーで、先生のせっかくのお尋ねでございますからメンバー表をすべて申し上げましたが、こういう形で後の協議会をつくって万遺漏なきを期したいという体制を整えております。  議長は必要があると認めるときは関係地方公共団体関係者を会議に参加させることができる。それからまた、連絡会議に幹事を置く。幹事は関係省庁の職員、これが阪神・淡路大震災復興関係省庁連絡会議幹事、これは課長クラスでございますが、それをこの下に置くことにいたしております。それから、連絡会議の庶務は、国土庁の大都市圏整備局及び防災局の協力を得て内閣官房において処理する、こういう形にしておりまして、連絡会議の運営に関する事項その他の事項は議長が定める。  これでいつでも即応できるように、これからはいろいろ細かい問題が起こってくると思いますので、それに対応するのに、法律の期限が切れたからということではなく、万全を期して、自後、まだまだ後遺症はいろいろな面で残っておりますから、それに対応いたしたい、かように考えております。
  29. 渡辺周

    渡辺(周)委員 大変御丁寧に全メンバーを教えていただいたわけでございますが、そうすると、この連絡会議自身はもう既に設置をされたというふうに理解をしてよろしいかと思います。  そんな中で、今の答弁の中にもございました、そして今後、例えばどういう形で具体的に活動を進めていくかという問題が出てくるわけでございます。これは、総理大臣の追悼の辞の中には、引き続き、地方公共団体と国が一体となって、支援を必要とされている被災者の方々に対するきめ細かなケア、安定した雇用回復を可能とする産業の一層の復興、安全で快適な市街地の整備などに引き続き取り組んでいくというふうに言われたわけでありまして、そしてまた長官も、もちろん先般の所信の表明の中でもこのように言われているわけであります。  そうした中で、余りに抽象的という認識を私どもは持っておりまして、今まさに御答弁の中にありましたような、今後もまだまだやるべきことがあるのではないかという中で、今後どうしていかれるのかという点につきまして、もう少し深く、具体的に何を行っていくかということで、ぜひとも具体的な役割についてお伺いをしたいと思うわけですが、御答弁をお願いできますか。
  30. 増田敏男

    ○増田政務次官 お答えを申し上げます。  基本的には大臣からお答えがございましたとおりでありまして、それらを踏まえながら、関係省庁の連絡会議の具体的な役割はどうか、このようなお尋ねであったと思います。  阪神・淡路地域におきましては、これまでの政府、地元地方公共団体、地元住民等の一体となった努力によりまして復興は着実に進展してきていますが、現在もなお、心のケア対策などの被災者の支援、産業の本格的復興と安定した雇用の確保、また、市街地整備等の安全な地域づくりなどの残された課題が存在していると認識をいたしております。  こうした課題については、原則として関係各省庁がそれぞれ個別課題ごとに適切に対応し、必要な支援を行っていくことはもちろんのことでありますが、加えて、施策の実施に当たって関係省庁間の円滑な連携を図ることを目的としまして、また省庁間にまたがる復興支援について必要な調整を行うため、関係省庁連絡会議を設置してきたものであります。御期待に沿うような活躍に入っていけるもの、このように考えております。
  31. 渡辺周

    渡辺(周)委員 まさに用意された原稿をそのまま読んでいただいたような御答弁で、本来ならばもう少し具体的にお答えをいただきたいわけでありますが、ほかの質問もありますので、この問題だけにかかわるわけにいきませんが、いずれにしましても、今後まだまだ、四十五万戸の全半壊の被害を出した、そして産業復興、あるいは両親を亡くした、どちらかの親を亡くした、あるいは子供を亡くした、いろいろな影があの日を境に、住民の方々にはまさに何の罪もなく、ある日突然人生を一変させるような出来事が起きたわけであります。  そんな中で、できるだけ最大限の配慮をこの方々のためにも、そしてまた先ほど質問の中にもありましたが、これからいつ何どきどういう甚大な災害が起こるか全く人知の及ばぬところでありますけれども、ぜひとも一つの大きな教訓としながらも、よりよい形での支援をしていただきたいと思うわけであります。  そこで、この問題についてもう一つ最後にちょっとお尋ねしますと、まさに復興対策本部は、従来閣僚によって構成をされていたわけでございます。しかし今回は、先ほど御説明いただいた各省庁からの皆様方が集まる。どうしても官庁の主導で行われるというイメージを持つわけでありまして、何か格下げと言ったら語弊がございますが、これまでに比べて若干グレードが下げられたのではないだろうか、そういった印象を持つわけでありますけれども、その点につきまして、この被災住民を中心とした方々、地域の方々に、そういうものではないのだという点がありましたらその点につきましてのお考えを、政治がどうかかわるか、関与するかということも含めてでありますが、お答えをいただきたいと思います。
  32. 中山正暉

    ○中山国務大臣 決して格下げではございませんで、現在までに五兆二百億というお金をつぎ込んで、こうして国民の皆さんからボランティア活動なんかもいただいて、大変な暴動も略奪も何も起こりませんで、私は、世界に冠たる五年間の阪神・淡路大震災に対応する日本人の心の結集みたいなものを見たように思いますから、その意味で、これは格下げということじゃなしに、一応法律の期限でございますから、その法律の期限は期限として対応させていただきましたが、心の中では、むしろ万全を期すための本当の実務者による対応の機関ができて私はよかった。  それも二重構造になっております。先ほど申しましたように、審議官とか局長クラスの者に実動部隊、これでも大変な実動部隊だと思いますが、各省のもっと直接に仕事をしている方々をその下に二重構造にして、そして対応してまいりたい、こんなふうに思っておりますし、三月の十八日からは、花の博覧会が淡路島でありますが、これは犠牲になった方々に花を手向けるというような意味で、これも大変入場券の売れ行きがいいそうでございます。  阪神・淡路大震災、これは肝に銘じて我々が忘れないようにということで、事業費にいたしまして二百三十億でございますが、神戸にこれから、決してこの災害を忘れないようにというメモリアルセンターを建設することにもいたしておりまして、これも予算の中で決定をさせていただいておりますので、今後どういうものをその中に蓄積をするか。日本のいろいろな震災の貴重な資料がたくさんございます。  一つ例を挙げますれば、私は文化庁長官にお願いをしたのでございますが、一五九六年に伏見の城が崩落をしておりまして、五百人ぐらいの侍がその城の下敷きになって死んでおります。加藤清正が、豊臣秀吉から蟄居を命ぜられておりましたが、おっ取り刀で駆けつけたのが歌舞伎の題材になっておりまして、「地震加藤」という芝居があります。それなんかも私は、映像でメモリアルセンターに残すとか、それから、けさも話しておったのでございますが、良寛和尚という、子供好きの良寛さんが、新潟大地震に遭いましたときに、災難を受くるときが来れば災難を受くるがよくて候、これが災難を避くる妙法にて候というような、おもしろいというか、禅宗のお坊さんでございましたから、何か達観したような手紙を書いておられますが、我々は達観するわけにはいかないので、そういう貴重な地震の歴史みたいなもの。  それから、先ほど申しましたように、世界には八百ぐらいの火山がありますが、その一割の八十六の火山が日本列島にはあります。特に九州とそれから東北に集中しておりますから、今、岩手山なんかの問題もちょっと注目をされております。建設省のテレビを回しますと、二十四時間岩手山が映っているチャンネルがあります。  そういうふうな体制で、いかに対応していくかということを、神戸を起点にして、新しい二十一世紀に対する日本国民を災害から守る対応というものをむしろ強烈に私は印象づけていきたい、かようなふうに考えておりますので、決して格下げでも何でもございませんので、御安心いただきたいと思います。
  33. 渡辺周

    渡辺(周)委員 まさに格下げではないということでございます。しかし、これはどんなに観測機器の精度が上がりましても、実際問題として天変地異をとめることはできない。そんな中で、今回の神戸のことが起きまして、この予期もせぬ、まさに大災害が起きた。そして、その後にも、生活再建という点についていろいろな問題が発生をしまして、今もなお、法整備、法のあり方、こういうことを含めていろいろな課題が今明白になってきたわけであります。  そんなことを受けまして、平成十年の五月に被災者生活再建支援法が成立をしました。そして、昨年の四月に施行されました。御案内のように、昨年の六月末のいわゆる広島での豪雨災害、ここにおいて正式に適用をされたわけでありますけれども被災者生活再建支援法の適用ということについては、いろいろな形で後々検証がされておりますし、今もまだ改善の余地があるということで、いろいろな御意見をいただいている法律であります。  これは、一つには、最高百万円という金額が支給対象の最高額でありまして、一方で、同じ世帯に属する家族全員の年収合計が五百万円以下でなければならない。しかも、それが審査の対象となるのは被災前年の所得であるといったようなことが、これまでも指摘をされてきているわけでありまして、結果的には、いろいろな災害被災のあり方というのは、好んでこうなりたいとだれもが思っているわけではありません。例えば、あるところでは全壊をした、しかし、そうでない半壊とはいいながら、全壊をして一回解体しなければ生活基盤をもう一回立ち上げられないような状況である。そうであっても、結果的には適用対象とはならなかったということが後々指摘をされておりまして、まだまだ改善の余地が御案内のようにあるわけであります。  ですから、その点について、この法の附則の中にもいろいろなことが記載をされているわけでありますけれども、そんな中で、これはまさに線引きをすることがおかしいのじゃないか。これは、自然災害から国民を守る国会議員の会、こういう与党の方からも、そもそもこの線引きというのはおかしいのじゃないだろうかというようなことが起きております。  いずれにしても、まずはこうした住民の意見を受けて、この法案がとりあえずできた。しかし、まだまだ改善するべき余地はたくさんあるのだ。百万円では余りにも少ない、そしてまた支給対象が、要件が余りにも厳格に言われているのではないだろうか。何よりも、こういう経済状況でありますし、個々の事例を挙げたら切りがありませんけれども、例えば、前年の所得はあった、しかし、現状においては、例えば家族のだれかが亡くなっているとか、大黒柱が亡くなっているとか、あるいは退職している、あるいは今リストラになって職を探しているのだ。  さまざまな個々の事例があるわけでありまして、この点について、この法律の問題点というものは、立法府でありますから、これまた我々が考えていくとしましても、ぜひとも国土庁長官のこの問題点に対しての御認識はいかがかということにつきまして、重ねてお尋ねをしたいと思います。
  34. 中山正暉

    ○中山国務大臣 ただいま御指摘いただきましたように、支給条件の緩和とか、それから支援金支給額の増額等の御指摘がありましたけれども、制度の趣旨とか財源の確保等の問題がありまして、まずは現行制度を円滑かつ適切に運用して、実績を積み重ねることが重要である、こんなふうな認識をいたしておりまして、国土庁といたしましても、これと並行して本制度の問題点を把握したいと考えておりますので、今、必要な調査に着手をしたところでございます。  この被災者生活再建支援法というのは、全国の知事会等の関係者からの要望も踏まえまして、先生方六党の共同提案によりまして、平成十年五月に成立をしておりますが、十一年の四月から制度の運用を開始したところで、これまで平成十二年三月現在で、二百四十三世帯、一億八千万円の支援金が支給されております。  衆議院の災害特別委員会において、「この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行状況を勘案し、総合的な検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」、こういう附帯決議もついておりますので、この附帯決議の意味を勘案しながら、今後また委員会の先生方にいろいろ御検討をいただきたい、かように考えております。
  35. 渡辺周

    渡辺(周)委員 まさにそういう、今必要な調査をするようにということでございます。  私ども民主党では、ことしの一月に党大会で、被災者の住宅再建支援制度、被災者の生活再建支援制度、あるいは災害対策法体系の見直し、危機管理体制の確立と四本を柱とする自然災害対策を発表しました。そして、御存じのように、今の出てきたいろいろな、阪神・淡路大震災後、生活支援、生活再建、こういう点についてのまだまだ非常に不備な部分に対して、我々もとにかくこれを実現していこうということで、例えば、世帯主の所得制限を一千万円までにしよう、あるいは支援金の上限を五百万円にしよう、あるいは自営業の店舗損壊も支援の対象にしようといったような形で、これまで、対象の幅を広げる、あるいはもう少し緩やかな形で適用されるようにしよう、例えば支援金の使途の制限も緩和しようということを訴えているわけであります。実際、こうした、我々としても独自の法案を用意して考えていかなければならない。  そこで、この問題のおしまいに、改めて現在の法体系の中での、抜本的にこれからどうしていくか。そして、先ほど必要な調査を今指示しているということでございますけれども、いつぐらいをめどにこれからやっていかれるのか。その点につきまして、今後のあり方についての長官の御認識をぜひお伺いしたいと思います。
  36. 生田長人

    生田政府参考人 私の方からは、先生質問調査のことについてお答えを申し上げたいと思いますが、現在やっておりますのが、法の施行関連の適用日、平成十一年四月五日までの間に生じた自然災害につきまして、実際に被害をお受けになった県、市町村、それから被災者世帯、こういうものに対するアンケートを現在実施しようとしておりまして、大体半年ぐらいを目途に調査の完成を考えております。
  37. 渡辺周

    渡辺(周)委員 アンケートを実施して半年を目途にいろいろな要望を、これはぜひとも法改正の中でも、また我々も議員立法という形で出して本当に考えていかなければならないと思うわけであります。それは何よりも、全く予期もせぬ形で家族や財産を失った、そして一瞬にして人生が一変してしまったという方々に対して、これはその人がお金持ちであるからだとかそうでないからだとかということは全くないわけでありまして、ぜひともこの点についての要件の緩和。  これは私は、もしかしたら日本の国が、こういう言い方をしたいと思いますが、やはり国民の上に成り立っている民主主義国家でありまして、この国民の生活が成り立っていないということは、ある意味では民主主義社会のまさに崩壊につながってしまうのではないだろうか。何よりも政治は弱者のためになければならない、その方が金持ちであろうとそうでなかろうと、所得が幾らであろうと、思わぬ被災をして家族や財産を失って人生が変わってしまった方々に対して、やはり国家が基本的な部分に対して支援をしていかなければならないと私は思うわけであります。  ぜひともその点につきましては、この意向を酌んで何とか改善をするべくともどもにやっていきたい、そのように我々もまた考え、そしてまた政府としても、最大限のお考えを実現していただきたいなと思うわけであります。  時間もございますので、続いて地震財特法についてお尋ねをしたいと思います。  御案内のように、今回で地震財特法のいわゆる期限が切れます。そんな中で、今回法律の期限を迎えて、政府の御認識という点についてお尋ねをしたいわけでありますが、ちょっと過去の幾つかの議事録を見てみますと、「特に異存はございません。」と大変あっさりとした、当時の小澤国務大臣がおっしゃっていまして、「政府といたしましては、本法律案について特に異存はございません。」これだけでございまして、それは確かにいいことなのでありますけれども、これは前回、平成七年三月、いわゆる地震財特法の延長の際の内閣意見でございまして、その後こうした大きな阪神・淡路大震災などを踏まえて、当然、内閣のみならずいろいろな方々の認識は大きく変わったわけでありますけれども、今回の延長に当たっての長官の御認識ということにつきましてお尋ねをしたいと思います。
  38. 中山正暉

    ○中山国務大臣 先生も御承知のように、特に東海地震なんというのが大変、一番危ないところと言われており、先ほど栗原先生の御指摘もありまして、危ない危ないと言われるとなかなか観光地も大変だということでございます。しかし、実際にマグマが日本列島の下へ潜り込むところというのは大体伊豆半島付近、東海、まあ関東も、これは日本の三・六%のところに人口の二六%が住んでいる、関東大震災も大正十二年の九月一日に起こっておりますが、これも十万人からの犠牲者が出ておりますから。特に、ちょうど一八五三年、ペリーが来ました明くる年の一八五四年にも、ロシアのプーチャチンが乗っておりました船が下田で沈没するというような、これは大地震が多発しております地域の問題でございますから。  私は、特に異存はありませんというのは、内閣の側の、今まで法案ができましたときの何か決まり切った言葉みたいなところがありますので、これは大いに尊重するという意味だと解釈をいたしております。  そんな意味で、これから地震財特法の過去三回の期限延長と同様に、今回も衆議院の災害対策特別委員委員長提案ということで、期限の延長に向けた検討が進められていることでございます。国土庁としても、関係省庁と密接な連携をとりながら、東海地震対策というものを主眼にしながら、どこで起こってもおかしくないわけでございますので、これはそういうものを典型として、この間も、前につけてもらった地震観測計が古くなっているけれども、新しいものを設置するときにはそういうものに対する対策はとられているが、なかなか新しいものにかえてもらえないなんという話がありましたので、そういう意味での検討というのも大いに、早く迅速に対応できるようなものにした方がいいんじゃないかなんという話を庁内でもいたしておりました。先生の御指摘を私どもも大いに検討いたしたいと思っております。
  39. 渡辺周

    渡辺(周)委員 まさに、私ども静岡県に住んでおりまして、東海地震という学説が発表されて以来、大変静岡県に住む人間のいわゆる防災意識というのは、もちろんほかと比較したわけじゃありませんけれども、やはり非常に高いものがございます。そしてまた、それなりの国のいろいろな施設整備によりまして、あそこは断層型ではなくて東海地震の場合はプレート型、観測機械によって幾つかの、いわゆるひずみ計ですとかそういったものがかなり精度の高い数字を出しております。  また、静岡県も地震防災センターをつくりました。そしてまた、情報収集でいけば、いわゆるここまでやるかというぐらい、宏観異常現象と呼ばれるさまざまな生物の動きでありますとか発光現象、先ほどお話がありました。地電流が動物や植物にいろいろな影響を与えるということについても、静岡県庁の場合は県民から情報を収集している。いろいろな諸説がある中でありますけれども、かなりの体制をとってきたわけであります。  そんな中で、実は、ちょっと個別の問題で今度は参考人の方に伺いたいわけでありますが、そうした中で本当に学校の、例えば子供たちも防災ずきん、クッションですね、何かの場合にはすぐ頭にかぶれるような、そうしたものも実は学校にみんな一人が一個持っている。そしてまた、大体の家庭において、非常持ち出し用の備品なんかはかなり他県に比べればいっているのではないか。  そういう個々の備えはできているわけでありますけれども、反面で、例えば学校、公立小中学校の整備のあり方といったようなことが、今当然この財特法によって行われてきているわけでありますけれども、そんな中で、まさにこれから、災害弱者、高齢者や病人ももちろんでありますが、子供たちのことを考えますと、やはりこれからできる限りの達成を見込んでいかなければならない。しかし、現在のところ、公立小中学校の実質進捗率が九一%という中で、なかなかまだばらつきがあるのももちろんでございます。  そんな中で、これは法律に基づいて五年間で達成できるものだけを盛り込んでおり、逆に言うと、耐震診断が終了していない、あるいは財政上の事情によって五年間では着手できないという事業は盛り込んでいないことが、いわゆる耐震強化の進捗のまだ充足に当たらないのかなというふうに考えるわけでありますけれども、いつまでにこうした耐震診断を終了して耐震強化を今後していかれるのか、その点について政府参考人お尋ねをしたいと思います。
  40. 矢野重典

    矢野政府参考人 公立学校施設につきましては、非常災害時における児童生徒の安全の確保を図りますとともに、地域住民の応急避難所としての役割を果たしますことから、耐震性能の向上を図っていきますことは重要な課題であると考えているところでございます。  そこで、地震財特法に基づく公立小中学校の地震対策緊急整備事業でございますが、これは、関係市町村の事業計画に基づきまして、これまで二十年間にわたり事業を実施いたしてまいっておりまして、一定の成果をおさめております。平成十一年度末で、先生先ほど指摘がございますように、事業費ベースの実質の進捗率は九一%となる見込みでございます。  しかしながら、現行計画で執行できなかった事業あるいは財政的な制約により現行計画に盛り込めなかったものがあることは承知しているところでございまして、これらにつきましては、今後できるだけ早く改築や耐震補強の整備を行う必要があると考えているところでございます。  文部省といたしましては、関係市町村に対しまして必要な整備事業をできるだけ早く実施するよう指導いたしますとともに、市町村の事業計画に支障がないよう必要事業量の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  41. 渡辺周

    渡辺(周)委員 まさに市町村連携をしながら、あるいは都道府県と連携をしながらやっていただきたいわけでありますが、現在のこの地震財特法の枠組みでいきますと、いわゆる耐震強化の補助率のかさ上げは校舎だけというふうに我々伺っておりまして、体育館は対象にならないというふうに聞くわけでありますが、ある意味では校舎と体育館は一つの学校敷地内にある一対のものだと我々は考えますし、事実、昨年の国の防災計画の見直しに当たっては災害弱者の対応ということで、これまでは公園を避難地として主体にして考えていたわけであります。  しかし、阪神・淡路大震災の経験の中で、いわゆるお年寄りの方が、あのときは確かに一月の十七日でございました、寒い中に屋外に出された。そこでいたことがかえって、精神的、肉体的な疲労はもちろんですが、風邪が蔓延をして、今度は逆にそういう意味での、お年寄りあるいは体の弱っている方、弱い方の、風邪を引いたとか体調を崩したとか、これまたある意味では別の被害者が出た、犠牲者が出たわけであります。  まさに、そういうことも含めて、今般の国の方の見直しにおきましても、いわゆる屋内型の避難ということも考えるべきではあるというふうになってきたと考えるわけでありますが、そうした中で、これからこの二十年ぶりの見直しの中で、避難場所避難方法ということを考えますと、体育館、あるいはこれは学校施設ではございませんけれども、例えば公民館のような地域施設といったことを考えなければならないわけであります。  まず一つは、政府参考人の方にお尋ねしたいのは、体育館というものが対象にできないのか。まさに、この国の見直しを受けた形で、やはりこれがもし大規模避難をするということになれば当然学校の体育館というものが必要になるわけですし、地域の方ならば場所はわかる、そしてまた子供たちもまず第一義的に校庭に逃げたにせよ、雨が降っていたあるいは寒い、こういうときには例えば子供たちが体育館に避難をできるということを考えますと、体育館のいわゆる補助をするということについてのお考えをまず伺いたいと思います。  もう一点は、地域の例えば公民館、地域の方の最も身近なところとして、場所も大体地区ごとにわかっているわけでありますから、こういったものを加える必要性を感じるのではないだろうかと思うのは私だけじゃございませんが、どのような御見解を持っていらっしゃるか、政府参考人お尋ねをしたいと思います。
  42. 矢野重典

    矢野政府参考人 お尋ねの前段につきましては私の方からお答えをさせていただきます。  先ほど申し上げましたように、学校施設の耐震性能の強化ということは極めて重要な課題でございまして、これまでも、校舎はもちろんのことでございますけれども、体育館の補強事業につきましても補助といたしてまいっているところでございます。また、あわせて、補助に当たりましては、優先的にこれを採択するといった形で、その推進に努めてまいっているところでございます。  特に校舎につきましては、これは児童生徒の学校生活におきます基本的な生活を行う場所でございまして、そういう意味では何よりも安全の確保を図る必要があるわけでございます。そういう観点から、補助率のかさ上げ措置を行いまして、地震対策緊急整備事業計画の着実な推進を図ってきたところでございます。  今後とも同計画が円滑に進められますように、予算の確保に努めますとともに、関係県を通じまして計画の達成に向け指導をしてまいりたいと考えているところでございます。
  43. 生田長人

    生田政府参考人 後段の方の公民館についてお答えを申し上げたいと思います。  現在、地震財特法に基づきます事業の対象に公民館は入っておりませんので、今回の延長に当たりまして、私ども地元の地方公共団体から要望の聴取をしたわけでございますが、その時点では公民館追加の要望は聞いておりませんでした。  今後、先生指摘のように公民館について災害弱者を受け入れる避難所として活用すべきだという要望があるのであれば、私どもとしては、その点につきまして、公民館の整備を所管する文部省にもこの点をお伝えいたしまして、検討していただきまして、今後追加するかどうかの判断をしていただきたい、かように思っております。
  44. 渡辺周

    渡辺(周)委員 まさに体育館でありますとか公民館といったものは、最も地域に身近で、どなたもが場所がわかっているという問題であります。  そしてまた、何よりも、例えば体育館などというのは、校庭というグラウンドが、応急物資等の、救急物資等の何か蓄積であるとか、あるいは何らかの交通手段ということを考えた場合に、非常に広い用地が確保されているわけでありますから、まさにこうした部分についての、財特法の対象の事業になっているという中でありますが、ぜひとも学校の校舎に合わせて耐震構造を進めていただく。  そしてまた、公民館についても、これは被災があれば必ず皆さん最初に逃げるところは、例えばがけ崩れの映像が出てきたり水害の映像が出てきたり、もちろん地震もそうですが、大体公民館に皆さんは一時的に避難をするわけであります。例えば、そういう中で、かなり老朽化している、なかなか地方自治体ではいろいろな要望を受けながらも、これはもしかしたら国に伝わっていない部分かもしれませんけれども、いろいろな要求は地元自治体の中にはあるわけでございますので、ぜひともこの対象をもうちょっと広げていただいて、もちろん財源の問題もございますけれども、ぜひとも今後国土庁と文部省でいろいろ連携を密にしていただいて、地域住民のニーズを聞いていただいて、まさにこうした問題があった場合には何とか我々として最善のことを今のうちから考えておかなければならないだろうな、ぜひその点については強く要望をする次第でございます。  あと、幾つかの御質問をさせていただきたいわけでありますが、こうした計画の五年間という計画が達成できるものに限定をされてまいりました。そうした中で、計画そのものに必要な事業がすべて盛り込まれていると一概に言えるわけではないわけなんですけれども、こうした緊急整備事業の全体的な終了見込みということについて、今回延長ということになれば、相当程度は終了できるとお考えなのかどうか。その点について、国土庁長官お尋ねをしたいなと思います。
  45. 増田敏男

    ○増田政務次官 お尋ねの、地震財特法にかかわる関係だと思いますが、ただいまございました地震対策緊急整備事業について今後五年間で実施すべき事業の内容について、東海六県の関係ですが、約三千億円の要望があると現在聞いております。  対象事業の中には、公立小中学校のように、対象施設の見直しを要するため今後の事業量の増加が見込まれるものや、砂防施設のように、危険箇所点検によりまして事業量が増加する可能性のあるものもあると聞いております。  また一方では、避難地や緊急輸送輸送港湾など、今回の延長で終了することができる見込みの事業も相当あると聞いております。  国土庁といたしましては、地元地方公共団体から今回の延長で相当程度の達成が見込まれるものと聞いておりますが、地震防災上、住民の安全を確保するために必要なものが残る場合にはさらに対応していく必要がある、このように考えております。
  46. 渡辺周

    渡辺(周)委員 ぜひとも、こうした中で、もし五年以内に東海地震が来てしまうと、これは大変な、まさにこれは地球年齢で切迫しているととるか、我々の、いわゆる三百六十五日を一つの単位とする時間として考えた場合に切迫しているか、いろいろな諸説がございまして、ただ、東海地震が起きる誤差を考えたら何十年単位という部分でありますから、早急に、市町村の要求の中で優先的に進められる部分についてはぜひとも進めていただきたい、まさに要望する次第であります。  当然、地震財特法のみならず、もう一本の柱として、いわゆる全都道府県を対象にした地震防災対策特別措置法、これがやはり議員立法によって制定をされたわけでありまして、このスキームも、この計画に基づく事業に対しての補助率のかさ上げという点につきましてはスキームは同様でありまして、ただしかし、対象事業が若干広目となっているというこの法の性質があるわけでございます。やはりこれは、今全国で危険と言われる、まさに断層の問題ですね、こうした断層も、全国に危険個所と言われるところが二千ですとか三千ですとか言われておりまして、いつ何どきこうした災害が起きるかわからない、そしてまた、阪神大震災の教訓を受けて、東海地震の指定地域のみならず、全国的にさまざまな天変地異の可能性があるということでこうした法律が成立をしたわけであります。  このいわゆる地防法というんでしょうか、地震防災対策特別措置法による整備事業が平成十二年度、新年度をもって期限を迎えることとなっています。この進捗状況というものがあわせてどうであるのか。そしてまた、この延長を望む声はどのような形で国土庁に届いているのか。この法律自体は恒久法でありますけれども、財政支援については平成十二年度で切れるということでございますので、この点について、今どのような状況であるかということをお尋ねしておきたいと思います。
  47. 生田長人

    生田政府参考人 お答えを申し上げます。  いわゆる地防法に基づきます地震防災緊急事業五カ年計画の進捗状況についてでございますが、この計画全国の都道府県知事がそれぞれの県の状況を踏まえて策定するということになっておりますので、当然のことながら、進捗状況にも県ごとにややばらつきがあるというのが実情でございます。  しかし、全体を申し上げますと、平成十年度末現在、これは計画策定後三年間の数字でございますけれども、事業費ベースで約四八%の進捗というぐあいになっております。私どもとしては、まずまずの成果を上げてきたものではないかというぐあいに認識してございます。  それから、国土庁といたしましては、まずは残された期間において事業の一層の促進方に努めてまいりたい、これが第一でございますけれども、やや残事業が生ずることも予想されますので、その結果等も踏まえまして、これから都道府県あるいは各省庁と今後の進め方についての検討を行っていきたいというように考えております。  なお、延長を望む声につきましては、現在のところ、幾つかの都道府県から私どもは聞いております。
  48. 渡辺周

    渡辺(周)委員 どうしても私個人、先ほど栗原裕康委員質問されましたけれども静岡県というまさに対象である渦中にいるわけでございます。そんな中で、我々としましては、やはり最善の備えをしておきたい。しかし、これは静岡県だけではなくて、もちろん日本全国どこも、やはり災害に強いという意味での国土というものを考えていかなければならないわけでありますし、また、これから高齢社会になってくる中で、災害弱者と言われる方がふえてくる中で、どのような形で考えていくかということは、本当に我々政治家のまさに危機管理的な発想に立った責務であろうと思うわけであります。  せっかくきょう建設省からも道路局長がお見えでございます。個別の問題で大変恐縮なわけでありますけれども先ほど栗原先生がちょっと触れておられました、伊豆半島というところは南北に大変に長いところでございまして、そんな中で、国道百三十六号線だったでしょうか、今整備が行われているということでございますし、また、静岡県は御案内のように大変に東西にも長い県でございますので、道路整備という点についてはどのような進捗状況かというのは県民の一つの大変な関心事でございますので、ぜひともその点について質問をしたいというふうに思うわけでございます。
  49. 大石久和

    大石政府参考人 御説明申し上げます。  災害時の緊急輸送路として、また避難路として、道路整備道路ネットワークの整備は極めて重要であると考えておりまして、今先生から御指摘がございました一般国道百三十六号、また百五十号、あるいは四百十四号、百三十五号、一号等の整備をこの地区で進めているところでございます。  一般国道百三十六号について見ますると、これはいわゆる地震財特法の地震対策緊急整備事業計画に定められている路線でございますが、下田と三島を結ぶ重要路線でございます。改良率が現在八九%であることから、未改良区間の解消、既存の橋梁の耐震補強及び災害防除を実施する道路として整備を進めております。平成七年度から今日までに、堂ケ島地区、下賀茂地区等、延長五キロメートルの事業を完了するとともに、現在、土肥拡幅の未供用区間三キロメートルの早期供用を目標に事業を推進しております。この結果、改良率は九一%となる見込みでございます。  また、同路線の橋梁の耐震補強及び災害防除につきましては、緊急性の高い箇所から鋭意事業の進捗を図っているところでございます。  静岡県、東西に長いという御指摘がございましたが、一号の代替路線として一般国道百五十号が機能するものと考えておりますが、この路線につきましては、清水から浜松市に至る延長百二十四キロは既に改良済みでございます。地震財特法におきましては、橋梁の耐震補強を実施する路線として位置づけられております。それぞれの橋梁の中から、緊急性の高いものから鋭意事業を進めているところでございます。  一般国道百三十六号及び百五十号の今後の整備につきましては、静岡県と今後の事業計画協議しながら、できるだけ早期に整備が完了できるよう、建設省としても積極的に対応してまいりたいと考えてございます。  また、これらの路線につきましては、以上の観点から以外に、交通混雑の解消を目指したそれぞれの諸事業も進めておりまして、これらの事業も災害時の緊急輸送路、避難路として大いに役立つものと考えておりますので、早期整備を図るよう努力してまいりたいと考えております。
  50. 渡辺周

    渡辺(周)委員 国家のまさに大きな課題であります災害対策という委員会の中で個別の質問をしたことを大変恐縮に思うわけでありますが、やはり静岡県というところは、年間一億二千万人の観光客が来られる。もちろん、出張ですとかビジネスで来られる方もいるわけでありますので、観光客とは一概に言えないまでも、国民の一人が年に一回は来ているという計算になるわけでございまして、先ほど質問の中にもありました、何かあった場合に、いわゆる全く地域の事情がわからない方々と地域の方々が、ひょっとしてもしそういうピークのときに当たってしまいますと、これは大混雑、あるいは人心ももちろんパニックになるわけであります。  そんな中で、この東海地震というものは、ある意味では、静岡県内のみならず、日本の国のまさに大動脈がちょうど重なっている。国道一号もあれば東名高速もある、新幹線も走っていれば東海道線も走っている。まさにここが封鎖されるようなことになりますと、東日本と西日本が完全に分断されるということになるわけでございまして、そうなった場合の日本全体の機能の麻痺ということも、当然、阪神大震災と同程度あるいはそれ以上かもしれないというような認識を持って、ぜひともこの財特法の延長と、そしてまたそれに伴っての事業の推進ということについても、今後また我々もともに議論をしながら、災害に強い国土をぜひともつくっていただきたい、そういうことを要望しまして、残りの時間を日野市朗委員に譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  51. 岡島正之

    岡島委員長 日野市朗君。
  52. 日野市朗

    ○日野委員 質問に先立って若干の要望をしておきたいと思います。  この地震財特法ですが、この前の延長のとき、私はちょうど災害対策特別委員長でありました。そのときも、本当に地震に対する危機感というものを、特に東海地方の危機感というものを非常に強く感じながら、みんなで協力をしてこの法案の延長を図り、延長したわけであります。  実は、私も宮城県沖地震を体験しておりまして、そのときの揺れは物すごいものでございまして、その恐怖というのは今でも忘れがたいものがあるわけですが、やはり日本は地震ということ、これはもう宿命的なものでございますから、これに対する対策は万全のものでなければならないと思っております。  きょうも各委員からお触れになりましたが、阪神・淡路大震災、あのときもちょうど私が災害対策特別委員長のときでございまして、その対策に当たって、何とか一刻も早く現地に駆けつけていろいろお手伝いをしたいと思ったが、その交通路も遮断されているというようなことで思うままにならず、非常に残念な思いをしたことなどもございます。  きょうもいろいろな委員からお話がありましたが、あの大震災というのは多くの教訓を我々に与えてくれたと思っています。その教訓を無にしないことが必要なんだろうなというふうに思います。  ですから、私はこの委員会でも、まあきょうということは無理でしょうが、いずれあの大震災の総括をやってみて、そしてきちんとした考え方をまとめておくことも必要であろう、こんなふうに思っておりますので、そのことの要望を委員長にもさせていただきたいというふうに思います。  私は、もうちょっと災害というものの一般論、これをやってみたいと思います。  実は、きのうも地下鉄事故が起きておりますね。それから、災害という言葉、これは災害対策基本法なんかにも災害という言葉は使ってあるのですが、一般的に災害という言葉を取り上げてみますと、実にこれは広い範囲に広がってまいります。例えば地球温暖化による気候変動の問題もあります。それから、オゾン層が、大分これは北極周辺でもオゾン層が減少しているようでございますね。これに、こういった問題から出てくる問題も出てくるわけですね。  特に私が注目しなくちゃいかぬと思いますのは、人間の行動範囲というのは交通機関の発達によって非常に広がっています。それから、科学技術の発達によって、非常に我々自身、いろいろな生き方というものが随分変わってまいりました。こういう中で、では災害というのはどういうふうにとらえるべきものなのかということをここで考えてみなくちゃいかぬと思います。  災害対策基本法には災害という定義が一応ございまして、定義は第二条に記載してあるわけでありますが、それによりますと、自然的な災害、自然現象による災害というもののほかに、大規模な火事とか爆発とか、その他及ぼす被害の程度においてこれに類する政令で定める原因、こうなっていまして、さらにその政令を見てみますと、放射性物質の大量放出とか、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模な事故、こうなっています。  そこで、大体災害ということの定義をここに書いてありますが、かなり幅広い範囲に及び得るのだろう、こんなふうに思っているわけですが、この災害というものは、では国土庁長官としてはどの範囲をカバーすべきものというふうにお考えになっておられるか、ひとつお聞かせください。
  53. 中山正暉

    ○中山国務大臣 今、先生の御指摘がありまして、私の今持っております常識といたしましては、自然災害というものが国土庁の対応で、もう一つは事故災害というのがある。例えばタンカーが日本海でひっくり返ってそれをどうするかというときは通産省が行くとか、それからまた、お話のありました原子力関係施設が何か事故がありましたときには科学技術庁とか通産省が行くとか、しかし、それが起こりましたときに、いろいろな派生をする行政の対応を取り仕切るのが国土庁という、そんな認識です。  特に災害の範囲の問題でございますが、例えば今度のように阪神・淡路大震災という、私は大阪でございますが、大阪でも三十数名の方が亡くなっておられますから、初めは神戸地震なんていう名前がついておりましたとき、これは神戸だけではないぞ、阪神間で起こったもの、淡路の下に震源があって、そしてあの三百メートルもある明石大橋、まだ間がかかっていなかったのであれは大丈夫だったんですが、一メートル十センチもピアが動いたというような、そういう範囲での災害。  しかし、これはどういう範囲で起こるかわかりません。県域を超えて、自治体の範囲を超えて、そういうときには、自然災害が起こりましたら、もう当然のことでございますが、国土庁が出かけてまいるといいますか、対応をするということでございますが、事故災害に対しましては、起こったときにはすぐにその所管官庁が動くと同時に、それが国政の上で、また行政の上ですぐに他に波及する部分との連絡調整係が国土庁、そんな意識でおります。
  54. 日野市朗

    ○日野委員 自然災害、それから事故災害というふうにお分けになりましたが、さて、自然災害と事故災害の線引きが果たしてそううまくいくのかという問題がございますね。例えばタンカーの問題なんかも出ましたし、それから阪神・淡路の問題も出ましたが、やはりそこいらの線引きをきちんとするということは非常に難しいことなのであって、実は、新たなタイプの災害というのは常に想定しながらいなければいかぬのだろうと私は思っております。  そして、国土庁の仕事ということで、では国土庁設置法にどう書いてあるかということですが、第四条の第十四号ですか、災害に関する事項、所掌事務について、災害に関する事項、「他の行政機関の所掌に属するものを除く。」こうなっているわけです。そして、「災害に関する施策を企画し、立案し、及び推進し、並びに関係行政機関の災害に関する事務について必要な調整を行うこと。」こうなっております。  さらに、国土庁の組織令をごらんいただきますと、やはり同じような規定がある。特に防災局についての規定がありまして、防災調整課というのが置いてある、その前に、防災企画課では次のことをつかさどるとして、「災害に関する施策の企画、立案及び推進に関すること」、こうなっているわけですが、ここでも他省庁の所掌に係るものを除く、こうなっている。  ところが、実際災害が起こったときに、それから災害を予防しようという防災の政策を立てていくときに、これは何省のことでございますと言っていてはいけないと思うのです。やはり、災害に関する、そして防災に関する事項についてちゃんと国土庁がまとめていかなくてはいかぬと思いますね。  さっきもちょっと理事会室なんかでも話題になったのですが、例えば自衛隊の出動のときに、県知事の要請がないうちは出られないのでございますとか、それから、いろいろな現象が起きたとき、それはこっちの省庁のこと、これはこっちの省庁のこと、こういうことをやっている暇は実際はない。国土庁が占めている位置というのはもっと重いものだと私は思っているのですよ。  そして、調整という言葉で書いてありますが、縦割りでずっと各省庁がやっている、そうすると当然各省庁は、これはちょっと私に偏見があると言われれば甘んじて受けますが、自分が所掌しているところには甘い、私はそう思います。各省庁の防災計画、そういったものはコンピューターでとれるわけですからとって、それをきちんと点検をして、そして、こういう点は直すべきだといようなところまできちんと踏み込む必要があるのだろう、私はこう思っています。  時間がないのでとんとんと先に行ってしまいますが、例えば、JR西の山陽新幹線のトンネルの事故なんというのがありましたね。JRは指定公共機関でありますから、運輸省がそれを所掌して、そして運輸省がさらにJR西の所掌として防災計画を立てていくというような二段構えをやっているのだろうと思う。  しかし、もし、トンネルばかりじゃなくてあの高架そのものが、今でもコンクリートが劣化している、余りにも早い劣化だということで問題になっていますね、ぽろぽろ欠け落ちているというようなことが指摘されています、ああいう場合、事故が起きたら、これは事故災害でございます、国土庁はあずかり知らぬところでございますとはいかないだろうと思うのです。  さっき言いました災害基本法の第二条の定義には、船舶の沈没までは書いてある。船舶の沈没があったら航空機の墜落、新幹線の転覆、こういうことも当然入ってくるはずだ。そういうことを総合してどこかがきちんと見ておくという必要があるのじゃないか。  私は、この法律の期待しているところは、国土庁にそれが期待されていると思うのでございますが、いかがでしょう。
  55. 中山正暉

    ○中山国務大臣 私もそんなふうに、事故災害の場合は、事故が起こった瞬間的なときには、全体の流れの中で、一瞬の話ではありません、災害が起こったときには専門的な知識を持った人が行く。しかし、起こった時点から各省の調整で国土庁がちゃんとそれを高い位置から見て、いつでもそれが、今の先生の予測していらっしゃいますいろいろな複合的な事故災害が起こった場合、特に航空機とかトンネルの運輸省だけではなしに、例えば原子力の関係施設に飛行機が落ちた場合とか複合的な問題も、先生のおっしゃるようなことに対しましては、国土庁が全体万全を期してそれに対しすぐ対応がとれるように、ただし、その瞬間のときには専門家が飛んでいくことが正しいことで、現場の処置をどういうふうに国土庁に連絡をしてもらうか。  これからこれは国土交通省という役所になるわけでございますが、一府十二省に変わりましても、そういう災害に備える基本的ないわゆる土台になるものは国土庁でなければいかぬ。国土庁という名前がついているということだけでも国土全体に対する責任といいますか、それからまた、今海の水位が上がってきているなんということがありましたら、あっちこっちで、とにかく全国的な規模で起こってくるような災害も予測しておかなければいけませんし、その意味では、もう少しはっきりした法律的な対応というようなものも考えていいんじゃないか。  先生のお話を伺いながら、お互い政治家としてどう考えるか、そういう災害に備える心というものは、何が起こるかわからないのが世の中だと思いますから、先生の大体予測していらっしゃる、思っていらっしゃるようなことを私も何か感じます。
  56. 日野市朗

    ○日野委員 問題は、災害が起きたというよりは起きないようにする、防災計画をきちんと立てていくことだと思うのですね。  ところが、大臣、私も実に驚くようなことが実はあるのです。例えば原子力災害というのは、今度はジェー・シー・オーで非常にあれはびっくりさせられるような、科学技術庁なんかは全く予想もしていないような、原子力安全委員会も予想もしていないような事故であったわけですね。私は何でこんな問題が起きているのかということで、ある人の話をいろいろ伺って絶句したことがある。  あの「もんじゅ」、「もんじゅ」は御存じですね、原子力発電所です。あそこが今トラブルで停止しているわけですよ。その原因なんかについて話を聞かせていただいたら、どうもあれの原因は熱電対であったと。熱電対という装置があるのですが、その熱電対がふぐあいであったために「もんじゅ」全体をとめざるを得ないというような事態になった。もしそれをとめないでいたら、あれはナトリウムを使っていますから、ナトリウムというのは爆発しますから大変な大事故になるだろうと思うのですね。  ところが、科学技術庁それから原子力安全委員会、そこらの基準では熱電対なんかテストしなくたっていいんだ、チェックしなくたっていいんだと、それと別のきちんとした設計ができていればいいのでございますというのは、これは技術屋の話なんですが、そういう頭で防災計画を立てられたんじゃ、これはたまったものじゃない。  ですから、それぞれの省庁に任せるとそういうところのすき間が出てまいりますので、これは必ず出てきます。山陽新幹線のトンネルだって高架だって、海砂を大量に使ってそのための鉄筋腐食なんということが出てきている。それからコンクリートの劣化ということが出てきている。こういうのを見逃してきているわけですよ、運輸省も。こういうすき間をきちんと埋めていく役割はだれが負うのか、だれがその責任を負うのか。私はこれは国土庁だと思うのですね。  もし科技庁の方で反論があったらしてください。
  57. 中山正暉

    ○中山国務大臣 ちょっとその先に、先ほどちょっと言葉足らずでございましたので、今度一府十二省に変わりましたら防災局というのは丸ごと省庁再編で内閣府に移りますので、これは御承知のとおりであると思いますが、それまで国土庁の機能というものをそういう意味で果たしていくということで、その後は、それこそ全省庁、内閣府の方ですき間のないようにすることになるのではないかと思っております。
  58. 間宮馨

    間宮政府参考人 国の安全審査におきましては、災害を防止する、すなわち一般公衆の安全を確保するという観点から、必要なものについて審査を行っております。  御指摘の温度計につきましては、このような考え方に照らしまして、安全審査の対象とすることとせず、これまで常陽等で経験を積んでいてナトリウムの扱いに習熟している今のサイクル機構に、いわゆる自主保安という形で確認することを選んだわけでございます。  しかしながら、今回の事故の原因といたしまして、さやの設計に問題があったということがわかっておりますので、一層の安全確保に万全を期するという観点から、今後は、このさやにつきましても科学技術庁が審査、検査を行うこととしているものでございます。
  59. 日野市朗

    ○日野委員 お聞きのとおりでございまして、やはりこれは、すき間という言葉を私は使いましたが、きちんと万全を期することが大事だと思うのですよ。  今、警察の問題で責任の問題が出ていますが、やはり最終的な責任をきちんと、政治家のリーダーシップのもとにやるのだから、その政治家がきちんと責任をとれるようにしなくちゃいかぬ、特にこの防災に関しては万遺漏なきを期したい、私はこう思います。  そして、現在の国土庁のシステムというのは、内閣府に移行しても、防災局がそのまま行くわけですから、基本的な考え方は変わらないのだろうと思う。きちんとそこに引き継ぐためにも、きちんとした対応をとってもらわなければ責任問題になるであろうということを申し上げて、終わります。
  60. 岡島正之

    岡島委員長 次に、上田勇君。
  61. 上田勇

    ○上田(勇)委員 公明党・改革クラブの上田でございます。  先日、中山長官からは災害対策全般にわたります所信を伺いまして、ありがとうございました。  本日は、この質疑の終了後に委員長の方から地震財特法の延長の法案が提出される予定になっておるわけであります。地震災害は、その被害が甚大でまた広域な範囲に及ぶということから、それに備えてあらゆる対策を講じていかなければならないのは当然でありますので、同法案につきましては私どもも賛成の立場でありますし、さらに計画的にまた迅速に事業を進めるべきであるというふうに考えているところでございます。  きょうは、この地震財特法を含めまして、震災対策について何点かにわたりまして質問させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。  まず初めに、法案の関連でありますが、この地震財特法によりまして、関係県知事が地震対策緊急整備事業計画を策定し、計画的に事業を進めているわけでありますけれども、その進捗状況というのは、伺ったところでは、事業費のベースで九四%前後、事業量のベースでもそこそこそれに近い数字で進んでいるというふうに伺っているわけでありますが、こうした進捗状況をどのように評価されておられるか。  また、法制定による効果で事業の進捗というのが推進されたのだろうか。特に、消防用施設、社会福祉施設、小中学校の三事業については国庫補助率のかさ上げが行われているのですけれども、それによる事業促進の効果といったものはどのように評価をされているのか、お伺いしたいというふうに思います。
  62. 増田敏男

    ○増田政務次官 上田委員お答えを申し上げます。  地震財特法に基づく地震対策緊急整備事業計画額、これは約一兆六百五十二億円でありまして、平成十一年度末の時点におきまして、おっしゃいましたように進捗率は九四%となる見込みであります。  また、地震財特法の対象事業十七施設等のうち、本法により国庫補助率のかさ上げ措置がなされている消防用施設、社会福祉施設及び公立小中学校の三事業につきましては、地方債の手当てと相まって、地方財政が厳しい中、事業主体の財政負担が相当程度軽減されており、数量的に申し上げることは難しいのですけれども地方公共団体が積極的に推進を図っていく上でかなりの効果があるもの、このように考えております。
  63. 上田勇

    ○上田(勇)委員 ありがとうございます。  ここで、先ほどの質疑の中でもう次期の計画についての話がありまして、関係地方公共団体で次期計画は約三千億円というようなお話がございましたけれども、伺うところによると、約二千三百億円程度というのは新たな追加事業というふうにも伺っているわけでありますが、平成七年の前回の計画改定以降、どういうような理由でこういう追加事業というものの必要性が生じたのでしょうか、その辺の御見解を伺えればというふうに思います。
  64. 増田敏男

    ○増田政務次官 具体的なお尋ねですから、お答えを具体的に申し上げていきますが、次期計画において必要とされる事業は、現在の計画の残事業、これは約六百億円でありますが、そのほかに、地方公共団体からの強い要望として、現時点で、御発言のように二千三百億円程度あると聞いております。  そこで、これは主として、避難地避難路など財政的制約等により現行計画に盛り込めなかった事業や、公立小中学校、緊急輸送路などが、防災点検や耐震診断等の結果、新たに実施する必要性が生じた事業である、このように聞いております。  参考に、今申し上げました数字を申し上げますと、十二年から十六年までの事業計画で、残事業が約六百四十八億、そして今回の追加が二千三百二十億、合わせまして二千九百七十億、約三千億、こういう数字になっているところであります。
  65. 上田勇

    ○上田(勇)委員 東海地震については、発生が切迫している、いつ起こっても不思議ではないという状況というふうに言われておりまして、幸いなことに今日まではその発生がないわけでありますので、ぜひそれに備えた万全の対策を講じていただくように、国土庁を中心といたしまして、また関係省庁にお願い申し上げる次第でございます。  そこで、この法律では東海地震の被害が及ぶ地域を対象としているのですけれども、もう一つ、同じこの関東地域には、地域が重なる部分もあるのですが、南関東地域の直下型の地震の発生ということも相当切迫しているというような指摘もございます。それに対する備え、対策というのはどのように進められているのでしょうか、御見解を伺いたいと思います。
  66. 中山正暉

    ○中山国務大臣 先ほども、いわゆる東海地震だけではなくて、関東大震災という、これは、大正十二年の生々しい記録というのが、時々回想的な古いフィルムなんかでも見るわけでございますが、今想定される地震に対する対策として、中央防災会議で決定した南関東地域直下の地震対策に関する大綱というのができておりまして、住宅や道路などの構造物それから施設等の耐震性の向上、それから公園とか緑地等のオープンスペースの確保や密集市街地の再編などの防災の町づくり、そういうような施策を講じているところでございますが、これらの施設等の整備に当たりましては、都道府県知事が、地震防災対策特別措置法に基づきまして、地震防災緊急事業五カ年計画を策定しております。その計画に掲げられた事業の推進に対しまして財政的な支援をいたしておるところでございますけれども応急対策活動につきましては、中央防災会議で決定をした南関東地域震災応急対策活動要領に基づきまして、医療搬送活動を初めとするアクションプランを作成いたしまして、具体的、実践的な対策を推進しているところでございます。  これだけの人口密集地域でございますので、そういう意味での自治体との連絡協調を図りまして、一層、南関東地域地震対策について、実践に即した予測を立てながら万全を期してまいりたい、かように考えております。
  67. 上田勇

    ○上田(勇)委員 冒頭も申し上げましたが、地震対策には万全を期していかなければいけないわけでありますが、今の大臣の御答弁の中でも、地震防災対策特別措置法によります五カ年計画の話がございました。  これは、ちょっと議論を整理するためにお聞きをするのですが、この法律地震財特法の対象地域におきましては、関係知事が定めます地震対策の緊急整備事業計画という計画がございます。それと同時に、今度は、地域指定はしない、全国地域指定になるのですが、地震防災事業の五カ年計画がございます。  この両方の計画が策定されているわけですが、もちろんそれは、それぞれ整合性をとりつつ、重複とかがないように整理しているものだというふうに思いますが、その関係性につきまして御説明をいただければと思います。
  68. 生田長人

    生田政府参考人 御説明申し上げます。  地震対策緊急整備事業計画というのと地震防災緊急事業五カ年計画、大変紛らわしい名前でございまして、その関係について御説明申し上げたいと思います。  まず、地震対策緊急整備事業計画、こちらの方は、東海地震対策の一環といたしまして、大規模地震対策特別措置法によりまして指定されました地震防災強化地域の中で、防災施設整備あるいは公的建築物の耐震化、こういったことを推進するために関係県知事が策定するものでございまして、この計画は、地震財特法によって関係県知事に策定が義務づけられているというものでございます。  これに対しまして、全国の方の地震防災緊急事業五カ年計画の方でございますけれども、こちらの方は、阪神・淡路大震災を契機に平成七年に制定されておりまして、これは地震防災対策特別措置法というのに基づきまして策定されているわけでございますが、それぞれの都道府県知事が、それぞれの地域の実情に応じて地震防災対策を推進する観点から計画を策定して、地震防災事業の計画的な推進を図るということで、こちらの方は策定は任意でございます。  対象となる事業は、これもよく似ているのでございますけれども、後の方の地震防災緊急事業五カ年計画の方がやや広くなっております。しかしながら、国からの支援措置について見ますと、逆に前の方の東海地震対策の方の地震対策緊急整備事業計画の方が大変手厚く措置されてございまして、一定の事業につきましては、補助率のかさ上げ措置だけではありませんで、地方債の起債の特例であるとか基準財政需要額への算入措置、こういった特例措置があるわけでございます。  したがいまして、東海地震関係の県におきましては、相互に両方の計画の内容の調整を図りながら両方の計画を策定しているというのが実情でございます。
  69. 上田勇

    ○上田(勇)委員 地震財特法が東海地震影響地域のみを対象にしているのに対して、防災対策特別措置法は全国、必要なところ全部を対象にしているということから、重なる地域においてはそういったことが起きるということは当然のことなんだというふうに思うのですが、どうも、両方とも議員立法で制定されたものでありますので、政府に整合性をとれというのも無理なことかもしれないんですが、若干、その辺、両方の指定が重なっている地域においては少しわかりにくくなっているのじゃないか、またネーミング等も非常に似ていたりして、わかりにくくなっているというような点があります。さらに、計画年度も、財特法の方がことしで、十一年度で計画年度が終わる、特別措置法の方が十二年度までの計画になっているようなことから、若干わかりにくくなっている面があろうかというふうに思います。  いずれ、先ほど特別措置法の方も延長というような含みのお話があったわけでありますので、そのあたりは、この重なっている地域についてどのような整合性を図っていかれるのか、またその折にでも御検討いただければというふうに考えるわけでございます。  そこで、五カ年計画について、この五カ年計画計画年度、十二年度で完了する計画になっているわけでありますが、先ほど増田政務次官の方から、事業費ベースでの進捗率が四八%程度だというような御答弁があったと思いますけれども、これからも当然のことながら事業が継続していくんでしょうが、今、国会で審議されている予算、十二年度までの事業量ということで、そのような進捗率で十分な対策が講じられたというふうに評価されておられるのか、その辺のお考えを伺いたいというふうに思います。
  70. 増田敏男

    ○増田政務次官 初めに申し上げるのですが、災害に百点満点というのはないという考え方で私は生きてまいりました。  政治に入って四十年になるのですが、昭和三十四年の市会議員がスタートですから、それから一回やって、県会、県会議長、市長とやってきましたが、消防の方も、消防に籍を置くこと三十四年であります。そして、その中で十五年は消防団長、広域消防の責任者をやっておりました。多いときには千人からいたわけであります。そしてまた、市長になってからは広域の管理者等もやってきたわけですが、事災害に関してはどうも万全というのがない、だから財政の許すだけ全力を尽くして取り組もう、その上で起きる災害を見ますると、大概、人知を超えた大きな災害が発生するものです。  したがって、私の人生の中では、全力を尽くして取り組むけれども、絶対という言葉はない、だからこそ一生懸命やろうという考え方でおります。私見です。  そこで、その上に立っての答え、これは国土庁としての考え方も入っていますから、その上の答えなんですが、地震防災緊急事業五カ年計画、どうもこれは間違うんですね。私もいつも間違えます。こう言うとなんなんですが、東海関係の制度と、それから、全国的な五カ年計画というのは都道府県、市町村まで含めての計画なんですが、地震防災緊急事業五カ年計画は、阪神・淡路大震災を受けて平成七年度に施行された地震防災対策特別措置法に基づいて各都道府県が定めるものでありまして、その進捗状況は、都道府県ごとのばらつきはもちろんあります。三年が経過した平成十年度末現在で、事業費ベースで、今御発言がございました約四八%の進捗率となっております。一定の成果を上げてきた、この認識はもちろん持っています。  そこで、国土庁としては、残された期間における事業の一層の推進に努めてまいりたい、このように考えておりますが、その結果等も踏まえ、都道府県、各省庁と連携を図りながら今後の進め方についてもちろん検討してまいりたい、このように考えております。そして、その検討が、被害がもし起きたら、ああ最善だったなと言われるような、そういう方向になるように心して取り組んでいきたい、このように思っております。  非常に大きな財政ですので、それだけちょっと申し上げるのですが、都道府県の全計画総額は約十八兆五千億円です。そして、進捗率は今申し上げた四八%ですから、八兆九千二百億円となっています。もちろん、おおよそです。  以上でございます。
  71. 上田勇

    ○上田(勇)委員 もちろん、災害に対して一〇〇%という備えができないというのは、今政務次官のおっしゃったとおりであると思いますし、今国土庁としても関係省庁と御協力をいただいて、鋭意、一定の成果、結果が出ているという御答弁は全くそのとおりだというふうに思います。引き続き、やはりこの地震災害、被害も非常に甚大でありますし、また非常に広い範囲に及ぶという災害でありますので、阪神・淡路大震災からの教訓、もう既に五年がたちましたけれども、その教訓を踏まえた上で、さらに一層の御努力をお願い申し上げる次第でございます。  今、これまでちょっと言及してまいりましたプレート型の地震のほかに、これは阪神・淡路大震災もそうであったのですが、活断層を震源とする直下型の地震についても対策を講じていかなければならないわけであります。  そこで、ちょっと科学技術庁の方にお伺いをしたいと思いますが、科学技術庁とそれから地震調査研究推進本部では、全国で九十八の活断層を選定いたしまして、それについての調査、評価を実施しているというふうに聞いておりますけれども、その目的調査内容、それからこれまでの成果等につきまして御説明をいただければと思います。
  72. 池田要

    池田政府参考人 御説明申し上げます。  先生指摘地震調査研究推進本部でございますけれども、これは平成七年に阪神・淡路大震災を契機につくっていただきました地震防災対策特別措置法に基づいて設置されているものでございまして、科学技術庁長官が本部長でございます。私ども、この地震調査研究推進本部の方針に従いまして、関係機関と連絡をとりまして、活断層につきましても調査を進めてきているところでございます。  活断層の調査目的でございますけれども、これは、内陸におきます地震の発生を長期的に予測するということを目的としてございまして、過去の活動の履歴、例えばその位置でございますとか、過去の活動時期、それからずれの大きさ、こうしたところを調べるものでございます。  地震調査研究推進本部では、この活断層調査地震調査研究の大きな柱の一つとして位置づけてございまして、これは大きいものから小さいものを合わせますと、活断層は全国に約二千あるというふうに言われているわけでございますけれども、そのうちの約五百ほどを束ねまして、主要な活断層帯ということで九十八を選んで取り組んでいるところでございます。  これまでに私ども科学技術庁におきましては、地方自治体に、これは県ですとか政令指定都市でございますけれども、交付金を交付いたしまして、これらの活断層の調査を推進してございます。そのほか、工業技術院の地質調査所等とも連携いたしまして実施してございまして、九十八あると申し上げました断層帯のうち、これまでに合わせまして八十五の断層帯について調査に着手しているところでございます。  これらの調査のうち、調査データが整ったものにつきましては、地震調査研究推進本部の地震調査委員会におきまして評価を行ってきてございまして、これまでに糸魚川—静岡構造線断層帯、それから神縄・国府津—松田断層帯、それから富士川河口断層帯にかかわります五つの断層帯の評価を終了して公表してきているところでございます。  地震調査研究推進本部におきましては、今後、調査が完了しました断層帯につきましては、その評価を加速して行おうということで取り組んでおりまして、結果につきましては順次公表してまいる所存でございます。
  73. 上田勇

    ○上田(勇)委員 今の科学技術庁の方のお話にもありましたけれども、今回の財特法の対象としている地域の中に、今おっしゃった神縄・国府津—松田断層というのがございます。これは神奈川県の西部の地域にありまして、平成九年の八月に調査結果と評価が公表されております。私も、地元神奈川県の問題でもありますし、東海道の鉄道道路の大動脈を横切っている断層であるし、付近には人口集中地域もあることから、関心を持ってこのレポートは読ませていただいたのです。  その中の評価の結果というのがこういうふうになっているのですが、この断層帯では、現在を含む今後数百年以内に、変位量十メーター程度、マグニチュード八程度の規模地震が発生する可能性があるという表現になっておりまして、きょう来るかもしれないし、今後数百年の間に起こるかもしれないということなんですが、もちろん、いろいろと難しい面はあるのでしょうけれども、こういう評価では、やはり残念ながら、具体的な対策をどういうふうに進めていくかという面においては、きょうかもしれないし数百年後かもしれないということでは、その判断の前提とはなかなかなりにくいのではないかというふうに思います。  もちろん、現在の技術水準とか、これまでいろいろ蓄積されているデータなどから精度を上げていくといっても、一定の限界があるというのはよくわかるのですが、では、もう少し具体的な対策を講じていくために、そういう計画をするために役立つというような方法で、その調査や評価の方法を改善していく方法はないのかというふうに思うのですが、その辺いかがでしょうか。
  74. 池田要

    池田政府参考人 先生指摘のように、この神縄・国府津—松田断層帯の調査結果につきましても、今御指摘のような評価ぶりになっているわけでございますけれども、確かに、理学関係の専門家を動員して慎重に議論していただきました結果をどうあらわすかといったことが課題でございまして、私ども、御指摘のように、これをいかにして地震防災対策につなげるかといったことが大切なことと考えております。  この地震調査研究推進本部におきましては、これは昨年の四月でございますけれども、今後十年程度にわたりましてこの地震調査研究推進の指針というものを決めているわけでございますけれども、そこの決定では、地震防災対策につながる地震調査研究の実施、その成果の活用を重視していこうということにしているわけでございます。  具体的には、先ほど申しましたような活断層の調査に加えまして、地下構造に関します調査データ、これは地震が震源地から地表等にどうやって伝わるかといったことの見きわめもあるわけでございますけれども、それから、地震動の予測手法等を活用いたしまして、ある地域が強い地震動に襲われる可能性というものを、確率という考え方も動員いたしまして予測した地震動予測地図というものを作成することにしてございます。  現在、このような予測地図の作成をいたしているわけでございますけれども、こういった地図ができますことによりまして、異なる地域地震危険度というものが比較することができるようになる、これが期待されるわけでございまして、国土計画ですとか自治体の防災計画の立案に資することができると考えております。  また、この地震調査研究の成果というものを国民の皆さんにもわかりやすくお伝えすることが大事なわけでございますけれども、こうした防災意識の高揚ですとか、具体的にはその防災活動にどうつなげていくかといった意味での方策を検討しますために、この地震調査研究推進本部にも外部の有識者を交えまして、成果を社会に活かす部会というのを昨年発足させております。  今後とも、こういう推進本部におきます議論を踏まえながら、関係機関とも密接に連絡をとらせていただきまして、地震による被害の軽減に資するような地震調査研究の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
  75. 上田勇

    ○上田(勇)委員 最後に、ちょっと建設省にお伺いしたいのです。  先日、私は建設委員会で、木造住宅の耐震改修事業に国としても助成措置を講じていただきたいということを要請いたしまして、これは私の地元の横浜市でも単独で実施しているものなんですが、そうした質問の折に、建設政務次官の方から、阪神大震災の経験を踏まえて、木造住宅の耐震化を進めていくことが重要であるということは認識しているということ。また、建設省としても、耐震診断、改修に関する指針の策定とかパンフレットの配布等を鋭意進めているというようなこと。また、耐震改修を進めるために国としての助成措置についてもぜひ検討していきたいというような答弁をいただいたのです。  ただ他方、いろいろと問題もあるというような御指摘もございまして、それはやはり個人財産に対する援助になってしまうのではないか、あるいは住民の防災に対する自己責任の原則というものもあるのではないかと。いずれももっともなことなんですけれども、ただ私は、個人財産の援助になるのではないかということについていえば、個人のこうした木造住宅の耐震改修というのは、個人の財産価値が確かに高まるという面があるのは否定できませんけれども、それは必ずしも個人の居住空間とか環境が著しく改善するというものでもありませんし、利便性が向上するというようなものでもないわけでありまして、個人という立場に立つと、改修するメリットというのは必ずしも大きくない面もあります。むしろ、そういう意味では、耐震改修というのは個人のメリットというよりも、地域防災という公益性の方が高いのではないかというふうに思うわけでございます。  また、自己責任ということについても、これはやはり個人が被災するだけではなくて、そうした木造住宅が倒壊することによって、避難路を妨げたり、また、火災が発生するというようなことにもなるわけでありますので、近隣はもちろんのこと、地域全体に被害が及ぶ危険性があるという意味におきましては、これはやはり個人の自己責任を超える公益性もあるのではないかというふうに思います。  前回のときには余り時間がなくてこういうような話も申し上げられなかったので、きょうさせていただいておりますけれども、したがって、もちろん個人財産の改善につながる部分があるわけでありますので、そこについては、当然一部自己負担を求めて、公益性の大部分のところについてもっと国や地方公共団体が支援するというような仕組みで、私は合理性があるのではないかというふうに思います。来年、これからの予算措置に向けましてぜひ前向きに御検討いただきまして、実現に向けて努力をしていただきたい、このことを御要請するものでございます。  もう時間が余りなくて恐縮でございますが、もし、それについて何かコメントがございましたら、いただければそれで終わりにさせていただきたいと思います。
  76. 那珂正

    那珂政府参考人 大変重要かつ難しい問題を提起されました。個別の問題の認識につきましては、先生から今いろいろ御指摘いただいたようなことがまさに議論となっているわけでございます。また、先生の御意見等も踏まえまして、こういう難しい問題、少し時間がかかるかもしれませんが、対応していきたいと思います。
  77. 岡島正之

    岡島委員長 次に、達増拓也君。
  78. 達増拓也

    達増委員 今からほぼ一年前、昨年の三月四日、この衆議院災害対策特別委員会で、コンピューター二〇〇〇年問題について初めて質問が出ました。以来、この災害対策特別委員会は、コンピューター二〇〇〇年問題について、我が国国会の中で中心的な役割を果たしてきたと思います。  昨年の五月二十八日には、コンピューター二〇〇〇年問題についてということで、災害対策特別委員会が開催され、内閣内政審議室長から説明を聴取し、すべての党、各党の質疑者から二〇〇〇年問題について質問が出され、審議をしたわけであります。その日の委員会が終わった後には、当時の中村鋭一委員長が記者会見を行いまして、この災害対策特別委員会として、二〇〇〇年問題に対する決意等を述べられました。秋にも、臨時国会でも十一月十八日、災害対策全般についての審議の中で、自由党、民主党の質疑者が二〇〇〇年問題について質問をしたわけであります。  ということでありますから、その本番、昨年の大みそかからことしの元旦にかけての越年を終え、そしてまた二月二十九日のうるう年、そのうるう日も越えた今、その結果についてやはりこの委員会として取り上げておかないと、文字どおり画竜点睛を欠くと思いますので、政府に対しまして、これは内閣に質問をいたします。越年とうるう日の体制、そしてどのような経緯であったか、お答えいただきたいと思います。     〔委員長退席、高市委員長代理着席〕
  79. 中村薫

    中村政府参考人 内閣二〇〇〇年対策室長の中村でございます。  まず、コンピューター西暦二〇〇〇年問題についての政府対応についてでございますが、本問題につきましては、我が国のみならず世界が初めて経験する大きな問題だ、また、かつ対応を誤れば、今後の高度情報通信社会の基盤を揺るがしかねない重大な問題であるという認識でございました。  このため、政府といたしましても、小渕総理を本部長とする高度情報通信社会推進本部が決定した行動計画に基づきまして、事前のシステムの点検であるとか、官民を挙げた危機管理体制整備、関連情報の積極的な提供等を行ってまいりました。  いわゆる大みそかについてでございますが、御承知のように、その直前には一応準備がかなり進んで、重大な事象は起こらないけれども、小規模なトラブル、また、テロ等への備えもあるということで、国民への広報活動、これはテレビ、新聞のみならず、ここにおられます先生方のお知恵もかりながら、スーパーの店頭、さらには、冬休みのクラス便りなどを通じて家庭に持って帰らせるというようなことで工夫をいたしまして、国民への周知徹底を図りました。  また、危機管理体制といたしましては、年末、官邸危機管理センターにおいて官邸対策室を設け、そこを中心に、関係省庁、さらにテロ等に対応するための警察などの警戒体制等の対応をして万全を期したところでございます。  御承知のように、昨年の暮れにつきましては、幾つか、大きくはございませんけれどもトラブルはございましたが、幸いに国民生活への重大な支障を生じるようなトラブルは発生いたしませんでした。  さらに、その経験を踏まえまして、うるう年についても、一応二月二十九日、改めて体制をとったところでございます。
  80. 達増拓也

    達増委員 まさに人類が初めて遭遇する地球規模の困難に対し、我が国国会におきましても、この災害対策特別委員会を中心に政治が一定の役割を果たし得たと思います。我が国内外のトラブル、この極小化に国会の方も寄与することができたと思います。  世界各国の議会がそれぞれ取り組んでいたわけでありまして、特別委員会をつくって取り組んだ議会もあれば、既存の委員会を利用してこの問題に取り組んだ議会もある。そういう世界各国足並みをそろえ、いわば議会制民主主義が地球規模でそろって機能したという、その一環を務めたという意義もあると思います。また、たくさんの教訓が得られたと思います。今後に向けて、ぜひきちんとした総括を政府においてもやっていただきたいと思います。  自由党は、特にこの二〇〇〇年問題というのを行政改革その他日本全体の改革というシステムチェンジの問題としてとらえまして、高度情報通信社会にふさわしい新しい個人のあり方、企業のあり方、そして自治体のあり方、さらに危機管理体制を含む国のあり方、こうした問題として取り組みまして、まさにそのようなことが、去年の大みそかから元旦にかけて、そしてことしの二月二十九日に問われたわけでありまして、いろいろな現場の経験、そして内閣、首相官邸における経験、ここのところをきちんと総括して、改革の方向が見えるような形で総括をしていただきたいと思います。  最近、ハッカー、サイバーテロというのが話題になっておりますけれども、これにサイバー災害というものを加えて、いわばサイバー危機管理ということが必要なのだと思います。コンピューターネットワークの事故が、災害と呼ぶべき状況、今回の二〇〇〇年問題では災害と呼ぶべき状況には至らなかったと思うわけでありますけれども災害と呼ぶべき状況を引き起こす可能性はこれで終わりではないわけでありまして、むしろ高度情報通信社会が進めば進むほど危険性は高まるわけでありますから、政府においてもきちんとした総括をしていただきたいと思います。  さて、さきに行われました大臣所信の中で、火山対策について言及がありました。活動火山対策特別措置法に基づき、避難施設整備等を推進する、また特に活発な活動が見られる岩手山については、観測体制の強化等に努めてまいりますということだったわけでありますけれども、ちょうどおととい、七日、岩手山西側で火山性の地震がありまして、やはりこの問題、具体的に政府としてどのように取り組んでいくのか。岩手山の問題、そして広く火山対策について伺いたいと思います。
  81. 中山正暉

    ○中山国務大臣 先ほどのY2K、本当に何も起こらなくて、小さな問題が公共関係で四件ではなかったかと思います。先生も国会の御質問に、そうしてパーソナルコンピューターを持って御質問になられる、そういう時代が来て、本当にすばらしいことだなと思うと同時に、何かあったら大変だなという感じがいたしますし、四省庁ぐらいでオウムがソフトを入れていたという大変恐ろしい仕掛け。本当にこれからは、今の子供さん方が大きくなられたころにはそういうものに対する備えみたいなものは万全を期されるのかわからないけれども、今のところ、これは専門家でもなかなか難しい問題があるわけでございますので、Y2K問題、私も国土庁に泊まり込みました。国土庁に泊まり込みまして、大みそかからお正月、六十七年間の人生の中で、初めて役所でお正月を過ごしたということになったわけでございます。  火山も、先ほどもどなたかに御答弁申し上げましたが、世界では八百、日本は八十六、活断層は二千ぐらいありまして、特にこの間、所信表明の九番目で「火山対策につきましては、活動火山対策特別措置法に基づき、避難施設整備等を推進してまいります。なお、活発な活動が見られる岩手山につきましては、関係機関と連携をとりながら、観測体制の強化等に努めてまいります。」と。  私の建設大臣室のテレビにも、チャンネルを回しますとしょっちゅう岩手山が映っておりまして、二十四時間監視体制をやっておりますが、我が国は火山国でありまして、火山噴火による災害を防止、軽減するため、観測研究体制整備、それから、情報連絡網の整備避難対策等も推進しているところでございます。  御指摘の岩手山につきましては、平成十年二月ごろから火山活動が活発化し、噴火はしていないものの、現在も地震活動それから噴気活動が活発な状態にあるところでございまして、このため、関係省庁等におきまして、観測機器を充実するなど、岩手山の監視を強化いたしております。また、地元自治体を中心に、入山規制を行うとともに、ハザードマップ、いわゆる危険区域の予測図の作成、住民への情報の提供、訓練の実施などの対策を講じておりまして、特に岩手山は、今後とも火山活動の状況を注視しつつ、関係省庁それから地元地方自治体と連携を図り、対策を進めてまいりたいと考えております。  特に、各防災関係機関がデータを共有し、迅速な対応ができるように、光ファイバーによる情報伝達網の充実を図りたい、こんなふうに思っておりますが、特に会津磐梯山なんかの過去の記録を見ましても、横に噴火をする。上ではなくて真横に噴火をしたというのが、東北の方の火山噴火のちょっと変わったタイプもありますので、先ほどからお話が出ておりますように、こういう災害というのはなかなか予測しがたいものがございます。伊豆の大島、全島民を避難させたこともございますし、それから、三宅島が亀裂のところから噴火しております。  私もこの間、フィリピンのマヨン山、何か美しい女性という名前だそうでございますが、マヨンという山の噴火、これと日本との関係をちょっと連動して、過去の記録から対比して見ておいたらどうですかということを防災局長に申し上げたところでございますが、その意味で、岩手山という固有名詞が私の所信の中に出ておりますということは、これは注目をして対応してまいりたい、先生のお地元のお近くなようでございますから、注意をしておかないといけないと思っております。
  82. 達増拓也

    達増委員 大変美しい、きれいな山でありますから、二十四時間、大臣室でモニターできるというのは精神衛生にもいいのではないかと思いますし、ぜひ現地にも行っていただければなおいいのではないかと思います。  火山活動が始まった後に、私も、国民休暇村がありますから、一泊してきたのですけれども、何か大地のエネルギーというものを、直接揺れを感じたりということは一切ないのでありますけれども、そういうのに思いをはせて、リフレッシュするのに非常によかったのであります。  すそ野周辺に、県都盛岡市もすぐそばでありますし、五町村とともに、合わせて約四十万人の住民の生活の場になっております。また、雪が降るところでありまして、積雪期に噴火した場合には、火山泥流の発生が予想され、生命、財産の甚大な被害の危険性もあるということで、御答弁の中にもありましたように、地元の方でも、県が緊急対策ガイドラインの策定を初めとする防災体制をとっているわけでありますが、そうした努力がきちんと機能する、あるいは機能せずに済む、いずれにせよ、やはり監視体制が非常に重要でありますから、常時監視観測の体制整備ですね、ゆめゆめ遺漏なきよう、特に人員体制の充実強化について図られるように、改めて訴えたいと思います。  さて、やはり大臣所信の中でおっしゃられた項目でありますけれども、激甚災害の指定についてであります。  平成十一年度中に公共土木施設に関する指定基準について見直しを行う、そして激甚な災害を受けた地方公共団体等の財政負担の軽減が図られるよう努めるということでありましたけれども、この点につきまして、現在の進捗状況と見通しについて伺いたいと思います。     〔高市委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 中山正暉

    ○中山国務大臣 お話しのとおりに、激甚災害について私が所信表明の中で申しておりますが、最近は阪神・淡路大震災しかそれに該当するようなものはございませんでしたので、その基準を改定していただく。一昨年及び昨年にかけて、各地で豪雨災害が相次ぎまして、激甚災害の指定を求める自治体からの要望が多く寄せられたのでございますが、しかし、過去十年間で見ると、公共土木施設関係では、局地激甚災害の指定はあるものの、本激の指定は、今申し上げました阪神・淡路大震災だけでございまして、このために、被災された地方自治体の財政負担の緩和を図り、被災地域の円滑かつ早期の復旧を図る見地から、公共土木施設に甚大な被害が生じた場合、適切に激甚災害に指定できるような基準の見直しを行わせていただいたところでございます。  具体的には、まず一つとして、全国的に被害が生じた大規模災害を対象とするA基準については、平成十年八月末の栃木県及び福島県などの豪雨災害と同程度の災害が指定されることとなるよう、これは二千五十二億ぐらいのものを千五百億ぐらいのAクラスというのに基準を改定しました。  それから、二番目としては、特定都道府県の区域に激甚な被害をもたらした災害を対象とするB基準については、平成十年九月の高知県における豪雨災害と同程度の災害が指定されることとなるような基準の改定を行うとともに、これは、この高知県の場合は、十年の九月に起こりまして七百二十七億ぐらいでございました、これを六百億ぐらいで指定できるようにいたしました。  それから、三番目でございますが、局地激甚災害の指定基準などについても大幅な見直しを行うこととしております。現在の基準の半分ぐらいになるようにしたい。  今後、そういう意味で、各種、関係省庁と調整を行いまして、年度内に改正手続が完了できるように手続を進めてまいりたい、三月中に完了したいと思います。
  84. 達増拓也

    達増委員 地方の財政がどんどん厳しくなってきている中で、特に近年、何百年に一度ですとか、そういう非常に規模の大きい集中豪雨等による被害が発生する例がありまして、各自治体の方から見直しの声が非常に強く訴えられていたところ、非常に時宜にかなった見直し作業だと思いますので、予定どおり今年度中、十一年度中に指定基準の見直しを完了させて、そういう地方のニーズ、住民の要望にこたえられるよう頑張っていただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  85. 岡島正之

    岡島委員長 次に、藤木洋子君。
  86. 藤木洋子

    ○藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。  後で議題とされます起草の件につきまして、まず最初に意見を表明させていただきます。  被災後五年たってもなお、被災者がいまだに生活再建ができないまま苦しんでいる阪神大震災では、地震防災対策のおくれでその被害を拡大したことが明らかになっています。  被災地では、インフラ整備は行われましたけれども被災者の営業と暮らしを再建するための国の支援はおくれたままです。被災者の生活再建なくして震災の復興はあり得ません。災害から国民の命と財産を守ることこそ最大の安全保障です。被災者の住宅再建を初め個人補償を行うことは国の責任です。  東海地域における地震防災対策を一層充実強化することはもちろんですが、全国的に地震災害に対する防災計画を抜本的に強化すること、国庫補助対象事業の拡大や補助率の引き上げを初め、国による財政援助措置を強化することが強く求められております。  その際、以下の点について改善を図るべきだということを申し上げたいと思います。  その一つは、公共施設等の耐震性の強化と地震に強い町づくりを進めることです。防災対策上必要な既存の公共的施設、建物の耐震補強を行い、防災に強い町づくりを計画的に推進するとともに、住民の英知を集め、地域防災計画を拡充していくべきです。阪神大震災の教訓から、町づくりの上でも被災住民の意見を十分に取り入れたものにするべきです。  第二に、消防職員の充足率を抜本的に引き上げることなどを初めとした消防力を強化することです。そのために必要な国の財政支援を強化することが必要です。  第三に、阪神大震災では住宅の倒壊などによる圧死者が九割に達していることからも、住宅の耐震補強を抜本的に強化することが重要です。一九八一年以前の木造住宅は、観測強化地域静岡市でも七割に達するなど、住宅の耐震化は切実になっています。個人住宅に対する国の支援として融資だけでは不十分であり、補助制度などの支援措置の拡充を行うことが必要です。  第四に、観測体制の強化の問題です。東海地域を初めとする地震予知のための観測研究の強化、観測所の廃止を中止し、観測体制の強化を図ることです。  最後に、防災に強い町づくりを初め、対策を強化していく上でも、住民参加と公開の原則を貫くことが不可欠であるということを述べまして、意見表明とさせていただきたいと思います。  引き続き質問に入らせていただきますが、阪神・淡路大震災の被災者は、暮らしを再建するために実に懸命の努力を続けているにもかかわらず、丸五年の歳月を重ねてなお将来の展望が見えない。震災による苦しみがいまだ続いております。このことは、五年を節目として行われました、地元自治体やさまざまな団体による検証活動のどの報告や調査でも明らかになっております。  中山国土庁長官は、所信表明で、「災害から国民の生命、身体、財産を守ることは、政府の最も重要な責務の一つである」と述べられました。私は、阪神・淡路大震災の被災者の暮らしの再建、被災地の真の復興に国の責任を果たし切ることなしには、多発している自然災害の被害に対してこの基本姿勢を貫くことはできないと考えております。  被災地の猶予のならない深刻な実態の解決と、そして今後の災害による被災者が阪神・淡路大震災と同じ苦しみを繰り返さないために、今回もこの問題で質問をさせていただきたいというふうに思います。  長官は、昨年十一月の本委員会で、私の質問に対しまして、阪神・淡路地域における生活の再建及び経済の復興を緊急に図るという阪神・淡路復興対策本部の目的を完遂したと自信を持って言えると思うと述べられました。しかし、神戸新聞の被災者追跡アンケートによりますと、もとの町に戻ることを断念したりめどが立たない人が約七割でございます。自営業者の原状回復は半数を割るということであるとか、被災者の苦しい生活実態が浮き彫りになっておりまして、国は被災者の立場に立って考えてほしいなど、七割を超える人が、行政の支援は不十分として、個人の力だけでは再建できないという現状の厳しさを訴えております。  そこで、具体の問題なんですけれども災害公営住宅、復興住宅のHAT神戸灘の浜というところがございますが、ここに入居されているAさんの場合、働きたくても足が悪いので働けず、無収入で生活をしておられます。連れ合いの方は、震災前は左官業でしたけれども、不況で仕事はございません。今は二人で生命保険の満期のお金を取り崩しながらの生活という状況になっています。ぎりぎりの生活で、病院に行きたいけれども医療費が高いから我慢するしかない、こうも言っておられました。また、六十二歳のBさんは、月十万円弱の年金収入で二人で生活されておりますけれども、食費は最大切り詰めて、貯金を取り崩さなければ暮らしていけず、その貯金も残り三十万円余りになってしまっています。  五年間の期限で行われている国による家賃補助が打ち切られることになりますと、こういう方たちは、現在、一世帯一番安い家賃の六千六百円で過ごしていらっしゃるわけですけれども、本来家賃の二万五千六百円になるわけですね。このようになったら、大臣、どうでしょう。期限だからといって家賃補助を打ち切ってしまいますと、こうした人たちはどうなるというふうにお考えでしょうか。大臣にお答えをお願いしていましたが。
  87. 那珂正

    那珂政府参考人 ただいま先生災害公営住宅に対する特別家賃低減対策の継続についてお尋ねでございますので、本制度の性格をもう一度、恐縮でございますが、説明させていただきたいと思います。  この制度は、公営住宅の居住者の方々の事情等に基づいて事業主体の判断で行うことができる家賃減免について、被災直後における地方公共団体の財政事情を勘案して、特別の措置として国の補助を行っているものでございます。  仮に国の補助を継続しない場合におきましては、事業主体によっては、このような減免措置を継続することは困難な場合も生じる可能性はあると理解しております。
  88. 藤木洋子

    ○藤木委員 そうです。その最後のところだけ言っていただけたらよかったわけですよね。  そうなんです。地方だって困っていると思いますよね。だから、大事なことは結局、いろいろな課題があるということではなくて、生活、営業の再建ができていないというところが問題なんです。ですから、一刻も早く、現行どおりの家賃補助は継続をしていくのだということを決めていただくことが一番きめの細かい対策になるということを申し上げたいと思います。  震災後の暮らしの実態を反映いたしまして、災害復興公営住宅の被災入居三万一千六百四十二世帯のうち、政令月収が二万円以下の人たちが六割を占めております。しかも、世帯主が六十歳以上で年金収入もしくは無年金で暮らしている人たちが全体の五八%。今後収入がふえる見込みなどございません。  各自治体で独自の減免制度があるということは聞いております。しかし、自治体によって被災者に対する対応はばらつきがあるわけですよね。例えば尼崎市の場合は、今も言われましたけれども、市独自の減免制度はありません。国からの補助が切られたらどうなるかわからないと言っています。また神戸市は、現行の減免制度では確かに、被災者の収入状況などからするならばそんなに大幅な負担増にならないように見えますけれども、それだけに自治体負担がかなり重くなります。  今年度、被災者の公営住宅の家賃低減のための補助額というのは年間約四十五億円になりますけれども、これを打ち切ってしまいますと、自治体独自で被災者の生活実態に見合った家賃補助が果たして十分できるのかどうか。  これは参考人にお答えいただきたいと思います。
  89. 那珂正

    那珂政府参考人 公営住宅法第十六条四項によりますと、事業主体は、病気などの理由その他特別の事情がある場合において必要があると認めるときは家賃を減免することができると規定されておりまして、阪神・淡路大震災に係る先生指摘の特別の家賃低減制度につきましても、この規定に沿って実施しているものでございます。でありますので、今後のことにつきましても、被災者の方々の生活再建の状況とか、あるいは当該地方公共団体の財政事情等を勘案して、本来、まず事業主体みずからがその方針を決定すべきものと考えております。  現在国が行っております特別家賃低減対策の補助は、先ほども申し上げましたが、被災直後における地方公共団体の財政事情等を勘案して、特別の措置として講じたものでございます。もしこれが継続しない場合はどうなるかというお尋ねでございますが、繰り返しになりますけれども、すべての公共団体とは申しませんけれども、公共団体によっては、財政上の理由から、今行っているような家賃減免対策を継続できない可能性はあると承知しております。
  90. 藤木洋子

    ○藤木委員 そんな可能性が出てきたら困るんですよね。これは一般的に病気で困難だとかそういう人を助けるということにのっとってやったと言われますけれども、そうじゃなくて、法律にはなくても、震災でどれだけの被災が起こっているか、自治体がどんなに困難に直面しているかという特別の場合だということでされた措置ではなかったのでしょうか。  ですから、ここで有効求人倍率を見ていただいても、全国平均は〇・五二倍に上昇していますけれども、兵庫県の場合は〇・三八倍と、近畿地区で最低なんです。四月時点の雇用見込みについても、兵庫だけ悪化の見通しとなっています。  災害復興公営住宅の六十五歳以上の入居者の占める割合が、芦屋市営住宅の場合は五四・七%ですし、西宮では四四・二%、高齢化率の異常な高さとなってあらわれております。震災を受けたがゆえに、他とは際立った状況があるわけですね。減免対象とすべき世帯数と金額が、震災を受けたからこそ通常の規模ではないということを踏まえた対応が求められると思うわけです。  国が今行っている阪神・淡路災害公営住宅等特別家賃低減対策、これの趣旨と目的は何だったのでしょうか。確認しておきたいと思いますので、その内容について要綱に沿ってお述べください。
  91. 那珂正

    那珂政府参考人 この制度の目的につきまして、補助金交付要綱の目的、該当部分を読み上げさせていただきます。  第二、交付の目的。「補助金は、阪神・淡路大震災の甚大な被害に鑑み、事業主体が特に住宅に困窮する低額所得者について災害公営住宅等の家賃を低減する場合に要する経費の一部を当分の間補助することにより、事業主体の財政負担の軽減を図るとともに、被災者の居住の安定及び被災地の復興の促進に資することを目的とする。」と書いてございます。
  92. 藤木洋子

    ○藤木委員 今御説明がございましたとおり、被災者の居住の安定に資するとの目的で始めた事業なんですよ。ですから、その目的を完遂するまでやはり継続していただかなければなりません。  五年間の適用期限については、ほかの特別措置と同じように、五年もすれば生活の再建も経済の復興もできているだろうという見通しで決められた期限のはずです。しかし、それがならなかった以上、実態にふさわしい対応をすべきなのは当然であります。  国は来年の話だとお考えかもしれませんけれども、多くの人がお金がなくて暖房もつけられないし、ほとんどの人が病気なんですよ、そこでは。だけれども、家賃の値上げを心配して病院に行く回数を減らしている、こういう訴えにありますように、食費だとか医療費を削る、こんなことまでして精いっぱい切り詰めています。これ以上どこを切り詰めたらいいのか、死ぬのを待たれているようだ、生きる保障をしてほしいという声も聞いてまいりました。  実際に、昨年一年間で兵庫県内の復興住宅での孤独死や自殺が三十八人にも上っています。被災者にとって来年の話ではなくて現在の心配なんです。速やかに生活再建ができるようとの事業の目的からいっても、被災者の生活実態に合わせた家賃補助が行えるよう、国の補助期間を延長すべきです。  そこで、大臣にお伺いをしたいと思うのですけれども被災者にとってその日暮らしほど苦しいことはないのです。十三年度をめどにとか概算要求時にと、ほかの方にもお答えになっていらっしゃいましたけれども、大臣から、延長が必要だということをぜひ御決意を述べていただいて、被災者に展望と安心を持たせていただきたいと思いますが、いかがですか。
  93. 中山正暉

    ○中山国務大臣 本当に先生のお話を聞いていますと胸の痛む思いをするのでございますが、しかし、そうは申しましても、やはり私が一万円札を印刷するわけにもいきませんで、国民の税金、地方の方々から納めていただいた税金でこれは対応をして、五年間に五兆二百億という国民の血税を注入しております。そういう意味で、震災の後の五年という特別な期間を国会でお認めいただいて、それに、震災での悲劇的なお立場にお立ちになった方々に何としても立ち上がっていただきたい。  私は、この大変な財政難の中で、国全体では六百四十五兆、地方も百八十七兆というようないわゆる借金をして、しかし国民の皆さんから金融資産がまだあるということで、経済の立ち直りを考えながら、本当に苦労に苦労を重ねてこれだけの、今のお話のような方々に対しての同情の気持ちはございますが、これまた国民からお預かりしたいわゆる税収によって対応して、苦しい中での国の対応でございます。  これはそういう意味で、一つ一つの案件に着目して考えますと、本当に胸の痛む思いがいたしますが、その辺の御理解は、先生も国会にいらっしゃる中でそういう経過をよく御存じでございますので、これからどんな知恵の対応ができますか、またいろいろ地方自治体とも相談をしなければいけないと思います。  この問題での被災直後における地元地方公共団体の財政事情等も勘案して、特別の措置として、平成八年二月の総理の指示を受けて関係省庁で協議した結果、導入するようにしたものでございますが、五年間としている期限の延長の扱いにつきましては、被災者の方々の生活再建の状況、ほかの公営住宅の入居者とのバランス、それからまた地元地方公共団体の財政事情等を総合的に勘案して判断すべきものと考えております。  いずれにしても、年度としては再来年の話でございますので、これは来年の、平成十三年度予算概算要求を目途にいたしまして、まだ少し時間的余裕がございますので、関係省庁の中で協議をしてまいり、先生のいろいろなデータをお読み上げになりましたが、これはもう本当にそうであろうと、実感は私も体で感じておりますので、先生現場での御報告と受けとめまして、いろいろ参考にさせていただきたいと思います。
  94. 藤木洋子

    ○藤木委員 いろいろおっしゃいましたけれども被災者はそれでは安心しないんですね。一般公営住宅とのバランスとおっしゃいましたけれども、バランスは崩れているんですよ。バランスが崩れているからこそこういった実態が出ているわけで、三十八人というような孤独死だとか自殺者を出すような状況になっているわけです。ですから、実際に被災者が助かるという対策をとらなければ、結局は口先ばかりだったのか、万全の対策なんといったって信じられない、こういうことになると思います。  家賃の問題と同じように被災者に重くのしかかっている深刻な問題に、災害援護資金の返済のことがございます。この貸し付けは返済期限が十年間、据置期間が五年間で、いよいよ返済が始まろうとしております。実際に返済についてのお知らせも借りた人のところには届いているんですけれども、このお知らせを見て、どうしたらいいかわからない、夜も寝られずに悩んでいる方がたくさんいらっしゃいます。  Cさんの場合ですが、阪神大震災で住宅が全焼し、ローンを組んで住宅を再建いたしました。ところがその後、新湊川の水害で新築したばかりの家が水につかってしまいました。衣料品店を営んでいますけれども、周りも被災者ですから、着るものをそんなに買う余裕はありません。売り上げは震災前の半分ぐらいになっています。これまで借りたローンを月々二十八万円も返済しなければなりません。それに店の家賃が二十五万円。今でも大変な思いで何とかかんとかやりくりをしておられます。一生懸命返しても返しても、借金はふえることはあっても減ることはない、こう言っておられます。返済のために新たな借金をしなければならない、これが実態なんです。そういうところに災害援護資金の返済も重なって、頭を抱えていらっしゃるわけです。  こうした話はごく一部のことではございません。兵庫県全体では、今わかっている繰り上げ償還をした人を除いて五万四千件余り、千二百五十億円余の金額になります。町に人が戻らず、売り上げは震災前の半分ほど、こういう方がとても多いわけですが、災害援護資金の返済が過大な負担となって、これが原因で店を閉めることになりかねないし、営業意欲を冷え込ませるようなことになってもよいのか、このように私は思いますが、大臣に伺います。  被災者の生活実態からいって、このままの返済が始まったらどうなるというふうにお考えでしょうか。
  95. 中山正暉

    ○中山国務大臣 この災害援護資金というのは、これは実は厚生省の所管でございまして、据置期間が最大五年と定められておりますので、平成十二年から償還が始まるというのは、そういうお立場の方からしてみれば本当に大変お気の毒なことだと思いますけれども、疾病とかやむを得ない理由によって償還金の支払いが大変難しい、著しく困難だというのが認められる場合には、市町村の判断で償還金の支払いを猶予することも制度上は可能だということを厚生省の方から聞いておりますので、それで何とか御対応が可能かどうか、ひとつ先生も御努力いただきたいと思います。
  96. 藤木洋子

    ○藤木委員 各自治体の裁量といいますけれども、自治体も大変なんですね。神戸などではもう月賦返済というようなことまで、希望する方は○月○日までにお知らせくださいというような案内まで出していらっしゃって、半年賦、一年賦ということになっているのですが、それを月賦で返済してもよいというような柔軟な対応もやっておられる自治体もあることはあるんですね。  しかし、被災者のそういう不安に対応しようと思ったら、相談があったら初めて受け付けるというような受け身ではだめだと思うのです。返済計画について相談はどこそこで受け付けますというように、自治体が積極的に発信するきめ細やかな対応、それに対応できるだけの人数の配置、こういったことが本当に柔軟な対応がとれるような施策だと思うのですけれども、そういうふうにぜひしていただきたいと思います。  生活の立て直しに資するという趣旨を生かしていく上でも、自治体の仕事だと言わずに、もっと国が援助に乗り出していただきたいと思います。  また、その返済猶予と一体の問題なんですけれども、ここに、償還が償還計画よりもおくれますと年一〇・七五%の率で延滞利息が加算されますので御注意ください、こういう紙が配られているわけですよ。伺いたいのですけれども、この信じられないような高い延滞利息というのはそもそも制裁措置的な性格が強いものだというふうに聞いておりますけれども、こうしたものを被災者に対して課すということは適切なことなんでしょうか。これは厚生省にお答えいただきたいと思います。
  97. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 災害援護資金は、十年間での返済を条件として申し込みを受け、貸し付けを行っているものでございます。条件に従って返済が実施されない場合は、先生ただいま御指摘されましたように、他の公的貸し付けの場合と同様に延滞違約金を課しているものでございます。  しかしながら、災害その他やむを得ない理由があるときは、市町村の判断で徴収しないことができる仕組みが政令で定められております。したがって、条件に従って返済できない事情を抱えていらっしゃる方々への配慮というものについては行われているところでございます。
  98. 藤木洋子

    ○藤木委員 その考え方はぜひ自治体に徹底していただきたいと思いますね。支払い明細の延滞利息の記述を見ただけで気が重くなっているという方がたくさんいらっしゃるわけでして、自治体の中に、延滞利息は取らなければならないんだといったような間違った対応にならないように、ぜひ徹底していただきたいということを申し上げたいと思います。  次に、災害援護資金の利息の問題なんですけれども、三百五十万円満額借りている人でございますと、この返済用紙では三十万円近く利息を払わなければなりません。これは大変な負担でございますね。  そこで、神戸市では三百万円以上借りている人たちが全体の三五%を占めているわけですけれども被災者が高い利息に苦しめられずに済む方法はないのですか。厚生省、いかがですか。
  99. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 ただいま先生指摘されましたように、据置期間の間につきましては無利子ということにいたしておりまして、この阪神大震災につきましては、それを三年から五年という形で特例的に延ばしてきたわけでございます。ただし、据置期間が経過いたしますと三%の利子が課されるということが法令で決められているわけでございます。  多分先生が言われましたことは、何か減免する方法はないのか、負担を軽減する方法はないのかというような御質問だろうと思います。  法律上は、利子を負担すべき者に対して自治体が例えば利子補給を行うというようなこともあろうかと思いますけれども、これについては、法律に根拠のない取り扱いでございまして、私ども、正確には実態を把握しておりません。  また、これらについては、地方自治体がそれぞれの被災者の救済、また財政負担もかかることでございます、それらの状況を総合的に判断して、地方自治体において決めていただくというふうに考えております。
  100. 藤木洋子

    ○藤木委員 地方自治体が減免することができるということなんですか。
  101. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 まず、法令上は、三%の利子について減免することはできません。かわりまして、いろいろな、一部の市町村では、例えば利子は取るけれども、かわりに利子補給を行政上の措置として行うというような工夫も一部行われているところ、これは阪神・淡路の例ではございませんけれども、他の災害の場合行われているというような実態も、そういう工夫を行っているところもございます。そういう意味でございます。
  102. 藤木洋子

    ○藤木委員 そもそも災害援護資金です。ですから、その三%の利息というのは随分高いですよね。貸付額から推測される利息というのは約百億円近くにもなると思います。各自治体の手数料のようなものだというふうに私は伺ったことがあるのですけれども、本当にそうなんでしょうか。純粋の事務手続料にそんなに必要だと私は思えないですね。  なぜ、各自治体が被災者の深刻な生活実態を知っていながら、現在の金利でいえば相当高いこの三%の利息を取らなければならないのか。法律に定めてあるからとおっしゃいますけれども、利子補給をしようとしないのか、その辺はどのようにお考えですか。
  103. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 まず、災害援護資金について利子を取っている理由でございますけれども、これは、ただいま先生が言われましたように、この利子をもって市町村の事務費に、債権管理等の事務費に充てるという趣旨で取られているものでございます。  ちなみに、現在三%というふうに私は説明しておりますけれども、今回の場合、五年間の無利子の期間がございます。それを合わせますと、それを計算しますと一・六四%という形で、実質的にはそのような利率になるわけでございます、五年間の無利子の期間がございますので。そういうことでございますけれども、ただ、据置期間が過ぎますと三%という形になります。
  104. 藤木洋子

    ○藤木委員 今の金利からいったら三%というのは高過ぎますし、事務費がそれほどかさむものなんでしょうか。そのことは、私、非常に疑問でございます。  神戸市は、ことしの二月十五日の時点ですけれども、破産者が二百三十二人出まして、四億九千五百五十万円に上っております。私は、今後もっとこの数はふえるのではないかというふうに懸念しておりますけれども、この金額は、神戸市の年間の学校改修の予算が十二億円ですから、市にとっては相当大きな負担になりますね。このような破産者の分も含めて、借りたお金を期限までに耳をそろえて国に返さなければならない、自治体は大変困っているわけです。  私は、こうした返済できない人の分も見込んで、その財源に充てることを考えて利息としているのではないかというふうに思うのです。  今回のような大規模災害で、しかも災害発生から五年たってもなお暮らしの再建ができずに苦しんでいる、こういう実態を踏まえますと、破産者の分は国に対して返済しなくてもよいということができないものでしょうか。そうしたことも含めて、被災者が実際に苦しい生活の中で高い利息に苦しめられずに済むような、そういう手だてを尽くしていただきたいと思いますが、この破産者の分は免除できませんか。
  105. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 災害援護資金につきましては、被災者からの返済を求めることを前提とした貸し付けの制度でございます。確実に返済していただくことを原則にしておりまして、被災者が返済することが困難な場合は保証人からの返済を求めるという制度の建前になっております。  こうしたことから、償還免除の対象につきましては、被災者が死亡しまたは著しい障害を受けた場合であって、かつ保証人が償還できない場合に限っております。このような考え方からすると、みだりに拡充するべきではないのではないかというふうに考えております。
  106. 藤木洋子

    ○藤木委員 しかし、破産というのは並々ならない出来事であります。私は、そのような対応というのは納得することができません。ぜひ御検討をいただきたいと思います。  被災者は、現在の生活実態から、たとえ月賦返済になっても、三百五十万円借りている人は毎月六万三千円以上も返さないとだめなわけです。今のままの状況だったらそれも返せる見込みはない、返済猶予は延ばしてほしいけれども、返済期限が延びなかったら一カ月に返すお金がふえるから苦しい、据置期間と同時に返済期限の延長もスライドしてほしい、このような要望が極めて切実に出されております。  そもそもの災害援護資金の趣旨からいうならば、そうした手だてをとることが求められていると思うのですが、大臣、どうでしょう、被災者が生活再建の状況に合わせて返済できるように、返済期限も延長措置をとるというような柔軟な対応はできないでしょうか。
  107. 中山正暉

    ○中山国務大臣 災害援護資金を初め、阪神・淡路地域の復興のための各種の特例措置の取り扱いにつきましては、関係省庁及び地方公共団体において、地元の状況等も踏まえつつ適切に判断されることになるものと考えておりまして、この災害援護資金の償還期間の延長には、災害弔慰金の支給等に関する法律、これは厚生省所管のものでございますが、この改正が必要となるということでございますので、国会の御意思がない限りはなかなか大変なことだと思っております。
  108. 藤木洋子

    ○藤木委員 実態に合っていないのですから、そのことがはっきりしているわけですから、何らかの手だてをとっていただきたいというふうに思いますね。もちろん、私は法律のことは存じ上げておりますけれども、しかし、今、間に合わない場合にはどのような手だてがとれるかというあらゆる知恵を絞っていただいて、ぜひ対応をしていただきたいと思います。  これまで私は、被災者の切実な問題のごく一部について伺ってきたわけです。なぜこうした事態になっているのか。そもそも、個人の生活再建に国費の投入がどれだけ注がれてきたかというところが問題だと思います。  実際は、インフラ関連の復旧復興にはその被害額の九四%もの手厚い国費投入となっております。ところが、その一方で、公的住宅の供給など住宅関連には被害額のわずか一六・四%の国費投入です。県外避難者の約五割が、住宅の確保や経済力が壁となって、帰郷したいが戻れない、そのことにもあらわれています。町に人が戻ろうにも戻れず、そのため商売も成り立たない、仕事もない、これはもう悪循環に陥っていて、抜本的な手だてをとらない限り、これからもこの状況からは抜け出せないでしょう。  これは、首相の諮問機関である阪神・淡路復興委員会の特別顧問だった後藤田正晴さんの話でございますけれども、新聞のインタビューに答えて、委員は開発型の人が多かった、どうも都市建設や開発に議論が集中した、庶民の暮らしの再建、復興に配慮が足りなかったということに今でもうらみを持っていると述べておられます。  被災者が一人残らず暮らしの再建が果たせるまで国が責任を持つべきだということを、私は重ねて申し上げたいと思います。  中山長官は、さきの国会で私の質問に答えて、被災者の生活再建、経済の復興に万全を期する、心配は要らないとおっしゃいました。法に基づく復興対策本部が解散し、さまざまな特例措置が軒並み期限が切れる、こういう状況の中で、被災者が新たな苦難に直面をしているわけです。万全を期するとおっしゃるのであれば、被災地の丸五年の実態を国の責任で全面的に把握して、被災者の暮らしの再建に必要な手だてはすべてとり切る、そのことが求められているんです。それでこそ、生活の再建と経済の復興を緊急に図ることを目的にした復興対策本部の役割を遂行することではないかと思います。  そのことを私は強く指摘し、求めて、きょうの質問を終わらせていただきます。
  109. 岡島正之

    岡島委員長 次に、北沢清功君。
  110. 北沢清功

    ○北沢委員 社民党の北沢でございます。  所信の中で国土庁長官は、災害対策に関して総合調整官庁という認識を示しておいででありますが、その総合調整官庁というのは、具体的にはどういう役割を持った官庁と考えておいでなのか、基本的な御認識についてお伺いをいたしたいと思います。
  111. 中山正暉

    ○中山国務大臣 国土庁は、防災に関する総合調整官庁として、予防、応急対策、復旧復興、各段階において各省庁の災害対策の調整、推進を行うことがその基本的な役割であると認識をいたしております。  具体的には、予防段階の役割として、防災に関する国の基本的な計画である防災基本計画の取りまとめ、各省庁等が参加する総合的防災訓練の実施、さらには中央防災会議の事務局としての役割。  二つ目でございますが、災害発生時においては、災害に関する情報の集約、それから関係省庁から成る政府調査団の派遣、政府災害対策本部の設置、各省庁の行う応急対策の調整等の役割を果たしている。  それからさらに三番目としては、復旧復興段階においては、激甚災害の指定や被災者の生活再建支援金の支給等の役割も果たしているということになっております。  これは内閣府に来年の一月六日から防災関係はすべて集約されて移ることになりますので、この一年、国土庁の防災局の所管しております対策はこういうふうな三つの形になるものだと思っております。
  112. 北沢清功

    ○北沢委員 災害対策については、極めて中心的な課題の、重要な官庁であるということが言われると思いますが、特に災害列島と言われます日本でありますが、昨年も異常気象による土石流や都市部などでのビルの地下への大量の雨水の流入など、また、宅地開発による急傾斜地周辺の住宅が増加している等、一たん起きてしまった災害への対応だけでなく、防災という面からも、単に総合調整という役割だけでは対応し切れないと従前から申し上げたとおりであります。縦割りを排するという意味で、かなりより強引なリーダーシップを発揮していただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  113. 中山正暉

    ○中山国務大臣 先ほどもどなたかに御答弁申し上げておりましたが、自然災害とそれから事故災害、しかし、事故災害というのは専門的な知識、先ほど例に挙げましたのは、タンカーの転覆のような事故が日本海で起こりましたし、それから原子力関係施設で事故が起こりましたようなときには、その専門家がすぐに駆けつけるということでございますが、その直後から、いろいろな複合の問題もありますので、防災に関する総合調整官庁として各省庁との連絡をする。先ほど申しましたような予防とか復旧復興、それから応急対策を使命とすることで安全規制を担当する省庁がありまして、それぞれ特別の専門的な知見や体制を必要とするところから、実態を最も把握している安全担当省庁が一義的に事故災害対策に当たって、関係する省庁がこれをサポートするとされています。  しかしながら、災害対策における各省庁の施策の連携は極めて重要でございますので、今後ともそのリーダーシップを発揮して、総合調整官庁として連絡が密になりますように、阪神・淡路大震災の最初の立ち上がりのような、我々もテレビで何も解説のないような、煙が町のあちこちから立ち上がっている。うわさによりますと、もう朝から防衛庁あたりは相当なテープを撮っておったということでございますが、それが何時間も眠っていたということでございます。知事さんは十時過ぎになって、五時四十六分十七秒でございますか、そのときに起こったものがもう十時過ぎになってから、知事さん、ぼつぼつ防衛庁に連絡をしたらどうなんですかということを係長あたりから言われて連絡をしたというような話も聞いております。  そういう大都市の真ん中で、神戸というような大都会でそういう災害が起こったのに、大変まどろっこしい、中央に対する伝達がそんなにおくれたということは、本当にこんなことは二度とあってはいけない。即座に初動体制から緊急事態、日本が持つすべての機能をフルに動員するような体制というものが私は国土庁に与えられている使命ではないかと思っております。
  114. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、今言われたような問題については災害委員会で二度ほど取り上げまして、当時、実は与党の地方行政委員会の筆頭理事をしておりましたから、あの災害直後、地方行政委員会では警察、地方自治体それから消防という三つの部門を担っておりますから、真っ先に駆けつけて現状を見まして、今長官指摘されるような面についても把握をしております。  災害というのは、一本相当筋の通ったものでないとなかなか力を発揮できないわけですね。それで私はあえてリーダーシップという言葉を申し上げたわけでございますが、初動調査問題については満足の得られるような形態がまだまだできておらぬということは指摘されたとおりで、今も私はそのように感じております。  次に、地震対策についてお伺いをいたしたいと思います。  まず、地震の予知という問題についてでありますが、地震の予知ということは本来大前提のはずですが、その可能性についてはいま一つはっきりせず、揺れがあるやに思われるわけであります。まず、科学技術庁、文部省、建設省がそれぞれ調査や研究を行っているということですが、現在予知に対する位置づけ、考え方はどうなっているのかお伺いをしたい。また、予知の精度と現状はどうなっているか、その点についても御答弁をいただきたいと思います。
  115. 瀧川雄壯

    瀧川政府参考人 お答えいたします。  先生指摘地震予知の現状ということでございますけれども地震予知は、一般的に申し上げまして、まだ研究段階にございます。そういうことで、いつ、どこで、どのような規模地震が起きるか、そういうものを特定した地震予知は、現状では困難な状況でございます。  しかしながら、東海地震につきましては、過去の地震活動の歴史から、発生場所、またその平均的な地震の繰り返し間隔がわかってございます。それと、昭和十九年に、東海地震の想定される場所のすぐ近くで起こりました東南海地震で、前兆現象があらわれております。そういうことから、前兆現象があらわれる可能性がございまして、この前兆現象があらわれた場合には直前の予知ができる、そのように考えてございます。
  116. 北沢清功

    ○北沢委員 今御答弁にありますように、東海地震については若干予知の可能性があるということも御答弁をいただいたわけでありますが、これは他はないということですからなかなか難しい問題ですけれども、しかし、この東海地震そのものも、当初権威者を含めての予知会議といいますか、そういう問題から、若干予知そのものについての認識が変わったような感じもするわけでありますから、努めて予知の研究については、大きな溝を地下へ掘ってとか、いろいろな角度でひとつ完璧を期して、少なくともそういう面での科学性といいますか、そういうものを確立していただきたいということを強く要望をしておきます。  実は、先ほどいろいろ指摘をされておるわけですが、私の地元の松本市などを通っております糸魚川—静岡構造線活断層帯の地震発生危険度は、日本の内陸部にある大きな活断層四百の中で最も高いとの試算結果が、昨年の秋、仙台で、いろいろ科学技術庁の研究調査の中で出ておりまして、秋の地震学会で発表されておるわけであります。  この活断層については、阪神大震災の後で総理府に設けられた地震調査委員会では、「今後数百年以内にマグニチュード八程度の地震を起こす可能性が高い」との調査結果が発表されておりまして、その後、「今後三十年以内に大地震を起こす確率は一四—三二%」という数字が実は公表されております。  正直なところ、数百年以内というのであいまいで、対策のとりようがないというふうに承っているのが現状でありますが、地震の予知という問題は大変難しいことはわかるわけでありますが、日進月歩を遂げております科学技術を最大限に利用して、予知のための努力を惜しまないでほしい、そのために政府防災の最重点課題という認識をしてほしいというふうに考えるわけでありますが、どのようにお考えですか、御答弁を煩わせたいと思います。
  117. 生田長人

    生田政府参考人 地震防災対策特別措置法に基づきまして平成七年に設置されました地震調査研究推進本部の評価によりますと、今委員指摘のとおり、松本市付近を通ります糸魚川—静岡構造線活断層系、この系につきましては、特に牛伏寺断層を含む区間では、現在を含めた今後数百年以内にマグニチュード八程度の規模地震が発生する可能性が高い、かようにされているわけでございます。しかし、地震を発生させる断層区間がどこまでかは判断できないということがついておりまして、こういうような現在の評価の段階では、地元地方公共団体あるいは住民が具体的な防災対策に結びつけることは大変困難な面があるというのは事実でございます。  このため、私ども現在、国土庁におきましては、科学技術庁を初めとする関係省庁の参加を得まして、活断層対策の研究会を設置したところでございまして、活断層の評価を踏まえた防災対策のあり方について検討を始めたところでございます。  なお、先ほど科学技術庁の方から答弁があったと思いますが、地震調査研究推進本部におきましても、一方でこの成果を社会に活かす部会というものを設置されておりまして、地震調査研究の成果が自治体あるいは国民の防災対策に結びつくような努力といいましょうか、そういう方策について検討を進めているというように聞いております。
  118. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、地震と活断層の因果関係といいますか、そこら辺もできれば教えていただきたいと思っておりますし、また、今の世界や日本の国内情勢における地震の発生状況から見て、地震も活発期といいますか、そういう時期にあるのかないのかということも実は知りたいところであります。  それはそれとして、今申し上げるような状況の中で、こうしたことが自治体で対応できることではないことは明らかでありまして、学校など公的建築物の耐震強化策の重要性とかも当然考えておられるべきことなので、そのための指針や支援ということも検討されるべきであると考えますが、具体的にお尋ねをいたしたいと思います。  実は、私は赤坂宿舎というところにおります。これは、もう見て御承知のとおり、周辺に立派なビルができて、建物そのものは昔の何か都営住宅だということで、一階は自動車置き場になっていまして、これが起きれば、恐らく議員皆さんは相当危険だろうと。若干一階の間切りはしたわけですが、間切りをしていないとき、私はもうあそこに住んでいることが冷や冷やしたような状況でありますが、そういうことを含めて、今言われたような耐震性を増すための施策というものは積極的に進めるべきであるというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  119. 生田長人

    生田政府参考人 地震に備えるための耐震診断あるいは耐震改修は大変重要でございまして、現在、建設省を中心にいろいろな施策が展開されてございますけれども、特に最近、耐震改修促進法というのができておりまして、それに基づきまして、重要な建築物につきましては耐震改修が進んでいるところでございます。  また、一方で、地方公共団体努力も大変なされておりまして、特に地方公共団体による耐震診断の補助あるいは耐震改修の補助、こういったものが各地で現在行われているところでございます。
  120. 北沢清功

    ○北沢委員 ちょっと先の質問にもダブる面もございますが、災害は、先ほど長官も御指摘のとおり、初動体制が非常に重要だということは言うまでもないことでありますけれども、中央防災無線網や地震防災情報システムの充実と言っておられますが、こうした技術的な面の強化充実はもちろんですが、警察、消防、各地方自治体等、それぞれの垣根を取り払った、情報面を初めとする総合的な相互協力体制が必要になると思うわけでありますが、こうした体制に向けてどのような具体策が進んでいるのか。阪神大震災の教訓も大きいわけでありますが、管轄官庁による縦割りの弊害をどのように取り除くべく取り組んでおられるか、その面について御答弁を煩わせたいと思います。
  121. 生田長人

    生田政府参考人 先生指摘のとおり、災害の初動時におきましては、実動部隊を持っております警察、消防、防衛、海上保安庁、こういった機関を初めとする防災関係機関が相互に協力して迅速に活動することが大変重要であるというぐあいに認識しております。  このため、災害が発生いたしました場合に、まずは主要官庁の幹部が官邸に一刻も早く参集するという体制を現在整えておりまして、できるだけ早く災害情報を収集して、被災状況に応じて、例えば災害対策本部であるとかあるいは関係省庁連絡会議、こういうものを設置いたしまして、情報の共有化を図るということが大変重要であるというふうに考えております。  その措置を現在とっておるわけでございますが、同時に、あわせて、関係機関がその役割に応じて的確に応急対策を展開するための即応方針をその場で策定していただきまして、必要な初動体制の確立に現在努力をしているところでございます。  なお、国土庁は、これらの対応とあわせまして、これらを支援するために必要な情報通信網といいましょうか、例えば、ヘリコプターなんかを使いまして、現地の画像伝送をきちんと官邸の方へ持ってくる、あるいは国土庁の方へ持ってくる、こういった整備を図っておりますのと同時に、初動体制の実効性を確保するために、いろいろな訓練を行っているところでございます。
  122. 北沢清功

    ○北沢委員 これは、先ごろの阪神大震災の反省点から出た話でございます。特に、そのことの企画に当たられたのは国土庁を中心とする、先ほどのお話のとおりでございますが。  私は、そのことは非常に重要だと思うわけです。情報を共有するということは重要であるけれども先ほど一つ申し上げたことは、現場における初動活動といいますか、これらをやはり連携あるものにしないと、あらゆる情報が途切れたりするわけでありまして、一瞬に破壊されるわけでありますから、そこら辺をどういうふうに、どこがその指導といいますか握るかということは、現場の三時間ぐらいの間に、火災が起きたり、建物の下になってみんな苦しんでおったり、亡くなる人も多いわけでありますから、住民も物すごい混乱が起きるわけでありますから、そこら辺について私は実は提案をしているわけですね。  ですから、機械的な、科学的な情勢を整えるということが大事でありますが、その初動調査というものについて、私はまだまだ、先ほど指摘するような、知事さんや市長さんが消極的では地方自治体は機能しません。消防もなかなか道も壊れて大変なことですし、警察官も交通網に追われて、今言ったような、住民とのかかわりが非常に問題なわけですね。  その点について、私は実はこの前の委員会で提案をしたわけでありますから、ぜひこの面についてはもう少し、実際に現場で見た感じですから、余り勘は狂っていないと思いますから、ひとつよく研究されて、その指導については自治省が中心になって、自治省は足を持っていませんね、足を持っていないが、権限やそういうものを付与することによって総合的な判断ができるんじゃないか、そういうふうに考えております。  このことについては、野中長官も、当時、私の答弁については、誠意のある、退職した警官も含めて交番の機能を充実しますよ、そういうことを言われておりますので、その点についてもひとつ御研究をいただきたいというふうに思っております。
  123. 中山正暉

    ○中山国務大臣 私もあの当時、すぐに大阪市の消防局へ行きましたら、消防局長が、大阪府内の自治体の四十四の消防に一軒一軒電話をした、こう言っておりました。関東地域は消防庁がありますから、関東一円、ぼんとボタンを押すと全部すぐに初動体制がとれるけれども、大阪市の消防局長が私に、一つだけ電話漏れしたところがあって、えらい怒られたという話をしておりましたし、今度の台湾の地震なんか聞きますと、李登輝総統が日本との差を話をされているようでございまして、日本は六千四百三十二名亡くなりましたけれども、向こうは二千数百名という、日本の十倍ぐらいのマグニチュードの地震でありながら、三分の一ぐらいで犠牲者がなかった、あそこは軍隊がすぐに動いた、その差だということを、いろいろな面でのお話をされているようでございます。  これから、先生お話のありましたように、自治体に何か異常が起こったら国土庁にすぐに連絡をとるような、そういう連絡網といいますか、人の問題もありますでしょうが、科学的な何か対応がとれるような、連絡網というようなものができないものかなと。先生のお話を伺いながら、先般の、本当に随分中心がやられたために、連絡をしてくる人たちが、情報通信その他全部断たれてしまいましたために、自衛隊が出発したころには道路が混乱をしていてなかなか近づけなかった。その上に、自衛隊の自動車等は緊急自動車に指定されていませんから、その辺の、日本のいろいろな過去のそういう体制の何かすき間をつかれたような、日本の欠陥があの初動体制の遅さにつながったような思いを私はいたしておりますので、そういうものに対する緊急の連絡網みたいなものは充実させていく必要があると。あれは貴重な体験であったと思っております。
  124. 北沢清功

    ○北沢委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  それでは最後に、関連してですが、事故とか災害の場合、地元である地方自治体は緊急の判断を迫られております。例えば、東海村での原子力事故による災害の場合などは、放射能という特殊性から、一分一秒を争う判断が必要なわけであります。  さきの臨時国会で成立した原子力災害対策特別措置法では、附帯決議で自治体の判断を優先させることになっておりますが、あくまでも当事者は自治体であることは、災害が起きた場合の大前提となることを確認いたして、国と地方自治体の主導権争いが起きないようにお願いをしたいと思います。今回の東海村の地元の皆さんの不満等から見て、その点については特に要請をしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  125. 間宮馨

    間宮政府参考人 今回のジェー・シー・オー事故におきましての対応の反省といたしまして、初期動作等、原子力災害対策における国と自治体の能力向上と連携の強化を図ることが重要であり、原子力災害対策特別措置法において必要な措置が講じられたものと認識しております。また、法律の制定の際には、地方自治体の対応能力の向上のため、国が必要な支援をすること等の趣旨の附帯決議がなされております。  特に、国と自治体の連携を強化して整合性ある対応をとるための措置として、具体的には、法律において、国が定める計画に基づいて、国、自治体、原子力事業者等関係者が共同して総合的な防災訓練を実施すること、国の原子力防災専門官が平時より現地に駐在し、緊急時はもとより日ごろから自治体と連携しながら活動を行うこと、通報があった場合には、自治体の要請に応じて国は専門的知識を有する職員を派遣すること、原子力緊急事態に至った場合には、現地のオフサイトセンターに、国、都道府県、市町村、原子力に関する専門家といった関係者が一堂に会する原子力災害合同対策協議会を組織して、情報の共有化や対策の実施について相互に協力することなどを規定しておりまして、緊急時に、国と自治体が連携しつつ円滑に対策が講じられることとなっております。  今後、原子力災害が発生することのないよう安全確保に万全を期することとしておりますが、今回整備されたこの法律の枠組みに従いまして、あわせて、各種計画類の整備や財政的な支援を行っていくことにより、万々が一の場合には、国と自治体が連携をとりながら円滑な対策の実施が可能になるよう十分努めてまいる所存でございます。
  126. 北沢清功

    ○北沢委員 よろしくお願いします。以上で終わります。      ————◇—————
  127. 岡島正之

    岡島委員長 この際、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来理事会等で御協議を願っておりましたが、協議が調いましたので、委員各位のお手元に配付いたしましたとおり委員長において起草案を作成いたしました。  本起草案の趣旨及び内容につきましては、委員長から御説明を申し上げます。  地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律は、昭和五十五年五月、災害対策特別委員会提出による五年間の時限立法として制定されたものであります。その後、昭和六十年三月、平成二年三月に本法の有効期限延長を行い、さらに、平成七年三月に有効期限を五年延長し、平成十二年三月三十一日までとしたものであります。  この間、発生の切迫性及び被害の甚大性が懸念される東海地震に備え、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業が今日まで二十年間にわたり鋭意実施をされてきたところでありますが、この法律は、本年の三月三十一日をもってその効力を失うこととなっております。  しかしながら、地震対策緊急整備事業につきましては、用地買収の難航等の諸事情により現行計画で執行できなかった事業及び財政的制約により現行計画に盛り込めなかった地震防災対策の推進上緊急に整備すべき追加事業がかなり残されております。  さらに、阪神・淡路大震災等大規模地震災害の教訓や社会環境の変化等により、新たに必要となった追加事業が生じているところであります。  本案は、このような本法の実施状況及び地震防災対策強化地域における地震防災対策の万全を期する上から、本法の有効期限をさらに五年延長し、当該事業を引き続き推進し、東海地震防災対策の一層の充実強化を図ろうとするために提案いたしたものであります。  次に、本案の主な内容について御説明を申し上げます。  第一に、本法の有効期限を五年延長し、平成十七年三月三十一日までとすることといたしております。  第二に、地方分権の推進を図るための関係法律整備等に関する法律、中央省庁等改革関係法施行法等の関係法律について、所要の改正を行うことといたしております。  第三に、その他所要の規定の整備を行うことといたしております。  以上が、本起草案の提案の趣旨及び主な内容であります。     —————————————  地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  128. 岡島正之

    岡島委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。中山国土庁長官
  129. 中山正暉

    ○中山国務大臣 本法律案の提出に際しましての議員各位の御努力と御熱意に対し、深く敬意を表するものでございます。  政府といたしましては、本法律については特に異存はございません。  御可決いただきました暁には、その御趣旨を踏まえて適切な運用に努め、地震対策緊急整備事業が速やかに達成されるように、関係省庁と密接な連携をとりつつ、事業の一層の推進を図ってまいる所存であります。よろしくお願いします。
  130. 岡島正之

    岡島委員長 お諮りいたします。  地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しておりますとおりの起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  131. 岡島正之

    岡島委員長 起立総員。よって、そのように決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 岡島正之

    岡島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十五分散会