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2000-04-14 第147回国会 衆議院 厚生委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十四日(金曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 江口 一雄君    理事 安倍 晋三君 理事 衛藤 晟一君    理事 木村 義雄君 理事 田中眞紀子君    理事 金田 誠一君 理事 山本 孝史君    理事 福島  豊君 理事 児玉 健次君       伊吹 文明君    石崎  岳君       遠藤 利明君    大村 秀章君       鴨下 一郎君    鈴木 俊一君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       田村 憲久君    戸井田 徹君       根本  匠君    桧田  仁君       堀之内久男君    松本  純君       宮島 大典君    山下 徳夫君       石毛えい子君    土肥 隆一君       中桐 伸五君    古川 元久君       大野由利子君    瀬古由起子君       岡島 正之君    吉田 幸弘君       武山百合子君    中川 智子君     …………………………………    厚生大臣         丹羽 雄哉君    厚生政務次官       大野由利子君    政府参考人    (法務省民事局長)    細川  清君    政府参考人    (厚生大臣官房総務審議官    )            宮島  彰君    政府参考人    (労働省職業安定局次長) 青木  功君    厚生委員会専門員     杉谷 正秀君     ————————————— 四月十四日  社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案内閣提出第五〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  児童手当法の一部を改正する法律案内閣提出第三八号)     午前十時五分開議      ————◇—————
  2. 江口一雄

    江口委員長 これより会議を開きます。  内閣提出児童手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、来る十八日火曜日午前十時、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 江口一雄

    江口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長細川清君、厚生大臣官房総務審議官宮島彰君及び労働省職業安定局次長青木功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 江口一雄

    江口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 江口一雄

    江口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石毛えい子さん。
  6. 石毛えい子

    石毛委員 おはようございます。民主党の石毛えい子でございます。  私は、本日は、提案されております児童手当法内容といいますより、その前提とされていると思われます少子化という考え方などをめぐりまして質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  法律案参考資料のところに記載されておりますこの法律案提案理由説明によりますと、少子化への対応として、総合的な少子化対策を推進する一環としてこの児童手当法改正を行うというようなことが記載されております。  少子化という事象といいましょうか、そのことに関しましては、これを論じる方のお立場あるいはお考えによりましてさまざまなとらえ方がされているのではないか。政策を立案する視点から見ますときに、必ずしも少子化ということについておおよそ一致した概念が確定しているというふうにも至っていないのではないかという思いがいたします。  それで、まず最初にお尋ねしたいのは、一体、少子化ということについてどのように規定されているのでしょうかといいましょうか、概念づけられているのでしょうか。高齢化につきましては、御承知のように、国連で、人口の七%が六十五歳以上の方で占められたときというような規定がございますけれども少子化ということにつきましては、国連等において一致したとらえ方、共通の物差しというのができているのでしょうか、どうでしょうか。そこのあたりをまずお教えいただきたいと思います。
  7. 宮島彰

    宮島政府参考人 御質問少子化定義といいますか概念についてでございますが、高齢化につきましては、今先生御指摘のように、国連におきまして高齢化率七%を一つの目安にしておりますが、少子化概念につきましては、国連において特段の定義があるというふうには私ども承知しておりません。  ただ、研究者において一般的にとらえられておりますのは、例えば、我が国の場合、一九七四年に、いわゆる人口置換水準であります二・〇八を下回りまして二・〇五になりましたが、この一九七四年以後、人口置換水準を下回りまして、出生率低下して子供の数が減少していく、この現象をとらえて少子化というふうに研究者の間では一般にとらえているというふうに承知しております。  特に、平成元年に、いわゆる一・五七ショックという形で、ひのえうまの年の一九六六年の一・五八を下回りましたころより、少子化への社会的関心が非常に高まりました。  例えば、厚生省平成二年のこれからの家庭子育てに関する懇談会報告書の中でも、少子化という言葉を使いましてこの問題をテーマにしておりますし、平成四年の国民生活白書を見ましても、サブタイトルで「少子社会の到来、その影響対応」という形で、少子化記述が見られるところであります。  また、そのころより、それまでは比較的高齢化社会という言葉がよく使われていましたが、少子高齢化社会というふうに少子高齢化を並べたとらえ方が一般的になってきたように思われます。
  8. 石毛えい子

    石毛委員 ありがとうございます。  これは、引き続いて宮島総務審議官に、今御答弁いただきましたので、私の方も教えていただきたいと思いますが、例えば平成四年、一九九二年の国民生活白書では少子高齢化という考え方が出てきたというふうに言われましたけれども、そのときあたりから少子化対策というようなことも主張され始めていたのでしょうか。ちょっとその点を教えていただければと思います。
  9. 宮島彰

    宮島政府参考人 平成四年の国民生活白書記述を見ますと、いわゆる一・五七ショック以後、出生率低下やそれに伴う家庭社会における子供の数の低下傾向、すなわち、少子化の動向とその影響が注目されるようになってきた。その背景としましては、若者の結婚観変化女性職場進出家族あり方変化子供教育の問題、住宅を初め居住環境の立ちおくれなど我々が生活を営む上で直面するさまざまな問題が関係しているということで、現在政府におきまして総合的な少子化対策を行っておりますけれども、その考え方基盤がこのあたりから整備されてきているのではないかというふうに思います。
  10. 石毛えい子

    石毛委員 平成元年、八九年、一・五七ショック、それから九二年に国民生活白書で主要なテーマとして少子高齢化を取り上げているということで今御説明いただいたわけですけれども、この法律案審議に関しまして調査室から出されました参考資料におきましては、九九年の十二月十七日に少子化対策推進関係閣僚会議が設置されたということで、随分この間、期間があいているというような思いもいたしますけれども合計特殊出生率変化をずっと拝見していまして、早ければ一九七〇年代の半ばぐらいから、こういう事実と、施策論議がなされるということで、客観的な基盤はあったのだろうというような思いもするわけです。  それはおきまして、今申し上げましたように、九九年十二月十七日に閣僚会議がされている。その閣僚会議、私はきょうはこの配付いただきました参考資料のみしか持ってきておりませんけれども、この四十ページには、「少子化対策推進基本方針の概要」といたしまして、「近年の出生率低下は、将来の我が国社会経済に広く深刻な影響を与える懸念。」というような書きぶりがございます。それから、この法案提案理由説明も、「このような少子化傾向は、我が国にとって大きな社会問題になりつつあります。」こういう書き方もされております。  閣僚会議の、「社会経済に広く深刻な影響」という、この社会経済というのをどういうふうにとらえるかということも、厳密に言えば一つ一つ精査をしていくべきであるかと私は考えるわけですけれども、ここで大臣お尋ねをしたいと思いますけれども、なぜ少子化対策をとる必要があるのか、その御認識についてお伺いしたいと思います。
  11. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほど来御議論をいただいておるわけでございますが、近年の急速な少子化進展というのは、社会を支える働き手減少であるとか、さらに市場規模縮小など我が国社会経済全体に影響を与える、それのみならず、御案内のような人口構成ピラミッド形から逆ピラミッド形に変わりつつある、そういう中において、私どものまさに社会保障そのものにも大変影響が出てくるのではないか、こういうことが懸念されておるわけでございまして、いずれにいたしましても、社会全体で取り組むべき重要な課題である、こう考えているような次第でございます。  なぜ出生率低下か、こういうことでございます。  一つには、結婚をなさらない方々が男女とも大変ふえておるわけでございます。その背景には、人生観が一番大きなことだと思います、それから結婚に関する意識の変化、さらに、率直に申し上げて、女性が働いて子供を産み育てるというようなことに対して、必ずしも職場のそれに対する対応というものが十分であるかどうか、こういったような問題が指摘されておるわけでございます。  そのほか、いわゆる核家族化であるとか都市化進展によりまして、子育て仕事両立負担感というのが大変増大をしておるということは紛れもない事実でございます。  結婚出産はあくまでも個人の自由に選択をゆだねるものでございますが、私としては、女性方々子供を産み育てながら、一方で働ける環境を整備していくことによって、二十一世紀の我が国家庭子育てに夢を持てる社会にしていくということが大切なことではないか、こう考えているような次第でございます。  こういうような基本的な考え方に立ちまして、少子化対策推進基本方針あるいは新エンゼルプランなどに沿いまして、保育雇用教育住宅、こういった分野におきます環境の整備というものをしていかなければならない。  それから、今まさに御審議をいただいておりますこの児童手当というのは、一昨日も私申し上げさせていただいたわけでございますが、いわば少子化対策一つのシンボル的な中核的な位置づけとしてこういうようなものの拡充をお願をいたして、総合的な少子化対策というものを実施していきたい、こう考えているような次第でございます。
  12. 石毛えい子

    石毛委員 今大臣から、社会を支える働き手縮小等少子化がもたらす客観的な状態ということと、なぜ少子化が進んでいるのかということで結婚観あるいは結婚実情出産実情、それから女性が働くことと子育てをすることを両立することが困難な状況、しかしながら、あくまでも出産というのは個人考え方に基づくという、客観的な状況と主体に関する考え方の尊重といいましょうか、両々伺ったと思います。  私のような年代は、自分が生まれてきた時代のようなことを思い描きますと、少子化対策という言葉に必ずしも全面的な肯定感と言ったらいいのでしょうか、少子化を防ぐというような言い方になると余計そうだと思いますけれども、私よりちょっと上の世代になりますと、産めよふやせよという時代経験していて、それが戦力、兵力の提供につながっていた時代もあるというようなことを思い描きますと、少子化対策といいますと一体何を指すのかというようなところで、いろいろ疑念やら複雑な思いがわいてくるというのも率直な感想なのでございます。  この少子化対策を立案していく場合に、今、大臣も御存じのとおり、国連の開催いたしております北京会議等々で、産む、産まないの決定、いつ何人産むかというのは女性自己決定権に属する事柄であるということは国際的な確認となっていると思いますし、日本でも多くの女性たちがこのことについて非常に大きな関心を寄せ、また、そのことに対して同感を示しているということだと私は考えております。  あくまでも、この少子化対策を考える場合に、基本的な視点としておくべきことは、この閣僚会議の中にも規定されておりますように、「結婚出産は、当事者の自由な選択に委ねられるべきものであること。」というこの出産に対する自己決定権というのは、確認ということでよろしいわけですね。その点、もう一度お尋ねしたいと思います。
  13. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 同じ認識に立つものでございます。
  14. 石毛えい子

    石毛委員 ぜひその重要視ということに御留意賜りますようお願いしたいと思います。  それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。  先ほどの御答弁で、大臣は、この児童手当制度少子化対策のシンボルであり、中核の制度として非常に重要であると認識しているというふうに御答弁になりました。  私は、児童手当というのは本当に少子化対策になるのだろうか、そしてまた、少子化対策になるというときの児童手当制度児童手当がアウトプットしなければならない結果というのはどういうことなのだろうか、出生率が上がっていくとかそういうことを意味しているのだろうかというようなことを思いつつ、児童手当は諸外国経験に照らして少子化対策となるのでしょうかどうでしょうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  15. 大野由利子

    大野(由)政務次官 今委員から、少子化対策という言葉には抵抗がある、産む、産まないというのは自己決定権ではないか、そういう御意見がございました。私も全く同感でございます。  この児童手当も、そういう意味では、次代を担う子供の育成を親任せではなくて社会支援をしていく必要があるのじゃないか、そういう社会にしていく必要があるのじゃないかというような意味で、私は、少子化対策というのは即子育て支援というような意味合いも大変多いのではないか、このように思っております。  子育て支援という意味と、仕事育児両立支援、また保育所充実とか、さまざまな施策を総合的にしているわけでございまして、厚生省も、子供をもう一人産みたいけれども産めないというような阻害要因というものはしっかり取り除いていく必要があるのじゃないか。もう一人子供を産むことに対する経済的な負担感が非常に強くて、経済的な支援を求める声があるということも、これまた事実でございます。  厚生省といたしましては、今回の児童手当制度改正とともに、保育サービス充実などを盛り込んだ新エンゼルプランを策定するなど、幅広い分野にわたって、官民を挙げて総合的な対策に取り組むことにしているところでございます。
  16. 石毛えい子

    石毛委員 政務次官がおっしゃる趣旨社会子育てに協力するという趣旨であれば、私は、少子化対策としての児童手当というよりは、私見でございますけれども子育て支援法というような法をつくって、その中で現金給付として手当をどうするかというような法体系を考えた方がいいのではないかという感じもいたします。  今政務次官に御答弁いただけなかった部分で、諸外国経験に照らして、この児童手当、よく政府がお示しくださいます資料にも、例えばフランスではどう、スウェーデンではどう、ドイツではというような紹介がございますけれども、諸外国ではこの児童手当というのは少子化対策としてはどのような政策効果を持ったのでしょうか。  それからもう一点、政務次官の御答弁の中にもう一人子供を産むことに経済的支援をの声というふうにおっしゃられましたけれども、私は、子育てあるいは少子化に関するアンケートなどを拝見していますと、養育費教育費等というようなアンケートの分類がありまして、養育費なのか教育費なのかよくわからないという思いもしてそういう調査結果などを拝見しているのですけれども経済的支援をというようなデータアンケート調査などのデータがあるのかどうなのかというようなことがおわかりでしたら、お教えいただきたいと思います。
  17. 大野由利子

    大野(由)政務次官 諸外国はどうかというお尋ねでございました。  児童手当方法をとっている国、またアメリカのような扶養控除方法をとっている国、さまざまございますが、児童手当制度が直ちに出生率を引き上げる効果があるかどうか、それはさまざまな御意見もございまして、海外の調査研究を見ても、効果があるというものとないというもののデータがあって、一概にお答えしかねるところでございます。  それから、経済的な支援というお尋ねがございましたが、国立社会保障人口問題研究所の一九九七年の調査によりますと、妻が理想の数の子供を持とうとしない理由は、「一般的に子どもを育てるのにお金がかかるから」というのが第一番の理由になっております。「子ども教育お金がかかるから」というのが二番目の理由になっておりまして、養育費なのか教育費なのか、その辺は、この調査はそこまで厳密なものではないのじゃないかとは思いますが、一般的に経済的な負担があることが理想の数の子供を産むのをちゅうちょしている一つの要素になっているのではないか、このように思っております。
  18. 石毛えい子

    石毛委員 これからこの法律審議の後すぐ、たしか今年度中にも、検討会というような形でしょうか、立ち上げまして、本格的な児童手当あり方について与党で協議をするというのが、法案提出に至るまでの経過でお話し合いが与党の中ではなされているのだろうと思います。ぜひ、データ等きちっとお示しいただきながら、方向性を提示していただければというふうに要請いたします。  それから、もう一人子供を産むことにというふうにアンケートを御紹介くださいましたので、やはり児童手当というのは結果的ではあれ出生率向上を求めているということで、この確認はよろしいわけですね。
  19. 大野由利子

    大野(由)政務次官 求めているというか、産みたい理想の数の子供があるのに産めない、そういう阻害要因を取り除くということは大事ではないか、このように思っております。
  20. 石毛えい子

    石毛委員 わかりました。産みたいという希望と実際に出産できる人数、この間をきちっと環境として整えて、産める環境をつくろう、そういう趣旨理解をさせていただきます。  本日は労働省からも政府参考人としておいでいただいておりますので、少子化の問題というのはどうしても将来の労働力不足というような観点でも語られることが多うございますから、労働力需給の将来見通しと、それから、労働省といたしましては、この需給見通しでは不足であるという内容で出てくるんだと思いますけれども不足ということに関しましてどのような観点をお持ちかということを御説明いただきたいと思います。お願いいたします。
  21. 青木功

    青木政府参考人 労働力長期見通しについてのお尋ねでございます。  昨年八月に閣議決定をいたしました第九次雇用対策基本計画におきましては、二〇一〇年までの労働力需給見通しを立てております。それによりますと、今後、二〇一〇年までの労働力人口は、二〇〇五年に六千八百五十六万人、これをピークに減少に転じ、二〇一〇年には六千七百三十六万人になるものと見込んでおります。内訳を見ますと、二〇一〇年までに三十歳未満の労働力人口が約四百万人減少する、同じ時期に五十五歳以上の労働力人口が約三百八十万人増加していくというふうに見込まれております。  また、労働力需要の方でございますけれども、これは経済成長その他さまざまな制約要因がございますが、二〇一〇年の就業者数につきましては約六千四百五十五万人程度になるものというふうに見込んでおります。そういうことで、二〇〇五年から二〇一〇年にかけまして、労働力人口、特に対策を講じなければ約百二十万人減少するという見込みでございます。  しかし、この間労働力が足らなくなるかどうかということに関しましては、需要の方があるわけでございますが、一方、供給面におきましても、育児休業に対する支援策であるとかさまざまな女性の働きやすい職場環境をつくっていくこと、あるいは高年齢者方々がフルに力を出していただけるような職場環境なり社会環境をつくっていくということで、さらにまた労働力供給がふえるかもしれないわけでございます。また、さらに、仕事の仕方あるいはいわゆる労働生産性向上といったことを通じて減少がぎりぎりまで抑えられるのではないか、またそのための政策努力をしなければならないのではないかというふうに考えております。
  22. 石毛えい子

    石毛委員 わかりました。労働力需給のギャップに対して、現在検討され、推進されている施策とすれば、女性が働きやすい環境をつくっていく、こういう御答弁をいただいたと思います。出生率を上げるというようなことは、所管官庁ではいらっしゃらないということも含めまして含意されていないというふうに理解をさせていただきます。ありがとうございました。  法務省からもおいでいただきまして、一点質問をさせていただきたいのですが、嫡出でない子供に対する出生届ですとかあるいは遺産相続につきまして、諸外国ではどのような規定になっていますでしょうか、その点をお教えいただきたいと思います。
  23. 細川清

    細川政府参考人 嫡出である子と嫡出でない子の法律上の区別、取り扱いの差異についての外国法制についてお尋ねでございます。  私ども文献等で調べた結果によりますと、御指摘のあった相続の点について申し上げますと、主要な欧米諸国の中では、フランスでは婚姻中の夫または妻がもうけた嫡出でない子の相続分は、嫡出である子と競合する場合には嫡出である子の二分の一とするという法律上の区別を設けていますが、他の国には、かつてありましたけれども、それが廃止されたということで、他の国にはこのような制度は余り見られないというところでございます。
  24. 石毛えい子

    石毛委員 ありがとうございました。  この点はまた夫婦の選択的別姓法案などにかかわって大きな論議となっている、その中にも含まれているテーマでございますし、それから、子ども権利条約での出生による差別の禁止というようなところでも議論を呼んでいるところでもありますけれども、きょうはそれを議論する場ではございませんので、私は今の御答弁でおおよその、欧米諸国の中では嫡出であるか非嫡出であるかによって子供の例えば相続権ですとかあるいは出生届等々に差異はない国が圧倒的に多いというふうに受けとめさせていただきます。  私がそういう御質問法務省にさせていただきましたのは、日本の場合に十五歳から十九歳の女性出産数が諸外国に比べましてとても少ないという事実があります。いただきました参考資料の六十三ページの(5)に、年齢別出生率という統計が掲載されております。確かに、十五歳—十九歳、二十歳—二十四歳というような年齢出生率が、三十代などに比べますと高いわけではありませんけれども、十五歳—十九歳あるいは二十歳—二十四歳の出生率の高さが、一九四七年のデータと一九九八年のデータを比較してみますと、とても減っている、減り方が非常に激しいというような事実に気がつきます。  これは言うまでもなく、日本教育水準が高まってきて、十五歳から、あるいは二十歳代前半結婚生活に入る人が少なくなってきているからというような事実もありますけれども、もう一方で、平成八年版、九六年版の厚生白書に掲載されておりますように、日本の場合は法律婚以外で生まれる子供人数が極めて少ない、低いというような実態もございます。  それで、時間がございませんので急ぎますけれども、私は、非嫡出子に対する日本におけるさまざまな差別というようなことを解消していくのも子供を産みやすい環境を育てていくという施策の重要な一環ではないか、このことにつきましては閣僚会議の中に盛られている事項を見ましても全然記載されておりませんし、あえてこの児童手当質問の機会をいただきましたこの折に申し上げさせていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。  質問は、年齢階層別出産動向をどのように認識しておられますかという質問をさせていただいたのですけれども、もう時間が来てしまいましたので、簡単に今申し上げました点を含めまして御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。
  25. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず諸外国のことにつきまして先ほど先生からお触れになったわけでございます。家族をめぐります国民の考え方や法制度の違いなどを背景にいたしまして、いわゆる婚外出生割合にはさまざまな違いが見られるのも事実でございます。  我が国の場合には、婚外出生割合というのは一%程度でございます。五割前後のスウェーデン、デンマーク、三割を超えますイギリス、フランスなどの諸外国に比べまして、婚外出生の割合は極めて低いわけでございます。  先生御指摘の問題は、事実婚や非嫡出子などの取り扱いについて、少子化への対応というよりも、婚姻制度であるとかあるいは家族あり方に関する重要な問題として国民のさまざまな御意見を聞きながら議論していくべき問題でございますが、要するに差別がなされているかというような点をお触れになっていると思いますが、少なくとも厚生省関係の制度におきましては、未婚の母などに対する差別はなく、必要な給付を必要な方に行っているような次第でございます。  政府が行います少子化対策につきましては、結婚出産は、先ほどから申し上げておりますけれども、あくまでも個人の自由な選択にゆだねられるべきものであるということを基本的な考え方に持ちながら、子供を産み育てることを希望する若い男女が、夢を持って子育てできる社会をつくるためにさまざまな環境整備を進めていく、こういうことであります。
  26. 石毛えい子

    石毛委員 確かに、児童手当も養育をしているという事実をもって給付が規定されているわけですから、大臣がおっしゃられた点はそのとおりだと思います。社会規範の問題ですとか、むしろ相続にかかわるという意味では厚生省外のことだと思いますけれども、私は、広く子供を産み育てる環境を整えるという中で、そういう点もぜひ重要な事柄として施策の検討を進めていくべきだし、そうしたこととあわせて児童手当あり方方向性をしっかりと位置づけていくべきだというふうに申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  27. 江口一雄

    江口委員長 山本孝史君。
  28. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 大臣政務次官、このたびまた森新内閣のもとで厚生大臣並びに政務次官の重責を担われることになりました。御苦労さまでございます。おめでとうございますと言うと、白々しいと言われかねませんので、少しあれでございますが。  ただ、その点で、二点お伺いをしておきたいのです。  一つは、今世間の耳目が集まっております森内閣の発足に当たってのところでございますけれども、私は四月二日日曜日の夜十一時半からのNHKのニュース速報といいましょうか記者会見でその事態を知ったわけでございますけれども大臣はどの時点で小渕さんの病気、入院等々について御存じになられましたでしょうか。
  29. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 日曜日の夜の十一時ごろテレビで拝見しました。
  30. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 夜の十一時、私とほとんど同じ時間帯だと思うのですけれども、それはどなたからお聞きになったのでしょうか。
  31. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ただいま申し上げましたように、テレビで承知いたしました。
  32. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 ありがとうございました。  やはり閣議が開かれていない。私は新聞でしか存じ上げませんけれども、保利自治大臣は、次の日の朝、新聞をごらんになった奥様からこんなことになっているわよというふうにお聞きになって、びっくりしたという記事が載っておりましたけれども、そういう意味では、内閣の危機管理あるいは情報伝達のあり方というのは極めて問題があったと思います。そういう意味で、しっかりとした取り組みをしていただきたいと思います。  先般、再任のごあいさつの中で、厚生行政の推進に全力で取り組んでまいる決意というふうにお述べになったわけでございますけれども、そのお言葉を受けてお伺いをさせていただきます。健康保険法の改正はどうするのかという点です。  予算措置が切れた七月以降の財政措置をどうするのか、あるいは組合健保——健康保険組合等々の保険料の急激な上昇が見込まれることになるわけですけれども、そういった点はどのように御説明をされておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  33. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 この健康保険法等の改正法案は、これは当然のことながら予算関連法案でございます。法案の主要な柱でございます老人の一部負担の見直しなど、私どもは抜本改革の第一歩を踏み出すものだ、こういう認識に立っておるわけでございます。  そういうことから、これはあくまでも御審議の問題は国会でお決めをいただくものでございますけれども、私どもといたしましては、法案審議を一日でも早くしていただいて、法案を成立させていただきたい、このようにお願いを申し上げる次第でございます。
  34. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 大臣のお気持ちは、今のお言葉でよくわかります。国会のことですから、与党側の御対応、議運の中での法案審議の順番等々の選択で何を先に選択されるのか、健康保険法よりも社会福祉事業法あるいは廃棄物関連法案審議を先にと与党が今おっしゃっておられますので……。  実はこの健康保険の財政措置は六月までしかしてございませんから、老人の薬剤一部負担の撤廃に伴う七月以降の、一月二百億円と聞いておりますけれども法律が通らなかったとき、七月以降どのような財政措置を講じなければいけないということになるのでしょうか。
  35. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 御指摘のような問題があることは十分認識をいたしております。そういうこともございまして、私も新聞紙上でしか知りませんけれども、巷間いろいろなことが言われておりますが、一日も早く法案審議していただいて、可及的速やかに成立をお願い申し上げる次第でございます。
  36. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 新聞で御存じというか、だから、私申し上げましたように、厚生行政の推進に全力で取り組んでまいる決意とおっしゃいまして、大臣は自民党の御出身でおられるわけですから、もちろん与党との協議というのがありまして、国会の審議の順番が決まってくるといいましょうか、国会で法案が取り扱われるということになるのだと思います。今内閣に入っているから自民党の動きはわからないということではなくて、どうされるのか。  やはり、大変大きな重要な法案ですし、審議日数もかなり要してくると思います。解散ということがありますと、廃案ということになって、特別国会、臨時国会と行きますと、かなり対応が先へ延びてくるわけですね。健康保険組合の保険料のアップというものも、秋になって一%を超えるような保険料率で急に上がってくるということになりますと、来年以降下がるといっても、健康保険組合の皆さんからたくさん今陳情が私のところにも来ておりまして、厚生省はどういう対応をしてくれるのだということで大変心配をしておられる。たまさかこの児童手当の機会でありますけれども与党の皆さんに早くやっていただきたいのだあるいは国会でお決めいただくことだからということで、御決意だけをおっしゃっておられるのではなかなか不安の解消にはつながらないのではないかと思います。  そういう意味で、厚生行政の推進に全力で取り組んでまいる決意とおっしゃいましたので、その決意の中に、この組合健保あるいは全体的な老人医療費の中の取り扱い等々について、大臣、どういうふうなお気持ちでおられるのかということをお聞きしておきたかったわけであります。重ねてお聞きをしても同じお答えだと思いますので、今のでは風任せ、世の中任せ、与党任せという感じがいたしますので、それでは不安は解消しないというふうに思います。  我々としましては、介護保険が四月一日から始まりましたので、この介護保険の現場がどうなっているのかという検証と、診療報酬の改定ということがございましたので、それらをあわせた集中審議をぜひこの厚生委員会でやっていただきたいということで、理事会の中では常に民主党としては御要望申し上げております。  委員長、この点について可及的速やかにこの御協議を進めていただくようによろしくお願いします。
  37. 江口一雄

    江口委員長 理事会協議で決定をします。
  38. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 それから、もう一点、理事会の中で早急に結論を出していただきたいのは、クロイツフェルト・ヤコブ病の予備的調査、中川先生、児玉先生、私の三名が提出者の代表になりまして、理事会の場に今出しております。与党の側から対案とも言えるようなものが出されて、これだったら調査を受けてあげるというようなお話がございましたけれども、それは予備的調査制度趣旨に反するものでございまして、我々はそういう考え方にはのっとっておりません。  先ほど金田筆頭の方から、来週水曜日の委員会後この問題について議論するという話でございましたので、ぜひ制度趣旨を変えない、制度趣旨をしっかりと生かした形での予備的調査をやっていただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。  児童手当のことについて御質問させていただきたいと思います。  今回拡充ということになったわけですけれども、将来どういう形にこの児童手当をデザインしていくのかという、将来像を見据えた上でこの制度改正が行われるべきだろうというふうに思います。  今回は一年限りであって、ことしじゅうに控除のあり方あるいは児童手当の姿を考えて、来年以降はしっかりとした恒久的な制度にしていくというふうに与党三党は申しておられるわけですけれども、我々民主党も児童手当の拡充は必要だという立場に立っております。しかしながら、この財政状況の中でこういう形が今やるべき施策なのかどうかというのは、大いに検討しなければいけない部分があるのではないかと思います。  そういう意味で、現金給付を行うよりも、子育て支援基盤整備という意味で現物給付に力を入れていくという方が今求められているのではないか。いろいろなアンケート調査でもそんな結果が出てくるのですけれども、そういう御主張がある中で、なぜ今回この児童手当の拡充ということを選択をされたのか、現物給付の充実よりは現金給付をとられたのかということについて御説明をいただきたいと思います。
  39. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の改正は、総合的な少子化対策の一環として、昨年の暮れの与党におきます合意を踏まえまして拡充を図ることになったわけでございます。  政府といたしましては、今回の児童手当法改正とあわせまして、少子化対策推進基本方針であるとか新エンゼルプランなどの策定を行いまして、雇用保育教育住宅を含めた総合的な少子化対策の推進を図っておるわけでございます。特に、委員から御指摘の、いわゆる低年齢児の受け入れ枠の拡大なども着々と行っておるわけでございまして、児童手当だけを優先的にやっているわけではございません。  総合的に、私どもは、ほかの施策と同時にこの問題についても一つ方向性と申しますか、今回対象年齢を三歳未満から就学前まで引き延ばさせていただいた、こういうことでございます。
  40. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 児童手当の将来をどうしていくのかということの議論をするために、基本的な御質問になって恐縮なんですけれども児童手当とは一体何なんだというところをもう一度しっかり議論をしておく必要があると思うのですね。  そういう意味では、目的、なぜ児童手当を支給するのかということは、児童手当法に書いてあるのでその目的どおりになるんだと思うのですけれども、なぜ経済的支援が必要なのか、どのような状況家庭に対して経済的支援が必要であると考えるのか、この点についてはどういうお考えなんでしょうか。
  41. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 児童手当の支給目的でございますが、児童を養育している者に手当を支給するということにより、家庭におきます生活の安定にいささかでも寄与する、そして、次代の社会を担う児童の健全な育成と資質の向上に資する、これが児童手当法の第一条に明記されているところでございます。  児童の養育に係ります費用でございますが、家計にとって大変大きな支出要因の一つとして挙げられておるわけでございます。子育てしやすい環境づくりという観点から、子育て家庭に対する経済的な支援が必要だ、こう考えているような次第でございます。  その一方で、児童手当制度においては、児童養育費がさほど家計の負担と感じないようないわゆる所得の多い所得階層につきましては、手当を支給する必要性やその効果が比較的少ないというようなことから、御案内のような所得制限というものが設けられているわけでございまして、一定の所得以下の方々に対していわば重点化を図っている、そこにねらいがあるところでございます。
  42. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 養育費の支出が大きくなってくるので、その一部をいささかなりとも出すことで寄与していきたいというお話でございました。  養育費とは、どのような費目をもって養育費と今おっしゃったのですか。
  43. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ちょっと古い資料で恐縮でございますが、かつて厚生省の方で養育費調査というのを行ったことがありました。例えば、どういうものかと申しますと、飲み物であるとか食べ物であるとか、衣料費、家庭教育費、教養娯楽費、保健衛生費ということで、さまざまな分野がこの対象になるわけでございますが、こういうものを私ども養育費と一般的に呼んでおるような次第でございます。
  44. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 今いみじくも古い調査でございますがとおっしゃいまして、ちょっと私も年数を忘れてしまいましたけれども厚生省調査しておられたこの児童の養育費調査というものが、たしかずっと調査をしておられないのですね。なぜ調査をされないのかというふうに思うわけです。  児童手当等々を考えるときに、養育費というものをどうとらえ、それが幾らぐらいかかっているのかということは、金額を考えるときの大前提の条件になるわけですけれども、過去の審議状況を見ておりましても、総務庁の家計調査であったり、あるいは野村証券ですとかピジョンですとか、いろいろな外部の会社あるいは研究所の数字を持ってきて、この金額だから児童手当の五千円あるいは一万円は妥当なんだという御説明になっているんですね。  これは、ぜひ児童の養育費というものについて厚生省みずからが調査をする必要があると思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  45. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 この手当額でございますが、委員も御案内……(山本(孝)委員調査をする必要があるんじゃないか」と呼ぶ)  私もそう考えております。
  46. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 そう考えておられるのですから、ぜひ児童の養育費調査をしていただきたいと思います。  それで、今大臣は食料費、衣料費あるいは家庭教育費も含めて児童手当の金額を考えるときにその対象にしているという御答弁だったわけです。そうしますと、これは政務次官に御回答をお願いするようにきのう言ってあるわけですけれども家庭教育費というのは児童手当を考えるときにその対象に含まれるという御理解でございますか。
  47. 大野由利子

    大野(由)政務次官 今、児童手当は、児童手当法で、児童を養育する家庭生活の安定と児童の健全な育成に資することを目的として支給する、こういうふうになっておりまして、児童手当を何の費用に充てるかということにつきましては、受給者はこの児童手当法趣旨にのっとって用いなければならない、用いることを想定しているわけですが、具体的にこの費用というふうに定めているわけではございません。  そういう意味で、児童手当の支給額の設定との関係で、家庭教育費だとか保育料だとか幼稚園の費用だとか、何か特定の費用を想定して児童手当の額を決めている状況ではないということを一応申し上げたいと思います。
  48. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 特定の費目を想定しているわけではないというお答えですね。  前段の部分は、子供子育てにその費用を使うべきだと。すなわち、親が自分で飲み食いをしてしまったり、あるいは遊びに使ってしまってはいけませんよ、子供にかかわる費用に使いなさいと。これはごもっともな御主張だと思います。私もそう思います。  もう一回そこのところをしっかり御答弁いただきたいのですが、子育てにかかわる費用といったときに、先ほどおっしゃいました食料とか衣料の基本的な生活にかかわる生活費の部分と、学校教育にかかわる部分と、家庭教育費とかお小遣いとか子供のおもちゃといったいわば選択的な費用の部分の三つに分かれると思うんです。  それで、生活費の部分と学校教育費家庭教育費という分類に分かれてきたときに、先ほど大臣家庭教育費養育費の中に含まれるので児童手当の対象に考えられる費目であるとおっしゃったわけですけれども児童手当は将来幾らぐらいの金額が妥当かということを考えるときに、私は、生活費というのは当然入ると思いますが、学校教育費は入らないのではないかと思っています。そのときに、家庭教育費あるいは小遣い、遊び等々の費用は、児童手当の支給には使い道を限定しているわけではないということは理解しておりますが、こういった費用は児童手当の費目として含むべきなのかあるいは含まなくてもいいという考え方なのか、どちらの考え方にお立ちになっているのかということです。
  49. 大野由利子

    大野(由)政務次官 今後しっかり検討していく内容であろう、このように思っております。  前回の厚生省養育費調査の中には含んでおります。今後……(山本(孝)委員「従来のは含んでいるの」と呼ぶ)今大臣答弁で、古いデータですがと申し上げた厚生省養育費調査の中には家庭教育費は含まれております。
  50. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 今五千円、一万円となっている金額を将来増額するかどうか考えたときに、これまで議論がずっと続いております中で、子育てにはこういう費用がかかっているから、五千円は妥当だ、三千円は妥当だ、一万円が必要だ、こういう御答弁を常にしてこられたわけです。それは、答えを先に申し上げれば、生活費にかかわる部分、食費、被服あるいは住居にかかわる光熱費等々をベースにしながら御答弁をされてきておられると私は理解をしています。  きょうの大臣並びに政務次官の御答弁は、家庭教育費もその対象に含めるべきなんだというお考え、あるいは、そこは含むか含まないかはこれから検討していくというのが今政務次官の御答弁だったわけで、これは含む含まないによって全然考え方が違ってきますので、これは、今まで厚生省児童手当というものをどう考えてきたか、今まで非常にあやふやな取り扱いがされた一種象徴的な今の御答弁だと思うんですが、家庭教育費を含む、含んだ方がいいとお考えなのか、あるいは含まずに従来のお考えでいくのか、もう一度御答弁をしていただきたいと思います。
  51. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほど私の方から申し上げましたように、何分にも古い養育費調査でございます。そういうことを含めまして、当然私どもは、この児童手当あり方、今委員指摘のどこまでを児童手当として見るのか、例えば奨学金の問題との絡みはどうするのか、こういう問題はきちんと整理しなければならない問題だ、こう考えているような次第でございます。  ただ、今までの経緯をあえて申し上げさせていただきますならば、手当額につきましては、昭和四十六年の制度創設時におきまして、厚生省養育費調査などをもとにいたしまして、第三子以降の児童一人につき、つまり、三人以上の児童のいる家庭の一人平均の養育費のおおむね半分、そういうところで月額三千円と設定されたわけでございます。  この手当額の水準でございますが、平成三年の改正におきましては、物価変動などを考慮いたしまして、金額を倍にいたしたところでございます。今回の改正案では、その後の物価動向も考慮いたしまして、現行の水準を維持することにいたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、新たに確保された財源によって支給対象年齢を延長することが適当だ、こう考えたような次第でございます。
  52. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 引き続き水曜日も審議があるでしょうから、もう一度整理をしていただいて、養育費というものをどの費目ととらえるか、しっかりとした御答弁を……。今、家庭教育費児童手当の対象として検討するとおっしゃっておられる部分もありますし。  要は、基本的な生活費という部分は、実は年齢が上に上がっていきましてもさほどに大きな変化を示すわけではないんですね。何が大きくなってくるかといいますと、明らかに家庭教育費あるいは学校教育費のかかり増し費用が大きくなってくるわけです。したがって、経済的支援でいかばかりかも寄与しようということになりますと、教育費家庭にしろ学校にしろたくさんかかってくる部分を児童手当で面倒を見ていくという考え方になるのか、あるいは基本的な生活費の一部を見ていくということになるのか。私は、申し上げているのは後者だと思っています。したがって、検討するということを今さらおっしゃっておられるのも私はいかがかなというふうに思いますけれども児童手当とは何なんだということをもう一度しっかり御説明をされるべきではないかと思います。  同様に、そういう意味で、児童手当が支給されるべき年齢は幾つまでなのかということも大変重要なポイントになるわけで、これは税制の改正、控除制度に手をつけますと、それに合わせて年齢を言っていかなきゃいけないようなところもあるわけですけれども、基本的に、厚生省として今児童手当の支給年齢は幾つまでが妥当であるというお考えにおられるのでしょうか。
  53. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほど申し上げましたように、今回の措置は、昨年末の与党合意を踏まえて行ったものでございます。そういう中で、これまで三歳未満であったのを就学前まで引き延ばしたわけでございます。  何をもって何歳までが適当かということにつきましては、これもまたさまざまな議論があるところでございます。私は、一つ扶養控除あり方、もう一つ扶養控除児童手当の性格の違いをどう見るかといった問題であるとか、それから、先ほど申し上げました奨学金との絡みとか、そういうものをさまざまに検討をしなければならないということでございまして、今、私がこの場におきまして軽々に何歳までが適当だと言うことは差し控えさせていただきたいと思っています。
  54. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 児童の定義はいろいろある、したがって、法律で児童と書いてあるんだから幾つまでだというような議論をするつもりは私はありません。ただ、児童手当が持つ意味合いは何かと考えたときに、何歳まで支給するのが妥当と考えるのか。  それは、私も申し上げましたように、控除と手当制度の変更に伴っていろいろと政治的に判断しなければいけないところがありますが、今回のような決定のされ方は別にしても、厚生省として、児童手当を今後どうしていきたいかということを考えているときに、児童手当の支給年齢はここまでだ、この費目に対してこれだけを支給するんだ、したがって、金額はこれで妥当なんだというお考えはないのですかというのが私の質問なんです。
  55. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどから申し上げておりますが、これは与党の協議を受けたものでございますが、当然、私どもも十分に検討いたしております。限られた財源において、現時点におきましては義務教育の就学前までを対象とすることが現実的である、このように考えています。
  56. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 与党の協議の結果、こういう政策選択するということはわかります。財源の点があるから当面ここまでしかできないということもわかります。  しかし、厚生省として、児童手当はこうあるべきなんですと。今、諸外国に比べて日本児童手当は非常に貧弱だと言われ続けているわけですね。それはいろいろな議論があります、外国との比較ですから。私は一概にその話は、精査が必要だと思っていますが、厚生省として、児童手当は何歳まで支給して、幾らの金額が必要で、こういうお金の性格なんだからこの費目の部分をもって対応するんだというお考えがあって、しかし、今財政状況が厳しいからここまでやるという——与党選択されたのはここまでだというのは構わないんですよ、それは理解できるんです。厚生省が将来ビジョンを持っていないということについて、持っていないんですか。
  57. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 一昨日も申し上げたわけでございますが、少子化対策の中において児童手当がいわば中核的、象徴的な位置づけを占めておるという認識は持っておるわけでございます。  そういう中において、果たして何歳まで、幾ら配ったらいいのかということについては十分に御議論をしなければなりませんし、先ほど来御議論が出ておるわけでございますが、諸外国の場合と日本の場合には、例えば日本の場合には年功序列型賃金であるとかさまざまな扶養控除であるとか家族手当であるとか、こういうものをひっくるめて児童手当はどうあるべきかということが当然議論されるべきものであります。  私どもは、今回の措置は、与党の合意によりますと、あくまでも経過的な措置であるということでございます。その経緯から申し上げましても、これを拡充するとかしないとかという以前に、経過的な措置であるということは、率直に言って申し上げざるを得ないわけでございます。  そういうことを踏まえて、今後、審議会とかさまざまな形で、また、当委員会においても十分に御議論を賜れば幸いだと思っています。
  58. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 どういう形で経過的な措置をとるかもいろいろ議論があります。この形でない経過的措置のとり方があったと私は個人的に思っておりますけれども。  しかし、問題は、政治的に与党三党で児童手当の将来像をどう決めていくにしろ、これまで児童手当のずっと歩んできた道を考えますと、常に財源は一定の金額があって、それで子供年齢と支給対象範囲を考えるという中で、いわば面積は一つで同じなのに、年齢で切るかあるいは支給対象で切るかで、この縦横を掛け合わせてみたら常に面積は一緒というのが児童手当ですね。いわばまず財源ありきで、その中でそれをいじくり回して、年齢が下がってみたり、あるいは支給対象が広がっていく。  では、厚生省児童手当をどう考えているのか、きょう私は一番そこを聞きたかったんですけれども、残念ながらお答えを持っておられない。持っておられないままでは、これは政争の具になってしまうといいましょうか、児童手当の姿はどんどん変わっていってしまう。一体児童手当とは何なんだ。この委員会審議できっちりと御説明をしていただきたいと私は思います。きょうの答弁では、全くもって私は理解ができません。与党の中で協議されるのは、それは政治の協議です。しかし、厚生省厚生省として児童手当の将来像はしっかり持っているべきです。きょうは時間がなくなってしまいましたので、また質問の機会があればと思いますが。  事業主全額負担によって児童育成事業という形の事業を行っていますね。その支給の内容を見ますと、児童館の整備であったり延長保育のための補助金であったり、必ずしもサラリーマンの家庭だけにその恩恵が行く話ではなくて、本来税金で行うべきものを全額事業主負担で拠出をさせて児童育成事業というものをやる、この形も、私は極めていびつな形になっていると思います。きょうは質問時間がなくなってしまいましたので、この議論は次の機会があったらさせていただきたいと思いますが。  そういう意味では増税になる層が出てきたというのも変な話だと思いますが、もう一度水曜日の審議までに、厚生省が考える児童手当の将来像はこうである、財源が許せば——諸外国との比較は単純にできないと思うんですね、日本の企業の家族手当あり方とか、あるいは税制の控除のあり方は違いますから。外国がこうだから、日本はこうでなければいけないという話は単純にはできないと思います。しかし、今の日本の税制度の中で、今の日本の企業の家族手当の支給状況の中で、厚生省が望ましいと考える児童手当の将来像はこうである、幾つまで、どういう金額をもとにしてこれだけの金額を支給するのがいいのだ、家庭教育費は入るのか入らないのか、そこも含めてもう一度水曜日にしっかりとした御答弁をしていただきたいということをお願いしておきます。  この点をしていただけるということと、児童の養育費調査厚生省としてみずからやるということをもう一度御確認いただいて、質問を終わります。
  59. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 将来ビジョンを今すぐに示せということにつきましては、当然のことながら、さまざまな審議会であるとか与党の協議がございまして、率直に申し上げて私も今この場において約束をしがたいものでございますが、先ほど来委員から御指摘のございました資料も、私自身が認めたわけでございますが、余りにも古過ぎるということでございますので、来週までということではないんですが、できるだけ早くこういうことはやはりきちんと整理をして国民の皆さん方に明らかにするべきだ、こう考えているような次第でございます。  それから、もう一点御指摘がございました児童育成事業でございますが、これも、一般会計でこれまで行われている事業と重複している部分もあるじゃないか、こういうような御指摘だと思います。私も全く同じような認識を持っておるわけでございますし、当然のことながら、こういった事業も十分に調整を図りながら、今後、その事業の本来の趣旨であるとか目的であるとか、財源の性格などを踏まえまして見直しを行っていきたい、このように考えているような次第でございます。
  60. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 ありがとうございました。よろしくお願いします。
  61. 江口一雄

  62. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  日本共産党は、少子化を克服するためには、だれもが安心して子育てができる総合的な対策が必要だと考えております。  総理府が実施しました出生数の少ない理由に関するアンケート調査を見てみますと、第一に「子ども教育お金がかかるから」、二番目には「経済的に余裕がないから」と、経済的な理由が半数を占めております。とりわけ子供を産む二十代、三十代の女性は、「子ども教育お金がかかるから」という理由が六一・二%となって、若い女性子供を産みたくても産めない事情が浮き彫りになっております。  私たちは、子育て経済的支援としての児童手当の拡充をこれまで要求してまいりましたし、また、児童手当を義務教育就学前まで拡充するのは当然だと考えております。  しかし、今回の提案には幾つかの重要な問題点がございます。本法案改正理由に、「総合的な少子化対策を推進する一環として、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減等を図る観点から、」とあります。今回の改定は、年少扶養控除廃止によって所得税増税の対象になる子供は千九百万人に及び、新たに児童手当支給対象となる三百万人を差し引いても千六百万人以上に増税だけがかかってくる、それも子供の数が多いほど増税になる。これでは初めから「総合的な少子化対策を推進する一環として、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減」という改正理由には反しないんでしょうか、いかがでしょうか。
  63. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の改正によりまして、小中学生の児童を持つ家庭や所得制限による児童手当が支給されない家庭では、児童手当がふえないにもかかわらず税負担がふえるのではないか、こういうような御指摘だと思います。  扶養控除児童手当というものは、これはもともとの制度の性格、位置づけを異にいたしておりますが、子育ての経済的負担の軽減という観点から考えますと、扶養控除児童手当もともに重複した機能を持っているということも紛れもない事実でございます。  私から申し上げるまでもなく、扶養控除は、高額所得者に対してより大きな効果を有することになるわけでございますが、いわゆる非課税世帯には効果がない、その一方で、児童手当というものは、定額でございますし、高額所得者には所得制限がある、こういうことでございまして、どちらかというと扶養控除よりは児童手当というのは比較的経済的に重い方に対して手厚くしていく、こういう性格のものではないかな、こう思っているような次第でございます。  いずれにいたしましても、それぞれの持つ特性といいますか性格といいますか、こういうものを踏まえ、財政、税制の両面を通じまして少子化対策の重点化を図る、こういうことで行ったような次第でございます。  なお、今回の、先ほど申し上げております昨年の暮れの与党協議においては、現下の厳しい経済情勢あるいは財政情勢の中で、児童手当の拡充を行うのであるならば、まさにこの児童に負担がかかってくるわけでございますが、将来世代に負担を回すような特例公債、赤字国債の増発はやめようじゃないか、具体的な財源を確保して実施すべきである、こういう点から実は出発をした経緯があるわけでございます。  厚生省といたしましては、総合的な少子化対策の中で、今回拡充をいたしました子育て支援基金というのがございます、これは九百億にさらに四百億を上積みいたしまして千三百億円にいたしましたが、こういったものや、今先生が御懸念をなさっていらっしゃいます、いわゆる増税といいますか、昨年に比べますと負担が若干重くなるような層に対して、いずれにいたしましても、あまねく行き渡っていくよう、税負担増になる方々に対しても十分な配慮を行っていく必要があるという認識においては、先生と同じでございます。
  64. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 いろいろ御説明なさったのですけれども政府が今回提案してきたこれを少子化対策の一環としてやるんだ、そして、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減という改正理由があるわけですね。今の御説明だといろいろありますけれども、結局千六百万人が増税になってしまう。そして、これがある意味では、重点化というお話をされましたけれども、一部の子供児童手当をつくったために多くの子育て中の家庭が犠牲になっても構わないということになってしまうわけですね。  その点では、政府少子化対策というのは、一部の子供のために多数は犠牲になっても構わないというものなんでしょうか。それはいかがですか。
  65. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、児童手当扶養控除の違いでございますけれども……(瀬古委員「いや、それはもうわかっているんですよ」と呼ぶ)  現実問題として、私どもは限られた財源の中において、どちらかというと高所得者の方々には我慢という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、その方々よりも、例えば非課税世帯であるとか、こういった方々扶養控除の恩恵に浴さないわけでございますから、そういった方々に対してやっているんだということで御理解をいただきたい、こういうことでございます。
  66. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 いろいろなやり方がありますが、多くの子供たちの家庭が一部の子供たちの家庭のために、千六百万人ですから大きいわけですよ、結果としては犠牲になりますねということをお聞きしているんです。それは、事実としてそうですね。
  67. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 犠牲という言葉は、ちょっと先生きつ過ぎるんじゃないかなという感じがしますけれども、当然私どもはそういう点も配慮していかなければならない、こう考えています。
  68. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 はっきり言って増税ですから、これは犠牲になるんですよ。  今大臣が言われたように、重点化するというお話がございましたけれども、今回、子育て世代の教育費の問題は、例えば経済的な負担が今大きい御家庭は就学前だけかというと、決してそうじゃないんですね。文部省の「子どもの学習費調査報告書」というのがございまして、これを見てみますと、保護者が学校へ直接支出する教育費というのは、給食費を合わせますと、年間で、公立小学校で十万二千四百九十七円、公立中学校でも十七万二千九百三十四円もかかっているわけです。これは一九九八年度です。  それで、今日の深刻な不況がどれだけ教育の現場や子供たちに、そして、教職員につらい思いに追い込んでいるか。こういう問題が幾つか出てきております。私がちょっと聞いたところでは、これは埼玉のある中学校から報告を受けたのですけれども、こういう訴えが載っておりました。  「給食費などの学校集金の未納が多くなっています。一割を超える保護者の銀行口座から給食費などの毎月の振替ができない学校も出てきています。しかし、年度末には数名程度に減ってきます。給食の献立に無理が出る、支払いができなくなってしまう、などなどの理由から、学校あげての未納一掃のとりくみの効果が出てくるからです。」「今年の春は、胸の痛む電話がいくつかありました。「去年の給食費のことですが、今度給料をもらったら、もっていきますので……。」という内容でした。お子さんが小学校六年の時にお父さんが病気になって収入が減り、お母さんがパートに出ていて、小学校六年生の時の給食費未納分を中学一年の夏にやっと納めたAさんです。」「現場では、教職員による未納一掃のとりくみが子どもや保護者の心をいかに傷つけてしまっているのか、気になりながらも、給食内容を落としたり、業者に支払いを遅らせるわけにもいきません。就学援助の認定基準が国の監査や指導により厳しくなっている中でも、申請者は増えてきています。就学援助制度の拡充、国や自治体からの公的援助が必要になってきています。」  本当に、給食費そのものも払えない子供さんたちがふえてきているという問題もかなり切実に訴えられているわけですね。そういう意味では、子育て支援のために重点化と言うけれども、今子供を持つ世帯には本当に経済的な負担が重くのしかかっているわけです。そういう点では、子育て支援のためには年齢を超えてすべての子供を持つ家庭支援が必要になってくるのじゃないでしょうか。その点、いかがですか。
  69. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどの先生のお話につきましては、私ども政治家の一人として謙虚に受けとめなければならない、こう思っておるような次第でございます。  年齢を超えてすべての子供さんに児童手当を、こういうような御主張のようにお伺いをしたわけでございますが、これは、当然のことながら、限られた財源の中においてこの児童手当あり方、それから、私も率直に申し上げておりますが、まだまだ一部に、特にマスコミの一部にはこの問題についてさまざまな問題提起がなされていることも事実でありまして、私どもはそういった問題のハードルも十分にクリアをして、財源の見通しもきちんと立てて、そして、先ほど来申し上げております児童手当の性格、位置づけというものも、これはきちんと書いてはありますけれども、細かい点において、では何に使われるのかと言われますと、これは何に使いませんということも指示できませんし、その辺のところは十分整理する必要がある、こう考えておるわけでございます。  現時点において、先ほどから申し上げましたように、これによって赤字国債を発行するということは、ひいてはその子供さんたちの借金になるのだということも私どもは十分に配慮しながら考えていかなければならない問題だ、こう考えております。
  70. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 何らかの施策で赤字国債を発行して大変なことになったという思いもにじみ出た御答弁でございましたけれども、私たちは、財源の問題について、赤字国債を発行するか、それとも別のところから増税してとってくるかなどという子育て支援は、やはり間違っていると思います。  日本共産党は、以前から、銀行支援あり方、むだな公共事業を見直して財源を確保しなさいということを一貫して主張してまいりました。税金の使い方にきちんとメスを入れて、そして、子育ての国の費用を抜本的にふやしていくというやり方を本当に検討しなければならないのに、ある意味では赤字国債か、それともどこかから持ってくるかという、その持ってき方が、子育て支援中の御家庭負担をかけて持ってくるなどというやり方は、本当に少子化対策という、政府自身の方針にも厚生省が取り組んできたものにも反するものだというふうに私は思うのですね。  財源問題でいいますと、今回の提案では、三歳以上就学前の児童手当分については、企業、事業主負担がなくなります。これは実施すれば大体千百億円ぐらいの負担軽減になるそうなのですけれども、今回、この企業、事業主負担をなくすというのは一体どういう理由なのでしょうか。これは結局、事業主の負担分を子育て中の国民負担に切りかえるものじゃないかというふうに思うのですね。  三月二十八日に私が本会議質問しましたが、大臣は経営者団体から要請を受けたものだというように答弁されました。どんな経営者団体から要請を受けられたのでしょうか。
  71. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これまでは、この児童手当というのは事業主の負担が七で公費の負担が三でございまして、私はかねてから、この児童手当というものを少子化対策の中核として、あるいは一つのシンボルまでいかないとしても重要な柱として位置づけるならば、公費の面でもっと積極的に支援をするべきだ、こういうことを申し上げてきたわけでございます。  そういう中で、恐らく、これも確固たる証拠を持っているわけではありませんが、事業主の負担が七で公費が三ということは、どちらかというと企業における福利厚生的な色彩からこの問題が浮かび上がってきたのではないかと私なりに考えておるわけでございますが、実は、今回の改正に際しまして、日経連からは昨年の十一月に、事業主負担を主な財源とする現行の児童手当制度の枠組みを前提とした拡充には反対である、こういうような意思の表示がございました。それから、少子化問題は国民的課題であるとの観点から、欧州各国と同様に児童手当の財源は本来全額税で賄うべきだ、総合的な少子化対策をすべきだ、こういうような御意見が出されたわけでございます。  そういうことを受けまして、また、私が先ほどから申し上げたような経緯を踏まえまして、今回児童手当の拡充を行うに当たりましては、財政、税制を通じて少子化対策の重点化を図る観点から、いわゆる年少扶養控除の見直しによって財源を確保することにし、新たな事業主負担というものは求めないことにしたわけでございまして、現下の厳しい経済財政状況における措置だというふうに御理解を賜れば幸いだと思っております。
  72. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 結局、日経連など財界の意向を酌んで決めたということなんですね。  今、児童手当支給の企業が減っているわけですけれども、所得の再配分という意味でも、将来の働き手を育てるために、企業が果たさなければならない社会的な責任というのは大きいわけです。中小企業への配慮は当然のものですけれども、事業主の拠出金の引き上げで児童手当充実させるという方法も大変重要だと私たちは考えています。  確かに七割がどうかという問題は今御指摘ありましたけれども、これを全くなくしてしまうなどというのは、そして、その分を国民に負担をかぶせるというやり方は、結局、企業・団体には耳を傾けるけれども国民の声は聞かないということになるのではないかというふうに思うのです。  私は、もう一点質問したいと思うのです。大企業の経営者の言い分には耳を傾けるけれども、零細な自営業者についてはどうかという問題です。  今回の特徴の一つに、拡充する三歳から就学前の子供について、サラリーマンや公務員には夫婦二人子供二人の家庭の所得額は四百七十五万円までは公費で支給されるわけですが、自営業者については本則給付の所得制限の二百八十四万までしか支給されません。対象者によって所得制限の基準が違うという制度はほかにあるのでしょうか。なぜ自営業者の子供さんは差別を受けなければならないのでしょうか。その点、いかがでしょう。
  73. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、後段のことでございますが、児童手当のように、サラリーマンと自営業者などとで所得制限が異なる制度はほかにございません。  それから、サラリーマンと自営業者などとで所得制限限度額が違っているのは、これは経緯がございまして、昭和五十七年に行財政改革の観点から所得制限を大幅に強化した際に、サラリーマンと自営業者などではおのずと所得分布が異なるという事情がございまして、サラリーマンの相当の部分が児童手当を受けられなくなってしまい、この両者で児童手当の支給率に著しい格差が生じることになるわけでございますので、そこで、特例給付というものを設けることによりましてサラリーマンあるいは自営業者の支給率を同程度に保つことにしたわけでございます。  こうした経緯がございまして、これまでも所得制限につきましては、サラリーマンと自営業者の間で支給率がほぼ同程度となるように、大体七割でございますけれども、設定しておるわけでございまして、こういう所得制限の仕組みは、サラリーマンと自営業者の間で所得形態が異なっていることから生じておるわけでございまして、私は、実質的に両者の平等を図ることになる、こういうふうに考えておるわけでございまして、今回もこの仕組みというものを踏襲させていただいた、こういうような経緯でございます。     〔委員長退席、安倍(晋)委員長代理着席〕
  74. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 サラリーマン世帯と自営業者の世帯の支給率を同程度、大体七割程度ということですけれども、七割程度とする根拠は一体何でしょうか。それには法的な根拠がございますか。お願いします。
  75. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 児童手当について所得制限を設けることは法律規定されておるわけでございますが、これによりまして支給率まで具体的に規定されているということは、率直に申し上げてございません。  児童手当の支給率につきましては、先ほど申し上げましたいろいろな経緯の中でおおむね七割ということが現在の水準になった、こういうような経過でございます。
  76. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 法的な根拠も、何で七割かという根拠も全然ないわけです。  今までの経緯の中でといいますと、実は一九九一年の三月十五日に、社会労働委員会で我が党の児玉議員の質問に答えて、当時の土井局長が、昭和五十七年以降の給付率は、自営業の場合には七四、五%、サラリーマンの特例給付になると八〇%で推移していることを確認しています。その年の一九九一年の予算は、児童数の八〇%を計上しているのですね。それで、この受給率は将来にわたって下げることはないかという児玉議員の質問に、局長は、支給実績というものを維持していくと明確に答えられているのです。  そのときには七四、五%、八割の計上をしているのに、突然七割が出てくる。一体この七割というのはどこから導き出されてきたのでしょうか。厚生省資料でも、一九九六年から九八年は六〇%台なんですね。七割でもないのですよ。  なぜ、八割は維持する、下げることはないと言っているのに、こういうばらばらなことがやられているのでしょうか。八割はなぜ維持されていないのでしょうか。いかがですか。
  77. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 児童手当の所得制限でございますが、制度の創設時におきましては、比較的緩やかな所得制限としていたということでございます。  先ほども申し上げましたが、その後、昭和五十七年に行財政改革の観点から所得制限を強化して、これではサラリーマンの方々児童手当の支給がごくわずかになってしまう、こういうことで特例給付を含めまして被用者と自営業者の支給率の均衡を図った、こういう経緯がございます。さらに、平成三年の第一子の拡大の際には支給率の実績を維持することなどの経過を経まして今日に至っておる、こういうことでございます。  それで、この平成三年の改正時に、おおむね七割から八割というような、要するに当時の支給実績を維持することを局長が答弁したということを御指摘でございますが、当然、これは所得によって変わるわけでございます。そういうこともございますが、その後、平成十一年には多子世帯を中心とした所得制限の引き上げを行うなどの改正を行うことによりまして、現時点ではおおむね七割の水準になっておるような次第でございます。  いずれにいたしましても、支給率についてはこういうような経過がございますので、従来の支給率を維持するという考え方に立っておおむね七割という現在の水準になった、こういうようないきさつでございます。
  78. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 いろいろないきさつがあってたまたま今回七割台だという程度の話なんですね。それまでにいろいろな経過も含めまして、六割台のときもあるし八割のときもあったわけですよ。だから、あえて七割に何が何でもこだわらなきゃいかぬなんて理由はないわけです。  所得が基準だというなら、所得が低ければ対象者がふえるということは当たり前であって、所得と関係なしに給付率が基準だというなら、別に所得制限の意味も全然なくなってしまうわけでしょう。所得制限と一方で言いながら、給付率はこういうふうに維持している。その維持もされていないという問題もあって、何か大ざっぱな、本当にちゃらんぽらんな発想で考えてみえる。  少なくとも、そういう言い分ではなくて、中小業者や零細業者の家庭も、そしてサラリーマン家庭も、やはり差別のないようにきちんとやるべきだ。とりわけ中小業者の場合は、母ちゃんが自分の働き分も認められていない状況出産手当もない、こういう差別を受けているわけですから。この際思い切って、サラリーマン世帯と自営業の家庭の平等と言うなら、所得できちんと平等に扱うというように考えるべきじゃないかというふうに思うのですけれども、その点での今後の改善見通しはいかがでしょうか。
  79. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 サラリーマンと自営業者との間で所得制限の限度額が違っている、サラリーマンと自営業者などの間で支給率をほぼ七割にしておるということについて、サラリーマンの場合は所得が上がるからもう六割でもいいんだ、こういうことなのかどうかよくわかりませんけれども、私どもは、これまでの経緯から、先ほどから申し上げておりましたように、サラリーマンと自営業者では所得形態が異なっている中で、実質的に両者の平等を図ることが公平なのではないか、こういう考え方に立っておるわけでございます。  それで、自営業者などの限度額をサラリーマン並みにするということにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、三歳未満につきましては全額事業主負担による特例給付を設けていることを考慮いたしますと、これは自営業者は納めておりませんが、そういうことを踏まえますと、率直に申し上げて、児童手当の財源構成にかかわる問題だ、こういうふうに考えておるわけでございます。  そういうような先生の御意見も一理あるし、全く否定できるものでないことも私もよくわかりますけれども、現実問題として、事業主からこれだけの御負担をいただいて、そして、先ほどから申し上げたように、企業の中における福利厚生的なものからスタートしたものが、今までは七対三で事業主が多かったのが、今度は七対三から六対四ぐらいで初めて公費が上回った、こういうことも十分に御理解をいただきたい。事業主の負担を一切なくすというならば、これはまた一つ考え方ではないか、こう思っています。
  80. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 時間が参りましたので、たくさんきょうは質問があったのですが、また次回に送りたいと思うのですけれども、全体的には、子育て支援と言うなら、もっと国の財政的な措置をきちんとやるべきだと思うのですね。そして、どの子にも平等に、自営業者だからという形で差をつけるのではなく、きょう準備してきた資料を御説明もできないのですが、世界的にも大変おくれている子育て支援の経済的な援助については、抜本的に引き上げるという立場でやる必要があるというふうに思います。  そういう点では、今回の児童手当法改正案は、子育て支援中の一番困難な家庭から財源を取るという点では全くいびつで、これは国民の願いとは相反するものだということを指摘して、今回の第一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  81. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員長代理 武山百合子さん。
  82. 武山百合子

    ○武山委員 自由党の武山百合子でございます。  少子化対策に対して私はきょう初めて質問するわけですけれども、まず大臣にお伺いしたいと思います。  先日、少子化に対する見解、今後の施策の方向についてある国会議員が本会議で聞いている中で、「二十一世紀の我が国を、家庭子育てに夢を持てる社会をつくっていきたい、このように考えている」と答えているわけです。まさにこの言葉のとおりだと思いますけれども、この大臣言葉を若いお母さんが聞いて、さて本当に子供を産む気になるかなと思いまして、社会に貢献する子供を産みたいという気持ちになるような夢を持てる社会をもっと具体的に語っていただきたいと思います。
  83. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 御指摘の問題でございますが、我が国におきます出生率低下の要因は未婚率の上昇でございますが、一生結婚をするつもりはないという女性はそれほど増加しているわけではございませんし、結婚いたしましても子供は欲しくないという夫婦がふえている状況ではないと承知いたしております。  こうした状況背景にいたしまして、結婚に関する意識の変化とともに、これまで、どちらかというとまだまだ職場において十分な御理解をいただけていない面があるわけでございます。こういったこともこれからは十分に配慮しなければならない。  私といたしましては、先ほどから申し上げておりますように、結婚出産はあくまでも個人的な自由でございますけれども、いずれにいたしましても、家庭を築いて子供を産み育てることを希望する若い男女が、希望どおり子供を産み育てながら一方で働くことができる社会家庭子育てに夢を持てる社会が必要だ、こう考えております。
  84. 武山百合子

    ○武山委員 大臣としてはちょっと元気のない声でお答えになったと思います。お疲れの御様子かと思いますけれども。  これは、今の話を聞いて、正直言って私が二十代だったらなんというふうに考えます。やはり、どんな夢を描いて家庭子育てというものができるかということがまず第一の目的だと思います。  日本の場合は物価が高くて、そして、今まで少子化対策でいろいろと議論されてきました多くの問題、教育問題、住宅事情、それぞれたくさん問題を抱えているわけですけれども、そういう中でもう少し具体的にこんな夢をという例を、日本少子化対策を本当に重要施策として考えている厚生大臣としては、もっと具体的に突っ込んで夢を語っていただきたいと思います。
  85. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほど来申し上げておるわけでございますけれども、現在の児童手当制度というものは、総給付費は十一年度で千八百億円、この三分の二を、千二百億円でございますが、事業主の拠出金によって賄っておるわけでございますが、少子化対策の重要な柱として国と地方がもっと責任を持って賄うべきものだ、こう考えているような次第でございます。
  86. 武山百合子

    ○武山委員 私の質問は、そういう財源を言っているんじゃなくて、どんな夢を持って家庭子育てができるかということを聞いておるのですけれども、全然かみ合わないような質問と答えでしたので、これはおきまして、次に移りたいと思います。  今回の改正では、拡充に要する財源をすべて一般財源で賄うわけです。これは現行制度ですとゼロ歳から三歳未満まではサラリーマン世帯と自営業者と公務員ということで分かれておるわけですけれども、三歳から就学前は公費で賄うということでございますけれども、私個人としては、やはり子育ては公費で賄うべきだと思っておる一人なんですけれども、なぜゼロ歳から三歳までを現行制度でやって、三歳から就学前は公費で賄うことになったのか、なぜ違いをつくったのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
  87. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これは先ほどから御質問ございましたけれども、自由党さんも当時参加していたわけでございますが、与党協議の中において、赤字国債を発行しないで年少扶養控除の廃止でしよう、そして、財政経済状況から見て事業主からの拠出が非常に困難である、こういう中において、確かに、ゼロ歳から三歳未満と、それから就学前との財源にはちょっと異なりがあるわけでございますけれども、とにかく私どもといたしましては、児童手当の対象を就学前までに拡充しようということを優先した結果、このようなことになったわけでございます。
  88. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、ゼロ歳から三歳までは将来公費で賄おうという青写真を描いておるんでしょうか。あるいは、このまま現行制度で、そして三歳から六歳は公費でというような、これをずっと持続する考えなんでしょうか。
  89. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まさにこれは経過的な措置でございますし、確かに、委員が御指摘のような、ちぐはぐという言葉が適当かどうかわかりませんけれども、当然そういうことも含めて今後検討していかなければならない課題だと考えております。
  90. 武山百合子

    ○武山委員 抜本的な改正平成十三年度に行いたいということですけれども、その辺も整理をしようというふうに考えておりますでしょうか。
  91. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 当然検討の課題に上がるものと考えております。
  92. 武山百合子

    ○武山委員 何か閣議があるということで、私も元連立にいた人間でございますので、一つだけ最後にいたしまして、どうぞ退席していただきたいと思います。  少子化の原因は未婚率が上がっているということにありますけれども児童手当を拡充しても未婚率上昇という問題に対する対策にはならないのじゃないかと思いますけれども、そこはどう考えておりますでしょうか。
  93. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 児童手当を拡充するからすぐに出生率が上がるとか、そういうような問題ではないと思います。私ども、先ほどから申し上げておりますように、あくまでも総合的な少子化対策の中において出生率というものは解決していくべきものではないかな、こう考えているような次第でございます。  ただ、現実問題として、我が国の急速な出生率低下の直接の要因といたしましては、未婚率の上昇であるとか職場環境であるとか、そのほか核家族であるとか都市化の進行、こういうような子育て仕事両立子育てそのものの負担感の増大というものがあるわけでございまして、こういった問題は、児童手当を含めまして総合的に対策を立てていくことによって少子化対策というものが十分に有効的な働きをする、このように考えているような次第でございます。
  94. 武山百合子

    ○武山委員 何かしり切れトンボになってしまいましたけれども、約束をいたしましたので——もう一つよろしいですか。  先日の、社会保障、少子化等に関する世論調査で、子育て環境整備のための方策ということで、労働時間の短縮だとか子育てが一段落した後もとの職場に復帰できる再雇用制度の普及とか、子育て環境整備のための方策はいろいろあるのですけれども、世論調査児童手当等の経済的支援の拡充というのは、順番でいいますと上位に入っていないわけなんですね。上位に入っていないにもかかわらず、この児童手当経済的支援の拡充という意味で位置づけてやろうとした理由は何なんでしょうか。
  95. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 調査によりましてこれがさまざまなばらつきがあることも紛れもないわけでございます。私の記憶しております調査では、経済的な支援による少子化対策を求める声が上がっておるということでございます。  いずれにいたしましても、この問題は、先ほどから申し上げておりますように、子育て環境整備としてどのような対策が必要かという観点から、保育所充実であるとか育児休業制度充実などと並んで子育てに対する経済的な支援も現に求められておるわけでございますので、総合的に、保育雇用教育住宅、こういった分野に有効的な施策を推進することによってより有効的になっていくのではないか、私はこう考えておりますし、今回の児童手当の拡充はこのような総合的な少子化対策の一環として行うんだということをぜひとも御理解を賜りたいと思っております。
  96. 武山百合子

    ○武山委員 経済的支援という立場からですと、例えば日本の小学校、中学校、義務教育の中で、アメリカなんかと比べますと非常にお金がかかるんですね。義務教育の中でもお金がかかる。それは、ドリルだとか種々の教材費、そういうもので大変日本お金がかかります。ちょぼちょぼちょぼちょぼ、何しろ父兄が支払うお金というのは、年間トータルすると結構なものになるわけなんですね。  ところが、アメリカの教育、地方分権されておりますので地域地域によって違いますけれども、幼稚園は小学校に併設されていますし、地方分権の中でほとんど高等学校まで義務教育のような状態でございます。それで、昼食以外はほとんどお金がかからないんですね、ゼロに近いぐらいなんですね。それが、日本の学校教育の中で、義務教育はもちろん、高等学校、大学と、大変教育費がかかる。経済的支援という立場から見ますと、そういう学校教育に対する経済的支援が、先進諸国と比べますと大変少ないと思います。それから、奨学金の充実だとか、そういう部分でも大変欠けていると私は思っている一人です。  そういう意味で、ゼロよりは出した方がいいとは思いますけれども、このたびゼロ歳から六歳まで出すことになりましたけれども平成十三年度にはきちっと抜本的に、先送りしないで、人頼みではなく、審議会頼みではなく、政治家が決断する、そういう方向でリーダーシップを、国会議員一人一人がしていかなきゃいけないと思っております。どうぞ、お互いに頑張っていきたいと思います。  以上です。どうもありがとうございました。
  97. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員長代理 次回は、来る十八日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時九分散会