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2000-03-14 第147回国会 衆議院 厚生委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月十四日(火曜日)     午後二時三十一分開議  出席委員    委員長 江口 一雄君    理事 安倍 晋三君 理事 衛藤 晟一君    理事 木村 義雄君 理事 田中眞紀子君    理事 金田 誠一君 理事 山本 孝史君    理事 福島  豊君 理事 吉田 幸弘君       伊吹 文明君    石崎  岳君       遠藤 利明君    大村 秀章君       奥谷  通君    鴨下 一郎君       鈴木 俊一君    砂田 圭佑君       田中 和徳君    田村 憲久君       戸井田 徹君    根本  匠君       桧田  仁君    堀之内久男君       松本  純君    宮島 大典君       山下 徳夫君    家西  悟君       石毛えい子君    五島 正規君       土肥 隆一君    中桐 伸五君       古川 元久君    遠藤 和良君       小沢 辰男君    大野由利子君       岡島 正之君    武山百合子君       児玉 健次君    瀬古由起子君       中川 智子君     …………………………………    厚生大臣         丹羽 雄哉君    内閣官房副長官      額賀福志郎君    厚生政務次官       大野由利子君    政府参考人    (総務庁人事局長)    中川 良一君    政府参考人    (法務大臣官房審議官)  渡辺 一弘君    政府参考人    (厚生大臣官房障害保健福    祉部長)         今田 寛睦君    政府参考人    (厚生省保健医療局長)  篠崎 英夫君    政府参考人    (厚生省生活衛生局水道環    境部長)         岡澤 和好君    政府参考人    (厚生省児童家庭局長)  真野  章君    政府参考人    (厚生省保険局長)    近藤純五郎君    政府参考人    (自治省行政局公務員部長    )            木寺  久君    厚生委員会専門員     杉谷 正秀君     ————————————— 委員の異動 三月十四日  辞任         補欠選任   砂田 圭佑君     奥谷  通君 同日  辞任         補欠選任   奥谷  通君     砂田 圭佑君     ————————————— 三月十四日  戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案内閣提出第二九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 二月二十九日  医原性クロイツフェルト・ヤコブ病に関する予備的調査要請書中川智子君外五十三名提出平成十二年衆予調第一号) は本委員会に送付された。     ————————————— 二月二十九日  介護保険緊急改善等に関する請願矢島恒夫紹介)(第一五七号)  同(春名直章紹介)(第二四九号)  同(山原健二郎紹介)(第二五〇号)  保育学童保育予算大幅増額保育施策拡充に関する請願石井郁子紹介)(第一五八号)  同(大森猛紹介)(第一五九号)  同(金子満広紹介)(第一六〇号)  同(木島日出夫紹介)(第一六一号)  同(児玉健次紹介)(第一六二号)  同(穀田恵二紹介)(第一六三号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一六四号)  同(佐々木陸海紹介)(第一六五号)  同(志位和夫紹介)(第一六六号)  同(瀬古由起子紹介)(第一六七号)  同(辻第一君紹介)(第一六八号)  同(寺前巖紹介)(第一六九号)  同(中路雅弘紹介)(第一七〇号)  同(中島武敏紹介)(第一七一号)  同(中林よし子紹介)(第一七二号)  同(春名直章紹介)(第一七三号)  同(東中光雄紹介)(第一七四号)  同(平賀高成紹介)(第一七五号)  同(不破哲三紹介)(第一七六号)  同(藤木洋子紹介)(第一七七号)  同(藤田スミ紹介)(第一七八号)  同(古堅実吉紹介)(第一七九号)  同(松本善明紹介)(第一八〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第一八一号)  同(山原健二郎紹介)(第一八二号)  同(吉井英勝紹介)(第一八三号)  同(瀬古由起子紹介)(第一九八号)  同(古川元久紹介)(第二五一号)  社会保障拡充に関する請願遠藤武彦紹介)(第一八四号)  同(田中慶秋紹介)(第一八五号)  同(藤本孝雄紹介)(第一八六号)  同(若松謙維君紹介)(第一八七号)  同(木村義雄紹介)(第一九三号)  同(津島雄二紹介)(第一九四号)  同(大畠章宏紹介)(第二〇〇号)  同(佐藤敬夫紹介)(第二〇一号)  同(中田宏紹介)(第二〇二号)  同(平林鴻三君紹介)(第二〇三号)  同(赤城徳彦紹介)(第二〇九号)  同(岡部英男紹介)(第二一〇号)  同(奥田建紹介)(第二一九号)  同(高市早苗紹介)(第二二〇号)  同(中路雅弘紹介)(第二三八号)  同(中谷元紹介)(第二三九号)  同(古川元久紹介)(第二四〇号)  同(松沢成文紹介)(第二四一号)  同(仙谷由人紹介)(第二六〇号)  同(相沢英之紹介)(第二六六号)  同(武村正義紹介)(第二六七号)  同(棚橋泰文紹介)(第二六八号)  同(今田保典紹介)(第二八三号)  同(田村憲久紹介)(第三〇〇号)  看護婦の増員・夜勤改善に関する請願瀬古由起子紹介)(第一九一号)  介護保険緊急改善に関する請願瀬古由起子紹介)(第一九二号)  同(中路雅弘紹介)(第二三四号)  同(松本善明紹介)(第二三五号)  医療費負担引き上げ反対介護保険緊急改善に関する請願生方幸夫紹介)(第一九五号)  同(瀬古由起子紹介)(第一九六号)  同(中林よし子紹介)(第二四二号)  同(平賀高成紹介)(第二四三号)  同(中田宏紹介)(第二六一号)  保険によるよい歯科医療実現に関する請願瀬古由起子紹介)(第一九七号)  同(中林よし子紹介)(第二四四号)  同(平賀高成紹介)(第二四五号)  准看護婦准看護士養成停止看護婦看護士への移行教育早期実現に関する請願  (瀬古由起子紹介)(第一九九号)  臍帯血保存管理に要する費用医療保険適用等に関する請願堀込征雄紹介)(第二〇八号)  高齢者の生活安定と医療に関する請願大口善徳紹介)(第二一八号)  公的年金制度改善に関する請願寺前巖紹介)(第二三二号)  あん摩マツサージ指圧師はり師、きゆう師等に関する法律第十九条の改正に関する請願藤木洋子紹介)(第二三三号)  患者負担の再引き上げ中止、安心してかかりやすい医療に関する請願松本善明紹介)(第二三六号)  同(矢島恒夫紹介)(第二三七号)  介護保険における国庫負担増などの緊急改善に関する請願玉置一弥紹介)(第二四六号)  国民健康保険制度充実・発展に関する請願木島日出夫紹介)(第二四七号)  同(児玉健次紹介)(第二四八号)  食品安全確保対策に関する請願堀込征雄紹介)(第二五九号)  総合的難病対策早期確立に関する請願大野功統紹介)(第二九八号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願大野功統紹介)(第二九九号) 三月二日  社会保障拡充に関する請願中村鋭一紹介)(第三〇九号)  同(根本匠紹介)(第三一〇号)  同(藤井孝男紹介)(第三一一号)  同(福島豊紹介)(第三五七号)  同(渡辺具能紹介)(第三五八号)  同(加藤卓二紹介)(第四〇三号)  同(中山太郎紹介)(第四〇四号)  同(根本匠紹介)(第四〇五号)  同(伊藤忠治紹介)(第四三八号)  同(石井郁子紹介)(第四三九号)  同(穀田恵二紹介)(第四四〇号)  同(辻第一君紹介)(第四四一号)  同(寺前巖紹介)(第四四二号)  同(東中光雄紹介)(第四四三号)  同(平沢勝栄紹介)(第四四四号)  同(藤木洋子紹介)(第四四五号)  同(藤田スミ紹介)(第四四六号)  同(吉井英勝紹介)(第四四七号)  同(玄葉光一郎紹介)(第四五四号)  介護保険国民健康保険改善に関する請願木島日出夫紹介)(第三四八号)  同(児玉健次紹介)(第三四九号)  同(穀田恵二紹介)(第三五〇号)  同(中路雅弘紹介)(第三五一号)  同(中林よし子紹介)(第三五二号)  同(平賀高成紹介)(第三五三号)  同(不破哲三紹介)(第三五四号)  同(矢島恒夫紹介)(第三五五号)  同(山原健二郎紹介)(第三五六号)  介護保険緊急改善に関する請願木島日出夫紹介)(第三八一号)  同(児玉健次紹介)(第三八二号)  同(瀬古由起子紹介)(第三八三号)  同(寺前巖紹介)(第三八四号)  同(中路雅弘紹介)(第三八五号)  同(中島武敏紹介)(第三八六号)  同(中林よし子紹介)(第三八七号)  同(春名直章紹介)(第三八八号)  同(古堅実吉紹介)(第三八九号)  同(松本善明紹介)(第三九〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第三九一号)  同(木島日出夫紹介)(第四五三号)  患者負担の再引き上げ中止、安心してかかりやすい医療に関する請願金子満広紹介)(第三九二号)  同(木島日出夫紹介)(第三九三号)  同(児玉健次紹介)(第三九四号)  同(佐々木憲昭紹介)(第三九五号)  同(佐々木陸海紹介)(第三九六号)  同(志位和夫紹介)(第三九七号)  同(中林よし子紹介)(第三九八号)  同(春名直章紹介)(第三九九号)  同(藤木洋子紹介)(第四〇〇号)  同(松本善明紹介)(第四〇一号)  同(吉井英勝紹介)(第四〇二号)  医療費負担引き上げ反対介護保険緊急改善に関する請願平賀高成紹介)(第四〇六号)  保険によるよい歯科医療実現に関する請願平賀高成紹介)(第四〇七号)  臍帯血保存管理に要する費用医療保険適用等に関する請願小川元紹介)(第四〇八号)  同(小坂憲次紹介)(第四〇九号)  同(宮下創平紹介)(第四一〇号)  同(村井仁紹介)(第四一一号)  同(木島日出夫紹介)(第四五五号)  食品安全確保対策に関する請願小川元紹介)(第四一二号)  同(小坂憲次紹介)(第四一三号)  同(宮下創平紹介)(第四一四号)  同(村井仁紹介)(第四一五号)  同(木島日出夫紹介)(第四五六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  厚生関係基本施策に関する件     午後二時三十一分開議      ————◇—————
  2. 江口一雄

    江口委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として総務庁人事局長中川良一君、法務大臣官房審議官渡辺一弘君、厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君、厚生省保健医療局長篠崎英夫君、生活衛生局水道環境部長岡澤和好君、児童家庭局長真野章君、保険局長近藤純五郎君及び自治省行政局公務員部長木寺久君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 江口一雄

    江口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 江口一雄

    江口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本孝史君。
  5. 山本孝史

    山本(孝)委員 山本孝史でございます。  大臣、お疲れさまでございます。  きょうは、私は、医療事故、児童虐待問題、そしてたばこの問題について大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  まず医療事故の問題ですけれども、昨年の一月の横浜市立大の附属病院患者取り違え事件というのがありまして、それ以降随分と医療事故新聞に出てくるようになりました。都立の広尾病院の輸液の間違い、あるいは私の地元の国立循環器病センターでは女の子が手術中に薬剤の投与ミスで亡くなってしまう、あるいは京大病院人工呼吸器加温加湿器に水と間違えて消毒液を注入して亡くなってしまう、日赤病院等々でも事故が続いております。  病院名を見ておりますと、日本一流病院と呼ばれている病院のレベルが決して高くないというのが率直な思いであります。表に出ない医療ミスあるいは医療過誤というのはもっと多いのではないか、新聞に出てくるのは氷山の一角ではないかという思いがしてならないわけであります。  大臣にまずお伺いをさせていただきたいのですが、こうした医療事故がなぜ防げないのか、どこに問題があるというふうに大臣はお受けとめになっておられるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  6. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 最近、大病院におきまして初歩的な医療ミスによって人命を失われるケースが大変多いということで、私自身大変この問題を深刻に受けとめておるわけでございます。  そこで、なぜこういうようなミスが起きるのかという問題につきましては、これまでも再三にわたりまして厚生省として議論をしてきたところでございます。  私は、医療事故を防止するためには、まず職員の方々、一人一人が患者を預かっていらっしゃるという意識を常に忘れないで安全に十分に配慮する、これは一つの姿勢の問題でございますけれども、そのことが大変重要ではないかなと思っておるような次第でございます。  それから、大変高度に複雑化いたしました現代医療におきましても、職員個人努力に依存をいたしました取り組みの中ではおのずと限界があるわけでございますので、個人が仮にミスを犯しましても、これを事故に発展させないようなダブルチェックということも大変重要ではないか、このように考えているような次第でございます。  いずれにいたしましても、私といたしましては、職員意識や組織的な取り組みに欠けているのではないかと考えておるわけでございますし、できるだけ早い機会に医療関係皆様方にお集まりをいただき、私から直接、積極的にこの問題に取り組んでいただくよう働きかけを行っていきたいと思います。しかも、一回限りの集まりではなくて、同じような容器が並んでいるとかさまざまな問題が指摘されておるわけでございますので、そういう点を含めまして、少し継続的で実効性のあるものにしたい、このように考えているような次第でございます。
  7. 山本孝史

    山本(孝)委員 一人一人の意識の問題で、努力で何とかとめられるところもあるのかもしれませんけれども、今ずっと横浜市大の事故以来、患者取り違え医療過誤事件検討委員会でしたか、やっておられて、その中でリスクマネジメント手法を取り入れるべきだとおっしゃっておられるわけですね。  薬害エイズ事件があった後、あのとき菅厚生大臣がNIRAにお願いをされて、同じくリスクマネジメント手法を取り入れないと今医療現場は変わらないのではないかという、実は答えは一つ出ているわけですね。  そういう意味で、今度関係の皆さんとお話し合いをされるというのは新聞で私も読んでおりますけれども、具体的に何をしなければいけないというふうに大臣は思っておられるのか。  あれだけ新聞に出てくる中で、今さらながら一人一人の努力という話でもないだろう。御自身として、どこに問題があるというふうに薄々感じるというか、あるいは長年厚生行政にお取り組みをされてこられた御経験の中から、医療現場の中でこれだけ医療ミス医療過誤が起きてくるのはどこに問題があるというふうに大臣はお受けとめになっておられるのか、いかがでございますか。
  8. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 難しい御質問でございますが、私が例えば人間ドックなんかへ行きまして点滴を受けたとしますね。そうすると、点滴に必ずマジックで書くのですね。よく見ると針の先のところ、色でわかるらしいのですが、そういうようなことをこれだけ医学が進んでいる中においてやっていかないと済まないのかどうかという問題。  つまり、先ほどもちょっと申し上げました容器の問題、この辺、薬などに比べておくれているのではないかというお話も聞きました。要するに薬の場合は色であるとか全部番号が振ってありますね、こういうようなものがあるわけでございますが、注射液にもそういうようなものが必要なのではないか。  それから、一番大きな問題としては、病院も大変忙しいわけでございますので、一人の人間がすべてやるという中においてやはりチェックする機能というものが必要なのかどうか。  こういうことを含めて、マニュアルマニュアルとしてつくったわけでございますけれども、ここはひとつ、これまでのことはこれまでのこととして、とにかく一から出直しして、要するに人命尊重を第一にする、医療信頼の根幹にかかわる問題である、こういうことからお願いしたい、このように考えております。
  9. 山本孝史

    山本(孝)委員 マニュアルをつくることはつくったんだけれどもとおっしゃいました。マニュアルをつくったけれども動かない。今、国家公安委員会なんかを見ていてもそうですけれども、組織をつくったけれども人が全然動かないというのと同じだと思うのですね。  私も短い経験ながら、いろいろと新聞に出てくる話、あるいは書いてあるものを読んでも、やはり病院機能評価、質の評価が進まない。あるいは、お医者さんがいろいろな領域に手を出される、専門医という制度を今つくりながらなかなかそれが進んでいかないという部分もあります。  今、忙し過ぎるからとおっしゃいました。今度の診療報酬の改定、看護婦さんの配置基準の問題、いろいろともめましたけれども、看護婦さんの数は足りているのか足りていないのかといったところも大いに議論になっていますね。あるいは、麻酔の費用にしても診療報酬上もっときっちりと評価をしてあげないと、それは事故も起きちゃうだろうという声もあるわけで、ある意味ではいろいろな場面場面で必要なことは言われてきている。それがなかなかそのとおりに動いていないという印象を私は持っているのですよ。  今度通達を出されて、安全管理のための指針の整備をされる、あるいは医療事故等院内報告制度を準備される、それから安全管理委員会を開催する、職員研修を開催するということを、この四月以降、特定機能病院には求めておられるわけです。  ここでいろいろ出てくるものをほかの病院にもとおっしゃっているのですが、医療事故発生状況を見ていますと特定機能病院だけには限らない話なので、私は、厚生省通達でこうした病院医療事故防止のための施策を求めておられますが、何ら特定機能病院だけに限定される必要はないのではないか、特定機能病院以外にもそうした施策を求めるように通達をお出しになる方がいいのではないかと思っているのですが、この点はどうでしょうか。
  10. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 特定機能病院につきましては、高度な医療の提供を行う、こういう観点から、一般医療機関に求められている以上により高度な安全管理取り組みをする必要がある、そういうことで安全管理体制充実に向けた制度改正を行っているわけでございます。  当然のことながら、ほかの医療機関におきます事故予防対策の実施に役立てていただくために、特定機能病院におきます安全管理体制整備状況調査して、その結果を具体的な取り組み事例として周知徹底をしていきたい、こう思っております。  さらに、厚生省といたしましては、医薬品の容器などにつきまして医療ミスを起こしにくいものに改めるシステムを構築するとともに、国立病院とか療養所向けの具体的な事故防止マニュアルを策定することにいたしております。これらの成果を幅広く医療機関周知徹底していきたい、このように考えております。
  11. 山本孝史

    山本(孝)委員 さっき、マニュアルもつくったのだけれどもとおっしゃいましたね。今度、特定機能病院にさらにこういう体制でやりなさいということで指示を出すわけですね。特定機能病院は、残念ながら、安全のための院内報告制度等整備されていないところもあるし、そのルートもはっきりしていないところもあるし、せっかく報告されても、それを検討してどう生かしていくのかやっていないところもいっぱいあるわけです。  だから、特定機能病院をモデルにして、そこで何か出てきたものをほかの病院に広めていこうという考え方ではなくて、今はもうそれどころではなくて、日々いっぱい起こっているわけだから、すべての病院に同じように、院内報告制度をつくるとか、それの検討委員会をつくるとか、それでどうやっていったらいいのかということを中で検討するとかということを求めるべきではないか。  なぜ特定機能病院にだけ通達で求めていくのですか。ほかに大きな病院はいっぱいあるわけです。特定機能病院の中には公立病院は入らないわけだし、そういう意味では、もっと多くの病院に、院内委員会をつくりなさい、自分たち事故を防ぐための体制をどうしたらいいのか考えなさい、やるところ、やらないところとあるだろうけれども、やれるところはやれというふうに言うのが厚生省の当然の立場ではないですかというのが私の質問なのです。
  12. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 全く委員と同じ認識でございます。  今三月ですが、今度、三月の中ごろにお集まりいただく病院は、一般民間病院を初めとして公的な病院も含めて幅広く集まっていただいて、これはこれとして、全般的に、要するに病院全体におきますこういう問題を深刻に受けとめていただいて、医療機関に対する患者さんの信頼回復に役立てるようにしたい、このように考えているような次第であります。
  13. 山本孝史

    山本(孝)委員 医療関係団体とお話し合いをされる中で、いろいろなことをおっしゃると思うのです。そんなことは忙しくてできませんとか、体制はありませんとか。しかし、そこはきっちりと指導していかれるべきだと思うんです。  もう一つ、きのうもいろいろお聞きしたのですが、一体医療事故だとか医療過誤だとかニアミスだとかはどのぐらい起こっているのですかという話を聞いても、今そんな定量的な話をしていても意味がないので、その統計はありませんが、事例はありますよと言うので、事例は見せていただいたわけです。  しかし、私は、クリントンさんもアメリカで医療事故対策宣言というのを出してやるそうですけれども、日本でも我々がやはり安心してかかれる医療体制というのは二十一世紀にとても大切だと思いますし、医療の質を上げるという意味で、今どんなことが起きているのか国民が知ってもいいんだと思うのです。そういう意味で、統計をとられてはどうですか。  それから、病院とかお医者さんに、そうした医療事故過誤の問題について届け出をすることを義務づける。そして、それを厚生省なりそういう全国センターで受けとめてきっちり分析をしていく。  各病院に任せておくのではなくて、厚生省全体で、国全体で、とにかく医療の安全を確保していくために、繰り返しますが、まずはちゃんとした数字を集めるような調査をしなさい、それから、病院やお医者さんに届け出の義務づけをしなさい、そして、それをちゃんと分析する窓口をつくりなさいというのが私の要望なんですが、以上三点、お願いします。
  14. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 数字の問題につきましては、ちょっと事務局と検討させていただきます。  医療事故届け出制度でございますが、刑法上の責任を問われかねない医療事故につきまして、果たしてその当事者である医師に正確な報告を求めることができるのかどうかということが一点ございます。それからもう一点は、届け出を義務づける医療事故の範囲をどのように定義づけるのか。それから、三番目といたしましては、患者のプライバシーにかかわる問題をどのように考えていくのか。そして、捜査権を持たない厚生省届け出の内容の正確性をどのように把握するか。こういった問題点がございます。  いずれにいたしましても、こうした問題につきましては慎重に検討していく必要があると考えています。
  15. 山本孝史

    山本(孝)委員 薬害エイズのときにも申し上げましたが、医薬品副作用情報を集めるということについても、政務次官も薬剤の点はよく御存じだと思いますけれども、そういうところへ行っても、何が免責範囲だとか、何が報告届け出義務だとか、そういうしゃくし定規な話ではなくて、どういう体制をつくっていくかということだと思うのです。その前提として、まず、病院内に、病院内のどの現場で何が起こっているのかを把握するような委員会なりをつくる、それは特定機能病院だけの話じゃないですねというのが私のきょうのお話です。先ほど前向きなお答えもいただいたように受けとめましたので、ぜひ対応していただきたいというふうに思います。  これ以上大きな病院、有名な病院医療事故新聞に出てくるのは懲り懲りでございます。どの病院に行っても死んでしまうというのでは、かないません。二十一世紀は、ちゃんとした医療にしていかなければいけないと思います。(発言する者あり)私は、これは病院の大きさには全く関係ないと思うのです。そういう意味ではよろしくお願いします。  もう一つは、児童虐待の問題です。  先般、福岡県の那珂川町で、中学生がお母さんを死なせてしまう事件がありました。見ておりましても、福祉事務所あるいは児童相談所の対応に問題はなかったのだろうかと首をかしげざるを得ない部分もあります。一連の経緯をどういうふうに御報告を受けておられるか知りませんが、厚生行政の責任者として、今回のこの福岡の一件をどんなふうに受けとめておられるのか、まず御見解を承りたいと思います。
  16. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 御指摘の事件につきましては、児童相談所、福祉事務所、学校などが連携して協議を行いながら対応している、こういうふうに聞いておるわけでございますが、結果として児童が母親を死亡させるという大変痛ましいことになりましたことは、大変残念と考えております。  厚生省といたしましては、これを教訓にいたしまして、現場のそれぞれの機関の連携と役割分担のあり方についてさらなる工夫を行うよう努力してまいりたいと思います。いずれにいたしましても、こういうようなことを再び起こさないように十分に児童相談所、福祉事務所、学校関係者がきちんと対応していくことが何よりも大切である、このように考えているような次第でございます。
  17. 山本孝史

    山本(孝)委員 お忙しいと思うので個々のケースの御報告が多分耳には届いていないと思うので、改めて私の方から若干私なりに説明を受けているところでお話をすれば、今最後におっしゃいました、連携をするところの工夫をどうするかという部分ですね。今回のケースは、学校と児童相談所と福祉事務所の連携が絶対悪かったと思うのです。  なぜかといいますと、これはもともとの話、新聞であるいは御報告いただいた中で聞いていることですが、一昨年の六月に会社が倒産をする。それをきっかけに、去年の三月に両親は離婚される。翌月から生活保護を受けておられるのですね、去年の四月からずっと生活保護を受けておられる。それで、お母さんが酒におぼれて養育できないという状態になっておられる。  ところが、学校関係者の話によればと新聞に載っているのを見ますと、去年の四月から生活保護を受けられて、去年の七月には母親が学校に次男が暴力を振るうとたびたび相談に行っている。母親が食事をつくってくれないのだということを子供は一生懸命学校の先生に伝えているわけですね。その中学は弁当持参なんだけれども、この兄弟はいつも売店でパンを食べている。学校の先生の話として、洗濯していない汚れた服を着ているとか、日常生活に不自由している様子がうかがえたと。だから、今どういう家庭状況になっているかということは学校の先生方はよく知っていたのだと思います。  それが、長女がことしになって家出をする。そして、ことしの二月になってようやく学校なり児童相談所なり福祉事務所の方たちが集まって善後策を協議されるということですが、去年の夏からずっとその状態が続いているわけですね。その間に、なぜ学校側がちゃんと児童相談所に通知をして、そして児童相談所の方、福祉事務所の方が一緒になって、例えばお弁当を配ってあげるとか宅配してあげるとかホームヘルパーさんが行くとかという形でその家庭を支えてあげることができないのだろうか。  長女が家出して、とにかくもうぎりぎりのところまで来て、ようやく児童相談所も手を出そうかと思っていたら、結局この事件が起きてしまった。だから、これはどう見ても、周りの大人が子供を犯罪者にしてしまったという大変にかわいそうな話だと私は思うのです。  そう考えると、後でももう一遍お願いしたいのですが、今、児童福祉法の改正あるいは児童虐待防止法をつくるかつくらないかでいろいろ議論がありますけれども、その中で一番あるのが通告義務ですね。通告を義務づけしてあるわけです、通達も出ているわけです、ところが、学校の先生方はそうなっていないのですね。児童相談所も行かない、福祉事務所ももう一つ踏み込まない。  そういうふうな事例を見ていますと、単に我々がこの東京であるいは大臣が机の上で考えている話じゃなくて、現場はもっとみんな腰が重いですよ。だから、児童家庭局長に聞けば通達を出したばかりで法律改正するのはどうかとおっしゃるのだけれども、ある程度背中を押してあげないと現場は動かないのじゃないですか。そんな思いがしてならないのです。御所見はいかがでございますか、今のようなお話を聞かれてどんなお心で受けとめておられますか、お伺いしてみたいと思います。
  18. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 要はそれぞれの役割が、十分に対応がされておらないというところにあるわけでございます。そういう中で児童虐待をいかにして防止するか、今議員立法の動きが、児童虐待防止法ですか、こういうような話も出ておると聞いておるわけでございますが、現在よりも実効的に一歩後押しをするものであるならば、当然そういうものがあってしかるべきだ、私はこのように考えております。
  19. 山本孝史

    山本(孝)委員 厚生省から通達を出されておるのは平成九年の六月ですね。そこにはちゅうちょせずにちゃんとやりなさいというふうになっていても、現実問題はそうなっていない。テレビで見ている限り、あの児童相談所の所長さんもいろいろお話しされますけれども、私たちにはそんな権利は与えられていませんからという言葉もあったりして、私は、もっと学校関係者とのつながりがよかったらこんな事件にはならなかったのになと。  在宅で子供たちを支援してあげるのであれば、やはり福祉事務所なりが生活保護費を出すだけじゃなくて食事もさせてあげる、あるいはホームヘルパーさんも行くというような……。福祉事務所の職員もケースワーカーが少ないから大変だと思いますが、民生委員とのつながりとか地域のいろいろな資源をもっと利用すれば、ここまで追い込まなかったのじゃないかという気がしてならないのです。これは大人社会全体と言いましたけれども、私は、厚生省の考えをもう一つ変えていただきたいなと思うのです。  もう一遍聞きますけれども、児童虐待防止法にしろ何にしろ、毎日新聞によると、八割の児童相談所が親権を一時停止する措置を求めておられるわけです。法律改正を求めておられる声は現場の方にはかなりあると思うのですが、そこは大臣のお受けとめは違うのか、あるいは改正の必要はないというふうに思っておられるのか、その辺はどうなんですか。
  20. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ただいま例えば児童福祉法とかそれぞれの法律がございますが、先ほど山本委員から御指摘がなされましたように、一歩押してやらなくちゃだめじゃないか、そうしたらより有効的に働く、こういうような確信といいますか、そういうものであるならば、私は、今議員の間に芽生えております児童虐待防止法のような新たなものも当然のことながらあってしかるべきだ、このように考えているような次第であります。
  21. 山本孝史

    山本(孝)委員 本来ちゃんと法律に通告義務が書いてあるにもかかわらずそれが生きていないという意味では、もっとお医者さんとか教員とかは通告しなければいけないんだと例示して法律の中に書けば、その方たちの意識は変わります、罰則までつけるのはどうかと思いますけれども。相談所の人員をもっとふやしてあげるとか、あるいは専門性を高めてあげる。後で一時保護するにしても、場所がないというような問題もありますし、養護施設も今定員がいっぱいになっているという問題もありますし、法律改正一つだけではないと思いますけれども、もっと子供たちを本当に守るんだという社会全体の姿勢がないと、これはどうしようもないと思うのです。  その点でもう一つお願いをさせていただきたいのですが、これも同じように、宇都宮で二歳の女の子が食べるものがなくて凍死してしまうという大変痛ましい事件が新聞に報道されました。社会の隅っこでだれにも気づかれずに、若い母親と幼い女の子が食べるものもなく、一生懸命くんでこられるだけの水道で飢えをしのいで、小さくなっていくおなかを見ながら子供が亡くなってしまうという、日本がこれだけ繁栄している中で、こんな貧困というのは私は考えられないのですね。  そんなふうに思いますと、社会の仕組みとかいろいろ考えるところはあるんだけれども、あのお母さんは生活保護を全然知らなかったと言いますけれども、やはり学校教育を通じて人権という問題を子供たちにもっと教えていかないと、情報として自分たちを守るすべを与えていかないと、これ以上は防げないのではないかと思うんです。  今、人権教育や人権啓発法をつくったらということで部落解放同盟とか運動をしているわけですけれども、大阪にも人権教育のための国連十年大阪府行動計画というのがありまして、一生懸命その中で取り組みをしています。福祉関係者に対する人権教育の充実を図るというのもありますが、私が思いますのは、学校教育で、社会保障というものに対して、それは権利なんです、後ろめたさを感じる必要はないんです、生活保護は権利として受けていいんですよと。  私はずっと交通遺児家庭の援助をしてきましたけれども、九割まで母子家庭で生活保護を受けたがらないんですね、生活保護水準以下でみんな頑張っている。いや、そうじゃないよ、ここはみんなの力をかりて、ちょっとここで立ちどまって、とまり木の上にとまって、それで自分たちの家庭をもう一遍立て直すということでいけば生活保護を受けたっていいじゃないのと言うんですが、なかなか皆さん受けられない。それは、やはり社会保障とか生活保護とか社会福祉というものに対する意識を市民が学校教育の中でちゃんと教えられていない、こういうふうなところに思いが至らないのではないかなと思うんです。  きのう質問取りに来られたので、文部省の守備範囲かもしれないけれども、学校教育プログラムの中で人権というものを教える、あるいは、社会保障、社会福祉システムについて、制度の仕組みを教えるのじゃなくて、そういうものがあるよ、使えるよということを、例えば童話のような形でもいいし、いろいろな形でもって子供たちに教えてあげる。児童虐待の話にしても、CAPの皆さん一生懸命やっていますけれども、子供たちにそういう意識を持たせることがとても大切だと思うんです。  ちょっと守備範囲を超えるんですけれども、文部省と協力しながら、そういう社会保障に対する意識を高めてもらうようなプログラムを開発して、ぜひ実施をしていただきたいとお願いをしておるんですが、いかがですか。
  22. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 宇都宮におきます事件は、委員御指摘のように、まさに豊かさの中の貧困ではないか。まことに痛ましい事件でございますし、最低生活を保障する生活保護による援助が、結果として最も援助を必要とする家庭に届かなかったということで、大変遺憾に思っているような次第であります。  生活保護制度を初め社会福祉制度につきましては、たとえ本人が詳しい仕組みを知らなかったとしても、地域全体で困窮している方々を見守って、今学校の話も出ておりましたけれども、必要な支援が行われるようにすることが何よりも大事なことではないかな、こう私は考えております。  こうしたことから、厚生省といたしましては、社会福祉制度の周知につきまして、委員が御指摘のように学校教育などとの連携を図りながら、その徹底を今後図っていくことが何よりも大切だ、このように考えているような次第でございます。
  23. 山本孝史

    山本(孝)委員 質問が長くなって答えるのがあれになってしまうのかもしれませんが、ぜひ学校教育プログラムで人権というものを教えていく、あるいは子供たちにちゃんと権利があるということを教えてあげる、そういうものは文部省と厚生省の中で考えられないですか。そういう連携をしてみようという気はないですか。
  24. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 当然、考えられ得るものと考えております。事務局同士でその辺のところをよく相談をさせたい、このように考えております。
  25. 山本孝史

    山本(孝)委員 よろしくお願いさせていただきたいんですが、その前提として、人権ということについては、厚生省の中の高齢者の部分でも障害者の部分でも、それからいろいろな部分でも、それぞれの方たちは当然考えておられると思うんです。思うんですけれども、厚生行政、福祉行政がそういう個々の人たちの人権というものを大切にしながら動いているんだということを、厚生省の中で施策をチェックする、進行状況を調整するような部局が、聞きましたら、ないとおっしゃったので、官房かどこかが中心になってそれぞれの施策がどう動いているのか、もっと人権というものに配慮した政策展開をどうしたらいいのか、各担当は考えておられるけれども、省全体でそういうものを考えるような仕組みづくりは考えられないですか。
  26. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これまでも、こういった問題につきましては、必要に応じて関係者の皆様方にお集まりをいただきまして、やってまいりました。  それから、他省庁の問題も、要するにこれから横断的に考えなければならない問題でございますので、当然のことながら、十分に実務者レベルで綿密な打ち合わせをして、いずれにいたしましても、前者の問題にいたしましても、この問題にいたしましても、より実効性が上がるようにしていかなければならない、このように考えています。
  27. 山本孝史

    山本(孝)委員 人権教育のための国連十年があって、今動いています。国際課で担当しておられるそうですけれども、国連だから国際課というのじゃなくて、ぜひ厚生行政全体で考える仕組みにしていただきたいというふうに思います。  質問時間がなくなってしまいそうなので、もう一つのたばこと健康被害の問題。  実は、私、委員会があるたびに取り上げて、この間の予算委員会分科会でも大蔵大臣にお願いをさせていただいたんですが、丹羽厚生大臣はたばこをお吸いになるのでしょうか。
  28. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 たばこは吸いません。
  29. 山本孝史

    山本(孝)委員 これは、吸う人も吸わない人も同じ問題だと思うんですが、今回、例の健康日本21の中の目玉とされていた、二〇一〇年までに成人の喫煙率を半減するという問題。どういういきさつがあって消えてしまったのかというのは、お答えいただけるようでしたらお答えいただければと思いますけれども、私は、ぜひ厚生省として禁煙を進めていく施策をもっと強めていただきたいというふうに思うんですが、大臣の御所見はいかがでございますか。
  30. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 健康日本21、私もこれは非常に関心を持っておりまして、アメリカで先駆けてやって、実際にこれを手がけた方にお目にかかってきたこともあるんです。  この検討課題の中で、さまざまな目標などについて議論をいたしました。公開の審議でこれを行ったと聞いておりますが、たばこに限らず、率直に申し上げて、いろいろな関係団体の皆さん方からさまざまな御意見が出てきたりなんかして、最終的にこのような結論になったのではないかと私は認識いたしておるわけでございます。  喫煙率の半減の目標の見直しは、もともとの目標を取り下げたとかというような問題ではなくて、現実的に国民運動としてこれを今後広げていくためにやはり国民の皆さん方の御理解を得ながら進めていかなければならない、こういう観点からこういったような結果になった、このように承っているような次第でございます。  たばこで一番問題になります未成年者の喫煙の防止には、自動販売機に販売の制限とかあるいは広告規制、こういうものが一番効果があると承知をいたしておるわけでございまして、これまでは業界の自主規制によりまして、深夜の自動販売機によります販売の自粛であるとかあるいは電波媒体を通じました銘柄広告の制限など、さまざまな形で行ってきておるわけでございます。  今後とも、関係する業界を初め関係省庁とも十分に連絡をとりながら、私ども、数字を入れる入れないは別問題として、喫煙をできるだけ少なくしていこうではないか、こういうことに努力をしていきたい、このように考えているような次第であります。
  31. 山本孝史

    山本(孝)委員 ことしは未成年者喫煙禁止法百年ということで取り組みをしておりますけれども、今おっしゃいましたように、他省庁との関連の中で、とりわけ大蔵省、あるいは農林省だと思うんですけれども、たばこ事業法は大蔵省が所管しています、広告規制も大蔵省がやっています、未成年者への販売の制限の問題も大蔵省なんですね、そういう意味で、大蔵省に、税収が絡んでいる話ではあると思うんですが、たばこ事業法の中でしっかりとたばこの健康被害を防止するような施策をもっと強力にやってほしい、厚生省としてはそういう立場なんだということで申し入れをしていただくようぜひお願いしたいのですが、いかがですか。
  32. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これは私どもが申し上げるまでもなく、実際にたばこが有害であるというのはいわば社会的な常識になってきておるわけでございますから、十分に御理解はいただけると思います。  ただ、現実問題、さまざまな経緯がございましてこのような結果になったわけでございますので、私どもは、喫煙をできるだけ少なくしていく方向で今後さらに努力をしていきたい、このように考えているような次第であります。
  33. 山本孝史

    山本(孝)委員 時間がなくなってしまいましたので、最後にお願いだけ。  国際疾病分類で、たばこ依存は精神及び行動の障害と分類をされておりまして、これは明らかに病気、疾病であります。それを治すために、今禁煙外来とか随分進んできています。たくさんの方たちが禁煙を希望しておられるそうです。  そのときに、禁煙のための支援薬、固有名詞は申し上げませんけれども、いろいろなパッチですとかあるいはタブレットが発売されていますが、保険が適用されておりません。ぜひ保険適用ということを考えていただきたい。  それから、たばこの増税という問題。亀井政調会長の御発言でなくなりました。しかしながら、私は、たばこを増税して、そこで上がってくる費用を、健康保険の赤字財政であるとか、あるいはたばこ転作のための奨励金だとか、あるいは販売規制で打撃を受けられる小売業者の皆さんに上げるとか、さまざまな施策を講ずる中で、たばこの健康被害での医療費はもっと削減できるはずですから、そういう意味取り組みをしていただきたいという思いを再び申し上げさせていただきます。
  34. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 御指摘の恐らくニコチンガムなどについてでございますが、あくまでも医療保険の対象となりますのは疾病の治療を目的とするものである、こういう観点から見ますと、疾病の治療を目的とするものではありませんので、医療保険の対象にはなじまない、こう考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今さまざまな形でたばこの人体に与える影響について国民の皆さん方の関心が非常に高まっているということは喜ばしいことだ、私はこのように考えているような次第です。
  35. 山本孝史

    山本(孝)委員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
  36. 江口一雄

    江口委員長 家西悟君。着席のままでどうぞ。
  37. 家西悟

    ○家西委員 それでは質問させていただきます。  民主党の家西です。質問通告の順番をちょっと入れかえさせていただきたいと思います。  まず最初に、不活化ポリオワクチンについてお尋ねしたいと思います。  私、HIVの当事者として、免疫機構が下がっている以上、この不活化ポリオワクチンという問題は、ちょっと目が離せない問題があります。実は、ことしの七月二十四日の予定で私に子供が生まれます。それで、私の妻自身はHIVに感染はしておりません、そして生まれてくる子供も感染していないわけです。そして、この子供が生まれてきてポリオの問題ということを考えたときに、今、日本では生ワクチンしかありません。そのワクチンを子供に使った場合、有害なポリオの物質が便と一緒に排出され、おむつを交換するなりしている間にいつの間にか口からポリオが入って、私がポリオになってしまうということの危険性が指摘されています。そして、逆に、自分がポリオにならないために子供にポリオのワクチンを接種しないということをすれば、子供がポリオになってしまう。  今現在、世界では不活化ポリオワクチンが発売されていますけれども、日本として、ぜひともそれを敏速に手に入れるようにしていただきたい。私たち感染者の問題として考えたとき、免疫が下がっている者は、こういったポリオに罹患する確率は約五百倍あると言われています。何としてでも不活化のポリオワクチンを入手するようお願い申し上げたいと思いますが、その点について大臣の方からぜひとも前向きの発言をお願いしたいと思います。
  38. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、家西委員におかれましては、二世誕生、心からおめでとうございます。大変感慨深いものがあるものと思います。  ポリオのいわゆる不活化ワクチンにつきましては、現在承認申請のために治験が実施されているところでございます。今後、この治験が終了し、適切なデータを添付しました上で承認申請がなされますならば、医療上特に必要が高いと認められるものとして、優先的に審査を行って、早期に承認ができるものと考えているような次第でございます。
  39. 家西悟

    ○家西委員 早期に認可していただけることは非常にありがたく、感謝申し上げたいと思います。  しかし、現実問題として、私の場合でしたら、もうこの七月末にはできるわけですけれども、数年以内にポリオワクチンの接種というふうになってくると思います。そして、今現在、もう既に生まれているお子さんたちがおられるわけですので、そういう人たちのためにも、何とかオーファンドラッグなりの入手しやすい方法というものをあわせてお考えいただけませんでしょうか、お尋ねしたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  40. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 海外では、アメリカなどにおきまして不活化ワクチンが承認されております。医師が患者のために個人輸入し、接種することは可能でございます。  それから、不活化ワクチンにつきましては特例許可をすべきとも御主張をなさっておるわけでございますが、薬事法の承認前の特例許可につきましては、国民の命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品である、こういうことに考えているような次第でございます。  ですから、ただいま申し上げましたように、最初の段階ではいわゆる個人輸入という形になると思いますけれども、そういう形で接種することは可能だ、このように考えているような次第であります。
  41. 家西悟

    ○家西委員 それはよくよく私も存じているわけですけれども、やはりHIVとか免疫異常を来している人たちに対して、特別枠で全員治験という形も一つの方法ではないかと私は考えております。そういうやり方で私は絶対できると思うんです。しかも、その条件というのは、先ほどの有害性やそういったものもあると思いますけれども、インフォームド・コンセントしていただいて、何かのときにはこういう可能性もありますよという、説明と同意を得た場合とかいうような条件つきででも結構です、それで緊急輸入的にそういった人たちに優先的に回す、拡大治験というやり方で私はできると思いますが、その点について、大臣、いかがでしょうか。
  42. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ちょっと専門的な問題でございますが、貴重な御意見として承り、内部で検討させていただきます。
  43. 家西悟

    ○家西委員 それはやっていただけると判断してよろしいのですか。貴重な意見として聞き及んだということで終わるということなんでしょうか。
  44. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 実際に可能かどうか、もちろん可能であるのならば可能の方向で検討してみたい、こういうことでございます。
  45. 家西悟

    ○家西委員 ぜひともお願い申し上げたいと思います。この点については大臣に特段の配慮をぜひともお願いしたいと思います。  続きまして、本題に戻らせていただきたいと思います。社会保険診療報酬支払基金について少しお尋ねしたいと思います。  まず、本年一月十五日付日経新聞の報道で、奈良県内の公立病院が血友病の治療を受けている患者一人分の診療報酬として医療保険に約一億六千万を請求したが、特別審査で総額の約八割に当たる一億三千万が減額査定されたと報道されました。大臣、この報道について御承知いただいていますでしょうか。
  46. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の新聞報道の件でございますが、ほかの疾病であるとか……
  47. 家西悟

    ○家西委員 これは日経の報道されたものですけれども、御存じなければ御存じないで結構です。
  48. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 このこと自身につきまして、一般論として申し上げさせていただきますが、ほかの疾病または血友病の中でもこれまでになく高額な請求でございます。社会保険診療報酬支払基金より報告があったものと承知をいたしております。
  49. 家西悟

    ○家西委員 この問題は、私は一つちょっとおかしな点があるなと思います。レセプトの請求とか幾ら支払いをしたというのは、本人が話さない限り外には漏れないはずなんですよね。レセプトというか支払い通知書というのが、私でしたら国保の方から、内部を見ることのできない封印されたはがきで送られてくる。それをびりびりとはがすと中に書かれているというようなはがきで送られてくる。こういうふうになっているわけですけれども、今までに同じような報道がなされているのはどういうことなのか。医療費の話が報道されるのは、私は本当におかしいと思います。  もう一枚新聞記事があります。これは一九八二年九月の三十日、十八年前です。大阪の病院ですけれども、一カ月の医療費が五千三百三十万、そして減額が三千万、支払いが修正して二千三百万というふうに書かれています。同じような報道がその都度行われている。  これは、本来、医師であったら、医師が業務上知り得た情報を漏らした場合は刑法百三十四条により処罰されます。そして、診療報酬請求事務に携わる者は、診療報酬支払基金法の十四条の五により秘密の保持が義務づけられているはずです。そして、地方公務員には地方公務員法三十四条で秘密を守る義務が規定されており、国家公務員には国家公務員法百条に同様の規定がなされています。  私が今述べたことに間違いないかどうか、法務省、自治省、総務庁から順にお答えいただければありがたいのですけれども、よろしくお願い申し上げます。
  50. 渡辺一弘

    渡辺政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘のとおり、刑法百三十四条一項にそのような規定がございます。
  51. 木寺久

    木寺政府参考人 御指摘のとおり、地方公務員法三十四条におきまして、「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。」と規定されているところであります。
  52. 中川良一

    中川政府参考人 国家公務員法第百条第一項におきまして、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」と規定をされております。
  53. 家西悟

    ○家西委員 ありがとうございました。  今回の件について再度総務庁にお伺いしたいと思いますが、患者の治療費について、個人的な情報を国家公務員が意図的に第三者あるいはマスコミに漏らした場合、その罪はどうなりますでしょうか。総務庁、再度お願いいたします。
  54. 中川良一

    中川政府参考人 先ほどの公務員法百条一項に明らかに違反しておるという事実が認定されますれば、国公法百九条第十二号の規定によりまして、規定に違反して秘密を漏らした者は一年以下の懲役または三万円以下の罰金に処されるということになっております。
  55. 家西悟

    ○家西委員 ありがとうございました。  続いて大臣にお伺いします。  今回の報道について、今後、情報源を徹底的に調査し、判明した場合は関係者を適切に処分することをお約束いただけますでしょうか、また、調査する気はおありになりますでしょうか、お尋ね申し上げます。
  56. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 この報道に際しまして、報道機関から厚生省の担当部局に取材があったという事実はございません。  また、支払基金の方からも、この報道に際しまして、特別審査委員会及び基金の事務局に取材がなかったと聞いております。  ただ、先生の御要請でございますので、念のため、再度確認をさせていただきたいと思っています。
  57. 家西悟

    ○家西委員 ありがとうございます。ぜひとも調査を徹底してやっていただきたい。  なぜかというと、本来こういった問題は出るはずがないのですよ。出るはずのないものがどうして出てくるのか、私には納得がいかないところです。  そして、本気で厚生省調査をしていただけないのならば、これは法務省にお尋ねしたいと思いますが、こういった被疑者が不定の場合、第三者である私が告発することはできるのでしょうか、その点についてできればお答えいただければと思います。
  58. 渡辺一弘

    渡辺政府参考人 お答えいたします。  一般論ではございますけれども、刑事訴訟法の二百三十九条には、何人も犯罪があると思料するときは告発できるというふうにされております。
  59. 家西悟

    ○家西委員 被疑者は不定でも構わないのですか。
  60. 渡辺一弘

    渡辺政府参考人 被疑者が未定の告発もございます。
  61. 家西悟

    ○家西委員 わかりました。  とにかく、今お聞きのとおりで、厚生省が本気でおやりにならないのなら、私は被疑者不定のままででもこれを告発したいと思います。そのようにお考えいただければと思います。  次に、具体的にこの内容についてお伺いしていきたいと思います。こういう情報が流れたということじゃなくて、奈良の病院のケースについて。  奈良の病院のケースでは、保険請求の約八割、ほとんどが減額査定になった。この八割の減額のほとんどは、血液凝固因子製剤の部分について減額査定がされたというふうに聞いております。特別審査委員会では平均して請求額の五%が減額されるという報道も先ほどの新聞の中にも書かれています。  この減額の理由について、何を基準にして認める認めないの判断をしているのか、その根拠を教えていただきたい。私は、基本的には、過剰治療だったという判断をしたときに初めて減額がなされるのではないかと。必要な医療行為でなかったという場合にだけ。何が過剰治療だというふうに判断されて八割もの減額をしたのかということをお聞きしたい。  あわせて、今回の審査委員会が一体いつ行われたのか、委員会委員は何人中何人が参加したのか、参加者の中に血友病の担当医師はいたのか、そして、最終判断というものはどうやって決めたのか、賛否で決めるのか、一体どういう手段を用いて八割の減額が妥当であるという判断をされたのか、その点について明確にお答えいただければと思います。
  62. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、社会保険診療報酬支払基金の特別審査委員会におきまして、保険医療機関から診療報酬が請求されました診療の内容につきまして、一つは、診療報酬点数表、それから保険医療機関及び保険医療養担当規則、こういうものの定め、それから二番目といたしまして、医薬品に関して厚生大臣が承認した効能または効果、さらに用法及び用量、こういうことに照らしまして請求内容が適正か否かが審査される、こういう手順になっておるような次第でございます。  今回の事例でございますが、使用されました薬剤が、承認された用量の数十倍を超えて大量に投与されたことが高額請求の原因でございます。本薬剤につきまして、インヒビターを有する患者であることを踏まえました上で、一般的な投与量を超える過剰投与分について査定されたものと聞いておるような次第でございます。  それから、審査委員でございますが、保険医療機関から診療報酬が請求された診療内容が適正か否かにつきまして審査を行うものでございますから、医学的な知見を有する医師が担当することが不可欠でございます。  今回の事例に対する審査結果は、昨年の十二月の十六日から二十日まで、審査委員会の定例の会期中に四十二名の審査委員が審査に従事し、会期の最終日であります同月の二十日の審査委員会において、出席した三十二名の審査委員全員の賛成を得て決定された、このように聞いておるような次第でございます。
  63. 家西悟

    ○家西委員 適切な使用量の数十倍もの量を使ったというふうに御判断されたとお聞きしますけれども、インヒビター治療というものを大臣が御理解いただいているかどうかは不明ですけれども、多分御理解いただいていないのではないかというふうに思うんです。普通の血友病患者、私が一般的な血友病患者です、私のような者が使う量の約十倍を使わないと止血はできないというふうに大まかに言われています、インヒビター患者に対しては。  まず、インヒビターとはどういうものかというところから御説明しなきゃならないと思いますけれども、インヒビターというのは抗体です。要するに第VIII因子、第IX因子、私の場合でしたら第VIII因子です、私にはもともとこれが一%以下、ほとんどゼロ。そういった者に第VIII因子とか第IX因子の血液製剤を入れることによって異物が混入したというふうに反応を示すわけですね、免疫自体が。拒絶反応的な抗体反応を示してしまう。要するに薬が効かないんですよ、それを阻止するために。それを中和するために大量の量を入れて初めてそのレベルに達してくる、ゼロの位置に戻ってくる。そして、それを超えた量を補わないと止血効果が得られないという人たちです。血友病全体の中の約百人から二百人というふうに推測されています。こういった人たちの治療というものは非常に困難だとよく言われています。  先ほど新聞でお見せしたのと、これは一九八二年の九月に報道された産経新聞です、このときも五千三百三十万の請求をして、審査で二千三百万に減額された。この患者さんも同じくインヒビターです。私は、止血するために医療上やむを得なかったと思います。私たちと同じように注射を打っても、とまらないんです。私たち一般的な血友病患者と同様の治療ではだめだ。やむを得ず大量に投与しなければならないということがこの患者さんには起こったわけです。そして、請求した額がそういう超高額な医療費になったというふうに私は認識しています。  薬害エイズ以降、医療現場においてむだに血液製剤の使用をしているとは私は到底思えません。そして、この患者の容体というものを厚生省もお知りだと思います、かなり重篤な状態であったということを。命を助けるために大量に投与せざるを得なかった。そういった診療を行った、治療を行った病院が請求したときに、八割もの減額をされれば患者はどういうふうに思うでしょう。そして、その医療に携わったドクターはどうお考えになるでしょう。  自分たちは一人の命を助けるために最善の努力、最善の治療を行った、それが結果としてこれだけの金額になってしまった、それを請求したら八割もむだな使い方をしていたというふうに判断されたというのは、私は到底理解できません。  今これは再審査請求も行われるような話もお聞きしているわけですけれども、どのように厚生省としてお考えなのかという点についてお尋ねしたいと思います。
  64. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 いわゆる免疫寛容療法につきましては……(家西委員「いや、免疫寛容療法じゃありません、今言っている質問と違います、免疫寛容療法というのはインヒビターの治療に対して行うものです、ちゃんとレクしなあかへんやんか、厚生省自体がインヒビターの治療というのをわかってないんちゃうか、それでレセプト切っとったらあかへんで」と呼ぶ)
  65. 江口一雄

    江口委員長 近藤局長。
  66. 近藤純五郎

    ○近藤政府参考人 再審査請求というのは、不服がある場合には当然出せることになってございますから、今準備をされている最中だというふうに承っておりまして、まだ私どもは受けておりません。その段階でいろいろ審査の中身を吟味した上で再決定される、こういうふうになってございます。
  67. 家西悟

    ○家西委員 ぜひとも再審査を申し出た場合は受理していただきたいし、いま一度検討していただきたい。  しかも、インヒビター治療を行っている血友病ドクターを審査委員に入れるべきだと思います。そうしないと、これはわからないと思います。水準的に考えてとか一般的にと考えたときには、これはわからないと思います。そして、これの効能書きというか、厚生省の認可されているファイバとかそういった薬については、ちゃんとインヒビターにはこれだけの量が要りますよということが使用説明書に書いてありますし、そのとおり使っているはずです。それで、それだけの金額になってしまったわけですが、これを問題があるというふうに話されるのは、私はいかがかなと思います。  次の質問にします。審査委員会委員についてお尋ねしたいと思います。  社会保険診療報酬支払基金法十四条では、医療担当者の代表、保険者の代表、学識経験者、この三者から選ばれることになっているはずです。しかし、実際は、すべて委員は医師です。普通ならば、法律家や看護、福祉の専門家、医療ジャーナリストとか国民各層から選ぶべきだと私は考えますけれども、実際に構成されている委員の方々は、ここに名簿をやっといただきましたけれども、すべてがドクターであります。  これは、法律上で見ると同数で分けなきゃならないみたいなことが書かれていたと思うんです。これは十四条の二項ですけれども、「審査委員会委員は、診療担当者を代表する者、保険者を代表する者及び学識経験者のうちから、定款の定めるところにより、それぞれ同数を幹事長が委嘱する。」と書かれている。同数でなければならないのに、どうして医師だけなんでしょう。お答えいただけますか。
  68. 近藤純五郎

    ○近藤政府参考人 支払基金法の第十四条では、審査委員といいますのは、診療担当者、保険者、学識経験者の三者構成というのは御指摘のとおりでございます。  ただ、実際にその診療内容が適正かどうかというのを判断する、審査するということになりますと、医学的知見というのは欠かせないわけでございまして、すべて医師、歯科医師が担当する、こういうことになっているわけでございます。
  69. 家西悟

    ○家西委員 だったら、どうして支払基金法にこういうことが書いてあるのですか。医師ばかりになっていていいのですか。「同数」とまで書いてあるのですよ。保険者というのは、医師は関係ないのではないですか。委託を受けているということになるのですか。どうなのですか。
  70. 近藤純五郎

    ○近藤政府参考人 三者構成ということで、診療担当でございますとか保険者とか学識経験の団体の方から御推薦を願う、学識経験は私どもといいますか支払基金の方で決める、診療担当、保険者の代表というのは関係団体の方から医師の方を推薦していただいて任命する、こういう形をとっております。
  71. 家西悟

    ○家西委員 では、その件については、そういうふうに委託を受けた業務だというふうに認識させていただきます。  しかし、私がこの名簿を下さいと言ったときもなかなかいただけなかった。これほど隠さなければならないものだったのかなというふうにも思えてなりません。  これは、不正請求を防ぐとか後で何かがあったときにというふうに言われているのかどうか私はわかりませんけれども、国民全般の医療にかかわる問題を審議され、しかも、四十二万点以上の高額医療費に対して審査をされる方々はやはり公正公平でなければならないし、一体、だれが、いつ、どういうような審議のもとにこういうものを却下したり受けたりというのをやっているのか、もっとオープンにされるべきではないでしょうか。いかがでしょうか。
  72. 近藤純五郎

    ○近藤政府参考人 かつて委員を公表したときに、はっきり申し上げて、その委員の方に働きかけがあったというふうな事例が幾つかあったようでございます。そういう面を踏まえて、現在の段階では公表しないということにいたしているわけでございます。  これは、こういった情報公開の時代でございますし、先生御指摘のような話もあるわけでございますので、現在の委員につきましては公表しないという前提でなっていただいておりますので、それも踏まえて手続をとりたい、今後の検討課題にしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  73. 家西悟

    ○家西委員 時間が来ましたので、最後に一つだけ。  先ほど言いましたインヒビター治療、先ほど大臣が答弁しかけました免疫寛容療法ですけれども、これの保険適用をぜひともしていただきたい。米国の報告では、六歳未満の子供にそういったインヒビターが発生した場合、免疫寛容療法、大量に定期的に血液製剤を投与するのと免疫抑制剤を一緒に使うことによって、約七〇%の子供が一般の血友病にまで治る、インヒビターを排除できるというふうに言われています。  しかし、今日本ではこれは保険適用を認めておりませんので、大学病院の研究費などを細々と使いながら治療しているために、インヒビター患者を減らすことができない。血友病と診断されて、血液製剤を初めて打って、大体三カ月ぐらいでその反応が見えてくる。そして、一たんインヒビターになると、一生それを負わなければならない。そして、今回のような膨大な超高額な医療費を請求せざるを得ない。それには、そういった免疫寛容療法を保険適用していただいて、インヒビター患者の総数を減らしていただければ、まずもってこれは解消するのではないかというふうに私は思えてなりません。  それとあわせて、製剤も非常に高いです、アメリカの約倍近い値段です、千単位と言われるインヒビターに使われる血液製剤一本約二十万円。アメリカの倍近い値段が査定されています。これは、非常に少ない患者のためにというふうになれば、どうしてもそういった経済的なリスクを負わなければならないというようには判断しますけれども、そのためにも免疫寛容療法の保険適用を認めていただけるようにお願い申し上げます。大臣に最後にお聞きして、私の質問を終わります。
  74. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 通常、薬事法で承認されております量よりはるかに多い製剤を投与する必要がある免疫寛容療法につきましては、国際的に見ましても治療法として確立したものとは言えない状況にあると考えています。したがいまして、現時点では、保険診療としても、公費負担医療としても認められないものと考えており、今後の医学的な動向を見守りたい、こう考えておるわけでございます。  今後、免疫寛容療法に関する症例の報告であるとか論文などを収集いたしまして、血液凝固製剤の第VIII因子製剤を取り扱う企業において、用法、用量の設定が可能かどうか、検討を行うように指導していく決意でございます。
  75. 家西悟

    ○家西委員 ぜひともお願い申し上げます。検討ではなくて、ぜひとも保険適用を認めていただきたいと思います。そして、マスコミ報道の二度とないようにお願いして、私の質問を終わります。
  76. 江口一雄

  77. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。  大臣、引き続いて御苦労さまでございますが、よろしくお願いいたします。  私はきょう、保育所の設置認可にかかわる規制緩和の問題、それから障害者プランのこと、そして、時間がありましたら、有料老人ホームの介護保険の指定に伴う介護費用の調整ということについてもちょっと触れたいと思います。  まず、保育所の設置認可にかかわる規制緩和、このことでパブリックコメントを厚生省が三月九日締め切りで求めたということもございますし、恐らくこの三月中にこのことに関して規制緩和の方向で通知等が出されるのだと思いますけれども、このコメントの中を見ますと、従来保育所の設置主体は自治体、社会福祉法人を原則としていたわけでございますが、それ以外の民間主体についても認めるということになろうかと思います。この場合に、民間主体といいますと、営利法人、非営利法人、あるいは個人、とにかく多様な民間主体が要件さえ満たしていれば参入はよろしいということになろうかと思いますけれども、そういう方向でしょうかということ。それから、今回設置認可にかかわって規制緩和をしていく目的は何なのかということをお尋ねしたいと思います。
  78. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、保育所の規制緩和でございますが、本年度中に設置主体制限の撤廃、さらに施設自己所有規制の見直し及び定員要件の緩和を行うことにいたしております。  これらの措置でございますが、保育所の待機児童の解消、平成十一年の四月現在で三万二千人保育待機児童がいると言われておりますが、さらに、延長保育を初めとする多様な保育サービスに対する需要への対応など、各地域が抱える課題に対しまして、地域の実情に応じて地方公共団体が柔軟に対応できるようにする、こういう観点から規制緩和を進めていくものでございます。
  79. 石毛えい子

    ○石毛委員 ただいまの大臣の御答弁では、規制緩和の目的と申しましょうか理由ということで、待機児童の解消中心のお考えというふうにおっしゃられたと思いますけれども、厚生省からいただきました資料ですと、平成七年、九五年四月一日の保育所の待機児童が二万八千四百八十一人。その後ふえてまいりまして、九七年の四月一日、四万五百二十三人。翌年三万九千五百四十五人、これは余り減らないのですが、十一年、九九年の四月一日、三万二千二百二十五人で七千人ぐらい減っている。九九年ですと減っておりますが、この間、ずっと待機児童は三万人から四万人で推移しているということでございます。  規制緩和とも絡みまして、実際に待機児童の解消策をどのように図っていこうとお考えになっておられるのでしょう。そこのあたりをお尋ねいたします。
  80. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 保育所の待機児童対策につきましては、少子化対策臨時特例交付金によりまして、保育所の整備であるとか地域の実情に応じたさまざまな事業がなされるところでございます。各市町村の計画によりますと、三年間で三万八千人の待機児童の解消が図られる、こう見込まれておるわけでございまして、待機児童解消に向けて大きく前進することができるものと考えておるような次第でございます。  その一方で、今後の保育需要の増大を考えますと、保育所定員の弾力化などのその他の対策によりまして引き続き保育所の受け入れ枠を整備するための努力をしていくことが必要である、こう考えているような次第でございます。新年度から開始する新エンゼルプランにおきましても、需要の多い低年齢児、ゼロ歳から二歳の保育所受け入れ枠につきまして、五十八万人を五年間で十万人ふやして六十八万人に拡大することにいたしております。
  81. 石毛えい子

    ○石毛委員 私も新エンゼルプランの人数、箇所数などを拝見しました。それと、先ほどちょっと触れました入所待機児童数の推移等々を眺めてみますと、この新エンゼルプランで果たして足りるのかなという思いがいたします。  これからの保育ニーズのあらわれ方をどういうふうに把握するかということともかかわるかと思いますけれども、待機児童数の推移ということにかかわっていただいた人数ですと、四年間で入所児童数が二十二万人ふえております。新エンゼルプランの方は、五年間で千六百カ所から二千カ所にしていくというわけですけれども、多機能保育所の整備で四百カ所ふえたとしましても四万人ぐらいかなと。それから低年齢児の受け入れ枠、これは大臣が今お触れになったところでございますが、これが五年間で十万人ふえるわけですけれども、実は、ここでいきますと四年間で約九万人ぐらいふえていますので、十万人で足りるのかなというふうに思います。  ですから、もう一度大臣に、恐縮でございますけれども、この解消策を考える場合にどういうところにポイントを置いてこの新エンゼルプランなどをお考えになられるのか、そのあたりを少しお教えいただければ、あるいは大臣のお考えでも披瀝いただければと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  82. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 やはり一番ニーズの多い分野を中心にして考えておるわけでございます。  そういう中で、保育サービス等の子育て支援サービスの充実という観点からは、まず何といっても、先ほど申し上げておりますように、ゼロ歳から二歳のいわゆる低年齢児の受け入れ枠でございます。これにつきましては、平成十一年度が五十八万人でございますが、先ほども申し上げましたように、この五年間で十万人ふやしていこうじゃないか。  それから第二番目でございますが、保育サービスが非常に多様化しておるわけでございます。その中で、延長保育の推進が七千カ所から一万カ所、休日保育の推進が百カ所から三百カ所、それから、乳幼児健康支援一時預かりが四百五十カ所から五百カ所。そのほか、在宅児も含めました子育て支援の推進で地域子育て支援センター整備、一時保育の推進。それから、最近注目を浴びております放課後児童クラブの推進、これは九千カ所から一万一千五百カ所。  こういうことで、私どもは、基本的にあくまでも若い男女の方々が子供を産んで働きながら、要するにそういうような環境づくりのためにこのような施策を講じているところでございます。
  83. 石毛えい子

    ○石毛委員 いろいろと御指摘いただきましたけれども、また昨日いただきましたデータを拝見していますと、待機児の年齢別で絶対的に多い人数のところが、低年齢児と申しましても一、二歳児のところですね。  今、育児休業も大分普及してまいりましたから、ゼロ歳児の入所ニーズよりは一、二歳児のところの方がウエートは高いのだろうと思いますけれども、こういう人数を拝見しますと、私は、なかなか受け入れ枠が拡大していかないのは、施設の問題もあるでしょうし、それから保育所の職員配置基準、今たしか一、二歳児は子供さん六人に対して一人、最近変わっていますでしょうか。ゼロ歳児の場合には三対一になったかと思いますけれども。そこのあたりもネックになっている部分があるのではないかとか、もっときめ細かい対応が必要なのではないか。  先ほど大臣は、利用者側の保育ニーズから休日保育ですとかいろいろおっしゃいましたけれども、保育サービスに携わるスタッフ側の条件もあわせて考慮していかないと、枠組みはつくったとしてもサービス供給はなかなかふえにくいのではないか。したがって、待機児童の解消も難しい部分もあるのではないかという思いがいたします。これは私の方の見方でございますけれども。  大臣、この件に関しまして確認的な質問になるかとも思いますけれども、この規制緩和策で保育所の待機児童は解消していくのでしょうか。厚生省は、設置主体を自治体、社会福祉法人以外に規制緩和するということでその見通しをお持ちなのでしょうか、どうでしょうか。
  84. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 全国的に例えば保育園と幼稚園を見ました場合には、保育園が非常に集中しているところであるとかあるいは幼稚園が集中しているところとか、とかく偏在しがちでございます。そういう中におきまして、いわゆる幼保の提携というものが打ち出されたわけでございます。  私は、これまでの大きな壁を一歩も二歩も打ち破って、設置主体が自由になって、そして、ともにそれぞれの持っております性格は異なるものがあるわけでございますけれども、少子化対策のために果たす役割は大変大きいものがある、このように確信をいたしておるような次第であります。
  85. 石毛えい子

    ○石毛委員 これから始まっていくわけですから、ぜひこの推移を私も注視したいと思いますけれども、設置主体を開放していくということは、もちろん営利法人にも非営利法人にも門戸を開いていくということだと思いますので、それぞれ提供主体がきちっと保育の質を保てるような参入の仕方をするということと、それぞれが公正にきちっと参入できるような基盤整備をぜひお考えいただきたいというふうに思います。  規制緩和が営利法人の方に流れるだけでしたら、やはり特定の流れにシフトしていくことになりますので、非営利法人等も参入できるような、全体の政策的な統合性と申しましょうか総合性、ぜひその辺に厚生省としての政策的な方向性を整理していただきたいということを申し上げたいと思います。  それでは、次に、障害者プランについてお尋ねしたいと存じます。  障害者プランは長期計画として多くの省庁にかかわっておりますので、厚生大臣に全体的なお答えをいただくということはなかなか機構的に御無理なところもあると思いますから、厚生省所管の障害者プランについて、現在のところ、その内容あるいは実績について大臣はどのように評価をされておられますでしょうか。その点をまずお伺いいたします。
  86. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 障害者プランの進捗状況と評価について御答弁をさせていただきます。  厚生省におきましては、障害者プランに基づきまして、平成十四年度末の目標達成に向けまして、障害者に対する在宅サービスの充実であるとか社会福祉施設の整備などを積極的に進めているところでございます。障害者に対する相談支援事業など一部の事業を除きまして、おおむね順調に進捗していると考えているところでございます。  障害者プランの推進のためには、市町村レベルで障害者計画が策定されることが極めて重要でございます。市町村の計画作成を支援しつつ、平成十四年度の目標達成に向けて全力を挙げてまいりたいと思います。
  87. 石毛えい子

    ○石毛委員 今大臣は在宅サービスの充実ということにもお触れになりましたけれども、障害者プランの進捗状況は、目標年度二〇〇二年度、私がいただきましたのは平成十年度、九八年度ということになりますけれども、それで達成率を計算してみますと、身体障害者療護施設八六・〇%、知的障害者更生施設九九・七%ですか、それから授産施設・福祉工場も八〇・八%です。ですから、これまで法律に基づく社会福祉法人格を持っておられて、入所施設をというようなところの施策は、もう既に目標年度に対して一〇〇%近く実現している。  ところが、市町村障害者生活支援事業は、目標が六百九十カ所に対して実現はわずかに七十九カ所、一一・四%。それから、精神障害者地域生活支援事業は、目標六百五十カ所、実現は百一カ所、実現率というふうに計算してよければ一五・五%。それから、ホームヘルパーは、高齢者の方との兼任がありますから、ここで実績として計上されている人数を三分の一に見込みまして計算してみましても四四・六%。つまり、大臣は先ほどの御回答でたしか在宅サービスの充実というふうにおっしゃられたと私は思ったのですけれども、もし充実したという表現を使えるとすれば、大きな入所施設について充実しているのであって、障害者プランの中でも地域、在宅サービスに関して言えば、私の表現で言えばゼロにも等しい。  それで、私は、何をもって整備されたというふうに判断するか、そのこと自体も難しい問題だと思いますけれども、例えばホームヘルパーさんにつきまして、兼任を三分の一にカウントしまして、専任八千九百人を足して仮に身体障害者一、二級の在宅の方と対比をしますと、ヘルパーさん一人に対して身障一、二級の方が六十三人です、成人で。これで果たして地域生活が確保できるというふうに見ていいのでしょうか。  それで、きのう担当の方がお持ちくださった障害者プランを久々に私も繰ってみたのですけれども、「障害者プランの視点及び具体的施策目標」の一番目に挙げられているのが「地域で共に生活するために」、四番目には「生活の質(QOL)の向上を目指して」、こういうことがずっと七項目挙がっているわけです。  私は、先ほど大臣御答弁くださいましたけれども、障害者プランの厚生省所管に関して見ましても、決定的に在宅、地域の部分に関して言えば進捗状況は立ちおくれているというふうに見ざるを得ないのではないか、こういうふうに思うのですが、大臣は、私がおくれているというふうに見るということに御同意いただけますとするなら、なぜ地域、在宅にかかわるサービスの整備がおくれているのか、そのあたりはどんなふうにお考えになられますでしょうか。
  88. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 障害者プランの進捗状況を見まして、特に在宅におきまして必要とされますホームヘルパーでございますが、兼任の方が三万三千六百九十二人、専任の方が、これは少なくて八千九百五十四人、目標が四万五千三百人、こういうことでございまして、まだまだ必ずしも十分な体制が整っていらっしゃらないというのが先生の御指摘だ、このように承ります。
  89. 石毛えい子

    ○石毛委員 大臣、私はそういうふうに指摘させていただいたのです。  それで、大臣に私がお尋ねいたしましたのは、どうしてこの在宅に関するサービスの推進が進まないというふうに大臣は御認識になられますかというふうにお尋ねしたわけでございますが、いかがでしょう。
  90. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私も現場などを見せていただいての感想でございますが、障害者の方々は、授産施設であるとかグループホームであるとか、そういう中において仕事をなさりながら生活している方が多い。現実問題として、まだまだ在宅で十分にサービスを受けるような体制ができておらないということ。それから、やはり同じような障害者の方々がともに生活をした方が、自分たちにとって生きがい、喜びというものが感じられるのではないか、こういうようなことがその背景にあるのではないかな、こう思っておるような次第であります。
  91. 石毛えい子

    ○石毛委員 市町村障害者生活支援事業といいますのは、それこそ障害者の方々が在宅で、といってもそれは在宅に閉じ込められるわけではないわけですから、地域で生活をしていくためにどんなサービスを利用できるかというようなことを紹介する、あるいは障害者の方たちが地域で暮らし続けていくためにお互いに力をつけ合っていく、エンパワーメントという表現がありますけれども、エンパワーメントをしていく。そういう意味でいえば、この市町村障害者生活支援事業あるいは精神障害者地域生活支援事業を生き生きと稼働できるように進めていくことが、在宅での自立といいましょうか、地域での自立、ともに生きるという暮らしを実現していく、そのキーになる事業だと私は思います。  ここにこそ厚生省としてはリーダーシップを発揮していただかなければ、なかなか地域でともに生活する方向には向かないというふうに思います。ぜひここのところを強くしていかなければならないというふうに思いますけれども、もう一度大臣としてのこれからの御見解と申しましょうか、そのあたりをお答えいただけたらと思います。
  92. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 障害者プランの中で、市町村の障害者生活支援事業など障害者に対します相談支援事業につきましては、障害者プランの初年度に創設した事業でございます。現在のところ、必ずしも思うように予定どおり実施が進んでいない状況にございます。  その主な要因といたしましては、これらの事業が障害保健福祉圏域を単位として障害の種類別にそれぞれ整備するとされていることなどから、当該圏域内の市町村間の調整などが必要とされており、それに大変時間を要しているものと考えております。  それから、今年度より、障害保健福祉圏域内の市町村が連携協力をいたしまして障害者計画を策定することを都道府県が支援する事業を創設し、市町村間の調整を促進いたしております。  また、精神障害者の相談事業につきましてはこの四月から、身体及び知的障害者の相談事業については今般の社会福祉事業法等の改正において社会福祉事業として法定化を図ることにしておりまして、相談支援事業の実施に一層の努力をしてまいりたい、このように考えているような次第でございます。
  93. 石毛えい子

    ○石毛委員 後者の部分で、大臣は知的障害者の方についての相談支援事業等は法定化していくというふうにおっしゃられましたけれども、そういうサービスを含めて、地域で暮らしていくには例えばホームヘルパーさんをもっとふやしていく、ふえていかなければならない。知的障害、精神障害の方にもこれからホームヘルパーさんの利用というのはどんどん広がっていかなければならないのだというふうに思いますから、そういう方向なんだろうと思います。  私は申し上げたいのですけれども、思い返してみますと、介護保険法の附帯決議の中には、若年障害者の方の介護保険適用の問題をどう考えるかというときに、市町村障害者プランの推進を図っていってサービスを充実してというような附帯決議も衆参で付されたわけでございます。それから、これはこの通常国会で恐らく提案されることになるだろうと思いますけれども、社会福祉事業法を改正して社会福祉法にする、そういう法案提出も会期のいかんによっては出されてくるということでございますけれども、社会福祉事業法の改正が提案されて、これから措置ではなく選択に移ります、契約に移りますと言われましても、肝心のサービスがなければ契約も選択も何もあったものではないわけです。この今の障害者プランの実態でいきますと、選べるといったって、身障療護施設が選べるだけふえる話でもないと思いますし、選べるサービスはないのではないかというふうに思わざるを得ないということでございます。  そういう意味では、私は、個人的な考えとしましては、社会福祉事業法の改正というのも問題ではないかというふうに考えているところでございます。そのことを申し上げさせていただきたい。  質疑の持ち時間が終了しましたというペーパーが参りましたので、ぜひともサービス基盤の充実というところにこれから力を入れなければ次の政策展開はないのではないですかということを申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  94. 江口一雄

    江口委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  95. 江口一雄

    江口委員長 それでは、速記を起こしてください。  中桐伸五君。
  96. 中桐伸五

    ○中桐委員 民主党の中桐でございます。  私は、先ほど石毛委員からも質問がございましたが、障害者プランがちょうど半ばを過ぎていく時期にありますので、障害者の問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。  特に、障害者の社会的な自立ということから考えまして、働きたいという意欲を持っている障害者の方がちゃんと就労できているかどうか、そういう問題についてまず最初に取り上げていきたいというふうに思います。  先ほど、石毛委員質問に対しまして、大臣は障害者プランの進捗状況はおおむね良好に進んでいるということでございますが、これはあくまで一つのプランに対する進捗状況ということでございます。そういうプランに対する進捗状況という観点から問題を取り上げるというよりも、私もいろいろこの間障害者の小規模作業所の現場に赴いたり、あるいは、私の地元である岡山でも福祉工場というプログラムをたくさんの障害者が希望している、しかし、その福祉工場の建設、そういうものを実現する計画の中で、これは都道府県とか市町村との関係がございますので、そういったものを実現をしたいという意欲はあるんだけれども、なかなか認可がすぐに出されない。そういう要望を私も地元で聞いてきておるものですから……。そういう観点から、そういう現実を踏まえて、障害者が社会的に自立するために就労を促進する必要がある。  特に今は景気が非常に低迷しておりますので、これは労働省の分野でございますが、法定雇用率を満たすための措置があっても、障害者が法定雇用率の世界の中でも就労の場を失っている状況がある。障害者の社会的自立にとって就労というものが非常に重要である。しかし、非常に厳しい状況にある。  そこで、冒頭、この障害者の就労促進というものについて、厚生省の計画の中で大臣はどのようにお考えになっておるか、まずそのお考えからお聞きしたいと思います。
  97. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 障害者の方々が可能な限り就労できる社会をつくることは、大変重要なことであると考えております。厚生省といたしましても、必要な就労訓練を行う授産施設などの整備を進めております。  障害者の方々の就労を促進していくためには、労働省などとの連携が重要でございます。このため、今年度より、厚生省と労働省の連携事業として、障害者に対して就業支援と生活支援を一体的に提供する障害者の就業・生活支援の拠点づくり試行的事業を実施いたしております。  いずれにいたしましても、今後とも、労働省など関係省庁と一層緊密な連携を図りながら障害者の就労の促進に向けて努力していきたい、このように考えているような次第でございます。
  98. 中桐伸五

    ○中桐委員 積極的に取り組むというお答えと受けとめますが、その方向性を踏まえながら具体的な問題に入っていきたいと思うのです。  先ほど私が申し上げましたように、障害者の就労の場が、今景気が非常に悪いので、実際事業所の中からむしろ障害者の雇用というのは減ってくる。そういう状況にある中で、自分の子供さんを中心にして地域の障害者の皆さんの就労の場を確保したいということで、障害者の親などが自主的に、非常にせっぱ詰まった状態で小規模作業所を、しかもそれは入所施設ということじゃなくて、通所で小規模の作業所をつくって運営をしている状況があるわけであります。  その中で、そういった小規模作業所は、いろいろな形でつくられておりますが、運営の条件が非常に格差があるといいますか大きな違いがある。  例えば、特に身体障害者の方の就労よりももう一つ困難な条件を抱えている精神障害者の方あるいは知的障害者の方、こういった方の通所の作業所を小規模ながらつくっていく、そういう場合に、例えば地方公共団体がいろいろな公共施設の一角に小規模作業所の場所を提供して、そして少人数の障害者の方がそこに通所で通って作業をするものから、全くそういう場を持たない方が、自分で家賃も全部払って作業所を開いてやっている。そういうふうに、作業所の運営条件そのものが大変大きな違いがあるということを現場を見て知ったわけであります。  そういう中で、例えば私の地元の岡山市では、そういう作業所の奨励をするために、作業をしている障害者の方に奨励金として一人一日百円の補助をしているというふうなことも聞いたわけであります。  これからそういう非常に多様な運営条件にある小規模作業所をつくらざるを得ない状況の中で、これからはNPOというものがNPO法人をつくって運営にも取り組まれていくだろう。もちろん、既にNPOがつくった小規模作業所も岡山にありますけれども、NPO法人が小規模作業所の運営に参加をすることも予想されるわけであります。  そういう状況の中で、今後国と地方公共団体がどのような形でこういった小規模作業所に対して支援を行っていくのか、そういうことが非常に重要になってくると思うのですが、その点について厚生省の考え方はいかがでしょうか。
  99. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 親の会などが運営をいたしておりますいわゆる小規模作業所でございますが、地域に根差した自主的な取り組みとして、障害者の自立であるとか社会参加の促進に重要な役割を果たしているわけでございます。その運営の基盤の安定化が課題となっておるわけでございます。  このため、厚生省といたしましては、従来から、通所授産施設やデイサービスなどの法定施設や法定事業への移行を促進してきたところでございますが、移行に至らないところにつきましても所要の助成を行ってきたところでございます。  厚生省といたしましては、今般、国会に提出いたしました社会福祉事業法の改正などによりまして、通所授産施設の規模要件や社会福祉法人の資産要件、二十人から十人ということで要件を緩和いたしまして、小規模作業所の運営主体が社会福祉法人格を取得し、通所授産施設へ移行しやすい環境を整備することなどによりまして、運営基盤の安定というものを図っていきたいと思っております。
  100. 中桐伸五

    ○中桐委員 社会福祉事業法の改正については、また別途議論をする場があると思いますので、その点は後ほどまた議論に参加したいと思いますが、二十人から十人にするという認可条件の緩和、これは実際にどのくらい障害者の小規模作業所の拡大ができるというふうに予想されていますか。
  101. 今田寛睦

    今田政府参考人 個々の施設の定員が、出入りが激しいということもあり、全体的な把握ができてございませんので、正確な形でお答えすることができないわけであります。また、一部小規模作業所が、法人格じゃなくてまさに自主的な活動で自由にやりたいという方々もいらっしゃるという非常に多様な状況の中で、今御質問いただきましたことについてお答えするだけの資料は現在持ち合わせておりませんので、御容赦いただきたいと思います。
  102. 中桐伸五

    ○中桐委員 これは社会福祉事業法の中でまた議論したいと思いますが、何か、見込みというか推定も全然できないまま二十人から十人に緩和するというのでは、現状把握が非常に甘いんじゃないか、そういう点だけは指摘しておきたいと思います。  次に移りたいのですが、先ほど私ちょっと触れましたように、障害者の方の就労を、福祉的就労といわば労働という形で評価をする考え方と二つあろうかと思います。  基本的に、人間はいろいろな多様性を持っている。その多様性も、就労意欲は十分あって、労働能力は非常に多様性がある。特に、障害者の方の中にも多様性は大きいと思います。しかし、社会的自立という精神からいけば、これは、福祉的就労ということからちゃんとした労働という形で就労を位置づけていくというのが私は基本的な方向性だろうというふうに考えております。  そう考えたときに、先ほど私は岡山の実態を申し上げましたが、小規模作業所に障害者一人の就労を奨励するために、岡山市であれば一日百円。しかし、最低賃金は一日約六千円ぐらいですよ、岡山では。そうすると、この格差は一体何なんだという問題であります。  つまり、私が小規模作業所の皆さんを多く回ってみますと、労働生産性という点では極めてばらつきが大きい。例えばはしを一つのパックに二十個詰めるのに、ある障害者は数十パックやれるけれども、ある障害者は一日に二パックしかできない、そういう極めて大きな労働能力における差があります。しかし、そういう中で基本的にこれをどういうふうに労働として評価していくのかということは、やはり避けてはいけない問題だというふうに思います。  その点でいいますと、岡山市が奨励金として一日百円出しているというのでは、これは生産能力の現状からいって、市場経済の中でこの作業所がちゃんと独立採算でやっていくという状況は、生産能力にばらつきのある障害者の皆さんが働いている小規模作業所の運営を市場経済の中で確保するというのは極めて難しい。  そういう状況の中で、しかし、就労意欲を持って社会的に自立をしていきたいんだという障害者の方はたくさんいらっしゃる。そういう現状を踏まえて、これは労働省にも質問いたしましたが、厚生省も福祉工場とかそういった分野をお持ちなので、これは当然、福祉的就労という中途半端な形じゃなくて、これからは労働として評価する方向で行くべきだと私は思っております。  そういうことを考えたときに、例えばILOの九十九号勧告などの中にも保護雇用というふうな形で、つまり、この雇用は国が責任を持って保障するというのが国際的な方向性でありまして、この間、地方事務官の問題でも、国に移管をするということが労働省の方でも決まったわけでありますが、そういう意味で国が保障するという形で、例えばフランスだとかスウェーデンでは保護雇用という概念、つまり、ILO九十九号勧告に基づいて、それぞれ国によって就労条件は違います、当然、週に一日しか働かない者も対象にするのはどうかという問題もあろうかと思いますから、それぞれ条件は違いますが、これは福祉就労ではなくて労働なんだという形でちゃんと位置づけた上で、国によっては、最低賃金まで補助をするというふうな形でやっている国もあるわけであります。  いきなり最低賃金まで不足分を上乗せして国が保護雇用で補助をするというふうなことを私は今ここで言いたいわけではないのですが、考え方として、岡山市がやっているように奨励金が障害者一人一日百円ではとても……。最低賃金との格差は極端なものでありますから。そういうことを考えているわけでありますが、そういう点で厚生大臣にお伺いしたいのですが、こういった議論をやっていく必要があるのではないかというふうに思うんですが、いかがですか。
  103. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、いわゆる小規模作業所におきましては、地域に根差しました自主的な取り組みとして、創意工夫による多様な事業を展開いたしておるわけでございます。  具体的には、小規模作業所は、一般就労が困難な障害者の方々の就労訓練を行うという機能から、重度障害者の生活のリズムの確立であるとか、あるいは健康の維持を目的としたデイサービスの場としての機能まで多岐にわたっておるのが現実でございます。  先ほど来、先生は、福祉的な評価ではなくて労働的な評価という点に着目した助成を行うべきだ、こういうようなお考え方でございます。  確かに私どもは、小規模作業所に対しましては、一カ所当たり年間百十万円、二千七百八十五カ所、年間にいたしまして三十億円ぐらいでございますけれども、このような補助を行っておりますが、これは労働の評価という点に着目して助成を行っているというよりは、こういった障害者の方々がさらに就労意欲を持っていただいて、そういうような環境をつくっていただきたい、こういうようなことで助成をいたしておるような次第でございます。  なお、小規模作業所につきましては、障害者団体を通じた、今申し上げたような国庫補助であるとか、あるいは地方単独事業に対する地方交付税措置が講じられているわけでございます。昨年の八月には、中央省庁、地方自治体に対しまして、小規模作業所などの製品を積極的に購入してほしい、こういうことを文書で改めて依頼をいたしましたところでございます。  いずれにいたしましても、厚生省といたしましては、このような措置を通じまして、今後とも小規模作業所の自主的な取り組みを支援していきたい、このように考えているような次第であります。
  104. 中桐伸五

    ○中桐委員 少なくとも、今大臣の答弁の中では、労働の評価という観点ではまだそこまでいっていない。いきなり小規模作業所までということは、検討の期間も要ると思います、そういう方向でもって検討を進めてもらいたい。  特に、福祉工場については、これは設置の時点から、より労働の機会を保障するということがうたわれております。小規模作業所は自主的に、多様な形態で、しかし、少しでも就労の機会ということでいえば、それは共通のものだと思いますけれども、福祉工場については、明らかに設置の目的のところで、通常の事業所に就労できない障害者の方に就労の機会を、労働の機会を提供するということがうたわれているわけです。  ですから、少なくとも福祉工場というところからでも労働の評価ということ、つまり、その工場に丸ごと幾らという形の援助だけではない、一人一人の障害者の皆さんに対する労働の対価という形で評価をする、そういうことも検討していただきたい。これは要望事項で、答弁は結構です。  次に精神障害者のことをお聞きすることになっておりましたが、時間がありませんので、飛ばしていきたいと思います。  先ほど石毛委員の方からも少し触れられましたが、今障害者プランが半ばを過ぎ、あと三年という状況になっているわけですが、四月一日から介護保険サービスがスタートする、介護保険がスタートする。三年というのは短いものですから、この介護保険サービス、これは介護保険制度の導入の際に障害者のサービスとどういうふうに整合性を持たせるのかという問題については多々議論があったと思いますが、もうあと三年で障害者プランも終わる時点に差しかかっておりますので、厚生省としては、この若年障害者の皆さんへのサービスを介護保険との関連性も含めてどのように考えていこうとしているのか、現段階での見解を伺いたいと思います。
  105. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 介護保険で六十五歳未満の若年障害者を対象とすることにつきましては、介護保険法の制定当時、障害者施策は公の責任において公費サービスで実施すべきだという関係者の認識が大変強かったということがございます。  それから、第二番目といたしまして、障害者の介護サービスの内容は極めて多様でございまして、仮に介護保険の対象とする場合にその範囲をどうするか、こういうようなものがなお検討課題として少なくない、こういうような意見が出されたのでございます。  当面、こうした経緯を踏まえまして、基本的には障害者施策の枠組みの中で公費による対応を図ることとされたところでございます。  将来、介護保険で若年障害者を対象とするかどうかにつきましては、介護保険制度の実施状況などを踏まえまして、また介護保険法の附則の規定にもございますように、介護保険制度の全般的な見直しの中で検討していく課題だと考えております。
  106. 中桐伸五

    ○中桐委員 それは一般的な答えなんですが、介護保険が四月一日からスタートして、どのぐらいの時点でその若年障害者の問題を検討するか、そのぐらいのプランは今何かお持ちなのではないですか。それもないんでしょうか。
  107. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 現在のところ、持っておりません。
  108. 中桐伸五

    ○中桐委員 それは、ぜひしかるべきところで検討を始めていただきたい、要請をしておきたいと思います。  時間がありませんので、最後に障害者施策について、これは国、地方公共団体、それぞれのところでの話でございますが、地元でいろいろ小規模作業所あるいは福祉工場をつくりたいという要望をしている皆さんの意見として、障害者本人や関係団体の参加あるいは意見の反映を十分やってほしい、その場が非常に乏しいという意見が強く出されておりますので、その点についてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。  障害者施策への障害者本人や関係団体の皆さんの参加については、「心身障害者対策基本法の一部を改正する法律の施行について」という通知の中に、これは国のレベルの話として障害者施策推進協議会というものをつくり障害者等が委員として参加をする、地方障害者施策推進協議会においても障害者が委員等として参画できるよう配慮されたい、平成五年にこういう法律の施行について通知が出されているわけでありますが、この点も含めて、時間がありませんから簡単で結構ですが、障害者施策への障害者本人あるいは関係団体の参加、あるいは意見の反映という点について、今現状はどのようになっているか、国及び地方の状況を簡単にお答えいただきたいと思います。
  109. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 厚生省といたしましては、中央障害者施策推進協議会や身体障害者福祉審議会などの審議会におきまして、障害者本人及び障害者関係団体の代表者の方を委員といたしまして任命しているほか、施策の立案及び実施に当たりまして随時意見を交換するなど、障害者の方々に参画していただくための場を設けるように努めております。  なお、障害者の福祉サービスにつきましては、措置制度から利用制度に変更することなどを内容とする今般の社会福祉事業法の改正案の立案につきましても、数次にわたりまして障害者関係団体と意見の交換を行う場を設けて、その意見の反映に努めてきているところでございます。  いずれにいたしましても、こうした取り組みを通じまして、障害者の方々の御意見を十分にお聞きしながら施策の推進に努めたいと思います。  地方の実情でございますが、率直なところ、まだ十分なものは掌握しておりませんけれども、私どもといたしましては、この中央の姿勢を十分に指導し徹底していくように努力していく決意でございます。
  110. 中桐伸五

    ○中桐委員 時間がなくなったので終わりますが、一言。地方の実態把握をぜひしていただいて、私のところに文書ででも資料をいただきたいと思います。  以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
  111. 江口一雄

    江口委員長 金田誠一君。
  112. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。  額賀副長官には、御出席をいただきまして大変ありがとうございます。  質問の一点目は、新宿の旧陸軍軍医学校跡地で発見された人骨問題についてでございます。  経緯を申し上げますと、一九八九年、平成元年の七月二十二日、厚生省戸山研究庁舎の建設現場、国立栄養研究所跡地でございますが、ここから百体以上に上ると推定される人骨が発見されました。現在、人骨は新宿区において保管中ということでございます。  人骨が発見された土地は旧陸軍軍医学校の跡地であり、そこには戦前、石井四郎軍医によって防疫研究室が開設されておりました。さらに、防疫の実地応用のためとして、満州防疫機関が出先として設立をされたわけでございますが、これが関東軍防疫給水部、いわゆる七三一部隊であったわけでございます。  このような背景から、人骨はその発見当初から七三一部隊との関連が指摘され、厚生省は土地の管理者としての立場から、あくまでも土地の管理者ということでございますけれども、その立場からその由来について調査することとなり、今日に至っているわけでございます。  そこで、まず官房副長官にお伺いをいたしますが、このような人骨であるならば、土地の管理者としての立場ではなくて、戦後処理という観点から内閣の責任において調査を行うべきと考えるわけでございますが、いかがでしょうか。
  113. 額賀福志郎

    ○額賀内閣官房副長官 金田誠一先生の御質問にお答えをしたいと思いますが、先生が御指摘のとおり、戸山庁舎から大量に発見されました人骨につきましては、その土地が旧陸軍軍医学校であったことから、御指摘のように七三一部隊との関連づけで国会でも議論があったことはよく承知をいたしております。  このため、厚生省におきまして、土地の管理者の立場から、人骨の由来、経緯について、当時の教官や学生等から種々意見を聞いたり、あるいは聴取をしたりして調査を行ってきたということも聞いておりますし、御承知のとおりであります。  政府といたしましては、厚生省調査結果が明らかになった段階で、人骨を管理している新宿区が依頼している専門家の鑑定結果なども踏まえまして、種々の観点から対応を検討しているというふうに考えていただきたいと思っております。  現時点におきまして、いわゆる七三一部隊との関係について、具体的な関連づけを証明する資料は政府部内で発見されておりませんし、また持っておりません。したがって、政府といたしましては、事実関係が明らかになった段階でこれは考えるべきものと思っております。新しい事実関係が生まれれば、厳粛な気持ちで対応させていただきたいというふうに思っております。
  114. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 新たな事実関係が実は既に明らかになっているわけでございまして、その辺のところを副長官は十分御承知おきでないのかなと思うわけでございます。  先般、厚生省から、二月の二十五日付でございますが、「人骨の由来に係る調査の概要」という資料をいただきました。これはお持ちだと思いますが、いかがでしょうか。その中に、旧陸軍軍医学校関係者二百九十三名に対し郵送で調査をしたと。回答があったのが百四十四名、何も知らなかった者が百二十一名、具体的記載のあった者が二十三名ということですから、この二十三名の方の回答が非常に重要な意味を持つと思うわけでございます。  その中で、「戦場に遺棄されている多数の戦死体の中から、主として頭部戦傷例を選別し標本として、持ち帰ったものと聞いている。」というのが五通ございます。あるいは、「軍陣病理学教官より「研究には戦死体が必要であるが、その入手は甚だ困難である。諸官は、これより戦場に赴くが、機会をとらえて戦死体を軍医学校に送ってもらいたい。」と卒業があるごとに頼んでいたので送った者もあったかも知れません。」というのが一通でございます。  こういう当時の関係者、恐らく教官か卒業生だと思うわけでございますが、このような極めて重大な証言がある。もちろん七三一部隊と直接関係があるという証言にはなっておりません。しかし、遺棄されている戦死体の中から持ち帰ったという証言は極めて重大でございまして、この二月段階で初めて明らかになった、それ以前は明らかになっておらなかった、私はこう思うわけでございます。これは戦時国際法にも違反することでございます。そして、この遺棄された戦死体なるものが、七三一部隊との関係がないという証言は何もないわけでございます。あるかもしれない。仮になくても極めて重要な問題だ。  したがって、土地の管理者という立場ではなくて、戦後処理という観点から処理する段階に来た、調査する段階に来たということを問いただしているわけでございます。改めて御回答をお願いします。
  115. 額賀福志郎

    ○額賀内閣官房副長官 先生が御指摘のとおり、二百九十三名に対しまして郵送をし、その中から具体的に二十三名の者から回答があったということは、御指摘のとおりなのであります。そしてまた、今おっしゃられたことも先生の言うとおりであるというふうに理解をいたしております。  しかしながら、七三一部隊との関連づけの中でこの回答がなされたというふうには聞いておりませんし、また、我々が防衛庁の防衛研究所あるいは国会図書館等におけるさまざまな資料を検討した結果においても、七三一部隊との関係を直接裏づけるものはありません。  したがって、私どもがこの調査について断念をしたということでもないわけでございますけれども、引き続いて調査をしていく過程で新しい事実関係が生まれれば、これはきちっと対応していくものであるというふうに考えております。     〔委員長退席、安倍(晋)委員長代理着席〕
  116. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 戦場に遺棄されている多数の戦死体の中から持ち帰ったと。七三一部隊ではないかもしれないし、あるかもしれない。しかし、いずれにしても、戦場に遺棄された死体を持ち帰ったということは戦時国際法に違反をする行為であって、戦後処理という観点から当然解明されてしかるべきだということを私は申し上げているわけで、その点どうでしょうか。
  117. 額賀福志郎

    ○額賀内閣官房副長官 この文書を全部詳細にまだ読んではいないんですけれども、この統計をまとめた中で、「戦場に遺棄されている多数の戦死体の中から、主として頭部戦傷例を選別し標本として、持ち帰ったものと聞いている。」というふうにありますから、直接この方もそれを見ているわけではないというふうに承知をしておりまして、事実関係が、いかようにこれがなされてきたのかという経緯について判断をしかねる場面があるわけでございます。  したがって、確かに七三一部隊とは関係がないということを断言しているわけでもないし、また関係があるとも断言をしているわけではありませんから、私どもは、これについて、きっぱりともうこれ以上調査をしませんというふうに言っているわけではないのであります。
  118. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 もはやその調査が土地の管理者という非常に限定された立場からの調査であってはならないということを申し上げているわけです。  戦地から持って帰ってきたということは、かなり確実な状況ではないでしょうか。御自身が持ってきたという方がもしおられたとしても、その方が果たして証言していただけるかというと、極めて困難な状態になるのではないでしょうか。あるいは、五十年という歳月の流れを考えれば、その方が直接証言される可能性は極めて少ないかもしれない。この軍医学校に関係していた恐らく卒業生の方が証言をされたというのは、これ以上の証言というのはあり得るんでしょうか。かなり確度の高い証言として受けとめて、土地の管理者という立場ではなくて、戦後処理という観点からの調査に切りかえるべきだということを私は申し上げているわけです。  内閣として検討対象になりませんか。今、恐らく副長官は官房長官なり総理なりとも話を詰めてここに来ておられるわけではないと推測するわけですが、そうした立場で持ち帰っていただいて、総理、官房長官、あるいは厚生大臣、こういう中で戦後処理という観点から調査に踏み出す状況になったという御判断をいただけるかどうか、検討していただけませんでしょうか。
  119. 額賀福志郎

    ○額賀内閣官房副長官 先生の御指摘についてのことでございますけれども、例えばこのアンケートの中で、戦場からそういう遺棄死体を標本として持ってきたのではないかという証言があるということについては重く受けとめる必要があるのではないかと思います。しかし、事実関係についてきちっと我々が確認しているわけではないのでありますから、そこのところは、今後我々がどういうふうに対応していくかについて、十分先生の御指摘を踏まえて検討させていただきたいというふうに思います。
  120. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 検討していただけるというふうに受けとめさせていただきます。それでよろしいですね。ぜひ戦後処理という観点から検討をいただくようによろしくお願いをしたいと思います。  次の質問に移ります。  厚生大臣、今日までの調査結果についてお聞きをしたいと思います。  歴代厚生大臣、九二年には山下徳夫大臣、九三年に大内啓伍大臣、九六年には私どもの菅直人大臣ということで、歴代大臣調査を約束して今日に至っております。  そこで、事の重大性からして、調査はずさんなものであってはならないと思うわけでございます。聞き及ぶところでは、どうも、担当者の方はほかに仕事をお持ちで、いわば仕事の合間にという状況のようでございます。調査委員会などもなければ専門の事務局もないし、予算もないという状態と聞き及んでおります。どのような体制かということでお聞きをしようと思いましたが、何も体制はできていないということのようでございます。  そこで、大臣、今検討されるということで副長官はお答えいただきましたけれども、今まで土地の管理者として調査をしてきたお立場から、この戦死体の中から持ち帰ったという状況を受けて、内閣として戦後処理という観点から調査を行うように総理、官房長官に進言をしていただく、厚生省厚生大臣としてはそうすべきだということで進言をしていただけないか。通告書に書いてございませんでしたが、大臣、いかがでしょうか。
  121. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これまで、厚生省といたしましては、一応の調査結果の取りまとめをしつつあるわけでございます。真相を究明すべきという主張をなさる市民団体の方々にも情報の提供をお願いいたしておりますが、現実問題として、四年近く新たな情報は得られておらない状況でございます。いずれにいたしましても、速やかにこれまでの調査結果を公表できるように取りまとめ作業を急がせたいと考えております。  公表時期につきましては、聞き取り調査に協力していただいた当時の関係者に、報告書の内容の御確認をいただく必要があると考えておりまして、ある程度の時間をいただきたいと思っております。
  122. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 厚生大臣、副長官が内閣としても検討する、戦後処理の観点から調査をするかどうか検討するという御答弁でございましたが、厚生大臣としても、検討すべきだという進言をするという御答弁をいただけませんでしょうか。それが一つ。  あわせて伺いますけれども、ぜひ資料を提出していただきたいと思います。  調査の計画書なりに基づいて調査がされたものと推測をするわけですが、調査の計画書なりこれに類するものがあれば御提出をいただきたい。それから、収集した資料の目録をできるだけ正確にお出しいただきたい。それから、九三年十一月十一日の参議院厚生委員会での答弁を見ますと、GHQの資料についても調査をするということでございました。このGHQ資料、翻訳されていればその翻訳されたものをお出しいただきたいなと思います。四つ目、関係者の聞き取り調査とアンケートということで実施をしておりますから、その内容といいますか、調査票、回答書というのですか、それは固有名詞などは出せないと思いますが、その他の部分をお出しいただきたい。  以上四点でございますが、この資料をお出しいただけるかどうかでございます。
  123. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 厚生省といたしましては、土地の管理者としての立場から人骨の由来調査を行ったものでございます。戦後処理の観点から調査を行う立場にはないと考えておりますが、議員からの強い御指摘がございますし、政府全体として考えていただければ幸いだと思っております。  それから、数々の調査資料につきましては、早速内部で検討させていただきます。
  124. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 大臣、ぜひ閣僚の一人として、内閣の一員として、これは国際的にも日本が責任を負うべきものだと私は思います。その点では同意いただけると思いますので、もはや土地の管理者などでやっているものではないという観点から、今まで調査をしてきたお立場から、内閣としての調査ということでぜひ進言をしていただきたいと思います。資料については、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  時間が大分過ぎてしまいましたが、途中をはしょりまして、最後に一点。今新宿区で保管されている人骨でございますが、これを調査が終了するまで、遺骨として丁重に内閣の責任で保存をすべきではないか、保管をすべきではないかと思うわけでございます。新宿区さんも大変御苦労されているようでございますけれども、これはそこで出土したのだからという墓埋法云々の話ではない。戦地から持ち帰ったということが証言として出ているわけでございますから、遺骨の保管についても政府の手に移すという形で御検討をいただけないか。大臣と副長官、それぞれお願いします。
  125. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 厚生省といたしましては、先ほども申し上げたわけでございますが、土地の管理者の立場で由来調査を行ってきたところでございます。したがいまして、墓地、埋葬等に関する法律に基づきまして人骨を既に新宿区に引き渡しました時点で法律上の義務を果たしていると考えておりますが、御指摘の趣旨を踏まえまして、関係省庁とも対応を検討の上、新宿区と相談してまいりたい、そう考えております。
  126. 額賀福志郎

    ○額賀内閣官房副長官 現在、今厚生大臣からお話がありましたように、人骨は、墓地、埋葬等に関する法律に基づいて新宿区において保管をされているわけであります。厚生省調査で、公表に向けて手続を始めたというふうに聞いておりますので、政府としても、厚生省の対応を見ながら検討してまいりたいというふうに思っております。
  127. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 墓埋法の機械的な適用などということは、間違っても考えないでいただきたい。歴史的な、国際的な責務を日本政府は負っているという立場でぜひお考えをいただきたい、強く要請をしておきたいと思います。  実は委員長、この人骨の現物を私は見たいと思いまして、新宿区さんに電話で要請をいたしました。どなたにも見せておらないということで丁重に断られたわけでございますけれども、国政上極めて重要な問題だと思っております。国政調査権ということもあるらしいのですが、そうしたものも含めまして、何とかこの委員会あるいはそのメンバーである私という形で現物を拝見できるように、その重さというものを、事の重大さというものを直接体験することによって受けとめさせていただくというふうに思っているものですから、しかるべく手続をとるようにお願い申し上げたいと思うのですが。
  128. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員長代理 後ほど理事会で協議をしていただきたいと思います。
  129. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ありがとうございます。  それではもう一点、人骨発見地の隣接地における新たな人骨問題ということでお尋ねをしたいと思います。  この人骨が発見されたところに隣接する用地が今多目的運動広場の建設予定地ということになっておるわけでございますが、これに対して、人骨問題を調査していた市民団体から、陸軍軍医学校の元看護婦であった女性の証言ということで、こういう証言があったそうでございます。事務の男性幹部から、敗戦直後、防疫研究室の空き地に穴を掘って標本などを処分した、進駐軍が来て掘り返されると困るので、埋めた場所に病院の官舎を建てて住んでいるという話を聞いたと。こういう証言をもとに、新宿区議会に調査を要望する陳情が一九九八年に提出されております。  そこで、質問項目をいろいろ用意したのですが、最後に一点だけにしまして、官房副長官、この問題もまた戦後処理の問題であろうと思います。内閣として、前段申し上げた人骨問題とあわせて検討して、しかるべく所管を決めて調査をしていただきたい、前段の人骨問題と一緒に検討していただきたい。こう御要請申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  130. 額賀福志郎

    ○額賀内閣官房副長官 私が最初の人骨問題について検討をしたいと申し上げましたのは、先生が御指摘のとおり、戦場に遺棄されている多数の戦死体の中から、主として頭部戦傷例を選別、標本として持ち帰ったものと聞いているという、言ってみれば回答もあったわけでありますから、それは重く受けとめて、事実関係があったのかどうかということを調べていく必要があるという意味で申し上げたつもりでございます。  そしてまた、今の御指摘で、多目的運動広場を建設する地域の調査をしたらどうかという御指摘につきましては、既に発見された人骨について厚生省がさまざまな視点から調査検討をしてきておりますので、私どもは、その結果が近く公表されるというふうにも聞いておりますので、その事実関係を見た上で考えるべきものであるというふうに思っております。
  131. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 現在の百体以上に及ぶと言われる人骨、この問題を解明する上でも、その隣接地に埋めた、その上に官舎を建てて住んでいるという証言は極めて重大な証言だと私は思います。そちらもあわせて調査することによって、現在新宿区に保管されている人骨の調査もより進むことになる。一体のものとして調査することが有効だと思います。今即答はなかなか難しいようでございますけれども、今後また機会を改めて質問もさせていただきたいと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。  この件についてはこれで終わらせていただいて、次の項目に入らせていただきます。副長官、どうもありがとうございました。  次の質問は、介護保険法の実施に伴う有料老人ホームの介護費用の返還について質問をさせていただきます。  まず、経緯等をお話ししますと、本年の四月から介護保険法が実施されることに伴って、有料老人ホームの入居者も要介護度に応じて介護保険から給付を受けることになるわけでございます。もう御承知のとおりでございます。  有料老人ホームが前払いにより徴収している介護費用については、介護保険からの給付といわば二重取りにならないように入居者に返還される必要が生ずるわけでございます。しかし、入居者の多くは持ち家を売却してホームに大金を払い込み、帰る家もなく、情報も十分に提供されていないお年寄りであり、ホームと対等に交渉できる立場にないと思うわけでございます。  ところが、厚生省が二月十四日付で出した老人福祉振興課長名の通知は、老人福祉法第二十九条による入所者の利益保護の視点が全く欠落している。私は非常に遺憾に思うわけでございます。このことを私は二月二十日付の毎日新聞で知りました。記事には、「実際には一部返還されたり、介護保険料や介護サービスの自己負担分に充てられるケースが多いと見られる。」こういう記事だったわけでございまして、本当に驚きました。この程度のことで多額の払い込んだ介護費用がいわばチャラにされるということであればとんでもないと、本当に怒りを覚えたわけでございます。  私は、この厚生省の通知は速やかに撤回されて、入所者の利益保護の立場からきちんとした通知が出し直されてしかるべきだ、こう思っております。こういう立場から、以下質問を申し上げたいと思います。  ちょっとこれまたはしょります。通告の一点目、二点目は割愛をしまして、三点目に入らせていただきます。  介護保険の給付を代理受領する場合、この場合は返還額を確定することが大前提となるにもかかわらず、その計算式は全く示されていないと思います。これではホーム側が勝手に決めることになるわけでございます。  そこで、厚生省として、この返還額を確定するに当たって、どういう計算式を想定をされておられるのか。この計算式を資料として御提出いただきたい。今までの通達等の中では全く出ていないわけで、非常に遺憾だと思います。どのような計算式を想定されておられるか、御提出いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。出すか出さないかで結構です。
  132. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 幾つかの例としてお示しすることは可能と考えます。
  133. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ありがとうございます。ぜひ、幾つかのケースがあると思いますので、その場合の返還額を確定する計算式を御提出をいただきたいと思います。  次に、いわゆる上乗せ、横出しサービスという言葉が随所に使われているわけでございまして、上乗せ、横出しサービス分は返さなくてもいい、こういう文脈になっておるわけでございます。したがって、上乗せ、横出し部分をいろいろカウントしていけば、結局返す金額を圧縮することができる、返さなくてもいいことにもなりかねないというふうになっているわけでございます、この通達は。  そこで、このいわゆる上乗せ、横出しをどのように認定してカウントするのか、計算するのか、これまた前段の返還額と同様に幾つかのケースがあろうと思いますが、その計算式も御提出をいただきたい。出せるか出せないかで結構でございます。
  134. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ちょっと内部で検討した上で御返事をさせていただきます。
  135. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 よろしくお願いをしたいと思います。  今まで申し上げたのは、代理受領の場合でございます。  今度は、ホームが代理受領をしないで償還払いを選択する場合、この償還払いの額は、通知によれば、前払いした金額のうち介護保険サービスを受けるための費用相当額とされているわけでございます。しかし、入居者は、前払いした金額を超えて介護を受ける者もあれば、全く介護を受けない者もある。例えば五百万払い込んで一千万、二千万の介護を受ける方もいれば、五百万払い込んでも全く介護を受けないで最後までお元気でいらっしゃる方もいるわけでございます。  そういう中で、この償還払いの限度額を御自身が払い込んだ金額を上限にするということは理屈が合わない。有料老人ホームというのは、そもそもそんな財政方式になっていない。全体でプールして介護を提供する、お元気な方もいれば重介護を受ける方もいらっしゃるということを前提にして財政方式が成り立っているわけでございます。年金に例えますと積み立て方式ではなくて賦課方式、こんな例えが恐らくいいのではないかなと私は思っているわけでございますが、そうした場合、今のこの償還払いで返還する考え方は、いわば積み立て方式の考え方で、その個人の分だけ返しましょうという考え方でございます。理屈が合わないのではないか、私はそう思っているわけでございます。  そこで、償還払いを選択をするという場合は、償還払いが御自身が払い込んだ金額の額まで達した場合は、後は代理受領に切りかえてホームなりが受け取ることにするべきではないか。そこで打ち切ってしまうということ自体が非常に理屈が合わないことになるのではないか、こう思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  136. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 委員の御指摘をいただきましたのは、ホームが代理受領しないで入居者が償還払いを受ける場合、その額は、前払いした金額のうち介護保険サービスを受けるための費用相当額とされているけれども、償還払いで支払われた額が入居者が前払いした費用を超えた場合には、ホームが介護費用を代理受領できるように認めるべきではないか、こういうような趣旨だと思いますが、入居契約が、前払いによりまして介護サービスを提供して、そして入居者の追加的な支払いは求めないことになっている以上、償還額が前払い金の額に達した後は、当初の契約どおりホームから利用者負担なしで介護サービスが行われることになりますので、介護保険から介護給付を行う必要はなくなるわけでございます。  したがいまして、当初契約が変更されれば保険給付を受けることもできますが、通常は、当初契約のままホームからのサービスを受けるのがごく一般的だ、こう考えているような次第であります。
  137. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 担当者の方ともいろいろ私は話しているのですが、今のような答弁に終始しているわけでございます。  しかし、払い込んだ金額まで償還払いで本人に戻った、その後も介護を受けるわけですよ。その受ける費用はだれが出しているかというと、ホーム全体で負担しているわけですね。ホームとして負担している。しかし、その要介護者自体は介護保険の被保険者ですから、要介護状態にある限りは介護保険給付を受ける受給資格を持っているわけですよ。そこを打ち切ってしまって、あとの分をほかの入居している方々の費用で賄おうという考え方というのは理屈に合わないのではないですかということを私は申し上げているわけです。  大臣、今即答は要りません。厚生省ともあろうものが、この程度の算数はちょっとおかしいではないですかということを私は申し上げるわけで、ぜひもう一度検討してください、要請しておきたいと思います。  次に、クエスチョンの六を飛ばして七に入らせていただきます。  当事者の合意という言葉が随所に使われています。これは入居者とホーム側との合意が基本だと。そうかもしれません。しかし、入居者の多くは、冒頭申し上げましたような立場に置かれた高齢者の方々でございます。この「調整について」という通達を読んだって、私もしばらくわかりませんでした。失礼ですが、大臣だって恐らくまだ……。そういう通達高齢者の方に見せもしないわけですよ。見せたってちんぷんかんぷんでしょう。それで当事者同士で決めなさいという話をよくするものだな、何を考えておられるのかというふうに私は本当に怒りが込み上げているわけでございます。  これはどうですか、対等に交渉できる立場にないでしょう。自分自身が人質にとられているようなものですよ。そうであれば、クエスチョンの八に入りますけれども、これは第三者による中立的な調整機関、例えば都道府県ごとに、弁護士さんとかそういう方々で、三人か五人の機関をつくって中に入っていただいて、入居者が被害を受けないようにホーム側と入居者の側との間を取り持ってきちんと取りまとめる作業が必要ではないですか。  有料老人ホーム協会が云々という答弁を用意しているかもしれませんけれども、ホーム協会というのは片っ方の当事者です。入居者の側の当事者ではない。その中立の、間に入ってやれるというのは有料老人ホーム協会ではない。それは利益相反というのですか、利害相反の関係にあるわけです。  ぜひ第三者機関をつくるということで御検討いただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  138. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 介護保険の導入に伴います有料老人ホームのあり方について、先ほど来金田委員から御指摘があるわけでございます。  有料老人ホームと利用者との契約、こういうような前提がございまして、要するに介護保険制度導入ということに伴いまして、さまざまな問題点がこの中にあることも十分に私も承知をいたしておるような次第でございます。  有料老人ホームの運営につきましては、これまでも、要介護状態の方々を含め入居者の意見がホームの運営に適切に反映されますように、入居者だけではなくて、その身元の引受人の代表であるとか、それから第三者的立場にある学識経験者などから成る運営懇談会の開催などについて指導を行っておるわけでございますし、今後も都道府県などを通じまして指導を徹底していきたい、このように考えております。
  139. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 事務方がつくった答弁だと思いますが、本当にそれではだめだと私は思います。  先ほど来言っていますように、代理受領の場合でも、返還額をどうやって決めるかというのは計算式さえ出ていない。そして、上乗せ、横出しといったって、何をもって上乗せとするか、横出しとするか、これさえも決まっていない。入った方も、介護を受けている方もいればお元気でいらっしゃる方もいる。入った年次も違う、介護を受けている年次も違う。要返還額をどうやって確定していくかというのは大変な仕事だと思うのですよ。それを、入居者、そのお年寄りと話せといったって、できるわけないじゃないですか。  日弁連でも一一〇番などやったりしていますけれども、厚生省として、老人福祉法に基づいて入所者の利益保護という立場に立つとすれば、最低でもきちんとした調整機関、その前段として返還額などの考え方をまずきちんとすること、その上で調整機関をつくるということで、事務方の答弁は答弁として、これはぜひ改めて御検討いただきたい。もう時間になりましたから終わりますけれども、強く要請をして終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  140. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員長代理 児玉健次君。
  141. 児玉健次

    児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  リンパの還流障害によって浮腫を来し、皮下組織、皮膚の肥厚等が生ずるリンパ浮腫は難治性疾患の一つとされていますが、私は、きょうの質問の前半において、この問題で質問をしたいと考えます。  厚生省は、一九八七年度に厚生省特定疾患系統的脈管障害調査研究班という名で報告書をお出しになっている。  私が聞きたいのは、もうこの研究班がないということはよく存じておりますし、そして、最初に言っておきますが、リンパ浮腫を特定疾患で云々という議論をするつもりは毛頭ありませんので、そこのところはよく理解していただきたいのですが、その研究班によれば、当時実態調査によってリンパ浮腫は二千二百八十六名と集計されています。  研究班は、リンパ浮腫五百七十七例について病態、診断、治療、予後について検討をして、より的確な指針づくりが必要なことを示唆していると述べ、かつ、今後症例数の増加が考えられるとも述べています。  そこで、保健医療局長に事実関係に限って明らかにしていただきたいのですが、一九八七年以降において治療法の指針づくりがどのように進められているか。そして、現在厚生省はリンパ浮腫の患者数をどのくらいと見ているか、この二点、お答えをいただきたい。
  142. 篠崎英夫

    篠崎政府参考人 先生が御指摘のリンパ浮腫の実態調査に関する研究が、昭和六十年度から平成元年度まで御指摘のような研究班で行われました。  その結果でございますけれども、私ども調べましたところでは、一九八九年度に最も適当と思われるリンパ浮腫の評価、重症度基準の案を作成いたしまして、一応、提示ございました的確な指針づくりということについては対応しているのではないかなというふうに思っております。  それから、今お尋ねのリンパ浮腫の数でございますが、このリンパ浮腫というのはいろいろな原因で起こるものですから、結論を先に申し上げますと、その詳しい数字は持ち合わせておりません。  ただ、鼠蹊部あるいは腋下部のリンパ郭清術によって起こるものですから、その多くは乳房の悪性新生物あるいは子宮がん、前立腺がん等のがんによるものが多いのではないかと思っておりまして、そのがんの数を足しますと大体三十四万三千人ぐらいになるのでございますが、そのうちのどのぐらいの割合かということについては、詳しくは数を持ち合わせておりません。
  143. 児玉健次

    児玉委員 さきに触れた調査研究班は、二千二百八十六名のうち五百七十七例の治療について詳細に検討をしています。その中で四百四十二例、七六・六%が保存療法を受けている。薬物療法が二百四十八例、四三・〇%。外科療法が六十九例、一一・〇%です。  そこで、私は、今厚生省からお話があったけれども、この問題で極めて献身的な努力をなさっている臨床のお医者さんたちから、今さまざまな努力をする場合に最も依拠すべき学術論文として紹介されたのが、日本医事新報昭和六十三年一月十六日付、徳島大学心臓血管外科教授加藤逸夫先生の論文です。多分ごらんになったと思います。  その中で、先ほどの圧倒的な部分が今治療を受けている保存療法について、加藤先生はこうおっしゃっている。一として、むくみの出た部分の挙上、高く上げるということですね。二として、弾性ストッキング、弾性スリーブの着用。三として、リンパ誘導マッサージ。  そこで大臣、先ほどお渡ししたこの写真、皆さんにもお見せすればいいんですけれども、余りにも生々しいものですから大きな写真にはしませんでしたが、加藤教授はこういうふうに言っていらっしゃる。リンパ浮腫の治療に当たっては早期から徹底した保存的療法を開始し、根気よく継続することが重症化を防ぎ、寛解もしくは治癒を得るために重要である、こう述べていらっしゃいます。  そして大臣、この写真で、これだけむくんでいる。私もこの治療に当たった医師から実際にスライドで拝見しましたが、一カ月この弾性ストッキングを着用することで下の写真になるんですね。  弾性ストッキングというのは、これが片足の方のストッキングであって、これは九千二百円です。そして、腕の場合にはスリーブになるので、スリーブについていえば——これとこれはぜひ見てください。どうぞお持ちいただいて結構です。  加藤教授は、この弾性ストッキングと弾性スリーブは浮腫の進展を抑えるのに極めて有効である、こういうふうに論文の中でおっしゃり、かつ、リンパ誘導マッサージの有効性もこの論文の中で強調されています。  そこで私は言いたいんだけれども、先日、リンパ浮腫の患者さんを会員とするリンパの会の会員の皆さん方とお会いしました。乳がんや子宮がんの手術でリンパ節を郭清し、腕や足にリンパ浮腫が生じた人、中には放射線治療によって生じた方もいらした。その中で、一人を除けば、手術前に、この手術でリンパ浮腫が発症する危険性があるということを説明された方はいらっしゃらないんですね。六名の方にお会いしたんだけれども、五名の方が説明を受けていらっしゃらない、そういう状態である。  先ほどの徳島大学の加藤教授は、論文の中で、御自身が扱われた三百一例について、浮腫の発現は術後六カ月以内が乳がん四一%、子宮がん二九%、こう言っていらっしゃる。  そういう研究者の研究に触発されつつ、今、例えば癌研附属病院では、三年前から婦人科がん術後合併症としての下肢のリンパ浮腫について非常に熱心な調査、指導を行っていらっしゃる。ここの例でいえば、子宮頸がん、子宮体がんの手術でリンパの郭清をした三百十八例中、リンパ浮腫の発症は五十二例、さっきの厚生省の示されたパーセンテージより高いです。一六・四%です。  そして、癌研ではドクターと看護婦さんが、患者さんたちに対して、このリンパ浮腫が生まれる可能性がある問題とどのような注意をすればいいかということについて懇切な指導をされている。その結果、患者さんの九七%が病院の指導内容がよく理解でき、指導を受けて満足ですと書いていらっしゃるのですね。  そしてもう一つ、先ほどの、六人お会いした人の中で一人だけ承知していたというのは、北海道勤労者医療協会の病院のケースです。そこではこういうパンフレットを配っている、「乳房の手術を受けた方へ」。そして、手術直後においてリンパ節を郭清した方の腕を余り激しく動かさないようにということを懇切に述べ、退院時に際しては、洗濯、リハビリ、土いじりのときはゴム手袋をはめましょう、ショルダーバッグはなるべく手術しない方の肩にかけましょう、もし腕のはれが起きたら早目に受診しましょう、こういうふうに指示されている。  大臣に申し上げたいんだけれども、さっきのような非常な困難、運動障害、生活障害に対して保存療法の持っている医学的な位置づけというのは既に確定しています。医学教育の中でもしっかりした地位を占めている。そういう中で、多くの医療機関が、もちろんそれぞれの専門家性に基づいてではあるけれども、癌研の附属病院で行われているような患者に対する懇切な指示、説明を行うことは今後有効だと考えるのですが、大臣、いかがでしょうか。
  144. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 効果があるかどうかということでございますが、初めてお聞きをすることでございまして、私よりもむしろ専門家に答えさせた方がよろしいと思います。
  145. 篠崎英夫

    篠崎政府参考人 先ほどの加藤先生の論文あるいは厚生省でいろいろ行っております研究等によっても、そういう対症療法がなるべく早ければ早いほど重症にならずに済むというようなことが言われております。
  146. 児玉健次

    児玉委員 丹羽大臣、私は、今の治療法の医学的な有効性についてあなたに聞いたのではない。そうではなくて、手術の前にリンパ浮腫を発症する危険性があることを病院がインフォームド・コンセントとして患者に伝え、退院時においてさらに懇切な指示を行う、これは今後にとって非常に必要なことではないか、その点で大臣の感想を聞きたいということです。
  147. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 乳がんなどの手術後において発生をいたしますリンパ浮腫は、術後患者の生活の質を低下させる原因の一つにされておるわけでございまして、患者を初め関係者の皆さん方にその予防法や対処方法について正しい知識を伝えることが何よりもまず重要でございます。  厚生省といたしましても、国立がんセンターのホームページなどを通じまして、医療関係者や国民に対してこれらの情報提供を行ってきております。今後とも、いずれにいたしましても、先生御指摘の、きちんと手術前後にこの説明を十分行うことは大変重要なことだと考えています。
  148. 児玉健次

    児玉委員 その努力はさらに進めていただきたいと思います。  さてそこで、今、リンパ浮腫の治療について、さっきの厚生省の研究班自身が言われているように、保存療法、薬物療法、外科療法とある。加藤教授のお書きになったもの、そして臨床で大変苦労なさっている何人かの医師の方から私がお聞きしたところでは、外科療法にせよ薬物療法にせよ、熱心に継続される保存的療法と併用した場合に効果があると。結局、さまざまな療法の中で基礎になるのがこの保存的療法であると。さっきの、腕や足を上げる挙上と、弾性ストッキング、弾性スリーブ等の着用、リンパマッサージですね。  その中で、外科療法、薬物療法については健康保険の対象となっている。例えば外科療法の一つであるリンパ節の吻合は診療報酬で一万七千三百点と評価されて、今度の改定を見ると二万点を超しますね。しかし、保存療法について言えば健康保険の対象になっていない。現在、保存療法は、医師、医療機関の熱意と善意に支えられて辛うじて進められている。  そして、先ほどお見せした弾性ストッキング、スリーブ等ですが、安いものではありません。あるものは二万円を超しているし、あるものは九千円、一万二千円です。そして、昼間着用するから大体二組必要だ、洗濯のために。そして、弾性が失われてすっと入るようになると効き目がないから、そのときはより弾性の強いものにかえなければいけない、年に大体十万円以上自己負担がある。  そういう中で、この保存療法に対して健康保険を適用する、このことで熱意と善意を持って苦労されている医師、医療機関に対しても相応の診療報酬上の評価をすべきだと考えますが、参考人である保険局長のお答えをいただきます。
  149. 近藤純五郎

    ○近藤政府参考人 現在、医療保険でリンパ浮腫に対しまして保険適用されておりますのは、先生御指摘のように、リンパ管の吻合術でございますとか、あるいは薬物療法でございます利尿薬の投与ということでございます。  先生御指摘のマッサージでございますとかストッキング、スリーブの着用、こういった保存療法でございますけれども、先生の御指摘はごもっともな面もあるわけでございますけれども、はっきり申し上げて、学会全体という関係から見ますと必ずしも確立された治療方法ではないというふうに伺っているわけでございます。  どの医療技術についても同様でございますけれども、その普及性でございますとか有効性とか効率性といったものを考慮した上で保険適用を行うべきものだというふうに考えている次第でございます。
  150. 児玉健次

    児玉委員 大臣、今の点ですが、一つは、事実関係が極めて雄弁にリンパ浮腫に対する治療法の状況を示しています。  それはさっきの、一九八七年において五百七十七例中四百四十二で七六・六%が保存療法を当時受けていた。そして、徳島大学の加藤教授の論文は一九八八年です。八七年に厚生省報告書が出たその翌年ですね。これが一つのスタンダードとなって、例えばさっきの癌研における保存的療法だとかその他が広がっています。そこのところを厚生省はしっかり見てほしい。それが一つ。  もう一つ大臣、ここのところは国際的な問題としても明らかにされるべきだと思うのですが、先ほどの弾性ストッキングや弾性スリーブの多くは輸入に係るものですね。例えばドイツにあっては、リンパ浮腫に対する保存療法は完全に健康保険の対象です。  そして、患者の会の会報では、ドイツまで行って保存療法を約一カ月受けた方の手記が出ておりまして、この中で、ドイツでは保険が適用されている、ドイツでだけでなくこの治療所に来るヨーロッパの人は保険を利用してきていると。なぜ日本がその点でためらうのか。もちろん、アメリカは日本のような健康保険制度でないということは皆さんよく御存じだけれども、しかし、アメリカでもすべての州にリンフェデマセラピーが存在していて、先ほどの弾性ストッキングその他の着用やマッサージその他が現に施されているのですね。  私は、そのあたりの国際的な動向も厚生省はしっかり見ていただきたいと思うのですが、どうですか。
  151. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 このリンパ浮腫に対する患者さんのマッサージやストッキング着用の保存療法につきましては、現時点においてはまだ必ずしも確立された治療法という立場にはないわけでございます。これは、普及性であるとか有効性であるとか効率性などといった観点からその判断を決めるものでございます。  これまで、一九八九年までの間、四年間検討したという事実があるそうでございますけれども、最近はこの問題について検討しておらないということでございますので、私もよく実情はわからないのですけれども、検討することはやぶさかではありません。
  152. 児玉健次

    児玉委員 一九八九年以降努力をしていないというのは厚生省の問題であって、現実に患者さんたちの苦労はますます続いているし、医療機関における医師の善意と熱意というのはしっかりと続けられています。そして、健康保険が適用されれば、例えばさっきの弾性ストッキング、スリーブ等は治療装具として見ていくことが可能ですし、私は、今、大臣保存療法に対する医学的な評価厚生省としても確かめつつ検討したいというふうにおっしゃったことは、それはそれでしっかり受けとめます。  このことは、患者や医師にとって、例えば糖尿病や高脂血症について言えば、今度の診療報酬の改定でも在宅の患者に対する指導管理料というのは評価されていますけれども、この部分は結局初診料、再診料以外にないわけなんですから、そのあたりも大きなブラックホールだと私は思う。重ねて積極的な検討をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
  153. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、この問題につきまして現在検討をストップしておる段階でございます。  先生からそういうような御指摘がございましたものですから、この保存療法につきまして、ほかの医療技術と同様に、普及性であるとか有効性であるとか効率性であるとか、こういった観点から内部で十分に検討をしていきたい、このように考えております。
  154. 児玉健次

    児玉委員 これは、私もこの後継続的に議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  では、次の問題に入ります。  厚生省は、都道府県知事等が保育所の設置認可を行う際のガイドラインを先日示された。そのことに関して質問します。  昭和三十八年、一九六三年のことですけれども、厚生省は「保育所の設置認可等について」という文書の中で、保育所の設置経営主体として、以下それをそのまま引用しますが、  私人の行う保育所の設置経営は社会福祉法人の行うものであることとし、保育事業の公共性、純粋性及び永続性を確保し事業の健全なる進展を図るものとする とされてきました。  厚生省は、昨年、中央児童福祉審議会の保育部会で、議事録を拝見したわけですが、その中でこうもおっしゃっている。  仮に、この社会福祉法人以外の者の参入を認める場合には、保育事業の公共性、純粋性、永続性というようなものについてどのように考えるのか、どのように担保していくのかというのが大きな課題となってくるということでございます。 こういうふうに述べていますね。  公共性、純粋性、永続性の確保、これは児童福祉法の理念、規定からしても当然のことだと私は考えます。今後の保育事業の充実発展のために、公共性、純粋性、永続性が確保されていくことの重要性、この点について厚生大臣の考えを聞きたいと思います。
  155. 真野章

    真野政府参考人 先生御指摘のとおりだと考えておりまして、私ども、今先生おっしゃられました規制緩和の部分でもそういうことを念頭にパブリックコメントを実施したわけでございます。
  156. 児玉健次

    児玉委員 今のお答えで非常に明確になりましたけれども、公共性、純粋性、永続性、これはそれぞれ独立した概念であり、独立した概念として大切にされなければいけないし、三者一体、総合的にも堅持されていかなければいけない。  そのことに関連して、保育所の運営費について、これは、児童福祉法の規定から、児童福祉法第四十五条の最低基準を維持するために必要な経費である、私はそのように理解しておりますが、この点、政府参考人の確認を求めます。
  157. 真野章

    真野政府参考人 先生御指摘がございました四十五条の最低基準を維持するために要する費用ということで、児童福祉法五十条「都道府県の支弁」並びに五十一条「市町村の支弁」に、それぞれ保育費用の定義として、最低基準を維持するために要する費用を言うということでございまして、平成九年の児童福祉法の改正においても変化はないというふうに私ども考えております。
  158. 児玉健次

    児玉委員 前回の児童福祉法の改定によっても変わりはない、そして、児童福祉法四十五条の保育事業における最低基準を維持するために必要な経費が運営費として支弁されていると。  そこで、以下、大臣と率直な議論をしたいと思います。  保育事業の最低基準を維持するために必要な経費が運営費として支弁されている、まさに最低基準ですね。現場の保育所でどんな苦労がされているか、これは私は大臣にしっかり見ていただきたいのです。文字どおり最低基準ですからね。幾らかでも行き届いた保育を進めようとすれば、この支弁されている運営費では到底足りない。それで、お父さん、お母さんが手弁当で大変な苦労をなさっているし、保母の先生や職員の皆さんたちの苦労も並大抵のものじゃありません。  そういう中で、今回の厚生省のパブリックコメントに関連して私が言いたいのは、このことに関する議論を行う場合に、例えばNPOなどの非営利の法人と企業、株式会社とははっきり区別して議論をしていくことが重要だと考えます。  そして、これはやはり中央児童福祉審議会保育部会で昨年の三月三十日に議論がされている、その場で厚生省はこう述べていらっしゃる。さまざまな質問や意見が出されたのに対する厚生省の発言ですね。  運営費の使途制限というのが、今の民間保育所にも一定の使途制限、使い道の制限が、まさに公費一般財源をもって行う公費負担でありますので、勝手にあっちこっちにそれが消えていくというようなことは許されないという意味で運営費の使途制限がございますが、当然この制限には、同じように認可保育所として服していただくということも当然のことだろうと思います。 私は、これは非常に率直な本質を射た発言だと思います。  公費でもって賄われる運営費が勝手にあっちこっちに消えていく、企業本体の株の配当金などになって消えていくということになれば、先ほどの保育事業の公共性、純粋性が維持できませんね。いかがでしょうか。
  159. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 基本的に同じ認識を持っております。
  160. 児玉健次

    児玉委員 私は本当にそうだと思いますね。  今、保育事業の将来のことを考えるときに何が肝心なことかというと、保育事業の会計の公開性、透明性、運営に対する住民参加、それらがますます必要になってくるだろうと思う。  もう一つ問題を出したいのですが、もし企業、株式会社等が保育所を運営することになれば、保育の最低基準を維持するための保育所運営費は支弁されるかされないか、これは政府参考人からお答えいただきます。
  161. 真野章

    真野政府参考人 認可保育所になっていただくわけでございますので、保育所運営費ということで支弁をいたします。  先生御存じのとおり、保育所運営費は、人件費、管理費、事業費などから構成されております。先ほど御答弁申し上げましたように、最低基準を満たした保育の実施に要する費用の全国的な水準を勘案して決めますとともに、さらに言いますと、事務職員の雇い上げ経費など最低基準に直接規定されていない経費も現在保育所運営費ということで支弁をしております。
  162. 児玉健次

    児玉委員 そのことはさっきもう共通認識になっていますから。私がお聞きしたいのは、保育の最低基準を維持する保育所運営費ではなく、施設整備費です。もし仮に企業、株式会社等が参入するとすれば、そこに施設整備費が支弁されるかどうか。
  163. 真野章

    真野政府参考人 現在、規制緩和を検討いたしておりますが、パブリックコメントでもしておりますけれども、私ども、施設整備費につきましては、社会福祉法人の施設整備費への補助を行うということを考えておりまして、社会福祉法人以外の者が設置する施設整備については補助をする考えはございません。
  164. 児玉健次

    児玉委員 非常によくわかりました。  そうなると、大臣、次のような危険性が生まれてくる。社会福祉法人以外の部分には施設整備費は支弁されない、そうなると、施設整備に関する費用保育所運営費から捻出されることが予想されないか。もしそのようなことを許せば保育水準の低下をもたらすことは免れないと思うんですが、いかがでしょうか。
  165. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 保育所運営費から生じました例えば繰越金などが社会福祉事業以外に用いられることは、運営費の趣旨に照らして望ましくないものと考えております。  現在、こうした観点から、運営費の使途制限のあり方について検討を進めているところであります。
  166. 児玉健次

    児玉委員 そこのところは非常に厳格に行っていただきたい、私は強く求めたいと思うんです。公費による保育所運営費は、子供に適切な保育を行うために支出されている公金ですから、保育経費以外に充てられてはならないことを明示する必要がある。ここのところは、厚生省、しっかり踏まえていただきたいと思うんです。  結局、これらの議論というのは、冒頭言いましたように、非営利法人、NPOと営利企業、株式会社をはっきり区別して進めないと、事態が非常に困難になってくる。なぜかといえば、営利企業、株式会社の使命は株主に損失を与えないことですね、保育事業に参入して収益が生じないことになれば撤退することになってしまう、これでは先ほどの永続性の方が維持できなくなりますね。その点についての新しい困難が出てくることになる。大臣、いかがでしょう。
  167. 真野章

    真野政府参考人 先生御存じのとおり、児童福祉法上、国及び地方公共団体以外の者、今回対象に拡大するものも入るわけでございますが、そういう者が保育所を廃止または休止する場合には、都道府県知事の承認を得ていただくということになっております。  それからまた、今回対象を拡大しようとしておるわけでございますが、その際の設置認可の申請に当たりましても、私ども、パブリックコメントでも、事業の安定性、継続性を確保する観点から幾つかの基準をお示しいたしております。そういう基準に合致した保育所を認可保育所とするよう都道府県にお願いをするつもりでございます。
  168. 児玉健次

    児玉委員 先ほど大臣も明言されたように、公費でもって充てられる運営費、当然使途制限があって、そうでなければ物事は正しくは進まない、児童福祉法の理念もゆがめられてしまう。勝手にあっちこっちにそれが消えていくというようなことは許されない、ここは先ほどの大臣の答弁で明らかになりましたので、私は、最後に私自身の強い希望を述べておきたいと思います。  それは、企業本来の目的は営利の追求であって、子供と保護者の権利保障を目指す保育事業の目的とは相入れません。企業が保育に参入すれば、日々の保育活動が利潤追求の対象となって、保育者と父母の共同の営みによってはぐくまれる保育がゆがめられてしまいます。それでは保育業界全体に不毛なサービス競争が持ち込まれる。  そこで言いたいのですが、大臣、二つの点なんです。  確かに、今保育所入所待機児童、とりわけゼロ歳児において待機率が一〇%台、二〇%台、一昨日でしたか、いただいた資料によると三〇%というところもありますね。一部において絶対的な供給不足を解消できない地域があることは事実だし、それは重視しなければなりません。その地域については、自治体と連携して予算の裏づけのある重点的な対策を緊急に図るべきであって、それこそが国民の求めている道だと私は考えます。  厚生省は、これまで待機児童解消策として、九七年の児童福祉法改定以来、全保育所での乳児保育の実施、少子化対策臨時特例交付金、そして新エンゼルプランの策定、さまざまにされてきているけれども、待機児童の問題は依然として深刻です。その深刻な現状をどうやって主体的に打破するかということを棚上げにして、もし拙速に企業の参入を容認するようなことがあればどうなるか。  先ほどの審議会でも、厚生省は「多様な経営主体参入を認めることによって、数量的に一万人ないしは二万人の待機児童の減少が見込まれるとかというような数量的なものは全く示しようがない」、私はこれはそのとおりだと思うんです。まさにそのとおりです。そういうやり方ではなく、さっき言いましたように、困難を抱えている地域で重点的な対策を自治体と連携して計らってそこを突破していく、この道が求められていると考えるんです。大臣、いかがでしょうか。
  169. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 保育所の待機児童対策といたしましては、これまでも繰り返し答弁させていただいておるわけでございますが、少子化対策臨時特例交付金などによりまして、各市町村の計画によりますと三年間で三万八千人の待機児童の解消が図られる、こういうことが見込まれておるわけでございます。待機解消に向けて大きく前進することができると思っておるわけでございます。  それから、委員から御指摘のございました、いわゆるゼロ歳児、特に低年齢児でございます。こういうものを含めまして、今度の新しいエンゼルプランの中では十万人ふやすことを決めておるわけでございますし、それぞれの地域の実態というものを踏まえながら、きめの細かな対策を講じていきたい、このように考えているような次第でございます。
  170. 児玉健次

    児玉委員 終わります。     〔安倍(晋)委員長代理退席、田中(眞)委員長代理着席〕
  171. 田中眞紀子

    田中(眞)委員長代理 中川智子さん。
  172. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  きょうは、まず最初に、薬害クロイツフェルト・ヤコブ病について質問をいたします。  厚生省は、昨年八月に発表いたしましたサーベイランスによる調査によって、現在六十五名のクロイツフェルト・ヤコブ病患者のことを把握していると思いますが、昨年の四月から発症については法律報告が義務づけられていますけれども、それ以前については報告の対象になっておりません。  そして、今回また岐阜県のある病院で四例報告されました。そのうちの一例はあの狂牛病事件のときの緊急全国調査で研究班の報告書の四十三例に含まれていますが、あとの三例は厚生省のサーベイランスが発表したものの中に入っておりません。これは独自に私の事務所で四例というのを把握したわけなんですね。  実は、サーベイランスは昨年の八月にやりまして、半年に一回きっちりサーベイランスを行っていたわけなんです。ですから、昨年八月の発表から半年以上たつので、今月中にはきっちりした調査をして報告がなされるものだと思っておりました。ところが、いまだその計画がない、既に症例が報告されているにもかかわらずこの夏ぐらいまで開く計画がないと聞きまして、驚くより本当にあきれております。  御存じのように、クロイツフェルト・ヤコブ病は、発症いたしますとほとんど一年ないし二年で亡くなられます。発症してから二カ月ぐらいで植物状態になり、ほとんどの方が、本当になぜこんな体になってしまったのかわからない状態で亡くなります。まだ厚生省がきっちり実態調査をしていない。そのせいで、遺族も、なぜ死んでしまったのか、どういう病気だったのかと。精神が侵されたのではないか、まだ発見されていない奇病ではないかという世間のいわば差別、医療現場病院でもそのような差別の中で亡くなられた方はまだまだいるというふうに考えています。  そこで大臣伺いたいんです。厚生省のサーベイランスを半年に一度やるということで進んでいたのに、半年以上たってもこれが行われない。そして、事態は緊急を要している。このような状況の中で、緊急に調査班を設けて徹底的に全国調査をすべきだと考えますが、大臣にやる気があるかどうか、しっかりとした御答弁をいただきたいと思います。
  173. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 クロイツフェルト・ヤコブ病の患者の把握につきましては、平成八年から現在まで累次調査を行っておりまして、全体の把握に努めているところでございます。  平成八年から平成十一年にかけましては、厚生省の研究班や審議会の調査として実態を把握し、平成十一年の四月からは、感染症法において、診断した患者のすべての数を医師が届け出することとする四類感染症としてこのヤコブ病が位置づけられたことは、先生も御案内のことと思います。  したがいまして、このヤコブ病の患者の実態把握につきましては、これまでも鋭意取り組んでいるところでございますし、御指摘のような全国調査は実質上十分に整備されている、このように考えているような次第でございます。  なお、平成十一年三月の感染症法施行以前のヤコブ病患者の実態把握につきましては、当時、全国四千人余りの精神科、神経内科あるいは神経病理施設などに調査票を送付いたして実施したものでございます。この調査としては十分であったと思っておりますが、今回調査を実施するにいたしましても、前回同様に医療機関の協力を得て実施する調査方法となるため、その意義は乏しいと考えておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、委員から御指摘の、速やかにこの調査というか、御懸念の点については解消に努めていきたい、このように考えているような次第であります。
  174. 中川智子

    中川(智)委員 それでは、大臣、鋭意取り組んでいる結果として、現在把握している人数と、それを半年に一度ということだったら今月じゅうなんですが、そこに対して御答弁ください。
  175. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 できるだけ早く審議会を開いて明らかにしたいと思っております。
  176. 中川智子

    中川(智)委員 大臣、私先ほど申しましたように、一切治療法もなく、乾燥硬膜を移植して本当に治った治ったと喜んでも、十年から十三、四年の潜伏期間を経て、全くわけがわからなくて不治の病に取りつかれて一、二年で亡くなってしまうんです。ですから、できるだけ早くというのも、私たち健康な人間のできるだけ早くではなくて、サーベイランスは今まで半年ごとにやっています、それをやるんだったら今月じゅうなんですが、できるだけ早くとはいつなのか。そして、今把握しているのは何人ですかというふうに私が質問しましたが、それに対しての御答弁がございませんので、お願いいたします。
  177. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 日本脳神経外科学会では、平成八年に九百九十施設を対象にアンケート調査をいたしました。一九八一年から一九九五年の末までに脳神経外科で手術を受けた例で、クロイツフェルト・ヤコブ病を発症した二十七例を把握していると承知いたしておるような次第でございます。  当然のことながら、そういう患者さんが一日千秋の思いで待っているということを十分に重く受けとめまして、できるだけ早く実施したい、このように考えております。
  178. 中川智子

    中川(智)委員 大臣、二十七例というのは既に過去の話で、現在厚生省が把握している症例の数。  そして、できるだけ早くというのは、大臣の御決断一つなんです、厚生省はやる気がないですから。サーベイランスは半年ごとにやっていて、今月じゅうが……。みんな待ち望んでいるわけです。そして、それをしっかりと知らせる。そして、神経外科やいろいろなところが協力してやると言っています。ですから、これは厚生省が音頭をとっていかなければ前に進まないんです。佐藤猛委員長委員会を半年に一回やっているのに今月中にやるのかどうかということを考えていると思うんですが、厚生省としてはどうなんですか。
  179. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ちょっと古い資料でございましたが、平成十一年の四月以降は、本年二月二十七日までCJD患者届け出は百七例でございます。  いずれにいたしましても、今月中をめどにいたしまして、督励をいたしまして、早く審議会を開くように努力したいと思います。
  180. 中川智子

    中川(智)委員 早くというのは、サーベイランスをきっちりと半年ごとにやるということで、去年の三月に調査して、発表は八月だったのですね、その八月の発表からもう既に半年経過しているのです。狂牛病の研究班の後、半年ごとにやっています。ですから、今月じゅうぐらいをめどにと考えてよろしいでしょうか。
  181. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 そのとおりであります。督励をいたしまして、今月中をめどに審議会を開かせていただきたい、努力していく決意でございます。
  182. 中川智子

    中川(智)委員 審議会というのではなくて、大臣、また資料を読んでいただきたいと思うのですけれども、審議会の対策部会のクロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会を開催して、きっちりとした調査を早急に開始するということで本当によろしくお願いいたします。  大臣、一度、大津の谷さん、北海道で入院している十七歳になったばかりのヒロ君を見舞っていただきたいと思います。そうしたら、どのようにしてこんなことにならなければいけなかったのか、そして、この人たちがどういう状況に置かれ、救いの手も差し伸べられていないか、それを本当に大臣の目で見ていただきたい。あわせて心から要望いたします。  きょうは、委員の皆様にも配付しておりますが、これは三月六日の朝日新聞の記事ですが、先ほどもおっしゃいましたように、脳神経外科学会が積極的に支援をしていくとして、主治医に情報提供依頼の文書を出しました。  私は、昨年の予算委員会でも、このヤコブ病の患者さんや家族、遺族に厚生省が責任を持ってその事実を知らせるべきだと、そのことを訴えながら申し上げました。厚生省は、まるで人ごとのように、医師を通じてされているものと思うという答弁を繰り返されました。厚生省は汚染された硬膜を承認した担当省であるにもかかわらず、本当に人ごとのように今対応し、裁判でも真っ向から責任を認めないで争っている状況があります。  この三月六日の朝日新聞の記事を後でごらんいただきたいのですが、脳神経外科学会が、厚生省の監視体制に重大な問題があったととらえています、そして、情報提供依頼に乗り出したことを報じています。この中で委員長の端先生は、医師も一生懸命努力して何時間もかかる手術を成功させて、手術がうまくいったことをともに喜んだのに、使った材料、ヒト組織からとった乾燥硬膜を使ったためにひどいことが起きたと。これは本当にひどい。言葉であらわせないほどむごいことです。エイズの問題を再び繰り返しているこの薬害ヤコブ病。このようなむごいことが起きた。治療法がないので、患者や家族が漏れなく補償を受けられるように支援しようということだと述べています。  そして、国民の健康や安全を守るはずの厚生省が責任を全うせずに、対照的に脳神経外科学会が独自に調査する。脳神経外科学会が、もう見ていられなくて、自分たちの良心、本当に医者としてつらいという思いで独自に調査することにしました。これは厚生省調査するのが当たり前なのを、この学会が決めて調査することに乗り出したのですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。厚生省がやるべきことです。
  183. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 当然のことながら、私どももその責任を持っておるわけでございますが、それぞれの学会がこういった問題に積極的に取り組んでいただいていることに対しまして、心から敬意を表する次第でございます。  私どもといたしましては、脳神経外科学会のヤコブ病に対する取り組みについても高く評価をいたしまして、厚生省も十分に連絡をとりながら、このヤコブ病の動向の把握、調査研究、在宅患者の支援などに努めていく決意でございます。
  184. 中川智子

    中川(智)委員 大臣、敬意を表するというふうに今おっしゃいましたけれども、これは厚生省が本当はみずからきっちり調査をして、まだまだこれから発症される可能性が多いのです、六十五プラス四例、どんどんふえていっている。そして、昨年四月から法律に義務づけられる前の方たちが今後発症するおそれがあるのです。  実は、私の母も三叉神経の神経痛の手術で硬膜を移植しているはずなのです。もしも、その人たちがわけのわからない奇病に取りつかれたら……。家族は必死に看病するだけです。結局、今も裁判、訴訟を起こされない人たちは、もう二度とあんなつらい日々を思い出したくないということで、裁判をする気力さえ残っていない。でも、もっとつらいのは、自分の子供が、奥さんが、だんなさんがなぜ死んだかわからない形で放置されている現状です。  厚生省の責任問題も同時に私は深く追及したいのですが、今、まだ発症するかもわからない、また、どんどん亡くなっていく、こんな中で、厚生省が独自にきっちり調査して実態を把握して、早急に解決に、補償に対して歩みを進めていただきたい、心から大臣にお願いいたします。大臣はきっとやってくださると思います。お願いいたします。  それで、ぜひとも患者の人を一度見舞ってあげてください。宮下創平大臣も機会があったらとおっしゃいましたが、もう大臣ではなくなりました。今は丹羽大臣ですが、実際にいらっしゃって、家族の方の話を聞いてあげてください。心からお願い申し上げます。  それについての質問はまたいろいろな形で、また、予備的調査も前向きに決定を早急にいただけるよう、与党の委員の御協力もお願いいたします。  これは、人間ならばほっておかれない問題だと思うのです。うちの事務所にはビデオもありますし、毎日放送の方が書かれた本もございます。また、最近は新聞にも載っております。知ってください。このことを放置することは、この国にまた薬害を生み出す、それを残しつつ前に進んでいくことになると思います。この薬害ヤコブ病のことを解決していく姿勢がなければ、厚生省に対する信頼が回復できないまま終わってしまうと私は断言いたします。  続きまして、この間大臣にも会っていただきました介助犬のシンシアのことで質問をいたします。  大野政務次官は、この議連をつくるときには副会長にも就任していただいて、政務次官の仕事が何かばかみたいに忙しくなってしまったので大変ですけれども、こっちはこっちで頑張っておりますので、次官は、そちらの方に今座っていらっしゃいますので、やろうと思ったらどんどんできることですので、ぜひともやっていただきたいと最初にお願いしながら、質問をしたいと思います。  盲導犬の通達の見直しを議員連盟でもいろいろ勉強いたしました。盲導犬が七八年に道交法で位置づけられて以来、通達という形で厚生省、運輸省、環境庁から出されていますが、まだまだ盲導犬と盲導犬使用者の社会的受け入れというところでは前に進んでおりません。十分ではないということが、盲導犬使用者の方たち、そして、元使用者の方たちのアンケートに出ております。  ここのところで、いろいろなアンケートの具体的な報告があるのですけれども、やはり盲導犬に関する法規は道交法だけなのですね。アメリカなんかでしたら、ADA法とか障害者の権利として盲導犬や聴導犬を持つことがきっちり法的に認められていますので、交通アクセス、ホテルとか公共施設やレストランに入るときには非常にバリアフリーで入れますが、今は、盲導犬とか介助犬を持っていることがまた一つの大きなバリアをつくってしまう現状になっています。  盲導犬に対する法規は道交法のみで、障害者と密接にかかわる身体障害者福祉法などによる規定がありません。そのことによって非常に制約があり、前に進まない状況があるのですが、次官のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  185. 大野由利子

    ○大野(由)政務次官 委員御指摘のように、盲導犬については、今道路交通法で規定されておりますが、不十分であろう、また、ADA法等々、今後の大きな検討課題ではなかろうか、こういうふうに思っております。
  186. 中川智子

    中川(智)委員 次官も大臣も介助犬のシンシアに会っていただいて、そして、木村さんが十円玉とかを落としたらシンシアはぱっと捕まえて木村さんに渡すという、たくさんの——ラブラドールレトリーバーです、かわいい犬なんですが、見ていただいたと思います。  アメリカで介助犬を使用している青年がいまして、この青年の犬は大体八十から九十ぐらいの命令、指示を聞くのですね。シンシアはまだ五十。負けちゃいられないというので頑張っているのですけれども、九十の命令、指示を聞き分けてこれらに従っているのですが、あるときインタビューの中で、この九十の指示の中で一番頻繁に使うのは何かと聞かれて、この青年は迷わず、それはラップ、ひざの上に手をぴょんと置いて青年の目をじっと見る、それを一番聞く、それを一番介助犬に対して指示を出されると言いました。  ですから、私は介助犬の問題というのは、いつも厚生省さんは有効性が認められないとかというふうにおっしゃるのですけれども、有効性はあるというふうに私は思っていますが、それに対して大臣はどうお考えか。  もう一つは、昨年の十二月十六日に、介助犬を推進する議員の会として、「介助犬の公的認知に関する検討会設置等についての要望書」を大臣にお出ししました。  あのとき大臣は、本も出されていて、本の中に介助犬のこととか書かれていて、いろいろなお話をしていただきましたが、その後、検討会をつくるとかというお返事が全然ないんです。首を長くして待っているのですが、検討会をつくる、それに向けて前向きに頑張るというのが全然なくて、電話をかけたら来てくださる程度で、この要望書はどこに行っちゃったのかと思っているのです。提出させていただいたことは事実ですから、その後の取り組みの状況というか、きっちりと取り組んでいくという御答弁をちょうだいしたいのです。  お二つとも大臣に。有効性の問題と、検討会の問題と。
  187. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 盲導犬につきましては、御案内のように、今回の社会福祉事業法の中できちんと社会福祉法人として位置づけられるわけでございます。  介助犬でございますが、まだまだ日本においては数が少ないのではないか、こういうような問題もございますし、さまざまなグループに分かれておるというようなことも聞いておるわけでございます。  確かに、委員の御紹介で介助犬にお目にかかりましたけれども、大変よくできた犬だな、こういう思いがいたしておるわけであります。やはり介助犬がまだまだ少ないということでありますし、もうちょっと国内におきます介助犬に対する国民の認識というものを高めながら進めていきたいと思います。  実は私、この間、帝国劇場に浜木綿子さんの芝居を見に行きました。浜さんが二百人ほど障害者の方々を招待していて、その中に盲導犬がたくさんおりまして、大変感銘を受けたわけでございますが、レストランでも新幹線でもどこでも盲導犬は行ける、まだまだ介助犬の場合にはそういう点において難しい問題があるわけでございます。  中川先生、いつも慌てるのはわかりますけれども、私どもは一歩一歩進めていきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いをいたします。
  188. 中川智子

    中川(智)委員 時間ですから終わりますけれども、大臣、数を多くするために早く検討会を設けて前に進んでいかないと、いつまでも少ない少ない、十年たってもそんなこと言ってしまったら大変ですから、そのためにも早急に検討会を設けてください。よろしくお願いします。  終わります。
  189. 田中眞紀子

    田中(眞)委員長代理 本日の質疑はこれにて終了いたしました。  次回は、公報を持ってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十六分散会