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2000-04-19 第147回国会 衆議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十九日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 大口 善徳君    理事 佐田玄一郎君 理事 佐藤 静雄君    理事 原田 義昭君 理事 宮路 和明君    理事 田中 慶秋君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君 理事 中島 武敏君       今村 雅弘君    加藤 卓二君       亀井 久興君    岸田 文雄君       小林 多門君    桜田 義孝君       西川 公也君    野田 聖子君       蓮実  進君    林田  彪君       増田 敏男君    松本 和那君       宮腰 光寛君    安住  淳君       樽床 伸二君    平野 博文君       前原 誠司君    松崎 公昭君       松本  龍君    渡辺  周君       上田  勇君    辻  第一君       青木 宏之君    一川 保夫君       佐々木洋平君    中西 績介君     …………………………………    建設大臣    国務大臣    (国土庁長官)      中山 正暉君    国土政務次官       増田 敏男君    建設政務次官       加藤 卓二君    建設政務次官       岸田 文雄君    政府参考人    (国土庁防災局長)    生田 長人君    政府参考人    (農林水産省構造改善局計    画部長)         加藤  孝君    政府参考人    (建設省建設経済局長)  風岡 典之君    政府参考人    (建設省都市局長)    山本 正堯君    政府参考人    (建設省住宅局長)    那珂  正君    建設委員会専門員     福田 秀文君     ————————————— 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   林田  彪君     今村 雅弘君   樽床 伸二君     松崎 公昭君   前原 誠司君     安住  淳君   渡辺  周君     松本  龍君   佐々木洋平君     一川 保夫君 同日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     林田  彪君   安住  淳君     前原 誠司君   松崎 公昭君     樽床 伸二君   松本  龍君     渡辺  周君   一川 保夫君     佐々木洋平君     ————————————— 四月十七日  建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律案内閣提出第八五号) 同月十九日  土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律案内閣提出第七一号)(参議院送付) 同月十八日  川辺川ダム建設環境アセスメント実施に関する請願佐藤謙一郎紹介)(第一三九六号)  同(藤村修紹介)(第一三九七号)  同(枝野幸男紹介)(第一四一五号)  同(小林守紹介)(第一四一六号)  同(仙谷由人紹介)(第一四一七号)  同(前原誠司紹介)(第一四一八号)  同(鳩山由紀夫紹介)(第一四五七号)  同(辻第一君紹介)(第一五一九号)  同(中島武敏紹介)(第一五二〇号)  同(春名直章紹介)(第一五二一号)  建設省中部地方建設局における男女平等な職場の実現に関する請願吉田公一紹介)(第一四三七号)  愛知万博を利用した新住宅開発事業の中止に関する請願瀬古由起子紹介)(第一五一七号)  同(中島武敏紹介)(第一五一八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出第七〇号)  建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律案内閣提出第八五号)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 大口善徳

    大口委員長 これより会議を開きます。  内閣提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として建設省建設経済局長風岡典之君、都市局長山本正堯君住宅局長那珂正君、国土庁防災局長生田長人君及び農林水産省構造改善局計画部長加藤孝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大口善徳

    大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 大口善徳

    大口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平野博文君。
  5. 平野博文

    平野委員 おはようございます。民主党の平野博文でございます。与えられました時間に沿って質問をしてまいります。  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対しての質疑の時間でございますが、冒頭、少し時間をお許しいただきまして、過日委員会質問いたしました部分がございまして、その部分について少し再確認の意味での質問をさせていただきたいと思っています。  前回、私、一般質疑だったと思いますが、御質問いたしましたのは、損保会社の取り扱っている履行ボンド保証料についてお尋ねをしたわけでございますが、政府参考人の方から、保証事業会社のやっている前払い金保証等における保証料率のことについてのお答えをちょうだいしたわけでございます。私の質疑と少し回答が、私の思いと違うところがございますので、改めて、私の質問趣旨は、損保会社の取り扱っている履行ボンドに関しての、全国各地にある損保会社代理店のあり方が非常にいいという観点から、保証料率は各社が競い合って、料率がいろいろ変えられるのではないか、こういう意味合いでの質疑をしたつもりでおります。  改めて、履行ボンド保証料率はだれがどういう方法で決めているのかを含めて、前回質疑に対しての修正並びに補足があればお答えをいただきたいと思います。
  6. 風岡典之

    風岡政府参考人 ただいま先生から御指摘をいただきましたように、先般の当委員会一般質疑におきまして、先生から履行ボンドについてのお尋ねがありましたが、私の方がその趣旨をとり違えまして、前払い保証について答弁をいたしました。その点につきましては深くおわびを申し上げますとともに、改めて履行ボンド保証料率取り扱いについてお答えをさせていただきたいと思います。  損保会社が新たに履行ボンドを行おうとする場合の保証料率の設定についてでありますけれども、これは保険業法に基づきまして、保証料算出方法書等の書類を添付して金融監督庁の方へ届け出る、このようになっております。  届け出られました場合には、金融監督庁におきましては、保証料率算定方法保険数理に基づきまして合理的かつ妥当なものであるかどうかということ、さらには、特定の者に対して不当な差別的取り扱いをするものでないかどうか、こういうようなことについて審査基準に照らして審査をし、適合しているかどうかをチェックするわけでございまして、不適当な場合につきましては変更あるいは撤回というものを命ずることができるようになっているというものであります。  また、これは保証料率を変更しようとする場合も同様な手続が必要になる、法律上はこのようになっているところであります。  履行ボンド保証料率取り扱いは以上のようでございますので、よろしくお願いいたします。
  7. 平野博文

    平野委員 それでは、本来の都市計画法に関しての質疑をさせていただきたいと思います。  今回の都市計画法改正、こういう観点で、いろいろな社会的要因を含めての改正に踏み切られたのだと思うわけであります。  そこで、お聞きしたいのでありますが、第十八条第三項という中に、都道府県は、大都市及びその周辺都市に係る都市計画区域その他の政令で定める都市計画区域に係る都市計画または国の利害に重大な関係がある政令で定める都市計画決定をしようとするときは、あらかじめ、建設省令で、大臣協議同意を得なければならない、こう決めているわけであります。  この条項は、しかし私は、地方分権一括法により都道府県都市計画機関委任から自治事務に変わった、こういうことも大きな部分だと思っております。それまでは大臣許可制から同意ということに少し規制を緩めた、こういうことでございますが、まだやはり同意を要するということは、国の強い関与がその中に入っていると私は思っております。  そういう中で、第十八条の四項において、国の利害との調整を図る観点から前項の協議を行うということですが、ここで言う、国の利害調整を図る観点というのは具体的にどういうことなのかということをまずお聞きしたいわけであります。すなわち、地方分権をしよう、分権社会をつくろう、権利権限地方自治体に移そうという大きな流れがあるにもかかわらず、国の利害との調整を図るという、具体的にどういうことを図るのか。それを超えて地方分権をさせようとしているのがこの法の流れではないのか。そういう意味で、まだ国の利害調整を図るという、これが具体的によくわからないわけでありまして、その点についてまずお聞きをしたい。
  8. 山本正堯

    山本政府参考人 十八条の、都市計画決定に当たっての国の協議同意ということでございます。  先生今御指摘のとおり、都市計画法の十八条三項は、都道府県が定める都市計画のうちの国の同意を要する都市計画といたしまして、二つ決めております。  大都市及びその周辺都市に係る都市計画区域その他の政令で定める都市計画区域に係る都市計画、いわゆる大都市とか三大都市圏とか、そういったようなところに係るものについて対象になるということが一つでございます。それからもう一つは、国の利害に重大な関係がある政令で定める都市計画ということで、例えば国道でありますとか、国営公園でありますとか、そういったようなものでございます。  その二つの類型を規定しておるわけでございますが、そういうものにつきまして、国の利害に重大な関係がある都市計画である場合には、あらかじめ建設大臣協議同意を得なければならない、こういうことでございます。その観点が四項に書いてあるわけでございまして、それは、国の利害との調整を図る観点から協議を行う、こういうことになっておるわけでございます。  国の利害との調整を図る観点ということでございまして、先ほど申し上げましたような大都市圏、三大都市圏とかというものにつきましては、当該区域整備自体当該区域におけるいろいろな都市計画整備自体が、国土政策上、大変その地域として重要である、人口、諸機能の集積状況から見て国の施策に重大な影響を及ぼすものであって、国の利害との調整を必要とするといったようなもの。あるいは二つ目の今申し上げました国の利害に重大な関係がある、国道でありますとか国営公園というのは、例えば国道で言いますと、都道府県を超えた広域的な幹線道路網の体系から国として重要であるといったような観点でございます。  したがいまして、今先生がおっしゃいましたように、国の利害との調整を図る観点からということで、今申し上げましたような観点から、今回の地方分権の審議の過程におきましても、国としての協議同意というものが必要であるということが規定されるということで残ったということでございます。
  9. 平野博文

    平野委員 今、局長答えられましたけれども、私が言いたいことは、国の利害調整を図る観点で、やはりこれは国土に重要な影響を及ぼすのだということで協議を行うものとするということであれば、特に大都市圏とかその周辺にまつわる都市計画区域ということですから、結局分権しないわけですよ。そこは絶対に、国土にかかわる問題だからとか国に重要な影響を及ぼすということですから、大都市圏、とりわけ大都市圏が税金をたくさん払っているけれども見返ってくるのが少ないじゃないかとか、いろいろ不平不満あるにもかかわらず相変わらず、分権社会ということで権限を移譲しているにもかかわらず、きっちりと国が協議をしますということですから、やはり国に協議をしないことには同意をできませんよ、こういうことですから、このところは全く、地方分権されていないそのものを象徴しているように思えてなりません。  したがって、今局長が言われたように、調整を図る観点とか、こういう抽象的な言葉はわかるのですが、では具体的に、都道府県がまたがる場合とか、このことについてとかいう具体的指示都道府県に示しておられるのかどうか、聞きたいのですが。この項目についてはだめ、この項目についてはいい、この項目については国に協議、こういうことを具体的に各都道府県に示されていますか。
  10. 山本正堯

    山本政府参考人 ただいまお答えを申し上げましたとおり、例えば国道につきましては、国道の性格上都道府県をまたがる広域的なネットワーク道路ネットワーク整備を図る観点から、国道につきましては国の利害に重大な関係があるということでございます。  ただ、先生がおっしゃいますように、それについてすべて何か後見的な観点まで、小さいところまで全部見るのかということでございますが、そういうことではございませんでして、国の利害との調整以外の観点、いわば後見的に関与を行うことは厳に慎まなければいかぬということで、四項にもそういう意味で、国の利害との調整を図るということを書いておるわけでございます。
  11. 平野博文

    平野委員 それでは、逆説的に聞きますよ。では、調整しなくていいものは、どんなものは調整しなくていいのですか、大都市圏において。
  12. 山本正堯

    山本政府参考人 大都市圏区域につきましては、例えば大都市圏、新産、工特とかそういうようなものについて限定しておりますけれども、そういうようなものについては原則国利害関係するということでございまして、ただし軽易な都市計画、そういう三大都市圏の中でも軽易なものにつきましては、都市計画については除外をされるということでございます。
  13. 平野博文

    平野委員 局長、しつこく言って申しわけないけれども、軽易と言っておるけれども、これはほとんどが協議ですよ。ごみ処理場をつくる、これもだめだ。では、許されているのは、自治事務としてやっていいというのがほとんどないのではないですか。軽易なものは許されるけれども、軽易というのは、ではどんなものまでを軽易というのか、こういう議論になるのですよ。  僕は基本的には、言いたいことは、ほとんど大都市圏では国が関与しますよということをはっきりうたった方がいいですよ。格好よく地方分権だ、こういう流れはしているけれども、大都市圏とその周辺はだめよとまさに言っている法律がこの法律ですよ。いや、答弁はいいです。  したがって、大臣、国の関与の仕方というのは、もともと地方地域過疎地域は分権してくれなんという発想はないのですよ。大都市圏とか経済圏のしっかりしたところは国の関与をやめて自立していきますから、その権限と財源もくださいよ、こう言っているのですよ。いわゆる過疎地地方地域というのは、できるだけ国に関与してくださいよというのが本来の今までの流れだと私は思うのですね。そのところはその地域に任せますよ、求めておる大都市圏が、いや、そこはやはり国が関与しますよ、こういうふうに僕はとれてしようがないのですが、大臣、どう思いますか。
  14. 中山正暉

    中山国務大臣 私も大阪で、先生と同じでございまして、私は大阪市議会におりましたが、財政規模からいうと東京都、その次は大阪市、その次は北海道、それから大阪府と、大阪なんかの場合は市と府が逆転をしておりますから、その大阪市の計画大阪府の都計審で認可を得るというのはどうもおかしいなと私は思っていた。この前、それが大阪市独自でやれるようになりました。指定都市もどんどんふえておりますが、私は善意に解釈をして、これは同意というのはあうんの呼吸で、それは大丈夫だけれども、まあ三大都市圏という国家の顔といいますか、その国家の目元、鼻元、口元に匹敵するようなところについては、あうんの呼吸でひとつ意見が合うようにしておこうじゃないかというのが同意ではないかと。  まあ東京は石原さん、大阪はセクハラなんて言われまして途中でやめるような知事も出てくるわけでございますので、何が起こるかわかりません。東京の場合も外形標準課税といってなかなか、これからそういう意味地方中央意見余りそごを来さないように、まあ最大のところはあうんの呼吸を合わせるというような意味での段階的な経過として、いずれ、地方の再編成というのは私は持論なんでございますが、もっと三大都市圏と言わず、ブロックに分けて、そしてちゃんとそういう都市計画その他について大変経験豊かな人たちがもう大丈夫だ、お任せしても大丈夫だと言うところまで、技術的な問題、そういう問題で財政的な問題が裏打ちできて、そういうときが来たら、本当の地方分権というのは達成できるときが来るのではないか。  それまでの間の一段階というふうな、私は政治家でございますので、細かい技術的な問題は局長から御答弁いただいたらいいと思いますが、政治的な流れとして御答弁申し上げますと、私はそんな感覚で受け取っております。
  15. 平野博文

    平野委員 まだ、では任すに至っていないと。それでは本当に地方自治体が、分権されたんだという意識も持たないし、相変わらずやはり頼ってしまう、私はこういうことになるような気がしてなりません。  したがって、そういう抽象的なことよりも、では当面の間、あるいは五年でもいいです、時間軸を切ることが大事だと思うのですね。当面の間、これとこれとこれについてのみ協議対象とする、こういうふうにやはりあらわしていくべきだと思うのですね。でないと、これでいったらもう裁量の中の範疇で、何でもやはり聞きに来てもらわぬと困るよと。しかし、余りノーと言わぬけれども、聞きに来るということだけはやはりきちっと担保している、こういうことですから、非常にあいまいなんですね。一方、大部としては分権したんだ、自治事務だよ、しっかりやりなさいよと言いながらも、後ろできちっと糸を引いておる。特に三大都市圏はきちっとどころか、相変わらず変わっていない。こんな縮図の構図はやはりよろしくない、私はこう思うのです。  したがって、大臣は、当面、ワンステップだということを言っておられましたけれども、ワンステップではないのですよ。法律的には全部変えたんだから、自治事務法定受託に変えたのですから、変えても相変わらずこれは譲らぬぞというのはやはりいかがなものかと思いますから、ぜひそういう視点で検討いただきたいなというふうに思うのであります。  ただ、反面、地方自治体もしっかりしないといかぬと思いますよ。今までやはり中央に依存してきたところから脱却して、みずからがやれる力量と云々ということも一方で持たなければならないことは事実でございますが、法体系流れからいきますとやはりそうあるべきだ、このように思いますので、そういう考え方を言っておきたいと思います。  時間がないものですから次に参りますが、一つは、私、経過部分で確認したいんです。  現行の都市計画法施行令第十四条では、市街化区域市街化調整区域ということを定めてきたわけですね。その定める範疇というのは、人口十万人以上だとか三大都市圏というエリアについては決めなさいよということで今日まで決めてきたわけです。今回、都道府県による選択制を導入しましょうというのが改正法案一つ趣旨でございますね。  そこでであります。今までのそういう法体系のもとに、全国自治体で、都市計画区域部分を含めてきちっと決めなさいというルールを決めたわけですね。これは四十三年につくったんですか。これは法律ですから守らなきゃならない義務があるんですが、つくって決めたのにもかかわらず、これは全部やり切っているのか、あるいは、そう国が決めてもうちはできないよという自治体もあるように聞いておりますが、どういう状況になっていますか。簡単でいいです、数字でいいです。
  16. 山本正堯

    山本政府参考人 四十三年に都市計画法改正されまして線引き制度が導入されたわけでございますが、現在、線引き都市計画区域でございますが、三百三十八、市町村数で八百四十ということでございます。  それで、法令上、線引きをするべき地域と当分の間線引きをしない地域、こうなっておりますが、線引き義務づけとなっているにもかかわらず義務を守っていない地域については、二十一区域ということが現在まだ残ってございます。
  17. 平野博文

    平野委員 なぜ線引きをしないんでしょうか、その背景を聞かせてください。
  18. 山本正堯

    山本政府参考人 線引きができなかった理由、できていない理由というのが幾つかあろうかと思います。区域ごとに個別の事情がある場合があろうと思いますけれども、多くは地元市町村合意が形成できないということが最も大きな理由だというふうに考えております。
  19. 平野博文

    平野委員 さすれば、これは地元市町村合意がないとやらなくていいんですか。
  20. 山本正堯

    山本政府参考人 先ほども申し上げましたように、線引き法令義務づけられておるということでございますので、線引きをやるということでございます。  したがいまして、二十一の市町村につきましても、大変時間がかかっておりますが、都道府県はそういう努力を今重ねておるということでございます。例えば、ことしの四月の四日でございますけれども、線引き都市計画決定の告示をした町がございます。あるいはまた、現在、線引き決定に向けて関係機関協議を行っている町もございます。  そういうことで、地元合意を得る、関係機関との合意を得るというのはなかなか難しいところがございますけれども、あるいはまた時間が大変たっておるということもございますけれども、法令の遵守に向けて都道府県はそれなりに努力をさせていただいているという状況じゃないかというふうに認識しております。
  21. 平野博文

    平野委員 ですから、私が言いたかったことは、四十三年から都市計画線引きをしなさい、こういうことできたわけですね。特に、市街化市街化調整区域を含めて線引きをしなさいときたわけですよ。つい数年前まではできていないところが二十三ぐらいあったですね。やっと二十一になった、今こういう数字自治体の箇所が出ましたが、そういう状態にあって、今まで一生懸命努力してやってきた。  今度は、線引き都道府県による選択制を入れるというわけですよ。やってもやらなくてもいいよ、それは任せるよというわけです。今までは線引きをしなさいよとずっと言い続けてきて、法律にあるにもかかわらず、二十一自治体線引きしてこなかった。その理由は、地元自治体同意が得られなかった。今度の法改正選択制にしますよと言ったら、何かやらなかったところが得で、やったところは何だったんだ、僕はこういう批判が起こるような気がしてなりません。  加えて、市街化区域という部分調整区域という部分の判断でいきまして、都市計画をしてしまいますと、調整区域にある人の、これは何というんでしょうか、財産開発規制というのは当然するわけですから、町という視点から見たときにやはり調整区域あるいは市街化区域という歯どめをかけるわけですから、調整区域に入った方は私のところは開発できないし、活力がないな、売っても財産安いわね、こんなことになってずっとこられて、今度選択制ですといって外されたらこれは白地になるわけですよ。これは極端に言ったらどんどん何をやってもいいエリアになるんです。何をやってもいいということではない。そのかわり特定制限地域を設けますとかいろいろあるんですが、そのルールはつくっているんです。  私、考え方として、法律で決められて、四十三年からやって、二十一自治体はやっていない、やっていないにもかかわらず、今度は線引き選択制にしますという、僕はこの施策遂行の非常に矛盾を感じてしようがないんですが、その点はどうなんですか。
  22. 山本正堯

    山本政府参考人 確かに、現在の法律義務づけられているところについて、一部、今申し上げました数の市町村については線引きがまだなされていない、努力をしているということではあろうかと思いますが、線引きはなされていないということでございます。これは地元調整地元合意ができていないということがあろうかと思います。  ただ、今回、私どもが線引き選択制を導入しようというときには、経済社会情勢が大変変わってきております。人口大都市への集中が非常に鈍化してきている、少子高齢化社会になってきておるといったような点から、スプロール対策が全国一律の共通課題ではなくなってきているという状況でございます。  ただ、先生も御存じのとおり、三大都市圏といいますか、非常にそういう一部の地域では人口圧力といいますか、そういう点もまだまだ続いておるというような状況でございますので、そういうところは線引き義務づけをしてございますが、基本は、今申し上げましたように、人口増が鎮静化して、スプロール対策が全国的な一律の共通課題でなくなっているということを踏まえまして、しかもまた地方分権地域の自主性というような流れも踏まえまして、都道府県の選択にゆだねる。ただ選択にゆだねるだけではなくて、選択制によって、人口圧力の高いところはまた依然として、義務づけではございませんけれども、都道府県の判断で線引き制を選択していただく、そうじゃないところについては非線引き線引きをやめるということになろうかと思います。  そのときにも、先生も先ほど御指摘いただきましたように、用途のコントロール、土地利用のコントロールといったような点、乱開発が起こることを防止するという観点から、特定用途制限地域でありますとか、建ぺい率、容積率の制限の強化でありますとか、そういったような点についての十分な配慮を行いながら線引きを廃止するということを、今回の制度をあわせて、都道府県の判断に任せてそういうことを選択してもらおう、こういうことでございます。
  23. 平野博文

    平野委員 私、政府参考人がおっしゃっている意味はわからぬでもないんですが、実態論としたら、これは乱開発を抑えられなくなりますよ。そうでなくても、今の法体系で何とかそういうところでも開発しようかということを、一生懸命法の目をくぐってやろうとしているのが実態ですよ。これは明らかに、選択制なんといったら、国がきちっとそういうことをやるのではなく、分権社会だからと、ここだけまた逃げているんだよ。こんなのは逃げたら絶対だめなんですよ。こんな権限都道府県なりに任せてしまう。任すんだったらもう任すということで、こういう選択制をするなんという発想をとりますと、今まで四十三年からやってきたことを逆に取っ払っちゃうわけでしょう。取っ払うということは、それをずっと守る人はいいですわ。いや、またいつか変わるでと、これは疑心暗鬼が必ず起こる。  これは、いつ、どのぐらいの年数で、選択制というのは、一たん選択したら次に選択するまでの時間軸はどんな時間で考えているのですか。選択制というのは、いつ変えてもいいのですか。
  24. 山本正堯

    山本政府参考人 選択制ということで、選択をされた場合、線引きが必要な都市計画区域というのは政令とか告示で決めている、こういうことでございますが、選択制になるに伴いまして、線引きに関する政令で基準を定めるということでございます。それでまた、それに基づきまして具体的な助言等を行うことにしております。  すなわち、具体的な運用指針といいますかそういうようなものを示すことによりまして、一定の基準の中で都道府県が判断をしていただくということになろうかと思います。
  25. 平野博文

    平野委員 そこがちょっと局長、あいまいなんですよ。というのは、こういうケースは考えられませんか。例えば、今まで調整区域線引きしていった、今回、そういう法改正によって線引きを外しましょう、こうしました。外したら、うわあ、いっぱい白地ができておかしくなってきたな、開発が進んできたな、いやだめだ、もう一回線引きをもとへ戻す。この判断、一たん外したらいつ戻せるのか。  それは都道府県に指導していきますと言うけれども、どっとこどっとこ国土は開発されていくのですよ。もともとの法の趣旨は、どっとこどっとこいくことを、町という体系を考えたときに、ここは調整区域にしましょうという大きな大義のもとにやった法律なんですね。  これを今度取るという発想は、何を意図して取るのか。これは、分権だから取るのを地方自治体に任す、こういうことでは僕はないような気がするのですね。町の景観が変わっていくぞ、それでは困るからといって国土調整をするために四十三年から線引きをした。しかし、もうぼつぼつ要らないな。だから、要らなくなって、おかしくなってきたら、今度は選択制ですから、もとへ戻すという選択もあり得るわけですから、その判断が非常に僕は難しいと思うのですね。  では、一たん外したときに、局長、大体どれぐらいを想定するのですか、見直し。外して来年また戻しましたなんということは、普通許していないでしょう。
  26. 山本正堯

    山本政府参考人 今回、そういう選択制ということで、例えば、仮に線引きを外すということになりますと、都市計画線引き制そのものにつきましては、いろいろな将来の動向、人口、産業、その地域の土地利用の状況等々を総合的に勘案して線引きをする、あるいは線引きの廃止をする、こういう格好になろうと思います。  したがいまして、将来の動向というのはおおむね二十年先等を見込みまして、例えば市街化区域でありますと、ここ十年間で市街化するべき地域ということになっておりますから、したがいまして、おおむね二十年程度の長期スパンを見ながら、線引きをするしないということを判断する、こういうことになろうかと思います。
  27. 平野博文

    平野委員 そうしますと、二十年間、一たん選択したらほぼ二十年ぐらいはその選択の状況でいく、こういうふうに理解したらよろしいですか。いや、いいですよ。よければ首を振ってもらったらいいです。
  28. 山本正堯

    山本政府参考人 大変恐縮でございます。  今申し上げましたように、将来の予想、予測をして、おおむね二十年ということでございます。したがいまして、今申し上げましたように、今予測をした状況が非常に激変するといったような状況がない限り、基本的には二十年、そういう格好でいくということであろうかと思います。
  29. 平野博文

    平野委員 そのときに、変えるといったときに、建設省はとめられるのですか。建設省はそういう思いでこの選択制法改正をするんだけれども、地方自治体のトップが変わっちゃって、いや、これはもう変えるといったときに、法的にこれはだめよというとめられる手段はあるのですか。
  30. 山本正堯

    山本政府参考人 基本的には都道府県が自主的に判断をされるということでございます。したがいまして、それに対して私どもが同意をするといったような点についての判断があろうかと思います。あるいはまた、ぎりぎりの段階では、都道府県が行った都市計画について国として非常に重大な課題があるといったような点につきましては、都市計画法の二十四条で大臣の指示といったような規定がございます。そういうような点についての考慮も判断の対象になろうかと思っております。
  31. 平野博文

    平野委員 時間が参りましたので、最後の質問にしたいと思います。  こういうことで、今回の法改正というのは、地方自治体都道府県権限をできるだけ渡して、その地域に合ったまちづくりをしていくべきだ、こういう基本の底流のことはよく理解ができます。  そこで、よく地方自治体がやっておりますが、まちづくり条例とか、あるいはこの地域はこういうふうにしたいという条例を地方自治体でつくっております。まちづくり委員会とか、こういうあれで、この町のここはこういうふうにしたい、こういうことですが、この条例は、逆に言いますと、こういう白地の地域に乱開発が起こってくる。したがって、地方自治体はそれを防ぐために条例をつくってディフェンスをしているのですが、この条例ということでまちづくりで規制をしても、これは法的に担保というのが非常に難しくて、どうしても、パチンコ屋はだめよと言ってもパチンコ屋ができちゃうとか、こういうことになるのです。  そういう意味で、まちづくり条例、自治体の条例の法的根拠と法的担保を逆に渡してあげなきゃ、地方自治体が本当にまちづくりということで法にのっとる部分ができないのではないかなという気が私はするのです。  そこで聞きたいのでありますが、それでは、地方自治体がここにはこういうものをつくっちゃだめですよという、いわゆる国の言う特定用途とかそういうエリアではなくて、地方自治体独自にそういうものをつくったときに、それは法的根拠が今現実にはあるのでしょうか。
  32. 山本正堯

    山本政府参考人 条例の制定につきましては、都市計画法で、いろいろな開発基準、開発許可でありますとか、あるいは今回あれします特定用途制限地域でありますとか、そういうところに基づく、法律に基づく条例、委任条例がございます。それに基づきまして、いろいろな町のあり方についての規制、誘導をやるということが一つございます。  それと同時に、地方自治法に基づきますいわゆる一般の条例、自主条例というのがございます。したがいまして、その自主条例につきましては、これはまちづくり条例ということで市町村がつくられるということになりますと、都市計画の制度とは連動しないということでございますので、開発許可でありますとか建築確認とかそういうものには連動しない。ただ、法律の委任に基づく条例ではございませんので、広くいろいろな規定が書けるということになろうかと思います。  したがいまして、先生、今御指摘のように地方自治法に基づく条例ということでございますと、これは都市計画法に基づく条例とは違って、法律の枠外ということで条例は制定できる、こういうことになろうかと思います。
  33. 平野博文

    平野委員 時間が参りましたので。  ただ、私が言いたかったことは、その整合性をとってもらいたいなと。とらないと、開発許可については別の法律がある、これは地方自治法の条例ですから、それとは整合性はありませんから、幾らここで踏ん張ってまちづくり条例をつくっても、片一方の開発許可云々のところでどんどん通っちゃう、こういう矛盾が、町をいい町にしようという町プランを自治体が自治法に基づいて独自につくっても、一方の法律と整合性がとれていない、こういうことを私はたまたまよく耳にするものですから、その辺を、やはりいい町にしていく、その指揮権は自治体に求めていく、権限も渡していく、こういう流れですから、そういう意味の整合性も今後とってもらわないと、法的担保がないものですから、どんどんやられてしまう。まして、選択制ということになってきますと、白地地域がふえてくる、こういうことですから、防ぎようがないというような気がいたします。  したがって、今回の法改正一つの大きな糧にしながら、そういう視点自治体に譲るけれども、任せていくけれども、きちっと担保できる権限地方自治体に渡していただくよう、完全に渡していただくよう、御努力いただくことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  34. 大口善徳

  35. 吉田公一

    吉田(公)委員 先般の質問の続きをいたしたいと思うのでありますが、東京のような、御承知のとおり密集地で、いまだに区画整理事業というのが、昭和四十年代に法律の網をかぶってそのままあるわけでありますが、それは区画整理事業そのものが強制力はありませんし、いわゆる土地収用法を適用できるわけではありませんし、あくまでも住民の意向によって区画整理事業というのはやるわけです。  しかも、その区画整理事業は、生活道路整備というならともかく、時たま都市計画道路が入っているわけですね。例えば、幅員二十メーターだとか十六メーターだとか、それをその地域に住んでいる人たちによって減歩をしろと。しかもその道路は通過道路である、生活道路でない通過道路を減歩でやるということについては、もう既に無理があるんじゃないか、私はそう思っているわけでございます。  この密集地域の区画整理というのは、密集地域だからぜひやらなきゃいけないのだけれども、逆に、密集過ぎてしまって権利関係が非常に複雑になっている。借りている人もあれば、上物だけは自分で土地は借りている、あるいはまた土地と家を借りているとか、あるいはマンションを分譲で買い取っているとか、土地は分譲マンションに住んでいる人たちの全員の所有権だというようなことで、財産の分配が非常に難しい。  そういうものをあわせて、通過道路ぐらいはまず国や地方公共団体がやって、そして大きな道路については完成をさせてから、どうぞ地域の皆さん方、道路を一本通しましたから、ぜひ今度はあなた方の住んでいる生活道路をつくることによって防災地域にもなるし、豊かな地域にもなるし、財産価格は上がるしというような二段構えでいけばいいのだけれども、そういう点は、区画整理事業というのはもう外す気がないのか、それとも見直す気はないのか。あるいは通過道路となる都市計画道路については国と地方公共団体で買収していくのか、その点についてまずお伺いをしたい、そう思っております。
  36. 山本正堯

    山本政府参考人 先生、今御指摘のように、東京のような密集市街地について、街路の整備都市整備というのは非常に重要でございます。ただ、その場合にも、先生指摘のように権利が非常にふくそうしているといったような問題でありますとか、いろいろな課題があるわけでございます。こういうような密集市街地の街路、道路といったようなものをどういう手法で行うかということで、個々の地域の実情でありますとか、公共団体、地域住民の意向等を踏まえて行うということになろうかと思います。  先生今御指摘のような区画整理事業で行う場合、あるいはまた街路事業、道路で行う場合という両方のことがあろうかと思います。  区画整理事業、もう先生先ほども御指摘いただきましたように、公共側が支出する都市計画道路の用地費、整備費を財源にしまして、区画道路などの生活環境施設の整備とか宅地の整備を含めた総合的なまちづくりを行うということで、減歩についても、総合的なまちづくりによる宅地の利用の増進の範囲内で行われるということで、この場合も一つ大きな手法と考えられておるわけでございます。  その場合に、先ほども申し上げましたように、区画整理事業で行うか、道路事業で行うかといったような点につきましては、例えば整備する都市計画道路周辺の街区、宅地の形状が不整形であるとかといったようなものについては区画整理事業というのが望ましい。あるいはまた耕地整理とか、既に面的整備が行われてある程度の水準の公共施設がなされているといったような地域については、骨格的な道路については街路事業で行うといったような、いろいろなケースがあろうかと思います。  そういうように、いろいろなケースに応じて、地元の御意向を踏まえながらそれぞれがそういう選択をし、一番いい手法を選んでいただくということであろうかと思います。  先生の今御指摘のような点についても、私どもとしては必要に応じて、相談があれば乗り、また助言、指導、支援に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  37. 吉田公一

    吉田(公)委員 ここは区議会や市議会じゃありませんから、実は自分の地域のことを言うのはどうかと思うんですけれども、ただ、一番いい例なものですからちょっと申し上げますと、例えば地下鉄建設でありますとか、あるいは地下道路を建設する場合に、二重投資は避けようというので、都市計画道路を買収して先行しなさい、その下に例えば地下鉄十二号線を入れてあげましょう、こういうことになるわけですね。  ところが、都市計画道路道路事業としての買収道路でないものだから、つまり区画整理事業の中に入っている、網がかぶっている中に都市計画道路があるものですから、それは区画整理事業で完成させなさい、そうしたらその下へ地下鉄を入れてあげましょう、こういう例があるんです。  だからといって申し上げているわけじゃありませんが、そういうように、区画整理事業で都市計画道路を減歩で出せということになりますと、区画整理事業全体をまず工事をしていかなければ、減歩による都市計画道路ができないわけですね。そうすると、地下鉄建設は、まず区画整理事業を完成させないとできない。  御承知のとおり、区画整理事業というのは東京大阪でも、大都市でも行われていますが、しかし、うまくいって、地権者が全部オーケーだ、全部ここは区画整理事業でやろうといって地権者が仮に全部賛成したとしても、十三年か十四年かかるんですよ。それを考えますと、十年間ぐらい減歩による都市計画道路反対、こういう意見がある以上は、なかなかできないんです。  しかも、東京も広いですから、例えば東京の足立区の方でやっている通過道路、そのうち練馬の方へ来る通過道路、そのぐらい離れていれば区画整理事業内の人たちも問題ないんだけれども、同じ面積で、そこから先は区画整理事業だ、減歩でやれ、そこからこっちは道路事業でやって買収してやる、その先へ行くと今度は区画整理事業でやる、また減歩でやる。同じ地域で、同じ生活圏の中で、区画整理事業の網のかかっているところの道路と、区画整理事業の網のかかっていないところの道路道路事業でやるというのだから、これは御承知のとおり買収方式でやるわけですね。そこは問題ないんですよ。都市計画道路は全部買収方式でやってまいりましたので問題ないんだけれども、同じ生活圏の中で、そういうふうに減歩でやるところと道路事業として買収してあげるところ、こういうことになりますと、なかなか地域の住民の皆さん方の納得を得られない。したがって、鉄道建設が必要なんだけれども、なかなか進捗をしていかないというようなことが現実の問題としてあるわけですね。  それで、御承知のとおり、公共事業費というのは区画整理事業にくっついてまいりますから、例えば公園を買うとか学校を建てるとか、そういうために区画整理事業を行う地域については、あらかじめ公共用地事業費として予算がついているわけですよ。ところが、それは、道路は買ってはいけないよ、それは減歩でやりなさいよという規制があるんですね。だから、公園はあらかじめ区画整理事業の中の公共用地費というお金で買っていくことができるんだけれども、学校用地とか公園とか区の施設だとか、そういうものはいいんですけれども、道路にはその公共用地事業費というのは使えないんですね。  だから、私は、公共用地事業費というのは区画整理事業の中でお金をもらえるんだから、たまたま道路用地としてなったということで、道路用地を買収することができないかという案を提案しているんですが、いかがでございましょうか、そういう案というのは。  今即答しなければいけないということで大変苦慮されると思うのですが、後でひとつ、私の部屋は第一議員会館の七一〇号室ですから、どうぞそちらの方へおいでいただきまして、御当地ソングの話ですから、ここでやるのはちょっとみっともないものですから、後でひとつゆっくり御相談をさせていただきたい、そう思っております。  それから、中山建設大臣大阪に風致地区というのがあるのかどうかわかりませんが、東京には、何だか知らないけれども東京の西側にかけて風致地区というのがありまして、緑を確保して、そしてもう読んで字のごとく風致として存続して、ベルト地帯になっている。ところが、当時風致地区をつくったときと違いまして、今は都市開発や道路建設が優先いたしておりますから、風致地区とは知りながら高速道路が通ったりあるいはバス道路になって、五分に一本ぐらいのバスがどんどん通るわけですよ。それで商店街もできてくる。その多くは林があったり森があったりして、まことに環境のいい住宅地になっているんですけれども、しかし、御承知のとおり風致地区には相当建築規制があります。  したがって、そういう建築規制を、もう市街化してしまっているのに、高速道路まで走っているのに、実態はまだそういうふうに残されているわけで、三十年ぶりの都市計画変更ということもございますし、何十年ぶりというのは役所は得意なんです、だから、ぜひその風致地区も見直してもらいたい、実態に即したような状況にしてもらいたい、こういうような要望は大変強いのですけれども、この点について建設省として、元締めとしてどうお考えかお尋ねしたい、そう思っております。
  38. 山本正堯

    山本政府参考人 先生御案内のとおり、風致地区というのは、風致の維持、緑化、緑地の保全ということで大変重要な、特に東京のような市街化大都市については非常に重要な制度であろうかと思います。  それで、各風致地区の社会条件とか地域特性がいろいろでございますので、そこのところについて具体的にどういう格好で維持し、あるいはまた維持ができない場合にどうするかといったような点がそれぞれあろうかと思います。  例えば、東京都の場合につきましては、地域の実情に応じたきめ細かな規制を行うということと同時に、緑地の減少等によりまして風致が喪失しつつあるというような土地については、緑化の促進とかということで積極的に風致の維持、創出を図っていくということでございます。  また逆に、風致の維持が最終的にもう非常に難しいな、困難だというような点、あるいは、もう数十年たって実情に合わなくなってきて、緑としても別のいろいろな観点から緑が確保される可能性があるといったような点のところにつきましては、風致地区の区域制度の見直しを行うといったようなこともまた必要であろうというふうに思っております。  なお、東京都においては、ことし二月に、風致地区条例に基づく許可の審査基準というものを作成されたと聞いております。そういうふうな基準に基づいて風致についてきちっとした整備をしていくといったようなことも、遅まきながらそういう格好にもなったということでございます。  そういう趣旨を踏まえ、必要に応じて都市計画、風致地区について見直しを行い、緑の確保を図るということについても、私どもとしても各公共団体を指導といいますか、技術的な支援をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  39. 吉田公一

    吉田(公)委員 この風致地区に仮に家を建てる場合に、普通は建築基準法と各都道府県にあります建築安全条例に合致をすれば大体家が建てられるのですけれども、この風致地区にある建築申請物については、一たん今度は緑地事務所へ書類を回すんですよ。回して、そこで風致地区に合っているかどうかということを確認されまして、そして建築主事の方へ戻ってくるわけですね。だから、同じ地域なんだけれども、風致地区の指定があるところの建築確認申請書類というのは、緑地事務所を通過してそこでオーケーをとらないと建築確認がおりないという、要するに書類が役所を一カ所多く回る、そういう差がついているわけです。  それで、緑地事務所の方も、大都市圏状況にかんがみて建ぺい率、容積率についてはだんだん、どういうことでやっているのだか知らないけれども、例えば今年度は四・三%容認してあげましょうというような、そういう現実に合った対応をしているんですよ。  だから、三年前は三・二%しか容積率をふやすことは認めなかったけれども、ことしは四・六%認めてあげましょうとか五%認めてあげましょうとか、実際の運営はそうやっているわけで、事実上そういう運営をやっている以上は、もう既に実態にそぐわないということでございますので、ぜひひとつお願いをしたい、こう思っております。  それから、この間、建築基準法で、都市化したところに三階建てしか隣はビルはない。そうすると、そこは十階建てられるとすると、空中権か何だか知らないけれども、七階分は隣の建てかえたい人に売ると。売ったけれども、今度は自分が建てるときに売ったことを忘れてしまって自分はまた十階建てるなんというのでは、まるで空気と空中を自由自在に売り飛ばしたりなんかして、それは絶対できないようにしておいてもらわないといけないと思いますが、そのことについて、ひとつお願いしたいと思います。  それから、時間がありませんから三つついでにお話ししてしまいますが、答弁するときは別に忘れてしまったって構いませんから、思い出したものだけ。  この間、都市計画法で民間へ建築確認をおろすという、建設省にしてはおもしろい、すばらしい思い切ったことをやるなと思ったのだけれども、そのことはどうなっちゃっているのか。早く役所以外で、民間で建築確認をおろせる準備体制はどうなっているのか。  それから、さっき平野さんが質問していましたが、地方分権地方分権というのですけれども、地方分権は結構ですよ、ただ、要するに地方分権を現行あるものをそのまま持っていくと、やり方はミクロになってしまうんだ。かえって地方分権したために、権限というのは、国民にとってみれば地方でやろうが国でやろうが同じことなんです。  だから、この前言ったように、児童遊園地に滑り台と砂場とエレベーターをつくってピンクのカバを置けなんていって、例えばそういう例があるでしょう。そういうつまんないものは外して、それで地方におろす。ちゃんと整理してくれなきゃだめですよ。  何でもかんでも地方分権だといって本省が持っている事務をおろしたって、そんなもの県民にとっても迷惑な話だし、都民にとっても迷惑な話なんだよ。権限権限だから、どこでやろうが権限というのは国民にとっては迷惑な話なんで、ただそのまま建設省から都道府県市町村にばんとおろせばいいというものではない。整理して、こんなものは必要ないというものをカットしてからおろしてもらいたい。  これはもう建設省だけじゃないのですよ、大臣。迷惑な話なんだ、県民や市民にしてみれば。どこでやろうが権限権限だから、地方分権地方分権で、何でもかんでもそのまま地方へおろすということはおかしい、こう思っております。  時間が参りましたから、三問まとめて、答弁もらわなくても、また七一〇号室の方へひとつおいでいただきまして、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  40. 大口善徳

    大口委員長 田中慶秋君。
  41. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 民主党の立場から、都市計画法並びに建築基準法についての質疑を続行させていただきます。  御承知のように、都市計画法の今回の改正というのは三十年ぶりということでありますけれども、都市計画制度の社会的、経済的情勢を初めとして、今回の基本たるものは、都市計画中央審議会でことしの二月に建議をされて、具体的に提案をされました。  一つには、都市計画のマスタープランの充実。二つ目には、線引き制度及び開発許可制度の地域の実情に応じた柔軟性の確保。既成市街地再整備のための新たな制度の導入。自然的環境や景観など都市環境の保全のための制度の充実。都市計画区域外における開発行為及び建築行為に対する規制の創設。六番目として、都市計画決定システムの合理化など。これを中心として、今回の法案の改正をされているわけであります。  この中央審議会の六項目について、具体的にどのように今回の改正案に導入され、かつまた、それをどういうふうに評価をされているのか、まず冒頭にお伺いします。
  42. 中山正暉

    中山国務大臣 結論から申し上げますと、全部採用をされているということでございます。  二月八日になされました都市計画中央審議会答申におきましても指摘されているとおり、現行都市計画制度は、昭和四十年代当時の急激な都市人口の増加と、それからまたスプロールの拡大の緊急な事情に対応するために、線引き、開発許可制度を柱に創設をいたしたことは、歴史の中にあるわけでございます。  その後、都市への人口の集中の鎮静化や、また少子高齢化が進行いたしまして、世の中の事情が変わってまいりましたし、また、モータリゼーションが進展する等、都市をめぐる経済社会環境が安定、成熟化をしてまいりました。  答申におきましては、これらの環境変化に対応した新たな制度の枠組みが必要との認識から、現行制度の根幹をなしている線引き制度について、その要否を、地域の実情に応じて地域の判断にゆだねるということで、選択制の問題でございますが、線引き制度に関連するマスタープラン制度、それから開発許可制度等の制度全体を見直すことといたしまして、御指摘の六項目を答申することにより、新たな時代に対応した都市計画制度としての再構成をするということでございます。  本法案の内容は、本答申をできる限り尊重して制度化したものであり、答申の趣旨改正案全体に基本的に反映をされているということだと認識をいたしております。
  43. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 そこで、質問させていただきますけれども、今日まで三十年間都計法の見直しができなかったのは、建設省あるいはまた農水省、ともにお互いに省庁間の縄張り、これが一番問題になっているわけですよ。  ここに、今回の中でも地域のいろいろな特性や要請を生かしてということになっている。ところが、今までも、昭和四十五年六月十日にこの線引きが施行されたのです。そして五年間で見直しをするということでスタートしたのですけれども、現実には微調整しかできなかった。そして地域では、このマスタープランたるものを含めながら、それぞれの市町村を初め都道府県は、地域の声を生かしながら何とか陳情書をまとめたり、あるいは大規模、ここには一ヘクタール以上は調整区域であっても市街化区域に導入される、こういうこともあるわけですけれども、そういう意思を地元の意思として、地域の意思として吸い上げようとすると、必ず、上部機関の建設省がだめ、農水省がだめ。こんな形で、絶えずそのことが問題になり、微調整どころか、なかなかこの見直しをされてこなかったわけであります。  今回は、この省庁間の調整というものはどうなっているのか、明確に答弁をいただきたいと思います。
  44. 中山正暉

    中山国務大臣 線引きの見直しについての問題でございますが、今回の線引き制度の見直しに当たりましては、三大都市圏の既成市街地、それから近郊整備地帯等を除きまして、原則として線引きの要否を都道府県の判断にゆだねることとしておりまして、先ほどからの御質問お答えもいたしておりますが、制度の的確な運用によりまして地域の実情に合わせた線引き制度の活用が期待されるところでございます。  一方、線引きは、人口や産業の動向に合わせて随時機動的に見直すべきものであると考えておりまして、これまでも都道府県に対しまして、運用の改善やら、それに基づく線引きの積極的な見直しを要請してきたところでございます。  なお、この場合において、農林漁業との健全な調和は都市計画の基本理念であることから、線引き制度の運用に当たりましては、優良な農地の保全等の農業上の規制との整合性につきましては十分配慮をしていく必要がある、かようなことで、省庁間の問題がありますが、今回、時代の推移とともに、改正案を出すときではないか、かような判断をいたしたわけでございます。
  45. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 きょう農水省、来ておりますね。  今の問題について、必ず、農振の問題を初めとする、あるいはまた農用地あるいは調整区域内の農地面積等々の問題があって、今のような都計法の見直しについては非常に消極的であり、かつまた弊害になって今日まで見直しができなかった。これらについて、今回の都計法の見直しについて農水省はどのように考えておられるのか、明快な答弁をいただきたいと思います。
  46. 加藤孝

    加藤政府参考人 お答え申し上げます。  都市計画法によりまして、市街化区域に関する都市計画を定めようとするとき、あるいは変更をしようとするときにおきましては、農林業との健全な調和を図るといった都市計画の基本理念に基づきまして、建設大臣あるいは都道府県知事は、農林水産大臣にあらかじめ協議することとされておるわけでございまして、この協議を通じまして、建設省とこれまでも十分連携を図ってきたというふうに考えております。  今後とも、私ども農林水産省といたしましては、引き続き建設省と十分連携を図りながら、農業的土地利用と都市的土地利用との調整に努めてまいりたいというふうに考えております。
  47. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 そんな答弁を聞こうとしているのじゃないのですよ。質問をちゃんと聞いていなさいよ。  今日までの都市計画の見直しの弊害になってきたのは、お互いに縄張り争いで、現実には弊害になってきている。あなたたちが、今のように調整していたりお互いに意見の理解を求めてやっていたらば、今日までの問題はなかったわけです。今回も、このような改正の中で今のような答弁では、現実にはまた今後も弊害が残る。必ず縄張り争いでその問題の、都市計画法に求められている線引き等々を含めながら非常に難しくなってくる。だから質問しているのですから、そのことを答えてください。
  48. 加藤孝

    加藤政府参考人 お答えをいたします。  これまでも都市的土地利用、農業的土地利用につきましては御指摘がございますけれども、都市計画の担当部局あるいは農業担当部局ということで、県あるいは、もちろん本省もございますけれども、担当部局間におきまして、連絡調整をとりながら土地利用の秩序化を図っていくということで進めてまいっておりますけれども、今後とも、連携を十分密にし、調整を図りながら的確な対応を進めてまいりたいというふうに考えております。
  49. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 都市における今回のような見直し等々の問題について、省庁間の連絡を密にしていたかどうかは別にしても、間違いなくそのことが弊害になって今日まで見直しができなかったことは事実。こういうことを含めて、今後についても、その延長線にこの見直しに対する弊害が出てくるだろう、私はこんなことを心配しているわけです。ですから、そこできちんとしたマスターテーブルというのが必要なんです。  大臣にお伺いしますけれども、現実には、例えば建築基準法等の問題、都市計画法の問題について、一九九二年に法の改正がされて市町村のマスターテーブルが制度化されたのです。そして、ようやく市町村の自治というものが採用され、尊重され、そして今、さらに地方分権ということが進んでいるわけですけれども、今回は逆に、その市町村のマスターテーブルというものが、ある面では都道府県のマスターテーブルになってきておりますから、生かされてこない。むしろ、今まで育成していって養成してきたものが、逆に芽を摘むような状態になりつつある。これが、今回の都計法の問題点ではないかと私は思っております。  その辺について、大臣が、この都道府県のマスターテーブルというものについて、市町村が今日まで奨励して、建設省が一部で奨励してきたものが、それとどういう整合性を持って行うのか、明確にしてほしいと思います。
  50. 中山正暉

    中山国務大臣 先ほどからの省庁間の調整の問題も、これは時代的な変化の中で事情も変わってくるのではないかと思っております。  御指摘のとおりに、都市計画は、住民に最も身近な基礎的な自治体である市町村が中心となって、地域住民と連携しつつ都市計画の目標を定めて、当該目標に即して都市計画決定することが重要であるという認識に立っておりまして、このようなまちづくりの目標を地域住民の合意とするとともに、地域住民の理解と協力を得てまちづくりを進めるためには、市町村都市計画マスタープランが、地域住民の意見を反映しつつ適切に定められることが大事でございます。  建設省といたしましては、都市計画制度が適切に運用されることとなるよう、情報提供やそれから助言、支援を行うことが重要と認識しておりまして、地方公共団体の自主性を損なわない範囲で必要な技術的助言等を積極的にしてまいりまして、市町村それから都道府県調整というもの、私どもそれに努めてまいりたい、かような認識に立っております。
  51. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても、今度の都計法の改正の中に、地域の自主性を尊重し、地域の特徴を生かせる使い勝手のよい都市計画法の見直しということが大前提になっているわけでありますから、従来のような発想というものを一掃しながら、地域における、市町村における都市計画マスタープランというものを明確につくるように援助していかなければいけないのじゃないか。  そこで、建設省としてのマスタープラン構想というものを現在どうお持ちなのか。私は、今建設省にマスタープランがない、だから、今日までいろいろなまちづくりに対する問題が出てきているわけでありまして、昭和四十五年六月の十日以来今日まで、新都市計画法に基づくまちづくりがされてきてはおりますけれども、しかし、そこにはマスタープランというものがあって、骨太の指導要綱でいろいろなことを指導してきていなかったところに、今日のようなまちづくりといいますか、いろいろな障害が出てきている。  ですから、私は、必ず建設省に持ってほしいのは、線引きの見直しにしても何にしても、基本的には、駅から何メーターであるとか幹線道路から何メーターであるとか、それは市街化にする等々の問題を明確に理念として持ってほしい。ところが、今日、その理念がないわけでありますから、そのことを含めてどのようにお考えになっているのか、答弁をいただきたいと思います。
  52. 中山正暉

    中山国務大臣 建設省としても、いわゆる地方自治体との連携を組みながらそういう問題を取り上げていく。最近私、あることで、ある市内の中学校が、大変狭い学校を持っておって、それが昭和二十年、三十年代のところ、これは実は大阪のある地域の問題なのでございますが。それは地方の方でも都市再開発の問題をいろいろ考えていない、それで私、建設省に話をして、自治体との連携をとってもう少し考えてもらってはどうかというような提案をした経験がございますが、そんな意味で、自治体が主体的に物を考えたものを建設省に持ってくる。  国が大きな計画をつくるかどうかという問題はその地域との連携の問題だと思いますが、線引きは、都市計画については土地所有者やそれからまた住民の利害に重大な影響を及ぼす性格のものでありますことから、決定及びその廃止を含む変更に当たっては、関係権利者の十分な理解のもとにこれを進めていく必要があることはもう御指摘のとおりでございます。  都道府県線引き決定をする際に、国からの基本的なガイドラインを示す必要性についてでございますが、今回の改正法においては、線引きの要否について、都市計画区域整備、開発及び保全の方針、これを定めることといたしましたことから、具体の線引き都市計画に先立ち、線引きの要否を判断する段階から関係権利者の意向を反映する機会が確保されているということを前提としておるものと認識をいたしております。  国においても、都道府県線引きの要否を判断する場合の参考になるような具体性のある技術基準と申しますか、マスタープランと申しますか、そういうものの提供等、技術的助言を積極的に行っていく。また、地方がすべてそういう技術的な意味での基準を持ったり、それから技術的な助言を完全に行えるという人ばかりがそろっている場合はありません。国の方で協議をいたしました際に、それを十分に発揮できるような、中央においてはそういうノウハウを持っておりますので、それが都道府県との、また市町村との連携を図る基本的な基準になるものではないか、かように考えております。
  53. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今回の都市計画法の問題を含めて、私は、一つのまちづくりというもの、これが制度化されるわけでありますから、そこに哲学やポリシーがあってしかるべきだと思う。ところが、今回の法改正にその哲学もポリシーもない、こういうことです。ですから、以前と同じような形の中で、特にまちづくりがされている可能性が出てきている。  先ほど来議論になっておりますけれども、三大都市圏においては今回の都計法は除外されているわけであります。これは、どういう理由なのか。むしろ、三十年ぶりの改正というものを地方よりも三大都市圏が、いかに期待をし首を長くして待っていたか、こういうことですよ。  昭和四十五年、あの線引き見直しというか都市計画法に対する期待というものが大変熱い思いだったわけです。ところが、税制との関係がありましたから、調整区域になるときには税金が安いんですよ、五年後に見直しされるのだから、今はとりあえずそこを調整区域に色塗りしなさい、こんな形で、農業委員を初めとする一部の関係者の皆さん方の指導によって色塗りされた。哲学も何もない。そのまま今日まで来ている。そして、今回の見直しにその哲学がどういう形で持たれるか。何もない。  そして、三大都市圏が除外をされるということであるならば、日本の三大都市圏のまちづくりはどうあるべきなのか。ここに都市計画がどう反映するのか。三大都市圏における今のような、昭和四十五年、三十年前のまちづくりそのものを踏襲していいのかどうか、私は違うと思います。  むしろ、三大都市圏ほどしっかりとしたまちづくりのポリシーがあっていい。それが現在外されるということについては、理解も納得もいかない。そのことについて答弁をいただきたいと思います。
  54. 山本正堯

    山本政府参考人 先生指摘のとおり、今回の法律におきまして、線引きについては選択制ということが基本でございますけれども、先ほども先生指摘のように、首都圏とか近畿圏とか中部圏等の既成市街地、近郊整備地帯あるいは政令指定都市といったようなところにつきましては、引き続き線引きについて義務づけようということでございます。  これにつきましては、今回の線引き選択制にしようということの基本的な考え方は、人口大都市への集中が鈍化してきているといったような経済社会情勢に対応いたしまして、地域の実情に応じた都市計画をやっていくことが必要であるという観点からでございます。実態として、そういう今申し上げましたような三大都市圏等々につきましては、市街化圧力がやはり依然として強いということで、一体としての計画市街化を図っていく必要がある、広域的、一体的に市街化を図っていく必要があるといった点が一点でございます。  それからもう一つは、こういう三大都市圏につきましては、首都圏整備法、近畿圏整備法、中部圏整備法といったような法律が現在ございますけれども、そういう法律の上からも、計画市街化が必要な区域であるというふうに位置づけられておるわけでございます。そういうような点。  それからまた、具体的には、税制の面につきましては、そういうところにつきましては市街化区域内の宅地並み課税というような制度、生産緑地制度というような制度があるといったようなこと等々を勘案いたしまして、今申し上げましたようなところについては法令線引きをするということにしたわけでございます。  ただ、線引きをしたといったことによりまして、そこの地域がまちづくりの自主性を損なわれることのないように、そこのところについては、今回の都市計画線引きの中で、いろいろな制度を使い、まちづくりも、それぞれ市町村が主体となるまちづくりというものを一層推進していただこうということで私どもは考えておるところでございます。
  55. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今、あなたの答弁の中にも矛盾が生じているんですよ。一方においては今のような話がありますけれども、例えば、現実に生産緑地の問題やらあらゆることを含めて、例えば生産緑地、三十年間凍結されるでしょう。おやじのときに判こを押して凍結したものが、今度、おやじが亡くなって息子の段階で、それに拘束されているわけですよ。  こういうことを含めて、やはり今回の都市計画法というのは、あらゆることを含めて三十年ぶりの見直しなんだから、ガイドラインを含めて、何も三大都市圏だから、地方だからと、差別みたいなものですよ、そんなことは。まして地方分権で、それだけの三大都市圏だったら、県も市も能力を持っていますよ。そういうことを含めて、なぜ国がそこにまだ関与の余地を残しておくのか、そのことが理解できない。答弁願いたいと思います。
  56. 山本正堯

    山本政府参考人 先ほども答弁させていただきましたが、三大都市圏、首都圏、近畿圏、中部圏、そういうようなところについては、実態上も市街化の圧力が非常に強いということがございます。それともう一つ、先ほども申し上げましたように、国として、法律でそこの地域については計画的な市街化を図っていく、近郊整備地帯、既成市街地等について、法律計画的な市街化を図っていくという国としての政策を持っておるということでございます。  そういう点の整合性から考えまして、私どもとしては、都市計画線引きにつきましては、そういう地域についてはスプロール対策がまだ必要であるということから、原則は、都道府県地方公共団体の自主性に任せるということでございますけれども、国の政策という観点を踏まえて、その今の地域等々につきましては線引き法律上規定した、こういうことでございます。
  57. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 この三大都市圏というのは、ある面では日本の人口の約四割から五割、ここにおられるんですよ。そういう中で、都市計画という一つの哲学等々を含めながら、そしてそこには地方分権という、今、地方のこれからの将来についての権限を全部移譲しているわけであります。そして、そこに当然のごとく住民の期待を持ってまちづくりというものが、この法律にも、今回の精神にも書いてあるでしょう、皆さんの精神に、ここに。地域の自主性を尊重し、地域の特性を生かして使い勝手のよい都市計画をするんだと。しかし、一方においては縛りをかけておいて、一方において、やっていることがおかしくありませんか。まして、それだけ人口が、総人口の半分近いところが三大都市圏に住んでいるわけです。  ですから、私は、そこにガイドラインを持って線引きの見直しを明確にしなさい、こういうことを申し上げて、本来ならばそのガイドラインを要求するところだったんですけれども、分権法ができて、そこまでいろいろなことを国が口を出すこと自体問題があり、かつまたガイドラインを国につくらせること自体が分権法の精神から反するだろう、こんなことを言われて、今回の修正案は出さなかったわけでありますけれども、私は、基本というものがそういうところにあるだろう。ところが、そこは避けているのですよ、あなたたちは。そのことを明確に答弁願いたいと思います。
  58. 山本正堯

    山本政府参考人 先ほど先生指摘をいただきました線引きにつきましては、先ほども申しましたように、三大都市圏についての線引きは残すわけでございますけれども、線引きについての見直しというのは、随時やっていくということでございます。例えば、今、線引きの変更ということでございますが、五年ごとに調査を行って、随時見直すということになっておりますが、全国平均では二・九年ごとに見直しております。首都圏については、二年ごとに見直しております。ただ、微調整とかそういうような点、先生先ほども御指摘いただいたようなところがあろうかと思いますけれども、そういうような格好で、随時もちろん見直していくということが一点でございます。  それからもう一点、ガイドラインの点につきましては、私ども、大臣からも御答弁をさせていただきましたが、都道府県の自主性を損なわない範囲内で、国としての制度の運用に当たっての技術的な助言、マスターテーブルといいますか、マスタープランといいますか、そういったようなものをきちっと私どもとしても積極的に示して、それについて各自治体に対して、国としてのいろいろな技術的助言等をやっていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  59. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今、あなたが随時ということを言われているのですが、この言葉はもう聞き飽きているのですよ。昭和四十五年、あなたがいつ入省されたかわかりませんけれども、それ以来、五年ごとの見直し、随時見直し、そういう中で現実に見直しされていない。してほしいというところがされていないのです。勝手に色塗りをして、その色塗りに全部拘束されているのです。そして、時にはこれは農業振興地に指定をされ、時には皆さん方の、建設省と農水省の縄張りによって、これも先送りされてきたというのが現実なんです。それで随時、随時と言ったって、これは百年かかったって随時になっちゃうのですよ。私は、そんなことを求めているのじゃない。今期待しているのは、今回の三十年ぶりの改正案なんだから、随時なんということじゃなく、これに並行して同じようにやります、そのぐらいの答弁がなければ納得しませんよ。
  60. 山本正堯

    山本政府参考人 都市計画の見直し、線引きの見直しでございますけれども、それにつきましては、私ども、今回線引き制度を大きく変えるわけでございます。そういう時期に当たりまして、私どもとしても、今回、線引きの見直しについてのきちっとした私どものガイドラインを示し、それについて各都道府県にそういう格好で要請をしてまいりたいというふうに考えておるところでございますし、また、都市計画線引きの見直しの基準といいますか、何年ごと、どういう格好で、どういう場合には見直すのだといったような点につきましても、都市計画整備、開発、保全の方針といったようなところで、それぞれがそういう格好で規定をしていく、方針を示すということに考えておるところでございます。
  61. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 三大都市圏以外はそれでいいでしょう。私が言っているのは、三大都市圏をどうするんだということを聞いているんだよ、あなたに。そういうふうに逃げなさんな、答弁を。  私が今質問しているのは、三大都市圏をどうするんだと言っているのですよ。日本の人口の半分、求められている線引きの見直し、こういうところに明確に今回の改正というものが、求められていないところに、あなたたちは逆にこたえようとしている。そうじゃない。今本当に、三大都市圏が秩序ある、哲学あるまちづくり、将来こういう町にするんだよ、そのためにはガイドラインはこうなりますよ、明確に示すべきですよ。今までも随時、随時、その言葉にだまされて三十年来たのですよ。そんなことじゃ納得しませんよ。明確に答弁してください。
  62. 山本正堯

    山本政府参考人 線引きの見直しにつきましては、一つの例で大変恐縮でございますけれども、例えば横浜の例につきましては、随時の見直しと、当初の、あるいは定期的な見直しということが行われております。定期的な見直しにつきましては、例えば今、三十年間のうちの四回、定期的な見直しが行われておるわけでございますが、その間、随時の見直しが行われておりまして、全体では十三回にわたって見直しが行われているといったような状況でございます。  首都圏、近畿圏等につきましても、都市計画線引きの見直しにつきましては、そういったような定期見直し、随時見直しといったようなことで行われておるわけでございます。  今回私どもは、こういう制度の大きな改正、改廃でございますので、こういうことにつきまして、見直しに当たっての、どういう場合に見直しをするかといったような点につきましての基準といいますか、そういうようなものを、基準を政令で書き込みまして、それについての具体的な技術方針といったようなものも策定をし、各都道府県等々について技術的支援、助言をしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  63. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 それは、五回とか十回とかというあなたの答弁はありますけれども、今までは虫食い的なところばかりやってきたのですよ、はっきり申し上げて。  先ほど申し上げたように、昭和四十五年に暫定的に色塗りしました。そして、そこにいろいろなふぐあいが生じて、虫食いが生じてきた。その部分だけを直してきたのですよ。今回は制度を含めて抜本的な改革なんですから、それにどれだけ期待をしているのか。やはりここに、あなたたちの文章に書いてあるとおり、地域の特性や地域の要望にこたえて抜本的な見直しをする、それが都市計画の今回の方針じゃないのですか。  ところが、それにこたえていないじゃないですか。まして、ガイドラインもポリシーも哲学もない。それは、やはり三大都市圏というのは、むしろ私は、人口が全国の半分近く住んでいるわけですから、こういうところに重きを置いてこういう町をつくるんだ、その方針を私は明確にすべきだ、こんなふうに思っていますよ。それを随時、随時なんと言ったら、これから何十年、何百年待つかわかりませんけれども、そういう形になってしまう。  私の考え方は、恐らく全部の議員が今日まで同じ苦労をしているし、同じ悩みを持っていますから、あなたたちは、上からこう言ったりそういう形で、何年かそこにいて行けばいいのでしょうけれども、そうじゃない。私たちは本当に地域とともにこういうまちづくりをしたい。しかし、今までは微調整、微調整。あなたの言っている随時。そうじゃない。今回は抜本的な、三十年ぶりの見直しということを考えたときに、そのことを避けてはいけない、このように思います。明確にしてください。
  64. 山本正堯

    山本政府参考人 今先生がおっしゃっておられる趣旨、私どもも同じ思いじゃないかというふうに私は思っております。  今先生がおっしゃいましたように、一つ自治体によって、線引きの見直しについて、非常に財産的制約を伴っておる、都市計画というのは伴っておるということで、非常に憶病になるといいますか、非常に慎重になっておるというのが、やはりそういう意識もあろうかと思います。あるいはまた地方公共団体が、非常に体制といいますか、そういう専門的な知識、識見を持っている人がかなり、体制的に執行体制が十分じゃないといったような点も若干あるかと思います。あるいはまた、運用の面が大変大きな問題があろうかと思います。  そういったような点から、私ども、うまく運用はいっていないというような点あるいはまた、今回私どもが改正をして、都市計画制度、特に線引き制度についての大きな見直し、変更をやったわけでございますので、やろうとしておるわけでございますので、そういう点について十分公共団体を支援し、あるいは具体的な助言をしていく必要がある。先生おっしゃいますように、的確にその見直しが行われるようにガイドラインを示すといったようなこと、しかもまた、今申し上げましたように、都道府県を執行体制の面あるいはまたそういうような点について、よく私どもとして啓発を行うといったような点についても十分意を用いていかなければいかぬというふうに思っておるところでございます。
  65. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 三大都市圏以外はそれでいいでしょう。私が申し上げているのは、三大都市圏をどうするかということを申し上げているのです。そのことを明確に答えないとだめですよ。  特に三大都市圏では、四十五年の線引きのときに、重い思いを持ってこれからの、あなたが言う随時ということに期待していたのです。ところが、三十年たってもそれが随時になっていない。そして、なおかつ、中には陳情したり請願をしたり、いろいろなことをしていても今日まで見直しをされていない。そのことは今回されるのですか、それをやったら。明確に答弁してください。
  66. 山本正堯

    山本政府参考人 三大都市圏につきましては、今回の法改正で制度自体としては残るわけでございますけれども、今申し上げましたように、具体的な線引きについて、今回全体の経済社会情勢も大変変わってきております、あるいは地方分権の時代でもございます、あるいはまたその三大都市圏における状況の変化等に対しまして、今私ども具体性のある基準を明確にし、それに基づいて三大都市圏についても具体的な見直しを行うということで、私どもとしても、ガイドラインに沿った支援をしていきたいというふうに考えております。
  67. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 こればかりやっていてもしようがないですから、大臣、よく聞いてください。  今局長が最後に言った言葉を私は最大限尊重したいと思います。三大都市圏であっても、線引きの見直しを含めて、それぞれにガイドラインをつくってやりたい、やらしていただこうということですから、そのことを了としていきますけれども、そうじゃないのですよ。今まで本当に首を長くしてきたのは三大都市圏なんです。そのまちづくりをどうあるべきなのか。そして、今までの制度上の弊害が、それが今回除外をされていたのでは何にもならないのです。でも、今回、今の答弁が三大都市圏も含めてやるということでありますから了としますけれども、やはりここは一番、日本のこれからの三大都市圏を含めた首都圏における日本の文化、町、そして哲学を持ってこの都市計画というものは当たっていかないといけないことなのだ、こんなふうに思っておるのです。  ですから、私は、除外するということではなくして三大都市圏も同じように、法律で除外するということになっているから、運用面を含めてはっきりと見直しをして、そしてそこにはガイドラインをもってしっかりとさせていただくように、大臣からの最後の明快な答弁をいただきたいと思います。
  68. 中山正暉

    中山国務大臣 先生局長も同じ思いで考えておりますということを申し上げたわけでございますが、先生の御体験の話も私もよくわかるわけでございます。  しかし、昭和三十五年から「上を向いて歩こう」の時代と言われていますが、経済繁栄をいたしまして、バブルがどんどん大きくなってきて、それから都市近郊の農業のあり方みたいなものも、いろいろな考え方が変わってまいった。それがバブルが崩壊をして、そして三大都市圏における、いわゆる何とかその時代に対応しようと思っていたことが、今選択肢をふやしていくことによってその問題を解決していこうということの時代が——都市近郊農業に対する考え方も変わってまいりましたし、それからみんなの心もある意味で落ちついてきた時代に適合して、そして地方自治体の選択肢に対して国も柔軟に対応ができるように、地方自治体も柔軟に対応できるようにという両々相まった、三十年ぶりの見直しということで、私は着手をしたものがこの改正案である、役所が法律を提案いたしますのに、私はそういうふうな気持ちでこの法案の提出を了解した、こういう気持ちでおります。  これがいい方向に向きますように、この法律案がまた実態に即した、国会で御審議を得ましてそれが着実に進行していくこと、それを期待いたしたいと思っております。
  69. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 ぜひそういう方向をお願いしたいと思っておりますが、この国の一番問題は、やはり都市計画のとらえ方として、文化や哲学を持ってそういう問題に取り組んでいない。急激な発展やいろいろな人口増加もあったのでしょう、ですから今見直しを迫られているわけだし。それから三十年間、ある面では、首都圏においては自分たちの制約、私有財産を含めて制約もあった。それから制度上の合間にあって、日本の文化というものがこの制度によっておかしくされてきた。  例えば、僕は都市の中における農業というものはあってもいいと思うのですけれども、それを一律に色分けをしてみたり、都市における酪農というのはいろいろな問題がありますけれども、あってもいいと思っているわけです。ところが、農水省は、そういうところで農業、酪農をしなくても、するんだったらどこか人里離れたところでやればいい。そうじゃなかったと思います。日本の文化というのはそういうことで育ってきたわけではありませんから、いろいろなことがやはり情操教育や人間形成の中においても、都市の文化というのは非常に大切なものですから、そのことを含めて、これから省庁間の連携というものは密にしていただきたい、こんなふうに要望しておきたいと思います。  そこで、地域状況の中でこういう問題があると思うのです。この市街化区域に隣接あるいは近接していながら、一定戸数を持っていてある集落を持っていても、そこは調整区域になっている。色分けをされたときにそういうふうになってしまった。それが現在存在しているわけでありますから、そういうところはこの際、三大都市圏であっても市街化に編入させる、こういうことがあっていいのだろう、こんなふうに思っておりますし、あるいは五十戸連檐ということがかつてから言われておりますけれども、そういうところを含めて、虫食い状態になっているようなところはこの際ガイドラインの中で明確に市街化にするとか、そういう方針が出てもしかるべきではないかと思うのですが、その辺いかがですか。
  70. 山本正堯

    山本政府参考人 今先生おっしゃいましたような、市街化調整区域のところで五十戸の建築物が連檐しているといったようなところとか、そういうようなものについてきちっとした方針を示すべきではないか、こういうことのお尋ねだと思います。  私ども、都市計画区域整備、開発、保全の方針、いわゆる都道府県マスタープラン、今回のマスタープランにおいて都市計画の目標を定めるとともに、線引きの方針あるいは土地利用その他の主要な都市計画決定の方針を定める、こういうことに考えておりまして、五十戸連檐地域で行われる開発行為の立地基準等につきましても、政令で定める基準に従いまして、区域とその環境保全上支障があると認められる用途を条例で定めるといったようなことを考えているところでございます。  今先生おっしゃいましたようなところも含めまして、きちっとしたガイドラインといいますかそういったような方針についても、しかるべきところできちっと定めていきたいというふうに考えております。
  71. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いろいろなことがあろうと思うのですよ。昭和四十五年以降に求めていて、そしてそこが市街化調整区域であった、しかし現実には周りが家を建てていて、せいぜいあと一戸か二戸しか残っていない敷地に、調整区域でありますから、知らないで買ってもそれはもう家が建たないわけで、そういうところが実態としてあるわけでありますから、そういうこともこの際私は見直しの要件にしておいていただきたい、こんなふうに思っております。  そこで、実はこの都市計画が非常に、先ほど来お話が出ているように、スピード感がない、都市計画決定をしてから、大臣局長もよく聞いていてください、都市計画決定して今実行に移っているのは大体四割以下、これが実態です。ですから、都市計画法の精神も、ある面では権威も、こういうことを含めて考えると、都市計画法というものが本当に権威あるものであるならば着工されるのが四割なんということはない、こんなふうに思っているわけですけれども、その辺も含めて、権威あるような形にこの際すべきじゃないかな、私はこんなふうに思っております。  それからもう一つは、今申し上げたスピード感が非常に、時代のスピード、これだけ物すごいスピードであるにもかかわらず、都市計画あるいは建築基準法というのは時代にその対応がおくれている、こういうことだと思います。  そこで、私は、今要求されている社会情勢というのは、自己責任、社会的責任、この発想でいうならば企業責任というものがもっと明確にこういうところに併合されていいんだろうと思うのですけれども、その辺の考え方はいかがですか。
  72. 山本正堯

    山本政府参考人 先生、今おっしゃいましたように、都市計画というのは住民に非常に密着した制度でございます、まちづくりというのは住民に非常に密着した制度でございますので、住民がまちづくりをすると同時に、私どもとしても、それを支援していくようなきちっとした的確なガイドラインをつくり、的確な支援をしていくということが大変必要になってくるというふうに思っておるところでございます。
  73. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今申し上げたスピードの問題、例えば一つのまちづくりにつき計画決定まで大体七、八年、遅いので十年、十五年、こんなにかかっている。今の時代のスピードとは合っていないと思うのです。それから、着工してから完成まで大体平均して、都計法に基づくいろいろなものというのは二十年、三十年かかっている、これが実態ですね。  ですから、そういう点での、自由主義社会でありますから、個人のいろいろな私有権を認める、いろいろなことがあるのでしょうけれども、今の時代で十年、二十年、三十年、このタイムラグというのは時代にそぐわない、こういう形になってくるんだろうと思うのです。ところが、そういうことについて、従来の発想から一歩も今回の法改正の中では抜け出していない、この辺をどのようにお考えになっているのか、答弁をいただきたいと思います。
  74. 中山正暉

    中山国務大臣 おっしゃるとおり、本当にそういうスピード感のなさ、財産権に絡む問題でございますから、そういうことの難しさというものをしみじみ感じます。私は昭和七年生まれでございますが、昭和七年ぐらいに立てた計画が、最近橋がかかるとか道路ができるとかということで、本当に残念だなと思います。  きのうもある財界の方と少しお話をしておりましたのですが、中国へ行くとあっという間にどんどんできていく、日本が中国の進歩に追い抜かれてしまうんじゃないか、アジアの中でそれが大変心配だという話をしておられました。体制がああいう形で違いますし、中国なんかは選挙はありませんし、都市からは十万人に一人の代表、農村からは百万人に一人の代表を選んで、いわゆる全人代とかああいう形でやっていますところを見ますと、日本の民主主義というのがかえってそういう意味で、皆さんに民主主義の理解というのをちゃんと得て、そして、公共の福祉のために財産権をどういうふうに使うかということが、もっと日本の政治意識というものが高度化しないと、先生の御指摘になられたようなことが、幾ら地図の上に線を引きまくってもそれは実態として、いわゆる架空のものになってしまうという懸念があって、日本の意識の向上、国のためと個人の利益をどう合致させるかという大きな問題が先生の御指摘の中に私は含まれているような気がいたします。  少しでもそういう意味の啓蒙をして、都市機能、いわゆる三大都市圏がどんなふうに進展していくかということで、日本の経済力とか、世界に貢献をする日本の経済力を維持するための国家の体制をどうつくり上げていくか、そんな問題に絡んでまいりますので、私は、この見直しを通じ、そういう意識の変化を国民にPRして理解をしていただくことでこれからの都市機能の進展につながっていったらいいな、そんなふうに認識をいたしております。
  75. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 もう余り時間がありませんが、最後に、建築基準法の中で、特に最近感じているのは、今の時代の要請、少子高齢化、特に高齢化の中で幾つかの経験をしておるのですけれども、建築基準法というものがもう少し柔軟、フレキシブルであってほしいと思っておるわけです。  例えば、大臣も親孝行ですからよくわかると思いますが、だれしもが、自分の親が突然倒れて車いすになっても見たいというときに、その家の廊下を広げようあるいは二階の問題とかを含めて容積率、しかし、それは初めの計画とは違うわけでありますから、容積率、建ぺい率に抵触するわけであります。無断でやりますと建築違反になります、こういうことですね。ところが一方においては、そういう問題に対して、融資制度あるいは利子補給や補助があったりいろいろなことをするわけですけれども、これははっきりとミスマッチですね。  ですから、私は、建築基準法というものはもう少しフレキシブルに、もう少し自己責任、社会的責任というものを強調して、それぞれ市町村といいますか指導してやればいいんじゃないかと思う。特に、これは通達を含めてやっていくことがこれから求められてくると私は思う。本当に高齢化社会の中でそういうことを絶えず経験してきています。  ところが、今言ったように、必ず建築基準法に違反する。それはそうかもわからないですよ、廊下を広げるんですから。しかし、そのことが隣近所に迷惑をかけなければよろしいんじゃないかと思う。こんなことを含めて、仏つくって魂入れず、こういうことにならないような形の建築基準法の見直しや通達があっていいんだろうと思いますけれども、その辺、いかがでしょうか。
  76. 中山正暉

    中山国務大臣 先般の本会議でも、ちょうど有珠山の噴火のときになりましたものですから、先生に御答弁申し上げている途中で退席をいたしまして政務次官から御答弁をいただいたことを、まずこの機会におわびと御了解をいただいておきたいと思います。  そのときの先生の御質問の中にもありました件でございまして、高齢社会等に対応した建築規制の問題は、建ぺい率の制限とか容積率の制限は、一定の市街地環境を確保する上で必要な社会的なルールとして機能はいたしておりますけれども、こうした中で、社会情勢の変化に対応して、平成六年に制定されましたいわゆるハートビル法に基づきまして、高齢者等の利用に配慮をして廊下の幅を広げるなどをした住宅についての容積率を緩和するとともに、今回の法案におきましては、住民の合意のもとで壁面線などの建築ルールを定めた場合に建ぺい率制限を緩和できることといたしておりまして、今後、さらに建築基準法の集団規定の総点検を行いまして、その中で、高齢化社会を踏まえて地域の実情に応じて柔軟な対応ができるようなハートビル法を含めた建築規制のあり方、そういうものを心がけてまいりたい、かように思います。
  77. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
  78. 大口善徳

  79. 中島武敏

    中島委員 私は、都市計画法建築基準法の一部改正について質問をいたします。  その前に、緊急の問題ですので、有珠山被災者対策問題について、少しばかりのお時間をいただいて、対策本部長であります中山国土庁長官に伺いたいと思います。  まず第一に、北海道有珠山では、小爆発が今も続いております。それで、避難所で生活している方々もまだ八千人に及んでおりますし、その点では、深刻な事態という点では何も変わっていないのじゃないか、こういうふうに思われます。  それで、今避難している住民の方々にとって、何よりも一番求められている問題は、やはり安心して住める住宅を確保してほしい、このことではないかと思うんです。仮設住宅も建設され始めましたけれども、希望するすべての避難者に住宅をきちんと保障するということ、そういう立場で大臣もいらっしゃると思うんですけれども、まず最初にその点についての姿勢を伺いたいと思います。
  80. 中山正暉

    中山国務大臣 噴火の後すぐに、二時から、小渕総理大臣が閣僚会議の座長になられまして、私が対策本部長に就任をいたしまして、その前から、いざというときには頼むということを小渕総理から言われておりました。  そんなことで、私も現地にすぐ飛びましたが、避難していらっしゃるところも見てまいりまして、これからどういうふうにそういう方々に、御親戚のところへ行かれましても、やはり初めは受け入れられても、なかなか遠慮がありますでしょうから、避難先の御友人それから知人、親戚のところでも、長期化する傾向の中でどうしていくかということで、先生の御心配の住宅の問題がございます。  今、虻田町の清水地区におきまして百戸、先行着手をいたしておりまして、竣工は五月の上旬ということになっております。それから、虻田町の月浦地区におきましては二百戸程度の建設に着手をしておりますし、豊浦町で八十二戸、壮瞥で八十四戸、それから伊達市で、これはまだ未定でございますが、二百戸程度の建築に着手をいたしたい、かように考えております。  具体的には、北海道庁は、避難されている方々の当面の住宅の確保をするために、胆振支庁管内で三百六十戸の既存の公営住宅の活用やら、それからまた約七十戸の民間の空き社宅、そういうものを活用いたしたい、全体で応急的に大体五百戸ぐらいの仮設住宅をつくろうということでございますが、必要があれば応急仮設住宅の増設にも対応をしてまいりたい。万全を期して、増田総括政務次官が現地の対策本部長をしてくださっておりまして、ずっと行ったり来たり、大変御努力をいただいておりまして、地元の方々とも、金融再生委員会と法務省とそれから沖縄開発庁以外の十六省庁が全部で対応をしておりますので、万全を期したいと考えております。
  81. 中島武敏

    中島委員 仮設住宅などを建設することは、今大臣から御答弁のあったようで、これはもう当然じゃないかなと思うわけです。  この間、実は十六日の日曜日に、私、報道番組を見ておりましたら、親子二代にわたってペンションを経営しておった方、大臣もごらんになったのですか。それで、子供さん御夫婦が札幌へ出て新たな職を求める、そういう道を選択したということが報道されておりました。  私思うのは、移住する場合でも、やはり一番必要なのは、さっき大臣言われたように、初めは親戚などにいろいろお世話になったとしても、長期にというわけにはまいりませんからね。だから、そういう点では、そういう方々に対しても住宅の保障がきちんと得られるということがどうしても必要になってくるんじゃないかと思うんです。  そういうことからいって、私は、やはり空き家の公共住宅、賃貸住宅、こういうところを優先的にあっせんすることが広く求められているんじゃないか。被災者の立場に立って、いわば胆振管内とかというだけじゃなくて、全道的に出ていこうという方々がいらっしゃるわけですから、全道的にそういう人たちを、公営住宅とか公共住宅でも、賃貸住宅とかいうところであいているところにはぜひ受け入れていただきたい。  そして、一時的にはもちろんなんですけれども、永住できる、そういう措置も必要になってくるんじゃないかなというふうに思うわけです。その際に、公共住宅の場合に、いろいろな入居の資格要件とか、そういうことはあるんですけれども、避難者ですから、そういう点もやはり取り払って考えるとか、家賃なんかも払えるようになるまでは免除を認めるとか、そういうような措置をぜひひとつとっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  82. 那珂正

    那珂政府参考人 お答えいたします。  既に北海道庁におきまして、有珠山周辺市町内の公営住宅、ただいま大臣からもお答え申し上げましたけれども、約三百六十戸、また全道的に公営住宅や空き家約千百戸を緊急避難先として確保したと聞いております。  建設省といたしましては、こうした北海道におきます取り組みを支援するため、避難者の住宅対策として、北海道内にとどまらず、全国の事業主体に対しても、管下の公営住宅への入居希望があった場合には最大限の配慮をしてもらうようお願いしたところでございます。  このお願いの通知の中で、先生今御指摘のように、公営住宅への一時入居につきましては、入居基準を一切問わないこと、それから、家賃についても適宜猶予あるいは減免を行うよう、その取り扱いを具体的に最大限の配慮をするようお願いしているわけでございますし、今永住というお話がございましたけれども、希望者の方の中に一時入居ではなくて永住したいという方がおられたとしても、この場合はやはり入居要件が必要だと思いますが、入居資格要件に該当さえすれば、通常の正式な入居と考えても差し支えない旨具体的に書きまして、お願いしたところでございます。
  83. 中島武敏

    中島委員 これは大臣に伺いたいのですけれども、被災者にとりまして、雇用とか仕事の確保というものが非常に切実な問題になっているのですね。聞くところによりますと、あそこは中小の建設業者あるいは建設業で働く人たち、そういう人たちが非常に多いということを聞いております。それで、被災してしまっておりますと、仕事がもうなくなってしまうわけですね、関係が切れてしまって、あるいは仕事ができなくて。それで、この問題についてどう解決していくかという問題なのですけれども、やはり周辺の安全な市町村、ここの公共事業を前倒ししていただくとか、あるいは、前倒しだけでは後がなくなりますから、さらに上乗せをするというようなふうにして、上乗せのお金は、幸か不幸か国の方でも五千億円の公共事業の予備費をも持っておられるところでございますから、だから私はそういうふうに、本当に日々困っていらっしゃる、そういう方々に対して仕事が出るような、短期の雇用も含め、そういうことを考慮してしかるべきではないのかなということを思うわけですよ。  この点については、ぜひひとつ大臣の方からお答えいただきたいと思うのです。
  84. 中山正暉

    中山国務大臣 詳しくは建設経済局長さんから答弁をしていただきたいと思いますけれども、先生から、くしくも、公共事業の前倒しをせよという、私もああいう地域については特に配慮しなければいけないのではないかなという思いがいたします。  先ほど、テレビをごらんになったお話が、雫さんというお名前だったと思いますが、脱サラでペンションをやられて、そこへ若夫婦を呼んで、子供さんが産まれて、三カ月のかわいい赤ちゃんを抱えて本当に困っていらっしゃって、仕事がなくなって収入がなくなった、そこで今度は札幌へ出て就職をしたというお話、私も偶然テレビで見て、本当に心を痛めておったものでございます。  その意味で、公共事業は就職機会を創出する効果が大きいものですから、地域の雇用を確保する上で重要な役割を果たすと私は思っておりますし、有珠山周辺における公共事業の執行につきましては、各地域の雇用の状況、それから予定事業の内容、それから周辺市町村の意向等を十分に把握しながら、北海道開発局などの関係省庁との連携を図り、また適切な執行に努めてまいりたい、かように考えております。  伊達市役所が現地の対策本部になっておりますが、市役所を全部占拠しているみたいな形になっておりますし、壮瞥、それから虻田、その三地域の方々と、それから周辺市町村にも大変御迷惑をかけておりますから、私どもも今、そういう地域に対する、自治省にも交付税の前倒しをしていただいて出していただきましたり、またいわゆる激甚の基準を変えていただきましたので、本激それから局激、どこで査定をするかという問題もございますが、そういうことにも配慮いたしたい。  詳しくは建設経済局長から御答弁いたします。
  85. 風岡典之

    風岡政府参考人 被災地の雇用の確保、御指摘のとおり非常に重要な課題だというふうに思っております。  ただいま大臣からも御答弁がありましたように、そういった中で、公共事業は就業を誘発する効果が非常に大きいということでありまして、私ども、地域の雇用の確保、維持の観点から非常に重要な事業であるというふうに考えております。  有珠山周辺地域における公共事業の執行でございますけれども、今先生の方から、建設業者が非常に仕事がなくなっているというような御指摘もございました。あるいはそういった状況がさらにどういうふうになっているのかとか、さらには各地域での雇用の実情、それからまたやはり周辺市町村の御意向がどうなっているのかというようなことも私どもなりに把握をしまして、特に直轄事業を実施しております北海道開発庁あるいは局、この辺とも十分連携を図りながら、建設省としても、事業の執行面で適切な執行ということにつきまして努力をしていきたい、このように考えております。
  86. 中島武敏

    中島委員 被災者の方々は、結局営業基盤そのものが破壊されつつあるわけですね。それで、実は現地では、やはり個人の生活保障ですね、それから営業保障、こういったことが強く求められております。それで、政府の対策本部長をして、長期化に備えた対策を図るためにも、個人の生活保障、営業保障にこたえることがどうしても今必要になってきているということを申し上げまして、次の問題に移りたいと思うのです。  都市計画法の一部改正ですけれども、実は今大臣にまず最初に伺おうと思っていたのですけれども、これは局長に伺うことになります。  まず最初にお聞きしたいと思うのは、市街地の拡大、いわゆるスプロール化に関する問題です。  今回の改正では、従来の市街化区域市街化を抑制する市街化調整区域の区分、すなわち線引きを、原則として都道府県が選択することができるようにしたわけですね。線引き都道府県の選択に任せるということは、自治体計画的なまちづくりを行う上で、それは改善だというふうに言えるにしても、しかし、かえって逆に障害になるのではないかという、こういう指摘が専門家からやられているわけですね。四月五日、ここで石田頼房参考人の意見にもありましたように、しっかりした基本方針、つまり昨年十月の都市計画中央審議会の「見直しに当たって」の中にあったのですけれども、都道府県都市計画マスタープラン、これがないと、かえって乱開発が進行することになるのではないかというふうに思われます。この点どうかということと、それから自治体が開発推進の立場に立っておりますと、市街化区域の拡大はさらに広げられていくのではないか、そういう心配があります。それで、この点について、そうはならないという歯どめというのはあるのでしょうか。
  87. 山本正堯

    山本政府参考人 二つの点について御質問をいただいたかと存じます。  都道府県全域のマスタープランというのが中間報告であったわけでございますけれども、これにつきましては、いろいろ中間報告について各界各層から意見を募集したりさせていただいたわけでございます。  その際にも御意見があったわけでございますけれども、都道府県全域のマスタープランにつきましては、策定に係る実務上の問題点とか、すなわち一つ都道府県全域ということになりますと、その中で都市計画区域というのは、都市地域というのは非常に一部であるといったような観点の問題でありますとか、あるいはまた実効性のある、住民の意見を具体的に反映させるといったような点についての手段というのがどんなものがあるだろうかといったような点が課題として出されまして、私ども、それらをいろいろ検討後、しんしゃくいたしました結果、広域的な都市計画区域が多いわけでございますけれども、そういう都市計画区域ごとの整備、開発、保全の方針として制度化をしようということを考えたところでございます。  それから二点目の、選択制が導入されますと、市街化が拡大して乱開発が促進されるおそれはないか、そのための歯どめがあるか、こういうことでございます。  基本的に都道府県が選択をするわけでございますけれども、市街化圧力が強く、乱開発のおそれがあるといったようなところについては、そもそも選択で線引きを廃止するといったような選択はしない、都市計画区域については線引きを選択するべきだ、基本的には、依然として、今ある線引きについては維持をする、あるいは現在ないものについては線引きをするといったような方向で整理をするべきではないか。  さらに、都道府県が各都市計画区域について線引きの要否を判断するためにも、人口、産業あるいは市街地の状況等、いろいろな事情を勘案すると同時に、都市的な土地利用と農林漁業との調和にも十分配慮していくことが必要である、農地の壊廃等が行われない、自然環境が十分確保されるといったような点にも十分配慮することが必要であるということでございます。  こういうために、今回の改正におきましては、先ほど申し上げましたように、三大都市圏については線引きを引き続き義務づけるとともに、先ほども御議論がございましたように、線引きに関する政令基準をきちっと制定する、しかも、具体的な運用指針の提供等の技術的助言、ガイドラインを積極的に示していくということが必要であろうというふうに思っておるところでございます。そのガイドラインの中で、今申し上げましたような、きちっと守るべきものは守るという格好の方針を打ち出していくということであろうかと思っております。
  88. 中島武敏

    中島委員 今局長からお話がありましたけれども、私、マスタープランの問題についてやはり地方自治体なんかも、先ほどは各界各層、こういう御発言だったかと思いますが、その中の一つ地方自治体だと思うんですけれども、こういうところからもやはりちょっと結果としては反対の意見が多かったというふうに聞いているんです。今言ったような政令で、あるいはまたガイドラインで積極的に示していくと言われたんですけれども、線引きをしないということを選択した、そういう自治体の場合には、やはりそれに対してきちっとしたガイドラインあるいは政令での基準を示すということが、果たしてその自治体が受け入れられるものになるんじゃないかなという気がするんですね。大変言い方はあれですけれども、緩やかなものをつくらざるを得ないんじゃないかなということを私は思います。  そういうことから言うと、それでは、果たして先ほど答弁になったような目的を達することができるんだろうかということを感じるんですけれども、その辺はどうですか。
  89. 山本正堯

    山本政府参考人 線引きでございますけれども、線引きは、都市計画の中で非常に大きな、重要な事項でございますし、また、先ほどから話が出ておりますように、都市計画財産権に対する非常に大きな制約ということでもございますので、そういう点では、ある意味では公平性、客観性というものが非常に要求されるということであろうかと思います。  したがいまして、線引きをするかしないか、どういう場合に線引きをしていくかというような点につきましては、政令基準を制定し、運用についても、国としてしかるべきガイドラインを示していくということが必要ではないかというふうに考えております。
  90. 中島武敏

    中島委員 この問題をやはりちゃんとするには、全体的にかぶるマスタープランですね、これをしっかりさせるということは今回見送られているんですけれども、見送りっ放しというんじゃなくて、やはりもう一回検討しなきゃならぬところにあるんじゃないかなということを申し上げておきたいと思うんです。  それで、その次の問題に進みますけれども、広く緑地を保全、創出するための制度の強化、この問題なんです。  昨年十月の「都市計画制度の見直しに当たって」ではこんなふうに指摘をしています。「広く緑地を保全・創出するための制度の強化」が「見直しに当たっての基本的考え方」として取り上げられ、   環境や景観の保全に重要な意味を持つ都市内の緑地(里山、平地林等)をできる限り保全し、さらには新たな創出を図るため、広範囲にわたって必要な開発規制や土地の買取りの協議等を行うことができるような制度を構築すべきではないか。この場合、風致地区等既存の制度との関係を含めて検討するべきではないか。 局長御存じのように、こういうふうに指摘をしているわけです。そこで、この指摘は今度の法改正に当たってどういうふうに具体化されているのかということをお尋ねしたい。  それから、続けてもう一つ。非線引き都市計画区域で自然環境をしっかり保全する制度なしに市街化に対し柔軟な対応をすれば、なし崩しのスプロールになり、貴重な自然や村落景観が破壊されるのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  91. 山本正堯

    山本政府参考人 中間報告では、今先生御案内のような御指摘を、御提言といいますか、まとめられたところでございます。その後、私ども、審議会でいろいろ御検討をいただいたわけでございますが、その中で、緑地の保全、創出というものは、開発規制といったものだけではなくて、建築規制を含めた措置が必要だとか、あるいは、土地利用規制だけでは限界があるので、具体的な公園とか、そういうような事業制度のあり方とか、さらには財源措置、あるいはまた税制も含めた総合的な観点からの検討が必要だといったような御指摘をされたわけでございます。  そういう御指摘を受けて、最終答申におきましては、そういったような自然的環境、景観などの総合的な取り組みといたしまして、この法案で出させていただいておりますような、一つは、風致地区についての地域の実情に応じたきめ細かな規制を行うための見直し、小さなものについては市町村決定にするといったようなこと、あるいは、いわゆる白地地域での建築物の用途規制特定用途地域制度の導入でありますとか、容積率、建ぺい率の規制の土地利用の状況に応じた見直しでありますとか、あるいはまた、開発許可基準の条例による上乗せでありますとかといったようなことで具体的な制度として盛り込まれたということでございます。  これらの新しい制度、現行の緑地等の保全に関する諸制度を積極かつ総合的に運用していくべきと指摘されておりまして、私どもも、この改正でそれぞれこういう格好で措置をし、御審議をお願いしているということでございます。  なお、これの大前提といたしまして、すべての都市計画に共通する都市計画基準として、都市計画を策定するに当たって、自然環境への整備、保全へ十分配慮すべきであるということを法律上明示をしたところでございます。  ただ、これで十分かということでございますが、今、そういう中間的な取りまとめのときに御報告いただき、あるいはまた最終答申でも言われておりますけれども、引き続き取り組むべき課題ということで、財源措置とか関連税制のあり方なども含めて、総合的な観点から緑地の自然的な環境保全について必要な措置を講ずる必要がある、今後引き続き検討課題ということにされておるわけでございます。
  92. 中島武敏

    中島委員 時間がどうやらもう来るんですね。一つだけ聞いて……。
  93. 山本正堯

    山本政府参考人 済みません、恐縮でございます。もう二点指摘がございました。柔軟な対応だけでは自然や農村環境が破壊されるんじゃないか、こういう点でございます。恐縮でございます。  今申し上げましたように、未線引き白地地域というところについては、用途地域を指定して建築物の用途規制を行う市街化区域とかあるいは市街化調整区域と違いまして、目指すべき市街地像が明確ではない、特段の土地利用規制が行われない地域、まさに白地地域でございまして、この今回の改正につきましては、そういうような明確な市街地像がない白地地域においては、特定用途制限地域といったものを導入するといったようなことでございます。先ほどまた申し上げましたように、白地地域の容積率、建ぺい率の見直しを行うということを行ったわけでございます。  こういう点について公共団体が積極的に活用するといったようなことによりまして、豊富な農村環境を含む良好な環境の保持が図られるように期待をしている。建設省としても、私ども、これらの制度の活用が図られるように技術的指導をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  94. 中島武敏

    中島委員 これで午前の部は終わりにしまして、午後、引き続き質問をさせてもらいます。
  95. 大口善徳

    大口委員長 井上義久君。
  96. 井上義久

    ○井上(義)委員 都市計画法並びに建築基準法の一部改正について若干の質疑をしたいと思います。  昭和四十三年に制定されました都市計画法が、今回抜本的に改正されることになったわけでございます。法制定後三十余年を経過して、日本の経済社会や国民の意識が大きく変容してきている。総論して言いますと、本年二月の都市計画中央審議会答申が指摘するように、我が国は、急速な都市化の時代を経て、安定、成熟した都市型社会の時代を迎えている、こうしたことを考えますと、我が国の都市政策は大きな転換期にありまして、いま一度、我が国の都市のあり方についてきちっとした方向性を明示すべきではないかというふうに考えます。  そこで、都市計画法を抜本改正することになったわけでありますけれども、都市計画法はまちづくりの基本的なツールということでありますから、都市政策の基本的な方向がこれによって大きく変わるというふうになると思うのですけれども、やはりこのことを国民に簡単にわかりやすく、これまではこうだったんだけれども、これからはまちづくりはこうなるんですよということをきちっと示さなければいけないのではないか。  というのは、都市計画というのは、住民にとって自分の生活の基盤をなしている最も重要な問題で、一般的に、どうも何か窮屈だなというふうにしか一般の人は思っていないので、これまではこうだったけれども、これからはこういうふうに変わるんですよということをわかりやすくちょっと説明していただければと思います。
  97. 加藤卓二

    加藤政務次官 今回の改正の背景と今後の都市づくりの基本的な問題についてお尋ねがございました。  これは、私の方で考えてみますと、都市計画というのは絵をかくようなもので、構図を決めて、それからデッサンをして色を塗る。この構図の方の問題は、国の方である程度の構図を示さないと、本当にあちこちでまちまちになったら大変だ、それでその構図をきちっと決めて、そのデッサンは都道府県というのでしょうか、そういうところでもデッサンをする。これは線をきちっと入れると名画ができますし、やり方を間違えるとこれがまたなかなか物にならない。色彩というのは個人の好みで、というよりも、ぜひ地域の色彩を十二分に出していくというようなやり方をみんなで考えていくことが大事ではないのかな、こう思っております。  私、考えるのですが、日本の国は物すごく大事なことを失敗している、こう思うのです。震災のときには上野の森と宮城と芝公園で大体火災はとめることができた、それで四千町歩の区画整理がそのときにはきちっとなされて、しかし、戦災で二万町歩からの土地が焼けているにもかかわらず、そのときに大きな区画整理、要するに都市計画をきちっとできなかったところに、今日の建設省、そして国民の苦労、そして行政でも大変なエネルギーを注入しないとできないような都市計画道路づくりを今やったりなんかしているわけで、こういう問題を考えると、千載一遇のチャンスをなくならせたのは、占領軍もいたでしょうし、それから行政がそういうものに対して関心を持たなかっただけじゃなくて、政治もそういうリーダーとしての役目を果たさなかったことに大きな問題があるのではないかな、こう思うのです。  そういう場合に、いや地方ではと言われると、仙台だとか名古屋だとか比較的上手にいっている都市もあるということは、議員も理事の立場でおっしゃろうと思う気持ちは、仙台に行くと、うまくいっているな、都市としてはこんなふうにあるべきかなと思うときがありますから、そういうことで私はよく理解しているつもりです。  苦しい中にも、建設省としては、現行都市計画法は、昭和四十年代の急激な都市人口増加とスプロールの拡大に緊急な対応をするために、線引き制度だとか開発許可制度を導入することを柱として制定されている。この問題はみんなで今論議されているところでございます。  その後、都市への人口集中の鎮静化と少子高齢化の進行、モータリゼーションの進展、住民みずからまちづくりに参加しようという動きが高まってきているなど、社会経済状況は大きく変化してまいりました。いわば安定、成熟した都市型社会を迎えておるところでございます。これに対応した制度の枠組みが必要と判断して、今それに取り組んでいるところでございます。  今後の都市づくりに当たりましては、地方公共団体や地域住民が主体となって、地域ごとの課題に的確に対応がなされることが重要であり、都市計画制度も柔軟性と透明性の高いものとすることが必要であると考えておりますので、一生懸命頑張ってまいります。
  98. 井上義久

    ○井上(義)委員 これまではこうだったんだけれどもこれからはこうなりますよということを、わかりやすく国民に向かってぜひ説明していただきたいというのが趣旨だったのですけれども、なかなか難しいようでございます。  それでは、都市計画中央審議会の答申で、都市化社会から都市型社会と。都市化社会というのは、どんどん都市化していく、それで、無秩序な都市化がまずいのできちっと線引きをして、ここは都市化するところで基盤整備をきちっとやりましょう、ここはできるだけ都市化を抑制しましょう、こういうことで都市計画全体の枠組みは成り立っているわけですよ。  今度は都市型社会だ、一定の都市ができて、これからそう無秩序に開発されることもないだろうということが前提になって、今回の抜本改正ができていると思うのですけれども、では、その都市型社会におけるいわゆるまちづくりというものをどういうふうに具体的にイメージをして、またそれを具体的に施策としてやっていこうとしているのか、そこをもうちょっとわかりやすく説明してもらいたいと思うのです。
  99. 加藤卓二

    加藤政務次官 大変専門家的な御質問なので、私たちがどういうふうに答えたらいいのかなと思いながら、私の考えていることも申し上げて御理解いただけるように、また建設省ともよく話し合っていきたいと思っているのです。  都市型社会というのは、私ずっと考えてみていると、東京都をまず連想しますと、何が印象に残るかなと。要するに、はっきり言ったら、江戸時代につくったもの、桜田門に限らず、二重橋に限らず、私たちは本当に納得して、こんな都市がどんなふうになっているものかなと。これはイメージとすると、宮城を庶民の十二分に使える場所にしむけていくのがいいのかなとかという議論があるぐらいでございます。庶民のつくったものだったら、後藤新平さんがつくった東京駅、これが私はこれからの歴史にたえられる建物をつくるという意味でいったら大事なイメージじゃないかなと。  ただ道路をつくって、下水をつくって、人が住めるんですよという感じから、私は、やはり並木があって、街路樹がちゃんとあれしている。東京都を見てみてください。このめぐりにはイチョウの木が街路樹としてあるのです。これも立派なものだと思うし、日本の樹木としては大変すばらしい、私は好きな樹木のうちでございますが、あれは葉が落ちると、自動車やなんかのときには結構交通渋滞、渋滞になるほどでもないけれどもあれしている。ところが、パリだとかよその国へ行くと、私はトチノキと言いますけれども、スズカケだとかこういうものは葉が落ちてもさっとひけば、自動車が通ったときにもぱらぱらとして、それが害にならないような、要するに街路樹の文化というものがあるわけです。  日本にはそういうものがないから、都市ができても潤いがない、そして感覚的に言うとおもしろくない、こういうことになる。イチョウの木は大変定着していますから、これは清掃さえ十分にすればいいでしょうが、アメリカの方へ行っても、ユーカリ、そしてヤシの木が街路樹としてきちっとしているというのは、もう町をつくるときの常識なんですよ。その常識を常識のとおりにやっていなかったのが日本の道路行政だったんだと反省をして、今の建設省の中で、街路樹というのを植えられるところだけは植えていきましょうよ、そうすると、日本は水が天から降ってくるので、本当にもらい水で公園、グリーンができるんだから、こんな水をまいてやっているロサンゼルスの思いをしたら、なぜそれをしなかったのだろうというのが私の実感でございます。  そういう意味で、しかし、ではどういうふうにやるんだというと、今は建設省に役人としてお勤めしておりますので、建設省の立場も弁明させていただきたい、こういう意味で、都市型社会においては、地方公共団体及び地域住民が主体となり、地域ごとの課題に的確に対応しつつ、まちづくりを進める必要があると考えております。  その方向性としては、市街化地域においては、地域の有効利用と活力ある都市の核づくりを進めるとともに、郊外部においては、優良な田園環境でゆとりある住居を実現することが共通の目標となるのではないかと考えております。  いずれにせよ、地域の実情に即した都市像の実現のため、地域の共通の理解のもと、目指すべき都市像をマスタープランの形で明確にすることが重要じゃないかなと考えております。  と同時に、いま一つ足しておきますが、高深度の土地利用をすることにおいて東京都の半世紀にわたったおくれは取り戻すことができるのじゃないかなというのが建設省の今一生懸命取り組んでいる課題でございますので、御報告をさせていただきます。どうもありがとうございました。
  100. 井上義久

    ○井上(義)委員 これをやっていると時間がなくなっちゃうので。  要するに、高齢化社会と高齢社会というのがあるじゃないですか。高齢化社会というのは、まさにこれから高齢化しつつあるから、例えば、介護とか後期高齢者医療だとか年金だとか、そういう枠組みをきちっとつくっていきましょうということが一番最大の課題だと思うんですよ。高齢社会というのは既に高齢者で成熟した社会ですから、住んでいる一人一人がもっと生きがいを持って生きられるように、自分たちの自助努力とか共助とか公助の仕組みをきちっとして、成熟社会にふさわしい社会をつくり上げていこうということなのだと思うんですよ。  だから、この都市化社会というのは、そういう意味では、どんどんこれから都市が無秩序に発展していかないように、きちっとすべきところはする、そういう都市の枠組みをつくっていくというところに今まで大きな力点があったと思うんですけれども、都市型社会というのは、住んでいる人たちが、やはり自分たちが一番暮らしやすいように、その町をどう運営しつくりかえていくか、そういう観点で、私は、これからの都市計画というのは、住民にできるだけたくさんツールを提供して、自分たちの考えでやれるようにしていくということはやはり基本的な施策の方向性じゃないか、こんなふうに理解しているわけでございます。  そういう観点からいうと、今回の改正というのは、それに一歩を大きく踏み出したな、ただ足りないところもいっぱいまだまだあるなということを感じるわけでございまして、これはこの辺にしておきますけれども、ぜひそういう方向でこれからの都市計画というのは考えてもらいたい、こう思う次第です。  具体的な問題で、今回、線引き制度、それから開発許可制度、これは都市計画の基本的な施策の柱の一つなわけなんですけれども、この線引き選択制の導入とか開発許可基準の見直しという、創設以来初めて抜本的な見直しが今回行われるわけです。実は、このことは住民の利害、特に不動産価値という観点からいうと、直接的にかかわる極めてシビアな問題で、そういうこともあって、これまで全国一律の制度として運用されてきたのじゃないかと思うわけです。  今回、線引きについては選択制、開発許可の技術基準については条例によって強化または緩和できる、こういう制度を導入したわけでございまして、先ほどの都市化社会から都市型社会へという移行の中で、私は、このことはそういうことに沿って大きな見直しがあったのじゃないか、こういうふうに理解しているのですけれども、これまでの線引き制度の評価とあわせて、今回の抜本改正の意図というものをもうちょっとはっきりさせていただきたいなと思います。
  101. 山本正堯

    山本政府参考人 先生、ただいま御指摘いただきましたように、今回の線引き制度及び開発許可制度についての改正は、人口増の鎮静化あるいはまた少子高齢化あるいはモータリゼーションの進行といったような経済社会情勢が大変大きく変わってきた、都市化社会から都市型社会に変わってきたという大きな情勢の変化をつかまえまして、線引きについては、全国一律型の制度じゃなくて、地域の実情に応じて、いろいろな公共団体が主体となって、柔軟に適用できる制度に改めよう、基本的には都市計画制度を地域の公共団体が主体となった柔軟な制度に改めようということで、その一つの大きな例が線引き制度選択制ということでございます。  今回、線引き制度につきましては、今日までやってきたわけでございますけれども、その評価といいますか、今日においてもやはり有効な手段の一つであるというふうには考えておるわけでございまして、都市の無秩序な市街化を防止する上で役割を果たしてきておりましたし、また今も果たしておるというふうに考えております。  ただ、その骨格は維持をしていくということでございますけれども、一方で、先ほども申し上げましたように、スプロール対策が全国一律の課題という状況ではなくなってきている。しかもまた、各地域が各地域のまちづくりについて積極的にその特色を出しながら整備をしていくといったような要請も非常に強くなってきているという状況から、都市計画区域線引きするか否かについて、原則として、都道府県が、地域の実情に応じて判断するということにしたわけでございます。  また、開発許可基準につきましても、全国一律の基準ということで今までやっておったわけでございますけれども、そういう全国一律の基準というよりも、地域特性に応じて、まちづくりの手法としての規制に対するニーズが高まっているということで、これに対応しまして、国が一般的な、根幹的、標準的な基準を示した上で、都道府県といいますか地方公共団体が、地域特性に応じて柔軟に基準を強化したりあるいは緩和したりといったような格好で、地域の実情に合った技術基準をつくり、その適用をするというような格好にしようということで今回そういう改正を行おうとしているわけでございます。
  102. 井上義久

    ○井上(義)委員 今度は、都市計画制度それ自体についてですけれども、これまでもいろいろな機会に指摘されていますけれども、非常に複雑だ、一般の国民にとって極めて理解が困難、自治体も使いこなせない、こういう評価があることは御存じだと思うんですけれども、今回の改正でも、都市計画における決定権者や関係公共団体、住民等の自主性や自由度を拡大するために多様な制度を整備することにしているわけです。  しかし、その結果として、やはり都市計画全体の複雑性がますます増すということが懸念されているわけでございまして、地方分権に伴って、まちづくりは市町村地元住民に担われることになりますけれども、住民や市町村がこれらのまちづくりのツール、いわゆる都市計画制度が十分に活用できないと法の目的が達せられない。それぞれの地域都市計画に係るニーズに対応するために多彩なツールを用意する必要は当然なんですけれども、一方で、制度体系の簡素化ということもこれから考えていかなければいけないのじゃないか、これは抜本的な問題ですけれども。  当面は、情報の提供とか自治体都市計画に係る人材の育成をどこまできめ細かに支援をしていけるかということになると思うんですけれども、この点について。
  103. 山本正堯

    山本政府参考人 都市計画制度が大変複雑であるということで、各方面からなかなか理解できない、また市町村が十分に制度を活用できないといったような御指摘がございますが、今先生指摘いただいたとおりでございまして、私どもとしても、大変いろいろな複雑な制度になっているな、こういう感じがするわけでございます。  先ほども申し上げましたように、ただ都市計画というのは財産権の制約を伴うといったようなことでございますので、ある一定の透明性、客観性を持ちながら、非常に詳細に決めていくというような点がございますので、そういう点の性格もあろうかと思います。  ただ、今先生指摘のように、私どもとしてもできるだけわかりやすく、住民の方あるいは市町村の方に使いやすくするといったようなことは大変重要でございますので、今回の法改正で、責務といいますか、国及び地方公共団体の責務といたしまして、住民に対しまして、「都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならない。」という条文を入れたわけでございまして、こういう責務をきちっとすることによりまして一歩でも二歩でもそういう格好での、わかりやすく、あるいはまた国としても公共団体としても、住民にわかりやすい制度になるようにというふうに努めておるところでございます。  具体的には、こういうことにつきまして、例えば優良なまちづくりの事例の提供でありますとか、あるいは今回新規に導入されるような都市計画についての説明会でありますとか、技術的な助言の提供といったようなものを積極的にやっていく、あるいはインターネットホームページを使っていろいろなことをやっていくとか、新しい手段、手法にも意を用いながらやっていかなきゃいかぬということであろうかと思っております。
  104. 井上義久

    ○井上(義)委員 周知徹底も当然そうなんですけれども、制度自体の簡素化というか、そういうことにもぜひ取り組んでいただきたい、こう思います。  それから次に、中心市街地の空洞化が非常に大きな問題になっているわけでございます。  私も地元東北各都市を歩きますと、いわゆるシャッター商店街と言われるような現象があちこちに生じているわけでございまして、私はこれからの日本の将来ということを考えますと、やはり既存のストックをどううまく活用していくか。中心市街地というのは都市基盤整備のために相当な投資がなされておるわけでございまして、そのストックを活用していかないと、これまでのように右肩上がりでどんどん新しいところというわけにいかないわけでございます。  この問題について言うと、再開発という手法があって、これを使って何とかしようということもあるのですけれども、これがなかなかそう簡単にいかないということもあるのです。やはり指摘されるのは、都市計画区域外とか市街化調整区域の開発規制が不十分だったということが原因ではないかというふうに指摘する自治体の皆さんも非常に多いわけでございまして、空洞化の現状認識、またその要因についてどうお考えなのか。  それから、今回いわゆる商業地における特例容積率適用区域制度とか、立体的な都市計画決定手法の導入とか、地区計画決定要件の緩和あるいは建ぺい率制限の緩和というように既成市街地の再整備制度が導入される一方で、準都市計画区域制度の創設など、都市計画区域外の開発行為に規制を加えているわけでございます。これは一つ都市再生の手法としては評価できるかな、こう思っているのですけれども、都市の空洞化にどのように今後対応していくか、この点について、現状認識、その要因、またどう対応していくかということをあわせて御答弁いただきたいと思います。
  105. 山本正堯

    山本政府参考人 中心市街地というのは、長い歴史の中で地域の文化や伝統をはぐくんできて、各種の機能を培ってきた、まさにその町の顔といったような重要な地域であるということでございますが、近年、先生今御指摘のように、商店街への来訪者が減少しているとか、居住人口が減少しているとか、高齢化が進展する、あるいは後継者がいないといったような問題が発生いたしまして、中心市街地の空洞化が非常に進んでいるということでございます。  例えば、過去五年間で、酒田市等あたりでは、中心市街地の人口が五年間で二〇%も減少しているとか、あるいは先ほどシャッターがおりているというようなことを御指摘がございましたように、商店街の空き店舗が全国で平均一〇%、都市によっては十数%、二〇%近くも空き店舗になっているというようなところもございます。  そういうように、中心市街地の空洞化が大変進みつつあるということでございますが、そういう今申し上げましたようなモータリゼーションの進展への対応がおくれたとか、商業、サービス施設が郊外に移転したとか、環境が変化したといったようなことで、非常にいろいろな要因があろうかと思います。それに対応いたしまして、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、都市型社会の到来に基づきまして、都市構造の再編、都市再生ということを図っていく。特に、中心市街地を中心にした既成市街地、都市の再構築を進めていくことが重要であるというふうに認識をしておるところでございます。  したがいまして、今回も、中心市街地の活性化を図るために、先ほど先生が御指摘をいただきましたような、商業地域内における特定容積率の適用区域制度でございますとか、あるいは密集市街地で老朽建築物の建てかえを促進するための建ぺい率の制限の緩和でありますとか、あるいは立体的に整備される道路等の都市施設についての上下空間を利用するための建築規制の緩和でありますとか、そういったような中心市街地を活性化していくためのいろいろな措置を講じようとしているところでございます。  さらに、先生も御案内のとおり、おととし中心市街地の活性化法が制定をされまして、それに基づきまして、公共施設、まちづくり、それから商業政策等々が一体となった、関係省庁十三省庁で一体となって市町村の中心市街地の活性化に取り組んでいくといったような支援制度もできたわけでございます。  私どもとしましても、そういういろいろな制度、ツールを使いながら、地方の自主性を尊重しながら、都市の再生、中心市街地の活性化を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  106. 井上義久

    ○井上(義)委員 今お話があった建ぺい率制限の緩和ということで、いわゆる壁面線の指定などがある場合において建ぺい率が緩和される建築基準法改正が今回あわせて行われることになったわけですけれども、防災上大きな問題となっておる密集市街地の建てかえ、これはなかなかうまくいかないということで、この建ぺい率緩和措置によって実際に効果があるのかどうか。住宅局、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  107. 那珂正

    那珂政府参考人 お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、我が国には、防災上、環境上大変問題の多いいわゆる密集住宅市街地が相当数、相当広く存在しているわけでございまして、その地域における改善、なかんずく防災性を考慮した建てかえということは、私どもとして一番重要だと思っているわけでございます。  実際、こういうところは非常に敷地が狭小で、老朽した建築物を建てかえようと思っても、実際問題、建築基準法どおりやっていると従前の床面積が確保できない、もう違反を承知でやってしまうかというようなことというのは、実際現地ではそういうような非常に厳しい条件に置かれております。結果として、個々の敷地単位での建てかえがなかなかスムーズにはいっていないというのが実態でございます。  そこで、先生指摘のように、今回の改正案では、隣地側に壁面線の指定を行うことによりまして、道路以外の一定の空地を確保される場合において、特定行政庁が安全上、防火上、衛生上支障がないと認めて許可した範囲内で建ぺい率制限を緩和することとしております。  このことによりまして、一定の市街地環境を確保しつつ、建築物の協調的な建てかえを促進し、あわせて防災性の向上を促進しようとするものでございまして、先般、住宅金融公庫法の改正により導入されました都市居住再生融資制度などと相まって、こういう地域での建てかえ、ひいては密集市街地の市街地の更新に効果があるものと期待しております。
  108. 井上義久

    ○井上(義)委員 最後に、自然共生型の都市づくりということで、いわゆる都市型社会においては、市街地や郊外部に残された緑地等の自然環境や田園景観、それから美しい町並み等の保全、創出を図って、質の高い都市環境を確保していくことは重要な課題である、こう思うわけです。  そこで、具体的な問題をちょっと二つ。  一つは、今回、市街化区域に隣接、近接する五十以上の建物が連檐する地域が開発行為の許可対象に加えられたわけですけれども、政令で定めた基準に従って環境の保全上支障がない区域を許可対象に加えるということですけれども、基準づくりに当たっては、特に防災上、洪水はんらん危険区域を避けるとか、あるいは貴重な動植物の生息地を外すというような生態系への十分な配慮が必要ではないかというふうに思いますが、これについて。  それからもう一つは、今回公共団体にゆだねられる風致地区の維持ということについて、例えば木材伐採の許可基準を強化するとか、いわゆる小規模な緑地をきめ細かく保存していく必要があるんじゃないかというようなことで、こういった点を含めて、自然と共生する都市づくりということについて具体的にどのようにお考えになっているか、お答えいただければと思います。
  109. 風岡典之

    風岡政府参考人 今回の改正によりまして、市街化調整区域における開発行為の立地基準としまして、市街化区域に隣接、近接する区域における一定の開発行為を追加することとしたところであります。  具体の区域の指定でございますけれども、これは開発許可権者が条例によって行うことになっておりまして、区域の指定の基準につきましては政令で定める、御指摘のような形で構成をされているところであります。  政令の内容は、今後詳細には詰めていきたいというふうに考えておりますけれども、御指摘のような災害の発生のおそれのある土地の区域、こういったものとかあるいは優良な農地等を除くということとするほか、先生指摘をいただきました貴重な動植物の生息地、こういったものにつきましても条例で定める区域には含まれないように措置することが必要ではないかということで、生態系にも配慮した基準となるようにしていきたい、このように考えております。
  110. 山本正堯

    山本政府参考人 二つ目の、風致地区、緑地の関係の御質問でございますが、緑の関係、自然を保護するという観点から大変重要な指摘だというふうに考えておりますが、都市計画のマスタープランである整備、開発、保全の方針の中で自然的環境の整備、保全についてもきちっと規定していくということでございます。  それとまたもう一つ、風致地区につきましては、今回の改正において、貴重な自然環境や美しい景観について風致地区の中を小規模であっても可能な限り保全するという観点から、小規模な風致地区における規制の内容について市町村が条例により定めることができるというようなことを措置させていただいたところでございます。  最終答申でも、いろいろな細やかな規制を行うため、風致地区ごとに当該風致地区の維持に関する方針を策定し、それに応じて許可基準を柔軟に設定できるようにする必要があるというように御指摘もいただいておりまして、今後またいろいろ検討していきたいというように考えているところでございます。
  111. 井上義久

    ○井上(義)委員 以上です。
  112. 大口善徳

    大口委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  113. 大口善徳

    大口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中島武敏君。
  114. 中島武敏

    中島委員 それでは、私の方から質問を続行いたします。  従来の都市計画区域外の土地利用規制の問題について伺いたいと思います。  今回の法改正では、この地域の土地利用の混乱に都市計画が責任を持って対処する、そういう視点に立たないで中途半端な制度を導入している、率直に言ってそうだと思うんですね。本来、農村計画と総合化された都市農村計画法が国土全体に適用され、あるいは都市計画がすべての地域都市的土地利用、都市的施設に適用されるべきであると思うんですけれども、どう思われますか。
  115. 山本正堯

    山本政府参考人 都市的土地利用と農業的土地利用との調整、あるいは都市計画区域外での土地利用の混乱というようなものに対しまして、どういうような格好で、都市と農村を一体的に計画するような体系といったようなものとして構築することが適切じゃないか、こういう御指摘かと思います。  こういう都市的土地利用とか農業的土地利用等との調整等につきましては、既に今、国土利用計画法が国土全体の土地利用の調整を行っているというところでございまして、先生御案内のとおり五地域区分、全国を分けて、それの国土利用計画、土地利用基本計画ということをつくっておるわけでございますが、この調整に基づきましてそれぞれ都市計画法、農振法、その他の個別法が、おのおのの法目的に従いまして、許可等を通じまして、適正な土地利用の実現を担保している、こういうことでございます。こういう法体系が実務的に我が国の現状から見て適切であるというふうに考えているところでございます。  なお、今回の改正におきましては、準都市計画区域制度の創設でありますとか、開発許可制度の都市計画区域外の適用の拡大といったようなことによりまして、都市計画区域外の土地につきましても都市的な土地利用を整序するといったことを今回の制度改正で考えておるわけでございます。  これによりまして、都市計画区域の内外を問わずに都市的土地利用の整序の手段が拡充されまして、地域の土地利用の状況を熟知した市町村が適切にこの制度を、手段を活用するといったことによりまして、適正な土地利用コントロールを行っていくべきだ、こういうふうに考えておるところでございます。
  116. 中島武敏

    中島委員 今の御答弁があったんですけれども、しかし、そうはいいましても、個別の土地利用に関する法律でうまく、ちゃんと規制できるのかという問題がありますし、また、国土利用計画法で対応するといっても、これはなかなか対応しにくいんじゃないですか。  局長はよく御存じだから私が言うまでもないんですけれども、各個別法に基づいて計画をやるということになりますと、区域が重なり合ったり、どの計画区域にも属しない、そういう地域も存在したり、あるいはまた各個別法はそれぞれ独立して運用されるわけですから、そうなりますと、横断的な調整がされないで縦割りということになってきてしまう。そのために、地方自治体においては行政域の内部に目的や方法の異なる計画が結局乱立する、そういうことで、一貫した土地利用計画を進めることが非常に困難になってきているんじゃないですか。  だから、私は、そういう実態に照らしても、やはり都市農村計画法を検討すべきだったんじゃないか、いや、これからも検討するべきなんじゃないかということを申し上げたいんです。もう一回答弁願います。
  117. 山本正堯

    山本政府参考人 都市農村計画法をという御提案でございますけれども、土地利用状況、それぞれの国のそれぞれの地域の実情に応じて法体系というのが組まれておる、こういうことであろうかと思います。  先生のおっしゃるような都市農村計画法というのが欧米でも確かにございますが、そういうふうなところについても都市と農村が地域的に峻別されている。例えば、都市であれば城壁、昔からの歴史的なところで都市というのがしっかりと一つ大きな区切りがある、それから農村というのは少し別のきちっとした体系があるといったようなところについて都市農村計画法というのが制定されておるということでございます。  日本では、都市においても農業が営まれている、あるいは都市以外のところでも都市的土地利用が行われている。現に、私ども今回考えております準都市計画区域都市計画区域外のところでも都市的土地利用が行われている、こういうことでございます。そういうようなことから考えまして、我が国全体の、国土全体の土地利用のあり方について総合的、計画的に管理をしていくべきだ、こういうこと等の点からいえば、国土利用計画法が存在している、都道府県単位に土地利用基本計画を定めて土地利用の調整を図っている、こういうことでございます。  もう一つ先生がおっしゃいましたように、それぞれの個別法が重なるではないかとか、あるいはまたそれぞれの許可認可というものがあるではないか、こういうことでございます。御案内のとおり都市計画法の開発許可、農地法の農地転用許可、あるいはまた森林法でも許可がございます。そういったような、それぞれが法案の趣旨、目的が違っておりますので、その一つの許可行為で担保できるかどうかといったような各個別法との関係は慎重な検討が必要であろうというふうに思っておる次第でございます。  私ども、今回の改正につきましても、都市計画区域の外におきます都市的な土地利用を整序し、農地の壊廃を防止して、秩序ある整備を図っていくという観点から見て、都市計画法改正によって今回そういう趣旨の実現を図っていこう、こういうことに考えた次第でございます。
  118. 中島武敏

    中島委員 そういう説明はあっても、やはりなかなか納得できないな。そういう点からいうと、やはり都市農村計画法といったものを検討すべきだということを申し上げておきたいと思うんですね。  それでは、その次に伺います。それは、市街化調整区域での開発許可対象の追加、この問題なんです。  これは、既に無計画な開発が進んで、市街化を抑制するとされる市街化調整区域がその本来の姿を喪失してしまっている、そういうことについての後追いの追認ではないか、こう考えるわけですね。言葉を変えて言えば、ある種の開発は原則許可するような区域をあらかじめ決めておいて、そこでは開発を原則許可する、こういうことですよね。しかも、区域及び開発行為を類型化して定めて、そして開発審査会の議を経ないで許可するということは、乱開発をかえって助長していくということにつながるんじゃないでしょうか。この点どうでしょう。
  119. 風岡典之

    風岡政府参考人 今回の改正によりまして、市街化調整区域における開発行為の立地基準として、二つのものを追加させていただいております。  その一つは、市街化区域に隣接、近接する区域における一定の開発行為、こういうものでございます。これにつきましては、条例で区域を定める、また、予定建築物の用途が条例で環境保全上支障があるとして定めるものに該当する場合には開発許可を認めない、こういう考え方に立っておるわけでございまして、その意味から、無秩序な市街化につながるものではない、このように考えております。  また、これに関連しまして、現在、既存宅地制度がございますけれども、これは先生御案内のとおり、このような区域におきます既存宅地については、これまでは建築行為の許可を一切要しない、こういうようなことであったわけですが、やはりこれに伴ういろいろな土地利用の問題がありましたので、今回の改正では、こういった既存宅地についても許可制度へ移行するということで、これにつきましては、建築物の用途制限等を行うことによって、周辺の土地利用と調和したものについてのみ許可をしていく、こういうようなことをあわせてしているところであります。  それから、もう一つ追加をさせていただきましたのは、周辺市街化を促進するおそれがないということで、条例で区域それから建物の用途等を定めた行為でありますけれども、これは御案内のとおり、現在個別に開発審査会で審査をしているものの中から、定型的に処理ができる、こういったものにつきまして条例でそれを定めて、あらかじめどのような開発行為が許可されるのかということを明示するという意味で、手続の合理化を図ったというものであります。  法律上はあくまでも、現行法と同じように、開発区域周辺における市街化を促進するおそれがない、また市街化区域内で行うことが困難だというようなものについて限定をかけておりますので、その意味からも、調整区域での無秩序な開発ということにはならないのではないか、このように思っております。
  120. 中島武敏

    中島委員 局長も考えていただきたいのですけれども、今まで調整区域で開発を許可制にしておったのに、それにもかかわらず無秩序に実際は開発が進んだ。こういう事態を見ますと、今二つの新しい制度、制度と申し上げていいと思うのですが、その規制を設けたとしても、これは結局後追いになってしまって開発をやめられないことは、過去のこうした例を見ても、私なんかこれはやはり後追いだなということに思わざるを得ないのです。  ちょっと時間の関係もありますので次の問題に行きますけれども、次に、非線引き都市計画区域に対する特定用途制限区域の問題について伺いたいと思います。  これは、制限することが必要な特定用途をあらかじめ決めておいて、建築確認によって特定用途に適合しない建築物を規制することが可能という、確かにそういう側面を持っております。しかし、あらかじめ進出する建築物を予想するということは困難なんですね。だから、実効性が伴わないんじゃないかなということを私などは感じます。都市計画による開発許可制度で行うべきだと思うのですけれども、どうでしょうか。
  121. 山本正堯

    山本政府参考人 現在の憲法上は、財産権の内容は法律で定める、こういうことになっておりますので、法律できちっとそういうような規制については定めなければいかぬ、こういうことであろうかと思います。  我が国の都市計画制度におきましては、土地利用規制の内容を事前に明確に示しまして、それに基づき規制を行うような体系になっておるということでございます。事前に規制内容が確定せずに、具体の開発行為や建築行為が出てきた際に個々にそれを評価して立地の可否を判断するというようなことは、むしろ、財産権に対する制限の内容の事前明示性といいますか、財産権の内容を制限するといったような点から見て、事前に明示しないというような点についての配慮に欠けるというふうに考えておるわけでございます。  どのような行為が実際に行われるかをあらかじめ予測することは大変困難だ、ある程度見込み、可能性があるかもしれぬけれども困難であるという点については、先生の御指摘の点も十分私どももわかるわけでございますけれども、この制度、特定用途制限地域そのものは、あくまでも地域の環境を保持するために支障がある建築物の立地を制限しようとするものでございます。あらかじめ予想するというものではなくて、立地の可能性があれば足りる、立地の可能性があればそういうところについてこういう制度を適用してやるということで実効性は十分に期待ができるのだろう、こういうふうに思っておる次第でございます。  この点につきましても、私ども建設省といたしましても、実効性ある制度の活用が図られるように、必要な技術的助言、指針等を示すことによって、適切な推進を図るよう努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  122. 中島武敏

    中島委員 今一番問題になっているのは、郊外におけるショッピングセンターなど大型店の進出ですね。これによって中心市街地が非常に空洞化してしまう、こういう問題が起きていることは御存じだと思うのですね。  それで、見直しに当たって、ショッピングセンター、大規模な建築物の立地について、都市計画区域内外にかかわらず都道府県知事への届け出を義務づけていたのじゃないですか。ところが、業界から非常に批判が相次いだために、第二次答申では大規模建築物の届け出制が削除された、こういうふうに報道されております。これは明らかに後退じゃないかと思うのです。これでは郊外の大型店出店による中心市街地の空洞化を解決することにはならないんじゃないかと思うのです。本当は答弁いただきたいところなんですけれども、時間がだんだん迫ってきますので、次へ行きます。  ではその次に、少し飛ばして、用途地域の指定のない区域の容積率、建ぺい率の問題について伺います。  容積率三〇〇%、四〇〇%、建ぺい率七〇%というような不適切なメニューは削除すべきだと思いますが、どうでしょうか。
  123. 那珂正

    那珂政府参考人 お答えいたします。  今回の改正では、用途地域が定められていない区域では建ぺい率七〇%、容積率四〇〇%を原則とする現行の考え方を改めて、特定行政庁がその地域の土地利用の状況等を勘案して規制値を選択できる仕組みとしたことと、さらに、その選択可能な数値の範囲を追加いたしまして、より低密度な規制も可能となるように措置したところでございます。  しかし一方、現実の土地利用の状況を見ますと、例えば温泉街とか漁村とか地方都市の中心部など、既に高容積等の土地利用が進んでいる地域も結構ございますので、引き続き、この建ぺい率七〇、容積率四〇〇%という規制値は残しておく必要があるのではないかと思います。
  124. 中島武敏

    中島委員 次に、既成市街地の再整備のための新たな制度の導入について、二つあるのですけれども、そのうち一つについて伺います。それは何かというと、既成市街地における過大容積率の指定。  さまざまに、規制の緩和による容積率の積み増しによって、さらに高容積率の建築物が建築され、低層住宅地にふさわしくない建築物が建築されるなど、都市全体のバランスのとれたまちづくりに反することが現実の進行としてあります。  今回の改正による、特例容積率適用区域という容積率の移転制度は、無原則的に容積率が移転し、その売買が行われるおそれもあるのではないかと思います。それは土地投機を生むことにもなります。とりわけ、古都である京都とか奈良とかあるいは鎌倉とか、こういうところでこれが適用されると、古都そのものが破壊されてしまうということになるのではないでしょうか。この点、どんなふうにお考えでしょうか。
  125. 山本正堯

    山本政府参考人 特例容積率適用区域についてのお尋ねでございます。  御案内のとおり、特例容積率適用区域につきましてはそれぞれの要件がございますが、道路とか鉄道、下水道等の都市基盤施設が十分に整備されている都心部等の一定の区域に限りまして、土地の一層の有効高度利用を推進するために、基本的な、建築行為は自由であるという建築行為の自由度を生かしながら、未利用の容積を他の敷地で有効に活用していこう、全体の区域として未利用の容積を有効活用しようという制度でございまして、要件をかなり厳しく縛ってございます。  一つは商業地域内の区域であるといったこと、それから、指定された容積率を区域全体で限度いっぱい利用しても、インフラ整備道路整備でありますとかそういったようなインフラ負担上の問題が生じないといったようなこと、それから、個別の事情で高度利用を図れないといった場合に、その未利用容積を活用して地区全体の高度利用を図ることがその区域全体の土地利用としても望ましいといったような、この三つの要件を基準にいたしまして特例容積率適用区域を決めておるわけでございます。  今申し上げましたように、非常に限定的に適用されるべきものであるというふうに考えておるところでございます。この趣旨につきましては、法律の規定に加えまして、技術的助言などで制度運用について万全、遺憾なきを期していきたいというふうに思っておるわけでございます。  その際、先生今御指摘のように、例えば京都とかといったところについては景観とか、そういうような地域のバランスが崩れるではないか、そういうおそれがないのか、こういうことでございます。  そういう場合に、当然のことながら、そういう景観が非常にすぐれている、それを崩してはならぬといったようなところにつきましては、景観形成を図るための都市計画制度としていろいろな制度がございます。例えば高度地区で高さ制限をしたり、あるいは美観地区とか風致地区とか、そういったようなところがございます。そういうような制度もこの容積率適用区域制度とあわせて活用することによりまして、地域の土地利用の動向等を勘案して適切な景観形成が図られるように、一体的、総合的に定めていくということが必要であろうというふうに思っておる次第でございます。こういうような運用のことにつきましても、私どもとしては今後意を用いていきたいというふうに考えておるところでございます。
  126. 中島武敏

    中島委員 現実に、例えば京都の場合でしたら、有名な清水寺がありますね。あそこの清水の舞台から下を眺めますと、マンションか何かがちょっと異様に目立っちゃって大変問題になっているんです。そういうことがこれで防げるのかどうかという問題だってあるんです。それから、例えば同じく京都ですけれども、東寺、私も何回か行ったことがあるんですけれども、東寺の周辺にまた高層建築物ができることを防ぐ手段があるのかどうか。そういうようなことを考えますと、私は、これらの問題については、やはりなかなかうまくいかないという面が相当出てくるんじゃないかということを非常に痛感します。  結局、高度化を図っていこうということがこれの目的なんですから、いろいろなことを局長は言いましたよ、今、私も聞いていた、聞いていたけれども、さて地方自治体の姿勢によってはどうなるのかななんて思うこともしばしば感じるわけですね。そのことを申し上げて、ちょっと次に行きます。  これは大臣に伺いたいんです。今全国で大型店が、都市周辺部の未線引きの、都市計画区域外のいわゆる白地地域や農地に進出しております。また、幹線道路沿いに大型店が展開しています。大店法が廃止されたので、地方自治体が独自にまちづくり条例をつくって大型店の出店を規制しようとしています。  これに対して、建設省として、あるいは大臣として、大いにこれを奨励していこう、そういうスタンスでいらっしゃるのか。どんなスタンスでいらっしゃるのかということをまず伺いたいと思います。
  127. 中山正暉

    中山国務大臣 その地域による適材適所ということではないかと思いますが、大規模店舗の立地規制のためのまちづくり条例についてのお尋ねでございますので、一般的には、地方公共団体が都市計画法と独立した自主条例、いわゆるまちづくり条例を地方自治法を根拠に定めて土地利用を規制することは従来からも行われておりましたが、今回の都市計画法改正がそうした動きを妨げるものではございません。  都市計画法は商業機能の需給調整を行うことを目的とするものではなくて、大規模な店舗を商業調整観点から規制対象とするものではありません。ただし、今回の改正では、市町村地域の実情を踏まえて、大規模な店舗が当該区域の良好な環境の形成または保持に支障を及ぼすおそれがあると判断する場合には、都市計画特定用途制限地域を定めて、条例によりこの立地を規制することもこれは可能でございます。  地方公共団体がまちづくりの観点から大規模な店舗の立地を規制しようとする場合には、従来どおり都市計画法と独立した自主条例とするか、また、都市計画法及び建築基準法に基づく委任条例として定めるかを選択することが可能である。地方自治法と両立するように配慮をしております。
  128. 中島武敏

    中島委員 それでは、ちょっと具体的なことを大臣に申し上げます。  大型店の出店規制も含めたまちづくり条例が、昨年の十一月ですけれども、富山県滑川市で公布されました。大臣も御存じと思うのですけれども。五月の施行を前にして、三月三十一日、条例制定の市民運動のきっかけとなったジャスコが出店を断念して、しかし同じ出店予定地に新たな大型店が出店を予定しているわけですね。店舗面積は一万二千二百二十八平米に及ぶ大変大規模なものです。開発業者は同じ市内の業者ですので、既に大店審の結審が終わっておりますので、変更の五条申請を行って、合理的理由があれば出店が許されるという事態になっております。  滑川市では三度の大型店の出店攻勢を受けておりまして、しかし、衰退していく中心市街地を何とか救いたいということで大きな住民運動が起きて、そういう中で条例が制定をされたという経過があります。そこで一万平米以上の開発をする者は市長に届け出の義務があって、そして土地利用の調整を行うということになっております。  さきにも指摘しましたように、今回の法案で、都市計画法による都市計画区域以外の大型施設建設の事前届け出制が見送られてしまった、残念ながら。そういう事態のもとで、住民がみずからの力で条例を制定して大型店の進出を規制するというふうになって、町を挙げて大喜びなんですよ。  建設大臣に伺いたいと思うのは、大型店の出店は住民運動の力でこうなった。とどめるということになってきた。そういうことについては大いに賛成だ、こういうふうに建設大臣としては思われるかどうか。そういうことを伺って、私は質問を終わりたいと思うのです。
  129. 中山正暉

    中山国務大臣 ちょっと現場の詳しい事情を知りませんので、先に局長から御答弁申させます。
  130. 山本正堯

    山本政府参考人 滑川の件につきましては、私も十分承知をいたしておりませんが、先ほど大臣からも御答弁を申し上げましたように、都市計画法そのものは商業機能の需給調整を行うことを目的としたわけではございませんけれども、今回の特定用途制限地域につきましては、例えば今先生おっしゃいましたような大型店、ショッピング、何万平米といったようなところについて用途を特定して、区域を限って良好な住環境を守るといったような点から、そういう意味での規制は可能である、こういうことでございます。  なお、今先生おっしゃいましたようなまちづくり条例といいますか、自治法に基づくまちづくり条例として、そういう格好でおつくりになるというようなことも、自治法上のあれとしては有効であろうかと思いますが、ただ、都市計画法と連動しておりませんので、都市計画法に基づく委任条例ということでございますと開発許可あるいは建築確認といったような今後の担保措置がございますけれども、自治法に基づく自主条例ということでございますとそういうような規制がございませんので、そういう格好でどちらを選択するか、地元の皆さん方がどういう格好で、その大規模店舗あるいはまた地域のまちづくりをどういうふうに規制し、あるいは誘導していこうかということによってその制度の活用の仕方が違ってくる、こういうことであろうかと思っております。
  131. 中山正暉

    中山国務大臣 そういうことでございますので、地域の実情がどういうふうになっておりますか、また一遍現場の状況を私も情報としてとってみたいと思います。
  132. 中島武敏

    中島委員 では、終わります。
  133. 大口善徳

    大口委員長 辻第一君。
  134. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、まず最初に容積率の移転、商業地域での特例容積率の移転についてお尋ねをいたします。  私は、この制度の結果、今後町がどのようになっていくのか、大変心配をしておるところでございます。先ほど中島委員もお触れになりましたが、私は京都の市内で生まれて育ちました。この京都の町並みとかあるいは景観というのは、本当に京都の大切な大切な命の一つではないか、このように思っております。  また、私は、選挙では、中選挙区の奈良県選挙区から国会へ送っていただいたわけでありますが、この奈良市の中心部、いわゆる奈良町を初めとした地域では、高い建物、高いビルというのは似合わないということでございます。  そこで、大臣お尋ねをいたしますが、商業地域での特例容積率の移転は、例えば京都市内など市の中心部で社寺が多いところで考えてみますと、社寺などが使用していない容積率を他に移転できることになりますと、町並みへの重大な影響が出てくるのではありませんか。  また、住民が歴史的な町並みの保存のため、建物の高さを低く抑えたり、町並み保存に配慮した建築をと努力をされているところに、片方では歴史的建造物の容積率を利用して、既に過大に設定された容積率以上の建物が建つことになったのでは、町として、地域としての大切なものが失われる、整合性が失われることになるのではないでしょうか。  町のあり方としての建設大臣の御所見を伺いたいと思います。
  135. 中山正暉

    中山国務大臣 今、先生の御質問を伺いながら、私、まだ中学校ぐらいのときでしたか、終戦の年が中学校一年生でしたので、爆撃が済みますと、マリアナ通信という向こうの宣伝ビラが降ってきまして、今でも忘れられませんのは、「大阪、神戸は灰の山、花の京都は後回し」というのがありました。ですから、米軍ですら爆撃をするときに京都は遠慮したという印象深い思い出がありますし、私は日本じゅうで奈良が一番すばらしい町だと思います。そんなことで、今度の法律改正が美観にまで影響を及ぼすかどうかという問題が大変大事な問題だと思います。  それは、そういう自治体の人、地域の人の良識といいますか、戦争中でも敵国でも大事にしたものをどういうふうに維持していくのかという問題がまことに心痛む問題といいますか、けさ朝早くテレビを見ておりましたら、岐阜の高山のすばらしい町並みの保存の問題をやっておりました。  特例容積率適用区域制度というのは、商業地域内で、適正な配置及び規模の公共施設を備え、高度利用を図るべきと認められる区域都市計画で定めて、それから当該区域を全体としてとらえて未利用容積の有効活用を図ることを目的とするものでございますので、歴史的な町並みや景観を保存すべき区域が本制度の対象から除外されるわけではございませんが、今申しましたような配慮、実際にそのような区域を含めて指定するか否かは、都市計画を定める地方公共団体が、歴史的町並みに対する影響をも含めた総合的な立場で判断すべきではないかと思います。  なお、景観形成を図るために都市計画制度としては高度地区、それから美観地区等がありまして、地域の土地利用の動向等を勘案して適切な景観形成が図られるよう、必要なものを一体的、総合的に定めていくことが私は重要と思いますので、歴史とかそんなものの認識、景観的な認識でございますが、そういうものをみんなで大切にしようという地域が、それに反して作用をさせようとする人たちに対して大きな力で町を守っていかなきゃいけないんじゃないか、私はそんな気持ちでおります。
  136. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひひとつ、かけがえのない歴史的な町並みとか景観というものを守るために、建設省としても本当にきちっとした対応をいただきたいと思います。  これまでから、町並み保存については、国や地方自治体も限定的ではありますけれども、いろいろと御努力をいただきました。近畿を見ましても、世界文化遺産のあります京都市や奈良市だけではなしに、例えば橿原市の今井町でありますとかあるいは大阪の富田林市の寺内町などそれぞれの地域にかけがえのない町並みがございます。ビルの谷間にぽつんと残されたようなことになれば、それこそ価値は本当に、半減どころかもっとなくなってしまうのではないか。  そういうことで、先ほど御答弁いただいたのとちょっと重なるかもわかりませんけれども、例えば、歴史的建造物の付近は全体として容積の移転を認めないなどの対応が必要ではないか、このように考えますが、いかがですか。
  137. 山本正堯

    山本政府参考人 先ほど私どもの大臣の方からも御答弁させていただきましたように、特例容積率適用区域制度というのは、商業地域、しかも一定の道路等の公共施設が配置されておるといったような点、あるいは高度利用を地区全体として図っていく必要があるといったようなこと等々の要件を課しながら、地域の実情に応じて地域の皆さん方がそれを都市計画として採用するかどうかを判断されるということでございます。  という意味から申し上げまして、歴史的建造物について、全体として容積移転を認めるかどうかといったような点については、具体の指定、具体の運用に当たってのいろいろな検討課題であろうかというふうに思っております。
  138. 辻第一

    ○辻(第)委員 今回の案では、地区指定さえ行えば、容積率の移転が行える範囲の制限もなく、かなり広い範囲で容積率のやりとりを行うことも可能だということでございます。となりますと、予想もしないところに高層建築物が建てられることにもなります。こうした事態に対する歯どめということ、先ほどいろいろ御答弁がありましたけれども、本当に十二分に歯どめをかけてきちんとした対応をしていただきたい、このことを強く要望して次に移ります。  本法に対して、私は本会議質疑でも事例として触れましたが、日暮里富士見坂の問題についてお尋ねをいたします。  今やインターネットなどが普通に使われる時代になりまして、ニフティという会社の中に、山の展望と地図のフォーラムという電子会議室がありまして、そこでこの富士見坂からの富士山の眺望を守ろうという趣旨の電子署名が取り組まれており、先日この結果が公表されたということでございます。  この問題は、日本鋼管不動産が文京区本駒込に十三階建てのマンションの建設を計画、その結果、かつての江戸の町の範囲の中にある富士見坂で、唯一富士山が見える富士見坂であります日暮里の富士見坂から見える富士山の前にマンションが立ちはだかることになるとのことで、大きな話題になったわけでございます。  特に、昨年の秋以来、この問題はいろいろな新聞やテレビやラジオや週刊誌が取り上げたところでありまして、こうした問題が起こっていることを大臣は御存じですか。
  139. 中山正暉

    中山国務大臣 偶然、私もテレビで見ました。ビルとビルとの間に富士山が見えるところが映っておりましたが、東京はあちこちに富士見坂というのはあるようでございますし、太田道灌の歌で覚えております、「我が庵は松原続き海近く富士の高ねを軒端にぞ見る」でございましたか、太田道灌が軒端に富士山を見ていた歌が私印象深く残っております。  そこの警視庁から三宅坂にかかります、今の憲政会館、あの下近くまで海だったそうです。加藤清正の屋敷があって、門の両側に金箔のトラが向かい合っていて、それが太陽に反射して、そして魚がとれなくなって漁民から文句が出たとか。それほど海が近かったということでございますから。  それが、日本の領土の三・六%のところに二六%の人口が集まる、それで狭いからできるだけ高層化してたくさんの人に広い地域を与えて、持ってもらって住んでもらおうということになりますと、さあ富士山をどこから見るか。今度は高いビルから中へ入って見ていただくというようなことも。ビルとビルとの間から見えなくなったというその問題がどうかな、これはいたし方ないのではないかなという気持ちで、実は正直言って、これは御答弁になっているかどうか、私の感想でございますが。  ですからこれは、大都市の中から静岡県の富士山、高い山でございますけれども、それが見られないから高層建築に反対するというのはちょっと、今のところ、場所による問題と、それから時代による景観の問題と、それから人が一瞬、どういう時間的経過で歩かれるか知りませんが、その坂道からだけ富士山が見えなくなるということで建築を阻止するのはどうかな。ちゃんとした、建築基準法にそぐわしいものならばこれはいたし方ないことでないかなと思ってニュースを見ておりました。
  140. 辻第一

    ○辻(第)委員 建設大臣の御博識のところをお聞かせいただいたわけでありますが、確かに東京には、富士見とか富士見坂というのがありますね。九段宿舎も富士見町ですね。私は、皆さんもそうでしょうけれども、山にこだわりまして、富士山が見えると非常にうれしいというか興奮するというか、私、国会の議員手帳に、さっき調べてみたら四カ所富士山が書いてあるのです。あっちこっち行って、富士山が見えたら興奮してしゃあっと手帳に汽車の中で書きますねんけれども。  それで、東京で富士山が見えるというのはこれは本当にすばらしいことではないか。それがだんだんなくなって、たった一つ残っているというようなお話を聞いたわけですけれども、これは何としても残してほしいなという気が強いわけでございます。この日暮里の富士見坂は東京都内でもなかなか有名でして、この坂と富士山の眺望は過去にもマスコミで取り上げられるなどしております。一九九六年の東京都の都市景観コンテストでは特別賞を受賞しているのでございます。  我が国においても、たびたび眺望権といいますか、眺望が妨げられることが問題になっております。私も前に奈良で、公的なマンションというのですか、で奈良の春日山や若草山が見えますよ、眺望がいいのですよというのも売り物にして売ったのに、その下のところに高いのを建ててそれが見えぬようになる。大体同じような公的なものを新しく建てるので眺望が問題だということで、私もちょっとかかわった覚えがあるわけでありますけれども。やはりそういうところですと、眺望というのはまた非常に大切な、かけがえのないものの一つではないか、こういうふうにも思うわけでございます。  今回の問題は、個々の建物としては関係法令のもとで計画されているものであるとは思いますけれども、しかし、都市というものを考えるときに新たな問題を提起しているのではないか、こういうふうにも思います。都市がコンクリートのジャングルのようになったのでは、そこで暮らす人々や働く人々にとって潤いのない町になってしまうのではないでしょうか。やはりそこには木があって、緑があって、川があってと、あるいは周辺の自然環境があり、そして眺望もある、こうしたものが一体になって潤いのある都市と言えるのではないかと考えるのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  141. 中山正暉

    中山国務大臣 私ももういい年になりまして六十七歳になりますが、先生よりちょっと下ではないかなと思いますが、私も富士山と桜のころは何か浮き浮き、桜が咲きますと浮き浮きしますし、富士山を見ると何度見ても、見るごとに先生と同じように何か興奮をする。  日本人は富士山を見ると、外国に住んでいる人が、山を見て国を思う人は日本人だけだ、こういう話があります。そういう意味で、先生のおっしゃるような、眺望に人間の精神的な、精神衛生上と申しますか、そういうものでは私は確かに眺望とかそんなものも大切なことで、先ほど申しました、みんなのコンセンサスで守らなければいけない全体的な広い空間の地域と、それから一にかかって商業的な目的とか、それから住環境を豊かにするための問題とか、そんなものを地域地域で分けて日本の計画、まさにそれが都市計画、今議論されております、日本がこれからどんなところでどうするのだ。東京は皇居の上もあいておりますし、明治神宮の上もあいておりますし、それを交換するというわけにもいきませんでしょう。ですから、それはやはり地域が選択する、人間の知恵が選択する、日本人としての心が選択する地域、そういうものを調整していくのが、私は、法律には書いてありませんけれども、みんなで守らなければいけないことではないかな。  何でもかんでも法律で決めるわけにはまいりません。日曜日は休みだという法律はありませんけれども、みんな日曜日は休んでおりますから。それはみんながそうだと思っていることは、民主主義の国は法律で決めることはないわけでございますので、法律で決めないものの大切さというのが大事だと私は思っております。
  142. 辻第一

    ○辻(第)委員 大臣地域の人々のというお話を大変お話しいただいたわけでありますが、このマンションと富士見坂は二・五キロ離れております。眺望という問題でたびたび起こるのは、自宅の前に建物が建って眺望が云々ということでありますけれども、このような相当遠い場所でのマンション建設でもこうしたことが起こるわけでございます。  今回の容積率が移転できることになりますと、ますますこうした問題の発生の可能性が高くなるのではないか、このように危惧をするわけでございます。今回のマンション建設は現在の制度によるものですが、容積率の移転により、より高い建築物の生まれる可能性が高まるわけですから、地域の人々のというお話がありましたけれども、やはり歯どめ措置を講じる必要があるのではないか、このように考えるのですが、建設省いかがですか。
  143. 那珂正

    那珂政府参考人 先ほど大臣からも御答弁させていただきましたけれども、今回の特例容積率適用区域の制度でございますが、商業地域内であることとか適正な公共施設の整備が行われていることとか、どうしてもその地域区域が全体として高度利用を図らなければいけない必要性の高い区域だとか、一定の要件があって全体の区域が定まって、かつその中で個々の、複数の敷地について、全体の容積率の限度内におさまるとか、個別の市街地環境上の判断をするとか、いろいろな要件が重なってありますので、おっしゃるように、無限定にこの制度がどんどん広がって、市街地環境の悪化をもたらすようなことはない、こういうふうに思います。  ただ、先生指摘のいわゆる高層マンションが建っていくということと本制度とは直接関係ないと私は思うのですが、そういう高層マンションが建つことによるいろいろなトラブルの防止につきましては、これまでもいろいろ御審議いただいているところでもありますし、また、先ほど御答弁申し上げたところでもありますけれども、例えば都市計画制度による美観地区とか、高度地区とか、そういうことをあらかじめきちっと決定し、都市計画で定めていけば、相当のトラブル未然防止策になるのではないか、こういうふうに思います。
  144. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、容積率の売買の問題でお尋ねをいたします。  今回の容積率の移転によって、移転される容積率が売買される可能性が大変高いものとなります。これを仲介するようなディベロッパーも出てくることも予測をされ、実質、新たな資産とそれを運用する開発業者の利益のもとを生み出すことになります。指定された地域の低層住宅の容積率をディベロッパーが買いあさるといったことも予測されます。新たな地上げの契機ともなろうというものです。しかも、これは登記簿であらわれるものでもなく、売買に際しトラブルが起こることも考えられます。  こうした予想される事態に対し、本法では有効な歯どめがありません。本法案によって予想されるこうした問題についてどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。
  145. 那珂正

    那珂政府参考人 今回の改正案でこの容積率の問題がございますけれども、そもそも都市計画で定められます容積率というのは、市街地環境を確保するという公共福祉の観点からの公的規制値でございまして、独立して直接に売買の対象となるものではないという理解のもとでこういう制度の改正に取り組んでいるところでございます。  具体的には、先ほども申し上げましたけれども、今回の制度では、複数敷地において容積率を一体的に算定した上でそれぞれの敷地に特別に容積率が適用されるということになりますので、結果として容積が移転したように見える、こういうことでございます。  ただ、実際こういうような場合、その後、当該移転した方の、されたといいますか低くなった方の土地の取引等についていろいろトラブルも予想されないわけではございません。したがって、法律におきましては、関係権利者の合意に基づくこと、それから、特別の容積率が適用されている敷地の状況にふさわしい容積を備えた建築物が建築されるというようなことをきちっと要件化された上で、決して、容積率について個人の自由な意思によって譲渡可能となるような権利性を付与するものではないということを明確にしているつもりでございます。  さらに、取引の安全性という観点からは、それぞれの特例敷地につきまして、その位置あるいは特例容積率の数値等につきまして公告をきちっとすること、関係の図書を事務所等に備えつけておいて一般の縦覧に供すること、さらに、宅建業法に基づく重要事項説明に加えることも予定しておりまして、また最大限の、そういうトラブル防止にも配慮しているつもりでございます。
  146. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひひとつそういう点でトラブルのないように対応していただきたいと思います。  次に、建ぺい率の合理化の問題でお尋ねをいたします。  今回の改正で建ぺい率の合理化が行われております。この改正のきっかけといいますか背景といいますか、つまり密集市街地を再生する場合における対応策としての適応が念頭にあると聞いているのですが、そうですか。
  147. 那珂正

    那珂政府参考人 基本的に、政策的な主なねらいはそういうことでございます。
  148. 辻第一

    ○辻(第)委員 法文上どうなっているか、法文を見てみますと、密集市街地に限定していないようであります。そうであるならば、現実に、密集市街地のみならず、どの地域も適応可能ということでしょうか。
  149. 那珂正

    那珂政府参考人 適応可能でございます。
  150. 辻第一

    ○辻(第)委員 そこで、大臣お尋ねをいたします。  この建ぺい率の合理化については、建築審査会の議を経ることになっていると言われておりますが、適応範囲の限定はございません。一たん審査会でオーケーが出ればそれだけのこと、どこかでオーケーの前例が出れば、後に続く地域では、前例に似た事例にはオーケーを出さざるを得なくなる。結局、範囲がどんどん拡大していくことになるのではないか、こういう問題はどのように歯どめをされるのでしょうか。
  151. 中山正暉

    中山国務大臣 本制度は、街区の建築ルールとして、壁面線の指定を行うこと等によりまして都市計画で定められた一般の建ぺい率制限と同等以上の市街地環境が確保される場合に、建築審査会の同意を得て、特定行政庁の許可により建ぺい率制限を緩和するものでございまして、この制度が活用されることによりまして特段の問題が生ずるおそれはないものと思っております。その適用の前提となる壁面線の指定、それからまた利害関係者からの公開による意見の聴取を行う等の手続を法律上で定めている、これは乱用はないものと解釈をいたしております。
  152. 辻第一

    ○辻(第)委員 ないように思うということでありますが、私どもはあるように思うわけでありまして、十分な対応をしていただきたい。  線引き問題でお尋ねをいたします。  本法では、市街化区域市街化調整区域の区分を原則として都道府県が選択できることになります。今回の法改正は、地方自治体の自主性に基づいた都市計画を具体化できる機会が拡大されるということになりますが、同時に、この制度が運用を誤ると、逆効果にも通じかねない問題がございます。この制度では、乱開発が広がったり、あるいは中心的な町あるいは商店街などが衰退をするようなことにつながらないでしょうか、いかがですか。
  153. 山本正堯

    山本政府参考人 今回、線引き選択制を採用するということを検討したわけでございますけれども、市街化の圧力が非常に高い、無秩序な開発が見込まれるといったような区域につきましては、本来都道府県線引きを選択して、現在の市街化区域市街化調整区域ということできちっとその市街化の圧力に対応して制度を運用すべきだ、こういうことであろうかと思います。  今回の制度改正におきましては、三大都市圏の既成市街地とか近郊整備地帯等、あるいはまた政令指定都市といったようなところについては、こういう観点からも線引きを引き続き義務づけるということでございます。  そういうことでございますので、私どもとしまして、都道府県線引きの要否を判断する場合の参考となるような技術基準の提供につきまして、技術的助言を積極的に行っていきたい。基本的に、政令上基準をきちっと定め、ガイダンス、運用の指針を定めることによって、都道府県線引きを選択するかどうかという一つの目安、基準を技術的助言という格好で支援をしていきたいということでございます。  また、乱開発という観点でございますが、そういう線引き選択制の導入に合わせまして、線引きが廃止されたら線引き白地という格好になるわけでございますので、そこにつきましては、先ほどからお話がございますように、特定用途制限地域というものを創設いたしまして、線引き白地につきまして乱開発、環境に影響を及ぼすことのないように、環境に影響を及ぼすようなものにつきましては特定用途として区域を定め、規模を定めて用途を制限するといったようなことによりまして良好な環境を保っていこうということを、今回の線引き制度とあわせて導入をさせていただこうということでございます。
  154. 辻第一

    ○辻(第)委員 一九八八年に都城市が線引きを廃止いたしております。これについては、都城市自体の持ついろいろな要因に基づくものと思いますが、また、市町村合併により新たに都城市となった地域の住民の皆さんの要望もあって線引き廃止となったようでございます。  この都城市のように、ほかにも線引きを廃止した自治体があるのか、もしあればどのようなところか、お尋ねをいたします。
  155. 山本正堯

    山本政府参考人 これまでに線引き制度を廃止した都市計画区域といたしまして、先ほど先生が御指摘になりました都城市が一番大きいわけでございますが、その他のところといたしまして、富山県の舟橋村、あるいはまた福島県の湯川村、北海道の鵡川町といったようなところがございます。  これらはいずれも、先ほど先生おっしゃいましたように、都城市が六十三年廃止をしたときに、私どもとしても通達等を出したわけでございますが、そういうような通達等に基づきまして、例えば十年間に人口がずっと減少しておるといったようなことでありますとか、大規模なプロジェクト、産業振興のための計画が実施をされていない、実施の予定もないといったようなところでありますとか、もちろん三大都市圏とかいうような地域ではないといったようなところについて、線引きについて一部廃止をした、こういうことでございます。
  156. 辻第一

    ○辻(第)委員 個々の特殊事情の問題は問題として、線引きを廃止して十一年が経過をし、やはり功罪が見えてきております。  都城市の状況の変化を一口で申しますと、かつて市街化区域であった市の中心部は、多くのところで人口が廃止当時の五〇%から八〇%程度に減少しております。一方、かつて市街化調整区域であったところでは、廃止当時の二〇〇%から一一〇%に増加しているところもございます。こうした結果、中心市街地、中央商店街などは寂れてまいりまして、その対策が必要になっている、こういうふうに聞いております。  このようなことは御存じだと思いますが、このことから言えるのは、線引きの廃止が中心市街地の人口減少に拍車をかけたということであります。都城市では、これはいわば共通の認識ということになっているようでございます。今、中心市街地活性化が大きなテーマになっておりますが、今回の制度改正がこうしたことにつながらない保証があるのですか。
  157. 山本正堯

    山本政府参考人 都城市におきまして、線引きが廃止されました六十三年以降、中心市街地の中に人口が半減した地域があるといったようなこと、あるいはまた郊外部に人口が増加した地区があるということは、県の方からも私どもも報告を受けております。また、中心市街地の空洞化に対して、市が中心市街地活性化基本計画を策定して、現在、対策に取り組んでおるということも報告を受けております。  ただ、この中心市街地が半減したといったような事情が線引きに伴って起こってきたのかどうかという点については、私どもとしてもまだ分析が十分済んでおるわけではございません。宮崎県の方の統計を見ますと、中心市街地の人口減少は、線引き廃止以前から当該部分については継続していたというような具体の情報もございます。そういうことがございますので、直ちにそれだけが原因だったかという点については、私どもとしても十分分析をしておるわけではございません。  ただ、都城市につきましての中心市街地の活性化を含めまして、基本的な地方におきます中心市街地の活性化は非常に大きなテーマでございます。先ほども申し上げましたように、平成十年に中心市街地活性化法を、十三省庁で連携して活性化の推進に努めていこうということでございます。そういうことからして、中心市街地の施策整備していかなきゃいかぬということでございます。  したがいまして、都道府県線引きの廃止を検討する場合には、中心市街地の居住環境を勘案した上、必要な活性化策等があわせて講じられるような、総合的、一体的な都市計画の立案がぜひとも必要だというふうに思っております。  私どもといたしましても、都道府県線引きの廃止を検討するに当たりまして、こういう点からも必要な技術的な助言をしていく必要があるというふうに思っております。
  158. 辻第一

    ○辻(第)委員 今、局長が御丁寧な御答弁をいただいたんですが、大臣お尋ねをいたします。  この功罪について見ますと、都城市ではかつて市街化調整区域であった場所での宅地化が急速に進みました。社会資本整備、例えば道路整備が後手になったり、都市下水路のはんらんによる水害の発生というようなことも起こっております。また、住宅と工場や農業用施設などの混在というような状況も起こっております。  これらのことを参考に、都城市の特殊事情を別にして、都市のあり方から見てまいりますと、安易な区分の変更や廃止は、やはりまちづくりにとっては難しい問題を生み出すことになろうかと思います。都城市の市長さんは、線引き廃止当時はそれによるメリットを生かす方向でしか議論をしなかった、廃止によってどんなデメリットが生じるのかまでは考えていなかった、このように述べておられます。また、線引き廃止はもろ刃の剣だと述べておられます。  このことをどのようにお受けとめになるのか、大臣にお伺いをいたします。
  159. 中山正暉

    中山国務大臣 都城の市議会の市長の答弁なんかを見ておりますと、「一方では農業を守り、一方では開発を促進する。しかしながら、乱開発は防止していかなきゃならない、こういうふうなテーマを抱えながら都市計画を進めなければならない」、それから、「いい面ばかりは必ずしもないわけでありまして、メリット、デメリット、双方があると。それを考えた上で線引き廃止を選択したということであろうと思います。」とか、それから、中心市街地に衰退がもたらされるのではないかと、こういうふうな御懸念も当然であろうかと思いますと。  御指摘の、線引き制度を安易に廃止することは無秩序な市街化を招きかねないということを、いい失敗例といいますか、そういうものになってしまった。都城市長は、線引き廃止当時の市議会の今の答弁を拝見しますと、線引き廃止と関連して、これまで市街化調整区域であった地域においていかに農業を守り、乱開発を防止するかなどについて十分な問題意識をお持ちであったと推察するところではございますけれども。  線引き廃止を検討する際には、都道府県において各方面の意見を集約し、大いに議論を深めていただくことが肝要だと考えておりまして、建設省といたしましても、その際に参考となる技術的助言等、国家、国との利害の大きな相違という問題が先ほどもございましたが、こういうことが、国と地方とが連携をとりながらよく相談をしていかないと、やはり政治というのは想像力だと私は思いますから、こうしてこうすればどうなるかということを一方が考えても行き届かない場合がある。地方地方の特性でそうした方がいいと思った場合、国は、それは全体から見て間違いだ、そういうのが中央地方との、あうんの呼吸というのは先ほどどなたかに御答弁申しましたが、そういうことではないかと思いますので、都城の例は非常に示唆に富む例だと思っております。
  160. 辻第一

    ○辻(第)委員 続けて大臣お尋ねをいたしますが、今回の改正によりまして、線引きが廃止をされたり市街化調整区域が設定されずに白地地域になることによって乱開発されるという心配は、バブルが崩壊したとはいっても、決してぬぐえないと思います。今回の改正で幾つかの改正が盛り込まれておりますが、実施に当たっては慎重な対応が必要であります。  戦後の日本を見てまいりますと、開発圧力が高まった時期やあるいは弱まった時期が繰り返されておるわけですが、今後、線引きの廃止や市街化調整区域の廃止ではなく、いわゆる逆線引きなどの活用が重要ではありませんか。線引き廃止に慎重な対応を求めるものでありますが、大臣、いかがですか。
  161. 中山正暉

    中山国務大臣 おっしゃるとおり、線引き制度廃止に伴う乱開発防止についてということで、線引き制度は、無秩序な市街化を防止して、それから一体としての計画市街化を図る必要がある都市計画区域について定めるべきものでございまして、市街化の圧力が低い地域については、都道府県が個別に線引きによる土地利用の規制の必要性の有無を判断すべきでございます。  一方で、中心市街地の空洞化については全国的に問題が顕在化しておりまして、線引き廃止に当たっては、中心市街地から人口流出を助長することがないように、それからまた、各種中心市街地対策を勘案した総合的な、一体的な都市計画の立案が不可欠であると思っておりますが、建設省といたしましては、都道府県線引き廃止を検討するに当たっては、こうした観点から、必要な技術的な助言、それからまた豊富ないわゆるノウハウを駆使してそれを一地域に適用する助言などを行って、そういう乱開発の防止を図ってまいりたい、かように考えております。
  162. 辻第一

    ○辻(第)委員 どうぞよろしくお願いをいたします。  次に、また大臣に、住民参加、情報公開の問題でお尋ねをいたします。  都市計画においていつも問題になるのは、住民参加、情報公開の問題でございます。近年、この重要性がますます高まっており、この間、パブリックコメント制度や河川法などでもいわゆる住民参加の拡大が行われてまいりました。しかし、私は、それではまだ不十分だと考えております。  今回、理由書の閲覧など、住民参加の一定の前進もございます。しかし、公聴会については、自治体の判断で行っても行わなくてもいいというのは変わっておりません。特にいつも問題となるのは、再開発や区画整理といった直接住民の私権を制限する都市計画が、公聴会が義務づけられておらない、公聴会も開催されないまま進むことがあるという問題でございます。最低限これらについては公聴会の義務づけが必要ではないか、このように考えるのですが、いかがですか。
  163. 中山正暉

    中山国務大臣 公聴会の義務づけについてでございますけれども、都市計画は住民の私権を制限するものであるために、都市計画決定しようとする場合には、住民の意見を反映させるための必須の手続としては、公衆の縦覧及び意見書の提出が用意されているところでございます。  公聴会はこれらの必須の手続を加重するものでありまして、都市計画案の作成段階でさらに住民の意見を反映させることができるような、地方公共団体は必要があると認めるときは公聴会を開催することができるとされています。  公聴会をやりますと、利害関係者以外の人たちが入ってくるし、そういうことをいろいろ活用、利用する雰囲気ができてくる場合もありますので、こうした公聴会の開催等の手続の加重については、地方公共団体が地域の実情により判断すべきもの、全国一律に義務づけということよりは、むしろ地方公共団体がその必要性を判断すべきものである。作業の効率化とか、それから田中慶秋先生からも、いろいろ時間がかかり過ぎるではないか、もうちょっとスピードアップしたらどうかというようなことを考えますと、今回の改正におきましては、公聴会の義務づけ等の手続の加重について条例で規定し得る旨を法律上明確化しているところでございまして、その点で、何とかうまく運んでいくようにというのが私どもの願いでございます。
  164. 辻第一

    ○辻(第)委員 御答弁をいただきましたが、私はやはり公聴会の義務づけが必要ではないかと、重ねて御要望申し上げます。  今回の改正案では、都市計画の案の作成で基本的に都道府県都市計画が上位であるということは全く変わっておりません。都市計画について、都道府県市町村関係は、単に都道府県市町村意見を聞くというものではなく、相互に同意の必要とする協議が必要であると考えますが、大臣、いかがですか。
  165. 中山正暉

    中山国務大臣 都市計画決定における役割分担といたしましては、住民に身近な都市計画については市町村が、また市町村の範囲を超えるような広域的また根幹的な都市計画については都道府県が、それぞれ決定権者となりまして、相互に連携を図りつつ、総合的、一体的に定めることがいいことだと思っております。  ただし、市町村決定する都市計画につきましては、広域調整等の観点から、都道府県協議をし、その同意を得なければならないことといたしておりまして、これにより都市計画の一体性を担保いたしておるところでございますが、本改正によりまして拡充される都市計画のマスタープランの活用を通じまして、都市計画区域内のまちづくりについて、都道府県市町村との連携、調整がなされることを期待いたしておりまして、地方分権の時代、地方が重みを増してまいりますときに、地方同士というものの組織が有効に活用できますようなことを考えております。
  166. 辻第一

    ○辻(第)委員 大臣も、時間が迫っておられるようであれですが、もう一問だけお尋ねをいたします。  計画策定、決定に当たっての説明でございますが、理由書の閲覧にとどまらず、都市計画策定、決定に当たって十分な説明や、縦覧において出された意見書に対して採否の理由を説明し、公開することが求められておりますが、いかがお考えでしょうか。
  167. 中山正暉

    中山国務大臣 都市計画決定に当たりましては、当該都市計画案を住民に対して十分に説明することは、当該都市計画に関する住民の理解と協力を深める上で不可欠であり、現行法上も都市計画決定権者が住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとすると規定いたしております。  また、都市計画案の縦覧の際に、住民等から提出される意見書は、適正かつ円滑に都市計画決定する上で極めて重要な資料でございまして、都市計画決定権者及び都市計画審議会は、提出された意見書の内容を参考にしつつ当該都市計画案の決定の適否を判断しているものでございまして、現行法上は、提出されたすべての意見書について個別に見解を示し、理由を付して回答、公表することを一律に義務づけることは、都市計画決定が直接個々の住民に対して行われるものではないことにかんがみれば、決定権者やそれから都市計画審議会に手続上過大な負担を求めるものであると思いますので、地域の実情に応じて、地方公共団体が条例により法定の都市計画手続を加重し、すべての意見書に対して諾否を説明し、回答を公表することを義務づけることは認められると思います。
  168. 辻第一

    ○辻(第)委員 大臣、どうぞ。  次に、産業廃棄物処理施設、処分場の決定主体についてお尋ねをいたします。  産業廃棄物処理施設について、都市計画審議会の答申では、廃棄物行政と十分な連携をとりつつ、広域的な主体である都道府県が主体となって、関係する市町村や住民の理解を得て都市計画を行い、その整備を進めていくことが望まれるとして、従来市町村決定主体となっていたものを都道府県に移す方向を出しましたが、この対応はどのようになっておりますか。
  169. 山本正堯

    山本政府参考人 結論的に申し上げますと、この答申で指摘された方向に沿って、関連する政令改正を検討しておるということでございます。  廃棄物処理施設の都市計画決定については、従来産業廃棄物と一般廃棄物と区別されずに、市町村決定する都市施設とされてまいったわけでございますが、このうちの産業廃棄物処理施設につきましては、広域的な処理が前提だということから、今回の答申では都道府県決定権限を引き上げるという答申をいただいたところでございます。  法律上の問題というよりも政令上の問題でございますので、政令で、今後、この法律改正とあわせて、この答申の趣旨に沿って制度改正に努めてまいりたいというふうに思っております。
  170. 辻第一

    ○辻(第)委員 都市計画の主体は都道府県で、実際に建設される場所はそれぞれの市町村であります。それによって直接影響を受ける住民にとって近いのも市町村であります。  答申では「市町村や住民の理解を得て」としておりますが、住民や市町村都道府県の間に意見の食い違いが生じるようなことはないのでしょうか。また、権限都道府県に移り、市町村のかかわりはどのようになるのか、お尋ねをいたします。
  171. 山本正堯

    山本政府参考人 今回の改正におきまして、都市計画のマスタープランであります整備、開発、保全の方針につきまして、都市計画区域線引きされている、されていないにかかわらず、すべての都市計画区域対象に策定するように拡充をするということで検討されておるわけでございますが、この方針の中に、産業廃棄物の関連施設の設置に先立ち、その立地のあり方等を定めて、あらかじめ市町村や住民の理解を醸成しておくということが大変有効であるというふうに認識をいたしております。  個々の施設の都市計画決定に当たりましては、都市計画の総合性とか一体性を確保する観点から、関係市町村意見を聞くこととされているほか、住民及び利害関係人から意見を提出することができるということになっておるわけでございますので、これらの意見を踏まえて、都市計画審議会の議を経て慎重に都市計画決定を進めることになっておる、現在の都市計画決定手続に乗りまして個々の施設についての都市計画決定が行われるということでございます。  こういうような措置によりまして、全体として、都道府県市町村の適切な役割分担のもとに、住民の意見を反映した合理的な都市計画決定がなされるシステムになっておるというふうに理解をいたしております。  今回の都市計画マスタープランの中に、そういう産業廃棄物関連施設の設置に先立ちまして、その立地のあり方等を定めて理解を得ておくということについても、今回そういう格好で措置することによって、さらにそういう推進が図られるものというふうに考えております。
  172. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、答申で言う市町村と住民の理解を得る問題でありますが、どのようにして理解を得るのか、また理解を得られたと確認をするのか、簡明にお答えをいただきたい。
  173. 山本正堯

    山本政府参考人 先ほどもお話が出ておりましたけれども、都道府県において都市計画の案を作成する場合には、必要に応じて公聴会を開催する等の住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものというふうにされておるわけでございまして、都市計画の案の作成における関係市町村意見の聴取手続を含めまして、市町村や住民の意見を反映させながら都市計画決定がなされるということでございます。  これらの手続によりまして、市町村及び住民の理解を得ながら都市計画決定をすることになるということでございますが、さらに、今回の改正におきまして、各地方公共団体の判断で条例を定めまして、法定の手続を加重することもできるということになってございます。必要な理解を得るための手続が強化されるということも、当然地域の実情に応じてあり得るということであろうかと思っております。
  174. 辻第一

    ○辻(第)委員 まず、市町村との関係では、今日、地方分権を踏まえて考えるならば、権限都道府県に移す場合でも市町村同意を要件とすべきではないのか、これが一点です。  もう一つ、続けてお尋ねをいたします。  住民の関係といいますか、住民の理解を得る、そのことを確実に保証する措置が盛り込まれるのかどうか。住民参加の問題については、先ほどもお尋ねをいたしましたが、事産業廃棄物はいわゆる迷惑施設そのものでありまして、住民意思の厳格な確認の保証、制度化すべきではないか、このように考えるのですが、この二点で御答弁をいただきたい。
  175. 山本正堯

    山本政府参考人 都市計画決定についての役割分担は、先生御案内のとおり住民に大変身近な都市計画市町村、それから広域的な、根幹的な都市計画については都道府県ということで、それぞれ役割分担、相互に連携を図りながら、総合的、一体的に都市計画を定めていくということでございます。  このうちの、今先生指摘の産業廃棄物処理施設につきましては、一つ市町村を超える広域的な見地から決定すべき都市施設として、今回、都道府県に引き上げるように見直そうとしているところでございます。この場合に、この措置に基づきます都道府県都市計画決定に当たりましては、今回改正されました都市計画マスタープランの活用を通じまして、都道府県市町村との連携、調整が十分になされるということを期待いたしておるところでございます。  それから、今、産業廃棄物施設、言葉はあれかもしれませんが、迷惑施設というか住民の理解を得ることが大変重要である、それを保証する措置が必要ではないか、こういう御指摘でございます。住民の理解のもとに実施することが大変不可欠であり、重要であるというふうに私どもも認識をいたしております。  こういうふうに施設の設置を円滑に進めるためには、先ほども申し上げましたようにマスタープランに基づきまして、特に公共性の高いものについて、都市施設として積極的に都市計画決定されるように、地方公共団体に対しまして必要な情報の提供とか技術的助言、支援というものも積極的に行ってまいる所存でございます。  この廃棄物処理施設につきましては、一方で、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、当然その法律に基づいていろいろ規制等々が行われているわけでございますので、私どもといたしましても、そういうところとも連携をして、住民の理解のもとに、適切な位置、数、規模等が確保されるように努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  176. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、今回の法案では、市街化を促進するおそれがなく、市街化区域内で行うことが困難なものは、条例で市街化調整区域での開発を定型化し、個別審査なしに許可するとしていますが、この対象の中には廃棄物処理施設も含まれているのではありませんか。いかがですか。
  177. 風岡典之

    風岡政府参考人 今回の措置によりましては、この規定は、具体的には、開発許可権者が条例を定めるということになるわけでございますので、その条例を見てということになるわけでございますが、考え方としまして、産業廃棄物施設につきまして、計画的な立地の必要性から、この規定を適用する場合というものもあり得るのではないか、このように考えております。
  178. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が参ったようです。終わります。ありがとうございました。
  179. 大口善徳

    大口委員長 この際、休憩いたします。     午後二時五十八分休憩      ————◇—————     午後三時五十五分開議
  180. 井上義久

    ○井上(義)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。佐々木洋平君。
  181. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 質問させていただきます。大分時間も経過し、ほとんど質問が出尽くしたという感じでございまして、大変恐縮ですけれども、重複あるいは初歩的な質問になるかと思いますが、御了承のほどをお願いしたいと思います。  今回のこの法改正は、社会構造の変化というようなモータリゼーションの進展等々が背景にあると思います。これは必要と考えますけれども、この制度の考え方について、ちょっと質問させていただきます。  まず第一点は、新しく準都市計画区域というものが創設されるわけですけれども、その理由ですね。土地利用の規制が必要であるとするならば、従来の都市計画区域を拡大すれば対処はできるのではないかと思いますが、まずこの辺はどういうふうにお考えか、お答えを願います。
  182. 山本正堯

    山本政府参考人 今回、都市計画区域外におきまして、準都市計画区域制度の創設を検討させていただいておるわけでございますが、そもそも都市計画区域は、都道府県が、市または一定の要件を満たす町村、例えば人口一万以上で都市的業務への就業者が五〇%以上であるといったような、中心市街地がある、そういったような市町村の中心の市街地を含む区域を、一体の都市として総合的に整備、開発、保全しようとする場合に、都市計画区域を指定するというものでございます。また、都市計画区域におきましては、道路、公園、下水道等の都市施設の整備、あるいは区画整理事業、市街地再開発事業等の市街地開発事業の実施が制度上予定されているという区域でございます。  また、都市計画区域の要件を満たす場合には、積極的にそういう都市計画区域の中に取り込んで、あるいは都市計画区域に指定されるというべきものであろうかと思います。  ただ、今申し上げましたような都市計画区域の要件を満たさない区域につきましては、無秩序な用途の混在など、現に発生し、あるいは確実に発生すると見込まれる土地利用上の課題が出ている、こういったようなところについて即地的に対応するために、土地利用の整序を行おうとする場合には都市計画区域の拡大では対応できない、こういう要件に合致しないということで、都市計画区域の拡大では対応できないということでございます。  こういう状況に対応いたしまして、今回、都市計画区域外におきまして、市町村が用途地域等の都市計画決定等を通じて、土地利用の整序のみを行う、事業等を行わない、そういったようなことを行うことができる区域として準都市計画区域制度を創設したところでございまして、その制度の活用を図ることが都市計画区域外の土地整序に大変役に立つ、必要な制度だというふうに考えておるところでございます。
  183. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 わかりました。  それでは、この準都市計画区域の指定について、将来、都市計画区域として指定することを想定して先取りをするというか、そういう考え方でこの法律案ができているのかどうかお伺いします。
  184. 山本正堯

    山本政府参考人 ただいま御説明申し上げましたように、準都市計画区域は、市町村都市計画区域の外において、相当数の建築物の建築や敷地の造成が現実に行われておる、あるいはまた行われると見込まれる等の要件を満たす地域におきまして、事業は行わないのですが、土地利用の整序のみを目的として指定されるというところでございます。  準都市計画区域に指定されたということをもって、都道府県が定める都市計画区域の指定の要件にもちろん合致しないわけでございますし、その要件や手続が緩和されるということではございません。したがいまして、将来、都市計画区域として指定することを予定して、先取り的に定めるといったような性格のものではないということでございます。
  185. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 わかりました。  次に、都市計画区域外における土地利用規制についてです。これまでは、必要な地域については、農業振興等については産業振興その他のいろいろな法律が、制度がございます。あるいはまた、自然保護の観点からもそういう規制がありました。今回、新たにこの準都市計画区域が指定されますと、非常に混乱が起きる可能性があります。  そこで、特に農林漁業関係でその調整というのが必要になってくると思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。
  186. 山本正堯

    山本政府参考人 準都市計画区域は、今申し上げましたように、都市施設の整備とか市街地開発事業、区画整理事業の実施を伴わずに、用途地域都市計画上のツールを用いまして、土地利用の整序のみを行うということでございます。  こういうことでございますので、準都市計画区域につきましては、農業振興地域整備に関する法律その他の法律法令による土地利用の規制状況を勘案して、これらと矛盾することのないように区域を指定するということにしておるところでございます。土地利用上の混乱が生ずることはないというふうに考えておるところでございます。  例えば、準都市計画区域につきましては、現に住宅の建築が行われ、または行われる見込みのあるところということでございますので、そういうところについては、優良な農地といったようなものは基本的には入らない、そういうところは指定の対象にならないということでございます。  また、準都市計画区域内において用途地域等の都市計画を指定する場合にも、都市計画基準におきまして、当該地域における自然的環境の整備または保全及び農林漁業の生産条件の整備にも配慮するという条文が今度新たに加わっております。この条文の適切な運用ということで、混乱が生じることはないというふうに考えております。  さらに、そもそも私ども、農林漁業との調整につきましては、特に「都市計画の基本理念」におきまして、農林漁業との健全な調和を図ることというふうにされておるところで、特に重要な課題と認識をしておるところでございます。  こういうようなところでございますので、先生指摘の、混乱が生じるおそれがあるのではないかということでございますが、そういう御指摘趣旨も踏まえまして、農林漁業との調和あるいは自然保護の推進に努めるように、公共団体に強く技術的指導、要請をしてまいる所存でございます。
  187. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 今の御答弁で安心をしたわけでございます。  そうしますと、この準都市計画区域は、具体的にどのような区域について指定することを想定しているのか。この辺が、いろいろ見えない部分なわけです。  特に、市町村に運用を任せるわけですから、広域にわたってそういう指定がなされるという、過度な土地規制といいますか土地利用規制になるおそれがあるというふうにも感じますが、その辺はいかがでしょうか。
  188. 山本正堯

    山本政府参考人 準都市計画区域につきましては、少し長くなって恐縮でございますけれども、法律で書いてございますのは、相当数の住居等の建築またはその敷地の造成が現に行われ、または行われると見込まれる一定の区域で、そのまま土地利用を整序することなく放置すれば、将来における都市としての整備、開発及び保全に支障が生ずるおそれがあると認められる区域、こういう法律上の要件になってございます。  例えば、都市計画区域の外で、既存集落でありますとか計画的な開発地、あるいは特に今インターチェンジ周辺といったようなところにつきまして、典型的には都市計画区域の方から少し離れたところのインターチェンジ周辺といったようなところの比較的限られた区域で、建築物が一定程度集積することによって、土地利用上の整序が必要な区域ということでございます。相当数の住居等の建築が現に行われ、または行われると見込まれる地域、こういうことでございます。そういうことから、土地利用の整序が必要な区域に指定をする、こういうことでございます。  準都市計画区域の指定は、今申し上げましたように、土地利用上の問題を解決するために必要な範囲において指定することを予定しておるわけでございまして、農地とか林地とか、そういうような優良な農地等を含んでいたずらに広く区域を設定する、あるいは過度に土地利用規制を行うということはないというふうに思っております。  さらに、準都市計画区域の指定に当たりましては、当然、都道府県同意つき協議が必要でございます。都道府県は広域的な観点から、こういう過度に、非常に趣旨の逸脱したような区域設定ということになりますと、同意を与えないというようなことも場合によっては、いろいろなケースとして指導という格好になることもあろうかと思います。  以上の点について、都道府県市町村の双方に対しまして、私どもとしましても、制度の趣旨を十分説明の上、参考となる運用上の指針等技術的な助言について今後ともやってまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。     〔井上(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  189. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 次に、本案は、都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域においても、一定の規模以上の開発行為を行う場合には、開発許可を受けなければならないという条文になっておるわけです。  そこで、開発許可の対象区域が国全体に拡大されるわけでございますが、この理由、開発許可制度の性格もちょっと変わるんじゃないかなという感じが私はしますが、この辺の考え方をお示しを賜りたいと思います。
  190. 風岡典之

    風岡政府参考人 現行の都市計画法におきましては、都市の無秩序な市街化を防止する、また良好な都市環境を確保するということで、都市計画区域内におきまして一定の開発行為については知事の許可等を必要とする、こういった制度であるわけでございます。  しかし、最近の土地開発の状況というようなものを見てみますと、道路網の整備とか情報化の進展等を背景としまして、都市計画区域外におきましても都市的な土地利用というものがいろいろ見られておりまして、これらの中には、開発許可制度が適用されていないために、いろいろな問題点も生じているケースも見られております。  例えば、住宅団地の開発が行われた場合に、十分な防災工事が伴っていないというようなために、それについてのり面が崩壊するというような事故が見られたり、あるいは別荘の開発のときに、周辺のアクセス道路が十分整備されていないということで交通上の問題が生じている、そういったケースも見られております。  このため、今回の法改正におきましては、都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域に対しましても開発許可制度を適用しまして、一定の大規模な開発をしようとする場合には知事等の許可を必要とする、これによりまして一定の宅地水準を確保しようとするものであります。したがいまして、開発許可制度の基本的な性格というものは変わるものではない、確かに対象区域は拡大をしますけれども、性格が変わるものではない、私どもとしてはこのように理解をしております。
  191. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 次に、この大きな柱には、やはりこの改革について地方分権という趣旨があると思います。  そこで、お伺いしますが、本改正案でこの準都市計画区域の指定等については、市町村が主体的に運用する制度が導入された、こういうことですね。一方で、線引きとかあるいは根幹的な部分については依然として都道府県権限を持っておるということなわけで、そうしますと、都市計画制度全体において都道府県市町村の役割分担というのがどうしても出てくるのではないかと思いますが、この辺はどういうふうにやられるのか、お示しを賜りたいと思います。
  192. 山本正堯

    山本政府参考人 先生御案内のとおり、都市計画決定につきましては、市町村都道府県、両方やるわけでございますが、住民に身近な都市計画、例えば小さな公園でありますとかそういうようなものにつきましては市町村都市計画決定を行う、それから、市町村の範囲を超えるような広域的、根幹的な都市計画国道でありますとかそういったような広域的、根幹的な大きな都市計画につきましては、都道府県都市計画決定権者となりまして、相互に連携を図りながら、総合的、一体的に定めるという格好になってございます。  こういうふうに、基本的に都市計画決定都市計画におきましては、都道府県市町村が適切な役割分担のもとに行っておるわけでございますが、さらに、今、市町村決定する都市計画につきましても、原則として、広域調整等の観点から、都道府県協議をする、その同意を得なければならないというようなことにしておるわけでございます。  さらに、今回の改正によりまして拡充をされます都道府県都市計画マスタープランの活用を通じまして、都市計画区域内のまちづくりにつきまして、都道府県市町村との連携、調整がなされることを期待をしておるわけでございます。そういうように、実効性が高まるように、国としても、公共団体の自主性を損なわない範囲で必要な技術的助言などを積極的に示していきたいというふうに考えておるところでございます。  国、県、市町村といったような三者が、総合的にそれぞれの役割を分担しながらまちづくりの推進に当たっていくということであろうかと思っております。
  193. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 次に、風致地区に関する権限移譲についての質問でございます。  本案については、風致地区については、地域内の条例制定をする権限都道府県から市町村に拡大される、こういうふうになっております。この趣旨はいかがなものかと。  もう一つ、風致地区に関する都市計画決定権限自体は、これは都道府県が持っておるわけですが、これは市町村に移譲されるものなのかどうか。あるいはまた、風致地区の地区内での建築許可の主体はだれがどこでするのか、この辺もあわせて説明を願います。
  194. 山本正堯

    山本政府参考人 風致地区に関しましては、今回の都市計画中央審議会の答申、それを受けました私どもの現在御審議をいただきます法案の中でも市町村に拡大をしようということでございますが、現行の風致地区制度におきましては、都道府県が条例により必要な規制を行うということになっておるわけでございます。  今回の改正は、貴重な自然環境やあるいは美しい景観について、大規模な、ある程度の規模のものだけではなくて、小規模なものであっても、里山でありますとか鎮守の森でありますとか、そういうような小規模なものであっても可能な限り保全しようという観点から、小規模な風致地区における規制の内容について、地域の実情を熟知しておる市町村が条例によって定めることができるということにしたものでございます。  あわせて、一定規模未満の小規模な風致地区につきましては、都市計画決定権限、あるいは建築等の行為の許可権限都道府県から市町村に移譲をし、きめ細かな緑地等の保全を円滑に図るように措置する必要があるというふうに思っております。したがいまして、そういう決定権限あるいは許可権限都道府県から市町村に移譲するということが可能だ、こういうことでございます。  こういう措置につきましては、法令上出てまいりませんが、政令において定めるということにしたいというふうに思っております。関連の政令改正を検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  195. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 今、建築許可ですけれども、政令で定めたいと。具体的にどういう手順でそういうふうな許可になるものなんですか。ちょっとお伺いしたいと思います。
  196. 山本正堯

    山本政府参考人 風致地区の関係につきましては、都市計画決定をやるという手続、都市計画決定手続が必要でございます。それで、地区内で条例を制定するということでございます。条例の制定も行っていく、こういうことでございます。  なお、今のこの政令でそういうことができるということを定める予定にいたしておるわけでございますが、政令の手続等につきましては、今後検討してまいる、こういうことになろうかと思います。
  197. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 わかりました。  次に、こういう各種都市計画手法が市町村にどんどん移譲されていくわけですが、市町村によってはこれを十分に使いこなせない事態もまた想定されるわけでございます。この制度が適切に運用されるということになりますと、やはり国として市町村に対して何らかの支援策というものが必要だろうと思うんですが、いかがなものでしょう。お伺いします。
  198. 山本正堯

    山本政府参考人 今回の改正案で、今先生指摘の準都市計画区域でありますとか、あるいは、いろいろ御議論もいただいております特定用途制限地域でありますとか、そういうようなものにつきまして、市町村地域の実情に応じて柔軟に活用できる新たな仕組みを幾つか創設を検討させていただいている、こういうことでございます。  都市計画につきましては、本来、住民に一番身近な基礎的自治体であります市町村が主体となって、きちっとした明確なまちづくりの理念を持って都市計画決定していくべきだということでございまして、市町村都市計画のツールを適切に活用していただくことを私ども期待しておるわけでございます。  ただ、先生今御指摘のように、市町村によりましては、十分使いこなせないといいますか、都市計画制度に習熟がまだ十分でない、あるいはまた執行体制が十分でない、市町村が三千幾つあるわけでございますので、都市計画を担当している職員というのが、市町村の村役場で専任の人がいないとか、いろいろなケースがございます。そういう意味で、執行体制が十分でないといったような理由によりまして十分に制度を活用、運用できない可能性があり得ることもあるというふうに考えております。  こういう状況のもとで、私どもとしましても、市町村が適切に都市計画を定められるように、最初に先生がおっしゃいましたように地方分権のことも踏まえまして、自主性を損なわない範囲で、他の市町村の優良事例についての情報提供をするとか、あるいは新しい制度についての説明会とか、制度の運用の参考となるような技術的な助言でありますとか、そういったようなものを通じまして積極的に関係公共団体に対して支援をしていきたいというふうに思っておるところでございます。
  199. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 精神的な支援は結構ですけれども、市町村は非常に財政が厳しい状況なわけですから、私が言うのは、それに何かの物的な支援を、制度をつくってそれを支援して、そしてこれを実のあるものにすればいいんだ、こういうことなんです。その辺はどうなんですか、もう一度改めて御答弁を願います。
  200. 山本正堯

    山本政府参考人 今申し上げましたように、まちづくり、基本的には、一番住民に身近な基礎自治体である市町村が主体になってやるわけでございます。したがいまして、自主、自立の精神で身近なまちづくりをやっていただくというのは基本であろうかというように思っております。  ただ、そのために国としていろいろな支援のやり方があろうかと思います。そういう制度、ツールをいろいろお示しするという制度のこともございましょう、あるいはまた、今技術的な支援ということももちろんあろうかと思っております。また、いろいろな事業等々の際に、そういう意味でのいろいろな支援ということもいろいろな場面であろうかというふうに思っております。
  201. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 了解しました。  最後に、大臣にお伺いしたいのですが、本改正案は、確かに、地方公共団体あるいは地域住民の自主性というものを大いに尊重しよう、こういうことがあるわけですけれども、この制度全体を見てみますと、非常にわかりにくい。全然わからない。ましてや、町の職員が果たして理解するのかなという、非常に私は不安を感じておる一人なんですが、国民が、まさに身近であるはずのこのまちづくり制度が非常に理解が困難だということになりますと、非常にすばらしいこういう改正案もまさに絵にかいたもちになりかねない、このように思います。  そこで、ぜひそういう観点から、住民に対する周知、啓蒙活動といいますか啓蒙措置といいますか、国民に対して、あるいは地域住民に対してどのようにわかりやすく取り組んでいただけるのか、大臣の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  202. 中山正暉

    中山国務大臣 今度の改正案の第三条でございますが、これには「国及び地方公共団体は、都市の住民に対し、都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならない。」こう書いてございます。  お説のとおりに、なかなかこういう問題というのは、周知徹底をして皆さんに、その周辺の住民も含めて御理解をいただく必要があると思いますが、現在の都市計画法の法制体系が複雑でございまして、住民になかなか理解ができないという御批判があることは、十分私も認識をいたしております。  今回の法改正では、新たに国及び地方公共団体の責務として、住民に都市計画に関する知識及び情報の提供に努めなければならない旨を、その意味で先ほど申しました三条に明記をいたしたわけでございます。建設省といたしましては、この規定の趣旨に即しまして、地方公共団体と協力して、地域住民がまちづくりに積極的に参画できるよう都市計画制度に関する知識の普及啓発、そして優良なまちづくりの事例の提供などを積極的に取り組んでまいる所存でございます。  先般も、東京周辺のいわゆる開発を見てまいりました。今度は、東京駅も辰野金吾博士がおつくりになったときの姿に復元をしようと。空襲で二階になっておりますが、あれは三階で、三角の屋根になっておりますが、昔はドーム型の屋根をしておったようでございまして、その東京駅の低い部分をどこへ載せるかとか、新しい丸ビルができたりするわけでございますが、そういう地域、それから汐留を見てまいりました。汐留の再開発を今やっておりまして、バブルが崩壊したことでいろいろと進捗させるのに好都合な社会的な雰囲気も出てきたと思いますので、余計に私は周知徹底をして、そして地方の拠点都市においてもいいまちづくりができていくような、戦後五十四年たちました日本でございますので、精神的なゆとり、そしてまた地域の経済の活性化、それから中央地方とのバランスをとるためにもこれは重要なことだと考えておりますので、また御理解、御指導をお願いいたしたいと思います。
  203. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 どうもありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  204. 大口善徳

  205. 一川保夫

    一川委員 自由党の一川保夫でございます。  私は、この建設委員会に所属していない関係で、ずっと審議を十分聞いていないわけでございますけれども、常日ごろこの都市計画に関連して、自分なりに問題意識を持っていたことを中心に素朴な質問をさせていただきますが、ある程度重複があろうかと思いますけれども、御容赦願いたい、そのように思っております。  まず、この都市計画に関する問題、俗に言う線引きという話から始まって、我々地方におりまして常日ごろいろいろな面で話題になる、そういう事柄でございます。御案内のとおり、こういった制度は、昭和四十三年に新しい都市計画法というものが制定されて以来、三十年余り経過しておるわけですけれども、当時の日本の高度成長というそういった背景からすれば、都市部に対して人口なりいろいろな機能が集中してきた。そういう時代であったというふうに思っておりますし、そういう中にあって周辺の農地なりいろいろな山林等に、また都市的な基盤が整備されないままに都市的なものが張りついていく、そういう状況がいろいろあった中でこういう都市計画法なるものが制定されてきたのだろうというふうに思っております。  一方では、農林水産省サイドでは、農振法等によるそういった土地利用の問題も当時並行していろいろとなされてきたと思いますけれども、そういう中にあって、私は、我が国の経済社会情勢がいろいろと変化してきた中で、最近ではどちらかといいますと、都市部へのそういういろいろな集中的な現象というのは、従来に比べるとやや鎮静化しつつあるというふうに思っております。しかし、一方では、交通体系の整備なりいろいろな車社会の影響もあるのでしょうけれども、我々が住む住まいなりいろいろな職場なりそういったものが、割と距離が遠くても張りつくような現象が最近だんだんふえてもきております。  そういう中にあって、今のいろいろな社会的な背景を受けて、こういう問題意識を持っての改正でありますから、それなりに私も評価をいたしているわけでございますけれども、それに関連しまして、冒頭に大臣に率直にお伺いしたいわけでございます。  今回、従来からあるこういった線引き制度というものを若干風穴をあけながら改正していくということになっております。これはこれで、またある程度地方に対しての自主性を発揮するという面では非常に画期的なことだろうとは思いますけれども、従来のこういった線引き制度そのものをこの機会にもっと抜本的に見直しをかけて、場合によっては、従来のようなそういう仕組みを廃止して、何か新しい時代に向けてのもっと新たな都市計画制度というものを検討されてもよかったのではないかという感じを私は個人的に持っておるわけです。そういう問題意識も当然内部にはあったのだろうとは思いますけれども、建設大臣としてそのあたりの問題意識をどのようにお持ちなのか、まず冒頭にお伺いしたい、そのように思います。
  206. 中山正暉

    中山国務大臣 お話しのように、俗称線引きというので、いろいろな悲喜こもごもの話題があったと思いますが、昭和四十年代の高度成長時代といいますか、日本の戦後は三期に分けられる。昭和二十年から三十五年まではわだつみの時代、戦争反省の時代、それから三十五年から五十年までは経済繁栄の時代、それから後は伝統見直しの時代といいますか、いわゆる昭和六十四年で昭和は終わりましたけれども、それから後は、みんながまた今までのいろいろな意味でのバブルに浮かされた時代から、今度はそういう着実な世の中の進展をどういうふうに考えたらいいか、地域の活性化をどうしたらいいか、地方分権はどうすればいいのだというようないろいろな課題が出てきて、急速な都市化に伴うスプロール化とか、それからまたスプロールの拡大に対応してこういうものが導入されたものであったわけでございます。今や、全国的に見れば都市部への人口、産業の集中は鎮静化して、スプロール対策は全国一律の共通課題ではなくなっているというときでございます。現行制度をこのまま維持するということは適切でない。  しかし、激変するのもこれもまたいろいろな問題が起こりますので、大都市圏を中心に市街化圧力の強い地域が存在をしておりますことから、当該制度自体の必要性は今もかなり高いと考えております。  したがって、また、地域の実情に応じた制度運用が行えるように、線引き制度は維持しつつ、大都市部を除いて、都市計画区域を指定する主体である都道府県地域の実情に応じて線引きを行うかどうかを判断することとしたもので、地方に重点を置きながら、また中央も、従来の線引きができなかった都市計画区域において必要に応じて線引きが可能となるような、そういう時代の経過の中での、また将来考えなきゃいけないと思いますけれども、建設省といたしましても、都道府県線引きの要否を的確に判断できるような適切な技術的な助言を行いながら、中央地方が両々相まって世の中の進展に役立てるような、地域の活性化の一助になればというのが今度の改正の根底だと考えております。
  207. 一川保夫

    一川委員 ありがとうございました。  それで、引き続き大臣にもう一点お伺いしたいのは、今まで三十年余りこの新しい都市計画法が運用されてまいったわけです。最近でも、平成十年度の改正とか、あるいは地方分権一括法等によって若干のいろいろな見直しが行われてきておりますけれども、一方では、今ほど話題に出ていますように、都市計画法にまつわる今の市街化区域あるいは市街化調整区域の区分、俗に言うその線引き等のいろいろな法的な規制の中で、市街化区域にあっては、当然都市的な投資をそこに集中的に行っていく。また一方では、市街化調整区域は、どちらかというと市街化を抑制するという観点で運用されてきたというふうに思っておりますけれども、今日、この三十年余りの都市計画法の成果というものをどのように評価されているかということを端的に大臣の方からお聞きしたいわけです。  当然、今後まだまだいろいろな課題が残されているとは思いますけれども、これまでの都市計画制度の成果といいますか、そういったものについての大臣の御所見をお伺いしたい、このように思います。
  208. 中山正暉

    中山国務大臣 まず三十年の評価でございますが、かなり経済的に日本がいい時代、バブルが崩壊するまでに進捗した、いわゆる地域道路とか公共事業にまつわるものでございますが、そういうものに関しまして、人口、産業が急速に都市に集中して都市が拡大する状況が続いてきた時代に、無秩序な都市の膨張、特に地価の問題なんか、地価が高騰をいたしましたようなときがありました。  計画的な市街地整備を進めることが都市政策上最大の課題、スラム化するような地域が出てきたりすると大変でございますから、昭和四十三年に制定された都市計画法によるいわゆる線引き制度や、それから大型店舗とかそういうものの問題、開発許可制度等によりましてスプロールの防止を図るとともに、時代の要請にこたえ得る形で、都市郊外におけるニュータウンの開発など計画的な住宅宅地の供給、いわゆる新住事業というのが千里ニュータウンなんかを初めとして全国でいろいろ四十八カ所ぐらい展開したというようなこともありましたが、街路とか公園とかそれから下水道とか、都市基盤施設の整備等を推進してきたという関係も中にはあるわけでございます。  近年では、社会経済情勢の変化等を踏まえまして、中心市街地の活性化に向けた取り組み等、地域の創意工夫を生かしたまちづくりをひとつ強力に推進していきたいと。  結論といたしましては、自然を大切にするとか、それから環境の問題とか、ごみの問題とか、資源再生の問題とか、いろいろな新しい二十一世紀の、ミレニアムの計画というようなものが人の心の中に定着するようなときが来ましたので、こうした施策は、秩序ある都市整備それから開発、保全を通じて、都市の健全な発展に寄与してきたものと私は認識をいたしております。  現行制度が都市への人口集中の鎮静化、それからモータリゼーションの進展等の近年の社会経済状況の変化に十分対応できないことについて、これが少し、今どういうふうにそれを活性化するかという、いわゆる一息ついたところの三十年、世代の世という字は三十という字を字にしたのが世という字だといいますが、三十、一息という感じだと思っております。
  209. 一川保夫

    一川委員 ありがとうございます。  若干事務的な話題にも入りますので、政府参考人の方にお伺いしたいと思います。  今回のこの改正案、幾つかいろいろなポイントがあろうかと思いますけれども、都市計画区域のマスタープランのいろいろな拡充の問題とか、あるいは都市計画区域の中の市街化区域及び市街化調整区域線引きに関するそういう判断といいますか、都道府県にある程度選択性を持たせる、そういうところとか、あるいはまた、いろいろな市街化調整区域における規制を緩和していくというような部分も含まれているというふうに聞いております。  そういった中で、特に線引き制度につきまして、従来はそういった線引き義務づけるということで来ていたと思いますけれども、今回の改正によりましても、一部の部分については引き続き線引き義務づけていくというルールになっております。その他の地域につきましては、線引きの要否につきましては都道府県が選択できるような道を開いているということになっております。  そういうふうに、若干義務づける範囲を変更し、また残された区域については選択制を導入したということなんですけれども、そのあたりの区域を定めた理由なり基本的な考え方、そういったところをもう一回お聞かせ願いたいと思います。
  210. 山本正堯

    山本政府参考人 線引き制度についてでございますが、線引きするか否かにつきましては、基本的には、その地域が開発圧力が依然として強い地域、一体として計画市街化を図る必要がある区域、そういうところにつきましては線引き制を依然として義務づける、それ以外のところについては選択制にする、こういうことでございます。その際の線引きするか否かにつきましては、原則として都道府県の判断でございます。その判断にゆだねるということでございます。  先ほど申し上げました人口圧力、開発圧力が強いということで、首都圏とか近畿圏、中部圏の既成市街地、近郊整備地帯、それと政令指定都市、それらを含む都市計画区域につきましては、引き続き線引き義務づけするということでございます。  これを今申し上げましたようにやるわけでございますが、これらの地域につきましては、実態的に、今申し上げましたように、開発圧力が強く、一体として計画市街化を図る必要があるということ、それから、法令上、国の施策上、首都圏整備法あるいは中部圏整備法、近畿圏整備法等々の法律に基づきまして、国土レベルの地域振興計画、開発計画によりまして、計画市街化が必要な区域というふうに位置づけられているというようなこと等から、引き続き、今申し上げましたような地域につきましては線引き義務づけるということにしたわけでございます。  ちなみに、現在、都市計画区域内の市町村、約二千ございますが、そのうち約八百が今、現行線引き制度でございます。それが選択制に移行することによりまして約三百ぐらい、約二割ぐらいが義務づけ、それ以外のところは現在もあれしておりますが、それを選択制に移行する。あるいはまた、現在未線引きのところも選択制線引きをすることも、あるいはまた線引きしないこともできる、こういう格好になるということであろうかと思っております。
  211. 一川保夫

    一川委員 今の御答弁を聞いておりまして、ちょっともう一回確認したいんですけれども、義務づけるところは義務づけですから、それはわかります。義務づけしない地域について、それを選択制に持っていくわけですけれども、その選択をするに当たっての各地方自治体の判断基準になるような一種のガイドライン的なものとか、そういったものも当然ある程度考えていらっしゃると思うんですけれども、そういったところはどういうふうに指導されていくのか、全くゆだねるのか、そのあたりはいかがでしょうか。
  212. 山本正堯

    山本政府参考人 先生指摘のとおり、国として法令上基準を定め、公共団体の運用にとって参考となるようなガイダンスを積極的に提供していきたい、基本的な運用方針をきちっと決めていきたいということでございます。  今、法令上の基準について具体的にどういう格好で定めるかといったような点について、この法律の制定とあわせて具体的に検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  213. 一川保夫

    一川委員 次に、今回のこの改正の中でも、マスタープランの策定というのがございます。これは、すべての都市計画区域について都道府県がマスタープランを策定するということにしているわけですけれども、当然、すべての区域ですから、いろいろな関係行政機関との一種の調整みたいなものが出てくるのではないかな、そういう思いがするわけです。  特に、こういった土地利用ということになった場合には、周辺の農地とのいろいろな調整も含めて、マスタープラン策定の段階において、それを所管する、今は建設省、近いうちに国土交通省ですか、そういった官庁とほかの行政機関とのいろいろな調整をどういうルールで行っていこうとしているのか。あるいは、全然そういう調整は各都道府県にお任せなのか。そのあたりも含めて御答弁をお願いしたいと思います。
  214. 山本正堯

    山本政府参考人 都市計画区域のマスタープランにつきましては、都道府県が定める都市計画でございまして、通常の都市計画手続に従いまして、都道府県関係行政機関との調整が行われるということでございます。  具体的には、都道府県はマスタープランの案につきまして関係市町村意見を聞くということと、決定に当たりましては建設省、来年からは国土交通省でありますが、国土交通大臣協議してその同意を得なきゃいかぬということになっておるところでございます。  その際、先生が御指摘いただきました農業の関係でありますとか、環境の問題でありますとかそういう関係でございますが、マスタープランのうちの線引きをするかどうかといった決定する部分等につきましては、都市計画法の二十三条に基づきまして、国土交通大臣と農林大臣との協議あるいは経済産業大臣、環境大臣からの意見を聴取する、あるいはまた厚生労働大臣が必要と認めるときに意見を述べることができるといったような、現在も一般的なそういう都市計画についての手続規定がございますが、そういう点について、マスタープランのうちの線引きをするかどうかという決定部分について、同じような手続を規定しようということで、関係行政機関と十分調整を図りながら、今の都市計画区域のマスタープランの策定がされるということであろうかと思っております。
  215. 一川保夫

    一川委員 俗に言う縦割り行政という中にあって、いろいろな面で時間を要し、末端ではいろいろな作業がふえているというのが今までの行政のやり方でもありましたけれども、どうかこれからは、末端の市町村レベルあるいは県レベルで余り混乱が生じないように、そういったいろいろな手続面、協議面をスムーズに運んでいただきたい、そのように要望しておきたいと思っております。  それから、先ほど佐々木委員質疑の中でも取り上げられましたけれども、市町村というものの役割というところが、今回のこの改正市町村に何か相当部分は、権限なりそういったものが移譲されたがごとくのいろいろな質疑があったような気がしたんです。私は具体的に中身は十分承知していなくて申しわけないんですけれども、確かに、今こういった都市計画に関するもろもろの作業というのは市町村レベルで相当の作業がございますし、我々も、地元の方々からいろいろな相談を受ける場合でも、これは県に陳情してくれ、これは建設省に陳情してくれというたぐいのことがまだまだ結構あるわけですね。  やはり基本的には、それぞれの地域の土地利用というのは市町村が最も精通しているわけでございます。地域のいろいろな産業なり歴史なり、そういった文化的なものも含めて、どういう土地利用、どういうまちづくりをしたいかということは、当然ながらその市町村の担当者なりまたはその地域にいろいろな面でリーダーシップをとっている皆さん方が最も精通しているわけでございまして、そういった面では市町村にできるだけ裁量、自主性を持たせていくということが非常に大事であろうというふうに思いますけれども、今回のこの改正で、市町村に具体的にどういう権限が移譲されていくんですか、そのあたりちょっとお願いしたいと思います。
  216. 山本正堯

    山本政府参考人 先生、今御指摘のとおり、まちづくりにつきましては住民に最も近い市町村が中心的に、主体となるべきだという考え方でございます。去年、おととしから地方分権に係る都市計画法改正を幾つかやってまいりました。従来、例えば都道府県が定めることとされていた用途地域とか市街地開発事業の一部を市町村が定めることとされるといったようなことなど、近年市町村都市計画決定権限を大幅に拡大をしてきたところでございます。  例えば、今現在、都市計画決定の件数に占める市町村の割合が、従来は六割だったのが四分の三、七五%まで上がっております。それと同時に国の関与も縮減をしたということで、国の関与につきましても、従来は全体の件数の二割だったのが一割に縮減されているといったようなこともございます。  そういうような流れの中で、今回の改正におきましては、新たに創設するような制度の幾つかについて市町村の役割を創設させていただいたところでございます。特定用途制限地域に関する都市計画並びに先ほどから御議論のございます準都市計画区域について定められる都市計画、これらはすべて市町村決定とするところでございます。さらに、今まで都道府県決定でございました風致地区に関しましても、小規模なものにつきましては市町村がきめ細かな規制を行えるような必要な措置を講じることとしたところでございます。  また、一般に、全体的に、都道府県が定めます都市計画に対しましても、住民に最も近い市町村の意向がより反映されるように、都道府県が定める都市計画の案につきまして市町村から案の申し出ができるといったような制度も今回改正に盛り込まさせていただいておるところでございます。  今申し上げましたように、新しい制度につきましても市町村の役割が増大してきている、こういうことでございます。
  217. 一川保夫

    一川委員 ぜひそういう方向で、先ほど話題に出ましたように、また市町村に対する指導方をよろしくお願いをしたい、そのように思っております。  私の質問は最後にしたいと思いますけれども、市街化調整区域における開発許可のことについて若干お伺いしたいと思います。  市街化調整区域におけるその開発行為について、一定の理由があれば従来から開発を許可してきたわけですね。例えば、日常生活に必要な物品販売等の建築物なり、あるいは農林漁業の用に供するそういった建築物なり、または、開発審査会の議を経た建築物と称して、二十ヘクタール以上の開発行為とか、あるいは市街化区域内で行うことが困難または不適当なものの建築物とか、あるいは農家の二、三男の分家住宅とか、大規模既存集落における自己用の住宅、分家住宅というようなもの、あるいは小さな工場とか、そういったたぐいのものは一応調整区域内においても一定の要件を満たせば許可をしてきたということなんです。  それが、今回の改正では、従来開発審査会の議を経ていたものを、その開発審査会の議を経ないでも開発行為ができるように道を開くということになっているわけですね。これは、ある面では手続上円滑にいくということになるのかもしれませんけれども、考え方によっては、一方で、何か変な、画一的なものがまた入っていくのではないかという心配もあるわけです。そういう観点で、今回この開発審査会の議を経ないで開発許可をするというような考え方を持ち込んだ、その理由をまず一つ聞かせていただきたい。  それから、もう一つは、当然ながら調整区域ですから、本来は開発を抑制すべき区域のことでございます。ですから、そこには農振法に基づく農用地区域というようなものも当然その区域の中にあるわけでございますけれども、そういった開発許可のいろいろな手続の中で、今言いましたように農用地区域とのいろいろな調整、そういったことはどういうふうに対処されていくのか。  その二点、それをお伺いしたいと思います。
  218. 風岡典之

    風岡政府参考人 調整区域におきまして開発を認めます立地基準でございますけれども、御案内のとおり現行法では、個別に開発審査会の議を経て開発許可の対象とするということでございますけれども、これは法制度以降、実務の積み重ねというのも相当出てきたわけでございまして、定型的に処理できるような類型というものも出てきております。現行制度の中では、これらの定型的に処理できるものでありましても、個別に開発審査会の方に付議しなければならないということになるわけでございまして、開発審査会の方もそんなに頻繁に開くことができないというような事情もありまして、事務の遅延というようなことが指摘をされておりました。  このようなことから、今回の改正法におきましては、手続の合理化、迅速化というものを図っていこうということで、これらの定型的な処理が可能なものにつきましては、事前に条例で区域とか目的とかあるいは建物の用途とかというのを限定して、その範囲では開発審査会の議を経ずとも許可ができるように、こういう扱いをしたわけでございます。  また、先生から御指摘をいただきました農振地域等々の調整をどうするのかということでございますけれども、今回の改正法によりましては、今申し上げましたように、条例で区域あるいは用途等を定めて、そういったものについては個別に開発審査会の議を経なくても許可できるようにするわけでございますけれども、条例で区域の指定を定めるに当たって基準を定めておりまして、これは政令で定めることにしております。政令におきましては、今後詳細には詰めていきたいというふうに思っておりますけれども、農振法による農用地区域とかあるいは優良な集団的な農地というのはそういった区域に含めない、こういったような形で政令を定めることにしておりますので、その意味から農業との健全な調和というものが図られるのではないか、このように考えております。
  219. 一川保夫

    一川委員 今ほどのお話を聞いておりまして、これから恐らく各市町村、県レベルの末端での調整がいろいろとまた話題になるかと思いますけれども、ぜひそういう面では、今経済状況もこういう状況でございますので、地域の活力が低下しないように、また一方では、地域にも、地方にも大変優秀な方々が、人材が育っている時代でもありますので、そういった地方の意向を十分組み入れながらこの都市計画制度が運用されるように、ひとつよろしく御指導をお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  220. 大口善徳

    大口委員長 中西績介君。
  221. 中西績介

    ○中西(績)委員 先般の参考人、石田頼房氏の意見をお聞きいたしておりまして、いろいろ参考になるところがございましたが、三点についてお答えをいただきたいと思います。  今回改正は、一九六八年都市計画法、一九七〇年建築基準法制定以来、三十年来の抜本改正となると言われておりますけれども、このときにこそ、従来の計画とは異なった、狭い日本の国土開発を将来展望を持ってやるべきだと私は思います。そのためには、国土計画地方計画都市計画を連携し、都道府県全域あるいは農山村を含む地域全体の基本的な土地利用計画の方針を立てることが重要だろうと思います。  ところが、この法案では、都道府県都市計画マスタープランの制度が見送られていますが、方針なしに制度運用をすることになりかねないと思いますので、なぜ中間報告には出されておったものをここに取り入れなかったのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  222. 中山正暉

    中山国務大臣 都道府県全域のマスタープランにつきましては、大部分都市計画区域外となる県等については、県全域を対象とした都市計画マスタープランを策定することは、現在の土地利用状況等に照らしましたらその必要性に乏しいという感じでございますので、県全域が対象ではマスタープランに住民意見を反映することが難しいことなどを勘案いたしまして、改正案では、現行のマスタープランを拡充してすべての都市計画区域でマスタープランを定めることといたしたものでございます。  ただし、マスタープランを策定する際には、都市計画区域外の状況も踏まえて広域的観点から定めるべきでありまして、その旨をガイダンス等の形で明確にすることといたしたいと考えております。
  223. 中西績介

    ○中西(績)委員 それでは、事務方にお聞きをしたいと思いますけれども、中間報告にこういう都道府県都市計画マスタープランなるものが入っておったというのは、なぜ入ったのか、ここいらがやはり説明されないと、この点について私は納得しかねるのではないかと思うんですけれども、おわかりであればお答えください。
  224. 山本正堯

    山本政府参考人 ただいま大臣からも御答弁をさせていただきましたが、都市的な土地利用を図る観点から、現在の状況につきましては、都市計画区域の外でも都市的土地利用が行われるということは先生御案内のとおりでございます。  ただ、都道府県の全体の土地利用のあり方というようなものを都市計画観点から定められるかということになりますと、現在、国土全体、その中で都道府県の全体の土地利用のあり方というのは、国土利用計画法で五地域区分ということで制度ができております。国土利用計画あるいは土地利用基本計画という格好でそういう体系ができております。そういうことで、都道府県全体の農業的土地利用あるいは自然的土地利用、そういったようなものについての全体の土地利用の大きな計画国土利用計画法で規定をされる。都市計画法は、都市計画区域を中心にして、都市的な土地利用についてのあり方、それについての規制、誘導といったようなものを基本的に定めるということでございます。  したがいまして、今回も、都市計画区域の中についてどういう格好で線引きをするとか、あるいは事業をやるとか、いろいろなことを決めるわけでございますが、それだけではなくて、今の状況を勘案いたしまして、都市計画区域の外でも都市的土地利用について何らかの整序をする必要があるといったようなものについて、あるいはまた、大きな開発行為については都市計画区域の外でもそういう格好で定められるという格好の制度を拡充したいということでございます。  その際、都市計画区域のマスタープランをつくるわけでございますが、その際には、都市計画区域外の状況も踏まえて都市計画区域マスタープランをつくる、こういう格好でやっていきたい、こういうことでございます。
  225. 中西績介

    ○中西(績)委員 いずれにしましても、この点は、従来型の日本の国土計画なりあるいはこのような都市計画なりを立てるに当たって、先ほどもちょっと御指摘があったようでありますけれども、この際にやはり根本的に時間をかけてでもやっておく必要があったのではないか、もしそれができないとするならまた継続してこうした問題等について将来展望をやはり持つような体制をとらないと、日本の場合には、何といっても、繰り返しみたいな、その場しのぎみたいな政策が多くなり過ぎるのではないか、私はそういう意見を持っておるためにこの点について特に指摘をしたところであります。  そこで、また、中間報告の提言の中にはあった広く緑地を保全、創出するための制度が欠けたのはなぜなのか、非線引き都市計画区域で自然環境をしっかり保全する制度がないのに、市街化に柔軟に対応するとなし崩しとなって貴重な自然あるいは村落景観が破壊されてしまうのではないかということを恐れるものでありますけれども、この点についてはどうなんでしょうか。
  226. 山本正堯

    山本政府参考人 先生指摘のとおり、都市計画中央審議会の中間報告では、広く緑地を保全、創出するための制度の強化について検討するという記述がございました。しかし、その後審議会でいろいろ御検討をいただきましたが、今先生指摘のように、緑地の保全、創出をするためには大変いろいろな面からの施策規制、誘導というのが行われる必要があるということであろうかと思います。  緑地の保全、創出のためには開発規制だけじゃなくて建築規制を含めた措置が必要である、あるいはまた、土地利用規制といったようなものだけでは限界があって、公園でありますとか緑化でありますとかの事業制度のあり方も検討しなければいかぬ、さらに、それに基づく財源措置あるいはまた税制上の優遇措置といったような、税制上も含めた総合的な観点からの検討が必要であるという御指摘がございました。  その結果、最終答申におきましては、自然的環境や景観など都市環境の保全のための総合的な取り組みにつきましては三点ほどについての御提言をいただき、その後について「引き続き取り組むべき課題」という格好にされたわけでございます。  その三点を含めて、具体的に今回の法令で考えておりますのは、先ほどから御説明申し上げておりますように、一つは風致地区についての地域の実情に応じたきめ細かな規制を行うための見直し、現在まで都道府県が風致地区を指定しておりましたが、それは小さな里山でありますとか樹林地でありますとか鎮守の森とかいったようなところにつきましては、市町村が風致地区を定められるといったようなこと、あるいはいわゆる白地地域での建築物の用途規制の導入、容積率、建ぺい率等の規制の土地利用の状況に応じた見直し、線引きを外すことによって白地地域での自然環境がなくなっていくといったようなこと、あるいは農地がなくなっていくといったようなことについての用途規制の導入、あるいはまた開発許可基準の条例による上乗せでありますとかというようなことが今回法改正に盛り込まれたところでございます。  こういう制度と現行の緑地の保全に関するいろいろな制度がございますが、そういう制度を総合的に運用していくべきだ、こういう御指摘がございまして、これに基づいて今回法改正で措置をさせていただこうということでございます。  それと同時に、今回、今先生のそういう御指摘、私どもの認識も同じでございますが、すべての都市計画に共通する都市計画基準といたしまして、都市計画に当たりましては、自然的環境の整備、保全への配慮をすべきであるといったようなことを、法律上、都市計画基準として明確に規定させていただいたところでございます。  審議会におきましては、最終答申では、この緑地の保全、自然環境の保全というのは非常に重要な課題であるということで、引き続き取り組むべき課題である、財源措置とか関連税制のあり方など幅広く総合的に検討すべきであるといったようなことで答申をいただいておるところでございます。
  227. 中西績介

    ○中西(績)委員 今も言われましたように、この点については、先ほどの全体的なマスタープランとあわせて、自然景観だとかあるいは自然のあり方だとか、こういうものをやはり十分取り入れた体制でのあり方を問われるわけでありますから、この点はさらに追求をしていくべきだということのようでありますから、この点については力を入れていただきたいと思っています。  もう一点だけ。従来の都市計画区域外の土地利用規制問題については、非常に大切な問題でありますけれども、本法案は、この土地利用の混乱に都市計画が責任を持って対処できないのではないか、中途半端になっておるのではないかという指摘がありました。本来、農村計画と総合された都市農村計画法が国土全体に適用され、あるいは都市計画法がすべての地域都市的土地利用、都市的施設に適用されるべきだということがありました。この点についてもやはり同じように重要なことではないかと思いますが、この点はどういうふうにお考えですか。
  228. 山本正堯

    山本政府参考人 先ほども先生指摘いただきましたように、都道府県のマスタープラン制度というところでも御説明させていただきましたが、都道府県全体の土地利用のあり方、あるいはまた都市、農村全体にわたる一つ都市農村計画法といったような法体系というようなものが必要ではないか、こういうことでございます。  先ほども御説明させていただきましたように、都市的な土地利用、農業的土地利用あるいは自然環境保全的な土地利用といったような調整につきましては、既に国土利用計画法が国土全体の土地利用の調整を行っておる、上位計画ということで行っておるところでございまして、この調整に基づきまして、それぞれ都市計画法あるいは農振法、農地法、自然環境保全法その他等々の個別法が、おのおのの法目的に従いまして、許可等々を通じまして適正な土地利用の実現を担保しているというのが現在の法体系でございます。  そういう中で、今、私どもといたしましては、都市計画法を、今回の中に、都市計画区域外でありましても都市的土地利用についての整序を行う必要があるということで、準都市計画区域制度の創設をいたしましたり、あるいはまた開発許可制度の都市計画区域外への適用の拡大といったようなことによりまして、都市計画区域外の土地につきましてもそういったような土地利用の整序を行うことができるような格好にしたわけでございます。  これによりまして、都市計画区域の内外を問わず都市的な土地利用の整序の手段が拡充されたわけでございまして、これらの手段を市町村が適切に活用することによって適正な土地利用コントロールを行っていく必要があるというふうに思っておるところでございます。
  229. 中西績介

    ○中西(績)委員 次に、先般の本法律案提案理由説明の中にありますように、現行都市計画法が施行されて三十年を経過し、都市をめぐる経済社会環境は制定当時に比べ大きく変容したため、地域が主体となって地域ごとの課題に的確に対応し得る柔軟性と透明性を備えた制度を求められており、都市計画制度全般にわたって抜本的に見直し、改正することとしています。  そこで、都市計画制度はまちづくりの基本的な手段で、その手段を大きく見直すことはまちづくりの基本方向が見直されることになると思いますけれども、今後の動向を踏まえて、将来のまちづくり、都市政策をいかなる方向に進めようとするのか、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  230. 中山正暉

    中山国務大臣 これからの都市計画制度とそれから都市政策の考え方の問題でございますが、我が国の都市には人口の大半が居住するとともに、経済活動の大部分が営まれておりますので、都市のあり方は我が国の経済活動や国民生活の質のあり方に直結する重要な課題だと思っております。  そんな意味で、今後の都市政策は、都市への人口集中の鎮静化、それからモータリゼーションの進展、少子化それから高齢化、そういうものの進行が著しくなってきておりますので、都市を取り巻く環境が大きく変化しつつあることを踏まえまして、既成市街地の再構築と都市間連携、それからまた経済活動の活性化に寄与する都市整備、それから環境問題など新たな潮流への対応、こういう問題を起点にいたしまして、地域が主体となって、地域ごとに、個性のあるまちづくりと申しますか、そういうものが発展していきますためにも、そういう課題を的確にとらえて、そして都市構造の再構築を進めていくことが目標。  そんな意味での新しい都市政策の考え方というものの根源をそこに、三十年ぶりに少しグレードアップするような、また各地域の個性を尊重するような、それから地方分権の時代にも備えるような、そういう足がかりにいたしたいと思っております。
  231. 中西績介

    ○中西(績)委員 先ほども御指摘あっておりましたけれども、地方分権、自治というもののあり方も、やはり地方におけるそうした都市政策初め農村との共生、共同というものが確立をされないと、その点が今まで日本の場合にはおくれておったし、外国の場合にはもう何百年も前からそうしたものが一定の方向性を持って組み立てられている。そして、それを今度いかに保存していくか、こうした問題等が絶えず論議を繰り返されておると思うのですね。  そうした点で、ぜひ、今おっしゃられたようなことも含めまして、さらにこれから日本の国土全体をどうするかということで徹底した追求をしていただければと思います。  もう一つ大臣にお聞きしますけれども、現行都市計画制度の基本的柱である市街化区域市街化調整区域の区分制度について、創設以来初めて大きな見直しをするようになっております。高度成長期にあってはこの区域区分制度は大きな役割を果たしてきましたけれども、現在、都市部の人口集中、沈滞あるいは経済社会情勢の変化、制度創設時とは異なるので、区域区分制度の廃止を含む見直しも必要ではないかと思いますけれども、今まで区域区分制度をどう評価し、そして今後これを都市政策の中でどう生かすつもりなのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  232. 中山正暉

    中山国務大臣 昭和三十年代以降、人口、産業が急速に都市に集中する状況が続いてきました。特に経済成長で、日本は加工産業国でございますから、京阪神とか京浜地帯とかそれから先生周辺の福岡の地域とか、特に朝鮮動乱みたいなものがありまして、急激に日本が、いわゆる生産的な活動が大変活発になりましたことが、そういう加工産業の都市の近郊に無秩序に市街化をつくってしまいました。  労働者が、働く人たちがそこへ集まるということになりましたものでございますから、住宅その他の需要も非常にふえまして、乱開発が行われたと思っておりますが、計画的な市街地整備を進める上で、線引き制度はその意味では大きな役割を果たしたと思っております。  現在でも、大都市圏を中心に市街化の圧力の強い地域が存在することでございますので、線引き制度自体の意義は今なお失われていないものと認識をいたします。  一方で、全国的に見れば、都市部の人口は鎮静化し、線引きによる土地利用規制の必要性が乏しくなった地域があることも事実でございます。  このために、地域の実情に応じた制度運用が行えるように、線引き制度は維持しつつ、しかも、大都市部を除き、都道府県が各都市計画区域線引きの要否を判断すること、そういう判断をしていただくような形に変えまして、地域の実情によっては線引きの廃止が可能であり、また一方で、制度上線引きができなかった都市計画区域においても、必要があれば線引きをしていただく。二極化といいますか、そういう地域の特性を尊重する形にいたしたわけでございます。  今後は、線引きを行う都道府県が的確に判断できるような技術的助言等に努めまして、地域の実情に応じた都市計画制度を実現いたしたい。  かようなものを、線引き制度の評価、それからまた今後の取り組みについてのお尋ねに対するお答えと考えております。
  233. 中西績介

    ○中西(績)委員 国土全般にわたる土地利用がこの法案である程度行われるようにということを先ほどからるる説明いただきましたけれども、これは一定の前進であろうと思っています。  しかし、都市計画区域外でも都市計画法規制することは、「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与する」という都市計画法の目的にこれは合致しておるとお考えかどうか、この点お答えください。
  234. 山本正堯

    山本政府参考人 準都市計画区域都市計画区域の外でも都市的土地利用の整序をすることができる、あるいはもう一つの、都市計画区域外の開発許可制度の導入でございますけれども、これも、都市計画区域の外で大規模開発行為についての規制ができる、こういう制度を今回導入させていただくわけでございます。  これらは、例えば準都市計画区域というのは、そのまま土地利用を整序することなく放置すれば、将来における都市としての整備、開発、保全に支障が生じるおそれがあると認められる区域について指定するということになってございます。こういった当該区域の土地利用を整序することは、先生、今おっしゃいましたように、都市計画法の第一条の目的でございます都市の健全な発展及び秩序ある整備に合致するというふうに私ども考えております。  あるいはまた、都市計画区域外の開発許可制度につきましても、この一条の目的でございます都市の健全な発展と秩序ある整備というものの前提となる手段ということで位置づけられるものというふうに考えております。
  235. 中西績介

    ○中西(績)委員 今お答えがございました点について、ぜひこれからも追求を強めていただければと思います。  都市計画区域外における土地利用規制については、これまで必要な区域において農業振興地域等の産業振興や自然保護の観点からの規制がなされたけれども、新たに都市的利用の観点から規制が加わることで混乱が生じることはないのか。  特に、農林漁業との調整は共同、共生の理念が必要と思うけれども、いかに進めるおつもりか、お答えください。
  236. 山本正堯

    山本政府参考人 都市計画区域外の中で、既存集落とかインターチェンジ周辺において建築行為とか開発行為が行われて、用途の混在とか良好な景観が失われるといったような問題が非常に出てきておる、こういう状況でございますので、今御説明申し上げましたように、準都市計画区域を指定して、当該区域においての用途地域等の都市計画ツールを活用して土地利用の整序を図ろうということでございます。  こういう地域につきましては、相当数の建築物の建築またはその敷地の造成が現に行われ、あるいはまた行われる見込みがあるといったような区域について定める、こういうことでございまして、条文上も、農振法その他の法律による土地利用規制状況等を勘案して、土地利用の整序が必要とされる場合に定められることを予定しておるということでございます。  相当数の建築物の建築が現に行われておるといったようなところにつきましては、優良な農用地というのがそういったようなところには含まれない、あるいは森林のところは、現に行われているようなところは含まれないというようなことでございます。  さらに、今、準都市計画区域において定められる都市計画につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、自然的環境の整備または保全及び農林漁業の生産条件の整備に配慮しなければならないということとされておるところでございます。農林漁業との調整については、十分な配慮がこの規定からも、この運用に基づいて行われるということを考えておるところでございます。  特に、今先生も御指摘いただきました、そういったような農業振興あるいは自然保護の観点等々との調整というのは大変重要であるというふうに考えておるところでございます。
  237. 中西績介

    ○中西(績)委員 きょうも御論議の中にも同僚議員の中にもありましたけれども、やはりこの種問題については今までのような縦割り行政でなしに、本格的にこういうときにこそそうした壁をなくして総合的にやっていくという、また新しい行政改革も行われるわけでありますから、そうした点で、この時期に本格的にやはり取り組んでいただくというのが物すごく重要じゃないかと思っていますので、そうしたことも含めまして、ぜひ取り入れていただければと思います。  次に、まちづくり手段であるこの都市計画制度を、地域の自主性を尊重し、地域特性を生かせるようにするために、緩和及び規制の両面から改正しようとしておるわけでありますけれども、内容は、準都市計画区域制度や特定用途制限地域制度の創設等、規制の強化につながる改正内容が相当入っておるようであります。現状の中で新たな規制制度を創設しなければならないその理由は何でしょうか。
  238. 山本正堯

    山本政府参考人 今回の改正の基本的な方向でございますけれども、中心市街地につきましては土地の有効利用等を進める。一方、郊外部につきましては良好な生活環境を保全し、豊かな田園環境のもとでのゆとりある居住を実現するということを基本の目標、考え方にいたしまして、そのための必要な規制の緩和あるいは強化といったようなものを、めり張りのきいた適宜適切な制度の創設、運用改善を図っていこう、こういうことでございます。  したがいまして、今回の改正につきましては、近年のモータリゼーションの進展等を背景にいたしまして、都市計画区域外についての開発行為等々に対します観点から、準都市計画制度等の必要な規制を創設いたしました。  あるいはまた、線引き制度選択制の導入に伴いまして、良好な環境の形成、保持を図る観点から、いわゆる線引きの白地、都市計画区域内の白地地域に対しまして、特定用途制限地域ということで、必要な土地利用規制を課すことによりまして、特定の用途の建築の立地を規制することによりまして良好な環境を保持していくというような制度を創設するということでございます。  したがいまして、先生、今御指摘のように規制強化の内容もございますし、場合によっては、例えば今申し上げましたような選択制によって緩める一方、その緩めたところについて必要なものについては新たなツールで規制をするといったようなことも含めて、制度の全体として、制度が良好な環境を保持できる、いい都市計画、まちづくりができるといったような観点からの改正を行っているところでございます。
  239. 中西績介

    ○中西(績)委員 次に、都道府県市町村権限や役割分担、住民の参加方法等についてある中から、地区計画決定などについて、住民の申し出等、都市計画についての住民の意向の反映の機会が拡大されているようでありますけれども、住民参加の機会拡大を保証するためには法律による規定化が必要ではないかと思います。  さらにまた、都市計画決定における決定権者と住民との関係を基本的にどのようにお考えになって定められたのか。この点についてお答えいただきたいと思います。
  240. 山本正堯

    山本政府参考人 住民参加につきましての法律による規定が必要ではないか、こういったような御質問でございます。  都市計画は、市町村、非常に住民に密接に関連するものでございますので、住民参加あるいは市町村の役割というのは非常に大きいわけでございます。そういう点につきまして、案の公告あるいは縦覧、意見書の提出とか、都市計画審議会の議を経るといったような手続が都市計画法に定められておりますが、そういう都市計画法の手続というのは、住民の財産権に対する具体の制限内容を決定する効果を持つということでございまして、こういうようなものについては、法律に基づいて全国一律に基本的には適用されるべきものだということであろうかと思います。  ただ、地方公共団体によりましては、都市計画への住民参加をより一層促進するという観点から、法定の手続をさらに慎重に、さらに加重するということが考えられるわけでございますが、これは、地方公共団体が地域の実情に応じて判断すべきものであるということであろうかと思います。  今回、そういうことを踏まえて都市計画決定手続において住民参加を進めることは大変重要であるということでございますので、こういうことをきちっと踏まえまして、一つは、国と地方公共団体は知識の普及、情報の提供に努めなければならないといったようなことを、責務をきちっと明記するといったようなこと、あるいはまた、都市計画の案を公告縦覧する際に、当該都市計画決定しようとする理由を添付するということによりまして、いろいろな住民の方々が都市計画をごらんになって、それについての御意見がいろいろ言いやすくなるというような点でありますとか、あるいはまた、先ほど先生が御指摘いただきましたが、市町村の条例によりまして、住民等が地区計画等の案を申し出る方法を定めるというようなこと等の措置を講じることとしておるところでございます。
  241. 中西績介

    ○中西(績)委員 その点で、私は地方分権ということが日本の行政組織そのものを大きく転換をするこの時期になっておるだけに、やはり地域住民の皆さんが責任を持つということが極めて重要だろうと思っています。ですから、ただ批判ということだけに終わるのでなしに、直接参加をすることによって責任を持ち、そして一緒につくり上げていくという、これが将来的な我々の目標ではないかと思っています。  したがって、そうした点を考えますと、むしろ、まだそういう状態にまで達していない条件の中におきましては、法律ででも体系的にそれを認めるということに、あるいはそのようにする、義務的なものにすることによって、これは後で解けばいいことだと思うのですね。本来なら、そういうことをせずにできれば一番いいのですけれども、そうした点を考えますので、この点について、これから後またいろいろ問題が出てきたときに見直しをしなくてはならぬと思いますけれども、そうした問題等が出なければ結構ですけれども、ぜひまたお考えいただければと思っています。  それから、基本的な問題の最後になりますけれども、都市計画における決定権者や関係公共団体、住民などの自主性や自由度等の拡大のため、多様な制度整備がされようとしております。しかし、結果的には、都市計画制度がさらに複雑になって、先ほどちょっとありましたけれども、一般の国民にとって身近であるはずのまちづくり制度の理解が困難になっていくのではないかということを心配いたします。制度体系をもっと明快でわかりやすく、使いやすくするべきではないか、また、住民への周知と啓発にどのように取り組むおつもりなのか、この点についてお答えください。
  242. 山本正堯

    山本政府参考人 現在の都市計画制度体系、大変複雑で住民になかなかわかりにくい、難解、理解されないというような御批判があるということも私ども十分承知をし、大変苦慮しておるところでございます。  このため、今回の法改正では、新たに国、地方公共団体がそういうことを踏まえて、責務として、住民に対して都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならないということを条文上明確にいたしまして、私ども国はもちろんでございますけれども、地方公共団体、特に県、市町村等につきましては、そういうものが住民に対して、折に触れ、機会があるごとに、都市計画に関する知識の普及啓発に努めていこうということを責務として書かせていただいたところでございます。  私どもといたしましても、地方公共団体と協力をしながら、地域住民の方々が主体となってまちづくりに積極的に参加できるように、都市計画制度に関するいろいろな知識の普及啓発、いろいろなまちづくりの事例の提供とか、あるいはまた、私どもの方からノウハウの提供でありますとかといったようなことについて積極的に取り組んでまいりたい、それもまた一つの私どもの大きな責任だというふうに感じております。
  243. 中西績介

    ○中西(績)委員 この点は、もちろん政府だけでなしに、それぞれの地方自治体そのものの責任、そのことがまた大きなこれからの役割になるわけでありますから、この点と同時に、そこまでまだ至っておらないとするならば、ある程度、一定の期間なりやはりやらなくてはならぬ、そういうことで、私は周知徹底という問題を出してみたのです。この点、やはりこれから地方行政、そこがやはり主体になってやるということが一番大事ですから、そうすることによってまた住民参加ということも出てくるわけでありますから、やはりこれから後、連携を深めていただいて、そうしたことを達成していただくよう、また十分住民が認識できるようにしていただければと思います。  個別的な問題、一、二お聞きをしたいと思いますけれども、時間がだんだんなくなってまいりましたが、区域区分を定めることは基本的に都道府県の自主性にゆだねられておるようでありますが、三大都市圏、既成市街地、近郊整備地帯などにおいては、これまでどおり定めることを義務づけられております。なぜ、全都道府県の自主性にゆだねることができないのか、この点、お答えください。
  244. 山本正堯

    山本政府参考人 線引きするか否かについては、原則として都道府県の判断にゆだねるわけでございますけれども、先ほど来御説明申し上げておりますように、首都圏、近畿圏、中部圏等の既成市街地あるいは近郊整備地帯、あるいは政令指定都市等を含みます都市計画区域につきましては、先ほど来申し上げておりますように、総じて都市への人口流入の圧力が依然としてまだ高い、スプロールを防止するための手段として、線引きというのは一つ有効な手段であるということ。  それから、首都圏、近畿圏、中部圏の既成市街地と近郊整備地帯等々につきましては、首都圏整備計画等、国土レベルの地域振興計画、開発計画によりまして、計画市街化が必要な区域として国として法律上位置づけられておる、こういうことでございます。したがいまして、そういうところの地域につきましては、引き続きまして、線引きを行うことを義務づけるという格好にしておるわけでございます。  ただ、先ほど来いろいろ議論が出ておりますように、その中での線引きの見直しにつきましては、具体的な基準で運用の方針をきちっと示すということも大切でございますし、また、三大都市圏以外の都市計画区域線引きにつきましても、具体的な基準、具体的な要件に基づきまして、随時、適宜見直していくということも大変必要なことであろうというふうに思っております。
  245. 中西績介

    ○中西(績)委員 先ほどからの論議にありましたように、この種の問題について、やはり私もそうなのですけれども、素人なものですからなかなかわかりにくい。ですから、この点について、今後の課題としてまた云々ということも言われましたけれども、いずれにしましても、この種の問題については、やはりもうすっきりした形でやるようにしていただくと随分皆さんも御理解いただけると思うし、ここら辺については、やはり本格的に取り組んでいただくことを要請しておきたいと思います。  次に、現在区域区分を定めている都市計画区域において区域区分を廃止した場合、従前市街化調整区域に指定されていた区域は、用途地域の指定のない区域、いわゆる白地地域となり、これまで市街化が抑制された反動もあり、一時的に開発行為が急増して、大規模店舗の進出等無秩序な市街地が形成されるおそれがないのか。もしそういう傾向があるといたしますならば、防止対策をどのようにお考えになっておるのか。この点をお答えください。
  246. 山本正堯

    山本政府参考人 線引き制度選択制の導入に伴いまして、線引きを廃止した都市計画区域におきましては、従前市街化調整区域であった区域が非線引き白地になるわけでございます。市街化調整区域ということでこれまで厳しく開発が抑制されていた地域が、用途の制限が働かない緩やかな土地利用制限の区域に変更されるということでございます。先生おっしゃるとおりでございます。こういう点で開発の自由度が高まるということが当然考えられるわけでございます。  こういう状況に対応いたしまして、線引き制度選択制の導入とあわせまして、先ほど来御説明申し上げておりますように、特定用途制限地域の制度を創設する、あるいはまた、建築物の形態制限についても、従前、容積率四〇〇%、建ぺい率七〇%と原則になっておりましたものを、それぞれ容積率五〇%、建ぺい率三〇%までメニューを追加した上で、特定行政庁が、地域の実情を踏まえて、審議会の議を経て個別に指定をすることができるといったような制度も導入をしたわけでございます。  そういうような制度、特定用途地域でありますとか、そういう非線引き白地における容積率、建ぺい率の改善でありますといったようなものを通じまして、適正な、良好な環境の形成、保持を図っていくということに努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  247. 中西績介

    ○中西(績)委員 きょう同僚議員のそうした指摘等もあり、この種の問題については相当力を入れないといろいろな形態での矛盾がまた出てくる可能性があるわけでありますから、この点についてはさらに追求を強めていただければと思います。  次に、開発許可の基準のうち、技術的細目についてお伺いをしたいと思います。  環境の保全、災害の防止及び利便の増進を図るために、地域の実情に応じ制限を強化することは必要と考えますけれども、制限内容が厳しくなり過ぎると、開発事業者にとって過大な負担になり、開発意欲を抑制することになる可能性があります。開発を抑制する手段として条例による制限強化がなされないようにすべきであると思いますが、この点についてと、また今度は逆に、条例により過度の緩和が行われると、必要な安全性や環境も確保されない開発行為を助長することになりかねないと思われます。この場合、いかなる対応が必要なのか、こうした点についてもお答えいただければと思います。
  248. 風岡典之

    風岡政府参考人 今回の改正案におきましては、地域の実情に応じたまちづくりを推進するという観点から、地方公共団体が条例で開発許可の基準、技術基準でございますけれども、これを強化または緩和することができるように、このようにしているところであります。  特に、今御指摘をいただきました基準の強化のところ、これは厳しくなり過ぎると開発が抑制されるのではないか、御指摘のとおりでございまして、やはり財産権に対する規制の公平性とか、あるいは良質な宅地の供給というような観点から、その範囲はやはり合理的な範囲にとどめるべきである、このように考えております。  そのため、条例による規制対象でございますけれども、これは法律で定める基準についての具体的な、技術的な細目の範囲に限る。例えば、一定の開発については公園面積を三%以上とりなさいとか、あるいは幅員六メートル以上の道路に接しなさい、そういう技術的な細目でございますけれども、そういったものに限定をするということにしております。したがいまして、法律にないような基準を追加したり、そういったことについては行わないようにしたい、このように思っております。  また、今回の改正では、条例を定める際に従うべき基準というのは政令で定めることにしております。この内容はこれから十分検討させていただきたいと思っておりますけれども、現時点におきましては、強化の程度というのは環境の保全等を図るために必要な範囲にとどめるべきだ、また事業者に対しても不当な義務を課すものではならない、こういったことを基本にして政令の基準というものを検討していきたい、このように思っております。  それからまた、緩和の方についてでございますけれども、これも、条例で無制限に緩和ということになりますと、これは開発許可の目的であります一定の宅地の水準の確保という点から見るとやはり大きな問題が生じます。これにつきましても、条例で基準の緩和をする際の基準というのは、これは政令で定めることにしておりますので、例えば宅地の安全性に関する基準、こういったものについてはやはり緩和になじまないわけでございますので、緩和ができる範囲というものにつきましても明らかにしていきたい。  いずれにしましても、技術基準の強化、緩和というのは、あくまでも地域の実情に応じたまちづくりを推進するための手段ということでありますので、これが行き過ぎによってまちづくりの阻害ということにならないように私どもとしても留意をしていきたい、このように考えております。
  249. 中西績介

    ○中西(績)委員 この部分は、具体化する場合にはすべて政令にゆだねるということになっておるようでありますから、この点、やはり相当研究していただいて、その地域、その地域における異なる点、相当出てくると思いますので、ある程度余裕を見て体制をつくっていただかなくてはならぬ、こう思います。  したがって、ぜひこれから後、そうした問題等につきましても、政令が出されてからまたいろいろ私たちお聞きする点もあると思いますけれども、いずれにしましても、本日のところ、それで終わりたいと思います。  次に、都市計画決定手続についてお伺いをしたいと思います。  都市計画案作成以前に、制度的に市町村がその意思を伝えることが可能となることは前進でありますけれども、都道府県はその申し出をどう処理するのか、本当に生かすつもりがあるかどうかということが非常に疑問視されてくるわけでありますけれども、この点はどうなるのか。  さらに、市町村が定める都市計画のうち、特に地域住民等に密接に関係のある地区計画等について、条例によって、住民等からの申し出を受ける制度を措置できることとなっておりますけれども、申し出る方法、内容はどのように定めていくのか。さらにまた、市町村、住民等からの申し出をどう取り扱っていくのか、この点についてお答えください。
  250. 山本正堯

    山本政府参考人 都道府県は、都市計画の案となるべき事項につきまして市町村からの申し出を受けるということになるわけでございますが、市町村からの案の申し出を受けた場合、当該申し出の内容は、都道府県は当然のことながら十分に尊重し、これを踏まえて都市計画の案を作成することが当然に求められているというふうに私どもは認識をいたしております。  国としましても、公共団体がこういうふうに市町村からの案の申し出を受けて、市町村都道府県が連携をとりながら、まちづくりのいい都市計画決定をされるように、私どもとして必要に応じまして技術的助言等を積極的にやっていきたいというふうに考えておるところでございます。  それから、今回もう一つ、地区計画等につきまして、条例によりまして、住民等からの申し出を受ける制度にさせていただいた案になっておるわけでございます。今までは、地区計画等につきましては、市町村に対しまして、当該地区計画の案の作成に当たって、条例で定められた手続に従いまして、地権者や利害関係人の意見を求めることを義務づけてきたわけでございますが、これを一歩進めまして、市町村が必要と認めるときには、当該条例において、住民や利害関係人から市町村への地区計画決定、変更についての案の申し出をすることができるといったように、今回、地域住民、利害関係人の立場を、御意向を尊重するといったような制度に改めたわけでございます。  この場合におきまして、申し出の内容、その手続等につきましては条例で定めることになるわけでございますが、市町村が、地域の実情を踏まえた、できるだけ柔軟な対応が可能となるように自由に定めることができるように措置をする予定にしておるところでございます。
  251. 中西績介

    ○中西(績)委員 各県段階における問題についてお聞きしたわけでありますから、その点については随分無理な点もあるかと思いますけれども、このように住民参加という形態をようやくとるようになってきたわけでありますし、そしてそのことが成功するか否かというのは、結果的にはやはり本当にそのことが生かされるかどうかということがこれから後の大きな課題になってくるわけでありますから、特にこの点を指摘したわけであります。可能な限り、こうした点についても十分な連携がとれるようにしていただければと思います。  次に、都道府県市町村は、住民または利害関係人に係る都市計画決定の手続に関する事項について、条例で必要な規定を定めることができるものとなっておりますけれども、別の規定を定めると言われておりますけれども、その内容等について、どういう中身になっておるか、これは先ほどちょっと出てきた点もあったかと思いますけれども、お答えください。
  252. 山本正堯

    山本政府参考人 都市計画決定の手続の関係でございますが、例えば現在の法律では、必要に応じて公聴会の開催をするということになっておりますが、そういう公聴会の開催に加えましてワークショップ等の開催を行うというようなことを定めるとか、あるいは、現在、都市計画の案の縦覧期間が二週間というふうにされておりますが、地域の実情によりまして、一定の都市計画についてはこれを三週間あるいは四週間という慎重な手続にするといったようなことが、内容で定めるような一つの例ではないかというふうに考えております。
  253. 中西績介

    ○中西(績)委員 時間がありませんので、先に行きます。  都市計画に関する知識の普及及び情報について、国及び地方公共団体は、都市の住民に対しまして、都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならないものとするとありますけれども、類似の規定を持つ法律は食料・農業・農村基本法等ありますけれども、いかに具体的に実施されていくのか、この点についてお答えいただくのと、もう一つ、自然環境に対する配慮でありますが、当該都市または地域における自然環境の整備または保全に配慮しなければならないこととするとありますが、ここで言う自然環境の整備とは何を指しておるのか、お答えいただきたいと思います。
  254. 山本正堯

    山本政府参考人 今回、この法律によりまして、国及び地方公共団体の責務規定で、先ほど来御説明申し上げておりますように、都市の住民に対しまして、都市計画に関する知識の普及、情報の提供に努めなければならないという規定を盛り込んでおるわけでございます。  この具体的な中身についてはこれからいろいろな、あらゆる手段、あらゆる内容のことが考えられると思いますが、例えば講習会でありますとかパンフレットの作成、インターネットの活用、いろいろな事例の紹介、新しい制度の紹介といったようなこと等について、考えられる知識普及の手段等を駆使いたしまして、都市計画の情報提供に努めていきたいというふうに考えておるところでございます。  それから二点目の、自然的環境の整備または保全に配慮しなければならないという規定、これも十三条の「都市計画基準」等々で盛り込ませていただいたわけでございますが、ここで言う自然的環境の整備といいますのは、当然のことながら、例えば都市公園の整備とか公共公益施設の緑化というようなものを指しておる、こういうふうに考えておるところでございます。
  255. 中西績介

    ○中西(績)委員 最後に、開発行為に係る公共施設管理者の同意等の問題についてお聞きしたいと思います。  開発許可を申請する者から協議を求められた公共施設管理者などが恣意的な判断で協議に応じないことを防ぐため、協議観点法律上明確にするとありますけれども、どのような点を法律規制していこうと思っておるのか、お答えください。
  256. 風岡典之

    風岡政府参考人 開発許可の申請をしようとする場合には、あらかじめ、関係する公共施設の管理者と協議同意等が必要になるわけでございます。申請を受けた公共施設の管理者の方につきましては、本来の趣旨を超えて、住民の同意が必要だとかいうようなことで、同意とか協議を拒むようなケースも残念ながら見られております。これまでもいろいろ運用の改善に努めてきたわけでございますけれども、そういった例が見られる状況にあります。  したがいまして、今回の法律改正におきましては、この協議趣旨というものを明確にするということで、公共施設の適切な管理を確保する観点から協議を行うんだ、本来の趣旨を明確にするということで改正をさせていただきたい、こういうことでございます。
  257. 中西績介

    ○中西(績)委員 時間が参りましたので、終わります。
  258. 大口善徳

    大口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  259. 大口善徳

    大口委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。辻第一君。
  260. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、日本共産党を代表して、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  今回の改正は、現在の都市計画法が制定されて以来、三十二年ぶりの改正であります。  この間の都市計画制度、線引きの問題一つとっても、見直しのたびに拡張された市街化区域市街化調整区域などでの乱開発、容積率や日影規制の緩和などによる都市改造の急速な進展は、長年住み続けてきた住民を追い出す結果になりました。  今回の改正では、こうした市街地の開発やゆがんだまちづくり、さらにはそれらに伴う生活環境の悪化などに対する再点検や総括に基づいて行われたものとは、到底言えないのであります。  以下、反対の理由を申し上げます。  第一は、市街化区域市街化調整区域の区分の都道府県選択制です。自治体の自主的なまちづくり具体化の機会を拡大した側面を持ちつつも、規制緩和、自由化の側面が強い改正であり、線引きをしないことにより、乱開発を促進する危険があります。  第二は、市街化調整区域における開発の緩和は、既に無計画な開発が進み、市街化調整区域が本来の姿を喪失していることへの追認であり、市街化区域の先取り、予備地域を確保するもので、さらに市街地の拡散を誘発する可能性があります。  第三は、特例容積率適用区域の指定であります。現に、都心では四〇〇%もの過大な容積率が指定された上に、土地の有効高度利用の制度があります。さらに、今回の指定制度の新設は、ますます超過密な大都市改造に直結する重大な規制緩和であり、開発側に有利に働く制度であります。  第四は、都市施設の立体的な都市計画決定手法の導入は、建築規制を緩和し、立体的、複合的な施設整備を促進し、計画的なまちづくりや土地利用を破壊、一層の過密開発を促進するものであります。  第五は、準都市計画区域制度の創設は、土地利用構想などがきちんと整備されないままでは、開発予備区域の先取りとなる可能性があることです。  以上、反対の理由を申し上げ、反対討論といたします。
  261. 大口善徳

    大口委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  262. 大口善徳

    大口委員長 これより採決に入ります。  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  263. 大口善徳

    大口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  264. 大口善徳

    大口委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、原田義昭君外五名より、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党及び社会民主党・市民連合の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。吉田公一君。
  265. 吉田公一

    吉田(公)委員 ただいま議題となりました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党及び社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のとおりでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。  一 地方公共団体における都市計画決定・変更等が円滑かつ適正に推進されるよう、必要となる参考資料等の情報の提供、人材の育成等支援体制の整備その他特段の配慮を図るよう努めること。  二 市街化区域市街化調整区域との区分の都道府県による選択制への移行に伴い、区域区分を廃止することとなる都市計画区域については、従前市街化調整区域に指定されていた区域の無秩序な市街化を防ぐとともに、中心市街地の衰退を招くことのないよう必要な措置が講じられるよう努めること。  三 都道府県都市計画区域整備、開発及び保全の方針の策定に当たっては、市町村との合意形成を十分に図り、当該市町村都市計画に関する基本的な方針と整合性が保たれるよう努めること。  四 都市計画区域外における秩序ある土地利用を図るため、準都市計画区域制度の積極的な活用と開発許可制度の的確な運用が図られるよう努めること。  五 特例容積率適用区域制度の適用に当たっては、指定した特例容積率の限度を広く周知する等、本制度について関係者の理解を深める観点から必要な措置が図られるよう努めること。  六 都道府県の定める都市計画の案に対する市町村の申し出制度及び地区計画等の案に対する住民の申し出制度については、それぞれの意向を十分尊重するとともに、円滑な都市計画決定がなされるよう努めること。  七 都道府県全域を対象とした都市計画に関する基本的な方針のあり方について、引き続き検討すること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
  266. 大口善徳

    大口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  267. 大口善徳

    大口委員長 起立多数。よって、原田義昭君外五名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、中山建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。建設大臣中山正暉君。
  268. 中山正暉

    中山国務大臣 建設大臣として一言ごあいさつを申し上げます。  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げております。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました、地方公共団体が円滑かつ適正な制度運用が行えるよう配慮し、区域区分が廃止される都市計画区域における無秩序な市街化の防止等の課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  269. 大口善徳

    大口委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  270. 大口善徳

    大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  271. 大口善徳

    大口委員長 次に、内閣提出建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。建設大臣中山正暉君。     —————————————  建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  272. 中山正暉

    中山国務大臣 ただいま議題となりました建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国においては、近年、建設工事に伴い発生する廃棄物の量が増大し、廃棄物の最終処分場の逼迫及び廃棄物の不適正処理等廃棄物処理をめぐる問題が深刻化しております。その一方で、限りある資源の有効な利用を確保する観点からは、これらの廃棄物について再資源化を行い、再び資源として利用していくことが強く求められております。  この法律案は、このような状況にかんがみ、特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化等を促進するための措置を講ずるとともに、解体工事業者について登録制度を実施すること等により、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図り、もって生活環境の保全と国民経済の健全な発展に寄与しようとするものでございます。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、一定規模以上の解体工事その他の建設工事においては、受注者は一定の技術基準に従い、特定の建設資材について分別解体等を実施する義務を負うことといたしております。また、工事の着工に先立ち、発注者はその分別解体等の計画等を都道府県知事に届け出ることといたしております。  第二に、分別解体等に伴って生じた特定の建設資材に係る廃棄物については、受注者は再資源化を実施する義務を負うことといたしております。ただし、再資源化が困難な場合には、縮減をもって足りることといたしております。  第三に、解体工事業者の登録制度を創設するとともに、解体工事業者に対して、技術管理者の選任及び解体工事の現場での標識の掲示等を義務づけることといたしております。  第四に、分別解体等及び再資源化等の円滑な実施を確保するため、必要な費用の適正な負担についての発注者の責務等を定めるとともに、主務大臣または都道府県知事は建設工事の発注者に対して再資源化により得られた建設資材の利用について必要な協力を要請することができることといたしております。  その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うことといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。  以上でございます。
  273. 大口善徳

    大口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る二十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五分散会