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2000-03-31 第147回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月三十一日(金曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 大口 善徳君    理事 佐田玄一郎君 理事 原田 義昭君    理事 宮路 和明君 理事 田中 慶秋君    理事 吉田 公一君 理事 井上 義久君    理事 青木 宏之君       加藤 卓二君    亀井 久興君       岸田 文雄君    小林 多門君       桜田 義孝君    西川 公也君       蓮実  進君    林田  彪君       松本 和那君    宮腰 光寛君       樽床 伸二君    平野 博文君       前原 誠司君    渡辺  周君       赤羽 一嘉君    上田  勇君       西野  陽君    辻  第一君       中島 武敏君    中西 績介君     …………………………………    建設大臣    国務大臣    (国土庁長官)      中山 正暉君    建設政務次官       加藤 卓二君    建設政務次官       岸田 文雄君    政府参考人    (国土庁土地局長)    小林 新一君    政府参考人    (国土庁防災局長)    生田 長人君    政府参考人    (大蔵大臣官房審議官)  木村 幸俊君    政府参考人    (厚生省生活衛生局水道環    境部長)         岡澤 和好君    政府参考人    (建設省建設経済局長)  風岡 典之君    政府参考人    (建設省都市局長)    山本 正堯君    政府参考人    (建設省河川局長)    竹村公太郎君    政府参考人    (建設省道路局長)    大石 久和君    政府参考人    (建設省住宅局長)    那珂  正君    参考人    (都市基盤整備公団理事) 両角  博君    参考人    (都市基盤整備公団理事) 荒田  建君    建設委員会専門員     福田 秀文君     ————————————— 委員の異動 三月三十一日  辞任         補欠選任   上田  勇君     赤羽 一嘉君 同日  辞任         補欠選任   赤羽 一嘉君     上田  勇君     ————————————— 三月三十一日  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出第七〇号) 同日  愛知万博を利用した新住宅開発事業の中止に関する請願(金子満広紹介)(第一〇九〇号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一〇九一号)  同(瀬古由起子紹介)(第一〇九二号)  同(藤木洋子紹介)(第一〇九三号)  同(吉井英勝紹介)(第一〇九四号)  同(北沢清功紹介)(第一一七二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出第七〇号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件     午前九時一分開議      ————◇—————
  2. 大口善徳

    大口委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  両件調査のため、本日、政府参考人として建設省建設経済局長風岡典之君、都市局長山本正堯君河川局長竹村公太郎君、道路局長大石久和君、住宅局長那珂正君、国土庁土地局長小林新一君、防災局長生田長人君、大蔵大臣官房審議官木村幸俊君及び厚生省生活衛生局水道環境部長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大口善徳

    大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、お諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として都市基盤整備公団理事荒田建君及び同理事両角博君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大口善徳

    大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 大口善徳

    大口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本和那君
  6. 松本和那

    松本(和)委員 十五分という大変短い時間ですので簡略に、また私は、四月に都市計画法改正がありますので、先輩諸君にちょっとお願いしてそちらの方の質問をやらせていただくという願望を込めまして、その前段で容積率私権制限についてお尋ねいたしたいと思います。  御承知のように、平成九年の都市計画法建築基準法改正で、容積率が当時、高層住居誘導地区というのを設けて、従来四〇〇%のところ、この地区に限っては六〇〇、あるいはまた規模の大きい土地については一〇〇や二〇〇上乗せするということで画期的な改正があったわけなんですけれども、これは、当時というよりも三十数年前にこの法律ができてから久しぶりの改正だったわけであります。しかし、十年前のバブルの土地高騰を見てもおわかりのように、私流に申し上げるならば、あの土地高騰というのは、この狭い国土の中でもって土地面積というのは利用できるところが限られてしまっている、その中でやはり容積率が不十分じゃなかったのかという考えを持っております。やはり都市計画まちづくりの基礎になる、ベースになるこの容積率というのは非常に長い間限定されて、低く抑え込まれていたんじゃないかという気がするわけであります。  ですから、そういう中でもって六〇〇になり八〇〇というのは大変画期的なことなんでありますけれども、まだまだその辺のパーセントでは、都心部、特に東京都心部というのは、今首都機能移転や、あるいはまた石原知事が逆にこの東京をもっと充実して社会資本を投入しようというような形で反対論も出てきておりますから、そういうことを含めますと、やはり当時の、三十数年前の経済状況もそうでありますけれども、都市を取り巻くいろいろな、交通道路、そういったものも大変さま変わりするくらい今変わってきている、しかしこの容積率だけはずっと抑え込まれているというのは、どうも都市政策上まずいんじゃないかという気がいたします。  本来日本人というのは、土地に対して、国も企業も個人も、ずっと所有することを五十数年やってきたわけでありますけれども、これからはやはりそれを利用する時代に向かっているわけでありますから、いろいろな意味での環境が変わってきていることを考えますと、やはりひとつ思い切って容積率というものをアップして、土地は売らない、貸さないという日本人所有権を主張するような形から、一番お金のかからないのは容積率ですから、これを十二分に駆使してまちづくりをやるべきだというふうに考えております。  そこで、現在でも、東京二十三区の中の容積率使用率というのはまだ五〇%ぐらいしかいっていないわけですね。依然として都心部に二階建ての居住がある。そして、一番いい環境の中でもって、居住者は、文化といいますか文明の利益を、恩恵を受けているという実態にあるわけです。ですから、いろいろな改正法をやってまいりましたけれども、基本的な考えに立ってのグランドデザインを描くための容積率ベースにしたまちづくりというのはなかなかできない。そういう意味で、やはり容積率というのは、本当に真剣に、まちづくりベースとして全体の調和がとれるような形をやっていくべきだろうと思います。  そこで、第一点目の質問でありますけれども、この二年半ぐらいの間に、もともと最初は三千六百ヘクタールぐらいを首都圏の中で四〇〇%の容積率地区を想定していたんですけれども、五%ぐらいに、五、六%にたしか抑え込まれてしまったというふうに思います。それでも大変貴重なんでありますけれども、この二年半ぐらいの間にこの容積率を、高層住居誘導地区において何か建設された、そういった事例というのは何件ぐらいあるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  7. 山本正堯

    山本政府参考人 先生今御指摘のとおり、二年前、平成九年に都市計画法等改正高層住居誘導地区制度が創設されたところでございます。これは、御案内のとおり、都心における居住機能適正配置ということで、職住接近都心居住を推進しようということから生まれた制度でございます。  これにつきまして、これまでに二件ございます。東京都の港区の芝浦四丁目、それから江東区の東雲一丁目、この二地区で決定されたところでございます。いずれも、最大の六〇〇%まで容積率緩和することによって、都心高層住宅住居を誘導していこう、こういう制度でございます。
  8. 松本和那

    松本(和)委員 二年間ですからそんなものかなという気がいたしますけれども、一方には経済不況、そしてまた、まだ制度上の整備がされていなかったんだろうと思います。その後、定期借地権やいろいろな建築基準法改正もありましたから、これからかなという気がいたします。  そういう意味で、外資日本への進出も大変大きいので、アジア諸国では、いろいろな町はみんな相当高層ビルを建てて、外資系が投資しやすい、魅力のある投資ができるような形のまちづくりをやっているわけですね。ですから、そのためには、やはり容積率というのを思い切り上げていく必要があるんだろうと私は思います。少なくとも一五〇〇%ぐらいに、東京中心の三区と山手線中側ぐらいはそういった形の考え方に持っていきたいと思うんですけれども、それについてはいかがでございましょうか。
  9. 加藤卓二

    加藤政務次官 今松本委員から大変大事な話が出ております。そのとおりでございまして、私、個人的な考え方では先生とそっくり同じ考え方なんですが、やはり行政的にはいろいろな問題点があっていろいろあれしておるわけでございますが、私、せめて今先生のおっしゃっているような形にして、東京都の昼間人口夜間人口の格差をなくすということを、少なくも、今ちょうどニューヨークマンハッタン面積でいくと東京が三区ぐらいの大きさになりますが、これは十倍ぐらいになりますが、ロンドンだと二・六倍、ニューヨークマンハッタンで二・三倍、パリでは一・四倍。これは、はっきり言うと容積率を非常に上手に使って、その空間を居住区にしている。そうすると、交通の問題も、遠くの方から自動車で、一人で重役が通ってこなくても、その地域に住めるような立派な住宅もできるでしょう。そして、平米当たりも広くつくると、平米を広くしたからといって、人間の数がふえなければ大変人数が少なくて済むとか、いろいろな問題点があるので、今そういう点をぜひひとつ緩和していくと、交通の関係も緩和してくる。  それで、建設省としては、空地の創出や公共施設整備を図るなど、まちづくりに貢献、優良なプロジェクトについては容積率を上乗せする各種制度を積極的に適用するよう地方公共団体に働きかけてやっております。  これは、霞が関ビルだとか新宿副都心だとかアークヒルズだとか、全国各地にそういうふうな優良な施設をつくるように努力しておりますが、まだまだ容積率緩和が足りないのじゃないのか、そういうふうに私は個人的には思っていますが、行政としても、できる努力をいたしていきたいと思っております。
  10. 松本和那

    松本(和)委員 よろしくお願いいたします。  時間がございませんので、ニューヨークなんかは住居ゾーンでも大体一〇〇〇%を設定しているわけですから、ぜひ大都市東京は将来そういう形にお願いしたいと思います。  それから二番目の、これらの事業を行うために、今、民主主義そして個人の権利というのが物すごく主張されている日本の国ですから、なかなか難しいのですが、やはり一番大事なのは、もうそろそろ、今申し上げたような地区に関しては緩やかな私権制限土地所有権私有財産制度日本の国ですけれども、イギリスなんかはもうやっているので、ひとつあめとむちで、思い切った地区に絞って、緩やかな私権制限をやらなければだめなときに来ているだろう。  いろいろな法律改正してやってきました。しかし、みんなそれぞれ、今日までまちづくりをやってきた建設省努力というのは、この制度のもとで大変すばらしい力を発揮してきたと思うのですが、これからやはり本当にもっといいまちづくりをするために、まずこの辺の地区に関しては私権制限をする必要が出てきたのだろうと思います。  戦後五十数年、日本の国の大体いろいろなまちづくりというのは、公共利益個人利益、この調整が全然できていなかったし、片方民主主義で主張されれば、みんなやむを得ず一個人のあれは尊重してきた、そういう形だろうと思いますけれども、少なくとも都心部というのは、やはり公共の福祉という観点に立てば、今土地というのは、先ほど申し上げましたように、所有することによる資産ではなくて使う資源になってきているわけですから、そういう考え方があるかどうか、ちょっとひとつその辺をお願いします。
  11. 加藤卓二

    加藤政務次官 私権制限をしよう、本当に先生のこういうお話、これはもう欧米では当たり前になっていることが、日本ではどちらかというと、そういう意味で大分おくれをとっているんだなというのは感じるわけですが、先生のおっしゃっているとおり、私権制限しながら、なおかつ欧米並み都市をつくる努力をしていきたい、こう思っております。
  12. 松本和那

    松本(和)委員 その辺はよろしくお考えいただきたいと思います。  最後に、時間もございませんけれども、千葉県は御承知のように東京国際空港があって、土地収用のための委員会は設置はされているのですけれども、十二年前から委員がいません。これは千葉県だけ独特な形になっているわけでありますけれども、そのおかげで、我々の地元でいろいろな都市計画事業もやるのですけれども、あとわずか三十メートル、五十メートルの収用がかけられないのですよ。これを、委員会を再開しますと爆弾を投げつけられる。私がこういう発言をすると、もうあしたあたり、ちょっと危ない傾向があるので、その辺は、この収用の方はこれでもって対応して、今千葉県はつくらない、成田空港が解決するまでつくらないのですけれども、都市づくりはまた別なんですから、これにかわる代替制度というのは全くないですね。こういうのは千葉県だけだからやむを得ないというふうに放置されて十二年来たのですけれども、やはり国家のためにこれだけの空港をつくってやっている。  片方では、東京都は一生懸命、羽田空港を今度国際化しようなんて、千葉県の二十数年の苦しみなんか全く忘れたような発言をされているわけでありますから、何とかまちづくりのために、代替一つ法律みたいなものをおつくり願いたい。これは要望でございますけれども、せっかくの機会ですから、建設大臣いらっしゃったので、その辺の考えについて、ちょっと大臣感想ですね。
  13. 中山正暉

    中山国務大臣 先生のおっしゃるように、日本航空行政、これは所管外のことで、政治家として感想を申し上げますと、大阪は、関西空港株式会社方式成田公団方式、今お話しの羽田は国の直轄で、あっという間に立派な空港ができていくという、何か航空行政、ちょっと一貫性がないんじゃないかなというような気持ちでずっと見ておりました。  自分の地元のことを言うと恐縮でございますが、伊丹空港なんというのは私の選挙区ではございませんが、大阪という意味で、西日本という意味で、古い伊丹空港は、七千五百億円も周辺対策費が入っておりますのに相変わらず夜の九時で、これが本当に痛み入るなんていうことになるんじゃないかなんて冗談を言っているのですが。  とにかく、そういう意味で、航空行政の中で、特に成田は、私が当選いたしましたころ、四十四年、日中条約が締結されたときに開港したみたいな、その日に管制塔にいわゆる過激派の連中が乱入して、下水から入って、そのまま、まだ成田は完成した空港として効用を果たしていないということを見ますと、先生お話のように、もう米ソの対立もなくなったし、何が今ごろ過激派だという感じがするのでございますが、その意味で、それに対する審議会もない。だから、もういわゆる審議会に頼らずに、航空行政として一貫性を持たせたものを何か確立するべきときではないかなと、今途中で、お話を聞きながら、ふだん思っておりますこと等、瞬発的に物を申しますと大変語弊があるかもわかりませんけれども。  私は、そういう意味で、それこそ政治主導性、これだけ立派な国会議員さんが大勢いらして、先生のようなお地元の大物がいらっしゃるわけでございますから。そういうところは、これからの東京都を中心にした一都三県の交通網も、成田空港にアクセスするための交通網ももっと整備されて、もっと近いという意識になりませんと、私どもも成田空港を時々使わせていただいておりますけれども、大変渋滞で、外国から着いた方にはどんな印象で受けとめられるかなと。  国際空港というのは国境でございますから、私は、その国境整備という意味でも、成田空港のような、今一番世界的に有名になっている空港でございますから、これは、首都圏にアクセスするための外国からの入り口はもっと簡略化して、ほかのシンガポールの空港とか香港の空港とか、それから韓国の空港とかに追い越されないように、いわゆるハブという、自転車の車軸のあれに例えられるそうでございますが、車軸がしっかりしておりませんと国が回転をしないような気持ちで、そんな気持ちで伺っておりました。
  14. 松本和那

    松本(和)委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。終わります。
  15. 大口善徳

  16. 西川公也

    西川(公)委員 松本委員の残り時間で、非常に短いのですけれども、お願いを申し上げたいと思います。自民党西川公也です。  大臣には、有珠山の問題もありまして、毎日お疲れかと思いますので、加藤総括政務次官考え方をお伺いしていきたいと思います。  加藤先生、いつも自民党の部会で歯切れのいい、元気のいい御意見を述べられておりますので、きょうもいい答えが出てくるのではないか、私、こう思っています。  一つは、私は、地元のことなんですけれども、日光の二社一寺、つまり二荒山神社、東照宮、輪王寺世界遺産登録をされました。昨年の十二月二日です。それで、観光客がずっと減り続けておりましたけれども、やはりこの効果が出まして、一月、二月と客が四割ぐらいふえているのです。ありがたいことなんです。  ここは国宝があったり重要文化財がありまして、百三棟遺産登録をしましたが、日光というのは神仏混交時代から、今は分かれてきましたが、二荒山神社が持っています神橋というのがあります。この神橋の国道を挟んで対面側太郎杉という大きな杉があるのです。太郎という名前がつくのですから一番大きいのです。その太郎杉の裁判というのを九年間やったのです、切るか切らないかで。それを切りますと交通ネックが解消されてしまうのです。  しかし、日光の市民も栃木県民も非常に偉かったなと思いますのは、これを切らないできました。今も交通渋滞が激しいのです、しかしこれを切らない、こういうことで文化財を守ってきています。  そこで、隣県国会議員先輩としまして、私は、このネック解消策一つ考えてみたいなということで地元からも聞かれているのですが、できれば一度見てほしいと思っていますし、また、隣の県で世界遺産になりました。私は、地元のことを言っておきませんとせっかくここに立った意味がありませんので申し上げておきますが、見ていただくとか、あとは、これに対する隣県としての感想がありましたらひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  17. 加藤卓二

    加藤政務次官 歴史を守ろうという、本当に日本人が一番今まで忘れていたものをちゃんと国会の中で言っていただいたというのは、私の持論でも一緒しますので大変うれしいと思います。  とにかく、歴史にたえる文化、そういうものも文化遺産として大事にしなければいかぬ。私は、そういう意味で、日本に本当に建設省文化にたえられるような建築物を幾つつくったのでしょうか、戦後のものはどの程度歴史にたえられるのでしょうかということをずっと言ってきておる一人として、私は大事に、ぜひお伺いして、何らかの形で日本文化を守る、歴史を守るお手伝いをしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
  18. 西川公也

    西川(公)委員 やはり歯切れがいい答えをいただきましたので、職員でも派遣していただいて見ていただければと思います。  それから、私は二年半前にIPUの会議の後イスラエルを訪ねてきました。そして、ここへ行きまして、水が余り十分でない国がいい国づくりをやっているな、こういう姿を見てきました。ゴラン高原の自衛隊員の皆さんの激励を兼ねて行ってきたのですが、印象として受けたのは、白い町だなと思いました。それはなぜかというと、建国五十年になるのでしょうが、建物の外壁は全部自国産の白い石を張れ、これを五十年間続けてきたのですね。五十年続けますとやはりすばらしい景観ができ上がる、こういうことになると思います。  それから、先ほど松本委員容積率を上げろという話をしましたが、私は、容積率を上げるところもあるけれども、いじるな、こういう考えを持った方がいい場所がたくさんあると思うのです。ヨーロッパの町は旧市街はいじらせない、こういう話もある。しかし、日本年がら年じゅういじらせますから、歴史時代がわからない、そういう建築物になっていってしまう、こう思うのです。  皇居のお堀の前、三菱村といいますか、あそこはずっと皆高さが、聞きましたら何か三十一メートルで旧都市計画法のとき制限をしておったそうですね。ですから、全部建物の高さが同じ、非常にいい景観だなと思っておりましたが、容積率の話、さっきの話と反対になりますけれども、何であそこを変えたのかなと私は思うのです。  こういうことを考えますと、守れるところは守る、そして古いものと新しいものとをうまく調和させた都市づくりがいいんだと思いますけれども、これからもすべてそういうふうに規制緩和でいってしまうのかどうか、そこら辺の方針をまず聞かせてもらいたい。短くお願いします。そして、最後本題に入りますから。
  19. 加藤卓二

    加藤政務次官 いろいろな意見が、まかり通るのじゃなくて、ぜひ通る日本にしたいな、こう思っております。いろいろな形で国会の方でそれがリードできるような形でぜひやっていきたいな、こう思っております。
  20. 西川公也

    西川(公)委員 本題に入りますが、大臣もお見えでありますから、後で感想をお聞かせいただきたいと思いますが、日本橋でございます。日本橋の上に、色は専門家が塗ったのだといいますけれども、高速道路が上を通っています。そして、非常に低い位置に高速道路が通っていますから日本橋の全景が見えない、こういう状況にありますね。  オリンピックが三十九年の十月十日ですけれども、首都高の開通が三十八年の十二月。粗製乱造といいますか急造の高速道路だったと思うのです。しかし、日本道路元標でありますし、お江戸日本橋、そしてあの道路を保存しようと橋を洗う会まであるわけですね。そういうものでありながら風景が守れない。  今まで聞いてきたのは、史跡保存を大事にしよう、こういう意味で一問二問を聞いてきたのですけれども、この日本道路元標である日本橋景観を壊していることは事実だと思うのですね。公害にたくさんあります。騒音公害もあるし悪臭公害もありますけれども、あそこは見る公害です。本当に景観を壊す公害だと私は思います。  そして、あそこの道路元標を見ますと、横浜へ何キロだとか甲府へ何キロだとか名古屋へ何キロだと書いてありますが、私のところの宇都宮も百七キロだ、こう入っていました。そういうふうに、あそこが道路の始まりなんですね。  そういうところにあれをかけてしまった。しかし、一日の交通量は今六万台を超えるということでありますから、そうたやすく直せるとは私は思っていませんけれども、景観を守る、それから、大深度も使える、今話がありましたけれども、そういう状況の中で何とかあそこの景観を直せないか、こういうことをお伺いしたいと思います。  時間が来ていますので、答えは恐らく時間がかかるでしょうから私の方からも申し上げますが、下に潜れなければ上をうんと上げて、日本橋の全景が見えるんだ、ここまで上へ、余りきれいじゃない高速道路を上げてもらえば何とか日本橋景観をもう一回取り戻せる、こう考えています。時間がありませんので、その辺でやめますけれども、ここを掃除する人は建設大臣表彰をもらったのですから、これはぜひ建設大臣感想でも結構ですからお答えをいただければと思います。お願いします。
  21. 中山正暉

    中山国務大臣 私は、十三年前に、天皇御在位六十年を記念して江戸城を復元したらどうかなんということを言ったこともございまして、今の日本橋でも、狭い土地でございますから川の上しか利用できなかった。安直に、道路のために日本橋という本当に、私は、大江戸博物館へ何が展示してあるのかなと行ってみましたら、紙の人形がお江戸日本橋をたくさん渡っているところが展示してありまして、こういうものはどこか別の場所でもいいから、お江戸日本橋はこんなものだったというのを復元するのがいいのかなと。あの今の道路を、ほかとつながりがありますものですから、それを上げるとか現状をどうするというのは難しいかもわかりませんけれども、何か江戸情緒というもの、この間も石原慎太郎さんが来たものですから、百二十三年しか使っていない東京なんという名前は江戸ぐらいに戻したらどうか、ロシアでも昔の名前に戻っている、そういうことも考えてと言ったら、地下鉄に今度は大江戸ラインとつけてくれましたから、少しは影響を与えたのかなと思っていますけれども、その辺、知事さんとかそういう方々にも相談をして、そういう江戸の景観、五十六年間あった江戸城なんというのを復元するとか、そんなこと、まあ吉原を見せてこれが江戸だなんというのは余りよしにしておかなきゃいけないと思っています。
  22. 西川公也

    西川(公)委員 私も長い間地方議員をやってきまして、県会議員を五期やってきましたけれども、大体、行政文化化なんという話を一度やったことがあるのです。事業には必ず文化的なものを取り入れろ、何%か乗せてやれ、こういう話もありました。そういう時代で、あの見る公害をぜひ除去していただきたい、こういう努力をお願い申し上げて、時間が参りましたので質問を終わります。ありがとうございました。
  23. 大口善徳

    大口委員長 平野博文君。
  24. 平野博文

    ○平野委員 民主党の平野博文でございます。  本当は大局論で御質問すべきだと思いますが、一般質問でございますので少し具体的な質問も織りまぜながらしたいと思いますので、ぜひ何とぞよろしくお願いをしたいと思います。  まず第一番目の質問として、私、先日、予算分科会のときにも御質問をさせていただいた件でございます。特に建設業法上の監理技術者設置の課題について御質問をさせていただいたわけでございます。  この問題というのは、基本的なところの問題と現実的に対処していく課題と両面を持っている制度でございますので、総論的にはわかりますが、では、具体的に実効あらしめていくときにどういうふうにしていくか、こういうところが非常に難しい。一方、企業形態も、これだけ非常に厳しい環境下にさらされている中でいかに企業が生き残っていくかということを企業自身が模索をしているし、逆に、グループ経営であるとか分社化であるとか、いろいろな企業形態を模索している。こういう中での、監理技術者設置という一つのよりいいシステムだということを本当に定着させていくためのルールがやはり必要だと私は思っております。  建設省といたしましても、監理技術者の所属のあり方というのはやはり直接雇用ということを前提にすべきである、こういうことも私はよくわかります、承知している立場でございます。しかしながら、企業形態ということを考えていきますと、直接雇用に類似するような雇用形態については、運用上、今日まで認めてきているということも事実だ、このように思いますし、五年間の監理者証の交付を受けて運営されてきたということも承知しているわけでございます。しかし、一方では、プログラムの方では、そんなあり方も含めて早々に検討する、こういうことも出て、答えとして、そのときは経済局長でしたか、お答えをちょうだいしておったので、ぜひ早くそういうことも含めたことを考えてほしいということを分科会で申し上げたのです。  実は、三月二十二日に、建設省からの通達ということでは、技術者の適正な配置の徹底ということで御通達を出されたわけであります。その中身は、技術者についてはその企業と直接雇用関係の者でなければならないことを厳格に徹底を図った、こういう通達を実は出されたわけであります。  この出した理由は、意味はよくわかります。新聞で見ましたけれども、何か非常に悪い業者がおられて、これでは困る、こういう趣旨の通達だと私は思っておりますが、先ほど申し上げましたような経過措置を含めて、これからそういう企業形態の大きく変わっていく中での結論を出した結果、やはりこうしなきゃならない、こういうことになっているのかどうかをまずお聞きしたいと思います。
  25. 風岡典之

    風岡政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘の技術者の厳格な適用ということで三月に通達を流したわけでございますが、この基本は、建設現場に配置する監理技術者あるいは主任技術者につきましては建設業者と直接的、常用的な雇用関係にある者、こういった考え方をより徹底するということで流したわけでございます。  もとより、発注者の方は、受注者の施工能力というものを信頼して仕事を出すわけでございますので、そこに雇われている企業の技術者の方というものについてはやはり企業等の責任ということで選んでいく必要がある、こういうような考え方があるわけでございます。  従来もそういう考え方であったわけでございますけれども、監理技術者についての所属建設業者を決めるときに今まで書類をいろいろ出していただいているわけですけれども、その書類の出し方によっては、場合によると出向先というようなところを所属建設会社とするようなケースも正直言ってあったわけでございます。私どもとしては、直接的で、かつ恒常的な雇用関係のもとに技術者を置くべきだということで、その辺の手続を見直していきたい、こういった考え方であります。  したがいまして、既に監理技術者証の交付を受けている方、この方についても直接的、常用的な雇用のところを所属名とすべきだという、この考え方は基本的には適用されるべきだというふうに考えておりますけれども、今回の通達によっては、資格者証の更新時等をとらえて、建設業者の所属名を変更する場合には今度は的確な書類を出していただいて変更していく、こういうような形で改定をしていきたい、こういうような趣旨でございます。
  26. 平野博文

    ○平野委員 今局長おっしゃいましたように、更新時に見直してやっていく、こういうことでいいのかどうかということ。いや、逆に、そういうことをすることによってまた悪い業者が出てこないとも限らない、こういう懸念もあるわけでありますが、現実的に発行している数というのは、これは相当な数を今現在発行しておりますね。どのぐらい発行されていますか。
  27. 風岡典之

    風岡政府参考人 監理技術者証の資格を付与されているのは五十五万業者あります。五年ごとの更新ということでありますので、更新時、平均的に見ても十万社ぐらいが五年ごとに更新をする、こういうことになります。  ですから、先ほどの御指摘の点につきましては、所属建設会社の名称の変更というのは、更新時には少なくとも書類を出していただくというようなことにはなろうかと思います。
  28. 平野博文

    ○平野委員 局長、私、建設省がそういう徹底をするということは、現状の起こってくる事象を見ますと非常に大事なことだと思っておりますから、それはぜひそういう節目できちっと徹底をしていただく。基本の考え方としては、もともと本来直接雇用関係ということを明確に出しているわけですから、そのことを踏まえながら現実のあるべき姿の中でぜひそういう徹底を、そこはしたからというわけに、なかなかこれは現実論として難しい課題だと思いますので。しかしながら、延ばすことによって悪いことがより助長されることでは困るわけですから、そういう運用の面も含めて御徹底をいただくよう、再度お願いを申し上げておきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。  それでは、この件については一応これで終わりますが、私、本題、きょう、ぜひ質問したいと思っております点が二、三ございます。まず一つは、公共工事という非常に国民の税金を使ってしていく事業でございますが、その中で履行ボンドということがございます。その点について御質問をしたいと思うのです。  まず、公共工事というのはやはり税金を基本的に使っているんだ、こういうことであって、発注に当たっては、受注業者が倒産をするということは非常に問題がある、税金を使っているからだ。そういうことで、工事が履行できなくなった場合に何らかの準備をしていく、そのための一つ制度だと私は思っております。かつては工事完成保証人制度というのが一つベースでやってこられましたけれども、この制度というのはやはりいろいろ不正が起こってくる。こういうことから、一つは履行保証制度として、平成七年に公共工事入札契約制度改革の一つとして履行ボンド制度が導入されてきたわけであります。  この履行ボンドは民間の損保会社によって引き受けが行われていると聞いておりますが、現在、引き受けております損保会社というのは何社ございますか。
  29. 岸田文雄

    岸田政務次官 履行ボンドの取り扱いにつきまして御質問をいただきました。  先生御指摘いただきましたように、この制度平成七年度から導入されたものでございますが、現在、履行ボンドは損害保険会社が公共工事履行保証証券として取り扱っておりまして、日本損害保険協会の資料によりますと、損害保険会社数、平成十一年十月現在で六十三社、そしてその代理店の数は、十一年三月末現在で約五十九万店ということになっております。しかし、損害保険の代理店は、火災保険、自動車保険あるいは損害保険を主に取り扱っているため、履行ボンドを実際に全部が取り扱っているとは認識しておりません。数は、この五十九万店よりはかなり少ないのではないかというように認識しております。  ちなみに、実績でありますが、履行ボンドというもの、平成十年度の実績としまして、件数で四千七百二十九件、契約金額で六千八百二十六億円ということになっております。
  30. 平野博文

    ○平野委員 今政務次官からお答えをいただきましたが、証券として発行する損保会社は六十三社だ。加えて、その代理店も可能性がありますから、五十九万店ある。実際やっているかどうかわからぬけれども、やろうと思ったらやれるわけですね。  そうすると、五十九万店ということは、日本の津々浦々どこにでもこの損保の代理店があれば、この窓口があるわけですから、履行ボンドの証券を求めることができる、こういうことですね。私、これは非常にいいシステムだと思っているのですよ。どこでも、公共工事の入札をするときに、履行ボンドを買い求めていくときには隣組にその代理店があればそこで買える、こういうことですよね。だから、私はこれが言いたいのじゃないのです。これは非常に結構だ、こう思っているのですよ。  そこで、今申し上げましたように、非常に利便性があって、各損保会社のそれぞれが競合しますから、料率は損保会社によって勝手に決めていいのですよね。料率は一定ですか。
  31. 風岡典之

    風岡政府参考人 料率につきましては、各事業会社が中長期的な収支の見通しとか事務費の見込みだとか弁済の状況とか、そういったものを踏まえて申請をしてきているわけでございまして、それで、建設大臣が大蔵大臣と協議をして決定しているということであります。したがいまして、基本的には各会社ごとに料率が必ず一致しなければならないということではないわけでございますが、やはり同様な仕事をやるというような中から、結果的には料率が同じようなことになるということかというふうに理解をしております。
  32. 平野博文

    ○平野委員 だけれども、市場原理ということをやはり見ますから、履行ボンドのところでやろうと思いますと、うちの会社は料率を下げてこれを受けますよということは可能な制度ですよね。それ、イエスかノーかでいいですよ。
  33. 風岡典之

    風岡政府参考人 いろいろ申請があった場合に、やはり公益性の強い仕事でございますので、それによって責任を持った仕事ができるかどうか、そういったものを料率の検証のときに判断をして決定をする、こういうことになろうかと思います。
  34. 平野博文

    ○平野委員 しかし、その料率は損保会社で決定できるでしょう。
  35. 風岡典之

    風岡政府参考人 先ほど申し上げましたように、申請は損保会社において行いますけれども、公的な性格が非常に強いということで、建設大臣が大蔵大臣と協議しながら承認をするということでございますので、その承認に当たりまして、その料率で今後とも適正に実施できるかどうか、そういったことを判断して決定することになる、このように考えます。
  36. 平野博文

    ○平野委員 しかし、局長、今まで申請された四千七百二十九ですか、金額で六千八百二十六億、こういう規模でやられているわけですが、料率が低いから否定したことがあるのか、あるいは料率が高いから否定したことがありますか。そういう、現実論としてありますか。
  37. 風岡典之

    風岡政府参考人 事務的な進め方につきましては、申請書を受理する前にいろいろ事実上、下審査みたいなことをやっておりますので、その間においてはいろいろな議論はしておりますけれども、申請を受け付けた段階では、それをもとにして大蔵大臣と協議をして決定している、こういうことであります。
  38. 平野博文

    ○平野委員 ちょっとよくわからないのだけれども、やはり指導した経過はあるのですか。基本的には、そこへ上がってくる前に調整をしておるから、料率としては基本的には上がってきたとおり了としている、こういうふうに受け取っていいのですか。
  39. 風岡典之

    風岡政府参考人 今まで九回にわたりまして料率の引き下げが行われましたので、ちょっと各回の細かい状況までは承知しておりませんけれども、私が承知している範囲におきましては、事前にいろいろ議論をしまして、その上で申請をしていただいていますので、その段階以降は特に変わってはいないというふうに承知をしております。
  40. 平野博文

    ○平野委員 わかりました。  私は、より多くの損保会社がこの履行保証制度に基づいて、履行ボンド制度がいろいろな会社が参入できてやっているということは非常に結構なことだ。逆に言いますと、市場原理をもっと導入して、それぞれの企業体が、公共性の高いものですから税金を使っているんだという、保険制度というのはそんなものだと思うのですね。ですから、市場原理を導入していくことによって保険料金が下がってくる、こういうことは非常に結構なことだと私は思っているわけです。  そこで、一方ではこういう工事入札契約制度の改革のために履行ボンド制度が導入された。多くの人、多くの企業体がそこに参入できる仕組みをつくった、こういうことです。そこで、公共事業の前払い金保証についての視点でお伺いをしたいわけであります。  建設工事については、当初、多額の費用が発生する。資金的余裕の少ない中小業者に発注する場合、ある程度の前金が必要になってきます。そういうことから、公共事業は国民の税金を使って行われているために、倒産ということで前金が返ってこない、こういうケースは非常に税金のむだになる、こういうことから、そのおそれをなくしていくために前金保証をかけるように今なっています。国民の税金を投入する以上、不慮の損害を防ぐため、前金保証制度は私はある意味では必要だ。まして中小企業の資金の乏しいところについては、やはり前金をいただくことによって必要な諸経費をそこに充当する、こういうことですから、この制度は非常に重要なんだ、こういうことも私は認識をしています。  その上で、建設大臣にお聞きしたいと思います。この前金保証事業を行う会社は、現在三社しかないのですね。東日本、西日本、もう一社何かあったと思います。三社しかないのです。これはなぜ三社しかないのか。これは建設大臣でなくても政務次官でも結構ですが、お答えいただきたいと思います。
  41. 岸田文雄

    岸田政務次官 先生から御指摘いただきましたように、保証事業会社、公共工事の前払金保証事業に関する法律に基づいて登録を受けて同事業を営むものでありますが、現在、北海道建設業信用保証株式会社、東日本建設業保証株式会社及び西日本建設業保証株式会社、三社、今存在しております。  これはこの三社に限っているということではありませんで、新たな登録の申請があれば、今申しました法律の第六条、拒否要件、五項目ほど並んでおりますが、この拒否要件に当たらない限り登録を行うということになっております。ですから、この三社に限られているということ、これは何も門戸を閉ざしているというのではなくして、いろいろな会社の総合的な経営判断によりまして申請が行われていない、結果として三社しか存在しない、そういったことだと認識しております。
  42. 平野博文

    ○平野委員 私は、前払い金保証事業を行う会社がもっとたくさん出てきてもいいのではないか。先ほど言いましたように、前金保証、履行ボンドはぐっとこれは広くしていますね。前金保証制度というのは三社しかない。たくさん申し込みがあったけれども三社に絞って、結果として三社になったのか。もともと三社しか申し込みに来なかったのだよということなのか。その辺はどうなんですか。
  43. 岸田文雄

    岸田政務次官 この前払い保証会社につきましては、専業等の制限もございます。そういった条件等も判断して、それぞれの会社の経営判断に基づいて申請が行われ、こういった形になった、そのように認識しております。
  44. 平野博文

    ○平野委員 現実は三社しかないのですから、経過の部分はわかりませんが、私は、この三社ではなくて、これだけの事業をやっているわけですから、もっとたくさんの会社がふえてきたって不思議ではない。ふえない一番大きな背景は、先ほど言われました公共工事の前払金保証事業に関する法律十九条において、前払い金保証会社は他の事業を営んではならない、こういう定めがあるために、なかなか参入しにくいのではないか、こういう点を私は思っております。  特に、例えば保険会社や銀行というのは、本来の業務としている部分がありますから、専業体系になっていない。したがって、参入しようと思ってもなかなか参入できない、こういうことだと思うのですが、では、なぜ専業でなければならないのか、こういうところが疑問を持つわけであります。なぜ、専業でなければならないのでしょうか。
  45. 岸田文雄

    岸田政務次官 今御指摘いただきましたように、公共工事の前払金保証事業に関する法律第十九条によりまして、専業というもの、公共工事の受注者が銀行等から工事資金を借り入れる場合の債務保証事業等を除きまして、他の事業を営んではならない、こういった規定になっているところでありますが、その理由につきましては、極めて公共性の高い事業であります前払い金保証事業が、公正かつ堅実に運営されるために、保証事業会社を本業たる前払い金保証事業に専念させまして、安易に事業を他に展開することを防止して、万一の場合の保証債務の弁済能力を確保する。要は、安易に事業展開をすることによって、本来の保証債務の弁済能力に支障を来してはならない、そういった配慮から、こうした専業規定が設けられているというふうに考えております。  こうした公共性の高い事業におきまして兼業制限が行われているというのは、この法律だけではありませんで、例えば、銀行業におきましては銀行法第十二条、あるいは、保険業におきましては保険業法第百条、こういったほかの法律におきましても、こうした公共性の高い事業につきましては兼業制限を行っている、こういった実例もございます。そういった法律等の精神とも共通する部分があるのでございましょう。そういった考え方から、この公共工事の前払金保証事業に関する法律第十九条におきまして専業というものが定められている、そのように考えております。
  46. 平野博文

    ○平野委員 だとするならば、例えば損保会社が分社をするなり別会社をつくって、新たな専業会社をもし損保会社がつくる、こういう場合、あるいは別の会社でもいいのですが、そういうことをした場合、私は特に損保会社ということを言いたいわけですが、そういう会社が新たに専業の子会社をつくって登録すれば、何社でも前払い金保証事業に参入できるのですか。そのケースはどうですか。
  47. 岸田文雄

    岸田政務次官 これは、この法律の規定に反しない限りは、決してこれは門戸を閉じているわけではありませんで、その拒否要件に当たらない、そして、何よりもまずその意欲を持つ会社が出てくる、こういったことになれば、これは当然この数はふえていくものだと考えております。
  48. 平野博文

    ○平野委員 そうしたら、これは私、後段述べていきますが、そういう分社をしていって、ふえてきますよ。  というのは、これは三社あるでしょう。三社、僕は後でちょっとまた御質問したいのですが、これは民間企業だけれども、非常に収益性の高い会社なんですよ。日本のどの企業、有名なトヨタさんかどこか知りませんが、これは非常に利益率が物すごく高いですよ。これは公開していませんから、配当がどれだけ出るかはよくわかりませんけれども、収益率は非常に高い会社ですよ。これだけ企業が厳しい環境の中で、あそこの事業体に参入しようという発想を僕は持ってしかるべきだと思うのです。  今政務次官おっしゃったように、そういう要項さえきちっと満足すれば、専業という会社で申請されるならばオーケーだという判断を下されることは、僕はそれでよくわかりましたから結構でございます。結構だということですね、そういう要件さえ満たしたら専業で申請してくればオーケーだ、こういうことに立っておきます。  では次に質問にいきます。これに関連してまいりますが、この三社は非常に利益率がいい。だって、税金で保証料を集めて、弁済額が少なかったら物すごく利益が上がるのですから。現実にそういうことでずっとこれを何十年とやっているわけですが、非常に保険料率は高いけれども弁済率が非常に少ないものですから、その物すごい差が利益になっていますから。そこは後で質問しますが、次にそういう視点で僕は聞きますよ。  そこで、前払い金保証会社というのは、実は三社ございます。前払い金保証のほかに契約保証という保証も実はしているわけであります。契約保証というのは、公共工事の前払金保証事業に関する法律十九条の規定によって前払い金保証事業に付随する事業に含まれるとするなら、前払い金保証が公共事業において税金がむだにならないように保証する事業であるのと同じように、契約保証も税金がむだにならないように保証する事業だというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  49. 風岡典之

    風岡政府参考人 この前払い保証事業は、前払い金の適切な利用を確保するというような観点からやっておりますし、また、契約保証につきましても、契約全体の履行というものを担保するということでありますから、結果的に国費が有効に使われるように、そういった観点が含まれている、このように理解しております。
  50. 平野博文

    ○平野委員 そこで、契約保証、これは申込書のリストでございますが、前払い金保証、契約保証申込書、これは今一括で申し込めるようになっていますね。これは実際の申込用紙でございますが。一方、前払い金保証会社に前払い金保証と契約保証は、これは一括でいってしまうのですよ。これを使わなければ、前払い金保証だけで、今度は別に履行ボンドでいこうと思ったら別会社へ申請しなければいかぬわけです。今局長が答弁されたように、契約保証も履行ボンドも私は一緒だと思っているのです。  前払い金保証会社に申請したら、あなた、もし履行ボンドに近い契約保証をしますかといったら、専業だといいながら、これは一枚の申請用紙でいってしまうわけですよ。履行ボンドもやってもよろしいという特例になっているのですよ。片や、履行ボンド会社という民間損保に申し込んだらいいですよと言っておるのですが、言っている意味、政務次官、わかりますか。わかっていないと、これは次の質問に入れないんです。わかっておりますか。ちょっと、それがわかっているかどうかだけ。
  51. 岸田文雄

    岸田政務次官 今、書類の、手続のお話は理解いたしました。
  52. 平野博文

    ○平野委員 ですから、専業、専業と言っておるけれども、特例として付随する業務だから、前払い金保証会社にも、契約保証と名前を変えておりますが、履行ボンドに近い形でその仕事をさせているんじゃないでしょうか。現実にさせているんです。特例という、付随する業務だ、こういうことだから許しているんです、こういう条文になっているんですよ。だけれども、履行ボンド側の会社からいえば、同じように、税金をむだにさせないための制度をつかさどる事業としてやっているわけですから、逆に、やってもいいんじゃないでしょうか、こういうことなんですよ。  逆に言えば、これはやり過ぎじゃないですか、契約保証というのはやり過ぎじゃないですかということも言いたいんです、逆質問すれば。その点はどう思いますか。
  53. 岸田文雄

    岸田政務次官 ですから、実質的に参入するかどうかは、先ほど申し上げました法律の規定に基づいてということになるんだと思います。  そして、手続上、今の書類の様式からしておかしいのではないかということにつきましては、その辺、検討する余地があればいろいろまた考えていかなければいけない、そのように感じます。
  54. 平野博文

    ○平野委員 いや、僕は、三社でやはり独占しているんじゃないですかということを言いたいわけですよ。こういうふうにしたら、別会社にまた申し込みに行くよりも、一括、セットで出したら、ここの前払い金保証会社で契約保証も一緒にやれるんですよ、はい、ここに丸をつけるだけなんですよと。  そうなら、大体ここだけ、私、履行ボンドで別のところでやりました、損保会社でやりましたということは、通常、手続的にはしないんじゃないですか。三社で独占していませんかということを言いたいわけなんですよ。その点はどうですか。
  55. 岸田文雄

    岸田政務次官 実質的に三社しか存在しないということは、事実であります。  ですから、その手続の書面上、それをまた増長することになるのではないかという御指摘かと思いますが、その辺につきましては、私自身、その実際の書面をよく検討したことがありませんので、検討する余地があれば、それはいろいろと考えていかなければいけないのではないか、そのように基本的には考えます。
  56. 平野博文

    ○平野委員 局長、どうですか。この書面、見たことがありますよね。
  57. 風岡典之

    風岡政府参考人 書面を直接見てはおりませんけれども、手続上、そういう扱いをしているということについては承知しております。これは業者の便宜というようなこともあって、書類としては統一的につくっているのではないか、このように思います。  なお、保証会社の方は、前払い保証をしているものに限り、それに付随して契約保証を行っているということでありますし、また、保証会社の契約保証というのは金銭保証のみでありまして、役務の代替的保証というものは含まれておりませんので、内容的には、そういった性格の違いがあるというふうに考えております。  それからもう一つ、くどいようでございますけれども、銀行につきましては、十九条の規定が法律上外されておりますので、兼業制限が外されておりますので、そういう意味での自由度というのは非常に大きいし、また、損保会社等につきましては、先生先ほど御指摘のように、子会社というような形の形態をとれば、またそういった業務への展開ということも、先ほど政務次官申し上げましたような形で、法律上は必ずしも拒否をしているものではない、このように思っているところであります。
  58. 平野博文

    ○平野委員 今、局長おっしゃいましたけれども、役務規定、確かにないんですね。ところが、実際見ていると、役務規定で三〇%ですよ。役務規定までするところというのはほとんどないですよ。実際の現場の運用実態は、大体一〇%ですよ。そうすると、これとほぼ同じ中身なんです。  そうすると、一般的に、あなたはこちらの役所、こちらの役所、両方行かなければいかぬケースと、ここの窓口でできますよといったら、絶対ここの窓口で一括でやってしまう。普通、人間の心理はそうじゃないですか。  こっちの会社へ行って、次に別の会社に行かなければいかぬ、それなら一括で頼みますと。申し込んだとき、ここへ丸するだけでもうそれでいいんですよといったら、これはほぼ三社で独占する事業になりませんか、常識的に。どうですか。
  59. 岸田文雄

    岸田政務次官 手続、書面上の、書式の問題として、そういった御指摘があればまた考えていかなければいけない、そのようには感じます。
  60. 平野博文

    ○平野委員 いや、これは間違いなくなるって。だって、書面だけじゃないんだ。これを出せば、ここへ丸すればいいだけなんだから。そんな一々、忙しいのに、こっちの会社へ行ってこっちの会社へと行くことない。だから、実質上、三社で独占する、こういうことになると私は思っております。  先ほど、損保会社がいろいろやって、大きく参入しているということは非常に結構なことだけれども、片やここでボトルネックみたいに締めている。このことは、ぜひ頭に入れておいてもらいたいな、こう思うわけであります。  加えて、そういう関連でまたいきます。  では、これらの保証会社三社、私は独占とは言いませんけれども、独占になっている。年間どれだけの保証料の収入があって、その保証料の収入に対して弁済額というのはどれぐらいありますか。
  61. 岸田文雄

    岸田政務次官 保証事業会社の経営実態であります。  平成十年度の保証事業会社三社の保証料収入は、三百七十億円余りでございます。これらに、前年度繰り入れた責任準備金の戻し入れ、金融収入等の営業外収益を加えた総収入が、六百二十六億円ということになっております。  一方、支出の方でありますが、人件費等に百八十二億円余り、法人税等が百十九億円余り、そして保証債務の弁済に二十九億円余りということになっておりまして、結果としまして、平成十年度の三社の当期未処分利益が百八億円余りということになっております。  これらの未処分利益は、株主配当あるいは保証資本充実のための自己資本の蓄積、こういったものに充てられているということになっております。
  62. 平野博文

    ○平野委員 今、見てくださいよ。平成十年度でしたよね。その収入が三百七十億ですか、保証料の収入。(岸田政務次官「はい、三百七十です」と呼ぶ)億ですね。弁済したのが二十九億円。これは、ちょっとふえてきて二十九億円なんですね。過去ずっと、もっと低いですよ。保証料の収入も三百億ぐらい。弁済しておるのが大体二十九億ですから、極端にいえば、この保証料というのはむちゃくちゃ高く取って、実際に発生する支出費用として弁済というのは一番大きなことですが、二十九億。人件費が百八十二億ですか。そうですよね、今いただきましたから。百八十二億。この会社というのは、一体何をする会社なんだ。  税金という非常に崇高な考え方のもとに、これは税金ですよ、公共事業ですから。これは当然業者が、その部分、必要経費として積算の中に入れていますから。税金を迂回した、迂回という表現は悪いですが、要は三百七十億も保証料を、収入を集めて、実際、倒産したということで弁済で二十億ぐらいしか出ていないんですよ。それで、人件費は百八十二億。この会社というのは、人件費でいっぱい人をあれしているんでしょうかね。  詳しくは調べておりませんが、ここへ入っている役員の人というのは、建設省のOBの人が経営陣に多いんですよ。民間会社といいながら、トップとかそういう理事クラスの人は、建設省の役人のOBが多いんですよ。仕事の業態上、そういう専門家がいると言われたらそのとおりですが。  これを考えてみますと、何で三社に独占させるんだという意味は、もっとあまねく、広くこういうことを会社に、こういう業態の会社を参入させることをしていくべきだというのは、余りにも、三社だから利益率が非常に高い、加えて保証料という料率決定が非常に高い。これをもっと落とせばいいのではないですか。それなら公共事業の総コストの費用も下がるのではないでしょうか。なのに、なぜこんな高い保証料で来ているのでしょうか。
  63. 岸田文雄

    岸田政務次官 先生の方から、三社に独占させているという御指摘をたびたびいただきましたが、まずその部分に関しましては、先ほど申しました、法律に基づいて、それから総合的なそれぞれの判断に基づいてということで、決して独占させているということではないということを御理解賜りたいと存じます。  そして、まず、人件費等の経費につきましては、極力これは抑えていかなければいけない、これは当然のことであります。  そして、保証料率についてでありますが、保証料率につきましては、事業運営に係る経費ですとか事故による保証債務の弁済、あるいは保証資本充実のための内部留保、こうしたものを勘案して、中長期的な経営収支も予測した上で定めるということになっておりまして、建設大臣に申請を行い、そして大蔵大臣と協議の上で承認を行う、こういった手続になっているわけですが、結果としましては、保証料率は過去九回にわたりまして引き下げをずっと続けております。最近では、平成十年四月に一四%引き下げたというような実績があります。徐々に保証料率は引き下げてきているわけであります。  そして、その結果、現状にあるわけですが、それでもまだ高いのではないかという御指摘かというふうに考えます。  まず、この前払い金保証会社の役割ですが、万一の場合に保証債務の弁済能力を確保する、これがこの会社の使命であります。この使命を果たすためには、今の、一部上場会社の倒産といったような最近の建設業をめぐる厳しい環境、あるいは中長期的に公共投資は縮減が図られるというようなことから、その保証料の収入が減少するというような環境、そういった周りの状況考えますと、保証債務弁済というものは決してこれから少なくはないのではないか、逆に増加するのではないか、そんな状況が予想されるわけであります。  ですから、これから厳しい環境の中にあっても、しっかりとした、この使命を果たすためには保証料率をどの程度にしたらいいのか、そういった考え方で見ていかなければいけないというように思います。そう考えた上で、現状が本当に適切なのかどうか、これをしっかりと見定めていきたい、そのように考えております。
  64. 平野博文

    ○平野委員 今、不景気ですから、倒産していますから、多少弁済率が上がっていますよ。上がっていますが、極端過ぎますよ。  この会社、三社ありますから、一社、大臣でも政務次官でもいいのですが、営業利益率は何ぼですか。企業の規模で見ますと、営業利益率が高いかどうかというのは、それで優良企業かどうかと見ますよね。営業利益率は何ぼですか。
  65. 風岡典之

    風岡政府参考人 ちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんので、改めて御報告をさせていただきたいと思いますが、先ほどの未処分利益は百億を超える、こういうような状況でございます。
  66. 平野博文

    ○平野委員 そんな会社、僕はないと思いますよ、民間企業で。  これは私の想像で、詳しくチェックしていませんが、想像で言ったら大変失礼なことになりますが、利益率四〇%を超えているんじゃないでしょうか。だって、そうなりますよ。収入が三百七十億円、弁済額という実際の支出で二十何億、人件費を差っ引いても、非常に利益率の高い会社なんですね。社団法人だとかそういう公益性のものだったらよくわかりませんけれども、公益性だったらまた、利益を出すという趣旨ではありませんから。  民間企業ですから、利益率をやはり出す。利益を出していかなければいかぬ、会社を存続させるために。しかし、余りにも高い利益率、営業利益率を誇っていますわ、過去ずっと見ても。少し弁済率が上がっていますから、利益率は少し落ちていますが、過去ずっと、極端に言ったら、六〇%ぐらいあったときもある。こんな会社が三社、これだけ厳しい厳しいと言っておる中でも、あるのですよ。  あるというのは、市場原理で参入がないものですから、守られているのですよ。もっと市場原理が導入されて、こういう会社がたくさんできてきたら、競争して頑張るものですから、利益率は下がっていくと思う。適切な利益率になる。極端に言えば、保証料が下がっていくと僕は思うのですね。これが大事なんです。僕が言いたいことは、そこなんですよ。そしたら、結果として税金のむだ遣いにならないじゃないか。  税金にはね返ってくるのですから、公共事業ですから。その保証料を払った分は、必ず必要経費として見積もりの入札の中にはまっているのですから、結局、税金が持ってくるのです。それで、高いのを一方、別会社三社でプールする。内部留保しなければいざというときに使えないから、どんどん留保する、今こういう仕組みになっているのです、この三社は。  そこで、確かに民間企業としては、内部留保を高めていくことは、健全な企業体としてはわかるのですが、お金を持ってくる、持ってき方の先が税金じゃないですか。そこに問題があるのですよ。  したがって、私は、言いたいことは、この会社三社が上がった利益をどういうふうに利益処分するかは、民間企業ですから自由ですよ。質疑時間が終了ということでございますから、次の機会にこれをもう少し掘り下げてやりたいと思いますが、その後の利益処分というのはどうしているか。公益事業に全部寄附しているのですよ、これは。  何社、公益事業にこれを寄附しているか。これをきょう聞きたかったのですが、これを聞けませんが、そういう、税金をぐるぐる回している、おまけに、この企業の株主、政治家はいませんか。優良企業ですから、政治家がきっといると思う。どこの党とは言いません、まだわかりませんから。これから調べます。そういうふうにすると、どんどこどんどこおかしな方向に回ってはいかないかという懸念を私は持っています。  そういうことでございますので、ぜひお調べをいただきたいのでございますが、この点については、大義は非常に結構な大義であります。しかし、実態的に見ると、いろいろなところでおかしなループが動いているというふうに私は思えてならないのであります。利益率が非常に高い、料率をもっと落とせば貴重な税金は下がるじゃないですか、こんなことを指摘しておきたいと思います。  最後になりますが、本来出していく、こういう監査をする立場に、これは建設大臣登録されている企業でありますが、下っている人が、理事では、OBがたくさんいます。三分の一以上を超えてはならないという規定があるものですから、非常勤理事にたくさん入れて、実態は常勤理事はほとんどOBであります。これもおかしな隠れみのになっているのではないか、こんなことを次の機会にきちっと指摘をしたいと思いますので、また改めてお時間をちょうだいしたい、そのことをお願い申し上げまして、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
  67. 大口善徳

    大口委員長 渡辺周君。
  68. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。  まず、建設委員会ではございますけれども、建設大臣国土庁長官を兼務していらっしゃるということで、まずは当面、有珠山の現状につきましてお尋ねをしたいと思います。時間も限られておりますので、どうぞ要点を明瞭にお伝えいただきたいなと思うわけでございます。  国土地理院のGPS観測について、まずは直近の結果がいかなるものであるのか。そしてまた、きのうきょうの報道等でも出ております、伊達市、壮瞥町あるいは虻田町、市町村間の距離がいわゆる膨張している、広がっている。この意味はどういうことであって、そしてまたこの信憑性、そしてもう一つ、どこから噴火するかということが、これは専門家先生方からもいろいろな指摘がされているわけであります。実際、この問題がきのう、きょうあたりから、一体どれぐらいの被害を巻き起こすのかということにおいて大変な関心事となっておりまして、注視する必要がある。下鶴会長ですか、この方も報道等で繰り返し述べられておりますけれども、その点につきましてお尋ねをしたいと思います。  あわせて、こうした現在のいわゆるデータが、どのようなルートでどのぐらいのスピードで今関係する省庁あるいは現地の連絡調整会議に報告されているのか、この点につきまして、現状の最新の状況についてまずお尋ねをしたいと思います。
  69. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 有珠山の地殻変動に関しますGPSに関しますお尋ねがございました。  まず、直近のデータでございますが、二十八日から動き出しまして、この有珠山を取り囲む伊達、壮瞥、虻田の電子基準点、これは大体十キロ程度離れた三角形を有珠山の周りにめぐらせておりますが、二十八日以前はプラス・マイナス二ミリないし三ミリで推移していましたが、二十八日から二十九日にかけて、すべての三角形の辺、三辺で約一センチ程度の伸びが検出されました。そして、先ほど届いた資料によりますと、三十日から三十一日までにかけまして、きょうの朝六時にかけましては、伊達—壮瞥間におきましては二十八日から比べて二センチ程度の伸びが引き続きあったわけでございますが、壮瞥—虻田そして伊達—虻田の三角形二辺におきましては、今度は収縮に転じまして、二センチ程度の収縮が今記録されてございます。大変複雑な地殻変動を示していると私ども考えております。  もう一点、信憑性はどうかということでございますが、平常時でございますと、十キロメートル程度の距離ですと約一センチ以下の精度を持ってございますが、今回は非常に緊急的な事態でございますので、本来ですと二十四時間連続して観測値一個を出す精度でございますが、今回は早く結果を出したいということで、六時間を連続して観測して一個の観測値を出しておりますので、若干精度は落ちているかと思いますが、基本的なこのGPSの精度は、私どもは、この地殻変動を、複雑な地殻変動をあらわしているという認識に立ってございます。  そして、もう一点御質問の、このデータが現地へどのような、または関係者にどのような伝達をされているかという点でございますが、私どもの国土地理院は火山噴火予知連絡会にも所属しておりまして、国土地理院のデータはすぐそちらの方に参っておりますし、私どもの河川局災害対策室に入ってきたデータは直ちに官邸、国土庁、または現地の対策本部に私どもの防災課長の品川を派遣してございますので、彼を通じて逐次このデータは速やかに伝達し、関係者にこれが共有されるような手配になってございます。  以上でございます。
  70. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 今、幾つかの極めて地形の変化が起こっているということについては、報道でもされておりますけれども、我々も認識しております。  そうした中で、ちょっともう一点お尋ねをしたいわけですが、私も専門家ではありませんけれども、例えば、そこから以下どのあたりがいわゆる噴出、噴火をするかどうか。例えば、けさあたりのニュース等で繰り返し報道されております、いわゆる亀裂が発見をされ、あるいは断層が発見され、そして病院の、洞爺湖温泉町ですか、あそこの中心市街地間にも既にもう亀裂が発見をされているということを考えますと、これは多分、現地にいらっしゃる方々からすると、いろいろな流言飛語といいましょうか、いろいろな情報が飛び交うであろう。その反面で、やはり正しい情報はある程度把握して伝えなければならない。  そうすると、どこが例えば噴出口となるかということについては、何らかの今具体的な確証といいましょうか、あるいはお考えをお持ちなのか。その辺について、もし今現状をお答えできることがあったら、お答えをいただきたいと思います。
  71. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 どこが噴火をするかという点でございますが、これは大変難しい問題でございまして、過去の有珠山の噴火も転々と噴火場所が変遷してございます。私どもの火山噴火予知連絡会が担当しているわけでございますが、現在、この火山噴火予知連絡会の見解を待っている段階にございます。
  72. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 これは、昨日の新聞だったでしょうか、下鶴大輔元予知連会長がこう述べております。「どこから噴火するかは、有感地震の震源を特定し、GPSで地殻変動による地表の膨らみを計測することで、火口の位置を予測することが必要になってくる。」ということでございますが、今現在では連絡を待っている、こちらとしては、いわゆる東京としてはまだそういうデータがないということで認識をしてよろしいのかどうか、その点について確認をしたいと思います。
  73. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 すべてのデータは関係者が共有しておりますが、どこが噴火するかという件に関しましての責任は火山噴火予知連絡会が担当しておりまして、連絡会ですべてのデータを持ち寄りまして、専門家が現在解析を進めている段階でございます。
  74. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 もちろん、解析を進めるのは結構なんですが、事が起きてから解析の結果が出ても仕方がないわけでございます。できる限りの体制をとっていただきたい。そしてまた、できるだけそのデータを速やかに何らかの形で住民の避難あるいは災害対応の体制に役立てていただきたいと思う次第であります。  そしてまた、この危機管理の点については、これは建設大臣にお尋ねをしたいと思うわけでございます。これは、当然のことながら重要閣僚の一人として、この問題を現在は省を挙げて建設省としても、一昨日ですが緊急体制をとっている。具体的にどのような体制をとり、そしてまた、ここで大臣がおっしゃっている言葉の中には、予測を超えた予測をするのが危機管理というふうにあるわけでございます。それを考えますと、確かにその予測は難しい部分もあります、自然災害でありますから。しかし、ある程度最新の観測機械を使ってどこら辺が危険であるということは、やはり予測をしていると思うわけでございます、それが危機管理でございますから。その点についての今の大臣の御認識、今後の方針についてお尋ねを……(岸田政務次官「事実関係だけ」と呼ぶ)事実関係、お願いします。
  75. 岸田文雄

    岸田政務次官 大臣の前に、緊急体制の現状だけ、ちょっと御説明させていただきます。  二十七日から、地震が多発するなど火山活動が活発化したわけですが、三月二十九日十一時十分に気象庁から緊急火山情報が発令されたことを受けまして、その直後に、建設省としましても緊急体制に入りまして、防災・海岸課長と砂防課補佐職員を現地に派遣いたしました。そして、建設本省といたしまして、河川局災害対策室を中心に関係各局の防災担当者が二十四時間体制で有珠山関係情報の収集と、そして内閣におきます官邸対策室、国土庁等の関係機関と連絡を行っているところでございます。  そして、こうした体制のもとで、地元におきまして、周辺道路の通行規制、そして北海道開発局による現地画像を建設省専用の衛星通信回線で受信しまして官邸対策室や国土庁へ配信する、あるいは国土地理院によりますGPSを使った地殻変動観測を行い、さらにきょうからでありますが、レーザー測量というもの、これはGPSに比べますと測量の精度は落ちるわけでありますが、GPSに比べまして天候に左右されにくいとか短時間で調査解析ができる、こういった特徴があるわけでありますが、こうしたレーザー測量等も実施することになっております。  こういった状況で現状の把握に努めている、これが建設省の緊急体制の中身でございます。
  76. 中山正暉

    中山国務大臣 今、政務次官から御報告を申し上げましたが、この間のクエスチョンタイムでも、危険区域が鳩山代表のちょうど選挙区に当たるものでございますから、私、メモを入れまして、クエスチョンタイムの冒頭でも総理からお話しいただきました。  けさの閣議でも、私から、有珠山では二十七日午前から地震が発生し、二十九日には気象庁の火山噴火予知連絡会拡大幹事会が開催され、今後数日以内に噴火が発生する可能性が高くなっており、火山活動に対する警戒を高める必要があるとの見解を示されているところです。さらに、昨日には断層や地割れが確認されるなど、厳重な警戒が必要となっております。この状況を受け、二十九日十八時三十分に、伊達市、壮瞥町、虻田町において危険区域内の住民に対し各市町から避難指示が出されており、これまでに約一万名の住民が避難しているところです。  政府といたしましては、二十九日に関係省庁局長級会議を開催し、国土庁長官官房審議官を初め約三十名を現地に派遣いたしました。また、地元自治体等との連携を強化するため、現地に連絡調整会議を設置したところです。さらに、昨日午後には、現地の警戒態勢、住民避難の状況等を把握するため、増田国土庁総括政務次官を派遣したところでございます。また、厚生省による災害救助法の一市二町への適用、自衛隊の派遣を行うなど、各省庁においても総力を挙げた対応が行われております。  今後とも、関係省庁等が密接に連携し、政府が一丸となって警戒に万全を期すとともに、発災に備えて各般の対策を実施いたしてまいりたいと考えておりますので、関係閣僚の一層の御協力をお願い申し上げますということを発言いたしまして、特に、運輸大臣、北海道開発庁長官からも御発言がありまして、北海道開発庁長官はきょう現地に赴かれると。私は、もし何かありましたら即座に現地に入るということをきょう記者会見でも閣議後の報告をいたしてきました。  大体、この被災地の予測もちょっと範囲を広げまして、洞爺湖の方にもし土石流が下りますと対岸に津波が押し寄せる可能性がありますので、少し危険区域を拡大いたしておりまして万全を期して対応をしておりますし、私の手元には携帯電話表、三十名ばかりのメンバー表もございまして、いつでも緊急連絡をとるような対応をいたしております。万全を期したいと。  五十二年、二十三年ぐらい前に最後の噴火があったわけでございますが、先ほど局長からも御答弁申し上げましたように、いわゆる昭和新山というのはこのこっち側、こっち側といっても速記録に記録しにくいのでございますが、東側の方に昭和新山が出ましたり、今、この洞爺湖に面した洞爺温泉街の上手のところ、南側の方が一番危ないところだと言われておりますが、テレビなどを見ておりましても、下から突き上げるような地震で、今まで、お年を召した方の御経験では、二十三年前の経験ではないような、大変突き上げるような地震を感じておるということでございますので、何事もないことを祈りたいと思いますが、このままおさまることもないような感じがいたしておりますので、万全を期したいと思っております。
  77. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 そこで、限られた時間でございますが、今回、もちろん、不幸にしてこれは起こる可能性の方が高いだろう、噴火が起こる可能性が高いということでございます。  今回の場合は、それであっても従来と大きく異なる事態というのは、事前の兆候活動が大変長い。ある意味では、心の準備あるいは活動の準備、対応の準備をするだけの時間的な余裕が我々あるということがまだ不幸中の幸いでございます。当然、危機回避をできる行動、最善の行動をとれるだけの時間があるわけでございます。  そういう意味では、これからの政府の危機管理のあり方ということについて、これは一つの大きな教訓といいましょうか、対応することとして、ぜひとも、まさに、何だ、結局、大山は鳴動して何事もなかった、あれだけの態勢をとりやがったという、私どもは、こういうことについてはやはり最悪の可能性、最大の配慮をするべきであろうと思います。それによって、結果的におさまったとしても、やはりこれはそうした後での批判を恐れることなく、やれるだけの最善の可能性を考えていただきたいなと思うわけでございます。  本来なら、幾つか質問をまだ用意していたところでございます。公共事業のあり方の問題、それから合併浄化槽と単独浄化槽の問題、実はこういう問題を取り上げるところでございましたけれども、きのう、きょうの一連の有珠山の状況を含めて、この質問を入れさせていただきました。その関係でいろいろ、ちょっとこちらとしても質問をしたいことができませんでした。ぜひとも、今後また公共事業問題等につきましても質問をしてまいりたいと思います。  それでは、吉田先生、大変失礼をいたしました。食い込みまして質問をさせていただきました。また、きょうお越しいただいた政府委員の方には、大変御足労いただきましたが、質問できなかったことをおわび申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  78. 大口善徳

    大口委員長 吉田公一君。
  79. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 道路特定財源の歳入状況とその内訳をお尋ねいたします。
  80. 大石久和

    大石政府参考人 お答え申し上げます。  道路特定財源の歳入状況でございますが、確定いたしております平成十年度における道路特定財源税収実績は、国分について、揮発油税二兆六千六百三十六億円、石油ガス税百四十四億円、自動車重量税、これは国分の八割を計上してございますが六千五百三十二億円、計三兆三千三百十三億円が国分でございます。  地方分につきまして、地方道路譲与税二千八百三十億円、石油ガス譲与税百四十五億円、自動車重量譲与税二千七百七億円、軽油引取税一兆二千八百四十一億円、自動車取得税四千九百七十三億円、計二兆三千四百九十六億円が地方分でございまして、総合計五兆六千八百九億円となってございます。
  81. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 毎年五兆円強の道路特定財源の収入があるわけでありますが、この道路特定財源の各税については、当時は道路建設を必要としている時代に設定された道路目的税だと思いますが、いつこれは目的税化されたか、その年度を教えていただきたいと思います。
  82. 大石久和

    大石政府参考人 道路特定財源は、昭和二十八年に成立した道路整備費の財源等に関する臨時措置法により、昭和二十九年から揮発油税、これは国税でございましたが、道路特定財源とされたのが始まりでございました。  その後、道路整備財源が不足する中で、国民が熱望しておられます道路整備の財源に充てるということで納税者の御理解をいただきながら、昭和三十年に地方道路譲与税、これは地方税でございますが、昭和三十一年に軽油引取税、これも地方税でございます。昭和四十一年、石油ガス税、国税と、石油ガス譲与税、地方譲与税。昭和四十三年に自動車取得税、地方税でございます。昭和四十六年に自動車重量税、国税分と、自動車重量譲与税、地方譲与税分が道路特定財源として創設されてきた経緯がございます。
  83. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 昭和三十年、三十一年なんというと、まだまだ舗装されている道路がむしろ少ないぐらいで、国道はともかくとして、まさに地方道路なんかは、昭和三十一年なんといったら、ほとんどが砂利道と穴ぼこだらけの道路でありました。したがって、税金から国民の理解を得てということでありますが、それ以来ずっと今日まで改正が行われていないのではないか。むしろ、道路税そのものがだんだん税もふえてきたし、納税額もふえてきたし、そういう点では、この道路税というものはもうひとつ考え直すときが来たのではないか、実はそう思っているのです。  高速道路は別途予算でやっているわけですから、そのほかの国道についてはもうおおむね整備が行き届いた、一級国道はもちろんですけれども、二級もそうですし、各都道府県道もかなり整備が行き届いてきたということでございまして、これ一本やりに、道路にこれだけの五兆円なんというお金を目的税にしていることはいかがなものか、そう思うんですが、それはどうですか。
  84. 大石久和

    大石政府参考人 先ほども申しましたように、道路整備にかける国民の大きな期待がございます。特定財源や有料道路制度により、多くの負担を求めながら道路整備を進めてまいりましたが、一方では、経済社会の発展やモータリゼーションの進展が進行いたしておりまして、現在の道路整備の水準は、質、量ともに、まだ国民の期待にこたえるにはほど遠い状況であると認識してございます。したがいまして、今後とも、道路という時間のかかる整備が必要なものにつきましては、道路特定財源を堅持いたしまして、計画的かつ着実な道路整備推進が図られるよう措置していきたいと考えております。
  85. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 そこのところは議論のあるところでございますが、時間がありませんからまた改めて質問をさせていただきます。  道路特定財源に加えて、かねがね消費税が二重課税されているということを私は大蔵委員会でも質問しましたが、タックス・オン・タックスだなんといって、二重課税もタックス・オン・タックスも同じだと思うんですが、そういう答弁をしておられました。  二重課税ということはどう考えてもおかしいと思うので、その点は改めるべきだと思いますが、いかがでございますか。
  86. 木村幸俊

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  御質問の揮発油税と消費税との関係でございますが、大蔵委員会の議事録等も私は読ませていただきました。  委員よく御承知のとおり、揮発油税とは揮発油の消費に着目して負担を求めるという税金でございますが、同時に、道路特定財源とされておりまして、道路利用者による道路整備費用の負担という受益者負担の考え方に基づきまして、その御負担をお願いしているものでございます。一方、消費税でございますが、これは揮発油に限らず財貨・サービスの消費に広く負担を求める税でございます。このように、消費税と揮発油税は課税の趣旨と性格が異なっておりますので、その点は御理解を賜りたいと思います。
  87. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 そう簡単に御理解できないのだけれども、大体、ガソリンというのは車を走らせるために使うのです。したがって、それに今度はまた揮発油税というのを払っているわけだから、それに今度は消費税をかけて、ガソリン税を取って、その上に五%をかぶしているわけです。では、その取った消費税は道路に使っているのですかというのですよ。それは一体どこに使っているのですか。
  88. 木村幸俊

    木村政府参考人 お答えいたします。  消費税は委員承知のとおり一般財源でございます。
  89. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 それでは全然おかしいのです。揮発油税というのは道路目的税になっているわけです。それに消費税をかけて、そいつは今度は一般財源で、そしてすくって持っていっちゃう、あげくの果てに何に使っているかわからない、そういうことが問題なんだね。  だから、どうせやるのなら、ちゃんとガソリン税分だけは一般財源に入れても何に使っているかということはきちっとすべきだと思うのだけれども、どこに使っちゃっているかわからないというのは問題だね、それは。お札に印はついていないからね。それは、お札に印がついていれば、ああ、あそこで使っているなとわかるけれども、どこに行っちゃっているかわからない、環境庁へ回っているのか、農林省へ回っているのか、建設省へ戻ってきているのか。そこが問題なんだよ。  だから、そういう点で、今後、これはなくなるまで私はやろうと思っているんだけれども、ぜひ再検討すべきだ。国民が黙っていれば税金をぶっかけてそのまま受け取ってやろうなんという話は大体よくないのだよ。この揮発油税というのは本当に問題になっているんだから、これは二重課税で。  それで、二重課税と言ったら、タックス・オン・タックスだと言うのだよ。日本語に訳したら何だ、二重課税じゃないかというのだ。ドイツでやっていますとかなんとか言って、やっているところだけの名前を挙げて、やっていないところの国の名前を挙げないのだから、そういうことでは困る。  それから、道路特定財源の使い道、区分はどうなっているか、説明してもらいたいと思います。
  90. 大石久和

    大石政府参考人 先般成立いたしました平成十二年度予算の内容で申し上げますと、三兆五千百五十八億円の国費を、これは事業費に直しますと七兆五千億円程度でございますが、道路整備事業に充てております。  その内訳は、国費ベースで、改築・新築事業に約二兆四千九百億円、維持修繕事業に二千六百億円、交通安全事業に二千二百億円、調査費に二百億円、有料道路事業に対する助成といたしまして五千三百億円のそれぞれ使途を充ててございます。
  91. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 有料道路に五千三百億円というんですが、その有料道路というのはどのことを言っているのか。有料道路と言っても、高速道路なのか、首都高なのか、大阪、阪神なのか、どういう有料道路なんですか。
  92. 大石久和

    大石政府参考人 日本道路公団が建設いたします高速自動車国道を初め、一般有料道路、それから首都、阪神、本四、それから地方道路公社等の助成措置等を含んでいるものでございます。
  93. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 時間がありませんから、道路公団について質問をしようと思いましたが、これはこの次にして、飛ばさせていただきます。  今公共事業のあり方についていろいろ議論があります。その場合に、地方分権ということが言われておりまして、私はできるだけ国が各都道府県に公共事業を委託する、そしてその箇所づけについては地方公共団体でできるだけやらせるということが地方分権の趣旨だと思いますが、公共事業地方委託法という法律をつくって、そうして、もちろん建設省が点検は当然すべきでありますけれども、お金そのものはできるだけ地方に任せるということにしたらどうかと思うのでありますが、その点はいかがでございましょうか。
  94. 岸田文雄

    岸田政務次官 箇所づけは地方に任せるべきではないかという御質問でございますが、公共事業の箇所づけにつきましては、これまで国において行ってきたところでありますが、国と地方の適切な役割分担の観点から、一定の政策目的を実現するための複数の事業地方公共団体が一体的かつ主体的に実施することができるなどの統合補助金という制度を創設いたしました。この趣旨は、まさに地方にこうした役割を担ってもらう、こういった趣旨からできているところでございます。  これは、具体的には、一定の政策目的を実現するために複数の事業を一体的にかつ主体的に実施することができるような類型の統合補助金として、まちづくり総合支援事業等がありますし、また大規模な事業や技術的困難性を有するもの等を除いた事業について、地方公共団体が具体的な事業箇所、内容を主体的に定めることができる統合補助金としまして、統合河川整備事業費補助あるいは公営住宅等建設費統合補助、公共下水道等統合補助事業都市公園等統合補助事業、こういったものが用意されております。  こういった統合補助金制度によりまして、先生のおっしゃったような地方における箇所づけ、その主体性、こういったものを確保していく、こういったことをしておるところでございます。
  95. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 どうぞその方向で、ぜひひとつ推進をしていただきたいと思います。  以上です。ありがとうございました。
  96. 大口善徳

    大口委員長 井上義久君。
  97. 井上義久

    ○井上(義)委員 平成十年に新全総、新全国総合開発計画が二十一世紀の国土グランドデザインという名称で策定をされました。この新全総の基調は、地域自立の促進それから多軸型国土構造の形成ということで、東京、太平洋ベルト地帯の集中依存を脱却して、連帯と交流による複数の国土軸の形成を促そう、こういう趣旨でございます。  この新全総を受ける形で各地の開発促進計画が策定されまして、私の地元でございます東北開発促進計画、これは第五次でございますけれども、昨年三月三十日に閣議決定されました。私も特別委員の一人としていろいろ意見を申し上げたのですけれども、この東北開発促進計画では、東北の地勢の特徴を踏まえました上で、ラダー型、いわゆるはしご型と言っているのですけれども、ラダー型の地域構造を形成すべく、その基盤整備が強く要請されているわけでございます。  このラダー型の地域構造の基盤整備の大きな柱は、やはり道路、特に高速交通ネットワークということでございまして、東北における道路整備は東北地方建設局を中心にして鋭意進めていただいておりますけれども、新全総、そして第五次の東北開発促進計画の策定を受けて、東北のラダー型の地域構造、その骨格となる道路整備ということを踏まえて、今後どのように進めていこうとしておられるのか、まず大臣の御所見を承りたいと思います。
  98. 中山正暉

    中山国務大臣 東北地方の道路整備のあり方でございますが、東北地方は、地方中枢・中核都市、それから人口十数万から数万人程度の地方中心都市、それから小都市が多核的に分散する変化に富んだ地域でございますから、また、ほとんどが豪雪地帯の指定を受けるなどの厳しい国土条件にある地域でございます。その発展のためには、域内の各地を短時間で結ぶ南北及び東西方向の基盤を整備して、今先生の御指摘のありました、はしご型という形の地域構造の形成を図ることが重要であると認識をしております。  このため、建設省におきましては、昭和六十一年に開通いたしました東北縦貫自動車道を基軸として、南北方向の連携を強化する日本海沿岸東北自動車道や、それから三陸縦貫自動車道、またそれらを補完をいたしました、東西方向の連携を強化する東北横断自動車道、それからまた新庄酒田道路等の整備を進めているところでございますが、今後とも、はしご型の地域構造の形成のために、高規格幹線道路それから地域高規格幹線道路の早期の整備に向けて事業の推進に努めてまいりたい。  非常に風光明媚なところでもございますし、観光地域としても大変有力な地域だと思っておりますし、国土の発展のためにも、東北地方の発展にこの道路が寄与することを心がけたいと思っております。
  99. 井上義久

    ○井上(義)委員 特に、いわゆる東北の太平洋沿岸の縦貫の高速道路整備、これは常磐道から三陸縦貫自動車道、この整備促進が非常に地元の要望が強い地域でございます。特に、三陸沿岸は有数の漁港もあって、観光資源も非常に豊富だということで、整備による経済効果、地域の活性化が非常に見込まれるわけでございまして、特に三陸縦貫の自動車道路の進捗状況及び今後の整備の見通しについてお伺いしておきたいと思います。
  100. 大石久和

    大石政府参考人 三陸縦貫自動車道は、宮城県仙台市から岩手県宮古市に至る三陸沿岸部の広域ネットワーク形成及び地域の活性化を目的とした延長約二百二十キロメートルの高規格幹線道路であります。  現在、宮城県仙台市の仙台港北インターチェンジから石巻市の石巻河南インターチェンジまでの三十八・五キロメートル及び岩手県大船渡市の大船渡インターチェンジから三陸町の三陸インターチェンジまでの八・七キロメートルの合わせて四十七・二キロメートルを供用しております。  また、宮城県石巻市の石巻河南インターチェンジから本吉郡志津川町間の四十二・四キロメートル、岩手県釜石市から宮古市の間三十五・三キロメートル等、合わせて九カ所、約百キロメートルの事業を促進しており、このうち岩手県山田町の山田南インターチェンジから山田インターチェンジ間の七・八キロメートルを平成十四年度までに供用する予定といたしております。  さらに、残る区間七十キロメートルにつきましては、引き続きルート調査環境基礎調査等を促進しておるところでございます。  今後とも、地域の皆様方の御理解と御協力を得て、事業区間の早期供用、調査区間の早期事業着手に努めてまいりたいと考えております。
  101. 井上義久

    ○井上(義)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  もう一つは、道路整備を行う際には、環境影響評価とともに経済効果検証ということも行われているわけですけれども、さきに述べたこの新全総の多軸型国土構造の形成、特に東北では、ラダー型地域構造の形成、こう言っているわけですけれども、地域の自立を促す地域産業の活性化が大きな焦点でございます。  ところが、道路整備というのは、いわゆる部分的に着工して供用を開始していくということになるわけでございまして、例えば、ラダー型といってもラダー型が一遍にできるわけじゃない。そういたしますと、地域的には、道路ができたために逆にその道路のところに、一つはストロー現象というので全部吸い上げられてしまう。さらに、それが今、一部東北でも問題になっていますけれども、仙台ひとり勝ちじゃないか、こういう指摘があるわけでございまして、道路が先に延びていったために、どんどんストロー現象で吸い寄せられてしまう。  今のままのやり方だと、これがやがて北関東、首都圏に全部ストローで吸い上げられてしまうんじゃないか、こういう問題意識もあるわけでございまして、やはり、これから道路をつくっていく上で、一遍にはこれはできないことは皆さん承知しているわけでありますけれども、そういう経済的効果を考える場合、地域を限定してその地域だけを考えるんじゃなくて、もう少し全体的に、経済構造も含めた視点をきちっと入れなければいけないんじゃないか。  そういう意味では、重点化、効率化ということが言われていますけれども、こういう地域経済との密接な連携をとりながら道路整備計画というものをつくっていかなければいけないんじゃないか、こう思うわけでありますけれども、その点どうでしょうか。
  102. 大石久和

    大石政府参考人 道路はネットワークとして大きな効用を持つのではないか、先生御指摘のとおりだと我々も考えておりまして、したがいまして、ネットワークの階層的な構築というのが我々の主眼でございます。  道路整備がもたらします経済効果や地域経済に与える影響は極めて大きいものがあると認識いたしておりまして、これまでも、道路整備に当たりましては、人口、地域経済の状況や発展の動向等の調査を行いながら、国土計画や地域計画との整合性を考慮して体系的なネットワークの構築に努めてきたところでございます。  地域の自立、活性化を図るためには、今後は、地域の特性や地域間の役割分担に着目した、いわゆる地域連携という考え方がぜひとも必要だと考えてございまして、このためにも、広域的な地域連携には高規格幹線道路、地域的な地域連携にはその他のネットワークが必要になると考えてございます。したがいまして、高規格幹線道路や地域の市町村道に至りますまでのネットワークを効果的に整備していく必要があると考えております。
  103. 井上義久

    ○井上(義)委員 よく地元意見も踏まえた上で、計画的に整備をよろしくお願いしたい、こう思います。  もう一つ道路の関係で、これは問題提起でございますけれども、今の経済状況、財政状況考えますと、整備された社会資本、これは具体的には道路、特に高速道路ということでございますけれども、最大限に有効活用されなければならないんじゃないか、こう思うわけでございます。  高速料金が高いという声が皆さんの方にもよく入っていると思いますけれども、そういうことから、そろそろプール制は限界があるんじゃないかという声も聞くわけでございまして、もちろん、高速道路整備状況、今まだ計画の約五六%でございますし、国費を投入しているわけですから、公平性といいますか、受益者負担ということを考えますと、今すぐにプール制の料金設定というものをやめるということは難しいと思うのです。  ただ、社会資本の活用の観点から、せっかくできた道路、これが最大限に活用されて、国民経済とか国民の生活の利便に寄与するということにやはり軸足を置いてこの運用というものを考えていく段階にもうそろそろ来ているんじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、問題提起でございますけれども、まず、それについてどういうふうにお考えか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  104. 大石久和

    大石政府参考人 先生御指摘のように、道路ネットワークの中でも料金をいただいております高速自動車国道は、特にレベルの高い、質の高いインフラであると考えております。これを多くの国民の方々に御利用いただくということは料金政策上も非常に重要なことだと考えてございまして、私どもも、平成七年の道路審議会の答申におきまして、交通量の分散に資する料金制度や地域の実情に応じた弾力的な料金制度の導入等の提言を受けておりまして、こういった考え方で今後の料金設定を考えていきたいと考えております。
  105. 井上義久

    ○井上(義)委員 これは、例えば東北自動車道、特に夜間なんかほとんど車が走っていないじゃないか、そういうことから、非常に効率の悪い、むだとは言いませんけれども、効率の悪い社会資本投資じゃないか、こういうことが特に都市部の人からよく言われるわけでございまして、ただ、利用する車がないんじゃなくて、利用したいと思っている車はたくさんあるわけでございます。例えば、運送業なんかでも大分大きな割引制度というものが導入されていますけれども、やはりどうしてもコストの面で、高速を使えば非常に短時間で荷物も運べる、それから従業員の生活も非常に向上するというようなことも、なかなか料金との関係で使えない、こういう問題もあります。  それから、例えば、今私が住んでいます宮城でこういう話が出ているんですね。今、東道路というのを一生懸命つくっていただいて、もう間もなく供用開始になると思うんですけれども、亘理から今度仙台まで高速道路が通じるようになるわけです。この地域は非常に新興の住宅地で、通勤客が多い。今国道四号線を使っているんですけれども、非常に渋滞で一時間半ぐらいかかっちゃう。この高速道路を使えば三十分ぐらいで行くようになっちゃう。せっかく高速道路ができるんだから、これを使えば渋滞解消になるんじゃないか。ところが、料金の問題があってなかなかこれがそのまま使えないということなんかを考えますと、例えば通勤料金といいますか、通勤定期みたいな形でこれを使えるようにすれば渋滞解消にも非常に大きく役立つし、また通勤時間ということを考えますと、非常に短縮されて非常にいいんじゃないか、こういうような具体的な例もあるわけでございまして、そういうことが少し柔軟にできないのかな、そういう感じが非常にするんですけれども、そういう点、どうなんでしょうか。そういう柔軟に対応できないのかということをひとつ考えてもらいたいんです。
  106. 大石久和

    大石政府参考人 確かに、今先生御指摘になりましたような料金を弾力的に運用するというのは一部に試行されておるところがございますが、全般的な我々の手法として定着しているものとは考えられません。しかしながら、今後は、先生御指摘のような料金というものを弾力的に考えていくという試行方法も必要だろうと考えてございますが、ただ、そのためには若干ツールが必要な部分もございます。  最近、ETCと言われます、自動料金をノンストップでいただこうという仕組みが普及し始めております。こうなりますと、利用者のニーズに対応した弾力的な料金設定も可能となるということが考えられますので、ETCの普及状況も勘案しながら、今後、既存のストックの有効利用あるいは環境保全や採算性の確保など、種々の観点から総合的に高速自動車国道の料金体系のあり方について検討していく必要があると考えております。
  107. 井上義久

    ○井上(義)委員 今具体的な例を申し上げましたけれども、渋滞解消のために相当な多額な費用が一般道路を使おうと思えばかかるわけでございまして、そうすると、この料金とそういう渋滞解消のために使う社会的費用を考えますと、これは、やはり同じ社会資本ですから、そういうことをもう少し柔軟にこれから政策として考えていくべきじゃないか、こういうふうに私は思っていますので、ぜひ今後の検討課題として検討していただきたい、こう思います。  その次に、下水道の問題でございますけれども、諸外国に比較して整備のおくれている社会資本一つに下水道整備がございます。  昨年十二月発刊の財団法人建設経済研究所の「日本経済と公共投資」ナンバー三十四によりますと、下水道普及率は、イギリスで九七%、それからドイツで九二%、フランスで八一%、アメリカで七一%に比べて、我が国は五八%にとどまっているわけでございます。特に人口五万人未満の都市においては、その整備水準は二二%と著しく低率になっております。  また、同書によりますと、総理府の社会資本整備に関する世論調査結果が紹介されていますけれども、「国全体として特に整備してほしい社会資本」の第四位に下水道が挙げられていますし、また建設経済研究所の「財政構造改革下の社会資本整備のあり方に関する調査研究報告書」、これを見ますと、自治体に聞いた「まだ整備が不足していると思う社会資本」として、下水道が他の社会資本を押さえて第一位になっています。  欧米と比較して我が国の下水道整備がおくれている要因というのは、下水道の歴史の浅さとか地形の問題等さまざまあると思いますけれども、生活大国を実現する上でこの下水道整備というのは非常に重要である、こう思うわけでございます。  こういうふうに諸外国に比べて下水道水準が極めて低い、特に五万人未満の都市での著しいおくれということについて、まず現状をどのように認識されているか、お伺いしたいと思います。
  108. 中山正暉

    中山国務大臣 お説のように、ジャン・バルジャンの話じゃございませんが、十七世紀ぐらいにはもうパリでは下水道が完備しておったというのに比べて日本の下水道の歴史の浅さ、最近、大阪城の豊臣秀吉がつくった下水というのが四キロほど見つかっておりますけれども、そういう城下町としての機能を持っていたところは別でございますが、特に地方、人口五万人未満のところでは、中小市町村においては二二%という、先生の御指摘のように大変おくれております。これは、近代国家として、私どもは使命として下水道の早期整備というのに万全を尽くさなきゃいけないと思いますが、下水道は、生活環境の改善とか、それから浸水の防除とか、それから公共用水域の水質の保全には欠かせないものでございまして、その整備の推進を図ることが重要であるということは、御認識と全く同一でございます。  しかしながら、平成十年度末の全国下水道処理人口普及率は平均して五八%でございますが、欧米諸国にはちょっと物申しにくい形になっておりまして、いつもサミットあたりでは、いわゆるインフラストラクチャーという意味で、公共投資を通じての下水道の普及に万全を尽くすようにというような要望が各国からなされるわけでございますけれども、現行の第八次下水道整備七カ年計画におきましては、これは平成八年から十四年でございますが、下水道整備の特におくれている中小市町村の整備等に重点を置きまして、平成十四年度末までには下水道処理人口普及率を六六%ぐらいを目標にいたしまして引き上げることとして、積極的に整備を推進いたしたいと思っております。
  109. 井上義久

    ○井上(義)委員 日本全体的にも極めてまだ欧米先進諸国に比べて不十分なんですけれども、私の地元の東北六県に限って言いますとさらに厳しい状況でございまして、六県平均で約四〇%、仙台を抱える宮城県を除きますと大体三〇%から四〇%の普及率です。全国の五八%と比べると極めて低いわけでございまして、さらに農業集落排水とか合併処理浄化槽を含めた汚水処理施設整備率でも、それを含めても、東北六県平均五〇%、これは全国は六六%になるわけですけれども、宮城県の六九%を除きますと他の五県はすべて四〇%台の低水準ということになっているわけです。東北に住む半数以上の人は下水道等汚水処理が未整備な生活環境の中で生活をしているわけでございまして、この問題というのは、単に生活環境の改善ということだけじゃなくて、これからのいわゆる地域の活性化、特に若年世代の定住施策ということに関しても非常に大きな問題に地元ではなっているわけでございます。  こういう、全国の中でも東北が特におくれているということで、私どもは、いろいろ財政状況厳しい折でありますけれども、傾斜配分をしてしっかり整備すべきだ、こういうふうに思っているわけでございますが、いかがでございましょうか。
  110. 山本正堯

    山本政府参考人 先生今御指摘のように、東北六県の下水道処理人口普及率四〇%、全国平均の五八%に比べて大変低い状況にございます。こういうふうな都市間、地域間の格差を解消していくことが大変必要でございまして、今大臣からも御答弁させていただきましたように、第八次下水道整備七カ年計画に基づきまして、特におくれております地方部に重点を置いて下水道整備を推進していこう、特に中小の市町村等を中心整備を推進していこうというふうに考えておるところでございます。  今先生御指摘がございましたように、東北六県における下水道処理人口の普及率の増加は、今の第八次の下水道整備五カ年計画で、全国平均で、この三年間で五四%から五八%と上がってまいったわけでございますけれども、東北につきましては、例えば宮城県でありますと、五七%から六二%と五ポイント上がっているといったように、東北の各県におきましては全国平均を上回るそれぞれ伸びを確保させていただいているという状況でございます。  平成十二年度予算におきましても、引き続き、こういうような状況から、中小市町村、地方部への重点配分等によって普及促進に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  111. 井上義久

    ○井上(義)委員 重点の上にも重点的にぜひ配分をよろしくお願いしたいと思います。  それから、汚水処理は現在、建設省の下水道事業、それから農水省の農業集落排水事業、それからもう一つは厚生省の合併処理浄化槽、この三省で事業が進められているわけですけれども、事業主体は市町村、それで都道府県が三事業の全体的計画を策定しているわけです。現行の国、自治体の厳しい財政を考えますと、三事業の連携をより密にして効率的、効果的な汚水処理を進めていかなければ、国民のニーズにこたえられないんじゃないか。特に最近、合併処理浄化槽を推進しようということで議員立法の動きもあるわけでございまして、現在三省庁間で連絡会議が設けられている、こういうふうに承っていますけれども、単なるすみ分けということじゃなくて、やはり積極的な連携、地域によっては、合併処理浄化槽がいい、あるいは農業集落排水事業がいいというところもあるわけでございまして、その辺よく連携をとって今後進めて、全体的に汚水処理対象人口が大きく前進するような方向でいかなければいけないんじゃないか、こう思いますけれども、中心建設省の下水道事業でございますので、建設省にこの辺の考え方をお伺いしておきたいと思います。
  112. 加藤卓二

    加藤政務次官 下水道の整備における関係三省庁の提携についてお尋ねがありました。  下水道、それから農業集落排水施設、合併処理浄化槽等の汚水処理施設については、効率的に投資が行われるよう関係部局は相互に連絡を密にし、計画段階で各施設の合理的な配置計画の策定を図る等、十分な調整を図る必要があると認識しております。このため、建設省、厚生省、農林水産省間で、汚水処理施設整備等に係る関係省連絡会議を設置し、各種の連絡調整を実施するとともに、すべての都道府県で都道府県の全域を対象とした、汚水処理施設整備に係る都道府県構想を策定しております。また、複数の汚水処理施設が共同で利用できる汚泥処理施設等も整備するなど、各事業の実施においても連携を図っているところでございます。  今後とも、これらの措置を引き続き推進し、効率的な整備を実施してまいる所存でございます。
  113. 井上義久

    ○井上(義)委員 下水道に関してもう一点、これは問題提起でございますけれども、財政状況非常に厳しいということで、下水道事業にPFI、これを活用してはどうかというふうに私も思うわけでございます。というのは、下水道というのは消費量が決まっておりますし、市場性がはっきりしている、単価やコストも、これはかなり、公共事業といっても非常に捕捉しやすいわけでございます。そういう意味では、PFIの活用が一番可能な分野ではないかな、こういうふうに思うわけでございます。  PFIについては、この三月十三日にようやく政府の基本方針が示されたばかりで具体的な検討はされていないと思いますけれども、これからの状況考えますと、特に自治体なんかでもPFIに対する関心は非常に強いわけでございまして、私は、建設省においても下水道事業におけるPFIの活用ということをそろそろ研究しておくべきではないか、このように思うんですけれども、問題提起として、それについてお答えいただければと思います。
  114. 山本正堯

    山本政府参考人 先生御案内のとおり、PFI法につきましては、昨年の九月二十四日に施行されまして、基本方針がことしの三月十三日に告示されたという状況でございます。それを受けて私ども鋭意PFIの活用方策について検討を進めておるわけでございますが、その前に、この法案のできる前から、今先生おっしゃいましたような、民間の資金力、ノウハウの活用によって効率的、効果的な社会資本整備するという観点から、PFIの推進のための経済企画庁の調査を進めておるところでございます。  平成十年には、私どもの中でも、都市公園でありますとか、市街地再開発でありますとか、その中でまた下水の処理場についても調査研究を進めておるところでございます。下水道につきましても、検討すべき非常に重要な課題である、特に今私ども、下水の汚泥処理でありますとか、上部空間の利用でありますとか、そういうことも含めまして、今後とも公共団体あるいは民間事業者等の意向も踏まえながら検討に取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
  115. 井上義久

    ○井上(義)委員 最後に、マンション問題について質問したいと思います。  マンション問題、これからのいわゆる住宅の大きな柱の一つということで、我が党でも昨年三月に大口委員長を座長といたしましたマンション問題研究会を発足させまして、いろいろ研究してまいりました。また、六月には、自民党と公明党の間でマンション問題協議会ができまして、さまざまな研究をしてまいりまして、いろいろな提言をしてまいりました。その中に、これから特にいわゆる管理が非常に重要だということで、管理業者に関する情報開示ということをその提言の中でも一貫して主張してきたわけでございます。  このことについて、具体的な政策を取りまとめたということをお伺いしているんですけれども、その具体的な内容また実施の時期等についてお伺いしたいと思います。
  116. 風岡典之

    風岡政府参考人 マンションの管理組合の実情でございますけれども、そのほとんどが管理を管理業者に委託をしているというのが実情でございます。したがいまして、優良な管理業者を選定できるようなそういった仕組みを設けること、また、その前提としては業者の情報開示ということが非常に重要な課題である、このように思っております。  建設省におきましては、登録業者につきましては、業者のいろいろな実態というのを閲覧できるようにしているわけでございますし、また昨年の九月からは一部の情報につきましてはインターネットを通じて開示ができる、こういう措置を講じているところであります。  しかしながら、この問題は非常に重要でございまして、管理業者についてはより一層の情報開示を求めるという声も非常に強いものですから、学識経験者から成る研究会を設けまして、居住者へのアンケート調査、そういったものも行いながら検討を加えました結果、昨日、情報開示についての提言が一応まとまりましたので、建設省としてもこれを受けまして情報開示策というものを公表したところであります。  具体的な内容につきまして申し上げますと、一つには、管理委託費に関する情報開示としまして、管理委託業務のサービス水準とその対価に関して管理業者間の比較が客観的に行えるようにする必要がある、こういったことから、統一的な見積依頼書あるいは見積書というものを作成するとともに、管理委託費の実態調査を行いまして、マンションの築年別あるいは戸数規模別とか地域別に、管理委託費の状況はどうなっているのかというようなことについても公表するということにしたところであります。  さらに、登録管理業者の財務内容に関する情報開示としましては、資産とか負債の内容などより詳細な財務内容とか、あるいは会社の主要な株主とか出資者がだれであるかというようなことも公表したいと思っておりますし、また長期修繕計画について管理業者はどのような対応ができるのかとか、さらには管理費の収納方法とか、管理費等の預金口座名義についても状況を調べた上で公表したい、このように考えております。  実施の時期でございますけれども、可能なものにつきましては四月上旬から行いたいというふうに考えておりますが、管理委託費の実勢価格の公表とか、あるいは長期修繕計画についての対応状況とか、管理費等の収納の状況につきましては、これは状況をちょっと調べる必要がありますので、そういったことを行った上で、七月を目途にそういったものにつきましても情報開示ができるように準備を進めていきたい、このように考えております。
  117. 井上義久

    ○井上(義)委員 いわゆる登録業者じゃない非登録業者の方が相当数いらっしゃるんですけれども、そこについてもきちっとした情報開示の取り組みが必要じゃないか、こう思うのですけれども、最後にそれだけ。
  118. 風岡典之

    風岡政府参考人 御指摘のように、マンション管理を適切に行っていくためには、登録業者だけではなくて非登録業者についても情報開示を進めていかなければならない、これも御指摘のとおりだと思います。  しかし、現実には非登録業者の実態というのはほとんどわかっておりませんので、私ども、十二年度に入りましてから非登録業者に関する実態調査をまず行うということを考えておりまして、その上で、非登録業者に関する情報開示のあり方というものも研究会において検討していきたいというふうに思っております。  情報開示の方策としては、登録制度の活用ということが現時点では有効な手段であるというように考えておりますので、非登録業者につきましても、登録を積極的に行っていただくように、そういうような働きかけを行っていくということが重要なポイントではないかというふうに思っているところであります。
  119. 井上義久

    ○井上(義)委員 以上で終わります。
  120. 大口善徳

    大口委員長 西野陽君。
  121. 西野陽

    ○西野委員 西野陽でございます。自由党として最後質問にならないことも思いながら、質問をさせていただきたいと思います。  きょうは、密集市街地の問題に絞ってお尋ねをいたしたいというふうに思っております。  戦後は終わったとか、戦後はまだつめ跡が残っているとか、かつては、沖縄が復帰しなければ戦後は終わっていないとかいう有名な言葉もございましたし、領土的には北方領土の問題とか、いろいろな表現で戦後ということが今日まで語り続けられておるわけでありますけれども、やや忘れがちといいますか、取り残されたといいますか、戦後の状況の中で、文字どおり、密集市街地というものがある意味で、失礼ですが、戦後の遺物のような感じとして今なお残っておるような気が私はいたしてなりません。きょうは、ちょっとそういう問題についてお尋ねをいたしたいのでございます。  戦後が五十数年経過をいたしております。とりわけ、昭和の二十年代あるいは三十年代、中には四十年代であったかもしれませんけれども建築をされたものが、木造でありますと耐用年数が三十年なんでしょうか、一定の期間で、恐らく三十年前後で耐用年数というものが決められておると思いますが、その耐用年数をはるかにオーバーをして現在まだそのまま残っておるわけでありますから、そのことが大変な老朽化を来して問題が出ておると思います。特に、首都圏というよりは関西圏、とりわけ大阪、私は東大阪というところに住まいをいたしておりますが、実は、密集市街地が残念ながら大変多いわけであります。  考えてみれば、戦後、焦土と化した領土の中で、とりあえず急遽住む場所を求めて需要が住宅不足ということで、需要に対する対応ということで共同住宅というようなものがあります。共同住宅というのは、御承知のとおり、洗面所といいますかトイレ、こういうものも共同であって、もちろんおふろが共同であったり、そんな、何かある企業、団体の寮的なものがまだそのまま実は残っておるわけであります。特に、私どものところでは文化住宅という表現で、いわば三戸、四戸が長屋形式で、それが上下建っておりまして、二階建てに並んで建っておるわけであります。  ですから、そういうものに対して国の方もそれぞれ建築の法律の中で、昭和二十五年には建築基準法が制定をされて、この基準法とあわせて建築士法というのも制定をされたようであります。  建築士を養成するわけでありますが、当初は、建築士が、二千人から三千人ぐらいの資格を有した方が誕生した。ところが、住宅不足でありますから、年間に百万戸単位のいわばそういう共同住宅あるいは文化住宅的なものも含めて一挙に供給をされる羽目になったわけでありますから、わずか二千人や三千人の建築士がいかに頑張ってみても、何十万、何百万戸の建築を設計するわけにもまいりません。ですから、実質的には、建築士は何名かはおられたようでありますけれども、資格のない方が設計をされて、その後建築士も多少ふえてきておるようでありますけれども、そのふえた人もまだまだ対応ができないということで、むしろ名義貸しといいますか、建築士の名前だけを貸して、実質は別の方が設計をしておる。  こういうことになりますと、往々にして、実際は建築基準法に基づいて建築確認という制度があるけれども、実質は建築確認を出さないで、一切そういうものを確認をとらないで施工されているとか、資格のない方がそういう形で不法に現実としては建ててきた。そういうことで、実態としては、密集地域というのは、違法であり、かつまた品質の面でも非常に疑問を持たざるを得ない、そういう住宅が多く建っておるわけであります。  後ほどまた詳しく言いますが、委員長の許可をいただいて、恥ずかしいのですが、実は私の東大阪の密集市街地をちょっと撮りましたのですが、後ほどこれをさらに御説明をいたしたいというふうに思います。  密集市街地に対しては、数々の問題もあるんですけれども、特に民間以外に、いわゆる公営住宅等々は現在も盛んに建てかえを進めておられますから、こういう公営住宅はある意味で一定の居住水準というものが、役所でございますから認められておるというふうに思っております。  片や、区画整理事業というのは、比較的更地のところを、例えば地目が農地であるとかあるいは雑種地であるとか、いわゆる住居地域でない更地のところを区画整理して、そこに建築をする、住居を建てる。こういう場合は、面的な整備も進んでおりますけれども、ある程度の居住水準は保っておられるように思っています。  今、私の手元で、調べました一人当たりの住宅の床面積というものを見ますと、我が国では、大体平均して一人当たり三十一平米、英国では三十八平米、ドイツでは同じく三十八平米、フランスでも三十七平米。といいますと、欧米の先進諸国と我が国の一人当たりの住宅面積というのは、数字の上ではまず先進国並みになっているということがこの数字でわかるわけであります。特にこういう数字が出ておるのは、中身を見ますと、持ち家と、先ほど申し上げたいわゆる文化住宅とか共同住宅というような借家、賃貸の住居とあるわけですけれども、持ち家は、確かに日本の場合は百二十二平米、今度は一人当たりじゃなくて一戸当たりが百二十二平米、イギリスでは一戸当たりが百二平米、フランスでは百十二平米、アメリカは少し多くて百五十八平米。こういうことからしますと、持ち家は、確かにこれも先進国並みの一戸当たりの床面積が、平均的には我が国も追いついてきているなということがわかると思うのですね。  ところが逆に、大都市圏の借家でありますけれども、この戸当たりの面積を調べますと、やはり数字の上でも持ち家とは違いまして、そのわずか三分の一ぐらい、四十二平米という数字が出ています。さらに、その四十二平米が、借家でありますけれども、先ほど提示をいたしましたこの密集市街地なんかを見ますと、これなんか文化住宅でありますけれども、上と下が同じようなものが建っておるわけでありますけれども、これなんかで見ますと、おおむね平均で一戸十四から十五平米。これは、百二十二平米の持ち家の面積と、そしてこの文化住宅に住んでいる方の十四、五平米ということになりますと、ゼロが一つ、単位が一つ違うわけであります。いわば劣悪な居住水準に現実にあるというふうに思っています。ちょっと見られたら、写真ですからわからないのですけれども、これは私の地域でございます。私がここに住んでいるということではありません。この住宅住宅の間、これは二メートルないのです。いわゆる昔でいう何尺、一・八メートル、体を何とか接触しないで歩けるぐらいの通路であります。いわんや消防車なんて入れるわけがありません。  かつて私は本委員会で、この密集地、中心市街地の問題で、首都圏の新宿の固有名詞を挙げますが、富久町を見に行きまして、これもなるほど密集地だなと思いましたけれども、関東の場合はRC、いわゆる鉄筋であります。密集といっても鉄筋でありますから、あれ、これが密集かな。私、こういうのを見ていますから、関東のこれが密集かな。では、私のところは密集でないな。これは、失礼でございますけれども、本当に、同じ人間が住まいをしていても、東京と比べてもう雲泥の差があるのです。同じ密集でも密集の中身はもう劣悪な状況であるということを、あえてこういう状況があるということを申し上げておきたいというふうに思っておるわけであります。  そこで、そういうことがあるということを御理解いただきながら、国の方では平成六年に密集住宅市街地整備促進事業制度の要綱というものが設定をされました。そして、三年後の平成九年に密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律、防災街区として法律が制定をされたわけです。そこで、ちょっとお尋ねをいたしますけれども、まず、密集市街地としてあると建設省の方が把握をされておりますのは、全国レベルではどの程度の規模があるのか。さらに、東京ではどれぐらいあるのか。今申し上げました大阪ではどれぐらいあるのか。その規模、どの程度あるのか、ちょっとお示しをください。
  122. 那珂正

    那珂政府参考人 お答えいたします。  ただいまお尋ねの、いろいろ問題のある木造密集市街地につきましては、私どもが地方公共団体の協力を得て調査した結果によりますと、全国で約二万五千ヘクタール、また東京都でも約六千ヘクタール、大阪府、これは大阪市も含みますが、これにつきましても約六千ヘクタールでございます。
  123. 西野陽

    ○西野委員 おおむね国の方が把握されておるので全国で二万五千ヘクタール。東京大阪が大体、面的にいっても、いろいろな面から、人口構造から見ましても、大阪東京では東京の方がすべて約五倍あると私は見ているのでございますが、密集地としてはほぼ東京と同じ、大阪が六千ヘクタールというふうに今お示しをいただいたわけであります。  それではその中で、同じく全国、東京大阪で結構でございますが、先ほど申し上げた、平成九年に密集市街地の防災街区として指定をされた範囲の中で、どの程度防災街区として整備促進をしなければならぬと指定をされておるのか。全国、東京大阪という割合でわかりましたら、ちょっとお示しをください。
  124. 山本正堯

    山本政府参考人 現在、防災再開発促進地区、今の密集法に基づきます防災再開発促進地区の指定がなされておる地区でございますが、全国で九十二地区でございます。その面積は合計で四千三百十・七ヘクタールということでございます。その中で、東京都における指定状況でございますが、これにつきましては四十八地区、二千三百七十三・九ヘクタール、墨田区とか葛飾とか世田谷が多いわけでございます。それから、大阪府における指定状況につきましては十地区の千二百八十九ヘクタール、門真とか豊中等々で指定されております。
  125. 西野陽

    ○西野委員 密集地域と思われる地域が六千ヘクタール、東京大阪にある。その中で、平成九年の密集市街地における防災街区として指定をされたものが、東京大阪とほぼ同じぐらいの密集地があると言われる中で、東京が二千三百ですか、そして大阪の方が千二百ほどでございますか。これからしましても、それだけの密集地域はあるなということは認められながら、防災街区として指定をされている範囲が東京に比べたら大阪は約半分と見てもいいと思うのですが、そういう意味ではこれは大変少ないですね。これはなぜ少ないのでしょうか。半分しか指定されていないというのはどういうことなんでしょうか。
  126. 山本正堯

    山本政府参考人 今申し上げましたように、防災再開発促進地区大阪が約半分でございます。先ほどもちょっと申し上げましたように、大阪市あるいは先生の東大阪市等については、まだ指定されていないという状況がございます。  防災再開発促進地区の指定につきましては、指定によりまして助成とともに規制も受ける、こういう格好になってございます。地区ごとの状況とか市街地整備に係る各種事業の進捗状況等を勘案しながら、あるいはまた地域住民の理解を得ながら地道な活動をやっていく、指定をしていくということになろうかと思います。  大阪、特に大阪市につきましては、独自の制度として、災害に強いすまいとまちづくり促進区域といったようなものを既にお持ちでございます。そういう制度でありますとか、あるいはまたそういうことを通じて整備計画等を策定して、事業を優先して実施されておる。こういうことで、さらにこういう促進地区の指定に向けて地元との合意形成を今鋭意進められておる、こういうふうに伺っております。この合意形成に多少時間がかかっているということではないかと思います。  今先生がおっしゃいましたように、大阪市、その周辺についても今後順次指定箇所が出てくるというふうに思っておりますし、また私ども建設省といたしましても、そういうような防災上危険な密集住宅市街地を解消するために一層の地区指定を推進する観点から、地区指定に係る経費に対する助成でありますとか、あるいは技術的助言ということで積極的に支援してまいりたいな、こういうふうに思っているところでございます。
  127. 西野陽

    ○西野委員 いろいろ支援していこうというところまでおっしゃっていただいたのですけれども、やはりまず、それだけの面積が絶対的なものはある、では早く、せめて防災街区だけでも、大阪市は別の手法をとっておられるところが一部あるのですけれども、大阪府下なんかの場合、非常におくれているのですね。  いわんや、お示しされましたように、東大阪というのはまだ全く指定もされていない。ある意味で非常に劣悪な環境があるにもかかわらず指定をされていない。それは、ひとえに国の責任とは私は申し上げませんけれども、当該の市町村の取り組み、あるいは地域の住まいをされている方の認識といいますか、再開発を初め密集地としての活性化をもたらすための建てかえ等をやらなきゃならぬという民意がまだ十分醸成されていないな、こういうふうに思うのでございます。  御案内のとおり、大阪といいますのは、密集地だけではありませんで、この間の委員会でもお話がありましたとおり、国土調査促進法でございますか、これも郡部はゼロ%でございます。ですから、何かそういう点で非常におくれているなというふうなことを思うのです。これを何とかしなければいかぬという思いもまた逆にあるわけであります。  ただ、密集地というのは、まず地権者といいますか権利者が実態は大変複雑に錯綜しているように思うのですね。ですから、土地を持っておられる方と上屋の方とが違う、上屋に住んでおられる方は所有者でなくてまた借りをしているとか、そういう方はいろいろな方がおいででございまして、本人に会って意向を確かめようとかという行動を役所が起こしたとしても、地方公共団体が起こしたとしても、普通の日中ではだめだ、深夜に行かないとだめだとか、早朝に伺わなければそういう話し合いができないとか、実に忍耐強い、根気強い関係自治体の動きがありませんと、なかなか権利者間の調整、同意というところまではこぎつけることができないという難しい問題も片やあるのですね。  そういうことからしますと、いかに法律ができて、いかに国の方がやろうとしましても、受け皿の方の所有者もしくは住んでいる住民がそういう対応を示してくれなければどうにもならぬわけですね。されば、そういうものが出てくるまで待つといったら、もう戦後五十数年たってまだこんな状況でありますから、やはりここで、例えば都市整備公団等はかつては分譲等もやっておられて、大変ノウハウを持っておられるのですね。  そういう人たちが、都市整備公団は霞が関でなく九段ですか、九段のあのビルの中からはるか大阪の方を眺めたって見えないわけでありまして、では持ってこい、持ってきたらいろいろ教えてやるなんというような受け身の姿勢では、こういうものはなかなかいかないのです。もっと乗り込んで、例えば都道府県に、当該の大阪府なら大阪府に乗り込んで、主体的に、積極的にそういうものに対する動きをさせることも必要ではないかなというふうに思うのでございますが、その点いかがでございますか。     〔委員長退席、井上(義)委員長代理着席〕
  128. 那珂正

    那珂政府参考人 御指摘の木造密集市街地の整備ということになりますと、先生の今御指摘のように大変権利関係が複雑でありますし、地域住民の方々の住宅も殊のほか大変密集度合いがきついわけでございまして、実際そこで例えば建てかえというような事業をやるにしても、なかなか骨の折れる事業であると思います。  しかし、それゆえに、やはり地元地方公共団体が主体的に、中心になって取り組むべき問題ではないか、こう思います。もちろん、御指摘のように、国の機関として都市基盤整備公団がこれまで培った住宅や町づくりのノウハウを、そういう困っている公共団体なり問題の多い地域に精力的に入っていく、お手伝いしていくということは当然必要なことでありますけれども、まずは地方公共団体が主体的に物事を考えていただくということが必要だろうと思います。  その上で、公団につきましては、先生も御指摘になりましたが、昨年の公団法におきまして、委託に基づく市街地の整備改善のためのいわゆるコーディネート業務についても公団の本来業務とするという位置づけがなされておりますので、決して本社、九段で待ちの姿勢で、聞きに来れば教えてやるというような姿勢ではなくて、現地に職員を具体的に派遣した上で、それぞれの地方公共団体地元の実情等に応じた幅広いノウハウ提供ということが可能となりました。  そういうことでありますので、新公団は昨年の十月から衣がえして新しく発足したわけでございますが、今御指摘のようなこういう大変難しいけれども非常に重要な業務につきましても、地方公共団体の本来業務とよく連携をとった上で積極的に取り組んでいくよう、指導してまいりたいと思います。
  129. 西野陽

    ○西野委員 公団が実質分譲から撤退をするという方向が内部で決まって、平成七年には分譲の担当職員が、承りますとこれは二百十六名ほどおられたのですね。現在では、分譲を撤退していますから、五十二名になっているのです。そうすると、約百五十名の方は何らかの別の業務についておられると思うのですね。  それで、この密集市街地というのは全国にあるわけではないのでして、とりわけ三大都市圏に多い。特に大阪は、大阪市じゃなくて大阪府下といいますか郡部の周辺、大阪市のドーナツ現象化した周辺に点在しているわけなんですね。大体限られているのです。  限られているのですから、むしろ、今、那珂さんも積極的にとはおっしゃっていただいているのですが、百五十名が遊んでいるとは私言いませんけれども、やはり何人かの方が、限られた、例えば大阪府なら大阪府でいいのです、東京都なら東京都でいいのですが、やはりもっと主体的に出ていかれて、それは都道府県と調整はしなきゃなりませんけれども、例えば二人や三人は密集市街地を専門にノウハウを提供して、そして関係自治体の人がもっと主体的に動けるように指導していくということができるのではないかなというふうに思います。ぜひひとつ積極的に取り組むようにお願いをしたいというふうに思います。  ただ、これらは、地元市がなかなか動けないというのは、そういうマンパワーも不足しているし、いろいろな限られた条件ではあるのでしょうけれども、やはり、事業をするといいましてもこれは先立つものが必要なのでございます。  そういう点では、例えば、既成の二分の一補助、三分の一補助とかいろいろな補助制度があるのですが、その残ったものは地方公共団体がいわゆる裏負担をしなきゃならぬわけです。この裏負担はどうするのかといえば、いや、それは自治省の方では起債を認めています、起債の償還に対しましては交付金を充てていますというのですが、実質的にはやはり地方公共団体の負担になっているというところ、ここのところも、今日のようなこういう財政、地方公共団体の懐ぐあいを考えれば、やはり難しいなという思いがあるわけですね。  これはだれに答えていただいたらいいんですか、こういう密集の劣悪な状況のものがある、そういう中であるだけに、これを積極的にやるには、人だけではなしに、人とあわせて何らかの財政的な、多少特別な措置というものが考えられないんだろうか。  局長でも結構ですから、お答えをいただきたいんです。
  130. 那珂正

    那珂政府参考人 御指摘のように、密集住宅市街地整備促進事業につきましては、補助対象の拡充、それから裏負担につきまして起債の対象とすること、その起債の返還につきましては、一部でございますが、法律に基づく一定の項目につきましては特別交付税の対象にするというようなこと等、制度全体として、少しでも地元公共団体の財政負担がないように、これまでも逐次拡充してきたつもりでございます。  公団が、場合によっては、人だけではなくてみずからそういうところで事業を展開するというようなことも含めて、事業面でも促進できるような財政上、制度上の拡充に今後とも努めてまいりたいと思います。
  131. 西野陽

    ○西野委員 ぜひ、お願いしたいと思うんです。  最後に、中山建設大臣、えらい大阪の陰の方のことばかりを申し上げたのでございますが、大阪の一部密集地のこういう劣悪な状況のことをお願い申し上げたのでございますが、大阪選出の建設大臣としてどのような印象を持たれておるか。これらの密集地に対するお考え方最後にお尋ねして、終わりたいと思います。
  132. 中山正暉

    中山国務大臣 私も、東大阪市ができるときに、布施市、枚岡市なんというのがありましたが、大阪市域拡張部分は大正十三年が最後でございました。八尾市とも行政協定を結びながら、いまだに内縁の関係でそのまま終わってしまうような、どうも私は、もっと広域行政をやらなきゃだめだと思っているんです。  だから、あのときも私は大阪市議会におりましたから、東大阪一つにまとまるときに、これは大阪市の周りに高い塀を築いてしまうぞと。地域の自治体、大阪府下に四十四もありますが、これはもう本当に細かく分けている。たわけ者なんといって、田んぼを小さく分けるやつはばかだというのが、たわけ者という言葉になったそうでございますが。  ですから、もっと広域行政をやらなきゃ、確かに、先生のお地元だけでなしに大阪市域周辺には寝屋川市とか、ここに樽床議員もおられますが、今写真を見せられて、本当に何とも言えない気持ちになってその写真を見ておったのでございます。  確かに、大阪域は三大都市圏でも住宅個人面積の一番少ないところでございますので、何か画期的な方法をとらなきゃいけないんじゃないか。特に密集市街地というのは、大規模地震が発生した場合とか、それから市街地火災が発生するおそれがありましたり、大都市中心に二万五千ヘクタールも存在しているということでございますから、国民の皆様に安心して暮らしていただけるためにも、密集市街地の整備は緊急に取り組むべき問題だと思っております。  このために、平成九年に制定されました密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律のもとで、密集住宅市街地整備促進事業や、それからまた道路、公園等の公共施設整備事業など、総合的にそういうものを活用して、密集市街地の整備を着実かつ早期に進められるようにしないと、私が知っている限りでも、今うろ覚えでございますが、消防自動車の入らないような、いわゆる消火不能地域というのが非常に多いのも気になるところでございます。  そういう密集地域の住宅問題というのは、これは本当に、権利関係者の方々にも徹底した意識の再構築をしていただいて、自治体とともにそういう密集地域の解消に努めてまいらなければならない、切実な問題だと思っています。
  133. 西野陽

    ○西野委員 終わります。
  134. 井上義久

    ○井上(義)委員長代理 辻第一君。
  135. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、まず都市基盤整備公団の宅地開発の問題について質問をいたします。  公団が九三年に関西支社エリアで分譲した宅地で、一昨年の五月に陥没事故が発生しました。陥没したのは、分譲地の戸建て住宅で、門柱付近から駐車場にかけて、直径二、三メートル、深さ一・二メートルというものであります。  公団は、陥没原因を当初、古井戸と説明していましたが、一年半後の昨年十二月四日になって、分譲地の敷地の下に廃坑があることを関係者に告知し、関係住民と安全対策や補償などについて話し合っております。この廃坑は、戦争中の廃坑と推定され、高さ一・二メートルから二メートル、幅一・九メートルから三・七メートル、地下約五、六メートル、延べ延長二百八十メートルと聞いております。  この廃坑を埋め戻さずに宅地造成したことについて、公団は、廃坑の上に強固な岩盤があり、安全だと判断したと説明しておりますが、関係住民は、土地売買の契約時に廃坑があることを知らせなかったということ、安全性の具体的、科学的な説明がないこと、現実にこのような陥没事故が発生していることなどから、公団に不信感を持つと同時に、廃坑の上に住んでいることに大変な不安を募らせております。大変な思いで求められた大事な大事な住宅のことですから、これは当然のことでございます。  このようなことから、関係住民の不信感や不安を解消し、関係住民が納得する解決が求められております。公団は、関係住民のこのような状況、心情を理解し、関係住民が納得するよう、誠意ある話し合い、道理ある解決に努力すべきと考えますが、公団、いかがですか。
  136. 両角博

    両角参考人 先生御指摘の件につきまして、陥没の箇所につきましては、速やかに復旧工事を実施いたしたところでございます。  今お話がございましたように、本件につきましては、これまでも居住者の方々と誠意を持って話し合いを続けてきております。今後とも、居住者の御理解を得られるよう誠意を持って対応してまいりたい、かように考えております。
  137. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひひとつ、誠意ある話し合いを続けて、道理ある解決を図っていただきたい、重ねてお願いをいたします。  次に、建設省が和歌山県の橋本市と九度山町にまたがって建設を計画している、紀伊丹生川ダム建設計画について質問をいたします。  私も先般、現地に行ってまいりました。高野山の北北東約六キロか七キロぐらいのところでありまして、住民の皆さんや学者、専門家の皆さん方とお会いをしてまいりました。  このダムは利水と治水の多目的の重力式コンクリートダムで、堤高が百四十五メートル、ダム本体が六百三十億、附帯工事費が九百三十億、合わせて、総事業費は千五百六十億という大きな工事費であります。そして、一九七九年度から予備調査を行い、八九年に実施計画調査に着手、九七年十一月に紀伊丹生川ダム建設事業審議委員会が設置され、昨年の九九年九月に、ダム建設は妥当とする最終答申を行っておられるということであります。  そこで、このダム審議委員会では、当然、紀伊丹生川ダム建設の是非について審議されたと考えるんですが、まず最初に、建設省はこの審議委員会に何を諮問されたのか、簡明にお答えをいただきたい。
  138. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 ただいま御質問の紀伊丹生川ダムは、建設省近畿地方建設局が現在調査中の事業でございます。御指摘のとおり、平成九年十一月六日に、近畿地方建設局長が和歌山大学の学長を委員長とする十八名の学識経験者に、ダム事業審議委員会として本事業の内容につきまして諮問したわけでございます。  内容につきましは、治水計画、環境への影響、地域社会への影響についての評価、そして大阪府及び和歌山市の所管に係る利水事業、利水計画についての内容等につきまして、内容を審議したわけでございます。  一年十カ月にわたりまして十二回の審議を行いまして、各利水事業者からの説明を受けたり質疑応答し、また、現地視察、地域住民からの意見の募集、公聴会の開催、関係行政機関からの説明及び意見の聴取、環境が専門の学識経験者からの意見の聴取及び質疑応答というような内容の経過を踏まえまして、平成十一年九月二十七日に、本ダム事業については妥当とする意見を提出されたところでございます。
  139. 辻第一

    ○辻(第)委員 審議委員会では、建設省のそのような諮問を受けて、ダム建設の目的や内容の妥当性を、治水や利水、環境などさまざまな点で審議をした結果、妥当との結論になったということでありますが、果たしてそうなのか。利水、治水、環境のそれぞれについて、地元の住民の皆さん、専門家の皆さん方から問題点が指摘をされております。そういう中で、このダム建設計画の見直し、白紙撤回を求められておるわけであります。  まず利水についてでありますが、大阪府への分水や和歌山市の人口増を見込んだ水需要のために紀伊丹生川ダムが必要としています。ダム審に出された大阪府、和歌山市の水需要予測は、大阪府営水道が二〇一〇年に一日最大給水量が二百六十五万トン、和歌山市が二〇〇九年に二十四・七万トンとしています。この予測は、この数年の需要動向などから見て、実態と大きくかけ離れている過大なものとなっています。  和歌山市では、昨年の十二月の議会で、我が党の議員の質問に水道局長が、過大とならないよう、現実を認識の上見直しをしてまいりたい、このように答弁をしております。細かい数字は控えますが、大阪府についても、現状水余りというのが各種の資料で明らかであります。  それに、建設省の河川審議会も、九九年三月の提言で、近年、「都市用水の中には、経済発展や人口増加の鈍化により計画需要と実需要が乖離し、計画通りの需要が当面は発生しないところも出てきている。」「量の確保から水質の安定に向けた要望が増大している。」このように指摘をしております。  ところが、紀伊丹生川のダム審の答申では、「社会経済情勢の変化に応じて、水需要予測についても見直しを含めて更に綿密な調査・検討」を求める意見があったことを付記しながらも、「和歌山市及び大阪府の水需要計画については、当該自治体が責任を持ち、長期的な視野に立って」また「極めて慎重な立場で作成されたものであると思料されることから、本委員会としては基本的にその計画を尊重して良いと考える」と大変責任のない答申となっております。  そもそもこのダム審は、公共事業の再評価の一環としてダム建設事業の是非を検討する役割を負っていながら、ダム建設の目的である大阪への分水や和歌山市への水需要の的確性についてもまともな審議をしていないのではないか、どういうことなのかと考えるんですが、大臣の御所見を伺います。     〔井上(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  140. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 ダム審で利水事業者から言われた事務的な細かい数字について、まず御説明いたします。  和歌山は、全国の四十七都道府県のうち、一番下水道の普及率の低い県でございまして、今後下水道普及率が伸びていくということと、現在の三十九万人が長期的には四十四万人になるということ等から、和歌山市の所要の水源が必要となるという内容でございました。そして、大阪府におきましては、現在、日量二百万トンの取水量でございますが、将来、今御指摘の二百六十五万トンになるというところには、市町村が単独でため池や地下水等に頼っておりまして、その市町村のため池等が大阪府営下水道になるということと、大阪は唯一淀川のみに依存しています。その淀川のみに依存しているところをこの紀の川に依存して、大震災または大災害等に対応した強いまちづくりにしたいという内容で計画しているという内容を私ども承っております。
  141. 辻第一

    ○辻(第)委員 今いろいろ御答弁がありましたけれども、現実は、やはり過大な見通しというんですか、そういうことは明らかであります。大阪府や和歌山市の需要動向から、利水面でもこの丹生川ダムの必要性が破綻をしてるということだと思います。  次に、もう一つの目的であります治水面ではどうか。  建設省の計画では、現在奈良県川上村に建設中の大滝ダムとこの紀伊丹生川ダムを紀の川全体の治水計画の一環として位置づけ、百五十年に一回規模の洪水を想定し、河口に近い基準地点、船戸でのピーク流量を毎秒一万六千トンと算定し、この二つのダムで四千トン削減し、堤防等で防ぐ流量を一万二千トンにするというものであります。このうち、紀伊丹生川については、毎秒千五百トンをこのダムの建設によって千三百七十トン削減をする計算になっています。  この毎秒千五百トンの計算に疑問の声が専門家から出ております。この紀伊丹生川流域は瀬戸内海気候で、ピーク流量が千五百トンは考えられない。近畿地建の資料では、最大日雨量は一九五六年の台風十五号のときの二百五十ミリ程度になっていますが、この雨から毎秒千五百トンという値は考えにくい。結局、大台ケ原のあの豪雨地帯の豪雨をこの紀伊丹生川流域に持ち込んで、かつ、大きな安全率を与えて過大な流量を算出したと言わざるを得ないとピーク流量毎秒千五百トンに異論を唱えています。  また、基準地点の船戸でのピーク流量が毎秒一万六千トンと算定しているのも過大過ぎるとの指摘があります。紀の川での最大の洪水は一九五九年の伊勢湾台風で、このときのピーク流量が、はんらんした分も推計して毎秒七千百五十トンと見られており、一万六千はその二倍を超えております。現状では、近畿地建の資料でも、堤防等で防ぐ流量は毎秒一万二千トンとし、大滝ダムが稼働すれば、船戸でのピーク流量は毎秒二千七百トン削減できるとしています。紀伊丹生川ダムがなくても毎秒一万四千七百トンまでなら洪水にならない計算になります。一方、紀伊丹生川ダムは、ダム直下では千三百七十トンの削減と計算しているものの、基準地点船戸での効果量は毎秒五百トンで、一万六千トンの三%程度であります。この程度の効果なら、保水効果のほかに土砂の流出を防ぐ効果を持つ流域の森林を保全した方が、環境面その他の面も含めて効果的と考えますが、いかがですか。  できるだけこれも簡明にお答えをいただきたいと思います。
  142. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 紀の川水系の工事実施基本計画、四十九年策定でございますが、紀の川では、百五十年に一回の洪水に安全にしようという内容で、計画雨量、二日雨量を四百四十ミリとしてございます。御指摘の二日雨量につきましては、九十二年間の実績で見ましても、下流の和歌山観測所では四百八十ミリ、中流の五條観測所では三百三十ミリ、上流の大台ケ原では千三百五十ミリとなっておりまして、この流域、紀の川流域における四百四十ミリというのは、過大であるとは言えないと考えております。  そして、その流量におきましても、一万六千トンの流量につきましては、過去の七洪水をパターン化しまして、四十七年九月が最も危険だということで、四十七年九月の洪水パターンをもってこの二日雨量のパターンを決めており、一万六千トンを決めてございます。そして、大滝ダム、紀伊丹生川ダム等のダム群を合わせて、船戸地点におきまして五百トンをカットして残りを河道で安全に流そうという計画になってございます。  最後に、森林計画でございますが、私ども森林は大変大事だと考えてございます。現在、私どもの計画も、この地域がもう既に七〇%以上の森林面積があるという前提で計画を立てておりまして、私ども、この森林を大事に保全していくということが治水計画上重要なことだと認識してございます。
  143. 辻第一

    ○辻(第)委員 私どもの観点から見てまいりますと、利水の問題でも治水の問題でもどちらから見てまいりましても、この紀伊丹生川ダムの建設目的、根拠といいましょうか、その必要性は破綻をしている、私はそのように考えるわけであります。そして、今全国各地で問題になっておりますが、この事業は、今深刻な財政危機の中で税金のむだ遣いあるいは莫大な浪費の公共事業一つではないのかということであります。また、この事業は重大な環境破壊にもつながっております。  紀伊丹生川ダム予定地は県立自然公園内で、県指定の名勝地玉川峡があります。先ほども申しましたが、私も現地を見てまいりましたが、本当に美しい水や自然のすばらしい渓谷玉川峡であります。大阪や和歌山市の近郊という地の利からも、年間二十五万人の方が訪れておられる。この玉川峡は、大都市近郊として数少ない豊かな自然美が残っているところではないのか。きれいな水が残り、美しい自然が豊かであります。  このダム建設で玉川峡の三分の一、約五キロメートル、そして百六十七ヘクタールが水没をいたします。この点について、ダム審議委員会は答申で「水没等多大な影響を与えることは十分認識しつつも、治水、利水上の必要性から見てやむを得ないと考える。なお、事業実施に当たっては自然環境の創出に配慮することが望まれる」そして環境破壊も治水、利水の観点から仕方がないという立場であります。私は、とんでもないことだと思うのであります。  また、このダム建設予定地は、注目すべき動物として、哺乳類が二種類、鳥類八種類、両生類四種、魚類が一種、昆虫類が十三種挙げられ、これには天然記念物のカモシカ、絶滅が危惧されるクマタカやオオタカ、オシドリ、ニホンリスなども含まれています。  近畿地建が九八年四月に発行した報告書では、これらの動物について「湛水区域とその周辺で広範に生息していると確認していることから、ダム建設による影響は少ないと考えています。」としています。これまた驚くべき見解であります。ダム審の「多大な影響を与える」ことすら認めない態度であります。  影響が少ないはずがないのであります。カモシカの場合は、縄張りを持つ習性から、生息可能な土地が狭くなれば生存可能なカモシカの数が減ることになります。また、クマタカ、オオタカも縄張りがあり、一対で必要な面積が大体決まっているということでありますし、このほか湛水区域内しか確認されていないオシドリやヤマセミ、カワセミも生息地を追われることになります。ダム審のアドバイザーの鳥類の専門家も、さわらない方がよい、このようにコメントをされております。  近畿地建の報告書は、いずれの種についてもダム建設による影響は少ないと考えているとしておりますが、科学的な実証がなく、説得力に欠けております。九八年十二月の第七回ダム審での質疑でも、湛水域の自然環境に与える影響は致命的で、周りにもかなりの影響がある、ミティゲーションや移植は実際上不可能と専門家が率直な返答をしております。このほか、貴重な植物もございます。  このように、紀伊丹生川ダム建設は、名勝地玉川峡を初めこの地域の豊かで美しい自然や環境を破壊し、特別天然記念物のカモシカなどの貴重な動植物に多大な影響を及ぼすことは明らかであります。この点について、建設大臣の見解を伺います。
  144. 中山正暉

    中山国務大臣 吉野熊野山系というところは日本一の降雨量のあるところでございまして、ここの辺の問題をどうするか。紀伊丹生川ダムが建設される玉川峡は、先生お話のように、かつらぎ高野山系県立自然公園にも指定されておりまして、豊かな自然が残されていることは、私もよく近くでございますから認識をいたしております。建設省は、平成二年度よりダム及びその周辺の動植物等の調査を実施いたしまして、その結果についてダム審議委員会にも報告をいたしておりますが、ダム審議会委員の方々からは、委員会からは、これらの環境調査の結果やそれから専門家意見を踏まえまして、「動植物に与える影響を最小限にとどめるべく引き続き更に緊密な調査検討を行うこと」との意見をちょうだいいたしております。  建設省といたしましては、今後、引き続き環境調査を継続いたしまして、環境影響評価法に基づく環境アセスメントの手続を実施いたしまして、環境へ与える影響について適切な評価をいたしながらこれから対応してまいりたい、かように考えております。
  145. 辻第一

    ○辻(第)委員 環境影響評価、環境アセスメントも行われるようでありますが、先ほど来述べてまいりましたように、このダムの建設計画は、利水や治水という目的、根拠も破綻をしていると思いますし、先ほど申し上げました自然環境や貴重な動植物にも多大な悪影響を及ぼすことも明らかで、私は、建設はすべきではない、このように考えております。  そこで、お尋ねをいたしますが、これから行われる環境アセスメントの結果、環境や立地条件などで不適となれば、当然建設を断念されることになると思いますが、大臣、いかがですか。
  146. 中山正暉

    中山国務大臣 先ほどから御答弁申し上げておりますように、環境アセスメントにつきましては、今後法律に基づく手続を行う予定でございまして、その結果を踏まえまして事業の基本計画を策定してまいりたい、今後の検討の課題だと思っております。
  147. 辻第一

    ○辻(第)委員 ダム建設については、環境問題や費用対効果なども含めて、利水や治水をダムに頼るこれまでの方向の見直しが各地で、いや、世界的にも始まっております。アメリカでは、一九九四年五月に、クリントン政権下の開墾局総裁ダニエル・ビアード氏がダム建設の時代は終わったという有名な演説をいたしております。我が国でも、建設省の計画も含め幾つかの建設を取りやめられたということであります。  まさに、これからの水資源の保護や活用、洪水対策はダムなどの巨大な構造物に頼らず、水源の涵養や流出調節、土砂の流出防止、酸素供給、大気浄化などの公益的機能を持つ森林の保護、育成によるべき時期に来ていると考えますが、大臣、いかがでございますか。
  148. 中山正暉

    中山国務大臣 我が国といたしましては、国土の一〇%の沖積平野に約五〇%の人口と、それから約七五%の資産が集中をしておりまして、河川の勾配が急峻で集中的な洪水が発生する一方で、短時間に降った雨がすぐに海へ流される、そういう地形でございまして、このため、治水対策や水資源の確保のためにはダム事業は根幹的な手法として、一般の平たんな外国の場合とは少し事情が違うのではないかというふうに考えております。  一方、アメリカ合衆国では、一九六〇年代をピークにいたしまして、比較的早い時期にダム建設が進み、連邦のダムだけでも約三千七百億トンの総貯水量を所有しております。一方、我が国は、戦後一九六〇年代以降に本格的に社会資本整備としてのダム建設が行われてまいりましたが、現在でも、全ダムの総貯水量は約二百億トンにすぎません。  もう大変、断トツにアメリカは多い。人口日本は二分の一でございますが、広さは向こうが二十六倍もございます。国民一人当たりのダム貯水量に換算しても、アメリカでは日本の約九倍以上のストックを所有しているということでございますから、基礎的な問題が全然比較にならない、かように考えております。
  149. 辻第一

    ○辻(第)委員 もうダム建設の時代は終わったというのが今の大きな流れではなかろうかと思います。そういう点で、この紀伊丹生川ダムについて、何が何でも建設という立場ではなしに、利水、治水の観点からも、地球環境など大きな観点からも、建設計画の見直し、白紙撤回を強く求めて質問を終わります。ありがとうございました。
  150. 大口善徳

    大口委員長 中西績介君。
  151. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、出身の地元の問題で、二、三まず質問を申し上げたいと思っています。  産炭地域振興法ほか石炭関係法が平成十三年度末で失効するために、激変緩和措置を講ずるための法律が先般策定されました。このとき問題になりましたが、産炭地域振興のためのアクセスがいまだに完備されていないと指摘されましたが、この中に、国道二百号、二百一号、三百二十二号線があります。  私は、一九八一年、法律の十年延長のとき、三百二十二号線が当時の試算で三百七十億円かかるのに、特別措置をしたといって答弁をしておりますけれども三億円しかなかったわけでありますから、永久にこうした事業というのは進捗しないんではないか、こういうことを追及したことを思い起こしております。  法律は時限立法ゆえに、目的達成のためには閣僚会議でも開いて対応することを大臣に迫ったわけでありますけれども、大臣は、事務次官協議会を設置しているということでその場は答弁されたわけでありますが、それから以来、この事務次官協議会もなくなり、各省庁連絡会に変わってきておるようでありますけれども、この各省庁連絡会に建設省は参加をしておるのかどうか。
  152. 風岡典之

    風岡政府参考人 産炭地域振興関係各省庁等連絡会でございますけれども、産炭地域の振興対策の推進を図るということから、関係省庁等の連絡体制を強化するために設置、運営されているところでありまして、建設省も地域の振興に大きなかかわりを有するという立場から、中央連絡会それから地方連絡会があるわけですが、それぞれに参加をしているところであります。
  153. 中西績介

    ○中西(績)委員 中央連絡会に参加しておるということでありますが、総合的に対応するということが石炭対策特別委員会におきまして何回も答弁されておりますけれども、この中で道路アクセスの問題などについて論議されておるのかどうか。されておるとするならば、その実態についてお答えください。
  154. 大石久和

    大石政府参考人 先生御指摘のように、産炭地域振興関係各省庁等連絡会というのが設置されております。平成十三年度におきましても、この連絡会を通じまして、国道整備を含めました道路整備につきまして引き続き十分な対応を図っていくことを確認したところでございまして、この経緯を踏まえまして道路整備に鋭意努力していきたいというところでございます。
  155. 中西績介

    ○中西(績)委員 そこで、この二百号線、二百一号線、三百二十二号線は、今のペースで進めると何年かかるのか。このような時限立法が失効するときに何回も問題提起してきたのに、いまだにこのアクセスは不十分のままになっております。法律の政策有効性を疑わざるを得なくなるわけでありますけれども、各省庁連絡会はいかなる位置づけをされておるのか、何のために設置されておるのか、この点についてお答えください。
  156. 大石久和

    大石政府参考人 国道二百一号線、三百二十二号線の整備状況についてお尋ねでございます。  まず、二百一号につきましては、幾つかのバイパスを工区設定いたしておりまして、逐次整備を進めておりますが、全体としてその進捗が遅いという御指摘は、先生の御指摘のとおりであろうというように思います。  しかしながら、それぞれのバイパスに集中的に投資することによりまして、部分的ながら供用を図っていくよう努力しているところでございまして、例えば二百一号の飯塚庄内田川バイパスは、五十六年度に事業着手し、二車線の暫定供用が部分的に行われております。  また、八木山バイパスと接続する二百号との交差点から重点的にその後の整備を進めることにいたしておりまして、穂波町から飯塚市間の二キロメートルについては、平成十四年度に部分供用の予定でございます。  また、烏尾トンネル区間におきましては、地下水調査や用地買収の準備を進めているところでございます。仲哀改良につきましては、トンネルの新設事業でございますが、平成二年に事業着手し、現在、用地買収を鋭意進めているところでございます。  三百二十二号につきましても、それぞれバイパスを工区設定いたしまして事業を進めておりますが、香春大任バイパスにつきましては、四車線の道路整備事業でございますが、平成九年度に事業着手した後、工業団地関連区間及び国道二百一号から北九州市へ向かう香春町—採銅所区間において重点的に整備を進めておりまして、大任町内の一キロメートルについて平成十三年度に部分供用をいたしたいと考えてございます。  また、山田バイパスにつきましても、山田市内の交通混雑の緩和を目的として整備しております二車線の道路整備事業でございますが、これも現在一部を部分供用いたしておりますが、平成十三年度には山田市内の約一キロメートルについて部分供用を図りたいというように考えてございます。  それぞれ、産炭地域の振興に重要な事業であると認識してございますので、地域の皆様方の御理解を得て早期に供用が図れるよう努力していきたいと考えております。
  157. 中西績介

    ○中西(績)委員 私が指摘をしたいと思いますのは、このような産炭地振興、そういう特定された地域を振興させ、特に落ち込みが激しい地域を再浮揚させるための措置をするということになれば、必然的にこのようなアクセス等の問題についても総合的という言葉の中にすべてが入っておるのではないかと私は思うんです。  そういう状況にいまだに置かれて、これは先ほど申し上げましたように平成十三年度末で失効するわけでありますから、このことを考えますと、大体、例えば三百二十二号あるいは二百一号線の場合には、何年かかればここを達成ができるのか。そして、このことを考えますと、事業の達成のために建設省は法の失効までにどのような努力をしていくのか。そして、失効後においても同じくこれを措置しなくちゃならぬと思うのでありますけれども、この点はどのようにお考えか、お答えください。
  158. 大石久和

    大石政府参考人 産炭地域振興のための道路整備の重要性は、先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、早期に供用が図れるよう、特に重点区間に的を絞った予算の配分、用地買収の促進等に努力をしてまいる考えでございます。  具体的なスケジュールのお尋ねでございますが、例えば二百一号につきましては、おおむね平成十年内、二十年に至らないという意味でございますが、十年内後半までには暫定供用を含め供用いたしたいと考えてございますし、また、三百二十二号の香春大任バイパスそれから山田バイパスにつきましては、部分暫定供用といたしまして平成十三年度を目途に考えていきたいと考えているところでございます。  今後とも、道路整備の必要な財源を安定的な財源により確保し、最大限の努力をしていきたいと考えております。
  159. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、やはり一つ法律を策定し提案をしてくるときには、そうした将来を見通して、ある程度それをどのように施行するのか等々を考えていく必要があろうと思うわけであります。ただ漫然と、十年延長すればいいというような形でやるんだったら、これは十年延長でなしに、例えば三十年なら三十年でどうするということを明記しておかないと、なかなか、もう既に産炭地、この分については四十年になるわけでありますから、こうした問題が依然として残っていくということになりますと、先ほど私が指摘いたしましたように、法律の政策有効性というものを疑わなくちゃならぬと思いますから、この点について十分お考えいただきたいと思います。  次に、河川の遊水地利用についてお聞きしたいと思います。  全国で特に遊水地域はどれだけあるのか。そして、その遊水地利用について、昭和四十年四月、一九六五年四月から新河川法を施行される中で河川敷地占用許可準則の改正がなされましたが、その後、数回にわたり改正されてきました。遊水地の取り扱いはこの中でどうなっておるのか。さらにまた、スポーツ関連で利用できないと聞きますけれども、河川法六条一項三号の政令で定める遊水地であれば、第二十四条、占用の許可は河川管理者の許可があればできることになっているが、どのようになっておるのか、お答えください。
  160. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 まず、全国の遊水地でございますが、一級河川百九水系のうち、直轄区間におきまして、現在八カ所、一万三千七百八十九ヘクタールございます。ただし、現在事業中のものはほか六カ所でございまして、約二千九百ヘクタールでございます。  そして、遊水地に関します占用許可でございますが、河川区域内のスポーツ施設等の占用許可は、土地の占用のための河川法第二十四条、そして工作物の新築等のための法第二十六条等の許可を受ける必要がございます。  この許可の審査基準として、河川敷地占用許可準則がございます。これは昨年八月に全面改定しておりまして、国民に具体的にわかりやすくという趣旨に基づきまして全面改定してございます。遊水地もこの許可準則の中で審査を行うことになっておりますが、遊水地はほかの堤防と違いまして、水が緩やかに貯留されることになりますので、流速の速い一般の河川堤防の基準を私ども適用しないという方向で審査をしていくことになってございます。  以上でございます。
  161. 中西績介

    ○中西(績)委員 私、さらにこのことについてお聞きしたいのは、今のように遊水地は広くあるわけでありますから、これを何らかの形で使用することができるように、最初からそのようなつくり方をしておけば、ふだんは遊水されないわけでありますから、その間における土地利用として、さらにまたスポーツ等のグラウンド的なものがあればと言われるようなところではこれが十分活用できるのではないかと思っています。さらにまた、芝生なりなんなりをすることによって多くの皆さんがこれを活用できる、そういう状況等があると思うんですけれども、これらについてどのようにお考えか、お答えください。
  162. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 委員御指摘のとおり、遊水地はふだんは水がたまりません。そのために非常に使い勝手のいい空間でございまして、事前に、河川事業とあわせて、そのような使用目的を前提とした事業の進め方があるのではないかということでございます。  この遊水地は、私ども、土地の取得に関しまして、土地が取得できるところは取得するという形でやっておりますが、地役権設定ということもやってございます。そういう場合、地方公共団体がその土地を取得し、地方公共団体の力と合わせて多目的広場、または多目的スポーツ公園等、または、具体的に申しますと、鶴見川遊水地では、横浜市とタイアップしまして、大きなサッカー場を設置するというようなこともやってございます。  私ども、今後、遊水地計画を進めるに当たっては、そのように地方公共団体と力を合わせて、長期的な使用目的を視野に入れた河川事業の展開をしていきたいと考えております。
  163. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうしますと、現在使用されておらない遊水地があるといたしますならば、この分については自治体がそういう行政的な措置をするということになれば、それは許されることなんですか。
  164. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 先ほど申しましたが、遊水地の土地が私どもの国の土地になっているものは問題ないわけでございますけれども、長い歴史の中で、民地の方、民間の方から私ども使用権、地上権、地役権の設定等を行って使用している場合がございます。その場合、その所有者の了解または同意を得なければ、その土地の入手が、権原の取得ができませんので、そういう、前からそこにいらっしゃる権原を持っている方々の同意を得つつ、地方公共団体と力を合わせて、公的な、地域の方々の役に立つ、そういう施設をつくるために私ども努力をしてまいりたいと考えております。
  165. 中西績介

    ○中西(績)委員 次に、国土調査促進特別措置法が三月八日本委員会で、参議院でも先般、可決、成立を見たようでありますけれども、このことについて関連してお伺いをしたいと思います。  先般の論議の中におきましても、大臣の答弁があり、そして小林政府参考人からの答弁につきましても、次の十カ年計画を推進するに当たっては、市町村直営を転換して、国の負担をあわせて一筆地調査して、民間専門技術者の活用を図る調査方式を導入するということが言われました。そのために、先般お聞きをいたしましたように、地籍調査外注分二億七千万、さらにその他予算措置がされておるようでありますけれども、私は、先般例として引きました、私の町の地籍調査が長年にわたるので国道バイパス施工ができないという状況に陥っておるということをこの前も指摘を申し上げましたが、今回のこの措置によって推進が可能になるのか。  それと同時に、現在従事職員が四名おるわけでありますけれども、全国平均三・六名になっています。四、五年以内にこの国道バイパス関係地籍調査を終了しないと、どうすることもできないということになっておりますが、そのためには、十名を超える体制で臨まないと到底不可能だと言われております。民間専門技術者活用による委託業務で重点的に措置ができるのかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  166. 小林新一

    小林政府参考人 地籍調査につきましては、国土調査促進特別措置法を改正していただきまして、これに基づきまして新十カ年計画を立てまして、地籍調査を促進させるために、ただいま先生の方からお話がございましたとおり、新規の促進方策といたしまして、一筆地調査につきまして、民間の技術者の活用も図れる事業を導入することにいたしております。御指摘のあった地域につきましても、この新規促進方策を導入することになれば、地籍調査が早く進みまして、工事に必要な土地の境界の確認等が早く進むものというふうに考えております。  私ども、前回の御質疑でもるる御説明申し上げたわけでございますけれども、この新しい方式が今後の地籍事業の進捗に大いに役立つものと期待しているところでございまして、町におきまして、福岡県と御相談の上、地籍調査の促進を図るため、本事業の実施について御要望があれば、地籍調査の促進が図られるように対応していきたいというふうに考えております。
  167. 中西績介

    ○中西(績)委員 今指摘がございましたように、福岡県と連絡をとり、そうした要望があればということでございますので、そのような措置をとりさえすれば、これはできるということを確認したいと思います。  それで、時間がありませんので、国土庁の質問を割愛させていただいて、次に、継続家賃見直しの全般的状況はどうなっておるのか。四月一日から家賃の改定を進めているが、最新の状況について御説明をいただきたいと存じます。
  168. 荒田建

    荒田参考人 先般の建設委員会で、先生から家賃改定作業の進捗状況の御質問がございました。そのときに、継続家賃の見直しにつきまして、引き下げ戸数とか引き下げ平均額、据え置き、引き上げ、それぞれ戸数ですとか金額を詳細に御説明させていただきましたが、私ども、居住の安定への配慮ということで、今国会におきます附帯決議の趣旨にのっとった特別措置としまして、低所得高齢者を中心に、今回に限って家賃を上げない措置を決めているわけですけれども、三月初めまでのところで約四万世帯の方々から申請が出ていますということを御報告申し上げました。  その後、いろいろなPR活動、やはりまだ周知徹底が足りないというような御指摘もございましたので、とにかく現在の家賃で上がらない、そういった特別措置を適用を受けられる方々に対する周知徹底を全力を挙げてやりまして、直近の時点では、事前にそういう特別措置が適用される方々が約五万世帯おられるのではないかと推計しておりました。それで、実は直近の集計では、それを上回る約五万三千世帯の方々から申請をいただいておりまして、現在、その資格確認等の作業を鋭意進めているというような段階でございます。
  169. 中西績介

    ○中西(績)委員 次に、情報公開についてお聞きしたいと思います。  昨年、本委員会質問をいたしまして、住宅局長並びに公団の理事からそれぞれ答弁を得ておりますけれども、市場家賃から近傍同種家賃を導き、さらに継続家賃額を算定するに当たってのデータの公開は進められておるのかどうか。なぜ私がこのことを申し上げるかといいますと、同じ棟で、例えば二DKでありましても、上下同じような条件であっても一万円の格差が出ておるというようなことを聞いておりますので、この点がどのようになっておるのか、お答えください。
  170. 荒田建

    荒田参考人 まず、情報公開の方でございますが、基本となります家賃改定ルールにつきましては、昨年末以来、広報紙その他、各戸に改定ルールを掲載したお知らせを配付しているわけであります。それから、近傍同種家賃がどれくらいかという点につきましては、それぞれの居住者に配付した家賃改定通知におきまして、この住戸の近傍同種家賃はこれぐらいですよということを個別に案内してございます。  そして、その算定の基礎となっております、その近傍同種からどういうプロセスを経てこの団地の、団地でいえばモデル住戸を選ぶわけですけれども、その家賃がこれぐらいになりますよという鑑定機関による団地ごとの報告書、これを実は団地の現地管理を担当している住宅管理センターにおいて公開して、閲覧に供しているということでございまして、かなりの方々がそれをごらんいただいておるところであります。  それで、先生おっしゃった後段の部分、同一の棟で一万円も、同じような箱で、上下で同じようなところなのに、なぜかというようなことでございますが、これは、一つは継続家賃の特殊性といいますか、これまで、一番古いのは昭和三十年の団地ですけれども、何回か家賃改定をしてきておりますけれども、その段階で、継続家賃の場合ですと、なるべく家賃が上がらないように抑えてやってきております。  そういったこれまでの改定に伴う激変緩和といいますか、なるべく上がらないようにするというか、そういった措置をすると同時に、入居の時期、これによって住戸の設備水準がそれぞれ違っております。古いものは、トイレやふろの水回りとか、非常に古い設備のままなんですけれども、そんなことではやはり設備水準が古くて居住者にも迷惑がかかるというので、私ども、実は家賃改定のたびに設備を改良してきております。ですから、ふろ場なんかも、最近では折れ戸にしたりとか、それから壁なんかもタイルを張ったりとか、そういうような形をやってきておりますし、ふろがまなんかも、昔はそうではなかったのですが、シャワーつきのふろがまにしたり等々、いろいろな改良を加えながらやってきておるものですから、同じ箱でありましても、入居の時期によって設備水準が変わってくる。  そういった形で、その両々相まってそういう開差が出ておるということでございまして、そこは、先ほど申し上げました近傍同種家賃との比準において、それぐらいの差が出ても適当であるというような形で我々は考えているところであります。
  171. 中西績介

    ○中西(績)委員 最後になりますが、増収分の使途についてお伺いしたいと思います。  居住者に対しまして、空き家修繕のため維持管理に充てるとともに、低所得者、身体障害者、母子家庭などに対する特別措置など家賃対策に充当することとする、使途についてこのように説明しておるようでありますが、家賃改定による増収額の使途は、基本的に従前と変わらないと考えてよろしいのか。特に、居住者の皆さんあるいは自治団体の皆さんと十分な話し合いを重ねて理解を求めるべきだと思いますけれども、この点についてどうでしょう。
  172. 荒田建

    荒田参考人 先生おっしゃるとおりでございまして、増収額につきましては、従来から主として維持管理経費に充ててきておりまして、今先生いみじくも御指摘ありましたように、そのほか、今回から行われます低所得高齢者の家賃対策ですとか、そういった財源に使うということでございますが、基本的には従前と同じ考え方でやっていきたい。  先般も申し上げましたけれども、私どもの団地、古い団地ほど古くて狭い、設備も悪いというようなことでございますから、今般、例えば一番要望の強い洗濯排水設備がままならない住宅が昭和四十年代を中心に約三十万戸あるとか、あるいは電灯の容量も三十アンペアしかなくて、ちょっとした電気機器をつけますとすぐヒューズが飛ぶといいますか、そういうようなこと等々もありますし、また、最近の高齢化時代に対応して階段手すりなどもどうしても必要になってまいる等々がございまして、そういった工事に増収額のかなりの部分を充てていくというふうに考えております。  そして、先生最後に御指摘いただいた居住者との関係でございますが、私ども、居住者団体、自治会、自治協という団体がありまして、この団体とは、かねてからそういういろいろな要望をいただいておりますし、またいろいろ懇談会なんかを通じて、できるだけ要望を踏まえてやるようにしておりますけれども、今回も、この家賃改定に伴う修繕の拡充についてはそういった方々の意見も十分聞くということで、今後とも遺漏のないようにやっていきたいと思っております。
  173. 中西績介

    ○中西(績)委員 終わります。
  174. 大口善徳

    大口委員長 この際、休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ————◇—————     午後二時十五分開議
  175. 大口善徳

    大口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  本日付託になりました内閣提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。建設政務次官加藤卓二君。     —————————————  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  176. 加藤卓二

    加藤政務次官 ただいま議題となりました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  現行都市計画法が施行されて以来三十年を経過しており、その間に、都市への人口集中の鎮静化、モータリゼーションの進展等、都市をめぐる経済社会環境は大きく変化しております。  このような状況を踏まえ、都市計画制度が、今日の安定、成熟した社会に対応し、地域が主体となって、地域ごとの課題に的確に対応し得る柔軟性と透明性を備えた制度となることが求められているところであります。本法律案は、都市計画制度全般にわたって大幅な見直しを行うものであります。  その趣旨を説明申し上げます。  第一に、市街化区域及び市街化調整区域の区分を原則として都道府県の判断にゆだねることとするとともに、都市計画区域の整備、開発及び保全の方針を充実し、あわせて開発許可制度について地域の実情に応じた適正かつ合理的な土地利用が実現されるよう見直しを行うこととしております。  第二に、良好な環境を確保するため、区域の区分をしていない都市計画区域のうち用途地域が指定されていない区域内において、特定の建築物等の用途を制限する特定用途制限地域制度を創設するとともに、既成市街地の再整備を図るため、商業地域内の高度利用を図るべき一定の区域内において、未利用となっている建築物の容積の活用を促進するための特例容積率適用区域制度を創設することとしております。  第三に、都市計画区域外において用途の混在を防止し、景観の維持等を図り、あわせて宅地としての最低水準を確保するため、用途地域等の指定を通じ土地利用の整序を行うことを目的とする準都市計画区域制度を創設するとともに、都市計画区域及び準都市計画区域以外の地域においても大規模な開発行為について開発許可制度を適用することとしております。  第四に、都市計画決定手続の合理化等を図るため、都市計画の案の作成における都道府県と市町村の役割を明確化し、また、都市計画の案の縦覧に際し、その理由を記載した書面を添えることとするとともに、国及び地方公共団体都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならないこととしております。  その他、これに関連いたしまして関係規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いいたします。
  177. 大口善徳

    大口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  178. 大口善徳

    大口委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、来る四月五日水曜日午前九時から、参考人として横浜国立大学教授小林重敬君、財団法人社会開発総合研究所理事長宮澤美智雄君、福島県福島市長吉田修一君及び東京都立大学都市研究所客員研究教授石田頼房君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 大口善徳

    大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る四月五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十分散会