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2000-04-21 第147回国会 衆議院 決算行政監視委員会第二分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月二十一日(金曜日)     午前九時開議  出席分科員    主査 赤城 徳彦君       古賀 正浩君    松本  純君       山本 幸三君    吉川 貴盛君       島   聡君    中路 雅弘君       中林よし子君    米津 等史君    兼務 奥山 茂彦君 兼務 田中 和徳君     …………………………………    労働大臣         牧野 隆守君    国務大臣    (防衛庁長官)      瓦   力君    防衛政務次官       西川太一郎君    厚生政務次官       大野由利子君    会計検査院事務総局第二局    長            関本 匡邦君    政府参考人    (防衛庁参事官)     小林 誠一君    政府参考人    (防衛庁運用局長)    柳澤 協二君    政府参考人    (防衛庁装備局長)    及川 耕造君    政府参考人    (防衛施設庁長官)    大森 敬治君    政府参考人    (環境庁大気保全局大気規    制課長)         仁井 正夫君    政府参考人    (外務大臣官房外務参事官    )            林  景一君    政府参考人    (厚生省健康政策局長)  伊藤 雅治君    政府参考人    (厚生省社会援護局長) 炭谷  茂君    政府参考人    (厚生省老人保健福祉局長    )            大塚 義治君    政府参考人    (厚生省保険局長)    近藤純五郎君    政府参考人    (労働省女性局長)    藤井 龍子君    決算行政監視委員会専門員 中谷 俊明君     ————————————— 分科員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   山本 幸三君     松本  純君   神田  厚君     島   聡君   中林よし子君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   松本  純君     山本 幸三君   島   聡君     神田  厚君   中路 雅弘君     中林よし子君 同日  第三分科員奥山茂彦君及び田中和徳君が本分科  兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計歳入歳出決算  平成八年度特別会計歳入歳出決算  平成八年度国税収納金整理資金受払計算書  平成八年度政府関係機関決算書  平成八年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成八年度国有財産無償貸付状況計算書  平成九年度一般会計歳入歳出決算  平成九年度特別会計歳入歳出決算  平成九年度国税収納金整理資金受払計算書  平成九年度政府関係機関決算書  平成九年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成九年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府防衛庁防衛施設庁)、厚生省及び労働省所管〕     午前九時開議      ————◇—————
  2. 赤城徳彦

    赤城主査 これより決算行政監視委員会第二分科会を開会いたします。  平成八年度決算外二件及び平成九年度決算外二件中、本日は、厚生省所管環境衛生金融公庫総理府所管防衛庁防衛施設庁労働省所管について審査を行います。  昨日に引き続き厚生省所管環境衛生金融公庫について審査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米津等史君。
  3. 米津等史

    米津分科員 おはようございます。自由党の米津等史でございます。  私は、本日、厚生省に対しまして、海外戦没者遺骨収集と、亡くなられた方々への慰霊について御質問をしたいと思います。  資源のない日本自存自衛戦争をせざるを得なかった時代、その時代を経て今日の日本の平和が成り立っていると思います。私は、平和日本の礎となられました英霊の方々に対し、感謝気持ちを忘れてはならないと強く感じている次第でございます。  そこでお伺いをいたしますが、大野厚生政務次官は、海外戦没者慰霊碑への参拝並びに遺骨収集活動等に御参加した経験はございますでしょうか。
  4. 大野由利子

    大野(由)政務次官 海外戦没者慰霊碑につきましては、残念ながら現在まで参拝機会がございません。  また、遺骨収集活動につきましても、これまで参加したことがございません。
  5. 米津等史

    米津分科員 それでは、海外に視察等行っていらっしゃると思いますけれども、世界的に有名なアメリカアーリントン国立墓地、こちらへの御訪問等経験はおありでございますか。
  6. 大野由利子

    大野(由)政務次官 アメリカアーリントン墓地は、アメリカの建国以来の数々の戦争犠牲になられた一般市民の方や、またアメリカ国民的英雄などが埋葬されている、世界的に大変著名な墓地として聞いてはおりますが、私自身参拝をした機会は今のところございません。
  7. 米津等史

    米津分科員 今のアーリントン国立墓地を初めとしまして、海外で二十四個の墓地と二十七個の慰霊施設を管理している委員会で、米国の、アメリカ大統領を長とする行政部門の一部に戦争記念碑委員会というものがございます。  この戦争記念碑委員会というのは、立派な行政部門の一部門であり、職員は三百六十三人もいらっしゃって、大統領に直接選ばれた十一人の委員によって構成をされている。このアメリカ戦争記念碑委員会という組織について御存じでいらっしゃいますか。
  8. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 ただいま御指摘されました戦争記念碑委員会につきましては、詳しくは私ども承知しておりませんけれども、ただ、私どもの承知している範囲内だけで御紹介させていただきますと、一九一七年四月六日以降軍務に服していたアメリカ軍軍人のための慰霊事業の主催、海外記念碑等の設計、建立維持管理等を所管するアメリカ連邦政府行政部独立機関ということは承知いたしております。
  9. 米津等史

    米津分科員 現在、厚生省では、海外戦没者慰霊についてどのような体制でお取り組みいただいているのでしょうか。
  10. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 慰霊事業につきましては各種行っているわけでございますが、各項目別に御説明させていただきたいと存じます。  一つは、慰霊碑建立でございます。  政府としましては、旧主要戦域ごとに中心となる地域を一カ所選びまして、昭和四十六年に硫黄戦没者慰霊碑建立を初めとして、以後計画的に慰霊碑建立を進め、現在までのところ、硫黄島のほか海外十三カ所、計十四カ所に慰霊碑建立しております。  第二番目は、慰霊巡拝墓参についてでございます。  慰霊巡拝につきましては、旧主要戦域における戦没者慰霊するために、昭和五十一年度から政府事業として、これまで二十五年間にわたり延べ百二十四回実施しており、約五千名の御遺族の方に御参加をいただいております。  また、旧ソ連地域等における抑留中死亡者については、昭和三十四年から政府による墓参事業として、これまで延べ六十三回にわたり実施し、約九百名の御遺族の方の御参加を得ております。  これらの慰霊事業を実施するために、担当部局でございます私ども社会援護局職員を総動員して取り組んでおりますし、また、厚生大臣を初め厚生省幹部におきましては、可能な限り慰霊碑竣工式追悼式慰霊巡拝などに参加しているところでございます。  この四月、今月からでございますけれども慰霊事業推進体制を一層強化するため、厚生省社会援護局の中に新たに外事室を設置したところでございます。  今後とも、海外戦没者慰霊に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  11. 米津等史

    米津分科員 私も昨年の十一月十八日の決算行政委員会で、海外戦没者慰霊碑の現状について多くの問題を抱えているというふうに御指摘をさせていただき、今炭谷局長がお答えいただいたようにいろいろな形で改善努力をなさっているようではありますけれども、また一つ例を取り上げてお話をいたしますが、先ほどアーリントン国立墓地の入り口に立てられた看板には、我が国で最も神聖な寺院であるアーリントン国立墓地へようこそ、参拝者は常に気品と尊敬の念を持ってみずからを律していただきたい、そしてこの地はアメリカの中で一番聖なる場所であることをくれぐれも忘れないようにというふうに書かれております。  このアメリカ日本の、亡くなった方に対する差は一体何に起因をするのか。私は、国家意思、つまり礎になった方々への姿勢の問題だと思いますけれども政務次官、いかがでございましょう。
  12. 大野由利子

    大野(由)政務次官 国のために犠牲になられました戦没者方々に対しまして哀悼の意をあらわすということは、これは国として当然のことでございますし、また人としても極めて当たり前で自然な感情のあらわれであり、その心は国は違っても同じではなかろうか、このように思っております。  ただ、そうした慰霊気持ちの具体的なあらわし方というのは、その国の歴史とか文化等々によって、またさまざまな事情によって違ってきておりまして、一概に比較するということは必ずしも適当ではないのではないか。  また、一例を申しますと、我が国と違いまして、アメリカは第二次世界大戦後におきましても、朝鮮戦争ベトナム戦争、また最近では湾岸戦争等と、現実国民の皆さんの身近なところで今なお戦場で亡くなっていらっしゃる方がいらっしゃる、こういうことが、我が国とは大いに事情が違うという面もあろうかと思っております。  しかし、我が国といたしましても、政府として、旧主要戦域ごと戦没者慰霊と平和への思いを込めまして慰霊碑建立するとともに、適宜補修を行うなど、その適正な維持管理に努めており、戦没者に対して礼を尽くした対応に心を砕いているところでございますし、こうしたことは今後も大変重要なことである、このように認識をしております。
  13. 米津等史

    米津分科員 私が申し上げたいのは、形としては確かに日本施設あるいは慰霊等記念碑については整ってきていると思いますが、今次官がおっしゃったように、この気持ちのあらわし方について、よりもう一歩工夫をしていただきたいなということを御指摘したいと思います。  例えば、先ほどアーリントン国立墓地の例をお話し申し上げましたけれども、この国立墓地に入られる基準というのが明確に定まっております。軍隊の戦闘行為中に戦死をした軍人あるいは軍役を経て六十歳以上の年齢に達し、予備役から年金をもらって生活をし亡くなった方々、あるいは一九四九年十月一日以前に戦場にて負傷をされ、それを原因に亡くなられた方々、またそれらの方々配偶者、あるいは子供さん、奥様、そしてまた戦闘中に行方不明になった兵隊の方々配偶者、御婦人、子供さん方、こういうように明確に国立墓地に入る基準というのがあらわされておりますし、国民にも伝えられているわけであります。  加えて、アーリントン国立墓地のお墓、埋葬などについては原則として無料で提供される。それ以外の費用については家族が負う。これは行かれたことのおありの方はおわかりだと思いますけれども、墓碑は基本的に統一してありまして、その中の、宗教につきましては、個人のそれぞれの宗教がございますので、十字架を入れられたり、ダビデの星を入れられたり、あるいは日系の方々でしたら法華経を入れられたりされる。しかしながら、国が基本的なことについては全部無料で提供するという姿勢が明確にあらわれておりますし、さらに、これもひとつ参考にしていただきたいのは、申し込みをした後、四十八時間以内にその決定が申し込みをされた方に伝えられている、こういう行政サービスとしてのシステムが明確になっているということでございます。  私が最近目にした新聞では、四月十一日付の朝日新聞夕刊によりますと、厚生省戦没者調査に関して、次のような問題点指摘されておりました。  まず第一に、厚生省が昨年の夏、DNA鑑定による身元確認を想定して国内外で収集した戦没者遺骨が、予算がないという理由で今も鑑定めどが立たず、霊安室に置かれたままになっているという指摘。加えて、厚生省は希望する遺族自己負担鑑定してもらうという方針だったが、鑑定対象特定が難しいことがわかり、今年度のDNA鑑定関連予算がゼロで、当面無理になってしまったということ、この二点が載っておりました。  亡くなった方々遺族は、期待させておきながら鑑定のできないのは耐えがたい、加えて自己負担でやれというふうに厚生省に言われた、こういう国の姿勢大変不満を漏らされておりますし、こういうようなことが現実に起きているのであれば、ぜひ改善していただきたいというふうに考えますが、この報道等について、政務次官、いかがでございましょう。
  14. 大野由利子

    大野(由)政務次官 厚生省といたしましては、平成十一年度の遺骨収集から遺体が個別またはこれに準じるような形で埋葬されている場合には、今委員指摘にありましたように、一部の遺骨を検体として、焼骨しないでそのまま持ち帰りまして、当時の埋葬図等から見て遺族が主張する戦没者遺骨である蓋然性が高い場合には、自費によるDNA鑑定を行う、このようにしている次第でございます。  しかし、DNA鑑定は、まだ新しい技術実例積み重ねもない中で、当初、平成十二年度概算要求の段階では、DNA鑑定に要する費用について、その一部を国が負担する方向で検討も行ってまいりましたが、その後のDNA鑑定実例を見ますと、予想に反して遺骨氏名特定になかなかつながらなかった、つながった例が一件もない、こういう結果が出ております。  このため、具体的には、ある遺骨氏名特定につきまして、どのような蓋然性が出てきた場合にDNA鑑定が有効か、さらなる実例積み重ね、検証を踏まえる必要があると思います。また、戦没者本人の尊厳、プライバシーの問題、倫理上の問題がございます。また、DNA鑑定対象とならない遺族の方とのバランスなどについてさらに考慮すべき問題があるということから、予算計上を見送ったものでございます。  また、新聞に報道されましたモンゴルの事例につきましては、平成十一年七月から九月にかけて遺骨収集を実施いたしまして、八百七柱を収集し、祖国にお迎えしたものでございますが、その埋葬状況は入手している埋葬資料等とはほとんどかけ離れたものでございまして、したがって収集されたどの遺骨DNA鑑定するのが適当なのかが判断ができない、そういう状況でございます。  肉親の遺骨を探し出したいという、こうした御遺族のお気持ちはお察しするに余りあるものがございまして、DNA鑑定に寄せる期待も大きいものがあるということは推察をいたしますが、何分新しい技術であり、また先ほど申し上げましたようにさまざまな問題点もあることから、今後、慎重に検討し、適切な方策を考えてまいりたい、このように思っております。
  15. 米津等史

    米津分科員 炭谷援護局長にちょっとお伺いをしたいのですが、私が以前、平成十一年の五月二十七日の決算行政監視委員会でも、似たような事例新聞紙上で見つけ、御質問をさせていただきました。このときは、お盆までに御遺族に御遺骨をお返しするという希望があったにもかかわらず、やはり厚生省霊安室に放置され続けた。そのときの理由が、ほかの仕事もありますから、それが厚生省の釈明だったというふうに書かれております。  そのときの局長は、こういうことが二度と起きないように、前向きに、そして機械的な処理に流されないよう、誠心誠意、懇切丁寧な対応をしてまいりたいというふうに御答弁をいただき、その後改善されてきつつあるとは思いますけれども、やはり同じように御遺族からは、予算がない、あるいは自己負担鑑定してもらうという言葉が聞こえてきてしまう。これは、窓口の担当なさっている方々のやはり心の部分で、とうとい仕事をしているという自覚に欠けているからこういうことが起きてくるのじゃないでしょうか。そこについてどういう御指導をなさっているのか、お伺いしたいと思います。
  16. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 先生が御指摘されましたように、国家のために犠牲になられた方の御遺骨というものは、国の責任に基づいて日本にお返しし、できれば御遺族のもとに御帰還していただくということが本当に必要なことであろうと思っております。  私自身もそのような旨で援護局職員を指導してまいっているところでございますし、また不十分な点がありましたら、さらに努力をして、本当に重要なのはやはり、先ほど申されたような遺族に対する心というものを基本に置いて仕事をしていくということが重要かというふうに思っております。
  17. 米津等史

    米津分科員 また、政務次官が御答弁の中で、DNA鑑定というものを充実して、お一人でも多く身元確認をして、少しでも早く御遺族にお返しをしたいというふうなお話がございまして、これはぜひ充実をしていただきたいと思っておりますが、その中で、一つとても参考になる事例がございます。  それは、アメリカ政府は一八四〇年から、戦闘中に亡くなった兵士遺骨収集に積極的に取り組んできており、その具体的なものとしてアメリカ軍の中に中央身元確認研究所というのを設置しております。現在はハワイのホノルル市にございまして、約百七十七人の方々によって、太平洋戦争朝鮮戦争ベトナム戦争、こういう各戦域において亡くなった方々身元確認作業を一手にやっている組織でございます。  この組織は、まず計画局管理局、そして科学研究所という大きな三つに分かれておりまして、年度予算日本円にいたしますと四十一億七千四百万円という予算規模でやっております。  計画局は、特に朝鮮半島、日本、東南アジアというところに身元探索チームというのを組みまして、これを十四組保有しておる。この十四組の中で、特にアジアについては五つのチームが、年間二百日以上、遺骨収集発掘作業をしているという内容の活動をしていらっしゃいます。  特に参考にしていただきたいのは、このチーム人々はボランティアでもなく、本当のプロフェッショナルの方々で、旧戦場ですので危険がありますから、爆弾の探知、それを破棄するにはどうしたらいいのか、あるいは医療、あるいは現地の言語、そしてまた戦争歴史、戦史にも詳しい専門知識を有する人々チームを組んでそれぞれの戦域遺骨収集活動に行っているというのが、これがアメリカ姿勢でございます。  加えて、さらに特徴としては、二〇〇四年までにその使命を完了するということをはっきりと打ち出しています。要は、自分たちは二〇〇四年までに重立った戦域遺骨収集活動については一通りのめどを立てるんだ、そのために大量の人員とそれに伴う予算を投入するんだという、めり張りが非常にきいた活動をしているわけなんですが、こういう米軍中央身元確認研究所という組織は、厚生省御存じでいらっしゃったのでしょうか。
  18. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 先生が御指摘されましたホノルルに存在する機関でございますけれども英語名はユナイテッドステーツ・アーミー・セントラル・アイデンティフィケーション・ラボラトリーのことだろうというふうに思っております。この研究所につきましては、先生が今言われましたように、米国により収集された遺骨身元鑑定する機関と承知しております。  この研究所と私どもの接触でございますけれども、この研究所において日本人戦没者遺骨特定された場合は、私どもに御連絡をいただきまして、日本側遺骨が引き渡されております。直近の例で申しますと、昭和六十二年の七月に、マーシャル群島において米軍基地の工事中に発見された遺骨二柱が同研究所日本人戦没者遺骨であると鑑定されましたことから、翌年三月に厚生省職員ホノルルへ派遣し、遺骨を受領して帰ってきております。
  19. 米津等史

    米津分科員 そういう組織の存在も御存じであり、連携もとられているということはよくわかったのですが、私がお伺いをしたいのは、そういうような形で国家の礎になられた方々身元確認について、はっきりとした意思を持って計画をつくって回収をしているということが、国の姿勢として大変大切なのではないかなというふうに思います。  DNA検査ども利用されておりますけれども、やはり一番重要なのは、骨格からの故人の年齢、人種、性別、身長などを確認をし、行方不明者の情報と比較をして身元を明らかにしていくということで、特に医療分類学者十六人、また医療歯学者三人ということで、非常に専門的な体制をとり、科学的な分析をやっている。  先ほども申し上げましたように、通常、一カ月に大体ほとんど休みなく入られて、年間二百日に及ぶ活動をしているということは、これはもう日本が残念ながらとても追いついていけないくらい骨太な遺骨収集活動をしているのではないかなと私は思います。  この遺骨収集についての取り組みでのアメリカ日本との大きな差について、大野政務次官はどのようにお考えでございますでしょうか。
  20. 大野由利子

    大野(由)政務次官 アメリカとの違いという御質問でございます。  先ほどもちょっと答弁させていただきましたが、戦没者に対する慰霊事業につきましては、それぞれの国の歴史文化の違い、そしてまた諸事情の違いもありますことから、一概に比較するのは難しいのかな、このように思っております。  我が国といたしましては、国の責務として、海外戦没者遺骨収集に力を入れるとともに、墓参とか慰霊巡拝、さらには慰霊碑建立等を鋭意実施をし、努力をしてきたところでございますし、また、毎年八月十五日には、天皇、皇后両陛下の御臨席を仰ぎまして、国民を挙げて戦没者を追悼し平和を祈念する式典を挙行しております。  また、遺族に引き渡すことができない遺骨がおさめられております千鳥ケ淵戦没者墓苑におきましては、毎年春拝礼式を挙行するなど、戦没者慰霊のための各般の事業に取り組んできているところでございます。  今後とも、戦没者の御遺族のお気持ちを大切にしつつ、国民の皆様の御意見もお伺いしながら、国として戦没者慰霊事業に力を注いでまいりたいと思っております。
  21. 米津等史

    米津分科員 予算的にはどのような差があるのか、お伺いをしたいと思います。
  22. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 現在の予算につきまして、私ども総額予算は、遺骨収集等に要している費用は三億六千万余でございますので、先生先ほど言われた中央研究所の額が非常に多額にわたっているということに比べまして、相当の差があるのではないのかなというふうに承知いたします。
  23. 米津等史

    米津分科員 ありがとうございました。  今政務次官がおっしゃいましたように、私もけさ方千鳥ケ淵戦没者墓苑に行ってまいりましたが、確かに、戦没者墓苑に行きますと、こういうパンフレットが雨にぬれながら、文鎮を置いて、とりたい人はとっていってほしいというふうになっていましたし、また、もうかなり古くなっているお花が、一本百円で献花してくださいというふうになっておりましたし、とても、形ができていても心がこもっていないんじゃないかというふうに憤りを感じて、けさ、この質問に立っているわけであります。  最後質問ではありますけれども昭和二十年の二月二十九日に、東京からわずか一千二百五十キロメートルの硫黄島にアメリカ海兵隊が上陸してまいりました。硫黄島は、御存じのように、サイパン、テニアン島から東京及び日本全域にわたる戦略爆撃機出発点を防衛する重要な地政学的な位置にあり、この硫黄島をどうしてもアメリカはとるんだということで、およそ日本軍の倍以上の戦力で上陸してきたわけであります。  栗林大将は、硫黄島を守備し、最後の突撃に至るときに、残った兵士に対して、今、日本は戦いに敗れたといえども日本国民は、諸君忠君愛国の精神に燃え、諸君の勲功をたたえ、諸君のみたまに対し涙して黙祷をささげる日がいつか来るであろう。安んじて諸君は国に殉ずべし。この言葉を残し、後世の日本人自分たちの死に対し感謝の誠を尽くしてくれるということを固く信じて、国家の存立の危機に際し、御盾となって戦い、散華されていきました。  政務次官、よくアメリカ日本は違うというふうにおっしゃいますけれども、同じアーリントン墓地の中では、墓碑銘の中に、神のみぞ知る、アメリカのために戦った人々の栄光ここに眠るというふうに刻まれております。そして、その墓苑には常に二十四時間衛兵が立ち、国として最高の礼を尽くしているのであります。  今日までの戦没者遺骨収集慰霊について、余りにも日本アメリカ姿勢の違いに私はただただ驚くばかりであり、今後、厚生省は、ぜひ抜本的な見直しをすることを含めて御検討をいただきたいというふうに申し上げて、私の質問を終わります。
  24. 赤城徳彦

    赤城主査 これにて米津等史君の質疑は終了いたしました。  次に、松本純君。
  25. 松本純

    松本(純)分科員 自民党の松本純でございます。  初当選をさせていただいて三年半になりますが、この間、昭和三十六年からスタートした国民皆保険制度、これを堅持をしていくというようなことを初めとして、国民が安心して暮らすことができる、そんな医療、介護、年金など、社会保険制度の抜本的な改革を進めなければならないという大事な時期に、さまざまな取り組みをさせていただいたところでありますが、質の高い医療提供をすると同時に、医療保険財源を安定化させて、安定して継続をした国民皆保険制度などが堅持されていかなければならない、そんなときを迎えているところであります。  そういった中で、さまざまな医療事故などが起きている現状を踏まえて、数点についてお尋ねをさせていただきたいと思っております。  まず初めに、この四月の診療報酬改定におきまして、病院薬剤師の病棟業務に関する薬剤管理指導業務の点数の引き上げが行われました。従来の四百八十点の月に二回から、三百五十点の月四回という改正になっておりますが、その意義等につきまして、厚生省の考え方をまずお尋ねをいたします。
  26. 近藤純五郎

    ○近藤政府参考人 先生指摘の薬剤管理指導の業務に関する薬剤管理指導料についてでございますけれども、この指導料は、病院薬剤師によります薬剤の管理でございますとか、入院患者に対しまして病棟で服薬指導をする、こういったものを評価したものでございますけれども、今回の診療報酬の改定におきまして、入院患者に対するサービスの向上、それから病院薬剤師によります医療技術の適正な評価、こういった観点から、従来月二回の算定となっていましたものを、実際の指導実績に応じまして月四回までの算定という合理的な仕組みを導入した、こういうわけでございます。
  27. 松本純

    松本(純)分科員 ところで、最近幾つかの病院で医療品の取り違えによる医療事故が発生しました。報道された事故は、いずれも薬剤師以外の職種による薬剤の取り違え事故であると聞いておりますが、例えば、大阪では抗がん剤を通常量の八倍投与、副作用で患者が死亡、京都においては京大で人工呼吸器に水と間違えてエタノールを補充、患者は死亡、埼玉ではがん患者にモルヒネ十倍量投与し、婦長が処方せん書き写しミスで患者が死亡、神奈川におきましては東海大で看護婦が点滴に内服薬を注入し、患者の幼児が死亡というようなことが起きているわけであります。  医薬品の管理につきましては、やはり医薬品の効能や副作用等の本質を十分知った者の直接管理のもとに取り扱うという体制をつくっていかなければ、この種の事故を防止するということには無理があるのではないかと思うのですが、どのようにお考えでしょうか。
  28. 伊藤雅治

    ○伊藤政府参考人 最近相次いでおります医療事故によりまして、国民医療に対する信頼は大きく揺らいでおり、我々はこの状況を謙虚にまた真摯に受けとめ、医療の安全性の向上と信頼性の回復のために一丸となって取り組んでいくことが求められていると認識しております。  まず、医療事故を防止するためには、職員一人一人が患者さんの生命を預かっているという意識を常に忘れずに、安全に十分配慮して医療に従事していただくことが基本であると考えております。  しかしながら、高度に複雑化した現代医療におきましては、こういう個人の努力に依存した取り組みのみでは限界があるのも事実でございまして、最近の医療事故の内容、さらに幾つかの病院では院内でインシデントレポート等に取り組んでおりますが、それをお聞きいたしましても、誤薬による事故というのは非常に大きな割合を占めておりまして、そういうことを考えますと、薬剤師を初め看護婦、医師等それぞれの従事者の役割と業務に応じて、その組織全体としての取り組みを進めていくということが重要であると認識しております。  したがいまして、私どもとしましては、このようなことに何とか病院全体が一丸となって取り組んでいただきたいということで、三月二十二日に関係団体にお集まりをいただきまして、厚生大臣から各病院の現場に徹底するよう、直接お願いをしたところでございます。
  29. 松本純

    松本(純)分科員 医療提供の質を高めていくということになれば、当然それに見合うコストというものも必要になると思います。そのような体制を確立するためには、病院における薬剤師の適正な配置がどうしても必要であると私は思うのですが、一昨年病院薬剤師の配置基準が改正され、薬剤師は入院患者七十人に一人とされました。このため、多くの病院で薬剤師の配置数の減員、新規採用の中止等の動きがあったと聞いております。  これら事故を考えると、この薬剤師配置基準については早急に再検討する必要があるのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。
  30. 伊藤雅治

    ○伊藤政府参考人 薬剤師の配置基準につきましては、平成十年に、調剤技術の進歩や服薬指導、薬歴管理等の病棟業務の増大という状況を踏まえまして見直しを行ったわけでございますが、その際に、医療審議会から、病院における業務の実態や薬剤師の需給状況を踏まえて、三年後を目途に見直すよう答申を受けたところでございます。  厚生省といたしましては、平成十二年度予算にこの検討会経費を計上しておりまして、今年度検討会を立ち上げまして、配置基準の見直しの方向性も含めて検討してまいりたいと考えております。
  31. 松本純

    松本(純)分科員 また、先ほど質問しました三百五十点掛ける月四回のフィーは、入院患者に対する投薬管理と服薬指導、情報提供に対するフィーとなっていると聞いておりますが、手術や処置の必要な薬剤の管理、消毒薬管理など、およそ病棟で扱われているすべての薬剤管理を薬剤師に行わせるような病院薬剤師の本来の役割に向けて、医療保険における技術評価を考えるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  32. 近藤純五郎

    ○近藤政府参考人 薬剤管理指導料でございますけれども、御指摘のように、病院薬剤師が薬剤の管理とか患者への服薬指導、こういった場合に算定できるわけでございまして、昭和六十三年に制定されましてから逐次点数の引き上げを図ってきたところでございます。  今後、入院患者に対します病院薬剤師の活動の実績ということが大事だと思うわけでございますけれども先生指摘のように、医療事故等におきまして病院薬剤師の役割というものに期待するところも大きい、こういうふうに考えておりますので、病院薬剤師の技術評価のあり方につきましては、医療の質の向上という観点から検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  33. 松本純

    松本(純)分科員 ありがとうございました。  一件でも事故の起きないような状況を今後築くために、さらに御努力を重ねていただきたいと私からもお願いを申し上げるところであります。  次に、四月から介護保険がスタートしておりますが、この介護保険のスタートの状況について幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。  介護保険制度が本年四月から施行されました。私の地元であります横浜市などに様子を聞いてみますと、特に大きな混乱もなく順調に進んでいるとお伺いをしているところでありますが、一方、新聞報道などによれば、立ち上がり当初だけにいろいろな混乱、例えば介護支援事業者が不足しているといったようなことも伝えられているところであります。  厚生省は、施行状況確認のため、四月十七日に自治体との意見交換会を開いたと聞いておりますが、その中で現場から出された主な意見はどういうものがあったのでしょうか。また、この立ち上がり状況厚生省としてはどのように評価をしているのか、お尋ねします。
  34. 大塚義治

    ○大塚政府参考人 新しい制度でございます介護保険制度が施行されたわけでございまして、私どもといたしましても、施行直後の状況を迅速に把握する必要があるということで、さまざまな方策を講じておりますが、その一環といたしまして、ただいまお話のございました、四月十七日に、五十一の自治体でございますが御参加いただきまして、意見交換会をいたしたところでございます。  さまざまな御意見がございましたが、全般的な実施状況という意味では、例えば、ケアプランが作成されないでサービスが途切れてしまったといったような事態は発生しなかった。それから、苦情も、もちろんお問い合わせも含めてございましたけれども、予想よりも少なくて、内容も制度についてのお尋ねがほとんどであった。あるいは、実際のサービス量につきましても、介護保険の導入に伴いましてサービス量が増加しているといったような御報告がございまして、私どもとしては、各自治体の大変な御努力を賜りまして、おおむね順調に制度がスタートできたものというふうに考えております。  ただ、御意見の中には幾つか御指摘もございました。例えば、ショートステイの弾力化措置というのを、施行を控えて比較的時間のないときに、利用者の御要望などを踏まえて実施をいたしました。そうしたことで、ショートステイの弾力化、拡大措置でございますが、それが必ずしも十分に周知されていない嫌いがある。あるいは、今後の問題でございますけれども、介護報酬の審査支払いがスムーズにいくかどうか若干の不安もあるといったような御指摘もございました。  したがいまして、私どもとしては、ショートステイの限度額の拡大措置について申し上げれば、わかりやすい質疑応答集を即座に作成、配布をいたしたいと考えておりますし、審査支払いに関連する問題につきましても適切な情報提供を迅速に進めてまいりたい、こう考えております。
  35. 松本純

    松本(純)分科員 介護保険では、指定事業者には法人でなければならないとされております。ケアプランの作成、介護のマネジメントは、介護認定の最初の段階だけではなく長期にわたって続くものであり、その後の更新、ケアプランの変更等、介護支援事業者の業務は今後も多忙をきわめるものと予想をしております。  現在、いわゆるケアマネジャーの資格を持つ者は何人いらっしゃるのか。また、現在、在宅介護のケアプラン作成にかかわっているケアマネジャーはどれぐらいいるのか、お尋ねをします。
  36. 大塚義治

    ○大塚政府参考人 今後の制度の運営におきますケアマネジャーの役割の重要性というのは、お話のあったとおりだろうと私どもも考えております。  お尋ねの具体的な内容でございますが、ケアマネジャーの有資格者、いわば試験合格者数になるわけでございますけれども、全体で約十六万人、正確に申しますと十五万九千三百五十名の方が試験に合格されておりまして、四月一日現在の調査をいたしまして、居宅介護支援事業者、ケアプランをつくる事業を行っている事業所に所属をするケアマネジャーの数字が把握できました。五万一千四百三十名でございます。この方々がケアプランの作成に携わっているというふうに考えております。
  37. 松本純

    松本(純)分科員 施行時点で、要介護認定を受けた数とケアプランを作成している数はどれぐらいになっているのか。また、未作成となっている数はどれぐらいなのか。さらに、未作成の場合、その理由は何なのかについてお尋ねをします。
  38. 大塚義治

    ○大塚政府参考人 これも四月一日現在、施行日時点での調査をいたしまして、その概況が把握できたところでございますけれども、十二年四月一日現在での要介護認定が済んだ方の数が約二百四万人の方々でございます。このうち、居宅の要介護者、すなわち居宅サービス計画の作成対象者と申してよろしいと思うのですが、百四十六万人でございます。そのうち居宅サービス計画がつくられた方が百二十万件でございますから、差し引き二十六万件が、居宅サービス計画、いわゆるケアプランの未作成数ということになります。  比較的数字が大きいという感じもしないわけでもございませんけれども、その理由につきまして、特に進捗率が低い市町村に個別に状況をお聞きいたしました。  そういたしますと、その理由といたしまして、幾つかあるわけでございますが、例えば、未作成者の方々の中に、現在病院に入院中でおられる、あるいは、認定は受けましたけれども当面はサービスの利用は考えていない、さらには、不幸にも認定を受けた後お亡くなりになった、そういった方々も含まれておりますし、また既に居宅サービス計画の作成を依頼済みである、こういった方々がほとんどでございまして、こうしたことを踏まえますと、私どもは、ケアプランの作成状況はおおむね、これまた関係者の大変な御努力がございましたけれども、順調に進んでいると考えております。
  39. 松本純

    松本(純)分科員 訪問通所サービスの未利用分を振りかえて短期入所サービスが利用できるように変更した点は、大変高く評価できると思いますが、先ほどお話にありましたように、急に決まったことなので国保連の審査支払いシステムでは対応できず、利用者は償還払いをしなければならない状況となっていると伺っております。  償還払いは利用者にとって負担になるため、受領委任払いなど現物支給化できるような方策を市町村に示すべきではないかと考えるのですが、厚生省はどのようにお考えでしょうか。
  40. 大塚義治

    ○大塚政府参考人 お話しの、いわゆるショートステイ、短期入所サービスの弾力化措置でございますが、施行を控えまして、利用者の方々の御要望を踏まえて、訪問通所サービスの未利用分がある場合には、いわばこれを振りかえ利用ができるというような措置を講じたわけでございます。御指摘ございましたように、事務処理システム上の問題もございまして、償還払いでその振りかえ分については給付をするという形にいたしております。  ただ、この措置につきましては、市町村独自の御判断と運用で、いわゆる受領委任方式というような方式をとる自治体もございます。それは私どももちろん差し支えないと考えておるわけでございますし、同時に、この取り扱いについて、よりわかりやすいような解説を付しまして、既に実施をしている市町村の要綱などを各自治体にも御紹介するという形で、都道府県を通じて市町村に、こうした方法もとり得るということを周知を図ってまいりたいと考えております。
  41. 松本純

    松本(純)分科員 特に、居宅介護支援事業者の給付管理業務や、サービス事業者、介護保険施設の報酬請求について、厚生省から通知は出しているが、その内容が複雑であり、市町村や事業者まで内容が周知されておらず、正確な請求が行われるかどうか不安な面があるという声を聞いておりますが、国、都道府県、市町村、国保連の役割を明確にして、事業者に対し、きちんと説明をし、疑問に答える体制をとるべきではないかと思いますが、厚生省ではどのようにお考えなのでしょうか。
  42. 大塚義治

    ○大塚政府参考人 制度施行間もない点と、実際には、来月に入りまして初めての介護報酬に関する請求というものが行われるということもございまして、事業者の方々などに一種の不安、懸念があることは私どもも承知をいたしております。耳にすることもございます。  このため、審査支払いを担当することになりますのは御案内のように国民健康保険団体連合会、各都道府県にございます国保連でございますが、既に、すべての都道府県におきまして事業者説明会を開催し、一通りの御説明は済んでおりますし、またその周知も図られていると思いますけれども先ほど申し上げましたような御不安もございますから、国といたしましても引き続き、重ねて説明会などによって周知を図ること、それから、第一回目の請求がたまたまゴールデンウイークという休日を挟んでの作業になるということから、そうした時期への対応、これは私どもも含めて体制を整えたいと思いますが、そうした支援体制もあわせて講ずるようにお願いをしております。  こうした方法をとりまして、最初の請求事務がスムーズに、円滑に進むように適切に対応してまいりたいと考えております。
  43. 松本純

    松本(純)分科員 介護支援事業者が不足しているのであれば、法人格がなくても事業ができる基準該当事業者の制度をもっと推進すべきではないかと思うのです。  介護支援事業者は原則として法人格がなければ認められませんが、法人格がなくとも、市町村が地域を限って認めるこの基準該当事業者の制度が活用されれば、例えば法人になっていない薬局、薬剤師でも、ケアマネジャーの資格を持っていれば事業者になることができるというような考えを持つところでありますが、この考え方についてどのように思われるか、お尋ねをしたいと思います。
  44. 大塚義治

    ○大塚政府参考人 お話ございましたように、介護保険制度によりますサービスは、原則的にと申しますか、基本的には法人格を有する各種の事業者によって行われるというのがいわば理念でございますけれども現実には、地域によりましてサービスの供給の態様や提供量に格差がございます。そうした実態もございますので、これはもう既にお話ございましたけれども基準該当事業あるいは基準該当サービスということを市町村の判断で活用することができるような仕組みにいたしております。  御参考までに申し上げますと、四月一日現在の事業所数を把握いたしましたところ、指定事業所、法律に基づく法人格を持った事業所ということになりますが、指定事業所が二万一千四百六十二カ所に対しまして、基準該当事業所二百六十五カ所、比率としては大変小そうございます。  私どもといたしましては、やはりこれは地域の実情によるところが大なわけでございますので、市町村の個別の判断にお願いをするというのを基本とせざるを得ませんし、それが適切だと思っております。  したがいまして、市町村におきまして、介護サービスの供給体制の整備状況などを勘案していただきまして、その活用、運用について御判断をいただくということにいたしたいと考えております。
  45. 松本純

    松本(純)分科員 これは介護保険制度全体のことなのでありますが、国民への周知が十分にされていないのではないか。  地元に帰っていろいろお話をお伺いしてみますと、さまざまな質問が出てくるような状況にいまだにあります。国がインターネットなどでPRしていることは承知をしておりますが、もっと高齢者に身近な周知方法を検討することも必要ではないかなということを感じております。  私の地元の事務所でも、介護保険制度についての質問があれば何なりと御相談くださいというPRをしているところでありますが、日本薬剤師会の運動の一つで、地域では街角介護相談薬局などの事業を推進しているとお伺いをしているところであります。地域の中でPR活動を推進していくというような事業がさまざまなところで展開されていると思いますが、厚生省はこれらの動きについて承知していらっしゃるかどうか。また、こうした活動を国として育成をしていくつもりはないか、お尋ねをしたいと思います。
  46. 大塚義治

    ○大塚政府参考人 まず、国及び自治体も含めて行政としての国民への周知徹底、普及でございますが、私どもも懸命に努力をいたしておりますけれども、なかなか隅々にまでいかない部分が残るというのもおっしゃいますように現実でございまして、引き続き努力をいたしたいと思っております。  行政といたしましては、各種のパンフレットあるいはビデオ、あるいはお話にございましたけれどもインターネット、政府広報、もちろん市町村におきましては本当に数次にわたる、あるいは数十回にわたります説明会といったような大変な御努力をいただきました。しかし、制度はスタートいたしましたけれども、その定着には今後努力も必要でございますから、さらに努力を重ねたいと思っております。  それから、もう一点の御指摘の街角介護相談薬局事業、これは当然私どもも承知をいたしておりまして、むしろ、私どもの施策の一端でございます在宅介護支援センターの相談協力員として、ボランティアという形で、専門的な知識を持ち、また住民に身近な薬局で国民のさまざまな相談に応じていただいておる。その中に最近における重要なテーマでございます介護を取り入れていただいている。これはよく承知をしておるところでございまして、こうした積極的なお取り組みにつきまして深く敬意を表しているところでございますし、私どもといたしましても、今後さらに御協力を賜れるようにお願いをしてまいりたい、そんなようなつもりでございます。
  47. 松本純

    松本(純)分科員 介護保険料には四千円から二千円と大きな格差がありますが、低保険料の地域はどうしてもインフラ整備がおくれていると聞いております。  それぞれの地域、市町村の保険者の中で特性を生かして知恵を出し、努力をされているところであり、積極的なところに大いに支援をしていくことはもちろんのことでありますが、インフラ整備のおくれている地域への重点的な資金配分が必要ではないか。あるいは過疎地は高齢者比率が高く、このため保険料が高くなる可能性が強いと思うのですが、これらの地域に対する支援策をどのようにお考えになっているのか、お尋ねをします。
  48. 大塚義治

    ○大塚政府参考人 お答えの順序が逆になるかもしれませんが、保険料につきましては、現在の仕組みにおきましても、六十五歳以上の人口比率あるいは七十五歳以上の人口比率ということにいわば着目をした、平準化されるような仕組みに基本的にはなっております。もちろん、そうした基本的なスキームでカバーできない個別事情がある地域につきましてはさまざまな形の支援も必要かと思いますが、保険料という面では一定の仕組みが講じられているわけでございます。むしろ、問題といいましょうか、課題としては、前段に申された地域のインフラ整備だろうと思います。  確かに過疎地ほど高齢化率が高いという傾向は明らかでございまして、その裏返しとして福祉のインフラ、介護のインフラがどうしてもおくれがちであるということは現状だろうと私は思います。  それは、ひっきょう保険料も低くはなるわけでございますが、地域住民の方々から求められておりますサービスの確保ができないということになりますと、保険のいわば使い勝手が悪くなるわけでございますから、特にインフラ整備というのは、私ども国といたしましても、置かれた条件の不利なところ、いわば過疎地などでございますが、そうした地域に対して重点的に支援をしていくということは、今後の行政の基本に据えてやってまいりたいと考えております。
  49. 松本純

    松本(純)分科員 四月からスタートした介護保険が一日でも早く定着をして、国民に安心して暮らしていただけるような状況ができるように、さらに御努力をいただきますようお願いを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  50. 赤城徳彦

    赤城主査 これにて松本純君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして厚生省所管環境衛生金融公庫の質疑は終了いたしました。     —————————————
  51. 赤城徳彦

    赤城主査 これより総理府所管防衛庁防衛施設庁について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。瓦防衛庁長官。     〔主査退席、中林主査代理着席〕
  52. 瓦力

    ○瓦国務大臣 平成八年度における防衛庁関係歳出の決算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、(組織)防衛本庁の経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は四兆二千七百二十五億八千百万円余でありまして、これに地震等による災害の防止のため緊急に対応すべきものとして行う情報収集・伝達機能等の強化を図るための通信機器、車両その他器材の購入等のための予算補正追加額三十六億一千三百万円余、高空における放射能塵の調査研究のため、科学技術庁から移しかえを受けた額三千九百万円余、平成八年度総合防災訓練のため、国土庁から移しかえを受けた額四百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移しかえを受けた額十九億五千百万円余、前年度からの繰越額百十四億一千百万円余を加え、既定予算の節約等による予算補正修正減少額六十六億五千八百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は四兆二千八百二十九億四千二百万円余となります。  この歳出予算現額に対しまして支出済み歳出額は四兆二千四百七十一億七千万円余、翌年度へ繰り越した額は二百八十三億六千七百万円余でありまして、差し引き不用額は七十四億四百万円余であります。  次に、(組織防衛施設庁の経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は五千七百二十六億五千五百万円余でありまして、これにSACOの最終報告に盛り込まれた措置を的確かつ迅速に実施するための予算補正追加額七十二億九百万円余、前年度からの繰越額百四十七億七千五百万円余を加え、既定予算の節約等による予算補正修正減少額五億五千万円余、防衛施設周辺の障害防止事業等に要する経費として移しかえをした額、農林水産省所管農林水産本省へ五億七千三百万円余、建設省所管建設本省へ十三億五千万円余を差し引きますと、歳出予算現額は五千九百二十一億六千四百万円余、うちSACO関係経費七十二億九百万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済み歳出額は五千六百七十七億一千四百万円余、うちSACO関係経費二億一千三百万円余、翌年度へ繰り越した額は二百三十八億六千九百万円余、うちSACO関係経費六十九億九千五百万円余でありまして、差し引き不用額は五億八千百万円余であります。  なお、主な事項につきましては、お手元に配付してある資料のとおりでありますが、委員各位のお許しを得まして、御説明を省略させていただきたいと存じます。  よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。  引き続き、平成九年度における防衛庁関係歳出の決算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、(組織)防衛本庁の経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は四兆三千六百四十三億九千二百万円余でありまして、これに政府職員平成九年四月以降の給与改善(指定職俸給表等適用職員を除く。)及び対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約の署名に伴い緊急に対応すべきものとして行う諸器材等の整備、維持に必要な経費のための予算補正追加額四十七億五千二百万円余、高空における放射能塵の調査研究のため、科学技術庁から移しかえを受けた額五千万円余、平成九年度総合防災訓練のため、国土庁から移しかえを受けた額三百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移しかえを受けた額十九億六千九百万円余、前年度からの繰越額二百八十三億六千七百万円余を加え、既定予算の節約等による予算補正修正減少額六十億七千万円余を差し引きますと、歳出予算現額は四兆三千九百三十四億六千五百万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済み歳出額は四兆三千七百二十六億三千七百万円余、翌年度へ繰り越した額は百三十八億七千二百万円余でありまして、差し引き不用額は六十九億五千六百万円余であります。  次に、(組織防衛施設庁の経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は五千八百二十八億七千万円余、うちSACO関係経費六十億九千七百万円余でありまして、これに駐留軍等労務者等の平成九年四月以降の給与改善及びSACOの最終報告に盛り込まれた措置を的確かつ迅速に実施するための予算補正追加額七十八億六百万円余、うちSACO関係経費七十二億二千百万円余、沖縄米軍基地所在市町村に関する懇談会の提言に基づき、沖縄県の米軍基地所在市町村が実施する地域経済活性化事業等に要する経費として総理本府から移しかえを受けた額十八億四千九百万円余、前年度からの繰越額二百三十八億七千九百万円余、うちSACO関係経費六十九億九千五百万円余、また、前年度からの繰越額のうち、沖縄県に米軍施設・区域が集中し、地域振興等に大きな影響を及ぼしていることにかんがみ、沖縄の各般の施策を進めるために要する経費として総理本府から移しかえを受けた額一千万円を加え、既定予算の節約等による予算補正修正減少額四億三千五百万円余、うちSACO関係経費一千百万円余、防衛施設周辺の障害防止事業等に要する経費として移しかえをした額、農林水産省所管農林水産本省へ五億二千四百万円余、建設省所管建設本省へ十三億二千百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は六千百四十一億二千三百万円余、うちSACO関係経費二百三億三百万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済み歳出額は五千七百七十三億九千三百万円余、うちSACO関係経費九十二億七千九百万円余、翌年度へ繰り越した額は三百三十五億二千二百万円余、うちSACO関係経費九十四億三千四百万円余でありまして、差し引き不用額は三十二億八百万円余、うちSACO関係経費十五億八千九百万円余であります。  なお、主な事項につきましては、お手元に配付してある資料のとおりでありますが、委員各位のお許しを得まして御説明を省略させていただきたいと存じます。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
  53. 中林よし子

    ○中林主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院関本第二局長
  54. 関本匡邦

    ○関本会計検査院当局者 それでは、平成八年度防衛庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  これは、陸上自衛隊の駐屯地における下水道料金の支払いに関するものであります。  駐屯地における下水道料金の支払いに当たり、公共下水道に接続する汚水排出設備に汚水流量計を設置して、これにより計量したものを汚水排水量として関係地方公共団体の認定を受ければ、下水道料金を節減できたのに、この方法について周知徹底を図っていなかったなどのため、下水道料金が不経済となっておりました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたところでございます。  次に、平成九年度防衛庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。  その一は、航空タービン燃料JP—4の調達に関するものであります。  JP—4の調達に当たり、当初の指名競争入札が不調となり、その後予定価格より高い価格をもとにすべての会社が同じ価格となるよう商議をした後、この価格をもとにして会社が見積もった最終の商議と同額を再予定価格として再度の指名競争入札を実施し、その結果、最終商議を行った者が一回で落札するという一連の調達手続が慣例化しておりました。このことにより、再度の指名競争入札で指名を受けたすべての会社が再予定価格を推定し得るという結果を招いておりました。このため、指名競争入札における会社間の競争が阻害され、十分な競争が行われておりませんでした。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。  その二は、建物等移転補償におけるコンクリート解体費の積算に関するものであります。  コンクリート解体費の積算に当たり、施工の実態に適合した単価の適用等について指示していなかったため、コンクリート数量が多く施工現場が広い場合においても、数量が少なく施工現場が狭い場合などに適用する単価を採用していて、解体費が過大になっていたものであります。これについて指摘しましたところ、改善の処置がとられたものであります。  以上をもって概要の説明を終わります。
  55. 中林よし子

    ○中林主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。瓦防衛庁長官
  56. 瓦力

    ○瓦国務大臣 平成八年度の決算検査報告において掲記されております処置済み事項におきましては、会計検査院の御指摘を踏まえ、駐屯地等における下水道料金の支払いについて、駐屯地等の施設状況等に応じ最も適切な方法をとることとしたところであります。  今後とも予算のより効率的な執行について努力する所存であります。  平成九年度の決算検査報告において掲記されております二件の処置済み事項におきましては、会計検査院の御指摘を踏まえ、改善の処置を講じたところであります。  航空タービン燃料JP—4の調達契約に当たりましては、調達手続を見直し、競争入札の機能を十分発揮させるよう処置を講じたところであります。  建物等移転補償におけるコンクリート解体費の積算につきましては、施工の実態に適合したより経済的な積算をするよう処置を講じたところであります。  今後とも予算のより効率的な執行につきまして努力する所存であります。
  57. 中林よし子

    ○中林主査代理 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 中林よし子

    ○中林主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  59. 中林よし子

    ○中林主査代理 以上をもちまして総理府所管防衛庁防衛施設庁の説明は終わりました。     —————————————
  60. 中林よし子

    ○中林主査代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥山茂彦君。
  61. 奥山茂彦

    奥山分科員 おはようございます。自由民主党の奥山でございます。防衛庁に対して冒頭に、新しい庁舎がこのたび誕生いたしました。移転されることに対しまして、お祝いを申し上げたいと思います。  私たちも今、自由民主党の危機管理プロジェクトのメンバーとして入ったり、また若手の国防研究会とかそういうところで、日本の防衛のあり方について随分いろいろ研究をさせていただいてまいりました。  たまたま先日、東京都の石原知事が自衛隊の記念式典においてあいさつされて、これが第三国人発言ということで大変問題になったケースもありました。たまたまこのときは、石原知事は、不法に入国した外国人による有事における騒擾事件が発生した、こういう場合、警察で十分対応できないときは、ひとつ自衛隊にもよろしくお願いしたいという発言であったわけでありますけれども、前段の不法入国したという項目が報道で抜けておったわけでありますので、日本じゅうあるいはまた世界で非常に大きな波紋を巻き起こしたわけであります。  このときに知事がおっしゃろうとしていた、いわゆる治安出動が、自衛隊の場合に、これまで治安出動ということは戦後一度もなかったわけであります。ないにこしたことはないわけでありますけれども、最近、知事も心配されているように、いろいろな外国人が入ってくる、あるいはまた、国内でテロ行為とか不法侵入、いろいろな工作員が入ってくるとか、こういうことは常に心配されるわけでありますので、こういった状況に対して、現在の法制あるいは自衛隊の運用等が緊急時に十分対処できる体制に今なっておるのかどうか、長官の率直な御見解をお尋ねしたいと思うのです。
  62. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいま奥山委員から治安出動のあり方につきまして御質問をちょうだいしました。  なお、冒頭に、防衛庁本庁が市谷へ移転することについてのお祝いといいますか、激励もちょうだいいたしました。陸上自衛隊が動き出しまして五十年の歳月を経て、いよいよ本庁が移転するわけでございますが、狭隘にして不便な点もありましたが、おかげさまで市谷の方へ参りまして、その職務に万全を期してまいると同時に、また、運用等につきましても、しっかりと国民の期待にこたえるような努力をして、さらに信用を高めさせていただきたいと思っております。  そこで、委員指摘のように、自衛隊法第三条では、直接侵略でございますとか間接侵略に対しまして、我が国を防衛し、必要に応じ公共の秩序の維持に当たることを自衛隊は任務としておるわけでございます。治安出動につきまして、間接侵略その他の緊急事態に際しまして、一般の警察力をもって治安を維持することができないと認められる場合等に発令されることとされておりますが、我が国を取り巻く内外の諸状況の変化を踏まえまして、自衛隊の治安出動が考えられるような事態を含め、多様な事態に適切に対処し得るよう平素より備えておくことは重要なことであると考えているところであります。  防衛庁といたしましては、自衛隊の対応のあり方について、装備でありますとか戦術、教育訓練、部隊行動基準、いわゆるROEでございますとか、法的な観点も含めまして、今後ともさらなる検討を行いますとともに、関係省庁との連携の一層の緊密化を図って万全を期してまいる。こういう各省庁との関係、関連の緊密化ということが改めて重要であるという認識にも立ちまして、今委員指摘のように、運用、緊急時に万全を期してまいれという言葉を大切にしてまいりたいと思っておるところであります。
  63. 奥山茂彦

    奥山分科員 そこで、現在の戦闘形態というのですか、これが、外国のゲリラとかコマンド部隊あるいは工作員が公然と入ってこないわけでありまして、隠密のうちに日本の国内へ侵入をしてくるというような事態が想定されるわけであります。こういった場合、治安出動の規定でこれらの対処が十分でき得るのかどうかということが一つあります。  さらに、先ほども長官が触れられましたけれども、治安出動の場合に、警護、鎮圧のための武器使用の権限が、自衛隊法の第九十条の二号で、多衆集合して暴行もしくは脅迫という要件では、これらの少数のゲリラ侵攻に対して十分対応できる体制が非常に難しいように思うわけであります。  それともう一つは、治安出動の枠組みの中で、第一義的にはもちろん、さっき長官がおっしゃったように、警察が対応し、警察力で対処が著しく困難な場合において自衛隊が対処するということになってはおるわけでありますけれども、現在、警察と自衛隊との間の連携に本当に問題がないのかどうか。警察と自衛隊の間の対応に空白が生じることがないようにということで、昭和二十九年に結ばれた治安出動における治安の維持に関する協定というものがあるわけであります。もちろん、これで十分だということになるのかもしれませんが、現在の多様な事態に対応できるために、果たしてこれで今日十分対処できるのかどうか、重ねてお尋ねをしたいと思うのです。
  64. 西川太一郎

    ○西川政務次官 奥山先生、大変詳しく御研究をされておられまして、大事な御指摘をいただいたと思ってありがたく存じております。  御案内のとおり、ただいま御指摘の自衛隊法第九十条一項の第二号の規定によります場合に該当しない、少数のゲリラ・コマンドーのような対策を我々としてもしっかりと用意をしていかなければいけないわけでございます。しかし、ただいま先生が御想定をされたような場合でも、自衛隊が全く対応できないということではもちろんございません。同項第一号の警護のための武器使用でございますとか、また八十九条のいわゆる警察官職務執行法の準用でございますとか、そうした規定を活用して武器使用が可能な場合というのもございます。  さはさりながら、ただいま先生から御指摘をいただきましたような事態に対しましては、十全な対応をとっていかなければならないことは言うまでもございませんので、先生指摘のような法的な視点からのさらなる検討を深めていくということが必要だというふうに当庁としては考えております。  大変ありがたい御指摘だと思っております。
  65. 奥山茂彦

    奥山分科員 ただ、警察と自衛隊との協議のあり方におきまして、どの時点で自衛隊の治安出動になるか、あるいはどの時点までは警察が警察権で行使をしていくのかという見解がなかなかはっきりしないという経過があります。  だから、それが、防衛庁長官がされるのか、警察庁長官がされるのか、あるいは内閣総理大臣がされるのかということになってきたときに、その状況判断をするときに、警察が自分のところでやりますという見解がある限りは、治安出動はできないわけであります。  例えば、ペルーの日本大使館が襲撃されたときに、当然現地の軍がその鎮圧に、そして解放に出動してくれたわけでありますけれども日本の警察に聞くと、あれは警察でできるんだというような見解だという、私もそんな話を聞いたこともありました。あのように非常に高度な機関銃とか、場合によってはバズーカ砲のような武器を携帯している場合に、果たして警察ができるのかどうかということがあります。  しかし、テロ行為が、公然とした姿をあらわして攻撃をしてくるとか、あるいは要人の誘拐をするとか、そういうケースは実際はなかなか判断しにくい状況があると思うのですが、その場合の判断はどこがどういう形でされるのか、これが今事実上はっきりしておらないんじゃなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  66. 柳澤協二

    ○柳澤政府参考人 若干技術的な点でございますので、私から御説明させていただきます。  先生指摘のとおり、まさにゲリコマと申しますか、テロ、ゲリラに対する対処の最大の難しさは、事態の評価がなかなか明確にできない部分があるというところだろうと思っております。  警察と自衛隊の方でどの時点からどう切り分けるかということについても、現在、内閣安全保障・危機管理室で、両省庁集まりまして、ずっといろいろ認識の共有のための事務的な作業はやらせていただいております。  仕組みとしては、もちろん治安出動となれば内閣総理大臣の命令でありますけれども、では仮にその判断を上申するとすれば、当然ながら防衛庁長官国家公安委員長の認識がやはりそろわないと、まずかろうと思っております。それは、その御判断がそのときの状況に応じて、かつタイムリーに出していただけるかというのがまさにポイントでございますので、ここはおっしゃるとおりの問題意識、非常に重要な点だと思いますが、制度の問題というよりは、まさに日ごろから、どう情報を共有し、お互いにどういう認識をすり合わせておくか、そこが非常に大切であろうということで、安危室中心の作業あるいは警察庁との間で進めております、先生先ほどちょっと触れられた、昭和二十九年にできた協定の見直し作業といったようなものを現在進めておるところでございます。
  67. 奥山茂彦

    奥山分科員 なかなかこういった議論がこれまで余り政治的になされておらなかったと思うのですよ。特に、与党の中におきましてもまだまだ異論がいっぱいあって、実際はこういう具体的なケースを想定したような議論が余りされなかったということもあります。だから、これは防衛庁だけに言うことではないと思いますが、ひとつ防衛庁としても十分協議をして、できるだけのところはやはり詰めておく必要があるのではなかろうかと思います。  それとともに、我が国がテロの脅威にさらされたり、外国の特殊工作員の潜入に関するような情報が入ってきた場合、これは日本が緊迫した状態になったときに、現在は例えば原子力発電所とかそういう施設は、これは近くに交番があって、そして実際に防御しておるのは民間のガードマンの会社だということだそうであります。しかし、どこかの原子力発電所がねらわれているらしいというような情報が入ってきたときに、果たして自衛隊がその場合に防御的な出動ができるような、あらかじめそういう展開ができるような態勢になっておるのかどうかということが一つあります。  それから、ちょっと時間がありませんので、重ねて聞きたいと思いますが、治安出動をされたときの武器の使用の権限が、自衛隊法第八十九条により、警察官職務執行法第七条の規定を準用するということになっているわけであります。ところが、本来、これは歴史的な経過があって、警察予備隊から出発した自衛隊でありますから、警察を補完するというような立場から出発をしておるだけに、犯人を逮捕する、あるいは職務尋問するとか、こういうことが第一義的になっておるわけであります。  そうしますと、治安の場合はそんなことを聞いておる余裕がないわけでありまして、まずその地域の治安を回復させなければならぬということになると、基本的には自衛隊がこの警職法の準用ということで行動ができるのかどうか、対応ができるのかどうかという問題があるわけでありますが、こういった点もいかがでしょうか。
  68. 西川太一郎

    ○西川政務次官 最初のお尋ねでございますけれども、御指摘のような場合、自衛隊の対応を一概に申し上げることはなかなか難しいのでございますけれども、例えば警戒監視活動でありますとか情報収集活動でございますとか、必要に応じて、要請があれば警察を支援するという形で行動をまず行うことが考えられます。  それから、具体的に先生が御指摘をされました原子力発電所などの重要施設等に危険が迫った、テロの脅威が迫ったというような場合でございますけれども、事態が緊迫して、得られた情報から、明らかに警察では対処が難しいということになれば、これは治安出動が下令されまして、出動するわけであります。また別のケースでは、外部から武力攻撃のおそれがあると判断された場合には、いまだ現実的に攻撃が開始されていなくても、先生のお言葉でいうところの予防的なそういう出動は、治安出動または防衛出動という形で自衛隊に命令が出れば、重要施設の周辺にあらかじめ部隊を展開し、警護などを行うことは当然可能でございます。  なお、事態が緊迫して、治安出動命令または防衛出動命令が発せられることが予測される場合、防衛庁長官は、内閣総理大臣の承認を得て、治安出動待機命令または防衛出動待機命令を発するわけであります。この場合、自衛隊はあらかじめ部隊を近傍の自衛隊施設等に移動、結集させるなどの行動を行いまして、行動用資材の調達や集結などの準備を万全に行って、出動命令が発せられた場合には、直ちに即応し得る体制を構築することが可能でございます。  それから、ちょっと長くなって恐縮でございますけれども、後段の、これは重要な、これまたありがたい、政策推進の意味で御指摘いただいたと思いますが、治安出動は、間接的な侵略またはその他の緊急事態に際して、警察力をもってしてはどうも十分ではないというような場合、治安を維持するために防衛庁に出よ、こういうことでございますので、警察官職務執行法第七条の規定の準用、すなわち、自衛隊法第八十九条でございますけれども、これの実行または警護、鎮圧のための武器使用、これは先ほど来御議論があります九十条も認められているわけでございます。  こういうような、警察官職務執行法の準用の武器使用というのは、自己または他人に対する防護、また、先生指摘のような、つかまえることのみを目的にしたものとは必ずしも考えられないのでありますけれども、現行のこうした法的枠組みのもとでしっかりと対処していかなければなりません。私ども、大変ありがたく、かつ重要だと存じますのは、自衛隊の対応に対しまして、先生の御議論を一つの提起として、法的な観点を深めて、さらに検討を進めていきたい、こんなふうに考えているところでございます。
  69. 奥山茂彦

    奥山分科員 そこで仮に、有事における治安出動が下令されたときに、自衛隊が出動したその現場において、テロとか工作員とか、そういうものを相手にするときに、相手がどのような武器を持っておるか、なかなか判然としないケースがあります。大体そうだと思うのですよね。そうしました場合に、軽火器で対応できる場合と、あるいはバズーカ砲のような武器を携行しておる場合と、これがもしそういう事態になったときに、自衛隊は相手に対して発砲をどの時点から許されるのかということがなかなかはっきりしないのです。  しかも、この前のあの不審船事案におきましても、事実上、相手をねらって撃つということが実際は許されてはおらないわけでありまして、威嚇として発砲を許されたということであります。だから、自衛隊も治安出動した場合も、相手が撃ってきているのに、威嚇射撃をするだけにとどめておけということが、現場の第一義的な、指揮官の判断ということになるわけでありますと、相手に撃たれて、隊員が殺傷されて初めてしか撃つことができないという現在のあり方が、果たして治安出動の有事に対処できるのかどうかということになるのですが、いかがでしょうか。
  70. 柳澤協二

    ○柳澤政府参考人 御説明させていただきますと、まず、武器の使用は、当然警職法七条あるいは治安出動の際の自衛隊法九十条でも認められるわけでございますが、その際に、問題は、相手に危害を加えることが許容されるかどうかという点におきまして要件がございまして、警職法のケースでありますと、正当防衛、緊急避難あるいは長期三年以上の凶悪な罪を犯して逃亡という要件があるわけでございます。先生が御指摘の、今議論になっておりますところのテロあるいはゲリラに、仮に警察官であれ、自衛隊員であれ直接対峙するようなケースで、相手が武器を持っているというようなケースは、まさに正当防衛、緊急避難になるケースも相当あると思っております。実は、それは相手が撃ってこなければということではなくて、まさにどれだけ差し迫った危険が自分に及んでいるかということが判断基準で、正当防衛、緊急避難が成り立つわけでございますから、必ずしも、相手が先に撃たなければ撃てない、あるいはこちらに具体的な被害がなければ反撃できないというふうには、私ども、理解をしておりません。当然、その状況に応じて、正当防衛が成り立つ場合は所要の行動がとれると思っております。  さらに、警職法を準用した武器使用を行います場合におきましても、いわゆる警察比例の原則というのがかぶるわけでありますが、これは相手方と同じ程度の武器しか使えないという意味ではないと思っておりまして、要は、その任務を達成するために合理的と認められる範囲の武器使用を行う、そういうことで行動すべきものだと思っております。
  71. 奥山茂彦

    奥山分科員 その場合に、現場の指揮官に対してやはりきちっとしたマニュアルというようなものがないと、実際に現場の指揮官たちもいざというときに大変混乱をしてしまうのではないかと思いますので、十分その辺は考えていく必要があるのじゃなかろうかと思います。  それから、治安出動した場合の部隊の行動の交戦規則といったものが部隊の適切な任務遂行のためにはどうしても必要であるわけでありますけれども、こういったものをきちっとふだんから整備しておかなければならないと思います。十分ひとつそちらの方も検討をしておいてもらわなければなりませんし、こういったものは、どちらかというと、過去において国会の場において本来、議論しなければならないのですが、そういう議論がこれまでずっと避けられてきた、タブー視されてきた、そういう過去の経過も我々も理解をしておりますので、やはり現場の隊員がいざというときに非常に困る状態が確実に出るわけでありますから、そういった点は十分考えていただきたいと思います。  それから、重ねてもう一点だけ。今の自衛隊法は、平和協力業務とか周辺事態における後方支援等のいろいろな任務が、自衛隊法がつくられた後どんどん追加されてきたわけであります。南極観測のこともあったわけでありますが、こういった問題が全部「雑則」で規定されているわけであります。  第百条の一からずっとあるわけでありますが、特に、第六は国際緊急援助、第七は国際平和協力業務、それから、第八は在外邦人の輸送、第九は日米物品役務相互、これはACSAですね、それから、十が周辺事態に際して我が国の平和と安全を確保するための措置というようなことで、全部これは雑則になっておるのです。こういったものは、それぞれが独立した法体系をつくっても決しておかしくないような項目であるわけであります。  海外での自衛隊員の活動等は、今は自衛隊員でやっておられるわけでありますが、それでも組織的にきちっとやっていこうと思いますと、雑則で全部整理されておるというような現在の法体系のあり方が、私は甚だ無理があるのじゃなかろうかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  72. 西川太一郎

    ○西川政務次官 これまた大変重要な御指摘だと思います。私も、政治家の一人として、個人的には先生の御意見、本当にそうだなという感じを持っておりますが、本来、自衛隊法第三条で、直接侵略でありますとか間接侵略に対して、我が国を防衛することを主たる任務にしておりますし、また、公共の秩序の維持に当たることを従たる任務といたして、自衛隊の本来任務というものが成り立っております。  ところが一方で、国際平和協力業務の実施でありますとか、後方地域支援など、自衛隊の本来の任務に支障のない範囲内で行うものであって、これは長年にわたって自衛隊が蓄積してまいりました技能でありますとか経験組織的な機能、能力でありますとか、こういうものに着目をしてそれを活用せよ、こういうことで、自衛隊法第八章、御指摘の「雑則」の中に一切合財含めているわけでございます。  現状はそのような位置づけになっているわけでございますが、これから確かに時代の要請を受けて検討をしていかなければならない事項ではあるというふうに、感想を述べさせていただきたいと思っております。
  73. 奥山茂彦

    奥山分科員 いずれにいたしましても、こういった課題は、過去において有事法制の問題に触れた大臣はその場ですぐ首が飛んでしまったとか、こういった過去があったわけでありますので、我々は非常に政治的な課題として検討をしていかなければならないわけでありますが、こういった点を余りにもタブー視して避けてきたということが、現場の指揮官に大変なしわ寄せになっていっているのじゃなかろうかと思いますので、ひとつ十分検討をしていただきたいと思います。  最後に、一つは、現在、自衛隊員は普通一般の民間の会社と比べて早期に退職しなければならないわけでありますが、これらの方々が、最近、不況が深刻化しておるということもあって、一部再就職が非常に難しい状況になっておるということもいろいろ聞いてきているわけでありまして、こういった点。  それからもう一つは、最近、よく新聞に出るのですけれども、自衛隊員がどこかで窃盗行為をしたとか万引きをしたとか、いろいろなことが言われているわけであります。  自衛隊の隊員の社会というものは、どちらかというと、やや閉鎖的な社会で、一般の市民感覚からどうしてもずれた中においてその規律を守っていかなければならぬ。隊員の研修の中において倫理をいかにしてきちっと守っていくかということが、これからも自衛隊が信頼を国民の間に醸成していく大きな要因になると思いますので、その辺について最後にお尋ねをして、終わりたいと思います。
  74. 瓦力

    ○瓦国務大臣 お答えいたしますが、今委員から御指摘の隊員の士気の高揚を図る、また一方におきまして、若年でその任を終わられるわけでございますが、就職援護施策をしっかりとしておくようにというようなことにつきましてお触れをいただきました。  防衛庁といたしまして、若年で退職する自衛官が再就職を円滑になし得るよう各種職業訓練、技能訓練でありますとか、自動車操縦訓練あるいは通信教育等、いわゆる情報ネットワークの整備、地方公共団体等公的部門における退職自衛官の採用の働きかけなど、援護諸施策の充実に努めているところでございます。  雇用情勢が厳しい中ではございますが、現在のところ、若年定年制または任期制によりまして退職する自衛官で、援護を希望した者はほぼ全員が再就職しているわけでございますが、今後とも、一層援護施策の充実に努めてまいりたい。また、誇りを持ってその職務を全うできるように、私どもは環境をつくり上げるように努力をしたいと思っております。  また、委員から、いろいろ法律的に欠落事項、こういったことにもお触れをいただきました。いわゆるROEという言葉が適切かどうかということにつきましては、私どももよくこれは注意をしながら、仮の呼び方をいたしますと、部隊行動基準、そういうようなものをつくっておくべきではないかということも、今検討をさせておるわけでございます。いわゆる欠落事項を整備するために、私ども努力をしてまいりますが、まさに国会におきましても、そういう議論を旺盛にしていただきまして、秩序維持を図れるように御理解をいただきたいと思います。  きょうは、いろいろ各点にわたりまして御質問をいただきまして、ありがとうございました。
  75. 奥山茂彦

    奥山分科員 自衛隊員が誇りを持ってこれからも働けるように、ひとつよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  76. 中林よし子

    ○中林主査代理 これにて奥山茂彦さんの質疑は終了いたしました。  次に、島聡さん。
  77. 島聡

    ○島分科員 民主党の島聡でございます。  きょうは、決算行政監視委員会分科会ということでございますので、決算行政監視委員会らしい質問をというようなことで準備をして、質問通告させていただいておりますが、事前にちょっと、きょう瓦防衛庁長官おいででございますので、少しお尋ねしたいことがございます。  総理が欠けたるときの継承順位、たしか五位でございましたか、間違いないですか、四位ですか、五位になられたわけであります。もちろん、そういうことがあってはならないわけでありますが、日本のような、GNPが世界の十数%も占め、一億二千万を超す国家として、そういう形を定めていくということは極めて重要なことであると思います。  今回のいろいろな事項は、憲法七十条の内閣総理大臣が欠けたるときというように考えてやられたということでございますが、これは私もきちんと把握していないので、ひょっとしたら誤解があるかもしれませんが、継承順位五位になられた場合、内閣総理大臣が欠けたるときというのはだれが判断し、どのように継承順位五位の瓦防衛庁長官のところに来ると説明を受けておられますか。
  78. 瓦力

    ○瓦国務大臣 今委員指摘のような問題、いわゆる総理が欠けたるとき、この継承順位は、先般、官房長官をまず第一といたしまして、私が五番目というようなことで指名をいただきました。  確かに、危機管理という視点から考えましても、総理が欠けたるとき、先般のように急に病に襲われて、判断そのものができがたき状況も踏まえまして、そのときには、総理にかわる者を前もって序列なり指名をしておくことが、国家の運営上、危機管理上大切ではないかというような御指摘もちょうだいをし、さようなことに相なったわけでございます。もちろん、閣議におきましてそれらの手順を運び、またその事態になれば、今申し上げたようなことで、その順位に従って、いっときも空間をあけることなく、国家の運営につきまして、危機管理上、従前より万全を期してまいるという配慮を一層強めてまいることが必要であろうというぐあいに考えておるところであります。
  79. 島聡

    ○島分科員 お聞きしましたことは、要するに、欠けたるときにだれがそれを判断し、どう伝えるかということを、継承順位五位の方に伝えるという説明をされていますかということでございますので、これは通告していないのですが、御本人がもしそれを聞いていないとすると、ちょっと問題でありますので、ぜひきちんとお答えいただきたいと思います。
  80. 瓦力

    ○瓦国務大臣 内閣法第九条の指定がない状態で同条の規定に基づく指定をする必要性が生じた場合に関しまして、内閣法には何ら規定がないわけでございますが、条理上、内閣総理大臣以外の閣僚が協議した上で内閣総理大臣の臨時代理を指定すべきものであると解されているわけでございます。
  81. 島聡

    ○島分科員 これは通告をしておりませんでしたので、また後日やらせていただきます。  きょうの問題につきまして、かなり技術的、細目的事項もあるということで、本日は装備局長にも来ていただくことになりました。したがいまして、最初にきょうの私の問題意識を申し上げて、そこはいわゆる政治家同士の議論で、その後の細かい点は幾つか装備局長にという形にしたいと思います。  「失敗の本質」という著書があります。これは、太平洋戦争のときの日本、副題が「日本軍組織論的研究」という形になっておりまして、そこに幾つか、なぜさきの大戦のときに日本軍がいわゆる失敗をしたかというようなことが分析されている本であります。幾つか指摘がありましたけれども、例えば一つは、それまで当時の日本軍というのは、いわゆる対ソビエトを相手にいろいろな、特に陸の装備はされていた。ところが、その陸の装備は対ソビエトで、その戦場を考えてつくられていたのが、熱帯雨林で戦うことが多くなった。その結果、装備上の問題が多々出て、それが一つの失敗の原因になったという話が分析としてありました。  それで、今の自衛隊の装備というものをきちんと見ていきますと、どうしても冷戦の前の形でいろいろな装備編成がされておるのではないか、まだ追いついていないのではないかという問題意識がございます。例えば、いろいろな戦車部隊などの主力部隊が北海道に置いてある。それはあくまで、もちろん、それは言われないでしょうけれども、冷戦時の戦略構図において判断された装備編成ではないか。  防衛庁長官にまずお聞きしますが、冷戦時のそのような北海道に主力が置いてあるものが、冷戦が終わって、一九八八年ですからもう十数年たっているわけですが、その後日本の自衛隊は、きちんと装備編成が現在の状況に合わせてなされているとお考えでしょうか。
  82. 瓦力

    ○瓦国務大臣 我が国の安全を維持するために、私どもはそれぞれの検討を加えながら装備に取り組むものでございますが、今委員から御指摘のように、米ソ冷戦構造といいますか、その時代は北方重視であったというようなことの御指摘も踏まえて、御見解をお述べになりました。そういうことでございます。  それでは、冷戦後にどういう体制であり、また、それにつれてどういう装備品が必要かというような問題は、逐次状況も変化するわけでございますし、その時々の要請もございますし、また、装備をしていくにつきましては、いわゆる財政的な裏づけを必要とするわけですから、その状況に応じて調達もしなければなりません。  言ってみますれば、冷戦構造を終えた後の我が国のみならず、周辺の安全を確保するために、その装備等を含めて十分かということの御指摘を受ければ、私は、なおいろいろその時々の変化に応じて、この世界も技術進歩が甚だしいわけでございますから、まして我が国は専守防衛という理念を明確にしておるわけでございますから、そういう面では、いかなる侵略があるか、いかなるもとに耐えなければならないかということを踏まえながら、逐次装備をするための努力は重ねてまいりたいと考えておるわけでございます。
  83. 島聡

    ○島分科員 当然、財政制約もあるわけでございます。その中で、環境に合わせて最も適応した体系をつくっていくということが必要であるということは言うまでもありません。  私は昭和三十三年生まれでございまして、私どものような世代は、ほとんどそういう、安全保障論議といいますと、ちょっといろいろな法律の論議はありましたけれども現実一つの兵役体験も含めての知識というのが、実は余りありません。といいますのは、瓦長官がお幾つか存じませんが、そういう昔の、さきの大戦の経験がある方は実感としてわくそうでございますけれども、私どもの場合は、若い政治家を含めて、まだまだそういうような実感がわかないというところがございます。そういう意味で、きょう、これから質問させていただくわけですが、決算行政監視委員会ですので、かなりコスト的な問題についての質問をします。  その前にちょっとお聞きします。今の武器体系については、これはある新聞社が編さんした記事でございますが、そこに、現在の防衛庁の調達実施本部も含めての記事がありました。  そこには、防衛庁の附属機関として調達実施本部が生まれて、現在の契約方式が確立して、もちろん、その後いろいろな形で直っているでしょうが、その結果、借りのある業者への発注を優先するために調達品の性能は二の次になる、新規業者はできるだけ排除され、競争が少ないため調達品は高値安定になる、ユーザーの意見は余り取り入れられないという指摘がございました。  これが事実かどうかということ、事実だとしたら大変でありますので、特にきょうは、高値かどうかということに関してきちんと聞いていきたいと思っておりますが、今のことを通じまして、一つずつお聞きをいたします。  私、以前に習志野空挺団に体験入隊をしたことがございました。松下政経塾というところにおりまして、三十四尺降下塔飛びおり訓練、パラシュートの訓練もさせていただきました。当時、今もそうだと思いますが、最精鋭の部隊であるというふうに承っておりましたし、そしてまた、私もそれを拝見して、本当に最精鋭、教官の方も立派な方が多くいましたし、そう思っておりました。一連のいろいろな意味での不祥事は非常に残念に思っておる次第でございます。  九九年度に、その空挺部隊の幹部といいますか、指揮官用に、九ミリ機関けん銃というのが配置されたと聞いております。この九ミリ機関けん銃というのは、いわゆるサブマシンガンというように一般的には分類されているようでございますが、これは普通、国際的には余り高くない。国際的には三万円か四万円だというような記述もございます。この現在の、九九年度に空挺部隊採用九ミリ機関けん銃は、今一丁幾らで納入されているんですか。
  84. 及川耕造

    ○及川政府参考人 お答え申し上げます。  これは予算でございますけれども平成十二年度の単価は約四十二万円、これは収納ケース等の附属品も含んでおりますけれども予算単価は四十二万円ということになります。
  85. 島聡

    ○島分科員 特に防衛庁長官と西川政務次官に、技術的、細目的事項は装備局長にお聞きします。  私は、先ほど申し上げましたように、昭和三十三年生まれで、きちんとした兵器の、本当に実際に手に持ったことはありませんから、いろいろな意味で誤解しているかもしれません。  だけれども、一般的に考えて、今一般的にはこれぐらいだと言われておりますと、数字を言います。そして、その上で装備局長に、今幾らで納入されているか聞きます。それで、今聞きましたら、一般的には三万から四万だと言われているという記述が、私の調べたところではありました。それがなぜ一丁四十二万円もするのか、ちょっとわかりませんので、説明をお願いします。
  86. 及川耕造

    ○及川政府参考人 先生のおっしゃいます三万円から四万円というものが、どういう機能を持ったものであり、そして、私どものいわゆる九ミリ機関けん銃とどのように違うのかということがわかりませんので、その辺、比較の仕方が難しいかと存じますけれども、いわゆるこの九ミリ機関けん銃につきましては、本来任務の達成に支障を生じさせない、先生がおっしゃいましたように、空挺団のものでございますので、携行操作の容易性というのを確保し、そして、連射による自衛戦闘能力を向上させるという非常に特別の目的を持ったものでございます。  諸外国の装備品で、これと同等のものというものが見当たらないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、比較の仕方は大変難しゅうございますけれども、私どもといたしましては、あえて類似の装備品等について、輸入したらどうなるかといったことを検討いたしますと、これはやはり四十万円ぐらいにはならざるを得ないではないか、こういうふうに思っておるところでございます。
  87. 島聡

    ○島分科員 続きまして、八九式小銃について聞きます。  今国会から政治家同士の議論が多くなったというわけでありますが、つまり、ぜひ政治家としてお聞きいただきたいのですが、私は国民として素朴にこれを不思議に思うのです。もちろん、類似品があったら四十万になるとおっしゃいましたが、そうですかとしか言いようがありません、今申し上げたように、自分で武器を買うわけにもいきませんし。きょう政治家としてお聞きになって、もしちょっと不思議だと思ったら、きちんと調べていただければなと思います。といいますのは、やはりほかの、今から八九式小銃についてもちょっとお尋ねします。  この八九式小銃というものでありますが、これは一般的にいろいろな、普通で言うところの歩兵等がお使いになるものだというふうに聞いておりますが、これも何か国際価格が三万から八万円ぐらいであると。今、幾らで調達しておられますか。
  88. 及川耕造

    ○及川政府参考人 ベースを合わせるために、平成十二年度予算でお答えさせていただきたいと存じますが、現在、単価は約三十三万六千円と見込んでおります。
  89. 島聡

    ○島分科員 事前になぜ高いのですかと聞いたら、いわゆる日本人に向いているようにつくられているんだというお話でございますが、それでよろしいのでしょうか。もうちょっと詳細な説明を。
  90. 及川耕造

    ○及川政府参考人 事務的に申し上げた点についての繰り返しになるかと存じますけれども、まず、この八九式の小銃につきましては、諸外国のものに比べますと、小型でございます。かつ、日本人の体格に適合させるために、射撃時の反動を少なくするようにいたしております。それから、装甲戦闘車内から、なるべく死角の少ない、非常に自由な角度で射撃ができるような組み立て方になっております。それから、非常に狭い車内等で二つに折り畳んで携行するような機能も持たせております。  こういった運用構想を踏まえまして国産したものでございまして、そういう点で、このような値段になっているのではないかというふうに思っているところでございます。
  91. 島聡

    ○島分科員 決算行政委員会ですから、これも国民の素朴な疑問です。  西川太一郎次官も、瓦長官もお体大きいですよね。私は身長百八十三センチございます。十分、国際的にもそれほど、国際的といいますか、体型も大きくなってきているわけでありますが、これも非常に素朴な疑問でございますが、それで、三万から八万だと言われているのが、なぜ三十二万とかそういうふうになるのかということが私にはちょっと理解できない、非常に不思議な点であります。もしそれならば、ある程度こういう説明もありますけれども、私自身からすると、極めてこれは不思議だということをまず提議します。  次に行きます。戦車についてお聞きします。  いわゆる戦車の問題につきましては、これもさきの大戦のときには、日本軍というのはかなり戦車で痛い目に遭ったということがその「失敗の本質」にありました。日本軍は、歩兵による白兵第一主義というのをとっていた結果、戦車に対しては余り力を入れなかった。例えば、九七式戦車などというのは、備砲が五十七ミリりゅう弾砲で、戦車対戦車ではとても使えなかったという話がありました。そんなこともあったせいでありましょうか、割と戦車に対してはお力を入れていらっしゃるような気がします。  まず、これをお尋ねしますが、九〇式戦車は五十トンと聞いております。五十トンの戦車でありますから、恐らくこれは橋梁の許容荷重を超えることもあると考えられるわけですが、その移動のときにはどのように対処するんでしょうか。
  92. 西川太一郎

    ○西川政務次官 今、島先生指摘のように、九〇式戦車は約五十トンの自重がございます。橋には当然重みに耐えられる許容荷重の限界があるわけでございますけれども、そういう場合には、橋を用いずに渡河をする技術を自衛隊は蓄積をいたしておりますし、そういう資材もいろいろございます。  例えば、おおむね水深が一メートル以下のところであればほぼ自走できます。それから、もう少し深いところであれば、シュノーケルをつけて水中を動くこともできます。これは、大体二メートル以下ではそういうことも可能でございます。さらに、渡河機材、例えばスライド式の橋を持っておりまして、それをさっと装置をして、大体四メートルぐらいの幅があればほぼ渡れます。  北海道の中でも、随分橋が多いんですけれども、いろいろと調査をいたしまして、二千五百ぐらい北海道内に橋があるんですね。その場合には六割が今のままで通用可能でございますし、それ以外のところは、ただいま申し上げましたようないろいろな機材を用いて渡河が可能でございますので、運用が可能だ、こういうふうに承知をいたしております。
  93. 島聡

    ○島分科員 この前ある方からお聞きしたことですが、台湾に今度新幹線をつくる予定があります。その新幹線のところは、軍事的なことも考えて土台を非常に強固にしていくということだそうでございます。  日本の場合、例えば北海道にかなり戦車隊がある。私、事前に、北海道に戦車隊が集中しているが、例えばその北海道の戦車隊を、あるときある事態において突然ほかのところに展開しなくちゃいけなくなったときに、この九〇式戦車というのは鉄道輸送の前提があるのかという話をお聞きしました。そのとき、何かフェリーで運ぶということを考えているという話でした。フェリーで運ぶというようなことは、現実的に非常に危ういような気がするんですが、どう思われますか。
  94. 西川太一郎

    ○西川政務次官 海上自衛隊の輸送艦を使う以外は、ただいまお話しのとおり、例えば、アメリカで射撃訓練をするために九〇式戦車を民間のフェリーでアメリカに輸送しているという実績があるわけでございます。  鉄道に関しては、車体の幅などを考慮いたしますと、現実に困難でございますので、今は私どもとしては、民間のフェリーも含めて輸送するという方法しかないかな、また、そういう実態としての米国への輸送の経験も有しておりますので、そうした方法しかないかなと考えております。
  95. 島聡

    ○島分科員 今申し上げておりますのは、先ほど二つの課題を言いました。一つは、高値過ぎるんじゃないかということがあるから値段を聞きました。もう一つは、環境が変わっていったなりに、そういう装備体系というのも変えていくべきじゃないかということを例証として、私の疑問を今申し上げておるわけであります。  もう少し、あと二つ申し上げます。  観測ヘリコプターOH1というのがあります。このような観測専用機体というのは世界で珍しいそうでありますが、事前に聞きましたら、一機十七億円ぐらいするという話だそうであります。  この観測ヘリ、観測ヘリですから、観測していろいろな部隊にその観測情報を伝えるわけだと思いますけれども、何かここに、いわゆるデータリンク機能がついていない、ビデオ情報が送れない、画像データが送れないと聞いておりますが、それは事実でしょうか。そしてまた、それだと今のような状況の中において極めて使い勝手が悪いと私は思うわけですが、どうお考えになりますか。
  96. 西川太一郎

    ○西川政務次官 御指摘のとおり、現在のOH1型にはデータリンク機能は残念ながらありません。しかし、音声情報は無線で送信ができますし、また、画像の情報は、録画を撮りまして、後に地上に持ち帰るという形でやっておりますところがちょっとかったるいかなという感じはいたしますが、このOH1型以外のほかのシステムも、例えばOH6とかOH54とか、そういうようなものとの整合性ということも考えなければいけませんので、ただいま御指摘のように、今後の防衛機能として検討していくということは十分やらなければいけないというふうに思っております。
  97. 島聡

    ○島分科員 例えば阪神・淡路大震災のようなことが起きたときに、一挙に画像情報で手に入るかどうかというのは大きな話になると思います。もちろん、幾つかの代替物があるとしても、観測ヘリと称して平成十二年にできたわけですから、そういう意味では、そういうこともきちんと今の情報化時代に合わせてやらないと、何でそんなふうになっているんだと私は思います。  輸送艦「おおすみ」についてもお聞きします。  これは三百七十三億円で、十一年度計画輸送艦の予算額だそうでありますが、海外での邦人救助なども担当すると言われております。これは、自前のヘリを持っていない、運用設備も余り十分でない。本当にそれで邦人救出等ができるのかということについてお尋ねしたいと思います。
  98. 西川太一郎

    ○西川政務次官 概要は私から申し上げますが、詳しくは運用局長からも御答弁をお許しいただきたいと思います。  簡単に言えば、ヘリコプターを自前で運用設備を持っていないということでございますけれども、それはヘリコプター艦載が可能な艦と相互に協力をしながらやれますし、また、仮に接岸が不可能な場合、いろいろな状況がございますね、ほかの艦が使っているとか、天候上大変つらいというような場合には、LCACも使用できますので、そういう意味では、運用の妙を得れば十分に邦人等の救出は可能であるというふうに信じておりますが、詳しくは装備局長から補足をします。
  99. 島聡

    ○島分科員 もう十分です。  今運用の妙という言葉をあえてまた使われましたけれども、確かに昔から割と精神力で頑張ろうとか、訓練でやろうとか、秋山真之の時代から言われていたようでありますが、やはり、本当に装備というものは、きちんとある程度いろいろな人が使えるように、だれでもやれるような形に準備していくことが必要だと思います。それが使えないような状況だったら非常に中途半端なものになると思いますので、それは十分やっていただきたいのです。  防衛庁長官最後にお聞きします。  私は素朴に質問をしました。今国際価格ではこれぐらいと言われていますと、例えば、機関けん銃というのは大体三、四万と言われておりますが、四十四万、四十二万もかかっています。それから、八九式小銃は大体三万から八万と言われています。だけれども、三十二万もかかっています。  これは、私は素朴に、なぜこんなにかかるんだろうと思うわけでありますが、長官、どう思われますか。
  100. 瓦力

    ○瓦国務大臣 島委員から多方面にわたる御質問をちょうだいしております。いわゆる装備品の価格につきましては、我が国が防衛政策上、武器輸出につきましておのずから禁じておるわけでございますから、これらにつきましての努力は、主要装備品としては、自国に合ったもの、国土条件に合ったもの、いわゆる急峻な山岳でありましたり都市が集中いたしましたり、海岸線の関係や軟弱地盤であるとか、そういう地形に応じて装備というものも考えなきゃならぬこともありますし、また日本人の体位体格によって装備品はどう調達しなければならぬかという問題もあります。  かねて原子力発電所を準備すべきときに、日本人の体格に合った標準型炉をどうつくるかというようなこともございましたが、やはり日本人の体位体格が、今、島さんがおっしゃるように、我々は大分大きい体になったぞということがありますが、日本人の体位体格に合った、また戦車等の中に入ればそれぞれ行動が限られる中で用意しなければならぬものがあるわけでございますので、概して言うと、高くつくというようなことは率直に言えようかと思うわけでございます。  そういった面では、海外から安ければいいというのではなくて、その状況に応じた選択をしなければならぬということになりましても、装備品につきまして工夫を凝らしていく必要は当然ございますので、いろいろまた努力をしてまいる課題も、今質問の中に含まれておることも私は承知をして、お答えをさせていただいたわけでございます。
  101. 島聡

    ○島分科員 終わります。
  102. 中林よし子

    ○中林主査代理 これにて島聡さんの質疑は終了いたしました。  次に、中路雅弘さん。
  103. 中路雅弘

    中路分科員 きょうは二つの問題を御質問したいのです。  一つはPCBの廃棄物の問題です。御存じのように、米軍の相模補給廠に置かれていましたPCB汚染の廃棄物がカナダや米本国で搬入を拒否されて、今横浜港ノースドックに置かれています。  総量で約百トンの廃棄物は全国各地の米軍基地から集められて米軍が持ち出したわけですけれども、このPCBの持ち出したものが、アメリカで拒否されたのは、日本製だからだと。アメリカの法律では自国製以外だめだと言われていますが、これは日本の変圧器でありますけれども米軍が使っていたものですね。米軍の使用していたものなんです。  それから、持ち出すとき、あるいは搬入もそうですが、この際は公用貨物としての扱いになっていますから、中身も報告しなくてもいい、自由に持ち出し、今度の場合もそうなんですね。  合衆国軍隊の地位協定、これに伴う外国為替令等の臨時特例に関する政令というややこしい特例で、この第九条を見ますと、合衆国の軍隊が、この持ち物は自分のものだと権限ある者が言えば、これは公用貨物として扱われるということが書かれています。この地位協定の特例によって、今度も中身を一切明らかにしないまま持ち出し、また横浜の港に入れてきたわけです。アメリカの公用貨物なんですよね。  アメリカの公用貨物がどうしてアメリカの本国へ入れられぬのか。処理することもできない日本に戻してきてどうするんだ。こうなれば、日本がこうしたごみの捨て場になるという怒りが出るのは当然なんです。  カナダが拒否したのは、カナダにアメリカの民間会社が焼却場をつくった、そこへ持ち込もうとしたから、カナダはアメリカのものはだめだということがあったわけですね。これは当然のことなんですよ。  だから、アメリカの公用貨物であり、アメリカのものなんです。アメリカの軍が使ったものなんです。これは当然アメリカの本国へ揚げて、処理の仕方は考えてもいいでしょう、アメリカが。とにかくアメリカの本国へ置くというのが当然であり、これしか解決の方法はないのです。  横浜に一カ月以内置くといっても、どこへ持っていくのですか。最初に一言だけ聞きたいのですが、外務省、行き先はあるのですか。     〔中林主査代理退席、主査着席〕
  104. 林景一

    ○林政府参考人 米側は本件廃棄物を一カ月以内に我が国から海外に再配置するということを申しておりますけれども、その行き先につきましては米側におきまして検討中であるということで承知しております。
  105. 中路雅弘

    中路分科員 検討したって、行き先がないのですよ。だから、私が言ったように、この問題はアメリカの本国へ入れるということしか解決はないのです。どうですか。私の提案でしか解決はないのです。アメリカ政府と交渉しなさいよ。  そして、これを扱っているのは国防総省なんです。在日米軍じゃないのです。国防総省の所轄の機関でこうした廃棄物を扱っている。世界で百六十六の事務所を持って、ドイツに本部を持っているのです。この機関が運用しているのです。国防総省が相手だから、外務省と防衛庁長官、国防総省を相手に、これはアメリカに、ちゃんと入れなさいということを交渉していただきたいのですが、いかがですか。
  106. 瓦力

    ○瓦国務大臣 今外務省からも答えましたが、現在保管されているものにつきまして、引き続き米側に情報提供を求めていくことといたしておりまして、外務省を初め関係省庁とも連携しつつ適切に対応してまいりたい、かように考えております。
  107. 中路雅弘

    中路分科員 適切にと言ったって、あなた、どうするんですか。  この前の予算委員会分科会で、河野外務大臣とこの問題、私はやったのですよ。河野外務大臣は処理が大変難しいということは言っていました。しかし、今言ったこういう事態になった場合に、この解決、私が言ったように、アメリカの公用貨物でありアメリカ軍の使っていたPCBなんです。これをアメリカ本国が拒否するということは絶対けしからぬことなんですよ。  これは外交問題でもありますから、外務省にもう一度お聞きしますけれども、どうですか。外務省を通じてアメリカに、本国で受け取れと言うことはできないのですか。物を言うことはできないのですか。
  108. 林景一

    ○林政府参考人 この問題につきましては、冒頭、中路先生から御指摘がございましたとおり、我が国からカナダに向けまして搬出されたわけでございますけれども、事実上、積みおろしができなくなったということで、日本に戻ってこざるを得なくなったわけでございますけれども、そのときに、私ども外務省といたしまして、これは非常に大きな問題だということで、アメリカ側に十分配慮した処置をとるようにという申し入れをしたわけでございます。  その結果といたしまして、先ほどお話がございましたとおり、私の方からもちょっと御説明いたしましたが、アメリカ側としては、一たん積みおろしはするけれども、その間安全に保管をした上で一カ月以内に外に出しますということを明確に申したわけでございます。私どもとしては、そのような対応をとったということを申し上げたいと思います。
  109. 中路雅弘

    中路分科員 外に出したって波間に漂流するだけなんですよ、この荷物は。だから、筋を通してアメリカが受け取れと言えないのですかね。防衛庁長官も外務省も、そんなこと言えないの、アメリカに。アメリカの貨物じゃないですか。それをアメリカが受け取れということをどうして言えないのですか。もう一度、長官。
  110. 瓦力

    ○瓦国務大臣 今外務省から答弁がございましたが、外務省は米側と話し合いをいたしておりまして、米側もさような返答をいたしておるわけでございます。もちろん防衛庁といたしましても、さような努力を重ねてまいる、そのことを申し上げ、外務省ともよく連携をとりながら、それらについて外務省をして米側と話を進めるように一層努力をしてまいりたいということを先ほど来申し上げておるところであります。
  111. 中路雅弘

    中路分科員 話を進める中身を私は言っているのですよ。全く答えることができない、本当に屈辱的な対応ですよ。  もう一つお聞きしますけれども、先日、アメリカの議会で国防総省がPCBの問題で報告書を出していますね。世界に、海外アメリカの基地に全部で三百十トン置かれている、そのうち二百五十一トン、約八割、これが日本の、在日の基地にあるんだということを言っているのです。今度百トン出していますから、あとは残っているんですよ。相模原補給廠なり沖縄に残っているのですよ。その中には濃度の高いものが含まれているということは明らかなのです。アメリカ自身は議会に報告しているのですよ。  そして、この前のときも、相模原に置かれているということをやっと認めた。これは去年の二月から十一月までかかった、施設庁と外務省と話して。保管していますということは認めた。では、数量と種類、保管状態を明らかにしてくれと。いつも在日米軍と今折衝中ですと言って、いまだに報告がないのですよ。  アメリカだって地位協定は尊重する、国内法は尊重すると言っているのです。国内法の廃棄物処理法では、こうした場合に保管状態あるいは数量、そして種類を報告する義務があるのです。市民の皆さんが不安になっているのは、危険物があると、どんな種類のものがどれだけあるのかということに不安がっているのですよ。これを公開できない、明らかにできないということは、これも大変なことですよ。  アメリカの議会には自分たちで報告して、日本の相模原に幾ら入っているかということを報告しない。施設庁も私に、確認していないけれども、濃度の高いものがあるということは言っているのですよ。そうだとすれば、これを早く、保管してある種類と量、これを明確にしてほしいと思いますが、いかがですか。
  112. 大森敬治

    ○大森政府参考人 お答え申し上げます。  今先生指摘のように、私ども、昨年の二月に相模原市長から、相模総合補給廠におけるPCB含有物の保管状況等につきましての照会がございまして、米側に情報の提供を要請したところでございますけれども、昨年の十一月に米側から、保管状況といいますか、米側は独自の基準に基づいて安全に保管している、保管の数量、種類等につきましては、現在、情報提供するための作業中であるというふうな回答を受けまして、その旨を相模原市長には御回答したところでございます。  確かに、御指摘のようにPCBの保管状況につきまして、地域住民の方から非常に大きな関心を持たれているところでございますので、私どもも米側と鋭意折衝しまして、また、外務省を初めとして関係のところとよく連携をして、この取り扱いに適正を期していきたいというふうに考えております。
  113. 中路雅弘

    中路分科員 半年たっているのですよ。置いてあるものが幾らの量があるんだということを問い合わせ中で、鋭意問い合わせると。半年かかって何も報告がないじゃないですか。これは在日米軍に聞いたってだめなんですよ。最初言ったように、これを扱っているのは国防総省なんです。これもコーエン長官が行ったときは瓦さん、お会いになったのですよ。日米が同じ最高の担当者として、施設庁なんか言ったってだめなんですよ。大森長官はいつも同じ答弁なんです、今の。問い合わせ中、問い合わせ中、半年間問い合わせ中、どうするんですか。長官がひとつこの問題はぴしっと解決できるように話してくれますか。
  114. 瓦力

    ○瓦国務大臣 大森長官は大変誠実な方でございますから、今お答えしたように、相模原市との話し合いや、また加えて申し上げて、地元の方々の不安でございますとか懸念に配慮をしながら米側に伝えるべきは伝え、要請すべきものは要請し、なお外務省を窓口としながら米側にも要請をいたしておるという経緯も答弁としてございました。  私も、防衛庁長官として今委員指摘のような役割を担っておるわけでございますので、この問題につきましては一層努力をいたしたいと存じております。
  115. 中路雅弘

    中路分科員 一日も早くこれは明らかにしてほしい、重ねて要求しておきます。  時間がもうたってしまってあれなので、もう一つ、この前、長官も視察に行かれました神奈川県の綾瀬にあります旧名神環保、廃棄物の処理をやっているところですが、エンバイロテック、私も先日、現地へ行ってまいりました。この問題についてお聞きをしたいのですが、最初に長官の認識をお尋ねしたいのです。  私も行って聞いたのですが、地域も見たのですが、確かにアメリカの家族住宅にも風向きによってはあのダイオキシンを出す排煙は当たりますけれども、あの地域に広大な工業団地がありますね。工業団地の人たちは、十数年来、頭が痛い、吐き気がする、機械がさびるとかいって苦情を言っていたのですよ、神奈川県に。解決しなかった。あるいは、基地で働いている日本人の従業員、この全駐労の組合も訴えていたのです。  だから、この問題はアメリカの家族住宅に住んでいる人たちの問題だけではなくて、あの地域全体の大きい環境問題なんですよ。そういう観点から取り上げなければ、アメリカの家族住宅をどうするか、どう救出してやるかという立場でだけもしお考えならば、この問題の認識が違うのですよ。その点は長官、どうですか。
  116. 瓦力

    ○瓦国務大臣 私の認識も先生と同様でございます。ただ、職務上、米軍施設とのかかわりが施設庁並びに防衛庁とすればございますからして、私の立場上そう申しておりますが、米側に対しましてのみならず、地域住民の方々の苦痛、さらには周辺の方々がいかにこの問題に重い負担を負っておるかということも含めて解決しなければならないという認識のもとに立って処理をしてまいりたい。よって、厚生省並びに環境庁、厚生省からいたしますと、やはり神奈川県とのかかわりもございます。それから、米側との話し合いということになりますと、外務省もございます。言ってみれば、内閣として取り組むということになれば、官邸を巻き込んで官房長官にも煩わせながら、一体となってこの問題は処理すべき問題だということにまで今、体制を持って臨んでおるわけでございます。  確かに、住民の方々の御苦心、御苦労は大変なものである。私も視察いたしまして、地形からいたしましても、排煙口の高さと申しますか、風の向き方によってはもろに当たるわけでございますし、これは煙突処理のみならず、バグフィルター等の設置をまず進めさせながら、状況をよく見てまいらなきゃならぬ、さらにできる限りの努力をする、地域の公害の排除ということにつきまして役割を果たしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  117. 中路雅弘

    中路分科員 今の点は確認しておきたいのです。おっしゃったように、これは施設庁だけの問題ではないんだ、国を挙げて、環境庁、当然、厚生省あるいは神奈川県も絡んで、この問題をどう解決するかということの対応をしなきゃいけないんだと長官がおっしゃったのは、私もそのとおりだ、これを確認しておきたい。  その上でお聞きしたいんですが、きょうは環境庁、お見えですか。時間がないので、環境庁に簡単にお聞きしたいんですが、去年の夏、日米で共同調査をやった。この地域の大気汚染でいいですが、これは資料をいただいています。一番最近は昨年十二月ですか、県と環境庁が調査をやりましたね。その結果は、資料はいただいています。幾らか違いはありますけれども、両方とも依然として高いダイオキシンの濃度が出ているわけですが、結論的なことを簡潔にひとつお話をいただきたい。
  118. 仁井正夫

    ○仁井政府参考人 お答え申し上げます。  昨年夏の日米共同のモニタリング、この結果、結論的なことだけ申し上げますと、最高値一立方メートル当たり五十四ピコグラムという極めて高い濃度でございまして、環境保全上極めて問題となる水準というふうに考えております。  また、このたび発表いたしました神奈川との共同調査、これは南側の地点における調査でございますが、エンバイロテック社の焼却施設から約百五十メートル南にある工業団地の地点、ここにおきましては、最高二十一、期間平均でも一・四という、全国的に見ても高い水準の数値が示されているというふうに考えております。  なお、エンバイロテック社におきましては、四月以降はバグフィルターが整備された炉のみが動いておりますので、現時点の状況はこういった調査とは違うものと思っております。  以上であります。
  119. 中路雅弘

    中路分科員 私が行ったときも、フィルターが二基ついて、あと一基は工事中だというのでちょっと中へ入れなかったんですが、フィルターがついた後の調査をまだやっていませんから、その数値はわかりませんけれどもお話しになったように、日米で調査した、あるいは環境庁と県が調査しても、環境基準からいっても、今も依然として高い濃度が出ているということは事実なんですね。環境基準からいっても、高い濃度が出ている。  それだけじゃなくて、防衛庁施設庁が閣議了解して、この会社に十二億円の金を入れて、アメリカとの安定的なあれを確保するためということで、十二億の金をかけて固形燃料化の施設をつくりましたよね。つくったんだけれども、これは動いていますけれども、この会社は、神環保から今度また名前が変わったんだけれども、しょっちゅう名前が変わっているんですよ。会長が捕まるたびに名前を変えている会社なんですよ。それで、御存じのように、最近は、八億円の脱税で会長が捕まって、それで、横浜地裁の裁判記録を見ると、この中に、稲川会などの暴力団にいろいろな名目で金を数百万円出しているんですね、会社の方から。そういう業者でもある。  そして、この脱税のために、追徴金を払わないというので、国が金を出してつくった施設が今差し押さえになっているんですよ、固形燃料化のこの施設は。国が超法規的な措置だといって、民間会社に国税を十二億もつぎ込む。そして、つくった施設が、片方は脱税のあれで国税庁からその機械が差し押さえを食っている。しかも、暴力団と関連している。今国会に出されている廃棄物処理法の改正案を見れば、こうした暴力団と関係したところは業者に指定しないということが法案にあるでしょう。  こういう、暴力団とも絡んでいる、あるいは脱税をやって国が入れた金も、機械も差し押さえになっている、そして、依然として環境基準は、高い濃度を出している。これは、煙突をつけたり、また、施設の改善に金を出すようなものじゃなくて、先ほど長官が言ったように、県や施設庁だけでできません、神奈川県や厚生省、環境庁と相談して、この会社は操業停止をし、許可を取り消すべきなんですよ。アメリカは裁判に訴えています。立場は違いますけれども、結論だけは一緒なんで、この会社は操業を停止しろというのは一緒なんだけれども、この対応をしなければ、これからまた百メートルの高煙突、やるんでしょう。高煙突については、周辺の自治体が皆反対しているんですよ。それを押し切って、また金をかけて百メートルの煙突をつくるんですか。長官、どうですか。
  120. 大森敬治

    ○大森政府参考人 事実関係につきまして私の方からちょっと御説明をさせていただきたいと思うのでございますけれども、いわゆる神環保問題につきましては、先ほど大臣から答弁がありましたように、単に基地の問題のみならず、その周辺、市民の方の健康にかかわる大きな問題であるということで、政府全体として取り組んでいるところでございます。御指摘のように、この問題は、平成十年の九月に閣議了解がございまして、政府全体として取り組む旨が明確になっているところでございます。  そこで、防衛施設庁といたしましては、旧神環保に対しまして、御指摘のRDFの建設のための資金を提供したというところがございます。これは、既に神環保側が焼却量九十トンの許可を持っておりまして、やはり旧来の三十トンのままに抑制する必要がある、また、ダイオキシンが出るような……(中路分科員「全部知っているんだよ。それはいい、そういう説明は」と呼ぶ)はい、そういうものがございます。  その後、先ほど指摘のように、昨年の夏、共同モニタリングをした結果、ダイオキシンが異常に高く出るということで、現在、神奈川県を通じてエンバイロテックの業務改善を強く求めているところでございます。現状におきまして、防衛施設庁といたしましても、まずは神環保側といいますかエンバイロテック側が業務改善を行いまして、健康に影響を与えないようなレベルまで大幅にダイオキシンを削減するということが非常に必要だと思います。その点で、現在、エンバイロ側がバグフィルターを、神奈川県に提出した改善計画に基づきまして予定どおりやっていることを十分見守る必要があると思いますし、また、適正にこれが運営されることを常時監視していく必要があるんだと思います。  私ども防衛施設庁といたしましても、この問題は単に基地の問題ではなくて、住民全体の問題であるということを基本的に認識しまして、エンバイロテック側が適正に、また、信頼できるような格好で操業を実施するというふうなことをまず確認しなければいけない。しかしながら、先ほど大臣からも話がありましたように、この地形上、また季節的なところから、エンバイロテックの排出します煙が直接、家族住宅に吹きつけますので、この点で、基本的な解決といたしましては、現在の煙突を高くする必要があるというふうに認識しております。  かかる基本認識のもとに、これからエンバイロ側とも十分話し合いながら、また、地元の周辺住民の方の御理解を得ながら進めていきたいというふうに考えております。
  121. 中路雅弘

    中路分科員 もうこれから後はいい、長官、答弁に立たなくても。防衛庁長官と話したい。  高煙突、長官も、コーエン長官が来られたときに、五項目の中に出ているんです。百メートルで、直径が、上が七メートル、下が八メートル、そういうことを言いながら、施設庁は図面を出してくれと言ったって出さないんだよ。だから、僕は全体はわからないけれども、しかし、高煙突だといったって、フィルターをかけるから少しは変わるけれども、出す煙は同じなんだ、高くしても今の二十メートルと。だから、アメリカの方には当たらないよ、家族住宅に確かに当たらないけれども、上から出すと、今度は拡散するわけですよ。だから、周辺の自治体がみんな反対しているんだ。座間の議会も全会一致、高煙突反対、理解を得てなんて、議会も全部反対しているんだよ。綾瀬の市長も高煙突に反対しているんですよ。  しかも、きょう時間がないからやらないけれども、高煙突の跡にさらに、あの高煙突だったら今焼却炉を持たないんだ、だから、新しく焼却炉をつくる計画計画というか、あれを施設庁は持っているのでしょう。これは施設庁という名前で出ている文書だ。この中に、今度は第一焼却炉、そして動いたら、今の焼却炉をつぶして、今の豚小屋が立ち退いた跡に第二焼却炉をつくるということ、そういう高煙突式の「第二段階実施のための焼却施設建設計画について 防衛施設庁」という文書が出ているんだ。これから実施するかどうかは別にしても、こうしてどんどん国の金をつぎ込んで、救済だけなんだよ、あの対策は家族住宅にどう当たらないかというだけなんですよ。  最初に認識で言ったように、そういう対策じゃなくて、この会社の現状を私はお話ししました。そして、周辺の全体の環境問題だと言いました。そういう観点からこの問題はもう一度検討してあげてほしい、この対策は。どうしろと今言いません。県や環境庁ともよく相談してもらって、もちろん、家族住宅にこういう被害を与えているのはよくないですから、そういうことを含めて、改めてどう解決するかということを検討していただけませんか。いかがですか、すぐこんな煙突だとかなんとか言わないで。
  122. 瓦力

    ○瓦国務大臣 日ごろ大変温厚な中路先生でございますが、大変怒りを持ってこの問題に取り組んでおられること、私どもも同じであるというようなことでございますが、部分的に違うぞということも先生はおっしゃられて、はてなと、こう思ったところであります。  環境問題としてだんだんこれから難しくなりますが、私は一つの大きな試練としてこの問題を見ておるわけでございます。神奈川県も法令に従って厳正な対応が行われていると承知をしているわけでございますが、今、地域方々の理解、協力も得て、どういう形のものが環境保全また安心につながっていくのかということで、今、具体的な御指摘がありましたが、私どもとしてさらに努力もしていきたいと思っております。  そういったことで、我が国におきましては所有権の問題がありますし、おまえ出ていけ、こういうのもなかなか難しい問題でございますので、今、非常に重要なときかと思っております。誠心誠意取り組んでいきます。また、いろいろ御支援を賜りたい、こういうことを申し上げさせていただきます。
  123. 中路雅弘

    中路分科員 時間ですので終わりますが、いつもよりも少し強く言ったのは、きょうは時間がなくて言えないのだけれども、あなたが厚木へ行かれたでしょう。みんなの声がこうなんですよ。あの地域は、御存じのように爆音なんですよ、百万の市民が騒音被害なんですよ。何十年来アメリカのあれを受けているのです。そして、歴代防衛庁長官がその問題では一度も行ったことがないでしょう。だから、住民の皆さんは、環境問題を言うならば、この問題をどうするんだ、アメリカ自分たちのことを言っているけれども自分たちが起こしているこの爆音問題をどうするんだ、この怒りがあるから言っているのですよ。  きょうは時間がないので、この問題は別の機会にしますけれども、ぜひひとつこの点ももう一度検討をしなければいけない、アメリカとの間でも爆音について。言おうと思って、言ったって、だめなんですよ。これまでは高校の授業中に、やめてくれと事前に言っていても、あの訓練をやっているのです。これをどうするかということを考えてほしい。  私は、きょう久しぶりなんですよ、あなたとお話をするのは。御存じのように、前の防衛庁長官のときに「なだしお」問題でやったんですよ。あのときは私、非常に大変だったと思うのです、責任をとっておやめになったけれども。それ以来なんだけれども、改めて、ひとつ長官、今度は長官らしい仕事をやってほしいということを要望しておきたいと思います。  終わります。
  124. 赤城徳彦

    赤城主査 これにて中路雅弘君の質疑は終了いたしました。  次に、吉川貴盛君。
  125. 吉川貴盛

    ○吉川分科員 大分白熱した議論が続いたとみえまして、時間も押せ押せのようでございますが、機会をいただきましたので、質問をさせていただきます。自由民主党の吉川貴盛でございます。  きょうは大きく分けて三点ほど質問をさせていただきたいと思っておりますが、最初に、有珠山の噴火に関しましてお伺いをさせていただきたいと思います。  これまでの経緯を少し述べさせていただきたいと思いますが、三月二十七日の午前から地震発生など火山活動が発生をいたしました。翌々日の二十九日の十一時半には関係省庁の局長会議が開催をされ、午後には地元市町が危険区域に避難勧告、そして、夕刻には避難指示に切りかえまして、国、道、地元市町から成る現地連絡調整会議を開催されております。三十日の日には危険地域内の避難をほぼ完了されておりまして、直ちに国土庁の総括政務次官が現地に派遣をされておるわけであります。三十一日の一時十分ごろ噴火、こういうことになるわけであります。  自衛隊の派遣要請は三月二十九日にございまして、住民避難のためや入院患者の避難、さらには炊事の支援ですとか物資の搬入、いろいろな形で今日まで大変な活躍をされてきているところでございます。  瓦長官におかれましても、たしか四月九日の日に現地を視察され、お見舞いをされてこられたというふうにお伺いいたしておりまして、大変公務御多端の折に現場を視察いただきましたことを、私も道民の一人として心から厚く御礼を申し上げたいと思います。  ところで、この有珠山の災害活動に際しましては、陸上自衛隊の皆さんには大変な御活躍をいただいておるところでございます。私の地元には丘珠駐屯地というのがございまして、ここは民公共用の飛行場にもなっておりますし、北部方面航空隊あるいは第七師団、そしてさらには十一師団の航空隊、ヘリ隊が駐屯をしているところでございます。  このヘリ隊が中心になって、最近のテレビでは、少し報道管制もされたのでありましょうか、自衛隊のヘリ機からの有珠山の噴火活動状況等が、陸上自衛隊提供ということで映像が映し出されているところであります。瓦長官の乗られたヘリも、もしかすると、私の地元の丘珠駐屯地の関係のヘリに乗られたのかもしれません。それは定かではありませんけれども、そのことは別にいたしましても、日夜を分かたず大変な活躍をしているところであります。  この部隊は実は大変優秀な部隊でありまして、昨年十一年には、北部方面総監賞というのでしょうか、部隊に対する一番の表彰というのは長官賞だということを聞いておりますが、そういった表彰も日ごろの訓練の成果で得ている優秀な部隊でございます。  意外と知られておらない活動を少し御紹介させていただきたいと思うわけであります。今、住民の一時帰宅等が行われておりますけれども、このときこそが住民の安全を守るためのということで、上空からの監視活動を一層強化しているというふうにも聞いております。さらには、予知連絡会、学者の皆さんの監視活動ですとか、避難住民に対する無人市街地の上空からの住宅の撮影ですとか、記録にない数々の活動が数多く含まれているのであります。  さらに、もう先刻御承知のとおりでありましょうから、くどくどと申し上げるまでもないわけでありますけれども、この部隊の編成は六百名以上の陸上自衛隊の編成でございまして、特に木更津ですとか東北方面総監からも応援に入っていただいているところでございます。  そこで、長官にお伺いをさせていただきたいと思うのであります。このような陸上自衛隊の皆さんが活躍している姿を四月九日に見ていただいたと思うのでありますけれども、どのようにとらえられておりますでしょうか。一言、激励のお言葉等がございましたら、お願いをいたしたいというふうに思います。
  126. 瓦力

    ○瓦国務大臣 吉川委員には、このたびの有珠山の噴火災害につきまして、地元といいながら大変御心配をいただいておる、また、それに関しての御質問を冒頭にいただきまして、私も、地元のことを御心配いただくことが政治家のまずあるべき姿でございますから、敬意を表したいと思うわけでございます。  被災者の方々には、私も、深い同情と、一日も早く有珠山がおさまりますように、生活が安定するように祈念をいたしておるものでございます。  さて、有珠山の火山災害に関する自衛隊の活動につきましては、今委員からお話しのとおり、三月二十九日の準備態勢強化に関する私の指示を受けまして、速やかな情報収集を実施すると同時に、有珠山周辺地区等におきまして所要の待機態勢をとったところでございます。  同日、北海道知事からの災害派遣要請等に基づき、これまで、関係自治体と十分な意思疎通を図りつつ、一つは避難住民に対する輸送支援及び生活支援、二つ目にヘリ等による火山観測支援、また、有珠山周辺地区における航空交通情報の提供、人員、物資の輸送支援といった活動を迅速的確に実施しているところでございます。  また、四月九日に現地を視察いたしました。運用局長も帯同し出かけて、現地の自衛隊の諸君の日夜を分かたぬ労苦に対しまして激励をしなければならぬ、また、引き続いて住民の方々の不安がなくなるように協力をいただかなければならぬ、積極的に業務に取り組み、被災住民の支えとなることをしっかりやってもらいたいということで行ったわけでございますが、それぞれ非常に頼もしく感ずるように働いてくれておりまして、さらに長期化する可能性もあるから一層努力するように申し上げてまいりました。  陸上自衛隊の諸君も、ローテーションを組みながら、必要に応じてバックアップ態勢もとって、最前線をしっかり支援する部隊も激励をしてまいりました。また、海上自衛隊におきましても、有珠山の火山帯と海とが接近をして、あそこはまたホタテの産地ですから、なかなか漁民の方々も沖へ出られないわけでございますので、そういう災害も含めまして海上自衛隊も沖合で頑張っておる。また、航空自衛隊も、百里がそれぞれ現地の写真等、状況も支援しながら、またこちらからも送り込む態勢。それぞれ陸海空が支援をするところにすべて寄りまして、激励してまいったわけでございます。  これで一段落というわけではありませんので、これからもよく状況を見ながら支援をして、住民の方々の安心を得られるように努力をしてまいりたいと思います。吉川さんは地元でございますから、またいろいろ察知されて、災害でございますので、私どもの意の届かないところは存分におっしゃっていただきまして、可能なものにつきましてはきちっと支援をしてまいろうと思っております。  長い期間になりますから、いろいろな方々が苦労しますから、これは見届けてやってもらいたいというぐあいに、私から答弁というよりはお願いをいたしまして、報告にかえさせていただきたいと思います。
  127. 吉川貴盛

    ○吉川分科員 大変御配慮ある御答弁と励ましの言葉をいただきまして、まことにありがとうございました。  実は私も、もう二週間以上も前になりますけれども、このヘリ隊の丘珠駐屯地を激励に参りました。この駐屯地は、富本司令一等陸佐以下九百名が部隊編成をしているわけでありますけれども、今、噴火がこの先どうなるのか、なかなか予知ができない。大噴火につながっていくのかどうか。仮に大噴火ということになりますと、まず間違いなく火砕流が発生するわけでございまして、この部隊としましては、火砕流が発生をしたときにいかに速やかに消火活動をするかという戦術会議を開いている最中でございました。  そういう意味では、いろいろな観点から自衛隊の皆さんが活躍されている姿をつぶさに私も拝見させていただきまして、大いに感動を覚えたところでございます。素人が判断をするのはよくありませんけれども、この噴火は、今、長官もおっしゃいましたように、長くなる可能性が私も非常に強いと思っております。引き続き、長官の御理解もいただきながら、ぜひとも自衛隊の皆さんが活躍できますよう御配慮を賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。  そこで、きょうはせっかく西川政務次官にも御出席をいただいておりますから、ぜひ一度、そういった活躍されている姿を現地で御視察をいただきながら激励をしていただければ、大変意を強くするのではないかと思いますけれども、いかがでございますでしょうか。
  128. 西川太一郎

    ○西川政務次官 先ほど来から、現地の部隊を先生のお立場で御視察をいただくなり、また御激励をいただきまして、まことにありがとうございます。防衛庁の一員として心から御礼を申し上げます。  私も、北海道には残念ながらまだ伺う機会がございませんが、それ以外のところをかなり精力的に歩いてみまして、どこでも第一線で非常に崇高な任務を背負って頑張っている隊員の皆さんに接して、先生と同じような思いでございますので、これからも気をつけてしっかりと激励してまいりたいと思います。  重ねて御礼申し上げます。ありがとうございます。
  129. 吉川貴盛

    ○吉川分科員 ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。  有珠山の噴火関係につきましては以上で終わらせていただいて、次に移らせていただきたいと思います。どうぞ長官も政務次官も、きょうは参考人の運用局長さんにもおいでいただいておりますから、ゆっくりお休みください。  実は、ことし、札幌は大雪でございました。本来でありますれば一月が一番雪が多いのでありまするけれども、二月になりましても降ってくる、三月になりましてもまだ降ってくるというような状況の中で、多分降雪深、降った雪の深さというのは八メーターを超したのではないかと思うのであります。そんな中で、札幌市の除排雪の予算も百二十億を優に超えまして、それでも足りなくて補正予算を組んだというぐらいでありますから、大変な雪の量でございました。  この冬の二月十六日に、札幌・丘珠空港、今申し上げましたように、丘珠駐屯地が管理をしている民公共用の、札幌飛行場というのが正式名称でありまするけれども、ANK機、エアーニッポン機がオーバーランをした事故がございました。  このオーバーランに関しまして、一部報道によりますと、オーバーランの原因として、滑走路面の積雪状況が適切にパイロットに伝わらなかったために着陸時にスリップを招いた可能性が強まっている、こういった報道があるわけであります。しかも、運輸省がパイロットへの情報伝達の面で特に問題があったと見ているのは、今も言いましたように、この丘珠と、それから青森でも同じような事故があったようでありまして、青森のケース、こういうふうに書いてございます。  関係者によると、丘珠空港でオーバーランしたANK機が滑走路の路面情報を入手したのは事故の約五十分前で、函館から離陸するその直前でありました。路面状態は二番目によいミディアム・ツー・グッドだった。しかし、当日は天気が刻々と変化しているため、空港を管理する陸上自衛隊が着陸の約二十分前に再度路面状態を調べましたけれども、その結果は機長に伝えられなかったというふうに書いてございます。  そしてさらに、この記事の結びとしましては、「天候がめまぐるしく変化する中で、機長が滑走路の最新の路面情報を知らないまま着陸していた点を重視。機長へのきめ細かい情報提供のほか、滑走路の積雪状況調査を行う際の積雪基準の見直しや、短時間で調査できる路面摩擦測定車を多雪地域の全空港へ配備することを検討している。」こういった記事であるわけであります。  私がいろいろと関係者から聞いたところによりますと、この空港は今、一千四百メーターの滑走路であります。そのANK機が函館から離陸をし、着陸をした地点が極めて私は問題だと思っているのでありますが、雪の状況の中で、しかも、一千四百メーターの滑走路のちょうど真ん中の地点に着陸をした、そういった目撃情報もあるわけであります。真ん中の地点に着陸をしたとすると、特にアイスバーン状態のような形になっておりますから、当然、これはどんなにベテランの機長であっても、私はオーバーランをするのが自然な状態ではないかなという気がしてならないわけであります。  事故の調査結果というのはまだ出ていないと思うのでありまするけれども、この報道だけを見ますると、管理をしている陸上自衛隊に何か瑕疵があるようなふうにとられてしまうのですね。私は、いろいろな状況、情報を今もお話を申し上げましたけれども、管理をしている陸上自衛隊には決して瑕疵はない、こういうふうに思っている次第でありまして、何か運輸省の事故調査結果が、中間報告でもあるのでしょうか。防衛庁に対しまして、そういった報告がありましたでしょうか。  あるいは、この二十分前の路面調査を機長に知らせなかった、こういうことが書かれているわけでありますけれども、私は、素人判断で言うべきじゃないかもしれませんが、五十分前と二十分前ではほとんど様子が変わらなかったのではないかともとれるわけであります。  その辺、事実関係と、調査結果等々、報告がありましたならば、お知らせをいただきたいと思います。
  130. 柳澤協二

    ○柳澤政府参考人 二月十六日の札幌飛行場におきますオーバーランの事故は、もう先生指摘のとおり、民航機の事故でございますから、運輸省の航空事故調査委員会が現在、調査中でありまして、実は、調査の中間段階でこのようになっているというような連絡は、私どもは現在までいただいてはおりません。  したがいまして、ちょっと、その当時の状況の、事故の原因と関連するような事実関係について、今私どもの方でどこまで申し上げていいかというのは非常に難しいところはあるわけでございますけれども、私どもが承知しておりますところでは、事故機との関係で、もちろん、管制を行っております自衛隊としては、安全に関する情報はできるだけ最新のものを伝達してやるのは、事故原因とは別といたしまして、当然心得なければいかぬところであると思います。  ただ、ここで、新聞にありますように、二十分前に全く別の状況があったことを知っていたということは私どもはなかったと思っておりますし、いずれ、事故機に対しましては、そのときに管制官として入手し得る最新の飛行場の情報という形で情報が伝わっていたものというふうに考えております。
  131. 吉川貴盛

    ○吉川分科員 今、運用局長から御答弁をいただきましたけれども、意外と知られておりませんことだと思いますので、私、申し上げさせていただきたいと思います。この飛行機事故がなぜ大きな事故にならなかったかということを運用局長御存じでしょうか。  実は、この丘珠駐屯地では除雪隊というのがありまして、隊長以下、常勤が三十七名です。冬期間は百二十三名をもって編成をしているのですね。大変な苦労です、ことしの雪の多さ等々を考えますと。  事故の前日に、誘導路に五メーターぐらいの雪の壁があったのです。その壁を、除雪隊はその事故の前日に排雪をしたのですね。要するに、壁を取り除いたのです。もし前日にこの壁を取り除いていなければ、誘導路とはいえ、減速をしているとはいえ、大変なショックが起きて、大きな事故につながっていっただろうと思われるわけであります。それだけ、自衛隊の皆さん、除雪隊は苦労しているのですね。万が一の事故に備えて、そういったこともやっておるのです。  そんなことは報道されませんし、このことを、本当はきょうは運輸省にもおいでをいただいて、お伝えをすれば一番よかったのでしょうけれども、運用局長の方から、そういった事実もあるのですよということをぜひお知らせをいただきたいと思いますし、長官からも機会がありますれば、そういう日々の努力をしているんだということもぜひお伝えをいただきたいというふうに思う次第であります。このことには答弁は要りません。  そこで、事故の件に関しましては以上でありますが、私は一つお願いがございます。今申し上げましたように、冬期間百二十三名をもって編成をしているわけでありまして、いよいよこの丘珠空港、札幌飛行場が、今年度に滑走路延長が決まりまして、来年からいよいよ工事になりまして、百メーター延長いたしまして一千五百メーターの滑走路になります。左右も、今三十メートルしかありませんけれども、これも四十五メーターに拡幅になります。そして、着陸をするのに非常に難しい滑走路なわけですけれども、センターラインもきちっとするような、新しい滑走路に生まれ変わっていくわけであります。さらに便数も、今度は四十四便ということを想定してこの滑走路延長をするわけであります。  今、除雪機は三種類ございまして、後で運用局長に、どういう除雪機を使っているかということの資料をお渡しいたしますけれども、スノーマスターとか、聞いてもわかりませんよね、これは誘導路の除雪作業、これが全部で六両あるわけです。それから、もう一種類は高速除雪車といいまして、計二両。一両は故障中なんですね。これは誘導路及びエプロンの除雪作業をするんです。さらに、スノースイーパーといいまして、二両ございます。  細かいことは申し上げませんけれども、それぞれ十年とか十五年とかもう使用をいたしておりますし、一両が故障をした場合に、ほかの代替をする機材と申しましょうか、除雪機を持っていない。予備の機材がございませんで、大変今でも苦労をしているわけでありまして、さらに一千五百メーターに延長、左右が三十メーターから四十五メーターというふうになりますと、もっと苦労をして除雪をしなければならぬことになるわけであります。  民航機の利用のための滑走路延長なわけでありますから、本来であれば、私は、運輸省の予算でこういった除雪機材をそろえてほしいというぐらいの気持ちは実はあるんです。ですけれども、この飛行場の管理は陸上自衛隊ということになっておるわけでありますから、自衛隊の方で機材等の整備をきちっとしていただかなければならないところだと思います。  この件については、私はある面では大変残念に思うわけでありまするけれども、滑走路延長と絡めてぜひ新しい機材を配備していただきたいと思うわけでありますが、何かお考えがありましたら、お伺いをさせていただきたいと思います。
  132. 小林誠一

    ○小林政府参考人 丘珠飛行場の件につきましては、先生が今お話しのとおり、滑走路延長のお話、運輸省の方と私ども施設管理という立場で御協議をさせていただいております。それで、先ほど先生お話しになりましたように、滑走路が百メートル延長される、あるいは便数の増加というお話がございまして、現在、滑走路が延長されますと、当然のことながら、航空保安施設あるいは機材の整備ということを運輸省との間でよく協議してまいらなきゃいけないと思っております。  今ほど御指摘いただきました除雪機材関係につきましても、私どもとしては、当然のことながら、そういった飛行場の延長に伴う機能が拡充されていくということでございますから、そういった面について、除雪能力も含めましてその向上について運輸省とよく協議してまいりたいと思っております。  以上であります。
  133. 吉川貴盛

    ○吉川分科員 運輸省と協議をぜひしてください。ですけれども、運輸省は多分、管理をしているのは陸上自衛隊ですから、自衛隊でお持ちくださいということになるんだろうと思うんです。運輸省に持てというぐらいは、私は言っても構わぬと思いますけれども、どうぞ長官、政務次官におかれましてもそういった政治的な配慮もぜひお願いをして、配備をきちっとしていただきたいというふうに思います。  いずれにいたしましても、北海道は、北部方面総監は全国でも大変自衛隊の皆さんが多い地域でございまして、ありがたく思っているところでございます。これからも、私は、自衛隊の皆さんが活躍できますように応援団の一人として頑張ってまいりたいと思いますが、どうぞ長官におかれましても、日本の安全を守っておられる自衛隊の皆さんがますます御活躍ができますように、長官、政務次官の御活躍をお祈りいたしながら、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  134. 赤城徳彦

    赤城主査 これにて吉川貴盛君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管防衛庁防衛施設庁の質疑は終了いたしました。     —————————————
  135. 赤城徳彦

    赤城主査 昨日に引き続き、労働省所管について審査を行います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田中和徳君。
  136. 田中和徳

    田中(和)分科員 自由民主党の田中和徳でございます。本会議前のまことに忙しいタイムスケジュールかと存じますが、どうぞよろしくお願いしたいと存じます。  それでは、労働行政に関して質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、私の地元、川崎でも市民の重大な関心事となっておりますホームレス問題対策について伺います。  川崎市では、昨年七月の最新の調査で、大阪、東京、名古屋に次いで全国第四位の九百一人がいるようでございまして、一方、全国では既に二万人を超えたとも言われておるわけでございます。  こうした中、私も発起人の一人として、国会議員によるホームレス問題勉強会を立ち上げ、小渕前総理にも直接お目にかかって、政府主導によるホームレス問題対策の早期実施を要望させていただきました。そして、昨年二月には、関係省庁や自治体で構成するホームレス問題連絡会議が設置され、その後五月には、国レベルで初めてのものとして、自立支援センターの設置を柱とするホームレス対策が決定されたのでございます。  労働省としても、従来より、ホームレスのみに的を絞ったものではないにせよ、公共職業訓練や職場適応訓練制度など、さまざまな制度を通じて失業者の就労促進や雇用の安定を図ってきていることは私も十分承知しているところでございます。  今年度からは、さらに、ホームレス対策の一環として、ホームレスの自立支援事業を行う各都市に、公共職業安定所に職業相談員を配置して、職業相談や職場定着に向けた助言に当たらせることになっており、私も期待をしておるわけでございます。  一部には、一円も納税していない人に多額の税金を投じるのは何事かと指摘する声も私の地元にもございます。しかし、治安上の問題もさることながら、最近では、老朽ビルや空きオフィスを簡易宿泊所として利用して、そこにホームレスを大量入居させて、生活保護の手続を行い、受給した金額を宿泊料などという名目で受け取り一もうけするといったケースや、また、そのことが近隣住民と摩擦を起こし、重大な事態にも発展する可能性があるケースなど、多くのことも目につくようになってまいりました。  当然のことながら、人権上の問題も重要な視点としてございます。子供たちの教育上も、町の至るところにホームレスがあふれ返っているというのでは、やはり大いに問題でございますし、国がしっかりと責任を持って引き続き対策の推進に当たり、速やかに解決をしていく、このことこそ重要だと思っております。  今年度から全国の都市に新たに配置されることになった職業相談員について、現在のところの配置状況及び活動状況はどうなっているのか、まずお伺いします。  また、労働省では今後、新規あるいは既存の制度をどのようにうまく組み合わせながら、ホームレス対策の推進に取り組んでいこうとしておられるのか。ホームレス対策の目玉事業ともいうべき支援センター設置についてもなかなか具体化しないようでございますが、各関係都市の取り組み、進捗状況はどうなっているのか。また対策推進に向けての決意の言葉とあわせて伺っておきたいと思います。
  137. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 先生が地元にホームレス問題を抱えておられて、政治家として大変御苦労、また御活躍なさっておられること、心から敬意を表させていただき、私どもとしてもベストを尽くさなければならないと思います。  今御指摘問題点について、まず、職業相談員につきましては、今年度から新たに配置を予定しているところでありますが、現段階では、自立支援事業を開始した地方公共団体がないため、職業相談員の配置には残念ながら至っておりません。現在、関係地方公共団体でその開始に向けて努力がなされていると聞いておりますが、労働省としては、自立支援事業が開始され次第、速やかに配置できるよう必要な準備を整えているところでありまして、一刻も早い自立支援事業の開始を期待しているところであります。  続きまして、ホームレス対策につきましては、昨年五月、ホームレス問題連絡会議において、ホームレス問題に対する当面の対応策を取りまとめ、関係地方公共団体が行う自立支援事業について、国が支援を行うこととしたところであります。これを受けて、労働省としては、関係地方公共団体が自立支援事業を行う施設に職業相談員を配置し、就労の意欲と能力のある者を対象にきめ細かい職業相談を行うこととしており、今年度予算に新たに必要経費を計上しております。  また、公共職業訓練や、実際の職場での作業訓練を通じて雇用を促進する職場適応訓練制度の活用等、既存施策についても効果的に活用することとしており、これらの施策を適切に組み合わせながら、また関係省庁とも密接な連絡を図りつつ、ホームレスの方々の早期の自立、再就職の支援に努めてまいりたいと考えています。
  138. 田中和徳

    田中(和)分科員 大臣、御答弁ありがとうございました。  地元の議員として、率直に数点お願いをしておかなければならないと思いますが、実は、支援センターは、地元にとって確かになかなか設置が難しい問題があります。地域の住民は、迷惑施設となる可能性があるわけでありますから、当然反対であります。かといって、人里離れたところに、例えば臨海部の工場地帯の真っただ中につくろうとすると、建築法上等の諸問題もございますが、そういう施設に果たして一時期住んでくれるんだろうか、入っていただけるんだろうか、またすぐどこかへ行ってしまうんじゃないか、こういう問題も実はございます。  しかしながら、私は、完全な方策は立たないと思うのですよ。とにかくやることだと私は思うのです。ですから、首都圏でいえば、東京五千人、川崎も千人近くいるわけでございます。横浜も大体同数いるわけでございますから、この三自治体は、とにかく協力して同じ時期に完成を目指して、設置をする、支援センターがどうしても不可欠なんですね。  確かに各論を言えば切りがないのですけれども、とにかく規模は別にしても早くやること、今大臣がおっしゃったとおりでございまして、支援センターを設置して、担当者の方を配置して、とにかく事業をスタートさせることなんです。ぜひやってほしいといって関係自治体から要望が出て、そして国がやり始めようということで動いても、実は逆に地元が動かない、キャッチボールの球が行ったり来たりしないのですね。何としても、大臣、御指導力を発揮していただいてこの事業をやっていただきたいと思っているのです。これは放置しておきますと、実に大変なことになってまいります。  私は、毎日朝、駅で演説をしておりますので、ホームレスの人たちとも実は会話をすることが非常に多いのですけれども、実際に話をしてみると、相当普通の人が多くて、私たちが以前イメージしたホームレスの人たちとは違うのですね。ですから、ちょっとしたきっかけで社会復帰させることができるとか、相当能力を発揮して活躍できる人もいるんじゃないかと思うのです。たまたま何かのことでドロップアウトしてしまった、こういう人たちでございまして、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思っております。大臣、もう一言御答弁をいただければと思います。
  139. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 私の方だけで完結するわけじゃありませんので、厚生省初め関係省庁と先生の御意向を体しながら、十二分に協調、協議させていただいて、私の方のやらなければならない、いわゆる就業について、いろいろな制度、やり方を労働省は持っておりますので、相談員を通じまして、本人の気持ちも体しながら相談に応じ、前向きに処理をさせていただければな、こう考えております。お一人お一人の注文、性格が違いますから、単に制度だけを言って解決できるものでもありません。やはり、フェース・ツー・フェース、パーソン・ツー・パーソンで、相手のお気持ちもそんたくしながら、こう考えております。
  140. 田中和徳

    田中(和)分科員 いずれにしても、これ以上重ねませんけれども、所管外かもしれませんが、健康診断の問題であるとか、あるいは場合によっては生活保護の手続も当然出てくるでしょうし、ぜひひとつ、労働省のお取り組みについても特段のお力をいただきたいと思います。  次に、労災病院の運営に関してお伺いをしたいと存じます。労災病院は、被災労働者に対する診療や医療リハビリを行う施設ですが、全国に三十九の病院が設置され、労働省の所管である労働福祉事業団によって運営をされています。川崎市にも中原区の東横線元住吉駅近くに関東労災病院がありますが、地域を代表する医療機関として定着しておりまして、評判もよく、住民からのニーズも極めて高くなっております。最近では、労災病院の本体であります労働福祉事業団が川崎市初の国の機関として移転してきたことから、関東労災病院は、地域医療の拠点としてますますその重みを高めている状況にございます。  しかしながら、昨年の十二月二十一日に総務庁が出した労働者災害補償保険事業に関する行政監察結果に基づく勧告の中で、病院間の距離が十キロという近距離にある病院の一つとして取り上げられました。この地域は、東京の労災病院もある、横浜側にも実は労災病院があって、地域に三つあるのでございます。それぞれに重要な機能を果たしていると、私は思っておるわけでございます。また、三年連続で損失計上を指摘されておりまして、あたかも喫緊の整理合理化の対象であるかのようにとらえる向きも実はございます。  まさに寝耳に水の話ではありましたけれども、周辺地区では、先ほど来より申し上げておりますように、労災病院は非常に重要な医療機関でございますので、署名運動が起こっておりまして、廃止をとにかくとめよう、こういう実は大変大々的な、政党が入り、労働団体が入って、やっているのですね。ですから、これはもうえっというような話でございまして、どんな方も、それは労災病院がなくなったら大変だということで、署名が集まっている状況なんです。  その後、私もその事実を、地元からも当然いろいろな要望を受けて、労働省側にも確認をさせていただいて、いやいや、そんな話ではありませんよと、ある程度の話も承っておるのでございますが、それに関して、当然、法律に基づく事業を実施するために税金が投入される病院である以上、経営の合理化に対する不断の努力が不可欠なのは、言うまでもないわけでございますけれども、労働省では、労災病院、特に関東労災病院の地域社会における貢献性というか重要性をどのように認識しておられるのか、また、その経営合理化に今後どのように取り組んでいかれるのか、ぜひひとつお伺いをしておきたいと思っております。  また、今後の検討事項の中に、総務庁から出された件についてはいろいろと協議が行われると思うのでございますが、くれぐれも関東労災病院は、充実をさせていくことはあっても、なくすとか手を引く、こういうことのないように、ひとつあわせて要望もしておかなければならないと思っております。御答弁をお願いいたします。
  141. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 今、先生指摘のとおり、これら労災病院は、もう地域にとりましてはなくてはならない病院ということになっております。病院の内容を見ますと、労災とは無関係な、地域としての重要な医療が大体平均九五%以上という状況でございまして、今先生がおっしゃったとおり、廃止するとかなくなる、こういうことは全く私どもは考えておりません。経営のあり方についてはいろいろな論議がなされており、特に厚生省所管の国立病院のあり方等とも関連しておりますので、そのことは十分考えなきゃいけないのではないか、こういうことで、対応策は十二分審議いたしまして、その方策の方向を早く見出した方がどなたも御心配しなくて済むのではないか、こう考えております。  いずれにしましても、もう地域にしっかりと根をおろした大切な病院でございますから、なくなるとか廃止するとか、そういう御心配は全くありませんので、先生からも不安を持つ地域住民の方々にはそのようにおっしゃっていただきたい、こう思います。
  142. 田中和徳

    田中(和)分科員 大変すばらしい御答弁をいただきまして、川崎市民に成りかわりまして、心から感謝、御礼を申し上げる次第でございます。私は大臣の言葉を承るまで内心は少し心配をしておったわけでございまして、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思っております。  次に、労働省でも補助事業を実施するなど、その整備推進に努力をしております事業所内の託児施設に関してお伺いをいたします。  労働省が平成八年度に育児・介護休業制度をテーマに実施した女子雇用管理基本調査によれば、短時間勤務制度やフレックスタイム制度など、女性の育児支援のための各措置のうち、事業所内託児施設の利用率が最も高くなっております。  具体的には、施設を設置している事業所の勤労者で出産された方のうち、実に三分の一強の約三六・一%の人が利用したという結果になっております。また、所定外労働の免除が六・七%、短時間勤務制度の利用率が七・九%であるのと比較しますと、いかに利用度が高いかがわかると思います。  しかし、大都市部の場合、約七割は電車通勤者でございますから、現実問題として、事業所内託児施設に連れていくには、乳幼児を連れて通勤電車に乗らなければならないのであります。乳幼児を連れて乗るのは大変だが、シルバーシートを活用すれば十分可能であるというのも一つの考え方でありましょうけれども、混雑をすり抜けてそこへたどり着くというのは実は大変な苦労だということも、いろいろと承っておるわけでございます。  私は、実は、自民党の都市問題対策協議会で、夢の子育て支援列車、エンゼルTRAIN構想という働く夫婦の支援策を発表させていただいて以来、私の基本政策の一つとして掲げておるわけでございます。  エンゼルTRAIN構想とは、簡単に言えば、鉄道事業者に御協力をいただいて、ラッシュアワーを中心に、乳幼児連れや妊婦の方を対象とした専用車両を設置したらどうかという提言であります。もし仮にラッシュ時でも気軽に電車に乗ることができるようになれば、事業所内託児施設も有効に活用ができるようになりますし、企業もその設置に積極的に取り組むようになるのではないかと思うのでございます。また、多数の企業が集積しておりますターミナル駅周辺に大規模な保育所を設置できるようにもなりますし、保育サービスの多様化や低料金化にもつながっていくと思うのでございます。  エンゼルTRAIN構想はこうした視点に立ったものでございますが、実際、電車も比較的あいていて車の通勤も多い地方と都市部では、事業所内の託児施設の設置状況や利用状況にも差があるのではないかと思っております。しかし、核家族あるいは共働きの多い都市部でこそ、育児支援策として事業所内託児施設あるいは駅型保育所の整備を推進していくべきだと私は考えます。  都市と地方では事業所内託児施設助成金の利用状況に当然差が見られると思いますけれども、また同施設の設置率や利用率に差が見られると思いますが、お知らせをいただければ幸いでございます。
  143. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 データですから、参考人に答弁させます。
  144. 藤井龍子

    ○藤井政府参考人 お答えいたします。  事業所内託児施設助成金、私どもで支給してございます助成金の平成十年度の利用状況について御報告申し上げたいと思います。  支給件数は、東京都で四件、大阪府で一件ということでございますが、一方、鹿児島県は十七件、これが一番多い数字でございまして、次いで栃木県が十三件ということになっております。  また、設置率、全事業所に占める事業所内託児施設を設置している事業所の割合でございますが、これは全国平均が〇・〇五%、東京都が〇・〇四%、大阪府で〇・〇二%となっておりますが、佐賀県や茨城県などは〇・一二%あるいは〇・一一%というような状況でございます。  これらのデータから申し上げますれば、先生指摘のとおり、都市部では少し低くて、地方では高い、都道府県によって若干の差が見られるという状況でございます。
  145. 田中和徳

    田中(和)分科員 実は、私、ぜひひとつこれは本気でやってもらいたいと思っているんですね。今、女性の方の社会参加というのはもう論をまたないわけでありますけれども、とにかく、現実に少子対策として何か方法を考えるといったときに、これほど効果があるものはないんだろうと僕は思うんです。  私たちの地元でも、保育園というのは、なるべく家の近くに預けて、お父さん、お母さんは駅まで通って職場に行かれて、そして職場のおつき合いもそこそこに、場合によっては残業があったときにはどうしようかというような思いを持って、また帰ってきて、子供さんと一緒に、家庭ですから、それにどうしてうまくヒットさせた保育にしていくかという考えに至らなければならないんです。  職場近くであれば、あるいは職場の中であれば、仮にお子さんがちょっと何かがあったときにもすぐ駆けつけていける。法的にも、当然ある程度の時間をいただいて、子供の面倒も見られるわけでございます。そのためにはやはり環境を整備するということとあわせて、ぜひひとつ事業者の皆様方にも御協力をいただくということが重要でございまして、ぜひお取り組みをお願いしたいと思っております。  もう時間が余りございませんので、幾つかお願いをしておったんですが、一点だけ質問をさせていただきたいと思っております。  実は、私自身が提言をさせていただいて、後ほど大臣にこの小冊子をお渡しさせていただければと思っておるんですが、教育訓練給付金制度の拡充についてお尋ねをしたいと思っているんです。  昨年三月の支給申請受け付け開始からことしの二月までの間に、約十三万四千人が同制度による受給を受けましたけれども、三十歳から三十四歳が約二万八千人で受給者が最も多く、次いで二十五歳から二十九歳が約二万七千人で二番目に多くなっております。三十五歳以上は、年齢が高くなるほど受給者が大幅に減る傾向にございます。一方で、二十四歳以下は約二千人しか受けた人がいないということで、少ない状況になっております。これは、二十五歳から三十四歳までと比べて学習意欲が低いというわけではなくて、高卒以上が当たり前になっているような現状からすれば、二十四歳以下では支給要件期間の五年を満たす人が限られていることが原因だと僕は思っているんです。  したがって、支給要件期間を短くするなど、しかるべき措置を講じることによって、若年者、特に二十四歳以下の若者の受給者数が大幅にふえ、自己啓発や能力開発が活発となり、結果として若年労働者の雇用の安定と中小企業の活性化につながるのではないか、このように私は期待しておるわけでございます。  また、私は、若者に限らず他の年代の方にとっても、みずからの意思により自己啓発や能力開発の機会を拡大していくことが重要だと思いますので、ぜひこの教育訓練給付金をできる限り拡充していただいて、勤労者の自助努力を後押ししてあげていただきたい、こんな思いを持っておるのでございます。  今申し上げましたように、教育訓練給付金制度を拡充することができないのか。特に、例えば三十歳以下の若年勤労者、とりわけ中小企業に勤める勤労者について現行の五年間の支給要件期間を短縮するなどの措置をぜひ講じていただきたいと思うわけでございますが、お答えをいただければと思います。  また、雇用保険を財源とすることは制度上困難にしても、国庫負担によって就職前の学生を対象とした同様の制度を設けたりできないのか、この点についてもお答えをいただければと思います。
  146. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 現在、御承知のような雇用情勢でございます。景気は必ず上昇すると思いますが、その間にタイムラグがございますし、またミスマッチという条件もございまして、私ども労働省としても、何とかこういう問題点を解決する手段、こういう意味におきまして、この教育訓練給付金制度というのは、実は非常にすばらしい制度だ、こう自負いたしているわけであります。そういう観点から、今五年だとか三十以上だとか、いろいろな条件をかけておりますが、この条件についても、今の情勢に対応するのに果たして適正かどうかということは、私自身も検討させていただいて、特に自分は働きたいという意思を持っている若い青年に、そういう意思がはっきりある以上は、何らか教育訓練の中に入ってきていただいて、今後の日本の発展のために大きな力になってくれればな、こうこいねがっております。
  147. 田中和徳

    田中(和)分科員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、中小企業で働く人たちが勤労者の七〇%、それから、いわば都市に住む人たちも国民の七割。こういう中で、これからの時代を考えるときに、現況も、まことに労働条件等々だんだん厳しい社会情勢になってきましたけれども、みずからの質を高めた人たちによって中小企業が支えられる、また、中小企業にも豊かな人材がいる、こういうことがやはり重要だと思っております。  また、働く人たちにも多くのチャンスを与える社会でなければならないと思っておりますので、前向きな御答弁が大臣からございましたので、期待を申し上げて、ぜひひとつよろしくお願いを申し上げて、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  148. 赤城徳彦

    赤城主査 これにて田中和徳君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして労働省所管の質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後零時五十四分散会