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2000-04-20 第147回国会 衆議院 決算行政監視委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成十二年四月三日(月曜日)委員会において、設置することに決した。 四月十九日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任された。       相沢 英之君    岩永 峯一君       鯨岡 兵輔君    滝   実君       堀之内久男君    矢上 雅義君       熊谷  弘君    葉山  峻君       石垣 一夫君    保坂 展人君 四月十九日  岩永峯一君が委員長指名で、主査に選任された。 平成十二年四月二十日(木曜日)     午前九時開議  出席分科員    主査 岩永 峯一君       鯨岡 兵輔君    栗原 博久君       滝   実君    竹本 直一君       中野  清君    堀之内久男君       水野 賢一君    矢上 雅義君       金田 誠一君    葉山  峻君       石垣 一夫君    桝屋 敬悟君       中川 智子君    兼務 田中 和徳君 兼務 桧田  仁君    兼務 吉川 貴盛君 兼務 平野 博文君    兼務 渡辺  周君 兼務 児玉 健次君    兼務 一川 保夫君     …………………………………    運輸大臣    国務大臣    (北海道開発庁長官)   二階 俊博君    建設大臣    国務大臣    (国土庁長官)      中山 正暉君    北海道開発政務次官    米田 建三君    国土政務次官       増田 敏男君    運輸政務次官       中馬 弘毅君    建設政務次官       加藤 卓二君    会計検査院事務総長官房審    議官           船渡 享向君    会計検査院事務総局第三局    長            白石 博之君    政府参考人    (人事院事務総局職員局長    )            中橋 芳弘君    政府参考人    (北海道開発庁総務監理官    )            斎藤 徹郎君    政府参考人    (北海道開発庁計画監理官    )            林  延泰君    政府参考人    (科学技術庁研究開発局長    )            池田  要君    政府参考人    (環境庁大気保全局長)  廣瀬  省君    政府参考人    (環境庁水質保全局長)  遠藤 保雄君    政府参考人    (国土庁計画調整局長) 小林 勇造君    政府参考人    (国土庁大都市圏整備局長    )            板倉 英則君    政府参考人    (国土庁防災局長)    生田 長人君    政府参考人    (外務大臣官房外務参事官    )            塩尻孝二郎君    政府参考人    (厚生省社会援護局長) 炭谷  茂君    政府参考人    (厚生省社会援護局保護    課長)          宇野  裕君    政府参考人    (厚生省老人保健福祉局長    )            大塚 義治君    政府参考人    (農林水産省農産園芸局長    )            木下 寛之君    政府参考人    (中小企業庁長官)    岩田 満泰君    政府参考人    (運輸省運輸政策局観光部    長)           藤野 公孝君    政府参考人    (運輸省鉄道局長)    安富 正文君    政府参考人    (運輸省航空局長)    岩村  敬君    政府参考人    (建設大臣官房長)    小川 忠男君    政府参考人    (建設大臣官房審議官)  有路  信君    政府参考人    (建設大臣官房技術審議官    )            原田 邦彦君    政府参考人    (建設省建設経済局長)  風岡 典之君    政府参考人    (建設省都市局下水道部長    )            石川 忠男君    政府参考人    (建設省河川局長)    竹村公太郎君    政府参考人    (建設省道路局長)    大石 久和君    政府参考人    (自治省財政局長)    嶋津  昭君    政府参考人    (住宅金融公庫総裁)   望月 薫雄君    政府参考人    (日本政策投資銀行総裁) 小粥 正巳君    決算行政監視委員会専門員 中谷 俊明君     ————————————— 分科員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     水野 賢一君   鯨岡 兵輔君     竹本 直一君   滝   実君     中野  清君   堀之内久男君     栗原 博久君   熊谷  弘君     金田 誠一君   石垣 一夫君     桝屋 敬悟君   保坂 展人君     中川 智子君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     堀之内久男君   竹本 直一君     鯨岡 兵輔君   中野  清君     滝   実君   水野 賢一君     相沢 英之君   金田 誠一君     熊谷  弘君   桝屋 敬悟君     石垣 一夫君   中川 智子君     保坂 展人君 同日  第二分科員吉川貴盛君、平野博文君、渡辺周君、児玉健次君、一川保夫君、第三分科員田中和徳君及び桧田仁君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府北海道開発庁所管北海道東北開発公庫国土庁所管)、運輸省建設省所管及び住宅金融公庫〕     午前九時開議      ————◇—————
  2. 岩永峯一

    岩永主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました岩永峯一でございます。よろしくお願いいたします。  本分科会は、総理府所管北海道開発庁北海道東北開発公庫総理府所管国土庁運輸省所管郵政省所管建設省所管及び住宅金融公庫についての審査を行うことになっております。  なお、各省庁審査に当たっては、その冒頭決算概要説明会計検査院検査概要説明及び会計検査院指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。  平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件中、本日は、総理府所管北海道開発庁北海道東北開発公庫運輸省所管建設省所管住宅金融公庫及び総理府所管国土庁について審査を行います。  これより総理府所管北海道開発庁北海道東北開発公庫について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。二階北海道開発庁長官
  3. 二階俊博

    ○二階国務大臣 平成年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成年度の当初予算額は九千九百八十六億二千四百九十二万円でありましたが、これに予算補正追加額九百八十五億四千二百六十三万円余、予算補正修正減少額十二億二千六百五十二万円余、予算移しかえ増加額七千五百三十四万円余、予算移しかえ減少額三千三百三十五億二百六十万円余、前年度繰越額三百一億九百一万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は七千九百二十六億二千二百七十七万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は七千五百二十六億六千二百八十五万円余、翌年度繰越額三百八十億四千四百八十二万円余でありまして、その差額十九億一千五百十万円余は不用額であります。  以上をもちまして決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。  平成年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を引き続き御説明申し上げます。  平成年度の当初予算額は一兆五十九億三千百八十七万円でありましたが、これに予算補正追加額五百十五億三千八百五十八万円余、予算補正修正減少額六億三千五百七十五万円余、予算移しかえ増加額六千四百三十九万円余、予算移しかえ減少額三千百四十八億七千八百七十七万円余、前年度繰越額三百八十億四千四百八十二万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は七千八百億六千五百十三万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は七千五百八十二億四千八百三十六万円余、翌年度繰越額百九十一億一千三百九十万円余でありまして、その差額二十七億二百八十六万円余は不用額であります。  以上をもちまして決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  4. 岩永峯一

    岩永主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院白石第三局長
  5. 白石博之

    白石会計検査院当局者 平成年度北海道開発庁決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件であります。  検査報告番号一号及び二号の二件は、北海道開発局におきまして、岸壁築造工事施行に当たり、設計が適切でなかったため、係船柱取りつけ部の上部工が不安定な状態になっているものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。  平成年度北海道開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上でございます。
  6. 岩永峯一

  7. 船渡享向

    船渡会計検査院当局者 平成年度北海道東北開発公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  引き続きまして、平成年度北海道東北開発公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上でございます。
  8. 岩永峯一

    岩永主査 ただいまの会計検査院指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。二階北海道開発庁長官
  9. 二階俊博

    ○二階国務大臣 平成年度予算の執行につきまして、不当事項として指摘を受けた検査報告番号一号及び二号の「岸壁築造工事施行に当たり、設計が適切でなかったため係船柱取りつけ部の上部工が不安定な状態になっているもの」について御説明申し上げます。  本件工事について指摘のような事態を生じたことは、まことに遺憾であります。  今後は、このようなことのないよう、十分注意する所存であります。  なお、本件工事については、平成九年十月三十一日に補強工事を完了させました。  以上でございます。
  10. 岩永峯一

    岩永主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 岩永峯一

    岩永主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  12. 岩永峯一

  13. 岩永峯一

    岩永主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。児玉健次君。
  14. 児玉健次

    児玉分科員 日本共産党児玉健次です。  ただいま伺いました両年度決算につきましては、よく検討させていただきたい、こういうふうに思います。  そこで、この機会に、有珠山噴火による災害に関して、そして千歳川、石狩川流域の治水の強化について質問をしたい、このように思います。  二階長官には、この三月三十一日、ちょうど最初噴火が起きたあの時点現地においでいただいて、私はそのとき、私ども志位和夫書記局長と一緒に現地におりまして、お会いすることはできなかったけれども連絡をとらせていただいて、すぐ必要な措置をとっていただいた、このことを感謝しています。  二度目、四月八日、九日、私どもの第二次調査団現地に行きましたら、そのときもおいでくださっていて、動静を現地のテレビで拝見させていただきました。あわせて米田次官には、現地でいろいろ御苦労いただいていることを多としております。  さて、今度の有珠山噴火に関していえば、噴火前に住民避難が完了していた、これは貴重な経験だと思います。そして、今後に生かすべき教訓でもあると考えます。  今の時点で考えなきゃいけないことは、災害長期化に備えた対策が必要であるという点です。有珠山噴火のこれまでの経験からして、この数日の、水蒸気の少ない乾燥した噴煙が上がり出していて、噴火が新しい段階に移る、そういう兆しが読み取れるかどうか、その点で、火山噴火予知連絡会有珠山部会も慎重な監視を続けています。  そこで、最初お尋ねは、この後の噴火がぜひ大規模なものにならないことを強く希望はしておりますけれども、今日までの段階降灰量が既に百万トンを超している、さらに大量の火山灰を噴出する可能性指摘されています。  そういう中で、降灰の拡大に対する対処、そして噴火が新しい段階に入ったときの火砕流や火砕サージなどに対する災害防止策に万全の備えが必要ではないか。降灰土砂土石除去等に対する備え、これらがどのような体制になっているか、まずそのことについてお示しいただきたいと思います。
  15. 二階俊博

    ○二階国務大臣 まず冒頭児玉委員を初め北海道選出国会議員皆さんが、このたびの災害に際しまして大変御心配をいただくと同時に、私どもと同じような立場でこの災害対策に取り組んでいただいておりますことに心から感謝を申し上げたいと思います。  同時にまた、今お話のありました志位書記局長を初め児玉委員災害発生の初日からいろいろと対応をくださっておりまして、御提言いただきましたことを真摯に受けとめ、直ちに対応をいたしておるところでございます。今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  今回の有珠山噴火に当たりましては、北海道開発庁としましては、政府現地災害対策本部職員を多数派遣するとともに、火山監視体制道路管理面を初め万全の体制をとっているところでございます。何としましても、現場を持っておりますだけに、私ども北海道開発庁は、今回の災害に対しまして、政府現地対策本部を支える、その基礎となるべき部分を担当して、職員以下頑張っておるところでございます。  道路に降った火山灰状況等に対してどのような体制をとっておるか。八カ所の現地復旧拠点を整備いたしまして、現在、借り上げ等も含めまして、ブルドーザーを初め路面清掃車あるいは除雪のトラック、またタイヤショベルダンプトラック等、合計二百七台の重機車両を既に配備いたしておりまして、火山状況、その推移を見ながら、安全が確保できるという時点では直ちに復旧に入る体制を整えておるところでございます。
  16. 児玉健次

    児玉分科員 そのことに関連して、今長官お話のように、政府省庁の中で、北海道現場を持っている省庁として、言ってみれば基礎を分担されている、本当にそうだと思います。そのことから出てくる御苦労も随分あるだろうと考えるわけです。  例えば、今度の噴火状況を見定めるための必要な観測機器を数多く配置されていて、それが大きな力を発揮しています。それに伴う工事で、北海道開発局職員皆さん方や、そして政府が発注された工事を引き受けている関係企業従業員皆さんは大変な御苦労をなさっています。当然、仕事の性質上、避難区域の中に入ることもあります。そういう方々の安全の確保が大きな課題にもなっているだろうと考えます。そのために必要な措置がどのようにとられているか、その点について伺いたいと思います。
  17. 二階俊博

    ○二階国務大臣 私は、今回の有珠山の問題に関しまして、最も重要なことは人命の安全である。したがいまして、随分早い段階から、気象庁長官から避難についての相談を受けた場合に、もし避難をしていただいて、大きな体制をとって、火山爆発がなかったときにどうするか、当然考えられることであるが、そのときは謝ればいいんだ、人命を尊重するということを第一に置くならば、一万数千人という人たち避難させるのにそんな十分や二十分でできるものではない、必ず混乱が生じる、ここはあらかじめの体制をとるべきだということで対応しておりましたことが、こうした大規模火山爆発が憂慮されておる今回のような状況の中で、一人の犠牲者も一人のけが人も出さずに避難ができたということは、私ども内心ほっとしておるところでありますが、あらかじめの体制をとった、先手先手体制をとったということが恐らくよかったと思います。  特に、気象庁長官人事を、当時既に小渕内閣総理大臣に私は内諾を得ておりまして、閣議に報告をするばかりになっておったところでありますが、ここは今までなれておられる長官がそのまま対応することがよかろうという判断をいたしまして、官邸にお電話を差し上げましたときには、ちょうど総理は夜の何かの会合に出ておられたようでありますが、秘書官を通じて総理に私からファクスを送るからこれを必ず伝えるようにと言っておりましたら、夜の十時過ぎ、私はもう役所におりませんでしたが、総理からわざわざ電話がありまして、その判断は正しいと思う、ぜひそうしてもらいたいということで対応いたしました。そして、長官に予定しておりましたきょう現在の山本長官現地に派遣しましてずっと対応してきたところでございますが、いつまでも人事を停滞させておくわけにもまいりませんので、このほど新しく長官に任命したところでございます。  そうしたことなどを含めて、私どもは、今日まで早目にいろいろな対応をとってきたということが、きょう現在、人命その他に大きな影響を及ぼすことのないようにしながらこの難しい状況をくぐり抜けてきておる、こういう感じを持っておるわけでございます。  今お尋ね火山観測計器の設置につきましては、周辺自治体により指定されている避難指示地域を遵守しております。  私は過去、例えば長崎の雲仙の事故等を考えましても、あれは報道関係人たちが撮影のために近づいていきまして、もろに火山の被害に遭って本当に悲惨な状態になったことを覚えておりますから、私は、住民皆さんを守ることが第一ではありますが、当然、北海道開発庁を初め関係職員皆さんがいろいろな対応をしている中で、これまた一人の犠牲者も出してはならない、そして現業で、またそのもとで仕事に参加していただく企業皆さん等にも、作業の安全の確保に万全を期すようにということを再々現地に呼びかけておると同時に、毎日のように現地開発局長から状況報告をさせておりますので、そうしたことに対して、今委員指摘のようなことを十分念頭に置いて、今後、安全の確保に二重三重の対応をしてまいりたいと思っております。
  18. 児玉健次

    児玉分科員 ぜひそのようにお願いしたいと思います。  今、北海道はちょうど一年で一番いい季節を迎えようとしています。大体四月から六月、七月にかけてが観光客で最もにぎわう時期でもありますね。  既に、長官もよく御存じのように、そういった中で、噴火現地から三十キロ離れている登別温泉でも、四月の観光客の予約のキャンセルが激増しています。きのう私が聞いたところでは、道東の阿寒湖の周辺でもキャンセルが出ている。これは北海道経済に非常に深刻な影響を与えますし、観光産業というのはそれだけじゃありませんから、例えば、土産物屋に納品している中小企業どもそのことの影響を受けますし、雇用の問題も深刻です。その点は労働省と必要な協議を私たちは始めています。  私はこの機会に、北海道全体が、今度の有珠山噴火にもかかわらず、全域としては非常に安全である、この点について北海道開発庁としても必要なアピールを国民に発していただきたい、こう考えるのですが、いかがでしょうか。
  19. 二階俊博

    ○二階国務大臣 有珠山噴火に伴いまして、洞爺湖温泉のみならず周辺観光地につきましても本州等からの観光客に敬遠する傾向が見られるという、ただいまのお話のとおり、観光需要がこれ以上落ち込みがないようにすることが今私どもに課せられた最も大きな問題の一つであるという認識を持っております。  幸い私は運輸大臣兼務をいたしておりますので、四月の十八日でございましたが、有珠山噴火に伴う北海道観光対策連絡会議というものを開催いたしまして、全国の旅行業者交通事業者に対し、地元の状況説明するとともに、他の観光地には影響がない旨の周知徹底を行ったところでございます。私も、国会の合間にこの会合に出まして、冒頭ごあいさつを申し上げてまいりました。  かつて私は、火山状況噴火状況とは全く趣を異にすることでありますが、中国で天安門事件があった後に、百五十名の日中交流のミッションを率いて北京に伺いました。この間、十年ぶりでそうした要路の方々にお目にかかりましたら、あのとき来てくれた人が本当の友達だということを、十年も前のことを思い出しておっしゃってくれました。私はこのことも関係者に申し上げたのです。     〔主査退席矢上主査代理着席〕  もう一つは、阪神・淡路地震のころ、私は予算委員会ゲーテの言葉を引用して、涙とともにパンを食べたことのある経験のある人でなければ人の痛みは語れない、こういう意味のことをゲーテは言っております。私はそのことを申し上げ、お互いにこのことを自分のことと考えて対応しようではないかということを旅行観光関係皆さんに申し上げたところであります。  北海道観光客を送り込むための一番の決め手は、旅費の問題が大きな決め手になります。その旅費をどうするかというふうなことも、飛行機の場合、列車の場合、あるいは船の場合、いろいろこれから知恵を出さなくてはならない、そういう時期だというふうに思うわけでございます。  今回の有珠山噴火により、北海道産業経済全般影響を及ぼすことも懸念されておりますので、私は、北海道開発庁長官私的懇談会としまして、今月の二十五日に北海道活性化懇談会を立ち上げまして、北海道経済産業活性化を図るために、緊急にとるべき対策についても直ちに検討に入ることにいたしております。  また、私が北海道開発庁長官就任早々北海道を訪問した際に、北海道関係者が、北海道観光に何か一言ありませんかと言って、随分熱心に問いただされたものですから、私は、今北海道への日本全体の観光客年間六百万人を超えるようになってきておる、しかしこれを将来一千万人にすることを目標にしようではありませんかと。それは突拍子もないような案のように聞こえるわけですけれども年間四%ずつふやしていけば、十年間で一千万人に到達することは可能なわけでありまして、これは努力次第では可能なわけです。  ただし、私が申し上げたその一千万人というのが北海道の新聞に大きく出たものですから、一千万人だけがひとり歩きを始めました。したがいまして、何の努力もしないで一千万人来るわけはないのですから、早速、堀知事とも相談をいたしまして、北海道観光に関する百人委員会というものをつくることにいたしまして、航空三社の社長を初め、北海道観光に大いに役立っていただけるであろうと思うような人たち、内外百名以上の方々にお集まりをいただきまして、これから、今児玉委員指摘のこのシーズン、北海道は絶好のシーズンを迎えているわけであります。一千万人の目標に向かって第一歩を大きく踏み出そうとしておる最中に有珠山のこういう災害に直面をいたしました。  しかし、既にそういう体制を組んでおりますから、我々はひるむことなく、目的、目標に向かって、今こそ観光経済に示すあるいは果たす役割、これを存分に発揮してもらいたい、業界関係者にそのように呼びかけておるところでございますが、委員を初め関係の皆様には、積極的にこのことにも御協力をお願いしたいと思います。  また、だれでもができることでありますが、およそ国会議員皆さんはいろいろな関係の団体に何らかの関与をされております。その関係の団体の会議北海道でぜひ開いていただくようにお願いしたい。私は、みずからが関係しておる団体、正確に言えば関係しておった団体でございますが、その協会の常務理事会等は北海道で開くようにしてはどうかと今お願いをいたしております。かつて阪神・淡路のあの災害のときに、できるだけ阪神・淡路でいろいろな催しをしていただきたいとお願いをして随分成果を上げた経験を持っておりますので、ぜひそのことも大いに取り組んでいきたい。  そして、何よりも大事なことは、北海道観光関係を初め、いろいろな業界の皆さんがこのことでショックを受けておられることは事実でございますが、このことで沈んでしまわないで、みんなが大いに立ち上がる、元気出せ北海道、私は、そういう意味で、北海道の産物もできるだけ皆さん買ってくださいということをこれからも内外にキャンペーンをしていこうと思っておりますで、この点もぜひ御協力をお願い申し上げたいと思います。
  20. 児玉健次

    児玉分科員 今おっしゃった、涙とともにパンを食べた者と、私も非常に好きな言葉でして、そして長官の地元の関係からも、あの阪神・淡路震災の状況、それはもうよく踏まえていらっしゃいます。  最後に、私はこの分野で一つ要望しておきたいのですけれども、阪神・淡路大震災の後に被災者生活再建支援法ができました。これはささやかな一歩ではありましたけれども、これをさらに前進させる必要があります。そして、洞爺湖温泉などは今泥流に直撃されていまして、営業基盤が破壊されつつあるのではないか、こういう危惧があります。農業、酪農、ホタテ養殖、漁業、そういった分野で、この際、営業補償にも踏み込むための政治の場における論議が必要になってきている、その点で、北海道開発庁長官として御尽力をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  21. 二階俊博

    ○二階国務大臣 政府としましては、御承知のとおり、去る四月七日に、有珠山火山災害に対して、当面次のようなことを実施するということで、五項目にわたって、災害対策、また特に農林漁業、商工業や観光業等の生業への支援措置及び被雇用者への支援措置を講じるなどということを取り決めておりますが、関係省庁において各種の支援措置、先ほど少しくお触れになりました、労働省に対しましても、失業者の取り扱い等について格段の御配慮をということを労働大臣にもお願いしているところであります。  国としてでき得る限りの対策がとられるように、ただいまの御指摘の点も踏まえまして、北海道開発庁長官として懸命の努力をいたしたい、このように考えております。     〔矢上主査代理退席、主査着席〕
  22. 児玉健次

    児玉分科員 次に、石狩川、千歳川の治水強化について一、二質問をしたいと思います。  千歳川放水路計画という計画がかつてありまして、昨年七月に、国としてそれを中止することが正式に明らかにされました。  このことについて、私は、一九九七年二月十二日に衆議院の予算委員会でこの問題を論議しました。当時の建設大臣は亀井静香さんでしたが、私の質問に対して、「委員指摘のように、石狩川の治水を何らかの形できちっとやれば放水路計画でなくてもいいんじゃないかという御意見のあることも我々は承知をいたしております。」こう答えまして、それが一つのきっかけになってこの論議が大きく発展したということを忘れることができません。  今、石狩川と千歳川の治水を多くの関係者の合意のもとにどのように進めていくか、そのことが大きな課題になっていますが、最初にお伺いしたいのは、一九九七年の河川法、三十三年ぶりに改正されました。治水、利水に並んで、河川環境の保全と整備が河川管理の目的に加わった。あわせて、住民の意見を反映するための措置を講ずるということもこの法律にうたわれています。今後の石狩川、千歳川の治水対策で新河川法の趣旨がどのように生かされていくのか、この点、基本のところで結構ですからお答えいただきたいと思います。
  23. 林延泰

    ○林政府参考人 お答えいたします。  石狩川と千歳川の治水対策を進める上に当たりましては、従前からの治水対策はもとより、先生今御指摘ございました新河川法、これは従前の河川法のいわゆる治水、利水に対して、河川環境というものが大きな柱立てとして規定されたものでございまして、私どもといたしましても、河川環境の整備と保全、それからもう一つ大きな柱でございます地域の意見を反映した河川整備の計画制度の導入など、新河川法の趣旨にかんがみまして計画の策定、対策の実施に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  24. 児玉健次

    児玉分科員 林計画監理官にあわせてお伺いしたいのですが、そういった趣旨のもとで、現在各地において水害防備林の準備が進み、かつ建設が具体化しています。これは江戸時代からの治水の、日本人の知恵を反映したものでもありますね。これがこの後、石狩川、千歳川でどのように検討され計画されているか、お示しいただきたいと思います。
  25. 林延泰

    ○林政府参考人 ただいま先生が御指摘ございました水害防備林とは、恐らく、河川の堤防に沿って植える河畔林のことを指していらっしゃるのではないかと思います。これは先生御指摘のように、溢水時におけるはんらん水の流出を低減するなど、治水対策上も非常に効果があるというような再認識もされております。  今回の新河川法では、河川管理施設としてこういう樹木を植える、樹林帯というものを創設することになりました。したがいまして、今回の石狩川、千歳川におきましても、関係自治体あるいは住民の理解を得て、樹林帯の整備について今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  26. 児玉健次

    児玉分科員 千歳川に限っていえば、よく御存じのように低地を抱えていますので、千歳川流域では外水用遊水地が果たす役割が非常に大きいと、河川工学の研究者や専門家が以前から指摘しています。  全体の計画が今論議されていますけれども、そういう中でこの遊水地の計画がどのようになっているか、住民の関心も非常に強いわけですが、その点についてお示しいただきたいと思います。
  27. 林延泰

    ○林政府参考人 千歳川の遊水地につきましては、昨年七月、北海道知事から、いわゆる千歳川放水路を中止し、それにかわるものとして、遊水地を含む各種治水対策を実施するよう要請があったところでございます。  現在、六市町のエリアがかかわりがございますが、その中で、規模ですとかあるいは位置等について現在検討している最中でございます。
  28. 児玉健次

    児玉分科員 最後に、二階長官に伺いたいのです。  石狩川と千歳川の合流点をどのようにするか、そのことから出てくる幾つかの問題で現在活発な議論、検討が行われています。いずれにしろ、開発庁と北海道開発局が持っていらっしゃるデータというのは極めて貴重です。これらのデータの公開と、そして自治体、住民関係者の合意を得て物事が進められていくことが今後非常に求められていると考えます。そのことについて二階長官のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  29. 二階俊博

    ○二階国務大臣 私は、北海道開発庁長官就任の後、北海道全域にわたりまして、いろいろ問題点は何かということを検討した際に、ただいま児玉委員お尋ねになっております石狩川と千歳川との合流点対策につきまして、これこそ関係市町におきまして大変大きな問題になっておるという認識をいたしておりまして、いずれかの機会にこれらに対しての私の考えを開発局長及び北海道知事にも申し上げたいと思っておりました。  今は、ただいまの御質問にもございましたとおり、北海道開発局北海道知事が共同して設置しました千歳川流域治水対策全体計画検討委員会で大変熱心な御議論が展開されております。当然、仰せのとおり、地方自治体及び地元の住民皆さんの御意見等、もちろん北海道当局の御意見も重要でありますが、これらの合意形成を図ること、このことに力を注いで、委員会の意見を尊重して、千歳川の流域治水対策が早期に定められるように私としても努力をいたしたいと考えております。
  30. 児玉健次

    児玉分科員 ぜひそのようにお願いしたいのですが、あわせて、皆さんが持っていらっしゃるデータの貴重性ですね、それを関係者に示していただく、その点はいかがでしょうか。
  31. 二階俊博

    ○二階国務大臣 今お話しのとおり、北海道開発庁が持っております歴史的なデータ、これはできるだけ公開をいたしまして、御一緒に委員会におきまして検討してまいりたい。そして、検討することは極めて重要なことでありますが、検討ばかりに時間を費やしておってはなりませんので、一日も早く、治水対策が早期に定められ、そしてこのことが実行に移されるように、いよいよ北海道開発庁も来年は国土交通省の中に編入されるわけですから、それらのことも念頭に置いて、将来、一日も早くこの治水対策が完成するということを大きな目標に置きながら懸命の努力を続けたいと思います。
  32. 児玉健次

    児玉分科員 終わりますが、ぜひ合意のできたところからはどんどんやっていただきたいし、そして、合意を求めるために最大限の努力お願いしたいということを述べて、質問を終わります。ありがとうございました。
  33. 岩永峯一

    岩永主査 これにて児玉健次君の質疑は終了いたしました。  次に、吉川貴盛君。
  34. 吉川貴盛

    吉川分科員 自由民主党の吉川貴盛でございます。  二階大臣におかれましては、運輸行政と北海道開発行政ということで大変公務御多端と思いましたので、私のような者の質疑には大臣は出席されなくても結構でございますがと申し上げたのでありますけれども、御出席をいただきましてありがとうございました。いただいた時間でありますから、時間内で議論を深めてまいりたいと思います。  まず最初に、有珠山噴火の件につきまして、開発庁あるいは開発局、そしてまた地元の室蘭開発建設部でいろいろな対応をされてきておりますので、そのようなことにつきまして御質問をさせていただきたいと思っております。  最初に、この有珠山噴火に関しましては、三月二十七日、午前から地震発生などの火山活動が発生をし、そして二十九日には、午前十一時三十分に関係省庁局長会議を開催され、午後一時三十分には地元市町が危険区域に避難勧告をされております。さらに夕刻六時三十分には避難指示に切りかえて、六時五十五分には国、道、地元市町から成る現地連絡調整会議を開催されて、三月三十日には、危険地域内の避難をほぼ完了されて、十四時には国土庁の総括政務次官が現地に派遣をされておる。そして、三十一日の十三時十分ごろ噴火をしたのでありまして、私は、我が国の危機管理もいろいろな経験から行き届いてきたなということを強く実感いたしました。  噴火予知連絡会がよくぞやっていただいたという気持ちは、これは道民全員が感じているところでありますし、早速二階大臣そして米田総括政務次官も現地を御視察され、避難をされております皆様をお見舞いされましたことに心から敬意を表する次第であります。  最初に、現地に行かれましての御感想を大臣と総括政務次官からそれぞれぜひお伺いをさせていただきたいなと思います。
  35. 二階俊博

    ○二階国務大臣 私は、国会審議の都合で、米田総括政務次官に委員会中に指示をいたしまして、一刻も早く先発隊として現地に行ってもらいたいということで総括政務次官に一日早く行ってもらったわけでございますが、翌日、恐らくこのことにつきまして閣議等も催されるのではないかという気配でございましたので、今度は私と米田総括政務次官とが入れかわるような形で三月三十一日に現地に赴きました。  その際、千歳空港からヘリコプターに乗りまして、この有珠山周辺、特に避難地を、どの地域が避難しているか、有珠山がどのようなポジションにあるかというふうなことも空から十分把握しておこうというつもりで有珠山周辺に向かったわけですが、急にヘリコプターに対して航行の指示がございまして、危険だとか何だとかという言葉が飛び交うようなわけでございました。  気がついてみますと、眼前に黒雲のようなものがずっと一面に噴き上がってまいりまして、私は、乗っておる専門家にどれくらいの高さまで行っているだろうかと言いましたら、三千メートルということを言っておりましたが、実際は三千二百メートルだったそうでございます。  間もなく、噴火の方を避けて後ろから回るような形で噴火口に近づきました。まさに、もくもくと激しく噴き上がってくるその噴火口を見たときに、これは素人でも、相当のエネルギーを秘めておる、これは容易なことではないという感じがいたしました。  間もなくして官邸で災害関連の閣僚会議が招集されるということを無線が伝えてまいりましたので、私はヘリコプターから地上におりまして官邸と電話連絡をする、そんなことでありましたが、そのおりた地点は噴火のところから五キロ離れたグラウンドにおりたわけでございますが、それでも、私はペーパーを持って額賀官房副長官電話でやりとりをしておるところに火山灰がどんどん落ちてきて、私が持っている白いペーパーが真っ黒になるようなことになるわけですね。ですから、この火山の被害というものは、避難をされている周辺地域だけではなくて、かなり広範囲に及ぶものだということを実感いたしました。  いずれにしましても、先ほどからの御議論にもありましたとおり、早目避難勧告等を行っておりまして、関係の地域の皆さんは一人のけが人もなく、一人の犠牲者を出すこともなく対応できましたこと、関係者皆さんの御協力に私は改めてむしろ感謝を申し上げたい、こういう気持ちでございます。
  36. 米田建三

    米田政務次官 私も大臣を補佐する立場上、既に何度か現地をお訪ねしているわけでありますが、先ほど委員から大変御評価をいただいたところでありますが、現地対策本部のシステムが、大変うまく関係省庁の連係プレーがしっかりできておるなということを感じながら、まさに委員のお言葉にもありましたとおり、我が国の危機管理体制というものも、阪神大震災のあのときの経験にかんがみるならば、相当な格段のレベルに達してきておるなということを実感させていただき、政府の一員としても、その点につきましては実は大変うれしく思ったところであります。おかげさまで人命等も損なわれることなく、今災害対策が進捗をしておるのもシステムがきちんとしておるからだ、そんなふうに考えているところであります。  それから、避難民の皆様をお見舞いをしながら感じましたのは、日ごろの生活や仕事の場から避難をして別なところでじっと事態の鎮静化を待たねばならない、そういう事態の重みというものがひしひしと、避難されておられる皆様とお会いする中で、やはりこちらに伝わってまいってきたわけであります。  今日の現状は、委員御承知のとおり、避難地域の限定化と申しますか、逆に言うならば、解除をされた地域も広がってまいりました。しかし一方で、今日なお危険区域と指定されておるところは、事態の最終的な決着という観点から見ますと、一定の長期化可能性というものがあるわけでありまして、そうした場合に、やはりその支援体制の一層の強化というものが必要であろうかというふうに考えているわけであります。  特に農林水産業、あるいはもちろん洞爺湖温泉街のような観光産業、これらの仕事をしておられる方々の被害の甚大さというものを考えたときに、中長期的な経済復興策というものをやはり他省庁とも連携をしながらしっかり立てる必要があるだろう。  もう一つは、この有珠山噴火の一連の被害というものは、実は北海道経済全体に大変大きな被害を与えておる、こういう認識のもとに、長官の御指導のもと、北海道開発庁といたしましても、中長期的な視点を持ちながらしっかり対応してまいらねばならない、そんなことを実感してまいりました。
  37. 吉川貴盛

    吉川分科員 ありがとうございました。  次にお伺いをいたしたいのは、今大臣そして政務次官からお話がありましたように、この有珠山災害対策には、国も含めて四十一機関が対策本部にお詰めをいただいてそれぞれ対策を講じていただいているところでありますが、その中で、特に北海道開発庁、開発局の役割というものを今後どのように担っていくべきなのかということをお伺いしたいと思うのであります。今日まで二十二日間、現地でどのような対応をされてきたのか、このことをお伺いしたいと思います。  最近、テレビに開発局の監視カメラということでよく出ておりますが、あの監視カメラは、実は第二白糸トンネルが土砂崩れになったときに、ずうっとその監視用に使っていたカメラだと私は思うのでありまするけれども、そのようなことで、かつて考えられなかったような対応を開発庁、開発局が既にやっておるというようなことは大変評価のできるところだろうというふうに思います。  そこで、そんなに時間もありませんから一遍に聞きたいと思いますが、高速道路、まだ通行どめの箇所があるのだろうと思うのです。さらには国道の規制もあるのだろうと思うのですね。こういった通行どめや規制に関しまして、いつごろ解除されるのか。これは噴火活動との関連もありますから、開発庁独自として判断はできないのだろうと思いますけれども、今何かそのような情報が入っておりましたらお教えをいただきたいと思っております。道民皆さんがこの道路に関しましては情報を知りたがっておりますので、もしあればお知らせをいただきたいなと思います。それが二点目であります。  さらには、今後の対応といたしまして泥流対策一つあるのだろうと私は思うのです。  かつて昭和五十二年に噴火をいたしましたときに、その後、私も道議会で有珠山対策特別委員会という委員会に入っておりまして、この砂防ダムの完成まで見届けた一人でございますが、もうあれから二十二年、二十三年たちますと、あの当時の噴火の砂防ダムというものは、今はもうほとんどきかなくなってきているのかなという感がしないでもありません。  そういったことで、泥流対策等々もこれから開発行政として大いに、出番といったらおかしいのでありまするけれども、そういった方面でも御活躍をいただかなければならぬだろうと思うのです。その辺につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。  大臣でよろしいのですか。計画監理官でも結構でありますけれども、今までの対応と今後の対応、そして特に高速道路関係、国道の関係、泥流対策等々をお知らせいただければと思います。
  38. 二階俊博

    ○二階国務大臣 吉川委員はこの火山関係につきましては専門家でございますから、今後いろいろとまた御指摘お願いしたいと思います。  北海道開発庁としましては、政府の今度の非常災害現地対策本部での対応に対しまして、我が北海道開発庁の中にも非常災害対策本部を設置しまして、現地政府対策本部には約五十名程度職員を派遣するなど、今御指摘のありました高感度監視カメラ、ヘリコプターによる火山活動の監視などの観測体制への協力をいたしておりまして、これらの映像は政府対策本部や避難所に配信をいたしておるところでございます。  おかげをもちまして、相当各方面から評価をいただいておりますが、北海道開発庁、できることは何でもする、それくらいの意気込みで対応をいたしておるところでございます。  ただいまの高速道路の件でございますが、一部道路でもう解除をした地域がございますが、その解除に当たって、調査をしたり、車を走らせる上においてとるべき対策、いろいろやってみました。比較的火山灰の薄いところ、これは問題ないわけでありますが、この火山灰の除去につきまして、避難解除区域内の道路、これはもう除去を完了したところであります。  今後、高速道路につきまして、いつごろということでありますが、これはもう全く、火山噴火との関連でストップをしておるわけでございますから、火山噴火状況がどうおさまるかということによって直ちに対応をいたしたいと思っております。今のところは、残念ながら、この場で見通しを語れるような状況ではありません。  そして、もう一つこの際に御報告をしておきたいことは、北海道のいろいろな産品を全国各地に送っておりますいわゆる北海道の物流の動脈の一つにJRがございます。JR北海道及びJR貨物、これが寸断されておりますことが物流の面におきまして多大な影響をこうむっておるわけでございますが、先般私、二度目、北海道に参りました際に、実は、JR北海道の社長及びJR貨物の社長に現地にお越しをいただきまして、今後の対応を協議いたしました。  今現在のところは七割程度の物流を確保することができる状況まで至っておる、しかし、その後の対応をするためには相当の予算も必要とする、私たちは今経営上大変な状況になっておりますが、JR北海道としてあるいはJR貨物としてのその役割を思うときに、そうしたことを乗り越えて対応したいということを両社長から報告を受けました。  私は運輸大臣として、今ある予算の、及び他に災害対策として何らかの策を講ずることができないか等を十分政府としては考えるから、このことは先にやってもらいたいということを申し上げました。JR函館本線の目名駅のいわゆる行き違い設備、あるいはまたコンテナ基地を長万部の駅に新たに建設する、これは簡易なコンテナ基地でございますが、それでも相当の予算を必要とするわけであります。鉄軌道近代化設備等整備費補助制度というものを活用して、このことには積極的な支援をしてまいりたいと思います。  ただいまお話にありましたとおり、高速道路の問題と、あわせてこの鉄道の問題をもって、私は、北海道の物流に対して、産業がこれ以上落ち込まないように、そして回復に向けてみんなが立ち上がる元気を出すためには、この動脈を何としても回復する必要があるということで頑張っていきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  39. 吉川貴盛

    吉川分科員 次にお伺いをさせていただきたいと思いますが、実は四月の十三日、十四日、先週ですね、ちょうど連立政権三党首が、森総理、神崎代表、扇党首が現地を御視察、そしてお見舞いをいただきました。その前日に私ども自由民主党が、道議会議員の皆さんと二十人の編成で、避難をされております皆様のところにお見舞いをさせていただきました。  その避難をされている中で、特に虻田町、いわゆる温泉街の方々避難をされている豊浦町と、それから長万部というところなんでありますが、そこに行かれた調査団の方からの報告によりますと、生活費がなくなってきた、もう一つは、自分の家が見たい、この二つが大変大きな要望でございました。  生活費がなくなってきたという方々というのは、いわゆる温泉で働いている方を含めて、観光客で生活をしている方々であります。温泉にはいろいろなお店がありますから、そういった方々であります。北海道庁は、道単で二カ月分、この生活負担のための費用を用意をされたようであります。  そして、自分の家が見たいという方は、御承知のように、きのうも遊覧船に乗って湖上から温泉街を見られております。ところが、遊覧船ですから一・五キロぐらいまでの沖合しか近づけなかった、噴煙の関係噴火関係もあるのだと思うのですけれども。それでも、報道によりますと、住民の百七十四人がヘルメットや救命胴衣をつけて乗り込んで、湖上から我が家を見られたということでありまして、多分きょうもそういった形で、温泉街を遊覧船に乗って見られるようにしているのではないかと思うのです。これは多分虻田町がやっているのではないかというふうに思うわけであります。  そこで、その避難をされている方々から、北海道開発庁、開発局もヘリコプターを持っているわけでありまするけれども、例えば、現地に派遣をされております自衛隊のヘリに乗って上空から我が家を見ることができないかというような声が上がったそうであります。もしそれができなければ、我が家を知っている若い方々だけにそのヘリに乗り込んでいただいて自分の家を見てきてほしい、無事であれば安心ができるという声が大きく出たのだそうであります。  二階大臣、どうでしょうか。大臣は、先ほどからも議論がありましたように、大臣の保守党が、頑張れ北海道というキャンペーンをやっていただいているそうでありまして、義援金のほかに、先ほど大臣からもお話がありましたように、道産品の購入キャンペーン等もしていただいている。人間二階大臣ということで、この災害対策本部に対して、湖上から遊覧船で自分の家を見るということだけではなくて、代表者だけでも結構でありますから、自衛隊のヘリに乗せて、上空からさらに我が家に近づいて見られるような態勢をおとりいただけないでしょうか。大臣の管轄ではないかもしれませんけれども災害対策本部として、北海道開発行政を預かる最高責任者として、本部に対してそのような意見具申をされてはいかがでしょうか。
  40. 二階俊博

    ○二階国務大臣 私は先般、ヘリコプターで、火山爆発したその約十分後、現場に参りました。  そのとき直観したことは、周りに小型のジェット機だとかいろいろなヘリコプターが飛んでくるのです。しかし、そのときは爆発するなんということを知らないで来ておるわけですが、いよいよこれを放置しておきますと、自家用のヘリコプターとか、あるいはそういうたぐいの航空機をもって一度有珠山を見に行ってこようかという、早く言うと、格別用もない人が有珠山周辺にヘリコプターなどを飛ばしてきて、本当に大事な監視体制あるいは有珠山状況を通報しなければいけない責務を担っておる航空機が、一般の不要不急、不要とは申しませんが、不急の航空機が周辺を航行することによってやはり本来の仕事ができなくなるということを私は心配いたしましたので、直ちに航空局長に命じまして、一般のヘリコプターは入れないようにしよう。マスコミ関係皆さんには、私はお目にかかった際に謹んでこのことを御協力を申し上げ、お願いしたいと。代表の取材だけにして、各社がみんなヘリコプターを持っておるわけですから、それが全部来た場合に、秋にアカトンボが飛んだようになって、これは自分たちでまた別の事故を起こしかねないことになるわけであります。  同じように、船であります。自衛隊の船、海上保安庁の船が、いざというときに備えて周辺で陣形を組んでおります。しかしそこを、これも不要不急などということは申しませんが、一般の船が走り回ります。そうすると、実際の対応がとれなくなる。したがいまして、関係者皆さんに御協力をお願いして、これだけの位置には急がない船は入ってこないでくださいということをお願いした、そういう状況になっております。  まだ避難状況が続いておるこういう状況でありますから、今お話しのことは私としても理解できないわけではありませんが、そのことをなすためには、できるだけ、今飛ばしておりますヘリコプターでいろいろなおうちの上などをずっと飛ばして、あ、自分のうち、御近所だといえば大体類推できるわけですから、そういうふうな意味での飛行をして、そこで取材してきたものを避難所で見ていただくというようなことはできますが、今、私の立場から、むしろ積極的にそういうことをするつもりはありません。しない方がいいと思います。  いっとき自分のうちをヘリコプターで見に行ってきたといったって、あれだけの数の人を順番にヘリコプターで見に行くというようなことになりますと、これまた別の問題が起こってくる可能性がありますので、せっかくのことでございますが、その御意見を生かして、その御意見におこたえできるように精いっぱいの努力をいたしておきたいと思っております。
  41. 吉川貴盛

    吉川分科員 時間もありませんので、次に一点だけ聞きたいと思っておりますが、この有珠山関係につきましては、長期化をするということがもうほぼ予測がつくわけでありまして、ストレスが非常にたまってくる状況にもなりますので、何らかの形で、自分の家が無事だということをきちっとお知らせできるような形をぜひとっていただきたいと思います。  私も、私の地元に自衛隊の駐屯地がありまして、そこから自衛隊のヘリが飛んでおります。その自衛隊は丘珠駐屯地といいますけれども、北部方面航空隊、一一師団、第七師団のヘリ隊が全部集まっているところでありまして、火砕流が出たら大変だということで、そういった作戦会議も開いておりますし、そこで、報道関係のヘリコプターが頻繁に飛んでくるので非常に危険である、無統制に近い状態で、何とか統制できないかというような話がありましたので、私も党を通じまして災害対策本部に内閣の危機管理室からそういった話をさせていただきました。それはもう大臣と同じ気持ちであります。  余り飛んでいきますと、同じ上空で事故があったりするとこれはまた大変なことになりますから、そういったことも御注意をされるのはもちろん当然のことでありますけれども、今申し上げましたように、何らかの形で、家が無事であるということをぜひお知らせできるような態勢をとっていただきたいと思います。——時間がありませんか。
  42. 岩永峯一

    岩永主査 ちょっと済みません。二階大臣が答弁したいということで。
  43. 吉川貴盛

    吉川分科員 そうですか。それでは、あわせて御答弁いただきたいと思うのですが、いよいよ二〇〇一年の一月六日から国土交通省に、北海道開発庁北海道局と一局になっていくわけでありまして、これから北海道の自主自立に向けて、今まではどちらかというとハード部門が開発行政は多かったわけでありますけれども、私は、二階長官が、仮称でありますけれども北海道活性化懇談会ですとか、さらに、観光を考える百人委員会ですとか、本当に北海道が自立できるようにということで大変な努力をされておりますことに敬意を表するわけであります。  私はいろいろな思いもありまするけれども、時間がありませんので申し上げませんが、北海道が自主自立をするために、これから北海道開発行政としてはどんなことをされていくのか、そのことをしっかりと見据えながら、これからの北海道開発庁皆さんが大いに頑張っていただきたいと思いますので、あわせて、お考えがありましたら御答弁いただきたいと思います。
  44. 二階俊博

    ○二階国務大臣 先ほどの御質問に対して手短に申し上げたいと思いますが、私も最初避難所にお伺いしましたときに、例えば、ガスを消し忘れておるのではないかというふうなことが気になってしようがない、あるいはまた、愛犬を忘れてきているが、このことも大変心配だ、中には、畜産、ホタテガイ、いろいろおっしゃいます。  私は、日本人というのはすばらしいなと思ったのは、そういう避難所で、みずからの命もどうなるかわからぬような危険を背中に背負いながら、なおそういうことに対して一生懸命お考えになっておる。私は、ホタテなどの場合には、もし万一のときには政府で補償するぐらいのことを考えてでも、今はホタテの養殖に出かけることは危険ではないかという感じもそれは持っておりましたが、今回、海上保安庁やあるいは自衛隊と相協力しまして、海から守りながら、一定の時間にホタテの養殖の手入れができるようなことをやっておりますが、ああいう避難所におられる方々も、そういうみずからの生業に対して、本当に愛着、愛情を持って対応しておる。金銭だけの問題ではないそういうお気持ちに対しまして、私どもは積極的にこたえていかなくてはならないとさえ思っております。  そこで、今ガスの話を申し上げたのでございますが、家が心配だと言われる方々に対しましては、今北海道警察が大変熱心に対応してくれておりまして、パトカーで、元気な足の速い人たちがいろいろな御用を承って対応するということにいたしておりますので、上からヘリコプターで見るのと同時に、そういうパトロール等も行っておりますので、何丁目何番地、どの辺は大丈夫だとか、どこは少し火山の石が飛んできておるところだとかという程度のことはわかるかと思います。  今は、避難所におられる人たちが寒くないように、食事が十分行き届くように、あるいは、体育館のようなところですから、マットあるいは畳が早く敷けるように、そんなことに追われておりましたが、それらのことが一応一段落つきまして、仮設住宅に向かっても対応いたしておりますので、今度は、将来に向かって、おうちがどうなのか、しかし、それを確かめてきても、いつ石が飛んでくるかわからないような状況にあるわけで、これは吉川委員もう御承知のとおりでございますが、それらの状況判断しながら対応していきたいと思っております。  なお、北海道開発庁はことしでちょうど終わりを告げるわけでありまして、将来は国土交通省の中での北海道局として発展をしていくわけでありますが、我々、将来の展望、道筋をしっかりこの残された期間につけておきたい、そういう思いで取り組んでおるところでございます。先ほどお話がありました北海道活性化懇談会等におきましても、このようなことを念頭に入れて対応していきたいと思っております。  なお、今度の十二年度予算におきましても、今までの公共事業だけではなくて、公共事業以外にも相当思い切った踏み込みをいたしましたことは、吉川委員を初め北海道選出の議員の皆さんの御支援のおかげでありますが、そういう方向を目指しておるということ、これを北海道に向かってのメッセージといたしたいと思います。
  45. 吉川貴盛

    吉川分科員 どうもありがとうございました。
  46. 岩永峯一

    岩永主査 これにて吉川貴盛君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管北海道開発庁北海道東北開発公庫質疑は終了いたしました。     —————————————
  47. 岩永峯一

    岩永主査 これより運輸省所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。二階運輸大臣
  48. 二階俊博

    ○二階国務大臣 平成年度運輸省所管一般会計及び特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計につきまして申し上げます。  第一に、運輸省主管の歳入でありますが、歳入予算額二百二十億八千四百七十万円に対し、収納済み歳入額は三百四億八千六百四十五万円余であり、差し引き八十四億百七十五万円余の増加となっております。  第二に、運輸省所管一般会計の歳出でありますが、歳出予算現額一兆五千二百六十一億六千三百五十万円余に対し、支出済み歳出額は一兆三千八百八十九億八千三百十五万円余でありまして、その差額一千三百七十一億八千三十五万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は七百九十六億八千八百六十六万円余であり、不用となりました額は五百七十四億九千百六十八万円余であります。  次に、特別会計につきまして申し上げます。  まず第一に、自動車損害賠償責任再保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は二兆七千三百九十億六千九百五十五万円余であり、支出済み歳出額は五千四百三十一億三千百九十八万円余でありまして、差し引き二兆一千九百五十九億三千七百五十七万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は六千三百八十億四十七万円余であり、支出済み歳出額は六千七十五億一千七百三十四万円余でありまして、差し引き三百四億八千三百十二万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済み歳入額は六百十八億六千六百八十一万円余であり、支出済み歳出額は四百四十三億七千六百三十一万円余でありまして、差し引き百七十四億九千五十万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済み歳入額は六千二十一億三千二百八十七万円余であり、支出済み歳出額は五千三百一億七千二百五十一万円余でありまして、差し引き七百十九億六千三十五万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  以上が、平成年度運輸省所管一般会計及び特別会計の決算概要でありまして、このうち主要な事項につきましては、お手元に配付しました平成年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。  続いて、平成年度運輸省所管一般会計及び特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計につきまして申し上げます。  第一に、運輸省主管の歳入でありますが、歳入予算額三十三億五千六百九十九万円余に対し、収納済み歳入額は四十三億六千二百三万円余であり、差し引き十億五百三万円余の増加となっております。  第二に、運輸省所管一般会計の歳出でありますが、歳出予算現額一兆一千三百億八千百四十万円余に対し、支出済み歳出額は一兆四百六十五億七千二百三十二万円余でありまして、その差額八百三十五億九百八万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は七百五十五億八千七百八十三万円余であり、不用となりました額は七十九億二千百二十五万円余であります。  次に、特別会計につきまして申し上げます。  まず第一に、自動車損害賠償責任再保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は二兆八千三百四十一億七千七百三十一万円余であり、支出済み歳出額は五千四百三十七億五千八百七十三万円余でありまして、差し引き二兆二千九百四億一千八百五十七万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は五千四百四十六億五千八百五万円余であり、支出済み歳出額は五千二百七十五億九千八百八万円余でありまして、差し引き百七十億五千九百九十七万円余の剰余を生じ、その剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済み歳入額は六百五十八億七千九百二十一万円余であり、支出済み歳出額は四百六十五億五千百十万円余でありまして、差し引き百九十三億二千八百十万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済み歳入額は五千九十五億九千四百七万円余であり、支出済み歳出額は四千三百二十一億三千二百五十二万円余でありまして、差し引き七百七十四億六千百五十四万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度の歳入に繰り入れました。  以上が、平成年度運輸省所管一般会計及び特別会計の決算概要でありまして、このうち主要な事項につきましては、お手元に配付いたしました平成年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。  以上です。
  49. 岩永峯一

    岩永主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院白石第三局長
  50. 白石博之

    白石会計検査院当局者 平成年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  まず、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。  これは、住宅騒音防止対策事業において設置する冷暖房機器に関するものであります。  運輸省では、空港周辺の住宅騒音防止対策事業において設置する冷暖房機器について、屋外機の騒音値等を標準仕様書で定め、この基準に適合する機種を運輸省規格品として補助の対象としております。  近年、品質、性能等の向上が著しい市販機のうち、その主流となっているインバーター方式の冷暖房機器は、日本工業規格に適合したものであることから、品質、性能は保証されており、運輸省規格品と比べて塗装の仕様が異なるほかはその性能において遜色なく、価格も低廉なものとなっており、また、消費電力も節約できるものとなっておりまして、市販機を補助の対象に加えても問題はなく、住宅所有者等にとっても有利な面があるのに、住宅所有者等による選択の範囲を限定している事態は適切を欠いていると認められました。  したがいまして、市販機の性能調査や市場の実態調査を実施するなどして、市販機を補助の対象に加え、補助事業の内容の充実を図ることとするよう是正改善の処置を要求いたしたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、桟橋等の築造工事に使用する鋼管ぐいの材質に関するものであります。  第三港湾建設局及び兵庫県ほか四港湾管理者等が港湾整備事業等により実施した桟橋等の築造工事に使用する鋼管ぐいの設計におきまして、くいの上部及び下部の材質を、くいに作用する力の大きさに合わせてそれぞれ選定したとすれば、鋼管ぐいの材料費を節減できたと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、運輸省では、九年十一月に、桟橋等の築造工事に使用する鋼管ぐいの材質の選定に当たっては、くいの上部及び下部に作用する力の大きさに合わせたものをそれぞれ選定し、より経済的な設計を行うようその取り扱いを明確にし、港湾建設局及び港湾管理者等を指導することとする処置を講じたものであります。  以上をもって概要説明を終わります。  平成年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項四件であります。  その一は、補助事業に係る岸壁等の築造工事における吸い出し防止材の選定に関するものであります。  青森県ほか七事業主体が港湾整備事業等により実施した岸壁等の築造工事に使用する吸い出し防止材の選定におきまして、所要の仕様を満たした上で、より安価なものを選定して設計したとすれば、吸い出し防止材の材料費を節減できたと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、運輸省では、十年十月に、岸壁等の築造工事に使用する吸い出し防止材について、より経済的なものを選定するようその仕様を明確にし、事業主体を指導することとする処置を講じたものであります。  その二及びその三は、電気需給契約における季節別時間帯別電力の適用に関するものであります。  海上保安庁及び気象庁では、二十四時間運用しているレーダー装置、無線装置、コンピューター等の機器に必要な電気の供給を受けるため、各官署の需要に応じてそれぞれ業務用電力等で電気需給契約を締結しておりました。しかし、電気事業法の改正を受けて、電力会社では、この業務用電力等のほかに、昼間の電力量料金単価に比べ、夜間の電力量料金単価が大幅に安く設定されている季節別時間帯別電力の制度を設定しており、海上保安庁の横浜海上保安部ほか六官署及び気象庁の本庁ほか一官署を対象として検査したところ、季節別時間帯別電力の適用を受けた方が業務用電力等の場合より経済的となると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、海上保安庁及び気象庁では、電気料金の節減を図るため季節別時間帯別電力契約の適用を受けることとするなどの処置を講じたものであります。  その四は、高速専用回線の契約における長期継続利用割引制度の活用に関するものであります。  気象庁では、コンピューターネットワークによる気象通信網に日本電信電話株式会社の高速専用回線を利用しております。この高速専用回線の契約には、長期継続割引の制度が設けられておりますが、この契約について検査いたしましたところ、長期継続割引の適用を受けることができたと認められる回線が見受けられましたので、当局の見解をただしましたところ、気象庁では、割引の適用を受けることとするなどの処置を講じたものであります。  なお、以上のほか、平成年度決算検査報告に掲記いたしましたように、住宅騒音防止対策事業において設置する冷暖房機器について処置を要求いたしましたが、これに対する運輸省の処置状況についても掲記いたしました。  以上をもって概要説明を終わります。
  51. 岩永峯一

    岩永主査 ただいまの会計検査院指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。二階運輸大臣
  52. 二階俊博

    ○二階国務大臣 平成年度決算における会計検査院の御指摘に対し、運輸省のとった措置について御説明申し上げます。  予算の執行に当たりましては、常に効率的かつ適正な処理に努力してまいりましたが、一部の事業について御指摘を受けるような事態が生じましたことは、まことに遺憾であります。  改善処置要求事項として御指摘を受けました住宅騒音防止対策事業において設置する冷暖房機器の補助対象機種に騒音性能等の基準を満たす市販機を加えるよう是正改善の処置を要求されたものにつきましては、平成十年十一月に、市販機を冷暖房機器の補助対象機種とすることに決定し、空港周辺整備機構等の補助事業者に対して通知を発し、平成十一年度の事業から適用する処置を講じたところであります。  このほか、処置済み事項につきましては一件ございますが、既に適正な改善処置を講じたところであります。  このような御指摘を受けたことはまことに残念であります。今後は、このような御指摘を受けることのないよう指導を徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいりたいと考えております。  平成年度決算における会計検査院の御指摘に対し、運輸省のとった措置について御説明申し上げます。  予算の執行に当たりましては、常に効率的かつ適正な処理に努力してまいりましたが、一部の事業について御指摘を受けるような事態が生じましたことは、これまたまことに遺憾のきわみであります。  処置済み事項として御指摘を受けました岸壁等の築造工事に使用する吸い出し防止材につきましては、より経済的なものを選定するようその仕様を明確にし、事業主体を指導する処置を講じたところであります。  このほか、三件の事項につきましても、既に適正な改善処置を講じたところであります。  今後は、このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存であります。  以上です。
  53. 岩永峯一

    岩永主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 岩永峯一

    岩永主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  55. 岩永峯一

    岩永主査 以上をもちまして運輸省所管説明は終わりました。     —————————————
  56. 岩永峯一

    岩永主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桝屋敬悟君。
  57. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 公明党・改革クラブの桝屋敬悟でございます。  私は、本日の決算行政監視委員会分科会におきまして、運輸省所管、特にJRの問題について、すぐれて地元の問題ということになりますが、議論をさせていただきたいと思います。  私の地元でございます山口県岩国市の事例でございまして、JR岩国駅の東口、これは裏口でございますけれども、この裏口につきましては、JRの民営化以来、恐らく三月までだろうと思いますが、結果的に岩国市が補助金を出しまして、この補助金を活用しまして改札業務を行っていた。朝六時から夜の二十一時まで改札業務が行われてきたというふうに私は理解をしております。  ところが、この補助金についてでありますけれども、この補助金は市からJRに対して直接交付されたものではありませんで、市から地元の商工連盟に補助金が流されまして、それから地元の商工連盟がJRの子会社に業務委託をするという形で流れていたものでございます。残念ながら、残念ながらといいますか、何と申し上げていいかわからぬのでありますが、この事実がマスコミによって明らかになりまして、いわゆる地方財政再建促進特別措置法に照らして適切でない補助金だということになったわけであります。  その後、明らかになって以降、国あるいは県の指導も行われまして、本年度から恐らくこの補助金はとまっているのではないか、改善をされたのではないかというふうに私は思っておりますが、結果的に、JR西日本としては、金の切れ目が縁の切れ目といいますか、改札業務を縮小せざるを得ないという話を伺っております。  直近の状況を私は伺っておらぬのでありますけれども、いずれにしても、以前の、民営化される前の形、朝六時から九時までの朝のラッシュの時間、それから十六時から十九時まで、こうした時間に限って今改札業務が行われているというふうになっているのではないかと思いますけれども、以上の事実を運輸省として承知されているかどうか。この事実確認と、それから運輸省のお考えをちょっと最初にお伺いしたいと思います。
  58. 安富正文

    ○安富政府参考人 先生御指摘の岩国駅東口の改札業務時間の問題でございますが、従来、岩国駅の東口改札口については、六時から二十一時までの十五時間、先ほど先生がおっしゃいましたような事情で開いておりました。ところが、本年四月一日より、改札時間を六時から九時、それから夕方につきましては十六時から十九時ということで、計六時間に縮小したというふうに承知しております。  これは国鉄時代以来、従来、国鉄時代にも同様に改札時間は朝夕のラッシュ時のみとしていたところでございますが、地元の強い要望、それからその経費負担という措置によって改札時間を特に延長していたものでございます。ただ、先ほどの先生御指摘のような事情で地元の経費負担が受けられなくなったということで、改札時間を縮小しまして、いわば国鉄時代に戻したというふうに聞いております。これは四月一日からそういうことになっております。  JR西日本としては、これにつきましては、多少遠回りになるわけでございますが、東西の連絡地下通路がございますので、そこを通じていわゆる西口の方に行くことができる。  それからもう一つは、朝夕のラッシュ時の利用が東口改札口の全体の利用の約七割ということで、ラッシュ時以外の利用客数よりもかなり多いということで、その時間帯だけ改札業務を行うということで御理解をいただきたいというふうに言っているということを聞いております。
  59. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 ありがとうございます。  先ほど、私は残念ながらというふうな表現も使ったわけでありますけれども、まことに悩ましい状況であります。  市が不適切な補助金を迂回して結果的にはJRに提供した。これは、その事実よりも大事なことはその背景でありまして、必要だから、市民の強いニーズといいますか住民の強いニーズ、あるいは町づくりという観点から市は必要だというふうに恐らく、不適切な結果ではありましたけれども、私は大事なニーズがあったのではないか。それが、改善というふうに言っていいのかどうかでありますけれども、結果的にこの四月からもとの形に戻ったということは、私はある意味ではまことに残念だなというふうに思っているところでございます。  そういう意味では、今回議論になりました、あるいはマスコミにも出た地方財政再建促進特別措置法、第二十四条の二項だそうでございますが、かなり古い法律でありまして、まずは、この法律の考え方、今回明らかになって不適切だという判断になったのでありましょうが、そもそもの地方財政再建促進特別措置法二十四条二項の考え方、趣旨等について、きょう自治省においでいただいておりますから、御説明を簡単にいただきたいと思います。     〔主査退席矢上主査代理着席
  60. 嶋津昭

    ○嶋津政府参考人 お答えいたします。  今委員指摘の再建法の二十四条第二項は、国と地方との間の財政秩序、そういうルールを定めた規定でございまして、一般的に国とか公団というのは強い立場、優越的な立場にあるものですから、そういう立場を背景としまして、本来、国、公団等が負担すべき経費を地方団体に転嫁をする、あるいは地方団体の方から言い出したということにいたしましても、そういうことを放置しておくと国、地方の財政負担のルールがいわばゆがんでくる、そういうことを防止する趣旨で設けられたものでございます。  ただ、このもともとの法律は、再建法は非常に古い規定でございますけれども、JRにつきましては、六十一年の国鉄改革の議論におきまして、国、公団等の対象から除外されたわけでございますが、そのときに、衆議院、参議院の国鉄改革特別委員会の附帯決議におきまして、JRになってもその趣旨はそれ以降も保つべきだという決議が行われておるわけでございます。その決議に従いまして、私ども、地方団体に対して指導しているということでございます。
  61. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 趣旨はわかりました。公団等強い立場から、本来自分たちが負担しなきゃいかぬものを地方に転嫁する、そうしたことを防止するという規定のようであります。ただこれは、ぎりぎり詰めていくとどうなるのかなということも、今御説明でもあったように、感じるわけでありますけれども。  これは、地方自治体に対して出してはいかぬよという規定でありますから、今回のこの岩国駅の事例は、どちらが悪かったかというと、この法律の趣旨に反した自治体である岩国市の当局、この判断が間違っていたということになるのかもしれませんけれども、大体この趣旨というのは、当然JR側もよく理解をされているはずでありまして、この辺は運輸大臣にもぜひ聞いていただきたいのです。  こういう場合は、出した方も悪いけれどももらった方も悪いのでありまして、明らかになった以上、そしてこの四月から変わったということになりますと、何でそうなったのかということをどうしても議論しなきゃならぬわけでありまして、私は、確かに岩国市のこの補助金というのは不適切なものであったということは、今の説明で理解できるわけでありますが。  同じく、地元のマスコミの報道等によりますと、JR西日本は、いや、そういう事実は知らなかったというようにもマスコミではおっしゃっていたような記事も見たわけでありますけれども、知らぬわけはないわけでありまして、当然ながら十分お互いにそのことは理解をされて今日まで来たのではないか。そういう意味で私は残念な結果になったというふうに申し上げているわけでありまして、どっちが悪いといえば、どっちも悪いというふうに私は思っております。  そこで、もう一点伺いたいのですが、JRの民営化以降、JRが民営化になればどうしても採算性ということを重要視せざるを得ない、そういうことが重視され、不採算部門の縮小あるいはサービスの切り捨てという事態が出てきている、そうした状況があるわけでありまして、地元の岩国市議会からも私は陳情をいただいているわけでありますけれども、今の、地方財政再建促進特別措置法の考え方はもう変えてもらいたいという要望もいただいております。  特に、駅の窓口業務でありますとかあるいはローカル線の列車、それからバス路線、きょうは時間がありませんから具体的なことはやりませんけれども、さまざまな住民サービスという観点からも、各自治体が政策的に判断をして、これは妥当ではないかと思われる事業へ補助金を出すということは地方自治体の判断にゆだねてもらいたいという声もあるわけでありまして、そうしたことは結構私はあるのではないかと思うのですね。  こうした地元の市議会の皆さん方の声ということについては、自治省としてどういうふうにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
  62. 嶋津昭

    ○嶋津政府参考人 お答えいたします。  今委員の御指摘されましたように、JRと地方団体との関係では、いろいろ地域のために大変貢献していただいているわけでございますので、地元とJRとの間でも、いろいろ協議に基づきまして、地方としてこういうことをしていただきたいというような意見を地元からも言っているわけでございます。  特に、駅舎の橋上化とかあるいは新駅の設置とか、そういうものについてはそれぞれルールをつくっておりまして、政令で、一定のルールで地方団体がお金を出すことも協議をいたしまして、ルールを決めているわけでございますから、できれば、そのルールをJR各社におかれましても御存じなわけでございますので、そういうルールに基づいてやっていただきたいと思います。  また、そういういわゆる改札業務等の本来の鉄道の運営業務について地方団体がお金を出すべきなのかどうかというのは、道路公団のゲートの話とかいろいろ関連する話もございますので、私どもとしては慎重に考えなくてはいけないと思いますが、しかし、そうはいっても、今後の地元とそれぞれのJR等との関係におきまして、改善する事項があれば、それは私ども地方団体の意見もお聞きして改善をしてまいりたい、今後検討してまいりたいと考えております。
  63. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 ありがとうございます。  今の御説明で、お話がありましたけれども、駅舎でありますとかそういうハード物については一定のルールを既に決めているのだと。当然この財政再建特別措置法の中でも、例外として自治大臣に協議をしてできるという道もあいているようでありますけれども、そうした場合に、まさに今おっしゃったようなルールというものはある程度できておるというふうに理解をしたのですが、例えば、今回のこの岩国市の事例のように、ハード物というよりもランニングコストといいますか、そうしたものについてまでルール化されているんですか、そこまでは行っていないんでしょう。ちょっとそこをもう一回。岩国のような事例はルールの中で明らかになるのかどうか。
  64. 嶋津昭

    ○嶋津政府参考人 今、ルールで決めておりますのは主としてハードな系統で、駅舎とかあるいはそれ以外にも輸送力の増強というようなこともございますが、主として輸送力なりあるいは駅舎等のハードなものでございまして、いわゆる料金を収受するという業務自体は本来の鉄道会社の業務だというふうに思いますので、そこのところまでというのはなかなか、その他の、先ほど申しましたように、公団における高速道路の料金徴収業務とかも含めまして慎重に考えるべきじゃないかというふうに考えております。
  65. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 今の御説明で、本来改札業務あたりはJRがおやりになってしかるべきではないか、こういうお話もありました。ただ、これはぎりぎり詰めていくとなかなか悩ましい話になりますからこれ以上余りここの場ではやりませんが、ただ私は、大きなハード物だけではなくて、こうしたソフトの部分についてもこれからはちょっと検討していただきたいなと。  というのは、今回の事例もそうでありますけれども、たまたま不幸にしてマスコミで取り上げられてこういう議論になったわけでありますけれども、実は、今までの形というのは地域住民に大変喜ばれていたわけであります。市も、それを必要だと感じてやっていたということがあるわけでありまして、さまざまにソフトの部分でもこれからJRと地元市町村とのやりとりというのは出てくるだろうと思うのですね。  この財政再建促進法の考え方だけ金科玉条のごとくどんと出していきますと、私はなかなかに難しい問題が出てくるのではないか。だからソフトの部分についても、私は、ぜひともさまざまな事例もよく見ていただいて研究をしていただきたいなと。そうでないと、これは二階大臣にもぜひ聞いていただきたいのですが、こういう事例で、現場で——JRは民間になったわけでありますから、採算性がやはり第一であります。そこはよく私も理解できるわけでありますけれども。  そして、地元の市町村がバリアフリー、この国会で議論されているあのバリアフリーもそうでありますけれども、バリアフリーの本体部分は一定のルールがあると思いますけれども、特に境界の部分でありますとか、きめ細かな対策を地元は希望するわけで、その要望を出すと、いやそれは、では幾ら持ってくるのかということになるわけです。私がJRの交渉担当窓口の職員であれば、いかに地元市から金を出させるかというふうに思うでしょうね、それで業務成績が問われるわけでありますから。  私は、ノンルールでいいとはやはり思いません。あるいは、明らかにそれはだめなんだということでは済まない、この法律だけでは済まない。そこは表に出さずに、自治大臣協議があるんだからそこで上手にやってくれということかもしれません。そういうきめ細かな対応をしながら徐々にルール化するという方向でも結構でございますが、ぜひそういう方向も、きょうせっかく嶋津財政局長に自治省からおいでいただきました、お願いをしておきたいと思います。  そこで、運輸大臣にぜひお願いなんでありますけれども、今も私何度も申し上げておりますように、民営化された以上、JRが採算性を重要視しなくてはならないということはよく理解ができます。よく理解はできますが、るる申し上げてきたような悩ましい問題があるわけでありますから。あわせて私は、公共交通機関としての住民サービスについても十分配慮してもらいたいな、そこはやはり適切なバランスがあってしかるべきだろうというふうに思います。  今回の事案も、何度となく地元の市長さんもあるいは市議会の皆さんもJR西日本に陳情に行かれたようでありますけれども、まことにそっけない対応であったということも聞いているわけであります。十分なバランスがあるというふうには私は理解ができないわけでありまして、私も陳情に行かなくてはいかぬなと思っておりますけれども。  今国会審議されているバリアフリーにしても、事例としては、なかなかJR側の理解と協力が十分でない、不十分だ、こういう声も聞くわけであります。簡単に切り捨てるというのではなくて、地元の市町村やあるいは住民ともよく話し合っていただいて、ぎりぎりの部分まで努力を行うべきだ、まさに採算性の部分住民サービスという部分でバランスをとっていただいて、ぎりぎりのところまで努力をしていただくという姿勢が求められるのではないかというように私は思います。  今回の問題も、地元はもとどおり十五時間やってくれというふうに言っているわけではなくして、もちろん通路もあるわけでありますから、何とかあと一時間でも二時間でも終業時間を延ばしてもらいたい、夜の七時では甚だ早い、九時ぐらいまでぜひお願いできないか、一時間でも二時間でもという思いであります。  あるいは、また加えて、市長さんも、この国会で議論されておりますバリアフリー、そうしたことも大きくとらえていきたい、町づくりということも改めてこの際に検討したい、こういう長期的なお考えもあるようであります。そういう観点からいきますと、ぜひとももう少し温かい思いで対応していただけないかな、こんなふうに思っている次第であります。  運輸大臣におかれましては、ぜひとも鉄道利用者あるいは地区住民の心情をお酌み取りいただきまして、JR西日本に対して、地元市町村や地区住民との協議を十分行い、可能な限りの努力を行っていただくようにぜひとも行政指導していただきたい、御指導賜りたい、このように思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
  66. 二階俊博

    ○二階国務大臣 先ほど来、鉄道局長及び嶋津財政局長に対しまして御質問をなさっております桝屋委員お話を伺っておりまして、桝屋委員はかねてより私も大変懇意にさせていただいておりますが、山口県の県庁の職員当時から大変御熱心に福祉問題等で先頭に立って立ち働かれたというのは今でも語りぐさになっているようなことでございまして、今のお話を伺いながら、少しでも住民皆さんの利便にという熱意のほどを十分承りました。  委員も再々お述べになりましたように、JR、完全民営化に向かっての今努力をしている最中でございまして、その点につきましては十分御理解の上でのお話でございますが、運輸省としましては、JRを含めすべての鉄道事業者が利用者の利便の向上に努めるということは重要なことだというふうに認識をいたしております。  基本的には、利用者の利用の状況や経営の効率化なども当然考慮しながら、地元市町村や地区の住民皆さんの意向にも配慮しながら鉄道事業者がみずから決定すべきものではありますが、地域住民皆さんの御意向等を十分踏まえて対応されることを望むものであります。  御指摘の、事業の運営等に係る地元との協議につきましては、桝屋委員からもお話のありましたように、現在国会で御審議をいただいておりますバリアフリー法案においても、地方自治体と鉄道事業者の協力が極めて重要な位置づけを法案の中でいたしております。まさに地方分権の幕あけの時代にこのような法案を提出させていただきましたことは、地方自治ということに対して十分ウエートを置いて考えてまいりました結果であります。  運輸省としましても、事業の運営については、地元とも十分話し合いを行うようJR西日本に対しまして指導してまいりたいと思いますので、桝屋委員におかれましても、どうぞ今後ともよろしく御協力をお願い申し上げたいと思います。
  67. 桝屋敬悟

    桝屋分科員 私の思いを十分お酌み取りいただきまして、感謝申し上げたいと思います。私自身もしっかりと、地元のJRの皆さんともよく、私もお願いに上がりたいというふうに思っております。  さっきも言いましたように、本当に残念なことでありまして、余り言ってはいけないのかもしれませんけれども、大変残念な結果になっているなというふうに思っております。この上は、次の新しいビジョンを町づくりという観点で目指しながら、私も地元の市長さんと知恵を出していきたい、こんなふうに思っております。  最後になりますけれども、私以前、今も御紹介いただきましたけれども、地方自治体で障害者福祉都市という、それこそバリアフリーのスタート時代、昭和六十年前後でありますけれども努力をさせていただいて、バリアフリー、人に優しい町づくりというのはまことに難しい作業であったわけであります。そのころ、多くの人にあの点字ブロックとかエレベーターの必要とかというのを随分訴えて回ったわけでありますが、なかなか理解をいただけなかった。そういう時代からしますと、今回のバリアフリーというあの法律の枠組み、私は、まさに新しい段階を迎えたな、こういうふうに思っております。  そういう新しい中で、やはり現場においては、きょう申し上げたような、運営を進める上に当たってはさまざまな問題が出てくるということもまた私自身も感じますし、大臣におかれてもまたきめ細かな御指導を賜りたい、こんなふうにお願いをしまして、質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  68. 矢上雅義

    矢上主査代理 これにて桝屋敬悟君の質疑は終了いたしました。  次に、金田誠一君。
  69. 金田誠一

    金田(誠)分科員 民主党の金田誠一でございます。きょうは、有珠山噴火災害関係につきまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、大臣並びに政務次官には、この噴火災害対策で特段の御尽力をいただいておりまして、厚く感謝を申し上げる次第でございます。まことにありがとうございます。  本件につきまして、ゆうべ、事務方の皆様といろいろ打ち合わせをさせていただきました。その打ち合わせと多少順序が変わったり、多少追加の項目等があったりということで、その辺ちょっと申しわけないと思うわけでございますけれども、お許しをいただきたいと思うわけでございます。  まず第一点目でございますが、きょう、今し方、ここに来る前に北海道庁の皆様がこちらにお見えになりまして、緊急要望書というものをちょうだいいたしまして、以前からいただいておりましたのですが、改めて内容についての説明をいただいた次第でございます。運輸省にももちろん事前に渡っていることと思うわけでございますが、改めて要望をいただいたものですから、その中の運輸省関連についてちょっと触れさせていただきたいと思います。項目はそう多くはございません。  読み上げますと、観光関連事業者に対する支援制度の創設ということで、これは、中小企業に対しては今までもさまざまな制度資金があるわけでございますけれども、特に今回被害を受けた洞爺湖温泉の関係はかなり大規模なホテル等が多いわけでございまして、中小企業というこの支援制度の枠組みでは対応できないのではないか。そういう観点から、その枠に乗らないような規模企業であっても、もう被害は甚大でございまして、もう全く閉鎖状態の中で、運輸省におかれては観光産業の所管というお立場から、こうした業者に対する支援制度の創設という項目が一つございました。  もう一つは、観光基盤整備に対する補助制度の創設、これも新たなことでございます。  さらに、被災地のイメージアップのための観光振興策に対する支援、これは、観光地、これから被害が落ちついたとしても、回復するまでに相当の努力と時間を要するという観点からでございます。  そしてもう一点、室蘭本線の早期復旧、代替ルートの早期整備など、札幌と函館—本州間の旅客、貨物の輸送力の確保、この四項目だけがこの緊急要望書の中での運輸省関連ということでございました。  事前にこの辺の説明をしながら、御検討をいただいて答弁いただければよかったと思うわけでございますけれども、きょうは総括的に、御努力していただきたいということを申し上げながら、御決意のほどを伺えればありがたいなと思うわけでございます。
  70. 二階俊博

    ○二階国務大臣 有珠山噴火発生以来、金田委員におかれましても、また民主党の方からも御要望等をちょうだいいたしておりますが、関係者皆さんの大変な御努力に対しまして、私の立場から改めて御礼を申し上げたいと思います。  ただいま観光問題につきましていろいろ御指摘もございました。私は、この有珠山周辺観光のメッカの一つでもございますので、それだけに、今度の被害を受けたということに対しまして心を痛めておるわけでございます。  同時にまた、風評被害といいますか、北海道全域にこの問題が及びつつありまして、早く、この誤解に基づいた、そうした観光関係皆さん北海道旅行を取りやめるというようなことのないようにしていかなくてはならないと思いまして、一昨日、関係者にお集まりをいただきました。  それは、北海道観光についての対策ということで、航空会社の皆さんやJRの皆さん、私鉄の関係、それから旅行業者関係皆さん等に一堂にお集まりをいただきまして、北に向かって旅をしよう、お互いに阪神・淡路地震のときに抱いた、あのときと同じような気持ちを持って災害地の復興に、まさに元気を出せ北海道、そういう意気込みで対応しようではないかということで関係者の意見が一致しまして、これから積極的な対応を図っていくところであります。  例えば、コンベンションなども観光地にとりましては大変重要な意味合いを持っておりますので、それらのコンベンションを主催する皆様に対しまして、北海道での会合を開いていただくことをお願いしようといたしておるところであります。  また、私も、けさほど観光部長を初め関係の責任者に命じたところでありますが、旅館、ホテルその他観光関係の事業者の皆さんはそれぞれお得意先というものを持っておるわけであります。ですからそのお得意先に、今の有珠山周辺の現状等についてちゃんとした情報をお知らせすると同時に、また安全な箇所、安全な地帯というものがはっきりしておるわけですから、北海道に向かってどうぞひとつお越しくださいと。そして、この火山噴火が一段落しますと私たちは直ちに開業し、またお客様をお迎えしたい、そういう状況を整えつつあるのだということをやはり全国にお知らせしないと、知らない人たちから見ると、まるで全員避難してしまって、もうホテルや観光地は全く閉鎖されておるのではないかというふうに思われがちでございますから、それらに対して積極的な対応をしようと。  避難をしている観光関連事業者に何かの協力を求めて一緒にやろうと言っても無理でありますから、今はそうしたことを、北海道庁及び私ども北海道開発庁等が協力できれば、だれがどのポジションだ、どの役所が何を担当するのだというようなことは平常時のことでありまして、今は非常事態が発生しておるわけでありますから、これらに対して北海道開発庁でもやれることは何でもしようということでありますので、そうしたキャンペーンなどもこれから対応していきたいと思っております。  なお、鉄道の問題につきまして、これは極めて重要な問題でありますので、先般、私、北海道に参りました際に、JR北海道の社長とJR貨物の社長を現地に招きまして状況報告を受けました。今、現状では七割程度の物流を確保することができるようになっておる、しかし、これを少しでも回復に向けて努力をしたいという意見といいますか考え方が私に述べられました。  私は、JR北海道にしましてもあるいはJR貨物にしましても、経営の内容ということは、委員も御承知のとおり、そう豊かで、あり余っておるという状況ではないわけでありますから、この状況の中においても両社の社長が、まことにみずからの責任の重大さを痛感して、そうした経営上のことを乗り越えて対応しようとしておる姿に私は改めて感謝と敬意を申し上げました。  しかし、感謝と敬意を申し上げるだけではどうにもなりませんので、直ちに運輸省におきまして支援措置を検討させまして、先般、JR貨物から具体的な対応について御相談がありましたので、直ちに政府として助成をするということを決定した次第であります。これによって、約八割の物流は、平常時に比べてでございますが、確保できる状況に立ち至ったというふうに判断をいたしております。
  71. 金田誠一

    金田(誠)分科員 ただいま大臣の方からは大変力強い御決意の表明をいただきました。特に、非常時であるから、やれることは何でも、省庁の枠にとらわれずと、まことにそのとおりだと思うわけでございまして、感謝を申し上げる次第でございます。  なおまた、ただいま申し上げました北海道からの要請項目、例えば相当規模のホテル、中小企業の範疇に入らない規模のホテルなどに対する支援措置、支援制度の創設、難しい面もあろうかと思いますけれども、まさに非常時でございますから、ぜひひとつ受けとめていただいて鋭意御検討いただきたい、重ねて御要請を申し上げておきたいと思うわけでございます。  それでは次に、具体的な質問に入らせていただきたいと思います。観光についてでございます。大臣から概略触れられたわけでございますけれども、もう少し立ち入ってお聞かせをいただきたいと思います。  北海道は、御承知のように、冬期間は非常に厳しい、もうしのぐ期間だったわけでございますが、雪が解けてこれから大きく期待をしていたやさきでございます。そうでなくてもこの経済状況、雇用状況、全国的に見ても北海道は最も厳しい地域の一つでございまして、そのさなかの今回の災害でございます。有珠山周辺はもとよりでございますけれども、全道的な広がりが今見えつつあるわけで、大変懸念をしているわけでございます。例えば、私の地元は函館でございますけれども、ゴールデンウイークでもホテルのキャンセルが相次いで入ってくるという状態でございます。  本州の方々にしてみると、北海道への距離感、北海道というと全域噴火影響があるのではないかというふうに思われるのかなというような気もいたしますし、あるいは、定番のツアーコースといいますか、函館から入って洞爺を回って登別に入って札幌、千歳から戻る、これが一つの定番コースですし、洞爺湖温泉は年間六百万の入り込みと言われているわけでございまして、そこが一カ所遮断されることによる影響等々を非常に憂慮されるわけでございます。  ちなみに、私どもの地元に五稜郭という史跡がございまして、その隣に五稜郭タワーというタワーがあって、上からこの星形の史跡を見ることができる。観光客にも大変好評なんですが、四月一日から十二日までの間の利用者は、ちょうど噴火が始まったころでございますけれども、この間の前年同期の比率は四二・九%の減、半分近くになってしまったということで、本当に影響は深刻でございます。  こういう中で、今大臣に対策について言及していただいて大変心強いわけでございますけれども、いま一つ、事務方としても、具体的にこの事態をどう認識し、どう対応されようとしているのか、お聞かせをいただければと思います。  特に、実際のキャンセルの数など、それぞれの自治体ごとには相当調査をされているようでございます。それを集計して一定の全道的な傾向をつかむというようなことができれば、対策の方ももう少しきめ細かくできるのではないか。一般的なお願い、呼びかけ、協力要請ということももちろんでございますが、その裏づけとなる数字などもあればさらに具体的な対策もとれるのではないかな、このように考えるものですから、その辺のところも含めて、ぜひひとつお答えいただければありがたいと思うわけでございます。
  72. 藤野公孝

    ○藤野政府参考人 今先生御指摘のように、いろいろキャンセル状況等につきましても我々の方も把握してございますが、ただ、そういう実態把握だけではなくて、先ほど大臣からも御答弁いたしましたように、旅行業者関係者が集まりまして、昨日でございますけれども、四つの項目につきまして当面の対応方針を決定しております。  その中で、修学旅行等ももちろん含んでおりますけれども、一般の主催旅行等も積極的に、安全をベースにした今後のツアーの設定等につきましても申し合わせております。それからキャンペーンも積極的に張っていこう。それから、先ほど大臣が申されたようないろいろな、個別の業者の顧客に対する個別の対応、総合的にありとあらゆる観点で施策を講じていきたいということで、運輸省といたしましても、関係業界あるいは道庁、地元と連携しながら、抽象論ではなくて個別の手を今後また打ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  73. 金田誠一

    金田(誠)分科員 ありがとうございます。これから観光シーズンにかけて深刻な事態が想定をされるものですから、ぜひひとつよろしくお願いをしたいと思います。  次に、鉄道関係につきまして具体的にお聞かせをいただきたいと思います。  けさほどの道庁からの話では、きょうあたりで復旧が終了して、三キロ弱の通行どめの区間、これを日中だけでも通せないかということで関係方面に働きかけをしているところだと。さらにまた、函館本線回りの輸送力の増強、すれ違い区間の整備など、運輸省にも特段の御協力をいただいているという報告どもあったわけでございます。  私、考え方としては、レールというのは本来、道路と同じ公共財と見るべきではないのか。上を走るのが列車か自動車かの違いだろうと思うわけでございます。また、イコールフッティングという考えからしても、道路、鉄道、それぞれ路盤を自前でつくるのと国でつくった上を走るのとでは競争条件も当然違ってくる、これは不合理ではないかと常々思っておりました。  そんな基本的な考え方に立って、ましてや災害復旧という観点からすれば、いかにJRが私企業化されたとしても、そういう路盤自体は公共財という、将来そういう方向を目指すとすれば、災害復旧などから、公費の投入、公的支援といいますか、それが拡充されてきてしかるべきではないかな、こういうふうに考えていたところでございます。  そんな観点からしても、今回輸送力増強分についての支援がいただけると非常にありがたいわけでございますけれども、鉄道関係の今後の見通し、支援策等についてお聞かせいただきたいと思います。
  74. 安富正文

    ○安富政府参考人 まず、先生の方から御指摘ありました、それから先ほど大臣の方からもお話がございました、JR北海道の函館本線の行き違い設備の関連でございます。  これは、先ほど大臣の方からもありましたように、JR北海道それから貨物の両社長に対しまして、輸送力の増強ということで、代替の増強を強く指示したところでございますが、それを受けまして、目名駅の行き違い設備の整備によりまして、旅客四往復それから貨物一往復増強ということになります。  これにつきまして、我々としても最大限支援をしたいということで、現在、鉄軌道近代化設備等整備費補助制度を活用しまして、これに対して、国、地方合わせまして四割の補助を実施したいというように考えているところでございます。こういう形で、今回輸送力の増強、さらにいろいろな手がないかということで、これから我々としても検討していきたいというふうに考えております。  さらに、災害復旧関係でございますが、先ほど先生からもお話ありましたように、ほぼ十九日じゅうぐらいに復旧を終わりまして、あとはどうやってこれを再開するかということで、現地対策本部ともJR北海道はいろいろ協議しているようでございます。  我々としても、まず室蘭本線の線路を回復してこの機能を十分発揮するようにすることが大事だと思っていますので、その点、なるべく早い運行再開、もちろん安全の確保ということが重要でございますので、そこら辺、安全の確保と輸送の確保ということで、現在JR北海道対策本部の方でいろいろ協議中と聞いておりますので、その結果を待ってやっていきたいと思います。  それから、災害復旧につきましては、今後どういう形で費用等がかかったか、現在、災害復旧の制度がございますけれども、幾つかの要件がございます。そこら辺の要件に該当するかどうか、これからJR北海道とも十分調整していきたいというふうに考えております。
  75. 金田誠一

    金田(誠)分科員 JR三島どこも厳しいわけでございますけれども、特に経営安定基金がこの低金利状況の中で経営を大きく圧迫しているわけでございます。その中での災害ということで非常に厳しい状況に陥っているわけでございます。  今まで一定の基準のもとに復旧についての支援がされたわけでございますけれども、こうした状況の中で、本当に今までの基準そのままでいいのか、各方面それぞれさらに金利を下げる等々、さまざまな支援策に取り組んでおられるようでございますから、そうした中の一環として、鉄道に対する支援策についても、旧来の枠組みそのものの検討も含めて、ぜひひとつ御努力を賜りたいとお願いを申し上げる次第でございます。  最後でございますけれども、仮設住宅の関係でございます。  私ども民主党として先般要望書を提出させていただいたわけでございますが、仮設住宅については、従来方式にこだわることなく、ペンションとかホテルとかの施設を借り上げて、そこに仮設住宅並みの資金を投入したっていいではないか、ぜひこれを実現していただきたいという趣旨なのでございます。  これは、運輸省所管観光行政という観点からして、あそこにお客さんが戻って通常の形になるのは、これはもうかなり厳しい状況、日数も要する。その間それではどうやって営業をしていくのか。現実には、しかしそこに住んでいて安全という施設は幾つも恐らく出るはずだ。観光産業に対する支援という観点も含めれば、その旅館、ホテル、ペンションを仮設住宅として活用できれば一石二鳥ではないか。大臣も、非常時だ、やれることは何でもとおっしゃっていただいているわけでございますし、それは各省庁そういう観点から取り組んでいただきたいというふうに思うわけでございます。  となりますと、仮設住宅のあり方についても、北海道は特に寒いですから、プレハブで冬を越すというのは大変ですから、寒冷地仕様といってもそうそういいものではないと思いますから、それに比べれば、こういう既存の観光施設を使って対応できれば、地域の振興、観光業者の方にもプラスになるし、実際に仮設に入る方にも居住性その他でプラスになる。そんな格好でぜひ考えられないか、再三お願いしているわけでございますが、ぜひ前向きな御答弁をいただければと思います。     〔矢上主査代理退席、主査着席〕
  76. 宇野裕

    ○宇野政府参考人 まず、私の方からは、現在の考え方を御説明させていただきます。  先生御指摘のように、被災者の援助につきましては、地域の資源をできるだけ活用する、それで安全かつ環境のよい生活を可能とすることが望ましいという方針で臨んでおります。  こうした観点から、避難所につきましては、一般的には、公民館や体育館などに避難をしていただくわけで、そこで食品を提供したり情報を提供したりしております。しかしながら、体が不自由であったり、体調を崩したような場合には、緊急の措置として、旅館、ホテル等を借り上げて提供しているということもこれまでにはしております。  他方、仮設住宅でございますけれども、住宅でございますので、避難者の方が相当の期間にわたりまして自立して生活していただくということから、例えば、炊事や洗濯などの家事を基本的に世帯ごとに行うことができる構造を持っていること、また、必要な家具や家財をそれぞれのお好みに応じて備えることができるような空間があること、さらに通勤通学が可能であることなどが条件になろうかと思います。  これらの避難者に対する住宅の確保につきましては、直接これを実施するのは都道府県、今回の場合には北海道庁でございますので、道の判断に耳を傾けるべきだということで考えておりますけれども、一般的に申し上げますと、旅館やホテル等は、こうした構造や立地の条件を満たすことが難しいのではないかと考えております。  なお、今回の住宅の確保ということにありましては、仮設住宅を緊急に五百戸建設するということをいたしたわけでございますが、既存の住宅資源を活用するという観点から、周辺の公営住宅や社宅など四百三十戸を緊急整備いたしまして提供いたします。また、道内の公営住宅の空き室千百三十九戸につきまして優先的に提供するということで、合わせまして約二千戸の住宅を確保したところでありまして、こうした対策によりまして被災者の住宅の確保に努めてまいりたいと思っております。
  77. 金田誠一

    金田(誠)分科員 何回言ってもこういう答弁ばかりで困ったものだなと思っているところでございます。  仮設住宅をつくってそこに入っていただくということは、それはそれで当然必要なことなんですが、旅館、ペンション、お客さんが来ない、しかしここはもう安全で住めるんだというところがあれば、これから先どうするんだという観点もあわせて考えていただければ、そこで自立生活できるかどうかはケース・バイ・ケースだと思うのですよ。できないところに住めと言ったって住めないわけですから。  しかし、やってやれないことはない。近所だし、そこに住みたいという方だって当然出る可能性がある。これから少し落ちついた段階で、ペンションの方も旅館の方も、お客さんの来ない状態がずっと続く中では、そうした方を受け入れてしばらくつなごうということになるかもしれない。そうした幅を持って考えていただきたいというのが趣旨なわけでございます。  大臣、運輸大臣というお立場の御答弁は難しいのかもしれませんが、内閣の一員として、ぜひひとつそういう観点からもお考えをいただきたい、強く御要請を申し上げたいと思うわけでございます。
  78. 二階俊博

    ○二階国務大臣 御意見は民主党の方からも伺ってございますし、各方面から、ホテル、ペンションを活用してはどうか、私は極めてアイデアとしてはすばらしいと思いますが、何せそれぞれの地域はまだまだ予断を許さないような地域もございますし、その地域が完全に安全であるかどうかということを判断することもこれまた今の時点では大変難しいような状況もございます。  また、休んでおりますホテル、これは、今この火山で休んでおるのではなくて、営業上休んでおるようなホテルを活用してはどうかというふうな御意見もありますが、それを活用するための費用というものは相当莫大な費用がかかる。その場合には、当然費用対効果を考えれば新たに仮設をつくった方が早いのではないかと言われるようなこともあります。  いずれにしましても、先ほど来私が申し上げましたように、これはまさに非常事態でございますから、普通のときの感覚で対応するのではなくて、地域住民皆さんが安心して、現状のこのようなまさに災難に対して、少しでも心を穏やかにして過ごすことができるようにするためにはどうすればいいか。  これは毎日現場といろいろな打ち合わせをしながらやっておるわけでありますが、厚生省のお考えは厚生省のお考えとして十分理解できますが、同時に、地元の皆さんが御満足のいただけるにはどうすればいいか、これは常々考えてまいりたいと思いますし、閣僚が集まる場合には、お互いにいろいろなことを相談し合ってございます。  例えば、ホタテの養殖の場合には、これは農林水産大臣が一生懸命取り組んでおられましたが、それに対して防衛庁や海上保安庁がバックアップ体制を十分強化して対応していく。私の方としましても、今静岡県にお願いをしまして、テクノスーパーライナーを準備いたしております。それは、近距離でございますと一千名を乗せることができる。しかも、時速九十三キロで走れるということになりますと、防災船でございますが、まさにこうした対応ができる。  私は、その対応一つとして、避難所におられる方々がおふろに入るということが、神戸の地震の場合にもふろが大変難しい問題であったわけでございますが、その際にこの船に乗っていただいて、今度のことでまだ被災を受けていないような健全な、正常運営しておりますホテル等たくさんあるわけでございますから、その地域でおふろに入れてもらって、またその船に乗って帰っていただく。そうすると気分の転換にもなるし、いいのではないかということで、先般、私、二度目に現地に入りましたときに、その対策について関係者に検討をお願いしておるわけでございます。  例えば、これはもう金田委員の方がお詳しいわけでございますが、虻田町の皆さんが長万部に移っておられますが、あの体育館におられるような人たちがおふろに困っておるのではないかということを私は心配したわけですが、長万部の関係者皆さんに御協力いただいて、二日に一回全員長万部の温泉に入れるような状況をつくっていただいておる。  関係者のそういう温かい御配慮があるのですが、ホテル、ペンションの問題等につきまして、それだけにとどまらず、できるだけ英知を結集して、現地で今避難をされ、そしてみずからの事業にも大変憂慮されている皆様に少しでも安心感を与える、少しでも希望を与えて、早くお互いが復興できる道を探っていきたい。懸命の努力をいたしたいと思いますので、委員におかれても一層の御協力をお願い申し上げる次第であります。
  79. 金田誠一

    金田(誠)分科員 大変力強い御答弁をいただきまして、感謝をいたしております。  時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  80. 岩永峯一

    岩永主査 これにて金田誠一君の質疑は終了いたしました。  次に、中川智子君。
  81. 中川智子

    中川(智)分科員 社会民主党・市民連合の中川智子です。きょうはよろしくお願いいたします。  私は、本日質問させていただく予定にしておりますのは、JRの山陽新幹線、新大阪から出た後、尼崎、伊丹、西宮と新幹線が通過していくわけですけれども、そこの周辺住民方々の、特に振動公害で苦しんでいらっしゃる方々に対して、国としても施策を講じていただきたいという思いで質問いたします。  私も、一九九八年の一月に、この現場をずっと長い時間かけて住民方々と歩きました。そして同時に、そこにお住まいの方のお宅をちょっとお借りして、実際自分で体感というものをしてまいりました。私、体が結構重いのですが、それでも阪神・淡路大震災、地震がまた来たのかと思うような体の揺れを、振動を感じました。洗面器にお水を入れて置いておきますと、新幹線が通るたびに非常に波が立つという状況でございました。その方たちが深刻な被害を受けているという状況をぜひとも知っていただいて、個別に御質問をしたいと思います。  まず最初に環境庁の方にお伺いしたいのですが、先月、周辺住民の方、新幹線公害を考える会のメンバーの方たちが初めて環境庁を訪れまして、深刻な被害について直接お伝えをしたわけですが、住民と会ってどのような感想を持たれたかをまずお伺いしたいと思います。
  82. 廣瀬省

    ○廣瀬政府参考人 お答えいたします。  先生も御一緒に参られまして、そのとき詳しくお話を聞きました。私の方は途中で中座しましたが、その後、担当課長から詳しく報告を受けると同時に、アンケート等についても詳しく読ませていただきました。  新幹線の騒音・振動の問題については、自治体の測定データなどから状況を把握してきておりまして、先日、新幹線公害を考える会の陳情の際に、沿線住民方々から直接お話を聞きまして、騒音・振動問題の重要性ということを認識しております。  そして、現場について、先ほど先生のおっしゃられた状況というのはアンケートの中に具体的に書き込まれているということもございますので、その辺を具体的な形でどのように見てくるかということもございます。そういうことを細かく担当官に指示をし、派遣して、後で具体的な報告を受けたい。そして、どのように研究を進めるかということ、どのような形で問題解決に当たるかということについて具体的に考えてまいりたいというふうに思っております。  ただ、環境庁だけでできるものではございませんので、運輸省とも十分相談しながら今後考えてまいりたいというふうに思っております。
  83. 中川智子

    中川(智)分科員 ありがとうございます。  局長、解散があったりいろいろ、ががっと変わっても、なっても行ってくださるんですよね、現地の方は。——はい、わかりました。ありがとうございます。  環境庁には、やはり見ていただく、そして地元の方々の話を実際に聞いてくださることが一番だという思いで必死に訴えて、現場にできれば早い時期に行ってくださるというお答えをいただいたのですが、運輸省の方は、いや、新幹線公害で大変な思いをしているのはあそこだけじゃないですよ、もっとひどいところもあるんですよみたいな感じで、とってもがっかりして帰られました。運輸省も、ぜひとも環境庁と一緒に現地に行っていただきたいと思いますが、運輸省の方の御答弁をお願いします。
  84. 安富正文

    ○安富政府参考人 新幹線の騒音・振動の実態を我々としてもあらゆる角度から把握しておりますけれども、先生御指摘のような形で、実際に現場に行って見るということも一つ大きな、重要なことではないかと思いますので、今後、環境庁とも連携をとりながら検討してみたいというふうに考えております。
  85. 中川智子

    中川(智)分科員 そうしたら、重要という認識をしていただいて、環境庁と連携して、できれば御一緒に行っていただくというようなお答えとしてとっていいんでしょうか、大臣。
  86. 二階俊博

    ○二階国務大臣 新幹線が我が国経済あるいはまたさまざまな発展に寄与していることは事実でございますが、その陰にあって、いろいろ御苦労いただいていること、今中川委員から御指摘がありましたが、これらの問題につきまして、いかにすれば対応できるかということを実際検討してみる必要があると思いますので、環境庁がお出かけになるというならば、運輸省も御一緒に、そして、これらの問題につきましてどうすればいいか、まじめに研究してみたいと思っております。
  87. 中川智子

    中川(智)分科員 ありがとうございます。本当に期待しております。  次の質問に移りたいのですが、のぞみ、私も時々新大阪から向こうの方に行くことがございますが、この間広島に行ったときに、途中で、ただいま世界一の速度で走っておりますとうれしそうにアナウンスが入りまして、私もつい一緒に、ああそうか、世界一かなんて思うんですが、その陰に、今大臣がおっしゃったように、スピードを争う、そして経済に寄与するという陰で苦しんでいらっしゃる方がいるんです。特に、のぞみ五〇〇系、七〇〇系による運行本数が非常に増加いたしまして、スピードアップをいたしました。  運輸省に伺いたいのですが、この増発とか、五〇〇系、七〇〇系の開発によってスピードアップしたことが現地にどのような影響を与えていると認識していらっしゃいますか。  そしてまた、アンケートが九九年の九月、十月にかけてたくさんとられたのですが、約半数の住民方々から、さらに振動が悪化したという答えが返ってきました。JRの方は、軽量化、非常に軽くなったので振動の方には悪影響はないだろうということでの御説明があったようなんですが、住民の方たちは、やはり五〇〇系、七〇〇系のスピードアップによって振動がひどくなったということをアンケート調査の結果で答えていらっしゃいます。このことについてはどのようにお考えでしょうか。
  88. 安富正文

    ○安富政府参考人 山陽新幹線につきましては、速達性の向上という観点から、先生おっしゃるように、平成九年三月に五〇〇系車両を導入いたしました。それから、平成十一年三月に七〇〇系車両がそれぞれ導入されてスピードアップが図られているわけでございますが、これらの新型の車両を導入する際には、当然、沿線に騒音・振動による悪影響を与えないようにということで、車両の軽量化に伴う効果あるいは軌道の改良等も含めていろいろな環境対策を推進しているところでございます。  沿線の住民のアンケートの中で、五割の方々が振動が悪化したという結果については、我々も承知しております。  ただ、もう一つ、尼崎市の方で実施しております騒音・振動の調査結果ということによりますと、平成三年以降のデータを見てみますと、騒音については、微々たるものでございますが減少傾向、それから振動についても横ばい傾向ということで推移しているというふうに我々は尼崎市の調査結果でも聞いております。  そういう状態でございますが、いずれにしましても、新幹線沿線の騒音・振動等の環境対策、これは不断に続けていかなければいけない問題だと考えておりますので、今後ともその推進に万全を期していきたいというふうに考えております。
  89. 中川智子

    中川(智)分科員 わかりました。  尼崎市の結果と住民が直接感じるものの違い、事実と、住んでいらっしゃる人間、特に、阪神・淡路大震災を経験いたしまして、私は今まで、経験しなくても想像力でわかっていただくものというのが圧倒的に多いなと思ったのですが、阪神・淡路大震災、あれは一度その恐怖を体験してみないと、どれだけ怖いものか。それが精神的な、小さい形ですが、トラウマみたいな形で、少し何か揺れると、かあっという精神的な重圧感というのは物すごいものがあります、特に被災地では。  それと、精神的なものと同様に、尼崎のところは、新幹線の高架の柱がぽきっと折れて、こういうふうになっていたのがこうなりまして、それを補修してこんなふうにしました。周辺住宅は倒れなかったのですが、新幹線の柱が倒れたという地区です、西宮なんかもそうなんですが。  阪神・淡路が一月だったのですね。物すごく大事な部分ですから、人間の命を乗せて走るわけですから結構時間がかかる。すごく時間をかけて復旧するんだろうなと思ったら、やはり五月のゴールデンウイーク、修学旅行とかいろいろありまして、あらあらという間にぱっとまたもとどおりになってしまったのですね。震災で被害を受けたのですから、どれだけ慎重に復旧するのかなと思っていたのですが、割と早くなってしまったことへの不安、そしてまた、周辺の住宅の方も多少、倒れはしませんでしたけれども、全壊とか半壊とかというのは尼崎の方は余りなかったのですが、普通のところと違って、震災によって地盤、そして新幹線そのもののレールなり、高いところを走っているわけですから、高架橋の部分のいろいろな影響が微妙にあると思うんです。そのあたり、ほかのところと単純な比較はできないなというふうに思っています。  そこで、JRと地元住民の方たち、考える会の方たちとの話し合いで、JR西日本は、そのようないろいろなことを勘案して、時速二百三十キロまでに抑えましょうという約束を交わしています。でも、この約束が守られていません。そのことについては、運輸省としてはどのようにお考えでしょうか。
  90. 安富正文

    ○安富政府参考人 運行速度につきましては、先生おっしゃいますように、震災地域であるということも考慮しまして、JR西日本の方で、平成九年三月の五〇〇系車両の導入によるスピードアップに先立ちまして、地元の方々といろいろお話をしまして、尼崎市内においては従来の速度と同じ速度の二百三十キロまでとするということを地元に説明してきております。  現在、この二百三十キロ運行で実施しておりまして、具体的には、ATC信号で最高速度が二百三十キロに制限されるシステムになっておりますので、実際問題として、この速度制限が守られているというふうに我々は考えております。
  91. 中川智子

    中川(智)分科員 それは、運輸省はデータとして全部とっていて、住民の方たちにも情報公開できるということでとっていいのでしょうか。
  92. 安富正文

    ○安富政府参考人 運輸省独自で具体的なデータという形では把握しておりませんが、先ほど述べましたシステム、いわゆるATC信号による運行速度の制限のシステムというのはJR西日本が講じているものでございますので、JR西日本としては、そういう運行データについては把握しているというふうに考えております。
  93. 中川智子

    中川(智)分科員 でも、新大阪を出て加速します。そして尼崎、西宮、伊丹を走るときに守られていない。それは、もう一度JRと確認していただくことをお約束していただきたいのですが。
  94. 安富正文

    ○安富政府参考人 具体的にどういうデータがあるのか、我々としてもJR西日本に確認しまして、その運行速度が守られているかどうかという状況について、再度JR西日本に確認をしてみたいと思います。
  95. 中川智子

    中川(智)分科員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  次は、環境庁の方にお伺いしたいのですが、このアンケート、環境庁さんの方も十分目を通していただいていると思うんですけれども、現在、七十デシベルという勧告値がございます。これは外で、屋外の土の上で決めている勧告値なんですね。住民の人が揺れを感じるのは特に家庭内。  新幹線の場合は、早朝から深夜にわたっても走るわけです。アンケートの中でも、朝と夜、特に夜間の騒音で、休んでいるときに新幹線が通ると物すごく揺れを感じて、血圧が高い人なんかは非常に不安定な状態で体にも影響を及ぼす、耳鳴りがとまらない、そして情緒が不安定になる。病気で休んでいるときに家の中での振動というのはますます、体を休ませるというより、一日じゅうやはり心落ちつくことなく、その振動の中で病もいえないという深刻な声があるわけなんですね。この七十デシベルというのは、やはり私は高いのではないかと思います。  それともう一つは、やはり家庭内、一階とか二階とかありますけれども、定点を決めて継続的に家屋内でも測定をしていただいて、外での勧告値ではなく、また七十デシベルが高いのではないかという声に対して、家庭内ではもう少し低い形での設定をしていただきたい。特にこれは、勧告値ではなくて環境基準として決めてもらいたいという住民の方たちの声があるんですが、どのようにお考えでしょうか。
  96. 廣瀬省

    ○廣瀬政府参考人 お答えいたします。  現在の勧告値七十デシベルというのは、昭和五十一年の三月に新幹線鉄道の振動対策として示されたものでございますが、その後の対策の進捗によって、現在の振動レベルは、先ほども話がございましたが、勧告値を下回っているという状況でございます。しかしながら、現在の振動レベルにおいて苦情のあることは認識しておりますし、今回、具体的に担当官を派遣して、その実態も見てくるという考え方をとっております。  そういう中で、環境庁としては、振動の実態ということとメカニズム、それから振動の影響、振動防止のための対策技術等に関する科学的知見の集積を図りつつ、この数値についての見直しの必要性も含めて今後とも検討してまいりたいというふうに思っております。  それから、屋内での測定の話でございますが、五十一年三月の中では、はっきりと屋外においてどういう場所で測定するということがうたわれてございます。それに新しく追加するのは、先ほどの研究とか、具体的な形で屋内ではかったことが外の振動との関係でどう、屋内そのもの、建物の影響も持っておりますから、そういう影響をどのように科学的に除去しながら考えられるのかということがないと、決められても具体的に実効のない数値になってしまうということもございます。  ですから、今持っている勧告値七十デシベルというものと、今出ている苦情というものを含めたところの研究を具体的にし、それをどのような形で詰めていくかというときに、屋内のデータは当然必要になってくるだろうというふうに思っております。  ですから、今後行うとしたときには、屋内での振動の測定ということもしていきながら具体的な検討をせざるを得ない、そのためにどう定点を設けていくかということについては、なお検討させてください。  それから前回も、平成八年に兵庫県にお願いして具体的なデータをとっておりますが、そういうところも含めて、もう一度データ全体を見直しさせていただきたい。  それから、行って実態を見てきた担当官の報告を受けた上で、見に行くときには具体的に指示をしますので、その辺のところも具体的に報告を聞いた上で、学者とも相談した上でどうするかということを検討してまいりたいというふうに思っております。
  97. 中川智子

    中川(智)分科員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いいたします。  次に、運輸省の方に伺いたいのですが、先ほど私が申しましたように、震災後の高架橋の修理、あれは鉄板をコンクリートにいろいろ巻いて、私もあのとき、寒かったのですが、たくさんの方たちと歩いて、このごろ地元のいろいろな方たちもプロみたいな感じの方がいらして、金づちを持ってその柱をたたいて歩いておりました。そうしたら、ぴっちりとコンクリートで復旧工事をしているなというところと、中が割と空洞化というか、カンカンと空洞のような音、もうすぐわかるんです、耳で。  あと、トンネルの剥落事故がございまして大問題になりましたが、やはりあの近辺でもコンクリートがぽたぽた落ちています。空き地の利用ということで、児童公園なんかがあるんですよね、新幹線の高架の下。私の子供も野球をやっていまして、雨が降ると、雨が当たらないところというので、ああいう高速道路の下とか新幹線の下とかで野球の練習なんかしていたのですが、児童公園もいつコンクリートが落ちてくるかわからないので、危なくて、子供はもうそこで遊ばせないようにしましょうと言われるぐらいになっています。  その剥落と、雨水が上にたまっていて、私が行ったのは晴れた日だったのですが、水たまりが下にできているというような状況で、あれだとレールのところのさびがかなりできていて腐食もしているんじゃないか。このたびはトンネルの中での剥落でしたが、もしかあそこのところがばあんとある日突然落ちたりしたら、これは何千人の命が失われるだろうと、とても怖かったという印象を持ちました。  山陽新幹線なんかも、五〇〇系、七〇〇系の猛スピードで新幹線が走る。それと、こんなに本数が多くなるということを想定して、あのとき、震災後の復旧工事の中できっちりとした工事をしたのかどうかというのを、私も心配になりましたし、地元住民の方たちは特にその工事なんかを見ていて心配していました。  それで質問なんですが、これだけのスピードで、これだけたくさんの本数が走行することを想定した上で、あの新幹線の高架橋というのはつくられたものなのか。そして震災後の工事はしっかり、JRはちゃんとしたと言うでしょうけれども、トンネルの中でのあんな事故とかというのを考えて、運輸省としてはどのように考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  98. 安富正文

    ○安富政府参考人 まず、山陽新幹線の高架橋のそもそもの設計の観点、これだけのスピード、これだけの本数が走行することを想定しているかどうかということについてお答えしたいと思います。  山陽新幹線の高架橋につきましては、当時の国鉄の設計標準に基づいて設計されたものでございまして、当時の状況としては当然安全性は十分確保しているわけですが、さらにその後、五〇〇系新幹線の三百キロ走行を行うに際しましても、十分JR西の方で、一つは新幹線車両自体の軽量化を図るということによって当然荷重とかそういうものは少なくなりますから、その面では有利に働くわけでございますが、一方で、本数がふえるというようなこともございます。そういう意味の繰り返し荷重の影響をどうするかといったようなこと、あるいはスピードアップによって構造物に与える影響がどうなるかというようなことをいろいろ想定しまして、安全性を確認した上で三百キロ運転を実施しているものでございます。  さらに、これから高架橋自体の維持管理というものをちゃんとしていかなければいけないわけでございますので、そこら辺については、一定期間ごとに点検とかあるいは目視等を通じて保守管理を行っておりますし、我々としても、そういう補修あるいは保守管理についてJR西日本を指導しているところでございます。  それからもう一つ、では震災後の復旧については万全であったのかというお尋ねかと思いますが、施設の復旧に当たりましては、鉄道施設耐震構造検討委員会という委員会をつくりまして、先生方に集まっていただきまして、そこで十分議論していただいた上で、その意見も踏まえまして、被害の状況に応じていろいろ、今回と同程度の地震にも耐える構造として復旧したものでございます。それがああいう鉄板を巻くとかそういう形になってあらわれてきているわけですが、この鋼板被覆によって、その当時の委員会の知見としましても、従来よりも約二・五倍の耐震性を実験により確認しているところでございます。  復旧工事期間中の工事実施状況の確認とか工事完了時の安全確認を初め、運転再開に当たってはこの検討委員会がいろいろ厳重なチェックをしまして、その上で、再開しても問題がないということで結論を出して実施しているものでございますので、そういう意味で、我々としては安全性は十分確保されているというふうに考えております。
  99. 中川智子

    中川(智)分科員 高速道路も絶対に倒れないと言われたわけですが、阪神・淡路大震災で私たちが目を疑ったのは、あの高速道路が倒れるという事態でした。  そんなふうに学者の方にいろいろな研究をそういう会でしていただいても、実際工事をしたのは現場の労働者でありまして、私はコンクリート業者とかいろいろな方にも聞きましたが、急げ急げという声の中で、自分たちもこれでいいのかというふうに思いながら復旧工事をやったということを聞いています。ぜひとも、環境庁、運輸省が行かれた折には、コンクリートの剥落とか雨水がたまっている様子、そして私みたいに金づちをちょっと持ってたたいていただいて、実際しっかりと見てきていただきたいと思います。  最後に大臣にお伺いしたいのですが、今ずっと質問の中で私も話させていただきましたが、これは、単に地元住民方々の振動とかに対する苦情のみならず、やはり阪神・淡路大震災の以後なんですね、この振動が特にひどくなったとか、いろいろな声が寄せられていますのは。また大臣も時間があったら少しこの住民皆さんの声を、アンケートでわかりやすく書いていますので、お目通しをいただきたいのです。  住民の方たちは、JR西日本さんに一生懸命話をして、自分たちのこの苦痛を知っていただいて、三分ぐらいのものなんですね、減速したとしても。少しでもそこの部分、住宅密集地のところ、ちょっと減速してもらいたいという要求とかいろいろしておりますが、この間、七〇〇系走行のころから地元の団体の方たちとの話し合いをJRの方は、全面拒否ではないのですが、一部の人しか会わないという状況が続いていて、地元住民の声を聞かないという態度が続いています。  大体、過去何度も結構円滑にJRとは話をしてきたのですが、ここに来て話し合いを拒んでいるという状況がございますので、運輸省としてぜひともJRに対してしっかりと、地元の方たちとの話し合いというのは大事だということと、いま一つ、今のこういうふうな不安に対して誠意を持って取り組んであげてほしいという行政指導をしていただきたいと思うんですが、大臣の最後の答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
  100. 二階俊博

    ○二階国務大臣 鉄道における環境問題の解決につきましては、鉄道事業者と沿線住民皆さんが常に双方で理解し合うことが重要であると考えておりますが、両者の間の話し合い、今中川委員指摘のように、それが十分でないとすれば、従来からも話し合いが持たれておるということは伺っておりますが、運輸省としては、誠意を持って沿線住民皆さんと話し合いを進め、双方の理解を一層深めていくようにJR西日本を指導してまいりたいと思います。  なお、阪神・淡路地震状況等お話しいただいたわけでございますが、私もあのときは大阪のホテルのエレベーターホールであの地震に遭遇しました。エレベーターに乗る寸前であったわけでございます。十二階から真っ暗になったホテルの階段をおりてきながら、そのとき、これは近いなというのと同時に、すごいことが起こったなということを体験として記憶いたしております。したがいまして、それよりも、まさに現場でこのことに遭遇された中川委員初めお地元の関係皆さんの恐怖の気持ちというのは今もよく理解ができるわけでございます。  あの当時、復旧について、私も野党の立場として政府をいろいろな角度から督励したり、あるいはまた追及をしたりした立場でございますが、やはり新幹線を再開させるかどうかということが、阪神・淡路地震の後を受けて阪神地域が立ち上がれるかどうかということにもかかっておった。そういう意味で、関係者皆さんが相当奮起してこの問題に対応した。  しかし、地元のそういう関係者皆さんの奮起だけではなくて、学術的に、専門的にこのことが大丈夫かどうかという検討委員会が持たれて、東京理科大学の松本教授というこの道の権威にたしか委員長になっていただいて御審議をいただいたということを私は記憶をいたしております。  したがいまして、今委員の御質問を伺いながら考えておったのですが、ちょうどあれから五年になるわけでございますから、松本委員長初めその当時の委員の皆様に、運輸省あるいはJR西日本ともどもお願いをいたしまして、近く、できるだけ早い機会現場を再点検していただいて、住民皆さんの不安、多くの皆さんの不安を除去していくということにあらかじめ対応していくことが大事ではないか。  それで何も問題がなければそれが一番いいわけでございますし、もし何らかの心配があるとすれば、それに対して先手先手対応を行っていくことが、鉄道事業者及びそれを監督する立場の私どもの責務だというふうに考えておりますので、今委員指摘のことを踏まえて対応してまいることをここでお約束しておきたいと思います。  以上です。
  101. 中川智子

    中川(智)分科員 きょうは一貫してとても前向きな答弁をいただきまして、心から感謝いたします。地元の方たちもどれだけ喜ぶかわかりません。ありがとうございました。
  102. 岩永峯一

    岩永主査 これにて中川智子君の質疑は終了いたしました。  次に、水野賢一君。
  103. 水野賢一

    水野分科員 自由民主党の水野賢一でございます。  きょうは、この決算行政監視委員会の場をおかりいたしまして、運輸省に対して、鉄道事業に対する補助制度等についてお伺いをしたいと思うわけでございます。  実は、私がこの問題について関心を持ったきっかけといいましょうか、きょうここで取り上げさせていただくきっかけになりましたのは、私の地元の千葉県に千葉ニュータウンというのがあるわけでございます。これは、ちょうど東京の多摩ニュータウンとか横浜の港北ニュータウンとか筑波の研究学園都市などと同じように、住宅・都市整備公団が開発したニュータウン事業なわけですけれども、この千葉ニュータウンと東京を結ぶ鉄道に北総開発鉄道というのがあるわけでございます。  ところが、その鉄道の運賃が非常に高い。高いというのが、ほかの鉄道に比べて、同じ距離で二割とか三割高いのではなくて、二倍とか三倍高いわけであります。ですから、例えば定期代になりますと、六カ月の定期なんかになるとウン十万という価格になってしまうわけでございまして、地元では、財布を落としても定期を落とすなと言われるぐらい非常に高いことになっている。これは私が初めて取り上げたわけではなくて、実は昨年あたりも、運輸委員会でも質問が出ておりますし、建設委員会でも質問があったわけでございます。  それで、きょうは、この問題についていささか各論にわたってお伺いをしたいなと思っておるわけですが、大臣はお時間の都合もあることでしょうから、まず大臣に、総論的に少しお伺いしたいと思います。  大臣の場合は、鉄道にとどまらず運輸行政全般を所管されていらっしゃるわけでしょうし、千葉県の一つの鉄道の運賃体系まで詳細に把握しろと言っても、それを私も求めるつもりもありませんし、そこまで把握される必要もないかもしれません。しかしながら大臣として、この千葉ニュータウンというところと東京を結ぶ鉄道は全国有数に極めて運賃が高いのだということを心にとめていただきたい、そして心に刻んでいただきたいな、そういう思いであるわけでございます。  まず最初に大臣にお伺いしたいのは、この北総開発鉄道の高い運賃というものに今後ともきちっと目を配ってきちんと取り組んでいくという姿勢と申しましょうか、心構えと申しましょうか、それについてお伺いをしたいと思います。
  104. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいまの水野委員の御指摘でございますが、北総開発鉄道は、さまざまな事情によって、地元の皆さんの御熱意でここにこの鉄道が敷かれたものと理解をいたしております。  御承知のとおり、千葉ニュータウンの入居人口の状況でありますが、計画人口は十九万四千人であった、それが今、八万人にも及ばない七万六千百五十四人。したがいまして、平成年度末の数字でございますが、計画人口に対して三九%である、これが最も大きな原因をなしておるものだと思うわけであります。  御指摘のとおり、同じ距離の運賃としましては、北総開発鉄道を一〇〇といたしますと、京成電鉄で四七%、都営地下鉄で四七%、営団地下鉄で三六%、JR東日本で五〇%というふうになっておりますから、まさに水野委員指摘のとおりでございます。  千葉ニュータウン計画の入居がおくれておるということは先ほども申し上げたとおりでありますが、このことで厳しい経営を余儀なくされておる、これは委員も御承知のとおりでございます。したがいまして、これまで京成電鉄等の株主による出資及び融資等の支援策と運賃改定により経営再建が図られてまいりましたが、十一年度末で累積欠損は約四百五十億円に及び、依然として厳しい状況が続いております。  北総開発鉄道は、現在でも一日当たり約八万人の乗客が利用されておるわけでありますが、千葉ニュータウンの通勤通学の足として重要な役割を果たしているわけでありますし、今後ともこの鉄道の安定的、継続的な運行を確保する必要があると基本的に考えております。  運輸省としましては、今後とも、京成電鉄、千葉県、都市基盤整備公団等の株主を初めとする関係者と協議をし、その協力を得ながら、ただいま委員が述べられたことに対しまして適切な支援策を考えてまいりたいと思っております。
  105. 水野賢一

    水野分科員 今、大臣おっしゃられたように、まさに適切な支援策を考えていただければなと思うわけでございます。  今、大臣からもお話ございましたけれども、付言して言えば、千葉ニュータウンのもともとの人口の計画というのは、十九万四千以上より多くて三十四万だったのですが、それが下方修正されて今十九万四千なわけですから、非常な見込み違いというのがあったわけでございます。  この鉄道運賃がなぜ高いのかということは、今の大臣の答弁にもありましたけれども、この沿線に人が張りついていないわけであります。これが根本的な原因としてあるわけですが、より直接的な原因としては、この鉄道会社、北総開発鉄道株式会社という第三セクターなわけですが、これが鉄道建設公団に対して払っている建設費、その払っているお金、非常に金利負担が大きいわけです。これが非常におもしになって経営を圧迫して、経営が圧迫されているから運賃が高いという構造になっているわけです。  それでお伺いしたいのは、北総開発鉄道株式会社が現在鉄道建設公団に対して払っている金利はどのぐらいなのか、何%ぐらいなのか、そして年間どのぐらいになっているのか、お伺いしたいと思います。
  106. 安富正文

    ○安富政府参考人 先生今お話ございましたように、北総開発鉄道につきましては、鉄建公団が財投資金を用いて建設し、これを鉄道事業者に対し、譲渡後二十五年間の長期分割償還方式で譲渡代金を回収するといういわゆるP線方式になっております。  これは、第一期、二期とか工事はいろいろございますが、平成十一年度における北総開発鉄道の鉄建公団債務に係る平均の金利ということで計算しますと、四・四七%ということになります。それから金利負担額ですが、十一年度で五十一・二億円という数字になっております。
  107. 水野賢一

    水野分科員 今、五十一・二億円という金利負担があるというふうにお伺いしました。この鉄道会社の年間の営業収入は、大体百億円ぐらいなんですね。百億円ぐらい収入が入って金利だけで五十一億円も払わせられてしまっては、経営が成り立たないのは当然なわけであります。  そうすると、ここで自然な発想として出てくるのは、今四・何%の金利だというふうにおっしゃっていましたけれども、これをもっと安いものに借りかえられないのかという発想が出てくるわけであります。これは住宅ローンなんかでもこういうことはあることですから、そんなにとっぴなことではない、自然な発想だと思うわけです。  例えば、今もし資金調達できれば、できればという仮定のもとですけれども、例えば二%ぐらいの金利で資金調達もできるかもしれない。借りかえということがやはり議論の対象に上っていいんじゃないかと思いますが、お伺いしたいのは、ここからが質問ですけれども、鉄道事業者と鉄道建設公団の間で安い金利への借りかえというのは、ほかの場合に例として前例はございますか。
  108. 安富正文

    ○安富政府参考人 鉄道事業者と鉄建公団の間で借りかえをするためには、繰り上げ償還という形で認めていく必要があるわけですけれども、しかしながら、同公団から財投機関への繰り上げ償還ということがクリアにならなきゃいけない。ただ、現実には、財投原資である郵便等の預貯金者の利益保護という観点から極めて困難でございますし、仮に、鉄道事業者から同公団の債務の一括的な繰り上げ償還を行うとした場合、公団の資金管理に影響を与えることになります。このため、繰り上げ償還については、現在、公団の方では資金管理に影響のない範囲、具体的には鉄道事業者ごとの借りかえ額の範囲内で限定的に認められているにすぎません。  したがって、御指摘のように、鉄道事業者と同公団との間で安い金利へ借りかえて一括的な繰り上げ償還が行われたという事例はございません。
  109. 水野賢一

    水野分科員 今限定的にというお話でしたけれども、私の調べた範囲でも、財投資金を原資にしているものでも、借りかえの例というのは、鉄道建設公団は知りませんけれども、例えば水資源開発公団とか農林漁業金融公庫だとかあるはずなんですよ。私の地元の土地改良区とかでも、農林漁業金融公庫から借りたけれども、その借りた金を、金利が高いから安く借りかえたという例はございますからね。  ですから鉄道建設公団の場合も、今も限定的にはやっていらっしゃるんでしょうけれども、原資が財投資金だからなかなか難しいというのは、これはわからなくはないですよ。わからなくはないけれども、ほかの例なんかもきちんと調べていただいて、この北総鉄道の場合も当てはめ得るんじゃないかということを前向きに検討していただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  110. 安富正文

    ○安富政府参考人 ほかの繰り上げ償還が財投資金の関係で具体的に行われた例というのは、今先生の方からお話がございました。  私ども、どういう事情で、どういう形でできたのか、ちょっと詳細に存じていませんが、一般的に、繰り上げ償還自体が絶対できないということではなくて、それをやるとすると、いわゆる損金とかそういうことをどう担保していくかということが必要になってくるというふうに聞いております。  いずれにしましても、制度的にどういう形が、ほかの事例として出ているもの等を参考にしながら、もう一回勉強はしてみたいというふうに考えております。
  111. 水野賢一

    水野分科員 今局長もお認めになったように、前例としてほかの例もあるわけでしょうし、これは検討していただいて、この場合にもハードルはあると思いますよ、いろいろと。ハードルはあるでしょうけれども、それをクリアする方法があるんじゃないかということを含めて検討していただきたいと思います。  さて、今借りかえの問題について幾つか伺ってきたわけですけれども、実際のところ、現行制度でも高い金利に対しての補助制度というのはあることはあるんですよね。あることはあるけれども、私に言わせれば、それは、制度としてはあるけれども機能していないんじゃないか、少なくとも形骸化しちゃっているんじゃないかということを申し上げたいわけでございます。  それでは、現状の補助制度というのは一体何かというと、これはいわゆるP線方式、P線補助と言われるものなわけですけれども、内容を細かく話すとちょっと時間がかかってしまいますので簡単に言いますと、鉄道事業者が鉄道建設公団に返す金利のうち、五%を超える分については国や地方公共団体が補てんをする、そういうことでよろしいですよね。ですから、例えば七%の金利を払わなきゃいけない場合には、五%を超える分、つまり二%分は国と地方公共団体が折半しながら利子補給をしていく、そういう制度ですよね。  ところが、ここでお伺いしたいのは、五%というそのラインなわけですけれども、五%というラインはいつから定められたのか、いつから五%になったのでしょうか。
  112. 安富正文

    ○安富政府参考人 先生おっしゃいますように、五%を超える金利については地方公共団体と国とで同額の利子補給をするという制度ですが、いわゆるこのP線方式につきましては、昭和四十八年度から適用しているものでございます。
  113. 水野賢一

    水野分科員 昭和四十八年度からというと、もうこれは二十数年間、二十五年以上にわたって五%以上は利子補給をするというふうになっているわけですね。ところが、金利というものは年月とともに変わっていくのですよ。これは当然のことでございます。このところはずうっと低金利が続いているわけですよね。そういう中で、二十五年以上にわたって五%以上は補給するというこのラインだけが全く変わらないというのは、果たしてあるべき姿なのかどうか、私は非常に疑問を持つわけでございます。  というのは、さっきとやや矛盾したようなことを言うようであれかもしれませんけれども、鉄道会社が鉄道建設公団に払う金利というものも、これだけ低金利時代が続くと、自然に借りかわって安くなっている部分もあるわけですね。さっきおっしゃったように、四・何%だとおっしゃっていますね、この北総鉄道の場合ですよ。そうすると、支払う金利が四%台とかになってしまっている以上、五%以上は補給しますよ、五%以上ならば補助しますよというふうに幾ら言っても、制度としてはあるかもしれないけれども、その制度が空振りしているんじゃないか、制度が機能していないんじゃないかという気がするわけでございます。  世間の金利というのはこれだけ上下、今下がっているわけですが、上下している中で、利子補給のラインだけは二十数年間も相も変わらず五%というラインを墨守しているといいましょうか、これは余りにも硬直した対応じゃないのかな、私はそう思うわけでございます。  それでもこの制度が全国的にうまくいっているというならば、私はあえて何もここで申し上げることはないわけですけれども、いろいろな鉄道事業者に聞いても、今やP線方式という方式はどうも使い勝手が悪い、そういう声を聞くわけでございます。  現実に見てみても、P線方式で資金を調達する、P線補助を受けているという鉄道事業者で経営が苦しくなっているという例、さらには破綻してしまったという例はあるわけですね。私は千葉県ですから、千葉県の例だけで見ても、今ここで取り上げた北総開発鉄道もしかり、東葉高速鉄道もしかり、はたまた千葉急行という鉄道に至っては破綻してしまったわけであります。こういうことを見ますと、この制度そのものはもはや効果を生んでいないのじゃないか、見直すべき時期が来ているのじゃないかというふうに私は思います。  ここで質問ですけれども、これだけ低金利の時代が続いている中、利子補給のラインというものは時代に応じてドラスチックに下げることを検討してもいいんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
  114. 安富正文

    ○安富政府参考人 先生おっしゃるように、利子補給の五%のライン、現在の低金利時代において、どういう事業者に対して魅力ある制度となっているかということについては、我々自身も深い問題意識として認識しております。  ただ、この基準金利を引き下げることについては、我々自身もいろいろ検討してまいりましたけれども一つの制度としてこれをさらに大幅に引き下げるということについては、政策金利の問題とか今後の財政支出の問題とかいろいろな問題がございまして、現在のところなかなか難しい問題かなと認識しております。  ただ、先生おっしゃいましたように、この制度自体、事業者に使っていただかないと何の意味もないわけでございますので、では具体的に、今後の鉄道事業に対する財政的な支援のあり方としてどういうことをやっていったらいいのか。特に、こういう民鉄事業者に対する支援のあり方ということについては、我々自身もこれからいろいろ検討していかなければいけない。現に、運政審の鉄道部会の中においても、今後の鉄道整備の基本方針や整備の水準といったようなこととあわせて、円滑に鉄道整備を進めていくための方策というのを検討しているところでございます。  特に昨今は、これから少子高齢化が進んできますと、輸送需要が大幅に望めるというような鉄道の新線あるいは輸送力増強工事というのはなかなかないかと思いますので、そういう時代に合った支援方策というのはどういうことなのか、そこら辺について幅広く検討していきたいというふうに考えております。
  115. 中馬弘毅

    ○中馬政務次官 今、北総鉄道の料金等に限っての御質問のようにも思いますが、御質問の趣旨は、もっと幅広く、今後の都市鉄道そのものに対する根本的な問題かと思います。  今の利子の問題も、もちろんそのことだけを取り上げますならば、郵貯その他も、現在でも当時の七、八%といった高い、いや、今で五、六%ですかね、あのときの、十年前のがまだ生きているといったような状況でございまして、それを原資としている以上、ここでまた、長期的に今後低金利が続くかどうかわかりませんが、そうした中で、安易にそのときによって金利を下げることなんかは、今局長が申しましたように、少し難しい問題かもしれません。  それよりも、こうした都市鉄道のあり方そのものを我々国会議員としても検討しなければいけないということで、我が自由民主党の中でも、鉄道基本問題調査会というのをつくりまして根本的なところから練り直しておりますので、そのことを踏まえて、その調査会等でもどんどんとこういった御発言をしていただきたい、そのことをちょっと申し上げておきます。
  116. 水野賢一

    水野分科員 政府としても、時代に合った都市鉄道に対する補助というものが必要だという、その問題意識においては一致していると思いますから、お互いに知恵を出していければと思います。  P線補助についてもう一点だけお伺いしたいのは、このP線補助の利子補給の期間、つまり補助の期間ということですけれども、普通は二十五年あるんですよね。ところが、ニュータウン鉄道に限って十五年なんですけれども、これはどうしてニュータウン鉄道は短くなっているのか、何か合理的な根拠があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  117. 安富正文

    ○安富政府参考人 ニュータウン鉄道につきましては、普通の鉄道の利子補給の二十五年ということに比べまして十五年ということになっております。これは、基本的には、ニュータウン鉄道につきましては、ニュータウン開発者等による開発者負担金というものの拠出を取るということもございまして、いわゆる一般の鉄道よりも無償資金による支援措置が非常に高いということから、一応十五年ということで短くなっているものでございます。
  118. 水野賢一

    水野分科員 今、手をかえ品をかえて補助制度のことについてお伺いを続けているわけですけれども、なぜそれを伺ったかというと、地域の住民にとっては、やはり非常な高額運賃に泣かされているという部分があるんですね。  昨年からことしにかけて地域の住民方々が、北総・公団鉄道運賃値下げを実現する会という人たちが値下げ要望の署名を集めたら、短期間で六万三千ぐらい値下げを求める署名が集まったわけであります。それだけ、高い運賃を何とかしてくれ、何とか知恵を出してくれというような要望があるわけですね。ところが実態を見ると、ただでさえ高い運賃が、二年置きか三年置きかで上がっているという実態もあるわけであります。  ここでお伺いしたいのは、この高い運賃を下げろというのはなかなか、今すぐここで約束しろというのは難しいかもしれないと私も思いますけれども、少なくとも据え置いていくんだという、例えば向こう十年とか十五年とかの間値上げはしないんだというような約束というか決意というか、そういう運輸省としての意向、運輸省が値上げ申請を認可するわけですから、少なくとも、今値上げできる環境じゃない、十年や十五年は値上げできる環境じゃない、そういう認識というか、そこら辺、運輸省としてどういうお考えですか。
  119. 安富正文

    ○安富政府参考人 北総開発鉄道の運賃がほかの鉄道と比べて非常に高いということは、我々十分認識しております。そのためにも、何とかこの運賃水準を維持するということも含めて、北総鉄道の経営支援を行うという観点から、これまでも関係者間におきまして、三次にわたりまして財政的な支援措置をいろいろな角度からやってきております。  我々としましては、北総開発自身のさらなる経営努力というのは当然でございますが、こういう関係者、特に京成、千葉県、都市基盤整備公団あるいは鉄建公団といったような関係者努力によって、できるだけこの運賃を長く維持するように何とか持っていきたいというふうに考えております。  ここで、十年、十五年と具体的な年限をお約束することはなかなか難しゅうございますが、現実にこれだけ高い運賃があるということを十分認識して、仮に運賃申請というようなことがあっても、その取り扱いには十分慎重に対応していきたいというふうに考えております。
  120. 水野賢一

    水野分科員 では重ねてお伺いしますけれども、今までのように二年置きや三年置きに上がっていく、そういう状況は望ましくない、少なくともそういう状況ではないということは認識していらっしゃいますか。
  121. 安富正文

    ○安富政府参考人 現在の運賃を二年あるいは三年置きに改定するということになりますと、一つは、この北総開発鉄道は、やはり千葉ニュータウンに入居していただかないと鉄道事業者として成り立っていかないということでございますので、二、三年というような形で上げていきますと、やはりますますこの入居というのがおくれてくるということ、悪循環に陥る可能性もございますので、我々としては、なるべくこれは長く維持していきたいというふうに考えております。
  122. 水野賢一

    水野分科員 私も、今の局長の認識はまさしく正しいと思いますので、そういう方向で努力をしていただきたいなと思うわけであります。  この鉄道の問題というのは、何かローカルな一鉄道のことを取り上げているような形で思われるとちょっと心外になりますのは、実は、この鉄道は成田空港の方に延ばすという計画があるわけであります。  成田空港には今、皆さんもよく御承知のように、成田エクスプレスとか京成スカイライナーとか、これを主とする、大きく分ければ二つの鉄道アクセスのルートがあるわけですけれども、第三の鉄道というものにこの鉄道がなる可能性があるわけです。可能性があるというか、あと十キロ東に延ばせば成田空港につながるわけですから、都心と成田空港を結ぶ第三の鉄道になり得るわけです。  これは何も一部の人が言っているわけじゃなくて、運輸政策審議会がことしの一月二十七日に出された答申でも、この鉄道の成田への延伸というのが盛り込まれた。実は、十五年前の答申にも盛り込まれているんですけれども。実は審議会の答申には、常にこの鉄道の延伸ということが紙の上では書かれているわけですね。ところが、なかなか実現しない。  実現しない理由はどこにあるかというと、いろいろ理由はあるんでしょうけれども、突き詰めて言えば、やはり金の問題があるのかな、負担の問題があるのかな、私はそういう気がするわけであります。関係者は、自分のところはできる限りなるべく負担したくない、これは当然でございましょう。である以上、そういう中で暗礁に乗り上げているものを解消するには、国の補助率というのをもうちょっと上げることを考えてもいいんじゃないかと私は思うわけであります。  今、空港アクセス鉄道に対しては、国と地方公共団体合わせて建設費の三六%の補助がありますよね。これをもっと、日本の表玄関たる成田空港へのアクセス鉄道ですから、例えば五〇%か六〇%に上げたっていいんじゃないか。これは決してとっぴな発想ではなくて、地下鉄に対する建設費の補助というのは現行でも七〇%あるんですから、地下鉄が七〇%あって、何ゆえ、日本の表玄関である成田空港へのアクセス鉄道が三六%なのかという素朴な疑問が出てくると思うわけです。このかさ上げについていかがお考えですか。
  123. 安富正文

    ○安富政府参考人 成田のB案ルートの整備につきましては、現在、いろいろ関係者の方で事業化に向けての取り組みを進めているところでございます。  この事業化に当たっては、当然、アクセス鉄道に対する補助制度が適用されるということになりますが、この制度、実は平成十一年度予算から新たに設けられたもので、現在、中部空港のアクセス鉄道、それから仙台空港のアクセス鉄道という形で適用してきているわけですけれども、この補助率をかさ上げするということについては、我々としてもいろいろ検討していかなければいけないとは思いますが、直ちにこれができるかどうかというのは、現在の段階では非常に難しい状況でございます。  ただ、このB案ルートの具体的な財源スキームといいますか、事業化のスキームについては、今後関係者間において、関係者は千葉県あるいは公団も含めまして幾つかございますが、そういうところと、具体的にその整備財源を含めた整備手法について調整をしていく必要があると思っておりますし、その中でこの補助率の問題についてもまた考えてみたいと思っております。
  124. 水野賢一

    水野分科員 今、整備の財源についての話も出ましたけれども、空港にアクセスする鉄道というのは、単なる鉄道じゃなくて空港とも非常に関係が深いわけですから、そういう場合、建設に関する資金というものを空港公団とか空港整備特別会計から出してもらうということも考えていいんじゃないかと私は思うわけですけれども運輸省の見解はいかがですか。
  125. 岩村敬

    ○岩村政府参考人 先生御指摘のB案ルートの整備に当たって空港公団なりから負担を求められないかという件でございますが、先ほど鉄道局長から申し上げましたように、B案ルートそのものにつきましては、今関係者の間で調整をして議論しておるところでございまして、そういう中で空港側の支援のあり方というものも検討していくことになるかと思います。  ちなみに、これまでの空港アクセス鉄道に対します空港側の支援の例としては、空港区域内のインフラ部分につきまして空港の設置者がみずから整備をしている、また受益に応じまして空港の設置者が負担金とか出資金という形で支援をしている、こういう例もございます。  そういうことも踏まえまして、現在検討を進めております中で議論が煮詰まっていくものというふうに考えております。
  126. 水野賢一

    水野分科員 時間が来ましたので終わりますけれども、最後に一問だけ。  成田空港へのアクセス、これは成田新高速鉄道とかB案ルートと言われていますけれども、これの建設に向けての運輸省の決意といいましょうか、心構えについてお伺いしたいと思います。
  127. 中馬弘毅

    ○中馬政務次官 日本は大変な国際化時代を迎えております。その中にありまして、空港に対する整備がおくれていることは委員御承知のとおりでございます。しかし、おかげで成田に対しましての二期工事といいましょうか、平行滑走路、暫定という形で二千二百五十という、まだ現段階でございますが、これが認められて着工をいたしております。  二〇〇二年のワールドカップまでには何とか第一番機が飛ぶんじゃないかと思いますが、さらに御理解を得まして、なるべく二千五百まで持っていきたいと思っていますが、そうしますと飛躍的に乗客がふえてまいりますね。そうしますと、今の京成で、南回りの場合ですと一時間近くかかっておりますが、こういうことですと、せっかく一時間余りで外国から飛んで帰ってきても、そこからまた一時間、二時間都心までかかるようなことでは到底航空というものの利便性も達成できるものじゃありません。そういうことから、どうしてもスピードアップ、アクセスの整備が必要でございます。  それにはこれを延ばす、あと十キロ延ばせばいいわけですから、これに対しましては、もちろん審議会の方で、A1ルートということで二〇一五年までに開業することが適当である新路線、このようには位置づけられておりますが、二〇一五年というようなまどろっこしいことではなくて、財政の問題もありますし、また地元の理解のこともございましょうけれども、ひとつ私たち運輸省といたしましては、極力その御理解を得て、財政当局にも働きかけて、これを早期に整備する必要があると思っております。  そういうことですから、委員の方も、千葉県挙げてと言うだけではなくて、我々空港利用者も含めて、一層、財政当局にも理解を求めて、これの整備を急ぐ必要があると思っています。それは、ただ単に利便性だけの問題ではなくて、環境の問題にまでつながってくる。  自動車で成田に行く方が多うございますけれども、これがもう本当に渋滞どころじゃなくなってくる。そのときに早くこれを通して、そして環境に対するCO2の負荷までも減らす効果もあるわけですから、そういうことも含めてひとつ大きな力をいたしていきたいと思いますし、皆様方も大きく盛り上げていただきたい、これを心からお願いを申し上げまして運輸省の態度とさせていただきます。
  128. 水野賢一

    水野分科員 ありがとうございます。  終わります。
  129. 岩永峯一

    岩永主査 これにて水野賢一君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後三時二十分開議
  130. 岩永峯一

    岩永主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより建設省所管住宅金融公庫について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。加藤建設政務次官
  131. 加藤卓二

    ○加藤政務次官 建設省所管平成年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別の収納済み歳入額は、一般会計四百五十二億八千七百万円余、道路整備特別会計五兆一千百四十三億九千万円余、治水特別会計の治水勘定一兆七千四十八億五千三百万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定三千二百三十四億五千七百万円余、都市開発資金融通特別会計千七百三十七億七千三百万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別の支出済み歳出額は、一般会計七兆八千九百億一千三百万円余、道路整備特別会計四兆五千五百九十六億百万円余、治水特別会計の治水勘定一兆五千七百七十九億九千万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定二千九百七十一億七千万円余、都市開発資金融通特別会計千五百二十九億円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分五百十八億六千五百万円余となっております。  以上が、平成年度における建設省所管決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。  引き続き、建設省所管平成年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別の収納済み歳入額は、一般会計四百十億四千万円余、道路整備特別会計四兆九千七百十五億一千九百万円余、治水特別会計の治水勘定一兆五千九百六十四億二千百万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定三千百二十七億三千二百万円余、都市開発資金融通特別会計千七百六十九億三千万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別の支出済み歳出額は、一般会計六兆九千二百九十三億九百万円余、道路整備特別会計四兆五千百七十一億九千二百万円余、治水特別会計の治水勘定一兆五千百四十一億四百万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定二千八百二十八億三千百万円余、都市開発資金融通特別会計千五百八十九億円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分六百七十九億九千七百万円余となっております。  以上が、平成年度における建設省所管決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  132. 岩永峯一

    岩永主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院白石第三局長
  133. 白石博之

    白石会計検査院当局者 平成年度建設省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項五件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号二八二号は、公営住宅建設事業において、補助金の交付額の算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているものであります。  検査報告番号二八三号は、駐車場整備事業において、施工が設計と相違していたため、コンクリート舗装工が工事の目的を達していないものであります。  検査報告番号二八四号は、土地区画整理事業において、建物解体工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二八五号は、道路災害防除事業において、のり枠工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二八六号及び二八七号の二件は、都市公園整備事業において、設計が適切でなかったため、雨水排水管が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二八八号は、海岸侵食対策事業において、人工リーフの捨て石のならし工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二八九号は、中小河川改修事業において、設計が適切でなかったため、樋管が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二九〇号は、道路改良事業において、ロックボルト工の施工が粗雑となっていたため、工事の目的を達していないものであります。  検査報告番号二九一号は、道路改良事業において、設計が適切でなかったため、ボックスカルバートが不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二九二号は、公営住宅建設事業において、補助金の交付額の算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。  その一は、特定優良賃貸住宅供給促進事業における共同施設等整備費の算定に関するもので、階数が部分的に異なっている建物の共同施設等整備費を最上階に対応する高額な一戸当たり標準工事費に全戸数を乗じて算出していて、補助金が過大に交付されておりました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。  その二は、補助事業に係る道路改築事業等における再生砕石の利用の促進に関するもので、事業主体において、下層路盤工等に新材より安価な再生砕石を使用できる事業や工種を限定するなどしていて、材料費の積算が経済的に行われておりませんでした。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。  その三は、公共事業の施行に伴う損失の補償に係る消費税相当額の取り扱いに関するもので、建物の移転等に要する費用に係る消費税相当額を補償の対象としていて、補償金が過大に算定されておりました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。  その四は、震災対策として施行する橋脚補強工事における注入材等の材料費の積算に関するもので、注入材等の材料単価について公表価格をそのまま採用していて、注入材等の材料費の積算が過大になっておりました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。  その五は、ダムの有効活用に関するもので、ダムの操作に当たり、ダムの有効活用を図るための取り組みが十分でなかったため、弾力的なダム操作が行われておりませんでした。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。  以上をもって概要説明を終わります。  平成年度建設省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項九件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号二七二号は、総合治水対策特定河川事業において、設計が適切でなかったため、樋門等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。  検査報告番号二七三号は、市街地再開発事業において、補助対象事業費の算定を誤ったため、補助金が過大に交付されているものであります。  検査報告番号二七四号は、都市モノレール事業において、PC軌道げたの伸縮継ぎ手の材料費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二七五号は、道路災害防除事業において、ロックボルト工の施工が粗雑となっていたため、工事の目的を達していないものであります。  検査報告番号二七六号は、道路改良事業において、設計が適切でなかったため、擁壁の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。  検査報告番号二七七号は、河川改修事業において、施工が設計と相違していたため、橋台等の所要の安全度が確保されていない状態になっているものであります。  検査報告番号二七八号は、道路改良事業において、ブロック積み擁壁工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二七九号は、街路事業において、トンネルに設置した道路照明設備の設計が適切でなかったため、路面の明るさが照明の基準を満たしていないものとなっているものであります。  検査報告番号二八〇号は、公営住宅家賃収入補助事業において、交付額の算定が適切でなかったため、補助金が過大となっているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件について御説明いたします。  その一は、下水道事業の実施における汚水管の管径の設計に関するもので、汚水管の設計に当たり、設計指針において、流量計算により汚水管の管径が二百ミリメートル未満となる場合は、汚水管の維持管理等に支障を生じないよう最小管径を二百ミリメートルとすることとなっているのに、具体的な根拠もなく最小管径を一律に二百五十ミリメートルとしていたため、汚水管の材料費が不経済となっておりました。これについて指摘したところ改善の処置がとられたものであります。  その二は、国道のバイパス供用開始に伴う旧道の地方公共団体への引き渡しに関するもので、旧道の地方公共団体への引き渡しに当たり、旧道の処理についての地方公共団体との協議が供用開始までに完了していなかったり、旧道の修繕工事等の着手に相当期間を要したりなどして、引き渡しが遅延していたため、旧道の引き渡しまでの間の管理費用が不経済となっておりました。これについて指摘したところ改善の処置がとられたものであります。  その三は、河川改修事業等の護岸の根入れ部に使用する材料の選定に関するもので、護岸の根入れ部の設計に当たり、施工箇所の河床が安定していて流水等による洗掘のおそれが少ない場合については、護岸の根入れ部に使用する材料は、自然石に比べて入手が容易で工事費も低廉な普通ブロックとしても景観上の問題は生じないのに、自然石を使用することとしていたため工事費が不経済となっておりました。これについて指摘したところ改善の処置がとられたものであります。  以上をもって概要説明を終わります。  引き続きまして、平成年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  平成年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上でございます。
  134. 岩永峯一

    岩永主査 ただいまの会計検査院指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。加藤建設政務次官
  135. 加藤卓二

    ○加藤政務次官 平成年度決算における会計検査院の御指摘に対し、建設省のとった措置について御説明申し上げます。  地方公共団体等が施行する国庫補助事業につきましては、その適正な執行を図るよう常に指導しているところでありますが、平成年度決算検査報告におきまして、工事設計が適切でないもの等十一件について、不当事項の御指摘を受ける事態を生じましたことは、まことに遺憾であります。  御指摘を受けました事項につきましては、国庫補助金を返還させ、または事業の目的を達成するよう手直し工事を施工させるなどの措置を講じたところであります。さらに指摘に係る補助事業者に対しては、関係法令の遵守、設計審査の徹底、施工の厳正な監督、検査の実施等になお一層努めるよう通達を発するなど、注意を喚起したところであります。  今後は、このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存であります。  引き続き、平成年度決算における会計検査院の御指摘に対し、建設省のとった措置について御説明申し上げます。  地方公共団体等が施行する国庫補助事業につきましては、その適正な執行を図るよう常に指導しているところでありますが、平成年度決算検査報告におきまして、工事設計が適切でないもの等九件について、不当事項の御指摘を受ける事態を生じましたことは、まことに遺憾であります。  御指摘を受けました事項につきましては、国庫補助金等を返還させ、または事業の目的を達成するよう手直し工事を施工させるなどの措置を講じたところであり、さらに指摘に係る補助事業者に対しては、関係法令の遵守、設計審査の徹底、施工の厳正な監督、検査の実施等になお一層努めるよう通達を発するなど、注意を喚起したところであります。  今後は、このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存でございます。
  136. 岩永峯一

    岩永主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 岩永峯一

    岩永主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  138. 岩永峯一

    岩永主査 以上をもちまして建設省所管住宅金融公庫説明は終わりました。     —————————————
  139. 岩永峯一

    岩永主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桧田仁君。
  140. 桧田仁

    桧田分科員 決算行政監視委員会の建設省の質問をお許しいただき、まことにありがとうございます。  大体、予算委員会もそうなんですが、決算というのは本当に大事な委員会なんですが、どうも私ども政治をやっている者は、もう決まってしまったということもありますし、逆に一方、予算の執行というのが単年度になっているものですから、ついつい、どんどんやってしまわなきゃいけない、それから、残ってはいけないというような、何かいつの間にかおかしな風習がありまして、この制度も本当に、建設省も、先ほど来から説明を聞いておりますと、各事業とも、会計検査院指摘はともかくとして、予算執行に関するいろいろなことは真剣にこの決算行政監視委員会で議論をさせていただきたい、こういうように思います。  ただ、そうはいいましても、あれもこれもといいましてもあれですから、きょうは分科会でもありますから、主に道路ということに関してお聞かせいただきたい、また御意見を聞かせていただきたい、こういうように思います。建設省のお気持ちも聞かせていただきたいと思います。  まず第一は総論ですが、私は広島県の西部におりますから、当然広島県の西部の道路ということも非常に関心があるわけですけれども、これからの道路行政というのは、建設省はどんなお考えでやっているか。総括的なことでも結構でございますから、道路行政全般、どんなお気持ちか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  141. 大石久和

    ○大石政府参考人 道路行政の今後の全般的な取り組みについてのお尋ねでございます。  道路は、おくれております社会資本の中でも特に戦後のモータリゼーションを追いかけるということで、モータリゼーションを追いかけるための諸施策というものがかつては重点的にやられてきたという経緯があると思うのですが、今後は、私ども道路行政のあり方も少し転換を図る時期が来ているのかなというように思っております。  それは、例えば道路の構造で申しますと、道路の空間をできるだけ早く自動車が通れるような空間としてあけるということがかつての方向でございましたが、今後は、歩行者でありますとか自転車、あるいは緑の空間としてどのような空間を残していくのかということが大きなテーマになる。特に、都市内の道路におきましては、都市景観を形成し、都市の採光空間を構成する、あるいはライフライン等を収容する空間として位置づけられるというようなことから、この空間をどのように考えるのかというのが一つ問題であろうと思います。その際に、今先生から御指摘ございましたような、例えば騒音に対応する道路構造といったようなことも大切なのかなと思っています。  もう一つ大きな方向は、ネットワークとしてどのように整備していくのかということになるのかなと思っております。  例えば高規格の幹線道路でありますと、広域的な地域と地域を結んで地域の役割を分担させるということになりますでしょうし、それを補完する国道、地方道、市町村道ということになりますと、それぞれの地域の役割や地域の課題を解決するためのネットワーク、これはネットワークとして完結しなければなりませんので、そのネットワークのあり方について、どれだけの量がどういう規格で必要なのか今後検討が必要でございますが、私どもといたしましては、規格の高い道路につきまして、かつての全総、四全総でもそのように規定させていただきましたし、五全総でもそれをレビューしていただきましたが、高規格幹線道路でいいますと約一万四千キロ、国道でいきますと約五万キロ、あるいは幹線地方道でいきますと四十万キロぐらい整備していくことが必要かなというように考えております。  そのような整備をするために特定財源を預からせていただいておりますが、そういった財源を有効に利用させていただきながら、国民の持っておられる諸課題の解決に役立てるよう整備していきたいと考えているところであります。
  142. 桧田仁

    桧田分科員 大石局長、大変いろいろ道路行政にもお詳しいし、非常に御努力されて感謝申し上げます。きょうは決算委員会でもありますので、総括的なことで恐縮ですが、細かい数字は結構です。  局長として、この八年度、九年度、いろいろな財源があって、特定財源のことはちょっと後にしまして、この一、二年間道路に対する結論が出てきて、おくれたものもあり、ちょっと思ったようにいかなかったところもあるわけですが、日本全国全体を考えて、道路の結論は、ずばりあなたの本音の気持ちはどうですか。やれなかったこと、やりたかったこと、あるいはこれはうまくいったこと、自画自賛でもいいですから、いかがですか。
  143. 大石久和

    ○大石政府参考人 私、昨年の七月から道路局長をやらせていただいておりますが、道路局長として一番矛盾を感じておりますのは、全国の多くの地域から、規格の高い道路からそれこそ地先の道路まで、いろいろな改修や改築の御要望があるにもかかわらず、残念ながらそれに十分こたえ切っていないというところが、私にとりまして最大の悩みと申しますか矛盾として感じているところでございます。  近代的な国家として私たちの国民を都市生活という意味で導こうと思いますと、やはり近代的なインフラがきちっと整備されていなければならないというように思うわけでございますが、私たちの整備のスタートがそもそもおくれた、また、諸外国では都市内の道路が完全に舗装されているという状況の中で、我々は、都市内の道路の舗装も高速道路も両方とも整備しなければならないといったような、両方の目的を追いかけなければならなかったというような過去をしょっているわけでございます。  そういったことから思いますと、今それぞれの地域が道路にかけてその地域をよくしたいと思っておられるその思いに十分こたえ切れていないというところが大変残念でございまして、そういったことの課題を一つ一つ解決できるように、地域の方々の御要望に耳を傾けながら、行政が一歩一歩前進するように努力する、このようなことを自分の心構えとしてやっておるところでございます。
  144. 桧田仁

    桧田分科員 ちょっと遠慮がちに言われましたが、もっと思い切って言われてもいいと思います。  というのは、やはり基本的には道路特定財源の問題があると思うのです。ここは予算委員会ではないですから特定財源の問題を余りここで議論するのはいかがかと思いますが、一時、特定財源をどうするかという御議論もございました。一般財源と特定財源というのは、率直に、道路局長の思いもあろうと思うので、ずばりこの機会に教えてください。特定財源はどんなにしたいのですか。
  145. 大石久和

    ○大石政府参考人 御指摘ございました道路の特定財源制度は、昭和二十九年に揮発油税を特定財源化させていただいて以来、逐次道路財源の不足を補うために種々の財源が用意されてまいりました。これは国民の皆様方に、道路を整備するあるいは道路を整備することを急ぐからということで新たに創税させていただき、また、種々の税制も暫定税率というかなり高い税率をお願いしているところでございます。道路に対する期待があるからこそ国民の理解が得られている、そういう税制だというように思います。  また、利用と負担の関係が非常にわかりやすい税制ということもございまして、先ほどの決算報告でもございましたが、今たくさんの税金を預からせていただいておりますが、それでも何らかの御理解が得られているのかなというように思うわけであります。  先ほど申しましたような状況を考えますと、私どもは、道路の特定財源についていろいろな議論がございますけれども、これは引き続き全額道路整備に充てさせていただくことで国民の理解が得られるものと考えてございまして、道路整備が環境破壊につながるだとかといったようないろいろな議論がございますが、最近では環境にも十分配慮した、あるいは環境を創造し改善していくためにも道路整備が必要だという部分がございますので、そういった雑音に惑わされることなく、正々堂々と道路整備に努めていきたいと考えております。
  146. 桧田仁

    桧田分科員 私は、道路というのは非常に大事な事業だと思います、当然のことですが。ところが、財源がないとか、全国から恐らく道路局長のところに陳情にたくさん来られて、覚え切れないというと大変失礼ですが、頭がいい局長ですから全部覚えておられると思いますが、覚え切れないだけの陳情と書類と恐らく御要望だと思います。  総論で言えば、必要なところから、重要なところからとおっしゃるのは当然でございますが、それでもそれなりに、これだけ膨大に来る陳情の道路の中から、さっきの特定財源もあり、そして多くの要望もあり、それでなおかつ局長としての思いもあろうと思うのです。結果もあろうと思うのです。結果的にはうまくいかなかったということもある、あるいはどうしても用地買収がうまくいかなかった、あるいはどうしてもこうだというのはあろうと思うのですが、ずばり、道路局長の優先順位というものもあるのではないかと思うので、遠慮なしにお教えいただきたいと思います。
  147. 大石久和

    ○大石政府参考人 若干答えづらい御質問でございますが、道路整備、先ほど申しましたように、やはりネットワークとして完結する、ネットワークとして初めて機能を発揮するという部分がたくさんあるわけでございます。これは高速道路なんかにいたしましてもそうでございますし、東京、大阪の都市高速あるいは広島の都市高速なんかにつきましても、部分的な供用ではなくてネットワークとして完結することによっていろいろ交通の転換が図られるということがございます。したがって、ネットワーク上の隘路になっているような区間について重点的に整備するというようなことが必要かなというように考えてございます。  特に、我が国は、高速道路でいいますと、縦貫系の整備は進んでまいりましたが、今後横断系の整備が進んでまいります。そうなりますと、縦貫系を補完して、国土全体を使いやすい、そういうネットワークが完成するわけでございまして、縦貫系を補完する横断系のネットワークの整備を急ぎたいというのが一点。  それから、都市部の環状道路の整備でございます。これは別に東京、大阪だけのことではございませんで、ブロック中心都市、札仙広福と言われるような町でありますとか、あるいは県庁所在地といったようなあたりでも、環状道路が大変不足いたしております。  ヨーロッパでは、人口三十万以上の町のほとんどのところで環状道路が整備されている。それも自動車専用道路クラスで整備されているということから思いますと、この東京ですら環状道路が一本しかない。それも都心環状の一本しかないというような状況でございますので、大変おくれておって、むだな交通を都心に引きずり込んでいるというようなことがあるわけでございますので、環境問題その他のことから考えましても、環状道路で都市の交通混雑を解消していくといったようなことが必要だと思っています。  また、そういう大きい都市構造の変革をもたらすような道路整備だけではなくて、ボトルネックとなっているような箇所につきましても、これの解消を図るための緊急的な整備が必要であるというように考えております。  また、交通安全の面でありますとか、環境に資する面に役立つような箇所について、緊急的に整備するというようなことも必要でございまして、あれやこれや申しますと全部必要になるわけでございますが、そういったことを、それぞれ課題の大きさに照らしながら箇所づけ等を考えて整備していくということを考えているところでございます。
  148. 桧田仁

    桧田分科員 ただいま局長、大変ありがたい、言いにくい、通告していない質問でしたから恐縮でしたが、日本道路の最大の特徴は、やはり環状的なものがない。アメリカもそうですけれども、ヨーロッパに行きますと、ほとんどの道路というのは、うまく都市を環状的によけて通過する。日本は、今は多少よくなったといいましても、ほとんど都心部を通らざるを得ない。うっかりよけて側道に入るともっと困ってしまうという、つまり環状的な道路をしっかり整備しながら道路整備をするという、私はこれは、優先順位、都市というよりも最優先にすべきだ思うのです。  確かに環状に関しても御意見はございます。しかしながら、都心よりも環状というのは何といっても地価も安いし、それは、全く障害がない、反対がないとは言いませんけれども、いろいろな意味で環状道路というのは、都心の方も使うし周辺の方も使うし、通過者も使う。これからは道路整備はぜひ環状化を最優先にと、局長は答えにくいかと思うのですが、私はぜひ、道路の環状化を最優先に整備していただくことを一番、日本はまだまだ道路整備がおくれておりますし、大きなお金も要ることは承知いたしておりますが、ぜひお願いしたい、こういう気持ちでございます。  よく大石局長とは、道路の開通式ではいつもお会いして、いろいろと御苦労いただいている。私は国会議員になりまして三年半余り、実は省庁関係があります祝賀会とか何かの会式に出るというのは、建設省の道路関係が約八割、あとは、農林もほとんどない。その他、私が一生懸命やっております厚生省関係なんて一度も何も出たことはありません。もちろんその他の省庁は残念ながら、国会議員をやっておりましても、ああ、これが本当にこうだなと思ったことがない。  御存じのように、大石局長とも何度も広島でお会いするぐらいに、開通式だけでも覚え切れないぐらい出させていただきました。こんなに道路というのは私たちにとっても国会議員にとりましても重要な、しかも渡り初め式をさせていただくときに、本当に感慨深く、下手をすると——ちょっと私ごとで恐縮でございますけれども、広島には尾道という町がございます。尾道の向かいに向島という町があって、今でこそ橋が全部つながりまして四国までつながっています。五十年前の尾道市長は、四国まで橋をかけるというと気違い呼ばわりをされた。しかし、その市長がお亡くなりになってかれこれ四十年という歳月ですが、気違い呼ばわりをされた市長は、今は銅像が建つという時代です。  道路というものは、どうも私たちの思っているより少し違った状況にある。だからこそ道路局長も、少々どんなことを言われても負けずに頑張ってほしいし、それから特定財源も譲るわけにはいきませんし、私たち政治家も、多少御批判はあります。いろいろな主義主張があって御批判はありますけれども、私どもは積極的に道路をやるべきと。  これは、さっきの話ではありませんが、まさか私も、四国まで三本もつながる時代が来るとは予想できませんでした。いろいろな御意見はあろうと思いますが、大変大事なことで、ぜひ道路行政、頑張っていきたい、こういうふうに思います。  以上で総論的なことは終えまして、私も国民の審判を受ける日の近い身でございますから、何といっても、全国の道路のこともありがたい御意見でございますが、地元のことも気にならぬと言ったらうそになります。委員長に許可をいただいて、地元のことも、矮小なことかもしれませんが、私どもの住んでいる広島西部地方の道路のことも非常に気になっております。二、三、道路のことをお伺いしますので、ぜひ局長にも率直な御意見、あるいは私どもが期待している気持ちも含めてお教えいただきたいと思うんです。  まず第一は、広島は、札仙広福といいまして、札幌、仙台、福岡、広島という時代がございました。ところが、恥ずかしいことに、もうだれが見ましても、広島にお越しになった方は、とにかく道路にびっくりされます。何でかといったら、後で述べますけれども、高架の道路がほんのわずか。ほとんどが平面交差ですから、もう渋滞するのは当たり前。  それで、七つの川といいますか、川がたくさんあるものですからとにかく橋がある。橋があるということはその部分が狭くなるというのは当たり前ですから、もう広島というのは、札仙広福といった都市の比較から、恥ずかしいですがずっとおくれをとりました。その最大の理由は、橋が多い、平野が少ない、そして道路が高架にならない、海に面しているという大きなハンディを負っております。  そこで、特に広島の西部はそのまさに象徴のような苦しみの中におりますから、西広島バイパスとか、西の方から岩国、山口県に行く道路は、もう渋滞は当たり前。皆さん方、遠くの方はおわかりにならぬので恐縮ですが、私は広島県の西部に住んでおりますが、前に県会議員をしておりましたので、自分の自宅から県庁に行くのに、恥ずかしいんですが、家を出た時間は一番早いのに到着は一番遅いという、実にとんでもない。  広島県のことを御存じかどうかわかりませんが、三次とか福山とか、遠い、百キロに近いところがたくさんありますが、高速道路に乗りますから、私が一番早く出て一番遅く着くというぐらいに広島県の西部の道路状況は厳しい状況でございました。もちろん、今も残念ながら変わっておりません。道路局長、当然御存じでございます。  特に、この渋滞の中で、広島県の西部は、実は約五十五万の人口を擁しておりながら、道路は一本しかないと言った方がいい。あと高速道路があるわけです。旧二号線があります。しかしながら、高速道路はさっき言いましたように環状線みたいな感じになっておりますから、離れています。バイパスと旧二号線と二本しかないのに朝晩五十万の人口が動くわけですから、これはもう初めから渋滞しない方がおかしい。  その中で、非常に長い間建設省に御努力いただきました。特にこの西部の問題は、観音高架、宮内の渋滞、そして大竹—岩国の渋滞という大きな三つのネックを抱えていますが、この解決について局長としてどのようなお気持ち、お考えでしょうか。
  149. 大石久和

    ○大石政府参考人 先生御指摘ございましたように、広島県西部におきましては、都心方向との連絡等によりまして著しい交通渋滞が発生いたしております。例えば、広島西区観音地区におきましては、観音本町一丁目付近で大きな混雑がございますし、また廿日市市宮内地区におきましても、交差点等で大きな交通渋滞が発生いたしております。  建設省といたしましては、昭和四十年度から西広島バイパス事業を実施しており、逐次供用しておるところでございますが、現在、観音地区におきまして観音高架橋の延伸工事を、平成十四年度供用を目途に整備を進めているところでございます。  また、廿日市市宮内地区につきましては、交差点の立体化が必要でございます。このため、廿日市高架橋の設計を本年度進めることといたしておるところでございます。  さらに、大竹市内の一般国道二号は、市街地の中心部を通過し、交差道路が多いこと等により著しい交通混雑が発生する区間となっておりますことから、広島県大竹市から岩国市に至る延長約十キロメートルの岩国大竹道路を整備することといたしており、現在、平成十二年度都市計画決定に向け、環境影響評価手続を実施しておるところでございます。  今後とも、地域の御理解を得て、早期に供用が図れるよう努力してまいりたいと考えております。
  150. 桧田仁

    桧田分科員 先ほどからお願いしておりますように、大変厳しい状況です。遅々として進まないこともわかるんですが、ぜひこの点はよろしくお願いします。  そこで、観音高架でなぜおくれたかという最大の理由は、局長が御存じのように、沿道の環境対策といいましょうか、騒音対策ということがあって非常に住民の理解が難しかったということでございます。  一般論でも結構です。何も観音高架だけの問題ではない。広島市の観音だけではございませんが、やはり住民にとっては、家の前に高架がどっと通るというのは、心理的にも音的にもあらゆる、阪神大震災みたいにひっくり返るとは思いませんが、いろいろな思いがあるわけです。局長としては、やはりこの沿線の環境、防音対策ということも道路局としては当然考えておられると思いますが、この点はいかがでございますか。観音地区のことだけでもいいですが、一般的なことでも結構でございます。
  151. 大石久和

    ○大石政府参考人 高架道路等通過交通を担う道路施設が家屋の前にできるということにつきまして、地域の方々からいろいろな声があるのは当然のことだというように思っております。  そのために、我々も環境アセスメントを実施したり、具体的な環境施策を行っていくということが大変重要だと考えておりまして、昨今では舗装路面を低騒音化舗装するという技術が大変進んでまいりました。これは、低騒音舗装をやりますと約三デシベル下がるわけでございまして、交通量が半減するのに等しい効果が出るというようなことがございます。  また、高架橋梁等につきましては、遮音壁等の設置が比較的しやすいというようなことがございますので、日照等に配慮しながら、遮音壁を敷設させていただきまして、騒音が下がるように配慮していくといったようなことを実施しておるわけでございます。  いずれにいたしましても、地域の皆様方に喜んでいただける道路整備でなければならないと考えてございますので、計画の早い段階から地域の皆様方に私どもの計画内容を御説明し御理解いただけるような、いわゆるパブリックインボルブメントと申しますか、地域の方々と一緒に合意形成をして構想を練っていく、そんな方式でこれからの道路整備は進めたいと考えております。
  152. 桧田仁

    桧田分科員 ありがとうございます。  もちろん私たちとしては、高架道路を一日も早くという気持ちもあるんですが、地域の住民も苦しんでいることもあります。ぜひ重ねてお願い申し上げます。  一方、広島は、頭の中では考えていてなかなか先になっていた広島南道路、先般一部開通いたしました。開通式にも皆様ともども出させていただき、こんな時代が来たという感慨の広島南道路の一部の開通でありました。ところが、いよいよ迫ってきまして、一番肝心なところの南道路が十分でないものですから、これも広島市民、地域の住民にとっては広島南道路の開通ということは非常に気になっております。  広島南道路、非常に難しい広島西空港の高架あるいはトンネルという議論から、一部の地域の反対運動もあるので大変恐縮ですけれども、何とか私たちとしては広島南道路も一日も早く開通をと考えていますが、広島南道路についてはどのようなお考えでしょうか。
  153. 大石久和

    ○大石政府参考人 広島南道路についてお尋ねでございます。  安芸郡海田町から廿日市市に至る広島南道路は、広島都市圏における広域的な交流、連携を支える延長二十三・三キロメートルの地域高規格道路であります。このうち、海田町から広島市西区の十四・八キロメートルにつきまして平成年度より事業を実施いたしておるところでございます。  平成十二年三月までに、指定都市高速道路二・六キロメートル、臨港道路二・三キロメートルを含む海田町から広島市南区間延長七・一キロメートルが供用されたところでございます。引き続き、広島市南区内の一・三キロメートルについて、平成十四年度供用を目標といたしまして用地買収を推進しておるところでございます。  広域的な通過交通を担う地域高規格道路として、広島県の交通円滑化に必須の道路であると考えてございます。早期供用が図れるよう、これにつきましても努力いたしたいと考えております。
  154. 桧田仁

    桧田分科員 実は、港湾の方までお呼びしてもいかがかと思いましたので、きょうは道路局長だけでお願いしましたけれども、この南道路は、広島市の南部、つまり瀬戸内海に面した、橋梁を中心とした道路でございます。大石局長に答えていただくことではないのでしょうけれども、やはり運輸省の港湾との関係、あるいは港の整備とかいうことにも当然関係しながらやってきます。  先ほど言いましたように、広島西飛行場という問題も当然微妙にかんでいることも御承知でございますから、ぜひ今後、道路局長は、運輸省ともよくよく協議し、またお互いに整合性もあり、港の整備、空港の整備、そして橋の整備ということと一緒になったこの南道路の整備でございますから、これはぜひ運輸省ともよくよく協議し、縄張り縄張りということはないんでしょうけれども、一緒にやらなきゃいけませんし、特に、側道は建設省がやり、橋梁は運輸省がやりというような、ちょっと分かれ分かれになっているところもあるものですから。しかも最後は、先ほど言いました西広島バイパスの高架道路にまで一緒になることでございますので、ぜひ行政の整合性を持っていただくようにお願いしたいと思います。これは要望です。  最後に、もう一つ、細かいことで恐縮ですが、広島市西部には、北の方へ行く道路に大事な国道四百三十三号というのがございます。この四百三十三号というのは、もしも皆さんが広島にお越しになって——広島には非常にすばらしい湯来温泉という非常に歴史のある温泉がございます。その温泉に行く道路でございまして、旅の方がこの湯来温泉に行こうとするときにはこの四三三を通るわけなんですが、実はこの四三三、地図で見ると、はい、この道路と思うのですが、いざ行ってみますと、もう本当に、えっというようなすごい道路です。厳しいところがたくさんある道路。四百番台の道路ですから厳しいところがあるのはある意味では当然ですが、二つお願いがあります。  一つは、四三三の上がり口の廿日市市に、一部道路が急峻、非常に狭い、冬場は雪が非常に怖いということを何らかで教えませんと、旅の者は国道と思いますから、廿日市から行くときにはもう安全と思って乗ったら、いや、とんでもない国道でございまして、普通の人はもう途中で引き返そうと思うぐらいです。これが一つ。これは要望です。だから、何らかできちっとやってください。  もう一つ問題点は、大古谷という地域が、こんなに曲がって、非常に事故多発。夜はキツネもタヌキも出るような道路でございますから、川のそばでこんなに急峻な道路で、この改善を地域の住民は非常に一生懸命やっております。もう何十年来お願いしておりまして、やっと先般来いろいろと動きがあるようでございますが、特に四三三の大古谷地区の、七曲と私らは申しておりますけれども、この地域にいい道路をつくっていただくようにお願いいたしておりますが、局長、いかがでございましょう。
  155. 大石久和

    ○大石政府参考人 一般国道四百三十三号のうち、湯来町内の極めて厳しい隘路区間となってございます大古谷地区につきましては、約二キロメートルの線形不良区間がございます。現在、その隘路区間を解消するためのバイパス計画につきまして調査を推進しておるところでございます。早期に事業化が図れるよう広島県を支援し、利用者の方々が使いやすい構造が実現できるように努力してまいりたいと考えております。
  156. 桧田仁

    桧田分科員 実はこの道路、温泉の話をしましたけれども、その山奥にございます湯来町、吉和、筒賀、さらには山陰に抜ける大事な道路です。この整備が行われますと、一挙に、広島—山陰の、いわば陰陽連絡の大きな一つの幹線道路になります。災害時のバイパスにもなります。ぜひお願いしたい。  それからもう一つは、実はこの道路、ちょうど今おっしゃっていただいた大古谷地区のバイパスは、周辺に大きな団地を持っています。団地の取りつけ道路というのが非常に大きな関心事で、住民は、ただ曲がっているから道路をつけてくれというだけじゃないんです。団地といい道路を取り合うという気持ちがありますので、ぜひこれは要望として——バイパスはそれはもう真っすぐ一本でいいとだれでもわかっているのです。そうはいいましても、団地との取り合いもぜひ、大石局長にしっかり、地域住民ともよくよく相談し、地域の方々とも相談し、湯来町とも相談して、いい形のこの四三三の大古谷地区の道路改良を、しかも一日も早くお願いしたいという要望をして質問を終わります。ありがとうございました。
  157. 岩永峯一

    岩永主査 これにて桧田仁君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺周君。     〔主査退席矢上主査代理着席
  158. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 民主党の渡辺周でございます。  本日は三十分という限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。  私の本日の質問の趣旨というのは、いわゆる労務単価についてでございます。先般、平成十二年度の労務単価、建設省、運輸省それから農林水産省共同で、公共工事設計労務単価調査を行いまして、平成十二年度の単価がこの三月に決定をされたわけでございます。これを見ますと、単価は対前年度比でマイナス一〇%と大幅に下がっております。聞くところによりますと、史上最大の下げ幅だということでございます。  これまで、公共事業という問題につきましては、いろいろな角度から我々もとらえてまいりました。一定程度、景気対策という中で莫大な公共事業費が使われてまいりました。しかし、現状を考えますと、全体的な建設事業の総額の低迷あるいは全体的な物価の下落傾向、いろいろなことを考えますと、いわゆる公共事業による景気刺激策、その反面で、たびたび行われたにもかかわらず、ここにおいて単価はマイナス一〇%、史上最大の下げ幅である。  この理由というのは、おのずから私自身は合点がいかないといいますか、一つには、いわゆる景気対策という意味において、最終的な受取人であり、あるいは消費者である、まさに孫請に当たるような方々に対して非常に厳しい現状を強いてきているわけであります。  建設省は、今回の大幅なこの下げ幅、大幅に下がったということの要因をどのようにとらえていらっしゃるのか、その点についてまずは第一点お尋ねをしたいと思います。
  159. 加藤卓二

    ○加藤政務次官 平成十二年度の公共工事設計労務単価が前年度に比べて大幅に下がった要因についてのお尋ねでございますが、先生のおっしゃられるとおりだと思います。本当に大変な下げになっておることは事実でございます。  建設労働者の賃金は、一般に、建設投資の状況だとか労働力の需給バランス、労働者個人の技能だとか経験等の要素により決まるものであると承知しております。  この問題に関して、大変下がっているように思うのですが、戦後、いろいろな状況の中で割合、比較的恵まれた賃金を確保してきた業界じゃないかな、私はこう思っておるわけでございますが、ここへ来て確かに下がっているということは、民間の建築やなんかが大変減っている。事実、現実にそれを支えているのは公共投資で支えていたわけですが、その切れ目がちょっと出たりなんかするとやはり賃金が急に下がるというような問題が起きるので、ぜひそれをそういうことのないようにしていきたいなと思っております。  平成十二年度の労務単価のもととなる十一年の支払い賃金の実態について見ると、最近のピークであるところの平成年度から比較すると約一四%、建設投資が大幅な減少をしている、そういう中で起きているわけです。平成十年二月以降、建設技能労働者が供給過剰になった、これは先生が言うとおり戦後初めてかもしれません。完全失業率が平成十一年度四・七%と上昇するなど、雇用情勢の悪化が大きな原因にもなっていますが、建設市況が低迷しており、これらの要因により大幅な下落をしているものと考えられますが、私は、むしろ公共投資を上手にやっていけばそんなに大きな下げはなくこの辺でとまるのではないかな、こう思っております。
  160. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 今、政務次官から御答弁がありましたとおり、もしかして供給過剰であるといったような形が、まさにこれは、どの分野においても今大変な、例えば雇用者、サラリーマンでいいますと、大変な失業率の高さがもちろん起こっている。もちろん建設あるいは土木分野における労働者という方々に対しても供給過剰という面が見られるのかもしれない、そういう理由も一つにはないわけではないと思うわけでありますが、一つの原因かもしれません。私自身は、一つには、やはりゼネコンの経営状況の悪化が大幅な下落をもたらしたのではないかと思わざるを得ないわけであります。  御案内のように、ここであれこれ例を挙げて申し上げることもありませんけれども、いわゆる債権放棄の問題。いわゆるバブルの時代にさまざまな分野に手を出して、ゼネコンがまさに経営責任という意味においては大変な失敗をした。しかも、ここで債権の放棄などのようなことが、特にゼネコン業界を中心にして大変多額に上っている。しかも、連日の株価等を見ますと、いわゆる額面割れ、あるいは本当に一株当たり二けた台の単価が連日のように動きもなく載っている、そうした企業もあるわけであります。  この経営苦境が言われてからもうかれこれ、何やかんやと時間がたっているわけでありますけれども、こうした経営危機が顕在化してきた時期と、先ほど申し上げた労務単価の下落はまさに時期が一致しているんじゃないだろうか。先ほど政務次官の答弁の中にはございませんでしたけれども、私はこうしたことがあるんだろうと思うわけでありまして、その点についてどのように認識をしていらっしゃるんだろうか、この点について再度御答弁をいただきたいと思います。
  161. 加藤卓二

    ○加藤政務次官 なかなか状況がよくわかる中での説明でございますが、ゼネコンの経営状況が労務単価に与えている影響について尋ねているわけです。  ゼネコンといっても、株価で今言っているような会社の場合は、大体、大手の会社の場合はジョイントベンチャーで仕事をやるぐらいの単価の仕事をとっておりますから、建設業界の中でもそんなにひどい会社でない会社もあることは間違いございません。ひどい会社というのは本業じゃないところで損をしているわけで、その人たちが足を引っ張っているかなと思うのです。  建設でダムの工事だとかいろいろな仕事でジョイントをやるときに、大手が下の、少し内容の悪いところも抱きかかえながら工事をやるわけですが、ジョイントベンチャーというのは、単独決済というんですかね、賃金をよそへ持っていったりなんかすることはできない、そこで決済して利益の配分はできるようになっているのじゃないかと思うので、労賃にまで響くことのないような監督は十二分にしていける、またそういうふうにしなきゃならない、こう思っております。  経営の悪い会社を、債権放棄しているとか何かというのは、やはりこれは銀行も一緒になってやったことなんで、当然銀行の方にも責任があるんだろうというのは、逆に言うと、無理に不動産を押しつけていた場合もあるだろうし、海外で損をしていた場合もあるだろうし、これはゼネコンだけを責められないのかなというので、銀行は債権放棄をお手伝いせざるを得ない。そういう中で経営体質を改善していくということは大変大事なことだと思いますが、そのために労賃が影響されるようなことのないような方向づけは、今建設省としても十二分に配慮しています。  私の田舎でダムをつくっております。その中には非常に優秀な会社が二社、頭に立って、その下に何社か、たしか経営が、株価が余り芳しくない会社もありますが、今、その下の支払いにおいて問題を起こしているというようなことはないし、むしろ仕事がないことの方が大変だというのが現状じゃないかと思います。
  162. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 政務次官のお立場と、また御認識というのは私とは違う点もあろうかとはもちろん思うわけでありますが、しかし、今この問題を掘り下げている時間的余裕はちょっとございません。  ただ、現実問題において、今政府の方では、公共事業の下支えから民需の回復を待って、年度で一%の成長を果たしたい、こういうふうに言っているわけでありますね。これまでも大変な公共事業、加速度的にとにかく公共事業中心型の景気回復策をやってきた。しかし現実問題として、この景気回復感というものが、実際、経済企画庁ですとか日銀ですとか、あるいはさまざまなシンクタンク等がいろいろな形で数値を出したり、あるいはいろいろな言葉で回復基調にあるといったようなことをこれまでも言ってきたわけでありますけれども、やはりこれから——特に大手建設業界というのは、人員の面におきましてもあるいは経済の波及効果においても大変すそ野の広い分野であるわけでございます。しかし、私などの知る限り、先ほど先生も地元の話をしましたが、私もいろいろな方々お話をしていく中で、景気回復感というのは、現実問題として、生活実感の中においてやはりまだまだほど遠いんだというのが現実ではないかと思うんです。  きょういらっしゃる議員の方々もお感じと思います。恐らく、地元に帰られていろいろな方々と話をしていると、世の中は一生懸命景気回復をしているようなことを言うけれども、おれらの生活はどうなんだといったときに、多分皆さんもそのように言われて、それはそのように答えざるを得ないだろうというのが現実だと思います。  そんな中で、これからいわゆるゼネコンも、将来の先々の問題、例えば時価会計の導入でありますとか退職給付や年金会計等の会計面の大幅な改革ということが言われているさなか、ゼネコンのいわゆる決算にはやはり不安がささやかれているということであります。  そのことを考えますと、まず一つは、労務単価のさらなる下落というものが今後も続いていくんじゃないだろうか。その点が一点。そして、景気回復ということについて、やはり現場で消費をする、最終受取者であるそうした方々の実感というものにつながっていくということを考えた場合、政府としてどのように認識をしていらっしゃるのか。そして、これから労務単価の下げはもうないのか。先ほどはこれが底じゃないのかと言いましたけれども、その点について再度御認識をお伺いしたいと思っております。
  163. 加藤卓二

    ○加藤政務次官 大変よく労働事情を知っておられての質問なんですが、今の建設業界が一番問題になるのは、民間の仕事が非常に少なくなっているために大手のゼネコンが公共投資にほとんどずっと入ってきちゃっているから、今までとれていた中小の人たち仕事がとりづらくなって、孫だとかひこ孫になってお仕事をするような形になっているのが不況感を大きくあれしていると私は思うんです。  これは、公共投資をぜひ続けていかなきゃいかぬというので、私は、産業界における平成年度以降の建設投資が大幅に減少しているので、中長期的にも建設投資の大きな伸びが期待できない現状の中で、極めて厳しい経営環境が続いていることは事実だと思います。  一方、雇用、設備の調整の進展度合い、海外経済の動向など不確定要因が多いが、平成十二年度後半には、我が国の経済もやや民需中心の本格的な回復軌道に乗るんじゃないか、これはそんなふうに言われているし、事実そんなところで一%程度の経済成長ができるんじゃないかという見通しがついてきつつあると思います。  これらを考慮すると、建設市場は弱含みではありますが、現状が続くと考えておりますので、労務単価は、ほぼ同様の状況が続くとは考えておりますが、大幅な下落はないような状況じゃないか、こう思っております。  なお、今後、販売用不動産の時価評価、退職給付会計の導入などが行われ、各企業とも厳しい会計処理を求められることとなりますが、建設請負契約における価格や単価は、基本的には、市場全体の需要と供給の状況により決定されるものであり、契約する建設業者の決算や何かの状況が悪いとかよいとかということで決まるものではないのだと私は思います。
  164. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 今、最後の御答弁は、私も承知でお尋ねをしているわけであります。  しかし、確かにまだまだ民間の景気回復がなされていない。それによって、公共事業と相まって、民間発注の、いわゆる民間需要の意味において公共事業のシェアの部分がふえても、民間の方がまだまだ頼りないということから、この調査ではこういう結果が出たんだろう、恐らく政務次官はそう御答弁をされたと思うんですが。  しかし、これだけ莫大な額が使われてきていながら、実際問題として一体どこに消えているんだろうかというのが、私だけでなく大方の見方だと思うんです。大方というのは、いわゆる景気回復感を実感していない人たちです。ですから今、公共事業のあり方という点についても、いろいろな疑問といいましょうか、本当に効果があるんだろうかという点についてだれもが思いを持っているわけであります。  もう一度お尋ねをしたいのですが、実際問題として、労務単価の引き下げのこの現状を見て、従来から言われているように、経済効果というのはさして変わっていないんだ、公共事業の経済効果というものは変わらない、そのように御認識していらっしゃるのかどうなのか、その点について再度御答弁をいただきたいと思います。
  165. 加藤卓二

    ○加藤政務次官 公共事業の需要の創出というのは大変大きなものだ、私はこう思っておりますし、GDPを押し上げる効果は、ほかの産業に比べて決して劣るものじゃない。即効性、他部門への波及の広さなどの観点から、すぐれた経済効果を有しておるということは間違いございません。景気に対して大きな下支え効果を果たしていることも事実だと思います。  また、近年、民間建設投資が減少している中で、公共事業の確保に努めることによって、建設業の就業者はほぼ横ばいになっていること、これがもしなかったらばもっとがくんと雇用が悪くなるわけですが、公共投資の雇用維持の効果は極めて大きいと認識しております。  さらに、公共投資は、二十一世紀の新たな発展基盤を形成するなど豊かで安全な国民生活や経済発展に資するものであり、引き続き適切に対処してまいる所存でございます。
  166. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 我々は、もう何度も繰り返し申し上げているように、別に公共事業そのものを否定しているわけじゃないんですけれども、この狭い国土において、建設関連の従事者だけでたしか六百六十万人でしょうか、日本人の二十人に一人は何らかの形でかかわっていると私自身は認識をしておりまして、ある意味では公共事業というものが、雇用政策の最も大きな柱の一つだということを今までも言われてきたわけであります。  しかし、考えてみますと、これだけ狭い国土において、いわゆる就業分野において、将来的には、やはりこれからどんどん他産業の分野において——これは国の大きなゴールとして、ナショナルゴールと私はよく言うんですが、いわゆる日本の国がどの方面にこれから進むのか。  かつてケネディは、人類を宇宙に送る、ニクソンは、人類の敵であるがんを撲滅するということで、これは二十年、三十年という単位ですが、宇宙開発が進み、例えば最近の遺伝子解析に見られるような、がんから始まって医学あるいは遺伝子、バイオと、やはりいろいろな分野に派生をしてきたわけであります。  日本の国というのは、これから相も変わらず公共事業を中心にした政策を据えていった場合に、もうこれ以上、一体どこで何をやるのかという現状に行き着くわけであります。このことを余り話をしている時間はもちろんないわけでありますけれども、だからこの現状でいいんだではなくて、これからの日本の国の方針というものが、将来的にはどの分野にこれから雇用というものが生まれるのか、あるいはつくっていかなければならないのかということを、実際問題として、これは政府として、あるいは国民全体が考えていかなきゃならないと思います。  その反面で、確かに建設分野に従事していらっしゃる方が大変多いというのは私も承知をしております。それによって地域経済が支えられているということも、当然納得はしているわけでありますが、ただ、将来的に、では日本の製造業が今、くしの歯が抜けるように職人や技術者がどんどんいなくなってきている、そしてまた研究職という方々がどんどん少なくなってくることによって、次世代産業の分野において人材が本当に育ってくるのかどうかという点を考えた場合に、これは長期的に、これは質問じゃありません、私の持論でございますので、まさに今までのような、開発をして物をつくる、いわゆる公共投資、社会資本をもちろんつくる中で、本当に質を高めて優先順位をつけられるのか。  まさに今、我々が言い続けた時のアセスという問題も、その概念の中で建設省は取り組んできた。これは一つの大きな流れだと思いますけれども、そうした中で、本当にこの国がどうあるべきかということは議論をしていかなければならない。公共事業がどういう効果をもたらしてきたかというのは、一つの面においては、やはり今おっしゃられたような効果はあったろうと思います。  しかし、その反面で莫大な借金をこさえてきたということもこれまた事実でありまして、それがあることが、最終的には増税であるとか、あるいは将来へのサービス低下による消費の低迷、これが今の景気回復をおくらせていることももちろんであります。  この話はとうとうとするわけにはいきませんが、ぜひこれは、与党、野党ではなくて、日本の国をどうするかという一点について考えていかなければならないテーマだろうと考えるわけであります。  ですので、公共事業の景気回復効果については、もちろん私の言っていることと建設省の一員である政務次官と、認識の違い、あるいは思いの違いというものはあるかもしれませんが、ここで、具体的な幾つかの例についてちょっとお尋ねをしたいと思うんです。  単価の調査の方法という点についてちょっと考えてみますと、これはもう御存じのとおり、これまでの、実際、抜き取りといいましょうか、今年度の場合が、昨年の十月だったでしょうか、賃金支払い高の実態を調査して、それによって大体の金額を決めている。この調査結果の中には、これは賃金支払いの結果でありまして、ある意味では最低限の金額の目安になるであろうというふうに思うわけであります。  具体的なこの数字の調査手法を私は知りませんけれども、ただ今、労務単価の下げ幅によって非常に厳しいと言われている方々について、こういうものを決定する段階において何らかの形で、例えば賃金を受け取る労務者の方々、あるいはその業界からの個別のヒアリングでありますとか、あるいは企業の提出資料ということを考えた場合に、私は、やはり突き合わせをしていくことが必要ではないだろうか、実態とかけ離れているかどうなのかと。  調査手法というのはこのままでいくのかどうかという点について、どう御認識をしていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思うのです。
  167. 風岡典之

    ○風岡政府参考人 お答え申し上げさせていただきたいと思います。  先生から今御指摘をいただきました公共事業労務費調査でございますけれども、サンプルとしては、十二万の労働者を対象としまして調査をさせていただいております。具体的なやり方につきましては、労働基準法に基づく賃金台帳を整備する必要があるわけですが、それと業者の方がつくります調査票、これを照合するというやり方でやっているわけでございます。  従来、そういうやり方をしておりましたけれども、より正確な単価をやはり追求すべきではないか、そういった御意見がありましたので、実は、調査方法の改善につきまして、昨年三月に学識経験者等から成る研究会を設けまして、そこで調査方法の改善について具体的な検討をしていただきました。  その成果を受けまして、今回、昨年の十月から既にその成果を取り入れた形で調査を行っておりますけれども、具体的には、まず工事現場での労働者数とか職種の確認、書面の確認だけではなくて現場での確認というようなこともやっております。また、支払い賃金を銀行振り込みで行っている場合には、現実にどのような振り込みがなされているかということで、銀行振り込みの領収書をとるというようなこととか、それからまた、法定の福利費というのがあるわけですが、この本人負担額についても書類を見る、それによって、もとの給与がどれぐらいだったのかというようなことにつきまして新しいやり方で既に行っているわけでございまして、賃金台帳が正確に記入されているかどうかを確認するなど、そういった意味での新しいやり方をしております。  今先生の方から、労働者の方々から場合によると直接いろいろ話を、ヒアリングをするというようなことも方法ではないかということで御提案がございました。確かに一つの方法であるわけでございますけれども、何分にも、十二万の労働者、もちろんサンプル的にやればいいということかもしれませんが、数が多いので、そういった体制をまた組むこと自身が非常に難しいなというのが率直な感じとしてあります。  さらに、今申し上げましたように、ある意味では、新しいやり方というのは、賃金の実態を聞き取る以上により正確に把握できるような手法ではないかというようなことでありますので、当面は、新しいやり方を徹底するということでより正確な賃金の実態というものを把握していきたい、このように考えております。
  168. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 十二万人の人から個々に聞いたら、もちろん、それは高いと言う人もいるし、安いと言う人もいるし、いやあ、これでありがたい、地域地域によって例えば物価水準も違いますし雇用条件等もいろいろ違うわけですから、せめてそうした業界なりそれなりの団体の意見をやはり取り入れて、地域に行けばいろいろな職人さんたちの組合があったり連合会があったりするわけでありますから、こういうところから定期的な何らかのヒアリングをするということはやはり絶対にやっていかなきゃならないんじゃないだろうかと思うわけですが、その点についてはぜひ御検討をいただいて、まさにそうした御配慮をいただきたいなと思うわけであります。  それで、もう時間がなくなりましたので、一つ個別の分野についてお尋ねをしたいと思います。  まず、交通整理員等の労務単価について、この問題を取り上げる中で、これは極端に額として安い。仕事内容から考えますと、ある意味では大変厳しい労働状況の中で、例えば大型ダンプが出入りする中で交通誘導をする。当然何らかの形で防護はしているわけですけれども、冬の日も夏の日も、大変暑い時期、寒い時期に、ほこりの舞う中で、まさに危険と背中合わせでやっている方々。この方々、これを静岡県の例の場合で見ますと、交通整理員の場合は日当九千円、基準額であります。  大体静岡県の場合は、全国に比べてそんなに安いわけではないわけでありますけれども、静岡県というのがよくサンプルの平均値として出されるわけですが、静岡県なんかの場合九千円である。前年度は一万六百円だったと。九千円という形で、八・八%でしょうか、マイナスになっている。そういう意味ではこの点について、正直言いまして、業界の方々からも大変強い声が上がっているのではないかなと思うわけであります。  といいますのは、ほかの作業をしている方々も、決してどの方が軽作業であるとか重労働であるとかということは一概には言えませんけれども、それでもしかし、仕事の内容の割には厳しい。そしてまたよく言われることは、大勢の方をこの方々はやはり管理をしているわけですから、例えば現場の管理費でありますとか一般管理費でありますと、これはかつて、昨年の十一月三十日ですか、労働資材対策室長名で建設業者の団体の長にも、諸経費を適正に考慮するようにすべきだというような文書が出されておりまして、そういう意味では、経営していらっしゃる方々の率直な意見として、今の単価では余りにも安過ぎるのではないだろうか、そしてまた、会社を運営していく上で大変これは厳しい状況になっていくんじゃないだろうかという声があるわけであります。  先ほどちょっと御答弁の中にありましたように、建設省内でも研究会が設置されて検討されているというふうに伺っているわけでありますけれども、例えば、こういう交通整理員の業種において現状をどのように把握をしていらっしゃるのか、また、今後何らかの形で抜本的な対策というものもこの研究会内部で出てくる可能性はあるのかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思うのです。
  169. 風岡典之

    ○風岡政府参考人 まず、十二年度の交通整理員の単価は全国平均では約八千八百円ということになっておりまして、八・八%の減少ということになっております。これは、私どもとしましては、交通整理員全国七千人の賃金というものをもとにしまして実態を把握して、設定をさせていただきました。  実は、この交通整理員の単価につきましては、平成八年でございますけれども会計検査院より指摘も受けております。従来は、こういう交通整理員という職種区分を設けていなかったのです。すなわち、従来は普通作業員として取り扱ってその単価を使用しておりましたが、先ほど申し上げましたように平成八年の十月に検査院の方から、普通作業員の積算ではなくて交通整理員というような形での単価設定をすべきだということで、それを受けまして、平成九年から交通整理員という職種を設けて単価設定をした、こういう経緯があります。  それから、先生から既に御指摘をいただきましたけれども、その単価は単価としまして、実際に警備会社等と契約をするときに、その単価で契約をしてしまうという不都合があります。先ほど通達のお話がありましたけれども、建設省の方におきましても、それはあくまでも単価であって、実際の契約におきましては、諸経費を加味して契約をすべきだということを強く通達をしたところでありまして、今後その徹底をしていきたいと思います。  それからもう一つは、研究会の方でもいろいろ検討しているのではないかということで、今後その辺どういうような方針かということであります。  研究会は、交通整理員以外も含めて幅広く実態を把握するということのためにどのような取り扱いをしたらいいのかということで検討しているわけでございますが、その中で、特に交通整理員の業務につきましては、交通整理業のように、賃金と経費の分離がなかなか不可能な職種とか、あるいは外注するのが一般的な業種、これがまさに交通整理員の仕事だと思いますけれども、そういったものの経費を含めた調査のあり方をどうしたらいいのかという基本的な問題が提案もされております。  これは、現在の予定価格の積算が、個別に分解をした形で積算をするということに対して、調査の方が、そういう形で包括的な調査ができるかどうかという、両方の整合性という非常に基本的な問題があるわけでございますが、ただ、研究会の指摘というのは、交通整理員の業務というのは普通の単価の出し方とちょっと違う方法があるのではないか、こういうような御指摘もいただいておりますので、この辺につきましては、研究会、また私どもの内部におきまして、今後どのようにすべきかということについて真剣に検討してまいりたいと思っております。
  170. 渡辺周

    渡辺(周)分科員 もう時間がなくなりましたので、一つだけ申し添えて終わりにしたいと思います。  まさに、どのお仕事が重労働であるか、どのお仕事が楽であるかなんてことは我々としても一概にもちろん言えない。ましてや、そこに金額で、この人のところは幾らで、この業界は幾らだなんということも、これはなかなか数字で判断するのは極めて難しいことですから、こういう統計のとり方も含めて、何らかの数字を出すことには大変な御苦労をしているとは思うんです。  ただしかし、普通作業員という方々とこの交通整理員を比べた場合、いわゆる二倍なんですね。ここにも、手元にもございますが、まさに、金額的に見ても普通作業員の方の大体半値でしかない。静岡県の場合は、普通作業員が一万七千二百円であります。交通整理員九千円であります。  そういう意味において、先ほどの通達のお話もございましたけれども、ぜひいろいろな方々の御意見、きょうはたまたま具体的に挙げたのは交通整理員さんの分野ですけれども、ぜひ今後もさまざまな分野において、本当に公共事業をやったことが最終的に、先ほど申し上げましたように、景気回復につながって、実体経済の実質的な景気回復につながるという形で、ぜひとも今後、通達の徹底はもちろんでありますけれども、その点についても配慮していただきたいなということをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  171. 矢上雅義

    矢上主査代理 これにて渡辺周君の質疑は終了いたしました。  次に、竹本直一君。
  172. 竹本直一

    竹本分科員 三十分ほど時間をいただきました。ちょっときょうは雨が降っておりますけれども、今、淡路島でジャパンフローラ二〇〇〇という花の博覧会が催されております。ことしは西暦二〇〇〇年でございますが、実はちょうど十年前、一九九〇年には、私の地元であります大阪で花の博覧会が催されました。これには二千三百万人という大勢の方が見に来られて、一つのイベントとして成功と言われたような結果で終わったわけでございます。  それから十年、私は、この花博というイベントがその後どのような効果を我が日本社会に及ぼし、また人々の心の中に何か芽生えさせるものがあったのか、なかったのか。そして、諸外国との関係でどういう変化があったのか。そういう花博効果という点において、幾つかふだん気にしておりますことをお聞き申し上げたい、そのように思います。  実は、この花博、概略でいって、二千三百万人の入場者を迎えましたけれども、役所からいただいた資料には、行政投資額二千四、五百億円ということが書いてございますが、別の調査会社の試算によりますと、約四千億ぐらいの投資で八倍の経済効果があった、約三兆円ぐらいの経済効果があったという試算もございます。また、この花博の中で雇用者増が図られまして、二十六万人の雇用が図られたという報告もあります。  そういう意味では、イベントとしては大成功したわけでございますが、ちょうどこの年はバブルの絶頂期であります。きょうは建設総括政務次官も御出席でございますけれども、前年の八九年には株価が東証で三万八千九百円という最高値を記録し、九〇年にはまだバブルの絶頂期であったのではないかな、最後の年であったかと思います。そして、八月に中東で異変が起こり、翌年の一月にイラン・イラクの戦争が激しくなった、こういうことでございますけれども、そういう世界的な背景の中で行われたこの花博でございます。  まず私がお聞きしたいのは、この花博が終わった後で、花の万博記念協会というものがつくられました。いわゆる花博に関係した産業界あるいはその他もろもろの団体から寄附を集め、協会がつくられ、そして、その協会がコスモス国際賞という賞を出しておるわけでございますが、その協会の資金の構成及びコスモス国際賞の選考の方法についてまずお聞きをいたしたいと思います。政府参考人で結構でございます。
  173. 有路信

    ○有路政府参考人 ただいまの御質問でございますが、花博の大成功ということで、結果的に残余財産がございました。その残余財産と、それから地元の大阪府、大阪市、それから財界等の基金で、財団法人国際花と緑の博覧会記念協会というのを設立をしてございます。  この協会の目的でございますが、今先生の御指摘のように、大阪で開催されました国際花と緑の博覧会の基本理念を継承して、それぞれ発展に関するいろいろな普及啓発活動の事業をやっていこうというようなことでございます。その一環としまして、コスモス国際賞という顕彰事業を実施しているところでございます。  本賞は、自然と人間との共生という花博の理念を継承、発展させるために、地球的視点からの統合的、包括的な新しい研究分野、従来の研究分野は、なるべく細かい方に掘り下げていこうというような方向でございましたが、今回のこの国際賞の理念としましては、それらをまとめるというような意味で、統合的、包括的な新しい研究分野を奨励していこうというような観点から顕彰することにしてございます。そういったことを含めまして、平成五年に創設をされました。  選考に当たりましては、協会が定めました顕彰規定に基づきまして、コスモス国際賞委員会といいまして、委員長は有馬前文部大臣でございますが、その委員会を設けまして、その中に選考専門委員会も設けまして、国内外からの推薦によります業績を審査の上に選定をされております。  委員会のメンバー構成につきましては、花博記念協会の所管大臣でございます建設大臣、農水大臣に意見照会がございまして、建設省、農水省から文部大臣にも委員メンバーについて紹介をしているようなところでございます。  現在、受賞者につきましては、平成五年からでございますので、昨年まで七回ということで、七名でございます。第一回の受賞者は、イギリスの王立キュー植物園の園長でございますプランス博士という方が受賞してございます。昨年の第七回の受賞者は、中華人民共和国中国科学院昆明植物研究所の名誉所長でございます呉征鎰博士が受賞しているところでございます。
  174. 竹本直一

    竹本分科員 昨年の受賞者の中国の方は、年齢は幾つですか。
  175. 有路信

    ○有路政府参考人 呉先生は一九一六年生まれで、八十三歳でございました。
  176. 竹本直一

    竹本分科員 私は、高齢者に賞を上げるのはおかしいと言うつもりはないですけれども、この花博を記念した国際賞ですか、これは単に今まで業績のあった人を表彰するというのみならず、本来この賞を創設した意義といいますか、理由の中には、花をめで、そして花のいろいろな活動、あるいは産業、あるいは科学技術開発、そういった面において新しい何かをこれから世の中にもたらしてくれる、つまり将来に可能性のある人にかける、そういった人を表彰して、いろいろな社会的な波及効果を期待したいという面があるのではないか。私が読みました賞創設の趣旨には、少なくともそういう文言があるんですけれども、八十三歳の方に賞を出してこれからどういうものが期待できるのかということについてちょっとお聞きしたいと思います。
  177. 有路信

    ○有路政府参考人 先ほども説明申し上げましたように、この賞の目的のところで、地球的な視点からの統合的、包括的な新しい研究分野ということで、本来的に自然と人間との共生という理念継承をうたってございますので、原則的といいますか、基本的な考え方としましては、生物学的な観点の方が多くなってございます。  そういう意味も含めまして、各国からの推薦の中から決定をされているということでございますが、たまたま昨年の呉先生は八十三歳という御高齢でございますが、第一回目の、先ほど申しました王立キューガーデンの園長さんは五十六歳でございますように、それぞれのそれまでの業績を評価されて受賞に至っているということでございます。  先生御指摘のように、花博の理念を継承した国際賞の創設の趣旨には先生のおっしゃったような視点も含まれてございますが、これからの賞の選考に当たりましては、今言ったようなことも前提としながら、先生の御指摘も踏まえて、協会の方にもお話をさせていただいているところでございます。     〔矢上主査代理退席、主査着席〕
  178. 竹本直一

    竹本分科員 いずれにしろ、たしか四千万円か五千万円ぐらいの賞金を出しているというふうに聞いておりますけれども、それだけのものを出すのであれば、このお金を集めるときに大変苦労した経緯もありますから、やはりきちっとした、波及効果の大きい、投資効果の多い、そういう人を対象に、かつまた、世界に対してあるいは日本の国内において、いろいろなこの分野における将来的貢献ということ、特に最近はバイオとかあるいは生命工学とか、こういった研究が盛んであり、その発展が日進月歩しておる中で、やはり特定の趣味だけに限定するのではなくて、やはりそういった波及効果の大きい、投資効果の大きい人を選ぶという趣旨でやっていただきたい、それが我々の希望であります。  それから、さらにもう一つお聞きしたいのですけれども、今、建設省では、グリーンプラン二〇〇〇とか緑の政策大綱とか、こういったものをつくっておられるわけでございますけれども、私は、二十一世紀にこれから入っていく中で、緑に対する人々の生活の馴致といいますか、なれさせる、そしてまた、そういった緑を大事にするという意識を高揚させるということが非常に大事だと思うのですけれども、この花博を行いました後、我々いろいろな問題に気がついたわけでございます。  花というのは、例えば仏様に供える花、あるいは神社に立てかける花、そういった花もありますけれども、生活の中に花を生かすという習慣が日本の中に余りなかった。この花博で、いろいろな花の生け方がある、こういう工夫があるのかとか、あるいはこういうふうにすれば長く花が咲いたままの状態で人々にいい感じを与えてくれる、そういったものをいろいろ学んだわけでございます。したがいまして、そういう世界各国の花の接し方、花の育成の仕方、フラワーアレンジメントを含めた花の生け方、そういったものをきちんと我々の社会生活の中に根づかせていくことが必要なのではないか。  そういう目で見ますと、諸外国からいろいろな花卉が輸入されているのだろうと思いますけれども、そういったものがこの花博を契機として一体ふえてきたのかふえてこなかったのか、そういったことについて、これは担当は農水省だと思いますけれども政府参考人の方にお聞きいたしたいと思います。その後の状況を聞かせてください。
  179. 木下寛之

    ○木下政府参考人 平成二年に大阪で国際花と緑の博覧会が開催されたわけでございます。その博覧会を契機といたしまして、私どもは、一つは先生御指摘のとおり、身近な生活の中に花の需要が定着したのじゃないかなというふうに思っておりますし、折しも景気が低迷をしたということもございまして、全体の花の需要が業務用需要から生活需要へのシフトが進んでいるというふうに考えております。このような質的な需要の変化があるわけですけれども、量的には、この平成二年から九年を見ますと、約二割程度ふえているというような状況でございます。  また一方、供給でございますけれども、国内の総生産額、一四%ふえているという状況ですけれども、先生御指摘のとおり、輸入についても大幅にふえてきているという状況でございます。また、その種類も非常に多岐をきわめているという状況でございまして、例えばランの切り花とか枝物、あるいは葉物を中心としてふえてきているという状況でございます。  国内生産の状況でございますけれども、この間、全体として農業生産が停滞する中で、作付面積につきますと四%の増加をし、また生産額でも、先ほど申し上げましたように一四%ふえているという状況でございます。平成九年でございますけれども、全体の農業総生産額の中で六%を占めるという状況でございまして、我が国の農業の中でも重要な位置づけを占めるに至っているというように理解をしているところでございます。
  180. 竹本直一

    竹本分科員 輸入の花卉が全花卉に占める割合というのはどのぐらいになっているのでしょうか。
  181. 木下寛之

    ○木下政府参考人 切り花でございますけれども、輸入物のシェアは一一%程度というふうになっておるところでございます。
  182. 竹本直一

    竹本分科員 いずれにしましても、先ほど説明にあったように、輸入については金額ベースで六九%増加しているということでありますが、その割合が一一%ということですけれども、これからますます輸入の花卉がふえていくと思います。それはまたいいことでもあると同時に、国内産業に対する圧迫というほどの話は聞きませんけれども、ある種の生活習慣及び花を生ける技術に対する技術導入にもつながるわけでございます。  同時に、東南アジアからいろいろな研修生が日本に来ております。そして彼らが東南アジアに帰りまして、あるいは中国に帰って花卉生産を始めます。そういった花がまた日本に輸入されるであろう。そういったことについて、日本の国内産業との衝突といいますか圧迫といいますか、そういったことが将来懸念される可能性があるのではないかというふうに思うのですけれども、その辺について専門家の立場から見通しをちょっと聞かせていただきたいと思います。
  183. 木下寛之

    ○木下政府参考人 先生御指摘のとおり、日本に数多くの研修生が来ているという状況でございます。この方々がそれぞれの国に戻り、また具体的な生産を始めるということで、そういう意味での競合が出てくるというふうに考えておりますけれども、現在までのところ、研修生の受け入れが、私ども把握しておるところでは十五人から二十名程度というような状況でございます。したがいまして、全体として、研修生を受け入れることに伴いまして競合が量として出てくるという段階にはまだ至っていないのだろうというふうに考えております。
  184. 竹本直一

    竹本分科員 十名か二十名というのは全国ででしょうか。
  185. 木下寛之

    ○木下政府参考人 私ども、きっちりとした統計をとっているわけではございませんけれども、私どもが把握している限りでは、花部門についての研修生についてはその程度の人数だろうというふうに聞いております。
  186. 竹本直一

    竹本分科員 いや、それどころじゃありませんよ。実態は物すごい数の人が日本の国内に、名目はわからないけれどもいっぱい入ってきて、いろいろなところでお手伝いをしながら花卉のつくり方を教わっているわけですよ。だから、それは十分把握されていないのではないかというふうに思います。  入ってくることが悪いとか言っているわけじゃないのですけれども、いろいろな名目のもとに日本のいろいろな農家にあるいは農業経営者の中に入ってきてそういった技術を習得し、彼らが東南アジアあるいは中国へ帰って、そして、一生懸命そういったものをまねながら習得した技術をもとに生産を開始しておるという話を聞くわけでありまして、もう少し実態をよく調べていただきたいなというふうに思います。  せっかくですので、もう一点お聞きしたいのは、そういったことも含めまして、今後の花卉産業の振興策としてどういうふうなことを考えておられるのか、政府としての対処方針を聞かせてください。
  187. 木下寛之

    ○木下政府参考人 先ほども申し上げましたように、花卉については業務用から生活用への変化、あるいは輸入花卉の増加傾向も見られるところでございます。  私ども、今後、花卉産業を振興していくという観点に立ちますと、やはり消費者ニーズに的確に対応した生産を行う必要があるというのが一つ。また、ガーデニングなど花のある生活を求める国民のニーズに対応したマーケティングを推進していく必要があるだろうというふうに考えておるところでございます。  このような観点から、一つは身近で楽しむ生活需要を中心とした花卉の普及啓発が必要だろうというふうに思っておりますし、また、産地体制の強化という点からいたしますと、花卉の生産、出荷のコストの低減、低コスト化が大事だというふうに思っております。また一方では、現在でも岩手県あたりのリンドウ等、産地のブランド化の推進が必要だ、また、新しい品種なり新技術の導入推進が必要だというふうに考えておるところでございます。  また、このような産地体制の強化のほかに、花に接する機会を多く持つという意味から、いろいろな園芸博覧会、現在まさに淡路博覧会が行われているわけでございますけれども、そのようなイベントの開催に対する支援も必要だろうというふうに考えているところでございます。  このような諸施策を通じまして、花卉に対する需要の拡大、それから消費者ニーズに即した多様な花卉の供給、また国際化にたえるような体質強化が必要だろうというふうに考えているところでございます。  このような観点から、現在、花卉産業振興計画を策定すべく、局内で検討会を開いているところでございます。
  188. 竹本直一

    竹本分科員 そういうことであれば結構でございますが、いずれにいたしましても、実態をよく把握していただいて、花卉産業の育成という視点から、とり得るいろいろな工夫をぜひしていただきたい。  私も、自由民主党のフラワー議員連盟の幹部として、こういう問題について深い研究心を持っておるのですけれども、昨年も、中国の花博にも行きました。そして、ああいった国での花をめでる気持ちがどういった産業の発展段階の中で広まってくるのかという興味ある視点から見ておりますと、非常におもしろい変化があるわけでございまして、政府の指導施策いかんによっては花卉産業がもっと発展するのではないか、そういう効果をもたらしたことにこの大阪の花博の効果があるのではないか、そのような目で見ておりますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  さて、目を外に転じまして、実はこの大阪の花博のときには八十二カ国、五十五国際機関の参加を得たわけでございますけれども、せっかく、中にはマハティール首相も来られたわけですけれども、いろいろな外国の要人がたくさん来られた中で、そこでいろいろ日本の人々との交流があったわけでございますが、その後、国際的な関係においてどのような活動をしてきたのか。  これは、外務省、来ておりますか。ちょっとお願いしますが、花博後どういった、お礼のミッションか何かを出したというふうに聞いておるのですけれども、その実態をまず教えてください。
  189. 塩尻孝二郎

    ○塩尻政府参考人 お答え申し上げます。  花博終了後、これは一九九〇年十二月から一九九一年六月の間でございますけれども、当時の西田政府代表が、参加各国に対する謝意表明ということで各国を訪問しております。延べで十六カ国、それから四つの国際機関を訪問して謝意表明を行っております。
  190. 竹本直一

    竹本分科員 それで十分なのかどうかよくわかりませんが、これは主催は大阪市だったわけでございますが、大阪市の姉妹提携都市には相変わらずよく行っておるようですけれども、せっかく八十カ国を超す国が参加してくれたにもかかわらず、そこでできた人間関係がその後どうも十分継続していないのではないかというような感じを私は持っておりまして、あれだけのお金をかけてつくったイベントでありながら、後のフォローが十分ではないのではないか、そういうふうな気持ちを非常に強く持つわけでございます。  したがいまして、外務省が全部やるわけじゃありませんが、国と国との関係の中で、外務省がそういう仲介役をしながら、主催都市であります大阪市が、せっかく国の援助を得てこれだけの国際博覧会をしたわけですから、その後をきっちりと、両国間の交流、特にこれからは、何も外交というのは国と国がやるだけではなくて、それは外交の一元化という問題もありますけれども、いわゆる民間外交というのか、都市間外交がもっと盛んになってもいいのではないかと思いますし、現実に、各地方都市でどんどんそういう都市間外交と言えるようなものがはやってきておるわけでございます。  そういう意味におきまして、何も姉妹都市だけではなくて、それ以外の参加してくれた国とも交流をさらに深めながら、そういった行動をする中で、またそこにはビジネスの花が咲くかもしれないし、そういった効果を我々はこの大阪の花博で期待したのではないか。そのように今反省しながら思うわけでございまして、ぜひそういった刺激を、これは建設省も農水省も、そして外務省も、ぜひそういった面の努力を引き続きやっていただきたい、なお一層やっていただきたい、そのように思うわけでございます。  ところで、加藤総括政務次官、お見えでございますけれども、建設省は、農水省と協力をしながら緑の普及、そして我々の日常生活の中に緑をどのように取り入れるかということについては非常な工夫と努力を重ねておられるわけでございますけれども、私はこういう経験があります。  昔、カリフォルニア州のネバダ砂漠というところを車で四人で横断したことがあります。朝入って、出るのが午後の四時ごろになるわけでございますが、前で運転しておりますと、真っ茶色な世界にずっと四時間ぐらいいますと神経がいら立ってくるのですよね。そして後ろから、運転が下手だとか何か言い出す。そして、州を越えてその砂漠を出ちゃったら、今度は緑が周辺に広がると、急に仲直りしてしまう。それほど色、色彩というのは、人間の視覚あるいは脳に対する刺激の度合いが全然変わったものになるわけで、だからこそ緑を大事にしなければいけないということを我々は強く主張しているわけであります。  それを関係省庁に、その緑というものを我々の生活に溶け込ませるような、そういう施策、工夫をやってほしいと願っておるわけでございます。そういうように、生活環境の形成の中で緑というのは必要不可欠なものだと。そういうことを、これは工事をするにしても、あるいは都市の計画をつくるにしても、緑の配置ということを常に念頭に置きながらやっていかなければいけない、そのように思うわけであります。  私の聞きかじった知識によりますと、奈良県の、あるいは和歌山県も貫通しているのかな、国道二十四号線の工事を奈良県でやるときに、奈良は八重垣の町と言われて、要するに緑の多いところでありますから、その部分道路工事に取り入れるために、道路工事の一%か何かを緑予算として、どんどん植木を植えていった。したがって、中央の分離帯のところにも植木をどんどん植えてあります。したがいまして、車が走っていると森の中を走っているような感じでありますけれども、その維持管理には大変な費用がかかるわけです。これは奈良県という一つの特別な地域に対する配慮として、文化に対する貢献度を公共工事の中に組み込んだと言えば言えるような施策をしたわけでありますが、これは建設省がやったわけですけれども、そういったことも一つの工夫であろうと思います。  したがいまして、いろいろ公共工事をやるについては、この間の四国の吉野川のああいう堰問題でも、いろいろ住民の反対もありますけれども、そういった公共工事をやる中において、緑というものを導入していく、組み込んでいく、そういう工夫をこれからいろいろ工事をやる中でやってもらいたいな、そういう希望があるのです。  そういう意味で、花博という一つの理念、そしてそれを継承して、これからのこういった公共工事の中にも緑を組み込んでいくという私の考えでございますけれども、そういった考えについて政務次官の考えをちょっとお聞きしたいなと思います。
  191. 加藤卓二

    ○加藤政務次官 先生はやはり造詣が深いだけに非常にいいことをおっしゃってくれた。私は本当に、建設省でいつでも言うのですが、日本人は緑と花の中に育っていたので、ありがたみを忘れていたのだと。しかし今やまさに、東京砂漠というけれども、コンクリートとアスファルトの中に置かれちゃったのだ。そうすると、さっき言ったとおり、砂漠を走っているのと同じぐらい殺伐としてくるような状況の中へ入れられちゃっている。  ですから私は、道路をつくるのは、空間をつくるだけじゃなくて、絶対に街路樹を植えて、そして二十年、三十年たてばたつほど安心して住めるグリーンで、しかも私たちが緑を、カリフォルニアみたいに水を自分でまかなくても、天から降ってくる水を十二分に使っていく習慣をつくらなければいかぬな、こう思っておりますし、私も花博のときにお伺いしまして、人の中に花があるぐらいいっぱい人がいたのでびっくりしたことがある。  今一番気にしているのは、淡路島の花博、どんなふうになっているかなあと。これが、土をとって、石をとって空港をつくった後を、どんなふうにやればどんなふうになるのだと言ったら、今小笠原君に聞いたら、相当の、予定した人よりははるかに多い人に来ていただいていますよと言う。これが日本人の心に今なってきたのだ。日本人はやはり大事なものを取り戻しつつあるのです。  ですから建設省も、物をつくるだけじゃなくて、心をやはり街路樹に託していこうじゃないか。もしできることなら、工事をやった人が記念植樹をしていってくれるぐらいの気持ちで工事をやってもらいたいなということを、予算がないのならそういうふうにしてくださいよということを申し上げているわけでございます。  私も、記念植樹というのは必ずやることにしております。学校でもそうでしょうが、いろいろなときにそれをやっておくと、私は、建物を建てたときにはもう必ず木を植える。今それが物すごく、この建物を建てたときに、木は、これは何百年もつ木を植えておこうと。やはり明治神宮をつくったときの本多静六さんの気持ちになって、緑は、グリーンはつくっていかなければいかぬなということを、そろそろ日本人が気がつき始めている。  もう竹本先生がそういうことを先頭に立ってくれているというので、国会議員の中にもいい先生がふえたなというので、私は、自分でそういうことをしゃべってきていても、共感する人が少ないのじゃないかという心配をしていたのですが、きょうは本当に、建設省に帰りましてというよりも、先生のふるさとですから、先生のおっしゃっていることがそのまま建設省に素直に伝わっていく時代になった、そういうことをお伝えしながら、花博が取り持つ縁だけじゃなくて、ぜひひとつ日本人に心を取り戻してもらうようにしたいな、こう思っております。  私は、いつでも言うのですが、日本の国をつくるときに、都計法というのですか、そのときに話をして、やはり構図をよくしなさいよと。それでデッサンをきちっとやりなさい、そして色は、花やそして緑の木でつけていくようにすると、町づくりはうまくいきますよということをこの間も申し上げたわけでございます。  先生のおっしゃっていることに本当に共感をしたので、原稿を見ないでしゃべらせていただきましたが、後からまた原稿はお届けいたすようにいたしますから、よろしくお願いします。
  192. 竹本直一

    竹本分科員 いやいや、政務次官の温かい、新鮮な気持ちを吐露していただきまして、本当にどうもありがとうございました。  折しも淡路花博でございますけれども、ジャパンフローラ二〇〇〇と銘打っておりますが、どの程度成功するのか、私の隣の地域でございまして気にしておりました。百二十五万人の入場者があったということで、ほっとはしておるわけでございますが。  非常に対照的なのは、十年前の大阪花博は景気の絶好調のときにやった、今は景気のどん底のときにやっている。しかし、花を見る人間の心に変わりはないわけでありまして、そこに希望を見出し、そして明るい未来を描いてもらえればイベントをやった効果があったのではないか。  いずれにいたしましても、両イベントともそれなりのお金を使っているわけですから、終わった後きっちりとした、その効用を活用していただきたい。それが私の願いでございまして、きょうここに、質問台に立った思いでもございます。ありがとうございました。  これで終わります。
  193. 岩永峯一

    岩永主査 これにて竹本直一君の質疑は終了いたしました。  次に、平野博文君。
  194. 平野博文

    平野分科員 民主党の平野博文でございます。  与えられました時間で数点質問をさせていただきたいと思うのであります。  私の質問の趣旨は、前払い金保証会社という会社があるわけでございますが、その会社の中の問題点、さらには、どういう理由でこういう会社が要るのか、こういうことについて関連して御質問をさせていただきたいと思います。  まず、私、前回の建設委員会でも御質問させてもらったのですが、前払い保証会社というのは、公共工事を行う際に、請負業者の倒産等によって前払い金が返ってこない、こういうことでは大変だということで、そういうことを前提に、前払い保証事業を一つの会社の業態として決めたものであります。  したがって、これは非常に大事なことだと私は思っていますが、兼業制限ということを加えています。といいますのは、公共工事と前払い保証会社というのは非常に密接な関係にある、そういうところから他の業務を兼業することに制限を加えている、こういう会社でございます。公共工事とは非常に密接な関係にある、ここを私、なるほどと、こういう理解をしておるわけでございます。  政務次官、公共工事と密接な関係にあるがゆえに特に兼業制限を加えている、こういうことが前払い保証会社をそういう仕組みのスキームにしているということについての理解はこれでよろしゅうございますか。
  195. 風岡典之

    ○風岡政府参考人 先生からただいま御指摘をいただきましたように、前払い保証会社、公共事業を円滑に進める上で前払い金を出す、その場合につきましては、やはり税金に基づく事業ということでありまして、前払い保証というものをつけていただくということであります。  前払い保証につきましては、そういった性格から、業務の健全、安定的な実施ということでありますので、前払い保証会社につきましては原則的に兼業禁止、こういうことで法律が組み立てられておりまして、こういう公的な性格の強い仕事、銀行等もそうかもしれませんが、そういったものにつきましても兼業制限というのがそれぞれの法律で規定をされている、このように理解をしております。
  196. 平野博文

    平野分科員 それはよくわかりました。  ところが、この会社というのは、前払い金の保証の料率によって決まっているわけでございまして、今全国に三社あります。これは民間会社ですが、そういう特定の制限を加えられた保証会社として事業を営んでおるわけですが、平成年度ベースで見ますと、三百七十億円の保証料収入がある。倒産とかそういうことを見て、弁済という意味で見ますと、弁済額は二十九億円、こういうことですから、極端なことを言いますと、保証料三百七十億円、公共事業ですから税金で集めているわけです。それで、倒産した、そういう弁済に充てたのが二十九億円だ、こういう実態に今なっているわけであります。  しかし建設省の言い分を聞きますと、万が一のときに備えてやはり内部留保が必要だから、これぐらいはとっておかないとだめなんだ、こういう言い方であります。確かにバブル崩壊後、若干弁済額は上がっていますが、上がっても二十九億であります。その前だったら二十億ぐらいで推移してきておりました。こういうことから考えますと、内部留保が本当にこんなに必要なのかということであります。  逆に言いますと、税金から保証料を取って、そうしますと、公共事業ですから当然そのコストが高くなる。それだったら保証料をもっと下げたらいいじゃないか、トータルコストが下がるじゃないか、こういう疑問を実は抱くわけであります。  そこで私、百歩譲って、内部留保は必要なんだということを、私は問題あると思っていますが、百歩譲って考えてみましても、では、そこの三社の事業内容を見てみますと、内部留保が必要だ、こういう主張は百歩譲って聞きましょう。しかし、ここ三年間で、北海道と東日本、西日本と三社あるのですが、北海道で三千二百万、東日本では二億八千万、西日本では一億五千万というそれぞれ金額を、会社がいろいろな法人や団体に寄附をしているわけであります。内部留保が一方で必要だといいながら、高額なお金をそれぞれの団体に寄附をしている、こういう実態なわけであります。  そういう高額な資金を贈与して、寄附ですから贈与ですね、贈与して、一方大衆には、我々には内部留保が必要なんだ、これは多少、私、矛盾を感じてしようがないのですが、この点については政務次官、どうですか。これは政治家として、今言うた数字と比較したらどうですか、感想でいいですよ。
  197. 風岡典之

    ○風岡政府参考人 内部留保が必要だ、そう言いながら保証料の未処分利益金を寄附に使っているではないかという御指摘でございます。  まず、保証事業会社は、本来の目的として、建設業界の健全な発展に寄与するという非常に大きな目的があるのは御理解をいただけると思いますけれども、そういったものを背景としまして、建設産業に関連する特に公益法人に対して助成を行っているわけでございます。  その内容につきましては、もう先生御案内のとおりでありますけれども、各県の建設業協会が行う公益性の高い調査研究とか、あるいは研修施設づくりとか人材の育成とか、そういったものに助成として使わせていただいております。  本来、各年度の未処分利益金の処分の考え方ということに多分なると思うのですけれども、これにつきましては、特に最近の建設業をめぐる環境が厳しいわけでございますので、私どもとしては、万が一のために、保証債務弁済に備えての自己資本の充実ということについても、これは基本的に必要なことではないか。ただ、将来的に自己資本は幾らあるべきかということについては、これはまたそれなりに研究課題ではあると思いますけれども、今の状況からしまして、自己資本の充実ということにやはり努める必要がある。  その一方で、保証会社の目的であります建設業の健全な発展ということで、その未処分利益金の一部をそういった形で利益還元として業界に助成をさせていただく、こういうことでありまして、その意味で、そのバランスをとりながらやる、一方でしか使えないのだということでもないのかなというように思っております。  もちろん、その利益処分の助成に当たりましては、手続面では総会とか取締役会とか、そういった手続を適正に踏んで行っているところであります。
  198. 平野博文

    平野分科員 それは、局長の答弁としてはそれしか言いようがないわと私は思いますよ。  ただ私、これだけ不況になってきて倒産が多くなってくる、こういうことを言いますが、公共事業を請け負う場合には、それぞれ事前に業者に経審とか、そういう審査を別途するんですよ。当然これは、危ないところだったら経審の審査で外れるんですよ。  だけれども、今局長おっしゃるように、いや、こういう状況だから、やはりその分内部留保をためて、弁済の金額をたくさんためておかなければいかぬ、大量に倒産したときどうするんだ。これは保証会社の業務ワークの範囲を超える問題でありますよ。保証会社とは、あくまでも万が一のときにということであります。  たくさん出てきたときどうするか。そのために税金を一つのルールのもとに料率を上げてとっておく。これは私、事業としてもうけて内部留保をしているんだったらいいんですよ。税金を取ってきて、そこでプールして、一方、理由はいろいろ言われましたけれども、公益法人に寄附という還流をする。税金を回しておるだけじゃないか、極端に言えば。そういう意味では、異常事態を想定して内部留保を高めるというのは、適正な限度がある。  この部分でいったら、民間企業という立場でいいますと、二千二百八十三億円も資本がたまっておるんですよ。異常ですよ。年々の営業利益、利益率でいって五〇%を超えておるような企業、どこもないですよ。民間会社だから本当に許されるのか。今、日本の全国の民間会社でそんな企業体、どこもないですよ。ここの三社に独占されている、独占という言葉は正しくないですが、前払い金保証会社だけがそんなお金をとっていいのか、利益をとっていいのか。  加えて、発展という言葉をいみじくも使われましたけれども、そういう公益法人に建設業の発展のために寄附をする、こういうことだったら、全建設業協会に寄附をしているのか。していない、特別なところしかしていない。その判断はだれがしているのか、非常に不透明な寄附行為になっている、このことを私は指摘せざるを得ません。  加えて、もう少し具体的に申し上げます。時間がないものですから、お答えはイエス、ノーで、簡単なお答えで結構です。  寄附金の具体的支出先を見てみました。確かに今局長おっしゃるように、公益法人とか建設業協会であります。一例を挙げますと、建設業振興基金や海外建設協会、こういうところにいろいろ出しておられるんですが、それらの公益法人に、天下りという言葉は私は好きではありませんが、建設省の役人が天下っていませんか。下っているか下っていないかでお答えください。
  199. 風岡典之

    ○風岡政府参考人 一言でということでございますけれども、もちろん、そういった公益法人の中に建設省出身者がいるというのは事実でございます。ただ、それにつきましては、その業務が建設行政とも非常に関連が強いということで、そういった方々の行政経験というものも勘案して配置をされている、このように理解しております。
  200. 平野博文

    平野分科員 おられるというふうに理解してよろしいですね。  そうしますと、こういうことになるんですよ。前払い金保証会社の経営トップも建設省のOBなんです。そこから寄附する。それで、例えば建設業振興基金にも天下っている方がおられますわ。税金が料率として前払い金保証会社におりて、そこから次の建設業振興基金という例えば一つの法人に寄附として落ちる。これはぐるぐる還流しているんじゃないですか。そこに役人が、それは行政経験が必要な方もおられるでしょう、私は否定はしません。  が、そういう配置になっているということは、寄附金を支出している前払い金保証会社の方にも数人の方がOBとして入っている、理事に抱える。なおかつトップの人が下っておられる。いわゆる天下り会社という言葉は私は好きではありませんが、天下り会社から天下り会社へ利益を還流している、こういう仕組みになっているように私は思えてなりません。これは絶対に直してもらわなきゃだめなんだなと思うところであります。  ところで、具体的事例を挙げたいと思いますが、北海道開発局についてお尋ねをしたいところがございます。  北海道開発法十条によれば、北海道開発局の所掌事務の一つとして、公共事業費関連の国の直轄事業を実施することとなっていますが、それには間違いございませんか。イエスかノーかで結構です。
  201. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府参考人 御指摘のとおりでございます。
  202. 平野博文

    平野分科員 そうしますと、例えば北海道の保証会社があるんですが、北海道建設業信用保証株式会社、こういう会社が実はございます。密接な関連がある。国家公務員法の百三条には、「私企業からの隔離」ということで、職員は離職後二年間は営利企業の地位についてはだめなんだと。例外規定としては、人事院に届け出なさい、承認を受けなさい、こういうルールがあるわけでありますが、退職後二年以内は密接な関連のある会社へのいわゆる天下りが禁止をされているわけであります。人事院の承認を得た場合についてはこの限りではない、こういうルールになっているんですが、北海道建設業信用保証株式会社の取締役社長であります小西社長は、五十八年に専務になっているんですが、二年間の期間をあけておらず、人事院の承認を必要とするはずであるが、この承認を受けておられるのかどうかがよくわかりません。  そこで、人事院に確認したいと思いますが、密接な関連があるということを前提に私は聞きますが、この方は人事院の承認を得ておられますか。受けているかどうかでいいです。
  203. 中橋芳弘

    ○中橋政府参考人 今御指摘がございました小西郁夫氏につきましては、国家公務員法百三条の三項に基づきます就職承認の申請の申し出はございません。
  204. 平野博文

    平野分科員 ここで私は、先ほど言いましたように、北海道開発局の所掌事務というのは、公共事業関係の国の直轄事業を実施することということですから、当然非常に密接に絡んでいる会社だと思っています。  そうすると、この小西社長というのは、私、会ったこともありませんが、二年間の期間をあけずに、今人事院から確認しましたが、承認を受けていないということでありますと、私は、本来のこの公務員法の規定で言う隔離期間を経ずして入っておられるんじゃないかな、こう思えてならないのでありますが、その点についてはどうですか。北海道開発庁、現実はどうですか。
  205. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府参考人 国家公務員法第百三条第二項で、「職員は、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関と密接な関係にあるものにつくことを承諾し又はついてはならない。」というふうに規定しておりますけれども北海道建設業信用保証株式会社は、先ほど来御指摘の前払い金について申し上げますと、北海道開発局と契約関係がございません。また、同社が行います保証事業の監督は建設省の所管ということで、開発局としては何ら権限を有していないことから、密接な関係にある会社には該当しないということで、人事院への承認の申し出をしなかったものでございます。
  206. 平野博文

    平野分科員 とはいいながらも、北海道開発局で建設省の公共事業の仕事はしていませんか。許認可権者、発注権者になっていませんか、北海道開発局は。
  207. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府参考人 冒頭指摘を賜りましたように、北海道開発法によりまして、北海道開発局は、農林水産省、建設省、運輸省の公共事業の実施官庁でございます。
  208. 平野博文

    平野分科員 では、当然建設省の公共事業の発注元じゃないですか。複合しているだけじゃないですか、北海道という特殊性から。建設省の公共事業を含めて発注元になっているんじゃないですか。僕はそこを言いたいわけですよ。そうしますと、密接な業者に関係する。  もう一つ確認します。  前払い保証契約が結ばれるに際して、北海道信用保証と北海道開発局は保証契約の契約当事者になりませんか。
  209. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府参考人 前段でございますけれども北海道開発局の公共事業の発注は、それぞれ所管省であります建設大臣運輸大臣、農林水産大臣の指揮監督のもとに行っているところでございます。  それから、契約関係の点でございますけれども、先ほど申し上げました前払い金につきましては、第三者である保証会社と契約関係にございませんけれども、発注者、すなわち国の方で請負者に金銭的な保証措置を要求した場合、この場合、請負者の選択が幾つかございますけれども、もし請負者の側におきまして、保証事業会社の契約保証、これは前払い契約の附款特約でございますけれども、保証事業会社の契約保証を請負者が選択した場合には、保証事業会社と発注者である北海道開発局との間で結果として契約関係が生じます。
  210. 平野博文

    平野分科員 間違いなく私は契約関係は成立していると思いますよ。選択したって、そういうケースのことを言っているんですから、保証会社との間に契約関係は成立するんですよ。  ただ、一つ、今建設省来られていますが、北海道開発局が発注するということはないのですね。建設省の業務ワーク云々含めて、公共事業で北海道開発局に任せているということはないですね。建設省が直接やるんですね。この点は、ちょっと発注形態を聞かせていただきたいと思います。
  211. 風岡典之

    ○風岡政府参考人 実際の発注業務は北海道開発局において実施をしていただいておりますけれども、その指揮監督という面では、それはそれぞれの省庁、建設省なら建設省ということになろうかと思います。
  212. 平野博文

    平野分科員 おかしいじゃないですか。だったら、実際の発注をしておるのに、それは私のところは発注者ではありませんと。そんなの、絶対おかしいですよ。現実に、実態は発注しておるんじゃないですか、北海道開発局が。それは建設省の費用かどうかは知りません、目途は知りませんが、少なくとも農水、建設、そういう業務を総合して北海道開発局がやっていることには間違いないんじゃないですか。
  213. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府参考人 発注者として契約の当事者になりますのは、先生御指摘のとおり北海道開発局でございます。その上で、具体的な……
  214. 平野博文

    平野分科員 それでいい、それさえわかったらいい。開発局が発注者ですね。こういうことですね。  そうしますと、今のところでいきますと、保証会社と発注者との間には、ある選択をしたら契約保証が成立するんですよ。そういう関係にあるところの保証会社のトップに開発局長が二年間の期間を経ずして天下っているということは、明らかに違法じゃないですか、このことを言いたいわけであります。どうですか。
  215. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府参考人 御指摘のように、前払い保証と違いまして、その特約であります履行保証制度につき請負者の方で保証事業会社の契約保証ということを選択した場合には、結果として、発注者である北海道開発局と保証事業会社の間で契約関係が生ずることは事実でございます。  ただ、どういう金銭的保証措置を選択するか、これは請負者の判断の問題でありますし、どの保証事業会社を選択するか、あるいはどの金融機関を選択するかは専ら請負者の選択でございます。その上で、この契約の結果、発注者であります国の方には一方的、反射的な金銭の支払いが納税者の利益のために行われるにすぎないということでありますから、実質から見ますと、国家公務員法に言います密接な関係にはないというふうに私ども判断しているところでございます。
  216. 平野博文

    平野分科員 しかし、では契約保証をそういうことでやっている部分というのは公共事業の中にありませんか、密接でないと言うんだったら。そういう形態で契約になる関係というのは公共事業の中でありませんか。かなり僕はあると思うんですね、一遍調べますけれどもね。私、今具体的事例を持っていませんが、過去の経過でいうと必ずあるんです。  契約保証成立というのは、発注者と保証会社が、結果的にはお金が還流されて、契約保証の成立になるんです。これは法律的にもそれを認めている。それは請負者との間だから違うんだという言い方を今しましたけれども、法律的に言ったら、契約保証の契約者の間は、発注者と保証会社になる。局長は、発注者は建設省だから私らは余り関係ないんです、こういう言い方をしていますが、実態的にはもろに発注者と契約者の関係になっていると私は思うんですよ。非常に不透明な関係にあるわけであります。  時間がないから次に行きますが、この点は私はぜひ指摘をしておきたいと思いますし、必ずこれは次の機会に追及します。おかしい。  加えてもう一つお聞きしたいのですが、北海道、東、西日本と前払い保証会社は三社しかない。三社しかないのに、この三社で業界団体として保証事業会社協会という協会をつくっておる、また上に。会員は、だから三社しかない。そこへ三社合わせて年間一億五千万持ち上げて運営をしている。百社とか二百社あって、協会をつくって横の連携をとらなきゃならないというのならこれはわかりますよ。三社しかない会社にまた屋上屋を重ねて、その三社から会費として一億五千万そこへほうり出しておる。どういうことをこれはやっておるんですか。  僕はこれは税金だから言うんですよ。税金じゃなくて、努力してもうかってやっておるんだったらいいんだけれども、税金をベースにした財源にしながら、くるくるくるくる回して、さらにその屋上屋に、三社の保証事業会社協会という名のもとにつくっておる。こんなことは本当に私はいいのかと。  それは大義名分はあると思います、職員の研修をやらなきゃならないとか。こんなの、その会社でやったらいいんですよ。わざわざ一億五千万つくって、その内訳を調べるとほとんどが人件費だ。ここの役員というのはだれかというと、三社からのみんな役員が兼任だ。どういうふうに金が流れておるか極めて不透明なスキームになっておる会社であります。私は、異常な状態を起こしているんじゃないかなと思うんですね。  政務次官、今の話を聞いておってどう思いますか。いや、それは正しいあれかなと思いますか。どうですか。
  217. 加藤卓二

    ○加藤政務次官 先生のおっしゃっていること本当に正論だ、こう思うんですが、詳しい事情がわからないままに私がここで発言をするのはいかがなものかな、こう思いますので……。
  218. 平野博文

    平野分科員 はい、わかりました。結構です。時間がないので、もう一つだけ言っておきます。  その上に、例えば北海道ということで、名指しで申しわけないですが、北海道建設業信用保証株式会社の株主、民間ですから株主ですね、株主に北海道建設業協会があるんですよ。寄附しておる先が株主でおるんですよ。建設業協会に毎年九百万寄附しているんだ、保証会社から。北海道建設業協会、株主、協会に対してやっているわけですよ、九百万。北海道建設業信用保証株式会社は毎年九百万も建設業協会に寄附をしている。保証会社の上位株主に建設業協会が入っている、そこになぜ九百万、特定の株主に出すのか。株主の平等性からいくと、極めて不平等な仕組みでの寄附行為で入っている。この点も私は指摘をしたいと思いますし、もし反論があればお答えをいただきたいと思います。
  219. 風岡典之

    ○風岡政府参考人 先生ただいま御指摘をされましたように、北海道の信用保証株式会社、確かに社団法人の北海道建設業協会に助成をしております。  一つちょっと、株主にそういう協会がいるということの御指摘もあります。確かに事実はそうなんですが、当初この会社が発足する時点ではなかなか株主の引き受け手もないということで、当事者である建設業界とか金融機関が無理やり押しつけられた経緯があることもひとつ御理解をいただきたいと思います。  それから、助成でございますけれども、これは株主に対して助成をしているということではなくて、いかに公益的な事業をやっているかということに着目をして助成をしております。  たまたま北海道の場合には建設業協会が一つしかありませんからそうなったわけでございまして、私どもとしては、そういう助成にふさわしい対象かどうかということを社内の手続を経て決めたものであるということを考えております。
  220. 平野博文

    平野分科員 もう時間が来ましたから終わりますが、いずれにしても、三社という独占的にやっている会社、その上に屋上屋を重ねる、お金の流れ方が、公益法人とかそういう特殊なところに流れている。本来、非常に不透明感があってはいかぬのですよ。もっと透明になればいいのですが、これは民間だということで、透明性を求めても、民間企業ですから一定の限界があるのです。  したがって、こういう三社、前払い保証会社は、事実上やはり独占をしている、公共事業に投ずる税金で高収益を上げている、非常に特殊な会社です。したがって、こういう会社は会社としてやはりもっと公の監視をしていかないことにはだめなんじゃないか。民間企業だからそれ以上は入れませんという名のもとに独占をしている。隠れみのの会社になっている。この点を指摘し、ぜひ改善をしてもらいたいなということだけを強く求めて、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
  221. 岩永峯一

    岩永主査 これにて平野博文君の質疑は終了いたしました。  次に、一川保夫君。
  222. 一川保夫

    一川分科員 私の方からは、建設省の所管に関することで若干質問をさせていただきたいと思います。  最近、特に公共事業にまつわるような話題というのは、我々もこの国会の場でもいろいろと聞かせていただきますし、また地方においてもいろいろな話題が出てきております。どうも公共事業そのもの、あるいは社会資本の整備というものを正しく理解しないままに発言されている方もいらっしゃるような気もいたしますけれども、ある面では、社会資本というものを計画的に整備していくということは、我が国の国づくりという観点からすれば大変大事なことでもございますし、やはりいろいろな事業を国民に正確に理解させていくということも行政側の大きな責任でもないかなという感じすらいたしております。  そういう中で、私は特に、従来から建設省の所管する事業の中でも大変基幹的な事業でもあります国道整備という問題について若干御質問をしたいと思うのです。  もう御存じのとおり、日本の国内の幹線的な道路を整備し、また従来からあるそういった道路に対してバイパス的なものを整備していくとか、あるいは交通量に見合って道路を拡幅していくとか、または環境整備ということあるいは交通安全という観点から、最近いろいろな制度で道路の質を高めていくというような事業もいろいろと行われているわけでございます。  最近、そういった国道というものが全体的にどういう整備状況にあるのかといったところをまずお尋ねしたいわけですけれども、これは、建設省が直接担当されている直轄国道もあれば、都道府県知事にその管理を委託しているといいますか、知事管理区間と称するそういう国道もございますけれども、今現在、国道と称する道路の整備状況というのは大体どういう状況になっているか、そういったところをまずお聞かせ願いたいと思います。
  223. 大石久和

    ○大石政府参考人 一般国道の整備状況についてお尋ねでございます。  全国の一般国道のうち、現在供用いたしております路線は四百五十六路線、延長で約五万三千六百三十キロメートルであります。  このうち、建設省直轄管理区間は延長約二万一千四百八十キロメートルであり、大型車のすれ違いが可能となる車道幅員が五・五メートル以上のいわゆる改良済み区間は延長約二万一千四百四十キロメートル、改良率はほぼ一〇〇%でございます。また、改良済み区間のうち、一日の交通量が交通容量を下回っている、これもいわゆる整備済み区間でございますが、延長約一万二百八十キロメートルでございまして、整備率は約四八%という状況でございます。  一方、知事が管理しております知事管理区間は延長約三万二千百五十キロメートルであり、改良済み区間は延長約二万六千五十キロメートル、改良率は約八一%。また整備済みの区間は、これは容量を下回っている区間でございますが、延長約一万八千八百二十キロメートル、整備率は約五九%という状況でございます。
  224. 一川保夫

    一川分科員 今の説明によりますと、一般国道につきましては、直轄国道と称するものについてはほぼ一〇〇%近い整備が進んでいるというような説明でもございます。  そこで私は、今国道というものが、今ほど説明がありました知事管理区間と称する、整備率八一%というお話がございましたけれども、このルートというのは全国津々浦々に相当の路線が入っていると思います。最近、地方分権とかがいろいろと大きな流れとして一方であるわけでございますけれども、この知事管理区間と称する国道、こういったものについて、建設省としてどの程度いろいろな面の関与をされているのか、また基本的にどういう取り組み方をしてこられたのか、そのあたりをちょっとお聞きしたいと思うのです。
  225. 大石久和

    ○大石政府参考人 知事管理区間の一般国道は、地方中心都市間を連絡し、直轄管理区間を補完する重要な路線、こういう位置づけで整備を進めております。現状におきましては、先ほど申しましたように改良率は約八一%、未改良区間の改良がほぼ完了しております直轄区間に比べまして、その整備は進んでいない状況でございます。  そのため、この実態を踏まえまして、知事管理区間の一般国道の整備につきましては、未改良区間の解消を図る一次改築事業を大きな柱として位置づけておりまして、現在、全国で約六百八十カ所におきまして事業を実施いたしております。  さらに、地域の自然状況や地域の利用状況道路の利用状況にあわせまして、直轄の指定区間国道とともに地域的な利用のためのネットワークを形成しつつ、交通渋滞の解消や交通安全の確保、歩道空間のバリアフリー化等について、着実に本道路につきましても整備を進めてまいる、こういった考え方でこの知事管理区間の一般国道の整備を考えているところであります。
  226. 一川保夫

    一川分科員 そこで私の方から、この知事管理区間の中の一つの事例的なお話として、私自身の地元にもそういう路線があるわけでございます。私は、実は平成九年三月の予算委員会分科会で一度この話題を取り上げたことがあるわけですけれども、当時、亀井さんが建設大臣でございました。  それはどういう話かといいますと、国道の認定を受けていながら交通不能区間がまだ相当部分残っているということです。平成九年三月のその分科会でも、当時の説明によりますと、四トン車以上が通行できないような区間ということで調べたところ、四十八カ所ありまして、全体で三百四十キロ、それぐらいのものが俗に言う交通不能区間として国道にある。その中で、現在道路らしきものがないというのが百六十キロ余りあるというのが当時の説明だったように思うんです。  実は、私の地元石川県では、石川県と福井県の県境をまたいでつながっている国道四百十六号線という国道がございます。これは、石川県の小松市というところからずっと山間部に入りまして、県境を越えて福井県の勝山市を経由して福井市につながって越前海岸につながる約九十キロ近い国道でございますけれども、その石川県と福井県の県境に約六キロぐらいの交通不能区間があるわけです。これは石川県側が約四キロ、福井県側が約二キロ、合わせて約六キロぐらいの交通不能区間があるわけですね。  私は、なぜこういうふうにしつこくお話をしているかといいますのは、これは地元のいろいろな要請があって十七、八年ぐらい前に国道に昇格していただいたと思うんです。当然地元のそういう強い期待感もあって、国道に昇格していただければ当然ながら道路の整備が進捗するであろうということで、そういう経過があるんだろうと思いますけれども、今日、公共事業なりそういったものがいろいろと不信感を持たれているという一つの中には、そういう公共事業で本来対応すべきプロジェクトがなかなか先が見えてこないという問題、それから、はっきりとした目標年次をなかなか示してもらえないということに対する一種の地域住民の不信感みたいなものが私はあるような気がするわけです。  ですから、建設省がこういう指導をされて所管する国道整備でございますので、私はやはり建設省の方で、知事管理区間といえども、それなりに車なり人間が通行できるぐらいの最小限度の暫定的な整備というものが私はあってもいいような気がするわけですけれども、とりあえず冒頭に、現時点で、全国の国道の中で車が通れない国道というのはどの程度あるんですか。
  227. 大石久和

    ○大石政府参考人 全国の一般国道で、現道のない交通不能区間は十三路線、十七カ所、延長約百三十キロメートルであります。さらに、最大積載量四トンの普通貨物自動車が通行できない区間が十六路線、十九カ所、延長約百七十キロメートルであり、これらを合わせますと、いわゆる交通不能区間としては二十九路線、三十六カ所、延長約三百キロメートルとなっております。
  228. 一川保夫

    一川分科員 私、今ちょっとその中身を十分調査していなくて申しわけないのですけれども、約三百キロぐらいにも及ぶ延長の道路が、道路といいますか、国道として認定されている路線で普通の車が通れないというのは余りにも、道路行政に責任を持ってやっている建設省としては、もっと責任を持った対応をしていただけないかなというのが私の率直な気持ちでございます。  それで、先ほどもちょっと触れましたように、平成九年に同じようなこういうテーマで質問させていただいたときは、若干これよりも数字が多かったと思いますけれども、やはりそういう交通不能区間があった。その不能という状態がどういう状態にあるかというのはちょっとわかりませんけれども、私の地元で見ている不能区間というのは、全く山岳状態でそのまま残っている。人も通れないし、当然車も通れない。  かつて相当の昔は、人間が歩いて山を越えていった、そういう一種のけもの道的なものはあるわけですけれども、私は、そういう区間については、今一気に理想的な完成断面でそれを改良して整備してくれといったって、話はできますけれども、なかなか現実問題としては、それを整備するというのは私は難しいと思うんです。  それであれば、少なくともジープ程度の車が動けるぐらいの道路を暫定的に整備していく。それは、確かに道路構造令等から見れば若干問題があるのかもしれませんけれども、その近くまで行って、いや、ここは道路がありませんから引き返してくださいというようなことでは、国民の皆さん方に対してはやはり余りにも不親切ではないかというふうに思うわけです。それは、この国道は通れませんから引き返してくださいという案内がどうもあるようなわけでもないというふうに私は思うんですけれども。  そういうことを考えますと、有珠山噴火じゃございませんけれども、いつ何どき、どこでどういう災害が発生するかもわからないというのが日本列島だと思うんですね。しかも今は車社会でございますから、いろいろな面で広域的に国民の方々が移動される、そういう時代でもございますし、いろいろな自然環境に触れたいということでもございますし、そういう面では、少なくとも国道に認定されてから十年以上も経過しているにもかかわらず、そのめどが全然立たないというのは、私は道路行政としてはちょっと不親切だなという感じがいたすわけです。  これは、地域住民も含めた、地域の、地方自治体の熱意が足りないという言い方が一方ではあろうかと思うんです。また、そこに住んでいる方々が、割と人口が少ないというような言い方があろうかと思うんです。しかし、やはり日本の国土全体をバランスよく発展させていくためにも、そういう観点で、恐らく、当時国道に昇格することは妥当であろうということで昇格を認めていただいたのだろうと私は思うんですね。  そういうことを考えますと、こういった交通不能区間と称するような道路につきまして、少なくとも一車線でも結構ですし、ところどころに待避所を設けるというようなやり方でも結構ですし、そういう暫定的な構造で、とりあえずこういうものを早急に目標を示してあげるというようなことについては、建設省の基本的な考え方をぜひお聞かせ願いたい、そのように思います。
  229. 加藤卓二

    ○加藤政務次官 交通不能区間の整備方針についてのお尋ねでございますが、これは私たちもよく実感を味わっていて、私も国会議員になったときに、要するにヤギも通れない国道をどうしても抜こうというので、十五年かかりまして抜かせていただきまして、お気持ちはよくわかるわけでございます。  きょうも建設省と打ち合わせをしているときに、相当前向きに考えてはいるんですが、こういう機会がないので、うちの方でも、どうなんだと言ったら、もうやるんだという決意できょうお聞きしてきています。  全国の一般国道の交通不能区間が三十六カ所あって、延長が約三百キロになっている、そのうち、代替する路線が近傍にないところ、整備の緊急性が高い十九カ所、延長百三十キロにおいては現在事業を進めております。これらの事業については、今後おおむね十年以内に大型車のすれ違いに支障のない道路として完成しますことを目標としております。  それから、残る、事業に着手していない区間についても、代替する路線の状況だとか交通状況及び地元の状況等を勘案して、逐次事業に着手してまいる所存です。  ですから、命名してあれば、責任において建設省はやるんだというのは、私の実感で味わっておりますので、ぜひひとつみんなでやりましょうという気持ちで地元にも応援を願うと同時に、道路をつくるときのいろいろな、自動車税だとかガソリン税だとか、そういう税金の堅持が道路をつくることにつながっていくのじゃないか、こう思っておりますので、その方の御後援もひとつよろしくお願いします。
  230. 一川保夫

    一川分科員 政務次官から割と前向きな御答弁をいただいておるわけですけれども、若干その中身の具体性には欠けますが、私は、気持ちというか、積極的にそういう対応をしていただくというのは非常に感謝しておりますし、これからもお願いしたいと思います。  この四百十六号線という道路は、私もかつて石川県の県会議員をしておりましたけれども、石川県側、それから福井県側、それから両県にまたがる期成同盟会みたいなものが三つぐらいでき上がってそれなりにみんな活動をしているのだけれども、さっき言いましたように、なかなか先のめどが立たない、そういう不安感です。今日、そういった山間地域というのは、非常に過疎化現象、高齢化現象で大変悩んでいる地域でもございますし、何とか地域おこしという観点からも、また、広域的にいろいろな面で交流する時代でもあります。  また一方では、先ほど言いましたように、災害ということを念頭に置けば、国道という認定を受けているようなそういう路線については、少なくともジープぐらいは通れる程度に整備しておいた方が私はよろしいのではないか。それがまた、国民の皆さん方も、またその地域に住んでいる方々も、いろいろな面で夢が持てるのではないかという感じを受けておりますので、全国に交通不能区間が約三百キロあるというふうに今説明がありましたけれども、少なくともこの十年以内ぐらいには、その三百キロをちゃんと、曲がりなりにも車が通れるぐらいに整備しますというふうにぜひやっていただきたい、そのように強く要望しておきたいと思っております。  では、ちょっと話題を変えますけれども、きょうも東京は雨模様でございますけれども、都市部、市街地部の雨水排水といいますか、雨が降ったときの排水問題というのは、これは下水道事業でいろいろと対応しているようなところも当然ございますし、また、地方の町へ行けば、河川から出ているいろいろな支流でもって受けとめているところもございますし、また、ポンプ排水で内水を排除しているようなケースもございますし、いろいろなケースがございます。  しかし、どっちかというと、やはり地方の都市というのは、従来からその周辺が農村地帯でもあるというようなこともございまして、農業用に整備された排水ポンプ場に依存しているようなところというのも結構残されているわけですね。御存じのとおり、農業用の排水というのは、農地に農産物があるときは排水しますけれども、農地に農産物がなければ排水ポンプは動かさないというのは、それはごく当たり前と言えば当たり前のことなんでしょうけれども。  しかし一方で、市街地がだんだん広がっていくという中で、雨が降ると、割と平たん部にある市街地が浸水を受けやすい、あるいは、降った雨がなかなか処理し切れないというようなケースがまだちょっとあるような状態だというふうに思っているわけです。特に、市街化区域等あるいはその周辺も含めて、排水処理といいますか、こういう問題についてはどういう取り組み方をしておられるのか。そこを説明願いたいと思うのです。
  231. 石川忠男

    ○石川政府参考人 市街地の排水についてのお尋ねでございます。  都市内の雨水排除あるいは浸水の防除というのは下水道の役割の一つでございます。都市部におきまして雨水対策をするということは、安全で活力のある都市形成を図る上で非常に重要でございます。しかしながら、御指摘のように、依然として浸水被害があるのも事実でございます。  これに対しまして、下水道の関係では、平成年度を初年度といたします第八次下水道整備七カ年計画を策定しておりまして、その中で、雨水対策整備率というものを平成年度末の四六%から平成十四年度末には五五%まで引き上げようということで、現在事業を進めているところでございます。現時点平成年度末の統計でいきますと、この雨水対策整備率というのが、全国で四九%にまで上がってまいりましたけれども、まだまだ不十分でありますという状況でございます。  都市部におきます雨水対策を効率的、効果的に行うには、下水道並びに近傍を流れます河川、これらをあわせまして総合的にやる必要があるということで、現在河川との連携を図るということを重点に置きまして、各地域におきまして河川部局と一緒に協議会をつくる、そして都市の総合的な内水排水の計画をつくるということで、各地方でこれを進めていただいておるところでございます。  また昨年度は、東京と福岡におきまして、地下街に雨が浸水いたしまして事故が起きるということもありまして、私どもといたしまして、平成十一年度の第二次補正予算の中で、地下街等内水対策緊急事業というのを創設いたしまして緊急の事業を進めております。  今後とも、総合的な雨水対策計画の策定等を通じまして、効率的、効果的な雨水対策を推進してまいりたいというふうに思っております。
  232. 一川保夫

    一川分科員 今の実情、また取り組みの考え方はわかりましたけれども、河川の流域内のそういう雨水対策ということであれば、河川の流域におけるいろいろな雨水の流出計画、あるいは河川の排水能力、流下能力も勘案した流域全体の一種の青写真の中で当然下水道も整備されていくのだろうと思います。  さっきの道路の話ではありませんけれども、余りにも理想的なものを追い続け過ぎると、現実問題としてなかなか話が進んでいかないというケースもございますので、そういうことで困っている地域については、効果が早く出るようなやり方も一方ではぜひ工夫をしていただきたい、強く要望しておきたいと思っております。  さて、もう一点最後にお聞きしますけれども平成十二年度予算から、統合補助金という考え方を一部導入してきておるわけですけれども、これはもう御案内のとおり、中央省庁等の改革基本法第四十六条「公共事業の見直し」という柱の中にも、できる限り、こういった個別の補助金にかえて、適切な目的を付した統合的な補助金等を交付し、地方公共団体にできるだけ裁量させるというような趣旨の条文があるわけです。そういうものを受けてのスタートだというふうに思います。  いろいろな取り組みのタイプがあろうかと思うのですけれども、建設省においても、当然ながらたくさんの種類の公共事業等がございますから、どういうものでとりあえずスタートするかということが一つのポイントだろうというふうに思います。  我々が、かつていろいろと説明を受けたときには、例えば二級河川だとか、あるいは公営住宅とか、あるいは公共下水道とか都市公園等につきましては、こういった統合補助金というような制度をうまく活用しながら実施に移したいというお話をお聞きしたことがあるわけでございますけれども、現時点の建設省の取り組み方針といいますか、そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
  233. 加藤卓二

    ○加藤政務次官 統合補助金についてお尋ねがありましたが、本年度予算において、一定の政策目的を実現するために複数の事業を地方公共団体が一体的にかつ主体的に実施することができるように統合補助金の制度を創設したところであります。この制度は、地方公共団体の主体的な取り組みや創意工夫を生かした事業を展開する上で非常に意義あるものと認識しております。  建設省としても、国と地方が適切な役割分担のもとに、協調、協力して、住宅、社会資本整備を進めることの基本認識のもとに、統合補助金制度の的確な運用に努めてまいりたいと思っております。
  234. 一川保夫

    一川分科員 これで私は質問を終わらせていただきますけれども、大臣もせっかくいらっしゃっておりますので、答弁はよろしいですけれども、先ほどちょっと私が話題にしましたように、公共事業が本当に国民に信頼されるような姿で、ぜひ計画的に進めていただきたいというふうに私も強く要望するわけです。  そういう信頼をしっかりと取り戻すというか、理解していただくという中には、先ほどちょっと一つの例として出しましたように、せっかく国道として認定しておきながら、いつになったら車が通れるかわからないという状態で、車も通れないような道路がまだ三百キロぐらい残されているということでございますので、そういった道路も建設行政の一環として十分関心を持っていただいて、できるだけそういうものが住民皆さん方の期待にこたえられるように、目標がしっかりと示せるような状態になるようにひとつ御努力お願いしたいというふうに要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。
  235. 岩永峯一

    岩永主査 これにて一川保夫君の質疑は終了いたしました。  次に、中野清君。
  236. 中野清

    中野(清)分科員 自由民主党の中野清でございます。  きょうは、首都圏の道路問題を中心にお伺いするものですけれども、その前に、道路建設に関連いたしまして、都市計画道路のあり方について私はお伺いしたいと思います。  平成十年三月現在、都市計画区域内面積というのは九万七千七百六十七平方キロ、そのうち、都市計画道路が六万四千九百キロであります。うち改良済み延長というのが四九・二%で、三万一千九百五十三キロであります。  都市計画道路規模というのは、本来、都市の長期構想に基づいて決めるもので、その進捗は、目標とする市街地の形成と関連して、当然、同時または先行して行わなければならないわけでありますけれども、現実には、改良率は一%ほどしか上がっておりません。すなわち、残りの一〇%の七千キロが現在事業中でありまして、道路計画は指定してありますけれども、着手していない、事業促進の見通しが立っていない、そういうものが四〇%、実に二万五千キロもあると聞いておりますが、間違いないのかお伺いをしたい。  そのうち、この計画そのものが、大正八年から指定がされておるわけでございますけれども、例えば戦後の昭和二十一年までは何%、何キロぐらいあるんだろうか。  また、都市計画が二十年をめどとしておりますから、四十五年にはいろいろと大改正があったようでございますけれども、計画道路が四万五千四百十六キロ改良済みで、二七・二%と言われていますけれども、それでは、残りの未着工というものについては、戦後から四十五年までどのぐらい残っているんだろうか、何キロ残っているんだ。  また、四十五年から、例えば一昨年までぐらいはどうかということは、少なくとも建設省はつかんでいるべきだと思いますけれども、お伺いしたい。簡単で結構です。
  237. 原田邦彦

    ○原田政府参考人 平成十年三月末現在で、先生御指摘のとおり、都市計画で幹線道路を決定しておりますのは約六万四千九百キロメートルございます。このうち改良済みは約三万二千キロ、おおむね半分程度でございます。未改良につきましては、残りの半分のうち一割ぐらいが事業中でございまして、残りの四割、二万五千キロ程度が現在まだ着手に至っていないところがございます。  それから、都市計画決定の時期ごとに整備の状況についていかんということでございますが、大変申しわけございませんが、都市計画の年代別に関します整備の率についての全国集計データは持ち合わせておりません。申しわけございません。
  238. 中野清

    中野(清)分科員 私は、道路新設について、買収とか立ち退きとかで関係者がいろいろ御苦労をしている、そのことについては十分承知しているつもりです。しかし今、道路行政への不満の大きなものに、計画ばかりができていて方向づけが全然できていない、いわゆる幻の何号線というのが全国にいっぱいあるわけですよ、大臣。ですから、例えば戦前から終戦直後までとか、そういうある程度のものは、資料がないと今おっしゃいましたけれども、私はつくるべきだと思うんですよ。  例えば東京都では、昭和五十六年に一回見直しをして、また平成三年にも見直しをして、前期十カ年とか後期十カ年とかということでいわゆるプログラムを作成している。国も、未整備の都市計画道路についての道路整備プログラムというのを作成し、公表すべきではないかと私は思っているんですよ。また、着工等についても、いわゆる方向性とか優先順位とかを明らかにする、これが当然親切だと私は思うんですけれども、御見解を承りたい。  それからもう一点は、都市計画道路の策定というものは、先ほど言いましたけれども、二十年間というのが一つの目標になっていますね。しかしその間、いわゆる国民の土地利用の私権を制限している、これはやむを得ないと思いますね。ですから、普通では木造の二階建てというのが常識ですね。そうしますと、例えば都市の住民に、私の方も具体的な例を持っていますけれども、六十年も七十年もこの二階建てでいいのかという話については当然議論があると思うんですよ。  ですから私は、この際、建設省は、都市計画道路についての受忍の限度は何年かということについては、政治としてやはりある程度めどをつけた方がいいだろうとお願いしたいと思うんです。  少なくとも私は、そういう意味で、事情はわかっておりますよ、いろいろな事情があるんですから。わかっておるけれども実際には着工できない、そういう道路について、例えば一定期間、これは五十年でも結構だと思うんですよ。その時点において、都市計画道路の妥当性と言ってはおかしいんですけれども、妥当性を再検証して住民にも納得していただける、そういうシステムをつくるべきと考えるんですけれども、この二点についてお伺いしたいと思います。
  239. 中山正暉

    ○中山国務大臣 おっしゃるとおり、先ほど一川先生の御質問にもございました。三百キロといいますと東京—名古屋間ぐらいで、大阪—東京が五百五十キロでしたか、ですから、幻の道路とおっしゃいましたが、まことに残念なことです。日本はサミットでも何でも、この間、蔵相会議に行かれた大蔵大臣も、インフラ、内需拡大をしてくれということを注文されておられますが、その基本をなすのは私はやはり道路だと思っております。  いつも言うことでございますが、これは、美しく知ると書いて、昔は、万葉集では美知と言ったそうです。今の道は、首という字を書いてしんにゅう、しんにゅうというのはつながるという意味だと私は思っておりますが、それがなかったら、さらし首になるということですが。  それから、日本の将来のためには、未知の日本といいますか、その意味では、いまだ知らざるものということで、そういう道につながっていくべきであって、今おっしゃるように——この間、十一月一日に石原慎太郎さんがやってきまして、それで、圏央道を何とかしてくれという話がありました。  私は、これは共産党の議員さんからの御紹介でございましたが、反対している方に建設大臣室に来ていただきまして、中村さんとおっしゃいましたか、来ていただきまして、何とかしてくれという話をしました。九百人が賛成していて、あと四軒の反対があって、そこへ六十八人の一坪地主が入っている。それで、現場へ来てくれということでしたから、現場へ行ったら、もう百十三人にふえていました。  インターネットというものもいいこともありますけれども、インターネットで一坪地主が寄ってくるという、本当に困ったことが、情報機能の悪利用といいますか、インターネットのバーチャルな道ではなくて本当の道をつくらなきゃいけないときに、未来発展を予測されるインターネットで現在の道が邪魔されるというのは、私は本当に残念だと思いましたが、収用をかけてほしいということを私は頼みました。私は、これはどんどんそういうことをちゃんとしていきませんと、昭和四十五年に、根本龍太郎大臣が凍結されたままになっておりますので、非常に残念だという気持ちでおります。  先生のおっしゃるように、特に東京とか大阪とか名古屋、全部、三大首都圏は環状道路がありません。ロンドンとかパリはもう見事な環状道路。それから、東京の場合は、三環状に九放射線といいますか、そういうものが予定されておりますのに、首都として恥ずかしいという気持ちがあるわけでございます。  その意味で、私は、会計検査院の新院長が来られたときにも、会計検査院が建設省にいろいろおっしゃるのとひとつ同じものを、税金のむだ遣いを、反対をすることによってどういうふうにしておられるかということをそういう人たちにも徹底してほしいものだと。会計検査院は、反対している人たちにも建設省にいただく文書と同じものを差し上げていただきたいなんということを言いました。  そんなことで、税金を納めていただいている方々に対して、今六百四十五兆のいわゆる国債、公債発行残高、この借金をどう返すかという、二兎を追えという話まであります。二兎を追うためには、左側へ逃げていったウサギと右側へ逃げていったウサギ、同じ方向へ二匹逃げてくれればいいですが、別々のところへ行くのを私どもがどうしても追い込むような形での対応というのはしていかないといけないと思っております。  あとの技術的な問題については、技術審議官からお答えをしたいと思います。
  240. 原田邦彦

    ○原田政府参考人 都市計画道路区域内の建築制限の受忍の限度についてでございますが、この建築制限につきましては、まず二階以下の建築物につきましては必ず許可するということになっております。  そういうことに加えまして、それ以外の建物につきましても、都道府県知事が、個別の申請内容を見まして、建築物の様子であるとか周辺の土地利用の状況、さらには都市計画道路の事業化の見通しや熟度等を勘案いたしまして、将来の道路事業の円滑な執行を確保するという法の趣旨にのっとりまして、ケース・バイ・ケースで許可するというような判断もしているところがございます。  そういった観点から、この建築制限につきましては、公共の福祉の観点から御理解いただいているものではないかと認識しているところでございます。  そうはいいましても、長期未着手の都市計画道路はあるわけでございます。この長期未着手の都市計画道路についての再検討でございますけれども、現在のところ、法律の中で、都市計画決定権者でございます地方公共団体が、おおむね五年ごとに都市計画に関します基礎調査を実施しております。この結果に基づきまして、都市計画の変更が必要か否か、また都市計画道路におきましては、その道路網としての妥当性について逐次適切な見直しをしているものというふうに認識しているところでございます。  今後とも、建設省といたしましては、このような検証及び見直しが都市計画決定権者でございます地方公共団体によりまして適切に行われますよう、必要な技術的な援助を行ってまいりたいと考えているところでございます。     〔主査退席矢上主査代理着席
  241. 中野清

    中野(清)分科員 大臣のお気持ちはよくわかったのですけれども、今の答弁はちょっと納得できない。といいますのは、痛みを感じてないのですよ。  実は、都市計画制限に係る損失補償請求事件というのが福岡でありましたけれども、これは、四十二年から十五年間だからしようがないだろうと。私もそう思います、十五年だったら。だけれども大臣、六十年とか七十年というときはどうするんだ、私は、これは国は絶対負けると思いますよ、率直な話。  それからもう一つは、地方自治体がやるとおっしゃっているけれども、みんなこれは大変なんですよ。私の町でもそういうことはいっぱいあります。そうすると、三年でもって変わるんだったらば何も変える必要はないじゃないか、自分の仕事は終わりだというので、ぐっと延びている。これは私の自宅もそうだったし、中でも二件ばかり六十四年というのがありました。計画決定してから六十四年間何にも手がついていない、はっきり申し上げて。ですから、今の答弁は、私はだめだと思いますね。  そういう点で、もう一回、しっかりやってくれるということだけを、どうですか、一言でいいから。
  242. 原田邦彦

    ○原田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、現在、委員御質問のありました整備計画のプログラムにつきまして、全国の都市計画決定権者に対しまして、鋭意つくるように指導しているところでございまして、現在おおよそ五十都市ばかり、プログラムを完了し、公表しているところでございます。  そういったプログラムにのっとりまして、先ほどお答えさせていただきましたとおり、都市計画道路の事業化の見込みのありなし、またはそれの熟度を十分勘案しながら、長期に着手が難しいところにつきましては、ケース・バイ・ケースでどの程度の建築制限が妥当かについて御判断をいただいているところでございます。  そういったものにつきまして、今後、より地権者の様子もしくは建築活動の様子等を勘案しながら、十分にプログラムを作成した上で公開し、適切な指導をしていくように私どもも行ってまいりたいと考えているところでございます。
  243. 中野清

    中野(清)分科員 ぜひこれは期待いたします。  それから、首都圏の道路問題について先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、私も同感なんですよ。今、九放射は完成率約九〇%以上ですね。ところがいわゆる三環状は、外環が大泉—三郷間、それから圏央道が青梅—鶴ケ島間、中央環状線が葛西—江北間と、大体二割ぐらいしかできていない。もちろんこの三環状ができれば都心の交通量は二割減るだろうと言われております。大事な問題ですね。これについてお伺いしたいと思うのです。  さっき大臣がおっしゃったように、いわゆる一坪地主の話もありましたし、私、それはもう細かいことは言いません、よく認識していらっしゃいますから。私が言いたかったのは、まず、いわゆる圏央道の東京青梅—あきる野インター間、この十一キロですね。これについて二年間延ばすということになっていますね。それでもって本当にできるのだろうかという話です。  それからもう一つは、昨年八月にいわゆる土地収用法に基づく事業認定を申請したと伺っております。私はやるべきだと思うのですよ。どんどんやるべきだ。それは、さっきのお話のような、いわゆる反対のための反対についてはやはり御理解をいただくよりしようがないだろうと。その一方では、いわゆる時間稼ぎのための交渉拒否なんていうのはとんでもないというような世論をつくっていかなければ、これはできませんよ、はっきり申し上げて。  その点のお考えがどうかということと、二年間先送りしたという現実と本当に工事ができますかという話を圏央道について伺いたい。  それからもう一点、実は、私にとりましては、加藤、増田両総括政務次官、地元の先輩でございまして、本当にありがたいと思うのですが、ですからぜひ圏央道について、特に加藤総括政務次官にお伺いしたいのです。  いわゆる圏央道が今少しできました、本当に少しですけれどもね。それでも地元では、最高のときは五〇%ぐらい生活道路の交通量が減ったと。私の地元では三五%減ったと言っております。今、実は川島から、特に去年の十月に工事をしてもらいました。私も分科会で申し上げまして、お願いしました。この見通しについて、せめてこの際もう一回明らかにしていただきたい。  それともう一点は、川島—幸手間、川越からいわゆる県東部分ですね、これについても十三市町が本当に期待している。この問題についての工事の見通しについてもあわせてお伺いをしたいと思います。     〔矢上主査代理退席、主査着席〕
  244. 大石久和

    ○大石政府参考人 圏央道の八王子から青梅間について、供用時期が二年延びたがそのとおりできるのかという御指摘でございます。  御指摘のように、八王子ジャンクションから青梅インターチェンジ間につきましては、用地交渉に時間を要したことから、当初の平成十二年度から平成十四年度に供用目標を変更したところでございます。今後は、地元の皆様方の御協力と御理解を得て、この供用目標が守れるよう、達成できるよう努力してまいりたいと考えております。  それから圏央道の鶴ケ島から川島間につきまして、その整備の進め方及び全体区間の見通し、あるいは川島から幸手間の工事の見通しについてお尋ねがございました。  埼玉区間五十九キロメートルのうち、鶴ケ島ジャンクションから川島インターチェンジ間につきましては、現在、坂戸地区も含め用地買収を促進しております。平成十一年十月に川島インターチェンジにおいて工事に着手したところでございます。  当該区間におきましては、平成十六年から十七年ころの供用を目指し整備を進めているところでございますが、今後さらなる努力によりまして供用が早められるよう、最大限の努力をしたいと考えているところでございます。  また、川島インターチェンジから幸手間につきましては、現在、測量、地質調査等を順次進めておるところでございますが、今年度より一部区間の用地買収に着手したいと考えてございます。  今後とも地元の皆様方の御協力を得まして、川島インターチェンジから東北道の間につきましては、平成十九年ごろの供用を目指して整備を進めてまいる所存でございます。
  245. 中野清

    中野(清)分科員 大臣にちょっとお伺いしたいのですけれども、よく道路建設関係者は、いわゆるオオタカの巣があったらもうだめだと言われるのですよ。私はオオタカも大事にしたいと思いますよ、環境として。ですけれども、今回の青梅からあきる野についての問題について、土地収用法ですか、これは役所が、はっきり申し上げて、へっぴり腰と言っちゃおかしいですけれども、ちょっと腰が引けているんじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
  246. 中山正暉

    ○中山国務大臣 この間参議院でオオタカの話が出ましたので、私が、タカというのは将軍の手にでもとまるぐらい人間になつくものだからと言ったら、不謹慎だと言ってしかられたのでございますが。  私は、オオタカも生きていかなければならないし、人間も生きていかなければならない。ですから、そういうことからどっちを大事にするか、両方大事にしなければいけないと思いますが、いろいろ矛盾を感じながら、そういう意見に対応しながら、地元で本当に真剣に工事に従事してくれている、買収に対応してくれている人たちは本当に御苦労だなという実感でございます。  環境問題というのが大変正面に出てくるといいますか、その環境の問題と人間が生きていくための環境を、そういう環境同士でどう対応していくかというのはこれからの政治課題で、そういうものをどう超越するかというのは、むしろそれこそ国家の基本問題あたりで私は討論をしてもらってもいいなと。そうしないと、税収に見合った仕事というのは、もう道路というのは一メートル反対されても飛び越えるわけにはいきませんから、その意味で、これは本当に国家の基本問題だと私は思っております。
  247. 中野清

    中野(清)分科員 今の御意見、結構でございますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  私は、実はこれから外環を言おうと思ったのですけれども、きょうは両総括がいますので、先にさいたま新都心の業務核都市を中心とした道路について、これもやはり同じような次元でございますので先に取り上げさせていただきたいと思います。  御承知のように、ことしの五月にはさいたま新都心が町開きをいたします。第四次首都圏基本計画ですか、いわゆる一極集中の是正と自立都市圏の形成として副都心と業務核都市が六十一年にできました、ちょうど私も県会議員でございましたけれども。それで、十二年後の昨年、第五次首都圏基本計画が策定されまして、水戸、宇都宮、前橋・高崎、甲府を加えた大環状連携軸を形成しよう、いわゆる首都圏をそういう分散型ネットワーク構造に転換すると聞いております。業務核都市として、埼玉でも川越、越谷・春日部の二地域が追加されまして、さいたま新都心が浦和・大宮とともに広域連携の拠点になっているというのは、もう御承知のとおりであります。  私は、この際ですから、国土庁の増田次官に、川越と越谷・春日部の二つの新業務核都市をどう展開されるのか、そしてまた、業務核都市基本構想は何年までに作成するのか、中核的施策は何を考えていらっしゃるのか、そのための推進体制はどうするのかというのは、これは地元も非常に関心がございますので、なるべく御理解をいただきたい。  それからもう一点、時間がございませんからあわせてお伺いいたしますけれども、今言ったさいたま新都心というのは圏央道と外環の中ほどに位置しておりますので、埼玉県では、新都心が県外の業務核都市と提携するには、新都心の周辺にも環状道路が必要だと主張をしております。  平成十年三月に閣議決定されました全国総合開発計画、二十一世紀の国土のグランドデザイン、その中には、「核都市広域幹線道路について構想の具体化を図るなど地域高規格道路の整備を進める。」と位置づけられておりまして、特に、平成六年には候補道路に指定をされております。  御承知のように、埼玉の場合は、東京を中心とした放射状道路はありますけれども、南北はいいけれども東西の連携が非常に貧弱だというのは我々の悲願であります。そういう中で、国の新道路五カ年計画において核都市広域幹線道路を格付中と聞いておりますけれども、この必要性をどう認識していらっしゃるか、これが一点。  それからもう一つは、いろいろ聞くところによりますと、限られた予算の中だからまず優先するのは三環状だ、それはそのとおりだと私は思います。そう思いますけれども、では、核都市連絡道路というのは、これらのめどが立ってからやればいいのじゃないかと、これについては慎重な姿勢だと建設省が言っているものについては私は非常に反対なんですよ。  それはなぜかといえば、計画を立てるということ、それから、地元の理解をいただくということは今必要だと思っているのですよ。決して、何も今すぐ予算を出して工事をやってくれとは言いません。では、いつ、三環状をどこまでやったらば核都市広域幹線道路をやってくれるのか、これをはっきりしてもらいたいと思うのですよ。  それじゃなければ、どっちかというと大臣を初め皆さん一生懸命やっているけれども、二割しかいっていないという今の現状というものを考えれば、地元の理解とかなんとかといったときに、やはり頑張っていただかなければならない。  具体的な計画策定というのを伺ってみますと、大臣、絵があるだけなんです。どこからどこまでやるのか全然、何も決まっていない。これでもってやるんだ、やるんだと言ったって、だれも信用しない。ですから地元もちっともわからない。これでは話にならないと思うのですけれども、この点については建設省の方はどうか。  前段の地元の業務核都市については、ぜひ増田次官に御答弁願いたいと思います。
  248. 増田敏男

    ○増田政務次官 お答えを申し上げます。  先生がふるさとに対して大変熱心な御活動をなさっているのはよく存じておりますので、簡明にお答えを申し上げ、御期待に沿いたいと思います。  東京都区部における諸機能の過度の集中を是正いたしまして、東京圏における適正な配置を図るため、業務核都市を育成整備することが重要であります。このようなことから、昨年三月に策定されました第五次首都圏基本計画におきまして、首都圏における地域構造の目標として分散型ネットワーク構造を掲げまして、業務核都市の育成整備を図ることとしたわけであります。  この考え方のもとに、御発言にございました川越及び春日部・越谷について、今回の基本計画において新たに業務核都市として位置づけたところであります。川越を中心とする地域につきましては、業務、商業、文化機能や研究開発、物流機能等の複合的な集積を図ることといたしました。また、春日部・越谷を中心とする地域につきましては、業務、商業機能とともに、医療、福祉、文化等の都市機能の充実を図ることといたしております。  具体的には、現在、埼玉県や関係市におきまして、多極分散型国土形成促進法に基づく業務核都市基本構想をできるだけ早期に策定すべく、その将来像や整備の方向、具体的な中核的施設の内容等について検討を行っていると聞き及んでおります。  国土庁といたしましては、基本構想策定が早期になされ、具体的にその整備の推進が図られるよう、引き続きまして積極的に協力してまいる所存であります。  以上でございます。
  249. 大石久和

    ○大石政府参考人 御指摘の核都市広域幹線道路につきましては、千葉、浦和・大宮、立川・八王子、横浜・川崎等の業務核都市を連絡する広域的かつ重要な幹線道路でございます。これにつきましては、先生から御指摘ございましたように、平成六年に地域高規格道路の候補路線に指定いたしております。  また、新全国総合開発計画におきましても、核都市広域連絡道路につきまして構想の具体化を図ると位置づけられておりまして、それを受けて作成されました新道路整備五カ年計画、平成十年五月でございますが、この中に、大都市圏の再構築を目指し、核都市を中心とする自立的な都市圏の形成に資する道路の整備を推進するとうたいまして、その中で、核都市広域幹線道路等は地域の活性化施策の推進とあわせて事業の具体化を図るというように記載させていただいております。  このため、建設省では、現在、埼玉県内のみならず、全域におきまして将来交通量の推計を初めとする諸調査を行っているところでございまして、ルートの問題やあるいは規格、構造、機能の問題等を煮詰めてまいりまして、事業化の時期を探ってまいりたいと考えております。
  250. 中野清

    中野(清)分科員 時間もありませんから、最後に要望だけ言わせていただきたいと思います。  今、核都市連絡道路について局長の話がございましたけれども、ぜひそういう意味で進めてもらいたい。何もお金を使うわけじゃないのですから、そういうことを住民にも理解してもらう、県なんかも、やはりやる気にならなければそんなものは絶対に進むはずないよというのも、率直な話、お願いをしたいと思うわけなんです。  それから、圏央道で大臣もあれだと思うのですけれども、私の地元の川越市長や八王子の市長さんたちはみんな、圏央道や外環というものは本当に沿線の活性化とか地域の振興には不可欠だと言っております。  私も、実は若いころ、河野一郎建設大臣が、高速道というのは、距離じゃないんだ、時間なんだという話をされまして、そうだと思いました。しかし大臣、現実には、都内の中は高速道が低速道だと言われて時間を食っている。これを解決するには、やはり三環状なんかを一日も早くやって完成をしていただきたい。  実は私、きょう外環の問題も準備しましたけれども、これは時間がありませんから言いませんけれども、大臣がおっしゃるとおりなんですよ。その問題については、環境とか自然保護とか、それから住民皆さんの要望、これはできる限りやってもいいと私も思うのです。  ですけれども、そうはいったって、三十年もたったとか四十年もたっちゃって、それでもってどうなってくるかといえば、おっしゃるとおり国家的な損失だと。少なくとも現状の中においても交通渋滞で年間四兆円もいわゆる機会損失がある。この四兆円のお金が国民のものになれば、これはむだに使っているものですから、そういうことを考えると、先ほど大臣が、収用法も含めて本気になってやっていただく、この問題について私どももできる限りお手伝いをさせていただき、地元の皆さんにも御協力を願って、そしてこの首都圏の交通問題をぜひとも解決していただきますように御要望をして、私の質問を終わります。本当にどうもお世話になりました。  大臣、両次官を初め皆さん、これからもどうか頑張っていただくようにお願いしたいと思います。
  251. 岩永峯一

    岩永主査 これにて中野清君の質疑は終了いたしました。  次に、栗原博久君。
  252. 栗原博久

    栗原(博)分科員 栗原でございます。  きょうは、質問の機会をお与えいただきまして、中山大臣、そしてまた加藤総括政務次官に御同席をいただきまして、ありがとうございます。  まず、有珠山火山活動、大変活発でございますが、中山建設大臣国土庁長官におかれましては、機敏なる対応をいただいておることについて感謝を申し上げたいと思います。  私は、先般の予算委員会でも御質問をお願いしてさせていただきましたけれども、私ども、地方の景気を何としても取り戻す、民需を拡大するためには、やはり公共事業のさらなる発動によって民需を喚起させていただくことが地方の最も効率ある方法だと思っておるわけであります。  今、公共事業不要論を言っている方がおられますが、本当の経済がわからぬ方であろうかと思っております。特に地方におきましては、公共事業によって社会インフラを整備していただくわけで、例えば道路ができることによって物流が盛んになって経済活動が喚起されます。あわせまして、工事をすることによって、雇用の機会の少ない私どもの地方においてはその経済波及効果が極めて大きいわけでありまして、公共事業のGDPに占める波及効果などは、公的固定資本形成を継続的にやりますと、GDP比が一年目は一・三倍、二年目は一・七倍とだんだん、公共事業の投資以上に経済波及効果があるわけなんです。  ただ、願わくは、やはり建設省が筆頭となりまして、地元の仕事をしましたら、地元の業界にその仕事が行き渡ればこれまた経済効果はもっと出るわけなんで、そういうことを含めながら御質問させていただきたいと思います。  私は、常に、地元の中小企業工事を発注していただきたい、そして地元が請け負えば、その請け負った分、ちゃんと地元で物を買ったりつくったりするわけでありまして、そういうことをこの前も大臣にもお願いいたしました。  特に入札の問題につきましては、建設省の皆さんも、他の省庁に比して本当に努力されておりまして、一般競争入札あるいは従来の指名入札、あるいはまた公募型の入札とか工事希望型の入札、特に中小企業向けの目標値を今度設定していただいているようであります。  また、工事については、なるべく分離分割発注をしていただいて広く仕事が行き渡るように、あるいはランク別の発注を実施していただきながら、また発注の標準の設定もしていただくというようなことで、特に下位ランクの方々が上位のランクの方に参入させていただいて仕事をとっていただくような方法だとか、あるいは経常JV制度についても大いに活用するような、そういうことをお示しいただいているようではございますが、地方の中小建設業界は、まだまだ仕事が我々に来るのが少ない、こう申しておるわけでございます。  この点について、大変恐縮でございますが、建設省、大臣きょうお越しでございますので、この地域の景気の対策のために公共事業はどうあるべきかということについて、ひとつ改めて御所見を伺えればと思うのでございますが、よろしくお願いします。
  253. 小川忠男

    ○小川政府参考人 ここ数年間、中小建設業者に対しては、私ども直轄も相当の努力をさせていただいたつもりでございます。ただ、率直に申し上げまして、事務的にはかなりの負担になっているというのは現実でございます。  ただ、今お話ございましたように、中小の建設業に対してしかるべき発注をするということにつきましては、現在の経済状況というふうな点もございますし、それからやはり地域の経済あるいは雇用を支えているという大きな役回りもございます。そういう観点からは、相当厳しい状況というふうなことはございますが、やはり引き続きそれなりの努力は大いにやらせていただきたいと思います。  具体的には、今先生もお話しされましたように、いわゆる食い上がりですとか、あるいは分離分割発注ですとか、それはそれとしてきちっと努力したいと思いますし、また毎年、中小企業者に対する国等の契約の方針、これで契約目標を設定するというふうなことになっております。十二年度についても、恐らく近々国全体としての目標が設定されるというふうなことになろうかと思います。  私どもとしましては、そういうものを踏まえた上で最大限努力させていただきたいというふうに思います。
  254. 栗原博久

    栗原(博)分科員 よろしくお願いします。  建設省は、工事発注のうち四九%近くを地元の方で発注しているということで、他の省庁の発注に比べて大変高いわけなので、また高いゆえに他の省庁の範たるを示すためにも、一層地場の中小業者に対します発注をひとつ御理解いただきたいと思います。  今、田舎におきましては、例えば大手の企業が参りますと、管理費を二割近くも取られるとか、さらにまた、その上工事単価をはたかれるとかいって、赤字で仕事をしているというようなことを言う方々もおられるわけであります。その実態については数字を的確に把握しておりませんからこれ以上私は申し上げませんが、そういう中で、大手ゼネコンの不良債権整理のための公共事業であってはならない。本当の景気対策というものは、すそ野の、末端の方々仕事が行き渡ることによってそこに民需の拡大があるわけでありまして、そういう点についても建設省の皆さんはもう、私が言うまでもなく、百も承知していると思いますから、できる限りの範囲でひとつ御努力をいただきたいと思っております。  それで、きょうは国土庁皆さんもお越しでありますので、地域の戦略プランについて実はお聞きしたいと思います。  平成十一年度から十五年度ということで、小渕前総理の提唱によります生活空間倍増戦略プランの一環として、全国で地域戦略プランが設定されまして、去年六月現在で約四百六十のプランが設定されておるようであります。平成十一年度予算措置では事業費ベースで二〇%を上回って、大変立ち上がりがいいように伺っておるわけであります。私どもも地方におりましても、地域戦略プランに入ったことで思わぬ予算措置がされたということで喜んでいる市町村もあるわけでありまして、その点、この地域戦略プランの効能は高いと私は思っておりますが、その進捗状況についてお聞かせいただきたいと思います。
  255. 小林勇造

    ○小林政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、前総理が提唱されました生活空間倍増戦略プランにつきましては、全国各地域において主体的に策定された活力と潤いのある生活空間を創造するためのプランとして、昨年、御指摘ありましたように四百六十件のプランを認定しております。  平成十一年度におきましては、各省庁の当初予算において重点的な予算配分を行うとともに、初年度対応措置として、公共事業分二千億、非公共事業分五十億の推進費を国土庁にも計上しまして、プランの認定後に所要額を各省庁に配分しました。この結果、五年間の全事業費に対する平成十一年度予算措置状況は進捗率で二〇%を上回っておりまして、順調に立ち上がっております。  また、先生の御地元だと思いますが、環日本海交流圏の一翼を担い、活力とうるおいのある生活空間の創造プラン、これは新潟大外環状線沿線地域でございますが、これに対しては、平成十一年度予算措置としまして、事業費ベースで既に五〇%に達しているというようなことでございます。  国土庁といたしましては、今後とも、総合的窓口として、関係省庁が一体となった推進体制のもと、重点的な予算配分による支援を行っていきたいというふうに考えております。
  256. 栗原博久

    栗原(博)分科員 今局長から、私どもの地元の問題について触れていただいたのですが、この新潟大外環状線の問題、昨年度は五年間で二十一億円を要する事業を大変早くしていただいたところでありまして、ほかにも新潟県はたくさんあるわけですが、ぜひこの事業の進捗についてひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に御質問させていただきますが、御質問より要望のような形でございますが、昭和六十年に、日本海と首都圏を直結する関越自動車道が谷川岳を貫いて列島を横断した。東京では雪国への日帰りの新動脈ができたということで、当時、私どもの地元の新潟日報に大きく掲載され、新しい交通体系の開通によって新潟県は変わるということになったわけです。また、観光あるいは企業進出もどんどん新潟に来るだろうと。ただ、不安は、東京の経済侵略があるんじゃなかろうかというようなことも若干書いてございました。  しかし今日、関越高速道路の完成を見て、新潟のかわりばえは極めて大きいものがありまして、政治の衝にある一人として、ここまでに至りました、田中角栄先生を初めとする先輩の方々、また、それを後押しされて、その計画を立案されました建設省、道路公団の方々にひとつ深く敬意を表する次第でございます。  その中にありまして、やはり田中角栄先生の「日本列島改造論」、要するに、何としても全国一律同じように交通体系をつくるんだというあのすさまじい本を実は私読みまして、私もひとつ政治家を目指そうということで、当時、新潟県の県の職員でございましたけれども日本列島改造論を手に提げて実は政界に出てまいりました。十六年かかって今日こうやってやっておりますが、これはこれといたしまして、私の体験だと思っておるわけであります。  日本の均衡ある国土発展のために高速道路に寄せる思いというものは、私どもはやはりその効用をじかに感じておりますから、まだまだこれから、高速道路をつくっている、望んでいる方々の地域は、その思いというものは本当に大きいものだと思っております。  その中で、最近、日本道路公団等についての、特殊法人についてのいろいろな考えが出ているようでありますが、何としても国土の均衡ある交通体系をつくるためには、私は、高速道路の建設の任にあずかった道路公団というものに対する期待はやはり大きいものだと思っているんです。  それで、一つ冒頭にお聞きしたいことは、この国土の均衡ある発展のために、これからどのような高速道路に対する思いを行政に生かす御決意があるかということについて、まず一つお聞きしたいと思うのでございます。
  257. 大石久和

    ○大石政府参考人 国土の振興、発展を図るために国幹道等の高速道路の整備が必要ではないかという御指摘でございます。  先生の御指摘のとおり、高速自動車国道は、広域的な連携による地域の自立の促進並びに活力ある地域社会の形成に欠くことのできない基盤施設であると認識しております。  しかしながら、現在、一万一千五百二十キロメートルの全体構想に対しまして、供用延長は六千六百十五キロでございまして、その整備は道半ば、五七%程度でございます。  我が国とほぼ同様の大きさの国でございますドイツがもう既に一万一千三百キロのネットワークを持ち、フランスが、我が国よりやや少しおくれてスタートいたしましたが、九千九百キロのネットワークを持っておるというようなことを考えますと、我が国の整備状況はまだまだ厳しいものがあると認識してございます。  昨年末にも第三十二回国土開発幹線自動車道建設審議会を開催していただきまして、整備計画延長は九千三百四十二キロとなってございます。現在、事業中の二千四百四十九キロメートルの区間を初めとして鋭意整備に取り組んでおるところでございますが、平成十二年度には新たに二百三十六キロメートルについて供用するほか、北陸自動車道の全線四車化を図る予定といたしております。  高規格道路、高速自動車国道の持つ意味を十分理解した上、今後とも早期整備が図られるよう努力してまいりたいと考えております。
  258. 栗原博久

    栗原(博)分科員 この高速道路につきましては、まだまだ希望するところが、例えば、予定路線として一万一千五百二十キロ、基本計画でそのうち一万六百七キロである、そのうち整備計画は九千三百四十二キロ、そのうち施行命令が出ているのが九千六十四キロである、実際、今開通しておるのが六千六百十五キロ、また、工事中が二千四百四十九キロということに承っておるわけでありますが、今まではやはり平たん地とか、割合と工事の容易なところをやってきたと思うんですよ。これからまさしく最も求めている場所、要するに交通の劣悪な山岳地帯とか、そういうところの工事にだんだん入ると思うのであります。  そうなりますと、やはり高速道路の建設については、当然国の限られた財源プラス借入金によって賄うわけですね。遠隔地で車の通行量が少なくて収益の少ないところになりますと、いろいろ工事費を加味していわゆる料金制をとるべきだ、そんなことを言う方もおられるようですが、それは私はとんでもないことだと思っておるのです。  特に、これから道路はだんだん高くなってくると思うんですね。当初、高速道路が始まりましたころの七〇年から八〇年にかけての東北道とか中国道の建設費は一キロ当たり十三億円だった。ところが、八七年から九〇年にかけてのころの山陽道とか東名阪道では四十・八億円だった。九〇年代後半から始まりました外環道とか上越道になりますと、一キロ当たり五十一億かかるということになっている。  さらにこれから、私ども新潟県におきましては、日本海沿岸道路、今、新潟県の村上の先の朝日村まで施行が出ておりますが、今度そこから温海までこれからやはりしてもらわねばならぬ。これは海岸端でありまして、大変工事費のかかるところでございます。しかし、これは何としても早くしてもらわねばならぬわけであります。  その中で、高速道路が、地域の経済活性化はもちろんでありますが、若い方々の流出をとめるなど、そういう社会形成の面でもやはり大変大きな意義があるわけなんです。こういうことにつきましてどんどんひとつこれを進めてもらいたい。  今、大石局長からも今の道路の進捗状況についてお話がありましたし、私も先ほどちょっとかいつまんでその内容も読ませていただきましたけれども、まだまだやはりこの高速道路に寄せるものは課題が残っておるのでありまして、その中で、やはり何としても今までどおり高速道路の料金のプール制を堅持しなきゃならぬと私は思うんですよ。プール制の堅持そのものが高速道路の本来の姿であると私は思っておりまして、こういうことについていろいろお話がされております。  国費約三千億円の高速道路の助成金も必要なわけでありますが、そういう中で、これをむしろ約五千億ぐらいに乗せなきゃだめだというようなことも、いろいろ書物を読みながら私は思っておるんですが、この高速道路のプール制の堅持について、どのように建設省はお考えであるかということについてお聞きしたいと思います。
  259. 大石久和

    ○大石政府参考人 高速道路の全国プール制についての考え方についてお尋ねがございました。  高速自動車国道は、歩行者と車両の混合交通のない自動車専用道路であることや、すぐれた縦断、勾配、横断線形を持ち、高速走行が可能であることなど、日本全国同一のサービスを日本のどの地域でも同じように提供しているものでございます。このように、全国民が同一の価格で同一の高いサービスを受けられるということは、電気・ガス、一般の商品など、他のあらゆる財・サービスと同様であると認識してございまして、こういった考え方は引き続き堅持していく必要があると考えております。  高速自動車国道の全国プール制は、全路線が一体的な交通網として機能し、料金水準、徴収期間について一貫性、一体性を持たせることが適当であること、また、事業実施時期の違いにより生ずる料金格差による地域間の不公平感を解消する必要があること等から、昭和四十六年度道路審議会の答申を受け、昭和四十七年に採用した制度であり、これはもう国民に広く定着している仕組みであると認識いたしております。  今後とも、国費充当の拡充により全国プール制の負担を軽減するとともに、一層の経費節減に努めながら、適切な料金水準を維持しつつ、高速自動車国道の整備を急いでまいりたいと考えております。
  260. 栗原博久

    栗原(博)分科員 高速道路ができましてから、例えばきょうこれから宅配便に頼みますと、あすの午前中には田舎のどんな山奥にも品物が届くわけですね。だから若い方々が、やはり東京と直接つながっていると。  例えば今、私どもの方は磐越高速道路が開通しております。そこには鹿瀬町という町、あるいは上川村という本当に過疎のところなんです。その奥にまた実川というような部落もあるんです。全く、新潟から車で行ったら四時間ぐらいかかるところだ。今度高速道路ができたことによって、東京から物を出しても実川島にはあすのお昼に物が着いていますから。そういう中で、若者が過疎地に定着しながら、幾らインターネット、コンピューター、情報といっても、やはり物も来なきゃだめですから、インターネットと高速道路の相乗効果によって、若者の流出よりむしろ逆に東京から若者が戻ってくる、こういうことがこれから可能になっていくわけなんです。  そういう中におきまして、やはりこの高速道路田中角栄先生が元気なころよく私に言っておりました、我々新潟県は扇のかなめだと。新潟から扇のくしのように出ていって、大阪の方には北陸高速道がある、東京の方には関越だ、長野の方は上越道だ、福島は磐越なんだ、青森、秋田の方には日本海沿岸道路なんだと、まさしくこういうふうに示して、私によく教えていただいたことがきのうのように思い浮かぶわけであります。  その高速道路をこれからつくって、さらに進めねばならぬ。特殊法人云々というような御議論もあるようですが、私はやはり日本道路公団というものをきっちりと位置づけながら、この高速道路体系をさらに堅固なものとして進めていただきたいと思います。  大臣からひとつ、高速道路に対します取り組みと、あるいは、私ども道路公団についてはもう神様だと思っておるわけでありまして、日本道路公団に対する思いを大臣から一言ずつお聞きいたしまして、終わらせていただきます。
  261. 中山正暉

    ○中山国務大臣 今、田中角栄先生の思い出深い話、私も昭和四十四年に当選しましたときには、田中角栄幹事長でございまして、よく、ちゃんとやるから、わかっているからと言って、ちゃんとやるの角さん、わかったの角さんというようなあだ名を私どもつけておりましたが。  そういうときから日本列島改造という、これは一時誤解を受けたことがありますが、やはりヨーロッパに比べましてインフラのおくれた日本、これはサミットでも何でも、いつでも、この間の蔵相会議でも、日本の内需拡大を図ってくれ、こう言われます。  今おっしゃった、距離の問題ではない、時間の問題だと先ほども御質問の中にもございましたが、今は、ただ情報が届くだけではだめだ、品物が届かないと。情報と品物というのは、新しい経済といわゆる古いもの、連絡方法といいますか、そういうものが相まって国土の発展につながる。  それから、私も国土庁長官も兼ねておるわけでございますが、その意味で国土形成というのは、産業基盤をつくるための道路というのは大変大きな経済繁栄のもとになると思います。日本経済繁栄を維持して、アジアのため、また世界のために働かなきゃいけないというのは、そういう意味ではやはり道路が一番のいわゆる日本の動脈。河川を静脈だと私は思っておりますが、そういう河川、道路というようなものを充実させて国家の繁栄の基盤をつくる。  先生の政治家としての御意見に私は大賛成でございます。特に東北から北陸、そういうところが都市と近くなりましたのは新幹線の効果も大変あったわけでございますので、そういう意味で、建設省、それから国土庁の務めは重い、かように考えております。  今後ともの御支援をお願いいたしまして、遅くまで御質問いただいたことに感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
  262. 栗原博久

    栗原(博)分科員 ありがとうございました。
  263. 岩永峯一

    岩永主査 これにて栗原博久君の質疑は終了いたしました。  次に、葉山峻君。
  264. 葉山峻

    葉山分科員 葉山であります。まず、中山建設大臣に伺いたいと思います。  私の住んでおります神奈川県藤沢市に引地川という二級河川があるわけでありますが、そこで、最高で一リットル当たり八千百ピコグラムのダイオキシンが検出をされました。この数値は環境基準の八千百倍に当たり、川や海などの公共水域では日本での過去最高値と発表されているところでございます。  藤沢に限らず、全国的に河川の汚濁が目立ってきているというふうに思うわけでありますが、川をきれいにすることは、その川が注ぐ海をきれいにすることでもある。そういう意味で、先ほど河川は静脈であるというお話もありましたけれども、川は非常に大切なものであり、この川をきれいにするということについて、河川行政の総括責任者として、今回のダイオキシン汚染問題をどのように大臣として考えておられるか。  また、川をきれいにすることについて、下水道の普及を初めさまざまなことがございますけれども建設大臣の所信をまず伺いたいというふうに思います。
  265. 中山正暉

    ○中山国務大臣 きょうも参議院で河川法の御採決をいただきました。河川法の改正案を出しております際にも私は申し上げたのですが、四十五億年の地球の歴史の中で、私どもの人類の先祖も脊椎動物として海から上がってきてこの陸地に住んでおるわけでございます。  先生今お話しになりましたように、私は、七割が水、太陽から適当な位置にあって、ここから向こうへもっと遠かったら氷の世界になりますでしょうし、もう少し近いと砂漠になるような、太陽から適当な位置にあって、そして人間がこうして非常に高度な文化を形成しているこの地球といいますけれども、本当は水球だと思っている、七割が水でございますし。各河川は世界につながるという意味で、河川を浄化するということの責任は、建設行政の中で河川を預かっておる者として重大な意味があるということを思っております。  先生の御地元の引地川のダイオキシン問題で、河川浄化の問題についての御質問をいろいろいただくようでございますが、あれは何か排水管とちょっと管をつけ損なった、技術上の問題があるようでございますが、そういうことがマスコミでも取り上げられましたものですから、私どもは、この引地川は神奈川県が管理する二級河川でありまして、現在神奈川県においてダイオキシン対策本部を設置して、汚染状況それから調査等行っているものと承知をいたしております。  建設省では、全国の河川におけるダイオキシンの汚染実態の把握や、それから対応方策の検討に昨年度から着手いたしましたところで、引地川の問題につきましては、一日も早く国民の不安が払拭できるように、必要に応じ技術的な指導を行うつもりでございます。  河川の水質の保全は重要な課題でもありまして、下水道の整備等面的な流域での取り組みと、それから一体となった河川の浄化事業を進めることにより、清らかで豊かな水環境が保全されるように努めてまいりたいと思っております。  一級河川百九本、二級河川二千七百十八本、これを今度は、河川法では地域でもお取り組みをいただきまして、地方分権の時代に地域の知恵も参酌をするような河川法の改正を行っておりますので、今後ともひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  266. 葉山峻

    葉山分科員 ありがとうございました。  河川の環境保全というような点につきまして、県、市と共同して、率先して建設省で当たっていただきたいと心からお願い申し上げたいというふうに思います。  ところで、環境庁に伺いたいわけでありますが、今回の引地川のダイオキシン汚染が発覚するに至ったその経過、経緯について簡単に御説明をいただきたいと思います。
  267. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  この経緯でございますけれども平成年度に環境庁がダイオキシン類汚染緊急全国一斉調査を実施いたしまして、その結果、引地川下流の富士見橋で四・五ピコないし二・五ピコの濃度のダイオキシンが検出されました。このため、平成十一年度に、環境庁は神奈川県、藤沢市とともに引地川水系の汚染調査を実施したわけでございます。  その結果、引地川への流入水路でございますところの稲荷雨水幹線で藤沢市が本年一月二十六日及び二月十六日に採取した水から、先生御指摘のように、三千二百ピコ及び八千百ピコという極めて高濃度のダイオキシン類が検出されたわけでございます。  その第一報が三月二十二日、環境庁に入りました。三月二十三日、翌日でございますけれども、環境庁の指示に基づきまして、神奈川県及び藤沢市が荏原製作所藤沢工場に緊急立入検査を実施いたしました。その結果、同工場の廃棄物焼却炉からの排水管の、汚水管ではなく雨水管への接続ミスということが判明いたしまして、直ちに同工場に当該焼却炉の運転を停止させたわけでございます。  私も三月二十六日に、清水大臣の命を受けまして現地視察いたしまして、その際、本件の重要性にかんがみまして、環境庁、神奈川県、藤沢市の三者による引地川水系ダイオキシン汚染事件対策連絡調整会議を設置したところでございます。  この会議につきましては、三月二十九日、四月十一日、二回会議を開催したところでございまして、一点目は、立入調査や事業者から提出された資料に基づきまして原因究明を進める、第二は、周辺環境調査の計画を決定してこれに着手する、第三点目は、地域の住民に対して的確な情報提供を行う、こういうことを決めまして、それの対応に努めておるところでございます。
  268. 葉山峻

    葉山分科員 一昨年環境庁が行った全国一斉調査の後、環境庁の呼びかけに応じて、藤沢市が県下の横浜、川崎等の他の諸都市とともに自発的に行った水質検査によってこの高濃度のダイオキシン汚染がわかったということであります。  そのときの、全国一斉調査後の環境庁の呼びかけとはどのようなものであったか、御説明をいただきたいと思います。
  269. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、十年度の調査につきまして平成十一年九月二十四日に公表いたしました。その際、富士見橋のところで二・五ないし四・五と相対的に高い濃度のダイオキシンが検出されたことを環境庁としても重く受けとめまして、藤沢市と環境庁及び神奈川県が共同で、ことしに入り追加調査を含めまして原因究明に取り組んだ、こういう経緯でございます。
  270. 葉山峻

    葉山分科員 その環境庁の全国一斉調査においても、他府県にも高目の数値のところがあったはずでありますが、その後の追跡調査はなさっておられるのかということであります。
  271. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 藤沢市のほかにも幾つかの自治体で追加調査を実施し、原因究明に努めております。  環境庁といたしましても、今回の事件を踏まえまして、十年度の調査結果から比較的高い濃度のダイオキシンが検出された水域につきまして、その発生源の解明を急ぐよう三月二十八日付で各都道府県等に要請した、こういう経緯がございます。
  272. 葉山峻

    葉山分科員 これは、特に一斉検査の結果として今度のこのような高濃度の汚染も発見されたわけですから、その追跡もしっかりやってほしいというふうに思っております。  今回の引地川の例でも、稲荷雨水幹線出口より下流の二・五キロの先ほどお話があった富士見橋では、一から十六ピコグラムと、環境基準は超えるものの、検出濃度は出口よりはずっと低くなっているわけですね。ということは、他の川においても、原因施設がもし特定できて、その排出口付近で測定できれば、高濃度汚染が発覚するケースがないとは言えないはずだというふうに思います。そういう点で、これからもしっかりやってほしいと思いますが、それについての考え方を伺いたいと思います。
  273. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 御指摘のように、全国一斉調査などで相対的に高い濃度が出た水域につきましては、やはり県、市とも連携いたしまして、その原因調査は進めていかなければいけないと思っております。  なお、今回、焼却炉の洗煙排水の配管ミスで高濃度汚染が生じたわけでございますけれども、類似の施設を持つところにつきまして、各都道府県に要請いたしまして点検を今お願いしているところでございます。
  274. 葉山峻

    葉山分科員 今お話のあった汚染の原因というのは、雨水と汚水とをつけ間違えた、そういう単純ミスだということが言われておるわけであります。私も行ったわけでありますが、わずか数十センチの距離で汚水管と雨水管がある。それで「汚」と「雨」というふたまで間違えているという。環境を大切にする、また売り物にしている企業としてはちょっと考えられない、そういう単純なミスのように思えたわけであります。非常に驚いたわけであります。  そういった意味で、汚染の原因は荏原製作所の焼却炉施設の工事ミスだということが言われておりますが、本当にそれだけだったんでしょうか、その点を伺いたいと思います。
  275. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 三月二十三日の立入検査におきまして、洗煙排水が雨水管への配管接続ミスによりまして未処理で公共用水域に排出されているということが判明したわけでございますけれども、そのこと自体、まず設計段階から、かつ工事段階がどうであったか、ここをきちんと把握するということ、その次に、その後の管理体制自体がどうであったか等々につきまして、詳細に今事情聴取し、その解明を進めておるところでございます。そういう中で、私どもは適正な判断をしてまいりたいと思っております。
  276. 葉山峻

    葉山分科員 そこで、ダイオキシン類対策特別措置法とか水質汚濁法に照らして、今回の問題はどのように環境庁は考えているかということです。
  277. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 法の適用関係でございますけれども、まず、ダイオキシン類対策特別措置法でございますが、本年一月に施行されました。ただ、同法に基づきます排水基準は、既存施設に対しましては法施行時から一年間は適用猶予となっております。したがいまして、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく排水基準の違反には該当しないということでございます。  そのほか、ダイオキシン類対策特別措置法に基づきます届け出の対象にはなっておりますし、あるいは水質汚濁防止法に基づく排水基準は適用になっております。したがって、その辺の違反の有無等につきまして、現在事実関係を詳細に調査しておるところでございます。
  278. 葉山峻

    葉山分科員 工場から引地川への排水の水質検査は、問題の焼却施設から出される処理水について行われていたわけでありますが、実際のところ、汚水はそのまま雨水管につながれ、そのまま川に出てしまっていたということであります。  雨水をも含めて、工場敷地から出るすべての排水出口、特に焼却施設から終末処理場へ行って出るところ、あるいは公共下水道の方に出ていく出口、その辺をもしも企業が検査していたならば、あるいはまた行政の側でもそのことを特に注意していたならば、今回のような、七年間にわたってダイオキシンを垂れ流しするということは避けられたのではないかというふうに多くの市民が感じております。この被害は周辺地域にも及んでいるはずでありまして、周辺地域の水にもいろいろと問題があるというふうに思います。  そういう点で、先ほどおっしゃられたように、ダイオキシン法の施行から一年間は排水基準の改善命令の適用が猶予されている点について、法の不備とは思われないでしょうか。あるいは、施設の届け出書類の不備、または届け出受理に甘さがあったのではないか、その点、どう考えておられますか。
  279. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 まず、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく排水基準の一年の適用猶予の問題についてお答え申し上げたいと思います。  排水基準への適合には設備の改変工事なんかを要することになります、これは既存施設でございますけれども。したがいまして、その準備期間として一年間という猶予期間が設けられたということでございまして、排水基準違反につきまして今回直罰が適用されるということを考えれば、こうした適用猶予期間の設定は必要やむを得ないものであったと思っております。  ただし、今回の立入検査あるいは公共用水域のモニタリングは、今回施行いたしましたダイオキシン類対策特別措置法に基づき実施されているものでございまして、この法律の役割は非常に大きく、今後、本法を適切に運用していくということは非常に重要であろうと思っております。  次に、水濁法等、あるいは七年間なぜこのまま見過ごしていたのか等々につきましては、これは直接的には汚水管と雨水管との配管接続ミスが原因でございますけれども、こうした誤りを生じた体制、ないしはその後の、それを発見し得なかった管理体制、こういうことにもさかのぼりましてきちんとチェックいたしまして、その上で厳正に判断してまいりたいと思っております。
  280. 葉山峻

    葉山分科員 引地川を少しさかのぼりました綾瀬市に入ったところですが、私も数日前に厚木の基地、その辺から蓼川、引地川というふうに流れてきているわけでありまして、厚木の基地に行ってまいりました。  厚木飛行場の隣の神環保、今はエンバイロテックという名前でありますが、それから煙が猛烈に出ている。ちょうど蓼川という引地川の上流から基地の方にずっと煙が直接行くわけでありまして、その先には米軍住宅がある。それから立ち木が枯れておりまして、それはそのまま植わっておりまして、その先にゴルフ場があって、そこの土壌汚染も高い数値を出しているということでありました。  それで、私は、蓼川のダイオキシン、いわゆるエンバイロテックの問題というのは、基地に限らず、その周辺の工業団地には多くの従業員が勤めておりますし、また周辺にも住宅が非常に多い、そういう点で、この問題は早急に解決しなければならない問題だということを感じて帰ってきたわけであります。  先日、環境庁に調査をしているのかということを伺ったわけでありますが、水と底質の調査は行われていなかったわけであります。その後調査をしているということでありますが、その数値を公表してほしいと思います。
  281. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 昔神環保、今エンバイロテックの立地地点近傍での蓼川などの河川水及び底質のダイオキシン類調査を実施したところでございまして、その速報値を昨日公表いたしました。  それによりますと、地点が非常に多うございますけれども、まず水質でございますけれども、例えば、焼却施設下流地点の蓼川では〇・七二から一・二ピコでございます。それに対しまして、中川橋のところでは一・三ないし三・五、境橋のところでは二・二ないし四・八、こういった数値が出ておりますが、これは単位はピコグラムでございます。以上が水質でございました。  それに対しまして、底質につきましては、焼却施設下流では五十ピコグラム、立川橋のところでは九十二ピコグラム、中川橋のところでは五十二ピコグラム、境橋のところでは四・二ピコグラムでございます。なお、底質につきまして、全国の数値は二百六十ピコからゼロの間に調査結果が出ております。
  282. 葉山峻

    葉山分科員 今聞いても驚いたわけでありますが、ヘドロ、底質の検査の結果が九十二ピコグラム、これは大変高い値ですね。荏原製作所の少し下流二キロぐらいのところの富士見橋での前の調査では大体七ピコグラムだっただけに、この数値は大変なものだ。やはりそれがずっと蓼川から引地川に流れ相模湾に注いでいるということについて、非常な驚きを持っているわけであります。  今回のこの問題について、先ほどからいろいろな調査をされているという話も伺っておりますが、いわゆる環境庁、神奈川県、藤沢市の合同調査の結果はいつ出るのか、できるだけこれは速やかに情報を公開するのが望ましいし、正確な情報を得ることによって、住民は不安というものを非常に感じているわけでありますから、これは時間がかかることはわかるわけでありますが、いつ出るのか、そういったことについて伺いたいと思います。
  283. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 三月二十九日に開催されました環境庁、神奈川県、藤沢市による第一回の対策連絡調整会議におきまして、引地川及びその河口付近の相模湾の水質、底質、魚介類等の汚染状況を把握するための周辺環境調査の計画が決定されました。  これに基づきまして、早速試料の採取を開始いたしまして、四月七日までにその採取を終えております。したがいまして、現在その分析を急いでおるところでございますが、今後の見通しでございますけれども、今月末から来月上旬を目途に本調査の速報値をまとめて公表できるのではないかと作業を急いでいるところでございます。
  284. 葉山峻

    葉山分科員 今月中ですね。申し上げたように、周辺住民は非常に不安を持っているわけであります。  特に、この影響をもたらすのが川だけでなくて海に及んでいる、そういう点で、漁業への影響や風評被害も出ているわけであります。ヒラメとかシラスとかアジとか、それから貝類、特にナガラミという貝がなかなか名物なのでありますが、そういうところに蓄積されている、魚介類への蓄積が非常に恐ろしいということをみんな言っておるわけであります。速やかに調査結果を公表すべきだと考えますけれども、環境庁のそれに対する考え方。  また、海のことだけでなくて、河川におけるコイやフナとかボラとか、そういったことについてどうなっているか。それに井戸水、それらの調査結果と今後の予定項目を聞かせてほしいと思います。
  285. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 まず先ほどの答弁に補足させていただきますけれども、実施いたしました調査につきましては、今月末から来月上旬を目途に今作業を急いでいるということでございます。この点、御理解を賜りたいと思います。  次に、今回実施した調査でございますけれども、これにつきましては、水質、底質、海水浴場の砂浜、あと魚介類でございます。引地川の魚介類の種類を申し上げますと、コイ、フナ、ボラをカバーしております。  あと井戸水については、川から六百メートル程度の範囲内の井戸について調査するということにしております。  なお、ちょっとこれに補足させていただきますが、この荏原製作所が排水している引地川以下の河川において農業用水とか飲料水の取水は行われておりません。これだけは御留意いただきたいと思います。  次に、海域における魚の種類でございますけれども、シラス、ヒラメ、メイタガレイ、カマス、マルアジ、ナガラミ、サザエ、こういうものでございます。  なお、私ども、この問題が生じた直後、今回の高濃度汚染に懸念を有する地域住民方々に対して的確かつ客観的な情報、データを提供することが極めて重要だという認識のもとに、これまでに実施しておりました調査につきまして緊急に解析、分析いたしまして、速報値として三月二十七日に公表しております。これは、水質ないしは底質、あるいはシラスの値でございます。  さらに、その後、各種調査結果や経過につきましては、環境庁、神奈川県、藤沢市がそれぞれホームページ、広報紙等により情報提供に努めてきているところでございます。
  286. 葉山峻

    葉山分科員 時間が迫ってまいりましたので簡単にいたしますが、荏原製作所はこれまでのところ原因も認め、また誠実な対応も約束しているわけでありますが、上流の蓼川の汚染問題も加わってきますと、原因者の特定には時間がかかることもあると思います。その間、国、環境庁としてはどのような対応をしようと考えているのか、その点を伺いたいと思います。
  287. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 私どもといたしましては、基本的には、先ほど来から紹介しております環境庁、神奈川県、藤沢市の三者による対策連絡調整会議で決めました方針、具体的には、立入調査とか事業者から提出された資料に基づいた原因究明、さらには、周辺環境調査計画等の決定に基づく調査の結果、さらには、いろいろな関係から得られる情報等を総合的に分析いたしまして本件の問題の究明に努めてまいりたい、こう思っております。
  288. 葉山峻

    葉山分科員 最後に、建設省の河川局に伺いたいと思うわけであります。  汚染された後のヘドロの問題です。これがなかなか大変だろうと思う。引地川はずっと汚泥があるわけでありますから、これを何とか除去しなければいけないだろう。ましてや上流の蓼川の、厚木の基地隣のエンバイロテック周辺の濃度なんというのはひどいものですから、これを取り除くということになりますと、これは技術的には大変難しい、なかなか大変だと思うのでありますが、このダイオキシンに汚染された汚泥を取り除く必要が生じたとしたら、しゅんせつ、汚泥除去工事はどのような方法で行うべきと考えるか、最後にこれを伺って終わりにしたいと思います。
  289. 岩永峯一

    岩永主査 建設省竹村河川局長。時間がもう過ぎておりますので、簡単にお願い申し上げます。
  290. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 ダイオキシンに関する水質と土壌につきましては、環境庁の基準が平成十一年十二月に公表されたわけでございますが、川の底泥につきましては、まだダイオキシンに関する環境基準が設定されておりません。そして、その除去の基準もまだ私ども十分把握しておらない状況にございます。  私どもの河川事業の中で、事例としまして、大阪府の東大阪市の花園遊水地におきますダイオキシン問題、そして神奈川県横浜市の鶴見川遊水地のダイオキシン問題、二つがダイオキシンに関してはございます。  東大阪市の場合は、最終処分地がございましたので、そちらで処分したということでございますが、鶴見川の遊水地につきましては、現在、委員会をつくりまして、個別にその処分に関してどうするか、非常に難しい問題でございますので、委員会で今英知を集めて検討している最中でございます。  今後、この問題につきましては、個別に、さまざまな英知を集めて対応していかなければいけないと考えております。
  291. 葉山峻

    葉山分科員 しっかりやってください。どうもありがとうございました。
  292. 岩永峯一

    岩永主査 これにて葉山峻君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして建設省所管住宅金融公庫質疑は終了いたしました。     —————————————
  293. 岩永峯一

    岩永主査 これより総理府所管国土庁について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。中山国土庁長官
  294. 中山正暉

    ○中山国務大臣 国土庁平成年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度の当初歳出予算額は三千六百十二億六千八百四十二万円でありましたが、これに予算補正追加額二百五億五千七十一万円、予算補正修正減少額十五億二千六百四十三万円余、予算移しかえ増加額六百六十八万円余、予算移しかえ減少額千六百九十七億八百三十三万円余、前年度繰越額百六十八億七千九百七十一万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は二千二百七十四億七千七十六万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額二千百八億六千九百三十五万円余、翌年度繰越額百五十七億四千五百十七万円余、不用額八億五千六百二十二万円余となっております。  以上が、平成年度国土庁の歳出決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。  引き続き、国土庁平成年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度の当初歳出予算額は三千八百三十六億五千二百十七万円余でありましたが、これに予算補正追加額二十九億七千百万円、予算補正修正減少額十八億一千五百五十六万円余、予算移しかえ増加額六百五十万円余、予算移しかえ減少額千六百四十四億三千九百五十四万円余、前年度繰越額百五十八億九千五百十七万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は二千三百六十二億六千九百七十四万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額二千二百三十億一千六百三十九万円余、翌年度繰越額百十九億七百九十七万円余、不用額十三億四千五百三十七万円余となっております。  以上が、平成年度国土庁の歳出決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  295. 岩永峯一

    岩永主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院白石第三局長
  296. 白石博之

    白石会計検査院当局者 平成年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  平成年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上でございます。
  297. 岩永峯一

    岩永主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  298. 岩永峯一

    岩永主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  299. 岩永峯一

    岩永主査 以上をもちまして総理府所管国土庁説明は終わりました。     —————————————
  300. 岩永峯一

    岩永主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。児玉健次君。
  301. 児玉健次

    児玉分科員 日本共産党児玉健次です。御苦労さまです。  ただいま両年の決算に関する報告を承りました。検討させていただきたい、こう思います。  私は、この機会に、国土庁長官として有珠山噴火に伴う非常災害対策本部長をなさっている中山大臣に有珠山噴火に関して質問をしたい、こう考えます。  最初噴火が起きたのが三月三十一日の午後一時十分過ぎでした。その前から私行っておりまして、翌朝早く、四月一日の朝八時ごろ、現地連絡調整会議のある伊達市役所で、私は政府から派遣されている担当者と熱心な議論をしていました。ちょうどそのとき、中山大臣がおいでになっていたので、同じ建物の中に同時にいたということです。急行していただいたことを感謝しています。  この災害に直面している現地の自治体の状況を、時間の関係もありますから、御承知でしょうが、虻田町を例にしてちょっと紹介したいと思います。  虻田町は、人口約一万二百人ですが、一時は九八%の方が避難を余儀なくされていました。一部避難の解除がありましたが、現在も約八千人の方が三市四町一村に分散されて、二十五カ所の避難所で生活されている、こういう状況です。  後から触れる機会がありますが、噴火が続行している地域に近接する場所に特別養護老人ホーム、養護老人ホームがありまして、職員を含めて全員の方が避難をなさっている。施設に大きな打撃がある。そして、学校の困難な状況、公共施設の状況、そして水道などのライフラインに重大な損害を受けています。泥流が流れ込んでいる洞爺湖温泉の困難については、もう触れるまでもないと思います。  そこで、私は最初に申し上げたいのですが、「当該災害による地方財政の負担を緩和し、又は被災者に対する特別の助成を行うことが特に必要と認められる災害が発生した場合」、激甚法の第二条ですが、有珠山周辺の地域はそれに当たるのではないか。四月十五日に国土庁に対して北海道北海道議会から、激甚災害の早期指定についての要請が届いていると思いますが、ぜひこの点についての速やかな判断と着手をお願いしたいと考えます。大臣、いかがでしょうか。     〔主査退席矢上主査代理着席
  302. 中山正暉

    ○中山国務大臣 現地にお入りいただいておりましたそうでございまして、私も一時十分、本会議で都市計画法と建築基準法の一部改正の御質問を受けております最中のことでございましたが、本会議をその場から出まして、いわゆる非常災害対策本部、私が本部長で、隣にいらっしゃる増田政務次官に現地のいわゆる本部長になっていただいております。その前から増田政務次官もお入りいただいておりましたものですから、今回は、噴火の予知と同時に対策本部が立ち上がって、現地にも先生以下も行っていただいておりましたということで、現地方々は大変心強く思っていただいたということでございますが、何せ長期化するようでございまして、現在でもまだ八千人ぐらいの方々避難をされておられるという現状でございます。  まあ、事なきを得たいとは思いますが、あの火山の性格から申しまして、日本には世界じゅうに八百ある中の八十六カ所の火山があるわけでございますので、その意味で、北海道に十五、択捉、国後を入れますと二十五ということになりますが、その中でも、酸性の土壌、いわゆる粘っこいマグマがあるところでございます。これからの災害に備えるためにも一日も早い、先般、パーセンテージの見直しをしていただきました激甚災に対する、局激、本激、いろいろな対応をいたさなければならないと思っております。  激甚災害の指定につきましては、被害額や被害を受けた自治体の財政状況、それから被災地の農業所得の状況等に照らして客観的な基準に基づいて行うことになるために、関係省庁において、指定の前提となる被害額、すなわち復旧事業費等の査定作業を行うことが不可欠となっております。  しかし、現在の有珠山周辺の地域では、活発な火山活動が続いておりまして、周辺地域の避難指示等もいまだに解除されていない状況にあるために、被災地域に立ち入っての査定作業は困難ということであります。  いずれにいたしましても、地元自治体の財政負担が重くなることにかんがみまして、激甚災害につきましては、できる限り速やかに被害の状況を把握し、対応したいと考えているところでございますが、指定の範囲については、被害の調査ができるようになれば短期間で明確になるものと考えております。  特に、きょうは十軒ほどの家が、なかなか住みにくいということで、緊急に対応した費用をお出しすることも決定しておりますし、それから郵政省に御協力いただきまして、電波が今までは余り遠くに飛ばなかったのですが、無人のショベルカーとかそういう作業車を普賢岳の方から北海道の方へ移しまして、そして郵政省の御配慮で途中の東京に中継点を持ってもらって、無人の作業車を入れて、いわゆる西山の方から伊達市と虻田の方へおりてくる、そこに少し溝を掘って、そういう作業をこれからしようということであります。  それからまた、いわゆる流路工のところには壁をつくろうか、それから落ちた橋を二つ、これはどんなふうになりますか、なかなかここはちょっと人手が要るかもわかりませんが、危ないところでございますので、砂防部長がきょう夕方来てくれていろいろ手だてを説明していってくれましたが、そんなふうに、できるだけのことをいたしたいと思っております。
  303. 児玉健次

    児玉分科員 激甚災害の早期指定、もちろん特殊な困難がありますが、今大臣のお話のように、立ち入り困難ではあっても査定を行って、できるだけ速やかにそのことに踏み切っていただきたい、それが関係者の愁眉を開くことになりますから。政務次官には本当に長い間御苦労いただいておりますが、この後もよろしくお願いします。  そこで、昨日の衆議院の建設委員会で、我が党の中島武敏議員が御質問をしまして、建設省から、周辺自治体での雇用の確保の問題に関して、各地域の実情を把握し、北海道開発局とも連絡して適切な執行に努力したい、こう答えていただきました。これは直ちに現地に伝えられて、現地住民を非常に励ましています。ぜひこの執行の速やかな開始をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  304. 中山正暉

    ○中山国務大臣 労働省関係その他の皆さんにも、入っていないのが金融再生委員会と沖縄開発庁と法務省だけでございまして、あとの役所は全部入っております。大臣省庁だけで十六省庁現地でも御協力いただいているわけでございます。  物流も大変落ち込んでおりまして、周りの皆さんは雇用不安に陥っていらっしゃいますので、万全を期したい。それでなくてもなかなか雇用情勢の難しい最近の経済情勢でございますので、その辺は特に、災害で困っていらっしゃる方々が生活の不安、将来の不安を抱かれないように万全を期したい、できるだけのことをいたしたいと思っております。
  305. 児玉健次

    児玉分科員 政府参考人としておいでくださっている厚生省の大塚老人保健福祉局長お尋ねしたいと思います。  先ほども触れましたけれども、虻田町の西山山ろくの現在最も地盤が隆起している箇所、あの箇所から一キロ以内の場所に特別養護老人ホームと養護老人ホームが存在していて、入所者、職員を含めて、現在避難を余儀なくされています。そして施設も、たしか一昨日、かなり危険な状態でしたけれども、道職員現地まで入ってつぶさに調べてみたところ、重大な損害をこうむっていることが明らかになった、そう私は聞いています。  四月の一日から介護保険制度が発足したばかりですが、現地のこういった特別な事情をしんしゃくしていただいて、実態に即した介護保険制度の発足に伴う措置をしていただきたいというのが第一の点です。  二つ目の点は、これはもうこれまでよく論議してきたことですが、ともあれ、そういった特別養護老人ホーム等が以前あった場所から次の場所にそれぞれ移っています。幸いなことに、同一の社会福祉法人が経営しているところに移っておりますが、しかし虻田町の地元には、それが現在存在しないということははっきりしていますね。  そういう中で、ショートステイやデイサービスなど、そして介護支援センターが併置されている場合が多いわけですが、特別養護老人ホームというのは、その地域における介護サービスの中核的な役割をいたしますね。そういう中で、特別養護老人ホーム等の整備について、北海道から要請や申し出があったら、ぜひ厚生省として積極的に対応していただきたいと思います。いかがでしょうか。
  306. 大塚義治

    ○大塚政府参考人 二点お尋ねがございました。  一点目の、介護保険制度との関連でございますが、ちょうど介護保険制度を施行するのとあわせて大変な災害が生じているということは私ども当然承知しておりますし、地元の大変な状況を考えれば、介護保険制度の運用につきましても、弾力的な、実態に即した措置、取り扱いというのは当然必要だろうと考えておりまして、既に道庁を通じましてそうした具体的な手続についても協議をしておりますし、むしろ動き出しておるというふうにお考えいただいて結構だろうと思います。  二点目でございますが、虻田町の中に、これもお示しございましたように、養護老人ホーム一カ所と特別養護老人ホーム一カ所がございます。  私どもも、道庁を経由いたしまして、大変深刻な被害を受けているということを承知しておりますし、現に、当然のことながら、入所者の方々は別の施設に避難をしておられる。なおかつ、火口からも一キロ程度の距離でございます。したがいまして、関係者の今のところの感触は、現在地でこのまま存続するということはなかなか難しかろう。  ただ、現在、北海道庁におきまして、施設の経営主体でございます社会福祉法人の方と今後の方向について御協議をいただいているそうでございます。その御協議の結果に応じまして、地元の意向を最大限尊重いたしまして、私どもとしてはできる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。
  307. 児玉健次

    児玉分科員 同じく政府参考人としておいでくださっている炭谷社会・援護局長にお伺いしたいと思います。仮設住宅に関連してです。これは国土庁も非常に積極的なイニシアチブを発揮していただいているので、大臣にもぜひお聞きいただきたいと思うんです。  既に仮設住宅の建設と、それから周辺地域の公営住宅のあいている分については入居が可能なようにというので、必要な改造を加えて準備が始まっていますが、何しろこの箇所は寒冷の地域だと言わなければなりません。現に噴火が続いていて、今東京で私たちがテレビを見ていても、どの定時のニュースでも、有珠山噴火状況がどうなっているか、そのことを一番速やかに正確に伝えてくれるのはやはりテレビですね。既に国の御努力で、仮設住宅を寒冷地仕様でつくるということについてはもう決められています。  問題は、一つはストーブです。私は札幌市の、鉄筋コンクリートでつくられている分譲住宅に住んでいる者ですが、今でも朝晩ストーブをたいています。残念ながら、地面に直接床が触れ合う形でつくられているこの仮設住宅、たとえ寒冷地仕様であっても、ストーブは必須ですね。そしてテレビ、さらに、ストーブをたいて暖房をとるということになると、これまた冷蔵庫が必須の問題になってきます。そういったものについて、北海道はこれを貸与されるというふうに聞いています。  私、非常に感心したのは、NTT東日本北海道支店が、四月の十八日に、行政機関が建設する仮設住宅等の入居者に対して電話機を寄贈する、そして、既設の加入電話の仮設住宅への移転については工事料を無料にする、こういう措置もとられていますね。  そういった中で、厚生省として、北海道から要望があると思いますから、要望を聞いていただいて、よく協議して、この点について対応していただきたいとお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
  308. 炭谷茂

    ○炭谷政府参考人 仮設住宅につきましては、今先生御指摘なされましたように、特に北海道の場合、大変気象条件が厳しいわけでございます。そのようなことを考慮いたしまして、北海道につきましては寒冷地に対する仕様または設備が必要であるというふうに考えているわけでございます。また、仮設住宅の入居に伴う寝具とか炊事用品というような生活必需品については給与するということになっておりますが、家財については、応急救助の性格上、対象とはなっていないわけでございます。  今回、北海道が行う仮設住宅等の整備の具体的内容については、今先生御指摘されましたように、北海道から現在御相談を受けているところでございます。現在、北海道の御事情を十分聞きながら、その内容を検討していきたいというふうに考えております。  また、今回の災害におきましては、先生が御指摘されました、NTT東日本から仮設住宅についての電話機の寄贈等の温かいお申し出を受けております。また、私どものところには、電機メーカーから、厚生省に対して製品の提供の申し出なども受けておりますので、それは北海道庁に対して御紹介しております。これらの御好意が避難者の生活に有効に生かされるよう、北海道庁とも十分相談しながら配慮させていきたいというふうに考えております。
  309. 児玉健次

    児玉分科員 局長に重ねてお伺いしたいのですが、北海道での仮設住宅の建設というのは、奥尻の津波、あの甚大な被害のときに既に一回経験をしておりまして、寒冷地仕様というのがどのくらい効き目があるかということもある意味ではテスト済みです。そして、それがどういう経路で供給されるかは別として、電話、これはもうNTTが既に非常に努力をしてくださっているようですね。  それから、さっき言いましたように、ストーブのない北海道の生活というのは考えられないわけですから。そして、今の噴火が続き、かつ、ここ一両日、噴火の様子が、次第に水蒸気の分が減っていって乾燥した状況になって、新しい段階に移行するのではないかということが懸念されている、そういう中でのテレビの必置というのは、これは国民が合意できることですね。  そういったあたりについて、厚生省として、ともかく入居した方たちが社会の善意をも直接感じながら生活できるような、そのための思い切った配慮と御努力をいただきたい、重ねてお考えを聞きたいと思います。     〔矢上主査代理退席、主査着席〕
  310. 炭谷茂

    ○炭谷政府参考人 先生今御指摘のように、いろいろな手段をとりながら、現在北海道庁から仮設住宅の設備等についての御相談を受けておりますので、その中で我々は十分検討させていただきたいというふうに考えております。
  311. 児玉健次

    児玉分科員 では最後に、これは中山大臣とぜひ率直な議論をして道を開きたいと思っている問題についてですが、中山大臣は、お住まいがお住まいですから、阪神・淡路のあの大震災については、もう直接本当に切実な経験をなさっていると思います。  災害による土地、家屋、家財等の損失、そして長期間の避難によるさまざまな経済的な損失、それに対する補償を求める声というのは極めて切実です。そして、今こういった事態に備える制度的なスキームというのは幾らかありますけれども、どちらかといえばそれは融資が中心であって、今、最も現地でみんながひとしく求めていることは、経済的損失に対する補償です。  このことについては、阪神・淡路大震災の後、被災者生活再建支援法が制定されました。ただし、これは所得制限がありますし、対象は結局、住宅というふうに絞り込まれている。もちろん、その解釈については多くの方の努力はあるけれども。それはそれで重要な一歩だったと思いますけれども、そのことを一つの土台として、さらに本格的な個人補償制度の確立が今求められているのではないかというふうに考えるのが一つの点です。  二つ目の点は、先ほども申しましたが、洞爺湖温泉などでは、現在、泥流によって営業基盤が破壊されつつあります。もちろん、復旧への現地関係者の強い熱意があります。そして、農業、酪農、畜産業、ホタテ養殖を中心とした漁業の被害も深刻です。この際、営業補償に対しても踏み込むべきではないか、そう私は強く国に求めたいと考えています。  非常災害対策本部長としてこの分野での格段の御努力を求めたいと思うのですが、大臣のお答えをいただきたいと思います。
  312. 中山正暉

    ○中山国務大臣 先般来御党の方からの御質問の中にその問題がいろいろ出てきまして、御答弁を申し上げているところでございますが、阪神・淡路大震災では、五兆二百億というお金、仮設住宅も四万八千、五年間でいろいろ、まだまだ至らない部分があって、まだいろいろお困りの方がいらっしゃるのはよく存じ上げているわけでございます。  自然災害による被害は、保険とか共済といった制度も含めて個人の自助努力による回復が原則ということでございます。なかなか国の方も財政難でございますし、これは納税者の関係もございますので。  避難によって個人が損失を受けた場合でも、避難の指示は地域の住民の生命、身体の安全を確保する観点から必要と判断される限度において行われているものでございますけれども、個人補償が必要であるとは今のところ考えておりません。  しかし、避難長期化した場合に生じる生業や生活の問題については、地元の御要望も十分聞いた上でその維持ができるように、今あります低利の融資とか、国会の先生方の御了承を得て法律にして、そういうきめ細かな融資とかいろいろな形での適切な対応を行うことが必要である、そんなふうなことで、御答弁の繰り返しになるのでございますが、個人補償というところ、それからまた、営業補償というところまではなかなか今のところ手が回り切らないというのが現状だろうと思います。
  313. 児玉健次

    児玉分科員 先ほど、この質問の最初段階で、大臣から虻田町の十何戸かに対して被災者生活再建支援法の適用の問題、けさもその報道が出まして、現地では、ある意味では、建設省そして政府対策本部の、既往の制度をできるだけ積極的に活用されようとしているということについて、素早い反応がありました。これは現地のきょうの夕刊ですが、やはりその点について、これほど大きな報道をしております。  被災者生活再建支援法について言っても、先ほどの激甚災とよく似ていますけれども、家が全壊する、その全壊についても皆さん方は御努力で、長期の避難の場合はどうかとか、それから入居できない場合はそれをどういうふうに見るかというあたりを、この施行令の中でいろいろと前進的な検討をなさっている。例えば、火砕流等による危険な状況が継続することその他の事由により住宅が居住不能となり、その状態が長期にわたり継続することが見込まれる世帯、まさに今噴火周辺はそういう状況ですね。このあたりについて、可能な限り既往の制度を積極的に活用するという努力をなさっていることを私は承知しています。  そのことを一つの土台として、大臣、どうでしょう、避難の指示というのは、それを受けるか受けないかというのはその個人の任意には任されておりません。まして、それが避難命令となればもっとシビアですね。何しろ人命の安全というのが第一ですし。今度の有珠山噴火でこの後大きな教訓になるであろうことは、噴火が起きる前にすべての住民避難が完了した、そして一名の負傷もない、これは、有珠山に対して系統的な観測を行われたことも一つですし、自治体の決断もあったし、国の努力もあったと思います。  いずれにせよ、そうやって避難指示によって避難所なり知人縁者のところに、みずからの自宅と生活の根拠を離れざるを得ない、そういう中で生まれている生活の困難であり、営業の基盤の困難ですから、そのことについて、竿頭一歩を進めて、努力をする、検討を行うということが今求められていると思うのですね。この点で、重ねて大臣の御努力と積極的な検討をお願いしたいと思うのです。
  314. 中山正暉

    ○中山国務大臣 先生のおっしゃること、本当に説得力もおありでございますし、お金があったら本当にそういうふうにしたいなという気がいたすのでございますが、さっき言いましたように、八十六の火山日本じゅうにあるわけでございますから、今、有珠一カ所だけに集中しておるときでございますから、そこに限って、いろいろ本当にできるだけのことをしたいというのが、先ほどから先生からいろいろ評価をいただいております今回の対応でございます。  私、一日に帰ってまいりまして、小渕総理にも、私が官房長官以外では最後に会った閣僚になったかもわかりません。総理大臣としての最後にお目にかかった閣僚としてお話し申し上げたときにもそういう話がいろいろ出ておりまして、私は、災害基本法の六十三条で避難の指示を出すということは、これは自治体がやるわけでございますので、指示を出して避難したからもうそれで自治体は責任がないと言えるのか、国はどういう関係になるんだろうなというのが、小渕総理と話をして最後に大変印象に残っておりますやりとりであったわけでございます。  そんな意味で、先生のおっしゃること、今の段階としては、指示に従って避難をしていただいたので今のところけが人も何もない。噴火前にこういう避難態勢が全部とれたというのは本当に世界で初めてだと思いますが、そういう対応で、日本列島のどこに住むかという問題とこれは兼ね合ってまいりますし、すぐそばにそういう有珠山のような山があるということに対して大変不安な気持ちになっていらっしゃる方々には、もう最大の配慮をいたしたいと思います。  とにかく行き届かないところもあるというのも、これもまた御辛抱いただきながら、自助努力というと何か突き放すみたいで申しわけがないのでございますが、これは自然災害に対する私どもの宿命といいますか、良寛和尚という和尚さんが、災難を受くるときには災難を受くるがよくて候、これがこの災難を避くる妙法にて候という、新潟地震のときに友達に手紙を書いておられます。  今、そんなあきらめの境地みたいなものは持ってはいけないと思いますので、私ども、許された法律の範囲内でいかに万全を期すかという、先生のお気持ち、私も予算委員会で先生とはずっと理事として、先生のお人柄はよく存じ上げておりますので、私も先生のように言えたらいいのになと思うのでございますが、これが立場の相違でございますので。  お心持ちは本当に十分に尊重をいたしておりますが、ないそでは振れないという部分もございますので、御理解をいただきたいと思います。
  315. 児玉健次

    児玉分科員 時間が参りましたから、一言だけ重ねての要望をさせていただきたいのです。  大臣、台湾の地震が先日ありまして、日本からも善意を国も含めていろいろと差し上げたわけですけれども、台湾では、政府努力によって被災者の年収の一定の部分について国が補償をしております。台湾ができることで日本でできないことはないだろうと考えるのですね。  そして、ないそでは振れないとおっしゃったけれども、私はないそでを振れと言っているのではなくて、今の日本の歳出構造を根っこから見直していくことで十分振りそでが出てくるので、その点についての御検討を強く求めて、質問を終わります。ありがとうございました。
  316. 岩永峯一

    岩永主査 これにて児玉健次君の質疑は終了いたしました。  次に、金田誠一君。
  317. 金田誠一

    金田(誠)分科員 民主党の金田誠一でございます。  大臣並びに政務次官に、有珠山噴火災害対策について引き続いてお伺いをしたいと思います。  この間、特段の御尽力を賜っております。心から感謝を申し上げ、敬意を表する次第でございます。  なおまた、大臣、先般陳情に参りました際には、手ずから写真を写していただきました。添え書きまで添えて送っていただきまして、お礼を言いそびれておりましたが、本当にどうもありがとうございました。  まず第一点目でございますけれども、私、北海道・函館に住まいをいたしておりまして、選挙区も有珠とは隣同士ということで、北海道ですからかなり離れているわけでございますが、有珠山噴火で、実は私どもの選挙区にまで、長万部町といいますけれども、ここまで避難をされてくるということは、恐らく考えにくいことでございました。前回、二十三年前も突然の噴火ではございましたけれども、全くそういうことはございませんでして、これはもう前例のない深刻な事態だなというふうに受けとめてございます。  今回の災害の特徴でございますけれども、私なりに考えますと、市街地そのものが火口になってしまった、生活の場と生産の場がともに失われてしまって、役場自体も隣町に避難をしなければならない、こういう事態、これが一つでございます。  もう一つは、いつやむともわからない、ここがほかの災害とかなり違うだろうと思います。したがって復旧作業が開始できない、周辺部分はまだしも、肝心の部分には手もかけられない、立ち入りもできないという状態が二つ目にあろうかと思います。  三つ目としては、幸いなことに、命、体に別状はなかったわけでございますけれども、一方、経済基盤の方はほぼ破壊された状態でございます。特に現地観光のメッカでございまして、観光産業は、ハードだけ回復しても、イメージその他が回復するまでにはさらに時間を要するだろう。  災害、それぞれ深刻な状況は他にもあるわけでございますが、事有珠山に限ってはこの三点ほどが他とは少し違う特徴的な事態かな、こう思っているところでございます。  こういうふうな認識をしたとすれば、私は、この災害対策には、それぞれの省庁がそれぞれの領分で全力を尽くしていただくということはもとよりだとは思いますが、それにとどまらず、省庁の枠を超えた対応といいますか、知恵を出し合う、そういう発想が必要になってくるんだろう。それだけに、全体を調整する国土庁の役割は非常に大きいものがある、期待するところ大なわけでございます。  きょう午前中、同じこの場で運輸省のこまがございまして、そこに厚生省にもおいでいただいて、例えば仮設住宅とホテル、旅館、ペンション、この再生を結びつけることができないかという質問をいたしました。  仮設住宅一棟、取り壊し費用を含めて三百万かかるんだそうです。これに二年間住んだとして、一年三百六十五日でございますから、一日五千円弱ぐらいになるんでしょうか、その金額をこのプレハブ住宅にかけることも一つのやり方でしょうけれども、同じ金額を例えばペンションに、そこが安全は確保された、しかしこの状態で、観光どころではない中でお客さんも来ない。そのペンションは、建物は残っても、実際はもう機能しない状況になるわけでございまして、これを二つ組み合わせれば、ペンションなり旅館なりに仮設住宅として住んでいただければ、入る方にとっても、居住性はプレハブよりはずっといいでしょうし、あるいは所有者にとっても、全く遊ばせておく状態よりは、一部屋五千円でも、何部屋あるかによっては一定の収入になるわけですから、そういう組み合わせができないかということで厚生省に再三再四質問をいたしましたが、これは頑として言うことを聞かないわけですよ。  これは一つの例なんですが、直接的に所得補償だとか損失補てんとかは、現行の枠から踏み出すことができないにしても、仮に、同じ支出をするにしても、そういう支出の仕方をすれば、そこに生活基盤の再建と仮設住宅での生活とを組み合わせることができる。そういう組み合わせは、厚生省はしません、運輸省は、旅館、ペンション、ホテル、観光業所管だけれども、仮設住宅をつくる権限はないわけです。それが省庁縦割りだと僕は思うんですよ。これは一つの例です。そういうたぐいがほかにもさまざま考えられるのではないか。  それだけに、今回の災害の特徴からいえば、皆さんお元気でいらっしゃるという状態であるだけに、そういう組み合わせなども考えながら、省庁の枠を超えて発想をする際に国土庁の役割が極めて重要だろう、こう私は基本的に思うわけでございますが、その辺の基本認識をぜひお示しをいただきたい、こういうふうに思うわけです。
  318. 中山正暉

    ○中山国務大臣 自然災害が起こったときの調整機能としての国土庁の役割というのは、私は事前に、噴火前から、いざというときは本部長として頑張ってほしいという内示を小渕総理から受けておったものでございますから、それで、すぐに政府といたしまして臨時非常災害対策本部を設置しまして、一元的に災害への対応を行っておりまして、現在でも、本部の決定した方針に基づいて、各省庁がそれぞれ役割分担に応じた災害対策を講じております。  例えば、三月三十一日の第一回本部会議、それから四月七日の第二回本部会議のいずれにおきましても、避難者に対する応急住宅の確保に関して、応急仮設住宅の供与等の適切な支援措置を講じるという方針が決められました。  今後とも、引き続き火山活動を注視しつつ、住民方々の安全確保に万全を期すとともに、被災者の方々の生活、生業対策について、地域のニーズを踏まえながら、地元自治体との十分な連携をとりながら、政府一丸となってやってまいりたいと思っておるのです。  きのうの委員会でも御質問がありまして、現在、いわゆる破産管財人の手にゆだねられているホテルエイペックスを利用できないかということでございましたが、これも、原状回復や使用のために多額の費用を要すること、豪華であり他の避難所と公平を著しく欠くこと、それから、山上にあり立地条件が悪いことなどの理由で、もし応急仮設住宅として使うと原状回復に大変なことになるということで、関係省庁、なかなかこれを仮設住宅として代行することはできないということでございました。  今の先生のお話でございますが、これも私、この間、夜中にテレビを見ておりましたら、雫さんという方がペンションを、ちょうど洞爺湖の向かい側に噴火を見るような位置で始めた。脱サラで来て、そして若夫婦も呼んだら、その若夫婦の奥さんに子供さんが三カ月後に生まれた。三カ月目のかわいい赤ちゃんでしたが、ひざの上に乗せているその子供のためにも、収入がなくなったので、札幌へ出てワンルームマンションを借りて就職するというような話を涙ながらにされておられるのを見て、ああ、こういうペンションを使えないのかなと、私も実は思ったのでございます。  思ったのでございますが、共同して生活を行うことも仮設住宅の形としてあり得ると考えられるが、ペンションを仮設住宅として利用することが適切かどうかというのは厚生省の判断ということで、何かもとへ戻ってしまうみたいでございますが、必ずしも縦割り行政の弊害ということではない。  避難者に対する応急住宅の提供としては、応急仮設住宅は五百戸でございますが、既存の公営住宅三百六十戸の活用や、それから民間の空き社宅七十戸を活用することが道庁や市町の間で決められておりまして、これらに対して支援することも関係省庁の間で合意をされております。  これらの対応で不足する場合に備えて、道内に千百戸の既存公営住宅が確保されておりますし、それから仙台も、伊達市なんというのは仙台藩が行かれたところでございますから、伊達市も遠隔の地であるけれども、もし御要望があったらということで提供をしていただいておりますし、全国各地からも、そういう御要望をもし引き受けられたらとおっしゃってくださっている方がいらっしゃいますので、そういうことで今のところ対応していかないと、御商売に使っていらっしゃるところを、落ちついたらすぐにまた御商売を始めていただかなければならないところでございますので、それを仮設住宅という形で使うのはどうかな、今のところそんな気持ちでおります。
  319. 金田誠一

    金田(誠)分科員 それを接収して住宅にしろと言っているわけじゃないわけでして、お互い合意のもとで、そういうオプションがあれば契約関係でいいではないか、そういう省庁の壁を超えた、既存の発想を超えた知恵を働かせていただきたいし、そのさばきをするのが国土庁長官、ぜひ期待をしたいという趣旨でございます。ぜひ御検討いただければありがたいと思います。  次の質問に移りますが、さきの児玉先生ともダブるんですが、激甚災害の指定でございます。  けさほど道庁の方から再度要請がございまして、伺いますと、被害の確定に当たっては航空写真等でも可能ではないか、新たなそういうことも含めてぜひ早期にという要望を承ったところでございます。激甚の指定に伴って、またさまざまなその他の政策につながってくる、適用につながってくるわけでございますから、ぜひ、そうした点も含めて早急にと。見通しなど、ちょっとお示しいただければありがたいと思いますが。
  320. 中山正暉

    ○中山国務大臣 私どもも、気は焦っておりまして、できるだけそういう対処をできたらと。特に、洞爺湖に船を出しまして、船から御自分のおうちを見ていただきましたり、それから、できるだけ航空機とかそういうもので写真を撮ってごらんいただくとか、いろいろな判断をして行動をもう起こしております。  激甚災害の指定ということでは、先ほどの児玉先生に対する御答弁と同じになるのでございますが、被災地に立ち入っての査定作業というのがまだ困難でございます。いずれにしても、地元自治体の財政負担が重くなることにかんがみまして、激甚災害については、できる限り速やかに被害の状況を把握し対応したいと考えております。指定の範囲については、被害の調査ができるようになれば短期間で明確になると思います。  いずれにしても、伊達市、虻田、壮瞥、それから、いろいろお引き受けくださっている、協力をいただいている周辺の自治体の方々に対しましても、私どもは、いろいろ自治省と相談をしながら配慮をしていかなければならないと思いますが、できるだけ早期に皆さんに喜んでいただけるように、少しでも前進させたいと思っております。
  321. 金田誠一

    金田(誠)分科員 立ち入りとなりますと、いつおさまるかもしれないという状況でございますから、ぜひ空からの災害の認定を含めて早急な対処を要望しておきたいと思います。  次に、中小企業庁の方、いらしておりますでしょうか。  さまざまな災害融資について特段の御尽力をいただいておりまして、感謝を申し上げる次第でございます。しかし、昨今の低金利時代という中では、今の利率になお割高感があるということが現実だろうと思うわけであります。  先般、被災地、避難所をずっと回っていろいろ伺った中では、豊浦、長万部、それぞれ、実は観光業に関連をしていたという男性の方だったわけでございますが、利子のついたお金ではもう返済のめどが立たない、あるいは商工会から三カ月凍結でと言われたけれども、その先返せる当てもない、前回の噴火の残債がまだ残っているという方もいらっしゃいました。こういう中で、一層の金融の緩和をすべきだというふうに思うわけでございます。  具体的には、けさほどまた道庁から説明があった中では、国の金利は三%程度ということで、道は一・三%なんだけれども、その一・三%の利子を利子補給する。一般財源なりで肩がわりをして、実質無利子にしたいと思っている。しかし、国との格差が余り出過ぎるとなかなか、今、国が三%で道が無利子ということでは、踏み切るのにも非常に困難があるという話をしておられました。国に下げていただいて、ゼロにしてもらうのが一番いいわけですけれども、少なくとも下げていただいて、その資金と道の無利子分を合わせれば、これは一定の対応ができるのではないかということが道からの要望でございました。  ぜひひとつこの窮状の中でこれら含めてお考えをいただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  322. 岩田満泰

    ○岩田政府参考人 お答えを申し上げます。  今、既往の貸し付けのお話も出たわけでございますけれども、既に私ども、三月の三日以来、既往の貸付金を含めまして、あるいは災害復旧貸付の発動もしておるわけでございますが、双方につきまして、元金の据え置き、返済猶予を弾力的に行うように指示をいたしております。さらに、元金据え置き期間中の利子の支払いを猶予するという措置を現在講じております。したがいまして、この両方によりまして、現在、個別の企業の事情ということは一応見させていただきますけれども、元金及び利子について支払いを一切しないというようなことの対策がとり得るような状況になっておるわけでございます。  それから、災害復旧貸付の金利引き下げの問題でございますが、ただいま先生の方から北海道の意向についてお話があったようでございますが、いろいろと今道庁の中で御検討が進んでいるようでございます。私どもの方に正式にそういったようなお話はございませんけれども。  私どもといたしましても、過去に、例えば阪神・淡路あるいは雲仙・普賢岳のようなときのケースに、地方自治体が地方交付税措置を一方で活用しながら、特に被害の著しい中小企業者の政府系金融機関に対する借入金利につきまして全額補てんをするというスキームがございました。結果として、中小企業者から見れば無利子になるということでございます。こうしたものも一つの参考になるかと存じます。  そうした過去の対策のスキームとのバランスというようなものも考えながら、この制度につきましては、関係省庁、とりわけ大蔵省、自治省ございます。それからまた、具体的にどのような金利引き下げの対応をされるかにつきましては、その範囲、対象者というようなことにつきましては、御地元の自治体であります北海道の御意向、これも極めて重要な要素でございます。そうしたものもよく踏まえながら検討もさせていただきたいと思います。  なお、先ほど、三月三日以来と申し上げたようでございますが、四月の三日以来、もろもろの返済猶予措置等の対応策の指示をいたしたところでございます。
  323. 金田誠一

    金田(誠)分科員 ありがとうございます。  道庁の説明資料というのは、四月十五日付の緊急要望、これはもう早くからいただいていたのですけれども、きょう改めて説明をいただいたということでございまして、この中に中小企業庁に対する要望ということで、「現行利率の大幅な引下げなど災害復旧貸付制度の拡充」という項目がありまして、その説明を具体的にされたのが、今のような、道庁としても下げる、ぜひこっちも下げていただくとタイアップして制度が非常に効率的になる、有効なものになるという話でございました。ぜひひとつ地元と連携をとっていただいて進めていただきたい、重ねて御要請を申し上げておきたいと思います。  次に、同じく融資の関係でございますけれども観光産業の町には、ホテルなどのほかに、関連産業として飲食店、遊技場等々があるわけでございますが、これも同じく全く商売にならない状態でございます。具体的に私のところにメールをいただいたのは、パチンコ店の方からなんでございます。  立入禁止区域に指定されております。事業再開ができない状況にあり、また、今後事業復旧の見通しも立たないまま、弊社従業員及び家族の不安は日増しに増大するばかりでありますと。こういう中で道庁に融資を、災害融資ということで申し込んだところ、信用保証の適用にならないということで融資が受けられない状態だったということでございます。  さらに、弊社は、平成三年、当地でパチンコ店を開業し、地元のお客様及びさまざま御利用いただき、開業九年目を迎えております。この間、諸法令を遵守し、懲罰を受けたこともなく、善良な納税事業者として、微力でありますが、地元地域の経済振興と雇用拡大に寄与してきたと自負しております。弊社及び従業員一同の切なる願いは、他業種納税事業者と平等に経営支援資金制度が利用できる機会を与えていただきたい、この一点に尽きますと。  これを利用するためには、信用保証協会の保証とリンクしている。それについては、中小企業庁の通達によって、この種業種には適用しないというふうになっているわけでございます。ぜひ適用していただきたいとかねて御要望申し上げてございます。実は、この方、メールはいただいたのですが、全く見ず知らずの方でございますけれども、言われてみれば私はもっともだと思いまして、要望申し上げているわけでございます。  個別案件については大変親切に中小企業庁で対応いただいているということは、本当に私自身も感謝をしております。ありがたく思っております。それはそれとしながらも、制度として旧来そうだった、だからこれからもそうでいいのかということをぜひ御検討いただきたいと思うわけでございます。  操業資金なり運転資金なりを、平時においてもすべて平等に扱えということを私は今申し上げるつもりはございません。この災害という状態に着目して、そこに特定してでもこの業種なりにも道を開けないか。このメールの中にも、税もきちんと、滞納もしていないし、懲罰を受けたこともないということも書かれておりますが、そうした要件なども付す必要ももしかすればあるのかもしれませんけれども、平時の話ではなくて、こういう災害のときに、従業員もいる、本当に深刻だろうと思います。例えば、そういうときに限っても、適用に道を開くことができないものかということをぜひお願い申し上げたいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  324. 岩田満泰

    ○岩田政府参考人 信用保証制度の対象業種の問題でございます。  この制度のもとでは、中小企業の信用保証制度でございますので、農林水産業といったような一部の特定の業種を除く中小企業を幅広く対象としておりますが、今御指摘のパチンコ店というようなものにつきましては、スロットマシン場でございますとか、競馬あるいは競輪の場外馬券、車券売り場、あるいは競輪、競馬の競走場というようなものと並びまして、射幸心をあおるおそれがあるなどの理由から、政策的に振興することが適当ではない事業といたしまして、これはかねてから信用保証制度の対象外としておるわけでございます。  今、災害時であるからという御指摘もあったわけでございますが、このような場合でありましても、事業資金というところに視点を絞りますと、それと同様な考え方をとるべきであると考えておるところでございます。  パチンコ店であるからということになりますと、その他の公序良俗に関係をする風俗関係の営業も同様な意味で適用対象外にされておるわけでございますが、そうしたもろもろの、射幸心をあおるような業種をも含めたバランス論というものも発生いたしますので、制度としては、やはり私たちは、この政策金融の対象としては従来からの方針で対応させていただきたい、こう考えておるところであります。
  325. 金田誠一

    金田(誠)分科員 職業に貴賤はないという言葉があると思います。しかし、公的資金なりを使いながらこの種業種を平時において振興を図らなければならないということは、いろいろまた意見のあるところかなというふうに思います。  しかし今、この災害という中で、本当に倒産するかしないかという状況の中で、さまざまな制度資金というものが手当てされている、その制度資金に全く門前払いの状態になっている。信用状況、経営状況等審査されて、それで適用、不適用を決められるのであればまだしも、信用保証というものと災害資金が全くリンクしているわけでございます。  一般の市中からは災害の中での資金調達というのは非常に困難だ、だから災害資金がある、それが信用保証とリンクしている。その信用保証は、今長官おっしゃったようなことで運用されている。それはわかるのですが、事災害について検討の余地がないものか。旧来そうであり全く変わりがないというだけで本当にいいものかと。  今にわかにわかりましたと言ってくれとは申し上げませんけれども、少なくともそういう観点から検討されてしかるべきではないのかなというふうに思うのですが、いま一度お答えいただければと思います。
  326. 岩田満泰

    ○岩田政府参考人 制度の問題としての御議論でございますといたしますれば、これは長い間、政策的な対応としていかにすべきかということは、政府の内部においても議論がされてまいりました。単に金融の問題のみならず、租税特別措置における対象業種というような意味合いにおきましても、他の側面においても議論がされてきたわけでございます。その意味で、制度的に、国として政策的に振興すべき対象とするかしないかという議論はされてきた、そういうものの上に立って先ほど来の御答弁をさせていただいているわけでございます。  ただ、制度の問題ではなくて個別の事案の問題としてということでございますれば、いろいろな形で対応のことが、ほかの道もあり得るかもしれないし、信用保証協会あるいは全額政府出資の政府関係金融機関以外の方法というものはあるかもしれないという可能性は排除されないとは思いますけれども、全くの政策機関として実施するということについては、これもまたそれなりの重みを持った検討の経緯のあるものであるということを御理解をいただきたいと存じます。
  327. 金田誠一

    金田(誠)分科員 個別の事案としてさまざまアドバイス、御助言等々いただいていることには感謝を申し上げてございます。しかし、事災害という中で、私は、そこまで職業なり業種を別扱いしなければならないものかということは、どうも納得いかないわけでございまして、質問をさせていただいております。  今までもいろいろ検討してきたとおっしゃいますが、果たして災害時における対応ということでどういう検討がされてきたのか、その辺のところはまだ私、つまびらかに説明はいただいてございません。本当に災害時ということにも着目をした検討がされているのかどうか、いま一度、ひとつお考えもいただきたいと思いますし、もうきょうは時間もないようでございますから、また機会を改めながらお尋ねをさせていただきたいと思うわけでございます。長官、こういう金融の案件もございます。  それから、中小企業にはさまざまな制度資金があるのですが、実は洞爺湖温泉には中小企業と言えない相当規模のホテル、旅館等が多いわけです。そこがもう壊滅的打撃を受けている。中小企業の枠にはまらないところの対応も、午前中もお願いをしてございました。本件ともあわせまして、調整官庁、災害をつかさどる官庁として、ぜひ大臣、御検討いただきたい。エイペックスの問題もしかりでございますけれどもお願いを申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  328. 岩永峯一

    岩永主査 これにて金田誠一君の質疑は終了いたしました。  次に、田中和徳君。
  329. 田中和徳

    田中(和)分科員 自由民主党の田中和徳でございます。皆様大変お疲れかと存じますが、最後の質問者でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。  それでは、国土庁所管の行政のうち、最初に、昨年三月に規制緩和がなされました工業等制限法に関して伺います。  昭和三十四年に制定されたこの法律は、都市部への人口集中を避けるためのいわゆる追い出し法で、制限区域への工場や大学などの新設や増設を厳しく制限し、昨今の京浜臨海部の産業空洞化の大きな要因の一つとして問題視されてきました。  私も、対象地域選出の国会議員で立ち上げた工業等制限法の見直しに関する関係議員の会の代表として、当時の国土庁長官を初め関係閣僚にその見直しを強く要望させていただきましたけれども、昨年三月、小渕前総理より国土庁長官へ御指示がございまして、神奈川県、特に私の地元の川崎市や隣の横浜市の長年の悲願でありました同法の規制緩和が実現したのでございます。  私の川崎市では、臨海部については完全撤廃、内陸部でも五百平米から一千五百平米へと三倍の規制緩和がなされ、また大学関係は、とりあえず大学院は自由に立地できるようになっております。  これにより、川崎市内でも製造業施設の新増設が進展し、景気回復の一助となるものと私も大いに期待をしておったのでございますが、現実には、施行以来約一年が経過しましたけれども、規制緩和による新増設実現の具体的な事例らしき事例がないという状況にございます。  川崎市当局も積極的に誘致に取り組んでいることとは思いますけれども、今後新しい産業展開が見られるようになるものと期待する一方で、いっそのこと内陸部でも撤廃あるいはさらなる大幅な緩和を実施するなど思い切った措置を講じた方がよいのではないか、このようにも思っているのでございます。  そこでお伺いをいたしますけれども、東京や横浜市では工業等制限法の規制緩和による具体的な効果が既にあらわれているのかどうか。また国土庁として、規制緩和による効果をどのように評価しているのか。また、規制の再緩和も含めて、今後どのように実効性を上げるべく取り組んでいこうとしておられるのか。大臣のお考えをお伺いさせていただければと思います。
  330. 中山正暉

    ○中山国務大臣 こうして遅くまで御審議、大変敬意を表しております。御苦労さまでございます。  お尋ねでございますが、工場等制限制度につきましては、規制緩和推進三カ年計画、平成十年の三月三十一日の閣議決定でございますが、それに基づきまして、大都市中心部の人口、産業の過度の集中抑制及び地方への分散といった国土政策の基本的な枠組みの中で、工場とか大学院に関する規制について昨年三月に大幅な見直しを行いましたところでございます。  工場等制限制度は土地利用に関する規制であることから、規制緩和されたことによって直ちに工場とか大学院の新増設が行われるものではなくて、計画、構想段階から実際の立地に至るまでには通常かなり時間を要する、こう想定されております。そのために、本制度による規制緩和の効果は、今後いずれ十分発揮されてくるもの、下地ができつつあるものと、かように考えております。  したがって、当分の間は規制緩和の効果について引き続き見守っていくことが必要であり、工場等制限制度について再緩和を行うということは、今のところ考えていないというのが実情でございます。
  331. 板倉英則

    ○板倉政府参考人 東京等で工場等制限制度の緩和の実績が上がっているかどうかというお尋ねでございますが、東京におきましては、大田区の城南島で工場が一件ございます。それから、品川区東大井でも、やはり基準面積緩和区域の方で工場について一件ございます。  それから、大学院については相当数ございまして、先生の御地元の川崎市におきましても、御案内のとおり、洗足学園大学大学院がことしの春できておりまして、それから、昨年、十一年でございますと、大学院の新設一件、それから研究科新設四件、それから専攻の設置、これは学科に相当するものでございますが、十二件ございます。ことしの春は、先ほど申しました洗足学園大学大学院を含めまして大学院の新設が一件、それから研究科新設が二件、それから専攻の設置が十三件ということになっております。
  332. 田中和徳

    田中(和)分科員 御答弁ありがとうございました。  実は、大都市大阪の御出身であります大臣は私以上にこのことについてはお詳しいお立場でいらっしゃいますけれども、やはり私の川崎も、特に北部の方は今、大学のお話もあって大変ありがたいことだし、これからもぜひひとつ効果を上げていくことができればと思うんです。  とにかく私の周りは大工場地帯でございまして、それがもう本当に限りなく実は利用されない方向にどんどん空き地が広がっておりまして、そういう意味では、臨海部の撤廃は私の方も大変今後期待が持てると思うんです。  その臨海部の産業道路に接している内陸部側にも大工場がいっぱいございまして、規制緩和については今のところ考えていないというお話でございますけれども状況を把握していただいてひとつぜひ対応を、特に、首都圏にしても近畿圏にしてもそうですけれども、いわば国の大切な財産をいかに活用するかという視点からも、ぜひひとつ御検討をいただければと思っております。  続いて次の質問でございますけれども、国の行政機関の川崎市への移転についてお伺いをしたいと思います。  昭和六十三年の閣議決定を受けて、現在も国の行政機関の移転に対する取り組みが続けられておりますけれども、私の地元川崎市にも、去る平成九年に、予定より五年も前倒しするという形で、労働省所管の労働福祉事業団の移転が実現をいたしました。私どもも一生懸命取り組んだ者の一人として大変喜んでおりますし、市民もさらなる期待を、他の機関の移転を考えておるわけでございます。  国の機関の誘致は私の公約の一つでもございまして、これからもぜひ力を入れてまいりたいと思っておりますが、労働省の速やかな対応を大いに評価をしながら大臣にお尋ねするわけでございます。  同事業団と同じく平成十四年度を移転時期としていた国土庁所管の地域振興整備公団を初めとする各機関についてはいまだ具体化する気配がなくて、このままかけ声倒れに終わってしまわないのかなと私も大いに懸念をしておるわけでございます。受け皿の問題も実はあるわけでございますけれども。  そこで、国の行政機関移転の旗振り役として、国土庁では今後どのようにリーダーシップを発揮されるのか。また、移転推進に向けどう取り組んでいかれるのか。特に、国土庁自身が所管する、今申し上げました地域振興整備公団について以前にも他の委員会でもお尋ねしたことがございますけれども、その後の検討状況といいますか、計画の進捗状況について、移転実現に向けてどうなっているのか、決意もあわせて再度お伺いをさせていただければと思います。
  333. 中山正暉

    ○中山国務大臣 川崎市という、大変自民党にとりましては厳しいところで御活躍をいただいていて、私と同じような立場で大都市の真ん中で頑張っていらっしゃることに、本当に将来好転をしていくような形になることを、先ほど申し上げましたことの続きのような話でございますが、いろいろ時代の変化でさま変わりをしておりますから御苦労が身にしむ思いでございますが、そういう意味で、国の行政機関の移転についても御熱心に御対応でございます。  東京一極集中の是正に資することを目的として昭和六十三年七月に閣議決定されました「国の行政機関等の移転について」に基づきましてその推進を図ってまいろうということでございますが、移転対象七十一機関十一部隊等のうち、平成十二年五月までには、さいたま新都心への集団的移転を含む四十二機関十一部隊の移転、これは五月の五日でございますか、オープニングセレモニーがあることになっておりますが。また、六機関による用地取得、それから建物工事等の着手が見込まれておりまして、着実に推進をしているものと認識はいたしております。  なお、残りの機関についても移転計画は定められておりまして、平成十四年度までを目途に移転をする予定でございます。  お話のありました地域振興整備公団は、昭和六十三年の閣議決定「国の機関等の移転について」において、東京都以外の地域への移転を検討すべき機関とされまして、これを受けて公団は、具体的に、JR川崎駅西口地区市街地再開発事業地区に平成十四年度までに移転することを、これは五機関でございますが、目標とすることを平成五年に決定をいたしておりますので、具体的な動きは、十四年というと、ことしが十二年でございますからあと二年ということで、着実に進展をしているものと思っております。
  334. 田中和徳

    田中(和)分科員 大臣、御答弁ありがとうございました。  ちょっと重ねてお尋ねをしておきたいのですが、おわかりになる方から御答弁いただければいいのですが、十四年度までに受け皿になるビルディングが、施設が立ち上がるかというと、実はやや心配もあるんですよ。このところ、こういう厳しい経済情勢の中で川崎駅周辺の各再開発事業というのがなかなか進んでいかないという面もございまして、いや、ほかにそういう機関が一つあったものですから、他にいい受け皿ができますと、川崎の予定が変わりまして他都市に行ってしまうというようなことも実際にあるんですね。  ですから、ぜひひとつ来ていただきたいという思いを込めながら、十四年度に仮の場所でもとりあえず移っていただく、そして、予定のビルディングができて、建物ができて、そちらにまた移る、こんな配慮でもいただけないものかな、こういうふうに思っておるんですが、お答えいただければと思います。
  335. 板倉英則

    ○板倉政府参考人 地域振興整備公団の移転につきましては大臣が先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、内政審議室と私ども国土庁が世話役をやっておりまして、昨年の六月に関係省庁にお集まりいただきまして、この六十三年七月の閣議決定の方針を基本的に実現するということで御了解をいただきました。  そして、そういった大枠の中で、このJR川崎駅西口地区市街地再開発事業地区につきましても、先生御案内のとおり、その具体化に向けまして、地元の川崎市と関係機関が一緒に細部について調整していこうということで、現地レベルで何回か会合を持っているところでございます。  十四年度という目標を念頭に置きながら、一生懸命頑張っていきたいと思っております。
  336. 田中和徳

    田中(和)分科員 ぜひひとつ詰めていただいて、十四年度をぜひお守りいただきたいなとお願いをしておきたいと思います。  続いて、私も、過密な首都圏選出の議員の立場から、地震対策について伺っておきたいと存じます。  川崎市も含む首都圏は、日本のセンターとして政治、経済、行政の重要な機能が集中しておりまして、また、周期的に大地震に見舞われているという意味で、世界の中でも特異な地域であると私は思っております。したがって、万が一の際の人的、物的被害と、その後の経済的、社会的な混乱を、ゼロとは言わないまでも、最小限に抑えられるように、十分な災害対策を事前に準備しておくことが非常に重要なことだ、当然のことでありますが、思っておるわけでございます。  ところで、大正十二年九月一日の関東大震災以来既に八十年近くが経過しておりまして、そろそろ次が来てもおかしくないんじゃないか、私も、素人でございますが、実は心配いたしております。  また、今後、首都圏に影響を及ぼし得るような大地震について、さまざまな公的機関、民間機関によりまして予測などが行われておるようでございますが、いつごろ、どの程度の規模の地震がと政府は把握しておられるのか。一説によれば、地震の予知は不可能だ、こういう専門家の話も直接私は聞いたことがあるわけでございまして、わかりやすくお聞かせをいただければと思っております。
  337. 池田要

    ○池田政府参考人 お答え申し上げます。  政府としての、首都圏に影響を及ぼしますような地震の把握ということでございますけれども、阪神・淡路の大震災を契機といたしまして特別措置法をつくっていただきました。政府は、地震調査研究推進本部というのを平成七年から発足させておるわけでございますけれども、長期的な観点から、地域ごとの地震活動に関しますその特徴を明らかにする、それから、活断層を中心にします地震の発生可能性の評価も行ってきているところでございます。  関東平野につきましては、非常に広い地域に及びます地盤の下に、二つのプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートというのが年間数センチという速さで沈み込んでいるような構造になってございまして、これらのプレートが動きまして、その境界部分がずれて沈み込む、それに引きずられて沈み込んだところがはね上がるといったことから、プレート型の地震というのが発生する可能性がございます。  また、主要な活断層もこの近くにございますために、この活動に伴う大きな地震の可能性指摘されているところでございます。  このうちのプレート型の地震につきましては、地震調査研究推進本部の発足の前に、平成四年でございますけれども、中央防災会議の地震防災対策強化地域指定専門委員会というのが報告をまとめてございまして、今後、直下の地震の発生の切迫性が高まってくることは疑いない、百年から二百年先に発生する可能性が高いと考えられる次の相模トラフ沿いの地震、これは関東大震災に続くものという意味ではございますけれども、それが起こるまでの間に、プレートの潜り込みによって蓄積されたひずみのエネルギーの一部が、マグニチュード七程度の直下の地震として数回放出されることが予想される、こういうことが指摘されているところでございます。  また、首都圏に影響を及ぼしますような活断層でございますけれども、これにつきましては、地震調査研究推進本部の調査によりまして、平成九年に、神奈川県下にございます神縄・国府津—松田断層帯に関しまして、この断層帯では、現在を含む今後数百年以内にという言い方でございますけれども、その変位量が十メートル程度、マグニチュードで申し上げますと八程度の規模の地震が発生する可能性がある、震源域は、断層帯全体とその海域延長部に及ぶと考えられる、というような評価があるところでございます。  主要なものについて申し上げました。
  338. 田中和徳

    田中(和)分科員 予測はあくまでも予測でございますけれども、今のお言葉の中にありましたように、百年という話がありまして、関東大震災から勘定しますとすぐでございますよね。そうなった場合は大変なことになるわけでございまして、準備を急いでいかなければならない、こういうことになるんだろうと思うのでございます。  関東大震災では、行方不明が十四万三千人、全壊建物が十二万八千棟、全焼建物四十四万七千棟、とにかく大変な被害でございましたし、被害総額は、当時の国家予算の一年四カ月分にも達した、こういうことでございます。  現在では、当時と比較すれば、建築物の防災技術や行政の防災体制も格段に進歩しておると思いますし、また、いよいよことし施行されてまいります住宅の品質確保促進に関する法律などというのは、極めて地震に強い町をつくる上で、うまく活用されれば大変なヒットになるんじゃないかな、このようにも私は思っておるわけでございます。しかし、いずれにしても相当な被害が起こるだろう、こう思っておるわけでございます。  国土庁でも、大規模な地震が発生した場合のシミュレーションを行っていると思いますけれども、被害はどの程度と予測しておられるのか、具体的にお聞かせをいただければと思います。阪神・淡路大震災が至近であったわけでございますけれども、少しその比較もわかれば教えていただければと思っております。
  339. 生田長人

    ○生田政府参考人 お答え申し上げます。  南関東地域に大地震が発生した場合のシミュレーションについてでございますけれども国土庁では、かつて、昭和六十三年に、関東大震災型のような相模トラフが動いたというケースでございますね、プレート型の地震が発生した場合の被害想定を行ったことがございます。その内容は、冬の平日の午後五時ごろの発生で、死者が十五万人、建物大破三十九万棟、焼失二百六十万棟という数字が出ておりますが、現在、国土庁としては、これを根拠に対策を講じているわけではございません。  先ほど科学技術庁の方から御答弁がございましたように、地震の専門家の間では、近年、このプレート型の地震よりも先に直下型の地震が来るかもしれないということを言われておりますので、私どもとしましては、現在発生の切迫性が指摘されているのはむしろこちらの方であるということで、こちらの方の直下型の地震につきましては、どちらかといいますと、どこに発生するかよくわからないというのが一番の問題でございまして、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県がそれぞれに詳しい被害想定をやっているところでございます。  ちなみに、東京都の被害想定を申し上げますと、区部直下にマグニチュード七・二の地震が来たというぐあいに考えまして、冬の夕方にこれが発生し、かつ風速が六メーターというぐあいに仮定いたしますと、死者が約七千人、建物の全壊が四万三千棟、焼失棟数三十七万八千棟という数字が出ております。  ちなみに、阪神・淡路がマグニチュード七・二でございまして、死者・行方不明者六千四百三十三名、住宅の全壊が十万五千棟、全焼が七千五百棟というふうになっているということでございます。
  340. 田中和徳

    田中(和)分科員 関東大震災も、どちらかというと東京が中心でというふうにイメージを皆さんお持ちなんですが、実は当時、横浜も川崎も大変な事態になりまして、いわば周辺地域に大変な被害が出たわけでございます。  これはあくまでも予測の話でございますけれども、ぜひひとつ、やはりありとあらゆる角度から想定して、また新たなる、日進月歩のいろいろな科学技術の水準も上がってくるわけでありますから、ぜひ把握しながら、わかりやすく、皆さんにも早目にお知らせをしながら対策を講じておいていただきたいと思っているのです。  もう一点お尋ねをしたいと思うのでございますけれども、大規模な震災を想定した防災対策のマニュアルづくりも当然行っておられると思いますが、曜日や時間帯の違いなども勘案した詳細なものを用意しているのかどうか、ぜひお尋ねをしておきたいと思っております。  また、先日、自衛隊の席での石原都知事の発言が物議を醸した面もありましたけれども、震災の際の自衛隊の役割というのは非常に重要でございます。私も、阪神・淡路大震災の直後に現地調査をさせていただいた経過がございますけれども、やはり市民の皆さんから見れば、もうちょっと自衛隊の役割をきめ細かく詰めておればもっと人的な被害が軽く済んだのじゃないかというような御意見も、現実に現場ではたくさん出ておりました。それは当然、自治体と自衛隊と直接いろいろと詰めもしてあるようでございますけれども。  その自衛隊の役割についてとあわせて、治安の面について、先日、都知事などは言及しておられましたけれども、そういうことについてはどういうふうに、国土庁のお立場でどこまでお答えになれるかということはあるのでしょうが、少し詰めてあるのならば、お考えがあるのならばお答えをいただければと思います。
  341. 生田長人

    ○生田政府参考人 行動のマニュアルについてお話を申し上げたいと思います。  基本的に、南関東直下型の地震のように大変広域にわたるケースの場合は、各都道府県における対応に加えまして国の広域的な支援というのは不可欠でございまして、特に自衛隊の役割は大変大きゅうございます。そこで、国では南関東地域震災応急対策活動要領というものを既につくっておりまして、応急対策を実際に実施に移す場合の手順というものを、情報収集、緊急輸送、救助あるいは物資調達、いろいろな分野ごとに規定をしているところでございます。  この活動要領には、当然のことながら自衛隊の果たすべき役割というのも書いてございます。具体的には、まず被害情報を把握していただく、それから緊急輸送の実施に携わっていただく、それから救急救助活動を全面的に実施していただく、それから給飯給水、御飯の炊き出しとかそういうものにも携わっていただくということが決められておりますが、自衛隊の内部におきましても、この活動要領を受けまして南関東地域震災災害派遣計画というものができております。これで具体的な対処方針がきめ細かく定められているようでございますけれども、余り詳しいところまでは私どもは把握してございません。特に、治安の面につきましては、ちょっと私どもはわかりかねますので恐縮でございます。  私ども、具体的にさらにこれをもう少しきめ細かく落とすためにアクションプランというものをつくっておりまして、こちらの方は平成十年に、広域医療の搬送活動のためのアクションプランというものをつくっておりますが、これも医療活動であるとかいろいろな面で順次拡大をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  342. 田中和徳

    田中(和)分科員 私も、当時現地入りしたときに、賞味期限の話で持ち切りだったのですよ。食料はまさしく大変大切なものなんですけれども、そこの管理をしておられる方が役所の方だったのですね。賞味期限を過ぎた物を本当に食べさせていいのかどうか。破棄したという方がございました。多分食べられたでしょうね。自分は食べられたのだと思うのですが、人様には差し上げることができなかったというお話でございました。  そういうことも考えると、これは本当に生きたマニュアルづくりをありとあらゆる角度からしておかないといけないことと、もう一つは、実際にパニックが起こったときに、いない方あるいは実際にそんな作業に従事できない方までその枠組みの中に入れてあると、結局これもほとんどだめなのでございますね。自分のことで精いっぱいなのに、人様の生命に、やれ財産にと言ってボランティアできる人というのはそうそういないわけでございまして、こういうこともやはり考えておかなければならないと思うのです。  そこで、最後でございますけれども、何分後までに何をやる、こういう具体的な所要時間を想定したものになっているのかどうか。縦割りの行政を超えて何から着手をすべきなのか、優先順位がどうなっているのか。大変私にとっても、実は私が住んでいるところは地盤が弱くて、大変なところに住んでいるのです。もう大工場地帯に隣接していて、まさしく逃げ場がないようなところで実は私も生活しているものですから、こういうことというのは私だけではないのでございますけれども、どんな人にとっても非常に重要なことでありますが、とりわけ関心が深いわけでございまして、その点、お聞きをしておきたいと思います。
  343. 生田長人

    ○生田政府参考人 具体の防災対策のマニュアルがすべて具体的な所要時間まで規定してあるかということになりますと、大変残念でございますけれども、必ずしもそうはなっておりません。  しかしながら、政府では、阪神・淡路大震災の教訓を十分踏まえまして、現在、国土庁とそれから内閣の方で当直体制をしいておりまして、二十四時間対応できるようになっております。特に、大きな災害が発生した場合には、ここにいらっしゃる国土庁長官を初めとしまして、職員の緊急参集体制をしいておりまして、例えば私の場合を申し上げますと、災害発生から三十分以内に徒歩で官邸に駆けつけられるところにいなければならないという義務がございます。したがいまして、常に私はこの近辺にしかおられないのでございますが、そのようになっております。  また、何から着手すべきかという点でございますが、これは私どもも、阪神・淡路の教訓では実動機関の初動対応が一番大切でございますので、そのためには初期情報の収集というのが最も大切だというぐあいに思っております。そのために、私ども当然のことながら、いろいろな防災無線の整備などのようなハード面の整備とあわせまして、もし万一初期情報がうまく収集できない場合に備えまして、EESと言っているのですけれども、大まかにどこでどれぐらいの地震が起こればどれぐらいの被害が出るかというのを、ぱっと三十分で推計できるような仕組みを持っております。一度ごらんいただきたいというふうに思っておりますが。  そういうものを含めまして情報を官邸に集中しまして、いろいろな機関が共有して即座に対応できるという仕組みを現在のところつくり上げているところでございます。
  344. 田中和徳

    田中(和)分科員 御答弁本当に、皆さんお疲れのところ、ありがとうございました。  実は、コンビナートも大体地盤の悪いところに、臨海部にできておることが多うございまして、しかも、その中には燃えやすいものだとか化学的な毒物も含めて薬品がいっぱい入っておりますし、これをすべてチェックしなければいけないのだろうと思います。僕が以前ちょっと調べてみますと、阪神・淡路のあの大震災のエリアよりも、京浜のあの臨海の大工業地帯の蓄積量というのはもう全然比べ物にならないのですね。  そういうことを考えますと、国土庁だけの問題では決してございませんけれども、重ねて、忘れたころにやってくると言われておりますが、来ないことを互いに念じておるわけでございますけれども、ぜひひとつ万全を期していただきますようにお願いをして、終わります。ありがとうございました。
  345. 岩永峯一

    岩永主査 これにて田中和徳君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管国土庁質疑は終了いたしました。  次回は、明二十一日午前十一時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時十八分散会