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2000-04-21 第147回国会 衆議院 決算行政監視委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月二十一日(金曜日)     午前九時開議  出席分科員    主査 坂上 富男君       奥山 茂彦君    木村 太郎君       栗原 博久君    田中 和徳君       三塚  博君    福島  豊君       辻  第一君    春名 直章君    兼務 滝   実君 兼務 石井 紘基君    兼務 菊地  董君     …………………………………    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    農林水産政務次官     谷津 義男君    会計検査院事務総局第四局    長            渡辺 孝至君    政府参考人    (科学技術庁原子力局長) 興  直孝君    政府参考人    (科学技術庁原子力安全局    次長)          伊勢呂裕史君    政府参考人    (環境庁長官官房審議官) 小林  光君    政府参考人    (厚生省生活衛生局長)  西本  至君    政府参考人    (農林水産省構造改善局長    )            渡辺 好明君    政府参考人    (農林水産省農産園芸局長    )            木下 寛之君    政府参考人    (農林水産省畜産局長)  樋口 久俊君    政府参考人    (食糧庁長官)      高木  賢君    政府参考人    (林野庁長官)      伴  次雄君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君    政府参考人    (農林漁業金融公庫総裁) 鶴岡 俊彦君    決算行政監視委員会専門員 中谷 俊明君     ————————————— 分科員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   原田昇左右君     木村 太郎君   三塚  博君     栗原 博久君   辻  第一君     春名 直章君 同日  辞任         補欠選任   木村 太郎君     原田昇左右君   栗原 博久君     三塚  博君   春名 直章君     辻  第一君 同日  第一分科員石井紘基君、第四分科員滝実君及び  菊地董君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  (農林水産省所管及び農林漁業金融公庫)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 田中和徳

    田中(和)主査代理 これより決算行政監視委員会第三分科会を開会いたします。  主査所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。  平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件中、本日は、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。  これより農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。玉沢農林水産大臣
  3. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 平成年度及び九年度における農林水産省決算概要を御説明申し上げます。  最初に、八年度一般会計について申し上げます。  まず、一般会計歳入につきましては、歳入予算額四千八百四十一億六千五百万円余に対しまして、収納済み歳入額は五千百六十億九千四百万円余であり、差し引きいたしますと三百十九億二千九百万円余の増加となっております。  次に、一般会計歳出につきましては、歳出予算現額四兆六千五十四億七千三百万円余に対しまして、支出済み歳出額は四兆五百八十九億九千六百万円余であり、この差額五千四百六十四億七千七百万円余につきましては、五千二百三十八億四千六百万円余が翌年度へ繰り越した額であり、二百二十六億三千万円余が不用となった額であります。  なお、その詳細及びこれらの施策内容は、お手元の「平成年度農林水産省所管一般会計及び特別会計決算に関する概要説明」に掲載いたしましたとおりであります。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、食糧管理特別会計につきましては、国内米管理勘定等の七勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は三兆二千三百五十八億一千九百万円余、支出済み歳出額は三兆二千三百十七億四千九百万円余であり、差し引き四十億七千万円余の剰余を生じました。この剰余金は、法律の定めるところに従い、翌年度歳入に繰り入れることといたしました。  このほか、農業共済保険特別会計森林保険特別会計漁船保険及漁業共済保険特別会計農業経営基盤強化措置特別会計国有林野事業特別会計及び国営土地改良事業特別会計がございますが、これら特別会計概要につきましても、お手元資料に掲載いたしましたとおりであります。  以上をもちまして、平成年度における農林水産省決算概要に関する御説明を終わります。  引き続きまして、平成年度における農林水産省決算概要を御説明申し上げます。  最初に、一般会計について申し上げます。  まず、一般会計歳入につきましては、歳入予算額四千九百四十三億五千百万円余に対しまして、収納済み歳入額は五千七十六億七千三百万円余であり、差し引きいたしますと百三十三億二千二百万円余の増加となっております。  次に、一般会計歳出につきましては、歳出予算現額四兆二千六百二十億九千三百万円余に対しまして、支出済み歳出額は三兆八千九百四十八億三千百万円余であり、この差額三千六百七十二億六千百万円余につきましては、三千三百七十三億九千七百万円余が翌年度へ繰り越した額であり、二百九十八億六千四百万円余が不用となった額であります。  なお、その詳細及びこれらの施策内容は、お手元の「平成年度農林水産省所管一般会計及び特別会計決算に関する概要説明」に掲載いたしましたとおりであります。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、食糧管理特別会計につきましては、国内米管理勘定等の七勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は三兆八千八百九十六億九千三百万円余、支出済み歳出額は三兆八千七百二億六千万円余であり、差し引き百九十四億三千二百万円余の剰余を生じました。この剰余金は、法律の定めるところに従い、翌年度歳入に繰り入れることといたしました。  このほか、農業共済保険特別会計森林保険特別会計漁船保険及漁業共済保険特別会計農業経営基盤強化措置特別会計国有林野事業特別会計及び国営土地改良事業特別会計がございますが、これら特別会計概要につきましても、お手元資料に掲載いたしましたとおりであります。  以上をもちまして、平成年度及び九年度における農林水産省決算概要に関する御説明を終わります。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 田中和徳

    田中(和)主査代理 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院渡辺第四局長
  5. 渡辺孝至

    渡辺会計検査院当局者 平成年度農林水産省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二十二件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項六件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号一九九号は、広域営農団地農道整備事業において、設計が適切でなかったため、ボックスカルバートが不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二〇〇号は、ため池等整備事業において、事業施行が適切でなかったため、事業費が不経済となっているものであります。  検査報告番号二〇一号は、ため池等整備事業において、設計が適切でなかったため、余水吐流入部等が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二〇二号は、農作物共済事業共済掛金国庫負担金交付が不当と認められるものであります。  検査報告番号二〇三号から二〇五号までの三件は、地すべり防止事業等において、アンカー工費積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二〇六号は、農業集落排水事業において、動力制御設備製作価格積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二〇七号は、海岸高潮対策事業において、消波ブロック設計数量が過大となっていたため、工事費が不経済になっているものであります。  検査報告番号二〇八号から二一一号までの四件は、林業改善資金貸し付けにおいて、借り受け者が、貸し付け決定前に既に設置していた機械対象として貸し付けを受けていたりなどしているものであります。  検査報告番号二一二号から二二〇号までの九件は、農業改良資金貸し付けにおいて、借り受け者が、施設等貸付対象事業費より低額設置したりなどしているものであります。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。  これは、漁業共済事業運営に関するものであります。  漁業協同組合等が本来負担すべき漁業者にかわって共済掛金を負担するとともに、共済金を他の用途に使用するなどしていて、保険の仕組みを採用して漁業経営安定等に資するという本制度の趣旨から見て適切とは認められない事態が見受けられましたので、水産庁に対して、事業運営が適切に行われるよう改善処置を要求したものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項六件について御説明いたします。  その一は、新生産調整推進助成補助金等交付に係る生産調整実施面積算定に関するもので、壊廃カウント等計上方法等が明確でなかったことなどのため、補助金等が過大に交付されておりました。これについて指摘したところ改善処置がとられたものであります。  その二は、家畜導入事業資金供給事業に係る市町村、農協等における基金造成及び運営に関するもので、農協有等導入事業において、基金造成額算定を誤っていて補助金が過大に交付されるなどしていたり、特別導入事業において、基金間で資金が偏在していたりしておりました。これについて指摘したところ改善処置がとられたものであります。  その三は、治山ダム工事における岩盤掘削面整形工費等積算に関するもので、岩盤掘削面整形工等積算基準よりも良好な作業条件等施工されていて、工費積算額が過大になっておりました。これについて指摘したところ改善処置がとられたものであります。  その四は、輸入飼料の売り渡しに係る保管料支払いに関するもので、保管料負担期間を決定する荷渡し指図書交付を適時に行ったとすれば、保管料を節減できました。これについて指摘したところ改善処置がとられたものであります。  その五は、牛に係る家畜共済事業運営に関するもので、共済対象の牛の頭数確認が十分でなかったため、共済引受頭数が実際の飼養頭数と乖離していて、共済金が過大または過小に支払われておりました。これについて指摘したところ改善処置がとられたものであります。  その六は、国有農地等管理等に関する業務に係る事務取扱交付金に関するもので、当該業務に専従しているとは認められない職員を、その業務割合を考慮せずに交付対象職員数に含めるなどしていて、交付金が過大に交付されておりました。これについて指摘したところ改善処置がとられたものであります。  続きまして、平成年度農林水産省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三十六件、意見を表示しまたは処置を要求した事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項四件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号一九四号は、家畜導入事業資金供給事業において、補助対象とならない牛を事業対象とするなどしているものであります。  検査報告番号一九五号は、松くい虫防除事業において、完了検査が適切でなかったため、事業量が不足しているものであります。  検査報告番号一九六号は、山村振興等農林漁業特別対策事業において、建物の屋根部分施工設計と著しく相違していたため、工事目的を達していないものであります。  検査報告番号一九七号は、林道開設事業において、設計が適切でなかったため、橋台等所要安全度が確保されていない状態になっているものであります。  検査報告番号一九八号は、農業用施設災害復旧事業において、ため池堤体グラウト工注入費積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号一九九号は、草地畜産基盤整備事業において、ロックボルト設計が適切でなかったため、のり面所要安全度が確保されていない状態になっているものであります。  検査報告番号二〇〇号は、農業集落排水事業において、道路の舗装面積設計数量が過大となっていたため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二〇一号は、自動制御製茶機械設置工事において、工事費の値引きを受けていたため、国庫補助対象事業費の精算が過大となっているものであります。  検査報告番号二〇二号は、県営農地保全整備事業において、設計が適切でなかったため、ボックスカルバート所要安全度が確保されていない状態になっているものであります。  検査報告番号二〇三号及び二〇四号の二件は、芋でん粉工場再編整備対策事業において製造設備等の廃棄・撤去の工事費を過大に計上したため、製造業者に対する助成金が過大に交付されているものであります。  検査報告番号二〇五号から二二〇号までの十六件は、林業改善資金貸し付けにおいて、借り受け者が、機械貸付対象事業費より低額で購入したりなどしているものであります。  検査報告番号二二一号から二二九号までの九件は、農業改良資金貸し付けにおいて、借り受け者が、貸し付け対象とならない事業について貸し付けを受けたりなどしているものであります。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項二件について御説明いたします。  その一は、先進的農業生産総合推進対策事業等による農産物処理加工施設等設置及び運営に関するものであります。  これは、施設運営を中止していたり、利用率が著しく低くなっていたりなどしていて、補助事業効果が十分発現していないと認められる事態が見受けられましたので、農林水産省に対して、事業効果が十分発現するよう是正改善処置を要求いたしたものであります。  その二は、林業構造改善事業等による施設設置及び運営に関するものであります。  これは、施設運営に係る損失額が多額に上っていることにより、遊休したままで事業の継続が困難な状況となっていたり、健全な経営が困難な状況となっていたりしていて、事業効果が十分発現していないと認められる事態が見受けられましたので、林野庁に対して、事業効果が発現するよう是正改善処置を要求いたしたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項四件について御説明いたします。  その一は、漁港整備事業等における消波工設計に関するもので、消波工天端幅設計については、施工実態を反映させ、開発メーカーカタログ値を用いることなどとして、経済的な設計を行う要があると認められました。これについて指摘したところ改善処置がとられたものであります。  その二は、政府米運送業務におけるトラック運賃算定に関するもので、実際の使用車両のトン数にかかわりなく全国一律で十トン車を基準車両としたトラック運賃に基づいて契約単価算定していたため、一部の地区においてトラック運賃支払い額が過大になっておりました。これについて指摘したところ改善処置がとられたものであります。  その三は、農業改良資金青年農業者等育成確保資金に係る貸付事業に関するもので、借り受け者が、他に転職するなどし、貸付対象である農業経営を中止していて、貸付目的が達成されていなかったりなどしていて、貸し付け効果が十分発現していない事態が見受けられました。これについて指摘したところ改善処置がとられたものであります。  その四は、国営かんがい排水事業施行に関するもので、国営事業都道府県等が実施する附帯事業とが連携して施行されることにより事業全体の効果が発現されるのに、国営事業完了またはほぼ完了しているにもかかわらず、附帯事業整備面積の一部が整備されておらず、かんがい排水事業全体について所期の事業効果が発現していない事態が見受けられました。これについて指摘したところ改善処置がとられたものであります。  以上をもちまして概要説明を終わらせていただきます。  続きまして、平成年度農林漁業金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三件であります。  検査報告番号二九三号から二九五号までの三件は、総合施設資金等貸し付けが不当と認められるものであります。  これらの資金貸付事業は、農林漁業者等に対し、農林漁業生産力維持増進等に必要な長期かつ低利資金で、一般金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接または金融機関に委託して貸し付けるものでありますが、貸し付けに当たり、借入者から事実と相違した内容借り入れ申し込み事業完成報告がされていたにもかかわらず、これに対する審査及び確認が適切でなかったなどのため、貸付金額を過大に算定していたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。  続きまして、平成年度農林漁業金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四件であります。  検査報告番号二八二号から二八五号までの四件は、農業経営基盤強化資金等貸し付けが不当と認められるものであります。  これらの資金貸付事業は、農林漁業者に対し、農林漁業生産力維持増進に必要な長期かつ低利資金で、一般金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接または金融機関に委託して貸し付けるものでありますが、貸し付けに当たり、借入者から事実と相違した内容借り入れ申し込み事業完成報告がされていたにもかかわらず、これに対する公庫及び受託金融機関審査及び確認が適切でなかったことなどのため、貸付金額を過大に算定していたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  6. 田中和徳

    田中(和)主査代理 ただいまの会計検査院指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。玉沢農林水産大臣
  7. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 会計検査院から御報告のありました平成年度決算検査報告に対しまして、農林水産省が講じた措置を御説明申し上げます。  予算執行に当たりましては、常に効率的かつ厳正な処理に努力してまいりましたが、一部の事業について、御指摘を受けるような事態が生じましたことは、まことに遺憾であります。  不当事項として指摘を受けたものにつきましては、既に補助金等返還または手直し工事施工させるなどの措置を講じているところであります。  漁業共済事業運営が適切に行われるよう改善処置を要求されましたものにつきましては、漁業共済事業実態把握に努めるとともに、漁業共済組合等に対する指導強化するなど、適正な漁業共済事業運営が図られるよう所要措置を講じているところであります。  引き続きまして、平成年度決算検査報告に対しまして、農林水産省が講じた措置を御説明申し上げます。  不当事項として指摘を受けたものにつきましては、既に補助金等返還または手直し工事施工させる措置を講じているところであります。  先進的農業生産総合推進対策事業等による農産物処理加工施設農産物集出荷施設設置及び運営事業効果を発現するよう是正改善処置を要求されましたものにつきましては、都道府県に対し事業実施計画審査指導強化させるとともに、事業実施後の指導体制を整備するなど施設設置及び運営事業効果を発現するよう所要措置を講じているところであります。  また、林業構造改善事業等による施設設置及び運営事業効果を発現するよう是正改善処置を要求されましたものにつきましては、都道府県に対し事業実施計画審査を徹底させるとともに、健全な経営とするための体制強化するなど施設設置及び運営事業効果を発現するよう所要措置を講じているところであります。  以上、会計検査院の御指摘に対しまして、農林水産省が講じた措置説明を終わらせていただきますが、今後、このような事例発生を未然に防止するため、指導監督強化を図り、より一層予算の適切な執行に努めてまいる所存であります。
  8. 田中和徳

  9. 鶴岡俊彦

    鶴岡政府参考人 ただいま会計検査院から御報告のありましたことにつきまして、御説明を申し上げます。  当公庫業務の遂行に当たりましては、常に適正な運用について鋭意努力してまいりましたが、平成年度及び平成年度決算検査報告におきましては、総合施設資金等貸し付けにつきまして不当事項として指摘を受けたものがありますことは、まことに遺憾に存じております。  指摘を受けました事項につきましては、直ちに適切な措置を講じましたが、今後、このような事態発生を防止するとともに、当公庫に与えられた使命を果たすべく努めてまいる所存でございます。
  10. 田中和徳

    田中(和)主査代理 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 田中和徳

    田中(和)主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  12. 田中和徳

    田中(和)主査代理 以上をもちまして農林水産省所管及び農林漁業金融公庫説明は終わりました。     —————————————
  13. 田中和徳

    田中(和)主査代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
  14. 栗原博久

    栗原(博)分科員 栗原でございます。  玉沢農林大臣以下、農林省の皆さんにおかれましては、日々国民に安全な食料供給に御尽力されていることについて、まず敬意を表したいと思っております。  きょうは、土地改良関係について御質問させていただきたいと思います。  せんだっても、農業基本計画ということで、食料自給率についていろいろ御議論をされて、その意見の集約を見たわけでありますが、食料自給率を高めるために、また安全な食料を供給するために、今後、農業基盤整備は欠くことのできないことであるわけであります。その中におきまして、今、第四次土地改良計画が推進されておりますので、その進捗状況はどのようになっているのかということについて、まずお聞きしたいと思います。
  15. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 第四次土地改良長期計画でありますが、平成年度から平成十八年度までの十四年間の計画期間におきまして、総額四十一兆円に相当する事業を計画しているものでございます。  国が行いまたは補助する事業計画事業量は三十二兆三千六百億円となっております。平成十一年度末までに五九%、平成十二年度の当初予算も含めました見込みでは六五%の進捗率でございます。  一、二事例を申し上げますと、整備目標面積に対する実績で見ますと、平成十年までの五カ年間で、田につきましては、目標の七五%に対して五六%が三十アール程度以上の区画に整形をされております。畑につきましても、整備目標七五%に対し六七%に達しております。
  16. 栗原博久

    栗原(博)分科員 現場の農家の方々は、この基盤整備によって仕事がしやすい、特に若手の方々が他の産業に従事をしながら農業を営んでおりますと、やはり基盤整備の終了している田んぼと、していない田んぼでは全然評価が違うわけでありますし、ぜひひとつ、速やかにこれらの農家の方々が希望します事業完了するように、玉沢大臣の御努力をお願いしたいと思っております。  それで、圃場整備を、計画認定されたら早くしていただきたいというような要望等は恐らく全国くまなくあると思うのであります。そこで、今一生懸命に農林省は、コストの軽減を図りながら、できるだけ予算を有効に使うということに努力されていることは、私も大変理解はしておるのであります。さりながら、過去の土地改良事業等の計画と実際に完成した暁の事業費の推移を見ますると、どうも農家に対する説明と違っているという点があると思います。  大分年度も古くなるかもわかりませんが、私も実は、当選させていただきましてから、ずっとこの土地改良の農家の方々の負担の軽減というものを主張させていただき、またそれなりに農林省の方々からも御理解を賜ってきたものと思っております。特にウルグアイ・ラウンド対策などにおきましては、償還金の軽減について大変御努力をいただいたと思っておるわけであります。  過去、私が国会で質問いたしたときも、当時の構造改善局長、今の参議院議員の入澤さんからも回答を得たわけでありますが、例えば、国営のかんがい排水事業を、昭和六十三年に計画実行して、完成が平成四年の場合、これが約二十八地区国営かんがい排水があったそうですが、当初の事業費に比べて、完成年度には三・一倍の事業費である。これは農林省が認めているわけであります。  これは、新津郷土地改良区あるいはまた新潟県の南部郷土地改良区の須走地区などを例にして私が質問した際に、全国総体的な中の数値を農林省にお示しいただいたとき、そのような数字を出しております。  また、同じく国営かんがい排水の実施地区二十八地区の十アール当たりの償還はどうかといいましたら、当初の計画に比べて、いざ償還になりましたら四・八倍であったということです。これを見ますと、私、新潟県下の各地区の農家あるいはまた土地改良区の方といろいろお会いすると、事業説明の同意のときと、いざ償還に入ると三倍も四倍も違う、役人がたくさんいるのにこんなことになぜなるんだろうと。これは単純な問いかけだと私は思うのですね。  今、コスト削減ということでいろいろ農林省は努力されておりますが、あれだけ分厚い計画書をつくるわけですから、いろいろの機関で協議されるわけですから、では、あの計画書は実際何だったんだというふうに私は思うのですね。  もう一つは、土地改良の償還金、負担金は、一反一俵ぐらいが限度だというような計算、めどでつくっている、あるいはまた、計画書をつくる場合、土地改良をやったことによってどの程度農家収入が入るか、プラスになるかということも計算してやっているというふうに伺っておるのですが、それだけのいろいろの計算をしながら、私は単純に物を考える男ですが、こんなに当初計画と実際が開きがあるのは、では計画書は何のためにつくるかわからぬというふうに私は思うのですね。  それを踏まえて、ひとつ御質問させていただきます。  新潟県においては、北陸農政局あるいはまた県の努力もあって、やはり当初計画と実際の圃場整備における変動状況が少ないように努力していると思うんですが、新潟県においての最近の事業で、着工と完成、要するに、着工前の事業同意をするときの額と着工の額も大分また違うと私は思うんですが、その一つのサンプルを提示していただいて、どのように工事の当初と完了では額が異なっているかということについてお聞きしたいと思います。
  17. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 二つ事例説明させていただきたいと思います。  過去五年に新潟県で完了した国営かん排は二地区ございます。信濃川左岸二期地区と信濃川下流地区であります。  まず、信濃川左岸二期地区につきましては、着手時の事業費が九十八億円、完了時の事業費が二百九億円、したがって百十一億円の増額という状況でございます。  また、信濃川下流地区につきましては、着手時の事業費が百七十六億円に対しまして、完了時の事業費が二百六十六億円、九十億円の増額というふうになっております。
  18. 栗原博久

    栗原(博)分科員 今後、いろいろまた事業もお願いするわけでありますが、やはり、農家の方々にわかりやすいものとして事業を完工していただきたいと思います。  次に、農林省もいろいろ技術的水準を上げながら、工事のコストの削減について努力されているというふうに伺っておりますが、要するにコスト削減は、幾ら補助率が高いといっても、行き着くところ農家の負担もあるわけですから、農家負担を軽減するためにも、圃場整備等の工事単価を下げることが必要だと思うんです。工事単価を下げるために農林省はどのような点から御努力をされているかということについて、詳細にわたってお聞きしたいと思います。
  19. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 農業農村整備事業の直轄事業におきまして、具体的には、農業農村整備事業のコスト縮減計画というのを持っております。これは、平成九年四月に作成をされまして、九年度、十年度、十一年度、この三カ年間で具体的にコストを一〇%縮減するということを目標にしております。国が、工事部局が担当しますのは直接的施策部分でありますが、大体いいテンポで来ているのではないかなというふうに思っております。  それから、その内容でありますが、具体的に事例を申し上げますと、リサイクル材を活用して経済的な工事を実施する。それから、鋼矢板を護岸工事で使いますときに従来より幅の広いものを使いましてコストを下げるなど、新しい材料とか新しい技術を導入する。それから、一つの工事を実施しますときに、ほかのものとあわせて、何回も同じところをいじるというふうなことではなくて、連続をしてあるいは一括をして実施するというふうなことを行ってきております。  こういうものを積み重ねましてコストの縮減をしているところでございますし、もちろん、整備水準という問題もございます。農業者の希望する、許容範囲の中で仕事をしていくというふうなことを心がけております。今後もそういった方向でコストの縮減と事業の効率的実施に努めてまいりたいと考えております。
  20. 栗原博久

    栗原(博)分科員 ぜひひとつ、コスト削減に努力をしていただきたいと思います。  それから、後ほどもちょっとさわらせていただきますけれども、例えば排水溝を、田んぼの排水には十二分過ぎるような大きなものをつくることがあるんですね。これは、水田のためのみならず、都市下水といいましょうか、それも考慮してやっている工事もあると思うんですよ、そういう要望があるからと。しかし、これは本来農家の負担でない、都市の関係の方々のものでございますから、その辺はすみ分けもやはりきっちりしてもらわねばならぬと思うんですね。  また、本来建設省でやるべきような仕事までも農林省がやっている点もある。それは、農林省の方が主体であって、建設省は従であるかもわかりません。しかし、本来そういう農民以外の共有すべきものの施設に対しても農林省も手をちゃんとつけていただいているんですが、それがまた農家の方に過大な負担になってはならぬと思うんであります。ただ農林省の事業を多くするために、農家にむしろ負担をかけるような事業であってはならない。都市と農村のすみ分けの中で、きっちり、農家のための排水事業などを十二分に考慮してやるべきだ。私の一つお願いでございます。  さて、そういう中で事業をやるにいたしましても、かつて耕地整理等の仕事は、農家の方々が収入がないから田んぼの耕地整理をして、出稼ぎに行かない分、地元の業者から使ってもらって収入を上げていたというのが昔の耕地整理組合、私どもの田舎における工事実態でございました。ただ、最近は、この基盤整備あるいは農林省関係の仕事は、やはり私は地元の経済の活性化のためでもあると思うんですよ。  それで、私は、きょうは深く触れませんが、農林省所管の工事発注については、農家の方々が働いている、あるいはまた地場の、景気に極めて影響のある地元の中小企業の業者にできる限り発注の道を開くように、玉沢大臣にひとつよろしくお願いをしたいと思います。  この点はこれで終わります。  次に、農家の償還金の問題であります。  かつて農林漁業金融公庫は、財投からの調達金利が高かったということで、六%、七%というようなときもあったわけですね。それで、その償還について、平準化の場合は先送りでありますから、ウルグアイ・ラウンド対策の中で、金利負担を三・五%まで下げるとかあるいは二・〇%まで下げるなどの措置をとっていただいてまいりました。  私も当選以来この軽減化の問題を何回も叫んでまいって、運よくウルグアイ・ラウンドの関係でこれが行われたわけですが、そういう中で、農家の方々の土地改良の償還金を軽減化する中に、どのようにこの問題が取り組まれてきたか、今後の方向づけについてお聞きしたいと思います。特に、米価が下落しておりますから、その米価の下落によって農家の方々の収入が減っている分は、やはり土地改良の償還金を減らすことだと私は思っておりますので、その点についてお考えをお聞きしたいと思います。
  21. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今委員が御指摘をされましたように、農業経営が極めて厳しい状況にあります。したがいまして、土地改良にかかわる農家負担の軽減を図るため、土地改良事業完了地区における負担金の軽減対策としましてこれまでにとった措置におきましては、償還金に係る利子の軽減、また、償還金の無利子での繰り延べ等を実施してきているところであります。  さらに、平成十二年度からは、これまでの対策に加えまして、麦、大豆の作付の団地化等を推進する地区について、償還金に係る利子のさらなる軽減を図る、さらに、償還金の一時的な借りかえと平準化を行うための繰り延べ措置の充実等を実施しているところであります。  今後とも、これらの措置を活用し、土地改良負担金の軽減が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
  22. 栗原博久

    栗原(博)分科員 今大臣からかたい決意での御答弁をいただきました。  構造改善局長がおられるので、今の大臣が仰せになられました内容の具体的な数字、それについてお示しいただきたいと思います。
  23. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 一番大きなものは、償還金に係る利子の軽減事業でありまして、これは、担い手育成支援事業ということで、先ほど先生がちょっとお触れになりましたけれども、年の償還金額がピーク時の七割を超える期間を限度として、償還利率が二%を超える利子相当額を助成して、それ以上にならないようにするというのが一つの大きな点でございます。  それから、繰り延べ平準化事業というのは、これも償還金額がピーク時の七割を限度といたしまして、無利子でその全額を先に繰り延べをして、年間の負担が一定額以上にならないようにするというふうなことでございます。  それからさらに、今後の問題といたしまして、この基本計画の中に定められました土地利用を高度化するという観点から、先ほど二%という話を申し上げましたけれども、さらに償還利息の一%に相当する額を助成いたしまして、耕地利用率を高めるというふうなことをしたいと考えております。
  24. 栗原博久

    栗原(博)分科員 今局長からお話がありました。  まだ数字がないかもわかりませんが、皆さんが計画している中で、もし一%まで落とした場合、ウルグアイ・ラウンド対策で償還金を軽減化する前から今回の一・〇%までやった場合までの軽減化の国全体の総額というのを把握していますか。わからなかったら答えなくていいです。
  25. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 軽減効果は、これは十アール当たりで見るとよろしいと思いますけれども、現在やっておりますのは、総償還額ベースでいきますと、対策をとる前に比べて一五%負担が軽減をされております。今回、それをさらに拡充いたしまして、もう三%ほど切り込むということで、対策が打たれることによって総償還額が一八%軽減をされる、こういうことになります。
  26. 栗原博久

    栗原(博)分科員 そういういい制度をつくっていただいたわけですから、その制度が円滑にいくように、大蔵省の方の関係もあって担い手という条件がついたと思うんですが、これを弾力的にしていただきたいと思います。  というのは、新規事業の場合、今償還金が利息ゼロのところもあるんでしょう、どうですか。
  27. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 もちろん国営かん排などは負担金はゼロでございますので、そもそもございませんけれども、一%のところにさらに県が上乗せ助成をするような形でその負担を軽減しているような事例は仄聞しております。
  28. 栗原博久

    栗原(博)分科員 実は、この軽減化の措置がとられている地域は、例えば担い手ということでいろいろ条件があると思うんですね。ところが、山間地に参りますと、やはり劣悪な環境条件がございます。田んぼも少のうございますから、地元の町工場とかに勤めながら一生懸命営々と、不良耕作地を皆さんのお力で整備していただいて、努力してそれを償還しているわけですね。  ところが、それが担い手となりますとなかなか厳しいわけですね。同じ農業をしながら、むしろ所得が少なくて、そういうところが対象から外れる。今でも四%、五%の高金利を払っているところもあるわけですね。今、こういうゼロ金利でございますから、農協の定期を積んでも一%もいっていない。公庫の借りている金を平準化できなかったら、やはり公庫資金を借りかえする。一般の市中銀行あるいは農協の金利はいつまでも安くないかもわかりません。しかし、現実に高い金利で借りて償還しているわけですから。  確かに、公庫の場合は財政投融資の金でありますし、そのもとは郵便貯金とか年金とか、そういうものを運用しておりますから、金利は下げられないのはわかりますよ。わかるけれども、実際に農家の方々は、今でもそういう担い手とかなんかの対象にならないところでは高い金利を払っているわけなんですよ。そういうところを、やはり担い手というものについて地区によってもう少し弾力的に行うか、もしくは、公庫資金等については一般の市中銀行あるいはまた農協等の低金利のものに借りかえを円滑に認めていく、そういうことが必要と私は思うのでありまして、こういうことについてのお考えをひとつお聞かせください。
  29. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 過去の償還金の問題と、これから事業をやって負担をしていく償還金の問題と二つあると思うんですが、過去のケースにつきましては、先ほど申し上げましたように、かなりの措置がとられております。資金の借りかえということも一部認めているケースがございます。こういったところをどれだけ広げられるかということにつきまして、もう少し研究をしたいと思っております。  それから、これから先の問題といたしましては、もう随分といろいろなものを講じておりまして、現行では、一番いいケースでは農家負担は三%というところまで、各種の促進費を出すとか無利子の融資をするとか、そういう点で下がってきておりますので、工夫に工夫を重ねるというふうなことになりますけれども、勉強はしたいと思います。
  30. 栗原博久

    栗原(博)分科員 そういうことで、償還金の軽減化の恩恵に浴している地域と浴していないところがございますから、特に土地改良区のないところは、そういう市町村もあるのですよね、そういう土地改良区のない市町村においてはその恩恵に浴していないところがたくさんありますから、その点をよくお調べいただきまして、ひとつ指導の徹底をお願いしたいと思います。  次に、最近農林省の御努力で、用排水事業に対して、その施設の管理運営についての助成ができてまいりました。土地改良区においては都市化が進んで、あるいはまた農地のスプロール化の中で、混住、住宅ができてまいりまして、私先ほど申しましたけれども、その排水というものも、農用地だけの排水ではなくて、農用地以外の区域からの排水というものが多く出てくるわけでありますから、そういう排水に対します維持管理、負担金の軽減化、農家に負担がかからないように、あるいはまた、用水についても農家負担が軽減化されるようにということで皆様努力されているようであります。この農業用水、排水に対する管理維持についての現在までの国の助成策、あるいはまた今後の新規の助成についてのお考えをひとつお聞きしたいと思います。
  31. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 用排水施設ということで、土地改良施設というふうに言いかえてもいいと思うのでありますけれども、原則はもちろん受益者が費用負担ということなんですけれども、今先生がおっしゃられたように、都市化、混住化が進んで地域の共有の財産にもなっているわけでございますので、いろいろと工夫をして、国としてもこの維持管理に負担を行っていくということに努めてきております。  特に、公共性の高い一定の施設につきましては、国によって管理をする、あるいは都道府県、市町村の管理に対して助成をする、こういうふうなことをしておりますし、土地改良区などが管理をする施設に関しましても、施設の整備補修、それから施設の管理技術に関する指導等に対する助成というふうな、少し迂回をしておりますけれども、実質的には負担を軽減して維持管理の費用を出すというふうなことを工夫しております。  それから、十二年度にはかなり前進が見られまして、国営造成施設等の持っております多面的機能の発揮のための地域における適切な取り組みを促進するという観点に立ちまして、五カ年間の措置ではありますけれども、土地改良区の施設管理についての管理体制の整備という、これは表現は非常に抽象的ですが、実質的にはその維持管理について大きな支援をしていこうというふうな事業をスタートさせました。  今後、都市化、混住化の中で、用水、排水は地域の資産でもございますので、地域において一定程度の負担をすることについて御理解を得る、そして場合によるとそれを制度化するというふうな方向で見直しをいたしたいと考えております。
  32. 栗原博久

    栗原(博)分科員 自分のところの田んぼに立ちますと、昔の水田の面影はなくなって、完全に三面コンクリートの排水路になっておるわけでありますが、これはいい悪いは別といたしましても、国民の皆さんから良質な、そして安全な食料を理解してもらうためには、環境の面に配慮した農業であらねばならぬと私は思っています。そういう中で、環境と調和した農業、ただ殺伐としたような農地ではなくて、そこに動植物が共生できる農地というものもこれから真剣に考えねばならぬと思うのであります。  そういうことを踏まえながら、かつまた、私ども農村におりますと、農林大臣に対しますいろいろな御評価が出ております。私は、玉沢農林大臣は本当に果敢に農家の方の気持ちを思って行政を進めておるというふうに解しておりますし、また地元の農業団体の方々、農家の方々もやはりいろいろの新聞紙上などを見ながら玉沢大臣に対しまして大きな期待を寄せているわけでありまして、大臣におかれまして、我が国の農林行政の本当の責任者として、またシンパサイザーとして一層またひとつ御努力賜りたいと思います。  大臣から一言この基盤整備に対します思いをひとつ聞きたいと思います。
  33. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 土地改良は、我が国にとりましてはいつまでも進めていかなければならない課題だと思います。と申しますのは、国の地形上からいいましても七割が山地であって、平地は三割強しかない、こういう中におきまして、限られた農地をいかに有効に使っていくか、こういうことにおきましては、やはり土地改良といいますのは大事である。また、自給率を向上せしめる、こういう点におきましては、農地の造成なくしては自給率の向上といいまするものは望めない。  そういう観点から、土地改良は極めて重要な役割を果たしていく、こう考えるわけでございますが、その事業を進める上におきましても、農家の皆様の理解と協力を得て行われなければならない、こういう点におきまして十分配慮して、しっかりと頑張ってまいりたいと思います。ありがとうございます。
  34. 栗原博久

    栗原(博)分科員 ありがとうございました。
  35. 田中和徳

    田中(和)主査代理 これにて栗原博久君の質疑は終了いたしました。  次に、石井紘基君。
  36. 石井紘基

    石井(紘)分科員 私は、最近ちょっと風邪を引いているものですから、あらかじめ事前にきょうの質問についての内容をほとんどお知らせすることができなかったので、大変恐縮なんですが、できる範囲で御答弁をいただきたいと思います。  まず、四月の二十日の新聞に、農水三法人の申告漏れというので、トップに、「天下り、補助金受け皿 一億五千万円を指摘 東京国税局」、こうなっているんですが、これについての説明を、これは急ですから、すぐは困るでしょうから、後でしてください。ちょっとその前に三十分ぐらいほかのテーマをやりますので。——今できますか。では、お願いします。
  37. 伴次雄

    ○伴政府参考人 実は、農業関係のはちょっと持っておらない次第でございますけれども、日本林業技術協会につきましてまず申し上げます。  昨年の十一月に、平成八年、九年、十年度対象としました税務監査というものが実施されました。それで、経費の計上区分の誤り、それから、会館収入に伴います消費税の一部が未納であるという指摘をされまして、一千三百万円を追加納税したというふうに報告を受けております。  同協会としては、従前より、公認会計士とも相談し、適正な税務会計の処理を行ってきたところでありますけれども、今回は、一つは物品購入、それから、エレベーターのようでありましたけれども、建物の修繕費というものを損金算入にするかどうかという見解の問題、それから、会館の貸付収入というものが消費税の対象となるかどうかの見解の相違があったということで、これにつきまして修正申告に応じたものというふうに聞いておるところであります。
  38. 石井紘基

    石井(紘)分科員 それだけですか。これは何か三団体あったというのでしょう。
  39. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 日本農業集落排水協会につきましては、平成年度の税務申告におきまして、公認会計士の指導を得て約四億三千万円を未払い金として申告したところ、税務当局はこれを翌年度分に計上すべきとして、結果的には約四千五百万円を申告不足と判断したものと聞いているところであります。  同協会は、税務当局に対し修正に応じて、昨年十一月及び十二月に既に納税したと聞いているところであります。  家畜改良事業団につきましては、優良な種雄牛から精液を採取し販売するとの主要業務について指摘を受けたものでなく、平成八、九年度において、事業団の種雄牛管理施設の修繕費等について、税理士とも相談した上、当初損金として申告をし納税していたところ、十一年七月になって京橋税務署から、修繕費等は損金に算入しないで減価償却するようにとの指摘を受けたと聞いているところであります。  当該法人は、この指摘に従って直ちに修正申告を行い、所要の額について納税したと聞いているところであります。差し引き修正所得額七千七百万円に対し、法人税二千百万円を追加納付であります。  いずれにつきましても、課税対象についての税務当局との見解の相違等会計処理上の解釈に起因する問題があったものの、既に修正申告し、納税を終えているものであります。農林水産省所管の公益法人に対しましては、今後とも適正に対応していくよう指導してまいりたいと考えているところでございます。
  40. 石井紘基

    石井(紘)分科員 解釈の違いかどうかは知りませんが、これは収益事業の中から発生してきたものなんですか。
  41. 伴次雄

    ○伴政府参考人 日本林業技術協会につきましては、その収益事業費ということでなくて修繕ですので、今入っております会館のエレベーターの修理代があります。それから、一つは会館をいわゆる森林の技士会へ貸しておりまして、その貸付料ということでございまして、これにつきまして収益か公益かにつきましてちょっと把握しておらない状況でありますが、いずれにしても、事業実行というよりは会館の修理なりその貸付料がメーンというふうに聞いております。
  42. 石井紘基

    石井(紘)分科員 今のは日林協だけしかお答えがなかったのですが、ほかの団体はどうなんですか。
  43. 伴次雄

    ○伴政府参考人 二団体につきましては今ちょっと承知しておりませんので、申しわけございません。
  44. 石井紘基

    石井(紘)分科員 これは金額としては相当高額なものなんですが、これらの三団体の例えば役員だとか役員報酬だとか目的あるいは財務内容、具体的なものですね、そうしたものは全部お出しいただけるのでしょうね。
  45. 伴次雄

    ○伴政府参考人 まず、三団体の理事数の問題でございます。林野弘済会さんは二十四名でございまして、課長以上のOBは六名となっております。それから、林業土木……(石井(紘)分科員「林野弘済会のことは聞いていない」と呼ぶ)
  46. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 一つは、この税務調査の経過につきましては、昨日も農林水産委員会等で質問がありまして申し上げたわけでございますが、その財務内容とか収益事業との関連につきましては、本日は林業団体以外のところは質問項目がございませんでしたので、その点については用意しておりませんので、御了承賜りたいと思います。
  47. 石井紘基

    石井(紘)分科員 いや、それを今答えてくれと私言ったんじゃないのです。出せるんですかと。後でいいのですよ。後で出してくれるという答弁をしてくれればいいのです。
  48. 伴次雄

    ○伴政府参考人 今、林野関係についてはありますが、ほかにつきましては整備をしまして、また後ほどといたしたいと思います。
  49. 石井紘基

    石井(紘)分科員 どうも農水関係のいろいろな団体というのは、最近次から次へ問題が出てきているわけです。団体だけじゃなくて、農水省本体の方からもいろいろと問題が出てきているわけですが、日林協というのは何のためにあるのでしょうかね。
  50. 伴次雄

    ○伴政府参考人 日本林業技術協会でございますが、林業に関します科学技術の発展及び普及の宣伝を図る、あわせて、林業技術面からの産業の振興と文化の向上に寄与するというような目的であります。  それで、定款でどのようなことがありますかといいますと、一つが、科学技術に立脚する林業政策の考究及び推進、それから林業技術の改良及び発達に必要な事業、林業の普及及び宣伝に関する事業、林業に関します調査研究及び設計並びにその委託、航空写真の林業への応用に関する研究その他の普及指導、航空写真の撮影、設計及び航空写真による測量、森林調査の受託、それから講習会の開催、印刷物の発行等という内容でございます。
  51. 石井紘基

    石井(紘)分科員 これは、設立の根拠は何ですか。
  52. 伴次雄

    ○伴政府参考人 民法による法人であるというふうに思っております。
  53. 石井紘基

    石井(紘)分科員 そうなんだけれども、農水省の通達か何かがあってできたのですか。それとも、だれかがつくろうと言ってつくったのですか。
  54. 伴次雄

    ○伴政府参考人 公益法人につきましては、農林省がつくるとかつくらせるということじゃなくて、民間の方でこういうものをつくりたいということを許可するというような過程で農林水産省は関与するということになっておると思っております。
  55. 石井紘基

    石井(紘)分科員 形はそうなんだけれども、実態は違うのでしょう。だから、当たり前のことは言わないでもいいのですよ。私は実態のことを言っているんだから。  今、目的は、例えば科学技術の振興とか技術の改良とか普及とか言われましたね。では、今度は、林野弘済会の目的はどんなことですか。
  56. 伴次雄

    ○伴政府参考人 林野弘済会でございますが、保健、休養等のために森林を利用する者に対する便益の増進、それから、森林・林業に関する施策の推進に寄与するとともに、あわせて、林野庁等の職員及び退職者等の福祉の向上を図るということが林野弘済会の目的であります。
  57. 石井紘基

    石井(紘)分科員 林業土木コンサルタンツについてはいかがですか。
  58. 伴次雄

    ○伴政府参考人 林業土木コンサルでございますけれども、林業土木技術の向上及び建設業の経営合理化を図りまして、林業土木事業の振興、発展に寄与することを目的とした法人でございます。
  59. 石井紘基

    石井(紘)分科員 緑公団はどうですか。
  60. 伴次雄

    ○伴政府参考人 少し長くなりますけれども、農林業の生産条件なり森林資源及び農業の資源の状況から見まして、これらの資源の保全及び利用を図ることが必要と認められる地域におきまして、豊富な森林資源を開発するための必要な一つが、林道の開設、改良等の事業、それから水源を涵養するために必要な森林の造成事業、これと一体となっての農用地、土地改良施設等の整備をすることを通じまして、農林業の振興と森林及び農用地の有する公益的機能の維持増進に資するということが新公団の目的であります。
  61. 石井紘基

    石井(紘)分科員 大体どれを聞いてみても、どうしても一つのものがほかのものと歴然と違うというようなところが見当たらないのですね。日林協の場合ですと科学技術の向上というのは当たり前のことで、これは農水省そのものがやっているのでしょうし、農林関係に携わっているものは共通してそうした課題を持っているのでしょう。それから、技術の改良というのも当たり前の話であります。普及それから調査、設計、委託。委託なんという目的は何ですか、これは。これが日林協の目的だ。林野弘済会の目的は福祉の向上、便益の増進。ところが、やっていることは全然違う。日林協と似たり寄ったりのことをやっている。林業土木コンサルタンツも、抽象的に林業土木事業の向上と。  こうしたことに携わっている役所は、役所自体がこういったものの向上に努めているわけなんでしょう。その上に何でこんな抽象的な目的を持った団体というものが必要なんですか。緑公団の、森林資源の開発とか事業、森林造成、土地改良、こんなものほかのところでごまんと、あなた方の農水省のいろいろな政策やセクションの中の課題に出てきていますよ。段ボールに幾つも入るぐらいありますよ。要するに、こういうものはみんな要らないものなんだ。  日林協が資本金を出してつくった株式会社興林コンサルタント。これは、日林協に合わせて林業土木コンサルタントもあるいは林野弘済会も資本金を出して、この三団体がこぞってそれぞれ出資金を出し合って株式会社興林コンサルタントというものを相当以前につくった。歴代社長は、渡辺恒雄さん、林野庁監査課長。二代目は小島俊吉さん、長野営林局長。黒川忠雄さん、林野庁指導部長。四代目が中村廉、秋田営林局長、今農水委員長の秘書官。小泉孟、名古屋営林支局長。今が田代太志、青森営林局長。  それぞれの出資をした団体の発注。さっき、日林協の場合は委託というのが一つの設立の目的だと。おかしな目的ですが、日林協だけじゃなくて、この三団体とも、興林コンサルタントという会社に膨大な量の発注をしておる。  例えば林野弘済会、これは年間の発注件数が全部で八百十五件です。その八百十五件のうちの六十八件を興林コンサルタントに委託しておる。件数でいうと、これは数えていないけれども発注先一覧の会社名が六十か七十ぐらいありますよ、この中でトップのランクですよ。発注件数において六十八件というのはトップ。それから、金額においても、二億三千万円というのはやはりトップですね。こういうふうになっておる。あるいは林業土木コンサルタンツというのも同じような形になっておる。  これだけじゃないんですね。例えば、日林協は林野弘済会から事業をもらう、あるいは日林協は林業土木コンサルタンツに事業を出す。この三団体が事業をお互いに発注し合っているんですよ。それでお互いに出資をし合っている。今の興林コンサルタントだけじゃないんです。グリーン航業という会社、こんなのもそうです。それから旭友林業株式会社とか、たくさん、それぞれが出資し合ってやっている。  大体どういうことをやっているかというと、測量をやったり、調査をやったり、そういうことを要するに丸投げないし半丸投げしているんですよ。こういう会社もさらにその下にまた受けさせるんですよ。私は実態を詳しく聞いてきましたけれども、これはもうとんでもないからくりになっている。これじゃお金が幾らあっても足りない。足りないんです。  林業土木コンサルタンツは、七十八億ぐらいの予算をとって、それを十四億ぐらいのお金をかけて下に流していく。それに多少、自分のところも測量ぐらいしましたよとか、巻尺ぐらい持っていきましたよというような形だけは、格好だけはつけてあるんだけれども、大体、人件費を除けば半分よりもっと少ない金額でできてしまう事業を、倍にも三倍にもして予算をとっている。それをみんなやっているんじゃないんですか。林野弘済会も、それから林業土木コンサルタンツも。  日林協に至っては、一時バブルの時代なんかは、電源開発をやるんでもあるいはリゾート開発をやるんでも、保安林の解除というのが全国至るところでとにかくひっきりなしに必要だ、これは大変金になる商売だというんで、あなた、興林コンサルタントをつくったんじゃないですか。  役所がそういうおいしい話を独占して、わずかばかりの資本金を出して、そこにOBが行って、仕事は全部下に丸投げして、ないしは半丸投げをして、そしてやりたい放題のことをやっているんじゃないんですか。どうですか。
  62. 伴次雄

    ○伴政府参考人 まず、興林コンサルでありますけれども、今先生お話ありましたけれども、これは昭和四十五年から設立されている会社でありまして、いわば以前からのものでありまして、バブルということは後からの事情だというふうに思っております。  本会社につきましては、森林の調査とか測量とか、治山、林道それから緑化に関する調査設計等を行っておりますが、いずれにしても、受注しますと、全体計画の立案、それから最終の取りまとめというものはきちんとしております。その過程での、測量とか図面の作成とか森林の調査とか、そのような作業につきましては、一部委託しているというふうに聞いております。  また、弘済会なりコンサルさんなり日本林業技術協会につきましても、国等から受注を受けたものにつきましては、同様に、その全体の計画の立案から集約までしておりますけれども、いわゆる周囲測量とか図面の作成とか空中写真の撮影とか水質検査とか、一部の作業につきましては外注しているというふうな状態だと思っております。
  63. 石井紘基

    石井(紘)分科員 こういうのは役所から予算を出すわけですから、これはもう後は全部民間に行かなきゃいけないんですよ。そこに膨大な数の、何万人というような天下りがあって、それでそこが一々取り分をとっていたんじゃ、これはどこか暗い世界の話になるわけですね。そこはショバ代を取るだけですから、ほとんど。利権でもって、権利を振りかざして、それで、おまえのところへ仕事をやろうか、こうやって仕事をやる。そうすると、そこへ政治家が出てきて今度は集金して歩くわけでしょう、それらの企業を。  私は、役人の皆さんを悪いと言っていないんだ、言うつもりはないんだけれども、やはり役所でもこういうあり方というものは改善していかなきゃだめですよ。  この林野弘済会なんというのは、名前からいったって、本来、あなたが先ほど言われたように、福祉の向上とか便益の増進ですよ、明らかにこれは。ところが、やっていることは全然そうじゃないんですよ。大変大規模なビジネスをやっているわけですよ。財団法人だとか社団法人だとかいったって、公益の事業なんていえばほんの微々たるものじゃないですか。大部分が収益事業なんですよ。民間の仕事をみんな食っているんですよ。  それで農業をつぶしているわけですよ、あなた方は。農業が自分の足で立てないようにしているんじゃないですか。さっきから聞いていても、何の補助金だ、何の手当だ、青年だ、経営だ、支援だ、何だかんだというふうにして、それ自体を私は悪いと言っているわけじゃないんだけれども、そうやって自分の足で立てないようにして、事細かにことごとく全部役所が把握して、金が絡んで、そして押さえておく、そういう形になっていてどうして日本の農業が発展することができるんですか。  会計検査院にちょっと伺いますが、さっきから聞いておられて、こういう事件もまた起こった、これは脱税ですよ。こういうことをやっていたら脱税なんて出てくるのは当たり前ですよ。公益法人だなんといって、公益事業をやっているんじゃないんだから。大企業顔負けのビジネス、商売をやっているんだから。  それで、会計検査院は、少なくともこれだけの不祥事汚染、こういったものが広がっている以上は、本腰を入れて、こうした農水省及び農水省の関連の諸団体というところに検査をかけなくちゃいけない。これは緊急に必要である。  非常にあいまいです。私が、きのうでしたか、農水委員会で言った政治献金の問題なんかも、違法献金ですよ。ああいうものは日林協でどういうふうに処理されているのか。あれは平成九年に発覚したんだが、帳簿にちゃんと雑収入として収入に計上されているのかどうなのかというようなことも、示せと言ったって示さないんだから。そういうものも含めて全部会計検査院は検査をする必要がある。どうですか。
  64. 渡辺孝至

    渡辺会計検査院当局者 ただいま御議論のございました、林野庁関係の三団体を含めまして農林水産省所管の公益法人につきましては、国から補助金等交付を受けて事業を実施いたしましたり、あるいは国や国庫補助金交付を受けました都道府県等から発注を受けまして事業を実施したりしているものなどがございます。  会計検査院では、公益法人が補助金等を受けて実施した事業につきましては、経理が適正かなど経理面の検査を含めまして、補助事業が適切に実施されているか検査いたしてきております。また、国や国庫補助金等交付を受けました都道府県等から発注された事業につきましては、国や都道府県におきまして、契約額が適切か、契約の履行が適切になされているかなどを検査いたしてきております。  今後の検査に当たりましても、ただいま御議論ございました点を十分念頭に置きまして、適切な検査を実施してまいりたいと考えております。
  65. 石井紘基

    石井(紘)分科員 会計検査院に重ねて伺いますが、さっき私が取り上げましたこの脱税の問題というのは、検査院としてはどういうふうに考えたらいいんでしょうね。  例えば農業集落排水協会は、この年度処理すべきものを翌年度にするとかなんとかということで、そこのところの問題だというのは、こういうのはやはりその年度処理しなきゃいかぬということなんですかね。どうなんですか。
  66. 渡辺孝至

    渡辺会計検査院当局者 先ほど冒頭に御議論ございました三法人の税金の申告漏れの件につきましては、私どもの検査で申し上げますと、租税検査課の方で担当すべき案件であろうというふうに思っております。私の方から、詳細についても存じ上げておりませんので、答弁については差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  67. 石井紘基

    石井(紘)分科員 次に、ちょっと天下りの退職金の問題について伺います。  林業土木コンサルタンツの今の社長は岡本敬三さんという方だそうですが、この方はいつ農水省を退任されたのか。それで、そのときの退職金の金額を教えてください。
  68. 伴次雄

    ○伴政府参考人 現在の理事長であります岡本敬三さんは、平成六年八月に北海道営林局長を退任しております。退職金としては、五千七百八十万円程度をいただいたというふうに承知をしております。  なお、平成六年九月に副理事長として就任をしまして、平成八年の五月から今の理事長になっているというふうに聞いております。
  69. 石井紘基

    石井(紘)分科員 そうすると、その後の退職金は、副理事長になって、そのまま理事長になっているから、退職金はもらっていないということなのでしょうが、平成六年の九月ごろから副理事長をやって、今十二年ですから、もうかなり長いことやっているんですが、もし今やめたとすると大体どのぐらいになるんですか。
  70. 伴次雄

    ○伴政府参考人 実は、林業土木コンサルタントにつきましては、いわゆる理事の退職金につきましての基準というんですか、ルールというものは定まっていないというふうに聞いております。そして、退職に当たりましてその都度、理事会で決定をいたすというふうに聞いております。そういう際には、職歴とか経験年数とかあるいは経営状況とか、そういうものを総合判断して決めるというふうに承っております。したがいまして、現理事長が今幾らになるかという計算が困難であるという状況でございます。
  71. 石井紘基

    石井(紘)分科員 そのときの理事会でもって、さいころを振って幾ら幾らにすると決めるわけじゃないんですね。今言われたように、経験だとかキャリアだとか、その他いろいろ勘案して決めるということですから。  これは、どこの社会へ行っても、どこの会社へ行っても団体へ行っても、退職金の規定というものがあるんですよ。ところが、ここにはないというわけなんですね。そうすると、それはなくても一定の基準というものがないと、これはとんでもない財団だということになるんですね。これは、農水省としてもこんなことでいいのかどうなのか。  余り渋らないで、大体従来の慣行でいくとどのぐらいになりそうかという金額をお出しになったらいかがですか。
  72. 伴次雄

    ○伴政府参考人 いわばルールがないということで、はかることは難しいというのが現状であります。  ルールにつきましては、一般職員につきましては、労働条件ということで、給与とか休暇とかそれから退職金というものは明示する必要があるわけでございますけれども、理事というのはいわば経営者でありますので、そういうことで必須条件にはなっていないというふうに考えております。  ちなみに、今の理事長の前任者でございますけれども、この方の例が唯一ありますけれども、その例でいいますと、九年八カ月お務めになって一千二百万円余りをいただいたというふうに聞いております。
  73. 石井紘基

    石井(紘)分科員 次に、林野弘済会の今の会長というのは田中恒寿さんというのですか。この方が林野庁長官をおやめになったのは昭和六十年ですかね。これは幾らもらったんですか。
  74. 伴次雄

    ○伴政府参考人 現在の林野弘済会の会長である田中さんは、昭和六十一年の六月に林野庁長官を最終として退職をしております。退職金につきましては、五千九百万余りというふうに承知しております。
  75. 石井紘基

    石井(紘)分科員 その後今度は林業信用基金理事長になられたんですか。その団体がその後農林漁業信用基金というふうに名称が変更になって、この副理事長を平成四年の末まで務められているんですかね。そのときの退職金は幾らですか。
  76. 伴次雄

    ○伴政府参考人 昭和六十二年から平成四年までで、初めは理事長、それから組織がえで副理事長ということでございますが、三千万余りをいただいたというふうに承知しております。
  77. 石井紘基

    石井(紘)分科員 平成五年から現職にあられるわけですが、かれこれ七年近くになるわけですが、これまた前例あるいは基準からいくと、どのぐらいになりそうなんですか。
  78. 伴次雄

    ○伴政府参考人 林野弘済会につきましてはルールがあるわけでございますが、現時点で仮に退職するという計算をすると、六百万円程度になるというふうに聞いております。
  79. 石井紘基

    石井(紘)分科員 そうすると、林野弘済会の会長の田中さんの場合には、林野庁から五千九百万余り、それから農林漁業信用基金から三千百万ぐらい。そうすると、全部足して約一億近くということですかね。  それから、林業土木コンサルタンツの岡本理事長は、五千七百八十万ぐらいと、少なくとも今やめれば千二百万だろうということになると、七千万ぐらい。  これはほんの一部の問題ですが、こういう天下りというのはめちゃくちゃたくさんあるわけですよね。ほかの省庁にもうんざりするぐらいありますけれども、農水省の場合はまたちょっと飛び抜けて多くて、これは唖然とするぐらいなんですが、これはこういうままで、これが理想的な姿なんでしょうか、農林大臣。
  80. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 一人の人がそれぞれの公益法人を回りまして退職金をいただく、これが相当の多額になっておるという委員の御指摘でございますが、普通の目線で見れば、これはやはり相当多額に上っておるな、こういう印象を受けておるところであります。
  81. 石井紘基

    石井(紘)分科員 農林予算が少ない少ないと言いながら、使いどころがなくて無理やりいろいろな公共事業を構造改善局やら何やらがつくっているわけですが、農家の人たちは困っているわけですよ。困っているところが多いわけですね。そういう中で、こんなに野方図というかていたらくというか、お役所のOBと政治家が寄ってたかって、特に政治家が最悪なんじゃないかと私は思うんだけれども、ジャッカルみたいにあちこち行って食いちぎってあさってきている。これはもとはみんな国民の税金でしょう。そういうことで一体農業政策なんというようなものを語れるんですか。  答弁がなければ、これで終わります。
  82. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 政治家が食いちぎっているという話でございますけれども、これらの三法人を挙げられましても、政治的な献金はなされていない、こういうことでございますし、一事をもってすべてを解釈されるということはちょっと言い過ぎではないかと思いますので、その点だけは申し上げておきたいと思います。
  83. 石井紘基

    石井(紘)分科員 玉沢大臣がそういうふうに言われましたので、それは間違いなので、私はもう一回指摘をしなきゃならないことになりますね。この三法人を見ても政治献金をしていないとおっしゃったのですが、本当にそうですか。
  84. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 いわゆる食いちぎっているというような表現でなされているのはどうかということについて言ったわけでございますので、実態については調べた上で申し上げたいと思います。
  85. 石井紘基

    石井(紘)分科員 多分大臣は御存じじゃなくてそういうふうに言われたんだろうと私も善意に解釈をいたしますが、実は、林業土木コンサルタンツにいたしましてもあるいは林野弘済会にいたしましても、相当多額の政治献金が出ているんです。これは公益法人ですよ。大臣、せっかくそういうふうにおっしゃったわけですから、大臣の任期期間中にぜひこの点ぐらいはひとつ英断を振るって改めていただきますように強くお願いを申し上げたいと思います。  ありがとうございました。
  86. 田中和徳

    田中(和)主査代理 これにて石井紘基君の質疑は終了いたしました。     〔田中(和)主査代理退席、主査着席〕
  87. 坂上富男

    ○坂上主査 次に、春名直章君。
  88. 春名直章

    春名分科員 私、日本共産党の春名直章です。大臣、よろしくお願いします。  日本の代表的な農産物のミカンの大暴落問題についてきょうは絞って大臣にお聞きをしていきたいと思います。  まず、これは二月の十二日付の大産地の愛媛の新聞、愛媛新聞の一面ですけれども、「価格低迷、天候不順追い打ちで、九九年産カンキツ農家収入半減」、県内の八農協で支払い総額二百二十九億円にしかならないという記事であります。  それで、私は今月の八、九と産地をいろいろ回ってまいりまして、東宇和郡の明浜町、ここでは農協や生産者の方に直接実情を聞いてきた。それから、次の日の西宇和郡保内町では、二百三十名ぐらい集まりまして、ミカン問題のこの危機を打開しようというシンポジウムが開催されまして、私もそれに出席をしてまいりました。そこには、周辺の生産者だけではなくて、熊本、静岡、和歌山などの生産者の方々もそろいまして、議論をいろいろ重ねてまいりました。  それで、そのときに一つの写真を撮ってきたのです。ぜひ大臣、これを見ていただけませんでしょうか。  これは、明浜町の俵津というところのミカン園地のパネルです。通常は十一月、十二月に当然収穫をして、南柑二十号で、クリスマスのときに大体大都市にこれが出されるというものなんですが、この四月でこういう惨状です。つまり、収穫できないまま、あるいは収穫しないでそのまま園地がほうられている。すればするほど赤字になるからです。こういう状況があるわけなんですね。  そこで、私は産地崩壊の危機だなという危機感を持ってきょう参っておるわけです。その点で、農水大臣の、このミカンの価格の暴落問題、産地の実情についての御認識、直接お伺いに行ったりとかはなかなか大変かとは思いますけれども、いろいろ担当者からも聞いておると思いますし、その認識をまずお聞かせいただきたいと思っております。
  89. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 平成十一年産の温州ミカンにつきましては、いわゆる表年に当たりまして、早くから生産過剰が懸念されたことから、昨年五月には、果樹農業振興特別措置法に基づく生産出荷安定指針を策定しまして、摘果の強力な推進、出荷量の調整等を指導してきたところであります。また、これらの措置に加えまして、消費拡大、加工仕向け量の拡大等の対策により、需給の均衡回復に努めたところであります。  しかしながら、夏以降、西日本を中心に雨が多く日照不足となり、著しい品質低下が見られたこと、また、多雨により玉太り等が見られ、生産量が後半になってさらに増大したことによりまして、近年では、同様にミカンの表年であった平成九年産並みの価格低迷となったと認識をしているところでございます。
  90. 春名直章

    春名分科員 いろいろな対策を表年ということでとっていらっしゃった。そして、雨とかの天候の問題、農産物には天候不順がつきものですので、そういう問題がありました。そして努力もしていただいたわけだが、その結果が、率直に言います、今、現状はこうです。こういう事態になっているということなんです。  それで、私が非常に感じたことは、表年、裏年があって、それぞれいろいろ違いが毎年出るんだということなんだけれども、この大暴落が産地崩壊と結びついているということを私はぜひ御認識いただきたいということで冒頭に議論をしているわけです。  例えば、今見せたこのパネルは、当然ことしはもうミカンはとれません、こんなことをやっていますと。来年も大変です。廃園を覚悟なんです、これは。こういう園地がたくさんあるわけですね。廃園覚悟です。ほかの方に頼んで収穫だけはしてもらうということをやったとしても、そのお金もなかなか出ない。そのほかの方も高齢化をしていて、なかなかとれない、こういう状況があるわけですね。  明浜町で伺ったある生産者はこう言っていました。農協に経費を払い、役場に税金を払ったら、生活費は一円も残らない。残るのは茶わんとはしだけです。  それから、吉田町というところではこう言っていましたね。七十歳の生産者の方です。五十年ミカンをつくってきたが、こんなことはこれまでになかった。何しろ、温州がキロ十円、二十キロのキャリー一杯が二百円、ことしのようなことになればもうしまいになります。はっきりおっしゃっております。  後継者の状況を見ますと一層深刻でして、これは愛媛大学の教授があるシミュレーションをやりました。明浜町の役場が大学の教授に要請して人口動態のシミュレーションをやったのですね。農業就業人口が、男性で二十から四十歳までが、現在、二〇〇〇年で三十四名だそうです。ところが、十年後、二〇一〇年に三十四名が四名になってしまう。女性の場合はもっと深刻でして、二十から四十歳までが、現在農業就業人口十五名が一人になってしまう。つまり、超高齢化になってしまって、担い手がいなくなるという警告なんですね。  私は、農産物ですので価格がいろいろ変動することはあると思うのですね。しかし、今回のこの深刻な事態が重大な引き金になって、産地そのものが成り立たなくなるような事態に追い込んでいっているということの認識をぜひ大臣に持っていただきたいな、こういう思いできょう来ているわけなんです。  改めて、そういうことを聞いていただいて、今度はペーパーではなしに、実感を語っていただけたらと思いますが、どうでしょう。
  91. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 確かに、過剰によりましてこのような状況になっておるということに対して、大変残念なことだと思います。  したがいまして、今御指摘をいただきましたので、できるだけこの対策につきましても、また後継者の問題等につきましても、現状をよく調査しまして対策を講じなければならぬ、このように思います。
  92. 春名直章

    春名分科員 そういう御認識を持っていただいて、その上で、対応について、まず三点私は聞いてみたいと思います。  一つは、りんごわい化栽培等緊急推進対策事業というのがあります。これは、りんごわい化等ということで、ミカンも含まれていますけれども、ミカンの木の改植、高接ぎ事業がここに入っております。この事業は、ウルグアイ・ラウンド対策で、平成六年から十二年度までの事業で、温州ミカンなどを優良品種系統に改植する、高接ぎをする、そういうことを推進するために、国の補助率二分の一で実施をされてきたものですが、平成十二年度までで、今年度で終了するということになっているわけなんですね。  台風が何度もやってまいりまして、そのたびに塩害に見舞われたりしますけれども、改植事業をやりまして、これを活用させてもらって、新しい品種に改良することを通じて生き延びていく、こういう努力がこの間ありました。  特に愛媛の産地の場合は、御存じのとおり、農業基本法ができたとき、選択的拡大ということで、三十年、三十五年前からミカンがずっと植えられていくという経過になりました。この老木が、植えかえ、改植、高接ぎ、こういうことでかえていく時期にちょうど今重なっているわけなんですね。  ですから、私は、そうだなと思ったのですけれども、この事業はUR対策ですから今年度で終わりということになるでしょうが、しかし中身としては、農家にとって、大変支持をされ、喜ばれている事業であって、これを来年度以降も何らかの形で継続をする、あるいは県がこういう事業をやるときに、助成措置をやるときに支援をするなど、こういう対策をぜひ、農家に思いをはせて検討いただきたいと私は思っております。この点はいかがでしょう。
  93. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 継続の質問ですから、私の方から言わせていただきます。  本事業におきましては、リンゴだけでなく、温州ミカン等のかんきつ類の優良品種系統への転換についても助成をしているところであります。本年度は約二十億三千万円の予算を計上いたしておりまして、最終年度でもありますことから、まずは本年度予算の的確な執行が重要であると考えておるところでございます。  また、先般定めた果樹農業振興基本方針におきまして、温州ミカン等の生産努力目標の達成のため、優良品種等への転換が重要課題であるとしたところであります。  したがいまして、本事業の実施期間後の取り扱いにつきましては、本事業の実施状況、温州ミカン等の生産をめぐる諸般の動向を見きわめつつ、まず検討してまいります。  以上です。
  94. 春名直章

    春名分科員 諸般の事情を見きわめつつということをおっしゃられたので、その諸般の事情という中身できょう私言っていまして、まさに、先ほど申しましたように、価格暴落と産地崩壊の危機の上に立って、これから本当に、どう産地を生き延びらせていくのかという瀬戸際でありますから、この点で重要な事業として、その諸般の事情をそういう中身として検討して、来年度以降に何らかの継続が可能になるように、大臣、ぜひ頑張っていただきたい。よろしいですね。  二点目は、国営かんがい事業、当地でいえば、南予用水事業の農民負担の軽減問題についてです。  干ばつの危機を防ぐために、急傾斜の山の斜面にスプリンクラーが設置をされています。棒があります。これはスプリンクラーです。この地域は超条件不利地域、大変な急傾斜地ですよね。ですから、その労力の省力化ということで農水省も御努力をされて、この事業が始まりました。  国営事業でいえば、百五十億円の事業の計画が七百八十七億円に、五倍にはね上がってしまいました。工期も、十年間だったのが二十三年間に延長されて、長くかかったわけですね。ようやくできた。関連の県営事業が、皆さんにいただいた資料では、進捗率が九一%ですが、当初計画五百十九億円が七百四十五億円へと一・四倍にこれもはね上がるということになりまして、そのことが農家の負担への転嫁になっている状況があるわけです。多くの方から聞いた話では、反当約二十万円程度の負担だと言われたけれども、あけてびっくり、三十万から三十五万へと負担がはね上がって大変だ、こういう声が数多く寄せられる事態になっているわけです。  受益者が合意をしてその負担分を払うということは当然理解をできるわけです。ただ、その中には、当初の合意と違った反当たりの負担金、工期の延長や総工費の増大によってその負担金がふえる、合意なくそれが押しつけられる、こういう事態が一部にあるわけです。これは農家をある意味ではだますことになります。と同時に、そういう事態でないところでも、価格暴落で存亡の危機という事態があるわけなんで、改めて、返済ができない事態が今生まれているということを考慮いただきたいということであります。  農水省は、担い手育成事業の適用などでさまざまな努力や工夫もしていただいているということを聞いていますが、今の事態にかんがみて、まさに負担軽減の措置がどうしても今必要になっているという状況です。これから暴落から立ち直って経営が続けられるという見通しを持てるまで、例えば償還の延期を実施するような検討をしていただくとか、それを県とも相談して対応する等々、ぜひ御検討をいただきたいと思っております。どうぞ。
  95. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 今先生がるるおっしゃられましたので、中身の重複は避けますが、国営事業は農家の負担はございません。御承知だと思います。  それから、関連県営、ここのところに負担があるわけでございますけれども、関係市町村がかなりの軽減措置を、追加負担をすることでしておりますし、御指摘のありましたいわゆる担い手育成支援事業で、一般的な平均でいえば、総償還額が一五%軽減されるというふうな状況になっております。それから、平準化ということで無利子で先送りをするというようなこともやっております。  これから先を負担金問題でブレークスルーするのは、過去の負担ということでなかなか難しいんですが、農家の総持ち出しといいますか、そういう観点に立った実質的な負担軽減というのは、我々これから先も工夫の余地があろうと思っております。例えば、本年度から始まります土地改良施設の維持管理にかかる費用でございます。これにつきましては、やはり農家が負担をしているわけでございますので、施設の多面的機能に着目をいたしまして、五カ年間ではありますけれども、一定の支援をしていく。これは国全体では八十億という額に上りますけれども、当地区でもそういった制度の適用について検討がなされていると承知しております。
  96. 春名直章

    春名分科員 償還の開始と価格の暴落が重なっているということと、そして高齢化の三重苦になっているという状況なんですね。  この写真は本当に象徴的だと思うんですよ、大臣。園地で、ミカンはとれない、ミカンはとれないがスプリンクラーはしっかり設置をされている。この負担だけは借金で残るわけですね。しかし、ここは廃園をしていく。廃園をするが借金だけは残る、こういうことになるんですね。こうなりますと、高齢化してだれかにこの園地を買ってもらいたいと思っても、借金つきで買ってもらわなきゃいけませんので、なかなかこれは大変ですよね。もう廃園する以外にないといいますか、廃園しても借金だけが残る、こういう事態があるわけなんです。  今お話の中で、さまざまな手だてで、維持管理にかかる費用の軽減などの努力も、実際の持ち出しの問題として、総合的に検討していただくということを言われています。この点、今の事態をつぶさに見ていただきまして、償還の延期の問題やさまざまなそういう手だてをもう一度よく検討していただきたい、相談にも乗っていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  第三に、生果、そしてジュースの消費拡大対策についてです。とりわけ学校給食への利用拡大についてですけれども、学校給食への生果、ジュースの現在の利用状況と支援の状況について御説明ください。
  97. 木下寛之

    ○木下政府参考人 学校給食への果実の普及を促進するため、従来から、温州ミカンジュースを給食に取り入れるのに対しまして、一パック当たり二円程度の助成を行っているところでございます。  平成十年の導入実績でございますけれども、小中学校、養護学校等全体で八千校弱に対し大体二三%の導入率になっているというふうに考えております。生徒一人当たり年間約八パックというような実績でございます。
  98. 春名直章

    春名分科員 学校総数に対する実施率が約二三%。八パックということで、恐らく年間約一リットルぐらいになるかと思うんですね。  それで、農水省のいろいろな指針を読ませていただきました。例えば果樹農業振興基本指針では、国産果実の需要の維持拡大を政策目標として掲げて努力をする。それから、厚生省の健康日本21、ことしの二月に出ている冊子ですが、果実または果実製品はがんなどの日本人の重要疾病の予防や健康維持の観点からも毎日摂取することが望ましい品目だということで、一日の食事において果物を摂取している者の割合が平成九年二九・三%だが、これを二〇一〇年には二倍の六〇%以上に引き上げる、こういう目標を定めて努力をするということになっているわけなんですね。  つまり、政府全体の方針として、この温州ミカンを初めとしたかんきつ、そして果物の摂取を拡大していこう、消費拡大していこうという大方針がありまして、これ自身が日本人の健康にとっても、子供たちの健康にとっても大事だ、そういうことだと思います。  ところが、ミカンの購入量というのは年々下がっています。一九七五年の一人年二十キロをピークにして、グレープフルーツの自由化がやられる、オレンジの自由化の決着が八八年につく、この自由化の波と軌を一にして激減をして、一九八五年からは十キロを大きく下回って、現在恐らく五・九キロだと思います、私の計算では。  こういう事態になっているわけですから、実態は、理想の目標とは離れてきている。ギャップがあるわけなんですね。  そこでお聞きしたいんですけれども、学校での果実あるいはジュース等の利用を一層回数をふやしたり、そして実施を広げていく、二三%を五割、六割に持っていく、こういう方向で国の支援を厚くしていくことがいよいよ大事になっているように私は思います。その点で、この大きな国の方針にも沿っていますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。いかがでしょう。
  99. 木下寛之

    ○木下政府参考人 私ども、先般定めました果樹農業振興基本指針につきましても、国産果実の充実拡大を目指していくという方向を出しているわけでございます。  その中で、やはり学校給食につきましては消費拡大の重要な要素というふうに考えておりまして、本年度からは、温州ミカンジュースのみの助成から果実全般につきまして学校給食への普及を図るということにしておりまして、新たに学校栄養士協議会等とも連携をいたしまして、生鮮果実の調理方法の開発あるいはカットフルーツなどの加工品の供給体制の整備を図ることとしているところでございます。  いずれにいたしましても、学校給食におきますミカンジュース等々の助成につきまして、消費拡大全体の見地から取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  100. 春名直章

    春名分科員 緊急に私がぜひやってほしいということを今三点御提案を申し上げまして、ぜひよろしくお願いしたいと思いますが、同時に、大臣、まだ時間があるので、いていただけるのならば、私、ぜひ大臣と議論したいことがありました。  それはやはり輸入の問題です。グレープフルーツの自由化がやられました。そして八八年にはオレンジの自由化が決着をしました。九一年、九二年とこれが実施をされてまいりました。私は、率直に言いまして、この自由化の波が産地の崩壊に最大の影響を与えたという認識を持っております。  そこで、まず、これは事務的な話ですけれども、大臣にも聞かなければいかぬのですけれども、果実、ジュースの輸入の状況、これが国内産に与えている影響をどういうふうに農水省としては御認識をされているのか、まずこの基本認識を私聞いておきたいと思います。
  101. 木下寛之

    ○木下政府参考人 オレンジの果汁の最近の輸入状況でございますけれども、平成六年には相当程度輸入がふえた、十三万程度に輸入がふえたという状況でございますけれども、その後、七年には九万五千トン程度まで減少し、その後大体十万トン前後で輸入量が推移をしているという状況と認識しているところでございます。  一方、それが国内の農業に与える影響でございますけれども、私ども、輸入量が大体十万トン程度で推移をしている中で、国内生産が表、裏ということで相当変動があるということで、価格が変動しているわけでございますけれども、専ら国内価格の変動は輸入量よりは国内生産の増減によってもたらされているというふうに考えているところでございます。
  102. 春名直章

    春名分科員 輸入問題はもうけりがついて、安定的に推移しているから、余り影響ないんだというお話だったと思うんですね。それは全然違いますね。  この表は、今御説明いただいたものですけれども、自由化決着後ぐんと伸びて、そして最近落ちついているというのが数字です。ぐんと伸びて最近落ちついているというのが数字であって、ここ最近はそんなに変わっていないのはよく存じ上げております。飽和状態になっているんですよ。  同時に、その時期に、これも農水省にいただいた資料ですけれども、国内の温州ミカンの収穫量は二百五十万トンから約百二十万トンへと大激減をし、栽培面積は十一万五千ヘクタールから約六万三千ヘクタールまで激減をするということになっているわけですね。実際、このオレンジの自由化で、そういう政策をやってきたわけです。全国では千五百万本、愛媛県では二百万本のミカンの木が切り倒されて、この輸入の自由化に対して、産地を激減させて、そして維持をするという政策をおやりになってきたわけです、皆さんは。そうですね。  そして同時に、今もう飽和状態になってきている。確かに今急増しているわけではありません、この数字を見たらわかりますけれども。そういう中で、さらに価格の変動によって今回一層深刻さが増しているというのが今の姿だろうと私は思うんです。  そこで、大臣いらっしゃらなくなりましたので政務次官と議論をしたいわけですが、国内の産地を守り抜くのは政府の崇高な責任だと私は思います。  今、自由貿易至上主義に対して、シアトルでの閣僚会議は決裂もし、輸入国の権利を守ろうという流れが全国的にも世界的にも広がっています。アメリカを初めとする輸出国の身勝手さへの批判が世界的な流れになっています。私は、これは力強いと思いますし、その先頭に日本の政府が立つべきだというのは確信であります。  私は、この産地の事態を見たときに、今からでも遅くないですから、主権国家としての権利であるセーフガード措置、この発動ということを真剣に検討していただきたいということ。  と同時に、WTO農業協定の前文に、政務次官御存じかと思いますけれども、食糧の安全保障、環境保護の必要など非貿易的関心事項に配慮しなければならないという例の一文があります。非常に大事だと思いますね。産地が崩壊していくということは、まさに食糧安全保障を危機に陥れることになりますし、環境保護の点でいえば、まさにその役割が果たせなくなることになりますし、多面的機能の発揮ができなくなるということをそのまま意味することになるわけです。  ですから、何も気兼ねすることはありません。これだけの事態になってきているこのオレンジの自由化問題について、果実、ジュースの自由化について、やはり国内の産地を守るという立場から、一つはセーフガードの発動という問題、もう一つは非貿易的な関心事項にこれをしっかりと受けとめて、言うべきことを言うし、次期交渉に臨むということは最低限の政府の責任だろうということを私は痛感をするわけです。その点での御決意、認識を、政務次官、どうぞ。
  103. 谷津義男

    ○谷津政務次官 先生御指摘のとおり、温州ミカンにつきましては一般セーフガードがかけられるということになっているわけでありますが、これは、輸入が増加し、これにより国内産業に重大な損害またはそのおそれが生じている場合で、国民経済上緊急に必要があると認められたときに発動し得るものというふうになっておるわけです。  ただ、過去の様相を見ますと、実は輸入がぐっとふえた平成六年のときには価格が上がっているんですね。それから、平成年度は相当減った、そういうときにまた価格が下落している。先ほどからお話に出ておりますように、どうも表、裏の関係の方がむしろ大きな影響を与えているのではなかろうかというふうに考えるわけであります。したがって、オレンジについてセーフガードの発動要件がなかなかとりにくい状況にあるということは先生も御案内かなというふうに思うわけであります。  また、WTOの関係でございますが、先生おっしゃいますとおり、今、我が国も多面的機能ということにつきまして各国の御理解をいただきながらこの交渉に当たろうとしているところであります。  私も実は愛媛県へ行きまして、中山間地の置かれております実情というのをつぶさに見てまいりました。そういう中で、いろいろなお話も聞いてまいりました。実際、あそこでミカンをつくっているのは急傾斜地が多いんですが、あれが崩壊するようなことがありますと、私は国土の非常な崩壊につながっていくという感じを強く持ってまいりました。まさに多面的機能を果たしているのがここであるという象徴的なものがこのオレンジをつくっている畑ではなかろうかなというふうに思っているところであります。そういう面から見ますと、この多面的機能というのを十分に各国に御理解いただきまして、この点についてはしっかりと守っていかなきゃならぬというふうに強く感じているところです。
  104. 春名直章

    春名分科員 時間も参りましたので終わりますが、政務次官、農協のある幹部の方は、国に一番要望したいのは、国境措置を講じていただく以外にないとはっきりおっしゃっていますね。八八年以降、そのことを実感しているわけですね。そういう事態の中での今の事態です。  そういう点で、ぜひ今度の協定の交渉を、改定に向けた、本当に農家に希望を与える交渉をやっていただきたいということを心から念願して、私の質問を終わりたいと思います。
  105. 坂上富男

    ○坂上主査 これにて春名直章君の質疑は終了いたしました。  次に、木村太郎君。
  106. 木村太郎

    木村(太)分科員 おはようございます。  総括政務次官初め皆さん、御苦労さまでございます。三十分質問させていただきたいと思います。  今はミカンの議論が続いておりましたけれども、私は今度リンゴのことを中心にお聞きしたいと思います。  リンゴのことで、国のりんごわい化栽培等緊急推進対策事業のバックアップをいただきながら、私の地元青森県でもりんご園地若返り事業ということで取り組んでおります。リンゴ生産も大変厳しい状況が続いておりまして、この事業そのものは生産者サイドからは大変好評を得ていると思っております。平成年度を初年度として十二年度が目標年次とお聞きしておりますけれども、これまでの実績というのがどういう姿になっておるのか、お聞きしたいと思います。  あわせて、この事業は国ではウルグアイ・ラウンド対策として行ってきたようでありますけれども、多分十三年度以降も生産者側からはこの事業の延長を求めてくると思っております。これに対しての考え方をお聞かせください。
  107. 木下寛之

    ○木下政府参考人 りんごわい化栽培等緊急推進対策事業の実績でございますけれども、先生御指摘のとおりウルグアイ・ラウンド対策として平成年度から十二年度までの間の実施をしているところでございます。  平成十一年度までの実績でございますと、リンゴにつきましては、千三百十八ヘクタール、事業費ベースで百三十六億円となっております。なお、青森県につきましては、九百八十三ヘクタール、事業費で百十八億円というような実績でございます。  それから、第二点目のお尋ねでございますけれども、十三年度以降の取り扱いでございます。  本事業につきましては、本年度、十二年度でございますけれども、二十億三千万円の予算を計上しておるところでございまして、事業の最終年度ということでございまして、まずは本年度予算の的確な執行が重要だというふうに考えているところでございます。  また、先般定めました果樹農業振興基本方針におきましても、リンゴの生産努力目標達成のためには矮化栽培の一層の普及が重要課題であるというふうにしたところでございます。  したがいまして、本事業の実施期間後の取り扱いにつきましては、事業の実施状況、それからリンゴ等の生産をめぐる諸般の動向を見きわめつつ検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  108. 木村太郎

    木村(太)分科員 今の御説明ですと、特に我が青森県で事業の恩恵をいただきながら十二分に活用されているという答弁でありましたので、十二年度、ことしまず一生懸命最終年度やりますということでありますが、最後の方に、今御答弁にあったとおり、十三年度以降も前向きに検討していただきたいと心からお願いを申し上げたいと思います。  また、今も御答弁にありましたが、先般農水省が発表した果樹農業振興基本方針、あるいは、先般、新農業基本法制定に伴っての基本計画を推進するための総理を本部長とした第一回の会議も開かれたようでありますけれども、この二つの計画あるいは基本方針の中で、リンゴについて、自給率を初め生産目標や経営指標など目標指針というものをどのように掲げているのか、確認をさせてください。
  109. 木下寛之

    ○木下政府参考人 食料・農業・農村基本計画また果樹農業振興基本方針におきまして、リンゴにつきましては、平成二十二年度における望ましい消費の姿として需要をほぼ現状並みとした上で、生産努力目標につきましても現状並みの九十四万トンというふうにしているところでございます。生産が現状では減少傾向にありますけれども、この生産努力目標を達成するために、着色管理や摘果の不要な品種、あるいは現在の主力品種にかわる新しい高品質品種の育成、普及、また、新しい台木品種等を利用した矮化栽培の推進等、需要の維持拡大また生産の省力、低コストのための取り組みを推進していくことが課題であるというふうに考えているところでございます。  このような需要と生産の考え方を踏まえまして、リンゴの自給率につきましては、現状並みの六五%、特に生食用のリンゴにつきましては今後とも国産果実で需要を賄うということを見込んでいるところでございます。  それから、経営の姿でございますけれども、先ほど申し上げましたような生産あるいは自給率目標を前提にいたしまして、平成二十二年度には、現在のところ十アール当たり収量が二千十五キログラムでございますけれども、これを二千四十八キログラムまで増大させたいというふうに考えているところでございます。
  110. 木村太郎

    木村(太)分科員 現状並みで頑張っていきたいということでありますけれども、しかし、生産地の今の姿を見れば、やはり厳しい状況というか、またリンゴの生産をやめるという方も大分ふえてきた感じがあります。そういう流れの中での現状維持を目指すということになると、大変厳しい、それこそ今まで以上の努力がそこには求められると思います。  よって、先ほどお話しした園地若返り事業、矮化を中心とした生産体制強化、これも必要でありますし、もう一つ大事なことは、これは農水委員会でも何回も主張してきたんですけれども、青森県が生産者サイドと協力してスタートさせました生果の価格安定保障制度があります。これは青森県も国に対して重点要望の一つとして国のバックアップをお願いしているわけでありますが、こういった生産農家の経営安定のための対策がいま一つ求められてくるんじゃないかな、こう思うわけですけれども、前向きな御答弁をお願いしたいと思います。
  111. 谷津義男

    ○谷津政務次官 先生お話しのように、永年性の作物である果樹につきましては、需要に応じた速やかな作付転換が難しいということ、それから生産変動が大きいこと等の特性がありますことは先生も御案内のとおりであろうと思うんです。特にリンゴにつきましては、近年、台風により実が落ちるといいましょうか、それと高温障害等によりまして生産量や品質が大きく変動しておりまして、経営に影響が生じていることもあるということを承知しております。  このため、まず、需要に即した生産管理の的確な推進によりまして、生産、品質面の変動を極力抑えていくということが必要ではないかというふうに考えておるところであります。  また、果樹につきまして経営安定対策を導入することにつきましては、果汁を対象とした既存の仕組みや共済制度との関係をどう整理するのか、また数多くある果樹の中でどこまで対象としていくのか、必要な財源をどのように確保していくのか等々の問題がありまして、今いろいろと考えているところでありますけれども、今後とも、生産者団体とも意見を交換しながら慎重に検討してまいりたいと思いますので、先生の方からもよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。
  112. 木村太郎

    木村(太)分科員 総括政務次官、御答弁大変ありがとうございました。検討するというお答えでありましたが、その前に、慎重に検討すると、慎重という言葉がありましたので、その慎重という言葉よりも、前向きに検討するという考え方でぜひ先輩のリーダーシップを御期待したいと思います。  先ほど御答弁にありましたけれども、目標の中で、生食のリンゴは国内産で賄うように頑張りたいということでありますので、これはいろいろな形で、目標のキャッチフレーズ的に、ぜひ農水省サイド、指針の中でもこれからも打ち出していただきたい。そのためのいろいろな施策、生産体制強化等に努めていきたいということで頑張ってほしい、こう思います。  次に、ちょっと視点を変えますけれども、気になる新聞記事を目にしましたので、確認させてください。  これは私の地元紙の一部に載っていたのですが、その記事によりますと、去る十二日、アメリカの環境団体、環境ワーキンググループが、ワシントン州産のリンゴから日本では使用禁止されているメチルパラチオンという有害な農薬が検出されたと調査結果を発表したという報道がありました。農林水産省はこの事実関係を確認しているのかどうかお聞かせください。  というのは、アメリカ産リンゴは既に日本に対しての輸出は九四年から始まっておりますし、ことしの二月からはワシントン州産のふじが日本に向けて輸出がスタートしております。私は、この報道が事実かどうかということを我が国サイドでもきちっと調査すべきではないかな、こう思いますが、いかがでしょうか。
  113. 木下寛之

    ○木下政府参考人 先生御指摘のアメリカの環境保護団体の、メチルパラチオンなどの八種類の農薬が米国国内で流通しているリンゴから検出されたというような発表について、私どもも、そういう発表をしたという事実につきましては承知をしているところでございます。  また、アメリカにおきましては、本年一月から、メチルパラチオンにつきまして、リンゴなどへの使用を禁止したというふうに承知をいたしております。  なお、我が国に輸入される農産物中の残留農薬の問題でございますけれども、食品衛生法に基づきまして、厚生省がその安全性についてチェックをし、基準を超えていればその輸入を禁止しているというふうな取り組みを行っているところでございます。
  114. 西本至

    ○西本政府参考人 お答えをいたします。  今回の報道は、米国の環境団体が、米国内で販売されておりますワシントン州産リンゴを調査した結果、御指摘の人体に有害とされる農薬が検出されたとの発表を今月十二日に行ったというものでございます。  この報道内容に関する事実関係につきましては、現在、在米日本国大使館及び在日米国大使館を通じて調査を行っているというところでございます。  これらの調査結果に基づきまして、輸入時のモニタリング検査等必要な対策を講じることといたしておりまして、今後とも米国産リンゴの安全性確保に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
  115. 木村太郎

    木村(太)分科員 そうしますと、今の答弁ですと、きちっと日本側サイドでも調査していきます、確認を急いでいますということだと思いますが、ぜひその確認がとれた時点で、関係者、特にリンゴに関係する方々あるいは生産地サイドあるいは消費者サイドに対して、その結果というものをきちっとお伝えしていただきたいと要望申し上げたいと思います。  私は、これは厚生省が農薬そのものということらしいのですが、ただ、日本に上陸するときに厚生省サイドが検査するという私なりのイメージを持っているわけです。ゆえに、現地の生産している現場がどうなのか。新聞報道では、アメリカの国内で販売しているものに有害な物質が検出されたということでありますけれども、本当に日本向けに輸出が始まったふじを生産した園地では使用していないのかどうかということも調べる必要があるのではないか。  あるいは、仮に、今回検出された、その生産された畑の隣あるいは近くに、日本向けのリンゴを生産した畑が、園地があるとか、そういうことをやはりきちっと調べて、そういうことも踏まえての調査結果というか、事実関係をきちっと確認していただきたいな。むしろ生産地における実態というものを調べてほしい。  ですので、厚生省というよりも、むしろ私は農林水産省にお願いしたいわけであります。病害虫等では農水省もこれまでいろいろな外国における生産地の調査なんかしていますけれども、このことを強く要望したいのですが、もし御答弁あればお願いしたいと思います。
  116. 木下寛之

    ○木下政府参考人 先ほど申し上げたところでございますけれども、日本に輸入される残留農薬の問題につきましては食品衛生法で現在対応しているという状況でございまして、重複になりますけれども、厚生省がその安全性につきまして輸入時にチェックをし、基準を超えていればその輸入を禁止しているという取り扱いになっているところでございます。
  117. 木村太郎

    木村(太)分科員 でも、生産の姿がどうなのか、現地の姿をいま一度チェックすべきではないかなという私の提言をしかと受けとめていただきたいとお願いしたいと思います。そういったことも踏まえての、事実関係を確認しての、消費者、生産地、国内における関係者に対しての大きな国としての努力の姿勢が問われるのではないかなと指摘しておきたいと思います。  次に、植物検疫制度に関してお聞きしますが、WTOから昨年勧告がなされたわけでありますけれども、今現在、その勧告に基づいて新たな検疫制度をつくる努力、検討をしているようでありますけれども、現時点でどういう考え方に基づいて新たな検疫制度を打ち出そうとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  118. 谷津義男

    ○谷津政務次官 先生御指摘のとおり、WTOの勧告がございまして、我が国が行っております、コドリンガの侵入防止のための検疫措置として輸出国に義務づけております従前の品種別殺虫試験の仕組み、これは虫を入れてそこでやるというものなのですが、昨年の十二月三十一日に廃止をいたしました。  これにかわる新たな検疫措置につきましては、コドリンガの侵入防止に万全を期すことを基本としまして、科学的、技術的な観点から今米国側と調整を進めているところでございますが、できるだけ早くこれの結論を出していきたいと思っております。
  119. 木村太郎

    木村(太)分科員 スケジュール的にもできるだけ早くということでありますので、特に生産サイドでは、新たな検疫制度がどういう仕組み、内容になるのかということを大変注目しております。それはやはり、日本にない病害虫が入ってこないために勧告に従って新しい制度をつくらざるを得ないけれども、その中身はどうなのかということを大変注目しておりますので、そのことを重視して、ぜひできる限り打ち出していただきたいとお願いしたいと思います。  関連して、仮に制度の中身が新しくなったとしても、その病害虫が入ってこないために万全を期すためには、例えば検疫官の配置をさらに今まで以上に充実させるとか、そういうことも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  120. 木下寛之

    ○木下政府参考人 輸入植物検疫におきます検査体制でございますけれども、従来から業務量に応じまして植物防疫官を適切に配置する等、検査体制の整備に努めてきているところでございます。  今後とも、病害虫の侵入、蔓延の防止に万全を期するため、その充実に努めてまいる所存でございます。
  121. 木村太郎

    木村(太)分科員 ぜひよろしくお願いします。  以上、リンゴ関係のことはこれで終わりたいと思います。  次に、通産省資源エネルギー庁サイドにお聞きしたいと思います。  六ケ所村では高レベル放射性廃棄物が貯蔵されているわけでありますけれども、これはあくまでも三十年から五十年という一時貯蔵であります。言いかえれば、最終処分地ではないということであります。このことは、以前、地元の青森県と国と書面をもって確認されておりますけれども、これまで幸い大きな事故などはなかったものの、時々不備な点が発見されたりしておりました。  国として、この高レベル放射性廃棄物の一時貯蔵における安全性確保についてこれまでどういう対応をしてきたのか、また、これからも事故や不備が一切ないために、国としての今後の取り組みをお聞かせください。
  122. 伊勢呂裕史

    ○伊勢呂政府参考人 科学技術庁といたしましては、廃棄物管理施設につきまして、事業許可の段階において厳正な安全審査を行うとともに、詳細設計、建設及び操業の各段階において設計及び工事の方法の認可、使用前検査、定期検査等を行うことにより、その安全性を確認し、さらに個々のガラス固化体の受け入れに当たりましても、法令に基づきまして、その健全性を一本一本確認しているところでございます。  加えまして、昨年十二月に成立いたしました原子炉等規制法の改正によりまして、事業者に対して保安教育への取り組みを一層求めるとともに、事業者が保安のために講ずべき措置を定めました保安規定の遵守状況に関する定期検査などが定められたところでございます。  当庁といたしましては、これらの安全規制につきまして、今後とも一層厳正に運用し万全を尽くしてまいりたいと考えております。
  123. 木村太郎

    木村(太)分科員 失礼しました。ただいまのは科技庁に対しての質問でありました。  次が通産省資源エネルギー庁サイドへの質問になりますけれども、きょう衆議院の本会議で特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案が趣旨説明される予定でありますけれども、これは通産省中心にまとめたというふうになっております。  六ケ所村で今現在一時貯蔵されている高レベル放射性廃棄物を最終処分するために、その技術やコスト、特に処分地の選定等、これらはこれからも決して私は平たんな道のりではないと思います。しかし、今回この法制定によって進めようとする国の姿勢は大変評価したい、こう思っておりますが、きょう本会議で趣旨説明され、議論がスタートされますこの法制、法律を仮に制定して、今後の国としての最終処分に対しての決意というものあるいは取り組みというものをお聞かせいただきたいと思います。  また、ちょっと具体的に、あわせて聞きたいんですけれども、今取り組みがスタートしようとするこのとき、六ケ所村そして青森県は最終処分地にならない、つまり、六ケ所村、青森県以外での最終処分地がこの法律が制定されることによって選定されていくことになるということをいま一度確認させてください。
  124. 河野博文

    ○河野政府参考人 御指摘の高レベル放射性廃棄物の処分対策でございますけれども、これは、原子力発電を行っていく上でいわば残された最重要課題の一つということでございまして、費用負担にかかわります世代間の公平性確保の観点からも、一刻も早い取り組みが必要だと考えてきたところでございます。こうした観点から、今御指摘ございましたように、高レベル放射性廃棄物の制度的枠組みを構築すべく、特定放射性廃棄物の最終処分のための法律案を提出させていただいたところでございます。  今後は、国会において本法律案の御審議をいただきまして、成立をさせていただければ、処分費用の確保、そして処分実施主体の設立等に精力的に取り組みまして、高レベル放射性廃棄物の最終処分の実現に向けて最大限の努力をしてまいる、そういう考え方でございます。  それから、御地元との約束は、まず第一義的には科学技術庁の方からお答えさせていただきますけれども、行政の一貫性という観点から、当然科学技術庁のこれまでの対応と将来の対応は一貫性を持つものというふうに思っております。
  125. 興直孝

    ○興政府参考人 青森県が高レベル放射性廃棄物の最終処分地にならないということに関しましてただいま河野資源エネルギー庁長官の方からお答えがございましたが、これにつきましては、御案内のとおり、科学技術庁長官から青森県知事あてに発出されました文書におきまして、「知事の了承なくして青森県を最終処分地にできないし、しないことを確約します」としているところでございまして、この回答につきまして、現在もその方針に変更はございません。
  126. 木村太郎

    木村(太)分科員 六ケ所村は一時貯蔵をしているんですね。あくまでも一時貯蔵です。一時ですから、それが過ぎればどこかに持っていかなければならない。そして、今御答弁あったとおり、国と地元青森県で書面で約束をしている。そして、今回その処分を促進するための法律が制定されようとしている。この法律が仮に制定され、法律の裏づけあっての取り組みというか努力がスタートしていくとすれば、もう一度聞きますが、私が言った三つの視点をもってしても、六ケ所村、青森県は最終処分地になることはないということで確認したいということです。それでよろしいですね。
  127. 興直孝

    ○興政府参考人 お答え申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたとおり、この文書に沿いまして施策を講じていくものでございます。また、明年一月六日には新しい行政組織体制が行われるという形ではございますけれども、科学技術庁長官の約束は経済産業省においてしかと受けとめて対応していただく、このように考えているものでございます。
  128. 木村太郎

    木村(太)分科員 いや、そのままストレートに答えてください。一時貯蔵しているわけですから、それを過ぎるとほかに持っていかなきゃいけない、そして書面でも約束している、法律もつくる、よって青森県、六ケ所村が最終処分地になることはない、あるのかないのか、それだけを確認させてください。あるかないかでいいですから。
  129. 河野博文

    ○河野政府参考人 この法案は、先ほども先生御指摘のとおり、最終処分地を具体的に選定をして実現するための法案でございます。その前提といたしまして、青森県の六ケ所村が一時貯蔵であるということも十分承知しております。そのこれまでのさまざまな御協力に対して科学技術庁から、先ほど御答弁申し上げたようなお約束をさせていただいている、これも十分承知しておりますので、この法律の運用には必ずこれが反映されるということでございます。
  130. 木村太郎

    木村(太)分科員 では、六ヶ所、青森県が、今までどおりの解釈で、最終処分地になることはないと私はこの場でいま一度確認させてもらった、そういうことでよろしいですか。
  131. 河野博文

    ○河野政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、従来の科学技術庁が続けてまいりましたお約束、それを念頭に置いて当然最終的な処分地の選定に努力してまいります。
  132. 木村太郎

    木村(太)分科員 では、私はそのように認識させていただきました。  しかし、法律をつくって、これから、先ほども言ったとおり、コスト面でもあるいは技術的にも、もちろん場所の選定にも、大変な御苦労が続くと思いますけれども、ぜひ国の責任ある取り組み、また努力をお願いしたいと思います。  次に、環境庁サイドにお聞きしたいと思いますが、私の地元に白神山地がありまして、一九九三年に世界遺産に登録されております。この世界遺産を、白神山地の自然を守ることと同時に、その自然を享受することも大事だと思っております。  環境庁は、遺産センターを現地に設置しておりますけれども、これまでどういう取り組みをしてきたのか、お答えをいただきたいと思います。
  133. 小林光

    ○小林政府参考人 御説明申し上げます。  白神山地世界遺産地域の管理につきまして、この地域が平成五年に世界自然遺産として登録された後、平成七年に、環境庁、林野庁及び文化庁合同で白神山地世界遺産地域管理計画というのを作成し、これに基づいて具体的な施策を講じてきたところでございます。また、同じ平成七年に、この地域の自然環境の適正な保護管理を推進することを目的にしまして、環境庁や林野庁、それから青森県、秋田県、それぞれの教育委員会初め地元の関係機関から成る白神山地世界遺産地域連絡会議設置して検討を進めてまいりました。  環境庁では、今御指摘のとおり、平成七年から八年にかけて青森県の西目屋村に、また、平成八年から九年に秋田県の藤里町に、それぞれ白神山地の世界遺産センターというものをつくって整備しますとともに、そこに職員を配置しまして、当該地域の適正な管理、調査研究、それから自然保護の普及啓発というような活動を推進してきたところでございます。
  134. 木村太郎

    木村(太)分科員 連絡会議なんかも現地でつくっているようでありますが、お聞きしましたら、環境庁も入って、あるいは地元青森県なんかと一緒に協議会というものを設けていろいろ協力しているようでありますけれども、その中で、例えば具体的なことで、暗門の滝の遊歩道の整備とかいったことを検討しているようでありますけれども、これらを含めて、今後の取り組み方ということをお聞かせください。
  135. 小林光

    ○小林政府参考人 今後とも、先ほど申し上げました白神山地の世界遺産地域管理計画に沿いまして、地元の連絡会を中心に適正な保護、管理に努めてまいりたいというふうに思っています。  具体的には、私どもで設置しました世界遺産センターを活用しまして、その地域の自然の現状を正確に把握するようなモニタリング調査、それから、世界遺産地域に登録されますと非常に多くの人が訪れてまいりますので、そういう遺産登録によります社会的、経済的ないろいろな影響把握というようなことも引き続き調査をしてまいりたいと思っています。  また、先ほど御指摘にありました暗門の滝の自然保護につきましては、この地域が青森県の県立の自然公園の中であるということで、今青森県におきまして具体的な整備のあり方について検討しているところであります。検討委員会もつくりまして、おおよその基本的な考え方が出されました。  そういうことに関しまして、これから整備が具体的に進むと思います。環境庁といたしましても、この地域の自然環境の保護と適正な利用というものが進むように、そういう観点から必要な協力をしてまいりたいと存じております。
  136. 木村太郎

    木村(太)分科員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
  137. 坂上富男

    ○坂上主査 これにて木村太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、滝実君。
  138. 滝実

    ○滝分科員 私は、自由民主党の滝実でございます。時間の制約もあるものですから、今回は、土地改良制度の問題、そして、家畜の排せつ物処理の問題に絞って質疑をさせていただきたいと思います。  両方とも、新しい制度の枠組みの中でそれぞれの検討をされている問題でございますし、議論も相当長い間尽くされた問題でございますけれども、私の地元の問題を念頭に置いて質疑をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  まず、土地改良区の問題でございますけれども、これにつきましても、私の地元の問題は何が中心になって土地改良区が成り立っているかと申しますれば、ため池の管理、そしてその維持、あるいはその後の修復工事、そういうものを中心にして土地改良区が運営されているものですから、ため池ということを前提にお考えをいただきたいと思うのです。  そこで、この土地改良制度の問題は、新しい農業基本法の問題に合わせて、当然新しい観点からいろいろ改正の議論がされているわけでございますけれども、特に私は農家負担あるいは非農家の負担あるいは市町村のかかわり合いの問題、そういったことについてお尋ねをしたいのでございます。  そこで、その前提となる改良制度の問題、今の三点に絞った場合に、どういうような改正を検討されているのか、それをまず、簡単にで結構でございますから、その方向づけというような観点でお示しをいただきたいと思うのです。
  139. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 土地改良制度について、総合的な見直しを現在検討しております。その中で、今先生がおっしゃられたことも大きなテーマになっております。といいますのは、農村地域が非常に混住化、都市化をしてきているということでございます。つまり、大多数の方が非農家であるという実情、それから、農業者の組織である土地改良区自身が非常に零細で、財政力もなくて弱体化をしてきているという実情がございます。  こういう中で、今先生がため池を例に出されましたけれども、土地改良施設が果たしている公益的、公共的な役割、これはどうも農業者だけのものではないだろうということになれば、この機能をもっと前面に出して、そのかわり負担をまた非農業者の方々に求めていくということが必要だろうというのが大きな議論になっております。  ただ、この点につきましては、負担を求めるということになれば、その土地改良施設なり土地改良区の運営についての参加、そういった仕組みも検討しなければなりません。したがって、そういった農業者以外からの負担ということについて現場の理解がどれだけ得られるかという現場適合性の問題を現在まず検討しております。と同時に、その理解が得られましたならば、この地域の方々の土地改良施設なり土地改良事業に対する参加の度合いというものも視野に入れながら、負担をどうするかということを議論していきたいと考えております。
  140. 滝実

    ○滝分科員 特に、そういう議論の中で、漏れ承りますと、土地改良区の変貌に対応して、できたら市町村単位ぐらいに改良区をまとめていったらどうだろうかという議論もあるやに聞いているのでございます。それはそれとして、そういう方向づけもあるのかなということは理解できるのでございますけれども、現実の農家負担ということを考えた場合に、そういうことが将来の問題としていいのだろうかという意味で一つ申し上げますので、お答えをいただきたいと思うのです。  というのは、現在のため池管理に当たりましても、当然のことながら、維持費について一反当たり幾らということで農家は負担金を納めているわけですね。ところが、ため池の水利でございますから、米づくりをやらなければ意味がないのでございますけれども、御案内のとおり減反政策をやっているものですから、この改良区の対象地域の農家のすべてが実は米づくりをやっているわけではなくなってきているわけです。ところが、この負担金の基準は、要するに昔ながらの一反幾らと、いろいろな等級を分けて、あるいは水の利用割合に応じて負担金もそれぞれ細かい区分をしているところがあると思うのでございますけれども、押しなべて米づくりをするという前提でこの負担金を納めている。したがって、その中には、全く水利、改良区の恩恵にあずかっていない農家が圧倒的に多いのでございますけれども、従来どおりの負担の区分に応じて納めているわけですね。  したがって、そういう意味では、実質的には既に農家、非農家の区分がなくなっている。要するに、米づくりに必要な水を使わなくても、昔からその地域にある農家は負担金を納めている、こういうのが実態なのでございます。  こういうことを考えますと、例えば一市町村一つの改良区にした場合に、いわば米づくりをしない農家がため池のための改良区の負担金を納めるかどうかということはゆゆしき問題になってくる。なぜかといえば、その地域の昔ながらのため池を中心とする改良区でございますから、水を使わなくてもやむを得ず負担金を払っている。なぜかというと、水を使わない農家が払いませんと、米づくりを現実にやっている農家の負担金がその分だけかぶってくるわけですね、当たり前の話ですけれども。そうすると、それはもう払えない。現在の米の値段からすれば、米作をしていない農家の負担金部分も実際に米づくりをしている農家に覆いかぶせる、これは当たり前なんですけれども、地域共同体としましては、当たり前のことが当たり前のようにはいかない。それはもうとても払えたものではないだろう、こういうことになっているわけです。  その合い言葉は、減反は国の政策だから、米づくりをしなくても負担金を払ってくれよな、こういう極めて合理性のない思いで払っているわけでございます。こういったことを考えた場合に、その地域のまとまりから抜け出て、改良区を一行政単位に広げるということが本当に可能なのかどうか、そこら辺のところのお考えを伺いたいと思うんです。
  141. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 全国で七千ある土地改良区をこれから強化していかなきゃならないわけですけれども、その際どういう形でそれをまとめていくかという点については、必ずしもまだ結論が出ておりません。  確かに、力をつけるという点であれば、一市町村一改良区でいいではないか、こんなこともあるわけですが、では、そうなったときに、土地改良区という特別な組織と市町村との間は差がないではないかというふうな声もあったりいたしまして、むしろ流域ごとに整備をすべきだとか、先生のおっしゃったような、ため池の幾つかのまとまりごとに整備すべきだとかいろいろ議論がありまして、これももう少し現場の方々の御意見をよく承って、地縁的なまとまりと行政的な運用の有意性ということをはかりにかけながら勉強したいと思っております。  それから、転作、生産調整に伴ういわゆる経常賦課金の賦課の問題につきましては、必ずしも私どもも一本でやれということではなくて、その集落なり改良区の中の実情に応じて差をつけてもらっても結構だというふうなことも指導しております。  加えて、やはり今おっしゃられましたように、負担が非常にきつくなっているわけですから、経常賦課金から出されているいろいろな維持、管理、修繕、そういったものについて国の支援とかいうものを強化する中で、全体としての持ち出しを軽くしていってやろうというふうなことを考え、また実施をしているところでございます。
  142. 滝実

    ○滝分科員 恐らく、そういうことで具体的な実情に応じたきめ細かさが必要だろうと思うんですけれども、現実にきめ細かくしますと、今言ったように、実際に米づくりをしている農家の負担が耐えられない。こういうことをどうやって解決するのかなというふうに思うわけでございます。それは後ほど、市町村との問題のときにお答えをいただきたいと思うんですけれども。  それからもう一つは、できるだけ負担を軽くするということもあるのでしょうし、利益を受けている各世帯からいただくということもあるのでしょうけれども、いわば水路に生活排水を流している非農家から何らかの負担を求めるということは当然な話なんでございますけれども、こういった問題についてはどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
  143. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 私は、方向としては、当然そういうふうな方向にこれから行くだろうと思います。物理的な利用として、今先生がおっしゃったように排水路の共同利用とかいうふうな問題もございますし、ため池について言えば、農業的利用以外に、多面的な、都市的な、自然環境というふうな意味での利用もございますので、やはり市町村や非農家に負担を求めていくような方向はそのとおりだろうと思います。  ただ、この問題につきましては、先ほども申し上げましたように、負担を求めるのであれば、その非農家に対して、土地改良区なり土地改良区の施設について、要するに負担に伴うどういうメリットを与えられるかというシステムと理解がございませんと、一朝一夕にはできませんので、そこの点について、もう少し、現場適合性の観点から幅広く御意見を賜り、制度の構築に向けた検討をしたいと思っております。
  144. 滝実

    ○滝分科員 現在、市町村が、いわばガイドラインと申しますか、土地改良区に関連する市町村の負担のガイドライン、こういうようなことから、何がしかの負担金というか、財政支援をいたしているわけですね。  その財政支援の理由はいろいろあるだろうと思うんです。  一つは、市町村が行っている水道事業の補完水源として依存をする、実際に水を使わなくても、いざというときの、渇水のときの補完水源として利用させてくださいよ、あるいは水道用水が急激にふえた場合の補完用水のためにお願いしますということで、財政支援をふだんからやっておくというのが一つありますね。  それからもう一つは、非農家の生活排水と申しますか、そういうもののための水路として使わせてもらうという意味で、抽象的な市町村にとってのメリットということで何がしかの助成をさせてもらう、こういうことだろうと思うのでございます。  例えば水道の補完水源として使う場合にはかなりの額の財政支援ができると思うのですけれども、生活排水のために水路を使わせてもらっているというような場合には、ガイドラインの考え方もあるのでしょうけれども、この場合の市町村の維持管理費に対する助成というのは極めて低いのですよね。ですから、そこのところはもう少し踏み込んだものがないと現実に土地改良区が維持できないのではなかろうかなという感じがあるのですけれども、そういったいわば量的な問題についてはどういうふうにお考えなのでしょうか。
  145. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 私どもがとりましたデータの中でも、土地改良施設の公益的、公共的機能の実態の中で一番多いのが、家庭雑排水の受け入れが約四割、それから工場の排水の受け入れが約二割ということで、この二つ合わせましてもう六割近いわけでございます。したがって、こういったものについてはいずれ応分の負担を求めていかなければなりませんし、地方公共団体も、市町村の負担になりますが、現行では約百二十億円程度の負担をしているという状況にあります。  ただ、それだけでは十分でないということで、地方財政措置としても平成年度から普通交付税の措置が講じられておりますし、それ以外に、今度は農林水産省からの助成ということで、国営造成施設とそれの関連施設について、多面的機能発揮の観点から、言ってみればうまく維持運営されるような助成を当面五カ年間実施をしたいというふうに思っております。これは十二年度からですが、政府助成と地財措置、こういったものをあわせまして、土地改良区の施設が将来に向けて何とかうまく回っていくような、そんなことに努めたいと思っております。
  146. 滝実

    ○滝分科員 今の状況では、特に生活排水という観点から水路を使わせてもらうというようなものについては、助成の規模が極めて小さいと思います。こういうようなことが見受けられるわけでございまして、単なる恩恵的な財政支援というよりも、施設を使わせてもらうということについての当然の経費として負担すべきものは負担をする。そういうふうにしませんと、単なる恩恵というのはいかがなものだろうかな、こういうふうに思いますので、これからの改正に当たっては、もう少し、そこら辺のガイドラインというか、そこのところは踏み込んだ、きちんとした仕組みをぜひお願い申し上げたいと思うんです。  それから、これは感情的な問題なんでございますけれども、この種の修復工事をする場合に、建設省の関係というか、建設省というとおかしいのですけれども、河川関係の工事でやる場合にはほとんど地元負担がゼロだ。ところが、純然たる農業施設としてやる場合には、当然改良区の事業でございますから、それなりの臨時負担がかかる、こういうことがかねて指摘されているのですよね。  ところが、住民からすると、あっちのため池は今度えらい立派な公園みたいなことになって、どうも負担がゼロになった、いや、すごい。こっちの方は、毎年しょぼしょぼ少しずつ修復事業を継続している。こっちの方は、修復ですから大して見ばえのしない工事のために臨時負担金が課せられる。こういう矛盾感といいますか、これは当然といえば当然なんですけれども、そういった点についてはどうお考えになるのでしょうか。  これはあらかじめ通告をしておりませんのでお答えしにくいかもしれませんけれども、改良区の改正の中で取り上げるには余りにも枝葉末節な議論かもしれないけれども、住民感情としてはあるということで、ぜひここら辺のところもお考えをいただきたいと私は思います。お答えしにくいでしょうから、御要望だけ申し上げておきますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、家畜の排せつ物処理についてお伺いさせていただきます。  新しい環境三法と申しますか、そういうことの中で、私の地元でも零細なというか小規模な畜産農家がかなり点在をいたしているわけでございますので、北海道とか九州のような大規模団地で経営するというものとは違うものですから、それなりの悩みというか、特に環境問題ということになると、大団地以上に実は問題をみんな抱えているということを認識しているわけですね。  そこで、平成十六年までには何とかこの法制度に合うようなことをしていかなきゃいけない、こういうことでございますけれども、今一番そういう小規模な農家が心配しておりますのは、農水省のいろいろな助成措置に乗れるのかどうか。環境対策費とか、二、三農水省で助成の仕組みをお考えいただいておりますけれども、そういうような助成措置は、北海道とか九州に優先的に資金が回っていって、都市近郊のところには回っていかないんじゃないだろうか。特に補助要綱を見ると、将来性のある地域、将来とも畜産の主産地ということがうたわれているものですから、余計、大丈夫かいな、こういうことなのでございます。  今申しましたように、都市近郊、あるいは一つの集落の中で一軒か二軒しか畜産をやっていないところは悩みが切実でございますので、その辺のところをひとつお考えをお示しいただきたいと思うのです。
  147. 樋口久俊

    ○樋口政府参考人 お話ございましたように、家畜排せつ物法が昨年施行されまして、これから五年間でその法律の規定に従った整備をしていくということになっておるわけでございますが、負担の方式のお話でございますので、それについて申し上げますと、個人の負担で対応される場合ももちろんございますけれども、整備の態様としては大きく三つに分けられると思っているわけなのです。  一つが、公共、非公共の補助事業で整備をされる。それから、これが一般に人口に膾炙しているわけですが、補助つきリース事業というのがございます。それから融資ということであるわけです。  対応の仕方はなかなか個別のケースで多様でございますけれども、地域の実情が、一つはかなり畜産農家が点在をしておりましてなかなかまとまれないという状況。先生のお話はややそれに近いかと思います。それからもう一つは、ある程度まとまって存在する場合には、数戸共同でやっていただく、これはどちらかというと補助事業になじむんじゃないかと思います。それから、地域に耕種農家が存在をしておられまして、ある程度堆肥の供給先が確保されている場合には、農協等で堆肥センターをおつくりになるのがよかろうじゃないか。  大別してそういう形になるわけでございますが、御質問のように、小規模な畜産農家がおられるけれどもなかなかまとまらないという場合に、二つほどあるんじゃないかと思うのです。  一つは、飼養の形態によりますけれども、農地を所有しておられまして、そこで還元がかなりできるんじゃないかなという場合には、還元型といいますか、そういうスタイルでやっていただくのがよかろうじゃないか。それから、経営内でなかなか還元利用が困難であるという場合には、先ほどお話をしました補助つきリース事業というスタイルがいいんじゃないかと思っております。ただ、これは地域の実情とか個別の経営と組み合わせないといけないものですから、なかなか一概に言えない部分がございます。  その中でどういうふうにやっていくかということでございますが、現在、都道府県の計画がまとまってきておりまして、具体的にどうするか計画ができつつございます。これに即して今度は個々の農家がおつくりになるわけでございますが、その場合に、情報が行かないと、これはどういうふうにしていいかわからないということでございますので、各農政局とか県庁それから県の出先機関、それから、県には畜産会というのがございますが、そこに畜産環境相談コーナーというのが設けられておりまして、個別具体的にどうしたらよかろうか、御相談に応じて整備をしていくということになっておりますので、ぜひそこと具体的な御相談をされたらいかがかと思っております。その中で、できる限りのアドバイスをするということになっております。
  148. 滝実

    ○滝分科員 日本の農家というのは大変勉強家ぞろいでございまして、そういうところに相談をせずとも、全国各地の、あそこの施設はいいという農業新聞とか雑誌の記事を見ると、そこへ飛んでいって勉強する、そういうことをいたしておるわけでございますよね。だから、相談コーナーに、メーカーとか、活字物以上の知識あるいは専門家があれば別でございますけれども、大体自分の目で見て歩き、そしてメーカーの意見を聞いて決めていくというのでございますけれども、なかなかそこのところが決め手がないということで大変な迷いがあるわけでございます。  したがって、これは御要望でございますけれども、そういうセンターには、ぜひ具体的に相談に乗れるような、中立な立場から、特定のメーカーに偏らずに、本当に安心してお勧めできるという相談ができるような専門家を配置していただきたい、こう思うわけでございます。  時間がありませんので、次の問題に入らせていただきます。  問題は、こういう施設をやる場合には、必ず堆肥化、堆肥をつくるのだということになってくると思うのでございますけれども、堆肥の問題が実はまた難問題でございます。堆肥の品質表示をするということにはなるのでございますけれども、問題は、品質表示をしただけでは堆肥がさばけない、堆肥の販路が確保できないという問題があるわけでございます。  したがって、小規模な農家は販路まで自分で営業活動して確保するということは難しいものですから、どこかの販売店というか取次店にお願いをする。そうすると、小規模なロット、分量ではなかなかそれは話になりませんよ、もうちょっとそろえてください、こうなるのですね。ところが、なかなかこれが、品質が水分一八%がいいのか二〇%がいいのか二二%がいいのか、それぞれメーカーによって違いが出てきますし、そこのところが何となくまとまりにくい。これは自分で努力すべきなんでしょうけれども、実際問題としてまとまりにくいという問題があるわけでございます。  したがって、いわばハードの問題とともに、ソフトのそういう取りまとめをしていくセンターといいますか、何かがありませんと、堆肥をつくったはいいけれどもなかなかさばけない、こういう問題があるのでございますけれども、その辺のことについてのお考えをお示しいただきたいと思うのです。
  149. 樋口久俊

    ○樋口政府参考人 二つのことをお答えしたいと思います。  一つは表示でございますけれども、表示につきましては、先生御承知だと思いますが、昨年の七月に肥料取締法の改正がされまして、実は施行は本年の秋以降の予定なのでございますが、既に一部の業者では、先取りでといいますか、これに基づいて表示をしつつございまして、これでかなり利便性は進んでいくんじゃないかなとは思っております。それにしましても、その表示がきちっとされて、かつ、お使いになる耕種農家の方に周知できるということが大事でございますので、まずそこは私どもできるだけ配慮したいと思っております。  その次に、そうあっても、今度は取引が実際にされないといけないじゃないかということがございます。現実に片方では地力の低下が言われておりまして、生産力を上げていくためにも、どうしても堆肥の使用量あるいは流通量をふやさないといけない。ある意味では課題であると思っておりまして、私どもの方では、いろいろな話がございますが、二つほどやっておるわけでございます。  一つは、やはりそういう流通についての情報を整理し、あるいは互いに交換をするということで、そういう協議会システムを各県を中心につくってもらおう。御承知のとおり堆肥をつくる地帯と使う地帯とはかなり離れておったりしますので、その辺の情報がきちっと行かないといけないということでございます。  それからもう一つは、実際使いますときに、わかりやすく言いますと、とりに来てくれれば売ってもいいよとか、実際運ぶ人がいないとか、いろいろな事情がございますので、例えば品質分析をするための助成でございますとか、さっきおっしゃった水分の確認とかの助成、それから実際とりに行ってまいてやるというようなこともできるように、そういうソフトの経費、あるいは機械についても助成をしようじゃないかという事業を新たに起こしているところでございますので、ぜひ御活用をお願いしたいと思っております。
  150. 滝実

    ○滝分科員 基本的にはそういうことの充実をお願い申し上げたいと思うのでございますけれども、ただ、もう一つうがった考え方をいたしますと、二つ問題があるんですね。  御案内のとおり、例えば今度の口蹄疫の問題にいたしましても、農業というのは、収益のどちらかというと制約された分野でございますので、日本の稲わらを使えば一トン二十円ぐらいになってしまう、したがって一トン十円ぐらいでおさまる外国の稲わらを輸入しなければしようがないというところに見られますように、わずか一トン十円の差がいろいろなリスキーな結果を生むということがあるように、大変細かい話で農業が展開されているわけでございますね。  したがって、そういう立場から考えますと、本当に堆肥化をして堆肥がさばけるんだろうかと。要するに、とうとうと外国から肥料が入ってくる、稲わらも入ってくる、そういう中において、これからこの新しい法律に従ってみんな堆肥化を始めますと、日本全国堆肥の山になってしまう。本当にみんなが動き出したときには、農林省の号令一下堆肥の山ができて、売れないんじゃないだろうかな、したがって、お金をかけて堆肥化をしていいんだろうか、こういう心配の方がまず先に立つんですよ。  そういうことも含めて、本日は農業問題の専門家でいらっしゃる政務次官がおいでになりますので、先ほどの土地改良の問題と今の排せつ物の問題と両方含めて、政務次官から最後に、通告してありませんので恐縮でございますけれども、専門家でいらっしゃいますので、ひとつ御意見を承って、終わりにしたいと思います。
  151. 谷津義男

    ○谷津政務次官 まず、土地改良の問題でありますけれども、私も実は先生と同じ認識を持っている一人でございます。混住化、都市化が進んでおりまして、土地改良で当然負担をすべきものが、生活雑排水から何からみんな入ってくるということから、これは何らかの方法をとらなきゃいかぬだろうというふうな認識を持っているわけでありまして、これに対しては、鋭意努力をしていきたいというふうに考えます。  また、環境問題についての畜産物でありますが、実は私は、昨年北海道大学で、世界の、これに対する研究会というのがありまして、非常にイスラエルが進んでおるということで、イスラエルの方たちともいろいろ議論をしたのでありますけれども、成分の問題とか何かは非常に難しい問題が実はあるんですね。出てくる排せつ物によりまして随分違ってくる、あるいは生ごみなんかもいろいろなものによって成分が違ってくるということで、これをどういうふうに取り扱っていくかということは非常に難しい問題があるんです。  今も局長の方からお答えいたしましたように、法律の中においてこれを一元化していきたいというふうに考えているところでありますけれども、つくられた、いわゆるコンポスト化された、肥料化されたものがどういうふうに活用されるかということが非常に大きな問題でございますから、その辺のところを踏まえまして、しっかりと対処していきたいというふうに考えております。
  152. 滝実

    ○滝分科員 大変ありがとうございました。よろしくお願いを申し上げたいと思います。  終わります。
  153. 坂上富男

    ○坂上主査 これにて滝実君の質疑は終了いたしました。  次に、菊地董君。
  154. 菊地董

    菊地分科員 社民党・市民連合の菊地でございます。きょうは、カドミウムの汚染調査の問題でお伺いさせていただきたいと思います。  質問に入る前に、まず事実関係についてちょっと確認させていただきたいと思います。  食糧庁は、米麦の残留農薬調査を行っておりますが、同じサンプル、試料で、カドミウムについても検査、調査しておるわけでございます。この調査は、一九九三年から始まって、九六年までは毎年の産米について、残留農薬については一般地域からのサンプルが八百、カドミウムについては、一般地域からの八百に加えまして特定地域の八百サンプル、合計千六百サンプルを調査してきたわけでございます。  一九九七年と九八年の産米については、カドミウムの濃度分布調査ということで、二年間で合計三万七千二百五十のサンプルを調査しております。その結果、食品衛生法上の基準値一ppmを超える汚染米一サンプルが発見されたということを昨年十一月十六日に公表されました。  昨年、一九九九年の産米については、残留農薬については一般地域のサンプルが千、カドミウムについては特定地域の九百三十六サンプルを調査した。合計すると千九百三十六サンプルとなりますが、その結果、一ppm以上の汚染米が三件検出された。さらに、〇・四以上一・〇ppm未満のカドミウム含有米の件数については、一般地域の調査で一件、特定地域の調査では六十三件検出された。この結果について、食糧庁はことしの三月二十八日に公表されました。ここで言う特定地域とは、過去において比較的高い濃度が検出された地域のことである。  以上のように伺っているわけでありますが、これは間違いないでしょうか。
  155. 高木賢

    ○高木政府参考人 ただいま先生が御指摘になったことが事実でございます。
  156. 菊地董

    菊地分科員 いま一つ、質問に入る前に事実関係を確認しておきたいと思います。  九三年から始まりましたカドミウムの調査は、食糧庁検査課品質管理室、札幌食糧事務所ほか八食糧事務所の品質管理課で分析を行い、通常は出庫留保をしながらサンプルの分析調査をしてきた。しかるに、九七年と九八年の産米は、二年間で三万七千二百五十サンプルという大量の調査をしたために、分析に時間がかかって、このとき出た一ppm以上のカドミウム汚染米、これは秋田県の協和町で出たと報道されましたが、そのほとんどが出荷されてしまった。三月十三日の朝日新聞によれば、食糧庁から秋田県に通知されたのは調査から半年以上たった一九九九年四月八日、秋田県と経済連は追跡調査をして、一部汚染米を回収しましたが、名古屋市内のスーパーでは、一時店頭からあきたこまちが撤去される騒ぎになったと報道しているわけでございます。  現在、昨年の九九年産米についていえば、約二千サンプルを約一カ月かけて分析しているとお役所の方からお聞きしたわけですが、これからも九つの食糧事務所で分析するとしたら、出庫を留保しながらどのくらいのサンプル数の分析調査が可能か。二千サンプルで目いっぱいというところなのか、多少まだ余裕があるということかどうか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  157. 高木賢

    ○高木政府参考人 御指摘のあったことはそのとおりだと思います。  それで、あと一千というのはやはり時間との関係でございまして、それは数がふえればそれだけ時間がかかる、こういう関係にあるわけでございます。ですから、同じ時間で千のものを二千でというのは大変難しいと思います。数がふえたときにはそれ相応の時間がまた必要になる、こういう関係になっていると思っています。
  158. 菊地董

    菊地分科員 それでは大臣にお伺いしたいと思います。  私は、食糧庁が実施している農産物の安全性に関するモニタリングの仕事、残留農薬やカドミウムなどの重金属を含める調査、これは日本の主食である米麦の安全性にかかわることですから極めて大切なこと、大切な業務であると思います。  今度、農産物検査法が改正になりまして、検査業務は民営化されるわけでありますけれども、安全性のモニタリングについては、国として、食糧庁の仕事として、質量ともに拡充すべきであると考えておるのでありますけれども、どのようにお考えでございましょうか。
  159. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 国民の皆様の食料に対する安心というものを確保するために、米麦についてのカドミウムや残留農薬の調査を実施することは、委員の言われるとおり当然のことであると存じまして、今後ともこれを継続することといたしておるわけであります。  今後のカドミウムの調査の実施に当たりましては、比較的高い濃度のカドミウム米が検出された地域について重点的に実施していく方針であります。  調査点数や調査地点の選定に当たりましては、科学的検討を踏まえ、県と密接に連携をとり、地域の実態や意向をも十分考慮してまいります。  また、残留農薬の調査につきましては、検査サンプルの採取対象を毎年変えていることもあり、現状程度の調査規模を維持することにより実態は十分把握できるものと考えているところであります。
  160. 菊地董

    菊地分科員 大臣のかなり前向きな御答弁と承りまして、ぜひこの調査は質量ともに拡充していく方向でおやりいただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。  さて、食糧庁がこれまでやってこられた調査についてでありますけれども、その結果については、これまでは全部は公表してきてこなかったわけであります。  ことしの三月二十九日の朝日新聞によりますと、ことしの二〇〇〇年米から公表すると発表されております。また、過日、参議院の農水委員会での大沢委員の質問に対して、食糧庁長官が「情報公開の流れを踏まえまして、十二年産米からは調査の結果を公表することを前提として、関係者の事前の了解を得て実施するということなどの調査実施方法の見直しを行っている」と答弁されておりますが、この方針に間違いありませんでしょうか。
  161. 高木賢

    ○高木政府参考人 まさに最近におきまして、国民の皆さんの食品の安全性への関心が高まっている、また、情報公開を求める声も高まっている、こういうことでございますので、今御指摘ありましたけれども、平成十二年産の調査からは調査結果を公表することを前提といたしまして、関係者の事前の了解を得るという方法に変えようということで調査実施方法の見直しを行っているところでございます。
  162. 菊地董

    菊地分科員 公表するということでありますから、ぜひそうしていただきたいと思います。  同じく三月十六日の朝日新聞の報道によりますと、こう書いてありました。「食糧庁は、調査を実施したことすら一般には明らかにしていなかった。」これまでですね。「調査の存在が明らかになったのは、新潟県の行動がきっかけだった。」  九八年産米の調査で食糧庁基準に触れるコメが見つかった新潟県は、独自に県内の九九年産米について調査。昨年九月、それを発表すると同時に食糧庁の調査結果も公表した。食糧庁が九七、九八年産米について公表したのは、その二カ月後だった。   朝日新聞が九七、九八年産米について各自治体に情報公開請求した結果、食糧庁の濃度調査と同時に二千地点の特定地域を対象にした調査でも、宮城県など全国七カ所で汚染米が検出されていたこともわかった。 そのように朝日新聞が報道しております。  また、三月八日の毎日新聞によりますと、新潟県の鹿瀬町のケースも、九九年産米を新潟県が独自に「採取、検査したところ、一ppmを超す汚染米が約三割も見つかった」というふうに報道しておるわけでありますが、このように、各自治体の積極的な独自の調査によっても汚染米が発見されているわけでございます。  食糧庁も九三年以来努力されてきているわけですけれども、食糧庁の調査だけでは不十分だということをこれは示しているのではないかと思うわけでございます。食糧庁にはもっと頑張っていただきたいという意味であります。  そこで、調査結果の公表についてでありますが、「食糧庁検査課は「非公表が前提でないと、自治体に協力してもらえないおそれがあった」」あるいは「食品衛生法に基づく強制力のある調査権限は厚生省にあり、食糧庁は自治体に協力を「お願い」しているというのが、食糧庁の言い分」である、こういうように同じ朝日新聞は書いておるわけであります。  実際には、すべての自治体がそうであるかどうかわかりませんが、新潟県や宮城県のように米どころの自治体は、県としても独自の調査をやり、情報公開もちゃんとしているわけであります。食糧庁としてこのたびの調査結果の公表に踏み切った背景には、こうした都道府県の方が情報公開の流れを踏まえてマスコミや市民団体の求めに応じまして情報開示が進んでいるためだとも言われていますが、そうでしょうか。内部資料として調査分析したので本当は公表したくなかったのだということはないでしょうか。
  163. 高木賢

    ○高木政府参考人 調査に当たりまして、やはり協力を得る、今自治体のことを御指摘ありましたけれども、より正確に言えば、自治体は生産者のことをおもんぱかっていると思います。その調査をして、結果が出て、そのことだけが流れますと、いわゆる風評被害ということにつながるということを生産者の方は大変恐れておりまして、そうなりますと、調査をしてきちんと対応するというのは結構だけれども、それを公表して、数字だけがひとり歩きするということはやめていただきたいという気分がこれまでかなりあったと思います。  そういうことから、調査をする上では、そういう方々には、公表しないという前提で御協力をいただきたいということでやってきた経過があるものですから、具体的な地名とかいうことは差し控えさせていただきました。  ただ、全体として、例えば濃度分布調査なんかは三万七千やっていますけれども、どういうふうなことになっているかという全体像は個別とはまた違いますので、調査を公表しないという約束のもとでやったとしても、そういう全体像を示すということは許容されているのではないかということで、先ほどお話もありましたけれども、昨年、全体の数値等は公表させていただいたわけでございます。そういう流れであります。  しかし、そうはいっても、だんだん自治体が積極的になってきたという裏には、いつまでも黙っていて静かに対処するということだけでは済まないのじゃないか、もっと積極的に公表するものはし、ちゃんと対処するものは対処するという手当てまでしっかりやれば消費者の方々にも御理解をいただけるのではないか、こういうふうに考えが進展してきたということが背景になってきていると思います。  私どもも、やはり情報公開のまさにそれが流れだと思いますけれども、そういう公表するという前提で御協力をいただき、そしてそれを取りまとめる、こういう方向で調査をしていくというふうに頭を切りかえてまいってきたというのが実情でございます。
  164. 菊地董

    菊地分科員 ぜひそのような方向でお願いしたいと思うわけであります。  食品衛生法に基づくカドミウム汚染米というのは一ppm以上ということになっているわけでありますが、食糧庁は、独自の基準で、〇・四から一ppm未満のカドミウム含有米も流通させないための出荷停止などの措置をしておるわけでありますけれども、一ppm以上の汚染米が出た場合と、〇・四から一ppm未満までの数値が出た場合、〇・四未満だった場合のそれぞれの食糧庁としての対応を教えていただきたいと思います。
  165. 高木賢

    ○高木政府参考人 一ppm以上のものが出た場合には、これはもう食品衛生法上販売が禁止されるものでございます。したがって、直ちに食品衛生の担当部局であります厚生省に御連絡をして、しかるべき措置をとっていただくというのが一つでございます。  それから、〇・四から一の間のものは、これは食品衛生法上問題があるというものではございません。ただ、これは長い経過がありまして、昭和四十五年に、当時の農林大臣が、消費者の感情、不安が存在している事情に配慮いたしまして、これは、政府は買っても食用には供さないという取り扱いにいたしました。その後、その取り扱いを踏襲しておりまして、食用には供さない、つまり、食用でないものに使うように処理をしているということでございます。
  166. 菊地董

    菊地分科員 九七、九八年産米は、合わせて一気に三万七千二百五十サンプルの調査を行いました。これは濃度分布調査をするためだと食糧庁長官は答弁しておりますが、それだけが理由なのかどうかということでございます。  WHO、FAOの合同食品規格委員会、コーデックス委員会というのでしょうか、ここでは、カドミウム汚染米の基準値を〇・一から〇・二ppmの間にするとか、あるいは〇・一五ppmにするとか、ことしじゅうに〇・二ppmが採用される可能性があるとか、いろいろ聞くわけでありますけれども、実際にはコーデックス委員会からはどのような数値が提起されておりますでしょうか。  実は食糧庁の濃度分布調査はこの議論に対応するためのものであったと言う人もいますが、この点、いかがでございましょうか。
  167. 高木賢

    ○高木政府参考人 まず、コーデックスの件でございますが、この食品添加物・汚染物質部会というものが設けられておりまして、ここで検討が行われております。そこでの提案といたしまして〇・二ppmというものが出ていることは事実でございますが、これは、各国が科学的根拠がはっきりしないという点で議論が集中しておりまして、まだ、少なくともことしとか来年とかで決定するという段階にはなっていないというふうに思っております。  どういう点が問題かというと、アプリオリに、無前提で〇・二とかというのが出てくるわけじゃなくて、カドミウムの一日当たり摂取量、これがどの程度なら許容されるのかという、この種の専門用語で耐容一日摂取量という概念がございまして、一日にどれだけ以上入ると危ないか、こういうことがまず前提として必要なわけでございます。その上で、どれだけ耐容一日摂取量以内で食生活が行われるとよいか、こういうことが次に物別に来るわけでございます。  したがって、まず一番前提となります一日当たりの摂取量をどこまで許容されるのか、耐容一日摂取量というものの議論が先であるということで、この六月に食品添加物専門家会議というものが開かれます。そこで、今るる申し上げました、カドミウムの一日当たりの摂取量、耐容一日摂取量というものが論議をされまして、それがまず決定された後に、来年以降、食品に関する何ppmとかという議論が行われる、こういうことにこの三月の会議でなったわけでございます。したがって、当面すぐ特定の値が決定されるという情勢になっておりません。  それから二番目に、濃度分布調査ということでお尋ねがございました。  まさに名前のとおり、濃度分布をこれまで全国的には調査を把握してこなかったわけでございます。まさに、特定の汚染が出たというところだけをやっていたけれども、全国的にどうだというデータがなかったものですから、やはり食品に対する安全性ということに関する消費者の皆さんの関心の高まりということもございまして、この際、基礎資料を整備するということで、九年、十年の二年間で三万七千点の試料採取を行って調査をしたということでございます。そのこと自体をコーデックスで何か議論するとかということではございません。
  168. 菊地董

    菊地分科員 これは、コーデックスの方ではこれからまだ議論が続くということのようでございますけれども、もしここで決まったとするとどんなような拘束力を持つのか。あるいは、仮に〇・二というような水準に決まれば、今の日本の水準からすれば非常に厳しい基準になるということになると思いますけれども、それはどの程度の拘束力を持つということなんでしょうか。
  169. 高木賢

    ○高木政府参考人 これは一種の国際的な会合の場での決まりということになりますから、正確に言いますと、これは厚生省さんが食品衛生法上どう取り扱うかという問題なんで、私の答弁能力の範囲を超えるんでございますけれども、そういう国際的な合意との整合性というのをどうとるかという問題は当然検討される課題になると思います。
  170. 菊地董

    菊地分科員 それでは、次に進めてまいりますが、食糧庁のある責任のある方が〇・二ないし〇・六ppmは低汚染で無害に近いとか、〇・一から〇・二は普通にある低汚染とかということをおっしゃったということがあるようでありますが、私は、きょうはだれが言ったとか、そのことを言おうとしているのではないわけであります。  実は、一九九八年の四月八日に、私の住んでおります三島市の、地元の方の自然を守る会の人たちが陳情に農水省に伺ったときにどなたかがおっしゃった言葉であるわけで、そのメモを見せていただいたわけでありますが、言った、言わないをあれするわけじゃありませんけれども、我が国では、一ppmが食品衛生上の基準値で、食糧庁は〇・四ppmから独自の措置をされている、WHOやFAOは〇・二ppmを基準にするような議論が提起されておると。こういった数値の有害性に対する食糧庁の考え方、こんなような考え方もあるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
  171. 高木賢

    ○高木政府参考人 カドミウムにつきましての安全の基準は、食品衛生法に基づくものとして、一ppmというラインがございます。したがって、そこで線が引かれておりますので、一ppm未満のものは安全性については問題がないというのが私どもの立場でございます。一ppmの基準というのも、厚生省さんの話によれば、相当な安全率も見込んでいるということでございますから、そのように整理をしております。  ただ、先ほど来お話がありますが、〇・四から一ppm未満につきましては、昭和五十年当時以来、消費者の不安の感情というものがございまして、消費者感情を考慮して食用には供さない、こういう扱いをしてきたわけでございます。
  172. 菊地董

    菊地分科員 それでは、このカドミウムの調査の方法についてでありますけれども、昭和四十四年九月十一日に、当時の厚生省環境衛生局長名で出されたカドミウムによる環境汚染暫定対策要領によれば、発生源である鉱業所、精錬所、工場等について、その歴史についても把握しておきなさい、そしてカドミウム濃度が、水にあっては〇・〇一ppm、玄米にあっては〇・四ppmを超えている場合は環境汚染精密調査を進めなさいとなっておるわけであります。  食糧庁の場合は、カドミウムについては特定地域ということで、特定地域とは、繰り返して言いますと、過去において高い濃度のカドミウムが検出された地域ということでありますけれども、特定地域を指定してサンプリングをするということは、目的意識的なモニタリング調査をしようということで、大変重要で必要なことであろうと私も思います。その考え方、調査方法はいいのですが、手抜かりはないかということでございます。  具体的に申し上げますと、私の地元の住まいの近くにある三島市の北沢地区でありますけれども、ここに大正の初めにできた北沢亜鉛電解会社という亜鉛の精錬所の跡地があるわけであります。厚生省の対策要領にもありますとおり、カドミウム汚染はこうした亜鉛精錬所やその跡地に起きやすいことは常識であります。  第一次大戦後、こうした亜鉛精錬所は日本のあちこちでできましたが、その多くは数年たたずして操業中止になったところが多いようですが、三島市の北沢地区でも、大正七年、鉱毒被害と思われる事件が発生して、当時の新聞は、鉱毒問題紛糾、錦田村、当時そういったのですが、大恐慌と見出しをつけ、蚕児続々斃死と伝えているわけであります。  北沢亜鉛電解会社だけではなく、第一次大戦後日本各地に亜鉛精錬所がつくられたことは、ちょっと調べればどの本にも載っていることであります。その跡地でもカドミウム汚染が起こりやすいことは、カドミウム問題に関心を持つ者ならだれでも知っていることでありますけれども、三島市北沢地区は、これまでの調査では特定地域に指定してこられたかどうか。また、九三から九九年までの調査で、北沢地区からのサンプル調査はありましたでしょうかどうか、お聞きしたいと思います。
  173. 高木賢

    ○高木政府参考人 御指摘のありましたように、食糧庁の特定地域の調査につきましては、対象地域を、地方自治体あるいは食糧庁の調査におきまして、比較的高い濃度のカドミウムが検出された生産者並びにその周辺の生産者を対象として実施してきております。  そのほかに、先ほども御指摘ありました一般地域の調査もやっておりますが、三島市の北沢集落につきましては、一点試料を採取し、分析したことがございます。その結果は、〇・四ppmを下回っていたということでございます。これが〇・四ppm以上であったとすれば、これは特定地域という扱いになりまして、翌年産から米の調査を行う、こういうことになったわけですが、この一般地域の調査結果では〇・四ppmを下回っていたということでございました。
  174. 菊地董

    菊地分科員 それは何年の調査のサンプルでしょうか。
  175. 高木賢

    ○高木政府参考人 十一年産でございます。
  176. 菊地董

    菊地分科員 一回だけ一般地域としてサンプル調査をしたそうでございますが、そこでは〇・四以下だったという御報告を聞いたわけでありますれども、実はここの跡地の問題は、三島市では前から問題になっていたわけでありまして、市としては、一九七四年といいますから、今から二十六年前には問題の所在をもう認識しておりまして、当時の土地所有者に対して、野積みされたまま、放棄されたままになっている鉱滓を早急に処理してほしいと申し入れをしており、一九七七年にも同様の申し入れをしているわけであります。  その後、現地では、現在の跡地所有者が、宅地開発をしようとして三島市に環境アセスメントを提出したわけであります。それで、九六年五月には三島市にもこのアセスメントの結果が伝わっておりまして、その分析結果は、ここに資料があるわけであります。  ほかもありますけれども、カドミウムについてだけ申し上げますと、これはそこにあるままでございますから、含有参考値はこの場合九ppmということになるわけでありますが、一四三〇ppm出ているわけでございます。もちろんこの数値は跡地に放置された鉱滓からのもので、玄米のカドミウム含有量ではないわけでありますが、その後、三島市の自然を守る会が独自に行った分析調査でも、最高値二五〇〇ppmが出ているわけであります。  このことは、少なくとも一九九八年の四月八日に、この日は、自然を守る会の人たちが環境庁、農水省に陳情に伺った日でありますけれども、この日以降は食糧庁としても問題の所在を知ったはずでありますので、なぜここを特定地域として重点的にモニタリングしてこなかったのかという点について再度お伺いしたいと思うんです。
  177. 高木賢

    ○高木政府参考人 先ほどもお答えを申し上げましたが、特定地域は、食糧庁の調査あるいは地方公共団体の調査で過去に比較的高い濃度のものが出たところをやる、こういうことにいたしております。  やはり第一義的に住民に一番近いところにあります地方公共団体自身がある程度取り組むということが国が出ていくときの前提条件になっているかというふうにも思いますが、そういった関係がございまして、これまでは、一般調査は対象にいたしましたが、特定地域としては対象としてこなかったという経過でございます。
  178. 菊地董

    菊地分科員 守る会の人たちのメモによりますと、農林省の方が言ったわけじゃないんですけれども、環境庁の方は、県や三島を指導するというようにそのときは言っているわけです。それでは、静岡県なり三島市の方から、まあ指導の方は環境庁がしたのかもわかりませんけれども、報告が上がっているのかどうか、その点についてだけ。
  179. 高木賢

    ○高木政府参考人 食糧庁としては、県あるいは市からまだいわゆるヒアリングというようなことを直接はやっておりません。別に環境庁から御連絡を受けまして、環境庁の方では県や市の担当の方を呼んでヒアリングをされたということ、それから、適切に対応することがやはり望ましい課題でありますので、当然そのような、早く結論を得るようなことを言われたのではないかと思います。
  180. 菊地董

    菊地分科員 私はこの問題を引き続き取り上げていきたいと思っているわけでありますけれども、きょうのところはもう時間が来たようでありますので、最後に、これまでの議論をお聞きになって、大臣にこういう問題についての所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  181. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 当初申し上げましたように、食の安全ということは極めて大事なことでありまして、その検査等をしっかりやっていくということがやはり大事であると考えておりまして、今後とも、そういう検査におきましては、信頼される検査を行い、国民の皆様の安心に寄与していきたい、このように考えております。
  182. 菊地董

    菊地分科員 どうもありがとうございました。  これで終わります。
  183. 坂上富男

    ○坂上主査 これにて菊地董君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして農林水産省所管及び農林漁業金融公庫質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後零時四十五分散会