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2000-05-22 第147回国会 衆議院 決算行政監視委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月二十二日(月曜日)     午後五時三十分開議  出席委員    委員長 中村正三郎君    理事 赤城 徳彦君 理事 岩永 峯一君    理事 古賀 正浩君 理事 田中 和徳君    理事 石井 紘基君 理事 坂上 富男君    理事 中林よし子君       相沢 英之君    遠藤 武彦君       奥山 茂彦君    鴨下 一郎君       倉成 正和君    坂本 剛二君       滝   実君    林  義郎君       原田昇左右君    藤井 孝男君       堀之内久男君    御法川英文君       森  英介君    矢上 雅義君       山本 公一君    渡辺 博道君       伊藤 忠治君    生方 幸夫君       鹿野 道彦君    海江田万里君       菅  直人君    葉山  峻君       青山 二三君    石垣 一夫君       坂口  力君    志位 和夫君       辻  第一君    井上 一成君       吉田 幸弘君    東  祥三君       米津 等史君    保坂 展人君     …………………………………    内閣総理大臣       森  喜朗君    法務大臣         臼井日出男君    大蔵大臣         宮澤 喜一君    文部大臣    国務大臣    (科学技術庁長官)    中曽根弘文君    厚生大臣         丹羽 雄哉君    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    運輸大臣    国務大臣    (北海道開発庁長官)   二階 俊博君    労働大臣         牧野 隆守君    自治大臣    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 保利 耕輔君    国務大臣    (内閣官房長官)     青木 幹雄君    国務大臣    (総務庁長官)      続  訓弘君    国務大臣    (防衛庁長官)      瓦   力君    国務大臣    (国土庁長官)      中山 正暉君    防衛政務次官       依田 智治君    会計検査院長       金子  晃君    会計検査院事務総局第一局    長            増田 裕夫君    政府参考人    (警察庁長官)      田中 節夫君    政府参考人    (北海道開発庁総務監理官    )            斎藤 徹郎君    政府参考人    (防衛庁長官官房長)   守屋 武昌君    政府参考人    (法務省刑事局長)    古田 佑紀君    政府参考人    (厚生省生活衛生局長)  西本  至君    政府参考人    (農林水産省構造改善局長    )            渡辺 好明君    政府参考人    (運輸省鉄道局長)    安富 正文君    政府参考人    (労働省職業安定局長)  渡邊  信君    決算行政監視委員会専門員 中谷 俊明君     ————————————— 委員の異動 五月二十二日  辞任         補欠選任   尾身 幸次君     御法川英文君   鯨岡 兵輔君     森  英介君   佐藤 孝行君     遠藤 武彦君   林田  彪君     山本 公一君   三塚  博君     坂本 剛二君   山本 幸三君     鴨下 一郎君   吉川 貴盛君     渡辺 博道君   綿貫 民輔君     藤井 孝男君   神田  厚君     伊藤 忠治君   熊谷  弘君     海江田万里君   福島  豊君     坂口  力君   辻  第一君     志位 和夫君   米津 等史君     東  祥三君   村山 富市君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 武彦君     佐藤 孝行君   鴨下 一郎君     山本 幸三君   坂本 剛二君     三塚  博君   藤井 孝男君     綿貫 民輔君   御法川英文君     尾身 幸次君   森  英介君     鯨岡 兵輔君   山本 公一君     林田  彪君   渡辺 博道君     吉川 貴盛君   伊藤 忠治君     神田  厚君   海江田万里君     熊谷  弘君   坂口  力君     福島  豊君   志位 和夫君     辻  第一君   東  祥三君     米津 等史君   保坂 展人君     村山 富市君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  平成八年度一般会計歳入歳出決算  平成八年度特別会計歳入歳出決算  平成八年度国税収納金整理資金受払計算書  平成八年度政府関係機関決算書  平成八年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成八年度国有財産無償貸付状況計算書  平成九年度一般会計歳入歳出決算  平成九年度特別会計歳入歳出決算  平成九年度国税収納金整理資金受払計算書  平成九年度政府関係機関決算書  平成九年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成九年度国有財産無償貸付状況計算書     午後五時三十分開議      ————◇—————
  2. 中村正三郎

    中村委員長 これより会議を開きます。  平成八年度決算外二件及び平成九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。  この際、お諮りいたします。  各件審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官田中節夫君、北海道開発庁総務監理官斎藤徹郎君、防衛庁長官官房長守屋武昌君、法務省刑事局長古田佑紀君、厚生省生活衛生局長西本至君、農林水産省構造改善局長渡辺好明君、運輸省鉄道局長安富正文君、労働省職業安定局長渡邊信君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村正三郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     —————————————
  4. 中村正三郎

    中村委員長 質疑に入るに先立ちまして、質疑者各位に申し上げます。質疑時間は申し合わせの時間を厳守されるようお願いいたします。  また、政府におかれましても、各質疑者質疑時間は限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀正浩君。
  5. 古賀正浩

    古賀(正)委員 自由民主党の古賀正浩でございます。  本日は森総理大臣に、当委員会総理就任以来初めて御出席を賜りました。ありがとうございます。  質疑の前に、まずは、過ぐる十五日、御逝去になりました小渕総理大臣に心からお悔やみを申し上げたいと思います。  実に厳しい経済の中にありまして、我が国経済の再生のため、文字どおり身命を賭して積極果敢な努力をしていただきましたのでありますが、景気回復兆しが着実にあらわれてきているところ、御逝去、本当に残念でございました。  小渕総理の衣鉢を継いだ森総理は、景気回復を本格的な軌道に乗せるため、引き続き適切な対策を打っていただかねばなりません。総理施政方針に示された経済新生を確実強力に実施していただきたいと存じます。  しかしながら、一方において、最近の財政状況の現状を見ますと、気がかりもなしとしないということでございます。このような現在、公債発行も非常にふえておるというようなこともございまして、そういう気がかりもあるわけでございますが、現在の財政状況にどのような認識を持っておられるか、このことについて御説明をまずお願いしたいと思います。  また、財政健全化を進めるに当たっては、国民理解を得るということが非常に大事になるわけでありますが、国民に対するその情報開示が必要であるということであります。そのことについての御見解もお願いいたします。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 前もって私から御説明をさせていただきます。  一昨年の夏以来、それまでの財政再建路線を、客観的な事情上、やむを得ず一時棚上げをいたしまして、この危機打開のために、大幅な減税、それから公共事業補正予算並びに金融機関への資本投下等々の決心をいたしまして、今日まで、おっしゃいますように随分金も使ってまいりました。おかげさまで、しかし、今景気は確かに回復の兆候を見せておりまして、来月には間もなく一—三月のQEが出ると思いますが、かなりのものを期待できるのではないかと考えております。  ただ、それにもかかわらず、消費十分回復をいたしておりません。これは、リストラがございまして、所得が伸びていない、雇用が不十分だということの当然の結果であるとは思いますけれども、やはり消費が順調になりませんと、十分な景気回復というものは思ったとおりにはまいらないという問題を残しております。  したがいまして、私といたしましては、御心配の、確かに大きな債務を国も背負っておりますので、できるだけ早く、経済軌道に乗りましたら財政改革、それは財政に限りません。恐らく二十一世紀の当初における、財政といえばすぐ税制、地方・中央の関係社会保障、ほとんどの問題を全部レビューしなければならない状況になろうと思いますが、景気回復めどがつきましたらそれをいたしたいというふうに考えておるところでございます。容易ならないこれもまた仕事になろうと思いますが、ただ、この景気回復がもう少しはっきりしためどが立ちました段階でそれを考えていかざるを得ないであろう。  私も、この債務状況には古賀委員と同様に心配をいたしておりまして、少なくとも、さしずめ平成十三年度の国債発行は、平成十二年度、当年度よりは幾らかでも減らしたい、それをまず、財政再建への一つの誓いと申しますか、そういうことをただいま考えております。
  7. 古賀正浩

    古賀(正)委員 総理にかわっての御答弁総理もそのとおりお考えだというふうに思ってよろしいですね。
  8. 森喜朗

    森内閣総理大臣 たびたび、本会議でございますとか、また予算委員会等でも申し上げたと思いますが、先ほど議員からも御指摘がありましたように、小渕総理が、あの金融破綻から金融国会、大変難しい、厳しい日本経済状況の中から、今大蔵大臣からも御答弁がありましたように、ようやくここまで何とかみんなで努力してきたということであろうと思います。  当然、財政構造についてはどなたも、政治家である限り、また、それにかかわっております政府のそれぞれの立場の皆さんも、考えていない人はないと思います。しかし、今一番大事なことは、もう少しのところへ来ておりますこの景気、やはり本格的な民需への回復基調に乗るまではしっかりとこれを支えていくということが大事だというふうに考えております。
  9. 古賀正浩

    古賀(正)委員 時間が極めて乏しくなってまいっております。これは質問通告をしていない分でございますが、一言申し上げさせていただきたいと思います。二点ございます。  一つは、現在、雇用情勢は極めて厳しい。この点については、今後しっかり国民雇用の不安を払拭するための御努力をお願いしたい。これが一点でございます。  もう一つは、整備新幹線建設促進についてであります。  新幹線建設は、すぐれて景気浮揚の目玉になるものでありますが、これにプライオリティーを与えるということが、国民に夢を与え、地方活性化に極めて重要な問題でございます。東北、北陸、九州各新幹線の未着工区間早期着工の決定を含む各路線全線開通早期実現に向けて、政府の積極的な取り組みをお願い申し上げる次第でございます。これについてはお答えは要りません。  次に、教育問題についてお伺いをいたします。  総理大臣が、心の豊かな美しい国家実現に向けて、内閣の最重要課題として取り組んでおられる教育改革推進についてお伺いをいたします。  最近、名古屋の五千万円恐喝事件、あるいは西鉄の高速バス乗っ取り事件など、少年によります凶悪な犯罪が相次いでおります。我が国教育をめぐる状況は、まことに厳しいものがあるわけでございます。教育問題に強い森総理大臣でございますが、去る四月七日の所信表明演説において、戦後の我が国教育について、日本人として持つべき豊かな心や倫理観、道徳心をはぐくむという点からは必ずしも十分でなかった、そういうことが学級崩壊校内暴力等の深刻な問題を起こしておる、そのようなことをお述べになりました。全く同感であります。  来年を考えれば稲を植えよ、百年後を考えれば人を育てよと古人も言っております。前総理大臣のもとで発足した教育改革国民会議に対する国民関心、期待は極めて大きなものがあります。  こうした最近の状況を踏まえて、今後の大胆な教育改革、特に心の教育に関する総理大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  10. 森喜朗

    森内閣総理大臣 私は特別、教育専門家ではございませんが、議員生活におきまして比較的教育問題に携わっておりました期間が大変長かったということで、今の教育改革に関しましてはいろいろな思いがございます。幼児教育から大学院まで含めた高等教育機関までのシステムについては、いろいろとまたこれは工夫を凝らさなきゃならぬということは言うまでもないというふうに思っております。  ただ、もう一つは、今古賀議員からも御指摘がございましたように、やはり今の社会のいろいろな状況を見まして、どこに何が責任があるということではなくて、みんなでこのことは一度考えてみなければならぬ問題だ。そういう意味で、教育改革については、教育改革国民会議が今鋭意大変努力をしていただいておりまして、三つの分科会に分けてそろそろまた議論を始めるという段階でございます。  特に、そういう中で、家庭でも学校でも社会でも、およそ人間が生きていく上で最低守らなければならない規範が次第に崩れている、そういう状況をやはり我々は十分心配をしなきゃならぬ。そういう意味で、そうした面でのいわゆる心の教育ということについても、やはりこの教育改革国民会議で十分御議論をいただきたいということを希望しているわけでございます。
  11. 古賀正浩

    古賀(正)委員 時間が参りましたので、残念ながら後を続けるわけにはまいりませんが、一言だけ、現在、司法制度改革が……
  12. 中村正三郎

    中村委員長 古賀君、時間が来ております。
  13. 古賀正浩

    古賀(正)委員 現在、自民党もその案をつくって精力的な検討を進めております。これについてはいろいろな課題があるわけでございますが、国民に利用しやすい司法制度実現に向けた司法制度改革をひとつよろしくお願いを申し上げます。  以上をもちまして、私の質問を終わります。
  14. 中村正三郎

    中村委員長 次に、青山二三君。
  15. 青山二三

    青山(二)委員 公明党改革クラブ青山二三でございます。  まず初めに、先日、小渕総理が御逝去されましたことに対しまして、心から御冥福をお祈り申し上げます。  小渕総理は、景気回復を初め、日本危機を克服されるために全力で疾走されてこられました。私は、二月の予算委員会で御質問させていただく機会がございましたので、小渕総理に、新たな国民病とも言えるアレルギー性疾患対策について、国を挙げての取り組みをお願いいたしましたところ、前総理より、全力を挙げてアレルギー性疾患をなくす努力をしたい、このように力強い御決意をお伺いできましたことが、二カ月以上たった今でも鮮明に思い出されるわけでございます。  本日は、森総理に、改めてアレルギー性疾患対策について、短い時間ではございますがお尋ねしたいと思います。  我が公明党女性委員会では、アレルギー性疾患対策を求める署名を行ってまいりましたが、本年一月から三カ月という短い期間で、一千四百六十四万三千百三十八人もの皆様署名をいただくことができ、国民皆様関心がいかに高いかを実感いたしております。この署名簿森総理に去る四月十二日にお届けいたしましたところ、重みを感じます、しっかりと受けとめてまいりますと、このように御返事をいただいたばかりでございます。  そこで、森総理に、改めて総合的なアレルギー対策の早急なる取り組みについて御決意伺いたいと思います。
  16. 森喜朗

    森内閣総理大臣 今御指摘がございましたように、四月の十二日、公明党神崎代表浜四津代表代行そして青山議員皆様おそろいで私どものところにわざわざ、署名簿をちょうだいいたしました。中身の重さもございましたけれども、千四百万という署名もとてもずっしり重いものでございましたので、重く受けとめますと申し上げたわけです。  アレルギー疾患を有する国民は、今お話しのとおり増加傾向にありまして、大変憂慮すべき状況であるというふうに認識をいたしております。  政府といたしましては、従来から、アレルギー疾患に関する治療法などの研究に鋭意取り組んでまいったところでもございます。また、アレルギー疾患につきましては、平成九年度から関係省庁による連絡会議を設けておりまして、連携をとりながら対策に取り組んでいるところでございます。  今後とも、関係省庁が一丸となって鋭意取り組んでまいりたいと考えています。  私的なことを申し上げて恐縮ですが、私の家に孫がおりまして、今までベッドのところに遊んでおりましたのが、急に板の間のところに来ておりまして、どうしたんだと聞いたら、じゅうたんのところよりは板の間の方がいいんだということを娘が言っておりまして、ああ、我が家にもそういう問題が入ってきたんだなということをつくづく承知をしたところでございます。
  17. 青山二三

    青山(二)委員 大変前向きな御答弁をいただきまして、よろしくお願いいたします。  厚生省は、平成十二年度にアレルギー性疾患に対する研究予算を百一億円まで一気に増額するなど、治療法の確立を目指して研究者ネットワークづくりなどの対策取り組み始めていただいておりまして、今まで光が当たっていなかったアレルギー対策にも前進の兆しが見えてまいりました。  さらに取り組まなければならないことはたくさんございますけれども、その中の一つを申し上げますと、アレルギー性疾患患者家族の方々の相談を受ける体制整備でございます。  アレルギーで困っている患者家族にとりましては、どの医師相談すればいいのか、どの医者にかかればよいのかということで、途方に暮れているという場合が少なくございません。そのようなときに、身近なところで保健婦さんに相談に乗っていただけるならば、どんなにか心強いことだと思います。  例えば、日常生活上の注意すべきことや、また適切な治療方法の選択、またその他アレルギー性疾患予防及び治療に関しまして、相談に応じ、必要な指導助言情報の提供を行うことのできる、地域で身近な保健婦等の養成についても早急に取り組むべきであると考えますけれども厚生省の御見解をお伺いしたいと思います。
  18. 西本至

    西本政府参考人 アレルギー性疾患患者たらい回しになるというような御指摘でございまして、私どもも、このアレルギー性疾患対策が今や放置できない非常に重要な問題であるということは十分認識いたしております。ただ、まだ現在、原因治療法に根本的な解決を見出すことができないという大変難しい問題でもございます。  御指摘の、地域における相談体制につきましては、一般医療機関での相談のほか、保健所におきましても、アレルギー疾患相談を含め、地域住民からの一般的な各種健康相談に対応しているところでございます。  また、厚生省におきましては、平成十二年度から、アレルギー性疾患の発生の仕組みあるいは治療法などの研究を促進するとともに、これらの研究成果、最近の医療技術、またアレルギー性疾患に対する正しい知識医療機関患者等普及啓発するための連携体制の構築を図ることといたしておるところでございます。
  19. 青山二三

    青山(二)委員 それでは、食品に含まれておりますアレルギー性物質表示についてお伺いをしたいと思います。  最近、アレルギーのために、医師などから食べるものに関しまして除去あるいは制限を指示されている子供たち、またアナフィラキシーショック、そういうショック生命危機に瀕するという患者がふえているようでございます。食品アレルギー物質表示を義務づけることの大切さを痛感するわけでございます。  この表示の義務づけに関しましては、現在具体的な検討がなされていると思いますけれども原材料表示に入らない微量の材料の表示をどうするのか、また即時型の重症反応をどのように避けるのか、そのための表示あり方をどうするのかといった本質的な問題を議論した上で、実効を伴った制度改正となるよう早急に検討を進めていただきたいと思っております。そして、だれのための表示なのか、消費者生命を守るための表示であるということを忘れずに、一刻も早い結論をお願いしたいと思いますけれども、御所見はいかがでございましょうか。
  20. 西本至

    西本政府参考人 食品の中に含まれますアレルギー物質表示の問題でございますが、本年二月二十五日及び三月二十四日に行われました食品衛生調査会表示特別部会におきまして、それぞれ、食品によるアレルギーに苦しんでおられる患者団体関係者等をお呼びいたしまして御意見をちょうだいしたところでございます。  現在、その結果を踏まえまして、重いアレルギー症状を引き起こした場合の事例の多い特定食品原材料につきましては、仮に微量でございましても、その原材料名そのもの表示させる方向検討しているところでございます。  今後は、特定食品原材料表示の具体的なあり方につきまして、来月開催を予定しております同部会におきまして一定の方向性を示すように準備を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  21. 青山二三

    青山(二)委員 時間が少なくて、最後の質問になりますけれどもアレルギー性疾患対策で重要なことの一つに、予防早期発見、そして社会への理解を深めることが必要であると思います。そのためには、教育広報活動を通じて国民に正しい知識を啓発することが大切であると考えております。  アレルギー性疾患に関する正しい知識普及について森総理の御所見伺いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  22. 森喜朗

    森内閣総理大臣 アレルギー疾患に関する正しい知識普及が重要であることは、議員の御指摘のとおりだと思います。  アレルギー疾患につきましてはその原因がさまざまであることから、政府といたしましては、関係省庁がよく連携をとりながらアレルギー疾患に関する治療法などの研究を進めておりまして、こうした研究結果に基づく正しい知識普及に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  23. 青山二三

    青山(二)委員 大変ありがとうございました。時間でございますので、これで終わらせていただきます。
  24. 中村正三郎

    中村委員長 次に、吉田幸弘君。
  25. 吉田幸弘

    吉田(幸)委員 保守党の吉田幸弘でございます。時間もやや押しておるようでありますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。  教育問題についてお伺いを進めていきたいと思います。  私、地元が名古屋でございまして、その中でも緑区ということで、最近、中学校恐喝事件、非常にマスコミ等をにぎわせている地域から出させていただいているわけであります。最近、この恐喝事件、またバスジャック、また主婦の殺人等、極めて凶悪でまた粗暴な事件が目立っているわけであります。それも非常に若い人たち少年たち犯罪ということで、私も若い議員として、そうそう見過ごすわけにはいかないと、強い信念を持っているわけであります。この少年たちの背景にあるいじめやまた不審な行動、これらに対して家庭学校で、一体、本当にもう一歩踏み出して指導ができなかったのだろうか、温かい手を差し伸べることができなかったのだろうか。  実は私、非常に大きな体をしておりまして、柔道をずっとやっていたわけです。柔道けいこのときに、体罰とは申しません、けいこの中で畳に投げつけられて、これによって心も体も成長させていただいたわけでございます。ところが最近、そのようなことも多少なくなったのじゃないか、柔道あるいはスポーツを通じても教育が本当にうまく行われているのか、昔と違うなということを痛感しているわけであります。  文部省は、一昨年でありますが、いじめや校内暴力等について、学校だけで抱えることなく、関係機関と連携をして解決をするよう求める通知を発しておるようであります。これらの事件を見ると、実効の度合いはまだまだ十分ではないという評価を下さざるを得ません。  いじめや校内暴力等の早期解決のためには、関係機関との綿密な連携とその強化がぜひとも必要ではないかというふうに思うわけでありますが、まず第一点として総理にお伺いをしたいと思います。  最近の少年たちの凶悪・粗暴な事件が発生する原因をどのように分析をされ把握をしておられるのか、また、さらにはその防止策についてどのようにお考えなのかをお示しいただきたいと思います。
  26. 森喜朗

    森内閣総理大臣 最近、凶悪・粗暴な少年犯罪が相次いで発生しておりますことは御指摘のとおりでございまして、私どもとしても、だんだん明らかになるところで理由などを聞きますと、慄然とすることも多いわけでございます。  少年のそうした原因といいましょうか、それは幾つかあるのだろうと思いますが、先ほども古賀議員のときにも申し上げましたように、やはり少年自身の規範意識というものが薄くなっている、希薄化しているということが一つまず挙げられると思いますし、それから、その少年の属しているといいましょうか、住んでおられます家庭あるいは学校あり方、まずそういう周囲があるのだろうと思います。  それからもう一つは、さらに大きく全体的な地域社会から見ましても、少年問題に対します無関心というのがやはりあるのかな。一人の子供は社会のみんなの子供なんだ、国家のみんなの大事な子供たちなんだという意識をもう少し国民全体が持ってくださることも大事なのではないかなと思っていますが、国全体あるいは社会全体がそうした無関心になっていく、そういう環境の悪化ということが複雑に絡み合っているのではないかなというふうに考えております。  今申し上げましたように、この少年非行の問題は社会全体で取り組むことが不可欠でありまして、家庭学校地域そして関係機関とが連携して、子供の状況を十分把握して、重大な非行の前兆段階で的確な対応を図るということが一番大事なのだろうと思いますが、悪質な少年犯罪に対しては厳正に対処するということも極めて重要なことではないかなというふうに考えております。
  27. 吉田幸弘

    吉田(幸)委員 ありがとうございました。  さらに質問を進めさせていただきますが、去る十八日に、文部省から学級崩壊に関する調査の委嘱を受けた学級経営研究会の報告書が提出されたと聞いております。その報告書を踏まえて、家庭を含めた関係機関の連携はどうあるべきか、少し詳しくお示しをいただけるとありがたいと思います。
  28. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 御指摘の報告書は、今委員からお話がありましたように、五月十八日に報告がなされたものでございます。  学級がうまく機能しない状況、これはいわゆる学級崩壊と言っておりますけれども、これにつきましては、この報告書では、教師の学級経営が柔軟性を欠いている場合、それから、授業の内容につきまして児童生徒が非常に不満を持っているという場合、つまり学級担任の指導力が不足をしていたり、また学校の対応が余りよくなかった場合、さらに子供の生活の変化とか、家庭教育力が低下したとか、そういう複数の要因が重なり合いましてこれらの状況が生じている、そういうふうな指摘をしているわけでございます。  この問題への対応策といたしましては、保護者や地域の方々の協力を得ることがまず重要でありますが、教育委員会や、それから医療とか福祉とか、そういう関係機関と積極的に連携することの重要性も対応策として指摘をされております。  私ども文部省といたしましては、この問題に対処するためには、各学校におきまして教員の方々のカウンセリング能力を高めるということが大事だと思いますし、さらに、校長が強いリーダーシップをとって、学校の全教職員が一致団結して、一致協力して指導に当たるということが大切である、さらに、家庭地域社会、また学校連携をさらに強化していくことが大事であると思っております。  今後とも、例えば、ことしの四月から導入されて実施もされておりますけれども学校議員制度があります。こういうものや、それから学校教育活動への地域の人材の参加、それから関係機関との日ごろからの連携体制の強化、そういうものを通じて学校と保護者、また関係機関との連携が進むよう、そういう形で対応してまいりたい、そういうふうに思っております。
  29. 吉田幸弘

    吉田(幸)委員 以上で質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  30. 中村正三郎

    中村委員長 次に、菅直人君。
  31. 菅直人

    ○菅(直)委員 森総理が就任されてきょうで四十八日目になっております。失言総理なんと言われたりして、最近は、今度は棒読み総理なんということを言われておりますが、どうかこの討論では棒読みにならないように、ぜひ自分の言葉でお答えをいただきたいと思います。  また、どうも政策の議論が必ずしも十分にできないという感じがいたしておりまして、先日、自公保与党三党の共通公約というものが発表されました。私、拝見しますと、五つの不安というのがあるのですが、この中には財政赤字に対する国民の不安が含まれておりません。内容も、どちらかといえば、ばらまきの競争みたいな要求項目の羅列になっております。  自民党はむだな公共事業をばらまくし、公明党は、今回は地域振興券は入っていませんが、そういうものをばらまいて、ばらまき競争になるのではないかな、財政はますます悪化するのではないかな、こういう心配を感じておりますが、まず総理に、この共通公約には財政に対する指摘は全くと言っていいほどない、これはもう財政はどうなってもいいということなのか、そうでないとしたら、総理自身の言葉で、日本財政の将来をどうされるつもりか、お答えください。
  32. 森喜朗

    森内閣総理大臣 棒読みとおっしゃいましたけれども、権威ある国会でございますから、これまで答弁をいたしておりますこと、また政府、それぞれの閣僚の意見等も十分踏まえてお答えをしなければ、間違ったことを申し上げればまた、菅さんのことですから厳しくいろいろと御指摘あろうかと思いますから、当然これまでのそうした御質問に対しても十分それに沿ってお答えをしていくということになるわけでありますから、それはぜひ国会、まあ菅先生も閣僚もなさったことがあるわけでありますから、そういう御経験があるのだと思います。与野党分かれたといたしましても、余りそうした発言で個人的に傷をつけるというのは、決して政治家として私は必ずしも正しいとは思わないというふうに思います。  御指摘をいただきました与党三党の基本政策につきましては、今与党三党の政調会長あるいは政審会長が中心になって熱心な議論をいたしておりますので、その取りまとめが近々あるのではないかというふうに伺っております。  それから、政府としては、与党三党の基本政策でございますから、それはやはり重く受けとめてまいりたい、このように考えております。  もう一点、財政についてはどうかということでございますが、先ほども答弁申し上げましたように、また大蔵大臣もお述べになっておりますように、今与野党を通じ、政治家であれば、日本のこうした財政状況について心配をしない、そういう政治家はいないと思うし、十分皆関心を持っておると思います。  ただ、私は、皆さんもこれはお認めいただけると思いますが、いわゆる二年前のあの金融破綻のときの日本経済の破綻寸前という極めて厳しい中から、今日まで、景気を何とかして戻したい、そういう小渕総理の御遺志を受けて私もこの内閣を引き継がせていただいたわけでありますから、何とか本格的な景気回復になるように、いましばらくだろうと思いますが、ぜひそれまでは小渕総理の御遺志どおり、私も景気回復ということをまず考えていきたいし、もう一つは、日本の新しい経済の新生をぜひつくり上げていきたい、そのためには大胆ないわゆる構造改革を進めていかなければならぬだろう、そんなふうにも考えているところでございます。
  33. 菅直人

    ○菅(直)委員 景気回復を先行させるという考え方、小渕内閣のときからの踏襲でありまして、それはそれとして主張されていることはよくわかります。  しかし、この三年半の自民党中心の政権の中で、景気もよくします、財政もよくしますと言っていて、せんだってのクエスチョンタイムでも鳩山代表からお示ししたように、二百兆近い財政赤字を国と地方で積み増しているわけで、それが次の選挙に向けての三党の共通公約の中に、よく見ていると財政という言葉が一言も入っていないんですね。行財政という言葉でちょこっと入っていますが、そういう意味では、私は、総理の今の答弁を聞いていても、財政に対する国民心配をほとんど理解されていないのではないか、このように思えてなりません。  そこで、次の問題に移っていきたいと思いますが、総理のいろいろな発言の中で今一番注目をされておりますのは、言うまでもなく、日本は天皇中心の神の国だ、国民の皆さんにしっかりと承知をしていただきたい、こういう趣旨のことを述べられました。私は、これは失言というよりは、撤回もされていないわけですから、ある意味では本音が出たというふうに見た方がいいんだろうと思います。  きょうは続総務庁長官にもおいでいただいております。続さんは、言うまでもなく、自公保連立政権の公明党の中から閣僚に出られているわけです。公明党の皆さんは、憲法二十条、信教の自由については、ある意味では大変重要視をされている。私も、この発言は憲法二十条に明らかに反する発言だと思っております。  それなのに、参議院で、誤解を招くところがあったことは謝るけれども、発言は撤回しないと言われたわけですね、総理が。それなのに、続さんあるいは公明党は、それでいいとおっしゃったようにも聞こえますが、なぜ続大臣はこの発言を撤回すべきだということを主張されないのか、この発言についての続大臣の御見解伺いたいと思います。
  34. 続訓弘

    ○続国務大臣 今お尋ねの件につきましては、去る十七日の参議院本会議で御党の質問に対して森総理御自身が答弁をされました。それは、長年の間活動してきた会に対する、いわばその活動に対する思いを込めた答弁であるという趣旨のことでありました。  私どもは、確かに、今おっしゃいましたように、そのことに対して党内で議論をし、そしてまた森総理の参議院での回答に対して私どもは了とした、こういうことであります。御理解を賜りたいと存じます。
  35. 菅直人

    ○菅(直)委員 公明新聞を見ますと、時折私の名前もよく書かれておりまして、撤回しろとかなんとか、直接は言われないので何もお答えをしておりませんが、そういうことを言われております。  公明党の支持母体の皆さんは、戦前宗教弾圧を受けたというような歴史も持っておられて、私がお聞きするところでは、やはりこの発言は、かつての国家神道という考え方が発言の中に入っているわけですから、あの程度の説明で了とされるということは、憲法二十条の信教の自由を、この発言は発言として仕方がない、そういうふうに受けとめられたということですね、続さん。
  36. 続訓弘

    ○続国務大臣 私ども総理の発言の趣旨をちゃんとかみしめて、そして了としたわけであります。もちろん憲法二十条の関係についても我々としては議論をいたしました。そういうもろもろの状況を踏まえて、言われるような趣旨ではなくて、私ども議論を尽くして了としたわけであります。
  37. 菅直人

    ○菅(直)委員 総理大臣の発言というものは、一国のまさに総理の発言でありますから、国内的に限らず国際的にも大変重いものでありまして、その発言そのものを了とされたというのであれば、それはもう仕方がないでしょう。つまりは、神の国発言を認められたということに私は理解をされますね。  そこで、少し話を進めますが、森さんは、この発言の前からよく教育勅語のことについて、悪い点もあったけれどもいい点もあったとしきりに言われております。また同時に、滅私奉公という言葉をよく使われます。私も教育勅語というものを改めて拝見いたしてみました。奉公という言葉が、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ」とありますね。森さんの言われている滅私奉公、あるいは教育勅語が重要だと言われるのは、この部分を含めておっしゃっているんですか。
  38. 森喜朗

    森内閣総理大臣 これもたびたび衆議院、参議院でも御質問がございましたのでお答えを申し上げたと思いますが、時間を奪うようなことがあってはいけませんので思い出していただきたいと思いますが。  私は、父が戦争から帰ってきまして、そして仏壇の前に私が招かれて、当時、私を育ててくれるべきであった母親が亡くなり、死ぬと思って行っていた父親が帰ってきて、そして私に対して、これから自分は滅私奉公でいくんだ、息子だと思わないから、そのつもりで父親に対応しろということを、当時小学校二年生だったと思っていますが、そういうことを父親から聞いた。そのときは余り意味はわからなかったけれども、次第次第にその意味が、だんだんわかるようになり、その父親の教えというものを私は大事に今でもしておりますと。  ただ、いささか古い言葉なんだなということは私でも承知していますから、当選をしましてからその話をしましたら、我々が教育問題の指導を受けた坂田道太先生が、ああ、それなら私はよく書に書くけれども、人は先に、私は後にという言葉、それを森君、君に上げるよとおっしゃってくださったわけで、ああ、そういう趣旨でこれから当たっていくべきだなと、その当時そういう承知をいたしておりまして、別に教育勅語の中からそれをとったとかとらないとか、それは全く菅議員の推量だろうと思いますが、私の時代は、小学校のときはちょうどもう終戦になったときでありまして、教育勅語などは教わっていない、そういう世代であることもぜひ承知おきをしていただきたいと思います。
  39. 菅直人

    ○菅(直)委員 私がじゃないんですよ。森総理自身が何回も教育勅語について、悪いところもあるけれどもいいところもあると言われたから、それはこの部分も含めて言われているんですかと、そう聞いているんです。
  40. 森喜朗

    森内閣総理大臣 これは議事録等をお調べいただければいいと思いますが、私は教育勅語を復活しろとか教育勅語がいいということは一遍も言っておりませんよ。(発言する者あり)いいえ。  もし、教育論議をこれからされて、教育基本法などのもし議論をされるということであれば、当時、教育勅語の中には、私はこれもよく言っていますよ。皇国史観のような国家権力的なそういうものは私は是としておりませんが、ただし、父母に孝行するとか夫婦相和するとか、私はそういう、いかなる時代を超えて、普遍の哲学があると思うので、そういうものは私は捨て去る必要はないのではなかったかなという思いはあるということを申し上げたのです。  ですから、もし教育基本法の論議をされるならば、当時、国会でGHQの指示によってこれを排除宣言をしたわけですけれども、当時のこともやはりもう一度よく勉強して、一番大事な、永久に伝わる大事な、普遍的なそういうことは今後も参考にしていくべきではないだろうかということを私は申し上げたので、教育勅語がいいとか、教育勅語を復活しろとか、それを参考にしろとか、そんなことは私は一度も言ったことはございませんので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  41. 菅直人

    ○菅(直)委員 森さんの発言は本当にくるくる変わりますからね。私も何度かお聞きしましたけれども、少なくとも、参考にするような趣旨の話は私は聞いたと思いますね。つまり、悪いところもあるけれどもよいところもあるというような趣旨のことを何度も言われていますから、そういう意味では、よいところは参考にしようということじゃないですか。  私は、これ以上水かけ論をしませんが、公という言葉の概念が、私はよく自民党の皆さんと話をするときに、ちょっと違うんですよ。皆さんの公という概念は、お上という概念に近いんですね。私はいつも、市民の自治のルールがパブリック、公だと。よく「七人の侍」のことで私は演説をするんですけれども、つまりは、自分たちが自分たちの町を守るため、村を守るために七人の侍を雇い入れて自分たちも一緒に守る、それがまさに私は市民自治の、公という、公共性だと思っております。  戦前の教育は、その同じ公を、お上というのは必ずしも——神様の神じゃないですよ、上ですよ。つまりは、それが戦前であったら天皇であったり、あるいは総理大臣であったり、あるいはお役所であったり、つまり、お上が決めたことだから仕方がないというふうに思えというのがこれまでの自民党的な公の概念に近かったと、私はいろいろな方と議論をしていてそう思っております。  そういう点で、今の森総理の話は、お父さんの話をお聞きしても、滅私奉公でいくからという公が、戦前で言われるこの教育勅語の公なのか、戦後の私が考えるような公なのか、よくわかりません。ですから、今の森総理がどう考えられているかということをお聞きしたので、そうでないならそうでないと言われればいいんです。それを、参考にしているとかしていないとか。  もし発言があればお聞きしますが。
  42. 森喜朗

    森内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、滅私奉公の公は私も民だと思っていますよ。当然のことじゃありませんか。ですから坂田先生が、人は先に、私は後にというので、なるほどなというふうに当時私は思いました。  ただ、あなたのお父さんは、公というのは、確かに軍人でありましたから、ですからそれがお上だというふうなもし御認識を持たれるのだとしたら、亡くなりました父に対する極めて侮辱だと私は思いますよ。  私の父は、帰ってまいりましてからずっと、恐らく全国でも珍しい九期無競争の町長をしておりました。そして、町長というのはまさに民のため、町民のために尽くすことだと。彼は戦争から帰ってきて、町民のために尽くそう、そう思って彼はずっと町長をやっていました。私はそばでじっと見ておりました。そういう意味での滅私奉公というのは、公つまりこれは国民、あるいは小さな範囲でいえば町民、それに尽くすことだと、私はそう考えております。
  43. 菅直人

    ○菅(直)委員 いや、大変いい答弁をいただいたと思いますよ。そういうふうに最初から言われるのなら我々も誤解しません。しかし、教育勅語で言う公というのは、こういうふうに書いてある。「義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」と書いてありまして、必ずしも、そういう民という概念とは違う形で使われているものですから、私が、森総理教育勅語に対するある種の思い入れのような発言と共通しているのかなとお尋ねしたら、今、公とは民だと言われたから、それなら我が党の考え方と共通だ、このように申し上げておきます。  そこでもう一点、靖国神社の公式参拝について、これまで森総理は、総理大臣になられるまでは何度かされておりますが、ことしの八月十五日に森総理総理大臣であるかないかは私にもわかりませんが、総理大臣として在任されていたとしたときに参拝されるおつもりですか、公式参拝として。
  44. 森喜朗

    森内閣総理大臣 私は、これまでは一議員として、そういった立場でお参りを申し上げたこともございます。  ただ、文部大臣のときのことを思い出してみますと、これはやはり政府のそういう立場でございましたので、私は当日は、議員皆様がおいでになるところには行かずに、自分で途中でおりまして、そこからおりて、御案内もなく自分なりに鳥居の下に行ってお参りをしたという経験はございます。  総理という立場でその参拝をするのかしないかということについては、十分これまでの例、あるいはまたその当時の、そのときの時代時代の考え方を十分踏まえて、十分に慎重に対応していきたいと考えております。
  45. 菅直人

    ○菅(直)委員 それでは、次に話を移したいと思います。  四月二十四日の予算委員会のときに、同僚の横路議員質問に対して、森さんは、リクルート事件に関連して、そのときに一億円以上の売却益があったのではないかという横路さんの質問に、いや、そんな大きくはなかったと。またそのお金について、「皆さんがそれぞれ党に対して、そうした問題については寄附をするということでございましたから、私は、そういう利潤を目的にしたものではございませんし、調査の対象ではなかったわけでありますが、党のお決めになったことに従いました。」つまり、党に寄附をしたということを答えられています。  そこで、ここに、自由民主党収支報告、今日まで発表されているものを当時から全部取り寄せてみました。確かに森総理は、毎年九十万円、党に寄附をされています。それ以外には見当たりません。それからこちらに、国民政治協会の収支報告も全部調べてみました。見落としがないとしたら、総理からのこれに対する寄附もありません。  当時、少なくとも数千万円と言われた利益を党に寄附されたとこの間の予算委員会で答えられたのですが、本当に寄附をされたのですね。
  46. 森喜朗

    森内閣総理大臣 リクルート株の問題については、当時御答弁を申し上げましたように、直接、未公開株を持って名前を貸してほしいということで協力したことは事実でございますが、これを売却しよう、そういう私益を得ようと思って譲渡を受けたわけではございません。  したがいまして、当時、党で調査委員会がありましたときには、私はその調査には該当しないということで外されたことも今議員から御指摘のとおりでございまして、したがいまして、当時としては、私は、その売却された益を当然党の方にすべてお願いをすればいいと考えておりましたから、そういう手続を秘書の方に命じたことは事実でございます。  ただ、当時、自民党において決定された措置の方針に基づいて、リクルートコスモス株を公開直前に取得して、これを売却して利益を得たものについては、党事務局内に臨時に設置された自由民主党社会福祉事業に寄与する会という会に、社会に還元するための資金として拠出するということになったそうであります。  私の株は公開直前ではございませんので、これに該当するものではなかったが、その売却益につきましては、国民からの誤解を受けないように、故安倍晋太郎議員の元秘書を通じて還元資金として拠出をいたしました。同会は、社会福祉法人中央共同募金会にその全額を寄附したということを私は承知いたしております。
  47. 菅直人

    ○菅(直)委員 うそをついたんですか、前回。前回、予算委員会で横路議員に対して、先ほど読み上げた、党のお決めになったことに従いました等、その前に、党に寄附をすると。党に対する寄附を調べてみました。総理がまさかうそをつかれるとは思わないけれども、一応、念のためにと思って調べてみました。今の話、全然違うじゃないですか。
  48. 森喜朗

    森内閣総理大臣 私は、そういうつもりで、党で処理をすべきだというふうに考えて秘書に命じておきましたけれども、当時、党としては、それはあなたは対象外でありますからということで、党としてそれを受け付けてもらえなかったということでございました。  しかし、今申し上げましたように、それはやはり誤解を受けてもいけないということでございましたので、これを今申し上げましたような手続で還元資金として拠出して、そして同会は……(発言する者あり)違うということよりも、そのことは、私自身がそういうことですべて処理をしてあったと承知をしておったということでありまして、その後調査をいたしましたら、社会福祉法人中央共同募金会にその全額を、その中に入れてお返しをしたという調査の結果が後からわかったということでございます。
  49. 菅直人

    ○菅(直)委員 秘書が、命じたことをやらなくてほかのやり方をやったという言い逃れですね。こんなことがありますか。そういう証拠も、きょうは時間がありませんから、それは森さんがちゃんと証拠を出してください。  また、我々国会議員はなかなか、一般的に寄附ができるところとできないところがありますからね。ですから、そんなことを、十何年も前のことをちゃんと横路さんがこの公の場で聞いて、いろいろ当時から議論があった中を、いや、そのときは党の方針に従って党に寄附しましたと言って、きょう聞いたら、いや、秘書はそのようなことをやっていなかったなんて、こんなことが総理の発言としてくるくる変わるから失言大臣と言われたって仕方ないんじゃないですか。  私はこの問題は納得しません。納得しませんが、きょうは短い時間ですので、この問題は今後の決算委員会予算委員会で取り上げるということで申し上げておきます。  そこで、いろいろな出来事がありますが、我が党にも、割と若いころに自民党本部に突入して逮捕された人とか、東大安田講堂に立てこもって逮捕された人とか、国会議員の中におります。  総理は、これまで逮捕されたという経験はお持ちでしょうか。
  50. 森喜朗

    森内閣総理大臣 ございません。
  51. 菅直人

    ○菅(直)委員 それは現行犯逮捕も含めて、つまりは、逮捕状がない逮捕も含めて一度もないということですね。
  52. 森喜朗

    森内閣総理大臣 一度もございませんが、選挙運動のお手伝いをしておりまして、一度警察にその事情を説明したことは覚えております。
  53. 菅直人

    ○菅(直)委員 総理がないと言われるのだから、後の国会で変えられないように、一応きょうは総理答弁をそのまま受けとめておきたい、このように思います。  そこで、青木官房長官、あなたとは二十四日の予算委員会でも何度か質疑をさせていただきましたし、失礼に当たるかどうかわかりませんが、我が党の調査の結果、東京地検に有印公文書偽造及び行使、官名詐称で告発をさせていただきました。  青木官房長官の発言は大きく言って三度変わっております。それは御承知だと思います。四月の三日の朝の記者会見では、総理大臣代理を頼まれた、そういう発言でした。そして四月の十日の本会議答弁では、総理大臣代理という言葉がなくなりまして、有珠山のこともあるから万事よろしくという言葉だった。私の予算委員会質問に対してもそう答えられました。そして、そういう長い文章になるような言葉は当時の小渕総理大臣は発言ができなかった、こういう趣旨の医師団の発表があった後は、今度は、いや一連ではなかった、いろいろな発言があったけれども、自分がそれを解釈してそういうことだ、こういうふうに言った、こんなふうに三度も答弁を変えられております。  そして私は、国民の多くの皆さんは、残念ながら青木官房長官のその答弁を信用していないと思うのです。残念ながら私も信用できません。だから告発をしたのです。何かこれに対して反論がありますか。
  54. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 反論というよりも、そういうとり方をされること自身が私は非常に間違っておるし、残念だと思っております。  三度変わったとおっしゃいますが、私の言っていることは終始一貫何ら変わっておりません。といいますのは、官房長官というのは、総理が言ったこと、総理の意図をできるだけ正確に国民の皆さんにわかりやすく説明するのが官房長官の任務であります。  私は、初めに申し上げたのは、総理大臣代理の話ですから、総理大臣代理をよろしく頼むと言われたことを言いました。二度目に、そのことを言わずに、よろしく頼むと言われたことを言いました。三度目には、これは皆さん方も私は非常におかしいと思っております。それは、総理の病室で、総理が一遍に物を言ったのか、三回に分けたのか四回に分けたのか、そのときの総理の顔色はどうだったのか、苦しそうだったのか、そんなことを私が一々答える必要は全然ないと私は思います。総理と官房長官の間ですから、私は、総理がよろしく頼むと言えば、そのことを、どういうことかということをしっかり判断をして、国民の皆さんにわかりやすくそのことを正確に伝えるのが私の任務でございまして、私の言っていることは終始一貫何ら変わりはありません。
  55. 菅直人

    ○菅(直)委員 私は、今の青木官房長官の答弁は、本当にこういう人が官房長官をやっておられて危機管理というものの考え方が全く違っているんじゃないか。何か親と子が、例えばお父さんが大変重篤なときに、何か子供にこう言った、いや、おやじはこういうことを私に言ってくれたんだ、それは今のあるいは答弁で結構かもしれません。  しかし総理大臣という、日本における最も行政の責任者である人が、内閣法九条に基づいて次の総理大臣代理を指定する、指定しないは、個人の関係のことじゃありません。多分、これがアメリカなど他の国であれば、同じ手続であったとしても、サインがなければ有効でないでしょう、多分ですね。(発言する者あり)何をそこで騒いでいるのですか。サインができないということは正式でないということなんですよ、アメリカでは。変なやじを飛ばさないでください。  いいですか、青木さん。ですから、一々答える必要がないと言われましたね。私はこれは重大だと思いますよ。それは、親子で何か話があったことは一々答える必要はありません。しかし、小渕当時の総理が青木官房長官に総理大臣代理を指定したと言う以上は、どういう指定があったのか、どういう場面で、どういう言葉があって、どうあったのかというのは、当然一々答えなきゃおかしいじゃないですか。なぜ一々答える必要がないのですか。私は、そこが皆さん方がわかっていない。  森さんにもちょっとお聞きします。  二十四日に森総理は、私が青木さんに対して平成の天一坊なんて言ったものですから、わざわざ総理が立たれて、私は青木さんの名誉にかけて申し上げておかなければならないことは、そういう立場の中で、青木さんは、従来の経緯からいえば、総理は必ず外遊のときはあなたにお任せをされた、そういう意味から、ここはあなたがやった方がいいんじゃないか、こういうふうに言ったけれども、しかし、再三再四お断りになった、こう答えていますね。  翌日になって、参議院の我が党の委員に対して、いや、あれは全部勘違いだ、あれは森政権ができるときの官房長官をお願いしたときのことだ、こう言われました。しかし、そんなことになっていないじゃないですか。従来の経緯からいえば、総理は必ず外遊のときにはあなたにお任せをされた、これは何のことですか。私が聞いたんじゃないですよ。森さん自身がこういうことを言われた。  つまり、総理がこれまで外遊のときには青木官房長官に総理大臣代理を依頼を何回もされたから、今回もそれはやられるべきじゃないかと言ったけれども、再三再四断られたと、こうしか読めないじゃないですか。そんなことまで勘違いするのですか。森政権ができるときの官房長官を頼んだ話と全然意味合いが違っている。  私は、森さんのこの日の発言、答弁の方が正しいんだろう。それは村上さんの発言とも合っています。そして青木さんが、この答弁の後、記者会見で、いや、あれは違っていると言ったものだから、青木官房長官のうそに合わせて、総理は翌日、正しい答弁をうその答弁に切りかえたんじゃないですか。  私は、これは、先ほどの青木さんの言われることを残念ながら国民が信用していないと同じように、森さんが答弁を変えたことも国民は同じように信用していませんよ。まだ強弁されるのですか、このときの答弁は勘違いだったと、森さん。
  56. 森喜朗

    森内閣総理大臣 私は、青木さんとは、学生時代からですからかれこれ四十数年おつき合いをしておりますから、青木さんのお人柄、よく承知をしております。また、青木さんと小渕総理関係といいましょうか、そういうこともよく承知をしておりますから、青木官房長官がその判断をされておられたこと、これまで進めてこられたこと、私は、よくやってこられたなと思っています。  当時のお気持ちとしては、ああいう事態の中で、病院に入られて、そして官房長官としての、本当にそれこそ一睡もしないで努力をしておられたことを、私は高く今でも評価をいたしております。  そういう中で、たまたま今、菅議員みずからもおっしゃいましたように、天一坊なんというようなことをおっしゃって、それは、私は友人としても、同じ党の仲間としても、公党の責任者であるあなたから天一坊なんということを言われ、それがまたテレビで全国に……(発言する者あり)事実とは何ですか。天一坊というのはどういうことか御存じですか。私は、そんな失礼な言葉はあってはならぬと思いましたから、多少私は興奮をいたしました。  だから、今御質問がありましたようなことは申し上げましたけれども、私の勘違いでございまして、いわゆる青木さんのお人柄というものを私は誇張したかったといいましょうか、青木さんの人柄について私は申し上げたいと思って、勘違いをしておったことは事実でございますので、私はその発言を取り消したということでございます。
  57. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 当時、私も再三申し上げておりますように、自自公連立が事実上解消した次の日でしたので、いろいろな動きが確かにありました。三日間が過ぎてしまうと、皆さん方、いろいろなものを一緒にして、あのときはこうだった、あのときはこうだった、いろいろなことをアナウンスされるからこの問題が非常に混乱したわけでございまして、私はそのことをとやかく言う気持ちはありません。  しかしながら、私は、総理からよろしく頼むと言われて就任をした以外に、どなたからも今日までそういうことを頼まれた覚えはありませんし、また、そういうことを言う必要はないと私が言っておりますのは、総理がまだ生きていて、病床で非常に苦しい闘いをしている、家族医師全力を挙げてやっておられる最中に、そのとき総理がどういう格好だったかとか、一口に言えたか、何回だったかというようなことを聞くこと自体が失礼だと私は思っております。
  58. 菅直人

    ○菅(直)委員 私は、極めて個人的に言えば、青木さん、本当に当事大変だったと思います。それは、何日間もその後、睡眠時間も少なかったかもしれません。そういう意味で、私は、個人的にはいろいろ頑張られたと思います。ただ、頑張る方向が全く民主主義的でなかったということです。自民党の派閥政治や自民党の総裁選びならそれは大いに結構でしょう、いろいろな人が勝手に集まってどういう話をされようが。しかし、総理大臣ですよ。  きょうは内閣法制局長官には聞きませんけれども、自民党の何か手先みたいなことしか答えないからですね、この間も。少なくとも、総理大臣が病床に倒れられて、憲法七十条の適用をするかどうかということは、国家のまさに一大事です。  私は、内閣のほかのメンバーがまず集まって相談をされるのが当たり前であって、電話で宮澤さんには相談されたということですが、当たり前であって、それをしないで、時の幹事長の森さんや、あるいは幹事長代理の野中さんや、参議院会長の村上さんや政調会長の亀井さんと二度にもわたって話をし、そして、ほとんどの段取りをつけてから、すべておくれおくれて事実を発表している。そして何か聞けば、いや、一々説明をする必要はなかった、一々病床でどういう姿勢であったかとか言う必要はなかったと。  逆じゃないですか。あなたが言っていたのは、いや、十分話せました、十分会話もできました、そういうふうにちゃんと言っていたじゃないですか、そのとき、最初の記者会見でも。そして一番重要な、総理大臣の臨時代理の指名があった、なかったとかということが医師団の発表を待ってだんだんおかしくなったら、今度は、いや、一々説明する必要はない、こんな強弁が通りますか。こんなことをやったら、まさにクレムリンの政権交代と同じじゃないかと言われるのですよ。  私は、そういう意味で、みずから、少なくともこの問題だけでも責任をとって、官房長官おやめになるべきだと思いますが、どうですか。
  59. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 私は、宮澤大蔵大臣相談したこともありません。私が宮澤大臣に電話をいたしましたのは、私が就任するに際し、大先輩でもあり、総理経験者でもございますので、私が就任をしますということを一方的に宮澤大蔵大臣に申し上げただけでございます。  また、私が何で総理大臣代理を、無理して、うそをついたりだましたりしてしなければいかぬでしょうか。何ら、総理大臣代理をしなければいかぬ理由は私には一つもありません。  ですから、私は、当時の小渕総理の病状も考え、いろいろなことを考えながら、一つ一つを一生懸命行動したわけでありまして、今議員おっしゃいますように、言う必要がないと言っているのは、私は、総理が病床に伏している間に、一生懸命看護している間に、その間の総理の状態はどうだとかこうだとか聞かれて、それを私が、こうでございました、ああでございましたと一々言うべきことじゃないと私が判断したからであります。  私は、官房長官として、最初に申し上げたように、総理の意図をきっちり伝えるのが私の役目だと考えております。
  60. 菅直人

    ○菅(直)委員 青木さんの方がよっぽど、それは雄弁会の先輩だけあって弁舌さわやかですよね。しかし明らかに、聞かれている方は、すりかえがあることはおわかりだと思うのです。つまり、私たちが言っているのは、個人として病気だからどうこうということを申し上げているのじゃなくて、内閣法九条に基づいて指定があったかなかったかというのは、これは重大な問題ですから、それを説明する責任は当然あるわけで、その説明責任も要らないといったら、日本の民主主義は成り立ちません。  最後にもう一つだけ、総理に、ちょっと別のことをお聞きいたしておきます。  六月の二十五日が投票日ということをもう与党三党で決められたそうですが、サミット直前でありますが、特別国会はいつ開かれるおつもりですか。
  61. 森喜朗

    森内閣総理大臣 私は、まだ今、国会中に御審議をいただいている大事な法案もたくさんございますし、私から、いつ解散をするとか、そういうことも申し上げておりません。したがいまして、特別国会云々のことなども、全く私は今の頭の中には入っておりません。
  62. 中村正三郎

    中村委員長 菅委員、時間が来ております。
  63. 菅直人

    ○菅(直)委員 時間ですので、終わります。
  64. 中村正三郎

    中村委員長 次に、石井紘基君。
  65. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今の菅民主党政調会長の質問に関連して、森総理は、この神の国発言というのは、今後絶対にこれは撤回するということはなさらないんですか。
  66. 森喜朗

    森内閣総理大臣 石井議員は、当然、勉強される方ですから、よくあれを読んで、私の発言を全部読んでいただいたのだろうと思いますけれども、余り時間をとっては恐縮でございますけれども、私が発言をしました趣旨は、よくお読みいただくとわかると思いますが、神道政治連盟の国会議員懇談会の三十年の式典でございましたから、三十年前というのは、ちょうど私たちが当選をした最初の年でございました。ですから、その当時の議員連盟ができましたときのことを私はお話を申し上げたのでございまして、そして三十年たった今日、きょうの行事に対して祝意を申し述べるということで申し上げたことでございます。  したがって、天皇中心というのは、あくまでも、我々の認識は、憲法の中でも象徴天皇ときちっと定められているわけでありますから、やはり天皇は国民統合の象徴だというその大前提で私は申し上げておりますから、そういう意味での象徴天皇が我が国の中心にあるという、私はそういう思いを申し上げたわけでございます。  神の国というのは、これは私は、神様、仏様、何であれ、いろいろなところでも申し上げておりますけれども、やはり日本の国のそういう悠久の歴史であるとか伝統文化だとか、そういうものを称して私は日本の国、それはまさに海だって山だって川だって神様がいると我々はそう教わり、そういう気持ちで来たわけでありまして、そういう意味で神の国と申し上げたわけです。
  67. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 一言、撤回しないならしないと言ってくれれば、もう何遍も聞いていますので結構です。時間が全く短いものですから、次へ行きます。  森総理は、先日、ロシアへ行かれるときに、自民党の今総務局長をやっておられる鈴木宗男さんを一緒に、どういう立場かは知りませんが、連れていかれたと思いますね。  私は、今ちょっと鈴木宗男さんの問題を取り上げますけれども、初めて出しますが、最近、政府は、あるいは自民党は、国会議員も少しずつ血を流そうじゃないかとかいって歳費を削ろうなんというようなことを言っておるやに聞いているわけですが、自民党の場合は、政治献金というものを企業から莫大に集めておる。しかもこれは、税金を配分したところのその事業を受けた企業から、いわばそれを一部召し上げるという形で金集めを全面展開しておると言っても過言ではない。これはいわば税金をかすめ取っておるということになります。  鈴木宗男さんの例を一つとらせていただいて、今私は申し上げます。  普通の人の収支報告というのは、これは私のですが、大体このぐらいの厚さの、大体十枚か十五枚ぐらいでおさまる程度の、我々野党の議員は大体こういう収支報告を出しているわけですが、鈴木宗男さんのは、これは写すだけでも大変な手間暇がかかったのですが、二百二、三十ページ、だあっと企業の名前が、名称が千四百七十幾つ書いてある。全部ここから金を集めた。  しかも、これは大部分が、地方の企業などは公共事業や公的な役所の仕事をもらわなきゃやっていけないわけですから、ほとんどがこれは税金を還流して政治家が受け取っているわけですよ。あるいは政治団体が受け取っているわけです、こうやって。この団体は資金管理団体で、二十一世紀政策研究会。  この方は北海道開発庁長官をやっておられた、平成九年九月十一日から十年七月三十日まで。その間に、北海道開発庁は大体千七百社ぐらいの企業に、直轄事業だけですが、事業を割り当てる。この平成十年と十一年、私、調べましたが、それぞれやはり千七百社余りです。平成十年度のみ仕事を発注したところと、十一年度のみ仕事を発注したところなどがありますから、企業名全体ですと千九百社ぐらい出ております。これがお配りした資料ですが、これは北海道開発庁が出してくれた資料でございます。  この年間千七百社に発注する中から、何と、ここに、二枚目の上の方に計三百十社と書いてありますが、この三百十の企業から鈴木宗男さんは政治献金を受け入れておる。私が二、三日かけて調べただけですから、子細にやればもっとあるでしょう。北海道開発庁の年間のそういう事業の予算というのは大体一兆円以上出されますから、そういう一兆円以上の金が千七百社に配分されるわけです。そこから持ってくるわけですよ。そういうことで、北海道開発庁の事業というのは、農水省あるいは建設省、運輸省、厚生省などの北海道に関する事業が開発庁を通して配分されていくわけですね。  これはやはりほかの方もこういう方がたくさんいらっしゃるんですが、総理は、大体こういう事実というものをどのくらい認識をされておるのか。  ついでに、もう一つの配付させていただいた資料、この薄い方を申し上げますと、これは先日、十五日の日に、北海道の上川支庁で、道庁発注の農業関係事業の発注先の企業リストで、その談合事件について公正取引委員会が排除勧告を行った、いわば札つきの企業名のリストの一部でございます。全部で二百九十七社排除勧告が行われましたが、私はまだこれは九十四社分しか調べておりません。  この九十四社分の中でも七社が既に鈴木宗男さんに献金をしておる。二百九十七社全部を調べればもっと、十数社あるいは二十社近い企業が鈴木宗男さんに献金をしているということになるでしょう。これは、公正取引委員会が強制捜査を行って、そして談合を行った企業として排除勧告をしたものです。  こういう実態、今私が申し上げたこの政治献金というものがこのようにして自民党では集められておるということ、こういう事実というものは、森総理はどのくらい認識をされておるのですか。
  68. 森喜朗

    森内閣総理大臣 今細かな資料の御提示と御説明がございましたが、きょう初めてそれは伺うことでございまして、すべての議員の収支報告書を総裁としてすべてを承知している、そういうことは私としてはいたしておりません。  ただ、鈴木議員が受けられた政治献金については、そういうことは承知しておりませんけれども、鈴木議員は政治資金規正法にのっとって適切に対応されておると思いますし、また所管のところでその報告書を受け付けられている、このように私は承知をいたしております。  それからもう一点だけ、ちょっと時間をとって恐縮ですが、私は今回訪ロいたしましたときには鈴木議員とは一緒に行っておりませんので、念のため申し上げておきます。
  69. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 その事前の段取りに行かれたわけですね。  それで、この収支報告、企業から集められる寄附は、総額で年間大体三億四千万余りということでございます。そのうち法人が二億六千万円ぐらいですね。一つの団体だけでこういうふうになっておりまして、これは先ほど言いましたように、北海道開発庁長官をやっておられた平成十年度の分でございます。  ですから、北海道開発関係の事業を発注するこの最高の責任者であるところの長官が、その予算を配分して、その企業からいわばかすめ取る、こういうことでありますから、これは職務権限と重大に密接に結びついたところの対価の関係にあるのじゃありませんか。これは、総理が今答弁されるような適正な報告を行っているというようなものではありませんよ。これは職務権限ですよ。どうですか。
  70. 森喜朗

    森内閣総理大臣 政治資金規正法では、国から補助金等を受けている会社あるいはその他の法人については、政治活動に関する寄附を行うことを禁止しているところでありまして、また公職選挙法では、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者について、当該選挙に関する寄附を行うことは禁止しているということでありますが、国から事業を受注した企業が政治活動に関する寄附を行うことについては、以上の寄附禁止のほかは特段の制限はないというふうに私は承知をいたしております。
  71. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 私が言っているのは、この予算配分の権限を持ったところの長官が、その配分を受けた先から献金をこれほど、少なくとも今わかっているだけでも直轄事業で三百十社ですよ。三百十の企業から莫大な金を集めているわけですよ。これは、職務権限によるところの対価の関係にあるじゃないですか。これは総理、今の答弁は撤回してもらわなくてはなりません。これはそういうことですから。  ちょっと今時間がありませんから、この問題はまだ先に引き続き追及をさせていただくとして、総理、最後に、こういう国の予算が回っていく先からどんどん無制限に政治家が金を取っていたのでは、あるいは政党が取っていたのでは、国民は幾ら税金を払ったって、これは健全な国になるわけないじゃないですか。だから今この国の借金は、財投の借金を含めれば一千兆円ですよ。これだって返さない借金ですよ。  こういう予算を、国民の税金を還流させて政治献金として金を集めちゃいかぬ、こういう法律を政府は率先してつくるべきだと私は思いますし、総理決意をその点でどうしても聞かせてもらいたいと思います。どうですか。
  72. 森喜朗

    森内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、鈴木議員の政治献金については政治資金規正法にのっとってきちっと報告をされている、そのように承知をしております。  政治資金は民主主義に必要なコストでありますから、また政治活動の自由とも関連するものでございますから、そのあり方については各党会派においていろいろ御議論をいただく問題だと考えております。  私としては、今石井議員のお話を承って、国民の政治に対する信頼を確立するためには政治家一人一人の政治倫理の確立が重要であり、政治資金については、国民の疑惑を招かないように、その透明性の確保が何よりも大事であるというふうに考えております。
  73. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 では最後に、理事会でも申し上げたのですが、鈴木議員と北海道開発庁の当時の責任者をこの決算行政監視委員会に参考人として呼んでこれは聞かないと、この当時の決算ができないと私は思うんですね。そういう意味で、参考人として招致するように要請をいたしたいと思いますので、委員長の方でお取り計らいをお願いします。
  74. 中村正三郎

    中村委員長 理事会で協議します。  次に、志位和夫君。
  75. 志位和夫

    志位委員 私は、森総理の神の国発言にかかわって質問をいたします。  ただ、私がきょうまず伺いたいのは、総理があの発言をどういう趣旨でされたかということではありません。これはもう本会議答弁で伺っておりますので、繰り返しは必要ございません。私が聞きたいのは、戦前戦中の時期に、日本は神の国という言葉、思想が語られたという事実はございます。そして、それがどういう意味で使われたかについての歴史的な認識総理伺いたいと思います。  ここに私、文部省が一九四一年に発行した小学校二年生用の修身の教科書「ヨイコドモ」の下というのを持ってまいりました。総理はちょうど終戦の年に二年生だったと聞きますから、これは覚えていらっしゃるんじゃないでしょうか。  これを見ますと、その一節にこういう部分がございます。「日本 ヨイ 国、キヨイ 国。世界ニ 一ツノ 神ノ 国。」「日本 ヨイ 国、強イ 国。世界ニ カガヤク エライ 国。」そして、この中では繰り返し、「ワガ 日本ハ、世界中デ 一番 リッパナ 国 デス。」あるいは「日本ノ国ハ、世界中デ 一番 タフトイ 国」です、繰り返し書いてあります。  日本は、天皇の祖先の神がつくった国であり、そして代々の天皇が神として統治している国であるから、世界で一番とうとい国で、立派な国なんだ、だから世界制覇の資格がこの国にはあるんだということで、八紘一宇というスローガンのもとにあの戦争に走った、これは歴史の事実だと思うんですね。  つまり、日本は神の国という当時使われた言葉、思想が軍国主義と侵略主義を進める精神的な推進力となった、これは歴史の事実として、総理、この御認識はありますか、お認めになりますか。
  76. 森喜朗

    森内閣総理大臣 今お示しをいただいた教科書を私は覚えておりませんが、また、私の一年生、二年生、一年生のときはまだ戦争前でございましたけれども、そういうことを教えられた記憶は全くございません。  ですから、私の頭の中にありますのは、先ほども議員のとき申し上げましたけれども、天皇はいわゆる国民統合の象徴であるという新しい憲法の中における天皇の存在というものを私は常に頭に置いております。このことは、私自身ずっと、どんな場合でもそういうふうに申し上げてきております。  ただ、天皇は、時代時代によって、今御指摘がありましたように、位置づけが変わったということであろうと思いますが、しかし戦後、そうしたことを反省して、そして象徴天皇というふうにしたということだと思います。
  77. 志位和夫

    志位委員 私が質問したことにしっかりお答え願いたい。私は、当時の、戦前戦中の日本で、神の国日本、神国日本というその言葉がどのような意味を持って使われたかについてのあなたの認識を聞いているんですよ。だから、しっかりお答え願いたい。  もう一つ、当時の、これは一九四三年ですが、小学校五年生用の修身の教科書を持ってまいりました。ここでは、さらに、神の国についてこういう一節があります。「国史がことばでかたり伝へられる前から、神の国日本は続いてゐます。」そして、もう戦争でずっと侵略を進めている時期ですから、こう言っています。「太平洋や南の海には、すでに新しい日本の国生みが行はれました。神代の昔、大八洲の国生みがあつたと同じやうに、この話は、末長く語り伝へられるものです。」こう言っているんですね。  つまり、神の国日本、神国日本という思想は、まさにそういう侵略あるいは軍国主義、それのまさにスローガンだった。これは歴史の事実じゃないですか、あなたにはそういう認識がないんですかと。文部省の教科書にみんな書いてあるんです。その認識を問うているんですから、はっきりお答えください。そういう認識を持っているのか持っていないのか。簡単にお答えください。
  78. 森喜朗

    森内閣総理大臣 私はそういう認識を持っていないということを先ほど申し上げているわけです。
  79. 志位和夫

    志位委員 これは驚きました。  それでは、もう一問聞きましょう。一九四六年一月一日の……(森内閣総理大臣「いや、ちょっと待って」と呼ぶ)
  80. 中村正三郎

    中村委員長 今、答弁が足りなかったようですから。森内閣総理大臣
  81. 森喜朗

    森内閣総理大臣 間違ってとられちゃいけませんから。あなたが今読まれましたようなそういう認識ではないということを申し上げているのですよ。
  82. 志位和夫

    志位委員 今の教科書では明瞭じゃありませんか。南の島、太平洋の島々、これは新しい国生みだ、神国日本の新しい国生みだと、神国日本ということが侵略と一体で語られているじゃありませんか。  もう一問聞きましょう。  では、一九四六年一月一日の昭和天皇の人間宣言、ここではこう言っています。「天皇ヲ以テ現御神トシ、且日本国民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル観念」こう言っていますね。つまり、昭和天皇自身が、天皇を現人神とし、日本を神の国としたことが、この日本は特別にすぐれた民族だ、優越した民族だとして、世界を支配すべき運命を持っている、そういう民族だというところにつながっていった、そのことをはっきり認めて、それは架空なる観念として否定したわけですよ。  昭和天皇自身が、日本は神の国という思想が世界支配への正当化とつながったということを認めているじゃありませんか。この認識はないんですか、あなたには。
  83. 森喜朗

    森内閣総理大臣 ですから、そういうことは過ちであったということで、戦後、そうしたことに対しては否定をし、そして、日本国憲法において、天皇を象徴とし、国民統合の象徴として定めたわけでしょう。そして、信教の自由、これもしっかりと憲法に書き、侵略戦争も否定したという、そこから歴史がスタートしているんじゃないでしょうか、戦後の。
  84. 志位和夫

    志位委員 では聞きますが、神の国は、日本は神の国という思想は誤っていた、日本が神の国という思想があったからああいう侵略や軍国主義が起こったということですね。そういうことの反省の上に立って戦後の政治があるという認識ですね。
  85. 森喜朗

    森内閣総理大臣 まさにそのとおりです。
  86. 志位和夫

    志位委員 では、そのことを総理、わかっているんだとしたら、いいですか、神の国というこの言葉が、その思想がまさに侵略を生んだ、その精神的なスローガンだったということをわかってあなたがあの神道政治連盟で話したとしたら、まさに確信犯になるじゃありませんか。  神道政治連盟というのは、これは皇国史観をいまだに持っている団体ですよ。そういうところであなたがその神の国日本ということをおっしゃった。そして戦前、これはもう間違った思想だとして否定されたということを今お認めになりました。その否定をされた思想を知っていながらその場で言ったということは、まさにそれがあなたの政治信条だったということになるじゃありませんか。  私はもう一点、そういう点で関連して、教育勅語の問題を伺いたい。  総理教育勅語のことを繰り返しお話しになりますが、よいことも言っているとおっしゃいます。具体的に「父母ニ孝」などの文言を挙げておられます。  そこで、私は伺いたいのですが、教育勅語の中で、悪いこと、否定すべき部分、よいことを具体的な文言で挙げたのですから、悪い部分を具体的文言で挙げていただきたい。
  87. 森喜朗

    森内閣総理大臣 私は、この論議をたしか国会のどこかでいたしましたときも、そういう皇国史観的なことを認めるわけにはいかないがと、あるいは超国家的な思想はよくないがということをたびたび申し上げておりますよ。  ただ、その中で、今議員指摘ありましたような、夫婦仲よくするとか、父母に孝養を励むとか、こういうところは、時代が変わってもこれは普遍の真理ではないか、そういうことは私は正しいものではないかというふうに申し上げたところです。
  88. 志位和夫

    志位委員 それでは、皇国史観の部分などよくないということをおっしゃいました。  教育勅語というのは三つの固まりになっていまして、最初に、神が国をつくって徳を定めたと、それがまさに皇国史観の部分だと思うのですがね。  二つ目の固まりは、いわゆる徳目の十二項目が並んでいますね。その中で、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ」という部分があります。これは、いい徳目ですか、否定すべき徳目ですか。イエスかノーかでお答えください。
  89. 森喜朗

    森内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、夫婦でありますとか、兄弟でありますとか、あるいは父母にというところは、私は永遠のやはり大事な真理ではないかということを申し上げているのでありまして、いわゆる超国家的主義、あるいは国の命令で何をしてもいいんだとか、そういう考え方は当然否定すべきものだというのは当然じゃないですか。
  90. 志位和夫

    志位委員 今述べた徳目の項目は否定すべき項目ですか、はっきりお答えください。
  91. 森喜朗

    森内閣総理大臣 当然否定すべきことじゃありませんか。(志位委員「否定すべきことではない」と呼ぶ)否定すべきことですと、こう申し上げているのです。
  92. 志位和夫

    志位委員 まさにその否定すべき一番の中心の徳目がこの内容だったと思うのですね。  一たん戦争が起きれば、これはもう天皇のために命を捨てて戦えという部分ですから、これでたくさんの子供たちが戦場に送られたわけです。教育勅語の中の一番の悪い部分ですよ。  それでは、それ以外の徳目は、果たしてあなたの言うように普遍的な値打ちを持っているのか、これは重大な問題であります。  これは「国体の本義」という、一九三七年に文部省が発行した本であります。これは、国体とは何かについて非常に詳細に書かれております。  そこの中で、教育勅語についてこう書いてあります。  畏くも「教育ニ関スル勅語」に示し給うた如く、独り一旦緩急ある場合に義勇公に奉ずるのみならず、父母に孝に、兄弟に友に、夫婦相和し、朋友相信じ、恭倹己れを持し、博愛衆に及ぼし、学を修め、業を習ひ、智能を啓発し、徳器を成就し、更に公益を広め、世務を開き、国憲を重んじ、国法に遵う等のことは、 いいですか、その後、  皆これ、大御心に応へ奉り、天業の恢弘を扶翼し奉る所以であり、悉く忠の道である。 こう位置づけられているのですよ。  それでは、忠の道とは何か。これも明瞭に書いてあります。「忠は、天皇を中心とし奉り、天皇に絶対随順する道である。」これは忠の考えなんですね。  そして、あなたが言った孝ですね。孝とは何か。「孝は、直接には親に対するものであるが、更に天皇に対し奉る関係に於て、忠のなかに成り立つ。」  そして、忠孝一体という論理が書かれています。「我が国に於ては忠を離れて孝は存せず、孝は忠をその根本としてゐる。国体に基づく忠孝一本の道理がこゝに美しく輝いてゐる。」こういうわけですよ。  ですから、あなたが言った徳目すべて、一たん緩急あらばと、あなたが否定した徳目に全部つながってくる。そして、すべてことごとく忠の道につながるんだと文部省が公式の解説をやっているんですよ。ことごとく忠の道につながる道徳が、天皇絶対の道につながる道徳がどうして普遍的値打ちを持つでしょう。お答えください。
  93. 森喜朗

    森内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますように、そうしたことをすべて含めて、やはり超国家主義あるいは皇国史観ということで私はまとめて申し上げたと思います。そういう考え方に立ってはいかぬということを私は申し上げております。  ただ、何度も申し上げておりますが、私は教育勅語を復活しろというようなことは一度も言ったことはございませんよ。それだけは明確に申し上げておきます。
  94. 志位和夫

    志位委員 そういうものを含めてと、だから、教育勅語で述べられているすべての徳目は、ことごとく忠に通ずるわけですよ。天皇への絶対的な忠誠に通ずる。だから、お父さんお母さんを大事にする、これも結局、そのさらに、一大家族国家である、頂点にある天皇に対する忠誠につながってくる、そういうものとしてこの教育勅語の中にそれは位置づけられているわけですよ。  もう一つ言いましょう。この教育勅語というのは、一九四八年の国会で失効決議をやられている。これは御存じのとおりだと思います。そのときにいろいろ議論がされました。それで、当時、詔勅の内容には部分的にその真理性が認められるんじゃないか、こういう議論があったそうです。最初にはその文言が入っていたのですよ、国会決議の中に。削られました。  削られた理由として、当時の文教委員会の松本委員長が、衆議院本会議の趣旨説明でこう言っていますよ。  われわれは、その教育勅語の内容におきましては、部分的には真理性を認めるのであります。それを教育勅語のわくから切り離して考えるときには真理性を認めるのでありますけれども、勅語というわくの中にあります以上は、その勅語そのものがもつところの根本原理を、われわれとしては現在認めることができないという観点 から、これを削ったんだと。  ですから、お父さんお母さんを大切にというのは、教育勅語と全く無関係に語られるのでしたらこれは大事な道徳ですよ。しかし、教育勅語の中にある「父母ニ孝」という道徳は忠の道に通ずるということが当時の政府の公式見解なんですから、これは全部、すべてはそこに通ずると言っているんですから、こういうものの中に少しでも民主的な道徳規範になるものはあり得ない。  ですから、私は、そういう認識、基本的な認識も全くお持ちにならないで、教育勅語の一番の、そういう部分をつまみ食いにして押しつけようとしていく、結局復活していこうとしていく、この流れは本当に危険だと思いますよ。  私は、きょう総理が、神国日本という考えについて、これは否定されたものだということをお認めになりながら、ああいう場でしゃべった、そして、教育勅語についても、肝心かなめのこの問題についてはお答えになれなかった。即刻退陣を願うしかない、このことを最後に申し上げて、私の質問といたします。
  95. 森喜朗

    森内閣総理大臣 すべて何か決めつけられて、そういう中で、一つ志位議員の学説なのかもしれませんが、私はたびたび申し上げておりますように、戦後そうした反省の中から憲法を新しく定め、そして象徴天皇、国民統合の象徴として天皇制というものを大事にしていこうということ、私はその前提に立って議論をいたしております。  それから、教育勅語を、別に、復活するというのは、さっきも申し上げたように一度も言っておりません。教育基本法というものをもし教育改革国民会議などで議論をされるときに、当時、それが国会によって否決されましたけれども、そういう中にはやはり、今の志位議員のような物の考え方もあるかもしれませんけれども、私どもはそういう考えをとっておりませんから、親孝行であるとか、あるいは日本の伝統であるとか、そうしたことについてはやはりもっと大事にしていくという考え方を、新たな教育のそういう哲理哲学をつくるときには十分参考にしていくべきではないかということを私は申し上げてきているわけでございます。
  96. 中村正三郎

    中村委員長 志位君、時間が来ております。
  97. 志位和夫

    志位委員 日本は神の国という発言は、反省があったらできない発言だということを最後にはっきり申し上げて、質問を終わります。
  98. 中村正三郎

    中村委員長 次に、東祥三君。
  99. 東祥三

    ○東(祥)委員 まず初めに、短い期間でございましたが、外務総括政務次官としてお仕えさせていただきました小渕総理大臣の御逝去に対し、謹んでお悔やみ申し上げますとともに、御冥福をお祈りいたします。  総理、漢書に綸言汗のごとしという言葉がございます。一度口に出した政治指導者の言葉は、一度出た汗を体内に戻すことができないように、その言を取り消すことができないという意味であると承知いたしております。  我が自由党は、これまで総理が、日本は天皇を中心とする神の国であると発言した問題やその他の数々の失言問題について、単に言葉が不適切だとか、あるいはまた不穏当であるとか、そういうレベルではなくて、もう総理としての資質を欠いていると私どもは思っております。  総理が参議院本会議におきまして釈明されたように、人間としてのあり方あるいは生き方について子供たちに身をもってお示しなさろうとするならば、潔く事態の責任をとられて、そして退陣なさるしかないのではないかと私は思います。総理の御所見を聞きたいと思います。
  100. 森喜朗

    森内閣総理大臣 東議員の御指摘でありますが、私は失言をしているとは思っておりません。それはそれなりに経緯またすべての言葉を全部御理解いただければ、東議員の考えておられる心情とそう違っていない、私はそう思っております。
  101. 東祥三

    ○東(祥)委員 ここでは、あと残された時間、総理に、今まで追及されていない、国民生命と財産にかかわる有事法制の問題についてお聞きしたいと思います。  総理、有事法制というのは、有事における軍の行動をあらかじめ法律によって定めるものであります。有事こそ、国民の個人としての権利と、防衛という国家組織の論理が最も激しくぶつかり合う瞬間であります。そのときに軍の行動を規律する法律がないなどということは、有事に及んで超法規的措置を乱発するということにほかなりません。  それは、私は三つの自殺を意味すると思っています。一つは、法治国家の自殺であります。もう一つは、民主主義原理の自殺であり、そして三番目には、シビリアンコントロールの自殺であると考えますが、この点について総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  102. 森喜朗

    森内閣総理大臣 有事法制に関しましては、小渕総理が、我が国への武力攻撃などに際して自衛隊が文民統制のもとで適切に対処し、今御指摘ありましたように、国民生命財産を守るためには必要であり、平時においてこそ備えておくべきものである、こういう認識を前総理は示されております。  私といたしましても、有事法制は、自衛隊が文民統制のもとで国家国民の安全を確保するためぜひとも必要な法制であると考えておりまして、かかる考えから、初めて私としましては所信表明演説におきまして有事法制に言及をいたしたところでございます。  本件につきましては、法制化を目指した検討を開始するよう政府に要請するとの先般の与党の考え方も十分に受けとめながら、今後政府としての対応を考えてまいりたい、このように考えております。
  103. 東祥三

    ○東(祥)委員 余りもうくどくど申し上げませんけれども、今、有事法制の制定というのは待ったなしの状況だと思います。  有事法制研究というのは、福田総理が昭和五十三年、一九七八年にその検討を命じられてから既に二十年以上が経過しているのであります。二十年検討して結果が出ないほど我が政府及び自衛隊は無能なのでありましょうか。私はそうではないと思っています。欠けているのは政治の意思だけであります。  総理は、今御指摘になられましたとおり、小渕総理の遺志を継いで、これまで研究段階にとめられていた有事法制研究を、特に担当の省庁が決まっている第一類及び第二類の有事法制をさらに立法準備の段階へと進めることを命じるお気持ちはあるのでしょうか。それとも、口先だけの対応を繰り返して、歴代政府の怠慢をだらだらとまた二十一世紀まで持ち越されるのでしょうか。  総理の御見解を、やるのかやらないのか、その点についてだけ御見解をお聞きしたいと思います。
  104. 森喜朗

    森内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、また、委員もこれまで外交のそういう任にあられたわけでありますから、国会の論議やこれまでの内閣の姿勢というのは十分承知の上でお話をされていることだと思います。  私は、今、待ったなしだというお話があるということでございますから、本件についての法制化を目指した検討を開始するように政府に要請する、そういう先般の与党の考え方を十分受けとめながら今後政府としての対応を考えたい、こういう指示をしているところでございます。
  105. 東祥三

    ○東(祥)委員 総理総理が決断するかしないか、この問題だけなんです。何をお待ちなされているんですか。総理がやるというふうに言えば、まさに法整備の準備に入ることができるわけです。総理総理を除いてどなたがそのことを言えるんですか。
  106. 森喜朗

    森内閣総理大臣 ですから、法制化を目指した検討を開始するように政府に要請するというその与党の考え方を、今、政府ではそれを受けとめて、そしてこれから政府として十分対応を考えていきたい、こう申し上げているところでございます。
  107. 東祥三

    ○東(祥)委員 最後の質問になると思いますが、総理、有事法制の中には、第三類と言われていて、まだ担当省庁が決まっていないものが多く残されています。二十年以上にわたって検討を続けながら、担当官庁さえ決められないというのは、これはどういうことなのか、全く理解することができない。これはまさに、無力な政治家が指をくわえたまま手が出せなかったからだろうと私は思います。  今まさに、そういう意味内閣指導力が問われているんだろうと私は思いますが、第三類の中でも、特に捕虜の扱いについて、私は、いまだに担当官庁が決まっていないと聞いております。有事の際の捕虜を扱う大臣がこの内閣の閣僚の中にいないというのは非常識も甚だしいと私は考えます。そのようなことがあってもよいはずがないと思います。  もしも、例えば不幸にして我が国が戦争に巻き込まれ、領域警備のために派遣された自衛官が某国の特殊兵士を捕らえてきたら、その捕虜の収容はどの閣僚が担当されるのですか。防衛庁ではないのでしょうか。こんな当たり前のことが決まっていない内閣が、国民の安全保障を真剣に考えている内閣と言えるのかどうなのか。直ちに、防衛庁を捕虜担当の官庁として指名するという総理の御決意、あるいは御約束をいただきたいと思いますが、そのほかに見解があればぜひ教えていただきたいと思います。
  108. 森喜朗

    森内閣総理大臣 二十年もほっておいたとかいろいろ御意見はございますが、それはやはり、国民全体には、そうした論議が深まっていった、私はそういう時期はなかっただろうと思います。それぞれいろいろなお立場のお考え方があったと思います。しかし、憲法にいたしましても、また、こうした安全保障に対しましても、十分国会において議論をしていく、そういう国民的な意見が少しずつやはり醸成されてきているというふうに私は考えております。  今御指摘ございましたように、これらは政府全体として取り組むべき性質の問題だと私は考えておりまして、担当省庁をどこにするか等、それから今後の取り扱いをどうするかということは、内閣安全保障・危機管理室が種々の調整を今行っているところでございます。
  109. 東祥三

    ○東(祥)委員 時間が来ましたので終わりますが、特殊部隊あるいはまた特殊の兵士を、某国ですけれども、その人を捕まえたときに、今総理がおっしゃっているのは、どうしていいかわからないということを言っているのです。どうしていいかわからない、そういうことですね。二十年間ずっと調整過程に入ってきているんですよ。総理がお決めにならなければ、もしそういう事態が発生したときに、だれもどのように手を出していいかわからないということを総理はおっしゃったということを理解して、私の質問を終わります。
  110. 中村正三郎

  111. 保坂展人

    保坂委員 森総理にお尋ねします。  天皇を中心とした神の国発言、私たち野党の中からも、そして、与党の中からも驚きの声が上がった。国民が承知していない証拠だと、驚きの声はもういろいろな方から上がっています。これは森総理国民の方が間違っている、理解不足だというふうにお考えになりますか。
  112. 森喜朗

    森内閣総理大臣 私は、国民理解をしていないとか、そんなことを申し上げておりません。  先ほどの議員の皆さんにも申し上げておりますように、私の発言の趣旨は、よくすべてをお読みいただければ御理解をいただけると私は思っております。たびたび申し上げておりますが、過去のそういう天皇制度のことを評価したり、あるいは日本の国が神様の国、特定の宗教が支配をする国だ、そんなことを申し上げた事実は全くございません。
  113. 保坂展人

    保坂委員 では、端的にお聞きします。日本は神の国ですか。
  114. 森喜朗

    森内閣総理大臣 日本の国というのは、やはり悠久の歴史があるわけでございますし、また、それぞれ人間の能力を超える自然への敬意みたいなものもあるわけでございますね。ですから、そういう意味では、私たちが子供のときには、海にも神様がいらっしゃるし、山にも神様がいらっしゃるし、お米の中にも神様がありますよ、そんな教え方をやはり我々は受けてきているわけでございます。特定の宗教のことを指定して、そして私は申し上げたわけではございません。
  115. 保坂展人

    保坂委員 端的な質問には全くお答えがないのですね。その発言全体を読まれれば理解が得られるはずだと。私は何回も読んでみました。  教育の場で、やはり宗教は心にある文化だから大事にしようと呼びかけられているのですね。総理が列挙されている神様、仏様、アマテラスオオミカミ、神武天皇、親鸞、日蓮、こう列挙されていますが、それぞれどういう関係にあるとお考えになっていらっしゃるのですか。
  116. 森喜朗

    森内閣総理大臣 私は、まだそれはもっと列挙すればいろいろあるのでしょうけれども、要は、それぞれの心の中で信ずる宗教というものを大事にすべきだということを申し上げたのであります。  そして、常に言っておりますことは、心の中にある神、仏というのは、これはやはりその心に宿る個人個人のこれは文化ですから、そのことをあやめたり傷つけたり否定をしたりすることはあってはならない。だからといって宗教の議論をしてはならぬということではないと私は思いますから、宗教というものを大事にしてほしいし、そしてたまたま、お話の前段をお読みいただいていると思いますけれども、最近のこういう青少年犯罪を見ていますと、命というものを大事にするということは、いろいろな文部省などの通達も大事だけれども、基本的にはやはりこうしたことももっと真剣に考えて取り組むべきではないか、それも学校だけではなくて、家庭社会も大事だということを申し上げたところです。
  117. 保坂展人

    保坂委員 総理の発言が、私たちもこれはほとんど、これはやはり総理としての資質に欠くと思いますよ。どうしてこれだけの大きな反響が出てきているのか。今の答弁を聞いていても、日本は神の国というこの思想、神の国日本という思想の中で、かつて戦争のイデオロギーになった、国のために命を捨てる若者を生み出していったということがありますよね。  では、ひとつ明確に答弁いただきたいのです。日中戦争とは侵略戦争でしたか。いかがですか。
  118. 森喜朗

    森内閣総理大臣 それは日中共同声明、あるいはまた一九九五年の総理大臣談話で、我が国としては、多くの国々、あるいはまた中国にそうした侵略行為をして御迷惑をかけたということを申し上げているわけでありまして、その当時私は党の幹部でもございましたので、そうした談話は正しいという判断をいたしております。
  119. 保坂展人

    保坂委員 もう一度伺います。侵略戦争でしたか。
  120. 森喜朗

    森内閣総理大臣 先ほど申し上げましたそうした談話あるいは日中共同宣言、それにつきましては、政府認識は全くそれは変わっておりませんし、私の発言も、将来にわたって侵略ということがあってはならない、そういう認識を述べたことでございまして、こうした不幸な歴史への反省に立って、当時の戦争は侵略戦争であるということを私はきちっと認めております。
  121. 保坂展人

    保坂委員 今、侵略戦争と明確に言われましたが、先日の予算委員会で、この問題は歴史の中でみんなで判断していくと答弁されています。  では、この答弁は一応撤回されて、侵略戦争であるとはっきりここで言い直された、こういうふうに受けとめてよろしいですか。
  122. 森喜朗

    森内閣総理大臣 いろいろな歴史の見方があるだろうと思いますが、そのことも私は申し上げましたし、今申し上げたことが正しい私の考え方でございます。
  123. 保坂展人

    保坂委員 いろいろな歴史の見方はありますけれども政府として、今総理もお答えになったように、村山総理談話ではっきりと、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」こう談話にあるわけですね。  これは、いろいろな議論を踏まえてみんなで判断した結果というふうにお考えになっていますか。
  124. 森喜朗

    森内閣総理大臣 いろいろな議論はあったと思いますが、そういう村山談話を決めたということについては承知をいたしておりますし、先ほど申し上げたように、当時私も党の責任者でございましたので、その談話は正しいという判断をいたしております。
  125. 保坂展人

    保坂委員 随分前のことなんで、森議員が三十五歳のまだ青年議員だったころ、青嵐会が結成されましたよね。このときに、いわゆる血判状ですか、かみそりを指に当てて、血判状で、自主憲法制定を掲げる活動に入られる。  この活動に加わった理由と、そしてその活動を現在から眺め、振り返ったとき、どんな思いでいらっしゃいますか。
  126. 森喜朗

    森内閣総理大臣 もちろん、当時はそれだけのテーマではなかったと思います。随分、教育から政治、行政、いろいろな幅広いテーマがあったと思います。当時私も、今御指摘のとおりまだ若い時期でもございましたから、それらの多くの考え方に共鳴をいたしました。  それは、自主憲法ということも今指摘を受けましたけれども、今の国会では、憲法についての議論を十分しましょうという意見もあって、こうして国会にはそういう調査会ができたということを見れば、当時そういう考え方があったということは、必ずしも私は間違っていたとは思っておりません。
  127. 保坂展人

    保坂委員 今の青嵐会の、森総理が三十五歳のときの気持ちと現在は、そう乖離がないように私ども受けとめるのですね。  先般の発言についても、先ほど失言ではないとおっしゃいました。私もそう思うんですよ。今回の発言は、長年にわたって、三十年間ですかの議員生活森総理自身、森議員自身の政治信条の発露だったのじゃないか。いかがですか。だから撤回をしないんだ、こういうことじゃないですか。
  128. 森喜朗

    森内閣総理大臣 どの部分をおっしゃっているのかわかりませんけれども、私の当日のあいさつというのは非常に長いものでございますし、全体を見てぜひ御判断をいただきたいというふうに思います。  一部的なことを取り上げれば、それは御批判のあることもあろうと思いますし、そこについて誤解を受けた点もありますから、そこの点についてはおわびを申し上げたいと、こう申し上げたわけです。
  129. 保坂展人

    保坂委員 終わりますが、神道政治連盟の国会議員懇談会の顧問、これはおやめになったのですか。これだけ聞いて終わります。
  130. 森喜朗

    森内閣総理大臣 議員連盟は、議員も御承知のようにいろいろなものがございますから、そういう議員の多くの中に参加をしているものもありますし、顧問や役員をしているものもございます。しかし、今回のこういう問題もございましたので、総理大臣という立場では議員連盟の活動をすべて中止をしたい、こう思っています。  ただ、二国間の友好でありますとか、社民党の皆さんも入っているような議員連盟というのはどうなのかなというふうに考えますと、すべてそうしていいのかどうかという判断に迷いますけれども、少なくとも総理大臣の立場としては、今、そうした活動はすべて停止することが誤解を受けないのではないか、そういう思いでございます。
  131. 保坂展人

    保坂委員 終わります。
  132. 中村正三郎

    中村委員長 内閣総理大臣は御退席いただきまして結構でございます。  次に、坂上富男君。
  133. 坂上富男

    ○坂上委員 宮澤大臣にお聞きをいたします。  まず第一に、中村元建設大臣の刑事裁判があります。その控訴審で次のような梅澤元公取委員長の証言があります。宮澤元首相から、金丸さんあたりが、もし告発を見送れば法案に協力すると言っていると示唆されたと証言をいたしておりますが、大臣は、そういう示唆をこの梅澤さんになさいましたか。
  134. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは何の告発ですか。
  135. 坂上富男

    ○坂上委員 中村元建設大臣のあっせん収賄罪の控訴審裁判の証言です。     〔委員長退席、赤城委員長代理着席〕
  136. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 告発を見送るというのは、何の告発……。
  137. 坂上富男

    ○坂上委員 告発というのは、いわゆる埼玉土曜会の談合です。
  138. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういうことは一切ございません。
  139. 坂上富男

    ○坂上委員 そうしますと、梅澤さんの証言は偽証ということになるわけでございます。これは一体どっちが正しいんでしょうか。  元公取委員長がそれだけの証言をなさったんだから、やはり大臣は、総理当時そういう示唆をなさったんじゃないですか。これは、元公取の委員長がそういうことを法廷できちっと証言なさったんです。だとするならば、大臣の方は少しまだ記憶が薄れておられるんじゃないですか。  もし今大臣がおっしゃるようなことになったら、これは偽証問題ですよ。どうですか。
  140. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わかりました。  公取委員長から、金丸さんとのそういう話を私は聞いたことがございます。
  141. 坂上富男

    ○坂上委員 聞いたことを梅澤さんに示唆した、こう言っているんです。そのことを聞いているんです。
  142. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 何も示唆したことはございません。このことは、梅澤委員長の専権事項でございます。
  143. 坂上富男

    ○坂上委員 専権事項ではないです、これは。  だから、そこで中村議員はこう言っているんです。それは、当時の総理から梅澤さんに、金丸さんがこう言っていますよ、こう言って示唆を受けたと証言したとちゃんと書いてある。いいですか。  そこで、当時、第一審では言いませんでしたけれども宮澤総理から官邸で三百万円をいただきました、こう言っているんです。これは、大臣は記憶にない、こうおっしゃっているんですが、これとのかかわりを見てみますると、どうもこのことは正しいんじゃなかろうかと私は思っておりますし、かつ、極めて詳細な供述を中村さんは言っているんです。  だから私は、中村さんからここへ出てきてもらって、証言の対決をしてもらった方がいいだろうと思って申請をしたのでございますが、自民党は反対して、それが喚問できなかった。  でありますが、これだけの詳細な供述を法廷でやったわけでございますが、これはひとつ大臣は、記憶がないとかそういうようなことは少しやはり、もっと具体的に反論なさらなければいけないな、私はこう思っておりますが、いかがですか。
  144. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これにつきましては、既に国会において御答弁を申し上げておりますので、繰り返してお答えをいたします。  当時、独禁法の罰則強化について日米間の交渉がございまして、これについては公取委員長の報告を受けておりました。他方で、埼玉県の談合事件は公取委員長の専管事項でございますから、それらについて私はあれこれということを申しておりません。  次に、中村喜四郎議員は、国会対策事項について報告のため時々来訪されましたが、その際、これら独禁法関係に関して、話し合ったり、金を渡したというようなことは一切ございません。
  145. 坂上富男

    ○坂上委員 さて、中村さんは法廷で堂々とそういうことを供述なさったわけでございます。しかも、梅澤元委員長は、当時の総理からそういう示唆を受けた、こう言っているんです。もしあなたが否定するようなことでありましたら、どうですか、刑事局長、こういうのを偽証罪というんじゃないの。御答弁
  146. 古田佑紀

    古田政府参考人 具体的なある一定の事実に基づいてのお尋ねでございますので、答弁を差し控えたいと存じます。
  147. 坂上富男

    ○坂上委員 これはいずれ、ひとつ対決をしていただかぬといかぬものですから、私は、中村議員を参考人として御喚問いただきますことを要請いたします。  それから今度は、新潟県警に係るいわゆる女性長期監禁事件の被害者が発見されました一月二十八日、三川温泉で県警本部の幹部の皆様方がマージャンしたり酒飲んだり、しかも、公務でないのを公務と称して、手当、給料をもらったりというようなことが大問題になりました。  それで、新潟の監査委員会は監査をいたしましたけれども、いわゆる当時の小林前県警本部長、岸下前警務部長、長谷川生活安全部長、これは国家公務員であるから調査の対象外だ、こういうようなことで監査対象から外れました。そこで、会計検査院からこの検査をやるようにということを先般指摘をいたしまして、調査されたようでございます。調査されまして、私のところにさっき会計検査の結果についての御回答がありました。  その中の大きな一つといたしまして、昼食代、宿泊代、こういうものに対する津川警察署、県警本部あての六通の領収書について国費が使用されていなかったかどうかということについて、「検査した範囲では国費の支出は見受けられなかった。」こういう回答結果が出ているのでございますが、これはどういう帳簿を、どういう資料を調査してこういうことになったのですか。帳簿の資料をきちっと出してみてください。  それから、これは私費を出した、こう言っているんですが、私費を出したという確認はあったのですか。諸表でもって確認しましたか。これをどうぞ。
  148. 増田裕夫

    ○増田会計検査院当局者 お尋ねの昼食代とか宿泊代、これに対しまして国費が支出されているかどうか検査をいたしました。その結果、国費の支出は見られなかったということでございます。  それに関連いたしまして、捜査費についても検査をいたしました。捜査費を検査するに当たりましては、具体的な書類ということでございますが、例えば勤務整理表であるとか旅行命令に関する書類あるいは支払いの精算に関する書類、こういった関係書類の提示を求め、あるいは担当者から直接説明を聞きまして検査をいたしたところでございます。  それから、国費に関する支出はなかったということでございまして、それでは私費から支出されていたことを確認したかということでございますが、会計検査院といたしましては、私費で支払われたことの確認についてはいたしておりません。
  149. 坂上富男

    ○坂上委員 今言ったような帳簿を調べたって出てくるはずはないですよ。例えば現金出納帳のようなもの、そういう出費の帳簿を調べなけりゃこれはわかりませんよ。そんな、今あなたが答弁したようなものを調べたって、何にも出てくるわけない。出張命令書を調べて捜査費が出たか出ないかなんて、わかるはずないじゃないの。会計検査院、何検査しているの、これ。もう少しきちっとした、いわゆる金の出入りに関する帳簿を調べなさい、こうでなければこれは検査できないんじゃないの。この点、どういうふうに見ているんですか。  それから、もう一つ。前県警本部長に百分の二十の減俸処分をしたというのでしょう。しかし、百分の二十、一カ月というのは、二月二十六日の処分に対して、三月分の給与が支払われる前に、二月二十九日に辞職をしたために、結局、減給百分の二十、一カ月分というのは減給できなかった、こういう報告なんでございます。  結局、空処分じゃないですか。何か効果は出たの、これ。いわゆるボーナスか何かに何か影響あったのですか。その金額をひとつ言うてみてください。
  150. 増田裕夫

    ○増田会計検査院当局者 まず最初の、帳簿や関係書類の点でございますが、現金出納簿それから領収書類、そういった必要な書類は見て検査をいたしております。  それから百分の二十の減給処分でございますが、先生言われましたように、減給処分の対象となります三月分の給与というものが支払われなかったために、結果としてその効果が発現しなかったということでございますが、三月分の給与は支払われませんでしたけれども、三月分の期末手当、これについては、三月分の期末手当の基準日である三月一日より前に辞職したことによりまして、本来の支給額の二〇%に相当する額が法律に基づき減額され、さらに、懲戒処分でございます減給処分を受けたことにより、二〇%に相当する額が減額されておりまして、その金額が十一万一千三百二十四円。この減給処分がされたことによる減額の額は、十一万一千三百二十四円ということになっております。
  151. 坂上富男

    ○坂上委員 現金出納簿を調査した、それはそれでまだいいでしょう。そうだとするならば、捜査費に関する帳簿は調査したのですか、捜査費に関する帳簿。これを聞いているのです。  時間がないから、一番最後の大事なことなんです。被害者。被害者の救済、保護、補償、これは今一体どうなっていますか。  私は前から、政府は統一してこういうものに当たるべきだ、こう言っているのですが、どうも、きょう現在調べたところ、いまだもって各省庁別で、各省庁が縦割りで対応しているようでございます。  仕方がないから、各省庁に聞きます。  一体、この女性の被害者に対して、本当に国としてどれだけの対応をしようとしているのか、文部省、厚生省それから警察、お答えいただきたいと思います。どうぞ。
  152. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 小学校四年生以降監禁をされまして、御家族にも会えずに、またその後一切教育も受けられなかったこの被害者の女性のことを思いますと、本当につらい毎日であったと思いますし、お気の毒でなりません。  現在も病院に入院をされまして治療やリハビリを続けておられる、そういうふうに聞いておりますけれども、この女性がまず円滑に社会復帰を果たして、そしてその上で健全な社会生活を送るためには、今委員からもお話ありましたけれども関係の機関が本当に親身になって連携をとりながら全力で支援をする必要がある、そういうふうに思っております。  この女性の就学問題につきましては、既に義務教育を受ける年齢を超えていること、しかし、今後社会生活に円滑に適応していくためには中学校や高等学校の卒業資格などが必要とされることもございまして、御家族や御本人の御希望をよく踏まえながら、教育委員会連携をして、文部省といたしましては適切に対応していきたい、そういうふうに思っているところでございます。  まだ、御本人や御家族から、就学についての御希望等はございません。
  153. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 ただいま文部大臣からも答弁がございましたけれども、今回の事件におきまして被害者であられた女性の方はいまだに医療機関に入院をなさって治療を受けておる、このように承知をいたしておるような次第でございます。  今後とも、厚生省といたしましては、まず女性の方、そして御両親の方々などと十分に御相談を申し上げながら、治療を含めました社会復帰に向けて総合的に御支援を申し上げたい、このように考えているような次第でございます。  新潟県におきましては、専門家チームによります社会復帰に向けた支援を続けております。私どもも、一日も早い社会復帰をなさることを心からお祈りを申し上げておるわけでございますけれども、と同時に、事件や事故に巻き込まれました被害者の方々に対する心のケアにつきまして、大変大きな社会問題になっているわけでございます。  こうした問題につきまして、厚生省といたしましては、今回の新潟県におきます事件を教訓といたしまして、全国五十五カ所ございます精神保健福祉センターのさらなる充実であるとか、あるいは保健所の職員の、PTSD、心的外傷後ストレス障害の研修を積極的に進めることによりまして、いずれにいたしましても、心の健康相談事業の充実についてより一層積極的に取り組んでいきたい、このように考えているような次第でございます。
  154. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 警察といたしましては、被害者女性の人権保護のために種々の方策を講じて、人権を擁護するためにいろいろな配慮をいたしておるところでございます。詳しくは警察庁長官からお答えをさせたいと存じます。  なお、自治省といたしまして現在把握をいたしておりますのは、新潟県におきましては、医師など四人で医療チームを編成して支援をしていると聞いております。  今後とも、十分にプライバシー等に配慮しながら、適切に対応していくことを期待をいたしておるところであります。
  155. 田中節夫

    田中政府参考人 監禁されていました被害女性に対しましては、保護当初から、本部捜査第一課女性被害犯罪捜査指導係の女性警察官を配置して種々の支援活動を行っております。  一方、御家族に対しましても、支援担当者を定めて関係機関等との調整を実施しておりますほか、マスコミ取材攻勢等による御心労に配慮し、要望により警察官を配置するなど、でき得る限りの支援を行っております。  今後、被害者の精神的ケアや御家族に対する支援をどのように進めていくかにつきましては、被害者が現在入院中でありますことから、専門医などによる医療行為を最優先としながら、被害者及び御家族の意向を確認しながら、平成十年に県警察を事務局として結成されました新潟県被害者支援連絡協議会、構成機関でありますところの県の福祉保健部を中心に、県教育庁、医療機関、臨床心理士会等各機関、団体で連携をとりながら推進していくこととしております。
  156. 坂上富男

    ○坂上委員 時間が参りましたので終わりますが、この事件の被害者の方は私の町三条の方でございまして、私たち市民としては、私たちの妹であり孫であり子供である、本当に市民一人一人がそうやって心配をしておる、こういう事件でございます。しかも、市長もわざわざ各省庁に回って要請をしたり、いろいろの努力を積み重ねているわけでございますが、今の御答弁を聞いておりまして、必ずしも、きちっと御家族や御本人が安心できて療養できる、社会復帰できる、心のケアを何とかすることができるというようなところまでなかなかいっていないんじゃなかろうか。  どうぞ、これは省庁を一本にしてきちっと全体の対応をしていただいて、私の調べたところによりますと、まさに世界犯罪史上初めてのようなとんでもない事件でございますから、一層私は政府当局に強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  157. 赤城徳彦

    ○赤城委員長代理 次に、中林よし子君。
  158. 中林よし子

    ○中林委員 運輸大臣にお聞きいたします。  石見空港を含む島根県、広島県、山口県の上空にある米軍の戦闘訓練空域エリア567について、私はこれまで三回にわたって質問で取り上げてまいりました。  政府は、自衛隊の訓練空域、今資料でお配りしている一枚目のところですけれども、エリアQ、エリア7を米軍に使用調整ということで又貸ししていることはお認めになっております。ところが政府は、外務省も防衛庁も、また民間航空の安全に一番責任を持たなければならない運輸省までもが、米軍の訓練内容については承知していない、こういう無責任な答弁をこれまで繰り返してこられました。  この問題では、米軍のパイロット自身が、テレビ局RCCのインタビューで、エリア567でどんな訓練をしているのかという質問に対して、すべての任務だ、空対空訓練、ドッグファイトという追撃訓練、それにハイウエーや道の上などをなぞる飛行、橋やダムを爆撃する訓練、雲が低く垂れているとき雲の下を飛行するんだ、こういう映像がテレビで放映されました。  私は、この資料で見られるように、自衛隊の訓練空域のエリアQ、エリア7については、自衛隊機と全日空機の衝突墜落で多数の死者を出した雫石事故の悲惨な経験から、民間航空機の飛行空域と自衛隊の訓練空域を分離する目的で昭和四十六年に策定された航空交通安全緊急対策要綱に基づいて、当該訓練空域周辺に位置する自衛隊飛行場の訓練機のために設定されたものである、こういうふうに思います。それは政府答弁されているのです。  この訓練空域の中で、一部低高度部分を削除したのは、平成五年に石見空港が供用開始されたことに伴って、同空港への進入、出発機のための空域を確保する観点から、防衛庁と協議の上削除したものである。この絵をごらんになるように、削除されているのです。  ところが、自衛隊と民間機ではこれだけ厳密に分離しているにもかかわらず、米軍との間ではそういう協議や合意は一切ない、これが私は大問題だというふうに思います。  そこで、以前、当時の川崎運輸大臣にお聞きしたときに、私どもが基本的に気をつけなければならないのは、「米軍機が訓練空域というものを逸脱して民間航空機というものに接近をしてくる、こういうことがあってはならない。」こういう答弁をされているわけですね。しかし、「運輸省として、訓練空域における米軍の個別の訓練についてまでは関知していない」、こういう状況にある、これは局長の答弁なんですけれども、そうおっしゃっております。  だから私は、この訓練空域の除外された中で、こういうところで米軍訓練がどういうぐあいにされているのか、それをやはり把握する必要があるのではないかというふうに思います。  もう一つ、自衛隊の訓練について、ドッグファイト、こういうようなものは、航空法の第九十一条及び九十二条の規定に基づいて、運輸大臣の許可を得た上で、訓練・試験空域において行っている、こういうふうに言っているのですが、二枚目の資料にありますように、地元では、米軍機が今、撮影して確認できるような戦闘訓練を行っているということなんですね。  ですから、一つは、米軍がどういう飛び方をしているのかということを、安全に責任を持つ運輸省としてその事実を把握していただきたいというのが一点。それから、少なくとも、自衛隊には認められていない飛び方はするなということを米軍に対して要求すべきだというふうに思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。     〔赤城委員長代理退席、委員長着席〕
  159. 二階俊博

    ○二階国務大臣 石見空港周辺の訓練空域を含め、防衛庁の訓練空域は、民間航空機の安全確保を図るため、委員も御承知のとおり、昭和四十六年八月に策定されました航空交通安全緊急対策要綱に基づき、民間航空機が飛行する空域と分離して設定をしております。  この訓練空域を設定、変更する際には、航空法に基づき航空関係者に周知しているところでありますが、当然、米軍に対しても周知をしておるところであります。したがいまして、民間航空機のための空域との分離についても米軍は十分認識しているものと考えております。  また、米軍機の訓練については、従来より、閣僚レベルを含め、累次の交渉の機会に、米側に対し安全確保に万全を期するように外務省から申し入れを行っていると聞いております。最近では三月十六日に、河野外務大臣からコーエン国防長官に安全性確保の申し入れを行ったところであります。  また、防衛庁の訓練空域で行われている米軍の訓練の状況把握につきましてお尋ねがございましたが、訓練空域は、航空交通安全緊急対策要綱に基づきまして民間航空機が飛行する空域と分離して設定していることは先ほども申し上げたとおりでありますが、運輸省としては、個別的訓練飛行の具体的な内容は今日も把握しておりません。  なお、米軍機については、航空機の運航に関する航空法の規定は原則として適用除外となっておりますが、日米地位協定において米軍は国内法令を尊重する義務があり、外務省は米軍より、訓練飛行を含め、米軍機の運航に当たり航空法の規定を尊重するとの確認を得ていると認識をいたしております。  ただ、委員が御指摘のような疑問点につきまして、きょうはこうしたお尋ねがあったわけでありますから、私の方から正確に外務省にこのことを伝え、こうした御意見が国会の中に今日出ておるということを米軍の側にもお伝えをしたい、このように思っております。
  160. 中林よし子

    ○中林委員 時間が来てしまいました。実際に、今でも戦闘訓練など目撃されているわけですから、本当に民間航空機と接触が起きてからでは遅いわけです。だから、ちゃんとその安全に責任を持つ運輸大臣として厳しく対処していただきたいというふうに思います。  なお、農水大臣にお越しいただいているわけですけれども、時間が切れてしまいましたので、またの機会にさせていただきます。
  161. 中村正三郎

  162. 保坂展人

    保坂委員 私、社会民主党の保坂展人です。与えられた時間が本当にわずかですから、一問だけ、四人の閣僚の皆さんにお聞きをしたいと思います。  神道政治連盟国会議員懇談会、この議員連盟の顧問を、先ほどの質疑森総理はこの顧問をやめたということをおっしゃいました。森内閣の閣僚のうち、臼井法務大臣そして中曽根文部大臣、玉沢農水大臣そして保利自治大臣国家公安委員長、この四人の皆さんはこの議員連盟の幹事というふうに承っております。  この神政連の綱領のトップには、「神道の精神を以て、日本国国政の基礎を確立せんことを期す。」こういうふうにあるわけですが、こういった理念に共鳴して参加されているということだと思いますが、総理が顧問を辞すという事態の中で、やはり四人の閣僚の方も、先週の末の段階では幹事を辞任する考えがないというふうに伝え聞いておりますが、現在どういうふうにお考えになっているのか、森内閣の閣僚としてお答え願いたいと思います。
  163. 中村正三郎

    中村委員長 どなたから。
  164. 保坂展人

    保坂委員 臼井法務大臣、中曽根文部大臣、玉沢農水大臣、そして保利自治大臣とお願いします。
  165. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 議連に私はたくさん入っておりまして、ほかの議連と比較をして本議連の幹事だけやめるという必要はないと思っております。
  166. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 神道政治連盟国会議員懇談会には文部大臣就任以前から参加をいたしております。文部大臣就任後は、会合にも出ておりませんし、活動も行っておりません。  大臣としては憲法及び教育基本法に基づいて職務に当たっておりまして、幹事を辞任する考えはございません。
  167. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 同じく、やめる考えはございません。
  168. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 私も、この幹事を今辞任するつもりはございません。  私もいろいろな議員連盟に入っておりまして、神道のみならず仏教関係議員連盟にも入っておりまして、いろいろなところから、国民各界各層からいろいろな御意見を伺うというのは私ども国会議員の役割じゃないかと思っておりますので、そういうことで、特段の活動はいたしておりませんけれども、会合等があれば資料が回ってまいりますので、そういう意味で私は入っているわけであります。やめるつもりはありません。
  169. 保坂展人

    保坂委員 それでは、代表して中曽根文部大臣伺いますが、これは信教の自由にかかわる問題、しかも学校の中で、教育の場で、宗教教育ではないとおっしゃっていますが、誤解を招くといけないので森総理は顧問をやめるというふうに今ここで言ったのですね。森総理が顧問をやめるということと閣僚として辞任する意思はないと、どういうふうに整合性があるのですか。一言お願いします。
  170. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 森総理森総理のお考えに基づいて御判断されたことと思いますし、私は、先ほど申し上げたような理由で、幹事を辞任する考えはないわけでございます。
  171. 保坂展人

    保坂委員 恐らく四人の方で打ち合わせされたと思いますけれども総理が顧問をやめると、最初はやめないと言っていたのですね、やめるとまで言われた。しかし、今四人の方は、やめる意思はないと。これは、内閣の中できっちり統一してもらわなければ困りますよ。誤解を招くから顧問をやめるというふうに言っているわけですから、誤解を招くのは四人の閣僚の方が幹事をやっていることだって誤解を招くのだということを私は指摘したいと思います。  もう一度ちゃんと考え直していただきたいということを指摘して、終わります。
  172. 中村正三郎

    中村委員長 これにて平成八年度決算外二件及び平成九年度決算外二件についての質疑は終局いたしました。  大蔵大臣及び指摘事項に関係する国務大臣以外の大臣は、御退席いただいて結構でございます。御苦労さまでございました。     —————————————
  173. 中村正三郎

    中村委員長 平成八年度決算及び平成九年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。  これより議決案を朗読いたします。     議決案   平成八年度及び九年度の一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。   本院は、両年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、次のとおり改善を要するものが認められるのは遺憾である。  一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。    次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。   1 有珠山の噴火災害により住民の生活や経済活動に深刻な影響が出ている。今後とも住民の安全確保、被害の拡大防止、災害の長期化などへの対策に万全を期するとともに、生活基盤や経済基盤等に対する支援のための施策を積極的に講ずるべきである。   2 産業のサービス化、高齢化等を背景とした労働力需給の構造変化を踏まえ、厳しい雇用失業情勢を改善し、国民雇用不安を払拭するため、総合的な雇用対策を講ずることにより、雇用の安定を図るべきである。   3 平成九年度の国の一般会計において、一兆六千億円余の決算上の不足が生じたことにかんがみ、適切な税収見積りの確立に更に努力するとともに、国の財政の実情を把握し、国民に明らかにするために、企業会計も参考にした貸借対照表の導入など、国の財政情報の開示の適切な在り方について検討すべきである。     また、特殊法人等の会計についても、最近の企業会計の動向を踏まえつつ、より一層の透明性の確保に努めるべきである。   4 新潟県警を始めとする都道府県警察での一連の不祥事案や防衛庁による防衛装備品調達に係る不適切な事態の発生にかんがみ、業務の公正性の確保や職員の職業倫理意識の向上等の所要の諸施策に取り組み、この種事案の再発の防止に努めるべきである。     また、こうした度重なる公務員の不祥事や最近の厳しい財政状況に対処するため、政策評価制度の円滑な導入に万全を期するとともに、会計検査院の検査機能及び総務庁の行政監察機能について更に充実強化を図るべきである。   5 茨城県東海村の民間核燃料物質加工施設において発生した我が国初の臨界事故による被害の甚大さ及び原子力の安全性に係る国民の信頼の失墜を厳しく受け止め、被害者の救済に全力を尽くすとともに、核燃料を取り扱う施設の安全規制の強化等抜本的な再発防止策の策定と原子力防災対策の強化に努めるべきである。  二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。    政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。   決算のうち、前記以外の事項については異議がない。   政府は、今後予算の作成並びに執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、決算の審査を通じて行政施策を監督、事後評価し、行財政執行の適正を期するという決算行政監視委員会の重要性にかんがみ、本委員会の審査に一層配慮し、もって国民の信託にこたえるべきである。 以上が、議決案の内容であります。     —————————————
  174. 中村正三郎

    中村委員長 これより平成八年度決算外二件及び平成九年度決算外二件を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。辻第一君。
  175. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、日本共産党を代表して、平成八年度決算及び平成九年度決算を議決案のとおり決するに反対の討論を行います。  反対する理由の第一は、長期不況に苦しむ国民の暮らしや福祉に対して徹底的な歳出カットと負担増を押しつけたことであります。とりわけ平成九年度には、消費税増税で五兆円、特別減税打ち切りで二兆円、本人二割負担などの医療保険改悪で二兆円、合わせて九兆円という未曾有の国民負担増を長期にわたる経済低迷の中で強行し、日本経済を戦後最悪の消費大不況に陥れたことであります。  第二に、平成八年度には住宅金融専門会社の不良債権処理に六千八百五十億円をつぎ込み、平成九年度補正予算では銀行への三十兆円支援が盛り込まれ、巨額の国民の税金を大銀行救済に注ぎ込む枠組みをつくりました。  第三には、軍事費の突出であります。平成八年度の軍事費は、新防衛計画大綱とこれに基づく総額二十五兆円を超える五カ年の次期防衛力整備計画の初年度として、二・五八%と四年ぶりの高い伸び率となり、平成九年度には二・一%と一般歳出の中で最も高い伸び率となりました。在日米軍への思いやり予算も聖域化されたままです。  第四に、浪費構造を改めず、公共事業をさらに拡大し、財政危機を一層深刻にしたことです。平成八年度には過去最高の二十二兆円、平成九年度には十八兆円の国債を発行し、国債残高を二百七十四兆円に膨張させ、借入金などを加えた国と地方の借金の合計は五百兆円に上り、国民総生産に匹敵する額となりました。  以上の理由により、ごく限られた指摘事項のほかは両年度決算に対して異議がないとする本議決案には、到底賛成することはできません。  次に、国有財産増減及び現在額総計算書について申し上げます。  国有財産の総増加額のうち、政府出資等を除くと、平成八年度で一七・三%、九千五百五十八億円が、また平成九年度では二一・一%、一兆千二百九十七億円が、主として防衛庁、防衛施設庁が占める総理府所管の増加であり、軍事費の顕著な突出ぶりを示しており、このような国有財産管理のあり方を示す本計算書を是認することはできません。  また、国有財産無償貸付状況計算書については、無償貸し付けされた国有地の中に過去の侵略戦争を賛美する碑が一九八二年七月から建立されるなどの問題があり、この点についてまで賛成するものではないことを明確にしつつ、国有財産を公園、緑地等に使用する目的で地方公共団体に無償で貸し付ける制度の意義を高く評価して、全体としては賛成するものであります。(拍手)
  176. 中村正三郎

    中村委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  177. 中村正三郎

    中村委員長 これより順次採決いたします。  まず、平成八年度一般会計歳入歳出決算平成八年度特別会計歳入歳出決算平成八年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成八年度政府関係機関決算書並びに平成九年度一般会計歳入歳出決算平成九年度特別会計歳入歳出決算平成九年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成九年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり決定するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  178. 中村正三郎

    中村委員長 起立多数。よって、議決案のとおり決定いたしました。  次に、平成八年度国有財産増減及び現在額総計算書平成九年度国有財産増減及び現在額総計算書の両件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  179. 中村正三郎

    中村委員長 起立多数。よって、両件は是認すべきものと決定いたしました。  次に、平成八年度国有財産無償貸付状況計算書平成九年度国有財産無償貸付状況計算書の両件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  180. 中村正三郎

    中村委員長 起立総員。よって、両件は是認すべきものと決定いたしました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 中村正三郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  182. 中村正三郎

    中村委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。中山国土庁長官
  183. 中山正暉

    ○中山国務大臣 ただいま御決議いただきました有珠山の噴火災害への対策につきましては、これまでも各般の施策を講じてきたところでございますが、今後とも住民の安全確保を第一に、御決議の趣旨を踏まえまして、引き続き努力をしてまいる所存でございます。よろしくお願いをいたします。
  184. 中村正三郎

    中村委員長 次に、牧野労働大臣
  185. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 ただいま御決議のありました総合的な雇用対策の実施につきましては、従来から努力を重ねているところでありますが、御決議の趣旨を踏まえ、五月十六日に策定したミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策を初めとした雇用対策を積極的に推進することにより、雇用の創出、安定に万全を期してまいる所存でございます。
  186. 中村正三郎

  187. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御決議のありました適切な税収見積もりの確立、国の財政情報の開示の適切なあり方についての検討及び特殊法人等の会計の透明性の確保につきましては、従来から努力を重ねているところでありますが、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存であります。
  188. 中村正三郎

  189. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 ただいま御決議のありました不祥事案の再発防止につきましては、御趣旨を体し、国家公安委員会として、警察内部の規律の厳正化、困り事相談の受理体制整備、適正な留置管理の徹底など、不祥事案を防止し、国民の警察に対する信頼を回復するための諸施策が全国警察に徹底され得るよう、警察庁に対し適切な指導督励を行ってまいる所存であります。
  190. 中村正三郎

    中村委員長 次に、瓦防衛庁長官
  191. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいま御決議のありました防衛装備品に関する不適切な事態の再発防止につきましては、昨年四月に取りまとめました調達改革の具体的措置に基づき、調達制度、機構等の改革を実施してきたところでございますが、御決議の趣旨を踏まえ、調達改革をさらに推進し、調達業務の一層の透明性、公正性の確保のため努力してまいりたいと存じます。
  192. 中村正三郎

    中村委員長 次に、続総務庁長官
  193. 続訓弘

    ○続国務大臣 ただいま御決議のありました政策評価制度の円滑な導入及び行政監察機能の充実強化につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、平成十三年一月からの行政評価制度の導入に向けて、手法の研究や評価実施のためのガイドラインの立案を進めるなど、その準備に万全を期するとともに、行政監察についてテーマの的確な選定などを通じてその機能の一層の充実を図り、国民に信頼される行政の実現努力してまいる所存でございます。
  194. 中村正三郎

    中村委員長 次に、中曽根科学技術庁長官
  195. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 ただいま御決議のありました核燃料物質加工施設の事故につきましては、昨年九月の事故発生以来、再発防止と周辺住民への対応を主眼に取り組んでまいりましたが、引き続き被害者救済に全力を尽くすとともに、二度とこのような事故が起こらないよう、原子力の安全確保の徹底と防災対策の強化に全力で取り組んでまいる所存であります。
  196. 中村正三郎

    中村委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。  次に、金子会計検査院長から発言を求めます。
  197. 金子晃

    ○金子会計検査院長 ただいま御決議のありました会計検査院の検査機能の充実強化につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、一層努力してまいりたいと存じます。
  198. 中村正三郎

    中村委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。  本日をもちまして平成八年度決算外二件及び平成九年度決算外二件の審査はすべて終了いたしました。皆様の御協力に感謝いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時二十四分散会