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2000-04-25 第147回国会 衆議院 環境委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月二十五日(火曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 細川 律夫君    理事 今井  宏君 理事 大野 松茂君    理事 村上誠一郎君 理事 目片  信君    理事 小林  守君 理事 近藤 昭一君    理事 若松 謙維君 理事 藤木 洋子君       愛知 和男君    大石 秀政君       河野 太郎君    桜井 郁三君       田邉 國男君    桧田  仁君       平沼 赳夫君    福永 信彦君       柳本 卓治君    佐藤謙一郎君       並木 正芳君    丸谷 佳織君       中村 鋭一君    武山百合子君       中川 智子君     …………………………………    環境政務次官       柳本 卓治君    参考人    (京都大学名誉教授)    (中央環境審議会廃棄物部    会長)    (産業構造審議会廃棄物処    理・リサイクル部会長)  平岡 正勝君    参考人    (NPO法人環境文明21代    表理事)    (循環社会推進国民会議事    務局長)         加藤 三郎君    参考人    (日本電気株式会社主席技    師長)          山口 耕二君    参考人    (廃棄物処分場問題全国ネ    ットワーク事務局長)   大橋 光雄君    環境委員会専門員     鳥越 善弘君     ————————————— 本日の会議に付した案件  循環型社会形成推進基本法案内閣提出第九五号)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 細川律夫

    細川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出循環型社会形成推進基本法案を議題といたします。  本案審査のため、本日、参考人として京都大学名誉教授中央環境審議会廃棄物部会長産業構造審議会廃棄物処理リサイクル部会長平岡正勝君、NPO法人環境文明21代表理事循環社会推進国民会議事務局長加藤三郎君、日本電気株式会社主席技師長山口耕二君、廃棄物処分場問題全国ネットワーク事務局長大橋光雄君、以上四名の方に御出席いただいております。  この際、参考人皆様に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人皆様におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査参考にしてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の順序でありますが、平岡参考人加藤参考人山口参考人大橋参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。  それでは、平岡参考人お願いをいたします。
  3. 平岡正勝

    平岡参考人 ただいま御紹介いただきました平岡でございます。  私は、昭和三十五年十二月に京都大学化学機械学科、現在の化学工学の講師から、当時新設されたばかりの衛生工学科の助教授に赴任して以来、昭和四十四年から教授といたしまして、また平成三年四月には大学院の学科として新設されました環境地球工学専攻教授として、三十数年一貫して環境問題の教育研究に従事してまいりました。特に環境技術の方が専門だったわけですが、平成六年三月に定年退職いたしまして、現在、御紹介いただきましたように京都大学名誉教授を拝命しております。  本日は、循環型社会形成推進基本法案審議に際しまして、参考人として意見を述べさせていただきますことを光栄に存じております。  まず最初に、私なりに廃棄物問題の背景について述べたいと思います。  第二次大戦後の我が国廃棄物処理体系は、私は三つの時代に分けて考えております。  我が国最初廃棄物処理の近代的なシステムづくりは、これは戦後に限っておりますが、昭和二十九年の清掃法の制定に始まると考えられます。清掃法では、御承知のとおり、都市ごみ及びし尿汚物と称して、これを公衆衛生的に処理し、生活環境から適切に排除処分することが目的でございました。私が衛生工学科に移りましたのはちょうど三十五年でございますので、いろいろな処理法が試みられていたころでございます。当時の日本は、非常にまだ貧しくて発展途上国でございました。すなわち、当時は、都市ごみし尿処理伝染病予防目的であったわけであります。  昭和三十八年に始まりました厚生省の第一次の環境整備五カ年計画において、原則として都市ごみ焼却処理するという形で導入されて以来、各都市焼却プラントが建設されていったわけであります。当時は、都市ごみ発熱量が千キロカロリーもございませんで、燃えないわけであります。自燃しないにもかかわらず焼却処理が導入されたのは、一にかかって病原菌は熱的な処理をすることが一番公衆衛生的に安全だったわけであります。したがって、当時の焼却処理は、最終処分量を減らすということと公衆衛生的に安定化することが目的であったわけであります。  次の時代は、第二期は、経済成長とともに事業活動に伴って排出されます廃棄物が問題になりまして、昭和四十五年のいわゆる公害国会におきまして、清掃法廃棄物処理及び清掃に関する法律改正されまして、現在では廃棄物処理法というふうに略して言っておりますが、産業廃棄物処理事業者責任一般廃棄物処理は従来の清掃法流れをくんで市町村の責任処理責任明確化が行われたことは御承知のとおりであります。そして、経済成長の後追いのような形で各種廃棄物処理に関する基準がつくられていった時代でございます。  第三期の時代は、これからの循環型社会構築時代というふうに考えられます。  次に、我が国経済成長を知るために物質収支をとってみますと、我が国輸入資源輸入製品を、これは大体平成八年度ベースぐらいのところでございますが、合わせて七・六億トンを外国から資源を輸入しております。そして、四・二億トンが大気の方へエネルギー消費として出る。輸出は、自動車とかなんとか全部を重量に換算してみますと、〇・九億トンになります。  このような形で、我が国は、輸入資源だけでも最終的には大量の廃棄物を生みます大量生産大量消費大量廃棄の一方通行的な社会産業構造になってきていることがわかります。  最近、中国が既に石油輸入に転じ、今後の成長が期待されます東南アジア等の諸国も多くの資源エネルギー消費するようになりますと、世界的に見まして、我が国だけが海外から七億トン以上の資源を輸入することが将来とも許されるだろうかという心配があります。このような日本物質収支の全体から考えても、できる限り早く循環型社会システムに変換いたしまして、天然資源消費を少なくしていく必要があるというのが私の意見でございます。  次に、私が衛生工学科で教鞭をとっておりました昭和四十六年時代から考えておりました静脈系概念について述べさせていただきたいと思います。  簡単に言えば、廃棄物問題、環境問題の解決のためには、人間の体が動脈静脈が動的なバランスをとって初めて健康を保つように、社会の中にも生産系であります動脈と、処理リサイクル等をつかさどります静脈システムが必要であるというのが長年の主張でございます。  我が国は、懸命な努力で公害問題を克服してきたわけでありますが、経済成長とともに都市に人口が集中し、人間自身が排出する下水廃棄物の問題、事業活動からの廃棄物の投棄などの問題が生じてきたわけであります。  このような形で、人間大量生産大量消費活動自然生態系を脅かすまでに大量になってきたというのが、人間活動自然生態系バランスを崩す原因になってきたわけであります。これが地球環境問題であります。  生産系を先ほど申しました人体動脈システム考えますと、リサイクル処理システムは、人体静脈システムに相当する。経済成長段階で、動脈システムに多くの資金を投じてきて経済成長を遂げたわけでありますが、静脈システム構築には余りにも資金を投じなかったと言わざるを得ないわけであります。  私が職を奉じておりました衛生工学科は、水道、下水大気保全廃棄物処理等をいろいろ教育研究してきたわけでありますが、現在でも下水道は五八%、とても先進国とは言えないというふうな状況でありますので、今後は、この静脈系に大きく資金を投じて、社会資本整備が必要であり、そして、人間の健全さと同様に、社会動脈システム静脈システムバランスが適切に保たれなければならないというのが私の主張でございます。  このような中で、中央環境審議会廃棄物部会長を現在仰せつかっておりますが、廃棄物部会は、平成八年十一月に環境庁長官から「廃棄物に係る環境負荷低減対策の在り方について」の諮問を受けまして、平成九年十一月に第一次答申を行いました。  この答申におきましては、第一章で廃棄物最終処分基準等の一部改正について、第二章で有害物質を含む使用済み製品に起因する環境負荷の削減についての提言とあわせまして、第三章で総合的な廃棄物リサイクル対策についての課題方向性についてまとめました。  本部会では、この第一次答申の第三章において示された課題方向性を踏まえまして、ドイツの法律等を勉強しながらさらに検討を重ねまして、平成十年七月に、総合的体系的な廃棄物リサイクル対策の基本的な考え方をまとめまして、このたたき台をもと全国の方にパブリックヒアリングを行いました。ちなみに、そのときのパブリックヒアリングは四十二団体、それから郵便、ファクス、電子メールの御意見は二百三件と非常に多くの意見をいただきまして、廃棄物部会は、この幅広い御意見を踏まえまして、良好な環境を維持、保全し、これを将来の世代に引き継ぐことができる社会を目指しまして、廃棄物リサイクル一体となった環境保全上適切な、途切れのない物質循環の輪を構築するということを通じて、環境への負荷の少ない持続可能な経済社会実現を図るため、総合的体系的な廃棄物リサイクル対策考え方について取りまとめを行ったわけであります。平成十一年三月十日に、この報告書環境庁から発表していただいたわけであります。  これがいわゆる起爆剤になりまして、それぞれ、通産省、建設省、農水省等からも今国会リサイクル法が提案されることになったと聞いております。  そういう意味で、環境基本法もと廃棄物処理リサイクルを一体化して進めるために、そしてその下に食品リサイクル建設資材家電容器包装、さらにグリーン購入、各法案が附帯するような形で循環型社会形成推進基本法が提案されたことは、私、長年の研究者としても、中央環境審議会部会長としても、非常に喜ばしいことであるというふうに思っております。  十分な審議の上にこの循環型社会形成推進基本法をぜひ成立していただきますようにお願いいたしまして、私の意見を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手
  4. 細川律夫

    細川委員長 ありがとうございました。  次に、加藤三郎参考人お願いをいたします。
  5. 加藤三郎

    加藤参考人 NPO法人環境文明21の代表を務めております加藤でございます。  廃棄物リサイクル対策を通じまして、私たちの社会循環社会へと大きく変えることが期待されます循環型社会形成推進基本法案審議する国会の場に参考人としてお招きを受け、意見を述べる機会をいただきましたことを大変光栄に存じ、厚く御礼を申し上げます。  私自身は、七年近くNGO生活をいたしておりますが、かつては、厚生省環境庁におきまして、廃棄物リサイクル問題に直接間接かかわる行政に身を置いたことがあります。また、その関連で地方行政の実情も承知をしているつもりでありますので、そのような経験も加味しまして、御意見を申し上げたく存じます。  ただ、本日は時間も限られておりますので、本基本法案に対します私の意見を簡潔に申し述べようとは存じますが、それに先立ち、私自身問題意識を知っていただくために、廃棄物リサイクル問題を解決するため、一体何をすべきであると私が考えているかを、六点に集約して、あらかじめ申し上げさせていただきたいと存じます。  まず第一点は、大量生産大量消費をそのままにして、大量リサイクルになってはだめだという点です。  持続可能な循環社会をつくるためには、この二十世紀のパラダイムを意識的に転換する必要があります。そのためには、現在の経済社会の枠組み、すなわち市民意識価値観もとより、憲法、税制法制予算の配分、行政組織あり方など、中長期的には変えていかねばならないと考えております。大量生産大量消費が大量の廃棄リサイクルにとどまっていては、幾らもがいても循環社会はできないと考えております。  第二点は、廃棄物をこれまでの定義のままに閉じ込めていては、循環社会はできないということです。新しい言葉概念をつくらないと循環社会は来ないと思います。  御高承のように、現行の廃棄物処理法におきましては、廃棄物とは、汚物または不要物定義されております。この定義のままですと、廃棄物社会にとって危険なものであるから、一刻も早く焼却や埋め立てにより生活環境から排除してしまおう、そういう思想、思いが強く出てきても不思議ではありません。  つまり、従来長いこと使われてきた廃棄物概念は、大量生産大量消費大量廃棄という流れを心理的にも許容ないしは補強してきたものと私は最近は考えております。また、現に、汚物または不要物であるとされた廃棄物を有用なものとしてリサイクルするには制度的にも限界があり、現場では、これまでしばしば混乱が見られました。  三点目は、排出者責任を明確にした上で、生産者が特別に有するリサイクル処分の責務を明らかにしていくことの重要さです。  工場、事業所家庭から排出される不要物リサイクル処分に要するコストを負担するのは排出者、これが原則です。しかし一方で、家電製品自動車のように、使用後に不要物となったものをリサイクルしたり処分する責任は、この製品生産プロセスや成分などを最もよく知っている生産者に第一義的に負わせ、その一方で、受益者である使用者は、それに要する費用をその価格に上乗せされるという形で負担することが重要です。つまり、使用者消費者にしてみれば、製品リサイクル処分に要するコストを買った時点で先払いするということです。  四点目は、リサイクルした後の再生品市場、いわば中古市場を育てることです。  現在の日本中古市場として確立しているのは、自動車、衣類、本ぐらいなどではないでしょうか。それ以外は、時々フリーマーケットなどで売買されることはありますが、市場としては必ずしも十分に確立してはいないように思います。このままにしておきますと、リサイクルし、再商品化しても、市場がない、働き場がないということで、結局もとごみに戻ってしまいます。  五点目といたしましては、技術開発普及の足を引っ張っている制度上の制約、例えば不必要な規制でありますとか、あるいは逆に制度上の不備、例えば税制上、財政上の支援措置の欠如など、そういう不備を改めることです。  最後の六点目としましては、消費者生活者たる国民廃棄物リサイクル問題について正しい理解を持つことが必要です。  ごみと名がつけば身の回りから一切排除する。そして、リサイクル処分する仕事や人のことを理解しようともしないのでは、経済消費生活からどうしても出てくる不要物リサイクル処分は進みません。  またその一方で、静脈産業に従事する経営者、社員も、新しい技術、次々に変わる法制などに対応する研修を行う必要があります。現在、各種団体研修を行っておりますが、私には必ずしも十分とは思えません。ある程度公費で補助しても、きちっとした研修をし、そして資格を取らせるような措置も必要だと考えます。  さて、以上、廃棄物リサイクル問題に関する私見をやや詳細に申し上げましたが、このような観点から、審議になっております本基本法案を拝見いたしますと、今私が指摘しました問題に対し、さまざまな制約条件もとで立法化されたにもかかわらず、果敢に取り組んでおられ、高く評価できます。  すなわち、本法案は、大量生産大量消費大量廃棄型の経済社会からの脱却を意図し、生産から流通、消費廃棄に至るまで、物質の効率的な利用リサイクルを進めることを推進しようとしております。これにより資源消費が抑制され、環境への負荷が少ない循環型社会形成することをねらい、発生抑制再生品使用促進製品容器等事前評価を初め、さまざまな有効な手法が本基本法案に盛り込まれております。  もとより、これで完璧とは考えませんけれども廃棄物処理法資源リサイクル法改正など、個別の廃棄物リサイクル関係法律整備も今国会審議されることを考えますと、その方向において適切であり、また国民の期待に大筋においてこたえ得るものと考え、私は、本法案の今国会での成立を強く願うものです。  次に、各論的に重要と思われる幾つかのポイントに触れたいと存じます。  まず、この法案に、循環資源という言葉概念を新しく導入したことは高く評価できます。  この基本法案におきましては、法の対象となるものを有価、無価を問わず、廃棄物等としてまずとらえ、この廃棄物等のうち有用なものを循環資源として位置づけ、その循環的な利用を促進しようということは、先ほど私が申し述べました現場での混乱を整理し、また従来の廃棄物概念を大きく変える第一歩となると思い、評価したいと存じます。  第二点は、処理優先順位を初めて法定化したことであります。  実は、私ども専門家の間では、発生抑制、再使用、再利用熱回収そして適正処分という順番は、いわば常識化しておりましたが、これが本法により初めて法定化された意義は大きいと存じます。  第三点は、いわゆる拡大生産者責任考え方を明確に取り入れたことです。  つまり、みずから生産する製品について、生産者が、生産使用段階だけでなく、使用後の廃棄物となった段階まで一定の責任を負うという拡大生産者責任考え方を明確にしています。具体的には、物品耐久性の向上やリサイクル容易化等のための製品の設計、材質の工夫、あるいは使用済み製品等の引き取り、引き渡しルート整備及びリサイクル実施、あるいは物品等に関する情報提供といった措置本法の中に位置づけたことは評価できます。  ただ、本基本法が成立した暁には、ここに盛られた拡大生産者責任考えに照らしてみますと、現在の容器包装リサイクル法については早急に見直し検討が必要になると存じます。  第四点は、循環型社会形成に関し、国際的な相互協力を国が講ずるとした点、第三十一条であります。  膨大な資源の輸出入の現状考えますと、循環型社会は国際的な連携の確保なくしては不可能であります。現に、先ごろ、栃木の悪徳産廃業者が古紙と偽って、医療廃棄物を含む廃棄物をフィリピンに輸出するという恥ずべき事件があったばかりです。そういう意味合いでも本条は重要でありますが、同時に、循環型社会形成発展途上国を含めて国際的な相互協力もとに促進するという考えは、ODAの実施など環境協力においても重要だと存じます。  最後の五点目は、第二十八条に、民間団体等の自発的な活動を促進するための措置が書かれていることです。  ここにありますように、今日の日本社会では、民間団体は、循環型社会形成に関するさまざまな活動をし、社会に貢献しております。循環資源回収などの具体的行動のほかに、調査研究政策提言普及啓発どもまた極めて重要だと考えられます。現に、本法案作成過程におきましても、幾つかの市民団体がさまざまな形で参加してまいりました。私自身も、民間団体NGONPO立場活動しておりますが、多くのNGONPOは、必要な支援が十分に得られない困難な状況にありながら、環境保全のため歯を食いしばって頑張っているのが現状です。この条文にあります必要な措置の中には、単に情報提供だけでなく、財政的な支援措置も含むよう、今後は必要な予算措置を講じていただきたいとお願いいたします。  とりあえず本法案について以上の五点を申し上げましたが、質疑の時間に追加ないし補足説明させていただく機会がありますれば幸いでございます。  御清聴ありがとうございました。(拍手
  6. 細川律夫

    細川委員長 ありがとうございました。  次に、山口参考人お願いをいたします。
  7. 山口耕二

    山口参考人 ただいま御紹介いただきました、NEC環境担当主席技師長をしております山口でございます。  最初に、簡単に私の自己紹介をさせていただきたいと思います。  私は、昭和四十三年にNECに入社いたしまして、それ以来、メモリー等々の半導体の生産設備開発に従事してまいりました。環境の業務は、本社環境スタッフとして環境管理部長に就任いたしました平成二年より九年間、全社の環境活動の統括をしております。  私が環境管理部長に就任いたしました当時の環境問題は、地域の公害問題から地球規模的な環境問題に転換しようとしている、ちょうどそういう時期でございました。  そういう意味では、平成四年にブラジルで行われました地球サミット、ここではサステーナブルディベロプメント、すなわち持続的な開発をやろうじゃないかということが大きく踏み出されたと認識しております。  さて、このような社会の動きの中で、私ども産業界がどのような形で循環型の社会づくりに取り組んでいるかを簡単に紹介させていただきます。  まず、経団連が、御存じのように、平成三年に地球環境憲章を制定し、大量消費使い捨て社会あり方見直し、また持続可能な開発実現など、環境問題解決に向けた新たなコンセプトを発表しております。  また、引き続きまして、平成八年には、二十一世紀環境保全に向けた経済界自主行動宣言でございます環境アピールを発表いたしまして、地球温暖化防止への対応、さらには循環型経済社会に向けての取り組みとして、生産工程から発生いたします排出物使用済み製品などは、従来の廃棄物ではなくて、資源である、副産物である、こういう位置づけの発想転換をしております。この環境アピールに基づきまして、各社が一層の努力をしているところでございます。  次に、NECが所属しております情報機器産業界循環型社会づくりへの取り組みを簡単に御紹介させていただきます。  御存じのように、情報機器の中で、特にパソコンは、今やIT社会システムを構成する重要な役割の一つを担っており、また人々の生活環境行動範囲を豊かに広げる情報ツールといたしまして、生活になくてはならないものになりつつございます。  そういう中で、九九年度、昨年度でございますけれどもパソコン市場は、出荷台数八百万台、そのうち七〇%は企業向け一般消費者向けが三〇%、年間伸び率が一〇%でございました。  また、今年度以降も同じように年率一〇%強の伸びが見込まれておりまして、これに伴いまして、企業系のもののみならず、一般向けのものもふえてまいりまして、近い将来、家庭で使い終わったパソコンが大量に出てくるのではないか、このように予測をしております。  ただ、現在、企業が使っておりますパソコンにつきましては、当社においても既に回収をしておりまして、年間一万トンを回収し、そのうち四五%は何らかの形でマテリアルリサイクルを行っております。  したがいまして、既存の企業向け回収リサイクルシステムを再構築いたしまして、今後数年後に予測されております家庭から排出される使用済みパソコン回収リサイクルに対応したい、こういうことで、私ども工業団体でございます日本電子技術振興協会、ここでは一月に三R自主行動計画、すなわち、リデュース、リユース、リサイクル、これにつきましての宣言をいたしまして、現在活動しているところでございます。  以上のような、産業界並びに情報機器工業会が取り組んでおります資源循環型の活動現状を踏まえまして、このたびの法律案について、私どもの御意見を簡単に、参考人といたしまして述べさせていただきたい、このように考えております。  まず、今回の法案は、国、地方自治体、事業者、国民が公平な役割分担を担い、それによって循環の輪をつくり、循環型社会形成を目指すものでありまして、私ども産業界考えておりますような考え方並びに方向と全く一致しているわけでございます。今までの個別法の具体的な政策とともに、この資源循環に関する基本的な理念が、この循環型社会形成に向けた大きな一歩を踏み出すものと評価しておりまして、基本的に本法律案を支持する立場でございます。  しかし、この法律案によって、今までのリサイクルあり方である、金属回収熱回収、埋立処分などの見直しが求められるわけでございまして、再使用、再利用優先順位をつけたリサイクル実施や設計段階におけるこれまで以上の環境配慮など、より高いレベルの資源循環を目指す必要がございます。また、新たな取り組みのため、製造コストアップの要因にもなる可能性もございます。  実際には、実現するためには大変厳しい内容もございますが、資源循環型事業への転換とともに、社会的な責任もあり、我々が目指す基本的な方向でもありますので、歯を食いしばってこの法案の趣旨に沿えるように努力していきたい、このように考えておる所存でございます。  このような資源循環を中心とした経済社会方向に進むことは、中期的な視点で見ますと、製品の強さ、サービスの充実、さらには国際競争力の強化など、具体的な効果が期待できるのではないか、このように確信している次第でございます。  次に、具体的に、法律案に関しまして、私どもとして高い評価ができる項目を四項目、それから施行時にぜひとも政府の皆様方に御配慮賜りたい点について述べさせていただきたいと思います。  まず第一に、この法律案の評価できる点でございますけれども、この法律案の目的定義でございます。  先ほど参考人加藤先生からもお話ございましたけれども、この基本法目的は、環境基本法の基本理念にのっとり、循環型社会形成についての基本原則を定め、国、地方自治体、事業者、そして国民の責務を明らかにし、その対策の基本となる事項を定め、循環社会の中期的な方向づけをされた点でございます。  資源の投入量の限りなき抑制、資源の再利用の促進による環境負荷の低減、廃棄物の適正処理等、循環型社会の一体的な構築にこの基本法が役立つものと理解しております。  また、生産工程使用済み製品排出物である従来の汚物、不用物の廃棄物を、発生抑制の観点から廃棄物等定義し、また資源循環の観点から循環資源定義されております。これにより、廃棄物資源化が進むと期待しております。  ただ、たとえ技術が進み、またコスト面での改善が進み、資源循環量が多くなっても、残念ながら、必ず廃棄物として発生するものは出てまいります。これについては、排出者が適切に処分することが法律で定められております。  以上が、評価できる一点目でございます。  二つ目の点は、循環型社会形成の条件でございます。循環型社会形成条件は、技術的かつ経済的な可能性をもとに、自主的な行動が基本とされている点でございます。  技術的に可能でございましても、経済的に困難さがある場合は、市場形成が難しく、普及に時間がかかります。一般的な話でございますけれども、その技術とか製品普及率が二〇%以下のときには、コストも高く、普及のスピードは非常に遅うございます。しかし、二〇%を超えると急激に普及し、コストも下がると言われております。したがって、この基本法に基づいて、早く二〇%のラインを超えることが、大きくこの基本法の精神が普及すると思っております。  三つ目は、国、地方自治体、事業者、国民のおのおのに適切な役割分担と公平な費用負担を述べられた点でございます。このことは、循環の輪を形成する基本であると思います。  循環型社会は、国、自治体、事業者、国民の四つの入り口から、おのおのの責任でかぎをあけ、同じ部屋で議論し、責任を持ち合うことだと思っております。  もちろん、企業が大きなかぎを握り、責任が重いことは重々承知しております。循環型社会づくりのためには、自己責任と自己負担で進むことが原則とも考えております。事業者の責任や役割は非常に重いと認識しておりますが、消費者の参画なしに循環社会構築は厳しく、ぜひとも消費者皆様にこの循環の輪の中に入っていただき、我々企業に対してさまざまな御示唆をちょうだいしたい、このように思っております。  四つ目は、資源循環のための処理方法について優先順位をつけられたことでございます。  残念ながら、私どもが現在行っておりますリサイクルは、技術が未熟なこともあり、また経済的な理由等々もございまして、再使用、再生利用の施策が十分とは言えません。中古品においても、例えばパソコンの場合に、ソフト等の知的所有権の問題がございましてなかなか再使用が十分できない等々の問題もございます。  今後とも、量産技術や適切な費用で実用可能な技術などの開発努力していく所存ではございますが、ぜひともこの基本法の中で、規制の緩和とか財政的な優遇措置、また、国の機関における三Rにかかわる基礎技術開発等々をよろしくお願いしたいと思っております。  次に、基本法でうたわれております中で、具体的に展開される際にぜひとも御配慮賜りたい点を四点お願い申し上げます。  まず最初に、拡大生産者責任でございます。  循環型社会において、事業者の責任は非常に重いと受けとめております。しかし、これはあくまでも合理的な範囲においてでございまして、この辺を十分に考えたいと思っております。  事業者の責任を、消費者製品使用した後の段階にまで拡大することは、資源循環を推進し、また不適切な廃棄物処理対策のためにも重要なことと認識しております。そのため、私どもでは、リサイクルの容易な設計、リサイクルの容易な材料、また自社製品回収システム等々も充実させております。  生産工程から出ます廃棄物につきましては、産業廃棄物でございますので、私ども責任がございます。しかし、一般消費者から出てくる製品については、どこでいつ使われ、いつ廃棄されるかわからない、すなわちお客様の顔が見えない場合が多うございます。したがいまして、引き取りとか回収、再資源化費用の回収等々に困難な状況考えられております。  特に、回収と費用負担につきましては、使用者である排出者が主体性を持ち、その実行に際し、私ども企業とか行政と連携して、相互のコミュニケーションを深めながら行えるような環境づくりをお願いしたいと思っております。  二つ目は、製品設計段階での環境配慮でございます。  リデュース、リユースなどの再資源化の施策や長寿命設計、リサイクル設計等については、既に各社が独自に技術とか知恵、工夫を出して行っております。ぜひともこの辺の企業の自主的な取り組みを尊重賜りたいと思っております。  三つ目は、最終処分場やリサイクル関連施設の公的施設の確保でございます。  循環型社会において、資源循環が機能しても、最終的に処理するものはどうしても出てしまいます。最終処分場が非常に少なくなった、また新設することが非常に難しい、これは現実の問題でございます。したがいまして、この施設の確保につきましては、ぜひとも地方自治体の強いイニシアチブを期待しております。  四つ目は、不法投棄の原状回復についてでございます。  マニフェスト制度など非常に効果的な施策が既に実行されてはおりますが、まだ不適切な行動をする業者や不法投棄が発生しております。この際には、ぜひとも厳格かつ速やかな処置をお願いしたいと思っております。経団連では、既に、行政と連携いたしまして原状回復の活動はいたしておりますが、これはあくまでも対症療法でございます。源流対策になるような厳しい取り締まり、また許認可の厳格な運用をぜひともお願いしたいと思っております。  最後に、運用面でまず大切なことは国民意識改革でございます。  国の役割の中で、国民環境教育やしつけの教育は、時間がかかるとは思いますが、非常に重要でございます。また、企業におきましても、社員への環境教育、また市民に対する環境情報の提供など、今まで以上に積極的に取り組み循環事業活動の展開に一層尽力をする所存でございます。  法律案に関しまして、産業界の一人といたしまして、意見考え方を述べさせていただきました。どうもありがとうございました。(拍手
  8. 細川律夫

    細川委員長 ありがとうございました。  次に、大橋参考人お願いをいたします。
  9. 大橋光雄

    大橋参考人 本日は、この国会で発言の機会を与えていただいたことに感謝をいたします。  私は、廃棄物による環境問題で日々悪戦苦闘している各地の住民運動の一員として、本法案に対する率直な意見を申し述べたいと思います。短い時間に少しでも多くのことを聞いていただくため、少し早口になるかもしれませんが、お許しください。  現在、全国廃棄物紛争は、私たちが知っているだけでも六百五十地域以上に及んでおります。その中には、はかり知れないほど深刻な環境汚染問題を引き起こしているところが少なくありません。多くの人々が、悲痛な思いで一日も早い解決、それも根本的な解決を求めております。  廃棄物問題の根本的な解決には、資源循環型社会への転換が不可欠だと言われてきたことは大方御承知のとおりであります。平成五年、環境基本法ができ、その翌年、環境基本計画が策定されました。それより前、平成三年には、廃棄物処理法の二十年ぶりという大改正があり、同時に、再生資源利用促進法が制定されていました。その後、平成七年には容器包装リサイクル法の制定、九年には廃棄物処理法の二度目の大改正もありました。  しかしながら、事態は一向に改善されず、むしろ廃棄物問題は深刻の度を増していると思わざるを得ません。なぜでしょうか。それは、環境基本法その他の関係法律が、うたい文句だけで実効性を持たなかったからではないでしょうか。とりわけ、資源消費の削減と廃棄物発生抑制という根本治療がなされてこなかったことであります。私たちは、このことに強い不満を持ち続け、何年も前から資源循環型総合法制の樹立を求めてまいりました。  したがいまして、このたびのような法制化のうねりそのものは大いに望むところであります。しかしながら、法案の名前だけがよくて、相変わらずの対症療法であったり、実効性の期待できないお飾り法案であるなら、もうたくさんだと言わざるを得ません。  この循環型社会形成推進基本法案をよく読ませてもらいました結果、そして環境基本法その他の関係個別法とよく見比べました結果、これでは、残念ながら根本治療法案とは言えないし、実効性の期待も持てないと感じたところであります。  今まで、環境基本法は、考えようによっては立派な法律であると思います。しかし、その効果があらわれない法律であれば、立派なことがむしろむなしくなるのではないでしょうか。  ところで、この法案は、驚くほど環境基本法の内容と多くの条文が似ております。ちなみに申し上げますと、全条文三十二カ条中、実に二十五カ条が何らかの形で環境基本法の中の条文にそっくりか、よく似ているのであります。条文の行数で見ましても、全二百十八行中、百一行が大変よく似ております。このようなものを、わざわざ環境基本法とは別に、基本法として立法化するまともな意味があるのでしょうか。これは、見方によっては環境基本法を愚弄しかねない、品位にもとるものだと思います。  本法案は、環境基本法もとに位置づけられる基本法だと説明されていますが、我が国に数知れないほどたくさんある法律のうち、基本法と名のつくものは、内閣法制局によると、わずか十六ほどだそうです。私も六法その他で調べてみました。その中には、今回のようないわば二階建ての基本法は一組もありません。先般、本委員会における環境庁説明では、中小企業基本法とものづくり基盤技術振興基本法の関係がこれに類しているやに言われましたが、中小企業庁の担当課では、この二つの基本法は全く性格の別な、それぞれ独立したものだと言っております。自分でも読み比べてみましたが、そのことは明瞭であります。  さきに申し上げましたような、全条文の七八%も環境基本法から条文を持ち出して先例のない二階建て基本法をつくるより、環境基本法改正することが本筋ではないでしょうか。  この法案国会への出し方にも私たちは大変驚いております。この種の法律は、世の中の仕組みと国民のライフスタイルを変える、いわば世直し法であります。幾つもの重要法律を束ねる枠組み法と言われるくらいですから、法案化するまでの過程が最も重要だと思います。国会提出以前に、広く国民の声を聞くべきであります。  先般の環境庁の説明では、中央環境審議会検討をしてきて、その中で有識者や国民意見を聞いたとのことですが、それは、環境庁長官の諮問方法が法案化までを前提としたものではありませんでした。諮問書にも、審議会の答申書といいますか、まとめにも、基本法をつくるとは書かれておりません。それが証拠には、審議会の答申が出た昨年三月以来、十一月に与党間で法律づくりの協議が始まるまで、環境庁答申を受け取ったまま、法案づくりなどしなかったではありませんか。  では、環境基本法のときはどうだったでしょう。平成四年七月、当時の中央公害対策審議会と自然環境保全審議会に、「環境保全基本法制のあり方について」という明快な諮問がなされました。その後、七月二十八日、八月四日、六日、十二日の計四回にわたり審議会における外部からのヒアリングが行われ、各種団体、関係五省庁、一自治体が意見を述べたのであります。審議会は計二十回に及び、その間、ヒアリングとは別に全国各方面の十四団体から意見書も寄せられ、審議参考とされました。答申は十月に出されましたが、政府部内及び与党の法案作成作業が翌平成五年三月まで続き、改めてそこでまとまった法案要綱が審議会に諮問され、答申を受けたのであります。その直後の三月十二日に、答申内容をほとんど盛り込んだ環境基本法案が国会へ提出されました。今回の法案のつくり方、国会への出し方とは余りにも違うではありませんか。  国会へ出された後も、ここにつけ加えて言いますと、この環境基本法審議する国会は、相当に多くの人たちの意見を聞いたり、公聴会をやったり、合同審査をやったり、しかも、公聴会は、中央、地方それぞれでやる、きょうのような参考人招致も行う、こういったことを国会の場でもやっておりました。  私たちは、こんなことでは、肝心な国民や自治体や産業界の理解と協力が得られないと思います。何のためのこのように拙速な法律づくりなのでしょうか。  本法案の取り扱いには以上のような重大な疑問と不満がありますので、正直申し上げて法案の内容を論ずる意欲が弱くなってしまうのですが、象徴的なところだけ問題を指摘させていただきます。  今まで法案作成関係者から、法律の実効性を目指しているのだとしばしば言われてきましたが、この法案の内容自体には、先輩格の環境基本法と同じように、実効性を期待できるものはほとんどありません。実効性を本気で言うのなら、関係の七つの個別法を、法案化の過程で同時に連合して協議すべきです。個別法が基本法とどうリンクするのか、何の担保もなしに実効性をなぜ期待できるのでしょう。実効性のない法律ならもう既にいろいろある。これ以上実効性がないということのわかるような法律は必要ないわけです。  なお、この法案の重要な条文のほとんどは、例えば第十一条第三項に見るように、難解かつあいまいで、抜け穴だらけと言わざるを得ません。  時間がないので読み上げませんけれども、実は抜け穴ということでは、法案作成過程のある段階で私が得た情報の一つに、見過ごせない問題がありました。それは、次のような条文が一度は作成されたということなのです。すなわち、その当時の条項で言いますと、第二十条の二。これはもしかすると二十条第二項なのかもしれない、まあその辺はちょっと細かいことですから。この条文の内容は、例によって非常にわかりにくい言い回しをしていますから、ちょっとよく聞いてください。  「国は、廃棄物の排出の抑制又は循環資源等の循環利用等を促進するため、循環資源等を発生させる者に適正かつ公平な経済的な負担を課すために、次に掲げる措置を講ずるものとする。」一号、二号あるいは三号もあるかもしれませんが、一号は省略しまして、第二号、「製品を販売する際に、その価格に一定の金額を加えて販売しその製品循環資源等となった場合に、当該循環資源等を発生させた者が、その循環的な利用等を行なう者に適切に引き渡すことと引き換えに、当該一定の金額が払い戻されることにより、循環資源等を発生させる者が、循環的な利用等が特に必要な循環資源等を、その循環利用等を行なう者に引き渡すこととなるように誘導するために必要な措置」、聞いただけじゃ、恐らく十回ぐらい聞いてもわからないと思います。  要するに、この条文は、明らかにいわゆるデポジット制、私たちもかねてから強く求めているデポジット制の極めて実体的な規定となっております。現在の法案のような理念規定、訓示規定ではありません。このような条文が一時的にせよ本法案にあったということは、当時の法案ではかなりの数の条項に実効性を期待できるものがあったと考えられます。  これらはなぜなくなってしまったのでしょう。不可解であるとともに、今の法案が、このような条項を消させた人たちにとっては大変都合のよいものに仕上がったと喜ばれているような気がいたします。そういう法案に、私たち住民運動をしている全国NGOは賛成できません。  以上、時間のない中でいろいろ申し上げましたが、私の結論は、本法案を政府が取り下げるか、審議未了で廃案にしていただき、改めて、十分な事前検討国民の声を聞いた上で、超党派の議員提案による環境基本法改正案という形でやり直してくださるよう、切にお願いするものであります。  なお、つけ加えさせていただきますと、現在、基本法十六本中、制定後十年以上たった法律は十一本あります。このうち二本を除く九本は、制定から最初改正まで十年以上を経過しております。うんと長いのは五十年というのもありますが、基本法というものはそういうものだと思います。十年未満に制定されている最近の法律でも、まだ改正されたものはありません。環境基本法も七年になると思いますが、まだ改正のカの字もうわさに出ておりません。  このように、基本法というものは、一度制定されてしまうと、個別の法のように必要に応じてちょくちょく改正するということがない性質の法律だということを考える必要がある。  私は、せっかくいろいろ御審議いただいてまいりましたけれども、そのような、一度決まってしまうと十年やそこいら直すわけにもいかぬというようなジレンマに陥らないために、潔くこの法案を取り下げていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手
  10. 細川律夫

    細川委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 細川律夫

    細川委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野松茂君。
  12. 大野松茂

    ○大野(松)委員 自由民主党の大野松茂でございます。  四人の参考人の先生方には、貴重なお考えをお示しいただきまして、ありがとうございました。  何点かお伺いをさせていただきますが、時間の制約がございますので、お尋ねできない先生もあるいはあるかと思いますが、あらかじめお許しをいただきたいと存じます。  まず初めに、平岡参考人にお伺いをいたします。  もう既に先生方のお話にもありましたように、廃棄物対策をめぐるさまざまな問題に直面をいたしております現状の中で、これまでの大量生産大量消費大量廃棄、さらに加えて言いますれば大量焼却、大量埋め立てといった、我が国社会あり方見直し、そして循環型社会形成することは、我が国の取り組むべき緊急の課題である、こう思っております。  このような中で、循環型社会形成を推進する基本法として、我が国が二十一世紀において目指していくべき循環型社会の姿を明らかにして、そしてその循環型社会形成に向けた施策の道筋を提示しようとするこの法律を制定することは、まことに意義のあるものと思っております。  しかしながら、その一方で、環境基本法がありながら新たに基本法を定めることは、環境基本法に屋上屋を重ねるということだという声も聞こえてまいります。  そこで、循環型社会形成を推進する基本法であるこの法律を制定する必要性につきまして、改めて、どのようにお考えになられておられるか、平岡参考人にお聞かせいただきたいと思います。
  13. 平岡正勝

    平岡参考人 私の考えを申し上げたいと思います。  大野先生の御指摘のとおり、この循環型社会形成推進基本法は、加藤参考人も申されたように、我が国としては画期的な法案であるというふうに思っております。  先ほど環境基本法に屋上屋を重ねるというような言葉がありましたけれども、そうではなくて、先ほど私の意見陳述の中で申しましたように、現在の人間エネルギー消費活動生産活動が、地球環境、オゾン層保護あるいは温暖化問題等々に大きく影響し、そのバランスが崩れてきているという認識のもとに、昭和四十二年に公害対策基本法がつくられましたけれども、地球環境を見据えた生態系のバランスを保つために、御承知のように環境基本法が制定されたわけであります。その後、平成六年には、閣議決定されました環境基本計画が、長期的な目標として、循環、共生、参加、国際的な取り組みを掲げているわけであります。  この中で、環境負荷の少ない循環型社会構築を四つの柱の一つとしてうたっているわけでございますが、その循環型社会構築のために、現在、廃棄物処理法、これは昭和四十五年につくられて、私の申しましたように、生態系とのバランス、いわゆる環境サイクルを守るために、私たちがつくります物質は自然の浄化能力を超えているわけでありますので、それを自然の浄化能力に合うまで処理をするというのが処理の基本でございます。したがって、どちらかというと、これは規制をかける法律になります。  わずか五十年の間に、欧米諸国が二百年から三百年かかりました経済成長を、一気に日本はなし遂げてきた。こういうところで、廃棄物のうち有用なものはリサイクルを進める。これはあくまでも経済活動の中でありますので、そのままでは進みません。したがって、いわゆるインセンティブを与える必要がある。それが平成三年に制定されたリサイクル法であるというふうに思っております。  そのように考えますと、環境基本法というのはあくまでも地球全体としての生態系のバランスを保つための理念、そして方向づけであり、今度、廃棄物処理法リサイクル法を一体化して、大量生産大量消費大量廃棄の一方通行から循環型へ持っていくためには、廃棄物法、リサイクル法バランスよく、それから生産工程をクローズド化して廃棄物を出さない、いわゆるリデュース、発生抑制、それからリユース、そしてリサイクルということになるわけです。これをやるためには、これらの法律バランスよく進めるための一つの方向性が必要である、これがきょう議論されております循環型社会形成推進基本法案であるというふうに思っておりますので、この考え方構築法律構築としては、基本に沿ったものではないかと思います。  そういうふうに私自身考えておりまして、非常に意義のある法律であるというふうに思っております。  よろしくお願いいたします。
  14. 大野松茂

    ○大野(松)委員 実は私も考え方は同じでございまして、よろしくお願いしたいと思います。  次に、加藤参考人にお伺いをさせていただきますが、この循環型社会形成につきましては、現代の社会あり方そのものを考えていくことにほかならないものと思っているところでございますが、そのためには、その目標をきちっと定めて、そして、共通の考え方もとに、環境庁を含めて各省庁が、担当する施策の整合性を図りながら足並みをそろえて、そして着実に進めていくこと、これは欠かせないことであると思っております。  この法律を制定したならば、環境庁、来年から環境省でございますが、そのリーダーシップのもと循環型社会形成のための施策を強力に推進する仕組みが必要でございます。  この点につきまして、この法案では、政府は基本計画を策定するとした上で、さらに、その実効性を確保するため、中央環境審議会意見の聴取、計画の策定等の国会への報告、これらについて規定しておりますが、このような方策についてはどのようなお考えをお持ちですか、お示しいただきたいと思います。
  15. 加藤三郎

    加藤参考人 まさに先生おっしゃられましたとおり、循環型社会をつくるというのは、現代の社会あり方、特に経済社会、あるいは私ども消費生活、そういったもの全般の変化がなければとても実らないというふうに存じます。そういう意味で、環境庁環境省、やがて省になるわけですが、そこに廃棄物行政リサイクル行政が一体的に入ってくるというふうに伺っておりますが、環境省のリーダーシップは極めて重要だというふうに存じます。  そして、それを確保するために各個別法がしっかりその役割を果たしていただく、つまり、廃棄物処理法資源リサイクル法、食品のリサイクル法、あるいは建設資材リサイクル法などの個別法がしっかり働いてくれるように、それを十分に監視といいますか、ウオッチする必要があるというふうに考えます。それが、結局、中央環境審議会での検討でありますとか、あるいは先生がおっしゃられた基本計画、そういったものに反映されていくものというふうに存じます。  さらに、毎年国会に報告するということが出ましたので、それこそ、国会を含めて、国民の目でその進捗状況がどうなっているかというのが把握できますので、実効性はいろいろな形で確保できるのではないかと期待をいたしております。
  16. 大野松茂

    ○大野(松)委員 ありがとうございました。  この法案で明確にされた拡大生産者責任、このことについて山口参考人にお伺いいたします。  大量生産大量消費大量廃棄型の社会を変革していくためには、国だけではなく、先ほどもお話がございましたように、地方公共団体、事業者、国民といったあらゆる主体の取り組みが必要でございます。とりわけ、製品の製造等を行う事業者、この方々は、その製造過程において適正なリサイクル処分がしやすい製品を製造するよう配慮すること、そして、製品廃棄物となった場合には引き取り、リサイクルを行うなど、果たすべき役割が極めて大きいと思っております。  このため、この法案では、拡大生産者責任を一般的な原則として打ち出しているところでございますが、製造事業者のお立場から、循環型社会形成においてどのような役割を果たすか、先ほどもちょっとお触れいただいておりますが、さらにお考えをお示しいただけたらと思います。
  17. 山口耕二

    山口参考人 大野先生の御質問につきましては、我々メーカーがこの循環型社会形成においてどういう役割をしようとしているんだと。もちろんこれは、先生の御指摘のように我々だけではできない問題でございまして、国、地方自治体、我々そして消費者の輪を、チェーンを結ぶということが大事でございますけれども、具体的に私どもは四つの役割を担っているのかな、このように考えております。  まず一つ目は、先ほど来大野先生の方からもお話がございましたように、これから新たに開発いたします製品は、設計思想の中に、資源循環とか地球温暖化とか、そういうコンセプトを盛り込むことが極めて大事ではないか、まさに源流対策でございます。したがって、今後は、どんどん、この精神に基づきまして環境に配慮した製品開発を進めていき、それによって市場に提供していきたい、このように思っております。  次に、二つ目でございますけれども、これは、お客様において使用済みとなった製品、これを我々はやはり限りなく高いレベルで資源に戻す、もしくは製品として再利用する、それができなければ部品として再活用する、そういうことをぜひともやっていきたいと思っております。このためには、我々の役割と、あとは消費者さんの役割、場合によっては自治体さんの役割、この三者の役割をうまく提携しながら進めていきたい、このように思っております。  ただ、私ども生産工程から出る排出物、これはまさに我々の責任処理する分野でございますけれども、これにつきまして、例えば、九州に私どもは世界で一、二の半導体工場を持っております。実は、その工場から出ます排出物は一〇〇%再資源化しております。それはどういうことかと申しますと、近郊に鉄鋼メーカーさんとかセメントメーカーさんとか化学メーカーさんがある、すなわち、業際的な取り組みによって生産工程から出る排出物についてはリサイクルしております。今後は、使用済み製品についてどのようにして考えるかを検討していきたいと思っております。  次に、三つ目でございますけれども、お客様のところで使用済みになり排出されました製品リサイクル工場までいかにして効率的に回収するか、この回収システム構築をぜひともやっていきたいと思っております。現在の全体のリサイクルコストのうち、六、七割は実は物流コストでございますので、この回収システム構築においては、ぜひともこの辺にメスを入れていく必要があると思っております。  四つ目は、これらの循環型社会において必要な回収拠点とか、費用の問題とか、再資源化の方法、これをお客様にどのような形で情報提供するか。すなわち、リサイクル情報をお客様に提供することによって消費者の皆さん方の理解も得ていきたい、このように考えている次第でございます。  以上でございます。
  18. 大野松茂

    ○大野(松)委員 ありがとうございました。  今度の法律の中では、循環型社会形成に関する教育及び学習の振興、あるいは民間団体等の自発的な活動を促進するための措置、これらが実は規定されております。  実は私こんな考えを持つんですが、私たちは、子供の時代からもったいないという言葉をいろいろな機会に教わったものです。もったいないという言葉のすばらしさ、もったいないという言葉を一言で英語やフランス語では言うことはできないそうですが、それというのは、一つには、過分な行為に対してありがたいという感謝の心がもったいないという言葉の中にあります。そしてまた、神聖なものが侵されることにおそれ多いという謙虚の心がもったいないという言葉の中にあります。また、物や時間が有効に使われないことに対しまして、惜しいという、要するに浪費を慎む心があります。これらをあわせ持っているのがもったいないという言葉ですし、私たちが先輩から教わってきた言葉はそうであります。  だから、もったいないことを、そういう粗末なことをすると罰が当たるぞということさえ言われて育ってきたわけなんですが、どうも、循環型社会形成していく上での基本的な考え方の中で、私は、やはりこの言葉をもっと思い出して、もっとそのことを普遍的なものにしなければいけないんじゃないかと思うんですけれども、実は、時間がなくなったものですから、平岡参考人加藤参考人に、一言ずつお考えをお聞かせいただければありがたいと思っております。
  19. 平岡正勝

    平岡参考人 大野先生のおっしゃるとおりでございます。私は昭和一けたの人間でございますので、同じような形で考えております。戦後、経済成長段階で、経済の効率だけを追うということで、先生のような日本古来の考えを失ってきている。私なんかの年ですと、常にそう思っております。  変な話ですけれども、例えばアスベスト等は、物の本によりますと、昔は、中国でお香の下に敷きます貴重品であったということを聞いております。実は、京都大学の図書館にそういうものが残っておりますが、これが、大量生産大量消費ということで、外国から輸入して、建材として使用されて、特別管理廃棄物になってしまった。  こういうふうな歴史の流れを見てみますと、少量では貴重品であったものが、大量に使って特別管理廃棄物になるといういい例なんですけれども、こういうことが行われてはいけないのではないか。先生のおっしゃった、日本人は特に、そういう中で育ってきたものを失わないようにして、リサイクル社会構築していくべきだというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
  20. 加藤三郎

    加藤参考人 私も平岡先生と同様、大野先生がおっしゃいました点は極めて重要だと思います。  私自身、この七年近く、役所を離れてからNGO活動をしておりますが、その間ずっと環境倫理というプロジェクトをやっております。環境倫理のプロジェクトのまさにポイントは、先生がおっしゃられました、もったいないとか感謝する心、そういうものだというふうに存じております。そういうふうに心がけております。  本基本法案の第二十七条に、環境教育環境学習に関する規定を置かれた。大変重要なことで、この条文を本当に生かしていくことが非常に重要だ、先生と同様、思っております。
  21. 大野松茂

    ○大野(松)委員 時間になりましたので、大橋参考人にお尋ねできなかったのですが、お許しをいただきたいと思います。いただいた貴重な御意見をこの審議の中に生かしてまいります。  どうもありがとうございました。
  22. 細川律夫

    細川委員長 小林守君。
  23. 小林守

    ○小林(守)委員 民主党の小林守でございます。  本日は、それぞれの参考人の皆さん方には、御多忙のところ、この委員会に御出席をいただき、貴重な御意見を賜りましたことを感謝申し上げたいと思っております。  民主党におきましても、循環社会をつくっていくための骨格をどうしていくか、そういう点で、法案の取りまとめなどをさせていただいておりまして、現在パブリックコメントをさせていただいているところというふうに思います。  法案作成の過程についても御指摘がございました。  私たちは、やはり情報公開、国民参加なしに循環社会づくりは成功しないというふうな基本的な考え方に立ち、なおかつ、現実の問題をどう解決していくのか、実効性のあるものでなければ、立派な飾り物の基本法幾つつくってもどうにもならぬというような視点に立って取り組んでいるところであります。  そこで、私たちは、廃棄物リサイクル問題を中心に、循環型社会をどうつくっていくかという視点から、今日までのリサイクル行政そして廃棄物行政、これが省庁縦割りの弊害を持って、資源という視点から考えるならば、野放しの状態で、不適正管理とか不法投棄に悪用される抜け穴になっているというような実態をとらえてきました。  そういう点で、資源それから廃棄物というような概念を一貫したものとして、川上から川下まで統一した総合的、体系的な法制度でなければだめだ、廃棄物処理法リサイクル法の統合化ということが求められる、こんな視点に立って、現実的な問題を踏まえながら、リサイクル社会づくりのための骨格をつくっていきたい、このように考えてきたところでありますけれども、それぞれの先生方の御意見等を踏まえながら、ちょっと幾つか質問させていただきたいというふうに思います。  まず一つは、今日の廃掃法とリサイクル法の省庁役割分担といえばいいのですか、私たちは、うまくいっていないのではないか、この辺に、さまざまな不法投棄の問題とか不適正処理の問題が現出しているのではないか、これを統合するためにどういうところを押さえていかなければならないのか、その辺を、それぞれの先生方にまずお聞きしたいと思います。
  24. 平岡正勝

    平岡参考人 今の先生の御質問でございますが、御承知のように、廃棄物処理法昭和四十五年に清掃法改正されて、リサイクル法平成三年にできたわけであります。歴史的にいえば処理が優先してきたわけですが、我が国経済成長もとに、大きないろいろなひずみが出ている。そして、リサイクル社会に、一方通行の大量生産大量消費大量廃棄から抜け出すということが必要だということで、平成三年にリサイクル法ができたわけであります。  御承知のように、確かに、私から、大学の人間から見ますと、縦割り行政の弊害があるわけですが、この法律で初めて、対象となるものを廃棄物処理法で規制している廃棄物だけに限定しないで、有価、無価を問わず一体的にとらえて、これらのものの適正なリサイクル処分を行うべきことをうたったのは、我が国廃棄物処理対策の非常に大きな転換を促すものではないだろうかというふうに思っております。  したがって、発生抑制、リユース、リサイクルという政策の優先順位環境基本計画の中にもうたってはあるわけですが、これが法律で定められることは、我が国の姿勢を内外に示すということでも非常に有効なものではないかと思っております。  したがって、マテリアルリサイクルを優先し、先ほど言われた順序、リデュース、リユース、リサイクルリサイクルの中でもマテリアルリサイクル最後エネルギー利用をする、そして適正処分、こういう形で、環境負荷の低減の観点から基本法が決められたということは、高く評価しておる次第でございます。
  25. 加藤三郎

    加藤参考人 小林先生お触れになられました、処理リサイクルの一体化、一元的にすべきではないかというふうな御発言と私受けとめましたが、私自身も、実はそれが必要だというふうに思っております。  実は、先生方御高承のことだと思いますが、ドイツに、今から六年ほど前に、日本語では、循環経済廃棄物法と通常訳されております法律ができまして、そのときも、廃棄物処理リサイクル行政的には一体化する、そういう方向で進んでおります。しかし、日本では、現実には、リサイクル行政は主として通産省、廃棄物行政はこれまでは主として厚生省、それから、これから新しくできようとしております食品系は主として農水省、そして建設資材は主として建設省というふうに、区々のいわば行政単位ごとに、縦割り行政ごとになっております。  それですと、本当にばらばらになりかねないわけですが、そこのところを、今回の法律は、いわばキャップをかけるといいますか、基本法としてつなぐもの、これは大橋参考人が御指摘のように、必ずしも強力なキャップにはまだならないかもしれませんけれども、私自身は、現状よりもはるかに一つの方向を示すものだというふうに思っておりまして、いつか、廃棄物行政環境省に全部移管されてきて、そしてまた、この法体系を実際に実行してみた暁に、処理リサイクルの一体化、行政的にも一体化ということが課題になるのじゃないかというふうに思っております。
  26. 山口耕二

    山口参考人 小林先生のおっしゃっております資源廃棄物は一つではないかと。確かに、資源にしてもある量の廃棄物は出る。しかし、資源化を試みる場合には、資源の量が非常に多くて廃棄物の量が少ない、また、現在の廃棄物においては、廃棄物の量が多くて、資源にできる部分が一部である。そういう意味では、御指摘のように、資源廃棄物を別々に扱うのはいかがなものか、ついては廃掃法並びに再生資源促進法を一体化したらどうだ、確かにそのような考えもあるとは思います。  しかし、実際に私どもが業務をやっていて感ずることは、廃棄物は適正に処理をするということが大前提でございます。したがって、これは廃棄物処理法としてきっちりとした適正な管理ができるように、言ってみればお目付役的なことが必要なのかなと。  一方、再生資源利用促進法はいかにして資源に戻すかということですから、まさに技術なり知恵なり工夫を出す領域でございまして、これは業種によっても違います。例えば、パソコンを再資源化する場合と建設材をする場合も違います。そういう意味では、施策と適正処理という意味ではやはり分けておいた方が我々の中でもいいのかなと。  といいますのは、例えば私どもの会社の中でリサイクルを目指した環境配慮型製品を設計する。しかし、設計者が忘れてならないのは、廃棄物になることを忘れてはいけないのですけれども、それを一体にしてしまうと、設計をするときに廃棄物のことを考えて再資源化に手を緩めようとか、そういう関係もございますので、やはり両輪で、きっちりとおのおのの役割を明確にした方がいいのかなと。  また一方、それを大ぐくりにくくって一つの理念が必要だということを小林先生もおっしゃいましたけれども、そのために実は今回の法律があるのかな、このように考えておりまして、むしろ、我々社内の中では、廃掃法と再生資源利用促進法のさらに上の理念ができたことによって、より活動が明確にできる、このように考えている所存でございます。
  27. 大橋光雄

    大橋参考人 この論議は長くて、いつまでたっても見通しがつかないまま今日に来ております。今回、同時に廃棄物処理法の一部改正案が出されておりますが、廃棄物定義は何らさわらないという形で出ておるわけです。  今回のこの基本法の中で、あたかも、廃棄物等という言い方で、有価物は有価物、無価物は無価物だというように分けているような、統一したといいながら、実は廃棄物廃棄物処理法に言う廃棄物そのままだ。このように、実はほかの法律も続々と出ているものですから、ますます廃棄物定義というものが混乱ぎみになっております。  つまり、今申し上げたように、基本法では廃棄物と有用な循環する物質、しかし、ここの基本法廃棄物定義したものでも、その中から有価物を抜き出すことはできるわけです。多くのごみ処理場では、完全にこれはだれが見てもごみでしかないという中から、清掃工場でも何でも有価物を抜き出したりしている。一方、循環資源だと言っているものでも、これは処理した過程、後に廃棄物というものが出てくるという、混然一体となっているのですね。  今、続々と法律が出ていると言いましたけれども、容リ法、リサイクル法、廃掃法はさっき言いました、家電法、建設、食品、それから余り表へ出されていないですけれども、本当は家畜排せつ物法も成立していて、これもリサイクル絡みの法律です。ここで、容器包装廃棄物、指定再資源製品等、それから廃掃法では廃棄物家電法では特定家庭用機器廃棄物、建設では建設資材廃棄物、食品では食品廃棄物、こういうふうにさまざまな呼び名がふえる一方なのですね。一本にするという論議の方が、今まで私が知る限りでは、我々のようなNGO以外でも非常に多い議論のはずなんですが、厚生省昭和四十何年だかの通達をさっぱりいじりませんし、法律の方ではこうやって多彩な呼び名がむしろ出てくるということで、これは非常に困ったことだ。  せっかく基本法をこれから考えていくとすれば、環境基本法の中にも廃棄物に関して書いてありますし、これを関係部門が一遍きちっと論議をして、一部のところで論議しているのじゃなくて、あるいは縦割りで個々に論議しているのじゃなくて、きちんとする。  私自身考えでは、一応再資源化可能だということがわかり切っていても、一度用済みになった物というのは、実態からしまして、これは今後とも続くと思うのですが、再資源化はなるほどできるけれども、扱い方によっては廃棄物と同じような環境阻害をもたらすという性質が非常に濃厚なんです。ですから、用済みになった物はすべて一度廃棄物という定義の中で一本化して取り扱うべきだと思います。
  28. 小林守

    ○小林(守)委員 ありがとうございました。  それぞれの先生方の、参考人の方の御意見の中で、非常に関心を持った論述がございました。平岡先生の方からは、マテリアルバランスでこのようなことが続くはずがないというような御指摘のもとに、数値的な輸入資源、それから輸出、それからエネルギー消費バランスのお話がございました。そして、加藤先生の方からは、大量リサイクル社会ではだめだというようなこともございました。  私は、平岡先生と加藤先生のお話というのは、根本的に同じことをお話しされているのかなというふうに理解したのですけれども、私たちも、大量生産大量消費大量廃棄社会から、省資源リサイクル社会をつくっていくのだというような考え方で、決して大量リサイクル社会をつくっていくのではないんだ、これが省資源、地球資源の枯渇という観点から、できるだけバージン資源は使わないというところが求められるのだろうというふうに思うのですが、この大量リサイクル社会ではだめだということを今回の基本法では確保できるのかどうか、私は、ちょっと心もとない感じがいたしてなりません。その辺について、ちょっと御意見をいただきたいなと思います。  それから、加藤先生には、容リ法の改正が必要になってくるというふうなことがございましたが、その点について、なぜ容リ法の改正が今回必要になってくるのか、ちょっと触れていただければというふうに思います。  それから、山口先生には、最終処分場の逼迫の問題で、やはり自治体がイニシアチブをとってほしいというようなお話がございました。一面ではわからない話ではないのですけれども、やはり排出事業者責任というような視点から考えるならば、一般家庭からの廃棄物についての最終処分場については、自治体の責任というのは当然だと思うのですけれども、今までの日本の仕組みであるし、それはそれでいいのだと思いますが、産業廃棄物関係は、当然これは排出事業者責任というもとで、産業界自身がみずからの責任において、最終処分場が逼迫しているならばみずから出さないように努力をしていくしかないのだと思うのですね。  そういう点で、自治体に対して、経団連も含めて業界団体が自治体にイニシアチブを求めなければならない原因は何なのか。みずからの活動の中でどうしてそういうふうな状態になってしまったのか、その辺の御意見をちょっとお聞きしておきたい、このように思います。  それから、大橋先生には、デポジットの問題について強く御主張されておりますし、我々も経済的手法の一つとして、回収率をしっかりと高めるために選択すべき一つの方法だろう、このようにも考えているのですけれども、デポジット制度について、なぜ日本では、それぞれの自治体では行っているところもありますけれども、ヨーロッパのようにしっかりと国全体が取り組むようなことができないのか、その辺の原因について、大橋先生の方からちょっと御指摘をいただければありがたいと思います。  以上、よろしくお願いします。
  29. 細川律夫

    細川委員長 質問が多岐にわたりましたので、簡潔にお答えを願いたいと思いますが、それでは、平岡参考人
  30. 平岡正勝

    平岡参考人 今先生の、大量生産大量消費大量廃棄大量リサイクルにならないかということでございますが、先ほど私、我が国の物資収支から見て、リサイクルを進めて、天然資源利用を削って、できるだけ少なくしていくことが基本と申し上げましたように、大量リサイクルということにはこの法律ではならないというふうに思っております。  例えば、マテリアルリサイクルでも、少し専門になりますが、物から物に行くだけではなくて、マテリアルリサイクルの中に、私はフィードストックリサイクリングと言っておりますが、例えば廃プラスチックを溶鉱炉の微粉炭のかわりに使う、あるいはエコセメントのように廃棄物を原料としてセメントをつくるというふうに、リサイクルを製造工程まで返していくということが技術的にどんどんやられてきておりますので、先生のおっしゃるような大量リサイクルの形にはならないのではないか、そういうふうに思っておりますが、よろしゅうございますか。
  31. 加藤三郎

    加藤参考人 私に関連しても幾つか先生から大変適切な御指摘があったと思いますが、まず、私自身も、大量生産大量消費をそのままにして大量リサイクルになってはだめだと申し上げましたが、結局、ではどうしたらいいのかというのは、今日、最も重要な課題だと思っております。  私自身は、大量生産大量消費にかえて、適度な生産、適度な消費、いわば適量生産、適量消費というふうに考えております。  適度かどうかという判断は、私自身は三つ一応挙げておりまして、一つが、環境負荷を少なくする、環境負荷を最小にできる、それからもう一つは、物質循環の輪を確保できる、それから三点目は、心の充足といいますか、生産なり消費なりにかかわる人の心の充足が得られる、少なくともこの三つの条件を備えた、そういう新しいパラダイムの世界に入っていくべきではないか。  それは、もちろん本基本法案だけでできるわけではなくて、エネルギーその他、車社会、食料、いろいろなことを含めてやらなければ到底そういう社会というのはできないと思います。  ただ、本基本法案に少なくともそういう方向を明確に示している、そして、一応そういう基本法案もとで各法が統括されることになる、その責任環境省が今度担うことになる、しかも、それが本当にできているかどうかというのは国会報告もされるということですので、確かにお経の念仏だけに終わるのではないかという御懸念はいろいろなところにあるし、私自身にも多少そういう危惧がないわけではありませんが、そういうことをちゃんとチェックする仕組みができているという点で、私自身は評価をいたしております。  それから、この基本法が制定された暁には、容器リサイクル法について見直し検討をすべきではないか、そういうことを申し上げたのは、容器リサイクル法は数年前にできた法律でございまして、そのころ、現在でいう拡大生産者責任というものの議論がまだ今日ほど熟しておりませんでした。今回の基本法に盛られた詳細な拡大生産者責任考え方を見ますと、それからまた、現実に今起こっている、例えばペットボトルなどが回収をされても再商品化できない、もう一回また廃棄物に戻って燃やされているというような事態があちこちであるということを考えますと、果たしていいのかどうかという検討に入るべきではないかということを申し上げたわけでございます。
  32. 山口耕二

    山口参考人 小林先生のおっしゃいました、産業廃棄物はすべて企業責任ではないか、全くそのとおりでございまして、私どもは、産業廃棄物につきましては、まず出さない工夫、出たものは適正に処理をする、そういう自己責任、自己負担の原則でやっております。  例えば、具体的にちょっと申しますと、私どもNECの場合には、昭和四十四年に実は関連会社に廃棄物業者をつくっております。高和という会社でございます。ここで、実は三年前に品川に百六十トンの溶融炉つきの焼却炉をつくりまして、現に私ども産業廃棄物について、もしくは他のメーカーさんの処分もさせております。また、この施設は、先日のフィリピンの件も、返ってきたものの三分の一を私どもの関連会社でございます高和で処理させてもらっている。このように、私どもの場合は、非常にすべてが順調にまいりまして、みずからの処分場を持っております。  しかし、現実に考えておりますと、先ほどの御指摘ですと、なぜ自治体に協力を求めるのだ、おまえたちだけでしっかり頑張れ、これは、十分に頑張っているわけでございますけれども、私どもが品川でつくった処分場につきましては、特に住民協力については東京都さんの全面的な協力をいただいております。したがいまして、施設等々については我々の力で十分にできるわけでございますけれども、住民同意の段階になりますと、なかなか我々の力だけではできないので、ぜひともお力をおかりしたい、そういう趣旨でございますので、よろしくお願いいたします。
  33. 大橋光雄

    大橋参考人 簡単に申し上げます。  デポジットが普及してこない、普及も何も、ほとんどないに等しいのですけれども、これは挙げて物を売る側の人たちが嫌がっているからです。単純明快にそれです。  もちろんいろいろな話は出ます。とりに来てもらうまで、小売店で引き戻したものを置く場所がない、そういった話がいろいろありますけれども、全体としては、物を売るところが当然の務めとしてそれを引き揚げる、そのためにお金をお客から預かればいいわけですから。  デポジットというと缶、瓶類がすぐ言われますけれども、私ども考えているデポジットは、すべての生産製品に関して、自動車から何からすべてデポジット制をしくべきであるということで、デポジット法制定運動というものも市民の中で今根気強く続いております。本当はこういう総合法制の中でそれらが位置づけられることを期待しているわけですけれども、この状態ではさっぱり見込みが立たないという思いがあります。
  34. 小林守

    ○小林(守)委員 時間を超過して済みませんでした。どうも皆さんありがとうございました。
  35. 細川律夫

  36. 若松謙維

    ○若松委員 公明党・改革クラブを代表して、質問をさせていただきます。  まず初めに、平岡参考人にお聞きしますけれども平岡参考人中央環境審議会廃棄物部会長ということで、いわゆる公務の立場でございます。かつ、今回の形成推進基本法、いろいろと御批判もあろうかと思いますけれども、特に十五条ですけれども循環型社会形成推進基本計画の策定等に関しまして、中央環境審議会の中に特別部会をつくって、この特別部会の委員も、いわゆる政府の人と、また政治、国会とのお互いの話し合いの中でいい人材を見つけていこうということで、極めてこの審議会の方の位置づけというのが重要になってきます。  そういった観点から御質問したいのですけれども、まず、こういう部会長の方が報酬としてどのくらいいただいているのか。これは別にプライバシーに関係することならば結構ですけれども、当然、これは委員会ですから、まずそれをお話しいただいて、あわせて、この循環型社会法の提出に対しまして、部会長として、部会としてどういった貢献をなされたのか、それについてお聞きしたいと思います。  ちょっと裏を返せば、いわゆるドイツ型なりを参考にすれば、ドイツはもう九五年前後で法体系化したわけで、その前身は九〇年前半にやってきたわけで、環境庁が九七年ごろにこの部会を設置したということで、後手後手なんでしょうけれども、その間、三、四年あった。果たしてこの期間の審議会としての作業が適切であったかどうか、やはりこの委員会でひとつ見きわめようと思いますけれども、よろしくお願いします。
  37. 平岡正勝

    平岡参考人 若松先生の御指摘にお答えしたいと思います。  私、先ほども申しましたように、中央環境審議会廃棄物部会は、この循環型の法律をつくるという諮問を受けたのではなくて、環境庁の方からいただきましたのは、中央環境審議会としては、廃棄物に係る環境負荷低減のあり方についての諮問を受けております。  これは平成八年十一月でございまして、平成九年十一月に第一次の答申をいたしましたときには、このときは最終処分基準の一部改正が主でございまして、これが第一章で、第二章が有害物質を含む使用済み製品に起因する環境負荷の削減についてということで、第三章で総合的な廃棄物リサイクル対策についての課題方向性についてまとめたわけで、この第三章のものを、今度はドイツの、今おっしゃいましたように、循環経済廃棄物法が議論になっているところで、これを参考にしながら、いろいろ勉強をし、そして平成十一年三月に、総合的体系的な廃棄物リサイクル対策の基本的な考え方について答申したわけですが、私といたしましては、この提案がもとになってこの循環型社会形成推進基本法がつくられたということに対して、大変に意義深い、深い感慨を持っております。  この取りまとめにつきましては、先ほど申しましたように、国民各階層の御意見を幅広くお聞きした上で、審議会でも自由濶達な議論を行いまして、さまざまな提言を行ったわけです。この取りまとめは環境審議会という立場でまとめたものでございまして、提案いたしました排出者責任とか拡大生産者責任の理念がこの法案によく盛り込まれているというふうに評価しております。  これが起爆剤になって、私の聞き及びますところは、私、通産省の方の廃棄物リサイクル部会長をしておりますので、循環経済社会に向けてという、平成十一年七月に通産省から報告書が出たり、いろいろな形で今日を迎えているんだというふうに思っておりますので、部会長といたしましては、先生方の審議、幅広い国民の方々の意見をよくここで反映していただいたというふうに思っております。
  38. 若松謙維

    ○若松委員 実はこの法案の提出の動機というのは、何といっても、我が党が連立与党に入りまして、そのお約束として、循環型社会元年、本年、そのための循環型社会法の制定ということで、特に、中央省庁改革のときに、二年かけて法案を仕上げたわけです。そこで非常に効力を発揮したのが、国会というのは正直言って利害関係の調整の場ですから、一つ変えるのも大変なことなんです、大橋参考人の思いもわかるんですけれども、その中で今回できたわけですけれども、その中央省庁改革審議のときにやはり非常に武器になったのが、第三者会議というか、顧問会議。この方たちが、いわゆる役所の立場じゃなくて、国民立場に立って非常に主張をし、かつ政治家が言えないことも言ってくれた、役所に対しても言ってくれたということで、二年間でしたけれども、十二省庁という形が法律としてできたわけですね。  ですから、今聞いて、やはり平岡参考人のお話は、役所のための部会なんですよ。そういう形はこの循環型社会基本法の中では期待しておりません。ですから、そういった発想でこれから委員の選任をやるんだったら、全くこんな審議会はない方がいいですよね。これは与党の皆さんもそう思っていると思います。  そういう意味で、本当に審議会の立場として、行政のためにやっているんじゃないんだ、給料をもらっているからその与えられた限りの範囲の中で提言し、後手後手でやっているということじゃないという、何かそこら辺の訴えというのは伝わってきません。それでもまだ続けられるのですか。
  39. 平岡正勝

    平岡参考人 先生の御指摘がちょっとよくわからないんですが、先ほど申しましたように、部会は、環境庁長官の諮問にこたえて、環境負荷の低減を答申したわけであります。これはあくまでも審議会としての議論でありまして、これが法体制に持っていかれるときには、それがベースになったということは、私は部会長としては大変に深い感慨を覚えております。これが法律までいくというところまでは審議会では議論をしていないわけで、こういう循環型社会に向けての努力が必要であるという提言をして、それを受けてこのような形に持ってきていただいたのではないでしょうか、そう思っております。
  40. 若松謙維

    ○若松委員 これ以上議論しても何ら得ることはないと思いますから、ほかの質問をやりますけれども、いずれにしても、この中央環境審議会の役割というのは私たち政治家の立場で物すごく大事だということ。問題意識をだれにも持っていただいて、国民のレベルで、この循環型社会形成のために積極的にこの基本計画の中に盛り込んでいただきたい。そのために、例えば月に二回集まらなくちゃいけない、それをみずから三回、四回とふやしていって、役所に、どんどんこういう資料を出しなさい、実はそういう形の使命だということをあえてこの場で確認をさせていただきたいと思っております。  そこで、次に加藤参考人にお話をお聞きしますが、加藤参考人のお話を聞きますと、本当にNPOはなかなか乏しい財源で一生懸命この国のためにやっていらっしゃるということも伝わってまいります。  そこで、ずっと役所時代から参考人は、特に一般ごみと産廃、これをいかに循環型社会に持っていくか、そのためのリサイクル、この一体化というところで、基本計画、これは平成十四年四月一日までに作成されなければいけないわけですけれども、そこに盛り込まれなければいけないエッセンス、これをちょっと端的にお示しいただけますか。いわゆる一般ごみ、そして産廃、これをいかに循環型社会に持っていく、リサイクル社会に持っていく、そのエッセンス、お願いします。
  41. 加藤三郎

    加藤参考人 私が考えますエッセンスといたしましては、少なくとも明確な目標がなければならない、タイムテーブルを含む明確な、数量的な目標がなければならないというふうに存じます。そしてまた、達成状況がどうなっているかということをきちっと把握する、評価する、そういうこともまた極めて必要だというふうに思います。  もちろん、そのほかいろいろとここに書き込まれるべきだと思いますが、先生のお尋ねのエッセンスを端的にと言われれば、目標とそれを担保するための機構だということだと思います。
  42. 若松謙維

    ○若松委員 そこで、加藤参考人に再度聞きますけれども、そのタイムテーブル、目標、私ども正直言ってまだイメージがわきません。これから環境省が主管になりまして、厚生省の共管とあわせて、この一般ごみと産廃、これの一体化を図るということですけれども、実はそれだけなんですよ、決まっているのは。  では、先ほどのタイムテーブル、目標なんですけれども、これを、実はこの中身を決めるのがこの基本計画の作成という、まさにそれがタイムテーブルになってくるわけで、そのために先ほどの中央環境審議会委員の方の役割が非常に重要になる、こういう構造ですけれども、個人的には加藤参考人をぜひこの委員に推薦したいと思っておりますけれども、もし御本人がそういう立場になった場合に、先ほどの一般ごみ、産廃、リサイクルを一体化するために、タイムスケジュール以外に何を、これとこれとこれの柱、もしお考えが今の段階であれば御提示いただきたいと思います。
  43. 加藤三郎

    加藤参考人 それは、現行の廃棄物処理法上で言う一般廃棄物産業廃棄物、それぞれについて、処分すべき分量、あるいはそれをリサイクルし、循環的に利用していく目標の数値、余り抽象的よりも、少し具体的な品目別のようなものが必要だと思いますが、そういうものを明らかにするということがポイントのように思います。  しかも、今申し上げましたことを、いきなり何年までにという非常に遠い数値で示すだけでなくて、三年後とか五年後とかという中間的な数値を示しながら、当面の最終目標といいますか、そういったものを明確に示す。そして、それがどういう達成状況にあるかというものを監視する仕組み、これも非常に重要だと思いますが、そういう仕組みを中にきちっと入れておくということだと思います。
  44. 若松謙維

    ○若松委員 加藤参考人にもう一つ。  私の質問も抽象的だったと思うのですけれども、要は、今一般ごみ行政でやっているから税金を使ってかなり完璧に近いような形、産廃は民間でやってこういうふうに不法投棄の問題がある。これは一体化するということなので、そうすると、少なくとも地方自治体などとの関係、また業者との役割分担といいますか、そこら辺の一体性というのは何かイメージとしてはあるんですか、それともこれから検討されるものなんですか。
  45. 加藤三郎

    加藤参考人 私は、本件について、中央環境審議会や政府でどういう検討がなされているか存じ上げておりませんが、私の個人的なイメージとしては、産業廃棄物にしましても一般廃棄物にしましても、きちっと処理をしなければならないというふうに思いますので、非常に重要な仕事になると思います。  ただ、私自身の個人的な考えは、現在、地方公共団体一般廃棄物という名のもとに余りにも多くの荷を背負い過ぎている。もっと具体的に申し上げますと、例えばサーフィンボードも出てくる、それから恐らく今後パソコン一般廃棄物の名のもとでたくさん出てくるでしょう、それから携帯電話なんかも出てきます。そういうものまで全部自治体で処理するというのはなかなか困難だ、また適切でないというふうに思いますので、自治体が責任を持ってすべき廃棄物は何か、そういう仕分けをきちっとすることが必要だと思います。  私自身は、そういう意味で、一般廃棄物産業廃棄物という名称は適切なのかな、そういう区分が適切なのかなと甚だ疑問を持っておりまして、むしろ、自治体が管理すべき廃棄物とそれ以外の廃棄物の方がまだわかりやすいというふうに思っております。
  46. 若松謙維

    ○若松委員 それで、最後の質問、山口参考人にお伺いします。  産業廃棄物の中で一番多いのは、これは一部一般ごみもありますけれども、やはり車、家電パソコン、家具、これをいかに循環型社会に、わかりやすい例だと思うのです。そういう中で、拡大排出者責任というのがこの法律に盛り込まれております。拡大責任があるわけですけれども、一方、マニフェストという形で何らかの措置を講じようとしているわけですけれども、それがうまくいけばいいのですが、そうあっても、結果的にごみの流通業者の中で不法投棄なりが出てくるんじゃないかなと思うのです。  それをいかに阻止できるか、当然一番のメーカーのオリジンのところですから、どうしたら、そういう不法投棄をなくせるか、循環型社会に持っていけるか、そういった点で御説明いただきます。
  47. 山口耕二

    山口参考人 若松先生のお話の中で、車、家電、家具、パソコンが今後どんどんふえるだろう、そういうことでございますけれども、現時点では、パソコンはまだほとんど消費者からは廃棄されておりません。しかし、今後ふえると予測されるのも全く事実でございます。  それで、先生の御質問は、不法投棄をいかにして防ぐんだ、そういうことだと思っておりますけれども、例えば、おのおの製品によって売り方、買い方、使い方が実は違うわけでございます。家電リサイクル法の四品目につきましては、まさに大型の家電でございますから、必ず販売店なりサービス会社が関与して、お客と一対一の関係を築くことができる。したがって、回収することもまだ容易なわけでございますけれども、例えば、今後予測されますネット販売とかそういうことになりますと、我々メーカーにとってはお客様の顔が全く見えないわけでございます。  特に不法投棄の中で、今後家庭から出るものについて、どういう形で我々が管理できるのか。それには消費者の、排出者の協力なしには全くできないと考えております。したがって、そういう意味では、使用済みになったときの排出者、すなわち一般消費者とどういう情報の交流をするのか、またその中でおのおのどういう役割を持つのか、これを明確にして、パソコンについてはやっていきたい。  ただ、パソコンは、実はテレビと違いまして、機能が使えなくなったから廃棄されるのではなくて、使うソフトとかサービスが変わってきたがゆえに変えざるを得ない、そういうまだ未成熟の商品でございまして、したがいまして、回収方法とか再利用の方法も家電とは全く違うわけでございます。  したがって、私ども立場で申しますと、情報機器の今後のリサイクルあり方はどうあるべきなのかを今工業会を中心に一生懸命勉強して、不法投棄にならないように考えているところでございます。
  48. 若松謙維

    ○若松委員 もう時間が迫ってまいりましたので、一分残して終わらせていただきます。ありがとうございました。
  49. 細川律夫

    細川委員長 藤木洋子さん。
  50. 藤木洋子

    ○藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。  きょうは、早朝からお出ましいただきまして本当にありがとうございます。時間も余りございませんので、端的にお伺いをさせていただきたいと思います。  まず最初に、平岡参考人、きょうのお話を伺っていてもそうなんですけれども、特に、私拝見させていただきましたのは、三年前、一九九七年十月に発行しております通産ジャーナルがございますけれども、ここで特集がありまして、対談をしていらっしゃる中でお述べになっていることで、幾つか興味のある問題がございました。  その中で、ユーザーに明確な形で負担をお願いする、そういう時代になるということ、新製品を売るごとに業界にある程度の処理費、リサイクル費というものを出してもらって、これを使ってメーカーに対するリサイクルのインセンティブを与えるというシステムがうまく機能しないかということを述べていらっしゃるわけですね。  そこで、私は、マーケットメカニズムにゆだねるという方法もあろうというふうに思うわけですね。そうしますと、メーカーが競い合ってリサイクルコストダウンをやる、あるいは効率化を図るという機能を発揮するのではないか。最終的にはユーザーが持つことになるのですけれども、しかし、ユーザーにとってもその方が効率的ですし、経済効果があろうと思いますので、その点をお伺いしたいというふうに思います。  それから、続いて全部申し上げますので、加藤参考人に伺いたいのは、きょうのお話を伺った上で、この一月にお出しになりました「産業と環境」という本の中で、やはりこれも特集に論文をお出しになっていらっしゃるわけで、幾つかの興味あることをおっしゃっておられるのですが、特に、最後に、五番目に、社会を変えるにはNGONPOの育成がかぎだということをお述べになっていらっしゃるわけです。  英国では、先進的な企業というのは、環境戦略の策定や環境報告書の作成に当たって、NGO意見や調整能力を活用している、日本なら企業内で済ませてしまうというようなことでも、英国ではNGOを活用するということをお書きになっていらっしゃいまして、日本では、まだまだそこまでいっていないけれども、その時代は足元にまで来ているのではないかとお述べになって、しかし、NGO日本社会を活性化し、調整的役割を果たすためには、NGO自身の水準も高まらないといけないということを述べていらっしゃいますね。  私は、NGOを活用することでその水準を引き上げていくということが相互関係としてあるのではないかというふうに思うんです。ですから、思い切ったNGOの参画を求めるということが極めて有効ではないかということが一つです。  それからもう一点は、その前の章でお書きになっていらっしゃるんですけれども経済インセンティブを積極的に活用することが大事だと述べていらっしゃいまして、排出抑制や排出目標を達成できなければ、経済的デメリットをもたらすようなシステム、そういう厳しさが最低限必要だということをお述べになっていらっしゃいまして、手数料の徴収も、できるではなくて、しなければならないと。同様に、瓶だとか缶だとかペットボトルについては、飲料容器類のデポジット制の導入というのは不可欠だというふうにお述べになっていらっしゃるんですけれども、その点をもうちょっと突っ込んで、なぜそこが大事かという点をお示しいただきたいと思います。  それから、山口参考人には、産業の方の立場ですから、今私が申し上げたデポジットのやり方、それから、メーカー側の責任を果たす上で、経済メカニズムに任せるということの技術開発というのは、私は、日本企業の場合はもうかなり進んでいるというふうに認識しておりますけれども、決して無理なくいくのではないかと思うのですが、その点をお尋ねしたいというふうに思うんです。  それから、大橋参考人に対してですが、きょうお聞きいたしまして、環境基本法をつくったときとの対比が非常に興味深く思いました。あれだけ時間をかけて論じた基本法、そして今回も基本法なんですけれども、それが余りにも拙速といいますか、なぜそこまで急ぐのか、急がなければならない背景があるならば、なおさら慎重に、万全を期して、本当に機能を発揮するものをつくるべきであろうと。  私は、今回の基本法というのは持続可能な社会構築するにふさわしい基本法でなければなるまいというふうに思うのですけれども、そのためには、先ほども言われましたけれども、これからでもやはり国民の声を聞く、そして国民合意の中で法制度をつくっていくことが極めて大事なことなんだなということを私は改めてきょうは認識したんです。その点で言い残したことがあれば、おっしゃっていただきたいというふうに思います。  では、順によろしくお願いいたします。
  51. 平岡正勝

    平岡参考人 ただいま藤木先生の、リサイクル市場メカニズムでやるべきではないかという御意見は、全くそのとおりであると思っております。  ただ、先ほど私が最初に申し上げましたように、歴史的にいえば、廃棄物処理というのは、有害物質を含んだ物質を適正に処理するために、規制の概念でつくられている。そうしますと、リサイクルは、平成三年にリサイクル法ができるまでは、最終処分の費用が物すごくかかる、その費用をリサイクルに回すんだというふうな形でしか進まなかったんです。当然、市場メカニズムで動くわけですけれども廃棄物がいかに有用なものであっても、例えば古紙でも、当初は天然資源の紙よりも高かったというふうなことですね。  私が申し上げておったことは、そのままの市場メカニズムですとリサイクルがなかなか進まないので、誘導政策を行って、例えば古紙と天然資源のものとの価格差をなくするような誘導政策が必要なのではないか。  そして、リサイクルの輪が回り始めますと、それぞれの製品コストが負担、内製化されていけば、そういう誘導政策はもう要らなくなってくるんじゃないかと思っております。そういう意味で、このような考え方循環型社会形成基本法には入っているというふうに思っております。
  52. 加藤三郎

    加藤参考人 先生から二点ほどお尋ねがあったと思いますが、まず、社会を変える一つのパワーとして、NGONPOといったものがもっと日本でも育つべきではないかというのは、私も全くそのとおりでございます。  私は、繰り返し述べておりますように、役所生活を二十七年いたしまして、役所を離れて、七年にはまだなっておりませんが、近づきつつあります。その間、NGOとしてやってまいりました。  その間に、ドイツ、アメリカ、イギリス、デンマークにおきまして、たくさんのNGOを訪問いたしまして、実際にどういう仕組みでやっているのか、どういうスタッフがいるのか、どういう財源でもってやっているのか、そういったものを尋ね歩いたときに、昨年の九月にイギリスに参りまして、幾つかのイギリスのNGOを伺ったときに、今先生がお触れになったような非常に強い印象を受けたわけでございます。  つまり、通常NGOといいますと、どちらかというと、企業の外にいるあるいは行政の外にいて、批判勢力として、それはそれで社会の重要な役割だと思いますが、それだけでなくて、最近のアメリカ、ヨーロッパのNGOの中には、むしろ、企業の中にすらある程度入っていって、そして、企業環境報告書づくりを一緒にお手伝いをする、一緒に仕事をする、あるいは、重要な企業の政策決定をする場に、NGONGOとしての重要な意見を述べる、それが企業にとってすごく重要だというふうに考えて、NGOがそういう立場で働く場合があるというのをイギリスで知りまして、非常にある種のショックを受けましたので、そういったことを書いたわけでございます。  日本現状はどうかといいますと、なかなかそこまでいっておりません。実は、私どもの力不足ということもありましていっておりませんが、私も、日本でそういう時代が早く来ればいいということを悲願にいたしております。  ちなみに、私自身は、NGO自身もきちっと明確なビジョンを持つということが必要だと思いますし、それから、何よりも大事なのは、自立の精神、それから健全な資金基盤、さらに柔軟なアプローチ、政策形成能力、コミュニケーション能力、そういったものが、NGO日本社会の中で一人前として認められるためには必要だと思って、微力ながら、私自身、それを目指して頑張っているつもりでございます。よろしく御支援のほどお願い申し上げます。  それから、経済的手法につきましては、これはもう廃棄物リサイクル問題に限らず、特に地球の温暖化なんかは決定的な役割を演ずるというふうに思っております。  簡単に言いますれば、環境税的な考え方を入れる。環境にいいものには税制上軽減措置ないしは逆に補助金をつける、あるいは環境に悪いものは重課をする、これが基本だというふうに思っております。  廃棄物につきましても、排出者責任が基本だ、それが家庭であれ工場であれ、レストラン、オフィスであれ、どこであれ、排出者が、自分が出したものについて、処理なりリサイクルされるのに必要なコストを持つというのが基本だというふうに考えております。  そういう意味でいきますと、多くの自治体がまだ家庭ごみについては有料化の制度を入れておりません。入れたところはもちろんありますが、そういうところでも、私たちの試算によると、大体ごみ処理費用の一〇%程度しか入っていないということで、私は、ごみ処理の有料化を通じて、消費者ごみを出さないインセンティブをひとつ働かせる必要があるというふうに思っております。  現在の廃棄物処理法では、こういった有料化を導入するかしないかというのは自治体に任せられております。条例でやることができるということになっておりまして、私の個人の意見としては、すべての自治体が条例に基づいて有料化することが大事だ、どの程度のレベルにするかは自治体がまさに条例で決めればいいと思いますが、有料化することが大事だというふうに思っております。  そういう経済的手法の一つとして、大橋参考人も強くおっしゃいましたが、デポジットがある。これはもう間違いなく、いろいろな問題があろうと思いますけれども、私は有効に働くものの一つだと思っておりまして、そういったものが、今回審議されております基本法下の諸施策の中で現実に、もちろん基本法で制定しておりますような調査研究、そういったものは必要でしょうが、できるだけ早く実施されるといいなというふうに思っております。
  53. 山口耕二

    山口参考人 藤木先生から二つの御質問を賜ったと理解しております。  一つは、排出者の費用負担についてどう考えているんだというのが一つ目でございます。二つ目は、メーカー責任を果たすために技術開発が大事ではないかという質問だと思っております。  まず最初排出者の費用負担の件でございますけれども、私どもメーカーの立場からいたしますと、お客様への公平なサービス、透明なサービス、これが原則でございます。ただ、使用済み製品につきましては、やはり排出者責任でございますので、その費用までをサービスでするということは基本的にはできません。  では、具体的に排出者の費用負担をどういう形でするのが一番いいのか。先ほど来デポジットというお話もございましたけれども、いろいろな方法がございます。例えば、デポジットという方法もございます。家電リサイクル法で言われているような、排出時にそのときの処理コストをその場で払うという方法もございますし、また、単純に、製造メーカーが製造原価の中に何らかの形で組み込んでおくという方法もございます。また、例えば容器包装リサイクル法のように、あれは、私どもが、どのぐらい容器包装リサイクル法の対応になっている紙とプラスチックを使っているかを計算した上で、見込みで指定法人にお払いするという容器包装リサイクル法のお金の払い方等々、いろいろございます。  しかし、これは、考えてみますと、いろいろな製品の特性によって全部違うのではないか。例えば飲料、ビール瓶とかのようなものについて、国内のビール瓶であれば多分デポジットはできるだろうけれども、海外のものは難しいとか。ですから、やはりお客様にとって一番便利で、確実にお金を払うことができる、そういう方法を選ぶ必要があると思っております。  特に、私どものようなパソコンにつきましては一体どういう方法が一番いいのか。例えばパソコンの場合ですと、買ったものをまたほかの人に譲るという方も随分いらっしゃるんですね。テレビとか洗濯機はほかの方に譲る方は余りいらっしゃらないと思いますけれどもパソコンの場合には、譲るもしくはキーボードだけをどこかに上げるとか、そういうことで、まず費用負担の方法につきましては、製品の特性、売り方、売られ方、使われ方に応じてどういう方法が一番いいのかを今後とも継続的に勉強していきたい、このように思っております。  二番目の技術開発でございますけれども、これにつきましては、やはり私どもの業界は、グローバルな、世界を相手にした事業でございますので、いやが応でもヨーロッパとかアメリカ等々から強い技術の圧力が参ります。したがって、特に欧米の技術動向を踏まえながら、環境技術については今のところ半歩日本の方が進んでいるのではないか。特に、現在ヨーロッパで議論されておりますWEEEという実は法律があるんですけれども、この法律の中での一つのテーマの中で、日本のメーカーはもうやっているじゃないか、だからヨーロッパでもそういうことを法律にしようじゃないかとか、そういうことで、我々自負するのは大変恐縮でございますけれども、製造メーカーとしての力はまだまだ日本には十分残っていると思っておりますので、今後は環境技術という視点で、しっかりとした研究開発なり技術開発なりを進めていきたい、このように考えております。環境問題の解決のキーは技術開発である、このように認識しております。  以上でございます。
  54. 大橋光雄

    大橋参考人 なぜこの基本法をこれほどまで急いでいるのかとか、あるいは国民にオープンにしないのか、せずにここまで来たかということは私にも全くわかりません。理解ができません。何かねらいがあるのかなという想像はいたしますけれども、それはわかりません。  これをちょっとごらんいただきたいんですが、これは環境基本法のあるページです。こちらは、循環基本法のあるページ。この色を塗ってあるのは全部相互にある。先ほども申し上げたように、こういうページもあるんです。  そうしたら、この基本法ができたら環境基本法の取り扱いはどうするんでしょうか。今、鋭意中央環境審議会環境基本計画を改定作業中で、まだ相当月日をかけられるようです。こういう、何かちぐはぐな、あっちでやりこっちでやり、環境基本法がどういうふうに流れていくか、改定作業がどういうふうに流れていくか、こういった成り行きも見ないで、基本法と名のつくような法律をこんなふうにばたばたつくる理由、必然性は私はないと思うんです。  したがって、ないにもかかわらず無理やりつくると、それは弊害になる危険性の方がはるかに高いということで、何か喫緊の課題である、不法投棄もふえているし、処分場ももうなくなってくるし、これは何もこの基本法をつくったって解決しませんよ。この程度の基本法でそんな喫緊の課題解決するんなら、今までの環境基本法廃棄物処理法リサイクル法で全部解決しているんですよ。今まであるんだから、ほとんどが。  ですから、一遍考え直していただいて、総選挙もあることですから、国民の声に耳を傾けていただきたい。
  55. 藤木洋子

    ○藤木委員 どうもありがとうございました。
  56. 細川律夫

    細川委員長 中村鋭一君。
  57. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 今回のこの法案に賛成の立場から一、二お伺いをさせていただきたいと思います。  当然ながら、廃棄物を論ずるときには、周りにいろいろな問題がありますけれども、やはり国民の健康をどうするのか、廃棄物から出てくる汚染物質でありますとか、そういう問題にどう対処するのかというのが一番基本の問題だ、こう思うんですが、昨今も、廃棄物処理場から高濃度のダイオキシンが検出された、もう当然ながら、そういうニュースは次々明らかにされているわけですね。  そこで、早速ですが、廃棄物処分場の安全性に関しまして、現状をどのように評価しておられるのか、平岡参考人大橋参考人に、簡単にひとつ所見をお伺いいたしたいと思います。
  58. 平岡正勝

    平岡参考人 今中村先生のおっしゃるように、最終処分場の安全性というのは非常におろそかにされているというふうに心配しております。  若干時間をとりますが、実は昭和四十三年と非常に古いんですが、昭和四十五年の廃棄物処理法改正の前に、大阪府に廃棄物対策検討会というのができまして、日本で初めて産業廃棄物、そのときはまだ産業廃棄物という定義がございませんでしたが、廃油とかいろいろな不法投棄がもうその当時に問題になってきておりまして、大阪府は大勢の専門の先生方を組織して、そういう研究会ができましたときに、まだ若うございましたので、堺工業地帯を、一夏つぶして、私、立ち入り権を持っている大阪府の公害対策室の方と歩いて、どこのプロセスからどういう廃棄物が出ているかを調査したことがあります。これが日本で初めての産業廃棄物の調査と言われているもので、若かったものですから一夏をつぶしてやりました。  そのときもう既に、各製造業は、自動車一杯、トラック一杯二千円から三千円ぐらいの値段で引き取らせていたというのに驚いたわけであります。そしてまた、有害な物質が非常に捨てられていることを知りまして、大変だということで、大阪府は、とりあえず公共の土地と最終処分を手当てして、そこに中間処理と最終処分をつくって、そこへ皆持ってきていた、それで処理は当然排出者に持たせようというようなことで提案がされたんです。  御承知のように、廃棄物処理法ができてまいりますと、産業廃棄物事業者責任というものが非常に強調されるのは当然でございますけれども、そういうことで、当時の各都道府県の議会の流れとしては、産業界のしりぬぐいを住民の税金でやるのは何事だというような意見が大勢を占めたように聞いております。  そういうことで、この最終処分場の議論が余りされなかったことは、私のような大学の人間としては、現場を調査した者としては非常に不安に思っておりました。それが、昭和五十二年にやっと安定型と遮断型と管理型ということでございます。  そういうことで、安全性については非常に後追いになっておりまして、構造基準が決まる前のものなどは、まだ十分に安全性が確保されていないというふうに思います。
  59. 大橋光雄

    大橋参考人 端的に言いまして、廃棄物処理は、どんな方法をとっても、公害、環境汚染から逃れることができない性質のものだということを考える必要があると思います。したがって、抽象的になってしまいますが、廃棄物を出さないという転換しかほかにないのですね。  管理型処分場といってゴムシートなりなんなりを敷いて廃棄物を埋めるという処分場があります。しかしこれは、穴があいて、そこに入っている焼却灰や何かに含まれている有害物質が漏れ出ているというのはあっちこっちにあります。  きのうクローズアップ現代でやっていましたような筑紫野市とか滋賀県栗東町で硫化水素でああいう騒ぎ、あんなのは、人が死んだからあれだけ大きくクローズアップ現代も取り上げているんですけれども日本じゅうにいっぱいあるんです。  それでもう一つ、安定型処分場という何にも敷かないで埋めていいというところがあるんですが、これは安全な五品目を埋めるんだという厚生省環境庁の建前なんですね。これはあくまでも建前で、実態がまるで違っていることを知っているくせに、この前の改正のときでも安定型処分場を廃止しない。  管理型処分場、安定型処分場とも、今後ともそういう処分場としてつくり続ける限り、どんなに立派なものをつくっても環境汚染から逃れることはできませんし、産業廃棄物一般廃棄物焼却して、ダイオキシンの除去装置その他の除去装置に、本当にびっくりするほど莫大な公害防止装置を最近つぎ込むようになっておりますが、こういったことをやっても最終的に公害は防止し切れない。  この間、藤沢市で、何とかという一流の環境企業をかたっていた企業の自分の敷地内の、あれは焼却炉のメーカーとしてはトップですよ、日本じゅうの大きな自治体がそこの焼却炉を入れたり、産廃業者も大きいのを入れているんです。そこの会社の自分の焼却炉からああいう不始末が出るという、これ一つ考えたってわかるでしょう。あれはISO14001の資格を早い段階でとって売り物にしていたんです。  そして、藤沢市ではもう一つ不幸なことに、市の一般廃棄物処分場から、住民の調査によって、その中から出てくる水にダイオキシンがびっくりするほど含まれていることがわかった。市がやっている処分場ですよ。こういうのもほかにいっぱいあるんです。東京の日の出町の処分場についても全く同じです。  ですから、私は、廃棄物焼却とか埋め立てをいかにして一日も早くやめるかという、基本法的な総合法制をつくるということによって、それらを究極的にきちっとしていくんだけれども、今、喫緊の課題はそういう個別法をきちっとして、一番緊急に効き目があるのは排出事業者責任を連帯責任とさせることです。  それは、産業廃棄物処理業者に大部分の産廃を委託しているんです。そして、その産廃業者がどういうふうにやろうと、結果的に不始末が起こったら、委託の仕方は何でもなかった、まともに委託したけれども、委託した人も連帯で後始末の責任を負う、法の裁きも受ける、こういう無過失連帯責任制を事業者責任として廃棄物処理法の中へ導入すれば、たちどころに悪質産廃業者は相当量駆逐されるし、処分場のつくり方、焼却炉のつくり方、そして何よりも、そういうところに頼むより、社内で、ごみにしない、また生産ベルトの方へ戻して使った方がいい、こういうふうに企業考えが、発想が変わるように。  それには、先ほど来出ている法律の方でも、経済的誘導策、あめとむちを両方法律の中に織り込まなきゃ、責務があるといったって、それを守らなかったらどうするということがどこにも書いていない。こういうものは、幾つ法律をつくったってだめなんですよ。いいと言っておられる方が、もっと全国のすさまじい廃棄物による不始末を現場で肌に感じて、こういう法律考えていただく必要があるだろうなと思います。
  60. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 大橋さん、非常に明快でわかりやすい御提言をいただきました。ありがとうございました。しかし、それを即座に我々が努力をして現実のものにするかどうかはまた別の問題だと思いますけれどもね。  平岡参考人にお伺いいたしますが、住民は、処分場というもの、やはり健康に不安があるというのが一番の関心事だと思うのですね。だから、処分場が必要になります、それをつくるということになると、まず周辺住民の方の賛成は得がたいということになります。処分の仕方が複雑になります、量がふえます、これはイタチごっこのようなことで、随分難しい問題だと思うんですけれども、一つの考え方としては、いわゆる上流、下流というふうに分けますと、廃棄物処分場の安全性を確保するためには、まず上方、上流の対策をきっちりと打ち立てる必要があるのではないか、こう思いますけれども、その辺もひとつ簡略にお話をお願い申し上げます。
  61. 平岡正勝

    平岡参考人 私、全く先生のお考えのとおりだと思います。先ほども大橋さんの言われたように、すべてを最終処分場にとにかく持ってくるということはもう限度が来たということで、上流から廃棄物に係る環境負荷の低減をやらなきゃいけないということで、審議会が諮問を受けましたのはそのことでございまして、有害物質を含む使用済み製品に起因する環境負荷を、当時、鉛とかカドミウムの物質収支をとりまして、これを低減したわけでございます。  私は、個人的にも、やはり処理業者の方が、投棄されたときにはまだ特性がわからないんですね。一番よく知っているのは製造業者であるということで、製品の設計の段階から安全に処理できる物質を用いて製造活動を行うべきではないかという先生の御意見に全く賛成でございます。
  62. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 廃棄物処理コストの低減を図るためには、産業界、製造界全体が本当に革新的な考えに立たなければだめだ、このように思うんですけれども、例えば、処理業者の方は、それは勉強はしていらっしゃるのでしょうけれども、今日これだけ複雑多岐にわたる廃棄物が出てきますと、その処理方法も含めて、専門の業者の方の理解を超えたケースもこれからは出てくるし、今、既に出ている、こう思うんです。  だから、安全に処理できる物質を用いて安全に処理できる廃棄物処理していくというふうな革新的な考えを製造界にお持ちいただきたい、こう思うんですが、産業界としてはどのような取り組みをお考えになっていらっしゃるのか、その点について山口さんの御意見をお伺いしたい、こう思います。
  63. 山口耕二

    山口参考人 中村先生のおっしゃいます上流対策が基本である、全くそのとおりでございまして、後から何をしようとしても、非常に、お金はかかる、時間はかかる、完璧にできない、そういうことで、私どもでは、我々の手で管理が十分にできるときに手を打つということを基本にしております。  したがって、具体的に申し上げますと、設計段階において化学物質の管理を十分に行う。実は化学物質は有害性があるとかないとかいろいろ言われておりますけれども、基本的にこの文明社会において化学物質を使わないことには仕方がございません。しかし、使う以上はきっちりと管理された状態で使うことが大原則だと思っております。  したがいまして、私どもの場合、まず製品の設計段階で、一九九三年から製品並びに製法のアセスメント制度を導入いたしまして、例えば地球温暖化防止とかさらには資源循環率とか、それから今御指摘の化学物質にかかわるグリーン化率等々のチェック項目を設けまして、まず設計段階で手を打て、こういうことを話しております。  具体的にグリーン化率で申し上げますと、例えば鉛、塩ビ等々の有害性の高いものは使用を禁止しようじゃないかとか、また使用を削減した方がいいようなもの等々、まず源流での設計アセスメントを十分にしております。  それから、もう一つ大事なことは、私どもパソコンの例をとりますと、約六割から七割のものは実は外部のメーカーさんから購入したものでパソコンをつくっております。したがって、社内のみの管理ではなくて、外部のベンダーさんから買う部品の化学物質の管理、これも非常に重要でございます。  したがいまして、一九九七年から、外部から購入する部品についてはグリーン購入制度を導入しております。このグリーン購入制度では、我々は、この物質が入っている部品であればうちは買いませんよというリストをメーカーに提示しております。それから次に、この部品、この物質については今後、有害性があると思われる可能性があるので、なるべく使わないようにしていただきたい。それから三つ目は、どういうものが入っているかを知っておきたい。こういう三つの分類に化学物質を分けまして、購入段階でチェックしております。  ただ、こういう購入段階におけるチェックは、我々が知っておくことも大事でございますけれどもリサイクル業者とか使われるユーザーに知ってもらうことも必要でございます。したがって、これら設計段階でチェックしておりますいろいろな化学物質のデータは、私どもの場合はインターネットで基本的にすべて公開しております。  したがいまして、私どものある製品を購入される場合に、インターネットを見ていただきまして、これはどういう物質を使っているのかなというのを、一応現時点で、管理できる範囲で情報公開する、そういう設計段階における対策とそれらの情報をお客様に情報提供する、この両輪で健康にかかわる対応並びに生態系に対する配慮をしているところでございます。
  64. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 国民に対して、この法案も含めてわかりやすく説明をする責任行政にはあると思うのですね。例えば、単語一つにしても、リサイクル、リデュース、リユース、こういった言葉はまだ国民にはそうなじみがある言葉ではないと思います。そういう一般の理解が行き届かないことには、せっかく法律をつくりましても、それは単にそこに法律があるだけ、死蔵されてしまいますね。  ですから、加藤参考人にお伺いしたいのですが、NPONGO立場からして、今回のこの基本法案が、十分今私が申し上げたような不安を払拭するものであるのかどうか、それに対応する法案であるのかどうか、そういう点について御意見をお伺いいたしたいと思います。
  65. 加藤三郎

    加藤参考人 今審議しておりますのは、言うまでもなく基本法でございます。したがって、これには罰則もついておりません。この基本法もとに、先ほど来繰り返し出ておりますようないろいろな諸法令がついて回っていく、これには罰則その他が当然ついてくるわけでございます。  そして、先生が先ほど来お触れになりました上流の重要性、これを、本基本法で初めて上流にまでさかのぼった。先ほど山口参考人がおっしゃったような製造段階での設計とか素材の選択とか表示させるとか、そういうようなことに法的には初めて体系的に取り組んだという点で、非常に今回の基本法意味があるというふうに思っております。  これができたら、私のNGO立場で役に立つ法律になると思うかというふうにお尋ねですが、私は、役に立つような法律にしなければならないし、またそういうことができる有用な条項を含んでいるというふうに思います。それを本当に役立てるためには、先生もおっしゃられましたように、国民も理解しなくちゃいけない、また行政も理解をしなくちゃいけない、企業者も理解しなくちゃいけない。そういう努力はもちろん必要でありますが、私どももそれに関する努力をしたいと思いますが、そういう努力をすれば、個別の法令と相まって、日本社会循環社会に向けて一歩進める大きな力になるというふうに私は考えております。
  66. 中村鋭一

    ○中村(鋭)委員 終わります。
  67. 細川律夫

  68. 武山百合子

    ○武山委員 自由党の武山百合子でございます。  実は、この委員のメンバーの中で、先ほど質問されました若松さんと私が、この法案循環型社会形成推進基本法案というものの作成にかかわった二人でございます。先週の金曜日に経緯は全部お話ししてしまいましたので、きょう重複してしまいますので、その経緯が話せないのは残念ですけれども、結果的に与党を離脱いたしまして、私は野党になりました。その結果、四月一日以降、自民党と公明党の方の政策責任会議でこのような形で閣法として出てまいりました。  実は、私はこの法案が実効性を伴った、計画がきちっと実行できるというものにおいてどう担保できるか、ここを一番議論の焦点に据えまして、大変長く時間をとりまして議論してまいりましたけれども、このたび、中央環境審議会がこの第三者機関の役割を果たすということでこの法案ができてまいりました。  実は、去年、環境委員会の方で、ドイツを中心に循環型社会ということで視察に参りました。ドイツの場合は、小学校、中学校、学校教育の中で循環型社会というものを根づかせた。そして、子供たちが家庭に帰ってきて、お父さん、お母さん、僕たちはこういうものはきちっとリサイクルできるんだということで、小学校、中学校からだんだん大人に広めていったという循環型社会を大変苦労されてつくってきたという実態を見てまいりました。  日本にも、環境基本法及び環境基本計画というものがあるわけですけれども、まだまだ、できたのに実現はほとんどしていないわけなんですね。そうしますと、やはりこれはまさに我々日本人の意識の大転換といいますか、大きく意識を変えなければ根づいていかないと思います。  意識を変えるということは、日本人は大変苦手な国民性を持っていると思います。なぜかというと、ドイツの場合は、ヨーロッパの国々は国境がないようなもので、いろいろな文化、考え方、すべて入ってきて、そこでいろいろなものが順化されていくわけですね。ところが、日本は島国ですので、なかなか新しく変えるということは、残念ながら今まで外圧で変わってきた部分が多いと思うのですね。しかし、ここに至っては、日本人がみずからやはり自分たちの自立した考え循環型社会になっていかなければいけないと思います。  では、どういうふうにして意識変革をしていったらいいかということについてちょっと御質問したいと思いますけれども循環型社会ができないまず今のところの理由と、どんなふうに意識変革をしていったらいいか、皆さんに、平岡さん、加藤さん、山口さん、大橋さんとお聞きしたいと思います。
  69. 平岡正勝

    平岡参考人 今武山先生おっしゃった意識改革というのは非常に重要なことだと思います。これはやはりおっしゃったように、小さいときからの環境教育というものが重要だということで、環境基本計画には、御承知のとおり、環境教育の重要性がうたわれているわけですが、現在は、やはり、従来の経済成長の中での生活スタイルがあってなかなかできませんが、私といたしましては、この基本法の中でその理念をうたっておりますので、これが浸透していただいて、先ほど、もったいないという言葉をおっしゃった先生のように、基本的な意識改革に向けて努力することが重要ではないか。  余りお答えになっておりませんけれども、おっしゃるとおり必要だと思っておりますが、どのようにしていくかは、この基本法ができて、計画、指針を何かこれからつくっていくことになるわけでしょうけれども、その中でもできるだけ具体的な方向性が示されればというふうに思います。
  70. 加藤三郎

    加藤参考人 先生からのお尋ねは、私の理解する限り二点だと思います。なぜ現在の日本循環型社会形成されていないのか、また、国民意識を改革するにはどうしたらいいかということだと理解いたします。  まず第一の点につきましては、繰り返し申し上げておりますように、日本経済の機構、これは戦後五十年ほとんど変わらず生産の拡大というものを目指してきた。そして、その手法として、大量生産大量消費、そして大量廃棄という、特に大量生産大量消費、そういう手法によって日本経済成長させてきたということであります。  そういう過程におきましては、先ほど来議論のありますような上流に対応する考え方とかそういったものが、少なくとも法制的には十分でなかった。出たものを何とか一生懸命始末するというのは、これは必死になってやってきたとは思っておりますが、そもそも出ること自体をなくしていこうとか、それからなくす仕組み、いろいろな仕組みを導入するということは、これまではほとんどなされていなかったと言っても過言でないかと存じます。  実は現在でも、まだ、経済の活況を何とかしなければとかということも、国への要請だとは思うんですが、その中で、ややもすると大量生産大量消費をむしろ促すというようなことすら一方であるわけでありまして、大量生産大量消費から先ほど私の申し上げました適度な生産、適度な消費には、痛みを伴うものですからなかなか大変だと思いますが、やっとこの基本法によってそういう方向が指し示されたことだというふうに思っております。  それから、国民意識を変えるのは、先生おっしゃるように大変難しゅうございます。私自身も、役所を離れて七年間、こんな冊子を毎月出し、またこういうパンフレットを至るところに配って歩き、そして日本が持続可能な社会になるような意識改革を一緒にやろうと呼びかけているわけですが、なかなかはかばかしい手ごたえはまだ出ておりません。  ただ、細かく見ますと、ここ一年ぐらいで随分変わってきたように思います。余り詳しくお話しする時間はございませんが、この一年ぐらいの間にかなり手ごたえを感ずるようになってまいりまして、環境のためならということがかなり国民各層の中に浸透したような印象を幸い受けております。  この基本法案の成立によって、上流から下流までという一貫した法体系が一応できるわけですので、そうなれば、また国民考え方も随分変わってくるというふうに思っております。
  71. 山口耕二

    山口参考人 武山先生から二つの御質問をいただいたわけでございますけれども最初循環型社会ができにくい理由、それから意識の転換期ではないか、この二つの御質問を賜ったんですけれども、私は、意識の転換期である、この辺を、私の悩みも含めましてちょっと御紹介したいと思っております。  実は私、冒頭のお話の中で、今まで九年間環境管理活動をやっている、そういうお話をさせてもらったと思うんですけれども、九年間やっての悩みも、やはり社員に対していかに意識を改革するかということにいつも悩んでおります。したがって、社員の意識改革をさすために、私は、五つの仕掛けと申しますか、アプローチをしております。  一つは、社員に対して環境情報を提供することでございます。実は、本日の委員会皆様環境専門家でございますし、何も言わなくてもよろしいんですけれども、私どもの十七万人の社員で本当に環境の情報を何人知っているかというと、甚だ心もとない面がございます。したがって、環境の情報を提供すること。  現在、私どもでは、社員に対しては、毎月一回、インターネット等々を使いまして、環境ニュースを流したり、また、いろいろなフォーラムを開いたり、技術論文大会を開いたり、いろいろと社員に対して情報を提供する場をつくること。それから、社外に対しては、やはりこれも月に二回、インターネットを通じまして私ども活動を紹介する、そういうことをしております。  二つ目は、外圧を使わせていただく。その外圧にはいろいろな外圧があるわけでございますけれども、例えば、私は今でも覚えておりますけれども、通産省さんにつくっていただきましたボランタリープラン、これはまさに我々の企業においての環境活動をやる上では非常に後押しになっておりますし、ISOもそうでございます。それから、最近はIR、インベスターリレーションで、例えば機関投資家とかが格付をするときに環境面でも格付しますよ、そのような外圧を使うことによって社員の意識を変える、それが二番目でございます。  三番目は、そういう中で社内で意識改革ができるような仕組みをつくってあげる、すなわち場をつくる、そういうことでございます。例えば、私どもの会社の中ですと、年二回、環境フォーラムというものを設定しておりまして、一カ月間全社的に環境のお祭りを社内でやる、そういう場をつくったり、また、環境問題のポイントは経営者にいかに認識させるかでございますので、社員の意識を変えるにはまず経営者意識を変えようということで、経営者に対する説明会もしております。  次に、四番目には、幾ら外圧を使ったり情報を提供しても、技術者はやった成果が出ないとそのうちにやらなくなります。したがって、活動の成果を見えるような形にしてあげる、すなわち目標を設定して活動を展開する、そういうことに心がけております。  最後の中身といたしましては、市場原理の中でお互いに切磋琢磨する。これによって設計者なり販売員の意識が変わってくるのかな、こういうことで、私も九年間やって意識を変える難しさはひしひしと感じておりますけれども、少なくとも言えますのは、概念だけでは変わりませんので、具体的な行動の施策とか計画を示しながら、また情報を提供しながら意識の改革に努めていきたい、このように考えております。
  72. 大橋光雄

    大橋参考人 循環型社会へ歩みが遅々として行かない最大の理由は、環境にいい事業活動をすれば、国、その他の政策でその企業が得をする、環境に悪いことをやっていたら同じ企業力の会社同士でも国の制度その他で損をする、こういう仕組みをすべての分野につくらないからです。今回の基本法を、私は、ぼろくそに聞こえるかもしれませんが、言っているのはそういうことなんです。なぜ、やればできることを、効果てきめんのことをやらないのかということです。  それから、一般国民にとっても、仮に極論しますと、缶や瓶は幾らリサイクルしたってエネルギーをいっぱい使うし、手間もかかるし、公害も出る。もし、飲み物の入れ物を持っていって買うところまでこの世の中が、つまり、四十五年か五十年ぐらい前に実際に日本じゅうでやっていたようなことを、やればできることにして、そういうふうに瓶を持っていって液体を買う人は一リットル当たり幾ら、それで瓶に入ったものを店から買ってくる人はそれよりも五十円か百円高くなる、こういったことを全部仕組みとしてなぜつくらないんですか。  人間というのは精神論じゃだめだというのはもう皆さんよくわかり切っているわけですよ。意識改革、意識改革という言葉が幾ら出たって変わらないというのは、やはり残念ながらしようがない。損か得か、企業はまさに巨大な損得勘定のマシンですから、企業はもうけなきゃ、環境というのはきれいごとに終わってしまう。  だから、私は、廃棄物を出せば出すほどその企業の税金が高くなる、あるいは新しい資源を使えば使うほど資源税がかかって製品価格が高くなる、その逆のことをやっていけば、さらにこちらはプラスとマイナスに差がついて、A企業とB企業はこんなに一つの物を売る値段が変わってしまう、こういうことをやれば、何も不公平はないのですよ、どっちか選べばいいのだから。よその会社と同じようにもうけたいか、もっと余計にもうけたければ、国の決めたそういう環境保全型のシステムに自分が順応すればいいわけです。そうすると、値段が高くなります。国民にそれが返ってきます。国民は、今まで、何もわからずに、環境が食いつぶされることによって安いものが使えたり食べられたりしたということを考えていない、考えないように大宣伝で売りまくってきて、それがどっぷり習慣化しているから、気がつかないのですね。  しかし、環境を守るためには、これだけの金がかかって、それは売値にもかかってくるよとか、あるいは企業努力でこうなるよ、競争がこうなるよ、そういったことになると、我々は買う物をいやでも応でも考えるようになるということです。環境にいいものを買うのと悪いものを買うのとではうんと値段に差がつく。  私は、今までの実態と、今日のこの異常なほどの、精神的に疑わしいような犯罪その他が続々と出ている中で、残念ながら、意識改革という感じでは、この循環型社会への道のりは今のところ無理だろうというふうに思います。
  73. 武山百合子

    ○武山委員 御意見をありがとうございました。  時間も残り少なくなってしまいまして、第三者機関のことについて平岡参考人にお聞きしたいと思います。  この第三者機関をどうするかということで、三党のPTで最大の問題として議論をしてまいりました。御承知のことと思いますけれども、当初は、公明党案で、内閣府に、国会同意人事のもとで任命される有識者で構成される循環型社会形成推進委員会を設置し、そして、この委員会循環型社会形成推進計画を策定して、具体的指針を内閣総理大臣に勧告を行ったり、計画の実施状況を勧告するということで議論してまいりました。このような強力な権限を持つ第三者機関を設けなければ、この循環型社会づくりのための計画は進まないのではないかという意見が公明党から大変強く出されまして、私も個人的にはこの意見に賛成でございました。  しかし、この点については、自民党は行革に反し、屋上屋を重ねるものだということで、この第三者機関というものをどう位置づけるか、大変議論になった一つなんです。それで、この法案が出てきた時点で閣法となりまして、中央環境審議会で第三者機関としての役割を果たすということになったわけです。ですから、これはどっちみち、正直言いまして、絶対多数を与党が持っているわけですから、時間とともにこの法律は上がることになっております。そうしますと、国民は、この中央環境審議会に大きな期待をかけて、そしてしっかり頑張っていただきたいと言わざるを得ないわけですね、現にこれは将来性としては成立するわけですから。  そして、平岡参考人はこのメンバーの一人でもあるわけです。先ほど公明党の若松議員から御質問を受けた内容を聞いておりますと、正直言いまして私は大変心もとなくなりました。中央環境審議会のメンバーは元気を持って前向きにこの法案を受けとめて、中身ももちろんある程度の青写真は描いているわけですから、この役割を果たすという意味で、平岡さんにもう一度、中央環境審議会国民が期待しているということに対して、何かお考えを自分の言葉でぜひ語っていただきたいと思います。
  74. 平岡正勝

    平岡参考人 先ほど若松先生の御質問等もありましたけれども中央環境審議会委員として答申をまとめたことをこの前はお答えしたわけでございますから、この基本法が成立しますと、基本法の中に、中央環境審議会意見を聞くようなことが書いてございますので、それをお聞きしまして、非常に身の引き締まる思いでございますので、先生のおっしゃいますように、もし私が部会長をさらに続けるといたしますれば、委員の方々とともに、勉強をさらにやりまして、期待に沿えるような形で、もし委員長をやれば、進めていきたいというふうに思っております。  第三者機関をつくられるというのも一つの立場と思いますけれども、私が審議会の委員長といたしましては、審議会の委員の方々はそれぞれ各業界の、学界の代表でもあり、主婦の代表の方、労働の代表の方、いろいろな代表の方が専門的な立場で参加しておられまして、先ほどの答申の場合も、ワーキンググループをつくって随分議論をいたしまして答申をいたしました。基本法が成立いたしますと、非常に荷の重い形になるわけですけれども、先生のおっしゃいますように、気を引き締めて、基本計画をつくっていかなければならないと思います。  第三者機関の形でやれと言われますが、中央環境審議会の先生方は、この関係の本当の専門の先生方が入っていただいておりますので、十分な、専門的な意見をまとめていくことができるのではないかと思いますので、私は答申まで委員長をしましたが、これが成立した後も委員長を務めるとは限りませんから、もし中央環境審議会がこれを受けてやりますときには、その委員長の方、私がもしやるとすれば、武山先生の期待にこたえられるように努力をしてまいりたいと思いますので、よろしく御指導のほどをお願いしたいというふうに思います。
  75. 武山百合子

    ○武山委員 審議会といいますと、国民は、ああ役所のまた隠れみのかと、大体国民は余り審議会に対して信用を持っておりません。しかし、私は、この法案をつくった関係上、ここにかかわった以上、やはり魂を入れて、しっかりした循環型社会になっていただきたいと思って言ったわけですので、ぜひ期待にこたえていただきたいと思います。ありがとうございました。
  76. 細川律夫

    細川委員長 中川智子さん。
  77. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  きょうは貴重な御意見を本当にありがとうございました。本会議がございますので、十二時二十五分までに終わらなければいけませんので、お一人ずつ参考人最初に質問だけをさせていただいて、そして時間を気にしながらの御答弁というか、お話をよろしくお願いいたします。  私も阪神・淡路大震災の被災地の出身なんですが、その後、地域で、被災地でできることということで、一・一七その後の会という会をつくりまして、電化製品を仮設住宅に届ける活動を本当に死に物狂いでしました。そのときに、皆さん、きれいに掃除してくださったのですが、こんなにまだまだ使える物を、どうしてまた新しい物にと思いました。テレビ、洗濯機、炊飯器、冷蔵庫で約五百台ほどを仮設住宅の被災者にお渡ししたのですが、本当に使える物がまだまだ、言ってみれば、もったいない形で、そしてきっちりそれがまた有効に使えない、どんどん捨てている、それの本当に根本的な解決をいろいろな意味でするために、今回の基本法というのは期待していたのですが、先ほど大橋参考人がおっしゃったように、拙速は厳に慎まなければいけない、そしてこれがきっちり将来の循環型の日本をつくっていくために機能しなければいけないということを非常に強く思っております。  まず最初に、平岡参考人の方に質問ですが、もしもこの審議会が、あらかじめこのような法律をつくることをきっちり諮問として明示されていて、法律をつくることを目的に議論がされていたならば、もっと違った議論になったのではないかというふうに思います。  一番最初大橋参考人の話の中にも、諮問方法が法案化までを前提としたものではなかった、そのように聞いておりまして、最初から法律をつくるというふうな目的だったならば、もう少し審議会の議論なり、また国民意見をきっちり聞くということで反映されたんじゃないかと私は思うんです。つくることが目的ならば、もう少し違った議論になったんじゃないかという印象がございます。それについての御意見を伺いたいと思います。  続きまして、加藤参考人に、先ほど有料化のお話がございました。これは、EPRの原則考えますと、製品への上乗せということの方が、より理解と実効性があるのではないかと私は思うんですが、そこのところのお話を伺いたいと思います。  それとちょっと関連しまして、NPOのバックアップ、環境問題というのは、本当に今すばらしいいろいろなNGO活動しているわけですが、なぜかやはり行政のいろいろな委員会のメンバーに、入っているというふうにこの間長官はお答えになったんですが、私は、やはりもう少しきっちりとした枠組みの中でNPOが入るべきだと思いますが、そこの部分。あと資金的な援助。私もずっと市民運動をしていまして、手弁当で運動を続けていくことがどれだけ大変かということを実感しているんです。  そのようなメンバーになぜ余りきっちり入れないのか、そして資金的な援助で、加藤参考人、ぜひともこれは早急にしてほしいという御意見があったらちょうだいしたいと思います。  山口参考人に伺いたいんですが、先ほどの話と関連しますが、今、パソコンとか製品への価格の上乗せということを具体的にされているのかどうか、そのようなことを念頭に入れての価格設定をされているのかどうか。それと、NPO企業の連帯というのが現場ではどのようになっているか。この二つを伺いたいと思います。  最後に、大橋参考人には、今たくさん、いろいろな地域で、きょう六百五十ぐらいの地域で紛争、廃棄物の問題があるということで、そのような団体の方が、いろいろな方が私の部屋を訪れてくださいます。物すごい深刻な状況になっているわけですが、一番ここがネックでこういう問題が解決されないんだ、物すごい長く時間がかかるんだということで、いっぱいあると思うんですが、一番こういうところをまず解決していけば、取り除いていけばという御助言をいただきたいと思います。  そしてもう一つは、基本法は、十年、二十年、そしてまた五十年というふうに、一回つくられると後はなかなか改正がありません。改正規定が今回の法案にはないんですが、それに対しての御意見をちょうだいしたいと思います。よろしくお願いします。
  78. 平岡正勝

    平岡参考人 中川先生の、もし審議会に法律をつくる前提で諮問があったら違うんではないかという御意見でございましたが、私の理解するところは、審議会ではそういう法律の議論なんかするところではないのではないかと思っております。  それで、もちろん法律をつくるということを諮問されたならば、かなりまた強いトーンで循環型社会へ向けての、ドイツのような循環経済法をつくるべきだということに、私は個人的にはそういう思いを持っております。  したがって、もし私が会長という立場から離れて、三十数年環境問題をやってきた大学の人間といたしましては、やはりまずやるべきことは、廃棄物処理法廃棄物の分類を変えて、リサイクル法と一体化して進めるべきだ。それから、大橋さんもおっしゃるように、最終処分場の構造基準を非常に厳しくする。できれば遮断型とか安定型というのは順次やめてすべて管理型にするというふうな形で、そして、先ほど設計の段階から有害物質を入れないというふうな御意見がありましたように、そういうことを強く打ち出すという形でまとめていければと、これはあくまでも、私、大学の研究者としての循環型社会基本法に向けての考えであります。  したがって、この基本法がぜひ成立されまして、さらに、これで初めて廃棄物処理法リサイクル法が連携した形でできる形になったわけでございますので、行く行くはこれを一本化していただけるように努力をしていただければというふうに思っております。個人的な思いは今申したとおりであります。
  79. 加藤三郎

    加藤参考人 二点だと思いますが、中川先生の御質問にお答えを申し上げたいと存じます。  私は、先ほど、都市ごみといいますか、一般廃棄物、主として家庭から出ます廃棄物をどこでもすべて原則有料化すべきではないかという趣旨を申し上げました。それに対して、EPR、製品の上乗せの方がいいのではないかというお尋ねかと存じます。  私の申し上げたかった点は、まずPPPの原則、要するに環境負荷を与えた人は、それが家庭であれ工場であれ事業所であれ、だれであれそのコストを持つというのが原則で、したがって、家庭からごみを出してもどこからごみを出しても、それは有料化といいますか、ごみ処理、特に現在ではごみ処理コストを有料化するという制度を設けるべきだ、これが今のところ不徹底であるということを申し上げました。  それに対してといいますか、その線上にあるわけですが、幾つかの特定の製品には、例えば冷蔵庫だとかテレビだとかいうものについては、買った時点で、価格の中に含まれるということで先払いしておくという方がよりいいのではないかというのが、まさに先生のおっしゃったEPRの考え方が出てきまして、私もそれに賛成でございます。出した人がお金を払うという原則もとで、いつ払うかということで、先に払うか後になって払うかの違いはありますが、払うという点では、EPRは幾つかの製品については適切だというふうに思っております。  これが、およそ世の中にたくさん、ごまんとあるあらゆる製品に適用すべきだと私は思っておりませんで、それは、選ばれた幾つかの製品がより効果的だというふうに思っております。本基本法を見ますと、そういう趣旨で書かれておりまして、私はその点を評価しているわけでございます。  それから、NPOが頑張るべきだというお話をいただきました。大変ありがたく存じます。  私自身もいろいろな形でNGONPOということをやっておりますが、先生御指摘のとおり、残念ながら現在資金的にそう十分ではございません。したがって、それ以外のいろいろなことをして、あわせて何とかNPO活動を維持しているというのが実態でございます。私の場合でいえば、NPO環境文明21というものと株式会社環境文明研究所というものとを両方いわばあわせ経営しておりまして、その二つでもって何とかNPO活動を維持しているわけでございます。  ところが、アメリカその他NPO先進国では、これは随分知られていることですが、税制上の措置とか、そういったいろいろな優遇措置がある上に、イギリスでは、例えばNPOの事務所の家賃を八割まで補助してやるとか、郵便代を安くするとか、電話代を安くするとか、いろいろな措置が講じられております。  これは、イギリスの国民考え方が、NGONPOというのは社会にとって大事な役割なんだ、会社があり行政があるのと同じように、NPOというのも社会で一定の役割を果たしているんだということで、ちょうど、そういうものを支援するのと同様に支援をしているということで、日本でも、ぜひそういう制度を入れていただければ大変うれしく存じます。
  80. 山口耕二

    山口参考人 中川先生から二つの御質問がございました。  PC等の製品資源化の価格を上乗せしているのかという話。これについては、現在はしておりません。  ただし、今後、再資源化を進める中で当然費用が発生しますので、これについてどういう形でお客様からいただくのか、もしくは企業からいただくのか、先払いとか、後払いとかございますけれども、基本的に、我々の商品から見ますと、お客様から先払いをしていただくということは、お金をお客様から預かっていることでございます。したがって、その預かるお金が間違いなくそのとおりに使われればよろしいわけですけれども、場合によっては安くなるかもわからない、高くなるかもわからない。したがって、幾らの再資源コストがかかるかどうかわからないものについて先払いでいただくということは、場合によってはトラブルの原因にもなるのかなと。  したがって、今後、これは製品によって違いますので、一概には言えませんので、先払いがいいのか後払いがいいのか、どういう形で排出者にお金を負担してもらうのが一番いいのかは個々に議論していきたい、このように思っております。  次に、NGO企業との連携でございますけれども、私の個人的なお話を申し上げさせていただきますと、例えばグリーン購入ネットワークとか環境報告書ネットワークについては設立から私も参画し、現在も代表幹事をやっております。そういうことでは、私自身NGO活動を実行するということと、あとは、NGOさんが実行されるいろいろな催しに我々も参画するもしくは資金的な援助をするという程度の連携を深めさせてもらっております。  今後ますます、できましたら平等な立場で話し合いできるようにしていきたいな、このように考えている次第でございます。
  81. 大橋光雄

    大橋参考人 簡単に言います。  紛争を防止するのに一番今のところ効き目があるのは、田舎へごみを持っていかないことです。大都市部あるいは経済活発地域から過疎化の進んだ地域へ大半のごみが行っております、主に産業廃棄物ですね。これをやめて発生地域内処理に、原則をはっきりさせるということですね。自分らはもうけるだけもうけ、豊かな生活を謳歌しておいて、そのごみの方は田舎の、おじいちゃん、おばあちゃんのいる先祖代々のきれいな山合いへ捨てる、こういう理不尽なことが蔓延しているというか、当たり前になっているのです。それをやめるだけで相当紛争は減ります。  もう一つは、水源地へ廃棄物処理施設をつくることを原則禁止するということですね、焼却施設であろうと埋立処分場であろうと。しかしながら、埋立処分場についてはとりわけ水源地またはそれに準じるところに圧倒的に集中しています。これもまことに愚かしい、何をやっているんだという、先祖様に申しわけないことを延々とやっているのです。これを禁止すること、そうすると紛争は大分変わります。  それから、この循環基本法、私は最初に申し上げましたように、いろいろおありでしょうけれども、ここで成立しなくても、そうか、わかった、そういうことならもっと時間をかけて、より国民の共感を得た形でやろうと言っても、提案者は、何もこの次の選挙でぐあいが悪いこともないし、むしろその勇断をたたえられるだろうというふうに考えます。  先ほど武山さんは、もう成立することは決まっているけれどもと簡単におっしゃいましたが、私はぜひ、成立は決まっていないという中で、この後の審議を進めていただきたいと思います。
  82. 中川智子

    ○中川(智)委員 参考人の皆さんの意見をきっちり審議に生かす、そのことが基本できょう来ていただいたわけですから、もちろんそうです。  ありがとうございました。
  83. 細川律夫

    細川委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆さんには、貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。委員会代表いたしまして御礼申し上げます。本当にきょうはありがとうございました。  次回は、来る二十八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十六分散会