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2000-04-14 第147回国会 衆議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十四日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 井奥 貞雄君    理事 伊藤 公介君 理事 河野 太郎君    理事 鈴木 宗男君 理事 森山 眞弓君    理事 玄葉光一郎君 理事 藤田 幸久君    理事 赤松 正雄君 理事 松本 善明君       飯島 忠義君    小川  元君       大野 松茂君    嘉数 知賢君       川崎 二郎君    木村  勉君       阪上 善秀君    下地 幹郎君       戸井田 徹君    桧田  仁君       山口 泰明君    伊藤 英成君       上原 康助君    近藤 昭一君       坂口  力君    丸谷 佳織君       古堅 実吉君    江崎 鐵磨君       達増 拓也君    藤井 裕久君       伊藤  茂君     …………………………………    外務大臣         河野 洋平君    外務政務次官       江崎 鐵磨君    政府参考人    (法務省入国管理局長)  町田 幸雄君    政府参考人    (運輸省航空局長)    岩村  敬君    外務委員会専門員     黒川 祐次君     ————————————— 委員の異動 四月五日  辞任         補欠選任   井上 一成君     江崎 鐵磨君 同月七日  辞任         補欠選任   東  祥三君     達増 拓也君   二見 伸明君     藤井 裕久君 同月十四日  辞任         補欠選任   嘉数 知賢君     大野 松茂君   山中あき子君     桧田  仁君   川内 博史君     近藤 昭一君 同日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     嘉数 知賢君   桧田  仁君     山中あき子君   近藤 昭一君     川内 博史君 同日  松本善明君が理事に当選した。     ————————————— 四月十三日  国際原子力機関憲章第六条の改正受諾について承認を求めるの件(条約第二号)  国際移住機関憲章改正受諾について承認を求めるの件(条約第三号)  千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する千九百九十九年十二月二十日に作成された確認書締結について承認を求めるの件(条約第四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  政府参考人出頭要求に関する件  国際原子力機関憲章第六条の改正受諾について承認を求めるの件(条約第二号)  国際移住機関憲章改正受諾について承認を求めるの件(条約第三号)  千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する千九百九十九年十二月二十日に作成された確認書締結について承認を求めるの件(条約第四号)  国際情勢に関する件     午前十時開議      ————◇—————
  2. 井奥貞雄

    井奥委員長 これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  去る七日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準変更等に伴い、理事補欠選任を行います。  現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井奥貞雄

    井奥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事松本善明君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 井奥貞雄

    井奥委員長 この際、江崎外務政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。外務政務次官江崎鐵磨君。
  5. 江崎鐵磨

    江崎政務次官 おはようございます。  このたび外務総括政務次官就任いたしました江崎でございます。井奥委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつさせていただきます。  グローバリゼーションという言葉に象徴されるように、二十一世紀に向け、国際社会相互依存関係をますます強めております。その中で、世界各地で後を絶たない地域紛争大量破壊兵器の拡散、環境、人口などの地球規模の問題、世界経済の円滑な運営貧困撲滅を含む途上国支援など、国際社会は数多くの課題に直面しています。  世界の安定と繁栄に多くを依存している我が国が、みずからの安全と繁栄を確保し、国民の豊かで安全な生活を実現していくためには、米国及び近隣諸国を初め、各国との関係維持発展に努めるとともに、こうした課題に積極的に取り組み、我が国国際社会から求められている責任、役割を果たさなければなりません。  このような観点に立つとき、本年我が国が議長を務める九州・沖縄サミットは、日本外交にとって極めて重要な意味を有しています。G8首脳が国際社会の直面する重要課題について率直な議論を行い、実り多きサミットとなるよう、自分としても全力を挙げて取り組む所存であります。同時に、サミット成功のために、沖縄県や名護市を初めとする各自治体と密接に連携してまいりたいと考えます。  外交と内政は今や一体であります。したがって、我が国が強力な外交を展開していくためには、国民各界各層、そして御臨席の委員各位の御理解と御支援が必要不可欠であります。  私は、河野外務大臣の御指導をいただき、外務総括政務次官としての使命を全力で果たす決意であります。本委員会皆様の御指導、御協力のほどを心からお願い申し上げ、私の就任のごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  6. 井奥貞雄

    井奥委員長 国際原子力機関憲章第六条の改正受諾について承認を求めるの件、国際移住機関憲章改正受諾について承認を求めるの件及び千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する千九百九十九年十二月二十日に作成された確認書締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  政府から順次提案理由説明を聴取いたします。外務大臣河野洋平君。     —————————————  国際原子力機関憲章第六条の改正受諾について承認を求めるの件  国際移住機関憲章改正受諾について承認を求めるの件  千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する千九百九十九年十二月二十日に作成された確認書締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  7. 河野洋平

    河野国務大臣 ただいま議題となりました国際原子力機関憲章第六条の改正受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この改正は、平成十一年十月に、ウィーンで開催された国際原子力機関の総会において採択されたものであります。  この改正は、国際原子力機関理事会において加盟国が公平に代表されることを確保するために理事国の数を増加するとともに、その地理的配分を変更することを目的とするものであります。  我が国がこの改正受諾してその早期発効に寄与することは、同機関運営円滑化に貢献するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この改正受諾について御承認を求める次第であります。  次に、国際移住機関憲章改正受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この改正は、平成十年十一月にジュネーブで開催された国際移住機関理事会において採択されたものであります。  この改正は、国際移住機関の組織を強化し、同機関における意思決定方式を簡素化することを目的とするものであります。  我が国がこの改正受諾してその早期発効に寄与することは、難民等の問題に関する国際協力に貢献するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この改正受諾について御承認を求める次第であります。  最後に、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する千九百九十九年十二月二十日に作成された確認書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この確認書は、平成十一年十二月二十日にジュネーブにおいて世界貿易機関事務局によって作成されたものであります。  この確認書は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定に含まれている我が国譲許表に関し、医薬品の関税撤廃対象産品の追加に伴う修正及び訂正を確認するためのものであります。  我が国がこの確認書締結することは、国際貿易を促進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この確認書締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
  8. 井奥貞雄

    井奥委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  ただいまの各件に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  9. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として、委員下地幹郎君の質疑に際し、法務省入国管理局長町田幸雄君及び運輸省航空局長岩村敬君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 井奥貞雄

    井奥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  11. 井奥貞雄

    井奥委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂口力君。
  12. 坂口力

    坂口委員 おはようございます。  時間の関係がございまして、一番先にやらせていただきますことをお許しをいただきたいと思います。  また、江崎総括政務次官、御就任おめでとうございます。期間はやや短いかもしれませんけれども、それだけにひとつ御活躍をお祈り申し上げたいと思います。  二点ほど、大臣にお聞きをしたいというふうに思っております。  一つ日朝国交正常化交渉、大変御努力をいただきまして、現在進めていただいているところでございます。第一回目、四月の五日、七日の両日、ピョンヤンで開催されました。一九九二年の十一月に中断をしてからでございますから、大体七年半経過をしたことになりますが、再開されましたことを大変喜ぶ一人でございます。  この四月の五日、七日の日に議論をされました内容を拝見させていただきますと、やはり日本側は、拉致問題あるいはミサイル問題等の懸案をまず解決をするということを主張しておりますし、それから北朝鮮側は、過去の清算ということをやはり主張しているわけでございます。この辺を見ますと今までと余り変わらないのかなという気がいたしますが、今までの交渉と今回とは少し違うのかなという気もしないではございません。  その辺のところ、今までの交渉と同じなのか、それとも若干今回は趣を異にしているのか、その辺に対する大臣のお考え、感触をお聞きしたいと思います。
  13. 河野洋平

    河野国務大臣 議員お尋ねでございますが、日朝交渉はまさに七年半ぶりのことでございます。この交渉再開に向けまして、本院議員村山富市元首相を初めとして、各党の議員皆様方が訪朝されまして、今回のような国交正常化交渉環境づくりといいますか、きっかけをつくられるために大変努力をしていただきましたことを、私はまず最初にお礼を申し上げたいと思います。  こうした、元総理まで訪朝をされて整えていただいた交渉会議環境でございます。そうした状況にかてて加えて、昨今、北朝鮮がしきりに国際的な活動が活発になってきたというふうにも私ども感じておりまして、今回の日朝交渉はこれまでとは少しそういう意味で雰囲気が違うなということを何となく感じているところがございます。  さらに、今議員お話しになりましたように、我が方にとって大きな関心事がございます。これは、拉致疑惑の解明でございますし、ミサイル問題という我々にとって解決しなければならない大きな問題を抱えているわけでございますが、このことは、国交正常化交渉という交渉でございますから、交渉の主たるテーマはまさに二国間の国交正常化、これが主たる交渉目的ではございますけれども、その目的を達成するために、こうした私どもにとりましては重大な関心事を横に置いて進むということはやるべきでないというふうに考えまして、先般の交渉の際にも、こうした我が方の関心事もすべてテーブルにのせて議論をするようにということを先方にも伝えているところでございます。もちろん、先方には先方でやはり関心事がいろいろあるわけでございまして、先方が持つ関心事がそれぞれ述べられているわけでございます。  そうした双方関心事をともに述べ合って、そうした問題を解決する、お互いに合意を見るための努力をしていくということがこれから行われるわけでございまして、先ほどから申し上げておりますように、環境が整い、七年半ぶり交渉再開されましたけれども、この交渉がどのくらいのスピードで進んでいくか、進めることができるかということについては、まだまだ私どもは確信を持っているわけではございません。十分に話し合い、粘り強くこの交渉をやり遂げたいというふうに思っているわけでございます。  幸いにして、ピョンヤンで行われました会議出席をして帰ってきた我が方のメンバーの報告を聞きますと、先方も極めて真摯な態度で意欲をのぞかせているというふうに感じられたという報告がございます。  私どもは、もちろんこの交渉に前向きに取り組むという決意をしておりますから、双方がそうした気持ちで会議に臨めば、粘り強い会議を行うことによって合意に向けて進んでいくことができるのではないか、こんなふうに期待をしつつ見守っているところでございます。
  14. 坂口力

    坂口委員 村山総理を初め、皆さんが大変な御努力をしていただいたこと、我々も感謝をしたいというふうに思っておりますが、そうした日本側努力もあり、そしてまた北朝鮮側変化もありということではなかろうかというふうに思います。  外務大臣が十一日に記者会見をされましたときに、その記者会見の中で、まず言えることは、こうした対話に臨む姿勢北朝鮮が示している、つまり北朝鮮トップがそうした対応を決断したということは今後の対話に向けてプラスである、こう述べられているわけでございまして、大臣がおっしゃいましたこの北朝鮮トップというのはだれのことを指しておみえになるのかということを少しお聞きをしたいと思いますし、また、そのトップの考え方が最近急に変わったのかな、変わったと言うと語弊があるかもしれませんけれども日本との間の対話、それから南北対話、これらが急に展開をしてきたというところに、そこに何らかの変化があるのかなという気もするわけでございます。  この記者会見でおっしゃいましたトップの中身も含めまして、お聞きをさせていただきたいと思います。
  15. 河野洋平

    河野国務大臣 昨今の北朝鮮国際社会に対します態度は、以前とは少し違ってきたように感じられるのは私だけではございませんで、国際社会の中でもそうした判断をする国はたくさんございます。そして、それは事実、ファクトとしても出てまいりまして、例えば、ことし一月に北朝鮮はイタリーと国交正常化をいたしましたし、あるいはカナダとの間の要人の往来が行われたということもございます。もちろん、それ以前から、国連におきまして、北朝鮮のいわゆる外務大臣各国要人との間の話し合いを積極的に行っているというニュースもございます。さらには、オーストラリアとの間の交流ということも報ぜられておりますし、昨今ではフィリピンもそうしたことに関心を持っているというニュースもございます。  私ども、一番最近のニュースとしては、まさにトップでございますが、金正日氏がピョンヤンにございます中国大使館を訪問したというニュースがございました。これらも、極秘のうちに訪れたのではなくて、報道されることを十分承知の上でそうした行動をしておられるということなどを見ますと、これはやはり大きな変化が起きつつあるというふうに私どもは思っているわけでございます。  それでは、一体なぜそういう変化が起きたのかということを分析をしなければならないわけですが、まだそうした、なぜそうなったのかということについて、これこれによってこうなったのだというほどはっきり断定できるような情報は集まっておりませんけれども、しかし、一つの推測としては、やはり何といっても北朝鮮におきます国家としての体制に、トップと申しますか、上層部自信を持ってきたのではないかというふうにも推測できますし、また一方では、やはり相当に、それぞれの国との間の国交を樹立しようということになりますと、そこには恐らく経済的支援を期待しているかもしれないという予測もあるわけでございまして、そのどこが一番のもとであるかということは、正直、定かではございませんが、それらはいずれも全く的外れのものだというふうには私どもは思っていないわけでございまして、北朝鮮はやはり相当自信を持って、そして対外的な活動を始めたのではないかというふうに思っているわけです。  北朝鮮という国の体制を考えますと、それはトップ判断なくてこうした大きな国際的な、対外的な活動をするというふうには思えません。南北対話もまさにそうだと思いますし、日朝交渉再開についても、そうしたトップを初めとする上層部判断といいますか承認がなければこうしたことが進んでくるというふうには思えませんので、これをやろうという判断を、ハイレベルでそうした判断が行われたものというふうに私どもは考えているわけでございます。
  16. 坂口力

    坂口委員 丁寧に御説明をしていただきましたが、金正日労働党書記、あるいは国防委員長と申し上げた方がよろしいのでしょうか、お名前も出していただきました。  それで、今まで、この総書記のお立場がどういうことになっているのかということがはっきりしない面も実はあったわけでございます。はっきりしないと申し上げるのがいいのか、それとも、はっきりしているのだけれども、我々がそこが見えにくかったというふうに言った方がいいのかもしれませんし、そこが少なくとも日本から見ますとはっきりしなかったと思っておりますが、その辺のところが北朝鮮の中で一応整理がついてきたという意味のことを大臣はおっしゃっているのかどうか、ちょっとその辺のところをもう少しお聞きをしたいと思います。
  17. 河野洋平

    河野国務大臣 私どもは、日朝交渉日朝政府間交渉を始めたということは、日本政府と、北朝鮮体制を認めて、北朝鮮金正日書記のもとでの体制との間に交渉を行うということを意味すると申し上げていいと思います。  私どもは、これまで政党間のやりとりもございましたし、さまざまなチャネルはございましたけれども、今回のように、七年半ぶりではございますけれども、まさに日朝国交正常化のための交渉政府間で行うということでございますから、私どもとしても、先方体制というものが整備されて、先方体制を認めて、この体制交渉をするということになったというふうに考えております。
  18. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございました。  後の皆さんの御予定もあるようでございますので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  19. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、下地幹郎君。
  20. 下地幹郎

    下地委員 坂口先生には、時間前に終わっていただきましてありがとうございます。自公保の連携がこれであらわれたような気がしますけれども、今後ともよろしくお願いします。  大臣も三十分に出られるというので、質問させていただきます。  まず、質問する前に、小渕総理が今病床で頑張っておりますけれどもサミットに情熱をかけて、沖縄開催地として決定していただいた総理であります。サミットに対する思いは強いものがあると思いますので、それを引き継いで、ぜひ大臣には、担当大臣として沖縄サミット成功に向けて頑張っていただきたい。そのことが小渕総理が元気になる一番のエネルギーになると私は思っておりますから、どうぞよろしくお願いをしたいというふうに思っております。  さて、私、九日から十一日まで台湾に行ってまいりました。新しい政権ができ上がりつつありますので、その流れを少し自分なりに見てみたいということで行ってまいりました。  それで、向こういろいろ話をしておりましたけれども、やはり課題は、李登輝総統が五月の二十日で終わりになられて、政府要人としても党の要人としても終わって、十月の二十九日から三十一日まで行われる長野のアジア・オープン・フォーラムに参加ができるのかどうなのかということを、いろいろなところで聞かせていただきました。  それで、ダライラマの入管の問題でビザの問題がきょうの産経新聞に出ておりますけれども外務省がいろいろな制約をつけて、政治家と会わないこと、政治活動をしないことというふうなことをつけながら入れたということであります。  私は、この李登輝総統という方の今までの活躍を見ていますと、民主化のために相当頑張られた方でありまして、私ども日本国の法律からして、このことが、拒否をする、そして条件をつけるような対象者にならないというふうに私は思っております。中台関係の問題に余り過敏に反応し過ぎて、日本外交の主権がなくなるようなことであってはならないというふうに思っております。  そういう意味でも、外務大臣に、もし李登輝総統訪日の要請が向こうからあれば、外務省はどういうふうな対応をするつもりなのか、そのことを明確にお答えをいただきたい。そして、そのことが決して日中関係を壊すようなものではない、そういうふうな強い信念を外務大臣にお持ちをいただいて、前向きな姿勢で取り組むことが大事だというふうに思っております。  ここは、日本外交の根本を世界が見ているというふうに私は思っておりますから、まず大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思っております。
  21. 河野洋平

    河野国務大臣 ダライラマ氏の入国につきましては、過去にもダライラマ氏は日本入国をされた実績もございます。今回も、査証発給の要件が整えば粛々と発給をされるということであろうというふうに思っておりまして、ダライラマ氏は査証を受けて入国をされたというふうに聞いております。  李登輝氏のことを今お話しになりましたが、これは、李登輝氏からいまだに訪日のための査証発給申請がないと聞いております。申請のない今、申請されたらどうするかというような仮定の話を申し上げることはできないのでございまして、これはいかに下地先生の御質問であっても、これ以上の御答弁は本日は控えさせていただきたいと思います。
  22. 下地幹郎

    下地委員 河野太郎さんみたいに委員会をとめられればいいのですけれども、とめられないので質問します。  あと二分だけありますけれども仮定の話という表現は、それはある意味では役人的な話でありまして、河野大臣たる者答弁ではないというふうに思っているのです。ここは仮定の話じゃなくて、では、認めるという要素に足りる人なのか足りない人なのかということでお聞きをさせていただきます。そのことがイエス、ノーじゃなくて、その要素的に足りるのか足りないのかということだけ、まず、それだったら仮定じゃないから大丈夫だと思うのですけれども
  23. 河野洋平

    河野国務大臣 せっかくの御質問でございますけれども、そうしたことが足りるか足りないかというのは、具体的な問題にならなければ判断できないわけでございますから、今足りるか足りないかとおっしゃられても、御返事を申し上げることはできないのでございます。
  24. 下地幹郎

    下地委員 どうぞ外務大臣、お時間です。(「物わかりのいい」と呼ぶ者あり)いや、物わかりいいんじゃなくて、これ以上論議しても前に進まないから、時間がもったいない。  それでは、法務省入国管理局、来ていると思いますけれども、先ほどの、私、事務的に言いますが、この出入国の管理及び難民の認定法というのがあるときのうも勉強させていただきましたけれども、十四項目ぐらいありますけれども、法的にはとめる力はありませんね。
  25. 町田幸雄

    町田政府参考人 本人から上陸申請があった場合に、その時点で、申請に係る入国目的等諸般の事情を勘案いたしまして、入管法に定める上陸条件に適合しているか否かを個別に、慎重に審査して判断することになりますので、今申請がないわけでございますので、現在の段階ではお答えしかねるわけですが。
  26. 下地幹郎

    下地委員 こんな委員会でいいんですかね。予想しながら答えるというのは大事なことなんですよ。そして、その人個人がしっかりといるわけですから、あの人だったら大丈夫ですよ、この人だったら難しいですよというぐらい言えなければ、申請しなければだめではなくて、しっかりとその辺のところはわかるわけだから、李登輝さんという人がどんな人か、あの人だったら大丈夫かどうかぐらいは言わないと、それは全く前に進まないですよ。  政務次官が答えますか。だけれども、また役人答弁するんだったらだめですよ、きちんと答えないと。
  27. 町田幸雄

    町田政府参考人 今お答えしたとおりなんですが、ただ、現在、入国目的等、一切私どもわかっておりませんので、これは正式にお答えできないわけですけれども、あえて一般論的に申し上げますと、現時点で、委員お尋ねの方について、一見明白に入管法上の上陸拒否事由に該当するような事情がある、そういう情報は私ども得ておりません。
  28. 下地幹郎

    下地委員 ここは、法律的には、言っているようなあの方は、入管の上陸拒否をされるような要素は今の過程の中ではないということははっきりしているわけでありますから、そのことはしっかりと踏まえてやっていただきたいなというふうに思っております。もう民間人ですから、それで物事は進めていかなければならないと思うんです。  それともう一つ、ここは政務次官にちょっとお伺いしますけれども、一九九三年の四月にシンガポールで両岸の会議が行われておりますけれども、この会議、非常に私ども日本にとっても大事なんですね。そして、私は沖縄の選出でありますけれども沖縄にとっても非常に大事な問題で、台中関係が平和裏に、絶えず良好な関係であるということは、日本にとっても、地域的にいって、沖縄にとっても大事であります。  ちょっとこれが問題が起こりますと、一九九六年のときに軍事演習が与那国沖で行われたときは、まさに六十キロ沖までミサイルが撃ち込まれて、与那国の漁師の皆さんは漁獲高が半分になった、非常に生活面も厳しい状態になったということを私どもは経験をしております。  だから、この前、河野理事が、台中関係が悪くなったらどうなるんですかということには、仮定の問題には答えられないというので、そのことに対して理事が怒って委員会をとめたという経緯もあるわけですけれども、私はそこは言いません。  そこで、では日本は、台中関係が、その想定を、悪い方の想定をしてどうするんですかという質問じゃなくて、台中関係をよくするために何かできる努力をしているんだろうかというふうなことを私は考える必要があるのではないかなと思っているんです。  それで、私の提案ですけれども、今までの両岸会議は、第一回目がシンガポールで行われた。それで後、北京だとかいろいろなところで行われていますけれども、新しい政権になって、陳新総統が生まれるわけでありますけれども、新しい総統になって一回目の会議が行われる場所を、沖縄でぜひやってもらいたい。台湾との関係もある、中国との関係もある、そして日本という大きな役割を担っているところもある、そういうふうな全部の要素を含めて、日本が平和を遂行する役割について、平和の発信基地だと言われている沖縄で、サミットが行われる万国津梁館という場所でやるように両方に働きかけて、平和のサポートをするお気持ちが政府としてあるのかないのか、そのことをぜひお聞きしたいと思っているんです。
  29. 江崎鐵磨

    江崎政務次官 初めに、下地委員には、まさに沖縄を代表する議員として、沖縄県民の思い、心を絶えず中央に反映していただいておりますこと、まずもって心から敬意を申し上げる次第であります。そして、ただいまの、ぜひひとつ会議沖縄にと、大変高邁な構想を掲げておられることに対しても敬意を表するものであります。  中台の両岸交渉、これは委員御存じのように、台湾をめぐる問題が、両岸の直接の当事者間の話し合いを通じて平和的に解決されることを私どもも強く希望しておる次第であります。そのためにも、両岸間の対話が早期に再開されることを期待し、また、下地委員の構想が実現するようなことがあるのかなといった思いを持つものであります。  両岸間の対話の場所を含め、対話のあり方についても、両岸の直接の当事者が判断すべき問題であることは御案内のとおりであります。  一般論として申し上げれば、両岸の当事者の共通の要望があれば、我が国としても協力を惜しむものではありません。しかしながら、現時点において、まずは対話の早期再開が焦点となっている段階でありますので、日本としても対話の早期再開を期待するという我が国の立場を、機会をとらえて訴えかけていくといった努力をしてまいりますので、この点、御理解を賜りますようにお願いいたします。
  30. 下地幹郎

    下地委員 戦後五十余年になりました。そして日本は、経済協力でアジアに物すごく貢献をしてきました。アジアもそれなりに大きな目で見られるような状況になって、日本の信頼度というのも着実にでき上がってきているのではないかなと私は思っております。  それから、もう一歩日本はやらなければいけないことがあります。これは、ヨーロッパや南米と違って、アジアの平和に関しては日本は大きな役割をもう政治的に担ってもいい、担うというふうな姿勢を見せていく時代に来ている。経済協力のみではない。  そういうふうな中でどの問題が一番大事か、大きな問題かというと、やはり中台の問題は大きな問題があるので、それに介入してどうこうというのではなくて、それのサポートをするという姿勢を見せていくということが、僕はこれからの日本外交にとって非常に大事なことだろうと思っておりますから、同じアジアの問題を、対岸の問題だとしてとらえるのではなくて、ぜひもっと積極的にやっていただきたい。そして、もし両方からそういう要請があれば、その場所の提供に関しては拒むものではないということで判断してよろしいわけですね。
  31. 江崎鐵磨

    江崎政務次官 本来ならば河野外務大臣がこうした御答弁に立たれるとき、私としては先ほど申し上げたところでとどまらせていただきたいので、どうか委員、御理解ください。
  32. 下地幹郎

    下地委員 総括政務次官に、僕はきょう、自民党の理事にも非常に不満を感じているのですけれども、私の質問が終わったら、これから時間があくのですよね。それで、聞いてみると、大臣がいないから質疑を残して、大臣のものまでやると言っていますけれども、今度の改革の一端は、総括政務次官がその任を背負って、大臣がいなかろうとどうしようと、委員会を粛々と省の代表として進めるということになっているはずなんですよ。それが、外務大臣がいないからそれをストップするということは、これはあってはならない。これは、私は強く委員長にも申し述べたい。  それと同時に、こういうふうな答弁をすると、逆にそういうふうな過程を認めることになる。外務大臣がいないだろうと、その代表としている総括政務次官が、これは私がこう考えますときちっと答えていかなければ、だから僕らは外務大臣がいないとやらないんだという話になりますから、そういう答弁じゃなくて、その代表としてもっときちっと答えることが大事だと思いますから、そのことはぜひ頭に入れていただきたいなというふうに思っています。
  33. 江崎鐵磨

    江崎政務次官 必ず我が国としては協力を惜しまないでこれからも努力をしてまいりますので、お願いをいたします。
  34. 下地幹郎

    下地委員 時間がないので、今度は嘉手納RAPCONの件であります。  運輸省に聞きたいのですけれども、この嘉手納RAPCONは、この前、コーエン国防長官と日本との間でできましたけれども、あの嘉手納のRAPCONで、今まで二回停止していますよね。時間的に相当長い間、四十何便も飛行機がストップしているわけなんです。  嘉手納のRAPCONをこれから粛々と返還に向けてやっていく過程の中で、それは今から話し合いをしていくわけですけれども、しかし、その段階の中で、今嘉手納にあるそれがトラブルを起こしたら、バックアップとして支える仕組みが今日本にはないわけですね。では、那覇の管制官がそれを全部引き継いでできるかといったら、今できませんでしょう。ソフト的にできないということははっきりしているので、もう一個サポートするようなものを早目に、嘉手納の基地内じゃなくて外で、それがストップしたらできるようなものをつくっておいて、そしてつくっておいたものは日米で運用をしておいて、そして早目に嘉手納の基地内にある管制権を終わらせて、共同でやって、将来は、今の最終的に合意に基づいた日本がやるというやり方に段階的に変えていくことがいいのではないかなと私は思っているのですけれども、その辺のところを運輸省にお願いをしたい。  そしてもう一つは、今名古屋でも鹿児島でも千歳でも羽田でも、全部ダブルで管制の仕組みを持っているわけです。沖縄は全部で十一万回という大きな回数を持っていながら、沖縄だけ一つなんですよね。だから、バックアップとしてつくっておいても、返還があってもそれは大きな役割を担えるわけでありますから、今のうちにおつくりになるという考えがないかどうか、ぜひそのことを運輸省にお聞きをしたいと思うのです。
  35. 岩村敬

    岩村政府参考人 お答えいたします。  下地先生御指摘のとおり、現在運輸省は早期にこの嘉手納RAPCONの移管が行えるよう、米軍と協議をしているところでございます。そして、返還後の体制として我々が考えておりますのは、レーダーの進入管制施設の設置については、今御指摘がありましたように、他の主要空港につきましてはレーダーを二重化するということをしておりますが、那覇についてもレーダーの二重化を図るとともに、また、より高度の処理ができる最新鋭のレーダーシステムを整備するなど、信頼性の高いものにしたい、そういうふうに考えております。  そして、お尋ねのバックアップシステムの件でございますが、実は現在、御承知のように、米軍の方でRAPCONの管制を行っておるわけでございまして、米側との調整なく仮に日本側のシステムを整備したとしても、沖縄の進入管制における体制が二元化してしまう、そういう問題もございます。また現在、米軍がダウンした場合には、那覇管制部との間で緊急時においての連携を図り、安全運航は確保しておるという状況にございます。  そういう意味で、米軍との調整の中で出てくる話かとは思いますが、現時点で日本側のシステムをもう一個つくるというのはいかがなものかなというふうに思っております。  また、訓練の件でございますが、我々としては、移管後、レーダー進入管制業務を我が国で適切に遂行するためには、やはり移管前に嘉手納RAPCON内で要員の訓練、我が国の職員の訓練を行うことが必要だと思って、そういう計画もしておるところでございます。
  36. 下地幹郎

    下地委員 航空局長はちょっと認識不足ですね。  では、航空局長、お聞きしますけれども、十一年の十一月十一日、三十四時間ストップしているのですよ。その次は二時間ストップしているのですよ。今の仕組みであったら、いつトラブルが起こってもまた同じような形になるのですよ。だから、私が申し上げているのは、嘉手納RAPCONの返還はもう決まった。決まったけれども、すぐにはできない。所要条件が整うまでと会談の中身はなっているわけですから、所要条件が整うということを踏まえる時間をそのまま置くのではなくて、もう一個、嘉手納のRAPCONのバックアップをつくっておく。つくっておいて、その中で日本の管制官もアメリカの管制官も行って研修をしておく。そして、将来は嘉手納がなくなる。なくなったら、この二つのものが、名古屋と鹿児島と同じように二つの体制をこれからつくらなければいけないと言っているわけだから、それに移管してやればいいという話だから、むだにもならないし、そして安心もできるわけですから、これはやった方が一番いいのですよ。
  37. 岩村敬

    岩村政府参考人 先ほど申し上げましたように、レーダーによる進入管制を行う場合のレーダーのシステムなんですが、実は、米軍が今持っておるシステムと我が国が交通量の多い空港に整備を進めております最新鋭のレーダーシステム、ソフトウエアも大分違います。そういう意味で、仮に今二重化しようとすると、米軍の古いシステムのものをもう一個つくらなければいけないということになりますので、そういうことをよく調整しませんと、直ちに日本が今整備しているものをもう一個つくればバックアップできるということにはならない、そういうことを申し上げているわけでございます。
  38. 下地幹郎

    下地委員 今嘉手納にある古いものをもう一個つくれということはだれでも思いませんよ。新しい精度のものをつくっても、嘉手納の今のものも補えるだけのものができる、そういうふうにプロの方々が言っているのですから。同じ古いものをつくるなんて、そんなむだなことをするわけないじゃないですか。だから、つくっておいて、これは将来も使えるというふうなものが本当なんですよ。だから、今のままだったら、サミットの前にでも向こうがトラブルが起こったら、また同じような現象が起きますよ。視界で入れるとか入れないとかという話をしているようだけれども、そんなものじゃないと思いますけれどもね。  時間をむだにせずに、将来も使えるのだったら、今のうちからつくるといった方がいいというふうに私は思っていますから、ぜひ検討をお願いしたいなというふうに思っています。  ありがとうございました。
  39. 井奥貞雄

    井奥委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  40. 井奥貞雄

    井奥委員長 それでは、速記を起こしてください。  参議院の本会議で大蔵大臣答弁等々で少しおくれておりまして、本委員会は十一時半をめどに再開をさせていただきたいと思っておりますので、暫時それまで休憩をいたします。     午前十一時一分休憩      ————◇—————     午前十一時三十四分開議
  41. 井奥貞雄

    井奥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。伊藤英成君。
  42. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 まず最初に、民主党で、今後の外交ということを考えたときの外務公務員、外交官等の人事制度についていろいろ検討もいたしました。民主党として、その改善策について取りまとめをいたしました。それについて、昨日も外務省の方にはお届けしておきましたけれども外務大臣の所見をそれぞれについてお伺いをしたいと思っております。  民主党としては、文字どおり、外交というものがまさに日本の生死を決定する、こういう思いで平和をつくる積極的外交の展開を目指したい、このように思っております。特に、冷戦終了後、予防外交の必要性が認識されるにつれて、政府がNGOなどと連携をし、外交の選択肢を広く持つための多元的、多層的な外交の展開が模索されております。こういった外交の展開のために、日本を代表し、ダイナミックな諸活動を展開し得る能力と意欲を持った外交官が必要であります。  これらの外交の基盤となる人材について、女性の登用も含めて、多様な人材を広く社会から登用するとともに、任地、任務の特質を考慮した適材適所を図れるように、登用、承認、それから人事交流や人材養成等、人事制度の改善が必要である、こういうことで幾つかの改善策を提言するわけであります。  外務大臣に、ぜひ真摯に、この問題についての考え方、取り組みについてお伺いしたいと思います。  大きく分けて三つ、提言をしたいのです。  第一は、任地、任務に適した大使、公使等の政治的任用、いわゆるポリティカルアポインティーの拡充ということであります。日本の大使人事は、職業外交官といいながら、内実は、任地国の言語能力や知識、在住経験を問わないばかりか、在任期間も短く、年功序列の腰かけ大使ともやゆされております。日本の顔ともいうべき大使等は、国際的な人脈を有する政治家、学者、有識者、NGO関係者を含む民間人等を政治的任用によって任ずる機会をふやすべきである。  それからまた、各国の情勢等による柔軟な任期のあり方、専門性を重視した任命などを図ること。  さらには、国や任務によっては、大使任命に当たって、これは国会の問題でもあるんですが、国会での委員会承認などによるチェックができるようにすべきである、こういうことも申し上げたいということであります。  まずこの点について、いわゆる政治的任用の拡充、そしてまた国会での委員会承認等の問題について、どのように考えますか。
  43. 河野洋平

    河野国務大臣 この問題はこれまでにも当委員会で御質問をいただきまして、私の考えを述べさせていただいたことがございます。  今、伊藤議員お話しになりましたいわゆるポリティカルアポインティーという考え方、仕組みについて申し上げれば、国際的に見ましても、ポリティカルアポインティーという制度を持っております、あるいはそれを非常に多様に活用しております国は、アメリカがその代表でございます。言いかえれば、アメリカだけがと言うと言い過ぎでございますけれども、アメリカが非常に目立つわけでございます。一つの考え方とは思いますが、そのためにはいろいろな条件を整えなければできません。  ちょっと話が長くなって恐縮でございますが、私は、外務大臣になりまして、大使の人事について私なりに関心を持っていろいろと相談をしたことがございます。しかし、一番のネックは、何といっても人間の数が少ないということなんですね。  ここで今、議員がお触れになりましたように、任期が短いということは、私もそう感ずることが時々ございます。しかしその任期は、例えば大使の任地によって、非常に条件の厳しい任地に配置をいたしますと、外国におきましては、一定期間その任地で仕事をするとかなり長期に休暇、休養期間を与える、そしてまた戻るというような仕組み、あるいは一定期間そこで勤めると一定期間の休養を認める、そしてまた別の任地に行くというようなことが行われているわけですが、日本のような現在の人員では、長期にわたる休暇を与えるということはとても無理でございます。  したがって、任地に例えば二年なら二年参りますと、どうしても次へ回らなきゃならなくなる、非常に厳しい人数の中でやりくりをしているという部分がございます。それは、ここは重要な地域であり、しかも環境もそれほど厳しくないというところは相当長期にいてほしいと思うことがございますけれども、厳しいところの人間を回していこうとすると、それが結果として全体の任期を制約することになってしまうという場合もあるわけでございます。  さらに、例えば語学でいいますと、ロシア語の専門家が英語の地域にいてみたり、あるいはスペイン語の専門家がフランス語の地域にいてみたり、少しもったいないような気がする、もっと特性を生かした使い方はできないものかというふうに思うことが、これもしばしばございます。  私は、民主党のお考えになったこの御提案の中でも、その精神は、適材適所といいますか、適材をちゃんと使え、こういうことをお考えになっておられるというふうに理解をいたしまして、私どもとしても適材を適地に置くということが何より大事だというふうには考えますけれども、残念ながら、持ちごまと申しますか、全体の数その他を考えるとなかなかそうはいかない。  それからもう一つは、やはりいろいろな地域の経験というものもまた必要な場合もあるわけでございますが、そうしたことをひっくるめて、今はもう本当に、与えられた条件の中ででき得る限りの適材適所の配置を考えているというのが現状でございまして、私は、条件が許すならば、もう少しやり方はあるのではないかということを考えております。  今、議員お話しのような、委員会におきますチェック機能というものをどうするかということにつきましては、国会のことでございますから、私があれこれ申し上げることは適当でないと存じます。  大使の任命につきまして、もちろん私は、外務省におる人間だけが適任者だと思いません。広く人材を民間からも求める、あるいは他の省庁からも求める、もちろん男性、女性にこだわる必要は全くないというふうに考えまして、前にも申し上げましたけれども、かつて私は外務大臣当時、高原須美子さんを大使に起用する、あるいは文化庁の長官でございました遠山さんを大使に起用したこともございます。  現在でも、他省庁から大使になっていただいている例は幾つもございます。科学技術庁から今、チェコの大使に行っていただいているというケースもございます。そういうぐあいに、広く人材を求めるということは大事だというふうに考えまして、この点は民主党の御提案、私は共感するところがございます。
  44. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 考え方に共感もしてくださっているわけでありますが、先ほど、任期の話やら休暇の話等々、あるいは人の数の話もありましたけれども日本の存立が本当に外交にかかわっている、こういうふうに思うなら実行しなきゃ何ともならぬ、こういうことですよね。そういう意味で、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  先ほど、ポリティカルアポインティーもほとんどアメリカというような言われ方をいたしましたけれども、何もアメリカだけではなくて、カナダでも起こっていますし、それからNGOの関係者もいろいろなところで登用されている話は、この委員会の場でも以前に藤田議員からもいろいろ例を挙げて説明もされたりしているわけでありますが、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  それから、提言の二つ目として、意欲、専門知識、能力、実績に応じた人事制度の確立を図ってくれ、こういうことであります。  結論だけ申し上げれば、幹部の承認人事について、採用後一定期間の後に、定期的な審査機関を設けて、厳正な人事考課に基づき、キャリア、ノンキャリア、あるいは年次の垣根を越えて、意欲、専門知識、能力、実績等の評価に応じた柔軟な人事制度を確立すべきである、このように思いますが、いかがですか。
  45. 河野洋平

    河野国務大臣 御指摘のように、意欲、専門知識、能力、実績等の評価、まことに私もそう思います。意欲のない者が大使としてただそこにいるということであってはならないと思います。また、十分な能力を備えていなければなりません。そうしたことを十分考えて、先ほども申し上げましたように、適材を適所に配置するということが重要だというふうに考えます。
  46. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それからもう一つ、最後に、提言の三つ目として、民間との人事交流の促進ということであります。  先ほど大臣もちょっと触れられた部分はあるわけでありますけれども、従来、外交の専門性の観点から、いわば職業外交官が一元的に外交を行っている、そういう色彩が非常に濃いわけですね。しかし、科学技術も進展し、あるいは環境問題等々、さまざまな地球的規模の問題も噴出をしている中であります。多様な外交課題に対処していくために、専門性に応じた人材を登用していくことも必要であります。  既に、過去、大使館において、先ほどもお話がありましたけれども、各省庁から派遣された職員がそれぞれの専門分野で外交官として活躍しておりますけれども外交のすそ野を広げるためには、官僚だけではなく、各国に幅広い人脈等を有する議員OBあるいは有識者、それからNPO関係者などを含めて民間から広く人材を集めることも必要であります。  それから、旧来の公式チャネルだけでなく、民間のシンクタンクやNGOなど、多様な民間組織との連携協力を促進すべきであると考えます。  さらに、外交官の内政や民間事業への理解を促し、民間との連携や調整能力を向上させるために、外交官を積極的に民間企業やNGOに派遣して研修をさせるということなど、そうした意味での民間との積極的な人事交流も図るべきであると考えますが、いかがですか。
  47. 河野洋平

    河野国務大臣 先般、ハンガリーの大統領が国賓として日本を訪問されました。御承知のとおり、ハンガリーにおきます日本の大使は民間から起用した大使でございます。経団連に勤めておられた方でございますけれども、ハンガリーの方々との話の中で、ハンガリーが今非常に強く求めておられるのは、ハンガリーに対する日本の投資、民間からの投資を非常に強く望んでおられるわけで、そういう意味では、ハンガリーにおいてはこの大使に対する期待は非常に大きいという感じがいたしました。  また、大使もその点を十分心得ておられて、ハンガリーの要人が来られた際にも、経団連を初め経済界との接点をつくる努力をされたりして、そうしたことは恐らく徐々に成果を上げていかれるのではないか、十分期待にこたえられるのではないかというふうに思っております。  議員がおっしゃるように、民間の経験者というものを活用するということは非常に重要だと思いますし、また一方で、外務省の人間を民間に出して勉強をさせるということも大事なことだと思います。  現在は、民間といいましても、大学へ出すとか、そういう研究機関に出るということはございますけれども、営利企業に出るということはなかなか難しいわけでございます。企業の方も腰かけだけの人間を預かるほど今余裕はないだろうと思いますし、その辺をどういうふうにするかということで何か知恵を出さなければならないのではないかと思いますが、そうしたマインドを持つということは非常に必要なことだという意味で、私は議員の御提案にこれまた共感するところがございます。
  48. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 そうしたマインドを持っていただくことは非常に重要ですが、マインドだけでは実は事は進まないので、そういう意味でぜひ諸改革に取り組んでいただきたい、このように思います。よろしくお願いをいたします。  それから、実は本日の新聞の幾つかに出ておりますが、アメリカの核の持ち込みの密約文書の問題について報道をされております。  この問題は、過去、国会の場でも何度も議論されてきた問題でもあるわけでありますが、この密約文書の問題について、その事実関係についてどのようになっておりますか。
  49. 河野洋平

    河野国務大臣 今のお尋ねは、事実関係がどうなっておるかという意味はどういう意味なのか、もう少し正確に述べていただけると答弁がしやすいのでございますが、この問題は、かねてから共産党が大変強い関心を持っておられて、昨今ではクエスチョンタイム、党首討論の場で、常に共産党の党首からはこの問題について御質問があったわけでございます。  その際に総理大臣から御答弁をさせていただいておりますように、これまで我が国の内閣あるいは外務大臣、担当者が累次繰り返し申し上げておりますように、日米関係にあって、つまり、そこで今どれを指しておられるかということをお伺いしたかったわけでございますが、クエスチョンタイムにおきましては、共産党から御提示の問題については、累次にわたって、そうしたことはないということを繰り返し答弁をさせていただいておりますとおり、私どもとしても、この問題については、そうしたことはありませんということを申し上げているわけでございます。
  50. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 これ以上あれしませんが、一言だけ、今までと全く同じように、そういうものはありません、こういうことなんでしょうか。
  51. 河野洋平

    河野国務大臣 そのとおりでございます。
  52. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 本件はまた別の機会にと思っております。  北朝鮮の問題でありますが、今週の月曜日に、韓国と北朝鮮との首脳会談が六月の十二日から十四日にピョンヤンで行われることで合意をしたと発表をされました。北朝鮮がここまで積極的な姿勢をとってこなかった韓国との対話を進めようと方向転換したことは、我が国にとっても非常に歓迎すべきことであります。  民主党としても、去年の春にこの北朝鮮の問題についての政策を取りまとめた中にも、幾つかの柱の中の一つ南北対話を進めること、そしてまた、昨年の十二月に、村山訪朝団の一員として私もピョンヤンを訪問したときに、私からもその会談の場で南北対話を進める必要性について話をしてきた経緯もありまして、私としても非常に歓迎をしているわけであります。しかし、今後これがどういうふうに動いていくかということは注意をしながら見ていく必要があるんだろう、こう思うんですね。  それで、まず最初に、この南北の首脳による初の対話合意した北朝鮮側の意図はどういうところにあると政府として分析されていらっしゃいますか。
  53. 河野洋平

    河野国務大臣 これはこういうことだということを申し上げるのは大変難しい、また、厳密に言ってこうだと言えるような立場ではございませんが、我々として我々なりに推測をしたり観察をしたりしておりますところを申し上げれば、これは幾つかの理由があるのではないか。  それは、先ほども坂口議員にも申し上げましたけれども一つは、北側がいろいろな意味で政治的に相当自信をつけてきたのではないかという見方があると思います。昨年の暮れあたりから、国際社会に向かって積極的に動き出したというか発言をし、あるいは話し合いを持ち始めた。ことしに入りましても、イタリーを初めとして幾つかの国と国交正常化を行い、イタリーからは外務大臣が既にピョンヤンを訪問したりしておりますが、そうしたことを積極的にしているということは、かなりの自信を持ってきたのではないかという見方が一つ。これは当たっているかどうかわかりませんけれども、そういう見方はあると思います。  他方、経済的な面を考えると、むしろ、多くのチャネルをつくり、いろいろなところに対して経済的支援を要請するということも考えているかもしれない。これも全く、予測をすることもいかがかと思いますけれども、あえて申し上げればそういうこともあるかもしれないというふうに思っております。  しかし一方で、イタリーと、あるいはカナダと、さらにはフィリピンを初めとする幾つかの国と国交正常化をする、あるいは積極的な話し合いに臨んでいる一方で、例えば米朝会談などは今少し停止した状況にあるという部分もあって、どのことが最大の理由かということを申し上げるのは極めて困難ではございます。しかし、私どもとしては、そうしたことなどを想定していろいろさらに分析をしているところでございます。
  54. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今外務大臣は、その考え方の一つとして、最初に、北朝鮮側自信を持ってきているのではないかと。その自信というのはどういう自信なんでしょうか。
  55. 河野洋平

    河野国務大臣 一つは、つまり国内を完全に掌握したということもあると思います。それからさらに、国際的な話し合いで十分話し合うことができるさまざまな準備ができ上がってきたのではないかというふうにも思え、そういうこともあるかもしれません。さらには、これも全く推測でございますからお許しをいただきたいと思いますけれども、例えば、政党と行政とがしっかりとそれぞれでき上がってきたかもしれない。何でもかんでも全部党がやるというのではなくて、行政府というものが整備をされて、外交を専門に行う、そういうものを担当する部署というものが完全にでき上がりつつある、あるいはでき上がった、そしてそれぞれの責任者が十分力量を発揮できるような体制になってきたということもあるかもしれない。これもいずれも推測でございますが、そうしたことを考えております。
  56. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は、今外務大臣が言われた自信という面で考えますと、多分、一方では、経済支援を得るためということもあるんでしょうね。それからもう一方では、自信という面で考えれば、例えば日朝の問題にしても、あるいは朝鮮半島の南北関係の問題にしても、従来から比べて一歩出るというんでしょうか、ある決断をしていってもそれを実行できる体制にあるということなんでしょうね、きっと。そういう意味での自信を持ち出している、あるいは持っている状況になったんだという意味だと思うんですよ。そういうふうに考えたときには、対外的あるいは国際的にかなり活発に、最近かなり活発になっているわけですが、これからさらに活発に対外活動を展開していくということになるのかもしれません。  そうしたときに、金正日書記外交の舞台といいましょうか、表舞台といいましょうか、そういうところにこれからかなり出てくることになるだろうという展望をお持ちですか。
  57. 河野洋平

    河野国務大臣 これはどうもよくわかりません。少なくとも今回の南北会談には出席をされるというふうに聞いておりますけれども、それ以外のどこにでも出てきて陣頭指揮をするだろうというふうにまで私はまだ予測はできないのでございます。  ただ、他方、今、伊藤議員がいろいろお話しになりましたが、昨今、北朝鮮が例えばARFに参加してもいい、あるいは参加する意思があるというようなニュースを私どもは聞いておりますが、こうしたことなどは、もちろんARFに参加するためにはいろいろとまだまだ前提条件がございますから、そう直ちにというふうに、それからARF側がそれにどうぞとすぐに言うかどうかということの問題はありますけれども、私は、北朝鮮がARFなどに参加をされて、つまり国際的なそうした場に出席をされて意見を述べられる、あるいはそうした場での話を一緒のテーブルで聞くということは、これまでよりははるかに我々の立場からいえば前進といいますか、いい状況になったと言っていいと思いますだけに、そうしたところに北朝鮮が関心を持ってきたとすれば、それは我々にとっては一つの注目すべきポイントだというふうに思います。
  58. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ARF加盟への動きに対して、そういう考え方についての歓迎するお話があったわけでありますが、今回のこの南北の首脳会談は、これが行われるように合意をした話は、日朝正常化交渉及び米朝協議にどのように影響を与えると外務大臣は考えますか。
  59. 河野洋平

    河野国務大臣 南北対話がまだこれから、六月に行うという今の時点で、余り早々とその場へそれがどういう影響を与えるかという議論をするのは少し早いような、少し期待値を上げ過ぎてしまうかもしれないので、我々としては少し慎重に見たいとは思っておりますが、いずれにせよ、先ほど来議員お話しのように、北朝鮮が話し合いの場に臨む姿勢を持ったということは、そのことによって、もし、そうした話し合いの結果、あるいは話し合いが行われることになって南北の緊張感が緩和されるということになるとすれば、朝鮮半島の緊張が緩和され、その周辺の緊張も徐々にほどけていくという方向に進む可能性があるわけで、日朝交渉にも米朝交渉にも、いい環境の中で交渉が行えるようになるだろうということは言えるんじゃないかと思います。
  60. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 南北対話が、今回まだ合意の段階でありますが、それが進んでいき、片一方で日朝交渉も進んでいくというときに、ややもすると今度は米朝協議の方が、その中身が若干おくれていくという懸念を持つことも可能ではないかという気がしますが、そういう懸念を持ちますか。
  61. 河野洋平

    河野国務大臣 日米韓はそれぞれ相当綿密に打ち合わせをし、現状認識を、十分お互いの情報を持ち寄って認識の差のないようにしておりますから、もちろん、それぞれの国が持っている歴史的な経過とか、あるいはそれぞれの国が持っている目的とか、あるいは力関係とかというものが違いますから、三つが同時並行的に行くということは必ずしもないかもしれませんけれども、しかし、一つ目的に向かってそれぞれが進んでいくという意味では、私は、先ほど申し上げたように、もし仮に南北の話し合いが意欲的に進むということになれば、それぞれの話し合いの環境はいい環境になるだろうというふうに思います。  米朝協議の中でも、もちろんいろいろ問題を抱えているわけでございますから、そうした問題をどうやって克服するかということについては、これまた議論はいろいろあるところでございますけれども、私は、米朝だけがひどくおくれるということになるかどうか、そこはちょっと今の段階では予測はしがたい、そうではないだろうというふうにしか申し上げようがございません。
  62. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 日米韓の話し合い、協調という話は一層重要になっているんだと私は思うんです。それで、今回の南北首脳会談についての合意を得た上で、日米韓三国の具体的な話し合いの計画はありますか。
  63. 河野洋平

    河野国務大臣 現在、何日にやるという予定は聞いておりませんが、しかし、当然、そうした協議といいますか、話し合いは行われることになるだろうと思います。それがどのレベルで行われるかということについてはいろいろなレベルがあろうかと思いますけれども、いずれにせよ、相互にといいますか、三者で十分な意見の調整というものは行われるだろうと思います。
  64. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それから、南北首脳会談が六月に行われるということを受けて、日本側から韓国側に対して何らかの要請なり働きかけをするおつもりはありますか。
  65. 河野洋平

    河野国務大臣 六月に行われます南北対話は、それ以前にいろいろと準備のための会合が行われたり、いろいろなやりとりがきっとあるに違いないと思っております。また、私どもの行います日朝国交正常化交渉も、恐らくそれ以前に行えるものと思っておりますので、それらを踏まえてと申しますか、それらを視野に入れて話し合うということは当然あるだろうと思います。
  66. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 最後に、沖縄サミットの問題についてであります。そのテーマの問題なんですが、この場でも、なぜ沖縄でやるのか、沖縄でやる意味も含めたサミットにすべきだという話もあったりしているわけでありますが、実は、この沖縄サミットのテーマの問題について小渕前総理は、IT革命とか開発とか健康とか文化、あるいはその他というようなことを掲げられてきたわけですね。  今、この国際情勢を見たときに、それこそ台湾の総統選挙もありました、そして朝鮮半島においても南北首脳会談も行われる。こういうような状況を考えたときに、この中台関係あるいは朝鮮半島の問題など東アジアの平和と安定についての問題がやはりその主要な議題一つになるべきであろう、それでこの地から、沖縄の地から平和のための発信をすべきだというふうに考えますが、いかがですか。
  67. 河野洋平

    河野国務大臣 御承知のとおり、サミットは、メンバーでございます八カ国がそれぞれ持ちます関心事をお互いに事前に出し合って整理をして、そしてこういう問題について首脳の皆さんに特に議論をしていただこうというような準備段階の作業もあるわけでございます。その準備段階の作業もありますけれども、そんなにあらかじめ準備したものだけをやるわけではなくて、直前に国際情勢が何か大きな変化があるとか問題点があるということになれば、当然それを取り上げて議論をされるということもあると思います。  現在まで小渕総理の指揮のもとに私どもが準備をしてまいりましたサミットは、例えば、二十一世紀に向かって心の安寧であるとか繁栄であるとか安心であるとか、そういったことをひとつそれぞれの首脳と議論をして議長宣言にまとめたいという一つのお考えがあって、そうした作業をしてまいりました。そうした作業の中で、今議員お話しのように、IT問題といいますかIT革命と申しますか、そういったものに着目をする、これは非常に重要だという点では各国が一致しているように思います。  しかし、そういうものとまた別に、今申し上げたように、国際情勢で何かこれが国際社会の平和とか安定とかあるいは繁栄とかということに非常に重要なかかわりを持つ状況に今なっている部分があれば、そこについて議論をされるということは当然あると思います。その際、それがコソボであったりボスニアであったり、あるいは朝鮮半島であったり、あるいは東南アジアであったり、今御指摘の地域であったりということが、それぞれ各首脳からお話がきっとあるだろうと思います。その中で、それぞれの首脳が最も関心を持つ、あるいはそれが非常に重要だというふうにお考えになると、そこは議論一つのテーマになるということはあり得るだろうと思っています。
  68. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 終わります。ありがとうございました。
  69. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、達増拓也君。
  70. 達増拓也

    達増委員 病床にあられます小渕前総理大臣の一日も早い御回復をお祈りしながら、サミット議長国の首脳の危機管理の問題について質問をさせていただきます。  小渕前総理は、サミット議長国の首脳でございました。サミット議長国の首脳が執務不能状態になる、そういう重要事実については、これは外国の首脳がサミット議長国首脳であった場合にも、外務大臣としては一分一秒でも早くそういう情報を入手しなければならないお立場だったと思います。それが今回は我が国の中であります。七年に一度しか回ってこない重要なサミット議長国、その首脳である小渕総理が執務不能状態になったことを河野外務大臣はいつお知りになったのでしょうか。
  71. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、小渕総理が入院をされたというお話を、余り正確ではありませんが、二日の日曜日の午後十時前後に知ったというふうに覚えております。
  72. 達増拓也

    達増委員 軽い脳梗塞になって、発話が若干不自由になり、片腕がしびれて動かなくなる、そういう状態になってから、容体が急変し、脳内出血が起きて意識不明の重体になる、こういうことは間々あることではありますけれども、通例、最初の軽い脳梗塞にかかってから大体二、三日かかるものであると承知しております。今回の小渕総理の場合のように、二十四時間以内にあのような症状の急変があるということは非常に不自然であります。  考えられる最も可能性の高い理由としましては、途中で軽い脳梗塞の脳の固まった血を溶かすための溶解剤を投与する。これは、うまくいけば固まった血を溶かして、うまくいけば発話の障害もあるいは腕の障害もなくなって、一〇〇%の回復が期待できる。ただし、これは非常に危険な施術でありまして、失敗しますと、脳内出血を引き起こし、意識不明の重体になってしまう危険性も高い。そういう施術が行われたのではないかと思っておりましたところ、きのう発売の週刊新潮でございます。このように書いてございました。  「順天堂医院関係者は打ち明ける。「実は、医師団は前首相が運び込まれた当初から、血栓を溶かすためウロキナーゼという血栓溶解剤を投与した。それは、まさに一か八かの賭でした。というのも、この薬はうまくいけば、効果が期待できるのですが、一方で患者の血管が弱っていたり、投与の量やタイミングを誤ると、逆に血管を破ってしまう危険性が高いのです」」。ですから、溶解剤の投与をする場合には、通例、関係者の本当にきちっとした合意、意見の一致がなければしないものであります。  小渕総理は、小渕恵三さんという単なる一個人ではございません。七年に一度しか回ってこないサミット議長国の首脳であります。したがって、溶解剤投与の判断、決断をするところには外務大臣が立ち会わなければならないと考えます。日本国外務大臣として、この九州・沖縄サミットはもう小渕サミットなんだ。場所の選定、九州、沖縄でやるということから始まって、小渕さんが決めた。そしてその後、沖縄皆さんと本当に心を通わせ、力を合わせながら準備を重ねてきた。であるから、たとえ片腕がしびれて動かないとかいう後遺症が残ったとしても、とにかく小渕さんでサミットをやっていただくことが日本の国益でもあり、サミット成功、国際の平和と繁栄のために貢献することなんだということを外務大臣として進言しなければならなかったと思います。この点、いかがでしょうか。
  73. 河野洋平

    河野国務大臣 私はちょっと意見を異にいたします。  あの場合に、外務大臣が病床に立ち会うとか病院で意見を述べるということに実際問題としてなっただろうかと思うと、私が入院を即知らされたとしても、あれは午前一時何分かと伺いましたけれども、そのときに知らされたとしても、私が仮に病院に駆けつけたとしても、いかなる治療を行うかについて私が意見を述べるということには恐らくなっていなかったであろうというふうに思います。それは、やはり医者の判断や御家族の判断、あるいはもう少し範囲が広がれば官房長官が同席をされるということはあったとしても、外務大臣なるがゆえにその場にいるということになったかどうかということになると、私は、少し状況は違っただろうというふうに思います。  小渕さんが小渕さんであり、私が外務大臣であるということもさることながら、外務大臣が、今議員がおっしゃるように、そこにそういう形で意見を述べるということになっただろうかと、正直、今この時点で自問自答しても恐らくそうはなっていないだろうなというふうに私は思いまして、それが外務大臣としてそれでは責任を全うしていない、責任を果たしていないではないかと、言われるとも思いませんが、言われたとしても、それは残念ながら私の責任の限度を超えているなという感じがいたします。
  74. 達増拓也

    達増委員 サミット議長国の首脳が執務不能状態に陥るまでの経緯につきましては、なぜ自衛隊病院のような、あるいは虎の門病院のような公的なところに搬送されなかったのか、また、なぜ搬送する際にライトバンというような非常に不自然な形で搬送されたのか、そしてそもそもどういう治療が施されたのかという経緯について、これは本当にもう一瞬でも早く明らかにされなければならないと考えます。そのことは、まだ解決されない問題として、今後の課題として置いておきますけれども、客観的事実として、執務不能になられてしまいました。そして、いわゆる空白の十三時間、執務不能となってから青木臨時代理が就任されるまで十三時間の空白が生じた。  サミット議長国の首脳というものは、例えば私が思い出しますのは、一九九一年、ソ連崩壊の際に、その年のサミット議長国であったイギリスのメージャー首相は、早速、電話などでG7各国首脳に連絡をとって緊急の会議をロンドンに招集し、善後策をそこで話し合った。  サミット議長国首脳というのは、単なるパーティーの幹事役ではございません。一年間、国際の平和や安定、そうした問題に対して、他のG7、そして今はロシア、そういう諸国とともに責任を負う、そのリーダーシップを発揮しなければならない非常に重要な立場であります。そういうサミット議長国の首脳が十三時間空白になってしまった。この点について、外務大臣としてどのようにお考えなさるでしょうか。
  75. 河野洋平

    河野国務大臣 まず、私が思いますことは、サミット議長国の議長という点を大変強調されますけれども、私はむしろ、日本総理大臣がということの方がとりあえずは事は大きいんだろうと思います。  しかし、総理が入院をされてからの期間も内閣の機能はきちんと動いているわけでございます。政治は、何かがあれば確実に対応できるように動いていたというふうに私は思います。何もなかったわけですけれども、何かあれば、内閣として対応をするということはきっとできただろうというふうに私は思います。しかも、あの間、少なくとも外務省に関する限り、総理に上げて御決断を仰がなければならないような事態はございませんでしたし、その間に政治的機能が停止していたではないかというふうには私は思っておりません。何かあった場合のことはどうだと言われれば、私は、政治的にはきちんと機能はできた、少なくとも行政も、それぞれの担当分野で処理のできることであれば、十分処理能力が動いていたというふうに思います。
  76. 達増拓也

    達増委員 およそ組織たるもの、何かあれば動くものでございまして、全くの未知の出来事が発生した場合でも、何らかの対応はできるものであります。しかし、近代民主主義国において重要なのは、その動きが外から見てわかりやすい、開放されており民主的である、そういう手続、そしてその手続が広く公開されている、オープンであることが非常に重要であると考えます。  今回の総理の交代劇については、外国のマスコミが盛んに関心を持って報道しております。その中で、日本の政治過程の閉鎖性、最高指導者が交代するそのプロセスの不透明さについて、世界じゅうのマスコミが盛んに批判しておりますけれども、それは単に、何か日本という変な国があってこんな変なことをしているよという他人事として批判しているのではなくて、サミット議長国の首脳がそのような形で交代してしまっているし、その間の経緯が全くわからない、こんなサミット議長のもとでのサミットでいいのか。また、そういうサミット議長国、さっきのメージャー首相の例でも申し上げましたように、世界全体についてともに責任を負う諸外国の人たちが、自分たちの問題として非常に困惑しているわけであります。  したがって、すべての問題の根本は、小渕総理が執務不能になられるまでの経緯、そして、その後新しい森総理体制になるまでのその経緯を本当につまびらかに公開することこそが重要なのであります。それは、我が国国民に対する義務であるのはもちろんでありますけれども世界に対する義務でもありまして、そういう意味で、内閣として一日も早くその経緯を公開すること、これはもう日本の国益、サミット成功国際社会への貢献がかかったことでありますから、ぜひ河野大臣から内閣総理大臣に進言していただきたい。  この後、緊急の閣議が予定されていると聞いておりますけれども、その閣議ででも、あるいはその後の閣僚懇ででも、これは提案していただきたいと思いますが、提案してくださいますでしょうか、大臣
  77. 河野洋平

    河野国務大臣 現在の小渕前総理の御病状その他については、当然これは個人的なプライバシーの問題がございますから、つまり、今や公人ではないわけですから、そうしたことを求めることはできないと思います。  公人であった小渕総理の当時の状況についてどうすべきであったかということについては、これはいろいろ意見のあるところだと思います。我が国のように、若干ウエットな感情が非常に強い国においては、やはり個人のプライバシー、それはつまり御家族の感情というものも考慮に入れたことが重要だという御判断もあっただろうと思いますし、そこのあたりについては、きょう現在ここまで来てしまった今、振り返ってみてどうすべきであったか、あるいはどうであったのかということについては、今後いろいろと御議論もあるし、いろいろなことがされるだろうというふうに思いますが、今私は、委員からお話がございましたが、そうしたことは考えておりません。
  78. 達増拓也

    達増委員 大臣のおっしゃるとおり、議論、そしていろいろなことを本当にしていかなければならないと思います。  そもそもサミット議長国、七年に一度しか回ってこない、そういう重要な役割を我が国が担っているときに、政治的な思惑でありますとかあるいは選挙絡みの思惑で、そういうサミットを少しでもないがしろにするようなことは決してあってはならないというのが自由党の考え方であります。  そういう意味で、今非常に気になっておりますのが、森総理大臣が、ゴールデンウイークを利用してサミット参加の首脳にお会いして歩くということでありますが、一方で与党議員は、六月解散・総選挙の準備をしていると報道されております。もしゴールデンウイークを利用して各国首脳を歴訪する、そのくらいきちっとやるのであれば、もうサミットまで森総理でやっていただかなければ困る。つまり、その間に選挙なんかをやって空白期間をつくるのではなく、一日、半日、一分、一秒を惜しんで準備を進めるのがサミット議長国の責任だと思います。  もし、どうしても民意を早く問いたい、サミット前にも民意を問いたいというのであれば、今すぐ解散・総選挙をすべきであります。そうしないで、今すぐ解散・総選挙もせず、サミットが終わるまで現内閣を続けることもせず、ゴールデンウイークが終わった後、サミット直前に解散・総選挙を行うというのは、サミット議長国として最悪の無責任なやり方であります。  そういう意味で、思えば小渕総理大臣は、沖縄サミットをやると決定されて、沖縄である、アジアである、ITだ、経済成長、そういう構想、一方では、アジアだ、そしてミレニアムである、平和だ、非常にそういう豊かな広がりのある構想を持っていらっしゃった。それを最終的にサミット直前まで詰めに詰めて、通例のサミットアジェンダのほかに、去年のケルン・サミットでは、ケルン憲章というグローバリゼーションと教育に関する特別の憲章、宣言文が出ている。そういう小渕総理の思いを反映するような何か特別の憲章を一分、一秒も惜しんで準備するくらいのことこそ、我が国が今すべきことではないかと思うのですけれども、果たして今の森内閣は、サミット自分たちの手できちんとやる気があるのでしょうか。
  79. 河野洋平

    河野国務大臣 森総理は、サミットにかける熱い気持ちを持っておられます。それは、小渕前総理サミットに対して万感の思いを込めて沖縄にその開催地を決めたということから始まって、サミットに対する小渕総理の強いお気持ちをそのまま継承すると言っておられるわけで、その点は御心配要らないと思います。  また、解散の時期その他については、これはもう私が論ずることではございません。ただ、一点思い返してみると、今から七年前、前回の東京サミットの折には、国会におきまして、一部議員の造反もあって、その直前に内閣不信任案が成立をして、内閣はサミットを目の前にして不信任を受けるという事態になったこともあるわけでございます。しかし、当時の宮澤総理は、大変強い責任感でこの事態をしっかりと受けとめながらも、サミットの議長を務められたということもございます。  政界というところは、さまざまな状況の中で、リーダーがリーダーとして強い責任感を持ってその問題に立ち向かう意欲というものが大事だということを、しみじみその当時思ったものでございました。感想だけ申し上げました。
  80. 達増拓也

    達増委員 改革志向の政治体制サミットを迎えることは何より大事であるということを申し上げまして、中身の話はまた次の機会にさせていただくことにして、とにかくサミット成功、これを祈りまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  81. 井奥貞雄

    井奥委員長 この際、休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後二時十二分開議
  82. 井奥貞雄

    井奥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松本善明君。
  83. 松本善明

    松本(善)委員 きょうは、外務大臣に、思いやり予算の問題を中心に伺いたいと思います。特に、今我が国の財政状況が破綻状態だということについては、これはもう各委員がひとしく認められることだと思います。その状況のもとでこれをどう考えるかという問題であります。  在日米軍地位協定二十四条に関する特別協定、いわゆる思いやり予算協定は、二〇〇一年三月三十一日で期限が切れることは御存じのとおりであります。この協定は、これまでの政府答弁、一九八七年、昭和六十二年、こういう協定になったときから限定的、暫定的、特例的な措置だということを一貫して政府答弁をしてきております。  これは、当時の円高・ドル安、アメリカの財政赤字を考えてやられた、そういうものでありますけれども、今、日米経済の状態、財政状況というのは全く逆転をして、アメリカは非常にいいけれども日本は非常に窮迫しているという状態であります。そういう点では、これはもう期限切れで終わりにする、これが私どもは筋だと考えております。政府はどういう方針で臨んでおりますか。
  84. 河野洋平

    河野国務大臣 在日米軍駐留経費負担の問題は、確かに議員が御指摘のとおり、アメリカの財政状況が非常に厳しいということもございました。しかし、それと同時に、日米安保条約の円滑な運用ということも考えているわけでございます。  今日、確かに、経済状況といいますか財政状況は、我が国の非常に厳しい財政状況を考えますと、当時と比べて、逆転という表現が正しいかどうかは別として、今アメリカの経済は非常に好調な経済の数字を示しておりまして、一方、日本は大変厳しい財政状況にあるわけでございます。財政状況にだけ着目をすれば、また一つの考え方もあるのかもしれませんけれども、財政状況とともに、我が国の安全保障、すなわち日米安全保障条約の円滑な運用ということにも着目をして在日米軍駐留経費負担問題を考えていかなければならぬというふうに思っているわけでございます。そうした点を十分に考慮して考えるということが重要かと存じます。
  85. 松本善明

    松本(善)委員 これは、経済状況を考えてだからこそ、暫定的、特例的、限定的な措置になっているわけです。これは安保の本来の、私ども外務大臣とは考え方は違いますけれども、安保の円滑な運用ということであるならば、こういう暫定的な、時限的な協定にはならないはずで、今までの答弁も一貫して経済事情です。  そして、これはこれで後でもう少し議論をしたいと思いますけれども、今どういうレベルでどういう交渉をしているのですか。実情をお話しいただきたい。
  86. 河野洋平

    河野国務大臣 この問題は、現在、事務レベルで協議を行っているところでございます。
  87. 松本善明

    松本(善)委員 事務レベルというのはどういうレベルですか。いろいろあるでしょう、レベルも。どなたが答弁されてもいいです。
  88. 河野洋平

    河野国務大臣 先般、私訪米をいたしましたときに、オルブライト国務長官などとこの問題について意見の交換はいたしましたけれども、そのときにも、現在は事務レベルで協議が行われているので、その協議の状況を見守ろうということを二人で言い合ったところでございますが、現在の時点では、双方課長レベルでの議論というふうに承知しております。
  89. 松本善明

    松本(善)委員 今、外務大臣、オルブライト国務長官との会談に触れられましたが、このときの報道では、思いやり予算の削減方針を表明したというふうに報道をされて、その後、否定の会見も外務省はやったようです。  それで、これは廃止を提案しているのかどうか、それをもし提案していないというならば、削減については提案をしたのかどうか、これをお答えいただきたい。
  90. 河野洋平

    河野国務大臣 在日米軍駐留経費負担の問題については、経済的な事情も当然勘案する必要があるというふうに私は考えておりますので、経済的な事情も勘案しつつ、この問題について議論をさせようということを私は申したと記憶しております。
  91. 松本善明

    松本(善)委員 端的にお答えいただきたいので、廃止を提案したかどうか、削減を提案したかどうか。
  92. 河野洋平

    河野国務大臣 この在日米軍駐留経費負担問題について、廃止を提案したことはございません。それから、削減という方向性を示唆したこともございません。
  93. 松本善明

    松本(善)委員 柳井駐米大使は、報道によりますと、全部やめちゃうというような極端なことはだれも言っていない、多少金額が変わったからといっても極端なメッセージにはならないと述べたと報道されています。  これは、削減はあり得るという認識なのか、その可能性を探っているのかどうか、聞きたいと思います。
  94. 河野洋平

    河野国務大臣 平成十二年の三月に行われました柳井駐米大使の定例記者会見を引用してのお尋ねだと思います。その記者会見あるいは記者懇談のメモがここにございますけれども、柳井大使は、削減するとは一度も自分は言っていないということを、米側に削減すると伝えているわけではないとあなたの話を理解していいのかという質問に対して答えておられます。  さらに、柳井大使は、日本経済の財政状況が厳しいということを米側は知っている、知っているので、削減するとは言っていないが、そのような状況を見て心配になっているという感じだろうということもつけ加えて言っておられるわけですが、いずれにせよ、日本政府がアメリカ政府に対して削減するとは一度も言っていない旨、明確に大使は述べておられるというふうに承知をしております。
  95. 松本善明

    松本(善)委員 そういうことをしていない、廃止も削減も言っていないということになりますと、アメリカは、現状維持あるいは増額もあるとみなしてくるのではないかと思います。  実際、報道によりますと、アメリカ側は、航空機や艦船などの在日米軍の装備の修理費や米軍関係者の家族が使用するスクールバスの運行経費などの負担を追加するよう打診してきたということでありますけれども、これは事実なのかどうか、また、これについての方針はどうなのか、聞きたいと思います。
  96. 河野洋平

    河野国務大臣 今も申し述べましたとおり、私ども我が国の経済状況が非常に厳しい状況にあるという認識を持っておりますから、こうしたことを勘案しつつ議論をしようと言っているわけでございまして、このことは、恐らく双方の共通の認識として、日本経済の現状というものは大変厳しいという認識があると思います。したがいまして、そういう状況下での交渉になるということをまず御承知おきをいただきたいと思います。  さらに、議員がお尋ねの、航空機や艦船の修理費等について打診があるか、事実関係はどうだというお尋ねでございますが、現行特別協定失効後の在日米軍駐留経費負担のあり方については、米側との事務レベルでの協議を現在行っているところですが、御指摘の点を含め、これまで米側より何ら具体的提案がなされた事実はないということでございます。
  97. 松本善明

    松本(善)委員 これはさっきから言っていますように、このままほうっておけば期限が終了するわけですよ。それについてどうなるかということについての今までの答弁を聞いていますと、何か方針なしに臨んでいるような感じがいたします。そういうことでいいのかどうかということの問題がありますが、むしろアメリカ側の方が方針が出てきている。  フォーリー駐日大使は朝日新聞の「論壇」に投稿して、思いやり予算という言葉について異論を述べています。これは、外務大臣もフォーリー大使の見解と同じ認識なのかどうか。つまり、思いやりではなくて当然の負担と認識をしているのかどうか。外務大臣はどう考えているのですか。
  98. 河野洋平

    河野国務大臣 思いやり予算という言葉は公式に使われたことは実はないわけでございます。この思いやり予算という使い方は、ここで申し上げるまでもないと思いますが、いろいろな方がいろいろなことを考えて述べられたということはあると思いますけれども外務省が公に思いやり予算というふうにこれを呼んだことはない、あるいは呼んだとしても、それは公式のものではないというふうに申し上げなければならないと思います。  フォーリー大使はアメリカの基本的考え方について書かれたとは思いますけれども、それは今議員がおっしゃるように、アメリカの考え方であって、我が国には我が国の基本的な考え方がございます。そうした我が国の基本的な考え方に沿って我々は、まあ米側とも協議をしていくということになるだろうと思っています。
  99. 松本善明

    松本(善)委員 もうちょっとはっきり聞きたいのですが、フォーリー大使は、言うならば当然負担すべきものなんだということを言っているわけですよ。そう考えているかどうかということを外務大臣に聞きたいのです。
  100. 河野洋平

    河野国務大臣 これは地位協定上当然に負担すべきものであるという意味であれば、そうではないと思います。  しかしながら、これらのことを負担することによって日米安保条約が非常に円滑に効果的に運用することができるという意味、そしてさらに、このことが衆参両院でお認めをいただいて、特別協定という形で今や法律によって認められているわけでございますから、そういう意味では、この負担というものは日本が行うということは十分合理性があるというふうに考えます。
  101. 松本善明

    松本(善)委員 だから、私たち反対でしたけれども、特別協定が成立をして、それで今それを負担していること、これはもう事実ですよ。だけれども、これが切れるのですよ。切れたときに当然負担すべきものでないということは協定上明らかだ。これはお認めになったということで、それを思いやりというふうに日本では言われているわけでしょう。それはもう明白ですよ。  それで、私は、実態についてもう少し外務大臣に見解をお聞きしたいのですが、一九九七年度のアメリカ国防総省の共同防衛に対する同盟国の貢献度報告というのによりますと、アメリカのすべての同盟国の負担合計は七十三億五千万ドルです。そのうち日本の負担は三十七億二千五百万ドルです。何と五〇・一%ですよ。半分以上は日本が負担をしているのです。アメリカの海外駐留費の負担の半分です。日本の負担がなければアメリカはその分の負担をしなければならない。すると現在のような海外駐留とはならない可能性もあるということです。膨大というだけではなくて、日本が、言うならば米軍の海外駐留を支えていると言っても過言でないという状態ですよ。  この状態を外務大臣はどう思いますか。これは日本は当然このぐらい負担するんだ、こう思っているのですか。どう考えていますか。
  102. 河野洋平

    河野国務大臣 お答えをする前にちょっと申し上げますけれども委員はどうも少し話が先へ先へ行き過ぎていて、この特別協定が二〇〇一年には切れる、切れてしまえばそれから先はなくなるということをおっしゃったわけですが、それは、なくなるかどうかはまだこれからということでございまして……(松本(善)委員「いやいや、新協定を結ばなければなくなる」と呼ぶ)いや、現在の特別協定は二〇〇一年で切れますけれども、その後のことをどうするかについてはまた御相談を申し上げなければならない事態になるかもしれないわけでございますから、そこのところは、もうこれでなくなるということをお決めになって話を進められるのは、この特別協定に反対のお立場でございますから、それはそういうことでよくわかりますけれども、必ずしもそれが多数であるかどうかは、これまでの経過から見てそうではないと思いますので、そこを前提に話をお進めになりますと、こちらとしては御答弁を申し上げることが難しくなるので、ひとつよろしくお願いをいたします。  さてそこで、貢献度の話でございますが、確かに、我が国の貢献度が非常に高いということをアメリカがある報告書の中で述べていることは私も承知をしております。しかし、同じ報告書の中でも、これは単純な比較をするというわけにはいかないのだということも言っているわけでございまして、それは確かに、それぞれの国がいろいろな支援と申しますか経済的な負担をしておる中で、日本の負担が絶対的な数字において多いということは御指摘のとおりでございますが、しかし、それはそれぞれの国の国情とかあるいはその国を取り巻くいろいろな環境であるとかいったものがあるのであって、ただ単純に経済的な負担が多い少ないということだけで判断をする、断定的な言い方をすることは適当でないというふうに私は思っております。
  103. 松本善明

    松本(善)委員 協定の問題は、今の協定はなくなるということを言っているわけですよ。新協定を結ばなければそれはなくなるわけですよ。新協定を結ぼうとしているのかどうか、どんな方針でいるのかということをさっきから聞いているのであって、今の協定が二〇〇一年の三月でなくなることは明白ですよ、協定上、文章上。そのことを言っているわけです。  私がその日本の負担の問題を総額について述べましたのは、実はフォーリーさんの論文で、さらにこの負担の問題について述べているからなんですよ。同氏は、この特別協定で九五年から九九年までに日本が支払った各年当たりの総額は平均して国家予算の〇・二五%にとどまるというふうに述べている。〇・二五%という勝手な基準を設けて、それより低いということまで言うようになってきた。  日本が、言うならば、新協定をつくるかどうか、これを負担するかどうかはこれからの問題ですよ。それを、国家予算と比べて少ないじゃないかということをアメリカの大使が言うというのは、言うならば内政干渉的なものではないかというふうにさえ私は思います。そういう〇・二五%という勝手な基準を設けて、それより低いということまで言うようになってきたのです。聞きようによっては、まだ〇・二五%以内なんだから〇・二五%ぐらいまでふやせということにまで聞こえますよ。  私は、こういう発言は日本の予算編成の中身に踏み込んだ発言で極めて理不尽だと思います。外務大臣は、こういう発言を外国がするのは当然だと思っていますか。
  104. 河野洋平

    河野国務大臣 いや、私は当然だとは思いません。当然だとは思いませんが、大使のお書きになった文章では、つまり過去五年間の実績を見るといずれも〇・二五%以下だというファクツを、事実を述べておられるというふうに私は拝見をしたわけでございまして、それ以上のものでもない。  先ほどから申し上げておりますように、この問題に限らず、我が国には我が国の主張、立場というものは明確にあるわけでございますから、我が国の考え方、我が国の主張というものをはっきりさせて、そして協議に臨むということが重要であろうというふうに思います。先方の大使がどう言ったからということで、我々がそれに拘束されるとかいう問題ではないというふうに思います。
  105. 松本善明

    松本(善)委員 日本は削減も廃止も言わない、方針なしで臨んでいる。ところが、アメリカの方はここで、思いやり予算というのは違う、戦略的貢献の重要な一要素だとフォーリー大使は言っているのですよ。これは負担して当然だということを言っているのですよ。アメリカの方はそういういわば理論武装といいますか、方針を持って臨んできているのに、日本はそれに対して無方針で、廃止も削減も言わないというようなことで果たしていいのかということです。日本の負担は、先ほど言いましたように明白に突出をしていますよ。  この思いやり予算は、御存じのように一九七八年に行政措置で始まりましたけれども、それから八七年に五年の特別協定ということで特別協定を繰り返しているわけですね。そのたびごとに、全部答弁は経済事情によるということを言っています。  全部は引用しませんけれども、九一年、中山外務大臣、アメリカの膨大な累積債務、対外債務だけでも六千億ドルだ、財政の累積債務が三兆ドルだ、貿易も赤字だということを強調して、同盟国であるアメリカがそのような財政赤字あるいは膨大な貿易赤字の中でグローバルな平和を守るために努力をしているという観点から、日本政府としては応分の負担をすることが適当であるという判断をするということで、明白に経済事情を理由として言っているのですよ。それは争いがたい事実です。  全部事前に外務省には答弁を整理しておけと言っておきましたけれども、そうだったでしょう。それはもう明白なんですよ。だからこそ限定的なんですよ。私は、五年の限定的な、期限が切れる協定として導入した理由がそこにあるんじゃないか。  先ほど、安保の円滑な運用ということもあるんだと言われましたけれども、それは、安保条約そのものはそうなんですよ。だけれども、私たちとは考えが違うかもしれませんが、それは地位協定、本協定の問題。特別協定になっているということは経済事情が理由である、こういうことじゃありませんか。
  106. 河野洋平

    河野国務大臣 経済事情も重要な要素であったというふうに思います。私は、経済的な事情がこの特別協定をつくるときの理由でなかったということを申し上げるつもりはございません。一つの要素であったことは否定できない事実だと思います。  しかし、それでは、財政的な事情だけがこの特別協定をつくる理由であったかというと、それだけが理由ではなかったのではないかと思います。重要な要素は財政事情であったとは思いますけれども、さらにもっと言えば、日本の安全保障というものをより確かなものにするために、日米安全保障条約というものの円滑な運用というものをより確かなものにするために、そうした視点にも立ってこうしたことが行われたというふうに私は考えております。
  107. 松本善明

    松本(善)委員 これは経済事情が理由でなければ時限的な協定になるわけがないのですよ。外務大臣、幾ら強弁をされようとそれは理屈にならないのですよ。やはり本協定について安保というものが大事なんだ、私たちとは考えが違うけれども、そう言われるならば、それはあなた方はそうでしょうということになりますけれども、特別協定で時限的になっているということは、経済事情によっては変わる、だからこそ五年ごとに考えるのですよ。  それはやはり根本的に違っている。特に、今の状況の財政破綻というのは総額六百四十五兆でしょう。一人当たり五百十万円でしょう。一方では、思いやり予算は負担がどんどん拡大されて、本来でない米軍の戦闘機能に係る施設の建物や訓練の費用にわたるまでやっている。これは、今年度、二〇〇〇年度予算では二千七百五十五億円ですよ。介護であなた方が減らした金額が二千三百億ですよ。これは、時限的なこの負担をやめるだけで、介護についての不安が今、日本じゅういっぱいですよ、それが解決する方向に行くんですよ。  なぜそれを堂々とアメリカに提起することができないんですか。条約上は、私は当然のことだと思いますよ。そういうこともできないというのなら、それが対米従属だというふうに言われる理由なんですよ。外務大臣、何と考えますか。
  108. 河野洋平

    河野国務大臣 財政事情は、議員のおっしゃるとおり、非常に厳しい状況にあることは私もそう思っております。しかし、そのことと我が国の安全を守るということとは、必ずしもそれを全面的にリンクさせるわけにいかないという部分があると思います。財政事情が厳しいから戸をあけっ放しでいいというわけにはいかない。  財政事情の厳しさをどう克服するかという政策をとりながらも、一方では、我が国の安全保障、危険から我が国を守るというための政策というものは、これもまたしっかりやっていかなければならないわけでございまして、安全保障はいいかげんでいいと議員もおっしゃらないとは思いますけれども、安全保障のことは考えずにこちらだけ考えろというわけにはいかないというのが責任ある政府態度ではないかというふうに思います。
  109. 松本善明

    松本(善)委員 それは違うんですよ。それは、本協定では負担することのないものを今負担しているんですよ。だから時限的なんです。それはなぜかといえば、経済的な理由だからなんですよ。本来、安保の円滑な運用に必要だということなら、そんな時限的な協定になるわけがないんですよ。  私が幾ら言っても、外務大臣、それ以上どうも変わりそうにない、大変頭がかたいようでありますからこれ以上はやりませんけれども、これとの関係もあり、ちょっと朝鮮の南北首脳会談との関係で聞きたいんですが、南北の首脳会談が開かれることになって、我が党も外務大臣も歓迎談話を出しました。  実は、一九九二年、南北朝鮮は朝鮮半島の非核化に関する共同宣言を発表しております。これは、核兵器の実験、製造、生産、受領、保有、貯蔵、配備、使用をしないという全面的なものであります。これに続いて今回の首脳会談。私は、こういうことでありますので、朝鮮半島、東北アジアの平和と安全という観点からも、南北対話を一層促進するように日本は行動すべきではないかというふうに思います。  きょうも、同僚委員から、南北会談の問題についてもいろいろな質問がありましたが、私は、この問題については、昨年、我が党が本会議で、代表質問で提起をした、北朝鮮との関係は軍事的対応じゃなくて交渉ルートを確立すべきだということで、きょうもいろいろ議論になりました超党派の代表団の派遣ということになり、北朝鮮との外交交渉の進展ということになっている。これは大いに歓迎すべきことだと思います。  今、こういうふうに北朝鮮に対する軍事的対立が減少するようになっていることは大変いいことだし、重要だと思いますが、昨年一月の本会議で、もう一つども提案をいたしました。それは、北朝鮮に対する先制攻撃の意思を日本が持たないことはもちろんのこと、先制攻撃的な性格を持つ他の外国の軍事行動に参加したり支援することがないことをアジアと世界に対して明らかにすることが重要だということを提起いたしました。  今、自民党の中で不戦の誓いというようなこともいろいろ議論されているという話ですけれども、もっと具体的に、北朝鮮に対してそういう先制的な攻撃や、それに参加、支援するというようなことはないということを声明するということは、南北会談を促進する上でも非常にいいことではないかと思いますが、外務大臣、どうお考えでしょうか。
  110. 河野洋平

    河野国務大臣 具体的に何をやることがプラスになるかということについては、それぞれの政党にそれぞれの主張があると思います。  しかし、いずれにせよ、私が申し上げたいと思いますことは、南北対話というものが両国の首脳によって行われる、その結果として緊張が緩和されるということになるとするならば、それは本当に歓迎すべきことだと思うのです。そのことについては、ロシアもそうですし、中国もそうですし、アメリカもそうでございますけれども日本も、朝鮮半島を取り巻くほとんどの国から歓迎のメッセージが出ているということを見ても、私は、緊張緩和を期待する声、期待する気持ちがどれだけ強いかということがよくわかると思うんです。  南北対話が十分な話し合いが行われるかどうかということについては、まだ何とも申し上げようがございませんけれども、でき得る限り、その周辺におります我々は、環境を整えるためにできることはするということが重要であって、ただし、それはやり過ぎてはならないと思いますけれども環境を整えることは重要なことだというふうに思っております。
  111. 松本善明

    松本(善)委員 最後に一問だけ聞いて終わりにしますが、同じ考えで、沖縄からの米軍の撤退、少なくも内外から指摘をされている海兵隊の撤退などは取り組むべきじゃないか、こうすれば普天間の問題も解決するわけです。  それと、普天間の十五年期限の問題は、何遍聞いても、まともに政府は、私どもからいうと、それに真っ正面から答えないという状態に感じております。この点では、本会議総理大臣答弁されたので基本的な立場はわかっておりますので、それを改めて聞く気はありませんが、一言だけ聞きたいのは、今の現職知事は自民党の応援を受けてなって、そのときの公約が十五年の期限ですね。これを自民党はみずからの公約と考えているのかどうか、外相自身はこれを公約だと考えていて、これを実現しようと考えているのかどうか、そこのところだけはっきり答えてほしい。
  112. 河野洋平

    河野国務大臣 沖縄におります海兵隊の存在というものが、あのプレゼンスが周辺の安定に大いに役立っているという認識を私は持っております。これは御認識があるいは違うかもしれませんが、私はそういう認識でございまして、それ以上のことは申し上げるべきでないと思いますけれども、そうした周辺の安定ということが今度の南北対話を導き出すためにプラスになったかマイナスになったかということも考えなければならないと思います。  それから、県知事のお考え、県知事の御意見、県知事の御要請、それは選挙で当選をなさった知事の御意見であり主張である。いろいろな問題はそれぞれ我々は重く受けとめる必要があると思っております。したがって、総理大臣が本会議でも述べられましたように、知事もしくは市長のお申し越しについては、これを重く受けとめるということを政府としては述べているわけでございます。
  113. 松本善明

    松本(善)委員 答弁がまだまだちょっと不満な点がいっぱいありますが、時間ですので、これで終わります。
  114. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、伊藤茂君。
  115. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 午後にまでわたりまして、大臣も御苦労さまでございます。簡潔に三、四点だけ質問をさせていただきます。  一つは、朝鮮半島情勢と我が国にかかわることでございます。  朝以来、同僚議員からさまざまな質問があり、また、大臣の御答弁がございました。私は、前から雁行説を主張いたしております。秋空をきれいにカリが横一列に並んでいくことが望ましい。何も交渉を秋までゆっくりという意味じゃないですよ。交渉は早くなんですが、例えて言えばですね。それで、一つは米朝関係、それから順不同で言って南北日朝関係、もう一つは中国も含めた四者会談、こういうものが横一列になってうまく進んでいくという形が望ましい。お互いの国にとっても地域にとっても安定的な姿であろう、私はそう思っておりますし、北朝鮮ピョンヤンを訪問しましても、あの方々に私はそういう主張をいたして、そう思っているということを言っております。  日本はちょっとおくれぎみだったのですが、さまざま新しい努力がありまして進展をいたしました。また、南北首脳会談の発表がございました。昨日、けさと総選挙の結果が出ておりますが、それはそれとして、両国の首脳間の確認でございますから、進展されると思います。これらの動きと並行いたしまして積極的な外交活動ピョンヤン・サイドからなされているということも事実でございますし、私もイタリアとの発表のときに聞いて、ダレーマ政権が何でああいうことになるのか、私は同じインター加盟党の間柄でありますけれども、よくわからなかったのですが、いずれにしても次々起こっております。あるいは、ASEAN地域フォーラムに参加をしたい、ああ、いいことだなというふうに私は思っております。  それらの状況認識について、幾つかのエレメントで大臣はお答えになりましたが、全体的に、そういう好ましい変化の状況に対しては我が国も前向きに対応する、それで国際社会によき存在となってもらうようにさまざまな努力をするというのが、日本のポジションにおける努力であろうというふうに思います。  さまざまな状況の把握につきましては、大分的確な御判断答弁だと伺っておりますが、そういう姿勢で臨む、そのためにさまざまやはり工夫をしたり努力をしたり、あるときには慎重に、あるときには積極的にやらなくてはならぬと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  116. 河野洋平

    河野国務大臣 イタリーの外務大臣北朝鮮に行かれていろいろなことを言われたようですけれども、その中の一つに、孤立主義をもう捨てるべきだ、孤立主義では決してやっていけないぞということをディーニ外相は北朝鮮で言われたというふうに聞いております。  私は、今や北朝鮮は、我々から見ていると、これまでややもすれば孤立主義とでもいうのでしょうか、非常に国際社会に窓を閉ざしていた北朝鮮が顔を国際社会に向けてこられた、しばらく前からそういう感じがしているわけでございまして、そのことが米朝協議にも、あるいは日朝会議にも、あるいは南北対話にも、それこそ前向きの動きになっているのだと思います。  もちろん、全部が全部順調に進んでいるわけではございません。米朝協議などはもう大変苦心をしておられるように拝聴しておりますし、日朝の会談も、これは一回目は非常に真摯な態度会議に臨まれ、意欲も見られたというふうに私どもの協議に参加した者からの報告は聞いておりますけれども、さて、これが順調に淡々と進むかどうかということについては、まだそう楽観的な予測ばかりはできないのではないかと思っておりますが、いずれにしても、北朝鮮国際社会に顔を向けてこられたのではないか、私はそういう認識を持っているものですから、今度は国際社会北朝鮮のそうした態度に対して真摯に対応するということが重要ではないかというふうに思っているわけでございます。  まさに、雁行という表現をお使いになりましたけれども北朝鮮と協議をいたします相手側と申しますか相手の国は、それぞれ歴史的経過が違いますし、それぞれの国情も違うわけですから、必ずしも真横に並ぶというようなわけにはいかないので、そこは伊藤議員のおっしゃるように斜めに行くということもございましょう。いろいろなやり方が、並び方がきっとあるのだろうと思いますけれども、少なくともカリガネのように前に向いて飛んでほしいと心から念願をしているわけでございます。  私どもは、日朝国交正常化の協議に臨むに当たっては、やはり何といっても、日朝間のこの不正常な状況を解消するために誠意を持ってこの協議に臨む必要があるというふうに考えております。もちろん両国間には、拉致疑惑でございますとかミサイル問題でございますとか、避けて通れない、通るべきでない問題もございます。そうした問題も話し合いながら両国間の正常化に向けて進んでいくということが重要だ、そのために意欲を持って誠心誠意取り組む必要があるというふうに私は考えております。
  117. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 雁行と申しましたのは、必ず横ほぼ一列にという意味ではなくて、ちょっと風が吹きますとよく乱れます。しかし、すぐまた戻るというふうな意味でございまして、硬直的に横一列で進むというふうに考えているわけではありません。倒れられた小渕前総理も、抑止と対話対話の過程でいいサインがあったときには前向きにまた対応したいという趣旨のことをいつも述べておられました。それがアジアにおける日本の、また朝鮮半島に対する日本姿勢でもあろうと思います。  これはちょっと外務大臣、具体的には御答弁しにくい問題だと思いますので、気持ちだけ伺いたいのですが、流れとして見ておりますと、四月の上旬に第一回の正式の日朝交渉がございました。いきなりスムースに物が運ぶわけではありませんが、何となくお互いに気持ちを通じ合ってやろうぜという気持ちの表現はできたような感じがいたします。五月の下旬に東京で第二回とか言われております。それから北京でしょうか、どこかで続けていく。それは日程はもちろんまだ決まっていない。六月の十二、十三には南北首脳会談、総選挙の結果でありますが、これも大体それでいかれる、そのために精力的に準備が始まるということだろうと思います。七月下旬にはサミット世界の首脳がお集まりになるという日程が続いているわけであります。  私の気持ちとしては、第一回があり、第二回があり、それから南北の首脳がどんな話をなさるのか、これは注目をしなくてはなりませんね。日米韓あるいは日米韓中を含めましたいろいろな意見交換も当然やはり必要であり、大事なことだというふうに私も思います。それらをまたじっくりと検討した結果、それから後は夏になってしまって秋の空になってしまったということでは余り望ましくないので、できたら日程、具体的なことは別にしても、やはりサミット世界の首脳が集まるときには、アジア、特に北東アジアとかと余り固定では言いたくありません、むしろアメリカも加えた広い意味でのアジア太平洋という地域に、やはり新時代に向けての何かメッセージがそこから生まれてくることが非常に望ましいということだろうと思います。  ですから、サミット成功ということも含めまして、じっくり腰を据えて、スケジュールは相当先になってもというよりも、何かやはりできる努力は精力的にやって、そして重要な、七年に一回日本で開かれるサミットのときには、またアジアで開かれるサミットにはいいメッセージが出たという努力を一生懸命やっていくという姿勢が、流れから見ますと、四月、五月、六月、七月、サミットですね、必要なのではないだろうかと思っております。  具体的なスケジュールは言えるはずはもちろんございませんし、またわからぬことですから、気持ちといいますか、姿勢としてどうお考えでしょうか。
  118. 河野洋平

    河野国務大臣 大体、伊藤議員がおっしゃるようなスケジュールで進んでいくのだろうと思います。  ただ、それは公式の会談がそういうスケジュールでございまして、例えば、南北の会談を行うということになれば、恐らく事前に相当予備的なと申しますか、準備のための会談が南北間で行われることは当然予想されるわけでございます。そうした南北で行われる会談が一体どういう雰囲気で行われるか、あるいは、どういうところに最も双方の関心が集まっているかということもよく我々としては聞かせていただければ、それは日朝会談にも相当プラスになる部分もあるかもしれない。また逆に、その準備をなさる方々は、日朝会談の公式の会談の雰囲気その他もよく知ることによってまた新たな視点が出てくるかもしれない。米朝会談もそうだと思います。  したがって、そうしたことを、お互いにそれぞれ十分に連絡できることは連絡をする、こうやっているうちにだんだんに北側も含めて連絡ができ合うようになるということになると、これは非常にいいのでございまして、やがてはそういうふうになってほしいものだというふうに思っております。  七月のサミットでございますけれども、前回も申し上げたかもしれませんが、このサミットは、ドイツで行われ、あるいはフランスで行われ、イギリスで行われるときには言ってみればヨーロッパのサミットと呼ばれるのだろうと思いますが、今度のような場合には、アメリカに言わせるとこれは太平洋サミットだと。つまり、アメリカ、カナダ、ロシア、日本と、G8のうちの半分、四カ国は太平洋に面している国なんだ、だから今回はヨーロッパ・サミットではなくて太平洋サミットだねというふうにアメリカはおっしゃるのです。私はうまいことを言うものだなと思いましたけれども、言われてみると、なるほどこれは太平洋サミットと呼べるかもしれません。そうしたことを考えると、太平洋サミットではありますと同時に、それはアジアに大いに関心のある、関係のあるサミットということでもあろうと思います。  そうしたことから、このサミットにおきましても、アジアの平和、繁栄といったことが一つの話題になる、あるいは、このサミット自身がアジアに対して何かプラス、益するところになるということであってほしいものだというふうに私も思っております。
  119. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 朝鮮半島との関係を申しますと、私どももおつき合いをしながら、私も朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮側と韓国の方と均衡あるおつき合いを心がけて、大体いつも同回数になるように往来をしているのですが、やはり朝鮮半島の皆さんの分断国家の悲劇、その傷の大きさというものは本当に私どもも痛感をします。同時に、私どもも近くの友人として、いい方向にそれが打開されるよう、長い長い努力を常にしなければならぬというふうに思います。それから、歴史の反省という大きな負い目と申しましょうか、責任を日本は持っているというのも事実でございます。  それらを考えますと、韓国との関係におきましては、国交正常化の過程でさまざまなことがございました。また、日本が歴史の代償として払うべき責任というのも幾つかの形でそれを果たしてきた。今後ともまだ相互発展のための努力は残っておりますが、そういう関係だと思います。当然なんですが、人口では南と北と数の大小は違いますけれども、しかし、どちらかの方がハンディがあるとかいうような形というのはあり得ない。やはり双方にバランスというものがある対応をしながら、いい役割を果たしていく。  これから非常に難しいさまざまな問題をしなくちゃならぬ。韓国の対応のときにもたくさん問題がございましたが、それと違った別の意味での問題もまた北に対しては非常にあるというのも現実でございますから、困難な交渉ではありますが、歴史の反省も含めたさまざまなことについて、やはり片っ方にやったことは片っ方にも同じようにやると申しましょうか、そういう姿勢は当然のことだろうと思いますが、いかがでしょうか。一般的姿勢だけ伺います。
  120. 河野洋平

    河野国務大臣 そうした点は十分気をつけていかなければならないことだと思います。同じ民族といいますか、同じ立場に立っておられたわけでございますから、我が国対応が違ってしまうということは十分気をつけていかなければならない、そう思います。
  121. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 もう一つだけ伺いたいのですが、先ほど大臣の御答弁の中にも、ASEAN地域フォーラムへ参加したいというニュースがありましたと。  僕は何か明るい気持ちで聞いたのですが、世界の、アジアのさまざまの国、例えばアジア太平洋地域と申しましょうか、カナダの首相からもオーストラリアの外務大臣からも提唱されました。また、韓国の前の外務大臣も言っておりましたが、いろいろな形でASEAN地域フォーラムのような形を可能な限り広げる、また同じような集まって議論する場をいろいろつくる、そういう中から将来を考える、そういう努力が大事なんですねというようなことをソウルで言われたことも、今でも実は記憶をいたしております。  それらを考えますと、何かやはり沖縄で開かれるサミットというのに向けて、新しい世紀への展望を提起するという歴史の節目に当たるわけですから、特に先ほども十五年云々とかいろいろな議論がありましたが、そういうレベルの議論の応酬だけでなく、こういう展望と未来を沖縄県民の皆さんと一緒に、また国民全体が、他の国の皆さんとも協力をしながら開いていきたい、そういう政治的な一つ姿勢と迫力と申しましょうか、展望というものが必要なのではないだろうか。  この前の質問のときにも、日米共同宣言の一定のくだりの中で、今後のアジア情勢その他を研究し、軍備の配備その他について真剣にお互いに相談し合うという趣旨のフレーズのことを申し上げたのですが、これは空文にしてはならぬと思います。また、そういうことについて、いろいろな意味でやはりもっと日本は能動的役割を、無謀ではまずいので、能動的な役割を常に果たすということが大事なのではないだろうかと思うわけでございます。  そういう意味で、やはり世界の首脳、特に日本国政府首脳の側から、沖縄県民の将来への展望の気持ちを込めたメッセージが送られ、また、そういうものをベースにしながら、さっき申し上げたような、僕も本当にそう思います、太平洋時代と申しましょうか、アジア太平洋と申しましょうか、西洋に対するアジアというイメージではないアイデア、考え方というのも非常に賛同する、私もそういう考え方なんですが、そういうところからいいアジアへのメッセージを発せられるということが望ましい。  何かそういう意味でのあれが、沖縄を設定されて倒れられた小渕さん、その後の森内閣、非常に重要な外務大臣の責任を負われる河野さんではないだろうかと思いますが、いかがでございましょう。
  122. 河野洋平

    河野国務大臣 沖縄の持つ歴史、それは、十六世紀当時から大陸との間に盛んな貿易が行われて、その結果、非常に多様な文化も沖縄は持っている。そしてまた、そうした開放的な精神もそこにはあるということを考えますと、沖縄というところが、広く国際社会に向けた情報発信あるいはさまざまな問題を研究する、そういう場として極めて望ましい場所であるということに、今回のサミットその他で多くの人たちが気づいてくれるという可能性があると思うのです。  そうしたことは、我々もまた国際社会にそうしたことを知らせていくということも必要だと思いますが、ぜひ沖縄が持つ平和的な、平和の歴史と申しますか、不戦の歴史と申しますか、そういったものをきちっと踏まえて、国際社会の中で非常に象徴的な場所であり、なおかつ、それはただ単なる象徴ではなくて、積極的な問題をそこで研究し、あるいは発信をする、そういう場所に沖縄がぜひなっていってほしいものだというふうに考えております。
  123. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 終わります。
  124. 井奥貞雄

    井奥委員長 次回は、来る十九日水曜日午後一時理事会、午後一時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十一分散会