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2000-04-28 第147回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月二十八日(金曜日)     午前九時三十二分開議  出席委員    委員長 仲村 正治君    理事 石破  茂君 理事 実川 幸夫君    理事 菅  義偉君 理事 森田 健作君    理事 玉置 一弥君 理事 赤羽 一嘉君    理事 寺前  巖君       大石 秀政君    木村 隆秀君       久野統一郎君    佐藤  勉君       坂本 剛二君    中馬 弘毅君       中野 正志君    御法川英文君       渡辺 具能君    奥田  建君       今田 保典君    佐藤 敬夫君       永井 英慈君    前原 誠司君       石田幸四郎君    遠藤 乙彦君       平賀 高成君    松浪健四郎君       米津 等史君     …………………………………    運輸大臣         二階 俊博君    運輸政務次官       中馬 弘毅君    政府参考人    (運輸省運輸政策局長)  羽生 次郎君    政府参考人    (運輸省鉄道局長)    安富 正文君    政府参考人    (運輸省自動車交通局長) 縄野 克彦君    政府参考人    (運輸省航空局長)    岩村  敬君    政府参考人    (建設省道路局長)    大石 久和君    運輸委員会専門員     長尾 正和君     ————————————— 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   小里 貞利君     御法川英文君   望月 義夫君     佐藤  勉君  吉田左エ門君     大石 秀政君   岩浅 嘉仁君     米津 等史君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君    吉田左エ門君   佐藤  勉君     望月 義夫君   御法川英文君     小里 貞利君   米津 等史君     岩浅 嘉仁君     ————————————— 四月二十八日  道路運送法改正に当たり安全・信頼のタクシー実現に関する請願菊地董紹介)(第一五三九号)  必要な規制の維持・強化と利用しやすい安全なタクシー確立に関する請願寺前巖紹介)(第一五七六号)  同(平賀高成紹介)(第一五七七号)  同(寺前巖紹介)(第一六五八号)  同(平賀高成紹介)(第一六五九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  陸運に関する件  航空に関する件  観光に関する件     午前九時三十二分開議      ————◇—————
  2. 仲村正治

    仲村委員長 これより会議を開きます。  陸運、海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として運輸省運輸政策局長羽生次郎君、鉄道局長安富正文君、自動車交通局長縄野克彦君、航空局長岩村敬君及び建設省道路局長大石久和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 仲村正治

    仲村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  4. 仲村正治

    仲村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森田健作君。
  5. 森田健作

    森田(健)委員 森田健作でございます。よろしくお願いをいたします。  例えば、AとBという兄弟会社デパートがあるとします。Aというデパートは、もちろん喫茶店もあり、レストランもあるのですが、ただ、ここは、ブランド品、言うなれば外国製品のみ売っているのでございます。Bというデパートは、もちろんここにも喫茶店もあり、レストランもあるのでございますが、言うなれば国内製品のみ売っているのでございます。  このブランド品を売っているデパートは非常に人気があり、皆さんが集まるところであるのです。ところが、入り口といいますか間口が狭い、それと営業時間もあるということで、入ろうと思っても入れないで絶えず並んじゃっている。すくまでもう少し待ってくださいよ、そのときはお呼びいたしますからということで、絶えずお客様入り口のところで並んでいる。  それを見たBというデパートが、あれだけブランド製品人気があるんだったら、もったいないじゃないか、せっかくAとBは兄弟会社なんだから、うちのBというデパートも、店内改装もしたし、スペースもちょっと広くなったから、こちらにもブランド製品を置いたらどうだ、そうしたら、せっかく並んでいる人たちもこちらにも来られるじゃないか。それと同時に、まずお客さんが来るということは、にぎわう。にぎわうということは、そこに消費が生まれるじゃないか。例えばお食事をする人もいるだろうし、喫茶店に行ってお茶を飲む人もいる。そうすることによって経済効果が生まれるじゃないか。  そのようにAに申し込んだところ、Aのデパートは、何を言っているのだ、ブランド製品うちが売るんだ、大体、本当はうちはそういうものを売りたくなかったのに、おまえが売れ、売れと言うから、しようがないから売っているんじゃないか、冗談じゃないと。  いや、それはそうですけれども、兄弟会社なんですから、まずお客様利便性考えて、それから、もうけもいろいろ考えていきましょうよとぐじゅぐじゅやっているうちに、ライバル会社が、そのようなブランド製品とか、お客様のニーズに合ったいろいろなコーナーを設けてつくり始めました。  このAという会社は、先ほど言ったようにいろいろな制限がある。そして、このBという会社は、言うならば営業時間を撤廃して、私のBというデパートは二十四時間やるんだから、お客様にそれだけこたえられるよ。そういうことでもめているうちに、ライバル会社にそれをそっくり、さあ、皆さんうちへいらっしゃい、うちへ来れば何でもありますよ、二十四時間やっておりますよ、それこそブランド製品から国内製品まですべてありますよとやっているうちに、今まで不便して並んでいたお客様が、いつまでもこれはどうなっちゃっているのかな、これじゃもう並ぶのもくたびれたし、ではあっちの店に行こうかと、行っちゃう可能性も出てくるのではないかなと私は思うのでございます。  我が国航空協定の締結を申し入れている国が、現在三十三カ国ございます。我が国航空協定を締結したが、協定上、大阪にのみ乗り入れが可能で、成田への乗り入れができない国、企業が十五ございます。  近隣アジア諸国における国際空港整備の動向を見ますと、ソウルにおいては、二〇〇一年開港予定滑走路三千七百五十メートルが二本、全体計画といたしまして、三千七百五十から四千二百を四本。中国におきましては、一九九九年十月開港開港時は四千メートル一本、全体計画として四千メートル四本。シンガポールにおきましては、現状、四千メートル二本、そして、今三つ目滑走路を予定している。  そこにおきまして、国の首都圏空港であれば、国際空港というのは国の玄関でございます。成田空港におきましては、現在四千メートルの滑走路が一本のみでございます。そして、現在確かに暫定滑走路を進めておられますが、これがたとえうまくいったとしても二千五百メートルでございます。  私は、大所高所に立って我が日本国国益考えた場合、どちらが国際空港だとか、どちらが国内空港だとか、そういうことで争っている場合ではないのではないか、そんなことを言っていると、それこそ日本の表玄関である国際空港は、世界の、いや、このアジア諸国のそれこそローカル空港になってしまうのではないかな、そう危惧するところであります。  成田空港におきましては、午後十一時から朝六時まで発着制限がございます。せっかく羽田空港が二十四時間になったのでございますから、成田空港国際空港から外せと言っているのではございません、そうじゃなくて、成田空港が飛べない部分羽田空港で補完したらどうなんだろう、先ほどデパートの例を出しましたけれども、お客様利便性考えて補完したらどうなんだろう、そのように私は考えるのでございますが、総括政務次官、いかがでございましょう。
  6. 中馬弘毅

    中馬政務次官 森田委員、大変わかりやすいデパートの例を挙げて成田羽田の問題を説明していただきました。まさにそのとおりでございまして、この有効活用を私たちも真剣に今考えているところでございます。  御指摘ありましたように、首都圏だけをとりましても航空需要は延べ約七千七百万人と言われております。成田羽田だけでなかなか対応できないんじゃないか、第三空港の話も出ておりますが、ともかく現在の成田羽田、本当に私たちの貴重な税金を多額に使って整備した空港でもございます。これを極力おっしゃったような形で効率的に運用することは、私たち一つ課題だと思っております。  今後も、国際については成田空港国内については羽田空港という一つ決まり事を私たちもしておりますが、このことにつきましては厳守することとしましても、その運用面アクセス面機能拡充を図っていくことは極めて重要であると認識をいたしております。  国際線需要を担う成田空港につきましては、国際定期便等需要に対応するだけで精いっぱいでございまして、国際チャーター便国際ビジネス機運航のための申し入れ、新規乗り入れあるいは増便要求は五十カ国にも及んでおりますけれども、これも成田ではもう対応できません。  今御指摘にありましたように、羽田空港がこの七月から少し発着枠を拡大いたしますけれども、二十四時間空港とはいいながら、国内便でございますから、相手の国内空港が二十四時間でない限り夜はあいてしまうわけですね。そうしますと、ここで、成田乗り入れたいという各航空会社の中で夜でもいいというところがあれば、国際チャーター便貨物便は受け入れられるのじゃなかろうか、こういうことで今検討をしているところでございます。  これらを踏まえまして、成田空港機能を減殺することなく、成田羽田空港が相まって機能向上をどのように図ることができるかということを念頭に置きながら、羽田空港の深夜、早朝の時間帯における国際チャーター便等就航について検討を進めているところであります。なお、深夜、早朝の時間帯の利用考える場合、特に騒音問題が大きな検討課題となっておるがために、これらに関する検討を現在進めているところであります。
  7. 森田健作

    森田(健)委員 積極的な御答弁、まことにありがとうございます。  大田区は左旋回もいち早く容認したところでございます。ただ、私は思うんです。千葉県側、成田皆さんにしてみれば、この成田国際空港建設をめぐっていろいろ今まで経緯があったということは、私たちも認識しなければならないと思います。  私の義兄でございますが、当時、機動隊として成田を守りました。それこそ、本当に自分の命が危ないんじゃないかと思ったこともあったそうです。そして、残念なことに、三人の警察官が殉職していることも確かでございます。それと同時に、千葉収用委員会の会長の襲撃だとか、いろいろなことがあり、言うなれば血と涙と汗の、それでやっとできた国際空港なんだという自負心もあるのも確かだと私は思うのでございます。それと同時に、おまえたち、何という勝手なことを言っているんだという気持ちも根底にあるのではないかなと私は思うのでございます。  それは、昭和五十年でございますか、大田区長大田議会議長の名によって、成田空港開港と同時に国際便はすべて移転させ、羽田空港国内便のみと運輸大臣に当時要望していることも確かでございます。ですから、千葉県側、成田人たちにしてみれば、調子いいときだけこっちにほっぽり投げやがって、今になって今度は経済だとか何だかんだとか、いいことを言ってきて、羽田に持ってこい、成田は不便だ、あんな遠いところは何だ、そんなんだったら初めから成田と言うな、いろいろな感情論根底にあるのではないかな、そのように私は思うのでございます。  それと同時に、成田人たちにしてみれば、ひょっとしてまたエゴによって国際空港は分捕られちゃうんじゃないか、いいものだけまた持っていかれちゃうんじゃないか、そういう不安もあるのではないかなと私は思うんです。そういう感情的なこじれ、そういう不安も私は解消させなければならない重要な問題だと思うんですね。  それは、例えば、成田空港は遠いんだとか不便だとか言うならば、交通アクセスの問題を積極的に取り組むとか、成田人たちにも、いや、成田国際空港としてこれだけ国も頑張っているんだよと見せること、またそれも大事ではないかな、そのように私は思うんです。成田羽田が共存共栄していく、それは大きく見れば国益になるのではないかな。総括政務次官、どうでしょう。
  8. 中馬弘毅

    中馬政務次官 確かに、現実におきましては、森田委員指摘のとおり、百貨店の例で言うならば、Aのところであふれたブランド品の志向の方を、Bの百貨店で時間外の方でやってくれてそれをさばけば、お客さんの需要にも合うかもしれませんが、しかし、その後、両方ブランド品を売り出して、両方が泥仕合を始めたら大変だという懸念も一方にあるのではないかと思っております。  そして、今おっしゃったように、片方は少し都心から遠いというようなこともございまして、そういったようなことが起こり得るという条件もそこにある。だから、何としてもそれだけは阻止してほしいという要望がこちらに来ていることも事実でもございます。  成田は、あのような経緯の中で大変な混乱で、しかし、ようやくその方々もほとんど納得していただいて、今、暫定滑走路の工事が始まっているところでございます。これをスムーズにさせるためにも、その原則をここで崩してしまうようなことを決してすべきではないと私は思っております。  ですから、先ほど申しましたように、羽田空港におきましては、昼間時間帯は国内線需要で手いっぱいの状況でありますから、今後とも増大する首都圏の旺盛な国際航空需要に対応していくためには、成田空港平行滑走路整備が必要不可欠でありまして、委員指摘のように、国際拠点空港としての成田重要性は一切変わることはない。その前提で、先ほど申しましたような形の効率的な活用ができるのではないかと今検討しているところでございます。
  9. 森田健作

    森田(健)委員 わかりました。本当に私は、成田闘争、また違った意味の、違った形のああいう闘争は二度と起こしたくない、そのように思っているんです。これはやはり大所高所に立って、日本国国益考えて仲よくやっていかなければならないのではないかな、そのように思う次第でございます。より一層御努力お願い賜りたいと思います。  大臣、今般、運輸大臣が、羽田空港の深夜、早朝の時間帯における国際チャーター便及び国際ビジネス便運航について検討を行うよう指示したこと、これは非常に大田区でも高く評価されております。私も非常にうれしいです。  それと同時に、またこれは重複することになりますが、せっかく二十四時間、言うならばオールナイトになっているわけですから、これからより一層、例えばさっき言ったようなビジネス便だとか、もう一つ修学旅行で行きたい、そういう特別な便だとか、そういう枠を何とか考えてより一層幅を広げていただけると、地元においても経済面において非常に盛り上がってくるんではないかな。  特に、例えば、地元商工会議所などはソウル商工会議所交流を持ちたい、そういうときにビジネス便が出てもらえると、簡単に言うと、大田区から、蒲田あたりから成田に行く時間で韓国に着いちゃうわけですね。中小企業と申しますと中には零細も含まれるわけですから、それこそ、自分が社長であるけれども、自分がやはり一社員としてやらなきゃならない、言うならば大変時間を効率的に使いたいという部分もあるんでございます。  ですから、この有効活用をこれからどのように図っていくのか、その辺のお考え大臣にお聞かせ願いたいと思います。
  10. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま森田委員から、成田空港の問題、当然、羽田空港有効活用等につきましてお話を承りました。  また、森田委員も既に御承知でございますが、いわゆる昭和五十年の二月、木村睦男運輸大臣のころでございますが、大田区が、羽田空港国内線専用空港とするよう運輸大臣要請を出してございます。五十三年の二月には、福永健司運輸大臣に対しまして、当時は美濃部都知事でございましたが、羽田空港国内線専用空港とするように、こういう要請があった。そして、平成九年の二月、今度は青島都知事が、生活都市東京構想において、季節便チャーター便運航による羽田国際化を要望された。そして、平成十年の六月に、東京都議会は、羽田空港国際化に関する意見書を決議されたという経緯がございます。一々その時の移り変わりによって、また地元の御意見等もあって、このような結果になったんであろうと思いますが、そういう東京都及び羽田空港をめぐる問題がございました。  先般、羽田空港B滑走路のオープニングに際しまして、石原知事の代理として東京都から副知事出席されておりましたので、今後、羽田空港活用につきましては、東京都だけのことでお考えになるのではなくて、千葉県とも東京都が十分お話し合いをなさるなどの機会も持ってもらいたいということを私からも申し上げておきました。  今般、羽田空港国内線需要が余り見込めないような深夜、早朝の時間帯における国際チャーター便等就航について検討を行うということ、今委員の御紹介にあったとおりであります。首都圏の増大する航空需要に的確にこたえるために、そして、さきに中馬総括政務次官に対しての御質問の中でお述べになりましたように、成田空港に対しまして新たに乗り入れを希望している国が、御指摘のように五十カ国に及んでおるという状況であります。それら、国が一兆五千億もの大規模な投資を行った国民共有の貴重な財産である羽田空港をできる限り有効に活用することによって、我が国、特に首都圏乗り入れを希望しておる各国に対して何らかの対応をとっていくということについて、具体的な検討勉強を今運輸省で行っておるところであります。  一方で、成田空港建設に御協力をいただいた千葉県側からは、国際線拠点空港成田空港であるという原則を維持していただきたいという御意見や、さらに、羽田空港飛行経路下に当たる自治体からの深夜の騒音に対する懸念が示されておるというのが現状でございます。こうした意見や御懸念に対しまして、運輸省としても十分配慮しながら検討を進めてまいりたいと考えております。  なお、私からのお願いでございますが、森田委員の所属される自由民主党におかれても、当然、東京選出議員皆さん千葉選出議員皆さんと、この問題についても少しくお話し合いをいただくということが大事ではないか。全く異なる意見東京都側から、今私の方が調査検討に入るということに対して大田区を初め評価しておるということの御意見をちょうだいいたしました。しかし一方、千葉県側からは猛烈な反対の御意見がなされております。  同じ首都圏でございます。我々地方から出てきた者からすると、東京千葉もみんな同じ日本の代表的な首都圏だというふうに見ておるわけでございます。この首都圏で、森田委員御主張のとおり、成田空港羽田空港、両々相まって日本経済の発展やあるいは文化の振興、国際交流国際観光交流等について、両空港がさらに大きく前進することと同時に、また首都圏の第三空港についてすら検討しなければならないような航空需要状況を見るときに、私は、この両空港をどう活用するかということについて、森田委員が御指摘のことに対して十分理解できるわけでありますが、何せそれぞれのお地元がございますので、千葉県側の御了解が得られるような方法はいかにすればいいかということを今検討しておるところでございます。
  11. 森田健作

    森田(健)委員 十二分にわかります。  ただ、私千葉県側も、言うならば羽田から飛ばす、例えばチャーター便がすぐ、国際化考えてやるんだ、国際化するからこれをするんだ、そういうふうに解釈をしている部分も確かにあると思うんですね。  でも、そうじゃないんだ、そうじゃなくて、有効活用ということを私は言っているのでございます。それと同時に、大臣指示を行ったという意図も、国際化にするというよりも、二十四時間になったんだからそれを有効活用しようという発想からきていると思うんですね。ですから、私はそれを言っているわけです。  例えば、先ほど言ったように、ビジネス便を出したからといって、これがすぐ定期便になって、すぐ国際化だ、そんなことを言っているんじゃございません。さっき言ったように、修学旅行のこともあります。ですから、そのように有効活用をして、まずそういう経済面地域国益ということも考えていくべきではないかな。だから、大臣検討指示ということはそのことが含まれていると私は理解しております。よろしいですね、大臣
  12. 二階俊博

    ○二階国務大臣 羽田空港が今日二十四時間空港として活用できるという状況に相なったことは、大変評価すべきことであります。同時に、成田空港におきましても、今二千二百メートルを目指して空港建設を行っておるわけでございますが、やがてはこれを当初の目標どおり二千五百メートルにやっていきたいというふうに考えておるわけであります。  首都圏として両空港を存分に活用する、多額投資を行っておるわけでありますので、国民的に考えてもこれが有効に活用されることが望まれるわけでありますから、運輸省としても、成田の問題は成田の問題、羽田の問題は羽田の問題、ちゃんと整理して対応していきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、与党の最大会派であります自由民主党におかれても、どうぞ両地域出身の、首都圏選出国会議員の皆様で、こうした問題についても十分御議論をいただくことを心から期待申し上げておる次第であります。
  13. 森田健作

    森田(健)委員 同じ理事実川理事千葉県でございますが、その点に関して、非常に仲よく、うまくいっております。  しかし、有効活用、これはすぐさま国際化とかそういうことではないということでございますし、また、検討に入ったということでございますが、羽田空港有効活用はいつから、例えばどのように行うのか。航空局長、どのようにお考えでございますか。
  14. 岩村敬

    岩村政府参考人 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、大臣から私、指示を受けておるわけでございますが、羽田空港の深夜、早朝の利用が少ない時間帯の有効活用について検討せよということで、去る三月二十一日に局内に検討委員会を設けて検討を始めております。  現在、千葉県を初めとする関係自治体の御意見もいろいろ出ておりますし、そういったものも踏まえながら、特に騒音問題というのが、我々として一つの大きな検討課題になっております。  現在、深夜、早朝に飛んでいる飛行機は余り多うございませんので、その時間帯を有効利用するとなれば、現在飛んでいる飛行ルートのままでいいのかどうか、またその機材について制限が要るのかどうか、そういったことをいろいろ検討しておるわけでございます。  特に騒音問題というのは、非常に慎重に事を回してまいりませんと、性急に事を運びますと、結局、深夜の飛行が困難になるというようなこともございます。そういったことも含めて、またCIQの体制がどういうふうになっているのか、今そんな勉強もいたしているところでございます。  そういうことで、現段階でその実施時期について明らかにすることはちょっとできませんが、我々としては、今申し上げたような検討課題検討、さらには千葉県を初めとする関係方面との調整も必要だと思います。そういったことを進めて、できる限り早い段階で結論が得られるように努力をしていきたいというふうに考えております。
  15. 森田健作

    森田(健)委員 これは大変いろいろな問題が含まれていて、先ほど申しましたように、感情的な問題だとか不安だとか、いろいろなことがあります。  しかし、この有効活用ということに関しては、成田側も羽田側も、これは話し合えば非常にうまくいくのではないかな、私はそのように考える次第でございます。すぐ国際線という言葉に結びつけますが、それと切り離して、これはあくまでも有効活用だということを念頭に入れてお考えいただいて、一日も早く実施されるよう心から願う次第でございます。  国際線とかそういうのは別にしまして、国内線需要も大変多くなってきているところでございます。ところが、よく成田のことを、あんなところ、遠くて不便だとかなんとか言います。しかし、例えば車で移動した場合だと、成田から都心に入るまで、すいていれば一時間十分ぐらいで入れるんですね。ところが、最近の羽田は、例えば車を使った場合、非常に高速道路が込んでいて、私、二時間以上かかったことが二、三回あったのでございます。何でこんなに込むんだろう、ああ、そういえば前にこんなことがあったなと思いました。  東京湾アクアライン、たしか当初聞いた目的は、川崎の方から入ってくるトラックが都心部を抜けて千葉県側の方に行く、これを何とか緩和したい、そのために膨大なお金を使ってアクアラインをつくったのではないかな、そのように私は認識しているんです。  ところが、通行料が高いということもあるんでしょうけれども、道路がすくどころか、かえって最近はより一層込んでしまって、アクアラインの当初の目的は本当に履行されているんだろうか、私は非常に疑問に思うんです。  その辺、もし通行料が高いから利用しないという御意見があるならば、思い切って通行料金を半額にするとか、何としても、空港から首都圏に入るためには、インフラというものを考えていかなければならないと私は思うのでございますが、この点お願いします。
  16. 大石久和

    大石政府参考人 お答えいたします。  アクアラインの交通量、需要状況につきましては、今先生の御指摘のとおりでございまして、関連する道路ネットワークの整備等々の状況もございます。  計画値は二万五千台ぐらいを見込んでおったわけでございますが、その四割程度にとどまっております。したがいまして、このアクアラインを有効に御利用いただくための一層の促進策が必要でございます。関連する道路網の整備を進めるとともに、料金につきましても、償還の確保とあわせ、十分検討していく必要があると考えております。  首都圏の南回りの基幹的なバイパスとして東京湾アクアラインの役割を十分発揮できるよう、平成十二年度予算におきまして、東京湾アクアラインや千葉東金道路三期等に対する償還期間の延長や公的助成の拡充が認められたところでございます。  東京湾アクアラインの料金の変更につきましては、その前提となる諸条件が平成十二年度予算で認められたことから、今後、道路公団が、本来、道路管理者でございます千葉県等との協議を経まして申請してくることとなりますが、その申請を待って対応していきたいと考えております。  東京湾アクアラインの利用促進に配慮がなされるよう、考えていきたいと考えているところでございます。
  17. 森田健作

    森田(健)委員 わかりました。より一層の御努力お願いしたいと思います。  次に参ります。もう時間もありませんけれども、これを最後にしたいと思います。  運政審の十八号答申に盛り込まれましたJR蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ連絡線、俗に蒲蒲線と私たち呼んでおりますけれども、羽田空港のアクセスの利便性を向上させるものとして極めて重要と考えます。  その計画の詳細、問題点及び着工の見通しについてお伺いしたいと思います。鉄道局長、いかがでしょうか。
  18. 安富正文

    安富政府参考人 お答えいたします。  先生おっしゃいますように、これは蒲蒲新線と呼んでおりますが、東急の目蒲線と京急空港線とを短絡する路線につきまして、先般の東京圏における鉄道整備計画で、二〇一五年までに整備に着手することが適当な路線、A2路線に位置づけられたところでございます。  この路線は、新しい羽田空港アクセス路線として、東急沿線地域のアクセスに資するということはもちろんでございますが、東急東横線を通じて、現在建設中の営団十三号と接続して東武東上線、さらには西武池袋線方面のアクセス向上にも非常に効果があるというふうに考えております。  しかしながら、この具体的な構想としては、まだこれからでございますが、一応全線を地下方式としまして、一部地下化した東急目蒲線と相互直通運転を行い、京急の空港線とは、旅客の利便性を考慮して、同一ホームで乗りかえを行うというようなことを考えて大鳥居駅で接続を図ろう、こういうことを考えております。  そうしますと、この場合、事業費が千五百億円ほどになります。千五百億円近くにまでなるこの事業費、この膨大な費用の負担をどうしていくのか、さらには整備主体をどういう形で確立していくのか、あるいは既存鉄道事業者、特に京急との調整など、ある程度解決すべき基本的な課題が幾つかございますので、ここら辺について我々としてもいろいろ検討しているところでございます。  特に、運輸省としては、昨年度から開始しました都市鉄道調査におきまして、関係の鉄道事業者あるいは地方公共団体とこの事業化方策について検討をしているところでございまして、少しでも早い整備の実現に向けて関係者と努力していきたいというふうに考えております。
  19. 森田健作

    森田(健)委員 どうもありがとうございました。終わります。
  20. 仲村正治

    仲村委員長 次に、佐藤敬夫君。
  21. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 二階運輸大臣は政務次官を二度も経験されておりますし、また、大臣でございますから、もうざっくばらんにいろいろなことを御質問させていただきたいと思ったんですが、時間がきょうは三十分でございますので、運輸省航空に対する今度の予算の最大の眼目というものを整理整とんしてみますと、特に空港整備の問題については、大都市圏の拠点空港を中心に今度はこの全体事業をとにかく進めていこう、こういう思いが強くにじみ出ているような気がするんです。  今、成田東京国際空港両方の話が出たんですが、実は、そういう意味では、全体的なバランスからいくと、関西、中部、この関西の第二期工事、中部国際空港のこれからの愛知万博に照準を合わせた早期着工、こういう問題を含めて、大きなこれからの国際化の流れに向かって我が国が対応していこうという意気込みが感じられるわけです。実際心配なのは、空港整備の財源というのはほとんど空港使用料みたいな形になりますね。  そこで、この財源という問題について大臣がどういうふうにお考えになっておられるか、ここに少し具体的な御意見をいただければありがたいと思います。
  22. 二階俊博

    ○二階国務大臣 佐藤委員こそ、運輸関係に大変精通しておられるそういうお立場からただいま大変的確な御質問をいただいたところでございます。  私は、基本的には、国際交流の基盤としての重要な機能を持つ、つまり国際的な空のネットワーク、これに対しまして、大変増大する航空需要に対して空港容量が絶対的に不足している状況、そして、今後におきまして大変さらにこの不足の状況は大きくなっていくであろうということを予測するときに、空港整備という問題は大変重くのしかかった重要な課題であるというふうに思うわけであります。それは、航空需要に比べて予算がそんなに伸びる時代ではないだけに、大変重い責任を感じておるところであります。  お示しをいただきましたように、羽田空港の沖合展開、さらに関西国際空港の二期、そして中部国際空港、これらの空港を着実に進めるとともに、さらには、先ほどからも御議論がありましたように、既に、首都圏における新たな拠点空港整備ということをやはり念頭に入れなくてはならない。目下、必要な調査を行っていることは委員も御承知のとおりでございます。  これらの空港整備財源は、空港使用料等の航空利用者の負担や一般財源等によって賄われておりますが、国土面積やあるいは環境の制約などによりまして最近は建設多額の資金を要するわけでありまして、関西国際空港の着陸料等が国会でもよく議論されるわけでありますが、広大な面積を持っているところにつくった、ほとんどただに等しいような諸外国の空港と、海上五キロの沖合に埋め立てをしてつくった空港とでは、もう基本的にスタートの段階から大きく条件が異なるわけでありますから、多額の資金を要するわけでありまして、また、その維持管理につきましてもこれまた負担がそれだけ大きいわけであります。したがいまして、利用者の負担だけで財源を確保することは当然困難な状況であります。  したがいまして、今後は、さらに事業の重点化を図っていく、効率化を図っていくということが重要だと思いますが、所要の空港整備財源の確保につきまして、委員各位の御理解をちょうだいしながら、運輸省としては、全力を挙げて今後も熱心に取り組んでまいりたいというふうに考えている次第であります。
  23. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 一般財源をもっと極端にと言っても、なかなか厳しい財政事情でもありますし、また、財政がこういう現実の状況でありますから、本当に大臣としても気持ちが大変だろうと思うんです。  ただ、英国の例で言いますと、一九九二年に、あのPFI法をサッチャーが導入して、既に公共事業の一四%まで占めているわけですね。我が国も九九年の七月にいわゆるPFI法を導入、しかし、これはまだ現状は形ばかりでありまして、あのアクアラインとか中部国際空港にも一部この形を決めて導入はしているんですね。  しかし、こういう発想というんですか、民間資金を相当大胆に活用して、これまでの役所の縄張りみたいなことから一遍に、大胆に民間資金の活用、財源起用という問題について、これは質問通告しておりませんが、大臣の所見をちょっとお伺いしたいと思います。
  24. 二階俊博

    ○二階国務大臣 今御指摘にありましたPFI法及びその他の民間資金の活用の方法等も考え、幸いにして、関西国際空港にしましても中部国際空港にしましても、地域経済界が挙げてこの空港建設を支援してくださっておりますので、そうした関係の皆さんにも今日まで大変大きな御支援をいただいております。今後とも、地方自治体、そして、そうした周辺の経済界の皆さんの一層の御協力をお願いしてまいりたいと思いますが、PFI法を活用するということに関しましては、私は一つの見識だというふうに理解をいたしております。
  25. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 時間がありませんので、中部国際空港、特に関西空港の第二期工事は順調でございますか。大臣でも局長でもどちらでも。
  26. 二階俊博

    ○二階国務大臣 なお、今、関西国際空港の二期の進捗状況についてのお尋ねでございましたが、その答弁の前に、私はこの前機会がありまして、オーストラリアの空港、オリンピックを控えて思い切った整備をなされておるわけですが、日本空港に比べて、不必要なところといいますか、もう少し簡素にしてもいいんではないか、もう少し簡易にしてもいいんではないかというようなところを徹底的にむだを省くということの努力をされております。機会があれば、関西国際空港や中部国際空港の担当者は、そういう現地も十分視察をして、いいところは十分見習って、やがてはそれが国民の負担になっていくわけですから、できるだけ効率的に、また、費用をできるだけ縮減する方向で当初から計画を立てていく、そういうことをこれから指導してまいりたいと思っております。  関西国際空港につきましては、周辺人口を約二千五百万人抱えておりますし、経済規模約百兆円に達しております。したがいまして、外国の例に例えますと、スペインだとかカナダとかという国の経済力をはるかに上回っておるのが関西圏の状況であります。したがいまして、航空需要は将来とも伸びてまいりまして、二十一世紀の初頭には、現状の一本の滑走路の処理能力の限界であります年間の離着陸回数十六万回に達するということが予想されております。また、現状においても、一時間当たり発着回数がほぼ発着枠の限界に達しておる時間帯が発生しているところであります。  したがいまして、平成十九年の平行滑走路の供用を目標といたしておるわけでありますが、どうしても、この十九年を目標にしまして二期工事の実施ということは相当急いで対応していかなくてはならないというふうに考えております。また、世界各国の主要空港におきましては、複数の滑走路を有するのが当たり前でありまして、近隣アジアの諸国を見ましても、複数の四千メートル級の滑走路整備済み、または今後整備を予定しているというのが周辺の実情でもございます。  この二期事業につきましては、平成十一年の七月十四日に現地で着工し、現在、護岸工事及び埋め立て部の地盤改良工事を実施しているところであります。今後、平成十二年度末までに護岸を概成し、平成十三年度より埋立工事を開始して、二〇〇七年、つまり平成十九年の平行滑走路供用に向けて着実に事業を推進してまいる所存でございます。  なお、一期工事、二期工事の完成を念頭にしまして、関西国際空港、さらにこの周辺地域との共存共栄を図っていくという観点から、御承知のとおり、今は北側に一本の橋がかかっているだけでありますが、風の強い日などはこの橋がストップになります。飛行機は飛んでくるのですが、この橋がストップになるというふうなことがありますので、当然、飛行機も休便にならざるを得ないというような状況がしばしばございます。したがいまして、南側にももう一本橋をかけてはどうかということで、周辺の大阪及び泉南地域におきまして前々から強い要望がなされております。  地元の市などが中心になりまして今日まで調査を進めてきておるわけでございますが、このほど建設省にも御理解をいただきまして、建設省と運輸省、そして大阪府と和歌山県、周辺の市等がお互いに相協力して、五千万円の調査費でもって南ルート架橋建設につきましての調査を始めたところでございます。こうしたことによって、空港が周辺地域とともに栄えていく、そういう状況をつくっていきたいというふうに考えている次第であります。  また、北側に一本だけでありますと、安全という面からも、あるいはまた複数のアクセスを有することの方が空港の将来のためにも適当であるということを、関係の委員、専門家の皆さんからもしばしば御指摘をいただいているところでありまして、それらに対して今後積極的に対応するために、建設省の御協力をいただきながら、ともども取り組んでいきたいというふうに考えておる次第であります。
  27. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 一期工事が一兆四千五百八十億でしたか。心配だったのは、地盤沈下の問題等々いろいろあったわけですが、一期工事でさまざまな技術的なことは解決されておられると思うし、今大臣がおっしゃった、空港でありますから、大理石だとか規格外のサッシを使って高目の建築物というのじゃなくて、まさに実用型の、今後はそういうものを目指した形の中で予算を十分切り詰める、そういう努力もまた重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。これは二〇〇七年の供用でありますから、どうぞひとつまた努力をいただきたい。  それから、時間がありませんので、愛知の中部国際空港についてかかわり合ってきた者として幾つか。局長で結構です。  愛知万博に間に合うのかどうか。会社設立登記についても、私ども随分、関係議員あるいは関係の人たちでもって努力して、スピードアップさせました。それは、あくまでも愛知万博に間に合わせようという意気込みだったわけでありますが、この辺の認識がどうなっているのか。  それから、今一部聞きますと、そういうものとあわせて空港島の対岸の地域開発、いわゆる埋め立ての問題で、環境庁とまだ折り合いがついていないというような話も聞いておりますし、こういうものが障害になって現実に愛知万博の開催のときに間に合わないという状況にならないのかどうか。この間ちょっと聞きましたら、四月十七日には環境庁に書類を提出したと聞いておりましたので、この辺の見通しについて、総額七千六百八十億という中部空港として、これから新しい国際化に向けての対応だと思いますので、幾つか申し上げた点についてお答えいただきたいと思います。
  28. 岩村敬

    岩村政府参考人 中部空港の進捗状況、特に平成十七年に間に合うのかという御指摘でございますが、先生よく御承知のように、現時点でようやく関係の漁協の事業同意がとれたというところまでまいりまして、今先生がおっしゃるように、四月の十七日に埋立免許の認可申請が出てきて、さらに四月の二十四日には環境庁の方に意見の照会をしたところでございます。  今後、この手続を急いで現地工事に着手するということでございますが、当初の予定ですと、もう少し早い段階で現地着工というふうに考えておりましたので、二〇〇五年の開港に向けて、大分工程的には苦しくなっておりますが、工事期間の短縮について、中部国際空港株式会社を初めとする関係事業主体間の連携のもと、種々の工夫、さらに方策の検討を今いたしているところでございます。まず、一日も早い現地着工というのが望まれるわけでございまして、環境庁との協議、そして埋立免許をいただく、このことに最大限の努力をいたしていきたいと思います。  運輸省としても、会社に任せるだけではなくて、環境庁との協議についていろいろ支援、協力をしたいと思います。環境庁との協議の中で、今先生の御指摘の前島と呼んでいますが、地域の開発用地の埋め立てというのが、あわせて今埋立免許の申請が出ておるわけでございまして、この点についても愛知県とよく話し合いをしながら、それが足を引っ張ることのないように、運輸省としても支援、協力をしたいというふうに考えております。
  29. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 これは質問通告していないのですが、さっき森田委員からの羽田空港有効活用についてのお話をずっと聞いておりました。私、平成三年の運輸政務次官のときの、いわゆる成田問題の隅谷プロジェクトスタートのときの苦労がじんと胸に出てきまして、あのときにちょうど賛成派ではありましたが、私の青年会議所の後輩の鬼沢君というのが会長をやっておりまして、熱田派の皆さんとお会いしたり取りまとめに一生懸命努力していました。  ただ、そのときに彼が言った言葉は、敬夫さん、二十年前は、実はこんなに空港を開いたら飛行機が飛んでくると思わなかった、だけれども、こんなに飛んでくるのですね。それから、農家の人たちはお金さえ出せば土地は買えると思っていた、しかし、こんなに農家の人たちが土地というものに執着するものだとは思わなかった、初めて知ったと。そういうわからなかったことがわかってくることによって、闘争成田から平和な繁栄の成田へ持っていけるのだよということを、実は熱田派の十七人の皆さんと私が、政務次官ののりを越えてホテルの一室で七時間ほど協議をやったのです。  そのときの彼の言葉がとても印象的であったと同時に、さっき大臣が、東京都の議員皆さん千葉議員皆さんがそういう部分でもっとしっかりと、自分の主張だけではなくて、どうしたらこのことが本当に効率のいい有効需要になるのかということを、大ぶろしきじゃなくて、もうステップ・バイ・ステップで、一つ一つ課題を解いていく。お役所の方も、現実に、その責任者、当時の高橋課長なんかでも、本当に努力されていましたですよね。やはり、そういうものが一つ一つ実って今の成田があるんだ、まだ十分解決はしていなくとも。  そういう意味から考えますと、第六次空整のときに新しいカテゴリーを運輸省はつくりましたね、空港問題について。今までは空港というのは全部国だった。だから、全部国がやるべきものというのを、第六次空整の地方空港をつくるときは、地方がやるべきこと、地域住民がやるべきこと、国がお手伝いすべきこと、こういうカテゴリーを決めて、六つぐらいの空港の対応をさせて、ですから、例えばあのときに大館能代空港というのは完成をしているわけですが、一筆も反対の立て札もない。住民の方は、飛行機が乗り入れしてきたら、あの三十万人の名簿も集まるかどうかわからない地域で七十何億の積み立てをして、必ず最後までこれは利用するんだ、こういう意思表示をしていた。そして工事も順調に進んだ。  やはり、これからの空港問題というのは、そういうふうに三位一体になって本当に努力していかなかったら、言いたいことは片一方でどんどん言う、そして、何か知らないけれども絵だけが大きくできる、こういうことではやはりなかなか物事がうまくいかないのではないか。それぞれが責任の立場で、きちんとそのことをまとめ合う努力と責任というものを踏まえていくということが非常に大事なんじゃないかなと思うのです。  そういう意味で、岩村局長は、少なくとも羽田空港有効活用検討委員会の長であるわけでありますから、私は、いつまでも何かぼんと議論を重ねるんじゃなくて、本当に一つ一つステップ・バイ・ステップでいこうという責任を持って物事を進めるべきだ、今はそういう時代だということを申し上げたいんです。決意のほどをひとつ聞かせてください。
  30. 岩村敬

    岩村政府参考人 羽田空港有効活用につきましては、運輸大臣から指示を受けまして、私、日夜検討を進めているわけでございます。  この問題、成田羽田というその使い分けの話の以前に、我々として今一つ検討しなきゃいけないのは、騒音問題というのがございます。これは、どういう形に使うにしろ、騒音の被害が出てしまえば結局は使えないということになりますので、深夜、早朝使う際の問題を考える場合の第一の関門になっております。また、それ以外にCIQの問題もございます。昼間、一部国際線が入っておりますが、夜間はそういう体制にないわけでございまして、そういった問題もございます。  そういったことを今一生懸命考えておりますが、今先生から御指摘があるように、全部を欲張って最初から百点をとるということではなくて、段階的にできるものはやったらどうかという御指摘、そのことも頭の中に入れて、できるだけ早く、皆さんが納得できる、特に千葉県の関係の議会、そして千葉県の各市町村、そういったところの御理解が得られるような結論というものを全力を挙げて見出したいというふうに考えております。
  31. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 時間がなくなってしまいましたので、フリーゲージトレーンの質問をちょっとしたいと思うんです。  言葉と期待が物すごく大きいんですが、現状どうなっているのか、これをちょっと鉄道局長、お話しください。
  32. 安富正文

    安富政府参考人 フリーゲージトレーンの技術開発の現状でございますが、この技術開発につきましては、平成九年度から本格的な研究開発を進めていまして、平成十年十月に高速走行可能な本格的試験車両が完成し、十一年一月下旬に山陰線の米子—安来間で時速百キロ程度の在来線での走行試験を実施しました。その後、引き続き、十一年四月から、アメリカのコロラド州のプエブロ試験線で試験を行っておりまして、時速二百五十キロ程度での新幹線と同じ軌間、標準軌での走行試験を行っております。今月中旬には、その累積走行キロが約三十万キロに達したところでございます。  また、三月末には、プエブロ試験線に地上の変換設備、標準軌と狭軌に変える変換装置を敷設しまして、変換試験等を行う予定にしておりまして、さらに、走行試験もあわせて二両編成から三両編成に模様がえをすることによって実施し、本年度内には六十万キロの走行キロを達成したいというふうに考えております。  その後、今年度中に、新下関の保守基地に、日本の方で、先ほどプエブロにつくりましたと同じような軌間の変換地上設備を設けまして、これを平成十二年度中に工事を行いまして、平成十三年度以降には、プエブロで行っております試験車両を国内に持ち帰りまして、国内走行試験を行うという研究開発の予定に現在なっております。  いずれにしましても、このフリーゲージトレーンの実用化に向けて、当該技術開発に全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
  33. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 時間がありませんので、大臣、一番御記憶だと思うんですが、私どもも、フル規格ではとても無理で、ミニ新幹線、山形の次は秋田というふうに対応しました。あれでもやはり、鉄道施設全体に対応するのに六百億、そしてまた車両で二百五十億、八百五十億ほど。こういう問題は、バブルのときであれば、地方財政がああいう状況のときであれば何とかこれは完成できた。しかも、なおかつ、踏切なんか九十九カ所あったものを四十一カ所縮めたり、いろいろな作業が必要だったわけですね。  しかし、今現実に、秋田から東京駅まで速い電車で三時間台、こういうことで、やはり一・五倍ぐらいの列車活用になった。飛行機とちょうどバランスがとれているという状況になっている。言うなれば、観光客にしても何にしても、そういう意味で、今までは東北のチベットと言われた秋田へ皆さんがなまはげだとかいろいろな観光にも来てくれる、こういう状況になっている。  しかし、現実、高齢化と環境問題というものを考えて、これから鉄路というものが本当に地方に必要だということになってまいりますと、私は、フリーゲージトレーンというのは要するに車両の幅を線路に合わせていくという話でありますから、これは本当に大きな期待を持っているわけです。この完成度によって、恐らく、地方のあるいは日本の交通対策というものは本当に大きな変化が始まるんじゃないかという期待すらあるわけです。  今、局長の方からそういうお話がありましたが、しかし、こういう開発実験というのは、国もおっかなびっくりという感じがしますね。特に、今実験されているところのアメリカのプエブロのようなところで三十万キロの実験をやった。これは相当やはり技術的にも難しい問題をまだまだ持っているんでしょう。今、どの程度の規模の予算なんですか。
  34. 安富正文

    安富政府参考人 フリーゲージの予算につきましては、当初年度とそれから補正とを合わせまして、十一年度においては約二十五億ぐらいの予算を確保してやっております。  今後も、平成十二年度においても所要の予算を確保して現在進めておりまして、具体的にこれからどれだけの予算規模がかかるかということについては我々またこれから精査していく必要がありますけれども、この技術開発がおくれることのないように、何とか所要の予算措置を講じていきたいというふうに考えております。
  35. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 スペインのタルゴとは形が違うんでしょう。
  36. 安富正文

    安富政府参考人 スペインの方式は、いわゆる機関車の方は可変をしませんで、いわゆるトロッコといいますかモーターがついていない車両を引っ張るという形で、車両の方が可変をしていくという形でございます。日本の場合、今回プエブロで試験をしておりますのは、それぞれモーターつきの車両自体が可変するという形で考えておりますので、その意味では若干技術的にも難しいところがございます。特に足回りでございます。安全性は十分気をつけなきゃいけないので、そういう点で相当な走り込みをしながら、現在、安全性のチェックも含めて開発を進めているところでございます。
  37. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 時間がないので、例えば、今現実に新幹線が二百五十、三百キロまで走れるという状況で、技術的な部分でいくと、これはやはりどうしてもまだ二百ぐらいが限界じゃないかと言われておるんですね。そうすると、結局、幹線に接続したときに真ん中の車両がスピードが出なければもう対応できないわけで、そういう意味での技術開発をどんどん、やはりプエブロだけではだめなんで、現地、日本の天候、気候というものもあるでしょうし、できるだけスピードを上げてひとつこの開発をしていただきたい。  特に、地方の鉄道というのは大都市圏の鉄道に比べて高速化がおくれているわけでありますし、このままでは本当に、地方が手を挙げてもフル規格はできない、ミニでもこんなにお金がかかる、なかなか対応が難しい。ぜひこの新しいフリーゲージのトレーンを実現してほしい。そういう意味で、大臣、頑張りますという所見をひとつもう一度言ってください。
  38. 二階俊博

    ○二階国務大臣 佐藤委員等の御努力によりまして、秋田新幹線「こまち」が見事な成功をおさめておる今日の状況、さらに、さきにでき上がりました山形新幹線におきましては、御案内のように「つばさ」が山形からさらに新庄まで延ばして、これはお客さんが倍ぐらいにふえておるということを聞くわけであります。この不況と言われる時期におきましても、秋田新幹線、山形新幹線ともに輸送人員が、先ほどお話にありましたとおり一・五倍にふえておるという大変大きな影響、また沿線住民の皆さんに大きな希望を与えておるわけであります。  新幹線にほとんど夢も希望も持ち合わせることができなかった地域に対しまして、このミニ新幹線あるいはフリーゲージトレーンの与えている影響というものは極めて大きいわけでありまして、昨日も幾つかの市町村の議会の皆さんが、フリーゲージトレーンの調査検討を一日も早く推進するとともに、これが現実のものとなるようにということで、議会の決議を持っておいでになりました。  今お話しのように、幹線鉄道等活性化補助制度を最大限に活用して、運輸省としても今日まで積極的に努力をしてまいりましたが、いよいよこれが事業化ということになりますと、もう一つ工夫が要るのではないか。そして、新幹線にはあれだけ莫大な投資が必要なわけでありますが、最少の予算で最大の効果を上げ得るようなフリーゲージトレーンにもう少し積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。  委員初め、皆様の一層の御協力をお願い申し上げる次第であります。
  39. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 ありがとうございました。終わります。
  40. 仲村正治

    仲村委員長 次に、今田保典君。
  41. 今田保典

    ○今田委員 民主党の今田保典でございます。  私の方から、さきにいろいろ審議をされ、成立いたしました交通バリアフリー化問題、さらに今新聞等で問題になっております運輸行政の若干の部分について御質問をさせていただきたい、このように思います。  まず最初に、交通バリアフリー化に関連する問題ですけれども、先日の法案審議においてたびたび指摘のありましたSTS、つまりスペシャル・トランスポート・サービスという名称なんですが、これは、今回の法案には明記されず附帯決議で明記されたわけでありますけれども、運輸大臣も、その重要性については十分認識され、本会議においても、促進方策などの検討を進めるということで御答弁をされました。  ところで、このSTSとは、従来の公共交通機関を利用できない移動制約者に個別的な輸送を提供するサービスということになっております。審議の中でもいろいろ問題になりましたように、それが具体的に何を指すかが明らかに見えてこないというのが現実であります。つまり、その定義を明確にする必要があるのではないか、また、法制度において何らかの位置づけを行う必要があるのかないのかなど、引き続いて課題となっておるわけであります。  さきに大臣が答弁されたように、促進方策というものを積極的に行うということでありますけれども、それは具体的にどのようなお考えなのか。いずれこれから検討する、こういうことでしょうから、イメージでも結構ですので、運輸大臣のお考えをお聞かせいただきたい、このように思います。
  42. 二階俊博

    ○二階国務大臣 今田委員から、バリアフリー化の法案の審議の際におきましても大変御熱心な御質疑もいただきまして、また、いろいろな御指摘をちょうだいしたこと、今後の具体的な運営に当たりまして大いに参考にしてまいりたいと考えておる次第であります。  STSにおきまして、高齢者、身体障害者を個別に、あるいはまたこれに近いような形で輸送するサービスを指しておるというふうに理解をいたしております。具体的には、民間運送事業者による福祉タクシーなどから、地方公共団体が主体となって福祉行政の一環として提供する輸送サービスまで、幅広いサービスを含むものだという認識を持っております。  運輸省としましては、平成十一年度の第二次補正予算におきまして、福祉タクシー車両の購入費の一部を地方公共団体を通じて補助する福祉輸送促進対策事業を行ったところであります。今後とも、民間運送事業者による福祉タクシー等のサービスを充実してまいることが重要だと考えております。  また、関係省庁と相提携しまして、STSの意義等についても地方公共団体の認識をさらに高めるとともに、どのようなサービスをだれの責任とだれの負担によって提供するかというふうな問題につきまして、今後具体的に検討を重ねてまいりたいと考えております。  いろいろな形で、いわゆる福祉タクシー等の工夫が各地でなされております。時間もございませんのでたくさん申し上げるわけにもまいりませんが、例えば、これは帯広の例でございますが、ホームヘルパーの資格を取得したドライバーによる介護サービスをつけておる、いわゆる介護タクシーというものが実際に運行されております。また、旭川の例でありますが、緊急支援システム、同時に買い物の代行、病院の順番取りなどのサービスを提供する救援事業の実施であります。また、一一〇番協力タクシーの実施、これは札幌市の法人五十九社が相協力して、犯罪の被害に遭った人が助けを求めると、タクシー運転者が無線を通じて一一〇番通報するというふうなことも考えて、実際に実行されておるようでありますが、こうした例が私のところに全国から、もう百通りぐらい寄せられております。  これはまだ法律が施行される以前のことでありますが、今度のバリアフリー化の法案が成立して、これが実行に移されるようになってくれば、相当拍車がかかってこうした方面についていろいろな御意見が集約されてくるであろうと思っております。その際、STSの意義等につきましても、十分お互いの認識を高めながら、委員指摘のような趣旨に沿って実行に移されるように運輸省としても努力をしてまいりたいと考えております。     〔委員長退席、石破委員長代理着席〕
  43. 今田保典

    ○今田委員 ありがとうございました。  今大臣にお答えいただいた中で、ボランティア移送の関係のお話がありました。  これについてもいろいろと問題が出ておるようでございまして、いわば障害者や高齢者を対象にした個別的な輸送サービスということで、各ボランティアの方が大変な努力をしておられるわけであります。そういったボランティアの方は、私の知る範囲内ですが、全国で四百近くの団体があるやに聞いておるわけであります。そのボランティア移送サービスの制度的な位置づけが全くなされていないことから、いろいろな不安や問題点を抱えたままサービス提供を行っておるというのが現状でございます。  現在の法律に照らせば、厳密に言えば違法性が強いということでありますけれども、そういったボランティアの方々の大変な努力を見ればある程度は黙認をしなきゃならぬというのが実態のようでございます。しかし、私としては、このボランティア移送サービスの違法性を、先ほど言ったように問題視しているのではございません。ただ、事情や背景がどうあれ、旅客の輸送である限り、まず安全確保が第一であろう、しかも、万が一の場合、補償体制もしっかりしていなきゃならぬというようなことを考えるならば、大変な問題を抱えながら移送サービスを行っているというのが実態ではないのかなというふうに思うわけであります。  一定の資格要件、あるいは事故などの備えの整備、あるいは安心して利用できる、そういったことをきっちり確立するということが必要なんではないかなというように私は思いますけれども、現在ではあいまいなままで放置しているということでありまして、これについて、大臣、どうお思いなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  44. 二階俊博

    ○二階国務大臣 先ほど、タクシー等の例示をいたしましたのは、介護あるいは救援事業等御協力いただいておるわけでありますが、これは、ボランティアというのではなくて、すべて料金をちょうだいする、そういう制度でございますので、当然御理解いただいておると思いますが、念のためつけ加えておきたいと思います。  ボランティアによる移送サービスの位置づけを明確にすべきではないかというお尋ねでございますが、全くそのとおりでございます。  現在、高齢者、身体障害者等の輸送は、民間事業者による福祉タクシーなどから地方公共団体が主体となって福祉行政の一環として提供される輸送サービスまで幅広い取り組みが行われており、ボランティアもその担い手となっているものと認識を持っております。  しかし、委員も御指摘になりましたように、一般に、福祉輸送を含め、他人の需要に応じ有償で自動車を使用して旅客を輸送する事業を行うためには、輸送の安全確保等の要件を満たして、現在は一般旅客自動車運送事業の免許、法改正後においては許可を取得することが必要であります。そのような意味で、これは、誤解を恐れずに申し上げますと、ボランティアと称して営業類似行為を行う者を認めることはできない、これは運輸省の確固たる方針であります。  ボランティア精神に基づき適正に行われるサービスが今後とも一定の役割を果たしていくこと、現在の社会、また今の福祉の、それぞれの地域におきまして現在なされておりますことも我々は認識をいたしておりますが、今委員からも御指摘のありましたとおり、輸送の安全の確保や利用者の保護をどう図っていくか、そして万一の場合の補償問題等を当然念頭に入れてまいらなくてはなりませんので、今後、そうした問題の取り扱いにつきましてしっかりと検討してまいりたいと思っております。
  45. 今田保典

    ○今田委員 ありがとうございました。  それで、いわばこのボランティアの方は、今無償でやっておるわけでありますね。せんだって成立いたしました道路運送法改正の中で、新しく定義が変わりまして、旅客自動車運送事業の定義に有償性を加えるということになったわけですね。それはいいことなんですが、そのことによって、逆に無償であれば規制の対象外になる、こういうことでありまして、ボランティアの方はそういったことでありますが、逆に言えば、例えば旅館の送迎バスあるいは料理屋の送迎バス、それから結婚式場の送迎バス、そういったものがいろいろなところで無償でお客さんを運んでいるという部分があるわけですよね。私から言わせれば、いろいろなやり方で料金はもらっているというふうに思っていますけれども、しかし、表向きは無償でやっている。こういう問題があるわけですよ。いわば法の目が届かなくなるんではないかという心配もいろいろな関係者の皆さんが言われておるんですね。  このことについてどう思われるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  46. 縄野克彦

    縄野政府参考人 今お尋ねの無償で運送する事業につきましては、従来、無償旅客運送事業として必要な規制を講じてまいりました。今回の法律改正では、本当の意味での無償運送事業者の数が極めて少ないこと、それから、輸送の安全について特段の問題を生じているということではないこと、それから逆に、届け出で開始ができるために、有償運送を違法に行う目的で緑色のナンバーを取得する、そういう意図で無償運送事業を届け出る場合があること、そういうことからそれを転換しまして、事業としての規制を廃止することにしたわけでございます。  私どもは、安全そのものにつきましては、無償運送事業につきましての道路運送法上の規制を廃止いたしましても、道路交通法による規制により十分確保されるのではないかというふうに考えております。  それからもう一点、委員お尋ねの、無償であるのか、それとも有償、脱法しているのか、それともいろいろなサービスの中の一つとして実は運送事業の対価も取られているのか、これはいろいろなバリエーションがあると思います。それは、本来の事業の附帯サービスであるのか、それとも本来の事業の中にその対価として実質上取っているのかということにつきまして、有償であるか無償であるかについて個別に判断せざるを得ないものというふうに考えておりますし、そのことにつきましては、今後ともきちんと私どもとして厳正なチェックをするつもりでございます。
  47. 今田保典

    ○今田委員 次に、これまたバリアフリー関係の問題なんですが、私もせんだって関係するものを質問させていただいたわけです。現在、バリアフリー目的のタクシーは非常に少ない、こういうことでありますけれども、この前も申し上げましたけれども、イギリスのロンドンタクシーとかそういったところは、車いすぐるみタクシーに乗れる、こういうことでありますけれども、現在、日本にはそういう車はもちろんないし、それから、車いすをわざわざ畳んで後ろのトランクに載せないと今のタクシー関係はやれないというのが実態なんですね。そうではなくて、やはりわざわざ車いすを畳まなくてもそのまま後ろのトランクに載せられるようなこと、そしてお客様については、当事者については、何とかお客様として通常のいすに座っていただく、こういう方式をとらなければならないのではないか、とりあえずそういうことをしなきゃならぬのではないかというふうに私は思っているのですが、それはそう簡単にはいきません。  いろいろこれまで、タクシー専用車ということで、トヨタのコンフォートとか、あるいは日産関係のクルーもありました。そういったことで今日までやってきたわけですが、そういった先ほど言ったようなことを進めるに当たって、運輸省の指導によって、タクシー業界あるいは関係者あるいは自動車メーカーなどによるバリアフリー化委員会というものを設置して、具体的に検討をすべきではないのかというふうに私は思っているわけですが、これについていかがでしょうか。
  48. 縄野克彦

    縄野政府参考人 先生今御指摘のロンドンタクシーは、おっしゃられますように、もともと天井が高くて車内が広い構造であったという経緯から、車いすのまま乗車することが可能である、そういうことにすることが容易であったわけでございます。  我が国において今用いられておりますタクシー専用車両は、もちろん、乗降の容易性であるとか客室の居住性を高めるために、客室天井が一般の車両に比べて高いというようなことで、仕様の面での配慮は行われておりますし、今お話がございましたように、後部トランクに折り畳み車いすが収容可能ということになっております。この車両が、今、タクシー車両全体二十六万台のうち約十万台、四割弱でございますが、導入されておるところでございます。  タクシーについては、私どもとしましては、障害者の方々などが利用される場合に、いろいろな利用者の方あるいは利用形態によって多様な使われ方があるのかなというふうに思っております。乗務員によって介助等を行うことによりまして、現在の専用車両でも対応が可能な部分も相当あるものというふうに考えられます。  委員指摘の、車いすを折り畳まないで収容できるような車両を開発することは、十分に検討に値するものというふうに思っておりますが、留意すべき点は、その汎用性、コスト、特に今の専用車両の検討は、先ほどお尋ねのように、関係者によって意見を出し合って検討したものでございますが、導入台数を広く期待しようとしますと、車両価格をできるだけ安くする、それは、できるだけ現在の普通の車両との部品等の互換性、共通性を広くとる、一方で障害者の方も乗りやすいようにする、そういう相反する要素を悩みながら現在の専用車両というものについて結論を出したわけでございます。  さらに、車いすの持ち込み等について、より便利なタクシーの開発につきまして、引き続き、タクシー事業者の方々あるいはメーカーの方々の御意向も聞いて、私どもが中心となって必要に応じて検討してまいりたいというふうに思っております。
  49. 今田保典

    ○今田委員 ありがとうございました。  次に、交通渋滞対策の関係で申し上げたいのですが、これまでいろいろ運輸行政の問題点ということでこれらについて対策をやってきたわけでありますけれども、現実にはなかなか解決していないというようなことであります。  渋滞によって、時間のむだ、それからエネルギーの損失、それから環境面の破壊、あるいは交通事故の誘発というようなことで、いろいろ言われておるわけでありますけれども、交通渋滞というのは、交通事故等予想もしない出来事が起きて渋滞をするというのはまれなわけでありまして、常に渋滞しているというのが現実なわけであります。  したがって、交通渋滞が起きている箇所についても限定されるわけでございますので、これに対して運輸省ではいろいろ今日まで努力されてきたことについては私なりに評価をしたいと思いますけれども、ただ、その効果が一向に見えないということで、非常に残念でなりません。  この目に見える改善というものをどうこれからやっていくのかという問題でありますけれども、何か施策があれば、大臣の御答弁をお願い申し上げたいと思います。     〔石破委員長代理退席、委員長着席〕
  50. 二階俊博

    ○二階国務大臣 大都市を中心とする走行速度の低下による時間的なロスや、交通事故の増加とともに、窒素酸化物や二酸化炭素等の大量排出により、都市の環境及び地球環境の悪化の大きな原因となっていることを考えますと、何としても交通渋滞の解消に努めてまいらなくてはならない。思いは委員と同じでございます。  特に、交通渋滞の解消に向けて、建設省を中心にしてあらゆる努力が尽くされておるわけでありますが、交通渋滞解消の効果を上回る自動車の増加等によって、道路を整備すれば整備するほど交通渋滞がさらに大きくなるというふうな、追いかけっこのような状態になっておるのも現実であります。  運輸省としましては、自家用車から公共交通機関への利用転換を促進することが重要であるとの認識のもとに、従来より、都市鉄道の整備、駅のバリアフリー化などによる利便性向上対策等に取り組んでまいりました。また、関係省庁と連携して、バス専用レーンの設置、鉄道の連続立体交差化等を推進しているところであります。  しかしながら、自家用車の利用は一貫して増加傾向にあり、交通渋滞の改善はなかなか困難な状況にあることも事実であります。  来年新たに発足いたします国土交通省は、鉄道、道路、自動車に関する行政を一体的に所管するものであり、交通渋滞の改善について、効果が目に見えるように重点的に取り組んでまいることが、新しく編成されます国土交通省にとりまして極めて重要な課題だと認識をいたしております。  例えば、自動車の効率的な利用や使用の抑制を進めるとともに、公共交通の利用を促進することなどにより、交通行動の変更を促して道路混雑の緩和を図る、いわゆる交通需要マネジメントも有効な一案であると考えておりまして、これらを含め、具体的な施策の検討に、将来の国土交通省を念頭にして、今から建設省や運輸省が相協力してさらに取り組んでまいりたいと考えております。
  51. 今田保典

    ○今田委員 ありがとうございました。  それで、交通渋滞は全国的にいろいろ問題になっているわけですけれども、とりわけ東京都の渋滞は深刻でございます。  そこで、東京都がロードプライシングというものを実施したいということで発表がありました。何らかの総量規制を考えるべきであり、その手始めとして、二、三の都市を選定し、試しに行ってみるべきだというふうに私はかねがね思っておったわけでありますけれども、この東京都のロードプライシングについて大きな関心を私自身は持っているわけですけれども、この件について運輸省はどういう対応をされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  52. 羽生次郎

    羽生政府参考人 お答えいたします。  先生が今御指摘になったロードプライシングでございますが、東京都が二月に交通需要マネジメント東京行動プランというものを作成いたしまして、いろいろな施策を体系的に明らかにし、その中の一つとして、自動車交通量を抑制して環境負荷の軽減及び交通混雑の緩和を図るために、経済的誘導策で都心部等に乗り入れる自動車から料金を徴収する制度の導入を推進するというものがロードプライシングだと理解しております。  そして、この交通需要マネジメント東京行動プランの作成に当たりましては、運輸省も関係省庁とともにメンバーとなって検討に参加しておりまして、その中でいろいろ御意見も申し上げたところでございまして、それをもとにこのプランが出ていると考えております。  私どもも、今の東京の交通渋滞の深刻さから見れば、このロードプライシングが経済的な政策として効果を持つ、導入することが可能になっている段階ではないかと考えております。ただ、御承知のように、流入を規制するわけでございますから、これによって生じた需要というものは他へ行かなければならない。例えば公共交通機関に転移するとか、あるいはバイパス道路ができて東京外のところへ行くとか、そういったことがこの政策を導入する際の一つの前提となるものではないかと考えております。  私どもといたしましては、そのほかにも、この具体化に際しましては、まず国民あるいは地域住民の御理解を得るようなことが必要であるということ、それからもう一つ、どうやって料金を徴収するのかといった問題点、これは高速道路であれば簡単でございますけれども、一般道路でやるとなかなか難しいといった問題がございます。ただ、こういった問題、難しいからということではなくて、これを解決する方向で東京都などと一緒になってこれから考えてまいりたい、かように考えております。
  53. 今田保典

    ○今田委員 どうもありがとうございました。  次に、同じく東京都の石原知事東京都内にディーゼル車両の乗り入れ禁止という発言をして、いろいろ世間の話題に上っております。環境面から見ればそういったことも非常に大事なんだということを私は理解しますけれども、いわゆる黒煙等を取り除くにはフィルターをつけなきゃならぬというようなことで、これまたバスでいえば二百万円するそうですね。それから、トラックでいえば三百万円近くするのではないかというふうに言われているんですね。  そうしますと、トラック業界は悲鳴を上げざるを得ないというようなこと、さらに、そういったことを強力に進めるということになれば、いわゆる自動車メーカーで開発に大変なコストがかかる。この点について真剣に取り上げていただけるのかということも言われております。  それから、そういったことにトラック業界がなかなか対応できないということであれば、都内に乗り入れはやめようということになった場合に、現在の東京都民の生活というものが本当に維持できるのかという問題があるわけですね。トラックというのは、何もドライブするわけではなくて、物を運んでいるわけですから、そういった点があるわけであります。  そういった総合的な観点に立ったディーゼル車の対策というものを考えていく必要があるのではないかというようなことを言わざるを得ないわけであります。  きょうの新聞にもちょっと出ておったのですが、自民党さんでディーゼル排気ガスの規制の二年前倒しというようなことで中間報告があったようですけれども、いずれにしろ、いろいろなところでこれから議論されるんだろうというふうに思います。ただ、その場合は、一企業、一業者にすべての負担をかけるというようなことがあってはならないというふうに私は思うんです。国を挙げてやるのだとすれば、それなりに財政面での対策というものも必要なのではないかというふうに思います。その点を最後に御質問して終わりたいと思いますので、運輸省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  54. 縄野克彦

    縄野政府参考人 御指摘東京都のディーゼル車対策についての提案は、ディーゼル車について一層の環境対策を進めなければならない、そういう必要性を指摘しているものというふうに理解をしております。  私どもとしましては、東京都の提案しておりますディーゼル微粒子除去装置、いわゆるDPFのようなものにつきまして、その効果あるいは耐久性、それから先ほどおっしゃられました価格、それから微粒子は減ってもNOxはどうなるのか、そういうような技術的な評価を学識経験者あるいは東京都も入ってもらって関係省庁とともに議論を進めているところでございます。  これにつきまして、早急に見きわめをつけまして、私どもとしましてはその結果を受けまして、今申し上げましたような、今走っているトラックに、車に除去装置をつけること、それから最新規制車に買いかえてもらうこと、そのほかに、こういう単体の対策だけではなくて、道路整備、物流機能の配置、それからそれらに対する全般的な支援方策、そういうものについて総合的な対策をまとめて進めてまいりたいというふうに思っております。  その際、特にユーザーであります、特にその中で大半を占めますトラック事業者の負担、それから結果としての物流コストへの影響、それはひいては国民生活への影響ということになりますので、それを十分に見きわめて、現実的に可能な、しかも効果のある対策を決定してまいりたいというふうに思っております。
  55. 今田保典

    ○今田委員 どうもありがとうございました。終わります。
  56. 仲村正治

    仲村委員長 次に、石田幸四郎君。
  57. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 石田でございます。  私は、現職議員として最後の質問になるかと思いますが、よろしくお願いを申し上げます。私は、きょうはリニアモーターカー関係について質疑をいたしたい、こんなふうに思っておるわけでございます。  このリニアモーターカーの研究開発開始というのが一九六二年でございますので、かれこれもう三十八年経過している勘定になります。その間、宮崎におきます実験、さらにまた山梨におきます実験センターの発足等がございまして、特に顕著なのは、昨年、五百五十二キロの有人走行に成功したということが発表になっているわけでございます。  こういう三十八年間の経過をいろいろと考えてみまして、もうそろそろこのリニアを走行させることができるような現実味を持った最終段階、技術の研究の上においても、あるいはまたさまざまな経費の上においても、最終的に集約をして、実験ではなくて現実にこれが走行できますよという結論が出るような時期に来ているのではないか、こう私は思うのでございますけれども、実用化への見通しはどうなっているのか、この点についてまずお伺いをいたしたいと存じます。
  58. 二階俊博

    ○二階国務大臣 石田委員からも今お話がございましたが、けさほどの新聞でも、石田委員が今期を限りに政界を引退されるということ、大変私どもにとりまして驚きとともに残念な思いでございます。かつて公明党の委員長として、また細川、羽田、両内閣におきまして総務庁長官に御就任され、規制緩和、行政改革等、大きな足跡を残されました。その石田委員から、これが現職議員としての最後の質問だということを今言われまして、私も肝に銘じてこの石田先生の御意見を今後リニアモーターカーの発展につなげていきたい、そういう決意を込めてお答えをさせていただきたいと思います。  まず、リニアモーターカーにつきましては、平成九年四月から山梨リニア実験線におきまして本格的な走行実験を開始してまいりましたことは、先ほど御紹介のあったとおりでございます。平成十一年四月の走行試験におきまして有人による最高速度五百五十二キロを達成しまして、また、平成十一年の十一月には相対速度一千三キロの高速すれ違い走行を行うなど、実用化に向け着実な成果を上げておりますことは、石田委員も御承知のとおりでございます。また、このいずれもの記録は世界最高でございます。一日大体八百五十キロぐらいの走行試験を行っておりまして、今日まで八万一千キロ走っておりますが、この間、超電導磁石のトラブルというものは全くなかったということが、世界に誇れる大きな日本の技術だと評価をいたしておるところであります。  平成十二年三月九日の実用技術評価委員会、専門家に検討をしていただいたわけでありますが、平成九年度からの三年間の走行試験等の実用技術評価は、長期耐久性、経済性の一部を引き続き検討課題とするという評価でありますが、超高速大量輸送システムとしての実用化に向けた技術上のめどは立ったものと考えられるとの結論を得ておるところでございます。  ただいま石田委員から、もうそろそろではないかということでございますが、技術的にはほぼそういう状況に達しつつあるということを、私どもも大変力強く思っております。したがいまして、今後、残された課題をさらに着実に解決していく努力が重要でありますが、十二年以降もおおむね五年間ぐらいかけまして、山梨実験線の先行区間であります十八・四キロを活用して走行試験を継続することにいたしておるわけであります。  これらリニアの技術開発につきましては、現在、御承知のとおりJR東海あるいは鉄道総研が中心になり、さらに地元の山梨県におきまして大変大きな協力を得ておるわけでありますが、国としましても、鉄道技術開発費補助金などを活用いたしまして、実用化に向け、関係者と連携をとりながら積極的な支援をしてまいる決意でございます。  先般、私中国に参りました際に、中国の鉄道関係者の皆さんから日本のリニアに対する大変高い評価がございまして、一時中国でも、新幹線方式にするかリニア方式にするか、随分検討をなされたようでございます。また、加えて、ドイツなどはリニアを既に断念したわけでございますが、その技術を何とか中国及びそうした需要を持っておる国々に対して売り込む、セールスを熱心にやっておるというようなことにも直面をいたしました。日本に諸外国の方々がおいでになる場合には、新幹線にお乗りいただくことは当然でありますが、また、必要に応じてリニアにも乗っていただいておりますので、我が国のリニアの実験の成果が各国から大変高く評価されておるところであります。  せっかくここまで築き上げてまいりました、また、石田委員等の大変な御努力をいただきまして三十数年にわたって蓄積してまいりましたこのリニアの技術を、何としても国民の利益につながるような、国民の福祉向上につながるような方向で活用してまいりたい、そういう考えを持っておる次第であります。
  59. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 冒頭、大変懇切丁寧なごあいさつをちょうだいしまして、恐縮に存じます。  このリニアモーターカーの問題については、これが実用化されるということになりますれば、他の技術に対する応用面も非常に広いと言われておるわけでございます。電力業界は言うに及ばず、海上輸送の問題、あるいはまた医療技術の問題等にも波及し得るということも聞いておるわけであります。あるいはまた、一部もうエレベーターなどにもこの技術が応用されているというような話も報告を受けているわけでございますが、いずれにしても、そういうような大変広範な問題に対する技術的な影響力を与えるリニアであるだけに、政府としても、ぜひこれは全力投球で取り組んでいただきたいというふうに思っているわけです。  ところが、このリニアモーターカー構想、あるいはリニア新幹線という名称ですか、これは国の政策の中では位置づけというものが明確でないのではないかというふうに思わざるを得ない。どこかに文献があるのですか、根拠があるのですかというふうに聞いてみても、余り定かでないんですね。国土全体の開発計画の中にはちらっとその文言があるのだけれどもという程度のお話しか、今のところちょうだいをいたしていないわけなんです。  やはりこのリニアモーターカー、特に中央リニアを将来の交通機関として採用するという方向が明確に政府の方針として打ち出されてしかるべきではないのかな、こんなふうに私は思っておるのですが、いかがでございましょうか。
  60. 二階俊博

    ○二階国務大臣 御指摘のとおり、リニアモーターカーの技術開発は、まさに科学技術創造立国という我が国が目標とする国家的な理念にふさわしい、我が国がまさに世界に誇り得る二十一世紀の革新的な高速鉄道システムだと考えております。現在、山梨リニア実験線におきまして実用化に向けて精力的な技術開発を行っているところであります。国としても、鉄道技術開発費補助金の活用を図っておりますが、これを今後さらに積極的に推進してまいりたいと考えております。  御指摘の中央リニアの整備につきましては、解決すべき課題はまだまだございますが、国としては、今後もその整備に向けて、新たにさまざまな角度から検討を進める必要があると考えております。まず、その整備による経済波及効果、あるいは大深度地下利用等についても調査を行っているところであります。  いずれにしましても、日本独自の科学技術でありますリニア技術を実際の交通機関として実用化していくことは、二十一世紀の我が国の国土、経済、社会を一転させるものだ、早く言えば、はかり知れない効果があるものというふうに確信をいたしております。このような観点から、今後、私としても最大限の努力を払っていきたいと考えておる次第であります。  また、今日まで技術者の皆さんが本当に熱心にこの問題に取り組んでまいりました。現場に私も先ごろ行ってまいりましたが、技術関係の皆さん意見を聞いておりますと、本当に自信に満ち満ちております。問題点はかなり解決、解消されたということでありますから、御指摘にありましたように、今後どのような方式をもって我が国の国家プロジェクトとして採用していくか、あるいは、どの地域を走らせることが国益として十分かなうことであるかというふうな角度からの新たな検討が必要な段階に至っておると思っております。  JR東海が当面熱心にこれに取り組んでいただいておるわけですが、一JRの会社にすべてをお任せすることでこのリニアが成功するのかどうかというふうな点もあわせて検討して、過重な負担を一社にかけておくというだけではなくて、これは国として対応していかなくてはならない大きな課題だというふうに私は考えております。
  61. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 さらに、私は、リニアモーターカーを活用した交通機関というもの、その必要性が現実味を帯びているというふうに思うわけでございます。  私は、特別委員会の方は国会等の移転に関する特別委員会に所属をしております。ことしから私はこの委員会に所属をすることになったのでございますけれども、その中でいろいろ調査をしてみますと、平成四年に国会等の移転先について審議会の検討がずっと行われておりまして、そして、去年の暮れに、総理に対して諮問の結果をいわゆる答申していらっしゃるわけですね。  これは、北の方があり西の方がありというようなことでございますが、仮に北の方を考えてみても、東京から現在の新幹線で仙台あたりまで三百五十キロぐらい、あるいは西の方は同じく東京—名古屋間が約三百五十キロというような状態になります。  いずれにしても、首都をどこかへ移すとしまして、東京という大都市との関連というものは、経済あるいはそういう政界との関係等を考えてみますと、非常に頻繁に交流されるであろうというふうに思います。あるいは、新しい首都機能を持った都市の一つの構想というのは、五十六万都市というような構想が出ているわけでございますが、将来はかなりの大都市という想定をしていらっしゃる。そうすると、ますます東京との関連というものが必要になってまいりまして、どちらの方へ行くにしましても新しい交通アクセスというものが絶対に必要だという時代になっていくであろう。しかも、移転先の討議というのは、東京との比較考証という問題がなお私は残っているように思います。  しかし、もう既に場所は二カ所ないし三カ所に選定されておるわけでございますので、いつまでも議論をして先延ばししていくわけにはいかないわけでございまして、審議状態を考えてみますと、私個人の意見ではありますけれども、二年後には場所の選定は行わざるを得ない、またそこまでいけるだろう、こういうふうに思うわけでございます。それから十年かけて新しい都市を建設していくわけでございますが、いろいろな建築構築物の年数等も考えてみますと、少なくとも決定してから三年、四年の間にはある程度もう稼働できるような都市の形成が行われていなきゃならない。  ということになりますれば、交通アクセスもその時期には大体整備される、あるいは着工されて使用へのめどが出てくるような状態でなければ、新しい都市というのは、首都機能というのは機能しないわけでございます。そう考えてみますと、そう遠い将来のことではない。やはり、ここ五、六年先には完全なめどをつけて、十年先には大体もう走行できるぐらいの取り組みをしなきゃならないということを私は強く感じておるわけなのでございますが、私の一つの所感にすぎませんけれども、ここら辺の御意見がありましたら、お伺いをいたしたいのです。
  62. 二階俊博

    ○二階国務大臣 首都移転の候補地につきましてだんだんと絞られてきておるようでありますが、私も当初の段階でこの委員会理事などを務めさせていただきました。そういう経験から大変興味と関心を抱いているわけでございます。  やがて、今石田委員指摘のとおり、ほどなくこの移転先を決定しなくてはならない。その新しい首都が決定された場合において、東京と新しい首都を結ぶ交通アクセス手段につきましては、都市間の輸送需要、既存のアクセス手段の有無、手段があるかないかということの検討、また環境への配慮など、さまざまな観点から検討が行われ、そしてその新しい首都が選ばれていくわけであります。私は、今石田委員が御指摘になっておられるように、リニアが実用化された場合には、その高速性、大量輸送機関としての特性からして、中長距離の都市間交通機関としても大きな役割を果たすことが期待できるものと考えておりまして、全くこの点におきまして石田委員意見を同じくするものであります。  東京都と新しい首都を結ぶ交通アクセスの手段としてリニアは極めて有効な選択肢の一つとなるものと考えておりますので、我々も、こうしたことも念頭に入れてリニアの早期開発、完成に向けて一層努力を傾けてまいりたいと思っております。
  63. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 ありがとうございました。  私の質問は、これで終わらせていただきます。
  64. 仲村正治

    仲村委員長 次に、赤羽一嘉君。
  65. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 赤羽でございます。  関連で、時間内、一、二点質問させていただきたいと思います。  まず、先日、タクシーに関する需給調整の規制緩和の法案が当委員会、また衆議院で通過をしたわけでございますが、いよいよタクシー業界の中でも新たな競争原理が起こっていく、その中で今以上に利便性が高まることが期待されるわけでございます。  鉄道駅の駅前によくタクシー乗り場というのがあるわけですけれども、そこで駅待ちができるタクシー、できないタクシー、JRでいえばJR各社と各タクシー業者との話し合いというか契約になっているというふうに伺います。幾つか、なかなかそこに入れないのでというような御相談もされますが、それは民間対民間の話し合いだからというようなことになるわけです。  今回の法案が成立をし競争原理が導入される一方で、ある意味では、駅前広場というのは、恐らくJRの土地の構内だけではないと思うんですね。いわゆる一般道というか、道路保有者のところの乗り場においても、ある意味では鉄道事業者が仕切っていて、自由に乗り入れができない、こういうような現状があることについては若干問題があるんではないか。今回の需給調整期制の緩和という意味からは、少しひっかかってくるというか、その精神とちょっと反するのではないかというふうに思いますが、この点については運輸省としてどうお考えなのか、局長、よろしくお願いします。
  66. 縄野克彦

    縄野政府参考人 御指摘の、タクシーの駅への入構でございますけれども、基本的に、タクシー事業者が駅構内の管理者である鉄道事業者、JRと契約を結ぶことによりまして、タクシーの入構いうものが実施されております。いわば他の売店とかそういうものと同じように、JRが管理をする駅構内の管理権の行使、構内営業権の一つという形で取り扱われております。言いかえれば、駅構内への入構を認めるかどうかは、契約によりましてタクシー事業者とJRが決定をするというシステムになっております。  このことは、一方で、駅の利用者にとって、タクシーが安定的に配車をされて、利用が確実になる、利用する車が一定の台数あるということもあります。  ただ、御指摘のように、競争条件として不平等ではないかというような問題、それから、かつてタクシーが全体的に供給不足であったような時代に、構内営業権によって絞られることによって、お客さんが利用する時間帯にタクシーがいないというような事態が発生しましたときに、お客さんの利便を損なうという問題もございます。  今申し上げました事例では、私どもとしましては、鉄道事業者、JRに対しまして、構内営業権のないタクシー事業者も、例えば深夜開放するようにというようなことを要請したことがございます。  私どもとしましても、委員指摘の新しいタクシーの事業規制の中で、お客さんの利便が図られるように、取り扱いその他につきまして、必要な要請をJRにしてまいりたいというふうに考えております。
  67. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今回の法案が成立したということを契機として、駅に対する乗りつけについて、運輸省としてもぜひ御検討していただければなというふうに思います。  構内営業権ということの中に入れていいものなのだろうか、私個人としては、駅構内のキヨスクですとかなんですとか、そういう物品の販売店というとそれはまさに構内営業権になるのだと思いますが、駅の前は、JRとか鉄道に乗ってきたお客さんばかりではないというふうに思うのですね。タクシーに乗るためにわざわざ駅のタクシー乗り場に来る方たちもいるわけですから、その辺はぜひ御検討いただきたいというふうに思います。  もう一点、きょうも短時間なんですが、観光業について、二階運輸大臣も最も力を入れられてきているところだと思いますので、大臣の御見解を聞かせていただきたい、質問というよりも、そういうことなんです。  私は、かねてより、この委員会でも申し上げましたが、観光業というのは国を挙げてやるべきだ、国策として観光業を支援していくことが大事なんだというふうに思っておるわけでございます。  その中で、政府登録ホテル、旅館に対する税制優遇措置というものが、国際観光ホテル整備法第三十二条、または地方税法の第六条に基づいて、不均一課税が許されている、こういう制度がございます。  しかし、実態として、それを実施している市町村もあれば、それは当然各市町村の財政状況等々で、国がとやかく言う筋のものではないと思いますが、例えば、私の地元であります有馬温泉については、この軽減措置を受けられていない地域になっております。震災後、一軒で十数億の震災の大変な被害を受けて、かつこの固定資産税の優遇の特例措置も受けられないということで、そのことが旅館の費用にはね返り、結局は外国のお客さんの誘致の一番のネックとなる日本のコスト高ということにつながっている、こういう構造があると私は思います。  ですから、せっかくこういった制度がありながら、それぞれの市町村の財政の事情の中で実施されていないというのはいかにももったいない、固定資産税が若干減ったとしても、それに伴ってお客さんが来る、そのことにより税収がふえるという考えもあるのではないか。  そういうことを、国として、市に何とか言うというような話ではないと思いますが、こういったことを一つの例といたしまして、私は、運輸省として、ウエルカムプラン21、訪日の観光客を倍増させるんだという計画の中で、国を挙げて取り組まれているというふうに思っておりますので、この件について、若干の大臣の御感想を聞かせていただきながら、大臣として、このウエルカムプラン21の実現に向けて、ぜひ御意見を披瀝していただきたいというふうに思います。
  68. 二階俊博

    ○二階国務大臣 国際観光ホテル整備法に基づいて、登録ホテル等についての地方税の軽減が図られているということ、国際観光振興という意味から、幅広くこうした制度をさらに大きく広げていくといいますか、対応を図っていかなくてはならないと基本的には考えてございます。  観光は、御承知のとおり、二十一世紀においてのまさに中核的な基幹産業となり得るものだという認識を私は基本的に持っております。地域経済の再生を図る観点からも、大都市におきましても、過疎地におきましても、これらのことに対しての対応は可能なわけでありますが、特に、赤羽委員のお地元のような地域は、国際観光の振興を念頭に置いた観光の振興が期待できるわけでありまして、地域の関係者が主体的にいつも熱心に取り組んでいただいていることに感謝をするわけであります。  先般も、関西を一くくりにしまして、関西の観光振興フォーラムというのを大阪で開催させていただきましたが、兵庫県知事もおいでになりまして、大変熱心な御意見を開陳していただいております。  各地域におきまして、観光考える百人委員会というふうなものを、一つの県ではなくて、それぞれ九州なら九州、北海道なら北海道、東北なら東北というふうな府県の壁を超えたかなり大きなエリアで対応いたしておりますが、いずれの会議におきましても、各県知事みずから御出席になられて、それぞれの県の振興策等に熱い思いを常に表明していただいております。  私としても、このことを大変心強く思っておる次第でありますが、こうした地域皆さんと相協力しながら、今御質問の観光ホテル整備法に基づく市町村の固定資産税の軽減措置等につきましても、実施している市町村は全体の四割程度にとどまっておりますが、国際観光振興を通じた地域の振興を図る観点から、今後、市町村に同じような制度が一層活用されることを期待いたしておる次第であります。  国としても、現在、運輸省では、先ほどお述べになりましたような訪日外国人観光客倍増を目指して訪日促進のキャンペーンや、次世代観光情報基盤整備事業など、各種の取り組みを講じているところであります。  今後、二〇〇一年にソウルと大阪で開催されます世界観光機関、これは御承知のようにスペインのマドリードに本部があるわけでありますが、唯一の支部といいますか、出張所が大阪にございます。これは世界でただ一カ所でございます。百三十一カ国が加盟しております観光の国連のようなものでございます。この総会に、二千人を超える観光の権威者が集まるわけでありますから、この会合を私は大変重要視いたしております。  二〇〇二年にはワールドカップサッカーが開催されるわけでありまして、これはもう日本観光の魅力を宣伝する絶好の機会だと思っております。来訪者の六割を占める中国、韓国などのアジアの近隣諸国を中心とした海外宣伝活動を進めるなど、二十一世紀に観光立国としての日本の地位を確立してまいりたいと思っております。  特に、ワールドカップサッカーのテレビ放映では、約四百億人の皆さんに、日本あるいは韓国の国民生活及び観光等の地域がテレビを通じて紹介をされるわけであります。大変大きな期待を込めて、この後にどういうふうな観光振興の展開を図るかということを今から考えておかなくてはならないと思っております。  いかんせん、我が国におきまして、観光の地位はまだまだ低うございます。また、予算におきましても、シンガポールのような国でも年間百億程度の観光振興の予算を政府として組んでおるわけでありますが、私たちはまだはるかに及ばない、そういう状況であります。  一日にして何をなすということはできませんが、できるだけ多くの皆さんの御協力を得ながら、観光というものを、政策の面におきましても、あるいは国のあらゆる機関におきましても、もっと重要視していけるような体制をつくっていく、そのための体制を今一歩一歩組んでおる、こういう状況でございます。
  69. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 御高見、本当にありがとうございました。観光大臣として、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。  以上で終わります。
  70. 仲村正治

    仲村委員長 次に、平賀高成君。
  71. 平賀高成

    平賀委員 日本共産党の平賀高成です。  私は、静岡空港の問題について質問をいたします。  二階運輸大臣は、昨年十一月の当委員会におきます私への答弁でも、それから就任早々静岡に行きまして記者会見をやりまして、そのときにも言われておりましたが、静岡空港首都圏第三空港の補完の役割を果たす空港だ、こういうことをこの間言われてきました。  第七次の空港整備計画の審議の中でも、首都圏第三空港については言及されているわけなんですが、しかし、第三種空港である静岡空港に対して、首都圏第三空港が完成するまでの間の補完空港などと大臣が言っているような位置づけがどこにあるのでしょうかということを最初に聞きたいと思います。
  72. 二階俊博

    ○二階国務大臣 運輸大臣に就任しまして、観光あるいはまた空港、そうした問題につきまして、さまざまな場所でいろいろな御質問をちょうだいしてまいりました。私は、現在の羽田空港成田空港活用して、十分な首都圏航空需要に対応してまいりたいと思っておりますが、いかんせん、それでは各国からの需要に応じ切ることはできない状況になっております。  既に、成田空港が手いっぱいのときには、現に福島空港に着陸をしておるわけであります。したがいまして、福島空港の交通事情と静岡県の今度できるであろう空港の交通事情を考えますと、当然、静岡県もそういう役割を果たし得る空港であるという将来の見通しを語っておるわけであります。
  73. 平賀高成

    平賀委員 いろいろ言われましたけれども、私が聞いた第七次空港整備の審議の中で補完空港だという位置づけであるかどうかについては、明確に一言も答弁がありませんでした。  それで、私は、静岡で記者会見をやって、第三空港の補完空港の役割をいろいろお話をされるというふうなことは、これは静岡の空港需要予測が非常に少ないことをある意味では明らかにしているというふうに思わざるを得ないわけです。  なぜ私がこの問題を聞くのかといいますと、首都圏第三空港の補完を担うという運輸大臣の発言が、あたかも静岡空港の新たな需要をふやすかのような理解を広げているわけです。それで、静岡空港の必要性と果たすべき役割の中で、首都圏空港整備の補完機能として、県当局もそのことに必要性の一つを求めているわけです。  しかし、静岡空港は、首都圏の第三空港ができるまでの補完空港だというふうな位置づけでつくられるものではありませんし、これは空港整備法で明らかなように、静岡空港の位置づけというのはあくまでも第三種の地方空港でありまして、そして地方的な航空運送を確保するための空港だということは私ははっきりしていると思うわけです。  それで、今静岡県では、首都圏第三空港の補完を担うという問題がひとり歩きをしておりまして、そして、新しくつくろうとしている空港の地下に新幹線の新駅をつくるということまで、今いろいろいろ動きが出てきているわけです。  私は、本当にこれが実現可能な問題なのかということをJR東海に聞いてみました。そうしましたら、JR東海から文書で回答がありましたが、その文書の中には、   東海道新幹線は現在設備能力の限界まで列車を設定しておりますが、混雑は依然厳しい状況であり、当面は列車増発可能な時間帯を中心に如何にして輸送力の増強を図るかが、最大の課題となっております。   このような高密度の列車運行の中で、新たに駅を設置することは、列車の到達時分の延伸や設定できる列車本数の減など、列車ダイヤ構成上多くの問題を生じさせ、結果的に量、質ともに全体の輸送力が落ちることになるため、短中期的な期間での実現は難しいこととなります。 JRからこういう文書による回答がありました。  大臣は、地下に新幹線の新駅をつくる、このことについて、JRがこういうふうに、難しいんだ、困難だと言っていることを知っているんでしょうか。
  74. 二階俊博

    ○二階国務大臣 まず、静岡空港の問題につきまして、いろいろ一方的にお話がありましたので、私の方からもお答え、説明をしておきたいと思います。  現在空港のない静岡県、国内の遠隔地への移動は、現状においても七十万人程度の方々が羽田空港利用している状況にあることは事実であります。そして、今日、仮に空港が完成しておると仮定をいたしますと、百万人程度の航空需要があるであろうということが言われております。さらに、平成十五年、空港完成時には、百七十八万人の空港利用者があるだろうということが推定されるわけであります。  静岡空港は、御承知のとおり、第六次及び第七次空港整備計画において、首都圏外縁部の空港空白地帯に計画されたところであります。現在、運輸省としましては、首都圏空港について総合的な調査を鋭意進めているところでありますが、首都圏空港整備されるまで相当の年数を要することは事実であります。静岡空港整備されれば、それまでの間の羽田空港の負担を軽減する、そういう意味では活用できるのではないかというふうに考えておる次第であります。  したがいまして、静岡空港のみならず、福島の空港、さらには当委員会でも御意見のありました新潟の空港等、首都圏空港の補完という観点から、今後も必要なものだと考えているところであります。  なお、新幹線の問題についてお答えをいたします。  静岡空港への新幹線新駅設置については、基本的には、JR東海が、東海道新幹線のダイヤの状況建設費、収支採算性等を考慮しながら、自主的に決定することが重要であります。現在のところ、JR東海が、東海道新幹線のダイヤの状況からして新幹線新駅の設置が難しいというただいまのお手紙のお返事があったようでありますが、そういう認識を持っていることは承知をいたしております。  現在、地元におきまして、複数ある新幹線新駅の候補地を一本化するために、いろいろと調整を続けておるというふうに聞いております。まずは、関係者間で案件の成熟性を高めるなど、地元におきまして駅整備の環境づくりに努力することを期待しておる、こういう状況であります。  当然、静岡に新しい空港ができるということになりますと、富士山を控え、国際会議等コンベンションシティーとしての役割も大いに期待されるでありましょうから、新幹線を含めた交通アクセスということに対して言及し、またこのことに対しそれぞれお地元検討されることは当然のことだと思っております。
  75. 平賀高成

    平賀委員 いろいろ言われましたけれども、静岡空港首都圏第三空港の補完空港だという位置づけは、第七次空整の中でもはっきりさせていないわけですね。そういう言及はありません。  それから、静岡空港の問題について言いましても、これは需要見通しがくるくる変わってきているのですね。八七年の説明では四百万から五百万だ、それが九六年では、今お話しになったように、年間百七十八万、そういう需要がある、それから最近では百十四万から百三十万、いよいよ最近では百万あればいいんだ。そもそも需要があるからこそ空港をつくるのであって、今の静岡空港状況というのはくるくる需要見通しが変わっていく、そういう点では非常に見通しそのものが不安定な状況にあると思いますね。  それで、新幹線の新駅の問題について言いましても、一貫してJRは、これは困難だということを言っているわけです。それで、最近の新聞でも、これは朝日の四月二十一日付で、JR東海の総合企画本部東京企画部の松野篤二さん、担当部長は、ダイヤ上の問題から新駅の建設は不可能、県にも何度も説明して理解してもらっているはずなのに、なぜいまだに候補地をめぐる論争が起きているのかわからないと話しているわけですよ。  私は、JRが不可能だと言っているものをやらせるわけにはいかないと思うのですね。そういうことは私は自明のことだと思うのですが、その点で大臣、不可能だと言っているのをやらせるのですか。
  76. 二階俊博

    ○二階国務大臣 静岡空港建設される場合に、当然アクセスを考えなくてはならない。そのアクセスの一つとして新幹線を想定し、空港の最寄りのところに新幹線駅をということで、県を初め関係者の皆さんが御議論をされておるということは承知をいたしておりますが、運輸省が何か命令をしてそこに新幹線の駅を設置するとかなんとかということは全くありません。地方空港でありますから、静岡県を中心としたお考えがまとまれば、それに対して運輸省は協力をしていく、こういう方向であります。  なお、くるくる目標が変わるということを言われておりますが、静岡県と海外諸国との人口や経済力を比較しましても、静岡県は三百七十五万人、ちょうど同じようなところがニュージーランドであります。ニュージーランドの国内の総生産は年間、御承知のとおり七兆二千億円、そして静岡県は十四兆七千億円あるわけでありますから、ニュージーランドに比べて倍の力を持っておるわけであります。  したがいまして、それだけの地域でありますから、今日まで空港が設置されていないということのために羽田に関係者がみんな出てきておるわけでありますから、空港が今後必要だということで県を中心に関係者が御努力をされておるということを承知して、その方向に向かって運輸省が適時指導し協力をしておるということであって、運輸省が何もJR東海に駅をつくれなどと言うつもりもありませんし、そういうことを運輸省が述べる立場でもないことは当然のことであります。
  77. 平賀高成

    平賀委員 当然、JRができないと言っているものを運輸省がやらせることはできないことは自明のことだと思います。  次に、設置許可の問題で聞きたいと思いますが、静岡空港の設置許可の際に、運輸省に対して静岡県知事は確約書を出しています。運輸省が設置許可の条件として知事に確約書を提出させたのは、空港用地の一〇〇%の取得を確認するものとして求めたと思いますが、空港の設置許可において県が提出した確約書はどういう意味を持っているのか、局長に聞きたいと思います。
  78. 岩村敬

    岩村政府参考人 航空法に規定されておるわけでございますが、空港の設置に当たってその設置許可の申請者が飛行場の敷地について所有権その他の使用の権原を有するかまたはこれを確実に取得することができると認められる、この二つを設置許可の要件の一つにしているわけでございます。  静岡空港の設置許可に際しましては、静岡県知事から当時の航空局長に確約書が出ているわけでございますが、申請の時点で地権者の同意が得られていない空港用地があるわけでございますが、設置管理者である静岡県がその責任においてすべての用地を取得すること、これを確約したものでございます。したがいまして、飛行場の使用の権原を申請者である静岡県が確実に取得することができるかどうか、その判断の資料としてこの確約書をちょうだいしたわけでございます。
  79. 平賀高成

    平賀委員 今のお話があったように、運輸省空港設置許可を出すに当たって、県知事が反対する地権者の同意書をとることができないために、用地取得が難しいために県からの確約書を提出させることで設置許可を出したわけです。  それで、空港などの公共事業を進める上で、住民との合意というのは当然の前提であって、事業に必要な用地の取得を強制的手段で行うなどというのは、私は絶対に認められないと思います。個人の私有財産は最大限に尊重されるべきだと思っています。  そこで、大臣に聞くわけですが、用地取得は地権者との話し合いによって取得をするべきであって、土地収用法という強制的手段によって静岡空港建設を進めることはあってはならないと思いますが、この点についての大臣の見解を聞きたいと思います。
  80. 二階俊博

    ○二階国務大臣 静岡県は用地取得のために誠心誠意交渉を進めているところでありまして、国としては、同県の責任におきましてすべての用地が取得されるものと認識をしております。最終的には、用地取得のために土地収用を行うかどうかについては、これは静岡空港の設置管理者である静岡県側が判断するものであると考えております。
  81. 平賀高成

    平賀委員 確かにこれは静岡県が判断することになっているのですが、しかし、少なくとも用地の取得に当たって強制収用などということがもし行われることになった場合、こういうふうなやり方自身について、大臣自身は本意でないというふうに思われるのですか。それとも、それは当然だというふうに思われるのでしょうか。
  82. 二階俊博

    ○二階国務大臣 運輸省としては、地域住民との話し合いにより、用地が円満に取得されること、用地問題が円満に解決されることが望ましいと考えておるのは当然のことであります。  ただし、静岡空港は第三種空港であるために、最終的には強制的な用地取得の方法をとるかどうかについて、運輸省が適否をこの場で述べる立場にはありません。
  83. 平賀高成

    平賀委員 私は、事例は同じじゃありませんけれども、成田などの教訓を考えてみましても、きちっと地元の住民の皆さんとの合意によって土地は取得していくというのがやはり本来のあり方だと思うわけです。ですから、そういう点で、ぜひ運輸省のいろいろな形での指導を改めて要請しておきたいと思います。  それで、今の用地の取得状況をちょっとお話ししますと、これは空港本体の部分の用地については九四・五%です。それから、周辺部分を含めた全体では八二・一%の取得になっていまして、まだ取得をされていない用地に本体の滑走路部分が含まれているわけです。それで、反対の地権者の方々は、私も直接伺ったら、この設置許可が出る前に三回にわたって私たちは土地を売るつもりはないのだということを文書で運輸省に出しているというふうに言っておりましたし、それから少なくとも、むだな公共事業から大切な農業や自然環境を守るべきだ、これを孫子の代まできちっと残してやるのが我々の責務だというふうに言われているわけですね。  ですから、静岡県の方もこの用地の取得に対していろいろやっている状況でありますけれども、しかし空港建設をこれ以上続けてもなかなか開港できない事態になる可能性があるわけですね。  それで、運輸省は県から用地取得の確約書を得まして空港の設置許可を出したわけでありますが、しかし事態が進んでいく中で、空港本体の部分でも絶対土地を売らないという地権者がいて、現状では取得をする見通しもない中で、開港の見通しのない事業に運輸省が莫大な補助金をつぎ込んでいく、こういうことにならないのかということを私は局長に聞きたいと思います。
  84. 岩村敬

    岩村政府参考人 静岡空港の用地につきましては、今委員指摘のように、九〇%を超えるような用地が既に取得されているということで、また、残る空港用地についてもその取得に向け、静岡県が誠心誠意、懸命の努力をしているわけでございます。また、空港設置管理者である県として、すべての用地を取得するということの確約をいただいているわけでございますから、我々としては、県の努力を待つのが筋であろうか、またそういう県の努力の結果として、空港開港ができないような事態、そういうことは生じないものというふうに考えているところでございます。
  85. 平賀高成

    平賀委員 私は、現状では、地権者の方々の意見を見ておりましても、こういうふうなことが起こり得る可能性が非常に高いと思います。ですから、少なくとも強制的に土地の収用法などによって土地を取り上げてしまうということがないように改めて最後に要請いたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  86. 仲村正治

    仲村委員長 次回は、来る五月十日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十二分散会