○二階
国務大臣 ただいま議題となりました
道路運送法及び
タクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する
法律案、
海洋汚染及び
海上災害の
防止に関する
法律の一部を改正する
法律案、
港湾運送事業法の一部を改正する
法律案、以上三件の提案理由につきまして御説明申し上げます。
初めに、
道路運送法及び
タクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する
法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
一般乗り合い旅客自動車運送事業は、通勤、通学、通院を初めとする地域住民の日常生活を支える
公共交通機関として、また、一般乗用旅客自動車運送事業は、ドア・ツー・ドアの機動的、個別的
公共交通機関として重要な役割を果たしてきているところでありますが、一方において、経済構造の転換や
国民生活の向上を背景とした輸送ニーズの高度化、多様化に適切に
対応していく必要性が高まっているところであります。
このような
状況を踏まえ、需給調整規制を廃止し、事
業者間の競争を
促進することにより、事
業者の創意
工夫を生かした多様なサービスの提供や事業の効率化、活性化を図ることが求められているところであります。
一方、輸送の安全及び
利用者利便の確保は、需給調整規制廃止後においても旅客自動車運送事業にとって重要な課題であり、これらについて十分な
措置を講じていく必要があります。
このような
趣旨から、このたびこの
法律案を提出することとした次第であります。
次に、この
法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、一般乗り合い旅客自動車運送事業及び一般乗用旅客自動車運送事業に係る参入について、免許制を許可制とし、輸送の安全、事業の適切性等を確保する
観点から定めた一定の基準に適合している場合に参入を認めることとし、その事業の開始によって、事業の供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡とならないものであるか否か等についての審査、いわゆる需給調整規制を廃止することとしております。
第二に、一般乗用旅客自動車運送事業について、特定の地域において供給輸送力が輸送需要量に対し著しく過剰となり、当該地域における輸送の安全及び旅客の利便を確保することが困難となるおそれがあると認められるときは、期間を定めて新規参入及び増車を認めないこととする緊急調整
措置を講ずることができることとしております。
第三に、一般乗り合い旅客自動車運送事業に係る運賃及び料金について、国土交通大臣がその上限を認可し、認可を受けた上限の範囲内において事前届け出により設定または変更を行うことができることとするとともに、国土交通大臣は、届け出られた運賃または料金が一定の事由に該当するときはこれを変更することを命ずることができることとしております。
第四に、一般乗用旅客自動車運送事業に係る運賃及び料金の設定または変更について、
利用者利便等を確保するため、引き続き認可制とし、上限価格その他の認可基準を設けることとしております。
第五に、一般乗り合い旅客自動車運送事業に係る休廃止等について、原則として六月前までの事前届け出制とするとともに、国土交通大臣は、届け出があった場合には、休廃止後の旅客の利便の確保に関し、関係地方公共団体等から
意見を聴取することとしております。
第六に、旅客自動車運送事業の輸送の安全を確保するため、運行管理者の資格試験制度を導入することとしております。
第七に、
タクシー事業において引き続き運転者の質の確保及び事業の適正化を図るため、
タクシー業務適正化臨時措置法を
タクシー業務適正化特別
措置法として恒久化することとしております。
続きまして、
海洋汚染及び
海上災害の
防止に関する
法律の一部を改正する
法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
海洋汚染の
防止につきましては、各国が協調して取り組むことによって初めて十分な効果が期待できるものであるため、我が国といたしましては、従来より国際的な動向に
対応しつつ、
海洋汚染防止対策の充実強化を図ってきたところであります。
さらに、有害液体物質の流出事故時等における適切な初動
措置を確保するため、船舶所有者に対し、有害液体汚染
防止緊急
措置手引書を船舶内に備え置くことを義務づけるとともに、当該手引書について検査の対象とすることを内容として、千九百七十三年の船舶による汚染の
防止のための国際条約附属書IIの改正が
平成十一年七月に行われ、
平成十三年一月に発効する見込みとなっております。
このため、
海洋汚染及び
海上災害の
防止に関する
法律の一部を改正し、同条約の改正に伴う国内法制の
整備を行う必要があります。
また、あわせて、
平成十一年三月の総務庁による認可法人に関する調査結果に基づく勧告を踏まえ、
海上災害防止センターについて、その事業活動、財務
状況等に関する実態について透明性をより一層確保するため、財務諸表等の公開に関する規定の
整備を行う必要があります。
次に、この
法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、船舶所有者は、有害液体物質を輸送する一定の船舶ごとに有害液体汚染
防止緊急
措置手引書を作成し、これを船舶内に備え置かなければならないこととしております。
第二に、船舶所有者は、その有害液体汚染
防止緊急
措置手引書が技術基準に適合していることについて、国土交通大臣が行う検査を受けなければならないこととしております。
第三に、
海上災害防止センターの財務諸表等の公開に関する規定を
整備しております。
最後に、
港湾運送事業法の一部を改正する
法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
港湾運送事業は、海陸の結節点である港湾において貨物の船舶への積み込み等を行うもので、海上物流にとって不可欠な事業であるとともに、我が国における経済活動や
国民生活を維持していく上で極めて重要な役割を果たしているところであります。一方、近年各国の港湾の間において国際的な競争が進展する中で、コンテナの取扱量などにおいて我が国港湾の東アジアにおける相対的地位は大きく低下しつつあり、その原因の
一つとして、我が国港湾運送の事
業者間の競争が行われにくく、船会社、荷主のニーズに合ったサービスが提供されにくくなっているという点が
指摘されているところであります。
今後、我が国港湾が東アジアの主要港に伍して将来にわたって効率的な物流サービスを提供していくためには、特に海上輸送の主流を占めているコンテナ貨物の積みおろしについて、より一層の効率化、サービスの向上が求められているところであります。
このような
状況を踏まえ、コンテナ貨物の積みおろしの用に供する港湾のうち
国民経済上特に重要なものにおいて行われる一般港湾運送事業等について、需給調整規制の廃止を初めとする規制の見直しを通じて、事
業者間の競争を
促進し、事業の効率化や多様なサービスの提供を図ることが求められているところであります。
一方、港湾運送事業はその特性から過去に混乱の歴史を経験したという事実にかんがみ、規制の見直しに当たっては、不適格な事
業者の参入や行き過ぎた料金競争による港湾運送の混乱というような事態が生ずることのないよう、港湾運送の安定化に一定の
配慮を行う必要もあります。
このような
趣旨から、このたびこの
法律案を提出することとした次第であります。
次に、この
法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、コンテナ貨物の積みおろしの用に供する港湾のうち
国民経済上特に重要な特定港湾における一般港湾運送事業等に係る参入について、免許制を許可制として、事業の適切性等を確保する
観点から定めた一定の基準に適合していれば参入を認めることとし、いわゆる需給調整規制を廃止することとしております。
第二に、特定港湾における一般港湾運送事業等に係る運賃及び料金の設定または変更について、認可制から事前届け出制に改めるとともに、
運輸大臣は、届け出られた運賃または料金が一定の事由に該当するときは、これを変更することを命ずることができることとしております。
第三に、特定港湾における一般港湾運送事業等に係る休廃止について、許可制を事前届け出制とすることとしております。
第四に、免許制のもとにおける下請制限の規定等必要なものについては、許可制となる特定港湾における一般港湾運送事業等についても準用することとしております。
第五に、不適格な事
業者の参入を
防止するため、港湾運送事業の免許または許可の欠格事由の拡充を行うとともに、罰則に関し所要の見直しを行うこととしております。
以上が、
道路運送法及び
タクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する
法律案、
海洋汚染及び
海上災害の
防止に関する
法律の一部を改正する
法律案、
港湾運送事業法の一部を改正する
法律案を提案する理由であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。