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2000-04-14 第147回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十四日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 仲村 正治君    理事 石破  茂君 理事 実川 幸夫君    理事 菅  義偉君 理事 森田 健作君    理事 高木 義明君 理事 玉置 一弥君    理事 赤羽 一嘉君 理事 寺前  巖君       小里 貞利君    木村 隆秀君       久野統一郎君    栗原 裕康君       坂本 剛二君    鈴木 俊一君       中馬 弘毅君    中野 正志君       望月 義夫君   吉田左エ門君       渡辺 具能君    石毛えい子君       奥田  建君    今田 保典君       佐藤 敬夫君    永井 英慈君       前原 誠司君    遠藤 乙彦君       平賀 高成君    松浪健四郎君       岩浅 嘉仁君     …………………………………    議員           玉置 一弥君    議員           前原 誠司君    運輸大臣         二階 俊博君    建設大臣         中山 正暉君    自治大臣    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 保利 耕輔君    運輸政務次官       中馬 弘毅君    政府参考人    (警察庁交通局長)    坂東 自朗君    政府参考人    (文部省初等中等教育局長    )            御手洗 康君    政府参考人    (運輸省運輸政策局長)  羽生 次郎君    政府参考人    (運輸省鉄道局長)    安富 正文君    政府参考人    (運輸省自動車交通局長) 縄野 克彦君    政府参考人    (建設省都市局長)    山本 正堯君    政府参考人    (建設省道路局長)    大石 久和君    政府参考人    (自治大臣官房長)    香山 充弘君    運輸委員会専門員     長尾 正和君     ————————————— 委員異動 四月十四日  辞任         補欠選任   吉田左エ門君    鈴木 俊一君   奥田  建君     石毛えい子君 同日  辞任         補欠選任   鈴木 俊一君     吉田左エ門君   石毛えい子君     奥田  建君 同日  寺前巖君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  政府参考人出頭要求に関する件  高齢者身体障害者等公共交通機関利用した移動円滑化促進に関する法律案内閣提出第三四号)  高齢者障害者等移動の自由を確保するための法律案玉置一弥君外二名提出衆法第三号)     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 仲村正治

    仲村委員長 これより会議を開きます。  去る七日の議院運営委員会における理事の各会派別割当基準変更等に伴い、理事補欠選任を行います。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 仲村正治

    仲村委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事寺前巖君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 仲村正治

    仲村委員長 内閣提出高齢者身体障害者等公共交通機関利用した移動円滑化促進に関する法律案及び玉置一弥君外二名提出高齢者障害者等移動の自由を確保するための法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、政府参考人として運輸省運輸政策局長羽生次郎君、鉄道局長安富正文君、自動車交通局長縄野克彦君、警察庁交通局長坂東自朗君、文部省初等中等教育局長御手洗康君、建設省都市局長山本正堯君道路局長大石久和君及び自治大臣官房長香山充弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 仲村正治

    仲村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  6. 仲村正治

    仲村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一弥君。
  7. 玉置一弥

    玉置委員 おはようございます。きょうは、自治大臣にも大変お忙しい中御参加いただきまして、ありがとうございます。  このいわゆる交通バリアフリー法案、私たちにとってみれば、これからの高齢社会を迎えるに当たっての画期的な法案でございまして、これを土台に高齢社会対応という世の中をつくっていきたい、こういう意味で、今まで長時間かけて論議をしてまいりました。  きょうは、いろいろこちらから注文をつけております中身につきまして、運輸大臣並びに自治大臣の方から御答弁をいただき、これからよりいいものを仕上げるためにぜひまたお互いに論議をしていきたい、かように思うわけでございます。  前回、交通バリアフリー法案の私ども民主党案との差という意味でもありますが、これからの法案づくりの中で、より高齢社会あるいは障害者人たちのために、社会参加ができる交通体系あるいは町づくりというものができますためにということでお出しをした項目がございまして、それに基づいてお尋ねをしてまいりたい、かように思います。  まず一番目でございますが、私どもがこの交通バリアフリー法案をつくりました一つの大きな目的は、高齢者障害者人たち社会参加するということによっていろいろ大きな波及効果があるのではないかということでございます。そういう意味で、まず、社会参加するためのいわゆる移動の自由ということをどういう形で確保するかということでございます。  政府案は、いわゆる施設整備を十分にして移動を自由にするのだということでございますが、私どもの方は、移動自由そのものがそれぞれの人がお持ちになっております固有の権利であるということを基本考えまして、高齢者障害者の人でも自分が欲すれば出かけることができるのだ、そういう社会をつくらなければいけない、こういうことでございます。  これについて運輸大臣にお聞きをいたします。移動の自由をどういうふうに保障していくのかあるいは確保していくのかについて、御答弁をいただきたいと思います。
  8. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま玉置委員から冒頭、審議を通じてよりよい内容のものにするという御意見がございましたが、私も再々答弁で申し上げておりますとおり全くそのつもりでございます。本日の議論を通じましても、各党各会派からいろいろな御意見があろうと思いますが、そうした御意見を可能な限り私たちも受け入れてまいりまして、より立派な法案に仕上げていきたいというふうに考えております。  すべての人が社会活動参加できるようにすることは極めて重要な課題であります。そのためにも、高齢者方々身体障害者皆さん交通施設利用して健常者と同等に出発地点から目的地まで自由に移動できるような環境整備されることが望ましいものであり、理想であると考えております。  今回の法案は、高齢者妊産婦さらに身体障害者皆さん健常者方々とともに交通施設を円滑に利用できるようにするための施設整備促進することを目指すものであり、このような理想を実現するための大きなかぎとなるものと認識をいたしております。  したがいまして、政府としては、今後とも、高齢者身体障害者そして妊産婦皆さん等交通施設利用して健常者とともに自由に移動できるような環境整備に努めてまいらなくてはならないと考えております。  しかしながら、これらの理念法案に明記することにつきましては、基本的理念障害者基本法高齢社会対策基本法において既に規定されておりますので、本法案は、これらの理念を踏まえて具体的な措置を講ずるものであると考えております。  法律に規定するためにはその内容を明確にする必要がありますが、いかなる交通サービス水準を享受することが移動の自由であるのかということにつきまして、まだまだ社会的合意が形成されておりません。したがいまして、今回はここまで踏み込むことは適当ではないと考えておるところであります。
  9. 玉置一弥

    玉置委員 おっしゃるように、移動権利というのはまだまだ日本社会の中では確立されたものではないという意味で、私ども交通権とかいう形で今論議を開始したところでございまして、そういう意味では、運輸省だけではなく、厚生省とか関係省庁それぞれ含めた中で、将来の権利保障という項目でぜひ御検討をお願いしたいというふうに思います。  今回の審議の中で、高齢者あるいは障害者方々お尋ねをして、そこで出てきた意見は、要するに気兼ねなく外出をしたいということでございます。気兼ねなく外出をするということは、当然自分たちだけでも移動できるような施設整備あるいは車両とかの整備をしなければいけないわけでありますが、この考え方も、高齢者障害者のための専用の施設車両ではない、一般的にはいわゆるユニバーサルデザインというような形で、すべての方々利用するということの中で高齢者障害者の方が利用することができるというのが一番いいのではないかというふうに考えます。  このユニバーサルデザインがまず基本でありますし、また、いわゆるナショナルミニマムとして最大限これだけはやらなければいけないとか、いろいろな方向がありますけれども障害者高齢者方々施設利用に対する考え方、この辺について、運輸大臣そして自治大臣考え方をお聞きしたいと思います。
  10. 二階俊博

    ○二階国務大臣 高齢者身体障害者のための施策の推進に際しましては、障害者を区別するのではなくて、健常者とともに利用できる形での施設整備を図ることが重要である、全く同じ認識でございます。このような考えに基づきまして、本法案は、公共交通機関及びこれを中心とした地域バリアフリー化を提案しているところであります。  本法案に基づきまして身体負担を軽減する施設等整備されますと、高齢者妊産婦身体障害者のみならず、一般健常者にとりましても移動に当たっての身体的な負担が軽減されることになるわけであります。まさにユニバーサル化特定の人を対象とせず、すべての人の利便に寄与することが進むものと考えております。  なお、バリアフリー基準の作成に当たっては、お説のようなユニバーサルデザイン考え方を十分踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
  11. 保利耕輔

    保利国務大臣 御指摘ユニバーサルデザインというのは、一九九〇年に最初の考え方が示されたという比較的新しい考え方のように私は理解しておりますが、そういういわば高齢者あるいは身体障害者一般の方とが共用できるような考え方というのは非常に評価すべきものであると考えております。以降、日本の将来の姿を考えてみますと、こういうものが各地で普及していくということは、我々にとっても、また特に身障者あるいは高齢者にとってもいいことだと感じております。  こういった問題については地方公共団体が今までもずっと取り組んできておりますので、それを自治省としては、ユニバーサルデザインによるまちづくりということで、地方財政措置等によって支援をしていきたいという気持ちでおります。
  12. 玉置一弥

    玉置委員 社会参加が行われれば、今体が不自由なために社会と離れてしまっている人たち、こういう方たちがいろいろな場面で活躍されることが非常にふえてくるのではないか。  それからもう一つは、運輸大臣お得意の観光でございますが、観光とか観劇とか、そういうふうに生きがいに通じる行動ができるのではないか。それとともに消費が拡大されていく。全体の人口の二五%が高齢者障害者に該当するというこの間の参考人の御意見もございましたけれども、そういう人たち社会に出ていくということについて、人材面経済面でのメリットが非常に大きいと思いますが、これについてどういうふうにお考えでしょうか。運輸大臣自治大臣、それぞれにお聞きをいたします。
  13. 二階俊博

    ○二階国務大臣 我が国における急速な高齢化の進展やノーマライゼーションの理念の浸透を踏まえまして、高齢者身体障害者方々が自立した日常生活社会生活を営むことができる環境整備することが急務となっております。これらの方々社会を構成する一員として、社会経済、文化その他あらゆる活動参加することができるようにすることは、活力ある社会を形成するために大変重要なことだと考えております。  このため、今御質問にありましたようなことにつきまして、経済企画庁ともバリアフリー化効果につきまして研究をしてみたところでありますが、次のような経済的な効果考えられるということであります。  高齢者身体障害者等による移動活発化による消費支出の増大であります。また、今お話にありましたような、これまで旅行等ができなかった高齢者身体障害者等による旅行等観光活動の増加であります。  先般私、東京駅の駅長から伺った話でありますが、身体障害者皆さん、特に車いす方々がそろって観光お出かけになる、そのお出かけ先はどこかというと、やはり旅館なりホテルなり、バリアフリー施設が完備しているところというか、事業者があるいはそこに従事する皆さんが一生懸命、大きくいえばバリアフリー社会を築くために頑張っておられるようなところをやはりピックアップして、関係者がそこを目指して旅行されているような状況にある、こういう御説明を聞いたことがございます。まことにそのとおりだと思っております。  それから、移動できないために就業ができなかった高齢者及び身体障害者方々就業機会が拡大するものと考えております。  経済企画庁としてはまだ数値をはじいて公表できるような段階ではないようでありますが、私は、関係者からこのお話を聞いておりまして、大体数千億円から一兆円ぐらいの経済波及効果があるのではないかと考えております。
  14. 保利耕輔

    保利国務大臣 こうしたバリアフリー化が進められることは、実は私も高齢者の一人になっておりますもので、大変自分のこととしてもありがたいことだと感じておりますし、特に高齢者身障者皆様方の、こうした整備が行われることによって社会参加をするということが促進されていくというふうに認識をしております。そして、高齢者身障者方々社会参加によって、その能力が社会に生かされる、そういうメリットもあると思います。  それから、旅行等移動されるのが自由になるということになれば、消費の拡大といった経済上のメリットにも通じるところがございます。さらにまた、地域方々生きがいを持って働けるということになれば、地域活性化にもつながってくるものだ、このように考えておるところであります。
  15. 玉置一弥

    玉置委員 確かに、おっしゃるような大変大きな効果が出る予測もされております。また、就労の機会がふえるということは非常にいいことでございますので、そういう意味でも、ぜひこれからいわゆる面のバリアフリーもやはり進めていかなければいけないのではないか、こういうふうに思います。  そこで、この事業自体の進め方に入るわけでございますが、基本構想事業実施計画について、高齢者障害者などの当事者参加があればより有効なものができるのではないかと私は思っているわけでございます。また、特に障害者方たちお話を聞きますと、そんなにむちゃくちゃ余計なことをしなくても、この程度でいいというのが結構あるのだと。要するに、障害者は大変困難だからこのぐらいやらなければいけないという、むしろ過剰設備的な部分も非常に多いのではないか。しかし、逆に言えば、ちょっとしたポイントで、幾らお金をかけてもまだ実際の障害は残るということがあるというようなお話を伺っております。  そういう面からいきますと、当然、基本構想やあるいは事業計画、これは国の方針地方方針になるわけでございますが、ここに当事者参加が必要だと思いますが、この点について、運輸大臣自治大臣はそれぞれどういうふうにお考えでしょうか。
  16. 二階俊博

    ○二階国務大臣 交通バリアフリー化は、地域の実情、利用者ニーズ等に対応して進めることが重要であると基本的に考えております。運輸省としましても、これまでバリアフリー施策を講ずる場合には、高齢者身体障害者方々の協力を得ながら意見をちょうだいしてまいったところであります。そして、こうした方々意見を踏まえ、今回の法案提出するに至った経過がございます。  ただいま玉置委員からも御指摘のように、やらなくてもいいこと、そして、この点は忘れられておるのではないか、この点をもっとしっかりやってもらいたい、関係者皆さんの御意見のあるところであります。私は、そうしたことに関しましては、基本構想公共交通特定事業計画策定につきまして、よく御意見を伺うことが大切だと考えております。必要があれば、国が定める基本方針の中で、高齢者身体障害者等意見を把握する仕組みを設けるように記載することにしたいと考えております。
  17. 保利耕輔

    保利国務大臣 市町村がつくります基本構想は、法案の中にも書き込んであるわけでありますけれども、この基本構想をつくるに当たりましては、やはり高齢者、それから身体障害者皆様方からいろいろと御意見を承る中で、その意見を反映させるような基本構想づくり、これに取り組むことによって、高齢者身障者皆様方考え基本構想の中に盛り込まれていくという観点で、私どもはこの法案提出いたしております。そういうことによりまして、町の中が高齢者身障者にとって動きやすいものになるというふうに私ども考えておるわけでございます。  なお、現在でも、福祉まちづくり条例というようなものが日本各地でできておりまして、京都府におきましても、平成七年には京都府の福祉まちづくり条例というのが既にできております。こういうものをつくるときには、やはり高齢者、それから身障者の御意見を十二分に伺ってつくられたものと考えております。
  18. 玉置一弥

    玉置委員 京都の場合は、いろいろ進んでいるところと進んでいないところとありまして、JR近辺は地元の意見が全然入っていないというのが大変有名な話でございます。そういう意味では、やはり自治体がある程度指導力を持ってやっていただけるような、この法案ができればそういうふうに変わっていくので、非常に期待をしております。  それで、ちょっとしたことなのでございますが、例えばエレベーターをつけました、エスカレーターをつけました。しかし、バスをおりてからそのエスカレーターエレベーターまで行くのに非常に遠いというのがあるんですね、あるいは反対側バスが着いたとか、そういう場合もあります。  それから、一番言われておりますのは、ホーム車両段差があります。これは規則によって決まっているわけでございますが、このホーム車両段差を解消しなければ、幾らホームまで行けても、そこで車両に乗り込むことができないということになります。ましてや無人駅では、もっとできないわけであります。  そういうことを考えていきますと、この施設整備以外に法律改正も若干必要になってくると思いますので、鉄道局長さんお見えだと思いますが、ここのポイントを、特に空気ばねと普通のばねとありますが、車両等につきましてどういうふうな改善をされるのか、あるいはどういう見通しがあるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  19. 安富正文

    安富政府参考人 先生指摘のとおり、ホーム車両段差というのがございますと、なかなか車いす方々利用が不便だということがございます。  ただ、車両段差につきましては、車両床面の高さは、例えばばねのたわみで、最大ですと約八センチほどございますし、車輪が摩耗するということで変化してまいります。それから乗る人数によっても、その重さによって変化してまいりますので、これらの条件がさまざまに異なりますから、車両床面ホーム段差というのを完全に解消するというのはなかなか困難な状況でございます。  ただ、その中で、先生からの御指摘もありましたように、たわみ量がなるべく少ない空気ばね、これですと約三センチぐらいにおさまるということもございまして、そういう床面を低くした車両導入等によって、車両ホーム段差をできる限り小さくするよう努めているところでございます。  この段差解消のために、ホームの方にスロープの設置とか、そういう試みも最近は行われてきておりますし、さらには車両側の方で、車両床面のところが直角になっていると車いすの方が乗りにくいので、ここの直角のところにいわゆる切り面を設けてスムーズに乗れるようにしたらどうかというような試みも行われてきておりますので、そういう幾つかの試みを我々としても試行錯誤しながら、いかに車いす利用が可能になるか、これから研究、指導していきたいというふうに考えております。
  20. 玉置一弥

    玉置委員 田舎に行くほどに段差が非常に高くて、電化のできていないところはもっと格差があるわけですね。その辺からいきますと、やはりホーム車両関係というのは見直していかなければいけない。  この間、京浜急行の羽田空港駅にお邪魔いたしましたときに、ホーム側からスロープが出るというのがありました。あれは、非常に乗りやすいというふうに思うんですね。それと、費用的にも車両へ全部つけるとかえって大変で、駅につけた方が、まあ数は同じぐらいですか、ということで考えていきますと、その辺の作業がこれから入ってくるのではないかということで、法律改正のことも含めてぜひお考えをいただきたい、こういうふうに思います。  それでは、次に移ります。  もう一つ、同じくノンステップバス、低床式バス、それからリフトつきバス、こういうふうにバリアフリー対象バスがあるわけでございますが、身障者とか高齢者の方にお伺いすると、やはりノンステップバス日本に向いているのではないかというふうなお話があります。  しかし、具体的に今進んでおりますのは、低床式、それからノンステップ、両方でありまして、むしろノンステップよりも低床式の方に、今先行して各市町村が、特に都市交通とかバス事業者の方が向いておられるということなんですが、この辺について運輸省考え方をちょっとお聞きしたいと思います。
  21. 縄野克彦

    縄野政府参考人 先生指摘のように、ノンステップバスが、現在、障害者方々移動のための最も望ましい構造のバス車両であるというふうには考えております。  ただ、御承知のように、ノンステップバスは約二千三百万円と、通常のバスの千五百万円に比べてかなり高価でございまして、バス事業者の経営が非常に厳しい中でこれを一律に義務づけをするということは、現時点ではかなり困難であるというふうに考えてございます。  こういう観点から、この法律では、床面の高さがワンステップバス並み、約六十五センチ以下であるバスを低床バスというふうに考えまして義務づけることとしておりまして、これによって円滑化が従来より向上していくものというふうに考えております。  ただ、私どもは、この二千三百万円というような高価な価格を放置しませんで、これができるだけ安くなっていくように標準仕様策定などを積極的に推進することによりまして、その普及に努めていきたいというふうに考えております。
  22. 玉置一弥

    玉置委員 ということは、単なる低床式、ノンステップリフトつき、それぞれ選択されて、それを買えば今回のバリアフリー化の範囲に入るということでよろしいですか。
  23. 縄野克彦

    縄野政府参考人 先ほど申し上げましたように、ワンステップバス並み床面の高さ、それ以下のバススロープなどを備えた低床バスというものを義務づけることでございますので、ノンステップバスも当然それに該当いたします。御指摘のように、事業者側状況によってはそれを選択できる、私どもとしてはそれに並行してノンステップバスの値段を安くするように努力していくということでございます。
  24. 玉置一弥

    玉置委員 今、差額が約八百万ということでございます。通常バスが千五百万から二千万までありますね。それに八百万オンされるということなので、本体に比べて付加される部分が結構高いんですね。これを詰めていけば、三百万から五百万以内におさまるのではないか、あるいはもっと下になるのではないか、こういうふうに思うのです。メーカー間の差はありますが、バスをつくっておられるところは共通しても大丈夫だという御意見をお持ちでございますので、できるだけ標準化をして、タイプ別にある程度数がそろうようにしなければ値段は下がりませんので、その辺の検討をぜひお願いしたい、こういうふうに要望をしておきます。  それから、このバリアフリーのもたらす効果。先ほど運輸大臣がお答えになりましたけれども、まず事前に効果を予測して事業計画を立てられます。そして、その計画が実施されましてしばらくした後に、それぞれ事業評価というものを考えなければいけない、こういう制度も必要じゃないかと思います。  また、この交通バリアフリー法案全体が、運輸省の案によりますと、国が三分の一、地方が三分の一、そして事業者が三分の一、こういう費用負担になっております。この負担も、採算路線であればまあまあ予測どおり進むかなと思うのですが、不採算路線で本当に鉄道事業者の方とかバス事業者の方がそこまでお金を投じてやっていただけるかという心配もありまして、法律全体をやはりある一定期間のところで見直す必要があるのではないか、事業計画の進捗状況とかそういうものを勘案しながら見直しをする必要があるのではないかということで、私どもの方は見直し規定をぜひ取り入れてほしいというお願いをしておりますが、この辺について、いかがでございましょうか。
  25. 二階俊博

    ○二階国務大臣 現段階におきましては、本法案に基づく措置内容は十分なものと考えておるわけでありますが、玉置委員指摘のとおり、将来的に予測のつかない事態が生ずる可能性もあることは否定できません。したがいまして、このため、将来的には、バリアフリー化が予定どおり進まない場合には、現在の枠組みに必要な修正を行わねばならないことは当然のことだと認識をいたしております。  したがいまして、バリアフリー化の進捗状況によっては、本法律の一応の目標年次であります二〇一〇年までの中間の段階で、新たな対応策を必要とする可能性は考えられると思っております。このため、本法案に基づく制度の運用開始後においても、その施行の状況を十分把握していくように努めてまいりたいと考えております。
  26. 玉置一弥

    玉置委員 ということは、中間で見直しをしますというふうに受け取っていいわけですね。
  27. 二階俊博

    ○二階国務大臣 中間で見直しすることも含めて、今後十分事業評価等、また各界の皆様の御意見等もお伺いをしながら対応してまいりたいと思っております。
  28. 玉置一弥

    玉置委員 十年という長いスパンでいきますと、いろいろな変化が出てくると思いますし、財政的な面でも、場合によっては、今最悪だと思うので、いい方に展開をしていくということもございますので、ぜひ全体の流れの中で見直しの方はお願いを申し上げたい、こういうふうに思います。  現在、バリアフリーの進展がようやく緒についたということでございまして、逆に、社会的に十分バリアフリーそのものの意識があるかどうかという問題があります。この間まで、日曜劇場の方で、いろいろとテレビの影響でバリアフリーというのは大分国民の中に進展をいたしましたけれども、実際には、私ども視察に行きまして、車いすで試してみても、ちょっとしたところが非常に障害になるという形でございます。そこをすべて一度に何もかもやるというのは無理なので、やはり一般人たち障害者人たちに対して、みずから進んで手助けをする、支援をする、それも、ほんのちょっとした支援、これが気兼ねなく簡単にできる、そういう社会をつくっていかなければいけないと思うのです。まずそのことが一つ。  もう一つは、例えば障害者施設とか各自治体でいろいろなマップを今おつくりになっておりますが、交通バリアフリーマップのようなものをやはり情報提供という意味でつくっていかなければいけないのではないか、こういうふうに思います。  話がいろいろ前後しますけれども社会啓発といいますか、そういうものと、ガイド、案内というこの二つの面から、今申し上げましたような社会教育あるいは学校教育、あるいは情報提供というものについて、運輸大臣自治大臣、それぞれどういうふうにお考えになっているか、お聞きをいたしたいと思います。
  29. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま、学校教育等あるいはまた社会一般皆様方の御協力の呼びかけ等につきまして御指摘がございましたが、全く私は玉置委員考えを同じくいたしております。  施設を進めることは極めて重要なことでありますから、施設整備にこの法律を活用して十分対応してまいりたいと考えておりますが、これだけで交通バリアフリー化、さらには社会バリアフリー化を実現することにはならないと思っております。社会の一員であります国民の一人一人の皆様の理解や協力、すなわち心のバリアフリー化が必要であることは申すまでもありません。  今回の本法案提出は、アメリカやイギリスに比べますと、五年ないし十年おくれておるわけであります。しかし、特に、いわゆる国民全体の心のバリアフリーの問題が、私はそうした先進国に比しておくれておるのではないかという危惧を持っております。欧米諸国では、障害を持たない方が高齢者障害をお持ちの方に手をかす光景が一般的になっております。我が国においても、心のゆとりを持って、相手の立場に立って、相互扶助を実践していくこと、これをやはり子供の時代から教育として実践をしていく必要があるのではないかと考えておりますが、今後、こうした面のPR等につきましても、積極的に運輸省としても対応していきたいと思っております。  本法案におきましては、高齢者身体障害者公共交通機関利用した円滑な移動を確保するために国民は協力するようにというふうに、いわゆる努力することを規定いたしております。また、国としては、広報活動等により、国民の一人一人がみずから自発的に高齢者身体障害者等に対して手を差し伸べることの必要性を訴えていくことといたしたいと思っております。  よく目の不自由な方がホームから落ちるということにつきまして、当委員会でも御指摘がございました。私も車いす方々あるいは目の御不自由な方々等と再三お目にかかる機会がございますが、そうした方々が異口同音に、目の不自由な方々は、大概の人は一回はホームから転落の経験を持っておる、また、これは半分気安くジョークで言われておるわけでしょうが、ホームから一回転落しないと我々の社会では一人前と言われないんですよと私におっしゃっておられました。そんな気楽な言い方の裏には、深刻な問題があると思います。  いつかそのことによってもっと大きな事故に発展するかもしれないということが予測できるわけでありますから、我々は、こうした問題について、ホームにさくをつくるとか、いろいろな対応があろうと思いますが、まず、そのそばにおられる国民といいますか、そのそばに立っておられる一般社会皆さんが、何かお手伝いすることはありませんかという気持ちを持って、そうした方々交通機関をともに御利用、御活用願えるような、そういう社会をつくっていく。  緑のおばさんということで、交通事故防止のためにいろいろ御尽力をいただいている方々日本の津々浦々にございますが、このバリアフリーの問題につきましても、緑のおばさんのような形で、多くの皆さんの御理解、また御協力が得られる方法をこの法案の成立後にも考えてまいりたいと私は考えております。
  30. 保利耕輔

    保利国務大臣 バリアフリー化を進めていきます際に、施設整備等のいわゆるハード面の整備と同時に、十分な情報を高齢者あるいは身障者に差し上げるというような意味でのソフト面での整備というのが非常に大事だと思っております。  実際に各地で見られます福祉まちづくり条例等におきましても、案内表示を身障者に配慮した構造とするということを定めたり、あるいは障害者用のトイレでありますとか、あるいは公共施設などにおきますエレベーターの設置状況を地図上に示した福祉マップというようなものを作成している地方公共団体も多く見受けられるわけであります。  自治省としても、すべての人にわかりやすい公共サインの体系的、一体的な整備に対して地方財政措置を講じましたり、あるいは先進的な事例を紹介することなどによりまして、地方公共団体のこうした取り組みを支援してまいりたい、こんなふうに考えております。  なお、教育の点につきましては、思いやりの教育とか、あるいはそれと裏腹の関係になるかもしれませんが、ノーマライゼーションというのが言われておりまして、身障者健常者も同じ姿で生活をするということを教育の一つの目標にして進めてきていたということもございまして、そうしたことが今後一般に普及していくことを期待しております。
  31. 玉置一弥

    玉置委員 幾ら設備が整っても、やはり一〇〇%カバーできるというのはなかなか難しい話でございまして、人間的な教育を十分施して、そういう中で本当はカバーできるというのが一番いいわけでございますから、ぜひお願いを申し上げたいというふうに思います。  スペシャル・トランスポート・サービスというものについてお伺いをしたいと思います。  自宅から目的地までというふうに交通機関を考えてみますと、鉄道、バスだけではなく、STS、スペシャル・トランスポート・サービス、あるいはタクシーの活用というのが大変大きな役目を担うのではないか。あるいは一部ボランティア輸送というのがございますが、こういう人たちもやはりバスやタクシーに乗れない人たちを今までカバーしてこられたわけでございまして、特にSTSにつきましては、市町村がいろいろな事業計画を取り入れられるときにかなり重要な位置づけになるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  そういう面から見て、今回は時間的な関係もあってSTSというものが政府案の方には含まれていなかったということだと思いますが、STSについての今後の考え方、これをぜひお聞かせいただきたいと思います。運輸大臣に。
  32. 二階俊博

    ○二階国務大臣 STSにつきましては、身体障害者方々に個別に、あるいは身体障害者皆さんに満足のいく輸送の方法でありますが、一つはドア・ツー・ドア型のサービス。電話等により事前の予約を必要としますが、ドア・ツー・ドアのサービスが提供されるタイプ。自治体、民間等がバリアフリーデザインの車両を保有し運行するケース。附帯サービスとして介護サービスを提供する場合もある。リフトつきタクシーがこのタイプに該当する。  もう一つは、定時定路線型のサービス。ルートが固定している一般の路線バスにおいて、低床型や車いす乗車設備等、バリアフリーデザインを行った車両を運行するタイプ。例えば金沢市の金沢ふらっとバスなどがこのタイプに該当するだろうと言われております。  高齢者身体障害者が自由に移動できる環境整備を図る上で、これらの方々を個別に、あるいはこれに近い形で輸送するサービスをSTSと呼んでございますが、今後、この役割の重要性はますます高まっていくものと認識をいたしております。  運輸省としては、平成九年度及び十年度においてSTSに係るモデル事業を実施したところでありますが、また、車いすのまま乗車できるリフトつき福祉タクシーの導入も進めているところであります。
  33. 玉置一弥

    玉置委員 日本の場合には、地方へ行きますとバス路線も結構あります。そして、タクシーが諸外国に比べて発達をしている、こういうことでございまして、かなりタクシーあるいは地方バス、あるいは市町村バス福祉バスとして運行されているところもあるわけで、そういうことを考えていきますと、もう既にSTSを実施しているのと同等の効果が出ているわけですね。  ところが、これからの高齢者のための介護保険とかあるいは高齢者の医療とかを考えていきますと、障害者を含めて、市町村がバックアップしないとなかなか移動できない、先ほどの移動権利という面で時代がやはり変わってきた。それから、やはり、本当に家から出てもらおうと思うと、家の近くまで迎えに行くような形をとらなければいけないだろう、こういうふうに思うわけでございまして、やはり交通バリアフリーの細かい部分でこのSTSの制度というのは非常に有効ではないか、こういうふうに思うわけですね。  まず、どの辺をめどにこのSTSの導入を考えておられるのか、あるいは、今回検討は途中で中断されているようでございますが、どういうことをやりながら、いつごろまでにどういうめどがつくのか、この辺をちょっとお伺いしたいと思います。
  34. 二階俊博

    ○二階国務大臣 運輸省としましては、今後とも、民間運送事業者によるいわゆる福祉タクシー等のサービスを充実してまいりたいと考えております。  あわせて、関係省庁と連携をしながら、STSの意義等について地方公共団体認識を高めるとともに、どのようなサービスをだれの責任と負担で提供するのかなどの問題についても検討を進め、でき得れば二、三年の後には本格的に導入が図れるように努力をしてまいりたいと考えております。
  35. 玉置一弥

    玉置委員 私どももSTSの論議をしている中で、特にタクシー業界の方との将来の競合、この辺を大変気にしまして、労使ともに御意見を伺ったりしてまいりました。当初は、こんなことは絶対反対だ、こう言われて、大変な抵抗に遭ったのでございます。しかし、高齢者とか障害者の方のお話を聞きますと、今のままじゃ乗せてくれないということもよく言われます。  それと、中小都市より小さいところ、そこでは、病院の前にタクシーがもう既にずっと並んでおられまして、お客さんの行き帰りをカバーされているというのがあります。  そういう実態を見ると、今大臣おっしゃったように、福祉タクシーという形で自然に組み込まれてきているということなので、逆に言えば、市町村があるいはバス事業者がSTSを展開していくときに、競合関係にあるタクシー業界をやはり同じ土俵に上げていかないといけないと思うんですが、この辺についてはいかがお考えでございますか。
  36. 縄野克彦

    縄野政府参考人 御承知のように、STSにつきましては、民間運送事業者、タクシー事業者による福祉タクシーから、あるいは自治体が主体となって福祉行政の一環として提供するサービスまで、いろいろな幅広い取り組みがあるというふうに考えております。そういう意味で、私どもとしましては、地方公共団体がコミュニティーバスなどを事業者に委託して運行したり、それからリフトつきタクシーの車両の導入に対して補助を行ったり、いろいろな取り組みが自治体においても行われるというふうに考えております。  私どもとしましては、そういう現状にかんがみまして、運送事業者、タクシー事業者の取り組みを一方で支援すると同時に、自治体の御認識を高めるように努力をしまして、かつ自治体と協力連携を図ってこのサービスの普及に努めてまいりたいというふうに思っております。
  37. 玉置一弥

    玉置委員 ずっとこの流れを見ておりまして、交通バリアフリーの進展というのは、まさに自治体がどのように積極的な事業計画を作成するか、また今のお話のように、例えばタクシー事業者とか、バス事業者とか、鉄道事業者とかを含めた実施計画の中での協議というものも非常に有効になってまいりますし、当初の質問の中にございました当事者参加、これも大変大きなポイントになってくるだろう、こういうふうに思います。  そういう意味から見て、交通バリアフリーポイントとして、市町村が役割を果たす、いわゆるコーディネーターという形での市町村の役割というものは大きいと思いますが、これについてはいかがお考えでございましょうか。
  38. 保利耕輔

    保利国務大臣 御質問の趣旨を私がきちんととらえているかどうか確信はございませんけれども、自治省では、バリアフリー事業の円滑な実施が図られますように、平成三年から、地方公共団体が実施するバリアフリー化のための施設改良に対しましては地域総合整備事業債というのをもちまして、事業費ベースで毎年約四百億円程度の規模で支援をいたしてきております。また、今回の法案におきまして、民間交通事業者に対する助成に要する経費につきましても地方債の特例規定を設けるなどいたしておりますし、また、基本構想を達成するために行う事業に要する経費につきましては地方債の配慮規定を設けたところでございます。これは法案の中にございます。  今後、地域総合整備事業債の活用などによりまして地方公共団体の取り組みを一層支援してまいりたい、こういうふうに考えております。
  39. 玉置一弥

    玉置委員 今のは負担の話で、既にやっていただいているというのもよく存じておりますが、地方ではいわゆる超過負担が非常に後世に悪影響を及ぼす。ということはやはり財源不足で、地方債を発行してもなかなかそれを消化できないというのが現状でございまして、これも私どもが一番心配しているところであります。  しかし、市町村によって非常に格差があるだろう。これは、選挙をお互いやる身でありまして、例えばモデル地域をつくりましてそこをどんどんやっていくと、その周辺をやらざるを得なくなってくるということがあるんですね。そういう形で多分指導されていくと思いますが、私どもから考えますと、地方がどういう企画をし、事業計画を進展させていくのかというのは非常に興味があるところでございまして、鉄道事業者方たちから発意されて動く場合もあるだろうと思いますが、少なくとも市町村がその中心になって進めていくだろう、こういうふうに思うんですね。  その辺から見て、積極性がポイントになるということなので、これをどういうふうに逆にプッシュするか。これはなぜかと申しますと、都市部のところは新駅になったり改造したりというのがしょっちゅうあるわけですが、田舎の方へ行きますとなかなか駅の改造もないというような状況ですね。この中でネックになっておりましたのは、鉄道各社と市町村がなかなか意見がかみ合わないということだったのですが、今回の法律改正以降、鉄道事業者よりもむしろ市町村にその主導権が移るようなところがありますので、この辺についてどう思われますかということでございます。
  40. 羽生次郎

    羽生政府参考人 お答えいたします。  先生指摘のとおり、この法案では市町村が果たす役割が大きく、市町村がむしろイニシアチブをとって事業者に対し働きかけていくということが望ましいものと考えております。そういたしますと、先生がおっしゃるように、これが一つのモデルとなりまして広がっていくということになるかと思います。  ただ、市町村基本構想をつくる場合は、これは、基本構想をつくり重点整備地区を決めるためには特定旅客施設がなければなりませんで、それは政令で決めることとなっております。政令で決める基準というのは、これは再々申し上げていますように、パブリックコメントをいただきましてこれから決めるわけで、まだ決まったわけではございませんし、確定的なことを申し上げるのは適当ではないと思いますが、それで一つ数字的な基準もある一方、先生のおっしゃるように、また運輸大臣からも累次御答弁申し上げているように、地方公共団体の熱意といったところも十分考慮しながらそういった基準をつくってまいらなければならない、かように考えております。
  41. 玉置一弥

    玉置委員 通常、駅にエレベーターなりエスカレーターを設置する場合に、国が三分の一、地方が三分の一、そして事業者が三分の一ということでございますが、何回も申し上げますけれども、採算路線は確かに乗客が多いということで事業者の方も積極的に対応されるだろうというように思いますが、地方へ参りますと不採算の路線がたくさんありますから、そういうところについてはなかなか進展をしていかないだろうという心配がございます。  そこで、同じような負担で三分の一、三分の一、三分の一でやっていかれるのかどうか。また地方の三分の一の捻出が、先ほど保利大臣がおっしゃったようにいろいろな財源手当ての仕方がありますが、バリアフリー法案ができてから変わるのかどうか、その辺も含めて負担お話をお伺いしたいと思います。
  42. 羽生次郎

    羽生政府参考人 お答えいたします。  負担の点につきましては、地方三分の一、事業者三分の一、国三分の一という考え方には一応思想がございまして、国はやはり全体的にこの基準、すなわち、高齢化社会に備えて一定の施設整備を行っていくという義務があるだろう。一方、地方は、周辺の地域住民の足を確保するという意味での必要があるであろう。また事業者利用者対策として、そういったバリアフリー施設整備しなければならないだろう。こういった意味から三分の一ずつになっているところでございます。  それで、御指摘のように、これではなかなか進まないではないかという御懸念ということでございますが、その点につきましては、平成十年度に私どもで今の新たな制度、従来の一〇%、一〇%から三三ずつにして、かつ金額も一億から五十億にしてみましたところ、十二月に予算が通りまして一月に交付要綱を出しますと、二月に即日完売というような売れ行きでございまして、これは皆既存駅でございますが、百以上の駅がわずか一カ月の間でバリアフリー化の合意ができております。  この傾向を見ますと、今の実績から見ますと、今の補助率というのは相当程度有効なものではないか、そしてまた、地方皆さんもこれについて相当程度評価していただけるのではないかと思っております。また、この法案を現在審議していただいている過程でも、いろいろな市町村皆さんから非常に多くの問い合わせがございまして、その中で、補助率が低いという問い合わせは幸いのところ現在ございません。  したがいまして、そういうところから見ますと、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、やってみて不都合があればこれを見直すということは、それを含めて考えなければいけないわけでございますが、現在の補助率というものについては今のところ、平成十年の補正ですから、できてからわずか一年でございますが、かなりこれによって進展が進むのではないか、実績によってある程度裏づけられているものではないかと考えております。
  43. 玉置一弥

    玉置委員 自分たちの町をよくしていきたいという気持ちはそれぞれお持ちでございます。そういう面では、一番最初に、自治体の捻出するお金が調達できるかどうかということがかなりポイントになってくると思いますので、この辺をぜひ、いろいろ実施していかれる段階でまた考慮願いたい、このように思います。  政府案では一日乗降客が五千人以上というふうに一応試算をして、その部分についてとりあえずやろうということでございますが、この間からいろいろ地域方々お話を聞いておりますと、要するに、既存の駅に対する不満というのが非常に強いということでございまして、既存の駅の方の改善希望が圧倒的に多い、そして、まずその部分に手をつけなければバリアフリー化ができない、こういうふうに思います。  そしてもう一つは、何回も申し上げておりますが、地方での高齢化率が高いということと、それから、よく考えてみれば、都市部に病院がありまして、病院に通うために電車に乗られる、ところが、地方の出発点の方の電車に乗れないということになると、幾ら都市部の中央がよくなっても不十分じゃないか、こういうふうに思うわけであります。  こういうところの改善というものに対して、今後の考え方と、それから、やる、やらないあるいはその判断基準、この辺をお伺いしたいと思います。
  44. 二階俊博

    ○二階国務大臣 すべてのターミナルについてバリアフリー化を推進することが理想的でありますが、国及び地方公共団体の予算や交通事業者の投資余力には限りがあることでありますので、とりあえずは、先ほども運輸政策局長から御答弁申し上げましたように、三分の一、三分の一、三分の一という対応をいたしておるところでありますが、今後急速な高齢化を踏まえ、バリアフリー化を短期間のうちに実施することが必要であるということから、これらの問題につきましては、今後の推移を見守って、その上でまた御相談を申し上げたいと思っております。  今後、優先順位を決めて、利用者が多い主要駅を中心とした地区について重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進することといたしておりますが、五千人以上の乗降客を有する駅のバリアフリー化を進めることによりまして、公共的な鉄道を利用される方々に対するバリアフリー化は約九四%達成するだろうということが言われておりますので、まずこの面に大いに力を入れていきたいと思っております。  その他のいわゆる五千人以下の駅につきましても、地方公共団体の熱意や、あるいはまた当該関係者皆さんの御要望等を受けて、地方公共団体を中心に十分御判断をいただき、それらの判断の結果に基づいて、我々は、五千人以下だからだめだとか五千人以上でなければ採択しないとかというふうなことではなくて、広く多くの駅で交通バリアフリー化が実現できるように努力をいたしてまいりたいと思います。  本日、審議に際しまして、提案者であります自治大臣も自治省の幹部もこの席に御出席をいただきまして、一緒に御論議をいただいておりますことを今後のためにも大変重要で意義あることだと思っております。委員各位の御協力と地方公共団体皆さんの御熱意によって、このことが早期に実現できるように今後努力をしてまいりたいと思っております。
  45. 玉置一弥

    玉置委員 鉄道駅は全国で約一万近いというふうに言われておりますし、そのうち、いわゆる大都市周辺と中核都市の駅で五千ちょっとぐらいだというふうに言われておりますね。それで、JRと民鉄の大手だけで六千五百駅ぐらいあるのですかね。そういうことでいきますと、やはり平均的には六、七千ぐらいを最低やらないといけないんじゃないか、こういうふうに思うわけですね。  それを考えていきますと、五千というふうに限らずに、やはり地方に行くほど高齢者率も高いというのと、中央へ通っておられるということを考えていきますと、全駅対象ぐらいに、八千とか一万とかという数字じゃなくて、いわゆる介助ができる、介護ができるような範囲で、無人駅じゃなくて駅員さんがおられるところとかあるいは多少なりとも乗降客のあるところ、ということは、ちょっとした介護ができるわけですね、支援ができる、そういう意味で、そういうところまでは将来手をつけるべきではないか、こういうふうに思いますので、ぜひお願い申し上げたいと思います。  それと、自治大臣、今お聞きのように、地方の財政力のないところが一番心配でございまして、そういうところについても、このバリアフリー関係について特別な措置として、交付税の割り増しとかあるいは起債を設けるとか、そういうふうな考え方はおありかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  46. 保利耕輔

    保利国務大臣 このバリアフリー化を推進するにつきましての地方自治体の持つべき三分の一の負担分につきましては、交付税におきます基準財政需要額の中に算入をしていただいて、それで自治省としては交付税措置をするという考え方でおります。  それから、この法案は随分自治体のことをいろいろ考えてつくってある、私はそう思っております。法案の第六条では、基本構想を作成するときには公共交通事業者なんかが協力しなければならないという規定を設けておりますし、さらに九条では、それが行われない場合には、例えば地方公共団体が公共交通事業者に対してその実施を要請する、さらにその先は、主務大臣にこういうことをしたいんだということを通知する、そして主務大臣の方からは、今度は交通事業者に対して勧告をする、そしてそれでもまだいけない場合には今度は命令をするというような形で、何段構えかで大変自治体のことを配慮した法案になっております。  そうしたことも考え合わせながら、このバリアフリー化を進めていくことに公共交通事業者皆様方の御協力をいただいていかなければならないんじゃないか、そのことによって身体障害者あるいは高齢者皆様方の利便を地方においても達成することができる、こういう法案になっていると私は考えております。
  47. 玉置一弥

    玉置委員 時間がなくなってまいりましたので、最後の質問にしたいと思います。  この間からずっと審議をしておりまして特に言われておりますのは、路上の障害物が非常に多いということでございます。警察庁、お見えいただいていると思いますが、路上の障害物、これはいろいろな場合があると思いますけれども、立て看板、商品、電柱、放置自転車等、それからもう一つバス停の近辺、本来は駐車禁止ゾーンなんでございますが、余り守られていないということで、低床バスとかスロープつきをつくっても、実際には歩道から一回路面におりて上るということになってきて非常に困難度が増すのではないか。それから、先日も品川駅の近辺での信号機を見させていただきましたけれども、これは音声ガイドに一応なっております。  視覚障害者、聴覚障害者と両方の障害を含めて考えていった場合に、信号機の改造等もありますが、一番目の路上の障害バス停付近の駐車禁止、そしてシグナルの改良、案内といいますかガイドといいますか、この辺について、どういう方向に今検討されているかお聞きをしたいと思います。
  48. 坂東自朗

    坂東政府参考人 委員指摘のように、道路にはみ出しました商品、陳列棚等につきましては、高齢者あるいは身体障害者方々の通行の妨げになっているというように私ども認識しているところでございます。したがいまして、警察といたしましては、従来からこういった道路上の障害を排除するために、通行の妨げとなっている立て看板などにつきましては警告、指導を行うとともに、悪質なものについては取り締まりを行ってきたところでございます。  今後とも、特に、この法案特定経路を中心にいたしましたこういった路上に置かれます障害物等につきましては、重点的に指導、警告を行うとともに、あるいは悪質なものにつきましては、今後さらに重点的に取り締まりを行っていくというような方向でまいりたい、このように考えております。  それから、バス停留所に違法に駐停車している車両についてどうするんだというようなお尋ねでございます。  委員指摘のように、バス停留所につきましては、バスの円滑な運行を確保するために、道路交通法の四十四条におきまして駐停車禁止場所というふうにされております。したがいまして、こういったところに違法に駐車しております車両につきましては、特に悪質で、あるいは危険性、迷惑性が高いといった観点から取り締まりというものも行っているところでございます。  今後ともこの法案の趣旨にのっとりまして、関係機関等とも連携しながら、交通実態に応じて駐停車禁止をかけたりあるいは取り締まりを強化するなどいたしまして、このバリアフリー化による効果が十分に上がるように取り組んでまいりたい、このように考えております。  それから、視覚障害者用等の信号機の整備ということについてでございますけれども、この点につきましても、この法案ができますれば、特に重点整備地区につきましては、今後ともさらに一層の整備というものを図ってまいるように努力してまいろうと考えております。  以上でございます。
  49. 玉置一弥

    玉置委員 設備等を充実しても、やはり今のお話のような路上の障害物とか、実際には障害者に合っていない信号機とかあるいは歩道とか、そういうものが多々あるわけでございまして、その辺を改善していかなければ実際のバリアフリーというのはなかなか進展をしないだろう、こういうふうに思います。  いろいろ申し上げましたが、今回のバリアフリー一つの流れを大切にして、我々も今後ともいろいろ協力してまいりたいと思いますので、ぜひ政府の方も積極的に取り組みを行っていただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  50. 仲村正治

    仲村委員長 次に、平賀高成君。
  51. 平賀高成

    ○平賀委員 日本共産党の平賀高成でございます。  まず最初に、北海道の有珠山の噴火の問題について大臣に伺いたいと思います。  私も四月の七日と八日に現地に行ってまいりまして、一番被害のひどい虻田町では、まだ八割の住民の皆さんが避難所で避難生活をしていますし、町の役場そのものも豊浦町に避難をしている、移転をしている、こういう状況です。そして特に、町民の皆さんの生活再建が一体どうなっていくのかについて、めどが立たないという非常に深刻な状況に置かれております。  北海道は、年間の観光客が五千万人、経済波及効果は約一兆六千億円と言われています。特に洞爺湖温泉は、全宿泊定員が約八千人ありまして、年間の観光客も四百万人あります。町民の約八割の方が観光に関連した仕事に従事をしております。北海道の道南、道央における観光では、洞爺湖温泉を欠かすことができない、まさに観光の中心になっているわけです。  ところが、今回の噴火によりまして全道的にキャンセルが相次ぎ、まさに温泉街が深刻な打撃を受けているもとで、洞爺湖温泉の復興を考えた場合、私は、個人補償や営業補償に踏み込んだ支援をし、被災者にとって勇気と希望が持てる、そういう対策を講じなければならないと思っておりますが、この点で大臣の見解をまず伺いたいと思います。
  52. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま平賀委員がおっしゃいましたように、先般も現地においでになりまして、いろいろな地域を回っていただきまして激励をしていただいたことを私も承知しております。この席をかりまして、北海道開発庁長官の立場からもお礼を申し上げておきたいと思います。  有珠山の噴火につきましては、ただいま御指摘のとおりでありますが、洞爺湖周辺、地元の観光地につきましては、極めて深刻な影響を受けていると判断をいたしております。観光需要のこれ以上の落ち込みを防ぐことが喫緊の急務だというふうに考えております。  したがいまして、運輸省といたしましては、四月十八日に、有珠山の噴火に伴う北海道観光対策連絡会議を開催しまして、全国の旅行業者や交通事業者に対し、地元の状況や他の観光地には影響がない旨の周知徹底を行い、北海道への観光客の入り込みが落ち込むことのないように支援をしてまいる考えであります。  さらに、今回の有珠山噴火により北海道の産業や経済全般に影響を及ぼす、つまり、有珠山の噴火の周辺だけではなくて、北海道全土の経済問題に対して陰りを生ずる、そういうおそれがあることから、北海道開発庁長官の私的諮問機関、いわゆる私的懇談会を設けまして、北海道の経済産業の活性化を図るために、この二十五日から、緊急にとるべき対策について直ちに検討に入ることといたしております。  また、関係省庁におきましても、休業等に係る賃金助成や中小企業に対する金融対策等、必要な措置がとられているところでありますが、政府を挙げて今回の有珠山の問題に対しての対応を図ってまいりたいと思っております。  なお、けさほど、現地の気象庁の責任者からの連絡によりますと、北西山ろくに大体限定されてきた、つまり噴火の場所が限られてきたということが、一つ見通しとしては明るい見通しかなというふうに考えております。そして、今後噴火が再発する場合に対しては、十分予測ができる体制が整っておるということでございます。  これらを受けまして、現在の対応のまず第一順位は、何といっても人命を大切にするということでありますから、避難をお願いしたり、道路の遮断あるいは鉄道等の運休、停止等を行ってきたところでありますが、今後、事態に対応しながら徐々に回復できるところは回復をしていきたいというふうに考えております。  その上に、今御指摘のような経済的な問題についての対応を、政府を挙げて考えていかなくてはならないと思っております。
  53. 平賀高成

    ○平賀委員 この問題では、阪神・淡路の経験からいいましても、個人補償をしなかったことが復興をおくらせましたし、自殺者まで出す、こういう事態を生んだわけです。特に今回、洞爺湖温泉では町民のほぼ八割が観光関係の仕事に従事をしている。ですから、この面での個人補償、営業補償がない限り町の復興はできないというのが現地の実態だと思いますね。ですから、従来型ではなく、そういう新しく個人補償まで踏み込んだ対策をぜひ講じていただきたいということを改めて求めておきたいと思います。  では、バリアフリー法案の問題について伺います。  我が日本共産党も、このバリアフリー法案では修正案を持っております。この修正案の基本的思想というのは、高齢者障害者社会参加をしていく上で移動の自由と安全を確保することは不可欠であって、基本的な権利であるとしているわけです。  政府法案を見ますと、この点では、「この法律は、高齢者身体障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性が増大していることにかんがみ、」ということで、続きまして、「高齢者身体障害者等公共交通機関利用した移動の利便性及び安全性の向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」こういうふうに書かれています。  政府は、高齢者身体障害者の自立した日常生活社会生活を確保するという基本的な条件整備政府基本的な責務だというふうに考えバリアフリー法案を提起されたのでしょうか。この点について伺いたいと思います。
  54. 二階俊博

    ○二階国務大臣 今回の法律提出に当たりまして、例えば欧米の法律等を参考にもいたしました。米国、英国、フランス、ドイツ、スウェーデンについて調べた限りにおきましては、すべての利用者の持つ移動する権利交通機関を選択する自由について明確に規定しているのは、フランスの国内交通基本法のみであります。米国のいわゆるADA法、障害を持つアメリカ人に関する法律や、イギリスのDDA、障害差別法においては、差別禁止という観点から各種の規定が置かれていることは御承知のとおりであります。  一方、我が国におきまして、移動の自由について、憲法上明示されているものではなく、学説、判例においても確定されたものでないわけであります。したがいまして、新たな権利として法律上これを規定するとしましても、そのためには内容を明確化する必要があると考えております。  いかなる交通サービス水準を享受することが移動権利であるかについて、社会的合意はまだ形成されておらず、その内容は明確でもありません。したがいまして、移動について、権利として本法案に規定する必要はないと考えております。
  55. 平賀高成

    ○平賀委員 今外国のいろいろな事例をお話しになりましたけれども、私もそれらをいろいろ調べてみました。それで、特に欧米の高齢者障害者等移動制約者の基本的理念として、スウェーデンでは、ノーマライゼーションの思想に基づいて、高齢者身体障害者方々交通の利便を確保することは義務だということで確立をされておりますし、アメリカでも、身体障害者高齢者などの移動の問題というのは人権問題だということで、あらゆる交通手段のアクセスに差別を設けてはならないとする思想に基づいてサービスを義務化しているわけです。  ですから、私は、この交通バリアフリー法案を一層充実をさせるためにも、第一歩として欧米のような基本的理念を目指すべきではないのかというふうに考えているわけですが、この点について、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  56. 二階俊博

    ○二階国務大臣 アメリカや先進国に比べまして多少おくれをとっておりますが、私どもは、今回のこの法律を四省庁でもって協議の上出させていただいたものでありますから、あらゆる面におきまして、これからこの法律の施行の段階におきまして、地方公共団体方々には、まさに地方分権のスタートに際しまして地方が中心となって対応することのできる内容でありますので、こうした中から国民の多くの皆さんの共感を得ることができれば、かなり速いスピードで目的を達成することができるのではないかというふうに考えております。  ただいまの御質問に対しましては、先ほどからもお答え申し上げましたように、いかなる交通サービス水準を享受することが移動権利であるかという点につきまして、まだまだ社会的な合意が形成されておらない、こういう状況の中でその内容を明確にするということにつきまして、かなり時間も要することでありますから、私どもとしましては、今回このことをこの法案に規定する必要はないと判断して、法律を提案させていただいた次第であります。
  57. 平賀高成

    ○平賀委員 この問題について言いますと、地方分権とか国民の協力とかいろいろありますけれども、全国的にこのバリアフリー化を進めていくということを考えますと、やはり地域ごとのアンバランスがあったりしてはバリアフリー法の精神から外れます。だから、そういう意味でも、第一義的に政府の責任を明らかにするということが必要だと思いますし、同時に、私は、国の責任を明確にするということは、これはすべてのいろいろな施策に影響する分岐点だと思うんですね。ですから、そういう意味で、このバリアフリー法をいよいよ充実させる意味でも、この点での明確化が必要だということを改めて要請しておきたいと思います。  次に、このバリアフリー法案対象としています障害者の定義の問題で質問したいと思います。  政府案の方は、その対象身体障害者ということで定義をしております。身体の機能上の制限を受ける者ということで限定をしているわけです。  それで、一九八二年の国連の第三十七回の総会で採択をされた障害者に関する世界行動計画の中で、障害に関する用語として、どういうものが障害なのかという中身について、一つは損傷、二つ目に能力不全、三つ目に不利、こういうふうな形で、身体障害とかいうことじゃなくて、いろいろな内容を幅広く定義をしているわけです。さらに、来年のWHOの総会では、障害の定義に環境を加える方向で今進んでいると聞いております。  ですから、私は、政府としても、障害者の定義を、やはり国連の動いている方向に沿った対応にするべきではないかというふうに思うわけですが、この点での大臣の見解を聞きたいと思います。
  58. 二階俊博

    ○二階国務大臣 交通バリアフリー化を進めるに当たりまして、さまざまな種類の障害を持つ方と意見を交わしながら進めることが重要なことは当然のことであります。これまでも各方面から御意見を承り、多様なニーズを把握するように努めてまいりました。  また、国連が一九八二年の総会で決議しました障害者に関する世界行動計画におきましても、障害者の多様性に着目し、それらはおのおの異なる方法で克服されなければならないとされております。  このような中で、本法案により推進しようとしております施設整備については、精神障害や知的障害を持つ方々が円滑に移動するためには何が効果的か、現時点では必ずしも明らかになっておりません。このため、本法案対象とはしていないのであります。  いずれにしましても、精神障害や知的障害を持つ方々にとって、現状で十分にバリアフリー化が進んでいるとは考えておりませんので、今後とも幅広い検討を加え、方策が明らかになった段階でこれを推進してまいりたいと考えております。
  59. 平賀高成

    ○平賀委員 大臣も言われたように、まだ十分な状況ではないからこそ、私はそういう障害者の定義も限定しないでやっていっていただきたいと思いますし、それから、この外務省の国連局社会協力課が出していますメモによりましても、国連の障害の定義は、内容として、損傷と能力不全と条件的な不利だと言っておりますので、ぜひこういう方向で進めていただきたいということを重ねて要請しておきたいと思います。  それで、せっかく、きょうは国家公安委員長もお見えになっておりますので、横断歩道の問題について質問したいと思います。  私も、浜松市で、静岡県視覚障害者の生活を守る会の方々と駅のバリアフリー化の調査を行いました。そのときに伺ったお話では、視覚障害の方は、横断歩道というのは非常に危険が伴って心配だ、しかも方向がわからなくなると非常に困るんだというお話がされておりました。  最近は、ピヨピヨと鳴く横断歩道とか、カッコーというふうに鳴く横断歩道とかいろいろな擬音式の横断歩道も出てきましたけれども、これは音によって、例えばピヨピヨというのは東西方向だ、カッコーというのは南北方向だというふうに各県ごとで取り決めがあるんですけれども、別の県に行きますと東西南北が逆になっちゃうというふうなことも、実際の問題として起きているわけですね。  ですから、視覚障害者は同じ県内だけで移動するわけじゃありませんから、ぜひこれは全国的なきちっとした統一基準を、例えば基本方針の中に明記するべきではないのかというふうに考えているわけなんですか、この点についての国家公安委員長の御意見を伺いたいと思います。
  60. 保利耕輔

    保利国務大臣 お考えの点はよくわかりますし、ばらばらなやり方をやっているということが決して望ましいということではないと思います。  ただ、これはいろいろ過去の経過、いきさつ等がございまして、いろいろな形で導入をされてきたということがございまして、現在、実際に利用しておられる方が既に運用されている方式になれているというようなこともありまして、変更を望まないという場合もございます。  したがいまして、やはり将来の方向としては、バリアフリー化が進み、視覚障害者の方も全国を歩かれる機会が多くなってくるということを考えますと、統一的な方法というのを将来的には考えていかなきゃならないことだと思いますが、今急に全部統一をしてしまうということについては、視覚障害者方々の実際の合意を少しずつ形成していく、そういう過程を踏まえて考えていかなければならないのではないか、こう思っております。
  61. 平賀高成

    ○平賀委員 これは私たちも、一気に変えろということじゃなくて、変わるからにはやはりいろいろな周知徹底の期間もあります。しかし、将来的にはぜひ、どこに行っても同じような基準でやれるようにしていただきたいということを要請しておきたいと思います。  もう一つ最後に、これは、鳴き交わし式の横断歩道というのがありまして、こっちでピヨと鳴いたら向こうがピヨピヨと鳴く、そうしますと視覚障害者にとってみますとどちらに横断していったらいいのかという方向がわかる、そういう点でこれは非常に喜ばれているわけです。現状では、こういう鳴き交わし式の横断歩道は全国で八百三十八基ありますけれども、これはまだまだ少ないと思いますから、この整備をどう進めていくのかについて、大臣の決意を伺いたいと思います。
  62. 保利耕輔

    保利国務大臣 委員指摘のとおり、視覚障害者用の付加装置につきましては、全体で約一万ぐらいありますが、そのうち八百三十八基というのが現在の数字と思っております。  そういう意味でいきますと、この鳴き交わし方式というのは、御指摘のように非常に合理的であります。私は幸いにして目は見えますけれども自分が目をつぶったときでも、その様子を想像いたしますと、非常にわかりやすいやり方だなということが容易に想像できます。したがいまして、今後、原則として鳴き交わし方式のものを整備していくということに努力をしてまいりたい、このように思っております。
  63. 平賀高成

    ○平賀委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  64. 仲村正治

    仲村委員長 次に、赤羽一嘉君。
  65. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。  私たちも、福祉の党、公明党として、かねてよりバリアフリーまちづくりということを提唱してきました。その結果として、この通常国会で、政府からいわゆる交通バリアフリー法案というものが提出をされ、本会議の質疑、また運輸委員会での何回かの質疑、そして参考人の皆様を三たびお呼びいただいての参考人質疑、そして委員会派遣の現地視察、恐らく二十時間以上をかけて何回も熱心に議論をされ、ようやくこの成立のめどが見えてきたというような状況になってきたことは非常に喜ばしく思います。  きょうは、恐らく与えられたもう最終の質疑となると思いますので、これまでの参考人の皆様の御発言等々も踏まえた上で質問をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  まず、今共産党の方からも言われておりました、政府案については高齢者身体障害者等ということで、障害者身体障害者に限っているのではないか、すべての障害者法案対象になっていないことは大問題だというような御批判を繰り返されておりますが、私は、それは決してそういったものを政府案の中で排除していこうということでこういった命名になったのではない、この批判は当たらないのではないかというふうに考えております。  先ほど大臣からの御答弁もありましたが、先日の委員会派遣の視察でもありましたけれども、要するに、ある障害者対策ということが別の障害を持たれている方にとってはバリアになってしまう、こういったことが実は珍しくないということを我々はその視察によって学んだわけでございます。  先日の参考人皆さんからも、障害者といっても障害は多様であり、障害者の多様な特性に対応した具体的な施策をまず講じてほしい、身体障害者と精神障害者を一くくりにすることは必ずしも適当ではない、知的障害者は等に含まれているということで、初めからすべての障害者対象にするのは非現実的なのではないかといったコメントもあったわけでございますし、先ほどの大臣からの御答弁でも、別に排除をするわけではなく、具体的な対応策というものが定まれば、そのときに前向きに対処されていく、私はそう理解をしているわけでございます。  繰り返しになって恐縮でございますが、その点について再度御答弁をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
  66. 羽生次郎

    羽生政府参考人 お答えいたします。  先生指摘のとおり、精神障害者の方の問題というのは、我々も大変重要な問題だと考えております。  また、今先生が引用なさったのは、たしか村谷参考人のおっしゃったことだと思います。障害者を一くくりにするのは適当でない、それぞれに合った施策をとってほしいということをおっしゃっておりました。それは確かに、本委員会でも引用がございました障害者に関する世界行動計画、この中でも、障害者は単一のグループではない、皆異なる性質の障壁にぶつかるのであり、それらはそれぞれ異なる方法で克服されなければならないとされております。まさにその異なる方法というものが、現在まだ十分開発されておりません。  これも参考人質疑で、たしか近畿大学の先生がおっしゃったと思うのでございますが、ピクトグラムというのが一つの方法であるが、まだそれも開発されていないというところでございます。  そして、精神障害者の方について、果たして本当に施設整備なのか、それとも交通の従事者の方の教育なりケアというところでいくのか、この辺もまだ十分ではございません。  我々として、これを放置しているわけではございませんで、大臣が申し上げましたように、この件について幅広く十分に検討し、そして具体的な方策が明らかになり次第、必要な対策をとっていきたい、かように考えております。
  67. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございます。  知的障害者等皆さんの対策についても排除するものではない、今後検討を進めていきたいということが確認されたわけでございます。  次に、移動の自由について、民主党の法案提出者の方にお伺いをしたいと思います。  かねてより民主党の皆様は、政府案施設整備法だ、我々は権利保障考え方だ、移動の自由の確保をうたっているんだ、こういうふうに主張もされ、実際、法案上も第一条の目的または第三条の基本理念、この欄にそう明記されているのは確かだと思います。先ほど政府答弁にもありましたが、今日本には高齢社会対策基本法とか障害者基本法といった基本法が存在しておりまして、その基本法の中にそういった理念が明記されている、その理念に基づいて、今回のいわゆる交通バリアフリー法案というのは具体的な施策について定めたものだという御説明があったかと思います。  わかりやすく聞きたいと思うのですが、理念なんだ、権利保障なんだ、こう何回もおっしゃられておりますけれども、具体的に法案内容について、政府案といわゆる権利保障をうたっている民主党案のどこに違いがあるのか、第一条と第三条にそう書かれているというのは理解もしますが、私の理解ではさしたる違いがあるというふうにはなかなか思いにくいのですが、その点、御答弁いただければと思います。
  68. 玉置一弥

    玉置議員 お答えいたします。  私ども法案は、移動の自由を保障する、いわゆる権利保障だというふうに主張いたしております。これはあくまでも法律基本概念でございまして、権利保障、いわゆる高齢者だから、あるいは障害者だから移動外出ができないというような状態ではなく、そういう人たちも同等に外出できるような施設をつくろうということでございまして、移動することあるいは生活権そのものを保障しようということでございます。ですから、どこの部分がと言われるよりも、法のやはり概念、理念をうたうことが非常に重要である。  それから、もっと具体的にいけば、法廷闘争のときに、本当は構成要件を整えてやればいいのですが、法的な担保を将来は付加するような形をしたいということでありまして、今はやはり一つ移動保障という面で充実をしていこうじゃないかという法律の精神的な流れを示しただけということで、具体的には、当事者参加の中で、そういう主張を取り入れて実施計画の中に組み込んでいくということにしたいというふうに考えております。
  69. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 先ほど玉置議員御質問の折に、玉置議員もみずから、移動の自由というこの概念は憲法上まだ明確になっておるものではないということは御同意されたと思いますし、また一方では、政府案についても、明記されているされていないとは別に、先ほどのような仕組みでできた法案ですから、実質上政府の案でも同様の思いで法案施策がとられている、私はそう理解をしておるのですが、その点についてどのような御見解でしょうか。
  70. 中馬弘毅

    中馬政務次官 先ほどからも、移動の自由、これを権利としてはっきり法律の中に織り込めという話もありますが、障害者基本法やあるいは高齢社会対策基本法、こういった中の理念そのものを体現したのが今回提出している法律でございまして、バリアフリーそのもの、この法律そのものが、体現したものだ、理念そのものだと私は理解をしておりますし、皆様方もそのように御理解いただけたらと思っております。
  71. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 私もそのような理解でおりますし、大事なことは、施策の中でそういったものが具体的に生かされていくかどうかということになるというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、既存施設について質問を移らせていただきたいと思います。  これも別の政党では、既存施設事業者任せの単なる努力義務となっている、実効性を担保することにはならない、こういった批判がされておるわけでございます。この委員会質疑、参考人質疑等々通しても、努力義務ということについて、何もやらないかのような理解をされていることについて、私はどうも納得ができないわけでございます。既存施設といっても、基本構想に盛り込まれた内容については、ほぼ義務づけに近いものだというふうに私は理解をしておりますし、その結果、既存の施設バリアフリー化も必ずこの法案成立後進展する、そう確信をしておるところでございます。  実際、先日の鉄道事業者参考人の御発言にもありますように、努力義務だからといって放置しようとは思っていない、一つの駅でできても、他の駅でできていないとバリアフリー意味がないことから、年限を区切ってでも加速させることが重要だという発言もございましたし、また別の参考人からは、バリアフリー化については義務ではなく使命としてやっていくんだ、そして、高齢社会の中で鉄道事業者が生き残っていくためにも、バリアフリー化を進めていくことが大事なんだ、こういった御発言があったことから見ても、努力義務、こういうふうになっておってもそれなりの進展は期待できるというふうに思っておりますが、その点についてどういう御見解でしょうか。
  72. 羽生次郎

    羽生政府参考人 お答えいたします。  先生に御指摘いただいた点、すなわち努力義務でどのくらい進むのかということでございますが、実は、努力義務も何も課される前に、平成十年でございますが、十分な助成制度をとりましたところ、既存駅でございますが、約一カ月の間に百件、百駅において進んだという実績がございます。すなわち、私どもの見るところ、それから参考人皆さんがおっしゃったところを見ますと、事業者の方に意欲がないのではなくて、むしろ、やろうにも十分な資金的手当て等がなかったので進まなかった。これができたということで、努力義務も何もない段階でも進んだわけでございます。したがいまして、今般、法律に基づいて努力義務がかかってきたということは非常に大きな意味があるのではないかと思います。  さらに加えまして、先生が御指摘いただきましたように、地方公共団体が中心となってこの駅周辺を一体的に、社会連帯としてやろうといった場合には、まさに義務に近いもの、これについて協力しなければならないし、これについて合意した場合についてはやらねばならないという、まさに義務がかかってくるわけでございます。  そういったところから見ますと、この法案によりまして、また平成十年補正以来とっている助成制度の充実によって、飛躍的に進むと考えております。
  73. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 そういった結果になるということを私も大いに期待したいところでございます。  参考人の方から、この努力義務について、例えば改善計画の作成を求める、こういったようなアイデアも出されたところでございます。向こう十年でバリアフリーが必要な駅に何とか全部つけていきたい、こういったことは再三大臣からも御答弁があったところでございますが、十年の中での進捗状況のチェックというようなことも踏まえて、先ほど見直しをすることも辞さないといった御答弁もありました。その見直しについてということと、また細かい話ですが、各駅の改善計画なるものを作成することを指導していくということを求めることについてはどのようにお考えか、できれば大臣に御答弁をお願いします。
  74. 二階俊博

    ○二階国務大臣 お答えいたします。  まず、赤羽委員が冒頭お話しになりましたように、本法案につきまして、公明党の各位が大変熱心にこのバリアフリーの推進に随分以前から取り組んでいただいておりますことに、改めて敬意を表しておきたいと思います。  お尋ねの点でございますが、まず、見直しにつきまして、私どもは、現在この御審議願っております法案が最善のものであるという考えのもとに提出をさせていただいておりますが、できるだけこの委員会の御議論を通じましてよりよいものに仕上げていきたいと当初から考えておりましただけに、委員各位、また委員長の指導のもとに見直し等につきましての御意見がまとまれば、私どもとしては政府内で早速協議をいたしまして、委員会の御指導に従っていきたいと考えておる次第であります。  また、改善命令等につきまして、今後の具体的な対応の中で十分配慮していきたいと考えております。
  75. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございます。努力義務ということがまさに努力を課す義務だという、実効たらしめるように御努力をいただきたいというふうに思います。  民主党の法案提出者の方にお伺いしますが、五千人以上の駅舎が対象だということについて、これは全体の利用者の九四%を超える利用者だ、こういう中で、一応のガイドラインとして運輸省は定めたと。しかし、先ほど大臣からは、自治体の、地方公共団体の御判断等々で五千人以下ということがだめだというふうな意味ではないのだという御答弁もあったわけでございますけれども高齢者割合が高いところについて、そういうことを考慮する、ガイドラインに入れるということは私自身もこの委員会で提案をしてきたわけでございます。しかし、なかなかその駅が、ここは高齢者割合が高いのだとかバリアフリーが求められているのだというような判断というのは、言うはやすく決定するのは非常に難しいというところもあると思うのです。  その点について、民主党の考え方として、ここの駅は残り六%なんだけれどもバリアフリーが必要なんだよ、こういうふうに決める具体的なアイデアというのはどう考えられているのか。そこがはっきりしないと、逆に合理性を伴わない内容になってしまうということが危惧されると思うのですが、御答弁をいただければと思います。
  76. 玉置一弥

    玉置議員 五千人以下と既存の駅につきましての考え方でございますが、今、JR、民鉄合わせますと約一万弱の駅がある。そのうち、中小都市近辺を含めて五千の駅ということになっております。残り半数がいわゆる町村の駅ということになるわけでありますが、その中で、やはり該当するのは全体の六五%ぐらいの駅ではないか。いわゆる六千五百から七千の駅だというふうに予測をいたしまして、その駅について十年以内にバリアフリー化をしたい。そして、対応する乗降客の人数でございますけれども、五千人以上で、九四%は多分いっていないのではないかなというふうに予測するわけですね。それと、やはり介助、介護を必要とすることもあり得ることですから、無人駅というのはできるだけ避けた方がいいだろうというふうに考えておりまして、少なくとも六千五百から七千ぐらいの駅に対して、まずやりたい。  ただ、先ほどから私も質問しておりましたけれども、各市町村がやはり発意をしないとなかなか進まない問題でございますから、優先度はやはりやりたいところからやるということになってくるかと思います。そういうことを想定した数で一応把握をしているということでございます。
  77. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それはあくまでも地方自治体がイニシアチブをとってその判断によるという、先ほどの政府、大臣の御答弁と同様だということで御理解してよろしいですか。——ありがとうございます。  次は、パブリックコメントについて質問させてもらいたいと思いますが、政府案では、基本方針策定に当たって、閣議決定も既にしておりますパブリックコメント手続ということを活用して、高齢者身体障害者方々のみならず、広く国民の声を聞いて、その意見を十分反映していくこととしておるというふうに理解をしております。  また、これまでの例を見ても、阪急伊丹駅のお話もありました。当然、当事者また障害者皆さんの代表の方の声を反映させていいものをつくるということについて、全く政府案もそのように考えているというふうに思っておりますが、なぜか政府案については、障害者等利用者意見が反映できる制度が全く位置づけられていないというような御批判、民主党ではないと思いますけれども、そういう批判をしているところがある。これは実は極めて誤解に基づくナンセンスな批判だというふうに私は思っておりますが、パブリックコメントについてどうお考えか、政府から御答弁いただきたいと思います。
  78. 中馬弘毅

    中馬政務次官 この法案審議の中でもずっと答弁しておりますように、この法律をつくるまでにそのような御関係方々から幅広く声を聞いてこの法案を仕上げたつもりでございます。しかし、民主党さんの案の方で若干そのような、明示していないではないかといった、誤解と今赤羽議員がおっしゃったようなこともございます。  そういうことで、私どもは、そのことを担保するにおきましても、ここでも明確に申し上げさせていただきますが、基本方針の中にそのことを、各基本構想をつくる場合には地域のそういった方々の御意見をはっきりと聞くようにといったようなことまでも、少しうたうことを十分に私たちはお約束できると思っております。
  79. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 これまでの委員会でも、当事者意見利用者意見を聞くのは当然だ、こういうふうな大臣の御答弁もありましたように、今後この法律が成立して具体的な施策のときには、当事者の声が反映できるようなお取り計らいをぜひお願いしたいというふうに思っております。  続きまして、地方自治体の役割ということについて、ちょっと質問したいと思います。  政府案は、どこまでいっても現場の地方自治体がイニシアチブをとることが重要なんだ、それについて国はサポートしていくというふうな考え方だと思います。民主党の案は、ちょっと私に理解が足りないかもしれませんが、基本方針の国会承認を求めるとかその結果の国会報告を求める、また財政負担についても地方公共団体基本的にはない、四分の三が国で四分の一が事業者だというような点等々を見ると、どうも地方自治体の役割が軽くなっているのではないかというふうなことも思うのですが、政府として、逆に民主党のこの案について、地方自治体の役割についても御意見があれば聞かせていただきたいと思います。
  80. 羽生次郎

    羽生政府参考人 先生、民主党案に対する見解をということでございますが、政府といたしまして、議員御提案の法律案に対してコメントするというのはいかがかと思いますので、ちょっと差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、政府案については御説明申し上げることが可能でございまして、地方分権の考え方に基づいて、我々は地域の実情に応じたバリアフリー化を進める制度を導入しているものでございます。もちろん、民主党案をよく読ませていただきまして、大変すぐれた、そしてまた先を読まれたよい案であるというふうに私ども見ておりますが、それ以上のことは、ちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  81. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 民主党案、では御意見を、御弁明じゃありませんけれども、御説明をいただければと思います。
  82. 玉置一弥

    玉置議員 パブリックコメントについて、まずお答えをしたいと思います。  私どもの方は、実施計画の中身をよくしていくということと、それからその効率性を高める、要するにユニバーサルデザインという形でやりながら、なおかつ身障者高齢者方々にふぐあいのないということと、その機能を十分果たせるように当事者の御意見を伺うということが非常に大事ではないかということで、当事者参加を表面にうたったわけであります。  例えば、障害者団体の会長さんとかいろいろな形での当事者がおられるわけでございますが、できるだけふだんからそういう調査をされている方、実務的にいろいろな障害を排除しようとされている方とか、諸外国を駆けめぐっていろいろ研究をされている学者の先生もおられますし、そういう方々意見を聞いた方がいいのではないかということでございまして、行政の側とかあるいは健常者が予測をしてやるよりもはるかに効率的なものができるという考え方でございます。  それから、もう一点の地方自治体の参画ということでございますが、おっしゃるように、四分の三は国からの補助という形で我々はつけました。これは、十年間で追いつくんだという政府の意気込みを感じ取って、それを実現するためには四分の三を国が出さないとできないだろう、そして残りの四分の一につきましては、八分の一ずつ地方事業者負担をするということでございまして、地方自治体がゼロではない、しかし実施計画地方自治体が主体となって事業者に働きかけてするというものである、こういうような考え方でございます。
  83. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 パブリックコメントについては、結局、実質的には同様の思いであるというふうに私は確認したいと思いますし、地方自治体の財政負担については後ほど、かかる経費の算出根拠についてちょっと疑問がありますので、その部分で質問させていただきたいと思います。  次に、スペシャル・トランスポート・サービスについて。  これは大変重要な概念であるというふうに思っておりますが、これまでの参考人の御質疑の際に、複数の参考人の方、民主党の御推薦の参考人の方の御発言の中ですら、このスペシャル・トランスポート・サービスについてまだ確立した概念がないんだ、いろいろ多様性を持たれている障害者の皆様をどう運ばれるかということが未確立なんだ、まずその検討を進めるのが先なんだというふうな指摘をされたと思っております。  民主党の案を読んでみますと、スペシャル・トランスポート・サービスというのは大事なんだというふうには言われておりますが、具体的な内容が明記されているわけではなくて、地方公共団体に努力義務を課すというふうな法案上の中身になっていると思いますけれども、その点について、どのように具体的に規定しているのかお聞かせいただきたいというふうに思います。
  84. 玉置一弥

    玉置議員 スペシャル・トランスポート・サービスにつきましては、アメリカあるいはヨーロッパの国々では既に実施をされているところでございまして、いろいろな文献も国内で出回っておりますし、政府の側もそういう調査をおやりでございます。そういう意味では、大体の概念というのは内々つかんでおられるのかなという気がしました。  我々の方は、一応、自治体がやる場合と、ボランティア団体がやる場合、バス事業者がやる場合、あるいはタクシー事業者がやる場合、こういう事業主体を想定いたしまして、それぞれが町の中を回って身障者高齢者の自宅まで迎えに行く場合と、一定のルートを決めて、そのルートを回る場合と両方あるだろうというふうに想定をしたということでございます。  ですから、確かにおっしゃるように概念として非常に幅広くございます。福祉タクシーも、スペシャル・トランスポートといえばスペシャル・トランスポートになるわけであります。この辺の概念を、自宅なり、まず近いところにまで迎えに行って目的地、駅あるいは病院に届けるということがいわゆるスペシャル・トランスポートだという概念で企画をしたものでございまして、方法としては、先ほども言いましたようにいろいろございます。どれを選択するかというのは自治体なりあるいは事業者ということになってくるわけでありまして、その流れに沿って支援をすべきだ、こういう考えでございます。
  85. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 清水参考人の御発言だったと思いますが、清水参考人は、脳出血の後遺症でリハビリ中であって運動感覚がない、だから乗用車に乗れてもワンボックスカーには乗れない、こういったことがある。御発言を聞いていて、非常に難しい、非常に多岐にわたっていて、一口にスペシャル・トランスポート・サービスと言うことは簡単ですけれども、網をかけるようにだっとやることが実態として実効にかなうものなのかということは非常に考えさせられたわけでございます。  スペシャル・トランスポート・サービスというのは我々も、もちろん政府の方も、その概念については重要なものだ、取り組んでいかなければいけないものだというふうに考えられていると思いますが、このSTSについての取り組みの方針について、運輸省の方から御答弁いただきたい。
  86. 二階俊博

    ○二階国務大臣 STSにつきましては、先ほど来の御議論にもありましたように、確定した概念はいまだありませんので、民間運送事業者による福祉タクシー等から、地方公共団体が主体となって福祉行政の一環として提供する輸送サービスまで、幅広い取り組みが行われておるというふうな認識を持っております。  運輸省としましては、今後とも民間運送事業者による福祉タクシー等のサービスを充実してまいりたいと考えております。今回の法律が成立することによって、こうした面につきましても、関係者の創意工夫さらに奮起がもたらされるものと信じております。  私も、運輸省の出先の局長等に対しまして、地域のこのような福祉タクシー等の現状等について意見を求めておるところでありますが、それぞれの地域におきまして相当進んできておることは事実であります。  したがいまして、今後、関係省庁と連携をしながら、STSの意義等につきましても地方公共団体認識をさらに高めるとともに、どのようなサービスをだれの責任と負担で提供することが必要かということを検討し、二、三年の後には本格的な導入が図れるように、一層努力をしてまいりたいと考えております。
  87. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございます。  今御紹介のありました民間タクシー事業者が、一概にすべての会社がやっているということではなくて、恐らく今後業界の中で生き抜こうと頑張っている事業者、この前の運輸委員会だったと思いますが、私も大臣に御紹介をさせていただきましたが、地元の幾つかのタクシー事業者では、福祉タクシー等々に手を広げて挑戦することによって、自分たちの会社のためにもまた社会のためにも生き抜いていこうと頑張っているところが何社かございます。  そこで言われたのは、なかなかそういったことについての具体的な支援策というのはなくて、これだけタクシー業界も冷え切っている中で、やりたくてもなかなか難しいところがあるんだ。先駆的低公害車評価事業という、財布の大きさの違いがあるのかもしれませんが、通産省のそういった補助制度は額もかなりしっかりしたものがあるんだけれども、なかなか運輸省からはそういった支援というのが率直に言うと充実していないというふうな御意見もございました。  この点についても、今具体的にどうのこうの言うことではないんですが、スペシャル・トランスポート・サービスということも視野に入れて、そこの中で先駆的にされていることについては、運輸省を挙げてバックアップされていくという方向で御尽力いただけたらと思いますので、恐縮でございますが、どうか重ねて御答弁いただけたらと思います。     〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
  88. 二階俊博

    ○二階国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたとおり、関係省庁と連携を図りながら、これらの面につきましてさらに努力をしてまいりたいと思っております。  タクシー業界におきましても、最近は福祉タクシーの問題につきましてみずからの活路を見出そうということを考えておる経営者の方々も多くおられるわけでありますが、同時に、運転手さんそのものが、ただ人を運ぶというだけではなくて、福祉社会においてみずからの仕事を通じて貢献することができるという、まさに使命感を持っておられる方々もこのごろ多く出てきているように伺っております。そうしたすべての方々の御協力をいただいた上で、STSの時代をできるだけ早く迎えることができるように、今後努力をしてまいりたいと思っております。
  89. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 次に、駅舎での転落防止策について、細かいようですが質問したいと思うんです。  政府案基本理念には、移動の利便性とともに安全性の向上、こういうことがうたわれておりまして、視覚障害者の皆様から、プラットホームからの転落について防止策を講じてほしい、こういった御意見が重ねて出されました。  先日、鉄道局長からも、誘導・警告ブロックの統一基準化の見直しということを踏まえて、誘導・警告ブロック改善検討会なる委員会が発足したという御答弁があったわけでございますが、これは具体的にいつまでに結論づけるような方向で考えられているのか、お聞かせいただければと思います。  それに加えて、ホームでの音声案内による転落防止について御要望が出されたところでございますが、その点についての御見解もあわせてお願いいたします。
  90. 安富正文

    安富政府参考人 先生指摘のとおり、誘導・警告ブロックにつきましては、ブロックの仕様や設置の仕方が異なるということから、視覚障害者方々にとって利用しにくい場合があるという御指摘をいただいていることは、我々も十分認識しております。  このため、現在、ISO、いわゆる国際標準化機構において、ブロックの仕様、設置方法等に関する国際標準が検討されておりますし、また、JISにおいても、ブロックのパターン等について研究が進められておりまして、運輸省としても、この研究に関する専門委員会に委員として参画するという形で、標準化に向けて積極的にやっているところでございます。  さらに、運輸省の中に、ホームからの転落防止という観点から、先生指摘のように、誘導・警告ブロック改善検討会というのを平成十一年に立ち上げまして、現在、転落防止のためにはどういうブロックの形態がいいかということについて検討しておりまして、これの設置方法等について、今後、検討結果をもとに規格の統一化を図っていきたいというふうに考えております。一応、平成十一年から十三年をめどに、現在研究を進めているところでございます。  それからもう一つ、音声による誘導システムでございますが、これにつきましては、現在いろいろな音声ガイドシステムがございます。  例えば、阪急伊丹駅においては、つえである程度ブロックをつつきますと上から音声が流れてくるという形で音声の誘導をしている例もございますし、さらには、現在、鉄道総研の方で、我が方の補助金を受けまして、具体的に、視覚障害者がつえと携帯の端末装置を持って誘導ブロックに沿って誘導案内ができる情報提供システムの開発が進められております。  こういう幾つかの方式を現在、研究開発しているところでございますので、引き続き、いろいろな方式につきまして技術開発動向を見きわめながら、我々としては、どういう方式がいいか適切に対応していきたいというふうに考えております。
  91. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 この法案が成立するわけでございますので、平成十一年度から十三年度までということであるけれども、なるべく前倒しで、速やかに結論を求めるように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、民主党案の提出者の方に御質問いたしますが、必要経費についての算出根拠についてなんです。  その前に、この前、タクシーの業界の参考人の方が、タクシー業界は九九%が零細中小事業者だ、全車両バリアフリーの義務づけというのは経営上基本的には耐えられない、こういう御発言がございました。また、身障者用の装置にかかる費用を一般利用者に料金として転嫁することが妥当かどうか、こういった問題の指摘もありました。また、電動車いすを折り畳めないことから基本的にはリフトつき車両が必要であり、改造の費用は、民主党さんは、一台につき二十万とか三十万という御答弁でありましたが、この前の参考人の方からは、一台につき二百万円が必要だ、こういった御指摘もあったわけでございます。  例えば、タクシーにつきまして、一台の改良費が二百万円ということですと、二十六万台で五千二百億円、その国庫負担は、四分の三ですから三千九百億円という額になるわけですね。  ノンステップバス一台、これは二千三百万から五百万、六万台の半分をかえるというようなお話でしたから、三万台かえるとしましても、これは差額でどうのこうのじゃなくて買いかえなきゃいけない話ですから、七千二百億円、その国庫負担は五千四百億円かかる。  また、駅舎にエレベーターの設置というのは、これはある意味では価格はピンからキリだと思いますが、最低一億円はかかるのではないか。池袋とか大型になりますと何百億円という試算も出ているようですが、全国でどのぐらい出すかという問題です。例えば八千駅にしても、八千億円、その国庫負担は、四分の三ですと六千億円。  この三つを足しただけでも、一兆五千億ぐらいの試算になる。それ以外に道路の問題とか面的な整備ということを考える中では、とても民主党さん案の年間六百五十億円の算出でできるような話ではないんではないか。  同時に、タクシーの話に戻りますが、差額の千三百億円という負担事業者に求めるということが、先ほどのタクシーの参考人の方の御発言からも、現実的に可能なのかどうかということについて非常に大きな疑問を私は感じざるを得ない。  我々、政治家ですから、観念論ではなくて、具体的なこととして進めていかなければいけないということであるとするならば、この辺はきっちりしたものを出さなければ、残念ながら絵にかいたもちのような話になってしまうわけでございまして、この点について御説明をいただければというふうに思います。     〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
  92. 玉置一弥

    玉置議員 理想と現実の話にもなるわけでございますが、私どもは、将来は二分の一の基準、バスもタクシーもやりたいなということでございますが、実際にはそこまではなかなかいかないだろうということで、バスの場合は、少なくとも二分の一を低床とかあるいはノンステップバスとかという形でいきますと、追加費用として約八百万、十年かかって合計で千七百五十億になります。  それから、タクシーですが、当初は、三年ぐらいで五〇%という乗りかえのタイミングと整備率を考えたんですが、実際には五年。非常に高い車でございますし、稼働率も悪いし、もっと長く乗るだろうということで五年間と見て、その全体の保有台数の二割ぐらいは少なくとも持ってもらわないとできないだろうということで考えました。そのトータルが六百七十億円。  それから、市町村のSTS、これはアバウトでございますが、三千三百ある市町村が三台ずつ持つと大体一万だ。東京とか横浜とか大都市はやはり台数は多いですし、何々町あるいは何々村になりますと共同で持つような形になるだろうということで、平均して三台、一万台ということで計算しまして、これが約八百億円。一車両、平均単価で八百万円と見ているんですが、これはミニバスとかリフトつきバスとかいわゆるマイクロバス改造型を想定したバスということでございます。  それから、駅の数でございますが、先ほども言いましたように、六千五百から七千ぐらいはやらなければいけないというふうに我々は見ています。その駅の進捗率が、エレベーターエスカレーターとはそれぞれ誤差はございますけれども、平均すると約二〇%ということでございまして、八掛けということになりまして五千四百億ということです。  そのトータルが八千六百億になります。八千六百億の四分の三ということで、そのトータルが六千五百億。これを十年で割りますと、六百五十億。  概算ですよ。これにはまだ、道路の関係とか全然ありません。だから、すべてやると約二兆円かかるんじゃないかということでございまして、果たしてどこまで国が持つかとか、地方が持つかとか、あるいは事業者が持つかとかいう論議の中でこれは進んでいくのではないかということでございます。  一応、我々が算出した基準は、四分の三を持たないと十年で追いつくことができないだろう。確かに、補助金の率としては異常に高いわけでございますが、これはいわゆるインセンティブをつけたということでございまして、そういう御理解をいただきたいと思います。
  93. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 思いは理解できるけれども、なかなか、現実的には可能なものなのかどうかというのは理解しがたい。二兆円かかるということを図らずもおっしゃられましたように、この実態はまだまだ詰めていかなければいけないんだろうなというふうに思いました。  最後の質問として大臣に聞きたいんですが、金のかかる話でございますけれども、私は、やはりこれは、国を挙げて金を大いにかける、高齢社会にとって必要な社会資本整備だというふうに思うんです。公共事業についてはいろいろな御批判がある中で、このバリアフリーを進めるという意味での公共事業というのは、恐らく何人も批判しない、また必要な施設整備事業だというふうに思っておりますので、いろいろな制約があると思いますが、今後、運輸大臣のリーダーシップで、二十一世紀の公共事業バリアフリー施設整備、こういうことを言うぐらいにどうかぜひ大いに進めていただきたい。今の玉置議員の話以上に金をかけてやっても意味あるものではないかというふうに私は思いますので、その御見解を最後に、御決意でも結構でございますが、聞かせていただき、終了させていただきたいと思います。
  94. 二階俊博

    ○二階国務大臣 近い将来に本格的な高齢化社会が到来することは紛れもない事実であるわけでありますから、そうした中で、社会資本の質的な向上を図るために、交通関係の公共事業は今後も大きな役割を果たしていくことになるわけであります。とりわけバリアフリー施設整備につきましては、現代の整備水準を考えますときに、これをより一層推進をして、欧米先進国に追いつき追い越せということで頑張っていかなくてはならないと思っております。  ただいまの御指摘、また民主党案等も十分念頭に入れて、今後私たちは、関係省庁地方公共団体交通事業者等と緊密な連携をとりながら、交通機関のバリアフリー化に全力を傾けてまいりたいと考えております。
  95. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  96. 仲村正治

    仲村委員長 次に、石破茂君。
  97. 石破茂

    ○石破委員 この法案審議も大詰めに参ったというふうに思っております。今日に至りますまでの、二階大臣、中馬次官初め運輸省皆様方、建設省、自治省、そして警察庁の御努力に敬意を表しますし、また、あわせて、玉置提出者初め民主党の皆様方の真摯な御努力にも心から敬意を表する次第でございます。  論点が大分絞られてきたように私は思っておるんです。あるいは繰り返しの質問になるかもしれませんが、党としての確認ということで御容赦をいただきたいと思います。  一つは、この中間の見直しというものをどうするのか。政府案におきましては、附則の第三条、「検討」というところでございます。「政府は、この法律の施行後十年を経過した場合において、第二十一条第一項の規定」、運輸施設整備事業団に関するものでありますが、それの「施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」これが政府案であります。民主党の方は、途中で見直しをしなさい、こういうことで、ここが相違点でありましょう。  また、ほかにも、パブリックコメントというのですか、要するに、どのように市民、利用者移動制約者の皆様方、そういう方々意見を反映していくか、そこの部分においてやや差があるのかな。そのほかにも、STSでありますとか、権利であるか否かとか、そういうような差があるように私は認識をいたしております。  まず、政府お尋ねをいたしたいと思います。先ほど来、大臣の御答弁の中にも、この見直し規定については、委員会の議論を経て運輸省としても考えてまいりたい旨の御発言がございました。これを十年ということになさった理由についてであります。  つまり、私思いますに、これは、規制をどんどん緩和をしていくということであれば、途中で見直しをすることもあり得べしだろう。当然、そのような規定はほかの法律にもいっぱい盛り込まれておるわけであります。閣議決定もなされておるところであります。  しかしながら、このバリアフリーの場合には規制を緩和するということはあり得ないわけで、移動円滑化のために一種の、この言い方が正しいかどうかちょっと私も自信がないのですが、規制というものをどんどんと加える社会的規制であります。それは、むしろ認められてしかるべきものだ。だとすれば、途中で見直すというようなことは本来はないのではないか。そして、先ほど羽生局長のお話にもありましたが、義務化しなくてもこんなに手を挙げた。それをさらに義務化すれば、本当にこぞってみんながやりましょうねということになるのであって、あえて見直し規定というものは入れなくてもいい、入れなくても進むはずだ、このようなお考えではないかというふうに私は理解をいたしておるのであります。  しかしながら、逆に、五年で見直して、もっとやろうではないかというようなこと、法律のいろいろな内容も含めて、さらにドライブがかかるようなそういう見直しも私はあるいはあってもいいのかなという気もしておるのであります。  政府案が十年というふうになさったのは、決していいかげんな気持ちではなくて、これで十分に実効性は担保されるということで十年とお書きになったというふうに思いますが、その辺につきまして大臣の御見解を承れればありがたいです。
  98. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま御指摘のありましたような見直しの件でありますが、最初、十年ということに考えました根拠は、それぞれの関係者に三分の一ずつの負担をお願いしていく、そして、それも一日五千人程度の乗降客が見込めるような事業所を念頭に入れて一つ一つ取り組んでいくことによって、十年間で九四%ぐらいバリアフリー公共交通機関を達成することができるだろう、こういうことから十年という目安をつけたわけであります。  各委員皆さんから、見直し等につきましても積極的な御意見がございました。私どもは、再々申し上げておりますように、やがてこのバリアフリー社会を実現していくという上において、欧米先進国に追いつき追い越せという気概を持っておりますだけに、今後五年程度で見直しを図って、今後さらに新たな頂上を目指して進んでいくということも一つの方法かな、こう考えております。  法案につきましては、現在提出させていただいているものを最善のものと考えておりますが、そこは、委員長以下、各理事皆さん委員皆さん等の御指導があれば、我々は柔軟に対応していく所存でございます。
  99. 石破茂

    ○石破委員 この点について、玉置提出者の御意見をいただきたいと思います。
  100. 玉置一弥

    玉置議員 新たに交通バリアフリー法案をつくったということと、それから十年間をかけて欧米並みに追いついていくということで、当初の見込みと十年間の時間的な経過とを考えてみると、かなり行政が変化していくのではないかというふうに思われます。その辺を勘案すると、やはり見直し規定を中間ぐらいで入れた方がいいんじゃないか。  それから、負担率の話がありますが、この負担率で実際に進むかどうか、私はちょっと疑問も持っております。私どもの方の四分の三でも、逆に進み過ぎたら落とさなきゃいけないという部分もあります。これは、要するにどちらかというとインセンティブをつけてやりなさいと押しつけていくような感じになるわけで、そういう意味で奨励的なものがあったということなんで、進捗状況をやはり中間で見直すというのは非常に大事じゃないか。  それから、今とそのときの情勢の変化というものを踏まえて、その後の五年間に何をやるべきかということをやはりもっと考えた方がいい、こういう気持ちで見直し規定を入れました。
  101. 石破茂

    ○石破委員 これは私の勝手な、個人的な考え方ではございますが、今の大臣並びに玉置提出者のお話を聞きながら、やはりこれは施行後五年、間の五年ぐらいだろうと思いますが、五年を経過した場合において、その施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置云々、こういうような文言にした方が、あるいは使い道があるのかもしれない、あるいは広くいろいろな見直しができる。もちろん、十年でこの政府案のとおりに進んでいくと私は思っています。実際にそのとおりに進んでいくと思います。あるいはもっと要望がたくさん来るのかもしれない、私はそのように期待をしております。そうなるものと思いますが、しかし、注意的に五年で一応見直しましょうというようなことを入れておくことも、あるいは意味のあることなのかもしれないというふうに今思ったところでございました。  今、負担率のところにつきましては最初、玉置議員と議論をさせていただきましたが、私は、四分の三にすることがインセンティブになるとも思わないし、それがまた地方分権の考え方からしていかがなものかなという思いは今でもあるのであります。この点は、時間があればまた午後質問をさせていただければ大変ありがたいと思います。  次に、パブリックコメントについてでございます。  確かに、基本方針、基準、ここにつきましては閣議決定が行われましたパブリックコメントが使われるというふうに聞いております。ただこれは、案を公表して、広く国民から意見を求め、それを考慮して、これが閣議決定の書き方でございますね。これが基本方針、基準の策定に当たってのパブリックコメント。  ただ、むしろ重要なのは、それぞれの地域において市町村が作成をする基本構想の部分でどれだけパブリックコメントのようなものが活用されるかということだと私は思うのであります。民主党案にはそれがきちんとうたわれておる。もちろん政府案もそのことは十分御考慮の上だというふうに考えておりますが、それぞれ地域基本構想策定に当たって、どのようなパブリックコメントの担保をとるか。ただこれは、地方の主体性を重視し、地方分権の考え方ともある意味で抵触するものでありますから、国があれやこれや微に入り細にわたって物を申すのは、かえってそれに反するものだということはわかっておるつもりでございます。  しかし、実際に利用される方々地域方々であり、その駅はこういうふうなものがいい、駅の周辺の道路はこういうふうがいい、交通安全の施設はこのようなものがいい、それが一番生かされることについて、どのような仕組みというものが考えられるか、それにどのように国が言及することができるか、大臣の御見解を改めて承りたいと存じます。
  102. 二階俊博

    ○二階国務大臣 パブリックコメントの手続につきましては、行政機関が国民の多様な意見や知識を把握し、意思決定過程での公正の確保と透明性の向上を図る観点から設けられた閣議決定に基づく制度であることは御承知のとおりであります。  本法案の根幹をなす非常に重要な部分でありますが、基本方針及び移動円滑化基準につきまして、高齢者身体障害者のみならず、広く多くの国民の意見を聞くことが適当であると考えておりまして、パブリックコメント手続を活用しているわけであります。  具体的には、政府基本方針移動円滑化基準の案についてインターネット等の媒体を通じて公表し、一定の期間広く国民の皆さんからの意見を受け付けることとしておりまして、寄せられた意見につきましては、検討の上必要に応じこれを取り入れていくこととしたいと考えております。  なお、先般も東京でバリアフリーに関するシンポジウムを開かせていただきましたことは当委員会でも申し上げたとおりでありますが、来る四月十七日、今度は大阪におきまして、人にやさしく楽しいまちづくりシンポジウムというものを開催し、多くの市民の皆さんやあるいは学識経験者、いろいろな関係皆さんのディスカッション等を通じまして御意見をちょうだいしたいということも考えておる次第であります。
  103. 石破茂

    ○石破委員 これは政府参考人お尋ねをした方がいいのかな。要するに、基本方針に定められるところの基本構想の指針となるべき事項、ここにどういうふうな書き方をしていくかということだと思うんですね。  これはパブリックコメントで、それこそ案を公表し、いろいろな方々意見を求めた上でなければそんなことは決められないよということは、それはよくわかるんですよ。ただ、その案の中に事前に地域においてそういうような人たち意見をどのように取り入れていくかということ、そこをどこまで基本構想の指針となるべき事項の中に盛り込むことができるだろうか。そして、今運輸省がイメージをしておられるところの、地域においてこういうふうにすれば、利用者の方、移動制約者の方々意見が本当に反映される仕組み、それはどのようなものだとイメージをなさいますか。
  104. 羽生次郎

    羽生政府参考人 お答えいたします。  大変難しい御質問でございます。基本方針は、先生がおっしゃるとおりの事情がございまして、確定的なことを申し上げるのはいかがかと思います。しかしながら、累次ここの運輸委員会での大臣の答弁にもございますように、必要に応じ地方公共団体、すなわち市町村基本構想をつくる際の指針の中に、当然のことでありますが、高齢者身障者移動制約者の意見を聞くということを何らかの形で入れる必要があるかもしれないという御答弁がございまして、私どもそのとおりだと考えております。  さて、それをどういうぐあいに入れるかということでございますが、先生も御指摘になりましたように、これは地方公共団体の自治事務に属することでありまして、余り押しつけがましいことを言うべきではないと私も思います。したがいまして、当然のことであることを思い起こさせるような、そしてそれが必要であるというようなことの表現を超えたことで、細々としたことを言うのはいかがかと思っております。  具体的に、この辺の問題も、関係市町村なりあるいは障害者高齢者方々から意見を聞いた上で決めるべきだと思いますが、何らかの形で触れるにせよ、細々とした指示めいたことではないのではないか、このように考えております。
  105. 石破茂

    ○石破委員 残余の質問は、午後に譲らせていただきます。
  106. 仲村正治

    仲村委員長 午後二時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後二時三十二分開議
  107. 仲村正治

    仲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石破茂君。
  108. 石破茂

    ○石破委員 午前に引き続きまして、質疑を続けさせていただきます。  さて、ずっと審議の過程でも出てきましたが、いかにハードを整備してもそれだけではだめだ、これは当然のことでございます。  先般、羽田から品川まで視察をいたしました。私は、本当にみずからの不勉強というのか、それを恥じますが、初めて車いすというものに乗ったんです。押したことはあるんですが、自分で乗ったのは実は初めてでございました。  羽田で、ノンステップバスというのですか、バスに乗らせていただいた。バスが乗りやすいように傾いて、そこからステップが出てきて、そのまま車いすで乗れるような、そういう仕組みのバスであります。きょうここにもいらっしゃいますが、高木理事がそれに御自身で、要するに後ろから押すのなしに、いや大丈夫だと言って乗ろうとなさったところが、何が起こったかというと、重心が後ろに傾いて高木理事が転倒されて、大変危ないというのか、そういう目に遭われたわけであります。  私はそれを見ながら、車いすの方が介添えなしにというんでしょうか、御自身一人で本当に町の中を制約なしに歩ける社会というのをつくるのはとても大変なことだ、もちろんそこを目指して頑張っていかねばならぬわけでありますが。  羽田にありましたバスというのは一応最新鋭だと私は思って見たんですね、バス自体も傾く、そしてステップが出てくる、それでも一人では乗れない。高木理事のように屈強な方でもそうでありますから、年老いた方、体の弱い方はなおさらでありましょう。しかし、バスもワンマンカーでありますから、そのたびに運転手さんがおりて押すということもなかなか想像のしにくいことであります。  政府案の中にも、第二十条に国民の責務というのが規定をされておる。「国民は、高齢者身体障害者等公共交通機関利用した円滑な移動を確保するために協力するよう努めなければならない。」こういう、まことに立派な規定があるわけです。ただ、これは多くの方が危惧されるように、ここに書いただけではそれだけで終わってしまう、国民がこの規定を本当に了知するかといえば、それは運輸省がいかな御努力をなさったとしてもそんなに広まるものだとは残念ながら私は思わない。我々も含めて一生懸命知らしむるように努力をいたしますが、やはり教育の現場で、そういうことはしなければいけないよということをきちんと教えていくということが何よりも肝要なことなんだろうというふうに思っております。  そういたしますと、何だ道徳教育かよ、そういうような御批判を浴びるかもしれませんけれども、やはり私は、人間として、弱い人、困った人、そういう人を見たら何ができるんだろうかということは小さなときから教えていかなければだめだ、残念ながら今の日本社会には、そういうことを教えることを何となく忌避するような、そういう自己中心的なところがあるような気がして、私は残念でなりません。  私は、道徳とか学校教育とかそういうことを声高に語れるほどの資格を持った者ではございませんが、きょうは文部省お見えでいらっしゃいますか、ちょっとお尋ねをいたしますが、小学校、中学校の教育の現場で、体の不自由な方、障害を持たれた方、お年寄りの皆さん方、そういう方々に対してこういうことをしなければいけないよということを具体的にどのように今教えていらっしゃいますか。
  109. 御手洗康

    御手洗政府参考人 今先生が御指摘でございましたように、もちろん、道徳の時間等で、高齢者を尊敬したりあるいは障害者に思いやりの心を持ったり、こういうことを教えるということも行っているわけでございますけれども、具体的に、児童生徒が高齢者やあるいは身体障害等のある方々と触れ合いながら、体験させるという活動も極めて重要でございます。  特に、小学校でありますと低学年の生活科、あるいは中学校の技術・家庭科や特別活動におきましては、例えば各学校におきましては、それらの時間を使いまして、学校の中等で車いすの体験やアイマスクをつけての歩行体験を行うという具体的な活動を既に実践して、教育を行っている学校もあるわけでございます。  特に、今年度から新たに取り入れられました総合的な学習の時間におきましては、福祉に関する体験的、総合的、あるいは教科横断的な学習をしていくということが一つの大きな柱になろうかと思いますけれども、そういった時間を利用いたしまして、こういった体験的な活動が今後ともふえていくよう文部省としても期待しているところでございます。  具体的には、文部省といたしましては、こういった活動をより促進いたしますために、例えばこれまで先行的に行われておりました総合的な学習の時間等におきます、ただいま申し上げました車いすやアイマスクの体験を行っている学校の実際の活動事例等を一つの冊子にまとめまして普及するといったようなことも行っているわけでございます。また、小中学校等におきまして、障害のある児童生徒との交流の活動ということも推進をしておりまして、こういった交流活動の中で、実際に障害のある児童生徒の移動などについて、周りの子供たちやあるいは学校の中での施設整備のあり方も含めまして、どういう配慮をすべきかというようなことにつきましても、指導資料を作成、配付いたして、実際的な体験活動を通じて子供たち身体障害のある方々のために具体的な配慮を行うことができるような理解を深め、そして実際の技能を身につけるというようなことに今後とも努めてまいりたいと考えております。
  110. 石破茂

    ○石破委員 それは今の学習指導要領の中にどのように位置づけられていますか。学習指導要領の中にそういうふうに、弱い人、体に障害のある人、そういう人に対しては、手を差し伸べなければいけないというのか、それをお手伝いするのは、これは当然の責務であるというようなことを私は教えなきゃだめだと思っているんですよね。  確かにこういう話をしますと、何かすぐゆとりの時間でやるようにというお話が出てくるんですよ。ゆとりの時間というのは、それぞれの学校においてどのようなものを選ぶかというのはその学校の任意に任されておるのであって、先ほどこの法案の二十条のお話をいたしました、国はそういう責務を負い、国民もそのような責務を負っておるんです。しかし、それはゆとりの時間においてそれぞれの学校がというようなことを言うよりは、それは学習指導要領にきちんと書き込んで、それをやらなければいけないんだということを子供のころからきちんと教えていかなきゃいけないと私は思うのですね。  参考人の方のお話を聞きながら、私は本当に胸を打たれたことがあるんですけれどもエスカレーター、確かに身障者の方でも乗っていただけるようなエスカレーターにはしてある。そういうふうなものも開発をされ、そういうものを導入もしておる。しかしながら、エスカレーターには一人じゃ乗れないんだ、だれか駅員さんがついてくれなきゃ乗れないんだ。それは駅員さんじゃなくても、そこにいる子供、子供に限りません、大人でもいい。私が押します、私が持ちますよ、そういう社会にならなきゃうそなんじゃないか。駅員さんがいない、知らぬ顔をしている、だから交通権が侵害されたというようなお話も、それはもちろん私も胸を打たれてよくわかるのです。しかし、そこで交通権という概念を持ってくるよりも、そこにいる人たちが、だれも言わなくても、私がそのエスカレーターに乗っていらっしゃる方の車いすを持ちますよ、そういう社会が必要なんじゃないだろうか。  同時に、そういうことになると、駅員さん来てくださいねというふうになる。それで駅員さんが車いすを持つ。しかし、そうすると、人がじろじろ見ちゃうというのですね。それはとてもつらいことなんだというふうにおっしゃいました。私は本当にそうなんだろうなというふうに思います。  また、品川の駅でエスカルというブースみたいなもの、車いすに乗って移動できるようなものも拝見をいたしました。これは結構金額が安いのだそうです、エレベーターに比べれば相当安い。これは安くていいのじゃないですか、普及しませんかというふうに私はお尋ねしました。そうしましたところ、駅の方がおっしゃるのは、これはなかなか普及しませんと。なぜですか。余りに仕掛けが大仰で、まさしく車いすに乗っている人が今移動中ですよというのをそこの人たちにみんな見せることになってしまう。それは乗っている人間はとてもたまらない、その気持ちがわかりますかと言われたときに、私は本当に胸を打たれた思いがしたのであります。  これは学習指導要領に記載がありますか。そしてまた、今そういうようなことを実際に教えている学校はどれほどあると把握していらっしゃいますか。
  111. 御手洗康

    御手洗政府参考人 学習指導要領におきましては、先ほども申し上げましたように、例えば道徳につきましては、高齢者に尊敬と感謝の気持ちを持って接すること、あるいは思いやりの心を持ち、相手の立場に立って親切にすること、あるいは社会に奉仕する喜びを知って公共のために役立つこと、こういったことを一つの指導目標に掲げまして、具体的に、ボランティア活動や自然体験などの体験活動を生かすように配慮するということを規定しております。  例えば、小学校一、二年生の生活科につきましても、身近な幼児や高齢者障害のある児童生徒など多様な人々と触れ合うことができるように配慮する、さらにまた、先ほど申し上げましたけれども、中学校の技術・家庭におきましては、高齢者など地域の人々とかかわることができること、こういうことを具体的な指導の内容として示しておりますので、これに基づきまして、各学校におきましては具体的な指導計画を立てていくということになってございます。  学習指導要領は、その性格上、具体的な活動の中身まではすべての教科にわたって書かないわけでございまして、個々の活動にかかわってそれを具体的に教科書あるいは具体的な指導計画を使ってどうやっていくかということは各学校に任されているわけでございます。  例えば技術・家庭科の、高齢者など地域の人とかかわることができることといったような学習指導要領に基づきまして、教科書では車いすの体験をやりましょうといったような記述も出てきているところでございます。実際に車いすに乗ったりアイマスクまでかけてやっているか、そういった個別の学習場面まで全国的に私どもが調査したものはございませんけれども、そういった学習ができるように、そしてそういった学習をできるだけ積極的に推進するようにということで、先ほど申し上げましたような指導事例集あるいは指導資料といったようなことで、具体的な活動の場面まで各学校、現場にお示しするというような形で文部省としては努力をさせていただいているところでございます。
  112. 石破茂

    ○石破委員 人間、性善説か性悪説かというのはいろいろな考え方があると思いますよ。しかし私は、さっきから気になっているのは、高齢者というお言葉が出てまいりますね。あわせて、高齢者だけではないんだ、目の見えない方や足の弱い方や耳が聞こえない方、そういう方も含めて、本当にみんなが分け隔てなく自由にできるような、それをあえて私は権利とは申しませんけれども権利というような概念を持ち込むよりも、本当に困った人を見たら知らぬ顔をしては絶対にいけないんだということを教育の現場できちんと教えていただきたい。それがないと、仏つくって魂入れずみたいなことになってしまうだろう。  この法案の中に、国民の責務というふうにうたいました。それは、運輸、建設、自治、警察、個々の法案ではあるけれども、ぜひ文部省も、本当にそういうような社会が来ますようにと。  どなたかおっしゃっていました。既に外国で、お店に入ると、メイ・アイ・ヘルプ・ユー、こういう話になる。それはもう慣用句になっているのかもしれないけれども、何か助けてあげられることはありますか、何か私にできることはありますか、そういう社会日本の場合には本当にそういうのが戦後特になくなってしまったのじゃないかという気がする。自分の国さえよければいいとか、自分だけよければいいとか、よその国は困っても知らぬとか、そういうような発想というものがずっと蔓延をしているような気がするのですよ。  弱い人を見たら知らぬ顔をしていないんだ、そういうことを、まさしく二十一世紀に向けて、この機会政府を挙げて取り組んでいただきたい、そういうような思いがしておるわけであります。  川内さんとおっしゃる参考人の方がこういうようなお話をなさっておられました。これはひょっとしたら私の言ったことかなと思うのですけれども、だれがどのような負担をするか、つまり、四分の三は国が持つとか、三分の一、三分の一、三分の一だとか、そういう議論を最初のころいたしました。だれがどういうような金銭的な負担をするかを決めるのが政治の役割といった旨の発言があった。確かにお金は必要だろう。しかし、負担は金銭だけの問題であろうか。これまで障害を持つ人間は人間としてのプライドをずたずたにされながら公共交通利用してきた。私たち社会が金銭的負担を避けてきた分、障害を持つ人は過度の精神的、肉体的負担を受けてきた。これは社会的に公正なのだろうか。金銭的負担も重要だが、社会的不公正を正すのも政治の大きな役割だ、こういうようなお話をなさっておられました。私は、そうなんだろうなというふうに思います。  もちろん最大多数の最大幸福ということも我々は考えていかねばならぬ。それは弱い人を犠牲にするということじゃなくて、どうやったら一人でも多くの人が幸せになるか、どうやったら一人でも多くの移動制約者の方々を救うことができるか、そういう考え方に基づいて申し上げたつもりでございますけれども、そういうことを私ども考えていかねばならないなというふうに思った次第でございます。  権利かどうかということをあえてここで取り上げるつもりはございません。ただ、玉置提出者、いろいろな質疑の中で、政府案施設整備法である、我々は権利を守るというような考え方でつくってきたというふうにおっしゃっておられます。  私は、この交通権という権利は憲法のどこに由来をするのだろうか。それは自由権なんだろうか、社会権なんだろうか。自由権だとすれば、何々からの自由という考え方であって、社会権であれば、これは金銭的負担を伴うことになるのであろう。もし仮に金銭的な負担を伴う社会権ということを憲法のもとに認めたとすれば、まさしく広くあまねく全員にということになってくる。  この交通権という言葉はもともと、玉置提出者御案内のように、地方鉄道をどうするかというときに出てきたお話ですね。和歌山地裁の平成三年の判決にあるように、仮にそういうふうに社会権として位置づけ、金銭的な賠償というものを伴うとすれば、それは現実問題として不可能なことではないだろうか、どのような国もそういうようなアクセスを保障するということは、それは交通権という概念を持ったとしても実際問題実現不可能なことではなかろうか、こういうような判決があったことは委員御案内のとおりだと思っております。  これは発展途上の権利で、この法案が成立をし、だんだん広くなって、国民みんなの理解が得られたときに初めてこれは権利ということになるのではないか。しかし、これが社会的な保障とかなんとか、そういうような世界にいくよりは、もっとみんながお互い助け合う、そういうようなことになっていく、昇華していく、これが重要なことではないかなと思いますが、玉置委員、どのようにお考えですか。
  113. 玉置一弥

    玉置議員 移動権利そのものを交通権という形で固めていきたい、こういう希望を持っております。  というのは、今、半島、離島とかの人たちあるいは過疎地の交通機関とかいろいろ見てみますと、都会の人から見ると、なぜそこに住むんだという話、いわゆる選択できるわけですね。ところが、交通弱者の場合には選択できない。身体的理由により動けなくなってしまった結果がそうだということなので、そういう人たちは、当然おのずから選択権のない分野に追い込まれているということなので、やはり国なり地方なりが、同等な行動ができるように保障するぐらいの気持ちを持たなければいけないんではないか、そういうふうに思います。  今までは、どちらかというと、弱者救済という形でいろいろな国の施策あるいは地方施策が行われてきたので、何かしてあげるよというような意識なんですよ。そうじゃなくて、やはり自由に活動できるということを前提に考えていきますと、自分たちが図らずも移動制約者という分類の中に入ってしまったということに対して、動き回る、社会参加する意欲があれば自由にできるよという保障は、逆に政府の方が指導力を発揮して、交通事業体とかあるいは地方自治体の方に働きかけをして、要するに意欲さえ持てば社会参加できるんだという方向をやはり大いに保障すべきだという意味での保障なんですね。  ですから、交通権の確立をこれからやっていきたいと思いますが、とりあえずは、いわゆる生活権の保障につながるような、あるいは生きがいにつながるような行動の自由を保障するという部分からスタートしたいという意味で、今までの弱者救済、お上の奉仕であるということではなくて、むしろ逆に当然の権利を行使できるような状態をつくろう、そういうことでの保障ということでございます。
  114. 石破茂

    ○石破委員 おっしゃることはまさしくそのとおりだと思います。  ただ、これは社会権的にとらえますと、侵害されたときに、それではそれに対する何かの請求権を有するのか、こういう議論が出てきますよ。こういう話をするとぎすぎすしちゃうんで、できれば避けて通りたいのですけれども、それが侵害されたときに、それではどういうような請求権というのを有することになるとお考えですか。
  115. 玉置一弥

    玉置議員 裁判の構成要件に該当するかどうかということで、私ども、事前に当事者方々にいろいろお話を聞いております。  例えば、満員のバスに乗れなかった、あるいはタクシーも乗せてくれなかったというときに、裁判をするということになるかどうかということなんですが、今の法律の規定によりますと、運転者の判断というのがありまして、運転者が対応できない状況であるということで判断すれば、それで是ということになっているわけですね。ですから、今現在で運転者の判断がいいか悪いかというのは非常に難しいということがあります。  ただ、法的な構成要件が整っていないということが現状でございまして、今現在は、この法律ができても、多分法的担保にはならないだろう。ですから、今のところは請求権がないというふうに見ています。
  116. 石破茂

    ○石破委員 まさしく形成途上の権利というのかな、まだ国民の間にいろいろな合意をつくっておる最中の権利だというような理解でよろしゅうございますか。  その点については、政府も同様の御見解と了してよろしゅうございましょうか。
  117. 羽生次郎

    羽生政府参考人 先生御承知のように、権利、憲法上からくる、あるいは憲法の理念をもとに規定するもの、これを創設する場合については、先生指摘の損害賠償の請求権があるかないかを含めかなり明確なものになっていないといけないと思います。そういった議論、知る権利あるいは環境権でも、多分国会でも御議論をいただいたところだと思うのでございます。  それに比べましても、移動する権利というのはまだ成熟度が足りないのかなという感じを持っております。これはまた将来の問題であると考えております。
  118. 石破茂

    ○石破委員 ちょっと観点をかえて、もう一度おさらいみたいなお話で恐縮でございます。  既存の施設の努力義務についての議論も午前中ございました。これはもうみんなが手を挙げるということなんだろうとは思いますが、理屈からいえば、何をすれば努力義務を果たしたことになるのかしら、それの挙証責任というのか説明責任というのか、これはだれが負うのかしら。今は本当に多くの駅が手を挙げている、それは、前からやりたいやりたいと思っていた駅だと思うんですね。しかし、将来的にはやはり、優先順位からいってこれは後ですよとか、協議が相調いませんよとか、やたらとお金がかかりますよとか、そういうようなものもまた出てくるのであろうというふうに思われます。  これは単に理屈の世界の話ですが、何をもって努力義務を果たしたということになるのか、そしてまたそれの説明責任はだれが負うのか、お尋ねいたします。
  119. 羽生次郎

    羽生政府参考人 なかなか難しい御質問でございますが、既存の駅になりますと、物理的な制約等いろいろ異なりますので、具体的な基準がありましてこれを外れたら努力していない、これを外れたら努力ということは、案件ごとに異なるのでなかなか困難な面があると思います。  しかし、一般的に申し上げれば、いろいろな外形を考えて、正当な理由がなくして施設整備が進まないということが明らかなような場合は、努力義務を果たしていないと言えるのではないかと思われます。  では、努力義務を果たしているかどうかの挙証責任、説明責任はだれが負うのかといいますと、これは交通事業者が負うものだと考えております。  それで、交通事業者が努力義務を果たしていないという場合でございますが、この法律では努力義務という性質上罰則等はございませんが、そのような場合になれば、運輸省としては、交通事業者に対して、既存駅のバリアフリーを進めるよう、説明責任を全うすることと、そしてそれが全うできないのならば整備するようにということを指導していくことだと考えております。
  120. 石破茂

    ○石破委員 先般の日本経済新聞にも少しそのような記事が出ておりました。例えば、全国の駅優しさ度数ランキングとか、全国の町優しさ度数ランキングとか、何も一番最下位まで三千何ぼの駅を全部並べろとは言いませんが、そういうようなものがあってもいいのではないだろうか。  そしてまた、例えば、時刻表を開きますね。それを見たときに、障害のある方が、どこからどこまでであれば本当にバリアフリーで行けるな、ある駅はバリアフリーなんだけれども自分の町の駅はバリアフリーなんだけれども、行きたいところはどうにもならないバリアだらけということになったら、旅行も何もできないわけですね。  今例えば、ホテルの案内とか旅館の案内とかそういうものは、いろいろな絵文字で、どこにはどういうような施設があってということが普通の人にもわかるようになっているが、今結構広く発行されている時刻表などを見ても、この駅はバリアフリーですよとかそうではありませんよとか、そういうことは余り書かれているようには思わないのだけれども、そういうことを書くということは今後あり得るというふうにお思いでしょうか。やっていくべきだろうと思っています。  それからもう一つ、技術的なことですが、これも確認をしておきたいと思います。  乗降客が相当数というのは五千人というふうに了解をしておりますが、それ以下の駅でも、これはやりたいということになれば当然できるというふうに考えてよろしいか。  以上二点、お尋ねいたします。
  121. 羽生次郎

    羽生政府参考人 最初に先生が御指摘になった駅のランキング等でございますが、まずそのような手法を開発しなければなりません。これについては、開発をことしの一月に終わっておりまして、現に十駅等について試験的にやってみたことがございます。  そして、これを全国二百駅に拡大して、駅のミシュランではございませんが、評価手法を開発して、それに基づく評価というのが皆さんに定着してくること、これは今は学者と運輸省関係者、それから交通事業者でやっているわけでございますが、この手法が開発され公表されておりますので、一部ではボランティアの方たちが、例えば北海道の駅を見てランクをつける、あるいは、ランクというよりか、表示のわかりやすさ、それから施設の使いやすさ等の三点から見てどのくらいの点数がつくかというランクをつけております。そういったものが広がることによって、市民の中にあるいは事業者の中にこのバリアフリーについての見方というものが定着することが一番望ましいと考えております。  加えて、先生がおっしゃいましたようなランキングというのも、そういうところで、余りランキングをつけるというのも刺激的かなという気がしますが、必要であると考えております。  それから、ではバリアフリーについてこの駅はあるのかどうか、こういったものをどうつけていくかということでございますが、確かに必要でございまして、特にターミナルにおいては、一社ではなくて数社が入っているところがございます。例えば渋谷駅であれば数社以上が入っている。自分の駅の部分については、これは当然JRならJR、営団なら営団、それから井の頭線なら井の頭線が出すわけでございますが、では井の頭線からJR、それを通じて下のバスターミナルまで行くとどうなるか、こういった問題についてはなかなかできないわけで、それを一々問い合わせないとできない、これでは非常に不便でございますし、また様式等が必ずしも十分統一されていないということも考えられます。  そこで、私どもとしては、そういったものを、国でやるのもなかなか人手もかかるので、信頼の置ける公益法人にやっていただくということを考えておりまして、この法案の中で、指定法人制度というのを提案し出させていただいているところでございます。したがって、運輸大臣が指定したそのような法人に対しては、公共交通事業者バリアフリーについてあらゆる情報を提供することの義務をかけて、それをもらいますと、その法人は今申し上げましたように、単なる、会社ごとあるいは会社の持つ駅ではなくて、一つのターミナルがどうなっている、あるいは経路でどうなっている、例えば原宿から町田市へ行くのについてどのくらい、どう通っていけばバリアフリー施設を通れるかといったような情報を出すことを考えておるところでございます。  それから、先生の二点目の御質問でございます五千人以上の話でございます。  これもたびたび申し上げていますが、この特定旅客施設の要件というのはパブリックコメント手続を活用して広く意見を聞いた上で定めるということなので、今固まったことを申し上げると適当でないわけでございますが、これは大臣からも御答弁がございましたように、五千人以上のターミナルを行うというのは一つ考えであって、これに該当しない場合であっても、当該ターミナルの周辺に病院、福祉施設等高齢者身体障害者等利用者が多い施設がある場合、あるいは相当数の高齢者等が当該ターミナルを利用していると認められる場合はこういったものも含めるべきであるし、あわせて、地元地方公共団体の熱意というものも、これも十分尊重しなければならないとしております。したがいまして、これは五千人以下であっても、当然そのような計画をつくることができるようになると考えております。
  122. 石破茂

    ○石破委員 これは本来建設大臣お尋ねすべきことなのかもしれませんが、運輸大臣一つだけお尋ねをいたしたいと思います。  大臣は和歌山でいらっしゃいますけれども、最近、駅の周辺というのは、にぎやかになるよりもむしろ寂しくなる傾向にあるようにお感じになりませんか。つまり、大型のショッピングタウンですとか、いろいろなイベントホールですとか、そういうものが駅の近くに集中してあるというよりも、車の時代ですから、博物館にしても、美術館にしても、スポーツセンターにしても、いろいろなものがかえって駅よりも遠くにできてしまう。重点地区というのは大体駅から五から六百メートル、これを想定しておるというふうに政府はお考えだというふうに聞いておるのですけれども、私の地域でもそうなのですけれども、駅の周りに何もなくなっちゃったよ、昔は商店街があったりデパートがあったり、本当に駅の周りというのはにぎやかなものだった。今駅の周りにあるもの何って聞いたら、ビジネスホテルしかないよというようなところ、私は全国あちこち見て歩いたわけではありませんが、地方都市にはそういうのがふえてきたのではないかという気がしてならないのであります。  むしろ、体の御不自由な方というのが町の中心に住んで、本当にバリアフリーでどこでも行ける、そしてターミナルから次のターミナルまで行ける。健常者というのか、足も丈夫だ、車も運転できる、そういう人は郊外に住んでもいい。やはり重点地区というものをやっていくからには、そういう町づくりというものについても、運輸省でも、建設省でも、自治省でも、政府を挙げてこれも取り組んでいくべきものではないのだろうか。お年寄りや体の不自由な方は本当に町の中に住みましょう、元気な人は少し遠くたっていいではないですかというような考え方、そういうものがこれから先二十一世紀にはもう一度必要になるのではないか。そのために、これは一つのドライブをかける法案になるのではないかな、そういう思いもしておるのですが、お考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
  123. 二階俊博

    ○二階国務大臣 まさに今回の法案におきまして、四省庁が一体になって取り組んでいくという上におきまして、ただいまお話にありましたように、建設省等は市街化の新たな計画をお立てになるようなときに、バリアフリー社会バリアフリーの住宅をどう建設していくかということも今後お考えの中に入れていける、そういう状況ができてくると私は思っております。  しかし、いずれにしましても、今回のこの法案審議を通じまして、各界の皆さんからバリアフリーの問題について御意見をちょうだいしたり、また各党におきまして御議論がなされておりますこと、このことをきっかけにしまして、今後すべての国民の皆さんが温かい気持ちを持ってバリアフリー社会をつくっていく、そのために四省庁は一体となって今後も対応をしていかなくてはならない。  特に四省庁の中で、私ども運輸省と建設省は今後国土交通省として、一体になって一つの省を形成するわけであります。国土交通省ができるということに対して、これは巨大官庁ができるのではないかという御指摘もしばしば受けるわけでありますが、その巨大官庁が、優しい、温かい気持ちを持ってバリアフリー社会を構築するために頑張ることができれば、これまた省庁再編の一つの大きな目玉になっていくのではないか、私はそういう期待すら抱いているところでございます。
  124. 石破茂

    ○石破委員 以上で質問を終わりたいと思いますが、いずれにいたしましても、今日に至りますまでの政府そしてまた民主党の皆様方関係方々の御労苦には本当に大変なものがあったと思っております。私も随分不勉強で、反省をさせられる点も多々ございました。自分の不明を恥じるところもたくさんございました。どうか、本当に大勢の人たちにそういうような気持ちが芽生え、事業が進展し、日本の国がすばらしいバリアフリーの国になりますように心から祈る一人でございます。  できれば玉置委員と公共事業の論争もしたかったところでございますが、世の中にはいい公共事業、悪い公共事業があるとか、公共事業をカットしてとか、私はそれは考え方としてはいかがなものかなという気がしているのですよ。ただ、景気刺激の議論とそしてまたそれが次の時代にどう役に立つかという議論はまた別のお話だと思っております。  いずれにしても、これをどんどん進めていくことが悪いと言う人は一人もおりません。どうか充実したものになりますように心から祈念して、質問を終わります。  ありがとうございました。
  125. 仲村正治

    仲村委員長 次に、松浪健四郎君。
  126. 松浪健四郎

    ○松浪委員 保守党の松浪健四郎でございます。  長時間にわたって熱心に御審議をされております本委員会にまず敬意を表したい、こういうふうに思います。  高齢者身体障害者等公共交通機関利用した移動円滑化促進に関する法律案、いわゆるバリアフリー化法律案も、長時間にわたり審議を重ねてまいりまして、だんだんと煮詰まってきている、そして委員がおおむね共通の認識を持ちつつあるのではないのか、こういうふうに私自身理解をしておるものでございますけれども、過日、参考人皆様方からいろいろなお話をお伺いしました。特に印象に残っておりますのは、鳥取市長あるいは小田原市長のバリアフリー化の苦労話でありました。  最近、各自治体の議員選挙あるいは首長選挙の中に必ず、我が町をバリアフリー化させる、またそれを目指す、そういうふうな公約を掲げられる候補者がたくさんいらっしゃいます。これは申すまでもなく、ノーマライゼーションが国民の中にかなり浸透してきた、このことを物語っているような気がするわけであります。となりますと、やはり自治体がバリアフリー化に大きな役割を果たさないことにはうまいこと進まないのだな、そういう気がするわけでございます。  そこで、民主党案の提案者であられます玉置委員お尋ねをしたいんですが、交通施設バリアフリー化には施設とその周辺の一体的整備が極めて重要である、こういうふうに私は考えます。この点におきまして、政府案では、地方公共団体が中心となって一体的整備を進める制度を設定されているのに対しまして、私の読ませていただいた範囲内では、民主党案では、関係者が個別に計画を作成し、これを別々に実施することになっているような気がします。これでは一体的整備が実現されない、そういう心配が生じてくるわけであります。  やはり、一体的な整備があってこそ、身体障害者皆さんあるいはお年寄りの皆さんが、本当にこれはバリアフリー化されているなというふうにお感じになられるのではないのか、私はそういうふうに思うわけですけれども、このことを玉置議員お尋ねしたいと思います。
  127. 玉置一弥

    玉置議員 私ども法案は、国が一つの指針を示す、地方がそれを受けて市町村基本方針を決めて、公共交通事業者に具体的な提言を出させるということになっております。  ですから、地方におけるいわゆる実施計画の協議を市民参加で行う際に、公共交通機関事業者市町村と、当事者であります高齢者障害者方々が入った協議機関がありまして、そこで実行計画を策定するということになっておりまして、まさにその仕掛けをつくるのは地方自治体ということでございますから、一つの市長さんやあるいは町長さんの方針に従って事業者が集められ、当事者が集められ、参考意見を聞き、実施計画をつくる、こういう手順でございます。ですから、あくまでも事業計画の主体は、地方自治体が発意をして働きかけをするということになっております。  ですから、どの駅からやるかとか、あるいはどこの道路から改良するかとかいうものも含めて、町全体のバランスを見ながらできるということでございます。
  128. 松浪健四郎

    ○松浪委員 私の住んでいるところでは、ノンステップバス、ワンステップバスが既に導入をされておる。そのバスばかりではありませんけれども、このバスは高価なバスだというふうにお聞きしているわけです。  バス停は、御存じのように、ちょこっと横に寄って、そしてとめて、利用者が安全にバスを乗りおりできる、こういうふうになっておるわけですけれども、どうもこの国の人々のモラルの低下が著しいのか、あるいはドライバーの皆さん方の意識が低いのか、とにかく道幅が広くなっていますから、バス停の前後に違法駐車をされる方がたくさんいらっしゃいます。せっかく、ワンステップバスだ、あるいはノンステップバスだと導入いたしましても、バス停になかなか上手にとめることができなくなってしまいます。となりますと、違法駐車を思い切って取り締まる必要があるのではないのか。でなければ、このようなバリアフリー化されたバスを幾ら導入したとしても意味をなさない。  同時に、あちらこちらには点字ブロックが敷かれてあります。大体それでうまいぐあいに駅を通行できる、またバス停まで行けるというふうになっておりますけれども、郊外に参りますと、自転車があっちこっちに置かれてあります。自転車置き場を設けている駅もたくさんあるわけですけれども、これをなかなか取り締まらないものですから、あちらこちらに自転車を置くことによって、せっかくのこの点字ブロックが、利用者を遮るという形になっています。これらも徹底して取り締まるということをしなければ、真の意味でのバリアフリー化は進まない、私はこういうふうに思います。  そこで、警察庁にお尋ねしたいんですが、これらの違法駐車あるいは放置自転車等について、どのような処理を考えていらっしゃるのか、対応についてどうお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  129. 坂東自朗

    坂東政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、バス停留所などにおきます違法駐車、あるいは誘導・警告ブロック上の放置自転車などにつきましては、高齢者あるいは身体障害者方々移動円滑化の妨げともなっておりまして、いわゆるバリアフリー化効果を損なう原因になるものと私ども認識しているところでございます。  したがいまして、警察といたしましては、従来から、バス停留所付近の、悪質性あるいは危険性、迷惑性の高い違反に重点を置いた駐車違反の取り締まりを行うとともに、市町村等の関係機関とも連携をいたしまして、各種の放置自転車対策を講じてきているところでございます。  今後とも、こういった対策を積極的に推進するとともに、特にこの法案に規定されております重点整備地区におきましては、高齢者やあるいは身体障害者方々移動円滑化の妨げともなります違法駐車行為を防止するために、バス停留所付近とかあるいは誘導・警告ブロック上の違法駐車車両の取り締まりの強化等の取り組み、あるいは関係機関などとも連携いたしました広報啓発活動等を重点的に行いまして、いわゆるバリアフリー化による効果が十分に上がるように取り組んでまいる所存でございます。
  130. 松浪健四郎

    ○松浪委員 明治の初めに、我が国は、諸外国からお雇い教師を招き入れて、そして近代化を急いだわけでありますけれども、そのときにやってまいりました、腕足類の研究家で生物学者でありましたエドワード・モース、この人は大森貝塚を発見して、我が国の考古学の扉を開いてくれた学者でもあります。この人が日本で暮らした感想を「日本その日その日」という書物の中に書いておりますけれども、とにかく日本人というのは礼節に富んだ国民だ、そして、物すごく親切な国民である、このようにアメリカ人の当時の学者が感じ取り、そのようにしたためているわけであります。  いろいろな委員の御質問の中にもありましたように、日本人の公共心、道徳心の低下、これが著しい、欧米ではみんなが優しいではないか、そして、私の生活体験の長いイスラムの国も同様であります。そして、その公共心、道徳心、これはイスラム教やあるいはキリスト教から来るものであるかもしれませんけれども、それらの宗教心が相互扶助の働きをして、お年寄りの皆さん身体障害者皆さん方に、自由にいろいろな行動ができるような協力を自然にしている、私はこういうふうに思っております。  しかし、今回、このようなバリアフリー化法律を我が国でつくることによって、日本人がその意識、相互扶助の考え方というもの、この心を取り戻してくれるだろうか、この法律がそのような役割を演じてくれるだろうか、そういう認識が大臣にあられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  131. 二階俊博

    ○二階国務大臣 御指摘のとおり、バリアフリー化には、施設整備等のハードの面のみならず、その周囲の人々がお互いに手助けをし合う、優しい気持ちを持って、常に相手の立場に立ちながら、身体障害者皆さん高齢者皆さんが円滑に公共交通機関利用できるような状況をつくっていくという面で、すべての国民の皆さんの御協力が必要だというふうに考えております。そのために、今回の法律がそれらの引き金になって、関係者皆さんの協力を呼びかけていくことになるであろうということを期待いたしております。  さらに、今回は、地方分権の時代にふさわしく、地方が中心になってこれらの公共交通機関のいわゆる移動円滑化を図っていくということを計画立案するところにこの法律の特徴があるわけでありますが、そういう意味で、市町村を中心に、関係者が連携してバリアフリー化を進める、バリアフリー社会をつくる、そういう意味でお力をいただけることを期待しておるわけでございます。  いずれにしましても、やがて来る高齢化社会、このことに関しましては、お互いにすべての国民の課題でありますだけに、私は、国民一人一人が真剣に受けとめていただいて、御一緒にバリアフリー社会をつくるということに御協力をいただきたいと思っております。  したがいまして、広報活動等にもできるだけ力を注いでいきたいと思っております。  私は、すぐやれること、やる気になれば手っ取り早くやれることとして、バリアフリーの絵はがきを発行してはどうかということを郵政大臣に提案をいたしました。御承知のように、記念切手を出すとか絵はがきを出すとかというといろいろな審査をしたりして随分時間をかけるものですが、この法案審議している最中に出してくれということを強く要請しておきました。私から見ますと随分ゆっくりしておるなという感じがするわけでありますが、郵政省としては異例の早さで、バリアフリーの絵はがきを連休明けに発売してくださるということで、デザインもでき上がったようでございます。  こうしたことを一つ一つ進めながら、また、地方公共団体等におきましては広報宣伝のためのいろいろな小冊子やパンフレットを出しておるわけでございますから、そういう中で、バリアフリーに関するそれぞれの所感を述べ合っていただく。そういうことにして、多くの皆さんの御協力をいただく、そのきっかけにこの法案がなって、この法案が目指すところ以上の効果をあらわすようにいたしたいと思っております。
  132. 松浪健四郎

    ○松浪委員 ことしの二月に、私の地元で講演会をするので、あの長野のオリンピックで活躍された金メダリストを呼んでいただきたいという陳情を受けました。そして、私は早速その金メダリストのところに電話をさせていただきましたならば、実は二月中はだめだとおっしゃいました。なぜだめなんですかとお聞きしますと、強化合宿があるからあちらこちらに行くことができませんというお話でありました。つまり、パラリンピックの選手たちも、一般のスポーツ選手と同じように、一生懸命、上手になろう、強くなろうということで訓練をされている。私は、これはいいことだなというふうに思うものであります。  バルセロナのオリンピックの後、パラリンピックが行われましたけれども日本の選手が大活躍したにもかかわらず、日本の新聞社は一人の特派員も送ることはありませんでした。それからアトランタのオリンピック、ここでは、さすがにメディアの皆さん方が気が引けたのか、たくさんの特派員を送られ、そして大々的にニュースを報道されました。そして、長野の冬季のオリンピックで日本の選手が活躍されたことは、私たちはテレビでも見ることができたわけであります。  本当に、ノーマライゼーションといいますか、体の不自由な人たちも、私たち健常者と同じように、いろいろなことに参加することができるし、参加しなければいけないし、その権利を持つんだというようなことを我々はだんだん学んでまいりました。  私の長女が入園しました幼稚園には、四十人もいない小さなクラスでありましたけれども、強度な身体障害者の幼児がクラスの中に必ず入っておったわけであります。実は、「五体不満足」を書かれた乙武君もその幼稚園の卒業者でありましたけれども、体の不自由な、ハンディキャップを持った子供が健常者の子供と一緒に学ぶということがどれだけ重要であるかということを私自身学びました。  先ほどの御手洗局長のお話をお伺いしていますと、どうもまだまだ健常者とハンディキャップを持った子供と一緒に学校で生活をさせようというような意識を持っておられない、私はそういうふうな気がいたしました。もはや養護学校が必要ではなくて、健常者と同じように一般の学校にともに学ぶようにすることこそが、公共心であるとか道徳心というものが身につく一番の手っ取り早い方法ではないのか。  文部省は、心の教育、このようにうたわれて、教育改革プログラムの中でもそういう施策を講じておられます。そして小渕前総理も、教育改革、また森新総理も、教育のことを熱心にやられる、こういうふうにおっしゃっておるわけですけれども、とにかく、子供のときからやらなきゃいけない。このことは石破委員の質問の中にも詳しくありましたけれども、本気になってやらなければ、幾ら立派な法律ができたとしても、私たち日本人の心、これが欧米人並みの水準にまで達しないのではないのかというふうな心配を私はするものであります。  いずれにいたしましても、文部省が、このバリアフリー化に対して、子供たちにどのような心、教育を植えつけていくのか、またいかれようとしているのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  133. 御手洗康

    御手洗政府参考人 学校の施設整備におきましてもバリアフリー化の推進努力をいたしているところでございますけれども、先ほどもお答え申し上げましたように、学校教育におきましては、とりわけ道徳、それから特別活動、さらには生活科、社会科、家庭科、あるいは中学校では技術・家庭科になりますけれども、それぞれ小中高等学校を通じまして、子供の年齢に応じまして、思いやりの心や公共心や奉仕の精神を育てるということを教科の内容として、あるいは道徳や特別活動の具体的な活動を通じて、理解を深めさせていくということを行っているわけでございます。  とりわけ、単に知識ではなくて、実際に、高齢者障害のある方々、さらに子供同士の交流教育ということで、障害を持った子供と健常な子供たちが学習やさまざまな活動の場を通じて触れ合いの機会をふやしていく。こういった活動を通じて、これを充実していくということは大切でございまして、新しい学習指導要領におきましても、特にこういったボランティアや社会体験活動を重視した活動を実施するということを各教科等にわたって促進をしたところでございます。  特に、具体的に体験的な活動を学校教育の中でできる時間的な設定ということも大事でございますので、先ほど申し上げましたように、総合的な学習の時間というものを、小学校では週三時間、中学校でも二時間、高等学校でも最低一時間、こういった形で必ず用意をするということにしております。この中で、福祉ども含めまして、具体的な車いす活動、あるいは老人ホームなどを定期的に訪ねていく活動、こういったものを通じまして、子供たちが、福祉や、あるいは高齢者障害者に対する思いやりの心や具体的な介護や手助けの方法などを身につけるよう今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  134. 松浪健四郎

    ○松浪委員 民主党の提案者である玉置議員お尋ねをしたいと思うのです。  公共交通事業に携わる人たちにつきましては、高齢者障害者等に対する理解が必要不可欠である、こういうふうに思います。  そこで、民主党案ではどのようにこれらのことを規定しているのか、お尋ねをしたいと思います。
  135. 玉置一弥

    玉置議員 私ども法案の中には、基本計画、政府の指針あるいは地方での事業計画策定、こういう中に、啓発及び知識の普及に努めることという規定を設けておりまして、このことが実際に交通事業にかかわる方々の理解と円滑な安全移動ということにつながってくる。  それからもう一つは、実際に運転される方とかあるいはボランティアとして介助される方とか、そういう方々に対しての訓練というのがございまして、当事者参加という形で、訓練の中身も、皆さん方からお教えをいただいてより的確なものにしたいということでございます。事業者の訓練に対する気持ちもありますが、やはり利用者から、こういう訓練をしてほしいというお話を承りながら、その意見も取り入れたい、そのことがより理解を深め、また啓発につながってくるというふうに思っております。
  136. 松浪健四郎

    ○松浪委員 政府案では交通事業者の職員教育について特に規定を置いているわけですけれども、今後、どのように対応していかれるのか、総括政務次官にお尋ねしたいと思います。
  137. 中馬弘毅

    中馬政務次官 松浪委員から、人間の倫理観あるいはまた社会道徳といったことにまで触れて、この法律一つのきっかけになるのじゃないかといった御指摘もございまして、本当に私たちはそのように思っております。  昔の日本人はもう少し人に親切であった、しかし、それが今は少し自分のこと中心になり過ぎているのではないか。これの根本は、一つには、昔は村型社会で相互扶助なんですね、お上に頼ることもできない。そうすると、自分たちが仲間同士で、お葬式があれば家族にはさわらせずにそのお手伝いをする、結婚式のときもみんなが助け合う、そして、もちろん困った方がいらっしゃったら助け合うというのが、日本古来の、ずっと何千年か続いてきた日本社会でした。しかし、それが近代国家となって、政府が、自治体が一つのものに責任を持つという形になりますと、そこに若干責任を転嫁してしまって、自分の義務を果たせなくなってきているような気もいたします。  しかし、皆様方一つの大きなお声の流れの中で地方分権推進法というのができて、地方分権的な形に今ようやくなりつつございます。都市計画決定も、従来の機関委任事務じゃなくて、自治事務としてそれぞれの自治体が責任を持つ形になってまいりました。これに、この法律はかなり適合した形になっていくのじゃないかと思います。それぞれの自治体に責任を持っていただく、そしてまた交通事業者にも、もちろんそこの住民にも一つの責任を持っていただく形に今回はならざるを得なくなっていくのですね。  そして、今御質問がございました交通事業者そのものの職員をどう教育していくかということ、これは非常に大事だと思います。ハードの面で幾らバリアフリーの形を整えたとしても、先ほどのお話にもありましたように、そこに支えがなかったら、車いすもせっかくノンステップバスもひっくり返ってしまう、後ろにちゃんと支える方がいらっしゃらないとなりません。  そうしますと、まず第一義的には、駅員の方々にそのようなことをしっかりとやってもらわなければいけない。交通事業者に対しまして、職員に必要な訓練を行うべきだという規定を四条五項で設けておりますけれども、これはそういう意図でもございますし、これを受けまして職員への研修を実施するとかあるいはマニュアルを整備する、こういったことが必要でございます。  もう少し具体的に申しますならば、例えばエレベーターを設置したとしても、そのエレベーターの場所がどこにあるかわからない。ちゃんとした図面で教えてあげる、あるいはまたそのような案内書をちゃんと用意をしておくとか、それから、ホームから落ちるという視覚障害者の方がありましたけれども、幾らガードをつくっても、入り口と連結器のところを間違って落ちてしまわれることがあるようでございます。これは本当に職員、駅員の方だけではなくて、ホームにいらっしゃる一般方々が気をつけてあげる。これも、場合によってはアナウンスをする、白線のところから外に出ないでくださいと今アナウンスをしていますけれども、それだけではなくて、例えば、目の不自由な方あるいは車いすの方がいらっしゃったら、それを皆さん方で手助けしてあげてくださいといったようなアナウンスをする、そうした社会教育的なことを私は交通事業者がしてもいいのじゃないか、そのように思っております。  ともあれ、形、ハードの面は大事ですけれども、そのような職員の方々の、思いやりといいましょうか、一般の旅客の協力も得た形での手助けというのが必要だと思っております。  それと、もう一つは、先ほど言いましたように、自治体なのです。すべてのところに一つ施設を整えるということはほとんど不可能だと思います。無人駅にまでも全部これを設置しろといったって、これは利用者がなければどうしようもありません。たまたまそこに車いすの方が住民としていらっしゃって、月に一回あるいは一週間に一回病院に行かれるのであれば、そのときに御近所の方が手助けする、あるいはまた御近所の方にそういう方がいらっしゃらなければ、役場に電話をして、一週間に一回ですから、そういうときに来てもいただく。そうするならば、あえてそこに、一つの無人駅にまでも全部の施設を設置することを義務づけることまでは必要ないのではないか、そのように考えておるところでもございます。
  138. 松浪健四郎

    ○松浪委員 総括政務次官のお話をお聞きしておりまして、このバリアフリー化法案は、日本人が日本人の心を取り戻す画期的な法律であるということを私自身理解することができました。一日も早く成立させることができるように、我々も努力をさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  139. 仲村正治

    仲村委員長 次に、高木義明君。
  140. 高木義明

    ○高木委員 民主党の高木義明でございます。連日の審議で、大臣初め皆さん方、大変御苦労さまでございます。  いよいよ議論も煮詰まってまいりまして、私も、これまでの議論を踏まえ、また、各界の参考人皆さん方の専門的な意見をお聞きいたしました。また、先日は羽田から品川まで委員会としての現場視察もしてまいりました。こういうものを踏まえまして、ある意味では確認も含めてお尋ねをしてまいりたいと思っております。  この法案審議に当たりまして、先ほどからも出ておりますように、まさに心のバリアフリー、欧米では荷物を持ったお年寄りがあるいは障害者バスや電車からおりようといたしますと、見ず知らずの人でもさっと手を差し伸べる、いわゆる特別なことをしていないようなそういう状況をよく多くの方が語られます。私は、日本人でも決してそんなことはない、こういうふうに思っておるわけですが、指摘されるような実態があることは悲しい現実でございます。  例えば、私は東京に出てきて思うのは、電車やバスに乗りますとシルバーシートというのがありますけれども、お年寄りにあるいは不自由な方に譲る、そういう光景がなかなか見当たりません。しかし、地方では、結構そういう場面に出くわして、まだまだ地方には豊かな心があるのかな、決して都会では皆さん方の心がすさんでおるというわけではありませんが、それほど厳しく、また皆さん方が忙しく、お疲れであるのかな、こういう感想も持つわけでございます。  この交通バリアフリー法案審議に当たりまして、私は一冊の本を今持ってまいりました。この本は、「バリアフリーをつくる」、著者は私どもの長崎県に在住します光野有次さん、この方はバリアフリーの専門家とも言われております。この本の一部をちょっと引用させていただきたいと思うのです。  光野さんは一九八五年にスウェーデンに行ったときのことを書いておりますが、  スウェーデンを視察した人たちは、口をそろえたように「スウェーデンの街づくりは、車椅子のためになされている」と報告した。それに対し変人のぼくは「?」をつけ、こう付け加えたい。「じつは、なんと乳母車のための街づくりだったのだ!」それが証拠に、あちこちに乳母車マークが目につく。車椅子マークより断然多い。たとえばバスだが、乳母車が三台くらい置けるスペースが中央のドアの近くに設けられ、そこには乳母車マークがあった。   日本ではバギー(小型乳母車)でもバスにもちこもうとすれば、「折りたたんでください、他のお客さんに迷惑になります!」とマイクで注意を受けるのが常識だったが、スウェーデンではバスに乳母車がのっているのが常識なのです。 ここで中略なんですが、光野さんはこのようにも言っております。  障害者はごくかぎられた少数派であると認識をしている人がイニシアティブをとる社会では、スウェーデンのような街づくりは実現しない。障害者をハンディキャプトの一員としてとらえることができたとき、はじめて「福祉の街づくり」がすべての人々の日常の共通テーマとなる。 こういうことを私は目にいたしまして、みずからまさに反省も含めて、我が国においてもこの交通バリアフリー法案が、いろいろ議論はありますけれども、画期的な法案審議であろうと私は思っております。  もちろん、民主党の法案も私は、まさにベストの法案だ、このように自負をいたしておりますが、そういう立場を踏まえて、我が国においての例えば障害者福祉というのは、障害者を特別に見て、慈善とかあるいは保護、そういう基本に立って物事を考えるものですから、これらの方々の、車いすでも自由に町へ出られるように、あるいは駅員さんや乗務員さんのお世話にならずに行けるようにという素朴な願いが、今日まで私は非常におくれておったんではないかと思っております。  この際、運輸大臣に、我が国においてバリアフリー化が欧米諸国に比べておくれておる主な要因は一体何であるのか、この点をお聞きしておきたい。といいますのは、やはりそのような要因の分析こそがバリアフリー化促進する大きな私はかぎになるだろう、このように思うからそのようなお尋ねをするわけです。よろしくお願いします。
  141. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま高木委員の御指摘されました事柄に尽きるわけでございますが、我が国におけるバリアフリー化がおくれてきた理由といたしましては、これまでの社会資本、特に交通施設整備は、量的な面への対応が中心となってきており、質的な面にまで余裕が回らなかった、そういう感じを持っております。障害者障害を持たない者と同等に生活をし、活動する社会を目指す、いわゆるノーマライゼーションの理念が、国連による一九八一年の国際障害者年以降の取り組みまで、国民の間においてそうした思想といいますか考え方が浸透していなかったことなどによるものと考えられるわけであります。  ただいま光野さんの著書を引用されましてお話のありましたとおり、私どももこれから、相手の立場に立って、障害者皆さんの立場に立って、今まで気がついていなかったこと、これを大いにお互いに反省し合いながら、すばらしい社会を構築していくために努力をしてまいらなくてはならないと思っております。  本格的な高齢化社会を間近に控え、バリアフリー化という問題につきましては、喫緊の課題であるということを認識いたしております。また、ノーマライゼーションの理念がかなり国民の皆さんの間に浸透してまいりましたことから、この認識のもとに、今回交通バリアフリー法案提出させていただいたところであります。  御指摘のとおり、アメリカにおける一九九〇年のADA法等、成立して既に十年でございますから、かなりおくれをとっておるわけでございますが、本法案が成立いたしました場合、この法案をきっかけにいたしまして、心のバリアフリーを広めていくという点につきまして、運輸省は、他の関係省庁と力を合わせて懸命の努力を決意いたしておるところでございます。  委員各位におかれましても、一層の御協力を心からお願い申し上げる次第であります。
  142. 高木義明

    ○高木委員 私が先ほど紹介しました光野さんのお話は、十五年前のスウェーデンの様子でありますから、あれから十五年、もっとスウェーデンも進んでおると私は思っております。  そういう意味で、私は、このせっかくの法律が制定をされるときに、考えられるものについてはできるだけ多くこの法律の中に盛り込んでいく、そういうことが大事であろうと思っております。一たん法律が制定をされまして走り出しますと、これまでの経験でも、手直しというのは非常に難しくなってくる。そういうことがあってはならないし、まさに私は、この際、基本的な理念の必要性についても大事にすべき事柄であろうと思っております。  民主党案では、その理念の部分に、移動制約者の移動の自由を確保する、自立と社会参加の実現をきちっと基本理念とすることをうたっております。その点、今の政府案を見てみますと、ややもするとハードの整備のみを定める単なる事業法に終わってしまうことになるのではないか。せっかくのいい精神、いい考え方がそのようなことになってはならぬわけでありまして、いま一度、交通バリアフリー法における法の精神、理念の必要性についていかがお考えなのか、お伺いしたい。
  143. 二階俊博

    ○二階国務大臣 本法律案は、障害者基本法及び高齢社会対策基本法における基本的理念等に関する規定に基づいて、交通バリアフリー化を推進するための具体的な措置を講ずるものであります。したがいまして、本法案はそれら両基本法との関係で個別法に該当すると考えておりますので、その基本理念は両法に述べられているとおりであると考えておるものであります。  なお、本法案では、その理念をより具体的にしたものを目的として第一条に規定しております。つまり、高齢者身体障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性が増大していることにかんがみ、交通バリアフリー化のための各種措置を講ずることにより、高齢者身体障害者等公共交通機関利用した移動の利便性及び安全性の向上の促進を図ることを目的としているものでございます。
  144. 高木義明

    ○高木委員 私は、今ここに障害者基本法あるいはまた高齢社会対策基本法というものを持っておるんですが、この基本理念の中には、例えば障害者基本法の第三条、「すべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するものとする。」そして、「すべて障害者は、社会を構成する一員として社会経済、文化その他あらゆる分野の活動参加する機会を与えられるものとする。」これが障害者基本法理念であります。また、高齢社会対策基本法基本理念、第二条の第一号、「国民が生涯にわたって就業その他の多様な社会活動参加する機会が確保される公正で活力ある社会」、こういうことがうたわれておりますが、いずれも、もっと突っ込んだ、移動の自由とか移動権利性というものがうたわれていない。  したがって、私は、この際、特に一つの大きな法律の精神、目標として、移動の自由や権利性を明記することがより妥当ではないか、このように思っておりますが、この権利性を明記することがなぜ問題なのか、この点について所見を明らかにしてほしい。
  145. 羽生次郎

    羽生政府参考人 先生の御指摘移動権利性の問題でございますが、権利となりますと、その権利内容は何か、そしてその効力は何かという問題でございまして、これが憲法から直接来ている問題であれば、そのまま受け入れられる、あるいは社会的に既に成立した、社会の中で既に市民権を持ったような内容であれば、これもそのまま使えるわけでございますが、移動権利というものの内容が果たして社会的にコンセンサスを持っているか、あるいはその内容は何かということになりますと、今のところまだ十分これが社会で合意されていない。そのような段階で権利という名のもとに法律をつくりますと、やはり、先ほどの審議でもございましたように、保障の問題、権利に対して侵害された場合の保障の問題等、そしてその内容は何かという問題が出てまいります。さらに、交通というのは多岐のサービスにわたっておりまして、そのうち、バリアフリー化だけが権利を構成するという法的な構成をとることは難しゅうございます。  そういうことから考えますと、まだ移動権利というものは、具体化してこれを法律に記す段階に来ていないんだ、このように考えております。
  146. 高木義明

    ○高木委員 次の一つの私の率直な疑問は、この法律は運輸、建設、自治、警察庁、いわゆる四省庁共管でございます。民主党の法律案には、その条項にことごとく、例えば基本指針の作成についても厚生大臣と協議をする、また公共交通事業者等が講ずべき措置にいたしましても、その整備基準を定めようとするときは厚生大臣と協議をする、あるいはまた道路管理者及び都道府県公安委員会が講ずべき措置についても、道路整備基準を定めようとするときには厚生大臣と協議をする、こういうことを明記しておるんです。  この政府案には、私は、厚生省のかかわりが非常に薄いのではないか、いや、まさに顔が見えないのではないか。先ほど申し上げました障害者基本法高齢社会対策基本法、これは総理府や総務庁の所管でございますが、まさに国全体にかかわる問題です。しかし、やはりそこには、高齢者障害者等とつけば、当然、それに関する多くのノウハウを持っておる厚生省というのが一つ顔を見せなければ、主務大臣としても今後いろいろな面でやりにくいのではないか、私はそのように思えてなりません。  質問通告は特にいたしておりませんが、厚生省とのかかわり、これについてどのような連携があるのか、今後この法が制定をされますと懸念はないのか、どうでしょう。今それぞれ四省庁は実際の予算を計上する省庁なんですが、厚生省は入っていない、また厚生省の予算も全くない、そういう実態を見ますと、私は、本当に多くの方々が、このインパクトはすごい、画期的な法案だと言っておる割には、今後の将来において非常に懸念が残る、このように思うものですから、この点について御所見があれば。
  147. 羽生次郎

    羽生政府参考人 お答えいたします。  私ども交通の問題でございますと、これは高齢者の方、障害者の方、あるいは健常者の方を含めて、運輸省、建設省、警察庁、あるいは自治省の方で所管、あるいはそれについて責任を持っておるわけでございまして、厚生省の方で交通の問題について何らかの知見あるいはこれに対する貢献があるということであれば、我々としてもそれは考えなければならないことでございますが、現在の法案内容を前提とする限り、すなわち公共交通機関高齢者身体障害者等の方の利便性及び安全性を向上するための施設を中心に、そしてそれが円滑に機能するように従業員に対する必要な教育、あるいは利用者に対する教育、国、地方、そして国民の協力義務というものを課す限りにおいては、この四省の中で完結するものではないかと考えております。  しかしながら、先生のおっしゃるように、もし厚生省の方において、この法律において何らかの形で貢献するということが可能であり、またできるということであれば、その時点でお入りになるということはあり得るものだと考えておりますが、今の時点で申し上げれば、この法律の体系の中では、今四省庁で行える業務で完結しているものだと考えているところでございます。
  148. 高木義明

    ○高木委員 次に、既存物の整備についてでありますけれども、いわゆる民主党案と政府案の相違点の一つが既存施設に対してのバリアフリーの義務化にあることは御承知のとおりでございます。  先日も、参考人意見陳述にもございましたが、大阪府の例がありました。大阪府の条例では、新設、既設を問わず、整備基準を定めることで、七年間で七九・三%に当たる百三十八駅にエレベーターが設置をされた。そのうち、百一駅が既存の駅であった。これは七三・二%になります。大阪市の市営の地下鉄では、百四の駅があって、十二新設をされた。仮に、新駅だけを対象に限定をしていれば九分の一の整備にとどまったであろう。そういう意味では、バリアフリーの実効性を担保するには、既設の施設等への対応がポイントになると私は思っております。  そういう意味で、事業者がみずから作成をした基準、そして改善計画によってバリアフリー化を進めることを義務づけても、特段、私は、現実離れしたものでない限りにおいては、これを推進する一つの大きな力になるのではないか。このバリアフリー化というのは、時間をかければかけただけその達成率が高くなるということにはならぬと私は思っております。  より限られた時間にいかにしてこれを一気にやっていくか、このことが大切じゃないかと私は思っておりますが、運輸省では、二〇一〇年までに二千駅にエレベーター整備する、こういう改善方針を立てておるようでありますが、この具体的な対策についてどのようにお考えでありましょうか。
  149. 安富正文

    安富政府参考人 先生指摘のように、政府においてはさきに生活空間倍増戦略プランを策定いたしまして、段差が五メートル、五千人以上の乗降客数の駅につきまして、約二千駅でございますが、二〇一〇年までに所要のエレベーターエスカレーター整備するということを目標にしてバリアフリー化を推進することを決めております。  このため運輸省では、それまで非常に微々たる予算でございましたが、御承知のように、平成十年度の補正予算で約八十億円を確保いたしまして、さらに平成十二年度の予算においても、従来のエスカレーターエレベーター整備とあわせて、さらに大規模なバリアフリーのための駅の改良等を伴う工事につきましても補助制度を新たに創設するなど、約八十億円の予算を確保したところであります。  今後、この二〇一〇年までの整備ということについて、我々としては最大限所要の予算の確保を図って、この整備の目標の達成に努力していきたいというふうに考えております。
  150. 高木義明

    ○高木委員 改善計画の義務化というのは、そもそもみずから、いわゆる交通事業者が主体性を持って整備をしていくということが大事なのであって、それに国や公共団体も社会連帯の立場からお互いに協力をして物事をなそう、こういうことが私は大事だと思うのですね。だから、かつて市町村から、とにかくやってくれやってくれと言ってもなかなかやらなかった、そういう話があちこちに見られます。そういう意味では、私は、これは非常に大事な視点であると今でも思っております。  そこで、これまた前回の参考人方々の話の中から出てまいりましたアメリカのADA、障害を持つアメリカ人に関する法律、これが大きなテーマになりました。  ADAというのは、言うまでもなく、差別や偏見は障害を持つ人のみならずアメリカ合衆国にも大きな損失を与えるとして、雇用、公共サービス、民間事業主体による公共性のある施設やサービス、通信などで障害者に対する差別をなくすための包括的な法律だ、こういうことでございます。  いわゆるこれらの差別のない交通社会、例えば、車いすや盲導犬を連れた人が混雑時にバス利用を拒否されることや、あるいは、具体的に出ておりましたが、成田エクスプレスの車いす席を買おうとしたら、忙しいからあした来てくれ、こういうことを言われた、あるいはまた真冬に二時間も雪が吹き込む列車のデッキにいるしかなかった、こういう経験を踏まえた陳述がありました。  そういう意味では、本当のバリアフリーというのは、こういった障害者利用に対する拒否に対し、あるいは不平等な取り扱いに対してどのように対応していくのかということが最も大切になるのではなかろうか、私はそのように思いますが、この交通バリアフリー法ではそのようなことに対応できるのか、どういう思いを持っておられるのか、この点について御所見をいただきたいと思います。
  151. 二階俊博

    ○二階国務大臣 車いす利用者の乗り合いバスの乗車等につきまして、混雑時におきましては、乗車スペースのないような場合など真にやむを得ない場合には乗車を御遠慮願うようなこともあるかもしれませんが、原則として、正当な理由なく乗車拒否はできないものと考えております。  また、車いす利用者の鉄道の切符の発売について、先日の参考人質疑において、立川駅で車いす用座席の切符を買おうとしたところ駅員に翌日に来るようにと言われたとの御指摘がありました。このような事実があったことはまことに遺憾であり、運輸省としては、早速JR東日本に対し、車いす利用者の座席指定切符の販売については、障害者の利便に配慮し、できる限り迅速かつ的確に取り扱うよう、厳重に指導したところであります。  運輸省としましては、バリアフリー化促進のためには、ハード面のみならず、たびたび申し上げてまいりましたように、ソフト面の対応も極めて重要であると認識をしておりまして、本法案でも鉄道事業者等に対し、職員に対する必要な教育訓練につきましても規定をしているところであります。  今後とも、乗務員教育等を徹底し、適切な対応が図られるように、ただいま委員の御指摘の点を十分踏まえて指導してまいりたいと考えております。
  152. 高木義明

    ○高木委員 この交通バリアフリー法のいわゆる事後評価の仕組みについてでありますが、先日三月七日の大阪読売新聞で、大阪府の福祉まちづくり条例に基づく市町村道のバリアフリーの実績報告がございました。その中で、残念ながら三市が捏造データを提出したり、調査の大半をすっぽかしたりしている、こういう報道がございました。駅のエレベーター設置では大変目覚ましい実績を残しておる大阪府でございますが、非常に厳しい報道でもございました。  そういう意味で、今回の交通バリアフリー法を実りあるものにするためには、情報の公開、市民と一体となった改善を進めなきゃならぬと私は思っております。  さきの答弁におきましても、定期的な見直し規定については、二〇一〇年までの間に、中間段階でこれらについて検討していきたい、こういう非常に前向きな御答弁もございました。  障害を持つ当事者が情報等についてチェックをしたり相談活動をするという事業評価の仕組みについて、政府案では、今後どのようにこの仕組みを考えておるのか、この点について大臣の御所見を賜りたい。
  153. 二階俊博

    ○二階国務大臣 バリアフリー化をした交通施設につきまして、その事後的な評価を実施することは、極めて重要な課題であると認識をいたしております。  このため、運輸省では、高齢者身体障害者等がターミナルを利用する上での具体的な問題点を明確化し、効果的かつ効率的なバリアフリー対策を進めることを目的としまして、その状況について評価を行う仕組みを最近設けたところであります。  具体的には、昨年四月、学識経験者、高齢者身体障害者その他利用者の代表等から成る委員会を発足いたしまして、駅のバリアフリー基準であるやさしさ指標を昨年末に作成をいたしました。ことしの一月からこの指標に基づき、一つ移動のしやすさ、二つ、案内情報のわかりやすさ、三つ目、施設整備の使いやすさについて、具体的な評価を開始し、これまで十の駅におきまして評価を行いました。この評価は、今後五年間で主要駅約二百駅について行うことといたしております。  今後は、この評価を通じて得られた課題や情報等に基づき、交通事業者が評価の対象となったターミナルの改良を行うことを期待しております。さらに、評価を通じて蓄積されましたノウハウを活用して、全体のバリアフリー化にも役立てるべく努力をしてまいりたいと思っております。
  154. 高木義明

    ○高木委員 政府案には、いわゆる指定法人、主務大臣が公益法人を指定し、移動円滑化のための事業実施に関する情報の収集、整理及び提供、必要な助言、指導、資金の支給その他の援助、事業に関する調査及び研究その他、事業促進するために必要な業務を行わせることとなっております。  行政改革の課題もこれあり、特に、新たな公益法人をつくることについていかがなものかという一部の意見指摘もございますが、こういう中にあって、この指定法人については、どのような法人をつくろうとしておるのか、あるいは一つなのか複数なのか、内容が私にはよくわかりません。  したがって、この際、指定法人について、今回法律に位置づける意義なり理由なりについてお尋ねをしたいのと、この指定法人の規模、組織をどのように考えておるのか。それからもう一つ、その指定法人の活動の中に当事者参加の仕組みがあるのかどうか。この点を明らかにしてほしい。
  155. 羽生次郎

    羽生政府参考人 この法人でございますが、各交通事業者がそれぞれバリアフリー対策を行ったとしても、他社のものは広報をしないわけでございます。そういたしますと、これを利用する交通弱者といいますか、高齢者身体障害者の方は、複数あるいは三つ、四つの事業者に問い合わせをしなければならないという御不便があるわけでございます。それを解消するためには、一つの経路で、そこに一つかければすぐわかるということの情報提供が必要だと考えて、このような法人が必要ではないかと考えております。  しかし、これも営利的に行ってはならず、実費あるいは無償でやるものでございますから、ある程度財政基盤がしっかりし、かつ、この身障者高齢者等の交通問題についてかなりの知識を有するスタッフを抱えていなければならないと思います。さらに、その中で、スタッフの数も余り少なくて問い合わせに応じられないというのでは困りますので、かなりのスタッフがいる必要がある。  となりますと、今それを設立するというのは、先生おっしゃるように大変難しいのではないか。既存の中でそういうものがあれば、手を挙げていただいて、そこから選んでいくということが一番理にかなっているのではないかと考えております。  それで、ではそこの中で、当事者参加という問題でございますが、これは、もとより高齢者身障者に対してわかりやすい情報を提供するための組織でございますから、当然、高齢者身障者方々に対してその意見を十分伺った上でやらなければ、業務は進まないものだと考えております。我々は、この法律が通った場合に、そういう指定法人を選ぶ段階においては、指定法人に対して手を挙げてくる公益法人に対して、そういう業務をやるように指導していくことを考えております。  障害の方もいろいろな障害がございますので、視覚障害者それから聴覚その他の障害について多面にわたって知識を持つという団体でなければならないと考えております。
  156. 高木義明

    ○高木委員 私は、この法案審議を通じまして率直に感じることは、いわゆる新たな地域間格差をつくっていくのではなかろうか。まさに高齢化というのは地方に行けば行くほど進んでいく。ところが、やはりこのバリアフリー法での施設整備においては、乗降客一日五千人以上の駅舎を中心とした整備ということが主になってくるのであろう。そうなりますと、都会と地方障害者やお年寄りは同等の権利がありますけれども、なかなかそういうことが進んでいかないのではないか、これが一つの懸念。  それからもう一つは、やはり私は、整備をするためには、事業のコストを可能な限り下げる、いわゆるコストダウンの精神が必要だと思うんです。したがいまして、エレベーターにしても、例えばJR東日本はスウェーデンのエレベーターを採用したとか言っておられましたけれども、このユニバーサルデザインの開発助成、あるいはそういう交通手段、情報通信手段、こういったものの開発助成もやはり一方ではしていかないと、またこれをすることによって私は物すごく実現性が出てくるんだろうと思っております。  それから、何といいましても、やはり自宅から目的地へ、これが将来ともに担保されるというのが、私は当事者皆さん方の気持ちだろうと思っております。それがどれほどこの法律で担保できるのか、この点についていまいち私は懸念なしとはしないわけでございます。  そこで、時間もございませんから、いわゆるSTS、スペシャル・トランスポート・サービス、これは民主党案では努力義務にされております。そして、五年後に義務化ということになっておるんです。これは今からの大きな課題であります。  例えば長崎市の場合、御承知のとおり、斜面都市と言われております。坂や階段が多い。そして、公共交通機関も、もちろん地下鉄もありませんし、新幹線もありません。そういったところは路面電車が走り、あるいはバスやタクシーがその主体になっております。  このたび、四月一日からの介護保険制度の導入をきっかけに、いわゆる移送支援サービスというのを始めました。これは何かといいますと、身体障害者特定疾患の方々、あるいは六十五歳以上の虚弱の高齢者方々、自宅から自力で移動が可能な場所までの間、例えば階段が二十段以上の方々とか、そういった方々に、十の事業者を指定いたしまして、タクシーその他の交通手段をもって、市長に申し出て利用者証を交付されたら利用できる。こういうことが、要介護認定者のみならず、介護保険以外の、まさに市の一般財源で今手がつけられております。  朝の自治大臣の話では、これはいわゆる地方財政対策として措置をしておられるわけでありますけれども、こういったものについても、私は、これからの時代、大変大事なことになってくるのではなかろうか、このように思っております。今長崎市の移送支援サービスの事例を出しましたが、これはきょうは質問通告をしておりませんが、この点について、大臣、御所見がありましたらこの際述べていただければと思っております。
  157. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま高木委員が、いろいろな御質問を御一緒に結論としてお話しなさいました。しかし、それは一つ一つ極めて重要なことを御指摘されておるという感じで承っておりました。  先ほどのエレベーターエスカレーターの問題にしましても、コストダウンの問題、これは私は、通産省とかあるいは鉄道事業者等と御相談をしながら、この法案が成立した後にそれぞれの駅のバリアフリー化を進めていく上におきまして、相当のコストダウンを図っていくということを考えていかなくてはならないと思っております。そして、それがやがて、ユニバーサルデザインの思想に基づいて、障害を持つ皆様や高齢者の皆様ができるだけ使い勝手のいい、そういう交通施設になっていくような配慮をしていかなくてはならない。  また、STSにつきましても御指摘がありましたが、今後、この問題につきましては、タクシー事業者等と御相談をしながら、できるだけ心の行き届いた、障害を持つ方々に対して、安心していろいろなところへ出かけていったり、あるいは花見のときが来れば花見を楽しむことができるような、そういう社会をつくっていくための配慮が必要だと思っております。  長崎のケースにつきまして今御披露がございましたが、今、全国各地域関係者のいろいろなアイデア、また、いわゆるバリアフリー社会をつくろうという懸命の努力が各事業者においてもなされておるところでございますし、またボランティアの関係皆さんの応援もいただきまして、各地でそういう運動が活発に始まったところでございます。私ども、それらのことを十分参考にしながら、バリアフリー社会を構築していくための努力を、この法律をきっかけに一層傾けてまいりたいと思っております。  なお、先ほど地域格差の問題についてもお触れになりました。五千人以上の乗降客が見込まれる地域というのはかなりの都市でございます。そうしたところはバリアフリー法律に基づいてそれぞれの事業者、あるいは国、地方等が分担し合って対応していけるわけでありますが、それ以下の地域はどうだろうか、こういう御質問といいますか、疑問を抱いておられることだと思います。  私もそういう市町村関係者に幾たびかお尋ねをしてまいりましたが、自分の方の財政事情はそんなに豊かな町ではない、しかし、バリアフリーは大事なことだ、私も三分の一の負担ならばぜひこのことに対応していきたいと市町村長が異口同音に述べていることからいたしまして、私たちは今後、この法案の実施に際しまして、五千人以上ということの目標は一応掲げておりますが、それ以下の地域につきましても、地元住民の皆さんあるいは地方公共団体の熱意ということにも十分配慮をして、これらに対する対応を考えていきたいと思っております。  なお、私ども、財政的に地方負担の問題等も念頭に入れて自治省に対して幾たびかお願いをしてまいりましたが、お願いだけではなくて、御一緒に法案提出するところまで踏み込んでいただきたい、こういうことに対しまして、保利自治大臣を初め自治省の幹部の皆さんがこのことに賛同してくれまして、今度一緒に法案提出することになったということは大きな前進であるというふうに評価をしているところでございます。
  158. 高木義明

    ○高木委員 時間が来ましたので、これで終わります。
  159. 仲村正治

    仲村委員長 次に、石毛えい子君。
  160. 石毛えい子

    ○石毛委員 恐縮ですが、さんづけでお願いいたします。  民主党の石毛えい子でございます。前回、この法案につきまして質問をさせていただきました。その際、何点か質問を残しておりましたので、それを含めまして、きょうもう少し時間をいただきまして質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  まず第一に、障害を持つ方などを一般交通機関あるいは道路等々から区別をしない、そうしたバリアフリー整備のあり方ということでお尋ねをしたいと思います。  古い話になりますけれども、二十数年前、車いすを御利用の方が、東京駅で新幹線に乗って、例えば愛知でも大阪でもどこでもいいんですが、出かけようとしましたら、地下を、通路の地下ではなくて荷物を運ぶ地下を通って、そしてホームに出てという移動の仕方でした。私も何人かの方と同行してそういう経験をしております。今は変わってきておりますけれども車いすを御利用の方を区別するというのは非常にわかりやすい過去のことだったと思います。  それから、私の友人で、長い間、立川駅にエレベーターをという市民運動をされていた障害者の方が、立川駅と折衝する中で絶えず、みんなが使えるところにエレベーターを設置すべきだという主張をしておられて、途中で何年か前に一度、今の駅の構造やらいろいろなところでいうと、この端ではどうだろうというような具体的な提案で折り合いをつけなければならなくなりそうになったときも、やはりみんなが使えるということを主張し続けて、今そういう形で実現をしてきているというようなことがございます。  そういうふうに注意をして見ますと、まだまだ、例えば、駅舎の改札口で車いすの通れる幅を持っている改札口は複数あるうちの一つというようなことも、現にそれが普通だと思いますし、それでやっと通ってホームに上がってみたら、電車は車掌さんのいるところで乗ってくださいというようなこと、これもホーム車両段差の問題とかいろいろあるんだと思いますけれども、いろいろなところで区別をしてしまう、そういう整備の仕方というのがまだあるというふうに私はとらえております。  それはやはり区別をされた方の方からすれば気持ちは落ちつかない、どうして自分だけこうなんだ、そういう思いになる。それはやはり差別なのだと思うのですね。区別と差別をどう整理するかというのはいろいろと中身によっても違うかと思いますけれども、やはり違ったところで自分が行動するということを規制されるというのは、分けられていて、それはある場合差別というような意識を伴っているというようなことになってくると思うのです。  政府のいわゆるバリアフリー法案も、せっかく提案をしていただきまして、これから二〇一〇年に向かってまさにバリアフリーの公共交通、駅舎周辺の整備を進めていこうということですから、その進めていく際の重要な視点としまして、障害を持つ方を初めとしまして利用することを区分けしないで、デザインもユニバーサルですし、利用される方もまさに普遍的にノーマライズされて、いつでもだれでもが使える、そういう方向性をきちっと据えていただいて、推進していくべきだというふうに私は考えております。  これは利便性の向上という言葉だけではちょっと尽くせない部分もあるのではないかというような思いもいたしまして、政府法案、またもう一回見させていただきました。例えば、主務大臣が定めるということになっております基本方針の第二項の第四号に、その他移動円滑化促進に関する事項というような規定がございます。  具体的にこれがどういうふうに規定されていくのか私は存じませんけれども、例えばの話ですけれども、そういう目的のほかに、基本的な視点として置くべきようなところを、今申し上げました区別をしない移動の方法を整備するとか、あるいはいつでもだれでもユニバーサルに利用できる観点、それをきちっと踏まえるとか、あるいはこの委員会で非常に大きな論点といいますか、大臣もお受けとめになってくださっておられます当事者参加につきましてとか、そうしたようなことをどこで具体的に指摘していただけるかと思って法案を拝見していますと、先ほど申し上げましたようなところに書き込んでいただけたら非常に有効かというふうに私自身は思いました。  大臣にお尋ねですけれども、第一点、利用者を区別しない整備ということについて御所見を承れればということと、それを具体的に推進するために、法のどこかに触れていただけないでしょうかというようなところでお尋ねをさせてください。
  161. 二階俊博

    ○二階国務大臣 お答えいたします。  高齢者身体障害者のための施策の推進に際しましては、委員指摘のとおり、障害者を区別するのではなく、健常者とともに利用できる形での施設整備を図ることが極めて重要であるとの認識を持っております。本法案に基づきまして身体負担を軽減する施設等整備されると、高齢者身体障害者のみならず、一般健常者にとっても移動に当たっての身体的な負担が軽減されることになり、まさに御指摘のように、すべての人々が利用しやすい公共交通機関整備が進むことになるであろうというふうに考えております。  ただいま御指摘がありました点につきまして、バリアフリー基準の作成に当たって、このようなすべての人が利用しやすい設備という考え方を十分に踏まえて検討してまいりたいと考えております。
  162. 石毛えい子

    ○石毛委員 ありがとうございます。  これまで例えばガイドラインですとか通知で示されていた内容が、この法律が制定されました後は基準として省令で定められるというふうに伺っておりますので、その基本的な視点というようなところできっちりと据えていただければ大変有効性を持つのではないかというふうに承らせていただきました。ぜひともよろしくお願いいたします。  次の質問でございます。情報を提供するということがこの法案の中にも触れられてございますけれども、その情報の提供は、それぞれ情報を必要とされている方の障害に応じてといいましょうか、あるいはニードに応じて提供をしていかなければ情報としての意味が果たされないということになるわけでございます。この情報の提供というようなことに関しまして、具体的にはどのようなことを今構想されておられるのかということをお聞かせください。
  163. 羽生次郎

    羽生政府参考人 お答えいたします。  朝にも引用申し上げたところでございますが、障害者に関する世界行動計画の中で、障害者は単一のグループではない、皆異なる性質の障壁にぶつかっているのであり、それらはそれぞれ異なる方法で克服されねばならないとされております。  まさしく先生おっしゃったように、この情報というのは特にその分野でございまして、視覚障害の方と聴覚障害の方、全く違う情報の提供が必要でございます。それに応じて提供しない限り、そのコミュニケーションはできないということだと思います。したがって、その障害に応じて情報を提供する方向で努力したいと考えております。  ただ、なかなか難しい問題もございまして、先日も、私どもの中のやさしさ評価委員会で話していただいたときでございますけれども、やはり聴覚障害者の方は手話の方が駅に欲しいと言うんですが、手話のできる駅員の方というのは、これは極めて数が少のうございます。そういたしますと、筆談で我慢していただかなければならない、こういうようなところもございますが、我々も筆談だけでいいとは考えておりません。駅員の方で手話ができる方がふえるというのも、これもなかなか時間がかかることでございますが、こういった分野で努力しながら前進をしていこうと考えております。  なお、御指摘障害別に配慮した情報提供については、一番重要なことだと頭に置いてその対策を進めたいと考えております。
  164. 石毛えい子

    ○石毛委員 今御説明くださった内容をもうちょっと敷衍、広げていただくことは可能でしょうか。  今、聴覚障害の方について、例えば手話と筆談というようなことでお答えくださいましたけれども、視覚障害の方はアナウンスというようなこと、あるいは点字というようなことですとか、知的障害の方についてはどのように今お受けとめになられているかとか、もう少し御説明いただけたらと思います。
  165. 羽生次郎

    羽生政府参考人 お答えいたします。  視覚障害者につきましては御指摘のように点字案内板など、それから聴覚障害者には情報提供表示器、視覚で訴える、それから視覚障害者には聴覚及び点字で訴えるということになります。  それから、先生指摘の精神及び知的障害者の方、これにつきましては現在研究中でございまして、ピクトグラム、絵文字でございますね、これが効果的であるという意見はございますが、まだ開発段階でございます。これは参考人質疑のときに近畿大学の先生からもお話があったと思うのでございますが、まだできていない。そうしますと、平仮名を大きくするということも一案でございますが、果たしてその認識を知的障害者の方ができるのかという問題もございます。  いずれにいたしましても、知的障害者の方、精神障害者の方についてはまだ研究中でございまして、これが一番いいというようなバリアフリー施設というのはまだ十分に探求されてなく、これから開発努力をしていかなければならない問題だと考えています。  また、果たしてこれが施設であるのか、すなわち人によっての、つまり駅員さんであるとか、それに対するマニュアルで一定の研修等を受けていただいて、マニュアルというもので対応するものなのか、その辺についてもまだ十分結論は得ておりません。  いずれにいたしましても、重要な問題であるので、我々、引き続き研究してまいりたいと考えております。
  166. 石毛えい子

    ○石毛委員 この法律は、成立しますと、施行は六カ月を超えない範囲内で政令で定める日から施行するということでございます。今研究中というような御答弁もいただきましたのですけれども、大体プログラムというのはどんなふうに見通すことになるのでしょうか。
  167. 羽生次郎

    羽生政府参考人 ピクトグラムにつきましては、現在、二、三、案があると思っております。ただ、これは世界的にこれからユニバーサルシステム、まさにユニバーサルで世界的にいろいろ実験をしてみる、実験と言うと失礼なんですが、試行をしていただく、そういうことを踏まえてでございますから、これは六カ月でできるとは思っておりません。もう少し時間がかかると思います。  ほかの件につきましても、なかなかここは難しい問題でございます。我々遅くてよいとは思っておりませんが、現在の開発段階、研究段階では、いつまでということはちょっと申しかねております。  ピクトグラムについては、日本の案は恐らくことしじゅうぐらいにできると思います。それをもって世界で試行してみて、そしてどのようなコメントが出てくるか、そういった作業を踏まえてのことかと思います。急がねばなりませんが、同時に拙速というのもいけない分野かと考えております。
  168. 石毛えい子

    ○石毛委員 ありがとうございました。  それでは、次の質問です。前回もお尋ねしたことですけれども、改めましてホームさくとホームドアに関してでございます。  政府提案の法案目的に、利便性及び安全性の向上という大命題といいましょうか、設定されております。安全性の向上というふうに定められているそうした目的をきちっと担保していくという意味でも、この何年かの間に本当にとうとい命を失っていらっしゃる方々、視覚障害の方に、ホームさく、ホームドアということに関しましては最も近い設備になる。もう少し拡大すれば子供さんにとってもホームさくというようなものは有効であるでしょうし、あるいは、こういうときに挙げていい表現なのかどうかわかりませんけれども、酔って足元がおぼつかなくなっている方にとっても場合によっては有効な転落防止策ではないかと思います。  ぜひとも、このホームさくとホームドアについて、新設の駅については設置を義務化していく、あるいは既設の駅についても、実情を点検して、そして改善の方向を明らかにしていっていただきたいというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
  169. 安富正文

    安富政府参考人 先生指摘のように、ホームさく、ホームドアについてはいわゆる転落防止という観点から大きな効果があると我々も考えております。  ただ、ホームの両端のさくにつきましては、我々としても平成六年に策定した交通ターミナルにおけるガイドラインに基づきまして鉄道事業者を指導しているところでございますが、いわゆるホームの線路側のさくにつきましては、幾つかございます。  一つは、固定式のホームさく、可動式のホームさく、あるいはホームドアというのがございますが、固定式のホームさくにつきましては、我が方の鉄道総研でも、いろいろ調査研究をしまして、いろいろ検討をした経緯がございます。もちろん一定の転落防止効果は期待できるわけですけれども一つは、開口部からの転落というようなことが懸念される、あるいは列車発車時の車掌による安全確認に影響がどう出るかといったような問題、あるいはホームの幅が狭くなるといったようなことから、当然旅客流動上の問題が生ずるといったような幾つかの課題が指摘されております。  また、可動式のホームさく、ホームドアは、これは、ある意味では完全な転落防止ということでは極めて有効なわけでございます。既にワンマン運転や無人運転の新交通システム、一部の地下鉄で利用されておりますけれども、幾つかの問題がございます。一つは、扉の開閉に一定の時間を要するため通勤客の多い混雑した路線には不適切であるとか、あるいは既設の駅に設置するにはプラットホームの大規模な工事が必要となるということで、その間プラットホーム利用できないということから、利用者に大きな影響を及ぼすというようなことの幾つかの問題がございます。  いずれにしましても、固定さくあるいは可動式ホームさくあるいはホームドアにつきまして、幾つかのいろいろな解決すべき課題がございますので、いわゆる新設の駅について一律に義務づけというのはなかなか難しいというふうに我々は考えております。  これから、具体的に各駅の構造あるいは利用状況等を見ながら、それぞれの駅においてどういうふうにしていったらいいかということも含めて検討していく課題ではないかというふうに考えております。
  170. 石毛えい子

    ○石毛委員 もう少しお尋ねしたいと思いますけれども、これからは、例えばホームさくの整備の仕方、あるいはホームドアの整備の仕方というのは法律成立後は省令として基準設定になっていくわけでございますね。その点はいかがでしょうか。
  171. 安富正文

    安富政府参考人 具体的なホームさく、ホームドアにつきましては、この基準の中に書いていくというよりも、さらに、いわゆる転落防止策として、我々として、より現実的な対応ということでは警告ブロックの設置ということを考えております。そういうものをどういう形で基準の中に盛り込んでいくかということが当然考えられるわけでございますが、このホームさくあるいはホームドアについて、この省令の中に書いていくというようなことについては、今後検討していきたいというふうに考えております。
  172. 石毛えい子

    ○石毛委員 私も詳細に隅々まで詳しい情報を得ているわけではありませんし、物理的な意味での理解というようなところでも十分であるとは全く思いませんから、何が適切で、どう適切かというのはこれはいろいろ検討していかなければならないことだと思うのです。これまでの政府参考人皆さん答弁されている中で、パブリックコメントを得ますというお答え、大臣もおっしゃられていたかと存じますけれども、この表現を伺っておりますが、このパブリックコメントは、どのレベル、どのレベル、どのレベルというふうにコメントを求めていただけますのでしょうか。  といいますのは、例えばですけれども、今のホームさく、ホームドアあるいは警告ブロック等々につきまして、省令ないしはそのほかで基準を確定していく前に、この基準につきましても、いろいろな考え方当事者から寄せていただくという意味でパブリックコメントを求める、そうした方法がとられますでしょうか。  だとすれば、ホームさく、ホームドアの設置の仕方につきましても、具体的に当事者の方、あるいはそれに対してたくさん情報をお持ちの方、専門家の方から、所管官庁として検討していらっしゃることとあわせて、いろいろな情報が寄せられる、その中で、多分、恐らく一律に整備していくというのは無理なのだと思います、さまざまにいろいろな条件があると思いますから。その条件の中で、優先順位をどうつけていくのかとか合意形成をどう図っていくかという問題だと思います。  具体的には省令でいろいろ基準をつくっていくということに関しましても、確定する前に公表をされてパブリックコメントを求めるというような手続をぜひおとりいただきたいというふうに私は考えるわけでございますけれども、今の段階でどのようにされようとしているのかというところをちょっと教えていただければと思います。
  173. 羽生次郎

    羽生政府参考人 お答えいたします。  今のさくの問題、これは鉄道局でございますけれども一般的に、高齢者身障者用の施設の基準を決める場合でございますが、まず政府運輸省等において原案をつくる前に、私どもとしては、当然、身障者高齢者あるいは専門家の方を入れて原案をつくらないと、役人ベースでつくるものではないと考えております。それがつくれた段階において、一定の案ができた段階で、このパブリックコメントを、閣議決定に基づきまして、一カ月程度の余裕を持って、意思決定を表示する前に、資料等を添えて、これを公表して意見をいただくという手続をとることは当然だと考えておりますし、インターネット等も利用することを考えております。  広く公表して透明性を持って意見をいただいて、必要があれば直していく問題だと考えておりますし、当事者参加は原案をつくる段階からしていただかないとつくれないものだと考えております。
  174. 石毛えい子

    ○石毛委員 今の御答弁は、例えば省令によって基準を定めていく、その基準のつくり方について、具体的であればあるほど当事者の方の参加が必要だと思いますが、それについてもというふうに理解をさせていただいてよろしゅうございますね。
  175. 羽生次郎

    羽生政府参考人 抽象的になれば聞かないというわけではございませんが、具体的な問題であれば、当然伺わないとわからないものだと考えております。
  176. 石毛えい子

    ○石毛委員 どうぞよろしくお願いいたします。  次の質問でございますけれども、道路構造令につきましても、もう一度確認をさせていただきたいと思います。  前回の質問で、歩道と車道といいましょうか、次の歩道に移るところの切り下げの段差が二センチというふうに教えていただきましたし、それから道路につきまして、波打ち歩道というのでしょうか、そのカーブについても新しい基準を設けている。現在は通達だそうですけれども、これも法律制定後には省令基準になっていくのだと思います。新設の道路については全部それは義務づけられていくと思いますが、既設のものについて点検をし、あるいは点検の結果に基づいて順次改善をしていくべきというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。そうじゃないと、出発地から目的地までとは言わなくても、できるだけ長い距離の移動ということに一貫性がなくなってくると思いますので、既設のものにつきましても順次改善をしていくべきだというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
  177. 大石久和

    大石政府参考人 お答え申し上げます。  だれもが安心して安全に活動し、社会参加できる生活環境を形成する、そのために円滑に移動できるバリアフリーの歩行空間を地域におけるネットワークとして整備することは非常に重要であると考えております。したがって、明確な制度としての基準が必要でございます。  このため、本法案に基づき策定する基準につきましては、御指摘のありました歩車道境界の段差や歩道の勾配のあり方等につきまして、現行の技術基準の内容に加え、高齢者身体障害者を初めとした利用者の安全性に一層配慮して作成してまいりたいと考えております。  そこで、駅周辺等の重点整備地区における道路特定事業の実施に当たりましては、高齢者身体障害者等の安全で円滑な通行を確保するため、道路構造令を初めとした道路の技術基準及び本法案に基づき策定する基準を適用して新設歩道の整備を行うとともに、既設歩道の段差、勾配、傾斜の点検を行い、必要な改善を実施することにより、バリアフリーの歩行空間をネットワークとして形成できるよう努めていく所存でございます。
  178. 石毛えい子

    ○石毛委員 今、ホームさく、ホームドア、それから道路構造令に関連しまして、道路の構造ということについてお尋ねいたしました。  もう少し総括的にということで、この委員会でも、新設については確かにバリアフリー化義務化ということですから推進するということになりますが、それにしても、既設の公共交通機関、このバリアフリー化をどう進めるか。今、法律では努力規定というふうになっているわけですけれども、この努力義務といいましょうか、この規定がもしそのままでとどまっているとしますと、結果的にはいつまでもバリアフリー化は進まないということになります。目標を定めて整備を推進していくべきだというふうに考えておりますけれども、この努力規定をどのように具体化していくのでしょうか、お考えを承らせていただきたいと思います。公共交通機関でまずお答えをいただきたいと思います。
  179. 中馬弘毅

    中馬政務次官 強制にはしておりません、努力義務ということにしておりますが、これは、既存の駅の場合には、それぞれ駅の形状やまた利用者状況等が違いますから、必ずしも強制したから完全にできるというものでもありません。  しかし、規定されておりますように、地域からの声が上がり、そこで自治体が事業者に、また道路管理者等にも働きかけまして、住民の声としてそういったものの必要性を決めたならば、これは事業者としてある意味ではやらざるを得ないわけでございますから、強制と同じような効果になってくる。すぐれて地域方々の御要望が自治体に反映されて、そしてそれがどう事業者を動かしていくかということにつながっていくのじゃないかと思います。
  180. 石毛えい子

    ○石毛委員 そういたしますと、やはり市町村が立案する基本構想が、どういうふうに実質的に機能していくかということが非常に重要ということになろうかと思いますし、そこで、地域からの声ということですから、地域の方はすべて潜在的には利用者当事者でいらっしゃると思いますし、直接的にも、現に車いすを御利用の方あるいは聴覚障害、視覚障害をお持ちの方等々がいらっしゃると思いますので、既設の設備のバリアフリー化を推進していくという意味でも、やはり基本構想あるいは事業計画を立案していく、あるいは実施に移していく、評価をしていくというその段階、それぞれの段階において、当事者参加地域皆さん参加ということが非常に重要だということを私は再認識させていただいたというふうに申し上げてよろしいでしょうか。
  181. 中馬弘毅

    中馬政務次官 まさに、地域の住民のお声が自治体を動かし、事業者を動かしていくということ、それが今度のこの法律案の、一つの大きな地方分権的な目的でもあろうかと思っております。  しかし、お声が上がったらワンパターンで、そこには必ずエレベーターをつけなければいけないとか、あるいは、利用者としましてエスカレーターがどうしても必要だといたしましても、しかし事業者の方としては、到底それだけの利用者がないじゃないかとか、あるいはまた自治体が、そうじゃなくて自分たちが、週に一回か二回しか利用されないのであれば、それを例えば、先ほどもちょっと申しましたように、電話をしていただいたら町の役場の人たちが飛んできてその方の手助けをするとか、いろいろな応用例、方法論は考えられると思います。  必ずしも、そこの駅に必要だということを住民の方が言われましても、それが到底採算に合うような形でなく、利用回数も低い場合には、別の方法までも考えていただく。それがこれからの自治体の一つの役割であったり、また住民へのサービスではないかと思います。
  182. 石毛えい子

    ○石毛委員 それは、やはりもう一方では、スペシャル・トランスポート・サービスをどうするかとか、それからもっと広く、ボランティアネットワークをどうするかということと総合だと思います。いずれにしましても、個別をどうするかというのは個々の点検でしょうけれども基本的には、既設のものにつきましても目標を定めて推進していかなければ、やはり面として移動制約をなくしていく、利便性を向上していくということには遠くなるわけですから、そのことを申し上げさせていただきたいと思います。  建設大臣に、せっかくおいでいただきまして、ありがとうございます。先ほど道路構造令に関連しまして、歩行空間のネットワーク化を図っていくという必要性を答弁いただきましたけれども、やはり、道路ですとか駅舎周辺の道路状況整備、あるいは施設整備等々で、新設だけではなく既設のものにつきましてもバリアフリー化の推進をしていかなければ、やはり移動の利便性というところではまだ足りないところが出てきてしまうかと思います。  既設の道路やその他の整備につきまして、バリアフリー化の推進をどのように進めていくおつもりか、お聞かせください。
  183. 中山正暉

    ○中山国務大臣 全くお説のとおりでございまして、駅だけではなしに駅周辺の利便性の向上というものが、大変こういう問題では大事なことかと思います。大変日本はそういう意味でおくれていたと思いますが、こうして法案提出をされて、高齢者それから身体障害者等方々が、日常生活を営むに当たりまして安全かつ円滑に移動できるようにするためには、駅周辺の道路それから駅前広場等を一体的にバリアフリー化することが極めて重要と認識をいたしております。  このために、この法案を通じまして、市町村バリアフリー化に関する基本構想を定め、これに即して、公共交通事業者、道路管理者、それから都道府県公安委員会、そういうものが一体になりまして、既設施設を含めて駅及びその周辺の道路、駅前広場等のバリアフリー化を進めることといたしておるところであります。バリアフリー化の目標や事業内容等につきましては、市町村基本構想において定めることといたしておりますけれども、鉄道駅等のバリアフリー化と軌を一にして周辺地域バリアフリー化が進められ、効果的な事業実施が図られるものと期待をいたしております。  建設省といたしましても、歩行者の多い地域において幅の広い歩道の整備を行う歩行空間ネットワーク総合整備事業、そして乗り継ぎの改善や歩行空間のバリアフリー化を行う交通結節点、乗りかえの場所でございます、そういうところの事業交通結節点改善事業の活用で、高齢者それから身体障害者等方々が安全に活動でき、また交通機関を乗りかえるなど、利便性の向上した町づくりを支援してまいりたい、かように思っております。
  184. 石毛えい子

    ○石毛委員 もう少し教えていただきたいのですけれども交通結節点で交通利便化を進める、そういう事業は国の段階でいろいろと組まれているのだと思いますけれども、そういう事業を自治体は活用しながら、自治体としての目標を定めて積極的に展開していくというアナウンスメントを国の方からもしていただいて、自治体はそれを受けて目標を設定しながら推進していく、そういう方法論をとっていくというふうに理解してよろしいんでしょうか。既設のものを進めていく際にということでございます。
  185. 大石久和

    大石政府参考人 お答え申し上げます。  例えば、バリアフリー歩行空間ネットワークの整備は、ネットワークとして整備することが必要だというように申し上げましたが、この構想は、長期構想といたしましては、二十一世紀初頭にDID地区全体で約一万四千カ所を整備したいというように考えてございます。そのうち、現在の道路整備五カ年計画、平成十四年度末が目標でございますが、この中では、特に市街地の駅、商店街、病院、福祉施設等が集積して優先してバリアフリーを推進していくべき地区、三千二百地区を整備することといたしております。  これは国の目標でございますが、こういった地区を整備する際には、地域方々地方公共団体方々と一緒に計画を練りまして、地域に公表しながら整備を進めるものでございまして、そういった意味では、今先生指摘のように、地域地方公共団体と国とが共同して計画をつくっていく、このようになっているものだというように考えております。
  186. 石毛えい子

    ○石毛委員 最後の質問になりますけれども、現在、高齢者身体障害をお持ちの方等の移送でございますけれども、スペシャル・トランスポート・サービスの約四割の方がボランティアであるというふうに、運輸省自動車交通局から立派な報告書が出ておりますけれども、こういう報告書でも触れられております。  この高齢者身体障害者の方等の移送を行っているボランティアの方たちの移送活動につきまして、運輸省としてどのように評価されておられるかということをお尋ねいたします。
  187. 二階俊博

    ○二階国務大臣 現在、高齢者身体障害者等の輸送は、民間の事業者による福祉タクシー等から、地方公共団体が主体となって福祉行政の一環として提供する輸送サービスまで、幅広い取り組みがなされておりますが、ボランティアの皆さんもその担い手となって活躍をしていただいているものと認識いたしております。  運輸省としては、ボランティアと称して営業類似行為を行う者を認めることはできませんが、ボランティア精神に基づき適正に行われるサービスは、今後ともその役割を大いに果たしていただきたいというふうに考えております。ただし、安全の確保の問題、あるいはもし事故が発生した場合の補償の問題等、運輸省としては、特にこの点は留意をしていきたいと考えております。
  188. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党案では、このスペシャル・トランスポート・サービスにつきましてきちっと整備していくということを法案の中に盛り込んでおりますけれども、やはりスペシャル・トランスポート・サービスを欠いては、面としてのバリアフリー化というのは完結しないというふうに思います。ぜひとも前向きに御検討いただきますようにお願いをいたしまして、私の質問をこれで閉じさせていただきますが、私は、移動について人々を区別しない、差別しないというようなことを実際に実現していくことは、権利としての移動を保障していくことの重要な中身の一つだというふうに考えております。そうしたことの蓄積で、アメリカのようなADA法と肩を並べる法案になるんだと私は受けとめております。  二階運輸大臣、ADA法に早く日本も肩を並べるようにというふうにおっしゃられておられますけれども、やはり移動権利としてどなたにとっても実現するという方向性を実現していただきたいという要望を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  189. 仲村正治

    仲村委員長 次に、平賀高成君。
  190. 平賀高成

    ○平賀委員 日本共産党の平賀高成です。  私は、障害者などの意見を聞くことの重要性についてまず質問をしたいと思います。  日本共産党の修正案では、障害者などの利用者の声を制度的に反映する、そういう仕組みをつくるべきだということを明記しております。  これは午前中にも質問をいたしましたが、移動制約者への対策が国の責務であるということでしたら、国のつくる基本方針地方自治体がつくる基本構想、さらには事業者皆さんがつくる事業計画、こういうところに移動制約者の方々意見を、単に聞くということだけではなくて、これは制度として聞くべきだ、仕組みとしても参加をしたものにしなければならないと私は思います。  そこで、政府案では移動制約者の方々意見をどのように反映していこうとしているのか、法的にも明記をされているのか、この点について大臣に伺います。
  191. 二階俊博

    ○二階国務大臣 交通バリアフリー施策を実施する際におきまして、当然高齢者身体障害者等意見を聞くべきであると考えております。したがいまして、本法案の施行に際しましても、これらの方々意見を十分にお聞きしてまいりたいと考えております。  具体的には、国が基本方針及び移動円滑化基準を策定するに当たっては、閣議決定されたパブリックコメント手続を活用して、高齢者身体障害者、また妊産婦方々等だけではなくて、広く国民の多くの皆さんの声を伺ってまいりたいと考えております。一方、基本構想については、必要とあらば国が策定する基本方針の中で、市町村高齢者身体障害者等意見を聞くべきことを規定することも考えております。さらに、交通事業者特定事業計画についても、意見把握の措置について規定することも考えられると思うわけであります。  これらの各段階で関係者意見を聞く方法として、協議会を設ける方法がよいのか、パブリックコメント手続によるべきなのか、計画等の策定主体が個別に関係者意見交換をするのがよいのか等、何が最善であるかそれぞれの実情に応じて異なってまいりますが、法律で一律に規定するのはいかがなものであるかと考えておる次第であります。  いずれにしましても、本法案が現実に適用される場面では、各段階において高齢者身体障害者あるいは妊産婦皆さん等の御意見が十分反映される結果を導きたいというふうに考えております。
  192. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、パブリックコメントということがいろいろ言われておりますけれども、これを全く否定するものじゃないんです。ただ、やはりパブリックコメントといいますと、公募するということで、結局これは政府の裁量にゆだねられる部分があるのではないのか、ここの部分を私は心配するわけです。  それで実際に、例えば具体的にどういうことが起きているのかということで、一つ事例をお話ししたいと思うんです。  中四国随一の繁華街で、一日十三万人が通行すると言われている広島の紙屋町交差点の横断歩道が、来年の三月に、地下街ができるということで閉鎖になるんですね。それで、路面電車に乗ろうと思いますと、これは新しく大きな交差点ですから四つのエレベーターがあるんですけれどもエレベーターを使わない場合は、四十四段階段で下がって、そして四十八段階段を上って路面電車に乗る。そういうふうな経路を経ない場合は、百メートルぐらい離れた新しい横断歩道へ行って、往復二百メートルぐらい歩かないといけない。新しい地下街をつくることによって新たなバリアができる、こういうふうな事例があるわけです。  そこで、建設大臣に、私は、町づくりは計画段階から障害者方々意見をちゃんと入れるように制度的に保障するべきだと考えているわけなんですが、この点について御意見を聞きたいと思います。
  193. 中山正暉

    ○中山国務大臣 高齢者、それからまた身体障害者、それから妊産婦方々、すべての人々が安心して日常生活を営み、積極的に社会参加ができて、生き生きと暮らすことのできる福祉社会の実現に向けて、生活空間のバリアフリー化を進めることが、建設省としても心がけております重要な課題と認識をいたしております。  このために、従来より、道路や駅前広場、今の例をお引きになったことは後でまた道路局長から御答弁申し上げたいと思いますが、そういう施設整備に当たりましても、高齢者それから身体障害者方々を初めとする関係者の御意見を反映した、より質の高い施設整備に努めてまいるところでございまして、今回の法案に基づきまして実施する道路等のバリアフリー化のための事業の実施につきましても、高齢者それから身体障害者等意見が十分に反映されるように心がけております。その意見を十分把握してそれを基本方針に定めることを考えておりまして、今後とも、高齢者身体障害者を初めとする利用者方々意見を広く反映できるような施設になりますように心がけてまいりたい、かように存じております。
  194. 平賀高成

    ○平賀委員 私、協議会をつくることがどれほど有効な役割を果たすのかについて、少し資料を持ってきましたので、読みたいと思います。  これは、当委員会で参考人で出てこられた三星昭宏さんという方が、阪急伊丹駅で、いろいろ障害者を含めて議論をしながら駅をつくったという経験なんです。これは出典は「道路」という雑誌なんですが、九九年の九月に「住民参加による施設地域バリアフリー化」ということで書かれております。   当初はすれ違う論議も多々あった。障害者自分の立場から要求を曲げず、事業者はしばしば、技術的・空間的・予算的制約からその要求を満たすことは困難として対立した。ここまでは他の事例でもよくみられるが、今回はその対立点について、障害者は専門的知識を学習し、事業者はその要求の意味と必要性を具体的に理解しようと努めた。ねばり強い委員会とワーキングの議論の中で多くの問題解決が図られ、中にはこれまで思いつかなかったアイディアも設計に取り入れられた。また今回は解決できない問題の原因も明確にされた。障害者はこの議論を関係する団体に持ち帰り、広範な論議を積み重ね、不満や問題点を残しながらも幅広い合意形成が行われた。 こういうふうな事例が雑誌にまとめられているわけですね。ですから、私、協議会をつくるということは非常に有効だということを改めて強調したいと思うわけです。  最後に、私、事業者責任について聞きたいと思います。  今回のバリアフリー法案は、新設の駅、それから大規模改修をする駅、こういうものは義務だということになっておりますが、既存の駅については努力義務になっている。私は、こういう状況で、バリアフリー化が果たして進んでいくのかどうなのかについて懸念を持っているわけです。  例えば、これは小田原市のJR東海道線の鴨宮駅の南口、これは階段が六十段あるのです。六十段あって、ここにエスカレーターをつくってほしいというのがかねてから住民の皆さんの願いになっています。小田原の私ども日本共産党の議員が、一九八八年六月以降、十二年間にわたり九回の質問を議会でやったのですけれども、まだ実現がされておりません。  どういうことかといいますと、この鴨宮の駅は、一日の乗降客が二万二千八百人、ホームとコンコースの高さが五・四メートル、これは今までの整備指針でも対象になる駅だと思うのですよ。しかし、「駅におけるエスカレーター整備について」というJR東日本のニュースによりますと、これは東京からおおむね五十キロメートル圏について計画的かつ積極的に整備を進めることといたしますということで、整備を進めているわけですね。そうしますと、この鴨宮の駅は整備対象外になってしまうわけです。こういう問題を今回のバリアフリー法案で解決されるのかどうなのか、この点について大臣に聞きたいと思います。
  195. 二階俊博

    ○二階国務大臣 今回の法案につきましては、たびたび御説明をしてまいりましたが、一日の乗降客が五千人以上である駅等については、市町村が当該駅及びその周辺について基本構想を作成し、重点的かつ一体的にバリアフリー化を進めるということを申し上げてまいりました。  御指摘のJR鴨宮駅につきましては、一日の乗降客数が平成十年度で二万二千八百人を記録しておりますので、本法案により基本構想が作成され得る駅であると考えております。  JR東日本は、東京から五十キロメートル圏内のうち、利用者が多い駅について優先的にエスカレーターを設置することとしていると聞いておりますが、鴨宮駅のエスカレーターの設置については、現在、小田原市とJR東日本との間で協議が進められていると伺っておるところであります。  このように、本法案提出される以前より、鉄道事業者等も地元自治体との協議に応じているところもあり、運輸省としては、本法案に基づき、順次計画的にバリアフリー化が進められていくものと確信をいたしております。
  196. 平賀高成

    ○平賀委員 私、こういう事例というのはいろいろなところにあると思うのですね。だからこそ私たち日本共産党は、修正案の中で、基本的には事業者の義務だという網をかけて、それで、当事者障害者皆さんとよく協議をして、いつまでにどういうふうな整備をするかということで、基本的には義務としてバリアフリー化を進めていくということを修正案で述べているわけです。このことを改めて訴えまして、以上で質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  197. 仲村正治

    仲村委員長 次に、寺前巖君。
  198. 寺前巖

    寺前委員 建設大臣がせっかくお見えでございますので、お教えをいただきたいというふうに思います。  というのは、今もお話がございましたが、新しいものをつくるときには、積極的にエレベーターをつくってやるのを義務にしていこうじゃないか、こういうことを言いました。そうすると、全体として、古いものが随分たくさんあるのは、そこはどうしてくれるんだという問題が必ず起こる問題だと思うのです。  建設省の方としては、今までにエレベーター設置の問題をめぐって、ハートビル法という法律をつくってきたと思う。だから、新設するときに、中高層ビルに対して義務規定を設けて建設をやってきた。そうすると、古い方はどういうふうにやってきたんだろうか。それはまた同時に、古い公共の集合住宅は、どうしたって年寄りなり、健康を害した人、障害者が残ってくるという結果になっているというのが客観的な都市の姿であろうと思うのです。そういう人々が日常生活の困難に立ち至っていく。  ですから、私は、既存の施設に対するエレベーターその他の対策というのは、お金のかかることでもあるし、時間のかかることでもあるから、それなりに慎重にやらなければならぬ問題だとは思いますけれども、しかし、対象にして、十分に先々めどの立つように仕事をすることが大事だということを感じているところです。  そこで、建設大臣に、集合住宅が都市の場合随分ふえてきていますから、この昭和三十年なり四十年代につくられたところのマンションとかあるいは公営住宅とかはどういうふうにしてエレベーターの建設に対処してこられたんだろうかと。特に、階段方式の集合住宅においては、これは大変だろうと思うのですよ。廊下式だったら、一つエレベーターをつくれば五十戸ぐらいを対象にすることができるでしょうけれども、階段式の住宅になったら対面の家しかないわけです。そうすると、五階建てというたらそれこそ十戸を対象にすることになるだけに、なかなかいろいろな意味で難しい問題がある。その難しい問題をどのように乗り越えてこられているんだろうか、ひとつ経験をお話しいただきたいと思うのです。
  199. 中山正暉

    ○中山国務大臣 久方ぶりで先生の御質問なさるお姿を見ますと、一緒に昭和四十四年に当選した同期の桜でございますので、大変懐かしい思いがするわけでございます。  私も大阪でございます、先生京都でございまして、大阪の場合を見ましても、大阪府営住宅とか大阪市営住宅とか、古い時代に建ったものがございます。それからまた、千里ニュータウンなどというのは今はもう本当にオールドタウンになっておりまして、高齢者と、子供のいない、そういう変形した町になりつつある。  時代が進んでおりますから、先生指摘のような三十年代、四十年代に建てられた古い公営住宅、そういうものに対しまして、建設省におきましては、高齢社会に対応するためのバリアフリー化された住宅の供給を推進しているところでございますが、その一環として、公営住宅等へのエレベーターの設置について積極的に取り組んでおります。大体六百万ぐらいのものになるということで、今、軽便な、効率のいいものを研究してもらっておりますが、これまでコストが割高であること等の理由によりましてエレベーターの設置がなされてこなかった中層の階段式、先生の御指摘のありました住棟についてもその設置が可能となるような、低コストのコンパクトなエレベーターの技術開発をいたしております。ここに図面があるのでございますが、こういうふうにエレベーターを背面からつけるというような形で、階段を補強、補完するようなものを考えております。  また、民間の既存のマンションに係るエレベーターの設置については、住宅金融公庫等におきましても、リフォームの融資の対象にするとかそういう方式をとっております。現在技術開発が進められているエレベーターは、公営住宅のようなまとまった数の住棟が建ち並ぶ団地を想定して、発注のスケールメリットが得られること等を前提に低コスト、これが家賃その他に反映してまいりますといろいろな問題が起こってまいる、かように思いますので、低コスト化が可能であるとされているものでありますけれども、その普及の状況に応じて民間のマンションについても活用してまいりたい。  こんなふうに、公営それから民間、古いものが随分目立ってまいりましたので、住宅の広さが人々の心の安らぎの場所としての効果をあらわしますだけに、経済大国と言われる日本、何としても住環境のいいものを提供してまいりたい、かように考えております。
  200. 寺前巖

    寺前委員 運輸省にお聞きをしたいのですが、今度の法案の中に指定法人というのがあります。私はよくわからないのですが、何で指定法人制度をとらなければならぬのだろうか。  要するに、公共交通事業者等による移動円滑化のための事業の実施に関する情報の収集、整理及び提供、当該事業の実施に関する必要な助言、指導、資金の支給その他の援助、当該事業に関する調査及び研究その他当該事業促進するために必要な業務を行う。その業務を行うための指導や助言を、今度はその指定法人がすることができる。  私、何でこんなものが要るんだと、さっきちょっと関係者に聞きましたら、バリアの情報をみんなに知らせるためにここへ集約させて、集約を受けたところが、JRその他の事業者から情報を提供してもらわなければならぬ、なかなか出してくれないから指導、助言というポストを与えるんだ、そういう権限を与えるんだと。  私、おかしいと思うんだ。指導することができる、監督することができるというようなことは、これは国がやらなければならない仕事だと思う。何でそれを指定法人に限ってやって、その指定法人というのは金を出すから、金に物を言わせて指導しようなんというような考え方になったらえらいことになるなということで、気になって仕方がない。局長さん、御説明いただけますか。
  201. 羽生次郎

    羽生政府参考人 お答えいたします。  まず、先生よく御理解いただけると思うのでございますが、先ほども申し上げましたように、各事業者がそれぞれの情報を提供したのではなかなか障害者高齢者の方が円滑に目的地へ、ドア・ツー・ドアで移動することができません。  例えて申し上げれば、ここから新宿を通って町田まで行くといたしますと、ここから営団を乗りかえていくわけでございます。新宿に着いて、そうすると、営団だけの情報ではいけないわけでございますし、それから営団と小田急だけの情報でも不備でございまして、営団と小田急との間に自由通路がございます。その辺がどうなっているかという情報が総合的にないと、これは大変障害者の方は不便になるわけでございます。  そういった情報が一つのところに聞けばぱっと出てくる、それも実費やあるいは無料で出てくるというようなことをやらないと、どこかがやらないと大変これは不便なことになるのではないか。ということから、そういうことを専門にやる法人が必要であろう。しかもこれは営利を目的とする法人であってはなりませんし、また、高齢者障害者の方についての知見を相当有している、知識を集積したものでなければならないわけですし、またある程度の財力がなければいけないわけでございます。そういった意味で、この法人を指定して今申し上げたような業務を行っていただきたいということを考えているわけでございます。  それから、今先生の御指摘になりました必要な助言、指導でございますが、これは何もこの指定法人が、おい、こらとやるわけではございませんで、むしろ、事業者の方からよくこういった助言を求められるわけでございます。  たしか午前の審議でも民主党の先生から御指摘がございましたが、事業者がやる場合に、身障者の方、高齢者の方の意見を聞いてもやり過ぎになってしまう場合、お金をかけた割にはこれが使い勝手が悪い、お金をかけたけれども十分お金だけの効用を発揮していない場合というのが、先生方が見ていただいた中でも多々あるわけでございます。こういったものについてある程度の知見それから知識を有する、ノウハウを有する者に対し助言、指導を求めることは当然考えられることでございます。  それから資金の供給その他でございますが、資金をくれるなどという奇特な法人というのはなかなか考えられないということはよくわかるわけでございますが、しかし、現に、今の補助制度、国と地方が三三%ずつ出すという補助制度の前には、民間から拠出金を集めて、それでもってそれを配るということをやっていた法人があるくらいでございます。  したがいまして、資金の供給といっても、そんな何億円もくれるということではございませんが、パンフレットの発給その他、あるいは目の不自由な方用の点字マップをつくるとかそういったものをやっていただける、大きな額ではございませんが、そういったものを支出していただけるような一定の財力のある者、こういう法人が出てきてこの業務をやっていただければバリアフリー化障害者高齢者の方に大変便利に進む、このように考えてこの制度を設けたわけでございます。
  202. 寺前巖

    寺前委員 時間が来たのでやめますけれども、どうも指導、助言とかいうのは政府機関がやらなければならぬことなんじゃないだろうかなというのが気になって仕方がないので一言質問しました。  ありがとうございました。
  203. 仲村正治

    仲村委員長 次回は、来る十八日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十九分散会