運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2000-03-10 第147回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月十日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 仲村 正治君    理事 石破  茂君 理事 実川 幸夫君    理事 菅  義偉君 理事 森田 健作君    理事 高木 義明君 理事 玉置 一弥君    理事 赤羽 一嘉君 理事 江崎 鐵磨君       衛藤 晟一君    小里 貞利君       木村 隆秀君    久野統一郎君       栗原 裕康君    坂本 剛二君       中馬 弘毅君    中野 正志君       望月 義夫君   吉田六左エ門君       渡辺 具能君    奥田  建君       今田 保典君    佐藤 敬夫君       永井 英慈君    前原 誠司君       石田幸四郎君    遠藤 乙彦君       岩浅 嘉仁君    寺前  巖君       平賀 高成君     …………………………………    運輸大臣         二階 俊博君    運輸政務次官       中馬 弘毅君    政府参考人    (運輸省運輸政策局長)  羽生 次郎君    政府参考人    (運輸省鉄道局長)    安富 正文君    政府参考人    (運輸省海上技術安全局長    )            谷野龍一郎君    政府参考人    (運輸省港湾局長)    川嶋 康宏君    政府参考人    (建設省河川局長)    竹村公太郎君    運輸委員会専門員     長尾 正和君     ————————————— 三月十日  高齢者障害者等移動の自由を確保するための法律案玉置一弥君外二名提出衆法第三号)  高齢者身体障害者等公共交通機関を利用した移動円滑化の促進に関する法律案内閣提出第三四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  港湾法の一部を改正する法律案内閣提出第二六号)  運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律案内閣提出第二七号)     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 仲村正治

    仲村委員長 これより会議を開きます。  この際、二階運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。二階運輸大臣
  3. 二階俊博

    ○二階国務大臣 お許しをいただきまして、帝都高速度交通営団日比谷線における三月八日の脱線衝突事故について御報告をさせていただきます。  まず冒頭に、亡くなられました四名の方々にはまことに残念な結果であり、何とも申しわけなく、心から御冥福をお祈りします。御家族に対しましても、かけがえのない御子息や御令嬢、配偶者と突然の離別に至り、その悲しみの深さには申し上げる言葉もございません。この場をおかりしまして、改めて心よりお悔やみを申し上げます。また、現在入院治療中の方々におかれましても、一刻も早い回復をお祈り申し上げます。  かねてより、安全は運輸基本との認識もと、安全問題に全力を挙げて取り組んでいる中、今回このような重大な事故が発生したことは、運輸行政を預かる者として、非常に深刻に受けとめているところであり、遺憾に思うところであります。  事故の概要でありますが、平成十二年三月八日九時一分、日比谷線中目黒駅構内の恵比寿駅方向百メートル地点のトンネル出口付近において、下り北千住発菊名駅行きの八両編成列車中目黒駅に進入中、最後尾の車両脱線、出発直後の上り中目黒発竹ノ塚駅行きの八両編成列車の五両目及び六両目と衝突しました。これにより、四名の方が亡くなられ、三十四名の方々が負傷されました。  事故後、帝都高速度交通営団では、九時七分に現地対策本部を、九時十分に本社に中目黒列車衝突事故対策本部をそれぞれ設置しました。  また、同時刻の九時十分からJR等による振りかえ輸送実施し、その後、九時十三分に北千住—霞ケ関間で折り返し運転を開始、十四時から都営バスによる代替輸送実施し、二十一時二十六分から霞ケ関—恵比寿間においても運転を開始しました。恵比寿—中目黒駅間については、停止列車の誘導及び事故車両移動を行うとともに、当該箇所脱線防止ガードを設置し、脱線した車両と同形式車両台車等の総点検を行った後、安全が確保されるまでの間徐行運転を行うこととし、九日五時の始発より運転を再開しました。  政府としては、九時二十分に官邸官邸連絡室を、運輸省事務次官本部長とする中目黒鉄道事故対策本部をそれぞれ設置しました。  その後、九時三十分に運輸省鉄道技術専門家から成る事故調査検討会メンバー現地派遣することを決定、順次派遣を行いました。さらに、九時三十三分に中馬弘毅総括政務次官を、また関東運輸局担当官六名を現地派遣しました。さらに、私自身も現地に入り、営団から事情を聴取しました。  事故原因については、現在、事故調査検討会及び帝都高速度交通営団において調査中であります。事故当日、現地調査の後、運輸省において直ちに第一回の検討会を開催するとともに、昨日、より詳細な検討を行うためにワーキンググループを設け、精力的に調査、分析を進めていくこととしております。  運輸省としては、安全で安定した輸送サービスの提供は鉄道基本的使命との認識もと営団及び全国鉄道事業者に対し、事故当日、鉄道局長名の通達を発し、安全の徹底を図ったところであります。今後、営団報告及び事故調査検討会における検討を踏まえ、今回の事故の徹底的な原因究明とこれに対応した再発防止策の確立に向けて全力を挙げて取り組むとともに、被害者方々に対する対応に万全を期すよう営団を指導していきたいと考えております。  委員会委員皆様におかれましても、これらの取り組みに対し、御支援、御協力をお願い申し上げます。      ————◇—————
  4. 仲村正治

    仲村委員長 次に、内閣提出港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として運輸省運輸政策局長羽生次郎君、同鉄道局長安富正文君、同海上技術安全局長谷野龍一郎君、同港湾局長川嶋康宏君及び建設省河川局長竹村公太郎君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 仲村正治

    仲村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 仲村正治

    仲村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺具能君。
  7. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 自民党の渡辺具能でございます。  ただいま二階運輸大臣から御発言がありましたが、このたびの鉄道事故によりましてお亡くなりになりました方々に対しまして、心より哀悼の意を表したいと思います。  時間がわずか十分でございますので、早速お伺いをさせていただきます。まずは、港湾分類に関する見直しでございます。  港湾法は昭和二十五年に制定されまして、この港湾に関します分類というのは、その間日本経済社会は非常に大きくさま変わりをしたわけでございますが、五十年間変わらなかったわけでございます。私は、運輸省在職時代に、「二十一世紀への港湾」といういわば港湾長期見通し作業に参加した一人でございます。その「二十一世紀への港湾」の中で、港湾分類をそろそろ見直すべきではないかということを主張いたしましたが、このたびこういう形で港湾分類が見直されたということは、大変喜ばしいと私は思うわけでございます。  ただ、少し今回の分類について気になることがあるわけでございます。今回、重要港湾、これは昔からでございますが、重要港湾あるいは特定重要港湾といういわば港格を決めておられるわけでございます。重要であるとか特に重要であるとか、そうしたら残りは重要でないのか、こういうことになるので、私はこの言い方はどうかなという感じもするわけでございます。  特に、今回、重要港湾定義の中に海上輸送網ということをわざわざ特記されているわけでございます。このことによって、本来港湾機能というのは非常に多機能であるわけでございますが、この面がやや軽視されることになりはしないかということを私は少し心配するわけでございます。港湾というのは、それぞれの地域でそれぞれの観点から必要だ、重要だというふうに思うんです。  例えば、神奈川県では横浜というのが海外貿易上非常に重要な港湾でありますが、一方、湘南港だってレジャーボートの基地として大変私は重要だというふうに思うわけです。どちらの方がより重要かということは私は本当はないんではないかというふうに思います。  まとめて申し上げると、今回の港湾分類見直しにつきまして、わざわざ海上輸送網を特記させることによってその辺の重要性の幅がやや狭められるんではないか、そんなことはないと思いますが、私の心配を払拭する意味でも、あるいは、地域方々もやや心配があるんではないかと思いますが、そういう心配を払拭する意味でも、ぜひこの辺のことを大臣にお伺いしたいと思います。
  8. 二階俊博

    ○二階国務大臣 我が国港湾行政につきまして極めて精通されております渡辺議員の御発言だけに、先ほどから傾聴いたしておりました。  従来から、重要港湾は、国の利害に重大な関係を有する港湾定義されております。今回の法改正におきましても、基本的にはこの考え方を変えるものではありませんが、港湾のさまざまな役割のうち、国にとっての重要性という観点から、輸送上の役割主眼を置き、我が国海上輸送ネットワークを形成するということによって重要港湾の代表的な役割ということを考えたものであります。  一方、港湾が、物流だけではなくて、海洋性レクリエーション拠点やにぎわいのあるウオーターフロント空間、災害時の防災拠点等多様な役割を担うことは、議員御承知のとおりでございます。このため、輸送以外の港湾役割を軽視することなく、それぞれの港湾の特色を尊重しながら、いずれの港湾も重要であるという観点に立ち、港湾に対するさまざまな要請にきめ細かく対応し、多様な地域づくり港湾を通じて貢献してまいりたいと考えております。
  9. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 ありがとうございました。ただいまの御回答をお伺いしまして大変安心をいたしました。  それから、今回の改正の中のもう一つの目玉は、私は環境関係ではないかというふうに思います。今回の新しい改正案にこういうふうに書いてあります。港湾法の「目的」のところに、「環境保全に配慮しつつ、港湾の秩序ある整備」を図る、こういうことが書いてあるわけでございますが、環境保全に配慮しつつ港湾整備をやるというのは、これは今までもあった当たり前のことでありまして、私は、こういう書き方というか字面だけでは、余り精神が変わっていないのではないかという印象を受けるわけでございます。  これまでも、港湾施設をつくるのに附帯して環境に優しい工事をやってまいりました。例えば、私は広島県の港湾課長をやらせていただきましたが、五日市の廃棄物埋め立てをやるときに、あわせてあそこに干潟をつくりました。それは港湾工事附帯工事としてやって、環境工事そのものをやったわけではないわけです。  お伺いしたいのは、今回のこういう法改正によって、必ずしも港湾工事にあわせてやるということではなくて、環境そのもの目的として、あるいは干潟の造成ですとかそのほかの環境に有益な緑地等々の工事を単独で、港湾本来の、従来の港湾施設工事とは独立して環境のための工事がやれるのかどうか、その辺のことを港湾局長にお答えいただきたいと思います。
  10. 川嶋康宏

    川嶋政府参考人 今回の法改正の中では、議員が言及されました目的規定に加えまして、基本方針記載事項の中で環境保全に対する取り組みを明確化することによりまして、計画段階でありますとかあるいは施設計画、建設及び利用の段階におきまして環境保全への取り組みを充実したいというふうに考えているものでございます。  従来から、環境影響評価実施いたしまして緑地廃棄物埋立護岸整備を行ってきたところでありますけれども、さらに、最近では環境共生をいたしますエコポートの形成を目指しまして、例えば、将来世代の豊かな港湾環境の継承でありますとか自然環境との共生あるいは快適さの創出、そういった政策実現を図るように取り組んできたところでございます。今回の法改正によりましても、従来の取り組みをさらに充実いたしまして、干潟藻場保全についても積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。  特に、干潟藻場につきましては、生物の生息機能でありますとかあるいは水質浄化機能など、多様な機能を有していることを私どもも十分認識しておりますので、今後とも、これらの干潟藻場役割を適切に評価しながらその創造に積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  11. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 ただいまの御発言で、これまでと違って干潟により積極的に取り組むという話を聞いて安心いたしました。私の地元近くに博多港がありまして埋立事業をやっておりますが、和白干潟というのがあってこれが失われるのではないかということで、地元では大変心配をいたしております。これまでのように、附帯的な事業としてだけではなかなか思うとおりの干潟ができないわけでございますが、今回の法改正でこういった事業にも積極的に取り組んでいただくということで、和白干潟の場合も立派な干潟をつくっていただけるのではないかというふうに期待をいたしておきます。そして、地元大変心配をしておりますので、ひとつ立派なものをつくっていただいて地元の方を安心させていただきたいというふうに思うわけでございます。  それから、時間がないのですが、あと二つほどお伺いしたかったのですが、一つ、今回負担率が変わったことについてお伺いさせていただきます。  今回、直轄事業負担率が変わりました。少しアップになった。このことによって、より直轄事業がある大都市集中型の投資になるのではないかというふうなことを心配するわけでございます。従来の補助率負担率でいくと大都市が何%だったのが、今回の改正で、例えば平成十二年度予算でどれぐらいの割合、大都市で上がるのかということをあわせて聞いて、大都市集中型になるのかどうか、その辺のことをお伺いしたいと思います。
  12. 川嶋康宏

    川嶋政府参考人 今回の港湾整備事業におきます国の負担率見直しにつきましては、国の直轄事業実施対象全国的、また広域的な観点から重要な施設に限定することにあわせまして、それらに対します国の責務を明確にするために国の負担率を引き上げるというものでございまして、従来、直轄事業負担率について十分の五でありましたものについては十分の五・五まで引き上げるというものでございます。  また、直轄事業対象になっております重要港湾につきましては、大都市集中型ではないかという先生の御指摘ではございますけれども、ただいま百三十四の重要港湾があるわけでございまして、その全国配置からいきましてもそれぞれの港の中で重要な施設について実施をしておりますので、必ずしも大都市集中型になるということにはならないというふうに私どもは考えております。
  13. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 本当は、もう一つレジャーボートについて中馬政務次官にお伺いしようと思っていたのですけれども、もう時間がございませんので、これで質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  14. 仲村正治

    仲村委員長 次に、赤羽一嘉君。
  15. 赤羽一嘉

    赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。  冒頭、先日の営団日比谷線脱線衝突事故におきましてとうとい命をなくされた四名の方々の御遺族の皆様に心からの哀悼の意を表明させていただきますとともに、三十名を超す、今まだ入院中の皆様の一日も早い御回復を心からお祈り申し上げる次第でございます。  きょうは、ちょっと港湾法に先立ちまして、この地下鉄について幾つかお聞きをしたいのですが、当日、鉄道事故調査検討会メンバー派遣をされたということであります。きょうの読売新聞社会面にちょっと指摘があるのですが、当日、三月八日の夜七時半の記者会見で、脱線車両空気ばねパンクをした、こういった記者会見をされたことに対して、営団地下鉄の側がそれを否定されている。  このことの原因調査における、要するに鉄道事故調査検討会営団地下鉄側連絡、意思の疎通が不十分なのではないか、こういうような指摘がされておりますが、このことについて現状を御報告いただきたいと思います。
  16. 安富正文

    安富政府参考人 御指摘の点ですが、実は当該記者会見は私がやりまして、その際、検討会の模様をレクという形でやったわけでございます。  その空気ばねパンク状態の話は、実は、検討会先生方の方から、ある車両専門家の方から、空気ばね空気が抜けていたという御発言がございました。これを通常パンクと言って、別にひび割れ、中に穴があいていたとか、そういうことじゃなくて、抜けていたという表現をされまして、パンクしていた状態だったので、ここら辺がどういう原因で起こったのかをこれから調べなきゃいけない、こうおっしゃったわけです。  それを、一つの事例としてそういう事象もございましたと私が記者会見で発表しましたら、その空気ばねのところが、私もびっくりしておりますが、新聞で大きく取り上げられて、営団では、その救出作業中か何かの作業中に意図的に職員が抜いたんだ、こういう発表をいたしまして、そこの食い違いがあるということになったわけでございます。  そこら辺も含めまして、私ども、またこれから事故調査検討会の方で、どういう事実関係であったのか詳細に詰めまして、その問題についても営団の方との調整をしていきたいというふうに考えております。
  17. 赤羽一嘉

    赤羽委員 この事故調査検討会営団地下鉄方たちというのは当然入っていないのですね。今回、当事者でもあるし、オブザーバーとして参加をさせていくということをとられるお考えはないのでしょうか。
  18. 安富正文

    安富政府参考人 おっしゃるとおり、事故調査検討会メンバーには現在正式には入っておりません。これはどうしても、いわゆる加害者と申しますか当事者でございます、ある意味では利害関係者ということもございますので、現在のところはメンバーに入れておりませんが、営団の方のいろいろな事故調査にかかわる報告というものもこれから聴取していかなきゃいけないと考えておりますので、どういう形か、オブザーバーなのか、あるいは聴取、ヒアリング対象としてか、そういう形で営団の方とも連絡調整していきたいというふうに考えております。
  19. 赤羽一嘉

    赤羽委員 それと、読売のきょうの一面に、先ほど出た話ですが、車輪空滑りが駅の手前のカーブ区間に集中している、しかも一番後ろの八両目の最前部車輪で八割以上発生しているという事実が営団地下鉄内部調査で把握をされていた、そのことが昨年一月の鉄道技術専門誌研究論文として報告がされていたというような報道がありますが、こういった事実確認というか、把握されていたのかどうか。
  20. 安富正文

    安富政府参考人 きょうの新聞でそういう記事が出たというふうに、私もまだ正確に読んでおりませんが、聞いております。  そこら辺の問題につきましても、まだ十分把握しておりませんでした。したがいまして、これからその問題についても我々として十分調査していきたいというふうに考えております。
  21. 赤羽一嘉

    赤羽委員 事故調査というのは非常に難しい問題があって、予断で推論できないと思いますし、正確な事故調査というのも求められるというふうに思いますが、マスコミではいろいろな報道もされますし、推測、伝聞といった形でいろいろなことが言われると思います。  運輸大臣所信表明でも安全ということを高く掲げられておりますし、これは一義的には営団地下鉄という事業者の問題であるかもしれませんが、まさに運輸省主体者となってやられていく御決意だというふうに思います。その点、ぜひ御要望をしたいと思います。大臣の方から御決意のほどをお願いします。
  22. 二階俊博

    ○二階国務大臣 まず、赤羽議員事故当日、極めて早い時刻に現場にわざわざお出かけをいただいたということに対して感謝を申し上げておきたいと思います。  ただいま御発言のとおり、運輸省全体は交通関係を担うわけでありますから、何よりも安全第一ということを私は運輸行政推進基本方針の最も重要な柱に考えておるわけでありますが、中でも鉄道、航空、これは直ちに人命と極めて深いかかわりを持つ事故が発生する可能性の強いものでございますし、大量の人また物資等輸送するという大きな役割の中で、安全を他の交通機関よりもなお重視しなくてはならないことだというふうに常々考えております。  そういう観点から、今日まで、運輸省の中に安全戦略会議を、事務次官をトップにして運輸省全省挙げて取り組むという体制、そして関係事業者に対しましても御協力を呼びかけ、昨年末から安全の総点検を行ってきたところであります。  そうしたさなかに発生した事故だけに、私は深刻に受けとめておる次第であります。再びこのようなことが起きないためには、まず何よりも原因の解明が最も重要だと考えております。したがいまして、予見を持っていろいろな御意見が寄せられておりますが、私は、事故調査検討会、同時に今赤羽議員がおっしゃいました、当面の関係者ではありますが営団調査報告等にも重大な関心を持ちつつ、問題の究明全力を挙げてまいりたいと思っております。
  23. 赤羽一嘉

    赤羽委員 大臣のその御決意を体して、運輸省を挙げて万全の危機管理体制、また原因究明体制をとられることを強く希望します。  時間もございませんが、港湾法のことで一点だけお聞きしたいのですが、私は、この特定重要港湾重要港湾、またそれ以外の区別基準について今回定義を明確にするその目的の中で、日本港湾国際競争力を備えた活力ある経済社会の構築を目指すんだ、こういったことを言われておるのですが、どうも正直言って、その思いはよくわかるのですけれども、非常にわかりにくいところがある。  それは、例えば、特定重要港湾重要港湾区別以外に、コンテナの扱いについて、中枢港湾中核港湾という基準がございますね、これは法的根拠は別にないわけですが。中枢港湾に十一港、中核港湾に八港、こういう区別があるわけですけれども、例えば、中核港湾の塩釜とか志布志とか常陸那珂とか那覇港、この四つの港湾港湾法上なぜ特定重要港湾指定されていないのか、この外れている明確な区別基準があるのかないのかということを御質問させてもらいたいと思います。
  24. 川嶋康宏

    川嶋政府参考人 お尋ね特定重要港湾でございますが、特定重要港湾は、重要港湾のうちで国際海上輸送網拠点として特に重要な港湾ということで定義づけをしているわけでございます。そういう意味で、重要港湾の中でも国際輸送機能主眼を置いて指定をしているものでございます。  具体的には、その重要港湾の中でも、外貿貨物量が非常に大量であったり、基幹的な外貿コンテナ航路が就航している等の国際的な輸送拠点というような港について、特定重要港湾という定義をしているものでございます。  お尋ね中枢中核港湾特定重要港湾関係でございますが、中枢中核港湾につきましては、先ほど先生の御指摘にありましたように、我が国国民生活の向上でありますとか、あるいは効率的な輸送体系を構築していくために必要な国際海上コンテナ輸送についての視点を重視いたしまして指定をしているものでございまして、中枢国際港湾については三大湾及び北部九州中核港湾については、その中枢港湾を補完する意味で、全国で八港を指定しているわけでございます。  一方、特定重要港湾については、外貿輸送の中で特に重要な港湾というふうに定義をしておりますので、国際海上コンテナ輸送だけではなしに、その他のばら積みの取扱貨物等の面でも重要な役割を果たしているものについて特定重要港湾指定をしておりますので、中枢中核港湾特定重要港湾との間が必ずしも一致していないということでございます。
  25. 赤羽一嘉

    赤羽委員 ですから、その定量的な区別基準はあるのですか。例えば志布志港が特定重要港湾に入っていない、何か定量的なものというのはありますか。そこだけ最後の質問で確認させていただきます。
  26. 仲村正治

    仲村委員長 時間ですので、簡潔にお願いします。
  27. 川嶋康宏

    川嶋政府参考人 定量的なということで、量で基準を設けて、それから一トン上回れば指定をするということではございませんが、志布志について言えば、現時点では外貿の取扱貨物量が今の特定重要港湾に比べまして、その差がかなりあるということでございます。
  28. 赤羽一嘉

    赤羽委員 終わりますが、それは取扱量で判断しているわけですね。私は、この中枢中核港湾コンテナというのは新しい概念かとも思いますが、そのことも含めて、いま一度改めてこの重要港湾特定重要港湾区別ということを、分類ということを整理された方がよろしいのではないかということを御提案して、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  29. 仲村正治

    仲村委員長 次に岩浅嘉仁君。
  30. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 自由党の岩浅でございます。さきの列車事故で犠牲になられました皆様方に、心から御冥福をお祈り申し上げます。  人間として、また政治家として私淑をいたしております二階運輸大臣に初めて質問をさせていただきます。短時間でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、重要港湾関係について質問をさせていただきます。  今回の港湾法改正では、重要港湾における港湾工事について、大臣実施する工事に対する国の負担割合の一部を引き上げるとともに、小規模な施設工事費用に対する国の負担割合を引き下げると聞いております。これにより、国の負担割合が上がる施設については地元自治体などの港湾管理者の財政負担が減りまして、事業の進捗を図ることが当然可能になる反面、負担割合が減る施設については港湾管理者の負担が増加し、事業がおくれることになるのではないかと懸念をいたしております。  今回の法改正はきちんとこの点も議論され、利点が明確になっていることと思いますが、何分にも法律はわかりにくく、一般の人々は、私と同じように、何が変わるんだろうという素朴な疑問と印象を持っておられると思います。このため、今回の法改正による国庫負担割合の変更にどのような利点があるのか、この場ではっきりさせておく必要があろうと思います。  私の地元の徳島県の橘港、小松島港を事例にして、事業はどの程度進展するのか、あと具体的な利点は何かにつきまして、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  31. 二階俊博

    ○二階国務大臣 岩浅委員にお答えいたします。  今回の改正では、委員も御指摘のとおり、特定重要港湾を含む重要港湾における直轄事業の国の負担率を十分の五から十分の五・五に引き上げることにいたしております。その分地方負担が軽減され、港湾管理者の財政から見れば事業の進捗が図りやすくなり、整備効果が早期にあらわれるといいますか、早期に期待される、施設料の軽減等も図られるということを考えておるものであります。  今委員からお話のありました、委員のお地元の小松島港の赤石地区の多目的国際ターミナルの整備について、あるいは橘港の小勝後戸地区の整備促進ということについて、どのようなことになるであろうか、こういうお尋ねであろうと思います。  御質問がございましたので、これから予算を御審議いただいた上のことではありますが、今私の念頭にあることは、両港湾を合わせて大体二十億七千万円ぐらいのものを、今後本法律の成立によって十分の五・五に引き上げる、そうした結果、大体お地元、県御当局のこの負担においては、先ほどのは県の負担分を申し上げたわけでありますが、県に対する補助ですね、二十一億七千万円ぐらい、ですから、約一億円ぐらい県財政当局が、それだけ国費がふえることによって県の財政がそれだけ楽になる、こういうことになろうと思いますので、港湾全体を進行させるためには画期的なものだというふうに私どもは評価をいたしておるわけであります。
  32. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 ありがとうございました。  申すまでもないのですが、港湾整備の推進というのは、物流のグローバリゼーションに対応するとともに、国土の均衡ある発展を図る、活力あるふるさとづくりの産業振興の基盤づくりのためにも大変重要なことであろうと思いますが、港湾目的地を結ぶ道路、鉄道整備と一体となって当然整備をしなければならないわけでございます。  ここに、これは空港なんですけれども、空港と高速道路の直結率、三菱総研の資料でございますが、アメリカですと空港と高速道路の直結率は八六・五%、ドイツでは五四・六%、日本では二六・三%という数字が出ております。さらに、国際港湾の比較をいたしますと、国際港湾と高速道路の直結率、これはアメリカが九三%、ヨーロッパ合わせますと九三%に対しまして日本はわずか三三%。空港も港湾も高速道路直結率が非常に低いという数字が出ております。  来年からまさに国土交通省が始まるわけでございますが、この日本の現状において、こういう仕事というのはまさに大きな使命であろうと思います。御決意のほどを伺っておきたいと思います。
  33. 二階俊博

    ○二階国務大臣 御指摘のとおり、最寄りのインターチェンジに十分以内でアクセスできるものの割合は、港湾が三三%、空港が四六%と欧米と比較して低いわけでありますが、より一層の改善に向けて努力を重ねるべきだというふうに考えております。  こうした観点から、ちょうど来年一月に予定されております国土交通省の発足というものは大変重要な意義を持ってくる。つまり、港湾を担当いたしております運輸省と道路を担当しております建設省が一つの役所になるわけでありますから、交通関係インフラの相互間の緊密な連携が図られるように努力をしたい、また、そういう結果になるであろうということを確信いたしております。
  34. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 時間がありません。二つ質問を割愛させていただきます。  最後になりますが、二階大臣が長年の、これは二階構想と言ってもいいわけでございますが、私も以前から伺っております。大阪湾経済圏関西大環状交通軸という構想プラス、これは大阪湾だけをエリアにしておりますが、そこから派生いたしまして、和歌山県の御坊、徳島県の阿南を加えました第二の経済圏、新たな大環状交通軸というのを大臣は以前から政治家として御主張されておるわけでございますが、この構想につきまして、御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  35. 二階俊博

    ○二階国務大臣 たしか、このことはもう随分前のことになりますが、徳島県の、現在徳島の商工会議所の会頭をなさっておられる方々や、もうお亡くなりになりましたが、以前に阿南の商工会議所の会頭をなさっておられたような方々から、四国徳島と紀伊半島を結ぶ海路、海の道があってもしかるべきではないかという大変熱心な御意見を拝聴いたしました。  和歌山県側は私の地元でもありますので、そうした御意見を念頭に置いておったわけでございますが、御承知のとおり、明石海峡大橋等がこの十年に開通したり、京奈和自動車道路のような高速道路等から成る環状の軸、またそれらの関係から、新たに、今御指摘の関西大環状交通軸等が言われておる中で、いわゆる四国側と紀伊半島を海の道で結ぶことによって、改めて8の字の環状ルートができるわけでありまして、それらの問題について、今後、長期検討課題として取り組んでいく。  それは、まず第一には、両県がそうしたことに対して緊密な連携をとって、相互に調査をするなどが必要でありますが、もとより船を就航させる場合には、その船を就航する企業が、ある一定の客といいますか、需要をやはり確信しなければそういう方向には向かないわけでありまして、これは両県、将来とも、お互いに提携していく意味において、夢のある構想として、どうぞお地元の岩浅議員の一層のこのことに対する御支援をお願いしておきたいと思います。
  36. 岩浅嘉仁

    ○岩浅委員 済みません。時間が超過いたしました。  先般、民主党さんが現職大臣の評価を発表されまして、二階運輸大臣が最高得点、七十四点、たぐいまれなる政策集団民主党さんから一番高い評価を得られまして、私は大変うれしく思っております。大臣の御奮闘を祈念いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  37. 仲村正治

    仲村委員長 次に、高木義明君。
  38. 高木義明

    ○高木委員 民主党の高木義明でございます。  きょうは港湾法の一部改正につきましてお尋ねをしてまいりたいと思いますが、まず冒頭、先ほども大臣の方から営団地下鉄日比谷線の脱線衝突事故の件について御報告がございました。私は、この際、亡くなられた四名の方々の御冥福を心からお祈りしたいと思います。また、あわせて、三十四名の負傷者の方々の一日も早い御快癒を心からお祈りする次第でございます。まさに、安全はすべてに優先をする、このことを私たちは肝に銘じなければならないのではないかとこの時期に特に感じた次第でございます。  今回の脱線衝突事故原因究明が早く望まれるわけでございます。しかし、今この場において、その原因について、あるいは技術的なことについて、私は触れようとは思いません。ただ、やはりこのような事故は、都市圏においては、朝夕の通勤ラッシュ、まさに惨事でございます。したがって、利用者の方々の不安を一刻も早く解消するという意味で、当局の万全な取り組みが必要であろう、私はそういう認識をいたしております。  したがいまして、この脱線衝突事故が起こった初動におきまして、運輸交通担当大臣としての対応について、そしてまたこの事故についての所感について、この際、お伺いをしておきたいと思います。
  39. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま高木議員の御指摘のとおりでございまして、このたびの営団日比谷線の脱線衝突事故というものは、運輸省としましても、大変大きな衝撃を受けておるところであります。同時に、地下鉄にとりましても、恐らく地下鉄始まって以来の事故だということを言われておるわけでございます。これらの問題につきまして、再発防止の意味からも、そして毎日の利用者のお気持ちからしましても、一日も早い原因究明、そして問題点があれば、その問題点に対して速やかに対応するということが何よりも重要であると考えております。  したがいまして、冒頭にも申し上げましたが、専門家による安全の調査会、これにつきましては、極めて速やかなといいますか、これ以上やれる方法はないというくらいのスピードで対策に取り組んでおるところでございます。そうした専門家先生に加えて、今度は車両の面、それから線路の面、こうした面におきましてのさらに専門家を新たに加えまして、昨日、ワーキンググループを立ち上げたところでございます。今後、運輸省としては、関係者と一体となって、この問題の究明に努力をしてまいりたいと思っております。  なお、今後、都市の鉄道に対しまして、こうした事故が再び起こらないように何をすべきかということを、技術面と同時に、そのほかの面においても問題点はないのかということを十分調査検討してまいりたいと思っております。  このことに対する重大な責任を痛感しながら、全力を尽くして、今後、対応してまいりたいと思っております。
  40. 高木義明

    ○高木委員 今、当面急がなければならないのは、再発防止のための対応、そして何よりも原因の早期解明、そしてこれはもう既にやられておると思うんですが、犠牲者や負傷者の皆さん方に対する的確な万全の対策、これが私は必要であろうと思っております。したがって、ぜひ抜かりない御対応をよろしくお願いしたいと思います。  そこで、先ほども一部出ておりましたけれども、けさの読売新聞では、この営団地下鉄脱線につながる可能性指摘されておる車輪空滑り、これについて、既に一年前に営団内部調査で把握をしておった、それが昨年の一月号の鉄道技術の専門誌に掲載をされておったということも出ております。したがって、これがその事故原因であろうと断定することではございませんけれども、こういうことについても運輸省として事前に把握しておったのかどうか、その点が一つ。  それから、かつて信楽高原鉄道の大変な惨事もございました。そのときにも、よく指摘されておりましたけれども、航空事故においては航空事故調査委員会、そして海難事故においては海難審判庁、極めて法的根拠もあり、そして責任、権限も明確な組織があるのに、鉄道にはそういう組織がない。したがって、今鉄道鉄道事故調査検討会というものをつくってこれに当たっております。今回、それに加えて、そのもと調査チーム、いわゆるワーキングチームだと思っておりますが、そういうものをつくって対応しようとしております。  私は、この調査チーム、検討会が、ある意味では本当の法的な根拠を持って、そして権限の範囲も明らかにされるということが公正な調査に結びついていくんじゃなかろうか、こう思っております。この点についても、今からの原因究明では大切なテーマですから、御所見を聞いておきたいと思います。
  41. 安富正文

    安富政府参考人 まず第一点の、きょうの新聞に出ておりました調査研究論文につきましては、残念ながら私ども、事前に十分把握しておったわけではございません。ただ、先ほど申しました事故調査検討会ワーキンググループの中で、このような要因も含めていろいろ多方面から専門家による議論を深めていただいて、今回の事故の真の原因究明をしていきたいというふうに考えております。  それから、鉄道事故調査検討会につきましては、もちろん常設的な形でいわゆる国の機関という形になっているわけではございません。そうはいいながらも、鉄道事故が起きたときに早急に迅速な対応ができるように、昨年六月、事故調査検討会という形であらかじめメンバーを選んで、それで多方面の専門的な先生方を配置した上で、すぐ対応できるようにということで置いておったわけでございまして、今回の事故の際にも初動の調査段階で、我々としても迅速に現場に派遣するというような形で対応してきております。  そういうことでございまして、先ほど申しましたワーキンググループのメンバーの追加も含めまして、具体的な原因究明についていろいろな方面から調査、研究、分析をしていきたいというふうに考えております。
  42. 高木義明

    ○高木委員 ぜひ、先ほど申し上げましたように、犠牲者に対する的確、万全な対策、そして原因究明を早くやって、いっときも早く国民の、利用者の不安を解消していただくように強く要請をしておきたいと思います。  さて、港湾法でございますけれども、この法案の大きな改正点は環境保全というところにあろうかと思っております。第一条の「目的」には、「この法律は、交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展に資するため、環境保全に配慮しつつ、港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るとともに、航路を開発し、及び保全することを目的とする。」こういうふうに書かれておりまして、今回、約二十五年ぶりですか、大きな改正がなされたのは一つの目玉だと私は思っております。  そういう意味では評価をするわけですが、昨年、これは運輸大臣港湾審議会から答申をされたわけですが、港湾法は昭和二十五年、一九五〇年五月三十一日に制定をされて以来、いわゆる港湾管理者の定め方、任務、組織、財政、そして港湾管理者などの設立に関する権限を地方公共団体に与えております。そして、運輸大臣港湾管理者との協議が調った港湾工事に対して費用を国が義務的に負うという、まさに当時としては画期的な地方自治を重視した法律であろうと私は思っております。  その後、今日まで出てきた不備な点あるいは経済的、社会的背景の変化、こういったことに伴って過去十二回の改正がなされておりますが、私は、今回は大きな改正点だと思っております。特に昨年の、一九九九年七月十六日の地方分権一括法によりまして、国の直轄事業は、重要港湾の水域施設、外郭施設、係留施設、臨港交通施設工事の四タイプに限定をする、そして、範囲が明確になった、これは私は一歩前進であろう、このように思っております。  したがって、これまでの時代的な背景の中でどういうことがそぐわなくなって、そして今後どういうふうなことを変えていかなければならないのか、いわゆる港湾そのものの役割も含めて、今回の法改正基本的な考え方について大臣にお伺いをしておきたいと思います。
  43. 二階俊博

    ○二階国務大臣 近年、委員も御承知のように、グローバル化の進展等によって、経済社会の構造の変化が急速に進んでおりまして、経済構造改革等の取り組みが進められておる。この中で、国際競争力を備えた活力のある社会の構築や国民生活の向上等を図る上に、さらに環境保全に対する国民意識の向上が叫ばれておる今日、港湾においてもこのニーズを的確にとらえていく必要があると考えております。  今回の改正は、こうした背景を踏まえて、全国的、広域的な視点から効率的、重点的な整備とその適正な管理運営を推進していくとともに、港湾における環境施策の充実により積極的に取り組んでいく必要がある、そういう観点から新たな措置を講じようとするものであります。  今回の改正によりまして、全国的な視点から見ても効率的、効果的な国際及び国内の海上輸送網が形成され、港湾サービスの向上、港湾施設の利用コストの低減が図られることにより物流コストが低減し、この結果、我が国経済の国際競争力国民生活が一層向上するものと考えております。  港湾における環境施策につきましても、従来以上に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  44. 高木義明

    ○高木委員 そこで、港湾分類というのが今度この中に入ってきております。その基準について、あるいは、こういった基準見直しの時期についてどうなのかということについてお尋ねをしてまいりたいと思います。  重要港湾定義についてですが、国際海上輸送網または国内海上輸送網拠点となる港湾その他国の利害に重大な関係を有する港湾を政令で定める、こういう内容であります。また、特定重要港湾定義は、重要港湾のうち国際海上輸送網拠点として特に重要な港湾、こういうふうになっておるんですね。  そこで、港湾審議会の答申を見てみますと、重要港湾役割について四つの視点を挙げております。一つは、低廉で効率的な物流のための海上輸送網拠点、二つは、必需物資を取り扱う海上輸送網拠点、三つは、国土の均衡ある発展を支える海上輸送網拠点、そして四つは、その他国の政策的な要請への対応、こういうことがあります。  これに基づいて、現在の重要港湾百三十四港、このうち特定重要港湾は二十一港でございます、それと地方港湾九百六十港の分類が今回見直されることになったわけでございます。  一体この基準についてはどのようなことに基づいて行われたのか、その考え方についてまずお伺いします。
  45. 中馬弘毅

    中馬政務次官 時代が変わってまいりました。したがいまして今回、この定義も少し変えたわけでございますが、基本的に申しますと、重要港湾とそれ以外のところとの関係でございます。  御指摘のように、国の利害に重大な関係を有する港湾重要港湾、そしてそのうちで外国貿易の増進上特に重要な港湾特定重要港湾、このように位置づけをいたしております。それ以外を地方港湾と名づけております。  具体的には、全国的な物流の状況、産業の立地状況、エネルギー拠点の立地の状況、離島における旅客輸送のための重要性、隣接する港湾との地理的な距離、こういった多様な観点から総合的に検討を行って、この分類指定いたしているところでございます。  そういうことでございまして、これを毎年大きく入れかえるということではございませんが、やはり状況が変わってきた場合には、これの見直しはもちろんすることといたしております。
  46. 高木義明

    ○高木委員 この点について運輸省港湾局においては、港湾サービスの指標導入に関する研究会、こういうものを設置しております。去る三月一日に初会合を開きまして、四月をめどに指標のあり方について基本的な考えをまとめる。  指標については、まず一点は輸送拠点、二点は交流、にぎわいの空間、三点目は環境保全創造の場、四点目は景観への配慮、五点目は防災の拠点、そして六点目は港湾空間の利用など、そういう項目をいわゆる指標数値であらわす。例えば東京湾、伊勢湾、大阪湾、北部九州など、全国二十から三十の港にこれを導入していく予定でございます。これはあくまでも、港のサービスの評価とか情報公開の指標なのかもしれませんけれども、港の地位を示す一つの重要な判断材料になっておると私は思うのです。  したがって、言われるところの裁量行政を招かないためにも、背後地の交通体系とかあるいは経済的、社会的な要因、例えば先ほど申し上げましたような指標に基づいてつくった基準が必要ではないのか、このように思うわけです。その点について再度お尋ねしたいと思います。  それから重要港湾、地方港湾、今度は降格された港湾もございますけれども、こういった基準について、どういうタイムスパンで見直していくのか。そういう基準をつくることがまず大事でありまして、その基準に基づいて、合った場合、もしそれに外れた場合、臨機にそういうものを当てはめをしていくのかどうか、この辺の考え方についてもぜひこの際聞いておきたいと思います。
  47. 川嶋康宏

    川嶋政府参考人 先ほど先生が言及をされました港の新しい、別の評価についての問題でございますが、これは私ども、港をより密接に利用していただいたり、港に親しみを持っていただく意味での指標について新たに検討を開始しようということで、御指摘のありましたような事項を評価点として検討させていただいているものでございます。  先ほど言及のありましたような指標それぞれについては、いわゆる数値指標として明確に示すということについてはかなり難しいものもございます。また、総括政務次官からお答えをいたしました基準検討事項の中身についても、それぞれ数値としてあらわせるものもございますが、そのほかに実態に即したような面であらわすようなものもございます。そういったものを総合的に判断いたしまして重要港湾指定を行っているわけでございまして、それについて、私どももできるだけ皆様にも御理解のいただけるような形で指標を整備していきたいというふうに存じているところでございます。  また、見直しの時期につきましては、これは基本的な、港湾重要港湾についての定義を新しい港湾法の中でしていただいたわけでございますので、特定の何年ごとということではなしに、時期に応じて適宜見直しをさせていただきたいというふうに思っております。
  48. 高木義明

    ○高木委員 一つ基準を明確にするということが、今後の整備については国民の支持の中で大切な課題であろうと私は思っておりますので、批判が強いいわゆる裁量行政という誤解を招かないためにも的確なものをつくっていくことが必要ではないかと強く要請をしておきたいと思います。  そこで、費用対効果の分析とか事業評価の内容についてであります。  重要港湾については、一九五一年、昭和二十六年一月十九日にまず四十七港が指定をされております。その後これに加えて、一九五〇年代には三十三港、六〇年代には二十三港、七〇年代には二十四港、八〇年代には六港、そして九〇年代、大分の中津港の一港が指定されまして現在の百三十四港、これは特定重要港湾を含むわけでありますけれども、こういうふうになっております。  港湾整備は、国民の経済あるいは暮らしにとって大切な役割を果たしておるということは言うまでもありませんし、やはり海洋国家日本としまして、これまでの経済成長の牽引役の一つになった、私はそのように認識をしております。しかし、最近の報道を見てみますと、むだな公共事業という批判はかなり厳しいものがあります。特にこのような財政状況になってきますと、取捨選択、重点化、効率化ということが大命題になってくるわけでして、今後港湾整備は非常に難しくなってくる、このように私は認識するわけです。  例えば百億円の釣り堀とか、あるいは、三百億円かけた港湾整備したが大型船の利用は年にたったの二回とか、計画時点とは現行全くかけ離れたものがクローズアップをされて、特にこの点については税金のむだ遣いじゃないか、こういう批判が強いわけです。  また、直近の会計検査院からは、平成九年、十年度の個別事例ではありますけれども、桟橋の築造工事に使用する鋼管くいの防食対策のための方法を選定し、経済的な設計に改善するようにとの指摘があってございます。これは既にもう改善済みで、節約した鋼管くいの材料費は七千八百二十万円だった、こういうことが出ております。  そういう点について私は、きっちり精査をしながら、やはりやるべきはやる、そして削るべきは削る、そういうことが大切ではないかと思っております。したがって、今改正法案の中に、費用対効果の分析あるいは事業評価の内容等が含まれているのかどうか。港湾審議会の答申でもそういうことが言われておりますが、こういったものに対してどのように対応をしていかれるのか、この点について明確にお答えをいただきたい。
  49. 二階俊博

    ○二階国務大臣 港湾整備の重点化、効率化のために、ただいま高木委員から種々お話がございましたところ、私も極めて同感であります。  この際は、中枢中核港湾等における国際海上コンテナターミナル、複合一貫輸送拠点となる内貿のターミナル、さらに廃棄物海面処分場に国費を重点的に配分することにより事業の重点化を図っているところであります。一方、限られた港湾予算の中で事業実施港数、あるいは箇所数の削減等に努めてまいりました。  御指摘の透明性の確保につきましては、事業採択後一定期間を経過した公共事業についての再評価システムや新規事業についての採択時の評価を実施してまいりました。さらに、事後評価につきましても早期導入に向けた検討を現在進めておるところでありますが、事業の客観性、透明性の確保に努めているところであります。  今回の法律改正において、重複投資を避け、効率的な整備を促進するために、港湾相互間の連携の確保に関する基本方針記載事項を追加するとともに、重点投資を行うため、重要港湾の配置の見直し及び国庫負担率見直しの措置を行うこととしており、これによって港湾整備における一層の効率化、重点化を推進してまいりたいと考えております。
  50. 高木義明

    ○高木委員 今回のこの改正といいますか予算編成に当たりまして、いわゆる重点配分の結果として、地方港湾重要港湾から降格というのでしょうか、こういう呼び方がふさわしいかどうか知りませんけれども重要港湾から地方港湾になる港湾があります。こういった自治体については今後新たな財政負担がふえるのではないか、あるいは一方において、これまではそういう機能役割のために港湾整備をされてきたのですが、このことによってせっかくやってきたものが中途で機能を喪失する状況になってくるのではないか、こういうふうな危惧も一部になされるわけであります。  例えば、青森県の大湊あるいは愛媛県の八幡浜、長崎県の青方、こういうところも該当する港湾でございますけれども、この点について、どのようなことをお考えになっておるのか、ぜひこの際お聞きしておきたい。
  51. 二階俊博

    ○二階国務大臣 今回御指摘のとおり、港湾分類見直しを行いました結果、六港につきまして、重要港湾から地方港湾へ変更することといたしました。  しかしながら、港湾はにぎわいのあるウオーターフロント空間や災害時の防災拠点等、多様な役割を担うものでありますので、地域の振興にも大きな役割を今日まで果たしてまいりました。今回地方港湾に変更となる港湾を含め、地域における役割が大いに期待されている港湾につきまして、その地域の振興にとって重要な港湾として、今後政府としてもできる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。
  52. 高木義明

    ○高木委員 さて、この港湾整備については、既にこれまでも何度となく港湾整備計画が出されて、それに沿って来たわけですが、今はいわゆる第九次港湾整備計画、こういうふうになっております。  変遷は、昭和三十六年に港湾整備緊急措置法に基づいて港湾整備五カ年計画が進んできて、そしてこの第九次港湾整備計画平成八年十二月に閣議決定をされております。しかし、平成九年十二月に、御承知の財革法の施行に伴って計画を五年から七年に延長して、単年度の支出を抑制するという措置がとられたわけです。その後財革法というのは凍結をされておりまして、今七年計画でそのまま推移をしておるわけです。  この計画は、国の負担、補助等として四兆三千百億円の投資をすることになっておりますけれども平成十二年度までに既に三兆八千二百八十六億円を支出しております。進捗率八八・八%。そして残すところ二カ年、こういうことでございますけれども、今回の港湾法改正と今当面のこの第九次港湾整備計画との関係について、どのようにお考えになっておるのか、お尋ねをしておきたい。
  53. 中馬弘毅

    中馬政務次官 御指摘の第九次七カ年計画におきましては、その根拠法であります港湾整備緊急措置法において効率的な国際海上輸送網または国内の海上輸送網拠点となるべき港湾の適正な配置等、我が国港湾整備における課題に対応するために港湾整備事業における投資の重点化を図るべきことが定められております。  今回の法改正では、国費の重点投資等を行って、一層効率的な整備を促進するための措置を盛り込んでおりますが、これによりまして、逆に第九次七カ年計画に盛り込まれた事業の的確な実施ができるということになることと考えております。
  54. 高木義明

    ○高木委員 ぜひ国民の支持が得られる、しかも我が国の産業、経済あるいは国民生活の豊かさにつながるような夢のある港湾整備を推進していただきたいと強く要請をしておきたいと思います。  さて、港湾審議会のメンバーのお一人であります東京大学の森地茂先生が、その審議会の答申以降の座談会で、これは港湾協会発行の「港湾」という一月号の雑誌でございますが、次のようなことを言っておるのですね。実は答申の中で船の管制をぜひ取り扱いたかった、この点が不十分だ、東京湾のことを考えると物すごい船の交通量で錯綜しておる、港湾内が込み合いスムーズな航行ができない状況があれば、いつまで寄港してくれるかという不安がある、こういうことを目にしました。  したがって、港湾整備はまさに航路の整備、あるいは情報化にとってあわせて考えなければならない重要な観点でございますので、この際私は、効率的な船舶の航行のための水先制度について質問をしてまいりたいと思います。  我が国の水先制度については、二つの流れがございます。一つは、これは一八五三年、嘉永六年、黒船来航で、横浜、神戸など主要港を開港いたしました。一八七六年、太政官百五十四号の西洋型船水先免状規則以降七十三年間任意の水先制度が続いてきました。一九四九年、戦後でありますが、昭和二十四年、GHQの要請を受けまして、横浜、神戸、関門、横須賀、佐世保を強制水先、対象は国際航海に従事する全船舶。その後、海運界からの要請もございまして、諸外国の制度を参考に三百総トン以上とした、そういういきさつがあります。一九七一年、昭和四十六年ですが、沖縄が復帰をいたしまして、那覇がこれに追加をされております。したがって、横浜、神戸、関門、横須賀、佐世保、那覇六港がその当時三百総トン以上の強制水先となった、こういう流れが一つ。  二つ目には、これは昭和四十九年、一九七四年でありますが、十一月九日、東京湾の浦賀水道におきまして便宜置籍船と我が国のLPGタンカーが衝突をいたしました。船員三十三名が死亡をしたという大惨事。このとき衝突した便宜置籍船のパシフィック・アレス号は、一万八百四十七総トンでございます。この事故を教訓にして、水域を一万総トン以上の強制水先とすることになったわけであります。したがって、そのときの事例をもとに、東京湾、明石海峡、備讃瀬戸、来島海峡、関門海峡の通過船、そして大阪湾が、一万総トン以上の船は強制水先というものが必要になった経過がございます。  しかしながら、最近になりまして、平成十年の七月、神戸港が三百総トンから一万総トンへ引き上げられております。また、平成十一年七月に、横浜港が三百総トンであったものが三千総トン、これに引き上げられております。これは経済均衡論、大阪湾にある神戸、東京湾にある横浜、こういう一つの湾一体の経済均衡論からそういうことになってきたわけでありますけれども、そういういきさつのある中で、まず基本的に強制水先制度の現状についてどのように認識をされておるのか、この点についてお伺いしておきます。
  55. 中馬弘毅

    中馬政務次官 高木委員から水先制度の詳しい経緯の御説明をちょうだいいたしました。水先人といいましょうか、この重要性は昔も今も変わっていないと私は思っております。  御指摘のように、強制水先制度は、水先法に基づきまして、船舶交通の安全確保及び船舶の運航能率の増進を目的に設けられているものでございます。  強制水先対象船舶の範囲につきましては、法目的に照らして、個別の港や水域によって状況が大変異なります。それを踏まえまして、個別の強制水先区ごとに、海象等の、海の状況等の自然的条件、船舶の運航状況等を総合的に勘案して定めてきたところでございます。  したがって、港、水域ごとに強制水先対象船の基準の差異が存在することには、私どもは問題はないと認識をいたしております。
  56. 高木義明

    ○高木委員 そこで、今後のあり方について、位置づけについてなんですが、先ほども御答弁ありましたように、そういうことについては、その重要性について認識をされておることを私は多としたいと思っております。  では、諸外国はどうなっておるのか、こういうことでございますが、例えばアメリカ、ロシア、中国、トルコ、フランス、ブラジル、すべての船舶に水先制度を必要としております。また、ノルウェー、スペイン、台湾、韓国、スウェーデン、これは五百総トンという基準がある。シンガポール、香港、カナダの五大湖、これは三百総トン以上の船はやはり水先というものをつくっておかなければ船舶の安全航行に支障を来す、こういうことですね。あるいは、これは長さでの制限、英国については二十メートル、オーストラリア三十五メートル、フィンランドについては五十メートルないし幅が十メートル、こういう一つの規制があるわけですが、総じて外航船としての能力を有する船はおおむね対象になっているわけです。したがって、そういうことも大事な観点。  もう一つは、国際的な方向としても、一九九四年、国際海洋法条約が発効しました。私どもの国は一九九六年にこれを批准をいたしておりまして、沿岸国の権限というのが高まってきた。一九九五年、STCW条約、これは船員の訓練とかあるいは資格、当直に関する条約でございますが、こういったものから、いわゆるポートステートコントロール、そういう状況が世界各国につながってきて、いわゆるサブスタンダード船、老朽船、こういったものをやはり追跡し、そして排除しようという高まりも出てきた。国際的にも、海洋の利用、安全、海洋汚染防止、こういう意味で沿岸国の権限は強化された。  そういう意味で、私は、今後は水先人の能力とか、あるいはそういう環境整備がなされなければならぬと思っておりますけれども、今後の見通しといいますか、今からどういうことを念頭に置いてやっていくのか、この点について聞いておきたいと思います。
  57. 中馬弘毅

    中馬政務次官 大正十五年、大分古くなりますが、国際的に海港条約が結ばれておりまして、水先制度につきましては各国が独自に決めてよいということになっております。そういうことでございまして、各国ごとに独自の制度が採用されているところであります。船員の資格制度等、それぞれ異なりますので、国際的に見ましても、統一的な基準は特に定められてはおりません。  今後の水先制度のあり方につきまして検討するに際しましては、国際的な動向等ももちろん考慮に入れる必要がありますが、基本的には自然的な条件、船舶の運航状況等、我が国固有の事情に即した現実的な制度となるように十分留意してまいりたいと思っております。
  58. 高木義明

    ○高木委員 神戸港では、先ほど申し上げましたように、その基準が一万総トンに引き上げられたわけです。しかし、外国船に乗船する水先人の日本船長協会というのがありますが、この船長協会のレポートの中に、神戸港に入る一万総トン未満の外国船で、装備や設備、船員の能力、いずれかに欠陥があるものが約七割も占めておる、こういう調査報告されております。  今は、安全だから、何もないからということで推移をしておるわけでありますが、一たん、ふなれな外国船やあるいは老朽化船、また十分な訓練をされていない船員の操舵によって何らかの衝突事故や海難事故が起きますと、それは大変な環境汚染の問題はもちろんありましょうし、人命につながる社会混乱は目に見えております。  したがいまして、まさにこの問題は、ただ単なる水先ということじゃなくて、やはり日本の主権、主権国家としての主権という意味で、この水先制度は今後とも安定的になされなければならぬ、私はこのように思っております。  そこで、もう時間もありませんけれども、最後に関門海峡について、ことし四月以降基準を引き上げる、この是非をめぐって官民の検討委員会が始まっていく、こういうことが言われております。  しかし、この関門海峡というのは、私が言うまでもなく、一九九七年までの過去十年間で百十八件の海難事故が発生をいたしております。見通しが悪く、複雑に屈曲しております。針路変更回数も約十五回ぐらいしなければならぬ。それから、狭い航路幅で四百八十メートル、潮流は十ノットを超す、こういう状況。しかも、ここを通過する船舶あるいは出入港数が一日約六百隻、こういう非常に偶発的な事故の危険度が高い国際航路、まさに交通の要衝でありますが、基準を引き上げることについて反対の声が強いのですね。  それで、最近の事故を見てみますと、一九九八年四月二十三日に、砂利運搬船第八勇進丸、四百九十一トン、それとベリーズ船籍貨物船「シリウス」、これが衝突しまして「シリウス」が沈没をいたしました。乗組員は全員救助されましたが、重油流出が長さ二百メートル、幅二十メートル。三十分後に、押し船第二十一日の出丸が押しておる台船が、この沈没した「シリウス」に接触して浸水を始めた、こういう事故がありました。また、一九九八年六月十三日には、パナマ船籍の「ベイボナンザ」五千九百九十九総トンが沈没している「シリウス」に衝突して乗り上げた。この「シリウス」というのは八月に回収されております。  そういう意味で、私は、安全性とともに、先ほども申し上げましたように、私どもの国の主権という観点からも、この水先制度というのは、もちろんどんどんこれからも改革、改善は、これは不断のことでありますからやっていかなければならぬ、しかし、制度そのものを、ただ経済市場原理だけで、コストが安いからといってそういうものを外していくことについて、私はいかがなものか、このように考えております。  したがって、この関門の強制水先の見直しについて、私は慎重に対応しなくてはならぬと思っておりますが、この点についてどのような御所見をお持ちですか。
  59. 中馬弘毅

    中馬政務次官 御指摘の関門海峡、関門区におきましては、現在、港に出入りする入出港船につきましては三百総トン以上の船舶が強制水先の対象となっておりますが、海峡を通過するだけの場合には一万総トン以上ということになっております。  このような状況を踏まえまして、現在見直しに必要な現地の実態調査が行われておりまして、その結果を踏まえて、今後本格的な検討を行うこととしております。別に四月と決まっているわけではございません。  一方で、技術も進歩したからもう少し緩めてくれといったような要望があることも事実でございますが、船舶交通の安全にかかわる問題でこれは重要なことでございます。そういうことで、同区におきます海象等の自然的な条件、船舶交通の実態等を踏まえつつ、十分慎重な検討を行っていきたいと思っております。
  60. 高木義明

    ○高木委員 質問時間が終わりましたので、これで終わりにしますけれども、どうぞ善処方よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  61. 仲村正治

    仲村委員長 次に、奥田建君。
  62. 奥田建

    ○奥田(建)委員 高木委員に続きまして、民主党の奥田建でございます。質問を続けさせていただきます。  まずは、日比谷線事故におきまして亡くなられました皆様の御冥福をお祈りし、また、けがをなされました皆様の一日も早い回復を祈り、鉄道関係者皆様の御努力による一日も早い原因究明とともに、安心してまた地下鉄鉄道が利用されることを願いまして、質問の最初とさせていただきます。  今回、港湾法改正ということで、五つの点を柱とする改正案が出されております。重要港湾定義見直し、あるいは国の負担率の変更、そして港湾間の相互連携、四つ目には環境保全への取り組み、そして五点目には放置艇の対策。まず、港湾政策全体の質問をさせていただきまして、また個別の法案に関連する点を質問させていただきたいと思います。  まず、大きな点で、重要港湾あるいは中核港といった分布図を見せてもらいますと、日本海側というのは大変寂しい存在になっております。今、二十一世紀の国土のグランドデザインというものも出されておりますけれども、その中では、多軸型国土構造の形成というものが重点施策として置かれております。たしか、多軸型という言葉の前には、日本海国土軸、こういう言葉が、我々日本海側に住む者にとりましては、新しい地域をつくるキャッチフレーズと申しますか、そういった希望を与えてくれる言葉でもございました。  この前の全国総合開発計画、あるいはこれからの国土デザインの資料を見ましても、海運の部分においてそういった国土軸の思想が施策として反映されているかというと、そういった思いは私には伝わってまいりません。そういった点について、二階大臣に御見解を伺えればと思います。
  63. 二階俊博

    ○二階国務大臣 奥田委員にお答えいたします。  平成十年に策定されました新しい全総、二十一世紀の国土のグランドデザインにおきましては、複数の国土軸が相互に連携するいわゆる多軸型の国土構造を目指し、日本海国土軸等の四つの国土軸ごとに国際交流拠点を形成する方向が打ち出されていることは御承知のとおりであります。  また、交通体系の整備に関連しまして、全国地域と世界とのアクセスを向上させる国際交通体系の整備や、沿岸部を連結し、海峡部やあるいは島嶼部を結びつけるいわゆる全国海上交通網の整備の方向もあわせて打ち出されております。  今回の法改正を受けまして策定される基本方針や次期港湾整備五カ年計画におきまして、ただいま奥田委員の御指摘のとおり、日本海国土軸を初め、新しい全総の考え方を踏まえて、国際海上輸送網拠点形成のための施策を盛り込んでいきたいと考えておる次第であります。  当然、日本海国土軸も尊重してまいりたいと思っております。
  64. 奥田建

    ○奥田(建)委員 大変ありがたい答弁をいただきました。  私ども日本海側にも、瀬戸内海あるいは離島といった生活に海運が密着した地域ほどではないかもしれませんけれども、いろいろと北前船という歴史があったりします。海あるいは港というものには大変こだわりの大きな地域と思っております。  また、一つの夢を追う話にもなりますけれども、商工会の中には、そういった北前航路の復活といったことを、テクノスーパーライナーなんかが出たときには、そういったものでぜひまた昔の北前航路で各地をつなぐようなことができないかなといったようなことを述べておる方もいらっしゃいます。  ちょっとこの時間をおかりして、自分の地元のことを少し紹介させていただきますけれども、今、私どものところは、石川県の金沢市、新幹線あるいは国道、そして一つの環状線といったものが地域の南北を大きく走っております。新幹線はまだ来ておりませんけれども、鉄路があると思ってください。そして、港は金沢港という重点港湾がございます。  今、駅から港に向かって、五十メーター道路、一直線に最短距離を結ぶ道路ができ、まさに海と陸を結んで、地域の活性化に向けての事業が進んでおるところでございます。港湾の方は地方分権の色合いが濃い事業でもございますけれども、そういった中、地元も一生懸命取り組んでおりますので、ぜひとも御理解をいただければと思う次第でございます。  さて、今回の改正案、そして港湾審議会の答申というものが出まして、改正に行く背景には、近年、日本港湾国際競争力の低下あるいは港湾としてのアジアの中での国際的地位の低下、余りありがたい言葉ではございませんけれども、そういった事実があることと思います。こういった港湾施策、ちょっと厳しい雑誌とかによれば、日本港湾施策はここ十年間居眠りをしていたんじゃないかというような言葉もございます。  近年の港湾施策についての概略の説明、あるいはその中で欠落していたんじゃないかなと思われるような反省点、そしてこれからぜひとも取り組まなければならないと決意する重点課題といったものについて、二階大臣お尋ねしたいと思います。
  65. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま御指摘のとおり、近年、シンガポール、あるいは香港、また釜山等のアジアの主要港湾が急速にその機能を拡充いたしております。私も、ごく最近でございますがシンガポールに参りまして、シンガポールの港湾の状況等を見てまいりました。現場で、これに匹敵するような事業を行っておる日本港湾はどこにあるかということを関係者に尋ねますと、横浜と神戸ぐらいでしょうかね、こういうことで、御指摘のとおり国際的地位の低下という問題を非常に痛感したような次第でございます。  今日、アジアの主要国がそのように港湾機能を充実発展させている一方、我が国港湾へ寄港する航路の割合が減少するなど、相対的に我が国港湾は残念ながら国際的地位が低下しているということを正直認めざるを得ない状況にあります。まことに残念な思いをいたしております。  我が国港湾への基幹航路の寄港の減少は、輸送コストの増大、ひいては産業競争力の低下を招くなど、経済活動の沈滞あるいは空洞化をもたらすとともに、生活全般への影響が懸念されるところであります。  私は時々例に挙げるわけでございますが、例えば消費生活の上で重要な肉を外国から輸入する場合に、例えばブリスベーンから百グラムの肉を横浜へ運んでくる、これはスーパーマーケットで百七十円ぐらいで売っておる肉でございますが、そのときのいわゆる船の費用、それから陸揚げ、荷揚げの費用、それから貨物に積んでスーパーマーケットへ届ける、それらの費用を全部合わせて百グラム一円五十銭、極めて低廉な価格で輸送しておるということ、その根幹に港湾の存在があるということを私たちは認識をしなければならない。その点から、産業のいわゆる動脈としての港湾、これはだれでもが理解されるわけでありますが、一方、消費者生活、国民生活に極めて重要な役割があるということを私は考えておるものでございます。  先ほど奥田委員から、十年ほど居眠りしておったのではないかという御意見がございましたが、私の見るところ、港湾関係者は決して居眠りはしておりませんで、一生懸命港湾の必要性を主張しておりました。居眠りしておりましたのは、そのほかの関係者の皆さんの中に、居眠りではないでしょうが、少し港湾のような事業は抑えていった方がいいんではないか、あるいはまた言いかえれば、公共事業をもっと抑えた方がいいんではないかというふうな御主張を最近大変あちらこちらで聞かされるわけであります。そんなことから、今日相対的に我が国の国際的地位が低下している状況を招いたということ、これは厳しく反省をしなければならないと考えております。  このため、国際貿易の拠点となる中枢中核港湾における国際海上コンテナターミナルの整備を国家的プロジェクトと位置づけまして、私は、運輸行政の最重点課題として今後積極的に取り組んでまいりたいと決意しておるものであります。
  66. 奥田建

    ○奥田(建)委員 居眠りの中で、関係者が居眠りと申しますか、港湾施策が居眠りをしていたのではないかということを、もし私の言葉が足りませんでしたら直させていただきます。  続きまして、競争力回復のためにどういった施策に取り組んでいるか、あるいは取り組んでいくのかということでございます。  高コスト化あるいは非効率化という中で、効率化を目指す施策としまして、港湾での手続の簡素化というものがほかの方からも、ユーザーの方からも声が出ておるかと思います。こういった入港手続、港湾での手続の簡素化というもの、情報化の取り組み、あるいは各省庁間での横軸での連携といったものについて御説明をいただければと思う次第でございます。
  67. 二階俊博

    ○二階国務大臣 まず、入港の手続等の簡素化につきましては、港湾における行政手続は、港湾管理者及び港の長、港長に係る手続のほか、税関手続、入国管理手続等が必要であり、港湾物流の迅速化、コスト削減の観点から、これらの手続の簡素化、情報化が強く求められておるところであります。このため、港湾管理者及び港長に係る入出港の手続を、電子情報交換化システムの開発、昨年十月より第一段階として運用を開始しておるところであります。  引き続き、税関手続のシステム等、他の省庁と連携し、港湾に係る諸手続の、いわゆるワンストップサービスを図ることが重要であると考えておるわけでありまして、関係省庁と今後十分調整を図りながら、早期実現に向けて努力をしたいと思っております。  今回もこの種の予算につきまして約七億円計上いたしておりますので、奥田委員の御指摘を速やかに実現できるような体制を整えたいと考えております。
  68. 奥田建

    ○奥田(建)委員 国際競争力が必要とされる特定重要港湾、そういったところにおきましては、ぜひとも他国の港湾に負けない体制を組んでいただきたいと思う次第でございます。  続きまして、施設整備の中で、今、岸壁水深という大きな投資の問題がございます。  ある船会社の方の話では、水深十六メーターから十八メーターの岸壁がこれからの世界のハブ港の条件になってくるという記事がございます。そういった十六メーターの計画は今ないと聞いておりますけれども、そういったことが国際港としての条件の一つになってくるということ。そして、その反対意見になりますけれども、大きな投資をしても船が来なければむだになる、前の十五メーター水深の岸壁をつくった後、利用されていないという例なども、審議会の中の談話としてあったかと思う次第でございます。  大変難しい判断になりますけれども、そういったハブ港を目指す港の設備として、運輸省の方は、岸壁水深といったものにどういう見解を持っておられるか、現状のところで聞かせていただければと思います。
  69. 二階俊博

    ○二階国務大臣 水深十六メーターコンテナターミナルの必要性についての御質問でございますが、国際航路に就航するコンテナ船は引き続き大型化が進んでおりまして、既にコンテナの積載能力が二十フィート換算で六千個を超え、十六メートルの岸壁水深を必要とする超大型コンテナ船が出現しております。船社の建造計画を見ますと、今後このような超大型船の隻数が増加することが見込まれておりますので、このような動きに対応して、既に欧州の港湾では水深十六メートルのコンテナバースが供用されているほか、アメリカ、アジアにおいても整備が進められております。  このため、水深十六メートルのコンテナバースの整備については、超大型船の建造状況、海外の港湾での整備状況等を見きわめながら、我が国国際競争力を確保する観点から、時期を失することのないように的確に対応してまいりたいと思っております。  したがいまして、今後、公共事業予算、とりわけ港湾予算につきまして、民主党の御協力をぜひこの際お願いを申し上げておきたいと思います。  なお、港湾見直しにつきましては、私どもは、港湾の建設の状況について常に見直しを図りながら、必要でないものについては工事を中止するとかあるいはまた港格を下げるとかいろいろの対応を図りながら、関係者、多くの皆さんの御理解が得られるような港湾建設を今後も進めていきたいと思っております。
  70. 奥田建

    ○奥田(建)委員 次に、放置艇対策の質問に移りたいと思います。きょうは、建設省の竹村河川局長にお出ましをいただいておるそうでございます。  今度の港湾法改正以前に、同じような法律として、河川法の改正においてプレジャーボート放置対策といったものがとられております。前回、平成八年の調査ですか、そのときの調査によりますと、二十万艇に上る確認、十四万艇弱の放置艇を確認しておるという報告を受けております。  もちろん海岸あるいは河川、港湾といったことが一体として法施行されれば一番よろしいんでしょうけれども、まず河川法が先行したということで、この河川法施行後のプレジャーボート放置艇対策といったものについての現状報告、あるいはさきの法改正で実効があったのか、御報告していただければと思います。
  71. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 御質問にお答えいたします。  従来、河川区域に違法な放置物件がございましても、河川管理者みずからがその処理をするということができないでいる状況でございましたが、平成七年の河川法改正によりまして、簡易代執行の制度を創設し、所有者が不明の船舶についても河川管理者みずからが処分することが可能となったところでございます。  また、平成九年の河川法の改正では、簡易代執行制度を拡充いたしまして、河川管理者が簡易代執行により除去した不法係留船等の売却や廃棄等の措置を行うことが可能となったところでございます。  この簡易代執行制度をより効果的なものにするために、関係者地域方々の実情を踏まえた協力が必要であると認識しておりまして、平成十年には河川局長通達を出しまして、私ども河川管理者、そして港湾管理者、そして地方公共団体等から成る協議会を設けまして、重点的に撤去する区域や、もし撤去した場合の暫定的に係留する場所、区域を定めるなどの不法係留対策を計画的に、段階的に推進するよう通知いたしまして、現在このような協議会が各地で設けられつつございます。  なお、簡易代執行につきましては、平成七年以降、三十七隻を対象としまして十四隻が実施されているところでございます。
  72. 奥田建

    ○奥田(建)委員 ありがとうございます。  簡易代執行に入る前の警告といいますか通告の時点で事態が改善されればよろしいんですけれども、河川から海岸の方へ逃げていっているというようなことも聞いております。これらの不法係留と申しますか放置の問題に伴いまして、やはり保管場所が足りないという現実の問題があるかと思います。  総括政務次官の方にお尋ねしたいのでございますけれども、こういった収容施設の不足といった問題につきまして、省としてどういった取り組みをしていくか。と申しますのは、今の負担率見直しという中で、小型船の船だまりといったものについては反対に補助率が引き下げられております。引き下げながら、またプレジャーボート放置問題といったものは解決に向かって推進していくという一つの政策のギャップといいますか、整合性がとれていないような部分が見受けられますけれども、これから収容施設、係留地の対策としてどういったことをやっていくかということを聞かせていただきたいと思います。     〔委員長退席、石破委員長代理着席〕
  73. 中馬弘毅

    中馬政務次官 奥田委員指摘のように、今河川だけではなくて港湾地域におきましても、プレジャーボートの放置艇が大変な状況になっております。航行の妨げになるだけではなくて、景観そのものも非常に醜いといった状況でもございます。  しかし、我が国の今後のことを考えますならば、現在小型船舶の免許を持っておる者が二百八十万人と聞いておりますが、実際にある船が四十数万、五十万近く船はあるんですけれども、免許を持っている人がそれの六倍ぐらいあるわけでございますから、今後どんどんふえていくことが予想されます。また、国ごとに比較いたしましても、欧米先進国は大変な数を持っております。それこそ日本も、今後成熟社会として個々人がヨットを持ったりモーターボートを持ったりして、かなり海上レジャー、水上レジャーを楽しむような時代が来る。それにつきまして大変現状が、その施設がおくれていることは御指摘のとおりでございます。  そういうことで、今回のこの法律におきましても、港湾の適正な管理のための放置艇対策の充実ということで、法律の中に定義をいたしました。そういたしまして、船舶の放置等を禁止するとともに、港湾管理者が撤去、保管した所有者不明の放置船艇につきまして、その売却あるいはまた廃棄等の処分を行うことができることといたしております。  その中で、先生指摘のように、ただ取り締まるだけではなくて、これを設置する場所をちゃんと位置づけてやる必要がございます。そういうことで、先ほど渡辺委員の方からもその質問通告がございましたが、我々といたしましても、この対策を促進させるように、簡易な係留施設を低料金で提供するボートパーク、これの整備港湾整備事業として取り組んでいるほか、民間事業者の投資環境整備するために、税制、財投あるいは今後の課題でもございますPFI制度など、あらゆる支援スキームの充実を図って努力していくことにいたしております。
  74. 奥田建

    ○奥田(建)委員 実際に、私もこういったプレジャーボート地元の方でもたくさん見かけますので、現地の方に聞いてまいりました。ちょっと驚いたんですけれども、あることはあるけれども、そんなに問題ではないというふうなお答えが漁港やあるいは港湾の管理者から返ってまいりました。こういった問題は、確かに人口密集地の方での問題なのかもしれません。  河川局長さんにもう一度お伺いしたいのですけれども、こういったプレジャーボート問題、確かにプレジャーボートはたくさんあるのですけれども、社会問題化している、あるいは、管理者などと対立あるいは紛争が起きているというのは地域性があるとも聞いております。  そういった日本全国での問題の発生の地域性ということについて、少しお話を聞かせていただければありがたいのですけれども
  75. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 プレジャーボートが河川に係留されている光景は、一見非常に穏やかでよろしいわけでございますが、実は、この河川というのは思わぬ大災害を背景に持っております。津波、高潮、そして大きな洪水、そういうときには、プレジャーボートの所有者の方々はプレジャーボートに近寄らないわけで、そのまま放置されております。大きな高潮やまた大洪水になった場合、そのプレジャーボートは河川の中では大きな凶器となりまして、周辺の住民を襲ったり、または橋を襲ったり、今度は大変な危害を加えるものと化すわけでございます。  そしてさらに、平常時におきましても、実は河川は、プレジャーボートの方だけではなくて、釣りをしたり、そこで散策をしたり、または水遊びをしたり、国民が平等に使う権利を持った多目的な公共空間でございます。ところが、プレジャーボート方々が一列にその空間を全部占めているという状況になりますと、全く他の一般の国民の平等な使用が阻害されるというような状況になってございます。  そういう意味で、今御指摘のような余り関係ないじゃないかという意見と同時に、実は、それがあるがために新しい使い方ができない状況がある、新しい使い方が封じ込められているという実態がございますので、各地でだんだん問題として顕在化してきているのが現状かと認識しております。
  76. 奥田建

    ○奥田(建)委員 政務次官の方にまたプレジャーボート関係について質問させていただきます。  港湾審議会の方でも、プレジャーボート、前の調査のときに大変手間がかかったということで、実態把握というもの自体がされていないのじゃないかといったことも出ております。そして審議会では、届け出制を義務づけたらどうだということが提言されているかと思います。  こういった、対策をとってもその効果の把握にまた大変な手間がかかる、あるいはそれを担当する部局や人がいないというような状態を何とか脱皮するために、届け出制、あるいは現実把握のための方策といったものはお考えになっていないか、お尋ねしたいと思います。
  77. 中馬弘毅

    中馬政務次官 確かに、現在、五トン未満の船は船舶法で登録不要になっております。ですから、プレジャーボートはもちろんそれ以下でございますから、登録されていないという形でございますね。  そうしますと、船舶法に位置づけた登録として五トン未満を登録するという形ではなくて、やはり何らかの形でこれを別の法体系におさめてでも、自動車の二輪車じゃございませんけれども、そういった形でちゃんと登録をさせる必要があるのじゃないかと今考えております。  そういうことで、これは我が省だけではなくてもちろん建設省等とも協議しながら、新しい形で、法体系を整備し、そしてちゃんとした形でそれを登録させるといいましょうか届け出をさせて、そして場合によっては、これはかなり公有水面を使うわけですからそれの費用もございます、そのことに対しての応分の費用の負担もさせていく必要があるのじゃないか。これはまだ検討段階でございますが、そういうことの協議を始めなければいけないな、このように認識をしているところでございます。
  78. 奥田建

    ○奥田(建)委員 法施行後の一つの課題として、効果あるいは実効といったものが見られないときに、ぜひとも検討していただきたいと思う次第でございます。  つきまして、私は今、循環社会のプロジェクトチームという形で、党内でも循環社会問題に取り組ませていただいております。実際、プレジャーボート、船を廃棄するとき、廃船の処理といったものを考えましたら、私自身のわずかな経験では、車やそういったものの処理、あるいは家を壊すとかいう処理はわかるのですけれども、一体モーターボートはどこで解体処分をしているのだろう、水の上を走って、海岸沿いでやっているのか知りませんけれども、そういった廃船処理の流れといったものは、現実に生活している皆さんの前になかなかイメージとしてわかないのじゃないかなという気もいたします。  こういったプレジャーボート、個人の小型船といった船を廃棄するときの正しい体系と申しますか流れ、そして、今の船のリサイクルへの国としての取り組みといったものについて、政務次官にお尋ねしたいと思います。     〔石破委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 中馬弘毅

    中馬政務次官 プレジャーボート係留、保管施設は、大別しますと、民間のマリーナ、公共マリーナ、あるいは公共の簡易係留施設、こういった三つの主体がございますが、こういったところでの保管の状況等も、陸上保管か水面係留か、いろいろと違います。そういうことで、費用も一概には言えないのですけれども、今お話しになりました廃棄処分に係る費用につきましても、同様に、船舶の大きさとかあるいは状況によりまして料金が異なり、また、地域的な差も大きいと聞いております。  しかし、一概には言えませんが、通常の小型船舶を廃棄する場合、例えば、二百万円程度の船で二十万円ぐらいかかるようでございます。車だと、二百万円の車の廃棄処分の費用は五万円ぐらいでございますから、四倍ぐらい高くかかるわけですね。そういうことが一つ。  それから、今お話がありましたリサイクルの問題でございますが、プレジャーボートは他の廃棄物と比較して非常に大きゅうございますし、回収が困難であったりします。しかも、その構成材料である繊維強化プラスチック、いわゆるFRPは処理が容易でございません。このために処理業者も非常に限られておりまして、先ほど言いましたように処理費用も非常に高い。経済的な廃船処理方法の早期の確立が求められているところでございます。  現在ではどうされているかといいますと、一般的な処理方法としては、廃棄物処理業者がこれを破砕しましてどこか埋め立て等に使っている、このように承知いたしております。  お話しの、今後循環型社会の構築の場合にどうしていくかということでございますが、FRP船のリサイクルにつきましては、さまざまな方法が各方面で検討されております。これを廃材にしまして、セメント等の原材料としてまぜて再利用する技術を確立するだとか、あるいは、船体の構成部分を少しばらしまして、その機器をそれぞれ再利用する技術を確立するといったようなことが考えられます。  いずれにしましても、そのようなことを一度調査研究するために、平成十二年度予算で一億三千万円を計上いたしておりますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。
  80. 奥田建

    ○奥田(建)委員 時間が参りましたので、これで終わりとしたいと思いますけれども、またプレジャーボート問題、新しい施設をつくるとともに、遊休地の活用、あるいは漁船の数が減った港の転用、共用といったような、お金をかけないでも港湾管理者との協力もとにできるいろいろな施策も多いかと思います。そういった施策をぜひとも実現していただきたいとお願いする次第でございます。  そしてまた、大臣あるいは港湾関係者方々にも、答申にも書いてありますポートセールスといった形での港の支援、国からできる支援といったものもぜひとも実行していただき、そして港湾の活性化を期していただきたいとお願いする次第でございます。  ありがとうございました。
  81. 仲村正治

    仲村委員長 次に、平賀高成君。
  82. 平賀高成

    ○平賀委員 日本共産党の平賀高成でございます。  まず最初に、先日の営団地下鉄日比谷線のあの脱線事故におきまして、四名の方が亡くなられて、三十四名の負傷者の方が生まれました。私は最初に、こうした犠牲になられた方々に心からのお見舞いとお悔やみを申し上げたいと思います。  それで、まず最初に大臣に伺いたいと思いますが、輸送の安全問題というのは、これは運輸行政の一番のかなめだと思います。特に、事故原因の徹底究明と再発防止対策、それから犠牲になられた方々の補償問題など、万全を尽くしてぜひやっていただきたい、このことをまず最初に申し上げておきたいと思います。  それから、事故原因の問題につきまして、これは、けさの新聞各紙を見ましても、もう既に一年前に、このような先頭車輪、こういう部分で空滑りと言われる現象が起きるということが内部の鉄道専門誌に研究論文として報告をされていた、こういうことが報道されております。  私は、内部で既にいろいろな形で安全問題で懸念される部分があるという部分については、これはすべて報告を求めて、運輸省としましても総点検をやるべきだと思いますが、この点について、大臣の見解を伺いたいと思います。
  83. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま平賀委員指摘のとおり、今回の事故に対しまして、私たち運輸省としては当然のことでございますが、総理からも、原因究明、再発防止、そして遺族の皆さんあるいはおけがをされた方々に対して万全を尽くすようにという御指示がございましたが、私どもは、今その線に沿って営団を指導しながら、そして、運輸省としてなし得る限りのことを尽くして問題の解決に努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。  ただいまの新聞報道等、事故発生以来、新聞のみならずテレビ、ラジオ、またあらゆる機関から事故原因等について御意見が出されておりますことは承知をいたしておりますが、私どもは、今専門家皆様の手によって原因究明に鋭意取り組んでおるところでございまして、ただいまのようなことも当然念頭に入れてまいりますが、現在のところは慎重な対応をしたい。的確に、しかもスピーディーにやることは当然でございますが、原因について今軽々に論ずることは差し控えたいと思っております。
  84. 平賀高成

    ○平賀委員 ぜひ速やかな対応をお願いしておきたいと思います。  それでは、港湾法の問題について質問します。  この港湾法の一部を改正する法律案は、全国的、広域的な視点から、効率的な物流体系の構築に資する港湾整備とその適正な管理運営を推進することなどを目的としております。  今まで、重要港湾は国の利害に重大な関係を有する港湾として定めて、特定重要港湾については、法的な定義はありませんでしたが、本法案で、国際海上輸送網または国内海上輸送網拠点として特に重要な港湾として定義をしております。また、港湾施設整備における国庫負担率等の見直しによって、重要港湾直轄事業として実施する水域施設等の建設または改良の費用に対する国の負担割合を十分の五から十分の五・五に引き上げる、こういう改定になっています。  これらの改正の内容から、港湾整備に対する国の責務として、直轄事業整備促進にあるというふうに私は思っているわけですが、大臣、この理解でいいでしょうか。
  85. 二階俊博

    ○二階国務大臣 直轄事業につきましては、地方分権推進委員会第五次勧告に従い、国と地方の役割分担の明確化と国の役割の重点化を図る観点から、既に昨年の通常国会において、その実施基準重要港湾が国際、国内海上輸送網拠点として機能するために必要な施設等に限定し、明確化するための港湾法第五十二条の改正を行ったところであります。  今回の国庫負担率見直しは、以上の措置を受けまして、直轄工事対象施設についての国の財政的な責任を明確化するために行うものでありまして、御指摘のような目的で行うものではありません。  そして、重要港湾に対する補助率のアップ、また、地方の港湾に対する対応等をトータルで考えますと、それぞれの地域におきましていわゆる港湾管理者の財政負担というものは軽減される方向でありますので、地元関係者もみんなこのことを了解しておる次第であります。
  86. 平賀高成

    ○平賀委員 いろいろ言われましたけれども、国の責任で行う直轄事業を、これはその責任にふさわしく補助負担率も高めるというのが趣旨だということに、私理解しました。  それで、今直轄事業そのものについて、これはずっとふえてきているわけですね。特に、第九次の港湾整備計画では、物流コストの削減や国際競争力の強化のために、この優先投資先として、国際海上コンテナターミナルの整備を、国のイニシアチブを持って直轄事業として、今第九次の港湾整備計画の中で、中枢・中核国際港湾で五十バースつくるという計画になっていると思います。  それで、特にその点で伺いたいのですが、我が国の輸出入コンテナの貨物取扱量や、それから外貿コンテナの取扱量は、トン数と個数でこの三年間どういう変化になっているでしょうか。局長に伺います。
  87. 川嶋康宏

    川嶋政府参考人 最近三年間の外貿コンテナ取扱量の推移でございますが、まず、九六年につきましては、輸出が七千六百九十万トン、輸入が八千七百八十万トン、合計一億六千四百七十万トンでございます。それに対しまして、そのコンテナの数で申し上げますと、輸出が五百十九万TEU、二十フィート換算のコンテナの量ということでございますが、それから、輸入については五百三十五万TEU、合計千五十四万TEUでございます。  また、九七年につきましては、輸出が七千九百九十万トン、輸入が八千八百十万トン、合わせまして一億六千八百万トンでございます。コンテナの個数で申し上げますと、五百三十五万TEU、輸入が五百四十五万TEU、合わせまして一千八十万TEUでございます。  また、九八年の実績は、輸出が七千六百四十万トン、輸入が八千二百八十万トン、合わせまして一億五千九百二十万トンでございます。コンテナの個数につきましては、輸出が五百二十三万TEU、輸入が五百三十四万TEU、合わせまして千五十七万TEUになってございます。  なお、平成十一年の上半期については速報値で私ども把握をしておりますが、それにつきましては、輸出が二百七十四万TEU、輸入が二百八十二万TEU、合わせまして五百五十六万TEUでございまして、対前年同期に比べまして九%の増ということになってございます。
  88. 平賀高成

    ○平賀委員 今お話しになったように、この外貿ターミナルのコンテナの個数でいいますと、九七年から九八年の変化についても、逆に個数そのものは減っているということが今言われました。ですから、貨物や個数については全体としては横ばいか、もしくは下がっているというのが今の実態だと思います。  それで今、第九次のこの港湾整備計画で、今後中枢・中核国際港湾で五十バースふやしていくということになりますと、やはり貨物の量は横ばいか、もしくは減るわけですから、一バース当たりの効率の点でいいますと、さらに効率の悪いバースになっていくということは明らかだと私は思います。  それで、特にこの点で具体的にちょっと伺いたいのは、今、川崎港の大水深のコンテナターミナルの第二バースの整備について、川崎市の方は何とかつくってもらいたいというふうな意見を上げていると思います。運輸省の方は、これはやるべきではないという態度だと思いますが、どうしてそういうふうな対応をされているのか、理由を説明していただきたいと思います。
  89. 川嶋康宏

    川嶋政府参考人 先ほどコンテナ貨物量の推移についての先生の御指摘がございましたが、九九年の実績を申し上げましたけれども、九九年については、上半期は九%の伸びを示しているということが一つ。  それから、先ほど五十バースの新設ということについての御指摘がございましたが、その五十バースの中には、例えば東京港の大井埠頭につきましては、八バースを七バースにつくり直しております、大水深バースに。ですから、八バースそのものは一たんゼロにして、つくり直して七バース。まあ同じ場所につくるわけですので、より安い金額でつくれることになるというふうにしておるわけでございますが、十五メートルのバースにつくりかえておりますものも入れてということでございます。  それから、川崎港のコンテナターミナル、第二バースについてのお尋ねでございますが、川崎港の方では第二バースについてもお考えで、予算要求もしていただいているわけでございますが、私どもとしては、十二年度についての新規着工については見送ったわけでございます。  それにつきましては、平成十年度の取扱貨物量が、TEUで申しますと四万三千TEU、平成十一年が六万七千TEUということで、それぞれの年次におきましては、対前年の伸び率が一・七七、一・五五ということになってございますけれども、現時点では一バースで対応できるのではないかということで、新規バースの着工は見送ったものでございます。
  90. 平賀高成

    ○平賀委員 先ほどの三年間の貨物の個数の変動ですけれども、結局は横ばいだ、全体の年度を見ていったとしても飛び抜けてふえているというふうなことではないと思います。  それから、今の川崎の状況について言っても、今お話があったように、これは能力からいっても、仮に一・七七倍にふえたとしましても、最大取扱能力の十三万四千個に比べると、九八年度の実績でいいますと、三八・七%にも満たない、そういうふうな状況に今川崎の港はなっているわけですね。ところが、そういう状況の中で、川崎市は第二バースの整備についていろいろ要請をしています。  特に、今、第一バースでさえもそのぐらいの稼働率であるにもかかわらず、これは二隻の大型のコンテナ船が同時に停泊できないからだということで、二つ目をつくりたいということだったのですが、十三億円かけてコンテナバースを六十三メートル延ばせば何とかなるということで、今こういうふうな動きが進んでおります。しかし、それでもなおかつ川崎市の方は第二バースをつくりたい、こういうふうになっているわけです。  それで、実際に、大水深のバースが必要な三万トンから六万トン未満のコンテナ船、この大型のコンテナ船がどれだけ入ってきたのか。川崎市の資料を見ますと、九六年にはそういう大型のコンテナ船は二隻です。九七年は四隻です。九八年はわずか一隻、こういうふうな状況でありますから、私はもう実績から見ましてもこのような大水深のバースは必要ないと思いますが、運輸省はどのように考えますか。
  91. 川嶋康宏

    川嶋政府参考人 新規バースが必要かどうかにつきましては、先生指摘のような一バース当たりの能力に照らして判断するということもございますが、船はスケジュールに従って運航をしているわけでございますけれども、それ自身は船社の計画に従って運転をされるものでございまして、その場合にどうしても二隻が同時に入港をして岸壁を使いたいというふうなことも起こってくるわけでございます。  先ほど先生の御指摘にもございましたが、川崎港におきましても、ある曜日には二隻同時に入港する、スケジュール上そうなっておりまして、一隻はどうしても待船をせざるを得ないということでございます。そのことについては、川崎港にとりましては、ポートセールス等を行いますときにかなりの痛手になっていることは事実かと思います。  ただ、先ほども申し上げましたように、平成十一年度の実績は六万七千TEUということでございますので、現時点では、簡易な救済措置、綱取り用の施設、そういったものを設けることによって、一バースを有効に活用して二隻の船にも対応するというようなことも含めて検討していってはどうかというふうに考えている次第でございます。
  92. 平賀高成

    ○平賀委員 実際には川崎のコンテナターミナルの会社自身も相当な赤字を生み出しておりまして、これも今年度末になりますと累積損失額が四十四億円に上るわけですね。それに対して、さらに市がこれから十八億五千万円の管理運営費を支援し、さらには年間一億一千万から一億五千万のクレーンの使用料までサービスをするということをやっても、これだけの赤字が出ているわけですね。ですから、本当にそういうふうな実態を見れば、そういうむだ遣いは私はやめるべきだということを改めて強調しておきたいと思います。  それで、特にこの問題で、直轄事業補助率を引き上げる、同時に地方港湾補助率は十分の五から十分の四以下にするということになっております。私は静岡県出身ですが、「静岡県の港湾」という冊子があります。この冊子を見ますと、実際静岡県の土肥港や大井町港の防波堤整備計画は、第九次の港湾整備五カ年計画整備対象となっているにもかかわらず休止になっているわけですね。この西伊豆の港は冬のときには風から波から非常に強くて、しかし、漁業をやっている方やフェリーとかいろいろ交通網にとっても何としても必要な防波堤だから、何とか休止ではなくて予算をつけてもらいたいという切実な声が上がっているわけです。これは町を挙げてそういうふうになっているわけです。  特に、この土肥の建設課長さんからも「土肥港の整備促進について」という熱烈な要望書も超党派で届いているわけですが、こういう生活に密着した港湾整備について、地元の皆さんの要望を聞いていただけるように、ぜひ大臣、対応していただきたいと思いますが、その点の見解を伺いたいと思います。
  93. 二階俊博

    ○二階国務大臣 平賀委員から港湾についての大変な激励をいただきまして、私は内心大変感謝をいたしているところであります。  地方港湾の土肥港につきまして、私自身も地元の皆さんから要望を伺ったことがございます。港湾につきましては、地域のいわゆる港湾管理者の意向、そして地元の市町村の御意見を十分伺いながら、現在休止になっておりましても、地元の要請、その必要性を運輸省が判断する、そうした条件が必要でありますが、また再開ということも考えられるわけでありますから、地元の地方港湾そして重要港湾それぞれ相まって日本港湾として役割を果たしておるわけでございますから、どうぞ一層の御支援をこの際お願いしておきたいと思いますし、静岡県に対してもただいまのような御意見のあったことを伝えて、関係者の御意向を改めて確認をしておきたいと思っております。
  94. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、大水深のコンテナバースだとか、そもそも非常に効率の悪い、また、ばらまきだと言われるようなものについてやめろと言うのであって、国民生活にとって必要な港湾整備はやるべきだということを言っているわけで、これはごちゃまぜの議論ではありません。そのことを言っておきたいと思います。  それから、プレジャーボートの問題について質問します。  今度の港湾法改正によりまして、不法係留の船舶について地方自治体が処理や管理や売却などができるということになりました。それで、現在の全国的なプレジャーボートの実態について、九六年の調査によりますと、全国では二十万八千隻ありまして、その中で十三万八千隻が公共水域に放置をされている、これが実態です。特に、静岡県は全国ワーストツーになっていまして、浜名湖でも不法係留が大きな問題になっていまして、今、規制強化の方向に動き始めていますが、県内ではプレジャーボートが一万二千四百六隻係留されていて、その中で、八割の九千八百八十四隻が放置艇で、しかもそのうちの六千五百隻が浜名湖に集中をしているというのが実態です。  それで、この港湾法の一部改正で、関係自治体がこれらの船の処分や管理や売却などをやるということになりますと、私は二つの問題が起こると思うのですね。一つは、放置艇が一斉に投棄をされて、この処理に対して一定のまとまった処理費がどんとかかる、それからもう一つは、放置艇が処理された後、今後持ち主のわからないようなこういう船舶があってはなりませんから、その持ち主を特定するようなシステムをどうつくっていくのか、この二つの問題が私は問われると思うのですね。  この点について、まず最初に、一斉に出てくるこの放置艇は、なぜこういうふうな状況になるのかといいますと、私も現地の漁業関係者の方にお話を伺いますと、これは船を譲り受けたとかそういう船がかなりあります。それでも今静岡県は、これらの放置艇に対して県の条例で放置艇の廃棄処分ができる、同時に、六千五百隻の放置艇のいわば受け皿をつくる、こういう整備が始まっているわけです。しかし、暫定的にくいを打って、そこにロープをかけてとめるという暫定係留でも年間三万三千円かかる。しかも、三万三千円も払うのはばかばかしいと、これを契機にしてやめてしまいたいという人たちがかなりいるのです。大体六千五百隻の中の三千隻がそれぐらいの人たちだということを漁業関係者の方が話しておりました。  ですから、一斉に出てくる放置艇の処理費、これはどこが持つのか、港湾管理者の県が持つのか、それとも国が支援をするのか、この点について大臣の見解を伺いたいと思います。
  95. 二階俊博

    ○二階国務大臣 プレジャーボートの廃船処理につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づいて、基本的には所有者と地方自治体によって行われるべきものと考えております。しかしながら、御指摘にもありましたが、プレジャーボートは他の廃棄物と比較して物が大きいわけでありまして、回収が困難である上に、その材料である繊維強化プラスチック、いわゆるFRPは処理が容易でないわけであります。このため、事業者にも協力をお願いし、処理事業者に関する情報の提供、流通ルートの活用等により廃船処理が円滑に行われるように努めているところであります。  しかし、将来的にはFRP廃船が増加していくことが予測されることから、リサイクル技術の確立を目指すべく平成十二年度に所要の予算措置をお願いしているところであります。当該技術の確立とリサイクルシステムの事業化に関し、メーカー等に対しても所要の協力を積極的に求めてまいりたいと考えております。
  96. 平賀高成

    ○平賀委員 今、メーカーにも積極的に支援を要請していきたいという答弁がありましたが、この点については、もう少し具体的にどの辺まで考えてみえるのか。九八年の五月十五日の運輸委員会で、このプレジャーボートの問題で、当時の藤井運輸大臣がメーカー負担の問題についても前向きに検討したいというふうに言われておりましたので、具体的にどの辺まで考えているのか、その点についてちょっと伺いたいのです。
  97. 二階俊博

    ○二階国務大臣 放置艇の数に比べまして収容施設の収容容量が圧倒的に不足しているということは、委員も御承知のとおりであろうと思います。即座に保管場所が義務化できる環境が整っているとは判断しておりません。慎重な検討が必要だと考えております。  しかし、言わんとされる御趣旨は十分理解できるわけでありまして、今後、十分検討してまいりたいと考えております。当面は、今回の法改正による規制の強化により港湾管理上の支障の排除に力点を置くとともに、収容施設整備促進に努めていくことを念頭に置いていきたいと考えております。これらの効果を見きわめながら、保管場所の義務化の必要性について運輸省、建設省、水産庁の三省庁で連携して検討してまいりたいと思っております。
  98. 平賀高成

    ○平賀委員 それは、ぜひさらに踏み込んで検討していただきたいと思います。  それからもう一つ、そもそもこの放置艇の問題がなぜ生まれてくるのかについて。  現状では船舶を購入した場合、自動車でいえば車庫証明がなくても購入できるという問題があると思います。それで、特に持ち主を特定するというシステムをぜひこの機会に確立していただきたいと思いますが、この点について、大臣は持ち主をきちっと特定するそういうシステムについてどのように考えてみえるのか、見解を伺いたいと思います。
  99. 二階俊博

    ○二階国務大臣 平成九年度のプレジャーボート係留・保管対策に関する提言では、係留、保管能力の向上のための取り組みとあわせ、将来的にプレジャーボートを所有するに当たって保管場所の確保を義務づける制度の創設を検討する必要があるとされておるわけでありますが、私も同じような思いでございます。  今、委員の御指摘の点につきましては、今後、自動車の車庫証明と同じようなことを考えてはどうかということでありますが、先ほど御答弁申し上げましたように、この係留の容量等に制限といいますか、圧倒的に不足をしておるこの状況を見ますときに、今即座に保管場所の義務化を行えるような環境が整っているとは言いがたい、こういう考えでございます。  慎重な検討を必要といたしますが、早急に、運輸省、建設省、水産庁等と連携して、地元のいわゆる漁業関係者のみならず、景観の阻害等において極めて関係者から指摘の多い問題でありますので、運輸省としましても、先ほど申し上げました建設省、水産庁と相協力して、前向きに検討してまいりたいと思っております。
  100. 平賀高成

    ○平賀委員 これは、地元の漁業者の方たち地元の住民の皆さんから言わせますと、自動車の違法駐車やごみの不法投棄、エンジンの騒音、それから漁網の切断とか、とにかく本当に大変な状況があります。やはり県外の方たちは顔もわからないし、だれも知らないということからそういうふうな行為があるものですから、ぜひこの点については、そういう皆さんの要望にこたえて早急にその是正ができるように、最後に大臣決意を伺って、終わりたいと思います。
  101. 二階俊博

    ○二階国務大臣 プレジャーボートをお持ちになるという方々は、社会的に見てもかなり立場の高いといいますか、かなり責任を負える立場の方々だと思っております。したがいまして、そうした方々のモラルの向上ということがまず第一だと思っております。  すべて法律で縛るというだけではなくて、そうした関係者のモラルの向上にも期待をいたしたいと思いますが、先ほど来御議論のありました点につきましては、私どもも同じような思いを持っておる部分もありますので、基本的には、積極的に対応してまいりたいと思っております。
  102. 平賀高成

    ○平賀委員 以上で終わります。
  103. 仲村正治

    仲村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  104. 仲村正治

    仲村委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。寺前巖君。
  105. 寺前巖

    ○寺前委員 港湾法の一部を改正する法律案に対する反対の討論をやらせていただきます。  本法案は、国際競争力の強化、物流コスト削減のために、中枢・中核国際港湾の国際海上コンテナターミナルに重点的に投資ができるように国庫負担を引き上げています。  我が国コンテナ貨物取扱量の九〇%以上を占める中枢国際港湾の稼働率は五八%と言われています。こうした需給ギャップが港湾のばらまき整備にあることは明らかであります。本法案は、従来のコンテナターミナルへの重点的投資の名のもとに引き続きばらまき整備を温存、拡大するものであり、反対です。  一方、地方港湾補助率は現行どおりとはいえ、既に、港湾整備緊急措置法の九六年五月の改正において、港湾整備の投資の重点化を理由に地方港湾が切り捨てられてきております。今日、予算面で、この地方港湾切り捨てをより一層促進させていることになっています。  以上の理由から、港湾法の一部を改正する法律案に反対します。  なお、本法案では、法の目的に、環境保全に配慮を明記し、基本方針記載事項に、港湾相互間の連携の確保及び環境保全に配慮に関する基本的事項を追加し、放置艇の対策の推進など幾つかの改善点が出されています。これは、現行の枠組みでも十分行わねばならぬものであることを申し添えて、反対討論を終わります。
  106. 仲村正治

    仲村委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  107. 仲村正治

    仲村委員長 これより採決に入ります。  港湾法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  108. 仲村正治

    仲村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 仲村正治

    仲村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  110. 仲村正治

    仲村委員長 次に、内閣提出運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。二階運輸大臣。     —————————————  運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  111. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま議題となりました運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  特殊法人等の整理合理化につきましては、行政の減量化と新たな時代の要請にこたえるため、平成九年六月に造船業基盤整備事業協会について、造船業構造転換業務の完了に伴い、平成十二年の通常国会において法律改正を行いこれを廃止することとし、技術開発支援業務及び造船ダンピング調査業務は運輸施設整備事業団へ移管するとの閣議決定がなされたところであります。  同閣議決定に基づき、特殊法人等の整理合理化を推進するため、造船業基盤整備事業協会を解散して、その業務の一部を運輸施設整備事業団に移管するとともに、高度船舶技術を用いた船舶等の実用化を図るための所要の業務を新たに運輸施設整備事業団に実施させることとし、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、造船業基盤整備事業協会は、この法律の施行のときにおいて解散するものとし、その一切の権利及び義務は、そのときにおいて運輸施設整備事業団が承継することとしております。その際、造船業基盤整備事業協会に対する政府及び日本政策投資銀行の出資金は、運輸施設整備事業団に対する出資金として運輸施設整備事業団に移管することとし、造船業基盤整備事業協会に対する政府及び日本政策投資銀行以外の者の出資金については、引き続き資金的貢献を希望する者の持ち分は運輸施設整備事業団に新たに造成される信用基金に充てる拠出金として承継し、その他については出資者に払い戻すこととしております。  第二に、造船業基盤整備事業協会の高度船舶技術に関する技術開発支援業務の一部を運輸施設整備事業団に移管するとともに、モーダルシフト及び船舶等による環境負荷の低減を推進するため、高度船舶技術を用いた船舶等の実用化を図るべく、当該船舶等の製造に必要な資金の借り入れに対する債務保証業務を、運輸施設整備事業団の業務として追加することとしております。  第三に、現時点で未施行の法律である外国船舶製造事業者による船舶の不当廉価建造契約の防止に関する法律の規定により造船業基盤整備事業協会が実施することとなっている造船ダンピング調査業務は、本法の施行日以降の同法の施行日において、運輸施設整備事業団の業務として追加することとしております。また、同業務の追加に伴い、運輸施設整備事業団法目的規定を変更することとしております。  第四に、造船業基盤整備事業協会の造船業構造転換業務の完了に伴い、当該業務により買収した土地等の管理、譲渡等の業務を当分の間運輸施設整備事業団が行うこととしております。  その他、造船業基盤整備事業協会の解散に伴う経過措置等を定めることとしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  112. 仲村正治

    仲村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十九分散会