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2000-05-17 第147回国会 衆議院 安全保障委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月十七日(水曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 西村 章三君    理事 下地 幹郎君 理事 中谷  元君    理事 浜田 靖一君 理事 船田  元君    理事 上原 康助君 理事 島   聡君    理事 遠藤 乙彦君 理事 佐藤 茂樹君    理事 佐々木陸海君       安倍 晋三君    伊藤 達也君       池田 行彦君    遠藤 武彦君       熊谷 市雄君    高村 正彦君       佐藤  勉君    阪上 善秀君       戸井田 徹君    中山 利生君       西川 公也君    福田 康夫君       宮下 創平君    森  英介君       山口 泰明君    山中あき子君       吉川 貴盛君    石井 紘基君       桑原  豊君    冨沢 篤紘君       河合 正智君    草川 昭三君       東中 光雄君    西川太一郎君       西村 眞悟君    辻元 清美君     …………………………………    外務大臣         河野 洋平君    国務大臣    (防衛庁長官)      瓦   力君    防衛政務次官       依田 智治君    防衛政務次官       西川太一郎君    外務政務次官       江崎 鐵磨君    外務政務次官       山本 一太君    政府参考人    (公正取引委員会事務総局    審査局長)        平林 英勝君    政府参考人    (防衛庁人事教育局長)  新貝 正勝君    政府参考人    (防衛庁装備局長)    及川 耕造君    政府参考人    (防衛施設庁長官)    大森 敬治君    政府参考人    (外務省北米局長)    藤崎 一郎君    政府参考人    (運輸省航空局長)    岩村  敬君    安全保障委員会専門員   田中 達郎君     ————————————— 委員の異動 五月十七日  辞任         補欠選任   浅野 勝人君     森  英介君   嘉数 知賢君     熊谷 市雄君   宮島 大典君     山口 泰明君   山崎  拓君     遠藤 武彦君   中野 寛成君     石井 紘基君   草川 昭三君     河合 正智君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 武彦君     山崎  拓君   熊谷 市雄君     戸井田 徹君   森  英介君     浅野 勝人君   山口 泰明君     宮島 大典君   石井 紘基君     中野 寛成君   河合 正智君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   戸井田 徹君     嘉数 知賢君 同日  理事遠藤乙彦君同日理事辞任につき、その補欠として佐藤茂樹君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  政府参考人出頭要求に関する件  国の安全保障に関する件     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 西村章三

    西村委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事遠藤乙彦君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西村章三

    西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西村章三

    西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事佐藤茂樹君を指名いたします。(拍手)      ————◇—————
  5. 西村章三

    西村委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。  この際、防衛庁長官から違法射撃事案に関する調査報告について発言を求められておりますので、これを許します。瓦防衛庁長官
  6. 瓦力

    瓦国務大臣 違法射撃事案に関する調査の結果について、御報告申し上げます。  本年一月十四日、約五年前に発生した違法射撃事案処理について問い合わせがあった旨の報告を受け、直ちに調査を実施いたしました。その結果、平成六年十一月十六日に、第一空挺団普通科群長秀島裕展一等陸佐が、東富士演習場内の射場におきまして、部外者三名を招いて射撃訓練を見学させた際、部外者猟銃を借りて射撃を実施したとされる事案があり、陸幕及び方面総監部以下で処理がなされ、訓戒等処分が行われていたことが明らかになりました。事案性格や過去の処分例に照らして、当時の事案処理が適切ではなかったことが明らかになりましたため、一月二十日、私から陸上幕僚長に対しまして、当時の検討経緯等徹底的に再調査するよう指示いたしました。  陸上幕僚長は、調査態勢強化を図るため、一月二十六日に陸上幕僚副長を長とする調査委員会陸幕内に設置し、事実関係究明に当たらせることといたしました。  この調査委員会による調査過程において、秀島一等陸佐部外者小銃機関銃射撃をさせていたという事案が新たに判明し、三月十三日、秀島一等陸佐陸上自衛隊東部方面警務隊に逮捕され、三月三十一日に起訴されております。  調査委員会は、約三カ月にわたり、当時の経緯等についての聞き取り調査を積極的に実施し、証言を突き合わせながら一つ一つ事実関係を認定する作業を慎重に実施してまいりましたが、今般、これまでに明らかになった点を取りまとめ、長官たる私に、お手元にありますとおりの報告を行いました。  この報告書には、違法射撃事案に係る当時の関係者動きが詳細に記述されておりますが、特に、第一空挺団における初動調査の不徹底陸幕意思決定過程における不備及び方面総監部等に対する不適切な指導捜査権限を有する警務隊の不介入など、事実関係究明をなおざりにした事案の性急かつ安易な処理が優先され、組織業務処理体制が健全に機能していなかったことが明らかにされております。  次に、本事案における関係者行為評価について御説明申し上げます。  まず、秀島一等陸佐についてでありますが、同人がかかる行為を行った動機や刑事的な責任については、今後の公判の中で確定していくものと考えますが、同人は、許可なくみずから猟銃射撃を行ったこと、部外者自衛隊小銃機関銃射撃をさせたこと、事案発覚後の事情聴取に対して虚偽の供述を行ったこと、第一空挺団本部による調査が始まってから、部下に対して口どめを行っていること等数々の問題を引き起こしており、第一線部隊指揮官としての自覚に著しく欠けるものであって、その責任は極めて重大であると考えます。  次に、事案発生当時、現場付近には少なくとも十数名の隊員がおりましたが、猟銃射撃部外者による小銃機関銃射撃を黙認しただけでなく、一部の者はその準備作業等に協力するとともに、秀島一等陸佐の勧めに応じて部外者猟銃射撃していたことが明らかになっております。  また、現地部隊である第一空挺団につきましては、部外者猟銃を撃たせたという情報があったにもかかわらず、安全管理徹底した自衛隊射場の中で行われており、部外に与える影響も少ないと考えて、この情報を重視いたしませんでした。また、第一空挺団長は、指揮官としての秀島一等陸佐立場を考慮して、調査対象者を限定し、現場に居合わせた他の隊員に対する確認作業を行うことなく、短期間で調査を終了させております。その結果として、第一空挺団は、不完全な情報上級司令部報告することとなり、上級司令部のその後の対応を誤らせる要因をつくることとなりました。  さらに、上級司令部対応について申し上げます。  本事案は、本来ならば長官まで報告された上で戒告以上の懲戒処分がなされる内容でありますが、自衛隊の威信の保持といった大義名分が都合よく利用され、方面隊以下で対応できる訓戒処分がとられた結果、内局報告されることはありませんでした。  真相究明努力を怠り、陸幕及び方面限りの内部処置に走った点において、本事案陸上自衛隊組織防衛のために組織的な隠ぺい工作を行ったものと批判されても弁解の余地のないものであります。  当時の陸幕における主要な関係者動き及びその評価について申し上げます。  当時の陸上幕僚長及び陸上幕僚副長は、部下の不十分な報告に基づくとはいえ、事案に対する甘い認識と相まって、本件の不適切な処理を結果として了承しておりました。  次に、陸幕人事部長は、当初から本事案に積極的に絡んでいたわけではありませんが、部下である人事計画課長の考え方を事実上追認する形で、公にならないよう内局への報告はせず、人事処置にとどめるとの方針を了承した上で、陸上幕僚長判断を求めるよう指示しております。また、東部方面総監部からの最終確認に際しましては、内局への報告は行わないとの方針を伝えております。このように、陸幕人事部長は、みずからの本事案に対する認識の甘さにより、陸上幕僚長に対する補佐を誤ったものであると評価されます。  陸幕人事計画課長は、本事案陸上幕僚長への報告をおくらせると同時に、東部方面総監部人事部長に対して、自衛隊への影響を考慮して努めて公にはならない方向で処置を検討するよう直接提案するなど、極めて短時日のうちに今回の事案処理の基本的な流れをつくっております。また、人事計画課長は、本事案を軽微なものとして上層部報告する過程においても主導的な役割を果たしております。このような人事計画課長行為は、幕僚としての基本的な責務に反するものであったと考えます。  東部方面総監部につきましては、総監の厳正に処置するとの方針を踏まえて業務を進めておりましたが、陸幕人事計画課長の提案を受け、これを陸幕上層部意向と理解した上で対応案を作成し、総監まで報告を行っておりました。  なお、当時の東部方面総監は、この対応案について疑問を抱き、陸幕人事部長から陸幕としての意向確認するため行政副長陸幕に派遣いたしましたが、総監みずから陸上幕僚長の意図を直接確認することはなく、最終的に誤った判断を行ったものであります。  当時の警務隊は、事案性格に対する認識の甘さ等から、十分な調査を行うことなく、本事案立件の必要がないものと早々に判断し、捜査に踏み切らなかったことが判明いたしております。このことが結果的に事案全体の事実解明をおくらせることとなったものと考えられます。  さらに、本年一月の事案でありますが、猟銃事案に対する警務隊の関与について陸幕から問い合わせがあった際、前警務隊長は、事案発生当時の東部方面警務隊長であったにもかかわらず、当時、部隊から警務隊への通報はなかったと回答するよう指示いたしました。当時の事案処理についての調査が行われている状況のもとでかかる不実報告を行ったことは、警務隊に対する信頼を失墜させたものと言わざるを得ません。  次に、本事案問題点及び教訓について申し上げます。  まず、我が国には世界一厳しい銃規制がしかれていることを深く認識し、国民信頼にこたえなければならない立場にあるにもかかわらず、今回かかる事案を引き起こしたことを大変深刻に受けとめており、この点についての隊員の意識の向上を図っていく必要があると考えます。また、事案処理に当たって事実の確認や正しい報告が行われず、真実を追求する姿勢に欠ける面がありました。深く反省いたしますとともに、一層の規律維持に努めていく必要があると考えます。  第二に、今回の事案から明らかなように、上級幹部の誤った判断部隊全般に及ぼす影響は極めて大きなものとならざるを得ません。上級幹部に一層の責任感自覚させるため、遵法精神を涵養し、また、バランスのとれた社会人としての常識を身につける教育を行っていくことが必要であります。  第三に、正しい情報トップに正確な形で上がっておらず、幕僚レベル判断が、結果として方針決定に重要な影響を与える事態が生起しておりました。今後同様の事態を繰り返さないための措置が必要であります。  第四に、警務隊が早々に立件に値しない事案であると判断し、捜査を実施するに至らなかったという問題があります。この点は極めて不適切であったと言わざるを得ず、司法警察職員としての自覚を促すとともに、制度面からの見直しを考えることも必要であります。  第五は、部外者との交流のあり方であります。隊員各自が部外者とどのような交流を行うかは、一次的には、隊員個々人のモラルに基づく判断によることとなりますが、隊内の規律維持上問題を生じるおそれのある場合には、周囲ないし上司が適切な指導を行うとともに、平素からの服務指導を適切に行うことが重要であります。  以上述べましたとおり、本事案において現地部隊、各級司令部警務隊のとった行動については、多くの問題が存在していることは紛れもない事実であり、防衛庁自衛隊として、深く反省しているところであります。  防衛庁自衛隊としては、これまでの調査結果に基づき、お手元にありますように、関係者に対する厳正な処分を行ったところであります。今後とも、綱紀の粛正を徹底させ、行政運営に万全を期してまいる所存であります。なお、今後公判等過程において新たな事実が明らかになった場合には、防衛庁として徹底的な調査を実施し、厳正に対処してまいる所存であります。  また、今回の事案により失墜した国民信頼を回復するためには、不祥事再発防止目的とした、目に見える改善策国民に示していく必要があります。かかる観点から、私から各幕僚長等に対し、武器管理徹底等について直接指示するとともに、庁内に不祥事防止会議を発足させ、同時に、両政務次官及び事務次官を長とする不祥事防止特別行動チームを設けたところであります。同チームは、三月末から四月末にかけて、全国で十カ所をめぐり、約二千六百名程度の関係者と率直な意見交換を行ってきたところであります。  なお、防衛庁としては、今後、服務指導体制強化幹部教育見直し懲戒処分の基準の見直し報告体制改善警務隊独立性の確保など具体的な再発防止策について検討してまいる所存であります。  最後に、防衛庁といたしましては、自衛隊業務運営につきまして、国民の間に重大な不信感を抱かせる結果となったことを深くおわび申し上げますとともに、今回の事案を今後の教訓として、不祥事案発生防止に全力を注いでまいる決意であります。  以上、私からの報告とさせていただきます。     —————————————
  7. 西村章三

    西村委員長 この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局審査局長平林英勝君、防衛庁人事教育局長新貝正勝君、防衛庁装備局長及川耕造君、防衛施設庁長官大森敬治君、外務省北米局長藤崎一郎君及び運輸省航空局長岩村敬君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 西村章三

    西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  9. 西村章三

    西村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  10. 上原康助

    上原委員 今防衛庁長官から違法射撃事案に関する調査報告がなされたわけですが、非常に膨大な内容であり、また関連する報告書もありますが、質問に入る前に一言。  私たちは、三月後半から、集中審議をやるべきであるということを強く求めてまいりましたが、その機会をつくってくれなかったこと、さらには、連休前に、衆議院においてもきちっとした報告をやり、それに基づく時間をかけた審議をやってもらいたいという強い要望も理事会理事懇等で出しましたが、結局、五月も下旬に入ろうとする段階でこれだけ重大な不祥事報告がなされたということについて、極めて遺憾であるということをまず申し上げておきたいと存じます。  それで、本論に入る前に、一、二点、瓦防衛庁長官の御見解も聞いておきたいわけです。  もう既に一昨日来大きな問題になって、ある面では外交問題にも発展しかねない状況になってきた、いわゆる森首相日本天皇中心とする神の国であるという天皇中心発言が出て、国民主権という現行憲法の理念からすると、こういう時代錯誤的発想を持つ日本トップリーダーということになると、どう考えても理解しがたいし、納得いかない。余りにも軽率な発言じゃないのか。これは、マスコミも、きょうの社説を見ても、どの社も森首相発言については問題ありという指摘を強くしております。  幸いかなというか、瓦長官は、昨日の閣議後の記者会見で、若干これに対する良識的見解というようなものをにじませたという報道も一部にあるわけですが、同じ石川県でもあるし、総理防衛庁最高指揮官でもあるわけです。自衛隊運用管理の面からしても、本当にこれはゆゆしき問題なんですね。  首相の、日本は神の国、いわゆる天皇中心発言について、防衛庁長官はどういう御見解を持っておられるのか、ぜひこの場でお聞かせを願いたいと思います。
  11. 瓦力

    瓦国務大臣 お答えいたします。  総理発言につきましては、委員から極めて遺憾である旨を述べられて御質問に入られたわけでございますが、私といたしましても、日本国憲法に定める主権在民あるいは信仰の自由について、これを尊重して遵守してまいることは当然であると考えております。  いわゆる総理発言につきましては、神道政治連盟国会議員懇談会の活動の経緯を紹介する趣旨で述べられたものと承知をいたしております。自衛隊天皇の軍隊である旨を述べたものではないと承知をいたしております。総理発言が、新聞等によって報道されたように誤解を招いたとすれば、残念であると考えます。  今委員から御質問の前に御意見を述べられたとおり、私どもは、憲法のもと、自衛隊運営につきましても万全を期してまいる覚悟でございます。
  12. 上原康助

    上原委員 どうもいまいち歯切れが悪い感を受けざるを得ません。  この一連の防衛庁不祥事、あるいは教育改革論、私もその必要性を否定するわけじゃありませんが、どうも自衛隊内部における規律とか教育とか、武器使用等を含めて、現在の憲法感覚というものを非常に軽視している、あるいは欠如しているのじゃないかと私は疑わざるを得ないんですよね、正直申し上げて。そういう風潮の中で、自衛隊最高責任者であり国のトップである総理大臣が、日本天皇中心とする神の国なんだと言うことは、たとえみずからがこの神道政治連盟国会議員懇談会の当初からのメンバーであったとしても、断じてあってはならない発言だと言わざるを得ないんですよね。  改めて聞きますが、防衛庁長官は、森首相発言というのは国民誤解を与えた、誤解を生む発言だという認識を持っておるのかどうか、この点は明確にお答えしておいた方が長官のためにもいいかと思うんですが、いかがですか。
  13. 瓦力

    瓦国務大臣 総理のお立場はお立場とし、また、私ども閣僚とし、また国会議員といたしまして、常々、国民に対しましては誤解を与えるような発言であってはならないと考えております。よってもって、このたびの総理発言国民の間で誤解を生むというものであったとすれば、これはいかにも発言は慎重でなければならないということを感ずるところでありまして、総理におきましてもさように受けとめて、報道によりますと、そういうような発言につきましても訂正を行ったかに伺っておるところでありますが、私もさように存じます。
  14. 上原康助

    上原委員 ほかのお尋ねしたい点もたくさんありますから余り深入りはしませんけれども、しかし、きのう段階では、主権在民と矛盾しないとか、全くもってこれは話にならないですよね、国民常識からして。だんだんマスコミの批判とか批評が強くなる、国際問題になりかけたら、きょう参議院で陳謝するとか撤回するとかいうようになっているようですが、余りにも軽率と言わざるを得ないんじゃないですか。  三月二十日に石川県で、天皇即位十周年の祝賀ビデオで、沖縄では君が代を教えていない、教組は共産党の支配にあると言って、これも大問題になっている。そして、この間、五月十四日に沖縄に行って、万国津梁館落成式に行って、その後の記者会見陳謝した。一週間おきに陳謝陳謝総理ですか。  本当に今の重大な政治課題があって、各般にわたって国民の協力と理解を得て国政を進めていかなければならない。そういうことに対して、やはり閣僚としてもっときちっとした御見解を——しかも、自衛隊最高責任者森総理であろうが、防衛庁長官の任務、役割というのもある面では同等の立場にあると言っても過言ではないと私は思うんですね。改めて長官見解を聞いておきます。
  15. 瓦力

    瓦国務大臣 先ほど以来、上原先生の御質問に対しましてお答えをさせていただいておるわけでございますが、私どもは、主権在民、この憲法のもとで、半世紀を超えて、国民が、我が国が平和な、そしてまた自由な国であるということで、世界の信頼を得べく努力をしてきたわけでございます。こうした事実を私どもは踏まえまして、今後とも、憲法を踏まえながら、行政に当たりましても慎重に取り組んでいく、誤解が生じないように丁寧に行政を行っていくことが必要であろうという考えでございます。  委員のせっかくの御質問でございますが、たび重なる答弁になりますので、大変失礼をいたしますが、私は、憲法の定める主権在民信仰の自由、これらを尊重、遵守する、そういった姿勢で事に当たってまいりたいと考えておるものでございます。
  16. 上原康助

    上原委員 信教、信仰の自由は当然なんですが、天皇中心とする神の国というところに問題があるんです。そういう言いわけをなさったら、余計おかしくなるよ。これ以上「しんきろう」語録を拡大しないようにやった方がいいでしょうね。  先ほど御報告がありました。そこでお尋ねします。  まず第一点。読めばこれはいろいろ問題点があるわけですが、この報告書、先ほどの大臣報告あるいはまた別途の「違法射撃事案に関する評価及び教訓」という中でもいろいろ反省点とかそういうのも述べられておるんですが、今度のこれだけ重大な不祥事の結果を踏まえて、防衛庁はどういう反省をし、どういう自助努力をしようとしているのか、その基本的な点からまず長官の御見解を示していただきたいと思います。
  17. 瓦力

    瓦国務大臣 若干、経緯について触れながら、また、それらについてお答えをしたいと思いますが、先ほどの報告書を申し上げましたが、また繰り返しにもなりますが、本事案は、秀島元一佐が指揮官としての自覚を欠き、違法な猟銃射撃等行為を行ったこと、また、その事案処理過程において不適切な対応がとられ、そのことが小銃機関銃違法射撃についての真相究明をおくらせたというものでございます。陸幕東部方面総監部、第一空挺団警務隊及びその関係隊員のとった行動につきまして、それぞれ多くの問題が存在しており、防衛庁として深く反省をいたしております。  本事案により失墜した国民信頼を回復するためには、不祥事再発防止目的とした目に見える改善策国民に示していくことが必要である、かような観点から、防衛庁全体においての施策として、これまで次のような措置を実施してまいりました。  第一に、本事案武器にかかわるものであるため、三月十三日、防衛庁長官は、統合幕僚会議議長及び各幕僚長に対しまして、武器管理徹底するとともに、服務規律向上に努めるよう、直接指示をいたしました。  第二に、不祥事再発防止を図る必要があるとの観点から、不祥事防止会議を三月二十九日に発足させ、同時に、両政務次官及び事務次官を長とする不祥事防止特別行動チームを設け、三月末から四月にかけて、全国十カ所に派遣をいたしまして、最近の不祥事案の原因等に関する詳細な説明を行い、また、これらの厳しい認識を共有するとともに、現場の率直な意見をできる限り徴してまいりました。そして、ブロック会議に参加した約二千六百名の隊員意見を取りまとめて、五月十二日の不祥事防止会議において報告が行われたところでございます。  防衛庁といたしましては、今後、本事案に対する教訓反省事項や不祥事防止特別行動チーム報告を踏まえまして、一つに服務指導体制強化、二つ目に幹部教育見直し、三つ目に懲戒処分の基準の見直し、さらに、四に報告体制改善、五つ目に警務隊独立性の確保など、具体的な再発防止につきまして検討し、不祥事再発防止、これにつきましては、これまで以上に全力を注いで取り組んでいかなければならないことだと認識をして行っておるところでございます。
  18. 上原康助

    上原委員 これは報告書に書いてあるんですから、報告書を二回もお読みにならないで結構なんですよ。例えば「本事案陸上自衛隊組織防衛のために組織的な隠蔽工作を行ったものと批判されても弁解の余地のない」と、組織隠ぺい工作がなされたことは認めているわけでしょう。今後組織隠ぺい工作をなくするために防衛庁は何をするんですかを、自分の考えで、あなたの指導性でどうしたいかを聞いているんですよ。
  19. 瓦力

    瓦国務大臣 報告を申し上げ、さらに今答弁もさせていただきましたが、これらの事案につきましての、言ってみれば今日までの因習といいますか、そういったものを深く私ども反省しなければならない。さらに、これから国民信頼をさらに得ていくためにどうあるべきかという諸問題につきましては、これまた申し上げましたように、服務指導体制強化でありますとか幹部教育見直し等があるわけでございますが、私は、風通しのよい、意見が言える、ですから今般十カ所二千六百名の隊員の方々の意見を取りまとめるにつきましても、上意下達というような形ではなくて、まず悩みを共有する、国民の不信というものを我々は深刻に受けとめることから出発するわけでございますので、そういう中でそれぞれの意見を徴しまして、今申し上げるように五点にわたる課題につきまして今後取り組んでいく問題を整理させていただいたわけでございます。  私も、今委員からの御指摘のように、信頼を増す、そしてまた管理が行き届くような体制であると同時に、風通しがいい自衛隊のあり方というものをいかなるものにすべきかということについては、さらに現場の声を聞きながら追求していきたいと考えております。
  20. 上原康助

    上原委員 一つは、警務隊の任務が私は非常に問題があったという気がしてなりません。それは先ほどの長官報告にもありました。いわゆる平成六年十二月十六日の時点では、警務隊長東部方面警務隊長に、部隊との連携、事実関係の十分な把握等についての指導は一応やっているのですね。だが、翌十七日には、一転して、警務隊は現段階では手を出すなという新たな方針を示している。この朝令暮改がこの事案を単なる訓戒処分でうやむやにしていくスタートになったと思うんですね。そういうことに対して、どう反省をし、どう改革するかを私は聞いているのですよ。  しかも、警務隊長官直属の独立機関でしょう。このあり方については改革するのですか。私は戦前のような憲兵隊をつくれと言っているのじゃないですよ。部隊内の事件とかそういうものに対して民主的に捜査をし、きちっと法に基づいて処理をしていく、そのための警務隊でしょう。今回の反省点の上に立って、警務隊のあり方というものをどう改革していくのか。これは、長官じゃなくても、人事局長でもいいし、きちっと答えられる人が答えてください。
  21. 新貝正勝

    新貝政府参考人 お答えいたします。  警務隊が当時なぜ捜査をしなかったかということについてでございますが、捜査に踏み切らなかったことにつきましては以下のような理由が考えられます。  まず、事案性格に対する認識の甘さであります。本事案が発覚したときには発生から既に約一カ月が経過しておりました、また猟銃射撃も、安全管理のなされた自衛隊射場で、武器の取り扱いに習熟した隊員が行ったものとの甘い認識があった、加えて直接的な被害も出ていなかったといったことから、警務隊本件立件の必要がない事案であると安易にとらえる結果となったものでございます。  もう一つは、陸幕及び東部方面総監部動きとの関係であります。当時の事案処理に当たりましては、陸幕東部方面総監部も、さらなる事実解明を行うことなく、かなり早い段階から軽い処分で済ませる方向に傾きつつありました。こうした状況警務隊が不介入を決めた際に間接的な考慮要素とされた可能性が考えられます。また、そのことが結果的に事案全体の事実解明をおくらせることとなったものと考えられます。  警務隊は、通常の指揮系統とは異なりまして独立して司法警察業務を行う権限を有しておりますとともに、業務遂行に当たりましては高度の遵法精神と公正中立な立場の保持が求められております。しかしながら、今回の事案におきましては、警務隊は早々に立件に値しない事案であると判断いたしまして、東部方面総監部行政処分に任せることとして、捜査を実施するに至らなかった。この点は、司法警察職員としては極めて不適切であったと言わざるを得ません。  以上の点から、司法警察職員としての自覚を促すとともに、警務隊独立性を担保するための制度面からの見直しを考えることも必要になってきているというふうに考えておるところでございます。
  22. 上原康助

    上原委員 今あなたが述べているのはここに書いてあるんだよ。最後に言った、制度面からの見直しを考えることも必要であると言っている。制度面からの見直しはどういうふうにする考えを持っているかということを聞いているのです。これは長官が答えてください。本当に上から下まで同じことを言っている。
  23. 瓦力

    瓦国務大臣 司法警察職員としての自覚をまず促すとともに、警務隊独立性を担保するための制度面から見直してまいりたい。  いかなる方策がいいかにつきましては、今私は、即結論を申し上げるより、こういう問題を私どもは十二分に踏まえながら検討してまいるわけでございますが、一つは、警務隊自衛隊内部の秩序維持に当たることを主任務といたしまして、部内秩序の維持に直接関係のある、隊員の犯した犯罪または職務に従事中の隊員に対する犯罪でありますとか、自衛隊の艦船、施設内における犯罪でございますとか、あるいは自衛隊の施設または物件に対する犯罪の捜査、被疑者の逮捕等、司法警察業務を行うわけでございますので、これの独立性というのはえてしてなおざりになりがちでございますから、今この問題の解決に向けて、これからに向けて、この警務隊の存立意義を十分に踏まえて、独立性を与える中で、どう取り組んでいく警務隊であらねばならぬかということを、今申し上げたような観点から、率直に申して、全力を挙げて取り組んでまいりたいと私は考えておるわけでございます。
  24. 上原康助

    上原委員 そうしますと、制度面からの見直しも必要であると言っておられるわけだから、制度面からの見直しを、今長官が言うような中身を検討してやるという、その結論はいつごろまでに出すのですか。
  25. 瓦力

    瓦国務大臣 さきに私は不祥事防止会議におきまして指示をさせていただいたわけでございますが、警務関係組織のより適正なあり方、幾つかの指示を申させていただきましたが、関係部局にありましては、今申し述べた幾つかのうち警務関係組織のより適正なあり方について今月下旬に開催する会議までに検討を行いまして、具体的な施策の方向性につきましては、検討期間を含め検討成果を報告すること、こういったことを指示いたしたわけでございます。  それらの会議を経て、さらに今後検討する中で、適正なあり方というものを御報告できるようなことになると思いますが、若干猶予を与えていただきたいと存じます。
  26. 上原康助

    上原委員 今答弁を聞いて、反省しているとは、教訓化するとはいいながら、余りにも改革すべき、改善すべき点の手付けがスローじゃないか、遅いのじゃないかなという気がしてなりませんね。  もう一点、この問題とも関連して、今回の事案処理というのは、シビリアンコントロールの面からも、非常に大きな問題だと思うんですね。  この一連の不祥事というのは、一切防衛庁長官には報告がなかった。これは、シビリアンコントロールという組織運用の面から、私は大変問題だったと思うんですね。訓戒処分という軽微な扱いをしているがゆえに、陸幕とか内局とか長官というルートに乗らずに処理されている。私は、制度とか今の法律とかそういう面じゃなくして、まさに自衛隊の各級機関の部隊のシビリアンコントロールのあり方、あるいはいろいろな案件について筋道を立てて上部まで報告するということが極めてずさんになされてきているのじゃないのか、こういう気がしてならないのですね。  ですから、今も申し上げましたように、警務隊長官直属の部隊であるということ等を踏まえますと、これだけのことについて、長官までこの案件が報告されなかったということについては、シビリアンコントロールの観点から考えても、もっと厳しく問題点を指摘して、今後の教訓化をして、長官報告になる、あるいは内局報告させるという順序立てをしなければいかないと思うんですが、そういうことについてはどうお考えですか。
  27. 瓦力

    瓦国務大臣 委員御指摘のように、シビリアンコントロールという観点からいたしましても、こういった問題はなおざりにできない問題でございます。よって、組織が機能し、またシビリアンコントロールという趣旨が末端にまで徹底されていくということにかんがみましても、報告体制改善を図らなきゃならぬ、必要な情報が、今委員から御指摘のように、例えば長官まで速やかに伝達されるというような体制に改善をしていかなきゃならぬ、かように考えます。また、重要な事案につきましては、各級組織トップが直接意思疎通を図る、こういったことも必要でありますので、意思決定プロセス、これらにつきましても改善する必要がある、かように考えます。  私は、自衛官も常に教育を受けながら、その組織体制がみずみずしくあらねばならぬと思うわけでありますが、やはり世代を背景といたしておりますので、事によりましてはそういった服務が十分に行き届かない事態もあろうかと思います。常に繰り返しそういったことをなさねばならないこと、また、時代の変化によってそういうものがなおざりにされずに、どう時代が変わりましても、トップまでそういう報告がなされたり、意思が通ずるような体制にしておかなければならないこと、このたびの事案を通じまして痛切に感じておるところであります。
  28. 上原康助

    上原委員 いろいろお尋ねしたい点があるんですが、ちょっとあとの案件もありますので、この件で最後に。  私は、防衛庁だけの例えば不祥事防止特別行動チームをつくった、これは結構なんですが、自助努力というか、やはり身内をかばう体質というものはぬぐいがたい面がある、第三者から見て、我々国民から見て。  そこで、やはり防衛庁の方にも第三者機関というものを設置をして、例えば防衛調達適正化会議が設置されたように、第三者機関を置いて、一連の不祥事を踏まえて、今後の防衛行政というか、規律とかそういう警務隊のあり方とかいろいろなことをやる必要性があると思うのですが、そういうお考えがあるのかないのか、端的にお答えください。
  29. 瓦力

    瓦国務大臣 我が国の防衛を任務とする自衛隊という実力組織におきましては、総理大臣防衛庁長官を頂点として指揮命令系統を維持する必要がありまして、このため、一般職公務員とは異なりまして、自衛隊の倫理法でございますとか懲戒手続も防衛庁長官以下で独立して行われておるわけでございます。  また、自衛隊員による不祥事案発生した場合におきましても、問題点を正しくかつ速やかに評価するためには、自衛隊業務内容に精通した者が行う必要がございます。実効あるチェックを行うためには新たな相当な体制を構築する必要が生ずること等につきまして、問題があるのではないかと認識をいたしております。  私は、防衛庁自衛隊組織とすれば、第三者機関による意見を徴する問題もございますが、また、組織やそれぞれにつきましては、自己完結型で、責任を持って行う、痛いことも十分知り得る者がさらに検討を加えていく、そういう責任あることが必要だというぐあいにも考えております。  今直接、委員の御心配、質問に対しまして、両面を持ち合わせてのお尋ねだと思いますので、組織につきましては、私は、今申し上げたように、防衛庁長官以下で一つは独立して行っていくということを申し上げ、また、他の御意見を聞くことにつきましては、謙虚に私どもは御意見も拝しながら、その組織強化とあり方について知恵をちょうだいしながらつくり上げていきたいと考えております。
  30. 上原康助

    上原委員 どうも消極的な御見解のようですが、私は、それではきちっとした問題解決に至らないと思う。自己完結型であり、指揮命令系統が一元化しておればこそ、この種の硬直化した状況に陥っている今日の防衛庁の実態ということを、もう少し深刻に受けとめていただきたいということを申し上げておきます。  そこで次に、嘉手納RAPCONのことについてお尋ねします。  これは私が指摘をしたとおり、三月段階で河野外相とコーエン米国防長官が返還合意をしたということで大々的に報道されたんですが、ぬか喜びに終わらせてはいかぬよということを私は注意を申し上げたんですが、この嘉手納RAPCONの日本移管に関連して、防衛庁はこれにかかわることがあるのかどうか、その点ちょっと、あるのかないのかだけお答えください。
  31. 岩村敬

    岩村政府参考人 先生よく御承知のように、まず、那覇空港での飛行場管制業務、これは運輸省の航空局が実施しております。また、沖縄県を中心とする空のいわゆる航空路の管制業務、那覇飛行情報区という区域になっておりますが、ここにおきます航空路の管制業務、これもまた運輸省の航空局が実施しておる。  今御指摘の嘉手納のRAPCONの空域でございますが、これは飛行場管制業務と航空路管制業務をつなぐような、間に位置するものでございます。そういうことでございますので、那覇空港の民間機の運航効率を図り、また今後予想されます民間航空交通の増大に対処するためにも、この嘉手納RAPCONの空域についての管制業務は運輸省が一元的に実施するのが適当である、そのように考えておるところであります。
  32. 上原康助

    上原委員 ですから、今運輸省航空局長が答えたわけでしょう。防衛庁はかかわることはないねということを防衛庁から聞きたいんだ。だれが答えるのですか。
  33. 依田智治

    ○依田政務次官 ただいま運輸省から答えましたように、管制は運輸当局でありますが、私ども沖縄では航空機の運航等をしておりますから、そういう部分において密接に連絡をとりながら、事故のないようにいろいろ調整していくということは当然関係しておるわけでございます。
  34. 上原康助

    上原委員 これは念のために、今後のことがあるから、その程度にしておくが、主体は運輸省がやるということだと思います。  そこで、RAPCON移管については、私も若干調査をしてみたんですが、新たに那覇空港にターミナルレーダー管制所をつくらなければいかぬということのようですね。そうなのかどうか。
  35. 岩村敬

    岩村政府参考人 移管に際しまして、より高度の処理が可能で信頼性の高い、最新鋭のターミナルレーダー情報システムを整備する必要があるというふうに考えております。特に、那覇空港、航空交通量が大変多うございますので、他の空港同様、レーダーの二重化ということも必要かと考えております。そういうことで、実際の設置の場所を空港にするのかその他の場所にするのかは別といたしまして、新たにこういう施設の整備が今後必要になるかというふうに考えております。
  36. 上原康助

    上原委員 それらの施設を整備するには、どのくらい期間がかかるんですか。
  37. 岩村敬

    岩村政府参考人 具体的にどういう施設をどこにつくるか、まだ検討段階でございますので、正確にお答えしにくいわけでございますが、過去に沖縄の飛行情報区の管制業務について米軍から移管を受けたことがございますが、その際の例などを見ますと、施設の整備等に約三年ぐらい要しているというふうに理解をしております。
  38. 上原康助

    上原委員 陣容はどのくらい必要になりますか。
  39. 岩村敬

    岩村政府参考人 まさにその施設の規模、さらには人員等々、現在、議論そして検討を進めているところでございますので、今の段階で何人が要るということはちょっとお答えしにくいところでございます。
  40. 上原康助

    上原委員 そこで、問題は、これまではRAPCON移管は、もう我が国の技術面あるいは陣容、施設その他受け入れ態勢は十分だ、だからいつ移管されてもいいということに、簡単に言うとそういう答弁を運輸省もやってきたわけなんですね、外務省もその能力は認めてきた。だが、今言うように、新たなターミナルレーダー管制所をつくるには三年かかる、陣容も相当必要だということになってしまうと、逆に言えば三年間はRAPCONは返ってこないということでしょう。返されても受け入れができないということになってしまうのか。そうなると、皆さんはその態勢をきちっとやらなかったという問題、責任問題がまた出ますよ、これは運輸省についても政府全体にも。私は、これはサミットまでにきちっと返したらと言ったら、いや、とんでもない、そんな簡単にいきませんよと技術者は言っておった、いろいろ調べてみると。  きょうはもう二十八年たった。遅くとも沖縄復帰三十年をめどに、三年と言わず二年くらいできちっとRAPCONくらいは移転させるという前提で、これからの施設整備であるとか受け入れ態勢というのは急ピッチで進めないといけないと思うのですが、その決意があるかどうか。
  41. 岩村敬

    岩村政府参考人 先ほども御答弁申し上げたわけでございますが、過去の例、すなわち一九七四年五月十五日に那覇航空交通管制部に那覇飛行情報区の移管があったわけでございます。その際に、いわゆる施設整備、それからもう一つ必要なのは安全にかかわる問題でございますが、要員の訓練、これも十分な訓練をしてからでなければ、直ちに移管というわけにはいきません。そのときのケースを見ますと、基本的な合意ができてからおおむね三年の月日を要しているということでございます。  そういうことで、嘉手納RAPCON、我々はできる限り早く移管ができるようにやりますが、過去の例を考えてみますと、今申し上げたような期間は最低限必要なのかなというふうに考えているところでございます。
  42. 上原康助

    上原委員 それはこれから、運輸大臣あるいは外務大臣がいらっしゃるところでまたお尋ねもしなければいけませんが、技術的には三年かかる。そうすると、三年くらいはRAPCONは移転されない、返還されないということになってしまう。極めて問題がある。問題点がはっきりしましたので、前倒しでやるようにひとつ強く要望しておきます。  最後に、時間もありますので、ハリアーの墜落事故についてちょっとお尋ねをしておきたいのです。  十二年三月二十九日に外務省から出た中間報告でしたか、墜落事故全体について最近出たあれと違うのですね。昨年六月、嘉手納基地で墜落、炎上事故を起こしたハリアー機には爆弾が積んであった、しかもこれは低空飛行訓練を行う爆撃訓練に出動するためだったと、非常にショッキングな内容になっているわけですね。  それは、爆弾を積んでおったというのは事実関係として認めるのかどうか、まずお答えください。
  43. 藤崎一郎

    藤崎政府参考人 お答えいたします。  今御指摘の報告と申しますのは、本年三月二十七日に、日米合同委員会を通じまして在日米軍から外務省に提出されました報告のことだと存じますけれども、これはハリアーの事故についての原因調査をしたものでございまして、基本的には、機体の問題あるいは操縦士に起因するものではないという原因調査報告でございます。  この報告書の逐一について、書いてございます点について一々私どもとして内容をコメントする立場にはございませんけれども、原因究明については今申し上げたとおりというふうに承知しております。
  44. 上原康助

    上原委員 いつも外務省はそういう点は濁すのですが、これはインターネットを通していろいろ資料をとってみても、そういう事実関係が初めて公開されているということ、大変大きな問題だと思うんですね。もちろん、今局長がおっしゃるように、爆弾搭載の有無についての記述はこの事故報告書にも不明にされている。  さらに、低空飛行訓練に出動する目的だったということを認めるのか。また、一部報道、この報告書にもあるように、パープルルートというのは存在するのかどうか。この二点についてお答えください。
  45. 藤崎一郎

    藤崎政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたとおり、この報告書はあくまでも、事故の原因究明目的として米側で作成したものでございまして、この内容の逐一に対して私どもとしてコメントはできませんが、米軍の飛行ルートについて私どもが今まで受けております説明は、飛行訓練の目的達成、飛行の安全確保、住民の方々への影響抑制等の必要性を満たすという観点から、一定の飛行経路を念頭に置いて飛行することがあるが、最大限の安全を確保するため、低空飛行訓練を実施する区域を継続的に見直しているということでございまして、詳細等については私どもとしても承知しておりません。
  46. 上原康助

    上原委員 これは、また今後いろいろ議論になると思いますので、時間がありませんからやむを得ません、大変問題があるということを指摘しておきます。パープルルートというものの存在は明らかにしませんでした。  最後に、防衛施設庁長官がおいでになって、あと北部訓練場の問題とかいろいろ聞きたいと思ったのですが、国会もこういう状況ですからなかなか機会がないと思いますので。  在日米軍基地の運用経費の問題、言うところの特別協定を含めて、近々日米交渉に具体的に入っていくと思うんですね。私は、雇用問題その他の面から考えて、やはり駐留経費の問題については慎重に御検討いただく上で、基本的には継続していくという考えでやってもらわないといかないと思うのです。ほかの面でもいろいろ検討すべき点はあると思うのですが、その点についてどういうお考えを持っておられるか、お聞かせを願いたいと存じます。
  47. 大森敬治

    大森政府参考人 お答え申し上げます。  駐留経費支援の問題といいますか、特別協定の問題でございますけれども、この特別協定につきましては、現在、事務的なところで、具体的な問題点の摘出ということで作業をしているところでございますので、具体的なところについてまだ結論的なことを申し上げるわけにはいきません。  今御指摘の、基地従業員の方の関係でございますけれども、駐留軍基地に勤務しています従業員の方の基本給等につきましては、御案内のように、特別協定によりまして日本国政府が負担しているわけでございますけれども、私ども防衛施設庁といたしましても、基地従業員の方の安定的な勤務環境を確保するというふうなことは、これは単にその基地従業員の方のみならず、在日米軍の安定的な、効果的な運用にも資するということで、日米安保体制を維持する上でも非常に重要であるというふうに認識しております。  したがいまして、そのような認識のもとに、従業員の方の経費負担についても考えてまいりたいというふうに思っております。
  48. 上原康助

    上原委員 時間ですから終わりますが、瓦長官、今大森長官が直接の御担当であるかもしれませんが、しかし、この件に関しても、日米交渉をやる主役はあなたです。今のような配慮で御努力なさいますね。
  49. 瓦力

    瓦国務大臣 ホスト・ネーション・サポートにつきましても、今まだそれぞれの段階で協議をいたしておるところでございますから、申し上げるところは委員にお許しをいただくわけでございますが、厳しい財政事情であることは委員も御承知でございますし、また、日米安保体制を円滑で効果的に運用していくというようなことも、これは重要な問題でございます。これらを踏まえまして適切に対応していく、そういう気持ちでありまして、委員御心配の点でありますが、私も熱意を持ってこの特別協定につきまして取り組んでまいりたい、かように考えております。
  50. 上原康助

    上原委員 終わります。
  51. 西村章三

    西村委員長 次に、石井紘基君。
  52. 石井紘基

    石井(紘)委員 石井でございます。  まず、防衛庁長官にお伺いをしたいと思います。  先日、中国のトウカセン外相が訪日をされた折に、日本政府側としては河野外務大臣の方から、中国に対するODA支援の問題について、最近中国が軍事費をとみに増大させておる、そういう中でODA支援についても考え直させてもらおうではないかというような趣旨の意向が表明をされて、いろいろやりとりがあったようでありますけれども、この中国の軍事費の増大ないしは最近また台湾には新たな政権、独立派の色彩の政権ができるというような中で、軍事費が増大し、また対外的なそうした支援も行われておるというような事情について、どのように認識をされておられるか、伺いたいと思います。
  53. 瓦力

    瓦国務大臣 石井委員から、中国における軍事費、この認識につきましてお尋ねがございました。  中国の国防費は、一九八九年以来十二年連続で対前年度比一〇%以上の伸びを示しております。本年度は約一五%、随分伸びてございました。また、防衛費のGNPに占める割合は一%程度、国家予算に占める割合は九%前後で推移いたしております。  中国は従来から国防費の内訳の詳細につきまして公表はいたしておりませんが、また国防費として公表される額は、中国が実際に軍事目的に支出している額の一部にすぎないと見られていることも留意しておく必要があろうかと思います。  いずれにいたしましても、中国が近年、核戦力でございますとか海空軍を中心として軍事力の近代化に努めるとともに、海洋における活動範囲を拡大する動きを見せております。その動向につきまして注目しておく必要があると考えておりまして、防衛庁といたしましても、防衛交流を通じまして、今後とも中国の軍事力あるいは国防政策の透明性の向上に働きかけていきたいと考えております。  なお、中国の近代化動向についてでございますが、核戦力による新型のICBM及びSLBMなどの開発を進めておりまして、海上戦力につきましては、新型の駆逐艦でありますとかフリゲート及び潜水艦の建造、配備を進めております。ロシアからソブレメンヌイ級の駆逐艦でございますとかキロ級の潜水艦を導入もいたしております。航空戦力につきましては、新型戦闘機でありますとか戦闘爆撃機の開発、配備を進めるとともに、スホーイ27戦闘機などの導入、ライセンス生産も行っております。また、空中給油機でございますとか早期警戒などの近代的な航空作戦の実施に必要な能力の獲得に向けた努力が行われておりまして、ここ数年来の中国の軍事力の増強、整備につきましては、委員も御指摘でございますが、かような推移を見せております。
  54. 石井紘基

    石井(紘)委員 今、軍事力の整備、増強についての現状を御報告いただいたわけですが、そうした中国の軍事費の増大や軍事力の増強というものについて、我が国の政府としては、これに対してどういうふうに見ておられるのでしょうか。ただ透明にしてもらえばいいということなんでしょうか。
  55. 瓦力

    瓦国務大臣 中国は、御案内のとおりアジアにおきましての強大な国家でございます。中国が、アジアにおいてさらに信頼を得て、アジアにおける指導的な国家として存在していっていただくというためには、私どもも中国との信頼醸成というものをしっかりつくり、またアジアにおける中国の存在の基盤を安定させていただくことが重要でございまして、そういう面から申し上げますと、より開かれた、より対話の濃いつき合いというものをしていかなければならぬと私は思っておりますし、先般も中国の要人の方々が見えておりますが、私どもも積極的に会い、また防衛庁自衛隊も中国との交流を一層旺盛にすると同時に、アジア諸国との交流もウイングを広げてその深みをつくり上げておるところでございます。  中国はいかにも、太平洋を挟んで米国との信頼関係にも大いにこれからもその役割を果たしていただければ、平和で安定したアジアを構築することができる、望ましい姿になるという期待を持ってつき合いをさせていただきたいと思っております。
  56. 石井紘基

    石井(紘)委員 そういたしますと、中国の軍事力の増強というものは、防衛庁としては結構なことだというふうに受け取れるわけでありますが、外務省の方は、そういうことをやっているのだったらODAを見直しますよと言っているわけですが、そうすると、外務省と防衛庁見解が対立しているのではないですか。
  57. 瓦力

    瓦国務大臣 中国との間におきまして我が国もODAの取り組みがなされておるわけでございますが、中国に対して軍事力の装備あるいはその充実につきまして、方向性につきまして私どもがああしろこうしろと言うようなことは大変厄介な問題でございます。これは国家として中国がお考えになることであり、私どもとすれば、それらの対応が透明性をより一層深めまして、またアジアにおける存在も大きいわけでございますから、各国との信頼関係が増長されることを期待いたしておりまして、どのあたりが中国の軍事力として適切かということを今申し上げる立場にはありませんが、できる限り周辺国との信頼維持できるものであってほしいと願っておるところであります。
  58. 石井紘基

    石井(紘)委員 防衛庁としては中国の防衛に対する傾向というものが、外務省はこういう形で意思表示をしておるわけですが、防衛庁の方は結構だという。それはもちろんそういう考え方もあると思いますが、信頼醸成をするといっても、日本側の主張というのは一体何なのか、日本側の考え方というものは何なのかということがなければ、これは話し合いにならないわけでありますので、防衛庁としても、いいならいい、困るなら困るという考え方というものを持って臨むべきだというふうに思うわけであります。  次に移りますが、最近、森総理大臣が、日本天皇中心とした神の国だ、こういう発言をなされて、今大きな問題になっておるわけでありますけれども防衛庁長官はこういう認識についてはどのようにお考えでございますか。
  59. 瓦力

    瓦国務大臣 本日の安保委員会では、恐らく各委員からこのことにつきまして総じて問われることである、こう思っております。  私が申し上げさせていただきますのは、日本国憲法に定める主権在民信仰の自由につきまして、これを尊重し遵守することは当然であると考えております。  総理発言につきましては、御案内のような国会議員の懇談会、神道政治連盟におきましての活動の経緯を紹介するという趣旨で述べられたものと承知をいたしております。総理発言が、新聞等によって報道されておりますように誤解を招いたとすれば残念なことであると考えますが、また一方におきまして、国民誤解を与えたり周辺国の信頼を欠くようなことにつながってはならないと思っております。
  60. 石井紘基

    石井(紘)委員 私なんかも、かなり頻繁にと言っていいと思うんですが、神社なんかには通いまして、いろいろな行事にも積極的に参加をしているわけでありますが、そういう意味で、日本というのは、神様というのはいろいろなところにいるんですね。道端にいろいろな精の神様がいたり、お稲荷さんがいたり、いろいろいるわけで、ひょっとしたら森総理はそんなような意味で、日本というのはいろいろな神様があって神の国であるというような、そういう軽い気持ちで言ったのか。とすると、やはり総理大臣たる者が国の基本をわきまえずに、そう軽々に一つの面だけをとらえて言うというのはおかしいじゃないかというようなことになるんだろうと思うんです。日本は、そういう意味では神とか仏とかというものに対してどういうふうに向き合っている国なのか、これは防衛の観点からもかなり重要な問題でありますので、何か認識があれば御答弁いただきたいと思います。
  61. 瓦力

    瓦国務大臣 石井先生のおっしゃるとおり、私は、総理であるという立場、また、私ども閣僚であるという立場国民から選ばれて議員であるという立場でありますれば、これらの問題について、営々と営んできた半世紀に及ぶ我が国の歴史、新しい憲法のもとで国を構築してきたことを考えますと、より慎重な発言でなければならぬし、誤解を生むようなことなく理解をされるような表現でなければならぬと思うわけでございまして、今後私どもも戒めて取り組まなければなりませんが、これをまた各党、総理に直接御質問なさることもありますから、その向きをよくただしていただくということといたしまして、私は、この席で申し上げますならば、先ほど申し上げたように、日本はどこへ行っても神が存在するようなことだからといって、これは宗教上の問題は軽々に扱ってはならないと考えております。
  62. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。  では、防衛庁の例の違法射撃事案について質問をいたします。  これは、いろいろ処分処分でやったようでありますけれども、現役の人しか処分がされない、当時の上部におった、責任あるといいますか、より強い責任立場にある方々の中で、退職をされてしまった人についてはもうそのままということになっているわけでありますが、これはもちろん、職務上のいろいろな処分、例えば停職とかそういうようなものは、やめているわけですから当然できないわけですが、これは、やめてしまった者は責任があってもどうにもしようがない、だからいいんだというお考えなのかどうなのか、その点をちょっと聞いてみたいと思います。
  63. 依田智治

    ○依田政務次官 先生御承知のように、これは、今回の陸幕事案の場合でも、陸上幕僚長幕僚副長等、また東部方面総監等、もし現職でおりますればやはり組織の長としての責任をとるし、防衛庁長官としても任命権者として厳正なる処分を行うということができるわけでございますが、国家公務員退職手当法、これは十二条の三、これによりますと、「在職期間中の行為に係る刑事事件に関し禁錮以上の刑に処せられたときは、各省各庁の長は、その支給をした一般の退職手当等の全部又は一部を返納させることができる。」こういうことになっておりまして、既に大分前に退職されているOBの方々にはその責任を問えない。ただし、御本人等は、自分の不明でこういう事案が起こってまことに申しわけないということで、長官のところにも直接参上したり、信書等によって陳謝しておるというような状況がございますが、法的にはこういう状況になっておるわけでございます。
  64. 石井紘基

    石井(紘)委員 あわせてもう一つ聞いておきたいと思うんですが、今の御発言ですと、当時の幕僚長にも責任があったというふうに受けとめられるわけですが、幕僚長あるいは陸上幕僚副長あるいは東部方面総監、あるいは警務隊の隊長、あるいは人事部長、こういうあたりもすべて、ことごとくこの件に関して責任があるというふうにお考えですか。
  65. 依田智治

    ○依田政務次官 お答えさせていただきます。  当然この事案陸幕猟銃事件として、内局には報告しませんでしたが、その限りにおいてこういう処置をしている。今日こういうことになっておるのも、その当時、徹底した調査をし、厳正なる措置をとっておればこういうことになっておりませんので、その当時おったそれぞれの幹部はそれぞれの度合いにおいて責任を持つ。  今先生お挙げいただきました幕僚長につきましては、当然組織最高責任者としてこういう措置をとったわけでございます。ただ、その後、報告書にも書いてありますように、幕僚長に、これはこういう事案があって厳正な措置を必要とするという報告が直接実はしかるべき幹部から上がっていなかった、東部方面総監からも上がっていなかったという点が幕僚長判断を誤らせたところじゃないか。副長も同様でございます。  他方、人事部長それから当時の計画課長、ここは現在は、西部方面総監でこの間までおりましたし、第九師団長ということで青森の方におったわけでございまして、この方々は、本来直接東部方面総監から、最初の一報では、これは銃に関する事件であり厳正な措置を必要とすると上がっていったのですが、どうもこれは秀島一佐と上の方と人間関係がうまくいっていないらしい、そういう点も含めて内部的に措置して、むしろ人事異動したらいいじゃないかというような甘い判断をしたことがこういうことになっておるわけでございまして、この人事部長と計画課長につきましては、相当自衛隊でも期待しておった人物でございますが、停職二十日という処分にして、本人は引責して退職というような措置になったわけでございます。  なお警務隊長につきましては、当時東部方面警務隊長でございまして、この調査に関して不実の報告をしたというのもあわせて、これは責任をとって、懲戒処分の後、退職しておる、こういうようなことでございます。  以上でございます。
  66. 石井紘基

    石井(紘)委員 そこで、先ほど言った退職した者についての責任は、これは基本的に、公務員退職手当法ですか、禁錮以上の刑が科されなければ追及できないというのですが、今のお話ですと、責任は当然あったと、とるべきであるが、退職して、いないので、処分という形にはなっていないという考え方だろうというふうに思いますが、退職して、いない場合は、例えば内部的な防衛庁としての処分は、禁錮以上の刑を受けていなければ、これは何の手の出しようもない、どんな方策もないということですか。
  67. 依田智治

    ○依田政務次官 結局、禁錮以上の刑に処せられなくても、もしその当時の指揮等が誤っておるということになれば、当然現職でおれば我々はその責任に応じて厳正な処分をするわけでございますが、懲戒処分というのは、先生御承知のとおり、公務員関係における秩序を維持するために公務員関係からの排除を限度として行う行政の秩序罰でございまして、隊員としての身分の保有を前提として行われているということでございまして、既に退職して隊員としての身分を持たない者に対して懲戒処分を行うということにはなっていない、こういうことでございます。  今回の事案はそういう点で、本人等も自分が下に置いておった人事部長とか将来ある計画課長、師団長等が責任をとってやめるというようなことについては大変な責任を感じておりますが、そういう意思を防衛庁長官にも表明されておるという状況でございますが、公務員の秩序維持という点から、退職した者については責任を問えない仕組みになっておる、こういう状況でございます。
  68. 石井紘基

    石井(紘)委員 公務員の秩序維持というだけじゃなくて、行政に対するあるいは国民に対する責任、そういう側面も当然あるわけですから、秩序を乱したというだけじゃないのじゃないかと思うのです。  それから、今おっしゃったのは、懲戒処分ということだけしか頭の中にないようでありますけれども、私が伺いましたのは、どんな方策もないのか、やめてしまえばそれでいい、すべてはもう無罪放免ということしかないのかどうなのかという点を伺ったわけですが、懲戒処分のことだけしか御答弁なかったわけです。  それでは、例えば他の省庁からの出向とか、省庁間で異動する場合がありますが、退職してOBになってしまった場合、それからまた、出向していたためにもとの役所に帰ったというような場合、これは処分の面ではどういう違いがございますか。
  69. 依田智治

    ○依田政務次官 いずれにしても、懲戒処分はそのときに任命権を持っておる者がその職員を処分する、こういうシステムでございます。  私ども、恥ずかしい例でございますが、つい去年のことでございますが、警察庁に出向していた人物が本部長に出る直前に破廉恥犯罪を起こしていた、罰金五万円でしたかを受ける事案がございましたが、これはもともと防衛庁が採用した人間だから防衛庁でひとつしっかり、どうも精神も不安定なようだからということで帰されたわけでございまして、私どもは一カ月入院させた後辞職させたということがありましたが、当時は防衛庁としては、懲戒処分は問えない、もし問うとすれば警察庁が問うべき立場にあった、こういうような事案がごく最近の例でございました。  そんなことで、懲戒処分というのは出向中の職員については出向先できちっと処分するというのが建前でございます。
  70. 石井紘基

    石井(紘)委員 もとのところへ戻ってからも出向先で処分をできますか。  それは、例えば防衛庁でもう一つの例を言いますと、鴇田さんという、今の及川さんの前にやっておられた装備局長は、私に対して一年間ありとあらゆるうそをつき通したわけですね。それはもう既にこの委員会で明らかになりまして、謝罪をされた当時の防衛庁長官もおやめになったことでございますが、その鴇田さんが一年間うそをつき通したその責任は重大なんだということを私は再三この委員会で申し上げた。そのときは全然しらを切っておられましたけれども、その後処分があったやに聞いておるのですが、それはどういう処分で、だれがされたのでしょうか。
  71. 及川耕造

    及川政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘の鴇田前装備局長につきましては、当庁で関係者処分を行いました一昨年の時点では、先生御指摘のとおりもう既に通産省に出向しておられました。したがいまして、自衛隊員の身分を有しておられませんでしたので、当庁の処分自衛隊法に基づきまして行う処分でございます、そういたしますと、自衛隊員でございませんのでこれに基づく処分はできませんでした。したがいまして、四社事案にかかわります責任につきましては、当庁から通産大臣の方に通知をいたしました。その結果、通産省におかれましては、当庁からの事実関係の通知を受けまして内部規定によります訓告処分を行い、同じく鴇田局長からのお申し出によりまして、給与の一月十分の一の自主返納をさせたというふうに承知いたしております。
  72. 依田智治

    ○依田政務次官 ちょっと先ほどの答弁で不正確な点がありましたので。  私は、とっさに防衛庁職員が警察庁へ行って帰ってきたという例を挙げました。これは、防衛庁職員という特別職、自衛隊法の適用になる職員が一般職に行って帰ってきたということで切れてしまったのですが、一般職の場合は、一般職から他の役所へ出向して戻ったという場合は、一般職の国家公務員法の適用になりますから、処分はできます。また防衛庁の場合でも、防衛庁にいて他の役所へ行って帰ってきたというときは、防衛庁にいたときに何かを起こしていれば、戻ってきた人間についても過去のあれで問える、こんな仕組みになっております。  訂正させていただきます。
  73. 石井紘基

    石井(紘)委員 その例の場合は、防衛庁から警察に行っていて、警察で不祥事を起こしたわけですね。その処分防衛庁が行ったということですか。
  74. 依田智治

    ○依田政務次官 これは特別職たる防衛庁職員から一般職の警察庁に行ったときの事案でしたので、防衛庁としては、もう身分関係を失っていますので処分できない、帰ってきた人間はちょうど精神不安定ですので、入院させた後辞職させた、こういうことでございまして、もしやるとすれば、当時警察庁がやるような立場にあった、こんなことでございます。
  75. 石井紘基

    石井(紘)委員 先ほどの及川装備局長の答弁ですと、鴇田さんの場合は、防衛庁から通産省にこうこうこうだということを言って、それに基づいて通産省が訓告処分をしたということでしたけれども、そうすると、この処分理由というものは、防衛庁時代に防衛庁でいろいろな不祥事を起こしたということを、通産省がその責任を問うたという形になるわけですか。
  76. 及川耕造

    及川政府参考人 先ほど申し上げましたように、通産省に対しまして当庁から事実関係の通知を行いました。それに基づきまして、通産省の方で先ほど申し上げました訓告処分をとられたというふうに承知いたしております。
  77. 石井紘基

    石井(紘)委員 訓告の理由はその場合どういうことですか。
  78. 及川耕造

    及川政府参考人 大変恐縮でございます。今手元にはございませんけれども、事実関係の通知に基づきということでございますから、防衛庁時代のさまざまな関係についてなされたものだというふうに思います。
  79. 石井紘基

    石井(紘)委員 防衛庁長官見解を伺いたいと思いますが、やめてしまっても現職でほかの役所におれば何らかの形で処分がなされる、しかし、退職してしまうと、後でどんなに重大な事件あるいは問題が発覚しても手も足も出ない。これは、現実の問題として、確かにいろいろ難しい制度上の問題がございますけれども、やはりどこかおかしい、不十分だというようなお感じはいたしませんか。
  80. 瓦力

    瓦国務大臣 先ほど総括政務次官から答弁いたしましたように、懲戒処分は、公務員関係における秩序を維持するために公務員関係からの排除を限度として行う秩序罰でございまして、身分の保有を前提として行われる処分でありますことから、既に退職して身分を持たない者に対しまして懲戒処分を行うということはできないわけでございます。  しかし、委員から御指摘のように、防衛庁として、かかる事案が生起いたしまして、大変不適切な処置であったということも含めまして、私どもは重大に考えて、また深く反省をしておるところでございます。そういうようなことで、幾つかの課題をこれから新しくつくり上げることによって、隊員にとりましてもまた幹部にとりましても、さらに士気旺盛な体制をつくりたいと思っておるわけでございます。  今委員の御指摘は、それはそれとして、その処分につきましての問題でございますが、私は、今お答えをさせていただきましたように、身分の保有を前提として行われるという処分でございますので、やめてしまった者を処分するということはこの懲戒処分につきましては求めていないものというぐあいに理解をいたしております。  ただ、こういう不祥事が起こり、このあり方を問われるということは、全体としての信用を失うことでございますので、今私どもは、その体制を、いかにあるべきか、つくることに全力を挙げさせていただいているところであります。
  81. 石井紘基

    石井(紘)委員 わかりました。ありがとうございました。  次の問題に移ります。  石油製品の入札談合の問題でございますが、これについて、公正取引委員会が勧告を行って、告発も行われたわけですが、公正取引委員会から概略を簡単に説明していただけますか。時間の関係で、恐縮ですが、簡単で結構です。
  82. 平林英勝

    平林政府参考人 お答えいたします。  私ども本件につきまして審査をしましたところ、防衛庁調達実施本部が発注する石油製品に係る入札につきまして、コスモ石油ほか十社が、油種ごとに共同して受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた事実が認められたわけでございます。  したがいまして、まず刑事処分でございますが、公正取引委員会は、平成十一年十月十四日、本件談合につきまして、コスモ石油ほか十社、会社でございますけれども、検事総長に告発をいたし、また、同年十一月九日でございますが、各社の業務担当者、個人九名を検事総長に告発いたしました。告発された会社、個人につきましては、その後起訴されまして、今後、東京高裁におきまして第一回公判が予定されているというふうに聞いております。  それからまた、行政処分につきましては、昨年十一月十七日でございますけれども、これらの十一社に対しまして勧告を行いました。このうち三社は勧告に応諾いたしませんで、これら三社につきましては、審判開始決定を行い、現在審判手続中でございます。残る八社につきましては、勧告に応諾しましたことから、昨年十二月二十日に審決をいたしております。  さらに、防衛庁に対します要請といたしまして、この入札の手続は、まず入札をして、予定価格に達する者がいない場合には入札を不調にして、随意契約を前提とした商議に移るわけでございますが、商議に移ってもなお不調となった場合には再度の入札を行うという仕組みになっているわけでございますけれども、調達実施本部の職員が事実上この再度の入札における予定価格を指名業者に伝達していた等の事実が認められたわけでございます。このため、防衛庁調達実施本部に対しまして、監督体制の見直し等の再発防止措置を初めとして、入札における公正かつ自由な競争を確保し、入札制度の適切な運用を行うための改善措置を講じること等を要請したところでございます。
  83. 石井紘基

    石井(紘)委員 防衛庁長官、この事件は大変大きな問題ですね。勧告をしただけじゃなくて、告発も、これは談合をした石油各社に対するものでありますが、そうしたら、企業の方はそのうちの三社が、それは防衛庁の方にも問題が大いにあるのだからそう簡単には応諾できない、自分たちだけが一方的に悪いんじゃないんだ、こういう態度をとっているわけです。ですから、確かにこうした談合というのは、やはりかつての過払いと同じように防衛庁の体質をあらわしておりまして、防衛庁と企業とのこうした癒着、そこから発しているわけです。しかも、異例の防衛庁に対する要請まで公正取引委員会が行っているわけですね。  ですから、防衛庁としては、やはりまず徹底した内部調査が必要だ、そして処分等についても、きちっとしたけじめをつけるべきだというふうに考えますが、どうですか、徹底した内部調査をやる御意思はございませんか。
  84. 瓦力

    瓦国務大臣 防衛庁といたしまして、これまで、事実関係の解明のため、公正取引委員会の調査でございますとか検察当局の捜査に全面的に協力してきたところでございますが、今後とも、公正取引委員会の審判、また東京高等裁判所の公判等における事実関係の解明に支障を与えることのないよう、適切に対処する所存でございます。  防衛庁による調査につきましては、かかる考え方をもちまして、公正取引委員会の審判、また東京高等裁判所の公判等に支障を及ぼさないよう留意しつつ、今委員御指摘のように適切に対処してまいりたい、こういう考え方でまいりたいと思っておるところでございます。
  85. 石井紘基

    石井(紘)委員 ちょっと今はっきりしていなかったんですね。  では、私の申し上げるように適切に対処されるということは、内部調査をきちっと行った上で処分等に対しても厳格に対処する、そういうことでよろしゅうございますか。
  86. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいま申し上げましたように、本問題につきましては、一昨年十一月以降、会計検査院の指摘を踏まえた改善措置をとってきたところでございまして、引き続き、入札制度の適切な運用を行うための改善措置を講じつつ再発防止に努めるとともに、公判等の進展を注意深く見守りつつ、公判等に支障を及ぼさないよう留意しつつ調査をし、また厳正な措置をとってまいりたいと考えております。
  87. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。終わります。
  88. 西村章三

    西村委員長 次に、桑原豊君。
  89. 桑原豊

    ○桑原委員 違法射撃事件につきまして、今までいろいろと議論が展開をされてまいりましたけれども、私の方からも二点について長官の考え方をお聞きしたい、こういうふうに思います。  まず一点目は、民間人による猟銃射撃ということは当初から問題として挙げられて、いろいろな経過をたどっていったわけでございますけれども小銃機関銃を民間人の皆さんに試射させた、このことについては、大変多くの自衛隊員の皆さん方も、弾を用意するとか、いろいろなかかわりを持ってきたにもかかわらず、結局この問題は上に上げられずに不問に付されてしまった、これが一つ大きな問題だというふうに私は思うんです。  いろいろな問題の所在はあろうと思いますけれども自衛隊員の多くの人がかかわったにもかかわらず上げられなかったことの一つの理由として、そういった皆さんが問題意識を持ったり、あるいは不満を持ったり、意見があったりというにもかかわらず、それを受けとめて対応していくというような、そういう組織のあり方、機能、その点で不十分なところがあったのではないかというふうに思うんですけれども、まずこの点についてお伺いしたいと思います。
  90. 依田智治

    ○依田政務次官 先生御指摘のとおり、この事案は結局、小銃機関銃という弾の数にしても圧倒的に多いものを撃ったという事実、これは自衛隊でも現在まれなような事件でございますが、こういうものが表に五年も出なくておった、ここに最大の問題があるわけでございまして、この点はいろいろな要素があるわけでございますが、何人かがかかわっており、現場におった人間が、だれもそれについて間違っておるということで指摘して是正することはできなかったのかというような問題。それから、起こったことについて、何で猟銃だけが挙がっておったか。そのときに徹底した調査を、警務隊にしろ、指示してやっておれば、関係者は多かったわけですから、恐らくその事案が表に出てしっかりと措置できた。それができなかった。こういうような点があります。  そういう点で、これは、ただ一つというよりはすべてのいろいろな要素が絡み合って、結局、現場限りで小銃機関銃事案が伏せられたということでございますから、私どもとしては現在、不祥事防止会議等のメンバーとして地方にもいろいろ行っておりますが、やはり報告の問題、指揮官の指揮と部下の服従、それと意見具申、上部等に対して意見の正しい上げ方、密告とか告げ口ということでなくて、違法な問題に対しては的確に意見を述べ、それが聞かれなければ飛び越えてでも上に上げる方法はないかとか、そういう点、あらゆる面からこれは詰めていく問題である。  いずれにしても、これが表に出なかった、それで組織として結果として隠ぺいしたような形になってしまったということは、当時における調査、どういう形にしろ調査がかちっと行われていればこういうことにならなかった、この点を強く反省しておるわけでございまして、これらの点をぜひ的確に克服するように防衛庁自衛隊を挙げて努力していきたい、こういうことでございます。
  91. 桑原豊

    ○桑原委員 隊員意見や問題意識をちゃんと吸収して、それに的確に対応していくというような組織のあり方、これをぜひ検討の中に加えて考えていただきたいと思います。  それからもう一点は、警務隊対応ですね。この報告書にも、警務隊は当初、東方警務隊長もこの問題には厳正に対処していくんだ、こういうことだったのが、突然、前日と一転して、こういうふうに報告書は述べておりますけれども本件部隊処置をする事案であって、警務隊は現段階では手を出さない、不介入方針に転じた。なぜ転じたのかというのは、この報告にも明らかになっておりませんね。  「教訓」の中では、事態認識の甘さというのが警務隊にあったんだということが一つございます。それは先ほど長官も述べられた点ですけれども。加えて、いわゆる東部方面総監部とかあるいは陸幕対応が間接的に影響を与えたんだ、こういうふうにとらえられておるようですけれども、ここは、これからの対応策の中では、警務隊独立性維持していくんだ、そのために制度的な改革をやっていくんだという提起をしておられるわけですから、どこでその独立性が損なわれたのか、あるいは侵されたのか、どういうことをもってしてそういう認識をしておられるのか、そこら辺が一転してということの中では全く明らかになっていないわけですね。これはどんなふうに説明されるのでしょうか。
  92. 瓦力

    瓦国務大臣 桑原委員お答えをいたします。  まず、事案性格に対する認識の甘さといいますか、本事案が発覚したときに発生から既に一カ月を経過しておりまして、警務隊でございますが、かかる猟銃射撃安全管理のなされた自衛隊射場武器の取り扱いに習熟した職員が行ったもの、こういった認識、私は甘い認識であったと率直に申し上げさせていただきますが、こういった中で、警務隊本件立件の必要はない事案であると安易にとらえたところにこういう結果を招いておると思うわけでございます。  よって、部隊内で、いわゆる上意下達ではなくて、やはり物が言いやすい、言える環境というものも一つは必要でございますから、先般、両政務次官並びに事務次官チームをつくらせまして、二千六百名、幹部を含めて、状況をよく話をし、また率直な意見交換もしてもらいまして、それを主としてこれから自衛隊のあり方をさらに検討しようという中で、御指摘の警務隊の問題も、今私どもは深く認識をし、これを今後どういう姿であるべきかということを検討してまいる大事な柱の一つとしておるわけでございます。  司法警察職員としての自覚を促すとともに、警務隊独立性を担保するための制度面からの見直しでございますが、この制度面からの見直しを含めまして、今月中には、まず検討を加えて、その方向性を求める。さらに、これを重ねまして、今幾つかの事案につきましての方向性を整理して、これからの自衛隊防衛庁のあり方、信用を得るような組織としての体制を再確認してまいりたいと考えておるところであります。
  93. 桑原豊

    ○桑原委員 独立性維持していくために制度的な改革を行うという方向は必要だろう、こういうふうに私も思うのですが、私が今お聞きしたのは、そういう方策を考えようということになった経緯の中で、警務隊認識が一転して変わったということの中で、どういうふうにして独立性が問題になったのか。報告書から類推をされるのは、いわゆる東部方面総監とかあるいは陸幕とかの判断が間接的に影響したのだというふうなことで、それが独立性にかかわる問題なのだというふうなことなのか、何かそういった独立性を侵すことが別にあって問題になったのだ、こういうふうなことなのかが全然わからない。どういうことなのかというふうに今質問をしたので、その点、これこれこういうことなのだ、こういうことなら説明をいただきたい、こういうことです。
  94. 依田智治

    ○依田政務次官 そのあたりが当時どういうことで途中からそういうことになったかという点は、調査の結果必ずしも明らかになっておりません。ただ、一つ言えますことは、警務隊という組織長官直轄の組織でございますから、幕僚長等の下につながっている組織ではなくて、長官のところに警務隊長以下つながっている組織ですから、こういう猟銃事案があり、警務隊としてはこのように判断調査しないということについて、少なくとも警務隊のルートとして内局報告し、長官にも報告するようなシステムというのがやはり確立しておることが重要ではないか。  我々もその後反省してみますと、やはりそういう面で、長官直轄でありながら内局にしっかりとしたそういう組織がない。一応報告するということになれば人事の方に上がるシステムにはなっていますが、やはりそのあたりをしっかりとやっていくことが重要ではないか、こんなことで制度的に考えておる次第でございます。
  95. 桑原豊

    ○桑原委員 きちっと説明をしていくときには、なぜ警務隊独立性が必要なのか、そのためにどういう改革をしていくのか、これこれこういうことをもって独立性に問題があったのだというふうなことをやはりちゃんと説明しないと、それを解明しないと、どこからか知らないけれども突然独立性維持というような話が出てまいりますと、ちょっと何かおかしいのではないかという気がするということをつけ加えておきます。  それから、外務大臣もお越しになりましたので早速お聞きしたいと思うのですが、先ほどの議論にもございましたけれども、外交、それから安全保障、防衛、この政策を進めていくときに、そのもとになるのは、歴史認識でございますとか、あるいは国家観、そういうものがどうなのかということがやはり大前提になると思います。そういう意味で、森内閣、閣僚のメンバーは変わりませんけれども、新しい内閣として発足をされたわけでございます。  そこで、まずこれは両大臣にお聞きしたいわけですけれども、九五年の八月の村山首相談話、これについての評価をお聞きしたいのですけれども、河野外務大臣は、トウカセン中国外相とのお話を持たれたようですけれども、その中でもこれを堅持していきたいということをお述べになったという報道がなされておりました。そこで改めて、村山談話についてはどういうふうに評価をされておられるのかお聞きしたいと思いますし、瓦長官からも同じようなことで評価をお聞きしたい、こういうふうに思います。
  96. 河野洋平

    ○河野国務大臣 村山談話でございますが、一九九五年に村山内閣で出されたものでございます。御承知のとおり、我が国としてこの戦後五十年という節目の年に総理大臣談話としてまとまった文書を出すことが適当だということから、内閣が協議の結果、村山総理大臣談話というものを出したわけでございます。  これはただ単なる談話ではなくて、閣議にも諮って出されたものでございますし、当時与党であった政党の幹部の皆さんにも御理解をいただいてつくり上げられたものでございますから、当時として、この村山談話というものは、我が国の政府におけるといいますか、我が国の歴史認識というものがここに書かれている、そう申し上げてよかろうと思います。自来、近隣諸国を初めとして、国の内外におきましてこの談話について一定の評価がございます。私どもも、中国、韓国を初めとして、この歴史認識に基づいて、我が国の主張、あるいは我が国姿勢というものを説明し、先方の理解を得てきたというものでございまして、この村山談話の歴史認識は、その後も引き続き何ら変わるものではないというふうに考えております。  したがいまして、先般の中国・トウカセン外交部長との間の日中外相会談におきましても、私からこの点を指摘して、説明をさせていただいたところでございます。
  97. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいま外務大臣からお答えがありましたが、私も、これに加えて答弁が求められておりますのでお答えいたしますが、一九九五年八月十五日の村山内閣総理大臣談話、これは、基本といたしまして、我が国が過去の一時期に、植民地支配と侵略により多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、これらに対する深い反省とおわびの気持ちに立って、世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていくというものでございます。かように承知をしておるものでございますが、私も同様の認識で、歴史認識を踏まえながら取り組んでまいりたいと考えております。
  98. 桑原豊

    ○桑原委員 さきの予算委員会で私どもの党の菅政調会長が新しい森総理質問を行っておるわけでございますけれども、そこで森総理は、日中戦争について、これは日本の侵略戦争であったというふうに考えておられますか、こういうふうな菅政調会長の質問に、直接お答えをせずに、「戦争というのは、やはりその時代その時代の背景でいろいろな問題意識はあったのだろうと思います。私は、日本が侵略戦争をしたかどうかということは、これは歴史の中でみんなが判断をしていくべきことであると思っておりますが、」云々というようなことで、侵略戦争であったのかどうかということについては一切、イエス、ノーというような答えももちろん、それについてどうなのかということについては触れていないわけですね。  それから、その後、外務大臣と同じように、トウカセン外相にも森総理はお会いになっておられましても、そこでも、トウカセン外相は、歴史認識の問題というのはかなり自分の方からはいろいろお話をされたようですけれども森総理はこれにも言及をされなかった、こういうふうに伝えられておるわけです。  この菅さんとの質疑の中では、これ以外にも、石原東京都知事の第三国人という発言、これについても認識を問われておるわけですけれども、それに対しても、森総理は、「他国の人たちをべっ視するというような、そういう意味で私どもはこの第三国という言葉を使わなかったと思います」とか、「外務省なども、第三国というような言い方もやはりしていた」というふうに理解しているというふうなことで、これに対してもそういうふうなお答えをいたしております。菅政調会長も、やりとりの中では、村山談話から相当後退しておるのではないか、こういうふうに指摘をしております。  そこへもってきて、昨日来大変な問題になっております、日本天皇中心の神の国だと。リップサービスもあったという前提をしても、およそ一国の総理として、そういった、特にアジアの皆さんにとっては非常に大きな誤解を与えるといいますか、大変な不安を呼び起こすような、そういう発言に至っておるわけですけれども、ともかく、この総理の歴史認識についてどのように評価をされておるのか、ぜひ率直なところをお聞きしたい、こういうふうに思います。  これは、また両大臣からよろしくお願いします。
  99. 河野洋平

    ○河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、村山談話を練り上げておりますときの、私は当時外務大臣として村山内閣に列しておりましたが、現在の森総理は、当時、自民党の幹事長でございまして、与党の極めて重要なポストにおられた方で、森幹事長もまた村山談話をつくり上げ、これを発表するときには、一緒の作業と申しますか、打ち合わせをしたり、十分連絡を取り合った中で村山談話というものにかかわっておられたわけでございます。  したがいまして、森総理が村山談話を大変重要に考えておられ、これが一九九五年、戦後五十年に当たって、我が国の歴史を総括するといいますか、振り返っての我が国総理大臣談話として適当なものだ、ふさわしいものだということを当時の森幹事長も認めておられる、あるいは打ち合わせに参加をしておられた、と私記憶しておりますが、わけでございますから、村山談話と違う認識をお持ちだというふうには私は全く思いません。  さらに、今議員が御指摘のように、どうも村山談話から後退したのではないかという御意見をお述べになりましたけれども、私はそれは全くそういうふうに思っておりません。森総理の歴史認識といいますか、とりわけ村山談話に対します理解というものは、九五年当時と全く変わっていない。それはすなわち村山談話の精神を共有しておられるというふうに、私はこれは確信をしております。確信をしておりますだけに、私は中国外相に対してもその旨を申し上げたわけでございます。  議員は石原発言についても言及をなさいましたけれども、これはたしか瓦長官とも同席でございましたか、あるいは相次いでと申し上げた方がいいかもしれませんが、石原発言については、都知事のお立場でこうした発言をされることは不適切だというふうに私は思いました。  しかし、その後、石原都知事はあの発言をたしか取り消されたというふうに承知をいたしておりますから、これ以上この問題についてあれこれ申し上げることはいかがかと思いますけれども、正直、都知事としての御発言は適当でないというふうに当時は私は感じたので、率直にその旨申し上げたことがございます。  さらに、一昨日の総理の御発言についてもお触れになりましたけれども、私は、一昨日、総理発言の場に、現場にいたわけではございませんので、いかなる状況あるいはいかなる文脈で話をされたのか、十分承知をいたしておりません。したがって、その御発言の真意が那辺にあるのかということは、私には正確に御説明はできかねるわけでございますが、ただし、報道によって、私は、この発言承知をいたしております。  それで、報道によって私が拝見をしました限りについて申し上げますと、私は、森総理とは随分長いおつき合いでございますが、森総理から、まあ、こういう言い方もどうかと思いますが、時に、お話の中に、信仰というものは大事なものだ、信仰心を持つということは大事なことだというようなことを言われていたような記憶は持っております。  しかし、そうした総理のお気持ちやお考えがあの発言で正しく表現されていたかどうかということになると、私は、どうも余りそうしたことが正しく表現をされていなかったのではないかという感じも実は持っております。  いずれにいたしましても、私は、総理御自身あるいは官房長官などがしかるべき場所で真意をきちっと明らかにされることが必要と申しますか、大事ではないかというふうに考えております。
  100. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいま外務大臣が御答弁になりましたが、外務大臣森総理とは早稲田大学も同窓でございますし、生まれた年も昭和十二年でございます。私は早稲田ではございませんが、昭和十二年は一緒でございまして、大概認識も同じかなと思っておるわけでございますが、それはそれといたしまして、外務大臣と、今御答弁をお聞きしながら、認識を一にするものでございます。  総理の御発言また石原知事の発言、これに対しての認識につきまして、加えて申し上げるところはないわけでございます。御理解を賜りたいと思います。
  101. 桑原豊

    ○桑原委員 外務大臣は、総理は村山談話の認識を持っておられるのだ、こういうふうに思うということですけれども、しかし、この間の一連の発言を聞いておりますと、とても国民の皆さんは、そんな認識発言をされているというふうには受けとめていないと思います。ですから、これほどいろいろな、ある意味では閣内の方々の中からも、あるいは党内はもちろん、国会の内外、もう今では国の内外ですね、それだけのいろいろな批判が出されているわけであります。  同期で、総裁と幹事長、そういうコンビも組まれてこられて、外務大臣の口から率直なところをお聞きするのは私は大変難しいんだろうというふうには思うのですけれども、しかし、私はやはり、これは外交、防衛に限らず、一国の総理としては、国政を進めていく上での基本的な一番大事なところだ、こういうふうに思いますので、こういったことをたびたび重ねて、釈明を一週間後にやるとか、これの連続では、これはもう国民信頼というのは大きく揺るがざるを得ないのではないか、こういうふうに思うことをつけ加えて、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  102. 西村章三

    西村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十四分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  103. 西村章三

    西村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。東中光雄君。
  104. 東中光雄

    ○東中委員 最初に外務大臣にお伺いしたいのですが、一昨日の総理大臣発言ですけれども神道政治連盟国会議員懇談会の結成三十周年祝賀会、あれはオープンで、テレビも入っていましたね。そういういわば公式の場で、日本の国、まさに天皇中心にしている神の国であるということを国民の皆さんにしっかりと承知していただく、その思いで我々が活動して三十年になったという発言をされたというふうに各紙が報道しております。  天皇中心の神の国という発言は、日本総理としては私は絶対あってはならぬことだと思います。日本を神の国とする神国日本の思想というのは、日本は特別な国だから世界制覇の資格があるのだといって軍国主義、侵略主義を推進していく精神的な力となったことは、我が国の痛切な歴史の教訓でありますし、戦後の日本は、こういう天皇中心の神の国という思想と絶縁して、そして国民主権を宣言して憲法を確定した、再び戦争の惨禍が起こらないように決意してこの憲法を確定する、こういう経過であります。  それに対して、現職の総理大臣が、日本を神の国とする、天皇中心にしている神の国であるということを言うたのでは、これはどうにもなりません。特に過去の歴史から見て、これはもう中国外務省からも見解が出されますし、韓国の東亜日報なんかにも出ていますし、英国からもいろいろ論評が出ています。こういうことでは本当にアジア外交なんというのはやっていけるものではないというふうに思うのですが、外交の担当者として、河野外務大臣の御見解を承りたい。
  105. 河野洋平

    ○河野国務大臣 総理大臣の御発言につきましては、既に総理よりその真意について御説明があったと聞いております。そして、誤解を生じたとすれば申しわけないという御発言があったと承知しておりまして、私としては、こうした総理の御発言がありましたからには、これ以上コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  106. 東中光雄

    ○東中委員 総理は、つい先ほど、参議院の本会議で、誤解を与えたとしたらおわびをする、こう言っているのであって、誤解も何もないですよ。日本の国、まさに天皇中心にしている神の国であるということを国民の皆さんにしっかりと承知していただく、そのために私は動くんだ、こう言っているのですから、神国日本ということを堂々と言うているわけでしょう。誤解じゃないですよ。  過去の歴史は、はっきりとそれを精神的な支柱にしての侵略戦争、軍国主義というのがあったのですから、私たちは、それに対する反省をして出発している。真っ正面から違うと思うのです。  総理は、総理大臣に就任のときの記者会見で支那事変という発言をされている。それから、四月二十四日の予算委員会で、戦争というのはやはりその時代その時代の背景でいろいろな問題意識があったのだろうと思います、私は、日本が侵略戦争をしたかどうかということについては歴史が判断するのだと。  これは、総理大臣としては、竹下さん時分にそういう答弁があって、いろいろ問題があって、それで村山さんのああいう発言があったわけでしょう。それでも、堂々と歴史をもとに戻すようなことを言うて、このときは、さすがに外務省はアジア局長が総理の指示で駐日中国大使館に出向いて、日本政府の公式の立場を表明したとか、それから、外務大臣自身が、唐中国外交部長との五月十日の会談では、歴史認識については九五年村山内閣談話と変わらないという旨を述べた。だから、総理の言うたことについてちゃんと言うているわけですね。  今度の場合は、神国日本というようなことを言うた総理発言について、真意を述べておられるかといったら、真意なんか述べてないですよ、あの人は。あれを聞いたら、教育がどうのこうのと言っていますよ。ここで言うているのはそうじゃないでしょう。はっきりと、天皇中心の神の国であるということを国民の皆さんにしっかりと承知していただく、これが総理大臣立場なんだ、こんなことを言うて、誤解も何もないじゃないですか。  これについて、外務大臣が一切立場をはっきりされないというのは、私は、政治家として、日本の本当のアジア外交というのを進める立場からいって、中国からも韓国からもいろいろ批判あるいは抗議的な論評が出ているときであるだけに、外務大臣としての見解を述べていただきたい。述べないというのだったら、それは無責任だということを言わざるを得ない。
  107. 河野洋平

    ○河野国務大臣 先ほど来から申し上げておりますように、森総理は、かつて自民党の幹事長当時に、村山内閣総理大臣が発出いたしました村山総理談話の作成にもかかわっておられたわけでございまして、村山談話の精神、村山談話について、全くその考えを、その歴史観を共有しておられるということは疑いもないことでございます。したがいまして、私は、外務大臣としては、中国に対してもその旨をしっかりとお伝えをし、中国側もその点については理解をされたというふうに私は思っているわけでございます。  今、議員は、予算委員会におきます総理発言、そして一昨日の発言をあわせてお話しでございますが、私は、予算委員会での総理の御発言のときには、予算委員会でございますから同席をいたしておりますが、一昨日の総理の御発言は、その現場に居合わせたわけでもございません。したがいまして、どういう状況で、あるいはどういう文脈でああした御発言になったのかということを承知していないわけでございまして、その御発言の真意を私がここで申し上げることは私の能力を超えたことになると思います。  そして、しかも、総理御自身がその御発言について公式の場で説明をなさったわけでございますから、総理の真意は、その参議院の本会議における総理御自身の御発言をもって真意と受けとめていただきたいというふうに思うわけでございます。
  108. 東中光雄

    ○東中委員 私は、率直に申し上げまして、村山談話の線を作成したときからわかっているのだったら、あんな発言はないわけでしょう。そういうことを知っておって、しかもああいう発言をやるというのが森総理なんですよ。総理になって、幹事長としては知っておったかもしれぬけれども総理になったら違う発言をしたのです。だから、それを今度は訂正するというのは、アジア局長まで派遣してやっているのですよ。総理の指示で行ったと報道されています。  今度の場合はそんなことじゃないですよ。こんな日本国憲法を全く逆さまにしたような、大日本帝国憲法下においてでさえこんな極端なことは言わなかったんですよ。  だから、そういうことを言うて、これはもうアジア外交に重大な影響を及ぼすことは明白ですよ。それを外務大臣は、外務大臣立場で、職責からいって、どうだと言わないで、真意はどうのこうの、これはもう私は責任回避だというふうに思います。  まことに遺憾である、河野外務大臣に対して非常に残念だということを申し上げて、時間が余りありませんので、次に進みたいと思います。  違法射撃事案調査についての報告がございました。  それで、四月の二十七日に公表されました陸幕調査委員会違法射撃事案調査報告書によりますと、これは五ページですが、「猟銃射撃」というところがありまして、そして、秀島一佐及び迷彩服を着用したAという人ら三名は、射場に到着し、「秀島一佐の案内でAら三名は一番右端の射座に移動し、まずAが自分の猟銃により数発を射撃し、次いで秀島一佐が十三発を射撃した。この際、秀島一佐及び部外者の周辺には、副群長以下の群幹部及び射撃実施中の第一中隊の代表合わせて十数名程度がいたものとみられる。秀島一佐の射撃の後、その勧めに応じ、副群長、群第三科長、第一中隊長、第一中隊運用訓練幹部、群第四科業務幹部が射撃を実施した。その後、射座付近及び待機場所近傍にいた陸曹数名が射撃し、更に、陸士数名も射撃をした」、こういう事実を認めているんですね。  そこで、聞きたいんですが、自衛隊のいわゆる射場で、部外者猟銃を持ってきて、それで射撃をする、それから、自衛隊員が自衛隊射場で許可なしにそういう他人の猟銃射撃をするということは、これは犯罪行為じゃないんですか。銃砲等取締法の違反の罪になるんじゃありませんか。その点はどういうふうに防衛庁としては現時点でつかんでいますか。事実認定しているんですから。
  109. 新貝正勝

    新貝政府参考人 秀島一佐が民間人の猟銃を借りて射場で銃を撃った行為、これは違法行為でございます。それから、民間人が陸上自衛隊射場において撃ったということについても、これも違法行為でございます。それから、自衛隊小銃及び機関銃を民間人に撃たせたということについても、違法行為でございます。
  110. 東中光雄

    ○東中委員 違法かと聞いているんじゃない。犯罪ではありませんかと聞いているんです。銃刀法違反の犯罪になるんじゃないですかと聞いているんです。秀島さんだけを聞いているんじゃないんです。あなた方が認定した事実について聞いているんです。
  111. 新貝正勝

    新貝政府参考人 犯罪というのがどういう意味か、それが有罪であるかどうかということになりますと、これは地検あるいは裁判によって定まることだろうと思います。こういうことが違法かどうかということであれば、違法行為である、こういうことでございます。
  112. 東中光雄

    ○東中委員 何ということを言っているか。そういうことを言っておるから問題なんだよ。構成要件該当の違法有責行為が犯罪ですよ。違法だというだけだったら、違法なことは即犯罪とは限らないんだよ。犯罪の事実を認定するかどうかというのは、裁判するかどうかというのは、そんなことを言っているんじゃないんだよ。明白に銃刀法違反でしょう。  だから、民間人が自衛隊射場猟銃を撃つについては限定されていますね。公安委員会が指定しているわけじゃないんだから、これはもうはっきりと違反でしょう。だから、Aが撃ったというふうに言っているその部分は、それは犯罪なんです。犯罪だけれども、逮捕するか起訴するか、そんなものは手続の問題なんです。秀島一佐が案内をして、そして民間人に自衛隊射場という自衛隊の管轄内において犯罪行為をやらせたわけだ。  そして今度はみずからも犯罪行為をやるわけだ。やっただけじゃなしに、今度はこれを、先ほどくどくどと言いましたけれども、副群長、群第三科長、それから第一中隊長、ここまでは全部佐官でしょう、一佐、二佐、三佐でしょう。しかも射撃関係する人たちですよ。いわば専門家だ。専門家が違法行為をみんなやっているんだよ。さらに、その付近におった、待機場所近傍にいた陸曹やあるいは陸士までやっているんだよ。おる者全部、十数人全部がやっているんです。  だから、まさに自衛隊射撃訓練場という場所、いわば閉鎖された場所ですよ、そこへ民間人を連れてきて、やっちゃいかぬことをやらせている、犯罪をやらせている。みんなやる。一佐がいかぬのじゃないんです。これは命令でやっているわけでも何でもないんです。この犯罪行為は、違法行為は、群の中における射撃関係の一連の関係者は全部やっているわけですよ。これはもう私的な行為ですね。しかも、違法行為。それを群の迷彩服を着てまでやる。  いわんや、自衛隊小銃機関銃を今度は撃たせますね。これは、自衛隊武器弾薬を私に使用するというふうなことは重大な犯罪だと思うんだけれども防衛庁はそうは思いませんか。長官、どうです。
  113. 瓦力

    瓦国務大臣 東中先生から、違法射撃事案調査報告をお述べになった後、犯罪に該当するかどうかについての御質問でございますが、私から答弁いたしますと、今先生御指摘の問題につきましては、私も、大変重大な事案と心得ております。  自衛官として、武器の厳正な取り扱いの重要性を認識すべきものであるにもかかわらず、部外者所有の猟銃を不法に射撃したことは不適切であること等の理由から、平成十二年四月二十七日付で、副群長等の退職者を除き、猟銃射撃した隊員八名すべてにつきまして、佐官二名を停職三日に、尉官二名を減給一カ月三十分の一に、曹四名を戒告に、それぞれ処分したものでございます。  これらの処分につきましては、その規律違反につきまして、おのおのの職責等に照らしまして、問題の中心指揮官としての立場を利用した秀島元一佐の強引な手法にありまして、その責任の多くは秀島元一佐が負うべきものであるということを総合的に判断した上で、公正かつ相当と考えられる処分を決定したものでございまして、適正なものと考えております。  こうした違法射撃の準備作業に協力した群幹部等の行為は適当ではないが、犯罪に該当するかにつきましては、防衛当局から確たることをお答えすることは適当ではないと考えます。  いずれにせよ、これらの者の行った行動は不適切であり、必要な懲戒処分を実施したところでございます。  以上でございます。
  114. 東中光雄

    ○東中委員 残念ながら、防衛庁長官も事柄の性質が全くわかっていない、私はそう思います。  ここに書いてある、先ほど申し上げた民間の猟銃射撃については、具体的事実が認定されておるわけですね。それぞれが違法行為をやったんですよ。  何も命令されたのでもなければ、号令されたのでもないし、もともと号令するような性質のものと違いますよ。猟銃を撃つか撃たぬかというようなことは、一佐が命令する性質のものじゃないことはもう明白でしょう。そんなことが群の副群長がわからない、そんなばかなことがありますか。普通の兵でも、曹でなくても、そんなものは何も関係ない、やってみようということだけです、それは群長がやっておるんだからということですよ。  それはやっちゃいかぬことだということはみんな知っているんですよ。だから言わなかったんでしょう。そして最後に一番下の人たちが、この報告書に書いていますね、曹や士の人たちが、群長も撃っておったということを言うてうわさが伝わったんだというのですよ。いわば、その人たちも違法行為をやっているんだけれども、どうせ若い人だからよくわからぬままで、しかし群長がやるとはという格好で伝わっていってこれは知れたというのですね。こういうのは本当に異常な状態なんですよ。こんなものは軍隊だったらあり得ぬわけです。  それからもう一つ、今の武器の使用の問題ですよ。  非常に簡単に言っていますけれども、秀島一佐は、この四ページに書いてあるところによりますと、平成六年度群戦闘射撃競技会のための射撃訓練の見学にAら三名を招待することにして、その際、この機会にA所有の猟銃自衛隊射場射撃させると同時に、第一空挺団普通科群保有の小銃機関銃射撃させることを思いついたと、ここに書いてあるんです。「その上で、秀島一佐は、群の主要な幹部に対し、次の射撃訓練の際、「研究射撃」を実施すると説明するとともに、群第三科長、群第三科運用訓練幹部等、射撃に直接関与する幹部に対しては、「自衛隊の銃を民間人に射撃させる。」旨承知させ、準備のための指示を行った。」これは私が言っているんじゃなしに、この報告書に書いてあるのです。  ということは、群長が、研究射撃なんというようなことはそもそも自衛隊の中にないのですよ、勝手にそういうことを使って、そして射撃に直接関係する幹部たちに、民間人に自衛隊の銃で射撃させると言うて、それで行動するわけです。  自衛隊機関銃小銃を民間人に射撃させるということ、これが犯罪行為だということはもう明白でしょう。その明白なことを、その射撃関係のある幹部に全部言うわけです。直接関係ある者でなくても、群の主要な幹部に対して、そういう研究射撃を実施すると言うた。これは全く、思想からいえば私兵ですよ。公の隊の武器弾薬を勝手に研究項目なんというのをつけて、しかも、それが違法であるということは、これは知らぬとは言わせない。それを、この人たちは犯罪行為だ、犯罪に該当するんだということを知ってやったことというふうに思っていらっしゃいますか、あるいは知らぬでやっておったというふうに思っていらっしゃるのか。  では、その点をまず聞きましょう。防衛庁は、現在、認定で、自衛隊の銃を民間人に射撃させるということが犯罪になるんだということを秀島以下この関係者は知っておって、あえてその準備をやったということなのか、よくわからぬでやったというのか、どっちですか。
  115. 新貝正勝

    新貝政府参考人 報告書の四ページにありますように、秀島一佐は群の第三科長、群第三科運用幹部、それから、等とありますが、もう一名でございますが、少数の者に、こういう研究射撃をする、そしてその際自衛隊の銃を民間人に射撃させる、こういうことを言ったわけでございます。したがいまして、これらの聞いた少数の者は、そこにやはり違法性があるというふうな認識を持っておったというふうに思います。したがいまして、その後、違法射撃が行われた後に、皆やはり口をつぐんでおった、こういうふうな状況でございます。
  116. 東中光雄

    ○東中委員 これは犯罪になるのですよ。実際、今起訴されたわけでしょう。ですから、その当時、犯罪になる行為なんだということを知って、その要所要所の幹部が、射撃関係する幹部が、知って犯罪行為をやったんだから、しかも、それは一人じゃなくて、自衛隊組織を通じてやったんだから、だからこそ隠す。経緯からいって、そんなもの知らぬ、薄々知っておったというような問題ではないですよ。しかも、群長とか科長とかいう、皆佐官でしょう。考えられぬことをやっているんだということについて、あなた方の認識がまるっきりなっていないんだ。だから、それを隠しておったのでしょう。自衛隊というのは、そういうことで、今や軍とは言えないような、これはもう本当に弛緩しているというよりも、全く腐敗しているのですね。そして、それを隠している。  ところが、それに対して、何か上から強引に言われたからやったんだというような趣旨のことを言っていますけれども、本来はこれは全部犯罪行為ですね。だから、これは協力した者は皆、犯罪行為に協力したことになるんです。  そうすると、刑事訴訟法二百三十九条の二項にこういうのがありますね。「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」これは義務を負うているわけです。しかも、これは射撃を担当する具体的な人ですよ。秀島がちょっと突発的に動いたとしたって、それが仮に命令だと言ったって、それに従うことは要らぬのです。むしろ、やめなさいということを言わなきゃいけないんです、科長や群長らは。国法上、そういう義務を負うているんです。しかも、これは公務員でしょうが。そういう仕組みになっておるのに、それを十数人が全部関係して、群の射撃関係する者全体がやっている。ゆゆしい問題だというつかみ方が全然ない。ここに問題があるわけであります。  この「事案処理の背景」というのを見ますと、陸幕人事部の幕僚等は、本事案について、銃刀法違反及び火薬類取締法違反といった刑事罰になることは認識していたが、登録された猟銃による十分管理された射場における自衛官の射撃だったこと、要するに、自衛隊射場における射撃だった、だからということが一つなんです。  それから、刑事罰を追及すれば猟銃を提供した部外者にも累が及ぶという。これは驚くべきことですね。部外者も犯罪をやっておるんだから、累が及ぶのは当たり前なんだ。ところが、累が及ぶという考え方。  それから三、木更津港隊員他殺事案に引き続いて本事案報道されれば陸上自衛隊の威信の失墜につながりかねないと考えた、この陸幕の人事部の幕僚等はそういうふうに考えたんだというふうに言われているんです。これは報告書にそう書いてあるんだから。私は驚きましたね。  その秀島という特異な人がおったとしても、その関係で、十数人の——佐官が三人も四人も、それから尉官が三人も四人も、含めて集団で、部外者も含めて犯罪を犯した。その犯した場所が、普通の射撃場じゃなくて、安全管理をしている自衛隊射場だからそう被害はなかった、こういう発想。自衛隊の中でのことだから、それが犯罪でも、まあまあ考えたらええという発想がある。  それからもう一つは、刑事罰を追及すれば、自分たちが巻き込んで、案内して、やったんだから、猟銃を提供したその人まで犯罪を犯させたらこれはぐあいが悪いという。この発想というのは、全く暴力団の中での意識、閉鎖された中で仲間を引き込んだ者のかばう意識ですよ。  そして、前にこんな事件が起こっておるから、威信を失墜するような行為をやっておりながら、それを隠すことによって、これ以上失墜しないようにと。こんな発想というのは、これはもう本当に腐敗の発想です。それは、ここにそう書かれているんだから。防衛庁長官、本当に考え直してもらわぬとあかんですな。こんな仲間意識で……  自衛隊の威信なんというのは、堂々としていてこそ威信なんですよ。それを、犯す者がおって、自分で犯したけれども、それがオープンになったら威信を傷つけることになる、こんなことを思うとったということがここに書いてあるんだから、姿勢を正さなきゃいかぬと思います。戒告をやったらええというような問題と違うというふうに思うんです。
  117. 依田智治

    ○依田政務次官 まさに先生御指摘のように、これは五年以上前の事件でございました。当時、徹底して調査し、捜査しておれば、猟銃事件等についても、おのおの関係した者については実効的な面で犯罪に該当する。当然、処置がなされただろうと思います。しかし、五年以上過ぎてから警務隊等が捜査した結果、火取法、銃刀法等五年ないし三年の時効はもう過ぎておりまして、けん銃等加重所持の七年に該当する民間人三名逮捕、さらに、それを幇助したということで、秀島一佐を逮捕した。  その幇助を幇助しておるというのがその他の部下の者でございますが、私どもとしては、その時点における厳正な法律判断をして、できる者を逮捕し、地検に送致した。地検の方におきましても、それらに基づきまして捜査した結果、秀島氏が起訴になっておりますが、民間人三人については起訴猶予、こういう処分になっておるわけでございます。  我々は現在、先生の御指摘のように、当時なぜもうちょっと徹底した捜査をしなかったのか、その時点で立件しておれば今日の問題はない、こういう同じ問題意識を持っておりまして、これは今後いろいろな面で対策を講じていかにゃならぬ、こう考えておる次第でございます。
  118. 新貝正勝

    新貝政府参考人 ちょっと補足をさせていただきたいと思います。  先ほど先生が、陸幕の方がどういうふうにしてそういう考えをしたかということで「事案処理の背景」のところを述べられました。  それで、そこでは、部外者による陸上自衛隊への協力、支援にも悪影響を与えかねないことを懸念とか、木更津港の問題とか、いろいろありますが、この時点、要するに陸幕に上がったその時点においては、小銃とか機関銃事案というのは全く上がっていないわけなんです。ですから、陸幕においては、猟銃だけを射撃した、こういう判断であったから、そういう甘い判断になった、こういうことでございます。
  119. 東中光雄

    ○東中委員 何を言っているか、質問をしていないことを。  そこが問題だと言っているんだよ。隊全体でやった猟銃射撃と、それから民間の者が自衛隊機関銃小銃ですよ、それも二百発と百発、百発、それからさらに機銃百発でしょう。そういうものをやった犯罪行為を全体として、組織としてやったじゃないか。それを、隠しておったから上は知らぬかったからと言う。そこが問題だと言っているんだよ。そのときそういう状態だからというて、この三つの考え方というのはええかと。いずれも許されないことですよ。  こういう発想でおるから、射撃の問題も、閉鎖社会において、暴力団の中で自分たちがやっていることをお互いに隠そうとするというのと一緒です。そういう状態になっている。  今度の問題についていえばこうなっていますね。もう時間ですから、結論を出しますが。  「評価及び教訓」の中で、ページ五で、「本事案陸上自衛隊組織防衛のために組織的な隠蔽工作を行ったものと批判されても弁解の余地のないものである。」とみずから言うています。犯罪行為をやっておって、組織的な犯罪行為をやったことを、それを明らかにしたら自衛隊に打撃が与えられるから、だから組織防衛といって、隠すんだ、この発想が問題なんですよということを私は言っているわけです。  ところが、この考え方というのは今始まったんじゃないんです。  一九九八年の十一月十九日、「四社事案関連文書の管理実態に関する報告」、あのときにこう書いています。「今回の事件を省みれば、組織的な証拠隠しと受け取られてもやむを得ない事例があったと考えており、」、同じパターンですよ。  それから、もう一つ言えば、一九八八年の「なだしお」のときですよ。防衛庁長官はそのときの長官だったですね。あのときに私はあれを質問しましたよ。そうしたら、航泊日誌の改ざんを「なだしお」の艦としてやりましたよ。これはもう自衛隊の体質だと言ってもいいでしょう。八八年、九八年、同じことが自衛隊の文書、言葉の中から出てくるんです。  こういうことで、何とか弁解しようとしたってだめです。違法としてそれを知っておりながら、群長から副群長から科長から中隊長からずっと一緒に行動する、そしてそれを隠す、こんなことになったら、これはもう軍隊じゃない、自衛隊と言えない。腐敗どころか体をなしておらぬというふうに思いますので、厳重に、これはもう綱紀よりも思い切った改革が要るということを申し上げたいんですが、最後に言ってください、時間ですから。
  120. 瓦力

    瓦国務大臣 東中先生からおしかりをちょうだいいたしました。東中先生には、いろいろな思い出やまたざんきの気持ちもお持ちでございますので、私は、自衛隊に対する思いも格別なものがあろうと思うわけでございます。  私も前に長官を務めさせていただきまして、「なだしお」の事件にも遭遇いたしました。このたびの事案につきましても、これがいわゆる隠ぺいと言われるような形で覆われるということなしに、これからの自衛隊のあり方に大きく影響を与えるものと思いましたので、五年前の事案でございますが、命じて、これを明らかにすることによって自衛隊の体制というものをしっかりさせたい、こう願っておるものでございまして、秀島元一佐の本事件に関与したもろもろの問題、また対応が不適切であったこと、懲戒処分等を実施したわけでございます。  私は今、先生の御指摘も踏まえ、またこういう大きな組織というものを考えますと、上層幹部の判断というものは部隊全体に及ぼす影響は極めて大きいわけでございます。防衛庁といたしましても、上級幹部に一層の責任感自覚させるため、遵法精神を涵養いたしまして、バランスのとれた社会人としての常識を身につける、こういう教育が必要であると考えております。  また、そのためには、どうしても我々は古い過去を、旧軍であるとか、またはそういう中でいろいろな組織対応というものを経験した世代の因習もありますが、これから新しい時代に向かっての自衛隊のあり方というものは時代時代によって問われていくわけでございますから、そういう厳粛な気持ちで、これらの問題につきまして鋭くメスを入れながら、私は自衛隊のあり方、防衛庁の務め方、こういったものを究明していきたいということで考えておるわけでございまして、そのために、今度の報告書も子細にまとめて出させていただきましたし、今後取り組むべき課題につきましても、鋭意取り組んでいくことを部内に申し合わせておるわけでございます。  これから一層、自衛隊国民信頼を得べき大事なときでございますので、しっかりと私も見届け、厳しく教育をしてまいりたいと考えております。
  121. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですから、終わります。
  122. 西村章三

    西村委員長 次に、西村眞悟君。
  123. 西村眞悟

    西村(眞)委員 自由党の西村でございます。  今長官の、自衛隊のあり方について鋭意努力するという御答弁を受けて質問させていただくわけですが、外務大臣に対する御質問が一点だけでございますので、まず外務大臣に対してお願いいたします。  これは、御通告申し上げていたとおり、事実をお聞きするわけですが、先日、ダライ・ラマ・チベットの法王が来日されましたが、そのビザ発給の条件として、滞日中の政治活動禁止がなされた。また、政治活動の内容としては、口頭で、政府要人や国会議員と会談しないこと、違反したら次回以後のビザ発給は拒否するというふうなビザ発給の条件が付されたのは事実でありますかどうか。  それと、その条件が付された理由。いやしくもダライ・ラマはチベット仏教の最高指導者ですし、ノーベル平和賞を受賞された世界的な要人であって、G7参加国の元首とはほとんど会っておられます。我が国だけがこのような条件をつけた理由は、巷間伝えられるところ、中国政府が一貫してビザ発給拒否を我が国に求めておった、この中国政府に対する配慮であるか否かという二点、まずお聞きいたします。
  124. 河野洋平

    ○河野国務大臣 西村議員にお答えをいたします。  ダライ・ラマ十四世の訪日につきまして、外国からその訪日について何らかの注文がついたとかということはございません。私どもは、我が国の独自の判断におきましてこの査証審査をしたということをまず申し上げておきたいと存じます。  議員もよく御承知のとおり、一般に、査証審査に当たりましては、申請人が訪日目的に沿った活動を我が国で行う旨何らかの形で表明をしていただいているわけでございます。今般のダライ・ラマ十四世への査証審査の際にも同様の手続を行いましたが、こうした審査と手続は適正なものであると考えておるわけでございます。本件のみならず、個々の査証審査の具体的内容につきましてはお答えをすることは適当でないということから、お答えは控えさせていただきたいと存じます。  なお、つけ加えさせていただくとすれば、ダライ・ラマ十四世から我が国総理大臣でございますとか私自身に対しまして、会いたい、あるいは面会の要請といったものは来ておりません。
  125. 西村眞悟

    西村(眞)委員 我が国独自の判断であるというお答え。それで、ビザ発給は政府の裁量行為であるという点は認めます。しかし、ビザ発給を求める外国人があまたある中で、ダライ・ラマ十四世は、先ほど申しましたように、チベット仏教最高指導者であり、ノーベル平和賞受賞者であり、世界のG7、サミット参加国の国家元首とは会談を済ませておる方である。独自の基準があってその内容は言えないという前提は、一般私人には通用するでしょうが、このような世界の要人に対して、その基準を示さなければ我が国の国際的評価が左右される問題である。これは外交に携わる外務大臣としては御承知のとおりでございます。  我が国が自由と人権を国際的な一つの大きな価値として、それに基づいて判断しているのか、それとも私が質問せざるを得なかったように、外国の抗議に基づいて我が国はビザ発給を左右する国家なのか。私自身が、日本国会議員がそれをこの場で御質問せざるを得ないほど、ダライ・ラマ法王に対するビザ発給は、それ以上申し上げるのは差し控えたいという政府の言葉によって評価が百八十度左右される状態で漂っておるわけです。私自身がそのように質問せざるを得ないわけですから。  これ以上内容については答えられないでしょうからお聞きしませんが、我が国独自の判断というふうなことでありますから、これは聞かねばなりません。我が国独自の判断とはいかなるスタンダードを持っておるのかということでございます。  巷間、チベットは閉ざされた世界でわかりませんけれども、ぼつぼつあらわれてきたところによると、虐殺、拷問、強姦の犠牲者百二十万人であります。ダライ・ラマ法王はそれに対して、中共のように暴力をもってするのではなくて、平和手段をもって我々はチベット人のチベットをつくりたいという活動をされておるがゆえにノーベル平和賞を受賞されたわけでございます。  この中国政府に対して、我が国は抗議はしておりません。しかしながら、同じくノーベル平和賞を受賞したアウン・サン・スー・チー女史、これはミャンマーの方ですが、ミャンマーの方に関しては、その政権、つまりミャンマー軍事政権に対して非民主的、非人権的のゆえをもってODAの援助、一番困っているわけでございますけれども、ODAの援助は凍結している。ここに、ノーベル平和賞を軸にして、何か同じノーベル平和賞でも我が国がそれに対して評価するスタンダードは違うのか、同じなのか。  ダライ・ラマさんもスー・チーさんも同じくノーベル平和賞であり、その受賞理由がおのおの国内における活動であるならば、我々は中国政府に対して人権侵害を非難してしかるべきである。スタンダードが同じなら、当然こういうふうな私の疑問が出てくるわけですが、これについてはスタンダードが違うわけでしょうか。ダライ・ラマさんに対しては、何か国内で現実にダライ・ラマさんが石原慎太郎知事とも会えなかったというふうな、制限をせざるを得ない、ダライ・ラマさんに関しては異なる基準を設けてしかるべきという要因があるのでしょうか。これについてお聞きいたします。
  126. 河野洋平

    ○河野国務大臣 先ほど私が日本独自の判断と申し上げましたのは、他国の指図をこの問題について受けないという意味で独自の判断ということを申し上げたわけでございます。  また、ノーベル平和賞につきましては、さまざまな方がさまざまな御功績によってノーベル平和賞をお受けになっておられて、その理由はさまざまでございます。必ずしもノーベル平和賞をお受けになったということだけに着目をして判断するというわけにいかない点があるということを御理解をいただきたいと思います。  また、チベットにつきましてあえて申し上げれば、チベットの地位をめぐる問題につきましては、これは中国の内政問題であるというのが我が国の従来からの立場でございまして、いわゆるチベット亡命政府というものには独自の国際法上の地位を認めていないことを踏まえまして、我が国として一貫した対応をとってきているということでございます。
  127. 西村眞悟

    西村(眞)委員 外務大臣お答えを受けて、チベットでは、内政問題と言われますけれども、先ほど言った百二十万人の犠牲者がおるやの報道があって、それは実は真実らしいというふうな事態である。これについて、国際社会は我が国がいかに対処するかによって我が国家の評価を定めようとしている一つの大きな要因となるということを申し上げて、質問を終わります。以後、質問いたしませんので、よろしく。  さて、防衛庁長官は先ほど、私が御質問を始めるさきに、防衛庁自衛隊の問題については鋭意検討するのだということで答弁を締めくくられておりますので、私の考えを申し上げて長官の御意見を伺いたいと思います。  私は、この違法射撃事案の最大の教訓は、やはり我々は部隊という特殊な社会を律するにふさわしい法体系と、秩序維持の体系と秩序維持の機構を持たねばならないのだということだと思うのですね。これは、ぴんとこなければ、世界各国が持っている、また我が国も戦前は持っていた陸軍刑法であり軍法会議という制度である。それは、長官の説明を聞いておるときにまた感じたわけでございますね。  長官は、先ほどの報告で、内局内部と三度言い間違えられて御報告された。私は、内部内局は天と地ほど違うので、内局である、報告内局に達しなかったということを、ちょっと声を出したわけでございますが、実はこの長官内局に達しなかったというふうな報告自体の中に、軍政と軍令を分離しているという前提があるわけですね。そして、内局の人員が各部隊に配属されて訓練の現場に立ち会っておるというのは不可能でございますから、したがって、内局には報告されにくいわけです。現実に、二十数万の部隊のことを内局がすべて把握するわけじゃないですから。軍事行政の分野と部隊の分野は違う体制で防衛庁はあるわけです。したがって、この部隊の分野における規律維持とその担保手段は、我が国は独自にとらねばならないな、この違法射撃報告を聞いただけでも私はそういう意見を持ちます。  さて、具体的にどうしてもそれが必要だということを、昨年三月の工作船事件に例をとってお聞きしたい。  あれは停船せしめ臨検せよという命令で、その命令どおり船がとまって、中から手を上げて出てきた。出てきた人間が軍服を着ておった。そして捕虜の待遇を要求した。このときに、我が自衛隊に彼を国際法上捕虜の待遇として処遇する制度があったのかどうなのかということをまず長官にお聞きしたい。
  128. 瓦力

    瓦国務大臣 まず初めに、私が報告書を読みましたときに、内局内部ということを間違えたようでございますが、大変失礼いたしました。  それと、捕虜としての扱いは今できるのかねという御質問でございますが、現在のところ、それらまでの体系整備はできていない、こう申し上げてよろしいかと思いますが。
  129. 西村眞悟

    西村(眞)委員 実は、命令を発したのは、停船せしめ臨検せよですね。そして、百五十トンの船にこっちは正真正銘の軍艦を出しておるわけですね。向こうから見たら軍艦ですよ。それが、投降してきたというときに、国際法上処遇する体制が我が国にないということは、漁業法違反で警察が手錠をかけて引っ張っていかざるを得なかったということになります、現実問題として。  それをやれば国際法上どうなるかといえば、国際法違反です。手錠をかけて引っ張っていった警察官は国際犯罪人になる。国際法は、捕虜は指定された資格のある士官によってのみ尋問されるとあるわけです。そして、捕虜は人道をもって扱い、虐待、略奪、嘲笑されてはならない、捕虜には捕虜の取り扱いに関する現行の条約及び他の有効な国際法の規定に基づく権利を認める。我々は、捕虜に対して国際法上の権利を認め得る体制になく停船せしめ臨検せよという命令を発しておったことになります。  この一事とっても、やはり我々の軍事領域に関する特別刑法がどうしても必要である、そして軍法会議、軍の内部でそれを自律的に裁く体制が国際法的にも要求されておると言わざるを得ないわけですね。  長官が先ほどの東中委員質問の最後に、防衛庁自衛隊における問題をこれから鋭意取り組むと言われたのは、私はこの部分に期待したいのです。過去のことを小じゅうとみたいに言っていても仕方がない、この問題から教訓をいかに引き出すか。  そして、我々は昨年三月、一番危険なことをやったんです。鋭意、命令どおり行った人間が、その命令が実行されて、向こうが手を上げてきて、実はおれは北朝鮮の軍人である、捕虜の待遇を要求すると言った場合に、我々は、防衛庁長官の命令を果たすべく行った隊員が国際法違反の犯罪人になるということをやっておるわけです。これこそ我が国の防衛行政における最大の欠陥であり、また違法射撃事件における教訓もここにあるわけですね。  どだい、五年前のことが防衛庁内部で再点検によって明確になったのではなくて、どこのだれかか知らぬ外部から、言葉が悪いですけれどもチクりのようになって防衛庁が大騒ぎする、こういうふうなだだ漏れの体制を許しておいては、いざというときに、この委員会もきょう一日そのことにかかり切っておって、引っ越しを控えた防衛庁自身が数カ月この問題にかかり切っておるではありませんか。そういうふうな体制を放置しておけば、いつ何どき、どこのだれかはわからぬけれどもハッカーのような者が、過去の、五年さきか三年さきかはわからないものを効果的にマスコミに流して反キャンペーンを張られても、それに対抗できない、組織防衛できないではありませんか。こういうことが重大な教訓であると私は申し上げたい。  先ほど長官が正直にお述べになったことは非常に重いことだと私は思いますね。それを認められた以上、いかにすべきかというのは、政治家であり、かつ二十数万の部隊の統括者である長官の今や具体的責務となったと私は思いますので、有為ある人材が多い防衛庁において鋭意御研究の上、それを具体化していただきたい、このように思います。  私の質問長官の今の御答弁でほぼ目的を達したわけですが、一昨日、防衛庁開所式がありまして、これもまた関連するんです、だから聞きますが、開所式における内閣総理大臣がなぜ来賓なのか。内閣総理大臣自衛隊最高指揮官である。最高指揮官が来賓なのか。例えば、ある会社の新社屋開設式において、代表取締役が来賓としてあいさつする会社がどこにある、こういう違和感を私は持ちました。持ったということを言っておりまして、これは持った方が正しいんです、最高指揮官ですから。最高指揮官が来賓だというその組織がどこにありますか。ということは、結局これが明確になっていない。  防衛庁長官、内閣総理大臣は、総理府の長、総理府の外局の長という行政の長であると同時に自衛隊最高指揮官という軍事組織指揮官としての地位がある、この二つがあるんだ。一昨日あったのは行政府の長としての地位だけでした。しかし、二十六万は何のために税金を投入して日々訓練をしているのかといえば、もちろん、いざとなれば国家を守るために、内閣総理大臣最高指揮官のもとに祖国を守る行為をなさんがためである。したがって、最も重視されるべきは、祖国を守る行為をなさんとする部隊最高指揮官がだれかということを常に明示しておって、開所式においてその方が来賓ではないということは明示しなければならない。  したがって、その指揮命令系統を進むならば、内閣総理大臣防衛庁長官、統幕議長に来るわけです。したがって、あのときのあいさつも統幕議長にさせねばならないでしょう、制服の最高位ですから。内局の最高位は事務次官です、軍事行政の最高位は。しかし、何のために軍事行政があるかといえば、部隊維持するためにあるわけです。内局の最高位の事務次官があいさつするならば、統幕議長もあいさつしてしかるべきだ、これが防衛庁という祖国防衛の自衛隊組織を持った官庁の一つの構造であると私は思うんです。  したがって、防衛庁の構造というものを押さえていただいた上で聞きますけれども、各国に出している防衛駐在官、駐在武官は、だれの名代として国際法上扱われておりましょうか。
  130. 瓦力

    瓦国務大臣 駐在官は、身分は外務省の所掌のもとにその任につくわけでございます。
  131. 西村眞悟

    西村(眞)委員 外務省の職員なら、私服を着てうろうろして、外務省の指令に基づいて、もはや防衛庁の人間ではないわけですけれども、防衛駐在官は、任地で制服を着て勤務しておるわけですね。したがって、各国ではだれの名代として扱われておるかと私は聞いたわけです。それは言うまでもなく、制服の最高位の統幕議長の名代なんですね。特命全権大使は国家元首の名代であり、防衛駐在官は制服の最高位である統幕議長の代表として扱われておる。したがって、軍人として扱われておるわけですね。  したがって、先ほどのその防衛駐在官を出しておる防衛庁としては、統幕議長の権威というものをやはり守らねばならない責務もあるわけですね。また、統幕議長の権威を、地位を確保する、もう少し高める、式典においての扱いにおいても、高めることによって、今外務省と防衛庁の間で防衛駐在官をいかに処遇すべきかという議論をしておるわけでしょう、昭和三十年に、法律の規定にかかわらず、一切の通信は独自に行ってはならないとか、ああいうふうな事務次官同士の申し合わせは効力がないんだと。  だから、物の本質。国際社会は、ナショナルデーの招待状を送る相手、大使館に対して、特命全権大使と防衛駐在官のトップに送るわけでしょう。その送られるトップはいかなる名代なのか。そしてそれは軍隊の構造に由来している、防衛庁の構造に由来しているんだ。そして、その名代とは制服の最高位の統幕議長の名代である、これをしっかりさせておって外務省と話して初めて世界各国が従う国際法にのっとった国際礼儀を我が国も防衛駐在官に与えることができるのではないんですか。  したがって、先ほどの答弁は、正しいですけれども、なぜ制服を着ているのかということについて、また、なぜナショナルデーにおける招待が特命全権大使と防衛駐在官のトップにだけ与えられるのかという物の本質において不十分な答弁であります。  長官は、防衛駐在官、駐在武官というものは、現体制が今外務省と協議中であるならば、制服の最高位である統幕議長の名代だという本質を外務省との間で詰めるという今の思いを持っておられるかどうか、これはお聞きしなければなりません。
  132. 瓦力

    瓦国務大臣 西村委員のお尋ねでございますが、確かに、両省庁間の人的交流全般のあり方につきまして、見直しの中で実質的な改善を図るべく外務省と協議を行っておるところでございます。  なお、西村委員の御質問に対しまして、また、御意見に対しまして、それだけの法体系の整備なり、基本的な問題を整備するまでには、もう既に戦争を経て半世紀を経ておるわけでございますが、それぞれまだ準備態勢をとる問題が幾つかありますし、国民の理解も得なければなりませんし、各党、各議員によるこれらの問題の理解、議論もまた必要だと考えております。よって、私は、私見を述べるよりも、そういうどうあるべきかということにつきまして今後一層研究をしてまいりたいと考えておるところであります。
  133. 西村眞悟

    西村(眞)委員 よろしくお願いいたします。  議員各自の意見とかいうことを聞いておりましたら、先ほどの質問でもあらゆる意見が出てくるわけですから、だれかが決断しなければならない、そしてお国のために何をなすべきかはわかっておるわけでございますから。  先ほどの御答弁で最大のものは、やはり停船して臨検せよという命令を発したけれども、その命令どおり手を上げて上がってきた人を国際法上処遇する体制が我が国にはないということを長官の口から明らかにされたことです。  さて、最後に、これは長官にぜひお願いしたい、防衛庁にお願いしたいわけですが、一昨日の後で、私はいろいろな退役した自衛官の方々とお会いする機会がありました。常々思っておることですが、即応予備自衛官の制度以上に必要なのは予備役将官制度である。一人の指揮官をつくるのは膨大な国費と多くの訓練を要する。果てに、一人の指揮官ができるわけですね。その指揮官を退任した方々は、やはり予備役将官として一つの制度をつくる中で、処遇する必要があるだろう。  思えば、予備役というものは非常な国家の財産であります。例えば、日露戦争、第四軍まで編成しましたけれども、多くは予備役から軍司令官に復帰していただいた方であります。乃木希典さんもそうであります。短時間で指揮官は生まれません。兵隊は数カ月の訓練で生まれます。しかし、指揮官こそは我々は国家の財産としてもっと待遇をよく処遇すべきだと思いますね。これは故事を引くまでもなく明らかですね。  こういうふうな、長年研さんを積んで、そして国費をかけて指揮官となり、しかも今それを退いた方々を放置している国家がどこにあるか。ましてや、我が国はそのような方々をもって、一たん有事のときは、師団の数も旅団に減らしたりしているわけですから、そういう方々のいわゆる最後の御奉公にまたねば防衛体制はできないわけですから、この問題はどうか御考慮なさっていただきたい。今のままでは余りにも国家の財産をどぶに捨てている。リムパックの指揮をした指揮官もあるわけです、そういう方々。例えば、予備役将官制度の中から特命全権大使が赴任する、人材をプールする、これは非常に有効なことだと思いますよ。外交官が軍事を知っているということは、特命全権大使が軍事を知っているというのは非常に有効なことなんですね。  また、インドネシアへ行けば、いつも前の陸幕長が、これは永野茂門さんですが、行ったときのことを、かの国の陸軍中将サイデマン、これは駐日大使をされた方です、彼がいつも永野閣下はお元気か、よく日本が制服をもって我が国を訪問してくれたといまだに感謝しておりますね。こういうふうな軍人、制服というものは国を超えた友情の輪がやはりその世界にあるわけですから、これを活用して我が国の国益に資するというふうな姿勢で、先ほどの御答弁、私の質問の前の御答弁、防衛庁自衛隊の問題を鋭意取り組むと言われたことに対処していただきたい。よろしくお願いいたします。  質問を終わります。
  134. 西村章三

    西村委員長 次に、辻元清美君。
  135. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党、社民党の辻元清美です。  私もまず最初に、森内閣総理大臣が、日本の国はまさに天皇中心とする神の国であるということを国民にしっかりと承知していただくとの思いで活動してきたというような発言を、十五日に、神道政治連盟国会議員懇談会の結成三十周年記念祝賀会のあいさつでされたことについて、幾つか確認をさせていただきたいと思います。  といいますのは、この発言は、外交問題や、それから日本の、私たちが国会でさまざまな政策を立てていく上での基本を崩しかねない危険性をはらんでいると私は考えているからなんです。  そこで、まず防衛庁長官にお聞きをしたいと思います。  私たちは現在、特に過去の侵略戦争の反省に基づいて日本の外交や安全保障政策を遂行していっていると私は考えていますが、長官はいかがですか。
  136. 瓦力

    瓦国務大臣 振り返って、第二次世界大戦を経て、我が国は廃墟の中から、新しい決意のもと、出発をしたわけでございます。  今委員がおっしゃるように、我が国は近隣諸国からも尊敬を集める国にならなければなりませんし、また人類の発展のために有為な国家にならなければなりませんし、平和を愛した国家でなければなりません。そうした大きな目指すものを持ちながら国家を形成していくという委員のお考えに私も同感でございます。
  137. 辻元清美

    辻元委員 さらに防衛庁長官にお伺いしたいのですが、そうしますと、過去の侵略戦争を引き起こした思想的なバックボーンに戦前の皇国史観があると私は考えておりますけれども長官もそのようなお考えでしょうか。
  138. 瓦力

    瓦国務大臣 種々いろいろなものが私はあったかと思うわけでございますが、皇国史観につきましても一つのよりどころとしてありましたことは否定できません。
  139. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、私は戦後の生まれですから、当時の教育勅語を朝から皆で読んだというような話は祖父母から聞きました。その教育勅語や、それから天皇を現人神とする考え方などがセットになってこの侵略戦争のバックボーンをつくっていったということは具体的に否定はできないと思いますが、長官、いかがでしょうか。
  140. 瓦力

    瓦国務大臣 私もまだ幼き年齢でございまして、父が、私は恐らく最後の兵隊だろうと思いますが、出征をいたしまして、フィリピンで戦死をいたしました。当時の世論、私は八紘一宇であるとか、神国である日本がこれからますます旺盛に力を得ていくというような雰囲気が漂っている時代に子供のころを過ごしておったわけであります。委員は、世代はまたかわりまして、その後の世代に生きておられるわけでございますが、私どもはそうした時代の中で新しい時代を求めていくということで、新憲法のもとに、戦後、新たな歩みをしておるわけでございます。よって、これから我が国の将来につきましては、そういう希望なり平和なりというものをしっかりと後世に伝えるような、そういう国であらねばならぬと私は思っております。
  141. 辻元清美

    辻元委員 この森総理の御発言は、今に始まったことではなくと申し上げると失礼かもしれませんけれども、この一週間ぐらいの間に、教育勅語についても御発言があり、国会で問題化いたしました。私は教育勅語というものが侵略戦争に日本が進んでいく上で一つの牽引車になったというように判断しております。  そういう意味で、長官にお伺いしたいのですけれども長官教育勅語についてはどのようなお考え、評価をお持ちでしょうか。
  142. 瓦力

    瓦国務大臣 教育勅語につきましては、私はここで論評し、かく考えると申し上げるほどの能力は持ち合わせておりません。といいますのも、教育勅語は私たちの時代には、もはやそれを教室の中で、また地域社会におきまして論ぜられること自体がなくなっておりました。しかし、私は、述べられておることの中に、大切にしていかなければならないものが宿っておるという感じも持っております。
  143. 辻元清美

    辻元委員 今の御答弁の中で、二つちょっと申し上げたいと思うのですけれども、論評する能力を持ち合わせておりませんという御答弁でした。私は、防衛庁長官をお務めですので、この教育勅語についての御見解がないというのは、先ほど申し上げましたように、日本安全保障政策、これは、過去の反省やさまざまな歴史の中の出来事にのっとって、今新しい形で進めていらっしゃるというような趣旨のことをおっしゃいましたので、教育勅語について明快な評価をお持ちでないというのは、ちょっと心外なんです。  さて、その中で、今おっしゃいました、いいことも宿っている。森総理も、教育勅語についてはいい点もあれば悪い点もあるとおっしゃっているわけですね。どうですか、長官、いい点についてはるる森総理などはお述べになっているわけですけれども教育勅語そのもの、もしくは教育勅語が戦前に持った意味、どういう点が悪い点だとお考えですか、長官は。
  144. 瓦力

    瓦国務大臣 私は、教育という大きな基盤は自由であってもらいたいと思います。しかしまた、一方において、兄弟が和していくことも大事な問題、ある種の哲学を持っておると思っております。  それで、私は、論評するにそれだけのものを持ち合わせておりませんというのは、当然率直に申し上げておるわけでございまして、委員からそのことにつきまして御批判も伺いますが、そのようなことを含めて、整理をして持ち出すものが私には整理されていないということを率直にお答えしておるわけでございますので、改めた機会にまた自由にお話をさせていただくことができれば、その節に申し上げたいと思います。
  145. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、戦前の日本軍、そして戦前に引き起こした侵略戦争、これをどのように総括して、現在日本が外交及び安全保障の政策を遂行しているのか。これは、長官としては一番の大きな、それこそ長官の仕事のバックボーンになるような考え方をしっかり持っていただかなければ困ると思います。  さて、その中で、そうしますと長官は、具体的にちょっとお聞きしたいのですが、戦前の日本軍と現在の自衛隊の違いは何だとお考えですか。どこが違うと思われていますか。
  146. 瓦力

    瓦国務大臣 いろいろ私に対してお聞きになりたい点があるようでございますが、きょうはそういった問題を含めて、テストを受けているような感じがいたしますが、申し上げまして、一九九五年の村山総理の談話につきましては、この示されておりますことは、私は大切なことだと考えております。このことは、さきの質問者にもお答えをいたしました。我が国が過去の一時期に植民地支配と侵略により多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、これらに対する深い反省とおわびの気持ちに立って、世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていくというものと承知をいたしております。今申し上げて、村山総理談話を持ち出させていただきました。  なお、第二次世界大戦の反省、果実というものについて、いいもの、悪いもの、こういうような御質問でございましたが、私は歴史家でございませんので、今申し上げるというよりも、当時の軍隊とそして今の自衛隊は、明らかに憲法という国の基盤、法律が違います。また、そういう中で我々は戦争を放棄いたしまして、また近隣諸国と手を携えることによって平和を安定せしめたいということ、こういうことで自衛隊を今日まで育ててまいりました。多くの国民の理解も得て育ててまいったわけでございますが、まだ依然として、地域には緊張を余儀なくされておる問題もあります。また、一方におきまして我が国は自然災害にも襲われますし、そういったことにつきまして自衛隊は、果敢に国民のための助っ人として、また協力者として働いております。また、国際的にも、PKO等にも協力をいたしまして、その大きな足跡を残しておるわけでございます。  私は、自衛隊が今日的な意味におきましてよく努力をしておる、さらに一層磨きをかけていきたい、こう願っておるものでございます。
  147. 辻元清美

    辻元委員 今そうおっしゃいました自衛隊不祥事につきましては、後ほど質問させていただきますが、さて、その中で、森総理発言に戻りますけれども、今るる答弁されている趣旨に反するような御発言だったのではないかと思うのです。神の国発言ということが言われていますが、それ以前の侵略戦争に対する評価、それから教育勅語に対する評価、そして、日本天皇中心とする神の国であるということを国民にしっかりと承知していただきたいというような御発言は、これは一連の発言としてとらえるべきだと思うのですよ、長官。  それで、私は先ほど申し上げました皇国史観ということにこだわりますけれども、今の日本運営していく上で、私はこういう発言をされる総理はちょっと不適格ではないかなというように思いますが、長官、いかがですか。
  148. 瓦力

    瓦国務大臣 それぞれ国政に携わる議員にとりまして、個人の発言もありますし、政党の主張もありますし、また、それは総理をして適格かどうか、だれを推薦するかということは自由でございます。私にその答えを求められれば、私は、このたびの総理の御発言は適切さを欠いたものもあるということで、率直に申し述べさせていただきました。  きょう、総理がこのことについての御発言もあったようでございまして、内閣総理大臣として、日本国憲法に定める主権在民、信教の自由について、これを尊重、遵守することは当然のことであり、誤解を生じたとすれば申しわけないことであり、おわびをしたいということ、誤解を生じたことについての総理の御発言の中に、このようなことも申しておられます。
  149. 辻元清美

    辻元委員 私は、ほかの大臣がこういう御発言をされていたら更迭というところまで行っているのじゃないかというように思います。いろいろな大臣や政務次官がこの間も更迭というような形での辞任をされていますけれども総理大臣ですから、だれかが更迭するわけにいかないのでなっていないだけで、大臣であればそういうような事態に至っているのではないかと思います。私は、森総理大臣にやめていただきたいというように思います。  さて、河野外務大臣にお聞きしたいのですが、きょうの新聞によりますと、中国のトウカセン外相、そして韓国でもこの森総理発言が波紋を呼んでいるということでした。私も、先日トウカセン外相にもお目にかかりまして、これからの日中関係について積極的に前向きな議論をさせていただいた者の一人なんですが、非常に残念なんです。  そういう中で、特に近隣諸国に対して、外務大臣もしくは外務省として、この発言に対する何か釈明なり、釈明と言わずまでも何かコメントを出されるとか、大使館にアクションをされるとか、そういうことは予定ありますか。
  150. 河野洋平

    ○河野国務大臣 今、瓦長官からお話がありましたように、総理は、本日の参議院の本会議におきまして、御自身が真意を改めて述べられて、説明をされたと伺っております。私もまだ詳細を聞いておりませんが。ということで、このいわゆる森発言の真意が正しく伝わるということになれば、今議員がおっしゃるようなことは一切必要のないことだと思います。  また一方、そういうことをするまでもなく、現時点におきましては、近隣諸国の中では、もう我が国の歴史認識については、村山総理談話以来一貫した歴史認識を持っておるということについては多くの理解をいただいているわけでございまして、その点について疑いの余地はないのではないかというふうに私は思うほど、それぞれの国の反応は、今のところ私の手元に多く届いてはおりません。  もし、こうした発言について何らかの誤解等がございますれば、森総理発言をもとにしてその真意をしっかりと説明をしたい。と同時に、我が国の歴史認識については村山談話がいささかも揺るぐことはないということを申し上げたいと思っております。
  151. 辻元清美

    辻元委員 一点だけ今の御発言確認させていただきたいんですが、多くは届いていないという御発言でしたので、どことどこ、もしくはどういうところからリアクションが来ているか御報告いただけますか。
  152. 河野洋平

    ○河野国務大臣 正式に、何か政府レベルで日本の外務省に話があったという報告は聞いておりません。  しかし、たしかテレビでしたか、新聞でしたか、日本から行かれた、北京を訪問された方との会談においてこの問題についてお話があったという報道を、一点私は目にしております。
  153. 辻元清美

    辻元委員 それでは次の質問に移らせていただきたいと思うんです。  先ほど、日本の外交や安全保障については、過去の侵略戦争の反省が新しい外交や安全保障に変えていく一つの大きな原因というか基礎になっている、もう一つは、唯一の被爆国であるという点で、核の政策に対して日本がどういうイニシアチブをとっていくかということも非常に重要だと思っています。  そこで、今ちょうど、五月十九日が最終日と聞いておりますけれども、国連本部においてNPT再検討会議が開催されていますが、そのことについて二、三確認させていただきたいことがあります。  まず、政務次官にお越しいただいておりますけれども政務次官は、現場日本の代表ということで行ってこられまして、特に、これは記者会見の御発言だと思いますけれども、核問題をめぐる状況は非常に厳しいという率直な御意見を述べられて、核兵器国とそれから新アジェンダ連合の橋渡し役は日本が進めていくべきだというような御発言をされています。私、インターネットでその発言もいただいているんですが。  去年の十一月にも私はこの問題について河野外務大臣と議論させていただきました。特に、ここで日本がどうイニシアチブをとれるかというのは、二十世紀、もうあと残すところわずかになりますが、二十世紀の最悪のものはやはり核という、これを私たちが持ってしまったというところで、二十世紀最後にここの方向性を明確に日本がリーダーシップをとって終結の方に向けていきたいというように私は思いますので、しつこくこれはこの委員会で取り上げています。  さてそこで、この橋渡し役としてどういうことを現場でされてこられたのか。特に、この新アジェンダ連合については、最近かなり発言力も持ってきていますし、国際的な認知度も高まっておりますので、具体的にどういう橋渡し役をされたのか、お聞かせください。
  154. 山本一太

    ○山本(一)政務次官 今の辻元委員の御質問なんですけれども日本が調整役、橋渡し役として努力をしているというのは、主に言うと次の三つだと思います。  一つは、先ほど現場でと言われましたが、事前のことでございますが、このNPTの運用検討会議というのは、開催前には多くの国の間でこれを成功させることが未来の核軍縮、核不拡散に重要だという認識が薄かった点がありまして、この点は、例えばアルジェリア出身の、今のバーリ議長というなかなか指導力のある方がおられるんですけれども、この方を日本に呼んでいろいろな意見交換をしたり、あるいはアメリカ、主要国に日本政府として働きかけをして、とにかくこの会議を成功に導かなければいけない、こういう働きかけをまず事前にしたということが一つでございます。  それから、今先生のおっしゃった現場でのことなんですけれども、これはもう委員御存じかもしれませんが、NPTの二十年近い歴史の中で、恐らく初めて日本が今回具体的な八項目提案というのをいたしました。オーストラリアとの共同提案になったわけなんですけれども、実は、これは事前にかなり多くの国と協議をしておりまして、このメンバー国の間でかなり合意が得られる内容だということで、カットオフ条約なんかについては年限も示してかなり踏み込んではいるんですけれども、ある意味では、新アジェンダ連合、核兵器国との間の調整をするための一つのベースを日本が提供したという意味で、現場でのこれが一つの橋渡し役としての貢献ではないかと思います。  もう一つは、今委員おっしゃったように、いよいよ会議も数日となりまして、十九日の取りまとめに向けて恐らくナイトセッションが続いております。五つの委員会全部未合意のままで各議長が議論の報告書を今本会議に出しました。ですから、その中で今日本としては、例えば登軍縮代大使とか阿部ウィーン代大使とか、あるいは服部軍科審なんかを送って、議長に対する働きかけ、関係各国に対する働きかけ、新アジェンダ連合、核兵器国に対する働きかけを通じて、とにかく、できるだけというか、全体のコンセンサスが得られる文書ができるように、これを失敗させないようにという気概で今調整役を務めております。
  155. 辻元清美

    辻元委員 今、政務次官の御発言の中に、未合意の議長報告という御発言がありました。それについて幾つか確認させていただきたいんですが、五月十一日に出されました専門部会一のペーパーを私は今ここに持っているんですけれども、ちょっと細かい話ですが、特に今議論の一つの焦点になっています新アジェンダ連合の七カ国が提示したもののうちの、主文一と言えばおわかりになると思いますが、これが十七番目に入っております。私は、これをこのまま生かして、この主文一だけでも最終文書の中に入るように日本は働きかけたらどうかなと思っているんですが、それはいかがでしょうか。
  156. 山本一太

    ○山本(一)政務次官 今辻元委員のおっしゃった主文一というのは、アジェンダ連合が核兵器国に対して求めた全体的な撤廃をするための明確な約束と、それからあと二〇〇五年までの加速された交渉、この二つを中心とした主文一だと思うんですけれども。  率直に申し上げまして、日本政府としては、河野大臣のもとでずっといろいろな動きをする中で、このアジェンダ連合の考え方と共通な点というのはかなり多いと思います。しかも、核兵器国のない世界を一日も早く実現するという意味ではかなりの考え方の類似点があると思いますが、しかし、これも委員御存じのとおり、核兵器国との間に意見の違いがあるわけでして、残念ながら、一日に核兵器国が出した声明というのは五年前の再検討会議の原則を確認したにとどまっているということがありまして、ここをすり合わせなければいけない。つまり、主文一みたいな考え方は一つの考え方としては評価するのですが、これがまとまらなくてこの会議が失敗してはどうしようもないということで、日本としては、やはり新アジェンダ連合と核兵器国、あるいはすべての参加国が合意できる、やはり合意形成のために調整努力をしたい、こういう立場です。
  157. 辻元清美

    辻元委員 そうですね。五月一日に共同声明という形で五つの核兵器国が出した文書についても、私手元にあるのですけれども、残念ながら、これですと、今までからちょっと進歩が見られないのではないかということなんですね。字句その他を一つ一つチェックしていくとそんなに大きな違いはないわけですけれども、ちょっと発想自体が違うのではないかと思いますので、この声明とこの主文一、これの中をとるというのでは、なかなか、いつもこういう文書は中とってちょっとあいまいにさせてということになるらしいですが、私は主文一の方を支持していまして、さらなる努力をぜひお願いしたいということをここで申し上げておきたいと思います。  外務大臣も前回、この新アジェンダ連合については随分苦渋の選択でいろいろな決断をされた、前回棄権という行動日本はとっておりますけれども、まず一歩進んで、やはり主文一については、特に日本政府もその趣旨をよく理解した行動をとっていただくようお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  158. 河野洋平

    ○河野国務大臣 今、山本政務次官から御説明を申し上げましたように、新アジェンダ連合の発想と私どもの考え方は、その方向においてそう違いはないと思います。ただ、新アジェンダ連合は、大変に畳みかけて、時間を切って急速な核廃絶を求める、こういう主張をしておられるわけですが、それらは核保有国の合意がなければ実効は上がらないわけでございまして、核保有国にそうした我々の考え方を認めさせるためには、国際世論をどうやって盛り上げていくかということが非常に重要だというふうに思っているわけです。  したがいまして、昨年の国連総会の折の決議につきましても、議員と大分ここでお話をさせていただきましたが、我々として大変つらい、厳しい判断ではありましたけれども、私どもは、核保有国を含めて合意のできる最終案をつくるということを考えたわけでございます。  今、山本政務次官が御説明を申し上げましたことは非常に重要なことだと思いますのは、つまり、五年前に核拡散防止についてこれを無期限延長をしたわけですが、その無期限延長をして以来、五年ごとに運用の検討会議をしようという、その最初の五年目にことしぶつかっているわけで、この最初の五年目の運用検討会議が、表現は悪うございますけれども、いいかげんな決着を見るということになると、次の五年目は、さらに状態としては希望が小さくなっていってしまう。何としても最初の五年目のこの会議で、やはり核拡散防止について半歩でも一歩でも前進をさせる、そういう合意を見たい。そして、五年ごとの会議はやはりそれなりに意味を持つものであるということをここで確認をしたいという気持ちがあるものですから、余り議論がかけ離れて、何の合意もできずに終わるということは、我々はとりたくない。  まだこの時期にそういうことを言うことも少し早過ぎると思いますけれども、最後まで我々は粘って、少しでもよりよい合意をつくりたい。最後まで頑張るつもりでおりますけれども、そうした気持ちを我々は持ってこの会議に臨んでいるということでございます。
  159. 辻元清美

    辻元委員 あと二日ありますので、粘り強い交渉をぜひお願いしたいと思いますし、今こういうような軍縮会議等々もインターネットで、世界じゅうの一般の市民、それからNGO、そして政府関係者にも即座にどこの政府がどういう行動をとったかということが知れる、そういう時代になっていますので、国際的な世論の動向というのは、やはりある程度期限を切ってこの際決断しないとという世論がもう随分高くなってきていると思いますので、その辺御配慮をいただきまして、粘ってください。  時間が参りましたが、私は、やはり過去の侵略戦争の反省、そして、唯一の被爆国として核廃絶に向けてのリーダーシップを日本がとっていくことこそ最大の予防外交である、日本安全保障にとっても予防外交であると思いますので、この二点についてきょうは質問させていただきました。  防衛庁不祥事については、時間が参りましたので、また時を新たにして質問をさせていただきたいと思います。以上です。
  160. 西村章三

    西村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十五分散会