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2000-04-18 第147回国会 衆議院 安全保障委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十八日(火曜日)     午前九時三十五分開議  出席委員    委員長 西村 章三君    理事 下地 幹郎君 理事 中谷  元君    理事 浜田 靖一君 理事 船田  元君    理事 上原 康助君 理事 島   聡君    理事 遠藤 乙彦君 理事 佐々木陸海君       安倍 晋三君    浅野 勝人君       伊藤 達也君    池田 行彦君       石破  茂君    今村 雅弘君       嘉数 知賢君    高村 正彦君       佐藤  勉君    阪上 善秀君       下村 博文君    中山 利生君       西川 公也君    野田 聖子君       萩山 教嚴君    桧田  仁君       福田 康夫君    松本  純君       御法川英文君    宮下 創平君       森  英介君    吉川 貴盛君       渡辺 具能君    伊藤 英成君       桑原  豊君    冨沢 篤紘君       中野 寛成君    前原 誠司君       遠藤 和良君    草川 昭三君       佐藤 茂樹君    中路 雅弘君       東中 光雄君    西川太一郎君       西村 眞悟君    米津 等史君       辻元 清美君     …………………………………    外務大臣         河野 洋平君    国務大臣    (防衛庁長官)      瓦   力君    防衛政務次官       依田 智治君    防衛政務次官       西川太一郎君    外務政務次官       江崎 鐵磨君    政府参考人    (防衛施設庁長官)    大森 敬治君    政府参考人    (外務省北米局長)    藤崎 一郎君    政府参考人    (運輸省航空局長)    岩村  敬君    政府参考人    (海上保安庁長官)    荒井 正吾君    安全保障委員会専門員   田中 達郎君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   嘉数 知賢君     下村 博文君   高村 正彦君     野田 聖子君   中山 利生君     森  英介君   福田 康夫君     御法川英文君   宮島 大典君     桧田  仁君   山崎  拓君     渡辺 具能君   山中あき子君     松本  純君   吉川 貴盛君     今村 雅弘君   伊藤 英成君     前原 誠司君   平田 米男君     遠藤 和良君   東中 光雄君     中路 雅弘君   西村 眞悟君     米津 等史君 同日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     吉川 貴盛君   下村 博文君     嘉数 知賢君   野田 聖子君     高村 正彦君   桧田  仁君     宮島 大典君   松本  純君     山中あき子君   御法川英文君     福田 康夫君   森  英介君     中山 利生君   渡辺 具能君     山崎  拓君   前原 誠司君     伊藤 英成君   遠藤 和良君     平田 米男君   中路 雅弘君     東中 光雄君   米津 等史君     西村 眞悟君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣提出第一八号)     午前九時三十五分開議      ————◇—————
  2. 西村章三

    西村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として防衛施設庁長官大森敬治君、外務省北米局長藤崎一郎君、運輸省航空局長岩村敬君及び海上保安庁長官荒井正吾君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西村章三

    西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 西村章三

    西村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下地幹郎君。
  5. 下地幹郎

    下地委員 自由民主党の下地でございます。質問をさせていただきます。  四点についてきょうは質問させていただきますけれども、たまに河野外務大臣から、与党らしくない質問をすると怒られるときもありますけれども、国を思うばかりでありますから、少々厳しくなってもお許しをいただきたいと思っております。  きょうは、一点目はPCBの逆送の問題についてちょっと御質問をさせていただきたいのですけれども沖縄でもPCBの問題、非常に大きな問題がありました。  嘉手納基地の中でPCBの投棄があった、一九六〇年代から七〇年代にかけてあったということで、地域住民から物すごく大きな影響が出るのではないかという心配をいただいて、やったわけであります。そのときにはアメリカ側も二回調査団を派遣していただいて、そして当時の、今もそうでありますけれども嘉手納基地スミス司令が、マスコミにきちっとオープンにしたり、いろいろなことで、疑問を持っていることに関して、いかにして前向きにこたえるかという姿勢が非常に評価をされたということもあります。  そして、私も当時沖縄開発庁の政務次官をしていましたけれども外務省防衛施設局、そして環境庁、あと施設庁ですか、四つチームで、私が団長になって、三回も私どもは検査に立ち会ったわけでありますけれども、結果的には、アメリカ政府報告書では、六・二五ppmのPCB検出をされた。しかし、その六・二五ppmは人体には全く影響ないということでありました。そして、日本側調査においてはPCB検出をされなかった。  そういうふうなことを考えると、これからこういう環境問題に関しては日米共同チームでおやりになる方がいいのではないかということも外務委員会でも質問させていただきましたけれども、私は、先進国同士でありますから、共同でこういう環境問題をやるということは大事だろうと思っております。  今度、今新聞紙上でも大きく取り上げられておりますけれども、このPCBを含んだ有害物質カナダアメリカ本国に輸送するというふうなことで、両方から拒否をされたということになって、この拒否をされた船がきょうまた横浜の方に入ってくるというふうなことになって、七時半に入ってきて、八時半から荷揚げをするというふうなことでありますけれども北米局長、この事実関係だけちょっと御説明をお願いしたいと思います。
  6. 藤崎一郎

    藤崎政府参考人 お答え申し上げます。  今下地議員がおっしゃられたとおりでございまして、この船は、米軍PCBを含みます廃棄物カナダにおいて処理するという方針で輸送いたしましたが、これが実現いたしませんで、戻ってこざるを得なくなりまして、一時的に横浜港に本日荷揚げされるということになると承知しております。これはあくまで一時的な保管でございまして、アメリカ側も、一カ月以内に再輸送するという方針を発表しているところでございます。
  7. 下地幹郎

    下地委員 そうすると、アメリカサイドはもう一回本国に受け入れるという理解でいいわけですね。
  8. 藤崎一郎

    藤崎政府参考人 実は、本件の再輸送先について、私どもとして承知しているわけでございませんが、本件につきまして、非常に大きな問題であるということで、アメリカ側に、十分配慮した措置をとるようにという申し入れをしてまいりまして、その話し合いの結果、アメリカが今申し上げたような措置をとることにしたわけでございます。  この輸送先について、私どもとして今承知しているわけではございません。
  9. 下地幹郎

    下地委員 輸送先がわからないというのは、局長、本当はおかしな話で、わからないはずはないんですよ。そういうことを言うからおかしくなるんだけれども。  それで、米軍基地の中というといつでも治外法権だというふうな話をしているわけですから、米軍基地で発生したものが、アメリカ本国で他国からの持ち込みを禁止する国内法に抵触して入れないというのは、私からするとちょっとおかしな話。これは、米軍基地が使い分けをしている。あるときは治外法権だと言いながら、あるときは、ここは国内法に抵触するからと言って入れないとか、そういうふうなことを言っているようではちょっと問題があるというふうに思っているんです。  それで、話を進めたいんですけれども沖縄にもあるDRMO、余剰物質処理所というところが、これはキャンプ・キンザーの中に入っているわけでありますけれども沖縄にどれだけのPCBを含む有害物質があるのか、どれだけ残されているのかというのを一点お聞きしたい。  そして、今度このキャンプ・キンザーから運ばれたというふうなことになっていますけれどもキャンプ・キンザーの中には港湾はないわけでありまして、この有害物質を持ち出して、那覇港になるのかどこになるのかわかりませんけれども、運び出すときに日本政府に通告があったのか、そしてそれを日本政府沖縄県に通告して、一般道を通って運んだのかどうなのかというその事実関係と、二つをちょっとお願いしたいと思います。
  10. 藤崎一郎

    藤崎政府参考人 先ほどの下地議員のお話でございますが、米軍施設・区域は治外法権ということではございませんで、地位協定のもとで管理米軍がしているということでございます。  ただいま御質問のございました二点、すなわち今どれだけのものが保管されているのかという点につきまして、これは流動的ということでございまして、私ども具体的に説明を受けているわけではございません。また、搬出に当たりましてどのような経路をとったのかということについては、実は連絡を受けておりません。
  11. 下地幹郎

    下地委員 この地位協定の問題が今論議を呼んでいますけれども地位協定をこれからもっと多くの皆さんに理解をさせるには、このような問題がオープンにならないとだめなんです。日米安保を認めながらも、こういうふうな問題に関して日米の両国が県民にきちっと教えるということ、これは理解が深まることでありますから、ファジーにすることが問題だと思うんです。  きょうはこの問題だけで追及するわけにいかないので、追及という言葉で失礼しましたけれども、長くはお話しできませんけれども、この問題の最後外務大臣にお願いしたいんです。  今こういうふうな流れになっていて、やっていくと、最終的には日本政府の中でこういうふうな有害物質処理施設をつくることが私は賢明じゃないかなと思うんです。その方が逆に、オープンにして、日本政府がつくって、ある意味ではアメリカじゃなくて日本の方で処理していくという形を整えられる方が私は理解が深まると思うんですけれども、この部分に関していかがでしょうか。
  12. 河野洋平

    河野国務大臣 少なくとも現時点では、米軍のこうした廃棄物については米軍において処理をするという考え方を我々としてはとっていってほしい、支持したいと思っております。  今下地議員のお話しになりました考え方は確かに一つのアイデアだと思いますが、少なくとも現時点におきましては、この種のものは米軍において責任を持って処理するということでやってきているわけでございますし、今、私どもは直ちにその方針を変えるという気持ちはございません。  議員の御提案は御提案として、私承っておきたいと思います。
  13. 下地幹郎

    下地委員 私のPCB代表団としての経験からしますと、共同でこういうふうな環境問題をやるというのは地域住民からすると非常に安心をもたらすものでありまして、できたら、これはアメリカがとかという、もう日米安保条約、お互いの国を守っていくという意味での条約でありますから、日米でこういうふうな問題にも取り組む姿勢というのがいいのではないかなということを私は提案させていただきたいと思っております。  それで、航空局長、時間だといいますから、嘉手納RAPCONの、この前の外務委員会でも少しやらせていただきましたけれども、バックアップという言葉じゃなくて、今嘉手納RAPCONがありますけれども、今のRAPCONが壊れると、それを補佐する仕組みがないので、日米の間で合意をした内容を踏まえて、私は外に新たな施設をつくって、そこで日本アメリカ共同で訓練をしておいて、嘉手納の今のRAPCONを将来はなくして、そしてアメリカ共同でやっている今の仕組みを将来は日本だけでやって、沖縄那覇に、鹿児島にも名古屋にも二つレーダー基地があるわけでありますけれども、管制塔があるわけですけれども、そのようなことをやるとむだにもならないし、早目に新設のものをつくってやるという方向を示した方がいいのではないかというふうなことを申し上げているんですけれども、これはいかがでしょうか。
  14. 岩村敬

    岩村政府参考人 下地委員指摘RAPCON施設の問題でございますが、御承知のように、先般のコーエン国防長官外務大臣に対します発言を受けまして、今、日本側への移管について米軍との協議を行っておるところでございます。  その中で、施設整備、それからやり方等々を協議していかなければならないわけでございまして、今のところ、どういう施設でどうやるかというところはまだ協議がついておりませんので、これをできるだけ急いで協議し、そして、御指摘のような施設整備、一刻も早くできるような体制ができるようにしたいというふうに考えております。
  15. 下地幹郎

    下地委員 先ほど私申し上げましたように、新しい施設をつくると、この前の電力の切断事故だとかそういうふうなもので四時間も民間空港がとまったという経緯を踏まえますと、そういうふうなトラブルに見舞われなくなりますから、そのことに対して、アメリカ側早目要求をして、もう返還も決まったわけでありますから、その段取りの方法を、日本側としては共同施設を新しくつくってやるということを提案する気持ちはありませんか。
  16. 岩村敬

    岩村政府参考人 まさにその施設を、どういうものをつくるかもこれからの相談事でございますが、ただ、一点、現在米軍が使っている施設と今度我々が整備しようと思っているもの、時代のずれもありますし技術の進歩もございますので、米軍がそういう新しい施設で操作ができるか、運用ができるかという問題もございます。  いずれにしても、そういう施設整備運用の問題、すべて米軍協議をいたしませんといけませんが、今先生からのせっかくの御指摘でございますので、今後の協議の中で施設整備、時間がかかりますので、そういったものについて早く結論が得られるように努力をしていきたいというふうに考えております。
  17. 下地幹郎

    下地委員 RAPCONの問題は、アメリカとの協議の中で、信頼関係をどう構築するかということが一番大事でありますから、新しい施設アメリカがノウハウ的に追いつくとか追いつかないという論理展開は、私は根本の的が外れていると思いますよ。  これは新しい施設をつくって共同でやろうという姿勢を示すことから、このRAPCONの問題が、日本への返還決定が速やかに行われる条件整備として一番いいことでありますから、私はその提案を早くやっていただきたいなというふうに思っております。  そして、今度は三点目でありますけれども普天間基地移設の問題を少し質問させていただきたいのです。この新しい施設をつくる予算と申しますか、それはどちらが出してやる予定ですか。
  18. 大森敬治

    大森政府参考人 お答え申し上げます。  普天間基地移設につきましては、昨年末の閣議決定におきまして、代替施設軍民共用空港念頭に置いて整備を図るということになっております。  そこで、その施設整備内容でございますけれども工法ですとか具体的建設場所につきましては、今後、政府部内またさらには沖縄県、名護市との間で十分話をいたしまして、また、アメリカとも緊密に協議する必要があると思います。  そういうことで、現時点軍民共用空港建設経費負担あり方につきまして、具体的に申し上げられるような状況にはございません。
  19. 下地幹郎

    下地委員 これはおかしい話で、どこに場所をつくるかどうかというのはこれからありますけれども、この経費をだれが出すかもまだわからないわけ。  方法二つしかないのですよ。一つ民空だから空港特会でつくるのかというのと、防衛施設局がつくるのかという二つしかなくて、それそのものも決まっていないとおっしゃるのですか。
  20. 大森敬治

    大森政府参考人 お答え申し上げます。  現在の普天間基地移設ということになりますと、軍用施設を移転するわけでございますので、これにつきましては、SACOの最終報告で、閣議決定にありますように、政府として適切な予算措置をとるというふうな中において、原則として、政府といいますか防衛施設庁の方でその経費負担するということになろうかと思うのでございます。  現在進めております代替施設整備方向といたしましては、先ほど申しました軍民共用空港念頭に置いてということでございまして、その民間部門の需要ないしその構想をどういうふうにするかということにつきましては、これから具体的にその検討を進める過程にありますので、その面で、現在において経費負担につきまして十分な詰めができておりませんので、先ほど申しましたように、具体的に申し上げる状況にないということでございます。
  21. 下地幹郎

    下地委員 これは決まっているのですね。施設庁がつくって、財産アメリカ軍になるわけですよ。そして、三沢基地と同じように、民航が使ったときに、民航が今三沢でお金を払っているように、払うのか払わないのかというやり方をどうするかという話であって、だれがつくるかというのは防衛施設局がつくる、そして、その財産アメリカのものになる、それで、アメリカのものになって、そこに民航がおりたら民航使用料を払う、そういうふうな形になるのじゃないの。
  22. 大森敬治

    大森政府参考人 先ほどお答えしました繰り返しになるかと思うのでございますけれども、現在、政府部内また県ないし名護市との間で、軍民共用空港は具体的にどういうものを考えるかということにつきまして、現在その話を進めているところでございまして、今先生指摘のような点も含めましてこれから検討しなければいけないわけでございますので、そういう意味で、具体的な経費負担あり方につきまして申し上げることは難しゅうございます。
  23. 下地幹郎

    下地委員 そういうことを言っているから普天間の問題は前に進まないのですよ。  施設庁長官、聞いておいてくださいよ。  沖縄には三千メートルの飛行場那覇空港にあるのですよ。今度運輸省は三千メートルの飛行場をまた沖合展開してつくりたいと言っている。下地島空港に三千メートルの飛行場がある。北部軍民共用といって二千五百メートルか三千メートルの飛行場をつくる。観光客四百五十万から五百万人、百二十万の地域に二千五百メートルから三千メートルの飛行場四つもあるわけですよ。これは、僕は沖縄だから、つくれるのだったら幾らでもつくってください、景気よくなりますからと言うわけにはいかない。それは国民の税を使ってやるわけですから、どうやって効率的に使うかというのを決めなきゃいけない。  私が今申し上げているのは、沖合展開をやるのだったら、北部空港軍民共用は三千メートルとか二千五百メートルを使ったら、これは余り効果は出てこないと私は思うのですね。もし沖合展開をやらないで三千メートルつくるのだったらその方がいいというふうに思うのです。だから、どっちかを選択しなければいけない時期に来ていると私は思うのです。しかし、去年の十二月に決めてからこの五カ月間、その論議がない。もう概算要求になる。そして、財界だとかいろいろなところで沖合展開をやれと言っている。これは、防衛施設庁がしっかりと方向性を早く示さないからずるずるこうやって今なっているのです。  航空局長にこれだけお聞きしますけれども、こういうふうに、私が今言っているような、施設庁がつくって、そして米軍管理になってやる場合に、今三つ税金を取っているわけですよね。着陸料燃料税航行援助施設利用料という三つ税金を取っているわけですけれども、そういうふうな段階のときには、私が言ったような形になったら、この税金航空局としては取る権利はないのじゃないですか、施設局がつくった場合に関しては。
  24. 岩村敬

    岩村政府参考人 普天間代替飛行場の態様がどうなるかは今防衛施設庁長官からございましたが、仮に三沢と同様な扱いになるという委員の御指摘に立った場合に、現在三沢空港につきましては、実は着陸料を国が徴取しております。その理由は、一つは、米軍三沢飛行場管理しておるわけですが、そのための滑走路維持管理費民間で一部負担をせいということで、そういう協定がございます、それに基づきまして、運輸省から米軍の方に管理費を払っておる。  それから、米軍施設だけではなくて、民間が使用するエプロン等施設、これはみずから民間の方で整備をしておるわけでございまして、運輸省整備をしておりますので、その費用が要るということで、実は、着陸料については航空会社から他の空港並に徴取をしているところでございます。  それから、航行援助施設利用料でございますが、これについては、離陸から着陸までの運輸省が提供しております航行援助サービス航空機が受ける、その対価でございますので、これについても、米軍飛行場から出る場合であっても徴取をしております。  また、最後航空機燃料税でございますが、これは航空機の使用する燃料に課税でございますので、三沢から発着する飛行機からも徴しております。  そういうことで、三沢の例に倣うのであれば、今度の代替飛行場を利用される航空機について、着陸料、そして航行援助施設料、そして航空機燃料税について徴取をすることになろうかというふうに考えております。  ちなみに、現在、沖縄については、十四年度末までの時限ではございますが、今申し上げたそれぞれの費用につきまして大幅な減免措置を講じているところは委員承知のとおりでございます。
  25. 下地幹郎

    下地委員 今申し上げましたように、三沢と同じ形だと同じような税金が取られるという形になる。沖縄だけ今二分の一だとか六分の一だとかということで、この政策は観光客を伸ばしているわけですけれども、あの北部軍民共用という基地を、政策的に向こうに軍民共用という要望がある基地をつくる場合は、この税制のあり方そのものを問い直した形でやっていかなければならない。だから、施設局がつくって米軍管理をしてというふうなことになると、どうしても米軍にいろいろな形で使用料を払わなければいけない状況になってきますから、この新しい軍民共用というものはノータックスになれる空港になるのかどうか。空港特会でつくるものじゃないわけですから、そういうふうなものをしっかりと考えた中で、仕組みをうまいぐあいにつくりながら稲嶺知事が言っている軍民共用を考えていただかなければならないということをしっかりと提案をさせていただきたいと思っております。  そこで、外務大臣にお聞きしますけれども、これは、去年の十二月に決まってから、協議会がスタートしない、そして、全く前に進んでいない。私ども地元国会議員でも何がどうなっているのか意味がわからないのですよね。ちょっと裏話を聞くと、サミットが終わるまではもう騒がないようにしておこうという論理一つ。  サミット論議とこの普天間移設の問題は別レベルの問題でして、あの十万人のど真ん中にある普天間は一日も早く返還をしなければいけないという橋本総理そして小渕前総理の思いが込められてこの仕事はスタートしているわけですから、サミットサミット、この問題はこの問題、そういうふうなことを認識して、長さの問題から、工法の問題から、環境の問題から、事務方にお任せをするのではなくて、積極的にやっていく必要があると私は思っております。  そして、北部の振興策は大事であります。やらなければいけないことはもう今でもやっています。しかし、それと並行して、普天間移設の問題が前に進んでいるかというと、進んでいない。このことを、外務大臣の方からもっと積極的に明確にサミットとは関係なく進めるのだということをやっていくことが大事だと私は思っておりますから、ぜひお願いをしたいと思っております。
  26. 河野洋平

    河野国務大臣 御指摘のとおりでございます。  普天間基地移設、移転につきましては、サミット以前から普天間基地周辺住民の非常に強い希望もあってこの問題は提起をされているわけでございまして、このことが、サミットと絡めて何か少しブレーキを踏んでいるのではないかというふうにお考えの方があるとすれば、それはそうではないのでございまして、まさに議員がおっしゃるように、サミットサミットとして粛々と準備を進める、普天間の移転、移設については、普天間移設についてさまざまな角度からの検討が国内でまず行われるということが重要でございまして、それらの点については私どもも十分承知をしているつもりでございます。
  27. 下地幹郎

    下地委員 外務省としては、サミット関係なく進めていただく。  防衛庁長官、一言、五月中に協議会を開いてきちっとやるというふうな方向性を、やはり政治が引っ張らないと、役所にだけ任せているとこの問題はずるずるいきますから、ぜひ、担当部署としておやりになるということを明快にお話をなされることが大事だと思うんです。
  28. 瓦力

    ○瓦国務大臣 下地委員の御質問につきましては、委員が土地の事情、住民の感情、これらを熟知しておられる方でございますし、また御要請も非常に熱意のこもったものであることは承知をいたします。  今御質問の点につきましては、同施設軍民共用空港念頭整備を図ることといたしておりまして、民間部分のあり方につきまして沖縄県のお考えも十分お聞きをする、拝聴する中で協議機関の設置時期等について相談をしてまいる、こういうことになっておるわけでございます。昨年十二月二十八日の閣議決定、これらを踏まえまして、委員の御要請というものを踏まえながら努力をしてまいりたいと考えております。
  29. 下地幹郎

    下地委員 それでは最後に、十五年問題について質問させていただきます。  使用期限の問題について政府閣議決定をしているわけですけれども、それ以来の発言を見ますと、アジアの安全保障の環境は期限を設ける状況ではないという否定的な発言だとか、期限を設けることは実行できないだとか、その時々の状況や脅威によって決められて、人為的な限定を決めるものではない、これはアメリカ側が言っている。日本側からすると、日米安保の根本にかかわる問題だとか、日米安保を維持する上で代替施設をどうするか検討する必要がある、防衛庁としては難しいとか、ちょっと誤解をされるようなメッセージを他の国々に送るのではないかという否定的な言葉が出ているのですね。  この十五年問題というのは三十年問題なんですよ。きょう、決めるとしても、環境アセスに五年間かかって、建設までに十年間かかって、そして十五年後と稲嶺知事が言っているのは三十年後の問題の話だということをもう何回も申し上げているわけです。三十年後を予想できる政治家はだれもいないと思います。しかし、三十年後に向かってどんな目標を立てるかということを明確にすることは、政治家としては当たり前の仕事なんですね。  今、日本の、アジアの環境、アジアの平和状況を見た場合、大きな影響を及ぼすのはやはり朝鮮問題、そして中台の海峡問題、この二つ日本の安全保障に大きな影響を及ぼすものだと私は思うんです。だからこそ、日本は、拉致問題がいろいろありながらも、国連機関を通して食糧の十万トンの輸出も行っているのは、北風方式じゃなくて太陽方式だよ、そういうふうな和解をしていかなければならない、そして、日本政府方向としては、中国の問題も、一国二制度、一国主義を持ちながら、そして対話をしてくれという日本側姿勢は今でも変わらない。  そういうふうな姿勢をすると、日本は確実にアジアの平和の問題に向かって、外交的にはその方向を示しているではないですか。それと、いざこの十五年問題になったら、いや、それはもう自分たちとしては予想ができない問題だから論じることはできないと言うことは、その二つの問題に方向性を示している国が、この二つの問題で影響を受ける問題に関してその予想がつかないと言うこと自体が、私は何か矛盾を感じる。  そこで、私どもが、沖縄側が申し上げたいのは、三十年後には基地はなくしますよという断定をしなくても結構です、目標の設定はしっかりしてもらいたい。そして、アメリカのアーミテージさんの構想が言っているように、完成してから十年後で協議会を開きましょうよという提案をしているわけですね。これは、ブッシュ政権の中の国防問題のブレーンとしてそうおっしゃっている方でありますけれども。  私は、この期限問題を、ただ単にアメリカ提案ではなくて、日本側から提案する。完成するのに十五年かかりますから、十年後までに協議会を開いて、完成をしたら五年ごとにその協議会を開きながら、この基地をどういうふうな方向でやるのか、縮小の対象にしてどうしていくのか、それとも、そのときにアジアの不安定な状況があったらそれはもう動かさないというのはだれでも決まっていることでありますから、この段取りと目標をはっきりと今示さないと、基地問題に対する一つ理解というのが得られないのではないかなというふうに私は思っているのです。  三十年という時間は長い時間でありながら、しかし、ゆっくりと基地問題を解決できる、利益になる考え方だと私は思っていますから、その辺のところを外務大臣に、積極的な外交姿勢基地問題に対する姿勢アメリカ協議をしてぜひ見せてもらいたいということを提案をさせていただきたい。  そして、具体的に県民にもわかるように、いつまでも右左の論議ではない、基地をすぐ全部なくせという論議も、もうこれはナンセンスです、しかし、経済のために基地をいつまでも持っていなければいけないという話ももうナンセンス。整理縮小の方向は決まっているわけですから。だから閣議決定しているわけですから。そのことをぜひ真剣に考えてコメントをしていただきたいなというふうに思っております。
  30. 河野洋平

    河野国務大臣 下地議員の、いつもながら大変郷土を愛し、そしてまた未来を考えた御発言に感銘を受けております。  確かに、我が国を取り巻く国際情勢については、今議員がおっしゃいましたように、朝鮮半島の問題があり、一方で中国周辺の問題があり、単純化すればそういう二つの問題が極めて大きな問題であるということは、おっしゃるとおりだと思います。  しかし、日米安保条約に基づいてここに米軍のプレゼンスがあるということが、総じて周辺の安定とか平和維持のために大きな役割を果たしているという前提もまた考えなければならないわけでございまして、こうしたことなども十分考慮の上、したがいまして、日米両国首脳が日米安保共同宣言などでいろいろと双方の意見の交換をしておられる、考え方のすり合わせをしておられるわけでございます。  私どもといたしましては、今議員が御指摘のとおり、外交政策によって、できるだけこれら周辺状況を肯定的な状況にするべく最大の努力をするというふうに考えておりまして、そのために、現在、朝鮮半島でもこれまでと少し違った動きも見えてきておりますし、そうしたことを十分注視しながら、願わくば問題の根本的な解決が行われるために努力をしたいというふうに思っております。  沖縄の皆様方のこれまでの御負担、お気持ちを十分承知をしながらも、これから先、できる限りの努力をいたしたいと思います。
  31. 下地幹郎

    下地委員 もう時間ですから終わらせていただきますけれども、またいろいろな委員会でお会いをさせていただきまして、論議をさせていただきたいと思っております。これはもう私どもにとってどうしても大事な論議でありますから、しつこいと思わずに、よろしくお願いを申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。
  32. 西村章三

    西村委員長 次に、前原誠司君。
  33. 前原誠司

    前原委員 民主党の前原でございます。  瓦長官に、長官になられてから大分たちますけれども、私も、質問をさせていただくのは初めてでございますので、まずは、御就任おめでとうございますと、おくればせながら申し上げたいと思います。  それと同時に、ちょっと思い起こしてお話をしたいのは、入間基地の航空自衛隊の飛行機が落ちました。亡くなられた方には改めて本当に心から御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、また、そのときにとられた態度というのはまことに立派だったというふうに私どもも考えております。  その中で、第一報を受けたときに、断片的な情報しかありませんで、入間の基地の近くで落ちたということで、大変なことが起きたなと私は思いました。大臣には恐縮でありますけれども、因縁を持った方だなというふうに思わざるを得ない部分がございました。「なだしお」の事件で、一回目の防衛庁長官のときにその責任をとられておやめになられたわけでございますし、今回も、住宅地に落ちているとすれば大変な被害になって、責任をおとりになるかどうかは別として、これについては非常に複雑な気持ちで心を痛めておりました。不幸中の幸いといいますか、パイロットの方々の努力によって、河川敷に落ちて、住民に対する被害というものはなかったということで、これはこれでよかったなと思うわけでありますけれども、そういう大変な状況の中で日ごろの訓練を行い、万が一の状況に備えている隊員の方々のお気持ちを考えたときに、今の安全保障、あるいはもっと狭義に、防衛問題を考えていけば、ハードは、ある部分不十分な部分もございますけれども、ある程度の整備はできているんだろうというふうに思いますが、それに比べてソフトの面というのはかなりおくれているんではないかというのが私の認識でございます。  ガイドラインの特別委員会のときに、参考人質疑の中で、以前統幕議長をされておりました佐久間さんが来られて、同じようなことをおっしゃっておりました。ハードの議論よりも、周辺事態法もそうでありましたけれども、ソフトの議論というものをしっかりやっていただきたい、こういうお話でございまして、私も全くそれについては同感でございました。  したがいまして、きょうは、大臣には、防衛庁が用意された答弁書もあるでしょうけれども、ぜひ政治家として隊員のお気持ちをおもんぱかって御答弁をいただきたいということを、ちょっと長ったらしくなりましたけれども、前もってお願いをさせていただきたいと思います。  今回の国会に出されております法改正の中に、昨年三月の北朝鮮の工作船の事案を一つの教訓として、海上自衛隊に特殊部隊をつくるということでございます。それについては異存はございませんし、大変結構なことだと思っております。  ただ、私は、先ほどお話しさせていただいたように、ハードだけでいいのかということが、この法案を目の前にしたときに極めて疑問でございました。つまりは、部隊をつくる、しかし法律は変えないということで果たして真っ当な職務が遂行できるのかということを非常に私は不安視をしておりまして、その点について、防衛庁長官並びにきょうは海上保安庁の長官も来ていただいておりますけれども、御質問をまずさせていただきたいと思います。  昨年の三月に、当時は不審船事案という言い方をしておりましたけれども、朝起きてみれば、いわゆる防空識別圏の外に出て、追跡をやめたということでございまして、結果としては捕まえ切れなかったということでありました。ある意味で安心をした部分というのが、実際問題、私はあったんですね。なぜかといいますと、これは下手に捕まえていたときに、本当にうまく今のハードの部分あるいはソフトの部分をあわせて対処できていたのかと考えると、ちょっとぞっとするような気持ちに私はなったわけであります。  まずは、訓練が余りされていなかったということ。これは今までの国会答弁でも明らかになっております。海上警備行動の発令そのものが自衛隊法ができてから初めてだったということもありますし、そういった部分というのはある程度やむを得ないかなという思いを持っております。  それと同時に、今からお話をするところの基本線になるわけでありますが、海上警備行動にしても、後で質問をいたします治安出動にいたしましても、今は警察官職務執行法の準用によっての武器使用規定になっているということでありまして、それは、海上保安庁とかあるいは警察の方々というのは、逆に、余りにも重装備をし過ぎるということについて問題点があるということはわかりますけれども、ワンランクアップした活動において、本当に警職法の準用でいいのかというところが、私のまず基本的な問題意識であります。  例えば、向こうはかなりの火力を持っているかもしれないし、また、大臣はお忙しいのでごらんになっていないかもしれませんが、私、この間家内と「シュリ」という映画を見てまいりまして、これは韓国の映画なんですけれども、要は北朝鮮の工作員とKCIAのメンバーが恋に落ちるという映画なんですけれども、それを見ていましても、北朝鮮の工作員というのは相当訓練を受けているし、また、北朝鮮から亡命をされた方々の本を読んでおりますと、かなりの過酷な訓練を受けて、そして使命を帯びているということで、火力とかあるいは工作員の練度というものを考えたときに、捕まえなくてよかったなという思いが、これは正直に私はいたしました。  そこで、大臣に対して御質問をいたしますが、海上警備行動というのは、先ほど申し上げたように、警察官職務執行法の準用ですよね。ということは、基本的には、警察官が持ち得るような程度の武器とそれの使用基準ということしかないわけであります。私が申し上げるまでもありませんけれども、正当防衛、緊急避難、それから、いわゆる死刑または無期もしくは長期三年以上の懲役もしくは禁錮に当たる凶悪な罪を現に犯し、もしくは既に犯したと疑うに足りる十分な理由のある者に関してのみ武器使用が認められているということで、しかも、その武器については、警察官が常に持っている程度のものであるということで、果たして、今回の法改正で部隊はつくった、しかし、この警職法の準用ということで、海上自衛隊の隊員の皆さん方がしっかりと任務を遂行するに足りるようなソフトであるかどうかということを考えたときに、私は、かなりその面については不十分だというふうに思うわけでありますけれども、その点、大臣、御答弁をいただきたいと思います。
  34. 瓦力

    ○瓦国務大臣 まず、前原委員、日ごろから幅広く安全保障の問題につきまして造詣深く御指導いただいておるわけでございまして、きょうは、いろいろ御意見を踏まえながら御質問を賜る機会をちょうだいいたしました。  加えて、先般のT33事故につきまして、私どもにとりましても大変悲痛な事故でございました。この事故につきましても御同情賜り、また避けがたい事故でございまして、人家に落ちれば多大な被害を生じておっただろうと思うわけでございます。これらを避けて河川にみずから身を挺したわけでございますが、なお、高圧線、八十万の都民、県民に御迷惑をかける、そういう結果にもなりましたが、私は、一つには、人を含めて大きな惨事に至らなかった、覚悟の飛行であったと実は私も考えるものでございまして、まず、亡くなられた方々に、私もこの席をかりまして、同情並びに哀悼の意を表したいと思うわけでございます。  さて、ハード面のみならず、今後は幅広く考えていく課題があるではないかということにつきまして、昨年三月のいわゆる不審船事案、ちょうど私の能登半島沖ということになるわけでございますが、この事案が生じました。防衛庁としてなし得る限りの必要な措置を実施したところでございますが、結果として、当該不審船を停船させ、立入検査をすることができなかったわけでございます。しかし、自衛隊創設以来初めての海上警備行動を発令することによりまして、不審船対処に係る断固たる我が国の決意を内外に示すことができた、かように存じておりますし、この種の事案の発生に対する極めて大きな抑止力になっている、かように考えるものでございます。  また、事案の発生後、内閣官房を中心としまして「教訓・反省事項」が取りまとめられました。防衛庁としては、これらの取りまとめを踏まえまして、海上保安庁と初期段階からの迅速、緊密な情報交換、また連携の強化等を実施してきておるわけでございますが、昨年十二月には、その施策の一環として、海上保安庁との間で「不審船に係る共同対処マニュアル」、こういったものを策定したところでございます。これらによりまして、今後、同様の事案が発生した場合に、防衛庁としてより一層適切な対処が可能になるものと考えておるところでございますが、これらの経験、また講じております施策を踏まえつつ、随時、検討、見直しを実施して、不審船対策についての万全を期してまいりたい。かような事案というものを私どもは常に見直しをして、また検討を加えておくということが大切なことであろうと思っております。  これらの教訓、反省におきまして、不審船に適用される国内法令のあり方でございますとか武器使用のあり方、これは、委員も今お触れになりましたが、これらにつきまして法的な検討を行うということとされておるわけでございます。  政府としては、現在、内閣官房が事務局となりまして、引き続き必要な法的整理のあり方について検討を進めておりまして、防衛庁といたしましても、関係省庁の一員として、新たな法制の必要性、非常にこれも、重要さは常に指摘されてまいりました。委員から御指摘のように着手が若干おくれておるかわかりませんが、これらの検討を私どもは進めてまいりたい、こういうことで取り組んでおるわけでございます。
  35. 前原誠司

    前原委員 一番初めにお願いをしましたように、大臣は安全保障の専門家でありますし、いろいろな思いがおありだと思いますので、ぜひ防衛庁長官として、余り読まれなくて結構ですので、御答弁をいただきたいと思うわけでありますが、再度お伺いいたします。  大臣としては、やはり隊員の方々の命を預かられるリーダーであるわけでありまして、そういう観点から、今の警職法の準用で現場の人間の安全が確保できると思っておられるか思っておられないか、その辺、ちょっと御答弁いただきたいと思います。
  36. 瓦力

    ○瓦国務大臣 私は、これからの事案として予想されるもの、想定されるもの、いろいろなものがあると考えます。よって、今のままでいいか、こう問われますと、現在の法制の枠組みの中でなし得ること、さらに加えて、これから新たな法制を求めていかなきゃならぬもの、加えていいますとROEでありますとか、そういったことも含めましてよく検討しておかなきゃならぬ。よって、今委員指摘のように、それで守れるかね、こういう御指摘を直截にいただきますと、極めて今の状況では、これで命をかけて国を守れということは、長官としては、なかなか厳しい環境にあることを率直に申し上げさせていただきたいと思います。
  37. 前原誠司

    前原委員 私もそのとおりだと思いますし、部隊はつくったはいいけれども、基本的に今の武器使用基準では、例えば海上警備行動でしたら、海上自衛隊員の方々に、胸を張って元気に行ってきてくれということは、やはりなかなか言いがたいような状況ではないかと私は思いますので、今の積み上げの議論もあるでしょうけれども、やはり防衛庁長官が、今のままでは問題があるなという御認識を持っておられるのであれば、ぜひリーダーシップを発揮されて、速やかにそういう改善策が政治のリーダーシップによってとれるように御努力をいただきたいということをお願いしておきたいと思います。  同じような質問海上保安庁長官にお話ししたいと思います。  もちろん、一義的に警察活動は、海の場合は海上保安庁がされる。そして、それについて、手に負えないというものについては政府全体が判断をして海上警備行動に移るという流れなんでしょうけれども、その一義的に警察活動をしておられる海上保安庁の責任者、お立場として、これまた海上保安庁法の二十条、これも武器使用は警職法の準用ということが書かれておりますけれども、これで十分だと思われるかどうか、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  38. 荒井正吾

    荒井政府参考人 今の御質問、特に不審船の対応についての警職法七条の準用が十分かどうかという質問についてお答え申し上げます。  不審船対応につきましては、海上保安庁に与えられた任務は、まず不審船を停船させるという点にあろうかと思います。停船させるような行為が、例えば武器を使用した場合でも、十分行えるような条件は整備される必要があろうかと考えております。  昨年三月の不審船事案発生後、「教訓・反省事項」の取りまとめを初め、「共同対処マニュアル」の作成など全般的な対策が推進されてまいりました。海上保安庁といたしましては、これらの検討及びその後の装備の充実などによりまして、今後の不審船事案に対しましてはより適切な対処が可能になったと考えております。  今委員指摘の、武器使用の条件整備のために法的な緩和が必要かどうかという点につきましては、不審船対応に係る法的な整理については、現在、内閣官房を事務局として関係省庁において検討されております。海上保安庁も、その一員として積極的に参画しておるところでございます。  いずれにいたしましても、法執行機関でございます海上保安庁は、これまでの検討及び今後の装備の充実及び諸般の検討の進捗を踏まえまして、海上自衛隊とも協力いたしまして万全を期したいと考えておるところでございます。
  39. 前原誠司

    前原委員 先ほど申し上げましたように、警察機関である海上保安庁と、その後の仕事をする自衛隊の役割分担というものはおのずと違ってくるんだろうと思いますし、今防衛庁長官やあるいは海上保安庁長官からお話があったように、本当にうまく連携をとり合い、情報も共有し合い、スムーズにそういった協力態勢がとれるような部分というのは、これは、法律の整備の問題もさることながら、やはり運用とかあるいは訓練の話というのがかなり大きいと思いますので、ぜひそれは積極的にお互い協力し合って、部署が違うということではなくて、一緒に国を守るという観点から行っていただきたいということを改めて要望させていただきたいと思います。  次に、危害射撃についてお伺いしたいのでありますが、現段階においては、例えば停船のための措置としての非危害射撃というものはできるということで、この間の工作船についても、当たらないように、威嚇射撃という言い方をするんでありましょうか、そういうものは行ったということでありました。それ自体も初めてのことであったということでございますけれども。  しかし、危害射撃については、凶悪な犯罪者であるかどうかというところは非常に大きなポイントになるわけで、不審船というからにはだれが乗っているかよくわからない、その中で、もし、とめるだけの、いわゆる人に危害を与えない非危害射撃ができればいいですけれども、小さな船であった場合には、火力の大きい装備しかなかった場合等々、やはり危害射撃になるかもしれないということで非常にちゅうちょせざるを得ない状況があると思うのですね。  ただし、やはりこれからは逃がすということではなくて、基本的には捕まえて、そして取り調べをして、どういう意図で不法に侵入してきたのかということも明らかにした上で、それを今後の安全保障、防衛体制に生かしていくということが私は必要だと思いますし、先ほど抑止という言い方をされましたけれども、私はその一定の効果というものは今回あったんだろうと思いますが、さらに、やはり捕まえて、取り調べをして、どこの国のだれかという素性も明らかにして、今後に対しての重要な指針にしていくという、そういう国家意思というものが非常に必要なんだろうと私は思いますので、やはりこの危害射撃というものについては、全面的に認めろということではございませんけれども、危害射撃はだめなんだという状況の中で非危害射撃までかなり制約を受けている現状においては、この問題も、法的な問題かあるいは運用の問題か、先ほど大臣がおっしゃったROEの問題か、よくわかりませんけれども、やはり何らかの改善というのが必要なんだろうと思いますが、大臣、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  40. 瓦力

    ○瓦国務大臣 我が国は、長い海岸線でございますし、国民の平和なり安全を希求する、こういった熱意は非常に強い国民でございます。  それに対応して、政府は何をなすべきか、また具体的には防衛庁が何をなすべきか、またそういうことに遭遇して一義的に海上保安庁がどうあるべきかというようなことは、委員指摘のように、私どもは改めて検討を重ねていかなければならないと考えておりますし、また、先般の能登半島沖の事案は、現行法制の中でぎりぎりの対応をいたしました。  そのことに対する評価もいただいておりますが、次なる課題として、それではそのままでいいのかねということに対する対応は、これは我々としてさらに検討を加えていく必要があることから、先ほど以来の議論になっておるわけでございます。  いろいろ国民の関心も高まっておると私は思いますが、国会におきましてこういう議論もさせていただきながら、加えて、不審船事案に対してどう対応すべきか、そのための法制のあり方、また停船並びに具体的には措置あり方につきまして、今官邸を中心に、こう申しておりますが、私どももよくよく研究をしておかなければならない、こう思っておるところでございまして、委員から改めてそれらの問題につきまして御質問を受けまして、その必要性、重要性というものを今大変感じておるところであります。
  41. 前原誠司

    前原委員 これは先ほどの武器使用の話とも絡んでくるわけでありますけれども、もう一度大臣に率直に御答弁いただきたいと思うのでありますが、今のいわゆる非危害射撃というものについて、かなり厳格な運用をせざるを得ない。  つまり、何かがあったときには、国の命令に従って職務を遂行していた隊員が、いわゆる違法行為を行ったということで処罰の対象になるということでは、これは本末転倒でございますので、その点は私は、やはりこの危害射撃の問題については、ある程度先ほどの武器使用の原則と絡めて、法改正を含めた見直しというものが必要だというふうに思いますけれども、その点について、もう一度御答弁いただけますか、危害射撃について。
  42. 瓦力

    ○瓦国務大臣 私は、委員指摘のような環境というものは、もう相当熟度が高まっておると思うのです。  よって、私とすれば、これは今研究しておる中でございますが、個人的な意見、意思を問われますれば、委員指摘のような方向であるべし、かように認識をいたしております。
  43. 前原誠司

    前原委員 大臣ですから、個人的な意見じゃなくて、それはもう責任者でございますから、ぜひそれは逆にやるということで意思表明をしていただいた方が、隊員の皆さん方も安心して仕事ができるのじゃないかというふうに思います。後で治安出動に関連してまた同じような質問をしますので、その点についてしっかりと御答弁をいただければと思います。  さて、また海に関して、別の観点からちょっと御質問をしたいと思うのでありますが、日本も加盟をしております国連海洋法条約があります。無害通航という考え方があります。これは、無害通航に当たらない具体例というのは、この国連海洋法条約、略して国連海洋法条約でございますが、十九条の2に十二の事例があるわけでございます。  では、この十二の事例の中で、無害通航に当たらないということになれば、国内法整備して、国家として主体的に、条約違反行為を行ったんだということで取り締まれる法的根拠を持つべきだと私は思うわけであります。  しかし、では、この無害通航に当たらない具体例の中で、しっかり取り締まれる法律がすべてあるかなと検証した場合には、ないものが多いのですね。  後で具体的なお話をいたしますが、大臣、これは一義的には警察が当たる問題でございますけれども、海警行動に至った場合は、これは大臣の所管の海上自衛隊がそれに対処するわけでございますが。  つまり、いわゆる登録していた船の名前が、それはもう籍が抹消されていたとか、正規に登録された船が別のところで操業していた、だからおかしいんだということで、法的根拠をえらい遠いところから求めてきてやったわけですね。これはまだましな方でありまして、法的根拠があるからでありますけれども。法的根拠がない場合があるわけですね、後で具体的に申し上げますけれども。  こういう事態を、海上警備行動が発令されたときに部隊を指揮されるお立場として、よしとされるのかどうなのか、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  44. 瓦力

    ○瓦国務大臣 今委員からお話しのとおり、海上における人命、財産の保護または治安の維持につきましては、現行法上、一義的には警察機関たる海上保安庁が担当すべき任務である。防衛庁は、海上保安庁では対応が不可能な、著しく困難といった特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、海上警備行動、自衛隊法第八十二条をとることとされておる、これは前段申し上げながら、先般の事案につきまして、国内法令のあり方や武器使用のあり方につきまして法的な検討を行うこととされておるということも申し上げさせていただきました。また、政府として、引き続き必要な法的整備あり方につきまして検討を進めておるわけでございますが、防衛庁としても、関係省庁の一員でございますから、新たな法制の必要性を含めまして検討を進めてまいりたい、かように考えております。  また、無害通航にかかわる取締法の整備でございますが、これは防衛庁の所掌ではなく、コメントは差し控えさせていただくわけでございますが、どういう姿であるべきかというところに委員が力点を置きながら御質問をいただいておりますので、私も方向性とすれば同じである、こう申し上げたいんですが、今政府全体で取り組んでおる仕事であり、また防衛庁長官としての立場もありますので、若干そこは歯切れが悪くなっておりますことはお許しをいただきたいと思いますが、こういう必要性、重要性、そういう認識は私としても改めて申し述べさせていただきたいと思っております。
  45. 前原誠司

    前原委員 確かに、今大臣がおっしゃったように、法律の問題については防衛庁のみの所管ではない部分がございます。しかしながら、それを放置しておけば日本の安全保障にかなり大きな問題が生じる可能性があるわけで、それの初期消火という意味で、これは警察機能と含めて、政府内での検討では防衛庁長官のお立場としてやはり強く言っていただかなきゃいけない問題だろうと私は思います。  具体的に申し上げますと、例えば無害通航でない通航の中で実体法上の取り締まり根拠がないのは、領海内での徘回とか停留をした場合、これは実体法上の取り締まり根拠はないんですね。それから、日本は、よく言われるようにスパイ防止法というのがありませんので、情報収集をされても取り締まりの根拠がない。それから、軍事機器の発着、積み込み、積みおろしも、これがない。驚いたことに、機雷の敷設というものが明らかになった場合、これは一挙に防衛出動なのかどうかという問題は別にして、一応防衛出動以前の問題としては、機雷の敷設をされた場合にも実体法上の取り締まり根拠がない。  こういうことで、私は、日本の安全をしっかり守れる体制かといえば、そうではないというふうに思うんですね。特に情報収集とか、あるいは軍事機器の発着、積み込み、積みおろし、機雷の敷設というものについて、その法的根拠がなくて、いわゆる国連海洋法条約という条約違反だから出ていきなさいということを海上保安庁が一生懸命やられるだけで、捕まえることができないわけですね、取り締まりの法的根拠がないわけですから。そうすると、先ほどの話じゃありませんけれども、一体何のためにそれをしていたのかということがわからないまま、出ていきなさいというだけでは、やはり国家意思として不十分ではないかと思いますし、国としてなめられるんじゃないかなという思いを私は強く持っております。  そういう意味で、先ほど大臣のお立場として御答弁をされたわけでありますけれども、こういうものを根拠法なしに放置しておくことは、国の安全保障をつかさどられる大臣のお立場としてやはり問題である、こういうことをしっかり御認識をされた上で、内閣の中でしっかり発言をしていただく、そしてその法的根拠の作成に向けて御努力をいただく、そういう意思を表明していただくことが私は必要なんだと思いますけれども、改めて御答弁をいただきたいと思います。
  46. 瓦力

    ○瓦国務大臣 委員の、数々の事例を取り上げての問題指摘でございました。  私は、大きな欠落部分であるということも答弁の中で織り込みながら申し上げてきたわけでございますが、これらの根拠法の整備につきましては防衛庁の所管ということではないわけでございますが、今政府で取り組んでおる、法律をこれから策定もしていく必要があるわけでございますが、そういった中で私ども考え方、意思というものを反映しろという御指摘であれば、その重要性、そういった問題こそ国家がなさなければならない課題でございますから、そういう視点に立ちまして問題提起はしてまいらなければならない、このような認識に立ちます。
  47. 前原誠司

    前原委員 閣議というのは基本的には全会一致で今来ているわけですね。やはり大臣の重みというのは、防衛庁長官というのはいわゆる国務大臣でいらっしゃるわけで、閣議を構成する重要なメンバーのお一人なわけです。そういう大臣が、やはり安全保障を任されているというお立場の中で、私はしっかりとした問題意識を持って、やはりこういうところは非常に欠けているのでしっかりやってくれないと自分としての任務が務まらないということを常におっしゃっていただきながら、やはりこの方向へ向けて努力していただかなければいけないというふうに思いますので、私が質問したからということでなくて、これは多分防衛庁長官も日々お考えになっていることだと思いますので、ぜひ努力をしていただきたいということも改めて要望しておきたいと思います。  海の問題、もし時間があればまたもとに戻ってきますが、次は陸の問題についてちょっといかせていただきたいと思います。  この間東京都知事が発言をされたことで、その言葉の不適切さということで問題になっておりましたけれども、私は、ちょっと違う視点で実は違和感を覚えたわけであります。どういうことかといいますと、外国人が暴れたときに治安出動を発令して、そしてその取り締まりに皆さん方頑張ってもらわにゃいかぬということをおっしゃったんですね。  治安出動というのは、これは一体どういう状況というものを想定した法律条項なんだろうかということを改めてお伺いをしたいわけであります。今までの答弁事例とかを見ておりますと、これをちょっと読ませていただきますと、「間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもつては、治安を維持することができないと認められる場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」こういうことであります。つまり、間接侵略その他の緊急事態。  それで、この言葉にかかわる今までの政府解釈というものは、外国人を想定しているんですかということを考えたときに、今までの答弁ではそうじゃないだろう。つまり、国内のテログループとか反革命運動家とかが警察の手に負えないという状況においては治安出動が下令をされるという認識を私は持っていたんですが、東京都知事がおっしゃったように、外国人が暴れた場合において治安出動が発令されることがあり得るのかどうなのか、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  48. 依田智治

    ○依田政務次官 治安出動というのはやはり、通常の警察力をもってしては対応できないという場合に対して発令された場合に自衛隊が行動するということでございますから、その事態が具体的にそういうものに当たるのかどうかということでございまして、これはいろいろな事態があると思いますので、それについて個々に、こういう場合は当たる、こういう場合は当たらぬというのは、それぞれの状況において判断すべきものじゃないかというように考えております。
  49. 前原誠司

    前原委員 端的にもう一度お答えいただきたいんですが、ということは、今おっしゃった中には、外国人が集団として暴れた場合、騒擾というような状況が起きた場合には、治安出動の下令はあり得るということですか。
  50. 依田智治

    ○依田政務次官 外国人が暴れた場合という想定でございますが、言うなれば、その事態が、我が国の警察力をもってしては対応し得ないというような事態かどうかということで判断すべき問題で、もし生起している事態がそういう事態であるならばやはり対応する場合はあり得る、これは理論的に今申し上げたわけでございます。
  51. 前原誠司

    前原委員 法律は理論じゃないのですからね。実際起きたときに、この条文に基づいてどう行動を起こすかということですから、今の御答弁は、あるということですね、あり得るということですね。これはわかりました。  では、私の理解が浅かったのでありましょうけれども、治安出動は、いわゆる日本人というか、国内で反革命勢力とかあるいはテログループなんかが騒擾を起こして、そして警察力の手に負えないときのみ行われるということではなくて、外国人に対しても、治安出動の下令は警察が手に負えない場合はあり得るということで、確認をさせていただきました。  さて、ではそれに基づいてでありますけれども、さっきのお話にまた戻ります。武器使用のお話、常にここにぶち当たるわけなのですね。治安出動の場合も、どういう法的根拠によって武器使用ができるのかということを見ていけば、これも「警察官職務執行法第七条の規定により」ということが自衛隊法の八十九条に書かれているわけでありまして、どういうものを使ってくるかということは想定しがたいわけでありますけれども、果たして治安出動の場合も、先ほどの海警行動の場合と同様に、警察官職務執行法の準用で武器使用原則たり得るのかということを私は非常に不安に思うわけです。  何もいきなり火力の大きいものを使えと言っているわけではなくて、そういう場合があり得るかもしれない。今総括政務次官がおっしゃったように、日本人でもこれからは非常な火力の開発とか無謀な武器の開発をやってくるかもしれません、オウムの事例を見るまでもなく。なおかつ外国人の騒擾にも治安出動が下令されるということであれば、相当なやはり武器使用基準というものを大きく構えて、そして、大きく構える中で、その厳格な運用、使用については、先ほど大臣が御答弁をされたような中のROEで縛っていく、こういう形が私は本来あるべき姿じゃないかと思いますが、大臣いかがですか。
  52. 依田智治

    ○依田政務次官 先ほどのに関連してお答えをさせていただきます。  警察力をもってしては対応できない場合に自衛隊が出る。ただ、ここで私ども考えなければいけないのは、治安出動というのはあくまでも警察活動としての出動でございますので、武器の使用というものも警察官職務執行法に基づき対応していくというのが基本原則でございます。  それで、先生十分御存じですが、ただ、海上警備行動の場合にはこの規定しかございませんが、治安出動という場合にはさらにいろいろなバリエーションがあり得るということで、先生御存じのように、自衛隊法九十条には、職務上警護する人、施設、物件等の防護のために他に手段がない場合とか、多衆集合して暴行、脅迫し云々というような場合に、事態に応じて合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができるという規定が現にあるわけでございますので、現状においては、我々はこの規定を適用して現行法において対応する。ただ、政府内でいろいろ議論していただいておる中に、果たしてこれだけで対応できるのかというような問題もございますので、これは内閣官房を中心に今鋭意議論していただいておるというのが現状でございます。
  53. 前原誠司

    前原委員 次に質問をしようとしていたところに絡んできますので、次の質問をさせていただきます。  今総括政務次官がおっしゃったように、九十条の一項、「職務上警護する人、施設又は物件が暴行又は侵害を受け、又は受けようとする明白な危険があり、武器を使用するほか、他にこれを排除する適当な手段がない場合」ということがありますね。具体的に、職務上警護する人というのは、その時々に応じて違ってくるのかもしれませんが、警護する場所とかあるいはそれを指定する手続というのが果たして今しっかりと決められているのかということが私は問題だと思うのですね。  実際問題、きょう突発事故が起きて、警察では対応できないから治安出動を下令してくれ、こういう話になるかもしれない。そうしたときに、どういったところがそういう場所であり、人であり、そしてその手続なのかということをちゃんと決められているのですか。その点について御答弁をいただきたいと思います。
  54. 依田智治

    ○依田政務次官 治安出動に関しまして、警察庁と防衛庁では、古い形ですが、取り決めがございまして、何か事態が起こったときは協議して対応するということになっておるわけでございます。今先生指摘のような、いろいろな事態が最近起こってきておるのに対して、具体的にどういう時点でどのような対応をするか、例えば、どういう人を守り、どうするのかというのは、実は細部についての取り決めというものがありません。非常に大ざっぱな取り決めしかございませんので、現在、防衛庁と警察庁で鋭意協議をしておる。海保では対処マニュアルを一応去年の暮れにつくったのですが、警察庁も、治安出動等における警察、自衛隊の連携のあり方、こんなところを今鋭意検討しておるという段階でございます。
  55. 前原誠司

    前原委員 具体的に、物事というのは、ある程度めどをつけて、それまでに結論を出すという政治意思がやはり必要だと思うのです。今おっしゃったように、明確な、具体的な取り決めがないということですけれども、やはりこれはしっかりと決めておかないといけないことだと思いますし、起きてから慌てて議論するというたぐいのものでは危機管理とは言えないわけであります。  大臣、これは警察と協議をする中でしっかりと決める、これはやはりもう大臣が政治意思として決められる話だと思いますので、しっかり御答弁いただきたいと思います。
  56. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいま総括政務次官から答弁がございましたが、警察機関とも協議の上、防衛庁長官や部隊等の長が命令等により指定するいわゆる施設であるとか物件について、また、警護すべき人について、そういうことでこの問題をもう少し明確にしておかなければならぬという御指摘でございます。早くやっておかなければそれはいかぬではないかということも踏まえての御質問でございますが、私どもも、今それぞれの警察関係とも協議、これらも、方向としては早く、言われるように、いつまでという御質問でございますが、時期を明示しろという慫慂でございますが、よくそのお気持ちを体しながら、早く結論を得られるように、大変政治的な検討で申しわけありませんが、取り組んでまいりたいと思っております。  そんなに時間がかかるべき問題ではないと思うわけでございますが、明らかにいつごろまで、こう申し上げるにしてはまだ手元にその準備するものがございませんので、かようにお答えをさせていただきます。
  57. 依田智治

    ○依田政務次官 さっきの補足をさせていただきますが、一応、二十九年というのですから相当古いときに防衛庁長官と国家公安委員長で取り決めた中で、基準的なもので、暴動の直接鎮圧及び防護対象の警備に関する任務分担は、下記のあれによるということになっていまして、また、必要な場合は協議する、暴動の直接鎮圧及び防護対象の警備に関して、おおむね警察力をもって担任し得る場合においては、自衛隊は、主として警察の支援後拠として行動するということ、それから、防護対象の警備に関して警察力が不足する場合においては、自衛隊は、逐次後方の防護対象よりその警備を担任し、警察は、暴動の直接鎮圧を担任する、こういうことで、一般的な形でこうなっております。では、それが具体的にどうかということについては、それぞれ事象によって対応することになると思うので、具体的には決められていない。しかし、今協議していますが、さらにこういう大ざっぱな形でなくて、もう少しブレークダウンした形はあり得るかどうかという点も含めて検討しておるのが段階でございます。
  58. 前原誠司

    前原委員 昭和二十九年といったら原子力発電所なんかなかったでしょう。だから、そういう全く違う状況になっているわけで、危機管理に対する意識とか、あるいはそのときの環境というのは全く違うわけですし、また、日本が危機にさらされると想定されるシミュレーションなんというものも全く違ってくるわけですから、その点は、古いものを持ってきてある程度はあるよという言い方は、むしろ私はちょっと無責任じゃないかなと思うのです。  ですから、現状に対応したきっちりしたマニュアルまでつくっておかないと現場はそれに従って対応できないし、むしろ一般国民に、言葉は悪いけれども、そういうときに乗じて警察、自衛隊が勝手なことをやるんじゃないかと思われたら、これはもう逆転の発想になっちゃうわけですよ。ですから、しっかり決めておいて、そしてROEもしっかり定めておいて、そしてそれに基づいてやれば厳格に職務が執行できるという安心感をやはり隊員の人には与えておかなきゃいけないというところが大きなポイントだと私は思います。またいつの日か、選挙が終わったときにか、大臣、質問しますから、そのときまでにできていなかったら、また、早くというのはいつですかと、もっと具体的に聞きたいと思いますので、ぜひ早急に御検討いただきたいと思います。  さて、さらに九十条に関して、これもよく言われることなんですけれども、多衆集合というのは一体何ぞやということなんですね。つまり、多衆集合して暴行もしくは脅迫をし、またはそのおそれがあるという場合に限ってのことなんですけれども、まず、多衆集合というのは、一体具体的な定義は何なんですか。そして、多衆集合でないといわゆる武器使用が警職法から外れるということにならないのか。
  59. 依田智治

    ○依田政務次官 お答えいたします。  自衛隊法九十条の多衆集合とはということでこれまで言われておりますのは、多数人の集団を指すものである。この場合多衆とは、治安出動下令下という非常事態において、一般民心または一般治安に特に極めて深刻な影響を及ぼすに足る暴行、脅迫をなすに適当な多数人を指すものと考えられる。そういうことで、では具体的にどの程度の数を多衆とするか、これは状況によって一概には言えない、こういうことですが、二、三人というのは多衆とは言えないんじゃないかということで、一般的にはこのように考えられています。その状況に応じて、それが多衆と言い得るかどうかということを具体的に判断していく、こういうように今まで言われておるわけでございます。
  60. 前原誠司

    前原委員 ここはもうちょっと私は精査した議論が必要だと思うのですね。今のような話を聞いていると、一般国民には漠として全然わからないという状況ですし、法律の運用として、ではこの法律に基づいてある程度のマニュアルを移されているのか、あるいはそれについてのROEができているのかといえば、細かいところまではできていないでしょう、今のような話であれば。  では、本当に訓練を受けた少人数がやった場合においては、警察官職務執行法の準用でしかだめですよ、こういうことになれば、私は治安出動が下令された際の隊員の職務執行ということについては、かなり不安があるし、また万全な態勢での職務執行ということにならないと思うのですね。  大臣、やはりここは多衆集合ということの概念をもっと明確にするか、もしくは、やはり火力の変化というか、大きな革新的な変化があるわけですから、私は、そういう意味で多衆集合というもの自体、もう見直す時期に来ているのではないかというふうに思いますが、その点いかがでございますか。
  61. 依田智治

    ○依田政務次官 多衆に関連してですが、言うなれば、今まではデモとか、そういう多衆ということで想定してきたというのが実態でございますが、最近、工作船事件もあり、ゲリラ・コマンドーというようなことになってきますと、多衆ではないけれども相当高度な武器を持ってきておる、警察力では対応できないような事態というのはあり得るのじゃないか。そういうのに対しては、果たして治安出動は発令できるのか、実はこういう基本的な問題がございまして、このあたりも含めて、先生指摘のように、これは警察庁と防衛庁の感覚ではこの問題について特に解決するわけにもいかないわけですが、内閣全体の中でこれは真剣に取り組んでいく必要がある法的な問題じゃないかというように考えております。
  62. 瓦力

    ○瓦国務大臣 昨今前原委員との質疑のようなことは数が少ないわけでございまして、私は国会の質疑とすれば、こうした質疑が繰り返されて、我が国の法制上足らざる問題、またソフトを十分に整備していかなければならない。もう戦後半世紀を経ました、また新しい世紀を迎えておるわけでございますが、公共の秩序の維持という問題は、法律で縛るだけではございませんが、やはり整備が私は必要だ、かように考えます。  今御指摘のように、多衆集合という問題を自衛隊法九十条の問題でお取り上げをいただきました。これらの法的枠組みに適切に対処してまいるということで答弁書ができておるわけでございますが、適切に対処というと、またそれでは役人言葉ではないかということになるわけでございますが、きょうの御質疑を得まして、これらの課題というものは、まさに我々はどう取り組んでいくかという問題でもありますので、私の決意表明もさることながら、今私どもが取り組んでおります課題に触れて、貴重な意見をちょうだいしておりますので、これらを踏まえて一層の調整、努力をしてまいりたい、かように申し上げさせていただきたいと思います。
  63. 前原誠司

    前原委員 ぜひリーダーシップをとっていただいて、きょう質問させていただいた幾つかの点については、具体的な改善が目に見える形で出てくるようにお願いをしたいと思います。それと同時にお願いしたいのは、法律を決めるということと同時に、それに基づいてのマニュアルといいますか、ROEというものをきっちり決めてあげるということが、国民の安心感と同時に、隊員の安心感にもつながるということだと思いますので、その点も含めて御検討並びに改善を目に見える形でお願いをしたいと思います。  時間が差し迫ってまいりましたけれども質問の用意をしたものを幾つか、時間のある限り質問させていただきたいと思います。  自衛隊法の百三条、これは防衛出動時の規定でございます。土地や家屋もしくは物資の収用に関して特例措置がとれるということであります。そしてまた、質問通告させていただいておりますように、災害対策基本法、これは阪神・淡路大震災が起きて以降新たに設けられたことでございますけれども、六十三条、警戒区域の設定とか、退去命令とか、通行禁止区域を設けていわゆる車両の通行制限などを行うという、ある意味での私権制限ということを、防衛出動とかあるいは阪神・淡路大震災を教訓にしての大規模自然災害というところには設けているわけでありますが、では、それの手前である、陸に限って申し上げますと治安出動というものについて、ではそういう規定があるのかどうかといえば、ないのですね。  果たして、先ほどの武器使用ということもさることながら、退去命令なんかをする権限を持たずに、本当にしっかりとした治安活動ができるのかというところに私は非常に大きな不安を持っておりますので、自衛隊法の百三条や災害対策基本法六十三条、七十六条の三、これについて、やはり治安出動にも私は適応するような取り組みというものが必要じゃないかというふうに思いますが、それについて、大臣、御答弁をいただきたいと思います。
  64. 依田智治

    ○依田政務次官 これも法律の関連でございますので、私の方から答えさせていただきます。  再々御答弁させていただきますが、治安出動というのは、警察が一義的にやる問題だ、自衛隊はできるだけ必要最小限にとどまるというのが基本原則になっているわけでございますが、防衛出動というのは、まさに防衛庁・自衛隊がそれに責任を持って取り組むということで法律ができておるわけでございます。災害の場合は、阪神・淡路大震災等の教訓もありまして、これは防衛出動と違って通常の、民間の、警察的活動の一種でございまして、それについては、警察官や市町村の担当者等が現場にいないような場合には、自衛官がその限りにおいて警戒区域を設定したり、自衛隊の緊急車両の通行確保等の措置をとることができるという規定が入っているわけでございます。  治安出動のときに自衛隊にどこまで権限を与えるかというのは、これまではそういう防衛出動のような権限までは入れていないというのが実情でございまして、この点は、政府部内等において、どこまで自衛隊に活動してもらうのかという全体の判断の中で慎重に検討すべき問題ではないのか、このように考えておる次第でございます。
  65. 前原誠司

    前原委員 時間が来ましたので終わりますが、大臣、最後に一点だけ御答弁をいただいて終わりたいと思います。  今総括政務次官がおっしゃったのは百三条の話であって、例えば大規模災害のときのある一定程度の役割を防衛庁・自衛隊に与えるという法改正がもうできているわけですね。災害対策基本法にもう、先ほどからお話をしているように、警察力ではどうにもならないけれども、自衛隊がやはり警察レベルの活動をするということであれば、災害復旧のときと同じような権限とか、そういう法的な根拠というものはあってしかるべきだろうというふうに私は思いますし、それが乱用されないとかいうことについては、先ほど申し上げましたように内訓とかあるいはROEで縛っていく、あるいはマニュアルをしっかり整備していくという中でスムーズな活動ができるようなところというのがやはり必要だと私は思うんですけれども、この災害対策基本法の準用という問題について、大臣、最後に御答弁いただきたいと思います。
  66. 瓦力

    ○瓦国務大臣 時間も差し迫っておるようでございますが、結論から申し上げますと、今御指摘の法制度につきましては、防衛庁のみならず政府全体で実は考え、検討しなければならない必要がある問題でございまして、今委員の御指摘のように、それではその点は十分かねと問われますと、まさにこれからなお検討しなければならない課題であります。  御質問を受けてまた委員の冒頭の御発言に戻るわけでございますが、今ソフトの体制は十分か、こういう課題の中で自衛隊とまた警察権の問題等々について具体的な例を挙げながら御質問をちょうだいしたわけでございます。  私どもは、不備な点は不備な点であるということ、取り組まなければならない問題につきましてはなお取り組んでおることも申し上げさせていただきましたが、時期を急いでやれ、そのことがより国民に安心を与える課題である、こういうような御指摘もありまして、今私ども、内部検討ではございますが、そのあり方論につきまして研究はいたしておりますが、委員の御指摘も踏まえてよく検討してまいりたい、重ねてさように答弁させていただきます。
  67. 前原誠司

    前原委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  68. 西村章三

    西村委員長 次に、上原康助君。
  69. 上原康助

    ○上原委員 民主党の上原です。  最初に、法案について二、三点お尋ねをさせていただきたいと存じます。  今度の防衛庁設置法等の一部改正の内容は、いろいろ目を通してみますと、先ほど同僚委員前原委員からもいろいろお尋ねがあったとおり、かなり議論をしておかなければならない重要な内容が盛られていると思います。だが、民主党も、外交、安保部会あるいはNC等でいろいろ議論、検討して、中身に疑問点もないわけではありませんが、賛成の立場をとるということでありますので、そういうことを前提に、まず、陸上自衛隊研究本部の新設に関することで質問をさせていただきたいと思います。  これは、これまで長年にわたって各研究機関あるいは自衛隊のそういう専門的な学校でいろいろ調査研究をしてきた。それの効率化を図るということで、一元化をして、二十一世紀に向けた新たな組織改革を目指す、これはある面では理解しないわけでもありません。だが、この組織改革に取り組む動機が一体那辺にあるかということですね。その必要性が従前からあったとするならば、なぜもっと早く組織改革に取り組まなかったかという疑問もわかないわけではない。これまでの体制にどのような不十分さがあってこの時点でこの研究本部の一元化というものを考えたのか、その点から大臣の所見を聞かせてください。
  70. 瓦力

    ○瓦国務大臣 上原先生は多年にわたって安全保障の問題について取り組まれた重鎮でございますが、今、今度の研究本部を新設することにつきまして改めて御質問をいただいたわけでございますが、その御質問自体が、私は、今取り組んできた一つの時代からまた次なる時代への課題を担っておる、かようにも考えるものでございます。  今背景についてお尋ねでございますが、いわゆる着上陸侵攻等の侵略事態への対処でございますとか周辺事態への対処、PKO、また国際緊急援助活動への対処でございますとか、あるいは、昨今私どもが格別心配いたしますのはゲリラ・コマンドー攻撃対処、さらに核・生物・化学兵器、いわゆるNBC対処、こういう課題というのが幅広く起こってまいりまして、各種の事態について研究を行ってまいらなければならぬ、こういう事態も背景に持ち合わせるわけでございますが、今日まで研究本部、例えば、航空部隊の研究は航空学校でございますとか、通信部隊の研究は通信学校でございますとか、施設部隊の研究は施設学校というぐあいに、多数分散する学校等におきまして、各職種別に分かれ、陸上自衛隊の研究に取り組んできたわけでございますが、これらを一元的に集約して、総合的な研究を行い得る体制を整備する、そういうことが求められておる、かように考えます。  よって、この研究本部を新設することによりまして、陸上自衛隊の運用また編成、装備、教育訓練等の研究を総合的に幅広く行いたい、こういうことが背景であり、趣旨でございます。
  71. 上原康助

    ○上原委員 あと、後ほどちょっと触れますが、先ほどもありましたように、確かに昨年三月の不審船問題あるいはテポドンの発射とか、また国内的にはオウム事件とかいろいろあって、国民の不安あるいは対内外的な軍事面あるいは治安面、また緊急時における災害対策等々のことも考慮に入れた面もあろうかと思うんですが、その点は理解をしつつも、軍事面が極めて突出する形の研究機関の一元化ということにならない、シビリアンコントロールというか、そういう面の配慮もぜひ長官は持っていただきたいということを要望しておきます。  そこで、今もお触れになりましたが、二点目に、核・生物・化学兵器の研究についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。  マスコミ報道等を見ますと、研究本部では、核・生物・化学兵器、いわゆるNBC兵器についてこれまでも研究しておったが、より一元化した形で研究体制を強化していくということだと思うんですね。これはもちろん、自衛隊なり我が国が核・生物・化学兵器を装備していくということではないと私は理解しているし、またそうあってはいかぬと思う。専守防衛という面でも、防護研究のために実験室を設ける、あるいは兵器用の核物質や化学剤や生物剤を使用した実験を行うことになろうかと思うんですね。そういうようなことについて、これまでは自衛隊としてはどういうことをやってきたのか、あるいは今後一元化する形でどういう研究体制をやっていこうとするのか、この点を明らかにしていただきたい。  もう一つは、特殊武器研究官を設置する、開発実験団及び部隊医学実験隊というものも新編をしていくようであります。それぞれはどのような任務を担うのか、特殊武器研究官というのは何名くらいを任命しようとしているのか、開発実験団及び部隊医学実験隊は何名編成になるのか。  これは、核・生物・化学兵器の研究ということと、万一そういう外的、内的な妨害なりあるいは事態が生起をした場合には対処していかなければいかないということについての理解はしますが、ここまで自衛隊の装備体制もきたかと私なりには思ったりするわけですが、国民の不安を解消するということと、同時に、そこまで充実をしていくということに対して、日本の防衛のあり方について国民がまた新たな疑念とか不安とかいうものを持たないこともないと思うんですね、私は。その面の整合性をどう持たすかということは、情報もできるだけ開示をしてやらないといかない極めて重要な新たな防衛体制のあり方だと思うわけですが、そのことに対する大臣の御見解、あるいは今私が指摘をしたことについての具体的な内容がお示しになれれば、お答えを願いたいと思います。
  72. 瓦力

    ○瓦国務大臣 今上原委員が御指摘のように、いわゆるNBC対処でございますとか、そういう表現が出てまいりますと、どうしてもおどろおどろした、そういう印象を国民に与えて不安が増嵩するようなことが懸念される。また、そういう扱いにつきましては、シビリアンコントロールといいますか、そういったことがしっかり機能しておらなければという御指摘もちょうだいするわけでございますが、防衛庁といたしましては、生物化学兵器の拡散の脅威でございますとか、これまで特に不十分でありました自衛隊の生物兵器対処能力、これを向上させる必要がございます。  かつて私どもは、サリンの問題で、果たしてこれは原因は何であるかということに不安と危惧を持ったときもございました。こういった分野になりますと、私どもはよくよく、防衛庁の作業としても十分に対処能力を持っておらなければならない、こういう点にもかかわりを持って考えるわけでございますが、十二年度予算におきまして、NBC対処関連事業を重視いたしまして、充実強化をしてまいっておるところであります。かかる事業の一つとして、研究本部にNBC研究の専従官、今委員から御指摘の特殊武器研究官、一名でございますが設けることや、NBC兵器が使用された場合の防護に関する運用研究を行うことといたしております。  本年一月の日米防衛首脳会談におきまして、生物化学兵器対処の分野での協力の重要性、必要性につきまして、私とコーエン長官との間で認識が一致したところでございます。防衛庁といたしましては、引き続きこの分野に取り組んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  73. 依田智治

    ○依田政務次官 何人かというお尋ねがございました。  研究本部全体としては、今まで十三に散らばっている研究を一体化して三十九人減らすことにしておりますが、この二百二十人の中に、特殊武器研究官というのは、二佐で一人考えております。  なお、この隷下に開発実験団というのを、これは富士にあるわけですが、この中に部隊医学実験隊というのを置くということを考えておりまして、この部隊医学実験隊というのは約二十名をもって構成することを現在考えております。  以上でございます。
  74. 上原康助

    ○上原委員 これからいろいろ内容的な面は明らかになっていくと思うんですが、旧日本軍の人体実験等々の大変暗い、重い過去の歴史があるということもぜひリーダーの皆さんは念頭に置いていただきたいと思うんです。問題点だけ指摘をしておきます。  次に、ゲリラ・コマンドー攻撃対処、これは内外のゲリラ攻撃に対するいわゆる反撃部隊、特殊技能部隊、適当でないかもしれませんが、ある面では殺し屋集団的な特殊な技能を持つ部隊を創設しようということだと思うのですね。これも不審船問題その他の面からの余波かもしれませんし、また、防衛庁がこれまでいろいろな研究過程からその必要性をお感じになってこういうことになろうかと思うのです。この内容については一々聞きませんけれども、ただ、これまでは各学校でどのような調査研究をしておったのか、少しく簡潔に明らかにしておいていただきたいと思います。  もう一つは、防衛庁のいろいろな資料を見てみますと、米軍との共同訓練もあるのでしょうが、アメリカにコマンドー攻撃対処研究のために派遣をしていろいろ技能というかそういう面をマスターすることかもしれませんが、そういう対米関係はどのように進めていこうとしているのか。これまではどうなのか、これからはどうなのかということが二点目ですね。  もう一つ、先ほどのNBC対処とこれも関連するのですが、ちょっと話が前後して恐縮ですが、部外有識者を中心とした会議、いわゆる生物兵器対処懇談会、仮称のようですが、こういうものもお考えになっておられるようであります。その部外者懇談会、生物兵器対処懇談会というのは一体どういうメンバーでどういうことをやろうとするのか、この二点についても明らかにしていただきたいと思います。
  75. 瓦力

    ○瓦国務大臣 委員からまず御指摘がございましたが、このNBCの問題につきまして、よくよく注意をして取りかかる必要の懸念、お話を今冒頭に伺ったわけでございます。もちろん研究本部ではNBC対処は机上研究を中心に行う予定でございまして、実際に放射線でありますとか化学剤、生物剤を用いて研究を行うことは予定していないものでございます。また、冒頭からの委員の御指摘もございますから、私どもは、シビリアンコントロールといいますか、そのあり方についてよくよく注意を払ってまいりたいと考えております。  なお、幾つかの質問がございますが、ゲリラ・コマンドーの対処能力の充実強化を図るため所要の経費を計上しているわけでございますが、我が国に対する武力攻撃の一形態としてゲリラ・コマンドー攻撃が行われた場合に、自衛隊が、防衛出動等、現行法令に基づき対処することを念頭に置いてこれらの問題に取り組むものでございます。  なお、どういう会議があるかということでございますが、これにつきまして、今政務次官からお答えさせます。
  76. 依田智治

    ○依田政務次官 生物兵器対処に関する懇談会のお尋ねでございますが、生物兵器対処につきましては、自衛隊では今まで本格的に研究を行ったことがなく、生物剤に対する検知、防護等の能力が欠落または未検証であるため、防衛庁ではこの分野における本格的な研究に取り組んでいくことが必要だと考えております。このため、生物兵器が使用される場合に、自衛隊として任務遂行上必要となる検知、防護等の対処能力の向上を図るとともに、今後の自衛隊の装備、運用等の検討に資するため、部外の有識者による専門的な観点からの提言を得ることを目的として、防衛庁長官の私的懇談会という形でこの会を開催することといたしておりまして、現在、五月の下旬に第一回会合をお願いしよう、委員は、その道の専門家、大体八名ぐらいに就任いただいて、検討を行っていこう、こういう考えでございます。
  77. 上原康助

    ○上原委員 いろいろ御答弁がある中でも議論したいのがあるのですが、次の質問もありますので、まだお答えになっていない点で……。  このゲリラ・コマンドー攻撃及びNBC対処関連事業で、今私が言いましたように、模擬訓練施設整備であるとか、ゲリラ・コマンドー攻撃対処のための訓練シミュレーターの整備であるとか、ゲリラ・コマンドー攻撃を念頭に置いた警戒監視訓練の実施、米陸軍特殊部隊での隊付訓練の実施、研修ですね、米軍の装備や対応状況調査、将来的な部隊編成のための実施、空挺団等によるゲリラ・コマンドー攻撃対処研究演習の実施。特殊部隊というのは要するに空挺団、だから部隊の再編成もするということでしょう、十二師団を。いろいろ議論すればたくさんあるのですよ。  こういうことが防衛庁資料の中にも出ておるので、米軍とのかかわりについては、今指摘をしたようなことで、どうやっていこうとしているのか、少し考えを聞かせてくれということを質問しているわけです。
  78. 瓦力

    ○瓦国務大臣 このゲリラ・コマンドーの問題につきましては、ゲリラ・コマンドー攻撃等に対処する上で必要となる部隊の編成、運用、装備、教育訓練について幅広く研究を研究本部で行ってまいりたい、こういたしておるわけでございますが、やはり、こういう事態に対しましては、今委員から幾つかのお話もございましたが、こういう課題、問題について、米側が相当進んだものを持っておるわけでございまして、空挺団によるゲリラ・コマンドー攻撃対処研究でございますとか、あるいはJFK、ジョン・F・ケネディ特殊作戦センターでの研修でございますとか。  なお、米軍の装備、対応状況調査でございますとか、ある面では、ゲリラ・コマンドーの取り組む仕事と対処する仕事といいますのは複雑にして多岐にわたりますから、自衛隊では知見、そういったものも乏しいものがございます。そういったことも、いろいろな分野でゲリラ・コマンドーがあらわれたりする不安というもの、そういったものを予測できる今日ですから、自衛隊としてはそういうことを研究しておく、そして不安を除く、このことは自衛隊に課せられた重要な使命でもございます。よって、米国とのかかわりにおきましては、これらの専門分野について研究をするということは当然含まれるわけでございます。
  79. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと要領を得ない面もあって、必ずしも私が聞きたいことにお答えになっていませんが、要するに、米軍の特殊部隊からもいろいろオペレーションについて取得してきたい、交流しながらやっていくということだと思うんですが、そこいらを含めて、ガイドラインその他の関係もありますし、日本側のいわゆる専守防衛という基本概念、基本理念というもののあり方等も含めて、留意をすべき点があると思うんですね。  このコマンドーオペレーションズというのは、言うまでもなくコマンドー作戦ですよね、要するに。特別に訓練された隊員から成る部隊をもって、敵地内の各種目標に対し一般に戦略的な目的で行う襲撃行動を言う、これがコマンドーオペレーションズの一定の定義なんですよね。  ですから、ある面では、必ずしも国内の治安とか、あるいはそういったいろいろなNBC関係のトラブルなり攻撃を、私はあり得ないと思うんだが、万々が一受けた場合にどう対処するかというよりも、もちろん防衛庁はお考えになっているでしょうが、軍事戦略としては、やはり敵地に出ていって奇襲をかけて、防衛をするというか、相手を攻撃する特殊任務を持つことにもなるわけで、その規模とか運用いかんによっては、今私が言ったような、今日までの日本の防衛の基本枠から逸脱というか、疑問、疑念を持たれる面、アジア近隣諸国に及ぼす影響も決してないとは言えない。今はないでしょうが。そういうこともないのかどうかを、所見があればぜひお聞かせ願いたいと思います。今の点について何か御見解ありますか。
  80. 瓦力

    ○瓦国務大臣 上原大先生に申し上げますが、本当にこれは、先生、御心配でいろいろ御質問いただくのは大変ありがたいのですが、まず、我が国に対する武力攻撃の一形態としてゲリラ・コマンドー攻撃が行われた場合に、自衛隊が防衛出動等、現行法令に基づき対処することを念頭に置いたものでございまして、先生の御指摘、心配とは全く逆でございます。  といいますのは、我々は専守防衛であって、そしてまた、平和を維持していくという国民の願望が強い中で自衛隊がその役割を果たしていくわけでございますから、かえって、そういうゲリラ・コマンドーがあらわれた場合にどう対処するかというためにも、昨今の流れからいいますと、私どもはそのことはよく研究をしておかなきゃならぬ。そういうことで、ゲリラ・コマンドー攻撃に対しまして、隠密裏の活動や対人戦闘について特殊かつ高度な訓練を受けた工作員でございますとか特殊部隊に対しまして、市街地や大部隊が行動しにくい山岳地等におきまして、捜索、包囲、撃破または捕獲するといった特殊な対処が必要と考えられるわけでございます。  このような対処を行うための訓練施設でございますとか、機材でございますとか、捜索等のための装備でございますとか、対処能力の高い部隊等が現在自衛隊では不十分である、こう考えておりまして、今後本格的な対処体制を確立したい、こういうことでゲリラ・コマンドー攻撃対処に万全を期してまいりたい、こういう取り組みでございます。
  81. 上原康助

    ○上原委員 大体お考えはわかりましたので、時間があればもう少し触れます。  それと、これもさっき前原先生からお尋ねがありましたが、特別警備隊、海上自衛隊の海上警備行動、特別警備行動についても若干触れたい面があるのですが、ほかの質問をやった後に、時間がありましたらお尋ねさせていただきたいと思います。  そこで、先ほどありましたが、外務大臣防衛庁長官米軍PCBを含む有害物質の扱い問題、一体全体これは何事ですか。在日米軍有害物質を国外処理をしたいということで相模原補給廠から運んでいって、米本国カナダの環境団体の抗議を受けて荷揚げができずに、またけさ横浜に持ち帰ったというのは一体何ですか。  しかも、この面は冒頭から少しきつく申し上げますが、きのう私はどのテレビかで見た。佐藤防衛事務次官は、基地周辺住民に危険があるようならば米国に伝えたいと、まるで他人事みたいなことを言っておったね。不安があるどころか、あなた、日本国民は、不安を通り越してふんまんやる方ないという気持ちなんです。  この持ち出しについて、これは法的には問題はないのですか。きょう僕はあえて厚生省を呼びませんでしたが、こういう有害物質を我が国から持ち出すことについて法的な問題は何もないのか、あるいはまた、米本国カナダにおいて陸揚げが拒否されたからといってまた日本に持ち帰ることも、法的には何も問題ないのですか。これは外務大臣かな。
  82. 河野洋平

    河野国務大臣 現在の時点で、船に積んでカナダへ行くべく向かったわけでありますけれどもカナダで荷役を断られてシアトルに回って、シアトルでもさらに積みおろしが困難という状況になって、再度日本に向かいまして、けさ横浜港にその船は着いております。横浜港で現在一時的にこの荷物を積みおろしまして、速やかにもう一度日本以外の場所に持っていくという準備をしているわけでございます。私どもといたしましては、こうした荷物の処理につきまして日本以外の場所へ持っていくということを要請しておりまして、米側もこれを承知しているというのが現時点でございます。  今議員がお尋ねになりました、米側が廃棄物を海外との間で輸送することについて我が国の法令上の規制はどうかということでございますが、在日米軍は公用貨物を輸出入する場合には、日米地位協定及び関連の国内法令によりまして、国内法令上の規制を受けないことになっております。このことは、廃棄物を公用貨物として海外との間で輸送する場合についても同様の扱いということになっていると承知をいたしております。  いずれにいたしましても、こうした廃棄物というものをきちんと処理をするということは絶対に必要なことでございまして、これらにつきまして、政府としては、米側に対して、この処理方について、しっかりとした処理を要請しているところでございます。
  83. 上原康助

    ○上原委員 だからこそ地位協定の改正というか見直しを、抜本的なものをやれということを我々は言っているわけだ。しかし、洋上ではなくて、日本国土から持ち出す場合には、廃棄物の搬出についてはそれなりの国内基準もあるわけでしょう、国内法規も。そういうことを無視して、一定期間仮に保管をして、日本国以外のどこに持っていくんですか。これは情報を明らかにしてくださいよ。いつまでにこれを処理するのか、一定期間というのは何日なのか、日本以外の国に持っていくというのはどこに持っていくのか。  外務大臣防衛庁長官、これは役人の問題じゃないですよ、まさに政治の問題なんだ、こういうことは。アメリカは、あなた、米軍基地内で自分たちがそういうPCB、有害物を出したんですよ。それを広いアメリカの国に持っていって処理しようとするのを、環境団体に阻止されて、また持ち帰って。こんなことが日本国民のプライドとしても感情としても許されるはずがない。こんなのは党派の問題じゃないですよ。主権の問題、国民の権威の問題だ、まさに。はっきりお答えください。いつまで保管してどこに持っていくのか。
  84. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、この廃棄物処理につきましては、米側からの我が方に対します返事は、一カ月以内に再び搬出をする、一カ月以内ということを申しておるわけでございます。また、その行く先につきましては、日本以外の場所ということでございまして、その積み出し先については明示的に先方からはこちらに言ってきておりません。  いずれにいたしましても、私どもとしては、日本以外の場所に持っていってほしい、持っていくべきであるという要請をして、それについては米側も同意をいたしております。
  85. 上原康助

    ○上原委員 今はっきりしたのは、一カ月以内に日本以外の国。ひとつ、また、第三国なんて言って物議を醸さぬように。しかし、これははっきりさせるべきですね。  そこで、この件について、いろいろ日米間のやりとりがあるでしょうからそれ以上は申し上げませんが、私は、これは国民が絶対に納得しないと思うんですね。こんなばかげたことをされていいものかという、もう本当に、こういうことに抗議なり怒りを覚えない人はいないと思う、私は。  そこでもう一つ、一番の問題点は、アメリカもそうなんだが、日本政府も情報開示が不十分だということですよね。これはもう日本のマスコミでもいろいろ報道されていますが、カナダの新聞にしても、シアトルでこういうふうに阻止行動をされているんですよ、でかでかと。こういうものを自分たちでつくり出しておって、自分の国に持っていこうとしたのに、反対されて、また日本に持ち帰って日本に押しつけるなんて。だから基地問題というのは国民の非常な不満を買うんですよ、不信を。それの情報開示をきちっとしてもらいたいということ。  それで、日本全国の米軍基地内の廃棄物処理、あるいは具体的に、例えば医薬品の廃棄物なんかはどういうふうに処理しているのか、そういうことについてぜひ明らかにさせていただきたい。これはもうドイツの例を出すまでもありませんが、地位協定上、ドイツではこういうことはできなくなっているんですね。  したがって、被害発生前の監視体制が必要であるということと、浄化対策についても、また処理あり方についても、日米間でもう一遍検討して情報を開示させる。現在どのくらいの有害物質があるのかどうか、PCBを含めて、沖縄米軍基地あるいは本土の米軍基地、いろいろあると思いますので。  これは、しかも、何か五〇ppm以下のものを持っていこうとして、それさえも拒否されている。もっと濃度の高いものについては相模原補給廠にまだ保管されているということでしょう。こういう実態について、ぜひ情報をきちっと開示をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  86. 河野洋平

    河野国務大臣 もう議員も御承知だと思いますが、今のPCB廃棄物の輸送の問題についてもう少し申し上げておきたいと思いますが、廃棄物を積んでカナダに向かいました船はパナマ船籍の船でございます。このパナマ船籍の船に積んだ廃棄物、これはPCB濃度が五〇ppm未満のものというふうに、私どもはその後に連絡を受けているわけでございますが、これらにつきましては、恐らく米側の判断は、五〇ppm未満のものであれば、カナダに持ち込むことについては法令上は問題はないという判断でカナダに向かったものではないかと、これは私の推測でございます。しかしながら、これは規制上、法律上カナダに荷揚げができなかったのではなくて、これを取り扱う人たちによって拒否をされてしまったということから、当初の計画がそごを来したのであろうと思います。それは、もう一度、五〇ppm以下であるかどうかをはっきりと証明をしろというふうに言われて、その証明をすべくいろいろと考え、作業をしたんですけれども、それらがいずれもうまくいかなくて、そして、これはパナマ船籍の民間の船でございますから、それはもうやむなくもとに戻さざるを得なかったということであろうというふうに推測をいたしております。  そこで、今議員お尋ねの情報開示の問題でございます。情報開示につきましては、議員がお考えの方向で、私も大事なことだというふうに思っております。とりわけ環境問題という問題につきましては、周辺住民の日常生活の不安等を考えれば、でき得る限り情報は開示される方向で検討すべきものだというふうに私も思っております。現在はまだまださまざまな問題もございまして、情報の開示が十分いっていないではないかという議員の御指摘もございますとおりでありますが、私どもとして、この環境問題について何らかの改善をしていかなければならぬというふうに考えて、現在、日米間で検討をすべく準備中でございます。もうしばらくお時間をいただきたいと思います。
  87. 上原康助

    ○上原委員 それは評価します。この報道を見て、本当に基地の周辺住民だけでなしに、私は、国民は非常な怒りを感ずると思うんですよ。何でここまで日本政府というか政治家というのはそういうのができないのかと思われますよ、これは。ぜひ情報開示を速やかにやっていただいて、自分たちの国の環境基準管理法というのがあるからといって、それを盾にとってやらないで、こういうことになると、これは日米信頼関係やあれも本当に台なしになりますよ。ぜひやっていただきたい。  それと、私がいろいろ聞いた中では、国籍は香港、中国ということですが、今外務大臣の御答弁では、パナマ船籍は間違いないですね。
  88. 河野洋平

    河野国務大臣 私ども承知しておりますのは、船長は中国で、パナマ船籍の船だというふうに聞いております。  それからもう一点、今議員お尋ねでございましたので申し添えますが、今回輸送されております廃棄物内容につきましては、使用済みの変圧器、オイル、それからブレーカー、それ以外にも種々の布ぎれなどが入っている、こういうふうに米側が言ってきております。  失礼、先ほどの船は、船主は中国人、船籍はパナマというふうに公表されております。
  89. 上原康助

    ○上原委員 それと、どういうものを搬出したかというリスト、今おっしゃったんですが、情報公開の中へリストを。それと、日本米軍基地内に一時的というか保管されている有害物質等のリストについてもぜひ早急に情報開示をしていただくように強く要望したいんですが、求めたいんですが、その点は重ねて、いいですね。
  90. 河野洋平

    河野国務大臣 どういうものがどこまで情報開示の対象にし得るかということについては、もう少し検討をさせていただきたいと思います。  私、先ほど環境問題についての情報開示、あるいは環境問題についての検討が必要だということを申し上げましたのは、もう少し一般的な環境問題について申し上げたわけでございまして、今議員指摘の部分につきましては、もちろんそれも環境問題の中の重要な部分でございますから、少し検討させていただきたいと思います。
  91. 上原康助

    ○上原委員 問題は、そういう有害物質なり廃棄物があるからこそ環境汚染や土壌汚染、いろいろ環境問題が出るわけですから、その実態や内容というものを明らかにしていただかないといけません。それは、いつも河野大臣とやりとりして、余り私も好かれている側じゃないので。何かきょうは少し前向きの御答弁がありましたので、これはやっていただかないと本当に困りますよ。こんなことをもう本当に我慢がならぬというんですよ。何たることだ、これは。冗談じゃない。沖縄基地にもどのくらいのあれがあるのか全部明らかにさせてください。  次に進みます。  次は沖縄基地の問題で、キャンプ・ハンセンの山火事問題。これは環境汚染の最たるものだ。これはことし三月三十日。その前の二月二日にも実弾演習で。三月三十日は百五万平米、二十七時間燃えている、二月二日は三十五万平米で、今年に入って既に五回。余りにも無神経と言わざるを得ません。この対処策をどうするか、これが一つですね。  もう一つは、金武町のブルービーチの週末の町民の立ち入り利用についてですね。これは、一九九六年以前は、夏場の金曜、土曜、日曜日は午前九時から午後七時まで利用できておったんです。だが、その後、どういうわけかこれを立ち入り禁止にして、金武町長や地域の方々がいろいろ努力をして部隊側とも協議をしているようだが、なかなからちが明かぬというんです。九六年十一月の島田懇談会の提言にも、日本政府がブルービーチの週末開放を米側に申し入れることを期待したいと載っているんですね。  こういうことは後退させずに前進させるならまだわかるんだが、山火事は起こすは、一方にある立派なビーチは使えないはじゃ、余りにも米軍の使用だけが優先されている。これでは、よき隣人たり得ないし、また地域住民理解と協力も得られないと私は思う。  こういうことにどう対処していかれるのか。これは防衛庁長官も関連するでしょうし、外務大臣、ブルービーチの問題、どうする。
  92. 大森敬治

    大森政府参考人 事実関係につきまして私の方からまず御答弁させていただきたいと思います。  キャンプ・ハンセンの山火事につきましては御指摘のとおりでございまして、地元の方々に大変な御心配といいますか、御懸念を与えていることを私ども深く憂慮しているところでございます。防衛施設庁といたしましても、従来から沖縄米軍に対しまして、山火事の未然防止に努める、また、発生した場合の直ちの消火活動に努める、その被害を最小限にとどめるようにしばしば申し入れているところでございます。  具体的に申し上げますと、山火事の未然防止策としていろいろ考えているところでありますけれども、特に訓練の実施に当たりましては、気象条件を十分考慮して訓練を柔軟に行うということが重要だと思います。また、その発生に際しましては、ヘリコプターによる迅速かつ効率的な消火活動を整備する、また消火施設、防火貯水槽ですとか、また消防車が入るような道路の整備というふうなことを米側にも求め、防衛施設庁としても整備に努めてきたところでございます。  今後とも、米軍に対して、山火事の未然防止に努めるように十分申し入れてまいろうというふうに思っておりますけれども、いずれにしましても、迅速な情報提供といいますか交換と、相互の連絡体制の緊密化というふうなことを行いつつも、やはりその再発防止の徹底を図るように努めていきたいというふうに思っております。  それから、金武ブルービーチの問題でございますけれども、確かにこれも、御指摘のように、平成八年六月まで、毎年五月から十月の夏場の週末に地域の方に開放されておりましたけれども米軍は安全の問題ですとかその維持管理の問題というふうなことで、その後、立ち入りができなくなっている状況でございます。  地元の金武町長を初め御要望が非常に強いわけでございますので、私ども防衛施設庁といたしましても、地元の方の御要望を踏まえて、さらに米側とも調整して、夏場の週末の開放ということの実現に努力してまいりたいというふうに思っております。
  93. 上原康助

    ○上原委員 これは努力するだけではだめなんだよ。努力して実施させないかぬですよ、本当に。  それと、山火事の問題の件については、金武町議会で決議をして、恐らく要請行動もなさっておられると思うんですね。余りにもひどいですよ、本当に。さっきの環境問題と関連して申し上げるのですが、金武町のビーチなんですよ。沖縄の土地なんですよ、あなた、米軍基地米軍ビーチで米軍が利用しておっても。  それをさせる条件としては、米軍施設を汚損しないよう十分注意を払う、ごみは各自で持ち帰る、瓶などのガラス類の持ち込みは禁ずる、こういうことまで条件をつけているんですね。これも受け入れましょうと、金武町は。自助努力でやりますよということで、町長と司令官で署名をした上でやりましょうと言っても、なおやっている。  ビーチを利用するのに、汚損はさせるな、ごみは持ち帰りなさい、瓶やガラスは置くなと言っている。当たり前の常識。PCB有害物質を垂れ流して、何十万トンとためておって、自分たちのビーチを使うにはこういう条件をつけるのは、米軍の勝手気ままと言うんだ、これは。これは役人のことじゃないよ。二人の大臣で、司令官なりアメリカ大使に話して、ちゃんとやってくださいよ、これ。
  94. 河野洋平

    河野国務大臣 確かに、議員がおっしゃるように、この問題は、日米間の政治的な問題として私どもは考えなければならないと思います。基本的に、よき隣人関係を築くということはどういうことかということを我々も考え、米側にも考えてもらいたいという気持ちで米側と話し合いたいと思います。
  95. 上原康助

    ○上原委員 ぜひそうしていただいて、改善措置をとっていただきたいと思う。私がここで大声を出すと、アメリカも聞くかもしれないですよ。政府を一生懸命激励をしているようなものだ、これは。ぜひ早目に実現してください。  最後に、あと二、三分ありますから、アーミテージ発言について先ほど下地先生からもお尋ねがありましたが、具体的にいろいろ聞きませんけれども、要するに、普天間構想というのは本当に動きませんよ。  今、皆さん、どういうふうにやられようとしているのか。場所もまだ特定されていない、工法もまだ、規模もまだ、しかもSACO合意以上の、軍民共用であるとか、いろいろな問題が沖縄県から出ている。ヘリコプター基地以外はだめだと名護市長は断定的におっしゃっておられる。こういういろいろな課題が、課題というより解決すべき問題が山積しているということはよく御認識だと思うのですね。  そこで、私が聞きたいのは、このリチャード・アーミテージ元国防次官補が三月三十一日に共同通信の報道として述べられていることは、いろいろありますけれども、時間の都合上申し上げませんが、日米安保の懸案となった十五年使用期限問題で、折衷案が浮上してきたと。元次官補は、既に日米政府当局者にも彼の構想、いわゆるアーミテージ構想というものは伝えてある、こう言っておられるのですね。  日米政府当局者というと、外務省と防衛庁しかないと思うんだ、私は。あるいは官邸もあるだろうが。  このアーミテージさんのやりたいという、あるいはこういうことは、こういう案はどうかということについて、非公式にでも公式にでも、皆さんは情報を受けたのかどうか、相談を受けたのかどうか。また、受けていないとすると、このアーミテージ発言については、防衛庁長官あるいは外務大臣はどういう受けとめ方をしておられるか、それぞれお答えをいただいて、質問を終わります。
  96. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいま委員からアーミテージ元防衛次官補の発言につきまして御質問がございましたが、御指摘のような構想を提案されたという事実はございません。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、普天間飛行場移設返還問題につきましては、昨年末の閣議決定に従いまして、適切に対処してまいる考え方であります。
  97. 河野洋平

    河野国務大臣 外務省にもそうした御提案が公式にあったという報告は聞いておりません。報道によって私は承知をしておりますが、直接アーミテージ氏からそうした提案が、公式、非公式いずれもございません。  以下、防衛庁長官御答弁のとおりでございます。
  98. 上原康助

    ○上原委員 今は政府要人じゃないわけで、元国防次官補という立場で、しかし、アメリカの安全保障政策、国防問題には大変影響力のある方ですからね。  私は、政府ルートでなかったにしても、では、普天間の解決策、あるいは何かの折衷案というのか妥協案というのか、沖縄側がまあまあと言う線を見出すという場合には、今のようにもう二言目には、SACO合意を着実に遂行していくことが政府方針だ、昨年の十二月の閣議決定に基づいて振興策云々かんぬんといったって、現に暗礁に乗り上げているわけですよ。何か新たな提案なり構想を、日本政府なりアメリカ側なり政府全体として、あるいは沖縄を含めて協議のテーブルに着かぬ限り、私は、今の状況ではこれは無理だと思いますよ。  そういう面で、このアーミテージ案というものはどうなのか。政府としても検討に値するのじゃなかろうかと私は思う、個人的には。そういう点を申し上げて、質問を終わります。
  99. 西村章三

    西村委員長 以上で上原君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ————◇—————     午後二時四十二分開議
  100. 西村章三

    西村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。冨沢篤紘君。
  101. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 民主党の冨沢篤紘でございます。  通告は四点ほどございますが、時間が三十分という制約がございますので、若干質問の順序が前後いたしますが、御了承をお願いいたします。  神奈川県の厚木基地、神奈川県八百四十万人口の真ん中にあぐらをかいておる米軍基地でございます。したがって、都市の中にある米軍基地ということで、いろいろな周辺対策が必要になっておりまして、まず第一に、騒音問題。空母艦載機の騒音問題でございますが、平成十二年度予算に千四百万円、進入表面下騒音調査費が計上されておりますが、騒音調査費の内容について御説明をいただきたい。
  102. 大森敬治

    大森政府参考人 お答え申し上げます。  厚木の基地から生じます騒音問題につきまして、防衛施設庁といたしましても、新たな対策というものを考えていかなければいけないというふうに考えておるところでございますけれども、十二年度予算におきまして、先生今御指摘の千四百万の予算要求をさせていただいておりまして、先般成立させていただいたところでございます。  騒音の被害の中で特に周辺住民の方の不快感となっております精神的、情緒的な被害につきまして、これからいかに対策をしていくかということが重要な課題になると思います。その面で、私ども、現在のところ、環境整備法に基づく障害防止対策をやっているわけでございますけれども、さらなる施策を、どういうものがあるかということで、有識者の方の御意見をいろいろ聞かせていただいたり、また、周辺住民の方の意向調査をいろいろさせていただきまして、それを踏まえまして、総合的な検討といいますか新たな施策の方向づけをしたいということで、一千四百万の予算を成立させていただいたところでございます。
  103. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 御説明をいただきましたが、どういう調査内容であるか、いま一つ内容がはっきりしないわけでございます。  私は、ここ四年間、石川県小松基地、青森県三沢基地滑走路進入表面下の自治会に騒音補償、交付金が出ている、この例に倣って、米軍基地にも新しい制度を設けろ、こういう主張をしてきた。それに対する調査費というふうに受けとめておりますが、この点は間違いございませんね。
  104. 大森敬治

    大森政府参考人 先生から厚木の騒音に対するいろいろの御提言をいただいているところでございます。しかしながら、私どもも、御提言を承りまして、小松基地ですとか三沢基地に伴います地方自治体のやっております制度を研究させていただいたところでございます。  私どもといたしまして、先ほど申し上げました周辺対策は環境整備法に基づきます障害防止を基本としてやっておりまして、飛行場周辺住民の方の精神的な不快感といいますか、そういうものにつきましての補償をどうするかということで、しかし、全く使途を限定しないような形での補償というふうなこと、財産的な被害を伴わないものにつきましては一般的に国の損失になじまないものということで、一般財源というような格好での支出というものは不可能であるというふうに思っているわけでございますけれども、しかし、やはり飛行場周辺における具体的な騒音被害の中でおられる周辺の方々への施策をいかにしていくのかということは、防衛施設庁としても、今後の大きな課題であるというふうに認識しております。  先ほどの一千四百万につきましては、有識者の方々を中心に御意見をいろいろ拝聴する、また、その周辺住民の方の直接な意向調査といいますか、御意見を聴取するということの中に、そういう研究を重ねることによって新たな施策の方向を打ち出していきたいというふうに考えているところでございます。
  105. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 質問を進めます。  御承知のように、都市の中にある基地ということで、しかも、基地の中の滑走路が二千四百メートル、オーバーラン部分が南北に五百メートルずつある、三・五キロ、基地があぐらをかいている、こういう格好になっておりまして、周辺の交通渋滞が大変ひどい。  防衛庁長官、現場視察されたことがございますか。
  106. 瓦力

    ○瓦国務大臣 かつて防衛庁長官を務めたころ、十三年前ぐらいになりますか、一度伺ったことがあり、また先般、時間は余りありませんでしたので滑走路全般を見るという時間はございませんでしたが、厚木へは二度ほど伺っております。
  107. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 久間防衛庁長官のころ、私は、基地周辺の交通渋滞解消のために滑走路を横断する地下のトンネル道をつくれ、こういう政策提言をしたことがございます。それに対して、当時久間防衛庁長官は、空港直下のトンネル道も夢ではないなと、羽田空港の例を引きながら御答弁をいただきました。  御承知のように、三・五キロの滑走路がある、南北も東西も大変交通渋滞、トンネル道を仮につくるとして、費用をだれが出すのだい、この話になりまして、久間さんは、当然受益者負担だ、周辺自治体なり住民負担してそのトンネル道はつくる、こういうお考えを示されたわけであります。私は、基地を置いておく国、原因者負担だ、こういう発言をした記憶があるわけなんですが、トンネル道建設による交通渋滞解消、費用の問題を含めて、防衛庁長官、どんなふうにお考えになられますか。
  108. 瓦力

    ○瓦国務大臣 久間元長官といろいろやりとりもおありのようでございますが、この地下道の建設につきましては、基本的には地元地方公共団体から具体的な要望がなされていくことが前提ではございますが、飛行場の地下部分を利用する極めて大規模な建設事業となることでございますことからして、また、同飛行場の維持管理及び安全上の問題もございます。管理運用をする米軍との調整が不可欠でございますし、かようなことを考えてまいりますと、飛行場の機能に支障を及ぼさないような工法上の問題、経費上の問題、また環境整備法との関連等、種々の問題に遭遇するわけでございまして、これは極めて難しい課題であるなということを率直に感じます。
  109. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 冒頭申し上げましたように、神奈川県は、八百四十万人という大変過密な県でありまして、人口密集地。しかもその人口が、真ん中を貫流しております相模川よりも東側に集中をしている。その中にある厚木基地、こういうことでございますので、いつまでも周辺の交通渋滞をほうっておくというのもいかがなものかなと、周辺自治体の都市計画の観点からも、住民の生活利便性の問題からもゆゆしき問題になっておるわけであります。ぜひこの点を御理解いただいて、当然原因者負担という格好でこういう対応をお考えになりませんか。
  110. 瓦力

    ○瓦国務大臣 委員が熱心に取り組んでおられることは承知をいたしますが、先ほど申し上げましたように、工法、また経費等々も踏まえまして非常に難しい問題であることを率直に申し上げさせていただきました。また、地方自治体からの御要請が那辺にあるのか、そういったこともございますが、いろいろ困難な問題であることを率直に申し上げておきたい、かように存じます。
  111. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 三番目のエンバイロテック、基地に隣接する産廃業者でありますが、この排煙対策についてお尋ねをいたします。  閣議決定によって、エンバイロテックの排出する煙の改善措置予算措置決定をされました。閣議決定でございます。排煙対策の内容二つありまして、一つは三本の煙突にバグフィルターを設置する、もう一つは煙突の高さ五十メートルを倍の百メートルにかさ上げをする、こういう措置でございます。この工事の進捗状況がどういうふうになっているのか、まず御報告ください。
  112. 大森敬治

    大森政府参考人 いわゆる神環保問題につきましてお答えを申し上げます。  今先生指摘になりました、閣議決定と言われましたけれども、これは平成十年の九月十八日に閣議了解がございまして、いわゆる厚木飛行場の大気保全問題に対処するということで関係省庁が一致協力して取り組む、また、このため、当該廃棄物処理業者との間で民事契約を締結して必要な措置をとるということが決められたわけでございます。  そこで、今おっしゃいました二点について、事実関係を御説明いたします。  バグフィルターの設置でございますけれども、これにつきましては、神環保側は三つ炉を持っておりまして、一号炉、二号炉につきましては三月末に完成をしておりまして、現在、完成検査といいますか、その途上にあります。三号炉につきましては、四月、五月をかけまして改修するという予定になっております。このバグフィルターの設置は、神奈川県を通じましての神環保側への業務改善勧告に基づきまして、神環保側が行っているものでございます。  高煙突化といいますか、百メートルの煙突を建設するという件でございますけれども、これにつきましては、神環保側の業務改善状況といいますか、バグフィルターが適正に設置され、なおかつその業務が適正に運営されているということをきちっと確認をした上で実施したいというふうに考えているわけでございますけれども、現在、神環保側と断続的な話し合いをしているところでございまして、まだ具体的な見通しを得ている状況ではございません。
  113. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 煙突を倍の百メートルの高さにするということについては、工事をやるかやらないか、基本的にまだ了解に達していないというふうに御答弁でしたね。
  114. 大森敬治

    大森政府参考人 政府といたしましては、厚木基地の家族住宅へ地形的または季節的にいわゆる神環保が出します煙が直接当たるのを回避するというためには、高煙突化というのがぜひ必要であるというふうに考えているところであります。また、神環保側も基本的には高煙突化の交渉をする用意があると言っておりますけれども、まだ具体的にその建設スケジュールといいますか、そういうところまで達した話し合いにはなっておりません。
  115. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 バグフィルターを三本の煙突につける、この改良工事が行われてどの程度の効果が期待をされるのか、数字でお示しいただきたい。
  116. 大森敬治

    大森政府参考人 お答えを申します。  私ども防衛施設庁としましては、具体的な数字というのは持っておらなくて恐縮でございますけれども、バグフィルターが設置されて適正に運用されますと、ダイオキシンが数十分の一から十分の一程度にかなり低減されるというふうに理解しております。したがいまして、適正に運用されれば、いわゆる環境庁が定めております基準値を下回るものになる見込みだというふうに私ども理解しております。
  117. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 この件について、米軍から操業停止を含めた仮処分の提訴があるというふうに伝えられておりますけれども、提訴の内容をひとつ簡潔に御説明願います。
  118. 大森敬治

    大森政府参考人 お答え申し上げます。  アメリカ政府が、神環保側の操業の仮差しとめということで訴訟を起こしたということについては、私どもも報道で承知しておりますけれども、この訴訟そのものにつきましてはアメリカ側が行っているものでございまして、私どもといたしまして、直接それには関与しているものではございませんので、その内容については承知しておりません。
  119. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 ここで防衛庁長官にお尋ねをするわけですが、本件は、もう十年以上前からの地元から提起された案件でございまして、私は当時神奈川県の県会議員をやっておりまして、基地隣接の綾瀬の工業団地から提起をされて、これに対して、国も含めて、市、県の対応は無力のままでありましたし、国の方は知らんぷり、ほったらかしだった、こういう経過があるわけでございます。  最近、急に防衛庁長官も現場視察をされたり、一説によると外務大臣も夜ひそかに現場視察をされているというふうに地元では伝えられておりますが、アメリカから言われて急に大慌てで対応策を打ち出している。米軍住宅やあるいは基地で働く日本人の従業員の健康問題にかかわるということで、大慌てで、今指摘したようないわば応急処置を、しかも閣議の了解をとって予算づけをして実施している。問題の重要性、認識が極めて甘いと私は思うのですが、いかがですか。
  120. 瓦力

    ○瓦国務大臣 冨沢委員から、多年にわたって取り組んできた課題であるということを踏まえて御質問をいただきました。  私も、さきに防衛庁長官を務めたころ、十三年前は、これらの問題は存しなかったわけでございますが、このたび防衛庁長官に就任いたしまして、地域におきましても極めて深刻な課題である、基地従業員はもとよりのこと、また周辺は工場もありますし、また日本人の家族も住まいをいたしておりますし、風向きによりましては米軍施設がまともに灰を受けるわけでございますから、その実態を私はよく見ておきたいということで、先般見てまいりました。風向きにもより、まさに健康上また環境上ゆゆしきことであるなと。  また加えて、閣議了解を得ながら、この問題、日米間お互いよき隣人として、環境問題につきましても、住民の健康問題につきましても配慮しなきゃなりませんから、これは取り組んでまいらなきゃならぬということで取り組んでおるわけでございますが、一方におきまして、政府としては、官房長官また厚生大臣、環境庁長官、今御指摘のように外務大臣、私、それぞれ衝にある者、関係する者加わりまして、この問題の解決に当たりたいということで取り組んでおるわけでございます。  バグフィルターの成果を極めて期待するわけでございますが、季節によりますと煙をまともに受けるという状況でございまして、非常に不健康な問題であることは委員指摘のとおりであり、多年にわたって問題にされながらも、やはり環境問題というのは、公害問題も含めて近年とみに大きい課題になってきた、これそのものは私は結構なことだ、こう思っておりますが、これを機会に解決に向けた努力をさらに一層いたしてまいりたい、こう思っておるところであります。
  121. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 アメリカから厳しく指摘されて、慌てて対応策を考え出す。事は厚木基地の安定運用日米防衛体制を堅持するという大変重大な問題であります。閣議了解に基づいて排煙対策という応急処置は出てきたわけでございますけれども、これだけでは不十分です。  今お話にありましたように、地形が低いところで、煙突を立てると、現行の煙突がちょうど米軍住宅のレベルと同じになっている。したがって、バグフィルターをつけても効果が果たして出てくるかどうか。計数ではお示しになれない。地元では、もう十年以上前から、職場の職員の健康問題にかかわるから、こういうことで、市、県に幾つもの注文が上がっているけれども、全く無力であった。  この際、応急処置だけではとても事足りない問題で、抜本的解決策を国として打ち出すべきと私は考えておりますが、いかがですか。
  122. 瓦力

    ○瓦国務大臣 抜本的解決の方策ということになりますと、いろいろ手だてもあろうかと思いますが、当面はまずバグフィルターによりましてこれらの問題がどれほど解消できるか、こういう問題がございます。ダイオキシン並びにばいじんが健康に及ぼさないレベルまで大幅に削減することができるかどうかという問題がありますので、まずバグフィルターの設置と共同モニタリングによってその様子をウオッチする。また、それでもなかなかその問題の解決に至らなければ、高煙突化を図るなど、いわゆる手順を追いながらこの問題の解決に向けた努力をいたしたいと思っておりますし、確かにアメリカ側もこの問題は深刻に受けとめておりまして、さきに、三月十六日でございますが、日米防衛首脳会談におきまして、本問題につきましてコーエン長官と話し合い、またこれらの問題につきまして、五項目にわたる基本方針というものの中で努力方針を申し上げたところであります。
  123. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 御努力は認めますが、良好な日米関係のとげのような問題だ、こういう指摘もございますが、私は抜本策を国の責任で講ずるべき、その内容は適地を別に探す。あそこは煙突を高くしたって効果はないですよ。適地を別に探す。費用は国で持って、きちっとした抜本的な策を講ずる。これによって日米防衛体制のかなめとなっている基地の安定運用を図っていく、こういう政治の決断が必要である、こういうふうに受けとめておりますが、いかがですか。
  124. 瓦力

    ○瓦国務大臣 冨沢委員のおっしゃる方向づけを私もよく理解するところでございますが、まず厚生省でございますとか環境庁が行政上これらの問題を所管するわけでございますので、また、神奈川県が地方自治体としてこれらの衝に当たるわけでございますので、今申し上げたような手順と努力の中でどういう方向づけが得られるかということも、私ども気にいたしております。これらの中で抜本方策といいますか方向が出てくることが大変望ましいことでありますので、全力を挙げてこれらの問題に取り組み、また、方向とすれば、いい方向に向かわせたいと思っております。
  125. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 御答弁ありがとうございました。  時間なので、あとの質問は次回に回させていただきます。ありがとうございました。
  126. 西村章三

    西村委員長 次に、佐々木陸海君。
  127. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海です。  東京比例の選出でありますので、前回の委員会でも問題になりましたが、石原慎太郎都知事が九日の陸上自衛隊第一師団の式典で話したことが大きな政治的、社会的な問題になった、この問題について最初に質問します。  我が党は、石原発言について、志位書記局長の談話を発表いたしました。そこでは、外国人を殊さら大きな災害が起こったときに大きな騒擾を起こすものとして想定し、自衛隊の治安出動まで公言するというのは、強権的な排外主義の扇動であり、都知事の発言として危険きわまりないものである、このような粗暴で傲慢な暴言を繰り返す人物は、都知事の資格がないと言わなければならないと糾弾をいたしました。  自衛隊第一師団の式典での話が発端であり、しかも、問題の中心点は、ことし九月三日に自衛隊も大規模に参加して行われる予定の災害演習にもかかわっている問題ですから、防衛庁や防衛庁長官関係がないといって済ませられる問題ではないはずであります。  そこで、まず最初に、問題の九月三日の災害対策の演習についてですが、この予定されている演習は、発端としては東京都から防衛庁に要請のあったものだというふうに聞きましたが、事実でしょうか。そして、その東京都の要請の具体的な内容はどのようなものだったんでしょうか。
  128. 西川太一郎

    西川政務次官 御答弁申し上げます。  お話のとおり、東京都側から、九月三日に、防災訓練にぜひ防衛庁、陸海空、参加をしてほしい、こういう御要望でございました。まだ具体的に細かな詰めはできておりませんけれども、おおよそ、二十三区内十カ所程度のところにポイントを決めまして、直下型大地震が仮に発生をした際、阪神大震災等の経験にかんがみて、いかにして都民の生命財産を守るために自衛隊が御協力できるか、こういう訓練をするということでございます。
  129. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 その計画がここまで進行してきている過程で、小渕首相、当時のことですが、の指示もあったというふうに前回の委員会で答弁がありましたが、間違いありませんか。その辺の経過をちょっと確認してください。
  130. 西川太一郎

    西川政務次官 それは、たまたま私が西村前次官の後、ちょうど半年ぐらい前でありますが、政務次官に就任をいたしました際に、小渕総理からそのことについて、特に君は東京都出身でもあるのでしっかりやってほしいという御指示をいただきました。
  131. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 小渕首相の指示もあって、西川次官が関与をしてやっているということだと思うんですが、自衛隊の防災のための実動演習としては過去最大のものであるというふうに聞きますが、どういう規模で、これまでの自衛隊の災害演習の規模と比較してどう違うのか、そしてまた、これまでのこの種の演習との性格の違いは何なのか、それについて説明をしてください。
  132. 西川太一郎

    西川政務次官 今まで防衛庁も、こうした災害に対する備えということで、主として指揮所で演習をいたしておりました。しかし、それはしょせん指揮所における図上演習でございますから、よい好機をいただければ、ぜひ実地でこの演習ができればと思っておりましたところ、東京都からそうしたお申し越しをいただきましたので。  従前と違いますのは、規模も違いますし、また、参加のポイントも違います。佐々木先生も御承知だと思いますけれども、今までは、主として二十三区の自治体がそれぞれの地域で防災訓練をされるときに、本当に小規模の、自衛隊員がオートバイで周辺を探索したり、時にはヘリコプターで川に落ちた人を救ったり、そういう程度の訓練でございますけれども、今までは大体、陸上自衛隊が、例えば平成十年度は百七十名が東京都と渋谷区の合同防災訓練に参加をした、車両は四十七両とか、または平成十一年度は、これは七都県市の合同、東京都主催でございますけれども、これは三十三両の車両で約百八十名という程度でございます。しかし、今度は、人員は四千名を超えて、車両は約八百両というふうに、今までの十倍以上の規模で参加をいたすということでございます。
  133. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 これまでは指揮所での図上の演習が中心で、実際に動くのは、車両がせいぜい十数両とか、三十三両というのがありましたが、人員でいうと百七十名とか百八十名とかいう規模であったものが、今度は八百両で四千人と、実動演習で、全くもう規模が違ってきている、そして、初めての陸海空三自衛隊の統合演習という形になるんじゃありませんか。
  134. 西川太一郎

    西川政務次官 統合演習ではございますけれども、しかし、これは、今申しましたとおり、およそ十カ所に分かれるわけでございますので、いろいろな情報収集をしたり、救急搬送をどうするかとか、これから詰めてまいりますけれども、そういう直下型地震に大都市が見舞われた際の対応をどうするかということを、東京都ときちっと相談をしながらやってまいります。そういう性質のものでございます。
  135. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 長官、今までは次官にお聞きしましたけれども、規模はもう今までと全然比較にならない、新しい規模のものだ、そして陸海空三自衛隊の統合による防災演習だ、全くこれまでとは、同じ防災演習への参加をするといっても、自衛隊の参加の形態や規模が全然違う、新しい性格の演習と言ってもいいようなものなんだということを今西川次官の方から説明いただいたと思うんですが、長官も同じ認識でよろしいですか。
  136. 瓦力

    ○瓦国務大臣 佐々木委員から今御質問をいただきました。西川政務次官も先ほど以来丁寧に答弁をいたしておりました。  お二人とも東京でございますから、首都圏における直下型大地震というものを想定いたしましても、これは相当に大きな被害が生ずることが、阪神・淡路の教訓を踏まえれば、これは想像がつく問題でございます。私も前に建設大臣を務めておりましたが、かみそり堤防という直角に突っ立った堤防を都内のあちこちに見受けることができるわけでございます。一たん災害に遭えば相当の被害が生ずるであろうし、交通は途絶するであろうし、どういう体制が災害に対して強い町であるべきか、このことがこれから問われていく問題だと私は思います。  そのときに、教訓からして、自衛隊だから参加してはいかぬよとか、この程度しか協力は要らないよということは住民にとりまして不親切な話でありまして、それぞれ陸海空であろうとも全力を挙げて、どういう体制が物資の供与につながり、人命の救助につながり、そしてまた病人の救済につながるかということを東京都も真剣に考えるでありましょうし、私どもも真剣に考える、そういう機会でありたいと私は思っております。  また、佐々木委員には、都市生活者としてのこういった悩みにも思いをいたされて、存分に御協力を賜ることができればありがたい、こういう感じを私は持っております。
  137. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私は、西川次官の説明を聞いて、いいとか悪いとか言っているわけじゃないんです。防衛庁長官に、やはりこれまでとは全然規模も性格も違う新しい防災演習、自衛隊にかかわって言えば、ということを確認していただきたいということを聞いたまでなんですが、間違いありませんね。
  138. 瓦力

    ○瓦国務大臣 さような御質問でございますれば、今までの規模と違って大変力を込めた防災訓練になるということを率直に申し上げることができると思います。
  139. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そういう新しい規模、新しい性格を持つ演習について、石原知事は石原知事なりの特別の意味づけをいろいろな形でやっているわけです。  そこで、まず一般論として防衛庁の認識をお聞きしますけれども、防衛庁は、大規模な災害が発生するとそれに伴ってさまざまな騒擾や暴動が当然起こってくるから、自衛隊が災害に対応するという場合には、必ず最初から騒擾、暴動などへの対応、つまり治安対策もその防災対策に含まれるというのか、一体化したものだというふうに考えているか、そういう認識かどうかをまず防衛庁にお伺いしたいと思います。
  140. 西川太一郎

    西川政務次官 昨日も、委員もこの委員会に御出席でございまして、私ずっと答弁をしてまいりましたけれども、自衛隊の出動には御案内のとおりいろいろな種類がございまして、ただいま委員がおっしゃるところは、これはいわゆる治安出動にかかわるような問題をあえて石原さんの発言の上に乗せて、私ども防衛庁があたかもそういうことに便乗してその訓練に出るような、そんな印象のお尋ねをされているわけでありますけれども、きのうからはっきり何度も申し上げているとおり、これは純粋な直下型地震に対する、阪神大震災の経験を踏まえて、国民の生命財産をいかにして守っていくかという当庁の崇高な任務の一つをまじめにやろうとしているわけでございますので、何度も申し上げますが、そういう訓練でございますことをどうぞぜひ御理解いただきたいと思っております。
  141. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 西川さん、ちょっと被害妄想でありまして、私は別に防衛庁がそういうふうに考えているというふうに言ったわけではないんです。つまり、災害派遣のための訓練と治安出動の訓練とは峻別される。もともとこれは任務が違うから峻別されているものであって、災害派遣の訓練のときに、そこに治安出動の訓練が紛れ込むなんということはあり得ないでしょうねと聞いただけの話でありまして、あり得ないという答弁でもちろん結構なんですよ。  しかし、石原知事は、例えば十四日の記者会見でも、暴動に対する対策も要するに災害救助です、騒擾事件に対する抑止も防止も災害対策ですというふうに言っているわけですね。つまり、彼は完全に災害対策と治安対策、治安出動とを同一視して言っているわけです。防衛庁はこういう見地には立たないということをもう一回確認していただきたいと思います。
  142. 西川太一郎

    西川政務次官 まず、訂正をいたします。  今私は、毎日この問題をあれしているもので、昨日委員会云々という発言をしましたが、それは訂正をいたします。失礼しました。  ただ、今の佐々木先生のお尋ねは、私どもとしては、はっきりと申し上げて、知事がどうおっしゃろうとそういう意図は一切持っておりません。
  143. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それでは、防衛庁長官にお聞きします。  その十三日の当委員会で、防衛庁長官は、石原知事の発言について、適当ではない、あるいは遺憾であると、一般論としてでありますけれどもそういうことを述べておられます。石原発言は、九月三日の防災演習に関して、不法入国した三国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している、そういうときに第一師団の皆さんに出動願って、災害の救急だけではなしにやはり治安の維持も一つ皆さんの大きな目的として遂行していただきたいということを期待しておりますというふうに述べたわけですね。  防衛庁長官にお聞きするんですが、防衛庁長官は、この適当ではないとか遺憾であるという言葉を、石原知事の三国人発言に関してそういうふうにおっしゃったのか、それとも三国人発言も含めた、こういう演習の意義づけに関する発言の全体をこのように評価されたのか、どちらでしょうか。
  144. 瓦力

    ○瓦国務大臣 実はこの石原発言につきまして、私は当初、コメントする立場にはない、こう申し上げておきました。といいますのは、私も石原知事の発言というものをじかに聞いておるわけではありませんし、意図も明確ではなくて、マスコミを通じて得たことでございますから慎重を期したいと思いまして、コメントする立場にはない、こう申し上げておったわけでございます。当委員会における質問者からの問いかけが大変きついものでございましたし、私は、報道の経緯をたどればそういう発言もあるのかなというふうなことで、遺憾発言も申し上げたところでございます。  私は、どちらが悪いとかということは申し上げません。やはり正確な発言とか報道を見なければなりませんが、どうしても言葉というのはひとり歩きする部分がございます。でありますから、正確に申し上げますと、私はコメントする立場にはない、こう申し上げておけば誤解がなかったかと思うわけでございますが、今その上に立って言いますと、そういうマスコミも含めて、世情も含めて、大変これまた遺憾なことであったなというような感じも持ってお答えするにとどめたいと思います。
  145. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 石原知事は、第一師団の皆さんの前に立って、その皆さんに対して、災害の救急だけでなしに治安の維持も一つ皆さんの大きな目的として九月三日にぜひ参加していただきたい、こう呼びかけているわけです。しかし、西川次官の方は、治安のために出動するなんということは一切しません、そんな訓練じゃありませんと明確に言っているわけですね。そうすると、この石原知事の言っていることについて防衛庁長官が余りあいまいな態度をとるのはよろしくないんじゃないですか。
  146. 西川太一郎

    西川政務次官 恐れ入ります、大臣にお尋ねでございますけれども、整理の意味でちょっと発言をお許しいただきたいと思います。  その後、国会における辻元委員に対する私の答弁を石原知事に、これは報道の番組の中で直接御紹介があって、石原知事が、私もそれで結構です、こういうふうにおっしゃっておりますので、この問題はそれ以降、東京都ともきちっと、防衛庁としての立場を申し入れてございまして、東京都側から、担当の副知事から、当初の調整どおりの訓練ということの確認も、私ども、内局も含めてしっかりとっておりますので、この問題につきましては、もう既にそのように決着を見たというふうに理解いたしておるわけでございます。大臣がただいまおっしゃりたかったところは、そういうふうに、この問題についてはもうきちっと当初の線に戻ったということである、こういう御趣旨であるというふうに、私、わきにいて拝聴いたしておりましたので、そのように御理解いただきたいと思っております。
  147. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 しかし、その知事は、例えば十四日の記者会見でも、十三日にこの当委員会でこういう話があったという記者の質問に対しても、来週の金曜日、つまり今週の金曜日にこの演習についての作戦会議をやる、私も出席するつもりだ、内容いかんによっては私も治安出動訓練を要請いたしますと、重ねて記者の前でもそう言っているわけですね。それも明確に取り消しているというふうに、西川さん、おっしゃるわけですか。
  148. 西川太一郎

    西川政務次官 その知事のテレビ出演での発言が十六日でございますし、また本日、私、じかに担当の副知事と連絡をとり、ただいま申し上げましたことをきちっと申し入れてございますし、先方から、いろいろ御迷惑をおかけしました、こういうお話もございますので、どうぞ、佐々木委員におかれましては、その点、御理解をいただきたいと思っております。
  149. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 その点はそういうことで聞いておきましょう。  しかし、石原知事は既に九月三日の演習について、知事に就任してから二カ月後の時点でのインタビューではこういうことを言っています。ちょっと読みますけれども、「やっぱり陸海空の「三軍」を使った災害時の合同大救済演習をやってもらいたい、東京を舞台に。総司令官は小渕総理だから、彼が先頭を切って。」「なんていったって首都・東京ですから、首相が総司令官になった陸海空の大演習が行われるということは、政治的なパフォーマンスといったら怒られるかもしれないけれど、大事なことだし、すべての意味でマイナスのものは何もないから。」ちょっと間を飛ばしますが「じつはこれは私のアイディアではないんです。中曾根さんが防衛庁長官をやっているときに計画を立てたけど、美濃部知事がノー・サンキューといってやらなかった。君がなったらやれよっていうから、そのアイディアいただきだと。」中略「絶対日本のためになるし、東京のためになる。そしてそれは同時に、北朝鮮とか中国に対するある意味での威圧にもなる。やるときは日本はすごいことをやるなっていう。だからせめて実戦に近い演習をしたい。相手は災害でも、ここでやるのは市街戦ですよ。」というふうに「ボイス」では述べているんですが、こういう発言を聞いて、長官、どんなふうにお感じになりますか。
  150. 瓦力

    ○瓦国務大臣 私は、今、全く想像を超えるお話が、質問が続くわけでございますが、明確にしておきたいのは、東京、大都市における災害に対して、これにどう我々は取り組むかということが今日的な課題でございます。そのために、我々は全力を挙げて、東京都と一体になって、災害に対する対応、防災、救助について全力を挙げようというところでございまして、他の問題とこれをリンクさせまして御質問いただきますと、別の方向に話が行ってしまいます。ここだけは私ははっきり申し上げておかなければならぬと思います。  我々の考え方は、先ほど西川政務次官からたび重ねて答弁がありますとおり、直下型災害、東京都、大都市の災害につきまして全力を挙げて支援をしていくということで、率直に御理解をいただきたいと思います。
  151. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 想像を超える質問と言われたんですけれども、想像を超える発言を石原さんがしているから、それについての感想を聞いただけの話で、質問が想像を超えるなんと言われるのはちょっと不適切だと私は申し上げておかなきゃならぬと思います。  そして、長官がどういう意図で演習に臨まれるかということは、先ほどからの西川さんの発言で、もうそれは私もそういうふうに理解をして聞いているわけですけれども、しかし、その演習の性格について、東京都も、言ってみれば、最初に要請をしてきて、参加する中心的な一つの主体でもあるわけですよ。その都知事がこういう想像を超えることを言っていらっしゃるわけですから、だから、そういう性格づけを都知事がする危険性があるわけです。長官、それは無視してはならぬことだと思うんです。  選挙で選ばれた知事に対するコメントというのはなかなかしにくいでしょうから、依田次官にちょっとお聞きしますが、こういう三自衛隊の統合での防災演習というのは、実は今のアイデアじゃないんだ、もっと以前から自衛隊ではやるアイデアがあったんだけれども、東京都知事が受け入れなかったからできなかった、今度受け入れる都知事が出てきたのでやれるようになったという認識でしょうか。
  152. 依田智治

    ○依田政務次官 御承知のように、統合部隊の運用というのは、本当に有事に編成したときにのみ統幕が運用するというような非常に狭い観念になっておったんですが、いろいろ世の中の事象が出てきたということで、近年の国会等で改正になりまして、災害とか、その他平時においても、統合的に必要なものは、やはり有効に陸海空の部隊を活用しようということになっておりまして、例えばPKO等でもできるだけ総合的に運用する、こういう流れの中で、現に有珠山でも連日三千人以上の者が出ていますが、これも、陸海空という線で、今まではばらばらだったのを、できるだけ有効に活用するように統合的に運用するという努力をしておるわけでございます。この東京都についても、数千人の部隊が出る以上、今までのようにばらばらにやるということでなくて、我々としては、統合的に有効な活用ができるように、こういうことで考えておるものでございまして、この東京都のこれで初めてそういう発想ができたということでなくて、近年における事象の複雑化に伴って、より有効に自衛隊を運用するという一環であるというように御理解いただければありがたいと思います。
  153. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、石原さんが言っているように、中曽根さんの時代からそういう構想はあったけれども、それが今、知事がかわったので実現できるようになったというのは事実だということになりますか。
  154. 依田智治

    ○依田政務次官 統合的に、陸海空、できるだけ参加していただいて実りあるものにしようということは、石原さんの考えであると同時に、私どもとしてもそのように考えているということでございます。
  155. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、先ほどの「ボイス」の石原さんの発言は、全部が全部想像を超えるような内容だったというわけではない、真実を指しているところもあるということですね。  北朝鮮や中国への威圧という意図を持ってこの演習をやるということではないと思うんですが、客観的にはいかがでしょうか。
  156. 依田智治

    ○依田政務次官 威圧というようなことは全く考えられませんで、我々としては、こういう災害訓練をする、しかも、陸海空自衛隊というものがしっかりと一体になって国民のために一糸乱れず訓練をやるということは、やはり国民にとっても非常に力強いことである。それを、他の外国において、自衛隊というものはしっかりした自衛隊だなということを感じられるかどうか、それはその国の感じられることでございますが、我々としては、自衛隊の精強性を示し、国民に安心していただくということが大変重要なことじゃないか、こんなように考えておる次第でございます。
  157. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そういう意味からいいますと、石原知事の言うように、数千の部隊が整然と動くこういう演習をやれば、これは北朝鮮や中国に対する威圧になるんだという意義づけもまるで外れているということにはならないということに……
  158. 西川太一郎

    西川政務次官 まことに、石原知事の御発言を引きながらのお尋ねでございますけれども、しかし、佐々木委員の御質問の意図が、私ども何度も御説明申し上げているとおり、そんな意味では絶対ないわけでございますので、どうぞ、そこのところをひとつ御理解をいただきたいということを申し上げます。
  159. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 石原知事は市街戦というようなことまで言っているわけですね、実際に。いや、私がそう思っているわけじゃないですよ。しかし、あなたが幾ら説明したって、この「ボイス」での石原発言も最近の一連の石原発言も、九月三日の大演習について、知事なりの特異な意義づけをやっているわけですよ。中国や北朝鮮に対する威圧になるようにするんだとか、あるいは市街戦の訓練にもなるんだとか、暴徒を鎮圧するための圧力になるんだとか、三国人の暴動に対する備えになるんだとかいう意義づけを彼は彼としてやっているわけです。  防衛庁はそうじゃないと言っている。それはいいですよ。もちろん私はそのとおりだと信じたいと思います。しかし、防衛庁や政府機関が東京都と一緒になって実行するこの防災演習について、一方の当事者である東京都知事はそういう意義づけをするわけですから、防衛庁は、違います違いますと言うんじゃなくて、知事の言っていることは違いますということをはっきり言わなければ、それもそうだということになってしまうではないか。だから、この結果として、知事のこういう北朝鮮や中国に対する威圧にもなるんだというような意義づけをそのままほうっておいては、知事の言っていることは違うんだ、そんな意義づけでやるんじゃないんだということを防衛庁としてははっきりと表明しなければ、その発言自体がひとり歩きして、国際的にも重大な意味を持っていくことになってしまうじゃないか、私はそういう意味で言っているわけです。  知事がこういう態度を表明している以上、この演習は中止すべきだという声も上がっているわけであります。こういう声に対して、長官、どう答えられるのですか。
  160. 西川太一郎

    西川政務次官 さっきから私は何度も申し上げておりますけれども、もう既に佐々木先生の知事の御発言引用の時点ははるか前でございまして、一番直近の知事の意思は、十六日のテレビ出演の際に、私どもがこの委員会の場で御答弁を申し上げた、すなわち、治安出動のような意図は全く持って参加をいたしません、こういう趣旨のことにつきまして、それでよろしいといいますか、それで結構ですというふうに石原さん御自身がおっしゃっている。  しかも、きょう私は具体的に東京都と詰めをいたしましたし、我が方の担当局長も責任を持って東京都と詰めをしてくれておりまして、その結果、ただいまるる申し上げているような姿勢で当庁は臨むし、東京都側も石原知事御自身も、そんなことをお願いしていないということをはっきりおっしゃっているわけでございますから、この御議論はこれ以上のものにはならないというふうに理解をして御答弁を申し上げているわけでございます。
  161. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 石原知事は、こういう「ボイス」の誌上だとかあるいは新聞紙上で伝えられているような発言を相次いでいろいろやっているわけです。それについて、全部間違いだった、取り消しますとは言っていないわけですよ。あなたとのやりとりの中では、確かに治安出動を要請するようなことはしないと言っているかもしれないけれども、しかし、こういう一連の発言があって、そして九月三日の演習というのは、現実に大規模な、今までやったことがないような規模の演習が行われるわけです。それを石原知事がいろいろな意義づけをしてきた。そのしてきた事実は、本人がしっかり取り消すか、あるいは防衛庁がそんなことは絶対だめだということをきちんと言わなければはっきりしないじゃありませんか。
  162. 西川太一郎

    西川政務次官 何度も同じことを申して恐縮でございますけれども、例えば、この十六日の「報道2001」、フジテレビの番組に出演をされました石原さんに対してアナウンサーが、そういう不法入国をした外国人が騒擾を起こすということに関してですね、西川太一郎防衛政務次官が国会で答弁していましてね、都と緊密に連携はするけれども、外国人の騒擾の発生を想定した自衛隊の訓練というような調整は一切していないというふうに言っています、こういうふうに答弁を紹介してくれたわけであります。それに対して都知事は、私もそれで結構です、そのつもりで、いきなりですね、そんな訓練してくれと言っていません、こういうふうに公器を通じて広く国民におっしゃっておられますから、もうそれでこれ以上の議論にはならぬ。先ほどから申し上げているゆえんのものは、そこにございます。
  163. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 これ以上の議論になるかならないかは、知事がこれからどういう態度をとるのかということにもかかわってくるわけで、そうはいっても、またこういうことを繰り返すということもあり得るわけですから、我々はそれをきちんと見守ってまいりたいと思います。  では、その問題についてはそこでおくことにしましょう。  法案の問題についてちょっと質問をします。  法案では、不審船を停船させ、武装解除させるための特別警備隊という部隊を新たに海上自衛隊に新編するということにしています。これに関連して、まず、昨年の三月の不審船による領海侵犯事件についてお聞きしておきたいと思います。  あのとき政府は、海上警備行動発令に至った理由として、海上保安庁では対応し切れなくなったということを挙げていました。まず海上保安庁の側にお聞きしたいのですが、海上保安庁の体制にどういう問題があの不審船事案ではあったのでしょうか。
  164. 荒井正吾

    荒井政府参考人 三月の不審船事案で、結果的に逃げられたわけでございますが、そのときの反省事項、教訓事項がございますが、それを振り返ってみますと、事前の情報連絡体制が不十分であったのじゃないか、あるいは監視機能が十分してなかったのじゃないか、追跡の能力が不十分であったのじゃないか、自衛隊との連携をもっとよくしなければいけないのじゃないかといったような反省事項がございました。それを踏まえて、その後、関係閣僚会議において「教訓・反省事項」として取りまとめられた経緯がございます。
  165. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 情報通信体制、監視機能が不十分だった点については、もう具体的な改善は図られているわけですね。
  166. 荒井正吾

    荒井政府参考人 その後、自衛隊との訓練あるいは共同マニュアルあるいは装備の整備などを経まして、情報連絡体制の改善強化に努めてまいりました。
  167. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 では、追跡能力という点ではどうですか。改善が図られていますか。
  168. 荒井正吾

    荒井政府参考人 追跡能力につきましては、速度と航続距離の面がございますが、その後、高速特殊警備船三隻の整備を初め、既存の高速小型巡視船の配備の見直し等行いまして、著しい改善を図っておるところでございます。
  169. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 反省事項についての中で、停船させるためのあらゆる方法についての運用研究を行うということが書いてありますが、これについてもきちんと進行しているということですか。
  170. 荒井正吾

    荒井政府参考人 不審船でございますので、相手の武装の能力あるいはその他の能力ははかり知れないところがございますが、ある想定のもとで海上自衛隊と訓練あるいは共同マニュアルの作成等を積み重ねてきておるところでございます。
  171. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 具体的な問題ですけれども、海上保安庁としては、いわゆる不審船についての対応という点では、つまり不審船を発見したら捕まえて、言ってみれば中をきちんと捜索もし、解明もするということを基本的な目標にしておられるのか、あるいは、場合によっては領海から遠く駆逐してしまえばいいんだという対応にしておられるのか。その辺のところはどうなっていますか。
  172. 荒井正吾

    荒井政府参考人 不審船は領海に入った不審船でございますので、停船、捕捉するということを海上保安庁の本務と考えております。
  173. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、去年三月の事件については、当時の防衛庁長官は、領海から遠く追い出した、これも一つの成果だというようなことを言っておられるわけですが、そうではなくて、あれでは失敗だということになるわけですね。
  174. 荒井正吾

    荒井政府参考人 当時、不審船というものが出動いたしました初めてでございますので、どのようなものかという情報も不足しておりましたので、失敗かどうかという判断は、私ども法執行機関として直接する立場にないと思っておりますが、結果的にいろいろなことを試みた、停船命令、停船措置を試みたあげく逃走したという事態を踏まえて、教訓、反省の事項が取りまとめられたというふうに考えております。
  175. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 海上保安庁には、既に不審船の停船や武装解除にも対処する部隊がつくられているんじゃないでしょうか。
  176. 荒井正吾

    荒井政府参考人 停船、武装解除というのは、行動として大変違うものでございます。  停船につきましては、相手の出方によるわけでございますが、停船命令を発した上、相手の出方によっていろいろなことをしなきゃいけないと思っております。  武装解除につきましては、これも相手の出方次第でなかなか難しいところでございますので、当方の能力がどの程度であるかということを一義的に申し上げられない状態にあろうかと思います。
  177. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 しかし、そのための備えはしているわけですね。
  178. 荒井正吾

    荒井政府参考人 停船、捕捉という任務を全うすべく、最大限の準備をしているつもりでございます。
  179. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 不審船に係る共同対処マニュアルの概要をいただいておりますが、「基本的考え方」の中で、「海上保安庁では対処することが不可能又は著しく困難と認められる事態に至った場合には、」云々ということが書いてあるのですが、この「海上保安庁では対処することが不可能又は著しく困難と認められる事態に至」るというのは、例えば具体的には、これは不審船の問題ですが、どういう事態のことを指しているのでしょうか。
  180. 荒井正吾

    荒井政府参考人 海上警備行動が発令されるか否かは内閣が判断されるということでございます。一概には申し上げられないものと思っております。
  181. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 一概には申し上げられないで結構ですから、例えばこんなケースは対処できないんだという、例えば、去年の三月の事案はどうだったかということも含めて説明してください。
  182. 荒井正吾

    荒井政府参考人 一概には申し上げられないということでございますが、武装しているというおそれが基本的にあるかもしれませんので、武装の能力が海上保安庁の武器の能力を著しく超えて抵抗に入ったというような場合は、海上保安庁で対応することが不可能もしくは著しく困難な場合じゃないかという想定はできるものと思います。
  183. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 不審船というようなものに対する対応の第一義的な責任は海上保安庁にあるということなんですが、長官、率直に言って、今の海上保安庁の能力として、こういう不審船に対する第一義的な責任をちゃんと果たせるだけの能力があるというふうにお考えですか。
  184. 荒井正吾

    荒井政府参考人 不審船はまさしく不審船でございますので、一概には申し上げられないと思いますが、全力を挙げて努めたいと考えております。
  185. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 海上保安庁が第一義的な責任を持ってこういうものに基本的に対応するということが当然で、その力が足りなければその力をもっと強める必要がある、これは当たり前のことだ、私たちはそう考えています。  同時に、海上保安庁が基本的に対応できる、対応しなきゃならぬものについて、今度は自衛隊の中にも特別警備隊をつくって対応しなきゃならぬという問題について、防衛庁長官、なぜこういう対応が必要なのか、説明してください。
  186. 瓦力

    ○瓦国務大臣 せっかくの機会でございますから、多少経緯についても申し上げさせていただきたいと思います。  今お話しのように、不審船事案、このことにつきまして、関係閣僚会議において「教訓・反省事項」の取りまとめを行ったところでございます。この中で、今後の対応に万全を期すために、装備、運用及び海上保安庁との連携といった各分野において検討を行っておるところでございますが、これらの検討を受けて、装備面でも、十一年度第二次補正予算及び十二年度予算につきまして、幾つかの予算を、これらを計上させていただいておるわけでございます。  なぜ、不審船に対しまして、防衛庁が海上保安庁との連携、これを密にして対応しなければならぬかということは、先般の不審船事案で、答えるまでもなく委員はよく承知をいただき、理解をいただけるものと思うわけでございます。  そこで、特別警備隊を新編した理由でございますが、不審船に対しまして立入検査を行う場合、当該不審船の武装解除、無力化を実施する必要があり得ますが、かかる活動はこれまで想定された海上自衛隊の戦闘とは異なりまして、一般の艦船、艦艇乗員はこれを適切に行う技能を有しておりません。かかる乗員に不審船の武装解除、無力化を行わせるということは、相当の人的被害をこうむる可能性があるわけでございまして、要員の安全を図りつつ立入検査等を行うためには、不審船の武装解除、無力化を本務とする特別警備隊を新編する必要がある、かように考えるものでございまして、この方向の中で、今、新編、編成を行おうとするものでございます。
  187. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 しかし、そういう能力は、もともと海上保安庁が磨いている能力のはずでしょう。自衛隊にないものをわざわざそういうことをしなくても、海上保安庁の能力を強めればいいということになりませんか。
  188. 瓦力

    ○瓦国務大臣 これにつきましては、先ほど以来海上保安庁長官が佐々木委員の御質問にたびたびお答えをしておるところでございます。  一義的に、海上保安庁はこれらの問題に対応する、その能力を持つということで、海上保安庁におきましてもその努力をし、また海上自衛隊との連携をさらに強いものにしていくということが不審船事案に対する私どもの大きな反省であるわけでございます。
  189. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 では、ちょっと法律的に検討してみようと思いますけれども政府は、昨年の三月の不審船に対する対処で、これまで一度も発動されなかった海上警備行動を初めて発動したわけですね。自衛隊法八十二条、これは、「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合には、」海上警備行動を発動できるというふうにしているわけです。  政府が、この不審船事案が海上警備行動の発動要件を満たしていると認定した具体的な根拠は何だったのでしょうか。「特別の必要がある場合」。
  190. 瓦力

    ○瓦国務大臣 委員はどうお考えなのか、私はちょっと答弁に苦労するわけでございますが、不審船事案というのは——私は能登半島なんです。能登半島沖に停泊した船が日本船名を名乗り、そしてその行動が、どうもこれは問題ではなかろうかということで着手していくわけでございますが、これらの一連の行動で委員が何をお尋ねしたいのか、私にはよく理解できませんので、もう少し明確に質問してください。
  191. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 去年の三月の時点で、それまでに不審船の事案というのは十八件あったというふうに海上保安庁から報告があったわけです。そしてその中では、例えば日向灘沖のように、海上保安庁が追跡したけれども全部逃げられてしまったというケースも現実にはあったわけです。そしてその間、一度も海上警備行動というのは発動されていなかったわけです。去年のあの事案に対して発動されたその特別な理由は何かということです。
  192. 荒井正吾

    荒井政府参考人 私はお答えできるかどうかわかりませんが、内閣の判断でございますので、当時の状況は、三月二十三日の午前中からずっと長時間続いておりましたので、その状況の判断のもとに海上警備行動が発令されたものと理解しておるところでございます。
  193. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 当時の野呂田長官は、その船が日本の船籍を偽っていて、とんでもないことだったとか、あるいは逃げ足が早くて海上保安庁の警備艇では追い切れなかったからだとかいうような説明をなされているだけなんですよ。実際には、海上警備行動の発動要件というのは、これまでの政府の答弁だと、有事が近くなって、不審船舶によって我が方の海上交通が著しく阻害される場合、あるいは海賊的な行為が頻発するようなことがあって、我が国国民の生命財産を守る必要があるときに、海上保安庁の手に負えなくなるような事態に、内閣総理大臣の命令を受けて出動するという答弁をしているわけですね。  つまり、海上交通がそこらじゅうで著しく阻害されてとか、海賊行為が頻発しているとか、だから海上保安庁だけでは手に負えないから自衛隊が出ていくというのは、それはそれとしてわかるんです。しかし、そういう事案であったのかということを去年のが言えるのかという問題があるわけですよ。
  194. 依田智治

    ○依田政務次官 先輩方が、事例として先生今言われたようなことを答弁していることは事実でございます。それは一つの事例としてやられたことでございます。  そして、昨年の不審船事件において、海上警備行動はなぜ発令されたか、こういうことは、これは八十二条に基づいて、不審船があり逃走しておる、海上保安庁の船舶をもってしては当時の状況として追跡できない状況下において、内閣で、これは自衛隊が出ろということで命令があったわけでございまして、やはり、独立国家として当然の行動をとられた。  従来はやっていないのにというのが、従来やらなかったことの方がむしろおかしいのではないか、このように考えておる次第でございます。
  195. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、去年の時点で今までとは言ってみれば解釈を実質上変えたということにならざるを得ないということだと私は思うんですね。それはいいです。いずれにしても、もう時間が来ましたから終わりますけれども。  いろいろ不規則発言も上がっていますけれども、確かに、ああいう不審船が来た場合に、捕まえて、そしてもう二度とそういうことができないようにきちんと調べてということをやりたいという国民の感情も、それは当然ですよ。しかし同時に、私が言いたいのは、今日本の周辺の国が、至るところの国が日本にどんどん不審船や工作船を派遣して、日本の様子を探っている、どの国か捕まえてみなきゃわからないなんという国民の意識じゃないんですよ。大体あんなことをやるのは、ああ、あの国だなというのはあるわけです、国民の合意として、意識として。そういう事態でしょう。今、世界の国々が、どの国も全部ああいう不審船を出して、互いに相手の国の動静を探り合うなんということをやっているような時代じゃないんですよ。かなり時代おくれの、ああいうことをやっている、それはどこかということは、日本国民ならだれもわかっているわけです。  そして、そういう国に対して、そういうことをやる者に対して、抑止と対話という、国際的には二つの対処方法があるということも私もよく存じています。そして、日本の対処の基本というのはどういうところにあるべきかという問題があるわけで、これは皆さんがどう考えようと、今の日本国憲法のもとでは、海上保安庁を本当に必要なだけ強めて、これを追っ払うなら追っ払うということをきちんとやるというのが今の憲法のもとでの基本的な対応方法であって、だから、自衛隊法の八十二条なんかをああいうのに発動するということになると、さっき防衛庁長官ちょっと答弁に詰まったように、まともな説明もつかなくなるようなことも起こってくるということを私は指摘したいわけです。  もちろん、憲法九条の指摘について、憲法制定議会なんかでも、身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあるなんという説明もありましたよ。しかし、この不審船の問題では、身を捨てることまでする必要はない。海上保安庁を強化してきちんとやっていけばいいわけでありまして、それをあえて、こうやって自衛隊でいろいろな対応をしようとすると、法律的な問題も解釈も変えていかなきゃならぬし、新しい法律をつくらなきゃならぬとかいうようないろいろな問題も起こってくる。私は、そういう対応が基本じゃない。日本は特に、対話と抑止というその文脈でいえば、対話の方でどれだけ成果を発揮していくか。あんな不審船なんか送ってよこさないように相手の国を変えていけばいい……
  196. 西村章三

    西村委員長 質問者に申し上げます。時間がかなり超過をいたしておりますので、結論を急いでください。
  197. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そういうことをやるべきだということを申し上げて、私の質問を——伺いましょう。
  198. 瓦力

    ○瓦国務大臣 私は佐々木委員がいろいろなことをおわかりで質問しておられる、こう思ったものですから途中で端折ったりいたしました。決して詰まったわけではございません。  申し上げますと、昨年三月の事案につきましては、不審船を発見以来、海上保安庁の航空機でございますとか、あるいは巡視船艇によりましてこれを追跡いたしました。停船命令を発しましたが、これに応じませんで、不審船が逃走したわけでございます。  この巡視船艇によりまして威嚇射撃を実施する等必要な措置を講じましたが、当該不審船が速度を上げたため、海上保安庁の巡視船艇等によりましてなお追尾をし、対処することが困難な事態になったわけでございます。  このような状況を受けて、政府として検討を行った結果、海上における人命もしくは財産の保護または治安の維持のための特別の必要があると判断をいたしまして、自衛隊法第八十二条に基づき、海上における警備行動をもって対処することとしたわけでございます。  自衛隊も、日本の人命、そしてまた国土を守る貴重な責務をしょっておるわけでございまして、海上保安庁とこれらが連携してその任務を全うするということは、国民から課せられた期待でもあり責務でもございます。そういう中で、自衛隊もこの際出動したわけでございます。  なお、これを考えてみますると、海上保安庁の船艇をもってして、なお速い、速度を上げて逃走をしたわけでございますし、不審船というのは中に何を持っておるかわからないから不審船でございまして、危険が同居しておるわけでございますから、ただ停船命令をしてとまってくれるというような、そういう船は不審船とは申さないわけでございます。  でありますから、これらの対処といたしまして、海上自衛隊並びに海上保安庁が連携をより密にしなければならないということで、双方でいろいろ取り組みをいたしておるわけでございます。このことについて御理解をいただいていないということは不幸でございますから、あえて申し上げさせていただきます。
  199. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 不審船への対応は、軍事的な対応だけに限られない対応があるんだということを私は最後に申し上げて、質問を終わります。
  200. 西村章三

    西村委員長 次に、西村眞悟君。
  201. 西村眞悟

    西村(眞)委員 今のような問答を聞いておりますと、むらむらと何かが言いたくなる。まあしかし、それは抑えまして、長官、気づいたことが一つあるんです。  私は今まで海上保安庁と自衛隊というのは違うと思っておったけれども、庁という点では同じですな。同格ですな。だからさっきのような問答が出てきても、長官は、順序としては、海保が行って対処し得ないときには防衛庁が出るんだと。これは軍隊だからですよ。対処し得ないというのは、ミサイルを持ってきたものには対処し得ない、だからこちらもそれに対抗できるものが出る、こういう順序になっているんですけれども、名前としては同格ですなと、これがちょっと申し上げたかったこと。  さて、この法案に関して、部隊の充足という問題から御質問させていただきます。  師団から旅団への改編というふうな本法案の意味はわかるわけでございますが、自衛隊創設以来、人員を確保していない、部隊の充足がなされていないというふうな状況が一貫して流れておる。そして、少子化社会の中で、今後、今までどおりの方針を継続するならば、ますます充足を獲得し得なくなる事態が予想される、人口の構成上そうでございます。  この中で、隊員募集の業務は地方連絡部に任せておりまして、私の知り合いのある一尉はどういう努力をしているかといえば、自腹を切っておるんですね、長官。自腹を切って、何々地方連絡部のカレンダーを刷って関係者に配ったり、そういう、かなりの自腹を切っています。彼はなぜそれをやるかといえば、自衛隊の仲間を募ることが国のために必要だという使命感でやっておるわけですね。  しかし、こういうふうな、私が今御紹介した一尉、昔の階級でいうなら陸軍大尉、彼の自腹を切る努力のみにおんぶだっこして現状を放置することは、部隊を統括する長官としてはもう限界だと見きわめて、制度的に根本的な人員充足の是正策が、今、考えるのみではなくて、実施に移される必要があるのではないか、私はこのように思いますが、御見解はいかがでございましょうか。  例えば、入隊経験して、除隊して社会で就職するときには、公務員に優先して就職せしめる。また反対に、もう少し強くは、公務員になるためには一年間入隊しなければならない。それは日本ではびっくりするようですが、欧米では当たり前でございまして、古代ローマでは、政治家の必須の要件は部隊勤務を経験したこと、これを経験しない政治家は市民として認められないわけでございます。歴代のアメリカ大統領の経歴を見ましても、クリントンさんだけが軍歴がないわけで、ほかの人はすべて軍歴を持っておる。こういうふうに、今現在でもその伝統があるわけですが、我が国にもそれを考えたらどうでしょうか。  つまり、自衛隊が国民の自衛隊というならば、普通の国民が自衛官になって、そして自衛官になった国民が自衛隊から離れて働くときにはまたそのような待遇を受ける、相互が交流するということが自然にならねばならないと私は思うんですが、御見解をお伺いいたします。
  202. 瓦力

    ○瓦国務大臣 最近の自衛官の募集状況につきましては、なかなかこういう質問をいただく機会が少のうございますので、大変ありがたい質問だと思っております。  いわゆるPKO活動でございますとか災害派遣等を通じまして、自衛隊への国民の理解、認識が深まっておりまして、近年の景気低迷に伴う雇用情勢の悪化の影響等にもよりますが、好調に推移しているものの、中長期的に見ると、少子化に伴い募集対象人口の減少が見込まれることや、あるいは高校卒業者の進学率が向上することにより、御指摘のように、募集環境は厳しいものになると予想されるところでございます。  なお、現実の問題といたしまして、自衛官に募集に当たっての苦労が多いぞという、今委員からの御指摘につきましては、大変苦労いただきながらも、前線でこれからも自衛官の募集につきまして理解を得るべく努力をしていることに私自身は敬意を表しておりますが、これから先々のことを考えますと、今委員指摘のように、大変難しい問題もあろうかと思います。  防衛庁はこうした点も踏まえまして、既に曹候補士制度の導入でございますとか、一般曹候補学生の受験資格年齢の拡大、隊員の処遇改善等の施策を講じてきたところでございます。予想される厳しい募集環境におきましても、私どもとしては、引き続き質の高い人材を確保していくために鋭意努力をしてまいりたい。委員指摘のように自衛隊における経験は貴重でございましょうが、今申し上げたような観点でこれからも努力をして人材を確保してまいる、そういう積み重ねをやってまいりたいと考えております。
  203. 西村眞悟

    西村(眞)委員 欧米では、よき部隊をつくるためにはよき就職先を確保する、就職するに対して優遇措置を与える、また大学に就学するにはスカラシップを与える。これはもう調べてこられて、あれは二千万円ぐらいかけて調べてきたんですか、そういうふうな財産があるわけでしょう。あるわけですからそれを現実に移すべきである。  ただ広報をして、こんなことをやっていますというのは、それはわかりますけれども、それは、先ほど紹介した一人の自衛官の方も含めて随分やっておられるわけですね。したがって、それ以上に、よき再就職先を確保する、そして優遇措置をもってそこに入れる、そして、それは別に特典ではなくて、一つの任務をやり遂げた者の当然の、社会が与える措置であるというふうなことを、もうぼつぼつ具体的に検討を開始していただきたい、このように存じます。  張り子のトラという言葉があります。師団から旅団にする。それが、旅団の中身何やというたら空っぽやった。有事というのはいつ起こるかわからない。先ほどの不審船の問題もそうでございます。そのときに、いつ起こるかわからない有事を想定した部隊の中身が空っぽということは、そもそも有事を想定してないのではないか。有事を想定しない自衛隊というのは自己矛盾でございまして、それがなぜ五兆円の予算が要るのかということになってまいります。これは、根本の、死命を制するようなポイントなんですね。  したがって、我々が、自衛隊を、また防衛庁を、国民の財産として働いてもらわねばならないというこの委員会の前提に立っても、隊員の充足率を図るために今こそ具体的な、今までにない措置を実現していくということが必要だと私は思います。長官も同意見だと思いますので、次に進みます。  即応予備自衛官の定員充足の現状と展望、これをまた聞くわけです。世界の軍事常識では、現役部隊と同数の予備役があるというのが常識なんです。即応予備自衛官の充足のための施策はあるのか。  例えば、今の制度から少し発想を変えまして、アメリカでは、民兵の段階ですが、週末に兵役につくという制度がある。彼らはどういうふうにやっておるかといったら、肉屋のおっさんが、また日本でいうたら米屋のおじさんが、週末基地に来てF4ぐらいは操縦しておるわけです。そして、彼らはそれが名誉である。これこそ、市民が、国民が軍人になり、軍人が国民である、両者はともに相矛盾せずその職務を果たしておるという理想的なものである、アメリカというのはいい制度を持っているな、このように思うわけです。  我が即応予備自衛官は今充足されておるのか、それに対して具体的な施策はあるのか。現役と同数の予備役を確保するのが軍事常識である、この前提から長官の御見解をお伺いいたします。
  204. 依田智治

    ○依田政務次官 即応予備自衛官につきましては、平成九年度、福岡の第四師団、これから始めたわけでございまして、六百九十六名の人員を確保いたしました。それから翌年度、十年度には、第四師団のほかに第六師団、第十三師団、これは旅団にしたわけでございます。この改編に伴いまして、合計で二千四十八名。十一年度につきましては、第四、第六師団、第十三旅団に続きまして、現在北海道の第七師団でやっております。これで、トータルとして三千三百八十五名ということで、大体計画どおりの予定で充足しております。  最後的には、陸上自衛隊十四万五千、即応予備自衛官一万五千という十六万体制に持っていくということで考えておるわけですが、やはり予備自衛官から即応予備自衛官になっていただき、これまで年に五日程度訓練して予備自衛官になっていただいていたんですが、これが、年に三十日訓練、先生これでも少ないということかもしれませんが、三十日をやはり確保するということは非常に努力の要ることでございますので、我々としては、あるいは企業主にそれを理解していただいて、そして協力をいただく、こういうことが非常に大事でございますので、地連とかその他も通じましてそういう働きかけをやっておるということでございます。
  205. 西村眞悟

    西村(眞)委員 予備自衛官を確保する工夫、これはちょっと発想を変えていただいて、一たん、一般、しゃばの人間から自衛官になった者だけを対象にせず、例えば、大学で、二年間、通学しながら、それで一年間何十日か、百日程度、兵舎から大学へ通うという形で訓練を受けた者を即応予備自衛官に入れるという制度、アメリカがやっておるウイークエンド何とかという、週末だけ訓練を受ける、そして現実にいざとなれば非常な戦力になるわけですね。  スイスなどは本当に、訓練から帰る学生諸君が、自動小銃を持ちながらにこやかに一般の電車に乗って移動しておるわけですね。本当に、国民の軍隊、軍隊というものは国民がなっておるんだ、我々と同じなんだというふうな社会風土ですね。  この社会風土をつくり上げるのは、先ほど言いましたような、充足率に関して私が申し上げたような、また即応自衛官においての私が今申し上げたような、これをそっと工夫して、よき市民として働けるような土壌をつくるだけでいいわけですから、やられるべきかなと思います。御提言申し上げておきます。  さて、これは最後質問ですが、練度の維持に関しての質問です。  現役、即応予備、予備と部隊編成の制度があるわけですが、どのように練度を維持するかというのは根本の問題である。張り子のトラと先ほども申し上げた言葉のように、部隊はあります、しかし鉄砲は撃ったことがありません、命令どおりに動けません、一キロ走ったらもう走ることができません、これは自衛隊があるという本質に反する事態なわけですね。ここに国民の税金を投入することはできない。国民の税金が投入されている限りは、防衛庁の任務として練度を維持することが必要だ。  そこで、今、はっきり申し上げて、訓練の量とか期限にも限度があるわけですね。たまに撃つ弾がないのが玉にきずという言葉があるとおり、これはもっと訓練を充実させる努力をしたい。  ここでちょっと、これは前回の安全保障委員会で、T33A練習機が墜落したことに関して、装備、設備が余りにも老朽化しておるんじゃないかという共産党の佐々木委員質問、それはもう正当なんです。だから、装備や設備を近代的に改めて、訓練する者が装備が老朽化しているから等々の理由で事故に遭遇し、貴重な人材を失うことのないようにするのが防衛庁の任務である、これが一つ。これが練度を上昇させる第一歩ですね。これは共産党も賛成だと思いますよ、前の質問を聞いておりましたから。  次に、これはささいなことですけれども、演習場への移動です。演習場は駐屯地から遠い。だからそれは、移動するにはバスで行く。時々見かけるあの自衛隊のバスです。これに、高速道路がただで走れるようにする。これは、長官、運輸省と交渉して、彼らはレジャーに行くわけじゃないわけですよ。この高速道路代というのは非常に大きいですよね、高いですよね、長距離移動するわけですから。  今どうしているかといえば、高速道路を利用する金が出ないので、地道を行っておるわけです、長官。人間だからトイレが必要だ。そのときに、何百人の若い者を、鉄かぶとをかぶった者をトイレさせる場所がない。どうするか。トイレの区間だけ高速道路に上がってまたトイレしているというふうに私は聞きますよ。  だから、これだけモータリゼーションが発達して高速道路があるわけですから、演習地まで短時間で快適にトイレの設備のある高速道路を走らせてやれというふうな前提で、高速道路は演習に行く自衛隊の車両はただである、これは練度を維持するというささやかな一歩ですけれども、もう少し練度という部隊の命を確保するために行く隊員たちのことをおもんぱかっていただく、これが一歩だと思います。  御見解をお願いします。
  206. 依田智治

    ○依田政務次官 まさに先生指摘のように、自衛隊のような部隊、これはもう訓練あっての自衛隊でございます。そういう点で、T33の例がございましたが、予算関係もございますが、できるだけ老朽装備の更新ということによって効率的な訓練を目指す、これは当然なことでございます。  あと、御指摘の高速道路、これは、私も地方へ行きますと、実際に大規模な訓練をやりたいことはわかっているんだけれども、車を通す輸送料が非常に限りがあるので、百台予定しているところを半分に切っておるとか、そういうような話も実は聞きます。数年前、幕の話で、予算をとって、そして最近は比較的よくなりましたとか言っておりますが、まだ必ずしも十分でない。無料化というような問題は、全体の国の予算あり方として、また検討する課題であるところでございますが、年々一般物件費等が、結構予算要求対前年ゼロとか、そういう中で非常に厳しい状況になっておりますが、我々としては、訓練あっての自衛隊ということで、そういう部分を少しでも多く確保して、しっかりと皆さんの頼りになる自衛隊ということで努力していきたい、こう考えておる次第でございます。
  207. 瓦力

    ○瓦国務大臣 委員指摘のように、教育訓練は重要な分野でございますし、また、いわゆる訓練には、油代と称しまして、そのもの、いわゆる油を使い、また移動に当たっては車両を使うわけでございます。  そういう環境の中で、今委員が御指摘のように、長距離に必要な有料道路の使用料、これについて予算をもう少し考えたらどうかという御指摘でございますが、前年度予算を二億円上回りまして、今八億円の予算確保をいたしております。これで十分かと言われますと、十分とは言いがたい分野もありますが、確かに今まで高速料金を払うことなしに訓練に出かけたりいたしておったわけでございますが、これからこういうような不都合な分野もなくしまして、やはり訓練が十分に行き届くように、また、高速道路を使ってその時間短縮と訓練ができるようにこれから心得ていかなきゃならぬと思いますが、予算の面では、まだ委員からいたしますと少ないという御指摘をいただくかもわかりませんが、かようなことで、予算につきましては伸ばしておるところであります。
  208. 西村眞悟

    西村(眞)委員 国がつくったこの高速道路を、国を守るために働く、訓練を受ける若い諸君が、自由に、快適に使ってその任務を果たせるようにしていただきたい、このように思います。  これで私の質問は終わります。ありがとうございました。
  209. 西村章三

    西村委員長 次に、辻元清美君。
  210. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党、社民党の辻元清美です。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。  海上保安庁の方はまだ入っておられないですね。意外に西村さんが早く終わったからかな。  それでは、まず最初に海上保安庁関係質問をしたかったんですが、ちょっと順序を変えて、今回のこの改正では幾つか具体的なことをまずお聞きしたいと思うんです。  師団の旅団化という改正をするとなっていますけれども、この点について、まず、第十二旅団となった場合、その任務、組織、装備などはどう変わるのかという点をお答えいただけますでしょうか。
  211. 依田智治

    ○依田政務次官 先生承知のように、旅団は師団と同様、防衛計画大綱におきまして陸上自衛隊の基幹部隊として位置づけられておるわけでございますが、師団は大体七千人くらいに対して旅団は四千人くらいの規模という形で、任務的には変わりません。  他方、十二師団というのは、相馬原にあるわけでございますが、北関東、信越地方を守る、我が国の中央部に位置しておりますことで、やはり、縮小はするけれども、災害その他いろいろな事案が発生したときにすぐとっさに飛んでいけるというようなことも考慮しまして、今の定数七千を大体四千人にする中で、ヘリコプターの機数をふやすとか、一方、戦車等の重装備の保有を抑制して、空中機動性を高めた旅団にする、こういうようなことを考えております。  この結果、旅団改編後の十二師団、第十二旅団は、我が国の防衛に加え、大規模災害、山林火災等の多様な事態に際して迅速に移動、展開する、こういう効率的な部隊にするように努めておる、これが現在の状況でございます。
  212. 辻元清美

    辻元委員 それでは、もう一点具体的なことをお聞きしたいのですけれども、統合幕僚会議についてです。  この統合幕僚会議については、千四百八十七人から千六百十二人に増員ということに今回はなるようですけれども、この場合に、中央指揮システム導入に伴う態勢の整備、情報本部の緊急情報や動態情報についての機能の強化のためというような理由で人数増強ということになっているらしいのですが、この中央指揮システムの導入によって自衛隊の指揮システムはどのように変わるということになるのでしょうか。
  213. 依田智治

    ○依田政務次官 お答えいたします。  新中央指揮システムというのは、情報通信分野での技術的動向を踏まえまして、各自衛隊において整備している各種システムを連接して効果的に機能させるということを考えておりまして、これにより、自衛隊の行動に関して防衛庁長官が情勢を把握し、所要の決定を行い、部隊等へ命令を伝達するまでの一連の活動に対し、従来以上に適時的確な総合的な支援が可能になるということを目指しておるものでございます。このため、新中央指揮システムの運用態勢の拡大のため三十九名の増員を行っております。  なお、情報収集、分析体制の整備を図るために、情報本部においては緊急・動態部というのを新設する予定でございますが、これは四十九名を含め七十九名の自衛官を増員するということにしておりまして、これは中央システムとは関係ありませんが、関連して統幕の情報機能を強化するというふうに考えておる次第でございます。
  214. 辻元清美

    辻元委員 今三十九名の増員という話がありました。この統幕の情報本部の増強というお話ですが、そうしますと、具体的にはどういう部署から異動してくるのでしょうか。
  215. 依田智治

    ○依田政務次官 この情報システムは、従来と異なって、対象とする事態を緊急事態に限定せず広く自衛隊の行動に関する事態に拡大する、各幕のオペレーションルーム等を同一の指揮所内に設置し、情報分野の技術動向を踏まえ、各自衛隊において整備している各システムとの連接等を実施するということでございます。この要員は、従来こういう部分に従事している人間を配置、展開して充足するということを考えておるわけでございます。
  216. 辻元清美

    辻元委員 関連してちょっとお聞きしたいのですが、新庁舎ができるということで、この新庁舎で運営される中央指揮システムというのは、旧庁舎での中央指揮システムと大きな違いがあるのならば、その点をお示しください。
  217. 依田智治

    ○依田政務次官 それは、今お答え申し上げましたように、現在の中央システムと異なりまして、対象とする事態を緊急事態に限定せず広く自衛隊の行動等に関する事態に拡大してやる、それから、各幕監部のオペレーションルーム等を同一の指揮所内に設置する、今まで各幕別々になっているものを同一指揮所内に設置する、それから、情報通信分野での技術動向等を踏まえ、各自衛隊において整備している各種指揮システムと連接させるというようなことで、自衛隊全体として陸海空統合的に運営できるように考えておるところでございます。
  218. 辻元清美

    辻元委員 といいますのは、この統幕の問題というのは機能が変化してきているのではないかということを、昨年、ちょうど今ごろの時期でした、日米新ガイドライン関連法について、私もその委員の一人として審議に加わりましたが、その際も、包括メカニズムとか調整メカニズム、これに対応するのが統幕であるということで、機能が変質してきているのではないかという議論がありました。  私は、後でちょっと全体的に自衛隊の行方ということを質疑させていただきたいのですけれども、自衛隊の性質が変化してきているのではないかという危惧を持っています。その件についてはちょっと後で質問をします。といいますのは、今、海上保安庁の関係の方がいらっしゃいましたので、ちょっとそちらの質問に戻りたいと思います。  先ほどから、特別警備隊員手当の今回新設ということに関連しまして、この特別警備隊員の任務についての質疑がありました。私もこれに関連して幾つか確認させていただきたいのですが、先ほどからの議論にもありましたように、不審船の武装解除、無力化を行うということを任務にするという、これは長官の御答弁でした。そうしますと、具体的にどのようなことをいうのでしょうか。要するに、この特別警備隊の編成や装備、これはどのようなものになるのか、そして、どのような訓練がされるのか、お答えいただけますでしょうか。
  219. 依田智治

    ○依田政務次官 先生承知のように、特別警備隊、これまで防衛庁にはそういうシステムはございません。したがって、この間、不審船のときに、相手側がとまって、もしそれに立ち入り検査するという場合でも、全くそういう訓練、防弾チョッキ等もないし、所要の武器等も必ずしもそれに十分なものがない、こういう状況でございましたので、やはりアメリカ等の例に倣いまして、そういう海上保安庁をもってしては対応できないような事態が生じたときに、防衛庁が引き継いだときに自信を持って職務執行できる態勢をとる必要がある、こういうことで、不審船の立ち入り検査を行う際に、あらかじめ不審船の武装解除、無力化を実施することができる特別警備隊、これは約六十名、自衛艦隊に置き、二十人をユニットとして三チームつくるということを考えておるわけでございます。この装備につきましては、部隊としての装備として、酸素濃度計、ガス検知器、部隊用携帯無線機、ガス銃。個人装備、機関けん銃、防弾救命胴衣、特殊警棒、手錠、その他必要な装備を充実させて訓練に励む。  なおこれは、ただこういう装備というよりも、装備もさることながら、体力、気力も含めて相当な練度のある部隊が必要とされておりますので、我々としては、江田島でしっかりと訓練をして、期待にこたえられるような精強な部隊にしたい、このように考えておる次第でございます。
  220. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、先ほどもちょっと他の委員質問にもありましたけれども、海上保安庁にお聞きしたいんですが、その際、海上保安庁では対応できないと想定される事態、先ほど説明されましたが、もう一度お答えいただけますでしょうか。
  221. 荒井正吾

    荒井政府参考人 失礼いたしました。  不審船に対する対策は、一連の流れを申し上げますと、発見、識別、追尾、監視、停船措置、拿捕、制圧ということになろうかと思いますが、昨年三月の不審船事案におきましても、反省事項がいろいろ生じました。その教訓を踏まえまして、情報連絡体制の整備、海上保安庁、海上自衛隊の対応能力の整備、自衛隊との共同対処マニュアルの整備等が整備されておるところでございます。  武装、制圧ということを前提にいたしますと、海上保安庁で対応できない局面は、全力を挙げて対処するつもりでございますが、停船、拿捕、制圧といった最終局面になりますと、大変難しい、武装能力のわからない面もございますので、大変危険が伴う局面が生じると考えております。前段の発見、識別、追尾等につきましては、協力関係を必要とする事態があろうかと思います。そのような全体の流れを総合的に勘案いたしまして、海上自衛隊との共同対処マニュアルが作成されてきておるところでございます。
  222. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、先ほどからの御答弁でも、どの程度の武装をしている不審船であるかということが一つの判断の基準になっているように御答弁の中では受けるわけなんです。  そこで、先ほどから問題になっております、昨年の三月の不審船発見の際、これはかなり武装しているという予測のもとに自衛隊は出動されたのか。要するに、あのときは、先ほどの御答弁ですと、海上保安庁では追いかけても取り逃がしてしまうというような御答弁がありました。  武装の点を重視して出動されたんですか。昨年の三月の問題です。
  223. 依田智治

    ○依田政務次官 これは、当時の状況、もう深夜に至ってきて、海上保安庁が追跡したけれども距離が離れるという状況の中で、まだ余力を残しておる自衛隊に海上警備行動を発令して、対応せよ、こういう命令が下ったわけでございまして、それは必ずしも武装の度合いというだけではなく、自衛隊の持つ総合的なそういう力というものを活用して対応するように、当時は自衛隊、まだ十二・七ミリ機関銃というような、直接スクリューをねらっても危害を大きく与えないような装備を持っていませんで、五インチ砲といいますと、これは大きいものですから、直接当てるとこれは危害が及ぶおそれありということで、警告射撃で周辺に撃つ、またP3Cから百五十キロ爆弾を投下して停船を命ずる、こういうような措置をとったわけでございます。  これは、装備というよりは、自衛隊の持つ総合的な力というものを警備行動に活用せよということで総理から命令が下った、このように感じておる次第でございます。
  224. 辻元清美

    辻元委員 それではお聞きしたいんですけれども、海上保安庁が海上の警備を行う。そうしますと、海上保安庁と自衛隊、これは性質が違うものであると思います。この性質の違いを、これは防衛庁長官にお聞きすればいいかと思うんですけれども、どのように御認識でしょうか。
  225. 瓦力

    ○瓦国務大臣 海上保安庁長官もいらっしゃいますが、海上保安庁の任務は、海上自衛隊、防衛庁の任務とは違いまして、一つには警察行動でございます。そこで、海上保安庁の任務が、これは手に負えないなというようなときは、自衛隊が出動する、こういう形になっておるわけであります。
  226. 辻元清美

    辻元委員 といいますのは、昨年三月にもこの問題を安全保障委員会でも議論した折に、他国の例なども出ました。  先進国と言われている国々では、主にはコーストガードが対応するということを徹底していこうという方向に進んでいる。それはなぜかといいますと、かつてアメリカが、軍が出ていって撃沈してしまったということで、これはカナダの船だったようですが、その後大きな国際問題になってしまったということで、軍が出ていくということ、これは自衛隊も、アメリカの場合は国軍と呼びますけれども、軍が出ていくとなると、これは非常に慎重な対応をしないと、大きな国際的な軍事問題に発展するわけですね。ということで、各国ともコーストガード、要するに日本の場合は海上保安庁という、警察行動になるかと思いますが、この行動でせきとめていくというようなことが各国議論されてきています。  去年の三月に自衛隊が初めて海上警備行動を行った折も、なぜ今そういうことを行うのか、どういう根拠であったのかという、根拠については先ほどからも議論されていますけれども、私はあのときも納得しなかったんですね、その以前の例と比べても。  ということで、これは新しく特別警備隊員という、手当もつけて今回新設するということなんですけれども、私は第一義的にはやはり海上保安庁の警察行動としてしっかり補強した対応をしていただきたいと思いますけれども、自衛隊が特別に安易に出ていくということはあってはならない、これは時代に逆らっているというように私は思いますが、いかがですか。
  227. 依田智治

    ○依田政務次官 各国でコーストガードが対応するという例もあるということでございますが、コーストガードといいましても、国によってそれぞれ役割というのは違っておる。  それで、しかもコーストガードの持つ武装の程度というものも、場合によっては軍隊と警察の中間的な、むしろ第三の軍隊的な形を、第二のというんですか、持っているものもあるということで、我が国の仕組みとしては、あくまでも、海上保安庁というのは警察機能を持っておる。特に不審船事件、特にコマンドーが乗っておる、それが相当な武装をしておるというような状況の場合に、それにあらゆる武器をもって対応し得るということをするとすれば、海上保安庁自体に軍としての性格を持つくらいな装備を持たなければならぬ、そういうことにもなりかねないわけでございます。  我が国の場合としては、あくまでも一義的には警察、しかしそれに足らないところはシビリアンコントロールのもとに警備行動を発令して自衛隊が対応する。その場合でも、自衛隊の対応はあくまでも警察行動としての対応なので、警職法を適用する。しかし、警職法のみで果たして対応できるかという問題については、内閣で今総力を挙げて検討しておる。こういうことで、私は、日本のような国の行き方として、こういうすみ分けというものはやはりあってそうおかしくないんじゃないか、こういうように感じるわけでございます。
  228. 辻元清美

    辻元委員 今、すみ分けという御発言がありました。  そのすみ分けの基準なんですね。これは、海上保安庁で対応する場合と自衛隊で対応する場合は、国際的に見ても性質の異なる対応である。その延長線上でずるずると、何だか対応できないから、基準不明確、合理的な基準が不明確のまま、できなかったから、ではやろうかという話ではない。これは考え方からもう全然違ってくると思います、この二つの対応については。そこのところが、この前の三月の対応でははっきりしなかったのではないかということを申し上げているのですね。  さて、そういう中で、ほかにも幾つか質問したいことがありますので、この不審船対応については、また改めてこのことに関して検討した方がいいと思いますので、時間をとって質問させていただきたいと思います。ですから、海上保安庁の関係者の方はこれで結構です。  さて次に、今回の改正案について、研究本部について朝から何人かの委員質問をしています。この研究本部の中では、きょうの朝の答弁で、ゲリラ・コマンドーの攻撃対処とか、核・生物・化学兵器対処等の部隊運用面における研究課題について、総合的見地から調査研究を実施するというようなことを長官がお述べになっています。この研究について、先ほどからの御答弁では、机の上だけなんだというような御答弁もありました。  そうしますと、この研究成果についての情報公開、軍事的な研究についてはどこまで情報公開をするかということは、それぞれの人の価値観によって線引きの度合いが全く違うわけなんですけれども、一体何を研究して、どういうことを行っているのかがわからないというようであるならば、きょう、朝も引き合いに出されましたが、特に、この生物兵器等というところで過去の例もあります。日本の軍の中で、過去に七三一部隊の話などもありますが、研究していた人たちの証言も戦後たくさん出てきています。新しく研究本部を設けられるということですが、情報公開についてはどのようにされるおつもりでいらっしゃいますか。
  229. 依田智治

    ○依田政務次官 午前中も大臣から答えましたが、研究本部は、陸上自衛隊の運用、編成、装備、教育訓練等の研究を総合的に幅広く行うということにしておりまして、その対象も、着上陸侵攻等侵略事態への対処、周辺事態への対処、PKO国際緊急援助活動への対処のほか、ゲリラ・コマンドー攻撃への対処、NBC、いわゆる核・生物・化学兵器への対処、こういう陸上自衛隊がこれから当面する、いろいろなことも予想される事態に対して、自衛隊の中には航空とかその他いろいろな職種がありますが、そういうものを効果的、統合的に運用するための方策を研究するということでございまして、これは、即、我が国の有事その他いろいろな事態に対して自衛隊がどういう行動をするかという手のうちでございますから、自衛隊はこのように運用してとどめを刺すということを公表するというか、そういう手順を公表するということはちょっと難しいかと思いますが、どういう研究をしているかというような大きな項目は幾らでも言えると思います。それが、ではどういう具体的な形で自衛隊が運用されるかということは、ちょっとこれは研究の性質上、公表は差し控えるべきもの、このように考えております。
  230. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、今どのような課題について研究をしているかというところは公表できると。どういう人たちがそこで研究に携わっているのかということも公表されるのでしょうか。
  231. 依田智治

    ○依田政務次官 これはけさほどにもありましたが、研究本部は二百二十名くらいの態勢で各部門に分けて研究するということにしておりますので、例えば、研究本部に本部長を置き、その下に企画室、それから総務部、総合研究部、それでさらに開発実験団というのを置いて、これは三百名くらいの組織ですが、研究する。それぞれについてどういうことを研究するかということは公表して差し支えないことである、こう考えております。
  232. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、先ほど統幕の問題についてもお聞きしましたし、それから今研究本部の内容について、そしてさらに特別警備隊員の任務等についてもお聞きしたのですが、今回、人数の変更もされています。  そうしますと、これは総合的に考えて、防衛庁としては、中長期的に自衛隊の任務、機能、それから自衛隊の規模をどのようにしていこうという中で今回改正案を提出されているのか。要するに、こちらでもちょっと変える、こちらでもちょっと変える、ビジョンがあるはずなんですね。どのようなものにしたいのか、長官、それはいかがですか。
  233. 依田智治

    ○依田政務次官 これにつきましては、防衛計画の大綱を数年前に新しくつくりました。それで、自衛隊、例えば陸上自衛隊十八万体制を十六万体制にして、しかも、正規の常備自衛官は十四万五千にして残りを即応予備自衛官で充足するということで、現在中期防、これは十二年度が最終年度で、来年度以降どうするかというのはこれから内閣で検討していただくことになるわけですが、もう既にこの大綱で示した情勢判断と、そのコンパクト化、合理化、効率化、こういう方向の中で私どもは自衛隊の再編というものを進めていく、こういうことで今考えておるところでございます。
  234. 辻元清美

    辻元委員 もう一問してから長官にお答えいただきたいのですが。  先ほど統幕の問題についてのときに、日米新ガイドラインとの関連のことをちょっと触れさせていただいたのですが、例えば、私は去年質問しましたけれども、ガイドラインのメカニズムの中の調整メカニズムや包括的メカニズム、これを運用していくに当たって、アメリカ側のカウンターパートナーが変わってきている。今まで日米安保条約運用に当たって、日本側と交渉し、そして運用について話し合ってきたアメリカ側の担当官も変わってきている。  それらそれぞれのメカニズムについての協議の仕方を見ていると、専守防衛というふうに規定されてきた自衛隊の任務、それから相手のカウンターパートナーと話し合ったり議論したりしている項目を点検していきますと、そうではなくて、地球全体的なアメリカの戦略のもとで日本が組み直されていっているというように、日本の自衛隊そのものも組み込まれているわけですね、そういうように変質してきているのではないかというのが、昨年の議論の中でも随分出てきたのですね。  私は、そういう中で、自衛隊のあちこち、それぞれの部門であったり、それから研究本部という話もありましたが、ちょっとずつ変わってきているけれども、全体的な自衛隊の役割みたいなものを議論した上で変えていかないと、何か、気がついてみたら、全然違う性質のものに自衛隊がなっちゃっているではないかというような危惧さえ抱くのですね。それで、先ほど防衛庁長官に、どのようなビジョンをお持ちなのかということを承りたかったわけです。大綱はわかっています。その上で、長官はどういうふうにしたいのですか、どういうふうなビジョンを持って今運営されているわけですか。ガイドラインとの去年からのずっと長い議論があるわけですよ。
  235. 瓦力

    ○瓦国務大臣 辻元委員と視点が違うかもわかりません。私どものことはまた理解もいただきたいと思うわけでございますが、いわゆるこれから二十一世紀のビジョンといいますか、そういったものを求めてまいりますと、かつての冷戦構造時代の世界情勢とは変化してきております。よって、また私どもの周辺の安全、平和というものを確保していかなきゃなりませんし、我が国が持つ法律の言ってみれば不十分な点もございます。それらをこれからの時代は考えていかなきゃならぬわけでございますが、まず一つには、防衛力の規模につきましては、総括政務次官が述べましたとおり、合理化であるとかあるいは効率化であるとかコンパクト化、これらを図りつつ機能の充実を図ってまいらなければなりません。  または、不測の事態にどう対応するかという備えもしなければならぬわけでございまして、これは軍事の面ばかりでなくて、災害におきましても、先般から議論がありますように、不審船事案でございますとか、あるいは東海村の原子力の事故でございますとか、ただいまの有珠山の噴火等が相次いで発生しておるわけでございますから、これらの不測の事態に対して、防衛庁、自衛隊が迅速かつ適切に対応できるように平素から備えておくことが肝要である、こういったことも言えようかと思うわけでございます。  なお、今ゲリラ・コマンドーとかNBCでありますとか、それぞれの分野についての検討をしなければならぬということは、我々は、こういうものをもっていわゆる軍事的対応をするのではなくて、大変こういう事案というものが周辺に起こるような事態に備えて、あるいは価値の高い経済力を維持する、機構を維持する我が国におきまして、例えば、原子力発電所にいたしましても、ゲリラ・コマンドーとかそういうものに遭遇いたしますと、備えが不十分でございます。それらの問題というものに対応する研究は必要でございますし、そういう体制というものをつくり上げておかなければならぬわけでございます。  いわゆる国民生活の不安やそういったものを排除しつつ、安定した社会を維持するためにどうするかということは政治の大きな責任でございますから、それらに基づいて組織改編をいたしましたり、これらの問題について研究をいたしましたり、そういったことで今御提示をさせていただいておるわけでございます。
  236. 辻元清美

    辻元委員 今るるお述べになりましたけれども、意見が違うところも多々あるんですが、あと一分しかないので、もう一つだけ申し上げておきたいことは、きょうの理事会の方でもちょっと問題になりましたが、自衛隊の不祥事案件に関する防衛庁の調査については、私は、まだ調査結果が委員会にも示されていないということで、ぜひ委員長にお取り計らいをいただいて、この調査結果について早く提出するように防衛庁に委員会として正式に申し入れを検討していただきたいと思います。  自衛隊はこういうことをします、ああいうことをしますという足元から、これは何をしているんですか、と思いませんか。ことしに入ってからも、自衛隊、そして防衛庁関係のいろいろ不祥事の記事を見てみますと、もう嫌になってきますね。陸上自衛隊の違法射撃事件、その前には海上自衛隊OBによる業者との不明朗交際、その前には自衛艦修理に係る入札談合問題、それからその前には艦船入札談合疑惑と、ことしに入ってからも、もう一カ月に幾つも疑惑や不祥事が出てくるというのも、一方で今の自衛隊や防衛庁の実態ではないでしょうか。調査の結果、特にこの陸上自衛隊違法射撃事件の調査の結果をいつお出しになるつもりなんでしょうか。もうずっと委員会は待っていますよ、これは。いかがですか、長官。
  237. 瓦力

    ○瓦国務大臣 辻元委員からの御指摘も厳しくちょうだいをいたしておりますが、当委員会でさきにもいろいろ要請をちょうだいいたしました。私どもとすれば、国民からの理解や支援なくして自衛隊の存立はあり得ないわけでございますし、そうしたことを自己で改革をしていく能力を持っておらなければならぬわけでございますので、そういう視点に立ちまして今全力を挙げて取り組んでおるわけでございます。  この事案につきまして、基本的には、私どもといたしまして、それぞれのかかわりもございますが、早く追及をして委員会にお求めのようにこたえてまいりたいと思っておりますし、また委員会の取りまとめにつきましては、委員長並びに各党理事の方々の御協力を得なければなりません。私どもの方からどうするこうするということは申しがたき問題で、委員会の課題でもあるわけでございますが、最善を尽くしまして、それらの要請にこたえられるように今追及をさせていただいておるところであるということを述べさせていただきます。
  238. 辻元清美

    辻元委員 それでは質疑を終わります。
  239. 西村章三

    西村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  240. 西村章三

    西村委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。佐々木陸海君。
  241. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私は、日本共産党を代表して、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  本法案は、防衛計画の大綱や新ガイドラインに基づき、周辺事態等における日米共同対処態勢を構築するための一環として、自衛隊の部隊と体制を改革、再編し、機能を強化するものであり、反対であります。  第一に、陸上自衛隊として初めての空中機動旅団を構築する第十二師団の改編は、ヘリ部隊の重点配備などによって空中機動性を強化することで、周辺事態を初めとする多様な事態に即応し得る陸上自衛隊への改編を進めるものであり、容認できません。また、陸上自衛隊の部隊の運用等に関する調査研究を一元的、総合的に実施するための研究本部が新設され、そのもとでNBC、核・生物・化学兵器対処の研究体制を強化していることは、ゲリラ・コマンドー攻撃対処などとともに、自衛隊の戦闘能力の本格的強化を進めるものとして見過ごすことができません。  第二に、海上自衛隊に新編する特別警備隊は、海上警備行動発令下において不審船の武装解除、無力化を行う特別の部隊を新たにつくるものであり、これは、不審船対処を口実に従来の自衛隊の役割を拡大するものであり、さらには、危害射撃のあり方と称して武器使用権限の拡大が検討されていることは極めて重大であります。本来、海上における人命、財産の保護、治安の維持は海上保安庁の任務であり、海上保安庁において対処能力の整備が進められております。それにもかかわらず、殊さらに自衛隊の態勢を強化する軍事優先の対応は、不必要な軍事的緊張を生み出し、アジアの平和に逆行することになりかねません。  第三に、航空自衛隊の輸送機C130Hによる在外邦人等の輸送体制の増強は、海外における内乱、紛争などの緊急事態に在外邦人の救出を口実にした自衛隊輸送部隊の海外出動態勢をさらに強化しようというものであり容認できません。  第四に、情報本部に新設する緊急・動態部は、周辺諸国の軍事活動に関する情報や緊急情報を二十四時間体制で収集する体制をつくるものであり、市ケ谷における新中央指揮システムの本格運用とあわせて、情報、指揮通信機能の面で周辺事態に対処する態勢を構築するものであります。  最後に、防衛人事審議会は、部外者のみの委員で構成し、防衛庁職員の再就職や給与、処遇問題について調査審議し、その意見を長官が聴取することとされていますが、防衛庁が防衛庁背任事件の全容解明と政治責任の明確化に背を向けてきたもとで、大きな改善を期待できるものではありません。  以上、反対討論を終わります。
  242. 西村章三

    西村委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  243. 西村章三

    西村委員長 これより採決に入ります。  内閣提出防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  244. 西村章三

    西村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  245. 西村章三

    西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  246. 西村章三

    西村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十分散会