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2000-04-13 第147回国会 衆議院 安全保障委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十三日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 西村 章三君    理事 下地 幹郎君 理事 中谷  元君    理事 浜田 靖一君 理事 船田  元君    理事 上原 康助君 理事 島   聡君    理事 遠藤 乙彦君 理事 佐々木陸海君       安倍 晋三君    浅野 勝人君       伊藤 達也君    池田 行彦君       石破  茂君    奥谷  通君       嘉数 知賢君    河井 克行君       高村 正彦君    佐藤  勉君       坂本 剛二君    阪上 善秀君       鈴木 俊一君    中山 利生君       西川 公也君    萩山 教嚴君       福田 康夫君    御法川英文君       宮下 創平君    森  英介君       吉川 貴盛君    伊藤 英成君       桑原  豊君    冨沢 篤紘君       藤田 幸久君    旭道山和泰君       平田 米男君    若松 謙維君       東中 光雄君    中村 鋭一君       西川太一郎君    西村 眞悟君       辻元 清美君     …………………………………    外務大臣         河野 洋平君    国務大臣    (防衛庁長官)      瓦   力君    防衛政務次官       依田 智治君    防衛政務次官       西川太一郎君    外務政務次官       江崎 鐵磨君    政府参考人    (防衛庁運用局長)    柳澤 協二君    政府参考人    (防衛庁人事教育局長)  新貝 正勝君    政府参考人    (防衛庁装備局長)    及川 耕造君    政府参考人    (防衛施設庁長官)    大森 敬治君    政府参考人    (外務省総合外交政策局長    )            竹内 行夫君    安全保障委員会専門員   田中 達郎君     ————————————— 委員異動 四月七日  辞任         補欠選任   達増 拓也君     西村 眞悟君 同月十三日  辞任         補欠選任   嘉数 知賢君     御法川英文君   萩山 教嚴君     鈴木 俊一君   宮下 創平君     坂本 剛二君   宮島 大典君     河井 克行君   山崎  拓君     奥谷  通君   山中あき子君     森  英介君   中野 寛成君     藤田 幸久君   佐藤 茂樹君     旭道山和泰君   西川太一郎君     中村 鋭一君 同日  辞任         補欠選任   奥谷  通君     山崎  拓君   河井 克行君     宮島 大典君   坂本 剛二君     宮下 創平君   鈴木 俊一君     萩山 教嚴君   御法川英文君     嘉数 知賢君   森  英介君     山中あき子君   藤田 幸久君     中野 寛成君   旭道山和泰君     若松 謙維君   中村 鋭一君     西川太一郎君 同日  辞任         補欠選任   若松 謙維君     佐藤 茂樹君 同日  佐々木陸海君が理事に当選した。 同日  理事佐藤茂樹君同日理事辞任につき、その補欠として遠藤乙彦君が理事に当選した。     ————————————— 四月十二日  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣提出第一八号) 三月十七日  AWACSの廃棄、空中給油機導入中止に関する請願(土井たか子君紹介)(第五二一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  政府参考人出頭要求に関する件  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣提出第一八号)  国の安全保障に関する件     午前十時開議      ————◇—————
  2. 西村章三

    西村委員長 これより会議を開きます。  この際、去る四月七日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準変更等に伴い、理事辞任及び補欠選任を行います。  まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事佐藤茂樹君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西村章三

    西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任理事による欠員並びに委員異動に伴いまして、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西村章三

    西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事に       遠藤 乙彦君 及び 佐々木陸海君 を指名いたします。      ————◇—————
  5. 西村章三

    西村委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。  本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁運用局長柳澤協二君、防衛庁人事教育局長新貝正勝君、防衛庁装備局長及川耕造君、防衛施設庁長官大森敬治君及び外務省総合外交政策局長竹内行夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 西村章三

    西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 西村章三

    西村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嘉数知賢君。
  8. 嘉数知賢

    嘉数委員 おはようございます。自民党の嘉数でございます。  質問に入る前に、委員長一言お願いがあります。  実は、質問の時間をいただきまして、質問準備をし、通告をしようとしたら、今回は外務大臣並びに外務省総括政務次官出席できないという連絡をいただきました。事前質問を全部準備をして、あと通告する段階にそれがわかったものですから、大変私の方は戸惑いました。本来でしたら委員会全員がそれぞれ質問をする権利があるわけですから、事前に、もし出られなきゃ出られないという報告をしっかりやっていただかなきゃいかないし、本来、きちっと両大臣がそろった段階委員会が開ける体制をしっかりとられていただきたい。これは改めて私の方からお願いをいたしまして、質問に入ります。  そういうことで、急遽質問を変えましたので、防衛庁長官に、あるいは質問の内容がちぐはぐになるかもしれませんけれども、御了承いただいて、質問いたします。  三月十六日の報道で、幹部違法射撃という形で報道されました。それで、「陸自、組織的に隠ぺい」とか、「立件せず内部処分」等々の記事が出ました。そのことで、国民は、またかという印象相当受けたと思うのです。またかというのは、一連の警察官僚、いろいろの不祥事が続いた、そういうことでまたかという印象はあったと思うのです。  改めて事件の概要について防衛庁長官から明らかにしていただきたいと思います。
  9. 瓦力

    瓦国務大臣 嘉数委員から自衛隊不祥事につきまして御質問をいただきました。  私どもといたしましては、国民から信頼される自衛隊であらねばならない、自衛官であらねばならない、こういったことを日ごろ心得ておりまして、かような問題が生起しないようさらに努めてまいりたい、かように考えるものでございます。  今委員から御質問のございました問題でございますが、経緯をたどりながら御説明を若干申し上げさせていただきたいと思います。  平成六年十一月十六日、当時の第一空挺団普通科群長秀島一佐ライフル銃を借り受け射撃実施した事案に関して、本年一月中旬、部外から、処分に疑義があるのではとの問い合わせがございました。この問題につきまして、直ちに調査に着手したものでございます。  その結果、処分を含めまして、当時の本事案処理が不適切であったと判断をいたしまして、本年一月二十日、処分等当時の検討経緯等を改めて徹底的に調査するよう私から陸上幕僚長指示を行ったものでございます。  陸上自衛隊警務隊等によりまして捜査等実施してきたところ、小銃及び機関銃射撃がなされたとの情報を得ました。その後、さらに調査等実施いたしました結果、秀島一等陸佐ほか部外者三名が陸上自衛隊が保有する八九式五・五六ミリ小銃を違法に射撃したという容疑事実が固まりました。  このため、本年三月十三日、陸上自衛隊東部方面警務隊がこれら四名を逮捕し、翌十四日、静岡地方検察庁沼津支部事件を送致いたしました。  また、三十日には、秀島一佐ほか部外者一名が、陸上自衛隊の保有する六二式七・六二ミリ機関銃を違法に射撃した容疑で送致され、三月三十一日、秀島一等陸佐が、陸上自衛隊の保有する八九式五・五六ミリ小銃及び六二式七・六二ミリ機関銃を違法に射撃させたとしまして、静岡地方検察庁沼津支部より起訴されました。今後は、検察当局によりまして、全面的にこれらの捜査に協力してまいりたいと考えておりますし、徹底的な部内調査を行いまして真相究明努力してまいりたい、かように考え、取り組んでおるところでございます。
  10. 嘉数知賢

    嘉数委員 武器の使用というのは大変、ある意味で本当に厳重にしなければいけない。それからすると、民間人自衛隊の銃を使わせて試射をさせた、こんな重大な事件はないと思う。それに関して、平成六年に起こった事件がこれまで明らかにならなかった。そういう意味では、ある意味自衛隊そのもの隠ぺい工作をしたのじゃないかという疑惑相当あるわけです。  そういう意味で、これまでなぜ明らかにできなかったのか。これからまた調査をなさるというのですが、六年も前に既に起こって、これまでいろいろやってこられた、調査をして、それならいつ報告をするのかということです。  それから、組織的に隠ぺいをしたのじゃないかという疑惑、これは国民に対して大変大きな疑惑だと思うのです。警察機構でもそのとおりだ。次から次へと組織的な隠ぺい工作が出たということで、つとにマスコミをにぎわしたのですけれども自衛隊そのものが、前回制服組がいろいろなことをやって逮捕されたり、あるいはまた、隠ぺい工作をしたために現職の防衛庁長官がやめざるを得なかったということもあるわけです。  それからしますと、ある意味組織疲労を起こしているのかという思いもするのですけれども、やはりしっかりと調査をして、国民の前に明らかにして、責任の所在をしっかりして、国民信頼を取り返さなきゃいかない。  そういう意味で、今もう既に起訴もされておるわけです。その中で、改めて調査をするというのは、一体何を調査して、どのような形で国民の前に明らかにするのか、御答弁いただきたいと思います。
  11. 瓦力

    瓦国務大臣 委員指摘のように、この猟銃射撃事案が発生当時、防衛庁長官報告されなかった理由でございますとか、あるいは、陸幕及び部隊における処分等検討経緯、また、小銃機関銃違法射撃事案が発生しました当時報告されなかった理由や現在まで判明しなかった事情等について、私どもは真剣に取り組み、また解明していかなければならない、かように心得るものでございますし、当時の事案処理に当たりまして組織的な隠ぺいが行われたのではないかという疑い、これは委員も今御指摘をいただきましたが、そういったことも承知をしておるわけでございますが、本件につきまして、当時の多数の関係者証言等を整理しながら総合的な分析を行っているところでございます。  現時点でお答えは差し控えさせていただくわけでございますが、一般論として申し上げれば、自衛隊服務規律違反につきまして、これを組織的に隠ぺいするようなことがあってはならないわけでございます。言うまでもございません。また、小銃機関銃違法射撃事案につきまして、猟銃射撃事実の徹底的な再調査を私が指示したことによって判明したものでございますが、可能な限り早期に事案を解明して、厳正に対処してまいる所存でございます。  一日も早く防衛庁自衛隊信頼を回復する、また、回復することによってそれらの業務が遂行されるわけでございますから、総力を挙げて取り組んでまいりたい、かように考えております。
  12. 嘉数知賢

    嘉数委員 やはり武器管理を含めて、一番今国民が求めているのは、政府に対する信頼。それをいかにして回復するか、その一環から考えても、できるだけ速やかに調査をして国民の前に明らかにするという努力をしっかりやっていただきたい、そういう思いがします。  それから、ベトナム戦争終了前後、沖縄県で米軍相当荒れました。特に武器管理に関しては、民間地域に米兵が機関銃あるいはけん銃等を持ち出して売りに歩いたぐらい、綱紀が乱れた時期があります。一つの事象をある意味隠ぺいするために見逃しをあるいは軽い処分をするということになったら全体に綱紀が乱れてくるということからしますと、やはりしっかりとした調査の上にしっかりとした処罰をするべきであろう。  特に、その後の事件で、これは武器には関係ないですけれども佐官クラスがテレクラで知り合った女性を裸にして脅迫したという事件。その行為をしたのは三等陸佐ですか、彼はペルーの人質事件でおられたという、海外勤務をしたぐらいの佐官クラス幹部がああいう破廉恥な行為をする。それからしましても、自衛隊内部綱紀の大きな乱れがあるんじゃないかという思いが正直にしています。  そういう意味で、防衛庁長官、改めて、責任を持って綱紀粛正という面からも対策をとっていただきたい、決意のほどをお願いいたします。
  13. 瓦力

    瓦国務大臣 嘉数委員のおっしゃるとおりでございまして、自衛隊国民信頼を得てその職務を遂行していく、そういったことは不可欠なことでございます。また、嘉数委員の地元の事例にもあわせまして、自衛隊すなわち組織一つのものを失えば信頼を回復するまでに大変な努力が要る、そういうような御指摘も踏まえて申し上げますと、私も就任をいたしまして、防衛庁はより国民信頼をされ、さらに加えて、今後もいろいろな面で国民、市民との接点が求められていくわけでございますから、そういう信頼が厚いものでなければならぬ。こう考えますと、この事案につきまして、私どもは改めて決心をして、あしき慣行でありますとか、またそういったことを一切払拭するような覚悟で取り組んでいく、そういう努力が必要でございますので、えてして集団になりますと事柄を隠ぺいしようとする体質が見えざるところにまた生ずる可能性もありますから、何事もお互いに言えるような環境をつくり上げていかなければならぬということも含めまして、現在取り組みをさせていただいております。  これらにつきましては、さらに加えて総括政務次官からも答弁をいただこうと思っておりますが、十一地区に分けまして、私ども幹部自衛官と、そういった体質の改善はどうあるべきかということや今度の事案を深刻に受けとめておりますことを率直に申し上げながら、自衛官のまた奮起、そういったものを求めながら、今自衛隊信頼回復のために努めてまいりたい、こういうことで取り組んでおるところでございます。  お許しをいただければそれらのことにつきまして、三チームを構成して全国回っておるわけでございますが、まだ回り切ってはおりませんが、若干、所管等を含めて総括政務次官から御報告もさせていただければと思います。
  14. 依田智治

    依田政務次官 大臣指示に基づきまして、総括政務次官政務次官、事務次官ということで、今全国十一ブロックに行って、大体佐官以上、少ないところで二百人、多いところで四、五百人を集めて真剣に議論しております。  上意下達という形でなくて、真剣に、どうやったらいいのかという意見を聴取したりしておりますが、やはり指揮官というものが極めて重要でございます。いろいろ議論している中で、日本国民自体の中にも何かそういう問題についての底辺として教育が欠けているようなものもあるのかなという点も感じさせるような面もありまして、私としては、これから残りの地域についても鋭意これを実施して問題点を抽出し、しっかりとした国民の期待にこたえ得る自衛隊にするべく努力していく必要がある、こんなふうに考えております。
  15. 嘉数知賢

    嘉数委員 せっかく有珠山でも頑張っておられるし、いろいろな形で国民信頼を得ている中で、信頼を損なうんじゃないかということで隠ぺい工作をする、それ自体がリアクションとして大きく国民信頼を失うということになりますから、そういう意味危機感を持って対処していただきたい、お願いを申し上げます。  それから、防衛庁長官に。  沖縄県の航空騒音についてのいろいろな訴訟をやっていますけれども、片一方でじっと我慢しながらやっている皆さんもいらっしゃる。その方たちが、これまでの防音工事等について、実は告示日を改めて見直してもらえないかと。これは前に沖特委で私は大森長官質問しましたけれども告示日見直してもらわないとどうにもならない部分がある、あるいはまた地域指定を再度見直しをしながらやっていかなければ、相当県民が、その周辺におられる県民が迷惑をするし、ある意味では大変な我慢を強いられる。やはり国として適切な対応をしなきゃいかぬだろうということで前回質問し、前向きに検討するという答弁をいただきましたけれども、それ以後どうなったのかよくわからぬのですが、改めて告示日見直しをするということと地域見直しをすることについては防衛庁長官から決意を述べていただいて、あと細かいのは大森長官から説明をしていただきたいと思います。
  16. 大森敬治

    大森政府参考人 事実関係でございますので、私の方から先にお答えさせていただきたいと思います。  嘉手納飛行場の第一種区域の見直しでございますけれども、五十八年の三月に告示されているわけでございますけれども、その後相当の期間が経過しております。  嘉手納基地航空機騒音状況は非常に深刻であるというふうに私どもも認識しておりまして、現状の騒音状況をより的確に把握したいということで騒音測定器を新たに四カ所増設いたしまして、合計十四カ所をもちまして本年四月から測定を開始しておりまして、この実態調査を踏まえまして、見直しにつきまして前向きに取り組んでまいりたい。  また、実態調査に若干時間がかかりますので、嘉手納地域におきます米軍基地が多くの市街地部分を占めている、住宅地域が限られているというような地域特性がございます。こういうことを踏まえまして、やはり我々も早急に手を打たなきゃいけないということで、返還跡地に手続がおくれて住宅が建設されたり、また両親の面倒を見るということで両親宅の近くに建設されているというふうな、非常に考慮しなければいけない事情も具体的にあるように思います。  その辺を踏まえまして、具体的な状況に即して防音工事ができるように前向きに検討してまいりたいというふうに思っております。
  17. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいま防衛施設庁長官から答弁をいたさせましたが、委員指摘の問題につきまして、これまた説明にもございましたが、十四カ所において本年四月から測定を開始したものでございますが、これらの騒音状況等実態も踏まえながら前向きに検討してまいる、かようなことを私も御答弁させていただき、しっかりとこれらの問題に取り組んでまいるということを申し上げさせていただきたいと思います。
  18. 嘉数知賢

    嘉数委員 質問時間がなくなりましたけれども、できるだけ早い時期に告示日見直し、それから地域見直し、しっかりやっていただきたいとお願いいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  19. 西村章三

    西村委員長 次に、遠藤乙彦君。
  20. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 公明・改革の遠藤乙彦でございます。  私は、まず、今回の有珠山火山活動に関する災害派遣の問題につきまして質問をしたいと思います。  最初に、いまだに一万三千人を超す方々が避難生活を余儀なくされておりまして、心からお見舞いを申し上げますとともに、現場で活躍されておられます自衛隊皆さんにも心から敬意と感謝を表したいと思っております。  そこで、今回の災害派遣は、私は、全体のオペレーションが非常にスムーズに行われているという印象を持っておりますけれども、今回の災害派遣自衛隊活動の概況、それからまたどんな要望が現地から寄せられているのか、また今回の災害派遣活動の特色はどんなところにあるのか、そんなことも含めて御説明をいただければと思います。
  21. 瓦力

    瓦国務大臣 遠藤委員からの御質問は、有珠山火山活動に対する取り組みについての御質問でございます。  遠藤委員は既に建設等委員長も務めておられますので地震災害関係の問題についても深うございますが、答えろということでございますので、若干経緯に触れながらお答えをさせていただきたいと思います。  三月二十九日、有珠山火山活動が活発化してまいりまして、緊急火山情報の第一号が出されたわけでございます。私から、有珠山火山活動活発化に伴う災害派遣に係る準備態勢の強化に関する長官指示を発出させていただきました。これを受けまして、内局及び各自衛隊におきまして、それぞれ要員派遣職員派遣現地に向けてまずさせていただいたわけでございます。そしてまた、関係自治体への連絡員を派遣する等いたしまして情報収集に努めるとともに、有珠山周辺地区等におきまして所要の待機態勢をとったところでございます。  さらに、噴火後には、庁内におきまして防衛庁有珠山火山災害対策会議を開催いたしました。改めて私から、関係自治体関係省庁と緊密に連携をとりつつ、より一層迅速的確な災害派遣活動実施に努めていくべき旨指示をしたところでございます。  三月二十九日十五時二十分、北海道知事からの災害派遣要請に基づきまして、自衛隊は、一つ住民避難に係る輸送支援二つ目といたしまして、避難住民に対する生活支援、三といたしまして、ヘリ及び偵察機等による火山観測支援火山警戒監視支援、四番目に、有珠山周辺地区における航空交通情報の提供、さらに五番目といたしまして、人員、物資の輸送支援といった災害派遣活動実施しているところでございます。  現在までのところ特段の課題等は生じておりませんが、速やかな情報収集関係自治体と十分な意思疎通を図ることが迅速的確な災害派遣活動実施のかぎとなることを、今日までの自衛隊活動、これに対する肯定的な評価から確信を持ったところでございます。  九日、現地を私も視察いたしまして現場隊員と接しましたところ、みずからなすべきことを十分認識し、積極的に業務に取り組んでおることが見てとることができました。今後、仮に任務遂行が長期化した場合におきましても、これら隊員の旺盛な士気が維持できるよう配慮をすべき旨、さらに昨日、庁内におきまして防衛庁有珠山火山災害対策会議を開きまして、重ねて指示をしたところでございます。  委員から、自衛隊諸君現地でよく頑張っておるというお褒めをちょうだいいたしましたが、これから長期になりましても、士気衰えることなく支援してまいらなければなりません。加えて、その状況に応じて、どういう形、ローテーションなり態勢を組みながら支援をするかという課題がございます。また、いろいろ生活不安のことにつきましても起こるかと思いますが、現地におきまして、あらゆることにつきまして協力できるよう、微細に配慮をしながら取り組んでいくことを申しつけておるところでございます。
  22. 依田智治

    依田政務次官 先生から、今回の有珠山支援に対する特徴的な点、ちょっと補足させていただきますが、今回の事案につきましては、非常に予知情報が的確になされておったものですから、自衛隊としても、特にあそこは第七師団という日本で最強の師団があるわけです、それが十分準備を整える時間があった。それと、やはり道知事から即日に要請が出されて、自衛隊としても間髪を入れずそこへ行くことができた。それから、何といっても、阪神・淡路でいろいろ教訓を積んで以来、装備の充実その他の訓練等もやってきておりますので、そういう経験が非常に生かされているな。  あと、陸上のみならず、航空自衛隊の輸送、それから海上での待機とか、そういう陸海空がそれぞれ持ち味を生かしてそれに準備することができ、そして、やはり平素自衛隊が持っておる、例えば装甲車とか赤外線装置とか、そういう平素防衛に活用するために装備しているようなものがこういうときに非常に役立っているというようなことで、大変ないい教訓を得たのじゃないか。  今後とも、そういう教訓を生かしながら、国民の生命財産等を守るために努力していく必要があるというのを痛感している次第でございます。
  23. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今の御答弁にもありましたように、予知活動が非常に適切であったこと、それからまた阪神・淡路大震災の経験、教訓を最大に生かしているということで、今回は非常にスムーズに行われたという印象を私自身も持っておるわけでございます。  ただ、有珠山、一応鎮静化の兆しは見えますけれども、まだ何が起こるか予断を許さないわけでありまして、当面の自衛隊活動の最大の焦点として、ぜひ長官からも最大の激励を現地に与えていただきたいし、引き続き遺漏なき態勢をとるよう、極力御指示お願いしたいと思っております。  もう一点、今総括政務次官も触れられましたけれども、今回の有珠山の災害対策全体について言えることは、あれだけの規模でありながら、人命の損害に至っていない。これは極めて特筆すべき一つ状況だと思っておりまして、それに当たって最大の貢献をしたのは、予知活動の的確であったことであるかと私は思っております。  あの予知連の情報は極めて適切であり、しかも、時々刻々と先手を打ってそういった情報が出され、それに対する態勢がとられて、まことに見事なオペレーションであると私も感嘆しながらこれを見ているわけでありまして、予知活動の適切さに対する評価は、どれほどしてもし過ぎることはないほどの評価を与えてもよいと私は考えているところでございます。  こういった予知活動については、恐らくこれは自衛隊にとって大変大きな教訓になるだろう。自衛隊活動全般にとってもこの予知ということが極めて重要であって、予知を適切にすることによって被害を限定していくということは戦略の基本でもあると思いますので、ぜひともこの教訓を生かしていただきたいと思っております。  例えば、孫子の兵法の中にも、先知という表現がありますけれども、まさに予知と同じような意味だと思いますけれども、これこそが兵法の基本だということもありますので、ぜひ自衛隊におかれても、今回の教訓を最大限に生かし、情報収集、分析、予測、こういったことに遺漏なき態勢をとっていただければと思っております。  改めて、この辺につきまして防衛庁長官の感想をお伺いしたいと思います。
  24. 瓦力

    瓦国務大臣 災害にはいろいろございますが、突発的に起こる災害もございます。しかし今回、私は、有珠山が御承知のような地理的条件の中にありまして、災害がさらに広がり、また人身に及ぶ問題も十分心配される地点でございましたが、整々とそれに対応していただいた被災者の方々の冷静さも非常にいい結果であったと思うわけでございます。  前総理の小渕総理も、早速官邸に災害本部を設置いたし、また現地におきましても災害本部を設置いたしまして、火山の予知活動にかかわる態勢というものは、国土庁を中心として、専門家がよく状況を収集することに努められる、また自衛隊が機材を持ち、また常時ヘリコプターからの観測、昼夜を分かたずこれらを行って資料を上げる。こういった各般にわたる努力といいますか、やはり災害防除のためにはチームプレーだと思うわけでございますが、内閣、各省庁を挙げて取り組んだこと、関係省庁北海道知事を初めとしてそれぞれ連絡態勢をよくとったこと、また、地域の方々もそれらの状況をよく承知して、避難することであるとか、指示に従って行動をとったために、私は、最小限の状況を維持できたと思うわけでございますが、火山の特性からいいまして、まだ予断を許さないような状況が続くかもわかりません。  こういう状況にかんがみまして、私どもとすれば、さらに待機状態またはそれらのシフトを今後とも十分生かせるようなことで取り組まなければならない。今委員からの御指摘が、本委員会でもかようなことで調査を、また成果をいただきますれば、自衛官にとりましての誇り、また取り組んでいることに対する自信が一層わいてくるわけでありますので、こうしたことを含めて、現地に伝え、一層努力するように、私からもよく周知させたいと思っております。ありがとうございます。
  25. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 自衛隊活動の中でも、災害派遣は本当に国民から高く評価されている活動であると思うし、実際に、防衛出動、治安出動はなかったわけで、自衛隊国民との接点といえばこの災害派遣であって、これは大変国民自衛隊に対する理解、また信頼というのを高める上で大きな効果があったことは言うまでもないと思っております。  また、もう一つ、いわゆるPKOへの参加というものも、国際的な理解また国民の理解を深める上に大きな作用があったかと思っておりまして、このように、自衛隊がそういう自衛隊の存在に対する評価と信頼を着実に高めてきたことは、私も高く評価をしているところでございます。  その反面、今回も一つの大きなテーマになっております違法射撃案件、あるいはまた調達問題等、自衛隊のいわゆる不祥事というものによって、こういった自衛隊のイメージが大きく傷つけられることはまことに残念に思う次第でありまして、ぜひとも再発の防止に向けて強力な指導をお願いしたいと思っているところでございます。  そこで、この違法射撃案件の問題なんですが、一言だけ伺いますが、私自身は、これは極めて例外的な、個人的な問題ではないかと思いたいわけでございますけれども、なぜこういう常軌を逸した問題が起こったのかということにつきまして、長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  26. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいまは、有珠山についての質問に続きまして、自衛隊の先般の不祥事についても、委員からその感想を求められておるわけでございますが、私は、自衛隊は、国を守り、また財産、生命を守る、その一線に立たなきゃならぬということが大きな使命感でもございました。  加えて、また一方におきまして、災害等につきましても、持てる能力、組織を発揮して、市民の見方に立って協力をするという使命を、この五十年を振り返ってみて、よく努めてまいりました。  さらには、PKO等々、国際的な事業にも参画する機会を得て、広く自衛隊の信用が高まったわけでございますが、今日に至りまして、組織の信用を維持する、また信頼を確保するということは、多くの自衛官一人一人が十分な配慮と、そしてまた細心の注意を持って取り組んでいかなければならぬ大事な使命を担っておるわけでございますが、先般起こりました小銃やまた機関銃部外者射撃させるということは、自衛隊に負託された任務を逸脱した、あってはならない事案でございます。このことにつきまして、一等陸佐という自衛隊幹部が起訴されるという事態が生起いたしましたことは、まことに遺憾でございます。  当時の事案処理に当たり、組織的な隠ぺいが行われたのではないかとの疑いがあることも承知をいたしておりまして、一般論として申し上げれば、自衛官服務規律違反につきまして、これを組織的に隠ぺいするというようなことがあってはならないことは言うまでもございません。今後は、事実が解明されることが重要であると考えておりまして、本事案を含め、最近の不祥事の続発は、国民の理解と協力をその存立の基盤とする防衛庁自衛隊にとって極めて大きな問題であると認識をいたしております。  三月二十九日に、私から各機関の幹部を招集いたしまして、防衛庁全体で不祥事防止に取り組むべきことにつきまして指示を行い、また政務次官及び事務次官を長とするチームを設けまして、三月三十一日から全国各地に派遣をいたしまして、最近の不祥事の発生の原因等に関する詳細な説明を行いまして、厳しい状況認識を共有するとともに、現場の率直な意見をできる限り聴取いたしまして、今後の検討の資を得たいと思っております。  私の所感といたしましては、営々として築き上げてきた五十年の歴史でございましたし、また信頼を得て、自衛隊そのものの役割が国際的にも評価され広がっているときでありますから、いま一度、あり方を含めまして、総括政務次官を含め、全国十一カ所、各幹部を集めまして、一方的にこちらから物申すというのではなくて、何があるか、何が問題として着目していかなければならぬかということも含めまして、状況を聞きながら、今後自衛隊がさらなる信頼を受けとめられるような、そういう努力を重ねていきたいと取り組んでおるところでございます。
  27. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今回、現場自衛官の人たちが大変な汗を流して、一生懸命災害派遣あるいはPKO活動をやっておって、大変評価を高めている。それなのに、評判を落としているのは自衛隊の高級幹部あるいはまた防衛庁幹部というものではないかと私は思っていまして、要するに、指揮官としての幹部の心構えが欠落している、高級指揮官としての教育がむしろ欠けているのではないか、その部分に問題があるというふうに私は印象を持っているわけです。  日本の今までの体質からして、いわゆる現場の兵士は皆さん士気は非常に高いのだけれども、高級指揮官においていろいろ欠陥があるというのがむしろ今までの日本に対する見方なわけですけれども、同じような体質がやはりあるのではないか。本当に兵士がすべてを信頼しなければならない指揮官、指揮に従わなければならない指揮官としての心構え、教育に何か欠陥があるのではないかというふうに私は印象として感じているわけでございまして、ぜひともそういった点に特に焦点を当てて、今回の事例を徹底的に調査し、また今後の再発防止に向けて指揮官の、また防衛庁幹部の徹底した教育、心構えというものを強力に見直しをしていただきたいと思っております。  もう一度、この辺につきまして防衛庁長官の感想を伺います。
  28. 瓦力

    瓦国務大臣 今遠藤委員の御指摘の問題もあると私は思います。  といいますのは、今那辺にそれらの問題があるか、幹部も含めまして、教育のあり方もあると思いますが、一方的に押しつけるというのではなくて、三チームをつくって全国を今回っておりますということを申し上げさせていただきましたが、私どもは、上から下に物申すとか、既成の考え方をもって何が原因であるというのではなくて、いろいろ課題を徴したい。それを整理しまして、いかなる取り組みがこれからの時代にとりまして、上意下達ではなく、使命感に燃えた自衛官を養成することになるのか。そういう中にあって、指揮官とは人望を集めながら取り組んでいかなければならぬ、求められる指揮官像というものが浮かんでくると思うわけであります。なるべく各方面の意見を聞きながら、自衛隊は自助努力、自分たちでその信頼を得るための努力はしっかりとやらなければならぬ組織でありますから、惜しみなくそういう努力をしていきたい。今委員の御指摘もよく踏まえて取り組んでまいる覚悟でございます。
  29. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 ぜひそういう方向でお願いをしたいと思っております。  特に私は、今回、調査はぜひ、おっしゃったように民主的に、いろいろな意見を聞きながらやるべきだ、それがしっかりできてこそ本当の指揮官としてのリーダーシップが発揮できるわけであって、デモクラシーとリーダーシップの関係性をぜひよく認識された上でこの問題の解明に当たっていただければと思っておるところでございます。  続いて、PKFの凍結解除問題につきましてお伺いをいたしたいと思います。  PKOの法律ができたときに、私たちも深くこれにかかわってきたわけでございますけれども、いわゆるPKF本体業務を含めたPKO活動全般について、参加五原則をぴしっと守れば憲法上何ら問題はないということを私たちはしっかり議論した上でPKO法をつくってきたわけであります。しかしながら、日本がそういったPKO活動に参加するに当たって、まだ国民の理解あるいはまた国際的な理解も必ずしも十分でない段階にあって、いわば若葉マークをつけてやる時期であるので、PKF本体業務は当分の間凍結しよう、それに対して国内的、国際的な理解が進めば、その段階で凍結を解除しようということで凍結をしたわけでございます。  私自身は、特に自衛隊を中心とするPKO参加は既に七年を経過し、いろいろな事例もふえ、先ほど申し上げましたように、国民の理解あるいは国際的な理解も大きく進んだと思っておりまして、そういった意味では、凍結解除のタイミングは熟したと感じているところでございます。また、三党の政策協議の中におきましても、私自身もその一員でありますが、凍結解除しかるべしということで結論を出しているところでございます。  そこで防衛庁長官にお伺いをしますが、特に自衛隊のPKO参加の今までの経緯を踏まえまして、国民のPKOに対する理解あるいは自衛隊のPKO参加に対する国際的な理解、評価というものを現時点ではどのように判断をしておられるか、あるいは総括的に評価をしておられるか、この点につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  30. 瓦力

    瓦国務大臣 遠藤委員は元外交官でいらっしゃいますし、また、国際的に我が国はいかなる貢献をすることが大切かということも熟知しておられまして、これらの問題につきまして早期からお取り組みをいただいておるわけでございますから、私が答えることはいわゆる釈迦に説法かな、こういうような感もいたしますが、御承知のとおり、一九九二年に成立をいたしました国際平和協力法に従いまして、これまでカンボジアでありますとかモザンビークにおきます国連平和維持活動に参加した実績や、またゴラン高原における国連平和維持活動に従事しておる、これらのことが国際社会におきましても評価されておるわけであります。これらにおける自衛隊活動は、派遣先国政府を含め、国際的に高い評価を得るとともに、また国内におきましても国民の支持を多く得てきておるものと実は自負いたしております。  しかし、自衛隊における平和活動への参加というのは、国連を中心とした国際平和のための努力に寄与することでございまして、当該活動に高い評価や多くの支持を得たことというのは、率直に、意義が深いことであることを私は重ねて申し上げるわけでございますが、これらの評価も踏まえまして、今後とも国連平和維持活動を通じて、国際貢献を積極的に推進してまいりたいと考えております。  また、これにつきまして、委員からPKFの本体業務のあり方についても若干お触れになりましたが、まず初めに、PKO活動に対する評価ということで私に対する御質問でございましたので、以上申し述べさせていただきまして、これからも、我が国が国際社会に対しまして、いかなることが貢献につながり、それぞれの国々の国民地域に安心を与えるかということにつきましては積極的に取り組んでいく、そういう自信を得て、これからさらに発展をさせたいと考えるものでございます。
  31. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今の御答弁を踏まえましてずばりお伺いをします。  三党協議としては、PKF凍結解除やるべしと、ゴーサインを出しております。防衛庁長官御自身としてはどういうお考えでしょうか。
  32. 瓦力

    瓦国務大臣 PKF本体業務の問題でございますが、私もたびたび申し上げておりますように、安全保障基盤を強固なものにしながら国際的な安全保障の確立に貢献するということは我が国として重要な責務である、かように考えます。  よって、こういう認識のもと、PKF本体業務のいわゆる凍結解除につきましては、国会での御議論等も踏まえて対処してまいりたいと考えておりますが、委員指摘のように、各方面からこの期待というものが高まる中で、我が国として、さらに積極的な貢献、支援のあり方がいかなるものであるかということを考えますと、PKF本体の凍結解除につきまして、より積極的に考えてまいらなければならぬ。国民の理解を得つつ、各党の議論も旺盛にしていただきまして、それらの方向づけを見出したいものだと考えておるわけでございます。
  33. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 もう一点、あの三党政策合意の中には、PKOに関連しまして、我が国の国際協力を推進する上からもPKO訓練センターを誘致すべきという提言もいたしております。これについてはどのようにお考えでしょうか。
  34. 竹内行夫

    竹内政府参考人 遠藤先生御指摘のとおり、三党の政策合意書には訓練センターについての言及がございます。我々もそれを承知いたしておりますが、三党の中におきます御議論において、どのような御議論がその訓練センターに関してされたかということについて、私はつまびらかにいたしておりません。  いずれにいたしましても、PKO訓練の重要性ということについては遠藤先生も従来から御指摘されていることでございまして、私どももつとに認識をいたしております。  各国におきまして、PKOの訓練につきましてどういうことがされているかということを、外務省の方でも調査をいたしました。各国、大体、国防省ないしは軍の機関におきまして、軍の教育の一環としてPKOに関する訓練を行っているというのが通常でございます。もちろん、カナダの、御承知のピアソン・センターのような特別な例もございます。  そういう中で、御指摘の、国際協力の一環として我が国の国内に訓練センターを設置するということについてでございますけれども、この点につきましては、具体的な内容とか、ニーズといいますか必要性、それから日本に置くことが効率的であるか否か、言葉の点の問題等もございましょうし、いろいろなところの観点を総合的に考えていくべき将来への課題であるということを認識いたしておりまして、各国の訓練センターの状況等を調査してきているというのが現状でございます。
  35. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 では、最後に一点だけ、一言、大臣の御意見をお聞きします。  ガイドライン関連法成立の意義、効果ということなのですが、ガイドライン関連法、特に周辺事態法が成立をしてまだ一年たっておりませんが、私は、この所期の効果があらわれていると感じております。何もガイドライン法だけが目的ではありませんけれども、全体の、抑止と対話のバランスという大きな平和の基本戦略を推進していく、その抑止の強化を担うのがガイドラインであると私は思っておりまして、他方、対話も強力に、その後、推進をしたと思っております。  その結果、昨年の八月、北朝鮮がテポドンの発射実験を中止した。また超党派の訪朝団が実現をした。そして四月には日朝国交正常化交渉が、既に第一回が行われた。そしてまた朝鮮半島におきまして、南北首脳会談が予定をされている。さらに、昨日でしたか、北朝鮮外務大臣がASEANのリージョナルフォーラム、ASEAN地域フォーラムへの参加希望表明を行ったということでありまして、一貫して流れが対話の方向に動き始めておりまして、まさにこれこそガイドライン法成立の大きな効果ではないかと私は思っております。  そのことにつきまして大臣の評価を、一言で結構でございますので、お聞きしたいと思います。
  36. 瓦力

    瓦国務大臣 遠藤委員から重ねて、ガイドラインが成立したその後の、ガイドラインを制定した環境による安定といいますか、そういったことについての感想を求められたわけでございますが、昨年五月に成立をいたしました周辺事態安全確保法、まさに日米安保体制のより効果的な運用を確保することにより、我が国に対する武力攻撃の発生等を抑止し、我が国の平和と安全の確保に資することを目的とするものである、かような目的に向かって、私は着実に効果が出ておると思います。  また、外務省を初め、これは国民的なといいますか、防衛の根幹には、話し合いであるとか国際的な外交というのが展開されて信頼醸成が深まっていくということは重要でございまして、ロシアとの間におきましての安保対話も旺盛になってまいりました。また、朝鮮半島における動きも好ましい方向に動いておるかと思いますし、また、中国におきましても、日中間における防衛交流が盛んになってきております。  まだ問題なしとはしませんが、こういう問題を私どもは成果あるものにしていくことが重要でございまして、さきにもインドの国防大臣が見えて、やはり日本の長いいわゆる航路帯といいますか、こういったものにも大変関心を持ちながら、我々と協力すべきものがあれば、こういうことのお話もございました。  広く私は貢献する問題が如実に出ておると思うわけでありまして、本法はアジア太平洋地域の平和と安定に大きく寄与してきておると評価をさせていただき、この実効性の確保のために、さらに各委員の御理解も得て、努力を重ねてまいりたいと思っております。ありがとうございます。
  37. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 以上で質問を終わります。
  38. 西村章三

    西村委員長 次に、中村鋭一君。
  39. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 長官、御苦労さんでございます。  質問通告をしておりませんが、よろしければひとつお答えを願いたい、こう思います。  この二、三日、東京都知事の石原慎太郎さんが、自衛隊は軍隊である、このように発言したことにつきまして、一部マスコミ等から、不穏当な発言である、このような、私からいえばいわれなきそしりを受けておりますが、長官は、自衛隊は軍隊である、このように思われますか。
  40. 瓦力

    瓦国務大臣 中村委員から通告なしの、のっけからの質問でございますが、御承知のとおり、憲法に基づいて我が国は国際社会における基盤を今なしつつあります。その中での自衛隊は、従来、かねてから言われる軍隊という性格とはおのずから違う要素の中に、今日まで半世紀、平和維持と国民信頼されるものにつくり上げることができたと思っております。  しかし、この自衛隊の大きな使命は、もちろん国民の生命財産や国土侵犯に対しましては命がけで国を守るという崇高な使命を持っておるわけでございますので、そういった意味合いにおきましては、自衛隊の使命というのは非常に私は高いものであると評価をさせていただいておるわけでございます。
  41. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 その点はまさに長官おっしゃるとおりでございまして、私がお尋ねをしたのは、言葉の正確な意味において、自衛隊は軍隊であるということをお認めになりますかどうかというつもりでございます。これはいろいろ御都合もおありでございましょうから、これ以上の答弁は求めませんが、しかし、外国の人たちが日本自衛隊を見たときに、これはもう申し分のない、常識的な判断において軍隊である、こう思うのですね。それが軍隊であると言えない。  長官、やはり最後は憲法の問題に行き着かざるを得ない、私はこのような理解をしております。ただいま私も一員でございますが、憲法調査会でこれからしっかりとこういう点について議論をしてまいりたいと思いますが、自衛隊が軍隊であるか否かという点も含めて、憲法についての議論が活発に国会において交わされることについては、長官はいかがお考えでございますか。
  42. 瓦力

    瓦国務大臣 これは私が所見を述べるまでもなく、国会は各政党から成り立ついわゆる議論の場であり、また、国の方向づけをする決定権も有する場でございますから、各般の議論、幅広く底深く積極的に取り組んでいただくことは国会の使命であろう、こういうぐあいに考えまして、今、政府の側にあります私も防衛庁長官という大変窮屈な面もございますので、これ以上の答弁はお許しをいただきたいと思います。
  43. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 おとといの衆議院本会議で、今席を外しておられますが、西村眞悟委員が総理大臣答弁中に不規則発言を数回いたしました。その中には、「瓦長官」と、こう呼びかけて、国防省の問題はどうなんだ、国防省昇格をしっかりやらなきゃだめだという不規則発言がありました。もとより、不規則発言というのは余り感心することではないかもわかりませんが、私も積極的に不規則発言をする一人でありますから、おとといも西村委員のこの発言を聞いていて、私も全く同感だな、こういう意を深くした次第でございます。  そこで、国防省への昇格問題についてお尋ねをさせていただきます。時間を省略する意味で、私が現在把握しております、なぜ防衛庁であって国防省でないのか、防衛庁であるためにこのような不都合が生じておるという点を申し上げさせていただきたい、こう思います。  まず、法律、政令の制定、改正に当たり、防衛庁長官名では閣議請議ができない、省令もみずから制定、改正できない。例えば、周辺事態安全確保法の制定、防衛庁設置法、自衛隊法、特措法、周辺整備法等の改正は、請議ができない。それから、およそ五兆円の予算を有し、二十六万人の職員を擁しておりますこの防衛庁が、防衛庁長官名で大蔵大臣に対し予算を要求、執行することができない。例えば、戦車、護衛艦、航空機等の予算請求ができない。いわばこれは人に頼んで、長官はどなたかに頼んで、済みません、ちょっと五兆円ほど金をとってもらえませんか、これが現実の防衛庁の姿であります。やはり私は、これは不都合と言わざるを得ない。  それから、自衛隊の部隊の重要な活動、派遣に当たって防衛庁長官名でこれまた閣議請議ができない。カンボジア、モザンビークあるいは東ティモール、こういった国際的な平和協力業務あるいは在外邦人の輸送等に当たって、また我が国の領海及び内水域で潜没航行する外国潜水艦への対処についての閣議が請議できない。こういった点は、やはり防衛庁ということのゆえに、しかも今は総理府から枝が出ておりまして、端的に言えば、今度の新しい行革法案におきましても、金融庁と横並びです、宮内庁と横並びですよ。この防衛庁が金融庁、宮内庁と横並びで組織図がつくられている、こういったことは全く不都合であると思います。  それから、何よりも自衛隊皆さんが、まさに長官自身がよく御存じのように、命をかけて国を守ろうとしているときに、何だかやはり防衛庁では随分気持ちの上で肩身が狭い思いをしている。また、昨年の六月一日の行革特別委員会におきまして、私の持ち時間のほとんどすべてを使ってこういった問題を当時の官房長官でありました野中さん、また野呂田防衛庁長官にお尋ねをしまして、もう一つ私の納得できる御答弁がいただけなかった、こう思うのです。その一つの根本は、これは行革会議でこのように決まって、今度の設置法もこうなっておりますので、そのように御決定でありますから、気持ちはわかるがなかなか国防省というのは難しい、このような御答弁であった、こう思います。  例えば、外国の駐在武官は、パーティー等がありましてお互いに紹介をし合いますが、そのときに外国の武官の皆さんは、私はミニストリー・オブ・ディフェンスの一員です、ミニストリーと書いてあるわけです。日本の駐在武官はエージェンシー・オブ・ディフェンス、こう言っているわけです。エージェンシーというのは、何か広告代理店みたいで、もう一つぴんとこないですね。だから、そういった、小さい点とおっしゃるかもわからぬが、命をかけて国を守るために外国に駐在している人が、外国の武官と名刺交換をするときに肩身の狭い思いをしながら、エージェンシー、こういうのは私は率直に正していかなければならぬ。  既に自民党は、部会において国防省昇格を何回もたしか決議をしておられると思いますし、それから昭和三十九年六月の十二日に、政府は、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案要綱を閣議決定しておられまして、防衛庁設置法の一部改正、防衛に関する権限と責任を明確にし、防衛に関する事務の能率化を図るため、防衛庁を防衛省に昇格することとすると閣議決定しておられるのです。ただ、このときは、それに続く昭和四十年も含めまして非常に盛り上がりがあったのですけれども、例えば国会の会期末であった、あるいは当時三矢研究というのが発覚をいたしまして、今なら日本の国を守るために防衛庁皆さんがそういうことについて御研究になるのは当たり前ですが、当時はやはりぐあいが悪かったのでしょう。関係者処分もございました。  しかし、少なくとも閣議決定が再度にわたって、昭和三十九年、四十年に行われているのですよ。あれから三十数年たっているのです。周囲の諸情勢というものは全く当時とは変わっている。あれだけ何十年前に閣議決定されたものが今日問題にならない。私がお尋ねすると、去年もそうですけれども、それは行革会議で決めたことだから、こういうおざなりな答弁では私はどうも納得できない、こう思うのです。  随分、私がしゃべりました。前置きが長くなりましたけれども、私は、こういった矛盾を解消するために、何よりも我が国を守るために、もし心なきやからが、この美しい日本列島を侵すものがあれば命をかけて国を守ると二十六万職員が思っているときに、何で防衛庁が国防省であってはいけないのか。この点について国会は随分盛り上がってきているのですよ、長官。立法府は盛り上がってきているのですよ、議員連盟もできているのです。ですから、今度は行政、特に防衛庁そのものが、長官以下全職員が燃えるような情熱を持って絶対に国防省にしなければならぬ、車の両輪で、手を携えるべき時期は熟し切っている、こう思うのですが、どうぞひとつ長官、お答えお願い申し上げます。
  44. 瓦力

    瓦国務大臣 中村委員はすべてを承知をいただいておりまして、ただいままとめて御意見を述べられ、加えて私に所感を求められ、決心を求められたわけでございますが、私は、防衛庁の役割というのは大変大きくなってきておりますことは、国民が承知をいたしておると承知をいたします。それは、先ほど申し上げましたように、国民の生命財産、また国土を守るという使命から、また国際社会におきましてその役割を果たしていこうとする努力から、また災害等におきましても率先して先頭に立って苦労いただく姿を見ますると、ことしで自衛隊もできまして半世紀を経たわけでございますが、私は、日に日にその信用を得られておることはありがたいことだと思っております。  また、国政の中で国の防衛の重要性というものもさらに大きくなっておりますからして、これからもいかにあるべきかということは私どもも考えなければなりませんし、また、行革会議報告にもありますとおり、「新たな国際情勢の下におけるわが国の防衛基本問題については、政治の場で議論すべき課題である。」こう述べられておるわけでございますが、世論喚起といいますか、また、国会の意思というものも重要でございます。それらを踏まえて、委員が前段にお述べになりました、限定的とも言える防衛庁長官の権限でございますとかあるいは防衛庁の担う課題につきまして、私も、そうあるべきだろうということも考えるわけでございますが、これは広く議論を待たなければなりません。そういった議論というのは、防衛庁が昇格、省になるということがありましても、国民のやはり理解や支援がなければその役割を果たせないわけでございますから、ちなみに、そういった議論が国会でも、また国民の間におきましても広く議論いただきまして、国家の危機にどう対応していくのであるかとか、危機管理の観点から望ましい姿はどういう姿であろうかということで方向づけが出てくることが、私は望ましい姿だ、かように考えておるところでございます。
  45. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 時間がありませんが、長官、これは去年の読売の「編集手帳」ですが、国の平和と国民の安全を守る役所を一人前に扱おうとしない政治はおかしいと書いていますね。それから、読売新聞の昨年五月十七日の社説でありますけれども、国の存亡にかかわる行政機関を他の行政機関より一段格下に位置づけている国は世界じゅうほかにあるまい、こういう社説ですよ。こんな恥ずかしいことはないと思います。  長官の御意見は今伺いました。西川太一郎政務次官、あなたは新任でございまして——いや、もう大分経験は積まれておりますが、この国防省昇格問題については、あなたは私と政党を共有しておりますので、その資格においても、ひとつ率直な国防省昇格についての御意見を端的にお伺いをいたしたい、こう思います。
  46. 西川太一郎

    西川政務次官 ただいま長官が御答弁をされました趣旨に沿いまして、私も何回か衆参両院の委員会で御質問をいただきまして、国防省もしくは防衛省昇格について、政治の場の御議論を見きわめつつ、肯定的に進めていただくことを要望するような答弁を申し上げたことがございますので、御理解いただけるものと思っております。
  47. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 ありがとうございました。  ひとつ、立法、行政両府が協力して、今やこれは悲願と言っていいと思うのですが、防衛省もしくは国防省昇格に向かって全身の力を振り絞ってお互いに頑張りたい、このことを申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。
  48. 西村章三

    西村委員長 次に、上原康助君。
  49. 上原康助

    ○上原委員 民主党の上原です。  最初に、この二、三日来、大変話題というか論議を醸しております石原東京都知事の三国人発言について、防衛庁長官外務大臣の所見を簡潔にお伺いをしておきたいと思います。  なぜ冒頭にこれを取り上げますかといいますと、四月九日、陸上自衛隊の第一師団の創設記念式典で、練馬駐屯地ですが、この東京都知事発言が出たわけで、自衛隊のあり方とも非常に関係をしておりますので防衛庁長官の見解を聞きたいわけですが、この式典には防衛庁からはだれが御出席しておったのですか、まずそれから説明してください。
  50. 瓦力

    瓦国務大臣 今上原委員からの御質問は、先般の式典にだれが防衛庁から出たかという御質問でございますが、第一師団長が出席をいたしております。
  51. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、防衛庁の内局とか長官あるいは政務次官等は出席していなかったということですか。
  52. 瓦力

    瓦国務大臣 私並びに政務次官、内局といいますか、そのものは出席をいたしておりません。
  53. 上原康助

    ○上原委員 その点も明確にしておった方がよいかと思いましてお尋ねしました。  そこで、この発言内容は、石原都知事は都知事の歴史観あるいは社会観、政治観があるから、訂正もしない、むしろマスコミ報道が間違っているというような御見解を昨日も発表しているようであります。しかし、第三国人呼ばわりというのは、これは極めて不穏当な発言だと断ぜざるを得ません。多くは申し上げません。  同時に、仮に自衛隊の治安出動問題がある場合に、これは災害派遣とは違うんですよね、性格は。自衛隊法八十一条でも、要請による治安出動というのは確かに法律上規定されておる。その場合は、「当該都道府県の都道府県公安委員会と協議の上、内閣総理大臣に対し、部隊等の出動を要請することができる。」そういう点から考えますと、防衛庁長官、先ほど防衛庁長官のポストは大変窮屈なんだという御発言もありましたが、どういう意味で窮屈かわかりませんが、この石原都知事の発言内容と今私が指摘したようなこと等と関連して、防衛庁長官は、こういう都知事の認識あるいは防衛出動要請をするんだというようなことについて、どういうふうな御認識を持っておられるのか、ぜひはっきりした御見解を示しておいていただきたい。
  54. 瓦力

    瓦国務大臣 上原委員からせっかくの御質問でございますが、実は私も、石原知事発言がありましてから、記者会見でマスコミから問われもいたしました。よって、そのときの返答と同様になると思うわけでございますが、お答えをさせていただきますが、都知事の発言につきましては、防衛庁としてコメントする立場にはないと考えております。  また、今委員から御発言がありましたが、自衛隊法第八十一条「要請による治安出動」、これがもう明記されておるわけでございまして、これらを一般論として申し上げれば、公共の安全と秩序の維持につきましては警察機関の責務でございまして、自衛隊は警察機関のみでは治安を維持することができない場合に対応することとされておるのも、委員指摘のとおりでございます。  いずれにいたしましても、そういったことをよく踏まえて対応することが私の職責であろうというぐあいに考えておりますので、これらをもって御理解をいただきたいと思います。
  55. 上原康助

    ○上原委員 私も、いろいろお尋ねしたい点がありますから、余りこの点で時間をとりたくありませんが、ただ、防衛庁長官のお立場はわからないわけでもありませんけれども、こういう認識に対してというか見解に対して直截にコメントできないということには、ちょっと納得いきかねますね。その点、指摘をしておきます。  同時に、外務大臣のコメントは、マスコミ等で、遺憾である、不適切であるというような御見解が述べられたということが報道されておりますが、私は、この問題はいろいろ個人差があり、また冒頭申し上げましたように、政治観、あるいは政党によっては受けとめ方も、非とするところ、是とするところあるかと思うんですが、大多数の国民の理解は得られないと思うんですね、率直に申し上げて。そして、これからの、アジア近隣諸国、我が国の外交問題あるいは防衛等々に及ぼす影響も、政府や政治家のこういうことに対する対処の仕方いかんによっては、非常に誤解を招く、あるいは新たな外交問題に発展しかねない、こういう危険性もなしとは言えないと思うんですね。  そういう面で、外務大臣の御見解を、この場でひとつお示しをいただきたいと存じます。
  56. 河野洋平

    ○河野国務大臣 まず最初に申し上げておかなければいけないのは、都知事は都民の直接の選挙によって選ばれております。したがいまして、私がここで、都知事としてこういう発言をしたことがいいかどうかということについて言うことは、十分慎重でなければならないと思います。  ただしかし、その発言について外務大臣として申し上げれば、今議員からもお話がございましたように、この発言によって傷ついた方はおられると私は思います。そうした方々を含めて、近隣諸国からも非常に強い批判の声が上がり、今日の事態になっているわけでございまして、外務大臣としては極めて不適切な発言であり、極めて残念だと申し上げなければならないと思います。  と申しますのは、少なくとも近隣諸国から現在日本に来ておられる方の大部分は極めて善良であり、そして我が国の法令に沿って行動しておられる方がそのほとんどである、しかも極めて友好的にそれぞれの地域社会の中におられる方がほとんどであるということが私は現実だと思うんですね。そしてまた、我が国もまたこうした方々に対して十分適切に対応しようとし、あるいは適切に対応しているわけです。そういう現実がありながら、こうした発言によって、それがそうではない、非常に、何かそうした、我が同胞がいろいろ言われておるというふうにそれぞれの国が感ずるとすれば、それは極めて残念だと言わざるを得ない、こういうふうに私は思っております。
  57. 上原康助

    ○上原委員 私もやはり、東京都知事という、一千二百万の都民から直接の選挙で選出されておられるその知事の地位というものをわからぬわけではありません。わかるがゆえに、公人としての重きがあるがゆえに申し上げているわけで、今の外務大臣の御見解、御認識は国民の理解と支持が得られる、こう私は思います。  ですから、対外的にこの問題が、特にアジア近隣諸国の不快感を抱かれたであろう皆さんに、外交問題に発展しないような御努力政府としてはぜひやっていただきたい、このことを申し上げ、防衛庁も、この種のことについては、もっと敏感に、どういう対応をすべきか、いろいろお考えになってもいいのじゃないのか、こう私は思います。  次の質問に移ります。  先ほども若干お尋ねがありましたが、自衛官違法射撃事件について、私たちは、三月いっぱい、早目に委員会を持ってこの真相をただしたい、また防衛庁関係者の御意見も聞きたいということで、強く理事会その他で努力をいたしましたが、残念ながら、調査中であるとか、まだ委員会を開いても十分な内容説明ができない云々で、とうとうきょうになってしまったのです。さらに、民主党として、いろいろ制服を含めての調査活動をやろうということに対しても、防衛庁の内局、背広組が大変ブレーキをかけたことについても遺憾に思っております。  そういう前提を申し上げてお尋ねをしますが、いわゆる秀島一佐違法射撃防衛庁が、本庁がわかったのはいつですか。事件の内容をわかったのはいつですか。
  58. 瓦力

    瓦国務大臣 上原委員からの御質問でございますが、陸上幕僚監部までこの事案につきまして報告が行われ、秀島一佐に対して訓戒処分が科せられたわけでございますが、本事案が、発生当時、防衛庁長官や内局に報告されなかった理由でございますとか、あるいは陸幕及び部隊における処分等検討経緯、また小銃違反射撃事案が発生当時報告されなかった理由、現在まで判明しなかった事情等につきまして、今後調査において解明したいと今取り組んでおるところでございます。  なお、当時の事案処理に当たりまして、組織的な隠ぺいが行われたのではないかとの疑いがあることも承知をいたしておりますが、本件につきましては、当時の多数の関係者からの証言等を整理しながら、総合的な分析を行っているところでございます。現時点でお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、これらの経緯につきまして、今後とも本事案の解明に努め、いずれにいたしましても、厳正に対処したいと考えております。
  59. 依田智治

    依田政務次官 一月十四日でございます。
  60. 上原康助

    ○上原委員 できるだけ防衛庁長官お答えしていただいて、もし総括政務次官、必要があればこっちの方からお答えくださいと言いますから、余り長官みたいに出しゃばらぬでください。  そこで、今の防衛庁長官の御答弁は、いつわかったかという私の質問には答えていらっしゃらない。失礼ですが、非常に時間のむだですね、そういう御答弁は。もう少しはっきりしてください、そういうのは。  それと、いまだに目下調査中で、判明次第明らかにしたいという。一月十四日にわかったのでしょう。一月十四日にわかっておって、それに、一月の二十六日に陸上幕僚監部に陸上幕僚副長を長とする調査委員会、十六名を設置して、調査を開始したわけでしょう。きょうはもう何月ですか。一体いつまでこういう重大な事案事件を、しかもマスコミでも相当批判されている。国民も、こんなことで一体日本安全保障自衛隊内部機構はどうなっているんだいと不信感と不満感を持たれて、調査調査といつまでおっしゃるのですか。何を調査しているの。
  61. 瓦力

    瓦国務大臣 平成十二年一月半ばでございますが、部外から当該事案に関する処分についての疑義があるとの問い合わせがございまして、直ちに徹底した調査に着手するように命じたものでございまして、今委員が、なぜそれでは時間がかかるかというようなことにつきましては、先ほど申し上げましたように、これらの経緯を、たくさんの方々がおるわけでございますが、綿密に調査をしなければならない。また、ある面では検察当局とも、いろいろ調査を進める中で、私ども事案として整理をしなければならない問題がありますから、今なおその過程にあるということを先ほど申し上げたところでございます。
  62. 上原康助

    ○上原委員 今なおその過程にあるといって、一月の二十六日にそういう調査委員会を設置して、二月、三月、きょうは四月のもう十三日ですよ。余りにも何か、むしろなぜこの問題を表ざたにしたのかなという、新たな隠ぺい工作のための調査をしているのじゃないかと疑わざるを得ない、今の答弁では。そのことについて、何かありましたら。  そしてもう一点、では具体的に、調査をしている対象はどういうものなのか、どういう方々を対象にしているのか、あるいはどういうことを調査しているのか、その項目ぐらいは言えるはずですから、それを明らかにしてください。  もう一つ、私が中間報告をぜひ理事会に文書で出せといって、なかなか出そうとしなかった。だが渋々、三月二十八日に文書を出してございます。この文書の二ページの下段の方ですが、いわゆる「「銃砲刀剣類所持等取締法違反」(部外者三名については、第三十一条の二第二項の」とあります。第三十一条の二というのは一体何なのか、説明してください。——その条文を調べる前に、さっき話した、何を対象に調査しているのか、人の対象はだれだれなのか、場所はどこどこなのか、その点は答えられるのだろう。
  63. 依田智治

    依田政務次官 条文の方は今あれですが、三月三十一日に地検の方が捜査によって、秀島一佐小銃並びに機関銃事件として、銃刀法違反として起訴をいたしました。  この事件では、何を調査するかというのは、どういう事案があったのかということをまずしっかりつかむ、それはちょうど地検の捜査と並行していましたので、非常に調べるのに限界があったということ。それから、今度はどういう形で幕まで報告がなされていたのか。猟銃事案小銃事案機関銃事案についてどこの段階まで報告があったのか。それに基づいてどういう措置がなされたのか。それから、先生方から御指摘の、隠ぺいに係る問題ですので、そのかぎを握る人間が秀島一佐でございました。  そこで、大分いろいろ周辺から、いろいろ当時の関係者調査したのですが、秀島一佐に直接我が方が調査したのは起訴後でございまして、そんなことでちょっとおくれておる。秀島一佐の話すことと、当時の上司とかその周辺にいた人たちとの整合性、そういうことでちょっと時間がかかっておる。しかし、我々としては、できるだけ早くこれをまとめ、そして、その結果に基づいて、具体的関係者処分まで含めて国会に早い機会に報告したいと考えておるところでございます。  三十一条の二、銃刀法の三条一項には、「次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。」「法令に基づき職務のため所持する場合」、こういう規定がございまして、これに反する者は「一年以上十年以下の懲役に処す」というのが一項にありまして、二項の方に、「前項の違反行為をした者で、当該違反行為に係るけん銃等を、当該けん銃等に適合する実包又は当該けん銃等に適合する金属性弾丸及び火薬と共に携帯し、」これが加重携帯罪でございまして、そういう者はちょっと重く、「三年以上の有期懲役に処する。」こういうことになっております。
  64. 上原康助

    ○上原委員 第三十一条の二というのは、「第三条の四の規定に違反した者は、三年以上の有期懲役に処する。」二項というのは、「営利の目的で前項の違反行為をした者」、これが第三十一条の二じゃないの。ここで言わんとするのは、第三十一条の三のことを言わんとしているのじゃないですか。
  65. 依田智治

    依田政務次官 当時の法律と現在の法律と違っておるということで、私どもの方は当時の法律で処置した、こういうことでございます。
  66. 上原康助

    ○上原委員 当時の法律だろうが今の法律だろうが、国会に、委員会理事会に出した条文にさえ皆さんのはミステークがあるんだよ、指摘しておきたいけれども。こういうことで何を調査するんだ、本当に。これは後ではっきりさせてください。  そこで、今、いろいろ多岐にわたっているから時間がかかっているというようなことをおっしゃっていますが、では、私の方から具体的にお尋ねしましょう。  当時の教育訓練局長は佐藤謙さんですよね、今の防衛事務次官。当時のことを本当に皆さんが知ろうと思えば、佐藤教育訓練局長は相当のことを知っていると思うんだよな。これは事情を聞いたんですか。聞いたんですか。答えてください、もう一遍。  それと、当時の統合幕僚会議議長西元徹也、あるいは陸上幕僚長冨澤暉、陸幕人事部長天野良晴、陸自警務隊長上杉俊二、東部方面総監澤田良男、東部方面警務隊長池田順市、第一空挺団長山本勝、これはいずれも当時の方々です。こういう皆さんからは事情は聞いたの、聞かないの、どうなっているのですか。はっきりお答えください。
  67. 瓦力

    瓦国務大臣 御質問でございますが、当時の佐藤教育訓練局長でございますか、以下統幕議長におきましても、それらの報告は内局並びに統幕まで至っていないわけでございまして、陸幕段階までは情報として得られるものがあったというようなことであったわけであります。  そこで、先ほど来、委員からたびたび私に対しまして質問がございますが、若干整理して申し上げますと、本事案の中心は、秀島一佐小銃機関銃を違法に射撃させたとして起訴された刑事事件でございまして、その公判等に影響を与える可能性があることから、現時点では報告ができませんということを申し上げさせていただきました。  また、猟銃射撃事案につきまして、小銃機関銃違法射撃事案とは基本的に同じ日で、同じ場所で、同じ者によってなされたものでございまして、同事案と密接に関連するものであるために、公判等への影響を考える必要があるということも含めて申し上げさせていただくところでございます。  なお、この事案につきまして、それぞれ陸幕長までの情報でございますが、部隊でいいますと、それ以下のところでいかに処理されておるかということも含めまして調査をいたしておるという段階であります。
  68. 上原康助

    ○上原委員 私が具体的にお名前を挙げて聞いても、なかなかお答えにならないわけですが、そういう皆さんからの事情聴取というのはやったんですか、やらないんですか。だから、どういう調査をしておられるのか、対象の人物はどういう方々なのか、地域はどこなのかということを言っているわけだ。
  69. 瓦力

    瓦国務大臣 極めて具体的な質問でございますので、お許しを得られれば、人事教育局長から答弁させてよろしゅうございますか。
  70. 上原康助

    ○上原委員 私が具体的にお名前を挙げたでしょう。そういう皆さんからは、十六名の調査委員会を設置して、一月二十六日からやっているというのでしょう。そういう皆さん調査活動の対象になっているかどうかを、何でそれを事務局が一々やらにゃいかぬの。
  71. 依田智治

    依田政務次官 まず先生、内局にはこの事案報告がされておりませんので、当時の佐藤教訓局長は調査をしておりません。  それから、この事案は当時の冨澤幕僚長までは一応報告されたということが確認されておりますので、先生御指摘の、当時の陸幕人事部長、警務隊長、東部方面総監、東部方面警務隊長、第一空挺団長等、当時の役職にある者については調査をしておるということでございます。
  72. 上原康助

    ○上原委員 それともう一つ調査しているというのでまた聞きますが、秀島一佐はこの機関銃事件を、違法事件を起こす前に、要するに、第一空挺団の習志野駐屯地、こういう場で申し上げるのはちょっと気になるのですが、友人に頼んで隊内でいわゆるストリップショーをやった。これは事実のようですね。そういうことは調査しているのかどうか。そしてこれは、いつこういうショーをやったのか。ここにはどういう方々を呼んで、恐らくレクリエーション的に考えてやったかもしれませんけれども、その内容については具体的にお調べになっているのかどうか。ぜひ明確にしてください。
  73. 瓦力

    瓦国務大臣 今委員指摘のようなショーが行われたということもあるようでございます。なお、それらにつきまして、事案との関連におきまして今調査をいたしておるということでございます。  先ほど来申し上げておりますことは、これから公判にかかわる問題もありまして、私どもは、事実関係につきましてここでお答えできること、また関連がありましてお答えが難しいことはございますが、今委員の御指摘のようなショーが開かれたこと、そして、それと事案とのかかわりがどうかということにつきまして、今調べておるということでございます。
  74. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと核心に触れようとするとすぐ、公判があるから、捜査に支障を来すからということを言う。きょうはあえて法務省を私は呼ばなかったのよ。私が今お尋ねしているのは一般論ですよ、まさに一般論。  このショーがあったというのは今、防衛庁長官は認めた。あったらしいと言っているから、あった。否定できぬでしょう。それはいつなのか。ショーに来た人々はだれだったのか。それは言えないはずがないんだ。そういうことも調査しないでこの事件の全体像がわかるのですか。それをぜひ明らかにしてください。
  75. 依田智治

    依田政務次官 先生から突然の御質問でございますので、ちょっと、幾日、いつに、どういう形であったという資料を持ち合わせていませんので、取り寄せて御報告します。
  76. 上原康助

    ○上原委員 これは、わかる政府委員はいないのか。答えてください。そのショーにはどういう人が呼ばれたのか、ぜひ明らかにしてください。恐らく、だれか歌手も呼ばれているんじゃないの。
  77. 依田智治

    依田政務次官 政府委員は資料を今持ち合わせているようですから、もしお許しいただければ、政府委員からその事実関係を御報告させていただきます。
  78. 新貝正勝

    新貝政府参考人 今のショーの件に関しまして、私自身も今ちょっと、資料そのものを持っておりませんのでわかりませんが、事実関係としまして、そういうショーは行われました。それで、今先生御指摘のような、歌手等も呼んだかということでございますが、歌手も呼んでおるというふうに把握をしております。  ただ、内容につきまして、本件につきましては、小銃それから機関銃事案等とも関連をいたしておりまして、公判とかそういうものに対して影響を与えるということがあってはならないということで、具体的なことについてはお答えを差し控えたいと思います。
  79. 上原康助

    ○上原委員 具体的なことはいずれ明らかになると思うんですが、このショーの披露からこの機関銃事件というのは発展していっていると僕は見ざるを得ないんですね。それは、内容についてここで言えなければ、後でぜひ、日にちと、どういう方々が参加しているのか、はっきりさせてください。  同時に、その費用はどうなったの、費用は。
  80. 新貝正勝

    新貝政府参考人 お答えいたします。  これは、費用につきましても、どういうふうになっているかということを今調査している段階でございます。
  81. 上原康助

    ○上原委員 こういう余りにも異常な事態というか、異常なことがある。これは国民の側から見ると、一体、自衛隊の一連の不祥事、何も今度の機関銃事件だけじゃないですわな、調本のこととか既にたくさんあった。次から次へと起きている。そういう問題が国会でもマスコミでも非常に厳しく指摘されているにもかかわらず、また東北方面では夫婦同伴でスキーに行った、自衛隊幹部が。  防衛庁長官、本当に、国民信頼を得て武器を預かる自衛隊員、それが違法な武器使用を起こして、こういう不祥事件をしている。しかも、このことについては少なからずというか、非常に組織隠ぺい工作自衛隊の制服機関で、あるいは防衛庁本庁を含めてやられたんじゃないかという疑いは抜きがたいものがある。防衛庁長官は、本事件の重大性、隠ぺいしたことが刑法の犯人隠避罪に当たるという認識を持っておられるのかどうか。それほど重大な案件である、事件であるということの認識を防衛庁の首脳が持たない限り、これは的確な調査も、あるいは内容を具体的に開示することは難しいと思うんですが、長官はどういう御認識ですか、今私が指摘した問題を含めて。
  82. 瓦力

    瓦国務大臣 上原委員から御指摘の問題でございますが、この事案は、御案内のように、先ほども説明をさせていただきました経緯をたどって、刑事事件としてただいま調査が進められておるわけでございまして、公判等に対する影響の可能性というものはございます。  なお、委員から当委員会におきまして事実の究明ということで御質問を受けることも当然と思いますが、私どもは、委員質問そのものにお答えするのにも、現在のところ、それぞれの分野における調査事項につきましては全面的に協力をしながらやっておるわけでございまして、いずれにいたしましても、公判等で明確にされるわけでございますので、決して隠し立てをするというのではなくて、事実関係を明確にすべく今調査を進めており、これらのことの整理がつき次第、公判というものに備えて、明確になるということを申し上げさせていただきたいと思うわけであります。
  83. 上原康助

    ○上原委員 あれこれありますので、短時間ではなかなか十分議論は深まりませんが、去る三月十六日の磯島恒夫陸上幕僚長の記者会見でこう言っていますね。軽い処分にしようという内容のメモはある、その存在を認めている。メモの信憑性は不明で、正確な文書かどうかは判断できない。当時の組織隠ぺい工作については、今後の調査で解明したいと明言を避けながらも、結果的には疑いは否定できないと語っているんですね、隠ぺい工作があったという疑いを否定できないと。  さらに、三月十七日の記者会見でも、事件が外部に漏れると自衛隊の信用失墜が懸念される、表面化する可能性は薄いなどとメモには書かれていたと。だれが訓戒処分と言い出したかはメモにはないが、書いた人の真相はわからぬ。  こういうふうに、現在の幕僚長はそういう記者会見を現にやっているんだ、おわかりのとおり。  このことについては防衛庁長官はどういう報告を受けているのか、また御認識を持っておられるのか、これが一つ。  もう一つは、警務隊の任務についてどういうふうに位置づけているか。これはもちろん法律がありますからね、警務隊の組織及び運用に関する訓令というのがある。これは、御承知のように、「警務隊長は、防衛庁長官(以下「長官」という。)の指揮監督を受け、警務隊の隊務を統括する。」となっている。  一体、防衛庁長官は、この八百二十名もいる警務隊の統括をやって、隊内の治安とか事件とか捜査とか、そういうものが的確になされているとお考えですか。今度の秀島事件等、警務隊はどういう役割を果たしたのか。むしろ、自衛隊の独立機関である警務隊に対して、防衛本庁ないしは地方総監とか、そういう面からの相当な圧力があってこの事件はうやむやにされたんじゃないかという疑いさえ持たれている、我々がいろいろ調査をした範囲内でも。  今の指摘に対して、防衛庁長官の御認識と、警務隊が今回の事件についてどのくらいの関与をやってきたのか、そのことについては防衛庁長官報告があったのかどうか。
  84. 瓦力

    瓦国務大臣 委員からの御質問でございますが、いわゆる本件につきまして、内部文書でありますとかいろいろかかわりがございますから、それらにつきまして、現在、位置づけあるいは取り扱い等について調査を行っているところでございまして、事実関係には不明確なことが多い、また、現段階でこれらについて言及することは適当でない、かように考えて先ほど以来お答えをいたしておるわけでございますが、その内容等につきましては、これを公にするということは、不確実な問題を公にするということになりますと、公判等に影響を与える問題もありますし、さらなる疑念を与える問題もありますから、慎重な取り扱いをさせていただいておりますので、御了解を賜りたいと思います。  なお、警務隊につきましては、長官の指揮下にはございますが、各部隊とは別建ての任務を帯びておるわけでございますから、これらにつきましては、その職務においての仕事を本隊とは別にやっており、また、それぞれ警務隊につきましての影響力は排除される形になっておるわけでございます。
  85. 上原康助

    ○上原委員 瓦さんの人柄というか癖というか、なかなか質問には答えないではぐらかすのが多くて困るのですが、では、先ほどの磯島幕僚長の記者会見とか、そういうのはうその報道をしているのですか。そのことにはコメントしないですね。どう思うのかということ。  それと、警務隊の司法警察職務の監査の実施というのがあって、第九章、司法警察職務の監査ということがあり、第三十条で「陸上幕僚長は、警務隊の司法警察職務の監査を行ない、その結果を長官に報告するものとする。」となっている。この案件が長官に報告されたのですか、されなかったのですか。全くこういう権限、任務が自衛隊組織内部でなされていないんじゃないですか。そこに大きな問題があるということを指摘しておきたいと思います。  そこで、調査調査と言うのですが、いつまで調査をして、いつその調査結果について、本委員会なり、あるいは国会、理事会なり委員会に提示できるのですか。そのめどをはっきりさせてください。そうでないと、私たちは法案審査に容易に応じられませんよ。  これだけの問題を、二月二十六日に調査会を設置して、さらに政務次官を長とする大型調査団も別個にできている。それは触れる時間はありませんけれども。こんな、防衛庁ともあろう、捜査機関も情報機関も皆さん相当持っておられる。にもかかわらず、二、三カ月かかっても内容を明確にできないということは、だれがこの五、六年前のことを表ざたにしたんだろうと、その犯人捜しを一生懸命やっているのかなと勘ぐらざるを得ない。  真相究明をする意思があるのですか。あるとするならば、いつまで国会にきちっとした報告を出すのか、はっきりお答えください。
  86. 瓦力

    瓦国務大臣 本事案につきましては、過去の経緯を整理して、またそのかかわりも広うございますので、一つ一つがかかわりを持つわけでございますから、先ほど以来委員から御質問のある点につきましては、今、当事者等に当たり整理がされつつあるわけでございます。よって、これらの関係者との調査、これらが十分に行われ、なおかつ公判に対する影響も考慮してまいらなければなりませんが、これらを踏まえて、適当と判断される時点で公表することは当然でございまして、そのための日時というものをいましばらくおかりしたいと思っております。  なお、これらに対する報告書につきましては、かねてから委員初め請求もあることでございますから、当方として整理ができれば御報告をするというようなことで取り組んでまいりたい、かように考えております。
  87. 上原康助

    ○上原委員 鉄は熱いうちに打ちなさいということわざもあるだけに、これはむしろ時期を失していると私は思う、調査報告も。  政局がこういうふうに大きな変化がある。国政だってどうなるかわからない。衆議院だって。そういった緊迫した状況であるならば、防衛庁に本当に誠意を持ってこの問題を解明していこうという意思があるならば、私は、そう時間を置くわけにはいかないと思うのですね。  それは明確に、中間報告でもいいし、この間のようなペーパーではだめ、きょう私が指摘したようなことについて御報告できるかを、次の理事会までにはっきり、理事懇でもいいし、防衛庁のお考えをお示し願いたいと思います。それはいいですね。
  88. 瓦力

    瓦国務大臣 先ほどお答えをしたことに重複してはいかがかと思いますが、委員指摘のように、これらの問題につきましては、私どもは全力を挙げて取り組んでおる課題でございますし、なおかつ、防衛庁自衛隊にとりましても、国民信頼を回復する上ではこの問題は避けて通ることはできない問題であります。  よって、これらにつきましての報告を含めまして、委員会の方に、今理事会等で御議論いただくということもございますが、それらを踏まえて私どもは誠意を持ってお答えする。また、そのための十分な調査を行わなければなりません。公判との関係がありますから、これらを踏まえて、時間が大事だという問題はありますが、もう一方におきまして、真実を整理して調査を持って出るということも重要でございますので、それらのことを御理解いただいて、御指導を得たいと存ずる次第でございます。
  89. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと納得いたしかねますが、もう少しずばっと、提出するのかしないのか。国会が解散したり、国会が終わってから出したって意味がないですよ。早目に出してください。  それと、あとちょっとしか時間がありませんが、私は、こういう防衛庁の一連の不祥事というのは、いろいろな制度疲労とかあると思うのですが、冷戦構造後の我が国の自衛隊組織のあり方、あるいは自衛隊教育のあり方、訓練のあり方、そういうところに大きな課題を残しているのじゃないかと思わざるを得ないのですね。  確かに、自衛隊、私もかつては防衛大学とかあるいは各地域の視察、図書館とかいろいろ行ってみました。もう徹底した反共教育、あるいはかつて社会党が違憲論を言っておったころは社会党、共産党をくさし、徹底したそういう教育をやっているのですね。  要するに、軍隊というのは、自衛隊、そういう実力組織というのは、エネミー、対象を明確にしないと士気が上がらない、規律が守れないという旧軍的な体質を、余りにも今の日本国憲法下の自衛隊に注ぎ込んでしまった、冷戦構造下で。そこに私は大きな一つの問題、欠陥、改革すべき点があると思うのですね。その点は意見を異にする人もいるかもしれませんが、私はそう見ておる。  そこで、この本、防衛庁長官防衛庁幹部は読んだことはありますかね、「逃げたいやめたい自衛隊」、こう書いてある。これは根津さんという自衛隊体験者の方が書いた本なんです。私も最近こういうのを、昔はいろいろ読んでみたのですが、また何かどうなっているのだろうと思って、これはまだ九五年二月の出版ですから、参考になる点が多いのですよ。この内容を見ますと、警務隊は戦前の憲兵隊、貯金通帳と免許証か、上官が保管する、「「皇軍の伝統」を継承した内務班」とか、本当にいろいろ考えざるを得ない内容が豊富に詰められております。  「不祥事件にビクビクする幹部」、この中に、いろいろありますけれども、本当に、事件、事故が起きた場合には、いかにそれをもみ消すかということを隊内でも組織的に考えている。それゆえに今日のこういう事態になっているんだということだと思うんですね、結論的に申し上げると。  したがって、これからの課題として、これからいろいろ議論されていくでありましょうが、今私が指摘をしたようなことについて、ぜひ自衛隊組織の改革、あるいは教育のあり方等々について、もっと二十一世紀を見据えてのことを防衛庁としてはお考えになるべきだと思う。その上で、いわゆる省への格上げ問題であるとか、その他山積している重要な政策課題について積極的に議論をするということは、我々もやぶさかではないけれども、このような問題をうやむやにした形では、私は国民の共感と理解と国会全体のコンセンサスを得ることは難しいと思う。完全に得るというのは非常に難しいです、民主主義体制では。  この点について、防衛庁長官の御見解を聞いて、きょうの質問は終わりたいと思います。
  90. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいま上原委員からいろいろ御意見をちょうだいいたしました。  今委員がお述べになられたように、振り返って半世紀の自衛隊が、いわゆる旧軍といいますか、加えて、古い因習の中で、避けることのできないしがらみもあったかと思うわけでございますが、新しい時代に、どう自衛隊隊員が誇りを持つべきかという課題は、私どもが追求しなければならない大きな課題でございます。  その問題につきまして、私どもは襟を正して取り組むべく、これらの事案につきましてもさらに調査を進めて御報告をさせていただきたいと考えておりますし、また、事実を究明しながら、意識喚起を図るために、総括政務次官政務次官が、十一カ所、それぞれに三百名、四百名と幹部を集めて、上意下達ではなくて、それぞれがどう考え、どういう意識でこれから取り組んでいくべきかを、今全力を挙げて取り組んでおるところでございます。  そういう大きな節目にあることも踏まえて、上原委員の御意見を貴重な意見として、ここに私どもはさらなる自衛隊の体制をつくるために指導してまいりたい、かように存じております。  決意を申し上げるようなことになりましたが、追求の点はよく承知をいたしておりますので、問題点につきましては、誠意を持ってまた取り組んでまいりますことをこの席をかりまして答えさせていただきます。
  91. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  92. 西村章三

    西村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十四分休憩      ————◇—————     午後二時三十九分開議
  93. 西村章三

    西村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、新たに就任されました江崎外務政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。江崎外務政務次官
  94. 江崎鐵磨

    ○江崎政務次官 今般、外務総括政務次官に就任いたしました江崎でございます。  西村委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつを申し上げます。  本年の我が国外交の最重要課題一つは、九州・沖縄サミットの開催であります。二〇〇〇年という節目に我が国が主催するサミットにおいて、二十一世紀がよりすばらしい時代になるとの希望をすべての人々が抱けるよう、明るく力強いメッセージを沖縄の地より発信すべく、サミットの成功に向けて全力を尽くしてまいります。  我が国を取り巻く安全保障問題を考えるとき、北朝鮮をめぐる問題は引き続き重要な課題であります。政府としては、韓米両国との緊密な連携のもと、先般、約七年半ぶりに再開した日朝国交正常化交渉に粘り強く取り組んでいく考えであります。また、韓国と北朝鮮が南北首脳会談を六月に開催する旨発表しましたが、この会談は画期的な意義を有するものと考えており、我が国としてこれを歓迎し、全面的に支持します。  このほかにも、我が国が直面する外交、安全保障上の課題は多くありますが、これらに取り組んでいくに当たり、私は、河野外務大臣の御指導のもと、外務総括政務次官としての職務を全うするため、全身全霊を注ぐ所存であります。  西村委員長を初め、本委員会の皆様の御指導と御協力をいただけますようよろしくお願い申し上げ、就任のごあいさつといたします。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  95. 西村章三

    西村委員長 質疑を続行いたします。藤田幸久君。
  96. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 民主党の藤田幸久でございます。  午前中の上原議員に続きまして、違法射撃事件、その他について御質問をしたいと思います。  午前中聞いておりまして、上原議員の質問に対しまして、長官は聞いておられないことにお答えになっているようなこともございましたので、質問を聞いた上でお答えをいただければ幸いに存じます。  まず、警務隊の存在が今回の射撃事件でいろいろ問題になっておりますけれども、この警務隊というのは特別司法警察職員であるということでありますが、とはいえ、あくまで自衛官である。したがって、同じ自衛隊の犯した犯罪に対する捜査ということでございますので、身内に対する捜査ということで、これはほかの特別司法警察職員と違って、構造上も身内が身内を捜査するという形になっておりますので、どうも甘くならざるを得ないのではないかという、最近の捜査状況を見ておりましても、あるいは隠ぺい工作と言われておるものを見ておりましても、そういう認識を持たざるを得ないわけです。  身内が身内を捜査するというこの警務隊の存在について、それから、そういう制度上、私は若干問題があるのではないかと思っておりますが、この存在について、まず長官からお答えをいただきたいと思います。
  97. 瓦力

    瓦国務大臣 藤田委員からのお尋ねは警務隊についてでございますが、自衛隊の部内の秩序維持に当たることを主任務として警務隊が存在するわけでございます。  部内秩序の維持に直接関係のあります隊員の犯した犯罪または職務に従事中の隊員に対する犯罪、二つ目に、自衛隊の艦船、施設内における犯罪、三つ目に、自衛隊の施設または物件に対する犯罪の捜査、被疑者の逮捕等の司法警察業務を行う。自衛隊法第九十六条第一項でございます。  警務隊が行う犯罪捜査等の司法警察業務は、捜査等の対象とする部隊から独立して行うことが適切でありますが、部隊の行う司法警察業務につきましては、警務隊を直接指揮し得るのは防衛庁長官のみでございまして、その指揮系統は完全に他の部隊から独立いたしております。  また、司法警察職員であります警務官につきましても、刑事訴訟法第百八十九条第二項におきまして、「犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。」と規定されておりまして、捜査に関し、恣意的に認定は許し得ないこととなっております。  以上のことから、仮に自衛官が行った犯罪でありましても、警務隊による捜査に影響はないものと考えております。  以上でございます。
  98. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 警務隊についてちょっと資料を見てみますと、過去五年間でございますけれども、例えば、警務隊が扱った中で、有罪と無罪になった割合を見てみますと、無罪は五年間でゼロ、全部一〇〇%有罪になっております。それから、起訴、不起訴の割合を見てみますと、例えば五年前には不起訴が九〇%で起訴が一〇%であったものが、毎年だんだん割合が変わってきまして、平成十年度は不起訴が四四%、起訴が五六%。この五年間に不起訴は九〇%から四四%、起訴は一〇%から五六%まで、これは確実に変わってきているのです。  これを見てみますと、これはいろいろな不祥事等が起こったことも影響があるのではないかと思いますけれども、明らかにこの五年間で起訴、不起訴の内容が変わってきている。  それからもう一つは、今まさに私が冒頭で質問した、身内に対して甘いのではないかということを裏づけるように、あるいは警務隊の性格そのものですけれども、過去五年間で警務隊が扱った逮捕件数は百四十九件、このうち、部内者、つまり自衛官及び防衛庁職員は百三十八名であるのに対して、部外者は十一名。つまり、部外者は一割弱でございます。ということは、警務隊が扱っている人たちは、もう九割以上が、あるいは実際に扱っている対象はもっと多いかもしれないけれども、身内を扱っているわけです。ほかのいわゆる特別司法警察職員と違って、そもそも身内を扱っているわけですから、したがって、当然身内に対して甘くなるという蓋然的な環境があるわけです。  このことについて、長官、どう思われますか。
  99. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいまの御指摘でございますが、警務隊の任務は、先ほど申し上げたところでございますが、自衛隊の部内の秩序維持に当たることを主任務といたしておるわけでございます。  それぞれ事案が、年々によって多い場合も少ない場合もあろうかと思いますが、それらが適切に機能しておるかどうかにつきましては、傾向もさることながら、その職務に公正忠実であるかどうかということにかかわるわけでございますので、私は、今判断すべき材料を手元に持ち合わせておりませんが、警務隊としてその処分がしっかり行われるように、これからさらに指導を強めていかなければならない、そのことによってまた警務隊に対する信頼というものも変わり得るわけでございますし、一層そういう努力をしていかなければならないと考えております。
  100. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 議論が違うわけで、材料がないのでという話じゃなくて、材料は提供したわけです。それで、こういう環境からいいますと、これは身内が対象になっていて、それから、こういう起訴、不起訴の事例を見ても確実にそういう性向があるわけですから、これは公正さが危うくなっているということの材料として私の方が提供しているわけです。  それからもう一つ、長官、ちょっと聞いてください。  公正さということに関しては、例えば、警察に対しては国家公安委員会があります。国家公安委員会の存在自身が今いろいろ問題になっていますが、この警務隊に対して、防衛庁の中においてチェックをする機能があるいは組織がないということが、つまり独立性ということは一見いいように聞こえますけれども、一方で言いますと、この警務隊に対して長官以外にチェックをする機能がない。したがって、公正さということをおっしゃるけれども、実は、公正さを裏づけるような組織上も機能上も今体制になっていないということを言えるんじゃないかと思いますが、それについてどう思われますか。
  101. 瓦力

    瓦国務大臣 藤田委員の御指摘も踏まえまして、警務隊の実態を、私は忠実にそれらの任務を全うしておるもの、かように考えますが、一層厳しく、それらの職務、任務に忠実かどうか、そういうことはさらに私の立場からいたしましてもチェックをしてまいりたい、指導してまいりたい、さようなことを今申し上げておるところでございます。
  102. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 私の立場からさらにということではなくて、例えば警察も、任務を忠実に遂行しているということで終わっていればこういうことになっていないわけで、それで例えば国家公安委員会というものが存在をする。警務隊に関しては、結局、長官以外にチェックする人がいない。長官自身が一体どれだけの情報能力あるいは分析、捜査能力があるかわかりませんけれども。しかも、防衛庁長官というのは大体十一カ月に一人ずつかわっておられるわけで、秘書官も連れていかれますけれども。つまり、長官だけが警務隊に対してチェックをするというのは、長官自身の大変気持ちのこもった心構えはわかりますけれども国民の方が納得できるような警務隊に対するチェックというのを長官一人でやるというのは、これは制度上も機能上も無理ではないか、難しいのではないか。ですから、単に、さらに履行をするように指示をする、努力をするでは、私は、国民は納得しない、そういう事例が実際出てきているんだと思われるのですが、いかがでしょうか。
  103. 西川太一郎

    西川政務次官 長官がお答えする前に、先ほどの藤田委員の前段の御指摘でございますけれども、起訴、不起訴はこれは検事の判断でございまして、書類を送致するということまでが警務隊の職責でございます。そういう意味では、委員指摘のような身内に甘いということではなく、むしろ不起訴に当たるようなものもきちっと検察に送致をしているというふうに御理解をいただきたいというふうに私どもとしては思っておりますことを申し上げさせていただきたいと思います。
  104. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 それはおかしいので、実際に、自衛官等についての案件は、一般の警察ではなくて、警務隊が材料を提供するわけです。ですから、材料を提供しているのがまさに警務隊なわけです。この不起訴の割合が結局減ってきたということは、例えば五年前で九〇%であったものが四四に減ってきたということは、実は、それまでの警務隊の出していた材料がやはり甘かったのではないか。それが結局、甘いでは済まないので、だんだんこれは減ってきたのではないかという可能性もあるわけですね。ですから、決定するのが検事であるということは、先ほどの私の数字に対する理由にはならないというふうに思います。  それから、もう一つ、いわゆる特別司法警察職員ですけれども、実は警務隊以外にもたくさんあるわけですね。営林局署の職員とか、公有林野の事務を担当する北海道の職員、それから船長その他の船員、皇宮護衛官、労働基準監督官、船員労務官、海上保安官、麻薬取締官、郵政監察官等々ありますけれども、こういった方々が対象にしているのは部外者を対象にしているのですね。つまり、麻薬取締官は、同じ麻薬取締局の人を対象にしているのじゃなくて、麻薬を扱おうとしてくる人を対象にしているわけですね。それから、営林局の方もそうだろうと思いますが、林野に入ってくる人を対象にしているわけですね。ですから、いわゆる特別司法警察職員というのは、警務隊に関しては内輪の人間を対象にしているのに対して、ほかの今申し上げた方々は外部の人間を対象にしている。  ところが、内部の人間を対象にしているところの警務隊に対してチェックする機能が長官以外にないということは、これは私は構造上の大変な問題だろうと思うのです。それを申し上げているので、単に努力目標で済まされる問題ではない。長官がいろいろな最近の不祥事についてお考えであるならば、やはり構造上の対応をすべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか、長官。
  105. 瓦力

    瓦国務大臣 藤田委員の御指摘につきまして考えてみますれば、私は、警務隊はそれぞれの部隊の秩序というものにつきまして業務の最も多くを割く、いわゆる部内の問題を処理するために機能しておるものであることは、委員指摘のところであります。よって、この事案が二度と再発しないように今私どもは全力を挙げて取り組んでおるわけでございますが、今委員指摘のような視点に立って考えてみますると、私どもは、再発防止に徹底して取り組まなければならない問題でありますが、警務隊の組織のあり方そのものにつきまして検討を行い、なお機能が果たせるように、問題ありとすれば取り組んでいくということを、今委員からの御指摘も踏まえまして、私も今深く感ずるところでありまして、組織のあり方等につきましても検討を加える、そういった取り組みをいたしてまいりたいと考えます。
  106. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ありがとうございます。  それに関連しまして、例えば今度の違法射撃事件ですけれども、目撃者がいたということになっておりまして、この人々が通報したと。警務隊が初めこれに関して刑事事件として捜査をしたという説と、初めはしていなかったという説と、両方ありますが、いずれにしても、報告をしたということがないわけですね。  そうすると、先ほどの独立性を持った警務隊という場合に、これは当然、長官の直接の指揮下にあるわけですから、長官には報告が行っていなければいけない。午前中のやりとりでございますと、内局には報告が行っていなかったという話ですが、内局に報告が行かなくて——内局そのものが私は長官を代理する機能ではないかというふうに今までは理解をしておりましたけれども、それは仮に置いておくにしても、長官に報告がなかったということは、これはやはり服務違反ではないんですか。
  107. 瓦力

    瓦国務大臣 いわゆる内局の業務とは別に警務隊に与えられた職務があるわけでございますが、それは防衛庁長官の指揮のもとにあるわけでございまして、また、警務隊は陸幕長を通じてということになっておりますので、私の方へは警務隊長並びに陸幕の副長と報告に参っておりますから、いわゆる、これは業務上は幕と警務隊とは責任の所掌においては違いますが、報告には及んでおります。
  108. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 職務上は違っているけれども報告陸幕長を通してということは、考えようによっては、例えば何か問題があった場合に、結局最終的な報告を受けるべき長官のところにいわば捜査の対象である陸幕関係者を通して報告が来るということは、これは職務上まずいんじゃないですか。長官、今の質問、聞いておられましたか。ちょっと答えていただきたいのですけれども
  109. 瓦力

    瓦国務大臣 今、私の答弁で整理をいたしておりました。  なぜ防衛庁長官にさきの猟銃事案につきまして報告がなかったかということも含めまして、今調査をさらに進めております。よって、組織上のことを先ほど申し上げましたが、それらに対する問題を、いわゆる警務隊からいかに、防衛庁長官のところまで上がってきていなかったかという問題について、整理をしておかなければならない問題もありますということを午前中のお答えから引き続きいたしているところであります。
  110. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 であるならば、調査が一月から今までかかっているのは、かかり過ぎだろうと思います。これはいわゆる秀島容疑者なる人々と三月までは接触していなかったということとは別の次元でありまして、警務隊が長官に報告をするということに対してなぜ報告がされていなかったということの調査は、秀島容疑者なる者に対する捜査とは別の次元で、これは長官自身が行政府の長として捜査すべきことでありますから、三カ月の間に調査が行われていないということは、これは私は許されないことだろうと思います。司法の問題じゃないでしょう。だって、行政の長であるところの長官が、長官に報告がなかったことについて三カ月間も調査していないということはおかしいじゃないですか。
  111. 依田智治

    依田政務次官 先生、警務隊が内局にも長官にも報告しなかった、現実には、この猟銃事件についても捜査するには及ばないということで捜査しなかったということについても、場合によったらこれが犯人隠避なりなんなりを構成するのかという問題も実はあるわけでございまして、それを、まだ地検の捜査が並行している間は、やはり防衛庁として調査する場合でも非常に限界があったということでございまして、警務隊なら長官のあれだからいいのじゃないかということではございませんで、まさにこの事件一体として、警務隊の扱い自体も、そういう調査なり捜査の対象になっておるというように御理解いただければありがたい。  それと、一点だけ。先生、一般の警察というのは、国民に対してどう権力を発動するかということで、そういう視点に立って、国家公安委員会とかその他厳重に監視する組織があるわけでございますが、警務隊の場合は、言うなれば、通常の国の軍隊ですとミリタリーポリスというのがありまして、一般よりもさらに組織体の規律を維持するために極めて厳しい法律等も適用して規律を維持する、こういう組織で、決して身内がやるから甘くなるというものではなくて、我々は、そういう規律を維持するために、警務隊の本来としてはもっと一般よりも厳しく内部で措置していく、こういう考えに立って実は運用しているつもりでございますが、このあたりが今回の事案でやはり問題点も出てきておるということで、今真剣に検討しておるというのが実態でございます。
  112. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 全く論理矛盾でございまして、つまり地検の捜査中でということで、警務隊がいわばその捜査の対象になっているということは、長官の直属の警務隊自身が実は疑いの対象になっているということを今依田さん自身がお認めになったわけでしょう。だから、それをチェックする組織上の問題もあるということをさっきから申し上げているのが一点ですね。  それから、警務隊というのは行政の長であるところの長官が直轄しているわけで、その行政の長が、いわば自分が直轄しているところに疑いがあったことに対して、地検が云々という司法権の問題じゃなくて、いわば自分の直属の部署に対するそういった疑念に対して三カ月もほっておくということは、行政の長としての責任が遂行されていないということじゃないですか。地検の話は全然理由になりませんよ。行政の府の長官じゃないですか、長官は。——長官が答えてください、長官。
  113. 依田智治

    依田政務次官 誤解を受けてはいけませんので、ちょっとあれですが。  防衛庁自体がこの事件捜査しなかったということについて、やはりいろいろそれ自体が問題にされておるということでございまして、警務隊自体は、地検の指揮のもとに捜査を進めておる。一方、防衛庁自体がこの事件捜査しなかった、警務隊自体捜査しなかったというようなことが、全体として犯人の隠避なりなんなりに当たるかということが調査の対象になっておるということで、我々の捜査にも限界があった、こう申し上げたわけでございます。
  114. 瓦力

    瓦国務大臣 改めて申し上げますが、当時の事案処理に当たりまして、組織的な隠ぺいが行われたのではないかという疑いがあることは承知をいたしておりまして、本件につきまして、当時の多数の関係者からの証言等を整理しながら、総合的な分析を行っているところでございます。  現時点でのお答えは差し控えさせていただくわけでございますが、この問題に関しましては、いわゆる警務隊がどの時点でそれらの情報を得て、どう取り組んだか、あるいは、長官たる私に報告が本来なされなければならないわけでございますが、それらについてなされなかったこと等、今調査をしておるところでございます。  これらは、いずれにいたしましても、それぞれ事実を究明することにつきましての絡み合いがありますから、お答えは差し控えさせていただいておるわけでございますが、私は、猟銃射撃事案の徹底的な調査というものをこれらのことをもってして指示をいたしましたのも、本事案の解明に努めて、厳正に対処してまいるという決意から、さようなことを指示いたしておるところであります。
  115. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 要するに、警務隊に対する長官の監督不十分ですね。そう思われませんか。一言で答えてください。監督不十分ではないかと思いますが、一言、思われるかどうか、それだけお答えください。
  116. 瓦力

    瓦国務大臣 今、過ぐる事案でございますが、それらにつきまして、私は、那辺にその事案の解明のための問題があるかを調査を命じておる、今そういう段階でございまして、この事案は御案内のとおり、古い事案でございますから、それを先に、疑義があるということの問題から調査を命じておるわけでございますが、その過程におきましても、今警務隊の問題もございますから、それら絡み合う問題を整理するように指示をいたしておるところであります。
  117. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ちょっと時間が余りに過ぎるので、警務隊とかこういう不祥事に関して、実はほかにも自衛隊にいろいろな事例があるかのように私も聞いております。  これは、ちょっと私も正確な時期はわかりませんが、このいわゆる違法射撃事件が起こった東富士演習場で毎年、総合火力演習というものが行われております。私も昨年実は行ってまいりました。  大体、この違法射撃事件と同じ年、あるいは相前後するころのようですけれども、いわゆる一般公開をして火力演習を行う前に、関係者による部内公開というのがあるそうですが、その際に、一等海佐の方が、免許もないのに九〇式戦車を違法に操縦をした。九〇式戦車というのは一番最新の戦車でございますが、その際に、戦車の上の部分、ハッチの部分で車両の点検をしていた民間の技術者が振り落とされて、キャタピラでひかれて、その技術者は足を切断するぐらいの大けがを負ったという事例があるというふうに聞いておりますが、こういう事例があったかどうか、防衛庁は把握しておりますでしょうか。
  118. 及川耕造

    及川政府参考人 事実関係でございますので、私から。  御質問事件というのが、私どもの得ております類似の件は、平成四年の二月二十日でございますけれども、一等海佐の者及び三菱重工の技術者の方との関係で事故が起きております。  それは、東富士の演習場で、先生お話しございましたような三菱重工が実施した九〇式戦車の、先生は一般公開の前の部内公開とおっしゃいましたけれども、私どもの承知をしておりますのは、戦車の納入前のならし運転、それから機能試験等において発生したものではないかというふうに思っております。  その中身につきましては、当時の調本横浜支部の副支部長でございます、これが、一等海佐でございましたが、三菱重工の技術者の方の指導のもとに操縦しておりました九〇式戦車から同技術者が運転中に転落をされまして、そして履帯、キャタピラの下敷きとなって、左足ひざの関節下及び左足首上の粉砕骨折並びに右目の視力障害等の障害を負ったというふうに報告を受けているところでございます。
  119. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 その海佐の方というのは、なぜそこにいられたんでしょうか。  それから、当然、免許を持ってそこにいて、操縦をしていたということでしょうか。
  120. 及川耕造

    及川政府参考人 三菱重工が九〇戦車の製造元でございますので、当然その納入にやってきておられた方でございます。  その納入に際しまして、調本の横浜支部が検査をいたします。その検査の中のならし運転、機能試験等において発生したということでございます。したがいまして、三菱の方がおられますし、それから運転をいたしていた、こういうことでございます。
  121. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 そうすると、一等海佐の人は運転はしていなかった。
  122. 及川耕造

    及川政府参考人 失礼いたしました。  事故が起きましたとき運転しておりましたのは一等海佐、そして、その運転を、九〇戦車をつくった方でございますが、指導しておられました方がこの技術者の方、こういうことだというふうに聞いております。
  123. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 では、その一等海佐というのは、海上自衛隊でこの九〇式あるいは戦車の免許を持っておられたわけですか。
  124. 及川耕造

    及川政府参考人 一等海佐でございますので海上自衛隊の出身の職員でございますが、当時は先ほど申し上げましたように調本の横浜支部の副支部長ということで、検査の責任を持っていた者でございます。  なお、九〇戦車の免許等は持っておりませんけれども本件につきましては、これは道路交通法に基づきます場所ではございませんので、したがいまして法的な適用は受けないということで、実地のために運転を行った、こういうことでございます。
  125. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 それで、戦車というのは陸上自衛隊のものですね。それを海上自衛隊の海佐が演習場の中で、調本支部に来ていたにしても、そして仮に一般道路と違っても、運転をしていて、それで事故が起きた。いわゆる納入前という段階であっても、そもそも調本のそういう立場の人が運転していいんですか。これは内規上問題ないんですか。
  126. 及川耕造

    及川政府参考人 確かに海上自衛隊の出身の方ではございますけれども、当時の職責は、先ほど申し上げましたように調本の横浜支部の副支部長ということで、装備品等の監督、検査にかかわる業務を指揮監督する立場にございました。したがいまして、検査官等に対し教育指導を行う立場にございましたので、その任務遂行に当たりまして、九〇式戦車の社内試験の視察の機会を利用いたしまして、その検査実務の実地を体験させていただいた、こういうことでございます。  当時、その戦車の操縦を行いました場所が東富士演習場内の道路交通法の適用を受けない場所でございましたので、大型特殊免許等の資格がなくても違法行為に当たるものとは考えられない、こういうふうに考えているところでございます。
  127. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 検査ということであっても、戦車を操縦したわけですね。
  128. 及川耕造

    及川政府参考人 検査の実務を体験するために運転をした、そういうことでございます。
  129. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 検査の実務のために海上自衛隊の人間が、たまたまそのとき調本にあっても、操縦をしたということであれば、逆に言うと、検査の段階の戦車の、しかも最新式のいろいろなメカがあるものの操縦ができるということになると、例えばだれでも調本に行っていた人間は、戦車、私はよくわかりませんが、相当いろいろなテクニックが要るんだろうと思いますけれども、操縦をするということが、道路交通法の適用を受けない地域だったので、しかも納入前だったので許されるというのは、私はどう考えてもおかしいんではないかと思いますけれども、長官、ちょっと今のお話を聞いておられてどう思いますか。  それからもう一つ、このことについて処分あるいは発表等がどう行われたのか、それについてお答えいただきたい。
  130. 及川耕造

    及川政府参考人 本件につきましては、同年八月十九日に、陸上自衛隊東部方面警務隊が静岡地検に業務上過失傷害罪の容疑で送致をいたしております。そして、平成五年七月七日に不起訴処分になっております。  他方、公表でございますけれども、当時事件が起きました段階で、速報という形でございますけれども、公表いたしております。そして、不起訴処分が確定した段階で、当時の調本に関しまして訓戒処分をいたしておるところでございます。
  131. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 時間がないので、もう一つ念のため申し上げておきます。  これは去年もちょっと質問したことですけれども、ほかの、あるいは長官のためにも申し上げておきますけれども、一昨年、北海道の千歳地区の試験場におきまして、これは高機動装輪車両の研究という試験が行われたというふうに言われておりますが、長官、このときに三名の自衛官の方がこの試験に加わって、いわば高速における蛇行の実験をしておったわけですが、六十キロで走っておられて、それでその車両が転倒して、一名が一週間後ですか、死亡しているんです。このときに、三名ともヘルメットをつけていないんです。これも警務隊が実は入って、やがて札幌地検に送致をしました。しかしながら、これも不起訴になっている。これも結局発表がされなかった。  今、たまたま猟銃の発砲事件。それから東富士演習場における民間の社員の方が足を切断した。それから北海道において車両の実験中に人が亡くなっている。しかも、その際の試験隊長という方が実は現場に行っていない。そして、これもやはり警務隊が入ったわけですが、ヘルメットもつけないで実は実験をしてしまっている。こういったこともその当時は公表されなかった。これはみんなやはり事故にかかわることで、警務隊がかかわって、不起訴になったりして、そして発表がおくれたりとかいうことがあるんですね。  私は、長官もぜひこういう事例について徹底して調査をされて、それから、そういった際にやはり内部調査の限界ということ、それと警務隊の捜査の限界ということもあわせて、先ほど来お話をしております組織的な再編を含めた対応をしなければ、私が知っているだけでもこんなに、三つもあるわけですね。  長官、こういう事例を御存じでしたか。例えば、実際に北海道で、ヘルメットもつけずに、しかも、正式なと言われておりますが、これも真否がいろいろあるようですけれども、技官の方が亡くなっている。それから、東富士演習場で、先ほど来申し上げているように、海上自衛隊の一佐が最新式のメカの戦車を操縦していて、そして民間の人が実際に足を切断している。こういうことが実際起こっているのですね。猟銃事件と違って、民間の方も自衛官も含めて実際に被害が出ているわけですね。  実際にこういうことがあるわけですけれども、長官、聞いておられてどう思われますか。今までの答弁のような対応では私は不十分だろうと思うのです。私は、自衛隊自身はいい自衛隊になってほしいと前から思っておりますので、そんな観点からいつも質問申し上げているのですが、お答えをいただきたいと思います。
  132. 瓦力

    瓦国務大臣 平成十年七月十五日の技術研究本部第四研究所による車両の走行試験中の事故、技官一名が亡くなられるという事故につきまして、委員からの御指摘もあり、当時処理した問題でございましたが、改めて私も報告を受けたところでございます。  振り返ってみますと、それぞれ、技術本部といい、また自衛隊のそれぞれの新しい装備につきまして、十分なる注意や、あるいはその手順が十分でなければならぬと思うわけでございます。私は、手続、手順において間違いがあったというものではないことは承知をいたしておりますが、しかし、装備におきまして、ヘルメットを、またシートベルトをつけていなかったとかというような事実に遭いますと、やはりそれは十分なる注意が要るというぐあいに考えます。  それで、このような痛ましい事故がないように指導等もしっかりしなければならぬ、それぞれの研究機関においても、これらの事案というものがとうとい命を奪うこともあるわけでありますので、以降十分に注意をするように、またそれぞれの手続につきましても、きちんと手続をなすようなことは委員指摘のとおりでございますから、そのようなことをさらに申し伝えたいと考えます。
  133. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 最後に、つまり情報開示がされていない。ですから、今の自衛隊の北海道の演習あるいは実験の場合でも、結局公表がされていないのです。それから、先ほどの東富士演習場の場合も、それから今回の一連の問題もそうですけれども、やはりきちっと情報を開示して、実際に起こっているわけですから、起こった後で二度とないようにというようなことを繰り返しながらということではなくて、もっと組織的な、あるいは機能的なものも含めた対応をしていただかなければ、結局対症療法で終わって同じことを繰り返すということになると思いますので、そういった意味での具体的な調査と対応をしていただきたいということをお願いしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  134. 瓦力

    瓦国務大臣 せっかく藤田さんの貴重な御指摘や御質問をちょうだいしておりますが、一点申し上げさせていただきたいのは、別にこれらの問題につきまして公表していないというものではありません。東富士の問題にいたしましても、また研究所の問題にいたしましても、それぞれが公表もいたし、また、それぞれにおいてしのぶ会等も友人が開いたりいたしておりますので、決して秘匿、隠匿をするというような暗い扱い方はいたしておりません。  自衛隊に対しましての理解のある藤田さんでございますから、そのような御判断のないように、私は、この席をかりてお願いを申し上げておきたいと思います。
  135. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 一言、北海道の件は当時公表がされなかったということを、昨年装備局長が答弁をされておりますので、後になっての公表でございましたことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  136. 西村章三

    西村委員長 次に、佐々木陸海君。
  137. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海です。  最初に、私も、秀島一佐にかかわる不祥事の問題について質問をしたいと思います。  この不祥事が他の省庁の不祥事と性格を異にしておりますのは、武器の使用、管理という問題にかかわっているという、この点であります。自衛隊は武装した集団であって、この武器管理という問題は、自衛隊自身にとっても極めて重大な問題であろうと私は考えます。きのう防衛庁に伺ったところでも、武器管理は極めて厳格に行っている、そして、小銃の実包一発一発に至るまで行方をあいまいにしない厳格な管理を行っているつもりだという話を伺いました。  当然そうあってしかるべきだと思いますが、これは、現在そうであるというだけでなくて、この事案が発生した九四年当時もそのとおりであったと思うのですが、その点、防衛庁長官、いかがでしょうか。
  138. 瓦力

    瓦国務大臣 佐々木委員お答えいたします。  このたびの猟銃事案につきまして、二度と起こしてはならない問題である、かようなことで、既に幹部初め両政務次官、事務次官が、全国十一カ所に手分けをしながら、幹部職員にも徹底してまいらなければならぬ事案だということで取り組んでおるところであります。  自衛隊の保有する小銃でありますとか機関銃部外者射撃させるということは、自衛隊に負託された任務を逸脱した、あってはならない事案でございまして、こうした事案が発生した理由等につきましても、調査等で解明してまいらなければならない。  私の立場からいいますと、そういうまじめに取り組んでおられる自衛隊諸君の日ごろの努力を考えますと、国民信頼が大きくなりつつある今日でありますので、一層厳しく信用回復の努力をさせたいと思っておるところであります。
  139. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 聞いていることに、端的に一言お答え願えればいいんです。  自衛隊では武器管理を非常に厳格にやっていて、小銃の実包一発一発に至るまで行方をあいまいにしない管理をやっているんだ、今もやっているし、九四年当時もそうやっていたのですねと長官にお聞きしているわけです。イエスかノーでいいんです。
  140. 瓦力

    瓦国務大臣 委員指摘のとおりのことを、私どもはよく承知をして取り組んでおるところであります。
  141. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 ところが、この秀島一佐事案に関しては、起訴事実などを見ますと、小銃に関してだけ言っても、実包四百発を三人の民間人に、その文書によりますと譲り渡した。つまり、彼らの使用にゆだねたということが書かれているわけです。一発一発もあいまいにしないはずのものが、四百発も民間人に渡されて、そこで使われたのか、あるいは半分使って半分持ち帰ったのか、半分返したのか、それは全然わかりませんよ、発表になっておりませんから、しかし、四百発も譲り渡されていたという事実が書かれているわけです。  ですから、一発一発あいまいにしないなんという建前は建前だけれども、実際にはそんな単位で、一佐という立場の人でしたけれども、自由に民間人に譲り渡したりするようなことができるような状況にあるのか。そして、それがチェックできない、そして、そういう問題が六年間も秘密のままにされてきた、明らかにできなかった、これは本当に重大な事態だと思います。  こんなことが一般的に行われるというようなことになりましたら、本当に、暴力団にもこういう実包がどんどん流れていってもチェックできないということにまでなりかねないような性質の問題なんですから。ちゃんと調べているというふうに今言っておられましたけれども、本当にこの事案が例外的な事態であるという証明もまだ全然ないわけですから。事案全体がこうだった、だからこれは例外なのだという発表があれば確認できるでしょうけれども、そういう発表もないわけですから、本当に一刻も早く、きちんと調査をして発表してもらいたい。長官にはっきりした決意を伺っておきたいと思います。
  142. 瓦力

    瓦国務大臣 御指摘のことが二度と生起しないように、今全力を挙げて調査をし、取り組んでおるところでございます。
  143. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 では、もう一つの問題です。  昨年の十一月二十二日に、航空自衛隊のT33A練習機が入間基地へ帰る直前に、住宅地域近くの河川敷に墜落をいたしました。年間訓練を消化中のパイロット中川尋史一佐と操縦教官の門屋義広二佐が死亡し、送電の幹線を切断して、東京都と埼玉県の八十万世帯が停電するという大きな被害を出しました。防衛庁は、この事故の後、調査委員会を発足させて、墜落事故の原因究明に当たるとしてきていたはずですが、現在調査はどの程度進んでいて、いつごろその結果を公表なさるおつもりでしょうか。長官にお聞きしたいと思います。
  144. 瓦力

    瓦国務大臣 昨年十一月に発生しましたT33A機の墜落事故の原因について委員からお尋ねでございますが、現在、事故調査報告書の最終的な取りまとめを行っているところでございます。よって、現段階お答えすることは差し控えさせていただきますが、防衛庁といたしまして、事故調査報告書がまとまり次第、その概要をもって公表したいと考えております。  なお、時期についてのお尋ねでございますが、現段階で具体的な時期を申し上げることは困難でございますが、早急に事故調査報告書をまとめて、その概要を公表したいと考えており、鋭意取り組んでおるところであります。
  145. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 報告の取りまとめに入っているというのですから、そんなに時間かからずに発表していただきたいものだと思います。  T33は住宅地からわずか五十メートルの地点に墜落して、一歩間違えば大惨事につながりかねない事故であった、明白であります。入間基地を抱える狭山市の町田市長は、入間基地の司令に対して、「市は、市民の生活と安全、生命と財産を守る立場から、基地に対して、事故の原因究明を早急に行うとともに、安全飛行の徹底を強く要望する。 特に、原因究明と納得のいく説明が得られるまで、航空自衛隊入間基地における航空機の飛行自粛を要望する。」と申し入れています。入間市の木下市長も、事故原因の究明がされるまでの間、基地における訓練飛行の中止ということを申し入れています。こうした自治体の要求は、住民の生命と安全を第一とすべき自治体として極めて当然のことであろうと思います。  ところが、こうした自治体の要望や住民の声を無視して、入間基地では、まだ事故原因の究明が全くなされていないにもかかわらず、安全の確認された機種から訓練を再開するとして、事故から一週間後の十一月二十九日には訓練を再開いたしました。地元の要望をこんなに簡単に踏みにじっていいのか。事故の原因究明をまず急いで、そして地元自治体にしっかり説明する、それまではすべての訓練を中止する、そういう措置をとるべきではないのでしょうか、こういうときには。長官、いかがでしょうか。
  146. 瓦力

    瓦国務大臣 お答えいたします。  自衛隊が任務を有効に遂行するためには、輸送等の飛行任務の実施はもとより、不断の訓練を行う必要がございます。また、事故調査が終了するまで現在ある航空機を全く用に供さないということは、国の貴重な現有の装備を有効活用しないということにもなるわけでございます。したがって、適切な安全対策を講じた上で飛行を実施することは必要であると考えております。  防衛庁といたしましては、安全対策実施した上で、安全上問題がないことが確認された航空機につきまして飛行を実施しているところでございまして、委員にも御理解をいただきたいと思います。  なお、周辺の自治体の首長にも、事故が起こりまして、私も報告やらおわびに参らせていただいたわけでございますが、常に怠りなく整備をいたしておりまして、なおかつT33Aの事故につきまして、パイロット二名も、人家を避け、都民並びに埼玉県民の多くに停電等の御迷惑をおかけいたしましたが、命を捨てて、いわゆるそれらの事故を避けたわけでございまして、これらの事情も御勘案をいただきたいと思います。
  147. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 地域住民の問題を本当に考慮すれば、そういう態度ではなかなか納得されないということを申し上げておきたいと思います。  T33の事故の原因について、三月三十日付の東京新聞は、空幕は墜落原因について、燃料漏れに電気系統から引火したものだと判断したということを報じていますが、これは間違いありませんか。なぜ燃料漏れのような初歩的な事故が起こったのか。長官、いかがでしょうか。
  148. 瓦力

    瓦国務大臣 先ほどもお答えをさせていただきましたが、それらの事故調査報告書、最終的な取りまとめを今行っておるところでございまして、最終的にいかなる事故原因によるものかということを究明することが目下大事な仕事でありますから、これらの究明結果も踏まえて、報告書の発表を待ちたいと思っておるところであります。
  149. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 先ほど二名のパイロットが亡くなった経過についても長官、述べられましたが、二月二十八日付の東京新聞は、二名のパイロットの死亡原因について、「緊急脱出時、衝撃で即死」と報道しています。そして埼玉県警等から取材した内容として、二名のパイロットが射出座席で脱出する際に、体重の数十倍に当たるすさまじい衝撃を受けて即死したということを報じております。  私たちがT33のパイロット経験者から聞いたところでは、体重の数十倍に当たる衝撃をこう頭から受けるというようなことは、何らかの原因で、先に脱落すべき風防ガラスが脱落しなくて、それに頭をぶつけたということくらいしか考えられないという話を聞かせてくれました。  そうだとすると、脱出がおくれたというよりも、脱出装置等のふぐあいが原因で二人のパイロットが亡くなったということになるのではないかと思うのですが、そうではありませんか。長官、いかがでしょう。
  150. 瓦力

    瓦国務大臣 先ほどもお答えをしながら、また繰り返しのような答弁にはなりますが、事故調査報告書の取りまとめを行っておりますので、事故原因並びに再発防止策を見ながら、これは検討してまいらなければならぬことでございますが、今T33Aにつきましては、いかなる原因によるものか等々を含めまして、詳細に原因究明を図りたい、こういうことで取り組んでおるわけでございまして、委員指摘のような事態というものも想像にかたくありません。また、パイロットにいたしまして、限界点を超えて、人家を避け、あるいは河川に向かったとも考え、そのときの機体の状況がどうあったかというようなこともいろいろ考える分野がありますが、ここで申し上げるよりも、原因究明というものを徹底的に行う、それをまちまして発表するということにさせていただきたいと思います。
  151. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今私が申し上げたようなことも可能性として否定はされなかったと思いますが、それはもちろんきちんと発表されたもので確認できることだと思います。  我々、先ほど申し上げましたように、T33練習機で訓練を受けてきたパイロットの方々からさまざまな問題をお聞きしました。  T33Aというのは、完成後半世紀を経ているジェット機であります。原型機であるF80戦闘機は、第二次世界大戦中の一九四四年一月、ちょうど私の生まれた月でありますが、これに初飛行したアメリカで三番目のジェット戦闘機で、極めて古い設計の機体。今日では安全性についての考え方も、当然当時の設計ですから相当おくれている。  T33の搭載エンジンは、現在のジェット機にはもうほとんど見られない、専門的な言葉ですが遠心式というジェットエンジンだそうであります。しかも、これは二基ではなくて一基のみ搭載なので、飛行中それが故障したらそれまで。最近のジェット練習機は、通常二基のエンジンを搭載して、片側が故障しても片肺飛行で緊急時に対応できるような設計にもなっているということもお聞きしました。  そしてまた、エンジンオイルの点検が、地上の自動車と同じ金属板のオイルゲージ式で、気圧の変化やエンジンの振動などが激しい飛行中にオイルゲージのふたが緩みやすくて、それが原因でこれまでたびたびオイル漏れ事故を起こしてきたということも話を伺いました。  燃料漏れにスパークで引火したという一つの原因が先ほど紹介したように伝えられているわけですが、これは点検整備のしにくいところに配線がされていて、漏電などのチェックがしにくいからだ。機体の老朽化と手なれた整備隊員の退職が重なって、点検整備体制の低下で、安全上T33というのはかなり大きな問題を抱えているという話をお聞きしました。  これらの問題点について防衛庁はどう考えておられるでしょうか。これは長官でなくても結構ですが、お答え願えませんか。
  152. 依田智治

    依田政務次官 お答えいたします。  T33が古い航空機であるということは先生御指摘のとおりでございますが、現在八機残っております。  それで、防衛庁におきましては、保有する航空機については、使用されている材質、構造等の基礎的な疲労の傾向及び自衛隊における当該航空機の運用の特徴、我が国特有の環境等を考慮しまして、航空機の型式に応じそれぞれ耐用年数を定め、定期ないし随時に点検をしておりまして、現在使っておるT33につきましても、耐用命数、この事故機は千六十八時間まだ耐用命数が残っておるのですが、その他の飛行機につきましても、四百七十五時間から千三百四十四時間残っておるという状況でございまして、我々は、十分点検して、少なくとも飛行には安全性を確保するという観点に立って絶えず整備をしておる、こういう状況でございまして、そういう中において今回のような事故が起こったということで、今慎重に原因の究明に当たり、できるだけ早く報告するようにしたい。こんなのが実態でございます。
  153. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 いずれにしても、私たちから見ても、専門家ではありませんけれども、T33Aの墜落事故は複合的な故障やふぐあいが重なって起きているのではないか、その背景には半世紀もたった機体の老朽化があるのではないかということを疑わせるものであります。  現に、墜落機や今運用のために残されている八機のいずれも、米軍から一九五四年から五五年に無償供与されたもので、部品の製造も終了してからかなり年月がたっているために、修理のときには、廃棄対象になっている別のT33の機体の部品をとってきて使う、これを共食いというそうでありますけれども、そんなこともやられているという話も聞きました。  つまり、耐用年数の終わった機体の部品をつけているわけですから、今、耐用年数四百七十五時間とか千三百四十四時間という話がありましたけれども、その一部分は、もう耐用年数が過ぎて使わなくなった機体からはがしてきてつけているというようなこともやっているんじゃありませんか。やられていませんか。
  154. 及川耕造

    及川政府参考人 修理の事実関係を申し上げます。  御指摘のT33Aの修理の際に必要となります部品につきましては、現在も製造も行われておりますけれども、御指摘のように、耐用命数に達した機体から使うかという点に関しましては、その中の比較的新しい部品を取り外しまして使用することはございます。これは、当然のことながら、個々の部品は効率的に活用すべしという別途の観点もございますので、そのようなことをいたしております。  ただ、もちろん活用する場合には、その使用に際しまして確実な点検と検査を実施いたしまして、品質上問題なく、使用可能な状態であることを確認した上で使用いたしております。
  155. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 という状況なんですね。  九九年の十二月二日付の朝雲で、かつて防衛政務次官をやったこともあり、T33に搭乗した経験のある土屋埼玉県知事が、「まだあの航空機を使っていたとは…」と言っています。それから、同じ号の朝雲の「寸言」では、自衛隊のOBの話として、「事故機がT33だったのに驚いた。今も同機が飛び続けているのを知らなかったからだ。何しろ空自発足直後、米軍から供与された最初のジェット練習機なので、とっくに姿を消したものと思っていた」と驚きの声を上げています。  耐用年数がまだ残っているからというようなことを理由に引き続き運用するというようなことは、もう私は言語道断と言ってもいいんじゃないか、常識から外れているんじゃないかということを言いたいと思うのであります。  埼玉県調べなどによりますと、戦後、埼玉県内での軍用機の墜落事故は全部で五十五件起こっている。そのうちT33練習機のものが、米軍のものを含めて、ジョンソン基地の時代のものも含めて十三件。T33運用当初の一九五五年ころから事故を起こしており、一機種による事故数としては断然トップであります。七八年の九月八日にも、同じ狭山市の、今回の事故現場の川を挟んだ対岸側の住宅地に航空自衛隊のT33A練習機が墜落して、搭乗員二名が死亡し、住宅二棟を破壊し、農作物を延焼する被害を出しています。  そして、これまでの航空自衛隊のT33の全運用機数二百七十八機のうち、墜落、重大事故を起こしたものが五十九機、何と約二一%の損失率であります。これは、他の機種に比べて数倍の事故率であり、損失率でいえば戦時並みだという指摘さえある状況であります。  長官、もう八機しか残っていないのです。そして、本当に古い飛行機なんです。これだけの事故を起こした機体をまだ運用するというのは、また同じような事故を起こす可能性が極めて高い、こういうことを言わざるを得ない。市街地の住民の安全に照らしても、そして隊員の生命の安全に照らしても、このT33の運用というものはもうやめるということまで含めて検討すべきじゃないでしょうか。いかがでしょう。
  156. 瓦力

    瓦国務大臣 今佐々木陸海さんから、T33、残機八機。なお、振り返ってみれば、古い機体でございますが、ある面ではよく耐えてきた飛行機でもあると私は思っておりますし、丁寧に整備もしてきたものであるというぐあいに考えております。  しかし、このT33A型機の取り扱いにつきましては、事故調査報告書をまず精力的に取り組み、取りまとめることが今重要でございまして、事故原因及びこれらの問題を究明した後、再発防止をどうするか、さらに、このT33をさらにどういう手だてを講ずればいいかという問題は、なお検討余地が私はあろうと思います。そういうことを踏まえながら、極めて慎重に、またよく検討して、結論を得たいと思っております。  数々の御指摘もちょうだいをし、また、今これらの事故についての究明も鋭意取り組んでおるところでありまして、それぞれパイロットにとりましても、自分たちの命がけの相棒でございますから、私は、いかなる報告になるのか、調査結果はやがて得られると思うわけでございます。それらを見、また専門的な意見も徴しながら、委員がおっしゃるように、これからどう対応すべきかということを考えなければならない、かように現在思っておるところであります。
  157. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 T33の使用をもうやめるということまで含めて検討をするということでよろしいのですね、そう確認したいと思いますけれども
  158. 瓦力

    瓦国務大臣 私は、委員、例えついての大変厳しい御質問でございます、御意見でございますが、私どもは、こういう資源というものはいかにあるべきかということをあくまでも慎重に検討することが重要でありますので、私は委員のところまで踏み込んで御答弁申し上げておるものではありません。まず今原因究明をしっかりやって、そして、どうあるべきかの検討を専門的な見地からよくよく判断をしたいということを申し上げておるわけでございまして、それ以上の言葉はひとり歩きいたしますので、この際、思惑を持ってお答えをするわけにはいかないと私の立場で申し上げさせていただいたわけでございます。
  159. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 T33というのは本当に古い機体で、そして、さっき言ったような共食いもやっていて、いろいろな問題点指摘されている。だから、事故原因の究明のいかんによっては、これをもう使わないという選択肢も考えるべきだということを申し上げているわけです。よろしいですね。  埼玉県でこんなに多くの軍用機事故があったのかと改めて調べてみると、驚きました。戦後、ほぼ毎年一件という割合で、これまで五十数件起こっております。  ちょっとよろしいですね、地図です。入間基地の周辺で見ますと、これが基地ですね、ちょっと大きな丸で書いてありますけれども、赤い丸が今度落ちたところです。そして、戦後、これまでの間に軍用機が落ちた場所をオレンジ色の丸で示してあります。入間川と基地が示されています。ともかく、この辺は完全に市街地になっているわけであります。基地の両側を西武線が通っている。長官も御存じのとおりだと思います。こういう市街地に所在する基地でジェット航空機の訓練をやること自体がかなり無謀なことと言わざるを得ない面があります。  元パイロットはこう言っています。住宅が密集してきており、訓練飛行時の緊張度が高い、特に、訓練空域での飛行を終えて、疲労を抱えつつ住宅地上空を飛ぶと、その緊張感は時に操作の誤りを起こしそうになるくらいだというふうに述べています。  それから、十一月二十五日に入間基地で行われた死亡したパイロットの葬送式で、パイロットの遺族の方が、今回と同様に川に墜落した事故は以前にもあった、戦闘機のある基地は海岸の近くがいいと思う、それによって助かる命がある、みんなわかっていることだと思う、今回で犠牲者は最後にしてほしい、これはパイロットの遺族の方が痛切な訴えをされております。  こうした住宅密集地上の訓練飛行の中止、そして、訓練空域及び空域間飛行の見直しというのは、地域住民はもとより、自衛隊関係者も含めた切実な声ではないかと思うのですが、これに長官はどうお答えになりますか。
  160. 瓦力

    瓦国務大臣 確かに、東京周辺は大変多くの方々が住んでおられますし、加えて、かつてはそれぞれ飛行場も機能いたしておったわけでございますが、人家も相当周辺を埋め尽くすようになりました。また、御案内のとおり、自衛隊の持つ任務は極めて重にして過酷なものもございます。安全を期しながら、日常、訓練しなければなりません。よって、地域の方々の理解も得なければならぬことであります。  私は、安全飛行につきましてさらに注意を喚起しながら、また、装備につきましても十分配慮をして、最大限の努力をしながら、自衛隊の諸君が訓練にいそしめるような環境を整備することが重要だと思いますが、いかんせん、狭い国土でございますし、また主要な目的もございます、これらにつきましてよくよく御理解をいただくように、今後とも努力してまいりたいと思っておるところであります。
  161. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 先ほど長官は、パイロットの最後の行動を称賛されたわけですが、いずれにしても、ああいう住宅密集地を訓練で飛ぶということになれば、住民かあるいはパイロットか、どちらかに過重な犠牲を強いなければならぬ。住民も大変だし、また、パイロットの残された遺族なんかも大変御苦労されることになるだろうということを考えるわけであります。  このほかにも、昨年八月には、長崎沖の海上でF4Jファントム戦闘機の墜落が起こって、二名のパイロットが死亡しております。つい先日も、T2練習機の墜落、練習生の死亡、自衛隊機の事故が後を絶ちません。  こうした一連の事故の原因究明と調査の結果についてきちんと公表をすべきであります。このT33の事故の問題についても、もう調査は基本的に終わっているということですから、一刻も早くT33をもう使わないということも含めたしっかりとした対策を公表されることを求めて、質問を終わります。
  162. 西村章三

    西村委員長 次に、西村眞悟君。
  163. 西村眞悟

    西村(眞)委員 外務大臣に御質問いたします。  先ほどの政務次官のごあいさつでも、朝鮮半島の南北首脳会談のことを画期的だという評価を下しておられるのが外務省だと思います。いかなる意味で画期的かという点については、初めての首脳会談ということでわかるのですが、それ以上のことで余り具体的には議論されていないので、外務大臣にこの点、少々お伺いしたいと存じます。  画期的だという意味については、流動化要素があるということにおいて画期的だと。今まで南北固定した中で、流動的な要素が生まれる。第一、経済の格差が余りにも大きい南北が、一本の国境線で対峙しているということ自体が流動化要素を含んでおるわけですね。  北の金正日主席とすれば、ソビエトの崩壊から何を学んだかといえば、開放はしない、自分の政権を維持するためには開放はしないんだ。したがって、彼が政権を維持するという意思を有する以上は、態度を変える要素はなかなか少ない。片や、南の金大統領については、選挙というものがある。また、伝え聞くところによると、彼は、朝鮮半島における歴史的な大統領としての地位、その評価を歴史に刻みたいという思いがある。  こう見てみますと、もし対話を進めようとするならば、要求する方は北の金正日さんであろう、要求されてそれをのむ方は南の金大統領であろうか。  したがって、ここでいろいろなシミュレーションが考えられるわけです。仮に融和的なムードが漂ったとして、あの国境線に一日数万の単位で北のおなかをすかせた人々が南下をし始めた場合、それを銃口をもってとめることはできなくなるであろう。ここに流動化要素が生まれる、これは当たり前のことでございますが。意思的に北の方は何を要求するかといえば、例えば、南の金大統領が対話を継続しようということを目的とするならば、南の在韓米軍を撤退せよという要求は予想される要求であります。そのときに、在韓米軍なき朝鮮半島、韓国、そして韓国と指呼の間にある我が日本は、いかに朝鮮半島の情勢に日米共同して対処するのかという、重大な、今の時点では起こり得ないと思っていたことが起こる可能性が出てくる。  また、長期的に見れば、やはり金・金という名前でも明らかなように、朝鮮統一という問題が金・金会談の中で視野に入ってくるであろう。そうすれば、二つの統一朝鮮があり得るわけです。核を持った統一朝鮮か、核を持たない統一朝鮮か。北が核開発の意欲を示しておるとするならば、核を持った統一朝鮮が生まれた場合に、我が国はいかに対処するであろうというふうな思いがいたします。  ここで、いろいろなシミュレーションの中で個々別にお聞きしておってもいたし方ありませんので、外務大臣にはこの一点だけお聞きします。画期的な会談が行われ、それが楽観的な方向に進むのか、悲観的な、危機を帯びる方向に進むのか、今予測はできません。しかし、我々は、安保そして外交の分野において仕事をしている者としては、楽観的な方向に進んでいただければ一番いいわけですが、もし在韓米軍の撤退とかそういう不安定要素、南北の政府間より先駆けた民衆の南への移動というものが始まった場合、日米のパートナーシップをもってそれに対処しなければならないのですが、現在の日米パートナーシップ、そしてガイドラインに象徴されるようなあの対処で足りるのか足りないのかという点も含めて、日米のバランスあるパートナーシップの発見に中長期的な視点で努めていかねばならないと思います。  これは、共和党政権が仮に誕生すれば、日本の具体的、主体的な行動に対する期待を非常に強く我が国に持っている、そういうふうな政権ができ上がると私は予測しております。したがって、外務大臣におかれては、現在の固定した日米安保体制を新しい事態に適応した安保体制に持っていくには、いかなる我が国の主体的な努力が必要なのか。  私の意見は、相互的な、真の意味での同盟国である、したがって、我が国はアメリカが攻撃されれば同盟国として助けねばならない。つまり、私が何を申し上げておるかといえば、集団的自衛権を行使する我が国を誕生せしめて、二十一世紀の流動化する、朝鮮半島一つとっても流動化する新しい東アジアの変動に対して、我々は対処する必要があるのではないか、このように思っておりますが、これについての外務大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  164. 河野洋平

    ○河野国務大臣 南北の話し合いがこの六月に行われるという発表がございました。この六月に南北の話し合いが行われるということが現実のものになるとすれば、振り返ってみると、南北が分割をされて戦ったのはちょうど五十年前の六月でございますから、半世紀を経て初めて両国の首脳が話し合うということになるわけです。このことを指して私どもは、画期的なことだ、こう申し上げているわけでございます。  その話し合いの結果どういうことになるかということについて、予測をすることは、まだまだ到底難しい。予断を持ってその結果を語るなどということは、到底できる状況ではまだないとまず申し上げたいと思います。今申し上げたように、半世紀を経て初めて首脳が話し合いの席に着くという状況の中で、どういう話が行われ、その話し合いがどういう方向に進んでいくかということは、とても予断を持って論ずることは難しいというふうに考えております。  しかしながら、いずれにせよ、双方が話し合いの中で、幾つかある、双方の間にある問題を克服しようとすることになるとすれば、それは少なくとも力によってお互いを屈服せしめようとすることとは大いに違う状況になるわけでございますから、もちろんこれまでも力によって双方をなどとお考えになっていたかどうかは、これは私が言うべきでない、そんなことはないと思いますけれども、少なくとも平和裏に話し合いによって問題を克服していこうという状況になるとすれば、それは私は歓迎していいことだというふうに思います。  今議員がお話しのように、我が国の安全保障についてどう考えるかということでございますけれども、日米安保条約は、必ずしも特定の場所を想定して安保条約を結んでいるわけでもございませんし、安保条約の内容がそういうことになっているわけでもない。現在の日米間のいろいろな話し合いが、そうしたことをベースにして行われているわけではなくて、やはり総合的な判断というものを持って日米安保体制というものをつくっているわけでございますから、このことだけを、つまり朝鮮半島のこの変化だけを指して、日米安保体制がどういうふうに変化するか、変質するかということを論ずるのは、私は適当でないだろうというふうに思っております。  私は、現在外交を担当する人間といたしまして、私の立場は、でき得る限り、外交努力によって我が国周辺の平和、安定が維持されるような努力を力を尽くして行っていくということが私に課せられた仕事というふうに考えております。
  165. 西村眞悟

    西村(眞)委員 御見解をお伺いしましたけれども外務大臣に御報告しますと、私のお会いした共和党系の方は、個別具体的と申しますか、東アジアについては、朝鮮半島そして台湾について強烈な関心を持っておるということ。この具体的な関心、具体的な問題から普遍的な国家関係を築いていこうとするのがアングロサクソンの外交の手法であると思います。レクチャーメソッドでなくて、ケースメソッドから国家間の関係を築いていく、プラグマティズムといいますか、これが彼らの外交の伝統である以上、我々も具体的な問題のシミュレーションを避けて通ることはできないと私は思っております。  さて、外務大臣、せっかくお時間をいただいたので、駐在武官制度、防衛駐在官の制度について外務大臣の御所見をお伺いしたいのです。  もう御存じと思いますが、昭和三十年八月八日の外務事務次官、防衛庁次長の申し合わせ、覚書に基づいて駐在官制度が運用されておりまして、この覚書には、防衛庁出身の外務事務官が自衛官の身分をあわせ保有する場合は、階級を呼称し、その制服を着用することができる、第二項、その場合は、防衛庁設置法、自衛隊法等の規定にかかわらず、専ら外務大臣、在外公館長の指揮監督に服するという覚書なんでございます。  これに対して、防衛庁の側は、昨年、防衛庁や外務省両省が既に十分な信頼関係を築いてきたこと等にかんがみ、このような協定を現行のまま維持することは不適切であると考え、外務省にその旨申し入れて折衝するよう指示したところであると。また、官房長官は、同じく昨年、この覚書の書きぶりにつきましては私も非常に問題を感ずるわけでございまして、委員が御指摘になりましたように、両省庁で検討が行われていると承知しておる、早く結論が得られますようにお願いをしたい、こういうふうな御見解のもとに話し合いが進んだと思うのですね。  それで、外交慣例に詳しい外務省はつとに御存じのとおりでございます。特命全権大使は国家元首の代理でございます。駐在武官は日本でいうならば統幕議長の代理という地位をもって海外から接受されておるわけですね。したがって、接受国のナショナルデー等の招待状は、大使あて一通、駐在武官のトップあて一通来るわけですから、各国の外交慣例は明確にそのようになっておるわけですね。  しかるに、この覚書においては、我が国は、統幕議長の代理というふうな武官としての地位、そして軍事専門家としての独自の連絡系統は禁じられた上で出ておるわけです。これは外交情報収集上も非常に損失だと思いますね。  したがって、外務省としては防衛庁との間にいかなる協議を進められ、外務大臣としては外交慣例を踏まえいかなる駐在武官制度がよろしいのかというふうな観点についての御見解を伺いたいと存じます。
  166. 河野洋平

    ○河野国務大臣 この問題は、これまで累次にわたって西村議員からお尋ねがございました。  御指摘のとおり、外務省、防衛庁双方によります昭和三十年の時点でございます覚書が残っているわけでございますが、その覚書の書きぶりについては問題があろうという御指摘でございます。それにつきまして、今御指摘のように、官房長官を初めとして答弁に立ちます者は、その覚書の書きぶりについて問題があるという趣旨のことを御答弁申し上げてきたというふうに承知をいたしております。  私も、それは、官房長官の御答弁もございますとおり、その書きぶりにつきましては十分に精査をして、防衛庁との間で、この書きぶりについてきちんとしたものにしなければなるまいというふうに考えておるところでございます。いかなる書き方にいたしますかは、防衛庁と十分協議をさせていただきたいというふうに思います。
  167. 西村眞悟

    西村(眞)委員 対外的な問題でございますので、外交慣例を踏まえた上で、早急にしかるべきあり方を確定していただきたいと存じます。  次に、先ほど来、T33Aの事故のことについての質問がありましたけれども、私はここで、今や物言わなくなった二人のパイロット、それは中川尋史一等空佐、四十七歳、門屋義広二等空佐、四十八歳の心情に観点を当てて、質問というよりも、議事録にとどめておきたいと思います。  さて、この問題については、参議院での長官また政務次官の御答弁を拝見いたしました。しかし、私は、教育者がこの問題の本質をいち早く自分の生徒たちに伝えたということを御報告したい。それは、この問題の本質が広く国民の精神、教育のあり方にあるのをいち早く直観的に認めたのはこの校長先生だったと思うからです。  すなわち、狭山ケ丘高校の校長先生である小川義男先生、この方が事故当日、近くを車で走っておった。直ちに現場に駆けつけた。そして、彼らは脱出できたのにもかかわらず、なぜ、河川敷まで持っていき、そしてもう助からないところまで来て脱出して、結局助からなかったということを、事実を書きました。  「死の瞬間、彼らの脳裏をよぎったものは、家族の顔でしょうか。それとも民家や学校を巻き添えにせずに済んだという安堵感でしょうか。」というふうに生徒に対する通信で書いておるわけです。それから、時間がありませんので要約しますと、「母は我が子のために、父は家族のために命を投げ出して戦います。これが人間の本当の姿なのです。その愛の対象を、家族から友人へ、友人から国家へと拡大していった人を我々は英雄と呼ぶのです。」そして、この先生は、受験勉強で忙しい高校三年生に対して、「これは自分のためではなく、公のためである、そう思ったとき、また新しいエネルギーが湧いてくるのではないでしょうか。受験勉強に燃える三年生に、連帯の握手を!」ということで結んでおります。  私は、先ほど来の質問で、いろいろな人間の組織でありますから、不祥事と称するものの質問をはたで聞いておりましたが、その組織にあって、みずからの命を捨てて、民家の上空ではなくて河川敷に持っていったこの二人の方は英雄だと思います。この校長先生と同じ意見です。  このことについては大臣も御同感だと思います。彼らは我が国家の英雄である、教科書に取り上げても恥ずかしくない勇士であるという私の意見については、長官も同様でしょうが、一言、御答弁いただければと思います。
  168. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいま西村委員のお述べになりましたT33墜落事故、私も記憶に新しいところであり、この悲惨な事故のときの長官でございますから、彼らの心情を察するときに、人家を避け、そして最小の被害にとどめようということで身をもって河川にまで向かったもの、かように理解するわけでありまして、その崇高な志に対しまして、心から弔意を表しておるところであります。  以上をもちまして、御理解を賜りたいと思います。
  169. 西村眞悟

    西村(眞)委員 そのとおりであります。私もそのように思います。  それで、これはお願いでございますが、例えば、佐々木委員が先ほど言ったように、条件もいろいろあります。しかし、彼らはその条件の中で黙って訓練せねばならないのです。その彼らが黙ってする訓練の条件を整えるのは、単なる防衛庁長官の職務ではなくて、ここで質問をしている我々全体の一つの責務であろう、このように思います。  それから、例えば、防衛行動というのは攻めてくる敵を撃退して排除すること、非常に過酷なことです。したがって、それに備える平時の訓練も過酷にならざるを得ない。したがって、やはり殉職者が出る、英雄が出る。そのときに、アメリカでは、その遺族のお子さんを優先的に陸軍士官学校なりそういうところに入学せしめる制度、また、その御遺族が生涯生活に困らないような制度を持っておる。我が国も、どうか、そのことを早急に整備しなければならない、このように思っております。  最後に、これは質問ではありません。先ほどこの行為の本質をいち早く見抜いた方が教育者である、そして彼が人間愛というふうな人間が当然持っている心情の中でこの二人のパイロットの行為を位置づけたので、私も、戦後我々が持っている人間愛に対する一つの偏見、つまり、国家を愛するということが何か人間愛とは別の次元であるというふうな風潮があることについて、そうではないんだという一文を紹介して終わりたい。  これは、この校長先生の先ほど読み上げたようなものを読みまして、私がふっと読んでいたら、二千四十四年前のキケロというローマの政治家が書いた文章に行き当たった。   あらゆる人間愛のなかでも、最も重要で最も大きな喜びを与えてくれるのは、祖国に対する愛である。父母への愛の大切さは言うをまたないくらい当然であり、息子や娘たち、親族兄弟、そして友人達への愛も、親愛の情を恵んでくれることで、人間にとって大切な愛であることは誰でも知っている。   だが、これら総ての愛ですらも、祖国への愛に含み込まれるものなのだ。   祖国が必要とするならば、そしてその為に君に立って欲しいと求めるならば、祖国に一命を捧げることに迷う市民はいないであろう これはくしくもこの二人のパイロットが持っていた心情と同じことを二千四十四年前に書いているわけですね。  我々が家族に対する愛や友人に対する愛を大切だとは教えているのですが、それらをすべて包み込んで位置づけを与えるものが祖国に対する愛であるということを教えなかったがゆえに、実は親兄弟に対する愛も我が日本では位置づけができずに漂流し始めている、これが学校の荒廃の一因ではないかと私は思っております。御見解をお伺いする時間がありそうですから、どうですか。  私は申し上げたいだけですからこれで結構ですけれども、どうかこれは胸に刻んでおいていただきたい。そして、中村鋭一委員が先ほど国防省のことを聞きましたね。こういう部下を持っている長官はやはり、この政治の状況お答えいただきませんが、国防省は当然名誉を与えるものとしての長官の責務である。この不作為の構造こそ、我々はこの政治の中で共同して排除していくというか、変革していかねばならないものであるということを問題意識として刻んでいただければありがたい、このように思っておりますので、どうかよろしくお願いします。質問を終わります。
  170. 西村章三

    西村委員長 次に、辻元清美君。
  171. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党、社民党の辻元清美です。  私は、石原慎太郎東京都知事が四月九日に陸上自衛隊第一師団の式典で、不法入国した多くの三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返している、大きな騒擾事件すら想定されるなどと語った問題について質問をさせていただきたいと思います。  さて、まず外務大臣防衛庁長官にお聞きいたしますが、昨日、韓国、北朝鮮を初めアジアの諸国からは懸念を示されたり、私もロサンゼルス・タイムスなど外国のメディアからの取材も受けております。波紋が広がっていると私は思いますが、まず、外務大臣は、この発言について、この波紋についてどのようにお考えでしょうか。
  172. 河野洋平

    ○河野国務大臣 私どもは、日本に住んでおられる外国人の方々とでき得る限り友好的にやっていきたいというふうに考えて、さまざまな施策を行ってきているわけです。事実、ほとんどの日本におられる外国人の方々は、ルールにのっとってお互いに友好的に生活をしておられる、私は、そうしたことが現実だと思っておりますだけに、ああした御発言が近隣諸国の誤解を生むおそれがあるということを非常に残念に思っております。
  173. 辻元清美

    辻元委員 防衛庁長官はいかがでしょうか。これは陸上自衛隊第一師団の式典で、隊員を前にして語られた言葉ですが、どのように受けとめていらっしゃるでしょうか。
  174. 瓦力

    瓦国務大臣 辻元議員にお答えいたしますが、私もこの石原都知事の御発言につきまして、早々に記者団からもただされたところであります。また、本委員会におきましても既に御質問があったことで、重複はいたしますが、私は、公職にある者が差別的ととられるような発言、また周辺諸国にとりましても批判を招きかねない発言につきましては、適当ではない、かように考えます。  私の答えとすれば、申し上げさせていただきましたのは、御指摘の都知事の発言については、私はそこに席を同じくしたものではありませんし、コメントする立場にはない、かように申し上げさせていただいたものでございますが、今ほど申し上げましたように、不適切な発言であった、かように承知をいたします。
  175. 辻元清美

    辻元委員 さて、この四月九日の石原都知事の発言の中にこういうくだりがあります。「師団長の言葉にもありましたが、この九月三日に陸海空三軍を使ってのこの東京を防衛する、災害を防止する、災害を救急するという大演習をやっていただきます。」というくだりがあるのです。  さて、この大演習について幾つかお伺いしたいのですが、防衛庁にお伺いしますが、これは東京都と防衛庁自衛隊関係はどのようなものなんでしょうか。どこがイニシアチブをとるのか、それをまずお答えください。
  176. 西川太一郎

    西川政務次官 これは、阪神大震災の反省、経験にかんがみて、大都市における直下型大地震発生を仮定いたしまして、東京都側がぜひ陸海空自衛隊に、またその他政府機関に参画をしてほしい、こういう要請がありまして、年々、防衛庁としては、指揮所で統合幕僚会議がその練度を上げるために訓練をいたしておりますが、このたびはせっかくのお申し越しでございますので、防衛庁として災害のために実際的な訓練をする好機でございますので参加をさせていただく、こういうことであります。
  177. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、東京都知事との関係でいいますと、自衛隊を指揮する立場にはないわけですね。
  178. 西川太一郎

    西川政務次官 これはいわゆる一般の自衛隊の指揮命令の系統とは違いまして、いわゆる災害対策でございますから、例えば二十三区で十カ所程度の演習場所を選んでいろいろな訓練をするとか、これから情報収集をどうするとかということを具体的に東京都と詰めてまいりますが、それぞれ、当然指揮系統は違うということでございます。
  179. 辻元清美

    辻元委員 昨年までも行われていたようですけれども、石原東京都知事が要請をされて、ここでも都知事は、ことしは「おそらく敗戦後日本で初めての大きな作業を」ということで、特に力を入れて指示されているようなんですが、昨年とことしの違いについて、予算も含めてお答えください。
  180. 柳澤協二

    柳澤政府参考人 政務次官の方からも今お答え申し上げましたけれども、毎年、九月一日の防災の日前後を中心にしまして、東京都も含めまして全国の自治体の行います防災訓練に、私ども近傍の部隊、積極的に参加しておるところでございます。  昨年につきましては、東京都は、実は、東京近郊の神奈川県とか埼玉県とか千葉市、横浜市、川崎市といった七つの都県市が合同で毎年訓練をしております。そこに自衛隊も陸海空のそれぞれの部隊が調整して参加しているわけでございます。  ことしは、今回はどうかといいますと、その訓練はそれで七都県市はまた別におやりになるわけでありますけれども、それとは別に、できるだけ実際的な環境により近い訓練をすることが大事だという発想もありまして、一方で、自衛隊にとりましては、先生御案内の統幕会議の機能充実という法改正をしていただいて、こういった災害派遣等についても陸海空の統合運用を進めようということで、昨年、初めて統幕主催の大規模震災に対応するCPXを行ったわけですが、今回はその実動部分をぜひやりたいということで防衛庁もかねて計画をしておりました。そこに、昨年、東京都の方から、ぜひ東京都としてもそういう訓練をしたいので自衛隊にも協力いただきたいというお話をいただきまして、小渕前総理の御指示もありまして、内閣危機管理監を中心としまして、警察庁あるいは消防庁も含めて今調整しながら、これは今九月の三日ということにしておりますが、一日の例年の分とは別にやっていこうとしております。  御指摘のその規模でありますけれども、年によって変動いたしますけれども、従来ですと、東京近郊でやっております規模は、大体、人員にして数百名、車両の数で数十両というオーダーでございますが、今あらあら私ども考えておりますのは、大体、人員が四千名程度、車両が八百両程度の規模のものを考えておりますので、それだけ規模としては大きくなってまいりますが、予算額というのは、実は、このための予算ということで今私ども二千六百万程度の予算を十二年度に計上させていただいています。  ただ、これは部隊が移動するための高速道路代とかそういう経費でございまして、いわゆる部隊が本来動くそのときの油代とか修理代とか食料とか、そういったものは通常の訓練経費の枠の中でやっておりますので、実は昨年度までは各自衛隊が通常の訓練予算の枠で行っておりまして正確な対比はできないのでありますけれども、したがって、今回の九月三日の分で特にその予算として組んでおるものは二千六百万程度というふうに御認識いただければと思います。
  181. 辻元清美

    辻元委員 昨年までと随分様子が違うようで、人員で数百名のところがことしは四千名、それで、百七両が八百両というように規模を拡大するというお話です。  さて、石原発言に戻りますが、こういうことをおっしゃっていますね。「今日の東京を見ますと、不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪をですね、繰り返している。もはや東京における犯罪の形は過去と違ってきた。こういう状況を見まして、もし大きな災害が起こった時には大きな大きな騒擾事件すらですね想定される。そういう現況であります。こういうものに対処するためには、なかなか警察の力をもっても限りとする。ならばですね、そういう時に皆さんに出動願って、都民のですね災害の救急だけではなしに、やはり治安の維持も、一つ皆さんの大きな目的として遂行していただきたいということを期待しております。 どうか、この来る九月三日、おそらく敗戦後日本で初めての大きな作業を使っての」云々かんぬんと来ていまして、石原知事は、このような治安の維持、特に不法滞在の外国人が引き起こしそうなというふうに彼は規定しているわけですが、大きな騒擾事件、これらを想定して九月三日の演習を行ってくれよというような発言をしていますね。防衛庁もこのような事態を想定しての訓練を行う予定ですか。
  182. 西川太一郎

    西川政務次官 先ほども申し上げましたとおり、これはあくまでも、東京都ほか行政機関と、直下型大地震がもし東京に発生した場合の被害を最小限にとどめる、または人的救命を十全にするという意味で三自衛隊を含む関係行政機関が都と緊密にその意味では連携をいたしますけれども、ただいま先生仰せになりましたような外国人による騒擾の発生というものを想定した訓練という調整は一切行っておりません。  したがいまして、東京都と連携をした上で、情報収集をどういうふうにするか、人命救助をどうするか、応急救護はどういうふうにするかということを実体的に訓練する場でございますので、どうぞ御心配ないようにお願いしたいと思います。
  183. 辻元清美

    辻元委員 それでは確認させていただきますが、これは自衛隊で行うことですから、自衛隊法にのっとって行動はされると思いますけれども、その際には、自衛隊法の八十三条、災害派遣とか、八十三条の二の地震防災派遣というようなことで規定されるような訓練であり、七十八条、七十九条、命令による治安出動や、八十一条の要請による治安出動、これは東京都の関係ですとこれになるかと思いますが、これに規定されるような訓練ではないというように確認できますか。
  184. 依田智治

    依田政務次官 治安出動というのは、警察力をもってしてはもう対処できないというときに、今先生の言ったような命令による、要請によるという治安出動でございまして、全く別の問題でございまして、これは西川政務次官から答えましたように、八十三条による災害派遣、現在、有珠山でも北海道知事要請で毎日三千人以上も待機、また出動しておりますが、そんなことでやっているまさに災害派遣のための訓練。  そして、人数的に三千とか四千というのが、大変大きいなという感じですが、実際上、直下型の地震がもし東京で起きたら相当にあれなものですから、予算的にもむしろ実戦により近い訓練をしよう、こういうことでございます。
  185. 辻元清美

    辻元委員 政府はそういうような御認識のようですが、きのう石原知事は、記者会見でこのように述べています。阪神・淡路大震災のときと比べての発言なんですが、「東京の場合はもっと凶悪な犯罪をしている不法駐留者がたくさんいる。宝石泥棒も手口が荒いし、危険な薬物が外国人によってまん延している。神戸の不法滞在者による犯罪とは質も量も違う。それが大災害のときにどんな形で爆発するか、知事として寒心にたえない。それに備えて演習をしろと私の責任で言ってきた。だれがそれをとがめられるか」。先ほど緊密に連携をとって東京都と政府が行うという発言でしたけれども、東京都知事はこういう認識ですね。  防衛庁長官防衛庁の認識と随分違うじゃないですか。この違いをどうされるんですか。長官にちょっとお聞きしたいんですよ、これはすごく大事な——向こうはトップが言っていますから。どうされますか。
  186. 西川太一郎

    西川政務次官 大臣大臣として御答弁をするとしても、私が今まで答弁を申し上げてきた責任がありますので、政務次官として責任持ってお答えをしたいと思います。  知事がそのように発言をされましても、それはあくまで東京都の中の指示でありまして、私ども防衛庁の方は、そうした知事の要請でありますとか、いわんや命令の権限などということは知事にはないわけでありますから、そうしたものを受ける気は毛頭ありません。
  187. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、今の私の質問と、もう一問あわせて長官にお聞きしたいんですけれども、先ほどからも質問された議員がいますが、石原知事は、二月の都議会でも、九月三日の大演習を、陸海空三軍が統合して参加する総合防災訓練を実施するというように発言されたり、自衛隊を国家の軍隊、国軍と呼んでいらっしゃいます。  さて、九月三日の大演習は、この石原都知事がおっしゃるような陸海空三軍の国軍による演習であると防衛庁はお考えでしょうか。長官、どうですか。そして、これが認識が違うならば、長官はどうされるおつもりですか、知事に対して。これは、一緒に演習するわけでしょう。東京都と自衛隊が一緒に演習されるわけで、両トップの認識が全く違う演習なんということは考えられないと思いますが、いかがですか。
  188. 瓦力

    瓦国務大臣 辻元委員お答えしますが、委員は御理解をいただいておると思うわけでありますが、我が国は、地震であれ台風であれ、各種の災害に襲われる国であります。でありますから、都民の安定した生活を確保するためには、心得て私どもは、防災訓練というものをしっかりとなし遂げなければなりません。  そういう要請に基づいて取り組むわけでございまして、知事のコメントに、私は今それを申し上げる必要はないわけでありまして、東京の防災訓練につきまして、我々のあとうところ、全力を挙げてこの防災訓練に参画をして、都民の安心を求めていくということであります。
  189. 辻元清美

    辻元委員 今の長官のお答えを要約しますと、知事は勝手に言うとるだけや、実態は違うんだ、知事は勝手にいろいろなことを言うているけれども防衛庁は全然違う立場でやる、これでいいのですか、こういう理解で。いかがですか。
  190. 西川太一郎

    西川政務次官 そう御理解いただいていいと思います。  私は担当の副知事とも、このことについては、私を初め内局の責任局長が詰めておりますから、そのような、ただいま先生御指摘のような乱暴な話ではありません。まじめな、直下型震災からいかにして都民の生命財産を守るか、そういう訓練でございます。
  191. 辻元清美

    辻元委員 それは私が申し上げているのではなくて、石原都知事の発言ですね。それについて、副知事とは違う打ち合わせをしているということですね。もう一度確認させていただきます。
  192. 西川太一郎

    西川政務次官 私は、石原知事の見解というものを直接聞いておりません。ただいま先生を通じて、そういう見解を知事がお持ちだということを承知しているわけでありまして、私どもが積み上げてまいりましたのは、そういうものではなく、きちっとした防災の訓練をするということで、ゆめゆめ誤解のないようにお願いをしたいと思います。
  193. 辻元清美

    辻元委員 それでは、さらに不法残留者ということについて、彼は不法滞在と言っていますが、私は調べました。そうすると、現在、日本には外国人登録者は約百五十一万人です。そのうち東京都には、二〇〇〇年三月一日現在で二十八万八千八百六十二人います。このうち不法残留者については、何人いるか、きょう法務省に、正式に東京都に尋ねてもらいました、聞いてもらいました。ところが、東京都は、把握していないという答えを法務省に返してきたわけです。石原都知事は、この不法滞在者という人たちに対して言及して、犯罪と直結した話をされていますが、何人いるかも東京都は把握していないのですよ。それで知事が発言しているわけです。  さらに、犯罪についても調べてみました。昨年、窃盗で検挙された人は、日本人が一万四千三百三十人、外国人は千四十三人。殺人では、百三十三人、外国人が十八人。これは東京の数字です。そして、さらに薬物については、送致人員については二千八百十三人、そして外国人は三百二十人というのが、これは東京都の数字の発表なんです。  こういう中で、昨日の記者会見で石原都知事は、さらに「不法滞在し、犯罪を繰り返している人が何を起こすかわからない、と言っている。」なんということも発言しているわけですね。ところが、このような発言をされておきながら、その数についても東京都は把握していない。知事自身は犯罪の現状についても十分の認識を持たずに発言しているということで、私ははっきりこの場で、石原東京都知事は、知事という役職、不適格だと私は思います。  さて、その中で、やはりこれは、具体的な根拠も示さずに、外国人に対する不安をあおってしまう発言であると私は思います。さらに、これはやはり思い起こすのは関東大震災の話です。防災の日というのも、この関東大震災の教訓からつくられた日じゃないですか。ところが、やはりこのときも、朝鮮人が暴動を起こすかもしれないなどという流言飛語を流して、虐殺事件を私たちは体験しています。  私は、具体的な根拠も示さずに外国人に対してこのような発言をしたということは、これは非常に重大であるというように受けとめざるを得ないし、非常に深刻な事態を日本に招きかねないとさえ思いますが、外務大臣にお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。過去のこの関東大震災での教訓もあると思いますが、私の意見は間違っていますか。
  194. 河野洋平

    ○河野国務大臣 第三国人という言葉は、私の経験、体験で申し上げれば、昭和二十年代に多く使われたと思うのです。それが、三十年代、四十年代に、もうそういう言葉はほとんど使う人がいなくなって、今は恐らく死語と言っていいのではないかとすら私は思います。  そういうほとんどの人が使わない言葉をあえて使われたということに、何か意味があるのだろうか、どうだろうか。そこは私にはよくわかりませんが、一般的に申し上げれば、第三国人などという言葉が使われるというのは、まことに適切でないというふうに申し上げざるを得ないと思います。  そうしたことが、今議員がおっしゃるように、在日の外国人の方々の中で傷ついた人がおられるだろうというふうにも思いますし、忘れようとしていたことを思い出させたということも、あるいはあるかもしれない。そうしたことを考えますと、使う必要のない言葉であったし、それは、使うか使わないか、言葉の問題ではなくて、事実としてそうしたことをやってはいけないのだというふうに私は思えてならないのでございます。
  195. 辻元清美

    辻元委員 それでは、最後に防衛庁長官にお聞きをしたいと思います。  今の質疑の中で明らかになったことは、石原都知事がおっしゃった発言、これは、四月九日の発言については報道もされております。その中で、今、政務次官と副知事が緊密な連携をとって準備されているという話もございましたが、これは都知事、浮いていますね、私ははっきり申し上げて。  防衛庁長官、これは防衛庁にとって迷惑ですね、長官の立場から見ると。いかがなんですか。私は、これははっきりと都知事に長官から、実態はこういうふうな演習をしようとしているのに、あなたは全然違う発言をしているじゃないですかという申し入れぐらいしっかりされないと、この九月三日の演習については、いろいろな疑念を呼ぶと思います。長官、いかがですか。
  196. 瓦力

    瓦国務大臣 よく委員からさようなお勧めをいただきましたが、私の立場と、また都知事がいかなる環境でいかなることを申し上げたか、私にはわかりませんが、しかしこの発言は極めて遺憾であるということを先ほど申し上げさせていただきました。  よって、また都民の見解もあるわけでございますが、私どもは、この防災という、災害につきましての東京都との協力につきましては、最善を尽くして取り組んでまいるということでございまして、都知事に対する御批判であるとか、それらは私から申し上げる立場にないということを重ねて申し上げて、答えとさせていただきます。
  197. 辻元清美

    辻元委員 これで終わりますが、最後に一言。  私は発言ということに限っていません。この九月三日の演習についての認識が違う、とらえ方が違う、臨む姿勢が違うということですから、発言の撤回とか意味ということを超えた、発想の問題です。そこを防衛庁長官には御認識いただきまして、防衛庁にとっても非常に大事な点だと思います。その点を指摘させていただきまして、時間が参りましたので、これで終了させていただきたいと思います。
  198. 西村章三

    西村委員長 以上で本日の質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  199. 西村章三

    西村委員長 次に、内閣提出防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を求めます。瓦防衛庁長官。     —————————————  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  200. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  この法律案は、防衛庁設置法、自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部改正を内容としております。これは、陸上自衛隊の部隊の運用等の研究を一元的、総合的に行うために研究本部を置くことができることとし、平成八年度以降に係る防衛計画の大綱を踏まえ第十二師団を第十二旅団に改めるとともに、特別警備隊員として政令で定める自衛官に特別警備隊員手当を支給することとし、あわせて、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数を改めること等を行うものであります。  以上が、この法律案の提案理由であります。  次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  これは、第十二師団の第十二旅団への改編、情報本部の機能強化等に伴い自衛官の定数を変更するものであります。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  第一に、陸上自衛隊の機関として研究本部を置くことができることとし、その所掌事務として部隊の運用等の調査研究を行うことを定めるものであります。  第二に、第十二師団を第十二旅団に改めるとともに、この改編等に伴い、即応予備自衛官の員数を改めるものであります。  最後に、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部改正について御説明いたします。  第一に、特別警備隊員として政令で定める自衛官には、特別警備隊員手当を支給することとし、特別警備隊員手当の額及び支給方法等に関し必要な事項は政令で定めることとするものであります。  第二に、防衛庁の職員の給与等に関する法律に定める一定の事項について、政令等の制定または改廃をするときは、審議会等で政令で定めるものの意見を聞かなければならないこととするものであります。  以上が、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  201. 西村章三

    西村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十四分散会