運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2000-02-24 第147回国会 衆議院 安全保障委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月二十四日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 西村 章三君    理事 下地 幹郎君 理事 中谷  元君    理事 浜田 靖一君 理事 船田  元君    理事 上原 康助君 理事 島   聡君    理事 佐藤 茂樹君 理事 達増 拓也君       安倍 晋三君    浅野 勝人君       伊藤 達也君    池田 行彦君       石破  茂君    嘉数 知賢君       高村 正彦君    佐藤  勉君       阪上 善秀君    中山 利生君       西川 公也君    萩山 教嚴君       福田 康夫君    宮下 創平君       宮島 大典君    山崎  拓君       山中あき子君    吉川 貴盛君       伊藤 英成君    桑原  豊君       冨沢 篤紘君    中野 寛成君       遠藤 乙彦君    草川 昭三君       平田 米男君    西川太一郎君       佐々木陸海君    東中 光雄君       辻元 清美君     …………………………………    外務大臣         河野 洋平君    国務大臣    (防衛庁長官)      瓦   力君    防衛政務次官       依田 智治君    防衛政務次官       西川太一郎君    外務政務次官       東  祥三君    政府参考人    (防衛庁装備局長)    及川 耕造君    政府参考人    (防衛施設庁長官)    大森 敬治君    政府参考人    (運輸省航空局長)    岩村  敬君    安全保障委員会専門員   田中 達郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  国の安全保障に関する件     午前十時二分開議      ————◇—————
  2. 西村章三

    西村委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁装備局長及川耕造君、防衛施設庁長官大森敬治君及び運輸省航空局長岩村敬君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西村章三

    西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 西村章三

    西村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮島大典君。
  5. 宮島大典

    宮島委員 おはようございます。自由民主党の宮島大典でございます。  ただいまから、国家の安全保障に関する件について、幾つかの点について順次質問をさせていただきたいと思います。  初めて委員会室でこういう形式での質問でございまして、何か私の方が詰問をされるのじゃないかというふうな圧迫感を感じますけれども、落ちついて進めさせていただきたいと思います。  まず最初に、在日米軍駐留経費にかかわる問題について質問をさせていただきたいと思います。  このたび在日米軍駐留経費日本側負担、いわゆる思いやり予算に関する特別協定についてまたクローズアップをされております。これは、言うまでもなく、来年三月にこの特別協定が期限切れになる、そのことに伴っての議論というものがスタートをしたというふうに思うわけでございます。  まず、この思いやり予算ということにつきまして、私、質問をさせていただきたいと思います。  これは、改めて申すまでもなく、この日本負担というものは、もともとは日米地位協定に基づく基地用地借り上げ料が中心だったものというふうに存じますが、一九七八年当時に日本物価賃金が上昇しまして、アメリカ財政状況が悪化したため、その年から基地従業員労務費、これの一部肩がわり等日本側が持つようになった。特に、そのときに、当時の金丸信防衛庁長官が、思いやりをもって対処すべき問題というふうに御説明をされたことから思いやり予算と呼ばれてきたというふうにお聞きをいたしております。  しかしながら、この議論が進む中で、このいわゆる思いやり予算という呼び方についても今回いろいろ議論が起こっているように感じるわけであります。  米国内では、決してこの予算について思いやり予算と呼ばれたことはないということでございまして、施設改善プログラムというふうに呼ばれているというような事実があるようでございます。あるいは、フォーリー在日米大使が、米軍受け入れ国支援、いわゆるホスト・ネーション・サポートといたしまして、安全保障同盟に極めて重要な要素だというふうに位置づけられているというふうに主張をされているわけであります。  このことを受けて、私思いますに、やはり思いやりというふうな、いわば若干あいまいさがあるということが、これまでの問題点を何となく助長している部分があるんじゃないかなというふうに感ずるわけであります。  この予算につきましては、今申すまでもなく、我が国財政が逼迫をしている中で、これからどうやってこの予算位置づけていくかという問題があろうかと思うわけであります。しかし、そのときに、ややもすれば、国民からすれば、思いやりをもって米軍のいろいろな施設提供をするということについての感情的な部分というものが若干出てくるのではないかなというふうに思うわけであります。感情的な部分については極力回避をし、抑えていくべきだというふうに感じるわけでありますけれども、そのためにも、この予算というものが、やはり日米そしてまたひいては我が国安全保障にかかわる重要な予算であるというふうに位置づけていかなければならないのではないかなというふうに思います。  政府の中では、今日では、この思いやりという言葉は若干誤解を招くということで、その呼称は控えられるというふうにお聞きをいたしております。しかし、この際でありますから、この思いやりという言葉についてピリオドを打つべきではないかなというような感じもいたしておりますけれども、そのことについて御見解をいただきたいと思います。
  6. 瓦力

    瓦国務大臣 宮島委員にお答えをいたしますが、委員、経過も含めて御所見を述べておられるわけでございますが、まさに御指摘のとおり、この思いやり予算という呼称でございますが、政府としては従来から公式には使用はしていないわけでございます。  また、ある面では一般的に使われたりいたしておりますことは否定はいたしませんが、この予算につきましては、在日米軍駐留を円滑かつ安定的にするため、五十三年度以降逐次、地位協定範囲内また特別協定に基づいて負担しているものといたしましては、提供施設整備費でございますとか労務費でございますとか、あるいは光熱水料でございますとか、あるいは訓練移転費でございますとか、こうしたものを整理して在日米軍駐留経費として使っておるところでございます。  これは、有効に日米関係信頼性を支えるといいますか、そういう役割につきましては米国でも高く評価をいただいておるものでございますし、我が国の安全あるいは地域の安定のみならず、広く信頼性を持っておるものだ、私はこう理解をいたしております。  よって、宮島委員が御指摘のように、もう思いやり予算という言葉を使う必要はないじゃないかということには全く同感でございまして、こういった考え方にピリオドを打ちまして、日米関係がその信頼性をさらなるものとしていくためにも、いよいよその時期が迫っておるわけでございますから、きちんと位置づけをさせていただきたい、していかなきゃいかぬ、こう認識をいたしておるところでございます。  そういったことで、今委員の御指摘につきまして同感である、そのようなことで真摯に取り組んでまいりたい、こう考えておりますことをまずもってお答えとさせていただきたいと思います。
  7. 宮島大典

    宮島委員 大臣お述べになりましたとおり、これからやはり日米同盟というものが、これまでもそうであったように、二十一世紀世界の中での大変重要な同盟関係位置づけであるということ、これは疑いのないことだというふうに思うわけであります。元在日大使でありましたマンスフィールドさんも、いわゆる世界の中でも最も重要な二国間関係というふうにお述べになったように、この関係というものをいかに大事にしていくかということも大変重要なことではないかなというふうに思うわけであります。  と同時に、この日米同盟重要性を考えますときに、昨年はガイドライン関連法案の成立という大変有意義な、そしてまた大変重要な法案が通ったということであります。  そしてまた、ことしからは、そのスタートといたしまして、日本有事やあるいは周辺事態における日米共同作戦協議する調整メカニズム早期に構築する日米同盟にとりましては戦略的な大きな課題を持つ重要な年であるというふうに思うわけであります。それだけに、この予算というものも、その中で大変重要な位置づけであろうかと思います。  改めてではありますけれども、この予算重要性についてお聞かせをいただければというふうに思うわけであります。
  8. 瓦力

    瓦国務大臣 この来し方半世紀にわたりまして、我が国のみならず、我が国周辺が極めて平和裏に終始をしてきた。緊張もございましたが、言ってみますれば冷戦構造が解けました後も我が国外交努力あるいは国民、国を挙げての備え、また日米安保体制という中で、私は我が国のみならずアジアにも及ぶ安定への貢献をしてきたと評価をさせていただきたいと思っております。  そしてまた、今日半世紀を経て、改めて関連経費も含めまして、今委員がお述べになったように、ガイドライン等の制定もございましたが、これらを踏まえて二十一世紀という時代日本周辺のみならずアジアに貢献する我が国といたしまして平和安定に貢献するための努力、その意義、価値は一層高まってまいった、私はこう思いますので、予算につきましても、改めて、この時期に何が有効で何が不必要か、また、国民理解協力を得なければなりませんから、これらの問題を含めてホスト・ネーション・サポートにつきましてもそれぞれの分野で取り組みをいただく、今そういう段階を迎えた、そういうことで仕事に取り組んでいただいておるところであります。
  9. 宮島大典

    宮島委員 ただいま大臣は、何が必要で何が不必要かというお言葉でございますけれども、そういう観点も踏まえて、あるいは先ほど大臣がおっしゃった重要性というものも踏まえて、今回見直しの協議というものがことしの年頭からワシントンでの日米防衛首脳会議を皮切りにスタートをしたというふうに思うわけであります。  一方にありまして、今回の特別協定を取り巻く環境、その条件というものは幾つかの点で今までの改定の時期とはさま変わりをしているんではないかなというふうに思います。  その一つが、九六年の日米安保共同宣言によりまして日米同盟関係というものがアジア太平洋地域における安定と繁栄の基礎というふうに再確認をされ、我が国といたしましてもホスト・ネーション・サポートなどを通じた寄与の継続というものを約束したということでありまして、そのことの共通認識のもとで両国の実務レベル協議というものがより率直さ、緊密さというものを増してきているというふうなことであろうかと思います。  また、一方にありましては、先ほど述べましたとおり、日米財政事情逆転現象というものが起きているということであります。この予算スタートをしてきた、先ほど述べましたけれども、そのときには日本物価賃金が上昇をし、また一方でアメリカの景気というものが、大変財政が逼迫していたというふうな事情、これが立場が入れかわりまして全く異なった状況にあるということであります。そしてまた日本財政の逼迫した状況に比しまして、米側の方はいわゆる未曾有の好景気に沸き、長年の財政赤字というものも解消されるというふうな状況にあります。聞き及ぶところによれば、国防予算につきましても二〇〇〇年の会計年度からは増加に転じ、今後六年間で総額一千二百億ドルの大幅増というものも見込まれておるそうであります。  また一つには、先ほど申し上げましたけれども、国民の感情というものもそこに若干変化があるのではないかなというふうに思うわけであります。  そういう今までの改定の時期とは違って、そういう大きな環境変化というものがあるわけでありますけれども、その中にあって、先ほどおっしゃいましたような何が必要で何が不必要かということをこれから議論をしていかなければならないというふうに思うわけであります。  先ほどおっしゃいました中にありました、これは地位協定範囲内でありますけれども、提供施設整備というようなものもございます。これも私その項目を拝見いたしましたけれども、多岐にわたって米軍の兵士の方を環境的に、生活的に安定をさせるような施設というものも多く見込まれるわけであります。しかしながら、ややもすればそのことについていろいろな見方もこれから出てくるのかなというふうに思います。  ということで、これからひとつ、今削減ということも言葉が躍っているわけでありますけれども、そのことも含めて考えていく時期に来ているのかなと思うわけでありますけれども、その点についての今後の見通し、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  10. 瓦力

    瓦国務大臣 お答えいたします。  私、先般、日米防衛首脳会談におきまして、在日米軍駐留経費負担につきましてコーエン長官と話し合いをさせていただきました。その際、この重要性につきましては今ほど申し述べさせていただきましたが、私はホスト・ネーション・サポート日米安保体制の象徴的と言いましても過言ではないわけでございますが、その重要性を有しておることは十分承知をいたしておりまして、これから今、年内、研究を進めていただきますが、検討に入っておるわけでございますが、これらにつきましては、先ほど申し上げたように、削減という言葉は実は使っていないわけでございます。  やはり国民理解を得る、常にタックスペイヤーの理解を得るということは民主政治では必要なことでございますから、今この問題につきましては広く国民理解を得るための努力をしなければならぬ、そしてまた検討をすることによって、それがまた国民理解を得ることにつながるわけでございますので、そのことは民主政治の上では非常に大切なことである。  財政的に我が国が大変窮屈な状態であることはよく承知をいたしておりますが、歴史の中ではいろいろ日米双方にいいとき悪いときがありましても、お互いにそれらを踏まえ合ってやっていくのが、これは同盟関係でございますから、そういう意味合いにおきましては、私は日本財政事情も大変厄介なときであるということは申すまでもなく承知をいただいておかなきゃならぬということで、改めてそのときも触れさせていただきました。私はそういうようなことが日米双方にとって大切な、防衛当局者として大事なことだと承知をしておるわけでございます。  そういう会談を通じまして、いよいよこれが検討に入っていく中で、ホスト・ネーション・サポートがより一層磨きがかかり、国民理解を得るものになれば、日米信頼関係というものを一層新しい時代に向けて基盤としてつくり上げることができるであろうという期待も込めまして、そのことを長官にもお話しをさせていただいたということを改めて申し述べさせていただきたいと思います。
  11. 宮島大典

    宮島委員 ただいまいわゆる同盟関係の本質みたいなものをお話しをいただきましたけれども、確かに、これから同盟関係をより強固なものにするためには、もっと率直な意見が言える間柄でそれぞれお互い事情というものを思いやりながら、まさしくここで思いやりながらやっていくことが必要ではないかなというふうに思うわけでありまして、そういう意味では、これから二十一世紀に入る中で、この二国間同盟関係というものがより円滑に運営をしていただけるように両大臣にはまたいろいろと御指導、そしてまた御尽力をいただきますことをこの場をおかりしまして強く要望しておきたいというふうに思います。  それでは、一気に目を地域の方に転じまして、佐世保基地問題というものを取り上げさせていただきたいと思います。これも日米関係につきましては大変また重要な問題であろうかというふうに思っておるわけであります。  佐世保というところ、長崎県佐世保市でありますけれども、この港につきましては、明治十九年に旧海軍が鎮守府を設置した、そのときからスタートをしておるわけでありますけれども、自来、防衛の拠点といたしましての役割というものを実は果たしてまいったわけであります。そして、現在におきましても、米海軍そしてまた海上自衛隊、そしてまた基幹産業であります造船業を初めとする民間企業というものがそこの中に存在をし、活用をしておるわけでございます。  しかしながら、そういうぐあいであればどこの地域でも見受けられることであるわけでありますけれども、ただ、この佐世保港が唯一違う点というのは、そのそれぞれが混在化しておるということであるわけであります。そこが大変混然化をいたしておりまして、それぞれの運用が大変しにくいというのが実は長年の懸案であったわけであります。  実は、そのことを受けまして、党内でも任意に地元議員等集まりまして、あるいは比例区の議員皆さん方も寄りまして、佐世保基地問題を考える議員懇談会というものをつくりまして、鋭意その問題の一つ一つに取り組まさせていただいておるところでございます。  その中にありまして、実は、昨年でありましたけれども、そこの大変重要なポジションを占めます前畑弾薬庫移転にかかわる調査費というものが計上されたわけでございます。そしてまた、それに引き続きまして佐世保港のすみ分けの予算というものが、今年度は五千百万円ついているわけでございます。これは、地元にとりまして大変待望久しかったものでございまして、地元住民は一様にこのことを歓迎し、喜んでいるところでございます。そしてまた、早くこの調査というものが進み、そして本当に佐世保の港というものがすみ分けがされ、そして有効に運用ができるような形に一日も早くしていただきたいというのが強い希望であるわけであります。  ということで、この調査費につきましては幾つかの調査意味合いというものがあろうかと思います。当然、今申し上げましたとおり、中長期的にこの佐世保の港というものをどうやって再編していくかというような、そのビジョンを作成する調査という意味合いもあろうかと思うわけであります。  そしてまた、実は喫緊の課題であります立神四、五岸という問題がございます。  この使用につきましては、これまでもいろいろな問題というものがございました。先般のガイドライン委員会のときにおきましても、日米地位協定におけるいわゆる二4(b)条項についての共同使用の問題というものが議論に上っておりました。そのときにはあくまでも仮定の問題として取り上げられていたわけでありますけれども、実はこの佐世保地域におきましては、現実問題としてもうそのことがずっと行われつつあるわけであります。米艦船が入ってくるたびにいわゆる優先権を持ちまして、造船業というものが、民間企業というものが譲歩しなければならないというような状況が実は続いているわけであります。  ということで、このことは大変重要な問題であろうかと思いますが、その共同使用施設というものが、実は立神の四、五岸地域という部分であります。このことにつきまして、一日も早く代替岸壁を設けていただきたいというような要望が強く出ておるわけでありまして、その調査を行うという予算意味合いもあろうかと思います。  ということで、その調査費について、これからどうやって調査を進めていくか、その方針についてお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 瓦力

    瓦国務大臣 今、立神四、五岸壁の問題につきましてお尋ねでございますが、佐世保港湾岸壁不足、これによります米海軍民間との競合、特に立神港区における第四、五岸壁の競合問題は、米海軍にとっても地元にとりましても円満な解決が求められておりまして、重要な問題である、かように認識をいたしております。佐世保港湾における慢性的な岸壁不足の解消を図る必要がある、かように認識をいたしておりまして、平成十一年度から新たな岸壁整備にかかわる調査を実施しているところでございます。  今後、さらに米海軍及び地元理解協力を得つつ、海軍運用地元要望との調和を図るべく関係者との調整を行いまして、適切に対処してまいる所存でございます。  殊に、宮島委員にとりましては、地域問題というよりは、大変多年にわたって佐世保港湾の問題、各地域から、地域の方々も含めて御陳情にも上京いただいておりまして、私どももそういう努力を一層精力的に取り組んでまいりたい、かように考えておるところであります。
  13. 宮島大典

    宮島委員 ありがとうございます。  ただいま代替岸壁の建設の促進について述べましたけれども、そのことは既に、実はもうボーリング調査というものをやっていただいておりまして、そのことについても非常に地元といたしまして感謝をいたしておるところであります。ただ、この岸壁が一日も早く完成をする、早期着工に踏み込んでいただくことが肝要かなというふうに思うわけであります。  実は昨年度、野呂田長官がお見えになりまして、この現場の視察をいただきました。そしてまた、そのときには、でき得れば平成十三年度からでも、この調査が終わり次第着工にも踏み込みたいというような大変前向きなお話も実はいただいたわけでありますけれども、そのこともあるわけであります。また、今年度に入ってからは、参議院の方での外交防衛委員会先生方が実は御来佐をいただきまして、現状を詳しく御視察をいただき、大変な問題であるねということを御認識いただいたわけであります。  ということで、先ほど申し上げましたとおり大変な喫緊な課題でありますので、早期着工というものに踏み込んでいただきますよう、このことについての大臣の力強いお言葉をいただければというふうに思うわけであります。  それともう一点、実は本年の五月にも予定をされております、現在佐世保を母港といたしております強襲揚陸艦ベローウッドという艦がございます。このベローウッドがこの夏にエセックスという新しい艦と交代をするわけでありますけれども、そのときについてもやりくりをしていかなければならない問題というものが実は出てきているわけであります。ということで、もうこの夏のことでありますので、代替岸壁というものの着工後では到底間に合わないわけでありますけれども、その点について、どうやってこれからやっていただけるのかということについてもお聞かせをいただければと思います。
  14. 瓦力

    瓦国務大臣 今御質問の件につきましては先ほども触れさせていただきましたが、米海軍及び地元理解協力、これを得て、海軍運用また地元要望、いかに調和を図っていくかということが重要でございますので、この調整を行いまして適切に対処してまいる、そういうことで、これらの問題につきまして大変かかわりの深い立神岸壁の問題等々累積、山積をいたしておりますので、さらに努力をして、そういう環境づくりを期してまいりたい、こういうことを改めて申し述べさせていただきまして、委員のまた御理解を賜りたいと思います。
  15. 宮島大典

    宮島委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それと、先ほど申し上げました佐世保港でこれから中長期的にすみ分けを行っていくためには、実はその中にあります前畑弾薬庫移転というものがやはり大きなきっかけとなるというふうに考えているわけでございます。  ということで、この前畑弾薬庫移転につきましては、実は、今、佐世保市側で鋭意努力をしておるところでありますけれども、しかし、その中にありまして、佐世保の市長さんも市議会の中で、今年度内には移転地について提示をしたいというようなお話をされておるところでございます。  ということで、間もなくそのことも行われようかと思うわけでありますけれども、その点については、やはりいろいろなまたこれからの問題というものも出てこようかなと思います。先般、LCACの基地移転の問題につきましても、長崎県の西海町が実はそのことの受け入れを表明していただいたわけであります。  そういうこともあり、その後のいろいろな環境整備については国といたしましてしっかりとまた見ていただかなければならないなということを痛感するわけでありますけれども、その点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  16. 大森敬治

    大森政府参考人 私の方から、事実関係をちょっと申し上げたいと思います。  先生御指摘のように、佐世保の港湾利用につきましては、短期的な問題と中長期的な問題というものがあろうかと思います。特に、短期的な問題につきましては、先ほど来御指摘のありました四号、五号岸壁の問題でございまして、これは今の利用状況からいたしまして、物理的にどうしても関係者調整をしていただきまして利用を融通し合うということでしか方法がありませんけれども、しかし、私どもといたしましては、やはり米海軍への提供施設の安定的なといいますか、いわゆる効果的な使用を確保していくということから、また、地域との関係等の調和を図っていくという点から、代替岸壁といいますか、新しい岸壁整備する必要があるというふうに思っております。  そこで、十二年度予算に五千百万円の予算を現在お願いしているところでございます。また、先ほど大臣から答弁申し上げましたとおり、それを十一年度からもさらに前倒ししてやっていきたいということで取り組んでいるところでございます。  そこで、全体の絵を見ますときに、先ほど御指摘の前畑弾庫が非常に大きな位置を占めております。そこで、私ども防衛施設庁としてもそのような認識を持っておりまして、十一年度に八百万の既に調査をお願いしておりまして、十二年度につきましても、引き続きまして九百万の調査をお願いしておるところでございます。  この前畑弾庫につきましては、米海軍の方も移転集約化ということに前向きでございます。また、先生御指摘のように、地元市長さんの方でも随分積極的に考えてといいますか、調整をいただいておるようでございますので、私どもはその状況を見ながらといいますか、それに合わせるような格好でこの問題に取り組んでまいりたい。  また、先ほど御指摘のありました崎辺のLCACの移設につきましても、これも佐世保港湾全体の利用に大きく関係しております。これは、先ほども御指摘のありましたように、関係者の御理解によりましてLCACの移設の方向が見えてきております。私ども、この移設の関連におきまして、いろいろ地元の御要望を誠実に実施させていただきたい、そういうこと全体を通じまして、何とか中長期的なところを見ながら佐世保の円滑な関係者の利用の実現というものに努めてまいりたいというふうに思っております。
  17. 宮島大典

    宮島委員 地域といたしましては、前畑弾薬庫移転に伴いまして、そこの一部の返還、あるいはその地域におきます道路の早期着工というような要望も出しておりますので、その点についてもぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。  ともあれ、佐世保港というものがいわゆる防衛の拠点として充実をされるということと、一方にありまして、地域基幹産業というもの、造船業というものをしっかりと充実させる、この日本というものをしっかりとつくっていただく、そういうことをぜひとも国として推進していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  時間もございませんけれども、一点だけお尋ねをいたしておきたいと思います。  それのほかにもいろいろな問題というものが、細かい問題も実はございまして、例えば先ほども申し上げました造船業、いわゆる佐世保重工業の中での三ドックの返還使用協定の問題や、あるいは米軍佐世保重工の構内の通行権の問題というような、そういう細かい点も幾つもあるわけでありますけれども、そういう点についてもぜひとも御認識をいただき、一つ一つの問題についてまたお取り組みいただきたいということをお願いしておきたいというふうに思いますけれども、御見解があれば一言お願いを申し上げたいと思います。
  18. 瓦力

    瓦国務大臣 今御指摘のSSK構内の通行権問題等にかかわるお尋ねでございますが、これらの問題につきまして、米側使用実態を詳細に把握した上で、SSKの要請と米側使用実態を勘案いたしまして、円満な解決が図られるよう引き続き努力をしてまいりたい、こう考えております。  以上でお答えとさせていただきます。
  19. 宮島大典

    宮島委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  20. 西村章三

    西村委員長 次に、伊藤英成君。
  21. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 民主党の伊藤英成でございます。  まず最初に、普天間の飛行場の移設問題についてお伺いしますけれども、まず冒頭、この移設にかかわりましてそれぞれ関係者皆さん方が大変な御努力あるいは御苦労をされておられることについて敬意を表したいと思います。  沖縄県及び名護市から使用期限十五年という問題が出されていることにつきましてお伺いをしたいわけです。  まず最初にこの年数の問題についてひとつ再確認をしたいんですが、この十五年というのは、いわゆる代替施設ができるまでの間、よくこれは十年ぐらいかかるんではないかと言われたりするんですが、そういうことなんだろうか。そうした後で、使用開始から十五年、ざっと今度は二十五年くらい先に米軍に、この代替施設をつくった場合に、そこから立ち退きをしてもらう、こういう意味と解釈すればいいんでしょうか。
  22. 瓦力

    瓦国務大臣 伊藤委員にお答えをいたしますが、この使用期限の問題につきましては、私は、稲嶺知事並びに名護市長におかれては、多年にわたる沖縄の御苦労、県民の御苦労、そしてまた米軍施設が県土の中で多くを占めておるその実態に触れまして、このたびの御決断は大変大きな決断であった、苦渋の決断であったろう、こう察するものでございます。そういう中で、私は、県民の声というものを踏まえながら知事、市長はこの使用期限の問題について申し述べられた、こういうことであろうと思いますし、それが今後どういう形で移転建設が行われるか、その後どのくらい時間がかかるか、そしてまた、十五年という問題はこれからいろいろ相談し合っていかなきゃならぬ問題を内包しておると思っております。  そしてまた、私どもとすれば、地域の安定、国家の周辺のいろいろな不安要因というものに対して日米安保体制が信頼を得ていくためには、そういったことを踏まえて、県民の理解を得ながらSACOの実現に向けた努力をしていきたいと考えております。  よって、今委員から御指摘のように、それは当分何年を要して、そして十五年というのはどういう位置づけになるかという御質問に対しましては、これからいろいろまた歴史を経ながら検討していく課題も持っておりますので、私は即断をもってそれはこういうことになりますという御返事は差し控えさせていただきたいと思います。
  23. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 これからどうなるだろうかということをお伺いしているのではなくて、沖縄県あるいは名護市から言われている話の意味はどういうふうに理解していますかという意味ですよ。  それで、もしあそこに代替施設をつくるというふうになった場合には、建設ということについてざっと十年ぐらいかかるというふうに考えていいんだろうか。そして、それが使用開始になったときに、県及び市の言うのは、そこから十五年ということなんでしょうか。だから、もしも建設するとなったときには、ざっと二十五年ぐらいというふうに考えていいんでしょうかということを確認したいと思います。
  24. 瓦力

    瓦国務大臣 文書をそのまま読ませていただきますと、これは知事からの「普天間飛行場の移設候補地の選定について」、その「記」の部分でございますが、「米軍による施設使用については、十五年の期限を設けることが、基地の整理・縮小を求める県民感情からして必要であること。」ということで、使用期間十五年について知事がその意向を申し述べておるわけでございます。  そういったことを踏まえまして、私どもは政府全体としてこれを重く受けとめてまいるということが、十二月二十八日の閣議におきまして、これは政府全体で取り組んでいく課題だということで、それらを踏まえておるわけでございます。
  25. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 質問に対して的確に答えていただきたいと思うんですが、使用期限十五年という話につきましては、実際に使用を開始されてから十五年ということでしょう、これは。  では、もう一つ確認したいのは、もしも代替施設をあそこにつくるというふうに決定をされた場合に、使用できるまでの期間は大体どのくらい、これは十年ぐらいと考えていいんでしょうか、あるいはどんなふうに思っていらっしゃいますか。
  26. 瓦力

    瓦国務大臣 それらについては、知事及び現地との話し合いでありますとか、あるいは米軍との話し合いでありますとか、それらを踏まえて考慮し検討していかなきゃならぬ問題でございますから、今どのぐらいかかるということにつきましての御返事は申し上げがたき問題であります。
  27. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 再確認しますが、それはわからないということでしょうか。もしもつくるとなったときに、それが実際に使用できるまでの間に大体どのくらいかかるだろうかということはわからないのですか。
  28. 瓦力

    瓦国務大臣 これらにつきましては、工法も含めてこれから話し合いをするということにいたしておりますので、まだそれらを踏まえてどのくらいかかるという方針決定には至らないわけでございますから、今それらについてお答えする段階ではないということをお答えとしておるわけであります。
  29. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 外務大臣に伺いますが、外務大臣もそういう感じでしょうか。
  30. 河野洋平

    ○河野国務大臣 防衛庁長官と同じ意見でございます。
  31. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 外務大臣は、先般訪米をされまして、オルブライト国務長官とこの使用期限十五年の問題についても意見交換をされたというふうに伺っているんですが、政府認識はどんな感じなんでしょうか。  その前に、実は、昨年の十二月のちょうど半ばに、私ワシントンに参りました。この十五年問題について議論をいたしました。そのときに、クレーマー国防次官補は、この十五年問題について、九六年の日米安保共同宣言の趣旨に反するというか合致しないというか、そういう感じのことを言われておりました。ちょうどそのときの記事がこの新聞の記事であります。これは十二月の十六日だったと思いますが、会ったときの話でございます。  そういうことがあって、先般外務大臣も会われたわけですが、この十五年問題について、オルブライト国務長官とお話をされたときの政府認識はどういうことなんでしょうか。十五年問題についてどう思っていらっしゃいますか。
  32. 河野洋平

    ○河野国務大臣 国会のお許しを得まして十八日からワシントンへ参りまして、十八日にはホワイトハウスの大統領安全保障補佐官でございますバーガー氏、それから二十日にはオルブライト国務長官とそれぞれ会談をいたしてまいりました。もちろん、会談は、日米国間関係だけにとどまらず、国際情勢かなり広範囲にわたるものでございましたけれども、とりわけ二国間関係におきましては、議員指摘の問題についても取り上げた次第でございます。  私は、橋本・クリントン合意によりまして普天間飛行場の移転という問題が具体的な問題としてテーブルにのって、それ以来、政府としても鋭意努力をしてまいりました。これは、地元関係もございますし、いろいろな問題について政府としても努力をしてまいりました。  そして昨年秋、暮れに至りまして、沖縄県知事、名護市長、それぞれ県内移設あるいは受け入れ先について御決断があったわけでございます。  これは、御承知のとおり、それなりに必ずしもすんなりと満場一致で決まったわけではないわけですけれども、しかし、さまざまな意見を知事は知事としての責任において集約をされ、市長は市長の判断として決断をされた。そのためには、それぞれ県議会、市議会の御判断等も十分参考にされたと思いますが、そういう御判断を地元の知事、市長がなさった。そして、今瓦長官お話しのとおり、東京へその旨が伝えられた。  これで、青木沖縄担当大臣を初め私どもも集まりまして、この御判断を受けとめて、これはまことに重い御判断であるよ、この御判断を軽々に持ち運んではならぬ、重い御判断としてまず閣議決定をして、閣議においてこれを全閣僚参加の上で決定をして事を運ばなければいけないということになったわけでございます。それ以後は、瓦長官も私も、青木沖縄担当大臣もそうだと思いますけれども、それぞれはそれぞれのカウンターパート、あるいはそれぞれの機会において、アメリカにそのいきさつ等を伝えました。そうしてこの問題は政府として大変重く受けとめておりますということを伝えてきたところでございます。  今瓦長官からお話がございましたように、まだまだこれからいろいろな問題を議論しなければなりません。双方、意思の疎通をしっかりとしなければなりません。地元から御提案のありましたものには幾つかのリマークがございます。  例えば、跡地の利用についてとか、開発についてとか、軍民共用空港をつくる可能性についてとか、十五年であるとか、いろいろな問題がついているわけでございますから、それらを一つずつ、まず、我が国政府としてもよく考えなければならないと思います。  と申しますのは、今先生がおっしゃったように、日米安保共同宣言というものもございますから、この日米安保共同宣言に沿って国際情勢等についても協議をするということが必要になってくるということも当然想定しなければなりませんので、まだまだ我々としても議論をする必要があるという段階にあるということなどを説明したわけでございます。
  33. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 防衛庁長官に伺いますが、さっきも閣議決定の話がありましたね。今外務大臣からも、閣議決定の話も含めて、沖縄県知事及び名護市長からの要請について重く受けとめて、そして閣議決定の文章を見ますと、これを米国政府の話し合いの中で取り上げる云々、こう書いてありますね。  では伺うのですが、「米国政府との話し合いの中で取り上げる」、その意味なのですが、政府としては、この十五年の使用期限を米国に守らせる、あるいはそれを条件にするということで交渉するという意味なのでしょうか。どういうふうに受けとめておりますか。
  34. 瓦力

    瓦国務大臣 委員も御案内のとおり、沖縄は戦後大変御苦労の多い歴史でございました。また、第二次世界大戦におきましても、多くの沖縄の方々はその戦火そのものを受けたわけでございますし、悲惨でもございました。戦争でございますから、それは東京にしろ大阪にしろ受忍の時代があったと言いながら、沖縄の方々にとってみれば、耐えがたき苦痛を味わいながら二十七年間を経、さらに二十七年間を経て今日に至っておるわけでございまして、知事のお考えや市長の思い、県民の思いというものは、私どもはひとしく重く受けとめながら考えてまいらなければならぬという問題があります。  一方におきまして、国の安全、また日本が果たすべき役割というものも国家として取り組んでいかなければなりません。こういった形で考えてまいりますと、やはり政府と沖縄県がこれらの問題に共通の課題を担っていくことが大切だ、こう考えますし、これは国内で解決しなければならない問題が多々ございます。  加えて、これらを踏まえながら、日米安保体制を堅持するためには日米間における外交交渉というものもございます。この中で、国際的な変化もありましょうから、それらこれらを踏まえながら、これらを私どもは真剣に取り組んでまいるということが、今沖縄県民に対してお答えする大切なことではないか、このように理解をいたしております。  よって、先般、私、訪米いたしました折も、これらのことを踏まえてコーエン長官に、沖縄県知事が十五年の使用期間を強く主張しておられることを申し述べさせていただきました。それらについてまた長官からは、九六年の日米安保共同宣言を念頭に置きつつということを御返事としてたびたび国会でもお伝えをし、お答えをさせていただいておりますが、これらがまずこれからの課題の、どうあるべきかということを、まず知事も市長も要請をされているように、やはり県民の意思というものをどう伝えるかということから入るわけでございますし、また、これから政府と沖縄県とがどういう取り決めやいろいろなものをつくり上げていかなければならぬかという協議事項が待ち受けておるわけでございます。  これらを踏まえて考えますと、工法でありますとか、どういうものになっていくかということがSACOを含めて先へ進んでまいるわけでございますので、今日の段階におきましては、私は、訪米いたしました折に、知事や市長の十五年期限問題について率直にお伝えしておくことがまず私に与えられた仕事であるということでお伝えをし、また米側の考え方も承って帰ってきたところであります。
  35. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のお話は、コーエン国防長官に、沖縄県はどういうふうに考えているかということを伝えたんだよと。政府としてどういうふうにしたいんだというようなことは伝えてないですね。伝えてない。  政府はどうしたいのですか。
  36. 瓦力

    瓦国務大臣 これは政府全体として重く受けとめて、これから総理を中心にし、また官房長官がその行事を進めながら、我々も加わって、これらの問題につきましての方向づけをしていかなければならぬわけでございますから、まだ軽々に私どもの立場で政府の立場はこうだ、方針はこうだと言うべき課題ではないわけでございます。
  37. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 では、閣議決定のこれを重く受けとめるというのは、重く受けとめるというのは、伝えることを一生懸命やりますよということなんでしょうか。  さらにそこで、重く受けとめて米国政府との話し合いの中で取り上げていくという話は、もう一回繰り返しますが、政府はどうしたいかという意見はありません、沖縄の意向を伝えますということなんでしょうか。
  38. 瓦力

    瓦国務大臣 これは伊藤委員にたびたび申し上げて、重く受けとめるという意味は、先ほどよく述べさせていただきました。私からも、河野外務大臣も、それらにつきまして重く受けとめるゆえんといいますか、そこを申し伝えました。  それから、政府がこれからどう取り組んでいくかという課題になりますと、政府と沖縄がまだこれから諸々の問題につきまして整理しなければならぬ問題があります。これらを踏まえて、沖縄のSACOの方向ができましたり、また移設の問題が具体化されていくわけでございますから、それらを踏まえていきますと、先般訪米の折は、知事や市長の御意思を踏まえながら、十二月二十八日の閣議でこういうことでございますということは、私は長官として、カウンターパートでありますコーエン長官とは日米間における安全保障の問題の幾つかの問題について触れて申し上げ、これらの課題はそれぞれのレベルにおきまして間断なき対話が繰り返されながらやってきておるわけでございます。  私も、今長官に就任しまして、こういう問題があります、この沖縄問題については内閣としてこう受けとめております、沖縄県知事や市長からこういう強い要望がございました、これらにつきましては重く受けとめております、こういうことをまず申し上げることが先般訪米のときの私の大事な仕事ではなかろうか、こういうことで発言をさせていただいたわけであります。
  39. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 先ほど来の防衛庁長官の話を伺っていますと、私は、あの閣議決定の内容はいかにもこれは玉虫色だ、わからない。そしてコーエン国防長官にも、基本的には先ほど来言われたように、沖縄からこういう要請があるよということを伝えているということで終わっているわけですよ。  実は、今月も私は沖縄に参りました。先月、外務委員会視察ということでも沖縄に参りました。私の理解では、知事も、あるいは名護市の市長もなのですが、十五年問題について言えば、最も彼らが、あるいは沖縄の方たちが主張したいのは、政府がそういう姿勢で本当にやってくれるのかね、十五年で期限を切るということについて、政府が取り組んでいただくことなんだよ、そのことを最も強く言われていると私は理解しています。それにしては、沖縄県はこう言っているよということを伝えているだけじゃないのだろうかという気がいたします。  これから、十五年の使用期限の問題については、これを前提条件として取り組むんですか、どうするんですか。
  40. 瓦力

    瓦国務大臣 委員安全保障の問題に多年おかかわりの方でございますから、私はこれらのことにつきましては理解が得られると思うわけでございますが、沖縄の今日までの御苦労や、また置かれた状況、我々がこの苦難を何とか軽減しなければならないということで、SACOが幾つかの課題を持って出発をいたしました。  また一方におきましては、ある面では、アジアの安定というものは、日米安保体制を持ちながら、まだやはり困難な問題がアジアにはあるわけでございますから、そういった観点で考えますと、日米安保体制の価値というものはこれから一層重要になってくる課題もあります。  それやこれやを踏まえますと、私は、米軍のこれらの問題に対する考え方も整理をしていかなきゃならぬ問題がありますから、我が国の国益を守っていく重要な問題でもありますから、その二つをどうやってこれから調整をしながらやっていくかという努力が大事かと思います。  その中で、沖縄に対して、今までの歴史を振り返ってみて、我々がどれほどまでに県民に対して理解を得る、少なくとも努力が十分であったかどうかということは、今日におきましてさらに考えて、新たな気持ちで取り組んでいくことが大事か、こう思っておるわけでございます。  沖縄とこれらの問題につきましては、私も、これは国内問題であるというようなことも、かつて委員会では申し上げてまいりました。これらを整理して初めて日米間における問題整理というものになるわけでございますから、今沖縄の問題をすぐ米側に説得して伝えるというよりは、こういう問題をどう考えていくかというのは、やはり政治として重要な課題ではないか、課題であるということについての御理解は、伊藤委員には、私は得られる、こう思っておるわけであります。
  41. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 もう一回改めて伺います。  沖縄からの使用期限十五年という要請について、政府は、これはどういうふうにしようとするのでしょうか。それは、十五年を実現せよと、使用期限十五年というのを実現させようということで取り組むんですか。どうするんですか。
  42. 瓦力

    瓦国務大臣 使用期限問題につきまして、「政府としては、代替施設使用期限については、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しているが、沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府協議していくこととする。」ということを、昨年暮れの閣議におきまして、政府方針を決定したわけでございます。  この線に沿って、その趣旨を訪米の際伝え、そしてまたこれからの課題につきましては、なお若干時間を要しますが、政府全体でこれらを重く受けとめて取り組んでいこう、こういう方針の中に現在ありますことをお伝えしたいと思います。
  43. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のお話は、少なくとも現時点では十五年という使用期限を実現させるべく交渉をするというつもりは、今のところありませんというふうに私は理解をいたしますが、もしそれについて異論があればまた言っていただきたいと思います。今の、もしあればそのとき言っていただきたいと思います。  次に伺います。これは外務大臣防衛庁長官に伺いますが、今言われた、例えば九六年の日米安保共同宣言にのっとって考えるとして、そしてそのときに国際情勢の変化があればどうこれを考えるかということでしょう。国際情勢の変化によってその代替施設の撤去といいましょうか、代替施設から米軍が立ち退くということがあり得るという意味ですね、これは。そう思います。  そして、その国際情勢の変化というのはどういうことがあればそれはできるというふうに思われますか。例えば、日朝関係が正常化される等いわば朝鮮半島の脅威がなくなればそれは可能だろう、普天間の代替施設から米軍が撤退することは可能だろう、こういうふうに思われますか、どう思いますか。
  44. 瓦力

    瓦国務大臣 国際情勢の変化につきましては、ある一つの事象のみならず広く見なければならない問題でございますから、それらをどう分析をし踏まえながら、これからアジアの安定というものを築いていくかということは、これは大切な問題でございますので、一つの問題だけ、委員が御指摘のように、この問題が解決したからこれでいいというようなことじゃなくて、いろいろな事象が起こることをよく、政治でございますから、見きわめていかなければならぬ、今一点で解決ができるというほど単純ではないということを改めて申し上げます。
  45. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 これは防衛庁長官外務大臣両方にお伺いいたしますが、例えばこの間、私はワシントンに参りました。ある学者に聞きました。日本にいる海兵隊約一万八千人、今は八千人弱かな、約一万八千人は、これはある人によれば、明らかに朝鮮半島有事のためであります。したがって、朝鮮半島が日本にとって脅威とならない場合には、当然それは考えられるという話をされた方はいらっしゃいますが、今防衛庁長官は、朝鮮半島が脅威にならない状況になっても海兵隊は必要だろうというふうな意味なんですか。同じように、外務大臣はこれについてどう思いますかということを伺います。
  46. 河野洋平

    ○河野国務大臣 今防衛庁長官がおっしゃったとおりでございまして、我々の周辺の状況というものは、一つの事象で平和であったり緊張感が出たりというほど簡単ではないと思うのですね。例えば、現在の状況米軍のプレゼンスがあるから安定しているんだという見方もあると思うのですね。角度によっては、いや、それがない方が安定しているんだとおっしゃる方も中にはあるかもしれません。しかし、私どもは、米軍のプレゼンスというものが今我が国の平和と安全のために重要だという判断をしているわけでございます。  したがって、どこか一カ所の問題が解決をしたから、それならそこはもう要らなくなるから、米軍のプレゼンスは要らなくなるということでプレゼンスをもしやめてしまった場合には、安定というものはそこでバランスが崩れて、ほかの意味の問題が出てくるということもあるかもしれませんね。  したがって、今防衛庁長官がおっしゃったように、この国際情勢というものは総合的に見るべきものであって、どこの問題がどうなったからどうかというほど簡単でない。いや、しかし、これは逆に言うと、ここがこうなったらもう本当に情勢が一変したという状況が、あるいはそういう状況が出てくるかもしれない。それはそれで大変ありがたいことでありますけれども、今、この時点で、ここがこうなればいいかというようなことを想定して、その一カ所の事態の改善によって国際情勢が変わるということを言えるほど簡単でない、そういうふうに私も思っております。
  47. 瓦力

    瓦国務大臣 私は、質問者のような立場でお答えするわけにはいきませんし、ある一定の地域を指して答弁するわけにはいかない。アジアには幾つかの問題があります、それぞれに私どもは、平和を確保してまいる、安定を期してまいるためには、国家としてどういう努力をしなければならぬかというものは、私の所管する問題のみならず、政府挙げて取り組んでいく問題でございますが、委員質問されるように、この地域の問題でどうかという御質問には、私は、お答えを申し上げることよりも、もっと包含した意味でお答えした方がお互いにわかりやすいのではないかと思います。
  48. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私の立場に立って、質問か答弁かどっちか知りませんが。  私は、実は北朝鮮に昨年の十二月に行きました。私は、北朝鮮との問題は、日本自身を守るということと同時に、安全のためにということと同時に、在日米軍基地をどういうふうに考えるかという意味において北朝鮮問題は非常に重要だろうと思っているからなんですよ。今の大臣防衛庁長官のお話を伺っていると、朝鮮半島は平和になったとしても、在日米軍基地あるいはその軍事力はどうなるかわかりませんねという感じに受け取れますね。  そうならば、改めて私は聞きますが、沖縄から言われている十五年問題というのはどんなふうに考えるのでしょうかね。どんなふうにこれからやろうとするのですか。
  49. 瓦力

    瓦国務大臣 伊藤委員にお答えする前に、私も、いわゆる北朝鮮の問題というのがやはり解決されることが望ましいわけでございますし、また、村山訪朝団が先般訪朝されましたが、これも実は、ペリー前国防長官調整官とサンフランシスコでお会いをして、この問題について日本ではどういう努力があったろうかというようなことを踏まえて、私は先刻御承知だと思いましたが、そういうお尋ねもありましたから、我が国としてそういう努力はこれからも続けてまいるし、米日韓三国はしかと連携をしておることが大事だし、加えて申し上げれば、北朝鮮からそれらしき返事が返ってくることを期待しなければならないし、そういったことも申し上げながら、極東の安定やアジアの平和、これらの問題に我々が共同して取り組んでいかなければならぬ課題であるというようなことも話し合いをさせていただきました。  ただ、これからアジアにどういう問題が起こるか、派生するかということは、先を見通して判断するほど私ども賢明ではありません。やはりそういう問題がどういうところに問題が生ずるかということを常に踏まえながら、国家の安全や地域に貢献をしていくという国家であらねばならぬわけでございますから、今委員質問のように、北朝鮮の問題が安定すればいいだろう、そういう問題で私はとらえておりません。そのことは、我が国のこれから取り組んでいく大事な姿勢ではなかろうか、何が起こるかわからないのですから。だから、沖縄は、そのための十五年でおまえは何をするかという問題も踏まえて、日本我が国のこれから果たすべき役割というものも踏まえておくことが大事なことではないかと私は考えております。
  50. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 防衛庁長官、あるいは外務大臣もそうかもしれませんが、私は、今のようなお話を聞いていますと、若干残念な気がしています。  私は去年の十二月にワシントンに行ったときも、私はこういうふうにしたいんだよ、だから北朝鮮の問題も、あるいは台湾海峡の問題も、こういう思いで取り組んでいますよ、そして同時に、日本にある在日米軍基地はもっと減らしたいんだよという話を私は堂々と申し上げたつもりなんです。そういう思いでやっている。  この間イギリスの新聞社からインタビューを受けました。そのときに十五年問題のことを聞かれたのですよ。私は何と答えたかといいますと、そのときに、冒頭私が伺いました、もしもあそこにつくったとして建設にどのくらいかかるか、例えば十年なら十年、その後に十五年、計二十五年、これから二十五年の間に、日本外交によって、朝鮮半島はもちろん、あるいはアジアのその他のことも含めて、それはあの海兵隊等々、今の在日米軍基地をもっと減らしていいような外交は絶対にやらなければならぬと私は思っていますという話をいたしました。  今のお話なんか聞いていると、沖縄からの十五年問題というのを本気に、あるいは十五年を実現させようという姿勢はみじんも見られない、私はこう思っています。何かありますか。なければ結構ですが。
  51. 河野洋平

    ○河野国務大臣 もちろん、私の立場から申し上げれば、外交努力によって近隣諸国との関係をできる限りよくしていこう、こういう努力をするのは当然のこと、私にとってこれはどうしてもやらなければならないことでございます。  しかし、今、例えばどこかの国と話し合いをしようと考えると、それは今日本の国は力で話し合うということはできないわけですから、話し合いによって問題を解決するという以外にない。話し合いによって解決をしよう。まあしかし、どこの国でもまずみずからを守る、あるいは抑止と話し合いという二本立てで話し合いに向かって進まなければ話は進まないということは、議員もよくおわかりだと思います。  したがって、私としては、外交努力に全力を挙げますけれども、しかし、他方、我が国安全保障という問題をないがしろにするわけには絶対にいかないということは、もうはっきりしているわけでございます。そして、しかもそれは我が国にとって、今防衛庁長官お話しのように、一方だけではない、周辺どこを見ても、どこからも問題が起きないような安全を確保するための準備あるいは努力といいますか、そういうことは我々がやらなければならない当然の努力だというふうに私は思っております。
  52. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私に与えられた時間は余りありませんが、最後に一つだけちょっと。  突然ですが、神奈川県の厚木基地のところのといいましょうか、いわゆるダイオキシン問題について伺いますが、この問題は最近では新聞の社説等々でも非常に取り上げられているわけですが、なかなか大変な状況だと私は思います。  あるアメリカ関係者が私のところに話をするのは、今の日米安全保障関係といいましょうか、その中で、彼らにとって最大の問題はこの問題だというくらいな言い方さえするのですが、現在の汚染の状況等、どんな認識なんでしょうか。
  53. 瓦力

    瓦国務大臣 神環保の問題は、今私どもは全力を挙げて解決しなければならない課題である、こういう認識をいたしております。  わけても、厚木にこの施設があるわけでございますが、これは日米間におきまして、それぞれ参りまして私もお話を伺いましても、やはり環境の問題、健康に及ぼす問題、これは非常に深刻でございまして、私も全力を挙げて取り組むべき課題として申し上げ、また督励をしておるわけでございます。官邸を中心にいたしまして、目下のところ、厚生省並びに神奈川県、加えて、政府としては官邸が、防衛庁、施設庁、また外務省にもかかわってくる問題も派生してございますから、それぞれ関係機関、調整をとりながらこれを進めておるところでございます。  昨年夏に実施されました厚木の海軍飛行場における日米共同モニタリング調査の結果、大気中からダイオキシン類についてこれまでにない高い値が検出されまして、生活環境保全上極めて問題な水準である、この事態は今申し上げたように認識をしておるわけでございます。  よって、現在、神奈川県は、勧告に従いましてバグフィルター設置工事を着実に実施しておるわけでございますが、このことにつきまして厳しく監視しているところとまた承知をいたしております。  誠実にこれらの事業が進むことが、目下、私どもとしては最大努力をしておるところでございます。
  54. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 これは前からもずっといろいろ問題になってきたことなんですが、聞くところによりますと、昨年の五月の日米首脳会談の中でも、クリントン大統領、直接具体的な会社の名前まで挙げて指摘をされたり、あるいはことしに入ってからも、防衛庁長官もコーエン国防長官からこの問題についてかなり厳しく言われたんだと私は思うのですよ。それから、最近も、先週だったかな、タルボット国務副長官だとかあるいはスローコム国防次官もそれぞれ総理やら防衛庁長官等々にも言われたり、それから、二十二日はワシントン・ポストもでかでかとこの問題をやったりしております。そのぐらい大変な状況だと私は思うんですよ。  それで、さっきバグフィルターの設置のことを言われましたですね。これは順調に進んでいるんでしょうね。二基設置することになっていますでしょう。もしも三月末までにそれが完了しなかったら、四月以降、そのときはあの会社は稼働させないということなのでしょうか。
  55. 依田智治

    ○依田政務次官 先生御指摘のように、一号炉、二号炉については三月末まで、三号炉については五月末までにやりますという計画書を会社の方が県に出しておるわけでございまして、我々はこれを厳重に守らせるように今監視しておるという状況でございます。
  56. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 もしもそれができなかった場合には、営業停止なんかをさせるという意味なんでしょうか。
  57. 依田智治

    ○依田政務次官 それはそのときの状況に応じまして、県や関係機関等と密接に連絡して、そのときとり得る厳正なる措置をとるという決意でおるわけでございます。
  58. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 最後に、外務大臣、これは外務大臣としても国務大臣としても、本件については、私は、外交上も、もちろん外交上の問題だけじゃなくて、これは米軍関係者も、あるいは、それのみならず、日本人であそこに働いている人たちにとっても重大な問題なんですよ。外務大臣として、あるいは国務大臣としての決意は。伺います。
  59. 河野洋平

    ○河野国務大臣 先ほど防衛庁長官からお答えを申し上げましたように、昨年夏の調査の結果を見ますというと、ダイオキシン類の最大値は五十三ピコグラム。これは、我が国の大気環境指針値の約六十六倍という大変な数値を検出しているわけでございます。  今、議員がおっしゃったように、これは確かに厚木の海軍飛行場の米軍家族住宅地区に極めて近い場所でございますけれども、もちろん日本人が多数働いてもおりますし、その周辺に住んでいる人もいるわけでございます。この問題は、ただ単に米軍の問題だけでなく、我が国の、今我々が経験している環境問題として最も深刻なと言っていいぐらいの重要な問題というふうに私は認識をしております。  私は、外務大臣でございますと同時に神奈川県民でございまして、地元の人間でもございます。私は、この問題は、ただ単に日米関係で重要なだけではなく、県民の健康という意味からも極めて重要だ、これをもう一日も早く解決をしてもらいたいということを県にも申し入れをしております。  いろいろな措置をとりますのは、県が措置をとらなければなりませんので、県がいろいろと検討を加えて判断をしているという部分もあるわけでございます。先ほどお話がありましたように、官邸におきまして関係者を集めて、どういう方法が最も迅速に措置できるか、あるいはどういう方法が今法的にとり得る最もいい方法かというような相談もいたしておりますし、今申し上げましたように現地の知事周辺でもそうしたことを真剣に考えてくれていると思いますが、私としても、個人的にもこの問題には大いに関心を持って問題解決のための努力をしてみたいと思っているところでございます。
  60. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今お話しのように、極めて重大な問題でありますので、それこそ一刻も早く改善すべく御努力をお願いをいたします。アメリカでは、いかに日本政府が対応がよろしくないかということについてのレポートも出ているぐらいの状況です。それを十分に認識をしていただいて、ぜひお願いします。  先ほど依田総括政務次官もおっしゃったように、厳正に対処していくということでありますから、ぜひこれは、日本の国内の信用のためにもぜひよろしくお願いをして、終わります。ありがとうございました。
  61. 西村章三

    西村委員長 次に、上原康助君。
  62. 上原康助

    ○上原委員 私も、今の伊藤委員の御質問と関連して、まず十五年問題から取り上げたいと存じます。  最近のマスコミとかあるいは有力な雑誌には、ポスト小渕は河野外務大臣だとよく書かれております。野党の一員だが、期待していないわけでもないんですが、防衛庁長官外務大臣のお二人の答弁を聞いていると、むしろ早く伊藤さんと私がそこに座った方が、この国の外交安全保障がもっと、日米関係でも議論をして前進するのかなと思ったところであります、失礼ですが。  そこで、所信表明を聞きました。お二人、両大臣の所信表明はかなり、通常国会ですから、ボリュームはあるんだが、抽象論で真空なんですね、真空内閣だからかもしらないけれども。この間の訪米で、米側と沖縄の問題につき緊密に話し合ってまいりました、今後とも、沖縄県の方々が云々で誠心誠意努力してまいりますと。言葉あって外交なしというか、中身なしと言わざるを得ません。防衛庁長官のには、コーエン国防長官と沖縄問題について何を話し合ってきたのか、一言半句もない。  まず外務大臣にお尋ねしますが、十五年問題あるいはRAPCON問題、沖縄県民の強い要望を受けて、何を解決したいと思って何を話したのか、簡潔に、アメリカで話したことをここで答弁してください。あなた方の言うことを聞いていると、国会向け、アメリカ向け、沖縄向け。二枚舌という言葉は聞いたことはあるが、三枚舌は聞いたことがない。本当に、簡潔に、誠意を持ってお答えください。
  63. 河野洋平

    ○河野国務大臣 先ほども御答弁を申し上げましたので重複することになると思いますが、十八日に、国会のお許しをいただいて訪米をいたしまして、米国要人何人かの方々と話し合いをいたしました。  とりわけ、安全保障大統領特別補佐官のバーガー氏と、それからオルブライト国務長官、このお二人とは、日米二国間の話に触れて、もちろんそれ以外の問題も大分いたしましたけれども、日米関係に触れて話をいたしました。  そのお二人との話の中で、先ほども申し上げましたように、橋本・クリントン合意から始まりました普天間の移転、移設問題について、政府としてもこの問題に重大な関心を寄せ、鋭意努力をしてきた結果、今回、地元の知事、市長さんの大変な御決断というものを受けとめて、そして閣議決定をするところまで参りましたという経過の報告と、現状について申し上げた次第でございます。  なお、この中で、開発、跡地利用、軍民共用空港の問題、そして使用期限の問題、こういったことが特に市長からのお話の中には入っておりますということを申し上げたわけでございます。その中で、これはまたいろいろ御議論があるんだろうと思いますが、軍民共用の問題については、バーガー特別補佐官から、これについては自分たちも理解するところですというお話がございました。  また、オルブライト国務長官との話し合いの中では、私から、いわゆる沖縄のRAPCONの問題について、日米間でこの問題を取り上げて話し合いを進めたいということを申し述べました。アメリカ側からは、話し合うこと結構でしょうということでございました。  その他、国際情勢あるいはいろいろな問題に触れたわけでございまして、沖縄の問題については、以上のようなことでございました。
  64. 上原康助

    ○上原委員 防衛庁長官は何もコメントもないんですか、私が指摘したことに。
  65. 瓦力

    瓦国務大臣 実は、日ごろ大変尊敬申し上げております上原委員から真空と言われまして、大きなショックを受けまして……。  私が、先般訪米いたしまして、帰りましてから、いわゆる会談の概要につきましては、ペーパーにしてお配りをさせていただきました。加えて、国会が開かれましてから、恐らく要旨につきましてはお答えをさせていただいておりますが、その中で格別、瓦が行って重く受けとめておるというだけがひとり歩きをいたしておりまして、何もしゃべっておらぬということを今改めて言われまして、これが大変大きな衝撃でございました。  私は、日米首脳会談というのは、かねてから、就任いたしましてから、日米防衛首脳が間断なき会話をする、また、課題につきまして問題点の整理をする。両国間にはそれぞれのベースでの話し合いが行われておるわけでございますから、事によれば、継続して解決されていくべき問題もございます。行ってすぐ解決できる問題というよりは、抱える課題がそれだけ問題点をはらんでおりますれば、時間も必要でございます。ただし、その時々の問題整理といたしまして、御報告はさせていただいておるわけでございます。  よって、上原委員には、それらも受けとめていただけなかったのかなといううらみはありますが、先般参りまして、いわゆる沖縄の問題というものも、二枚舌、三枚舌で申し上げておるわけではありません。沖縄県民の今日までの歴史的苦労も率直に申し述べて、このSACOというものを前進させなければならないし、また、知事や市長からの御要請というものを重く受けとめてまいらなければならぬ。  また、安全保障の問題でございますから、いろいろ考えていかなければならぬ問題もあります。それらを踏まえて、これからも日米間で話し合いをしていきたいということで申し上げておるわけでございます。     〔委員長退席、中谷委員長代理着席〕
  66. 上原康助

    ○上原委員 お気に召さない私の発言があればお許しをいただきたいんですが、確かに、外交安全保障もそう簡単ではないということは、私たちもよく認識もし、理解しているつもりであります。  そういう見識を持ちながらも、一体、では、重く受けとめるという日本語の定義というか解釈というか、大変ファジーで、これもまた失礼なんだが、私だって時々アメリカの高官や軍人とも会う機会もあるのですが、河野さんが最初に外務大臣をしたのは九六年でしたかね、村山内閣のとき。あのころから、河野外交は、上原さん、とてもファジーでおもしろいよと言っておった。外交というのはそれではいかないのであって、つかみどころがない外交なんて国益を損ずるのですよ。私はそれを指摘したいわけです、お二人に。  そこで、皆さんは使用期限問題、閣議決定、確かに、昨年の十二月二十八日でしたか、名護市長が表明をして以降、翌日なんだが、この政府の閣議決定には十五年の文言はないんですよ、重く受けとめると言っているけれども。それが一つ。重く受けとめるというのは一体どういう認識か、お二人にもう一度これを聞きたい。  それと、閣議決定というのは一体どういう御認識を持っておられるのかということかと思うんですよね。私は、かつて内閣委員会で元号法とかいろいろちょうちょうはっしで議論をしたときから、政府の閣議決定とか閣議了解とかあるいは閣議了承とかいうものをいろいろ議論した経過があるんです、昔。  ちょっと調べてみたが、閣議決定についてはどういう御認識を持っているの、本当に。私が言う前に、重く受けとめるということと閣議決定というのは一体どういう認識なのか。少なくとも、十五年問題は稲嶺沖縄県知事と名護岸本市長がこの問題を移設をする条件として出している、十五年は譲らない一つですよと言い切っている、それを重く受けとめたんでしょう。そして閣議決定したんでしょう。そうであるならば、国内問題と言わずに、日米外交交渉のテーブルにのっけるのがあなた方のお仕事じゃないですか。それをやらぬで、メッセンジャーボーイみたいに、沖縄はこう強いことを言っていますよ、困っていますよ、こんな話じゃ外交にも何にもならないんじゃないですか。そこを今皆さん問われているんですよ。お答えください。     〔中谷委員長代理退席、委員長着席〕
  67. 瓦力

    瓦国務大臣 私のお答えも、それぞれの方々がこの期限問題につきまして御質問でございますので、重複するのは甚だ委員にもいかがかと思いますが、一つには、沖縄県は過ぐる大戦におきまして唯一の地上戦を経験いたしまして、戦後二十七年間にわたりまして米国の施政権下に置かれました。また、復帰後二十七年を経過した今日、依然として全国の米軍施設・区域の約七五%が所在いたしております。県民の方々にさまざまな御負担、御苦痛をかけておることと認識をいたしております。  なお、稲嶺知事及び岸本名護市長におかれましては、沖縄のこのような歴史と現状を踏まえ、基地の整理縮小を求める県民感情から、また基地の整理縮小の観点から、普天間飛行場代替施設米軍による使用につきまして、十五年の使用期間を要請されたものと承知をいたしております。  政府として、昨年末、普天間飛行場の移設に係る政府方針を閣議決定をいたしました。今後の取り組み方針を明らかにしたところでございますが、その中で、代替施設使用期限につきましては、政府としては、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しておりますが、市長また知事からの要請がありましたこと、これは今申し上げたような歴史的事実や困難にかんがみまして重く受けとめなければならない課題であるということを改めて先生に申し上げさせていただきます。  そして、これらを踏まえて政府が取り組むべき課題がこれからあるわけでございますから、私の訪米の折、これらのことを詳細に、私はまずカウンターパートであります米国長官にもお話をいたしました。これらのことを改めて今申し上げさせていただいた次第です。
  68. 上原康助

    ○上原委員 河野外務大臣のお答えを聞く前に、私からちょっと要望するのですが、私にそういうレクチャーは要らないですよ。私は沖縄県民で、沖縄戦もある程度体験しているんだ。そんなのは時間のむだだ、失礼ですが。(瓦国務大臣「真空だと言うから」と呼ぶ)いや、真空内閣と言う人もおるということを私は言っているんだ。あなたに真空とは言っていない。あなたは立派な防衛庁長官だから。  ですから、閣議決定というのは、比較的重要な政策事項で、内閣の意思を決定、統一しておく必要のあるものは閣議決定の形式をとると書いてあるんだ。これだけ重要なものであるならば、沖縄側が苦渋の選択をして、十五年の使用期限というのは譲れない一つというのであるならば、そんなにべちゃべちゃ——アメリカは皆さん以上に情報を持っていますよ。名護市長が何をしゃべったか、沖縄県知事がどういうコメントをしたかというのは全部持っている、英文で。あなた方がそれを説明すれば、向こうはもっとわかる。その上で外交はやらなければいかないということを私は言っているんです。  そうであるならば、もうこれは伊藤先生も相当やりましたが、私は次の問題も二つくらいありますから。では、政府として十五年の期限というものは、これはいつからか。先を見通して判断は難しい、それほど賢明じゃないと。謙遜はいいけれども、それほどの見通しを持った判断をして防衛政策も外交もやってくださいよ。十五年問題は沖縄側の要望を受けて日本政府としてアメリカ協議する議題にのっけるかどうかをここではっきりさせてください。
  69. 河野洋平

    ○河野国務大臣 先ほど来防衛庁長官が繰り返し御答弁を申し上げておりますように、この問題は極めて重要な問題でございます。  重要な問題という意味は、先生御指摘になりましたように、大変な負担を負うてこられた沖縄県民の皆さんが、みずから県内移設というものに合意をされて、知事が判断をされ、そしてまた名護がその施設の受け入れを名護市長の決断によってお決めになった、こういう二つの決断は大変な決断であったろうと思うわけです。それは、まさに我々は重いものだというふうに受けとめております。  他方、日本を取り巻く国際情勢、日米安保条約の重要性日米安保条約の機動的な、効果的な運用という我が国防衛にとって最も重要な課題とこれが絡んでいるわけでございますから、この問題については、慎重な上にも慎重な議論が必要であろうと思うわけです。  今まさに上原先生が御指摘になりましたように、こうしたさまざまな問題を含んだ問題でございますから、やはり閣議決定という形で問題の判断を一つに縛って、そしてこの閣議決定に基づいてこれからそれぞれが作業をするということにしよう。そして、その閣議決定の中身についても、先ほど来申し上げましたように、まだまだ詰めなければならない、考えなければならない問題もあるわけでございますから、そうしたことについても、十分我々は我々で国内的にも議論をしなければなりません。アメリカに対しても、その都度連絡も密にしていかなければならない。こういう状況にあるのだということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
  70. 上原康助

    ○上原委員 そこは少し、誠意というか、あるいは外務大臣のこれからの決意の一端を込めた答弁だと思いますが、外務大臣防衛庁長官も、これは特に、地元の新聞ですが、あなた方がオルブライト国務長官と会ったときに、「米、事実上ゼロ回答」、十五年問題、「「普天間」代替の期限」。両紙同じ。「米、実質ゼロ回答」「安保の基盤損なう」十五年を期限切らされたら。県民はこういうのを見て、日本外務大臣防衛庁長官アメリカにお忙しい中行って何をしたかということを判断するんですよ、世論は。  それから皆さんは、九六年の安保宣言に基づいていろいろやると言っている。十五年問題だけでなく、「九六年の日米安保共同宣言を念頭に、在日米軍の兵力構成と軍事体制について協議する」、随時緊密に協議をすると書いてある。だけれども、過去にこの四年間に日米間で一度も協議したことないと防衛事務次官は正直に記者会見しているんじゃないですか。  本当に、国会で我々に答弁することと国民向けに言うことと、アメリカの高官と皆さんがやりとりすることは全く違うんだよ。だから政治不信が生まれ、外交不信が生まれ、与野党の議論もかみ合わなくなるんですよ。もう少し真剣にやってみたらどうでしょうか。  こういうような報道がなされている。「「普天間」代替使用期限 外相「伝達」のみ」「熱意の乏しさ露呈 問われる政府の姿勢」。社説は、「大掛かりなその場しのぎ」外交、「いずれ期待裏切ることに」。今のようなことで、十五年期限問題とか普天間の移設問題を何とか、まあマンモス与党だから何でもごり押しすればできると思っているかもしらない、あるいは沖縄県や名護市が多数決で押し切って受けるからやるかもしらない。しかし私は、何とかこの問題については、ただイエスかノーかじゃなくして、もっと県民の知恵を出し合って解決する方法はないのかと私自身も考えている、党内でも。  そういう時期に、外交権のある皆さんがもう少し、まじめと言ったら失礼ですが、本当に重く受けとめておるならば、外交のテーブルにのっけて、さっき伊藤先生もおっしゃるように十五年の、私は十五年以上かかると思いますよ、この構想が仮にできるとしても。私はそうはいかないと思う。必ず皆さんはSACO2をやらざるを得ない。そういう認識を私は持っているけれども、そのことについては、もう多くは触れないでおきましょう。  少なくとも将来二十年、二十五年を見通した在日米軍基地のあり方、沖縄基地の整理縮小ということ、そういうことを十分政府としてのプランニングを立てて構想を持ってやってもらいたいというのが県知事や名護市長であり、私たち沖縄県民の切なる要求なんだよ、皆さん。答えてください、どうするか。こういうようになっている、皆さんの外交は。
  71. 河野洋平

    ○河野国務大臣 上原先生のお気持ちはよくわかります。よくわかりますが、外交の担当者として考えなければならないことがまた別の角度からもあるということも御理解をいただきたいと思います。  もちろん私は、沖縄県民の皆様のお気持ちというものを大事にしたいと思います。これまで長い間、大きな御負担を担っていただいた県民の皆様方のその負担を幾らかでもできるだけ早く、整理、統合、縮小という方向で軽くできないかというふうに私も考えていることは繰り返し申し上げているところでございますが、他方、やはり我が国安全保障ということも考えなければなりません。そのためには、日米関係もあります、日中関係もあります、日韓関係もあります。その他さまざまな国際関係というものにも目配りをしていかなければ外交責任者としてはやっていかれません。  そうしたさまざまな分野にも目配りをしながら、しかし究極的には、日本周辺が本当に平和で安定して、そして我が国国民が何の不安もない、そういう状況をつくり出すというのが目標であることは当然だと思います。しかし、その目標に向かっていくためには問題は山積しているということは、これまた先生十分御理解いただけることだと思います。
  72. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、我が国安全保障の大切さということは、私も認識している、理解している一人だと申し上げましたが、そういうまくら言葉、そういうことを優先させる限りは沖縄県民の過重な負担と犠牲というのは軽くならないんですよ。そこに問題があるということを指摘しておきます。  それで、お昼前で何か防衛庁長官は大分ひもじくなったのか、御機嫌が悪くなっているけれども、皆さん、十五年問題は今後の日米協議のテーブルにのっける意思が政府としてはある、特に担当するお二人の大臣としてはある、こういうことと理解していいですか。それを県民にここで言えますか、国民に。どうぞ。短くしてください、もう時間がないんだから。
  73. 瓦力

    瓦国務大臣 いやいや、私も少しは言わせてもらいたいんですが……。  先生私どもこれだけいろいろなことで口論もいたしますし、議論もしますが、新聞の見出しと活字だけで国会で議論されることは非常に残念でございまして、やはり私どもは、本当に真理を追求していかなきゃならぬ。沖縄問題について、今はSACOというこの時期を非常に大事な時期だととらえまして、知事の御発言も市長の要請も重く受けとめて取り組んでいくということでございますから、前進するようにぜひまた御理解と御協力を賜りたいと思います。  ところで、平成八年四月に、今話し合いがないということについて若干私が述べさせてもらうわけでございますが、日米政府間で、首脳レベルでの会談でございますとか、日米安保協議委員会、SCC、2プラス2でありますとか、あるいはまた日米の安保高級事務レベル協議、SSCでありますとか、その場その場でいろいろ協議がなされておるわけでございますが、今御指摘の点も踏まえまして緊密に協議をしていく大事なときであるというぐあいに私は認識をいたしております。  やはり私どもも、沖縄にとりましてこの時期をしかととらえまして、最善の努力をしてまいらなければならぬ、こう考えておりますので、決意を申し述べさせていただきました。
  74. 上原康助

    ○上原委員 外務大臣、それは外交ルートにのせますね。それをぜひお答えください。  私も、何もマスコミの論調だけをとらえて議論しているんじゃない。私だってマスコミにいつもいじめられているからそれはよくわかる。国民は、政府外交はどうなっているのか、国会での議論はどうなっているか、マスコミを通してしか理解しないでしょう、一般論としては。そのことを申し上げている。  外交ルートにのせますね。これは防衛庁長官よりも外務大臣のお仕事だ。
  75. 河野洋平

    ○河野国務大臣 先ほどから繰り返し申し述べておりますように、閣議決定がございまして、その閣議決定の線に沿って外務大臣外務大臣としてその役割を果たす、防衛庁長官には防衛庁長官としてその閣議決定の線に沿って仕事をしていただく、これが閣議決定の意味でございましょう。  したがいまして、私はその閣議決定の線に沿ってこれから先努力をしてまいりたい、こう考えております。
  76. 上原康助

    ○上原委員 少しやらなければいかないのかなというお気持ちになったのかなと思いますので、これからの政府の対応を我々はよく関心を持ちながらまた努力をしていきたいと思います。  そこで、もう一つ、嘉手納RAPCON問題。  私は、きょうは伊藤先生のように優しく質問しようと思ったんだが、どうも頭にくることが多過ぎる、沖縄は。政府のやり方もそうなんだが、米軍もそう、けしからぬ。きょう、恐らくこの安保委員会でRAPCON問題を私が取り上げる、民主党が相当外務大臣関係者に申し入れをしてやっているからかもしらないんですが、RAPCON返還については、現状どういうふうになっているんですか、まず外務大臣。合同委員会に提起をして、日米間の事務レベルというかで協議をしていると私たちは理解をして、そういう報告も受けたんですが。一方、アメリカ側は難色を示しているといいますね。横田とか岩国とかあちこちあるので、嘉手納だけ返すわけにはいかぬとかなんとかけちをつけている向きもあるようだが。まず、現状はどうなるのか、日本政府としてはこの問題をどう解決しようとするのか、総括的なことをできるだけ簡潔にお願いします。
  77. 河野洋平

    ○河野国務大臣 総括的なことを簡潔にと言われても、なかなかそうはいかないわけでございますが。  沖縄におきますRAPCONの移管に関する日米間の協議について申し上げますれば、沖縄におきます進入管制業務につきましては、昭和四十七年の沖縄における航空交通管制に関する日米合同委員会合意におきまして、那覇空港と嘉手納飛行場が近接していることから、両飛行場周辺の空域における航空交通の安全を確保するため、単一の施設によって進入管制業務を行う必要があり、日本政府が進入管制業務を行うまで暫定的に米国政府が実施する旨、合意をされたわけであります。  沖縄におきます進入管制業務の移管問題につきましては、日米合同委員会のもとにございます民間航空分科委員会におきまして、過去七回にわたって協議が行われました。米側は、運用上の所要から移管は困難であるとの立場をとっております。  昨年十一月十八日の日米合同委員会におきまして、日本側より本件問題を初めて提起いたしまして、今後とも引き続き米側協議をしていくこととなりました。これは、昨年十一月までは民間航空分科委員会においてずっと協議をしてきたわけでございますが、昨年十一月になりまして、日米合同委員会におきましてもこの問題を提起したわけでございます。今後とも引き続き米側協議をしていくこととなっております。  また、本年一月二十一日、日米安全保障に関する審議官級協議、ミニSSCにおきまして日本側より本件を初めて取り上げまして、今後とも適切なチャネルにおいて引き続き議論をしていくということになったわけでございます。  さらに、もっといえば、一月二十六日の日米合同委員会におきましても改めて日本側より本件を取り上げたということでございます。
  78. 上原康助

    ○上原委員 米側は、移管は困難である、これはどのレベルが言っているんですか。米軍ですか、米国政府ですか。米軍政府もあれだが、米軍なのか大使館なのか、どっちなんですか。
  79. 河野洋平

    ○河野国務大臣 民間航空分科委員会で先ほど申し上げましたように七回にわたって協議をいたしました。その際にも移管は難しいということを言っておるわけでございますが、日米合同委員会におきましても本問題については米側は難色を示しているというふうに理解をしております。
  80. 上原康助

    ○上原委員 もうこれは沖縄返還当時ごろから、七二年の五・一五メモ以降、この論議はずっと続いているわけよね。私も何回かこの問題を取り上げた。暫定措置なんですよね。しかし、ここに来て日本側がこの管制業務の移管を要求してきたことに対してかなりガードを固めつつありますね。しかし、一説には、一部の報道には、オルブライト国務長官と河野外務大臣会談なさったときにはこの問題には理解を示して事務レベルというか専門レベルで協議することはゴーだ、オーケーだと言ったという報道もある。そこいらの事実関係はどうなんですか。
  81. 河野洋平

    ○河野国務大臣 私からオルブライト国務長官に対しまして、日米関係をいろいろと総攬する立場として、問題点幾つもある、例えばRAPCONのようなものについては問題解決に向かって努力をしてもらいたいということを発言いたしました。オルブライト長官からはその際に、明確に、わかったという御答弁ではございませんでしたけれども、この問題は事務当局で議論をさせましょう、こういうやりとりがございました。
  82. 上原康助

    ○上原委員 この程度のことと言ったら失礼ですが、これができないようでは、もう本当に県民の感情、去年の十一月のあの二十七時間に及ぶ大混乱、ついこの間また、テストだということで、通告もしないで、連絡もとらずに二時間以上やっている、管制業務が支障を来している。  また新聞をお出ししますが、見てください、これ、けさの新聞。「ラプコン返還に否定的 在沖米空軍司令官 嘉手納基地を公開」、やりながら、こんなこと、「米司令官が見解」、重く受けとめるをうまく受けとめたとさっき防衛庁長官言っておられて、本音かなと思って、そこまでは揚げ足はとりませんが、「うまく機能し満足」なんて書いてある。  事ほどさように、外務大臣、国会でこういうものが問題になりつつある、あるいはなっている。沖縄側も県を含めて、これは党派はないですよ、全く。  こんな、空も海も陸も、アメリカの植民地でもあるまいし、支配をされているということは日本の主権の問題、国家主権の問題なんですよ、ここは、皆さん。きょうは地位協定まで議論する時間がなくて残念ですが。何か少し外務大臣も腰が引けたような答弁になって、余計気になるんだがね。  どうですか、おやりになりますか。
  83. 河野洋平

    ○河野国務大臣 私が申し上げたかったのは、大変難しい問題だということを申し上げたかったわけです。大変難しい問題だけれども、我々は何とか解決すべく努力をいたしますということを申し上げたんです。
  84. 上原康助

    ○上原委員 そこで、細かいというか系列的にいろいろお尋ねしてみたいこともあるのですが、きょう運輸省に来ていただきましたので、今までの河野大臣とのやりとりを含めて、かつて運輸大臣をなさった方々、前総理の橋本運輸大臣とも、私はこの問題、いろいろやりとりをして、日本側の能力と受け入れ態勢はもうできている、米側がその気になればいつでも引き取る、引き受ける環境はできているということは、私の方にしばしば答弁があるのです。  この間、二階運輸大臣にも、どこだったか、私はこの点を尋ねたら、もう万端、準備は十分だと。赤坂宿舎、一緒で、時々私は食堂あたりで二階大臣にお会いする。上原さん、もっと外務大臣を激励してくれよ、外務省の腰が強ければ、この際日本の主権回復をやろうじゃないか、そういう言い方はしないが、まるっきり私が今言ったようなことじゃないけれども、いや、やはりそう言っている。運輸省としてはできると言っている。  運輸省は、この問題についてはどういうことをやり、今私が言ったように、日米外交ルートで合意されれば、能力的な面においても、技術面においても、機械機器の面においても、施設の面においても、十分那覇の航空管制部というふうに統一化することは可能だと私は見ているのですが、その点についての御見解を示してください。
  85. 岩村敬

    岩村政府参考人 運輸省といたしましては、既に嘉手納RAPCON空域、いわゆるRAPCON空域でございますが、ここにおきます進入管制業務を十分実施し得る能力及び技術を備えているというふうに考えております。  そういうことで、先ほど外務大臣からも御答弁がありましたが、これまで昭和五十八年以来、日米合同委員会民間航空分科委員会におきまして七回返還を求めてきたわけでございます。昨年十一月十八日の日米合同委員会で再びこの移管問題が取り上げられたということを我々承知しておりまして、運輸省といたしましては、我が方が能力と技術を備えていること、また民間航空機の効率的な運航、そういった面を確保したい面、そういうことを含めて、民間航空分科委員会におきまして、外務省ともよく連携をとりながら、この進入管制業務の返還について求め、話し合いを続けていきたいというふうに思っております。
  86. 上原康助

    ○上原委員 そこで、今お聞きのように、そういう実情であれば、在沖航空隊の司令官がこういうような記者会見をしてわざわざ日本の国政とか政府外交を拘束するようなことは、私はいささか越権じゃないかと思う。  これは民主主義だからいろいろあって言うでしょうが、少なくともこの問題は、運輸省の技術というか能力面においてはもう十分受け入れ態勢ができておる。そうであるなら、河野大臣、これは早目に結論を出して決着してください。  そのことと、もう一つ。  十分ぐらいオーバーしようかなと思うが、きょうはそうしません。時間どおりやめます。私も私なりの見識は持っているので。もうお昼の時間ですから。あと二分ありますから。  そこで、この間、伊藤さんや皆さんと民主党の安保外交で沖縄へ行って、いろいろ普天間基地の司令官も、ツースターと会ってきた。普通、ワンスターしか来ないけれども、准将しか来ないが、この間は二つ星が来ていろいろ言っていました。私は皮肉っぽくいろいろ質問もしましたが、そのことは言いません。  結果として言っていることは、要するに、私たちが沖縄にいるのは日米安保条約の取り決めがあるからだ、あなた方はわかるでしょうと。もう難しい話になるとみんなそうなんだよな、みんなそれで逃げる。地位協定があるでしょうと。  だが、海兵隊の縮小問題にしても、普天間移設の問題にしても、必ず普天間にある機能全体を一カ所に持っていかなければいかぬのかということを言ったら、便利だからそうしてもらいたいと言う。これは日米間で決めたからと。だが、日本政府アメリカ政府が別の形の取り決めをしたら、私たちはそれに従うというふうに言っている。それを尊重します、従うと。一にかかって日本外交姿勢が問題なんだということを結論として申し上げたい。  もう戦後五十五年もたって、憲法論議もするというのだから、皆さん、そろそろ日米安保条約のあり方とか地位協定とか、こういうことに日本の政治としてメスを入れるべきところは入れて、私は、アメリカ日本側議論を大いに持っていって——アメリカだっていろいろいますよ。ハトもタカも、ワシもいるだろうし、カエルもいるだろうし。そういうのもいるのだから、そこはもう少し考えていただいて、しっかりした外交をやってもらって、沖縄の問題を初め、日本外交課題安全保障の問題を、ネクスト総理やネクスト官房長官か知らぬけれども、お二人とも真剣にやっていただきたいことを強く求めて、何かコメントがあれば一言ずつ伺って、なければ終わります。
  87. 瓦力

    瓦国務大臣 御高説を承りまして、きょうはありがとうございました。
  88. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  89. 西村章三

    西村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十六分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  90. 西村章三

    西村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐藤茂樹君。
  91. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 公明党・改革クラブの佐藤茂樹でございます。  外務大臣、訪米、大変に御苦労さまでございました。朝からそのことに関連しての日米関係のいろいろな課題の御質問がありましたけれども、ちょっと目先を変えて、違う問題から先に聞かせていただいて、その後時間があれば日米関係課題につきましてお尋ねをさせていただきたいのです。  私が最初にお聞きしたいのは、四月の二十四日からですか、四週間、NPTの再検討会議もニューヨークで開催されるということもございますので、核軍縮に向けた我が国役割ということにつきまして、何点かお伺いをしたいわけでございます。日本政府として、昨年、CTBT、包括的核実験禁止条約の批准の否決がアメリカの上院で行われたわけでございますが、その後、大体、世界の情勢を見ても、極めてこの核軍縮への流れというのは、一言で言うと冷え込んでおるというか、そういう状況ではないのかな。  今現在、こんなことをあえてこの場で言う必要はありませんが、発効に必要な四十四カ国中、二十六カ国にとどまったままでしばらく時間がたっておるという、それを受けて、最近新聞でも話題になっておりますけれども、日本政府として、多分その状況を打開するためだと思うのですが、橋本前総理や高村前外務大臣、さらには山本政務次官等を、それぞれまだ批准をしていない国や、署名をしていない国に対して、特使として送り込まれておるわけでございます。そういう個々の状況、動きはわかるんですが、やはり私は、日本というのは、世界で唯一の被爆国でもございますし、やはり核軍縮に向けてリーダーシップも発揮していかなければいけないし、さらには、たとえどんな大国であろうとも、アメリカであろうとも、またロシアであろうとも、また中国であろうとも、日本の立場から言うべきことはきちっと言っていくということがこれから必要になるだろう。  そういう観点からぜひお伺いをしたいのは、日本が、そういう特使の派遣も含めて、どういう戦略と展望を持ってこれから核軍縮を進めようとされているのか、そのあたりについて、ちょっと大変大きなテーマでございますが、外務大臣にお尋ねをしたいと思います。
  92. 河野洋平

    ○河野国務大臣 ことしは核軍縮にとりまして非常に重要な年だと思います。今御指摘がございましたように、CTBTもそうですし、それからNPTの再検討会議もそうでございますし、また米ロ間の話し合いもぜひ進めていただかなければならない年だというふうに思っています。  昨年、実は大変ショックを受けましたのは、CTBTの批准をアメリカ議会が否決してしまったことでございまして、このことは、我々にとりましては大変な計算違いといいますか、当然これをアメリカがCTBTの批准をして、さらに他の国に働きかけてくれる、働きかけるための力になってくれる、こう思っておったところが、アメリカがああいう結果になりました。  私は、アメリカへ直ちに山本政務次官に行ってもらって、オルブライト長官とも話をしていただきましたけれども、アメリカにはアメリカの議会内のいろいろなやりとりがあって、まことに残念ながら批准に失敗した。しかし、アメリカ政府は、批准には失敗したけれども、CTBTのルールは守るということは明確に言っておられるわけです。そこで、それはせめてもの救いでございますから、そうしたアメリカの意向を踏まえて、高村前大臣を初め、各地へ行っていただきました。  今非常に難しい場面におりますのは、率直に言ってインドとパキスタンでございます。インドとパキスタンの二つの核保有国がどういう対応をするかということは、まず大きな問題だと思います。さらには、考えれば、イスラエルがどういう対応をとっていくか、それによってエジプトの対応も変わってくるわけでございますから、そうしたことをにらみながら、何としてもやはりCTBTをきちっとセットするということがまず一つ大事なことだと思っているわけです。  NPTは、ことしが見直しの年になりましたから、これもきちっとさらにやっていくというふうにして、一歩一歩前進をさせるということが大事だと思います。さらには、米ロの話し合いによりまして、START交渉というものが進んでいってほしいというふうに思っているわけです。  私としては、そうやって国際世論というものを固めながら、さらには国連におきます決議等につきましても、これについてもいろいろ意見がございますから、国連の決議なども整理をして、そうして実現可能な方向に一歩ずつ歩む。余りスタンドプレー的に、手を振りかざしてやるということでは、私は結果的には進まないと思います。現に核保有国があるわけですから、この核保有国の最終的な理解というものも取りつけながら核廃絶に向かわなきゃなりませんから、着実な、堅実な、そして説得力のある前進を一歩ずつしていく、そういう作業が必要ではないかと思っております。
  93. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私は、日本が今行っておることは、本当に日本の国が、例えば高村前大臣がエジプトに行かれるとか、さらには橋本総理がインドに行かれる、こういう形で、インドの外相はちょっとそういう用意があるのだというようなことも言われたような報道も承っておりますけれども、クリントン大統領が三月に行かれるようなところが一つの大きなポイントになるのかなと思うのです。そういう、我が国が一国の責任においてそれぞれの未批准国であるとか署名していない国に働きかけていくという説得工作というのは、私もこれからも支持をしたいと思うのですが、もう一つ、やはり日本として国際世論をどう高めていくのかということを考えていったときに、日本の立場というのは、確かに非常に難しいのかもわからないのですが、市民社会も含めて、さらには日本のように被爆国ではないけれども、そういう核廃絶に割と熱心な国々もあるわけで、そういうところも巻き込んで国際世論というものを高めていくような共同歩調をとれないのかな。  例えば、核抑止論なんかの戦略論と比べるともう全然違う次元の話になるのかもわかりませんが、対人地雷の禁止条約のときに、やはりそういう対人地雷の禁止に意欲的な政府と市民社会が共同歩調をとっていく運動の中で禁止条約が採択された、そういう流れもございました。  核の問題はそんな単純な問題じゃないと思うんですが、やはり、CTBTの批准促進を図るためのキャンペーンであるとか、また、国際的なネットワークに日本ももう少しきちっと中核となって入って、リーダーシップを発揮してやっていくようなことが可能になるんではないのかな。  私は、河野外務大臣が村山政権のときに一度外務大臣をされたときに、九四年でしたか、国連で初めてあの究極的核廃絶に向けての核軍縮決議を提出された、それから去年まで六回続いているわけですけれども、そういう意味でいうと、外務大臣としても、この問題に対しては非常に思い入れが強い外務大臣であられるなと私は認識しておるんです。  ただ、その国連の決議も、去年、これは外務委員会なんかでもちょっとやりとりがあったかと思うんですが、新アジェンダ連合なんかが出してきた決議案に対しては、日本は、いろいろ検討された結果、棄権もされたということもありまして、ああいう新アジェンダ連合なんかを一つの極とした、そういう世界でも核廃絶に向けて熱心な国々と日本は一線を画そうとされているのか。たまたまああいう、決議の内容をいろいろ精査した上であれについては棄権をされたんだと私は認識しているんです。  であるならば、やはりそういう国々とも連携をし、またNGOなんかで熱心なところはあります、いろいろ迫り方の差はあると思うんですが、アプローチの仕方の差はあるかと思うんですが、そういう国々も巻き込んで、本当に核廃絶に向けての、またCTBT批准という一点に絞った方がいいかと思うんです。そういうものを各国、未批准国やまだ署名をしていない国々に働きかけるような、そういう運動、キャンペーン、またネットワークというものを日本が中心となってやっていって、粘り強くそういう対話をしていくような、そういう国際世論を高めていく必要が、日本がもしその気になればできるのではないのかなと私は思うんですが、外務大臣所見を伺いたいと思います。
  94. 河野洋平

    ○河野国務大臣 佐藤議員の御提案、お考えに、私はおおむね賛成でございます。しかし、難しい問題も幾つかあると思います。  私は、NGOの力を相当高く評価するものです。NGOが動くということになるとやはり相当な力が出る。しかも、このNGOの方々は国境を越えて連帯をされますから、そういう意味で、NGOの動きというものは相当大きなものがあるというふうに思います。  ただ、他方、NGOというのは時に、これは時にですけれども、発言ととるべき責任とがなかなか一致しない場合があるわけです。発信力が大きい、発言力は大きいんですけれども、それに対する責任の所在というものは、NGOはなかなか明確でない場合が時にございます。そうしたことをどういうふうにしていくかということがあると思うんですね。  したがって、これは全く一般論を申し上げているわけですが、NGOの発言の中には、とかく物事を単純化して、そして激しく指摘をする、そういうことによって多くの人たちの気持ちを集めていく、それは一つのやり方でもあるんだと思いますけれども、そういうことが間々あるわけで、そのことは、つまり核問題というのは、それぞれの国にとってこれはまた大変にセンシティブな問題で、重要な問題でありますから、そうしたことが核政策というものにどういう影響を与えていくか。核軍縮にプラスの影響を与えていくということを我々は願っているわけですけれども、それが逆に、核戦略を担当する人間のガードを厚くしてしまうとか、そういうこともないではないという感じもするわけです。  それは同じように新アジェンダについても言えたわけで、私どもは、新アジェンダの思うところ、目指すところは、まあ私としてはいいんじゃないかと思っておりましたけれども、しかし、今の国際社会の中であの新アジェンダに合意をして、できるかというと、それはもうその瞬間に、恐らく核保有国との間には不信感ができてしまうというふうにも思って、そこで、随分あの新アジェンダをつくられた方々に修正もしてもらったり修文の提言をしたりしたこともあって、それなりに新アジェンダをおつくりになった方々も努力をされたことは事実です。しかし、残念ながら、まだ最後のところで、これでは大多数の合意は得られないだろうということで、私は最後に断念をしたわけです。  しかし、私の気持ちの中には、究極的核廃絶の決議案を出してから、今おっしゃるようにもうかなりの年数がたって、毎年毎年、それは少しずつ少しずつ、匍匐前進のようにじりじり進めてはいるつもりですけれども、どこかでやはり思い切った一歩、もう一歩踏み出すという場面があっていいのではないかという気持ちも私の心にはございまして、それは、決議文、決議案を出す、そのときになって考えるのではなくて、相当前広に仲間と相談をして、そして一歩でも半歩でも前進をするという作業をしたいものだというふうに思っているわけです。  今お尋ねをいただき、あるいはお励ましとも思いましたが、一生懸命、この問題はしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
  95. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そこで、もう一点、率直な疑問で、ぜひきょうお聞きしておきたいと思うのです。  過去にも諸先輩がこのことは聞かれたかもわかりませんが、CTBTの発効に向けての動きを、いかにも抜け穴がございますよというようにあらわしている、そういう実験がありまして、それは、米ロの未臨界核実験なんですね。アメリカが、日本時間の二月四日ですか、向こうで二月三日、ネバダ州の地下核実験場で九回目となる未臨界核実験を行った。その直後に、今度、ロシアの原子力省が正式に、今まで七回実施したことを明らかにしたというように、未臨界核実験については、どちらかというと特に米ロがほとんど何の制約もないかのようにずっとやっているわけですね。もちろんこれは、一般的な今の解釈では、CTBTでカバーされていない、そういうことを盾にとってしているかと思うんです。  それで、ずっと最近、その前後、その前も見ているんですが、広島や長崎という被爆された当地の方々また諸団体の方々は確かに抗議をしたり談話を発表されているんですが、ぜひ一度確認しておきたかったのは、そういうアメリカやロシアの未臨界核実験に対しての日本政府の対応というのは一体どうなっているのか、そこをぜひこの際、外務大臣の答弁として確認させていただきたいと思います。
  96. 河野洋平

    ○河野国務大臣 いわゆる未臨界核実験でございますが、御指摘のように、見方によってはこれは一種の核実験であって、CTBTの抜け穴ではないかという指摘もあると私は思います。CTBTがカバーしていない分野でございまして、これはCTBT違反ではないわけですけれども、CTBTで、みんなで全面的な核実験を禁止しようよというそのみんなの思いからすれば、あれっという部分があるぞと言われれば、私はややそういう感じはいたします。  そこで、本来からいえば、未臨界核実験についても、これはおかしい、これも禁止すべきであるということを言うのも一つの筋といえば筋でございます。しかし、先ほどから申し上げましたように、全体的な戦略、戦術を考えますと、そこまでふさいでしまうと全部の作業が壊れてしまう。だんだん今絞ってきて、最後のところで、言葉は悪いんですけれども、やっているのはあなただけですよ、それでいいと思いますかというところまで絞り込んでいくというのも、例は悪いんですけれども、そういう方法もあるじゃないかというふうにも思うわけでございます。  だからと言っているわけじゃありませんが、現在私どもは、アメリカの未臨界核実験に対して、やめろ、あるいはそういうのを禁止するということを言っていないのでございます。それは片手落ちではないかという御指摘はあるかと思いますけれども、まずは私どもは、アメリカにそのことをとやかく言うよりも、まずアメリカにCTBTの批准をさせるというところから始めた方が、CTBTの批准もしないでいるうちにこれもけしからぬぞと言ったら、こっちはもうまるでできなくなるというようなことがあってもどうかなという、若干作戦を考えてやっているわけで、佐藤議員のように、非常に純粋にこの問題をお考えの方から見れば、いささかどうかなというふうにおっしゃるのは、もうまことにごもっともだと思いますが、私どもにも少し戦略的な構想もあってそう言っているということをぜひ御理解いただきたい。  もう一点、先ほど私がインド、パキスタンについて、インド、パキスタンという核兵器国のところも問題だと申しましたけれども、国際社会としては、いまだインド、パキスタンを正確に核兵器国と認定しているわけではないという事実がありますので、誤解があるといけませんから、訂正をさせていただきます。
  97. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私が純粋かどうかは別にして、冒頭に申し上げましたように、日本というのは唯一の被爆国である、その世界どこを見渡しても唯一の被爆国がどういう核廃絶に向けての戦略を持っているのかというのを冒頭に聞いたんですが、はっきりしないわけですね。  今の外務大臣の御答弁でも、何とかわかってくれよ、そういうことを醸し出すような答弁だったかと思うんですが、その背景をわかっていただきたいというようなトーンの意味はよくわかるんですが、これからはそこをやはり明確に一つ一つしていくべきではないのかなと。  余りこんな神学論争みたいなことをやっておってもあれなので最後にしますが、NPTの場がそういう場になるのかどうかわかりませんが、今度のNPTの再検討会議の成否というのは、冒頭外務大臣も申し上げられたように、今後の核軍縮の行方に非常に重大な影響を与えるんであろうと私も思うわけですね。  五年前のNPTのときに、九六年中にCTBTを妥結しましょうということをその会議でやって、まさにそのとおり、九六年に妥結されておるわけで、当然このNPTの再検討会議の場でも、CTBTの今の批准されていない状況などをテーマにされるかと思うんです。  そのときに、二点、ちょっと難しいと言われるかもわかりませんが、ぜひお願いしたいのは、一つは、やはりCTBTの抜け穴でもある未臨界核実験、さらには、アメリカはもっとさらに進んだいろいろな研究をしていますね。例えば核爆発の初期状態をスーパーコンピューターで再現する、そういう技術開発に成功したなんというのも発表していますし、さらには、水爆の爆発の原理と同じ核融合をレーザーで実験するというような、そういう計画まで進めているというようなことも言われています。  一方でCTBTを議会で否認しておきながら、そっちの方についてはどんどん進めていく、そういう国を別に名指しする必要はないと思うんですが、そういうものも、実際にCTBTをどう補完していくんだということについてもぜひテーマにしていただければありがたいなと思うのと、もう一つは、アメリカの上院の否決の論拠の一つに、CTBTの査察検証が不十分ではないのか、そういう懸念もあったというように伺っているんです。  今現在、聞くところによりますと、CTBT機関準備委員会、事務局は暫定技術事務局というらしいんですけれども、それがCTBT条約実施のための国際監視制度を含む検証制度の整備を行っているというように承っているんですが、そこにやはり、日本がぜひ発言者となって、またリーダーシップを発揮して、CTBTの査察検証能力向上のために、例えば予算が足りないなら予算をきちっと負担し確保していくとか、そういうことをして査察検証能力というものを高めていくような、そういうことを加盟国に訴えていってはどうかなと思うのですが、外務大臣所見を伺いたいと思います。
  98. 河野洋平

    ○河野国務大臣 この手の話は、つまり決議をするあるいはグループをつくる、いろいろ作業がありますけれども、一番大事なことは、やはり今おっしゃったように、やらないと言ったら、やらないということがどう担保されるかということなんですね。つまり、それは査察がきちっとできるかどうかというところに問題があって、その査察をいかにうまくきちっとやるかというところに、被爆国日本とすれば力を入れろという御指摘は、私はそのとおりだと思います。  我々も、この部分については、地震予知を初めとして多少の技術を持っているわけでございますから、そうした技術的な協力、さらには経済的な支援とでもいいましょうか、そういったものについて積極的に考える必要があるというふうに思います。私は、議員のおっしゃるとおりだと思います。  前段の、新しい技術をどうやってフォローするか、新しい技術をどうやってつかまえるか、そういうことについても、当然、新技術のフォローアップを考えていかなければなりません。それについて、どういう方法があるのか、努力をしてみたいと思います。  先ほど答弁の中で、それは片手落ちじゃないかと言ったようでございまして、適当な表現でなかったことをおわびします。
  99. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 ぜひ外務大臣、今やりとりの中で、核軍縮についての大臣の思い入れの気持ちはよくわかりましたので、今後の努力に期待したいと思います。  そこで、あと時間が五分程度になりましたが、午前中の議論で重なる部分は割愛させていただきますけれども、今回、外務大臣も行かれたことによって、日米間の抱える個別課題というのがくっきりと浮き彫りになったと思うのですが、その中の一つの、いわゆる思いやり予算の件でございます。  午前中からいろいろございました。そこで、そのやりとりは割愛しまして、まず、防衛庁長官にお伺いしたいのは、コーエン長官と一月の五日に会われて、マスコミ報道ではどうなっているかというと、コーエン国防長官が経費負担の削減に難色を示したと。会話の内容は割愛します。これに対して、瓦防衛庁長官日本側削減方針に理解を求めた、そういう表現になっているわけです。  午前中の御答弁を聞いていると、どうも削減方針というところまで至っていないのかなという感触を受けるわけですね。むしろ見直しという表現がいいのかどうか、その辺も含めて、やはり、日本側が今どういうスタンスに立って、アメリカと今までも交渉し、またこれからも交渉していこうとしているのか。そこの部分を、もう簡潔で結構ですから、はっきりとさせていただきたいと思います。
  100. 瓦力

    瓦国務大臣 ホスト・ネーション・サポートについてでございますが、先般、ワシントンを訪ねました折に、コーエン長官との間でこの問題についても触れました。  といいますのは、今年、日米双方でいろいろ検討、研究をやっておかなければならぬときがあるからでございまして、そのときに、コーエン長官からは、一つは、ホスト・ネーション・サポートは、日米安保体制の象徴としての重要性を有しており、かかる観点から、これまでの支援のレベルを継続することが重要である、こういう点についてのお話がございました。  私から、我が国財政事情変化を踏まえる必要があるということ、それから、国民理解、タックスペイヤーの理解を得ることが必要であるということを申し上げて、こういう機会にホスト・ネーション・サポートというものを国民に正しく理解をしていただく、また御協力をいただくということが大事でございますので、そのことを申し述べさせていただきました。  私の発言の趣旨は、ただいま申し上げましたように、納税者の理解を得るように努力を行う必要があるという点にございまして、報道等にございますように、経費の負担額を削減すべきか否か、こういう問題につきましては、私は触れてはいないわけでございます。  いずれにいたしましても、厳しい財政事情にもございまして、ホスト・ネーション・サポートにつきましては、広く検討を行って国民理解を得ていく、そうしたものに資してまいりたい、こう願っておるところであります。
  101. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 要するに、削減という趣旨は向こうにはまともに伝えていないんだ、そういう御答弁だと承ったわけでございますが。  そうすると、今度の交渉の過程を通して、国民からもっとわかりやすいような、理解を得るようなところに、日米間の新たに話題にした目的があるんだ、そういうことですか。それとも、見直して減らすべきは減らすんだということも十分可能性はあるんだ、そういう趣旨でございますか。
  102. 瓦力

    瓦国務大臣 当然、これらの双方の話し合いを進めることによりまして、何が必要かということについてはよく検討をいただけるもの、そういったことを明確にしなければ、国民の、また納税者の理解を得ることはできないという趣旨で申し上げておりますので、頭からこれは削りますよ、そういう発言ではございません。
  103. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 実は、それで一つ一つお聞きしようと思ったのですが、要するに、日米安保の非常に重要な部分であるという理解を私は持っているのですが、それと、それに係る費用、コストの問題ですね、ここをどう国民の皆さんにわかっていただくのかという理論立てをきちっとやはり政府としてしないといけないだろう。  一つは、やはりいろいろな報道のされ方を見ると、七八年当時、アメリカが非常に財政難であった、それに対して、日本が何とかカバーするためにというようなことが言われているのです。それが時代が変わって、今アメリカは黒字になって、日本は大変な財政赤字じゃないかと。そういう時代が変わったのに、なぜそれで出していくんだ、こういうところがあります。しかし、そこの部分をどうきちっと理由立てするのかということが一つ。  もう一つは、これは余り議論になっていないのですが、ほかにも同じように駐留経費を払っている国があるわけですね、韓国とかドイツ。そういう国と比較して日本の今のこの負担のあり方というのはどうなんだということも、きちっとやはり客観的に出さないといけないだろう。  例えば、日本の場合、基地で働いている従業員に対して一〇〇%、従業員の給与については日本が負担している。ところが、韓国は四割しか負担していない。こういう問題について、どういう理由でそうなんだということもきちっとわかってもらわないといけない。  もう一つは、やはり、いろいろな非難がある中に、米軍基地の中のボウリング場であるとかゴルフ場の整備にまでこのホスト・ネーション・サポートが使われておるという実態があるじゃないか、そういう視点もございます。  そういう意味からいうと、やはり実態面でこの使途がどうなっているのか、使い道がどうなっているのかということを明らかにした上で、こういう使われ方をしているから必要なんですよということをきちっと言っていかないといけないんじゃないのか。また、それはアメリカに対しても、ここの部分についてはこういう使われ方はおかしいじゃないか、必要ないんじゃないか、そういう迫り方をしていかなければいけない。  私は、大きく三つぐらいは少なくとも考えてやっていかないといけないのかなと思うのですが、防衛庁長官所見を伺いたいと思います。
  104. 瓦力

    瓦国務大臣 佐藤委員お話しのとおりでございまして、国民理解を得る、そういうことが、こういう見直しの時期というのは常々必要だと思います。  それから、それぞれの国とのかかわりにおいて、また、財政事情等においても違う問題もありますし、加えて言えば、文化の違いといいますか、そういったものもあろうかと思います。そういったこともいろいろ議論、過程を経まして、国民にわかりやすいものであってほしいと願っておりますし、また、そうやって理解が得、協力が得られる、そういうものがホスト・ネーション・サポートの根底にあってほしいと考えておるわけでございまして、今これから始まってまいります日米間の協議に資してまいりたいと思っております。ありがとうございました。
  105. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今後もこの問題は大変大事なこの一年間の問題になると思いますので、我々も、いい知恵を出しながら、しっかりとした議論をさせていただきたいと思います。  以上で終わります。
  106. 西村章三

    西村委員長 次に、達増拓也君。
  107. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  私は、まず、我が国自衛隊のマンパワー、約二十五万人の自衛隊隊員一人一人のあり方、そういう国防の原点のところから質問をさせていただきたいと思います。  また、隊員募集、新しい隊員が入隊するシーズンになってきているわけでありますけれども、近年、若年人口の減少ということで、学校でも定員割れとかいろいろそういう問題が起こってきている、そういう中で、自衛隊隊員の募集の状況はどのようになっているのか伺いたいと思います。
  108. 依田智治

    ○依田政務次官 募集の実態の問題について、私の方から答えさせていただきます。  最近、自衛官の募集につきましては、やはり自衛隊に対する世論の理解が高まってきているというか、災害派遣とかPKOであるとか、そんなこと、それからまた、経済的な面もあって、今一般の就職状況が極めて厳しい状況にあるというようなことも反映しまして、募集対象人口、十八歳から二十六歳は減少する傾向にあるわけですが、応募者は非常に好調に推移している。  以前は、地方連絡部の諸君がお願いして歩いて、なかなか集まらなかったのが、今は、いやちょっと無理でしてなんというようなことで、むしろお断りするような状況になっております。  具体的に挙げますと、二等陸海空士、このあたり、去年、男で、平成十年度で五千百人を採用したのですが、その倍率は四・九倍というような状況でございます。
  109. 達増拓也

    達増委員 私も、地連の現場の声として、非常に倍率も高く、また、優秀でやる気のある人が集まってきている、高学歴の希望者もふえてきていて、例えば、我が党自由党の小沢一郎党首の息子さんの例はマスコミでも大きく取り上げましたけれども、そういうことは非常に心強いことだと思います。  また、高学歴ということでなくても、本当に普通の若者、私も地元で新入隊者を励ます会、自衛隊協力会等の団体がよくそういうのをやるわけでありますけれども、そこで、まだ高校の制服を身につけた新入隊予定者、本当にまだ何もわからなくてぼうっとしていたり、また逆に緊張でかたくなって所在なげにしているわけですけれども、それが入隊してすぐの訓練で、数週間の訓練でもうあっという間に見違えるようになってしまう。そういうのを見るにつけ、やはり国防の原点は人間なんだなということを感じます。  さて、人間には男と女、あるいは女と男、これは順番はどちらが先ということはないのでありますけれども、二種類ある。それで、女性の自衛官、最近どのようなふえ方をしているのか、あるいはまた、どのような責任ある部署についているのか、これを伺いたいと思います。  国全体として、男女共同参画ということを進めているわけであります。男女共同参画ということと国防ということが交差するその点において、個人が自己実現を図ろうとするとき、そこはさまざまな問題等もあると思うのですけれども、それをうまく克服することで、本当にやる気と能力のある人が所を得て自己実現していく、そういう意味で非常に重要な問題と思いますので、質問をいたします。
  110. 依田智治

    ○依田政務次官 半分以上は女性ですし、やはり女性のパワーというものも大変重要でございますので、防衛分野でもごく限られた、例えば、戦闘機のパイロットというようなところはまだアメリカ等でもそこまでは行っていませんが、我が国でも近年相当拡大してきておる状況がございます。  それで、婦人自衛官、平成元年度には、大体五千九百六十二人、二・四二%ぐらいだったのが、平成十年度では約九千人、三・八%というようなことになっていまして、年々ふえておるというような状況でございます。  ちょうど私が防衛庁におりました平成三年ごろにも、最後まで残っておりました自衛隊の幹部養成の防衛大学、これは賛否両論いろいろあったんですが、五百人の中おおむね三十五人程度採用して立派に勤務しておる。もちろん、お医者さんの方は昭和六十年代からやっておる、こんなような状況でございまして、現在最高まで行っている人は一佐、いわゆる昔で言うと大佐という位でございますが、七人ございまして、具体例を申し上げますと、P3C哨戒機のパイロット、それからC1、この間、東ティモールの難民の支援なんかに行ったC130等のああいう輸送機がありますが、このC1のパイロット。それから、お医者さんの中では割合活躍している人も多くありまして、自衛隊の病院長を務めている。それから、幕僚監部でも人事班長というようなのを務めておることがございまして、相当自衛隊の中でも婦人自衛官の活躍分野がふえておるという状況でございます。
  111. 達増拓也

    達増委員 御答弁いただいたような女性自衛官の活躍もあって、今度女性自衛官を主人公にした映画、「守ってあげたい」という映画が公開されるというふうに聞いております。菅野美穂さんという非常に人気のある女優さんが主人公で、そういう映画がつくられる。アメリカでこれもまた、デミ・ムーアという有名な女優さんが主役で「G・I・ジェーン」という女性軍人を主人公にした映画がつくられ、これもアメリカの社会的な状況、やはりそういう男女共同参画と国防というのが交差するところで、個人がいかに自己実現していくのか。アメリカの映画の場合は非常に国の内外で血を流しながら自己実現を図っていくすさまじい映画ではあったのですけれども、日本においても、日本独自の、もっと優しい、ソフトな感じではありますけれども、やはり社会としてそういう問題を真剣に考えていかなきゃならないということがそういう映画ができてくる背景になっていると思います。  さて次に、即応予備自衛官について伺います。新しく即応予備自衛官という制度ができまして、定員の充足を目指して各地で募集が続いているわけでありますけれども、現在その状況はどうなっているでしょうか。
  112. 依田智治

    ○依田政務次官 御承知のように、即応予備自衛官、新しい防衛計画の大綱が数年前にできまして、陸上自衛隊十八万体制を、合理化、効率化、コンパクト化という一環として、十六万体制にする、そのうち十四万五千は普通の常備自衛官、残りを即応予備自衛官ということにするということにしたわけでございます。従来の予備自衛官は、主として有事等の際に基地の警備とかをやる。しかし、この即応予備自衛官は、いざというときは戦闘の部隊に直接参加していただくということで、極めて重要なことでございます。  それで、これは今までの予備自衛官の場合には、卒業してすぐの人は年に一日だけ訓練する、その他は五日訓練すればいいということでしたから、割合やりやすかったわけでございますが、今度は法律で三十日は年間で通して訓練ということですから、企業主のいろいろ協力も大変得なきゃいかぬ。  こういうことで大変心配したのですが、このところの状況を見ますと、平成九年度六百九十六人、それから平成十年には二千四十八人ということで、ほぼ計画どおりに充足しておる。また、十一年度につきましては、第四師団、第六師団、第十三師団のほか、年度末に予定している第七師団の改編も行いまして、三千三百八十五人の確保が予定されておるということで、現在のところ順調でございますが、ただどうしても、先ほど申し上げましたように、通常勤務しておる者が年に三十日は抜けるということですので、企業主等に十分理解をいただいて、人員の確保というものを今後とも真剣に努力していく必要があるというような認識を持っておる次第でございます。
  113. 達増拓也

    達増委員 私は、シンガポールの日本大使館で働いていたことがあるのですけれども、シンガポールという国は成年男子が全員一たん軍役をやりまして、その後予備役に入って、もうすべての男子が年に一カ月は訓練をするということで、いわば国民が全員即応予備自衛官なわけであります。それで、相手側の、シンガポール外務省の日本を含む東アジアの担当局長もまだ若くて、一カ月予備役をやらなきゃならないということで、仕事をしていて、突然、来月から一カ月ちょっとジャングルの中で訓練しなきゃならないから、それまでに決めることを決めておこう、そういうことがシンガポールの場合、もう経済界であれ、あらゆる社会でそういう状況なわけでありますけれども、それが非常に自然に社会にも受け入れられて機能している。  国民全員が一カ月自衛隊で訓練ということは、我が国の場合は、そこまでは今必要ないと思うのですけれども、少なくともみずからそういうことを進んでやる人たちを社会として受け入れる、そういう社会の体制がきちんとできていることを望みたいと思います。幸い、非常に成功している例、雇用者側の方でも非常によく働いてくれているということで成功している例が非常に多いということを聞いておりますので、順調に定員充足していってほしいと思います。  さて次に、退職自衛官の再就職問題について伺います。  これは、防衛調達に関します一昨年の背任事件をきっかけに、昨年自衛隊法が改正されて、再就職のあり方の見直しということになったわけでありますけれども、当時自由党は、一部のそういう調達関係の背任事件関係を理由に、一般の自衛隊隊員、本当にまじめに自衛官、自衛隊の隊員として働いて、地道に再就職をしていこうという人たちの妨げになってはならないということを強く主張しておりました。  そこで、最近の退職自衛官の再就職状況、どのようになっているか伺いたいと思います。
  114. 依田智治

    ○依田政務次官 お答えする前に、先ほど本年度の即応予備を十三師団と言ったようでございますが、これは旅団化をやっておる、旅団でございます。ちょっと訂正をさせていただきます。  自衛官の再就職という問題、この間も予算委員会等で御質問がございました。国防のために一生をささげ、そして一般公務員よりも比較的若く退職する。例えば一佐以下の場合は五十六歳以下、もっと下の階級でもうちょっと早いというようなことでございまして、ちょうどそのころは、子供を育てるとか子供が学校へ行っておるとかいうようなことで、やはりいろいろ重要な時期ですので、我々としても、就職については大変に意を用いているところでございます。  そこで、援護協会というようなものも、労働省、運輸省等から職業紹介するための許可を得て、船員等の許可をする、そういう組織も持っておりますが、自衛隊の各級機関においてそれぞれ、民間に対するあっせんなり情報提供をやる。特に、情報提供するとしても、やはり自衛官の場合は、我が国防衛装備とかそういうものに対する運用の経験を持っているというのは自衛官だけでございます。それから、やはりそれぞれそういう関連の企業にしましても、防衛に関する知識の高い者が就職することによってやはりその社としても非常に役に立つというようなこともございまして、我々としては、そういうところを、この間の御指摘の、予算委員会でもあったんですが、割合その関連するところに多くは行っておりますが、国家として、できるだけそういう人材の活用ということで、大変重要ですので、意を用いておりまして、大体、就職を希望する者については、ほぼ全員就職を満たしておるというような状況でございます。  そして、特に任期制隊員とかそういう人たちは、勤務を通じていろいろ、運転免許証とか各種技能等を習得したり、それから、先ほど申しました援護協会等を通じまして、退職前にいろいろな技術を身につけさせて、民間企業その他でいろいろ有能に働けるように、そういう配意もしておりますので、大体今のところ、厳しい就職状況の中にありますが、何とか要望を満たしておる、こんな状況でございます。
  115. 達増拓也

    達増委員 この自衛隊の人的態勢の充実の問題については、瓦長官にもその所見、決意などをいただければと思いますが、いかがでしょうか。
  116. 瓦力

    瓦国務大臣 達増委員から、安保委員会ではなかなか出ない質問でございますが、自衛官の処遇でありますとかあるいは就職援護でありますとか婦人自衛官について今御質問をいただきました。  私も、実は前に長官を務めておりましたとき以降、WAFとかWAVESというような女性の分野が出てまいりまして、非常に活発、濶達に活動をしておられます。やはり男女平等の、機会均等の、そういう場が広がってきたなという感がいたします。  それから、今政務次官からお話しのように、それぞれ働く分野がおのずから違う分野もありますし、また開拓していかなきゃならぬ分野もあります。これらにも意を用いてまいりたいと思いますし、最後は、何といいましても就職援護の問題。やはり人生において、自衛隊に勤めて、仲間ができてよかったな、さらにそういう輪が、チームがこれから社会をつくり上げていくわけでございますので、そういった面にも努力をしてまいりたいと考えておるところであります。  きょうは、大変貴重な質問をありがとうございました。
  117. 達増拓也

    達増委員 西川政務次官にも伺いたいと思います。  隊員一人一人に親しく接する機会、さまざまな部隊訪問やあるいは各種の送迎等々、政務次官として親しく隊員に接する機会が多いと思いますけれども、そのようなことを通じまして、どういう印象等を持っていらっしゃるか伺いたいと思います。
  118. 西川太一郎

    西川政務次官 前段の質問で、採用された隊員諸君が実態としてはどのように働いているかということを含めてお尋ねであろうというふうに存じますので、お答えをしたいと思います。  私、西村眞悟政務次官の後を受けましてきょうで百四十八日目でございますが、いろいろな体験をこの間させていただきました。精強な自衛隊員諸君に接する機会、貴重な経験を多く持たせていただきました。  二、三の例を申し上げますと、先般、昨年の八月、トルコで起こりました大地震に際して、仮設住宅を急送しなければならぬ、ほとんど無寄港状態でトルコに赴かれた海上自衛隊の輸送艦隊が広島県の呉に帰ってまいりました。その出迎えと大臣の表彰を代読するためにその諸君にお会いしました。大変士気旺盛、責任感をしっかりと持たれた若い方々、そして、出迎えの奥さんやお子さんたちと和やかなお顔をしながらお会いになっている青年隊員のお姿、ほほ笑ましい、本当に立派な国民だというふうに感動いたしました。その後、江田島の幹部学校等に参りまして、いろいろな方々とお会いしましたが、同じようでありました。  また、東ティモールからの難民のために、国連難民高等弁務官事務所から四百トンを上回る支援物資を運ぶための航空自衛隊、スラバヤからクパンというところを往復するわけでありますけれども、これの任に当たられました愛知県の小牧基地から飛び立つ航空自衛隊輸送隊、その人たちをお送りしたり、また、内閣総理大臣とお会いになる席に陪席したり、いろいろしました。これもまた、責任感強い立派な方々だと思います。  それから、まだ童顔の残っている若い海上自衛隊員が南極観測船の「しらせ」の運航に携わる、そういう諸君の歓送会にも出て、お話を聞きました。  また、この間は、瓦長官のお供で日米防衛首脳会談アメリカに参りました帰りに、アナポリスの米軍海軍士官学校、またコロラドスプリングスの米軍空軍士官学校で若き自衛隊の諸君が教官として活躍されている。  そのほか、内局の諸君も、徹夜で毎日、大切な国を守る仕事をしている。  国防がいかに大事であるかということを心得た諸君が、厳しい自己規制と、そして一致団結をして、一朝任務を命じられた場合には敢然とそれを遂行する、こういう姿に日夜接しておりまして、頭の下がる思いでございます。  これからも、こういう経験をしっかりと踏まえて、私も、微力でございますけれども、防衛行政の一端を担うために一層努力をしていきたい。自衛隊諸君の活躍ぶりを見ながら、自分も励まされている感じであります。
  119. 達増拓也

    達増委員 ありがとうございました。  そういう二十五万の自衛隊員が、十全な自己実現を図りつつ任務を全うしていくために組織としてのあり方も考えなければならないわけですけれども、その一番の問題が、やはり防衛庁でいいのかという問題だと思います。庁から省にすべきではないのか。我々自由党は、国防省という名前がいいということで主張しているわけでありますけれども、防衛庁から省にする、その場合、士気の高揚等々さまざまなメリットがあると思うのですけれども、その点、西川政務次官、いかがでしょうか。
  120. 西川太一郎

    西川政務次官 この問題につきましては、先般瓦長官国務大臣が所信で表明をされましたように、大変重要な問題でございますが、せっかく御指名でございますので、私の考え方を申し上げることをお許しいただきたいと思っております。  本件は、御案内のとおり、行革会議の最終報告におきまして、政治の場で議論をすべき課題であるという仕分けをされていることは御承知のとおりでございますが、それはそれとして、もし省に昇格すればどういう意義があるのかと申しますと、まず第一に、国の最も枢要な役割であります、国の平和を守り、国民の生命、財産を守る、こういう立派な任務、しかも、同時にこれは、国際情勢を分析いたしましたり国内の諸条件を踏まえたりして、適正な防衛力を確保し、整備をしていかなければならないわけであります。いわば、国の安全保障をマネジメントしていく、こういう大事な役所が、行政組織の上で、防衛庁という、庁に、エージェンシーに位置づけられているということ、これを省にして主任の大臣を置き、国家としての基本政策を整えるということは大変重要ではないかというふうに思います。  二点目には、防衛庁長官は行政組織を主任する大臣ではないということになっておりますので、法律の制定、改正または自衛隊の重要な活動、派遣、こういうことに対しまする閣議の整理ができません。それから、予算の要求、執行、行政財産の取得を長官名で実施できないということも先生御存じだと思います。  また、省令、これは総理府令に今なっているわけです。これもみずから制定、改正することはできないわけでございまして、もし省に昇格をさせていただければ、国防を担当する大臣は、そのほかの各省の大臣の皆様方と同様に、主任の大臣として行為をすることができます。  なお、念のため申し上げておけば、そうであっても内閣の首相たる内閣総理大臣の権限には何も変わりはないわけでございます。  それともう一つは、先ほど来お尋ねのマンパワーに対してでありますが、特に士気の高揚に大変効果があるだろうというふうに思います。  いずれにいたしましても、防衛庁といたしましては、政治の場での決着を早くつけていただきたいと強く期待いたしているところでございます。
  121. 達増拓也

    達増委員 次に、東ティモール問題について質問をしたいと思います。  これは、一月に東ティモールを実際に視察した東総括政務次官に伺いたいと思います。  東ティモール、多数の住民が、これから国民になるわけでありますけれども、選挙という民主的な手続を通じて一つの国をつくろうとしたのに対し、少数派が武器をとることによってそれを妨げ、混乱を引き起こした。その中で、非常にむごたらしいことも起こり、例えば強姦事件も発生したと聞いております。それは、特にクリスチャンの少女、ポルトガル領だったわけでありますからキリスト教徒がいるわけですけれども、特にまじめに熱心に教会に行っている、そのことで少女が強姦されてしまう。  もともと、そういう、強姦を防ぐ、強姦から守る、国防の一つの原点としてあるわけでありますが、集団安全保障体制、国際的な安全保障の中で、そういうことが起こってはならない、そういうことを二度と起こさない、防ごうということで、今、国連多国籍軍から暫定統治機構へと移行しているわけでありますけれども、実際現地を視察しての印象もあわせ、これから政府としてどのように取り組んでいくか、伺いたいと思います。
  122. 東祥三

    ○東政務次官 達増委員にお答えいたします。  一月の十二日から十四日にわたりまして、今御指摘になりましたとおり、東ティモールに、この目で現場を視察させていただくという趣旨のもと、また、それを踏まえた上で、今後日本としてできるだけの支援をしていくための一つの物の見方といいますか、それを整理するために行かせていただきました。  御指摘になりましたとおり、八月三十日に東ティモールの住民の方々が住民投票を行い、そして九月四日に独立をしていくという圧倒的多数の決がなされた。それを踏まえた上で、インドネシアが最終的な決断をしという、その経緯についてはここでは省かせていただきますが、種々の混乱があり、また御指摘のような、人道的な視点から見たとしてもあってはならないことが起き、大変な状況になっていた。  その状況が、一般論として申し上げれば、私たちが行ったときに、想像する以上に治安が回復されているということに大変強い印象を持ちました。多国籍軍が展開されて、そしてその騒乱状況というものが日に日に鎮静化していった、そういう状況をこの目で見させていただきました。  行ったところは、ディリという首都でございますが、それのみならず、約五十キロぐらい東の方に離れている地方都市にも行かせていただきました。治安は回復されつつあるんですが、現実には多くの家々が完全に焼かれている。倒壊しているというよりも、中にあるものがすべて焼かれていて、家の骨組みだけが残っている、そういう状況でございました。いわゆるライフライン、電気あるいは水道その他の、そういうライフラインにかかわるものがほとんど機能していない、そういう状況でございました。  他方、もう一つ大きな印象を受けたのは、こういう、国際社会にとってある意味で初めてのゼロからの国づくりでございます。そういう意味で、国連のみならず、多数の、世界各国からのNGOが参加されております。  そういう状況を住民の立場から見ますと、当然、これだけ多くの国際社会が自国のためにたくさん来てくださっている、それが目に見える具体的な形でいつ成果としてあらわれるのかという不満が募っていることも事実でございまして、UNTAETの代表並びに地元住民の代表の方々とお話をさせていただいたとき、住民のそういった不満が募ってくることに対して、大変心配しているという表明がなされていたのが印象的でございました。  そういう意味からすると、治安が回復され、今後の身の回りの生活の状況が目に見える形で、我々、クイックインパクトプロジェクトというふうに申し上げておりますけれども、そういうものが早いうちに目に見える形で出てくることが極めて重要なことなんだろうというふうに私たちとして思っております。  今日まで、日本政府として、人的な貢献、物的な貢献、あるいはまた財政的な貢献をさせていただきました。また、今後ともそういうことを踏まえた上で、とりわけ昨年の十二月の十七日、世界三十カ国、また国際機関二十機関が集まりました、日本政府が主催させていただきました東ティモール東京支援会合というものを東京で行いました。  そのときにも、五億二千万ドル強の世界各国からの支援クレジットが出されました。日本としては、向こう三年間、約一億ドルにわたりまして拠出をしていく、そういう約束をさせていただいております。それはただ単に言葉だけではなくて、それを具体化させていくことが今極めて重要なことなんだろうというふうに思っております。  既に、現在約四十六名前後の専門家を東ティモールに派遣させていただいて、社会インフラ部門、その他の分野において、国民の生活にどういうものが具体的に役立っていくのかということを実地調査させていただいておりますので、そういうことを着実にやっていくことが大事なんだろうというふうに思っています。いずれにいたしましても、できる限りのことを日本政府として行っていきたい。  ただ、最後に申し上げておきますが、世界各国が東ティモールの国づくりに大変な関心を持たれている反面、余り国際社会がすべて主導権を握ってやっていくとなれば、それは本質的な国づくりの担い者である東ティモールの人々の自助努力というものをそぐことになりますから、あくまでも東ティモールの人々が主体的な形で国づくりに励めるように、側面的な形でもって支援していくことが大事なんだろうというふうに思っております。以上です。
  123. 達増拓也

    達増委員 平和、民主主義、そして人の命、個人の尊厳というものに対して日本がどう取り組んでいくのかが問われているのだろうと思います。  自由党は、今の国際平和協力法という日本の国内法が、日本が十全な行動をとる、国の果たす責任というものに対して不備であると考えて、国連平和協力法というものを提案しているわけでありますけれども、その点については、今後の議論の中でまた取り扱っていきたいと思います。  時間ですので、質問を終わります。ありがとうございました。
  124. 西村章三

    西村委員長 東中光雄君。
  125. 東中光雄

    ○東中委員 河野外務大臣は、二十二日の本委員会の所信表明で、さきの訪米の際にも、米側と、沖縄の問題につき緊密に話し合ってまいりました、今後とも沖縄県の方々が我が国全体の平和と安全のために背負っておられる多大な御負担を少しでも軽減するために、誠心誠意努力してまいりますというお話をいただいたのです。  さきの外相の訪米では、十八日にクリントン大統領との会談で、九州・沖縄サミット成功に向けた両国間の協力を確認し、その際、クリントン大統領より、日米関係が東北アジアの安定の基盤を提供していることを示すよい機会である、また、沖縄県民の気持ちに敏感でいたい旨の発言があったというふうに、文書にこうやって書かれています。  私たちは、今度のサミットは、二十世紀最後のサミットが沖縄で行われるということですから、沖縄の抱えている基地問題を世界の人々に知っていただくよい機会ではないか、ぜひこれを知ってもらうようにする必要があるというふうに思っています。  沖縄は、一九四五年に第二次世界大戦が終結して以後、半世紀にわたって、米軍基地の島というふうに言っていいような状態であります。そこで、私たちは、サミット参加各国の首脳を初め、沖縄に関心を寄せるすべての人々にあてて、「沖縄の米軍基地問題を世界に訴えます」という文書を、日本文のももちろんありますが、この間、二月十六日に発表いたしまして、サミット参加国、それからアジア諸国、及びそれ以外の米軍基地を持っている諸国、計三十六カ国の在日大使館などに文書を配りました。そのほか、郵送したものもあります。ぜひ、この沖縄の実態を訴えて、そして沖縄県民の願いが実現できるような方向、そこへ向けていきたいと思っています。  この文書につきましては、外務大臣にお渡ししておりますが、沖縄の基地の本当に異常な状態、世界に例を見ないような、沖縄県民に不当な、国際法上も問題がある、あるいは基地としても異常だ、こういう内容について訴えは書いておりますが、外務大臣の、この文書の内容について、ひとつそれを訴えて、サミットでぜひその内容を明らかにしたらどうかということについてお考えを承りたい、こう思います。
  126. 河野洋平

    ○河野国務大臣 私は、昨年暮れ、それからことしの一月、そして先日と、G8サミットに参加をされる国々の外相、そして、サミットに参加をされる各国の首脳、これはすべてではありませんけれども、可能な限り首脳の方々にもお目にかかりまして、今回のサミットは沖縄で開きます、沖縄というのはこういうところですということの御説明をある程度してまいりました。  お目にかかって申し上げたのは、今度の沖縄サミットではどういうことについてひとつ議論を闘わせていただくか、議論を交換していただこうと思っているか、あるいはどういう議論をすることがいいか、そういった、まず議論の非常にラフな考え方の意見の交換というものが主たる目的でございます。  しかし、それは当然沖縄という場所でいたしますと言えば、沖縄に行ったことがあるとおっしゃる方は、少なくとも私がお目にかかった首脳の中では、フランスのシラク大統領だけは、私は沖縄に行ったことがあります、知っています、いいところでしたと、まあシラクさんは言われました。それ以外の首脳は、沖縄、ああそうですかということで、沖縄に対する知識というものは、それは当然だと思いますけれども、これから勉強されるのだろうと思いますが、現実に行ってきましたという方は一人しかおられなったわけでございます。  他のお目にかかりました首脳の方々には、沖縄の歴史について若干私が御説明も申し上げましたし、現在沖縄がどういう状況にあるかということについても若干申し上げてまいりました。そして、沖縄におきますサミットで、首脳の皆さんに、一体どういう話をしていただくことが一番G8サミットとして適切かということについての御意見も伺ってきたわけでございます。  先般、アメリカの大統領にもお目にかかりましたときに、大統領は、自分は沖縄で開かれるサミットに参加することを楽しみにしておるということを言われまして、御自分から、沖縄県民の感情というものを私は理解しているつもりだ、沖縄県民の気持ちは大事にしたいと思っていますという意味のことを、一字一句正確ではありませんが、そういう意味のことを言われたということだけ御報告申し上げます。
  127. 東中光雄

    ○東中委員 そういう経過はそうなんですが、クリントン大統領も、沖縄県民の気持ちに敏感でいたい旨の発言があったという、外務省からもらった文書に要約として書いてありました。  それから、今、沖縄についてほとんど知られていないということであります。行ったというのはシラクさんだけだということですけれども、沖縄が基地の島と言われるぐらいの異常な状態、だって、世界じゅうに例がありませんものね。あんな小さいところで、全島の十何%ですかが基地になっているとか、それから、市によっては住民の住んでいるところがほんの隅っこに追いやられて、嘉手納みたいに全部基地になっているとか、しかもその基地を取り上げていった経緯というのは、明らかにハーグ陸戦規約に違反をしてやった、それがまだそのまま続いている。しかも、そこにおる米軍が遠征軍だ。そのほかに、基地被害の状態から見ましても、私たちそれを詳細にこの文書に書いたわけでありますけれども、今度サミットを沖縄でやられるんですから、そういう実態をぜひ明らかにすべきじゃないか。それでこそクリントン大統領が言われているという、沖縄県民の気持ちに敏感でありたいというように外務大臣の方で言われておる、そういう内容になるんではなかろうか。そんなことは聞かないというんでは、それは話にならないというふうに思うんです。  それで、沖縄県が県民を対象に実施した意向調査がありますが、サミットに当たって世界に最も訴えたいことはという質問への回答の第一位は、群を抜いて米軍基地問題四四・六%、第二位は県民の平和を愛する心三三・二%、こうなっているんですね。  それで、この間二十一日の稲嶺知事の記者会見でも、沖縄の現状を世界のマスコミに報道してもらい、国民には沖縄の過重負担について考えてほしい、そういう訴えをしたいということを言われていますね。これは、だから、沖縄の実情を知る、沖縄の県民の気持ちに敏感でいたいと言うんだったら基地問題を除いてあり得ないんだ。県民もそう言うているんですから。  これは日本外務大臣として、沖縄を紹介するんだったら、こういう実情ですと、これは解決つけないかぬのだということで、所信で言われました、平和と安全のために沖縄県民が背負っておられる多大な御負担を少しでも軽減すると言うんだったら、まずここからやるべきじゃないかということを思いますので、このことを強く要請しておきたいと思うんです。何をやるかということの相談もそれはいいですけれども、まず沖縄でやることについて、沖縄の県民の基地問題についての関心が非常に強いわけですから、平和の心を訴えて、ここで解決する方向をぜひやっていただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。  それで、沖縄基地問題の焦点になっているのが普天間基地問題であります。これのいわゆる移転問題ですが、外務大臣の訪米の際の報告概要のペーパーを見ますと、訪米に際して、普天間の代替施設の軍民共用問題について話し合ったこと、それからまたHNS、ホスト・ネーション・サポート思いやり負担や進入管制業務の返還について米側と話し合ったということが書かれております。しかし、普天間代替施設について沖縄県知事が要求し、また名護の市長も要求している十五年使用期限問題については、この概要を見た範囲では何も書かれておりません。  しかし、この問題は非常に重要な、沖縄の問題の、特に普天間移転問題についていえば、期限を十五年にする、だからそれでいいかどうかということについては意見が違います、私たちは沖縄での移転に反対だけれども、とにかく知事も市長もこの基地容認について十五年期限ということをつけているわけですから、それについてなぜ言われないのか。この点は外務大臣防衛庁長官も、訪米のときに普天間基地移転問題について話しながら、十五年問題、期限問題について言われていないのはどうしてなんだ。外務大臣防衛庁長官にお伺いしたい。
  128. 河野洋平

    ○河野国務大臣 施設の期限の問題につきましては、知事、市長から大変な御決断があって、我々はその御決断に心から敬意を表し、この結論をお受け取りしたわけです。  その際に、小渕内閣としては、この決断は大変な決断だ、知事の御苦労、市長の御苦労、それにも増して県民、市民の皆様方の心中を考えれば大変重い決断だと思う、そこで、この決断について小渕内閣としてこれを重く受けとめなければいかぬ、そして、閣議決定をきちっとしてそれから作業を始めるわけだけれども、作業を始めるに当たっては国際情勢その他なかなか厳しい問題もあるから、これは簡単な話ではない、私どもはそう考えて、これをまず重く受けとめ閣議決定をし、閣僚はそれぞれその閣議決定に従って、それぞれのカウンターパートにそれぞれの分野で作業をしよう、閣議決定に沿って作業をしよう、こういうふうに考えているわけです。  したがって、私はオルブライト長官とお目にかかってお話をするときには、こういう経過、こういう状況でこういう閣議決定になりましたということを取り上げて御説明をするし、防衛庁長官防衛庁長官で、これまたカウンターパートのコーエン長官とのお話し合いに臨まれるという、少なくとも今の状況はそういう状況にあるということでございます。  先生のところにお届けをした、あるいは先生がどこからか入手された私の訪米の際のブリーフィングについて、おまえのところにはいろいろ書いてあるけれども十五年という数字は書いてないじゃないか、こうあるいは御疑問をお持ちかもしれませんが、それらはいずれも閣議決定の部分の中に入っているわけでございまして、私どもとしてはそうしたことをお伝えしているわけでございます。
  129. 瓦力

    瓦国務大臣 東中先生にお答えをいたします。  私、この一月四日に訪米をいたしまして、カウンターパートでございますコーエン長官とお目にかかり、また、日米間の間断なき対話というものが安保体制を堅持する上で必要と心得ておるものですから、幾つかの問題につきまして話し合いをいたしました。  そのうち、今東中先生からお尋ねのいわゆる使用期限の問題について話をしたかということでございます。たびたび委員会でその報告もいたしておるわけでございますが、改めていたしますと、今外務大臣もお述べになりましたが、昨年十二月二十八日に閣議決定を見ておりますので、この閣議決定に基づきました沖縄の課題というものを私から説明させていただいたわけでございます。  なお、稲嶺沖縄県知事が十五年の使用期間を強く主張されましたことを重く受けとめている一方、将来の国際情勢の推移を予測することは極めて困難でございますから、このことは、使用期間の問題を考える場合に勘案しなければならないことも十分承知をしておる。いずれにしろ、日米安保共同宣言に従いまして、国際情勢の変化に対応して日米間で協議してまいりたい、こういう旨を申し上げたところでございます。  これに対しましてコーエン長官より、九六年の日米安保共同宣言を念頭に置きつつ、日米両国政府は、国際安全保障環境変化に対応して、両国政府の必要性を最もよく満たすような防衛政策並びに日本における米軍の兵力構成を含む軍事態勢について緊密に協議を続けるべき旨御発言があったところでございます。  かように、経緯につきまして、ワシントンに参りました折には提起をさせていただきました。
  130. 東中光雄

    ○東中委員 それが両大臣とも全くおかしいですよ。閣議決定に従ってと、あるいは閣議決定を説明したといって、外務省からいただいた概略にはそう書いてあるんです。ほかのことでは、例えば軍民共用とか、その問題として書いてあるわけですね。ホスト・ネーション・サポートの問題にしても、その問題として書いてあるわけです。ところが、この期限問題については言わないんだよ。大体、閣議決定自身が、この文章によりますと「使用期限問題」と書いてあるけれども、十五年という言葉はどこにも出てこないですね。そして「沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、」と、あなたは、向こうに行ったら、重く受けとめておるということをアメリカ側に言うたと。もう実際その期限について触れていないんじゃないですか。  名護の市長の受諾声明の全文が報道されています。普天間飛行場返還に伴う代替基地受け入れのための基本条件の中にはっきりと「当該施設使用期限については、基地の整理・縮小を求める観点から、」理由まではっきり言うているんですね、「十五年の使用について具体的な取り組みを行うものとする」と。これは七条件のうちの前提の一つですが、もしこのような前提が確実に実施されるための明確で具体的な方策が明らかにされなければ、私は移設容認を撤回することを市民の皆様に約束し、そして容認の意思を表明する、こういうことです。だから、この十五年ということを確実に実施していくために明確な具体的方策を出せと。  ところが、具体的な方策は出さぬどころか、この閣議決定を見たら、要求を重く受けとめという。全然おかしいじゃないですか。何でそんなにへっぴり腰になるのか。こういう公約を掲げて出て、実際そのことについて話をしに行きながら、向こうに対して、十五年ということでなきゃいかぬのだということを、では十五年じゃだめなんだ、四十年にせいとか向こうは言うかもしれないし言わないかもしれない、しかし言わにゃいかぬ。それを言わないのは、私は、理由があるんじゃないかと思うんです。  あのSACOの最終報告書が出たのは九六年の十二月二日でありますけれども、その前の九六年の十一月二十日までに普天間代替施設についてのいろいろ協議をやっていますが、耐用年数は四十年以上とすることを前提条件として日米間で確認したということがこの海上施設に係る技術検討評価報告書、平成八年十一月付で技術支援グループ、TSGから普天間飛行場代替ヘリポート検討のための特別作業班、SWGF日本側共同議長あてに出した文書の中にはっきり書いてあるわけです。四十年以上を前提にするということを日米間では確認をしている。このSWGFで確認をして、それでやってきたわけですね。そういう経過があるから、そのことを今さら十五年と言えない。そうでないんだったら何で言わぬのか。それが通らなかったら撤回するということまで現場の市長が言うているのに、十五年ということさえも言わないということになっておる。  こんなもの知らぬとか公表していないとか言いましたけれども、これは指定前秘密ということで、それで現に出されて、我々の手にも入っておる。一般に出ているわけですよ。指定前秘密だから、秘密でなくなっているんです。今改めて明らかにする問題じゃないんですよ。これを公表せいと言っているんじゃないんです。秘密文書を明らかにせいと言っているんじゃないんです。秘密でないということで、指定前秘密なんで指定になったら秘密じゃないから、現に沖縄県庁にもあるし我々の手にも入っておるし、そうなっている問題を、その中身については米軍運用に関することだからそれは信義上言えない、こんな防衛庁の姿勢というのは、それはもう全く、甚だしく異常だ、何をそんなに心配しているのかということであります。  それからもう一つ、外務省の関係では、昨年の暮れに参議院で、笠井議員外務大臣に聞きました。あのとき北米局長は、九七年十一月二十九日付で出された米国防省の沖縄海兵隊普天間航空基地移設のための運用条件と運用構想という文書の中に、この基地施設運用年数は四十年、耐用年数は二百年であるべきであるとしていると。これは、アメリカ側のそういう文書があるということは外務省も認めておるわけです。認めておるけれども、外務大臣は、それは公式の発言じゃないからコメントしないというようなことを答弁されていますね。私、会議録を見てきました。この文書ですよ。これが出されているわけですからね。アメリカ側は内部でこういう文書をつくっている、アメリカ側の意図はそうだということはそういうふうに解釈できるということで、沖縄県では基地対室でそういう資料もつくって出していますよ。オープンになっておるわけです。ところが、それは公式のものじゃないから、向こうの内部文書だから、だからそれには触れませんと。向こうが内部文書でそういうことを言うているから、そういうものなんだから、だからこそ余計、十五年ということを言わにゃいかぬのですよ。ところが、もう向こうの意向をそんたくし、十五年といったって、それはなかなか受けてくれぬやろうと思うてもう出さない、これが今の姿勢ですよ。だって、これ両方とも否定するんでしょう、あなた方は内容を。出ているんだもの、我々の手にも入っておるし、何も秘密だとどこにも書いていない。そういうことで、相手方の意向と違うことだったら言わぬ、こんな姿勢はだめです。  だから、そのことを認めるか認めぬよりも、これは証拠物だから、その時点でこういう検討評価報告書が出されたことはもう事実なんだから。そこに書いてあることも、まさかTSGがSWGFに出したこの報告書の中でうそのことを書くはずがないのですから。こういう前提でやりましたと言って、長いものですからね。  そういうことでは僕はいかぬと思うので、ちゃんと、十五年の期限でどうなんだということを言うべきです。その点どうですか。やはり言いませんか。
  131. 河野洋平

    ○河野国務大臣 東中先生に二つ申し上げたいと思います。  一つは、これは若干私が申し上げるのはどうかと思いますが、先生がそこでお持ちのSWGFの文書、書類でございますが、その書類は、平成八年十一月のものですね。現在、基地問題、つまり普天間の基地移転については、その平成八年十一月ごろの計画、その当時計画をされたものと今これから計画をしようと思っているものと、必ずしも同じものではないかもしれませんね。当時は、これを見ると、水面の上に基地をつくろうというような計画があって、そしてそれについていろいろと研究をされた。今はもちろん選択肢は大変幅は広いんですよ。選択肢は幅が広いのですが、この当時に比べれば、さらに選択肢は広くなっているわけです。  したがって、この資料一つをとって、おまえここにこう書いてあるじゃないか、こう書いてあるじゃないか、おまえの言っているのは違うじゃないかと、この一つだけで余りお責めにならないようにお願いをしたいというのが第一点でございます。  それから二つ目は、先ほど私の答弁が不完全でございまして、閣議決定を向こうへ伝えたということを申したわけですが、私も、自分で言っておきながらこれはまことに申しわけございませんが、私が今般の訪米でこの問題についてより多く話をしたのは、バーガーというホワイトハウスの安全保障補佐官、それとオルブライト国務長官、二人にこの話をしたわけです。  バーガーと話をした際には、私から明らかに、ここにございますメモを見ますと、閣議決定においては住民生活や自然環境への特別な配慮あるいは地元の振興云々と、いろいろ考えて、さらに、稲嶺沖縄県知事及び岸本名護市長からの十五年の使用期限の要請も受けておりますということを言っておるわけでございます。  おまえはへっぴり腰で何も言わぬじゃないかとおしかりをいただきましたけれども、十五年という年限について取り上げているということは事実でございますから、その点は、ぜひ誤解のないようにお願いを申し上げたいと存じます。
  132. 東中光雄

    ○東中委員 私は何も誤解しているわけじゃなくて、要するに、そういう容認の条件だという七条件が入れられなきゃ撤回するぞとまで市長が言っているのに、何でその十五年というのを言わないのか。そういう意向だと重く受けとめているというようなことじゃなくて、十五年でなきゃだめですよということをアメリカ側へなぜ言わぬのかということを私は言っているわけです。それは条件が変わっている。変わっているなら言えばいいじゃないですか。前は四十年と言ったけれども。しかも、四十年以上の耐用年数です。ところが、米軍の内部文書では、四十年の運用と、それから二百年の耐用年数なんです。だから、二百年の耐用年数というのは、四十年以上の耐用年数の中に入りますね。そういう格好になっているんですよ。  だから、そういう形で問題が対立しておるときにそれを言わないということになったら、しかし容認したんだということだけでいくと、これは県民に対するある意味の背任。だから、四十年でいいかどうか、向こうはそれはだめだと言うんだったら、だめだ、それではだめですということにならなきゃいかぬのに、重く受けとめておるということを言ったというふうに書いてありますから、それではだめだとはっきりと言って、そして、それが通らぬようなことだったら撤回するとまで市長が言っているということを私は改めて申し上げておいて、質問時間をオーバーして済みません、終わります。
  133. 西村章三

    西村委員長 辻元清美君。
  134. 辻元清美

    辻元委員 私は、きょうの委員会で一番多くの委員が取り上げております沖縄の普天間の基地移転問題について、私も取り上げたいと思います。  防衛庁長官外務大臣がたびたび、沖縄の皆さんの気持ちを重く受けとめているというような御発言がありました。私は、この重く受けとめるというのはどういうふうに受けとめているか、そして、重く受けとめるということは、どういう行動をされているかということが重く受けとめているということの中身だと思います。幾ら文献を読んで沖縄の歴史を学ぼうが、戦争の歴史を学ぼうが、現状の沖縄の皆さんがどういう意見を持っているかということをどれだけキャッチして、その内容をどういうふうに理解しているかということは、すごく大事だと思います。  さて、その中で、今問題になっています辺野古地区ですね。ここは、人口が千五百人、とても小さな町ですね。四百三十世帯ほどの小さな町でした。地区の七割は既に基地と弾薬庫で占められているという地域です。私もここに行ったことがあります。友人もおります。  こういう中で、一月末にこういう事件が起こっています。地区の取りまとめ役の男性、四十六歳の方なんですけれども、薬物を飲んで病院に運ばれた。今、この地域、小さな町が、賛成派、反対派に分かれまして、住民投票をして以降、親戚同士でも二つに分かれて、口もきかないというような状況の中で、何とか昔の村、町に戻していこうということで、取りまとめ役の方が御苦労なさっているわけですね。反対、受け入れ両派から期待されていた。  ところが、取りまとめ役のこの男性は、どうして辺野古に決まったのか、候補は何なのか、すべてが不透明で、地元では全く判断がつかないし、賛否両論ある中で、何をどう取りまとめればいいのかということを苦慮して薬を飲んだと言われている事件が現在起こっているわけですね。  まず防衛庁長官にお聞きしたいんですが、こういうような事件が起こっているということを御存じでしょうか。このほかにも多々ありますけれども、いかがでしょうか。これは重く受けとめていらっしゃるということの中身になるかと思います。
  135. 瓦力

    瓦国務大臣 辻元委員からの御質問でございますが、そうした事実がございましたことは承知をいたしております。いわゆるキャンプ・シュワブ、辺野古周辺は、今委員も御指摘のように、大変苦労もされたことであろうと思います。  長い歴史をたどりましても、沖縄は、戦後といいますか、戦中もそうでございますが、格別厳しい歴史を繰り返してまいりました。その後、二十七年間、施政権下にあったわけでございますし、加えて、その後の二十七年の間も、実は米軍の跡というものは相当色濃く残っておるわけでございますから、私どもで想像できない苦労もあっただろう、こういうぐあいに考えます。  そういう中で、私どもは、こういう悩みでありますとか苦しみというものを少しでも除去していくことが大事でありますから、SACOの方針というものを大切にして消化をしていくということが一つございます。  そういう中で、普天間の解決ということにつながるわけでございますが、この普天間の経緯につきましても、もうたびたび繰り返す必要もないかと思いますが、私どもは、民間の乗り入れ、こういったこともこれからより強く出てくるでありましょうし、これらの問題を整理しながら、いかに住民の方々とうまく理解を持ち、協力し合える関係に置くかということに努力していかなきゃならぬわけでございます。  そうしますと、どうしてもこれらの課題をしょって、重いものというものは私どもは受けとめざるを得ませんし、さように感じます。内閣全体として、これらの問題を重く受けとめて、これから総力を挙げて取り組もうという中にありますので、その一員であります防衛庁長官の私も、それを踏まえてこれから努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  136. 辻元清美

    辻元委員 今の御答弁の中に、住民の皆さんの立場をよく理解してというような御発言もありました。  さて、それでは、今申しましたような事情で、この辺野古地区は、昔は一つの家族だった。ところが、今はもう道ですれ違うと互いに顔を背け合うとか、もう本当に、先ほども申し上げましたが、同じ家族の中でも意見が割れる。現状に起こっているわけです。  さて、そういう中で、この住民の皆さんのことを理解しなければいけない、これが重要なことであると今長官がおっしゃいました。それでは、この住民、真っ二つに割れていると言っても過言ではありませんけれども、賛成の方々はどういう趣旨で賛成と主張し、反対の方々はどういう趣旨で反対と主張していると長官は御理解なさっているのでしょうか。どうぞ。
  137. 瓦力

    瓦国務大臣 私が申し上げておりますのは、いずれもこういうハードな問題を消化するときには、全国いろいろな地域でいろいろな問題が起こり、また、村を二分するようなこともあります、しかし、それはまた、協力し合い、理解し合うというきずなにもなっていく場合もあるわけでございますが、確かに、振り返ってみますと、不幸な歴史も続いたわけでございますが、これから、地域発展でありますとか、それから村落がどうあるべきかということも踏まえて、沖縄の発展というもの、整備というもの、社会資本の充実というものにこれから取り組んでまいるわけでございます。  それがSACOにおきましても重要なことでありますから、私が申し上げて、これらのことを踏まえながら、政府全体で取り組んでいこうということが、去る十二月二十八日の閣議におきまして確認をされたということを、お答えとしていたしておるわけでございます。
  138. 辻元清美

    辻元委員 今のはお答えになっていないと申し上げざるを得ないと思います。  地元の住民の方を理解するとおっしゃっていますね。そうすると、今地元では賛成と主張されている方と反対と主張している人がいらっしゃるわけです、実際に。それで、非常に厳しい状況に追い込まれていると言っても過言ではないと思います。  その中で、賛成と言っている方はなぜ賛成と言っているのか、反対と主張されている人はどういう論点で反対していると理解しているのか。これは、防衛庁長官がしっかりとそういう意見を受けとめて御判断の材料にすべき内容だと思います。今お答えいただいているのは、総論で、地元の方の理解が一番、住民の皆さんの声が一番大事だとおっしゃっているわけですから。  お聞きしましょう、もう一度。反対と言っている方もいらっしゃいますね。住民投票では半分以上でした。防衛庁長官の御理解では、地元の方はなぜ反対とおっしゃっていると御理解されているでしょうか。どうぞ。
  139. 瓦力

    瓦国務大臣 私は、個々の問題につきましての賛否のことについて今申し上げても、やはり住民の方々は大変に苦労してこられましたから、受けとめ方に濃淡もあったり、いろいろいたします。そのことについて今は申し上げるのではなくて、これからの沖縄がどうあるべきかというSACOの方向づけというのは、私は、沖縄におきまして、これは歴史的に大事にしなければならぬときだと思っておりますが、辺野古の方々がそれらの困難の中から方向を求めようという協力努力をいただいたればこそ今日までの進展があるわけでございまして、その過程で、今お話のあったような不幸なこともありました。そのことを承知かというので、私、承知をしております、伺っておりますということも、冒頭に御返事をさせていただいた。  具体的にどういう反対、賛成があるかということをもってして固定的にこれはこうであるということを申し上げる前に、総論でお答えして私は結構だと思っています。
  140. 辻元清美

    辻元委員 私は、やはり重く受けとめていらっしゃるという中身、現状に起こっていることの、どれだけそこの実態——人口千五百人の町です、四百三十世帯のところに、それも沖縄は、御承知のように、海というものをとても大切にしていますね、それは御存じのとおりだと思います。文化的なこともあります。とてもきれいな海で、ジュゴンが出る海ですよね。  そうしますと、四百三十世帯、本当のことを言えば、一軒一軒聞いて回れる範囲です。そうしてくださいとは申し上げていません。それぐらい丁寧にやらないと、既に七割が基地と弾薬庫で占められている小さな村に、また大きな基地が来るとなると、これは、私は、今の御答弁では、重く受けとめていらっしゃるとはなかなか理解できない、そう申し上げざるを得ないと思うのです。  さて、そういう中で、今からでも遅くないです、両方の住民の方と対話をなさったらどうでしょうか。こういう問題は市長が自治体の長であるからというふうにいつもおっしゃいますけれども、このことに限っては、これだけ国際的にも、そして、それだけではなく、地元の方々が引き裂かれている現状ですから、私は、双方と防衛庁長官が住民の方の声を直接お聞きになるというのがとてもいいのではないかと思います。  さて、そういう中で、これは沖縄特措法、私反対しましたが、そのときからよく話が出ていました。反対している人は過激な人やろというような議論をする方がいますが、決してそうではありません。私の友人などは、辺野古のちょうどこの問題になっているところに数年前に移り住みました。車いすの方です。車いすで仕事ができないということで、自然もきれいなところで、そして子供たちと一緒に一生ここで民宿をするのだといって移り住んだのですね。それで、今地元の人たちと反対運動をしています。というのは、その人はもう本当に普通の人でした。そして、海を大切にしたいという気持ちとか文化、それを守りたいという方々もいらっしゃいますので、私は、今からでも、この小さな村で起こっていること、これが一体具体的に何がどう起こっているのかということをもう一度耳を傾けるという機会をお持ちになってもいいのではないかと御提案したいのですが、いかがですか、長官
  141. 瓦力

    瓦国務大臣 私も、時間が許し、また、お話を伺える機会があればと考えますが、私どもも、施設庁を中心として、現地でも、あらゆる問題につきまして、耳を大きく開きながら意見を聞き、また、悩みも聞きながら伺っておるわけでございまして、そういった問題というのは逐一私どもの手元へまた上がってくるわけでございます。そういった住民の声を聞きながらやっていく姿勢はこれからも堅持しなければならぬと考えております。  また、反対の御意見につきましても、今委員がお述べになりましたように、いろいろな問題、要素、文化的なもの、歴史的なもの、生活の問題含めまして、御不満もあることも承知をいたしておりまして、私は、それは、いわゆるよく短絡して話題に言われる、何のための反対かとか、こういったことで取り上げておりません。沖縄の方々の心情に触れますと、そういうものを超えて素朴な感情が伝わってまいりますが、そこに対する不満とか疑問とかいうものをお持ちのこともわかりますので、逐一そういうことに答えていくような対応は必要であろう、これからもそういう努力をしていく必要があろう、こう認識をいたしております。
  142. 辻元清美

    辻元委員 時間があればぜひそういう機会もという御発言もございましたので、ぜひ、私、御案内させていただきたいと思いますので、改めてまたこれは提案させていただきます。  さて、そういう中で、これも防衛庁長官にお伺いしたいのですが、一月に訪米された折に、コーエン氏と議論なさったと思うわけですが、この中で、アメリカ側から、コーエンさんの口から、先ほどから出ております十五年間の使用期限の問題、これは日本の国内問題であるというような発言があったと聞いているのですが、それは事実でしょうか。
  143. 瓦力

    瓦国務大臣 いずれにいたしましても、私ども、それぞれ防衛に携わる者として、日米安保体制をこれからも堅持していく中では、率直に申し上げて私はコーエン長官がカウンターパートでございますが、私が就任いたしまして、これから日米安保体制を堅持していく場合の幾つかの課題、継続して各種のレベルにおいて話し合われてきておること、こういったことについての意見交換をするわけでございます。  でありますから、私は、既に申し上げておりますとおり、十五年問題につきましては、繰り返しては申し上げませんが、それぞれに発言をし、またコーエン長官からも返事がある。九六年の日米安保共同宣言を念頭に置きつつ云々というようなことで、いわゆる記者会見もいたしておるわけでございまして、これらは日米関係の公式にお互いにやりとりをしたものであるというぐあいに位置づけをいたしております。
  144. 辻元清美

    辻元委員 もう一度ちょっとお伺いしますが、それは日本の国内問題であるという認識アメリカ側は持っていないと理解してよろしいですね。
  145. 瓦力

    瓦国務大臣 私は安保委員会におきまして、これは国内問題であるということはたびたび私が申し上げてまいりました。それは沖縄、そしてまた政府である我が方がこれから調整しなければならない課題というものもあるわけでございますから、これは国内問題として消化しなければならないということは、当委員会にも、私は就任いたしましてから申し上げておるところであります。
  146. 辻元清美

    辻元委員 現在でも、国内問題であるという御認識を今披瀝されたと思いますが、外務大臣、それでよろしいのでしょうか。
  147. 河野洋平

    ○河野国務大臣 日米安保条約は、日米両国の合意によって存在をし、合意によって運用をされるというふうに私は思います。しかしながら、他方、基地移転その他については、すぐれて地元の意見その他の調整ということになりますと、これは日本の国内でやれる、やらなければならない問題だと思います。  しかし、それをどういうふうにするか、どういう状況基地移転するか、あるいは基地を建設するかというようなことになりますと、これは日本だけの判断では十分ではないというふうに思います。
  148. 辻元清美

    辻元委員 ちょっと、若干ニュアンスが違う御答弁だったように思うわけですが、防衛庁長官が、本日この委員会で、訪米された後、これは国内問題であるときょうもおっしゃっているというのは、これは私は一つのニュースだと思いますね。今やこの十五年問題をアメリカとの交渉のそれこそ中心に据えていらっしゃるならば、これは国際問題ですよ。日米の交渉の問題です。  しかし、この時点に至っても、国内問題であると、それは私が言ってきたことだと、以前も言い続けて、きょうも言っていらっしゃるということは、この十五年問題について国内問題であるという御認識は、結局沖縄との間で調整する問題であるという御認識と私は受けとめました。そういうふうなことを今御自身が明言されたことになります。これは大きな問題に発展すると思います。——まだ理解されていないですか。  それでは、この前の予算委員会で、他の議員が、うちの濱田議員質問した件ですけれども、それは共同通信のすっぱ抜きのような形で報道された件です。  これは、一月にアメリカに訪米された折の、アメリカとの間で、今回のこと、先ほどから出ております、コーエンさんははっきりと期限設定には応じられないという考えを明言した。しかし、期限設定を拒否した部分を両国政府は伏せることにした。そして、その伏せるための文言が、何回も御答弁されている、予算委員会でもされておりますけれども、国際安全保障環境変化に対応し、在日米軍の兵力構成を含む軍事態勢について緊密な協議を続けるべきだというように公表しましょうというようなことがなされたと言われているわけです。  防衛庁長官にお聞きしますけれども、このような、伏せるようなことにしたということはないのですか。
  149. 瓦力

    瓦国務大臣 幾つかのことは、先ほど申し上げたように、防衛首脳会談においては話をするわけでございますが、それらを取りまとめて記者会見に及ぶわけでございます。  しかし、日米関係は、多年にわたって同盟関係を構築しておりまして、今ホスト・ネーション・サポートの問題でも議論がありましたとおり、お互いに経済がいい場合、いろいろな環境に遭遇する場合、同盟関係では補っていかなければならない問題は幾つかあります。その時々、それぞれの環境に応じた中でも、同盟関係というのは、私は我が国の安全、安定に資してきた部分が非常に多いと思っております。よって、私は、今度の会談におきましてもそれらの問題を申し上げながら、各段階における会議においてこれからも並行しながら続けていかなければならないというようなことで、沖縄における問題も経過として説明をしてまいっておるところでございます。  でありますから、私は交渉事で言ってどうするという問題ではなくて、政府がそれを重く受けとめて、いわゆる沖縄問題、普天間の問題、これらについてこれから具体的に方策を講じてまいる。また、北部振興策についても別の課題としてこれを並行しながらまたやっていくわけでございますが、それらと相まって沖縄問題というのは私はこれから大きな時代を迎えるであろう、こう思っておりまして、これからも沖縄のこれらの施策については大切にしていかなきゃならぬ。その経緯の中で訪米をしましたから、それらについての糸口発言といいますか、こういう問題が提起され、重く受けとめておりますということをコーエン長官にも伝えたということでございます。  また、まさに我が国政府といたしましては、沖縄問題を国内問題として全力を挙げて消化していかなければならない問題を持っておるというぐあいに私は理解をいたしております。
  150. 辻元清美

    辻元委員 今の私の質問は、そういうふうに、今アメリカがはっきりと十五年ではだめだということをはっきり言ったと、言っているということが、特に日本に伝わってくると、この問題、要するに政府としてはあの辺野古地区に移転したい、これがうまくいかないから伏せてくれ、伏せようという話があったのか、なかったのかという点だけお聞きしているわけですよ。今、御答弁いただいていません。
  151. 瓦力

    瓦国務大臣 伏せるとか、伏せないとかという問題意識ではなくて、整理をいたして、さように記者会見で発表をいたしておるところでございます。
  152. 辻元清美

    辻元委員 それは、伏せるとしたからそういう御答弁なんじゃないですか。  その後、コーエンさんはこうおっしゃっているのですね。日本政府地元調整して問題を国内問題として解決するように要請した。整合性ありますね。その後に、今の御発言、この問題は国内問題ですとずっとおっしゃっているわけですから、以前からおっしゃっているし、一月に交渉に行かれても、コーエンさんもそうおっしゃっているし、そして今長官は、その交渉が終わった今も、これは国内問題である位置づけであるとおっしゃっているわけですから……(瓦国務大臣「それは前の前だよ」と呼ぶ)今もでしょう、どうしてこれは日米間の問題にならないのですか、十五年使用期限の問題は。どうしてですか。
  153. 瓦力

    瓦国務大臣 これは国内で整理をして、そして外務大臣が今度は日米の間に立ってそれらは整理しなきゃならない。今その方策、方向を政府として重く受けとめて沖縄の問題というものを取り組もうと。それで、個々の課題について、これから取り組んでいかなきゃならぬ問題が整理されつつあるわけでございますから、私は、防衛庁長官として突出して交渉事に入るというよりは、政府としてこれらの問題を踏まえて取り組んでまいるということで、整理をして考えています。
  154. 辻元清美

    辻元委員 それでは外務大臣にお伺いしたいんですが、もう一度確認させていただきますけれども、この十五年間の使用期限の問題、これについてアメリカ側は否定していないと言い切るかどうかが一点。それと、ということは、アメリカ側は十五年問題をアメリカとしてしっかり受けとめて、そして沖縄の皆さんには、十五年使用期限、交渉して、アメリカ側からも、近い将来かどうかわかりませんが、オーケーが来る可能性が大であるというようにお考えでしょうか。そのように交渉されているんでしょうか。
  155. 河野洋平

    ○河野国務大臣 アメリカはまだイエスともノーとも言っておりません。イエスと言うかどうかは、まだ予見をするところまで残念ながら行っておりません。
  156. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、その予見をする段階に行っていない今後の取り組み、予見をして、それを実行するというのが大臣の仕事だと思いますけれども、どのようにされるつもりですか。
  157. 河野洋平

    ○河野国務大臣 これは繰り返し御答弁申し上げておりますが、国際情勢等をにらみながらでなければこの基地の対応あるいは兵力の構成というものについて議論を進めるということがなかなか難しい、つまり、そういう国際情勢の変化を見て議論をするという日米安全保障共同宣言ができているわけですから、その日米安保共同宣言の線に沿って議論をしていかなければならないだろうと思っております。
  158. 辻元清美

    辻元委員 最後になりますけれども、岸本市長は、諸条件が満たされなければ受け入れることはできないとはっきりおっしゃっていますね、この間も。となりますと、外務大臣も、交渉いかんで諸条件が満たされない場合は、名護の受け入れが拒否されてもそれは仕方がないというような御覚悟でされているわけですね。名護の市長が今諸条件が満たされないと受け入れることはできないと言うことをお認めになるということですね。
  159. 河野洋平

    ○河野国務大臣 余り事は単純でないと思います。今議員のおっしゃるような、イエスかノーか、できるかできないかと言われると、これはなかなか返事に窮するわけでございますが、岸本市長の御発言、きょう現在の岸本市長の御発言はおっしゃるとおりです。  しかし、他方、普天間の基地周辺の皆様方の気持ちというものもまたあるわけです。この普天間の基地周辺の皆さんの気持ちにどう沿うかということもまた政府としては考えなければならないわけでございまして、それらについてこれから、今議員おっしゃるように、私としては、閣議決定に沿って全力を挙げて努力をするつもりでございますと言う以外には今は言いようがないということをぜひ御理解いただきたい。
  160. 辻元清美

    辻元委員 それでは、質問を終わります。
  161. 西村章三

    西村委員長 以上で質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十四分散会