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1999-11-18 第146回国会 参議院 労働・社会政策委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十八日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  十一月十日     辞任         補欠選任      斉藤 滋宣君     森山  裕君  十一月十一日     辞任         補欠選任      森山  裕君     斉藤 滋宣君  十一月十五日     辞任         補欠選任      八田ひろ子君     立木  洋君  十一月十六日     辞任         補欠選任      立木  洋君     八田ひろ子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉岡 吉典君     理 事                 大島 慶久君                 大野つや子君                 小山 孝雄君                 川橋 幸子君                 長谷川 清君     委 員                 斉藤 滋宣君                 溝手 顕正君                 山崎 正昭君                 笹野 貞子君                 高嶋 良充君                 直嶋 正行君                 但馬 久美君                 浜四津敏子君                 八田ひろ子君                 大脇 雅子君                 鶴保 庸介君    国務大臣        労働大臣     牧野 隆守君    政務次官        文部政務次官   河村 建夫君        労働政務次官   長勢 甚遠君    事務局側        常任委員会専門        員        山岸 完治君    政府参考人        法務省入国管理        局長       町田 幸雄君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        厚生大臣官房審        議官       辻  哲夫君        厚生省児童家庭        局長       真野  章君        労働省労働基準        局長       野寺 康幸君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君        労働省職業能力        開発局長     日比  徹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○労働問題及び社会政策に関する調査     ─────────────
  2. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) ただいまから労働社会政策委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  労働問題及び社会政策に関する調査のため、本日の委員会法務省入国管理局長町田幸雄君、文部省高等教育局長佐々木正峰君、厚生大臣官房審議官辻哲夫君、厚生省児童家庭局長真野章君、労働省労働基準局長野寺康幸君、労働省職業安定局長渡邊信君及び労働省職業能力開発局長日比徹君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 労働問題及び社会政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 大野つや子

    大野つや子君 自由民主党の大野つや子でございます。大臣質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  去る九日の本委員会での牧野労働大臣のごあいさつの中に、働くことの価値、大切さが尊重され、働くことを通じて、人々が二十一世紀に向けて期待と確信が持てるような社会基盤づくりのための施策を推進するとの御決意を明らかにされました。本日はその御決意に対して、雇用情勢等を中心に質問をさせていただきます。  まず初めに、景気民間需要回復力が弱く、厳しい状況をなお脱していませんが、各種の政策効果の浸透などにより穏やかな改善が続いております。一方、雇用失業情勢を見ますと、九月の完全失業率は四・六%と、前の月よりも〇・一%低下したものの、依然として高水準で推移いたしております。完全失業者は三百十七万人と、前年同月よりも二十二万人、そのうち倒産や雇用等による非自発的失業者が十一万人増加しております。このような厳しい状況改善努力し、国民雇用不安を払拭することが国政の大変重要な課題であると考えます。  そこでまず、雇用失業情勢についての御認識と今後の対策方向について労働大臣にお伺いをいたします。
  6. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) ただいま、現在の雇用状況、特に失業率等に言及されまして、こういう情勢をどういうように考えるかという御質疑でございます。  御承知のとおり、失業率四・六%ないし七%といいますのは、実はことしの二月から四%の前半を超えて後半で大体四・六、七、この程度で現在失業率が続いております。  この中身を見ますと、やはり企業リストラ影響というのは非常に多うございまして、実は私が着任いたしましてすぐ日産自動車の二万一千人のリストラの発表がございました。きょうの新聞皆さんもごらんのとおり、実はNTTが、東西の電話会社がやはり二万一千人のリストラ計画を発表されました。大手についてはこのような状況が報道されますが、私どもの目に見えないところで、すべての企業リストラしなきゃいけないんじゃないかということで会社内容をチェックしている。それが具体的に中小企業におきましては五人、十人、中堅企業によりましては百人、二百人という形で現実リストラ計画が進行しているという状況にございます。  したがいまして、この率が現状に関する限り大幅に低下してほしいという願いはございますが、そう簡単にこの状況が変わるとは実は考えられません。しかも、直接勧奨という制度もありますが、ほとんどの企業は実は定年退職新規採用を取りやめるというそういう形で進行いたしている、こういうように考えられるわけであります。  したがいまして、私どもとしましては、まずリストラ内容ですが、やめていただきたいというのではなくて、新しい事業をその企業は開拓できないか、あるいはノウハウ、いろんな技術を習得していただいて安心して他の企業に移動できないか、こういうことをそういう特に大手企業には強く要請いたしたいと思います。  しかしながら、現実の問題として、そのような状況になっている以上、私どもとしては、例えば下請関係企業はきちっと転向できるかどうか、あるいは特定地域においては下請以外の企業は、やはりその地域景気状況が悪くなるわけですから、こういう企業に対してはどう対処するか。受け皿を私どもとしてはきちっとしてこういう情勢に対処して、雇用不安を具体的になくす、こういう方向でただいま全力を挙げている次第であります。  きょうは、諸先生方からいろんな御質疑をちょうだいするわけでありますが、先生方も一人でも雇用を確保しよう、創造しようというお気持ちでおられることはよく私ども承知いたしている次第でございまして、きょうは、今どういうことをやろうとしているかということを諸先生方に御説明いたしますが、さらにこういうことはどうだというような御意見を積極的におっしゃっていただいて、こういうことをすべきだというようなまとまりをちょうだいすることができれば、私どもとしてはさらに充実した雇用対策を進めさせていただきたい、こう考えております。
  7. 大野つや子

    大野つや子君 大臣、ありがとうございました。  今度の経済新生対策は、雇用不安を払拭しつつ、公需から民需へのバトンタッチを図り、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せるとともに、二十一世紀型社会への考え方の確立と基盤整備への契機をつくることを目的とするものとされております。このような考え方に基づき講じられる今回の経済対策における雇用対策内容についてお話しいただけますでしょうか。
  8. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 最初に、その前に一言申し上げたいと思いますが、雇用景気状況と直接影響するわけでございまして、私ども労働省として、受け皿としてあるいは新しい方策としてこういうことを考えると言う前に、政府補正予算でいろんな事業を行っておりますが、例えば公共事業一つとっていただいても、それが景気を支え、あるいは復活するということになりますので、そういう点で、例えば建設省に対しましては、公共事業の使い方につきまして少しでも雇用がふえるような形で予算の配分をしていただけないかと。運輸省サイドにおいては、観光産業の振興という観点で特別の政策はございませんかと。あるいは通産省に対しましては、中小企業政策を次々と打ち出しているわけでありますが、これと雇用政策をどのように結びつけていくかと。我々の方から要求し、また向こうが出した案に対して、雇用政策の面からこういう形をお願いしたい、何とかそこをドッキングできないかと、こういうことでお願いしているということをまず最初に申し上げたいと思います。  こういうことを前提にいたしまして、大野先生から今お話のございました今度の新しい経済新生対策において我々としては何を考えているかということを御説明させていただきたいと思います。  私どもとしては、まず第一に、国民雇用不安を払拭するために、一つは、大規模リストラ実施により大きな影響を受ける地域における雇用創出を図るための施策。第二点は、就職環境の厳しい新卒者を初めとした若年者障害者就職支援をさせていただきたい。次に、新しい二十一世紀の新たな基盤を確立するために、地域特性等を生かした先導的な中小企業への支援等による雇用機会をつくり出すということ。中小企業の発展を担う人材育成等中小企業基盤強化による雇用機会の拡大と安定を図ること。二十一世紀に向けて必要な人材戦略的育成努力すること等を実は盛り込んでおります。  このため、では具体的にどうするかということでございますが、一つは、地域特性等を生かした先導的な中小企業をつくり上げていく、こういうことで、一応四千企業等を選定させていただきまして、もちろんこれは都道府県関係機関との協議のもとでありますが、そのもとに中小企業地域雇用創出特別奨励金という制度をつくりまして、五百十億円程度予算をお願いすることにいたしております。  二番目は、大規模リストラ実施により大きな影響を受ける地域における雇用創出のための特定地域下請企業離職者雇用創出奨励金、こういう制度をつくりまして、一応補正として三百二十一億円をお願いいたしております。  次に、中小企業ニーズに応じた専修学校等を活用した人材養成のために百三十八億円等々の予算をお願いすることにいたしております。  全体として十五カ月、今度の補正の三カ月間、翌会計年度の十二カ月、計十五カ月にわたる雇用創出そして安定対策、全体の事業規模として一兆円程度事業をぜひ実施することをお認め願いたい、このように考えているところでございます。
  9. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  成長分野での飛躍を目指すベンチャー企業等中小企業は、新たな雇用を生み出す担い手であると考えられます。このような企業により新規雇用創出されることは、我が国雇用失業情勢を好転させる上でも非常に重要なことであると考えております。したがって、労働省といたしましてもそのような中小企業支援するような施策をとるべきだと思いますが、労働省の対応を、大臣、いかがでございましょう、お聞かせいただきたいと思います。
  10. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 今、大野先生の御質疑のとおり、従前、中小企業というのは大企業との関係においてとらえられてまいりました。弱い立場と、そのためにどういう施策が必要かということが今までの施策の基本的な考え方でございました。しかし、そんなことを言っておっても間尺に合わないよということで、創意工夫あふれる中小企業皆さんに頑張っていただきたい、労働省としてはできるだけの御支援をいたしますよと。自立する、創意工夫する、そういう見方から中小企業対策を考えていきたい。  そのために、労働省といたしましては、既にことしの一月から実施いたしているわけでありますが、中小企業労働力確保法に基づきまして、雇い入れ労働者賃金に対する助成といたしまして、たくさんはできませんが、雇われた方の六人までは一年間賃金の二分の一を御支援させていただきますよ、どんどん計画を出してきてくださいと。そうしましたら、既に十月現在、一万二千件近い申請がなされました。これに要するお金は八百億円前後になりますが、一万件で五人と計算しましても、これで五万人の雇用が確保されるということが予想されるわけであります。  これは、雇ってちゃんとしたら一年に二回に分けて支援をいたしますよ、最初計画だけして、さあお金下さいと言って後どうなるかというのでは困りますから、そういう一生懸命やる、既に半年間雇っておりますよ、じゃ御後援いたしましょうと、こういう創意工夫を督促する制度。  それから、新規成長分野雇用創出特別奨励金という制度をつくりましたが、これに基づきまして、非自発的離職者会社でやめてくれと言われてやめられた方、こういう方を雇用していただく場合には、奨励金といたしまして、四十五歳以上六十歳未満方々についてはお一人七十万円、三十歳以上四十五歳未満の方には四十万円、こういうことで現在取り進めております。  これらのほかに、今回、経済新生対策といたしまして、さらに中小企業地域雇用創出特別奨励金という制度を新たにつくらせていただきまして、約四千社をモデル企業として選ばせていただき、この場合には四人以上そういう方々を雇っていただきたいと。私どもとしては、新たに雇用をつくる、あるいは安定させるというのが目的でありますから、やはり一定数の方々雇用していただかなければなりません。  四人以上雇い入れられた場合に、人材開発のための高度な機材の購入だとか、外部コンサルタントによる指導等をきちっとしてほしい、より体系的かつ専門的な形で人材開発雇用管理に先導的な取り組みを行っていただきたい、こういう場合には雇い入れ数に応じまして七百五十万円から千五百万円のお金皆さんのその努力に対して応援しましょう、こういう制度をつくりまして、現在の特に非自発的失業の状態にある方々雇用の下支えをしよう、こういうことでございます。
  11. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  次に、大臣にお尋ねいたします。  産業構造が転換していく中で、離職者就職を促進し、雇用の安定を図っていくとただいまもお話がございましたが、今後、雇用創出が期待できる情報通信分野介護福祉分野などのいわゆる新規成長分野に重点を置いた雇用対策人材育成施策を講じていく必要があると考えます。  その中で、特に成長分野に必要な人材を育成するための能力開発対策は重要であると考えますが、どのようにお考えでございましょうか。そのための施策をまたどのように講じていこうとしていらっしゃるのか、大臣にお伺いしたいと思います。
  12. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) ただいま雇用それ自身については御説明させていただいたとおりでありますが、今の御質疑能力開発対策についてはどうしているかと。このために公共職業能力開発施設、これは労働省にあちこちにありますし、各県にもあるわけでありますが、ここで非常に今問題になっております介護の問題、ことしは千六百人の方々、これを来年度では千八百人にふやして引き続き拡大して訓練をしていただく。情報通信につきましては、本年は千人を対象にいたしておりますが、補正でさらに三百人ふやさせていただいて千三百人にする、来年度予算についてはさらに拡大する、こういうことで受講していただいて能力を向上していただきたい、これが一つであります。  それからもう一つは、専修学校とか専門学校がありますが、これは受講する方は能力をつけて新しいところに行こう、片方会社関係は単に学校を出ただけではなくて特定企業としてこういう能力がある人が欲しいということで、今は大体日本じゅうで三千五百のこういう専門学校があるわけです。七十万人以上の方がいろんなコースで勉強しておられる。この専修学校等に委託しまして、介護関係では四千人、情報通信関係では二万人、大体、対前年度で三倍のそういうコースで勉強していただく方に努力していただこう、こういうことを今具体的に考えております。
  13. 大野つや子

    大野つや子君 次に、パートタイム労働に関することについてお伺いしたいと思います。  近年、パートタイム労働者はますます増加しております。平成十年には一千百十三万人に達し、我が国経済社会で重要な役割を果たしております。多くのパートタイム労働者の方が企業において基幹的な戦力として活躍されている実態がありますし、また専門的な知識を生かした責任のある仕事をしたい等のさまざまな就業ニーズをお持ちの方々もおられます。  このような中で、パートタイム労働者がその意欲に応じて能力を十分に発揮できるような環境を整備していただくことが重要なのではないでしょうか。大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  14. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 先ほど雇用数失業率との関係で出ましたけれども、先月は少しふえたという総理府の説明がございましたけれども、実はトータルで見ますと、非自発的失業者はふえる、片方パートタイマー方々雇用数が非常にふえている、ほとんどがパートタイマー従業員の増加によってカバーされている、こういう状況にあると思われます。したがって、パートタイマー雇用条件等々が現実にどうか、どういう点を解決すべきかということは当然対策として取り上げられなければならない事項であるわけです。  現在、今おっしゃったように、一千百万人程度、全体の二一%を占めると。非常に大きい分野でございまして、こういう方々に、ただいまありますパートタイム労働対策としまして、パートタイム労働法及び法に基づいて制定された指針に基づき、例えば労働条件文書明示や短時間雇用管理者選任等について事業主に対して必要な指導等を行うとともに、中小企業事業主等に対し、パートタイム労働者に一定の福利厚生制度を適用する場合には助成金を支給させていただく等によって、パートタイム労働者雇用管理改善に向けまして事業主取り組みを促進してきているところであります。  本年二月に指針を改正し、四月から実施されておりますが、労働条件文書明示健康診断等に関し事業主が講ずべき措置を一層明確化するとともに、パートタイム労働者相談に応ずる等の短時間雇用管理者が行うべき業務の明確化を図っております。そして、本年十一月上旬には、パートタイム労働旬間というのを行わせていただきまして、その集中的な周知活動を行っております。  今後とも、パートタイム労働を魅力ある良好な就業形態としていくための取り組みを、先生方からもいろいろ貴重な御意見を賜り、私どもとしては前向きに進んでいきたい、こう考えております。
  15. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  勤労者が安心して働くことができるゆとりある生活を送れるようにするための対策についてお尋ねをしたいと思います。  ゆとりある生活の実現ということにつきましては私も大いに賛同するところでございます。勤労者住宅取得を促進することは勤労者生活の向上につながるだけでなく、景気回復にも寄与するものと考えられます。  そこで、労働省施策財形制度の一環として財形持ち家融資制度があると承知いたしておりますが、その具体的内容制度利用状況についてお聞かせいただきたいと思います。
  16. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 実はこの制度は非常にすばらしい制度でございまして、サラリーマン皆さんが自分の家を持つということはこれはもう基本でございまして、そういう観点から、ドイツの制度参考にしてこの制度ができ上がりました。  各企業にお勤めのサラリーマン皆さん、毎月それぞれ積み立てておられるわけですが、何とその金額が十九兆円たまってきたわけです。それでは持ち家制度としてどの程度使われているかと見ますと、一兆二千億円しか使っていないんです。なぜ使っていないか。実は、住宅金融公庫よりも金利が高いということで必ずしも十二分に利用されていなかった。教育資金、これもサラリーマン方々にとっては非常に大切なことでございまして、制度もありますが、この利用程度というのは数十億円という非常にりょうりょうたる状況にございまして、何とかこの制度を活用できないかと。  ありがたいことに、本年の四月から金利住宅金融公庫の二・六%に対しまして一・九三%と非常に低利に設定させていただきました。もちろん、返済期限等条件は変わりますが、五年間は今契約していただければ一・九三%。ところが、住宅金融公庫は二・六%を二・八%に上げるという決定をいたしました。一%近い低利状況で融資される。それで、何とかこれを景気対策のためにもやらせていただきたいなと、事務当局に命じまして新聞に、安いですよ、大いに使ってくださいという宣伝、PRをさせていただいたんですが、関係機関にどういう内容だという相談が実は殺到しているというのが現状でございます。何とかこの制度を、これに参画された皆さん持ち家のための基本的な根幹となるように最大の努力をいたしたいと思います。  そこで、ここで問題になりますのは、五年間だけか、五年たったらまた金利が高くなるのかというのは当然お借りする人の立場から見ると重大関心であるわけです。したがって、今後折衝しなきゃなりませんが、少なくとも住宅金融公庫政策融資の範囲内で、それより安くできればいいですが、高くなっても住宅金融公庫金利と同じように政策的に配慮できないか、そのときには各議員の先生方の力いっぱいの御後援をちょうだいしなきゃいけないんですが、実はそういうことを考えております。
  17. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございました。  時間が参りましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  18. 斉藤滋宣

    斉藤滋宣君 おはようございます。自民党の斉藤滋宣でございます。  ただいま御質問のありました同僚の大野委員と極力重複を避けながら、通告に従いまして、大臣並びに政府参考人質問させていただきたいと思います。  先ほど質問の中に現下の雇用対策、そしてまた今後の対策等について大臣から説明があったわけでありますが、私はその前段として、三次にわたって雇用対策がとられてきたことについてまず初めにお聞きしたいと思います。  九八年四月二十四日に総合経済対策緊急雇用開発プログラムが行われました。そしてまた、九八年十一月十六日に緊急経済対策がとられ、雇用活性化総合プランが練られました。そして九九年六月十一日、緊急雇用対策がとられたわけであります。  これらの対策がとられたときの完全失業率有効求人倍率をそれぞれ見てみますと、総合経済対策時では四・一%と〇・五六倍、緊急経済対策時では四・四%と〇・四七倍、緊急雇用対策時は四・八%と〇・四八倍となっておりました。  そこで、現在はといいますと、御承知のとおり九月現在では完全失業率が四・六%、有効求人倍率〇・四七倍、そして完全失業者数三百十七万人となっているわけであります。  総合経済対策では確かな雇用見込み数というのは明らかにされていなかったのではないかと思いますけれども緊急経済対策では百万人の雇用創出効果が見込まれるとうたわれました。そしてまた、緊急雇用対策では七十万人の雇用創出が見込まれていたわけでありますけれども、現在のこの数字を見ますと、果たしてこの雇用対策がそれだけの効果があったのかなと若干疑問に思うわけであります。  確かに、失業率は一たん上昇しますとなかなか下がらないという履歴現象があることは承知していますし、また逆に言えば、これらの対策がとられたことが下支えとなって現在のような数字で抑えることができたんだと言うこともできるんだろうと思います。しかし、それぞれの施策の中で、百万人の雇用創出を図りますよ、七十万人の雇用創出が見込まれますよと、そういうぐあいにうたうことで国民皆さん方は大変大きな期待感を抱いたでしょうし、また、先ほど大臣説明のあったとおり、現在そしてまた今後の雇用対策をとる上でも、それぞれの施策が具体的にどのような効果があったのか、そういう検証をする必要があるのではないのかなと私は思うわけであります。  そこで、これらの施策雇用効果の実績、そしてまた労働省の自己評価といいますか、その辺についてどのようにお考えになっておられるのか、まず労働大臣にお聞きしたいと思います。
  19. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 今、先生の御指摘、昨年十一月の対策、私どもにとりましては雇用活性化総合プランということで景気回復、マクロの期待も含めまして百万人という数字は出されました。それから、ことしの六月でありますが、緊急雇用対策、これについて七十万人という数字が出されました。誤解のないようにお願いをいたしたいんですが、雇用創造あるいは雇用の安定のためにいろんな助成策を考え、実行されているわけです。したがって、私どもが出しました数字は、雇用安定のこの制度では補助金あるいは支援金がこれだけの雇用される方々のところへ行きますよと。あるいは創造するものについては、先ほども五万人という数を申し上げましたが、この補助金をもらったら、これで五万人の人が対象になります。したがって、私どもとしては、その五万人が引き続き雇用されていくであろうという前提、また、そうなるような支払いの仕方等々を考えましてこれらの数字が出された、こういうように御了解をいただきたいと思います。こういう方法でこの人にはこういう補助金を出しました、だからこの人は継続して雇用されてしかるべきだと、こういうように考えているという、その数字であるということをまず御了承いただきたいと思います。  具体的な奨励金ごとに一応数字をきちっと出しておりますが、御説明させていただきましょうか。
  20. 斉藤滋宣

    斉藤滋宣君 ありがとうございます。後で細かい数字につきましては資料としていただいて勉強させていただきたいと思いますが、確かに大臣のおっしゃるとおり、最初雇用対策のときにこういうところに雇用創出のために労働省として補助金なり助成金をやって、それで積み重ねていってこういう数字になるというのはそのとおりだと思います。そしてまた、どの程度雇用創出効果があったのか。それを、百万に七十万を足して百七十万でないことは私もよく承知しておりますけれども、なかなか数字であらわすのは難しいこともあろうかと思いますけれども、今労働省でわかっている範囲で結構ございますので、後ほど教えていただければありがたいと思います。  時間がありませんので、次に進みたいと思います。  経済白書を見ますと、企業の過剰雇用が二百二十八万人に上ると書かれています。私は、本当にこれだけの過剰雇用があるのかなというのはちょっと疑問に思うものですから、大臣にお伺いしたいと思うんです。といいますのは、過剰雇用が言われる一方で、いわゆる残業時間、労働省の毎月勤労統計で見ましても、五人以上の企業で七十一時間の残業をやっている、そしてまた三十人以上の企業でも七十九時間の残業をやっています。そして、これは統計のとり方が違いますから数字が全く違うわけでありますけれども、総務庁の労働調査を見ますと、大変大きな残業が行われているということが書かれています。一方で過剰雇用が出て、一方で残業が行われている。先ほども申し上げたとおり、これを見ますと、本当にこれだけの過剰雇用があるのかなと私はちょっと不思議に思う面もあるわけであります。  そこで、大臣にお伺いしますけれども労働省としては、この過剰雇用というものが本当にこういう数字になっているのか、もしくは労働省としての見解はまた違うところにあるのか、その辺の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  21. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 今御指摘の過剰雇用状態、これは各産業別に、あなたの業種では過剰雇用の状態にありますか不足の状態にありますかということを調査いたしておりますが、現在すべての業種について、過剰ぎみ、今が精いっぱい、あるいは過剰である、こういうような実は結果が出てきております。しかし、私としましては、まだこの状態が続いているな、いわゆる窓際族と通称言われておりますが、こういう方々が相当いるんだなと。じゃ、私どもとしてどうしたらいいかと。  企業としては、リストラを余儀なくされる場合には雇用の安定に最大限努力する、これは企業として当然でございまして、それで過日、日産のあの問題が出てまいりましたとき、早速労使両方のリーダーの皆さんにお会いをいたしまして、企業には社会的責任があるのじゃないですかと。まず第一は、雇用を維持するということ。第二点は、下請企業に大変な影響を与えるということ。第三点は、特定地域で、それ以上に地域企業生活をしている方々に大変な迷惑を与えるじゃないかと。こういう社会的責任というのは当然企業経営者としてあるのではないかと強く要請いたしまして、雇用安定宣言というのを早速実は連合と日経連で出していただいたんです。単に宣言を出していただくだけでは困りますよ、日経連としても具体的な何かいい名案がありましたら労働省に出してください、私どもも積極的に受け皿をつくりますよということで、間もなく日経連から何らかの御返事をいただける、こういうことになっております。  そして、先ほども御返事いたしましたとおり、大手企業は、新しい事業を創設するとか、あるいは就職のあっせんをやめるということじゃなくて、新たな仕事場を認めるとか、まずそういう最大の努力をしていただいて、さらにどうすることもできない場合には、今私どもが考えている受け皿下請対策地域対策あるいは訓練、こういうことをやりたいと。今のところは過剰ぎみであるということでありまして、何百万人いるとかそういう統計はとっておりませんが、基本的姿勢はそういうことで対処しよう、こう思っています。
  22. 斉藤滋宣

    斉藤滋宣君 今、大臣お話の中にありました労使の雇用安定宣言につきましては、また後ほどお伺いさせていただきたいと思うんですが、私は、このように経済企画庁が数字を出すことにクレームをつける気はありませんけれども、やっぱりこれだけ大きな数字の雇用過剰があるということを言われると、それがリストラにつながるんではないのかなということと、企業リストラするときの免罪符に使えるのかなという心配をするものですから、あえて今聞いたわけであります。  確かに大臣のおっしゃるとおり、先ほども答弁の中にありましたけれどもリストラをやるという計画を立てても、即それでもって従業員がいなくなるというわけではない。定年退職者を募ったり、もしくは新規採用者を抑えたり、下請に出向とか転籍をするということで対応するということでありますけれども、ただ、現状を見てみますと、これ総務庁の労働調査でありますけれども、今の失業者数の内訳の中で、解雇、人員整理による離職者がどのぐらいあるかといいますと、総数は百八十八万人、そのうち再就職できた方が百十九万人。そして、非労働力人口となった方が二十九万人、完全失業者数は四十万人に上っています。完全失業者数の中で、前職の離職理由の中で、リストラによる離職者というのが一、二を占めている。一番か二番に必ずなっているという実態があるのも確かです。  ですから、ただ単にリストラといって、そういうぐあいに定年退職者だとか、新規採用を控えるというだけではなくて、現実リストラでこれだけの人が完全失業者数になっているということも事実であることを御理解いただきたいと思います。  そこで、経済対策の一環として、政府では金融機関への公的資金の注入や前国会通った産業再生関連法案などがあるわけでありますけれども、これらの法の適用を受けようとすれば、公的資金の注入では金融再生委員会へ経営健全化計画を提出しなければなりません。そしてまた、産業再生関連法案では、監督官庁の大臣事業再構築計画を出さなければならないことになっています。  その中身を見れば、簡単に言えば経営の質を高めなさいということを言っているわけであります。設備の廃棄だとか利益率を高めるように努力しなさいということをうたっているわけでありますけれども、そういうことを認定要件にしますとどうしても企業は、設備の廃棄ということになれば従業員を減らさなきゃいけないし、利益率を高めるといえば費用を下げなきゃいけませんから、どうしても安易に人員整理に走りやすいことになるのではないのかな、私はそう思うわけであります。  労働白書によりますと、失業率が一%上がるとGDPは〇・七%下がると言われています。一方で景気対策として企業支援しておきながら、一方ではその認定を受けるためにリストラをしなければならない。その結果、景気回復の足を引っ張ることにつながるというのでは、いささか私はおかしいのではないのかなという気がするわけであります。  そこで、労働省がどこまでタッチしていたかは私よくわかりませんけれども、この認定基準の中にやはりリストラに対する制限、こういうことが可能かどうかわかりませんけれども、千八百時間は政府の公約でもありますし国際公約でもあります。ですから、こういう認定を受ける企業は、例えば千八百時間の労働時間を守ってないようなところはリストラをしちゃならないとか、そういう制限を設けなければ、せっかく国民の税金を注入しながら景気対策をやっているときに、その一方でまた景気回復の足を引っ張るというようなことにつながるのではないか、そのように思うわけであります。  労働大臣におかれましては、この点についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  23. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 先ほどもお答えさせていただいたわけでありますが、新しい制度をつくる前に既存の制度受け皿としての労働省政策、これで十分かどうか。実はこれらの制度にはいろんな前提条件がございまして、こういう状況、こういう状況ではだめですよと。  例えば今度の日産問題の処理に関しまして、緊急の地域指定は可能かどうなのか。当然条件を私は変えなければならないと考えております。また、地域の緊急対策で、沖縄が非常に失業率が高いという状況にあります。この場合、緊急措置として三カ月間しか認めていない。三カ月たったらやめまして、また同じ状態だなということで今度再度地域指定をしたというのが現状でございます。  じゃ、その場合に、三カ月というのは適正であったのかどうなのか。三カ月といいますと、雇って一カ月、最初は仕事がなれて、やっと一カ月間なれたと思ったら三カ月目にはこの制度はやめだと。果たしてそれで制度目的とするところが、効果が出てくるのかどうなのか。今おっしゃったように、その認定基準その他についても、今の大変な雇用情勢にありますから、これらを見てもう少し柔軟的にこれらを変えたらどうなのかということで、ただいま事務当局で実は検討を前向きにさせていただいております。
  24. 斉藤滋宣

    斉藤滋宣君 確かに、他省庁にまたがるそういう法案等に労働省が物を言うというのはなかなか言いづらい面もあろうかと思いますけれども、ぜひとも大臣の決断のもとに、こういう雇用問題というのは大変な社会問題にもなっているわけでありますから、労働省がもっともっと各省庁に物が言える、そして労働省意見が反映されて雇用改善につながるように大臣の御努力をお願いしたいと思います。  次に、ことしの五月二十六日に社会経済生産性本部が労働時間短縮の雇用効果に関する調査研究の中間報告を出しました。それによりますと、サービス残業をなくせば九十万人の雇用創出効果、そして残業をなくせば百七十万人の雇用創出効果があると書かれています。  確かに、数字のとり方とかいろんな基礎材料が違えばこの数字は大いに変わってくるものだと思うんですけれども、この中にも指摘されておりますけれども労働時間を短縮した場合の給料の取り扱いだとか、消費や投資を媒介とした生産量への影響など、マクロ経済のメカニズムを通じた雇用への波及効果を考慮した実証分析が必要ではありますけれども、私は、一つ考え方としてこういう考え方もあるのかなとこの報告を見て思いました。  そこで、大臣にお伺いしますけれども、最近とみに言われることでありますけれども、ワークシェアリングを通じて雇用創出をしていく、そういう観点からこの試算に対する御感想がありましたら労働大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  25. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 今御指摘ございましたとおり、計算しますと七十万人とか百四十万人という数字が出てまいります。  そしてまた、ワークシェアリングにつきましては、ヨーロッパである程度実は実施されております。特にオランダでは成功したと言われているわけですが、そのときの経済情勢が日本とは全く違っているわけでありまして、一つのあり方として私ども注目はいたしておりますが、日本国内の諸条件が全く違いますので、今直ちに残業をやめてちゃんと雇用を確保しなさい、あるいは人をより多く入れて賃金を下げなさい、こういうことをきちっと言えるかどうか。  基本的にはこれは労使間の非常に大きい問題でございまして、現在は、私の感じでありますが、労使間は、客観情勢の変化に応じて具体的に非常に十二分の協議をして一つの結論を出しているという状況にある、こう思われますので、意見としてあるいは制度としてあるということは承知いたしておりますが、まず労使間でその辺の協議を進めていただきたい、こう考えております。
  26. 斉藤滋宣

    斉藤滋宣君 今、大臣から、この次に聞こうと思った雇用安定宣言の話が出ましたので、この質問を省きますけれども大臣のお言葉にありましたとおり、オランダのワッセナー合意の話を今大臣からしていただきましたけれども、私は、これだけ雇用環境が悪化して社会不安ともなっているこういう状況の中で、大臣が指導的な役割を果たして雇用安定宣言というところまで持っていった。これは、労使間の歩み寄りといいますか、大変評価するものでありますけれども雇用環境がこれからどういうふうに推移するか、なかなか予測が難しいと思うんです。  ある意味では、今大臣が御答弁いただきましたけれども、このワッセナー合意についても、長い目で見たら日本としても参考になるところもあろうかなと思うわけであります。我が国でも同じことをやれと言うつもりはないですけれども、やはりこれからの雇用環境を見ながら、時には英断を持って、このような合意を参考にしながら新たな雇用対策というものも考えるときがあるのかなという、そういう感想を私は持っているわけでありますけれども。答弁は今大臣のお言葉で結構でございます。  次に、今大変雇用環境が厳しいということをずっと言われているわけでありますけれども、その中で、ハローワークの相談業務の体制についてお伺いしたいと思います。  労働省の定員削減計画では、一九六八年から現在まで二千九百八十一名の職員が削減されています。ハローワークの職員もその例外ではなくて、昨年は二十七名、ことし十五名と、若干といえども毎年減少をしています。失業者が増大していく、そして相談員が減っていくというのは、果たしてこれで効率的な相談窓口業務が行われているのかなという心配をするわけであります。職員の中には、時間がなくて裏書きもままならないという意見を言っている職員の方もいるやに聞いています。  今後、行革で国家公務員が削減されていくわけでありますけれども、私は、行革の必要性というものを否定するものでもありませんし、人員削減が必要なところや可能なところは思い切ってやっていくということは大変大事なことだと思っています。しかし、逆に言えば、今のハローワークのような相談窓口、そういうところでは、やはり本当に手が足りなかったら増員するような、そういう気持ちがあってもいいんではないのかなという気もするわけであります。  労働省の求職者総合実態調査を見ますと、ハローワークの利用理由という問いについて、二三・八%の方が就職相談に乗ってくれると答えています。そして、ハローワークへの要望でも、三三・一%の人が時間、回数をかけてじっくりと相談に乗ってくれるからと回答しています。  今、失業の中身を見ますと、構造的、摩擦的失業が多くなってきました。であれば、ハローワークにおいても、対人関係、対面で人と人との間でもってそういう相談に乗ってあげることがこういう構造的、摩擦的失業の解消にもつながるんではないのかなと私は思います。大変行革という世の流れの中で厳しいことかもしれませんけれども、ハローワークのサービスを低下させないためにも、職業相談体制というものをきっちりとしなければならないと思うわけであります。  そこで、政府参考人にお伺いしますけれども、今のハローワークの職員体制の現状と、それから今後サービス低下をさせないためにどういう相談体制をしいていかれようとするのか、お考えをお聞きしたいと思います。
  27. 渡邊信

    政府参考人渡邊信君) 現在の大変厳しい雇用失業情勢を反映いたしまして、安定所に訪問される求職者の方も大変ふえていまして、ことしの八月には、安定所に登録をしておる求職者数が過去最高の二百五十八万人というふうな状況になっております。実際に私どもハローワークを訪れてみましても、求職の窓口が大変な混雑であるというふうなことになっておりまして、職員一人当たりの負担も過去に比べますと随分とふえているような現状にございます。  この対応ですが、委員今おっしゃいましたように、職業紹介というのは、本人の希望をよく聞き、あるいは希望する職業に本当に適性があるのかどうか、そういったことをじっくりと相談しながら適職を紹介していくということによって初めてミスマッチの解消にもなり、紹介も成功する、こういったことになると思いますが、現実にはなかなかそういうことができにくいというふうな実情が生じてきております。  こういったことで、今の対応でございますけれども、個人で求人情報を十分検索できるという方にはできるだけ個人で検索していただくということで、タッチパネル式のコンピューター、マイコンをできるだけハローワークに導入するというふうなことをやっておりまして、それである程度見当をつけて相談に応じていただくというふうなことをいたしまして、できるだけ重点的に職業相談に応じながら職業紹介をするというようなことも工夫をしておるところであります。  基本的には、委員おっしゃいましたように、そのための十分な職員の確保ということが基本であると思いますが、なかなか厳しい状況の中でそういう工夫をし、またできるだけコンピューター等の導入を図りながらいろんな事務の処理も機械化をしていく、こういうふうなことで対応しようと思っております。  また、一種の外部化ということでございますが、相談員をできるだけ活用いたしまして、求人開拓はその相談員の方で例えば企業のOBの方にその企業のところに行って求人開拓をしていただくというふうなことで、現在約千五百人全国に配置をしておりますが、そういったいろいろな工夫をしながら、できるだけ求人と求職がマッチングするように努力をしていきたいというふうに考えているところであります。
  28. 斉藤滋宣

    斉藤滋宣君 最後に一つだけ、もう一つ質問させていただきたいと思いますけれども新聞報道等によりますと、来年の新卒者の内定状況が非常に悪いと書かれています。労働省の資料をいただきまして拝見させていただきましたけれども専門学校が昨年並みで、あと軒並み中学校以上の新卒者が内定状況が悪いという状況になっています。  そこで、先ほど大臣からもお話ありましたけれども、きょう発売の週刊誌では、新聞などに報道される数字を積み上げてみると、主要百社の人員削減計画が二十五万六千八百二十人に上ると書かれていました。確かに、これはすぐに離職するとか失業するという意味ではなくして、先ほどお話のあったように定年退職の自然減だとか出向とか転籍、それと新規採用の抑制などで対応していくという数字だと思いますけれども、やはりここでも若年者雇用環境が大変悪くなっていくことが予測されます。  また、今後少子高齢化が進みますと、労働の生産人口が減少していく、これはある意味では日本の大きな問題でもあると思うんですけれども若年者が職につく機会が少なくなっているということは大変大きな問題だと思います。  そこで、フランスでは一九九五年十月に、日本では直接雇用政策というのはとらないのはよくわかっておりますけれども、地方自治体や各種公共団体が二十五歳以下の若者を雇用するときには政府賃金の一部を助成するという制度をつくりまして、五年間で若者の雇用数を三十五万人ふやそうという政策をやっています。若年者雇用創出計画と言っているようでありますけれども。  確かに、大きな流れの中で直接雇用政策という問題がどうなのかという議論はあると思うんですけれども、なかなか難しい問題だと思うんですが、これだけ若年者雇用環境が悪化してくると、さらにこういう状況が続いていけばどこかでこのような施策も検討する必要があるのかなというふうに思うのでありますけれども労働大臣はどのようにお考えになっておられるのかお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  29. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 今、先生御指摘のとおりでございまして、私自身も来年の三月どうなるのかなということで非常に心配をいたしております。  従前で申しますと、十月なり十一月の内定率と、三月末日、四月一日からどの程度現実に決まったかというあれを見ますと、大体九五、六%というところで、ほとんど就職しているというのが現実の姿でございます。じゃ、来年の三月どうなのか、九割前後かなと。いろんな論議を私ども内部でやっているわけですが、いや絶対九割は超すということは言い切れない。見えざる神の手に期待するわけにもいかないので、今現実の姿がこうですから、やっぱり悪くなる、よくないという思いを持っていろんな対処の方法もあるだろうと。  現実にやっておりますのは、いわゆる紹介といいますか、各学校等に行きまして、今まで講習会を百回やったところを三百回するとか、要するにミスマッチがないように、それから若い金の卵ですから、企業も一遍顔を見てやったらこれを育てて自分の会社の柱にしようと、そういう経営者もおられるわけで、今のところはそういうあっせんの会合を二倍三倍にするという政策しかとっていないわけです。  そこで、実はきょうの新聞で、NTTが二万一千人リストラの対象にする、新卒は再来年、さらに翌年は採らないと。今確認をいたしておりますが、ただ一つ確認いたしたことは、平成十年度では二千五百人採用したんです。平成十一年度では千七百人採用しました。じゃ、来年の三月はどうなんだと聞いたら、今のところ八百人内定いたしておりますと。じゃ、その翌年はもう採用しないということを今決めたんですか、どうなんですかと。そこを今調査しております。  私の気持ちとしては、NTT、これくらいの大きい企業が新卒を一人も採らないなんということはまさに企業社会的責任に明らかに反している、これは私の気持ちでございまして、よく詳細を聞きまして、そういう見地からも新規学卒者の採用について最大の努力をするように私としては経営者に対して強く要請いたしたい、こう思っております。
  30. 斉藤滋宣

    斉藤滋宣君 どうもありがとうございました。
  31. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。労働委員会で初めての質問でございますが、労働大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  まず最初に、今も議論になっておりました、最近矢継ぎ早に大企業リストラ計画を発表している。きょうもけさの新聞記事が話題になっていました。先ほど来、大臣のお考え方お話しされているので、これらに対する大臣のお考えも私なりにちょっと理解はできるんですが、突き詰めて考えるとどう思っておられるのか、簡単にお伺いしたいんです。  こういう一連の大規模リストラ計画に対して、一つ労働大臣は、これはとんでもない、けしからぬ、こう思っておられるのか、必要だから当然だ、こう思っておられるのか、どちらでしょうか。
  32. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 私は、単純にけしからぬとかそれはそうなんだ、結構だという気持ちは全くございません。ただ、リストラ現状を見ますと、これだけ国際化しているときに国際競争力という立場から合併し、あるいは分社し、一つ事業をやめる、いろんな形で企業として国際競争力をきちっと確保しよう、この傾向は実は否定することができません。  単に今は一概に国際競争力と言いましたけれども、過剰設備等の問題もあります。ですから、例えば鉄鋼業で見られるように過剰設備だというときには、やっぱり雇用の責任という立場から、十年前後かけて具体的に企業の再編をしていくということで、大きな社会的問題を惹起せずに合理化計画を推進している、こういう事例も実は見当たるわけでございます。しかし片方雇用問題、簡単にリストラということをやってはこれはもう絶対困るわけですから、ですから先ほど申しましたとおり、日経連へ行って、奥田会長に、あなたは本当にどう思うんですか、我々は受け皿はつくりますよ、しかし最大の努力をしていただくことは企業の一番大きい責任じゃないですか、下請までとは言わなくても自分の企業の内部における雇用確保に全力を投球するということ、それは当たり前じゃないですかと、こういうことでございます。  今御質問はオール・オア・ナッシングでございましたが、私としてはそれぞれのケース、ケースを見まして、あるときにはこんなにリストラするのはおかしいじゃないか、新卒を一人も採らないというのはおかしいじゃないか、あるいはこちらの方ではよく労働組合と相談してやってくださいよ、新規事業に出るとかあるいは十二分ほかの会社で受け取っていただけるようにと、そういうように考えております。
  33. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、大臣のお考えはあったんですが、今お話あったように雇用が大問題だと。さっき大臣おっしゃったように、国際的に見てリストラ必要なんだと。これはある程度私も多少は理解できます。もしそう思うなら、同時に、例えばこの間の国会で産業再生法が通りまして企業が今どんどんリストラに入っている。その前は持ち株会社制度をつくった。これはすべてその企業の競争力強化も含めてやっておるわけです、さっきおっしゃったように。そうしたら、本当は同時並行的にその雇用問題というのがなければいけない。  もう既に、先ほど来議論があるように、大企業はどんどん走っておるわけです。既成事実がどんどんできてきている。だから、結果的にはこれは残念ながら雇用面で言うと全く立ちおくれてしまっている、こういうふうに思わざるを得ないんですが、この点はちょっと後で議論させていただきます。  その前に、こういう一連のリストラ計画に伴って我が国労働市場といいますか、将来の特に失業率等にどういう影響が出るかというのは、大臣、どう見ておられますか。
  34. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 日本における少子化等々からいろんな研究がなされ、統計が発表されております。中には、外人労務者を入れたらいいのではないか、介護だとか看護関係でそういうことが考えられるのではないんだろうかというような論議までなされているわけでありますが、私どもの方の見方としては、二〇一〇年までは少なくとも、国内で高齢化と少子化という問題がありますが、ここをいろんな方法をみんなで考えていただいて、外人労務者を入れなくても何とか国内でもたせることができるのではないか、またそういう気持ちを持っていろんな雇用対策を考えなければいけないんじゃないかなと私は考えております。  ただ、現実の問題として、高齢化の問題、それから少子化の問題で、若年労働者にかわって中高年齢層が安心して働けるような一つの私どもとしては支える制度、それを確立させていただければ、将来の今申しましたとおり全体の問題に対して何らかの貢献を私どもとしてはすることができるのではないか、こう考えております。
  35. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ということは、つまり二〇〇〇年代の初めから二〇一〇年にかけてはだんだん失業率は下がってくる、むしろ逆に言うと労働力不足になる、こういうふうに大臣は見ておられるわけですか。ということでいいわけですか。
  36. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) いや、今の状態からいいますと、片方で中高年齢の方の数が非常に多くなってくる。何百万人ベースで片方は足りずに片方はふえていくわけですから、どうしてもそのギャップを我々としては考えなきゃいけない。ほうっておけばまさにそうなるわけですから、統計的に。若年労働者の数が十年後には四百万人程度減りますよ、中高年齢層はそれに相応してふえてまいりますよと、こういう数字は出てきているわけですから、私どもとしてはそれに国内の雇用を確保するという見地からどう具体的に対処するか。当面の問題として中高年齢層の職場の確保ということに全力を投球させていただいているというのが現実の姿でございます。
  37. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私がお伺いしているのは、今いろいろ議論されている大企業リストラ計画なんかもありますが、こういうものの影響も含めて、これからの労働市場で言うと失業率はどのようになっていくんでしょうか、こういうふうにお伺いしているんですけれども、今の大臣お話だと、まあ一部注意をすればあとは大体大丈夫だと、こういう理解でよろしいんですか。
  38. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 私は、当面の労働省としてなすべきことは何かということに重点を置いて御説明させていただいた次第でございまして、例えば今の新卒の採用をみんな控えると言うんですから、これは将来足りなくなるというのはわかっていながら、現象としてその逆の行動といいますか、そういうことがなされているという非常に残念な現実であるわけです。  ですから、将来は中高年齢層の方々も、全体として労働量が不足する日本の内部においてどういうように位置づけて頑張っていただけるか、他方でこれは中期的な目標として私どもはしなきゃいけないなと、こう考えております。
  39. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 労働省としてはそういうことをおやりになる結果として、じゃ失業者は減るんですかふえるんですか、それを私はお伺いしているんです。
  40. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 非常に難しい問題です。  今までの失業率を見てまいりますと、三%台がいいのか四%前半なのか、いろいろ議論はできるわけですが、私どもとしては三%後半には政策の目標として、これをはっきり出した方がいいかどうか迷うわけですが、特に若年層の方々が価値観が違いまして、昔みたいに学校を出たらすぐ必ず勤めるというのが情勢でなくなってきているわけです。非常に、企業を選択し仕事を選択するという、そういう若い人の価値観が多様化してきておりますので、すべて就職戦線に入っていただけるということはなかなか期待するのは難しいんじゃないか。そういうことを考えると、三%後半ということを私どもとしては目標として最大の努力をいたしたい。ということは、現在の四・七%を一%、いわゆる非自発的失業者百万人前後の方々、ここの方々に対して具体的に政策的に雇用の戦線に戻っていただけるようにできるかどうか、こういうように数字的には、先生、私自身はそのように考えております。
  41. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 最初からそれをお答えいただければ。  ということは、今大体四%台の後半のところですが、大臣が今おっしゃったように、これを政策努力によって三%台の後半まで約一%これは中期的に下げる、こういうことでありますね。ちょっと確認をさせていただきたいと思うんです。
  42. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) ただいま非自発的失業者百万人と申しましたけれども、これは全部が全部就職されるということはあり得ないと思います。二十代の方にも三十代の方にも、数は少のうございますが、非自発的な失業というのはあるわけなので、中心はやっぱり中高年齢層というものを念頭に考えますが、すべてそれをといってもそれは無理な話なので、基本的にはそれらも含めて一%削減。その目標に向かって進めれば、大体自分が希望するところに勤めることができるよ、少し月給は安いかな、しかし自分としてはこれでまあまあ腹七分目だ、そういう過去の余り雇用不安を持たなくてよかった時代、とき、こういうものを私自身としては念頭に置いて先ほどの数字等も申し上げている次第です。
  43. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ぜひその目標を二〇〇〇年代初頭に達成していただきたいと思うんです。  例えば今の失業状況を見ますと、今失業率が四・六、七、こういうことなんですが、実際はさっき大臣おっしゃったように、いわゆる非自発的失業というんですか、経済循環で出る失業じゃなくて、構造的失業がずっと上がってきているんです。構造的失業率が今や三%をかなり超えているんじゃないかと私は思うんですが、そういう状態の中ですから、割合向こう五年、十年の失業率については厳しい見方をする人が多いんです。ある人は五%を超えるんじゃないかと、こういうふうに言っている人もいるんですが、大臣のお言葉を聞いて私は大変心強く思いました。ぜひそういう努力はしていただきたいと思います。  ただ、一つ申し上げますと、それをどう政策で実現していただくかということでちょっとつけ加えさせていただきますと、例えば小渕内閣のいわゆる経済目標を見ますと、今年度はいろいろあって大体〇・六ぐらい、来年は、後半には何か本格的にと。後半が本格的ですから、それが〇・六が二とか三になるわけはなくて、せいぜい一か、それはちょっと数字はいろいろあるんでしょうが、そんなところだと。十三年度からいわゆる本格的なところに乗せたいというような、これはなるかならないかは別にして、小渕内閣としてはそういうことをおっしゃっている。  そうすると、今の大臣お話のように、その中で失業率を一%下げていく、こういうことを考えますと、これは私は今の程度雇用政策ではとてもじゃないけれども追いつかないんだというふうに思いますけれども、ここら辺はどうなんでしょうか。
  44. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) きょう一番最初大野先生の御質問のときに申し上げたんですが、今おっしゃった数字は、日本経済のマクロ経済をどういうように見ていくかというところから実はいろいろはじかれている数字でございます。ですから、本年の失業率がどうかという点については、前の企画庁の計算によりますと四・三%ということになっております。それが現実には四・七%。現実にこの数字が出てきたわけですから、その数字に合わせて見通しの修正がなされたわけです。  しかし、いずれにしましても、マクロ経済の見通し、これについてはいろんな政府施策が全部集まった結果としてああいう数字が出てくるわけでございまして、私自身としては、それはそれとして、雇用政策の面からいかにそれに近づけるかということで努力をさせていただく。当然産業政策でも、あるいは公共事業政策でも、それぞれのところでマクロ経済の中でのウエートがあり、その事業が安定し、ふえれば、必ず雇用量はふえるわけでありますから。  しかし、それを私ども立場としてはそれでいいんだとは全く思っておりません。現実の姿を見ますと、きめ細かく関係の業種、企業等について支えになるような政策は次々出していかなきゃならないな、こう思うわけでありまして、今先生おっしゃったように、先生からも積極的な案を出していただいて、これはどう思うというようなこともおっしゃっていただいて、国を挙げて雇用政策として対処をさせていただければなと、これは私からのお願いを含めての言葉でございます。
  45. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今お話しのようなことで申し上げますと、ぜひ私どもに政権を持たせていただければもっと立派なものをつくりたい、こう思っておりますが。  そういった意味で、先ほど大臣言われたような形で、より積極的に雇用対策を打っていくということから考えますと、私はちょっと今の労働省のやり方というのは、少しずれているんじゃないかなといいますか、ちょっと言葉は悪いんですが、違うんじゃないかな、こういうふうに思うんです。  というのは、さっきもちょっと大臣、いろんな制度の御説明をされました。私も実は労働委員会初めてなものですから、労働省はどんなことをやっておられるのかなといろいろ探してみたんです。労働省のやっている助成金制度だけで、これホームページからだっと抜き出したんですが、数え方はいろいろあるんですけれども、四十六種類あるんです、四十六種類。これ全部金を出すんです。  たまたま僕も、ある自治体がこの雇用対策のホームページを出していました、それを見たものですから、ちょっと聞きたいこともあったので電話したんです。これは労働省じゃなくて自治体です。当然、労働省政策を受けて出している。さっぱり要領を得ないです、たらい回しですよ。こっちへつなぎますから、こっちへつなぎますからとぐるぐるぐるっと回って、朝方電話したのが、最終的に何とか答えらしい答えをもらったのは夕方。  さっき大臣がおっしゃったように、本当に重点的に、問題のあるところに重点的に打って、今の雇用対策そのものを、雇用情勢を一%失業率改善する、こういうことを考えた場合に、これではちょっと国民にはわからないんじゃないか。  こんなにたくさんあったということは大臣御存じでしたか、一言だけちょっと。
  46. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 私も、就任いたしましてパンフレットを見まして、四十をオーバーする非常によく似た名前の補助金、実は混乱いたしまして、先生と同じでございます。  したがって、例えば今度の日産の村山地区の解決については、もうこういう補助金、そういうことは言わない。下請の人がおいでになったら、あなたは何が一番困っておりますか、何をしたいと思いますか、それじゃわかりました、こういう補助金の制度がありますから、これでひとつ頑張ってください、これで頑張ってくださいというやり方にしよう。これを何とか自分の立場から援助してほしいと思う人の立場に立って仕事のやり方をやりたい。そういうことで、労働省皆さんには、村山問題の解決というのは一つのモデルケースだという形で、この制度をフルに利用して関係皆さんが助かるように努力をいたしたい、こう考えます。
  47. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 そのやり方は確かに一つの問題に対して、今おっしゃった大臣の指摘された問題は大変大きな問題ですからそれはそれでいいと思うんです。  問題は、例えば今度の労働省政策もそうなんですが、中小企業を幅広く対象にするとか、あるいは、さっきも大臣おっしゃったように、大企業リストラは目立つんですが、中小企業リストラというのは何か目立たないんですよ、恐らく水面下ではたくさんあるはずだと。そういうところに支援していこうとか、あるいは雇用の手を打っていこうということになれば、一つずつあなたどうですかというのはできないんですよ。  そういうことでいいますと、今多過ぎるものをどう整理して、あるいは今までやってこられた政策効果をきちっと判断して、本当に必要なことをやらなきゃいけないんです。  例えばちょっと申し上げますと、今例に挙げられましたけれども、今回の経済政策で、例えば中小企業地域雇用創出特別奨励金、なかなかこれは私も名前を覚えられないのです、大臣と一緒で。それで、これは確かに意欲的なところを援助していこうということなんですが、実はこれは今まである中小企業労働力確保法というものの助成内容に上乗せしたんです、上乗せ。今までは賃金助成をやっていたのが、例えば人材を教育するための機材の購入を援助しようとか、セミナー費用も払ってあげようとか、そういうふうに上乗せしているんですよ、今までのある制度を。  ずっと掘ってみると、ほとんどがそうなんです。要するに、ある程度ちょこっとあったものに上乗せをしている。例えば、問題が出た地域にはこれを少し上乗せしますよと。だから、さっきのリストラのところでも申し上げましたけれども、すべてが後追いなんです。ちょこまかちょこまか乗っけていく、言い方はちょっと失礼かもしれませんが。だから、それに今までの制度に上乗せ、横出しをしていく、こういうのがやり方なんですよ。  ですから、私は、ちょうど大臣も今名前を覚えるのに苦労されているわけですから、思い切ってここを整理して、もっと本当に効果的なものに重点的にやる、こういうことをぜひ示していただきたいと思うし、今度のこの新経済対策もそういう観点からちょっと見直していただきたいと思うんですけれども、どうなんでしょうか。
  48. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) いや、私も事務局に対して、非常に次々積み上げていったものですから、よく似た名前ですし、もう一遍政策目的別に大整理をしたらどうですか、まとめたらどうですかと。例えば、地域対策なら地域対策、あるいは産業対策、いろいろあるわけですが、もう少し、例えば雇用の安定という観点からと、もう一つ雇用を創造するという観点から見ると、こういう制度、こういう制度、似たようなものはこれを合わせるという形でひとつ整理統合をぜひしてほしいと、こういうことで検討にただいま入っております。  私自身がもう非常に今先生と同じようになかなかわかりにくくて、やっと私自身納得して頭の中で全部整理統合されておりますから、皆さんにもわかりやすいような形でぜひ統合整理をしてほしいと、こうお願いしています。
  49. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ぜひそれはやっていただきたいと思いますが、ただ、大臣、今こういう雇用情勢のときですから、それは急いでもらわないと、検討してもらっているだけじゃだめなんで、この今回の経済対策からでもやるぐらいの英断をぜひしていただきたい。  それから、もう一つちょっと申し上げさせていただきます。  今回の今申し上げた中小企業向けの政策なんですが、今までのものはおおむね賃金助成が多いんですが、これは設備にお金を出します、あるいは教育訓練の費用、セミナーなんかの費用を出します、こういうふうになっているんですよね。これは本当は労働省じゃなくて、設備にお金を出すなら中小企業庁がやるべき話じゃないんでしょうか。ちょっと私はここら辺の政策意図がよく理解できないんですけれども、どうなんでしょうか。
  50. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 私が一番今度就任するに当たりまして気をつけましたのは、産業政策中小企業政策雇用政策が表裏一体であって、これをドッキングできないかと。今おっしゃるとおり、施設を云々というのは、本来からいうとこれは中小企業の生産を担当するところの仕事です。設備を融資するのであれば中小企業金融公庫、これは設備融資に対する政府金融機関。私の方でこれ出ましたのは、すべてこれだけ雇ってくださいよ、これだけ雇ってくださいよという形で雇用をきちっとした前提にして、そのためにこういう設備云々が必要であれば一定金額助成をさせていただきますよ、こういうことでございまして、あくまで雇用を前提としてできるだけのことをする。  そして片方で、普通の中小企業方々は例の保証協会の保証を十兆円上乗せしたと。今まで二十兆円。それでお金を借りやすくしなさい、借りなさいと。新規努力していただくのであれば、私どもは、人を雇っていただけるならば雇用政策という面からそれを下支えしてあげますよ、こういうことでございまして、今、設備等々が所管外の云々というのはという御趣旨だと思いましたが、しばらくその辺は緊急対策で何とか中小企業を盛り上げようということでございますので、それはまた別の機会にやり方等については御審議していただきたいと思います。
  51. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今のお話というのは結構大事なところなんです。というのはどういうことかといいますと、今回も政府は、中小企業国会だと、こうおっしゃっている。要するに中小企業を育成していく。それで、要するにベンチャーだとかこれからの日本経済を支える中小企業を育成していく。育成のために必要なお金を出していく。それは何のためにやるかというと、それをやることによってその企業が成長してもちろんたくさん雇用を抱えてくれる、それが期待ができるからそういうことをやっているわけです。  ところが、今度の労働省のは違うんですね。さっき大臣がおっしゃったように、人を雇ってくれたら設備にお金を差し上げます。もちろん、それは選ぶところは今まで中小企業の中でも将来性がありそうなところを選ぶのかもしれませんが、人を雇うことが前提になって、それに設備補助をします、設備に対して助成金を出します、こういうことですから、順序が逆なんです。  それで、私が思うのは、企業をやる人の立場から見れば、人を雇ったら助成金があるから設備を買おう、こういうのはちょっと考えられないんですよ。だから、私はこれは雇用政策としても効果はないんじゃないかな、こう思うんです。ですから申し上げているんですが。これは順序が逆だと思うんですけれどもね。
  52. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 先生は設備ということを申されましたけれども、私どもは生産設備等は念頭に置いておりません。例えば、合理化するために情報処理ができるようにということでございまして、しかもその中小企業に対して同じやり方を二年も三年も続けてお金を差し上げるということはいたしません。あくまで創意工夫に基づいてやろうという、スタートダッシュをつけてもらう、人を雇ってスタートダッシュして飛び上がっていただきたい、こういうことで半年とか一年とか、あるいはその企業に対して七百五十万円から千五百万円とかそういう金額を決めて御支持することができればという、こういう考え方でございます。
  53. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、生産設備じゃなくても、私もいろいろ聞きました、まだ詳しくは決めておられないようですけれども、やはりある種のそういう企業で使うもの、人の助成じゃなくて物の助成をするわけですね。ですから、それが今申し上げたようにちょっと順序が逆だと。もし本当に人を抱えるということでお考えになるなら、さっきどなたかから出ていましたけれども、思い切って例えばワークシェアリング的なことをトライしてみるとか、そういう方がまさに労働省として考えるべきことじゃないかなと思うんですけれども、その辺、ここの大事なところがちょっと違っているように思うんですよね。個別にそんなことをやってみてもそんなに成果が出ないんじゃないかと思うんですが、いかがでございましょうかね、大臣
  54. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) こういう制度をつくりますよ、頑張ってくださいと。じゃそれを活用させていただこうという中小企業が次々と相談にお見えになり具体化しているという事実、やっぱり私自身はそれだけの政策効果は確実に出てくるのだなと、こう確信を持っております。  先生が今おっしゃったもっと基本的な労働関係の調整と申しますか、例えばワークシェアリングをどう思うかとか、あるいは残業手当をどうするとか、これはもう基本的なことでございまして、これらはまだ十二分の合意、コンセンサスができ上がっておりませんので、私どもとしてはなかなかそこまではまだ踏み切る状態にはないと。基本問題は、労使関係はもちろんのこと、関係のところで十二分に御審議いただいて一つ方向をいただければなと、こう思っております。
  55. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 この場でこれ余り議論しても押し問答になるかもしれませんが、本当に大臣さっきからおっしゃっているように、やっぱりあらゆるものを抜本的に見直していただきたいんですよ。ぜひその点はお願いしたいと思います。  というのは、さっきもお話があったように、私たちがこれから雇用対策として取り上げていかなきゃいけない部分は、さっきおっしゃった百万人の非自発的失業者、ここを中心にして減らしていく。だから、さっきも中小企業労働力確保法の話で五万人ぐらいというお話がございましたけれども、ちょっとオーダーが違うんです。やはり社会的にどうしていくかということを考えないとなかなかこの対策はできない、こう思いますので、ぜひ英断を期待申し上げておきます。  それからその関係でいいますと、もう一つぜひ大臣の御見解を伺いたいんですが、いわゆる最近よく言われています労働者保護法といいますか、最近のいろんなリストラだとか、企業の組織変更に伴うさまざまな問題というのはたくさん出てきています。もう朝から、十時から議論しているように、今のこの大企業リストラも大変大きな問題です。そういうことを考えた場合に、そういった企業が行う組織変更に対して、そこに働いている人たちの権利を守る、そういう意味での何らかの新しい法的な手当てが不可欠ではないか、こう思うんですけれども、この点についていかがでございましょうか。
  56. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 現在、労働省におきまして、企業組織変更に伴う労働関係、これについては判例もございますし、またいろいろ事例もございまして、これらを収集して私どもとしてはぜひ分析を進めなきゃならない、こう考えております。特に、法務省の法制審議会において会社分割法制、これを創設するための実はただいま検討が行われている、そのように聞いておりますが、その状況も見ながら、私どもとしては必要な検討を、労働省としてどう対処するかという見地からいろんな問題点の整理をし、申し入れることを申し入れなきゃいけないな、こう考えております。
  57. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 多少前進的な御見解をいただいたんですが、これはもっと踏み出してぜひ実行していただきたいと思うんです。  というのは、先ほど来申し上げていますように、企業がさまざまに組織変更していける手だてというのは政府はずっとこの二、三年の間にどんどんおつくりになっている。産業再生法もこれは臨時的とは言えできた。ですから、やはりそれに見合う雇用問題の制度受け皿がないんですよ、今。ないんです、全然ないんです。ですから私はこういうふうに申し上げているんですよ。  日本のこの経済社会を考えますと、これはぜひ大臣に理解していただきたいと思うんですが、戦後五十年間でこれだけ経済発展できたというのは、やはり何といっても労使関係なんですよ。企業とそこで働いている人たちとの関係がうまくいっていたからなんですよ。それは何かというと、労働省がさまざまな政策で、ややもすれば企業側に傾きがちなことを、やはり労働政策として例えば労働基準法があったり、さまざまな政策でそれを均衡をとってきたんですよ。  しかし、それは残念ながら時代の変化の中で変わりつつあるんです。前提条件が変わってきているんです、今。だから、派遣とかパートがふえているし、企業は今まであった組織を変えて分社化もしなきゃいけない。ということは、今まで私たちが前提にしてきた労使関係の物の見方というのはだめなんですよ。変わってきちゃっているんですよ。企業が変わることに関しては政府は物すごく今サポートしておられる。早く追いつこうと思ってどんどん法整備も図っておられる。しかし、肝心のもう一方の方は、今大臣がお答えになったようにまだ分析、検討だと、こうおっしゃっている。こんなに差があるんですよ。これは私は日本の経済社会を考えたときに、それこそもうとんでもない話だと思うんです。だから、早くこれを均衡がとれるように本当に急いでいただきたいんですよ。これは重ねてお願いしたいと思うんです。
  58. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 先ほど御返事させていただきましたが、私としましてはできる限り早急に検討を進めていくつもりでございます。
  59. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 この問題で、もう一つ申し上げておきたいんですが、私もいろいろ研究しましたけれども企業が営業譲渡したりするときには、さっき大臣がおっしゃった一般法というのは割合適用しやすいんです。あるいは判例なんかも適用しやすい。例えば国鉄の分割・民営化のときの事例なんかもあるんです。ところが、一番急がれているのは企業の分割とか分社なんです。ぜひこういう点も含めて議論をお詰めいただきたいと思います。  それからもう一つ、これに関して、最近企業リストラ計画を例えば労働組合に事前に協議しようと思ったときに、インサイダーに引っかかる、こういう理由で協議を組合から言うと拒否される、経営側の方も協議しない、こういうことが時々話題になるんです。それで、今の労働者保護法なんかも私たちはぜひ労使事前協議というものに重きを置いてほしいと思っているんですが、この間何か新聞でちょっと拝見しましたら、労働者保護法の話で、こういう労使の事前協議をやるというのはインサイダーに引っかかるというようなことを、事もあろうに労働省の幹部が発言されたというふうに何か小さな記事で出ていたんですけれども、これはそんな事実はないですよね。これに関してちょっと大臣の御見解をお聞きしたいんですけれども
  60. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 従来から慣行として、労使協議の対象になった事項、非常に重要な基本問題、こういう非常に大切なものを経営者サイドがインサイダー取引のおそれがあるからという理由で情報提供やあるいは労使間の協議を拒否する、明らかに従来の慣行に反しますし、労働協議の基本にかかわることでありますから、私とすればそういうことが行われるとすれば極めて不適切なものだと、こういうように考えております。
  61. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ぜひ労働大臣も事前協議を推奨していただきたいと思います。  それで、あともう一点、雇用といいますか全体的な労働市場の問題について申し上げたいんですが、今は法律的な整備の話をしました。今実は日本の雇用というのは、大臣先ほど来おっしゃっておられるようにどんどん流動化しつつあるんです。  そういう中で、実は国のいろんな制度、例えば労働省の管轄でいいますと雇用保険制度とか、あるいは厚生省の所管の年金制度とか、あるいは企業の中で制度としてあります退職金制度とか、こういうものがすべてがと言っていいくらい、長くその一つ企業にいて定年までいればその条件がいい。要するに、企業を移ると割を食う。こういう仕組みになっているんですよ。ほとんどの日本の制度はそうなっているんです。  ですから、私、さっき労働者保護法の話だけ申し上げましたけれども、こういう面も含めて、労働市場の流動化というのはこれは一つ方向なんだということがはっきりそういう御認識があるとすれば、やはりそういう制度面も労働省からぜひ積極的に取り上げて、できるだけ早く実態に合わせるような、割を食わないようなそういう制度的な整備、これこそ私は労働省がやらなきゃいかぬのじゃないか、こういうように思っているんですけれども、いかがでございましょうか。
  62. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 今の年金関係に関する我が省としてのあれでありますが、従来の企業年金等に加えて、今回は新たな選択肢として確定拠出型年金制度というものを取り入れる、平成十二年、来年から導入しようじゃないか、こういうことで現在検討を進めておりますが、これのあり方につきましては、厚生省、労働省、大蔵省及び通産省四省がそれぞれ共同で、いかなる形がいいかということで現在鋭意検討し、準備を進めているというのが現状でございます。当然我が省としては労働者の立場から具体的な注文も出し、反映できるように努力をいたしたいと思っています。
  63. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、企業年金の話もございました、例えば新しい確定拠出型を導入しようかと。省庁間の話に時間がかかり過ぎているんですよ。今、四省でやっていると言う。だけれども、それは本当はずっと前から、かなり前からおやりになっているんですよ、省庁間の調整は。だから、そういうところが、特にこういう時代的な状況を考えると、ぜひ労働大臣のイニシアチブを発揮していただきたい。  それに関連してちょっと具体的なことを申し上げますと、来年四月から介護保険が導入されます。実施される。この間の三与党間のいろいろな協議があって、そのことは私は申し上げませんが、最初に厚生省がお決めになった中にいわゆる低所得者の処遇として、低所得者に関しては自己負担分を軽減しますと、これがあるんです。よろしいですかね。  それで、これ実は厚生省は社会福祉法人を通じたものは五%の軽減対象にする、だけれどもその他のものはだめだと、こう言っているんですよ。これはやっぱりおかしいですよ。この介護保険制度というのは、さっき大臣もおっしゃったように、これからの我が国雇用拡大の一つの大きなマーケットになるわけです。それから、そもそもこれ検討のときから民間参入ということを熱心に議論してきたわけですが、こういうふうになると、これは逆行する話だと思うんですが、ぜひ労働大臣から厚生大臣に変えるように折衝をしていただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
  64. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 低所得者の皆さんにかかわる介護保険制度、非常に今回この制度をどう利用するかということで論議がなされたことはもう御承知のとおりでございます。  そういう意味において、私どもとしては、今先生が御指摘の低所得者の立場から具体的にどうすべきかと。一応の今度は決まったわけですが、これらについて私どもとして意見を言うべきところはきちっと意見を申し述べていきたいなと、こう思っています。
  65. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっとよく聞き取れなかったんですが、これはお取り上げいただいて、ではやっていくということでよろしいんですか。
  66. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 一応決められたわけですから、私どもとしては実施状況を見させていただいて、その後その結果によって対処すべきところは対処いたしたいなと、こう思います。
  67. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それは絶対私は、大臣、おかしいと思いますよ、こんな筋違いなことをやられて。さっきから雇用拡大にどうしようという、これだけ私たちやっているんですからね、議論もしている。  そもそも、さっきも申し上げたような経過の中で突然こういう話が出てくる。ましてやこれから厚生労働省になるんですから、ぜひひとつこういうところはきちっと整合性がとれたようにやっていただきたいと思うんですが、お願いしたいと思います。
  68. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 介護保険は、御承知のとおり、全国民を対象とした制度でありますから、介護分野の需要は今後増大することはこれは明らかでございまして、民間の方々がどのように参入されるか、これを阻害するようなことになってはいけないことは当然でございます。  そういう意味におきまして、例えば雇用機会という関係から見ますと、社会福祉法人だけでなくて、民間事業者、NPO等も重要な役割を果たしていただかなければならないわけですから、今後とも幅広い対象について介護分野における良好な雇用機会創出が図られるよう積極的に私の方としても取り組んでいきたいなと、こう思います。
  69. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 全然積極的じゃないじゃないですか、大臣。極めて後ろ向きで消極的じゃないですか。これ、もう政府が決めたということなんですか。こんなばかなことを決めさせては、幾ら雇用を拡大しますとか、民間の育成をしますとか、新しい産業、企業を創造しますとか、こんなことを言ったってむなしくなりますよ。ぜひこれは改めていただきたい。本当に強く要請します。
  70. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 本件につきましては、所管大臣である厚生大臣の御判断をぜひ尊重させていただいて、もし我々として何かあれば、直接雇用創生と関係があれば別ですが、差し当たり厚生大臣の判断を尊重して見守っていきたい、こう思います。
  71. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 大臣、そんなばかな答えはないですよ。やっぱり私は今からでもそれはお話ししていただく、そうすべきだと思いますけれども、どうですか。
  72. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) この問題に関しまして、雇用創出を損なうということ、非常に大きな影響を与えるかと、現状では少ないのではないかなと、こういうように判断いたしております。
  73. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと大臣
  74. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  75. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 速記を起こして。  今の直嶋委員質問については、休憩後、午後の冒頭でよく検討していただいた答弁をしていただくようにしたいと思います。  では、今五分ですから、一時五分まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      ─────・─────    午後一時十一分開会
  76. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) ただいまから労働社会政策委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、労働問題及び社会政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  77. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それでは、午前中の私の介護保険に関する質問について、再開後大臣から改めて答弁をいただくということでございましたので、大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。
  78. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 直嶋先生の午前中の御質問に対しましてお答えさせていただきたいと思います。  本件に関しましては、介護保険制度内容をどうするかという政策判断と介護に関する雇用拡大をどう図るかという政策判断の調整の問題ではないか、こう考えます。  この場合、いわゆる低所得者が対象者に占める割合は一〇%以内と見込まれているところであり、その意味で、民間事業者の参入に大きな障害になることはないと思われ、さらに言えば、社会福祉法人であれ民間事業者であれ、介護に関する全体としての雇用拡大は同じでありますから、介護保険制度観点からの政策判断を尊重することも必要ではないかと思われます。  しかしながら、先生の御指摘でございますので、先生の御趣旨を踏まえまして、私として厚生大臣に具体的に話をして相談いたしたい、こう思います。  以上です。
  79. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ぜひ大臣に、今、厚生大臣と話をするということですので、ぜひ努力をしていただきたいと思いますし、確かに、介護保険制度をどうするかという政策判断と雇用拡大の政策判断だ、こういうふうにおっしゃいましたけれども、しかし朝から延々議論していますように、雇用をどう確保していくかというのは大事な問題でありますし、それからやはり民間と半官半民のこの社会福祉法人とを公平な土俵で競争させ、そして民間を育成するということが大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。結論によりまして、私、また予算委員会でこの問題はぜひ取り上げたいと思いますので、きょうは別の次のテーマに移りたいというふうに思います。  それで、残り時間が余りないのでありますが、続きまして、同僚議員の川橋議員の御好意をちょうだいいたしまして、ちょっと大臣にジェー・シー・オーのこの間の東海村の事故に関しまして御見解をいただきたい、このように思います。  今度の東海村の臨界事故でありますが、いろいろな局面があったんですが、二十三人のジェー・シー・オーの従業員で結成された決死隊、こう言われているんですけれども、この人たちが、いわゆる事故を起こした臨界に至った沈殿槽の冷却水の抜き取り作業を行って、さらに決死隊の人たちが再臨界を防ぐためにその沈殿槽に硼酸注入を行ったということであります。これによって臨界状態がとまったわけであります。したがって、彼らが水抜きをやったりあるいは硼酸を注入したりしたことは、そのことによってあの臨界事故がさらに広がるとかそういう最悪の事態を防ぐことができた。したがって、結果的にはよかったというふうに言えるのかもしれません。  ただ、きょうは労働委員会ですから、特に労働政策という面で考えますと、本当にこれで問題がなかったのかということはやはり冷静に振り返ってみなきゃいかぬ、このように思います。例えば、原子力安全委員長の佐藤委員長が、水抜き作業について、現場での指揮命令系統をもっと明確にしておくべきだった、事故を起こした事業者の責任範囲や協力者に何をどこまでやってもらうかということが極めて重要なのに、あいまいな点が多かった、したがってこれを反省している、こういうふうに新聞ではその談話が報道されていました。しかし、最近出ました事故調査委員会の中間報告を見ますと、この点についてはほとんど触れられていないんです。したがいまして、きょうこの点について大臣の御所見を少し承りたいということであります。  まず、水抜き作業を決死隊ということでやらせたことに関する大臣の御見解を承りたいんです。  というのは、そもそも今回の臨界事故については、だれがやるかということについて明確な根拠がなかったんです。法的にも明確な根拠がなかった。したがって、当初はだれがやるかということでちゅうちょがあったというふうにも聞いています。結局、中央から行かれた原子力安全委員会のメンバーの方が、要するに協力者を事故を起こした事業者より先に被曝させることはできない、これは道理に反するということで、ジェー・シー・オーに強力にジェー・シー・オーで作業をするように求めた、こういうふうに報道されています。  結局、そもそもの根拠があいまいだったために、結論から言うと、ジェー・シー・オーはこの危険な作業を業務命令ではなくて同意を募るという、非常にあいまいな形で従業員に作業をさせたわけであります。だから、事業者の責務が法的に明確化していなかった、あいまいだったということが、いわゆるこういう決死隊ということで作業に入らざるを得なかった、こういうふうに言えると思うんです。ジェー・シー・オーの方も、業務命令の根拠がなかったために、その作業の安全確保にも自信がないために、結局こういう同意を募るということをやって、しかも危険な状態で従業員を作業に当たらせた、こういうことになったのではないかと思うんです。  したがって、ジェー・シー・オーがこういう決死隊という形で作業に従業員を当たらせたことについて、本当に労働者の安全とか衛生を所管する労働大臣として、そこに問題はなかったのか、この点について大臣の御見解を承りたいと思うんです。
  80. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 例えば、原子力発電所等におきましてこういう事故が起きるということは予想してはいけないわけなので、予想してはいけないということはあらゆる措置を講じて放射線が外に出ないということでいろんな措置が講じられておるわけでありますが、今回のジェー・シー・オーの件については、まさか臨界事故が起きるとはほとんどと言ってよろしいか、起きるということを前提にして作業等が行われていなかった、ところが不幸にこういう事件が起きてしまったと。  そういうことから、今回の処理につきましては、地域住民の安全確保のため臨界停止を一刻も早く行う必要があったわけでございまして、現地対策本部に派遣されていた原子力安全委員等の専門家と事業者が検討した結果、労働者の安全確保にも十分留意しつつも水抜き作業に労働者をつかせざるを得ないという判断がなされたと、こう聞いております。また、この作業に従事する労働者本人の同意をとった上で業務として事業者の責任において派遣されたと、このように私どもは事情を聴取いたしております。  被曝のおそれの高い業務に労働者をつかせることは無論望ましいことではありませんが、当該事業場において発生した臨界事故による地域住民の被曝を最小限にとどめるためには必要な作業であり、労働者の被曝による危険も可能な限り低くするよう配慮した上でのぎりぎりの判断ではなかったか、このように考えております。  いずれにしましても、このような事故が二度と発生しないよう私ども監督官庁としても最大の努力をいたしたい、こう考えます。
  81. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ジェー・シー・オーが自分たちの責任でというふうに大臣おっしゃったんですが、ジェー・シー・オー、いわゆる事業者がその傘下の作業員にこういう作業をさせなきゃいけないという法的根拠はないんですよ。だから、大臣がおっしゃったように、周辺住民にこれ以上被害を拡大しない、そういう立場から作業に着手した、こういうことだと思うんですが、じゃ、そういう何の規定もないところの事業所の従業員がそういう作業をやることは大臣は当然だと、こういうふうに思っておられるんですか。当然やるべきなんだと、そういうふうに思っておられるんですか。それから、労働安全衛生上こういうのは問題がない、こういうふうに思っておられるんですか。どうですか。
  82. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 私自身としては、安全衛生規則上、当然こういうことを想定して対策が講ぜられるべきだと思っております。  したがって、今回の事故に勘案いたしまして、監督官の立場からは、その辺の対策、やり方等が安全規則にきちっと整備されているかどうか、それを確認の上で、今までは年一回しか発電所等へ行っていなかったんですが、一四半期に一回は行きなさいよ、さらに一方的な立入検査を行って規則が確実に守られているかどうかという点を確認しなさいというルールを確立させていただきました。  そこで、先生のおっしゃる、じゃ、労働安全衛生規則でこういう場合は皆さんもう退避しなさいとか、あるいはその事業場で勤務している人のなすべき手段、これは当然考えられてしかるべきでありますが、ただ通例、非常に放射能のそれ自身が小さい場合、例えば百ミリシーベルトまでは被曝が認められているわけでありますから、この辺の最低限の限界をはっきりして、それ以上の場合にはどうするかという点が規則上きちっと定められるべきではないか、私はこう考えております。
  83. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だから、なかったんですよね。ジェー・シー・オーの事故のときはなかったんでしょう、その今大臣がおっしゃった規則は。さっきから発電所とおっしゃっているんですが、発電所ではないんですよ、あれは。燃料加工工場で起こった事故なんです。だから、最初大臣が言われたように、燃料加工工場でこういう臨界事故が起こり得るということは想定していなかったんです。その中でこういうことがなされたんです。  だから、私は、これは結果オーライかもしれないけれども、人道的に見ると、何の根拠もないところにそういう作業員を行かせたんですから非常に問題が大きいんじゃないかと、この点を踏まえておかなければいけないということをさっきから申し上げているんですけれども
  84. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) それは先生のおっしゃるとおりだと思います。現実に、ジェー・シー・オーにおいてそういうことを予想して、あり得るということで安全規則ができ上がっておったかどうか。しかし、一般的に原子炉における被曝については基本的に百ミリシーベルトまでの被曝は認められていると。こういうことでジェー・シー・オーで、あり得るということでその場合にどうしたかと。ふだん、例えば百ミリシーベルト以上に出ることがあるのかないのかというところまでのきちっとした規則といいますか、それができていなかったんだろうと、こう推察するわけです。
  85. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 委員長、ちょっと大臣の答弁はずれているんですよ。大臣、作業に当たった中で一人百ミリシーベルトを超えて被曝しているんですよ。その百ミリが満たされていたかどうかという話じゃないんですよ。現実に百ミリシーベルト以上浴びた人が出ているんですよ。だから私は言っているんですよ。ちょっとこれ、やってられないですよ、こういうのは、話が。
  86. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 今おっしゃったことは私どもはよく承知いたしておりまして、直ちに労災事故として措置を私どもとしては既にとっているわけでありまして、今私が申し上げておることは、被曝したという事実を否定するとかそういうことではなくて、この工場自身の安全衛生規則でそれがあり得るということできちっとでき上がっておったか、それを私どもは実は問題にいたしているわけです。
  87. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いや、ですから、私はそれがなかったから、ない中で、だから業務としてじゃなくて同意者を募るという形でしかできなかったんじゃないか。  普通、例えば大臣がさっきからおっしゃっている原発なんかの場合は、そういうことも想定をして危機対応マニュアルというのはきちっとできているわけですよ。だから、現実にはありませんが、万が一そういう非常に危険な状況が起こった場合は、これはそこで働いている人たちも業務としてやるんですよ、業務として。それはきちっと電力会社の原発の規則に書いてあるわけですよ。実施要領もきちっとあるんですよ。それは業務としてやるんですよということが明記されているんです。  ところが、今度の場合はそういうものがなかった。ない中で突然ああいう状態が起こって、何の予備知識も、それからもともとそういうことを業務としてやるということはあり得ないと思っていたところでそういう作業をやらせたわけですから、これは私はゆゆしい問題だと思うんですよ。  ここのところを、ちょっと大臣の問題意識と私は違うんですよ。
  88. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 労働省といたしましては、現実に被害が出ているわけでありますから、それに緊急の対策として、例えば水抜き作業に従事した労働者の皆さん、一人一人の方がどれだけの被害を受けたか、放射能を受けたかということを早速調査いたしまして、二十七人のうち一人の方が百二十ミリシーベルトを被曝しておったと。労働者全員について既に緊急の健康診断を実施いたしておりまして、その他の人は全員異常がなかったとの報告を受け、また先ほど申しましたとおり、労災の指定もさせていただいて、何はともあれ、この事故によって受けた被害について、私どもとしては緊急の措置だけはきちっととらせていただいたと。  したがって、今後、先ほどおっしゃったとおり、労働安全衛生規則でどうするか、このきちっとした制度、システムを確立するということに今私どもは入っているわけであります。
  89. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 余り話がかみ合っていないんですが。  要は、大臣今おっしゃったように、一人一人の人がどれだけ被曝をしたか調べて、一人だけ超えました、百以上の方が一人いらっしゃった、だからその方に労災の認定措置をしましたということで済む話じゃないんじゃないですか。  ジェー・シー・オーで行った作業自体が本当に危険性はなかったんですか、安全な状態でやられたんですか、そういう調査労働省としてやったんですか、何かそういう報告が上がっているんですか、それをちょっとお聞きしたいんですが。
  90. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) 今回の事案は、百ミリシーベルトですか、それ以上のところで作業をさせてはいけないというのが安衛規則でございますから、それを超えた百二十ミリシーベルトの被曝を受けた方が生じたということは事実であります。したがって、この点は形式上、安衛規則に違反をすると言わざるを得ないと思います。  しかし、御案内のとおりの大変な、住民にも被害を及ぼすという緊急の事態でございましたから、このことが、どういう責任をどうするかといった問題とまた別の観点から見ざるを得ないというのが法的な考え方になるんじゃないかと思いますが、そういう意味で、今後ともこの百ミリシーベルトという基準で労働者の安全を確保していきたい。  今、先生が御指摘のように、そういう緊急事態を生じないようにしなきゃならぬということは、全体として考えなければならないことでございまして、これは安衛規則上の問題というのか、あるいはその施設の安全確保のための他の関係の放射能製造設備についてのいろんな規制なりなんなりというもので考えていくということなのか、そこら辺はさらに検討してみたいと思います。
  91. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 原子力災害対策特別措置法案ですか、今出ていますね。この中には、今度は事業者の責任というのはある程度法律の中に書き込まれるんですよ。私が申し上げたいのは、それで一応根拠はできるんだ、だけれども、それで実際には、ああいう事態が起きたときにはとてもじゃないんですが対処できないんですよ。電力会社なんかではもっと綿密な安全面も含めた実施計画がきちっとあるんですよ。だから、そういうものをぜひ労働省として御検討いただきたい。  それから、あいまいなままでそこに働いている人に危険な作業に当たらせるようなことはやはり避けるべきであると思いますので、こういった点も含めて対処を要請しておきたいというふうに思います。
  92. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) このたび科学技術庁と通産省が原子力新法を国会に提出しまして、事業者責任を明らかにする、こういうような規定を設けているわけでありますが、私どもは、安全衛生規則の見地からその辺を再確認して、いかなる安全衛生規則が適正か、そこに働く労働者の立場から安全衛生規則をさらに再検討させていただきたいと思っています。  その上で、先ほど申しましたとおり、従来のような一年に一回ということじゃなくて、一四半期に一回は必ず現場を確認する、そして、その上に必要なときには立入検査を行うということで、安全を常に確認するという立場で、私ども労働省サイドの立場としては進めていきたいなと、こう考えています。
  93. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 じゃ、これで終わります。
  94. 川橋幸子

    川橋幸子君 引き続き、民主党・新緑風会の川橋幸子でございます。  初めての、国会活性化の観点からの、政府委員制度がなくなりまして、議員と大臣政務次官との間の議論といいましょうか話し合いということでこの国会が始まったわけでございます。お互いふなれなところもありまして試行錯誤ということかと思いますが。  私は本日、事前に通告しました質問の方は、前国会からの継続しているといいましょうか、前大臣にお約束していただいたことをまた引き続き牧野大臣にも御確認いただくというような、そういう点が多うございます。  非常に大きな問題がありましたものですから、民主党のネクストキャビネットのメンバーであります直嶋委員の方からの質問を重点にいたしましたが、私の方は、質問の数は多うございますけれども、確認的なものが多うございますので、場合によりましては政務次官の方でお答えいただいても結構でございます。答弁は短目にお願いしたいと存じます。恐縮でございますが、そのようにお願いしたいと思います。また、私の聞き方もできるだけ要望型の質問にさせていただきまして、その方向で御検討いただけるかどうか、そういう点についてのお答えぶりをいただければ結構でございます。  それでは、前置きが大分長くなりましたが、まず派遣法の問題から入らせていただきます。  労働者派遣法の改正につきましては、非常に大きな問題ということで、労働組合あるいは経営者側という労使だけの話ではなくて、一人一人の個々の人たちがこの派遣法の改正については大きな関心を持ったわけでございます。特に派遣法の場合は、派遣元と派遣先とそれと働く労働者、その関係が、三角といいましょうか、複雑に入り組んでくるということから、この派遣法の規定がどのように担保されていくかが議論の中心になっていたわけでございます。  参議院で附帯決議があり、また労働省の中では、政省令をつくって、指針をつくってその辺の細目をしっかりされて十二月一日の施行に備えられていると伺っておりますが、なお関心の強かった点、数点お伺いさせていただきます。  派遣法の取り締まりの際、現実に、一般労組の方だったと思いますが、女性の方でした、参考人にお見えになられて、派遣法の徹底をしていただくには、労働省には職業安定所と労働基準監督署があるけれども、安定所だけでは対応し切れないところが大きいと。やはり司法警察権を持つような監督署の機能も十分活用するようにしてほしいという、そういう要望が出まして、そのような趣旨の附帯決議ができたところでございます。  ついては、来年四月に発足する地方労働局でございます。来年の四月からもう発足ですので間もなくでございますが、この中で十分連携をとりながら担保していただきたいということが附帯決議の中に入っているわけでございますが、そのような方向で御検討いただいているとは思いますが、その結果が出ましたらまた私ども労働委員のメンバーにお知らせいただけますでしょうか。要望兼お願いということでございます。
  95. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 先生今おっしゃったとおり、附帯決議、これの御意向を尊重することは当然でございまして、片方で安定行政と監督行政という相反する目的を持った業務が一緒になるわけでありますから、両行政の合併のことも考えながら、十二年四月一日の発足を目指して、省内で関係部局でそこの調整をどうやってうまく持っていくかというプロジェクトチームを早急に設置して現在検討を進めております。  いずれにしましても、各都道府県労働局長がリーダーシップを発揮して派遣労働者の保護の実行が図られるよう、私どもとしては労働局を挙げて取り組んでいく覚悟でございます。
  96. 川橋幸子

    川橋幸子君 あと二問続けて質問させていただきます。  派遣法に関してのトラブルは、契約が途中で破棄されるといいましょうか解約されるといいましょうか、そのあたりのトラブルが苦情処理となってさまざまなところに上がってくることが多いわけでございます。派遣法審議の際も、損害賠償等に係る適切な措置、これを徹底させるということが合意されているわけでございます。途中で解除されても損害賠償、残りの賃金がもらえるかもしれないというようなことをめぐって、ここはたまたま新聞記事、監督署に聞いたら補償されないと言った、労働省民間需給調整事業室に聞いたら、いやこれは対応されるはずだというような、このようなやりとりも載っているところでございますので、ぜひ徹底していただきたいということが一点です。  それからもう一点は、労働保険の問題でございます。  現在、雇用保険制度については抜本的な見直しが進行中と伺います。今までのようにフルタイムの労働者をモデルとしてやっていた保険では保険の適用カバーが非常に少なくなる。私は、働く側もむしろ保険に払うべきは払い、それから失業等々の問題については給付を受ける、短時間労働者であろうとも派遣労働者であろうともそういうシステムの中に組み入れた方がいいと考えております。その方向での御検討が進んでいるかどうか、そのように検討していただきたいということで簡単に御答弁をお願いいたします。
  97. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) 二点お尋ねでございます。  一つは、中途解除に対する損害賠償等についての指針を附帯決議どおりやっているのか、こういう御質問だと思います。  これにつきましては、衆参両院の附帯決議を踏まえまして、派遣先は解除の三十日以上前に派遣元事業主に予告すること、二つ目は、派遣先はこの予告をしない場合には派遣労働者の三十日分以上の賃金に相当する損害賠償を行わなければならないこと、三つ目に、派遣元事業主は派遣労働者を解雇しようとする場合には労働基準法等に基づく責任を果たすこと等を新たに指針に盛り込みまして、昨日告示したところでございます。  また、派遣元事業主から派遣労働者に交付しなければならないものとされておる就業条件明示書にも、中途解除の際の措置等を具体的に記載していただくことにしておりまして、これらによって改正派遣法が誠実に忠実に実行されるように、指針等の周知を図ってまいりたいと思っております。  次に、短期雇用労働者、派遣法に基づく派遣労働者を含めたこういう方々についての社会労働保険のあり方についてでございます。  今お話のございますように、今雇用保険制度の見直しを審議会で検討いただいておるわけでございまして、派遣労働者は従来余り想定されていないジャンルの働き方でございますが、これらについても他の働く方々と同等の扱いができるように、どういうふうに適用のあり方をすればいいかということを検討していただいておりますので、その結論を早目に出したいと思っております。  また、厚生年金、健康保険につきましても……
  98. 川橋幸子

    川橋幸子君 それは聞いていない、カットしました。
  99. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) そうですか。ありがとうございました。以上、おっしゃるとおりにやっておりますので、先輩、御安心ください。
  100. 川橋幸子

    川橋幸子君 ひとつこれはぜひ大臣に聞いて、大臣の見解、大臣はどうごらんになるか、御自身の口からお答えいただきたいと思います。  改正雇用機会均等法がことし四月から施行されているわけです。しかし、労働省からいただいた資料でも、あるいは経済企画庁が発表しておりました国民生活白書でも、国際的に見ますと日本の働く女性が管理職になる比率というのは非常に低い、異常に低いという数字が出ております。大きく言いますと、アメリカの場合は四割を超えておりまして、日本の五倍程度管理職に登用される比率が高い。イギリスは四倍ぐらいです。ドイツは三倍ぐらい。香港でも日本の倍ぐらいという、こういう女性の管理職比率の国際的な差。日本の女性はなかなか管理職になりにくいというこんな現状について、数字をごらんになられまして大臣はどのようにお考えになられますでしょうか。
  101. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 確かに先生のおっしゃるとおりでございまして、もっともっと女性の管理者がふえてしかるべきだと、私はこう考えております。  しかし、現実を見ますと、やっぱり勤続年数だとかいろんな今までの制度が必ずしも十二分に、女性の皆さんがそういう管理職以上の職務につくというのはなかなか少ないわけでございまして、そういう点で男女雇用機会均等法を周知徹底させる、もっともっとPRしたい。  それから、育児休業制度あるいは介護休業制度、これがもうちょっと定着するように、周囲の人もみんなそれを納得してそれは当たり前だと、こういうふうになるような社会的な認識と申しますか、こういうものをきちっとするということ。そして、企業それ自身が積極的に女性の登用について努力するという、ぜひその姿勢を示してほしいわけで、こういう点も私ども積極的に訴えていきたいなと。  あれやこれや考えますと、じゃ、隗より始めよと言いますが、例えば国家公務員の中では実はどうなっているのかと聞きますと、相当のウエートまで女性が採用され、管理職等のポストについている次第でございまして、それでもまだまだだなと。だから、政府がそれをやる以上、政府内部においてももっともっと努力すべし、こういうことで私自身の立場から見ますと、内閣ではもちろんのこと、特に人事院に対してはそういう要請をこれから強くしていきたいなと、こう考えています。
  102. 川橋幸子

    川橋幸子君 大変ありがとうございました。公務部門にも労働省の方からさらに要請していただけるということで、大変力強く感じます。  男女共同参画社会基本法というものがさきの通常国会で成立いたしました。それ以前からも労働省では雇用機会均等法を持ち、国としての努力をされておられたわけでございますが、なお男女共同参画社会基本法の施行に合わせて今回は国の責務が重くなったという趣旨から御努力いただきたいと思います。  一点、これは報道記事に沿って伺わせていただきたいと思います。  女性の職場を雇用機会均等法はどう変えたかという、こういう記事なんでございますけれども、一部にはマツダ、これは企業名を申し上げていいと思います、いいことでございますので。フォードの方を社長に迎えられた日本企業がいち早くこれに取り組んだという。やっぱり日本というのは、何か外圧といいましょうか、日本人の中から例が出るよりもこういうところで出てくるのかなということが残念ではありますが、ぜひこんなことを好事例でもって他業界にも指導していただきたいということが一つです。  そして、同じ新聞記事の中に、逆手にとってリストラをしたというようなことがあるわけでございます。均等法の精神は性差別の禁止なんだから、女性も男性も遠隔地への転勤はこの法の趣旨に沿っていたし方ないではないかという、そういう退職を迫るような異動があったというような記事でございます。  一部の報道でございますし、この件がどうのこうのと言うわけではないのですけれども、均等法のガイドラインの中では、家族的責任を持つ労働者への配慮をしなければならないというこういうガイドラインがあるはずでございまして、もし一部であってもこのような記事が出るような事態がこれから出てくるということは問題ではないかと思われます。  重ねて、そのガイドラインで求めているような家族的責任を持つ労働者への配慮というのは均等待遇と両立するものとしての指導をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  103. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) 御趣旨のとおりだと思いますし、我々もその方向努力をいたしております。  今、家族的責任を持つ労働者への配慮についての御質問でございますが、ガイドラインの中で、例えば家庭との両立を図りつつ勤務を継続できるよう、転居を伴う配置転換の場合には個人の生活事情を十分把握するなどの労働者の家族的責任への企業の配慮を求めておるところでございます。また、こういう問題について、中小企業についても指導、また理解を深めるためのこれから予算措置等も講じて、先生御指摘の方向労働省としては努力してまいりたいと思っております。
  104. 川橋幸子

    川橋幸子君 あと一問、簡単な質問で終わりたいと思います。  改正雇用機会均等法の中でセクハラ防止の規定が新たに盛られたということで評価されたところでございます。このセクハラ防止の配慮義務が、調査によりますと、どうも企業規模が小さいところは浸透していないようだと、こんな調査結果が報道されているところでございます。一方、女性少年室や民間のNGOなんかにはこのセクハラの防止についての相談件数が非常にかえってふえてきているという、こんなことがこれも新聞で報道されておるわけでございますが、労働省の対応はこのあたり十分であったのかどうか。中小企業国会と言われるこの時期でございますので、中小企業関係団体や日経連等々に、小規模まで、中小企業まで含めましてのセクハラ防止義務について御指導いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  105. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 女性少年室に寄せられるセクシュアルハラスメントの相談は、女性労働者からのみならず事業主からもいろんな形で実は相談をいただいております。精神的なダメージを受けた女性相談者からの相談には専門知識を持ったカウンセラーが対応すると同時に、防止対策を講じていない企業に対しては行政指導を行っているところであります。また、企業においてこれらの防止対策が効果的に実施されるよう、企業トップ層や管理職に対する意識啓発のためのセミナー、あるいは防止対策の具体的なノウハウを提供する実践講習、啓発用のビデオの作成などを行っているところでございます。  労働省としては、これらの防止の配慮義務を定めた改正均等法及び配慮義務の具体的内容を定めた指針に沿って、企業において防止対策が講じられるよう、日経連、業界団体等にも要請してきている次第でありますが、今後とも特に中小企業関係皆さんに周知徹底を図りたい、こう考えております。
  106. 但馬久美

    ○但馬久美君 公明党の但馬久美でございます。  時間が本当に押してまいりまして、私、きょうは文部省の河村総括政務次官を頼んでおりまして、私の時間帯は一時半からの質問なのにもかかわらず今もう一時五十五分でございますので、ちょっとこういう委員会、時間をきちっとしていただきたいと委員長に一言申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。  私も、先ほど直嶋議員からの茨城県東海村のジェー・シー・オーの事故に関しまして、労働省が行った総点検について何点かお伺いいたします。  この総点検は、安全衛生管理体制及び電離放射線の障害防止にかかわる措置についてと、もう一点は安全衛生確保にかかわる措置について、その実施状況が点検されたわけでありますけれども、この総点検は非常に基本的なことが欠落しているということが判明いたしました。例えば安全衛生管理体制の確立に関する事項については、衛生委員会の構成委員が充足していなかったり、また衛生管理者の責任の報告がされていなかったり、またエックス線作業主任の選任についても資格者がいなかったり等々と、安全管理が全く無視されている実態が明らかになったと思っております。  原子力発電所については年一回の労働安全衛生点検が行われているようですけれども、今回のように核燃料物質取扱事業場への基準監督官や電離放射線専門官の調査は数年に一回という頻度で行っているということです。実際に調査後、法に抵触する問題が見つかったという場合、これは果たしてきちっと指摘して改善を迫っていたのかどうかということが疑問なんです。  そこでお尋ねいたしますけれども、今回の調査の結果については今後どのように法的遵守を行わせていくかということ、これ課題が残っております。指摘はしたもののそのままということもあると思いますし、また労働省の今後の対応について、この点に関しまして御説明をいただきたいと思います。
  107. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 今回、全国の核燃料物質取扱事業場、十七事業場に対しまして総点検を実施いたしました。九事業場において二十五件の安全衛生管理体制等にかかわる労働安全衛生法違反が認められ、また十四事業場に対して五十五件の安全衛生等に関する指導を行ったところであります。  今回の労働安全衛生法違反の問題については、重大な法違反とは言いがたいものと考えております。しかしながら、災害発生の間接的な要因にもなりかねないなど、労働者の安全衛生に影響を及ぼしかねないことから、これらの法違反等については早急かつ確実に是正されることが重要でございます。  このため、法違反等が認められた関係事業主に対しては、その是正について指導を行うとともに、関係書類の提出等必要な報告を求め、その是正改善状況を確認することといたしております。これは直ちに実施いたしております。また、これらの施設については、四半期ごとに監督指導を行うなど、監督指導を強化することとしており、この中でその遵守状況について継続的に指導してまいりたいと、こう考えております。
  108. 但馬久美

    ○但馬久美君 また、もし仮に法的遵守ができなかった場合どうされるのか。ペナルティーをかけるか、その体制になっているのか。また、どういうペナルティーがあるのか、その辺をちょっと深く教えてください。
  109. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) 是正改善状況の確認については大臣から御説明のあったとおりでございますが、にもかかわらず法違反が是正されないというようなことがあった場合には、必要に応じ臨検監督を実施し、さらに改善を強力に指導するとともに、それにもかかわらず改善をしない、こういう悪質なものにつきましては、司法処分も含む厳正な対処をしてまいりたいと思っております。
  110. 但馬久美

    ○但馬久美君 ぜひよろしくお願いいたします。  そして、もう一度、今度は労働基準局長に聞かせていただきます。  原子力発電所については、今回取り組みがありませんでしたけれども、この調査点検は行われているのかどうか、お聞かせください。
  111. 野寺康幸

    政府参考人(野寺康幸君) お尋ねの件でございますが、今回の調査には含まれておりませんけれども、原子力発電所につきましては、従来少なくとも毎年一回定期検査の都度ごとに検査をいたしております。  例えば平成十年におきましては、原子力発電所に対する監督指導は、一カ所休止中のところがございまして、それを除きます全数についてやっております。具体的には、定期検査工事等を行います二百四十一の事業場につきまして監督指導を実施いたしたわけでございます。  ちなみに、監督指導を実施いたしました二百四十一の事業場につきまして、六十八の事業場で安全衛生法等の関係法令の違反がございました。これにつきましては引き続きまして是正の措置をとっているところでございます。
  112. 但馬久美

    ○但馬久美君 やっぱり人命にかかわる問題でありますので、念には念を入れてぜひきちっとした点検をしていただきたいと思います。  政務次官にお伺いいたします。  今回の総点検は、原子炉等規制法施行令を基準にして点検されたようですが、その点検はある一定基準を超える事業場が対象になっておりまして、それ以下の事業場は対象から外れております。対象から外された事業場は結構多いと聞いておりますけれども、実際どれぐらいあるのか。また、そうした小規模事業場は野放しになるという危険性もありますし、法改正が必要ならば法改正して大小問わず点検すべきではないかと思いますけれども、その点どうなんでしょうか。
  113. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) 今回の総点検の対象としなかった事業場は全国で約百二十でございます。これの内訳でございますが、一つは国立大学等の研究機関、ここら辺は労働安全衛生法の適用がないものですから、ここは対象から外れております。もう一つは、核燃料物質の取扱量が少ない、したがって労働者の被曝という観点からの問題も少ない、こういう企業の研究所とか民間の病院等を今回総点検の対象とはしておりません。  しかし、事が事でございますので、今後において労働安全衛生法の規定に基づいて労働者の被曝防止も含めた安全確保の観点から的確に監督指導してまいりたいと、このように思っております。
  114. 但馬久美

    ○但馬久美君 ぜひ安全面についてしっかりと頑張っていただきたいと思います。  それでは、社会政策問題について、少子化対策の問題でありますエンゼルプランについてお伺いいたします。厚生省の家庭局長、よろしくお願いいたします。  少子化の一層の進行と女性の社会進出は、子供を取り巻く環境の変化に対するため、平成六年十二月に、この十年間における子育て支援のための基本方針と重点政策を盛り込んだ策定をされたということを伺っております。これが通称エンゼルプランということですね。これを五カ年計画で策定されていたので、ちょうどことし、この十一年が一つの区切りとなっております。今後、さらにエンゼルプランを延長して第二次五カ年計画を策定するのか、それともまた発展的にこれを解消しまして別の計画あるいはまた対策を講じるのか、現在のところはっきりしていないので、期限がぎりぎりだということで、どのようにされるのか、お伺いしたいと思います。
  115. 真野章

    政府参考人真野章君) 平成六年十二月に策定をいたしました緊急保育対策五カ年事業でございます。  若干訂正させていただいて恐縮なのでございますが、エンゼルプランそのものはおおむね十年程度というふうに、厚生省、文部省、労働省、建設省、この四省で申し合わせをしたものでございます。そしてそのうち、特に緊急だという保育対策、これを緊急保育対策等五カ年事業といたしまして、これは平成七年度から十一年度までの五カ年事業ということで、ここには例えば低年齢児の保育所での児童数を平成十一年度には六十万人にふやす、そういうような数値目標を掲げまして計画を立てたものでございます。ただ、緊急保育等五カ年事業が今年度で終了するというのは先生御指摘のとおりでございます。  現在、政府といたしましては、今年の五月に開催されました少子化対策推進関係閣僚会議というものにおきまして、政府一体となった少子化対策のための基本方針を年末までに策定するということが申し合わせをされております。また、六月には各界各層、政府だけではなくて国民運動として少子化への対応を考えていく必要があるということから、少子化への対応を推進する国民会議というものを開催いたしまして、国民的な理解、各界各層の御参加をいただいて議論していただいている。こういう政府での議論と国民会議での議論と二本立てで進んでおります。  厚生省といたしましては、こういう状況の中で、推進関係閣僚会議で年内に基本方針をおまとめいただくということでございますので、その基本方針の策定状況、検討状況とあわせまして、十一年度に期限が参ります緊急保育五カ年計画、これをどういう形で新しい計画にするか。我々としては次の新しい計画がぜひ必要であるというふうに思っておりますので、その基本方針の作成作業とあわせて新しい計画をぜひつくりたいということで今作業をいたしております。
  116. 但馬久美

    ○但馬久美君 どうもありがとうございました。  それではもう一点、また本当に今一向に改善しない合計特殊出生率、つまり女性が生涯に産む子供の数、こういうものを引用して、エンゼルプランに対する見方が厳しい方もいらっしゃるわけなんです。このエンゼルプランの一つ一つは非常に大事な課題ではありますけれども、それだけではないということが例で挙げてあるんですけれども、次のようなことを言っている方がいらっしゃいます。  非婚者、今、未婚者というのは差別用語で、非婚者と使っているんですけれども、この非婚者がふえている現状をとらえて、結婚に夢がないのではないか、なぜならば性別役割分業に女性が強く反発している現状をよく理解していないのではないか、もっと結婚に夢が持てるように社会変革をしなくてはますます状況が悪化していくばかりであるというような、そういう意見が飛び交っております。それがすべてではないにしても、こういう意見に一理あると思うんです。  もっと結婚に夢を持てるように、女性が納得するような社会感覚が必要だと思いますけれども、この合計特殊出生率が一向に改善しない理由、また、社会的に根強い固定観念になっている性別役割分業、ジェンダーといいますけれども、これを打開、解消できるかどうか、その辺のお考えをお聞かせください。
  117. 真野章

    政府参考人真野章君) 合計特殊出生率が平成十年で一・三八ということで低下の一途をたどっておるわけでございますが、これは先生御指摘のような点も非常に多いというふうに思っております。  ただ、関係閣僚会議、国民会議での御議論でもそうでございますが、結婚するかどうか、それから子供をお持ちになるかどうか、これはまさに個人の価値観、個人の選択ということでございますので、なかなかそういう分野に直接的な対応というのはやや難しい面もございまして、やはり環境整備ということかと思います。  そうしますと、なかなか厚生省として性別役割分業、分担に対してどういう具体的な手を打てるかというのは、なかなか私ども手の打ちよう、正直難しいところがございますが、ことしの三月には男性の育児参加を呼びかけるポスターをつくりました。若干世上議論を呼びまして、「育児をしない男を、父とは呼ばない。」、こういう役所としてはかなり思い切ったキャッチフレーズのポスターを張りまして、日本の男性の育児時間が一日平均十七分だったか十五分でございましたか、そういうことではやはりなかなかこれからの少子化への対応というのは難しいんじゃないかという啓発をさせていただきました。  また、ことしの十月には、労働省と共催をいたしまして、少子化時代における新たな家族や企業のあり方ということで、それぞれの企業、家族、そういうところで役割分担が固定化しているということ、それをどうしていくのかという議論でございまして、そういうシンポジウムなども労働省と共催をさせていただきまして、できるだけ広報啓発活動に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  118. 但馬久美

    ○但馬久美君 これから少子高齢社会に向けて、やはり子育て支援が非常に大事になってくると思います。そこで、子育て支援対策に対する課題をメニュー化して優先順位をつけて対策を講じていけば国民の理解も得られるのではないかと私は思うわけなんです。そのために、国民の皆様がどういう要望を持っておられるか、まずそういうところを調査して、さまざまな施策を持ち寄り、分析して、課題のメニュー化を図ることが必要だと思います。  ある一例では、九二年の総理府の意識調査、「社会保障の将来像に関する意識調査」の対策や、またことしの二月「少子化に関する世論調査」における諸対策。また、私ども公明党が提唱しております育児休業手当の引き上げ。今現在、給料の二五%ですけれども、公明党は六〇%にしたいという思いがあります。保育待機児童の解消、駅前保育の設置の推進、さらに児童手当の拡充とか、いろいろあります。  特に、教育や住宅や通勤などに至るまで幅広い対策が求められると思いますけれども、少子化対策として子育て支援を厚生省はどういうふうに考えておられるか、お聞かせください。
  119. 真野章

    政府参考人真野章君) 今、先生おっしゃられましたように、いろんな課題がございまして、五月の少子化対策推進関係閣僚会議におきましても、六つほどの柱を立てまして、関係閣僚で御議論をいただいて、これを柱に基本的な方針を策定していこうということで御議論をいただいております。  その中にも、先ほど先生御指摘がございました固定的な性別役割分業や企業優先の企業風土の是正というような御指摘もございますし、仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備。安心して子供を産み、ゆとりを持って健やかに育てるための家庭や地域環境づくり。利用者の多様な需要に対応した保育サービスの整備その他の柱がございまして、私どもといたしましては、特に緊急保育五カ年事業でかなりの整備をさせていただきましたが、ことしの補正で措置をしていただきました少子化対策臨時特例交付金等も活用いたしまして、待機児童の解消のためのかなりの保育所整備が行える。  そういうことで、多様な保育サービスへの整備でありますとか、それから安心して子供を産み、ゆとりを持って健やかに育てるための要するにお母さんを孤立させずに地域で何とか子育て支援をしていくというような方策、そういうような方策をぜひ基本方針の中にも盛り込み、また先ほど申し上げました新たなプランの中にもそういうようなものを盛り込んで政策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  120. 但馬久美

    ○但馬久美君 第一次補正予算でも二千億円つけていただきまして、本当に感謝しておりますけれども、まだまだそういう国民ニーズに合ったそういう子育て支援政策というものが大事であるなということを感じております。  少子化は若い世代の価値観とか文化とも関係しておりますから、政治の力だけでは解決できるものではありませんけれども、さまざまな政策によって子育て支援を考えたり、また少子化に歯どめをかけるという必要があると思います。これからも大きな課題でありますので、ぜひ国民の要望を聞いていただきまして、力になっていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは、最近の雇用、そしてまた失業状況についてお伺いしたいんですけれども、午前中いろいろお話がありましたので、労働大臣一つ将来の労働力の需給についてお伺いしたいと思います。  現在は雇用の過剰で失業が増加していますけれども、今後数年で日本全体の労働人口が減少してまいります。そのために政府の適切な労働力の需給調整が要求されてまいりますけれども労働力人口が減少すれば働く場がふえ失業が減少すると簡単に思いがちですけれども、求人と求職のミスマッチがあって、そのミスマッチへの対応を間違えばますます逆に失業者がふえ、社会不安が増大して、不況が一段と進行する結果になっていくというのは、今もずっとお話がありましたようにあります。しっかり将来計画を今から立てないととんでもないことになるということが心配されております。  そこで、お尋ねいたしますけれども、ことしの一月—三月期の完全失業率、朝も出ておりましたけれども、四・六%のうち労働省の推計では一・四%は需要不足による失業で、残る三・二%は求人と求職の条件が合わないミスマッチによる失業だとしております。また、このミスマッチには職業能力と年齢とそして賃金の三つがあって、この不適合への諸対応がなければ失業率改善しないと言っております。五月発表の雇用政策研究会報告では、今後十年間に起こるミスマッチは、産業間のミスマッチと、職業間のミスマッチ、そして年齢間のミスマッチ、この三つがあると提言されております。  労働省としては、雇用環境改善して社会不安を払拭するために、これらのミスマッチにどのような対応をしていかれるお考えですか、お聞かせください。
  121. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 御指摘のとおり、今後二〇〇五年をピークに、我が国において初めて労働力人口が減少に転ずることが見込まれております。この中で、今先生が御指摘のミスマッチの拡大が懸念されるわけであります。  具体的には、経済社会のグローバリゼーションや規制改革の進展などによって産業構造が変化し、構造的に過剰人員を抱えてしまう産業が生じる一方で、発展していく産業に必要な労働力が供給されないという産業間のミスマッチ。  二番目は、情報化や技術革新の進展によって単純定型的な業務が少なくなる一方で、企業労働者に求める能力が高度化、専門化し、労働者の希望する職業がなくなったり、労働者の持つ技術が陳腐化するスピードが速くなること等による職業間のミスマッチの拡大。  三番目に、もともと我が国企業労働力需要は、若年者に対し旺盛、高齢者に対して乏しいという傾向にありますが、今後、少子化による新規学卒者の供給が減少する一方で、団塊の世代の高齢化で高年齢層の労働力供給がふえることによる年齢間のミスマッチの拡大。御指摘のとおり、このようにミスマッチがあるわけであります。  これを解消するための手段といたしまして、第一は、産業間、職業間のミスマッチの拡大の懸念に対しましては、円滑な労働移動の推進や求職者に対する適正な情報提供、職業能力開発等が重要であります。  このため、一つは、出向、再就職あっせんによる失業なき労働移動、これを進めるために人材移動特別助成金という制度を持っておりまして、これを積極的に活用いたしたい。次は、経済団体等の連携、協力による広範な求人確保。次に、インターネットによる求人情報の提供、あるいはハローワーク等の求人情報閲覧用のパソコンの導入増加等、情報提供機能の強化が必要であります。また、中高年齢者、若年者に対するパソコン講習、実践講習等の実施も必要であります。そして、職業能力開発機関との連携による職業能力開発の推進、もちろんこの中には民間教育機関への委託訓練の大幅拡大等も含めております。こういう措置に努めてまいります。  次に、年齢間のミスマッチの拡大の懸念、これに対しては高年齢者への労働力需給の拡大が重要であります。このため、公共職業安定所における求人受理や職業紹介等の際に年齢要件の緩和についての事業主への要請、これは非常に大切でございまして、これをやっております。  また、厳しい雇用情勢影響を強く受けている中高年齢者の非自発的失業者を重点に新規成長分野における前倒し雇用に対する奨励金の支給、これは現在、四十五歳以上六十歳未満の方には七十万円、三十歳以上四十五歳未満の方には四十万円の助成金の支給というような制度をやっております。  また、雇用情勢が特に厳しい場合の中高年の非自発的失業者の雇い入れに特別の助成をする。一人当たり三十万円ということで制度的に現在実施しておりますが、これをやる緊急雇用創出特別奨励金という制度を活用すること。  次が、中高年非自発的離職者が民間教育機関で実施する広範な教育訓練コースの中から自主的に選択して受講することができるバージョンアップ・フレックス・プランというものをつくって実施いたしております。  次に、民間の職業紹介機関の機能を活用しまして、中高年ホワイトカラー離職者を中心に就職支援セミナーや相談会の開催など総合的な再就職支援措置を講ずる事業、これを推進させていただく。  これらの事業を行っておりまして、今後ともミスマッチの解消に努めたい、こう思っております。
  122. 但馬久美

    ○但馬久美君 いろいろとありがとうございました。  今のそういういろいろな情報というのはもっと一般の方々にオープンにわかるように情報を提供してあげていただきたいと思います。  もうあと一点、一分しかありませんので。  特に少子高齢化と女性の社会進出というのは今本当に進んでおります。中でも男女雇用機会均等の確保や、仕事と育児、介護の両立支援については最大の課題として取り組んでいただきたいと思います。労働省としてのこの取り組みの姿勢をお尋ねしたいと思います。大臣、これを最後に一言お願いいたします。
  123. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 労働省としましては、この少子化対策、これは関係各省で閣僚会議をつくりまして、通じていろんな施策を講ずるわけでありますが、労働省といたしましては、一つは具体的に育児休業あるいは介護休業、これに対してどう対処するか、こういうことでございます。育児休業給付については賃金の四分の一、介護についても同じでございますが、自分は育児のために休業したいと言ったら雇用者はうんと言わなきゃならないとちゃんと法律で規定しているわけでありまして、拒否できないということをはっきりさせた上で我々としては賃金の四分の一を給与するということで、安心して休んでいただけるようにと。  そしてさらに、職場復帰する場合、これもきちっとしてあげなければいけませんので、事業主に対して奨励金を差し上げるとか、あるいは事業所内に施設をつくられた場合に、この施設に対して一定の、例えば二分の一ということで、託児施設等を事業所内につくるように積極的に助成するということ等々を考えておりまして、いかに働く女性の方々が働きやすいようにするかということで、衆知を集めてただいま努力しているという状況にございます。
  124. 但馬久美

    ○但馬久美君 時間が参りました。  ぜひ、女性の進出に対しまして御協力をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  125. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  私は、まず大臣に確認をさせていただきたいと思いますが、今お話がありましたいわゆる高齢化時代を迎えるに当たっての介護の問題です。  特に女性が働き続けることができるようにするためには仕事と介護の両立は必須の課題、今介護休業制度のことをおっしゃいましたけれども、法律で義務づけられたことはやるけれども、本質的に仕事と介護を両立させるという取り組みが本当にされているのかどうか、私は労働行政としても重点的に取り組むべき課題、問題だと思いますけれども、そこのところは大臣どうでしょうか。
  126. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 先ほど説明申しましたとおり、申し出た場合に企業主は拒否できませんよ、きちっと基本的に女性労働者の育児または介護について対処しなさいということは法律で明示されております。  そこで、今おっしゃるように、いろんな規制をかけて、義務規定をかけてしかるべきかどうかという点についてはまだまだ問題がございますので、関係のところで十二分に御検討いただいて、どうしてもこれはしなきゃいけないなということでコンセンサスが得られるよう、こういう状況になればそのように対処しなければいけない、こう考えています。
  127. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 コンセンサスが得られるまで待っていられない実際の問題があると思うんです。例えば、今各企業で大リストラが行われています。三菱自動車というところは九千人のリストラ計画を発表しましたが、工場閉鎖に伴う配転の際に、親御さんの介護があるために遠隔地への転勤に応じられない、こういう方があるんです。そうすると、その方に対して自己都合の退職を迫るということが実際に行われています。仕事と介護の両立という課題からも、今の大臣お話からも逸脱しますし、これは退職の強要にほかなりません。  こうしたことにもしっかり目配りをすべきだと思いますが、これはもうコンセンサスを得ているんじゃないかと私は思うんです。高齢化社会を目前にして、働き続ける上で介護と仕事の両立ということが政治的にも社会的にも重要な課題。先ほどからも介護休業法のことを言われています。雇用保険からも、わずかではありますが所得保障まで行う。そういう時代に、介護でそういうことができないというとまさにこういうふうに首切りをする、こういうのは時代錯誤だと私は思われますけれども、こんなことが社会的に認められないのだということをはっきりさせる必要があると思うんですけれども大臣どうですか。
  128. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 今回の日産自動車の大がかりな問題を考えますと、実はそこでいろんな問題を、関係者集まって相談してください、協議会をつくって協議してください、そして今ある制度を十二分に利用させていただきますよ、あるいはこういう制度をつけ加えますよということで、今具体的にその地区の協議会で御相談していただきたい、こう申し上げているわけです。  ですから、そこで先生がおっしゃるように、例えば村山工場から横浜工場へ移転しなきゃいけない、そういう場合に、実は介護の問題、これはこういうことで私どものところでは大変なんですよ、どうぞ遠慮なくおっしゃってください、こういう形で、私どもケース・バイ・ケースで、一つのああいう大きい場合に具体的に何が起きるかということはまだ十分詳細把握し切っておりません。ですから、具体的に協議会で問題を提起していただきたい、そこで解決の方法を見出させていただきたい、こう思っています。
  129. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日産のことは後でしっかり伺います。今、介護のことなんです。実はこうしたことは三菱自動車、今私例を挙げたのは、三菱自動車が京都で閉鎖をするということで起こったことなんです。  もう一つ例えばIBMという会社がありますね。これは自動車ではございませんけれども世界的企業。このIBM名古屋支店で、両親のみならず祖母も介護するという条件のもとで働いていらっしゃる四十七歳の女性が、千葉の幕張に転勤をしてくれということになりました。これは、名古屋事業所にお勤めですので、名古屋事業所が経営不振で閉鎖されるとか、そういうことではありませんし、同僚三百人ぐらいあるんですけれども、こういうことが提起されたんです。  この女性は、田舎で離れて暮らしていらっしゃるお父さん、お母さん、お父さんは七十五歳で心筋梗塞の後ニトロが手放せない、お母さんも高血圧で無理がきかない七十三歳。その上に、九十五歳になるおばあちゃんと末期がんで自宅療養のおじさんの四人が実家にある。週休二日制を利用して、妹さんと手分けしながら勤務を続けながらやっておられる。もう本当に大変なんですよね。  この妹さんというのは隔週週休二日制ですから、もしこの女性が幕張へ行って介護に帰れないと、おふろへおばあちゃんを入れるのも大変になるんですね。だけれども会社は幕張に転勤しても土日に帰って介護できるんじゃないかと言っているんです。幕張から実家まで最短でも片道五時間なんですね。私は、もう本当にそれを聞いてびっくりしましたが。  ここにありますのは彼女が書いたものなんですけれども、私話も聞いてきました。  この中で、「介護すべき家族を抱えた私に何故、そんなに固執するのか、全く理解できません。」、同僚が三百人いますからね。「今まで、自分が過労死するのではないかと思うほど一生懸命働いてきました。」、彼女は土日休みをとるために残業もしているんです。「しかし、それでも私は家族の一員として、祖母やもう高齢の両親を介護する責任も果たしたいと思っています。」。「実家のある岐阜の瑞浪と千葉県の幕張を毎週片道五時間近くもかけて往復して介護をやりぬく自信がありません。」。「実家の近くにすんでいれば、」、彼女は今春日井に住んでいるんですが、「月曜日から金曜でもすぐに駆けつけることができるという、私と家族の安心感、幕張、瑞浪間を往復する私の疲労を全く無視した、人間味の全くない発言です。会社のやり方は、介護責任を負うものは働くなと言っているのと同じです。」。「何故、私でなければならないのでしょう。何故、介護責任を負っている者に対して、常識のある配慮がなされないのでしょう。」。しかも、介護の中身を聞いてくれないと言うんです。私にこの話をされるときにも、言葉より先に涙が出てとまらないお話でした。  こういうことが世界的な大企業で大リストラの中行われている、こういうことは根絶されなきゃいけないと思うんですけれども先ほど大臣お話からどうお思いになりますか。
  130. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 具体的なそういうお話をお伺いしますと、私自身なら個人的には助けてあげたいなと。お互いに、身近なところでこういうことを見ますと、やっぱりみんな力を合わせて助け合いをしたいなと、こういう気持ちになるわけでありますが。  今の事例におきましては、まずIBMをお取り上げになられましたが、組合と経営者の間できちっとこういう問題の処理について結論をお出しいただきたい、これが第一でございます。そして、どうしてもそういう状況におられる方々、もっと何かいい方法があるのではないかというときには、どうか労働基準監督署へ来ていただきたい。解決できないかと。IBM並びにその労働組合に対して、こういうことはできませんかというところまで御相談に我々は乗らせていただくきちっと制度をつくりたい、こういうように思っております。  今の制度を十二分に利用しながら、やっぱり役所としても情けはちゃんといっぱいあるんですよ、同じ立場で考えるんですよというその気持ちは、例えばどうしても経営者、労働組合の間で処理できないときには、個別案件の処理の問題として少しでもお役に立つことができればなと、こう考えておりまして、今先生のおっしゃるとおり、法律で規制して、介護を必要とする雇用者の方々の遠いところへの転勤を禁止するとか、そこまで法的に規制するかどうかという点については、まだ私ども踏み切っておりません。
  131. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 最後のお言葉はとても残念ですが。  組合の話し合いとは違うんだ、個別の話だということで、今大変、退職に誘導されるような面談が行われているという問題なんですね。これは、最初にも言いましたように、リストラをやっていく中でのまさにいじめをはらみながらの人権侵害の一つだということを私はどうしても大臣に申し上げたいと思うんです。  朝からいろいろと論議されておりますように、労働省がおまとめになっただけでも四十一社で十四万人にも上る大リストラ、加えて、日産自動車で二万一千人、NTTで二万一千人、先ほどの三菱自動車九千人など、日本を代表するような巨大企業での超大型のリストラ策が相次いで発表されています。  そこで、先ほどから大臣がお答えをしたいようなそぶりをされております日産のリストラ計画ですが、それが二万一千名もの労働者を減らすという超大型であること、広大なすそ野を持つ我が国のリーディング産業ともいうべき自動車産業において行われようとしていること、我が国で長い間培われてきました産業文化とは全く無関係の外国資本の手によって推し進められようとしていることなど、あらゆる面で重大な計画だと思います。  私、地元が愛知県で、この愛知県の愛知機械の港工場も閉鎖の対象になっていますが、この愛知機械という会社は、今年度の中間決算の経常利益、前年同期比で二倍の十三億円なんですね。愛知機械としては工場の閉鎖など必要でない、しかし、日産の都合で工場閉鎖というのになるわけですけれども、大企業の横暴の典型ではないかと思うんです。  こういうのに対して財界からも批判の声が挙がっておりまして、今月の一日には関西経済連合会の秋山会長が、「隣の家を壊してまでも自分の家の火事を消そうというやり方は受け入れられない」と批判をされています。  東京都、愛知県、京都府ではこの日産関係先ほどの連絡協議会の設置が決まったということであり、愛知県では異例のことです。こういう協議会の設置というのも、労働大臣がこのリストラ計画に対して尋常な対応ではならないとお考えになっている反映だと思います。  そこで、この計画に対して具体的にとられた措置、これをお示しください。
  132. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 今回の日産の件につきましては、一応そういう計画を発表いたしまして、来年の八月には具体的にどこをどうするかということを決めたい、こういうように私どもの方には連絡いたしております。それを待って行動したのではしようがないわけなんです。一夜にして倒産するのと一年後に倒産するのと現象はそれぞれ違いますが、来年の八月に具体的な計画を発表するとはっきりしているわけですから、その前に混乱が生じないようにあらゆる措置を講じて円滑にこの問題が処理されるように、下請中小企業は別の取引先を認めた、あるいはどの会社はあなたのところのだれだれさんを私のところは引き受けましょう、差し当たり出向という形でも結構ですよと。そういう制度があるわけですから、これを前々に十二分に承知した上で、関係企業は自分ではこの事態に対してこうしようという、今回はそのような時間的余裕があるものですから、ある意味においては生ずべき混乱を最小限に修復することができるのではないか、こういうことで、私としましては早急に連絡協議会を関係者全員集まってつくってほしいという強い要請をいたしたわけであります。  だから、ここで細部にわたりいろんな問題の処理を早急に検討していただいて、私どもとしては現在持っている諸施策で万全を期したい、こう考えております。
  133. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私は、日産のリストラでもそうですけれども、こういう大企業が次々に大リストラ計画を発表する、これは政府の責任も非常に大きいと思うんです。先ほど来の論議の中にも出ましたけれども、さきの国会で産業活力再生法をつくられました。企業に対しては応援をする、まさにリストラ誘導じゃありませんか。  ところが、こういう責任は考えないで、今大臣、先手先手で事前に承知した上でやるというふうにおっしゃいましたけれども、これは日産のリストラ計画、人員削減をそのまま受け入れて、それを応援するための受け皿先ほど受け皿というお話も出たんですけれども、そういう措置じゃないんですか。
  134. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) どうかひとつ私の真意を誤解しないようにお願いをいたしたいと思います。  実は今回の問題につきましては、大企業社会的責任というものは当然あるわけですから、私どもは日産自動車に対し、労使協議を十二分に尽くすべし、これが第一です。第二は、個人の意向を十分聴取していただきたい。第三は、転勤困難で退職せざるを得ない人に対し援助すること。この三点を日産自動車の副社長を招致いたしまして私から強く要請させていただきました。  それとあわせて、被害を受ける下請企業皆さん、あるいはあそこが緊急の雇用対策地域として指定できるのであればそのような指定をさせていただいて、あそこのおそば屋さんが工場の前でもうこれでお客さんが来なくなった、下請でないわけでありますが、そのようにいろんな形の企業、零細企業方々に迷惑をかけるわけで、こういう方々に対してもそれ相応の措置を講ずることができないかと。あくまで私どもとしてはそういう意味において当該企業が全力を尽くす、それを見届けた上で、できない場合もあるでしょう、当然それも予想いたしますが、それらを受けて私どもとしては今の措置を全力投球して、事前に被害最小限の、影響最小限のようにしていきたいなと。  そういう点で、この日産問題は、私としましては、労働省のいろんな施策の総合的な実施の結果として、それでうまくいくかどうか、非常に大切なモデルケースというと語弊があるわけでありますが、そういう形で考えて対処していきたい、こう考えています。
  135. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 それでは伺いますが、その影響に万全を期したいという影響です。  職業安定局長に伺いますが、まずリストラ規模について、この日産の計画では二万一千人の労働者が減らされるということですが、国内では何人減らされるんですか。
  136. 渡邊信

    政府参考人渡邊信君) 日産自動車によりますと、海外を含む連結ベースで日産の従業員は約十四万八千人現在いるそうでありますが、この従業員を二〇〇三年三月までに十二万七千人へと二万一千人削減するということであります。国内と国外別の従業員の削減の内訳については、現在日産自動車の内部において労使協議等で調整を行っているというふうに聞いておりまして、まだ国内で何名という発表はされておりません。
  137. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日産の国内の労働者についての影響はわからないということですね。  それでは、自動車産業は今大臣もおっしゃったように孫請、下請が連なる広大なすそ野産業です。そしてまた、駅前のおそば屋さんの話もされたんですが、下請や関連企業に働く従業員、ここの日産の合理化にかかわって減らされる人数とか影響、こういうものはどうなっているんでしょうか。
  138. 渡邊信

    政府参考人渡邊信君) 確かに、このような大企業になりますと影響するところが大変大きいところでありまして、例えば協力企業、関連企業につきましても一次とか二次とかいうふうにあるわけであります。正確なところは日産自動車自体がまだ把握をしていないということでありますが、十一月末を目途にそういった影響について日産において取りまとめるというふうに聞いております。
  139. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 それもわからない。実際、工場閉鎖で日産は部品調達を現在の一千百四十五社から六百社に絞るとか、事前にそういうことは何にも報告がないんですか、その労働者。また、通産省の調査ですと、完成車メーカーは今三十五万人の労働者がいて、部品メーカーは五十八万人、オールジャパンですけれども、こういうふうに数字も出ているんですけれども、見当もつかないということなんでしょうか。また、関連企業労働者の数はつかんでおいでになるんでしょうか。
  140. 渡邊信

    政府参考人渡邊信君) 今ちょっと手元に数字がありませんけれども先ほど申しましたように、日産におきましては、例えば一次協力企業だけじゃなくて二次等も含めて、関連の企業、その影響の大等をこの十一月末を目途に取りまとめるということでございますので、できるだけその調べを急いでいただきたいと思っているところであります。
  141. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本の国の労働省なのに私は大変無責任だというふうに思うんです。日本国内でどれだけ労働力、雇用が減らされるかは計画の中で聞いてもいないんだと。関連労働者がどれくらいいるかということも御自分ではというんですか、労働省としてはわからないということ。また、向こうが調べるのを待っている、まさに待ちですね。労働省は文字どおりこういうような姿勢ですと、日産の人減らしに手をかしているんじゃないかというふうに見られます。  私は、人減らし計画そのものについて正確に大臣がおつかみになって、日本の雇用を守るという立場でその見直しを求めるべきだと思うんですけれども大臣どうですか。
  142. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 先ほども御返事いたしたとおり、特に大手企業雇用を守るということが第一であると。ですから、大手企業になりますといろんな事業部門を持っておりまして、例えばハイテク部門ではNEC等を見ますと、ここはずっと伸びる、例えば三菱重工にしろあるいは日立にしろ重電部門その他のいわゆる家庭電器部門は減っていくと……
  143. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 申しわけないんですけれども、日産にはどう物を言うかと聞いているんです。
  144. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) そういう形でやっておりまして、要するに企業として今雇っている人をまず守る、あるいはほかの部門で開拓してそこで働けるようにするということを大前提に、先ほど申しましたとおり社会的責任として私はお願いをいたしております。
  145. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私はさっきから安定局長にも細かい数字を聞いているようなんですけれども労働省になぜ伺うかというと、日産労連加盟の部品メーカー関係だけでも百の労働組合がありまして、そこに四万五千人、関連の輸送やサービスなどで百二十五組合、二万五千人、こういうのが労働組合の統計からでもきちんと出てくるんですよね。グローバルで減らすと日産は言っています。世界規模ですね。この二万一千人の内訳は、日産関係が四千人、国内ディーラーが六千五百人、販売、一般管理が六千人、分社化等で五千人と、かなりの部分国内で減らされることになっているじゃありませんか。少なくとも日本の雇用は守るように働きかけることが日本の労働大臣の最小限の任務じゃありませんか。社会的責任とおっしゃっていますけれども、その中身がないんじゃないですか。大臣どうですか。
  146. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 私の任務としまして、国内で雇用を守るということは第一の任務だと、こういうように心得ております。じゃしかし、中身がないじゃないかという今のお話ですが、具体的な中身については、今申しましたとおりもう全員協力して動かさざるを得ないんですから、企業者は企業者としての立場で頑張ってくれ、労働組合は労働組合としてしっかり経営者と相談して頑張ってくれ、政府政府としてなすべき組織、一たん緩急あった場合に失業者をどういう形で救済するかということについて政府は乗り出していくということで、国を挙げて雇用を守るということについて、またそういう努力をしなきゃならないということについて、どなたも反論する方はいらっしゃらないと、私はこう思っているわけです。  したがって、要求すべきものは要求し、なすべきことはなすということで全力を尽くさせていただいておると。中身がないということではございません。先ほどいろんな御説明を申し上げているとおりです。
  147. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私は、この日産のリストラに関して、国内で人減らしをするという認識がおありなのかどうかというのが、先ほどの議論の中からも疑問を持っているんです。  例えば世界で何と言われているか。このリストラ計画発表直後にイギリスのフィナンシャル・タイムズが出しましたね。「同社のリストラ計画は大胆である。日産は工場閉鎖や人員削減を打ち出したが、ほとんどが国内拠点で、こうした措置は諸外国にも波紋を広げるだろう。例えば、欧州各国政府はいまだに効率の悪い国内の自動車工場を必死で守ろうと努力している。」と指摘しています。日産側もさっき言いました労働組合への説明の中で、グローバルで従業員雇用を守るためにここは閉鎖して、皆さんは、ということになるんですよね。日本の雇用を必死で守ろうと努力する、大臣はそういうふうにおっしゃいましたけれども、今ここで日産が国内でこれだけの人減らしをするということ、問題をお持ちじゃないんですか。
  148. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) リストラを発表する個々の企業立場において理由はいろいろあるわけでありますが、今回の日産の問題につきましては、世界的に活動する企業として国際競争力をいかに維持して企業の存続を図るか、あるいは過剰設備をそういう観点からどうするかというところが一つの大きな要因になっているわけです。  NTTがきょう発表しましたあのリストラ、これはもちろん国際競争力という問題もありますが、日産の場合とはまたそれぞれ性格が違う、こういうことで一つ一つそれぞれの産業の実態を見ながら、日本全体としてどうやって守るか、さらに当該産業として守るべきところは何かということまで判断して私としては行動させていただきたい、こう思っています。
  149. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私がこの問題を取り上げておりますのは、先ほど最初大臣が御説明になったんですけれども我が国雇用地域経済にこれほど重大な影響を及ぼす計画企業のわずかなトップが勝手に決めて、そして日本の労働省労働大臣に対してもその影響がどのくらいになるか説明もしない。労働省はそれをきちんとみずから調査をしたり、また要求するということもない。余りに無責任だと思います。  こういう大リストラというのは一社にとどまりません。説明をずっとされたように、この大リストラの結果、財政にも影響を及ぼす。大きなお金が動きますね。先ほど来の御説明もありましたけれども、いずれ失業者が出てくれば、雇用保険の失業手当の支給、あるいは下請でさっきおっしゃった雇用調整助成金の支給。地域への影響が大きい、例えば日産でいいますと宇治工場のある宇治市では緊急雇用安定地域の指定。そうなれば雇用調整助成金特定求職者雇用開発助成金雇用保険の延長給付、これは巨額な財政支出になるんですよ。こういうリストラ計画が行われますと、結局国民の負担でこういう巨額の支出が出てくる。だから、こういう問題についてはきちんと調べて、リストラの見直しを求める。そうしなかったら、結局リストラ支援をどんどんやりなさい、後は大きな財政で受け皿をつくりますということになるんじゃないんですか。私はそのことが問題だと思うんです。
  150. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 御承知だと思いますが、雇用保険は一種の保険制度でありまして、強制的要因は持っておりますが、必要経費の負担について、経営陣と労働組合を中心とする雇用されている方々、それぞれ現在千分の四ずつ負担しているわけであります。  それに、失業ということはこれは大変な社会的な問題でありますから、それじゃ政府もということで現在所要経費の一四%を負担する、こういう制度になっております。税金で全部見ているというよりも、経営陣と働いている人々がお互いに相談し合って、どうして失業をなくするかと。これについて一つの責任を持つという形で保険制度が成り立っているということをひとつ御承知賜りたいと思います。  特に、あわせて雇用の振興についての非常に大きな財源は千分の三・五ということで、経営陣が全額負担をいたしております。労働省では、どういう方法がいいか、これがいいじゃないかと、いろんなことを皆さんの御意見を聞きながら最終的にその使い道を決めさせていただいているということで、ほとんどの経費が経営陣から出されているということも御承知賜りたいと思います。
  151. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大臣、私は全額が国民負担になるから大変だと言っておりませんでしょう。しかし、国費が入っていることは確かですし、そういうことになれば、雇用保険の掛金もリストラをたくさんやるところはたくさんふやすとか、いろんなことが考えられるかもしれません。  しかし、事はそういうことではないんじゃないですか。どんどんとリストラで人員削減をやってください、あとは私たち何らかの形で、補正予算でも新しい補助金をつけます、いろいろなことをやりますという、そういう姿勢そのものが、今の日本経済、大変なことになっているこの雇用の大変な問題だということを申し上げているんですよ。  そもそも、日産を初めとして大企業リストラ計画、とりわけ人員削減ということは道理がありません。人が余っているからではないからです。午前中も自民党の同僚議員の方がおっしゃいましたけれども社会経済生産性本部、この試算でもサービス残業で九十万人、時間外労働で百七十万人、労働基準法どおりに働いていれば二百六十万人もの人手不足なんだというのが事実じゃありませんか。過剰なのは今雇用ではなくて労働時間、こういう論議がありましたけれども、その上にさらに人を減らそうということ、これはもともとこういうリストラ計画が、リストラされずに残った働く人の今以上の長時間労働を前提にしていることじゃありませんか。  そこで、私聞きたいんです。先ほどから労使でいろいろ話し合いということで、日産でも労使の話し合いがありますけれども、日産のリストラ計画は、労働者を二万一千人削ってその上に稼働率を大幅に上昇させる、こういうものですね。そのためには残された労働者の労働時間はどうなるかということが大変憂慮されるわけですけれども、今、政府は年間総労働時間の目標は一千八百時間、これを目標にされていますし、法定労働時間にことしの四月から施行されました労働基準法の上限時間三百六十時間を加えましても、この計画では大きく上回るんじゃないでしょうか。  私、ここに自動車総連傘下の日産労組の労使協議会の報告というのを持ってまいりました。ここには、   先程の会社説明によれば、生産工場集約後も百六十五万台の生産能力を有するとのことだが、組合の試算によると、その場合組合員一人当たりの年間総労働時間は二千二百から二千三百時間となる。この水準では、これまで労使はもちろん、国レベルでも取り組んできた年間総労働時間一千八百時間台という目標を大きく上回ることになる。   適正な組合員の労働時間をベースに置いた場合、会社案の通り生産工場の集約を実施すると、今年度レベルの生産も不可能となってしまうのではないか。又、その場合、組合の試算によれば、組合員の残業・休出も年間四百時間を越える極めて負荷の高い水準となる。そもそもそうした前提で生産能力の試算を行なうこと自体に問題があるのではないか。  これは労使協議会の文書なんですけれども、私、これは重要な指摘だと思うんです。事実、この発表によりますと、今年度の生産台数は百二十八万台の見通し、計画では百六十五万台の生産能力で八二%の稼働率ですから、百三十五・三万台の生産ですよね。今年度つくっているのよりもたくさんの生産、それを今年度より二万一千人少ない人数でやるというわけですから、この組合の指摘はもっともなんです。  先ほどから海外での競争といろいろおっしゃっていますけれども、フランスでは週三十五時間労働でいこうというのに、日本では今まで以上の長時間過密労働、そういうことを前提にしてのリストラを進めるということは許していいんでしょうか、大臣。どうお考えでしょうか。
  152. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 当委員会において、今先生がおっしゃったような、例えば残業時間の問題にしろ、あるいはこれに関連してワークシェアリングをどうするかとか、諸般の問題がきょうから実は論議されまして、私どもとしましては、今政府が考えていることを申し上げて、皆さんからよりよいサジェスチョンと申しますかちょうだいしてさらに万全を期させていただければと、こういう形でこの委員会に実は出席させていただいておるわけでありまして、八田先生の御意見、御意向、一つの御意見として承らせていただきます。
  153. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私の意見もありますが、労働組合がこういうふうに言っているということについての御意見を聞いたんですが、こういう大規模リストラについて国がルールをつくる必要がある、歯どめをつくる必要があるというふうに私は思うんです。ヨーロッパでは、解雇制限法や企業組織の変更に伴う労働者の既得権を守る保護法、御承知のようにEU指令などありますね。リストラもそうしたルールのもとで行われております。  私ども日本共産党も、先日、そうしたルールの内容を提言しましたけれども、この点についてはまた別の機会で論議しますけれども、少なくとも今ございますルール、例えばサービス残業はそういうところは決してさせないとか、上限時間を超える残業はやらせない、こういう最小限のルール、これはいかにリストラが進められても守られるべきですし、労働省はそれについて責任を負うべきだというふうに思いますけれども大臣も同じ御意見でしょうか。
  154. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 八田先生、先ほどに引き続き、私どもが論議しようという問題点について貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。解決策の一つとして、さらに協議させていただければと、こう思います。
  155. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今ある法律をきちんと守らなければだめだよというルールなんですけれども、これからの協議でなく、私は大臣の御決意を伺いたいなと思ったんです。  産業活力再生法も、先ほども論議があったんですけれども、ここでもきちんと民間企業リストラ計画に財政支援を行うんですから、少なくとも違法な状態になってはならない。ですから、労働時間のルールについても産業活力再生法の適用を受けようとする企業については厳格にしておくんだ、こういうことぐらいは必要なんじゃないでしょうか。どうですか。
  156. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 先生の貴重な御意見としまして拝聴させていただきます。
  157. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 では、リストラについてもう一点お聞きしたいんですが、先ほど大臣がお答えになりましたリストラの際個人面談を入念に行う、これが強制にわたってはいけないというふうに私は思いますけれども大臣も強制にわたることのないように、そういうふうに思っておいでになると思うんですがどうかということと、転勤に応じられないことを理由として解雇されることがないような十分な監視、それから労働者の方からの相談窓口の設置、こういうものが大事じゃないかと思いますが、その点ではいかがでしょうか。
  158. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) いろんな形の退職慣行、勧奨だとか、会社全体、また労働組合の皆さんと一緒になって相談している過程において今おっしゃったような問題もいっぱい出てくるわけでありますから、私どもとしては十二分に特別の場合には苦情もお伺いさせていただいて万全を期させていただければなと、このように考えております。
  159. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 身近なところで実際に相談をする、改正労基法百五条をおつくりになりまして、労働基準局長相談に乗れるようになったんですね。しかし、労基局が遠いとか、そういうのがありますね。だから、監督署で相談を受けてくださるとか職安でも受けるとか、そういうことは私は労働省の中でできると思うんです。  また、配置転換というのがやられていますけれども、容易ではありません。私ども村山工場とか日産の宇治工場、それから愛知機械に調査に行ったんですけれども、今技術が日進月歩で大変厳しい。何か百倍の精度で機械製作工場の旋盤の精度が要求されるのに、そこに組み立ての労働者が突然行くなんということになりますと、しっかりした社内での研修とかそういうものがないととても配転できないんです。そういうことをやはり私は労働省にしっかりとやっていただきたいと思います。  それで、もう時間がありませんので、私、リストラ問題はまだまだこれから論議をしていきたいというふうに思いますし、大臣もこれからは、ただ聞きますというだけじゃなくて、しっかりした答弁を持ってここにお立ちいただきたいと思うんです。  リストラというのは、労働者の雇用を奪うことはもちろんですけれども、残された労働者に過酷な労働条件になるということ、またリストラ推進のために、最初に申し上げたように、企業に対する社会的な責任なんかもうどこかへ行ってしまって、いじめや嫌がらせ、人権侵害、こういうのはマスコミでも大きく問題になっています。そういう結果どうかというと、職場がすさんで、国民の暮らしはもちろん、日本の経済や物づくりの基盤そのものも大もとから危機にさらすという事態だと思います。  日経連の奥田会長でも、例えば「東海村の事故では、効率を優先させ、人を減らした結果、あの事故が起きたという因果関係がある。人間を減らしていくと、あのような事故が起きてしまう、」とある雑誌の対談で述べられていますけれども、この東海村の臨界事故だけじゃなく、JRのトンネル崩壊事故でも宇宙ロケットの発射失敗でも、その陰にリストラありということが言われております。リストラ問題にはこういったさまざまな観点からも取り組むべきことを指摘して、私の質問を終わります。
  160. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私は、今回は技能実習制度についてお尋ねをいたしたいと思います。  技能実習制度というのは、研修生から技能実習生に身分を変更して、我が国で開発され培われた技術、技能、知識を開発途上国等へ移転を図り、開発途上国の経済発展を担う人づくりに寄与するということが目的として設置されておりますけれども、かねてからこれは低賃金労働の機構として作用しているということが言われておりました。  今回私がお尋ねしたいのは、福井県武生市の中国人技能実習制度のケースについてであります。  彼女たちは、昨年の七月二十五日、中国から研修に参りまして、ことし技能実習生となったわけであります。しかし、研修生のときには五万円支給するという約束だけれども、彼女たちが手元にしたのは一万円、あと四万円は強制的に事業主の方でプールされて自由に使えなかったわけであります。それで、技能実習生になった場合にさらに一万五千円しか支給されなかったということで、彼女たちは山の中の作業場から五、六時間かけて事業主の自宅に行き、そして抗議をしたわけであります。それで、何時間も待った中で彼女たちが受けたのは、暴行と拒否の激しい仕打ちでありました。思い余った彼女たちが十月十八日、「国際交流課」と書いた紙を持ちまして武生市の市役所の窓口に行って、事件が発覚するところとなったわけです。  その件につきまして、市役所からさまざまな連絡が労働省労働基準監督課やあるいは国際研修協力機構の福井支局とかあるいは入国管理事務所の支所などに参りました。私は、こうした人権侵害事件の実情について労働省がどのような調査の上、事実関係を把握されているのか、まずお聞きしたいと思います。  担当者の方にお願いをいたします。
  161. 野寺康幸

    政府参考人(野寺康幸君) 今お尋ねの武生のコンフィクソンという名前の協同組合でございますけれども、そこにおきます中国人、外国人の技能実習生の問題でございますが、現地の労働基準機関、県の局及び監督署、両方でございますけれども、この問題に大分前からフォローをいたしております。  もちろん、研修生でございましても基準法の適用はあるということでございますので、特に先生御指摘の賃金のピンはねと申しますか賃金控除あたりはかなり基準法に抵触する疑いが濃厚であるという観点から、現在調査を進めておりまして、現実に基準法のどこに具体的に違反するか調査している段階でございます。
  162. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 現在まで労働基準監督署が指導された、そして是正された現状についてお尋ねをいたします。
  163. 野寺康幸

    政府参考人(野寺康幸君) 具体的に申し上げますと、十月二十六日以降、以下の点について特に監督指導をいたしております。  まず、労働条件に関しまして書面による明示を具体的にしていないという点、それから賃金の控除協定がなく賃金を控除している、それから時間外労働について一律四百円とした法定の割り増し賃金を支払っていないという実態、こういった具体的な点について特に法違反の疑いが濃厚であるというふうに考えておりまして、これらの点を中心に調査を進めているということでございます。
  164. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 聞くところによりますと、彼女たちが引かれている金額は会社名義の通帳に入れられていて一人一人の預金通帳がなかった、また、もちろん自由に使用できなかったという点はどのように改善されているんでしょうか。
  165. 野寺康幸

    政府参考人(野寺康幸君) 先生今御指摘のような実態があるというふうに承知いたしております。  つまり、重ねて申し上げますけれども賃金控除協定がなくて管理費等の名目で一定額を自動的に控除しておりまして、さらに、控除された賃金が預金されていると称しております通帳が本人が自由に使えないといったような実態であるというふうに承知いたしておりまして、これを改善し、支払うべきものは本人に支払い、なおかつ、仮にそういった預金通帳をつくるのであれば本人が自由に使えるという実態になるようにさせるということが目的でございます。
  166. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それで、既に彼女たち名義の預金通帳がつくられて、キャッシュカードなどとともに、今まで天引きしたすべての金額を預金通帳に入れて手渡されているんでしょうか。
  167. 野寺康幸

    政府参考人(野寺康幸君) 現在の時点ではまだそこまでは行っておりません。今後、そういった点について遺漏がないように是正指導をしてまいりたいと思っております。
  168. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それから、残業手当についての算定ですけれども、私がお尋ねしたときには一時間四百円という、これも中国側との契約というんですから中国側にも私は一端の責任があるというふうに考えるわけですけれども、それのいわば支払い額の確定と支払い時期のめどはどのくらいになるんでしょうか。
  169. 野寺康幸

    政府参考人(野寺康幸君) 今の点は、厚生年金脱退一時金と称して、一応中国側の送り出し機関も事前に本人の同意をとっていると称しているんですけれども、中国側も送り出し機関が合意した上でそういう形をとっていると思うのでございますが、一人一人につきまして具体的な額が異なってまいりますので、具体的な額等につきましては今後の調査を待って、必要でしたら御報告したいというふうに思います。
  170. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 入国管理局長にお尋ねしたいんですが、この件も、着いた途端にパスポートは事業主が預かって、行政監察でも、管理費名目で差し引いて送り先機関などへ金銭を送付するということは違法であるとの指摘がされております。そうしてまた、研修生から技能実習制度へと資格変更した場合には、特定活動としてビザが変わりますね。  そういう中で、これは中国人だけではなくてインドネシアとかそれからスリランカの人たちとかさまざまな方たちにも問題があるといいますけれども、こういう事件が起きたときに、入国管理局としては本件についてどのように対応されたでしょうか。
  171. 町田幸雄

    政府参考人町田幸雄君) 委員御指摘のような事例は残念ながら何件か散見されるところでありますが、このような事例の発生は適正な研修、技能実習制度の運用を阻害する重大な問題であると認識しておりまして、事実関係を把握した上で厳正に対処しているところであります。  このような事案の発生の背景には、研修とか技能実習制度の趣旨が受け入れ機関等の関係者に十分理解されていないことがあると考えられますので、私ども従来からその周知に努めているところでありますが、今後ともさらに制度趣旨の周知徹底に努めてまいりたいと思っております。  また、本件につきましては、十月二十九日に担当者を現地に派遣して調査を行い、組合等に対しまして、それにより判明した問題点について改善と結果を報告するよう指導しておりまして、その改善状況を踏まえまして対処することにしております。  もちろん、誠実に研修、技能実習に従事している者につきましては、その人権が侵害されることなく所期の目的が達成できるように適正に対処してまいる、そういう考え方でおります。
  172. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 この中国人の人たちは中国大使館にももう既に手紙を出しておりまして、中国大使館の担当者の方も日本側の対応を見守っているという状況になっているということを申し上げたいと思います。  ただ、この中で、彼女たちが受けた暴行について、彼女たちは五、六時間かけてコンフィクソンの理事長宅の前に出かけたわけですが、何時間も待ち続けて、それを見て思い余った他の研修生が食事などを差し入れたことに怒って暴行が発生したわけですが、その暴力というのは当事者のまだ対立点がございまして、双方弁護士が入りまして今その事実の確認を双方でしているところでございます。  私も、一般的に、何回殴られたとか、髪をつかんで引き回されてその髪が抜けたとか、あるいは、下着で寝ているような人たちを足で踏みつけたとか、さまざまなことが言われておりますので、でき得る限り担当当局といたされましては暴行の事実というものをしっかりと御調査をしていただいて、もみ消しというようなことに絶対ならないように調査方お願いをいたしたいと思っています。  彼女たちが今本当にこの法の違反と暴行を受けて、恐怖と不安の中で毎日非常に不安に暮らしているわけです。武生の市役所に行ったときの要請は、どうか自分たちの身柄の安全を保障してほしい、働いた賃金を契約どおりに払ってほしい、そしてこれから来る多数の中国人の実習生や研修生にこんなことが二度と起こらないようにしてほしいということを言っておりまして、これをさまざまに相談を受けている関係者も、そして本人たち自身も、技能実習制度のあり方の今後ということについて大変大きな私どもとしては改善要求を持っているわけです。  私は大臣にお尋ねをいたしたいわけですけれども、この事件は天の配剤と申しますか、福井で起きて、私も労働大臣が福井の御出身だというふうにお聞きしまして、どのように対処していかれるべきか、御所見をお伺いしたいと思います。
  173. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 武生でこの事件が起きたということで、私も外国の研修生が来ていること、中選挙区のときの選挙区でございまして、非常に皆さんまじめに働いていらっしゃるということは実は見聞きいたしておりました。  しかし、現実新聞で報道されまして、こういう実態であったかなということでびっくりいたした次第でございまして、この制度を忠実に実行されるように労働省としては十二分に運用の実態に注目し、それに抵触するような場合は指導監督させていただき、外国の技術研修の方々が気持ちよく日本で研修を受けられるように、そのように最大の努力をさせていただきたい、こう思っております。
  174. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私もこれはいろいろと問題点を考えたわけですが、一つは、所轄官庁が法務と労働とそれから外務、通産、厚生にわたって五省が共管している。私は、まずその連絡会議などをつくっていただいて、ともかく研修生、技能実習生というのは行政監察でもいろいろなケースが言われているわけですし、やはり体制をまず強化してほしいということが第一点でございますので、ぜひこの点は労働大臣がイニシアチブをとられましてそうしたことをしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  175. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 御指摘のとおり、関係省庁が多くなりますとどうしても意思の疎通に欠けるという点が実は多々あること、これはあらゆる行政について感じられることでございまして、先生から御指摘がありますと、まさにそのとおりだなという実感を持たせていただく次第であります。  したがって、この技能実習、私どもも大きく関与しているわけでありますから、関係各省の協議会をつくるなり、連携に万全を期させていただきます。
  176. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そして第二点、私が考えますところは、法務省の入国管理局には研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針というのがございますが、何か問題があったらすぐ送り返すというようなことが書いてあるんですけれども、研修生の立場に立った人権擁護の規定が全くないということが一つ感じられます。  それから、受け入れの窓口になっております国際研修協力機構というのがありまして、これのいろいろな啓蒙啓発に使われておりますパンフレット、こういう権利がありますというのがあるんですけれども内容がしっかり書いてあるのかないのか、あれじゃとても不十分だというふうに思います。まずそういう共同の協議機関ができましたら、きちっと研修生、実習生に対して、あなた方はこういう法的な立場で日本に来たのですよということがわかるようにしていただきたいと思います。  それで、彼女たちが書いた手紙を見ますと、私たちは法の知識に余りにも疎かったということが書いてありまして、大体こちらへ来る女性たちというのは選ばれてくるわけですけれども、彼女たちはそのように自分たちのことを言っているわけですが、向こうで勉強してこいというのもこれも酷な話ですから、やはりこちらでぜひ対応していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  177. 町田幸雄

    政府参考人町田幸雄君) 先ほどお答えしましたように、委員御指摘のように、このような事件が起こる背景としては、技能実習生の賃金の支払い、やはりこの制度の趣旨がまだ実習生本人それから受け入れ機関等の関係者に十分に理解されていないことが背景にあると考えております。  法務省といたしましては、今委員お話しになりましたように、研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針というものを作成しまして、これを公表し、受け入れ機関等の関係者に対する各種説明会やキャンペーンを実施し、あるいは地方入国管理局の窓口でこれを配付、説明したり、努めております。  また、本年十月に、中国側の送り出し機関の元締めといいましょうか、中国の国務院の対外貿易経済合作部国外経済合作司という組織がございまして、そこの司長さんというのが同時に中日研修生協力機構の会長をしておられるんですが、国務院のその一行がちょうど来訪してくださいましたので、私どもでつくりました指針、若干中国語に翻訳したものもつけまして御説明し、中国側の方のいわば送り出し機関に対して周知を図ったりするなどの努力はいたしております。  なお一層今後とも努力をしてまいりたい、そのように思っております。
  178. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) 国際研修協力機構についてのお話もございました。研修から技能実習に移行することについてのお手伝いをしておるわけでございますが、パンフレット等を、私ども直接見ておりませんけれども、十分お役に立つようなものにするように是正を図っていきたいと思います。  ただ、組織もそんなに大きくないものですから手が回らない、さらに、今法務省からも御答弁ありましたように、送り出し国において、我が国のこの研修あるいは技能実習の制度が来られる人に十分わかってもらってきているのかということも心配な点もあろうかと思います。  そういう点も含めて、今大臣が答弁をさせていただきましたが、各省協力してこの制度が国際協力の立場で成果が上がるようなものにしていきたい、このように思っております。
  179. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 ぜひ皆さんにお願いしたいんですが、彼女たちはやはり夢を持って日本に来たわけで、まだ一年八カ月余こちらでの技能実習の期間が残っているわけです。今、そこの現状のところでしか研修、技能実習できないということになりますと、非常に不安と恐怖で、しかし国にも帰れないということですので、ぜひ私は、その環境改善をして、他のところで働くことができるよう、国際研修協力機構と法務省とがタイアップをとられまして、日本に来てよかったなといって彼女たちを送り返してやられるように、何とか知恵を絞って、先例づくりになるかもしれませんが、やっていただきたいというふうにお願いをいたします。  それから、健康保険について、厚生省の担当者に来ていただいているので、一点伺いたいんです。  外国人労働者の社会保険の加入状況についてですが、いろいろNGOの人からの報告によりますと、保険料を控除されているにもかかわらず、身体の不調を訴えても診察もさせないで強制的に帰国させられた例があるということとか、あるいは社会保険の適用がなければならないはずなのに使用者がその保険料の負担を回避するために国民健康保険に入れと言ったりする事例があるというふうに聞いておりますが、それは法で違法だと思うんですが、いかがでしょうか。
  180. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 健康保険についてのお尋ねでございますが、健康保険は法律上、日本人、外国人、これは区別をいたしておりませんで、適法に就労される外国人につきましては日本人と同様に、当然適用事業所と常用的雇用関係にございますれば適用されるべきものでございます。  このことを前提に私ども、これまでも事業主方々に対しまして、パンフレットをお配りし、適用すべき方については適用してください、そしてまた外国人の方には、数カ国語で制度内容説明ができるように、そのことも入れまして、適正な適用に努めているところでございまして、常用使用関係にある者については当然健康保険が適用されるべきである、こういった運用をさせていただいているところでございます。
  181. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 本件の彼女たちがこうした異議を申し立てるようになった一つの原因は、彼女たちは厚生年金を払っていたわけです、保険料を払っていた。技能実習を終わって帰ると、厚生年金の脱退一時金が支給されます。これは、それがないということで法改正を以前したわけですけれども、その厚生年金の脱退一時金の給付を予想して、その予想額を十二で割って賃金から差し引いた。おまえたちは脱退給付金を将来受け取るんだからと言って賃金から引いてしまう。それがなぜかということで、それが九千八百三十三円という金額なんで、それで一つ彼女たちの不満が爆発したということがございます。  そして、健康保険証も年金手帳も見たこともないと言っておりますので、厚生省におかれましては、この実態をやはりきちっと調査されて、どこに問題があるかということを検証していただきたいということをお願いいたします。  それから、少し時間がございますので、私といたしましては、今の就職内定率が最悪だということについて二、三お尋ねをいたしたいと思います。  時間がありませんので、大卒、高卒等、学歴別の内定率をお尋ねしようとしたんですが、それは後でお聞きすることにいたしまして、こういう状況の中で、どのような対策をとっていかれるのか。特に文部省としてはこれについてどのような対応をしておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  182. 佐々木正峰

    政府参考人佐々木正峰君) 高校生の就職率が昭和五十一年以来、平成十一年三月卒業生で見た場合、最低の数値となっております。  また、平成十一年九月に労働省が発表した来春の高校卒業予定者の七月末現在の求人倍率は〇・三六ポイント減の〇・六二倍となっており、昨年度にも増して厳しい状況にございます。  文部省といたしましては、労働省と共同で各都道府県教育委員会等に対し職業安定機関と教育機関との連携による積極的な求人開拓など就職支援について一層の取り組みをお願いするとともに、主要経済団体に対しましても求人枠の確保、拡大について大臣からも要請をしたところでございます。  今後とも、労働省とも一層の連携、協力を図って、一人でも多くの生徒が就職できるように努めてまいりたいと考えております。
  183. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私は、つい最近、フランスのパリで行われました社会主義インターナショナルといいまして、社会民主主義の各政党の三年に一回の大会に出席いたしました。そのときに社会民主主義のユートピアとして語られたことは、今大きな失業率を控えて、完全雇用こそ社会民主主義のユートピアなんだと、奴隷制度も植民地主義もそんな撤廃はできないと言いながらユートピアは実現したではないかというようなことを、イギリスのトニー・ブレア初め、ジョスパン首相とか、あるいはさまざまな社会民主党の党首の演説で何回か語られて、私も胸を熱くして帰ってまいりましたが、こういう失業、とりわけ若い人の失業問題に対して労働省はどのような態度で取り組まれるのか、最後に大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
  184. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 若い人の就職につきましては、これは一生を定めることでございますから、中高年齢層の方の就職を促進するということとはまた相当性格が違いまして、企業にとりましても、そういう後継者がいっぱい若さに満ち満ちているということが非常に大切なことでございまして、私どもとしては全力を挙げて就職促進に力を注ぎたいと思います。  きょうも御返事申しましたとおり、今のところ講習会とかそういうことを開くだけしかありませんが、心の中には来年の三月三十一日にはもう九割五分とかそれくらいの内定、就職決定者が欲しいという気持ちを秘めながら、最大の努力をさせていただきたいと思っています。それがならないということがはっきりしたときには、新しい対策を事前に十二分に協議させていただいて、打ち出すべきときには打ち出さなければいけないなと、このように考えております。
  185. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 終わります。
  186. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 大臣、長時間お疲れさまでございます。一人で答弁をされておられますから相当お疲れであろうと思いますが、あと残り二十分おつき合いをいただきたい。  労働者派遣法及び職業安定法がさまざまな危惧を呼びながらもいよいよ本格的に施行されることになります。そこでまず冒頭、本当に簡単で結構ですから、その両法の改正の目的といいますか、その趣旨みたいなものを簡単に御説明いただいて、そこから論を展開していきたいと思います。
  187. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) 近年、御案内のとおり急速に産業構造も変化をいたしておりますし、労働者の就業意識の変化、また労働需給の状況も労使ともにそのニーズの変化も大きいものがございます。さらに、現下の厳しい雇用失業情勢のもとで労働者の雇用の安定を図っていくということが大変大事な時代でございますが、このためには労働力需給について現状に対応して迅速かつ的確な結合を促進していく必要がある、そして労働力需給のミスマッチを解消していく必要があると思っております。さらに、労働者の就業意欲等の変化に応じて多様な就業機会の拡大を図っていくことも大事であります。こういう観点から今回労働者派遣法及び職業安定法の改正を図ったわけでございます。  労働者の多様な選択肢を確保する観点から、派遣事業及び職業紹介等の事業が広範な分野で行えるようにするとともに、両事業を利用する労働者の保護措置の拡充強化を図って適正に行われるようにするということを目的として今回の改正を図ったものでございます。
  188. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ありがとうございます。  要約いたしますと、要するに就業機会の多様性の確保ということと、それから労働需給の調整の機能強化といった二つの側面があるというようなことだったと私は記憶をいたしております。  ただ、この昨今の不景気の中では、就業機会の多様性の確保ということよりも、むしろ労働需給の調整機能の強化といったことの方が意味合いが強いんじゃないかなと。もちろん相まってという意味もありますが、むしろそっちの方が重点的な意味があるのではないかというような気がいたします。  そこで、労働力の需給調整機能の強化について段々のお話をさせていただきたいんですけれども、前国会の議論の中では、労働者保護の観点からさまざまな危惧が提出されておりました。大臣がかわられましたので御記憶がないと思うんですけれども、何かパンフレットを出されて、銀行の専ら派遣になるんじゃないかとか、いろいろ私もセンセーショナルに覚えておることが幾つかあります。当時、これからこういう危惧についてどうですかと問いかけましたら労働省の方は、専ら、しっかりとこれから監督していく、だから信じてくれと、そういうお話だったように記憶をしております。その本格的施行を前に、その従前の枠組みの中でさえ、今新聞報道等で出ておりますけれども、複数の派遣元に低料金だとかあるいは容姿を競わせるような競合面接といったような状況があるやに聞いております。  労働者保護の必要性、このような状況労働省としてはどのように対応されるのか、政務次官で結構ですからお伺いをいたしたいと思います。
  189. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) この料金の競争につきましては、一応民事上の取引の問題でございますから強制的にというわけにもいきませんけれども、当然一定の知識、技術、経験を持つ派遣労働者の確保の必要という観点も踏まえて、市場原理の中で決定されるべきものと考えてはおります。しかし、当然そこには常識というものもあるわけでございますので、その点も十分注意を払っていきたいと思います。  また、派遣される者を特定するためのような事前面接といったようなものはやってはいけないということは改正法の議論の際にも当然あって、その部分が規定にも加えられ、附帯決議にも盛り込まれておるところでございますから、この禁止規定は十分に監督をしてまいりたいと思います。  さらに、今回の改正において、派遣労働者が法違反について申告ができるという旨の規定を設けましたり、公共職業安定所において苦情の処理を行う旨の規定が設けられたところでございますから、違法、不適切な事案については十分に把握、監督ができる体制が整っておりますので、こういう今回の改正の一つの中心であります労働者の保護措置の完全な徹底と厳格な指導ということについて万全を期してまいる方針であります。
  190. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 前国会の当委員会での質疑の中でこの話というのはもう何十回と出てきましたものですから、ぜひともくれぐれもよろしくお願いをいたしたいと思います。特に、こういう法制度上のことがありますよというアラームというか警告を発するという面においては、かなりその広報的な面も強いと思います。労働省としてもその辺もぜひ強力に取り組んでいただきたい、強くお願いをいたしておきたいと思います。  それでは次に、労働力需給調整の機能という観点から見れば、私は以前から派遣先が紹介元に紹介料を払うような仕組みづくりをしてみたらどうかという提案をさせていただいておったんです。すなわち、言いかえれば派遣先の会社で正社員となることを前提とした労働者派遣を認めるべきではないかと。そもそも派遣が職業紹介の例外として認められてきたその定義の違いがあるんだとか、そもそも論の違いとか、さまざまな問題があるのは承知をしておりますけれども、この不景気の中、思い切った決断をするべきではないかというようなことをお伺いした記憶があるんですが、労働大臣かわりまして見解はいかがでしょうか。
  191. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 今御指摘の正規の職員としての採用については、中央職業安定審議会におきましても、そういう方向に進むことも可なりということで合意を得ておりますので、ぜひそういう方向で進めさせていただきたい。  ただ今回、法律の改正によりまして対象業種が非常に広がったものですから、労働保護措置を初めとするルールが的確に履行されるということをぜひ見通させていただいてこの実施に入らせていただきたい。そういうことで、本年十二月一日実施ということではなくて、ひとつ一年間猶予をちょうだいいたしたい。全体を見て、一年後にはきちっと正規社員として取り上げられるという道を法律的にきちっと確立するということで一年間の猶予期間をいただきたい。  以上であります。
  192. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ありがとうございます。  画期的な英断であろうと私は思っております。職業安定審議会の方でそういう答申があったということは私も仄聞はいたしておりましたけれども、これがもし成ればかなり大きな動きになるんではないかというふうにかなり今期待しております。一年間の猶予ということでありますから、その間しっかりと注視をいただいて、監督をいただいて遺漏のなきようにぜひお願いをいたしたいと思います。  それでは次に、労働力需給調整の機能ということの観点からもう一つ、これは具体的、個別的、本当に細かな提案になるかもしれません。午前中、斉藤委員の方からもお話がございましたハローワークであります。これだけ需給が逼迫しておる、その中でハローワークの人員が減っているという話もございました。  ただ、当委員会でも前国会のときに視察をさせていただいたことがありましたけれども、そのハローワークの職員の方が、忙し過ぎてとてもじゃないが一人一人の方にゆっくりお話ができないというような話もされておられました。この状況で人員が減っておるというのはむしろ逆行しておるなという気もいたします。  そこで、私も一つ提案をさせていただきたいんですけれども、大都市部では開所時間が二十四時間と言わずともかなり延長されたというふうな、梅田と大阪東、新宿でしたか、というような場所があったというふうに聞いておりますので、各都道府県に最低一つぐらい、中核になるようなハローワークぐらいはこれと同じような措置をしてみればどうかと。ハローワークの職員さんにしてみればとんでもないと言われるかもしれませんけれども、それはそれでまたワークシェアリングをするなりなんなりを考えればいいのであって、その辺のところをいかがお考えか、所感を聞いてみたいと思います。
  193. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) ハローワークの業務につきまして御理解を賜りましてありがたく思います。大変職員苦労しておりますので、さらに激励もしてやっていただければありがたいと思います。  今、平日の夜間あるいは土曜日の開庁について、ほかにももっと拡大をしたらどうかという御提案でございます。その効果、必要性と、またそれに伴う職員のやりくり、あるいは人員の確保という幾つかの問題がございますが、御提案でございますし、これからもますます厳しい雇用情勢に対応していかなけりゃならないという立場に立って検討させていただきたいと思います。  また、それだけでなくて、求職者がみずから幅広い求人情報等を検索できるような装置を配置したハローワーク情報プラザを今相当多く整備も図っておりますので、順次、この先生の御提案も含めて、求人情報提供等のサービスの拡充に努力をしてまいりたいと思っております。  第二次補正につきましても、そういう観点から、求人検索用のパソコンの整備ということで予算要求もしておるわけでございますので、これらも含め、今後ともサービスの向上に鋭意努力をしてまいる決意でございます。
  194. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 実際、地元へ帰りましても、現場でよくある話でありますが、地方の中では、県外のハローワークにわざわざ自分の職を探しに行く人はほとんどいないわけです。地元の中核市というか中心市、県庁所在地のハローワークなんかへ何か大量に情報があるだろうと期待をしてそこへ集中してくることが多いわけで、そういったところは、中核ハローワークという位置づけがあっていいのかどうかわかりませんけれども、そういう意味合いも含めて、さっき言いましたような努力をぜひ検討いただきたいというふうに思います。  ハローワークについては、あえて在宅外、求職をされる方が出かけていって職業を探すというようなことの話をさせていただきましたけれども、これからはそうでなくして、インターネットというものがありますから、新しい検索方法としてそのインターネットがこれから求職情報なんかでも情報を流布したりとかいうような側面でも大いに活躍するであろうというふうに思います。恐らく、民間の職業紹介業者なんかが今後自由化されてどんどん出てくれば、インターネットを利用したような職業紹介というようなことも爆発的にふえるんじゃないかというふうに私は思うわけであります。  ただ、こうした雇用関連情報の提供の拡大ということは非常に有意義なことではありますけれども、インターネットは不特定多数に大量同時に情報を流せる一方で、その発信元の把握など、またプライバシーの問題等々さまざまな問題があります。先ほども申し上げたとおり、派遣の問題でちょっと問題が起こっても、ちょちょっとインターネット上の文字を変えればそれが違反したかどうかの追跡調査というのもなかなかしにくいような部分がある。かなり監督面としては厳しいものがあるんじゃないかというふうな危惧も考えられます。  そこで、こういうトラブルに対して、未然に予防するということも含めて、どのように対応をしていくおつもりであるのか、労働省としての見解をお聞きします。
  195. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) ハローワークが行っておるインターネットによる求人情報等各種の雇用に関する情報の提供につきましては、インターネットが非常に著しく普及しておるというふうな状況も踏まえて、本年三月から試行的に開始をしたものでございます。今後とも、こういう時代に対応して全国主要地域への展開を検討してまいりたいと思っております。  また、ハローワークが本来なら中核的な求人求職の結合の拠点というためには、民間紹介機関も含めた総合的な情報連絡整備ができれば最もすばらしいものだと思いますけれども、まだこれがもう少し検討を要する問題だと思っております。  今、民間の事業者のインターネットによる求人情報提供等についてトラブル等が心配されるのではないかという御指摘でございます。当然こういうトラブルの防止ということは十分留意をしなければならないことでございまして、今回の職業安定法の改正によりましても、募集に応じようとする労働者に誤解を生じさせることのないように平易な表現を用いる等その的確な表示に努めなければならない、この旨の規定を置いたところであります。しかし、これを具体的にどういうふうに的確に運用していくかというのはなかなか難しい面もありますので、これをさらに検討して労働者募集に係るトラブルのないように鋭意努力してまいりたいと思っております。
  196. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 もちろんやってみなきゃわからないという面は大いにあろうと思いますが、先ほども言いましたとおり、インターネットというのはいっとき大量に流れてしまうものですから、流布すれば早い、気がついたときにはもうとんでもない取り返しのつかない事情になってしまっているという場合があります。  そこで、危機管理というんでしょうか、一種の危機管理的な思考で、事前にこんなことがあってはいけないというようなところの指導を労働省としてもお願いしておきたいというふうに思います。  前国会からも言われておりますが、先ほど来いろいろ御議論がありました若年層についての就職であります。大学生に対するインターンシップなんというのもそのうちの一つの方策として議論をされておりました。  ただ、インターンシップ制度は今のところ、私が仄聞するところによりますと余り利用されておらぬと。職業の具体的な仕事内容がわからないで不安であるとか、あるいは学科指定があるために希望先とは違うといったところであきらめるというような事情があるように聞いております。それらのこうした学生の方々に対してインターンシップの充実を図る必要性は大きいと考えますけれども、例えば学科指定なんというのを外す用意があるかどうか等も含めて、今後の取り組み方針について労働大臣にお伺いしたいと思います。
  197. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) インターンシップについての現状等は先生御指摘のとおりだと思っております。  これからこういう仕組みもそれなりに普及することが有効かと思いますが、大学や企業等においてこの導入を促進する、こういうことの観点から、労働省におきましても、昨年度から、文部省あるいは通産省と連携をとりながら、一週間程度の短期のインターンシップと言えると思いますが、体験実習講座の実施内容とするインターンシップ導入促進等支援事業実施しておるところでございます。昨年度実績は四百九十三人でございますが、既に今年度はそれを上回った上半期で千五十一人が実施されておると聞いておりますが、さらにこういうことも含めてこの普及に努力をしてまいりたいと思います。
  198. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 大臣にお聞きしたいとお願いを申し上げたところ政務次官がお答えいただきまして、本当にありがとうございます。  政府委員制度が廃止されて、大臣も一人で答弁をされていらっしゃいますから相当お疲れであろうと思いますが、その御感想を含めて、最後に、今後のミスマッチといいますか何といいますか、前大臣説明によりますとあの当時四・八%の失業率だったというふうに聞いたんですね。そのうち三%強がミスマッチのあれだというふうな御説明でございました。  先ほど大脇委員の方からもお話がございましたので、この内容そのものよりも、政府委員制度の御感想だけでも結構ですから、最後に大臣、一言お願いをいたします。
  199. 牧野隆守

    国務大臣牧野隆守君) 今の失業率の問題と、それから産業間のミスマッチ、職業間あるいは年齢の問題、先ほども答弁させていただきましたが、産業間一つ見ましても、製造業あるいは交通業、卸・小売業等から、もう片方の特にサービス業に実は大転換が行われているわけです。  こういうことを見ますと、単純に失業率を直すなんということは荒唐無稽で、やはりこういうミスマッチの実態をしっかり把握して対策を講じなければこの失業率の問題はどうしようもない。こういうことで、ミスマッチの問題について、私どもとして皆さんの御意向を賜りながら全力を挙げて推進させていただきたい。  例えば産業間、職業間のミスマッチ、それでは労働移動の推進、そこがうまくいけるかどうか、求職者に対して適正な情報提供あるいは職業能力開発が行われているかどうか。こういうことを考えますと、何回も先生方に御説明いたしましたが、人材移動特別助成金だとか、これらを中心にして、制度ができているわけですから、先ほど申しましたハローワークの機能強化等も含めて、これが非常に大切でございまして、努力をさせていただく。  それから、年齢間のミスマッチ、これが非常に拡大しているわけでありますが、これについて私どもが考えておりますのは、前倒し雇用をする。この場合には、奨励金を出しますから新しい産業分野から既存の分野の人をぜひ誘ってください、その間に職業訓練をやっていただいてもいいし、あるいはこういうところで情報提供していただいてもいいし、いろんな措置があるわけですから、そういう形で雇用者の立場から考えてやってください、私どもはこれらの制度で下からしっかり支えますよと。こういうことで、例えば緊急雇用創出特別奨励金等もそういう形で御利用していただきたい。基本的に、年齢差と申しますか、そういうミスマッチに対処をしたい。  だから、これらの制度をミスマッチの見地から私としては大いに利用しようと私どももPRいたしますから、そうしますと、じゃそういうことでやろうか、元気を出そうと、こういうことになるわけでありまして、産業、職業、年齢、これらを十二分に検討して具体的な有効な対策を積極的に進めさせていただきたい、こう考えております。  よろしく、すばらしい御意見等をちょうだいいたしたいと思います。
  200. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ありがとうございました。
  201. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時七分散会