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1999-12-09 第146回国会 参議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十二月九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十二月八日     辞任         補欠選任      今井  澄君     櫻井  充君      星野 朋市君     入澤  肇君      佐藤 道夫君     西川きよし君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         倉田 寛之君     理 事                 竹山  裕君                 長谷川道郎君                 保坂 三蔵君                 溝手 顕正君                 峰崎 直樹君                 柳田  稔君                 荒木 清寛君                 笠井  亮君                 大渕 絹子君     委 員                 市川 一朗君                 大野つや子君                 岡  利定君                 岸  宏一君                 北岡 秀二君                 久野 恒一君                 国井 正幸君                 小山 孝雄君                 鴻池 祥肇君                 斉藤 滋宣君                 谷川 秀善君                 中島 眞人君                 野沢 太三君                 畑   恵君                 浅尾慶一郎君                 木俣 佳丈君                 久保  亘君                 櫻井  充君                 竹村 泰子君                 千葉 景子君                 直嶋 正行君                 本田 良一君                 益田 洋介君                 松 あきら君                 山本  保君                 小池  晃君                 須藤美也子君                 宮本 岳志君                日下部禧代子君                 照屋 寛徳君                 入澤  肇君                 月原 茂皓君                 菅川 健二君                 松岡滿壽男君                 西川きよし君    国務大臣        内閣総理大臣   小渕 恵三君        法務大臣     臼井日出男君        外務大臣     河野 洋平君        大蔵大臣     宮澤 喜一君        文部大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       中曽根弘文君        厚生大臣     丹羽 雄哉君        農林水産大臣   玉沢徳一郎君        通商産業大臣   深谷 隆司君        運輸大臣        国務大臣        (北海道開発庁        長官)      二階 俊博君        郵政大臣     八代 英太君        労働大臣     牧野 隆守君        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  中山 正暉君        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    保利 耕輔君        国務大臣        (内閣官房長官)        (沖縄開発庁長        官)       青木 幹雄君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    越智 通雄君        国務大臣        (総務庁長官)  続  訓弘君        国務大臣        (防衛庁長官)  瓦   力君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君        国務大臣        (環境庁長官)  清水嘉与子君    内閣官房長官        内閣官房長官  松谷蒼一郎君    政務次官        外務政務次官   山本 一太君        大蔵政務次官   林  芳正君        文部政務次官   河村 建夫君        厚生政務次官   大野由利子君        通商産業政務次        官        細田 博之君        通商産業政務次        官        茂木 敏充君        郵政政務次官   小坂 憲次君        郵政政務次官   前田  正君        労働政務次官   長勢 甚遠君        自治政務次官   橘 康太郎君        総理府政務次官  長峯  基君        金融再生政務次        官        村井  仁君        防衛政務次官   依田 智治君        防衛政務次官   西川太一郎君        経済企画政務次        官        小池百合子君        科学技術政務次        官        斉藤 鉄夫君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  津野  修君    事務局側        常任委員会専門        員        宍戸  洋君    政府参考人        科学技術庁原子        力安全局長    間宮  馨君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        厚生省老人保健        福祉局長     大塚 義治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十一年度一般会計補正予算(第2号)(内  閣提出、衆議院送付) ○平成十一年度特別会計補正予算(特第2号)(  内閣提出衆議院送付) ○平成十一年度政府関係機関補正予算(機第1号  )(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十一年度第二次補正予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑及び締めくくり質疑を行うこととし、一般質疑割り当て時間は七十分とすること、各会派への割り当て時間は、自由民主党四分、民主党新緑風会三十分、公明党三分、日本共産党十二分、社会民主党護憲連合九分、自由党三分、参議院の会六分、二院クラブ自由連合三分とすること、また、締めくくり質疑割り当て時間は三十一分とすること、各会派への割り当て時間は、民主党新緑風会十五分、日本共産党六分、社会民主党護憲連合五分、参議院の会三分、二院クラブ自由連合二分とすること、質疑順位についてはそれぞれお手元に配付いたしておりますとおりでございます。     ─────────────
  3. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 平成十一年度一般会計補正予算(第2号)、平成十一年度特別会計補正予算(特第2号)、平成十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。  これより一般質疑に入ります。長谷川道郎君。
  4. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 おはようございます。  私、本日は山ほど質問項目を用意いたしましたが、一点、ペイオフに限って質問させていただきます。  金融審議会はいろいろ回を重ねていらっしゃるんですが、順を追ってお伺いいたしたいと思うのでありますが、十月十九日、ペイオフは予定どおり発動するがその発動は極力避けるという決定がなされました。解除をするけれども発動はしないという極めて奇妙な基本的な考えだと思うのでありますが、これはどういうことか。また、危機対応勘定、例外的な措置についても触れていらっしゃいますが、その点について御説明をまずお願い申し上げます。
  5. 林芳正

    政務次官林芳正君) 御答弁をさせていただきます。  長谷川先生からは、十月十九日に公表されました基本的考え方についての御質問でございます。  今、金融審議会におきましては、預金保険制度のあり方、今おっしゃいましたように、今の特例措置が終了いたしまして預金の一部カットがあり得るという体制に移行する、これが広義ペイオフと呼んでおりますが、これを前提といたしまして、今月末の最終答申の取りまとめに向けて精力的に最後の議論を行っているところでございますが、その中間報告ということで今御指摘になりました基本的考え方が出ておるところでございます。  そこで、ペイオフは実施するが発動はできるだけ回避するというのはちょっとわかりにくいじゃないかということでございまして、私今あえて広義ペイオフと申しましたのは、今御指摘のあったペイオフというのは狭義の、もう銀行がなくなってしまうという方のペイオフだということだと思いますが、そのことに関しまして、この特例措置終了後の金融機関破綻処理方式としては、破綻金融機関の有していた金融機能をできるだけ早く譲り受け金融機関に引き継ぐことにより破綻に伴う混乱最小限にとめるという趣旨から、破綻に伴う損失負担により預金等の一部がカットされることは同じでございますけれども、いわゆる日本版PアンドA、パーチェス・アンド・アサンプション、資産買い取り負債承継ということでございますが、この適用を優先して、金融機能まで消滅させることとなる今私が申し上げました保険金支払い方式、これが狭義ペイオフということでございまして、これが委員が御指摘になったところだろうと思いますが、これは基本的に回避をすべきであるという旨が提案されておるところでございます。  そこで、基本的考え方で提案されております日本版PアンドAというのは、迅速に破綻処理を行うことによりまして、例えばアメリカ等で行われていますのは、金曜日に破綻を宣告いたしまして、お店が閉まる土日の間にきちっと移転をいたしまして、月曜日には新たな受け皿機関の看板をかけて、そこで通常どおり営業を始める。これは理想的な形でありますが、そういうことによりまして、こういう金融機関破綻をした場合の混乱最小限にとめることが可能であります。そういった意味で、特例措置終了後の新たなセーフティーネットの重要な一部になり得ると考えておるところでございます。  そのためにも、今申し上げましたとおり、事前の準備とそれから資金援助が可能になる場合の拡大と、それから今申し上げましたように営業譲渡手続迅速化多様化、こういったことのための手当てを講じておく必要があるということでございます。  それから、後段でお尋ねのありましたシステミックリスクでございますが、これは、システミックリスクがある場合の例外的措置というのは、例えば米国にも同様の措置がございまして、我が国においてもこの特例措置が終了した後でもこの信用秩序全体の維持に重大な支障が生じるというような万が一の事態に備えて、極めて限定的な場合に限定的な厳しい手続を経て例外的な措置を可能としておくことが必要であるというふうに考えておるところでございまして、その場合には、今申し上げましたように、極めて厳格な手続を付すことが求められるというのが今の金融審議会における審議状況でございます。
  6. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 申し上げましたように、ちょっとわかりにくいという批判が新聞等であったわけでありますが、小さな預金保険機構にすると、ペイオフ一つの選択であるという、そういうスキームであると思うわけでありますが、今お触れになりましたPAの問題でありますが、なかなかそういうふうにうまくいくのかなという感じがいたすわけでありますが、これは今後ともひとつ御研究をいただきたいと思うわけであります。  一昨日の金融審議会、同様の金融審議会決済性預金の問題が議題になっております。決済性預金暫定措置として全額保護をするという決定がなされたわけでありますが、その場合の決済性預金というのはどういう範疇のものを指すのか、この点、まずお伺いいたします。
  7. 林芳正

    政務次官林芳正君) お答え申し上げます。  金融審議会におけます決済性預金議論ということでございますが、まだこれは結論というわけではございませんで、決済性預金すべてについて全額を保護するということがまだ決定されたという状況ではないということをあらかじめ申し上げさせていただきたいと思います。  そこで、当面の営業資金とか生活資金が保管されております決済性預金流動性預金ということでございますけれども、これが金融機関破綻した場合に、この決済性預金の払い戻しが停止されたり、またその一部がカットということになりますと企業個人決済に大きな影響が懸念されるということでありますから、いろんな議論が出てくるわけでございまして、論点を簡潔に申し上げますと、一方では企業個人決済への問題が生じないよう流動性預金全額保護すべきではないかという意見がございます。また、その一方で、これをやりますとやはりモラルハザードが増大をしてくる、またおっしゃいましたように、ほかの預金とじゃどこで一体線を引くのかねと、こういうふうな問題が出てくるんじゃないか、こういう問題点指摘しておられます。  決済の問題は、可能な限り破綻処理迅速化、さっき申し上げました迅速化民間による多様な決済サービス、こういうふうなものによって解決すべきという意見が両方出ておりまして、今議論を最終的にまとめておるというところでございます。
  8. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 ペイオフ最大問題点は、ネックは決済性預金の問題ではないかと私は思います。金融システムにとって一番始末の悪いのは、逃げ足の早い大量大口預金だと思うんです。この大口預金決済性預金を含めて大口預金をどういうふうに安定させるかという問題が最大の問題になると思うのでありますが、さらに御研究をいただきたいと思うわけであります。  私の時間はまだ二分ありますが、大分時計が回っておりますので、越智先生、九五年の「金融システム機能回復について」ということでペイオフ凍結になったわけであります。このペイオフ凍結する条件は、この五年間で不良債権問題に一定めどをつける、それから金融システムの安定について一定めどをつける、そういう条件つきでの凍結であったわけでありますが、今日その条件が満たされているというふうにお考えでございますかどうか、この点をお伺いいたします。
  9. 越智通雄

    国務大臣越智通雄君) 何とか満たしたいということで一生懸命頑張ってまいりました。  今、不良債権というお話がございましたが、資本注入をしたようなリーディング十五銀行あたりでは大体できたんじゃないか、このように思っておりますが、銀行というのは常に金を貸している以上は不良債権の多少のものは出てまいりますが、今も十八兆ぐらいございますが、何とかマネージできる範囲ではないかと思っております。  次の地域銀行、第一地銀、第二地銀のところは、正直言いまして資本比率が、四以上ではございますが五%を切っているところが幾つかございますので、それぞれに第一にも第二にも注意しながら今措置をしているところでございます。  率直に申しまして、信用金庫、信用組合になりますと、御存じのように大体三百ずつございますので、全国六百の、それも協同組合組織という格好でやっておりますものですから、ましてそのうちの、殊に信用組合は私どもまだ検査権限がないものですから、各都道府県に任せてございまして、来年の四月一日にならないとこちらの領域に入ってこないということで、大変そこらを今心配しながらいろいろな手だてを考えて整備しておりますが、何とか二〇〇一年四月一日からのいわゆる原則ペイオフ、これに持っていけるように考慮しているところでございます。
  10. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 私は、必ずしも今凍結解除するその要件が整ったというふうな判断ではないというふうに思うわけでございまして、ペイオフというのは大体破綻したその後の処理スキームでございます。今必要なのは、金融不安を起こさない、資金の流れを滞らせない、それがまさに今必要なことであると思うんです。  そういったことで、今凍結解除をさらに一定期間、五年というわけにいきませんが、一年ないし二年延期をしてはいかがかという意見がございます。私は、これについては一定の合理的な根拠があると思うのでありますが、その点いかがですか。
  11. 林芳正

    政務次官林芳正君) これはむしろ大臣からお答えいただいた方がいいかもしれませんが、基本的な今金融審議会における状況等も踏まえまして、そういうお尋ねでございましたけれども、まず特例期間を入れたときは、ディスクロージャーが充実の過程でまだ途中であった、預金者自己責任を問える環境がまだ十分でない、それから、金融機関不良債権を抱えており、信用不安を醸成しやすい金融環境にある等の理由で、五年間に限ってこの特例措置を導入したところでございまして、委員承知のように、これは税金保険料によってそのペイオフコストを超えるところが賄われておる、ただでやっておるわけではないというところでございまして、なるべくこの特例期間内にいろんな状況を整えましてきちっとやっておくということが必要であるというふうに考えておるところでございます。
  12. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 大蔵省にお伺いいたしますと、これは国際公約であるという御回答もございました。しかし、日本にとって最大国際公約は、一日も早く金融システムを安定させる、世界にその責任を果たすというのが最大国際公約であると思うのであります。そういった意味で、私が先ほど申し上げたようなことも十分御考慮をいただきたいということをお願い申し上げ、向こうの時計が回っておりますので、終了させていただきます。ありがとうございました。
  13. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で長谷川道郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  14. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、直嶋正行君の質疑を行います。直嶋正行君。
  15. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。  きょうは、一般質疑年金問題に絞って各大臣の御見解を承りたいと思います。  まず、最初に自治大臣にお伺いしたいんですけれども、今国民年金の未加入未納対策というのが大変大きな問題になっていまして、両方合わせますと約三百三十万人と言われております。これは市町村の方が収集業務をされているわけですが、非常に大変な努力をされている割に余り効果がはかばかしくない。市町村からもいろいろな苦労の様子を私伺っておりますが、この点について自治大臣はどのように受けとめておられるのか。市町村を統括されている大臣としての御見解を承りたいと思います。
  16. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 市町村事務として国民年金収納とかいろいろなことで大変忙しい窓口業務であるということはよく承知をいたしております。また、数字等につきましても非常に大きな数字だというふうに理解をいたしております。  国民年金制度を正常に維持してまいりますためには収納に力を挙げていかなければなりませんが、同時にまた地方分権法等に従いましてさまざまな事務国民年金だけではなくて、例えば戸籍でありますとか、あるいは住民票、あるいは国民健康保険、今のことでありますが、それから就学の届け出など非常に多い窓口業務がございます。  そうしたものに対して、法定受託事務自治事務とに区分けがありますけれども、そういった形でスムーズに収納ができるような窓口事務を国の事務に移していくというようなことがございますので、そういったこともあわせ考えながら、収納効果を上げていかなきゃならないんじゃないかと思っております。また、市町村窓口業務の緩和を図っていかなければならないんじゃないかと思っております。
  17. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、自治大臣からも業務がたくさんある中で大変だというお話がありました。  例えば、この徴収担当者研修会なんかでもいろんな苦労の声が出ているんですね。もう何回行ってもだめだとか、民間には入っているけれどもなかなか国民年金を払ってくれないとか。例えば、保険制度を持つ国でもイギリスなんかは税務署が税金と一緒に保険料を徴収しているんですよ。あるいは、今議論ありますけれども、例えば基礎年金、これは国民年金も含めて、税制にすればこういう市町村に大きな迷惑をかけるということはなくなるわけです、年金というのは国が一元管理しているわけですから。  こういう点について、どうですか自治大臣、御検討されたようなことはありますか。
  18. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 地方分権一括法の中でこの業務社会保険庁の方に移していくということがございますので、従来の地方自治体における窓口業務から社会保険庁の方に移すことによって窓口業務のふくそうを緩和する、そういうシステムになっているというふうに考えております。
  19. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 続きまして厚生大臣にお伺いしたいと思うんですが、今の未加入、未納問題もそうなんですが、今国民年金に対する信頼感というのが大きく揺らいでいると思うんです。厚生大臣に三つの点からちょっとお答えをいただきたいと思うんです。  今なぜ国民信頼感年金制度が失っているか、あるいは揺らいでいるかということについて。それから二つ目は、特に民間年金と国の年金というのはどこが違うのか。どうもこの点もきちっと整理されていないように思うんです。それからもう一つは、国が公的年金を持つ意味合いというのはどういうところにあるのか。  この三点から厚生大臣の御見解をお伺いしたいと思うんです。
  20. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) まず、少子高齢化社会が進む中において、若年世代の一部には、自分たち世代になったら年金がもらえないのではないか、こういうような不安をする声があることも事実でございます。そういうようなことを考えまして、今回の改正におきましては、いわゆる将来世代の過重な負担をまず解消するということと、確実な給付を約束する、こういう考え方に立ちまして今回の改正案を提出させていただいておるような次第でございます。  それで、まず公的年金とそれから私的年金との違いでございますが、いわゆる公的年金というのは、もう御案内のように我が国社会保障の重要な柱の一つでございますし、お年寄りの皆さん方老後生活を担う、こういうようなことでその役割は大変大きいものがあるわけでございます。一方、私的年金というのは、この公的年金を補完いたしまして多様化するいわゆる老後のニーズに対しましてより豊かな老後生活を確保するものと考えておるわけでございます。  ですから、そういう観点に立ちまして、御案内のように、公的年金につきましては国庫負担が現在三分の一充当されておるわけでございますし、そして世代間の連帯に基づいてこのような仕組みがとられておるわけでございます。何よりも大切なことは、いわゆる終身にわたってこれを保障するということが私的年金との違いでございます。私的年金は、もう委員案内のように、納められた保険料とその運用の利益から年金が支払われる、こういうことでございますが、率直に申し上げまして、いわゆる公的年金というものは物価の上昇分というものは保障する、こういうことを今回の改正で示させていただいておるわけでございますが、いわゆる私的年金というのは、社会情勢の変化に必ずしも対応するということは難しいのではないか、このように考えているような次第でございます。  なぜ公的年金を国が運営するのか、こういうような御質問でございますが、先ほども申し上げましたけれども、あくまでもこれは要するに世代間の連帯に基づくものでございまして、そしてあくまでもいわゆる終身にわたって支給するとともに、現役世代の方々にも強制的に加入していただいている、こういうような意味合いでございます。私的年金は言うまでもなく任意でございます。そういうことでございますので、あくまでも国が責任を持って運営するものである、このように考えているような次第でございます。
  21. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今お答えがあったんですが、私は、公的年金を国が運営するというのは基本的には憲法二十五条、これにおいて福祉あるいは社会保障の充実というのは義務づけられています。ですから、本来これに基づくものだというふうに思うわけであります。  それで、そうなんですが、実際に今るる御説明があったんですが、年金制度がどう動いていて、国がやるという意味合いは、今お話にもあったように社会保障政策としてやるわけですから、何よりも私は安定性が重要だと思うんです。そういう意味でいうと、実は制度の安定性という面で、大臣は今安定的なというお言葉もお使いになったわけですけれども、一つあるのは、今五年ごとに再計算をやっていますね。私は、これはもうそろそろ見直さなければいけないと思うんです。  というのは、少子高齢化はどんどん進んでいますから、五年ごとに見直しをすれば、今の仕組みだと必ず保険料が上がって給付が下がるんです。これをずっと繰り返しているわけです。そうすると、安定性などというのは揺らぐばかりなんです。しかも、国民から見るとマイナスの方に常に見直しがされるわけですから信頼も揺らいでくる、こういうふうに思うわけであります。そういう意味では、この点を見直すべきだというふうに思うんですが、この点はどうでしょうか。
  22. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 先生御指摘のように、五年ごとにくるくる変わるではないか、こういうような意見があることも紛れもない事実でございます。しかし、これは率直に申し上げて、いわゆる年金制度というのは世代間の支え合いによって行われているんだと。そういう中で少子高齢化社会が進んでおるわけでございますので、基本的にはいわゆる人口や経済情勢というものを十分に勘案しながらこれを計算していかなければならない、こういう考え方に立つわけでございますが、私どもは今回の改正におきまして、将来にわたっていわゆる保険料負担は総収入の二割にして、そして給付というものは現役労働者の六割前後にするということをお約束申し上げておるところでございます。  ただ、率直に申し上げて、今回の改正は、要するに予想を上回る少子高齢化社会、いわゆる合計特殊出生率が一・三八というような、私どもが考えてもいなかったようなところに起因するところも大きいところでございますけれども、いずれにいたしましても、経済情勢の変化などを踏まえ、将来世代の過重な負担を防ぐということが何よりも今おっしゃったような不安に対するお答えになるのではないかと思っております。  その中で、特に今回は、附則でございますけれども、国庫負担がこれまでは三分の一でございましたけれども、これを二分の一に引き上げていく、こういうことを初めて明記いたしておるわけでございますので、安定した財源を確保しながらできるだけ速やかに二分の一に引き上げていきたい、このように考えているような次第でございます。
  23. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 さっきも終身保障だと、こういうふうにおっしゃった。年金というのは、二十歳から六十まで四十年間掛けて、それで終身なんですよ。だから、一人の人生において六十年以上にわたりかかわるんですね、一人の人間のかかわりでいえば。それを五年ごとに変えるというのは、やっぱり私は、これはいわゆるライフプランといいますか、生活設計が立たなくなると思うんです。  それで、それは世代間の相互扶助だからやむを得ないんだということなんですが、私は、世代間の相互扶助システムを完璧に適用しようとしてそれを繰り返せば繰り返すほど信頼が揺らいでくると思います。答えはわかっているわけですから。そこを変えなければいけないというふうに思うわけです。ですから、私たちは基礎年金は税制がいいんだというふうに申し上げているわけです。  それで、今二分の一のお話もあったんですが、今度の年金改正法を見ると、給付面の切り下げははっきりしているんですよ。来年の四月から五%切り下げます。しかし、今二分の一にするというふうにおっしゃったんですが、それは二〇〇四年までという話で、そこから先の見通しもさっぱりわからない。それで、与党の中でも保険だ税だという議論がある。そもそも年金の論議がこんな時期になったのは、その与党内の議論がまとまらなかったからこうなったわけです。提出がおくれたからこうなったわけです。  ですから、国民から見ると、給付の切り下げはわかっているんです。しかし、自分の肝心の負担の方は先行き、さっき言ったように四十年掛けてそこから二十年もらう年金ですよ、どうなるかというのはさっぱりわからない。ここに一番問題があるんじゃないかと思うんです。  この点についてはどうなんでしょう。ここは明確にできないわけでしょう、厚生省もなかなか。二分の一までは今おっしゃったけれども、それも五年先ですね。どうでしょう、この辺。
  24. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) これは、年金だけでなく、我が国社会保障の重要な柱でございます医療も同じようにいわゆる社会保険方式というものをとらせていただいておるわけでございますし、それからこの四月に導入する介護保険というものも社会保険方式をとらせていただいておる。  こういう観点から、いわゆる負担と給付との関係を明確にするという意味において私は社会保険方式というのが望ましい、このように考えておるわけでございますけれども、与党の三党間におきまして今後このあり方について二〇〇四年までの間に検討する対象の一つになっていることは事実でございます。
  25. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の、負担と給付を明確にするというふうに厚生省はおっしゃっているんですが、これも必ずしもそうじゃないんですよ。今基礎年金というのは世代間扶養でもう合算して賦課されているわけですから。もちろん、おっしゃった部分もあるんです。しかし、それだけでは説明し切れないと思うんです。  それで、ちょっと大蔵大臣にお伺いしたいんですが、今二分の一の話もありましたが、これ実は五年前に決まっているんですね。ところが、財革法の論議の中でこの議論がストップしちゃった。今財革法で凍結されていますし、今申し上げたようにこの保険料の見通しがなかなか立たないということなものですから、思い切ってこれ早く凍結解除して二分の一に国庫負担を上げるということについてはどうなんでしょう。ちょっと御見解をお伺いしたいと思うんです。
  26. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) お尋ね意味は、かつて財政再建を決めましたときに、この問題についてはいわば凍結したとか棚上げしたとかということでございますね。お尋ね意味は、そういう過去のいきさつがあったので、今附則に平成十六年までの間には二分の一に、安定した財源を確保して二分の一にするということになっているが、そのことはどういう行く末になるのかと、こういう……
  27. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もっと早くできないか。
  28. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) もっと早く、二分の一にすることを。  それは意想外のお尋ねでございましたが、私どもは、安定した財源をいかにして確保するかということに大変苦労をいたしておりますのが現状でございます。
  29. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) ただいまの大蔵大臣の答弁に関連してでございますが、先生の御質問の中で、いわゆる保険料凍結解除と引き上げとの問題がございましたものでございますから。  これは今回の法改正の中においては言及しておりませんけれども、年金大綱の中ではその点が実は触れられておるわけでございます。つまり、安定した財源を確保しながらも、要するに保険料凍結解除と引き上げ二分の一は同時が望ましいということを書いておるわけでございますので、そのような方向で、私として、担当大臣としてはできるだけ速やかに実現することが望ましい、このように考えているような次第でございます。
  30. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 続きまして、厚生大臣にちょっとお伺いしたいんですが、これからの社会保障制度ということを考えると、きのうも議論がありましたが、例えば介護保険を払う、それから医療についてもいろいろ今議論されていますが、これもやはり高齢者に負担を求めていく、こういう方向にならざるを得ないと思うんです。  そういう中で考えますと、年金というのはそういう面では高齢者の所得の根幹部分を占めているわけですね。むしろ、これは将来、先々そういうことが考えられるなら、安易に今ここで年金支給額を減らすということは大変大きな問題がある。整合性がとれないと思うんです。むしろ、年金支給額はしっかり確保してほかの社会保障制度との関係を考えるべきだ、こう思うんですけれども、今逆行しているんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
  31. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 先ほどから答弁をさせていただいておるわけでございますけれども、いかにして若年世代といいますか現役世代と申しますか、こういった方々のいわゆる過重な負担を軽減するということが要するに今回の法改正の大きな柱でございます。  それとともに、先ほども申し上げましたけれども、要するに現役世代の手取りのおおむね六割程度にする、こういうことでございますけれども、今お話がございましたことにつきましては、年金のいわゆる水準というのはあくまでも物価スライドに反映していく、こういうことでございまして、例えば診療報酬、いわゆる医療であるとかそのほかの問題が物価に反映する中でこの問題というものは考えていくべきだ、こういう観点に立っておるわけでございまして、その年金の水準の問題と、基本的には先生の今御指摘のあったような介護のこういう話というものは別な次元で考えるべきである、こういうような基本的な認識に立つものでございます。  これまで、率直に申し上げまして年金年金、医療は医療、物価は物価、こういうような、どちらかというとお役所の中ではそういうような縦割りな論議がなされてきた嫌いも現実問題としてなきにしもあらずでございます。  そういう中におきまして、このたび総理の御発案によりまして、今後こういったものをいずれにいたしましても総合的に検討していこうではないかということで、真に豊かな老後の確保を目指すために、総理大臣のもとに、中長期的な視点からこういったような問題について、社会保障全体のあり方について検討するような有識者懇というものを設けたい、このように考えているような次第でございます。
  32. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今のお話で、ちょっと二つ申し上げたいんです。  要するに、今中長期的にというふうにおっしゃった、今まで縦割りでやっぱり反省点があるというようにおっしゃったんですが、私は、それは今遅過ぎると思うんです。新しい制度もこれからつくっていくわけですから、そういう中で年金を減らしていくわけですから。  今厚生省の調査なんかでも、高齢者の生活調査なんかを見ますと、大体年金の収入に占めるウエートというのは八割以上を占めています。特に、もう年金しか収入ないという方が結構多いんですよ。だから、そういう中で整合性がとれないことをやっていくのは本当にいかがなものかと思うんです。  例えば、今度介護保険の保険料徴収をしばらく見合わす、あるいは半額にするということをおっしゃったんですが、三千円の介護保険料を取るのにちゅうちょしながら、一方では年金五%引き下げると。標準者だと二十三万ぐらいですから、一万一千円以上になるわけです。だから、年金の方はこんなに下げるといいながらそちらは見合わすというのは、これはやっていることがやっぱりちぐはぐなんですよ。  だから、私は、今の厚生大臣がおっしゃった、検討がきちっと整理されるまでは年金の給付水準というのは下げるべきじゃない、このように思うんですが、どうでしょう、改めて御見解を伺いたいんですが。
  33. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 先ほども答弁をさせていただいたわけでございますが、この給付水準でございますけれども、いわゆる現役世代の要するに六割程度を確保するということでありまして、平均でサラリーマンOBの場合は月額大体二十三万八千円でございまして、これ、基本的には、要するに年金というものは老後のお年寄りの生活の中で衣食住、これを中心にしておるわけでございますが、結果的にはいわゆる医療費等にかかる部分も十分に吸収されておる、こういう事実でございます。
  34. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 介護保険の話も反論あるかと思ったら反論ないようですから、お認めいただいたというふうに思います。
  35. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) ですから、先ほどから申し上げておりますように、介護であるとかあるいは医療であるとか、そういうことに着目をするのではなくて、いわゆるそういうことによって物価が上昇した場合には当然のことながらこれが反映される、こういうようなたぐいのものでございます。
  36. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、そこがもうやっぱり違ってきているんですよ。さっきおっしゃった世代間の扶養の話と、あるいは年金の安定性といえばもう矛盾が出ているんです。それから、介護の話は物価で調整とおっしゃったんですけれども、これは新たな制度をつくっていくわけです。医療だってこれから新たな負担がふえてくることは目に見えているわけです。だから、そこのところはやっぱり整合性をとっていただきたい、こういうふうに申し上げているんです。  私の持ち時間がもうなくなってきましたので、ちょっと大蔵大臣に最後一つお伺いしたいんです。  この年金の積立金の問題なんですが、厚生省の年金計算の財政見通しを見ますと、二〇二五年くらい以降、大体この積立金の金額が時価に直しますと三百兆円とか四百兆円ぐらいになる。ピーク時には四百兆円になる。別途、郵便貯金というのも大量にあるわけです。ですが、こういう年金の大量な資金を本当に政府が運用できるんでしょうか。  私は率直に言って疑問があるんですが、あるいは金融市場におかしな影響を及ぼすことになるんじゃないか、こういうふうにも思うんですけれども、この点についてちょっと大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思うんです。
  37. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その問題は、厚生省、大蔵省というような狭い立場でなく、どのように運営されるかということといたしまして、自主運用となりますと、それは厚生省が運用されるのがもう本来でございます。  ただ、これにつきましては、資金運用審議会が懇談会をいたしまして、安全確実、ここらは問題のないところですけれども、運用責任の明確化であるとか、それから今お話しの公的資金の運用が金融市場に思わぬ影響を及ぼさないようにすることとか、ディスクロージャーであるとか、いろんなことを資金運用審議会としては建言をしているわけでございます。それは当然厚生省において運用に際してそういうことをお考えの上でやっていただけるものと思いますし、厚生省もそのおつもりでございます。  したがいまして、今そういう懸念を持ちますけれども、おっしゃいますような問題はございますけれども、何かせっかく自主運用されるときに大蔵省がいろいろ注文をつけるというようなことは本来よろしからぬことでございますから、そういう資金運用審議会なんかの第三者的な立場を運用者として厚生省によく御考慮をいただきたい。非常に大きな金でございますので、多少の経験を積んでいかれますと、その辺のところは間違いなくやっていかれるものだろうというふうに考えております。
  38. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 また、積立金の問題については、今の大蔵大臣の答弁を受けていろいろ議論もさせていただきたいと思います。  では、委員長、関連質疑を竹村委員の方にお願いしたいと思います。
  39. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 関連質疑を許します。竹村泰子君。
  40. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 おはようございます。  私は、予算委員会でこれまでにも幾度か特別会計の問題を御質問してまいりました。御存じのとおり、特別会計は三百十一兆円という大きな枠で、一般会計の四倍もあるわけですよね。このことに対して、自民党の中に特別会計制度の改革案、自民党の行革推進本部の中にできたということで、大変興味を持っておりますけれども、この問題を後で聞かせていただきたいと思います。  まず最初に、東海村のジェー・シー・オーの事故から二カ月たったわけであります。東海村で起きた臨界事故のような原子力災害が発生したときに、政府や自治体はどうあるべきなのか。近ごろ、二カ月たちますとマスコミの報道もどんどん少なくなってきておりますけれども、一体国会は、そして自治体はどのようにあるべきなのか、またどんなことが起きたのかという調査の模様などについて少し御質問申し上げたいと思います。  日本初の臨界事故の原因、これは高濃度のウランを扱っているのにその認識がなかった、そして臨界が起こらないように形状管理をしていなかったということがやはりその原因ではないかと思います。臨界の管理方法としては、例えば形状管理、質量管理、濃縮度管理というふうにあるわけですけれども、形状管理とは、もう大臣御存じのとおり、例えば何かの間違いで濃度を間違えたり質量を万が一間違えてもそのような臨界事故が起きないように形状を設計しておくことということですよね。  私どもが知る限りでは、事故の一報は四十七分後に茨城県に伝えられたと。臨界事故の可能性ありとファクスが入ったそうです。しかし、県が災害対策本部を設置したのは午後四時、五時間後であります。そのようなことからいっても、現在の核燃料施設安全審査指針には臨界事故対策は不要であるとなっています。だから、臨界事故は想定していなかった、起きるはずはなかった、その起きるはずがない事故が起きてしまったとする国や県の関係者の発言となるわけです。まさに私たちは盲点を突かれたと言うべきではないかと思います。  このことについて科技庁長官はどうお考えになっておられますでしょうか。
  41. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今回の事故は、地元の住民の皆様を初め、国民の皆様方に多くの不安また多大な御迷惑をかけまして、私どもといたしましても大いに反省をしているところでございます。  起こるはずがなかったというお話でございますが、私どもは、規定されました安全審査に基づいてこの施設の安全性について確認をし、また許可をしたわけでございまして、想定外の作業によりこの事故が起きたことが直接の発生原因であります。しかし、安全審査につきましては、その後いろいろ事故後の調査等につきましても万全ではなかった、そういうことから現在安全審査の見直しを行うということになっているところでございます。
  42. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 安全審査を今回見直して根本的にきちんとやっていきたいという反省はもちろん当然のことであると思いますけれども、すべての他の施設についても人間のミスによってこのような事故が起きる可能性が十分あるのだということ。このジェー・シー・オーのような工場は全国にほかに八カ所あるというふうに聞いておりますけれども、すべての施設、もちろん原発も含めて、全濃度・形状管理、安全審査をもう一度見直すべきだ、徹底的に見直すべきだと思いますが、いかがですか。
  43. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 委員おっしゃいますように、今回の事故の事業所のみならず、そのほかのすべての事業所についての点検を行うことが大変重要でございまして、総点検の今指示をお願いしているところでございます。
  44. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 形状管理も含めて総点検をなさるということですね。指令を出されたんですね。
  45. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 他の事業所におきましてもこのようなことが起こらないようにという観点からの点検でございますので、形状管理も含めてあらゆる面から点検を行うということでございます。
  46. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そして、臨界を防ぐために冷却水の抜き取りという作業が行われたわけです。確かに、反射器として機能してしまった周辺の冷却水、これを取り除けばタンク内の臨界は終息するんでしょうけれども、その瞬間、大量の中性子が、中性子線と言った方が正しいんでしょうか、タンクの外に飛び出してしまう。したがって、その場で作業している作業員が極めて危険なレベルの中性子線を浴びるのはこれは当然のことであります。  この指示を出した原子力安全委員会の委員や、ともに判断を下した原研なり核燃機構の専門家の方々は、これを承知の上で、しかし臨界状態を終息させなければいけないということで、作業員の被曝はやむなしと判断をされたのでしょうか、どうでしょうか。おわかりでしたらお答えください。
  47. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 冷却水の抜き取り作業に従事をいたしました作業員につきましては計画被曝が予測されております。その程度につきましては、作業計画の作成に当たり、転換試験棟周辺の中性子による空間放射線量率のモニタリング結果などをもとに専門家が十分に検討を行いました。  実際の作業に当たりましても、警報機能を有するガンマ線用個人線量計及び中性子線用線量計を携帯して作業に従事させるなど、作業に際して被曝線量の低減に最大限努めたところでございます。
  48. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そのようにお答えがありましたけれども、本当にほかに方法はなかったのか。臨界が起きる、しかも燃料製造工場で臨界が起きるというような事故が起きてしまったわけで、大変大慌てだったことはわかりますが、本当にほかに方法はなかったのでしょうか、考えられなかったのでしょうか。
  49. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 転換試験棟の沈殿槽における臨界状態を一刻も早く確実に停止させることが当時直面していた最大の重要な課題でございました。  臨界停止のために実行された冷却水の抜き取り作業は、作業場所が屋外であること、それから一人当たりの作業時間を限定することによりまして作業による被曝を低減することができるという観点から、当面とり得る最善の方法として実施されたものと考えております。
  50. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 作業員に対して作業の危険性はどのように説明されたのでしょうか。だれの責任で説明されたのでしょうか。
  51. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今回実施されました作業は、現地対策本部におきまして、原子力安全委員会の助言に基づいて日本原子力研究所等の技術的な検討も踏まえまして当庁の指導のもとに原子炉等規制法第六十四条の規定によりましてジェー・シー・オーの責任において行われたものでございます。作業員にはジェー・シー・オーから説明がなされたものと承知しております。
  52. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 バケツでウランを注入していたようなずさんな作業が続いていたところでどのような説明がされたか、私は非常に疑問に思います。この決死隊と言うべきかもしれない人たちに対して、どのような責任を国はとれるのか。民間の事業でありというふうなことをおっしゃるだろうと思いますが、やはり原子力行政として責任をとる必要があると思います。  アメリカ連邦エネルギー省のリチャードソン長官という方が、アメリカ及びロシアの合同チームを救護に派遣する用意があると日本時間の十月一日未明、事故が九月三十日ですから、十月一日未明早々と表明をしてくれていますが、この表明についてどのように考慮し、対処したのですか。
  53. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 米国からは、委員お話しのとおり、日本時間十月一日の未明、まさに水抜き作業の結果ほぼ終息の見通しが得られるに至った時点で、航空調査それから緊急時医療等あらゆる協力を行う用意がある旨の連絡がございました。さらにその後、被曝緊急援助、事故復旧、大気モニタリング及び評価、事故の調査及び評価の四分野で協力を申し出る旨連絡があったところでございます。  これに対しまして、当庁からは、事故発生直後の緊急事態は終息した状況にあること、今後は施設内の状況の把握、除染、さらには事故原因の究明などの作業を行っていくことを伝達いたしまして、今後の状況については逐次情報提供していく予定であり、その上で米国としてより詳細な実情把握をされたいとのお考えであれば、前向きに対応したい旨回答いたしました。
  54. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 御存じのように、アメリカ及びロシアなどは軍事施設における臨界事故に対処した経験があり、事故処理でロボットその他の自動装置を使用した経験があると聞いております。そのような救いの手を差し伸べてくれたのに、それを利用しなかったといいますか、結構ですと言ったのかどうかわかりませんが、そのことについてどう思われますか。
  55. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 米国からのお申し出は大変ありがたく思っております。  ただ、今申し上げましたように、水抜き作業がほぼ終了、終息した状況であったということでございまして、ロボット等による協力というお話が今ございましたけれども、当方といたしましては先ほど申し上げましたような回答をさせていただいた次第でございます。
  56. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 臨界事故が起きない、起きるはずがないとしていたために、すべての問題での対応のまずさが随所に出ているのではないでしょうか、国、県の対応のまずさ。  私、この間東海村にもお邪魔をいたしまして見せていただきました。ジェー・シー・オーの裏の方に回りますと、社屋の何十メートルのところに民家があります。本当に私はびっくりしました。そんなに近いと思わなかった。このような中で行われていた。  自治大臣の御所見も、県の対応がまずかった、後でいろいろ言われていますけれども、自治大臣としてはどのようにお考えでしょうか。御所見を伺いたいと思います。
  57. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 今回の事故は私もびっくりしたのでありますが、私自身も物をつくる会社に長いこと勤めておりましたから、工場内の管理というのがいかに厳密に行われなければ事故に結びつく、あるいはふぐあいに結びつくかということはよく承知をしていたことから申しまして、バケツの中で臨界状態が起こる、つまり中性子による連鎖反応が連続的に起こってしまう、そういう状態というのは私の常識にはなかったのでありますけれども、常識外のことが起こりました。  これは国民全体がやはりそういう気持ちであって、一体何が起こったのか最初わからなかったということで、確かに初動でつまずきといいますか、要するに戸惑いがあって手当てがおくれてしまった。しかし、このことは、私どもが起こり得べからざることが起こることもあり得るということを念頭に入れて今後いろいろ対策を図っていかなければならないという大きな教訓を得たのではないか、私はそんなふうに考えております。  原子力災害対策特別措置法などに今後の方向等については盛り込まれているところでございますけれども、私どもは今後こういうこともあり得るということを念頭に、地方の自治体その他に注意を喚起していくということが私どもの責任ではなかろうか、こういうふうに思っております。
  58. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 危機管理といいますが、原子力事故の際のその判断をいち早くだれが下すのか、特に国や都道府県のレベルでの明確化、これがこれから問われていくと思います。  そして、さっき申し上げました決死隊が行った水抜き作業の際、決して決死隊の人たちに十分な説明は行われていなかった。そして、中性子を吸収するパラフィン、ブロック積みなど社員の被曝を減らす措置、こういったこともとられなかった。臨界事故終息後に沃素131などが漏れ続けることが予測されたのに何もしなかった。このような問題点がたくさん残されております。  今回の臨界事故を知るために最低限明らかにされなければならない事柄として、きょうは時間がもう残っておりませんので四つのことをお聞きしておきたいと思います。  最初に、十六キロといわれるウランのうち、核分裂性のウラン235は三キロだと聞いておりますが、一体どれだけが核分裂したのですか。
  59. 斉藤鉄夫

    政務次官斉藤鉄夫君) お答えいたします。  今回、核分裂した総数は、日本原子力研究所の協力を得まして科学技術庁に置かれました事故対策本部で推定をいたしました。二・五掛ける十の十八乗個の核分裂が起きました。これはグラム数に直しますと一ミリグラムということになります。
  60. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そして、どれだけの核物質が発生したのでしょうか。
  61. 斉藤鉄夫

    政務次官斉藤鉄夫君) 核分裂生成物は、一つのウラン核が二つに分かれるわけでございますので、ある意味では二・五掛ける十の十八乗個のウランが核分裂したということは、それが二つに分かれるということですから五掛ける十の十八乗個の核分裂生成物ができたということでございます。
  62. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 こういう核の問題は非常に難しいところが多いのですけれども、その核物質はどの程度、どのように環境中に飛散し、人々を被曝させたのでしょうか。
  63. 斉藤鉄夫

    政務次官斉藤鉄夫君) 生成しました核分裂生成物、ほとんどは容器内に残っております。いわゆる外に出ましたのは沃素でありますとか、それからいわゆるクリプトンなどのガスになるものが外に出たと思われます。  この正確な値については、どの程度が外に出たのかということについてはまだ検討中でございますけれども、どの程度のそれが外部の方に被曝を与えたかということにつきましては、非常に安全側といいましょうか、最大考えた数値が出ておりまして、沃素が一掛ける十の十一乗ベクレル・パー・アワーの割合で出た、十数時間にわたってですね。それから、希ガスが八掛ける十の十二乗ベクレル・パー・アワー、これはかなり大き目な値でございます。それが出たとして、その敷地境界にいる人がずっとそこの敷地境界にいたとして〇・一ミリシーベルトの被曝になる。今このように計算をしております。
  64. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 まだすっかり全容がつかめていないということで今後も引き続き検討し、そしてその希ガスというのも結構吸い込みますから大変な問題なんですが、きょうは時間がありませんのでもう一つだけ。  中性子線やガンマ線の強度はどの程度であり、どのように人々を被曝させたのでしょうか。
  65. 斉藤鉄夫

    政務次官斉藤鉄夫君) これは、敷地近傍におきまして計測値がございます。最も近い敷地近傍でガンマ線で〇・八四ミリシーベルト・パー・アワー、一時間当たり〇・八四ミリシーベルト、それから中性子線が四ミリシーベルト・パー・アワー、こういう数字が出ております。これは最初の臨界、いわゆるバーストと言われているものの後の安定して臨界が続いている状態の値でございます。  その最初のバーストも含めて、また安定している部分の被曝も含めて我々推定線量率というものを出して、今周辺住民の方の推定被曝線量を個々に計測といいましょうか、推定をしている作業を続けているところでございます。
  66. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 時間が参りましたから終わらなければなりませんが、あの八六年一月のスペースシャトル・チャレンジャー爆発事故の際に大統領調査特別委員会というようなものができました。このようにいろいろなさまざまの分野の人を加えて、開かれた第三者機関による事故調査の必要性を感じますが、科技庁長官、最後にお答えを聞いて、終わらせていただきたいと思います。  特別会計の問題は、また通常国会でゆっくりやらせていただきます。
  67. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 現在は、事故原因の徹底究明、それから再発防止対策、そして国会におきまして法案の御審議をいただいているところでございますが、総理が本部長となっておりますこの対策本部、そこで設置されることが決定されました事故調査委員会において、今、委員お話しのようなことを検討してございます。
  68. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 終わります。
  69. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で直嶋正行君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  70. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、櫻井充君の質疑を行います。櫻井充君。
  71. 櫻井充

    櫻井充君 民主党新緑風会櫻井充です。  自治大臣にお伺いいたします。  政治資金規正法の政治団体についてお伺いいたしますが、みずからは政治的キャンペーン等の活動をすることはおよそ目的とせず、また実際にも何らの活動をしないで政治家のために資金上の援助をすることのみを目的とし、かつこれのみをする団体は政治団体に該当するんでしょうか。
  72. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 今御指摘の、それのみをやるという、つまり資金を集め資金を供給するというのみをやるという場合には、政治資金規正法上の政治団体には該当いたしませんと思われます。一応答えさせていただきます。
  73. 櫻井充

    櫻井充君 いや、思われますとおっしゃいますが、自治省から出ている「政治活動の手引」の中には該当しないとはっきり書かれていますよ。どうでしょう、大臣
  74. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) その文書は承知いたしております。
  75. 櫻井充

    櫻井充君 はっきり答えてください。該当するんですか、しないんですか。
  76. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 資金を集めるというだけでは該当いたしません。
  77. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、政治団体は、政治活動を行うとすれば、事務所費用とか人件費などを、活動費というものを一般的には必要とするんじゃないでしょうか。その点についてどうお考えでしょうか。
  78. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 一般的には必要とすると思われます。ただ、その人件費とか事務所がどういう形で補われるかというのはケース・バイ・ケースであります。
  79. 櫻井充

    櫻井充君 済みません、そのケース・バイ・ケースの例外的なものをちょっと教えていただけないでしょうか。
  80. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) ケース・バイ・ケースの例外的なものというのは、そのときの実態に即して判断されるものと思います。
  81. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、その政治団体が政治活動をしているとかしていないというのはどのような基準で判断されるんでしょうか。
  82. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 自治大臣の立場から申しますと、政治資金規正法を管轄いたしておりますが、設立のときあるいはその団体がつくられましたときの規約等を拝見させていただいて、そこの中で政治活動をすると書いてあれば、それは政治活動をするというふうに認定をしなければならないと思います。
  83. 櫻井充

    櫻井充君 済みません、設立したときに政治活動をすると言えばそれでおしまいなんですか。その後の評価というのは全くないんでしょうか。
  84. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 自治省としては届け出を受理するということはありますが、その中の実態について調査をするとかいうような形のことはいたしておりません。
  85. 櫻井充

    櫻井充君 では、そうすると、そういうふうなことは、活動しているとかしていないというのはどこが判断することになるんですか。全くそこのチェックはないんでしょうか、現在の法律上は。
  86. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 自治省としてはその権限は持っておりません。
  87. 櫻井充

    櫻井充君 自治省がないとすれば、どこか持っているところはあるんでしょうか。
  88. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 私は自治大臣でございまして、答弁の範囲はそこまででございます。
  89. 櫻井充

    櫻井充君 では、もう一度お伺いしたいんですが、要するに、活動費を支出していない政治団体があるとすれば、一般的には活動していないというふうに考えていいでしょうか。
  90. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 何が活動費に当たるのかということについては詳しい定義はないと承知しております。
  91. 櫻井充

    櫻井充君 人件費も出ていないところで政治活動を行っていると考えられるんでしょうか。
  92. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) その団体の構成員が自主的な活動で、いわば手弁当でやるというケースの場合には政治活動はあり得ると思います。
  93. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、こういう場合、代表者が異なる二つの政治団体がございまして、その事務所が同じ部屋の中にあったとします。この場合でも二つの政治団体と認められるんでしょうか。
  94. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 別個に届け出があれば別々の政治団体と考えております。
  95. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、その二つの政治団体がなおかつ電話も共有していた、事務担当者も同じであった、これでも二つと認められるんですか。
  96. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 届け出上、政治資金規正法にのっとってきちんと届け出がしてあれば別の団体と認定されます。
  97. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、要するに、一つの部屋の中に五つでも十個でも政治団体をつくることが可能だということですね。
  98. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 自治大臣としては、その判断はいたしかねます。
  99. 櫻井充

    櫻井充君 これは法律について聞いているんです。この法律上の解釈はそうできるんですかとお伺いしているんです。
  100. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 正規の届け出がしてあれば可能であります。
  101. 櫻井充

    櫻井充君 では、仮に十個の政治団体があって、同じ部屋にです、そこに仮に一人百万円ずつ個人で献金したとします。全部で一千万です。これが最終的に同一人物に流れていったとします。これは違法でしょうか。
  102. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) それは、個々の政治団体がそれぞれ適法に処理がされておれば違法とは言えません。
  103. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、個人献金は百五十万円までと規定されていますけれども、こういうやり方をすれば一千万でも寄附できるということになりますね。
  104. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) それは、個々の政治団体に対しては制約がございますから、委員が今御指摘の想定は、私どもでお答えは申し上げられません。
  105. 櫻井充

    櫻井充君 法律の解釈をはっきりするためにこういう例を聞いているんです。それについてお答え願いたいと思います。
  106. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) それは、十個の政治団体があり、それぞれに寄附をする、それが適法に支出されるということは可能であります。
  107. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、百五十万円以上ある個人から政治家に渡ると癒着や腐敗を招くから、一人個人献金を百五十万までにしましょうというふうなのが政治資金規正法の一つの理念ですよね。それは、そういうやり方もできるとなれば、この理念も何もなくなっちゃうんじゃないですか。
  108. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 自治大臣の立場といたしましては、政治資金規正法上の団体からの届け出を受け、それを管理するというのが自治大臣の仕事でございますから、個々の事情についての立ち入った調査というのはいたしません。
  109. 櫻井充

    櫻井充君 法律で聞いているんです。この法律はこういうふうにざる法だと思いませんか。
  110. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 国会でお決めをいただきました法律でありますから、私からそのような発言は差し控えさせていただきます。
  111. 櫻井充

    櫻井充君 もう一点お伺いしておきますが、政治団体と認められないような幾つかの団体を通して個人が合計で百五十万以上寄附したとしても、献金したとしても、その献金した個人も受け取った政治家もこの政治資金規正法では違反にはならない、そう考えてよろしいんですね。
  112. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) あくまでも政治資金規正法にのっとって届け出をされておるものについては合法であります。
  113. 櫻井充

    櫻井充君 それでは続きまして、金融監督庁にお伺いします。  公的資金を投入したにもかかわらず、中小企業への銀行の貸し渋りが続いていますが、その現状をお答えいただきたいと思います。
  114. 越智通雄

    国務大臣越智通雄君) まず御質問の確認でございますが、公的資金を注入した銀行ということでございますね。
  115. 櫻井充

    櫻井充君 はい。
  116. 越智通雄

    国務大臣越智通雄君) 十五行でございます。これの中の中小企業向けの貸し出しは、ことしの三月に比べまして九月の中間決算で約七千億ふえていることはふえているのでございますが、年間で三兆円ふやしたいという計画でございましたものですから、それに対しては達成率がよくないということで、既に監督庁におきまして、実は成績のいいのは四つございますけれども、銀行というのはばらばらなものですから、優等生が四人いるんですけれども、よくないのが六人ほどおりますから、既にそれの常務たちを呼びまして、どうしているんだ、注入したときの約束の経営改善計画を達成できるようにしろと。今、実はこうこうでできませんでしたとかいろんな説明を聞いております。  中には、実は従来子会社で借りていたのを、こういう状態なものですから、親会社が、大変大きな建て売り業者ですけれども、全部一括しますと統計上は中小企業貸し出しから抜けてしまう、そういうのもありました。それから中には、これはもうだめだというので両方をバランスからオフバランスしているのがありました。そうすると、処理をしてしまった中小企業の分だけ貸し出しは落ちているというのがありまして、今個別に至急精査させているというのが状況でございます。
  117. 櫻井充

    櫻井充君 銀行の貸し渋りが続いている状況かと思いますけれども、この責任というのは銀行に健全度ばかりを求める金融監督庁の指導にも問題があるんじゃないでしょうか。
  118. 越智通雄

    国務大臣越智通雄君) それは先生、おっしゃる意味はわかりますけれども、実はこの金融の改革をしないと経済はよくならない。その金融改革の理念のもとにあったのは何だというと、今までの大蔵省の行政が事前のいろいろ通達を出したり、ああしちゃいけない、こうしちゃいけないという、いわば手とり足とりと申しますか、そういうやり方をやるから癒着が生ずるんだと。ルールを示してやって、そのルールが守られているかどうかは事後チェックだと。事後でチェックして、違反していたらやめさせるしかないじゃないかという考え方が当時の、三、四年前と申しましょうか、財政・金融分離とか、いわゆる金融の改革という中に大変強く出たものですから、したがって、そのメジャーとして、物差しとして資本比率というのが出てきたわけでございまして、その資本比率のメジャーを当ててやっておりますから、なかなか事前の誘導というか行政指導と申しますか、そういうのはやれない。早く言えば、銀行局長通達が乱発されていた時代とは全然違っているというのが状況でございます。  なお、先生の御疑問の貸し渋りの中には、本当を言いましてなかなか貸しにくい、担保もない、それからもうここ数年赤字決算が続いているというのが多うございますものですから、それで非常に銀行の方も苦しみながら、しかし経営改善計画を達成すべく頑張っている。十五の中でやっている銀行もあるものですから、一生懸命それを督励しているという状況でございます。
  119. 櫻井充

    櫻井充君 つまり、もう一つは、銀行の貸し渋りがこういう商工ローンの悲劇を生んでいるんじゃないでしょうか。
  120. 越智通雄

    国務大臣越智通雄君) 商工ローンというのは、貸金業者の物的担保をとらない人的保証だけの中小企業向けの融資という意味で、銀行と今申し上げておりますのは主としてリーディングフィフティーン、要するに都市銀行、信託銀行等の話でございますので、そこら辺が貸し渋っているから商工ローンがふえたというのも、数字からいえばそういうふうに言えるかもしれませんが、商工ローンでお借りになっている方々の銀行というのは実は大体地方銀行以下でございまして、旧相互銀行、第二地銀、それから信金、あのあたりのお客様が多うございまして、ここら辺はかなり中小企業貸し付けの比率は高うございます。  今、都市銀行等の大体総貸し出しの四五%が中小企業向けですが、下といいますか、そういう下の方へ行きますと六割から七割近くは中小企業向けになっていますが、そこはまた本当に貸しにくくて困っているものですから、商工ローンの対象になったような企業が今それじゃ信用金庫の窓口へ行ったらオーケーになるか。なかなか難しゅうございまして、実際問題は、都道府県のつくっている信用保証協会を通ってくれば信用金庫がお貸ししているんですけれども、通らないところが多うございまして、それで非常に苦労しております。
  121. 櫻井充

    櫻井充君 もう一つ、商工ローン業者に対してですが、金融監督庁はこれまで根保証契約を結んだ保証人に対して追加融資に対して説明する必要はないと指導してきたと思いますが、それは本当でしょうか。
  122. 越智通雄

    国務大臣越智通雄君) 実は、貸金業者に対しましては、行為規制法なものですから、取り立ての過酷な分などはやりますけれども、貸し方についての指導はしていないんです。実は、契約書の中に、通知を必要としないという条項が一部入っているところがあったようでございまして、貸し増しするという、追加貸し出しのときに、この条文を見落としていたというか、そんなものはだめだという指導をしていなかったんじゃないかという御指摘は前にも受けたことがございまして、きょう衆議院の本会議にかかるのかと思いますが、改正される貸金業の規制法ではそこらの点は厳格にやるように変えているはずでございます。
  123. 櫻井充

    櫻井充君 最後に、大蔵大臣に御質問いたします。  現在、GDP、マイナスになりましたけれども、押し上げているのは輸出業であり、このまま円高が続くことは日本経済に悪影響を及ぼすのじゃないかというふうに思います。このまま円高を容認されるのかということと、それから公共事業が息切れしてまいりまして、設備投資や個人消費が伸びてきておりません。今後の経済対策について教えていただきたいと思います。
  124. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 特定の為替の水準がいかにあるべきか、どれがいいかということは申し上げないことにいたしておりますけれども、ただ市場のいわゆるオーダリーな動きを攪乱するようなことが起こりますとこれには対応しなければならないと思っておりますし、過去も対応いたしております。  確かに、非常に円が急激に高くなりましたときに輸出に影響を及ぼすということは相対の問題としてそのとおりでございますから、そういうことも考えて行政をしなきゃなりませんが、同時に輸出でGDPをこれ以上稼ぐということは、それよりもむしろ内需が堅調になることが望ましいと思っておりまして、したがいまして今の我が国のGDPの問題は消費支出と設備投資であろうと思います。  両方ともただいまのところ軟調でございまして、恐らく一定の時間が経過いたしますこととリストラがおさまりましたころには両方が経済成長の主役になるだろうというふうに考えております。
  125. 櫻井充

    櫻井充君 済みません。リストラはいつおさまるんですか。
  126. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 大企業では既に始まっておりまして、今見ておりますと常雇用がパートに転換している、そういう現象が見られております。中小企業の方はさすがにそれほどの状況ではございません。しかし、恐らく中小企業においても、次の世紀に対応するためにある程度の人員の合理化は行われるであろう。  いつということをなかなか申し上げにくうございますけれども、事の性質上、計画的に長く行われることはもちろんといたしまして、計画そのものはこの時期、つまり今年の春ごろから明年の春過ぎにかけてではないかと、想像でございますが、思っております。
  127. 櫻井充

    櫻井充君 今、大臣は、リストラがおさまれば景気、個人消費は伸びてくる、そういうふうな見通しを立てられるわけでしょう。そうしたら、具体的に大臣として、どの辺まででよくなるというふうに考えられるかということは非常に大事なことじゃないでしょうか。
  128. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私は、主として家計調査、総理府がやっております八千世帯を見ておりまして、ただいまのところ各月とも所得は実は前月に対してやや後退しておる、減少しておるというのが現状です。所得が減少いたしますと、消費も消費性向がよほど上がらない限り減退をしておるというのがこの我が国の下半期の現状でございます。  それがいつまで続くかということでございますけれども、冬のボーナスというものには大きな期待ができないと思いますので、企業の採算はかなり実は当期利益としてはよくなっている、過去の欠損はありますけれども。そのあたりから見ますと、全体の動きというのはやはり来年の春闘あたりがきっと両方の、押したり突いたりというようなあれになってくるのではないかなという感じがしております。
  129. 櫻井充

    櫻井充君 時間が来たので終わります。
  130. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 関連質疑を許します。浅尾慶一郎君。
  131. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 同僚の櫻井議員に続きまして、関連で質問させていただきます。  私は、さきの村山訪朝団を受けまして日朝国交正常化交渉の予備会談が始まった、開催に向けて動き出したという点についてお話を伺っていきたいと思います。  そこで、今回の村山訪朝団、その後の予備会談の開催ということになりますと、昨年八月のテポドンの発射以降ことしの八月までと八月以降との間で、米朝の間ではベルリン会談等で確かに北朝鮮との関係が好転しているということはあるかもしれませんが、日本と北朝鮮とのバイの関係でよくなった部分というのは具体的に何があるのか、その点をまず大臣に伺いたいと思います。
  132. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 北朝鮮をめぐる情勢についてまず申し上げたいと思います。  議員御指摘のとおり、あのミサイルの発射以来、アメリカ、日本、韓国、それぞれその問題についての認識が必ずしも同じではないと思います。例えば、韓国のように至近距離にいる、あるいは我が国のように頭上を越えた、あるいはアメリカのように届くかもしれない、こういうこと一つをとってみても濃淡はあるんだと思います。  しかし、いずれにしてもこの三つの国が一緒になって北に問題解決を迫ろうということを考えまして、日米韓と申しますか三カ国で一つに統合された北朝鮮とのやりとりを考えたわけです。それはつまり、ペリー・プロセスというものをつくり上げるときにも、日米韓がそれぞれ意見を出し合い、議論をし合って統合された考え方というものを持って、そして北朝鮮に当たっているわけです。  議員が御指摘のとおり、確かにアメリカはそれを代表してと申しますか、それを持ってベルリンで米朝会談という直接的な会談をやりましたし、韓国は、金大中大統領の指導のもとでいわゆる包容政策といいますか、こうした政策をとっておりまして、韓国の際立ちます北とのやりとりは、例えば民間企業が非常に積極的に北との間で行き来をするというようなことが目立っていると思います。  それらに比べますと、我が国と北との関係は、そうした目立った動きというものは、正直、余りございません。しかし、我が国としても、アメリカを通じ、あるいは中国とかそういう北を取り巻く、あるいは北との交渉のできる国々を通じて北に対していろいろと働きかけをする、そういったことはあったというふうにお考えをいただきたいと思います。
  133. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 対話の窓口ができるということはそれはそれで非常にすばらしいことだというふうに考えておりますが、実は米朝が先行するということだと思います。  そうすると、御案内のとおり来年十一月にアメリカの大統領選挙があって、民主党政権から共和党政権に変わるかもしれない。共和党政権に変わった場合には対中政策、対北朝鮮政策が変わるということを共和党系の人は言っていますし、民主党系の人も変わるだろうと、余り変わらないけれども変わるだろうと、そこはニュアンスの違いがありますが、申しております。  仮に、今は民主党の政策にのっとって我が国も動き出したわけでございますが、これが米国が変わると我が国も変わるというようなことでは主体性がなくなってしまうというふうに思いますので、そこら辺の御決意のほどを伺いたいと思います。  それからもう一つは、ちょっと時間が余りないので早口でしゃべらせていただきますが、今回のミサイルの問題の後の日朝国交正常化予備会談の話と、それからKEDOのときの日本負担という、アメリカが交渉して日本負担をしたということとがどうも連想で重なってしまいますので、その点についてもお話をいただければと思います。
  134. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) アメリカの大統領選挙の結果がどうなるかということをこの席で予測したり、そうしたことの予断の上で物を言うということは適当でないと思います。しかし、今、議員がおっしゃったように、日本の対北朝鮮政策というものは主体的でなければならぬという御意見には私も同意をいたします。  それから、私は村山訪朝団の成果というものは相当大事にしなければいけない成果だというふうに思っております。元首相を団長とする、しかも多くの政党の方々が参加をして訪朝された、そして紙を出された、この実績はやはり大事にしていく必要があるだろうと。したがいまして、この成果を踏まえて正常化交渉というものに私は取り組んでいいのではないかというふうに思っております。  しかし、まだまだ政府部内でいろいろと議論をしなければならないものもあると思いますので、訪朝団の上げられた成果についても十分注意深く文章を読み、またお帰りになった方々の御意見も聞きながら整理をしているところでございます。
  135. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 成果は成果として評価していくということだと思いますが、日本としてやはり指摘すべきことは指摘していくということなのかなというふうに思っております。  そこで、先ほど距離の話がありましたが、テポドンとは別に、射程が千五百キロと言われておりますノドンというミサイルが既に実戦配備されておるというふうに言われておりますが、防衛庁長官お越しでございますので、その点について御確認をいただきたいと思います。
  136. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 浅尾委員にお答えいたします。  今も概括して外務大臣からいろいろお話がございました。実は、日朝関係が緊張緩和を通じて北東アジアの安定、平和につながれば幸いである、私どもも透明性が一層広がってまいることを期待いたしておることをまず前段に申し上げさせていただきたいと思います。  加えて、御指摘のノドンミサイルでございますが、北朝鮮の閉鎖的な体制に加えまして、移動式の運用形態による部分もございまして、具体的な配備状況、詳細については確たることは申し上げられる状況にないわけでございますが、私どもとしては、引き続き北朝鮮がその配備を行っているという可能性が強い、こう見ておるわけでございます。依然として我が国を含む東アジア全域の安全保障にとっては重大な不安定要因でもございますので、先ほど冒頭に期待を持って話し合いが行われればありがたい、地域の安定につながるということを申し述べさせていただきました。よく見てまいりたいと思っております。
  137. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ぜひその話し合いの席でノドンの配備についても懸念を表明していただきたいということを外務大臣とそして防衛庁長官に申し上げさせていただきますので、何かありましたら、どうぞお願いします。
  138. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 北朝鮮に対します我が国の基本的な姿勢は、対話と抑止というのが基本的な考え方でございます。対話についても我々は、先ほどから申し上げましたように、村山訪朝団の成果を受けて、対話の場をつくって話し合いをしていくという作業に私どもは取りかかることができるというふうに考えております。一方、対話と抑止の抑止という方につきましては、防衛庁長官から今いろいろお話がございましたように、これもまたしっかりと、きちっと見るべきところは見ていくということが必要なんだろうというふうに思います。
  139. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 私も朝鮮半島問題、勉強はさらにしていかなきゃならぬと思っておるんですが、やはりアメリカの外交も、朝鮮半島、北朝鮮問題につきましては腰を落ちつけて、随分とアジア的な取り組みといいますか、私は短兵急に結論を求めるというよりも、じっくりと私は話し合っていただいた成果が実りつつあると思います。これから先はわかりませんが、そういった意味合いでは、これも一つのチャンスになるのかなという期待を持ちながら、これから軍当局者であるとかそういった方々にどういう動静にあるかということを、いろいろまた会話を通じながら勉強してまいりたいと思っておる次第であります。
  140. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 きょうは北朝鮮に対する外交ということで質問させていただいておりますので、実はこの場をおかりいたしまして、ことしの八月号の月刊文春に、そちらにいらっしゃる山本一太政務次官と共著でこういった外交をした方がいいんじゃないかというようなものを出させていただきました。  今の政府が行っている外交と若干違うかもしれませんので、その当時の経緯も含めてお話をいただければと思います。
  141. 山本一太

    政務次官山本一太君) 昨日、浅尾委員から御質問があるということを聞きまして、必ずその点を突いてこられるんじゃないかというふうに思っておりました。  今、論文を書いた経緯をいろいろ御質問を聞きながら考えていたんですが、一昨年の十一月に、浅尾委員を含む七人の超党派の議員と北朝鮮に対する戦略的外交を考える会というのをつくりました。この会の目的は、日本の北朝鮮政策、今までの北朝鮮政策をレビューをして、研究をして、バランスのとれた対話と抑止、これに基づいた政策提言をしようというのが一つの目的。もう一つは、北東アジア全体の安全保障の枠組みについて、これも研究をして提言するということだったというふうに記憶しております。  その中で、我々が勉強したその成果の一端を、党は違いますけれども国際派として注目をしている、お世辞を言うわけじゃありませんけれども、同じ世代の浅尾議員と二人でたしか月刊誌に書いたというふうに記憶をしておりますし、タイトルはカバーストーリーにたまたまなりまして、かなりややセンセーショナルな感じだったように覚えておりますけれども、中身はまじめな外交論文だったということは委員も御存じのとおりだと思います。  論文の中で言いたかったことは、これは委員と私は同じ考えだというふうに信じておりますけれども、抑止と対話という二つの要素をきっちりと組み合わせてバランスのとれたやはり外交をやっていくべきだと。対話はもちろん必要だし、抑止も必要だと。その中でやはり相手の出方を十分に見ながら、分析をしながら外交を進めていくことが戦略的な外交ではないかという話だったように記憶をしております。  ですから、その意味でいうと、まず第一に先ほど河野外務大臣がおっしゃったような、これまでにいろんなプロセスがあったわけですが、ペリー・プロセスにも見られるように、日本の外交の基本というものは対話と抑止を中心として、それをバランスよく使いながら進めるという点におきましては今の政府の立場と私は基本的に同じだというふうに考えております。  もう一点だけ言いますと、論文は二人で夜中の三時まで文芸春秋のあそこの会議室の中で書きましたけれども、誌面が足りなくてどうもあの論文はやや抑止に力点が置かれたように見えていますけれども、あと半分はずっと対話のことを書こうという話でございましたので、その点につきましても今の政府の方針、大臣がおっしゃった方針と違いがないのではないかというふうにお答えしたいと思います。
  142. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 対話は私も大変重要だというふうに思っています。ただし、日本としてその対話の中で言うべきことは言っていくことが必要なのではないかなというふうに思っております。  その論文の後に、たしか今の外為法のいろいろな問題点について、法律の改正案もつくりましたが、その点について、今でもこの改正案が有効なのかどうか。具体的に言いますと、北朝鮮籍の例えば半潜水艇というものを韓国軍が撃沈して引き揚げたと。その中にさまざまな日本製の電子機器が使われていたといったような事実があったわけでありまして、それはお互いに韓国に参りまして見てきたわけでございます。そういった日本のデュアルユース品というものが使われている現状というものは、やはりそれは対話をしながらも変えていかなければいけない。  通産大臣お越しでいらっしゃいますので、今の外為法ではこれは取り締まれないということでございますので、通産大臣と、そして一緒にその法案をつくりました政務次官に、外為法改正案を今でもやる必要があるかどうか、それぞれお答えいただければというふうに思います。
  143. 深谷隆司

    国務大臣(深谷隆司君) 若い皆さん方が党派を超えて真剣に議論なさっておることに心から敬意を表したいと思います。  ただいまお話がありましたように、韓国が確保した北朝鮮の半潜水艇、ユーゴ潜水艇の中に日本の貨物が、いわゆる輸出した貨物が軍事転用されているのではないかという問題が大きな課題となりました。  我が国は外為法に基づいて厳正な審査の上で許可をしているわけでありまして、国際的に決められた範囲の中でそれはきちんと守るべく努力をしておりまして、これからも厳正な対応をいたしますが、問題なのは、通常いわゆる民生用品として使われているもの、それを場合によっては武器に転用できるかということについての区別は一応しているのでありますが、しかし一般に市販されているもの、あるいは外国で規制されていない、外国へ行けば買えるというもの、これらを外為法の中にはめ込んで規制するということは事実上困難であると同時に、効果がないという点で新たな法制化というのは非常に難しいというのが現状でございます。  ただ、北朝鮮あるいはその他懸念諸国に対する輸出に関しては、一層審査は厳正厳密にしていかなければならぬと考えています。
  144. 山本一太

    政務次官山本一太君) 外為の話なんですけれども、委員がおっしゃったことは議会の方で考えられることとして、一つ考え方だというふうに思います。  いずれにせよ、一緒に出張で見てきたような日本製の部品が使われているということはゆゆしき話でございまして、これについては重大な関心を持っていきたいというふうに考えておりますが、当局といいますか、今の国際管理レジームのもとでかなり厳しく第三国に対する輸出管理をやっているということもぜひ覚えていただければというふうに考えております。
  145. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間が参りましたので質問を終わらせていただきますが、ぜひ政府の方でも民生品について少し効果のあるキャッチオールの概念も含めて検討していただきたいということを申し上げさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。
  146. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で櫻井充君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  147. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、山本保君の質疑を行います。山本保君。
  148. 山本保

    山本保君 公明党の山本保です。  きょうは時間が大変短いものですから、要領よく質問したいと思っております。  最初に、今回の介護保険の見直しに絡んででございますけれども、一般的に批判が多いところは、単なる選挙用の先延ばしではないか、これが終わったらまたもとへ戻るだけではないかという議論があるようでございます。  私は以前から、介護保険というのはいろんなねらいがあるけれども、例えばこれまで公務員と特別な法人だけでやるとか、国の措置費、補助金が中心であったとか、また大きな施設をつくってそこへ入れるんだ、こういうものが全面的に変わる可能性というかそういう効果を持つものである、このことを保険料という総費用についても見直さなくちゃならないということを申し上げてきました。  今お手元に配付させていただきましたのは、過日の国民福祉委員会で私の方で仮の試算をしてみたものでございます。実は少な目に見積もったものでありますけれども、例えば在宅型へのシフトで四千億、民間型の給与体系になることで三千億、そして法人の自助努力で二千億というようなことで、こんな案を出してみたわけでございますが、これについて厚生大臣はどのようなお考えをお持ちなのか、お願いいたします。
  149. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 九千億円の給付費が減少するという委員の試算につきましては、先日も拝見させていただきましたが、率直に申し上げて、すべてまだ私の中で理解できない面もあるわけでございます。しかし、介護保険の導入によりまして、委員が御指摘の、いわゆる介護報酬の高い施設から低い在宅重視に移行するということであるとか、あるいは事業者間の適正な競争が行われることによりまして一定の費用の効率化が図られる、こういう認識は全く同じでございます。  今後は在宅サービスの基盤整備や事業者間の競争の状況というものまで見きわめる必要があると考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、委員が御指摘の九千億円の、委員も低目だというふうにおっしゃっておりますけれども、九千億円の給付費が減少するという試算は今後の一つ研究課題として受けとめさせていただきたい、このように考えている次第でございます。
  150. 山本保

    山本保君 ぜひお願いしたいと思います。  それで、これは自然になるわけではありませんで、行政的な目標を持って行わなければならないわけです。  少し細かくお聞きしますが、まず最初に、こういう今までのホテルのような大きな施設から地域のいろんな小さな施設へということのための基盤整備をしなければならないわけでありますけれども、この辺について現在どのような計画をお持ちなのか、お願いいたします。
  151. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) ひとり暮らしに大変不安を感じていらっしゃる高齢者の方とか、それから特別養護老人ホームを退所する自立とか要支援というふうに認定された方々の受け皿になるそういう施設、ケアハウスとか高齢者生活福祉センターを拡充していくことがこれから大変重要である、こういう認識を持っております。  そして、今回御審議いただいています補正予算の中でも、ケアハウス千五百人分、高齢者生活福祉センターが二百カ所、こういう予算を要望しているところですし、また十二年度予算でも、ケアハウス五千人分、高齢者生活福祉センター二百カ所の要求をしている次第です。  それから、さまざまな参入のための規制緩和促進策というものが必要ではないか、このように思っております。高齢者生活福祉センターの設置が今までは過疎地域に限定をされておりましたが、この設置地域の要件を撤廃したり、またケアハウスの最低定員の引き下げ、それから高齢者生活福祉センターの運営費の改善、こういうものを図っていきたいと思いますし、また運営主体の拡充というものも大事だということで、この運営主体の拡充もやっている次第でございます。  それから、グループ支援事業につきましても、今まで一年限りとしていました補助をこれから継続して人件費の補助をしていきたい、このように思っております。
  152. 山本保

    山本保君 結構ですが、しかしこのような施設というのは実は余りお金がかかりません。私の考えていますのは、大体二〇%の方ぐらいが在宅へ移るんではないかと思っておりまして、一単位ちょっと足らないのかなという気もします。ぜひもっと拡大していただきたいと思っております。  その中で一つ、社会福祉法人の規制緩和について、一億円なければ人のためになる仕事ができないというこの日本状況、これを何とかしなくちゃと思っておるわけです。これについて今どのように進展しているのか、お答えいただきたいと思います。
  153. 炭谷茂

    政府参考人(炭谷茂君) 現在、厚生省におきましては、一つは利用者本位の社会福祉制度を実現する、もう一つは時代の要請にこたえる福祉サービスの充実を図りたいという目的を持ちまして、社会福祉事業法等の一部改正を含む見直しを進めておるところでございます。その一環といたしまして、今、先生御指摘の社会福祉法人の資産要件の緩和を検討いたしております。  具体的に申しますと、社会福祉施設を経営する社会福祉法人につきましては、その施設自体が基本財産になりますので特に問題はないわけでございますけれども、先生御指摘の点は、主に在宅福祉サービスを経営する社会福祉法人について、資産要件が現行一億円と非常に高いハードルを設けております。現在、これを一千万円を軸にして検討いたしております。今後、内容の詳細が固まり次第公表してまいりたいというふうに考えております。
  154. 山本保

    山本保君 一千万円でぜひ進めていただきたいと思っております。  それでは、次に通産大臣にお聞きしたいと思います。  昨日も我が党の木庭健太郎議員の方から、私ども公明党も一生懸命お願いしました貸し渋り対策、これが一年間延長になるということがございました。私は、その次をお聞きしたいんです。緊急避難的だという御答弁があったわけですが、こんな形でお金を保証すると。その後一年たったらまたもとへ戻ってしまうんじゃないか。中小企業というものに対するお金がどのように集まっていくのかという構造的な変革をしなければならないと思うわけですけれども、どのような計画を今お持ちでしょうか。
  155. 深谷隆司

    国務大臣(深谷隆司君) 木庭委員も、また山本委員も大変熱心に中小企業の金融関係を御勉強なさっておられますことはよく存じ上げております。  昨年吹き荒れた中小企業に対するあらしのような貸し渋りに対して、緊急避難的な形で二十兆の枠組みをつくったわけでございます。その後の貸し出し状況やその結果の効果などを見ておりまして、そしてまた同時に、これから年末にかけて、来年にかけてまだ困難な状態がありますことを考えて、十兆円積み増し、一年延長を決めたわけでございます。  私としては、この間に経済環境が変わってくる、そして民間金融機関が本来の立場を取り戻して中小企業に対しても順調な融資を行うような環境をつくっていくということが一番大事なことだと思っております。  ただ、いろいろ言われていますけれども、今まで専ら担保主義が中心であった民間金融機関が、そのリスクの状態に応じて金利を考えるとか、新しい開発をしなければならない、そういうときに来ていると思うんですね。特に中小企業に対しては、必ずしも大きな金額でなくても緊急にお貸しをするという場合に、そのリスクに合わせた、若干金利を上げた商品にいたしましても、これを開発していくということは大変大事なことではないかと思うんです。既に、さくら銀行とか都民銀行とか幾つかの銀行で試みが始まっておりますけれども、私はこれは進めていくことではないだろうか。  そういう場合に、通産省といたしましては、政府系金融機関とか信用保証協会が持っている企業データを活用するデータベースの構築などでその環境整備を行うことが大事ではないかと思っております。
  156. 山本保

    山本保君 もう時間がなくなりましたので最後の質問一つだけにいたしますが、今のような形で金融面、もう一つソフト面があると思うんですね。  これは申し上げるだけですが、特に中小企業診断士、これが法的な資格でありながらなかなか活用されていないと思います。ぜひこれは進めていただきたい。もっとその中身について充実をしていただきたい。それについてはぜひ文部省も一緒になって考えていただきたいんです。  文部大臣一つだけお聞きしたいんです。  いわゆる起業家精神を養おうということが今教育課題として出てきました。内容論はきょういたしませんけれども、例えば中学三年生の公民科というのが一番重要だと思うんですね。これがいわゆる点取り主義になっているんじゃないか。  例えば、中三のときの公民科を道徳の時間であるとか総合的な学習時間と統合して、いわゆる相対評価を排した時間として、地域の企業の方などにお話を聞く、また実践するというような時間にするという提案をしたいんですけれども、いかがでございましょうか。これで終わりです。
  157. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 委員お話しのように、起業家精神、こういうものを早期に身につけさせるということは大切だと思いますし、そのためには児童生徒による社会体験、こういう機会、また社会勉強が行えるようにするということが大事だと思っております。  今、公民の時間のお話がありました。その時々の時事問題等を議論したり勉強すること、それから道徳の時間などで先輩の話を聞いたり、あるいはボランティア活動をやっている人の話を聞いたりすること、あるいは学校行事などで企業を訪問するとか、そういう幅広くいろいろな体験をするということが非常に大切だと思っております。  統合するというお話でございましたけれども、それぞれの学科の中で割合と幅広く自由度を持って子供たちにいろいろ体験させていく、そういう中で社会を知っていく、あるいは経済活動の仕組みを知っていって将来の起業家になっていってもらえればと、そういうふうにも考えております。
  158. 山本保

    山本保君 終わります。
  159. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で山本保君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  160. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。
  161. 小池晃

    小池晃君 日本共産党小池晃です。  介護保険の問題です。  一年半の保険料の徴収延期、軽減を中心とした介護保険の特別対策が打ち出されております。しかし、介護保険の二大問題である基盤整備のおくれ、また高過ぎる保険料、利用料について解決の道筋は示されていないんじゃないでしょうか。  私たちは、一年間保険料の徴収を凍結して、その間に集中的に基盤整備を進めること、国の介護保険への財政支出を五〇%に引き上げて保険料、利用料の低所得者の免除制度を実現すべきというふうに提案をしております。  そこで、きょうは介護サービスの利用料の問題についてお聞きをしたいんです。  介護保険の特別対策について、保険料の徴収延期、軽減とともに、在宅サービスの一部について低所得者の利用料軽減の特別措置、経過措置が盛り込まれました。なぜこれをやったのか、御説明をいただきたい。
  162. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 今回の特別対策では、現にホームヘルパーを利用している方々に低所得者が非常に多いわけでございます。大体四十万人おるわけでございますが、そのうち八割が実は無料で行われている。こういうことにかんがみまして、新しい制度の導入に伴いますこれらの方々の負担が増加するというようなことがないように、あくまでも激変緩和に立って、経過的に利用者負担の軽減措置を講じたような次第でございます。  また、新たに利用する方々を含めまして所得の低い方々に対しましては、今回の特別対策におきまして、いわゆる社会福祉法人による利用者の負担軽減、例えば一割でございますが、五%を軽減した場合には一定条件のもとで公費で助成をする、こういうことであるとか、あるいはこれまでは対象になっておりませんでした生活福祉資金拡充制度にもこの介護費用も追加する、こういうような措置を講じた次第でございます。  そのほか、低所得者につきましては、高額サービス費の自己負担限度額、一般は先生御案内の三万七千二百円でございますけれども、低所得者の皆さん方に対しましては二万四千六百円と、一般よりも低く設定しているところでございます。
  163. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  164. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度第二次補正予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。小池晃君。
  165. 小池晃

    小池晃君 先ほど厚生大臣、御答弁あったように、訪問介護については現在は八割が無料、しかし介護保険になれば一割の利用料をすべての人が、低所得者も徴収される。  お配りした資料をごらんいただきたいんですが、これは千葉県八千代市の調査結果であります。要介護度別に厚生省が示した訪問型のサービスをフルに利用した場合、現行制度のもとで受けた場合と介護保険制度で支払う利用料の負担がどう変わるか、そういう調査であります。それを所得税課税、非課税の別に分けて比較をしているのがこの調査であります。  Aというところに書いてあるのが介護保険で法定された利用料、BとCは現行制度のもとで同じ量のサービスを受けた場合の現在の利用料であります。年収二百六十万円、所得税課税を境にBは課税あり、Cは課税なしのケースで分類をしております。Bの場合もCの場合も介護保険になればAの負担、いずれもAの利用料が取られるという仕組みになっておるわけであります。  するとどうなるか。Bの場合はいずれも介護保険になると負担減であります。最高一万五千円余りの負担減になります。一方、Cの場合はどうか。所得の低い方ですね。これはいずれも負担がふえるわけであります。最高で二万五千円の負担増になる。収入二百六十万円を境にして片や負担がふえる、片や負担が減る。  介護保険の法定された仕組みというのは利用料負担、こういう仕組みになっているということは御確認いただけますか。
  166. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) ただいまお話がございましたように、現在の制度、これまでの制度におきましては、いわゆる福祉の措置という形でサービスが提供されますので、それぞれの負担能力に応じまして費用徴収が行われるということでございます。低所得者の方には御負担をいただかないケースもございますし、一方所得のある方にはそれなりの御負担をお願いする、こういう仕組みでございます。新しい制度におきましては一割の御負担をお願いするということでございますから、これまで御負担のなかった方に一定負担が生じ、あるいはこれまで高い費用負担の対象であった方にはむしろ負担軽減になるという仕組みであることはお示しのとおりでございます。  ただ、一つにはこれまでの制度が福祉の措置ということからその対象が現実的には低所得の方にいわばかなり偏っていたという面もございますし、一方新しい制度、介護保険制度におきましては、保険料あるいは利用料の負担の限度につきまして低所得者の方に関する一定の配慮が行われているところでございます。
  167. 小池晃

    小池晃君 今率直におっしゃいましたけれども、今までの制度は低所得者に温かかったわけですね。それが逆になってくるという実態がよくわかる。実際は八割以上が所得税非課税なわけであります、高齢者の場合。やはり大変なんですね。政府はこの重大性に気づいたからこそ利用料軽減の経過措置を打ち出したんだと思います。  しかし、その政府の対策は幾つかの点で全く不十分だというふうに私ども考えております。そもそも、現在八割の人が訪問介護無料なのですから、三%に軽減したところでこれは不十分だと。  さらに、第二の問題。これが市町村の事業としてこの軽減をやられるんです。軽減分の負担は国が二分の一、県が四分の一、市町村四分の一となっている。全国市長会、町村会は、特別対策に際しては保険者である市町村に新たな負担を求めないということであったのだから国ですべて負担してほしい、こう要望しているわけであります。  自治大臣にお聞きをしたいと思うんですが、利用料の低所得者対策は市町村事業だ、負担は財源の半分は地方自治体、これでいいんでしょうか。
  168. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) お尋ねの介護保険の件でございますけれども、介護保険の保険者であり住民に身近なサービスを行っている市町村が、低所得者の実態等を一番よく判断できる立場にありますので、事業主体になることは十分考えられるところでございます。また、このことは市町村からも要望があったものでございまして、市町村がみずからの判断でこれを行う場合に国が財政支援を行うという仕組みとして、国と地方が適切に負担し合うという考え方も十分あり得ると考えております。  いずれにいたしましても、この問題は厚生省が関係省庁とも協議をしながら来年度予算編成の中で十分検討された上で結論を出す問題であると認識をいたしております。
  169. 小池晃

    小池晃君 ぜひ、市長会、町村会というのはこれは全額国で負担すべきだというふうに主張しているわけですから、そういう方向で御主張いただいて、そういう制度にしていただきたい。  厚生大臣にお聞きをしますけれども、やはりこれは財源的にも制度としても国が責任を持つべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  170. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 市町村財政が大変厳しいということは私も十分承知をいたしております。そういう中で、今回の特別対策における利用料の軽減対策は、あくまでも市町村が実施する事業に対して国が助成する、こういう位置づけでございますし、昨日も答弁を申し上げたわけでございますけれども、今回の介護保険制度というのはいわば地方分権のシンボル的な役割を果たすものではないか、こう考えておるわけでございます。  こうした事業の性格からいたしまして、自治体にも応分の負担をお願いすることについて御理解を賜りたいと思っております。
  171. 小池晃

    小池晃君 保険料凍結はいわば押しつけておいて、こういう負担は分権というのは非常に都合がいいんじゃないかと私は思うんです。責任逃れとしか言いようがないんじゃないか。  さらに、第三の問題を指摘したい。これが最も大きな問題だと思うんですが、これはあくまで経過措置なんです。ですから、新規に介護を受ける人、今六十四歳、来年六十五歳になる人は適用されないわけであります。今介護を受けている人も、これから受ける予定の人も、この負担の厳しさというのは同じはずですから、これはやはり新規の人に対しても同じような軽減をすべきではないかと思うんですが、いかがですか。
  172. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 午前中の答弁でも御説明を申し上げさせていただきましたけれども、これは現に利用なさっていらっしゃる方に対していわゆる激変緩和として行わさせていただくわけでございます。  ただ、要するに新しく利用していただく方々に対しましては、所得の低い方に対しましては社会福祉法人によります利用負担の減免、一割を例えば五%前後にする、こうした場合に対しましては公費で助成する、こういうような仕組みをとっておる次第でございます。
  173. 小池晃

    小池晃君 午前中も御説明あったんですね、社会福祉法人のサービスで軽減をするんだと。しかし、これは大変国にとって都合のいいというか、虫のいい制度なんです。  これは厚生省が社会福祉法人の負担軽減について説明した文書ですけれども、こう書いてある。「社会福祉法人の社会的役割として、あくまで法人自身の負担によって」行うものだ、そうしてあるわけです。厚生大臣は、これは何か国が支援をするんだというような言い方をされるんですが、どんなふうに書いてあるかというと、「社会福祉法人の負担一定額を超える場合に、その一部に限定して行うもの」、そしてその場合も市町村事業の助成に対して国が半分補助する、念には念を入れて引いちゃっているんですね。そしてまた繰り返して、「法人自身による負担が基本だ」というふうに繰り返して説明をされているわけであります。  ですから、私、こんな制度で果たして社会福祉法人のサービス、これは軽減するんだからととても国が責任を持ってやっているというふうに胸を張って言えるような代物じゃないと思うんですが、いかがですか。
  174. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 先ほど、ホームヘルプ事業に対しまして、私の方から、四十万人ぐらいが対象になっていて、そのうち八割ぐらいが要するに現にただで行われていると、こういうことを申し上げましたけれども、これらはいずれもそれぞれの市町村事業でございまして、市町村の判断によって行われているものでございます。
  175. 小池晃

    小池晃君 ですから、市町村のことじゃなくて、今言っているのは、社会福祉法人に対する助成というのは、これは国が責任を持ったような中身じゃないんだということを申し上げているんです。  実際の例をちょっと紹介したいと思うんですが、船橋市の方の例であります。これは、自分の御両親の介護をその内容を一分ごとに克明に記録しているんですね、この方は。八十一歳のお母さんなんですけれども、どんな中身かというと、着がえの介助に一日十三分かかる、排尿時の見守りに二十七分、食事の介助に七十八分、克明に記録をしてあるわけであります。これを合計してこの方の一日の介護時間四百六十九分なんですね、八時間近いわけであります。もしもこの人が介護保険で最高レベルの要介護Ⅴというふうに認定をされた場合、されたとしてもこれは厚生省の示している基準で言うと、ホームヘルパーさんが行くのは一日二、三時間ですね。  家族介護は日本の美風だというふうにおっしゃった方がいらっしゃいますけれども、とても現場は違うんだと。実際は、介護保険ができても家族の献身的な、本当に献身的な努力によって在宅介護というのは支えられているんだというのが、それが実態だと思うんです。  ですから、やはり懸命に頑張る家族を支援するためにも、これ、低所得者の利用料というのは恒久措置として免除すべきじゃないか。それがやはり政治の責任じゃないか。今まで市町村事業としてやっていたんだからというようなことじゃなくて、やはり介護保険という新たな制度の船出をするときに、国がそこに対して精いっぱい支援をしますよというふうに言うのは、私は政治のこれは責任じゃないかというふうに思うんですが、どうですか。
  176. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 要するに、介護保険制度というものは高齢者全般の介護を利用者本位の仕組みに変えるということでございます。  例えば、特別養護老人ホームについて見ますと、率直に申し上げて、これまでどちらかというとひとり暮らしで所得の低い方々が入居なさっていた嫌いがあったわけでございます。しかし、今や寝たきりのお年寄りが二百八十万人になって、将来は五百二十万人になる。こういう中において、いわゆる中堅のサラリーマンの方々にも多く利用していただく。こういうような発想で今回の介護保険構想ということが生まれたことも先生も十分に御理解をいただける。  しかし、現実問題として、低所得者の皆さん方に対しても手厚くしなければならない。そういう観点に立って、私どもといたしましては、精いっぱいこのような激変緩和措置なりあるいは軽減措置というものをとらせていただいたような次第でございます。
  177. 小池晃

    小池晃君 ですから、その低所得者の方々は深刻な事態になるわけで、低所得者にとっての利用料負担というのは、サービスを今受けている人にとっても、これから介護サービスを受ける人にとっても変わりはないじゃないですかと。それなのに、今の制度では今受けている人しか軽減の仕組みが考えられていない。さらに言えば、五年たったら終わりということになっているわけで、これでいいんですかと。今受けている人の分は軽減するけれども、これからサービスを受ける人の分は軽減しないというのでは筋が通らないんじゃないでしょうかというふうに申し上げているんです。  特養ホームのこともおっしゃいました。特養ホームの利用料負担の軽減についても、これも経過措置なんですね、五年間だけと。実態でいえば、特養ホームというのは非常に低所得者が多い。国民年金の平均受給額が四万七千円であります。そして、高額介護サービス費、上限額が設定されたとしても利用料と食費で四万円。月七千円しか残らない。ここから介護保険の保険料を払わなくちゃいけない、こういう実態があるわけです。  在宅であっても施設であってもやはりその経過措置じゃだめなんじゃないか、これからサービスを受ける人にとっても適用されるような恒久措置考えるべきでないか、そのことを主張しているんですけれども、いかがですか。
  178. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 先ほど申し上げておりますように、今回のいわゆる介護保険の導入によりまして、負担が高くなる方もあれば低くなる方もあるということは現実でございます。そして、ただいま委員から御指摘がございましたように、特養の入所者につきましては五年間は入所を継続して、そして自己負担も上がらない、こういうような措置をとっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、来年の四月からスタートをいたしまして、その後につきましては与党の三党間において正すべき点は正していく、こういうような考え方に基づくものでございます。
  179. 小池晃

    小池晃君 スタートさせちゃったら、介護保険料凍結をするというふうにおっしゃっていますけれども、利用料はスタート時から取られるわけであります。  私も何度かこの問題を国会で取り上げてきたんですね。利用料負担、低所得者対策が不十分だというふうに追及をすると、厚生省のお答えはいつも高額介護サービス費で軽減しているから大丈夫だとおっしゃっていた。ところが、高額介護サービス費では不十分だからこそ在宅も、経過措置ではありますけれども軽減措置考えられたんだと思うんです。そこに踏み込んだんだとすれば、利用料負担が重いものだということに気がついたんだとすれば、やはり現在受けている人にとっても必要なんではないか、現在受けている人だけではなくてこれから介護を受ける人にとっても必要なんではないか。  介護保険法の附則の第三条には、利用料負担について今後検討するというふうに書いてあるわけであります。少なくともこの利用料の軽減は恒久措置で行うべきだということについて検討ぐらいはすべきでないですか。そのことについてぜひ前向きの御答弁をお願いしたいと思います。
  180. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 先ほどから繰り返し答弁をさせていただいておりますけれども、いずれにいたしましても世紀の大事業でございます。来年の四月から円滑に導入するように努力する過程において、そしてその後いろいろな問題点が生じてくれば、これについて与党三党間で十分に協議をしていただき、それを踏まえて私どももいずれにいたしましてもこの問題を含めてさまざまな問題について検討をしていくことについてはやぶさかではありません。
  181. 小池晃

    小池晃君 介護保険制度がスタートしてからその経過を見てというのでは遅過ぎるんです。これは介護保険制度が発足した段階、その瞬間から問題になるわけですから、やはりこれは前向きに検討すべきだ。やはり恒久措置に広げる、このことに一歩踏み出すべきだということ、このことを真剣に検討することを要求したいというふうに思います。  残る時間で介護の認定にかかわる問題を若干質問したいと思うんですが、二次判定に関する問題について御質問をしたいというふうに思います。  二次判定の問題点なんですが、コンピューターの一次判定に大変いろんな問題がある、そのコンピューターのロジックの中に八十カ所問題点があるということが参議院国民福祉委員会の参考人質疑で紹介をされております。  きょう問題にしたいのは、二次判定の認定審査会で十分な審査が行われているのかという問題です。認定審査会、一人当たり四分とか五分とか限られている中で十分な検討をするためには、資料を事前に配って審査委員の人によく見てもらう、よく検討してもらう、これが必要だと思うんですが、厚生省はこの問題についてどういう指導をされているんでしょうか。
  182. 大塚義治

    政府参考人(大塚義治君) 介護認定審査会につきましては、私どもの方で介護認定審査会運営要綱というのを定めまして、これをお示しして、できればこういう形でお願いをしたいということを各市町村に御連絡しておるわけでございますが、その運営要綱で申し上げていることに関して申しますと、いわゆる二次判定に際しまして、氏名、住所など個人を特定する情報についてはこれを削除した上で、できればあらかじめ認定審査会委員に配付することが望ましい、こういうことをお願いしているところでございます。
  183. 小池晃

    小池晃君 ところが、実態はそうなっていないんです。事前配付は余りされていないんです。そして見逃せないのは、事前配付されているところとそうでないところで二次審査の内容に大きな違いがある。  佐賀県の社会保障推進協議会が県内のすべての自治体を対象に調査をしました。三つの広域連合、ここが一番大きいんですけれども、ここは資料は当日配付です。コンピューターの画面でやっているところもある。三日前に配付しているというところが広域連合で一つです。そして残り三つの自治体は一週間前に資料を配っているわけです。このそれぞれについて二次判定での介護度の変更率、要するに議論して変わった率がどれだけかというのを見ると、当日資料配付しているところは変更率が一一・三%になっている。三日前に配付しているところは変更率が一三・五%、そして一週間前に配付しているところは一九・三%の変更率なんです。そして、当日配付している自治体というのが、高齢者の人口で見ると全体の七三%、七割以上は当日配付なんです。事前に配付しているところが明らかに変更率が高いんですね。そして、当日配付では変更率が明らかに低い。これはやはり、十分に検討できないということは公平性にもかかわる問題だ、この問題についてきちんと対応すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  184. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 委員の御指摘の事例は特定地域でございまして、これがすべてかと言い切れないものがございますが、要するに一次判定の変更の問題でございますが、一次判定で八十五項目の、コンピューターを用いて結果を見る。そして二次判定においては、御案内のように五人から六人の方々の認定委員会におきまして判断をいただくわけでございますが、それには当然のことながら主治医の意見書や、あるいは特記事項というものが用いられておるわけでございまして、いずれにいたしましても総合的に判断をしていただいて適正な判定を下していただく、こういう種類のものだと考えておるような次第でございます。  しかし、先ほど来申し上げておりますように、認定審査会におけます審査を円滑に進める上において、審査会の資料というものをあらかじめ委員に配付するということが適当であろう、こう考えておるわけでございますので、厚生省としてはそうした線に沿って今後とも指導していきたい、このように考えているような次第でございます。
  185. 小池晃

    小池晃君 終わります。
  186. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  187. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、日下部禧代子君の質疑を行います。日下部禧代子君。
  188. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 社会民主党護憲連合日下部禧代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  六日、経済企画庁は、我が国のGDPが三期ぶりにマイナスに転じたと発表しています。このGDPを押し下げた最大の原因というのは、公共投資が前期比八・五%も大きく落ち込んだことだというふうに思います。その原因はどういうふうに分析していらっしゃいましょうか、大蔵大臣
  189. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ちょっとお言葉を返すようですけれども、ちょっと私の考えが違っておりまして、七―九のGDPというのはかなり落ち込んだというふうに世間が印象を持っておられますけれども、実はその水準は一―三のGDPと全く同じ四百八十二兆という水準でございますので、一―九に比べて落ち込んでいたのではなくて、たまたま計算の改算がございました結果として、間にありました四―六が、当時は〇・一%の成長であると思われたのが実は一%の成長であった、年率にしますとプラス三・九%の成長であったというふうに再計算されたものですから、七―九が大変に低く見える、私にはそのように思えます。  しかしながら、委員のおっしゃっていることは私は実はそのとおりと思っていまして、相変わらず個人消費も悪いし民間設備投資も振るいませんが、政府のいわゆる財政的な財貨購入、公共事業ですが、これが前期に比べて、実はこれも前期は最初はマイナスと発表されました。しかし、実際にはそれがプラスであった。今度はマイナスである。マイナスになってまいりましたことはおっしゃるとおりであります。  政府は四月から九月までの上半期、公共事業の契約額を前年同期で一〇%増にしたいと思いまして努力いたしまして、国の公共事業は契約は一〇%の増になっておりますけれども、地方が非常に経済的に苦しゅうございまして、地方の公共事業の伸びは悪うございます。加えまして、国の公共事業もとにかく最初の上半期一〇%増にはいたしましたものの、もう一つ勢いがないということは申し上げざるを得ませんので、結論といたしまして、これだけ大きな経済で国の公共事業の支えるのには限度がございますけれども、それでも公共事業そのものがやや先に向かって弱りぎみであるという恐らくそういう御指摘でございますが、その点は間違いないように思います。
  190. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 その理由を伺っております。
  191. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げたつもりでしたが、国は一応国としての計画どおり契約がなされておりますけれども、地方の契約は非常に弱目でございまして、したがいまして、地方だけということを決して申し上げるつもりはありませんが、これから国も地方も公共事業を予定どおりやってもらうといたしますと地方に対してかなり財政援助が必要である、こういうふうに見ております。
  192. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 公共投資というのが今まで景気回復の呼び水になるというふうに言われて公共投資にいろいろと力が注がれたわけでございますが、今、大臣の御説明から考えまして、果たして呼び水としての役割を果たしているのでございましょうか。
  193. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 市場経済でございますので、やはり何といっても六割以上が個人消費、それから、年によって違いますが、十数%は設備投資がございますので、国の果たします役割は文字どおり呼び水、パンププライミングという性格を持っていると思いますので、私は、一―三、四―六は確かにその役割を果たした、長い間のマイナスがプラスに転じたのはそうだと思いますが、そして、今後も個人消費、民間設備投資が弱いといたしますとその役割を果たし続けなければならない、しばらくの間。しかし、何としてもトータルの量が、GDPにおけるプロポーションが小さいものですから、呼び水的な性格しかなかなか持てないという点があろうと思います。  それと、住宅も、これも国の施策が役立っておりますのでこれもそうでございますけれども、やはり個人消費と設備投資というのが大宗の部分であろうというふうに思います。
  194. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 呼び水にさえも余りなっていないような私は感じがするのでございますけれども、これは単なる量の問題でしょうか。何か構造的な問題もあるのではないかというふうに思うわけでございますが、経企庁長官、いかがでしょうか。
  195. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) ただいま大蔵大臣もおっしゃったことでございますけれども、この七―九月の状況について、ちょっとこれはたまたまあったものですから持ってきたのでございますけれども、去年はこういうぐあいに大きく下がっておりました。(図表掲示)これが去年の七―九月、これが去年の十―十二月でございまして、そしてこの数字、これがことしの一―三月でございます。そして、前年に比べて実数値は下がっていたのでございますが、これが一・五%の上がり、そしてここが一%上がりになります。今度一%の下がりになりましたけれども、実数値を見ていただきますと前年に比べて上がっているわけですね。これは、前年比で比べますと前の前が一・五%、その次が一%。そして今度は、これと大蔵大臣がおっしゃったように同じ数値でございましたからマイナス一%、しかし絶対的な数値で前年度に比べると上昇している、こういう形になっております。  そこで、委員お尋ねの公共事業でございますけれども、公共事業はこの二つの伸びのときに大変頑張りました。具体的な数字で申しますと、この間に、まず大きく落ち込んだここのところですね、これは非常に危険な状態だったんですが、これが前期比で一二・三%、公共事業が支えてやっとここでとまった。そして、その次の一―三月、ここでこれだけ伸びましたのは、公共事業が前期に比べて六・二%伸びました。そして、ここで二・八%伸びました。こういうぐあいに、この一番の最悪期から支えてきたのが公共事業でございます。そして今度は、三期大きく伸びたものですから、前期に比べますとマイナス八・五%になりまして、寄与率で見ると少し落ちた、こういうことでございます。  だから、この最も悪かったときに公共事業はうんと支えて、ようやく今消費が比較的出てきたものですからもっている。そういう意味では、公共事業が下支えになり、最悪の時期を乗り切る大きな要因になったということははっきり言えると思います。
  196. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今、質問の中身は、構造的なものもあるのではないかというふうなことを質問したのであります。
  197. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 構造的なものということでございますが、今のGDPの統計でいいますと、非常に構造的なものはわかりにくい状態になっています。  それで、構造的なことを申しますと、GDPのつながりとちょっと別の話になりますので、それを申し上げさせていただきますと、従来から道路あるいは地下鉄、空港、河川、いろんな公共事業をやってまいりまして、これが一つの体制となって支えてまいりました。景気を支えるためにはある程度の、かなりの量が要りますので、そういったものが継続して続けられるということはございますけれども、その一方で、去年、そしてことしの今御審議いただいております補正予算ではかなり新しいものを加えてまいりました。  例えば、全国の学校をインターネットでつなぐ、これを二〇〇一年中に完成するというわけですから、従来の計画よりも四年ほど早めております。そして、従来二〇一〇年の予定でございました全国の饋線点、電話のケーブルの線でございますが、十四万八千ございますけれども、そのほとんどを光ファイバーで結ぶのを二〇〇五年に繰り上げる。そして、二〇〇一年には全国の都道府県に御参加いただきましてインターネットの祭典をやりたい、こういう繰り上げもやりました。また、高速道路の自動改札を九百地点、来年度中にふやしていく、それによりましてかなり交通渋滞も緩和される、そういった新しいことも次々とやっております。  これは、設計が要り技術開発が要りますので一遍に全部というわけにいきませんが、だんだんとそういう構造的な問題でも新しい方に乗りかえるように努力しております。
  198. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 マイナスに転じたというのは主に統計上の原因だというふうな御説明のようでございますが、有名なディズレーリが言った言葉に統計のうそというのがございます。その点を考えますと、かなり今もっともらしく聞こえるんですけれども、やはり公共投資が落ち込んでそれほどの支えになっていないというのは、部分的ながら大蔵大臣もお認めになったように思いますが。
  199. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 大変去年の暮れからことしの初めにかけて御存じのように景気が悪うございましたので、政府としては前倒しの発注をいたしました。したがって、ことしの最初の時期に発注が非常に集中した。それから、去年からの繰り越しも、あるいは去年の第三次補正の予算の分も前倒しでやりましたので、発注高が非常に前に偏っている。したがいまして、発注高は既に低下してきております。  事業の方は、それほど下がっておりませんけれども、前期に比べると八・五%下がることになりました。これは下支え、統計のうそということではございませんで、最も経済の苦しかったときに前倒しで大きく発注して景気を支えたというのは、むしろ私といたしましてはいいときによくぞやってくれたと思っております。
  200. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 そうですか、そういうお考えでいらしたということは今承っておきます。  次に、個人消費ということ、これ非常にやっぱり景気回復に重要な要素だというふうに思いますが、この点に関しましても、これは統計上のことでございましょうか、やはりマイナス成長でございましたが、大蔵大臣いかがでしょうか。
  201. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 個人消費はここのところやっぱり悪うございまして、一―三、四―六の六カ月で、月々で家計調査を見ておりますと、前月対比でプラスの月とマイナスの月とございまして、結局、一―三、四―六はともかく結果としては消費性向が伸びたとかいうことでプラスの貢献をしましたが、ここへ来ましてマイナスでございます。  マイナスの原因は、消費性向の伸び方にもそれは限度がございますから、結局所得が伸びなければ消費は伸びない。この三カ月の原因はやっぱり所得が落ちております。所得が落ちておりますのは、恐らく間違いなくリストラクチャリングでありますとかいろいろな原因からくるので、所得が伸びておりませんから消費はマイナスになっている。どうもこの傾向は、よほど何かのことで消費性向が伸びるとかいうことがありませんと、年末のボーナスもそう大きいとは思えませんので、消費につきましてはこのところ大きな役割が期待できないでおります。
  202. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 日下部君、御答弁しましたから、質疑者から質問していただきます。
  203. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 わかりました。  今、大蔵大臣、御答弁いただきましたけれども、個人消費が伸びなかったということの理由の一つに、やはり将来に対する不安というのもすごくあるんじゃないかなというふうに思います。  例えば年金の問題、それから今話題になっております介護の問題、そして医療改革、そういったトータルビジョンというものが、政府がお出しになるものがむしろこれは消費を冷え込ますというふうな形の傾向を助長する。つまりセーフティーネットであるべきものがアングザイエティー、つまり不安というものを助長するようなものに今なっているという気がするのでございますが、大臣それから経企庁長官、いかがでしょうか。
  204. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは間違いではないと思いますけれども、それは家計調査では一番消費性向にあらわれるはずでございます。  将来の不安がありますと、消費性向がどうしても七〇ぐらいあっていいものが六〇台に落ちるとかいう、それは統計に見えています。しかし、もっと実は私が心配していますのは、その前に所得そのものが下がっているものでございますから、これの方をまず何とかしませんと、それは将来の不安は不安といたしまして、現実に入ってくる金が少なくなっているということがやはり消費をとりあえず落としているというふうに見ております。
  205. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 消費性向は八〇年代が高かったのでございますけれども、現在は七〇前後を往復しております。  特に、今、委員取り上げていただいております七―九月でございますと、九月の消費が非常に悪かった。これは気候的な要因もかなり大きく影響していると思います。九月が非常に落っこちて、十月、十一月は幾らか回復してきておる。  大蔵大臣が御指摘のように、この冬のボーナスなんかも低うございまして、その点で所得の問題がございますが、ようやく所得の方も残業手当等がふえてまいりまして、少し回復基調が出てくるんじゃないかと期待しております。
  206. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今の経企庁長官のお言葉に対して、大蔵大臣、いかがでございましょうか。少し違っているような気がいたします。
  207. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) いや、経企庁長官の言われるとおりなんでして、少し残業手当がふえてきたという部分はあるのですが、もう一つ申せば、今までの常雇用の人がパートになっている数が非常に大企業で多いものですから、雇用としては数が余り落ちていないんですけれども、所得の内容が、やっぱりその点はちょっと悪くなっているということも同時にあるわけです。
  208. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 そういう状況の中で、政府は、公約した今年度の〇・六%の成長は可能である、さらに二〇〇〇年度は一・〇%の成長が可能であるというふうな見通しを立てていらっしゃいますが、それはそのとおりでよろしゅうございましょうか。その根拠はいかがでございましょうか。
  209. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 現在の状況でございますと、〇・六%を達成するためにはあと二四半期、十―十二月と一―三月がマイナス〇・三%ずつでも大丈夫ということでございまして、この達成は私は確実と思っております。  来年度につきましては、目下来年度の見通しを作業中でございまして、ちまたに一%とかなんとかいう数字が出ておりますが、私どもはまだその見通しは明確にしているわけではございません。
  210. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 世銀は日本のGDPの実質成長率を〇・九%に鈍化するというふうに言っておりますが、いかがでしょうか。
  211. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 国際機関の見通しはいろいろと出ておりまして、御指摘のように世銀は、この十二月七日でございましたか、〇・九%というのを出しました。これは二〇〇〇年の暦年でございます。  ちなみに申しますと、IMFが九月に出しましたのが九九年が一・〇、二〇〇〇年が一・五、それからOECDが十一月に出しましたのが九九年が一・四、二〇〇〇年が一・四、そして世銀が十二月七日に出しましたのが九九年が一・三、二〇〇〇年が〇・九という数字になっておりますけれども、これはそれぞれの機関が出すものでございまして、時々これを変えるので、余り信用できません。
  212. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 大蔵大臣、いかがでしょうか。信用なさっていませんか、やはり。
  213. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ちょっと今年度の成長は可能かということに対して、企画庁長官が〇・六という達成のためにあと二四半期マイナス〇・三、マイナス〇・三でできるんだということが、言葉で大変に説明のしにくいことなんですが、つまり年度の始まりの一―三月にずっとうまく大変高いところへ上がってくれたものですから、二階ぐらいまで上がっていまして、あと怠けても一階までは落ちない、統計の平均が。そういうことがありまして、決してうそを申しているのではないので、したがって、OECDも世銀もまあまあその辺のところを見て言っておるのではございませんでしょうか。
  214. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 私が当初数字を出したので数字でお答えになっていらっしゃると思いますけれども、その数字とそれから実感というのはかなりこれは乖離しているというふうに私は感じます。  政治家というのは、やはりその乖離している実感の方を、やはりきちっと自分でそれを肌に感じなければいけない。だから、そういう御答弁をお願いしたいのでございます。  ところで、今回の第二次補正予算効果というものに対してどの程度の期待をしていらっしゃるのか、大蔵大臣にお伺いいたします。
  215. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 実感でございましたら、国際機関が我が国の来年の成長は一%前後であろうと言っているのは私の実感にも合いますので、多分、大してよくはないがそのぐらいはできるだろうと思っています。  今度の補正は、先ほど経済企画庁長官もおっしゃいましたが、当面の景気の支えということのほかに、二十一世紀に向かっての新しいいろいろな需要を取り入れておりまして、とりあえずの景気対策だけではございません、その上に中小企業等々も入れておりますので、これで先々この年度内に公共事業の種がなくなるといったような状況は起こらないと見ております。  ただ、先ほども申しましたが、地方財政については、本予算の編成の過程でかなり特段のことをいたしませんと景気にも影響があると思っております。
  216. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 経企庁長官
  217. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) GDPは、先ほど申しましたような統計、季節修正の問題でマイナスに出ましたけれども、鉱工業生産の方は最近好調でございます。また、鉱工業以外の第三次産業活動指数というのも好調でございます。それから、企業の景状感をあらわします景気動向調査というのも、ここ四カ月五〇%、要するにこれからよくなると思う人から悪くなると思う人を引いた数字、これが五〇%を超えておりますので、全体としては緩やかな回復が続いているという判断は間違いない、こう思っております。
  218. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 どうも経企庁長官は非常に楽観的でいらっしゃるなというふうな感じがいたします。大蔵大臣の方が少し抑えていらっしゃるなという感じがするわけでございます。  次に、雇用問題。これはそう楽観的にはできない問題だと私は思えるんですが、依然として失業率は下がっておりませんし、リストラクチャーも続いております。  雇用対策というのは今回第二次補正予算で千九百億円でございますが、一体これがどのような安定した雇用というものにつながるのか、労働大臣お願いいたします。
  219. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 先生今御指摘のように、大体三百二十万人ベースで失業が非常に高いレートで実は続いているわけであります。そうしまして、今企業はすぐリストラのことを考えましていろんな計画を発表する、こういうことで、その実行は、もう早める企業もあるでしょうけれども、二年前後で大体そのリストラをやろうということで、これからその実行段階に入るということでございます。  したがって、そういう意味におきまして雇用不安は依然としてずっと続いている、このように考えざるを得ない状況だと思います。  この中で、最近若い方はフリーアルバイター、フリーターといいまして、私は働きに行くのが嫌だと、自由にしたいという方々も相当ふえておりますが、非自発的失業者というのが、毎月これは変わるわけですが、大体百万人前後で実は推移いたしているわけであります。  私どもが一番心配しておりますのは、その非自発的失業の方々、百万人前後の方々を政府のとる政策によって具体的にどういうように減少することができるか。これは、人口の構造も変わってまいりまして、中高年層の方々に対する雇用機会も全面的に取り上げなきゃならない、こういうことで、今、先生の今度の補正予算でどういうことを考えているかと御質問でありますが、国民の雇用不安を払拭するために積極的な措置をとることは当然であります。そして、あわせて、二十一世紀を迎えまして新たな構造変化に対処する基盤の確立を積極的にとるという、これも二番目の柱として非常に大切でございまして、現在まで第二次雇用対策、一次、二次でいろんな施策をとってきております。  今度の補正予算考えておりますのは、一つは、雇用不安をなくす、こういう観点から、まず地域に先導的な役割を担う中小企業、雇用機会の積極的な創出、こういうことで、私ども労働省ですから、人を雇っていただかなきゃならないんですから、四人以上雇ってくださいよと。こういう会社を、まだつかみではありますが、一応四千社を選びまして、この方々が例えばパソコンを入れるとか、いろんな雇用という面から需要もあるわけですが、七百五十万円から千五百万円、一社当たり、これは雇用数に応じまして頑張ってください、こういうことで約五百十億円予定をいたしております。  それからもう一つは、いろんな雇用政策があるんですが、このたびの日産の問題、どんと地域に来るわけでありますから、その下請関係の皆さんに頑張っていただいて、予算枠として、お一人当たり月十万円で半年間負担させていただきましょう、こういうことで三百二十一億円の予算を計上させていただきました。さらに、専修学校その他で勉強していただきたい、こういうことで、十五万人分を補正で三万人加えて約百三十七億円。一千億円の直接のものを考えております。  千九百億円とおっしゃいましたが、全部で二千七百億円で、その他は一般会計、特別会計から、雇用保険関係がちょっとぐらついてきておりますので、これを支えるために拠出をしよう、こういうことを考えております。  以上です。
  220. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 御丁寧にお答えいただいたのでございますが、私がお聞きしたかったのは、そのように計上された費用というものがどのような効果を生むのかという、その辺のところをお聞きしたかったのでございます。
  221. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) いろんな措置を講じておりますが、やはり雇用を確保していただいて、それが常用化するようにというのが基本的な願いでございます。特に都道府県に出しました二千億円の特別雇用対策費というのは、非常に今失業が多いものですから、暫定的に六カ月以内、六カ月間お雇いくださいと。大体、失業後三カ月前後で新たな就職口を見つけておられますから、それまで頑張っていただくために各地域で頑張ってください、こういうように考えております。
  222. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 ですから、今のお答えだとどうしても、先ほど大蔵大臣がおっしゃいましたように、常雇用がパートになってしまう、その辺のところが非常に大変な問題の一つだと御指摘があったわけでございますが、やはり何とかしてそれを一時しのぎではないものにする、そのことによって、ばらまきと言われないゆえんだろうというふうに思うんです。ですから、そこのところの対策というものをどういうふうにつなげていくのか。点であってはいつまでたっても、やはりお金を出しても出してもそれはばらまきだと言われてしまうゆえんであります。その辺の問題についてどのようにお考えですか。
  223. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 私の願いは先生の御質問の趣旨と同じことでございまして、臨時的に雇用を確保する、それを長期化する、常用化する、これに全力を尽くしておりまして、府県の問題等を見ましても、私のところでは間伐が全然できない、だから間伐をやろう、いい制度をつくってくれたな、市町村でお金がないから早速それに使いましょう、あるいは埋蔵文化財の発掘にどうしても金が出てこないのでこれにも使わせていただきたい、いろんな需要が出てきておりまして、間もなく二千億円のお金を使い切れるのではないかなと、こう考えております。
  224. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 やはり箱物というハード中心からソフトへと今産業構造を転換させるべきときであります。したがいまして、そこでやはり発想の転換とそれから本当の意味での構造転換、そのためのインセンティブをどういうふうに政策が与え得るかということが今問われているというふうに思います。これはお答え結構でございます。  次に、公共投資につきまして、今回の補正予算がどのような効果を生むというふうにお考えでしょうか、大蔵大臣
  225. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは、先ほど経企庁長官が言われましたように、当面の景気対策のほかに、いわゆる新しい前向きのたくさんの費目を今度設定しておりまして、例えば社会資本整備費三兆五千億、これは申し上げるまでもありませんが、物流とか生活基盤とか情報通信とか高齢化対策とかいろいろ盛っておりまして、前向きのものも随分含みまして、それに雇用対策を入れまして、かなりの大きな経済効果があると思っている。あるいは経済企画庁で計数的に把握しておられるかもしれません。
  226. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 今回の補正予算の中の公共投資及び設備投資費、いわゆるIGでございますが、それだけを単純にモデルで計算いたしますと、向こう一年間に一・六%GDPを押し上げるという数字が出てまいります。  しかし、今、大蔵大臣も言われましたように、それ以外にも構造改革の面、中小企業対策の面、いろんなところで支援しておりますので、それ以上の効果が出ると考えております。
  227. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 先ほどの私の質問に対しまして、やはり公共投資がなかなか伸びない、むしろ落ち込んでいるということの原因に地方財政の問題が出されましたが、このあたりにつきまして、自治大臣、いかがでございましょうか。
  228. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 公共事業の中の一つの地方単独事業を見てみますと、やはり景気を反映いたしまして、最も地方が大きく依存しております法人関係の税、二つございますが、ここら辺が大変落ち込んでおりまして、そのために、地方公共団体におきましては、いわゆる事業を遂行していくということについて、これを少し先延ばしにした方がいいんではないかというような判断が働きがちでございます。そういうことが実際起こってまいりますと、これはどうしても事業が低下をしていくということになるわけでございまして、そんなところに理由があるかなと思っております。  一刻も早く、公共事業等を行いまして、景気の回復に万全を期していかなければならないと思っております。  なお、公共事業につきましては、地方に対する援助措置といたしまして、公共事業の裏負担につきましては一〇〇%の交付税措置を講ずることといたしておる次第であります。
  229. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 地方で効果が出るには、例えば十二月の県議会には間に合わないと思いますね、この補正予算は、今はもう十二月ですから。それから次の来年の第一・四半期、一月から三月にも間に合わないだろうというふうに思うんですね。  先ほど大蔵大臣も地方財政というものが非常に重要である、公共投資の効果を上げるにも重要であるというふうなことをおっしゃいましたけれども、ここで地方に自主財源を確保するための具体的なプログラムをもうそろそろ始めてもいいのではないかと思いますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  230. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) いずれはそれをしなければなりませんが、そのときには中央と地方でトータルでどのぐらいの財源があるかということを知らなければなりません。今のように国の国税が昭和六十二年の水準に落ちていたんではとてもこれは分けようがございませんから、やはり経済がとにかく成長の循環に乗ったときに、全体の財源を国と地方、これは行政も伴っていかなければなりませんが、それと税制と全部やりかえなければならないと思っていますが、今そんなことはできませんので、今年も明年度これからの予算も中央と地方との間で、特別に自治大臣お話をしていろんな、当面とにかくしのぐ方策を考えなければならないような状況でございます。
  231. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 経企庁長官のお答えによると大変に楽観的でいらっしゃいます。ですから、ここでやはり地方をシェアアップするためにも何か具体的なプログラムをどういうふうにするという、そこだけでも出すわけにいかないでしょうか。
  232. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 例えば、これだけ景気が悪うございますと、法人事業税というものが一向に入ってきません。そうしますと、従来富裕団体であったところが赤字団体に転落する、この間もそうでしたし、またこれからもそうだろうと思いますので、そういうところの財源の手当てをどうするか、ことしもやりましたが、来年もしなきゃならない、そういうどうしても当面の継ぎはぎをしませんと、当面の状況に間に合わない。先のことは、経済がもう少しよくなりましてから基本的に考えなければならないと思っております。
  233. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 経企庁長官、いかがですか。
  234. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 地方財政の問題につきましては、大蔵大臣自治大臣から御答弁のあったとおりでございますが、この事態になりますと、PFI、民間資本を活用してバリュー・フォア・マネーを引き上げるというようなことでも地方で知恵を出していただきたいと思っております。
  235. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 個人消費の効果につきましてはいかがでしょうか、大蔵大臣。第二次補正予算による個人消費の伸びに対する効果
  236. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 個人消費と言われましても、結局それは所得源を設定しなければなりませんので、この補正予算効果は全体としてそういう所得源を設定するということ、特に個人に金をどうするということはもとよりないわけでございますけれども、経済全体が落ち込まない中で個人の所得がとにかく維持される、こういうことが当面の使命だと思います。
  237. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 片方ではリストラが叫ばれ、そして幾らお金をつぎ込んでもというような気分を私たち国民に与えるわけでございます。  そして、セーフティーネットであるべき社会保障というのが必ずしもセーフティーネットにはなり得ていないという問題で、幾らお花に水をやってもお花が育たないというようなのが現状ではないかというふうに思います。  その中で、個人消費というのが伸びるはずはないと私は思うのですが、社会保障の面でセーフティーネットになり得ていない、むしろそれを引っ張っているという点について、厚生大臣いかがでしょうか。
  238. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 委員案内のように、少子高齢化の波が欧米に比べまして三倍ないし四倍の大変なスピードで今押し寄せてきている、そういう中におきましていわゆる若年世代負担というのが年々重くなりつつあるわけでございます。例えば、年金の場合には四・三人で一人を支えている、こういうことでございますが、将来二〇二五年には二人で一人を支える、こういうことでございまして、そういう中におきまして今回いわゆる長期的に安定的な仕組みを確立するために年金法の改正案というのを提出させていただいておるわけでございます。  また、国民医療も同じでございまして、年々増加をいたしまして、今や三十兆円を超えておるわけでございます。そういう中におきまして、いわゆる医療もむだのない効率的なものにするために医療の抜本改革というものを進めていかなければならない。  特に、医療費の中で三分の一を占めていると言われておりますいわゆる高齢者の負担のあり方につきましても検討しなければならないわけでございますし、それからお年寄りの負担の場合も、いわゆる一千万円も二千万円もあるような高額なお年寄りという者も、あるいは国民年金が三万円、四万円しかない方も一回五百三十円、こういうような問題もございますし、こういった問題をいずれにいたしましても私どもは総合的に判断をしていかなければならない。  景気の問題につきましては、いわゆる保険料凍結の問題につきまして、昨年でございますけれども凍結をさせていただいて、要するに景気がもうちょっと上がってから解除をする、こういうようなことでございます。
  239. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 どうも私の質問したことがよくおわかりいただけていないようなお答えでございました。むしろ、セーフティーではなくアングザエティーのもとになっている、不安のもとになっているのではないかということでございます。
  240. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) いや、私が申し上げたいことは、現実問題としてこれだけの社会給付費がかかるという中において、実際問題これをどうやって賄っていくかということもこれも大変重要な問題である。しかし、それと同時に、いわゆる今までの私どもの社会保障というものを確立していかなければならない。  そういう中において、セーフティーネット的な役割を果たすこの問題は、長期的、安定的な制度にしていかなければならない、こういう意味で申し上げているような次第でございます。
  241. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今回発表されました年金制度、これは給付水準を下げるということが主でございますし、それからまた医療、これは患者の負担が重くなるということ、そういう形でまた介護保険というのは非常に混乱が起きている。そんな中で、非常に安心ができるということであるべきセーフティーネットが本当にセーフティーネットでなければ、この消費は伸びないということを私は申し上げておきたいと思います。  次に、最初、経企庁長官はそう景気は悪くない、だんだん上り坂になっている可能性もあるとおっしゃったのでございますが、やはり回復途上になっていないと思います。しかしながら、ここで大蔵大臣にお答えをいただきたいのでございますが、そろそろこのいわゆる財政支出拡大型の景気対策は打ちどめにしなければというお言葉を昨日もおっしゃっておりました。私はそれに賛成でございますが、その理由というのは、もうこれだけお金を出してもなかなか効果が思わしくないからなのか、あるいはまた違った問題処理の政策をしなければならないというふうなことで打ちどめとおっしゃっているのでしょうか。
  242. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 小渕内閣が始まりましてからとにかく一年半、日本の経済はずっとマイナスの成長を滑り続けてきたわけですが、それが一年半ぶりに、ことしの一―三月にプラスの成長になり、四―六月もプラスの成長になり、今七―九のところで一つ足踏みしましたが、一―三のレベルからは下がっていない。  ですから、いろいろ金を使ったが何の役にも立っていないじゃないかと、それは少しちょっとつらいお話なので、そこのところまでは来ました、そこのところまで来まして、しかしリストラもあるしいろいろだから、なかなかそれから急カーブに上昇はしないだろうということならそのとおりに思いますけれども、先ほどもお尋ねがあり申し上げましたように、来年の一%の成長ぐらいは外でも言っているし、我々もそれは多分やれるのではないかなという雰囲気でございます。国民の中にも最悪は過ぎたという空気がございますから、大きな派手な成長はできないにしても、プラスの成長に入れる。  それで、私の申し上げておりますのは、消費と設備投資が、そのころになりますと今のような不振ではあるまいと思いますから、そうなりましたら、財政が二年続けてきましたかなり極端な後押しというものはもう少しモデレートなものになれて、したがって国債の発行もそんなにこれ以上パーセンテージとして伸びるというようなことはなかろうと。たかだか、大変につづまやかな希望を持っているわけですが、しかしそれでも何年間かマイナス成長を続けてきた我が国にとっては、これで不況というものが脱却できる見通しが立ったということだというふうに申し上げたいわけです。
  243. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 時間が参っておりますが、お許しをいただきまして、先ほど御答弁申し上げました中の一部につきまして補足をさせていただきます。  十二月議会が地方で、四十七都道府県中四十四の府県におきまして、今度の財政措置に伴う準備をいたしております。そのことをつけ加えさせていただきます。
  244. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 やはり、先ほど大蔵大臣は当面の継ぎはぎをしなければならないとおっしゃいましたけれども、当面の継ぎはぎではなく、本当に質的に新たな政策というものを今度の新しい予算においてお示しいただくことを心から期待いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  245. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で日下部禧代子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  246. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、月原茂皓君の質疑を行います。月原茂皓君。
  247. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 自由党の月原です。  まず最初に、防衛庁にお尋ねいたします。  二名のとうとい犠牲者を出した先日の十一月二十二日に起きたT33の事故、そのことについて防衛庁の方としては、まずその亡くなられたパイロットに対してどういう姿勢でおられるのか、そして事故を起こしたT33についてその後どのような調査をし、現在どのような対策が講じられているのか、お教え願いたいと思います。
  248. 西川太一郎

    政務次官西川太一郎君) ただいまお尋ねがございましたこのたびの航空機事故につきましては、防衛庁としては多大の御迷惑を国民の皆さんにおかけしたという点をまず謹んでおわび申し上げたいと存じます。その後、関係県や市御当局または東京電力等と鋭意こういう問題についての交渉をするべく、そのためには、なぜ事故機が墜落をしたのかという原因の究明を真剣に、慎重にやっていきたいと思っております。  先生お尋ねのとおり、航空自衛隊にとって大変有為な人材でございます、昇格をされました中川航空一佐と門屋航空自衛隊二佐、このお二人が、人家に突入してはいけないと、ベールアウトすれば御自分の命は助かった地点からそれを避けるべく最後まで冷静に努力をされて、肉声による交信も極めて最後まで冷静であられたわけでございますけれども、御自分の命をかけて国民の生命、財産をしっかりとお守りくださったということに対しまして私どもは心から敬意と哀悼の誠をささげたい、こう思いまして、今早く原因究明ができればよろしいと思っているところでございます。
  249. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今、政務次官から丁寧な答弁がありましたが、私が思うに、この二人のパイロットは目の真下に入間川の横に並んでおる柏原団地、それを見ながら何とかこれを過ごしたい、そして最後に自分の家族のことも思ったと思います。それでああいうふうな形になったわけでありますから、今後この両氏、特別昇級を大臣がされたわけでありますが、さらに御家族のこと、そういうことについて防衛庁としては当然のことですが御配慮をお願いするとともに、今後の事故対策、もし航空機に何らかのことがあればこれは今後も起こるわけでありますから、その点十分配慮していただきたい、こういうふうに思います。  続きまして、経済企画庁次官にお尋ねいたします。  今、日下部先生を中心にして私が聞こうとしておったことが大体出てきておるわけですが、そういう意味でも、この使途によれば、この十年間、バブル崩壊後百十兆円に上る金を使いながら何をやっておったんだ、こういうふうなのが週刊誌等に書いておることであります。そこで素朴なことをちまたで言われているわけであります。  そういう意味で、これを総括してどういうふうに考えられておるのか、お教え願いたいと思います。
  250. 小池百合子

    政務次官小池百合子君) 九〇年代の数多くの経済対策のその効果やいかんということで、その認識を尋ねられております。  総括して答えろということで、総括政務次官の私からお答えをさせていただきます。  九〇年代に入りまして、経済対策の総額、御指摘のように百兆円を超えるわけでございますが、これは便宜的に二つに分けまして、九三年から九八年の夏の小渕内閣発足まで、ビフォア小渕とでも申しましょうか、それが六十兆円に達しているわけでございます。  この間の公共投資の増加でございますが、当時はバブル崩壊後、民需が非常に落ち込んだ、それを相殺する形で生かされた。ただし、景気がスパイラル的に悪化していくのを防止するという、そういう意味効果はあったのではないかというふうに評価をいたしております。  一方で、当時はバブル景気の崩壊後、金融システムのダメージというのは大変ひどいものがございました。そしてさらには、ストップ・アンド・ゴーという形がとられたということから、明確な構造的な改革を達成するには至らなかったというふうに総括できると思います。  一方、アフター小渕、AOでございますが、昨年の七月の末に発足して以来、景気対策と同時に我が国経済の抜本的な構造改革にも重点を置いた経済運営に当たってきたものと考えております。さまざまな構造改革、すなわち公共事業や大幅な減税を行うということとか、それから金融システムの改革、さらには、今も御審議いただいて、参議院ではこれからになると思いますけれども、さまざまな中小企業の創業拡大政策など、構造改革も促していることも事実でございます。  間もなく月例経済報告、最新のが出るところではございますけれども、直近の私どもの考えております我が国の経済は、緩やかながら改善が見られるという効果が現在も起こっているところでございます。  今回の経済新生対策、それから中長期的にはミレニアムプロジェクトということで構造的なものも図りつつ、公需から民需へのバトンタッチを今後も進めてまいりたいと思っております。
  251. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 よくわかりました。  そこで、運輸大臣お尋ねします。  今、経済企画庁の方から説明がありましたが、新しい構造改革も含めて展望を持っておるようであります。大蔵大臣は、いろいろなケースがたくさんあるんだ、こういうことをお話しになりましたが、その中で、運輸大臣が管轄する中での景気対策、そしてまた新たな構造改革につながる、二十一世紀に向かって日本の本当の意味の基盤をつくる、そういうようなものはどういうものがあるか、御説明願いたいと思います。
  252. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えいたします。  仰せのように、景気回復ということは何にもまして重要な課題でありますが、同時に、今後の二十一世紀を見据えた社会インフラの整備ということが極めて重要だということで、私たちは常に未来志向という観点から運輸行政に取り組んでおるわけでございますが、公共事業費で一千七百二十億円、これは二兆五千億の中の七%であります。まだまだこれは我々としては満足すべき額ではありませんが、今日このような状況になっております。  そこで、何をやろうとしているかということでありますが、まず整備新幹線、そして中部国際空港、関西国際空港、東京国際空港、さらには中枢、中核の国際港湾の整備、さらには首都圏の第三空港の調査、そして革新的技術開発ということで御理解を求めております例えばフリーゲージトレイン、これは可変式の、いわゆる新幹線から在来線へ、在来線から新幹線への直通運転を可能とする世界で最初の技術であります。このことは、とりわけ国土の均衡ある発展、今まで新幹線には何の望みも持ち得なかったような地域にも新幹線に直通運転ができるという可能性を持つものでありまして、先般も国際的な鉄道の責任者の会合が日本で開かれたわけでありますが、今や世界各国からこのことが大変注目をされておるということを申し上げておきたいと思います。  さらには、今フリーゲージトレインのことを申し上げましたが、同じように、海に浮かぶ大地とでも言いましょうか、メガフロート、これは既にメガフロートの実験研究を数年続けておりますが、今やその海に浮かぶ大地は、空港建設を目標にいたしておりますが、港湾にも使える、物流基地にも使える、さらには何かここで野菜でもつくってみたらどうだろうかというのは、実験ですよ、住宅を建てることも大事。やっぱり我々は、陸上から海に向かってどう対応していくかというのを二十一世紀には考えておかなきゃいけないことで、既にもう芝生は青々と育っております。今までそんなことは考えられなかったことが今行われておるわけであります。  さらに、そういう面でもう一つ申し上げますと、テクノスーパーライナー、これもおかげさまで今日静岡県に参りまして、静岡県の清水港と下田港の間を防災船として、日ごろは観光等に使っておりますが、一朝事あるときには防災船という位置づけで今静岡県にお引き取りいただいて使っていただいておりますが、将来さらにこれを、例えば日本と中国との間を結ぶ、六時間半ぐらいで中国に到達するということになれば、このことは将来の日本と中国の間のみならず、東南アジア関係各国との間に私たちのまた大きな視野が広がってくるのではないかと思っております。  そして同時に、かねてこの委員会でも強い御要請をいただいておりますバリアフリー化の問題につきまして、これは次の通常国会に法案を提出して、懸命に取り組んでまいりたいと思っております。  これらのことを総合いたしますと、すべて二十一世紀を展望した事業でありまして、単なる公共工事を行うということでいろいろな御批判をいただいておることも承知いたしておりますが、少なくとも運輸省におけるそうした計画に対しては、二十一世紀を展望し、私たちの未来の幸せのために頑張っておる、こういうことを自負しておる次第であります。
  253. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今のお話で、運輸省が将来の二十一世紀に向かって力を尽くされていることはその例示でよくわかりました。  ただ、私がそちらの閣僚の方々にお願いしたいことは、今までの公共事業そのものに非常に限界生産力の問題が出てきておるということ、そしてまた乗数効果が小さいのが、今、日下部委員からのお話にもありましたように不安というものがある。何ぼ金をもらったって消費に結びつかない。今、大蔵大臣は、結局、懐に入る金も少なくなってくるんじゃないか、そういうふうに言われましたが、そういうところのセーフティーネットというか将来の安心というものを政府が早く国民に説明するということがなければ景気回復に結びつかない、こういうふうに思います。  何せ先で我々の子孫が、何でこんなところに道をつくったんだろう、何でこんなことをしたんだろうか、もう古くなってペンペン草の生えたところの借金だけ負わされる、こういう気持ちにさせないだけの政治をしていただきたい。そのように行っておると思いますが、さらに注意していただきたい、このことをお願いして、終わります。
  254. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で月原茂皓君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  255. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、松岡滿壽男君の質疑を行います。松岡滿壽男君。
  256. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 宮澤大蔵大臣、「論争」の一月号に、主計局長をやっておられた涌井さんが「破局のシナリオに向かう財政」という文章を寄せられているんですけれども、ごらんになりましたですか。
  257. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 読んでおりません。
  258. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 まだお目にとまっていないようですが、たまたま私も新幹線で読みまして、今までの財政状況、やはりとにかく今の景気を何とかせないかぬ、経済変革を乗り切らなきゃいかぬということ。その出費についてはわかっておるんですが、宮澤大蔵大臣もおられるし、その都度何らかのシナリオは財政再建に向けてあるだろうというふうに漠然と思っておったんですが、この文章を読みますと、結局、今まではそれをやっておったけれども、小渕首相になってこのルールの歯どめが崩れたということなんですね。「これまでは政策決定の過程において、民意を背景にした政治家と現実の行政を担う官僚との間で丁丁発止の議論が行われ、妥協のなかでよりよい政策が選択されてきた。その間に、行政として言わなくてはならないという部分が、最近、とみに崩れている。」。それから、「いまの日本はかつて経済審議会が出していたような破局のシナリオに陥りはじめているように思える。」、「そこまでいって財政を立ち直らせるということは至難の業で、率直にいえば、もはや手遅れのような気持ちさえ私のなかにはある。」という率直な意見が出ているんです。  非常に私ども実はびっくりいたしておるんですが、昨日も陳情のときに申し上げましたように、恐らく今地方財政も逼迫しておりますから、国の状況も皆わかっているわけですよ。だから、恐らくこれが最後の陳情じゃないかという気持ちがやっぱりあるんですね。それぞれ報酬をカットしたり賞与のカットをしたりして頑張っておるわけなんです。だから、これについて、今後の立て直しをどのように大蔵大臣考えておられるのか。  最後に彼が書いているのは、結局、「欧米諸国がここ一〇年来やってきたように、歳出削減と増税の組み合わせによって、早急に財政再建を進めるしかない。それができなければ、結果として、大インフレによる財政赤字の解消ということになろう。」というのが結論でございます。  これにつきましての大蔵大臣のお考えを伺いたい。
  259. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 昨年夏に小渕内閣が成立いたしましたときに、当面の事態に対して、松岡委員も御記憶のように、それまで財政再建というものも一生懸命やってきた。景気もどうにかしなきゃならない。二つの路線を追ってきたが、きちっと考えると、二兎を追うということはこの際やっぱり無理だ、この際とにかく不況脱却ということを専心に心がけよう、こういう決心を総理大臣がされまして、今までの財政再建ということはしばらく、永久にではございません、棚上げをして、不況脱却に全力を注ごうという努力を私どもはきょうまで続けてきました。  私どもにしてみると、財政の再建も経済がうまく動かなければしょせんできないことでありますから、プライオリティーはやはり不況の脱却に置くべきだときょうまでやってまいりました。若干の効果は上げてきたと思いますし、これからの展望も決して悪くはないと思っております。その延長線上におきまして、筆者の言われる財政再建等々のことをしなければならない。そういう考え方の違いについて筆者が意見を述べられたものと了解いたします。
  260. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今まで国家財政にかかわってこられた方の御意見だけに私は大変な重い受けとめ方をしておるわけですけれども、やはり今後の財政再建について、どういう方向に行くんだという形の一般の国民皆さん方に対する現状と将来、確かに増税するか歳出削減するかしかないわけなんですね、基本的に。そういうことについてのPRといいましょうか、今のうちからきちっとしたお話をされるべきじゃないかというふうに思うんです。
  261. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 国会でそういう御議論がありますことは私は非常にありがたく思いますし、またごもっともなお話をしていらっしゃると思います。  願わくば、国民の中にもう少し雇用の不安が少なくなって所得も少しずつは伸び始めたというときには、これからの話をぜひ国民に聞いていただきたい。そのときには国民にも聞く耳を持ってもらえるだろう、早くそこまで行きたいと念願しております。
  262. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 御苦労はよくわかりますし、頑張っていただきたいというふうに思います。  深谷通産大臣、WTOは大変御苦労さまでございました。私は、実は鉄鋼労連政策フォーラムの代表をやっておりまして、七十二人ほど衆参両院の議員さんがおられるんですけれども、十月の終わりに、大臣はお留守でしたけれども、例のアメリカの鉄鋼のアンチダンピング逆提訴の問題につきましてお願いに伺いました。その後、外務省、通産省とも足並みをそろえられて、政府としてしっかりした形で逆提訴に踏み切られたわけでありまして、その御努力には心から敬意を表したい、感謝を申し上げたいというふうに思います。  ただ、御存じのように、熱延以外にも厚板、それから冷延鋼板、そしてH形鋼、ほとんど主力品種が全部提訴されておるわけです。昨日、溝手議員が御質問をなさったわけでありますけれども、アメリカは御存じのように鉄鋼労連を中心にかなり政治的な動きをいたしておりますので、最後まで何とか頑張っていただきたい。決してアメリカに対してむちゃくちゃな輸出を日本はしたわけじゃないわけですよ。要するに、向こうが好景気過ぎちゃってその分をこっちが持っていったというだけでありますから、断固たる姿勢で貫いていただきたい。その御決意とこれからの見通しをお伺いいたしたいと思います。
  263. 深谷隆司

    国務大臣(深谷隆司君) 松岡委員を初めとするこの問題に非常に深い関心を持つ皆さんからしばしば御意見や陳情といいましょうか、陳情という言葉は余りあなたには向いていないかもしれないんですけれども、お声がありました。  アメリカが行っているアンチダンピングについて、私たちもかなり慎重には見詰めてきたわけでございます。つまり、WTOに提訴して勝てるのかと。一番の問題はやっぱり勝てるという自信がないといけない。そのために徹底して調査をしたり、あるいは検証してみようではないかということでありましたが、私は熱延鋼板に関していえば、間違いなく勝てるという自信を持ったものでありますから、先月の十八日にWTOに提訴することを決意いたした、そして提訴したわけでございます。  恐らく一月に二国間協議が行われると思います。これはアメリカと対決するというようなそんな感覚でなしに、まさにどちらの主張が正しいのかということを粛々と議論し合っていこうというふうに思っております。この二国間協議で解決できない場合には、御案内のようにパネル協議に移っていかなければならないというふうに思っております。  また、他の品目についてでありますが、アメリカのアンチダンピング調査手続を注目しまして、これからその調査結果が出た場合にWTOとの整合性を検討しながらきちっとした対応が必要な場合には果敢に挑戦をしていかなきゃならないなと思っています。  それから、立ったついでで申しわけありませんが、WTOのこの間のシアトル会議では明らかに私どもの主張が圧倒的多数の支持を受けておりました。つまり、アンチダンピングの乱用が正常な貿易関係を乱す、しかもそういう傾向があるというようなことを多くの国々、とりわけ途上国も懸念をしておりまして、圧倒的多数が我々の主張に同調してくれていたというのが現実であります。  私は、この間のWTOはあのような形で凍結されましたが、外務大臣も申し上げておりますように、あのままの形で次のラウンドに進むということになっておりますから、あの間の各国とのバイ会談を含むさまざまな御支持をいただいた声というのはそのまま生きていくのではないかと期待しています。
  264. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 WTOの雰囲気も大分変わってきたようでありますけれども、やはりかなりアメリカがむちゃくちゃなことをしているということも事実であります。ただ、政府・与党としてもアメリカとの関係は非常に苦慮するところが多いと思いますけれども、やっぱりきちっと筋を通していただきたいと要望いたしまして、通産大臣の方は終わりたいと思います。  自治大臣の方に伺いますけれども、せんだって地行でもちょっとお話ししたんですけれども、なかなか景気対策で地方自治体はいろんな事業をやってきて、もうのみ込めなくなっちゃってきている、厳しい状況になってきているんです。それをのみ込みやすい方法がとれぬだろうかという話をこの前もちょっと申し上げて、消防庁舎の例をちょっと申し上げたと思うんです。  早くから、三十年前から広域市町村圏でやってきて、広域消防とか福祉とか医療とかなれてきているわけです。確かにこの前、防災の町づくり、そういう制度もあるということでありますが、やはり起債だけではちょっとやり切れないという部分があるので、もう一工夫、地元が気持ちよく将来の合併とか広域行政に向けて頑張れるような後押しを自治省としてもお考えいただけたらと、重ねてひとつ大臣のお考えを伺いたいというふうに思います。
  265. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) かねてから委員、消防の問題について大変御関心をお持ちいただきまして、ありがたく思っております。  今の消防の問題は、自治体消防になっておりますので、基本的には自治体の事業として充実強化を図っていくということだろうと思います。ただ、最近の自治体の姿を見てみますと、これから先いろいろな事業をやるに際しまして、広域化ということが非常に叫ばれておる。それで、私のところでもそうでありますけれども、広域化したことによって廃棄物処理とかそういうものがスムーズに行われる体制が整ってくるということで、町村合併というのが地方分権一括法の裏側の精神として出てくるわけであります。  その中に、消防の問題につきましても、広域になりますと広域に消防自動車が走り回らなきゃなりませんから、そういう意味で防災まちづくり事業というのをつくりまして、現在のところは交付税の措置が中心でありますが、そこにも現在の段階でも補助金を少しつけているというようなことであります。  しかし、これから先、広域的な消防体制を整えていくということについては、十分委員のお気持ちを体して私どもも努力していかなきゃならぬと思っております。
  266. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 大臣も御存じのように、消防での出動というより救急搬送が今大半なんです。しかも、その搬送される人の半分が六十五歳以上なんです。だから、やっぱり福祉の問題も絡めて何とか自治体の方が、庁舎はちょうど三十年前に建てたのが建てかえの時期にみんな来ているんです。五万ぐらいの市でもやっぱり二十億ぐらいかかりますので、庁舎ということになると。だから、そういう防災町づくりだけじゃなくて、福祉も考えて何か知恵を出していただきたいと重ねて御要望申し上げます。
  267. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 自治省の立場としては、財政的には交付税を中心に御支援をしているということでありますが、大蔵大臣も今お聞きでございますから、国としても何かできないかということはお願いをしていかなきゃいかぬと思っております。
  268. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 済みません、時間を超過しまして。  ありがとうございます。
  269. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で松岡滿壽男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  270. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、西川きよし君の質疑を行います。西川きよし君。
  271. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いいたします。  私の方からは、去る九月に茨城県東海村で起きました核燃料加工施設事故に関連いたしましてお伺いをしたいと思います。  今回のこの予算案を拝見いたしますと、核燃料加工施設事故にかんがみまして、原子力安全・防災対策の強化を図るということで、関係をする各省庁に予算が計上されておられます。この予算措置の趣旨について、まず大蔵大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。
  272. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 大蔵大臣ですか。
  273. 西川きよし

    西川きよし君 はい。いや、政務次官でも結構でございます。できれば政務次官にお伺いできますか。
  274. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 科学技術庁長官ではないでしょうか。いいですか。科技庁長官ではなくていいですか。
  275. 西川きよし

    西川きよし君 いえ、予算でございますので。
  276. 林芳正

    政務次官林芳正君) お答え申し上げます。  今回の予算資料を見ますと、核燃料加工施設事故にかんがみ原子力安全・防災対策の強化を図るということでございますが、今、先生御指摘のように、去る九月三十日に発生した大変大きな事故の経験にかんがみまして、万が一の際に備え、政府や地方自治体における緊急時の対応、態勢の整備や再発防止策の強化等を図る観点から、必要な経費を計上しておるところでございます。  参考までに申し上げますと、今お話があったとおりでございますが、原子力災害対策経費に八百四十三億円、これは放射線監視装置、防護資機材の整備、安全対策強化等でございます。その他、社会資本整備費のうち二百九十七億円がオフサイトセンターの施設整備等、電源開発の特会におきまして三十億円ほど、災害対策支援ロボットの開発、こういうものが含まれておるところでございます。
  277. 西川きよし

    西川きよし君 私は、まず政務次官に御答弁をいただけたらと言ったら、そのときに大蔵省の方から、大臣がおりますので大臣にさせてくださいということでございましたものですから。どうも御無礼しました。  今回の事故の際、大変に残念なことでありますが、聴覚に障害のある方々に対して屋内への退避要請などの情報が伝わらなかったという事態がございました。この事態の事実関係について政府参考人の方から御答弁をいただきたいと思います。
  278. 間宮馨

    政府参考人(間宮馨君) 御説明申し上げます。  今回の事故の対応につきまして、例えば東海村におきましては、介護サービスの協力を得て、村の職員が聴覚障害者を各戸訪問するなど避難等の支援を行い、また他の自治体においても、自治会、町内会レベルで情報伝達等の対応が行われるなど、地域レベルでは可能な限りきめ細かく対応を行っていたと認識をいたしております。
  279. 西川きよし

    西川きよし君 災害時におきまして聴覚・視覚障害者の方々に対していかに迅速に的確な情報をお届けするかということは、平成七年の阪神・淡路大震災のときにも大変大きな問題となりました。そして、平成七年十二月には災害対策基本法が改正されまして、障害のある人などに対する事項が新たに規定されたわけです。また、防災基本計画の原子力災害対策編の中でも、地方公共団体はお年寄りや障害者など災害弱者を適切に誘導、避難させる、地域住民、自主防災組織などの協力を得ながら避難誘導体制の整備に努める、こうされております。  しかし、今回のような事態が起こったわけですから、今後はこのことを教訓にいたしまして、そして改めて関係省庁、地方自治体との連携のもとで災害弱者対策を私としては本当に徹底していただきたい、こういうふうに思うわけですけれども、中曽根長官の方に御答弁をいただきたいと思います。
  280. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 災害時の弱者対策は大変重要なことでございます。視聴覚障害あるいは寝たきりの方々はどんなに不安が多いことかと、そういうふうに思っておりまして、こういう方々に対する体制というのは日ごろから十分に準備をしておかなければならない、そういうふうに思っております。  今回の事故におきましては、今、局長から答弁いたしましたけれども、東海村におきましては村の職員が介護サービスの協力をいただきながら避難誘導等を行いましたし、近隣の町村におきましても自治体等の御協力で避難が行われたわけでありますが、大切なことは、日ごろからどの地域にどういう障害をお持ちの方がおられるかということを十分自治体が把握し、そしてそういう方々に対して緊急時にはだれがどういうふうに避難の誘導なり支援をするかということを決めて訓練を行うことだと思います。もちろん御家族は当然でありますけれども、そういうような体制を日ごろからとるということが大変大事だと思います。今回の反省から、東海村に限らず、全国のいろいろな地域において今後そういうような整備を行ってもらうよう、私どもも指示、お願いをしておるところでございます。
  281. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございます、御丁寧な御答弁をいただきまして。  今、大臣もおっしゃっておられましたけれども、地域によりましては本当にどちらの方向を向いてお年寄りがお休みになっているかという細かいところまで調査をしておられるところもございます。そして、最近の福祉機器などの開発によりまして、お年寄りや障害者側からの緊急時の通報、こういう分野におきましてはかなり整備が行われているわけですけれども、しかし一方、今回のように、災害など緊急時に聴覚・視覚障害者に対して知らせる情報提供体制の整備、こういう部分ではまだ大変におくれているといいますか、大きな課題となっております。  今後、原子力災害対策におかれましても、こうした点について、一つの省庁とかいうような、厚生省とか科学技術庁というようなことではなしに、ひとつ積極的な研究、検討をお願い申し上げたいと思います。  もう一度中曽根長官に御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  282. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今、委員お話ございましたように、緊急時の連絡体制といいますか、通信機器といいますか、障害をお持ちの方からの連絡するようなものはあるようでございますけれども、障害をお持ちの方に対してどういうふうにして連絡するかということは非常に大切なことです。防災無線もありますけれども、今回、東海村では家の中、家の外に防災無線で連絡が行われましたけれども、聴覚障害の方にはそれが届かないわけでありまして、今後どういうものが可能かということは、お話しのとおり、関係各省よく相談してそういう機器の開発あるいは可能な設備について検討をやっていきたいと思っております。
  283. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。
  284. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で西川きよし君の質疑は終了いたしました。(拍手)  速記をとめて。    〔速記中止〕
  285. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。     ─────────────
  286. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) これより締めくくり質疑に入ります。直嶋正行君。
  287. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。  きょうは私、雇用問題について総理を中心に幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。  私は、今、日本最大課題の一つがこの雇用の問題だというふうに思うんですけれども、特に近年失業者が急増いたしております。  まず、この点について現在の小渕総理の御認識をお伺いしたいと思います。
  288. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 政府は、九〇年代に入りまして以降累次の経済対策を講じてきたところではございますが、これら対策については、バブル崩壊後の民需の落ち込みを相殺する形で景気がスパイラル的に悪化していくのを防止し、景気及び雇用の下支えに貢献してきたものと考えております。  とりわけ、本年六月、雇用対策及び経済の供給面における体質強化に思い切った対策が必要であるとの観点から、緊急雇用対策及び産業競争力強化対策を取りまとめ、深刻な雇用情勢に対する対応として、第一次補正予算の迅速かつ適正な執行に努めてきたところでございます。  雇用情勢は依然として厳しい状況にあるものの、これらの政策効果の浸透などから、最近の我が国経済は緩やかな改善が見られるに至っております。こうした状況のもとで、今回の経済新生対策において雇用対策として種々の政策を打ち出しておるところでございます。地域特性を生かして雇用機会の創出等を行う先導的な中小企業への支援、大規模なリストラの実施により大きな影響を受ける地域における雇用創出、中小企業の発展を担う人材の育成などの施策を盛り込んでおるところでございます。  政府としては、これらの諸施策を強力に推進し、雇用不安を払拭しつつ、公需から民需への円滑なバトンタッチを図り、我が国経済を早急に本格的回復軌道に乗せてまいりたいと考えております。  御指摘をいただきましたように、戦後といいますかここ十数年、雇用に関しましては失業率が非常に低下しておったということでありますが、残念ながら、バブル以降の経済の落ち込みによりまして日本としては高い失業率、これを解消しなければならない、適切な施策を講じなければならない数値にまで達しておるわけでありまして、冒頭申し上げましたような諸施策を通じ、できる限りこの失業率を低くするための努力をいたしていかなきゃならない、このように考えておる次第でございます。
  289. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、総理がお話しされましたように、九〇年のバブル崩壊以降の不況、この中で今日まで不況を長期化させてきた、このことが総理も今いみじくもおっしゃったように失業問題を非常に深刻にさせた。私は、この点についてはやはり政府の責任は非常に大きいと思うんですけれども、総理、この点はいかがでございましょうか。
  290. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 御指摘いただきましたように、九〇年代に入る前後、余りにも日本経済が膨張し、いわゆるバブルと称せられるような状況でございましたので、そういった点におきましては、当然のことながら失業する人も極めて少なかったということであります。  その後、バブルが崩壊して以降の状況におきまして、失業率がある意味では上昇いたしてまいりましたので、それに適時適切に歴代内閣も対処いたしたのではあろうかと思いますけれども、残念ながら四%台にまで上がらざるを得なかったということでございまして、手が遅かったと言われますと、それは失業率を低目に抑えられなかった。それは、よってもって来る原因の多くは、日本の経済そのものがまさに低迷をしておるという状況でございまして、政府としては、適宜適切に努力はしてきたと思いますけれども、こうした数値が出てきたことに対しては反省をいたさなきゃならぬ、こう考えております。
  291. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、政府としては努力をしてきた、しかし反省点もある、こういうお話だったんですが、もうちょっと詳しく言いますと、失業率が三%を超えたのが平成七年なんです。そこからはずっと三%台が九年まで続いていたんです。ところが、九年の大増税、消費税アップを初めとする大増税と金融危機、それから財革法、こういう一連のことが重なって一気に失業率が四%を超えた。  この間、今申し上げたように、その七年から九年の間というのは、確かに小渕総理になってから雇用対策をいろいろさっきおっしゃったようにおやりになっているんですが、それまではほとんど見るものがなかった。だから、さっき総理もおっしゃったように、この政府の対策のおくれがやはり今日の深刻な状況をもたらしておる、こういうふうに思うんですけれども、総理もさっき反省もしているというふうにおっしゃったんですが、この点、ちょっと受けとめを確認したいと思うんです。
  292. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 委員指摘のとおり、現在の失業問題、非常に高率でございまして、四・七%前後というのを、数年前まで皆さん方が安心して働いておれた三%台、今はフリーターも多うございますから、何とか三%後半、それくらいに最大の努力をしたいな、こういう形で諸般の努力をいたしているわけであります。第一次、第二次、第三次と、第三次につきましては、今回の補正予算で諸般の政策について御審議をお願いしているところであります。
  293. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、大臣から、三%台後半という数字も挙げながら努力しているというお話があったんですが、残念ながら小渕総理になってからの雇用対策も目に見える効果を出していないんです。まだ御承知のように四・六%と高どまりしている。  この中で、今雇用保険の財政が非常に深刻な状況になっているんです。ですから、私はここで、やはりこれから大企業のリストラ計画がメジロ押しである、こういうことを考えましても、この雇用保険の今の深刻な状況というのは何とか手を打たなければいけない、こう思うんですけれども、総理はこの雇用保険の今の状況というのは御認識されておられるのでしょうか。
  294. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 雇用保険の現状につきましては、昨年から赤字状態が続いてまいりまして、ことしで申しますと、収入は一兆七千億円、支払いが二兆七千億円ということで九千億円、一兆二千億円の赤字が続く、こういう状況になっております。たまたま、これはフローの数字でございまして、ストックからそれぞれ九千億円、来年は一兆二千億円ということを考えて、今安定審議会で、今の千分の四ともに払う、政府の一四%の負担はいいかと鋭意検討していただいておりまして、各界の御意見をまとめていただきまして、それに基づいて対策を講じたい、こう考えております。
  295. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 委員指摘のように、失業等給付関係収支状況というのを詳細に見ますと、五年度段階に比べまして非常に積立金残高が減少して、ある意味では危機的といいますか、この状況をこのまま看過してはおけない、こういう状況になっていることは承知いたしております。
  296. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それでは、総理にぜひ申し上げたいのですが、今、労働大臣からもそれについて検討しておる、こういうお話があったのですが、今の雇用保険財政はもう非常にぎりぎりのところに来ていますから、この状態ではセーフティーネット、これは明らかにセーフティーネットですから、その機能を果たせないんじゃないかと私は思うんです。  ぜひこれは、これから料率をどうするかとか、あるいは国庫負担を制度としてどうするかという議論議論としまして、政府として早急にこの特別会計の方にある程度まとまった資金補てんをしていただかないと、今これに対する信頼がどんどん揺らいでいる、このように受けとめているのですけれども、ぜひこの点、総理にもお願いを申し上げたいのでございますけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。
  297. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今次補正予算におきましても、雇用保険の失業給付の不足額の確保のために一千七百億円強を計上しております。これによりまして、十一年度における失業給付の支給に支障を来すことはないと考えております。  今後のセーフティーネットとしての雇用保険制度のあり方につきましては、現在、労働省の関係審議会において給付と負担の両面から検討が進められていると承知をいたしており、雇用保険の安定的な運営を確保するために、審議会における検討結果も踏まえまして所要の措置を講じてまいりたいと考えております。
  298. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、審議会で総理がおっしゃったように検討されているんです。これは、これから制度をどうしようかというお話、制度的にどうするか。  私が申し上げているのは、その結論は結論として、緊急的にここで雇用保険にお金を補てんしていただかないと、総理が今おっしゃったように十一年度は何とかなる、しかしそこから先はどうなんだ、こういうことが今非常に心配になっているわけでして、この点をお願い申し上げているわけなんですけれども、いかがでございましょうか。
  299. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 先ほど御答弁いたしましたとおり、年内に実は審議会から返事をいただくことになっております。これを踏まえまして、来年度具体的にどういう対策をとるかということを決定しお願いいたしたい、こう考えております。
  300. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だから、私はその前にお願いしたい、こういうふうに申し上げております。  要するに、来年出しても再来年からなんです。今切れるか切れないかというところで放置したままなんです。そのことを申し上げているんですが。
  301. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 来年の予想としましては、まだストックから充当いたしまして、ほとんどなくなりますけれども、目鼻がついておりますので、来年の予算できちっとその辺を整理すればセーフティーネットのあり方等につきまして御心配をかけることはない、こう考えております。
  302. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、労働大臣から来年の予算でセットすればというお話があった。ぜひその予算できちっと対応していただきたいんです。ことしのように補正予算を組まなきゃいかぬとか、こういうことになると本当に穴があくわけですから、よろしくお願いしたい。  それから、もう一点ちょっと労働大臣に御指摘させていただくと、この計画の失業率が常に今狂っているんです。ことしは、最初四・三と見ていたのが今四・七、経済企画庁のこの間の見通しだと四・七になっていますから、そういうことも含めてまとまった予算措置をぜひお願いいたします。
  303. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) ただいま失業対策を含めまして雇用対策、考えられる手段は皆取り上げてやっておるわけでありまして、何とか景気回復と並行して失業率が落ちるというために最大の努力をいたす。そうしますと失業保険の支払い額は減るわけでありますから、果たして期待できるかどうか何とも言えませんが、いずれにしても、セーフティーネットというこれに傷がつくことのないように万全の措置をとらせていただきたい、こう考えております。
  304. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと頼りないんですけれども、今の期待できるかどうかわかりませんがなんて。お願いしますよ、労働大臣。ちょっともう一回答えていただけませんか。本当にまとまってきちっとやってくださいよ。まとまったお金ですよ。
  305. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) ただいま申し上げましたとおり、一応来年の支払いについては御心配ない、こう考えておりまして、そういうことも念頭に置きながら、年内に結論を得まして諸般の措置をとらせていただくつもりです。
  306. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっとさっきの話と違うんですよね。私が言っているのは、今雇用保険にまとまったお金をきちっと充当してくださいと。常に労働省の見通しは狂っているんですから。それは使うかどうかわかりません、大臣もおっしゃるように、政策効果があらわれれば必要なくなるわけですから。それをお願いしているんです。
  307. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 今御審議いただいております補正予算で千七百億円のお金を労働保険特別会計の方に入れようということで御審議をいただいておりまして、今直ちに足りないということではなくて、今までのいろんな関係から、まず千九百億円きちっと納めておこうと。これも一つの安心感を持っていただく準備段階でございまして、来年のことを考えて、先ほど申しましたとおり、料率をどうするか、根本的なものを含めまして結論を出させていただき、御審議をちょうだいいたしたい、こういうことでございます。
  308. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、労働大臣はああいうふうにおっしゃったんですが、このぎりぎりの段階になってきて穴があくかあかないか、今年度も補正予算で補てんしなきゃいかぬ、こんな段階になってきてこれからどうしようという議論審議をしているんです。  総理、これをちょっと振り返りますと、平成四年度に大幅な黒字だということで一度これは国庫負担も含めて軽減しているんです。このことは総理は御存じですよね、もともとの二五%を軽減したということは。いかがですか、それは。よろしいですか。
  309. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) そうした経過があったことは承知いたしております。
  310. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと古い話を繰り返すようで恐縮なんですが、ここから先はぜひ総理に聞いていただきたいんです。  その後、財革法が成立しましてもう一段下げたんです。ですから、今国庫負担は二五%だったのが一四%になっています。財革法は凍結されましたね。ところが、どういうわけか知りませんが、この雇用保険の国庫負担だけはそのままに置かれているんです。  これは、小渕総理になられた去年の八月の閣議でこのことを確認されているんですよ。私はこれは大変なミスだと、今日のこの財政悪化をもたらした非常に大きなミスだというふうに思うんですけれども、この点も御認識されていますか。──いや、これ総理ちょっと答えてください、後で労働大臣にお聞きしますから。
  311. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 労働大臣に担当大臣としてお答えをさせて、総理に答えてもらいますから。
  312. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) ただいま御指摘国庫負担等を含めての料率につきましては、保険法にきちっとした規定がございまして、給付費の二五%をこれは政府が責任を持つと。それから、平成四年、五年に保険料率の引き下げに合わせて、それぞれ二二・五%、二〇%に引き下げられました。さらに、昨年四月から国家財政の状況や積立金になお余裕がある状況平成九年度末三兆九千億円がストックとしてございました。これを踏まえて、国会における雇用保険法改正の御審議を経て国庫負担率がさらに引き下げられ、現在一四%になっている、こういう現状でございます。
  313. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今、労働大臣がお答え申し上げましたように、確かに国庫負担率の引き下げということが行われたわけでございまして、そういう意味で、まず失業率がこういう段階になって、雇用保険法の制度を維持するに大変難しい状況のストックになってきておるという状況の中で確かにそうした引き下げが行われたということでございまして、引き下げが行われれば当然積み立ては少なくなるわけでございますので、そういった点では、今日のこの失業率というものにかんがみまして、引き下げた結果この保険制度を維持するに当たっての余裕がそれだけ少なくなったことは事実でありまして、確かにこの引き下げについての議論というものについては、当時十分議論がなされてこうした措置を講じたものとは思いますけれども、結果的に見ますと大変厳しい雇用保険の財政になっておるということは、これは承知をせざるを得ないと思っております。
  314. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、私が申し上げているのは、その引き下げたことを小渕内閣として閣議で確認されてそのままにされている、このことが大変な判断ミスじゃないか、こういうふうに申し上げているんです。これはお認めになりますね。
  315. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) ですから、こうした失業率が依然として高くなってくるということの想定をあらかじめするわけにもいきません。したがって、そういう意味で結果的にこうした高い失業率にならざるを得なかったこと、そのことによって、失業者がこの保険を利用してセーフティーネットとしての意義を、十分これがそうした失業された方々が利用されるということの数値が、今日になりまして結果的に見ますると大変財政を厳しくしたということについては、見通しといいますか、を誤ったといいますか、そういうことにならざるを得ない。  しかし一方で、経済対策を講じて一日も早く景気を回復して雇用を確保していこうという努力をしている中で、タイムラグといいますか、そういうものが現実には起こっておるということは、これは認めざるを得ないと思っております。
  316. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いや総理、今、先どうなるかわからなかった、こういうふうにおっしゃるんですが、去年の八月の失業率は四・三%なんです。四・三%の失業率のときに小渕内閣はそのままにするということを決められた。もうかなり悪化した状況なんです。このときに本当に労働省はどういう判断されたんですか。それを答えてください、労働大臣
  317. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 失業率、御承知のとおり、四・六、七%になりましたのは実はことしの一、二月からでございます。あらゆる措置を政府全体として講じておったわけですが、やはり景気が低迷し、失業率が上がったということで……    〔直嶋正行君「去年の八月に四・三%のときに一四にしたんですよ」と述ぶ〕
  318. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 直嶋君、私語での質問は慎んでください。
  319. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) ことしの、私が申し上げておりますのは、四%後半に入ったのはことしの一、二月からでございます。そして、このような収支の問題が出てきたわけでありまして、そういう意味から昨年来積極的な雇用対策をとっている、ベストを尽くさせていただいて何とか失業率が落ちるように、少しでも皆さんが喜んで新しい働き場所を見つけることができるように、こういう最大の努力をいたしておりまして、その効果を期待いたしている、こういうことであります。(発言する者あり)
  320. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 直嶋君、もう一度聞いてください。
  321. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 労働大臣、去年の八月に閣議了解で保険料率を一四%に下げたままにするということを確認されているんですよ。そのときに四・三の失業率だったんです。そんな高い失業率のときになぜそういう判断したんですか。それをお聞きしているんです、私は。
  322. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 四%後半にまで失業が落ちるということはあの時点におきましてはまだ想定をいたしておりませんでした。景気が悪いということはよく承知いたしておりまして、政府全体としてその効果が上がる、結果的に失業率も下がっていく、こういう期待を持って施策を講じたわけでありまして、これがことしいっぱいずっと続いているわけでありまして、したがってこれを落とすために最大の努力をさせていただく、こういうことであります。
  323. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 総理、今お聞きになったとおりですよ。こんなに失業率が上がると思っていなかったとおっしゃる。これは明らかに判断ミスじゃないですか。政策ミスですよ。このことをよく認識してほしいんです。  両面であるんです。政策もそうだし、おくれたし、今の雇用保険の財政のこの問題でも小渕内閣は残念ながらその出だしのときに判断ミスを犯しているんです。このことをよく認識していただきたいんです。いかがですか。
  324. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) まず、この内閣はそうした失業を増加せしめないというための緊急な経済対策を打たせていただきまして、努力をいたしましたが、にもかかわらずこうした数字になっていることにつきましては、なお努力を傾注しなきゃならぬと思っております。  ただ、ここに数字をちょうだいいたしまして、先生も御専門ですから御案内と思いますけれども、失業等給付関係収支は、五年において四兆七千五百二十七億ということで、差し引き剰余金もありましたし、九年度の段階では、なるほど減少しておりますけれども三兆八千九百七十五億円のストックがありまして、急速にこれが十一年度で一兆一千億の差し引き剰余になり、十二年度につきましてもこれはかなり厳しい状況という判断をいたしておりました。したがって、九年度の段階での状況におきましては、この制度そのものもまだ数字的にはかなりの余裕がある、こういう認識をしての引き下げということに相なったんだろうと思います。  先ほど申し上げたように、結果的には、急速に失業率が増加して、そのためにこの制度そのものの危殆に瀕するような今事態に相なっておるという状況につきましては、先ほど申し上げましたように、何といっても経済が十分な回復を遂げておらないために起こった失業ということが大きく影響しておるわけであります。  両面の対策を講じ、結果的にはこの失業の保険制度というものがあればこそこれは安心し、かつセーフティーネットとなっておるわけでございますから、その制度がその意義を十分あらしめるような政策は随時これからとっていかなきゃならないということは当然と考えております。
  325. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、総理は九年度ごろをこの表を見ておっしゃったんですが、私が今申し上げているのは去年の八月ですからね。このことをまずよく御認識していただきたい。そのときにもう追認しているんですよ。そのときの失業率は四・三なんですよということを申し上げている。  ですから、政策をいろいろやってきたとおっしゃっているんですが、政策を打つのも遅かったし、その効果が出るまでに時間がかかりますから、ですからその間に政府としてそういう判断ミスもされている。  だから、ここのところは、今雇用保険のあり方についてはいろいろ議論されていますが、急激な形で、例えば労使に負担を高くするとか極端に給付を下げるとか、そういうことはぜひしてほしくない。こういう背景の中で今日の状況に至ったんだ、このことを御認識いただいて、やはりマイルドな形で雇用保険財政が立ち直っていけるように、そしてセーフティーネットとしての機能を果たすことができますように、総理に再度重ねて御要望申し上げたいんですが、よろしくお願いします。
  326. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 雇用保険制度は労使の保険料負担及び国庫負担によって賄われておるのでございますのですが、いずれにしても、国としての責任責任として果たしていかなきゃならぬ、こう考えております。
  327. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 あとちょっと労働者保護法についてお伺いをしたかったんですが、私の時間がもうほとんどなくなってしまいました。それで、最後に総理に一点だけ御確認をさせていただきたいと思います。  先日も私、代表質問でちょっと申し上げさせていただきましたが、この数年政府は、企業環境変化に対応できるように、会社の分社とかあるいは子会社化とか持ち株会社とか、そういうものが円滑にできるようないろんな法制を整備されてきました。しかし、残念ながら労働者側の受け皿については全く法的な面がないんですね。ですから、このことを質問で申し上げましたところ、政府としては検討していくという御返事を賜っておりまして、今日の状況についてちょっと総理のお考えを確認させていただきたいと思います。
  328. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 企業組織の変更に伴う労働関係上の問題につきましては労使間で十分話し合うことが基本であると考えておりますが、政府といたしましては、さきの通常国会における産業活力再生特別措置法に対する附帯決議も踏まえ、企業組織の変更に伴う労働関係上の問題の対応につきましては必要な検討を進めてまいりたい、こう考えております。
  329. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私の質問はこれで終わりまして、同僚議員の櫻井議員に関連質問をお許しいただきたいと思います。
  330. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 関連質疑を許します。櫻井充君。
  331. 櫻井充

    櫻井充君 民主党新緑風会櫻井充です。  小渕恵三首相が代表である未来産業研究会が政治資金規正法違反であると告発されております。その点についてお伺いさせていただきます。  政治団体恵山会、恵和会、恵友会とそれから総理の御関係についてまず御説明いただきたいと思います。
  332. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 政治資金規正法を所管いたしておりますのは自治省でございます。本来は政府委員が答弁をいつもしておりましたけれども、お許しをいただいて、この所管をする自治大臣から御報告をしていただきたいと存じます。
  333. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 政治資金報告書をいただいております自治省として、事実関係について御報告を申し上げたいと思います。  恵山会、恵友会、恵和会及び未来産業研究会の四つは政治団体として届け出をいただいております。小渕恵三氏にかかわる政治団体として届け出をいただいております。
  334. 櫻井充

    櫻井充君 この政治団体三つ、恵山会、恵友会、恵和会はどのような政治活動をしてきたんでしょうか。
  335. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 三つの団体はそれぞれ、昭和五十一年二月二十七日、恵友会、平成三年十二月十三日、恵山会、恵和会に政治資金規正法に基づく政治団体の設立の届けがなされ、以後毎年、同法に基づき、そのそれぞれ政治資金収支報告書の提出がなされたものと聞いております。  それぞれの団体の活動の詳細につきましてはすべて承知をいたしておりません。すべて承知しているわけではありませんが、以前から私の政治活動を支援してもらっておる、こう聞いております。
  336. 櫻井充

    櫻井充君 未来産業研究会の事務担当者、女性の方がいらっしゃいますけれども、この女性の方が恵山会、恵友会、恵和会、いずれも事務担当をしております。この事実は間違いないでしょうか。
  337. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 届け出のまず事実関係を、保利自治大臣
  338. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 届け出をいただいております自治省として御回答を申し上げます。  未来産業研究会の事務担当者は山口さんという女性であります。それから恵山会の事務担当者は山口さんであります。それから恵友会の事務担当者は山口さん、それから恵和会の事務担当者は山口さん、同一人でございます。
  339. 櫻井充

    櫻井充君 同一の方なんですよね。どうやって政治活動を行うんでしょうか。
  340. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 櫻井君、どなたへの質疑ですか。
  341. 櫻井充

    櫻井充君 総理にお願いします。
  342. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) それぞれ適切に対応しているものと思いますが、私の団体ではありません。
  343. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、今回、この告発の中にあります寄附者の目録がございますが、この七人の方、寄附している方七人ございますけれども、この方々を皆御存じでしょうか。総理にお伺いします。(発言する者あり)  ここで告発状の個人名を出してもよろしいんですか。
  344. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  345. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  346. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、例えばですが、恵友会の支出内容について、平成九年の三月二十八日に出されているものですが、政治活動費として一千万計上されていますが、すべて寄附、交付金でございます。事務費それから人件費等一切ございません。これで政治活動がきちんとして行われているんでしょうか。自治大臣でも結構です。
  347. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) けさほどお答え申し上げましたとおり、設立趣意書の中に政治活動を支えるということで、政治活動をするというお届けがあります。
  348. 櫻井充

    櫻井充君 人はそれではボランティアでも結構でございますが、恵山会の場合にはビルも借りております。ビルというか、ビルの中の一室を借りております。こういう場合はどうなるんですか。
  349. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 自治省としては内容のそれぞれについて調べる権能を持っておりません。
  350. 櫻井充

    櫻井充君 では、そうしますと、この政治団体の推薦人になっておられる小渕首相としてはどう考えられますか。
  351. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 櫻井充君、もう少しはっきりと質問してください。
  352. 櫻井充

    櫻井充君 政治団体恵山会というところは未来産業研究会の隣の部屋にございます。ここは女性の事務員がおりまして、電話番号も共有なんですけれども、部屋だけ別でございます。しかしながら、事務費、人件費等に関しては恵山会から一切その支出報告の中にはございません。  こういうふうな場合には政治活動として果たしてきちんとしたものをやっていると認められるのかどうか、そしてその政治団体を推薦された方としてこういう場合はどう考えられるのかについてお伺いしたいと思います。
  353. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 政治活動をする旨ににつきましては先ほど申し上げましたとおり規約の中に書いてございますから、それを私どもとしては受理をいたしております。  さらに、今お尋ねの実質的に政治活動をやっているのかどうかという判断等については、自治省はいたしておりません。なぜならば、政治活動の自由というのは守られなければいけませんから、政府機関が中をチェックするということについては私どもは差し控えているわけであります。
  354. 櫻井充

    櫻井充君 だから、管理していない人が答えてもしようがないので、僕は総理に聞いているんです。
  355. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  356. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  357. 櫻井充

    櫻井充君 済みません。じゃ、恵山会という政治団体がございまして、これは未来産業研究会、総理の政治資金管理団体でございますが、その部屋の隣にございます。事務担当者は同じ女性で電話番号も同じなんですけれども、この恵山会から要するに事務費それから人件費等の支出が一切ございません。ですから、こういう場合はどこから事務費を持ってきて、そして活動されているのか、そのことについて推薦人の方としてどう考えられるかということをお伺いします。(発言する者あり)推薦というか、その団体を、被推薦、済みません、被推薦。要するにその団体に関連される方としてどう考えるか、お伺いしたい、支援を受けている方として。  それではちょっと視点を変えまして、個人献金というのは百五十万円までというふうになっているはずでございます。なぜそれは百五十万までというふうに決められているんでしょうか。
  358. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 国会でお決めをいただきました政治資金規正法に基づいております。
  359. 櫻井充

    櫻井充君 その理由を聞いているんです。その理由をお答えください。
  360. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 私がお答えする立場にはないと思います。(発言する者多し)
  361. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  362. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  363. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) なぜ百五十万円を限界とするかというその理由についてのお尋ねと理解をいたします。  無制限に政治団体に対して献金をするということを禁じようということで制限が設けられたものと思います。
  364. 櫻井充

    櫻井充君 なぜ制限をつけなきゃいけないんですか。ちゃんとお答えください。
  365. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 趣旨は、多額の寄附というのが政治の腐敗を招きやすく、癒着現象を起こしやすいことから、寄附の総枠制限をしたものと思います。
  366. 櫻井充

    櫻井充君 今回の告発の中の一例を申し上げます。  平成十年八月八日、同日、未来産業研究会に百万円、そして恵友会に百万円同時に、振り込まれているか直接のお金かわかりませんけれども、合わせて二百万円のお金が献金されております。このように同じお金、恵友会からのお金、恵山会からのお金はすべて支出は事務費、何もなしに全額ここ四年間で一億四千百五十万円すべて未来産業研究会に献金されています。ですから、この百万円も経路とすればすべて未来産業研究会に行っているわけであって、迂回献金ではないかという疑いが持たれているわけです。  この点についてお答えください。総理、お答えください。
  367. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) この点につきましては、けさほどもお答え申し上げましたとおり、恵山会並びに、その三つの団体から未来産業研究会へ出ているということについては届け出がございますけれども、それは政治資金規正法に特段反するものではないという観点で私どもとしては受け付けております。
  368. 櫻井充

    櫻井充君 政治資金規正法には違反しないのかもしれません。しかし、政治理念というかモラルという点では欠如しているんじゃないでしょうか。  この告発団体はほかに十八人の方々の政治団体を調べておりますが、こういうふうなペーパー団体は小渕総理一人だけでございました。ですから、現時点でその政治資金規正法について国会で議論されている中、一国の総理である方がこのような政治資金規正法で告発されたことに対して国民の方々にどのように説明されるのか、最後に小渕総理からの答弁を求めます。
  369. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今般の問題については、念のため法律の専門家に意見を求めたところ、御質問の政治団体についてはそれぞれ法律の定める範囲内で個人からの寄附を受けており、また、それら政治団体が私の政治活動を支援するため資金管理団体に寄附したものであり、違法はないとの報告を受けております。  政治団体は、寄附を含め、政治活動の自由が保障されなければなりませんが、政治活動を支える資金については国民の理解を得て適切に処理するのは当然と考えております。
  370. 櫻井充

    櫻井充君 時間になりましたのでこれで終わりますけれども、再度こういう場を設定していただくことを委員長に要求いたしまして、終わりとさせていただきます。
  371. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で直嶋正行君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  372. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。
  373. 小池晃

    小池晃君 日本共産党小池晃です。  先ほど配付をした資料の二枚目を見ていただきたいというふうに思います。  この春に発表された介護保険の問題ですが、九八年度の要介護認定のモデル事業、ここでの要介護度の分布、それから来年度の概算要求の算定根拠となった分布、厚生省が発表したことし十月三十一日現在の認定結果の中間報告数字を挙げております。  これを見ると、左から、言ってみれば実験結果、そして予想の数字、そして実際の結果ということになると思うんですが、一目瞭然なんですけれども、極端に概算要求の要介護度の分布というのが低いんですね。低く算定されている。右の中間報告の結果を見ると、最終的な分布というのは概算要求の分布とは大分異なってくるのではないだろうかということが予想されるわけであります。  実際、中間報告の結果は、これはサンプル数は確かに少ないんですけれども、厚生大臣はこれはおおむね予想どおりの結果というふうに答弁されている。ということは、恐らくこのままでは概算要求よりもモデル事業の結果に近いような、いわば真ん中よりも左に近い、要介護度ⅣとかⅤが多くなる、そういう分布になるんじゃないか。  そうするとどういうことになるかなんです。これを費用推計に当てはめてみると、下の数字をごらんいただきたいんですけれども、モデル事業の結果、直接当てはめると一兆七千百億円、概算要求より四千百億円も多くなるわけですね。中間報告数字で当てはめても二千九百億円も多くなる。これは大変見込み違いではないだろうかと思うわけです。  低く見ても約三千億円ふえるということは、在宅介護の事業規模というのは概算要求よりもおよそ二二%ぐらい膨らむんじゃないか。これは一号保険料を二百円近く押し上げるんですね。モデル事業で実際やっていたわけですから、こういうことになることは予想できたんじゃないか。それなのにこういう実態に合わない概算要求を行ったことについて、厚生省は責任があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  374. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 概算要求の基礎といたしております要介護度別の分布は、各市町村保険料の算定をするために行った高齢者に対する実態調査結果をあくまでも積み上げたものでございます。これは、現に介護サービスを利用している方も、あるいはしていない方も含めて、すべての高齢者の方々の要介護度を調査したものであります。  なお、介護保険の費用総額というのは、要介護度別の分布だけではなくて、要介護者数やサービス供給量などの要素によって変わる、こういうものでございますので御理解いただけると思いますが、要介護度別の分布の違いが直ちにその費用総額に影響を及ぼす、こういうような性格のものではございません。
  375. 小池晃

    小池晃君 今のは重大だと思うんですよ。要するに、供給量が少なくなるだろうから、結果として概算要求ぐらいの数字に落ちつくんじゃないだろうかということを言われたわけですね。これは大変問題だと。  これは市町村、今大変なことになっていて、結果が大分異なるんじゃないかということで計算し直している市町村もかなりあるそうです。やはり正確なデータを示すべきだし、高過ぎる保険料、利用料を軽減するための国の抜本的な措置をとるべきだということを申し上げて、介護保険の残った問題は終わりにして、次の問題に行きたいと思います。  社会保障制度の今後を考える上で極めて重大な、与党三党の十月四日の政権合意についてであります。  この政権合意の文書では、「二〇〇五年をめどに、年金、介護、後期高齢者医療を包括した総合的な枠組みを構築する。それに必要な財源のおおむね二分の一を公費負担とする。」としております。そして、「消費税を福祉目的税に改め、その金額を基礎年金、高齢者医療、介護を始めとする社会保障経費の財源にあてる。」としています。  厚生大臣にお聞きしますけれども、この政権合意の二〇〇五年の段階での基礎年金、高齢者医療、介護の費用の総計は、これは概算で結構ですけれども、幾らになるんでしょうか。
  376. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) まず、お聞きはいただいておらないわけでございますが、介護、基礎年金と老人医療の三つの経費でございますが、一九九九年度においてはおよそ二十五兆円でございます。  それから、お聞きの二〇〇五年度におきますこれらの三経費の給付費は、今後の社会保障制度の改革の方向によって当然変わり得る性格のものでございます。仮に現行制度を前提にいたしまして、経済成長など社会経済構造について一定の前提を置きました場合、あらあらでございます、まことに恐縮でございます、機械的に試算いたしますと、およそ四十兆円と見込まれておるような次第でございます。
  377. 小池晃

    小池晃君 そこで、総理にお聞きします。この三党合意にサインされた当事者である総理にお聞きします。  これは二〇〇五年の段階では、基礎年金、高齢者医療、介護、厚生相今言われました、推計とおり四十兆円、こういうことでよろしいんですね。総理の御認識もそうなんですね。
  378. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今般の三党合意文書におきまして、今、委員指摘のように、「二〇〇五年をめどに、年金、介護、後期高齢者医療を包括した総合的な枠組みを構築する。」ということでございまして、したがってその点につきまして、今計数については厚生大臣お話しされましたが、ほぼそういう数字になるのではないかと存じております。
  379. 小池晃

    小池晃君 経済成長率を当てはめると、二〇〇五年の消費税一%当たりの国の手取り分というのは二兆円であります。四十兆ということは、その半分消費税で賄うということは、一%を二兆円として一〇%の消費税、そういうことを想定されて合意されたということですね。──これ、三党合意ですから、だめですよ。
  380. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) いや、実務者協議に出ておったから、まず答えて。
  381. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 実は私は厚生大臣になる前に自民党の政調会長代理でございまして、これにも関与をいたしておりますので、これはちょっと答えさせていただきます。  これはあくまでも高齢化社会での生活の安定を実現するため、まず二〇〇五年を目途に年金、介護、後期の高齢者医療を包括した総括的な枠組みを要するに構築する、それにはおおむね財源を二分の一にすると、こういうようなことでございまして、今後の協議の過程を見守る、こういうような立場でございます。
  382. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今、厚生大臣が御答弁申し上げたことでありますが、三党としてこれが合意が達成のできるように今後とも検討していく、こういうことだろうと思います。
  383. 小池晃

    小池晃君 これは小学生でもわかる質問をしているんですよ。四十兆円の半分二十兆円を消費税で賄うんだったら一〇%ということを想定されてサインしたんでしょうと。そんなの何にも考えずにサインしたんですか。大体そのぐらいだということでサインしたんでしょう。そのことをお聞きしているんです。答えてください。  総理に聞いているんですよ。ちょっとだめですよ。総理に聞いているんですよ。
  384. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 財源のあり方については、確かに委員のおっしゃるような消費税を充てるという考え方もありますし、あるいは予算そのものを再配分ということも考えますし、あるいは景気の上昇、こういうことを含めてさまざま考えていかなければならないということでございまして、財源について消費税を充てるということは決めておりません。
  385. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今、厚生大臣が御答弁したとおりでございます。
  386. 小池晃

    小池晃君 では、こういうふうにお聞きします。  今五%であります。一%は地方消費税です。四%、これは二〇〇五年にこれを当てはめると八兆円ですね。今のままでは半分にもならない。今の消費税は税収で七兆円、社会保障は十兆円であります、補正後の計数ですね。こういうことは、こういう形でも三党合意に矛盾しないんですか。では、消費税、今のままでいくとしても三党合意には矛盾しない、上げることはしないということなんですか。そのことをお聞きしたいと思います。
  387. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) あくまでも、少子高齢化社会を目前にいたしまして消費税を福祉目的に限定して目的税化するという意見につきましても、貴重な意見として承っておるわけでございますけれども、ただいま委員が御指摘のように、補正後も含めましてでございますが、平成十一年度の現在の国庫負担は、高齢者の医療、介護、年金で八兆八千億円でございます、当初でございます。  一方、消費税の税収でございますが、国分は現在七・三兆円でございまして、現に一兆五千億円不足しておるわけでございますが、現在の経済情勢を考えますと、消費税の引き上げは現実問題として極めて難しい、こういうことでございまして、社会保障の財源をすべて消費税で賄うということは大変困難である、こう認識しておるわけでございまして、あくまでも私どもは、社会保障の財源というのは消費税が一つの主力である、こういうような位置づけをこの予算の総則の中でも考えておるような次第でございます。
  388. 小池晃

    小池晃君 社会保障の問題についていろいろな努力をされているということはわかりました。  努力をされたとしても、では、今の五%の消費税のままでいって、そうすると先ほど言ったように八兆円なわけです、二〇〇五年の段階でも、国の取り分というのは。しかし、社会保障の総額というのは全体で四十兆円になる。今は消費税で七兆円賄っているけれども、社会保障十兆。これは二〇〇五年になったら全体として社会保障は四十兆となる中で、今のままでいくというんだったら八兆円にしかならないわけですね。  この三党合意というのはそういうことでもいいということなんですか。このまま消費税を上げないでいっても三党合意には矛盾しないというふうにおっしゃるんですか。そのことはちょっと総理にお答え願いたいと思います。
  389. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 先ほども答弁を申し上げさせていただいたわけでございますけれども、現実問題として、今社会保障の財源をすべて消費税で賄うということは困難であるわけでございます。将来の問題につきましては、要するに一つは消費税を充てるという考え方も、先生のような考え方もおありかと思いますけれども、もう一つは、例えばいわゆる予算の財源の再配分であるとか、あるいは行財政改革であるとか、さまざまな手を考えなければならないと考えておるわけでございまして、あくまでも三党合意はそういう中でそういうような方針が決められたものでございます。
  390. 小池晃

    小池晃君 私たちは、そんな消費税を上げろなんて一言も言ったことないです。財政構造を切りかえて、大型公共事業のむだ遣いを削って、銀行に対する税金投入をやめろ、そういうことでこそ日本の財政は立て直せるということを言っていたのは日本共産党ですよ。  皆さん、四十兆円の社会保障規模になるんだと、二〇〇五年には。そして、この三党合意では、社会保障の半分は公費で見る、そして消費税を福祉目的税にしてやると。これ、だれが見たって消費税一〇%にするという約束をしたということですよ。そういうことを明確にしないで、そして選挙が終わったら、このとき約束したからだなんということで、後でそんな言いわけに使おうなんというのは大変腹立たしいことだと。  こういう社会保障の財源を消費税に求めるというようなことでは日本の将来、未来は切り開けないということを強く申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  以上です。
  391. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  392. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、日下部禧代子君の質疑を行います。日下部禧代子君。
  393. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 十二月一日の本会議の代表質問で、私は財政構造改革についてお尋ねを総理に申し上げました。そこで総理から、財政構造改革というのは本格的な回復軌道に乗ったときに取り組むというお答えをいただいたのでございますが、私は抽象的ではなくというお尋ねをいたしましたが、余りにも抽象的で、まるで禅問答のような気がいたしました。きょうはしっかりとした具体的なお答えをいただきたいと思います。  まず最初に、総理のお答えになりました、潜在力に沿った成長率とおっしゃいましたが、潜在力に沿った成長率とはどういうものを示すのか、それは具体的に何%を示していらっしゃるのですか。
  394. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) この前先生にお答えを申し上げました中で、潜在力に沿った成長率ということを申し上げました。  潜在力に沿った成長率、またあるいは安定的に達成する過程がいかなる内容を指し、いつごろ達成されるかについて具体的に直ちに申し上げることは困難でありますが、あえて申し上げれば、例えば経済審議会答申、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」の参考資料の中で、新しい成長軌道に回復した後、二〇一〇年ごろまでの中期的な実質経済成長率が年二%程度になると見込まれていると書かれております。  いずれにいたしましても、重要なことはそうした経済状況の中で財政構造改革をなし得る時点をしっかりと見きわめることであり、その見きわめを誤り景気後退といった流れになってしまってはいけないと常々考えておるところでございます。
  395. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 その二%というものの根拠をどのように総理はお考えでいらっしゃいますか。私は総理に伺っています。
  396. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 労働力人口の増加率と、これから十年ぐらいの間の労働生産性の向上率、そして社会全体の転換、そういうことをきめ細かく積み上げまして、大体二%程度が日本の将来の潜在成長率ではないか、こう考えております。
  397. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今、きめ細かく積み上げたとおっしゃいました。それをもう一度大蔵大臣、パラフレーズしてください。
  398. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 今、総理の言われましたのは、ことしの七月五日に経済審議会が答申された「二〇一〇年の経済社会」、二%の説明は、それによりますと、まず資本の寄与が一%程度、労働の寄与は若干のマイナスである、技術寄与が一%強、それを合計すると年二%程度の成長率になるものと見込まれるというふうに展望をいたしております。
  399. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 それは総理もそのようにお考えと承ってよろしゅうございますか。
  400. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) その目標を達成すべく現下も努力いたしておるところでございます。
  401. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 そうすると、その成長率を安定的に達成するプロセスというのはどういうことでございますか。
  402. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この「あるべき姿」の中に書いておりますけれども、まずことしはプラス、しっかりしたプラス成長にし、そして来年の後半から本格的な回復軌道に乗せ、そして再来年ぐらいから新たなる成長軌道に乗せていく、これが「あるべき姿」で描かれた接近の方法でございまして、そしてそこから先の長期につきましては、この波動について明確にはしておりませんが、傾向として今、大蔵大臣がおっしゃったように資本の投資によるプラス、技術性によるプラス、そして労働力は五年から七年ぐらいから減ってまいりますけれども、そういうもののマイナスを、こう加えていわゆる巡航速度を出しているということでございます。
  403. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 そうすると、大体何年ごろに、私がお尋ねいたしました財政構造改革に本格的に取り組もうということになりますでしょうか。
  404. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) これは何年何月何日というわけにはいきませんで、本当にやはり現在の経済の状況を何とかプラス成長に今年度中に引き上げて、そしてしっかりとした足固めをして、そしてそれを基盤に上げていくことでないと、また途中からマイナス成長ぎみになるというようなことがあってはならぬということでございますので、そういう意味からいえば、何としてもことしプラス成長、今年度プラス成長の実績をつくり、そこをひとつ基盤といたしまして明年以降引き上げていくという形のことを祈願して努力いたしておる、こう言っているわけでございます。
  405. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今、明年以降というふうに伺いましたけれども、八日にOECDの勧告が出ておりますけれども、それによりますと、我が国の財政赤字の比率は、二〇〇一年ころまでにはOECD加盟国二十九カ国の中で最高になるんじゃないかというふうに言われておりますが、その点につきまして総理、いかがでございますか。
  406. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 確かに、今、先生御指摘の数値を新聞で拝見いたしまして、我が国の財政赤字が極めて大きな数字になっていることは、大変現下の状況にかんがみまして厳しいという認識はさらに深くいたしております。  がしかし、再々申し上げておりますように、何としても経済成長をプラスにしていく過程の中で、やはりこの公需から民需の形で国民の皆さんが税負担にたえられるような体制をつくり上げるということでございまして、今そのために最善を尽くしておることでございますので、数値としては大変高いものでございますけれども、何としても一日も早くそれが解消するその前提となる日本経済の再生を全力を挙げて今取り組ませていただいているということだと思います。
  407. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 先ほど経企庁長官は、外国の勧告、勧告ではございませんが、調査というのは余り当てにならないとおっしゃいましたが、このOECDの勧告はどのように受けとめられますか。
  408. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 先ほど日下部委員質問に答えましたのは予測でございますが、今のこの数値は現実の数値でございますので、それはそのとおりだろうと思います。  ただし、過去を見ますと、イタリアやカナダなどもGDPに対して八%、一〇%というような財政赤字を出しておりまして、現在は改善しております。そういう例は、そのときそのときいろいろ赤字の国があったということでございます。
  409. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 最も最高、二十九カ国の中で財政赤字が最高になるというのは、これは余り楽観的に見ることでは私はないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  410. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) もちろんそのとおりでございまして、この財政赤字につきましては日々心を痛めることが続いておりますけれども、さりとてこれで絶望すべきではないと思います。  現在の経済情勢、これは大変不況のときで、企業も利益が少ない。そういうときを前提といたしまして将来の伸びを議論するのではなしに、やはり景気が回復したときにどういう形になるか、それをよく見きわめて対策をとっていくべきだと考えております。
  411. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 そのよく見きわめた政策が出されないからこそ国民が非常に今不安になっているわけでございます。それを出すことがやはり政治家の役目であるということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  介護保険制度についてでございますが、創設の理念と矛盾するような見直しが行われました混乱というのは、もう今までるる指摘されたことでございます。特にこれは、地方自治ということに関しましては非常に大きな地方自治体に不安をもたらしております。  そのことに関しまして自治大臣は、これは国がこれだけ、国の都合で振り回されるというのはけしからぬ、地方分権に逆行するんだというふうな形でクレームを総理あるいは厚生大臣におっしゃったことがございますか。
  412. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 地方からそういった声が出てきているということは私も十分承知しておりますし、私の地元からもそれはございます。また、地方の行政の長の皆様方がそれぞれの役場で、広報誌等で随分努力をしておられるということは承知をしております。  そういった問題については、同期生でもございます丹羽厚生大臣には常にそばにおりますので申し上げているところでございます。しかし、内閣として決めます以上は、私も内閣の方針に従っていかなければならない、そのように考えております。
  413. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 昨日、厚生大臣は、この介護保険制度というのは地方分権のモデルであるというふうにおっしゃいましたけれども、どうもそのようになっていないからこそ各自治体がいろいろと問題を提起しているわけでございます。自治大臣、頑張ってその点もう少しきちっと厚生大臣、総理におっしゃっていただきたいと存じます。  ところで、与党三党のこの介護保険に対する考え方の違いが、またこれ国民の不安を増大しているというふうに思います。  十一月七日の毎日新聞のインタビューで公明党の坂口政審会長は、政府案は我々の主張と異なるところが多い、今後一年間に法律改正を求めるというふうにおっしゃっておりますが、この点につきまして、続総務庁長官、いかがでしょう、公明党のお考えは。
  414. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 私ども公明党は、かねがね福祉の党を自負してまいりました。そんな中で、とりわけ年金や介護やあるいは医療の問題に対しては大胆な政策提言を行ってまいりました。とりわけ、日下部委員と同じように坂口政審会長は福祉の専門家でもございます。  そういう専門家の立場から、実は今御指摘の十一月七日の毎日新聞にこんなふうに述べておられます。   四兆円と試算される介護費用を大別すると、一兆円は在宅介護、残り一兆円は特別養護老人ホーム。残り二兆円は老人保健施設と療養型病床群が対象だが、これは医療保険の中で出してもらうのが筋。特養の一兆円は、入った人は一生保険を受け続け、応援する方も終生応援しっぱなしになるので、これは税の世界で対応、一般会計から出してもらってしかるべきではないか。残る在宅介護は保険でみればいい、と主張してきた。そうすれば保険料も基準値の二千五百円、三千円から、その四分の一の七百~八百円程度になる。 こういう指摘がございました。  そこで、介護保険に係る三党合意は御承知のように十月二十九日に出されました。その七項目に、「介護にかかる財源及びそのあり方については、実施状況を見ながら三党で協議する。」、こういうことになっております。  そんなことを踏まえながら、坂口政審会長は、国民の皆様の御意見そして各党会派のいろんな御意見、これを集約しながら粘り強く主張を続けていくと、こんな考え方で述べられたものと思います。
  415. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 同じ新聞の同じシリーズでございますが、十一月八日、自由党の藤井幹事長がお答えになっていらっしゃいますが、財源を市町村単位の保険でやることに疑問を持っている、できてから混乱するなら今から手直しをすべきである、自由党の考えが正しいことを主張し続けなければならないとおっしゃっていますが、二階運輸大臣、いかがでございますか。
  416. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えいたします。  自民、自由、公明の三党は十月二十九日の合意において、「介護にかかる財源及びそのあり方については、実施状況を見ながら三党で協議する。」ということを確認した次第であります。  本年十月四日の自民、自由、公明の三党連立に際しまして、年金、高齢者医療、介護の三分野を包括した総合的な枠組みを構築することで合意していることは御承知のとおりであります。  ただいま藤井幹事長の発言をお尋ねでございますが、自由党といたしましては、老後や疾病の不安を取り除くためには、国が基礎年金、高齢者医療、介護といった基礎的な社会保障責任を持つべきであり、例えば未納者や未加入者が三割にも上る基礎年金など保険方式はなじまなくなっているのではないかと考えております。  また、自由党としては、国民全体で費用を負担するというためにも消費税方式が最も公平であり、また高齢化が進んでいる現代、規模が小さい市町村単位の保険集団の中で賄うということには無理があるのではないかと考えております。  連立政権でありますから当然我が党の主張が一〇〇%実現するわけにはまいりませんが、このことは自由党の基本政策でもありますので、今後も与党協議や国会審議の場を通じて主張をし続けるものと思っております。  介護の問題につきましては先生も大変御経験が深いわけでありますが、私は、介護の問題はお年寄りのみならず若い人であっても必ずたどる道であることから、また、両親をふるさとに残して都会で働く若い人たちもたくさんおられますが、これらの方々にも将来とも安心していただくためには必要不可欠な制度であると考えております。  したがいまして、この際、多くの国民の皆さんの信頼と共感を呼ぶことのできるような制度を確立するために、私は、できるだけ早い機会に三党の合意、いわゆる与党内の結論を得るべきであると考えておりますが、あわせて国民の皆さんのコンセンサスを得るために、広く多くの国民の皆さんの声に耳を傾けながら、また野党の皆さんの御協力も得られるように努力をすべきものだというふうに考えております。
  417. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今お話を承り、そしてまた私は新聞のインタビューを引用させていただきましたが、どうも与党三党のうち二つの党、あるいは自民党を入れますと三つの党のお考えが介護保険に対しては余り一致していないところが見受けられると思うんです。もし、今お述べいただきました二つの党の御主張を尊重いたしますと、例えば公明党さんの坂口政審会長のお言葉によると、今後一年間法律改正を求める、来年と言わずことしから第二次改正に向けて動かざるを得ないというふうにおっしゃっておりますし、あるいはまた自由党の藤井幹事長も、すぐ手直しが必要であるということをおっしゃっています。その二つの党を尊重いたしますと、また見直しが近々あるのではないかというふうにならざるを得ないと思うわけです。  これでは、ますますこの介護保険制度に対する国民の信頼はなくなってくるわけです。保険料を出す気さえしなくなるというふうに私は思うわけでございますが、総理大臣、いかがでございましょうか。
  418. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) まず、今回の特別対策というのは、御案内のように来年の四月から介護保険制度がスタートするわけでございますので、国民皆さん方混乱を与えないような、法改正をしないという前提で三党間で大変御熱心に協議をいたしまして、そして、ただいま両大臣からお話がございましたけれども、いろいろな党の考え方はございますけれども、このような特別対策の結果に落ちついたわけでございます。  坂口、藤井両先輩、私、いずれも尊敬を申し上げております。それぞれの個人的な思いであるとか党の考え方というものを新聞のインタビューの中でお述べになったのではないかと、こう考えているような次第でございます。  いずれにいたしましても、三党間の七項目の合意の中の一つでございますけれども、今後、三党間の協議を踏まえ、必要な見直しを行うことはやぶさかではございませんけれども、現時点で法改正について担当大臣である私が申し上げることは、あらぬ混乱を招くこともあるわけでございます。そして、先生を初め委員会の委員の皆様方、あるいは国民皆さん方にぜひとも御理解をいただきたいことは、とにかく世紀の大事業であります介護保険制度国民皆さん方の理解を得て来年の四月から円滑に実施する、このことが何よりも大切だ、このような認識に立つものでございます。
  419. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今、厚生大臣からも御答弁ございましたが、政府といたしましては、来年四月からの介護保険法の円滑な実施に万全を期するということに尽きるんだろうと思います。  いろいろとこの問題についての見直しの問題等もございますが、法的にいえば、五カ年を目途に見直しを行うこととなっておるということでありますけれども、いずれにいたしましても、外国にも例の少ない本邦初の大事業でありまして、試行錯誤を伴うとは思いますが、きちんとした対処によりましてこれを円滑に進めるということだろうと思います。  公明党坂口先生、自由党藤井先生、それぞれの御意見は先ほども御紹介ございました。三党で連立をいたしておりますので、それぞれ政策担当者におかれまして十分な御協議を賜りながら、最終的には、今、厚生大臣申し上げましたように、ぜひぜひ来年四月からこれをスタートさせていただきたいということで全力を挙げて努力をいたしてまいりたいと思います。
  420. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 ぜひとも、これ以上の混乱と政治不信につながらない、そのための御配慮、対応を心からお願いいたしまして終わります。  ありがとうございました。
  421. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で日下部禧代子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  422. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、松岡滿壽男君の質疑を行います。松岡滿壽男君。
  423. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 総理にお伺いしたいと思うんですけれども、日本は二十一世紀に向けて、いろんな荷物はありますけれども、三つぐらいの大きな荷物をしょいながら二十一世紀を迎えなきゃいかぬというふうに思っておるんです。  一つは、きょうずっと議論がありました財政問題。国、地方を通ずる六百兆円の借金、これをどうしていくのか。  もう一つは、厚生省が出しております、百年たつと六千万人になる人口減少、少子高齢化。こうなってくると、将来、今ヨーロッパが悩んでいる外国人労働力、さっき雇用の話がありましたけれども、こういう問題にもしっかりした目を向けていかなきゃいかぬ。  それから三つ目は、経済構造が大きく変わってきていると思うんです。いわゆるグローバルスタンダードといいましょうか、アメリカンスタンダードの中で今、日本は非常に厳しい不況の中に置かれておる、金融、経済を中心として。これは、やはり日本の中だけでは、もう右肩上がりはなくなりましたから、どうしても生産の方が大きくなり過ぎて物が余ってしまっている、しかし外国相手に戦うためにはやっぱり小さ過ぎる、だからいろんな合併をして体力をつけていかなきゃいかぬ。そのはざまの中に今置かれておると思うんです。だから、そう簡単に今度の不況が立ち直っていくというふうには見えないわけでありまして、この三つを抱えてどうやってこれを乗り越えていくか。  そのために、スリムで効率的な文化とか経済とか社会とか、政治も今その中に私は置かれていると思うんです。ですから、この前の通常国会で地方分権一括法とかあるいは省庁の再編とか、今取り組んでおられる国会議員の定数削減とか公務員の定数削減、あらゆるものをその流れの中に私はとらえておるんです。  これについての総理のお考えを伺いたいというふうに思います。
  424. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今、松岡委員から、二十一世紀の我が国の課題ということで、三つに絞られてお話がありました。いずれも全くそのとおりだろうと思います。  そういう意味で、それぞれにつきましても、政府としてもできる限りその将来にわたる方向性、そしてそこに参ります筋道、こういうものを一つ一つ明らかにしていかなきゃならぬだろうと考えております。  第一の財政問題につきましては、先ほど来御論議をいただいております。六百兆になんなんとする中央、地方の財政というものの状況は極めて厳しい、何とかせねばならぬという気持ちは恐らくひとしく政治家たる者は持っておられるわけでございます。  ただ、先ほど諸外国の例もありましたが、いろいろ事情が異なりますのは、日本におきましては国民自身が千三百兆になんなんとする資産を持っておられる。そういう意味では、外国から金を借りてその財政を賄っておるという国に比べますとある一定の安定感というものはあるのではないかと思っております。  さりながら、国民の持てる資産を直ちに活用するということは、国が税としてこれをいただくということは直ちにできることではないだろうと思います。そういう意味で、国民全体の、さらに企業も含めまして、生産性を上げることによりまして資産価値を上げていくということがなければならないのではないか、こう考えております。  そういう意味で、この内閣になりましてからも、サプライサイドの点から所得税、法人税の税率を引き下げました。恐らくこれで今年度の税収は数兆円減収を見ているんじゃないかと。それなれば、財政再建からいえば、その分だけでも国は厳しかったということなんですが、いずれにしても、御了解を得てタックスを引き下げるということ自体も、そのことによってある一定の、将来においては必ず企業国民も国際的なスタンダードの税制によって活力を持ち、日本のお金がタックスが安いタックスヘーブンなどという国々に行かないようにするためにも必要だったということですから、これは時期は申せられませんけれども、将来にわたっての一つの問題だろうと思います。  少子化の問題も、今国会でもそれぞれ御指摘をいただいておりますが、政府といたしましても、この問題は極めて大切なことであるという観点から、もちろん懇談会をつくり、いろいろ識者の考え方も承っております。  先般も実は閣議でお話をいたしましたところ、平素一定の時間に終わる閣議も、この問題に関しましては、国務大臣としての諸大臣がそれぞれ所管の問題でなくしていろいろ御意見がありまして、ついにもう一度閣僚懇談会を開かせていただいてこの問題に取り組んでおるわけでございます。  少子化も日本としても初めての経験で、諸外国の例を参考にしながらいろいろいたしておりますが、なかなかもって決め手というものが見つかりにくい中で、子育てをどうしていったらいいかということ等も含めまして、しかも男女共同参画社会になりまして御婦人が家庭の中で子育てというわけにはいかぬ時代に、これからのいろいろの施策上の問題をまとめて、今月の末ごろまでには、できるものは政府として全力を挙げていきたいというふうに思っております。  第三のグローバルスタンダード、これも先生、アメリカンスタンダードとおっしゃられましたが、確かにアングロサクソンスタンダードの嫌いなきにしもあらずですね。しかし、現実にはそのスタンダードが世界を席巻していることも事実です。端的に言えば、インターネットにつきましても日本語でこれは通信できないんです。すべて英語でなけりゃならぬということでございます。いささかそういう意味では経済もひとり勝ちになったアメリカということもありましょうけれども、どうしてもそういうスタンダードに右へ倣えということが世界に伍していくゆえんでないかという風潮もかなりできている。  しかし、雇用の問題も、私が以前申し上げましたけれども、アメリカ的な常にレイオフを冷酷に行って企業経営の財政をよくするという国というわけにもいきませんし、ヨーロッパ的に保険制度を非常に高い保険と高い消費税をもってそれを達成していくという国にもない。と同時に、日本は何といってもどうしても労働慣習のような問題もあります。したがって、日本としてのよさというものを残しながら、かつ、この世界的な物差しの中でどう生きていくかということについて、これまた重要な課題だというように存じております。  長くなりましたが、いずれにしても松岡委員の御指摘のことは十分心得て一つ一つ着実に手を打っていかなきゃならぬ、ともに考えていきたいというふうに考えております。
  425. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 地方分権とか政府委員制度の廃止は歴史的なことだというふうに思います。  ただ、地方分権につきましては、昨日、陳情の問題でちょっと申し上げたんですけれども、やはり機関委任事務を廃止したということは大変なことですけれども、片方で財源の移譲というのはないわけなんですね。だから、いまだに国が決定し、地方が実行するという仕組みになっている。  それともう一つは、受け皿が一体どうなっていくのか。三千二百じゃどうもならぬだろう、それをどうするんだというのが見えてこない。この財源の移譲の問題と、今申し上げた三千二百ではとても受け皿たり得ないということについてのお考えがあればちょっとお伺いいたしておきたいと思います。
  426. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) まず、国と地方の仕事のあり方ということでございますけれども、地方分権一括法の精神からいえば仕事そのものを地方に移していくということがございます。そのためには、地方の行政対応能力をやっぱり高めていかなきゃならぬということがあろうかと思います。  そこで、同時にまた、委員指摘のような財源の配分というのもあわせて考えて、仕事と財源とをつけて地方へ回していく、その作業をやっていかなければならないというのが地方分権に課せられた今後の課題だと私は認識しておりまして、いろいろ御指導いただきながらその方向で努力をしてまいりたいと思っております。  同時にまた、町村合併につきましては地方制度調査会、これは総理の諮問機関でございますが、そこで、「すべての地域を通じた市町村の適正規模を一律に論ずることは困難であり、市町村の数を初めから定めることは適当ではない。」という御答申をいただいておりまして、地域の実情に即しながらできるところをやっていくということを提言いただいておりまして、あわせて今申し上げた一括法の精神を具現化するために町村合併というのはやっていかなければならない。そのためのインセンティブはいろいろ用意をしておるわけでございますので、今、知事さんにお願いいたしまして、一つの図を各県で努力して考えていただいているという状態でございます。  まず初めに数ありきということで押しつけるということをやりますと、これはやはり地方の実情無視ということにもなりますから、大体の数というのは頭に入れながらも、地方の自主性にまちたいと思っております。
  427. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 昭和二十年代の後半に町村合併が行われましたのは、主として小中学校を市町村に任せると。だから、村ではとても中学校が持てないという部分があったんです。今度はダイオキシンの問題を中心に、広域的にごみの焼却をしなきゃいかぬという問題も一つあるわけです。それと介護保険の問題。  だから、広域的な対応をするというフォローの風は一つは吹いておるわけです。例えば、地方税法七百一条あたりはかつて集中を排除しようというときの税制だった。今度は、やっぱり集中させなきゃいかぬという、税制とかいろんな面を。そういうものを調整されるということが国において必要だろうというように思っておりますので、ぜひ、今、保利自治大臣が御答弁なさった方向で対応をしていただきたいと要望をいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  428. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で松岡滿壽男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  429. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、西川きよし君の質疑を行います。西川きよし君。
  430. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いいたします。  二分という短い時間ですので、今回の補正予算案に計上されている障害者プランの推進経費に関係をして、障害のある方々に対する情報提供システムについてお伺いをしたいと思います。  まずは、障害者施策推進本部長であります総理大臣の方から、障害者プランにおける情報提供につきましての進捗状況から御答弁いただきたいと思います。
  431. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 本日、十二月九日は障害者の日ということでございまして、国連で障害者の権利宣言が採択された記念の日でございます。この日、障害者の問題について日ごろから大変障害者の立場でいろいろと御質疑されておられる西川委員お尋ねでございます。  障害者は、障害のない人と比べて情報の取得にハンディキャップを背負っているので、障害者への情報提供は特別の配慮が必要と考えております。このため、平成七年に策定いたしました障害者プランにおきましては、障害者の生活の質の向上を目的として、点字図書館の機能の充実、保健福祉情報等のデータベース化と情報通信技術の活用等を進めていくことを掲げております。この障害者プランを踏まえ、インターネットを活用して障害者への施設情報等を提供する障害者ネットワークや点字図書館等の情報提供施設の整備を行うなど、関連施設を着実に実施してきているところであります。  政府といたしましては、情報化が進展する中、障害のある方が情報通信機器やシステムを利用し、情報を入手できる情報バリアフリー社会の実現に向けて、障害者の方々に使いやすい機器やシステムの開発普及に取り組むなど、今後とも障害者プランを踏まえ、障害者への情報提供事業の充実に努力してまいりたいと思います。  私も先般、情報機器の大変大きな展示会がございまして、出席をしてまいりましたが、非常に多くの工夫がなされておりまして、そういった意味では、障害者の皆さんもそれを活用されておられて、それなりに不自由な状況を脱却しようと努力もされておりますし、世間、社会一般もそうした方向になるということは大変うれしいことだというふうに思っておる次第でございます。
  432. 西川きよし

    西川きよし君 ぜひよろしくお願い申し上げます。  そこで、具体的にこの視覚障害者の情報提供システムについてお伺いをいたします。  昨年六月の補正にもこのシステムの整備費として四億円が計上されました。このときの予算委員会でも質問をさせていただいたんですが、この際の予算によって具体的に今日までどういうふうに整備が行われたか、厚生政務次官にお伺いをいたします。
  433. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 視覚障害者の方にとりまして、音声によります情報提供手段を確保するために、最新のデジタルによります録音システムを活用して利用者の利便を拡大することが大変重要なことと、このように委員指摘のように認識をしております。  お尋ねの実績でございますが、視覚障害者の方々のために図書の内容をCDに録音し、専用の読書機で再生するものであり、平成十年度の補正予算では、点字図書館など全国九十五カ所にCD録音図書製作用パソコン三百六十六台、読書機千八百二十台を整備したところでございます。  さらに、利用頻度の高いカセット録音図書二百五十タイトル、二百五十種類の本ですが、をCD録音図書に変換し、また、その後の補正予算で二千二百五十タイトルの図書をCD録音図書に変換し、全国の点字図書館などに配布しているところでございます。
  434. 西川きよし

    西川きよし君 そこで、実はこのときの予算委員会ですけれども、お聞きいただいた視覚障害者の方から直接お伺いをしたお話なんですが、この予算によってデジタル録音図書が普及することは大変ありがたい。実際にふえています。ところが、このCD図書を聞くためにはその読書機が必要なんですけれども、その読書機が非常に少ないです、これからもCD化されていくことは大変結構なことですけれども、実際に聞くことができない現状ですというようなお話をお伺いしたわけですけれども、そうした今の現状、よろしくお願いいたします。
  435. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) CD録音図書につきましては、現在、全国の点字図書館などを利用して、利用者の要望を踏まえて製作、貸し出しが行われて、大変好評なわけでございます。読書機につきましては、点字図書館一館当たり二十台の整備をしたところでございますが、それを上回る需要がある、このように聞いている現状でございます。
  436. 西川きよし

    西川きよし君 せっかくのCD図書ですから、それは読書機もあわせて整備をしていかなければならないということは当然のことですけれども、現実に視覚障害者の活用につながらないという声もたくさん聞いておるわけです。  それで、今回の補正予算にはこの点についてはどのような措置をされたのか、お答えは厚生大臣にお伺いをいたしまして、そしてまた今後障害者の情報提供システムについてどのような考えで対応されていかれるのか、障害者施策推進本部長である総理大臣の御答弁をいただいて、おしまいにしたいと思います。
  437. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 今回の補正予算案につきましては、障害者に対する情報提供関係経費として十九億七千万円を計上させていただいておるような次第でございます。  それから、委員指摘のCD図書読書機につきましては、そのうち二億九千万円を計上いたしまして、点字図書館は全国に現在御案内のように七十七カ所ございますけれども、一館当たりさらに八十台を整備する予定でございます。視覚障害者の方々の御要望におこたえをしたい、このように考えているような次第でございます。  厚生省といたしましては、今後とも障害を持った方々の声に十分に耳を傾けながら、障害者の方々の情報提供のシステムの充実に努め、真の意味でのノーマライゼーションの実現を図っていく決意でございます。
  438. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いします。
  439. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今、大臣から御答弁申し上げましたように、本問題につきましても政府挙げて全力で努力をいたしてまいりたいと思います。  お時間も進みましたけれども、この視覚障害者のことにつきまして、私は、過般、中学生の方が作文を書かれまして、これを内閣総理大臣賞ということで出させていただきました。いつも委員からは、いろいろお手紙を拝読して、我々も感激することが多々ございますけれども、こうした形で中学生が努力をしておるということをお許しいただいてちょっと御紹介させていただきまして、なお努力をしなきゃならぬということを切実に感じた次第でございます。  この中学生は、視覚障害と肢体不自由、二つの障害を持ちながら中学校に自分は通っている。いろんなところで国、東京都、中央区に多くの協力をいただいておる。例えば、教科書等の点訳にも多額の点訳費がかかっておる。二年生になり、一学期の試験でテスト問題全教科をようやく点訳してもらえた。この点訳にも多額の費用がかかると母親から言われた。  私の前の家庭教師は全盲だったけれども、ことしの春に実にうれしそうに母にこう話したそうだ。やっと僕も所得税を払えるようになりましたよと。母もその話をうれしそうに私にしてくれた。そのとき母は、あなたもそんなふうになりなさいと私に言った。  ほかにも、私の周りには障害を持っていても立派に自立している人が多い。そして、彼らは自立のあかしとして所得税を払っていることに誇りと喜びを感じている。  しっかり勉強して、障害者だけに偏った囲いの中に入らず、健常者の考え方やルールなどにもなれ、成人後はしっかりとお返しとして税金を払えるような人間にならなきゃならぬ、頑張って勉強しているという中学二年の河和旦さんという人がこういう作文をされておりました。  したがいまして、我々といたしましても、こうした障害を持ちながら、努力をしながら一生懸命生き抜こうとしておる方々がおられるということを考えますときに、今、委員が御指摘をされたような点につきましても心新たに対処しなきゃならぬということを申し上げてお答えとさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  440. 西川きよし

    西川きよし君 どうぞよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。
  441. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で西川きよし君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  442. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) それでは、これより討論に入ります。  討論の通告がございますので、これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。峰崎直樹君。
  443. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私は、民主党新緑風会を代表して、ただいま議題となりました平成十一年度補正予算案につきまして、反対の立場から討論を行うものであります。  小渕内閣の発足から一年四カ月余りが経過しましたが、この間の政権運営は国民を落胆と失望に陥れる以外の何物でもありませんでした。その究極にあるのがこの補正予算案であり、まさに構造改革よりも既得権益の保全を第一目標とする内閣の無責任ぶりを如実に示すものであります。  以下、反対の主な理由を申し上げます。  反対の第一の理由は、この補正予算案が依然として従来型の公共事業を柱に据えていることであります。  小渕総理は、新生経済対策の策定に当たり、新規性、期待性、訴求性をキーワードに取りまとめたと自画自賛しておられます。確かに、言葉だけ追えばいかにもバラ色の未来を切り開くような印象を受けますが、その中身はむだ遣いとの批判が多いウルグアイ・ラウンド対策費や整備新幹線予算、道路整備費など従来型事業の大盤振る舞いであり、言葉と実態とは全くかけ離れているのであります。  これら従来型事業の経済効果は今日では極めて限定的なものとなっており、もはや短期的な景気浮揚としてのカンフル剤的効果も果たし得ません。ましてや長期的な観点から見ても、このような総花的ばらまき政策は一部の土建業者のような既得権の上に成立した企業の依存体質を助長し、産業構造の改革を先送りするだけであります。  反対の第二の理由は、本来平成十二年度以降の予算に計上すべき介護対策費を本補正予算に計上していることであります。  政府・与党は、選挙目当てに行った突然の介護保険料凍結、軽減に必要な経費約九千億円を本補正予算に計上しておりますが、平成十二年度からスタートする介護保険に関する予算を今年度の補正予算に計上することは会計年度独立の原則を規定した財政法の逸脱にほかならず、財政紊乱そのものであります。  反対の第三の理由は、無節操なばらまき政策の結果、財政赤字が急速に拡大していることであります。  本補正予算に伴う国債増発により、平成十一年度の国債発行額は過去最高の三十八兆円に達しました。公債依存度四三・三%、国と地方を合わせた長期累積債務残高は六百八兆円と、先進国中類を見ない危機的なレベルに達しております。とりわけ小渕内閣発足以来、一年四カ月の間に発行された国債は実に五十兆円を超えております。歴代内閣の中で五十兆円を超える国債を発行した内閣は存在せず、これこそ小渕内閣の無節操ぶり、無責任ぶりを如実に示すものであります。  このように、国民の血税を湯水のごとく浪費し、問題のすべてを将来に先送りする補正予算案は断じて認めることはできません。ただひたすら政権の維持のみに執拗に固執し、将来に禍根を残す小渕自自公内閣の悪政に対しては、必ずや国民の厳しい審判が下される旨を強調し、私の反対討論を終わります。(拍手)
  444. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 荒木清寛君。
  445. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私は、自由民主党、自由党及び公明党の三党を代表して、ただいま議題となりました平成十一年度補正予算三案に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。  現下における連立政権の最重要課題は国民生活を安定させることであります。そのために、まず我が国経済を再生させることが何より重要であります。本補正予算案は、経済新生対策を受け、民間需要を喚起するとともに中小企業の活性化を図り、国民の不安の払拭に大きく寄与する内容となっており、賛意を表するものであります。  以下、賛成の主な理由を申し述べます。  賛成の第一の理由は、実効性ある中小・ベンチャー企業支援策が盛り込まれている点であります。  大企業の業績が徐々に改善しつつある一方、中小企業は依然厳しい状況に置かれています。本補正予算案では、企業倒産の増加に歯どめをかけた特別信用保証制度の拡充に加え、ベンチャー企業資金調達の幅を広げる融資制度の新設などに七千七百億円もの予算が計上されております。かかる措置は、中小企業の活性化のみならず、新規企業の創業に大いに資するものと期待されます。  賛成の第二の理由は、生活基盤や環境対策の分野に思い切った社会資本整備予算が計上されている点であります。  少子高齢化や環境問題の深刻化に伴い、生活環境分野の社会資本整備の重要性が増しています。本補正予算案では、少子高齢化に対応するバリアフリーの町づくりや介護施設の整備、環境問題に対応した廃棄物処理やリサイクル施設の整備など、合わせて一兆円を上回る生活環境基盤整備予算が計上されております。国民生活重視の視点で事業予算配分を行った政府の姿勢を高く評価するものであります。  賛成の第三の理由は、日本経済の新生に不可欠な情報通信等基盤整備対策が盛り込まれている点であります。  情報通信革命を通じた経済社会の急速な構造改革が世界的に進んでおり、本補正予算案には、情報通信ネットワーク整備やインターネットの普及などを進める情報通信・科学技術振興費として、社会資本整備の二五%に当たる九千億円が計上されております。これらの措置が情報通信立国の実現に着実に寄与するものと確信いたします。  以上、本補正予算案に賛成する主な理由を申し述べました。  政府においては、今後の経済動向に留意し、必要があれば適時適切な措置を講ずることを要望して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  446. 倉田寛之

  447. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、日本共産党を代表して、一九九九年度第二次補正予算三案に対して、反対の立場から討論を行います。  反対する第一の理由は、本補正予算案は政府が打ち出した総額十八兆円の経済新生対策を盛り込んだものですが、相変わらずの従来型景気対策のばらまき予算だからであります。  景気対策の主力として事業規模六兆八千億円の社会資本整備費が盛り込まれていますが、その内容は、空港、港湾、高速道路などのゼネコン、従来型公共事業を大幅に積み増しするものになっています。これでは、既に実証されているとおり、深刻な不況打開に役立つどころか財政危機を一層加速するものにほかなりません。  第二に、本補正予算案には預金保険機構に交付している七兆円の交付国債の償還財源として一兆九千億円が計上されています。これは長銀や日債銀などの破綻金融機関処理の穴埋めに充てられるものですが、これによりあらかじめ用意されていた七兆円の交付国債の枠を使い切ることになります。そのため、大蔵省はさらにこの枠を上積みするなど、六十兆円の公的資金の枠組みを七十兆円へと膨らまそうとしています。これは大銀行のために果てしなく国民税金を投入する道を開くものであり、断じて容認することはできません。  第三の理由は、介護対策、中小企業対策、雇用対策など国民生活に深くかかわる問題についても、国民的立場から打開するものになっていないからであります。  介護保険制度実施前の見直し対策は、当面の最も必要な介護基盤の整備や低所得者のための保険料や利用料の減免制度などについては全く不十分であり、まさに中身なしの一時しのぎと言わざるを得ません。  第四の理由は、最悪の借金依存予算だからであります。  本補正予算の財源として、新たに七兆五千億円の国債増発が行われます。その結果、今年度国債発行額は当初予算の三十一兆円と合わせ三十八兆六千億円となり、史上最高だった昨年度補正後の三十四兆円を大きく上回ります。これにより国、地方を合わせた長期債務残高はGDPを大きく上回る六百八兆円に達します。この結果、日本の財政は、経済戦略会議で見込んだ財政の中期見通しで想定した状況よりもさらに悪化し、まさに危機のシナリオとでも言うべき道に落ち込んでいます。  このツケは、将来、消費税を含め増税という形で国民への負担の押しつけとなることは明らかであり、断じて容認はできません。今でも深刻な不況と国民生活破綻を一層ひどくすることは明白であります。  今こそ、こうした浪費的な財政構造に本格的なメスを入れ、健全な財政の基盤を取り戻すことが必要であり、そうしてこそ国民の不安を解消し、経済を安定した発展の基盤に乗せることができるのであります。  以上を指摘いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
  448. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 大渕絹子君。
  449. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私は、社会民主党護憲連合を代表して、平成十一年度補正予算に対し、反対の立場から討論を行います。  自自公連立政権が発足をして二カ月、この間、西村防衛政務次官の辞任に始まり、企業・団体献金や介護保険問題をめぐる政府と三党間の混乱など、この政権の抱える矛盾が吹き出しています。基本的政策合意がないままに数合わせで連立を組み、数は力なりとの強権的な政治手法、また改革と称して審議の形骸化を図る国会運営は目に余ります。良識の府として参議院が築き上げてきた民主主義の歩みをここでとめてはなりません。国民の負託を受けた参議院の役割を果たしていきたいと強く思っております。  さて、小渕政権は、景気・経済対策として、当初予算に続き七月の一次補正、九月には公共事業費等予備費と次々に公共事業にばらまき続けてきました。その効果を確かめない中で今回の二次補正予算案が提出されたのです。  反対理由の第一は、経済新生対策と銘打った一兆円の雇用対策の実効性が疑わしいことです。  本年一月に創設した緊急雇用創出基金は、奨励金の支給実績がたった百十八人でした。政府の設定した基準が実態とかけ離れているからです。こんなことで失業に苦しむ人々を救うことができるのでしょうか。  反対の第二の理由は、会計年度独立の原則に反し、来年度以降に必要とされる介護保険に係る経費を計上している点です。  介護保険料の徴収を半年間延期し、その後一年間は半額に軽減するという、明らかに衆議院選挙目当ての対応です。これは、当該年度の経費は当該年度の歳入で賄うべきとする会計年度独立の原則の趣旨に反するものです。加えて、一兆円の赤字が将来にツケ回しされるのを初め、介護保険導入に向けて準備を続けてきた自治体に大きな混乱を与え、国民には新たな不安と政治不信を生じさせています。  反対の第三の理由は、経済対策に名をかりて財政赤字を拡大させたことです。  本補正予算では、七兆円を上回る国債の増発を余儀なくされ、国債依存度は四三・三%と危機的状況に陥っています。将来世代責任を持てない財政運営には到底賛成できるものではありません。  最後に、中小企業救済予算といいながら、その対策費は七千七百億円余りにすぎず、銀行救済予算に九千二百億円余りも計上しているこの中身でございます。今回の国会を総理は中小企業国会と名づけましたけれども、まさに名ばかりであり、実体のない国会であるということを断ぜざるを得ないと思っております。  以上、補正予算案に対する反対の意見を述べ、私の討論といたします。(拍手)
  450. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  平成十一年度一般会計補正予算(第2号)、平成十一年度特別会計補正予算(特第2号)、平成十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  451. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 多数と認めます。よって、平成十一年度第二次補正予算三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  452. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会