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国務大臣(宮澤喜一君) 昨年、
小渕内閣が発足をいたしましたときに、
総理の決断によりまして財政再建ということをしばらく延ばしてこの不況脱出に全力を挙げようというこういう御方針、御
趣旨であったわけであります。それに従いまして、財政としては全力を挙げてまいりましたが、その際、実は我が国のデフレギャップというものがどのぐらいあるかということは、当然ですがよくわかりませんで、とにかくしかし、どうあろうとできるだけのことを歳出、歳入両面でするしかないということで、いわばぎりぎりいっぱいのことをするしか方法はないなというのが本予算並びに
補正予算という形になりました。
幸いにして、一―三のところで成長のプラスが出まして、これは一年半ぶりでございます。そして、四―六もまあまあ思わないことにマイナスでなくプラスが出る。
先ほど溝手
委員のおっしゃいましたことですが、この間の七―九というものが非常に悪かったのではなくて、今、新聞の引証で大変にうまい表現をされましたが、実は七―九のGDPは四百八十二兆でございます。ところが、これは一―三のGDPと偶然に全く同じ四百八十二兆でございますから、決して経済が悪くなっているのではなくて、間を修正したものですから、間の四―六というのの係数が、さっきも
堺屋さんが言われましたが、プラス〇・一からプラス一、年率にしますと非常に大きな修正になるので、それで七―九というものが大変にみすぼらしくマイナスになってしまったというだけのことでございますから、経済が悪くなっているわけではない。それが一年本予算をやり
補正予算をやりました後の姿で、したがいまして、一年たったところで何となく底はわかるような感じがしてまいりました。
ただし、御存じのように消費は弱うございますし、民間設備投資も弱いのですから、もう一年財政がやはり踏ん張らなければいけないという、そういう判断をしておりまして、それがただいま御
審議をいただいております補正とこれから編成をいたさなければならない本予算の性格でございます。したがいまして、両方ともこれは景気刺激的な性格を持たなければなりません。また、そういうふうにいたすつもりであります。
そこで、次の溝手
委員のお尋ねは、しかしそうやってどんどん国債はふえてどこまで行くのかなということなのでございますけれ
ども、私としては、国税収入がずっと減り続けてまいりまして十年前に戻ったわけですが、どこかで反転しなければ国債の話に結びつかないと。
いろんな要因はありますけれ
ども、今、来年度の予算の作業をしておりまして、来年度はわずかではあるが国税がふえるように思われます。大変大きな金額ではないにしてもふえるように思われます。
歳入歳出の方の大きな要因は地方財政と、
あと福祉。それから、私としては、いわゆる金融安定化措置というものも、こんなことをもう長年やっておってはいけないわけでございますから、ここでもう先まで見てきちんと盛り込むものは来年度の予算に盛り込んでしまいたい。そういう余裕があるという
言葉は変な
言葉ですが、そこまでやっぱりやっておきませんと、二〇〇一年にはもうペイオフというものももとに返るわけでございますから、金融の正常化のための措置も来年度の予算にやっておきたい。
その上で国債をこれ以上ふやさないということができるならば、せめて
国民の皆さんにとってどこまで国債がふえるのかわからぬなという御懸念だけは、そういう形で見ていただきたいと思っておりまして、これからの編成でございますので計数的にきちんとは申し上げられませんけれ
ども、来年度予算では多分そういうことができるのではないか。
それをもちまして、もうこれで財政の非常に異常な刺激措置というのは基本的には大きな部分は完了する。そのことは、来年度の我が国の経済成長が、来年の今ごろには消費も少しはよくなっている、設備投資も何ぼかはというぐらいのところまで民需が来てくれますと今申し上げたようなやり方でできるのではないかという、そういうことを考えております。