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1999-12-08 第146回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十二月八日(水曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  十二月二日     辞任         補欠選任      久野 恒一君     青木 幹雄君      中島 眞人君     中曽根弘文君      郡司  彰君     浅尾慶一郎君  十二月三日     辞任         補欠選任      青木 幹雄君     久野 恒一君      中曽根弘文君     中島 眞人君  十二月七日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     角田 義一君      櫻井  充君     今井  澄君      魚住裕一郎君     木庭健太郎君      市田 忠義君     宮本 岳志君      入澤  肇君     星野 朋市君  十二月八日     辞任         補欠選任      角田 義一君     浅尾慶一郎君      木庭健太郎君     益田 洋介君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         倉田 寛之君     理 事                 竹山  裕君                 長谷川道郎君                 保坂 三蔵君                 溝手 顕正君                 峰崎 直樹君                 柳田  稔君                 荒木 清寛君                 笠井  亮君                 大渕 絹子君     委 員                 市川 一朗君                 大野つや子君                 岡  利定君                 岸  宏一君                 北岡 秀二君                 久野 恒一君                 国井 正幸君                 小山 孝雄君                 鴻池 祥肇君                 斉藤 滋宣君                 谷川 秀善君                 中島 眞人君                 野沢 太三君                 畑   恵君                 浅尾慶一郎君                 今井  澄君                 木俣 佳丈君                 久保  亘君                 竹村 泰子君                 千葉 景子君                 角田 義一君                 直嶋 正行君                 本田 良一君                 木庭健太郎君                 益田 洋介君                 松 あきら君                 山本  保君                 小池  晃君                 須藤美也子君                 宮本 岳志君                日下部禧代子君                 照屋 寛徳君                 月原 茂皓君                 星野 朋市君                 菅川 健二君                 松岡滿壽男君                 佐藤 道夫君    国務大臣        内閣総理大臣   小渕 恵三君        法務大臣     臼井日出男君        外務大臣     河野 洋平君        大蔵大臣     宮澤 喜一君        文部大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       中曽根弘文君        厚生大臣     丹羽 雄哉君        農林水産大臣   玉沢徳一郎君        通商産業大臣   深谷 隆司君        運輸大臣        国務大臣        (北海道開発庁        長官)      二階 俊博君        郵政大臣     八代 英太君        労働大臣     牧野 隆守君        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  中山 正暉君        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    保利 耕輔君        国務大臣        (内閣官房長官)        (沖縄開発庁長        官)       青木 幹雄君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    越智 通雄君        国務大臣        (総務庁長官)  続  訓弘君        国務大臣        (防衛庁長官)  瓦   力君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君        国務大臣        (環境庁長官)  清水嘉与子君    内閣官房長官        内閣官房長官  松谷蒼一郎君    政務次官        外務政務次官   山本 一太君        大蔵政務次官   林  芳正君        文部政務次官   河村 建夫君        文部政務次官   小此木八郎君        厚生政務次官   大野由利子君        農林水産政務次        官        金田 勝年君        運輸政務次官   中馬 弘毅君        運輸政務次官   鈴木 政二君        郵政政務次官   前田  正君        労働政務次官   長勢 甚遠君        建設政務次官   加藤 卓二君        総理府政務次官  長峯  基君        金融再生政務次        官        村井  仁君        防衛政務次官   依田 智治君        防衛政務次官   西川太一郎君        経済企画政務次        官        小池百合子君        科学技術政務次        官        斉藤 鉄夫君        環境政務次官   柳本 卓治君        沖縄開発政務次        官        白保 台一君        国土政務次官   増田 敏男君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  津野  修君    事務局側        常任委員会専門        員        宍戸  洋君    政府参考人        警察庁長官    関口 祐弘君        外務省北米局長  藤崎 一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成十一年度一般会計補正予算(第2号)(内  閣提出衆議院送付) ○平成十一年度特別会計補正予算(特第2号)(  内閣提出衆議院送付) ○平成十一年度政府関係機関補正予算(機第1号  )(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十一年度第二次補正予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は総括質疑を行うこととし、質疑割り当て時間は百四十分とすること、各会派への割り当て時間は、自由民主党四十四分、民主党・新緑風会三十九分、公明党十二分、日本共産党十五分、社会民主党護憲連合十二分、自由党六分、参議院の会八分、二院クラブ・自由連合四分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておりますとおりでございます。     ─────────────
  3. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十一年度第二次補正予算案審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 平成十一年度一般会計補正予算(第2号)、平成十一年度特別会計補正予算(特第2号)、平成十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。角田義一君。
  6. 角田義一

    角田義一君 おはようございます。  総理、この臨時国会あと会期末まで一週間という大変今厳しい日程になってきておりますが、どうも川向こう衆議院公選特は非常に風雲急を告げているような情報も入ってまいりまして、定数削減あるいは政治資金規正法問題等、非常に重要な懸案があるわけであります。特に、定数削減の問題については、私はやっぱりこういう問題は与野党でとことん話し合っていくべきだというふうに基本的に思っておりますが、何かまた乱暴なことを、強行採決だとか、そんなようなことが盛んに言われておりますけれども衆議院厚生委員会のようなああいう乱暴なことをもう一遍おやりになるおつもりでございますか。
  7. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 国会議員定数問題につきましては、まさに国会議員身分にかかわる極めて最も重要な問題でございますので、本件につきましては、議会におきまして十分御審査をいただきまして、最終御結論を得ていただきたいと存じております。  ただ、この問題につきましては、昨年来、今年の一月からいわゆる自自合意がございまして、その点につきまして、現下、世の中もいろいろとリストラをされておられるというようなこともございますが、いずれにいたしましても、定数につきましてもう一度よく検討し直したらいいということで、自由党自由民主党党首間において話をまとめてまいりました。  その結果におきまして、比例区におきまして定数を五十削減するということになりましたが、その後の経過におきまして、自自だけでこの問題を解決するということではなくして、やはり各党各会派の御理解も得ていかなきゃならぬということで、現下経過がございました中で、現在の連立政権三党におきまして定数削減につきましての方向性が定められておるわけでございます。  したがいまして、この問題につきましては、衆議院におきます公選特におきまして十分御審議をいただきまして、私としては、この定数削減自由党党首との取り決めもございますので、そうした方向で一日も早くそれが成立されることを期待いたして、現下見守らせていただいておる、こういうことでございます。  したがいまして、お説のように強行的に物を処すというようなことは、これは議員の、重ねてですが、極めて大切な身分にかかわることでございますので、十分その点も理解をされて衆議院におきまして御処置いただけるものと、このように考えておる次第でございます。
  8. 角田義一

    角田義一君 自自公の問題についてはまたきちっとやっていきたいと思いますが、とりあえずこの定数削減の問題についてお尋ねいたしますけれども、三党の合意文書の中に、次の総選挙前に二十削減をしてやるというようなことが書いてございます。しかも、それがこの臨時国会冒頭処理というふうに書いてあるわけでありますが、今はもう冒頭でないと思うんですけれども、どうですか、変な話を聞きますけれども
  9. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 三党連立に当たりましては、今、委員指摘のような方向性について了解をされて国会提出をされておられると理解いたしております。  なるほど、冒頭処理ができないということは、先ほどのお話のようにやはり議員身分に関することですから、それこそ国会全体の問題として種々御検討されておるという過程の中で、結論的にはまだ衆議院におきまして採決に至っておらないということであろうかと思いますが、趣旨は公党としてのお約束をされておられることですから、その方向結論を出していただきたい、こう願っておる、こういうことでございます。
  10. 角田義一

    角田義一君 私も冒頭というのを改めて広辞苑で引いてみましたら、一般的に物事の始まりと、こう書いてあるんです。  それで問題なのは、この冒頭処理するということです。処理するということは冒頭成立させるという趣旨だと思いますけれども、いかがですか。そう理解してよろしいでしょう。
  11. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) それを希望しておるということでございます。
  12. 角田義一

    角田義一君 私は、三党で冒頭処理する、この言葉自体、この表現自体非常にもうおごりがあると思うんですよ、これは。これだけ定数是正という大きな問題を三党だけで処理する、けじめをつけると。成立させてしまうんだ、冒頭に。そういうことを決めて、それを押しまくろうとすること自体、これはもう多数の横暴のきわみじゃないですか、そういうことを決めるということ自体。どうですか。
  13. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 押しまくるということはございませんで、さすればこそ恐らく六党間でもいろいろ御論議をされておったことだと思いますが、しかし、いずれにしても与党三党としてはそういう方向でぜひ冒頭処理をいたしたいということでお願いをしておるということですが、結果的には御議論しておられる過程におきまして、その法律をいわゆる冒頭本当に処理しようとすれば、これはなかなか国会における審議にまた影響も及ぼさざるを得ないというようなことも諸般考えまして、その委員会におきまして委員長初め理事各位、皆さんの御判断におきまして今日に至っておる、こう理解をいたしておるところでございます。
  14. 角田義一

    角田義一君 私は、三党の協議重み言葉重みというのはやっぱり大事にしてもらいたいと思うんですよ。冒頭処理するというようなことを三党で決めて、今日もうあと一週間しかない、どうなるかわからぬというようなことになっているわけですから、そもそも冒頭処理をするということ自体がもう無理な話なんです。そのことをやっぱり、今日なおできないということについて、それは総理として不明を恥じなきゃいかぬじゃないですか。どうなんです。
  15. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これは、三党としてそういう方向を定めておるわけで、三党の一党の党首たる私はもちろんその責任を負っておるわけでございますけれども、やはり国会全体の中でその処理につきましては、申し上げましたが、桜井委員長のもとで衆議院におきまして御論議が進めておられることでございますので、私自身が政府の立場でそれを指導していくというようなことは若干僣越かと思います。  やっぱり国会議員としてこの問題について極めて重要な問題として真剣に御討議いただかなきゃならぬと思っておりますし、そのように作業させていただいておると理解しておるところでございます。
  16. 角田義一

    角田義一君 三党の合意文書は、これ内閣総理大臣とそれから自民党総裁小渕恵三になって署名しているんです、これは。だから、責任は私は逃れられないと思うんですけれども。  同時に、自由党を代表して二階国務大臣にもお聞きしますけれども二つ。要するに、冒頭処理するということが私はさっき言ったようにおごりじゃないかと。しかも、今日なおできていない。この政治責任をどうするんですか。同じく公明党の続大臣にも私はお尋ねしたい。共同責任ですよ、あなた方、そんな横暴なことをやって。
  17. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 以前から私たち自由民主党との間で、つまり自自の際に五十名削減ということで意見一致を見ておりました。その後、自自公三党でこの問題に対処するに当たりまして、激変緩和ということから二十名をとりあえず削減するという方向意見一致を見ておるところでありますが、冒頭処理するというのは三党の決意でありまして、三党だけでできるならば冒頭処理できたでありましょう。これからも、特に民主党を初め野党皆様の御理解をいただいて、一日も早く処理できることを期待をいたしております。
  18. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 角田議員の御質問にお答えしますけれども議員も御案内のように、私ども公明党が主張しているものは中選挙区制度の改革でありました。その中で五十名の削減はよろしいと。しかし、今、総理からも二階国務大臣からもお話がございましたように、三党協議の中で比例区から二十名を削減すると。その結果、十一月十九日に一応修正案が出されております。  申し上げるまでもなく、衆議院選挙はいわば大変な衆議院議員の根幹にかかわる問題でございます。したがいまして、三党が仮に修正案を提案したとしても、これは国会の十分な議論があってしかるべきだ、こんなふうに思います。そういう意味で、私どもとしては修正案が一日も早く結論を出されて、そして議決されることを希望するだけであります。
  19. 角田義一

    角田義一君 私が聞いておるのは、冒頭処理というようなことを三党で決めておる。冒頭処理というのは常識で考えれば会期の初めにけじめをつけるということでしょう、成立をさせるということでしょう、常識的に言えば。それがまず第一におごりではないか。そして、それが今日なおできていないんですから、その政治責任はどうか、自由党として公明党としてどういうことだということを聞いているんです。お答えください。三党お答えください。
  20. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今も申し上げましたが、三党としては定数削減するという方向性については一致をしておるわけでございまして、そのことを実施することとして、三党の意思として、国会議員身分にかかわることでございますから、この問題についてはできる限り早く処置をするという決意を示しておるわけでございまして、いつまでたってもよろしいということではないことでございます。また、身分にかかわる問題といたしまして、いつどういう段階国会議員身分制約をされるかというようなことも、これは憲法上の規定であるわけですから、そういうことからいえば一日も早く方向性については明らかにすべきだということで決意を示しておるわけでございます。  定数、特に比例区の是正については、御党におきましても削減については方向性がやや定まっておるやにも聞いておりますので、そういう意味でいえば、ぜひ、比例区の定数減につきましても御理解を得られればそれこそ冒頭処理もできるわけでございますので、その点につきましても御理解を得られればありがたい、こう願っておるところでございます。
  21. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 中央省庁改革が続き、さらに国家公務員削減経済界におけるリストラ等が今日進んでおる最中でありますが、国会みずからがやはり身を切るような思いで定数削減に踏み切っていくということは、国民の世論もそこに集中しているわけでありますから、私たちは、仰せのとおり、冒頭処理というこの重い約束を実行すべく今日も努力を続けておるわけでありますが、ここは野党皆様の御理解をいただいて、一日も早く審議に入ることが国民が最も期待していることだと思っております。
  22. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 確かに十月四日に三党党首が、今御指摘のように冒頭処理するということの公約はしております。しかしながら、総理からもお話がございましたが、二階国務大臣からもお話がございましたように、懸命の汗はかいているけれども、なお提案といいますか審議に入っていただけないという状況、このことについては深く責任を感じているわけでございますけれども、願わくは一日も早く審議していただき、そして結論を出していただくことをお願い申し上げたいと存じます。
  23. 角田義一

    角田義一君 もうちょっと責任ある答弁をしてくださいよ。私は、そういうことを三党で決めて今日までできていないじゃないか、冒頭処理すると決めておきながら客観的にできていないんだから、その政治責任は一体どうするんだ、えらい無責任じゃないかということを聞いているんですから、その辺はっきり答えてくださいよ。(発言する者あり)答えていないじゃないですか、きっちり。
  24. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 二階、続両国務大臣も御答弁申し上げておりますけれども衆議院公選特におきまして、三党の提案しております法律案につきまして、ぜひ野党の御理解も得て審議にお入りいただき、そして十分な御討議の上にこれを御可決いただくことを三党としては心から願っておる、こういうことでございますので、よろしくお願いいたします。
  25. 角田義一

    角田義一君 そこで、これをやっていると日が暮れちゃうから、三党の合意によると、次の総選挙は二十の定数削減前提としてやりたい、こういうことですから、解散との関係で申し上げたいんですけれども、総選挙というのは、御承知のとおり、総理任期満了かあなたが解散権を行使するか、二つに一つだと思いますが、そうすると、二十の定数削減ができない間は解散はないというふうに理解してよろしいんでしょうか。それとも、あなたの解散権は、そんなものは関係ない、三党の合意なんかどうでもいいんだ、私は私でやるときはやる、こういうことなんでございましょうか。どうなんでしょう。
  26. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 解散につきましては、もう法律専門家ですから申し上げるまでもありませんが、六十九条で、不信任案が通過した場合に辞職するか解散するかということでございます、もちろん七条もございますけれども。そういった意味で、そのときそのときの政治状況におきまして解散はまた断行されることもあり得べしと思っております。  ただ、私としては、総裁選挙のときの記者会見におきまして、当時、自自でございましたけれども、こうしたお約束がある以上は、ぜひこれが成立を見た上で、選挙というものですね、解散とは申し上げておりませんが、選挙というものはあり得べしだという前提でお約束をしておるということは記者会見で申し上げておるところでございます。
  27. 角田義一

    角田義一君 私はこう聞いているんですよ。要するに、任期満了なら選挙をやらないわけにはいかないんですから、あなたの解散権はこの自自、三党の合意によって制約は全く受けないというふうに理解してよろしいんですね。(「当然だよ」と呼ぶ者あり)当然なら当然でいいんだよ。答えればいいんです。
  28. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今申し上げましたように、法的には制約を受けるものでありませんが、しかし、自自の合意から始まりまして、三党でこうした法律案提出しておるという段階でございますので、できる限りそれが早く成立することを願っておるということを申し上げておるところでございます。
  29. 角田義一

    角田義一君 もう一遍聞きます。  三党合意によって総理大臣解散権というのは全く制約されてない、みずからの意思によって好きなときにやれる、やるんだ、こういうふうに理解してよろしいですね。
  30. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 解散権内閣総理大臣に与えられた権能だというふうに理解しております。
  31. 角田義一

    角田義一君 私があなたの答弁を聞くと、やるということです。やれるということですね。  そうすると、今度は自由党公明党に聞きますけれども、三党合意定数削減二十というふうにやるんだとなっていますが、総理は場合によったら定数削減がなくてもやるかもしれない。そのときはもう連立当然解消ですな。どうですか。
  32. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えいたします。  定数削減二十名は私たち三党が国民に公約したことでありますが、同時に、自由党としては常にこのことを言い続けてまいっただけに責任は重大だということを痛感いたしております。  したがって、今国会成立すべく、残された期間はわずかでありますが、懸命の努力をいたしたい。したがいまして、一層の御協力を各野党皆様にもお願い申し上げておきたいと思います。
  33. 角田義一

    角田義一君 答えていないです。もうちょっとまともに、政治家同士が議論をするならこちらの質問に答えてください。納得できない。
  34. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えしましたとおり、私たちはこの二十削減の法案は必ず通る、また通さなくてはならないということを確信いたしております。  解散権総理御自身におありであることは、憲法が定めるところであります。
  35. 角田義一

    角田義一君 そんなことを私は聞いているんじゃないですよ。もう私は時間の関係があるから質問は繰り返しません。私の質問に答えていないんだから。ちゃんと的確に答えてください。  委員長、言ってください。だめだ、答弁になっていないよ、本当に。
  36. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 私にも御質問がございましたのでお答え申し上げます。  解散権は、憲法上内閣総理大臣の専権に属します。したがいまして、仮定の問題に答えるわけにはまいりません。
  37. 角田義一

    角田義一君 仮定じゃない、現実の問題ですよ。何が仮定だよ。
  38. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  39. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  40. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 我々は、三党連立に際して政策協議を行い、それぞれの政党の理想とするところを協議し、今問題になっております定数是正の問題も三党で一致したところでありますが、このことの実現に私たちは懸命の努力をする。  ただし、先ほどからの御質問につきましては、この定数是正だけが三党連立のすべてではないわけでありますから、そうした問題が起こった場合に、そのときに私たちは党全体でそれに対する方針を決めてまいりたい、このように考えております。
  41. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 十月四日に三党で政策協定いたしましたものは、今、二階国務大臣からもお話がございましたように、本件のみではございません、政策全体の問題でございます。そういう意味では、一つ一つの政策、三党間で合意された政策を私どもは実現することに汗をかくわけであります。  しかしながら、今お話しのように、仮に総理が大権を行使されたときにおまえたち連立与党から抜け出すのかという御質問については、そのときに我々は考えればよろしい、こんなふうに思います。
  42. 角田義一

    角田義一君 改めて総理に聞きましょう。  三党連立の基本理念、基本政策というのは一体何なんですか。
  43. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 三党連立政権合意書というのがございまして、これは万般にわたりまして三党としてお約束をいたしまして、それを実現することが三党連立政権方向性、またある意味では理念と申し上げてよろしいかと存じます。
  44. 角田義一

    角田義一君 私もおたくの三党のを見ました。基本理念とか基本政策とか、前文も何もないんです。ただ政策項目が羅列してあるだけです。昔、八頭立ての馬車なんてあなた方に、当時自民党に悪口を言われたけれども、八頭立てでもちゃんと立派な理念、前文もあって、しかも自社さだって、ここに河野さんおられるけれども、ちゃんと立派な前文もあるし、基本政策、基本理念もあったんです。だから、当時みんな苦労もしながら支えたんです。村山さんを支えたし、橋本龍太郎さんも支えたんです。気に食わなきゃすぐ出るとか入るとか、そんなことで国民の信頼が得られるはずないじゃないですか。  改めて聞きます。三党の基本理念、基本政策は一体何ですか、総理自由党公明党に聞きます。
  45. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 三党が政策を共有するべく切磋琢磨しながら相協力をして国政全般にわたりまして安定した政権のもとでその政策を遂行していくということが国民に対する三党連立意味でございまして、その時々におきまして常に問題を、各党もちろん基本的理念等、設立の趣旨も異なっておりますが、国民のためにという物差しの中でこれを合意を見ながら推進していくと。三党で折り合いをつけるところもありましょう。それぞれがみずから望むところをできる限り実現していく、これが三党連立の基本的な方針である、こういうふうに御理解をいただきたいと存じます。
  46. 角田義一

    角田義一君 自由党はどう。
  47. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 三党連立に当たりまして、私たち三党それぞれが共有する自由主義、民主主義などの政治理念を中心に、今日の政治的にも経済的にも極めて難しい状況の中にあるときに国民の皆さんにこたえていくためには、自自だけではできないこと、御案内のように参議院の勢力を考えてみましても、自自だけでは政策を極めてスピーディーに実現していくことが困難な問題が山積しておるときに、我々は三党が連立してともに力を尽くし合おうということでスタートをしたわけでありますが、今私たちはその三党におきましてそれぞれ政策のプロジェクトチームをつくり、懸命に政策を練り上げております。  情報通信等に関するチーム、デノミに関するチーム、国会改革に関するチーム、首長の多選禁止に関するチーム、循環型社会の構築に関するチーム、住環境の改善に関するチーム、二十一世紀型研究開発に関するチーム、安全保障に関するチーム、コンピューター二〇〇〇年問題の検討、少子化対策の検討、個人情報保護システムの検討会等をつくり、今三党の間で懸命に作業を進めておるところであります。  したがいまして、これらの具体的な政策がまとまり次第、国会にも御提案し、また各党においても御議論をいただく、そういうことによって国民の皆さんの期待にこたえていこうと三党が今努力をしているところであります。
  48. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 公明党は、不動の哲学と不動の組織を持っております。そして、確かに参議院選挙の結果は、自民党の一党では内閣が参議院の議席を考えても維持することができないという状況の中で、七月七日に小渕内閣総理大臣・自民党総裁から私どもに、政権を共有しようと、そしてともにあしたの日本を築こうという申し出がございました。そこで、私どもはけんけんがくがくの議論をして、それでは日本の柱になるならばということで政権協議に応じたわけであります。  そういう中で、それぞれが政策を持ち合わせております。その自民党のよさ、公明党のよさ、自由党のよさ、それぞれ政権協議の中で議論をし、十月四日に三党の合意がなされました。その三党協議の中で、その政策を実現するために我々は汗をかいているわけであります。必ず国民皆様の御期待にこたえられる、そんな政治が実現することを私どもは確信をしております。御理解賜りたいと存じます。
  49. 角田義一

    角田義一君 論理が逆立ちしているんですよ。今一生懸命政策論議をやっているとかなんとか言っていますが、それは三党連立だから政策協議をやるのは当たり前でしょう。当然でしょう、そんなことは。  私が聞いているのは、そんな具体的な個々の政策を聞いているんじゃないんです。三党は一緒になって連立政権を組んだ以上、どういう理念、どういう基本政策で国民に訴えるのか。これは、法三章じゃないけれども、簡単な凝縮された立派な文書があって、我々はこれでいきたいんだ、これでやりたいんだ、こういうものがないじゃないですか。あるんですか。
  50. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 詳細には二階国務大臣も御答弁申し上げましたが、そうした政策を実行するということが、三党においても党内必ずしも、すべてその問題についてはいろいろの御議論があろうかと思いますけれども、三党が、申し上げましたように譲るべきところは譲り、そして結論的には先ほど二階国務大臣がお示しした具体的な政策を何としても実行していく、そのことが要は国家と国民のために大いに役立つことだということが、これをもって政党が政権をともにしながらその責任を果たしていくという趣旨でありますので、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  51. 角田義一

    角田義一君 これまたやっておったら日が暮れますよ。  では、一つだけ例を挙げて聞きましょう。  西村防衛政務次官という方が更迭されましたね、事実上。総理、お手元のプレイボーイを読んでおいていただきたいというふうにお願いしておきましたけれども、改めてお読みになってこの西村発言、どうお感じですか。
  52. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 不適切と思われる発言がその随所に見られることは、通読いたしまして理解をいたしたところでございます。
  53. 角田義一

    角田義一君 西村さんは、これ完全に核武装論者ですよね。  三党の核政策というのは一体どういうものですか、教えてください。総理自由党公明党さん、三党で共通した核政策というのは一体どういうのですか。
  54. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 三党といいますか、政府といたしましては、非核三原則を厳守していくというのが核に対する基本的政策の根本でございます。
  55. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 小渕内閣としては、今、総理が御答弁のとおり、私たちはその方針を遵守してまいることは当然のことだと考えております。
  56. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 公明党は、特に平和の問題に関心を今までも持ち続けてまいりました。非核三原則は当然のことであります。
  57. 角田義一

    角田義一君 私は、三党の共通の核政策は一体何ですかと聞いているんです。三党のですよ。あるんですか、ないんですか。答えていないじゃないか。
  58. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 三党といいますか、政府の基本的政策は、つくらず、持たず、持ち込ませずというのが基本的な原則でございまして、それを歴代遵守してきておるわけでございまして、今回二党が参加されました以上、当然三党の基本的政策もそこにあるということは言うまでもないことだと思っております。
  59. 角田義一

    角田義一君 文書で三党で核政策については何も決めてないんですね。そこを聞きたいんですよ。
  60. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これはまさに当然のことでございますので、改めて合意を求めるという趣旨のものではないということであるとすれば、歴代政府もそうでございますけれども小渕内閣といたしましても、その基本的方針に御理解あって三党が連立政権を樹立しておる、こういうことでございますので、あえてこのことを文書化したということはありません。
  61. 角田義一

    角田義一君 河野外務大臣にお尋ねします。  自社さ連立政権のときの核に対する政策合意はどういうものでしたか。
  62. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 当然非核三原則を遵守するということでございました。
  63. 角田義一

    角田義一君 それだけですか。それだけですかと聞いているんです。
  64. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 詳細、今資料を手元に持っておりませんが、私どもの行いました外交政策におきましても、非核三原則を遵守し、当時はNPTその他国際社会における究極的な核廃絶に向けて努力をしてきたという実績がございます。
  65. 角田義一

    角田義一君 実績を聞いているんじゃないんですよ。当時、あなたは自民党総裁で、私どもと、いい悪いは別にして苦楽をともにした仲だから聞いているんですけれども、核の政策はちゃんと文書化されているんですよ。核廃絶を日本は世界に発信すると書いてある。核廃絶を世界に向かって発信すると当時の自社さ連立政権ではうたっているんですよ。  だから、核均衡論じゃないんですよ。核均衡ではなくて、最終的には核を廃絶をするんだというのが自社さ政権の方針だったんです。もし、今の三党でそういう発想がちゃんとあって確認されていれば、西村さんのような人を就任させるはずないじゃないですか。総理、どうですか。
  66. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 自社さのときにつきましては、今、河野当時の総裁から御答弁ありましたけれども、現内閣といたしましては、この国是とも申すべき三原則につきましては、至極当然のこととして理解をいたしておりますので、あえて文書化をいたしませんでしたが、その理念といいますか、根本的な考え方としてはいささかも揺るぎない日本の方針を示しておると理解しておるところでございます。
  67. 角田義一

    角田義一君 総理、これは大事なことなんですよ。三党で少なくとも、被爆国であります日本、核の問題について三党で政策合意が全くない、文書にも何にもされていない。これは無責任きわまるんじゃないですか。日本の一番の国是でしょう、これ。そして、核廃絶を求めるということを当時の自社さ政権はうたっていたんですよ。そういう哲学なり理想なり理念なり、それが今の三党にあるんですか。ないじゃないですか、文書も何にもないんだから。ないからこそ西村さんのような人が入ってくるんですよ。平気で入れちゃうんですよ、あなたは。そうじゃないでしょうか。その責任は重いと思いますよ。どういうふうに感じていますか。
  68. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 究極的核廃絶は、我が国のみならず世界の各国とも強く期待、希望しておるところでございますし、日本としてもその方向のために先頭に立って努力をさせていただいておるということだろうと思います。  そこで、西村政務次官につきましては、今週刊誌も拝見をいたしましたし、またいろいろと国防問題について御議論されておることは、すべては私承知しているわけではありませんが、いろいろと私自身も、与野党の時代には野党たる西村さんからもお尋ねもいただいておりますので承知をいたしておりますが、少なくとも政府として基本的な政策を持ってこれを実行していくということになりました場合には、政府としての方針にきちんとその方向をたがうことなく政務次官としての職責を全うしていただけるものと理解をし、そして任命をした、こういうことでございます。
  69. 角田義一

    角田義一君 お手元のそのところをちょっと見てくださいよ。西村さんが自分が就任した経過みたいなことが書いてありますな。今、大変な時代だと、ブレークスルーとかなんとか、すぐ英語を使うからわからないんだけれども、字引を引いたら艱難突破と書いてありますわ。要するに、艱難突破する、核武装の問題もいろいろ難しい問題があるだろうけれども、自分はそういうことをわかっていて小渕さんは私を入れたんじゃないかという趣旨のあれになっていますよ、その記事を見ると。小渕さんという人はそういう人だと、策士ですからなと、こうなっているんです。  これは、偶然あなたは西村さんを入れたんじゃなくて、まさにそのブレークスルーじゃないけれども、核の問題について彼を入れることによって議論させようというような魂胆がよもやなかったでしょうな。どうなんですか。西村さんの文章はそうなっていますよ、読めば。これはますます責任はあなたは重いと思いますよ。どうですか。
  70. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 週刊誌には委員が今御指摘のようなことが書かれておりますが、私は全くそんなことは意図しておりませんで、自由党からの推薦もあり、国防問題につきましてもいろいろと御意見は持っておることは承知しておりますけれども、内閣の基本的方針にたがうことないものと理解しておりますし、一般的には、過去もそうでございますが、日ごろの政治家の言動というものはいろいろあろうかと思います。  あろうかと思いますけれども、それは、政権を樹立し、そして政権のもとにあるということであれば、基本的にはその方向については必ずしも議員時代にいろいろお話しされたことのみを実行するということでなかったことは、かつて日本社会党も自衛隊の存在とかそういうものをお認めになっておらなかった時代もありますけれども、村山政権になりまして、しっかりと日本の国防について自衛隊を認め、そして行くということで、政府の従来の方向性についてたがうことない政策を遂行したことを考えますと、政策というものは政府としての基本的な合意が成り立てばその線において実行するものと理解しておったわけであります。  その理解にたがうことを政務次官として実行したということであれば、これはまことにまたその段階で対処しなければなりませんが、週刊誌において今このようなことを申されておるということにつきましては、私としてはそのようなことを実行するなどということはつゆつゆ思わずおることは言うまでもありませんし、内閣に入りましたら内閣の基本的方針に従って行動するということを信頼して就任をさせた次第でございます。  この点は、週刊誌はいろいろ書いておりますけれども、私としてはさような考えで就任をお願いしたということではないことはぜひ御理解いただきたいと思います。
  71. 角田義一

    角田義一君 もう一点だけ聞きましょう。  この人のインタビュー、とてもじゃないけれどもNHKを前にして私は読めませんよ、恥ずかしくて。大変な品性ですよ、これ。中に、一言だけ申し上げますけれども、強姦という言葉が随分使われていますよ。  これほど女性の人権というものを無視したような表現をする政治家は珍しいと私は思う。こういう人を結果的に登用しちゃったわけだよ。これは総理大臣として、今言った核の問題と、この女性べっ視というか人権を無視するようなそういう発言を平然とやるような人を選んだということについてのやっぱり政治責任が一つ。  それからもう一つ。改めて、これだけ問題になっちゃったんですから、小渕政権の核に対する政策というものは文書にないけれども、世界に向かってあなたはどういうメッセージを発信するのか。この二つだけは聞いておかなきゃならぬ。
  72. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) まず、御指摘をいただきました前政務次官の女性べっ視の発言につきましては、女性の気持ちや人権を踏みにじるものであり、大変論外なものと考えております。  本年六月に、男女個人としての尊厳が重んぜられること等の男女の人権尊重等を基本理念とした男女共同参画社会基本法が成立をいたしまして、男女共同参画社会の実現に向けて新しい第一歩が踏み出されたところでございまして、政府としても、こうしたことをかんがみればまことに残念な発言と、こう考えて、そしてこれを実質的更迭を申し上げたということでございます。  それから、この核問題につきましては、第百四十三回国会におきまして、内閣総理大臣所信表明演説の中で、先般、インド、パキスタンが核実験を行いました。唯一の被爆国として非核三原則を堅持し、核軍縮・不拡散政策を推進してきた我が国として全く容認のできない行為である。したがって、この非核三原則を堅持するという方針にいささかの揺るぎもないものだ、こういうことを国会におきましても述べさせていただいておるところでございます。
  73. 角田義一

    角田義一君 核廃絶に向けて小渕政権は何をやるんですか。
  74. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 小渕政権下におきましても、究極的核廃絶という問題につきましては、国連におきまして日本から決議を提案いたしまして、国際社会の支持を得ているということがございます。
  75. 角田義一

    角田義一君 総理、フォローしてください。総理、そうですか。総理大臣
  76. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これは、私も外務大臣時代から国連に参りまして、重なる演説の中で、我が国として、世界唯一の被爆国たる日本国民意思を代表して、究極に核廃絶をしなければならないということを強く訴え、必ず国連におきましてそのための決議案を提出する先頭に立って今努力をさせていただいているということでございます。
  77. 角田義一

    角田義一君 後からまた同僚議員からもお尋ねがあると思いますが、次の問題に移ります。  先ほど冒頭政治資金規正法あるいは定数の問題が大きな問題になっておるというときに、昨日の新聞報道によりますと、私の手元にもその告発状が手に入りましたが、総理の資金団体、未来産業研究会、この政治団体の問題について市民グループから告発があったという記事が大きく出ておりまして、私も一国の総理が主宰をしておる政治団体が告発を受けるというのは大変な問題だなというふうに感じておりますが、これは当然のことながら部下に命じて、これは一体どうなっておるか、まず御調査なさいましたでしょうか。どうでしょうか。
  78. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 本件につきましては、報道等で承知をいたしております。報道されております団体の関係者から次のような報告を受けております。  それぞれの団体は、以前から自分の、自分というのは私ですが、政治活動を支援しておる。今回、改めて法律専門家意見を聞きましたところ、法に違反するような点はない。  以上の御報告を得ております。
  79. 角田義一

    角田義一君 法務大臣にお尋ねします。  これは東京地方検察庁に対する告発になっております。告発である以上、これは仮に総理責任者の団体であっても厳正適切に処理しなきゃならぬと思いますが、いかがですか。
  80. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 御指摘のとおりでございます。
  81. 角田義一

    角田義一君 総理にお尋ねします。  法的な価値判断はこちらに置きますが、お金の流れというもの、客観的なお金の流れは告発状に記載されておるとおりというふうに理解してよろしいでしょうか。
  82. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) まだ告発状なるものを見ておりませんので、今ここでその内容について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  83. 角田義一

    角田義一君 新聞報道でかなり詳しく出ておるんですよね。その事実関係、お金の流れについては、もうこれは当然、立派な秘書官もたくさんおられるんだし、事実関係をきょうの予算委員会で質問されるということはわかっているんですから、お調べになったと思うんですけれども、どうなんですか。事実関係そのもの、お金の流れそのものもお認めにならないんでしょうか。
  84. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) それぞれの私を支持していただく団体の活動の詳細については、すべて私が承知をしているわけではありません。以前から自分の政治活動を支援してもらっていると承知いたしておりますが、その流れ、その他すべてにわたって今私がそのことを十分承知しているということではありません。
  85. 角田義一

    角田義一君 ちょっとそれは、総理として私は無責任だと思うんですよね。あなた総理ですから、一国の。しかも、こういう時代にこれだけの問題が提起されたんですから。まず、私が言っているのは、あえて言っているんです、法的評価はちょっとこっちへ置くと言っているんです。法的評価はこっちへ置くが、お金の流れそのものは間違いないんじゃないですか、いろいろ政治収支報告書も出ているようですからね。その辺はどうなんでしょうか、くどいようですけれども
  86. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほど御答弁申し上げましたように、違法な点はないという報告を受けておるわけでございます。したがいまして、おっしゃられるように、さらにさらにということでありますれば、それはこの点について関係者にどのようになっているかさらに調べさせてみたいと思っております。
  87. 角田義一

    角田義一君 これは、いろいろ法的評価の問題も私はあると思うんですが、一口に言いますと、もう総理御案内と思いますけれども、要するに個人に対する寄附というのは百五十万という制限があるわけですよ。それは何億も一人が寄附許すことになればやっぱり癒着ができますから、上限百五十万というふうに決まっているわけですね。これは、ペーパーカンパニーじゃないけれども、ペーパー、まさに政治団体というのをつくって、あって、それを通して、それをろ過して、そしてその百五十万というものを、枠を超えているんじゃないか、まさにそれは政治資金規正法に違反するんじゃないかという趣旨なんですね、この告発の趣旨というのは。  だから、まずその事実関係はどうだという問題については、きょうはもうこれ以上私言いませんけれども、必ず私どもの同僚がもう一遍お尋ねします、予算委員会まだありますから。これはもう総理もスタッフを持っているんですから、この次の予算委員会までに事実関係を調査して報告していただけますか。どうでしょうか。それだけちょっと聞いておきます。
  88. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 申し上げましたように、私のところに今届いておりますのはそうした意味で違法的なものでないという報告をいただいておりますが、御指摘でございますので、そういう前提に立ってどこをどう調べるかということでございますから、それはもう一度関係者に問いただしてみたいと思っております。
  89. 角田義一

    角田義一君 問いただしていただくのは当然だと思いますが、問いただしていただいた結果、この予算委員会で私どもの同僚が質問をまた明日やると思いますけれども、それまでに間に合わせていただけますか。
  90. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) どの点をどうお尋ねいただくかわからないわけでございますので、それはお聞きをいたした上でまた判断をさせていただきます。
  91. 角田義一

    角田義一君 金の流れだけはしっかりしておいてくださいよ、客観的な金の流れは。評価はいいです、いろいろ議論があるところだから。金の流れについてはそれはお認めになるのかならないのか。これは余り難しいことじゃないんで、これはまずきちっとしていただきたいと思います。  再度聞きます、くどいようでありますけれども総理、どうですか。次回でいいですから。
  92. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 調べた上で判断をさせていただきます。
  93. 角田義一

    角田義一君 時間も余りありませんから次の問題に移りますが、警察の不祥事についてお尋ねいたします。  私は、一般の警察官というのは、市民の生命、財産を守るために日夜大変な努力をしているというふうに信じておりますし、大方の市民もそうだと思っております。最近の、神奈川県警だけじゃなく奈良県警、京都府警、佐賀県警、大阪府警、この一連の警察の腐敗というものは私は大変憂慮すべきことだと思うんです。  そこで、なぜこういう事態が起きたのか。これについてどういうふうにメスを入れていったらいいのかということについて、まず国家公安委員長と総理にお尋ねをいたしたい。
  94. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) お答え申し上げたいと存じます。  まず、各県警等におきます不祥事案については、国民皆様方に大変御心配をおかけしておりますことを心からおわびを申し上げなければならない事態であるというふうに認識をいたしております。治安を守るべき第一線の警察官に対しましても、大変まじめに勤務をしていただいている皆様方に対してもこれは申しわけない事態であるとの認識をまず申し上げさせていただきます。  その上で、この事態というのはまことに遺憾きわまりないことでございますし、特に県警本部長が判断を誤るという事態というのはいまだかつてない事態でありまして、それだけに、事の重要性あるいは問題性というものを認識するわけであります。したがいまして、そういう意味で申し上げますれば、県警本部長の持つ責任というのは非常に大きいというふうに考えるわけでございます。  この問題につきまして総理からも御指示をいただいておるわけでありますが、今後の警察の秩序維持それから規律回復等について十分な対策を立てろという御指示を賜っておりますので、そのことについて全力を尽くすのが私の責務である、このように考えておる次第であります。
  95. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 日本の警察に対する信頼度というものは国際的に見ますと極めて高いものがあって、巷間よく言われますけれども、若い婦人が夜道を一人で歩いておりましても事故そのものが起こらないということについての評価というのは、恐らく日本の警察に対する信頼というものは非常に高いものだと思っております。  しかし、そういう中におきまして、その信頼を失墜するような事犯が神奈川県を初めとして起こっておることにつきましてはまことに憂慮にたえないことでございまして、その点についてはいろいろ刑事事件としての取り組みがされておると思いますけれども、やはりみずから正すという考え方がなきゃならない、こう思いまして、今、自治大臣からも御報告がありましたけれども国家公安委員長たる自治大臣にも改めて、その原因のよって来るところも十分精査し、二度とこうしたことが起こらないような制度、また心構え、こういうものをしっかり締め直さにゃならぬじゃないか、こう考えております。  一般的には、国家公安委員会というのは、これは国においてもまた各地方自治団体においても行われるわけでございまして、その公安委員会と、今度警察からの報告、その問題が、例えば神奈川県の場合には本部長がこれを握っておって十分上の機関と相談があったかどうかというようなこともあります。したがって、その間の状況をもっと明確に、公安委員会とそれぞれ県警との問題、県警に仮にもそうした不祥事が起きた場合には必ずそういうものに報告を上げるべきだというようなことも含めて、どういうことをやっていったらいいのか。  また、監察制度も、部内の監察というものはいずれの機構におきましてもなかなか難しいんだろうとは思いますけれども、しかしそうした監察でチェックをし、かつ公安委員会でダブルチェックをするというような形について今までどうであったかということについて再検討し、もし必要とあらばいろんな措置を講ずべきであるのではないかということで、今、保利公安委員長に指示をいたしており、そして恐らく早急に検討して結論を出していただけるものと思っております。  いずれにいたしましても、こうした事犯が全国各地で起こりましたことに対し、国民の皆さんに深くおわびを申し上げなきゃならぬ、こう考えておる次第でございます。
  96. 角田義一

    角田義一君 今、お二人のお話聞いておりまして、ちょっと事態の深刻さがわかっていないんじゃないかなと私は思うんです。  今、保利国家公安委員長は、県警本部長が判断を誤った、それから総理は、県警本部長が握っていたと。判断を誤ったとか握ったというんじゃないんです。九人の集団で罪証隠滅をやったんです。これも新聞報道で言われているから、私、具体的なことを言いません。ひどい話じゃないですか。県警本部長が大将になって罪証隠滅を集団でやるなんていうことは、今までの日本の警察でありましたか。そんなことはなかったでしょう。  その重大な事案に対して当時の警察は一体どういう捜査をやったのか、警察庁長官、答えてください。
  97. 関口祐弘

    政府参考人(関口祐弘君) 御指摘の事案は、神奈川県警で発生をいたしました犯人隠避あるいは証拠隠滅の事案かと思います。  これ自体は約三年前の事案でございますが、ことしの九月に至りまして、当時の捜査が十分でないということで再度この捜査を開始いたしたわけでございます。私どももことしの九月の時点でこれを知るところとなりまして、捜査につきまして厳正に行うようにということで指導をしてきたところでございます。  九月以降、関係者多数を事情聴取し、そしてまた証拠を検証した結果といたしまして、九名の者につきましての刑事責任を問うということで、神奈川県警の方から横浜地検に書類送致をしたというふうに聞き及んでおります。
  98. 角田義一

    角田義一君 厳正に行うよう指示したと。もっと具体的に話してくれませんか。どういうことを意味するんですか。
  99. 関口祐弘

    政府参考人(関口祐弘君) 私ども捜査を行う立場からいたしまして、法と証拠に基づいて捜査をするというのが基本であろうと思います。そうしたものに照らして厳しく行うということの意味でございます。
  100. 角田義一

    角田義一君 いいですか。九人で罪証隠滅というのは、共謀でみんなで結託してやったわけですよ。そうすると、捜査の常道、王道ですけれども、そもそも共同で罪証隠滅をやっているんですから、この九人が罪証隠滅の罪についてさらに罪証隠滅をやると考えるのは当然でしょう。となれば、その九人をばらばらにしておいて厳正もへったくれもないですよ。任意もへったくれもないですよ。  私は何でも逮捕すればいいと言っているんじゃないんだけれども、事柄の性格、事案の性格からいって当然逮捕されるべき事案じゃないですか、これは。どうですか。
  101. 関口祐弘

    政府参考人(関口祐弘君) この事件捜査につきまして、自後、任意捜査が甘いんではないかというふうな御指摘があることは承知をしております。  神奈川県警におきましては、ただいま申し上げたように関係者の事情聴取なりあるいは証拠の収集をもって事実関係を、事実を解明し得たということをもって書類送致をしたというふうに報告を受けている次第でございます。
  102. 角田義一

    角田義一君 いいですか、いやしくもあなたは、先ほど厳正に行うよう指導したと言っているんですね。そうすると、もっとずばり言えば、警察庁長官として、当然捜査権は今の神奈川県の本部長が持っている、捜査権を持っている。それに対して、厳正にやれということはどういうことだか君わかるなというぐらいのことは、あなた言ったんでしょう。どうなんですか。
  103. 関口祐弘

    政府参考人(関口祐弘君) 警察庁と都道府県警察との関係ということでございますけれども、具体的な事件捜査におきましてどのような手段、方法を使うかというのは当該都道府県の判断と責任において行うというものでありまして、私どもの立場から具体的にこの人物を逮捕しろとかということは言うことはできないし、また言うべきではないということで、そうしたことは言っておりません。
  104. 角田義一

    角田義一君 あなたの言う厳正というのはどういうことなんですか、答えてください。あなたの言う厳正というのはどういうことなんですか、答えてください。
  105. 関口祐弘

    政府参考人(関口祐弘君) 再度の御答弁で恐縮でございますけれども、私ども捜査をする立場としまして、法と証拠というものの基本に沿って捜査を行うということを私ども厳正にという言葉で表現をしているつもりでございます。
  106. 角田義一

    角田義一君 よろしいか。私は、田中角栄元総理が逮捕されたときに大変な衝撃を受けましたよ、一国の元の総理が逮捕されるということですからね。果たして一国の総理を捕まえていいか捕まえて悪いか、当時の検察だって随分悩んだに違いないんだ。でも、あえてやったんです。あえてやったんだ。  これだけの不祥事が起きて、県警本部長が大将になって悪いことをやってだれも捕まらない。それが何で厳正ですか。そんなことで国民は納得しますか。もう一遍答弁してください。
  107. 関口祐弘

    政府参考人(関口祐弘君) 再三にわたりまして答弁をしているとおりでございまして、神奈川県警において所要の捜査を遂げまして、事実を解明し、書類送致をしたということで報告を受けている次第でございます。
  108. 角田義一

    角田義一君 国家公安委員長、お尋ねしましょう。  今回の捜査の手法で、いいですか、警察の信頼関係というのは回復したと思いますか。私は、かえって国民の不信を招いたと思いますよ、こういう手法をとるのは。どう思います。
  109. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 逮捕という行為は厳正に法に基づいてやられることでありますから、その法に基づいて逮捕すべきかどうかの判断がなされたものと私は承知をいたしております。  世間の気持ちというのはよくわかります。
  110. 角田義一

    角田義一君 では、最後に聞きます、時間もありませんから。  関口さん、長官、あなた、この一連の全国にわたる不祥事が起きて、自分の身の振り方どうしたらいいかと寝ずに考えたことがありますか。
  111. 関口祐弘

    政府参考人(関口祐弘君) このところ、神奈川県警を初めとしまして不祥事が相次いでいるという状況につきまして、私どもとしても大変事態を重く受けとめているわけでございます。その対策で日夜没頭しているという状況でございまして、委員指摘のとおり、私自身眠れない夜もないではない、あるいはそれ以上の悩みというふうなことかもしれません。  いずれにしましても、現在私がやらなければいかぬことは失われた国民の信頼を回復するということであると考えるわけでございまして、そのために全力を尽くしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  112. 角田義一

    角田義一君 頑張るとか頑張らないの問題じゃないですよ、これは。事柄の本質として、これだけでかい事件が起きて、全国至るところで県警の不祥事が起きて、その長たる者が自分の出処進退について考えたことがあるのかと、私はこう聞いているんですよ。もっと素直に答えてくださいよ。
  113. 関口祐弘

    政府参考人(関口祐弘君) ただいま申し上げたとおりでございまして、現在私としてやるべき使命と申しますか務めと申しますか、これは国民の信頼回復ということであると強く認識をしております。そのためにあらん限りの力を尽くしてまいりたい、かように考えております。
  114. 角田義一

    角田義一君 最後に私言っておく。もう少し人間的な答えをしてもらわぬと、そういうあなたの答弁だから警察の信頼というのは回復しないんです、私に言わせれば。私も真剣に考えた、身の振り方も考えた。私は、武士の情けでそれだけにとめているんだよ。そういうことも、惻隠の情もわからないでそういう官僚的な答弁をして。これは、私はもうそれ以上言わない。彼には日本の警察の改革はできない、これだけ申し上げておきたい。  あと二つお尋ねします。  大蔵大臣にお尋ねいたします。  今回の補正予算でございますが、御承知のとおり大変な赤字国債が累積をして、しかも最終的には国債の依存率が四三・四%ですか、これは史上最悪と言われていますが、史上最悪というのはもちろん戦後のことだと思いますが、戦前も含めてもこれだけの国債依存率はないと思う。しかも、これだけの国債を発行すれば長期の金利も上昇する。本当に景気回復になるのかどうかというような問題もございます。  私があえて大先輩であります大蔵大臣に聞きたいのは、これだけの史上最悪の国債を発行した予算をつくらざるを得なかった。しかも、大蔵大臣の当初予算の予算委員会の御答弁を聞いておりますと、もうこれが最後じゃないか、もうこれで最後にしたいんだ、これで何とかなるんじゃないかというような答弁をされております。しかし、最近また、来年の予算もさらに積極予算を組んで、名前は積極予算でいいですけれども、赤字国債をまた再度発行するんじゃないか。こういうふうな財政運営、予算、ここまで持ってきた大蔵大臣のやっぱり責任というのは私は重いと思いますが、いかがお感じでございますか。
  115. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 国債依存率がこのたびの補正予算の結果、御指摘のように四三・四%になるということはまことに異常な事態であります。したがいまして、この国債を消化いたします、発行いたします上で、おっしゃいますように長期の金利が上昇するということを極力避けるために、国債発行の方法、種類等についてもいろいろ考えなければならないと思っております。  ただ、考えますと、一昨日もQEにあらわれておりますように、今の我が国の経済ではいかにもまだ民需の力が弱い。消費にいたしましても民間設備投資にいたしましても十分な力があるとは思えない。したがいまして、この補正予算と来年度の予算におきまして、もう一遍政府としては景気刺激策をとらざるを得ない、そういう判断をいたしております。  明年度の予算について御心配でいらっしゃることは私も同様でございますが、今大まかに考えておりますことは、明年度につきましては、いろいろ事情はございますが、景気の多少の回復も手伝いまして国税収入は多少のプラスを見ることができる、これはしばらくぶりのことでございますが、できるというふうに判断をいたしておりますので、気持ちといたしましては、明年度の予算をもってこういう大がかりな政府の財政支援というものは打ちどめにできるだろう、しなければならないというふうに考えておりまして、その場合には、明年の今ごろには民需の回復が多少あるという想定でございますけれども、そうしますと、明年度の本予算をもって財政支援の非常に大きな部分は打ちどめにできるだろう。  ただ、その際、金融の安定化についての措置はできるだけたっぷりやっておきませんと、また不安が起こるようなことであってはなりませんので、明年の予算編成に際しまして、金融の安定化のための措置はまず十分にやっておきまして、その上で、国債依存率が今おっしゃいましたことを上回らない、それから下がっていくというような予算編成をいたしたい。  それによりまして、国民各位に対して、政府としての財政支援はこれをもってほぼその目的を達すると同時に、国債依存率がこれより高くなることはない。それでも実は高いのでありますけれども、いつまでといったような不安は、そういう形で国民に対しておこたえをしていきたい。今そう思いまして明年度の予算編成に努力をいたしております。
  116. 角田義一

    角田義一君 今の財政状況ですからどなたがおやりになっても私は大変だというふうに思うのでございますけれども、先輩にこんなことを言っちゃ申しわけありませんが、それは国債を増発するにいたしましても、やっぱり規律というものが、私は規律、節度、ぎりぎり、こういうものがなくちゃいけないんじゃないかと思うんでございますよ。今の小渕内閣にはそういうものが果たしてあるのでございましょうか。
  117. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それにつきましては、小渕総理が就任されましたときに、いわゆる財政再建ということも大事であるけれども、不況脱却という二兎を追うことはできないという決断をされました。  遺憾なことでありますが、私はそれは本当のことであると思いますので、財政再建をするにしても経済が正常化しなければできないわけでございますから、そこは不況脱却に優先度を与えておりまして、多少の効果は今日まであっておると思いますが、明年、多分今ごろの時期には不況脱却のめどがかなりはっきりついて、そうして財政負担のピークも恐らくそれを超えることはなく、やがて我が国の経済がプラス成長の路線に入りましたときに財政再建に取りかかる。事態はまことに異常な事態になっておりますことはよく存じておりますので、その機は逃してはならないというふうに考えております。
  118. 角田義一

    角田義一君 もう一つお尋ねしたいんですが、今の円高をどう見ておられるかということと、私は、これはちょっと誤解を招いてはいかぬのですけれども、一般的に言いますれば、円が高いということはその国の通貨の価値、国際的な信用がそれなりに高いということだとは思いますが、しかし、今の円高というものは、日本の景気をにらんでの、景気がよくなるだろうということで投機筋もかなり動いているというふうに聞いておりますが、本当の意味で日本の財政というのは強いのか。  はっきり言って、五百兆を超えるような借金を抱えておって、一転して日本の財政が非常に厳しいといった場合には、今度は大幅な円安になっていく、非常に物も上がっていくというようなことで、国力が疲弊するんじゃないかというふうに思うわけでありまして、私はその辺のことを非常に憂えているわけでありますが、大蔵大臣はどういうふうにお考えでございますか。
  119. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 最後の問題についての御懸念はごもっともなことだとは思いますが、現在の円高そのものは、我が国の経済回復を殊に海外がかなりしっかりと確認をした形で買いに出ておるということが一つあろうと思います。もう一つは、株式もしたがって上がってまいりますので、外人投資というものはかなりふえる、そのためには円を買う、そういう循環になっておると思います。しかし、現実に経済回復をしなければならない当事者である我が国にとりましては、余り早い円高があるということは実はいろんな意味で支障がございますので、私どもとしては、マーケットを攪乱するような相場が出ましたときにはそれに対応をいたしておるわけでございます。  最後のお尋ねでございますが、確かに我が国は大変に大きな国債を負うことになりましたが、これは外国もそう見ているわけでございますけれども、それはそうであるけれども、日本という国の持っている力からいえば、日本全体が売りになるのではない、むしろ不況を脱却しているというところは買いというふうに外国は考えている。  また、国内においても国債は確かに大変に発行をいたしておりますけれども、国債の価値というものは少なくとも国民からも外国からも疑われていない。かなり低い金利で国債が発行できているということは、今おっしゃいましたようなことは用心をしなければなりませんが、恐らく私は杞憂に終わるというふうに考えております。
  120. 角田義一

    角田義一君 大元老の御宣託ですから、私は杞憂に終わってほしいと思います。  最後の質問をいたします。  総理、大変今雇用情勢が厳しい。私は、リストラすれば税金まけてやるなんという政策をとっているのは日本だけだと思うんですよ。まず私は、総理の雇用政策の基本理念、どういうお考えで雇用政策に臨むのかということをお聞きしたい。これが一つ。  それから、中曽根文部大臣にお尋ねします。  来年の新卒者、高卒あるいは大卒、非常に深刻です。就職難。二十三万人がまだ決まっていないというような、未来ある青年がこういう状態でいいのかということです。これは文部大臣、この学卒者の就職にどういうふうに取り組むか。その二つをお尋ねしたい。  まず総理
  121. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) リストラをすればそれを積極的に加勢するというような政策はとるつもりはありません。ただ、企業におきましては構造政策をやらなければ国際社会の中で、経済の中で生きていけないという意味で、それぞれ企業体が企業の構造改革のために努力すること、これは全く否定することはできない。  したがって、生じてきました雇用につきましては、政府としても全力を挙げてこれを救済といいますか、助けていく努力をしていかなきゃならぬということでの雇用政策には万遺漏なきを期して、前の補正のときもそうでございましたけれども、全力を挙げて努力をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  122. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 文部省と労働省両省で調査をいたしました来春の卒業予定学生の十月一日時点での就職の内定率でございますけれども、昨年に比べまして大学で三・九%減の六三・六%、それから短期大学では二・三%減の三六・五%となっております。労働省で調査いたしました高等学校卒業予定者の九月末日時点での就職内定率は、昨年に比べまして七・七ポイント減の四一%となっておりまして、二年前に比べますと大学も高校もそれぞれ一〇%強の減となっておりまして、大変深刻な状況でございます。これは景気の低迷による雇用情勢が厳しいということもございますが、私ども大変憂慮しております。  それで、どういう対策をということでございますけれども、就職は学生やまた生徒が将来に希望を抱いて職業生活に入るという大変に重要な一歩でございまして、文部省といたしましては、各大学等に対しまして職業観の涵養やインターンシップの積極的な導入を図るよう求めるとともに、学生一人一人に応じたきめ細やかな就職指導やそれから就職相談体制、こういうものの充実をお願いしているところでございます。  それから、学生の就職機会の拡充を図るためにも、大学側及び企業側双方に対しまして、これらの参加をいただいて全国就職指導ガイダンスを開催したところでございます。さらに、高校生の就職につきましては、各都道府県教育委員会に対しまして、教育機関と就職安定機関の緊密な連携による求人開拓やそれから就職面接会の開催などの取り組みを要請しているところでございます。  私といたしましても、この十一月の十六日から二十二日にかけまして日経連を初めとする経済の五団体を訪問させていただきまして、学生、生徒の雇用枠の拡大などについて格段の配慮をお願いしてきたところでございまして、御配慮いただけるように努力していただいているものと、そういうふうにも承知をしているところでございます。  今後も労働省と連携強化を図りまして、一人でも多くの学生、生徒が就職できるように努力していきたいと思っております。
  123. 角田義一

    角田義一君 総理にちょっとお願いをしておきますが、私は、今の日本の雇用状態を考えますと、いずれ労働者を保護する雇用制限、いろいろ法制を整備しなきゃならぬだろうというふうに思っておりますから、ひとつこれはその検討を部下に命じていただきたい。それから、経済四団体の長を官邸に呼んでいただきまして、再度、未来ある若者の就職について骨を折るように要請していただきたいと思いますが、いかがですか。それだけ聞きます。
  124. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 労働関係の法制というものは、これは基本的には労使がまず話し合ってきちんとやっていかなきゃならぬと思いますが、しかし同時に、政府としての責任も果たしていきたいというふうに考えております。  それから、経済団体あるいはまた大企業の皆さんが企業を存立させるというためにいたずらにリストラに走るということはあってはならぬわけでありまして、社会的責任ということを十分心得て、労働者の生活をきちんと守っていくという形の中で最善の努力をしていただくこと、そのために政府としてもいろいろとそうした団体の代表の皆さんとともに十分話し合ってまいりたい、このように考えております。
  125. 角田義一

    角田義一君 ありがとうございました。  関連質問をお許しいただきたいと思います。年金、介護の問題について今井先生にお願いしたいと思います。
  126. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 関連質疑を許します。今井澄君。
  127. 今井澄

    今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。  質問を始める前に、先ほどの同僚の角田議員警察庁長官のやりとりを聞いていて、また保利国家公安委員長の、国民の気持ちは納得しないだろうと。  私は学生運動をやっていて六回逮捕された経験があります。逮捕されると二泊三日、その後勾留が延長になって、警察の留置場段階で二十三日まで入れられるんですよね。板の間で毛布をかぶって二十三日間。この入れられる理由が罪証隠滅、証拠隠滅のおそれがあるからですよ。大勢逮捕されたときだって、決して同じ警察署には入れない、同じ警察署に入っても房は別にする、一緒になって話そうとすると禁ずる、こういうことをやって、警察は嫌がらせをしながら取り調べをするわけです。何でお巡りさんは捕まらないんですか。何で罪証隠滅が一番の被疑事実なのにみんなお互いに話し合いのできる状況で調べたのか。全く理解できないです。こういうことをやるから信頼が得られないということだと思うんです。そのことを一言申し上げておきます。  さて、総理大臣にお伺いいたしますが、今国会は憲政史上も画期的な国会だと思います。政府委員制度の廃止、また政務次官大臣を補佐して頑張るということ、それからクエスチョンタイム、これはやはり政治主導の政治を確立するという趣旨からだろうと思います。総理はその政治主導ということについてどういうお考え、理念をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。
  128. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) かねてから私、政策決定に当たりましては、従来のようにややもすれば官僚への依存を脱却いたしまして、政治並びに政治家が責任を持って迅速に決断していく体制を築き上げていくことが必要でありまして、このための国民の政治に対する信頼を回復することにつながると確信をいたしてまいりました。いわゆる日本版クエスチョンタイムや政府委員制度の廃止は、国会の権威を高め、国民に直結した政治に転換し、迅速な政策決定を行うことにつながるものと期待をいたしております。  その際、政治には次のようなことが求められるのではないか。国民国家の将来を見据えて、真に国民国家のためになるかどうかの大局的判断、またそれを行う見識というものが求められるんじゃないか。それから、幅広く国民の英知を結集する努力、また勇気を持って国民に説明し理解を求める努力、専門的な知識と経験を有する各省の職員の能力を引き出していく指導力ということでございまして、政府委員の廃止をすることになりました。したがって、この場所、ここでは政府委員答弁するという機会はありませんですが、しかし日本の官僚の持つ政策立案能力というものを否定するものではないだろうと思うんです。  したがって、そういうものを引き出して、そしてそれぞれ省庁において大臣並びに政務次官がこれを掌握し、かつストレートにそれを考えるのではなくて、十分吟味し、政治的判断も加えまして、そして国会法律としてはお出しをして、そして政治家、国会議員の御見識によりましてそれを判断していくという形、これが、いわゆる今度活性化法にも基づいておりますけれども、これからの政治の指導性とかこういうものにつながってくるのではないか、こう考えて、これから始まったことでありますが、精いっぱい政府としても努力をしていかなきゃならない、こう考えておるところでございます。
  129. 今井澄

    今井澄君 いろいろ長々と御説明があったんですが、私は、まさにこういうことこそ原稿を読まないで、総理御自身の責任で進められたわけですから、お答えいただきたかったんですが、私は、政治主導の必要性というのは時代との関係で出てきていると思うんです。  一つは、やっぱり今変革の時代だと。それは官僚は非常に優秀です。戦後の日本の経済発展のために、これは官僚主導がある意味ではここまで押し上げてきたと思うんですけれども、大きく変わるというときには、官僚の皆さんが幾ら優秀であっても、前例主義、横並び主義、あるいは場合によっては事なかれ主義、縦割り、こういうことですから大きな変革ができない。それは政治家にしかできないというのが一点。  それともう一つ、官僚の皆さんは責任はとらないですよね、あるいはとらなくていいシステムになっているわけです、さっきの警察もそうですけれども。そうじゃなくて、大きな変革をやるからには、政治家は責任をとるわけです。ある意味では選挙というものもありますし、そういう責任をとる立場の人間が主導するというのが政治主導で、私はこれは官僚主導に対して今の時代に必要とされていることだと思うんです。ところが、これを間違って、きちっと積み上げられてきたこと、あるいはみんなでやろうとしていることを一部の政治家が勝手に変えたり、あるいは目の前に選挙があるからこれ都合が悪いから変えようと。この政治主導は非常に困ったことだと思うんです。  つい最近も亀井政調会長が関西の方の某医系の団体の懇談会でごあいさつをして、介護保険制度の見直しを例に、すべてを政治主導で進めると、この予算、言明をされたそうです。一銭一厘たりとも我々の手元に置いてやる。役人は機械であり、機械は機械に徹してもらわなければならない。後でもちょっとやりたいんですが、診療報酬改定に関してもそういうことのようなんです。  そこで、私は今度の介護保険の見直し、これはあしき政治主導の典型であるというふうに、これはもうマスコミでもさんざん言われてきているから特に申し上げませんが、そこで二階運輸大臣にちょっと自由党の立場でお尋ねをします。  今回の補正予算について、自由党は当初二つの理由で反対をすると言っておられたというふうにお聞きしておりますが、そうなんでしょうか。また、そうだとすれば、なぜ今回は賛成をすることになったんでしょうか。
  130. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えいたします。  介護制度及びその対策を盛り込んだ補正予算について自由党意見を述べていたことは事実であります。しかし、この問題について、政策責任者間におきまして引き続き協議を続けていくことということで意見一致を見ております。  他方においては、補正予算は、景気対策、社会資本整備、中小企業対策等、自由党の元来からの主張を大幅に取り入れられておるものでありまして、私たち連立与党として国会提出に賛同するとともに、昨日、衆議院において賛成投票をさせていただきました。
  131. 今井澄

    今井澄君 お尋ねいたしますが、今、運輸大臣は介護保険という言葉をお使いになりましたが、自由党のお考えとしては介護制度じゃないんですか。保険であってはならないと。  それから、もう一つ反対された理由が、この介護保険対策の七千八百五十億円は来年度以降に必要なお金なんだから、これは今年度補正でやるのは財政法違反だということを言っておられたんじゃないですか。お尋ねします。
  132. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 失礼いたしました。介護制度であります。訂正をいたしておきます。  自由党は、介護税の方式について、国が基礎的な社会保障に関しては責任を持つことを明確にして、老後の疾病や不安を取り除くために現行の保険方式はもはや限界であるということを自由党は主張してまいりました。基礎的社会保障の財政基盤を確立するとともに、負担の公平化を図るため、消費税を福祉目的税に改め、その金額を基礎年金あるいは高齢者医療・介護の財源に充てるべきだという考え方は自由党が元来主張し続けておるところでありますが、今後におきましても、自民、自由、公明三党の協議国会審議の場を通じてそのような主張をしてまいるものと思っております。  財政法の問題につきましては、私たちはこの問題につきいろいろ議論を交わしてまいりましたが、三党におきまして今後十分対処していこうということで、財政法の問題については、最初の主張におきましてそういう意見を述べることがありましたが、最終的には三党におきましてこの問題については合意をしたところであります。
  133. 今井澄

    今井澄君 経過はよくわかりました。  次に、続総務庁長官公明党のお考えについてちょっと御説明をいただきたいんですが、公明党はやっぱりこの介護保険制度というのに賛成しておられないようで、在宅は保険でもいいけれども、特養は従来どおり税でやって、療養型病床群と老人保健施設は医療保険で今までどおりやればいいじゃないか、こういうふうに主張しておられると思うんですが、そのとおりでしょうか。また、それで何が新しい制度なのか、御説明いただきたいと思います。
  134. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 福祉、医療の専門家である今井先生には釈迦に説法だと存じますけれども公明党は、かねがねその政策として、介護保険制度の円滑な実施をした上で医療保険制度も含めた社会保障制度の包括的な改革の必要性を主張してまいりました。また、要介護認定などの制度の根幹は残すべきと考えておりまして、介護に係る財源及びそのあり方につきましては実施の状況を見ながら三党で協議し、真に国民から理解をされる新しい制度を目指すべきだ、こういうふうに考えております。
  135. 今井澄

    今井澄君 総理、そこでお尋ねしたいのですが、この三党合意自体が中身が一致していない。妥協の産物である。しかも、この三党合意政府見直し案、青木官房長官が十一月五日ですか発表された、これは全くまた違うものだと思うんです。この三党合意七項目、この中に介護保険という言葉は一言も書いてありません。ところが、政府見直し案は全部介護保険制度、介護保険料で統一されているんです。  総理、このことについてどう思いますか。三党の合意を全然受けていないんじゃないですか。──いや、これは総理にお聞きしているんです。厚生大臣は後でお聞きしますから。
  136. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 丹羽厚生大臣
  137. 今井澄

    今井澄君 いや、ちょっと待って、委員長
  138. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 続いて指しますから。
  139. 今井澄

    今井澄君 委員長、ちょっと待ってください。  これは私は、質疑通告で総理にお尋ねしますと。それで、厚生大臣は後でお聞きすることがありますから、ちゃんと。
  140. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 三党で合意をされたものにつきまして、政府としてはそれを誠実に受けとめて諸般の対策を講じていくというのが政党政治の立場からは至極当然なことだと思います。  ただ、政府としては、既に法律として成立をいたしております介護保険法という法律に基づいて、その範囲の中で各般の措置を講じていくというのも、法改正のない以上はそうした立場をとるのもこれまたことわりとして当然のことだろうと思っております。
  141. 今井澄

    今井澄君 いや、当然かどうかとお聞きしたんじゃなくて、違うんじゃないですかと、現に書かれていることが。違うんですよ。片や介護。保険という言葉は全然使っていないんです。片や介護保険なんですよ。これはやっぱりちょっと違っているんじゃないかと思うんですが、どうですか。違って当然というんですか。
  142. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これは専門的な立場で厚生大臣から答弁をさせます。
  143. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) まず、今井委員御案内のように、本年の十月でございます、下旬でございますが、与党三党におきまして七項目の合意ができました。その調整の結果いろいろな、三党が、先生とも自社さ政権のときに大変夜を徹して、ここは譲る、ここは譲らない、こういう御苦労をしたわけでございますが、そういう中におきまして、確かに介護という言葉は出てきておらないことは事実でございますが、来年から介護保険法を実施することにつきましては三党が一致をいたしておるわけでございます。  先ほど二階運輸大臣からもお話がございましたけれども、この結果を踏まえまして、保険料の免除あるいは半減を織り込みました政府提案の補正予算、昨日衆議院段階で通過したわけでございますが、与党三党がこぞって賛成をしていただいたものと、このように受けとめておるわけでございます。ですから、これによりまして何ら変更をもたらすものではありません。
  144. 今井澄

    今井澄君 変更をもたらすかどうか聞いているんじゃなくて、思惑が全部違っているでしょうということをお聞きしたんですよね。  全然まともに答えていただけないので、では厚生大臣にお聞きしますけれども、確かに一緒に夜を徹して議論してつくりましたよね、この制度を。何のためにこの介護保険制度をつくったんですか、その目的。それから、なぜこれを今までのような税でやる方式から保険料を集めてやるという方式に変えたのか。厚生大臣、そこのところをしっかり御説明ください。
  145. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) もう今井先生に申し上げるまでもないのでございますが、今は豊かさの中の不安の時代であると。しかも、特に一番大きな、深刻な問題は寝たきりのお年寄りの問題でございます。現在は痴呆が百万人ぐらいでございましょうか、合わせまして二百九十万人であると。これが将来にわたりまして、ピーク時におきましては五百二十万人ぐらいまでふえるのではないかと。  こういう中で、これまでどちらかというと、介護の問題は一家庭の私的な問題として片づけられてきた、しかも女性の皆様方が犠牲を強いられた部分が少なくないわけでございますが、今後は社会全体で支え合っていこうではないかと。そういう中でこの介護保険構想というものが生まれたものと、このように考えているような次第でございます。
  146. 今井澄

    今井澄君 いや、財源方式。保険料を何で取るんですか。
  147. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) そういう中におきまして、これまで私どもは、介護に限らず、医療にしても年金にいたしましてもすべて社会保険方式をとっております。  それで、なぜ社会保険方式かということでございますけれども、要するに負担と給付との関係が明確であるということであります。そして、原則的に申します社会保険方式というのは、国の公費の負担をしない方がいいんじゃないかという見方もございますけれども、やはりこれは、全体で支え合っていこうという中において、国もあるいは地方自治体もこれに対して協力しようということでございまして、社会保険方式においては公費も投入しておる、こういうことでございます。
  148. 今井澄

    今井澄君 いや、どうも説明が難しい。簡単に言うとこういうことでしょう、保険方式にしたのは。  今、大臣が言われたように、これからの介護の問題は大変だから社会で支え合おう、そのためにはサービスが要る、サービスにはお金がかかるわけですよね。この財源をどう調達するか。それは増税をして、今までのゴールドプラン、新ゴールドプランのように税をぶち込んでやるのも一つの方法。だけれども、それではこれまでの繰り返しで、上から与える福祉で、サービスをもらう方も権利を主張することもできない。それより、国民の皆さんに税か保険料かいずれにしても負担していただいて、サービスをふやすとすれば、保険料の方が払うことを通じて権利意識も出るでしょう、そういうことで保険方式にしたんじゃないんですか。どうなんですか、そこは。わかりやすく言ってください。
  149. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) その問題については議論をいたしましたところでございますが、そういう側面と、それから、これまでは例えば特別養護老人ホームに入った場合には措置制度のもとで行われていたわけでございますが、今度からはいわゆる利用による契約型に入る、こういうような問題であるとか、それから特に、先生もう十分に御承知だと思いますが、ホームヘルパーといいますか、在宅のマンパワーというものが大変不足している、そういう中において民間の方々にも導入していただくためには保険方式の方が望ましい、こういうような観点に立つものでございます。
  150. 今井澄

    今井澄君 今、大臣が言われた最後の民活というのも私非常に大事だと思うんですね。保険方式なればこそ、ホームヘルパーステーションなんて皆さんが開業して出てきてくださるだろうということもあるわけですね。  そこで、先ほどの御説明ですけれども、一応保険方式で保険料をいただくと、保険料の額がこの額ですね。(図表掲示)ところが、政府の見直し案は、最初の半年はただにする、そしてその後一年間を半分にして、再来年の十月以降を満額いただく、こういう説ですね。  そこで、何で保険方式なのに最初の半年凍結にしたんですか。その目的は何なのか。保険方式だと言うなら、保険料を取らなきゃ保険方式じゃないじゃないですか、ただになるなら。それをちょっと説明してください、厚生大臣
  151. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) この介護保険制度というのは、御案内のように、私も現場の声あるいは市町村の声を聞きまして、大変率直に申し上げてまだまだ温度差があるわけでございますし、いろいろな御意見、先生も御存じだと思います。  そういう中におきまして、いわゆる世紀の大事業を行うわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、サービスがこれまでのいわゆる措置から利用に変わっていくんだという、これはもう今までと全く違ったような方式になるんだと。それから、お年寄りの皆さん方にも新たな御負担をお願いしなければならない、こういうことでございまして、これまでのいわゆる社会保障のあり方も見直しながらこういうような新しいものをつくっていく、そういうことでございますので、来年の四月から円滑に実施していくためには皆様方に制度になれていただくんだという意味があって、要するに、何か保険料取られたけれどもどうなっているのと、こんなようなことがないように、私どもといたしましては、あくまでも経過的な激変緩和措置としてこのような考え方をとらせていただいたわけでございまして、先生が御懸念をなさっていらっしゃいますいわゆる制度の理念、それから基本的な枠組みというのは一切変わっておりません。
  152. 今井澄

    今井澄君 そうすると、半年で理解はしてもらえると。それでその次は半額、そして一年半後には満額、これは必ずこういうふうに保険料をいただくんですね。  厚生大臣、どうですか。本当にこのとおりいくんですね。
  153. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) 要するに、国の給付サービスに対しまして半年間は全額国の方において財政的な支援を行いましょう、それからさらに一年間については二分の一にしましょう、こういう基本的な考え方に立つ、こういうことでございます。  ですから、要するに私どもの交付の目的というのはあくまでも保険料の軽減に充てさせていただく、こういうことでございますが、いわゆる委員が御指摘の、例えば半年間、ずっとこうやって二年間やった場合はどうかと、こういうことだと思いますが……    〔今井澄君「いやいや、ちゃんと半年後には半額と、これでいくんですね」と述ぶ〕
  154. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 御私語をやめられて。
  155. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) それは当然のことながら、要するに最初の半年間については援助しますけれども、市町村によっては、例えば私のところはいや一割だけ保険料を取りますとか、これはもうあくまでも市町村の判断です。
  156. 今井澄

    今井澄君 そこまで聞いていないんです。  今度は選挙対策という意見も随分あるんですよね。選挙が、来年満期になるとどうも直前でまたただにするんじゃないかとか、その次の年は参議院の選挙がある、そうするとまたただにするんじゃないかと。どうもそういうこともあるんですが、そういうことはしないんですね。これは当初の半年間だけこうするんだという考え方ですか。  総理、いかがですか、これは。
  157. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 三党からの要請を受けまして、政府として財政当局それから今の厚生大臣、官房長官のもとでおまとめいただきました結果は、今お示しをされたような形として、半年、そして後一年二分の一と、こういうことで決まったわけでございます。
  158. 今井澄

    今井澄君 二階運輸大臣、どうですか。  半年後には半額徴収するんですね。一年半後には満額。
  159. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 三党においてそういうことを合意いたしまして、今、総理答弁のとおり、この方向でこれからの福祉社会を健全なものに仕上げていくというために努力することは当然のことであって、今、ここから先選挙があるから変更すると。そんなものではないことは御理解をいただきたいと思います。
  160. 今井澄

    今井澄君 いや、私は過日、自由党のある幹部の方から、この半年というのは突破口なんだ、税方式にするために取らないんだと、将来も。そのために突破口で半年取らないことにしたんだ、半年後も押してきますと、こう言っているんですが、どうですか。
  161. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私も自由党から入閣していることは事実でございますが、自由党のあらゆる議員が何を話したかということを一々それに責任を負う立場にはありません。
  162. 今井澄

    今井澄君 続総務庁長官にお聞きしますが、これは半年後には半額、一年半後には全額になりますが、公明党の主張からすると、これは病院のあれも特養のも全部入った保険料なんですよ。四分の一以上に上げるべきじゃないんじゃないですか。どうですか。
  163. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 今回の措置はあくまでも経過的な措置である、したがってお話のように十三年十月からもとに戻る、保険料の徴収にかかる、こんなふうに理解しております。
  164. 今井澄

    今井澄君 いや、お聞きしたのは、来年の十月以降幾ら保険料を取るという御主張ですか。半額取ってよろしいんですか。──じゃ、結構です。  それで、さっき厚生大臣が大事なことをおっしゃいましたね、来年の四月一日から保険料を取る市町村があってもいいんだと。  まさに世紀の大事業、市町村の中には嫌がるところも多かったんですけれども、今はみんな一生懸命になって住民に説明をして保険料を出していただく、そのかわりサービスをするというこの制度を随分理解していただけるように頑張っているんです。  私の住んでいるところは五万人の小さな市なんですが、もう二百回説明会をやりましたよ。市長みずから十回出ていってやっているんです。それで、保険料を何とか取りたいと言っているんです。保険制度である以上、わずかでも何でもいただいて、それでこれは保険料を出したから権利があるんだよと、皆さんは、そういう形でこの制度をスタートさせたいと。  そうすると、保険料を軽減した分を国費で穴埋めするわけですね、この分を。これが七千八百五十億。もし、ある市が半額でずっと二年間取るということをやりますと、これとこれと見合いになるんですが、ちゃんとこの分も補助してくれるんですね。どうですか。
  165. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどからお話を申し上げておりますように、半年間について保険料の免除を行う、それからその後の一年間について二分の一の免除を行う、こういう趣旨でございますので、先生の恐らく御指摘のところは、合わせればみんな総額は同じじゃないか、こういうことでありますけれども、要するにこの半年間、最初二分の一にした場合には二分の一が対象になり、それから要するにこの十三年度というのははみ出している半年間でありますから、半年と一年から比べるということでありますから……    〔今井澄君「いや、そうじゃなくて」と述ぶ〕
  166. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 私語のやりとりはおやめください。
  167. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) いや、だから、要するに二年間ですから、ですからその対象にならないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  168. 今井澄

    今井澄君 それはおかしいと思うんですね。これは自治事務のはずなんですよ。それともう一つは、二年間分を入れるんでしょう、今度の補正予算は。  大蔵大臣、どうなんですか。二年度の後半分は入っていないというんですか、大蔵大臣、今度の補正予算
  169. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) 要するに、今井委員、今回の保険料の免除及び軽減といういわゆる交付目的、この交付目的の性格と、いろいろな市町村でそういう声があるのも事実でございますけれども、地方自治の問題というのは別な観点で考えるべきものである、このように考えておるわけでございますし、これはあくまでも交付目的から、繰り返し繰り返し申し上げまして恐縮でございますが、半年間について全額免除しましょう、それから一年間について二分の一免除しましょう、こういうような交付目的でございますので、要するに委員の御指摘は逸脱すると、こういうふうに考えております。
  170. 今井澄

    今井澄君 保利自治大臣にお尋ねしますが、これは自治事務なんですね。お金を国が損するわけじゃないのでいいと思うんですけれども、しかも年度が同じ年度内なんです、十三年度内。どうですか。
  171. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 確かに御指摘のとおり自治事務でございます。しかし、これは臨時特例交付金という形で国が支給してくるものだというふうに考えまして、今、厚生大臣からお話しのとおり、やがて交付要領の中にはっきり書かれてくるものだろうと思っておりますが、国の施策として黄色い部分で支給をするという形を決めておりますので、私としては、先生の御意見はよくわかりますけれども、これは無理かなというふうに考えております。
  172. 今井澄

    今井澄君 時間がないのでもう議論を続けられませんが、自治事務であるはずの市町村にお任せした介護保険にその保険料の徴収の方法や何かまで国が指図するのは、これは地方分権法違反ですよ。その精神に違反だということ、どうですか、総理
  173. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 保険料の徴収は市町村の自治事務であり、臨時特例交付金の交付方法によって国が保険料の徴収方法を強制できるものでないことは言うまでもなく、条例制定権に反するものではないと考えております。
  174. 今井澄

    今井澄君 つまり、この介護保険の目的は市町村にお任せして地元で住民と話し合ってやっていただくものだから、同じお金を出すんでしょう、だったらいいじゃないですか。それは今後ともその点をお願いしていきたいと思います。  さて、こういう無理をして、選挙対策とも言われている、もう実際に保険料を四月から徴収しようと頑張っている市町村もあるのに、無理やりただにしなさい、しなければ交付金も上げませんよということは非常に問題なんです。そのために七千八百五十億円も赤字国債を出してやるわけです。  ところで、お尋ねしますが、年金のことは国民福祉でやりますので、医療のこと、いよいよ年末の予算編成を迎えて、今、来年の医療費の問題が大きくなってきておりますけれども、医師会の方では来年三・六%の診療報酬の改定を求めております。これは一兆円に及ぶと言われているんですが、どうしますか、厚生大臣
  175. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) 御案内のように、今医療費が高齢者医療を中心にいたしまして大変急速に伸びておるわけでございます。保険財政は極めて厳しい状況下にあるわけでございますが、現在、中医協において鋭意精力的に御審議をいただいておるわけでございますので、担当大臣としてこのことについてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  176. 今井澄

    今井澄君 いや、担当大臣以前に、丹羽厚生大臣は二年前の与党協案をつくった責任者でもありますし、自民党の医療基本問題調査会の会長をずっとやられてこられましたし、去年の政調会長代理でもあったわけですね。  今、中医協で話がつかなければ政治決着をするという動きが進んでいると聞きますが、どうですか。
  177. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) そのような話は私は聞いておりません。
  178. 今井澄

    今井澄君 総理、ここが先ほどの最初の政治主導と関係するんですよ。中医協というところの審議、いろいろな審議会あるいは国会、こういうところの議論を飛び越して、政治決着ということで一定の団体との間で医療費を決めるようなことをされますか、されませんか、総理
  179. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 医療費の問題につきましては、今中医協で審議をしておるということでございますので、その結果を待たなければいかぬことだとは思いますけれども、今、厚生大臣お話しのように、この問題は極めて重要なものでございます。したがいまして、どのような結論をつけるかということにつきましては、今の段階ではお答えを申し上げることは不可能かと、こう思っております。
  180. 今井澄

    今井澄君 厚生大臣、それじゃ中医協でどういう議論があるか言ってみてください。
  181. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) これは、私、率直に申し上げて直接聞いているわけではありませんけれども、私どもが聞いておりますことは、中医協におきましては、給付と負担の均衡を図るという枠組みの中で良質でそして適切な医療を長期にわたって安定できるような診療報酬体系、もう先生方ともさんざんやりましたけれども、あるいは薬価差をできるだけ縮小する薬価制度のあり方について検討が進められておる、このように聞いておるような次第でございます。
  182. 今井澄

    今井澄君 私も医者ですから、医療現場が非常に苦しい、診療報酬を上げてほしいという気持ちはわかります。しかし、一兆円も公共料金が上がるというのはこれは大変なことなんですよ。  そこのところは、変な政治決着をしないように強く総理にも厚生大臣にも大蔵大臣にもお願いして、質問を終わりたいと思います。
  183. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で角田義一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  184. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、溝手顕正君の質疑を行います。溝手顕正君。
  185. 溝手顕正

    ○溝手顕正君 自民党の溝手顕正でございます。  私の方からは、特に経済関係の問題、財政の問題に問題を絞りましてお伺いをいたしたいと思います。また、後半には同僚の保坂議員の方から種々の問題の質問があろうかと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  先日、というよりはきのうのことですが、経済企画庁長官が記者会見をされまして、緩やかな改善は続いているという経済の現状認識の発表をされたというように伺っております。実は、この問題はこれで結構だと思うんですが、六日に七―九のGDPの落ち込みの問題が新聞記事になったわけでございます。これはどれくらいの活字で出ましたかといいますと、夕刊にこんな大きな字ででかでかと出ました。日本経済はもう死にそうなと言わんばかりの活字でございました。見た人は大変びっくりしただろうと思います。そして、同日に衆議院予算委員会がございまして、我々の同僚の自見議員からいろいろ話をされましたが、字はこんな字しか取り上げられていないわけです。  私は、これは大変だ、やっぱり日本の経済がしっかり回復基調に乗っているんだ、元気になっているんだということはもう少し堂々と大きな活字で、大きな声で発表してもらわないと困るなと、こういう強い印象を持ったわけでございます。  企画庁長官はそろそろ夜明けが見えてきたというように足元の景気を判断されておるようでございます。また、今度のGDPの速報値につきましても、四―六期のGDPが飛び上がったためそうなったんだというような考え方を表明されておられます。  私自身も、長い間会社人としての、経済人としての経験をいたしましたところから判断いたしまして、景気はどうやら回復基調に入ったんではないかなという気がいたしております。これは私自身の体をもって感じるところですが。最近の年末の商戦、デパートあたりも大変人の出入りが盛んなようでございます。公務員のボーナスの支給がまだだというのに、先日も大変な人出でございました。また、忘年会も随分活発に行われている。私は、金帰火来というわけではございませんが、広島と往復をしております。飛行機便はもう満員でございます。ほとんど予約が直前だととれないというように変わってまいりました。一年前はとてもこんな状態ではございませんでした。それも大変大きな変化でございます。また、タクシーも随分拾いにくくなってきた。盛り場でタクシーの乗車拒否をされることもあるようになってまいりました。  まさに小渕経済再生内閣の成果が上がってきた、どうやらここで上昇を始めてきたのではないか、こういう強い印象を私は持っておるところでございます。  そういったことに対しまして、先ほど申し上げましたように、総理の自信に満ちた答弁というのは国民を大いに力づけるものでございますし、またそれをお支えになる企画庁長官の解説といいますか見解というのは国民に大きな力を与えるものだろうと思います。  景気は大丈夫だ、任せてくれと、こういったお答えを伺いたいところでございますが、総理の御見解並びに経済企画庁長官のお支えの言葉もぜひ伺いたいと思います。
  186. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 最近の我が国経済につきましては、民間需要の回復力が弱く、厳しい状況をなお脱しておりませんが、各種の政策効果の浸透に加え、アジア経済の回復などの影響もありまして、緩やかな改善が続いていると認識をいたしております。  ただ、これに安心することなく、今次補正予算もそうでありますが、来年度の本予算も含めまして、この状況をぜひ確実なものにしていくというのが政府の基本的な対応ではないかというふうに思っております。  いろいろ数字は躍っておると思いますが、今、溝手委員指摘のように、四―六の数字につきましてもございました。これは専門の堺屋長官から御答弁いただきたいと思いますが、〇・一プラスというのが修正されまして一・〇となりましたから、したがって七―九につきましては、その数字をもとにして、前期比になりますから今度はマイナスと、こういうことになります。  もちろん、数字ということは指標でございますから大切にしなければなりませんけれども、それを一喜一憂ばかりしておってもいけないんじゃないか。したがって、今御指摘のありましたように、実際、実体経済の中でどうした動きになっているかというようなこともやはり国民あるいは経済人もよく知っておられるので、そういう意味で、財布のひももだんだん緩やかになってくるということであれば、これは望ましいことではないかと思っております。    〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕  しかし、今までの政策はともかく、公需といいますか、国が何としてもという形で経済再生、景気回復を願ってきたわけでございますけれども、しかしこれからは民需あるいは私が財布のひもを緩める。要するに、消費を拡大していくような趨勢になければならないと思っておりますが、その分岐点というのはなかなか難しいので、日本人は非常に賢明ですから、やはりみずからの、生きていくために財布のひもをきつくするというときにはしっかりする。しかし、それを緩めるというところのこの分かれ目がなかなか難しいんじゃないか。  したがって、政府としてはそうした形で、まあ年末でもございます、アメリカと違っていわゆるクリスマス商戦というようなことの意味が必ずしも日本はそれほど、年末のお歳暮その他も大きいとは思いませんが、ぜひそういったことで、国民の皆さんがそのひもを緩めていただけるように、それには国の全体の趨勢が必ず将来明るいものになるという形をつくることがまず政府の務めでないかと思っております。  状況につきましては、堺屋長官からちょっと御説明いただければありがたいと思います。
  187. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 委員指摘のとおり、六日に発表いたしました七―九月期のGDPはマイナス一・〇%になりました。  この経緯につきましてちょっと説明させていただきたいのでございますが、今回、毎年そうなんですけれども、七―九月期を発表するときには前年度が全部わかりますので、季節修正値を変えます。十年度の実績を入れて季節修正値を変えるものですから、それによりまして、二・〇%成長と言っていた一―三月が一・五%になって、四―六月が〇・一%と言っていたものが一・〇%になりました。そういう波がありまして、それと比較しましたから今回は下がったのでございますけれども、四―九月の上半期で見ますと、前期に比べて一・二%上昇しております。  GDPというのは主として需要の方を見るんですが、経済は三面等価といいまして、需要と生産と所得と三つ見なければいけないのでございますけれども、生産の方は、鉱工業生産を見ましてもまた第三次産業稼働指数というのを見ましても、このところ好調でございます。それは十月までわかっておりますけれども、波はあるけれどもおおむね上昇している。そういうことを総合的に判断いたしますと、ことしに入りましてから、景気は緩やかながら上昇していると判断しております。  ただ、総理もおっしゃいましたように、この中には公共需要あるいは減税措置によります住宅需要などが多くて、本当に民間の消費、特に設備投資はまだ出てまいっておりません。減少ぎみであります。ようやく最近になりまして、設備投資も先行指標と言われます機械受注が底を打ってまいりましたので、やや改善の兆しが見えたのかなというような感じがしております。  ここまで来たものをさらに次の、今御審議いただいております補正予算で腰折れしないように持っていって、来年度の後半には本格的な回復に向けていきたい、こう考えている次第でございます。
  188. 溝手顕正

    ○溝手顕正君 ありがとうございました。ぜひPRもおさおさ怠りなく、国民を元気づけるのも仕事でございますので、よろしくお願い申し上げます。  この裏づけというのはなんでございますが、産業部門の状況について若干お伺いいたしたいと思います。  総理は、十一年度までには我が国経済をはっきりしたプラス成長に転換させ、十二年度にその再生を図っていく、こういうことを明言されまして今日まで頑張ってまいられたわけでございます。そのためのさまざまな対策がとられております。金融機能の安定化であるとかゼロ金利政策であるとか、また企業においては設備過剰の対応であるとかさまざまな努力がとられております。また、そういったことが徐々に効果をあらわしてきているんではないかと私は思っておるわけですが、最近の急激な円高の到来にも株価というのは持ちこたえているというようなこと、これは産業、いわゆる企業の力がかなり抵抗力を増してきたのではないかなと考えているわけでございます。  その点に関しまして、現在、企業の体力というのはどの程度まで持ち直してきたというか回復してきたと見たらよろしいのかという点、またこのことが大企業ばかりよくなって中小企業のしわ寄せの上に、あるいは労働者の犠牲の上に成り立っているんだというそしりが出ないことも極めて重要だろうと思います。  この点についてどう認識されているのか、通産大臣経済企画庁長官にお伺いしたいと思います。
  189. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この不況の間、日本企業の利益率が大変低下いたしまして、危険な状況のものもたくさんございました。特に、金融機関との関係で危険な状態になったものもございまして、さまざま政府も救済措置をとりましたが、どうやら全体として見ますと、企業利益も底を打って、来期は上昇に向かうのじゃないかという予想がなされております。  また、業種によって非常に格差がございますけれども、私どもの行っております業種別の判断でも、かなりの多くの業種が、いいとまでは言えないまでも並ぐらいのところへ来ている業種がふえてまいりました。  中小企業の問題でございますけれども、中小企業にも非常に格差がございまして、大変気の毒な状態にあるところもございます。一方では急成長をしているところがございます。今経済の構造的転換期でございますので、そういった業種別の差が出てくるというのは当然でございます。これをいかに悪い方を緩和し、そしていい方を推進して日本経済の新しい構造をつくっていくかというのが政府の施策でございますが、現在、そういう格差があらわれてきていることは事実だろうと考えております。特に、情報関係等これから世界的に成長をする分野につきましては、政府といたしましても、あらゆる方法で需要を拡大し、普及を図っていきたいと思っております。
  190. 深谷隆司

    国務大臣(深谷隆司君) 先ほどから溝手委員も御指摘のように、企業全体が上向きになりつつあるということは御意見のとおりであろうと思います。数字の上で中小企業も全般的には上向きでございますが、しかし、実感としての景況感というのはまだまだ乏しいというのが実態ではないだろうかと私は思います。  さきの国会では産業競争力強化ということで、経済の回復、景気回復のために全力を挙げる方法を開いたわけでありますが、今国会はそういう意味で中小企業にどうやって活力を増していただくか、経済を支えている中小企業がむしろ牽引車になってさらに元気を出していただくことが日本の景気の回復だということで、特に中小企業国会小渕総理はとらえて、それに対する対策、対応というものを挙げてまいってきたわけでございます。  さきの中小企業基本法は、野党の皆さん方の御理解もいただきながらおかげさまで通過いたしましたけれども、かつて昭和三十八年代に、大企業と中小企業を二つに分けて経済の二重構造ということで、ただ中小企業を一面的にとらえて大企業に近づけるという考え方から、むしろ中小企業の持っている多面性、いろんな面がありますから、そこに一つ一つきめ細かい政策を立てることによって元気を出していただこうという、そういう方向が決定をされたわけでございます。  ただいま協議をしていただいております法律改正及び予算は、その趣旨にのっとっての具体化でございまして、私はそれらを通じて中小企業がいよいよ活力を増すように頑張っていただくような対策を立てていきたいと、そう思っています。  なお、リストラあるいは下請企業に対するその対応において、大企業にしばしば問題があることが指摘されております。私どもは大企業が事業の再構築をする際に、ただリストラに走ることではだめですよということを直接訴えてまいりましたし、下請企業に対して、例えば不当に値下げを求めるであるとかいろんな問題があったときには、下請代金法というものに照らして厳正に対応するようにいたしてまいっておるところであります。  いずれにしても、中小企業にしっかり前進していただくために、我々は全力を挙げて取り組んでまいる覚悟であります。
  191. 溝手顕正

    ○溝手顕正君 ありがとうございました。  先ほど民主党の方からも質問が出ておりましたが、財政の問題で宮澤大蔵大臣に伺いたいと思うんです。  ちょうど昨年の年末は横浜ベイスターズが優勝いたしまして、大魔神という言葉が流行いたしまして、予算編成に際しまして大蔵大臣の方から、一回の表から大魔神を登板させるようなものだと、こういう話がございました。一年経過後、まだ大魔神がマウンドに立っているような気がいたしておるわけでございます。  先ほども御説明がございましたように、公債依存度が四三・四%になった。十一年度末の長期債務が対GDP比一二二・五%、六百八兆円になるというような予測も出ておるわけでございますが、財政再建というのもぜひとも忘れてはならない課題だろうと思います。  そういった前提を置きまして私が御質問申し上げたいことは、去年からことしの春にかけての言い方は、大魔神に九回投げてもらおうと。九回投げましたから大分肩も痛くなってきた、腕も弱ってきただろうと思いますが、今回の補正予算の物の考え方、そして来年度の予算編成ということになりますと大魔神連投である。あと、大魔神というのは使い物にならなくなるのではなかろうか、控えのピッチャーはいるんだろうかどうだろうか、心配をいたすところでございます。  そういった中で、非常に私にとりまして大きな救いは、この四三・四%というのは恐らく最後、最高のパーセントになるであろうというようなコメントを大蔵大臣がされたことでございます。私は素直に受け取っておるんですが、これは経済がよくなって税収がよくなって、大魔神級の予算を組んでも税収がカバーしてくれるのでこれ以上悪くならないんだと、こういう意味を含んでいると理解いたしております。  この点に関しまして、財政再建の問題を含めまして、大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
  192. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 昨年、小渕内閣が発足をいたしましたときに、総理の決断によりまして財政再建ということをしばらく延ばしてこの不況脱出に全力を挙げようというこういう御方針、御趣旨であったわけであります。それに従いまして、財政としては全力を挙げてまいりましたが、その際、実は我が国のデフレギャップというものがどのぐらいあるかということは、当然ですがよくわかりませんで、とにかくしかし、どうあろうとできるだけのことを歳出、歳入両面でするしかないということで、いわばぎりぎりいっぱいのことをするしか方法はないなというのが本予算並びに補正予算という形になりました。  幸いにして、一―三のところで成長のプラスが出まして、これは一年半ぶりでございます。そして、四―六もまあまあ思わないことにマイナスでなくプラスが出る。  先ほど溝手委員のおっしゃいましたことですが、この間の七―九というものが非常に悪かったのではなくて、今、新聞の引証で大変にうまい表現をされましたが、実は七―九のGDPは四百八十二兆でございます。ところが、これは一―三のGDPと偶然に全く同じ四百八十二兆でございますから、決して経済が悪くなっているのではなくて、間を修正したものですから、間の四―六というのの係数が、さっきも堺屋さんが言われましたが、プラス〇・一からプラス一、年率にしますと非常に大きな修正になるので、それで七―九というものが大変にみすぼらしくマイナスになってしまったというだけのことでございますから、経済が悪くなっているわけではない。それが一年本予算をやり補正予算をやりました後の姿で、したがいまして、一年たったところで何となく底はわかるような感じがしてまいりました。  ただし、御存じのように消費は弱うございますし、民間設備投資も弱いのですから、もう一年財政がやはり踏ん張らなければいけないという、そういう判断をしておりまして、それがただいま御審議をいただいております補正とこれから編成をいたさなければならない本予算の性格でございます。したがいまして、両方ともこれは景気刺激的な性格を持たなければなりません。また、そういうふうにいたすつもりであります。  そこで、次の溝手委員のお尋ねは、しかしそうやってどんどん国債はふえてどこまで行くのかなということなのでございますけれども、私としては、国税収入がずっと減り続けてまいりまして十年前に戻ったわけですが、どこかで反転しなければ国債の話に結びつかないと。  いろんな要因はありますけれども、今、来年度の予算の作業をしておりまして、来年度はわずかではあるが国税がふえるように思われます。大変大きな金額ではないにしてもふえるように思われます。  歳入歳出の方の大きな要因は地方財政と、あと福祉。それから、私としては、いわゆる金融安定化措置というものも、こんなことをもう長年やっておってはいけないわけでございますから、ここでもう先まで見てきちんと盛り込むものは来年度の予算に盛り込んでしまいたい。そういう余裕があるという言葉は変な言葉ですが、そこまでやっぱりやっておきませんと、二〇〇一年にはもうペイオフというものももとに返るわけでございますから、金融の正常化のための措置も来年度の予算にやっておきたい。  その上で国債をこれ以上ふやさないということができるならば、せめて国民の皆さんにとってどこまで国債がふえるのかわからぬなという御懸念だけは、そういう形で見ていただきたいと思っておりまして、これからの編成でございますので計数的にきちんとは申し上げられませんけれども、来年度予算では多分そういうことができるのではないか。  それをもちまして、もうこれで財政の非常に異常な刺激措置というのは基本的には大きな部分は完了する。そのことは、来年度の我が国の経済成長が、来年の今ごろには消費も少しはよくなっている、設備投資も何ぼかはというぐらいのところまで民需が来てくれますと今申し上げたようなやり方でできるのではないかという、そういうことを考えております。
  193. 溝手顕正

    ○溝手顕正君 ぜひ、そういう結果が実現することを期待いたしております。  特に、信用組合を中心とした地方自治体が絡んでおります中小金融機関の対策というのもまだ一つ残っている大きな課題でございます。また、何かにつけまして中小企業の金融といいますとすぐ公的金融機関が出動しなくちゃいけないというのも、これも大きな問題だろうと思います。この辺につきましても、ぜひ新年度がターニングの年になりますことを切に願望しておりますし、かじ取りを期待いたしております。  先ほどの景気の数字の中でも含まれた要素でございますが、今回のGDPの問題の中にアジア向けの輸出というのが相当大きな支えになったと、こういう分析がされておりますが、アジアの中で一番低成長の香港の場合でも〇・七%ぐらい経済成長を起こしたということで、主要国のGDPが、九九年が五・七、二〇〇〇年が五・七とかなりの水準が維持されていると思います。このことは、実は我が国のいわゆる経済を支える大きなファクターとしてASEAN諸国があるということなんだろうと思います。  総理は先般、ASEANの会議に出席をされまして、日中韓の三カ国の首脳会議も持たれたと聞いております。我々といたしましては、ぜひアジア重視の、いわゆる政治だけの問題じゃなくて、日本の経済というのがいかに東南アジアに支えられているか、この再認識というのもやっぱり広く国民に知っていただかなくてはいけないことだろう、このように思っております。  そういう意味で、今後の北東アジアとのいわゆるつき合いに関しましての総理の御見解を伺いたいと思います。五億ドルの支援というようなことも言及されたと聞いております。いわゆる小渕プランの具体的な構想を伺いたいと思います。  加えまして、新宮澤構想の問題も同時に質問させていただきたいと思います。  先般の三百億ドルのいわゆる新宮澤構想というのが今回の経済の下支えに非常に大きな力を発揮したということは紛れもない事実であろうと思います。アジア諸国の評価というのも再度お伺いをいたしたいと思いますし、また、これ残った金を使ってアジア通貨基金をつくったらどうだというような話もあるやに聞いております。今後アジア支援に対していわゆるこの宮澤基金の延長線上でどんなお考え、構想をお持ちなのか、これについてもお聞かせをいただけたらと、このように思います。
  194. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先月末マニラで開催をされましたASEANプラス3首脳会議の成果につきまして、今後の東アジアにおける協力の方向性を幅広い分野で示して共同声明が初めて採択をされたところでございます。また、私は、先般東アジア各国に派遣をいたしましたアジア経済再生ミッションの報告も踏まえまして、東アジアにおける人材の育成と交流を強化する包括的プランを発表いたしましたところ、各国首脳から高い評価が得られ、特に議長のエストラダ大統領からは小渕プランと呼ぼうではないかというような御発言もいただきました。  これから新宮澤構想につきましては大蔵大臣からお話しいただけると思いますが、経済的財政金融問題としてこれが打ち出されて、非常にアジア経済がそれをもとにして回復基調にあるということでありまして、これからは同時に人的交流を深めていかなきゃならぬと、こういうことで今度のプランを発表させていただきまして、大変各国からも好評を得たところでございます。  また、明年はG8の議長国として主宰する九州・沖縄サミットがございますので、アジアの視点を反映する観点から、各国首脳より貴重な意見を伺うことができたことも成果の一つであると思っております。  なお、今回ASEANプラス3首脳会議の機会に、私の提案によりまして日中韓の首脳による対話が朝食会という形で初めて実現したことは、今後の日中韓での対話、さらに北東アジアにおける地域協力を進めていく上で重要な第一歩と評価いたしております。余り政治問題を話さないことにしようということでいたしましたが、たまたま中国がWTOに、米中の間で話し合いがまとまったというようなことの機会もございまして、いよいよもって中国も韓国も日本も、やはりこれからASEANに対する責任を共同で負っていこうということで大変意義が深かったと思っております。  我が国としては、このような成果を踏まえまして、二十一世紀の東アジアの平和と繁栄の実現に向けて積極的な役割を果たしてまいりたい、このように考えております。
  195. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 一昨年の夏にタイで発生いたしましたいわゆる通貨危機というのが、各国が放漫な財政をやっておったとかあるいはみんなが働かないとかいうことではなくて、大きな海外資本が突然引き揚げたというところにあったことは私は明らかであったと考えましたので、したがいまして、これらの国々に大事なことは、そこから生ずる失業を財政的にどうやって手当てをしておくかということと、外貨を稼ぐための原材料の輸入、それによって輸出をふやす資金さえ与えれば、いっとき資本が退いたことによるショックから回復できるだろうと判断いたしましたので、三百億ドルを提供いたしました。その半分は、したがいまして、国内のそういうセーフティーネットである、あるいは半分は輸入を促進するための為替資金である、そういうことでこの資金はうまく利用してもらったように考えております。八割方コミットできたかと思います。  それで、次の問題は、各国がプラス成長の方に転じてまいりましたので、ちなみにADBの経済見通しによりますと、九九年はすべての国がプラスというふうに見通されております。インドネシアも、前の年一三・二のマイナスでございますので、二・〇の成長プラスということに見込まれておりますから、そうしますとすべての国がそうなりますが、そうしますと、今度は金もだんだん返ってきますけれども、それらの国が海外で政府が起債をすればアジア市場等々で金を呼ぶことができるわけで、その起債のために、ただ信用がございませんから、そのための信用を我が国が保証しましょう、あるいはそれによって金利が多少でも安くなる、そういうことを第二の構想として打ち出したということでございます。  ただいまのままですと、まずまず順調に各国の経済がプラスに転じてまいる。その上で、もとより総理大臣が各国首脳と会われまして、我が国の支援の基本的な構想を正式にお述べになり、また保証しておられますので、各国ともそういう意味では我が国に期待することができるという、そういう運営に転じておるように思います。
  196. 溝手顕正

    ○溝手顕正君 それでは次に、若干北朝鮮の問題について御質問をさせていただきたいと思います。  先般、村山元総理を団長とする超党派の国会議員によりまして訪朝がなされました。共同発表も出され、いよいよ日朝国交正常化が図られることになるんだろうと期待をいたしているところでございます。その中で二、三点お伺いをいたしたいんですが、まず一番の問題は大変国民の関心が深い人道問題に関してでございます。  共同発表では具体的内容には触れておりませんが、今までは拉致疑惑の問題、北朝鮮の赤十字は行方不明者は存在しないという言い方で、今までそういう態度をとってきております。これに関しまして、我が党、公安当局、いろんな格好で、全部が全部これを適用するのがいいかどうかは別にしまして、いろんな見解が出ておりますが、紛れもなくこれは拉致である、事件である、こういった事例もあるやに伺っております。  この点に関しまして国家公安委員長として、自治大臣、行方不明者ということで片づけてよろしいのかどうか、御見解を伺いたいと思います。
  197. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) この件につきましては、我が国の警察当局はこれまでの捜査結果を総合的に検討いたしまして、七件、十名についての事案につきまして北朝鮮による拉致である疑いがあると、そう判断をいたしております。
  198. 溝手顕正

    ○溝手顕正君 ありがとうございました。  この問題は、日本人にとりまして非常にある意味では厄介な問題でございますし、どうしても解決してほしい問題でもあるし、いろんな思いでこれを受けとめておりますが、ぜひ私としては要望いたしたい。これは政府に対してということで外務大臣かと存じますが、行方不明というのは決して日朝間の合意ではないんだと、ぜひこれだけははっきりしておいていただきたい。これがないと、後で本当に前に進みにくいと考えておりますが、いかがでしょうか。
  199. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 各政党から参加をされました訪朝団の先方とのお話し合いの中では、先生御指摘の問題についても、問題提起がなされて、双方でやりとりがあったというふうに帰国後の訪朝団の皆さんからお話を伺っております。  私も、先生御指摘のように、この問題を避けて通るということは決してできない問題であろうというふうに考えておりまして、あの両者の発表しました文章の中には、いわゆる人道問題という言葉でくくられておりますけれども、その中にはこの問題がしっかりと提起をされ含まれているというふうに私は伺いました。この問題解決のために私どもとしても努力をしなければならぬ、当然のことだと考えております。
  200. 溝手顕正

    ○溝手顕正君 私は、今回の訪朝団が現実に現地におきまして大変な努力をされた、言いにくいことも言って激論を交わされたということも漏れ伺っておりますので、この評価をどうこう申し上げるつもりはございませんが、そういった問題というのはやっぱりしっかり踏まえるべきだと、ここでぜひ確認をしていただきたいという意味で申し上げたところでございます。  もう一つは、食糧援助の問題でございます。  どうも我々の受けとめ方ですと、やっぱり食糧で何か、ネタにするというんですか、交渉解決のカードとして食糧問題を扱うのはどうかなという印象を私としては持っております。隣の国が飢えているわけですから、困っているわけですから、この問題だけは何かもう少しおおらかな大局的な観点で問題が見れないのかなと思ったりもいたしております。現実に訪朝メンバーの中にもそういった発言をされた人もいらっしゃいますが、この点に関して政府としてはどうお考えになるのか。  また、その他いろんな問題点になっていることがたくさんございます。例えば、ミサイルの問題あるいは工作船の問題、領海侵犯の問題、いろいろございます。この辺につきましても、我々としては、やっぱり断固とした、日本の態度をしっかりしたものにして交渉に臨む必要があろうかと思います。  そういった意味で、先ほどの食糧援助の問題とその他の交渉態度につきまして、外務省のいわゆる姿勢というのをひとつお示しいただきたい、このように思います。
  201. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) これまた帰国をされました訪朝団から私お伺いをいたしましたが、食糧の問題についても要請があったことは事実のようでございます。しかしながら、この問題につきましては、私ども十分に慎重に対応をしていかなければならぬというふうに思っております。  今、溝手先生がおっしゃいましたように、確かに見方によっては我が国は飽食の時代と言われる状況下にございます。一方、隣国でございますいわゆる北朝鮮は本当に深刻な食糧難あるいは飢餓に瀕しているということがはっきりすれば、これらについても人道的問題として考えるということもまた考えなければならないというふうにも思います。  しかし、私どもといたしましては、この食糧の支援という問題につきましては、まだまだもう少し状況を確認し政府部内の意見をまとめる必要があろうと思っておりまして、繰り返しでございますが、なお慎重な対応を考えているところでございます。  それ以外の問題、いろいろ先生御指摘の問題は、確かに両国間に多くございます。これらの話は、いずれにいたしましても政府間におきまして正常化交渉が持たれる中で議論をされ、問題が解決をされていかなければならないものだというふうに考えております。
  202. 溝手顕正

    ○溝手顕正君 ありがとうございました。  次に、WTOの問題、シアトルの問題についてお伺いをいたしたいと思います。  数万人のデモが起こるとか、あるいは外務大臣が会議場に入れないとか、大変な騒ぎがあった会議でございましたが、やはりこちらから見ておりましても、会議の実体をそういう騒動があらわしているんではないかというような印象を大変強く受けたところでございます。    〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕  特に、閣僚会議が決裂したというのは、やっぱりアメリカのリーダーシップというのに問題があるんではないか、あるいは準備不足ではないかとか、あるいは保護主義の台頭についていろいろ問題があるんではないか、こんなことが言われております。また、いわゆるレームダックというんですか、クリントンの指導力に問題が出てきたのではないか、こういうような言も聞かれます。  しかし、私個人の見解でございますが、発展途上国が入ってWTOの枠というのは随分大きくなってきた、大きくなってきたことがやっぱり一番大きな原因ではないか、このことによって国連と同じようにまとまりとしての集団が機能しにくくなってきたということが大きな原因ではないかと、こんな思いもいたしております。  こんなことを思いながら、会議全体の問題につきまして、外務大臣から感想といいますか一つの評価をお伺いいたしたいと思います。  また、これで昼は終わると思いますが、午後からは農水、通産大臣にそれぞれの問題についてお伺いをいたしたい、このように思いますので、よろしくお願いします。
  203. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) まず、国会のお許しをいただきまして、外務大臣、通産大臣、農水大臣三人が米国、シアトルのWTOの会議に出席をすることができました。御理解に感謝をいたします。  このWTOの会議は、開会以前から相当多くのNGOの人たちが集まるだろう、五万人ぐらいのNGOの人が集まるのではないかというようなことを言われておりまして、それは市民社会がこのWTOに対する関心が非常に深い、それから自由貿易体制に対して市民社会の影響力というものを強めるという意味で積極的に参加をし発言をしようという気持ちが非常に強くある、自由貿易体制もまたこの市民社会の要請にこたえる必要がある等々、いろいろな話がございまして、NGOの人たちの参加というものにはそう否定的なものではなかったわけでございます。  実際に会議場を取り巻くNGOの人たちの中には、もちろん非常に静粛にみずからの主張をアピールしようとする秩序立った動きもございましたけれども、ごく一部でございますが、結局、結果的に暴力的な行為に走って、町の中はショーウインドーが割られる。ちょうど町はクリスマス商戦の始まるというところでございますだけに、商店街にとってみれば大変な打撃であっただろうと思うわけでございますが、ショーウインドーが割られる、そこに大量の警察官が警備に回る、さらには州兵まで出てきて秩序維持に努めるという状況になってしまったことはまことに残念なことでございました。  こうしたことから、開会式は取りやめる、初日の議事は五時間もおくれて始まる、さらには私どもも結局会議場に入れないというような状況になりまして、全体の時間もそう多くございません、三十日に始まって三日のお昼までという当初の予定が、最初の一日が丸々つぶれるという状況でございますから、貴重な時間をそこでロスしてしまったわけでございまして、それが最後のところに来て、もし順調に進んでいったとしてもあの最後のところで時間が足りないという結果になっていたのではないかというふうにも思います。  また、一般的な評価で、WTOが決裂をしてしまったというふうな評価がございますけれども、私ども参加をしておりますと、決裂という感じよりは、やはり時間切れと申しますか、日没再試合というような感じの方が強うございまして、私は当時、大相撲でいえば水入りということを言ったわけでございますが、つまり議長も、このままの形で凍結をして、そして一定時間を置いてこのままの形でもう一回始めてほしいということを言われたわけでございます。  したがって、もう大激論の結果、一方が退場する、一方がどうとかするで決裂したという感じは全くないのでございますが、しかし、今、溝手先生がお話しのように、参加国が大変ふえまして百三十五カ国、そのうちの四分の三は途上国ということで、途上国と経済力の非常に強い国との間の主張の乖離は非常に大きくて、この溝がなかなか埋まらなかった。その埋まらなかった理由には、もちろん準備不足もあったと思いますし、あるいはもうお互いにこれだけは譲れないというものが残っているわけですから、これをさらに一致させようというときには、もっとそれを超える魅力のある何か答えが見えてこないとなかなかまとめ切れないということもあったと思います。  まことに残念なことでございましたが、今回は新しいラウンドに向けての閣僚宣言を発出することができなかった。しかし、自由貿易体制というものは私どもにとりまして極めて大事なことでございますから、また次の時期をできるだけ早期に見つけ出して、何としても多角的自由貿易体制の守護神ともいうべきWTOがさらに一段と前進するように努力をしなければならぬ、こんなふうに思った次第でございます。
  204. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  205. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十一年度第二次補正予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。溝手顕正君。
  206. 溝手顕正

    ○溝手顕正君 午前中に引き続き、WTO問題に関しまして最後の質問を行わせていただきたいと思います。  まず、農業問題についてでございます。  従来から我が国は、いわゆる多面的機能ということで我が国の立場をこれに象徴させて主張してまいりましたが、今回はそれが結果的には取り上げられないままに終わってしまったわけですが、果たして世界各国の中でどういう受けとめ方をされたんだろうか。もう一つの言葉で言いますと、非貿易的関心事項と申しますか、この問題について日本の農業を果たして守っていけるのかどうか。それからもう一つは、サービスと農業が二〇〇一年からすぐやろうなんという話になっておりますが、これも各個撃破でとんでもない結果を導いては大変だという懸念がございます。この二点について、農水大臣から見解を伺いたいと思います。  そして、もう一問。実は、これは通産大臣からでございますが、鉄鋼の問題でございます。  この鉄鋼のダンピングは極めて不当な要求であると私は考えております。私自身も鉄鋼業に従事した経験がございますし、中身はよく承知しているつもりでございます。自分たちの産業保護といいますか、衰退産業を保護する目的で反ダンピング法を使っているのではないかという懸念がございます。この点について、今後の対応その他につきまして通産大臣からお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  207. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 今回、このWTOの閣僚会議でございますけれども、今後のWTOのもとにおける世界の貿易のあり方について交渉する、その枠組みをどうするかという宣言案の取り組みであったわけでございます。  結果的には、委員も御承知のとおりに、閣僚会議が凍結をされるという形になりましたので、農業問題におきましても宣言案そのものは成立しなかったわけであります。ただ、かなり議論は進んだわけでございまして、その中におきまして我が国が主張してまいりましたことは、貿易は大事でありますけれども、前回のウルグアイ・ラウンドの際に締結をされました農業協定の第二十条の趣旨にのっとりまして、農産物の貿易におきましては非貿易的関心事項に考慮すべきこと、こういうことがあるわけでございまして、そういう観点から言いますならば、農業貿易におきましては鉱工業製品と同一に論ずることはできない、あくまでも鉱工業製品の貿易と農業貿易とは違うものである、そういう観点から、第二十条に忠実につまり宣言案がなされるべきことを主張したわけでございまして、この点は大体各国の理解を得られたと思うわけでございます。  同時に、それに当然関連するわけでございますけれども、非貿易的関心事項に考慮すべきという点におきましては、例えば項目として挙げられておりますことは、食糧の安全保障、環境保全、地域社会の維持、農村開発あるいは食糧の安全等の文言はこの非貿易的関心事項の中に取り入れられた。しかして、我々が主張しておりますのは、この非貿易的関心事項といいますのはもっと広い範囲で言いますならば多面的機能という言葉の方が適切ではないかということで、最後までこの点については主張をし続けてきたところでございます。  いろいろとあと問題点がございます。EUも輸出補助金等の問題につきまして、最後までこの問題点を指摘して争ったという点もございます。  いずれにしろ、しかしながら、全体のパッケージができないということで凍結ということになったわけでございますけれども、農業協定とそれから前回の協定の中におきましては、サービスも含めて、農業とサービス部門はつまり来年から交渉するという趣旨が書かれておるわけでございまして、バシェフスキー通商代表は、この閉幕に当たりましての全体会合では、農業は協定に基づき来年一月から交渉しなければならない旨署名をされたわけでありますけれども、しかしながら今回の閣僚会議で何ら合意がなかったことから、次期農業交渉の今後の具体的な取り組みにつきましては見通しが困難な状況にあります。  また、新たなラウンドの立ち上げにつきましても今後ジュネーブで議論されることとなっておりまして、その状況にも留意する必要があると、このように考えております。
  208. 深谷隆司

    国務大臣(深谷隆司君) 我が国は貿易立国でございますから、自由で公平な形で貿易を行うという意味において、WTOが世界のそのルールをつくっているという点で非常に大きな効果がございました。日本にとりましては、WTOがより全世界的なかかわりで二〇〇〇年に向けての新しいラウンドをつくることが大変重要でございました。その意味で、外務大臣、農林大臣及び私、三人で現地に参ったのでありますが、残念ながら閣僚宣言の採択に至らないまま、凍結するということで終わってしまったわけでございます。  私どもとしましては、百三十五カ国も参加しておりますから、それぞれの国が何らかの利益を均等に受けるという形でなければならないと。そういう意味では、多面的で包括的な形をつくっていこうと全力を挙げたのでありますけれども、一部、農業とかサービスだけに限定した小さなパッケージにするという動きがございまして、結果的には時間切れで終わってしまったわけでございます。  特に、通産省といたしましては、アンチダンピング問題については協定を変えなければいけない、そういう基本で臨みました。  日本が外国に物を輸出するときに、日本とは限りませんが、受ける側が日本で売っている値段よりも不当に安いという場合にアンチダンピングの問題が起こってくるわけでありますが、その国で認定したということだけで関税を最高では六七%も上げてしまって、実際には輸入ストップということになって、明らかな保護主義になりかねないわけであります。中身が正しい場合はいいんですけれども、どうも今、溝手委員が御指摘なさいましたような鉄鋼、鋼板等においては、そんなことはない、我々が見てもあのアメリカのアンチダンピングは不当である、こう思っているわけでありますが、そういうことが多く起こってまいりますと、自由なルールに基づいた貿易関係ができなくなるというわけでございます。  現実に、アンチダンピング問題というのは、多分九三年あたりには六百件ぐらいであったのが、今、千件ぐらいになっておりまして、これはアメリカにとってもやがては自分も被害者になるということを私は口を酸っぱくして述べたわけでございます。  具体的に熱延鋼板に関しては、先月の十八日に、WTO違反であると日本は提訴に踏み切ったわけであります。一月にはアメリカと二国間協議が始まりまして、これは対決というのではなくて、粛々として具体的な実態というものを語り合いながら答えを出していく、そしてどうしてもだめな場合にはパネル、すなわち小委員会に移行するという形になっていくであろうと思います。  私は、このたびのWTO提訴に当たりましては、かつてのフィルム戦争のように、コダックと富士がやりまして日本が勝ちましたけれども、必ず勝つであろうという見込みを持っています。  なお、WTOは先ほど申したように世界の共通の財産でありますから、できる限り早く立ち上げるように一層努力したいと思っております。
  209. 溝手顕正

    ○溝手顕正君 次の質問は、同僚の保坂議員に譲りたいと存じます。  ありがとうございました。
  210. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 関連質疑を許します。保坂三蔵君。
  211. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 自由民主党の保坂三蔵でございます。よろしくどうぞお願い申し上げます。  きょうは、くしくも太平洋戦争の戦端が開かれた日でございます。敗戦を経てわずか半世紀、よくここまで日本は世界一流国家として回復ができた、感激ひとしおでございます。この間、政治が果たした役割、国民の皆さんも御理解いただけるんじゃないかと思っております。  しかしながら、それにつけても最近何とやりきれない事件が多いことかと、このことを感じます。東海村の原子力事故、絶対起きることはないと信じて隣で生活をしていた人々が被害に遭ってしまいました。また、自衛隊機墜落による大停電、ニューヨークの大停電なんか東京ではあり得ないと言われていたのが、八十万世帯、大停電でありました。また、警察官の連続不祥事、これなども治安世界一を誇るセーフティーネットみずから起こした事件でありました。そのほか、トンネルの壁面剥離、通り魔事件、いわば最近ではお受験殺人まで起きている。まさかの連続であります。  これらはいわば今日の世紀末現象と言って片づけてしまえば簡単でありますが、絶対的な信頼がしっかりと構築していた社会、何かここへ来てほころびが出たのではないかという見方がございます。一体単なる偶然性の連続で一過性のものか、あるいは日本社会の持った病理か、このあたりが非常に大事だと思うのであります。  考えてみますと、世界一の高い教育水準、日本の文化、あるいは一千三百兆に及ぶ個人の金融資産、そして一兆ドルを超える対外資産、あるいはまた世界一の債権国家。先ほどもお話が出ましたけれども、夜深更に及んで女性が帰宅をしても本当に安心して帰宅できるというような世界一の治安。これらはどれをとっても日本の社会がいわば健全でかつ発展しているというファクターに見られてきたわけでありますが、なぜそれで不安が出てくるんだろうか。  たまたま堺屋長官は、緩み出したか型の文化、こうある本で書いておりまして、もともと日本社会はソフトウエアを中心とする技術思想を持った世の中で、つまり当たり前の型どおりのことが型どおりに行われている社会、これが一たん崩れ出すと、この国は過去の蓄えと仲間同士のかばい合いしか残らないと日本の将来に警鐘を打っているわけでございます。  また、ネーチャーやインディペンデントなど海外の論調も、日本の技術や日本の安全文化への驚きというような活字が躍っております。こういうような今の時代、総理はどのように見られておりますか、時代観をお尋ねしたいと思います。
  212. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御指摘のように、最近さまざまな事故等につきまして、これが発生をして深刻な影響を生じてきております。これまで培ってこられました我が国に対する信頼感、また我々自身の自信、こういうものがやや揺らぎ始めているのではないかという御指摘、大変当を得ておるのだと思っております。  政府といたしましては、このことを深く受けとめまして、原因究明や再発防止、信頼回復に全力を挙げて取り組みつつあるところであります。  現象面としていろいろ、HⅡが残念ながら失敗いたしましたり、また新幹線の壁面が陥没するとかいろいろ問題が起きまして、その他万般を考えまして、日本人の持つこのすばらしい物づくり、こういうその能力がやや減退しているのじゃないかというような気もいたしておりまして、できれば近々、いま一度、日本人としての物づくりの大切さというような問題についてのひとつお考えを持っておられる方々にお集まりを願いたいというふうに思っております。  ただ、こうしたいろいろの残念な事故が一般化し、我が国社会の将来を一面的に悲観的、否定的にばかりとらえることもこれまたいけないことでございますので、ぜひそういった意味で、所信表明でも施政方針でも申し上げましたが、常に建設的に楽観的に物事を見ながら、その中で種々の問題について反省をしつ、いかなければならないんではないかというふうに考えております。  我が国社会は、基本的には社会秩序、教育水準から見て強固な基礎的条件を有しておるという確信はいたしております。ぜひこうしたすぐれた基礎を活用しつつ、明るい希望に満ちた国民と国家の将来を築くべく、当面の緊急課題に取り組むとともに、教育など長期的な問題について改めて二〇〇〇年を前に、国家百年の計とも言われますが、教育問題も含めまして真剣に取り組むことによりまして、今御指摘をいただいた現象面における、残念ながらそうした事故の反省に立ちまして、新しい世紀を迎えるに当たっていま一度気を引き締めて対応すべきではないか、このように考えております。
  213. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 ありがとうございました。  いよいよ二十一世紀まであと一年、一般的には二〇〇〇年から二十一世紀とお考えの方がおいでのようでございますが、二十一世紀は二〇〇一年の元旦からでございます。考えようによりますと二十世紀はあと一年残されている。残された一年でやり残すことのないように、小渕総理を先頭に私たちも頑張らなきゃならない、ひとしおに考えております。  そこで、二〇〇〇年問題と言いますとY2K、コンピューターの二〇〇〇年問題であります。過日、テレビに総理といたしましては政府広報で初めて登場されて、二〇〇〇年問題の重要性を訴えられました。  郵政省におかれましては、いつ、どこで、何が起きるかわからないというこのコンピューターの二〇〇〇年問題、情報通信の部分ではどのような対応をなされているか。  そして、深谷通産大臣にお尋ねいたしますが、大企業よりもむしろ中小企業の対策がおくれていると言われておりますので、このあたりの対応、対策につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  214. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) お答えをさせていただきます。  この二〇〇〇年コンピューター問題は、これは日本のみならず世界の関心事でございまして、しかも光は東より、まずニュージーランド、オーストラリアと参りまして、先進国で日本が最初にこの二〇〇〇年の朝を迎えるということになるわけですね。それゆえに、私ども小渕総理を先頭にいたしまして、昨年九月からあらゆるケースに沿って模擬テストの繰り返しをしてまいりました。電気通信それから放送事業者、もろもろの関係者によりまして万般怠りないようなそういうテストの繰り返しを重ねてまいりまして、ほぼ一〇〇%までその辺は至ってきております。  ですから、御心配要りませんと、こういう思いでいるわけでございますが、さりとて情報通信はもう世界を越えて発信をしていきますから、日本が盤石でありましても、それぞれ受け入れる国々にまた問題がなしとは言えないだけに、私たちは、何よりも二〇〇〇年をいち早く迎える先進国の責任において、この年末年始は万全の体制で臨みたいと、こんなふうに思っております。  そういう意味では、総理も官邸にしっかりと陣地をとられて指揮をしてくださる。私も郵政省に年末はしっかりと泊まり込みまして、まず備えあれば憂いはなしと、こういう思いでございますから、どうぞ保坂委員、東京選出でございますので、私と一晩おつき合いいただければ大変ありがたいと、このように思っているところでございます。
  215. 深谷隆司

    国務大臣(深谷隆司君) 区会議員のころからずっと見守ってきたあなたが、予算委員会で私とこういうやりとりをするというのは感慨無量であります。  それはさておき、二〇〇〇年問題につきましては、去年あたりまでは大変日本はおくれていると外国から批判を受けていました。しかし、小渕総理を中心として、万全を期そうというので、特に五分野について積極的な対応を行ってきたところであります。大企業も含めてかなり万全を期す状態になってきたと思います。  御心配の中小企業でございますが、十月に調査した結果を見ますと、例えば事務処理系のシステムでは九二%、もう達成できている。マイクロコンピューター内蔵機器では八五%。ですから、世間で言われている以上に中小企業の対応は進んでおりますが、もう一息でありますので、さらに万全を期するために手を打っていきたいというふうに思っています。  今も八代英太郵政大臣が言われておりましたけれども、なおぎりぎりまで対応を怠らず、私どものあらゆる役所の窓口に相談業務を受け付けるようにしまして、いざとなったら直ちに専門家が飛んでいく、そういう体制をつくっていきたいと思っています。
  216. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 両大臣、大変力強い御答弁ありがとうございました。何もなく二十世紀を経て二十一世紀に向かいたい、この国民の願いをお尋ねした次第でございます。  それから、中小企業対策と地方自治について引き続きお尋ねしてまいりたいと思います。  先ほども、午前の部で溝手理事から中小企業対策のところでお話が出ました。小渕総理におかれましては、平成十二年度中に経済再生を図る、この約束のもとにあらゆる手だてをしてまいりました。また、企業に対しましても競争力強化のために金融政策を初めあらゆる手だてが行われてまいりました。  この結果、確かに日本の企業の力は回復してきたと思います。それを如実に証明しているのは株価でございまして、二万円に届くこともあり得るのではないかと昨今言われておりますが、一方、企業の内容がよくなったがゆえに為替は円高基調でございまして、こういう大きな変動でも耐えているというのは、日本の株価は大したものだと思いますが、その裏に政策の実効が上がっていることを私たちは評価をさせていただきたいと思うんです。  しかし、この企業の力が回復したと言うけれども、大企業においては中小企業から少し力を吸い上げてみずからよくなっているのではないかというような、これは決してねたみやそねみではありませんが、今の中小企業の実情を考えると、そのような心配があります。このあたりの御認識について御答弁をいただきたいと思います。
  217. 深谷隆司

    国務大臣(深谷隆司君) 産業活力を活性化していこうというさきの国会でいろいろ論議がございました。そして、昨今の状態を見ますと、大企業が事業再構築のためにリストラ等々を行って一つの社会問題にもなっています。その場合に一番懸念するのは、下請企業の対応でございます。  現実に日産等であのような状態になりましたときに、もちろん事業の再構築はその企業の足腰を強くして中長期的には経済の安定と雇用の確保につながるわけでありますけれども、その際に下請企業が不当な対応をされるということはよろしくありませんので、我々は企業に対しましてきちんと申し入れを行って、十分な配慮をせよというふうに申し入れております。  そして、万が一下請に対するさまざまな動きがありました場合には、例えば下請代金法によって不当なものについては厳正に対応するし、万が一下請が独立しなければならない場合には、新しい業種へのあっせんとか資金の手当てなどを行いまして、大企業の影響がもろに中小企業に至らないように十分な配慮をしていきたいと思っています。
  218. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 今回の臨時国会は、主力は中小企業であります。当然、補正予算も中小企業の支援策あるいは将来に向けてのバックアップ機能、こういうものが色濃く反映されていると思うのでありますが、中小企業を助けると一言で言いますけれども、一方では中小企業もワールドワイドで勝負していかなくちゃいけない。そうなれば、グローバルな荒々しい資本との戦いも中小企業みずからやっていかなくちゃならない。技術革新、経営革新、いろんな要素を満たしていかなければ生き残れないわけでございますが、そういう支援の対策の重点化はどの辺にちりばめられているんでしょうか。  そしてまた、中小企業対策が転換をした、中小企業基本法が三十六年ぶりに変わった、こういう転換の時代で、その転換の色合いを補正予算ではどう出されたおつもりか、御見解を承りたいと思います。
  219. 深谷隆司

    国務大臣(深谷隆司君) そもそも中小企業基本法改正に当たりましては、中小企業の多面性に着目をしています。すなわち、市場にやがて上場できるかもしれないという位置にあるような中小企業、あるいは新たに創業とかベンチャー企業として新しい分野に乗り出していこうとする中小企業、さらには小規模企業と言われるような方々が頑張ってもまだ苦しい状態にあるという、そういう中小企業、ここにきめ細かく対応していくことが非常に大事ではないかというふうに考えました。  例えば、比較的大きなところでございますと中小企業の枠から既にはみ出しておりますから、製造業においては一億円以下の資本金を三億円以下にしたと。この場合には政府系金融機関からの貸し出しがこれから可能になるわけでありますから、そうなると民間金融機関との対応において非常に強気さを発揮してくる。あるいは、創業、ベンチャーに対しては、これに対する金融面での支援、それもさらに自分で資金を調達できるような、いわば社債の発行について信用保証協会の保証をつけるとか、そんな対応を盛り込んでおります。  小規模企業に対しましては、例えば今まで設備近代化資金というのがありましたが、これは使い勝手が非常に悪くて、中小企業全体に使えるということで、しかも業種を指定しておりました。今度は小規模だけに限って、そして業種を指定しないという形にして、全国で一千億円ぐらい用意しておりますから、例えばラーメン屋さんを開店するとすれば、その設備等については無利子で融資が行われる、担保がない方にはリースでお貸しできるといったような、そんな仕組みなども加えまして、かなり多種多様な応援体制が制度と予算の上で盛り込まれていると思っております。
  220. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 ありがとうございました。  産学官の連携とかあるいは地域との連携とか、これから中小企業を育成していくにはそういうネットワークが必要だと思っております。  これは通産大臣に私からの陳情なのでありますけれども、地域産業経済の活性化の機能強化、これはもう重要なテーマだと思うのでございますが、たまたま新しく通産省も経済産業省として衣がえしていくわけであります。したがって、このときに、地域経済の活性化のためには、産業事情をきめ細かく熟知している、そういう情報やあるいは体制の中から指導していかなくちゃならない。となりますと、本省にも専任ハイクラスの幹部を充てるぐらいのぴしっとした心棒をつくっていただきたい。これは地域活性化との兼ね合いからの陳情を申し上げたく存じます。  そして、地域活性化ということになりますると、問題は地域経済でございます。いかに経済対策をいたしましても、地方自治体にその負担能力がないと事業の執行にも及ばないわけです。今回はそのあたり随分ときめ細かな配慮をなされていると思いますが、たまたま来年四月から地方分権が新しくスタートいたします。介護保険も保険者であります。大変なやはり波高くスタートの時代であると私は思っておりまして、順調に地方自治が発展してもらいたいと願うばかりでございます。  ここで問題は、その知恵を働かそう、そして努力をしようといたしましても、基になりますベーシックの財政事情なのでございます。現在の地方財政は、我が国経済の長引く低迷によりまして、平成十一年度の財政計画では十兆三千七百億円の、十兆余りの財源不足がもう既に明瞭になっているわけでございます。当然、交付税特別会計の借り入れや地方債の増発などでしのいではおりますけれども、このあたりの現実の厳しい状況をやっぱり我々は認識しなくちゃならないと思っております。  九九年度の、いわゆる今年度の都道府県の税収もこういう企業業績の不振から三年連続で税収不足でございまして、景気対策としてやはり何としても真水でしっかり助けてやらないと地方は動かないのじゃないかという懸念を持っております。このあたりの、いわば公共事業あるいは単独事業に対する国の支援策を教えていただきたいと思います。  また、さきの通常国会におきまして、宮澤大蔵大臣、また当時の野田自治大臣答弁にもありましたが、助けてやりたいけれども、いわば野田大臣のそのときの言葉は、平時の経済情勢、安定的な経済に戻らなければなかなかできない、しかし戻ったときにしっかり面倒見ましょうと、こういう御答弁をなさっているわけでございますが、このあたりの御見解も承りたいと思います。
  221. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) どなたに質疑をなさいますか。
  222. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 できましたら、前段、通産大臣に。
  223. 深谷隆司

    国務大臣(深谷隆司君) 地方の財政のことですから自治大臣かなと思っておりまして、御無礼いたしました。  今は地方分権の流れの急速な時代でございます。なるたけ政治万般にわたりまして、地域の方々に直接かかわりのある地方自治体、すなわち都道府県あるいは市町村でさまざまな仕事を行うという流れになっています。しかし、その場合に大事なことは、財政的な裏づけがなくてただ地方に仕事だけが行くということではなりませんから、そういう意味では、自治省を中心にしましてその対応は十分図っていることと思います。  なお、中小企業で申し上げますと、例えば各団体に補助金等を出しておりますけれども、余りにも細か過ぎて、しかもいろいろややこしいことがついているために使い勝手が悪うございますから、これからはできる限り補助金も一括して大まかに地方にお任せするような形が必要ではないかと、今そういう算段をしているところでございます。
  224. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 後段、恐れ入りますが、大蔵大臣自治大臣に。
  225. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 御指摘のとおり、地方の財政事情は非常に厳しいのでございます。  そこで、今回の補正予算等におきましても公共事業等国の事業が入っておりますが、そこにもやはり地方の裏負担というのを伴ってくる。これに対しては、自治省といたしましては一〇〇%の交付税措置を講ずるということで対処してまいりたいと思っております。  なお、地方の単独事業につきましては、臨時経済対策事業債というのを発行していただきまして、これも後で自治省が面倒を見るという格好にいたして、今度の補正予算にかかわります公共事業の執行に万遺漏なきを期していくという体制でおります。
  226. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 せっかくの経済新生対策も執行が伴わないと実が上がってまいりませんので、よろしくお願いいたします。  また、もう一つ中小企業対策でお尋ねしたいのでございますが、一番問題になっておりますのは事業承継の問題であります。せっかく苦労して育てた企業を次世代に譲っていきたい、また譲られる方も先代が苦労してきた企業をしっかりと引き継ぎたい、この願いが凝縮していると思うのでございます。  しかし、問題は、相続税や固定資産税等の重圧が事業の継続意欲をそぐような今の実態となっております。現に、来年度に評価がえを迎える固定資産税はことし七月時点の地価をもとに土地の評価額の修正になるわけでありますけれども、現在は東京を初め大都市圏を中心に地価の下落が続いております。四十七都道府県の県庁所在地の基準宅地の評価平均は現行の一四・二%下落し、前回見直しから見ても何と三三%の減となっております。  当然だれでも地価が下がったから固定資産税も下がるだろうと常識的に考えておりますけれども、そうはうまくいかない。現実に、九四年の評価がえから評価額を公示価格の七割にしよう、ここに手をつけたがゆえに狂い出しまして、固定資産税だけが地価が下がっても上がり続けた。この実態はどうしても耐えられない実態となっております。  ところが、問題は先ほどお尋ねした地方財源。これは、地方財源の四〇%を固定資産税が支えているとなると、そう簡単に、私も地方議会出身の者として、自治大臣言葉をそれは無理ですとは言えない、両方の気持ちがあるのでございます。しかし、現実は今企業の再構築、日本経済の再構築をやっているさなかでございますから、何といってもここは中小企業あるいは事業承継を救っていかなくちゃならない。この二律背反している難しい要望をどう整合させて、固定資産税は少なくとも今回手をつけないというわけにはいかないと思っておりますが、その点の御決意のほどを承りたいと思います。
  227. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 今、御指摘のとおり、この問題は両者せめぎ合いの問題であります。地方財政の健全化の問題と中小企業の経営の問題ということでございまして、今税制調査会等でこの問題の真剣な論議がされております。  見直しの年に当たるわけでありますので、その辺の協議がどのようになっていくかということについて十分私どもも見守ってまいりたいと思っておりますが、一方で、私ども自治省の立場から申し上げますと、地方の自治体の財政運営というのは非常に大事でございますし、これがまた中小企業対策に返ってくる財源になるわけでありますので、ここは大事にしたいという気持ちを自治省としては持っております。  なお、中小企業に対しては別途通産省等でいろいろな措置を講じておりますが、そうしたものの助けをかりながら中小企業が正しい形で維持されていくということを私は望んでおります。
  228. 深谷隆司

    国務大臣(深谷隆司君) 私は、かつて自治大臣を務めておりますので、今、保利大臣の言われていることはよくわかっておりますが、土地が下がったのに固定資産税が上がるということに納得する人は少ないと思います。  そういう意味では、私は、今回の税制改正ではぜひ固定資産税には手をつけてくれとただいま必死に説得しているところでございます。  また、相続税につきましては、相続税全体を抑えかげんに持っていこうという、そういう議論がなされています。実際には、例えば土地についていえば、そこに住んでいるという条件がありますけれども、百坪まで八割軽減措置がとられたわけでありまして、かなり違ってきていると思います。  ただ、承継税制でいいますと、例えば市場に売られていない株価の判断がどうつけられるかということが大問題でございまして、中小企業の法人が事業継承するときに不当に株価が高いというこの問題点を何としてでも抜けていかなきゃならないという意味で、私は、このたびの税制改正では固定資産税と事業承継税制に関しては何とか変化をしていただくように必死で動いているところでございまして、あえて大蔵大臣自治大臣の前で私の声の陳情もあわせて申し上げた次第であります。
  229. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 宮澤大蔵大臣、ひとつくれぐれもよろしくお願いいたします。  ところで、その自主財源を確保する努力、法定外普通税を発行するのが難しい、いろいろそういう状況の中から地方自治体が頑張っておりますのはアウトソーシング、業務委託であります。これは今までも財政のスリム化、効率化を図って、第三セクター方式などをとってまいりましたけれども、なかなかあれがうまく今現在では生きていない、赤字を多く出しているような状況と聞いております。PFIみたいな新しい手法も考えられておりますが、それじゃ三セク方式というのは一体失敗したのでありましょうか。このあたりの御見解を教えていただきたいと思います。
  230. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 第三セクターの中には、近年、一部で経済環境等の変化によりまして赤字累積等経営が悪化しているところが見受けられます。事務遂行に支障を来している事例も見受けられておりますので、現在、その経営状況について自治省としては調査をいたしておるところでございます。  自治省は、本年五月に地方公共団体による第三セクターの設立や運営の指導監督等に当たっての留意事項を取りまとめまして、地方公共団体に第三セクターに関する指針として御通知を申し上げておるわけでございますが、その中で、積極的な情報開示をしたり、あるいは組織、機構の見直しや経営の改善に早急に対処することを要請しております。  自治省としては、第三セクターという考え方を今後とも必要に応じて助言等を行うことによってきちんと地方自治体で運営をしていただくようにお願いをしたいと思っております。
  231. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 私もそのあたりは、全部が全部失敗しているわけじゃありませんので、自治大臣と見解を共通するところでございます。  しかし、イギリスのサッチャー政権が源流と言われているPFI構想などは、むしろさらにドラスチックに効果を出している部分がありまして、一体これを日本で取り入れたらどうなるんだろうかと。イギリスではローダム・グランジ刑務所の建設と運営を自治体も加わって公開コンペで決めた。刑務所ですからね、こういう思い切ったことをやっておりますが、日本では小さな自治体、大きな民間ということで、プライベート・ファイナンス・イニシアチブ、いわゆる民間の力を主導して入れていくと、こういう方式、一体日本経済の再生につながるか、あるいはまた地方財源を豊かにする切り札になるかどうか、このあたりのPFIの御評価について、またこれからの導入の計画などはどのように政府は認識されているか、教えていただきたいと思います。
  232. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) お答えをいたします。  PFIによる公共施設等の整備は、地方公共団体においても財政資金の効率的使用と地域住民のニーズに即した公共サービスの提供に非常に有効なものである、そういう認識を持っております。また、PFI事業は民間事業者に対し新たな事業機会をもたらし、議員おっしゃるように、経済の活性化にも大いに資するものがあると、そういうふうに考えております。  民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律が本年七月に成立をいたしました。九月に施行されたところであり、政府としてはこれを受けて、関係省庁の協力のもとにPFI事業の積極的な推進に今後一生懸命努めてまいりたいと、そのように考えております。
  233. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 確かにおもしろい。経費の削減も一五%イギリスでは達成した、こういう実効が上がっていますが、やはりそれぞれの国の事情があります。土壌があります。どう生かしていくか、これから重要な時期に来たんではないかと思っております。  予算委員長の御出身の千葉県の千葉市でも、やはり人口が急増したということで社会資本の整備が整わない。そこで、千葉版のPFIをやろうという意気込みでおやりになっているようでございます。私どもの地元の東京でも三多摩地区が、今度は住民基本台帳が改正されましたから、いわゆるICチップで自由にカードでできるということになった。条例改正によりますと、行政情報やあるいは医療、福祉の部分まで活用できるということで、多摩の三十一の市町村にネットワークを打って多摩WANというのを今やってみようじゃないか、霞が関WANの向こうを張ってやってみようじゃないかという動きなどもございますので、ぜひ御注目をしていただきたいと思います。  郵政省では、百二十億円もかけて自治体ネット支援策を今回打ち出されましたが、郵政大臣、このあたり御答弁いただけますか。
  234. 八代英太

    国務大臣(八代英太君) まさにこれからは情報通信時代、まさにリーディング産業というとらえ方をいたしまして、これが地方自治体との連携をとりながら、電子政府の構築等々も踏まえて、より情報通信によって情報公開も含めた行政サービスが行われるような体制をいち早くとらなければいけない。そのための今度の補正予算でもそういうことでお願いをした次第でございます。  もちろん学校も、これから小中学校、新しい読み書きそろばんで情報通信ということも大切でございますし、そういう意味でのもろもろの政策は、これから三千二百の市町村も含めて、私たちは電子政府を通じながらより簡便な情報通信社会を二十一世紀へ目指したい、夢の政策として展開していきたいと思いますので、お力添えをお願いいたします。
  235. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 ありがとうございます。  次に、雇用問題について何点かお尋ねしたいと思います。  先ほどもリストラ、当然人員整理、固定費の削減で乗り切る企業もふえてまいりました。しかし、終身型雇用制度や日本型の雇用システムが崩壊したから何でもありでは困るのでございます。  過日、労働大臣とも話したんですけれども、企業の責任は大事だと、そして企業の責任を遂行しているところが褒められないで、結果において荒療治して企業実績が上がり体力が回復をしたら市場が大手を振って歓迎するというのはそれだけでいいのかねというお話もありました。  このあたりを考えまして、私などはむしろ企業責任、そして雇用の確保で努力している企業は何かこう、褒めるという言葉はよくありませんが、何か支援をしてやるような気持ちは感情としてございますが、そのあたり労働大臣の御見解を承りたいと思います。
  236. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) ただいま御指摘のとおり、世の中お金も大切ですし、機会も大切ですから、やはり中心になりますのは、働く人というのは非常に大きな中心でございまして、そういう点で、今おっしゃった企業の社会的責任の重要性というのは私どもは今以上に認識しなければいけないな、こう考えております。  したがいまして、国際競争力あるいは産業構造の変化に対処して会社の内部が変わっていかなきゃならないのはよくわかりますが、その間において、まず自分の会社で働いている人を守ってほしい、今その仕事が必要でなければ新しい仕事を探すように訓練その他もしてほしい、まず内部でもしてほしいなと。二番目は、会社というのは社会を構成する非常に大きな組織でありますから、当然仕事の関係で下請とか関連企業、皆さんそこに結びついているわけですから、この関係を十二分に考えていただかなきゃならない。それから、大きい工場等が倒産しますと地域全体に影響しますので、地域経済のこともぜひ考えていただきたいなと。これが、私ども労働省の立場から見ますと、そのような企業に対する社会的責任の確立ということを実は強く要請いたしたいわけであります。  着任早々でございましたが、日産の問題を契機に、早速、日経連の会長、また連合の会長とお会いをいたしました。私から、そのような社会的責任をぜひ守っていただきたいというお願いをいたしまして、早速ですが、両者の名前で雇用の安定宣言というものを実は出していただきました。単に安定宣言だけじゃいけないので、それでは具体的に皆さんとして我々にどのような御要望がありますかと、こういうことでお願いをいたしておりまして、最近御返事をいただいたわけでありますが、私どもとしましては、まずそういうことを前提に、それじゃ労働行政としてその変化に対応してどういうことをしたらいいかということを考えて、被雇用者の皆さんにも喜んでいただける、経営者の方もよく頑張ってしていただいているなということで、ただいま最大の努力をしているというのが実情でございます。  そういう意味から、この補正予算にもその一部として、今までの事業のほかに新たな政策をただいまお願いしている次第であります。
  237. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 私も、偶然なのでございますけれども、実業の世界におりましたときは日産自動車に籍を置いておりまして、非常に複雑な心境でございます。しかし、世に言うよいリストラ、悪いリストラがあるならば、将来の展望をしっかりつかめるようなリストラであるのならば地域も労働側も協力しなくちゃいけない、こういう認識に立っておることは事実でございます。  武蔵村山市にも行ってまいりました。やはり市長を初め大変な思いで、通産大臣やあるいは八代郵政大臣、越智金融再生委員長に、東京都出身の大臣に御陳情を続けているところでございます。  労働省の調査を見ましたらば、千人以上の雇用調整を行う企業は、九六年から二〇〇五年までに十四万人余いる。これは当然、首切りということではなくて、自然増を抑えていく、自然減ということになるんでしょうが、いずれにいたしましても、日本企業が抱える過剰雇用はまだ二百三十万人も企業の中にあると言われているんですね。したがって、これらの問題につきましては、万全な措置を政府としておとりいただきたいということを要望いたします。  そして、こういう結果、どんな社会現象が出ているかといいますと、上野公園のテント村や隅田川河川敷のホームレスなんです。総理も大阪で市長から陳情を受けて、あるいは知事から陳情を受けてすぐ対応していただきまして、我々も喜んでおりますけれども、サラリーマン、ネクタイしたままホームレスというざれ歌がありまして、私など見ておりましても、きのう成田空港から帰ってきたような格好でそのままそこで野宿生活に入るわけでございます。全国で二万五千人。東京は五千八百人、大阪は一万人にふえました、中山大臣のところ。すごいんですね。しかし、名古屋とか横浜、川崎、これがホームレス五傑と言われているんですけれども、次は皆さんの町に行くんですね、ホームレス。それは盲腸と同じですから、散らせばほかに行くしかないんですから。  そこでアメリカでは、やはり国の責任であるということで現実的にマッキニー法という法律ができました。これもワシントン州やニューヨーク州でホームレスが勝訴したところから始まっているんです。日本も名古屋地裁で生活保護でホームレスが勝ったんですね。そういうこともございまして、二万五千人に生活保護を全部与えたとすると三百億円もかかるんですね。  ホームレスというのは大体、三年以内にホームレスになった人が七五%、一年以内は五割あるというんです。そしてその人を調査すると、九割の人は働きたい、しかしなかなかチャンスがない。そのうち周りから、ホームレス出ていけ、おまえあっちへ行け。本当に残念ながら、例えば高校生が横浜でホームレスを追いかけ回して殺した事件もありました。  こういう社会現象がありますが、ホームレスという存在、どうごらんになっておりますでしょうか。官房長官お願いいたします。
  238. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) ホームレスにつきましては、現在のところ実数については正確なものはわかりませんけれども平成十年八月の時点では全国で一万六千人という報告を私どもは受けております。この問題は、雇用、福祉、住宅等各分野にわたって関係省庁と関係自治体がそれぞれの役割分担を明確にしながら連携を図り、総合的に取り組む必要のある大きな問題だという認識をいたしております。  政府におきましては、本年二月に小渕総理の指示により関係省庁及び関係自治体で構成するホームレス問題連絡会議というものを設置してその対応を検討を行い、五月にはホームレス問題に対する当面の対応策というものを取りまとめたところであります。詳細についての御説明は省略させていただきますけれども、現在、この取りまとめに基づきまして関係省庁が関係自治体と連携協力しながら施策を着実に推進していくことに努めているところでありまして、こうした施策の実施状態を点検しながら必要な対応を今後図ってまいりたい、そのように考えております。  また、保坂議員の呼びかけによって、平成十年十月にはホームレス問題勉強会が発足をいたしておりまして、現地視察等を重ねた後、去る十一月十五日にホームレス問題に関する要望書を私どももちょうだいし、その間の詳しい事情も私自身もお聞きしたところでございますので、今後、一生懸命政府としても取り組んでいく考えでございます。
  239. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 官房長官、ありがとうございました。総理の一声、官房長官のバックアップ、これでやっと政府の中にも内政審議室を窓口として五省庁連絡会議ができて、そして国も、自立支援センター、今までは自治体に任せていたのを五割バックアップする、ここまで来ていただきました。これは感謝にたえません。  例のアメリカは百万人ホームレスがいます。ドイツでも何と、ベルリンではホームレスが五万人いるんですね。そのうち一万人が女性なんです。日本人は東京で五千八百人のうち女性は百人ですからまだ少ない。ドイツのベルリンではストリートチルドレンが八千人いるなんというのを御存じでしょうか。こうなったらおしまいなんです。ですから、何としても手をつけたいということでございます。  自治体も結構自己負担をしております。そこで、どうぞこれからもこの問題につきましては国の支援をよろしくお願いしたいと存じます。  それから、一応用意した質問を私は結ぶのでございますが、どうしても一般論としてお尋ねしておきたい問題がございます。それは例の首都機能の移転の問題でございます。  国会等移転審議会では、現在、移転先の候補地の選定作業が大詰めに来ています。この臨時国会中にも報告があるのではないかと言われておりますが、総理、なかなか盛り上がりませんね。今盛り上がっているのは誘致先の方々だけということで、何となく、一国の首都をどうするかという大問題が国民的な命題、課題になっていないようなことを感じるんです。それはもう少し国民にわかりやすくやっていった方がいいんじゃないか。首都機能と言いますけれども、機能というのは一体首都の何なんだろうか。首都機能を移した後は首都は何だろうかという問題もございます。  それから、東京の問題でございますが、例の皇居がございます。明治二年に東京城を皇城と発表しておりまして、この皇城というのは、皇居、天皇が居住するところと、官衙、太政官政府のあるところという意味でございまして、いわば正式な遷都の発令こそありませんけれども、この明治二年からは奠都、都を定めたものと私たちは認識しております。  大正八年に東京奠都五十周年も天皇陛下御出席のもとでお祝いがされておりますし、また関東大震災のとき、天皇陛下の詔書にも、そもそも東京は帝国の首都としてという言葉もございます。  それから、昭和二十五年に制定された首都建設法には、この法律は、東京都を新しく我が平和国家の首都として十分にその政治、経済、文化等についての機能を発揮し得るよう計画し、建設することを目的とするとなっております。  したがいまして、皇居と中央政府があるところが私は首都ではないかと思っております。  ちょうどちょうだいいたしました時間が満杯でございますので、一つだけ最後に、この首都問題、首都という定義はどういうものなんだろうか。皇居のあるところが首都ではなくて行った先が新しい首都というのならば、何と呼ぶんだろうか。このあたりの御見解、官房長官は難しいですか。よろしくお願いいたします。
  240. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 首都の定義についてはそれぞれいろいろな見解があろうと思っておりますが、政府としては、いろんな問題を冷静に判断しながらこの問題を解決していきたい、そのように考えております。
  241. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) 私が担当でございますので、総理からも辞令をちょうだいいたしておりますので、一言申し上げておきたいと思います。  平成四年に、国会等の移転に関する法律ということで、法律第百九号、これで国が検討をする責務があるということを定めていただいております。  御承知のように、六四五年に大化の改新の後、大阪の長柄豊碕宮というのが、最初に官僚機構、このときに大蔵省というのが決まっておりますが、これが千四百年ぶりに財務省と変わるわけですから、それからまた平城京、それから平安京、それからまた今度は天皇陛下が京都にお住まいのまま鎌倉に幕府が、これがまず日本の首都機能の移転ではないかと思います。その次が、今度は江戸幕府が、天皇が京都にいらっしゃるまま東京へ移りまして、そして首都が決まったわけでございます。  首都機能でございますと国会とそれから最高裁判所と官庁、これが移るということでございます。東京には二百十二ヘクタール土地があくわけでございますので、この間、十一月一日に石原慎太郎知事が来られましたので、私は、東京は世界都市に格上げするような形にしていただいたらどうだろうかと。特に、最後には、法律に東京都との考量をして決めるということになっております。東京は今三・六%の国土に日本の人口の二六%が集中しております。これは飽和状態でございますので、特に過疎地が五〇%国土の中にありますし、千二百三十の過疎市町村がありますから、日本の均衡ある発展を遂げるためには、特に先ほどお話のありましたミレニアム計画というのからしますと三十兆から百兆の日本の経済を進展させるこれには起爆的な要素があると思いますので、またいろいろと審議会で今静かにやっておりますので、これが公表になりましたら論議はにぎやかになると思います。どうぞ、ひとつ東京を、皆全国一律に、ひとつ冷静にこれからの日本の首都をどこに決めるか考えてまいりたい、かようにお願いをしておきたいと思います。
  242. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 ありがとうございました。
  243. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で溝手顕正君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  244. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、木庭健太郎君の質疑を行います。木庭健太郎君。
  245. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 公明党木庭健太郎でございます。与党の一員として質問をさせていただきたいと思っております。  今、自民党から経済対策その他の御質問がございました。私は、そのほかの部門、例えば介護であるとか福祉であるとか環境といったような分野について御質問をしたいと思っております。  まず、冒頭お伺いしたいのは、きょうも午前中から議論になっております介護保険制度の問題でございます。  この問題について、保険料を与党三党の合意を受けて政府は半年間凍結することをお決めになりました。私は、いろんな御批判はありますけれども、やはり自治体が今御努力いただいているけれども、来年四月の段階でサービスが完璧になるのか、なかなかこれはならない。これから高齢化社会を迎える新しい制度を始めるわけですから、その意味では、私は、助走期間としてこういったやり方をするのは利用者に対する当たり前のことだと確信をしております。  政府として、この半年間凍結というのを私たち与党の合意を受けてしたわけですけれども総理はこの半年間凍結するという問題について内閣の責任者としてどうお考えになっているのか。ばらまきという批判もあるわけです。それに対して、国民に対してきちんと総理からこの点について御説明をまずいただいておきたいと思います。
  246. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 段々の経緯もございましたが、来年四月一日からこれを実施するということになりまして、各地方自治団体におかれましても精力的にお取り組みをいただいてまいったわけでございます。  その後、今御指摘のように、三党からこの制度を実施する、我が国におきましても初めてのことでありますと同時に、世界的に見ましてもまだ、ドイツ等やっておりますけれども、種々問題が存在をしておるということでございまして、そういう意味では、我が国らしく、地方自治団体も頑張って何とか四月一日からできるという体制が整っておることは承知をいたしております。  しかし、今、委員が御指摘のように、初めてのことでございますので、いろんな問題が今日まで指摘をされている以上は、その中で、助走期間ということを委員はおっしゃられましたが、あるいは激変緩和と申しますか、そういった意味で、直ちに四月一日から保険料を徴収するということにつきまして半年間これを猶予するという形のことにいたしましたこと、こうした制度を通じながらスムーズにこの制度が実施のできる体制にいたしたわけです。  結論から申し上げますと、三党からせっかくの御提案でございましたことを政府としてはしっかり受けとめてこうした形の保険料につきましての対応をいたしたわけでございまして、ぜひこれは国民の皆さんにも御理解をいただきまして、スムーズな形で出発のできる、その大きな役割を果たし得るものと確信を持っていたしたような次第でございます。
  247. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 与党三党が言ってきたからやったんだというだけの問題ではこれはないはずだと私は思っているわけでございまして、だからこそ与党三党と政府の考え方の中に若干の差異が出たことも事実でございます。政府としてそういう決断をされたということを総理がきちんと国民に伝えることがこの制度をしっかり安定させるための第一歩だと私は思っておりますので、今後も機会あるごとにそういう点はお願いしたい。  これから半年間というかこの一年間、制度をいろんな形で見直していけば、今六十五歳以上の方では三千円ぐらいの保険料に平均でなると言われている、しかし私はきちんとやっていけばこんな保険料にはならないと思っております。こういった問題は私ども与党三党でこれから協議すべき問題です。  ただ、その間、厚生省としても基盤整備を含め、あり方をきちんとやってもらいたいと思いますが、この助走期間、厚生省は何をやるんでしょうか。
  248. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) 初めての世紀の大事業でございますし、とにかく私どもは四月から円滑に実施しますように全力で頑張っていく決意でございます。  特に基盤整備でございます。一層の整備を図るために、今回の補正予算におきまして九百六十億円の予算を計上いたしております。十一年度の当初予算と合わせまして、地方自治体のニーズに十分に対応できるものと考えております。  また、平成十二年度からは、例えば木庭委員御案内のように新ゴールドプランというのがございまして、これは率直に申し上げて、老人保健施設を除けばほとんどもう目標を上回っておるわけでございますが、例えばホームヘルパーなどはここに来まして急激に大幅にニーズがふえておるわけでございます。そういうような実態を踏まえまして、現在、平成十二年度から全国の市町村の介護保険事業計画というものを今まとめていただいておるわけでございますが、こういうものを踏まえまして、新しい新ゴールドプランの後のプランを策定いたしまして、さらに一層基盤整備の充実に当たりまして、保険あって介護なし、こんなことが言われないように全力で頑張っていく次第でございます。
  249. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ぜひそれだけはやっていただきたいし、もう一つは、この介護保険制度の問題で今自治体が悩んでいる問題の一つは、これに自治体として制度の上乗せをする部分をどうするかとか、横に出す部分をどうしようか、こんなことで自治体が悩んでおります。  上乗せという問題はともかくといたしまして、国の介護制度の枠外で今自治体が取り組んでいらっしゃる、例えば給食とか移送とか、そういった問題にどう取り組めばいいか自治体が今悩んでいるのも事実でございます。  私は、この横出し部分については、今後の高齢者対策というか、自立のための対策というか、そういった視点からきちんと国としてもある程度のことをやるべきだと思っておりますが、厚生省としてどう取り組むおつもりかを自治体の皆さんにお知らせしていただきたい。
  250. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) 委員おっしゃいましたように、高齢者の自立生活、いわゆる認定では外れました自立の方々でございますが、自立生活を支えていくためには配食サービスであるとか移送サービスであるとか、こういった保険の給付対象にならないような生活支援、こういうもののサービスについて推進していくということがこれから大変重要であるとまず考えておるような次第でございます。  このため、市町村が介護保険制度とは別にこうしたサービスを実施した場合の支援といたしまして、平成十二年度において、例えば生きがいデイサービス事業などを対象といたしまして、介護予防・生活支援事業、こういうものを要求いたしておるところでございますが、市町村からの強い御要望があることを踏まえまして、今回の特別対策の中でこの事業の規模やメニューの充実を図っていきたい、こう考えておるような次第でございます。  また、先生から御指摘がありましたいわゆるお年寄りの問題でございますが、確かに私自身も全国の市町村や現地を視察いたしましていろいろ感じますことは、自立を含めたお年寄りの問題をこれからどうやって解決していくかということは単に介護保険だけでは解決できる問題ではない、私はこう考えている次第でございます。まさに地域コミュニティーであるとか、あるいは大変総理も御熱心でございますけれども、ボランティアあるいはNPOなど、これらの方々がお年寄りとできるだけ多く接触をしていただいて、お年寄りのお話を聞くなり身近な相談を受けるなどすることが大切だ、私はこう考えておるわけでございますし、この介護保険制度の導入を契機にいたしまして、まさにそれぞれの地方自治体におきまして地域コミュニティーそのものが変わりつつある画期的なことではないか、このように考えている次第でございます。
  251. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ぜひ私は、逆にいえば半年間凍結した期間を大切にしながらそういったものを進めていただきたいと思っております。  次は、経済新生対策の中にもうたわれておりますいろんな政策の中に、私が非常に喜んでおりますのは、我が党も、これ私が当選する前ですから、十年以上前からこのバリアフリー化の問題を取り上げてきました。かつて障害者基本法をつくる際に、今はちょっと姿を消しましたけれども、八代英太議員も一生懸命取り組んでいただいてやった経過がございます。その意味では、私は今回の補正予算というのは、国がようやく本格的にバリアフリー化に取り組んだ本格的な初動の年だとも感じました。  それぞれの政策についてお聞きしたいと思うんですが、まずは建設大臣に、公営住宅、特に中層公営住宅へのエレベーターの設置の問題についてお答えをいただきたい。
  252. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) 結論から申し上げますと、今年度の補正予算の中に三千戸分の既設の公営住宅にエレベーターを設置したい、かように思っておりますが、従来の一住戸当たりの設置費用とか維持管理費用の負担が大きくなりますのでその辺をどうするかということでございます。エレベーター設置が行われていなかった今お話しの階段室型という、ちょっと階段が引っ込んだところに、今開発をしておりますのは、六百万ぐらいの二人か三人乗りのエレベーターを設置しようかということで検討を続けておりますので、今後ともひとつよろしくお願いしたいと思います。
  253. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、大臣がおっしゃった階段室型というのは横に廊下でつながっていないですね。二階、三階、四階と一階から縦なんですよ。もう選挙で御経験があるでしょうけれども、支持者の皆さんが一番上のてっぺんにいて何回も往復するというようなことをやられた記憶もあると思います。上の方に高齢者が結構住んでいらっしゃるんですよ。  だから、この問題というのは本当に大きな問題だったので、まずお取り組みいただくことは結構ですけれども、補正だけじゃなくて、建設省として今後も来年度へ向かってどうやっていくのかというような問題も地道に私は取り組んでいただきたいと思っているんですけれども、どうか一言、御見解をいただきます。
  254. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) お話しのように、これはもうどうしても必要なことでございますし、一階の方はエレベーターを必要としないということでございますので、維持管理その他設置費用をこれから鋭意検討して、住宅に住んでいらっしゃる特に高齢者の方々が大都市の中心部にたくさん残っていかれますので、この問題は大きな問題だと思っております。  どうぞよろしくお願いします。
  255. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 次は、もう一つはバリアフリー化の問題で、大きなテーマで私もう何回も要求しながらなかなかできなかったのが公共交通機関へのバリアフリー化の問題なんです。  エレベーターをつけるとかいろんな問題があるんですけれども、これまで運輸省はどっちかというと、これは民間企業なのでそこにやらせるのはどうかみたいなことを何回も言われて、なかなかできなかった。ようやく何か重い腰を上げたような話を聞いておりますが、運輸大臣、本業のお話をぜひしていただきたい。
  256. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 運輸大臣に対する初めての御質問をいただきました。  運輸省としましては、今、木庭委員指摘のように、今日までいろいろ検討を続けてまいりましたが、このたび思い切って公共交通機関のバリアフリー化の必要性、緊急性にかんがみまして、私たちはまず鉄道、そして鉄道のエレベーター、エスカレーター、さらには外国の空港等を走っております低公害のノンステップバス、これを導入する、そしてさらにはリフトつきのタクシー、これも考えております。さらには、国内の旅客船のバリアフリー化を考え、今回は補助金としまして二十億円、事業費にしまして約六十億円ないし八十億円程度、木庭委員からいたしますとまだまだ小ぶりだということでございましょうが、私どもはこれを契機に懸命に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、公共交通機関のバリアフリー化を今後積極的に推進するためにはやはりこれに対する法案が必要だということで、目下建設省と協議をいたしております。先ほど委員の御質問の中にも触れられました八代郵政大臣にもその都度御報告をしながら御意見をちょうだいして、万全なものに仕上げていきたいと思っておりますので、一層の御協力をお願いいたしたいと思います。  以上です。
  257. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 運輸大臣法律を出そうと思っていると。それは多分義務化をするような方向へ私はやるしかないんだろうと思いますが、現時点でどんな中身を考えていらっしゃるのか、言える部分があったら、建設省と調整がついていないですか、ついているかどうかわかりませんが、ともかくどんな中身なのかもぜひ教えていただきたいと思います。
  258. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) まず、運輸省の関連の公共交通機関に計画をお出しいただいて、そしてそれを何年までに実現するかという努力目標をきちっと決めて、そして計画的にこれを進めていくということですから、縦横に網の目のように計画をきちっと仕上げて対応してまいりたい。そして、交通弱者と言われる方々あるいはまたお年寄りの皆さんが公共交通機関で階段の上りおり等において大変不便と、ある意味では恐怖すら感ずるわけでありますから、そうした方々に優しい、本当に心のこもった交通機関として仕上げるべく、法律の中ではきめ細かく対応をしていきたいと思っております。
  259. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一点のバリアフリー化というか、それも伴って新しい構想で出ているのが私は歩いて暮らせる街づくり構想だと思っております。これについては、堺屋経企庁長官のアイデアとかいろんな話がありますけれども、モデル事業で始めるような話にもなっているようですけれども、今、内閣官房長官を中心にこの問題に取り組みを始めたところだとお聞きしております。  どういった発想でどういった町をつくろうとしているのか、御説明をいただいておきたいと思います。
  260. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) お答えをいたします。  歩いて暮らせる街づくりという構想は、諸機能がコンパクトに集合し、バリアフリーにも配慮した幅広い世代の住宅から成る町づくりを総合的に行おうという考えに立っておるものでございます。このために、現在考えておりますことは、全国十カ所程度の地域においてモデルプロジェクトを実施すべく、平成十一年度中には対象自治体を選定することといたしておりまして、現在御審議をいただいております補正予算案においても所要の事業調査費を五億円計上させていただいているところでございます。  また、補正予算成立後直ちに対象自治体の公募を開始すべく、公募要領を現在作成中でございまして、真剣に取り組んでおりますが、この問題は堺屋長官が非常に熱心でございます。
  261. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それでは、長官、一言お願いします。
  262. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) これまでの日本の都市づくりは、一方に住宅地がありまして、他方に工業用地や商業用地がある、この間を電車や高速道路などの機械導線で結ぶと。これは確かに規格大量生産には向いておったんでございますけれども、これからの多様な時代、そして世代がいろいろとミックスして暮らすという世代には必ずしも向いていない。やはり高齢者あるいは男女共同参画の社会を考えますと、一つの、歩いて暮らせる一キロぐらいの間に住宅も商店も事務所も教育機関も文化施設も娯楽場もあるというのがいいんじゃないかということで、そういうモデル地域を比較的都市の中心部に近いところにこれから建設していこうじゃないか、そういう発想でこのモデル地域を募集しています。  今十三の省庁が官房長官のもとでこのガイドラインをつくっておりまして、大変各省の御協力をいただいて進んでいる点、新しい発想になるかと期待しております。
  263. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そういった問題を含めて、これから二十一世紀へ新しい都市づくり、新しい形ができるようにぜひ御尽力をいただきたいし、またその中で、別の観点から見ると、そういう都市はできてもいいんですけれども、これからもう一つ大きな課題になっていくのは、ごみ問題を含めたこの社会をどうリサイクル型、循環型にするかと。二十一世紀への大きな課題だと私どもの党は思っております。これは三党合意の中で、来年を循環型社会元年ということで政府としてもお取り組みをいただくというようなこともお聞きをしております。  ただ、循環型社会元年といっても、その具体的中身として何をしていくかがこれから一番大事な作業でございまして、私漏れ聞いたところでは、厚生省が今後、産廃の不法投棄の問題について、排出者そのものに原状回復責任を持たせる。今これは、結局、排出責任者、処理業者、そして置かれたところと、ある意味ではこの関係がはっきりしないためにもう全国に随分多くのごみが放置されているとお聞きしております。その意味では、そういった排出者に原状回復責任を持たせるようなまず一つ仕組みをつくることも極めて大事なことだと思っております。  この点について、厚生省の中でごみ問題を含めて真剣に取り組んでおられると聞いております大野総括政務次官に御答弁をいただきたいと思います。
  264. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 廃棄物問題につきましては、廃棄物の排出抑制、そしてリサイクルの促進が大変重要で、廃棄物そのものを減量化することが大事なわけですが、どうしても出てくる廃棄物につきましては適正に処理をするということが大変肝要なわけでございます。  廃棄物は、今、委員も御指摘のように、最終処分場が大変逼迫をしたり、そしてまた不法投棄が大変ふえまして大変な社会問題になっております。そして、今現在、生活環境審議会の廃棄物処理部会で御検討をいただいておりますが、産業廃棄物の排出事業者の排出責任の明確化、また強化をいたしまして原状回復等々を義務づけることも必要ではないかということで、こういうことについて検討していただいております。  現行制度では、産業廃棄物の排出事業者が処理業者に、安かろう悪かろうという処理業者に依頼をして、その処理業者が不法投棄をして倒産をしてしまったような場合、その排出事業者の責任が問えなくて、都道府県が自分たちで税金でもって原状回復をしている、こういう実情があるわけですが、この辺の仕組みを変えてきちっと排出事業者に責任を問えるようにしていきたい、こういうふうに思っております。  生活環境審議会の結論を踏まえて廃棄物処理法の改正を行ってまいりたい、こう思いますし、また委員が御指摘のように、ごみ問題そのものにつきましては、今与党の間でも検討いただいておりますが、循環型社会法というものの法制化も必要であるというようなことで、法的な枠組みについても大変重要ではないか、このように思っております。
  265. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、御説明をいただきました。  循環型社会をつくっていくというか、リサイクルの問題とか企業にも責任を持ってもらう問題とか、こういう問題をやるときは、やろうという決意はあっても、なかなかこれはいろいろな問題も出てくるでしょうし、省庁間の問題も出てくるでしょうし、業界の問題も出てくる。私は、言葉は簡単なんですけれども、なかなかこれは難しい問題も横たわっていると思うんです。これにはやはり、総理がどれだけこういう循環型社会というか、日本をリサイクル型社会にしていくのか、そこへの一つの方向性決意というものがなければ実現はなかなかしにくいものだろうと私は思っております。  その意味で、来年そうやって元年にしようというからにはぜひ総理からもそういった社会へ向かっての決意というものを伺っておきたいと思います。
  266. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 廃棄物リサイクル対策の推進は我が国における喫緊の課題と深く認識をいたしております。この課題に対応するため、大量生産、大量消費、大量廃棄という我が国の社会のあり方を見直し、物質の循環を基調とした環境への負荷の少ない社会の構築を進める必要があるものと考えております。  政府といたしましては、自民党、自由党公明党連立政権をめぐる政策協議におきまして、来年度を循環型社会元年と位置づけ、基本的枠組みとしての法制定を図ることが合意されたことも踏まえ、循環型社会の構築に関する基本的枠組みとなる法制について精力的に検討を進めたいと考えておりますが、まさに木庭委員指摘のように、原因者負担という原則はありましても、なかなかこれを実行するということにはいろいろの意味での抵抗が過去大きかったことは事実であります。しかし、今やそう言っておられない段階に来ておるということは国民的にも認識をしておればこそ、今申し上げたような循環型社会元年と位置づけて、それぞれの責任をしっかり定めていかなきゃならぬ、こう考えておるわけでございます。  政府といたしましても、今御指摘をいただきました点につきまして十分留意をして、現実の問題としてこれは解決のために努力をいたしますが、諸先生方の御協力もぜひいただきたい、こう願っておる次第でございます。
  267. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 中小企業対策、いろいろ論議がありましたので私は一点だけ。  ぜひ通産大臣からもしっかり言ってもらいたい話は何かというと、中小企業安定化特別保証制度をなぜ一年間延長し、保証枠も十兆円を積んだかという問題についてしっかり話してもらいたい。ばらまきだと言われたり、ある党の方は中小企業はよくないところはつぶれればいいんだとかおっしゃったり、私はもう全く現場を知らない論議だと思っている。  しかも、今まで積んだこの十兆円、前回の制度のときもこれがどれだけ中小企業にとって助かったか、倒産を防いだか、そしてそれに対してどれだけ中小企業の皆さんが真摯に返済もしているか、こういった問題もある。週刊誌を見たら、何かこれが自動車を買っただ何だ、そんな話になっている。私は、そんな週刊誌に対しては断固通産省から抗議もしてもらいたい。  ぜひ、この点についてしっかりと、なぜこれをするのか、今の状況を踏まえて通産大臣からお答えをいただきたいと思います。
  268. 深谷隆司

    国務大臣(深谷隆司君) 御案内のように、昨年、中小企業に対する貸し渋りの嵐が吹きまくった。通常なら定期的に借りていられたものが突然とめられてどうにも動きができなくなる。それは金融機関の健全化、再生化ということで手当てをしているのですが、本来、金融機関がもっと頑張ってくれるべきでございました。  しかし、それを一生懸命後押しをしてしっかりやってもらうという動きのほかに、やはり緊急避難的に政府みずからがこの現状を憂えて中小企業の方々をお助けするという仕組みをつくるべきだ、こういうことから小渕総理の強い決断で二十兆という貸し渋り対策のいわば緊急避難的な措置を講じたのであります。  去年の十月一日から始めまして、今日で十八兆四千億円出ております。そして、それを活用している中小企業は百万を軽く超えております。全体で五百万という中小企業の中で実に五分の一を超える人たちがこれをお借りしているということは、どれだけ現状において助かっているかということの何よりのあらわれであろうと私は思うわけでございます。  しかも、おっしゃるとおり返済状況が悪いとマスコミが盛んに書かれます。この間テレビでも言われた人がいましたし、週刊誌でも書かれましたから、私の名前であるいは通産省から厳しい対応で抗議をいたしまして、テレビに関しましては正式な謝罪を受けるといったような、そんな場面もございます。  返済が滞っているということは、つまり代位弁済ということでございましょう。世間では事故率と言うかもしれません。私たちは、代位弁済に関してずっと注目して追っておりますけれども、今現在でも〇・四%台でございます。これは緊急避難ですから、一〇%までのリスクを覚悟した、そういう中で〇・四%の代位弁済というのは、私は中小企業の皆さんが必死で返しておられるという姿であろうと思うわけであります。  現実に、さらに細かく調べてみますと、十月一日にお貸しして、早い方は次の月から払います。三月目、六カ月目、一年目というのがそれぞれ契約によってございますけれども、その方たちは九割以上が返済に努めて、この一年でもう二兆円返されているわけであります。だから、リスクの分の、つまり代位弁済の〇・四%台、これを数字にしますと確かに大きく見えるかもしれませんが、旧来からの政府系融資と比べましてもはるかに順調な返済が行われている。  私は、このような状態の中で、さらに年末にかけてあるいはもう一息延長させてくれという熱烈な声を聞きますと、どうしてもそれにおこたえするのが政府の役目ではないかと考えまして、三月いっぱいまでの分と来年一年続ける分を合わせて十兆円と考えたわけでございます。前半の五兆円がもし残れば来年に繰り越せばいいわけでありますから、いわば十五カ月予算という考え方に立っているわけであります。  私は、中小企業の皆さんがこれによって頑張ってくださっている姿を本当にうれしく思います。そして、木庭委員の言われるように、必死でまじめに返しておられる中小企業の方々のその熱意にこたえていきたい、こう思っています。その熱意を信頼しながらこれからも見守っていきたいと考えております。
  269. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 まさに通産大臣が今おっしゃったとおりで、やはりこういった時代のときにはそういったセーフティーネットを政府責任を持ってやらざるを得ないし、また、私も現実に自分の地元を回りまして、今回の予算の中で一番要望が強かったのは実はこの件でございました。その意味では適切な処理をしていただいたと思っております。  ただ、いずれにしても、この予算をつくる上でさまざまに国債を出さざるを得ない状況もございます。その中で、国債増発への対応の問題で大蔵大臣に一点だけお聞きしておきたい点は、長期金利はどうしても上昇という問題が起こってくる可能性があります。これに対してどう万全の対策をとるのか。また、国債の円滑な消費をするためには国債の多様化を私は進めるしかないんだろうと思います。  そういった点を含めて、この増発する国債にどう対応するのか、大蔵大臣にこの点だけお伺いしておきたいと思います。
  270. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ちょうど昨年のもう今ごろには既にそうなっておりましたが、十一月終わりごろから長期金利が上がり始めまして二%を超したというようなことがございました。そういうこともございまして、ことしは注意をいたしておりまして、国債の出し方にもいろいろ工夫をいたしております。また、日本銀行も御承知のような金融政策をとってくれておりますので、ただいまのところ昨年のような姿は見えておりません。  しかし、明年に向かって増発することが確かでございますから、できるだけ十年物でなく、十年物はもちろん基本でございますが、そうでないものをバラエティーを加えて一本調子でない発行の仕方をしようと思っておりまして、例えば五年物というのは今まで利付国債はございませんでしたが、来年の二月ごろから発行いたしたい。比較的短いものでございますから、個人にも買ってもらえるのではないかと思っていまして、市場の動向を見ながら、注意をしながら慎重に発行をいたしてまいりたい。  ちょうど明年からは、資金運用部に従来のような郵便貯金からのたっぷりした金の流れがなくなってまいりますので、それも含めまして非常に発行者の立場は苦しいので、それだけ注意してやってまいりたいと思っています。
  271. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 本当に日本の国債の場合は個人消費というのがほとんどない部分もあるし、その辺はぜひ御努力もいただきたいと思います。  最後に、グリーン税制の問題について、まず運輸省が考えておられますグリーン税制のあり方について、これも本業についてお聞きします。二階運輸大臣
  272. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいまお尋ねの自動車税のグリーン化でありますが、環境に優しい社会の実現を目指して、これは環境庁とも御相談をしながら進めている問題であります。  もう今や、私たちは環境の問題をひとり環境庁にだけお任せしておく時代ではない、あらゆる省庁がこの問題について対応していかなくてはならない。したがいまして、この二酸化炭素、CO2を削減するために、燃費のよい車には税額を安く、燃費の悪い車には税額を高くする、そういう方向で税制改正の要望をお願いしておるところであります。  この問題に対してはさまざまな意見があることを承知いたしております。しかし、幸いなことに先般自由民主党自由党公明党それぞれの交通部会長が私のところにおいでになりまして、各交通部会、各党においてこのことに対して賛成の意思を決定したということで、三党そろい踏みで頑張れということでお見えになりました。私は大変このことに感謝をするとともに、今後関係者の皆さんの御協力をいただきながら実現に向かって努力をしてまいりたいと思っております。  なお、CO2排出では、委員も御承知のとおり今や世界第四位でございまして、我が国はCO2排出大国、こう言われておるわけであります。しかし、私たちは京都議定書策定に当たって、我が国で世界に向かってこのCO2を削減するということをまさに国際公約しておるわけでございます。ごく最近でございますが、清水環境庁長官がボンにおきましてのCOP5に日本政府の首席代表として御出席になり、このことを改めて世界に向かって公約をされ、出席の各国の閣僚から賛意を得たところであります。  私は、このグリーン税制の問題、そう簡単にいくとは思っておりません。大変な困難な障壁があろうと思いますが、私は、これに反対をされる方はそれでは対案はいかがかということを常に申し上げておるところであります。  二〇一〇年前後に一九九〇年に比べて六%削減するという、この世界に対する我が国の公約の実現のために、各党それぞれ、これこそ政党会派を乗り越えて御協力を賜りますように私から特にお願いを申し上げておきたいと思います。
  273. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 本当にこれは運輸大臣がおっしゃったとおりだと思います。日本が環境先進国と言われ京都会議をやったわけですから、京都議定書の中でこれはうたっている問題なんですから、ある意味では、温暖化防止のためにやはりいろんなほかの方法も考えられると思います。しかし、私はいろんな方法の中で、ある程度各省庁も理解し合えて政府として取り組める問題がまさにこのグリーン税制の問題だと思っております。先ほど運輸大臣もおっしゃったように、これにもまた各省庁ごとにいろんな意見があるというふうに聞いております。  ただ、全体の中で私はこれでどれくらいの税金が持っていかれるのかと、自動車税制の中で。一兆円の中の三十億程度にしかこれはならないわけですし、そういった意味では、この問題にはぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思うし、これについての総理の御見解を伺って、私の質問を終わります。
  274. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 環境問題への関心の高まりを背景といたしまして環境問題に係る税制につきましてもさまざまな議論が行われておりますが、いわゆる自動車関係諸税のグリーン化について関係者の中でもさまざまな意見があるものと承知をしており、税制の基本的な考え方にもかかわる問題であることから、既に講じられている措置の効果を見きわめつつ、幅広い観点から慎重に議論されるべき問題と考えております。  いずれにいたしましても、現在、政府及び与党の税制調査会において、平成十二年度税制改正要望に関し専門的かつ幅広い観点から検討を加えていることであり、その御審議を見守ってまいりたいと思っております。  今、二階運輸大臣が御答弁されました。私もオートショーにこの間行ってまいりまして、無公害自動車に対して各メーカーが真剣に相当の投資をしてやっておるんですね。ですから、そういう意味でも、これからやはりどういう形でそういうものを助長するかということも含めまして全体を考えなきゃならぬ。  ただ、税を安くということになりますと、必然的にまたその補てんの問題もございますから、申し上げましたように、審議会で十分な検討をいたさなければならない時期に来ているという認識だけは深くいたしております。
  275. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  276. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で木庭健太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  277. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、笠井亮君の質疑を行います。笠井亮君。
  278. 笠井亮

    ○笠井亮君 日本共産党の笠井亮です。  まず、深刻な雇用問題について伺いたいと思います。  今リストラによって何十万という方々の雇用が奪われている。雇用を守るというのは労働者と企業だけの問題ではないと思います。日本経済そのもののあり方にかかわる重大問題であります。多くの国民はもちろんのこと、財界からさえ今のリストラの横行に危惧する声が上がっております。  日経連の奥田会長は、失業と消費停滞の悪循環を指摘し、現在の我が国では従業員の首を切ることがもてはやされるおかしな風潮があると、狭い意味での利潤追求、これに走るやり方を批判しております。日野自動車の湯浅社長も、幾ら企業が苦境にあるからといって、長い年数と費用をかけて育てた人材をいとも簡単に切り捨てては企業の将来の芽を摘むことになりかねない、このように警告しております。まさに長期的視野から日本経済あるいは企業のあり方、将来そのものについてとらえているということだと思います。  総理総理は、そういうことではないんだ、リストラはやはりやるべきだというお考えでしょうか。
  279. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 我が国企業はこれまで、リストラ計画が雇用調整を伴う場合でありましても、自然減や配置転換、出向等を行うことにより雇用の安定を図ってきており、今後とも企業はこうした社会的責務を果たしていくことが重要であると考えております。  政府といたしましては、企業や経営者団体に対して従業員の雇用の安定に向けての最大限の努力を求めるとともに、雇用の安定等の面から必要な指導、援助を行うなど、雇用対策に万全を期してまいりたいと考えております。  今、笠井委員指摘の、リストラをしますとその企業は株価が上がるとかいろいろの、何といいますか、世の中の風潮でそうした言葉がなされておることは承知をいたしておりますが、その後段で、日本を代表する企業家の方々も、その社会的責任ということ、また一人の従業員を育てていくということは大変な恐らく企業としても大きな財産であろうかと思っておりまして、ただいたずらにリストラをすればいいというものでないという精神で私は企業家の皆さんも取り組んでいただいておるんだろうと思っております。  しかし、もし悪い風潮があるとすれば、そのことは正していかなきゃならぬと思いますし、政府としてもだんだんにこの雇用対策については全力を挙げて努力をいたしてまいりましたが、日本の中でそれぞれ会社といえども社会的責任を多く負っておるわけでございますので、そうした意味での努力も大いにやっていただきたい、またそれを助長するような政策を講じていかなきゃならぬ、このように考えております。
  280. 笠井亮

    ○笠井亮君 社会的責任と言われましたけれども、実際に今、出向、配転とか、そういう問題について私も七月の予算委員会で取り上げましたが、多くの自殺者も出ている。本当にそういう意味では、このリストラによって大変多くの方々が犠牲になっている。それが労働者だけじゃなくて企業や日本経済全体に大きな影響を及ぼしている、こういう問題だと思うんですよ。全然そういう意味では今の重さを知らない。しかも総理は、午前中もやりました、国際競争力はしかしながらつけなきゃいけないと。しかし、膨大な貿易黒字や輸出量を見ても、私そういう議論は通用しないと思うんです。  奥田会長、先ほど紹介しましたけれども、この方も、長期的視野で見ると、簡単にリストラに踏み切る企業は働く人の信頼をなくし、いずれ人手が足りなくなったとき競争力をかえって失う、このように言っておられます。リストラすれば競争力が上がって、しなかったら競争力が出てこないなんということはどこから出てくるのかと言いたいと思います。  ヨーロッパでもリストラをやっております。しかし、企業のやりたい放題ではありません。無法な解雇、リストラから労働者を保護する法制上の仕組み、つまり企業に社会経済への責任を果たさせるルールがあります。それは、労働者を守ることと経済の発展や企業の将来を確かなものとすることが両立する、こう考えているからだと思うんです。  ところが、日本はどうか。産業再生法で人減らしをすればするほど税金をまけてやる、そういうルールしかないというふうに思うんです。日本は企業のやりたい放題と。責任と言うけれども、結局はやりたい放題、まさにルールなきリストラだと言いたいと思います。  リストラに対して少なくとも国際的に見て当然のルールを定めるべきだ。日本共産党は、解雇規制法、リストラから労働者を保護する法律、サービス残業根絶の特別措置などを提案しておりますけれども、これもそういう立場からです。  こういうことは目先の競争に追われている個別の企業ではできないと思うんです。だから、国が、政府が全体として取り組んでこそ可能になると思うんですけれども総理はこの点いかがですか。
  281. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 解雇につきまして、いわゆる整理解雇の四条件や合理的な理由を必要とするという裁判所の考え方も踏まえ、具体的事情に応じ労使間で十分話し合われるべきものであると考えておりまして、一律に解雇を規制するようなことは適切でないと考えております。  政府といたしましては、こうした裁判例の考え方等について情報提供に努めるとともに、労使、当事者からの申し出に応じて適切な助言、指導を行ってまいり、現実的にこれは処理をしていくべきものと考えております。
  282. 笠井亮

    ○笠井亮君 労使間で済むならばこんな問題は起こっていないんです。労使間でやればいいと言うのだったら、政府の役割はないじゃないですか。  フランスでは、労働時間の短縮に取り組む法律をつくって取り組んで雇用もふやす成果を上げている。日本の長時間労働も、結局企業任せ、労使任せでは解決しないということは、もう長い間の経過の中で実証済みです。政府としての責任は大きいと思うんです。そして、その責任といえば、企業に社会的責任を果たさせる、そこにこそ政府の役割があると思います。  サービス残業の問題、この問題を取り上げても、政府は、労基法違反の行為だということで、この夏明確に国会でも答弁されました。そうであるなら、きちっと取り締まって直ちにこれをなくすのが当たり前です。これまでのような対応ではなくならないことは、そういうことには政府にも責任がある、このことは明らかだと思うんです。  社会経済生産性本部の試算では、サービス残業根絶で九十万人の雇用が確保できるという試算があります。労基法違反によってこれだけの雇用が奪われている。総理が内閣を挙げて特別の体制をとってこういう犯罪行為をきちっと取り締まったらそれだけのことができる。必要な法律もつくる、日本経済と景気回復にこれが直結する。これは明らかではないかと私は思うんです。  総理、そのために私は全力を尽くすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  283. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今御指摘のサービス残業の解消につきましてお尋ねがありましたが、これまでも、法の趣旨の徹底を図るとともに、経済団体に対し、サービス残業をなくし適正な労働時間管理を行うよう指導等を行ってきたところであります。  今後におきまして、法定労働時間や時間外労働の限定基準の遵守、割り増し賃金の適正な支払い等につきまして的確な監督指導を実施し、労働基準法違反の是正に努めてまいっておるところでございます。
  284. 笠井亮

    ○笠井亮君 労働基準法違反というのはいわば犯罪行為です。しかも、大企業や大銀行が犯罪行為を犯している。これは本当に厳格にきちっと態勢をとってやるべきだと。そして、引き続きやりますと言われますけれども、実際なくなっていなくて、事実上サービス残業は野放しになっているわけでしょう。私は、本当に今政府が考えるべきだと思うんです。  日本共産党の提案というのは、雇用に責任を持つだけではなくて、日本経済の未来にも責任を持つという立場から出しております。まさに政治の責任だからこういうことを申し上げているんです。このことを強調させていただきまして、次に進みたいと思います。  十一月二十二日、沖縄県の稲嶺知事は、米軍の普天間基地の移設候補地として米軍キャンプ・シュワブ水域内の名護市辺野古沿岸域を決定し、正式発表しました。そこで、この問題をめぐる政府の対応についてただしたいと思います。  今、国際情勢を見ますと、北朝鮮、東南アジアなど、平和の流れが大きくなってきております。こうしたとき、普天間から移設して新たな基地をつくろうとしている、こういう問題だと思います。  そこで、伺います。稲嶺知事は十五年の使用期限を打ち出しておりますけれども、アメリカ政府は、米国は沖縄での駐留に期限をつけることを希望していないと言っております。  そこで、総理、クリントン大統領に対してこの十五年だということについて確約を取りつけるという保証はあるんでしょうか。
  285. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 稲嶺知事が選挙の公約として期限を十五年に切られたということは十分承知をいたしております。また、移転先を決められるときにも、そういう同じ趣旨のことを重ねて申されたということは非常に重く受けとめております。  ただ、期間を云々するということは、従来より政府といたしましては、一般論としてでございますけれども、将来の国際情勢、さまざまな問題が深く関連した問題でございますので、極めて厳しいということを知事にも申し上げてまいりました。  いずれにいたしましても、御指摘の問題につきましては、種々の要素を総合的に勘案しながら今後考えていかなきゃならない問題でございまして、現状においてはアメリカとは何らの話し合いはいたしておりません。
  286. 笠井亮

    ○笠井亮君 今後考えていくというのは、どの時点でどう考えるんですか、政府としては。
  287. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 稲嶺知事が移転先の指定はされましたけれども、まだ名護市がこれを受けるということは一言も声明されておりません。正式に、幸いにして決まればその時点で、現地、県、国、三者がいろいろな話し合いをした上で総合的に判断したい、そういうことを申し上げているわけでございます。
  288. 笠井亮

    ○笠井亮君 ということは、期限ははっきりしないけれども、まず地元が受け入れを決めたら、その後に政府その他関係者が期限の問題もどうするか考えていこうということですね。じゃ、何も確約できないということですね、決めるまでは、地元が受け入れると言いますまでは。
  289. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 政府といたしましては、今の段階で十五年を確約することはできないと御了解願って結構だと思います。
  290. 笠井亮

    ○笠井亮君 では、確約なしに受け入れてくれと政府は今期待をし、求めているということですね。
  291. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 受け入れが決まった時点で、地元の意見、県の意見、そして今申し上げましたような十五年先の国際情勢、だれも今の時点で予想することができませんから、そういうこともすべて勘案した上で考えていこうということでございます。
  292. 笠井亮

    ○笠井亮君 要するに、受け入れを決めるまでは十五年の確約なんか保証がないということです。  総理は、地元の御理解と御協力ということを衆議院でも言われましたけれども、期限をあいまいにして理解など得られるわけがないと私は思うんです。  それどころか、米国防総省の文書がございます。沖縄海兵隊普天間航空基地移設のための運用条件と運用構想、ここに私は持ってまいりましたけれども、この中では普天間の代替基地の運用年数と耐用年数についてどのように書かれていますか。外務省ちょっと紹介してください。
  293. 藤崎一郎

    政府参考人(藤崎一郎君) お答え申し上げます。  御指摘の文書は米国政府の内部文書であると存じます。したがいまして、その性格上、言及は差し控えたいと存じますが、最低運用年数が四十年であるべきだと、あるいは耐用年数が二百年となるよう設計されるべきだといった趣旨の記述について報道で承知しております。
  294. 笠井亮

    ○笠井亮君 地元でも四十年、二百年というのは大問題になっているんですよ。そういうことが米当事者間で話し合われているということですね。  内部文書と言いました。じゃ、政府として、外務省としてアメリカ政府にこういうのがあるのか確認したんですか。
  295. 藤崎一郎

    政府参考人(藤崎一郎君) 今御答弁申し上げましたとおり、御指摘の文書は米国政府の内部文書ではないかと思われますが、私どもとして確認はいたしておりません。
  296. 笠井亮

    ○笠井亮君 では、どうして確認しないんですか。
  297. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 委員は、今回の沖縄基地の移転に関して米国政府がどういう考えを持っているかということについて御発言でございますが、私どもが承知をいたしておりますアメリカ政府の公式な態度表明というものは、アメリカ国務省のルービン報道官が十一月二十二日に行われた記者会見において、我々は海兵隊普天間飛行場の代替地の発表を歓迎する、稲嶺沖縄県知事による発表はSACO最終報告の実施における重要な一歩である、こう発言をしながら、さらに、我々は知事の発表における個々の内容のすべてについてコメントする立場にない、こう発言をしておりますが、私どもは、これが現在におけるアメリカ国務省のいわゆる公式の記者会見の我々が承知している部分で、それ以外に国務省の発言は今のところ私は承知をしていないのでございます。
  298. 笠井亮

    ○笠井亮君 公式な発言というのはいいこと言うんですよ、大体。  ところが、内部文書と、先ほど、かと思われると。最初のときはきちんと内部文書と言ったんですからね、内部文書があると。そして、これは国防総省の文書だと。私は十五年問題を聞いているんじゃないんです。四十年、二百年というふうに明確に出ている問題についてどうかと聞いているんです。  県知事から軍民共用案も出ている中で、アメリカ側は、新飛行場建設にあわせて住宅も隊舎も移設をして大型輸送機による離着陸などもできるものにするように打診をしているとさえ言われております。そうなれば、私は本格的な長期駐留基地だと思います。新基地ができてから、アメリカが中で検討して相談しているように、四十年といえば二十一世紀半ば、二百年なら二十三世紀になってしまいます。  総理はこんなものを認める気ですか。
  299. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 事実関係だけ私から申し上げたいと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、国務省の公式な記者会見は私が申し上げたことに尽きておるわけでございまして、公式発表はいいことを言うんだというのはいささか、お言葉ではございますけれども、それでは何をもとにして我々は考えればいいのかといえば、やはり公式発表をもとにして考える以外にはないというふうに思うのでございます。
  300. 笠井亮

    ○笠井亮君 外務大臣はあの少女暴行事件のときも外務大臣で、自民党の中からもどこの国の外相かと言われた、その御経験をお持ちだと思いますよ。沖縄県民の気持ちを考えたら、こういうことが出ている、内部文書がある、本当なんですかと、まさかそんなことないですよねというぐらい聞いたっていいじゃないですか。
  301. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 米国の内部文書についていろいろお話しでございますけれども、これは恐らくあくまでもアメリカの内部文書であろうという推測に基づいて議員は御質問になっておられるわけでございまして、私どもとしてはそうしたものを承知していないのでございますから、これ以上申し上げることはできないのでございます。
  302. 笠井亮

    ○笠井亮君 北米局長が内部文書ですと言ったんですよ、さっき。私が推測を勝手にやっているんじゃないんです。  アメリカはどれぐらいの期限という構想を持っているのに、それを県民、市民にも説明せず、ただ地元の御相談を慎重に見守る、これが政府の態度だといっても、これは判断しようがないじゃないですか。  きのう発表された朝日新聞と沖縄タイムスの世論調査、共同調査がありました。七八%の方が十分に説明を受けていないと危惧を表明しているのは私当然だと思うんですよ。二百年の耐用年数を持つ基地をつくるというのは、国際情勢がどう変わろうと、駐留合理化の根拠があろうとなかろうと、アジア各方面をにらんだそういう最大の拠点として永久の基地をつくるということであります。これほどおかしなことはないと思うんですよ。  しかも今、政府でさえ北朝鮮との国交樹立の方向に動いて、小渕総理自身、先日東南アジアに行かれて、日中韓の三国の会談の実現をいわば手柄のようにお話をされておりました。  そうした中で、政府は十五年とも確約できない、そして何年の期限とさえわからない、アメリカにこういうことも確かめもしない。いかにこれが世界の流れに逆行しているか。まさに沖縄県民に基地との共存を未来永劫強いるだけだと思うんですよ。  それぐらい確かめたらどうですか。──総理大臣総理大臣にちょっと確かめてください。
  303. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 議員いろいろ御指摘でございますけれども、私どもも現に北東アジアの安全を確保するために最大限の努力を現在しているということはぜひお認めをいただきたいと思います。  我々は、北東アジアの安全というものを外交政策上何としてもつくり上げたいという努力をいたしておるという今状況でございまして、このことを別に置いて、議員のただいまの御指摘は若干一方的ではないかというふうに私は思います。
  304. 笠井亮

    ○笠井亮君 どこが一方的なんですか。  総理大臣、沖縄県民がこんなに心配している。いつまでになるのか。四十年、二百年かもしれない。この心配事についてあなたは確かめる気もないんですね。(発言する者あり)
  305. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 先ほど北米局長から御答弁を申し上げましたのは、御指摘のものはアメリカの内部文書ではないかということを申し上げているわけでございまして、私どもはアメリカからの公式の発言あるいは公式の提案があればそれに対して対応をしたい、こう考えているわけでございます。
  306. 笠井亮

    ○笠井亮君 答えになっていない。確かめるかどうか。だめだよ、これじゃ。確かめるかどうかは言えるでしょう。確かめませんなら確かめませんと言ってくださいよ、はっきり。確かめる気もありませんと言うなら、そうおっしゃってください。
  307. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  308. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  309. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 現在の時点で確かめる考えはございません。
  310. 笠井亮

    ○笠井亮君 これは驚くべきです。どこの国の外務大臣か。やっぱり自民党の県議が言われたことはそのとおりだと私も思う。  それから、外務大臣、さっきの私の発言について、一方的な発言と言いましたけれども、これは私、抗議しますよ。一方的じゃない。きちっと順序立てて話したのが、どこが一方的なのか。  次の問題に行きますが、しかも、今回の移設について、普天間の代替機能と言われておりますけれども、本当に単なる代替機能なのか。つまり現在の普天間の機能を維持するためだけなのかという問題について、これについても何の説明がないと思います。  一例を挙げたいと思います。  今、米海兵隊はMV22オスプレーという新しい飛行機の新規配備を進めております。ここに写真がございます。ホームページからとりました。(資料を示す)ありますように、ヘリコプターのような垂直の離着陸もできる、そして普通の飛行機のようにも飛べる。そして、これはアメリカ米軍のりゅう弾砲ですけれども、これをこういうふうにしてぶら下げて運んでいくということもできるというものでありまして、ライト兄弟の飛行以来の飛行革命と言われている新型機であります。最新鋭機。現在、普天間に配備されているヘリコプターの二倍の速度、三倍の積載能力、五から十倍の航続距離を持っている。九七年にアメリカの国防総省はこの機種について、米海兵隊が戦闘部隊を紛争地に投入するための二十一世紀の主力機ということで位置づけております。  この新型機について、ことしのアメリカの国防報告ではどのように書いていますか。外務省、答えてください。
  311. 藤崎一郎

    政府参考人(藤崎一郎君) お答え申し上げます。  国防報告についてでございますが、これは米国政府の刊行物でございまして、私どもとしての責任ある翻訳ではございませんが、今その前提委員の御質問に対して大意を申し上げれば、おおむね次のとおりかと存じます。  MV22は、現行の老朽化しつつある中型ヘリコプターCH46E、CH53Dよりも大幅に遠く、また速く、そして大きな搭載能力を備えて飛行する、これにより海兵隊は内陸深くにある目標を迅速に攻撃することができ、また海軍艦艇は、陸上配備ミサイル、水中機雷等、生起する脅威に対応できる十分な距離が得られ、またその攻撃力が発見されることをおくらせることができる。  以上だと存じます。
  312. 笠井亮

    ○笠井亮君 要するに、MV22オスプレーというのは、米海兵隊の二十一世紀の主力機であって、他国への介入や進攻に不可欠な武器だとアメリカ自身が位置づけているということであります。  普天間から基地が移設されれば、その新たな基地に配備されることは明瞭だと思います。沖縄だけ例外だということはあり得ない、そういうことだと思うんですが、いかがですか。
  313. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 平成十一年一月に在沖縄海兵隊第三海兵機動展開部隊のカステロー副司令官が、今お話しのMV22については、二〇〇七年から二〇〇八年にかけて沖縄に配備される旨、マスコミに対して発言をしたと伝えられておりますが、同発言につきまして再度アメリカ国防省に確認をいたしましたところ、MV22の沖縄配備に関しては、アメリカ政府としては現時点において何ら具体的な予定は存在していないとの回答を受けております。
  314. 笠井亮

    ○笠井亮君 そういうところだけは確認するわけですね。  それで、私は非常におかしいと思うんですよ。ここに持ってきました。(図表掲示)これは最新でやりました米国防総省の配備スケジュールです。MV22オスプレー、国防総省のホームページからとりました。全世界的な配備計画の抜粋ですけれども、これを見ても、ことし三月時点、そしてそういうものが出ているわけですけれども、二〇〇六年、これが沖縄に三機、それから二〇〇七年以降が二十四機体制ということで配備する予定になっている。  では、こういうことも踏まえて、この点については外務省は確かめたけれども、これはないと。こういうことで言われたということですか。
  315. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 今御指摘の報道を受けまして、さらにアメリカの国防省に確認をいたしましたところ、これまでの回答が現在も有効であるという回答を得ております。
  316. 笠井亮

    ○笠井亮君 この点についてだけ何かつかんだことを言っていますけれども、じゃもう少しきちっとこの問題について具体的に言ってください。どういうふうな形で問い合わせて、いつやったんですか。どこのだれに確認したのか。
  317. 藤崎一郎

    政府参考人(藤崎一郎君) お答え申し上げます。  今の御質問の点につきましては、我が国政府から本件につきましてアメリカの国防省に照会いたしました。これにつきましては平成十年に確認をしたわけでございますが、現在、普天間飛行場に配備されている中型ヘリコプターがMV22に代替更新されることについて米国政府の決定はなされていない、そういうものはないという答えがございまして、改めまして、本年また報道がございまして国防省に確認いたしましたところ、沖縄配備に関しましては米国政府として現時点において何ら具体的な予定は存在していないということがございました。
  318. 笠井亮

    ○笠井亮君 平成十年と言われましたけれども、私、ここにあるのは平成十一年、ことしですから、ことし三月時点のものということで、ついきのうとったものですからね。こういう問題でも非常に、片っ方では確認もしない、片っ方は確認した、いつの時点でどうやったか全然あいまいでしょう。  こんなに県民が心配している、実際にどんなものが来るのか。明らかにこういうものが来れば基地機能は強化ですよ。こういう問題についてまともに本当に県民の立場から考えていると思えません。こういうものが来れば、オスプレーというのは大変な騒音もある、そして実験段階ではたくさん事故がある、普天間では使えないということが言われております。だから、使えるために今度移設をしてそこへ持ってくると。まさにこの点でも単なる代替機能ではない。しかし、こういう問題でも一切説明がありません。  これまで、前回のときは防衛庁がさんざん海上ヘリ構想で地元説明をやった、政府説明会をやった、どんなことになるか。ところが今度は一回もない。そして、本土に一〇四号線の実弾砲撃演習をやるときも、矢臼別とかあっちこっちで、どういう形で何が来るのか、同等同規模だということを繰り返し説明をしてきた。今度はそれどころじゃないですよ。一兆円もかかるという新しい基地をつくると言われているわけです。こういう基地をつくって、単に移るだけではなくて、そして新しい機能を持ってくる。  沖縄県民は、あの戦争以来のずっと基地との苦難の闘いの中で、もう基地との共存は嫌だと言っている。ところが、これは共存を支持し、永久に基地と一緒にいてくださいよ、そういう決定をしてください、私たちは見ていますと、こういう話じゃないですか。全く説明もしない。本当にひどいと思います。  私は、こういうとんでもない基地移設の計画、撤回する、アメリカに対してもきっぱり物を言う、問い合わせすべきことはする、これこそやるべきであるということを申し上げて、質問を終わります。
  319. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 御質問をいただきましたので、私からも答弁をさせていただきたいと思います。(発言する者多し)
  320. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 笠井君、質問をされたわけですから。
  321. 笠井亮

    ○笠井亮君 質問していないですよ。質問していない。だって、時間がないからやめてくれと言ったんだから。
  322. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 私からも委員長に発言をお願いいたしました。  いろいろと御発言がございましたけれども、稲嶺知事が苦渋の決断をなさって県内移設を提言なさったわけです。私どもは、この知事の苦渋の決断というものを重く受けとめて、そしてそれは現在ある普天間基地の周辺の危険をいかに避けるかということも一方にあったわけでございますから、こうしたことを踏まえて、新しい基地移転先について目下沖縄で地元とのお話し合いが続いているわけです。説明会があった、なかったとおっしゃるけれども、これはまだ現在地元とのお話し合いが続いているわけでございますから、そういう状況を我々はじっと見守っている、我々としては地元の意見というものを大切にしたい、こういう気持ちがあるわけでございます。  長い間沖縄県民に大変な負担をおかけした、つらい思いをおかけした、これは小渕総理を初めとして我々みんなそう思っているわけでございまして、だれもこんな気持ちを持たない人間なんかいるはずはないんです。そういう気持ちを持ちながら、こういう気持ちを持ちながら、問題をいかに、いかにみんなが納得をして解決するかというために全力を挙げたい、こう考えているのが現在の私どもの気持ちだということをぜひ御理解いただきたいと思うのでございます。  私どもは、公式に公開をされたものがあれば、できるだけそれを正確に分析し、あるいは問いただし、皆様方に御説明を申し上げたい、こう考えておることを申し上げたいと思います。
  323. 笠井亮

    ○笠井亮君 ろくな説明もせずに県民に決断だけ強いる、こういう苦渋の決断を強いて、新たな苦渋を県民に強いるのが政府だということを申し上げて、質問を終わります。
  324. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で笠井亮君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  325. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、照屋寛徳君の質疑を行います。照屋寛徳君。
  326. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 社会民主党護憲連合の照屋寛徳でございます。  私からも、最初に、沖縄の基地問題をめぐる質問をさせていただきたいと思います。  稲嶺県知事が十一月二十二日に、米軍普天間飛行場の代替施設をキャンプ・シュワブ水域の辺野古沿岸区域に決定をするという意思表示をされました。この稲嶺知事の決断について、総理並びに官房長官、どういうふうに受けとめられたか、質問をいたします。
  327. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 稲嶺沖縄県知事におかれましては、御就任以来、沖縄の諸問題解決に向け全力で取り組んでこられ、普天間飛行場の移設・返還問題に関しましては、去る十一月二十二日、移設先候補地について御提案され、また今月三日には知事から名護市長に対し受け入れの要請がなされたところであると承知をいたしております。知事のこの間の御尽力に対し、衷心から敬意を表したいと思います。  政府としては、基本的に県の移設先候補地の御提案を尊重したいと考えておりますが、地元におきまして移設先につき引き続き話し合いが行われていることから、地元の動向を見守らせていただいておるところでございます。
  328. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) ただいま総理がお答えをした気持ちと同じでございます。稲嶺知事が非常に苦渋の選択をされたということを深く受けとめまして、今後の問題には誠心誠意対応していく姿勢で政府は臨んでいきたいと考えております。
  329. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 稲嶺知事の決断に当たっては幾つかの条件が付せられておったと思いますが、その条件はどういうことであったのか、そしてそれをどういうふうに政府は受けとめておられるのか、お聞きをいたします。
  330. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 稲嶺知事が受け入れに際して四つの点について私どもには申し入れがございました。  一つは、現在の普天間飛行場を縮小し既存の米軍施設・区域内に移設することにより、沖縄の米軍施設・区域の面積を確実に縮小することが可能であるという前提に立っておられまして、移転先及び周辺地域の振興並びに跡地利用については、実施体制の整備、行財政上の措置について立法を含めた特別な対策をしてくれということが一点であります。  二点目は、代替施設の建設については、必要な調査を行い、地域住民の生活に十分配慮をするとともに、自然環境への影響をできるだけ少なくすることというのが二点目でございます。  三点目は、代替施設は民間航空機が就航できるいわゆる軍民共用空港としてくれということが三点目でございます。  四点目は、今議論が行われております期限を十五年としてくれと。  この四点が稲嶺知事の強い要望でございまして、私どもは、一点、二点については誠心誠意これからも対応していきたいと思っておりますし、三番目の問題についてもできるだけ要望に沿うように努力をしたいと、そういうふうに考えております。
  331. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 基地の提供義務というのは国にあるんでしょうか、それとも沖縄県にあるんでしょうか、名護市にあるんでしょうか。
  332. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 日米安保条約の規定によりまして、我が国にあるということでございます。
  333. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 そうすると、米軍に基地を提供することについては安保条約に基づいて国の責任である、これは間違いないですね。沖縄県の責任でもない、名護市の責任でもない。そのとおりですね、外務大臣
  334. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 我が国に責任、義務があるということでございます。
  335. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 さて、私は、稲嶺知事が米軍の普天間飛行場を県内移設するということについては反対であります。私は、もうこれ以上、五十四年間も沖縄にひたすらこの国の安全保障の負担と犠牲を強いて、なおかつ沖縄県内に基地をつくるということには承服できません。  そういう立場でありますが、それで稲嶺知事が付した十五年の使用期限、これは守られますか。
  336. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 稲嶺知事の選挙のときの公約でもあり、また移転先決定のときの一つの条件であることは十分承知いたしておりますけれども、将来の国際情勢その他さまざまな問題を勘案しながら今後考えていかなきゃいけない問題ではないか、そのように考えております。
  337. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 将来のことを聞いているんじゃないんです、私は。  今、政府は年内にも決着してくれと言っているわけでしょう。そうすると、稲嶺さんも十五年の使用期限については自分の公約なんです、譲れないんですと、こう言っているんですよ。政府はどうするんですか。総理大臣、アメリカにそれを要求しますか。
  338. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 稲嶺知事から今の四項目について要望がございまして、私も最終的に知事さんと官邸でお目にかかりまして、御要望としてこれを重く受けとめておる、こういうことを申し上げておるわけです。ただ、沖縄県知事さんとしてのお考えはともかく、これを今現地の名護市にお話をして御相談をされておられる段階でございますので、今、私としてはそれを見守らせていただいておるということでございます。  いずれにしても、四点については今、沖縄開発庁長官・官房長官が申し上げた経緯でございます。
  339. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 十五年の使用期限というのは、沖縄や名護市が決められる問題じゃないんですよ。日米両政府間で決めることでしょう。  官房長官、どうですか。外務大臣、どうですか。これはアメリカに確約できるかどうかというのが百三十万県民がみんな注目しているんですよ。どうですか。
  340. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) ただいま総理答弁のとおりでございますが、私どもとしては地元の御相談というものもできる限り大事にしたいと、こう考えておりまして、地元の御相談の中にはまだいろいろな詰めなければならない問題もございます。そうしたことをしっかりと地元の御相談を私ども見きわめて、そして政府部内の相談ということになろうかと思っております。
  341. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 そんなことを聞いているんじゃないですよ。答弁になっていないですよ。  外務大臣総理にお伺いいたしますが、知事が付した十五年の使用期限をアメリカに要求して、アメリカから確約をとることができますか。また、そういうことをやるんですか、日本政府は。それに答えてください。
  342. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) それは日米両国で話し合うということが当然必要になってくると思っておりますが、そこに至るまでに我が国の政府部内で整理すべきところはきちっと整理をしなければならないと思いますから、今直ちにということではないというふうに御承知おきをいただきたいと思います。
  343. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 アメリカに対してどうするかということを言っているんですよ。ちゃんと答えさせてくださいよ。
  344. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  345. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  346. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 先ほどから御答弁を申し上げているつもりでございますが、普天間飛行場の移設の問題は、日米両国政府にとって当然大きな関心事でございますから、日米間で話し合わなければならない問題だというふうに考えております。
  347. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は、普天間飛行場という一般的、抽象的なことを聞いているんじゃない。使用期限十五年を付すことは可能なんですか、そのことを日本政府はアメリカにちゃんと要求してアメリカに確約させることができるんですかと聞いているんです。総理、答えなさいよ。
  348. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 話し合うに際しましては、種々の要素その他を勘案して話し合いに臨まなければならないわけでございますから、先ほどから申し上げておりますように、委員お話しのように今直ちにということではないということはぜひ御理解をいただきたいと思います。
  349. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 そうすると、知事がみずからの公約、政治家の命だと言っている十五年の使用期限すら政府は現段階約束できない、そういう状態で名護市や沖縄県に移設先を決めろと、こう言うんですか。
  350. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) どうも説明がまずくて御理解をいただけないようでございますが、種々の要素を勘案して決めなければならないということを申し上げているわけでございまして、その種々の要素の中には、例えば国際情勢もございましょうし、沖縄の地元の御要望もございましょうし、そうしたことをいろいろ勘案して私どもの考え方を整理しなければならないということを申し上げているわけでございまして、照屋議員お話しのように、我々が知事の御提言を一顧だにしないというようなつもりを申し上げているのでは全くございません。  先ほど官房長官から申し上げましたように、私どもとしては、知事の御提案については誠実にこれを受けとめて検討をさせていただきたい、こう考えているわけでございます。
  351. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 官房長官、現行の安保条約という枠組みの中で、普天間飛行場の代替施設、十五年という使用期限を付せると思いますか。
  352. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 再三申し上げておりますように、知事の公約の重さということは私どもも十分承知をいたしております。  しかしながら、現段階においては、十五年先の国際情勢、これは予測ができません。北東アジアの情勢も今の時点で予測ができません。その他種々のいろんな問題を勘案しながら、アメリカ政府と今後話し合っていかなければいけない問題でありまして、先生おっしゃいますように、今ここで十五年、アメリカと話してきっちり約束できるかとおっしゃるのが少し無理なような感じがいたしております。
  353. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 どうして無理なんですか。年内に決めろ決めろと言っているのは政府なんですよ。決める条件について知事が提案をした、そのことにこたえるのが政府の役目でしょう。そういう形で明治以来、沖縄はこの大和の国の犠牲にされてきたんですよ。(「そんなことないよ」と呼ぶ者あり)そうなんだよ。そうでしょう。(「何だ、犠牲とは」と呼ぶ者あり)犠牲になっているじゃないか。それすらわからないで、あなたは何を言っているの。  工法や移設先というのは、それじゃどういうふうに決定されるんですか、今後。
  354. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 再三申し上げておりますように、知事が切られた十五年の期限というものは選挙の公約でもあり、非常に重く受けとめているということは再三申し上げているとおりであります。  しかしながら、現段階において、委員おっしゃるように、アメリカとの交渉をどうするのか、アメリカに十五年をのませることはできるのかということになりますと、いろんな国際情勢、種々の問題を考えたときに、アメリカと話し合う前にこの場で返事をすることはできないと申し上げているわけでございます。
  355. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは、その代替施設はSACOの最終合意以上にその機能が強化されることはありませんか。総理外務大臣にお伺いいたします。
  356. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 私どもはSACOの最終合意を誠実に実現するということが一番重要だと思っておりますが、SACOの最終報告の中には工法その他も書き込んで、特定の工法が書き込んでございますので、そこで工法がもし変わるということになると、これは若干の違いは出てくることもあるということは御理解をいただきたいと思います。
  357. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 外務大臣おっしゃるとおりで、最終報告には海上ヘリ基地が前提で作成、合意がされているわけで、今回それと違うという形になりますと、当然日米政府間の交渉をやり直す、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  358. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) そこはまだこれからのことでございますから、ちょっと予断を持ってここで申し上げるのは差し控えたいと思います。
  359. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは、環境庁長官にお伺いをいたします。  ジュゴンの写真を持ってまいりました。(資料を示す)これは、今普天間の代替基地をつくろうとしているキャンプ・シュワブ水域の沖合で目撃をされたジュゴンであります。このようなとても沖縄の希少生物の宝庫である地域に新たな軍事基地をつくることについて、環境庁長官はどういうふうに思っておられますか。
  360. 清水嘉与子

    国務大臣(清水嘉与子君) 先生今御指摘のように、その地域にジュゴンの目撃情報があったということも存じておりますし、またあの地域が沖縄県が作成いたしました自然環境の保全に関する指針におきまして評価ランク一に区分されているということもよく存じております。  しかし、今ほど御議論がございますように、この移設予定地につきましては、沖縄県が、地元において調整作業が進んでいるところでございまして、その規模だとか位置でありますとか、あるいは計画の内容もまだ決まっていない段階でございます。この段階で立地の是非についてコメントすることは差し控えたいと思います。  ただ、仮にこの当該地域で代替施設の設置が具体化するということになりました場合には、自然環境など環境保全に十分配慮したものになるように当庁としても適切に対処するつもりでございます。
  361. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 環境庁長官、この移設先と指定された区域には、環境庁が指定をした絶滅危惧種、これが十種類以上も動植物がおるということは御承知ですか。
  362. 清水嘉与子

    国務大臣(清水嘉与子君) 存じております。
  363. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は、こういう貴重な生態系が残されている地域に軍事基地をつくるなんというのは、これはもう国際的な自然保護の流れの中でとてもとても認められるものじゃないというふうなことを申し上げておきたいと思います。  それでは、十二月四日、五日の朝日新聞、沖縄タイムス共同による沖縄の基地問題の世論調査の結果について、総理と官房長官にその所感をお伺いしたいと思います。
  364. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 御指摘の世論調査の結果については承知をいたしております。  世論の動向を真摯に受けとめ、今後、御理解が深まるよう政府としては最大の努力を続けていかなければならないと考えております。
  365. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) ただいま官房長官が御答弁申し上げましたように、世論調査の結果につきましては、これを承知いたしております。  したがいまして、こうした世論につきましても真摯に受けとめて、御理解が深まるように我々も最善を尽くしていくという答弁と同じでございます。
  366. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 この世論調査によると、名護への基地の移設については、賛成が三二%で反対が四五%、それから沖縄の米軍基地の整理、縮小に対する政府の取り組みについては、評価しているが二二%、評価していないが六一%なんです。  この結果は、官房長官、どういうふうに受けとめておりますか。
  367. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) ただいま申し上げましたように、非常に真摯に受けとめております。  しかしながら、私どもは、こういう結果が出ないように今後いろいろな面で努力をし、地元の御理解をいただくことが一番大事なことだと考えております。
  368. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 官房長官あと一点お伺いしますが、明治以来、あるいは戦後の歴史の中で、本当にこの国は沖縄を犠牲にしたことはありませんか。
  369. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) さきの大戦においても沖縄の皆さんが大変な犠牲を払われ、また戦後今日まで非常に大きな犠牲を払っていただいていることは私も十分承知をいたしております。そういう気持ちで、今後、沖縄の問題には誠心誠意を持って努力を続けていく覚悟でございます。
  370. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 官房長官記者会見の時間が迫っておるようでございますので、あと一、二点お伺いいたします。  一つは、三次にわたる沖縄振興開発事業をやっていただいておるわけでありますが、そのためにやるさまざまな事業が、実質的には県外の大手のゼネコンがほとんど受注をしている。私はそれは県内業者に優先発注するべきだと思いますが、官房長官はどうお考えでしょうか。
  371. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 先生おっしゃいますように、公共事業の地元への発注の機会が増大をしていくということは沖縄の地域経済にとって非常に重要なことであると私も考えておりまして、その点は同感でございます。  沖縄開発庁といたしましては、工事内容に応じて分離分割発注や混合入札を活用することによって可能な限り地元業者の受注機会が確保されるよう努めてまいっているところでございます。その結果、沖縄総合事務局が発注する公共事業について見ますと、県内業者に対する発注の金額の比率は、平成八年度において三九%でありましたが、平成十年度では五四%強となっております。  私どもも、今申し上げましたような基本的な姿勢に立って、今後とも地元の仕事がふえるように努力を続けていくことをお誓い申し上げる次第でございます。
  372. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 官房長官、最後に、せんだって那覇市長や那覇市議会の代表からサミットの政府主催の首脳夕食会を首里城で開いてほしいという要望があったと思いますが、そのことについて、長官並びに総理のお考えをお聞きいたします。
  373. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 先般、市長さんを初め地元の皆さんから私が直接その陳情を受けました。いろいろな箇所を検討いたしておりますが、非常に有力だと私自身は思っておりますが、来春早々決定を総理がされる予定でございます。
  374. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 官房長官にもっと予定しておりましたが、記者会見の時間でございますので、官房長官への質問は終わりたいと思います。  それで、総理、十一月二十四日に戦後の沖縄を代表する政治家であった元コザ市長の大山朝常さんがお亡くなりになりました。総理と御親交があったかどうかわかりませんけれども、どういうふうにお思いになられたでしょうか。その胸のうちをお聞かせいただきたいと思います。
  375. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 大山朝常氏におかれましては、沖縄の戦後教育のスタートに尽力をされたわけであります。また、沖縄社会大衆党の結集にも参画をされたわけであります。基地の町コザの市長を四期務め、県内政界の重鎮として活躍をされましたなど多くの業績を残されたものと考え、故人の御冥福を心からお祈り申し上げる次第でございます。  いつか申し上げましたが、私も一九六〇年代、五〇年代の終わりからずっと沖縄問題に深い関心を寄せて、当時大学生でありましたが、ほとんど沖縄県に長期休暇のときには参っておりました。そのとき一番御指導いただきましたその一人は屋良朝苗先生でございまして、沖縄教職員会の会長をされておられたわけであり、その屋良先生とも特別な御関係があったということは承知をいたしておりましたが、今申し上げたように、コザの市長をされておられました。  私、残念ながら、けいがいに接しいろいろな話をすることができなかったことは残念に思っておりますが、当時から沖縄を代表する立派な教育者と、こういうふうに理解をいたしております。
  376. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 その大山朝常先生は二年前に「沖縄独立宣言」という大山朝常先生の遺言状ともいうべき本を書いておりますので、総理、機会がありましたら御一読願いたいと思います。  さて、二〇〇〇年を記念して、またサミットを記念して新二千円札を発行されるようであります。その絵柄に守礼の門を採用したようでありますが、どうして守礼の門になったのか、総理のお考えをお聞かせください。
  377. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 二千円の日本銀行券につきましては、二〇〇〇年がミレニアム、千年紀に当たりまして、また九州・沖縄サミットも開催されることから、二千円日本銀行券を発行するにふさわしい年であると考えられること等を勘案いたしまして、平成十二年から発行することといたしたものであります。  そこで、お尋ねとして、図柄として沖縄の代表的な建築物である守礼門を用いることにいたしたわけでございまして、二〇〇〇年にはこの守礼門でどうかということにつきましては、私、大蔵大臣と御相談の上に決定をさせていただいたわけでございます。  この守礼門は、言うまでもなく、沖縄を象徴するものとして国民の頭の中に最も自然に浮かんでくるのではないかと。また、現在のものは昭和三十三年に復元されたものでございますが、戦前には国宝にも指定されておりました歴史的な文化財でございましたし、また過去、記念貨幣が、沖縄国際海洋博覧会記念として百円硬貨が発行されましたが、そのときも守礼門。これは「守禮之邦」との文字も含まれておりますが、これを図柄として用いられた例もございまして、沖縄といいますと守礼門がイメージとしても非常に浮かびやすい、こう考えて、これを採用させていただいた、こういうことでございます。
  378. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 首里城を採用するならまだわかるけれども、守礼の門はどうも納得できない。  大蔵大臣、御相談を受けて、どういうふうな考えをお持ちになりましたか。
  379. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 県の文化財にもなっておりますし、適当なサジェスチョンであると考えました。
  380. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 琉球王朝の時代につくられたと言われる守礼の門、恐らく琉球王朝、この国が礼節を重んずる国である、そういう国民であるという象徴だろうと思いますが、一方では、アメリカの高等弁務官府は「守礼の光」という本を出したんですね。雑誌を出して、アメリカの沖縄支配を正当化することをずっとやった。そのことだけ申し上げておきたいというふうに思います。  私は、新二千円札よりも、二兆円とは言わないまでも二千億円ぐらい、沖縄が自立できるような仕組みづくりのために、人づくりのために、新しい産業創出のために政府がお金を確保してくれたらなおありがたいなということを申し上げておきたいと思います。  それでは、運輸大臣、嘉手納RAPCONについてお伺いをいたします。その機能等についてお教えください。
  381. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えいたします。  嘉手納RAPCONの管制空域、まずこのRAPCONとはレーダー・アプローチ・コントロールの略称でありまして、我が国におけるターミナルレーダー管制機関、つまり飛行場周辺空域において進入機及び出発機に対して管制業務を行う機関の略称でありますが、嘉手納飛行場を中心に半径約九十キロメートル、高さ六千百メートル及び久米島空港を中心に半径約五十四キロメートル、高さ一千五百メートルの空域であります。  同空域においては、那覇空港、米軍嘉手納・普天間飛行場等に係る進入機及び出発機に対して、米軍がレーダーを用いて管制業務を行っております。
  382. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 今ありましたように、嘉手納RAPCON一つとっても、沖縄は陸だけじゃなくして海も空も軍事基地があるんです。これで主権国家と言えるんでしょうかね、この国は。  外務大臣、五・一五メモでは、嘉手納RAPCONについてはどういうふうな日米間の取り組みがなされておるんでしょうか。
  383. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 沖縄における進入管制業務につきましては、昭和四十七年五月十五日、これはもう五・一五と称するようでございますが、五月十五日の日米合同委員会におきまして、我が国が同業務を実施できるまでの間、暫定的に米軍が行う旨の合意がなされております。
  384. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 暫定的というのがもう二十七年たちました。二十七年たっても暫定と言うんでしょうか。嘉手納RAPCONの返還をアメリカに要求するお気持ちはありますか。
  385. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 確かに、委員指摘のように、暫定的と言うのにはいかにも長い期間、しかも日本の持つ能力は格段に当時とは違うわけでございます。そうしたことを私も考えておりますが、進入管制業務の移管問題につきましては、これまでは日米合同委員会の民間航空分科委員会、つまりこれは日米合同委員会の下部組織と言ってもいいと思いますが、分科会で協議をしてきたところでありますが、先般、日米合同委員会におきましても、日本側より本件問題を取り上げて、県民の方々の声をアメリカに伝えたところでございます。
  386. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は、一刻も早く嘉手納RAPCONを日本に返還するようにアメリカに強く要望するように申し上げておきたいと思います。  それでは、村山訪朝団の意義と成果について、そしてその村山訪朝団と朝鮮労働党の共同声明を受けて、日朝国交正常化へどういうふうに取り組んでいかれるか、総理外務大臣にお伺いいたします。
  387. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 政党間の協議を通じまして政府間の日朝国交正常化交渉を円滑に行うための環境整備、こういうことを目的にされまして、大型の村山訪朝団が参られました。  率直に申し上げますと、昨年のテポドンを初めといたしまして、工作船その他、あるいはまた種々の問題から、残念ながら日朝間におきましてなかなか、それこそ近くて全く遠い国という感じでございましたが、今般、村山元総理が団長ということで参られまして声明が発表されました。改めて、そういう意味では新しい出発点になろうかというふうに考えて、その努力に敬意を表したいと思っております。  そこで、WTOから帰られました外務大臣お話しを申し上げまして、せっかくのこうした話し合いのきっかけをつくっていただいたということでありますので、政府としてもできる限り早い機会に正式な正常化交渉に入るべく、今、人選その他につきまして今検討し、一九九九年、ことしでございますが、ことし中には何らかの形で両国間の正式の交渉がスタートできるための交渉をまずは始めさせていただきたい、こう思っておるところでございます。
  388. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) ただいま総理から御答弁がございましたが、総理からお呼び出しをいただいて御指示がございまして、訪朝団の団長である村山団長にもお目にかかりまして、現地におきますさまざまなやりとりについても詳細をお伺いいたしました。そうしたことを受けまして、現在、今、総理から御答弁がございましたような作業を政府部内としていたしておるところでございます。
  389. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 防衛庁長官、今度の日朝共同声明が北東アジアの安全保障環境にどういうふうな影響を及ぼすものとお考えになっておられるのでしょうか。
  390. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) お答えいたします。  今、日米韓三国におきまして北朝鮮動向につきましてはいろいろ検討を加えておるところでございますし、北朝鮮の透明度といいますか、それは一層明らかになってくることを期待するものでございます。  そういう面におきましては、このたびの議員団の訪朝は、これを契機にして成果があればという期待は持っておりますが、防衛庁長官という立場に立ちますと、我が国の安全というものをまず第一義的に考えなければなりません。ミサイル事案とか、あるいは不審船事案、いろいろな問題もありましたから、私の立場からすると、十分注意しつつ議員間交流がどうなるかということを考えてまいりたいと思っておるところでございます。
  391. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 国家公安委員長にお伺いいたしますが、一連の神奈川県警を初めとする警察の不祥事、それを受けて、警察における監察制度や公安委員会の機能、権限の見直しについて、どういうふうに取り組んでいかれるか。
  392. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 今御指摘の点につきましては、過日総理大臣からも御指示をちょうだいいたしまして、私としては懸命に現在取り組んでおります。  そして、御指摘の監察体制の強化、それから公安委員会の強化、これは国家公安委員会と都道府県の公安委員会とございますが、それと県警本部等の連絡を密にすること、情報交換をしっかりさせること、そういうようなことに取り組んでおります。  さらにまた、もう一つつけ加えさせていただければ、キャリアとノンキャリアの関係をどういうふうに正常化していくか、正常化というのはちょっと言葉が違いますが、どういうふうに調整をしていくかというようなこともあわせて現在警察庁と鋭意協議をいたしておりまして、できるだけ早い機会にこの対策案をお示しするように努力をしてまいりたい、このように思っております。
  393. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 金融再生委員長にお伺いいたします。  いわゆる商工ローン問題、この抜本的な解決というんでしょうか、これについての取り組み、対策、それから法改正等についてはどうあるべきか。大蔵大臣にお伺いいたします。  まず、金融再生委員長に。
  394. 越智通雄

    国務大臣(越智通雄君) 商工ローンの問題につきましては、金融監督庁におきまして八月から何とかしなきゃいかぬと。ただ、非常にはっきりしていることは、トップの二社、二つの会社が大変特徴的に、かつ根保証の問題も同様の何と申しますか手法を使って大変問題だということで、準備をいたしまして、九月の初旬に二回にわたりまして金融監督庁の監督部長の方から、全金連と申しますが貸金業者でございます、それの会長並びに各都道府県の貸金業者の会に通達を出しまして、貸金業の規制等に関する法律の遵守、これは行為規制なものですから、取り立てやなんかを過酷にやっちゃいけないという法律でございますから、それを遵守するようにという通達を出しました。それを受けまして、九月の末に全金連、協会の方で一定の自主ルールをつくりまして、その中で例えば根保証は最初に借りた金の三倍以上はだめだとか、そういうのを自主的に一応つくりました。  ちょうどそのあたりで私、実は任命されまして、十月、当委員会を初め各地でいろいろ問題になりました。そして、十一月のはなに私どもは金融監督庁に対策室をつくりまして、実は大変手薄でございました。貸金業はいろんな種類があるのでございますが、クレジットカードから何かいろいろあるんですが、数名でやっておりましたものですから、これを二十七名でございましたか対策室をつくりました。  同時に、この二社に対して多額の、多額というか、かなり多く資金を提供している金融機関十三社を逐次呼びまして調査を開始させました。その結果は十一月三十日に既に報告してございます。そしてその間、それぞれの財務局が窓口でございますので、近畿財務局とそれから関東財務局が十一月の半ばごろそれぞれの業者を呼んで調査を始めました。  その間に実は、社員が一人最初に恐喝で捕まりました。その次にもう一人が恐喝並びに貸金業法違反で捕まりました。したがいまして、そちらの方のお調べが、どちらかというと今、警視庁ベースといいますか、続いておりまして、社員の調べが終わって、たしかきのう一社の社長の事情聴取が二日間終わった段階でございました。貸金業法による処分の問題は、もうちょっとその様子を見た上で、その状況によってこれから考えなきゃならぬ、こういうところでございます。
  395. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては、二、三の業者がいわゆる取り立ての方法あるいは根保証という余りほかにありませんような商行為をしておりますことが報道されまして、両院の当該委員会が非常に関心を持たれまして、政府に対しても越智長官に対してもそうでしたが、所見を求めておられました。  と申しますのは、昭和五十八年に、御記憶かと思いますが、サラリーマンローンにつきまして同じ問題がありまして、そのときに両院の委員会が今のように御協議をなさって立法をなさいましたが、非常に問題が複雑であるということを両院がよく御存じになりまして、それが今言われる三つの法律の間のグレーゾーンという問題になったわけでございます。  したがって、このたびもそれを踏まえられまして両院の委員の中でいろいろ御協議がありまして、きのう、きょうのところでほぼまとめられましたお考えを承知しておりますが、それは、保証人へその都度書面を交付しろ、それから保証契約締結前に書面の交付をしろ、取り立て行為についての規制、罰則の強化、それから出資法の改正として上限金利の引き下げ、現在四〇・〇〇四%、五十八年には一〇九%であった。それを二九・二に下げることが適当だという、ほぼそういう合意が与党各党の間でまとまったように伺っておりまして、政府もこの御協議にはお求めに応じていろいろ存じていることを申し上げてまいりました。したがって、このような法改正の中で収束が行われるのではないかと思っております。
  396. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 終わります。
  397. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で照屋寛徳君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  398. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、星野朋市君の質疑を行います。星野朋市君。
  399. 星野朋市

    星野朋市君 自由党星野でございます。  まず最初に、総理にお伺いをいたします。  先日開催されましたASEANにおいて、日中韓におけるいわゆる首脳会談が行われたわけですけれども、この会議の形というのが国際会議では非常にユニークだったわけです。三角形のこういうテーブルの一辺をそれぞれの国が占めたというようなことで、どなたが御発案になったか、多分日本が発案されたと聞いておりますけれども、これの成果について改めて総理の御見解を伺いたいと思います。
  400. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 私は、昨年のハノイのASEANプラス3のときに実は御提案申し上げたんですが、なかなか実現を見なかったのでありますが、今回のマニラ会合におきまして、このASEANプラス3の首脳会議の機会を利用して日中韓の首脳による対話が朝食会という形で初めて実現したことは、今後の日中韓での対話、さらには北東アジアにおける地域協力を進めていく上で重要な第一歩と評価しております。  今回の朝食会は、ホストを決めずに、東アジアの重要なパートナーである日中韓三首脳が忌憚のない自由な意見交換を行いましたが、御指摘の三角テーブルはこのような朝食会を象徴したものと考えておりますが、私は朝食会の際に、実は三角形ばかりでなくて、いずれ将来丸いテーブルでもやりましょうと申し上げたんですが、実はこの三角形はAPECのときに、ちょうど北東アジアの安全保障をめぐりまして、アメリカのクリントンさんと金大中さんと私と正三角形でやりましたことに若干由来していることかもしれません。いずれにいたしましても、首脳間の個人的信頼関係が大変深まって、また和やかな雰囲気の中で有意義な会だったと思っておりますが、朱鎔基総理や金大中大統領からも同様な考え方が表明されました。今回のこの朝食会、実は中国の朱鎔基総理がこういう形でやろうということで、準備その他に積極的に当たられたわけでありまして、感謝を申し上げております。  今回は、既に報道されておりますが、安全保障の問題等につきましては、この問題のお話を始めますといろいろと議論もあろうかと思いますので、まずはともかく、有史以来三カ国の少なくともトップが一堂に会してこういう会合をするということは初めてでございましたので、そのことの意義が極めて大きいのではないか。時あたかもWTOについて中国とアメリカとの話し合いがまとまりましたものですから、そうした意味で、韓国の大統領もまた私も、将来にわたって中国がWTOに正式に加盟をされることにお互い協力をしようというようなお話も含めまして意義のある会であった、このように認識しております。
  401. 星野朋市

    星野朋市君 この次の質問の中で、三角形を丸くしようというお考えがありますかとお聞きしようと思っておったら、先にもうお答えになられてしまいましたので、質問を変えさせていただきます。  大蔵大臣に、ユーロについてちょっとお伺いいたしますが、きょうの三時現在でUSドルが百二円七十五銭、それからユーロが百五円四十銭、この程度で取り引きされていると先ほど聞きました。ユーロが発足したときは百三十円台であったわけでございます。ヨーロッパ経済も今そんなに問題はなく順調に推移していると思うんですが、ユーロがドルに対しても円に対してもこういう形で安くなった背景というものについて、大蔵大臣の御見解がありましたらお伺いいたします。
  402. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) おっしゃいますように、きょう三時のユーロはドルに対しましては一・〇二五六でございます。この間、九十九セントまで行きまして、このときにはいろんな取りざたがございましたけれども、何となくここまでまた戻ってまいりました。しかし、この水準も、一月の初めが一ドル一八でございましたから、一五%ぐらいの減価になっておると思います。  一番の原因は、私が思いますのは、今の中央銀行総裁のドイセンベルクという人が、自分は強いユーロというものは余り必要だと思っていない、物価の安定の方が大事だということをたびたび私に申しますので、したがってこの間の場合にも介入をするというようなそぶりは全く見えませんでした。  この間の場合には、ドイツの経済運営について、大蔵大臣がある土建業の再建を図るとか、ドイツとイギリスの電話会社の御承知のようにテークオーバーのやりとりが原因だと言われておりますけれども、しかしこれだけ自然に戻っておりますから、何が原因だという説はどうも私は余り信用できないなと思っております。  したがいまして、基本的に、ユーロは確かに一・〇二五六まで、年初に比べますと十何%下がりましたけれども、ユーロ・ドル当局がそのことについて、むしろ物価の安定を中心にするという考えでおりますだけに、特段のこれについての理由なり問題なりは余り強く感じておられないのではないかと私は思っております。
  403. 星野朋市

    星野朋市君 この私の考え方の背景には、こういう水準になったら円の国際化、円の基軸化というのをもっと進めるべきだという考えがございますけれども、この議論を展開しておりますと相当長くなってしまいますので、これはまた別の機会にやらせていただきます。  大蔵省について、今度の第二次補正予算の中に義務的経費の追加という項目がございまして、七千六百五十億円が計上されておりますけれども、この内容につきまして林次官からお聞きしたいんですが、これは全く現代の世相を反映した予算であると思っておるんですが、内容についてお聞かせ願いたい。
  404. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 御指名、大変にありがとうございました。  まさに、星野委員指摘のとおり、世相を反映してしまうような仕組みになっておるというのがこの義務的経費でございまして、もう御案内のとおりでございますけれども、財政法二十九条におきまして、法律上または契約上国の義務に属する経費に不足を生じた場合に追加の補正予算国会提出できるという規定がございまして、いわゆる条約や法令等で国が当然に支出をするという約束をしておる経費につきまして、それはある一定の見積もりを立てておるわけでございますが、これが見積もりどおりにいかない、不足を生じるというために財政措置を講じなければならないものでございます。    〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕  今回は、御指摘のとおり七千六百五十億円となっておりますが、例えば、今世相を反映しておられると委員もおっしゃられたとおり、生活保護費負担金、これが二千四百五十一億円でございまして、これは厚生省の見込みが直近の生活扶助人員の実績等の見込みよりも高く推移をしたということ、また平成十年度の精算不足分も含んでおりますけれども、そういうことでございます。また、国民健康保険助成費というのが三千四百七十四億円、これも同じような理由でございます。また、老人医療給付費負担金、これも千四百三十三億円ということで、雇用の情勢が余り芳しくなかったり景気がよろしくなかったりするとこのところがふえてきて、これだけのものを追加で見込まなければならない、まさに世相を反映したような予算の計上ということでございます。
  405. 星野朋市

    星野朋市君 特に世相を反映したというのは、私は、最後に次官がおっしゃられた中に、実はリストラなんかによって生じた失業者の問題、これの負担金がふえているということを言いたかったんですが、そこのところがちょっと簡単過ぎたと思います。  それから次に、通産大臣にお伺いいたしますが、この国会は中小企業国会と言われておりますけれども、ここで、中小企業に対する従来の観念と大分違う観念でなされたと思いますけれども、簡単に総ざらい的にどんな対策が主にとられたか、これについてお伺いしたいと思います。
  406. 深谷隆司

    国務大臣(深谷隆司君) 中小企業基本法の改正で、中小企業のこれからのとらえ方、そしてこれからどうやって中小企業を支えていくか、それを具体的にまず示させていただきました。つまり、経済の二重構造という画一的な中小企業のとらえ方でなくて、いろんな面を持っている中小企業のそれぞれの面に本当にふさわしい対応をしていったらいいのではないかという考え方でございます。主として三つの観点から政策を立ててまいったつもりでいます。  第一は経営基盤の強化でございます。経営基盤の強化の具体的な中身から申し上げますと、先ほども保坂議員にお答えしたのでありますが、小規模企業の設備投資等について無利子の融資を行う、これは小規模に限定して職種を限定しないと。今までは中小企業全体を対象にした設備近代化資金でしたが、今度はそれは小規模にぐっと縮めて業種を指定しないということから、まさに中小零細の方々がこれから設備投資を行う場合に、全体で一千億円ぐらいの規模でその期待にこたえるような体制をとっていこう、それが一点であります。  第二点はセーフティーネットでございまして、これは貸し渋り対策等も含めた信用保証協会の十兆円の追加、一年延長等がそれでございます。  それから第三は経営の革新、創業の促進といった点、つまり創業率が非常に近年悪くなっておりまして、特に平成三年から八年ぐらいを見ますと創業する企業というのは平均して十四万社ぐらいでございます。かつて、五十年の前半というのは三十万社も創業したという、そういう活力のあったものでありますが、こういうような状態から新事業を行う中小企業に対するさまざまな対応、例えば一つ例に挙げますと、中小企業公庫によって無担保社債を引き受けるといったような、そういうことなどでございます。特に、ベンチャー企業に対する育成ということで、新しい感覚の事業を起こすということに対してもいろんな角度から応援してまいりたい。  いろんな面を持っている中小企業それぞれの立場から、具体的な法律、制度、資金、税制をとらえて中小企業全体が活気づくように頑張っていきたいと思っています。
  407. 星野朋市

    星野朋市君 おっしゃることはよくわかるんですが、ここで見えてこないのはこれから日本のどういう産業を伸ばすべきで、どういう産業が伸びるだろうかという、この点が余り明確になっていないんです。  三年ぐらい前に、連合と経団連が共同研究しまして、日本のこれから伸ばすべき産業または伸びるであろうという四つの業種を策定いたしました。それは、安くて良質な住宅産業、それからもちろん情報産業、それから環境産業、最後の四つ目が介護、これがこれから伸ばすべき産業であり、雇用人員も相当ふえる、こういうことでございます。  介護とそれから住宅の問題をおきまして、まず情報産業について申し上げますけれども、情報産業情報産業ということで、これは余り大きな期待を持つとちょっと近未来的には予想を裏切るんじゃないか。例えば、去年一年間について見ますと、情報産業で増加した就業人口はたった一万人しかふえていないんです。それで、製造業は三十三万人も減っているんです。  そういう中で、情報産業というもののネットワークが完備して、そうなってくるとこれを補完して完全にさせるためにはバックに物流の問題があると思うんですが、運輸大臣、このことについてどうお考えになっておるか、御見解を示していただきたい。
  408. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えいたします。  物流は、仰せのとおり我が国の産業や国民生活を支える基盤であり、物流に関する総合的な取り組みを強化することが我が国の重要な政策であると認識をいたしております。  また、物流は産業界の動脈であるばかりではなくて、さらに物流の効率化は消費生活の上でも極めて重要な位置づけが必要であります。一例を挙げれば、輸入牛肉の百グラム当たりでありますが、オーストラリアのブリスベーンから横浜港への海上輸送費、これが海上輸送費と港湾の費用を合わせて百グラム当たりで一円十五銭であります。さらに、輸入牛肉の海上輸送に港湾輸送、さらにこれに陸上輸送を加えて一円五十五銭であります。これは大手スーパーの百グラム百七十円の肉を対象にいたしておりますが、このように、いわゆる物流ということに関しては、消費生活の上にも極めて重要なかかわり合いを持ってくるという観点から政策を打ち立てていかなくてはならないと思っております。  したがいまして、関係省庁と連携をとりながら物流の効率化、高度化を推進していく必要があります。具体的には、港湾、空港といった国際物流拠点の整備。次に、環境問題を念頭にモーダルシフトの推進。つまり、トラックから海運、鉄道へシフトする環境対策であります。さらに、地域物流拠点の計画的な整備、物流の情報化の推進等、物流施策につきましては今後積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  409. 星野朋市

    星野朋市君 それでは、もう一つ環境問題を別個の面からお伺いしたいと思いますが、環境庁長官、今、日本で一年間に外国からどのぐらいの物が日本に入ってくるか。どのぐらいの量が入ってくるか。これについてお答え願いたいと思います。
  410. 清水嘉与子

    国務大臣(清水嘉与子君) 環境庁におきましては、毎年の我が国経済への物質の出入りの総量を示しますマテリアルバランスを試算しております。平成四年度からずっと環境白書に掲載しているわけでございまして、この試算で申し上げますと、我が国の輸入物質量は平成九年約八億トンとなっております。
  411. 星野朋市

    星野朋市君 年間約八億トン入ってきているんですね。そしてこれは、燃料は燃え、食糧は食べ、それから原材料は加工して約一億トン外へ出ていく。これで日本に毎年残滓物として残る量は約三億トンと言われています。毎年三億トンずつ積み重なっていく。この今までのような生活態度をとっておったらこれは大変なことになります。リサイクル社会と、それから従来の生活様式をどう改善していくかという問題がこれからの生活の重要な課題になると思いますけれども長官はどういうふうにお考えになりますか。
  412. 清水嘉与子

    国務大臣(清水嘉与子君) 御指摘のように、大量の廃棄物が出される一方におきまして、リサイクルが非常にまだ十分じゃございません。一般廃棄物で一〇%、産廃で四二%ということでございまして、このおかげで廃棄物処理場が逼迫しておりますこと、あるいは不法投棄の問題、あるいは有害物質の発生、こういった問題が出てきております。  今、先生おっしゃいましたように、こうした問題を解決するためには、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会を大きく転換しなきゃならないという意識を持っておりまして、製造から流通、消費、廃棄に至るまでの過程で、物質の効率的な利用あるいはリサイクルを進めるということがどうしても必要になってくると思います。  先ほども御議論ございましたけれども、三党の連立政権をめぐります政権協議におきまして、来年度を循環型社会元年と位置づけまして基本的枠組みとして法制定を図ることが合意されたところでございまして、こういった状況を踏まえまして、現在、政府部内におきまして、循環型社会の構築に関する基本的枠組みとなる法律の基本的な検討作業に着手したところでございます。  環境庁といたしましては、この政府部内におきます検討の中心となりまして、関係省庁と連携を図りながら、循環型社会の構築に向けた基本的枠組み法の制定に向けて積極的に今取り組んでいるところでございます。  どうぞよろしくお願いいたします。
  413. 星野朋市

    星野朋市君 終わります。
  414. 竹山裕

    ○理事(竹山裕君) 以上で星野朋市君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  415. 竹山裕

    ○理事(竹山裕君) 次に、菅川健二君の質疑を行います。菅川健二君。
  416. 菅川健二

    ○菅川健二君 参議院の会の菅川健二です。  まず、小渕総理に基本的な政治姿勢についてお聞きいたしたいと思います。  小渕総理には、就任当初の所信表明演説におきまして、富国有徳国家を目指して鬼手仏心の信条でもって政策を実行するということを高らかに声明されたわけでございます。その後、富国有徳国家につきましてはしばしばお話をお聞きするわけでございますが、鬼手仏心の信条につきましてはとんと話を聞かないわけでございます。  現在におきましても鬼手仏心の信条でもって政策を実行しておられるのかどうか、その心構えにつきましてお聞きいたしたいと思います。
  417. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 昨年の八月の所信表明の締めくくりに当たりまして、この国のあるべき姿として富国有徳を目指すべきとした上で、鬼手仏心を信条として国政に取り組む決意を示したところでございます。  自分といたしましては、それ以来、未曾有の経済的難局をあらゆる手段を講じ乗り切り、国民の将来への不安感を払拭すべく全力を挙げてきたところでございます。  その際、すべての政策を原点として、鬼手仏心、この言葉は、言うまでもありませんが、外科医の座右の銘とする、大胆な手術は患者を救おうとする優しい心によるとの趣旨をもって当たってまいってきておるところでございまして、直接的にずばりずばり、あるいは快刀乱麻ということではないかもしれませんけれども、いろいろの政策をかなり実行させていただくにつきましては、時にはいろいろ難しい問題、国民の皆さんに厳しい問題もあろうかと思いますけれども、今申し上げたような仏心といいますか、そういう心を持って対処していると、こういうふうに実は自分自身ではその精神を忘れずに努力させていただいておるところでございます。
  418. 菅川健二

    ○菅川健二君 総理としては努力しておられると思うわけでございますが、今度の補正予算の原案を見させていただきましても、どちらかといえば、その中には施しの手で金をばらまいておられるような批判もあるわけでございます。もとより私も、今のような景気状況でございますので、もう一押し景気対策を適切に打つということは大変大切だと思うわけでございますが、財政の状況を考えますと、例えば国民に対しまして、あるいは企業に対しまして金をばらまいて借金は返さなくていいとか、あるいは介護保険に見られますようにサービスは提供するけれども負担を求めないとか、そういったことをやりますと、やはり企業なり国民に対してモラルハザードを起こすんじゃないかという心配もあるわけでございます。  あわせて、企業、国民がどっぷり財政依存型の経済の中につかっちゃって、公需から民需へ、あるいは赤字財政脱却への道がますます遠くなるんじゃないかという心配があるわけでございます。  この点について、再度いかがでございましょうか。
  419. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 菅川委員がおっしゃっていることは、一つは財政の規律ということをおっしゃっておるのではなかろうかと思います。  そういう意味では、財政、特に財政再建ということは常に我々は忘れてはならない大きな課題でございますけれども、いろいろ政策目的をあちらこちらに伸ばし過ぎますと結局集約できない。  そういう意味で、しばしば申し上げておりますけれども、今の段階では経済再生から経済新生に向けてスイッチをさせながらいく。しかし、そのためにはどうしても財政の出動をお願いしなきゃならない。それが、言われておりますようにばらまきという言葉指摘をされるわけですが、我々は、できる限りばらまきでなくして、適材適所に予算を配分することによって少なくとも経済を新生させて新しい時代に向けての政策効果も中長期的に期待をしておる支出でございまして、必ずこれが果実を生むものであるという確信のもとに今補正予算も組ませていただいておるところをぜひ御理解いただきたいと存じます。
  420. 菅川健二

    ○菅川健二君 堺屋長官に。  今のどっぷりつかった赤字体質の経済から脱却するというのは可能でしょうか。
  421. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 確かに、現在大変財政の赤字が多うございまして、四三・四%も国債に依存している状態でございます。しかし、これは現在の景気を立て直すために必要なもの、そしてもう一つは構造改革の面にも踏み込んでまいりました。例えば金融の問題あるいは中小企業の問題、かなりそういう点で構造改革にも踏み込んでおりますので、やがて景気が本格的な立ち直りになって、公需から民需への転換が来年度にはできるのではないか、こう考えております。  財政赤字にどっぷりつかって、それから抜け出せなくなるんじゃないかという御指摘でございますが、むしろ経済を立て直して経済の循環を民間活力が出てくるようにしていく。民間の設備投資が、過剰な部分は過剰でございますけれども、新しい分野、例えば情報でございますとか介護でございますとか、あるいは家事、アウトソーシングでございますとか、そういったところで出てくるようになりますと、これが自律的な新たな向上線に乗ってくるだろう。そうなりますと、財政の方もかなり立ち直っていくんじゃないか、そういうさまざまな観点から注意深く見守りながらやっているつもりでございます。
  422. 菅川健二

    ○菅川健二君 私は、公需が民需にうまく転換すればいいと思うんですけれども、今のところ公需がある程度空回りしておる面もあるのではないかと思うわけでございます。  大蔵大臣には大変財政問題で御苦労されておるわけでございますが、今や国民の方がむしろ財政について心配をしておるわけでございまして、現状におきましては、経済の危機的な状況はやや脱しまして小康状態に至っておるという状況でございますので、この際、財政の現況、そして財政の果たすべき役割の限界というものを国民に大いにPRして、民の経済を誘発し、あるいは個人の自立を促進するという、そういった指導性を持った財政というものを打ち立てられることが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  423. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そういう御心配をいただいていることを大蔵大臣としては大変ありがたく思っておりますし、私も、このごろ国民の中でこれだけ国債を出して大丈夫だろうかとか、あるいはちょっとばらまきではないかというようなお声が出てきていることを実は片方で大変心強く思っています。  私も、こんなことをいつまでもやっていられないということから、実は最近になりまして、来年は国税収入が少しふえるかもしれない、理由はいろいろあるけれどもということを申し上げておりますのも、もう私どものすることにも限界があるし、また何ぼ何でも民需がぼつぼつ消費にしても設備投資にしても出てくるはずだ、もう来年の今ごろはという、それは一つの期待でございますけれども、傾向値としてはそうなっていますので、余りまたそれもきついことを申しますと何か水をかけるようになりますから、注意しいしいでございますけれどもそう申したり、気持ちの中では大変にそう感じております。
  424. 菅川健二

    ○菅川健二君 窮状を述べながら鼓舞をするという方策でひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  そこで、もう一つ今回の補正で気になりますのは、公共事業の実施に当たりまして、地方財政が非常に困難をきわめておるという中で、新幹線の整備とか国の直轄事業につきましては厚く手当てされておるわけでございますが、地方に対するきめの細かい生活関連の補助事業についてやや手当てが少ない、いわんや単独事業については全然見込んでいないというような政策になっておるわけでございます。    〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕  このままいきますと、来年度の予算におきましてもやはり地方財政の体質が変わりませんと、同じような現象でないと事業が実施されないということでございますので、地方分権推進法ができた段階でもございますので、抜本的な地方税財源措置の第一歩となるよう、来年の予算についてぜひ御配慮をお願いいたしたいと思います。  この点につきまして、大蔵大臣と、あわせて自治大臣につきましても決意のほどをお願いいたしたいと思います。
  425. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 社会資本整備費のうちで公共事業に占めます補助事業の割合は当初予算と同じ五九・四%でございますので、これはかなり高く見ておるわけでございます。ただしかし、おっしゃいますように、このたび地方単独事業は全然見ることができませんでした。それは実際上地方の財政が非常にきつくなっておりまして、自治大臣に事業費の一〇〇%地方債を充ててもいいと言っていただいたんですけれども、それでも地方はなかなか進んでいただけません。これは地方の財政というものがそうなっていると考えるしかありませんで、昨年もそうでしたが、ことしの予算編成に際しては自治大臣と御一緒に地方財政をどうやって支援していいか、昨年というか今年度もいたしましたが、来年度もいたさないといけませんと思っていまして、そこは二人していろいろ相談してやりたい。  もう中央、地方と言っていられませんで、国全体がこういう状況でございますから、やっぱり一緒の財布で物を考えるというぐらいにしていかないといかぬと思っております。
  426. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) ただいま大蔵大臣から地方財政に対して大変御配慮のあるお言葉をちょうだいいたしまして、私もこれから大蔵大臣によくお願いをして地方財政の充実のために頑張っていかなきゃならぬ、こう思っております。  ところで、今度の経済新生対策に係ります地方の財政措置につきましては、地方の裏負担分については一〇〇%交付税措置をさせていただきますし、単独事業につきましては臨時経済対策地方債を発行することを認めるなどして地方を助けてまいりたい、こう思っております。  なお、将来の税制の問題、これから地方分権が本格化していく、そうすると、事業が国から地方へ移っていくというときにやはりやるべきことというのは税の抜本的な見直しであろうかと思いますが、今次の経済対策等が功を奏し、そして日本の経済が持ち直した段階で、こうした問題については税の配分について抜本的にいろいろ御協議をしていかなきゃならぬ、こう思っております。
  427. 菅川健二

    ○菅川健二君 ぜひ早急に地方税財源措置の充実をよろしくお願いいたしたいと思います。  関連質問を松岡議員に譲ります。
  428. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 関連質疑を許します。松岡滿壽男君。
  429. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 参議院の会の松岡滿壽男でございます。  今、富国有徳、鬼手仏心のお話が出ましたけれども、中国で尭舜の政治というのがあります。尭帝、舜帝の政治が理想的な政治だと。その中に陳情という言葉はありませんし、やはり陳情なき政治ということだろうと思うんですけれども、ことしの陳情行動が非常に激しかったんですね、各種団体の。参議院はもう少し静かなものかと思っておったんですけれども大変な数でありまして、エレベーターにも乗れない、食堂も満員だという状況で、同僚の皆さん方に聞いてみますと、ことしはいつもより多い、異常じゃないかというお話もありました。  考えてみますると、先ほど財政論がございましたけれども、かなり厳しいところに追い込められている。そうすると、来年の予算がぎりぎり最後の予算かなということもあるだろうというふうに思います。それと、地方自治体の方も大変な財政難でありまして、自治体病院も、私が市長時代は二千億の赤字でありましたが、もう一兆円を超す、かなり追い詰められている、そういう状況だろうというふうに思うんです。  この陳情について、与党三党でハッパをかけられたのか、あるいは霞が関の方で号令をかけられたのか、その実態がよくわからないんですけれども、ことし地方分権一括法が成立しているわけですよ。そういうときに、こういう刷り込みを意図的にやられたとしたらこれは問題があると思うんですが、この点について総理はどのようにお感じでございますか。
  430. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 国政で活動する国会議員に対して地方の声を届けるという意味で、もちろん地元に帰っていろいろな趣旨の声をお聞きしているわけでございますが、団体その他が中央に陳情を要請するということは一概に否定しがたいものがあるのではないかということでございます。いずれにいたしましても、これは大変なエネルギーを費やすことでございまして、この点は反省されるべき点もあろうかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、限られた予算をできる限りみずからの地域に配分してほしいというお気持ちのほどはわかりますけれども、予算の適正な配分につきましては、まさにこの予算委員会その他におきまして十分議員の声を聞いて、そして適正に配分をしていくんだということであるとすれば、これは地方におきましても御納得をいただけるものではなかろうかというふうに思っております。
  431. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 百三十年続いた国が上で地方が下だという関係が今回の法律改正によって一応対等になった、国と地方が。しかし、いまだに陳情するということは、決定は国がする、しかし実行は地方だと。今度の介護保険の問題でも意見書が出ているわけですけれども、そういう状況はやはり好ましいものとは思いませんし、同時に、一つのエネルギーと総理はおっしゃいましたけれども、お金もかかるわけです。山口県から来ますと、一人当たり六万円ぐらいかかっていますね。そうすると、千人の集会をやると、それで六千万円かかっているわけです。この前のように日比谷で道路関係で三千人の会をやりましたら、これだけで一億八千万かかるわけですね。  だから、今地方自治体で何が起きているかというと、大変な財政逼迫で数年以内に赤字団体になるかもしらぬという恐怖感の中から三役の報酬カット、それからあさってそれぞれ地方公務員の賞与が出ますけれども、部課長は賞与を五%カットするとか、そういうつめに火をともすような状況で頑張っているわけですから、どうか陳情を自粛するということをやられることが一つ大事だというように思います。  それからもう一つは、やはり介護保険の問題でも出ておりましたように、この前も市長会で大変もめたようでありますけれども、地方の声を、実行するのは地方ですから、十分に聞くという姿勢を持たれれば、一々ああいう行動をやって、私ども市長時代十二年あれをやりましたけれども、やったって効果は期待できないんだけれどもやっぱりやってしまう。多少気晴らしもあるわけでありますけれども、今そういう状態にないわけでありますから、どうか来年は断固たる指導をお願いいたしたいというふうに要望いたしたいと思います。  一言だけ決意を。
  432. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) 委員の御質問は陳情一般でございますが、特に介護保険の問題をずっと例として挙げてきたわけでございますので、私の方から今回の措置についてお話をさせていただきたいと思います。  そもそも今回の特別対策は、かねてから市町村あるいは町村会から要望が出されておりました、例えば高齢者の保険料の負担の軽減の問題であるとかあるいは基盤整備の問題であるとか低所得者問題についてしっかりやってくれよ、国はと、こういうようなことで要望がございまして、それを受けて我々の方は最善の策をとったような次第でございます。  これはあくまでも市町村が円滑に実施するために国の方が支援をする、こういう趣旨でございますので、決して先生が御心配をなさっているような、これによって地方の、いわゆる地方分権を妨げるようなものではなくて、むしろ私は、先生もよく中身を御存じだと思いますけれども、介護保険制度というのはある意味におきまして地方分権のモデル的な、いわゆる先取り的なものではないか、こう考えているような次第でございます。  いずれにいたしましても、今後とも私どもは、これまでも国が地方に押しつけたようなことはございませんけれども、あくまでも、少子化対策もそうなんですが、それぞれ市町村において独自の創意工夫のもとでやってほしい、こういうような基本的な姿勢のもとに十分に連絡をとりながら進めていきたい、このような決意でございます。
  433. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 厚生大臣、ありがとうございました。  来年の陳情活動の自粛を重ねて御要望いたしまして、質問を終わりたいというふうに思います。
  434. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で菅川健二君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  435. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、佐藤道夫君の質疑を行います。佐藤道夫君。
  436. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 総理にお尋ねいたします。  小渕内閣は経済再生内閣と言われておるとおり、すべての物事が経済に始まり経済に終わる、それ以外のことはあたかも眼中に何もないがごとしというのは、私ではなく、さる皮肉な政治評論家の言った言葉であります。経済も大切ではありますけれども、私はそれ以上に大切な国民の命の尊厳に絡まる問題を取り上げてお尋ねいたしたいと思います。  一昨年の十月、早稲田大学の学生二名がペルー国を旅行中にペルー国の軍隊によって虐殺されたという大事件がありました。いかだをつくって川下りを楽しんでいるところ、軍隊から呼びとめられて、もちろん何の不安も抱かずに上陸したところが数十名の軍人に襲われまして、その場で射殺された見るも無残な事件であります。身ぐるみはがされて所持金、金品全部を奪われた、こういう事件であります。  軍隊が職務執行中に殺したということは、言うなれば国が殺した、ペルー国が殺した、ペルー国に殺されたと、こう言ってもいいわけでありまして、かつてはこういうことから国対国の問題に発展して戦争になった例も枚挙にいとまがないわけでありまして、我が国の場合の生麦事件などがそれに相応するかと思います。  これだけの事件を起こしておいてペルー国は一体何をしたか。何もしていない。犯人を捕まえて処罰する、これは当たり前のことであります。それだけであります。フジモリ大統領からまことにもって遺憾というごあいさつはありましたが、それだけでありまして、現地で何か慰霊祭をやって、日本政府関係者も何人か出席した。遺族の中には、金がない、暇がない、行けなかったという人もおります。それでおしまい。  フジモリさんがこれをもって終わりと考えていることは、ことしの五月、彼は我が国をペルー移民百年記念かなんかで訪問いたしまして、帝国ホテルに豪勢な部屋を何室か借りまして何百万か使って滞在しておって、私は、当然遺族を呼んで遺族と会いまして、申しわけなかった、慰謝料の方法でも講じさせてほしい、ペルーは貧乏国であるができるだけのことはしたいと、こういう話をしたのかと思ったら、そんなことは一切していない。完全にもう彼の頭の中からはこの事件は終わりというふうにしか思えない。  では、日本政府は何をしたかといいますと、日本政府も何もしていない。遺族が外務省に相談に行きましたら、裁判でも起こすならばペルーの法制に詳しい弁護士を紹介しますよと。余りにも人をばかにした話であるからして、彼はもう外務省は相手にしないと言っておりました。当然のことだろうと思います。  今、学生一人を日本で殺したとすれば、数千万から一億の損害賠償金を払わねばならない。これは当たり前のことであります。それが、もちろん金を出すことがすべてではないのでありますけれども、頭を一つ下げて済ますという発想は日本人には全くありません。もしそれがないとすれば、日本国からフジモリ大統領にきちっと日本のやり方を説明して、できるだけのことはしなさい、ペルーは金がないというならば、それじゃODAの八十五億から差し引いてでも払いますよというぐらいのことは言ってもいいわけです。  それからもう一つ、大学は何をしたか。大学も何もしていないんです、慰霊祭一回やっただけで。学長がペルー国に乗り込んでいって、テーブルをたたいてフジモリ大統領に何とかしろと迫ったような話はありません。早稲田大学のOBが何をしたか、何一つしていないんですよ。この中にもたくさんOBがおられると思いますけれども、みんな逃げ隠れをしておる。  私は、申しわけないけれども早稲田大学と一切関係がないんです。関係といえば、この春に私の知り合いの、親友の子供が早稲田を受験してはねられた、それだけの関係なんでありますが、しかしこれはほうっておけないという気持ちで私は取り上げて、もう外交・防衛委員会で三回この問題を取り上げている。しかし、はかばかしい動きは今まではなかったんですけれども、ようやく最近みんなが目覚めたらしくて、何とかしましょうと、決議をして政府のしりをたたきましょうということになりつつあるわけであります。  ということでありますので、何とかしてください、お願いいたします。忌憚のない御意見を、早稲田大学のOBで、かつこの事件が発生したときの外務大臣である、しかも現在は総理大臣である小渕総理にお願いしたいと思います。
  437. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 大変不幸な事件でございますし、早稲田大学といいますと私の母校でございまして、その後輩が、将来嘱目され、かつ御本人は世界をこうして旅行して歩くということは、広く世界に目を開いていこうという有為な人材だったと思いますが、まことに残念ながらペルーの地で無残な死を遂げたということでございます。  このことにつきまして、今御指摘をちょうだいいたしましたけれども、法的な面ではペルーとしてもたしか最高刑の処置をしておると聞いておりますが、ペルーとしてこの事件に対してどのような対応をしたかということについて、佐藤委員としては大変御不満な点があって、種々委員会において御指摘があったんだろうと思っております。  御遺族の方々がこの点についてはできる限りペルー政府ともいろいろ連絡をとりながら努力をされておられると思いますが、政府としては全面的バックアップもさせていただきながら、その思いが達成できるように努力をしていかなければならないというふうに思っております。  ただ、彼我の間の人命に対しての対応というのは必ずしも同一のものでありません。そういった意味で、日本人としては日本の有為な青年を失っておりますので、遺族の皆さんともいろいろ御相談を申し上げながら、国としてもどのようなお手伝いができるかということについてさらに検討させていただきたい、このように考えております。
  438. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 一言だけ。  もう二年もたっていることをお忘れなく。日本国のこれは政府の問題、国家の問題であることをお忘れなく。  終わります。
  439. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で佐藤道夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十八分散会