○藁科滿治君 私は、民主党・新緑風会を代表し、さきに行われました財政演説に対し、
総理並びに関係大臣に
質問をいたします。
最初に、予算編成をめぐる
基本的な問題ですが、
政府は、経済新生
対策を発表したその日に今年度の経済見通しについても見直しております。それによりますと、実質成長率は当初見通しの〇・五%から〇・六%へ〇・一%の上方修正となっておりますが、一方で、名目成長率は当初見通しの〇・五%からマイナス〇・三%へ〇・八%の下方修正となっています。
政府は、今年度ははっきりとしたプラス成長を達成すると公約しましたが、名目ベースの成長がマイナスということは、はっきりとしたプラス成長が達成されたとは到底言えません。まず、この点について小渕
総理の御見解を伺いたいと思います。
また、今次補正予算で七兆円以上の国債を発行する結果、小渕
総理は就任後わずか一年余りで五十兆円以上も借金を重ねることになり、今年度の一般会計予算の歳入に占める国債の割合は戦後最悪の四三・四%になります。しかし、大盤振る舞いの経済運営を続けているにもかかわらず、
我が国経済が収縮していることは、
政府の経済運営が不適切であることを如実に証明していると言えます。宮澤大蔵大臣が大魔神を一回から登板させたと強調された当初予算は最終回までもたず、今次補正予算に救援を
要請せざるを得なくなったわけであります。これについて小渕
総理及び宮澤大蔵大臣の明快な御答弁を求めたいと思います。
あわせて、最近における急激な円高の景気への影響と今後の
対応策について宮澤大蔵大臣のお
考えを伺いたいと思います。
さて、今次補正予算では、社会資本
整備関係費として三兆五千億円の予算が計上されております。小渕
総理は、経済新生
対策について、新規性、期待性、訴求性をキーワードにしたと自画自賛しておられますが、実態は旧来型公共
事業の焼き直しにすぎません。言葉面を追えば、「歩いて暮らせる街づくり」、「基幹ネットワークインフラの
整備」、「
情報化の飛躍的
推進」などと、いかにも将来を先取りした斬新な
事業のように見えますが、これらは道路や港湾、
整備新幹線などの旧来型公共
事業の寄せ集めや、電線地中化
計画などの既存
計画の看板のかけかえにすぎません。
これら旧来型公共
事業の景気刺激効果は極めて限定的であることは多くの識者が指摘しているところです。一部の業界の救済のために
国民の血税を大量に注ぐことは全く不公平なものであり、ましてやその財源が将来へのツケ回しであれば無
責任きわまりないものであります。この点について
総理の御見解を伺いたいと思います。
次に、中小企業
基本法が我が党の主張も取り入れて
改正されました。
改正案は、中小企業者の定義を拡大するとともに、中小企業に積極的な
役割を持たせ、
独立した中小企業の多様で活力ある成長発展を
基本理念としております。しかし、今次補正予算の中小企業
対策を見ますと、旧態依然とした施策がちりばめられ、
基本法
改正の方向に逆行しているのではないかとの印象を受けます。
その典型的なものが中小企業金融安定化特別保証枠の安易な拡大、延長であります。この
制度は、金融システムが大きく揺らぎ貸し渋りが激化する中、あくまでも緊急
避難的
措置として設定されたものであります。しかしながら、ケースによっては実質的に無審査で保証が行われ、本来市場で淘汰されるべき企業まで延命されるなど、運用上さまざまな問題が生じていることも事実であります。
さらに問題なのは、保証枠の追加分である十兆円の積算根拠が甚だ不明瞭であることであります。当初、通産省は、追加分は二兆円もあれば十分、このように見込んでいたにもかかわらず、与党三党の調整でこの金額は十兆円にはね上がりました。まさに
選挙対策の見せ金としか言いようがありません。これはまさに新しい中小企業
基本法の精神にも反するものと言わざるを得ません。
以上の諸点について
総理の御所見を伺いたいと思います。
その他、中小企業・ベンチャー企業振興策と銘打つ施策が織り込まれていますが、実際に効果を上げるかどうかは疑問です。今必要なのは、中小企業のやる気を支援する政策です。中小企業税制の抜本改革、直接金融市場の
整備、商店街を中心とした福祉コミュニティーの再構築、独占禁止法や下請関連法制の厳格化、こういった課題に徹底的に取り組むべきと
考えますが、これらの点についても
総理のお
考えを伺いたいと思います。
次に、来春の
実施を前に、現在、
国民と地方
自治体に大きな不安と不満をもたらしている介護保険問題について
質問いたします。
政府の見直し案は、高齢者の保険料について、来年四月から半年間は徴収凍結、その後一年間は半額を徴収するとしております。
そこで、まず
総理にお伺いしたいことは、介護保険を社会保険
制度で運用する意義と目的についてどのようにお
考えになっておられるかということであります。
社会保険として運用される今回の介護保険につきましては、いざというときのための担保として、そして
国民相互が助け合う社会的システムとして、
国民がこの
制度を信頼し、保険料を納めることを納得しつつあるわけであります。ここに社会保険が成り立つ原則があるわけですが、しかし現在、
政府が打ち出した保険料の減免
措置は、この社会保険の存立基盤を否定した全くの
選挙目当てのものであると言わざるを得ません。これまでの
国民間の合意形成の
努力と、地方自治、地方分権の精神にのっとり諸準備を進めてこられた
市町村の
努力を踏みにじるものであります。どうか、高齢化社会に不可欠な介護保険が
内容的にも充実し、
国民の評価が得られる
制度としてスタートできるよう、いま一度再考すべきであると
考えますが、
総理のお
考えを伺いたいと思います。
あわせて、高齢者保険料
対策費の七千八百五十億円につきましては、現在、
自治体関係者より、保険料の減免分に限定するのではなく、サービス基盤の充実など、
市町村の独自性に任せてほしいとの要望が出されていますが、この点についても
総理の御見解を伺いたいと思います。
次に、医療保険者
対策費の千二百六十億円に関連して
お尋ねいたします。
政府は、個々の医療保険者の財政事情を見ながら支援する
考えのようでありますが、これでは医療保険
制度のもとで財政
状況が悪化した保険者に公費補助を行うことになりませんか。そもそも、医療保険
制度の改革が遅々として進まないことが問題であり、そのために保険者は厳しい財政
状況に追い込まれているのです。医療保険
制度の抜本改革について、
政府は二〇〇〇年度からの
実施を約束しましたが、来年四月からどのような改革を
実施するのか、
総理に
お尋ねいたします。
介護保険の
実施を目前にした今回の見直しには、
国民も
自治体も大混乱しています。与党三党がばらばらの主張をし、介護保険
制度の将来も見えてこない中、
国民の不安や不満は頂点に達しています。
総理、
国民が安心して
生活できる介護、年金、医療など、社会保障全体の将来像について、今こそ説得力のあるビジョンを語っていただきたいと思います。
さて、企業・団体献金の問題に移りたいと思います。
私たちは、五年前に、二〇〇〇年一月をもって資金管理団体に対する企業・団体献金を禁止するということを、もちろん
自民党も含めて、国会の明確な意志として
国民の前に約束をいたしました。しかるに、
自民党はこれをほごにしようと動かれました。さきのクエスチョンタイムでは、我が党の鳩山代表の追及の中で、
総理はようやくこの約束の履行を明言されました。しかし、報道等によりますと、
自民党内では抜け道探しや
政治資金規正法附則第十条削除の議論が盛んに行われているとのことです。これが事実としたら、
国民の
政治不信はますます増幅されるのではないかと
考えます。
小渕
総理、このような
事態が起こっている現状をどのようにお
考えでしょうか。また、
総理・総裁として、この際、
政治倫理確立のために強力なリーダーシップを発揮すべきと
考えますが、いかがでしょうか。あわせて、附則第九条に基づく
法案をいつ提出し、いつまでに成立させるのか、明確にお答えいただきたいと思います。
民主党は、企業・団体献金の禁止は当然のこととして、政党を迂回路するひもつき献金などの抜け穴をふさぐ
措置として幾つかの提案を行っております。例えば、
選挙運動に関するものを除き、政党や政党の
政治資金団体が
政治家の資金管理団体、その他の
政治団体に寄附を行うことを禁止すること。また、団体寄附を受けられる政党支部を限定し、支部に対する団体寄附に年間五十万円の個別制限を設けること。さらには、
政治資金の透明化を進めるために、収支
報告書の保存期間を刑法上の時効期間である五年間に延長するとともにコピーを解禁することなどであります。これらの政策は
国民世論からすればまことに当然のものですが、小渕
総理の御見解を
お尋ねしたいと思います。
次に、衆議院の定数削減問題ですが、この問題は大きく言って二つあります。
その第一は、削減の方法です。自自公三党合意によりますと、衆議院定数を五十議席削減するとしながらも、当面は比例区から二十議席削減し、残り三十議席については先送りされております。民主党は、与野党の協議会において、再三再四、残り三十議席の削減方法や
考え方を示すよう求めましたが、与党各党の発言はばらばらのままで、突然協議が打ち切られました。当初の自自合意に基づく
法案では、比例区のみから五十議席削減でしたが、今回の自自公合意は、残り三十議席について小
選挙区を中心に削減すると、あいまいながらも
法案の根幹を変更するものとなっております。まさに、理念も哲学も違う政党が政権延命のために
選挙制度をおとしめているように思われます。
改めて、小渕
総理及びこの際二階
運輸大臣、続
総務庁長官に、残り三十議席の具体的な削減方法、つい最近まで各党が主張していた方針が変節した理由、そもそも各党はどのような
選挙制度を目指しているのか、それぞれ具体的に御説明願いたいと思います。
第二の問題は、与野党協議を不正常な状態にしておき、与党だけで改革を強行しようとする姿勢であります。
かつて、民主主義の土俵づくりにかかわる
選挙制度の改革を与党のみで強行したことはありません。政権にある者がそれぞれの都合で
選挙制度を変更するようなことは決して民主的とは言えません。むしろ、
選挙制度に関しては、自自公合意で記されている在日永住外国人の地方
選挙権の付与、また、衆議院小
選挙区で法定得票数に達しなかった重複立候補者の比例代表
選挙名簿削除、くらがえ等の立候補禁止、比例代表
選挙当選議員の政党間移動の禁止、消滅した政党の比例名簿繰り上げ当選の排除等についての改革を先行すべきではないかと
考えますが、小渕
総理のお
考えを伺います。
次に、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国との関係改善について伺います。
冷戦構造が崩壊して十年たちましたが、期待とは裏腹に、世界の各地では
地域紛争が続き、東アジアにおいても朝鮮半島をめぐる情勢は予断を許さないものがあります。
昨年来、テポドン発射などで日朝間の緊張は著しく高まりましたが、そうした情勢の中で、昨今、南北間の新たな交流の動きが出始め、またアメリカ、韓国の柔軟な
対応姿勢が出てきております。そして、このほど超党派による村山訪朝団が北朝鮮を訪問することになりました。きょう出発したようでございます。今後の両国の関係改善につながる環境づくりとして大いに意義あるものと期待しております。
しかしながら、二十一世紀に向けた両国の関係を確固たるものにするためには、政党レベルや民間レベルの
努力だけではなく、
政府の継続的かつ強力な取り組み
努力が不可欠であります。そうした意味から、
総理の日朝関係改善に向けての御決意のほどをお伺いしたいと思います。
最後になりますが、小渕・自自公連立政権に決定的に欠けているもの、それは将来へのビジョンと
責任ではないでしょうか。とりわけ小渕政権の経済運営は、予算のばらまき、財政規律の欠如、将来世代へのツケ回しといった言葉に特徴づけられます。そのために、既に破綻したと言っても過言ではない財政の再建策も示されておりません。
一方で、
東海村の
臨界事故、神奈川県警の不祥事、商工ローン問題等々、これらに代表されるモラルハザードが世の中に蔓延しているのは、
政治の世界の現状と全く無縁ではありません。
国民の正当な信託を得ていない小渕・自自公連立政権は、直ちに衆議院を解散し、
国民に信を問うべきであることを強く訴え、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣小渕恵三君
登壇、
拍手〕