○塩崎恭久君 ありがとうございました。
先ほど来出ていたチャプターイレブンで初めて導入されたデッター・イン・ポゼッションという概念でありますけれ
ども、去年トータルプランをやっているときに随分問題になったのは、不良
債務をしょってしまっている
企業、特に例えば不動産の虫食いを何とかしないといけないと。その際に、大体地上げをした不動産業者というのはみんな
債務過多になっちゃってどうにもこうにもならない、法的手続になっちゃっているところも中にはあるかもわからないけれ
ども、そういうときに、もう一回その近辺を再地上げして、そして再開発をしたいといっても、その
企業にお金を貸す人というのは出てこないわけです。そうなると、結局だれかに渡ってから初めてそこが再開発をされるかもわからないということですけれ
ども、今、結局、実は銀行が不良債権を持ったままで、私は
個人的には去年、引き当て基準を銀行に設けると同時に、ある一定の不良債権の売却ガイドラインみたいなものを持たない限りは担保不動産が世の中に出てこないぞ、不動産市場に出てこないぞ、こう言っていたわけであります。
結局、そういうことをやらずに健全化法というのをつくってやっているものですから、銀行は、資本注入を受けたということもこれあり、じっと不良債権を持ったままになっているわけです。担保不動産もそのままになっているものですから、
債務者は、虫食い地の所有権は持っているけれ
ども債務をしょい込んでいてどうにもならない、だれもお金も貸してくれないからにっちもさっちもいかない。銀行は、土地がそのうち上がるだろうと何となく思って、なおかつ不良債権を保有するコストが安いものですから、そのままじっと持っているというのが今の現状であって、青空駐車場とか百円パーキングというのがどんどんふえちゃって、私の地元なんかでも、私の地元の事務所は松山市のど真ん中にありますけれ
ども、大通りから二本入っているんです。ところが、前は大通りなんか見えなかったのに今は全部見えるようになっちゃった。何でかというと、それは青空駐車場に全部なっちゃったんです。恐らくそれはみんな担保不動産になっていて、
債務者は土地を持っているけれ
ども何にもならない、首も回らないけれ
ども金も借りられないということでじっとしていて、どんどん日本じゅうが青空駐車場になるかもわからないぐらいの勢いでふえているということで、大変にゆゆしきことだと思うんです。
これにはいろいろとやるべきことがありますけれ
ども、きょうはこの議論の場ではないのでやめますが、このDIPファイナンス、デッター・イン・ポゼッションのファイナンスが可能になるというのが今回の
民事再生法の
一つの特徴である、こういうわけでありまして、大いに期待をしているわけであります。
通常、会社
更生手続に入るためには手続中の運転資金が必要で、それゆえ新たな運転資金等を提供するスポンサーがついていない限りは会社
更生手続というのはうまくいかないということだと思うんです。民事
再生手続では、
会社更生法の百十九条の三、二百八条の五号と同様の
規定を置いた上で、仮に破産手続への移行があった場合でも、民事
再生手続の申請があればニューマネーの
債権者は必ず共益債権、財団債権として保護されるということになっていて、民事
再生手続を受ける
債務者に対する融資が行われやすくなる効果がある、こう言われているわけであります。
ですから、このDIPファイナンスができるということが、この日本の、さっき言ったような、不良債権がたくさんあるということは不良
債務を抱えた
企業がこれによってもう一回チャンスを与えられる
一つの大事なファクターであるわけであります。ですけれ
ども、このDIPファイナンスを共益債権とするだけでは、銀行の貸し渋りが続く今の施策としては不十分で、さらにこうした機能を充実させることが大事です。
アメリカの例をよくよく考えてみると、
裁判所の
判断によりますけれ
ども、いわゆるスーパープライオリティーとアメリカで言われているニューマネーの貸し手に手続中における共益債権の中でも最優先の
弁済順位を与えるというようなことであるとか、それから担保順位でプライマリーリーンという
制度があって、ニューマネー債権に対して
申し立て前の債権より優先するという担保順位を与えると。それから、
申し立て前の債権の担保とニューマネーの担保を入れかえるというクロスコラテラルというのがアメリカなどでは行われているわけでありますけれ
ども、これは今回この
民事再生法では認められなかったということだと思うんです。
それで、
申し立て前の
担保権者に適切な保護を与えた上で
担保権を解除するといういわゆるアデクイットプロテクション、これは一応たしかやれるようにしていただいていると思うのですが、今申し上げたいわゆるアメリカで言われるスーパープライオリティー、プライマリーリーン、それからクロスコラテラルと呼ばれているようなこういう
制度を与えずにこれをやろうということでありますが、これは法務省にも私の書いたものをお届けしてぜひこれができるようにしてくれというふうに申し上げたつもりでありますけれ
ども、却下された
理由をぜひお尋ね申し上げたいというふうに思います。