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1999-11-25 第146回国会 参議院 文教・科学委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月二十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十一月十五日     辞任         補欠選任      福本 潤一君     続  訓弘君  十一月十六日     辞任         補欠選任      続  訓弘君     福本 潤一君  十一月十八日     辞任         補欠選任      畑野 君枝君     筆坂 秀世君  十一月十九日     辞任         補欠選任      筆坂 秀世君     畑野 君枝君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 泰三君     理 事                 岩瀬 良三君                 橋本 聖子君                 石田 美栄君                 松 あきら君                日下部禧代子君     委 員                 阿南 一成君                 有馬 朗人君                 井上  裕君                 亀井 郁夫君                 仲道 俊哉君                 長谷川道郎君                 江本 孟紀君                 小宮山洋子君                 本岡 昭次君                 福本 潤一君                 畑野 君枝君                 林  紀子君                 扇  千景君    国務大臣        文部大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       中曽根弘文君    政務次官        文部政務次官   河村 建夫君        科学技術政務次        官        斉藤 鉄夫君    事務局側        常任委員会専門        員        巻端 俊兒君    政府参考人        科学技術庁原子        力局長      興  直孝君        科学技術庁原子        力安全局長    間宮  馨君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省教育助成        局長       矢野 重典君        文部省体育局長  遠藤 昭雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○教育文化学術及び科学技術に関する調査  (H―Ⅱロケット打ち上げ失敗に関する件)  (ヒト・クローン産生規制に関する件)  (教育基本方針に関する件)  (教育現場における職場環境整備に関する件)  (スポーツ振興投票に関する件)  (原子力防災に関する件)     ─────────────
  2. 佐藤泰三

    委員長佐藤泰三君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  教育文化学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員会科学技術庁原子力局長興直孝君、科学技術庁原子力安全局長間宮馨君、文部大臣官房長小野元之君、文部省教育助成局長矢野重典君、文部省体育局長遠藤昭雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤泰三

    委員長佐藤泰三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 佐藤泰三

    委員長佐藤泰三君) 教育文化学術及び科学技術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 石田美栄

    石田美栄君 民主党・新緑風会の石田でございます。  初めに学技術庁関係質問を少しさせていただいて、その後、文教関係、新しい大臣教育について議論させていただきたいと思います。  HⅡロケット八号機の打ち上げ失敗の関連ですが、何か新しい事実があればお話しいただきたいと思います。  そして、今回の八号機については、人為的ミスが多発して打ち上げ延期が続いておりましたが、事業団特別チームを編成して点検作業に当たられていて、今回の事故原因調査過程で、八月の燃焼テスト配管からの微量の漏えいが確認されたにもかかわらず、詳細なチェックをしていなかったとの報道もあります。考えてみますに、一度も事故を起こしていない第一段エンジンでの漏えいであったので軽く考えていたのではないか。また、HⅡA開発のために時間を惜しんだのではないかというふうなことが考えられますが、このようなことなどの疑問がわくのですが、その点いかがでしょうか。まずお尋ねいたします。
  6. 斉藤鉄夫

    政務次官斉藤鉄夫君) HⅡロケット八号機の打ち上げ失敗原因究明につきましては、現在、宇宙開発委員会技術評価部会において鋭意検討が進められているところでございます。  これまで二回行われましたこの部会では、まず第一段エンジンを中心に発生した異常現象について解析を行ったところ、第一段エンジン停止の要因がエンジン内部にあると考えられること、それから、第一段エンジンに異常が発生した時刻まではロケットの各システムは正常に作動しておりましたということ、それから、種子島から光学、目で見てといいましょうかレンズを通してですけれども、その記録によりますと、機体から白煙状物質が噴出しておりまして機体回転運動が確認されたこと、それから、ロケット製造段階での異常はこれまでのところ見出されていないが引き続き調査を実施すること、といった内容がこの評価部会宇宙開発事業団から報告をされております。  なお、原因究明に当たりましてできるだけのことをするという観点から、この十一月二十日より、海洋科学技術センター宇宙開発事業団におきまして、深海調査研究船かいれい」を用いて第一段ロケット落下海域海底調査を実施しているところでございます。  石田委員指摘の、この第一段エンジン、今まで失敗したことがなかったところで起きた事故であって、何らかの怠慢なり時間を惜しんだということがあったのではないかという御質問でございますが、昨年八月の、このHⅡ八号機に用いるエンジンの製作の最終段階で実施した燃焼試験後の気密試験におきまして、水素系統で漏れを示す兆候が発見されております。このとき宇宙開発事業団は、水素が漏れているのかどうかの確認を徹底して行いまして、その結果、漏えいではなくて、エンジン水素系統配管にあるバルブの継ぎ手シールに空気が凝縮し、試験後に膨張して流れ出たものと判断したと聞いております。水素そのものの漏出ではなかったということでございます。  いずれにいたしましても、今回の打ち上げ失敗に対して、我が国宇宙開発体制の立て直しを図るため抜本的対策が必要である、このように我々考えておりまして、エンジン製造段階試験状況等も含め、今回の事態の背景にまで踏み込んだ原因究明全力を傾けてまいりたいと決意しております。
  7. 石田美栄

    石田美栄君 次に、保険についてお伺いしたいんですが、過去のHⅡロケット打ち上げでは、保険について、平成八年九月三日の参議院の決算委員会で自民党の吉川議員質問に対して、保険適用の判断及び保険金の算定は宇宙開発事業団と科技庁が協議しながら判断しているとの答弁がありましたが、今もそれは変わっておらないのでしょうか。今回の衛星打ち上げに関する保険はどのようになっていたのでしょうか。  そしてもう一つ、今後、HⅡAの計画についてはどのように進めていかれるおつもりでしょうか。あわせてお願いいたします。
  8. 斉藤鉄夫

    政務次官斉藤鉄夫君) 宇宙開発事業団におきましては、HⅡロケットの打ち上げに際して、一号機から三号機までは保険をつけておりませんでしたが、四号機以降は、人工衛星を所定の軌道に投入することに失敗した場合の原因究明対策に要する費用に充当するための保険をつけております。また、これとは別に、いわゆる打ち上げ失敗によりまして第三者損害を出した場合について、第三者損害賠償保険、これは保険金額が二百億円でございますが、この賠償措置のために保険を掛けております。  今回の八号機につきましては、この原因究明対策等に要する経費に充当するための保険金は三億円で、保険料は二千四百万円でございます。  また、衛星そのものについてでございますが、衛星そのものについては運輸省のものでございますので我々が発言するのはどうかと思いますが、国の物品については原則として保険を付さないこととしておりますが、宇宙開発事業団の打ち上げについては、宇宙開発を円滑に推進するために保険が有効な場合もあり得ることから、事業団保険を活用することの意義を認めるという宇宙開発委員会考え方に従って、今回、この原因究明対策に要する経費について保険金を掛けているということでございます。
  9. 石田美栄

    石田美栄君 HⅡAの今後の計画
  10. 斉藤鉄夫

    政務次官斉藤鉄夫君) 失礼いたしました。  今回の打ち上げ失敗につきまして、何よりもまず徹底した原因究明を行うことに全力を傾けてまいりたいと思っております。当初の予定ですと来年の夏にHⅡA一号機を打ち上げるということでございますが、この開発の進め方につきましても、事故原因究明の結果を踏まえて慎重に検討してまいりたいと思っております。
  11. 石田美栄

    石田美栄君 続きまして、クローン人間のことですが、この十八日の新聞報道クローン人間を禁止するという方向が出ています。こういうものを含んだ法案が検討されているようですけれども、その概要、今の段階でわかることをお知らせください。  そして、今回のこういう議論の中で、欧米並みヒトクローン胚の扱いを規制するところまで踏み込むべきではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  12. 斉藤鉄夫

    政務次官斉藤鉄夫君) 石田委員指摘のとおり、科学技術会議の中の生命倫理委員会の中のクローン小委員会におきまして、ヒトクローン個体クローン人間そのものを産出するということに関して検討が行われてまいりまして、今月十七日に、人間の尊厳また安全の確保という観点から、ヒトクローン個体産生につきましては法律で禁止すべきという内容報告書が取りまとめられたところでございます。  また、本報告書において、個体そのものではないんですが、いわゆるヒトクローン胚、細胞が今後いかなる器官にも発達し得るという可能性を持った分化の状態でございますが、このヒトクローン胚研究については、その規制あり方を含めてさらに検討を行うこととしております。今後、生命倫理委員会検討されることになっております。  ヒトクローン胚規制についてでございますが、ヒトそのものを産み出すヒトクローン個体産生ほど重大な弊害はもたらされないということと、それから今後医療技術向上に貢献する可能性もあるということで、法律そのもので禁止するよりも、もっと柔軟なガイドライン等で対応する、また規制をする方が適しているのではないかとの規制がこのクローン小委員会報告書に書かれてございます。  いずれにいたしましても、クローン小委員会、親委員会である生命倫理委員会の方で最終的な結論が得られる、このように承知をしております。
  13. 石田美栄

    石田美栄君 ですが、クローン胚については生殖医療分野やいろんなことが考えられますので、特に生殖医療分野で変な方向に行かないような規制ができることを希望しております。そういうことを、長官初め、よく踏まえてお願いしたいなというふうに思います。  それでは次に、文教関係教育関係議論してまいりたいと思います。  まず最初に、新しい文部大臣教育における国の責任として果たすべき役割は何だというふうにお考えでしょうか。
  14. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) おはようございます。よろしくお願いいたします。  教育は、あらゆる社会システムの基盤として国家百年の計の礎をなすものでございまして、二十一世紀に向けて日本が活力ある国家として今後も発展をしていくためには、私ども国責任を持って不断の改革を続けていくということが大変重要である、そういうふうに思っております。  文部省におきましては、教育改革推進するために諸施策を実施してきておるわけでございますけれども、私といたしましても、次代を担う子供たちが本当に健やかにたくましく心豊かに成長し、そして日本人としての自覚をしっかりと持って、また国際感覚を身につけて自立できるように教育改革推進全力で取り組んでいきたい、そういうふうに思っております。
  15. 石田美栄

    石田美栄君 私は、そういう抽象的なことではなくて、特に国の果たすべき役割を、少子高齢化社会が急速に進む中で、二十一世紀が今おっしゃるように活力ある安心社会日本であるためには、年金とか医療とか介護とか福祉制度改革、確立が重要であるということはよく言われますが、子育ての支援も言われていますけれども、もう一つ教育に対する国民の信頼、安心をつくるということが国の役割であるというふうに私は考えております。少なくとも中等教育までは、普通に学校に通わせていれば大丈夫、安心なんだという制度をつくることと、それを支援するというのが私は国の役割だというふうに考えております。具体的にはまた後ほど議論してまいりたいというふうに思います。  さて次に、先ほども文部大臣おっしゃいましたように、教育改革に取り組む基本的な姿勢について、新しい文部大臣はそのうち特に何に重点を置こうとお考えでしょうか。
  16. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 教育は非常に幅が広いテーマでありますし、また奥深いものがあります。私自身、戦後の日本教育というものを振り返ってみますと、我が国発展あるいは国民教育水準向上に果たしてきた役割は大変大きなものがあろうと思っております。そういうところから経済的にも発展をしまして、まさに世界トップレベルの国に発展をいたしました。経済大国と言われるようにもなってきたわけでございます。しかしながら、皆さんが御心配されておりますように、学校現場におきましてはいじめや不登校やいわゆる学級崩壊やさまざまな問題が起きておりまして、御父兄を初め国民どなたもが心配をしている大きな課題でございます。  こういう問題を確実に、また早く解決するということが、今、先生指摘されたような安心というものにもつながっていくのではないかと思っておりまして、そういうような現場の問題にも真剣に取り組んでいきたいと思っております。  こういう背景には、子供たちを取り巻く環境というものが昔と比べて大きく変わってまいりました。情報化時代にもなりました。社会全体も大きく変わってまいりました。そういう中にありまして、私は社会全体のモラルの低下というのが大きく教育にも影響しているのではないかと思います。新聞に毎日報道されておりますように、私たち議員も襟を正さなければなりませんけれども、こんな方までがというような社会各層のいろいろな分野、各界での不祥事が多発しているということは大変残念でありまして、大人社会を含めた我々の生き方、あり方、そういうものについて我々は大いに反省をしていかなければならないと思っております。  それから、委員指摘の、どういう点に重点を置いていくかということでございますけれども、今申し上げましたけれども、文部省といたしましては、現在、教育改革プログラム、これによりまして、大きく分けまして四つの柱に整理をいたしまして教育改革具体的課題やスケジュールを明らかにして取り組んでいるところでございます。  御案内のとおりでありますけれども、一つは心の教育、これに力を入れていくということでありまして、家庭地域社会それから学校が一体となって、子供たち正義感倫理観、また思いやりの心など、そういう心豊かな人間性をはぐくむ教育に取り組むということでございます。  もう一つは、今までは平等主義というものがかなり、行き過ぎとまで言ってはどうかわかりませんが、そういう傾向もございました。子供たち個性を生かしていく、個性に応じて多様な選択ができる学校制度を実現していく、これも大事なことと思っております。  それから三点目は、地方分権を目指した改革が行われておることを踏まえまして、主体性ある学校運営など現場自主性自律性を尊重した学校づくりを進めること。  そして四点目は、大学改革あるいは研究振興の一層の推進、こういうことを図っていきたいと思っております。  同時に、改めてこの時点で、戦後五十数年たちましたので、教育改革国民的課題として位置づけまして、国民皆さんの幅広い御議論をいただき、今後の二十一世紀教育の理念あるいは日本教育のあるべき姿、あるいはどういう日本人を育成していくべきかなどについて、この際大いに議論して今後の方針をつくっていきたいと考えております。
  17. 石田美栄

    石田美栄君 私は、前にも申し上げましたように、そういう心の教育にしても、それを制度として、教育内容としてどういうふうに織り込んでいくか、その基本ルールづくり、それが国の役割だろうというふうに思うんです。もちろん教育、広く言えば生涯学習も含めてすべてですけれども、今、私たちが共通に頭にあることというのはやっぱり学校のことだろうと思います。その中でも特に、大学まで全部言えば本当に幅広くなるんですが、一言で言うと、学校機能回復学校教育再生、私はそういうふうに思っています。  新しい議論のやり方で、私も大臣のいろんなことに対して批判もいたしますので、私が申し上げますことについて御所見、御批判があればおっしゃっていただいても結構だと思いますが、今、大臣がお使いになりました父兄という言葉父兄ですね、父と兄という。これは古い体系の中で女、子供には権利がなくて、すべては父親、父亡き後は兄という、結婚もすべてそうでしたので、やっぱりこれは努めて保護者とか父母とか、そう言う方が、実際、保護者会に行ったって父兄なんてほとんど来ていません。これは笑っちゃいけないんですけれども。  それで、学校機能回復、じゃどういう問題点があるかというと、これも本当にいろいろありますが、ちょっと私の考えを例えばということで多少申し上げるとすれば、いろんなこの戦後の時代の変化の中で、施設とか設備とかという物質的な部分では、物の態様ということでは本当に大きく学校はさま変わりしてきたと思うんですが、制度や人の面では学校教育態様というのは実におくれてしまったというふうに思います。いろいろと言われながらも、この半世紀の間、ちょっとした手直しはあったかもしれませんけれども、本質的には何も変わっていないんじゃないか。私が戦後直後に受けた小学校教育と今の小学校教育とどれほど制度の面であるいは内容の面で変わっているんだろうか。とっくに耐用年月を過ぎているんじゃないか。そういうところにさまざまな矛盾が出てきている。  これも、就学前教育から大学までというと非常に長くなりますが、社会がどんどん多様化して複雑化してあるいは専門化してきている中で、依然として学校にあらゆる期待がされ、責任を負わせようとしている。私は、学校教育基本というのは、社会性の形成と知識技能を授けるということだというふうに思います。本来家庭役割責任地域の担うべき役割を明確にしてこなかった。学校子供にとっては、大人も仕事、家庭社会があるように、子供にとっては家庭社会学校がまさにこの社会であります。社会性を学ぶ場である、人と交わる楽しい場であるべきだと思うんです。  それじゃ、これだけ時代が変わってきてそれに対応できる新しい社会性あり方を実現する場になっていたんだろうか。例えば、自己表現能力をつける、他者とのコミュニケーションの能力、会話や討論ができる、そういうふうに進んできていたんだろうか。知識技能についても、教科とか科目、そして教科内容はどれほど変わってきたんだろうかというふうに思います。評価方法についてもそうだと思いますし、少子化時代小学校の低学年から高等学校まで全部四十人学級、こういったことについても、それでよかったんだろうか。以前は四十五人学級ですけれども、一律に決まっている。  また、文部省とか教育委員会の問題もあるでしょう。それから、戦後の教育改革の柱だった六三三四という制度導入も、そのうち小中学校九年間が義務教育となっていますが、五十年前の改革が行われた当時は、中学生の大多数、私なんか田舎ですから、圧倒的な多数は就職しておりました。現在は高等学校に九七%が行く。高等教育も、専修学校を含めれば三人に二人が高等教育を何らかの形で受けているという、そのように変わってきているにもかかわらず、そんなに大きく制度とかいろいろなことは変わっていない。最初に申し上げたようなことでございます。高校入試があるということも問題だろうというふうに思います。こういった問題を解決しなきゃならないんじゃないかというふうに私は考えております。  この中にも入ってまいりますが、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、教育地方分権を実行していく方法というのをもう少し具体的に、教育委員会の位置づけはどうするのかといった点について御所見をお伺いいたします。
  18. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 委員指摘のとおり、学校教育再生ということは最も重要なことであろう、そういうふうに思っておりますし、特に小学校における教育は、まさに委員おっしゃいましたように、子供たちにとりましては家庭と同じような教育意味においての場ではないかと私は思っておりまして、そういう意味で、いろいろ小学校教育改革を進めていかなければならないと思っております。  私、常々思うんですけれども、小学校の低学年の児童にとっては、担任の先生はまさに親みたいなものなのではないかと。特に入学したて、ぴかぴかの一年生にとれば親と同じようなものではないかと。そういう資質が非常に豊かで幅広い先生であってほしいと常々思っておるところでございます。今後、そういう点を踏まえまして、特に低学年教育、今後も検討していきたいと思っております。  先ほど、父兄というお話がありましたけれども、私、子女という言葉もいつも思っているんです。帰国子女というような言葉もありますが、言葉の問題はさておきまして、いろいろと検討していきたいと思っております。  御質問にありました、教育地方分権を進めていく上で教育委員会にどういうような主体性を持たせて、どのような姿にしていこうというのかというお問い合わせでありますけれども、各学校地域の特色を生かして創意工夫ある教育活動を展開していくことが教育改革の実現のためには不可欠である、私はそういうふうに思っております。このため、教育委員会地域の多様な意向を反映しながら、地域の実情に応じた施策事業を主体的そして積極的に展開をして、学校地域活動を支えていくことができるようにすることが重要と考えております。  そういう観点から、ことしの七月に成立いたしましたいわゆる地方分権一括法によりまして、教育行政における国と地方関係を見直し、新たな協力関係を築き上げるため、必要な制度改正を行ったところでございます。  例えば、教育長の人事に国や都道府県が外部から関与する教育長任命承認制度を廃止いたしました。また、市町村立学校管理運営に関する規則の基準を都道府県が定めることができるとする制度も廃止をいたしました。  そういうような制度改正を行ったところでございますが、今後、この改正を受けまして、より主体的に、また積極的に地方教育行政ができますように制度の運用の改善などに取り組んでいきたい、そういうふうに思っております。
  19. 石田美栄

    石田美栄君 今、教育長のことをちょっとおっしゃいましたが、そのごとくに、本当にちょこちょこっと変えるという感じなんですね。  私は、文部省役割というのは、法令や通達で事細かに管理するのをやめて、基本的なルールづくりと支援ということでいいと思うんです。地域学校現場の実情、実態によってさまざまな面でゆとりのある弾力的運用ができるようにする。例えば学区の枠を緩める、こういうことも品川区で始まっているようですけれども、小学校でというのはちょっと問題があります。  そういう議論、細かいところはまた機会があるときに本当に議論したいんですが、学校選択の可能性にしても、学級編制、学級規模の弾力的な運用、これについては文部省検討を始めていらっしゃるようですので、後でもう少し議論をしたいんですけれども、科目や科目内容についてもそうだと思います。  ですから、学習指導要領の見直しも必要になってくると思いますし、私はさらに、私はというふうに申し上げると、これはかなり私の属しております民主党の考えはということに、全部とは申しませんが共通点が多いと思うんですが、国の定める基礎科目についての到達目標、資格試験をクリアすることを軸として、各地域の特色を生かしたカリキュラムの作成、教材の研究開発を進めるということ。ですから、都道府県や政令都市にカリキュラムセンターを整備するとかそういうことを考えたいと思いますし、教育委員会の見直しはぜひ必要だと思います。小中学校高等学校が別々のレベルの自治体の教育委員会にゆだねられている意味がもうなくなってきたと思います。中高一貫教育を進めるにもそのことが支障になっている、上から下へと管理する官僚的なものになっている、そういうふうなことを思います。  次に進ませていただきますが、教育改革国民会議についてお伺いしたいと思います。  具体的な趣旨は何なんでしょうか。中央教育審議会との違いはどこにあるんでしょうか。
  20. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今回の与党三党の三党間の協議におきまして、青少年の人間形成を促すとともに、二十一世紀を支える有為の人材を育成する教育を実現するために、多方面の有識者が参加する教育改革国民会議を設け、学校制度学術研究体制も含めた教育基本問題を幅広く検討する、そういうことが合意されたところでございまして、文部省では以前から臨教審や中教審の答申などを踏まえまして教育改革推進してきたところでございますけれども、現在、教育全般についてさまざまな問題が生じております。現在改めて教育改革国民的課題として位置づけ、今お話にありました教育改革国民会議、これにおきましてさまざまな幅広い議論をしていくことは非常に大切であると思っております。  委員おっしゃいますように、教育改革国民会議という名称で設置をすることが三党で合意されたわけでございます。具体的内容につきましては、今、内閣官房を中心に検討がなされているところでございまして、文部省といたしましても必要な準備のための協力を行っているところでございます。  なお、中教審との関係でございますけれども、中央教育審議会におきましては、教育の専門家の方々を中心に、各界の有識者の参加を得て御審議いただいているところでございますけれども、私といたしましては、教育改革国民会議におきましては、教育の専門家のみならず、幅広くさまざまな分野の方にも御参加いただき、我が国教育あり方につきまして、先ほど私がちょっと申し上げましたけれども、戦後の教育全般について総点検をする、あるいは今後の日本教育あり方、理念等について御審議いただく、また、現実の問題として起きておりますさまざまな学校現場での問題点等を議論をしていただければと、そういうような場になればと、そういうふうにも思っているところでございます。  また、その国民会議の場で議論がまとまりましたようなものにつきまして、文部省としても実行に移すわけでありますけれども、具体化に向けて検討すべきことが出てまいりますれば、中教審におきまして検討を行うこともあり得るのではないかと、そういうふうに思っております。
  21. 石田美栄

    石田美栄君 この教育改革国民会議については、文部省内にも警戒感が強いというふうな記事も見ますが、かつて中曽根内閣、お父様の中曽根内閣が八四年から十二年間にわたって臨教審を設置したときに、文部省の中教審を休眠させなければならなかったということがございました。教育問題を議論する場としては、首相の私的諮問機関としてことし三月に設置された「二十一世紀日本の構想」懇談会もございます。そんなことでこういう質問をさせていただきました。こういう審議会は減らしていく中で、こういう会議がどんどんできていくのは一体いかがなものかというふうにも思います。  次の質問に移らせていただきますが、戦後五十年間、教育基本法の精神、理念のもとで文部省として進めてきた教育評価をどのようにされますでしょうか。
  22. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 戦後の我が国教育は、平成十一年度で高等学校進学率が九六・九%、大学進学率が四九・八%に達するなど量的な拡大を果たし、また機会均等の理念を実現しつつ著しい発展を遂げたところでございます。先ほど私申し上げましたけれども、我が国の経済社会発展に大きく貢献をしてきたと、そういうふうに認識をしております。  しかしながら一方で、知識を一方的に教え込む教育に陥りがちであり、みずから学びみずから考える力、さらには正義感とかまた公正さを重んじる心、また責任感あるいは我慢強さ、倫理性、そういうような点がおろそかになってきたのではないかとも思っております。また、平等性を重視する余り、一人一人の多様な個性あるいは能力の伸長という点が必ずしも十分ではなかったのではないかと、そういうふうに思っております。
  23. 石田美栄

    石田美栄君 今の中曽根文部大臣、かつての百四十四回国会参議院本会議、それから百四十二回国会の参議院の予算委員会において教育基本法見直しの必要性を繰り返し強く主張しておられますが、これらの発言にある基本法の見直しとはどういうものなのでしょうか。お伺いいたしたいと思います。
  24. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 教育基本法につきましてはさまざまな御議論があります。内容について申し上げれば、日本の歴史、伝統やまた道徳教育などについての記述がないとか、あるいは生涯学習について触れられていないとか、そういう意見もございます。私も同様の意見を述べたことがございます。また、小渕総理も教育基本法について御発言がございます。個人と公の問題等についても小渕総理からも御発言がありました。  文部省では教育改革を着実に推進しているところでございますが、教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、先ほど申し上げましたように、この教育改革国民会議の中で大いに議論をしていただくことが大変大事だと、そういうふうに思っております。  また、五条でございましたか、男女共学についての規定がございますけれども、終戦直後のこの基本法を制定した時期、時代を反映しての規定と思いますけれども、現在は男女共同参画社会に向かっておるわけでありまして、男女共学というのはいわば当たり前のこととなってきているのではないかとも私自身思っております。このように、教育基本法が時代に合ったものとなっているかどうか、そういう点についても幅広く議論していくことが大事でございます。  私自身、委員おっしゃいましたとおり、過去の予算委員会、また本会議質問等でも教育基本法についての発言をさせていただきました。私自身、基本的な考えは現在も変わっておりません。
  25. 石田美栄

    石田美栄君 そうですね。この国を愛する心を養うとか、そういう日本人としての基礎・基本を教えるというふうな御意見を述べられておりますし、特に結びのところで、「この際ぜひ改正して、私が申し上げましたような理念や精神を織り込んでいただいて、日本人のための教育基本法をぜひつくっていただきたい」というふうにおっしゃっております。この辺の内容についてもう少し議論したいなというふうにも思うんですが、ちょっと時間の配分もございますのでまたの機会にさせていただきたい。この国を愛するということを本当の意味教育にどういうふうに入れていくことがいいのか、そういった議論もしたいなと思うんですが、ちょっと時間が無理かなというふうに思います。    〔委員長退席、理事岩瀬良三君着席〕  自由民主党でも、「教育改革推進の提言」の中に教育基本法の見直しを視野に入れるというふうに書いてあります。これはどういうことなのか、文部大臣でもいいわけですけれども、河村総括政務次官は自民党の中で文教責任の立場にいらっしゃいましたのでお伺いしたいと思います。
  26. 河村建夫

    政務次官(河村建夫君) 石田委員今御指摘いただきました点でございます、自民党の教育改革推進会議実施本部におきまして「教育改革推進の提言」というのを出しました。その中で、特に「教育理念・目標について 二十一世紀を担う日本人の育成」という項で、その第二項でありますが、今、石田委員もちょっと御指摘がございましたような、「国を愛する心、日本の歴史・伝統の尊重、国民としての義務、道徳等については、教育基本法には明確に規定されていないので、その見直しも含め検討する必要がある。」、こういう指摘をいたしたところでございます。  私も基本認識としては今大臣も御答弁なさいましたような基本認識を持っておるわけでございますが、戦後、教育についてのいろんな議論がされて問題視されておる。しかし、教育基本法というものが昭和二十二年に制定されて、この教育基本法そのものは、日本国憲法の精神にのっとって教育の目的を明示して新しい日本教育基本を確立するためにということで制定をされたわけであります。そして、第一条「教育の目的」で、「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」、こういう非常に崇高な精神で教育基本法が制定されて、これに基づいて今日の教育を行い、日本の繁栄に大いに寄与してきた、そのことを私は高く評価はしておるのでありますが、この中にうたわれておるいろいろな問題が、大臣も御指摘のように現実に合わなくなってきた。  今、男女共学の話がございました。そういうこともあるし、またこの精神が、立派なことを例示されておる、それが本当に教育の上にきちっと生かされておるかどうかという指摘もございます。そういうことも含めて検討をしていこうではないかというのが自民党の考え方にあったわけで、私もその取りまとめ役の一人であったわけでございますので、これから文部省としてもそういう問題についてはタブー視しないでといいますか、あらゆる角度から議論をしていく、そしていろんな意見をいただく、そうした中でこれから本当に教育の根幹はどうあればいいかということを文部省としてもしっかり皆さんの意見を体しながら方向づけをしていくときが来ておるのではないか、そういう認識を持っておるわけでございます。  きょうは時間がないのが残念でありますが、文教行政全般に造詣の深い石田先生教育基本法に関する御意見もぜひ賜りたい、このように思っておるところでございます。
  27. 石田美栄

    石田美栄君 大臣もかつてから強く主張をしておられて、その考えは変わっていないという教育基本法の見直しあるいは改正ということですが、これについてはまた議論したいと思います、とても時間がございませんので。  同じように、文部大臣は百四十二回国会参議院予算委員会で、先ほどもおっしゃいましたけれども、小学校の重要性、とりわけ小学校学年学校教育に力を入れなければならないということを力説しておられます。今、小学校学年の、特に一年生、テレビなんかでもニュースが何日か前にも出てまいりましたが、学級崩壊が問題になっているときに、文部大臣としてこれは具体的にどうすべきとお考えでしょうか。
  28. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) いわゆる学級崩壊につきましては、文部省におきましてもこの春から研究委嘱を行っておりまして、小学校における学級経営についてケーススタディーの形で実態把握を進めまして、本年九月にその中間まとめをいただいたところでございます。  この中間まとめでは、いわゆる学級崩壊を、従来から見られた学級経営が困難な学級の状態とは違いまして、一定期間継続して授業が成立しない状態が続いて、その問題解決が困難な状況としてとらえております。主な要因といたしましては、学級担任の指導力不足や学校の対応の問題とあわせまして、子供の生活の変化や家庭教育力の低下等の幾つかの要因が積み重なってこれらの状況が生じていると分析をしております。  したがいまして、各学校におきましては、個々具体的な問題の状況を的確に把握をして学校全体の指導体制を確立するとともに、家庭教育委員会等の関係機関との連携協力により、ケースに応じた対応によって問題解決に適切に取り組んでいくことが重要と考えております。具体的には、学級経営の改善でございますけれども、チームティーチングによるきめ細かな指導による学習指導の改善等がございます。  私自身、先ほどちょっと申し述べましたけれども、特に小学校の低学年における教育というものの重要性を深く認識しておりまして、教員の方々の長期社会体験研修などを実施してはどうかというような提言を随分昔から委員会の場でさせていただいてまいりました。  学校先生皆さん立派な方々ばかりでありますけれども、どちらかというと、一般の企業の方たち等に比べると社会体験が少ないのではないか。やはり社会体験をしていただいて、視野の広い先生子供を教えてもらいたい、自分の教える子供の親たち社会でどういう苦労をしているかというようなことまでも知っておいていただきたい、そういう観点からこういう制度の提案をさせていただいたところでございますし、先生小学校一年から大学を卒業するまで十六年間学校で勉強して、そして今度は先生になりますと、今まで学校で教わる立場から今度は学校で教える立場にスイッチされてまた学校で勤務をされるということでありまして、社会を知らないということではございませんけれども、そういう経験をしていただきたいということから提言をしております。  文部省におきましても平成二年度ころから試験的に長期社会体験研修のようなものを実施しておりまして、最近は随分人数もふえてきて、私自身さらにこういう制度推進していきたいなと思っておるところでございます。
  29. 石田美栄

    石田美栄君 私はもっと具体的にお考えをお聞きしたかったんですが、実際、研究にもあるそうですが、小学校の一年、二年、三年生のときに身につけた学習態度、感覚的なものも含めて、そういう学習に対する習慣というのは一生涯というか、その後の教育にずっと響いていく、継続していくという研究結果も聞いております。  実際、子供たちは今一人か二人で大事に育てられて、就学前教育の幼稚園というのはそういう集団規律を学ばせる場ではありませんから、一年生に入った途端に、ちょうど私の孫が学校に入ったとき全部三十九人学級なんですね。一年生に入った途端に三十九人、四十人で四十五分間お勉強といっても──そのときに、確かにチームティーチングとおっしゃいました。この間のテレビの場面でも、子供が走り回ったり、とても続かないからチームティーチングで非常勤の先生がもう一人ついて座らせたりいろいろしているんですが、あれを見て、一人の先生が教えてアシスタントが二人いてごそごそ世話をしたらますます──私は思い切って、一年生、二年生、三年生、二人の先生がいるんだったら二十人にする、アシスタントが二人つくんだったら十五人でまず学習。そうすると子供は、勉強するということが、わからなくてぼんやりしていてもいいのが勉強なのか、あるいは、お勉強に入ったら必ず自分も自分の考えを言い、先生が言っていることにはついていく、わかっていかなきゃいけないんじゃないかという、こういう学習が身につくということは非常に、私も先生をずっと経験しています、大事だと思うんです。  そして、そういう少人数であれば多少その子に応じて、あなたはここのところはわからないからこれをしていなさいと、そういう細かい指導ができる。そういうことができないかなと思うんです。やれると思うんです。  そして、こういうことは、おととしでしたか、長野県の小海町に党から視察に参りました。この小海町では、子供がたしか四十人とか四十一人。そういうのを二つに分けて、それも非常勤の先生じゃなくて町費で正規に雇って分けてやっていたんですね。ところが、それが脚光を浴びて報道に出るようになったら、県の教育委員会がだめだ、それから文部省もだめだと。  これは、私も前の国会のときに質問しました。そのときは、だめだ、認められないということでありましたけれども、文部省の方でもこの弾力的運用を平成十三年度からできるように今検討しているということが出ておりました。でもその中に、国が国庫負担する教職員定数の標準は一クラス四十人を下回ることは財政的に難しいというふうに言われていますが、四十人以下など、改める方向検討しているというふうなことが出ていますけれども、今の小海町のように、その後はアシスタントみたいな形を表面はとりながら実質は分けて授業をしているのを見てまいりましたけれども、これは今の弾力的運用ということになると多分オーケーとなるんでしょうね。  ですが、私は今記事を持ってきているんですが、ちょっとわかりにくい。やっぱり四十人以下学級は財政的にだめだと。そうすると、地方自治体がよければやっていいですよということのようですが、どこの自治体も財政状況がもう本当に悪い中で、各自治体独自の予算でどうぞおやりなさいと言っても実効性があるのかなというふうに疑問に思います。  それで、私たち民主党は、この通常国会で三十人学級推進に関する法案を参議院の方で提出して継続審議になっていますが、学級編制の標準とか教職員の配置基準の改善に関する事項も含めて、国の学級編制改善計画策定に関する事項なども盛り込んでおりますけれども、大臣、多分この法案については知っていていただけるものと思いますけれども、御感想はいかがでしょうか。
  30. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 民主党が、小学校、中学校及び高等学校の一学級の児童生徒数を三十人以下とすることを骨子とする、小学校、中学校及び高等学校学級規模の適正化の推進等に関する法律案、これを議員立法として国会に提出したことは承知をしております。  三十人以下学級について申し上げますと、学級編制の規模について、一般的にはその規模が小さい方が確かに児童生徒一人一人の特性等に応じた指導を行うことができるものと考えられますけれども、現在では学級規模と教育効果の関連については必ずしも十分に明確にはなっていないということが一つ。  それから、教育指導を効果的に行うには、固定的な学級という考え方にとらわれないで、学年教科等に応じてできるだけ少人数の学習集団を編制して授業を行ったり、先ほど申し上げましたチームティーチング等を取り入れて指導方法の改善を図るなど、きめ細かな工夫を行うことも必要である、そういうふうに思っております。  先日、小渕総理に同行させていただいて、中央区銀座の中学校小学校日本橋の学校を視察させていただきました。英語の授業等でも、まさにこの少人数の学習集団の編制ということになるんでしょうか、チームティーチングということになるんでしょうか、一つの英語のクラスでしたけれども、片方では外国人の英語の先生が十二、三人の生徒と会話の方をやっておられて、残りの生徒さんは黒板の方に向かって会話でない一般的な英語の授業をやられていました。ふだんは別の部屋でおやりになるようですが、私どもがお伺いするということで一つの部屋でやっておりましたけれども、実に楽しそうに、また、お話を聞きますと、非常に効果が上がっているということでございました。そういうことなどで弾力的に行っていったらいいんではないかと思っております。  全国一律に三十人以下学級を仮に実施するということになりますと、お話しありましたように、国、地方を通じての相当の財政負担が必要となりまして、例えばですけれども、三十人学級に全部するということになりますと、小中高校でやりますと、国と地方で合わせて約一兆円必要というふうな試算もございます。  そういうような財政状況もあるわけでありますけれども、先生指摘の教職員配置の問題等もあります。中央教育審議会の答申を踏まえまして、今、専門家の協力をいただいて検討を行っているところでございますが、まだ一定の結論を得るには至っていません。  文部省といたしましては、平成十三年度から新たな施策に着手できるよう、この協力者会議における検討を含めて準備を進めていきたい、そういうふうに思っております。  以上でございます。
  31. 石田美栄

    石田美栄君 三十人というのは国庫補助の基準であって、中曽根文部大臣に特に小学校学年のお話からしましたのは、教育政策として情熱を持ってこられていた方が文部大臣になられて、この辺のところは一兆円というのが高いのか安いのかということですが、今、科学技術のことについてももうあらゆるところで教育。本当に日本の将来を思うのであれば、わずか一兆円で本当にそこから改革、私はこれはいろんな教育問題を解決する大きな手がかりになるというふうに確信しております。  今後を御期待申し上げて、時間が本当になくなってしまいました。中高一貫教育についてももう少し議論を本当はしたかったんです。  今この中高一貫教育、ことしから幾つかの都道府県で試行的に行われていますが、やっぱり地方自治体の財政事情が悪いのでなかなか進まないんじゃないかなというふうに見ています。  来年度からどういうふうになっているのか、そういうところをお伺いしたかったのですが、とてもその時間がありませんが、これも私たち民主党、これは衆議院の方です、中高一貫教育推進法を出していて継続審議になっています。私たちは、子供たちとか親が希望すればだれでも高校入試のない六年間一貫して通学できる程度、そのくらいの数は準備する、そういう責任があるというふうに思います。  ですから推進法を出しているわけでして、時間が来ましたので、残念ですが、また次の機会に議論させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  32. 林紀子

    ○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。  まず大臣にお聞きしたいのですが、日の丸・君が代と教育をめぐる問題というのはあちこちでいろいろなことが起こっております。  私は、まず一般論としてお聞きしたいのですけれども、教員の採用試験などで、国旗・国歌についてどう思うか、こういうような質問が行われたとしたら、それは憲法が保障している内心の自由を侵すものだというふうに思いますが、大臣はいかがお考えになりますでしょうか。
  33. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今、委員質問の件は広島県の教員採用面接においてのことに関連してだと思いますけれども、教員採用試験の面接試験におきまして、御指摘の広島県の場合でございますが、広島県の教育委員会に確認をいたしましたところ、受験生に対しまして、国旗・国歌の指導について教育公務員としてどう指導していくべきかという趣旨の、学校における国旗・国歌の教育指導にかかわる内容質問はありましたけれども、日の丸・君が代についてどう思うかというような、国旗・国歌に対する個人としての思想、信条に立ち入るような質問はなかったとの報告を受けておるところでございます。したがいまして、実際に行われた質問はあくまでも学習指導要領に基づく教育指導上の観点に立ってなされたものでありまして、受験生の内心の自由を侵すようなことにはならないものと考えております。  今後、受験生が教員として採用された場合には、教育公務員である以上、学校において国旗・国歌について学習指導要領にのっとり適切に指導していくことを期待しておるところでございます。
  34. 林紀子

    ○林紀子君 私は一般論としてというふうにお聞きしたんですが、その辺はいかがですか。
  35. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 国旗・国歌、日の丸・君が代についてどう思うか、そういう質問をされたとすれば、それは個人の思想、信条に立ち入るということになるのではないかと思います。
  36. 林紀子

    ○林紀子君 当然のことですけれども、それは明確な御答弁いただいたと思います。  広島の教員の採用試験、面接試験につきましては、私も十月の二十日に日本共産党の国会議員団の一員といたしまして日の丸・君が代問題の調査ということで広島県に入りまして、県の教育委員会からもいろいろお話を聞いてまいりました。  今、大臣の御答弁もあったように、国旗・国歌をどう指導するか、そういうことを尋ねたのは確かにあった、忌避はしないという言葉で御返事をいただいたわけですけれども、国旗・国歌をどう思うかということについても質問があったということは、新聞報道されていたんですね。ですから、私たちは、本当にそういうことがあったのかどうかきちんと調査をするべきだということを言ってきたんですけれども、いまだに私のところにも、調査をいたしましたとかいたしませんとか、そういうことはありませんでしたとかという御返事はないものですから、今一般論としてお聞きしたわけなんですね。  一般論としてはそういうことで、それは思想、信条に踏み込むものだというお話がありましたので、それは了承をしたわけですけれども、面接試験で、国旗・国歌をどう指導するのか、そういう質問があったということは認めていらっしゃるわけですが、その質問はどういうことを意味するものかということなんですね。  私たちは今まで、国旗・国歌の法案についての質問のときにも、日の丸・君が代に対して生徒たちに一斉起立をさせたり一斉斉唱を行わせるのは、内心の自由に違反するものだ、内心の自由に立ち入るものだし、沈黙の自由を侵すものだということを言い続けてまいりまして、それは国会の審議の中で政府の答弁でも再三、生徒の内心にまで立ち至って強制するものではないという答弁はなさっているわけです。  それで、この面接試験で国旗・国歌をどう指導するのかというふうに聞かれたとき、大臣もちょっと受験生の立場になっていただきたいんですけれども、そうしますと、受験生はそれは、国旗・国歌に対してあなたはどう思いますか、そしてそれをどう指導しますか、こういうふうに聞かれたというふうに思いますし、それは自然な流れなんだと思うわけなんですね。  そういうことで、どう指導するかというふうに問われたことと、それからどう思うかと問われたことというのは、まさにどこで線引きをするか、非常に難しい問題だと思うわけなんです。ですから、みずからの考え、思想と分かちがたく結びついているようなこういう設問自身が内心の自由に踏み込むものだと思いますので、今後こういう質問というのは面接試験などでは行うべきではないというふうに私は思いますので、それは私の主張ということでぜひお聞きいただきたいと思います。  こういうことを強く申し上げまして、時間の関係もありますので、次の質問に移らせていただきます。  学校における労働安全衛生体制の確立ということを次にお伺いしたいわけですが、今、学級崩壊や不登校、いじめ、自殺問題など、教育現場では問題が山積しております。そういう中で、教職員の皆さんは毎日毎日子供たちと真正面から向き合って奮闘されているわけです。とりわけ、不登校の児童生徒数が過去最高の十二万八千人に上るなど困難さを増す中で、当然教職員の皆さんの業務も多忙化して健康破壊が進んでおります。最近では精神疾患による病気休職というのも多くなっているという話を聞いております。  そこで、教職員の健康と安全を守るために、学校での労働安全衛生法に基づく体制の確立、施設整備についてお伺いしたいと思うわけです。  労働安全衛生法が、労働者の安全と健康の確保と快適な職場環境の形成を目的としまして一九七二年から施行されておりますが、学校現場では、学校保健法があるということで、労働安全衛生法の面からはこの体制確立が大変おくれているという状態です。  自治省のまとめました九九年の労働安全衛生管理体制の整備状況を見ますと、地方公務員職場のほかの事業所、一般行政や警察、消防、病院などと比べまして、教育委員会はいずれもこの体制の確立、整備状況が低くなっています。衛生推進者は平均六三・二%、それに比べて教育委員会は五〇・九%、衛生委員会の設置率は平均七七・三%に対しまして教育委員会は六五%、さらに文部省調査では小学校、中学校では三〇%しかないと、極端に低くなっているわけです。  教職員の置かれた大変な状況というのを文部省はよく御存じだと思うわけですけれども、職場の健康と安全のための体制確立、どうしても早急に一〇〇%を目指して手だてをとるべきではないかと思いますが、大臣いかがでしょうか。
  37. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 学校におきまして教職員が健康で安全な職場環境のもとで職務を遂行できるようにすることは、教職員自身にとりましても大変重要なことでございます。また、学校教育を円滑に実施する上でも極めて大切なことと考えております。  文部省調査結果をちょっと申し上げますと、公立学校における労働安全衛生管理体制の整備状況は、小・中・高等学校全体で見ますと、平成十一年五月一日現在、衛生管理者につきましては七九・九%、衛生推進者につきましては四九・三%、そして産業医につきましては八九・九%、衛生委員会につきましては七七・二%となっております。  これらの学校における労働安全衛生管理体制の整備につきましては、通知の発出や各種会議の開催等により、教育委員会を通じて指導を重ねているところでございます。その結果、整備状況については徐々に向上してきていると認識をしております。しかし、今の数値からもおわかりのように、委員も御指摘のように、衛生推進者につきましては四九・三%と低い数値となっておるわけでございます。  今後とも、学校における労働安全衛生体制の一層の整備に向けまして指導の充実を図っていきたい、そういうふうに思っております。    〔理事岩瀬良三君退席、委員長着席〕
  38. 林紀子

    ○林紀子君 これから整備を図っていくということなんですが、私はびっくりしてしまったんですが、地方公務員の公務災害の発生状況というのを見ますと、教育部門での重傷病公務災害の認定件数というのは、例えば警察や消防などよりも多くなっているという状況なんですね。一般的に考えますと、消防とか警察というのは職務そのものが危険に面することもあるんじゃないかというふうに思うわけですが、それよりもこれは件数ですけれども教育部門の方が多くなっているということなんです。教師の過労死というのも今問題になっております。労働安全の体制が確立されないところでこういう問題が起こっているのではないか。本当に真剣に取り組んでいただきたいというふうに思うわけです。  全日本教職員組合の女性部のパンフレットというのを私は見せていただいたんですが、それには、職場に衛生委員会をつくって、労働安全衛生の視点で職場環境を見直して、大きな変化が生まれている事例というのがいろいろ報告されております。  先生たちというのは、どうしても子供たちのためにというのが最優先になるわけです。自分たちの問題というのは後回しにする、ちょっと自己犠牲を払うというのが、学校の職場などではそれが美談といいますか、そういうような風潮というのがどうしてもあるわけですけれども、いや、そうじゃないんだと。子供たちのためにも自分たちの健康を守ろう、そういう意識の改革というのが学校の職場の中に、労働安全衛生の立場から見たら、委員会をつくったことによって生まれたということなんです。健康管理面で、校医による健康相談を開くこともできたし、職員用の医薬品も購入できた。職員用の医薬品というのはこういうのがないとできないのかなと、これもちょっとびっくりしたわけなんですが、こういうこともできたというふうに言っているわけです。  今、産業医というのは、五十人以上の職場ではいなければいけないというふうに法定されているということですが、この産業医、五十人以上の小中学校でさえ、選任率というのが五割前後にとどまっております。そして、努力義務が五十人未満なわけですが、小学校、中学校といいますと、やはり先生の数というのは五十人未満というところが圧倒的だというふうに思うわけです。文部省としては今産業医が五十人未満の小中学校にはどれだけいるのかという実態も把握していないというお話も聞いておりますけれども、ぜひこれは実態を把握して、五十人未満の小中学校にもちゃんと産業医というのが配置されるように、こういうこともぜひお願いしたいと思います。  メンタルヘルスなどの問題も学校ではふえてきていますから、校医というのは子供たちを主に診ることになると思いますので、その職場の方たち先生たちの健康ということにきちんと焦点を当てる産業医という制度をぜひ整備、活用、こういう手だてをとっていただきたいということもお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  39. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先生おっしゃいましたように、教員の方々が子供たちのためにも自分たちの健康を守るということは大変いいことですし、大切なことだと思っております。  お尋ねの産業医につきましては、労働安全衛生法に基づきまして、御案内のとおり、教職員数が五十人以上の学校においては産業医を置かなければならないこととされております。産業医の選任率につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、平成十一年度におきましては小学校が五四・二%、中学校が四六・九%、高等学校が九三・七%となっておりまして、いずれも平成七年度と比較いたしますと向上はしておりますけれども、いまだに小学校及び中学校は低い状況にあります。  これは、産業医の選任の必要があることを知らなかったり、学校医が配置されているために産業医を選任しないことなど、労働安全衛生に対する意識や認識が不足していることなどによるものと思われます。文部省では、今後とも産業医の選任を含めた労働安全衛生管理体制の整備についてなお一層の周知徹底を図ってまいりたい、そういうふうに思っております。  五十人未満の学校へ産業医を、そういうお話でございますが、体育局長から答弁をさせていただきたいと思います。
  40. 遠藤昭雄

    政府参考人遠藤昭雄君) お答えいたします。  労働安全衛生法に規定されております産業医と学校医、この仕事の中身はかなり重複する部分も多いという状況でございますので、産業医を置いていない学校におきましては、基本的には学校医が産業医の役割を果たしている。また、その具体的な異なる職務というのは、例えば月一回の巡回指導等、そういった点に限られておりまして、そういった意味で、実質として学校医としての職務に支障のない限りで兼ねているというのが実態だと思います。しかし、これは法律で産業医を置くあるいは努力しなさいというふうになっておりますので、私どもとしても今後実態の把握等に努めていきたいというふうに考えております。
  41. 林紀子

    ○林紀子君 努力義務のところもぜひ推進をしていただきたいというのが趣旨でございますので、よろしくお願いいたします。  次に、教職員の休憩室と休養室についてお伺いしたいと思います。  これも労働安全衛生法に基づいて事務所衛生基準規則に定めがあるものですけれども、「事業者は、常時五十人以上又は常時女性三十人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することのできる休養室」、横になることのできる休養室、「又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。」というふうに定められていると思います。  これも全教の調査では、男女別休養室の設置状況は、小中学校一二%、高校三九%となっており、しかも、設置されていても生徒の指導室に使っているとか、実際はパソコン室になっていて休養のための整備は何もなされていないとか、遠いとか暗いとか狭いなどで使いにくい。実際に使われていないものも大変多いということなんです。  文部省調査を見せていただきましたら、休憩室の設置率がわずか三八%、休養室はそれよりもっと少なくて二八・九%、これをほかの部屋で代用しているというのが八三%もあるわけです。そして、休養室については男女別のデータはとっていないというふうに見せていただいたんですけれども、文部省はそもそも休憩室と休養室というのをどういうふうにお考えになっているのか。これは別々につくらなくちゃいけないという御認識があるのかどうか、その辺からちょっと伺わせていただきたいと思います。
  42. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 御指摘の教職員のための休憩室、休養室の整備でございますけれども、まず基本的に、休憩室、休養室の設置につきましては、その職務遂行上、適切に設置される必要があるというふうに私どもとしては考えているところでございます。  そして、現在の整備状況でございますけれども、先ほど先生から御指摘がございましたように、休憩室につきましては全国の公立学校施設の三八%、うち男女別に整備されておりますのは二四%の整備状況でございまして、また休養室につきましては、臥床できる施設の設置が労働安全規則で義務づけられているわけでございますけれども、現在の設置状況は二九%でございます。  ただ、これも先生指摘ございましたように、休養室につきましては保健室、和室等で代替使用されているものが多いわけでございまして、その代替の部屋を含めますと八三%の整備状況となっているわけでございます。  また、先ほどお尋ねの休憩室、休養室でございますが、冒頭申し上げましたように、私ども、教職員の職務遂行上、いずれにつきましても適切に設置される必要があるものと考えているところでございます。
  43. 林紀子

    ○林紀子君 休憩室というのは、男女共用でも、例えばソファーがあって、ほっと一息ついてコーヒーなどを飲めるというような状況であればいいわけですけれども、休養室というのは横になる。ですから、当然男女別々ということでなかったらおかしいと思うわけですね。臥床できることと男女別、これが休養室のどうしても備えなければいけないところなんだというふうに思うわけです。高校は大規模校が多いんですけれども、小中学校では、五十人以上、女性が三十人以上、この人数基準に該当しない学校がほとんどということになるわけなんです。  学校現場で今大変な状況がいろいろ生まれている。なかなか体の調子が悪くても休めない。しかし、休養室があれば、ちょっとぐあいが悪かったらそこで横になるということができるわけですけれども、そういう場所がないために、教室の隅で横になったとか、更衣室の床に段ボールを敷いて横になった、こんな話がたくさんあるわけですね。法律に設置義務はなくても、体調が悪いとき横になれる場所が欲しいというのは、働く人としては当然の要求だと思います。  母性保護や妊産婦の権利が均等法改正で拡充されましたけれども、休養や、それから妊産婦は補食というのができる、つわりがひどいときなどはちょっと合間に食べ物を食べることができるということになっても、子供が出入りしているような職員室ではそういうこともできない。休養室があればというふうなこともあるわけですけれども場所がない。せっかく均等法では保障されても、それをきちんと保障する場所がないというのが今の状況なので、ぜひこれは、休憩室もそれから休養室もきちんと整備をしていくような方策を考えていただきたいということをお願いしたいと思います。  次に、学校の教職員用トイレの問題についてなんですけれども、十一月四日付の東京新聞に、「男女共用トイレもう嫌」、こういう大きな記事が載っております。全教の調査によりますと、職員用の男女共用トイレというのがまだ小中学校では三割近くある、高校でも七校に一校の割合で残っているということなんです。前回、五年前の調査と比べてもこれがほとんど改善されていないというような状況なんですね。これも事務所衛生基準規則には、事業者は男性用と女性用に区別すること、また学校施設整備指針には、教職員や外来者用の便所は生徒用とは別に適切な位置に計画することが重要である、これまた明確に規定がされているわけです。  この際、一番大きな問題となりますのは、どうしてもお金の問題、予算の問題、ここにかかわってくるわけですね。ですから、これは大臣にお聞きしたいんですけれども、大規模改造事業というのでは、コンピューター教室に改造するための内部改造、音楽教室、家庭教室、図書室などへの空調工事、障害児対策のための施設整備工事、こういうものが対象になっているんです。ところが、トイレは対象になっていないんですね。コンピューター教室への改造は一千万円、空調工事は四百万円でも対象になっているわけですから、地方の財政力のない自治体では、国からの補助金がないということで、やりたくてもやれないという足踏み状態になっておりますので、自治体任せにしないで、文部省としても手だてをとって、大規模改造事業でトイレの改造ができる方策をとってほしい。これは本当に人権問題だという位置づけで進めていただきたいと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  44. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 委員指摘のとおり、トイレの改造工事はこれまで大規模な改造事業、これは下限事業費が七千万円でございますが、この改造事業の中でなければ国庫補助の対象とはならなかったところでございます。  しかしながら、平成十年度第三次補正予算から、事業規模の小さなトイレ改造につきましても、教育内容方法等の改善を図るための教室改造と一体で行う場合には、これは下限事業費二千万円ということで、そういう場合には国庫補助の対象とできるように制度の改善を図ったところでございます。これによりまして学校の男女別トイレの整備が実施しやすくなったと考えておりまして、文部省といたしましても、各地方公共団体の事業計画に支障がないよう努めてまいりたいと思っております。  教職員用トイレの設置状況でございますが、平成六年度は、設置率はもちろん一〇〇%なんでございますが、男女別設置率ということで見ますと八七・八%、平成十年度になりますと男女別設置率が九二・六%と改善をされております。  なお、学校別に見ますと、小学校では男女別設置率は九一・一%、中学校が九四・四%、高等学校になりますと九七・七%となっておるわけでございます。  現行のトイレ改造の補助下限額、二千万円でございますが、これは標準的なトイレ整備事業を想定いたしまして、その整備が可能となるよう設定したものでございます。  学校施設の通常の維持管理に係る小規模なトイレの改修につきましては、地方交付税措置等によりまして、各学校の設置者である地方公共団体の責任において適切に対処するものと考えております。したがいまして、トイレ単独の改修や事業費が二千万円以下の改造工事の中でのトイレの改修にまで補助制度を拡大することは考えていないところでございます。
  45. 林紀子

    ○林紀子君 今お話がありましたけれども、九割以上になっていると言うんですけれども、それはカーテンで間仕切りして男女別だというふうに数えたのも含めてという数字なんですよね、実態は。ですから、確かに交付税で措置していると言うけれども、やはり補助金という形でこれはこれに使いなさいというふうにならないとなかなか進まないということは申し上げたとおりなので、ぜひ、二千万円ということで区切らずに、先ほど申し上げましたように一千万円、四百万円でもできる部分があるわけですから、それと並びで考えていただきたいというのをもう一度お願いして、また次の予算の問題、お願いしたいんです。  日本学術会議が最近出しました大学研究環境の改善についてという提言では、「大学における施設(スペース)が現時点において最も緊急に改善を要する問題点である、」、こういう指摘をされているわけですね。  科学技術基本計画では、国立大学につきましては、狭隘化の解消及び老朽施設の改築・改修に一千二百万平方メートルの整備が見込まれるとあります。しかし実際には、今年度を含めてこの四年間で二百三十六万平方メートル、計画の二割しか整備されていない。来年度が計画の最終年となっているわけですから、二割では本当にこれが達成できるのかどうか非常に疑問なわけですが、この達成をどうするつもりでしょうか。
  46. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 日本学術会議におきまして、十月二十七日の総会におきまして、委員指摘のとおり、研究施設の充実について勧告として発表されております。現在、国立学校が保有する全建物面積は約二千二百七十万平米でございますが、このうち、建築後二十年以上経過し、一般的に大規模な改修等が必要な建物は約八百六十万平米で、全体の三八%を占めるなど施設の老朽・狭隘化が進んでおりまして、その対応が大きな課題一つとなっております。  文部省といたしましては、平成八年度からの四カ年におきまして、数次にわたる補正予算も含め、施設の老朽・狭隘化の改善整備や大学改革への対応整備等として、事業量約二百四十万平米、事業費約八千六百七十億円の整備を行うなど、国立学校教育研究環境の改善整備に最大限の努力を払ってきたところでございます。  今後とも、財政状況等を勘案しながら、国立学校施設の老朽・狭隘化対策に積極的に取り組むとともに、教育研究発展充実に資するよう、施設の整備充実に一層努めてまいりたいと思っております。  私も日ごろからこういう施設の改善はぜひ必要だと、そういうふうにも思っておりまして、今後もこの改善に努力していきたいと思っております。
  47. 林紀子

    ○林紀子君 終わります。
  48. 畑野君枝

    畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。  中曽根科学技術庁長官に、十月二十八日、アメリカの原子力軍艦が寄港する港湾の地元である横須賀、佐世保の市長から要望書が出されております。東海村の事故を契機に、原子力軍艦の寄港に関する市民の不安がさらに高まりつつある、こういうふうにも述べられておるわけですが、地元のこうした心配について、長官はどのように受けとめていらっしゃいますか。
  49. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 科学技術庁長官として答弁させていただきます。  今回の事故によりまして、米国の原子力軍艦が寄港する横須賀市それから佐世保市、沖縄県の地元の方々にも御不安を与えていることはまことに残念であり、また私ども大変厳しく受けとめております。  米国原子力軍艦の我が国への寄港に際しましては、当庁といたしまして海上保安庁及び地方自治体等と協力して厳重な放射能調査、監視に取り組んできているところでありまして、今後ともこれらを充実していくことなどによりまして地元の皆様方の不安の解消に努めてまいりたい、そういうふうに思っております。
  50. 畑野君枝

    畑野君枝君 また、長官あてに、十一月十九日ですけれども、神奈川、沖縄、東京、埼玉、千葉など基地を抱える十四の都道県知事連絡協議会の米国原子力軍艦の放射能事故対策についての緊急要望が出されております。この点では、事故対策は全く不十分で、新法の対象とするか、新法を適用した場合と同様な効果が生じる方策を早急に講じられたい、こういう要望でございますが、今後こうした要望にどのようにこたえていかれる決意ですか。
  51. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 我が国に寄港する米国原子力軍艦につきましては、米国政府が累次にわたる政府声明及び覚書をもってその安全性を保証しているところでございます。これによりまして原子力軍艦の寄港時の安全は確保されているものと認識をしておりますけれども、科学技術庁といたしましては、原子力軍艦放射能調査指針大綱に基づきまして、米国原子力軍艦の寄港に際して、関係省庁及び地元自治体との協力のもと、厳重に放射能調査、監視を行っているところでございます。  さらに、万が一の事故時の対応につきましては、必要に応じ専門家を現地に派遣し、放射能調査、監視体制を強化するとともに、関係省庁及び地元自治体と協力のもと、一定海域への立入制限など、周辺住民の方々に影響が及ばないよう所要の対策を講じることとしております。  当庁といたしましては、今回の事故を踏まえまして、万が一の事態にその状況を的確に把握する上で重要なモニタリングポストの高度化を図る等、放射能調査、監視体制、万が一の事故時対応の充実に努めてまいりたい、そういうふうに思っております。
  52. 畑野君枝

    畑野君枝君 長官、今のでは防災計画はないわけです。だって、大綱というのは調査をするということですから。事故が起こり得るという前提でこういう対策を強めていくという立場はおありなんですか。
  53. 間宮馨

    政府参考人間宮馨君) 今の点に関しまして、当庁といたしましては、今回のジェー・シー・オー事故を踏まえまして、既に、万が一の事故の際の通報が十全になされるよう米国政府に要請するよう外務省に求めたところでございます。  また、今後一層放射能調査の充実強化に取り組むとともに、事故時の対応につきましても地方自治体の理解が得られるよう努力してまいりたいというふうに考えております。
  54. 畑野君枝

    畑野君枝君 横須賀市は国がやってくれないから地元で防災計画をつくる、それから佐世保市も対策マニュアルをつくると。私は国土庁や消防庁からも伺いましたけれども、やはり専門的な知見を持っている科学技術庁が動かなかったらだめなんです。こういうのについて、どういうふうに国として対応するんですか。
  55. 間宮馨

    政府参考人間宮馨君) 一般的には、災害対策基本法に基づく市町村の地域防災計画の作成または修正につきまして、県との協議において調整が図られるものと理解しておりまして、神奈川県の地域防災計画につきましても具体的な協議等がございますれば、当庁としても適切に対応してまいりたい、こう考えております。
  56. 畑野君枝

    畑野君枝君 今までそういうふうに言って、半年間できていないんですけれども、今度こそできるということで、具体的に米側とのことや技術的な支援や財政を含めておやりになるんですか。
  57. 間宮馨

    政府参考人間宮馨君) 今申し上げましたように、現行の災害対策基本法の枠組みの中で県と協議をしていくということで考えております。
  58. 畑野君枝

    畑野君枝君 確認ですけれども、そうしますと、事故が起こり得るということを前提にそういうことをするということですね。今までは事故が起こらないということを前提に科技庁が動かなかったという意見があるわけですから、その基本法で、原潜の事故もあるという前提で計画を具体的に相談して進めるということですか。
  59. 間宮馨

    政府参考人間宮馨君) これまでも異常時の対応ということは考えてございまして、今回の事故もございますし、県の方と協議してまいりたいということでございます。
  60. 畑野君枝

    畑野君枝君 ぜひ進めていただきたいというふうに思います。  長官、そういうことで、事故が起こり得るということを前提にきちっとこの対策も進めていただきたいと思いますが、いかがですか。
  61. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) これは、東海村のような施設のみならず、今委員指摘の軍艦等の寄港する地域の防災計画についても十分配慮して、地元の住民の皆さんが御不安にならないように、それから万々が一異常が発生したときの対応というものも日ごろから自治体関係者と十分に話をしていく必要があると考えておりまして、今局長が申しましたように、地方公共団体とも十分な協議をしていきたいと思っております。
  62. 畑野君枝

    畑野君枝君 ぜひ進めていただきたいと思います。  次に、いわゆるサッカーくじについて伺います。  八月に金融機関が決まりまして、大和銀行の発売計画などについての提案の概要も日本体育・学校健康センターを通じて出されました。本当にびっくりするような中身なんですけれども、センター法では、文部大臣が監督するというふうになっているんです。そして、我が参議院では附帯決議もされて、「発売に当たっては、青少年に悪影響を及ぼさないよう販売方法等について十分留意すること。」というふうになっているんです。  私は、青少年の保護育成をつかさどる文部大臣として、悪影響を及ぼさないという断固とした態度を求めたいんですが、どのようにお考えですか。
  63. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 十九歳未満の者のスポーツくじの購入禁止規定は、青少年の健全育成に関するさまざまな御意見に配慮して、そしてまた、広く国民皆さんの理解を得る観点から定められたものと承知しております。  今、さまざまな御意見と申し上げましたけれども、くじの購入に伴い、非行を誘発するのではないかとか、あるいは社会的に未熟な青少年が勤労を経ずして金銭を得ることはいかがなものか、そういうようなさまざまな御意見がありました。  文部省といたしましては、このスポーツ振興投票の実施に向けまして、十九歳未満の者の購入禁止措置をより確実に行うことに十分配慮しながら準備を進めるよう、日本体育・学校健康センターを指導しているところでございます。
  64. 畑野君枝

    畑野君枝君 そこで、コンビニエンスストアなんですが、当面発売場所の対象としないとなったわけですが、その理由は何ですか。
  65. 遠藤昭雄

    政府参考人遠藤昭雄君) お答えいたします。  保健体育審議会におきましては、いわゆるコンビニエンスストア、これにつきましては青少年が多数出入りをしている、かつ、そこがいわば青少年のたまり場になっているというふうなこと、それから十九歳未満の者が販売に多くかかわっているということ、さらに十九歳未満の者だけが販売にかかわっている時間帯があるというようなこと、こういった点につきまして懸念が表明をされたわけでございます。  そこで、発売当初はより慎重な対応をすべきであるという観点から、いわゆるコンビニエンスストアは当面発売場所の対象としないというふうにされたものでございます。
  66. 畑野君枝

    畑野君枝君 今回、販売店ネットワーク候補としてレンタルビデオ店など十三の業種が出されているんですけれども、じゃ今のコンビニとどう違うのか。レンタルビデオ店にも中高生はたくさんいますよ。売っているのも若い人がいるし、その人だけが売っている時間帯もある。しかも、文部省は、先ほど大臣が心の教育をおっしゃいましたけれども、中央教育審議会が去年の六月に答申を出して、レンタルビデオショップが本当に大変な事態になっている、自主規制をやってほしい、中高生で、アダルトビデオが一番目立つところに置いてあると思うのは五六%だという調査もつけて出しているわけですよ。  青少年に対する対応が必要なこういうお店で、しかもサッカーくじを売る、文部省検討していないじゃないですか。一つ一つ検討することも含めて、ぜひ発売計画などについて情報公開をきちっとやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  67. 遠藤昭雄

    政府参考人遠藤昭雄君) 確かに、大和銀行の提案によりますと、レンタルビデオ店チェーンというのが入っております。レンタルビデオ店などの一部につきましては、十九歳未満の青少年も出入りしているという場所、そういう側面はございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたが、青少年のたまり場となっておるのか、あるいは十九歳未満の者が販売に多くかかわっているという状況があるのか、さらには十九歳未満の者だけが販売にかかわっている時間帯があるのか、こういった保健体育審議会で御議論となった点を総合的に勘案いたしますと、御指摘の各業種がコンビニエンスストアと同じであるというふうには私どもは考えておりませんで、レンタルビデオ店チェーン、私どもが聞いたチェーンでは、常時年齢確認を確実に行ってチェックをしているということも聞いております。
  68. 畑野君枝

    畑野君枝君 ちゃんとそういうのを公表してください。
  69. 遠藤昭雄

    政府参考人遠藤昭雄君) この点につきましては、現在、大和銀行それからセンターと具体の販売業種の選定について協議を行っておるところでございますので、これが決まりました段階ではできるだけ早く皆さんに公表していきたいというふうに考えております。
  70. 佐藤泰三

    委員長佐藤泰三君) 時間ですから、簡潔に願います。
  71. 畑野君枝

    畑野君枝君 時間が来ましたので。  本当にこうなんです、結果だけが言われるわけですよ。だから、委員会でもちゃんと集中審議をして、「通販生活」では八五%反対と、もう多くの団体の皆さんからも来ているんですよ。だから、本当に青少年を大事にするというんだったら、委員会をきちっと開いて審議するということを求めて、終わります。
  72. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 社会民主党の日下部禧代子でございます。  事故発生後一度も本委員会が開かれておりませんので、東海村の原子力事故についてお尋ねいたします。  九月三十日の事故発生時、私は日本におりませんでベルリンにいたわけでございますが、連日、テレビ、新聞、トップニュースで日本のこの事故を伝えておりました。第二のチェルノブイリというふうに大きく報じた新聞もございました。環境大臣の記者会見が直ちに開かれるなど、緊張した空気に包まれていたわけでございます。  しかし、バケツで許可量をはるかに超える大量のウランを扱って発生した臨界事故だと報道されると、まあ、これは信じられない、一九五〇年代の事故ではないかというような驚きの声に変わったわけでございます。科学技術創造立国というものを標榜する我が日本国といたしまして余りにお粗末としか言いようのない事故の真相に、私もやや恥ずかしいという気持ちさえ現地でしたのでございます。  ところで、帰国いたしまして、この間ドイツの留学生に会う機会がございました。そのときの様子を彼女は話してくれたんですけれども、本国から親、友人あるいはボーイフレンドなどからも電話がいっぱいかかってきたということを言っておりました。留学生仲間というのは寄るとさわるとその事故のことを話していたそうです。しかしながら、留学生を除いては、大学日本人の仲間あるいは日本の方々というのは全くこのことを話題にしていなかったということについて非常に驚き、不思議だということを私に話していました。  日本は二度の原爆の経験がございます。核に対する意識はどの国よりも高いと自他ともに信じてきたというふうに私は思います。しかし、今や核に対してはむしろ外国人の方がセンシティブである、核に対して何か麻痺をしている、核に対する想像力とか感度に乏しい国となってしまっているのではないかなというふうな気さえするわけでございます。  二重三重のルール無視という今回の事故がそれを象徴的に示しているように思うわけでございますが、科技庁長官、いかがでございましょうか。
  73. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 我が国は唯一の被爆国として、国民からの理解と支持を受けて原子力基本法を制定し、またこの法律に基づきまして、平和利用に徹して、さらに安全確保を大前提として原子力の研究開発利用を進めてきたところでございます。また、国際的な核軍縮や核不拡散体制の維持強化にも積極的に取り組み、国際的な信頼も得てきたところでございます。  しかしながら、今回の事故では、海外におきましても新聞やテレビで連日報道がなされ、多くの方々に原子力に対する不安を与え、そのため、国内外において原子力の安全確保に対する信頼を損なうこととなり、大変残念に思っているところでございます。  今回の事故直後の国民の皆様方の反応は、連日の報道でも明らかなように極めて高かったと思います。その結果として各界から安全規制及び防災対策の抜本的強化の必要性が強く指摘されたところでもございまして、委員指摘のドイツの留学生の中でのお話がありましたけれども、日本人事故後も無関心であったというようなことはなくて、また話題にしていなかったということはなかった、私はそういうふうに思っておるところでございます。  現在、国会の方に原子力関係二法案を提出し、御審議いただいているところでありますけれども、今後も、国内外の原子力に対する信頼を回復すべく、またこれらが再発しないように防災対策の抜本的強化に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
  74. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 大臣としてはやはりそういうお答えをなさるしかないだろうというふうに思います。  ところで、今回の事故で、今大臣指摘のありましたように、急遽、原子力防災法あるいは原子炉規制に関する改正案が出されました。きのう衆議院を通過したと思います。しかし、動燃法の審議とか昨年十月の使用済み燃料輸送容器データ改ざん問題の質疑におきまして既に、原子力防災対策について実効ある法整備が必要だと、その必要性を私は何度も強調したことを覚えております。会議録をごらんになれば出ております。そのとき、当時の担当大臣のお答えというのは、必ずしも積極的とは言いがたかったというふうに私は思います。  ところで、法案の内容を見ますと、この程度のことがなぜ今まで決まっていなかったのかなというのが正直な私の感想でございます。しかし、この新しい法律内容というのが実際に機能する、いざというときに本当に役立つかどうかということがこれからの大きな課題だというふうに思います。その視点に立ちまして、この事故の検証を含めましてお尋ねをしていきたいというふうに思います。  原子炉等規制改正案では、加工施設の定期検査制度が新設されております。ところが、これまでジェー・シー・オーへの立入検査というのは七年間もなかったというふうに言われております。あるいはまた、科学技術庁の保安規定遵守状況調査というのは任意で行うものというふうにされておりまして、八四年から九二年まで八回実施されたけれども、それは、転換試験棟が稼働中だったのはわずか一回だけということでございますが、なぜウラン加工施設には今まで定期検査の義務が課せられていなかったのでございましょうか。
  75. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 従来、加工施設につきましては、施設の定期検査が義務づけられていた原子炉それから再処理施設等に比べまして、取り扱う核燃料物質の放出する放射線量、運転に伴う資機材等の劣化等が少ないことから、施設の定期検査は義務化されていなかったところでございます。  しかしながら、今回の事故が発生いたしましたジェー・シー・オーにおいては、違法な作業等が組織的に行われるとともに、加工施設において設備が不正に使用されていたという事実も指摘されているところでございます。  このようなジェー・シー・オー施設における事態を踏まえまして、今回提出している法律案により、保安規定の遵守状況についての検査を定期的に行うこととするとともに、国が定期的に施設の検査を行い安全性を確認することが必要であると判断し、施設の定期検査を新たに義務づけることとしたところでございます。
  76. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 これも事実を知って改めて非常に驚いたことの一つでございますが、核燃料物質を取り扱う者の保安教育でございます。  被曝した現場の作業員、これはスペシャルクルーというふうに言われているそうでございますが、その副長さんのお言葉によりますと、臨界ということについては入社当時、つまり二十三年前に研修を一回受けただけだというふうに言われております。  ジェー・シー・オー社員の八五%が臨界に関する知識が必要とされているような業務を担当しているというふうに私は聞いておりますが、これまでの作業員の教育訓練というのは、この副長さんのお言葉を信用するとすると、本当にどのように行われていたのかなというふうに、やはり私だけではなくみんながびっくりするだろうという事実でございます。
  77. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 保安教育に関するお尋ねでございますが、従来は原子炉等規制法に基づく総理府令におきまして、加工事業者等は保安規定に、放射線業務に従事する者に対して保安教育を行うことを規定すべきこととなっておりまして、当庁といたしましても、任意に行う保安規定遵守状況調査等の機会をとらえてその実施状況を確認してきたところでございます。  しかしながら、今般、ジェー・シー・オーにおいて作業員が作業手順や臨界制限量を無視したことによって事故が起こったこと、それから実際の作業員に対する臨界に係る教育が十分でなかったこと等を踏まえまして、衆議院で御審議いただいているわけですが、原子炉等規制法の改正案において教育訓練の一層の徹底を図ることを措置したところでございます。  今後、事業者等における従業者の教育訓練の状況を確実に把握し、必要な指導を行ってまいりたいと思います。
  78. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 次も、これは事実を知って驚いたのでございますが、これは事実なのかどうかを確認させていただきます。  中性子線の測定の指示は事故発生後直ちに出されていなかったということが一点と、それから臨界事故が発生したことを確認するための中性子測定機器、これはガンマ線に対する測定機器というのはあったそうでございますが、中性子測定機器というのは設置されていなかったという、この二点は事実でございますか。
  79. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 中性子エリアモニターは、臨界事故に起因する中性子線を検出して警報を吹鳴することにより、従業者に退避の必要性を知らせるものでございます。  今回、事故を起こしました転換試験棟におきましては、中性子エリアモニターは設置されていなかったものの、臨界事故の検知に関しましては、中性子エリアモニターと同等の機能を有するガンマ線エリアモニターが設置されておりまして、今回の事故時にはこのエリアモニターの吹鳴により従事者が退避をしたところでございます。
  80. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 もう一つ質問
  81. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 中性子線測定の指示を直ちに行ったかということでございますが、直ちには行いませんでした。
  82. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今の中性子測定機器、ガンマ線のだけがあったと言うんですけれども、その後にやはり中性子の測定機器が設置されていなかったことに対するさまざまな報道がなされておりましたけれども、これはどのように説明なさいますか。
  83. 斉藤鉄夫

    政務次官斉藤鉄夫君) このジェー・シー・オーの転換試験棟には、日下部委員おっしゃるとおり中性子モニターは設置されておりませんでした。そのかわりにガンマ線エリアモニターが設置されておりました。  本来、この施設では臨界は起きないもの、こういうことでございましたけれども、万々が一起きたときには、このガンマ線エリアモニターが吹鳴をして臨界を知らせる、このガンマ線エリアモニターでもそのような機能がございます。今回、このガンマ線エリアモニターが吹鳴したものでございます。  では、なぜ中性子線の測定をすぐ指示しなかったのかということでございますが、一般に、私も技術者の端くれでございますが、臨界が起きたとき、特に溶液において臨界が起きたときというのは、まず第一にイメージとして浮かぶのは、臨界が起きてその溶液が飛び散って臨界は一時的にストップする。じゃなぜその後ガンマ線が出続けているのか。それは、核分裂反応が起きたときに核分裂生成物ができます。その核分裂生成物からのガンマ線、それをガンマ線エリアモニターがとらえているんだろう、このように、特に優秀な技術者でなかったら、普通の技術者だったらそのように判断をした。私もその場にいたらそうだと思いますけれども、そのようなことで中性子モニターについてすぐ指示をしなかったということでございます。  これは、原子力安全委員会の中でも大きな議論になっていたところだそうでございます。
  84. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 やはり、今回予想ができなかったことが起きたということの中の一つだろうというふうに思います。  そのような予想をしていなかったということが非常に象徴的にあらわれたのが、いわゆる決死隊というふうに報道されております方々のことでございます。臨界終息のためには決死隊を募るしかなかったというふうに報じられておりますけれども、またこのような事故が起きてはなりませんが、今後同じような状況に、それこそ予期せぬ状況が生じた場合に、決死隊と言われるような方々に頼るしかないのでございましょうか。今後はどのような対策が講じられるのでしょうか。
  85. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 事故が起きましたら、この事故を収束させるための作業というのは、これは当然でございますが、その責任を有するそこの事業者がまず行うべきものでございます。  実際には、その際の具体的な事故状況に応じまして、必要な装備や要員等を勘案して、消防とか自衛隊とか関係機関が事業者の防災組織に協力をして、適切な被曝管理のもと総力を挙げて対応に当たることになる、そういうふうに考えております。
  86. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 決死隊と命名したのはマスコミだろうというふうに思いますけれども、年齢の高い方々に言わせると、戦争を日本が終息させるときにもやはり特攻隊というようなことがあった、そういうイメージと重なって、外国では神風特攻隊みたいだというふうなことを年配の方がおっしゃったのを私は聞いたことがございます。非常に科学的ではない言葉が使われてしまった、そしてそのような言葉を使わざるを得ないような状況が起きたということは、これからの大きな反省材料にしなければならないというふうに思います。  同じような問題というふうに言ってよろしいかと思いますが、消防、アンビュランスの方々の問題であります。被曝をなさっておりますが、そのときの通報は、てんかん患者が発生したというふうに聞いたとも報道されておりますし、また、それは転換棟、これは字が全然違いますが、における事故であるというのが、いわゆるてんかんの患者であるというふうに言われたとも聞いておりますが、一体事実はどうだったのでありましょうか。
  87. 間宮馨

    政府参考人間宮馨君) 当時の状況につきましてつまびらかなことは承知しておりませんが、起きた現象としては、通報があって、そのときに放射性関係の情報がまるっきりない中で消防員が飛び込んでいった。行った後で異常に気がついて、いわば事故があったということで非常に驚いたというか、そういう状況であったということでございます。
  88. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今、淡々とそうおっしゃったわけでございますが、実際、つまびらかではなかった情報によって行動を起こされた消防署員の方は被曝をなさっているわけであります。このことは、やはり情報伝達ということがいかに重要であるか、本当にそういうとうとい犠牲の上において、改めて私たちはそのことを痛感するわけでございます。正確な情報というものが迅速に伝わらねばならない、これはもちろん住民に対しても同じでございます。そのシステムということが確立されなければならないというふうに思うわけでございます。この件に関しましても、私は本委員会におきまして再三申し上げてまいったところでございます。  今回は、住民への避難要請というのは東海村の村長さんが一人で決断をなさったというふうに聞いております。それでも事故発生後約四時間半も経過していた。その間の村長のお気持ちの中というのは大変だっただろうというふうに思います。住民の命を自分が預かっている、そういう中で非常に揺れ動かれたのではないかなというふうに思います。私ども現地に行って、今回の事故ではございませんが、本委員会におきまして東海村で公聴会を開いたことがございます。そのときの村長さんのお顔が私は目に浮かびました。  この新しい法律によりましてこういう状況というのは解消しなければならないというふうに思いますが、国、都道府県あるいは市町村の段階で、だれが、どのように具体的に判断をするのかということをきちっと決めておくということは非常に重要だということは言うまでもないことであります。住民の避難のおくれということは、それだけ被曝の増加ということにつながるわけでございますから。その点についていかがでございましょうか。
  89. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今回の事故の教訓のうち最も重要なものは、原子力災害に対して迅速な初期対応、初動態勢をとるということでございます。  このため、今回提出しております法案におきましては、原子力防災に関して専門的知識を有する国が万全の措置をもって地方自治体を迅速に支援することを基本的な考えとして、所要の措置を講じることといたしております。  具体的には、事故や異常事態が発生し、異常な水準の放射線量の放出が検出された場合等におきましては、迅速な初動態勢を確立する観点から、内閣総理大臣が直ちに原子力緊急事態宣言を発出し、市町村長や都道府県知事に対して指示を行うなどの措置をとることとしております。  なお、法案の施行後におきましても、地方自治体はこれまでと同様、災害対策基本法等に基づきまして、現地の状況を直接把握できる立場にあるということから、国の指示を待たずに迅速に住民等に対して必要な指示等を行うことが可能となっております。
  90. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 その場合に、やはり放射線あるいは原子力の問題というのは非常に専門性が高いものでございます。私の義理の妹も専門家でございますが、彼女から何度説明を聞いても私はなかなかわからないところがございます。  したがいまして、現場で自治体の方々が、例えば村長さんが避難命令を出すとか決断をなさいますときには、やはり非常に迷われるだろうと思うんですね。そういった現場をサポートするということは、これからより以上にされなければならないと思いますが、具体的にはどういう形でサポートがされるのでございましょうか。
  91. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今申し上げましたように、異常な水準の放射線量の放出が検出された場合等においては、内閣総理大臣が直ちに原子力緊急事態宣言を発出し、そして、原子力災害対策本部を設置するわけでございます。そして、現地対策本部を同時に設置いたしまして、それなりの知識を持った、また立場の者が現地対策本部の本部長になるわけでございますが、今回の法律におきましては原子力防災専門官を設置することといたしておりまして、この原子力防災専門官が原子力施設のある地域に日ごろから常駐をしております。  そういうことで、国からの指示あるいは現地の対策本部の本部長の指示等がまだ発出できるような、指示が行えるような状況にない場合におきましても、この防災専門官が地方自治体の長等にアドバイスをして適切な対応がとれるように、そういうふうにしているところでございます。
  92. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 情報公開というのは非常に重要であります。今回も非常にそれは重要だと思うんですが、やはり情報公開される場合のされ方であります。専門的な用語をずらずらと並べてしまっても、これは素人が一体何なのかということであります。したがいまして、それをパラフレイズする、通訳のような人が今おっしゃった専門官ということでよろしゅうございますね。  それに加えまして、やはり放射線というのは色もにおいも、あるいはまた音というものもないわけでございますね。それで、危険度というのを知るということは専門家以外には非常に難しいわけであります。地震なんかの場合には震度何度とかマグニチュード何というふうな形で具体的に素人が判断できる基準がございますけれども、この放射線の危険度を示す何か判断の基準、算定の検討ということはいかがなものでございましょうか。
  93. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 原子力施設における事故、故障等につきましては、その内容が非常に技術的、専門的なために、今委員がおっしゃいましたように、一般の国民の方には安全上の重要性や影響の度合いを直ちに理解することは非常に難しい面があることは御指摘のとおりでございます。  このため、我が国におきましては、昭和六十三年に評価尺度の導入を行いました。そしてその後、国際原子力機関等で同種の評価尺度の導入について検討が進められ、混乱や誤解を避け、国際的にも統一のとれた指標を用いるべく、平成四年以降は国際事故評価尺度、INESと言っておりますけれども、これを用いることとしたところでございます。国際事故評価尺度につきましては、事故発生時に暫定評価の速やかな公表に努め、国民の皆様の理解に供しているところでございます。  国際事故評価尺度に限らず、国民の原子力への理解を得るべく、事故内容、程度、影響等については今後ともわかりやすい情報提供をしていかなければならない、そういうふうに思っております。
  94. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 引き続いて、避難誘導の問題でございますが、避難のことに関してもお尋ねいたしますけれども、東海村では防災無線で住民に避難を呼びかけたそうでございます。しかしながら、当然のことだと思いますが、そのときは当然のことのように扱われなかったのございますが、聴覚障害者は幾ら防災無線で言われたとしても聞こえないわけでございます。支援団体が自治体にかわりましてファクスで情報を提供したというふうに私は聞いております。そしてまた、ある方は、事故発生の翌日の午後九時近くに、八時四十五分にNHKの手話ニュースがあるんですね、そこで初めて臨界という言葉意味を理解したというふうに聞いております。  聴覚障害者への配慮、これはあったとは言えないわけでございます。たまたまその被害者がまだ出ていないので私たちは見過ごしてしまいがちでございますが、非常に重要なことだと思いますが、当時どのような対応がなされたのか、私が今申し上げたのが事実なのか。そして、今度、どのような対応をするという形のものができ上がろうとしているのでございましょうか。
  95. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今回の事故の対応におきましては、例えば東海村におきましては、介護サービスの協力を得て村の職員が聴覚障害者を各戸訪問するなどいたしまして避難等の支援を行いました。また、東海村以外の地域におきましては、自治会や町内会により聴覚障害者の皆さんへの情報伝達が行われたと聞いております。この情報伝達は、委員おっしゃいますように大変大事でございまして、今回は、地域レベルではその地域で可能な限りの対応をしていただいた、そういうふうに認識をしております。  国といたしましても、防災基本計画の原子力災害対策編におきまして、高齢者それから障害者、その他のいわゆる災害弱者を適切に避難誘導するため、地域住民それから自主防災組織等の協力を得ながら避難誘導体制の整備に努める旨を盛り込んでおります。今回の事故の教訓を踏まえ、今後も国として地方自治体に対し適切に指導、助言をしてまいりたいと思っております。  このような方々に対する情報の伝達はどうしたらいいかということでございますけれども、さまざまな方法考えられると思いますが、日ごろから地域におきまして十分に御協議いただいて、家族がおられる場合は家族はもちろんでありますけれども、御近所の方等の協力がすぐいただけるような体制をとるということも一つのまた基本的な方法ではないか、そういうふうに思っております。
  96. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今、可能な限り対応したというふうに認識しているとおっしゃいましたけれども、やっぱりその認識は甘いのではないかと思います。  住民の方々、特に聴覚障害者に関する団体の方々から伺いますと、非常にやはり不安と、それから情報が遅かったというのは事実のようでございます。戸別訪問をなさったとおっしゃいますけれども、それは直後ではなかったというふうに私は把握しております。長官としては、やはりもう少しリアルな実態把握をなさっていただきたいというふうに思います。  これは文部省科学技術庁には関係ないのかもわかりませんが、その地域には福祉施設、共同作業所、そういったものがあるわけです。いわゆる屋内退避要請の出た十キロ圏内に二十七施設、約千五百人の方が入院あるいは入所なさっていたそうでございます。ところが、厚生省から指示が届いたのは事故発生から約七時間後だったというふうに聞いております。県あるいは東海村周辺の市町村社協に対する指示というのは半日以上かかったというふうに聞いております。非常に驚くべきことでございます。これは今、厚生省関係ですからお尋ねはいたしません。  ところで、養護学校への連絡の問題がございます。  自治体からの指示で学校の屋内退避が行われているうち、ひたちなか市の県立養護学校への指示が漏れているということを私は耳にしております。ひたちなか市では県が指示を行うものだろうと考えた、県の方は市が行うものだと考えた、その結果、連絡漏れということになってしまったわけであります。この事実はどうだったのかということが一つでございます。このような養護学校だけではなく学校への連絡体制というものを確立しなければならないということは当たり前なんですけれども、今後どのような対策をお考えになっていますか。  まず、ひたちなか市の養護学校の連絡の問題が一つ、そしてあとは学校全体の連絡網のことでございます。
  97. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 文部省では、都道府県教育委員会等に対しまして、災害対策基本法に基づき策定することとなっている地域防災計画において、災害時における学校等との情報連絡体制の整備を行うよう指導しているところでございます。  なお、茨城県教育委員会によりますと、九月三十日十四時五分、午後二時五分に県立養護学校に対しまして、窓を閉めて教室内に退避するよう指示をいたしました。これは十四時五分に当学校から県教育委員会へ問い合わせがあったということでございまして、その問い合わせがありましたので、そのときに、今申し上げましたような窓を閉めて教室内に退避するよう指示をしたと。そして、下校に際しましては、地域の防災放送等により状況把握の上、スクールバスが事故現場を迂回して児童生徒を直接保護者に引き継ぐよう指示をした、そういうふうに私は報告を受けております。  十四時五分の時点におきましては、県に必ずしも正確な情報がない状況であったと思われますけれども、これらの措置は初動的対応としては適切なものであったと私は理解をしております。  また、文部省におきましては、同日二十二時三十分、県知事の十キロメーター以内の屋内退避勧告を受けまして、十キロ圏内の国公私立学校等に対し、翌日の休校措置をとるよう県教育委員会に要請をいたしました。これによりまして、十キロ圏内のすべての学校等において休校措置等がなされたところでございます。  今後、緊急時における情報連絡体制の整備につきましては、一層の充実を図るよう県及び市町村教育委員会等とよく協議をしてまいりたいと思っております。
  98. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 十四時五分にということで、適切な対応だったとお思いになるその理由はどういうことでございますか。
  99. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 事故発生が十時三十五分でございましたか、そういうことから考えますと三時間半近くたっておりました。  今、私は十四時五分に問い合わせと申し上げましたけれども、十四時に学校から問い合わせがあったようでございまして、十四時五分に指示をしたということでございます。  情報の少ない中で教育委員会がこのような指示をその時点でしたということは、私はできるだけの対応であったというふうに思っております。
  100. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 それは、非常に大きな事故、つまり被害者がそこで即座に出なかったということの結果があるがゆえに、今そういうふうに適切であった、間に合ったというふうにおっしゃるのでありまして、もしそうでなかった場合、非常に重症の被曝者が出た結果だったらば、今大臣はそういうことはおっしゃっていられないだろうというふうに思います。  そういう切迫感といいましょうか、その辺のところの感覚のずれというものが、非常に私たち国民がいらいらする、大丈夫なのかしらという不安を持つ原因ではないかというふうに私は思います。  ところで、原子力安全委員会が周辺の健康調査の進め方について健康管理検討委員会というのを設置したのが、事故発生から一カ月以上たった十一月四日であります。そして科学技術庁が初めて住民説明会を開催したのが、これはいろいろと接触はあったと思いますけれども、住民説明会として開催されたのが十一月十四日ということであります。  ジェー・シー・オーにおける違法の裏マニュアルを長年にわたって見逃していたという、これは全く言語道断でありますけれども、そういう事実はもとよりのこと、今私は二つの点を、あるいはまた今まで幾つか指摘をしてまいりましたけれども、この対応のおくれということ、あるいはまた危機管理についての認識、危機管理の体制などを見ますと、国の安全行政というのは機能していたとは言いがたいというふうに私は言わざるを得ないと思うんです。  そこで、大臣に、危機管理に対するこれまでの日本の対応と、それと同時に科学技術庁あるいは国の責任ということについてどうお考えになっているかをお聞きしたいと存じます。
  101. 斉藤鉄夫

    政務次官斉藤鉄夫君) 大臣のお答えの前にちょっと技術的なことで答えさせていただきます。  先ほど日下部委員から、いわゆる線量推定値を出すのに大変時間がかかった、これはある意味で時間がかかり過ぎではないか、怠慢ではないか、こういう御指摘がございました。この点についてだけまず私から答えさせていただきます。  どの程度の線量分布があったかということにつきましては、これは大変……
  102. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 私はそんなことは何にもまだ言っていないです。
  103. 斉藤鉄夫

    政務次官斉藤鉄夫君) いや、十一月四日の線量分布、一カ月かかったというふうにおっしゃいましたが……
  104. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 違う違う。委員会が設置されたのが十一月四日ということを言ったんです。
  105. 斉藤鉄夫

    政務次官斉藤鉄夫君) その委員会におきましてこの線量分布が発表されたわけでございますけれども、これは住民の皆さんの健康管理という意味で重要な数字でございます。したがいまして、この数字につきましては慎重にも慎重を期して、あらゆる科学的な知見、データを用いながら、また沈殿槽の中のサンプル採取等も踏まえて算出したものでございます。かつ、この値がいわゆる過小評価にならないように、住民の健康ということから考えれば、ある意味で安全側になるようにというもろもろの判断を加えながら行ったものでございまして、一カ月という時間がかかったのでございます。  その点だけちょっと私の方から申し述べさせていただきました。
  106. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 委員会を開くための基礎調査に時間がかかったということなんですね。そのようにおっしゃってくださらないとわかりません。
  107. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今、総括政務次官から御説明申し上げましたように、十一月四日には周辺環境における線量の基礎資料を取りまとめまして原子力安全委員会報告を行ったところでございます。この線量評価を受けまして、念のため長期的な健康影響について技術的かつ詳細な検討を行うために、同日の原子力安全委員会において健康管理検討委員会を設置いたしまして検討に着手していただいております。  なお、科学技術庁といたしましては、地元自治体の協力を得て、より精密な個人の被曝線量を推定するため行動調査を実施しております。今後の長期的な健康管理の取り組みに資することとしております。  私どもは、事故原因の究明はもちろんですし、再発防止対策、これも全力で取り組まなければならないと思っておりますが、住民の皆様方の健康の問題、心のケアの問題あるいは風評被害の問題等、大変重く受けとめておりまして、一日も早くもとの生活に戻れるようにという点、我々の立場で今全力で対応を行っているところでございます。健康の問題、大変な御不安があるわけでありますが、いろいろな取り組みを行うことによりまして、また地元住民の皆様の御理解を得るということが大切と思っております。地方自治体とも調整の上、十三、十四日の両日にわたって説明会も開催をさせていただきました。  なお、危機管理体制についての御質問がございましたけれども、今回の事故に対しましては、得られた情報をもとに可能な限りの判断と対応を行ってきたところでございます。しかし、初動態勢におきまして事故状況の正確な把握が十分でなかったこと等、素直に反省すべき点がいろいろとございます。私どもは、反省すべき点は謙虚に反省し、また不備な点はこれからそれを直していかなければならないと思って法案の御審議をいただいているところでございますけれども、今後の再発防止策、それから国民の皆様の信頼を回復すべく全力で取り組んでいきたいと思っております。
  108. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 科学技術庁、国の責任ということはやはり非常に深く御認識なさらないと、今後の対応ということはあいまいな形になってしまいます。やはり深い反省、そしてそれをきちっと認識する、責任を感じる、そこから初めて私は今後の対策が講じられることと思いますし、また信頼回復ということもそれなしには考えられないということを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  109. 佐藤泰三

    委員長佐藤泰三君) 本日の調査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十六分散会