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1999-12-13 第146回国会 参議院 中小企業対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十二月十三日(月曜日)    午前十時二十九分開会     ─────────────    委員異動  十二月十日     辞任         補欠選任      池田 幹幸君     宮本 岳志君      西川きよし君     石井 一二君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         陣内 孝雄君     理 事                 岩井 國臣君                 加藤 紀文君                 須藤良太郎君                 野間  赳君                 寺崎 昭久君                 円 より子君                 弘友 和夫君                 緒方 靖夫君                 梶原 敬義君     委 員                 加納 時男君                 釜本 邦茂君                 久世 公堯君                 小山 孝雄君                 斉藤 滋宣君                 仲道 俊哉君                 馳   浩君                 保坂 三蔵君                 森下 博之君                 森山  裕君                 山崎 正昭君                 山下 善彦君                 足立 良平君                 朝日 俊弘君                 今泉  昭君                 川橋 幸子君                 木俣 佳丈君                 高嶋 良充君                 羽田雄一郎君                 福山 哲郎君                 加藤 修一君                 益田 洋介君                 松 あきら君                 山本  保君                 西山登紀子君                 宮本 岳志君                 山下 芳生君                 三重野栄子君                 高橋 令則君                 渡辺 秀央君                 菅川 健二君                 水野 誠一君                 石井 一二君    国務大臣        通商産業大臣   深谷 隆司君    政務次官        大蔵政務次官   林  芳正君        通商産業政務次        官        細田 博之君        通商産業政務次        官        茂木 敏充君        郵政政務次官   小坂 憲次君        労働政務次官   長勢 甚遠君        金融再生政務次        官        村井  仁君    事務局側        常任委員会専門        員        塩入 武三君    政府参考人        金融再生委員会        事務局長     森  昭治君        金融監督庁監督        部長       乾  文男君        法務大臣官房審        議官       小池 信行君        厚生省生活衛生        局長       西本  至君        農林水産省畜産        局長       本田 浩次君        通商産業省産業        政策局長     村田 成二君        資源エネルギー        庁長官      河野 博文君        中小企業庁長官  岩田 満泰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○中小企業事業活動活性化等のための中小企  業関係法律の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○新事業創出促進法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから中小企業対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十日、西川きよし君及び池田幹幸君が委員を辞任され、その補欠として石井一二君及び宮本岳志君が選任されました。     ─────────────
  3. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事緒方靖夫君を指名いたします。     ─────────────
  5. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  中小企業事業活動活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律案及び新事業創出促進法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会政府参考人として金融再生委員会事務局長森昭治君、金融監督庁監督部長乾文男君、法務大臣官房審議官小池信行君、厚生省生活衛生局長西本至君、農林水産省畜産局長本田浩次君、通商産業省産業政策局長村田成二君、資源エネルギー庁長官河野博文君及び中小企業庁長官岩田満泰君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 中小企業事業活動活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律案及び新事業創出促進法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 おはようございます。  いよいよ年の瀬であと三週間ほどでことしも暮れようとしておりますけれども、恐らくことし最後の質問でございます。おつき合いいただきますようよろしくお願い申し上げます。  まず冒頭、非常に喜ばしいニュースがやってまいりまして、雅子妃は私の家内と同年でございまして、そんなことはどうでもいいんですが、どうもようやくお子が生まれそうであるということで、本当に喜ばしいと思っております。私も四人の子供を持っておりまして、それもどうでもいいことではございますが、少しは少子高齢化に役に立つように、そんな思いで今暮らさせていただいておるわけでございます。  さて、そういう中で、中小企業というのはまさに赤ちゃん、子供のようなものでございまして、本当に何度も何度も申し上げておるわけでございますが、トヨタそしてまた本田、ソニー、こういったものも十年前、二十年前、三十年前、百年前には本当に小さな芽であった。これが成長して全世界を制覇するような巨大企業になった。これはドイツでも同じで、ダイムラー、ボッシュ、こういったところもやはり同様に本当に小さな手工業の一町工場が今や世界に冠たるダイムラー・ベンツであるとか、今はダイムラー・クライスラーですかというところになっておるわけでございます。  そこで、ちょっと急旋回してしまうんですが、今回の補正予算、そしてまた通常予算のことを少し考えたいと思います。  中小企業予算というのは、大体毎年二千億とかそのぐらいしか一般会計に計上されておらぬわけでございます。今回の補正では大幅に、七千億という規模でございましたでしょうか、計上されておるわけでございますが、これは農業とかと比べますと中小企業予算というのは十五分の一、十六分の一というオーダーでございます。  予算のことで少し冒頭申し上げたいのは、下水道工事が悪いというわけではないんですけれども、例えば平成十一年度当初予算で一兆一千二百九十二億円、一般会計予算の一・四%。第二次補正でも千五百六十八億円。そしてまた、これに似た事業というのか、農水省予算でございますが、集落排水というのは一千三百五十六億円、そして二次補正でも百四十億円、こうなっておるわけなんです。  これは、下水道をちょっと通産大臣に聞くのもなんでございますが、工事現場を見に行ったことはおありでしょうか。
  9. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私は東京政治家でございまして、毎日浅草から国会へ通ってまいります道すがら年がら年じゅう見ている、そういう経験者であります。
  10. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 大蔵政務次官、どうでしょうか。工事を見たか、見ないか。
  11. 林芳正

    政務次官林芳正君) 私は山口県でございますので、下水道地域ベース人口ベースでいろいろ数字がございますが、まだたしか半分ぐらいかなと、整備率が。ですから、たしか私のじいさんのうちもまだ下水道がついていなかったのを子供のときに記憶しておりますが、そういう意味ではいろんなところで工事をやっているのは見たことはございます。
  12. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 何でこんなことを聞くかというと、やはり私の地元愛知県の方でも多く今下水道工事をやったり、農村集落排水、こういったものの整備をやっておるわけなんですが、これは、例えば大体メーター当たりで元請が一メーター掘るのに六万円ぐらい出ているんですね。  ところが、現場へ行きますと、農村集落排水なんかは特にそうなんですけれども、家が百メーター置きぐらいにしかないようなところに、道路を走りますと、六メーター道路ぐらいのところに大体このぐらいの幅が一メーターちょっとぐらいの溝がずっと切ってあるんですよ。それが縦横無尽に道を切ってあって、これは全部下水工事をするのかなと。メーター当たり六万円です。これはえらいむだだなというような思いをしておるわけなんですが、ところが私が見に行ったのがまさに工事をする職人と見に行ったものですから、余り文句も言えなかったんです。  だけれども、まずそこに一兆一千二百九十二億円とか、こういうオーダーで出ている。本当に大変なこれはむだ遣いじゃないかなというふうに思うんですが、大蔵政務次官、むだだと思いませんか、こういうのは。
  13. 林芳正

    政務次官林芳正君) これは下水道ですからどこの省庁要求予算になりますのか、いろんなところの、農水ですと農水省ということでいろいろ多岐にわたっていると思いますが、そちらの要求を見ながらということでございますので、私の方から一概に全部大変にむだかどうかというのはちょっとこの場では申し上げられないと思います。  また、御通告をいただければ、きちっと勉強してお答えをしたい、こういうふうに思います。
  14. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 本当にぜひこれはしっかりチェックをしていただきたいと思うんです。なぜ下水をやるかというと、簡単に言えば、多分経済効果波及効果が速いから、足回りが速い予算であるからだと思うんです。どんと落とせばすぐに施工できてお金になるから、業者が助かるから、こういうことだと思うんですよ。こんなことばかり続けたら、本当に借金ばかり残って、それこそ初めに申し上げたような、将来、今から生まれてくる子は借金だらけになってしまうということに私はなってしまうと思うんです。もっと別な方法で、いろいろ簡易下水とかそういうやり方はあると思うんですよ。そういったものをもっと研究していただきたいというふうに思うんです。  もう少し言いますと、例えば、今回の二次補正の中で下水道農村集落排水の合計が千七百億円計上されています。私が思うのはというか民主党の意見としては、こういったものを、千七百億を下水道、何かわからないものに使ってしまうんじゃなくて、先ほど深谷大臣が言われた東京都の話でもそうなんですが、例えば特定養護老人ホーム特養ホームが、大臣も御案内のとおり、東京でも今大体三千人ぐらいでしょうか、三年間ぐらい待たなきゃ入れないという実情があるんですね。こういったものにやはりもっと使っていけばいいじゃないのかというふうに思うんです。  例えば、私の地元の試算でありますけれども、八十人とか百人とかいう収容規模のものが、上物だけで大体十一億ぐらいでできる。特養ホームが八十人ぐらいのものが十一億でできる。ということは、言ってみれば一千七百億をこのまま利用すれば一万二千人分の特養ホームができるわけなんです。もちろん、土地の選定であるとか、そしてまたいろいろ設計にかかる時間であるとかいうのを考えますと、足回りは遅いんです、経済効果が出てくるのは遅いかもしれないけれども、こういったものにやはり使っていただきたいと思うんですが、もう一回。じゃ、政務次官
  15. 林芳正

    政務次官林芳正君) 先ほど来いろいろ御議論があるようでございますが、要求官庁の方に聞いていただく方がきちっとした御説明があると思いますし、我々どもも主計の方できちっとした査定をして予算を提出されておられるというふうに思っておりますので、また御通告があればきちっとした御答弁ができると思いますが、今の段階ではそういう御答弁ということになると思います。
  16. 細田博之

    政務次官細田博之君) せっかく国会改革政治家同士議論もできるということですから、私は通産政務次官ではありますけれども、最も日本下水がおくれているのは一に和歌山県、二に島根県ですし、日本じゅうで一番の高齢県というのは島根県で、我が選挙区でございますのでちょっと申しますと、やっぱり下水道整備農村集落排水事業等も含めてきちっと整備しないとお嫁さんも来ない、もう古い古いトイレをそのままにしているという地方がたくさんありまして、そういうことにも御理解をいただかなきゃなりませんから、バランスのとれた議論もしなきゃならないということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  17. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 通告も不十分なものに対しましてお答えいただいて本当にありがたいと思うんですけれども、私が申し上げたいのは、一つはやはり将来の宝となるようなものかどうか。もちろんそのやり方があると思うんです。要するに、家の下に例えば簡易下水、浄化槽みたいなものをつくれば十分やれるというのを、切り込みを入れて道路のところをほじくってやるということ自体私は問題にしたいというのが一つあるんです。  それともう一つあるのは、私の支援者の方で土木建築業の方が多くいらっしゃるんです。ありがたいんです。元請の方じゃないんです。特に下請孫請の方が多いんです。何でかというと、例えば六万円で一メーターやるというんですけれども、これが下請にいくと八〇%、六〇%になっていくんです。しかも、現場を見に一度ちょっと行っていただきたいんですけれども、三メーター、私の背よりもさらに深く掘って、そこに水平にというか、角度をつけて管を通して、それで両側に鉄板を敷いて土がこぼれてこないようにして、そこにまた支柱を張って、命がけ作業をやっているんですよ。命がけ作業をしながら大体日当が八千円というんです、伺ったら。ですから、私、二重の意味でこれはむだじゃないかということを申し上げたかったんです。  つまり、むだなそういうところをほじくり返していくということと、もう一つは、じゃ結局だれのためだったんだろうというと、もちろんそこに住んでいる方のための下水なんだけれども、もうちょっと言えば、失業対策という意味も込めて雇用を保つという意味で、そういう土木建築業全国で六十万というふうに言われています。間違っていたら後で訂正いただきたいんですが、そういう方々の雇用を保たなきゃいけない。それは私も物すごくよくわかるんです。ならば、その人たちに対して本当に低額の、本当に下請いじめというのか、そういうことになっている。  だから、要するに喜ぶ人がいないというわけなんです。間を抜く人が喜んでいるかもしれない。だけれども、要は喜ぶ人がいなくてそういうことがされているということが、喜ぶ人が少ないという言い方かもしれませんが、やられていることが本当に私は不合理だと思うんです。ということをちょっと冒頭、最近回って感じたことだったものですから、申し上げたく思いまして申し上げました。  中小企業の話に移りますけれども、きょう八十分いただきまして、つまらない質問をしますと皆さんは何をやっているんだという話になりますので、具体的な事例を挙げながら、幾つかの事例を挙げますが、今回の統合された二法案事例が本当に解決できるのかどうかというところを少なくともあぶり出せれば幸いだなというふうに思うわけでございます。  まず、金融についてでございます。  きょう挙げます会社三つ種類に分かれておりまして、一つ目種類は、物すごく勢いがあって民間の出資会社から数億円という出資をされるぐらいの会社、公開まで恐らくあと三年ぐらいだという会社の例。二つ目は、この厳しい不景気の折ではあるけれども、何とかこらえながらしっかり頑張っている会社の例。三つ目は、倒産してしまって、破産してしまった例。この三つケースがございまして、申し上げます。  ある大変優良な、現在も続いている会社の例でございます。創業時の資金繰りには大変苦労をされたそうでありまして、今話題の商工ファンドからも融資を断られた会社であります。当然、都銀や信金なども融資は断っておりまして、そのため、運転資金を得るために、いわゆる車金融というんですか、中古車販売会社に出向いて車を預けて、トイチ、十日で一割の融資を受ける違法な金融に手を出して、百万円を二十日間借りて二十万円の利息を払ったり、サラリーマン時代につくった銀行系カード信販系カード二十枚でカードローンをして五百万円の運転資金を得たりしたそうです。これは当初でございます。しかし、数年前のことです。  現在でも、その不明朗なお金の流れのために、もう売り上げが今二十億ぐらいの会社社長ですが、昨日もカードをつくろうとしたがつくれなかった。こんなに資金繰りに本当に苦労しておるという感じだそうです。この友人の会社も、現在はある大手の会社から今一億円の出資を得ることができるようになり、涙ぐましい努力をして何とか可能性のある芽が育っているという感じです。  その一方で、政府系国民生活金融公庫融資については、いまだに第三者連帯保証社長のみならず第三者連帯保証が必要であるということを強く何度も何度も言われておりまして、しようがなく自分の親に連帯保証人になってもらっているそうであります。都銀からは億単位で借り入れをしておりますけれども、社長本人保証はもちろんありますが、保証協会保証であったり第三者保証要求されておりませんし、不動産の担保や預金というものは特にないそうであります。この超元気な会社の困った話でございます。  今述べたようなことなんですが、創業期運転資金調達について、つまりアーリーステージですね、現在の改正で十分だと思われますでしょうか。通産省。
  18. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 木俣委員お答えする前に、冒頭公共事業の問題についていろいろ触れられました。大前提がむだということでの議論のような進め方だったので、多少気になるものですから私申し上げますが、政府が各省庁にわたって計画を立てて予算要求をしていく、その過程において少なくともむだであることを前提にしたものというのはないと、こうはっきり申し上げておかなきゃならないと思います。しかし、委員が指摘するように、そうはいってもなおむだが起こり得ないような状態をつくれという御示唆としては承っていく必要があるのではないかというふうに考えます。  そういう意味では、例えば公共事業も昔のような、ケインズの考え方のような、穴を掘って、その掘った穴をこちら側に山にして、終わるとまたそれを埋めていくというような、そんなことで需要を喚起するとかそういう考え方があってはなりません。しかし、少なくとも各省とも健全な計画の中で事を進めていると思いますから、先ほどのような御質問がある場合には担当の省庁の者を呼んで具体的にお聞きになることが正しいのではないか、そんなふうに感じておりました。  ただいま木俣委員から御指摘のお話は、創業にいたしましてもベンチャー企業にいたしましても、スタートするときというのはまだいわゆる社会的にも経済的にも信用性が乏しい。そのために資金調達等は非常に困難であると。しかし、そういう創業がしっかり頑張っていただくことが経済の活力になるわけでありますから、そこに注目をいたしまして、重要な政策の課題として創業者に対する資金手当てというのを各種一層講ずることにしたのが今回の改正であります。  今までも国民生活金融公庫新規開業のための必要な資金の有利な条件の融資、あるいは五百五十万のマル経、それから信用保証協会による創業者向けの無担保保証制度の創設、これは去年十一月ですが、それから今回の法案でも、設備近代化資金制度を見直して創業者に対する無利子設備資金貸し付け及び設備リース等制度を新たにつくった、これは全国で約一千億円ぐらいの規模を考えているわけでございます。  これで十分かどうかということについては、まだまだ議論があるところでありますけれども、今までの形からはかなり前進したのではないか、そんなふうに思っています。
  19. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 確かに今までよりは前進していることはもうこれは間違いございません。しかし、今言いましたように、本当の草創期、一番初めのときに、その一番の種銭というところを、先ほど言いましたようなカードローンに手を出して二十枚で五百万、これで運転資金をつくったのは事実でございます。四年前の話なんです、これは。  だから、そういうことをしなければならない。これはリスクが大き過ぎて、しかも、何というんでしょうか、ハイリスク・ローリターンというのか、というところから抜け出られない。そしてまた、これで破産すれば二度と恐らく創業できなくなるのが実際だと思うんです。  もうちょっと詳しく聞かせてください。  実際にこのケースの場合で、創業期のときに、例えば、何もなしでビジネスプランだけを示しながら、お金を出して、出資または融資でも結構なんですが、そういう制度は今回できましたか。
  20. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) お答え申し上げます。  今回、小規模企業設備資金制度について抜本的な改正をお願いいたしておりますが、これはまさに創業者に無利子融資制度をつくる、あるいはリース制度をつくるということでございまして、ただいま大臣から御答弁を申し上げた既存の制度に加えまして、創業者についてもろもろの資金調達を円滑化する制度になっていると存じます。
  21. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いやいや、せっかくお答えになるならもうちょっと具体的に、政務次官からでも結構なんですが、具体的にちょっとお話しいただけますか。  というのは、例えば今のお話は、確かにリースとかいうのがもちろん入ったり、またはこれは国民金融公庫の設備投資に対するリースということでもあるんですが、じゃなくて、今言ったように運転資金として、創業期の、草創期種資金として、マル経というのはありますね、だけれども、マル経も半年間の研修期間がなければ貸していただけない。それを大分短くはなったというんですが、例えばマル経の例で結構なんですが、どのぐらいだったら貸してもらえるようになりましたか、今回、一千万まで。
  22. 細田博之

    政務次官細田博之君) 企業草創期はどなたも大変御苦労があると思うんです。実際に私はYKKの創業者の吉田さんからじかに伺ったことがありますけれども、銀行を駆けずり回って、結局不動産銀行へ行ったら貸してくれた、もう一生涯、不動産銀行への恩を忘れないと。不動産銀行は債券信用銀行になってああいうふうに倒れてしまいましたけれども、そういう経営者もたくさんおられるわけでございます。  今の中小企業金融政策は、やはり過去に比べますと非常に進んでまいったと思うわけでございまして、例えば中小企業金融公庫のベンチャー育成資金供給制度というものにつきましても、貸し付け、社債の合計で六億円までということで、これは運転資金も含めまして制度を創設する。償還期間は貸し付けで十五年以内、社債七年以内ということでございますが、こういった制度も用意させていただいているということでございます。
  23. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、それは一番の草創期の話じゃないですよね。そうでしょう。要はアーリーステージからある程度成長していったときのミドルステージというんでしょうか、そのときの貸し付けだと思うんです。だから、恐らくは今の話とはちょっとそごがありますので。違いますか。もっと初めのゼロのときに。
  24. 細田博之

    政務次官細田博之君) 誤解があってはいけませんので。  必ずしもそれだけではなくて、高い成長性の見込まれる新たな事業を行う中小企業者であって、以下の要件を満たす者ということで、当該新事業事業化されたときからおおむね七年以内、これから事業化しようとする場合も含む。それから、成長性、新規性について、中小公庫に置かれる外部専門家から成る評価チームの審査をパスするか、または総合事業団の出資制度等の公的支援施策の対象となっていること。それから、ビジネスプランに基づく将来キャッシュフロー及び償還可能性について中小公庫による金融審査をパスすることということで、一応新規のものでもそういう対象にはなっておるという、制度を開くという意味ではそういうものがあるということを申し上げたわけです。
  25. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) マル経資金創業期についての対応でございますが、御案内のように、既にマル経資金創業期にある企業に対して融資をする制度ができておるわけでございますが、先ほど経営指導についてお触れでございますが、創業期の問題につきましては、時期の問題がございますので、六カ月以上という原則を大幅に緩めて運用いたしております。したがいまして、創業期にある方が、その後個別の事情によりまして、決して六カ月にこだわるものではなくて、しかるべき商工会、商工会議所との間でいろいろな打ち合わせの中で適宜弾力的に運用をするという制度で運用いたしておるわけでございます。
  26. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 それでは、最短どのぐらいで貸してもらえますか。最短どのぐらいの期間でどのぐらいまで貸してもらえるんですか。
  27. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 個々のケースでございますのでなんでございますが、一月とかあるいは二月とかというオーダーで可能なケースもあり得ると存じます。
  28. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 一月というのは大分短くしてもらいましたけれども、それでもまだ長いんですね。だから、イスラエルの研究なんかもされておると思いますけれども、ああいう形でどんどんとにかく資金を、単なる融資ですから、出していってもらわないといけないんですよね。一週間だったら短いとかいうことではなくて、ビジネスプランが本当に使えるものかどうか、もっと言えば使えるかどうかわからない。  今、中公の評価というのがありましたけれども、だって評価されているならば今銀行がこんなになっていないですよ、評価する民間銀行が。例えば中公の融資のときに、ミドルステージの話になりますが、もしそれを今回は例えば都銀に評価をさせて融資をしようじゃないかと、技術評価をして、または特許の評価をして貸し出そうというのですけれども、そういうのがもし現在の銀行金融機関ができているならばこんな今の貸し出しの債務の状況になるかということなんです。  ちょっともう一回戻りますが、いずれにしましても、もっと大胆に積極的に一千万ぐらいの規模の、要は種になるシーズマネー、これはやっぱり出していってもらわないと困る。これは運用の方法だと思うんですよ、大臣。だから、期間が一カ月になったから短くなったどうだということではなくて、やはり一週間でも三日でもいい、そのかわりビジネスプランをびしっと出しておいでよと、こういう運用の仕方、出先の運用の仕方を検討していただきたいと思うんです。  マル経融資の話ですが、大臣からまず伺って、大蔵政務次官からちょっと伺おうかな。
  29. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 先ほど岩田長官からも御報告いたしまして、できるだけ創業者に対する支援という意味での融資を活発に活用していこうと思っているわけでありますが、今具体的な例を挙げられたんですけれども、実は木俣さん自身が示されているのは意外に具体的でございませんで、どういうビジネスプランのものかさっぱり私たちわかりませんから、ビジネスプランの中身がわからないと、ただお金を出しますという答えは出せないわけであります。  当たり前のことですが、当然その企業がどう伸びるか、償還能力があるのか、税を使うわけですから。そういう意味では、もう少し具体的な話で個々にこれは面接して聞かないと答えが出せないような難しい質問だと思います。  しかし、いずれにしても、将来の可能性を秘めて、いろんな調査の結果でも具体的にこれから伸びていくなというようなそういう創業であれば、できる限りの支援をするというのは私は当然のことだというふうに思っております。
  30. 林芳正

    政務次官林芳正君) 今、大臣から御答弁があったとおりだと思いまして、いろんな工夫をしていかなければいけないということは委員おっしゃるとおりであると思っております。
  31. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 具体的じゃないという話なんですが、それは具体的にここでこういうプランでございますというお話国会の場でちょっと言うのは……
  32. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) だから、答えがしにくいという話をしているんです。
  33. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 わかります。  ですから、つまり一カ月という紋切り型の対応ではなくて、将来こういう売り方をしてこんなふうな資金調達を考えている、こういうところから今引き合いが来ているとか、そういういわゆる一般的なきちっとしたビジネスプランというのを出せば、一カ月とかいう期間でなくてやっていただきたいということですから。これは御認識いただいておるかと思っております。ぜひ、本当によろしくお願いします。  一番初めのときが本当に一番難しいんです。もちろん、アメリカでもそうです。初めは知人、友人または家族からかき集める。三百万、五百万とつくるというのはこれは当たり前の話なんです。もちろんそうなんですが、日本だと結構今そういうのが、何と言ったらいいんでしょうか、家族の崩壊というのか親戚の崩壊というのか、何かなってしまいまして実際難しくなっているんです。他人から金が借りられるかというとできないんです、実際に。  ですから、そういう意味でも、やはりこれは、イスラエルのヨズマといいましたか、ああいう制度のように政府がどんと出していく、せっかくですから。税金という話もありましたけれども、基本的には融資ですから、ぜひそういう柔軟な運用を本当にお願いします。  次に、先ほどの話の中で問題なのは、都銀では数億円も借りているのに第三者連帯保証なんかは要らないわけなんです。しかし、国民生活金融公庫融資では第三者連帯保証がどうしても必要だと。自分の親に保証人になってもらったということなんですが、これについてはどういうふうにお考えですか。
  34. 林芳正

    政務次官林芳正君) お答えする前に、先ほどの議論で私も木俣先生と同感のところは随分ございまして、融資とおっしゃいました。それで、アメリカの例をいろいろとよく御存じでございまして、私も限られた知識の中でございますが、融資というのは間接金融でございますから、直接金融の部分もやはり今からいろんな工夫をしていって、その中で、アーリーステージというのはリスクが大変高いわけですから、お金の入り口もやはり高いリスクを承知の上である程度入ってきてもらったお金が行くということが望ましいなというふうに思っております。それは今審議会等でもいろいろ勉強しているところでございます。スモールキャップやブレティンボードとか、OTCブレティンボードだったですか、それからピンクシート、ローカルまで入れますと日本の十倍以上のものが株式市場を通じてお金を入れているということでございますので、その辺も委員の今の御議論を聞いていてちょっと感じましたので、つけ加えさせていただきました。  そこで、お尋ねの第三者保証ということでございますが、今申し上げましたように、国民生活金融公庫も、これ融資でございますので、やはり税金や財投のお金が入っておりますから有償の資金で償還をしなきゃいかぬということで、国民生活金融公庫の方では国民生活金融公庫なりに判断をいたしまして、保証が必要であればこれは保証をいただくというようなことになっております。  そして、中小企業の中でも特に経営基盤が脆弱で小規模零細企業というのを主な融資対象にしておるというところが原則でございますので、担保力が乏しいため保証人つきの融資が中心となっておる。その例外が先ほど御議論のありましたマル経ということになっておるということでございます。
  35. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いやいや、そんな一般的な話ではなくて、さっき言ったようにケースを挙げているわけです。これは実際のケースなんです。  だから、空想の話じゃなくて、数億円規模で要するにローンを都銀から借りていて、第三者保証は要りません、そしてまた物上担保も要りませんという中で、国民生活金融公庫融資にどうしても第三者が必要でというのが実際の訴え、訴えというか、要はこれはどうかということなんですよ。
  36. 林芳正

    政務次官林芳正君) 個別の問題はなかなかお答えしにくいところがございます。それは、委員がここで御指摘になったので融資の条件が変わるということがあっては、これは大変に公平性という観点から、ということがございますので、個別の問題には具体的にお答えすることは差し控えさせていただきますが、一般論として、先ほど申し上げましたように都銀の判断はそれはそれとして、公庫としてはそういう有償資金、しかも税で利子の補給をしておりますし、財投という公的な資金でございますから、そういう観点から独自に判断をいたしまして、必要と判断した場合はこれはやっぱり保証人をお願いする、こういうことになろうかと思います。
  37. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、もちろんそうなんですよ。ここで発言したから融資が易しくなったとか厳しくなったとか、こんなことがあっては絶対いけないし、それは当たり前の話なんです。  実際に今、国民生活金融公庫第三者保証がついている債権が五割ですか、ということで伺っておるわけなんですが、こういった第三者連帯保証について、ほかの金融先進国というのか、米英または仏独、こういうところではどうなんでしょうか。物的担保もありながら、そして社長本人連帯保証もありながら第三者保証をとるところというのはかなりあるんですか、これは実際。
  38. 林芳正

    政務次官林芳正君) 海外の事情についてどうかということでございましたが、ちょっと時間もございませんでしたので、ごくごくわかった範囲ということでございますが、アメリカの場合は各金融機関にヒアリングをしたという資料でございますので一般的な制度ということではないんですが、経営者の個人保証というものも入った件があるというふうには承知をいたしております。  それ以外の件についてはちょっとまだ資料が手元に集まりませんが、海外でどういうふうにやっていらっしゃるかということは別にして、先ほど申し上げましたように、これは公庫の判断ということになろうかというふうに私は考えております。
  39. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 これはそんなことがわからないで、調べていなくて大蔵省というのはどんなところかなと私は思いますね、本当に。  やはりもちろん、日本の伝統的なやり方としてそういったものが商慣行が残っているというのを政府もまねしてやるというのは、そういうことかもしれませんけれども、だけれども、今の比較のように、日本の商慣行といったって、要は都銀の方ではもう社長本人担保があるから第三者は要らないんだ、こういうふうになっている。ところが、何度も言いますように、公庫の方では第三者保証が要るんだというのを挙げている。それが僕もわからないんです。わからないから、例えば欧米の、欧米のというのは欧米に倣えということじゃないんです、日本流のやり方があると思うんです。だけれども、例えば比較するとなれば、他国の金融先進国と言っていいのか悪いのかわかりませんが、じゃそこではどうなっているんですか。  大蔵省に実は聞いたんです、先週。聞いたら、要するにこれはわからない。じゃ調べてくださいと言ったんですよ。言ったら、そんなことはできないと言った。大蔵省というのは一体何なんだ。政府控室の方に言って、じゃだれが責任者ですかと言った。そうしたら、今いません。そんな、ふざけるな。そして、その後何と言ったかというと、法務省に聞いてくれと言ったんですよ。法務省の方も困っちゃうね、本当に。保証人ということで、法務省の方はすぐに保証人というところで今の四カ国について調べ上げてうちの事務所へ持ってきてくださった。だけれども、金融に限っては制度的な商慣行その他もろもろのものがありますからちょっとわかりかねますというすごい丁寧なお答えをいただきました。  これは、大蔵省というのは一体何なんだと。それはもちろん、企画立案は大蔵省、その運用は金融監督庁と分けられましたね。だけれども、知らぬぷりということはないだろうし、こんな制度一つもわからないで、しかも責任者の所在も言わないで、だから林さんは今困っちゃうわけですね、結局は。どんなあれだと思います、今のこういう態度。
  40. 林芳正

    政務次官林芳正君) 大変困ってしまったと申し上げると委員も喜ばれると思うんですが、実は御通告いただいたのが先週の金曜日の遅い時間だったというふうに聞いておりまして……
  41. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 違う、違う。私だって用事でもう帰っていましたもの。
  42. 林芳正

    政務次官林芳正君) それで、夕方あれだったものですから、今調べております。  それで、法務省のお話がありましたので、実は私もいろいろと聞いてみたんですが、連帯保証とか保証というのがそもそも民法の方に契約類型の原則としてあるかどうか、その上で法律がありまして、商慣習いろいろあって、それから政府政策金融という、限られた目的のためにやる政策金融についてどういうふうな設計をするか、こういうふうな論理立てになるのかな、こう思っております。  私も法務省の方に聞いてみたいと思っておりますが、そもそも今委員の御指摘があった金融先進国といいますか、欧米の中で民商法がきちんとある国とない国とございます。御存じのように、アングロサクソンの法系では法典ということで民商法がないという場合もございますので、それは区々だと思います。そういう基本法の中でこういう保証という概念が、これはむしろ委員御指摘のように商慣習の中から法律として出てきたという場合もあると思いますし、むしろその方が原則かなと私も思います。そういうところをいろいろと調べてみて、その上でどういうふうに設計したか、こういうふうになると思いますので、法務省の方にも聞いてみたいなというのが現状でございます。  なるべく土日も返上でいろんな勉強をしてみたいと思っておりますが、これは言いわけをするわけでもないんですが、所々いろいろありましてなかなか委員が御満足できるような海外の事情というのが、すぐ土日の間に今目指しておりますPアンドAのようにできないというのは申しわけないと思いますが、一生懸命勉強してみたいと思います。
  43. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 林政務次官が大変勉強されているということはよくわかっております。そうじゃなくて、行政の一番フロントラインに大臣政務次官の皆さんが座っているわけですが、要はそのバックアッパーとして官庁があるわけです。しかも、我々は国政調査権というものを持ちながら、例えばちょっと調べてくれよと国会議員としてはだから官庁に言えるわけですよ。ところが、そんなことは知らないと。知らないなら調べればいいんです。調べればわかるはずなんですよ、そんなことは。例えば、今ヒアリングという話がありましたけれども、だから林さんは独自にヒアリングされなくても、ということなんですよ。そうでなければ何なんだと。  私も、大蔵省の大先輩で大変尊敬する方、または同輩の者でもたくさんおります。本当に国家国民のことを考えて二十四時間体制でやっている。しかし、出先がこんなんじゃ、これはかなわぬわと、本当に。こういう態度をとる官庁というのはほかにない、本当に。非常にそう思うよ、本当に。愚弄していると思う、本当に。こんな簡単な保証みたいなことが、英米仏独、四カ国のことが調べることができないようなそんな日本だったら、何なんだったんだ、一体。バブルの崩壊だってそうだし、八五年のプラザ合意から、バブルをあおってきて、だからここまで日本を引きずりおろしてしまったこの責任というのはどうなっているんだ、実際どういうふうな反省があるんだと、私は本当にそう思いますよ、というか思いました、今回もつくづく。村井先生、どうですか。
  44. 村井仁

    政務次官(村井仁君) いわゆる財金分離というようなことで、私どもの方は金融機関の監督と検査、こういったことに特化しておりまして、いわゆる制度問題につきましては現段階、金融再生委員会とそれから大蔵省金融企画局の共管と、こういう体制になっていること、委員十分御高承のとおりでございます。  その体制の中でできるだけのことをやってまいりたいということでございまして……
  45. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、やっていない。やっていないことについてはどうかですよ。
  46. 村井仁

    政務次官(村井仁君) そのやっていないという御指摘につきましては、私も申しわけございませんが突然の御指名でございまして、どのような御要求があり、どのような調査が行われたのかつまびらかにいたしておりませんので、とりあえずお話を承っておきます。
  47. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 余り感情的になってもしようがないんですが、これは与党、野党かかわらず、やはり本当にしっかりしていかないと、まさに二十一世紀を目前にしまして日本がどうかなってしまうという今危機的状況にあるというのは、認識は一致するものだと思うんですね。そのときに、やはり政治主導で、政治家主導でここまで国会運営されて、そして行政の方にも指令を出されていると思いますから、そこはしっかりやっぱりやっていただかなきゃいけないし、こちらもだからやらなきゃいけない。本当につくづく思ったので、よろしくお願いします。  次の例です。  これは、ベンチャーの中では大変に有名で、最盛期には二十二億、グループを合わせますと二百億を超える売り上げをなした会社がなくなりました。ことしの五月です。その方と私も、なくなってから本当に親しくなりました。その例を挙げます。  その会社は住宅関係の会社でございました。住宅のレンタルの関係です。そこがある下請とつき合っていまして、その下請会社Jというのは銀行融資枠を八千万円持っていた。この八千万円という枠組みは、特に書面での契約ではなくて、金融機関の担当者との口頭で約束をしておりました。実際に使用していたのは大体三千万弱を活用していたということであります。  事は三月に移りますけれども、ことしの三月です。ことしの三月に手形の決済期日が来るからよろしく頼むと、こういう話をしたわけです。その融資担保として、発注元のHという会社の商業手形をいつも同様に差し入れ、これはもちろん通常の取引の中でやっている手形ですから別に融通手形ではございません、手形を差し入れて、とにかく決済を頼むねということでJ社も期待していた。ところが、J社は決済の二日前に金融機関から、今回は融資できないという通告を一方的に受けたわけです。金融機関は何らの理由があるということも言っていない。ここでJ社は第一回目の不渡りを出す。  この親元というのか、親子関係はございませんが、そのH社、商業手形を出してそれを担保にJ社に融資をしていたH社は、J社の支援にそこで乗り出しました。このH社というのは、J社の株の十二分の一を所有していて毎年二億円ぐらいの仕事を発注していましたので、J社を支援しないと顧客に迷惑がかかるために支援に乗り出すわけです。そうしましたら、要するにH社はJ社の二億円の支払いを肩がわりするんだなということになって、H社の信用不安が一気に広がったということなんです。資金繰りが悪化してH社も手形が落とせなくなって自己破産をするという、こういうケースでして、本当に寂しい、悲しいケース一つでございます。  そのときに特に問題だなというふうに思ったのは、幾つかあるんでございますが、まず第一番目に、これも個別の話になるのでなかなか国会の場ではというのはもちろんあると思いますし、私も別に個別の、既になくなった会社でございますから挙げることがいいのかどうかわかりませんが、融資枠を手形決済の二、三日前に、いわゆる貸し渋りの延長上で締められるということは、要するに、言ってみれば小さい赤ん坊にもう泣いても泣いてもミルクを飲ませない、要は死刑判決なんですね。これについての金融監督庁の見解というのは、どういうふうにお考えでございますか。
  48. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 大変厳しいお話をお伺いしたわけでございますけれども、民間金融機関の個々の融資対応というのは、結局のところ各金融機関とその取引先との、それぞれに金融機関が持っております取引先に対するいろいろな情報でございますとか、そういうことを総合しての判断であろうかということでございまして、いずれにいたしましても、金融機関の自主的な経営判断によって決まる、そういうことでございまして、私どもとしましては、それにつきまして、これがどうだということはどうしても一般論としてしか申し上げることができない、この点は御了解をいただきたいと思います。  その上で、私どもとしましては、金融機関というものは、その持っている公共性というものを十分踏まえまして、適切なリスクテークを行いましていわゆる金融の仲介を行う、これがその当然の機能でありますから、そういう役割を果たしていってもらいたいものだと期待をしておるわけでございますが、一方で、非常に大事な預金をお預かりしているという立場もあるわけでありまして、それを毀損しないように対応していくこともまた金融機関の重要な務めであるということだろうと思います。  そのあたりのところを、私どもとしましては、金融機関のさまざまの経理内容などをチェックいたしまして、健全な取引先に対する必要な資金供給ができるだけ円滑に行われるような体制を整えていけるように精いっぱいの努力、事前のチェックというものをしているのが今の状況でございます。
  49. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 なかなか一般的なお答えしかいただけないのかなと思って伺っておるんですが、ただ、こういうことが多くあると思いませんか。想像されていますか、認識されていますかどうか、ちょっとそれを伺いたいと思います。
  50. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 私どもといたしましては、いわゆる貸し渋り問題というのは、これは大変深刻に受けとめていることでございまして、私どももこれまで、御案内のとおり、信用保証協会等の信用補完制度の拡充でございますとか、早期健全化法に基づきます資本増強制度の創設ですとか、あるいは、これは主として大蔵省の所管でございますけれども、政府金融機関による中小中堅企業への融資制度の拡充などの措置を講じまして貸し渋り対策を一般にやってきた、これはもう先生御案内のとおりでございます。  私どももまた、個別に金融機関のトップを集めまして、これは各いろんな業態ございます。いわゆる都市銀行、それから地方銀行、第二地銀、あるいは信用金庫、こういった業態ごとにいろいろ団体がございます。これに集まっていただきまして、貸し渋りをしないようにという要請を強くいたしまして、それぞれの機関からは、それぞれの傘下金融機関に対しまして、そういう対応を、私どもの要請を伝達するというようなことをさせておりますし、また、金融関係のさまざまなトラブル、今先生御指摘になられましたようなトラブルがいろいろございますから、これは各都道府県ごとにございます金融機関団体における苦情相談窓口というのを明示いたしまして、そこへお持ち込みいただけるような対応をし、また、そういう機関の存在をできるだけ周知させていくというような努力もいたしております。  さらには、各都道府県単位で金融関係の団体、それから商工会議所、商工会、あるいは中小企業団体中央会、こういったような各種の機関、それから政府関係金融機関、こういったところが集まりまして、それぞれの地域で地域の金融動向に関するいろいろな情報の交換の場というものをつくっていただきまして対応を工夫していただく、こんな努力もいたしております。  それからさらに、今月の三日でございますけれども、通産省からの御要請を受けまして、各金融関係団体に対しまして、健全な中小企業に対して必要な資金供給を円滑に行えと、こういう趣旨のことを私どもからも周知徹底してくれという依頼もしているところでございます。  いずれにいたしましても、そのような先生御指摘のようなことが起こらないようにできるだけ努力はしているところでございますけれども、再度申し上げますが、やはり個別の問題につきましては、それぞれの持つそれぞれのいろいろな事情があって起きていることだろうということを改めて申し上げざるを得ないということでございます。
  51. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いろいろなことをされようとしているのもわかりますし、実際されておると思います。金融監督庁さんはその人数でなかなかでき切れていない、やりたくてもできないという気持ちもよくわかるんですが、しかし、私は認識があるのかどうかと伺っただけで、そういうふうに長い御答弁をいただいて本当に恐縮なんですが、やっぱりあるということだと思うんですね、そういうことが実際に。  実際に、H社の話です。支援をした親元、元請のH社の話なんですけれども、Aという都銀とそれから地元の信用金庫とが二つメーンでやっていたんですが、この二つの銀行の間で、ある都銀の方へはリスケをしましょうということで大体話がついていたんです。ところが、そちらの方から、もう話がついていた方から信用金庫の方に電話が入って、今回信金さんはH社の手形決済を優先されますかというふうに言われた。これが信金ですから不安になって、いわゆる支援という方向から回収という方向にいきなり転換しちゃうんです。  何度も申しますように、このH社というのは、本当にベンチャーの中でも優等生と言われて、この会社が何とかうまくいってほしいと思う会社は多かったんです、実際に。私も、これから後続の企業をいっぱい見ています。そういう会社は、今言われたような中央会さんとか商工会議所さんとかそういうところへ入っていないですよね。今通産大臣がお考えになっているような、十万社ふやそう、今から十万社どんどん起業家をふやそうというところは、恐らく今言ったようなそういった団体に入らないで、また別のところで活動をしなければならないところだと思うんです。これは、絶対にまだ起きると思いますね、実際。  彼は、商工ローンはアリ地獄のようなものだけれども、銀行やり方日本ベンチャー企業から見るともっと悪質な知能犯だと断言しますと。よろしいですか。銀行やり方日本ベンチャー企業から見るともっと悪質な知能犯だと断言しますと。彼は、本当に人格的にもすぐれていて、だから支援をしようと思っているんです。普通だったら、そこでもう関係の子会社でも何でもありませんから切ろうと思う。しかし、何とかそこをしましょうと思って、迷惑をかけちゃいけないといって助けを出した。それを担当者同士が話をして、これは守秘義務違反じゃないかと思うんですけれども、銀行の。違いますか、ちょっとそこの守秘義務について。
  52. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 銀行の守秘義務の問題につきましては、これは大切な問題でございまして、私どもも非常に注意して見ている点でございますが、基本的には取引先の承諾がある場合にこれは守秘が解除される。それから、法令の規定によって法令上の根拠がある場合、これも解除されます。もう一つは、銀行の営業上の必要がある場合、この場合にも認められる。大体この三つ銀行の守秘義務の例外と申しましょうか、それが解除される場合であろうかと。  ただいま委員御指摘のケースというのは、手形の扱いの問題で情報交換をするということでございますけれども、これはまさにその三番目の銀行の営業上の必要ということでございまして、銀行間で、金融機関間で信用状況につきましての照会を行うということは、これはあり得ることであるというふうに私ども考えております。
  53. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 だから、銀行というのは何でもできるということですよ、簡単に言えば。だから、悪意を持ってやれば、つぶそうと思えば、どんな大きな会社だっていきなりつぶせるということじゃないですか、それだったら。そうでしょう。  健全にやっていたんですよ、実際に。リスケの話もできていたんですよ。なのにもかかわらず、話し合いで要はここをもう首を切ろうと。そういうことが銀行というのはできるという今のお話じゃないですか、それだったら。本当におかしな話というか、本当に許しがたい話だと私は思います。  しかも、こういった銀行は、ずっとここに書き並べてもらっておりますけれども、貸し渋りが社会問題になった後でも、継続的な融資をしてほしいならば中小企業の弱みにつけ込んでさまざまな条件をぶつけてくるんですよ。例えば、リゾート会員権の購入をしてくれ、これはある信金から。ゴルフ会員権の購入をしてくれ、一時払い生命保険の加入、定期預金の拘束、各保証協会融資のリスケの拒否、それから各保証協会政府資金の実質回収、こういった要望。それから、店頭公開、上場を目指すところに対しての高額なコンサルティング会社の紹介。それから、自社株の株価を上げるための銀行株の購入、こういった数々の要求を実際しているということが書かれておりますが、こういった認識はございますでしょうか。
  54. 村井仁

    政務次官(村井仁君) ただいまいろいろな形態の、金融取引以外の何といいましょうか、経済的関係が金融機関が仲介ないし強制してあったというような事例をお挙げになりました。  私は、認識といたしまして、一般論として、金融機関が取引先に対しましてそのような、その中では幾つかそれはおかしいなというようなこともありますけれども、いろいろな行動があり得るということは、それはそのとおりだと思いますが、いずれにいたしましても、私どもは各種の法令、ルール等々をきちんと示しておるわけでございまして、金融機関が融資を行うに際して金融商品以外の紹介、あっせん等の過剰な負担を求めたり、正常な取引慣行に反する行為を行うことを防止する、これは非常に大事なことだと思っておりまして、そのために事務ガイドラインというのが私どもございます。これは全部公表しておりますが、これを通じまして金融機関の健全で適正な業務運営を求めるということにいたしておりますので、それに反するようなことがございましたら、これはそれなりにきちんと対応するということだろうと思っております。
  55. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 それでは、全国でこういった被害と言ってもいいと思うんですけれども、あんた言うこと聞かなきゃもう貸さないよというふうに言われているところ、金利は安いかもしれないけれども、実質的な金利なんか考えたら三〇%、四〇%になっちゃっている、こういったもののいろんな。ですから、そういうところを、要はその会社が文句を金融監督庁に言っていったらきちっと是正してもらえますか。
  56. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 先ほども申し上げましたように、私ども事務ガイドラインにおきまして、正常な取引慣行に反する行為を行うことを防止するということをきちんと決めておりますので、それに沿わせるように対応をしてまいりたいと思っております。
  57. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 しかも、そのときにきちっと、融資の引き上げとかしないように、これは非常に難しいと思いますよ、言うは簡単で。そういうのを約束できますか、ここの場で。
  58. 村井仁

    政務次官(村井仁君) いずれにいたしましても、これは金融機関と貸出先とのいろいろな関係のもとで出てくる話でございますから、私どもといたしましては、金融機関の行動を……
  59. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 少なくとも公的資金が入っているんだから、銀行は。
  60. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 金融機関の行動をきちんとチェックいたしまして、事務ガイドラインで示されたきちんとしたビヘービアがとられているかどうかということをチェックするということがポイントでございます。  ただいま公的資金が入っていると、このような御指摘がございましたけれども、これは御案内のとおり現段階では限られた数の金融機関でございます。ただ、いずれにいたしましても、金融機関の行動につきましては、私どもきちんとチェックをしていく立場でございますから、今委員御指摘のような点につきましても十分留意をしてまいりたいということでございます。
  61. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 よろしくお願いします。  次に、ちょっと飛んで税制のことでお話をさせていただきたいと思うんですが、まず我が党で今準備し、衆議院の方ではようやくこれで提出させていただきます留保金課税のお話でございます。  先般、委員会で御質問させていただきましたときに、林政務次官の方から、留保金課税に似たような税というのがドイツの方にもあるんだというお話がございました。これは今どのように思われていますか。
  62. 林芳正

    政務次官林芳正君) お答えを申し上げます。  先日の委員会におきましては、ドイツの法人税の中で、配当される所得に対しては三〇%の税率を適用する、そして配当しない所得について四〇%であるから、次がみそでございますが、だからこれは類似の、同じような税率だろうと、こういう御答弁を差し上げたところでございます。とっさの御質問でございましたので、多少舌足らずのところもあったかもしれませんが、類似というのは、申し上げますと、今議論になっております留保金課税、いろんな目的、機能があるわけでございますが、その中の機能の一つとして、配当を誘因をさせるという機能があるというのをその前段でお答えを申し上げております。  その誘因をする機能というところに着目いたしますと、このドイツの配当、要するに留保重課といいますか配当軽課といいますか、この制度はそれに近い目的があるということを申し上げたかったわけでございますが、ちょっと舌足らずで、留保金課税そのものと同じ制度であるというふうに委員理解なさっているとすれば、ちょっと私が説明不足だったかなと。
  63. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 要は、ないんですね、日本だけですね。
  64. 林芳正

    政務次官林芳正君) ですから、留保金課税ということに関してはドイツに同じ制度はないということで結構だと思います。
  65. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 要は、先般申し上げましたように日本だけの特別な税、主要先進国の中では日本だけの特別な税であるということでありまして、現在、我々、衆議院の方から留保金課税の廃止法案、特に中小企業に限ってということで加えさせていただきながら出させていただく予定にしております。  これについて、大臣ぜひ御賛同を得たいと思うんですが、いかがでございますか。
  66. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 民主党の案に賛成するとか反対するということは別にして、大臣としてどう考えるかということを申し上げたいと思います。  留保金課税というのは、申し上げるまでもないことですが、企業の自己資本の充実を妨げる、特に内部留保が成長の頼みの綱とも言うべきベンチャーとか中小企業にとっては重い負担になるという観点から、私どもは、平成十二年度の税制改正で経営基盤が脆弱な中小・ベンチャー企業の発展を留保金課税制度が阻害するということにならないように最大限努力してくれと、こういうことになっておるわけです。  私自身も、党の税調を今やっている最中でありますから、何人か中心的な人ともお会いいたしましてこの声を率直に伝えております。また、大蔵省に対してもこのような主張を伝えております。ただ、恐らくこの一両日中に我が党の場合の答えが出るものと思いますが、その論点を聞いてみますと、それぞれにそれなりの理由があるということをつくづく感じます。  私たちは、留保金課税については、所得税と法人税の税率差が大幅に縮小した現在、税負担の差を調整することを目的とした留保金課税というのはもう意味を失っているぞと、こう言っておるわけですが、一方では、縮小したとは言いながら税率差は残っている。法人税三〇%、所得税三七%、こういう意見もありますし、また私たちは、中小企業ベンチャー企業の留保金の必要性というのは、足腰を強くするために必要だ、こう言っているんですが、一方では、恣意的な内部留保でなくてそれは配当に回すべきだという反論がある。また、もう一つ、これは大変困った議論だなと思っておりますのは、いわゆる同族会社、大企業で同族会社の中には商工ローンなんかも含まれてしまうんですね。そういうような社会的に糾弾されているところまでプラスに作用するようなやり方がいいのかというふうな議論がございます。ですから、ここいらの調整がこの数日間に残されていることだなと思います。  いずれにしても、留保金課税を廃止したい、それはなぜかという我々の主張がかなうような答えが出るように一層注目し、努力もしていきたいと考えています。
  67. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 大臣も、どこいらのうるさい静香さんという方が言われたように、ぜひどんと言っていただいて、きょうも出資法の改正案、我々、衆議院が反対しながら、参議院の方で大分修正または附帯決議をつけさせていただき賛成をさせていただきました。まさにこれは参議院の独自性ではないかなと私も本当に思ったわけでございますけれども、同様に是々非々で賛成するものは賛成していただく。我々の留保金課税の廃止法案というのは簡単で、これは中小企業だけに適用しようじゃないか、こういうことでございまして、これはぜひ党を超えて賛成に向けていただかないと、自民党さんは反対したんだということになりますので、ぜひ賛成いただきたいと思うんです。  大蔵省の方から、もう一度伺いますが、今でもこれは反対ですか。
  68. 林芳正

    政務次官林芳正君) 武士の情けで当たらないかと思っておりましたが、今大臣から御答弁があったとおりでございまして、今最終の議論政府税調また与党の税調の御議論の方でもやっておるところでございますから、まだ結論が出ておらないというふうに聞いております。それでよろしゅうございますか。
  69. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 個人的には。
  70. 林芳正

    政務次官林芳正君) せっかく委員からお尋ねがあるということでしたので、ちょっと古い証文でございますが、シャウプ使節団の日本税制報告書、昭和二十年代でございますが、これは入れたときの話でございますが、「むしろこのような附加税がなければ、個人たる株主に所得税があるため経済的理由から望ましい範囲を超えて法人内部に留保を増加しようとする積極的刺激」、これは多分インセンティブというような原語だったと思いますけれども、「が生ずることとなる。提案された附加税は、株主に所得税が課税されるために利益を留保しようとするこの圧力と大体において平衡を保つことを目的とする以外のものではないのである。」、こういう経緯で最初に導入をしておりますので、その状況というのはいまだに変わっておらないと。  ただ、所得税と法人税の税率の差がだんだん縮まってきておるということがございまして、(「若い人がそんな古いことを言っておったらいかぬぞ」と呼ぶ者あり)温故知新ということで、古いことをやりながら新しいことを今考えておったわけでございますが、これがだんだん縮まってきておることは事実でございます。  ですから、先ほど申し上げたように、配当を留保してこちらへ残しておく、税の意味では、ぱっと見るとそういう感じもするわけでございますが、例えば会社の方に留保いたしますと損金で落とせる範囲が個人の場合よりも多いということで、税率が近づいてきてもなおまだ全く意味がなくなるということではないというふうに現時点では思っておるということでございます。
  71. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 もう一歩だなという感触を得ました。これはぜひ、何度も繰り返しますように、与党だ野党だということではなくて、中小企業のためになるものですから、出します法案、これをぜひ、会期内というのはもう無理なのかな、何とか上程させていただけないのかなというふうに思います。  税制については、エンジェル税制でございますが、現在、エンジェル税制導入されてから何社、何人ぐらいその適用になりましたか。
  72. 細田博之

    政務次官細田博之君) エンジェル税制につきましては、平成九年六月創設以降現在まで、確認書の交付件数が六十九件でございます。これは、制度導入以降まだ二年程度しか経過していないこともありますが、これに加えまして、設立後五年以内の研究開発型企業に限定されていること等、税制上の恩典が限定されていることがその要因だと我が省としては考えております。
  73. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 これは六十九件、六十九人ということなんですね。二年間たって六社、六十九人ですよね、たしか。  ということなんですけれども、六十九人ということは、もうエンジェルって日本にいないんじゃないのかと。聖書の中にもあるんですが、エンジェルが化けて悪魔になるんですね。何だかそういうような状況じゃないかという感じがするんです。  アメリカの場合はいかがでございましょうか。
  74. 村田成二

    政府参考人村田成二君) 急なお尋ねなので正確な資料が手元にございませんが、概略二百万人ぐらいのエンジェルがいるというふうに私ども承知いたしております。
  75. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 六十九人と二百万人、本当に差がありますよね。これは何が問題でしょうか、政務次官
  76. 細田博之

    政務次官細田博之君) 基本的には、まだアメリカ人の気質と日本人の気質が違うとかいろんなことがあると思います。何しろアメリカは、新天地を求めて、フロンティアを求めてきた国ですし、石油が当たった金鉱が当たったという歴史もあります。そして、本当にそういうお金を有効に使って投資をするという考え方がありますから、日本はむしろ農耕民族で、貯蓄をして少ない金利を郵便貯金などをしては金利を稼ぐという性向がありますので。  これまではそうだと思いますけれども、それではいけないということで、我々が一生懸命今エンジェル税制の創設、拡充、それから中小企業への直接金融、ベンチャーの育成ということを大いに宣伝をし、制度をつくっているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
  77. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、大いに宣伝しても、制度が誤っていたらなかなかこれはふえないんじゃないかなというのが思うところなんです。  制度というのは、例えば我々が昨通常国会に出させていただいたような損益通算とか、やっぱりこういったことがなければなかなかこれは使いにくい。もちろんこの損益通算というのは個人の所得税の総合課税化という問題も絡みますから、ですから、それだけそんなことができるのかというのがまた大蔵省から言われるわけでございまして、それは難しいのはわかるんですけれども、先ほど政務次官が言われたように、これからは間接金融から直接金融へ持っていくんだ、こういう方向で考えるならば、やはりこれはエンジェル税制がきちっと整ってなければ、まさに一番の草創期のときに、じゃちょっとだけれども五十万円出資しようかなとか、こういう話にならないわけなんですよね。だから、これはやっぱり制度的な問題なんです、絶対に。それは御認識いただけますか。
  78. 細田博之

    政務次官細田博之君) 制度的にまだ不十分であるということは十分認識をしておりまして、今般御審議いただいております事業活動活性化法案におきまして、まず六年から十年以内の企業も含めるという対象企業の拡充を盛り込んでおります上に、来年度税制改正において、先ほどおっしゃいました一般所得から控除するなど抜本的な拡充を要求しているところでございます。  ただ、政府部内の調整があと何日かで決まりますので、御注目いただきたいと思います。
  79. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 恐らくこのエンジェル税制については今回は余り踏み込んだ議論がされないだろうと思いますけれども、引き続き大臣ぜひ、本当に世界で一番起業家が助かる国になれる国だと思いますので、これはやっぱりやらなきゃいけないというふうに思っております。  最後の質問だと思いますけれども、各制度の見直しというのがやはりこれは必要ではないかと思っておるんです。  今回の基本法の附帯決議の中にも、大体おおむね十年で見直したらどうか、こういうのを決議の中に入れさせていただきました。同じように、やはり制度、今までの中小企業政策、何度も言っていますように、不用額が三・三%ということです。たしかほかの省庁の不用額が〇・八八ぐらいでございましたでしょうか、というのからしても、大変な不用額がたまるというのか、かなり使い残しがあるという使い道が悪いものであったわけでございまして、やはりこれは三年ぐらいで見直しをするというのが絶対必要ではないかなと。ぜひこれはつけていただきたいと思うんです。  三年前というと一九九六年で、ちょうど第四十一回の衆議院選挙が行われた年でございますし、特養ホームの話がありましたが、彩福祉グループの献金疑惑が起きた時代でもあります。ペルーのリマのゲリラ事件がありましたし、それから村山さんが青空を見上げてやめた年でもございます。  ですから、三年たちますと、本当にああもう三年もたったのかというような感じでございまして、ぜひ見直し条項というのはきっちりつけていただきたいんですが、大臣、どうでしょうか。
  80. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今の不用額の話もありましたけれども、私どももいろいろ役人の諸君と議論しながら、何が理由なんだろうかと点検をしておりますが、やっぱり資金融資するにしても使い勝手が悪いものがあったと。例えば設備近代化資金というのは、中小企業全体に示して業種を限定するものですから、使い勝手が悪い。今度は思い切ってそれを小規模企業にして業種を問わないということにしたら活用できるのではないかというふうな、そんな見直しといいますか新たなスタートをしたわけであります。お説のとおり、実態を適宜適切に把握して、その施策の必要性とか効果を常に見直していくということはとても大事なことだというふうに思っております。  こうした考え方で、今回提出している二法でも、例えば私募債への信用保証やワラント債によるベンチャー向けの資金供給については、間接金融から直接金融への資金供給構造の変化などの達成度を見ながら、これは五年後までに見直しを行おうというふうな方向でありますし、例えば新事業創出促進法については、施策効果を見きわめた上で五年の間に見直しを図るというふうにしておりますが、これは木俣委員の御指摘のとおりでありまして、常に見直しながら最善の効果を上げていくというのが我々の務めだと思っています。
  81. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 質問を終わります。ありがとうございました。
  82. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。  中小企業活性化等のための中小企業関係法の改正について、中小企業現場の声を中心にしてお尋ねをいたしたいと思います。  ベンチャービジネスを育てたい、その支援をしよう、そして日本の景気に大いに弾みをつけようということでございます。アメリカでも成功をおさめている会社がたくさんあるそうで、ベンチャーまさに花盛りといったところだと思います。  通産省でもベンチャーと言い、郵政省でもベンチャー、あるいは科学技術庁でもベンチャービジネスを育成しようと言っております。各省ばらばらにベンチャーベンチャーと言われているようでございます。平成十二年度の予算などを見ましても、各省のそれぞれのベンチャーがいっぱいありまして、効率的に予算が使われるのかどうか疑問を呈さざるを得ないわけでございます。  政府として、ベンチャービジネス支援を初めとする新規産業創出のための施策について、関係省庁のベンチャーを統一的でしかも予算の重複を避けるなどの総合調整のできるシステムを国民の前に明らかにしてほしいというふうに思います。  通産大臣のお考えを伺いたいと思います。
  83. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 委員御指摘のように、確かに各省庁にいろいろまたがって、それぞれがベンチャーと言っている、そういう向きがございます。  これを一つにまとめて効果的な政策を遂行するということは全くそのとおりでございまして、平成九年の五月に経済構造改革のための行動計画というのを立てました。それに基づきまして新規産業創出のための関係省庁連絡会議というのができまして、情報通信やバイオテクノロジーといった分野ごとに設置されておりますが、これからもこれらの連絡はきっちりといたしながら総合的な施策を集中的に行う、そういう努力をしていかなければならないと思っています。  今般の新事業創出促進法改正に基づくベンチャー支援策についても、関係省庁との間で連絡会議を設けようと、そして相互の連絡を密にしてむだのないような効率的な形で進めていきたいと思います。
  84. 松あきら

    ○松あきら君 連絡会議ができたそうで、ぜひ情報開示をしっかりしていただきたい、よろしくお願いを申し上げます。  次に、ベンチャーの育成には税制が大切なわけでございます。先ほど木俣先生が御質問なさいましたけれども、実は私も留保金課税についてぜひお尋ねをしようと思っておりました。  先ほど、種々いろいろな質疑が出まして、御答弁もありましたけれども、多くの中小企業がやはりこれは負担になっているのでぜひ変えてほしいと。先進国でこの制度を導入しているのは、アメリカが実はあるそうですけれども、しかし日本制度と全く違って、これがほとんど適用されていないということです。  やはり私は、重い税負担が企業の成長や自己資本の充実を妨げている、こういうふうに思うわけでございます。法人税と所得税の格差が大きかった時代には有効な制度だった。しかし、大臣も先ほど、まだそれでも七%の差があるというふうにおっしゃいましたけれども、しかし私は、何でも銀行に頼らなきゃいけない、そして借金体質、やっぱりこれを変えなければいけない、もうそういう時代に来ているんじゃないか。そして、景気回復のためにも私は一刻も早い廃止が必要であるというふうに思いますけれども、通産大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  85. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私がさっきこの差がまだあるじゃないかと言ったのは、我々が留保金課税廃止という主張に対してこういう反対の声がありますという例示で申し上げたので、私どもが言っていることでは全くありませんから、誤解のないようにお願いしたいと思います。  いずれにしても、今我が党で公明党を含む三党と最終的な調整をいたしておりまして、結論を恐らく一両日中に出してくると思います。  私は、留保金課税全廃ということは今の客観的な議論の動きを見ると難しいかなと思いますが、しかし、留保金課税というのは、中小企業やベンチャーにとっては本当に大きな支えになって足腰を強くさせていきますから、そういう意味では何らかの答えを出さなきゃならない。しっかりこの一日二日頑張ってみたいと思います。
  86. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。ぜひ前向きに、よろしくお願いを申し上げます。ありがたい今御決意だというふうに思います。  次に、総合経済対策で打ち出されております相続税制についてお尋ねをしたいというふうに思います。  中小企業にとって関心の高い税制は事業承継税制だと考えております。特に、自分の土地に工場を建てまして事業を営んだりした場合、今のやり方では大企業に比べまして不当に株価の評価が高くなり過ぎるわけでございます。事業を継承する場合、土地も売らなきゃいけない、そしてその事業から撤退することにもなりかねないわけでございます。相続税負担が理由で事業が縮小、廃止をされ、雇用の喪失あるいは地域経済の崩壊が起きていることはゆゆしきことです。  中小企業ベンチャー企業は、失敗すればもちろん企業はそれでおしまいでございますけれども、一生懸命努力をして成功しても、この相続税のために事業承継で大変に苦労させられる。中小企業は、こういう意味ではよくてもあるいは悪くてもどちらにしても結局苦労させられる。やはり私は、こういうことを放置しておりまして中小企業を育成するとは言えないというふうに思うわけでございます。  この点に関しまして、事業承継を円滑にするためにいかに対応していくか、通産大臣の御決意をお伺いしたいというふうに思います。
  87. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 松委員と全く同じ論調でかつて予算委員会質問をしばしば行っております。  中小企業がその事業を次々と継承していくためには、例えば人材確保とかいろいろあるわけでありますけれども、その中でかなり重いウエートを占めているのは承継税制だろうと私も思います。  相続税その他につきましても徐々に改良されてきておりまして、例えば中小企業の一般的な相続税の場合でも、小規模宅地などは六十坪までが前は六〇%税を取られたのが、八割になり、昨今では百坪まで八割非課税という形になりました。これは相当な前進だと私は思います。  あとは、私はまさに承継税制だと思うんです。市場に出されていない株価をどう評価するかということが実は大変難しくて、これが結果的には割高になっているということが後を継ぐ場合にマイナスになっているという状態であります。  私は、このたびの税制改正の時期にぜひ承継税制は思い切った変化を遂げるべきだというので、先ほども申し上げましたけれども、我が党の場合ですと税調等に中心的な力を持っている例えば山中貞則先生とか、林先生にもそうですが、個々に私は大臣という立場でお目にかかりましてこのことを率直に申し上げて、少なくとも従来までの認識とは大きく変わっているなということを確認しています。しかし、最終的な詰めで何らかの前進ができるようにぜひさせていくように努力したいと思っています。
  88. 松あきら

    ○松あきら君 とても力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございます。やはりこれは非常に大事な、中小企業の方にとって一番悩んでいる点だと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  私ども公明党の主張を入れまして現行の二十兆円に追加をして十兆円の特別保証枠を設けたこと、第二次補正予算信用保証協会への財政支援といたしまして九百億円が計上されたということに、中小企業支援といたしまして大いなる期待を持っているわけでございます。この思い切った特別枠が中小企業資金繰りに生かされて、効果的に活用されますことを大いに期待をしているところでございます。  ここで、地元の声を一つ二つ大臣にお伝えしたいと思います。  ある経営者が商工会に行きまして融資の相談をいたしましたところ、申請書類をつくる過程で、この社長が友達の会社保証人になっていたわけなんです。そして、その友達の会社が倒産しているということがわかったわけでございます。倒産会社保証人になっているから今回の申請はできない、そういうふうに断られたそうでございます。自分の収入の中から、少しずつでございますけれども保証に基づく返済をきちんと続けておりましたが、それでも断られたわけでございます。  中小企業者は保証したりあるいはされたりといったことが日常的なわけでございます。この場合も、友人の分を清算しなければ自分の資金繰りには使えないということなんです。まじめに経営に努力をして保証債務の返済に努力をしている場合には、本制度を利用できるようにすべきではないでしょうか。また、以前受けた融資につき返済計画の変更があったというそういう理由のみで保証申請を受け付けてもらえない、こういった事実もございます。  大臣中小企業の気持ちがわかる、わかっているというふうにおっしゃっておられるわけでございますけれども、しかしまだまだその運用面では厳しく適用している例があるわけでございます。厳しく調査をして、もっと弾力的そして効果的な実行を指導すべきというふうに思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいというふうに思います。
  89. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私はこの大臣をやる前は自民党三役の総務会長でありました。その時期に通産省としばしば会合を持ちまして、貸し渋り対策の中の二十兆円という構想などをともどもに打ち上げてきたわけであります。その際の公明党の皆さんの御協力にも感謝しております。いずれにしても、大変な貸し渋り状況の中で中小企業を守るためにはどうしたらいいかということで、最初から一〇%のリスクを覚悟するという大変な政治決断をしたわけです。  だけれども、これに対する批判の声も一方では大変あります。きのうのテレビ、局名を言ってはなんですが、どうせわかることですから申しますと、テレビ朝日です。明らかに司会進行及びゲストの経済評論家と称する人たちはマイナス面だけを指摘して、あたかもばらまきであるような批判をなさった。私はこの基本的な姿勢が間違っていると思っておるわけでございますが、しかし、一方において貸したものは返していただくというのは大原則でございますから、最低のネガティブリストというのをつくってできる限りお貸し出しができるようにし、なお完全にできないもの、明らかに戻らないものについては最低限の制度を設けているのがネガティブリストでございます。その枠を外れてしまってはこれは残念ながら対象にはならないわけでございます。  今委員御指摘の保証人になった場合どうかということですが、問題は、当人が返済できないというような状況の中で、あるいは代位弁済になっているようなところが再び借りるということは、これはもう完全にネガティブリストでは外れますが、保証人ならどうかということでありますが、その保証人が責任を持ちながら返済に実際にスタートしている、一生懸命返そうと努力をしている、あるいはその保証人と借り手の関係、どんな関係であるかとか、あるいは今保証している分についての返済可能性などなども十分に検討しながら、私はケース・バイ・ケースという形で対応していくべきだと。第三者保証人になっていたら何が何でもだめですよというのは私は行き過ぎている。したがって、ケース・バイ・ケースでできる限り前向きで返済の可能性を見出しながら対応していくというのがその立場ではないだろうかなと思っております。
  90. 松あきら

    ○松あきら君 今大臣からお話がありましたように、実は私も報道のあり方ということにつきまして非常に疑問を感じている一人でございます。報道機関というものは絶対に中立でなければいけない。マイナス面ばかりを強調する、これは非常におかしいのではないか。ほかの面でも多々それがあるようでございますけれども、特に今名前が出ました局などにつきましては、ぜひ前向きに、どこをどういうふうに擁護するとか反対する、そういうことではなくて、きちんと正しく中立の報道をぜひしていただきたいと私も思うわけでございます。  また、今ケース・バイ・ケースでできるだけ前向きにという御答弁をいただきました。ぜひこのように指導していただきたいというふうに思うわけでございます。よろしくお願いいたします。  さて次に、中小企業に対する融資に関しまして金融監督庁の見解を伺いたいというふうに思います。  実は、ある中小企業が、資産はいっぱいあるんです。スキー場を経営しているんです。だけれども、特にこの数年、雪が少なくて営業日数がわずかだったわけでございます。そしてとうとう不渡りを出しました。事実上の倒産ということでございます。せっかく資産も設備も十分あるのでことしもオープンして収入を上げたいと、こういうふうに銀行に申しましても、銀行からは、金融監督庁がこういう状態で不良債権を残しておくと厳しく指導されるから、経営ができようができまいが関係ない、早く破産して清算しろと、このように二言目には金融監督庁、金融監督庁と言って迫るそうでございます。  そこで、監督庁は、経営できようができまいが関係なく清算するように銀行を指導しているんでしょうか。またあるいは、木俣先生もおっしゃっておりましたけれども、それは銀行が悪質であって監督庁を反対に利用している、そういうことなんでしょうか。いかがでしょうか、お答えをいただきたいというふうに思います。
  91. 乾文男

    政府参考人(乾文男君) 経営ができようができまいが関係なく破綻あるいは清算するように指導しているのかというお尋ねでございますけれども、端的にお答え申しますと、そういうことはしておりません。  金融監督庁は、銀行の経営の健全性を確保する観点から、銀行の総体としての財務状況あるいはリスクをその金融機関が適切に管理し得る体制を持っているかどうかという観点から検査監督を行っているところでございます。したがいまして、御指摘のような個々の事案につきまして、どういった対応をしろとか、あるいはするなとかいったことを監督庁が銀行に指導するといったことはございませんし、またそうした権限は全く与えられていないところでございます。  監督庁のスタンスはそういうことでございますけれども、今度は銀行の方の考え方みたいなものを一般論で申し上げますと、銀行が経営困難に陥った貸出先にどのような対応をするかというのは、やはりこれは当該貸出先の現在の事業の状況あるいは将来性といったものをじっくりと見て、銀行の経営の責任において判断をすべきものというふうに考えているところでございます。
  92. 松あきら

    ○松あきら君 やはり私はこういうところをしっかり調べていただきたい。監督庁も変なことで利用、利用というと言葉は悪いですけれども、やはり銀行にそういうことで監督庁に押しつけたらいいみたいなことがあっては私は監督庁にも傷がつくというふうに思いますので、その辺をしっかりと銀行にも指導して正しく判断をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  次に、今一番中小企業にとって頼りになる機関が商工会などの機関だと思うわけでございます。商工会あるいは商工会議所は、ますます中小企業を育成する上で重要な使命を持った機関となるというふうに思います。ベンチャーを初め中小企業育成に特別な役割が検討されてよいのではないかというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。通産政務次官にお伺いをいたしたいと思います。
  93. 細田博之

    政務次官細田博之君) 御指摘の商工会議所そして商工会は、非常に伝統的な機関であり、地域の総合的な経済団体でありまして、それぞれの地区内の商工業発展のためにこれまでも経営改善普及事業その他経営相談事業、情報提供事業等をやってまいったわけでございます。  ただ、問題点が全くないかというとそうではありませんで、やはり何としても既存の企業あるいは伝統的な企業主の団体になってきて、新しい企業にとっての窓口がまだまだ開かれていないじゃないかとか、ベンチャーその他に必要な知識、知見がどうも不十分じゃないかとか、さまざまな御指摘を受けていることも事実でございますので、既存のノウハウを利用しつつも民間のさまざまなノウハウをさらに生かしていくとか、総合的に考えてまいりたいと思っております。
  94. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。  私は終わらせていただきます。
  95. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友でございます。  関連で、残り二十一分でございまして、私二つの質問を用意しておったんですけれども、せっかく労働政務次官も今おいでいただいたんですが、ちょっと順番を逆にいたしまして個別の問題から先にやらせていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。  といいますのは、今国会中小企業国会、また深谷大臣を先頭に、本当にさまざまな、一生懸命頑張っておられる中小企業に何とか元気に頑張ってもらいたいというような施策、基本法も改正いたしましたし、この二法またそのほか金融等いろいろございます。  先日、ある屠畜場を経営されている方からお話がありまして、これは今我々が、一生懸命やっている中小企業を何とかしてやろうということと全く相反することが政府の、それぞれの各省の施策によって、頑張っている民間の方の足を引っ張ってむしろつぶす方向にあるというようなこういう現状がございましたのでちょっとお尋ねしたいな、このように思います。  まず、深谷大臣、ぜひこれは聞いておいていただいて、後で御感想等もぜひ聞かせていただきたいと思います。  まず、現在全国の屠畜場、いわゆる牛、豚、そうしたものを解体処理する施設は全国で一般と官営を合わせて二百九十九カ所あるんです。市町村等でやっている公設とそれから公社等の組合関係、これが七割で、残りの三割が民間が経営している、このように聞いておりますけれども、その中でも、全国の中でも畜産農家の多い北海道にはどのくらいあるのか、一般の設置主体者別にお伺いしたいと思います。
  96. 西本至

    政府参考人西本至君) お答えいたします。  現在、北海道には一般屠畜場が二十三施設ございまして、設置主体別の内訳で見ますと、市町村が設置する屠畜場が八施設、株式会社が十四施設、個人が一施設となっております。なお、市町村一施設及び個人一施設は現在業務休止中であると伺っております。
  97. 弘友和夫

    弘友和夫君 その株式会社というのは畜産公社も入っているんですか。
  98. 西本至

    政府参考人西本至君) 入っております。
  99. 弘友和夫

    弘友和夫君 畜産公社を株式会社に入れておりますけれども、畜産公社というのは株式会社であっても純然たる民間ということじゃないと思うんです。  私の手元にあるのは、市町村設置が八カ所、それから株式会社でも分類して、まず畜産公社が八カ所、それから民間経営が六カ所、合計二十三施設、このように聞いているわけです。  この中で、民間で経営されているある方、このところは、御先祖さんが北海道で初めてお米を栽培したという地域では大変な人望がある、そういうことで、戦後すぐに地域の畜産農家から屠畜場がそこにないからぜひやってもらいたいということで、五十年間本当に一生懸命経営されてきた。赤字は出していないんです。五十年間ずっとやってきた。  ところが、今回、O157の問題がございまして、と畜場法の改正があったということですけれども、確かに衛生面からと畜場法を改正する必要があるんですけれども、それに対して市町村の経営、それからそういう公社の経営についてはいろいろな、今まで施設、設備にしても運営にしても税金が使われているわけです。それが全然なしに民間というのは経営をしてきた、同じ土俵の中で。ところが、と畜場法の改正があって、あるいは設備投資等がある。  そのと畜場法の改正によって、じゃ民間に何かそういうものがあるのかどうか、どういう手当てがされているのか、お聞きしたいと思います。
  100. 西本至

    政府参考人西本至君) 平成八年の腸管出血性大腸菌、いわゆるO157の食中毒の多発に対応いたしまして、食肉の微生物汚染を防止するためにと畜場法の施行令及び施行規則の改正を行いまして屠畜場の構造設備基準の改正等を行ったところでございます。  既存の屠畜場につきましては、牛などの大動物を処理する屠畜場につきましては平成十二年三月三十一日まで、それから豚等の小動物を処理する屠畜場につきましては平成十四年三月三十一日までに改正規定に適合することが必要となってございます。  屠畜場の整備に係る財政支援措置についてでございますが、従来から地方公共団体が設置いたします屠畜場の施設の新設あるいはまた改善に伴う特別地方債の還元融資を行っているところでございます。  それから、お尋ねの、さらに今回の施行令等の改正に伴いまして、地方公共団体が設置する屠畜場の衛生処理設備の改善に対する補助事業を行うほか、地方公共団体以外が設置いたしました一般の屠畜場に対しましても、平成十年度及び十一年度に購入された設備に係る固定資産税を三年度間二分の一に軽減する措置を講じているところでございます。
  101. 弘友和夫

    弘友和夫君 普通だったらこうした法の改正があったときには何らかの手当てがあるはずなんですけれども、その手当てがあるのは、保健衛生施設等の整備事業というのは地方公共団体にしかそうした補助は認められない、民間で経営されているのは全然ない、こういうことなんですね。  今度は農水省にお伺いしたいのですけれども、農水省は食肉処理施設等再編整備事業というのを行っておりますけれども、これは民間にその補助金はあるんですか。
  102. 本田浩次

    政府参考人本田浩次君) 農林水産省といたしましては、輸入食肉との競合が強まっている中で、流通の合理化と衛生管理の高度化によりまして国産食肉に対する競争力の強化を図るために二つの事業を行っております。一つは、農畜産業振興事業団による助成事業といたしまして、食肉処理施設等再編整備事業、それから、一般会計予算によりまして国産食肉産地体制整備事業というものを行っております。これによりまして食肉処理施設の整備に対する助成を行っているところでございます。これらの助成に当たりましては、できるだけ高い事業効果を上げてその利益が広範に波及いたしますように、施設の規模でありますとか施設の形態、さらには事業実施主体につきまして所要の要件を定めているところでございます。  具体的に申し上げますと、規模要件といたしまして、食肉処理施設等再編整備事業では一日に豚換算で五百頭以上、それから国産食肉産地体制整備事業におきましては同じく一日千四百頭以上の規模で設けております。それから、施設の形態といたしましては、これは流通の合理化を図るための事業でございますので、単なる屠畜場ではなくて、屠畜解体から部分肉処理までを一貫して行いますいわゆる食肉センターを対象にしているところでございます。  特にお尋ねの事業実施主体といたしましては、地方公共団体でありますとか農業協同組合、またはこれらの団体が株式の過半数を有する株式会社などを対象にしているところでございます。このように、私どもの事業におきましては、事業の性格から、特にその実施主体につきまして公共性の高いものに限っているところでございます。
  103. 弘友和夫

    弘友和夫君 公共性の高いというふうに言われましたけれども、要するに屠畜場を営んでいるというのは、まさしく、と畜場法によって認められて、地域のいろいろな要望があって、それは民間であろうと市町村経営であろうと公社であろうと、料金も全部公共料金ですよ、都道府県が認定をした。柱の一本を動かすにしてもいろんな規制があって、そういう公共料金、公共性が高いわけですよね。それを、片一方の市町村だとか公社には補助金を出しますよと。同じ土俵の中で一生懸命今まで、今回統合計画がございますけれども、北海道では勝手にあれをつくって二十三を十ぐらいにしようということでやっているわけですね。民間は補助金も出せない、何もありませんよと。これはつぶれなさいということじゃないんですか。もう一回お尋ねします。
  104. 本田浩次

    政府参考人本田浩次君) 食肉の流通につきましては、屠畜解体の効率化などによりまして処理コストの低減を図る必要があるということ、さらに衛生管理の徹底が求められているところでございます。  このために、先ほどもお答えいたしましたとおり、農林水産省といたしましては、屠畜解体から、ロースであるとかヒレであるとか、そういった枝肉から骨の部分を抜きました部分肉処理までを効率的かつ衛生的に一貫処理いたしますいわゆる食肉センターの整備を進めているところでございます。  この場合、効率的かつ衛生的な食肉流通を実現いたしまして我が国の畜産の振興を図るという観点から、食肉処理施設の形態などの要件とあわせまして、規模、これは一日当たりの処理能力でございますけれども、この要件を定めているところでございまして、私どもとして小規模事業者の廃業を強いているものではないということで御理解を願いたいというふうに思います。  また、助成に当たりましては、その利益が広範に波及いたしますように共同利用施設を対象としておりまして、私どもが生産サイドから食肉流通行政を推進しているという立場もございますので、農業協同組合を事業実施主体とするものを中心として整備を行っているところでございます。純粋の株式会社につきましては助成の対象としていないところでございますけれども、複数の株式会社から構成されます中小企業等協同組合は助成の対象としているところでございまして、このような協同組合の組織が進んでいきますように指導の徹底に努めているところでございます。
  105. 弘友和夫

    弘友和夫君 これは大臣もよく聞いていただきたいんですけれども、要するに大規模化したら処理コストが安くなるということで整備等を図ろう、二十三を十にしようと。ところが、小規模であっても、今まで赤字も出さずにずっと一生懸命補助金も何ももらわなくてやってきているところがあるわけです。片一方は、大規模であっても補助金を、二十億も税金を使って設備も建て、その運営をして、運営も毎年一千万以上の赤字を出している。だから、大規模だから処理コストが安くなるとか、大規模だからいいということにはならないわけですよ、現実に。  それは、今回の中小企業基本法もそうですし、今までは大企業中小企業があって、中小企業というのは弱いものだ、それをまとめて大企業に近づけていこうと。こういうことじゃいけないんですよということで基本法の改正があった。今農水省がやっていることは、まさしく大規模になった方が処理コストも安くなる云々と言っているけれども、大規模でも今まで赤字を出しているわけですよ。  じゃ、何頭以上の処理施設があれば、何頭以上対象であれば赤字を出さなくなるんですか。今まででも五百頭以上、千頭以上やっているところでも全部赤字じゃないですか。どうですか。
  106. 本田浩次

    政府参考人本田浩次君) 先ほども御答弁いたしましたとおり、国産食肉産地体制整備事業につきましては、規模要件といたしまして豚換算で一日当たり千四百頭以上、こういう姿にしております。それから、食肉処理施設等再編整備事業規模要件につきましては、同じく一日五百頭以上、こういうふうにしているわけでございますけれども、私どもの調査によりますと、五百頭以上の経営体がそれ未満に比べまして、例えば一時間当たりの処理頭数で言いますと、五百頭未満では五十四頭ぐらい、五百頭以上では百三十二頭ということで、労働生産性からいくと二倍以上になる、こういう実態でございます。  ただ、経営内容の問題につきましては、施設の整備水準とそういった労働生産性と経営内容の実態が必ずしもバランスがとれているというか、そういう姿ではないということは事実でございます。それは経営能力にかかわる問題ではないかと思います。
  107. 弘友和夫

    弘友和夫君 だから、それを言っているんです。  じゃ、今まで設備にかけて労働生産性がよければ赤字になるはずはないじゃないですか。一千万も二千万も赤字を出して、片一方は民間で何ももらわなくて一生懸命やっている、片一方は施設を大きくしていけばよくなるんだというその考え方がまずおかしいんじゃないですか。そして、集約をやったら、生産農家は遠くに行かないといけないわけですよ。便利も悪くなるわけです。民間で一生懸命やっている、赤字も出していないんだから、そこに少し補助金を出すなり何かをした方がまさしく中小企業の後押しになるんじゃないか、このように思いますけれども、大臣、ちょっと今までのところでいかがでございましょうか。
  108. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 他省にわたることですから、さて、こちらに質問が参ったらどう言おうかなと思ってさっきから考えていました。  中小企業基本法改正一つの物の考え方は、今までは御指摘のように大企業中小企業経済の二つの構造と考えて、中小企業は小さい、弱い、非近代的だから、なるたけ広げて大きくして大企業に近づけるという考え方であった。それはそれなりのもちろん効果が上がってきたわけでありますが、そういうスケールメリットを一律に考えていくことはどうなんだ、その反省に立って、多面的な中小企業の持てる力をきめ細かく応援することによって中小企業全体を活力あるものにしていこう、こう考えたわけであります。  しかし、だからといって一定の生産効率を達成するための設備あるいは規模が必要だというところまで否定しているわけではないわけでございまして、この委員会でもしばしば議論になりました、例えば地域的な産業の集積地域をこれから養成しなきゃならぬという御意見などもあわせ考えていかなければならないと思うわけであります。  ただいまお話しの農水省に係る件に関しては、これらの点をよく踏まえて、生産性であるとか効率性であるとか、そういう規模が必要なのかということを十分に考えていくということは大事なことではないかと思います。
  109. 弘友和夫

    弘友和夫君 もちろん生産性、効率性、そういうことも考えてやっているんだと農水省は言っているわけです。生産性も、数字は出ているけれども、現実に民間は一生懸命赤字を出さないでやってきている。片一方は効率が悪い運用をされている。二十何億かけても閑散としているような、そういう屠畜場もあるわけですよ。  それと、もう一つは、これは全部公営でやっているのを集約するというのだったらまだわかるわけです。ところが、その中に民間もいるわけです。民間もいるのを何で勝手に二十三を十にするんだ。それじゃ、民間の、十に統合される、やめましょうと言う。普通だったら、そういう計画があるんだったら何らかの手当てをするわけです。全くその手当てがなくて、つぶれなさいよと言っているんじゃありませんよと、こう言っているわけ。だけれども、現実問題は二十三を十にしましょうと。それで、大きくなる方にはどんどん補助金なりなんなりを出して、民間はそのままにしていたら、つぶれなさいと言わないと言ったってつぶれるに決まっているんですよ、これは。  何らかのこれは手当てが必要なんじゃないですか。どうですか、農水省
  110. 本田浩次

    政府参考人本田浩次君) 先生御指摘の二十三を十にするとか、この話は、私ども承知しているところによりますと、ことしの五月に北海道で作成いたしました北海道再編整備計画の北海道ミートプラン、こういう話であろうと思います。  このプランにおきましては、御指摘のとおり、食肉処理施設の再編整備の目標を、基幹的施設を五つ、補完的施設を五つから七つということで再編整備するという計画になっているようでございますけれども、これはあくまでも規制を目標とするものではなくてガイドラインだというふうに私どもは承知しております。  それから、先生御案内のとおり、私どもが事業を行っておりますのは、平成八年度から食肉処理施設整備事業で補助を行っておりますけれども、この補助によりまして屠畜場が廃止されたという実態はとりあえず今までのところございません。
  111. 弘友和夫

    弘友和夫君 時間が参りましたけれども、今の答弁では全く納得できない。おかしいじゃないか、だから何らかの手当てがあるのかということを言っているわけですから。  大臣中小企業基本法の所管は大臣の方ですけれども、これは全省庁に関係のあることじゃないんですか。この中小企業基本法というのは通産省、中小企業庁だけの問題じゃないと思うんです。これは全部の省庁に関係のある、要するに中小企業に対する憲法でしょう。それを、農水省のことだから全然反対の方向に行っていてもということにはならない。中小企業は現実につぶれようとしている、国の施策によってつぶれようとしているわけですから。  時間が過ぎましたので、また別の機会にやりたいと思います。よろしくお願いします。
  112. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ─────・─────    午後一時三十一分開会
  113. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから中小企業対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、中小企業事業活動活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律案及び新事業創出促進法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  114. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  まず、今回の改正案が中小企業の発行する社債、私募債に保証協会保証を付与するということにしておりますけれども、中小企業の発行する社債に保証を付与するその目的を説明していただきたいと思います。
  115. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 中小企業資金を調達する場合に、民間金融機関あるいは政府系金融機関、間接金融が中心でございます。しかし、中小企業にも、特に健全な中小企業には直接金融の道がもっと強化される必要があるというので、社債の発行ということについて、ただそのままでは市場の状態から考えて信用が足りませんから、そこに信用保証協会保証をつける、そういうことによって中小企業者の資金調達手段を多様化していこう、そういう目的であります。
  116. 山下芳生

    山下芳生君 中小企業資金調達手段の多様化が目的だという御答弁ですが、現在の中小企業がどのような資金調達をされているのか、これは非常に大事だと思うんです。そこで、その中でも社債というのは、ごくわずかではあると思いますけれども存在する。  まず、現在社債発行の経験のある中小企業の比率、幾つでしょうか。
  117. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 社債の発行の経験のある中小企業、私どもが平成十年の白書をつくりましたときに調査をいたしましたところによりますと、大企業は大体三〇%が社債の発行経験があるのに対しまして、中小企業においては約一%程度ということになっております。
  118. 山下芳生

    山下芳生君 一%の中小企業しか経験がないということであります。  同時に、現在の中小企業のそれでは資金調達構造、どういう分野から資金を調達しているのか、その内訳を説明いただけますか。
  119. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 資本金でございますとか資本準備金というようなもの以外で中小企業が調達する資金のうち、約九九%以上が金融機関からの借り入れ、いわゆる間接金融になっております。社債による資金調達は一%を大幅に下回る水準でございます。
  120. 山下芳生

    山下芳生君 今、以外とおっしゃられましたけれども、私きょう、大蔵省の法人企業統計年報を持ってまいりました。中小企業資金調達構造、平成九年度でありますけれども、長期借入金が三五・一%、短期借入金が二〇・一%、営業債務が一六・八%、その他負債が一五・九%、自己資本が一一・九%、そして社債は〇・一%ということであります。  ですから、社債を発行した経験のある中小企業は一%、それから実際の資金調達構造の中で占める社債の割合は〇・一%と極めて限られた比率に今なっている。  私は何が言いたいかと申しますと、こういう状況ですから、社債の発行を支援するということも悪いことではございません。しかし、一番大事なのは、やはり圧倒的な資金調達手段となっております借入金、ここをしっかりと確保するということが圧倒的多数の中小企業の圧倒的部分にとっては一番大事なことだと思うわけであります。  そこで、金融監督庁に伺いますが、大手十五行にそのためにもということで公的資金を注入されましたけれども、その注入総額は幾らになっているか。それから、それらの銀行の九月決算時の中小企業向け貸出増加額、ことし三月比、これが幾らか。そして三つ目に、経営健全化計画中小企業向け貸出増加目標に対する達成状況はどうなっているのか、説明してください。
  121. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  ことしの三月に大手十五行に早期健全化法に基づきまして資本注入いたしましたが、その金額は約七兆五千億円でございます。そして、その際経営健全化計画を出していただきまして、中小企業向け貸し出しを増加させるという目標を立てていただきました。その際の目標は、そのときの見込みに比べて三兆円増加させるということを、十五行合計でございますけれども、各行別に計画に盛り込んでもらいました。ことしの九月中間決算が出た段階で各行に経営健全化計画の履行状況の公表を求めまして、十二月七日に公表させていただきましたが、三兆の目標に対して約七千億しか増加していないということが明らかになっております。
  122. 山下芳生

    山下芳生君 報告のあったとおりであります。中には貸出増どころか、富士銀行、東海銀行など六行が九月末時点でことしの三月末よりも中小企業向け貸し出しが減っちゃっているということもあるわけです。公的資金の直接注入を受け、そしてそのときに貸し渋り解消のためにとみずから決めた中小企業向け貸出増目標のその目標が今二三%しか達成されていない。  私は、通産大臣にまずこうした状況をどう御認識されているのか、どう対応されるおつもりなのか、伺いたいと思います。
  123. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 景気を回復させて経済を安定させようということで小渕政権誕生以来いろんな施策をとってまいりました。その中で、血液が体を順調にめぐるように融資関係が順調にいかなければならない、それを阻害している大きな要因が民間金融機関の不良債権であった。健全化、再生化をするためにはこれを何とかしなければいけないというので、六十兆の枠をつくってこれらの健全化、再生化のために寄与することに相なりました。  同時に、それは、昨年特に吹き荒れていた中小企業の貸し渋りに対しても金融機関はこたえてほしいという、そういう期待を持って進めていたわけでございます。しかし、なかなか思うようにいかない、中小企業は喫緊の課題として融資が何とかならないかという声があったために、貸し渋り対策の二十兆円を設置してこれを緊急避難的な対応で今日に至るまで多くの成果を上げてきたという、そういう経緯でございます。  ですから私は、本来から申せば金融機関がそういう期待にこたえて中小企業に対する融資をもっともっと行うという努力をすべきである、同時に十五行に対してその枠から資金を出しますときに計画を報告させるわけでありますが、その中には三兆円という中小企業融資の目標が掲げられているわけでありますから、これを達成するために全力を挙げるというのは彼らの当然の責務であると思います。  ただ、一年間終わっているわけではありませんから今後の経緯を見なければなりませんが、現状は必ずしも満足のいける状態ではない。むしろ監督官庁が一層督促することが大事だというので、所管の大臣にも私は直接申し上げたりもいたしております。
  124. 山下芳生

    山下芳生君 貸し渋りはまだまだ解消してはおりません。中小企業家同友会の皆さんが最近調査をいたしました。特別保証制度を実施して以降の調査でありますけれども、会員企業の中で貸し渋りが緩和したと答えた方は一二・二%しかありません。それどころか、最近金融機関の対応に変化があるという答えの内訳を見ますと、追加担保を要請されたが二三・二%、新たな貸し渋りを受けたが一八・六%、拘束預金の要請を受けたが一二・二%など、特別保証による貸し付けが一巡するに従って再び中小企業向け貸し出しに、金融機関の態度にこういう不満感がさらにまた再燃してきているという状況すらあるわけであります。  大臣、先ほどこういう状況を解消することが大事だというふうにおっしゃいましたけれども、やはり私も、中小企業資金繰り資金調達の円滑化というのであれば、まず第一義的にこうした民間金融機関の貸し出し態度を改めさせる、貸し渋りをやめさせるということが第一義的な課題であるべきだと思いますが、念のためにもう一度御確認をお願いします。
  125. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) お断りしておかなければなりませんが、六十兆の枠組みをつくったのは、中小企業貸し渋り対策だけのためでは全くありませんで、これは経営基盤を強化させて、いわゆる金融機関の足腰がきちんとしないと経済の再生は成り立たないという大きな前提に立っているわけであります。  しかし、そういう状況の中でも、一方では中小企業に対する貸し渋りというのが横行しているものでありますから、その分についてもあわせしっかりやってほしいと、こういう要請でございます。  これに対して、実際にその枠組みから資金を出しました際の十五行を中心とした銀行は、それぞれが中小企業にどのぐらいの融資を行うという目標を立てているわけでありますから、その目標に向かって全力を挙げようというのは私は当然の我々の声でなければならぬと思っています。
  126. 山下芳生

    山下芳生君 さて、そのことを確認した上で、中小企業の発行する私募債に信用保証協会保証を付与する問題ですが、条文では、信用保証の対象となる企業は、純資産の額が一定の額以上であること、その他政令で定めるということになっておりますが、この純資産の額、一定の額というのは幾らを想定されていますか。
  127. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 純資産の額でございますが、私どもは今五億円程度を考えております。
  128. 山下芳生

    山下芳生君 純資産五億円以上の中小企業というのは、その数は幾らぐらいありますか。
  129. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) これを正確に示す統計データはございませんが、私どもがもろもろの統計数値から推計いたしますに、二万社ないし三万社ではないかというふうに推計をいたしております。
  130. 山下芳生

    山下芳生君 中小企業の数というのは、もう何回もここで議論されましたけれども、約六百五十万社であります。そのうちの二万社か三万社しかこの私募債の対象にはならないということでありまして、これはごくごく一握りの中小企業だと言わざるを得ないと思うんです。  私は、こういう一握りの中小企業の発行する私募債に保証を付与することが、私募債を発行することができない圧倒的多数の既存の中小企業保証にしわ寄せとならないか、こう心配するんですが、これはいかがでしょうか。
  131. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 繰り返し申し上げておることでありますが、中小企業資金調達資金的な支援というのはいろんな角度からあります。  一義的には、民間の金融機関が中心的なものであると思いますが、それを補完するための政府系資金の貸し出し、とりわけ特別保証などはその最たるものでありますが、それ以外にもいろんな手だてでお手伝いをすることがないか、その中の一つとして、私募債発行というのを保証協会保証をつけて出すということにしているわけでありまして、それがすべてではありません。いろんな支援の中の一つの具体的な手だてが私募債の発行だとお考えいただきたい。
  132. 山下芳生

    山下芳生君 それは私も承知しておるんですが、いろんな手だての中に一つ新しいスキームが入るわけですよね。そうしますと、例えば、保証協会の財務状況を私もここ数年いろいろ伺っておりますけれども、今の不況のもとで、代位弁済もふえておって、私の地元の大阪の保証協会なんかも赤字が相当膨らんで大変になっているということも聞いております。そういう中で新たにこういう私募債に対する保証付与というスキームをつくったら、どっちかというと、中小企業の中ではやっぱりごく一握りの優良な中小企業ですよ。そちらに対する保証にシフトしたいなというインセンティブが働くのじゃないか、そう心配するわけです。  その心配と、もう一つお聞きしたいのは、いやそんなことにならないよと、例えば制度的にこの私募債に対する保証保証協会の原資として別枠でやるんだと、そういう保証があるのかどうか、このあたりはいかがでしょうか。
  133. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私から申し上げるまでもないんですけれども、中小企業の社債を発行いたしましても実際にその引き受け手がない、一つ間違えたら紙切れですから、そういう形でどこでも出せるという性格のものではありません。その企業がこれから健全に運営されていく際に、直接金融のめどをつけるために私募債というのを発行するわけでありますから、この本来の性格をゆがめるわけにはいきませんから、そういう意味では、先ほど長官が答えたような一定の純資産ないしは資本金というものがなければそれは無理な話であります。  ただ、この法案を出します際に、私募債に信用保証を付すことにしたわけでございますが、それについては、今次補正予算で従来の保証とは別個に五億円の補助金を用意しているわけでございます。保証規模で言いますと、五年間で五千億円の対応ができますから、そういう意味ではしわ寄せでそのことが他の中小企業にマイナスになるということはないと思っております。
  134. 山下芳生

    山下芳生君 もう一つ別の角度から聞きたいと思うんですが、銀行によっては既に純資産十億円以上などの適債基準をクリアした企業であれば、中小企業からも今でも私募債を引き受けております。今回の法改正によって純資産五億円以上の中小企業が対象になるというわけですけれども、そういう基準をクリアすれば、現在、別に保証を受けなくても私募債を発行している中小企業の発行する私募債についても、これは保証を受けることができるようになるんでしょうか。
  135. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) これは私募債と申しておりますように、基本的に相対によりまして金融機関等がお引き受けになるかどうかということでございます。その際に、信用保証を必要とされるかどうかという御判断がまずあると思います。  今回五億円にいたしましたのは、確かに御説のように、銀行の中に、全部かどうかはともかく、慣行的に十億円を事実上の適債基準として扱われておるところがあるということでございますが、信用保証をつけることによって五億円程度までの企業が私募債の発行によって新しい資金調達手段を獲得できるであろう、そういうことで導入をお願いしているものでございます。
  136. 山下芳生

    山下芳生君 私が聞いているのは、既に保証なしで発行されている私募債、そういう力のある中小企業が今後私募債を発行する場合にもこれは保証協会保証をつけることができるのか、あるいはそれはできないというふうになっているのかということなんです。
  137. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 金融機関の御判断、あるいは信用保証協会との協議でございますけれども、その道が閉ざされているわけではございません。
  138. 山下芳生

    山下芳生君 銀行はそういう企業に今後やはり保証をつけたがるということになるんじゃありませんか。
  139. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) これまで極めて限られたケースにしか私募債は発行ができていないわけでございますので、今回の制度によりまして、銀行にとっても今回部分保証制度というのを導入いたしておりまして、銀行もリスクテークをしながらということでございますけれども、その中で、銀行信用保証協会の協議の中で決められていくものと考えます。
  140. 山下芳生

    山下芳生君 協議の中でということが答弁なんですけれども、私は、やはりこれは認識をこの点では厳しくする必要があると思っておるんです。  というのは、例の特別保証の際に、企業債務を全額返済させて新たに保証つき債務にさせるという、いわばつけかえというものがかなり横行いたしました。これは一体何のために特別保証を実施したのか、銀行のリスクを軽くするだけにしか役に立っていないじゃないかという厳しい批判がわき起こりました。  今度の私募債の保証も、今中小企業庁長官の御答弁にあったように、これまでの私募債発行企業に対しても保証をつけることを排除していないわけですから、これはまた銀行がそういうところに今度はつけかえの私募債版とでもいいますか、そういうことに走らないとも限らないわけです。そうなったら、公的信用保証制度の私は目的理念がゆがめられるおそれがある、こう思うんですが、これはいかがでしょうか。
  141. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 当然のことでございますが、信用保証協会保証を得るということは、そのことについて保証料等のコストがかかるわけでございます。従来、仮に、ごくわずかな数と存じますが、私募債の形で発行がされていた企業にとりまして、そのようなコストアップというものについてどのようにお考えになるかということは、当然私募債を発行される企業体にとりましても、コストの問題でございますので、そうしたところもあわせ勘案されるものと考えます。
  142. 山下芳生

    山下芳生君 いずれにせよ、排除はされていないんですね。  そこで私は、やはり改めて信用保証制度の本来のあり方というものもこの際しっかり認識し直す必要があると思うんです。中小企業信用保険法が制定された当時の国会の趣旨説明にはこうあります。  本来、中小企業金融は小口の金融であり、かつ担保力等の薄弱なものであります。中小企業者の生産設備の弱小性等に基づく信用力、担保力の不足、経済変動に対する抵抗力の薄弱等の理由により、経営自体としましては良好でありましても、貸し出しに著しく消極的になりがちであります。本法の目的は、中小企業のこうした信用力、担保力を補強し、さらには中小企業者が経済変動により受けるショックを金融機関に対して緩和するところの措置を講ずるものであります。  つまり、ここでは中小企業金融とは小口の金融であるんだ、あるいは担保力の薄弱なものなんだ、そういう前提で、それを補完する制度をつくった、こういうわけです。  私は、中小企業国会というのであれば、今まさにこういうところにもっとさらに手厚い支援がなされるような制度改正するというのならわかるんですが、純資産五億円以上、私募債が発行できる企業しか利用できないスキーム、これに新たに公的保証を付与するというのは、本来の保証制度の趣旨から見てどうなのかという危惧をするものであります。  この問題の最後に、今やるべきは、私、私募債の保証をやるべきじゃないと言っているんじゃないんです。もっとやるべきことがあるんじゃないかということであります。  例えば、特別小口保険があるわけですが、昨年、特別減税というのがやられました。そのために、結果として納税額がゼロになってしまった自営業者の方もいらっしゃいます。そうすると、納税額ゼロだと特別小口保険、無担保保証人保険が使えません。これは制度としては、政府がつくられた制度減税で納税額がゼロになった、しかしそれによって政府制度融資が受けられなくなっちゃう、これは矛盾じゃないかということを私、ことし提起をさせていただいたわけです。当時の与謝野通産大臣は、これは研究させていただくという御答弁をいただいたんですが、年末になりまして、いよいよこれが非常に多くの問い合わせを私どもも受けておるわけですが、こういう問題、その後どうなっているでしょうか。
  143. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 特別小口保険については、保証人の提供ができない小規模企業者に配慮して一定限度額までを小口資金について簡易迅速な審査で保証つき融資を行うということで、当該の小規模企業者の金融の円滑化を図る目的で、これは政策的な制度としてあったわけでございます。  御指摘のように、特別減税によって特別小口保険の納税要件を満たさない場合、その影響の実態は過去の類似の事例等について十分研究しなければならぬと私は思います。  私が大臣になりましてから、これらの検討につきましては、引き続いて検討すべき課題であるので十分に認識するようにという指示を出しておりますが、その検討結果が今ここに出ているという状況ではありません。
  144. 山下芳生

    山下芳生君 対象者はざっと六十万人に上る大変大きな問題ですから、もう大分前に提起させていただいておりますから、ぜひこれ解決の方向で検討していただきたいと思います。  次に、新事業創出促進法改正案について伺います。  この法律は、昨年のちょうど今ごろですが、つくられました。私はそのときに、大企業の何ら事業革新を伴わない単なる分社化なども創業等とみなして事業革新法の特例で支援するというものであります。これは私は大企業の単なるリストラを支援する、人減らしや労働条件の低下を支援する法律になるじゃないかと、こう批判したのを記憶しておるんですが、当時の江崎産業政策局長は、この法律で三十七万人の雇用の創出効果があると答弁をされておりました。  ことしの二月からこの法律は施行されているわけですが、認定を受けた件数、それから企業名、そしてそれぞれ雇用がどれだけふえたか説明をしてください。
  145. 村田成二

    政府参考人村田成二君) 先生が今御指摘になりました新事業創出促進法、御指摘のように今年の二月から施行されているわけで、ほぼ十カ月たっているわけでございます。  認定についてのお尋ねでございますけれども、御案内のように、この法律認定を要する分社化等に関する規定以外にも、創業等一般に関する支援措置があるわけでございますので、そういったあたりも含めてこの法律の施行状況を見る必要があると思いますが、お尋ねの点について絞って申し上げますと、分社化支援の認定実績といたしましては今までのところ三社でございます。具体的な企業名を申し上げますと、日本鋼管、それから製版業を営んでおります睦印刷工業、クリエイト横浜、この三社が現在までのところの実績でございます。  なお、これ以外にも、現在私どもの手元に申請したいという希望も幾つか参っておることをつけ加えさせていただきたいと思います。  それからまた、具体的な認定企業の認定に係ります行為の内容でございますけれども、日本鋼管につきましては四分野につきまして分社化をする、こういう形になっております。実際問題としまして計画期間が平成十六年の三月までということになっておりますので、この十六年三月までの計画の成果といたしまして計画期間中に、これは定年退職等々を含めましてでございますが、約二千四十三名の労働力の減少、こういうことになる計画になっております。  それからまた、睦印刷工業とクリエイト横浜でございますけれども、これも十六年八月までの期間でございますけれども、これは具体的には三十名近くの雇用増、こういう予定と聞いておるところでございます。
  146. 山下芳生

    山下芳生君 今お聞きになったとおりであります。大体私が指摘したとおりのことが起こっちゃっているんです。  日本鋼管の場合は、企業一つですけれども四つの認定を受けております。全部既存の事業分野をそのまま分社化してそれを認定を受けているわけです。これは現場の話を聞きますと、何も変わっておりません。ラインはそのままであります。変わったのはユニホームと帽子が変わっただけということであります。しかし、それでも創業等とみなしてこれを支援する。  実際何が起こっているかといいますと、さっきあったように、従業員が減らされる、賃金もこれからどうなるだろうかということが心配されておるわけでございまして、そうなりますと、これはやはり私が指摘したとおり大企業の人減らし、リストラを促進する、何の事業革新も伴っていない。これを通産大臣創業などといって支援していいんだろうかと私思うんですが、いかがですか。
  147. 村田成二

    政府参考人村田成二君) 分社化イコール雇用者数の減、こういうことだけでは無論ございませんで、御案内のように、まず承認に当たりましては、やはりそれぞれの分野をどういうふうに伸ばしていくか、それがまた分社化して独立した経営をさせることによってよりその効果が高まるのかどうかというあたりも十分にチェックいたしまして、そういったものについて認めることにいたしておるわけでございます。  それからまた、先ほど申し上げましたけれども、新事業創出促進法全体の思想あるいはその中のいろいろな規定といいますものは、いろいろな方法をもって本社あるいは関連の今申し上げましたそれぞれの事業分野がトータルとして発展していくようにと、こういうことでございます。  したがいまして、他の認定にかからしめられていないところを含めまして、全体として所要の効果あるいは成果を上げるように私どもとしては今後とも運営してまいりたい、かように考えております。
  148. 山下芳生

    山下芳生君 ほかの分社化以外の認定はあるんですか。
  149. 村田成二

    政府参考人村田成二君) 具体的には認定行為は今申し上げました分社化だけでございますけれども、それ以外に、御案内のように新事業創出の関連の保証でございますとか、あるいは中小企業総合事業団からの創業助成金ですとか、そういった問題を私申し上げた次第でございます。
  150. 山下芳生

    山下芳生君 ないんですよ。いろいろ用意したけれども、実際やられているのは単なる既存部門の分社化ということしか認定されていないんです。何でこれが創業などと言えるのか、何でこれが事業革新になるのか、何でこれが支援されるのかということを私は問題提起しているんです。  通産大臣、いかがですか。
  151. 村田成二

    政府参考人村田成二君) せっかくのお尋ねでございますが、認定がなぜ必要かというところにつきましては、これはやはり税制上の特例措置を設けるから認定行為が必要だという形にしてありまして、それ以外の分野については特に税制上の措置が必要ないものでございますから認定が入っていない、それだけの違いでございます。
  152. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 承認された案件というのは、いずれもこれから伸びていくということ、すなわちこの五年ぐらいをめどとしてどうだろうかという判断の中で新会社に独立していけるという、そういう形の経営の機関でございます。だから、不採算部門を切り捨てていくという形態とは異なるわけでございます。この点は、法律上も、当該特定事業者が実施する分社化計画が円滑かつ確実に実施されるために適切なものであるということでございます。それともう一つは、当該新設会社が行う事業活動の活性化が見込まれるものであるということもあわせて承認基準になっていて、この承認基準になったものがこれから伸び行く可能性を十分持っているというふうに理解します。
  153. 山下芳生

    山下芳生君 もう余り繰り返しませんけれども、これは本当に単なる分社化そのもので支援するんですよ。事業革新といえば、新しい生産形式・方式でありますとか原材料の開発でありますとか、商品だとか販売方式の開発とか、そういうものならわかりますよ。でもそういうものは一切ないんです。ただ単に分社化ということになっておりまして、それ自身を支援するスキームなんです、この今認定されているのは。それしかしかも認定されていないんですから、これでいいのかということを私もう一度問題提起しておきたいと思います。  さて、今回の新事業創出促進法改正案で、今のとはまた別に、目ききと育業のできるベンチャーキャピタリストの育成という問題が盛り込まれました。そういう能力を持つ投資事業組合に対して民間投資家からの資金調達の呼び水として産業基盤整備基金から出資を行うということなんです。  そこで伺いたいんですが、現在投資事業組合は幾つあるでしょうか。それから、その中心となっている業務執行組合員はどこがなっているでしょうか。
  154. 村田成二

    政府参考人村田成二君) 中小企業等投資事業有限責任組合法に基づきましてこれまで設立されました投資事業組合は全部で十二でございます。  それで、具体的にどこが中心となっているかと、こういうお尋ねでございますが、一言で申し上げるのは大変難しいのでございますけれども、大ざっぱな分類で申し上げますと、独立系といいますか、いろいろ御自身の経験を踏まえてスピンアウトされてそういったものをつくられたという方あるいはそういった組合は四組合というふうに考えております。それから、具体的な製造業その他の事業を行っております事業法人系が二組合というふうに考えております。それから、いわゆる金融機関系といいますか、証券あるいは保険等の関係が二組合だろうと思います。それからまた、産学官の連携あるいはその他公的な性格を持つものが二組合、それ以外が二組合。  大ざっぱに申し上げますと、勝手な分類でございますが、そういった性格分けで考えております。
  155. 山下芳生

    山下芳生君 私も調べられる限り調べましたけれども、この中の二組合と今おっしゃいましたけれども、例えば、東京海上キャピタルでありますとか、ジャフコ、これは野村証券ですね、あるいはエム・ヴィー・シー、これは三井物産グループのベンチャーキャピタルですが、そういう大手の金融機関や証券会社が中心になっているベンチャーキャピタルが中心になっている組合がやはり少なくなくございます。  今、そういうところがどんな投資をされているのかということが問題になっておりますけれども、六月二十九日の日経新聞で、「VC投資、二年連続減」という報道がありました。昨年度と比べて二七%ベンチャーキャピタルからの投資が減っている。特に銀行系は三八%減り、証券系も三五%減ったと。「投資先企業を設立後の経過年数で分類すると、設立後二十年以上の企業向け投資額が全体の四九%を占め、前年度に比べて一三ポイント上昇した。逆に十年未満の企業は二九%と七ポイント下落した。経営悪化に苦しむ親会社からの資金協力が細った上、慎重な投資姿勢を求められ、リスクの高い創業初期の企業を避けて経営が安定している企業を重視する安全志向が強まった。」、そういう結果だと、こう指摘をしております。  それから、この記事、もう一つなるほどなと思うのは、ベンチャーブームの波に乗って八〇年代後半からこういう証券会社銀行系のベンチャーキャピタルがどんどんつくられた、しかし投資担当者の大半は本体からの出向者であって、大体三、四年で本体に戻るということになっておると。  ですから、私は、こういうところが中心になっている投資事業組合、こういうことでは目ききだとかあるいは育業の力なんというのはどうしたってつかないんじゃないか、こう思いますが、そういう目ききだとか育業の力、これはどう見分けるんでしょうか。
  156. 村田成二

    政府参考人村田成二君) ただいま先生が御指摘になられましたベンチャーキャピタルは、多分、私の誤解がなければ、いわゆる企業体あるいは民法上の組合を中心とするベンチャーキャピタルではないかと思います。  都合大体百数十社が日本にあると思いますけれども、これはまさしく先生がおっしゃいましたように、ある意味金融機関あるいは証券会社等々が本体自体、そのベンチャーキャピタル自身がどこかにもうけ口、利殖をねらって投資していく、あるいはまさしく親企業とそのつくった子会社との間の、二人組合と私ども言っていますが、そういったもので、非常に企業コストを減らして、経営コストを減らしてかすかな利殖を得る、そういった目的のためにつくっている。そういったベンチャーキャピタルのことをおっしゃっているのではないかと私ども思うわけでございます。  今回対象といたします中小企業の投資事業有限責任組合、これは御案内のように、国会でも御審議をいただきました中で明らかになっておりますけれども、やはりディスクロージャーの義務、特に会計検査、経理検査、経理監査をきちっとやらなきゃいかぬということで、これは監査法人等々を煩わしてかなりコストがかかるわけでございます。  それからまた、投資先の要件というのがございまして、過半の投資が中小企業向けである、こういう要件も法律上課せられているわけでございまして、先ほど申し上げました利殖のためにもうけ口だけを探して投資していく、そういった投資組合とは基本的に性格が異なるというふうに考えておる次第でございます。  それからまた、本法律におきまして、そういった目きき機能を育てていく、ないしは民間の目きき機能を利用しながらさらにその能力の拡大を図っていく、こういうことのために、私どもとしましては、民間からの出資金とマッチングさせる形で公的機関からの出資を入れていく、そうすることによって広く民間からの投資を呼び起こす、そういったような機能を目指しているところでございます。
  157. 山下芳生

    山下芳生君 投資事業組合の中心に座っている事業執行組合員がいわゆるそういう銀行系のベンチャーキャピタルという場合もあるわけですよね。その場合、やっぱりどうしてもそこが中心にならざるを得ない。そうすると、さっき言ったような、三年ぐらいで本社に戻るような感じでは目ききとか育業とかできないじゃないか。  実際、なぜ優良ベンチャーが倒産したのかという特集も出ていますけれども、そういうベンチャーは、もうかりそうなところにはどっと資金を殺到して、むしろ潤沢になり過ぎて放漫経営になってつぶしてしまう、危なくなったらさっと引き揚げる、こういうベンチャーキャピタルも少なくないんですね。そういうところに目ききができるなんといって支援しちゃうと、これは本当に大変なことになる。  最後に、通産大臣として、目きき等についての認識を伺いたいと思います。
  158. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 現在までの十二の中小企業等投資事業有限責任組合でありますが、この中でいわゆる金融機関系というのは二業態ぐらいでございます。だから、必ずしも金融機関がそのままやっているわけではありません。  しかし、委員の御指摘のような心配というのはないわけではありませんから、これからこのような支援を行う場合には、それらの御意見も踏まえながら慎重にやっていく必要はあると思っています。
  159. 山下芳生

    山下芳生君 終わります。
  160. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 最初に、最大の中小企業対策というのは、前にも申し上げましたが、景気回復と景気対策です。これはもう赤字法人率から見ましても厳しい企業が圧倒的に多いわけですから、そういう点から見て、景気の現状を一体どう見るかということについて少し大臣にお尋ねをしたいと思います。  私は、今政府が景気が少しよくなったとかなんとか、よく経企庁長官も言っておりますけれども、どうもそういう要素というのは安易に考えるべきではないのじゃないかと思っているんです。  それは、第一次オイルショックの時代を経験しまして、経済統計もよく見ておりましたが、そのころ、第一次オイルショックの前後というのは、田中角栄さんが出まして日本列島改造計画というのがありまして、相当バブルと似たような状況でした。その後、景気の引き締めといいますか、福田さんが総理大臣になりまして、そして過剰流動性が特に問題だということでぐっと引き締めまして、それから大変な不況がやってきました。そして、福田さんの時代に初めて赤字国債を発行するようになりました。大体景気がよくなったと言われるのが、一九八五年のプラザ合意のその後ちょっとして、大体八九年、九〇年、景気がピークと言われておりますが、そうしたら、やっぱり十年から十二年かかっているわけです。  ああいうように、バブルにならないでも、正常な安定路線、経済成長に乗るまでには、私は今回はさらに二、三年あの当時よりはかかるんではないか。そうしてみますと、これはあと二、三年はこのままでは景気はなかなかよくならないと見るべきじゃないか。  その要素としては、一つは、内需のもとになっております国民の所得というのが、これは非常に厳しい状況で、ベースアップもできないような状況、あるいは預金金利なんかはゼロ金利が続いておる。こういう状況で、恐らく所得に見込みがない。それからもう一つは、失業者の状況、雇用情勢というのはその当時に比べても大変厳しい。本当に厳しい状況が先行き不安を募らせております。あるいは金融業界、特に、今度は生命保険に事態が移っておるようですが、依然としてゼロ金利が進行しているように、金融業界あるいは生保の業界、こういうところは厳しい。そういうことを見ますと、やっぱり日本列島改造計画、ああいうときよりももっと不況の状況というのは深刻だと、こうとらえるべきではないか、このように思うのであります。  そこで、景気対策としてはいろいろ補正予算もやってきましたが、特に二点だけ私は申し上げたいと思う。  第一点は、やっぱり何としても中小企業に関係する産業というのは住宅産業、これは八百業種連なっておるわけですから、住宅政策を、これはこの前の税制措置等の臨時措置を六カ月延ばすということを、あとさらに二年や三年景気がこういう状況ならこれはもっと思い切って続けるということを大臣に頑張ってもらいたい。  さらには、住宅取得の際の消費税は思い切ってもうカットする。その分は一部屋子供部屋ができる、そういうふうな観点から、私はやっぱり住宅取得の際の消費税には手をつけるべきだと前々から言っておるんですが、いずれにしても、一つは住宅政策です。  それからもう一つは、通産大臣の管轄でいうと、通産省の範囲の中でやれることは何かと、景気対策で。それはいっぱいあると思うんです。例えばクリーンエネルギーですね、風力あるいは火力。十二年度の新エネルギー関係予算要求の重点というのを見ていますが、これはトータルで少しふえているといいますか、八百七十五億円が九百十四億円。個々のものを今見せていただいておりますが、時間があればエネ庁の方から中の数字を聞くといいんですが、私は持っておりますからもう必要ないです。  いずれにしても、伸びはこれはこれでも相当なものだと、こう言うのか。今のような不況の時期にここを思い切って伸ばしていく、そして産業が広がる、景気にそれがいい効果を及ぼすと。日本はあの不況の折に自然エネルギー、天然エネルギーあるいは風力発電、そういうものがふえて、景気対策にも役立ち、将来の化石燃料の節約にも役立ってきたんだと、こう言われるような政策をとってもらいたい、大臣に。  その他、通産省の管轄の中でも相当程度探す気で探せば、手を打てばそれが広がっていくというのはあるんじゃないか、こう思うんですが、大臣の今の景気に対する考えと対策についてお伺いしたいと思います。
  161. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 景気の動向についてのお尋ねでございました。  梶原委員が御指摘のように、現状、安心できるような姿ではないという認識をまず私は持っています。ただ、昨年、小渕政権誕生以来、かなり数々の手を打ってまいりまして、それらが効果を少しずつ上げ始めてきているなと。それは、今年に入りましてからのGDPの動きなどを見ても言われることであります。恐らく、国民全体が必死になってこの時代を乗り越えようという努力と政策的な効果が相まって、やっと明るみが見え始めたかなという、そんな状況にあることだけは確かであろうと思います。それと同時に、我が国を囲む経済環境、とりわけアジアの経済の状況が好転しているということもプラスになってきていると思います。しかし、厳密に詳細を点検してみますと、例えば企業における設備投資意欲はマイナスであるし、何よりも景気を向上させるための消費者の消費意欲というのは冷えている。  これらのことを考えますと、上向きにはなりつつあるけれども、全く油断ができないところだと。そこで、我々は経済新生策を打ち出そうというので経済新生対策というのを策定して、その実施のためにただいま第二次補正予算を編成したという状況にございます。  この補正予算は、一つには、中小企業で期待できるところ、言いかえれば、通産省で応援できることとしては、中小企業ベンチャー企業の振興とかミレニアムプロジェクト等の技術開発を通じて我が国経済の新たな発展基盤をつくる、それと同時に、社会資本の整備についても、二十一世紀に向けた生活基盤の整備充実などに重点を置いているわけでございます。やらなければならないこと、たくさんあると思います。  私は、景気の動向は明るみがやや出てきて、この第二次補正予算の効果も上げて、来年の三月には二年連続マイナス経済成長であったものが初めてプラスに転ずる、その数値は別として、そのことの可能性はまずほぼ間違いないと思っています。  そのためには一体何をするかという点について、委員は今住宅の問題を挙げられました。おっしゃるとおりでございます。住宅は、今まで多いときでは年間百三十数万戸建ったわけであります。去年は百十八万戸、かなり大きなマイナスであります。そこで、我々といたしましては、住宅金融公庫の融資枠を十万戸追加して六十五万戸とするなど各般の政策を総動員しているところであります。  住宅というのは、恐らく十万戸プラスするだけで二兆円以上の効果があります。そしてGDPに及ぼす住宅の影響は五%と言われておりますから、これは委員おっしゃるように、税制も含めてしっかり対応していくということは大事なことであり、今私たちもそれをやろうとしているところでございます。  新エネルギーの問題についてお話がございました。  これは、地球環境の問題等を考えてもとても大事なことであると考えまして、昨年の六月には、長期エネルギー需給見通しにおいて、二〇一〇年に一次エネルギー総供給の約三・一%を新エネルギーの導入でやっていこうではないかという目標を立てました。これは現在の導入量の約三倍に相当する額でございます。過去五年間で新エネルギー関係予算を比べてみますと、この倍増を図りまして、三十九億増の九百十四億円を要求しているところでございます。  ただ、私も、この新エネルギーについては力を入れるようにと、通産省の内部でも今しきりに勉強させておるのでありますが、新エネルギーそのものがなかなか思うように目覚ましい展開ができるとは思えないような背景がございます。  現在でも例えばコストが非常に高いといったような難点がございますけれども、新エネルギーの中心になっておりますのは廃棄物発電が特に大きいです、廃材その他そういうもの。それから太陽熱の利用あるいは風力発電ということになるわけでありますが、風力発電は今〇・〇一%とまことに少のうございます。しかも平地にセットしなければならなくて、風の動き次第ですが、風が定期的に発電に効果的に吹く状況かというと決してそうではない。今の廃棄物の発電にいたしましても、いわゆるごみ発電ですけれども、焼却処理される廃棄物の量に限りがあるとか、新規立地の促進に当たっての住民の理解が必要とかいろんな問題があって、新エネルギーというと、本当に大事なことではあるとわかっていながらも、これを極端に伸ばすという可能性においてその状況が整っていないというのが現実であります。  そういう意味で、二〇一〇年に向けて今より三倍の規模に伸ばしていこうというのは、私は現状の中では最大限ではないかなという、そんな思いを持っています。
  162. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そこで、繰り返しますが、今度、住宅の緊急措置の分を六カ月どうも新聞なんかによると与党は延ばしていくだろうと、租税特別措置等。これを六カ月でやるということは、ちょっとさっき言いましたような景気対策からして、これはやっぱり容易ならざる経済状況の中では六カ月は短い。もう二、三年思い切って延ばすように閣議の中で大臣から強く、これはやっぱり景気、経済対策をする大臣というのはまさに通産大臣しかいないですから、経企庁長官もそうかもわかりませんが、強くそのところは要請をしたいと思います。  それから、風力発電の〇・〇一というのは、これはエネ庁にもちょっとやる気がないんだよ。当初の計画を見て、そのまま指をくわえているような状態。これはもう前言いましたから余り言いませんが、私の地元の方で前津江村という小さな村がありまして、そこに二基風力発電がついているんです。そのついた場所というのは、NEDOが一年かかって風力調査したら、平均七メーターぐらいの風が吹くということで、この前行ってみた。下はそうないんだけれども、やっぱり風がひゅうひゅう吹いているんです。そこである企業が十基ほどそこにつけたいと、こういうことになったんだそうです。ところが、そこには九州電力の高圧の配電線が来ていない。だから、それがネックでこれはできないということなんです。私は、すぐそこは役所の方に言いましたけれども、なかなかこれはらちが明かない。  だから、本気でやるなら、そういうところの要望というのはもう既にあちこちで出てきておるわけですから、やっぱり対応次第。だから、三十九億円の自然エネルギーに対する予算要求というのは、三百九十億ならこれは少しはと思うわけですが、これはやっぱり本気で、この不況の折に日本は何をしたかと。そういうことでぜひ力を入れていただきたいわけであります。これはもう答弁要りませんから、重ねて要望しておきます。  次に、中小企業事業活動活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律案、もう一つの分についてはこの次聞きますが、二、三点お伺いをしたいと思います。  一つは、中小企業信用保険法及び信用保証協会法の改正の中で、先ほども同僚議員から質問がありましたが、中小企業の発行する社債について信用保証協会が債務の履行を保証する、そして事故があった場合には引受金融機関に補助金を支払うという、こういう制度なんですね。  問題は、どの企業なら社債を発行してもいいのか悪いのか、一体だれが決めるのか、この辺についてなかなかわかりにくいんです。この辺の線引きの仕方等についてお伺いします。
  163. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 今回の私募債に対します信用保証協会の法制度でございますが、先ほど来御答弁申し上げておりますように、純資産額五億以上等の一定の財務内容を備えた者ということでございます。  具体的な審査につきましては、この制度が部分保証制度ということになっておることもございますので、より金融機関においても自分のリスクテーク分があるわけでございますのでその点での御審査があるでございましょうし、保証協会としては従来から培ってきましたいろいろな企業財務の内容についての審査を行い、相互協議をしながら対象企業をさらに選定していく、このようなことになろうかと思っております。
  164. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 わかったようなわからぬようなことですね。  そうすると、社債を発行したいという企業とそれから銀行信用保証協会の間で決めていくということになるわけですか。国の関与はもう基準をつくるだけ。
  165. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 基本的には、その三者がそのようなことで決めると。通常の融資保証と同じように、この制度のもとで、法律でお決めいただいた枠組みの中で信用保証協会金融機関あるいは中小企業者、この間で運用をしていただくということになるわけでございます。
  166. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 その基準は、政令になるのか省令になるのか、何で決めるんですか。
  167. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 法律上、通産省令で財務内容、純資産額その他について定めることになっておりまして、省令で定めさせていただく予定でございます。
  168. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に、中小企業金融公庫法及び沖縄振興開発金融公庫法の改正ですが、今までは中小企業金融公庫がお金を出す場合は担保が必要だった。ところが今度は、この法律改正によって一定の企業であれば、そこもまた難しいのでどういう企業かというのはなかなか頭に浮かびませんが、無担保社債の引き受けも活用できるような業務範囲の拡大をすると。  だから、これもどういうような企業ならいいのか悪いのかというのは、我々が法律審議をする場合になかなかぴんと来ない。これはどうなんですか。
  169. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 今回、中小企業金融公庫等、沖縄公庫もそうでございますが、この点につきましては、事業の法律にも記載させていただいておりますが、成長性、新規性の問題がございます。そういったものを評価した上で一般的な意味の財務面の審査、このような三点での審査が必要であるかと存じております。  成長性につきましては、これは今後の販売でございますとか市場規模の見込みというようなことを判断することになろうと考えます。新規性につきましては、新たな事業におきます製品でございますとかあるいはサービス、それが機能、用途、性能などの面で従来にない新しい要素を持っているかどうかというようなことを審査するということになります。  その上で、その事業計画に即して将来の資金収支、いわゆるキャッシュフローなどの財務面を中心とした審査を行うということでございまして、このような審査に当たりまして、財務面を除き成長性あるいは新規性という面につきましては、中小公庫の中に外部の専門家によって構成されるような評価チームのようなものをつくりまして、そうした判断の御協力を得たい、このように考えております。
  170. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それから次に、近代化資金等助成法の改正ですが、この法律は、創業者及び小規模事業者等のための設備資金利子融資制度、設備リース制度を創設すると。  これも、どの企業ならいい悪いというのはだれが判断し、どう決めるわけですか。
  171. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 今回の制度見直しで、資金調達力に乏しい小規模企業に特に配慮する観点から、原則として小規模企業者を対象とする、その創業と経営基盤の強化のために必要な設備の導入を支援する、このような制度に衣がえをさせていただきたいということでございます。  このため、支援の対象となります者は、原則として中小企業基本法に規定をいたします小規模企業者といたします。製造業で二十人以下、商業、サービス業で従業員五人以下というような者でございます。その経営基盤の強化のために新たに導入する必要がある設備を支援対象とするということでございます。ただし、例外的に、従業員の数が一定の数、つまり二十人というような数字を、一定の数以下であれば二十人を例えば上回るようなケースにおいても、都道府県知事が特に支援を必要とする、必要があると認定される、個別認定ができるようなケースの弾力的な運用の幅は容認をしたいと思っております。  また、改めまして、今回の制度におきましては、「小規模企業者等」として、中に「創業者」というものを新たに追加するということになっておるわけでございます。この認定につきましては、それぞれの、今度この制度を運用いたします各県に存在いたします貸与機関において認定をすることになります。
  172. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 時間がないですから結論を申し上げますと、全部建前が、大筋はあなた方が議論してくれ、後は政省令でやると。よく通産省などでつくる法律は、指針とかいって、指針の中身は全くないまま、法律審議をするときには指針、後は任せてください、こういうことです。これも全部そうです。わかりにくい。  こういうような、法律を出して審議する場合には、少しその中身を、こうこうこうだということが我々にわかりやすいようにこれから提案する場合はやってもらいたいんですが、大臣に最後に聞いておきます。
  173. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 中小企業設備近代化資金というのは、御案内のように今まで都道府県でやっておりました。そして、中小企業全体を対象として職種を限定するために、使い勝手が悪かったものですから、これを逆に小規模企業のためにのみ使えるような形に切りかえていこうと、創業も入りますけれども、そういう形でやることにいたしました。  前にも議論が出ましたが、使い勝手が悪いとか、PRが不足のために剰余金が出てしまったではないかという、そういう御批判もあったわけでありますが、これからは、そういうふうな批判のないように都道府県の窓口においてきちっと対応するような指導も行わなければなりませんし、また周知徹底させるために努力をしなければならないと思っています。  しかし、要は最終的には都道府県で地域を対象にして考えていただくという、まさに地方分権の時代でありますから、いつまでも国がそこにかかわりを持つのはいかがかと思いますから、そこのスタートに当たってはきちんとした対応を指示し、そして一般向けのPRも徹底するということで今の委員の疑問にはおこたえしていきたいと考えます。
  174. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 終わります。
  175. 高橋令則

    ○高橋令則君 自由党の高橋でございます。  中小企業特別委員会の二回目の質問でございますけれども、基本法が終わった後でございますので、各法についてお尋ねをいたしたいと思います。  第一点は、開業そして新規事業開拓の促進は我が国の現況からいたしまして極めて緊要であると、私も非常にそのように思っております。しかし、その対策、この法律もそうですけれども、もろもろにたくさんありますけれども、その前提は、やっぱりこれをしからしむる問題点というんですか、そういう問題点を摘出し、かつ的確な調査分析、それが前提でなければならない、このように思っております。  この新事業創出促進法改正はこれに基づくものというふうに理解をしておりますけれども、これに対する現状認識と対策のポイントについてお願いしたいわけです。趣旨説明はお聞きしているわけなんですけれども、もう少し踏み込んだ話をお聞きいたしたいというふうに思います。
  176. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 高橋委員の御質問の中に御提言も含まれていると思います。新事業を創出していくためには一体何が問題であるか、それからそういう適切な調査分析の上で対応を考えていかなければならない、まさにそのとおりでございます。  そこで、新たな産業分野の開拓を行う場合の最大の問題点は、一つは人であろうと思います。二つは金融であり、三つはノウハウではないかというふうに思います。これらの問題に対応するために新事業創出促進法では、人材確保の円滑化のためには具体的に申しますとストックオプションの制度の拡充であります。それから資金調達の円滑化のための無議決権株式に係る発行要件の緩和、それからいわゆる目ききができるベンチャーキャピタリストがつくる投資事業組合に対する公的な出資、そういうようなことを総合的に講じていくということがこの方針を具体化する道だと思います。
  177. 高橋令則

    ○高橋令則君 開業率とそれから廃業率、これが逆転したのは最近のことなので、その前は開業率の方が高かったわけですね。私も担当した時期があるんですけれども、そのときはそうではないんです、開業率の方が上回っていた。しかし、最近はそれが逆転した。対策はどうかというと、昔は昔なりにやってきた。にもかかわらず、それ以上にいろんな対策をやって、なおかつ開業率が下がっていく。なぜだろうかと思うんです。  私は、大臣がおっしゃるように、最終的に人の問題だなというふうに思わざるを得ないんですけれども、どうもそう言っちゃうと身もふたもないような問題になるわけですけれども、これじゃ困るので、教育の問題なのかもしれませんけれども、やっぱりこの部屋の中ではそれなりの努力が必要ではないかというふうに思っております。  お話は承りました。  その次の質問ですけれども、今回の改正は現行の法律を発展拡充するものというふうに私は理解をしておりますけれども、現行のこれまでの経過、すなわち認定された企業の認定実数、そして実績の推移、そして株式の上場やそれから店頭の登録をしたところがどれだけあるのか、そしてまたこれを全体的に見てどういうふうに評価をされているのか、これをお聞きしたいと思います。
  178. 茂木敏充

    政務次官(茂木敏充君) 委員御指摘の新規事業法でありますが、新たな事業分野の開拓を図る事業者に対しまして支援を行うものでありまして、本年の十一月末現在までで認定実績は百八十六社となっております。  具体的な支援内容で申し上げますと、産業基盤整備基金による債務保証が百四十三件、約二百六十二億円になります。そして、産業基盤整備基金による出資が二十一・三億円、ストックオプションの特例、八十二件適用しております。  いずれの認定企業におきましても、新規性の高い事業に取り組み、業績の向上が図られておると考えております。  また、それで業績がどう伸びているかということでありますが、特に、ヤフー、メガチップス、日本エルエスアイカードの三社につきましては、認定以降極めて短期間のうちに株式公開を行うに至っております。  ただ、この制度ができましてから、委員御指摘のように、日本におきまして開廃業率が逆転した状況というのは変わっているかといいますと、変わっていないわけでありまして、さらに強力なベンチャー対策等々が必要だと。こんなことから、大臣も先ほど答弁させていただきましたが、今回の新事業創出促進法改正におきましては、こうした新規事業法の成果を踏まえつつも、ストックオプション制度の充実など、著しい成長性を有する企業が株式公開を目指す上で必要な支援措置を拡充いたしているところであります。  また、こうしたベンチャー企業を発展育成する能力のあるベンチャーキャピタル、これがアメリカでは大変大きく成長しているわけでありまして、こういったベンチャーキャピタルの活用を図るためにも、呼び水といたしまして、公的機関による出資制度も拡充をいたしたところであります。
  179. 高橋令則

    ○高橋令則君 次に、新事業創出の支援体制の整備ですけれども、都道府県の既存の機関と地域プラットホームの整合性やそれから機能の分担についてはそのコンセプト等が必ずしも明確ではないという意見があります。これに対する所見と対応策はどうですか。  また、国はソフト面の財政支援というふうにしておりますけれども、施設整備の負担等のハードの面の支援も必要ではないかというふうに思っておりますが、いかがですか。
  180. 茂木敏充

    政務次官(茂木敏充君) 委員御指摘のとおり、この地域プラットホーム、まさにこれまで整合性が十分とれていなかった既存の支援機関、これを統合すると、こういう基本的な考え方のもとで、この地域プラットホームと既存の機関を整合性をとるといいますよりも、既存の支援機関を大きく包含する一番大きなくくりが地域プラットホームであると、このようにお考えいただければよろしいかと思うんです。  この地域プラットホームは、各都道府県とみずからが中核となる機関を中心に既存の産業支援機関、例えばベンチャー財団であったり大学等々でありますが、これを統合、ネットワーク化いたしまして、既存の機関との整合性を図りつつ産業支援機関同士の連携を強めていくものであります。また、当該施設によって各産業支援機関の機能を活用しながら地域一丸となって新規事業創出が図られる、このような仕組みとしてつくらさせていただいております。
  181. 高橋令則

    ○高橋令則君 これは団体になるんでしょうか、都道府県もあるんですけれども、いろいろあるんですね。したがって、よほど連携がよくならないと、密にしないと、この関係の担当というんですけれども、事業者にとっては使いにくい、わからないというふうになると思いますので、そのPRなりそういうことについては十分にやっていただきたいというふうに思います。  それに若干関連するわけですけれども、全体的な話ですけれども、この開業、新規事業開拓支援体制の整備については、各省庁そしてまた地方公共団体の横の連携が極めて重要だというふうに思います。縦割りの施策は、いわゆる役所の縦割りのやり方で押していくわけですけれども、受ける民間の方はそうじゃないんですね。  したがって、さっき次官から言われたんですけれども、そういうことを含んでとにかく今回は関係省庁、そしてまた各地方公共団体の連携の体系化と言うのも変ですけれども、いずれ、縦にやっただけではなくて横の関係についてきちっとしたあれをやっていただきたいというふうに思うんですが、大臣いかがですか。
  182. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 全く高橋委員の御指摘のとおりでございます。縦横本当に連携を密にしないとこの目的は達成できないと思います。  例えば、具体的に申し上げますと、昨年の十二月に成立しました新事業創出促進法、これに基づく新事業創出促進のための総合的支援体制、地域プラットホームというんですけれども、それを整備する際には、大学の技術シーズを民間事業者に移転するための機関であるTLOとの連携を通じた文部省との連絡体制、これはかなりもう進んでいまして、だんだんに私の見るところそのパイプは太くなっているというふうに思います。  そのほか、新事業創出に関しての雇用面の支援という点では、労働省と、さらに地方公共団体の連携強化ということもとても大事でございますので、各都道府県ごとに構築される地域プラットホーム、この間の交流促進とか情報ネットワークを活用した情報交換の活発化など、やるべきことはたくさんあると思いますので、意欲的に努力したいと思います。
  183. 高橋令則

    ○高橋令則君 極めて重要な問題だと私は思っております。  多少の経験ですけれども、申し上げると、例えば労働省との関係とか、私の経験では、労働省の職業訓練のために、雇用のための補助金があるんです。それに対して、聞いたら三分の一ぐらいの助成なんです。そしてそれは、いわゆる企業が県の工業試験場に委託してきて、そして勉強する。これは三分の一ぐらいの補助です。小さな企業ですと三分の一ぐらいのあれではやっていかれないんです。いろいろ相談したんですけれども、結局ないということで、やむを得ず県が単独でやったんです。したがって、私の記憶では、三分の一を乗っけて三分の二の補助ということでやらせた経過がございます。これはその経過では通産局にも話をした経過があるんです。相当昔の話ですけれども、そういうケースが多々あるんです。  したがって、各省庁の垣根ではなくて、こういう問題についてはぜひ横の関係ができるように大臣から関係大臣に対しても言っていただきたいというふうに思います。これは要請をしておきます。  それから次に、中小企業の私募債の引き受けの問題でありますが、各委員からるる話がございました。かなり条件は厳しいというふうに私は思っております。制度そのものは私は賛成するんですけれども、翻って、そして自分のことを考えると、恐らく該当するものはないのじゃないかなと実は思っているわけです。これはやむを得ないといえばそのとおりで、それでは身もふたもない話になるんですけれども、それでも困るだろうなと。これは大都市だけだということでもいかがかなと思いますので、こういう遠い地域に対する制度の普及の仕方とか取り組み、そういったものについてもやっぱり工夫が必要ではないかと私は思うんですけれども、いかがですか。
  184. 茂木敏充

    政務次官(茂木敏充君) 私も委員と同じように地方の出身でありまして、基本的には同じ認識を持っております。  現在では、私募債について大体純資産額が十億円以上等々の財務内容を備えた企業でなければ引き受け手がなくて事実上発行できない、こういう形になっておりまして、今回の制度創設は、もう少し下のレベルの企業でもこういった私募債が発行できるように、資金調達の手段を広げよう、こういうことであるわけです。委員も御案内のとおり、この発行に当たりましては、企業の信用力を基本的には背景としまして市場から直接資金を調達していく、こういう性格を持っております。  また、今回の措置にしましても財政負担を伴う、こういうこともあるわけでありまして、純資産額につきましても、十億円とはいきません、五億円以上ある、一定の財務内容を備えていることを要件としております。ただ、本制度の利用状況につきまして、今後の実態動向等も踏まえながら見直しも図ってまいりたいと思っております。
  185. 高橋令則

    ○高橋令則君 条件については、私は今の五億円については、それはスタートの時点ではそうかなというふうに思いますけれども、その条件の今後の推移を見ながら改善が必要だと思うんです。  それから、もう一つ企業の格付のための情報、これは次官からもちょっとお話があったんですけれども、こういうふうな問題は特に重要ではないかと思うんです。これは突然で恐縮なんですけれども、格付のための情報の開示とか、そういうことについてはいかがですか。
  186. 茂木敏充

    政務次官(茂木敏充君) まさに委員御指摘のとおり、私募債の発行を推進していく、そうすると投資家の側から見てもどういう企業であるかと、こういう企業情報の整備というのが大変重要であるわけであります。企業の格付などの企業情報の整備、これに現状では困難が伴う、こういった実態もありまして、現状が極めて不十分だ、こういう認識を我々も持っているわけであります。  そこで、当省といたしましては、私募債保証制度の運用に当たりまして、信用保証協会による審査能力の強化等々とあわせまして、金融機関や投資家が中小企業の信用リスク評価を行う際の一つの大きなよりどころとなるよう、政府系金融機関等が保有する企業データを活用したデータベースの構築を検討するなど、必要な企業情報の開示等々に関する環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。
  187. 高橋令則

    ○高橋令則君 私の方の信用保証協会の会長に電話をしたら、さっき申し上げたことと同じですけれども、ほとんどないのではないかと。ということを言いながらも、実はやるとすればやっぱり私募債に対する信用保証の負担割合、これについては相当引き下げて、そしてまた総合事業団の補てん率をできるだけ高率にすべきだ、こういうことを言っているんですが、これは突然ですから、長官、いかがですか。  私募債に対する信用保証割合を引き下げる。それからもう一つはてん補率、これをできるだけ高率にしてくれという話です。いかがですか。
  188. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 保証割合でございますが、私ども部分保証というものは、実は一方における引き受け金融機関などの、生保、損保も含まれるわけでございますが、こういうもののモラルハザードの問題というのは一方で考慮しなければならないということで、部分保証制度が必要ということでございますが、同時に、できる限り広い中小企業者に社債の発行の道が開けるようにという意味で、その両方を考慮いたしまして九〇%ということでございます。  九〇%をどんどん引き下げていくということは、中小企業者が社債の発行をどんどんしにくくなっていく方向に行くわけでございますので、私ども、制度発足としては一〇〇とゼロとの間の九〇ぐらいが適切ではないかと、こう考えたわけでございます。  それから、通常の融資の場合の保証ですと七割というものが普通なんでございますけれども、今回は旧保険公庫、中小企業総合事業団でございますが、が八割まで担保をして、保証協会の負担をできる限り小さくするという制度にも考慮をしたつもりでございます。
  189. 高橋令則

    ○高橋令則君 八割というんでしたら、恐らく私どもの方の会長もいいじゃないかという話になるであろうと思いますので、そのようにお願いしたいと思います。  次に、ベンチャーキャピタリスト、これが非常に今少ないんだそうですね、目ききができる人が。これはやっぱりそれなりに専門の養成というんですか、これが急務ではないかという言い方があるんですね。今、恐らく国内では百人ぐらいしかいないんじゃないかという説もあるんです。これに対する対策はどうでしょうか。
  190. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) いわゆるキャピタリストというのは日本では非常に少なくて、実際にやっておるのは十人ぐらいじゃないかというふうに言われております。アメリカなんかでは千人単位というふうに言われております。今の十名というのは正式にキャピタリストと名乗って活躍している人でございます。  そこで、日本にはそういうふうにキャピタリストは少ないわけですから、これを養成していかなければなりません。通産省としても、優秀なベンチャーキャピタリストの育成という観点から、海外研修の促進事業、これは昨年三十三名から成る派遣をいたしました。そのほか、今度の促進法の改正において、いわゆる目ききができるベンチャーキャピタリストがつくる投資事業組合に対して公的な出資をする。  これも調べてみますと、やっぱりキャピタリストの最大の条件は研修じゃなくて実践だそうですね。そういうものを中心にして育てていかなければならないということで、これからも優秀なキャピタリストの輩出、育成のために全力を尽くしてみたいと思います。
  191. 高橋令則

    ○高橋令則君 私、手元に持っているのは、実はその養成スクールのあれもあるんですけれども、そういうことですので、ひとつ促進と申しますか、できるように努力をお願いしたいと思います。  次に、中小企業近代化資金等助成法についてでありますけれども、この制度は、今まで私も担当したことはあるんですけれども、なかなかいいんですけれども、使い勝手の極めて面倒な制度でもあったわけです。会計検査などでやられまして大変苦労したこともあります。したがって、そういう認識に基づいて、今度の新しい制度はそうじゃないというふうに私は認識をしておりますが、その点。  それから、既に梶原先生からお話があったんですけれども、今二十人ですね。これはやっぱり少ないのでもっと上げて、そしてこれは都道府県知事の特認という話もあったんですけれども、これをもう少しきちんとお話をいただきたいというふうに思います。  最後ですけれども、これは長官ですけれども、この改正に伴う実施時期、それから体制、それからちょっと金が要るんですね。したがって、これは事務的な話ですから、そういう経過的な問題について円滑にできるように、言ってください。
  192. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 前半の件について私から御報告いたします。  先生は副知事を経験されておられますから、実際にこの中小企業近代化設備資金を使った経験からのお話がございました。全くそのとおりでございまして、現在までの設備近代化資金というのは、対象となる業種とか設備が詳細に限定されていた。そして実施主体が、設備資金貸付制度では都道府県、設備貸与制度は都道府県の中小企業振興公社等で、二つに分かれておりました。したがって非常に使いにくい制度だった。今度、中小企業振興公社に一元化していこうということで、大分違ってくると思います。  同時に、業種とか設備の設定を廃止いたしまして、中小企業者及び経営基盤の強化に必要な設備の導入であればこれらの種類を問わないということで幅広く支援対象とすることにいたしましたから、大分違ってくるのではないかというふうに思います。  それから、例の中小企業の対象の枠でございますけれども、政令で定める一定の従業員数以下の企業であって云々とありますが、現在これでいけば例えば二十名でございますが、これはやっぱり五十名ぐらいまでの規模に広げた方がいいだろうと思いまして、これは実態を調べて御期待に沿うような形で進めたいと思います。
  193. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) この改正法の施行時期は平成十二年四月一日からと、県の実務とも関係をいたしますので、そのように考えております。  実施体制につきましては、今大臣から御答弁申し上げましたように、貸与機関に一元化をするということでございますので、それに伴います経過措置等、例えば地方交付税の扱いの問題等々につきましては、現在自治省とも調整を続けておりまして、今度は貸与機関に対応する財政措置として考えていただく、このような方向で調整をしております。
  194. 高橋令則

    ○高橋令則君 しっかりとやってください。終わります。  どうもありがとうございました。
  195. 水野誠一

    ○水野誠一君 私は、今日の日本中小企業が置かれている状況、それからそれをどう活性化していくべきかということの重要性についての認識はほぼ皆さんに共有されているものになっていると思っております。  そこで、先般審議されました中小企業基本法、これは何と三十六年ぶりの改正だったということでありますが、これまで通産大臣答弁からも大変大きな意気込み、これを感じることができますし、日本中小企業政策自体がまさに五十年あるいは百年に一度の大転換を迫られている、こういう時期であるという認識を深めております。きょうはそうした観点から本法案の幾つかの点について、また中小企業政策における政府の役割などを主に伺ってみたいと思っております。  まず、基本法の審議のときに、この委員会で、まさにこの場で、私は日経新聞に出ておりました「さらば「大樹のかげ」」というタイトルの新聞記事を紹介させていただきました。まさに中小企業が今までの系列、大企業の傘の下で安穏としていられない時代になってきた、むしろ大樹の陰から離れてみずから自分たちの工夫、そして知恵によってどう生き延びていくかということの動きが一部にあらわれてきている、こういう紹介記事だったわけです。  その中では、特に、一つの中核企業を中心として、塗装、板金などそれぞれ異なった技術分野の中小企業がネットワークを組んでいる。それぞれの強みを生かして、何と大企業、これはもう本当に大きな航空機であるとか造船であるとかというような大企業二千社と取引をしている、こんな元気なケース、こんなものを紹介されておりました。また、神戸では、共同出資でトラストファンドを設立してメンバーの資金調達の円滑化を図っているというような事例、こんなことも紹介をされておりました。これからの中小企業の連携のあり方として私は大変印象深い記事だということで御紹介をさせていただいたわけです。  今回の法案の数多いメニューの中にも、この話に関連するものが幾つかございます。中小企業団体の組織に関する法律の一部改正の中で見ることができます。企業組合などが株式会社、有限会社など、組織変更する際の手続円滑化を目指した内容でありますが、これが先ほど申し上げたような中小企業同士の連携によるメリットを最大限生かす選択を与えるものであれば、私は大いに評価したいと思っています。  まず、この点について伺いたいと思うんですが、そもそも事業協同組合や企業組合を組むことのメリットというのはどのような点にあるのか、それからこれら組合などに対するこれまでの支援策は一体どのようなものになっていたのか。この点からまず御説明をいただきたいと思います。
  196. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 企業組合は個人が組合となりまして設立される組合でございまして、会社のように最低資本金の制限がないということでございます。設立時の資本金額が低額でございましても、法人格でございますとかあるいは有限責任の体制がとれまして、小規模で簡易な創業に適しているというメリットがあるかと存じます。  最近では、このメリットに着目をして、企業をリタイアした人材ですとか高齢者、主婦などが在宅福祉サービスなどの介護福祉関係の事業を始めたり、保母や看護婦の経験を生かして託児所を開設したり、地域の特産品を商品化したりするという事例もふえてきているところでございます。  一方、事業協同組合でございますが、御案内のように相互扶助の精神に基づいて、例えば新技術、製品開発、あるいは市場開発、共同生産・販売というような、共同で行うことによりまして、事業者の新事業の展開でございますとか経営の革新でございますとか、そういったことを図る組合として的確かと思います。  最近では、特に異業種の方々が連携をされ、事業化を目指して共同の研究開発などソフトの共同事業を行う事例も大変ふえてきているところでございます。  このような組合に対しまして、これまで私ども、生産、販売、あるいは製品技術開発等の共同事業への支援をいたしましたり、交流会やシンポジウムの開催、異業種連携による新製品、新技術が行われる場合のそれへの支援、あるいは情報化ネットワークの構築、あるいは多様な連携組織による調査研究事業を支援する、あるいは新事業開拓のためのコーディネーターによる経営技術、マーケティングなどの連携支援といったような側面につきまして、融資あるいは補助金というような多様な支援を図ってきているところでございます。
  197. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。  こうした組合などのうちから、事業協同組合では約二割、それから企業組合では約四割が株式会社、あるいはその他の形態もあるわけですが、有限会社も含めてですが、化を望んでいる、つまり株式会社化を望んでいるという調査結果があると私は聞いておりますが、株式会社化あるいは有限会社化することの最大のメリット、つまり組合などの形態のままでいることのデメリットというのは一体何なのか。  それからまた、言いかえると、事業協同組合の八割、あるいは企業組合の六割は株式会社化などを望んでいないということを逆に読むこともできるわけでありますが、組合形態に対する今御説明のあったようないろいろな支援策が株式会社化することによってどう変化するのか、つまりそういった支援策というものがなくなってしまうということなのかどうか。この点はいかがなんでしょうか。
  198. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 組合の持ちますメリット、あるいは会社になりますことについての関連という御質問でございますが、事業協同組合と申しますのは、御案内のとおり、法人税の軽減税率があるというような形のメリットというものがあるわけでございます。株式会社化すればこれはなくなるわけでございますが、一方におきまして、一般の中小企業に転じるということでございますので、そうしたもろもろの中小企業対策の支援策があるということは当然のことであります。  一方、組合のままでいることというのは、相互扶助の精神が流れているというようなこととの関係におきまして、例えば員外利用が一定の比率以下に抑えられるとか、あるいは資本の増強あるいは雇用者の増強といったようなものに制限が加えられるという不自由さが残るわけでございます。  そこで、組合という形で最低資本金などの縛りにとらわれずに、また一方で軽減税率の支援というようなものも受けながら事業が展開をされて、結果として、むしろそうした優遇策と支援策よりはもっと自由な事業展開の方が望ましいという形に到達したときに株式会社を選択するという道があり得るんだと考えております。それがただいま御指摘ございましたような比率で世の中に存在をしている、このように認識をいたしております。
  199. 水野誠一

    ○水野誠一君 次に、大臣にちょっと伺いたいんですが、今中座されたので、どうしましょうか。
  200. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  201. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 速記を起こしてください。
  202. 水野誠一

    ○水野誠一君 大臣をお待ちしておりましたので、早速大臣に伺いたいと思います。  特別信用保証の十兆円積み増し、一年延長には、前回も私指摘をさせていただいたんですが、まだかなり疑問を抱いている面もございます。新産業創出や中小企業政策において金の面での政府の手とり足とりが行き過ぎるのではないか、それによって副作用が出てくるのではないかという思い、これはよく言われることでありますが、過保護が逆に日本中小企業全般の競争力あるいは体力を弱めてきたんじゃないか、こういう指摘についての問題意識ではないかと思っております。  真に国際的な競争力を生み出す力を中小企業が持つためには、例えば今御質問をさせていただきました組合から株式会社化への移行など、こういった構造転換にとどまらないダイナミックな大構造改革を迫る覚悟が私は必要だと思っております。  特別信用保証をとらえていろいろな批判もあるわけでありますが、例えば淘汰されるべき企業をただ延命させる政策ではないかと、こういう批判はこれまでもあったわけでありますが、昨日も民放の報道番組、テレ朝の「サンデープロジェクト」で、海外のファイナンシャル・タイムズの指摘としてこの点が強調されていました。  この辺について、大臣が今後どういうふうにお考えなのか、大臣の御姿勢を伺いたいと思います。
  203. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私は、この信用保証協会による対策というのはあくまでも緊急避難的な措置だと。フィナンシャル・タイムズその他の批判を聞きますと、これが継続した場合には確かにそう言われてもおかしくないが、去年のあらしのような貸し渋り、その中でどうにもならない、ここで資金を補充させれば間違いなく頑張れるのにというそんな状況の中で、やはり政府としては、緊急避難対策として臨時の二十兆の枠をつけたということは、私は成功であったというふうに思っています。  そして、現に昨年十月一日から始まって今日まで十八兆四千億円出ておりますし、五百七万社数えられる中小企業のうちで百五万社以上が借りている、つまり五分の一の方々がそのことによって息を吹き返して現実に頑張っておられる。その状況は、数からいっても状況からいっても否定すべきものはほとんどない。しかも、その返済に関しては、次の月から、あるいは三カ月、六カ月、十二カ月後といろいろありましたけれども、九〇%以上の方々が返済をして、既に返済額も三兆円ぐらいになっている。やはり借りたものを返そうという中小企業の熱意というのはそこからもうかがえるような気がするのであります。  数が多うございますから、中にはあのテレビでも指摘するような、いかがかという思いがございますが、中小企業全体を元気づけて、このあらしのようなときを乗り切っていくということのためには私は適切であったし、十兆円の追加というのは、なおこの資金を求めている企業が四分の一以上に達しているという状況を見ればやむなきことではないか。  しかし、いつまでもそのことに甘んじているということではいけませんから、早くこの十兆円一年延長の中で中小企業の方々が一層前進できるような体質をみずからも開拓してつくっていただくということにぜひ頑張っていただきたいと願っております。
  204. 水野誠一

    ○水野誠一君 次に、本法案の中でも一部手当てがされているようでございますが、企業資金調達環境における直間比率の問題について触れたいと思います。  金融機関から借り入れる間接金融と、企業が社債などによって市場で調達する資金、つまり直接金融のバランス、これはよく言われるように、日米比較をしてみると全く彼我の差というのがはっきりするわけでありまして、日本では銀行借り入れが大体七割、社債発行が一割程度、それに対して直接市場の発達しておりますアメリカでは、銀行借り入れが二割、社債五割という状況で、もうまさに対照的な数値になるわけです。  日本上陸で話題になっておりますNASDAQには、御案内のように五千社を超す企業が登録し、活発な資金調達市場を形成していること、これが大きく寄与しているわけでありまして、日本でも新しいマザーズといった市場が出てくる等、期待はいやが上でも高まっているところであります。  日本企業の間接金融依存の特性、体質というものが、まさに金融機関の貸し渋りの影響をもろにかぶらざるを得なかった、こういう状況だと思います。通産省のみならず多くの民間アナリストの間でも指摘されているところでありますが、まさにこの問題を解決していくために中小企業の社債発行というものが今回の法案で触れられている。ここについては、私は大いに注目させていただきたいと思っています。  これについてもほかの委員から幾つか質問がございました。しかし、ここでやはりちょっと気になるのが、大企業と違って中小企業の信用力を補完するものとして、また各都道府県の信用保証協会がこれを補完するというふうになっているわけです。この新制度の利用を望む中小企業というのが、これもいろいろ今まで御説明があったんですが、どれくらいあるものなのか、どうその予測をされているか、この点について簡単にお答えをいただきたいと思います。
  205. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 今回御提案をいたしております制度のもとで、純資産額五億円以上という一つの要件を想定いたしておる関係でございまして、その関係では、先ほども御答弁させていただきましたが、関連するデータから見まして二、三万社程度の企業がそうした条件を備えているのではないかと考えます。  一方、私どもが昨年実施いたしました政府関係機関を通じまして調査いたしました調査では、回答をした中小企業の約二割の人たちが信用保証つきの私募債の発行をしたい、ついては信用保証をつけた制度を創設してほしいということを要望しているという実態がございました。
  206. 水野誠一

    ○水野誠一君 時間もないので、この点は余りこれ以上伺いません。  ただ、先ほど政務次官からもお話があったように、フレキシブルな運用それから条件の見直し等も含めて、やはりこれは相当そういった内容の見直しというものが必要になってくるのではないかなという感じがしております。これはまた改めて次の機会に伺えればと思います。  さて、大阪府の信用保証協会をめぐるてんまつ、これについて御説明願いたいと思うんです。  全国で初めて、金融当局から経営改善を要する協会という指摘を受けた。昨年五月に金融監督庁に経営改善計画も提出しているというふうに伺っております。  代位弁償の原資となる協会の基本財産が二〇〇一年に五百億円ショートするという試算を受けて、これを埋めるために銀行などに支援を求めたところ、保証をつけるかどうかの審査をしたのは保証協会であって融資が焦げついたからといって銀行に補てんを求めるのは筋違いといった答えが返ってきて、一部銀行が反発したということを報道で拝見しています。  この問題についてはどのように決着したのか、また大阪以外の信用保証協会の財務状況をどのように把握されているか伺いたいと思います。
  207. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 御指摘のように、大阪府信用保証協会につきましては、平成十年三月に経営の改善を要する協会に選定を行いました。  同協会におきましては、平成十三年度までの経営改善計画を策定いたしまして、同計画の実施を行っているところでございますが、これまでの経営改善計画の実施状況につきましては、代位弁済の集中的な解消という点、金融機関からの負担金の受け入れなどについて計画に沿った形で進んでおると考えております。  引き続き、同協会の経営改善計画の円滑な実施について私どもとしても適切な指導を行ってまいりたいと考えております。
  208. 水野誠一

    ○水野誠一君 この信用保証協会の代位弁償額については、その七〇%または八〇%が中小企業総合事業団の保険によって賄われると聞いておりますが、中小企業総合事業団は政府出資の特殊法人でございます。万一保証協会が倒れるようになった場合には、その最終的なツケは国民に回ってくるという厳しい指摘もあるわけでございますが、この点について大臣にどうお答えになるのか伺いたいと思うんです。
  209. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 特別保証制度を実施するに当たりましては、昨年の第三次補正予算で二千億円、今般の補正予算で九千億円を計上しています。また、特別保証分とは別に信用保証協会の経営基盤強化として百十五億円計上しております。予算措置については、制度設計上許容されている事故率を超えない限り国民の負担がさらにふえるということはない、こう判断しています。  済みません。今私、今般の補正予算、九千億円と言ったんですけれども、九百億円の間違いでございます。済みませんでした。訂正いたします。
  210. 水野誠一

    ○水野誠一君 特別信用保証についてもう一つ伺いたいと思うんですが、これを利用して銀行などが当初旧債振りかえ、いわゆる古い債権を振りかえるということに利用しているんじゃないかということが一時問題になりまして、通産省などの強い指導によって改善されたという説明も聞いております。しかし、自己資本比率の向上という命題を抱えた金融機関にしてみれば、より貸し倒れリスクの少ない融資に振りかえようとする構造的圧力が働くというのはある意味で当然のことでありまして、こうした旧債振りかえのようなやり方が本当に今はなくなっているのかどうかという点にも疑問を抱いております。  さて、特別信用保証の十兆円積み増しについて、これ以上私は申し上げませんが、政府が抱えられるリスクにも限界がある以上、信用保証協会に安易に頼った資金供給スキームには相当慎重であるべきではないかと思っております。必要なのは、リスクを負うべき主体、これは銀行だとかベンチャーキャピタルなどがそうなるわけですが、その責任能力に見合ったリスクを適正に負担するだけの能力を備えること、これが何といっても重要なことでありまして、政府が国民の税金をバックに無限にリスクを負うことは、長期的に見れば健全なリスクマネー市場の育成にも阻害要因となるのではないか、かように思うところです。  リスクマネーの供給を円滑化する上での政府の役割が金融機関などの敬遠するリスクをしょい込むことにあるとは思えないわけでありまして、この点についてどのようにお考えなのか、大臣に伺いたいと思います。
  211. 細田博之

    政務次官細田博之君) 大臣答弁の前に、ちょっと数字的に申しますと、目下のところ三百三十兆余りが中小企業金融の総額でございます。例えば、その中の百兆は都市銀行だとか、地銀が七十兆、あるいは信金が五十兆、信用組合が十五兆、そして商工中金とか中小公庫、国民公庫合わせますと二十五兆ぐらいでございまして、それから保証協会がそれらとの連携で三十兆というわけですから、やっぱりあくまでも民間金融機関が主体で、その中で補完的な、潤滑油的な役割をするのがこの保証協会だということでございますので、これからもやはり民間が主体になっていただきながら、それを景気変動等に応じまして補完するという役割だと思っておりますが、一生懸命これはさらに保証を進めてまいりたいと思っております。
  212. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 二十兆プラス十兆の保証協会の対策は、あくまでも緊急対策でございまして、これは国あるいは信用保証協会の引き受ける分野が非常に多いわけでありますが、一般的に考えた場合には、委員御指摘のように、それは民間金融機関が負うべきものはきちんと負っていただく。それぞれの立場が責任を受けなければこれからの経済活動は不可能であろうと思います。
  213. 水野誠一

    ○水野誠一君 いずれにしても、リスクマネー市場の育成ということ、これが非常に重要なテーマだと思います。そしてまた、中小企業にとっても、過保護によって日本中小企業の競争力がかえって弱まったんだと、単なる延命にしかならなかったということを決して言われないように、ひとつしっかりとしたかじ取りをお願いして、私の質問を終わります。
  214. 加納時男

    ○加納時男君 自由民主党の加納時男でございます。  さきに成立しました中小企業基本法の改正、それから、きょう提案されております中小企業事業活動の活性化に関する七つの法律及び関連する法律の改正、そして新事業創出促進法といった今回の各論レベルと、両方パッケージにした基本理念の変化というのがまず大事だろうと思います。その基本理念の確認を初めにさせていただき、個別の問題に入りたいと思います。  大臣に伺いたいと思いますが、先般もここで議論されましたように、昭和三十八年の中小企業基本法の制定以来、大きく世の中変わってまいりましたけれども、旧法と新しい基本法との最大の違いというのは、古い法律では、中小企業というのは弱者である、そしてこれは小さいものは大きくならなければならない、二重構造のもとで保護しなければならないという考えであって、その時代には確かに合っていたとは思いますけれども、時代が大きく変わって、今や中小企業に望まれるものは、経済社会の活力の源泉である、新しい産業の創造の場でもあるし、雇用創出の場でもある、そしてまた技術の新しい芽を出すところでもあり、新しいマーケットを開くところでもある。こういう前を向いた、二十一世紀に向いた、日本経済社会を引っ張っていくのが、今アメリカを絶好調にさせているアメリカの中小企業と同じように日本でも中小企業ではないかということが議論されたと思います。  そういうことで考えてまいりますと、実は一番大切なことというのは、中小企業は確かにまだ弱体のところもあります。弱いところもあります。保護しなければならないのはわかるけれども、基本的な理念としては、今回の二つの法案の審議に当たっても、中小企業の自立、自助、自存といいますか、それが私は根本になければならないと思うんですが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
  215. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 加納委員のおっしゃるとおりでございまして、私が下手な演説をするよりも、今のお言葉そのままで十分だと思います。
  216. 加納時男

    ○加納時男君 もし私の申し上げたことが大臣と同じだとすると、これは恐らく私は大臣からすごい影響を受けているわけですよ、お互いに言っちゃいけませんけれども。大体年はそんなに違っておりません、少し先輩でいらっしゃいますけれども、同じ江戸で生まれまして、私も下町であります。中小企業に囲まれて育ってきたというので全く同じ考えになったのじゃないかと思っておりますので、ぜひとも今の考え方でこれからも審議に当たらせていただきたいと思います。  ところで、中小企業には二つの側面があると思うんです。今申し上げましたチャレンジ精神を鼓舞していくといった面、新規事業を起こしていく、創業する、非常にポジティブな面と、しかしそうはいっても、まだ大企業の、下請という言葉はよくないですけれども、協力企業として非常に苦しい状況にあるという中小企業があるのも事実だし、さらにごく少人数でやっていらっしゃる、自営に近いような中小企業の方がおられるのもこれも事実なんです。  私は弱者切り捨てとかというのは反対なんです。大事だと思います。しかし同時に、前を向いたものも必要だ。となると、二つの政策、私の言葉を使わせていただくと、一つは、ポジティブな市場原理に基づく経済政策としての中小企業対策、もう一つは、社会のやはりいろいろな条件があって、まだまだ発展するためにインキュベーターは必要でありますし、あるいは保護しなきゃならないそういう社会政策的なもの、あるいは競争に敗れてリタイアする方にいかに軟着陸していただくかといった社会政策。  経済政策と社会政策がごっちゃになってとかく中小企業論は議論されるような気がするんですけれども、この二つの側面、大臣、どのように考えたらいいでしょうか。
  217. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 冒頭お話がありましたように、中小企業というのは本当にいろんな面をお持ちでございます。もう一息で市場に参入できるようなそういうところもあれば、新たな事業を起こすというそういう可能性を非常に強く持った、技術を持った内容のところもありますし、一方において、一生懸命頑張っているけれどもなお思うようにいかない、これは弱者切り捨てならその対象になるかもしれないというそういう層もあります。  だけれども、その一つ一つが活力を増さなければ中小企業全体の底上げができないわけでありますから、そういう意味では、活力のあるところにはもっと元気を出してもらい、まだまだ支援が必要なときには手厚い対応をするという、そういうこちら側もきめ細かな多面的な政策を打ち出していかなければならぬと思います。
  218. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  大臣、ちょっとお休みをいただきまして、その間に法務省の方に一つ伺いたいと思うのでございます。  今の大臣お話をずっと伺っていまして、やはりこれからはこれからの経済社会の大きな担い手として中小企業の新規創造というか創業が大事だし、そういう面では株式会社をつくりたいという人に対してもつくりやすいような制度というのが必要だと思うのでございます。現在商法で見ますと、株式会社というのは最低限一千万円になっていると思います。これを一千万円よりももうちょっと下げて創業しやすくするという考えがあってもいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  219. 小池信行

    政府参考人小池信行君) 株式会社の最低資本金についてのお尋ねでございますので、商法の立場からお答えをさせていただきます。  株式会社の最低資本金の額をどの程度に設定するのが相当かというのは極めて難しい問題でございます。委員が御指摘のように、このハードルを低くすればそれだけ新規参入が容易になって経済の活性化につながる、そういう面は確かにあろうかと存じます。一方で、債権者の保護という観点からいたしますと、最低資本金と申しますのはその企業が保有すべき純資産の最低額の基準でございます。したがって、これはできるだけ高い方がいいということになるわけでございます。つまり、最低資本金のベースが高ければ、企業と取引をしようとする人は、少なくともこれだけの資産を持っているというふうに期待をいたしまして安んじて取引に応ずるというところがあるわけでございます。そういう両面を兼ね合わせて決めなければならないというところがございます。  この株式会社の最低資本金という制度は、平成二年の商法改正で取り入れられたものでございますが、その立案の過程及び国会で御審議をいただいた過程ではさまざまな議論があったというふうに伺っております。その結果として、株式会社につきましては一千万円という金額に落ちついたというふうに承知をしております。  ただ、一千万の資本を用意して株式会社を設立するというのが難しいというそういう方にとりましては、最低資本金三百万円の有限会社という企業形態を使うという方法もございますし、あるいは資本金の制約のない合資会社や合弁会社を使って新規に参入する、そういう方法も商法上あるわけでございます。
  220. 加納時男

    ○加納時男君 小池さんが言われたように、参入を容易にするという面ではハードルが低い方がいいし、それから債権者を保護する面では高い方がいい、この兼ね合いが難しいというのは全く同感です。  今おっしゃったように、商法の改正はたしか平成二年と今おっしゃったと思いますが、私はまだ議員になっていなかったんですけれども、あのときのことをよく考えてみると、たしか商法改正の前は一株五万円で七株以上、七人以上ですか、そういうので三十五万円だったと思うんです。三十五万円からぴょんと一千万円になったように私は記憶しているので、違っていたらごめんなさい、直してほしいんですが、たしかそうだったと思います。  そういうことをやってきたんだけれども、考えてみると、そのときの考え方と今と時代が大きく変わっている。平成二年というと、来年はどうなるか、雅子妃殿下にお子さんが生まれると西暦二〇〇〇年ベビーというので、平成十二年になるわけです。そうすると、話を戻すと、平成十二年というのは、商法が前回改正されてから十年たつわけで、十年というのは十年一昔でありますから、一昔前の話を今の時代で、さっき大臣がいみじくもおっしゃったように、これから大きく中小企業に期待していくんだ、創業しやすくするんだというときに、合資会社があるよ、有限会社があるよ、だから株式会社がいいんじゃないのというのじゃなくて、すぐ変えてくれとは言いませんけれども、これもこれからの検討課題かどうか、私は検討課題であるということを確信しているものですから、再度回答を求めたいと思います。
  221. 小池信行

    政府参考人小池信行君) おっしゃるように、最低資本金の額を幾らに設定するかということは、いろいろそのときの経済情勢によってその合理性のありようが違うと思っております。私どもといたしましても、いろんな広範な意見、さらに国会の方のいろんな御意見を伺いながら所要の検討をしたいというふうに思っております。
  222. 加納時男

    ○加納時男君 その方向でぜひ検討していただきたいと思います。  話題を変えまして、政務次官に伺いたいと思うんですけれども、中小企業政策審議会の中間報告というのを私は読んだんです。基本法が出る前にも読んだんですけれども、そこにパブリックコメントを求めるというのがあって、またパブリックコメントというのを読んだところ、大変興味深いのがありました。原文どおり言いますと、「中小企業という名称を、皆が胸をはって自分は中小企業者だといえるような前向きの印象を与える呼び方の工夫をしてほしい。」というのがありまして、ここで私は線を引いて、今思い出したわけでございます。ネーミングというのは本当に大変だと思うし、すぐに変えるということはこれは無理なのはわかるんですけれども、こういったようなことです。  私も、中小というと何かスタートが一つ抜けているみたいで、大中小と、だから一流二流三流というような感じで、中小というと何か非常に差別的な感じを受けるわけです。その次に何があるのというと、次は零細だと来るわけですね、中小零細と。私は極力こういう言葉を使いたくないわけでございます。私の希望する言葉は、例えば中堅企業とか中堅創造企業とか、力の出るやつですね。大臣のように力の出る前向きな明るい感じがして、我こそ日本経済の担い手だというときに、中小と言われると何かがっかりしちゃうんですけれども。  英語はどうなっているかなというと、ちょっとおもしろいんですね、スモール・アンド・ミディアムサイズド・ファームズ。政務次官はよく御存じのとおり、スモールからスタートするんです。スモールという言葉は非常にいいことで、スモール・イズ・ビューティフルとか、ディズニーランドのテーマミュージックはイッツ・ア・スモール・ワールド。スモールというのはすごくいいんですね。かわいいとか、魅力がある、しかししんが強いとか、そんなイメージなんですけれども、中小というこの並び方で何かがくがくっと来るので、小中と言えとは言わないんですけれども、何かいいアイデアはないかなと思うんです。  きょうは別に御回答は要らないんですけれども、例えばこんなようなことを、これから中小企業の人にいい名前を考えてくださいというようなことを応募させるとか何かいろいろなアイデアがあってもいいと思うんですけれども、ネーミングについては何か御所感がありましたら伺いたいと思います。
  223. 細田博之

    政務次官細田博之君) 今国会で基本法を御審議いただいてずっと来まして、深谷通産大臣答弁でお気づきと思うんですが、零細という言葉は絶対使われないんですよ。零細というのは、ゼロ、また細という字も何かよくない字でございまして、私も細がつきますけれども、印象がよくない。したがって、これは小規模企業というふうに言っておるわけです。  他方、中小企業は、政策の対象として考えますと実は五百十六万社のうちの五百九万社、定義改正後でございますから、言ってみれば一般企業なんです。それで大企業は大企業、大電力とか大鉄鋼は大企業、超大企業。こっちは普通企業なんですけれども、政策の今までの歴史からいうと、特別に対策をとろうじゃないか、そのためには中小企業という名前にして、そのための金融公庫をつくったりあらゆる施策をつくってということでそうなったと思うのでございますけれども、もし仮に中小企業で働いておられる方々が、そのことを胸を張っておれは中小企業者だぞと言えないような感覚があるとすれば、やや我々としては悲しいなと。  長年、戦後まさに中小企業政策を一生懸命やってきた者としては残念な気はいたしますけれども、確かに語感というのはどんどん時代とともに変わってまいりますから、さらにいい表現があればまたお知恵を出していただきたいと思います。
  224. 加納時男

    ○加納時男君 政務次官は大変なアイデアマンと伺っていますので、ぜひお知恵をまた出していただければと思っております。  次の話題へ移りたいと思うんですが、次の話題は私募債への信用保証の話で、だんだん具体的な話になりますが、大臣が先ほど、午後だったと思いますけれども、私募債への信用保証について、私募債というのは資金調達方法の多様化であると非常に明快におっしゃったわけでございます。  実は、中小企業金融問題がこれだけ大きな社会問題になってきた背景は何だろうかと考えてみますと、三つあるような気がするわけです。  一つ目といいますのは、直接金融から間接金融へのシフトといいますか、もともと中小企業資金調達の中に占める間接金融の比率というのは比較的低かったわけです。九〇年のときにたしか二七%だったと思いますが、それが九七年には四一%となっておりますから、間接金融の比率がふえてきたというのが一つ二つ目として、ふえた割には貸し手の銀行の方に小口に対する小口融資のノウハウが不足していた。これもきょう午後に同僚委員から指摘があったと思います。三つ目が、自己資本比率を上げなきゃいけないという例のBIS規制に端を発した自己資本充実策で、これに伴う貸し渋り。この三つが重なっているのが問題かと思うんです。  中小企業に直接金融の道を広げるという意味で、今回の私募債に信用保証をつけるというのは、私は数は必ずしも多くないかもしれないけれども大事な芽だと思いますので、これを大きく育てていってほしいなと思うわけであります。  そこで、大臣にちょっと伺いたいことがあるのでございますけれども、この社債、私募債に対して公的な保証を与えるわけですよね、信用保証協会がやるというわけですから。これは本来、市場原理、大臣がさっきおっしゃった自立して企業がやっていくという、そういう市場社会の原理というのは、投資家がリスクをとるわけです。そういった市場原理をややゆがめるんじゃないだろうか、下手をするとモラルハザードになるんじゃないだろうかというのがちょっと心配なんですけれども、その辺は大臣、いかがでしょうか。
  225. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 先ほども比較的似たようなお話が出ました。アメリカでは資金調達は一体どうなっているんだ、その際に社債発行と直接金融が非常に多い。やっぱりこれはアメリカの資本主義社会の長年の歴史と経験の中から生まれたもので、出す方もリスクの責任を負い、出される方は当然企業家としての責任を負っていくという、つまり責任体制が整っている。  日本の場合にはまだまだそこまで、特に中小企業の問題あるいはその周辺の環境では及んでいない。そういう意味で、例えば市場から資金調達を図ろうとしても、実際には信用が得られなくて資金調達ができない。しかし、中小企業の中には健全で本当に直接金融でぐっと伸びていくところがあるわけでありますから、せめてそういうところに対して保証協会保証して、そして私募債が発行できるような状態をつくっていこうというのが今度の発想でございます。  先ほどからしばしば答弁にありましたように、どのぐらいの数がこれによって具体化していくのかということについては、私は当初はそんな大きく思っていませんが、しかしこれから中小企業に直接金融の道を開くということのスタートというのはとても大事なことでありまして、私はそういう意味で、これからスタートをします私募債の発行についてはむしろ積極的なPRをしていく必要があるし、そういう意味では中小企業の私募債発行ができるようなところには自信を持って努力していただきたいし、周辺もまたそのことについてはおのれの責任を考えながら投資していくという形をとっていきたい。  現状では、残念ながら信用保証協会保証でもつけないとなかなかそれが活用できないという、そういう実態でございます。そういう意味では、中小企業資金調達の多様化を図るという意味で一歩も二歩も前進できるかなと思っています。  それから、モラルハザードの問題等を含めて考えた場合に、その企業が本当に信用保証協会保証にかなうものかどうかという点においては、純資産額が五億円とか資本金が五千万ぐらいとか、そういうやっぱり一応の要件を備えるということがとても大事ではないだろうかなというふうに思います。  あわせて、保証割合を部分保証として九〇%としておりますけれども、それは社債の引受人にも一定のリスクを負担していただく、まさに委員御指摘の意味を含めているものと考えます。
  226. 加納時男

    ○加納時男君 大臣、ありがとうございました。  たとえスタートは小さくても将来の発展の可能性を考えて道を開くんだというのは私大賛成でありまして、小さく産んで大きく育てるということがコツかと思います。よろしくお願いいたしたいと思っております。  また、大臣お話でもう一つ今大事なことをおっしゃったのは、リスクという言葉を使われたんですけれども、リスクを日本人はとりたがらないんですね。ローリスク・ハイリターンなんて、こんなばかな話は世の中にないわけですから、やはりリスクはとらなきゃいけないと思っております。  それで思いついたんですけれども、政務次官にちょっと伺いたいと思うんですが、ワラントの問題でございます。  無担保のワラント債なんですけれども、これの場合に、当然のことながら、私はこれは制度としては非常にいいと思うんですけれども、上乗せ金利をどう考えるのか。これは確かにリスクが大きいわけですから、ハイリスク・ハイリターンで考えていくべきじゃないかと思うんですけれども、例えば、長プラに対してある一定の数を上乗せするというのが答えかなと内心思っているんですけれども、この辺は御検討されているかと思いますが、いかがでしょうか。
  227. 細田博之

    政務次官細田博之君) 現在、中小企業金融公庫におきましては、通常の貸し付けよりも高いリスクを伴う一部の貸付制度、例えば新規事業育成貸し付けなどでございますけれども、通常の利率を上回る金利を設定しておるわけでございます。その上乗せ幅は最大で〇・四%程度でございます。  今回創設するワラント債を活用した資金供給制度の金利水準につきましては、こうした既存制度における取り扱いを参考にいたしまして、おっしゃるように金利のバランスのとれた体系をつくっていかなければならないと考えておりますので、今後検討いたしたいと思います。
  228. 加納時男

    ○加納時男君 わかりました。そういう方向でぜひ検討していただけたらと思っております。  続いて大臣に、小規模企業への無利子貸し付けについて、先ほどもちょっと話題になっておりましたが、これについてちょっと考え方でお伺いしたいことがございます。  今回の法律改正の中で一つ名前が変わったところがありまして、中小企業近代化資金等助成法が小規模企業者等設備導入資金助成法というのに変わって本日提案されていると理解しております。中小というところから小規模企業というふうに明確に絞った、それから近代化資金というものを設備導入資金ということにした。それで、従来、業種がいろいろ指定されていて使いにくいとか、先ほど同僚委員もおっしゃっていましたけれども、そういうところを明確化して、一点突破、集中突破じゃないんですけれども、小規模の方に重点を置く、これは私、方向として賛成でございます。非常に今度は使いやすくなるんじゃないかなと思っています。  私の質問は、この無利子貸し付けというコンセプトなんです。私は、小さいものは弱いからとか、それから創業するんだからお祝いだというようなことで無利子貸し付けというのがあるのかなと思うんですけれども、無利子貸し付けとは市場経済の原理で考えますとこれは贈与になる、贈与という言葉は悪いけれども、贈与ということと同じじゃないかという指摘も社会にはあり得ると思うんです。  そうじゃないんだと、これはあくまでも最初のアクセルを踏んであげるだけで、押してあげるんだと、あとは自立するんだよというのが私は大臣冒頭におっしゃった今回の中小企業対策のまさにバックボーンだと思うんですけれども、そうだとすると、こういう無利子貸し付けというのはどう考えたらいいんでしょうか。そこをちょっと伺いたいと思います。
  229. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今まで都道府県を単位として中小企業設備近代化資金という制度がありました。これは、中小企業全体に及び、かつまた業種を細かく選定するというので非常に使いにくかったですね。おまけに、この中小企業設備近代化資金という名称が、さっきの中小企業じゃないんですが、近代化資金というともう頭から非近代的というのを前提に置いているようなものですから、これはこだわってぜひ変えていこうと。  あわせて、一方において小規模企業に対して今までのようなきめの細かい応援がなくなるのではないか、ベンチャーとか創業に走って。そういうお声も非常に多くて、これは誤解を招いてもらってはいけないと。小規模企業の方々に格別メッセージを送るにはどうしたらいいかと考えたときに、むしろ今までの近代化設備資金というのを名前と形を変えて中小企業だけにする、限定するのは中小なんだ、職種じゃないんだということに切りかえて、今までの都道府県で扱っておりました近代化資金の余剰金その他もろもろありますから、それやこれやを加えまして一千億円を全体に用意できるのではないか、そういうことからただいまのような形の新たな方針を打ち出したわけであります。  したがって、一口に言えば、ラーメン屋さんをつくるのでもこの資金を活用できるわけであります。小さな文具店でも洗濯屋さんでも何でも、とにかくやろうとする場合にこれが後をぐっと押す力になっていくのではないか。担保がなければ政府の関連の機関で買い取ってリースにして、リース代だけをいただこうではないかという、そういう数々の方針の中で小規模の皆さん方のお手助けをするということでございました。  ただ、お話しのように、小さいから、弱いからお手伝いするということでは決してありません。小さくても新たに何かを始めて頑張るんだということがいわば設備投資にもなっていくわけでありますから、そういう意味では、そういう自立的なというか、自助努力をしようとなさる方々に政府がきめ細かくお手伝いをするんだ、その方向を示すんだというところにも一つの意義を考えていると御理解いただきたい。
  230. 加納時男

    ○加納時男君 わかりました。小さいから意欲がなくても応援する、まずいラーメンでもつくるというんじゃなくて、おいしいラーメンをつくろうというところを応援するよと、こういう意欲のある人、自立したい、自助努力をしたいという人に対しての応援歌であるということなら私は理解します。  しつこいようですけれども一つだけ、それでもまだ疑問が残っているのは、ならば、そういうような社会に私は日本が変わっていくのが望ましいし、そのリーダー役を実は深谷大臣がなさっていると思っているわけです。ならば、これは時限立法でもいいのかなと思うんですけれども、時限立法になさらないで、これ私、時限立法だろうと思って読んでいたら、恒久立法みたいなんですけれども、恒久立法にした理由は何でしょうか。
  231. 細田博之

    政務次官細田博之君) これはいろいろ中小企業政策の歴史と関係があると思うんです。  というのは、中小企業政策が戦後ずっと拡充されている中で、まず無利子制度をつくるべしと、これは一番理想ですよね、借りる側から見ると。それから保証料ただというのもそうですね。あるいは無担保保証というのも一つの理想。この三つの理想型を求めて、特別の政策をとれという強い強い政治的要請もあり、我々国会の歴史でつくってきたということもあります。  だから、中小企業総合事業団で今ある高度化融資でも、協業組合や合併に近いような協業をして、あるいは公害対策の設備を共同で買う、そういうようなときにはもう無利子貸し付けだということで巨額の政府出資を投入していますし、これでも、巨額の補助金あるいは保証料がただというと、やっぱり巨額の保険公庫の出資金を必要とするわけです。  しかし、そこまでつぎ込んで時代時代の政策要請に応じてやろうということでやってきておるので、加納先生、金融の問題でも長期で考えた場合、経済的なバランス、金利のバランスから見てどうかとおっしゃることは、まことに片方で真実としてあるんです。金融常識から一歩外れて、政府の特別な措置として導入してきたということに着目していただきたいと思うわけでございますので、ちょっと申し上げました。
  232. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  それでは、次の話題に移りたいと思うんですが、ストックオプションについて伺いたいと思います。  ストックオプション、私の理解しているところでは、将来のある一定の期間にあらかじめ定めた一定の価額で一定の数の株を取得するという制度だというふうに理解しているわけでございまして、これがまさに新規創業とかそれを刺激していくいい道だろうと思っているわけでございます。  私の質問は、まず、ストックオプションの現在までの採用状況といいますか、どのくらい浸透してきたんでしょうか。
  233. 茂木敏充

    政務次官(茂木敏充君) 先ほど大臣の方からも答弁させていただきましたように、これから伸びていく企業にとって必要なものが三つある。一つがやはり人材であり、二つ目資金であり、そして三つ目が経営のノウハウであると。こういう点におきまして、これから伸びていく企業、研究開発などで高度な人材を必要とするわけですが、しかし資金力とか知名度が不足しているために人材の確保が非常に困難である。  このストックオプション制度、今委員の方からもございましたように、企業の成長そのものがこの企業に参加する人間にとっても資産の増大につながる、こういった意味から人材確保の円滑化に大きな意味がある、こういうふうに考えております。  ストックオプションの導入状況につきましてのお尋ねでありますが、現在調査ができております上場もしくは店頭公開企業に限ってでございますが、これまで約二百五十社が導入している、このように把握をしております。  また、創造法の認定企業に対するアンケートを行いました結果では、今後株式公開の意欲を有している認定企業中、実に七割の企業がストックオプションをこれから導入していきたい、こういう予定を立てている。このように認定企業の実際のニーズも非常に高い、このように認識をいたしております。
  234. 加納時男

    ○加納時男君 認定企業は非常に導入の意欲が高いという茂木政務次官お話、非常に参考になります。ありがとうございました。  ちょっと細かい質問になって恐縮なんですけれども、法律を一生懸命読んできたつもりなんですが、非常に読みにくいところもあったんですけれども、創造的事業活動促進法というのと新事業創出促進法というのがあるんですね。名前がすごく似ているんですけれども、書いてあることはかなり違うわけです。  話はストックオプションですけれども、創造的事業活動促進法では、ストックオプションについて付与限度を発行済み株式総数の十分の一という商法の原則を変えて五分の一にするというふうにありますね。今度は新事業創出促進法改正というのをずっと見ていきますと、これは商法の原則の十分の一を三分の一にすると。  だから、名前はすごく似ていて、どちらも創造的とか事業とか言葉がくっついているんですけれども、言葉の配列が違う法律なんですけれども、これで五分の一になったり三分の一になったりするのは何ででしょうか。
  235. 茂木敏充

    政務次官(茂木敏充君) 委員よく御存じの上で答弁の機会を与えていただいているんではないか、こういうふうにも思っておりますが、今御審議をいただいております二つの法律におきましては、一方で先進的な事業に取り組む企業を支援対象とするものでありますが、これらの企業が求める優秀な人材を確保する必要性はそれぞれに違ってくる、それぞれに対応しまして特例措置を引き上げる、こういうことでございます。  御指摘いただきましたように、新事業創出促進法改正におきましては、全国的に見て従来にない新しい事業分野の開拓を図ることに加え、短期間のうちに株式公開等著しい発展を目指す、これから公開していくんですよ、こういう企業を支援対象としておりまして、専門的かつ高度な知見を有する人材を確保することが非常に必要性がより高い、こういう観点からストックオプションの上限を三分の一といたしておりまして、中小創造法の支援対象である、地域においてどちらかといいますと独自の強みを発揮する研究開発型企業、これが今度十分の一から五分の一に引き上げるということでありますが、これより高い付与上限を設けている次第であります。
  236. 加納時男

    ○加納時男君 茂木政務次官答弁非常に明快でよくわかりました。簡単に言うと、一つはローカルベンチャー、片一方は目玉といいますか成長産業で上場を目指すもの、こういうことですね。非常に飛び出すようなものとじっと根を張るようなもの、だから根を張るのが五分の一で飛び出すのが三分の一、こういうことで、大変よくわかりました。  これは別に質問じゃないんですけれども、これからの法律の名前の案をつくるときに、私、きょうネーミングにえらいこだわって済みませんけれども、創造的事業活動促進法とまず頭に聞いて、次に新事業創出促進法と聞いて、内容が完全に違うということを、国会テレビで多分中継されていますけれども、よく国会テレビ見たよと私のところに視聴者から電話が来るんですけれども、これがわかる方が何人いるのかな、ちょっと疑問に思います。きょうは決して、私この法案に賛成でございますので、反対しませんけれども、ネーミングのときになるべく素人が聞いてこういうことかなと、元気の出る産業育成法とか、そういうふうに書いたら非常にわかりやすいと思うので、お互いに余り難しい表現じゃないもので国会審議をやっていきたいなと思うわけでございます。  次はベンチャーについてちょっと触れてみたいと思います。  これも先ほど来いろいろお話が出ておりますけれども、この十月に施行されました産業活力再生特別措置法という前の国会議論して通ったものがあって、施行されたんですけれども、技術開発活性化がうたわれているわけであります。これはアメリカのバイ・ドール法をモデルに、国の委託研究で企業が開発した特許をその企業が保有できる条項というのがまさにこの目玉だと思うんですけれども、これ十月に施行したばかりですから、きょうが十二月十三日ですか、ですからまだ二カ月半もたっていないわけですから、まだ実績は余りないかもしれないけれども、反応といいますか、私非常に期待している法律なものですから、反応がわかりましたら教えてください。
  237. 茂木敏充

    政務次官(茂木敏充君) 米国のバイ・ドール法でありますが、これは一九八〇年に成立をいたしまして、八〇年以前のアメリカの大学の取得する特許は大体年間二百五十件ぐらいでありましたのが、九〇年代の半ばになりますと、このバイ・ドール法の効果によりましてこれが千六百件ぐらいにふえてまいります。  こういう効果もありまして、同じような趣旨で日本版のバイ・ドール条項、こういうのを設けさせていただいたわけでありますが、委員御指摘のとおり、本年の十月に施行されたばかりでありますが、通産省の関係におきましては、既に情報処理技術やロボット技術に関する委託研究を初めとしまして二十四件が適用されております。関係省庁におきましても、現在、適用に向けた作業が行われていると聞いておりまして、今後バイ・ドール条項の着実な適用が期待されておるところであります。
  238. 加納時男

    ○加納時男君 もう二十四件というのは非常に出足がいいと思います。これはこれからの大きな目玉になると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  この関係なんですけれども、大臣一つ伺いたいと思います。  私は、産学官の連携というのはこれからの日本の技術を発展させていく上で非常に重要だと思っております。それからまた、ベンチャービジネスに対する、先ほども目ききという言葉が使われたと思います、同僚の高橋委員の御質問に対して大臣が目ききが大事だと。私も全く同感でございますが、こういう目ききのできる人というのは一体だれかということなんですけれども、やはりベンチャーで成功した人だとか、あるいは大学で非常にビジネスの方にも精通した方が結構おられるわけですね。そういうことで考えていきますと、事業可能性評価委員会というような名前、いろいろ考えていらっしゃる方もおられるようでございますが、この辺をどんなふうに考えるのかなと。  この間、実は十一月二十二日でございましたか、あのときは中小企業基本法だったですが、参考人質疑が行われて、それを伺っていたときに、折口雅博さんが参考人で来られたわけでございます。ジュリアナ東京のプロデューサーをやった非常にユニークな方でございますけれども、その方が非常にいいことを言われたのは、アメリカのベンチャーキャピタルはベンチャービジネスで成功した人がなっているということなんです。  つまり、目ききがあるかどうかというのは、実際やって成功した人なら目ききと言えるけれども、何かいつも文章だけ、別に役人の方の悪口を言っているわけじゃないけれども、文章だけ書いている人が私はベンチャービジネスの目ききがあるとは悪いけれども全然思いません。そういう意味では、やっぱり目ききというのは、成功者というのはすごくいい。だから、京セラを成功させた人とかセコムを成功させた人とか、そういう人というのは私は本当にすばらしい、創造的な面では、クリエーティブな面ではすごく大事だと思うんです。  こういった折口参考人の御指摘、アメリカのベンチャーキャピタルはベンチャービジネスで成功した人がなっていることであるとか、京都のベンチャー企業目利き委員会だとか、非常におもしろい話題があると思うんですけれども、大臣、何か御感想がありましたら、目ききということでコメントをいただけたらと思います。
  239. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 京都でベンチャー企業目利き委員会というのが二年半前につくられまして、まだその成果は十分上がっていませんけれども、徐々に実績を上げていくのではないかと言われています。こういうのをよく注目しようと思っています。  アメリカでは、今お話があったように、みずから起業家として成功した経験をお持ちの方々などがその経歴や知識をもとにしてベンチャーキャピタリストとして活躍されていると聞いていますが、日本の場合にはまだ非常にそれが数少のうございます。国がベンチャーキャピタリストを輩出していくために研修制度であるとか、あるいは今回の新事業創出促進法改正でも、ここに民間投資家からの資金供給の円滑化を図る呼び水としての産業基盤整備基金から出資を行うというようなことをしておりますが、ベンチャーキャピタリストはその体験、経験の中からより実践者として強くなると言われていますから、まさにこれから育成でございます。ぜひまた、委員はいろんな面で御活躍ですから、御示唆を賜ればありがたいと思います。
  240. 加納時男

    ○加納時男君 どうも大臣ありがとうございました。  同じく折口さんが言わたことで私は非常に印象に残ったのは、日本でベンチャービジネスが育たない原因の一つに教育があるんじゃないかと。  私もいろいろ経験したことがあるんですけれども、アメリカの教育というのはちょっと変わっているんです。小学校のときに足し算、引き算とか、もちろんそれは教えますけれども、一番大事なことは、折口さんの言葉をかりますと、日本のように足し算、引き算、そして正解が一つしかないものをどうやって見つけるのか、これがよくできる人が小学校から塾に行って、中学校に行き高校に行き、そして大学の入試でも正解が一つというものをうまく短い時間で当てる人が頭のいい人。私は頭がいいとは決して思わない、努力する人だと思っているんですが、そういう人になっている。  ところが、アメリカの方ではむしろ教育の基本というのは、自分は何のために生きているのかとか、それから世の中のために何をしてあげる人になれるかとか、そういうことを大事に教育するというんです。それから、自分がどんな夢を持っているか、理想は何か。日本では理想はと言ったら、早く家へ帰って寝ること、塾のない世界とか子供が言うらしいですけれども、そんなのじゃなくて、やはり将来は政務次官になりたいとか、そんな立派な、立派かどうか、立派ですよね、そういう夢を描く。  そういう生き方も一つの例ですけれども、日本の国を住みやすい国にするために自分はやるとか、困っている人のお手伝いをしたいとか、それから看護の仕事をやりたいとか、お医者さんになって苦しんでいる人を助けたいとか、これはすごく大事だ。発展途上国へ行って十分に水道のないところがあればそこの水道が出るような、使えるような工事を将来したいとか、もっと胸が熱くなるような、そういうことを語ってくれるアメリカ人の子供がいるんですけれども、日本人の子供は会ったことがないんですよ、さっぱり。  ここはやっぱり一つ教育に問題があるんじゃないか。ベンチャービジネスをやるというのは、子供のころから自分はこんなことをやりたいという夢を描きながらやってきた、そして学校で教えるのも、あるゴールを決めたらそれに対してどうやったらどんなアプローチがあるのかという、正解は一つじゃない、これがすごく大事なんです。公務員試験も正解は一つじゃないという問題を出すとか、大学の入試もそうやったらいいだろうと思うんですけれども、きょうは余り脱線しちゃいけないのでもとへ戻しますと、こういうベンチャービジネスをこれからの日本でももっともっと社会の大きな芽にしていくためには教育問題というのも大事だなと。  教育というのは文部省がやればいいというものじゃなくて、文部省はもちろんですけれども、あらゆる政治家が考えなきゃいけないことでもあると思うので、政治家としての大臣の御所見を伺えたらと思います。
  241. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) フロンティア精神、開拓精神というのを子供のころから涵養するということはとても大事なことでございます。  戦後、教育というのは学校教育、家庭教育、社会教育とあるのですけれども、どちらかというと学校教育に頼り過ぎてしまった。子供のころから、今先生が言われたようなチャレンジ精神だとか人のために一身を尽くすとか、そういうものがなかなか培われない、そういう状態があった。社会でも、昔の人たちは、例えば他人の子供でも悪さをすれば、それが日本人として恥ずかしいときにはきちっと注意したものですが、今はかえって嫌われたらいけないというのでぐっと一歩も二歩も下がってしまう。教育の面で言えば、足し算、引き算、記憶力、そしていい学校に入ってエスカレーターに乗って進んでいくことが家庭も含めたみんなの希望。こういう中で私はチャレンジ精神というのは育たないと思っているわけであります。  そういう意味では、私たち政治家も夢を描きながら活発な議論を天下に向かって語り続けるような努力もしなければならないというふうに思います。  今度、小中高生を対象にして、起業家精神の涵養のための教材の開発とか、学校と産業界との交流の促進事業というのを積極的に進めていこうとしていますが、これはまさに文部省と一体となってやることでございます。  我々としましては、起業家精神が涵養されていくような教育、社会、家庭での努力というものを一層高めて、そして政治や行政の面では、人が足りない、お金が足りない、ノウハウが足りない、そういう具体的なことにこたえていきますけれども、多くの人たちが新しい事業を起こす、新しい仕事に挑戦する、そういうものをつくり出していくようにみんなで努力をしていく時代ではないかと思います。
  242. 加納時男

    ○加納時男君 力強いお言葉、ありがとうございました。これは私ども政治家一人一人がやっぱり考え、努力していかなきゃいけないと思っております。ありがとうございます。  話題がちょっと変わりますけれども、特別信用保証について、同僚議員も聞いていらっしゃいますので、ごく簡単なことだけ追加で質問させていただきたいと思います。  今回、十兆円の積み増し、一年間延長ということになったわけでございますが、これはもともと特別保証枠を二十兆円に設定したときにも議論があったことで、これはモラルハザードになるんじゃないかとかいろいろありました。  そして、私もこの二十兆円の施策は大成功だったと思っているわけであります。しかし、何分これは緊急避難的にやったというところもありますので、これからは政策的に意味のあるところに絞っていくとか、いろいろお考えがあるとは思うんですけれども、今回の十兆円の枠の拡大と一年間の延長というものは、消えるべき企業と言っちゃ悪いんですけれども、本来ならば消えていたかもしれない企業を存続させることになったりして、政策としては一貫性に欠けるんじゃないかといった批判も一部にはあるんですけれども、これについてはどうお考えでしょうか。
  243. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今委員も御指摘のように、これはあくまでも緊急避難的な措置であります。  昨年の状況を眺めてみますと、周りの中小企業でもそうでございますが、通常の定期的な融資が民間金融機関からきちんとなされていれば何でもないものを、ある日突然ストップされたり、あるいは条件を変更して例えば担保をもっとよこせとかいろんなことを言ってくる大変な状況がありました。私のところにも直接地域から御相談があって動いたこともございます。本来政治家は細かく動くべきではないとは思っていますが、そういう状況がありました。そういうときに、やはり政治が手を差し伸べてこの時代を乗り切るための何らかの御支援を申し上げるというのは当然のことでありまして、そういう意味では、二十兆というのは緊急避難的な、しかも政策的な手だてであったと、こう思います。  ですから、早くこの時期を脱して、そしてこの融資制度、一年延長しますけれども、その後延長しなくても済むような経済状況の変化というものをきちっとつくっていかなければなりません。そういう意味では、これはあくまでも緊急避難的な措置である、しかも政治的な配慮で行ったものであるということの御理解をいただきたいと思うんです。  それから、モラルハザードの問題については、先ほどもお話が出ましたけれども、テレビ、週刊誌等マスコミで、つまり悪い部分をクローズアップさせてあたかも全体がそうであるかのごとき報道が間々見られるわけでございます。それは、何事をやりましてもそのようなマイナス点はどうしてもやむを得ないとは思うのでありますが、現に百五万件以上がお借りになっておられる状態の中で、それは数の中にそのようなことがあったかもしれないのでありますが、しかし圧倒的多数の中小企業者が全力を挙げて返済をされて頑張っておられるわけでありますから、私は、ただ命を長引かせたといったようなそういう冷ややかな目でなくて、これによって頑張って時代を乗り越える中小企業の皆さん方の活力と返済しようという誠実な姿を信頼したいと。そこにこの結論を見ていかなければならないのではないか。そういう点から考えましても、現在、代位弁済率が〇・四%台であるということは、まず私どもの願いにかなっているように思っております。
  244. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  私の感想を込めた質問で、大臣の御所感を伺えればありがたいのですが、あと一つでございます、それで交代したいと思います。  実は先日、東京商工会議所で中小企業の幹部の方々と、私もよくいろんな中小企業の方と会いますが、お会いしたときに、とてもいい話を聞きました。  今まで政府に対して中小企業としていろんなことを要求してきた。いろいろやってくれたけれども、しかしこの特別保証枠ほど役に立つものはなかった、本当にありがたい、助かったと。政府・自民党、自民党と言ってくれましたけれども、よくやってくれたと。これは自民党だけじゃなくて与野党皆さんに御賛同いただいたわけではございますが、よくやってくれたと。そこからなんです。ここまでは政府がやってくれた、これからは自分たち企業がやる番だと言われたんですね。もう胸が熱くなりました。  明治三十三年、西暦一九〇〇年に、自分のことは自分でしっかりやる、人のせいにはしない、自分のできる限り社会に貢献する、これを四つの文字で書いた方がいました。独立自尊という言葉であります。深谷先生の愛する母校のライバルのまたすばらしい学校の創設者である福沢諭吉先生がおつくりになった独立自尊という言葉でありますが、この他人に迷惑はかけない、自分でやるんだという精神こそ、中小企業の今回の大方針転換といいますか、政策の転換、そしてたくさんの法律の改正、基本法の改正、これらの要素を含めた私は時代的な象徴的な言葉が独立自尊の重視だと。  来年は福沢諭吉先生の「修身要領」に書かれた独立自尊が発表されてちょうど百年でございます。この百年の節目にこの中小企業法が改正されるということはすばらしいと思うんでございますが、今の東京商工会議所の方の発言についての大臣の御感想がありましたら教えていただき、私の質問を終わらせていただきます。
  245. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) いろんな角度から中小企業を支えて中小企業に活力を出していただきたいと政治家同士あるいは政党の中で協議をして、そして通産省そのほか挙げて取り組んで出した政策的方向がこのたびの信用保証協会の特別融資でございました。  しかし、一方においては、それを必ずしも正しく見ないで冷ややかな報道もあります。これはまあ仕方のないことでありますが、そういうときだけに、実際に借りて助かって頑張っているんだというそういう方々から商工会議所等を通じてそのような声が上がってくるということは、私どもにとりましてはもう涙の出るような感激であります。  ぜひ中小企業の皆さんがこれで頑張って時代を乗り越えていただきたいし、そして当然のことながら返済についても全力を挙げていただくような、また返済ができるような経済環境をつくるためにも一層努力していきたいと思います。
  246. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  これで同僚の山下委員に交代いたします。
  247. 山下善彦

    山下善彦君 自由民主党の山下善彦でございます。大臣、よろしくお願いいたします。  今回のこの中小企業国会、二十一世紀の我が国の産業の担い手として、今日まで我が国の経済の底支えをしてまいりました中小企業をいかに育てまた創業させていくかという前向きの政策を樹立していくための開かれた国会であると私は認識をいたしております。  私は、地方議会生活十五年を経験した人間でございます。この間一貫して、中小企業の振興なくしては我が国経済の発展また再生はあり得ないと訴えてきた人間といたしまして、今回この中小企業国会に論議をさせていただく機会をいただいたということで、多少興奮をしながら質問をさせていただきたいと思います。  具体的に入らせていただきますが、まず中小小売商業の問題について伺ってみたいと思います。商業集積の、その中でも活性化について伺ってみたいと思います。  我々、私を含めて多くの政治家地元に戻ります。そうしますと、恐らく駅をおりて商店街を歩いていく中で、商店街が寂れてきたなと、本当に実感として商店街の皆さん方の気持ちを肌で感じ取っておる方がほとんどであろうと思います。そういう意味で、特に歴史があって地元の顔となる中心的な商店街が大きな変化がだんだん見られてまいっておりますが、非常に心を痛めておるわけでございます。  昨年成立いたしました市街地活性化法を初め、中小企業庁でさまざまな対策を講じていただいてきておりますけれども、単純な補助金だけですべてが解決できる問題ではないと思います。あるにこしたことはございませんけれども、むしろ地元のコンセンサスをいかにつくり上げていくかが極めて大切であろうかと私は思うわけでございます。このためには、アメリカを初め諸外国の成功事例をも視野に入れて、しっかり研究を積み重ねていかなければならないと考えております。  町の顔であります商業集積を活性化するために必要となる方策につきまして、特に地元のコンセンサス形成に行政としてどのように取り組んでいかれるのか、まず通産大臣の御所見を伺いたいと思います。
  248. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 山下議員が長年地方議会で頑張っておられる話はよく存じ上げております。それだけに、地域の商店街の活性化等に御熱心であることも心から敬意を表して承知をしている次第です。  委員御指摘のように、アメリカなどでは地域活性化について非常に活発な動きがございます。ただ、日本と若干違いますのは、アメリカの場合には地権者が自分の住んでいるところの地価が下がらないようにとか、そういう意識が非常に強いためにその点でコンセンサスがまとまりやすいんです。そして、一種の特別組合といったようなものをつくりまして、専門家を呼び込んで具体的なプランを立てる。そのときには、参加した人たちの過半数を超える人たちがいると、残りの意見を抑えてもそれを一定期間断行するというようなやり方が非常に行われているわけでございます。そういう意味では商業集積の活性化に取り組む事例も多くございますし、成果も上がっているというふうに思います。  私たちの国もこのような状況を見習うべきところは見習いたいというので、昨年は中心市街地活性化法ということでまさにタウンマネジメント手法というものを取り入れる政策に進んでいったわけでございます。そのためには、町づくり機関としてTMOというのがまず日本式につくられまして、そこに専門家を集めて、地元の関係者のコンセンサス形成を続けながら、中心市街地の商店街の集客力とか魅力の向上を図るためのさまざまな企画を立案し実施していく。国としても、TMOが行うコンセンサス形成、構想・計画策定事業に対しての支援、各般のお手伝いをしていこうと思っているわけでございます。ただ、アメリカとの違いは、今申したようにコンセンサスが固まると強権的なやり方でぐっと前進できる、そこが日本ではなかなかうまくいかないというところでございます。  いずれにしても、タウンマネジメントの成否を握る地元のコンセンサスということはとても重要でありますので、それを形成するために地域で頑張っていただくとともに、国も大いに支援をしていかなければならないと考えます。
  249. 山下善彦

    山下善彦君 一問大臣お答えをいただきましたら若干落ちついてまいりまして、落ちついて質問をさせていただきたいと思います。  私の地元は御案内のとおり浜松市でございます。今、駅のあそこを一歩出ると、先ほど申し上げましたように駅前商店街、昔はほとんど周辺部から駅を目指して、この商店街で買い物をしたりいろいろイベント活動に参加したりということがありました。最近では、せいぜいあそこにたまっている人は、外国から来た人たちの待ち合わせ場所でたくさん人はおりますけれども、ほとんど地域の商店街の皆さんに聞きましてもお客としての存在ではない、そんなような状況で、空き店舗が非常にふえてきておるのが現実の姿であります。  こういうような状況のもとで、来年の六月には中小小売業の保護をうたった大店法にかわりまして周辺環境の保持を目的とする大店立地法が施行するわけでありますけれども、この辺のニュアンスを聞いてみますと、今まである程度は保護してきたこの法律が、規制緩和によってこんなような形になるということで、地元の商店街の皆さんは何か不安な気持ちを持ちながら戦々恐々としている毎日である、こんなような声を聞いておるわけでございます。  もともと、大店法の廃止そのものは日米構造協議の場でアメリカ側から問題提起をされ、規制緩和の観点から廃止されたものであるわけでございますけれども、私は、何が何でも規制緩和をすればいいというものではないと思うわけでございます。特にこのよい例が大店法であると私は認識をいたしております。  これから二十一世紀に入りまして、高齢化が叫ばれておりますけれども、まだまだ高齢者がふえる中で、本当に近所の歩いていける商店、そういうものが現在はもう先ほど申し上げましたように空き家になってしまった。これから高齢者がふえる中で、買い物に行くにはバス、車を使って行かなければ行けない、そんなところにしか商店がないという状況になりますと、やはり我々の身近な、国民生活を送ることができない、そんな時代が来てしまうんじゃないかなという危惧もいたしております。特に、高齢者が遠くまで行きますと、車の事故の件数もこのごろは大分ふえてきているということも聞いているわけでございますが、そういう意味では商店街の存在は大変貴重なものでありまして、この大店法が廃止をされるのであれば、このような商店街の持つ機能への配慮を絶対欠かしてはならないと私は思うわけでございます。  そういう意味で、中小小売商業に対する今後の支援策の充実の必要性について重ねて大臣から御答弁をいただきたいと思いますし、また先ごろ改正をされました基本法の施策、今後、改正前と改正後どのように変化をしていくのか、その辺についてもポイントを伺いたいと思います。
  250. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) まず、大店法については、委員もそうでありますし、同僚議員の多くは、かつて大企業の進出で中小商店街、商店が壊滅的な打撃を受けるというのであの法律を立ち上げたわけでございます。当初はかなり効果を上げていたのでありますが、今のように外圧もあって、一つ一つ後退して、どっちかというと形骸化してしまったという感じが非常に深うございます。  そこで、当時、私たちも皆さん方と御相談し合いながら、アメリカなんかの実態も見てみました。そうしますと、確かに国法では、国の法律ではこのような保護的なものは見られないのでありますが、州とか郡の法律できちっと中小商店を守るという仕組みがあるんですね。  そこで、我々も発想の転換をしなきゃならぬなということから、例えば一つには大型小売店立地法というのをつくろうというまとまりになり、一方では都市計画法を改正して、むしろ交通の流れとか環境というものから大型店に対する何らかの規制を求めていくということができないだろうか、あわせて中心市街地活性化法で個々にてこ入れをしていったらどうだと、この三つ合わせて町づくり三法制度という形でこれからの展望を持ったわけでございます。  残念ながら、大店法はまだ来年六月まで続くわけで、これらが本当に動き出すのにまさにこれからという時期でございまして、それだけにさまざまな工夫が必要かと思っています。  私は、通産省の諸君に命じて、既に具体的なプランを立てているような場所で将来性のあるようなモデルケースを自分も視察に行きたいし、そういうことを提示することで各所がそれを参考にして動き出すということがとても大事なことではないだろうかな、こう言っておるわけでございますが、まだまだそういう状況ではございません。  今、次にお話しなさった高齢化社会、何となく寂しい感じはいたしますけれども、しかしそういう時代が来ることは現実に肌で感じておりますし、そうなるわけですから、その場合に、お年寄りが地方に車に乗って出かけるというわけにもいきませんで、結局は地元がもう一回見直される時期が来るんだろうというふうに思います。その見直される時期にすべてが終わってしまっていたのではなりませんから、それに備えて、今申し上げたような町づくり三法を活用して活性化を図っていくということがとても大事ではないか。  具体的に申し上げれば、空き店舗の活用によって活気をもたらす。これはたしか衆議院の委員会で、企業組合でボランティア活動の皆さんが少人数で集まって健康器具とかお年寄りのためのさまざまな医療その他を販売できる店、あるいは身障者もあわせたそういう店を空き店舗に一つや二つつくれるんじゃないか、そういうことなども考えていったらいいのではないかという話もありましたが、そういうテナントをやはり具体的に考えていくということなども必要だし、あるいは商店街ではファクスネット事業等のソフト事業をお考えになっていただいて、これに対する支援を行うとか、カード事業なんかもそうかもしれません。駐車場、アーケードといった商業基盤施設の整備に対する支援等がこれから具体的にできるわけでありますから、要はその商店街であらゆる角度からどうやったら商店街が再生できるのかということを十分お考えいただき、その御相談なども実は三百の支援センターでやれるようにしていきたいとも考えておりますので、一体となって努力をしていきたいと思います。
  251. 山下善彦

    山下善彦君 力強い御答弁、ありがとうございました。  今の御答弁の中でも、通産大臣が直接そういう地域に足を向けてというお話が出ておりました。この町づくり三法も法律としては通って施行されてということの過程で出るわけでございますが、なかなか町のそういう商店街の会長さんを初め、理解をするまでに大変な年月がかかろうと思います。そういう意味では、通産大臣を初め各関係の皆さん方が直接出ていただいて、それなりの、商工会議所なりなんなりの場面で積極的にアピールをしていただくこともこれは大変重要なことであるなと思いますので、ぜひその点についてはよろしくお願い申し上げます。  若干細かい部分を伺いたいと思いますが、中小企業政策審議会の報告の内容でございます。「個々の中小小売商業者の経営の革新に向けた自助努力に対し、支援対象組織の拡大も含め一層有効な支援方策の検討を進める必要がある。」と、こういう指摘がされておるわけでございますが、今後どのような観点から問題を検討されていくのか、この辺について当局に伺ってみたいと思います。
  252. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 中小小売業の活性化ということで、ただいま御答弁大臣からもさせていただきましたように、これまで中小企業庁では商店街を中心とする対策を長年にわたりやってまいりました。また、中心市街地活性化法の関係では、さらに商店街という見方から、商店街を取り巻く面の対策として中心市街地活性化対策が講じられたわけでございますが、そうした対策が講じられたといたしましても、実は基本的にはやはりその商店街を構成する個々の個店がどのような対応をしていただけるかというところにポイントがあるわけでございます。  要は、個々のお店、仮に商店街を訪れられても、そうした訪れられた人たちが買う気になっていただける、買うことが楽しいと思っていただけるような店になれるかどうかということが重要であるということでございまして、その意味で答申の中にそのような御指摘をいただいたということでございます。  ただ、この点はまさに小売業の経営革新ということでございまして、個々の店の商品の構成でございますとかサービスの内容あるいは提供の方法というようなことでございまして、製造業などとはまた違った難しい側面を持つわけでございます。その意味で、審議会段階でも、まだこれからの一つの大きな研究課題だという形での指摘にとどまっておるわけでございます。  いずれにせよ、商店街の問題というものは、前向きに解決策を見出していくためには、最終的には基本はやはり個店対策ということが非常に重要だということで、その点についてもろもろの新業態の開発でございますとか、そうした経営の革新のありようということについて私どもも一緒にこれから研究を進めなければならない課題であると考えております。
  253. 山下善彦

    山下善彦君 十月二十五日の新聞報道に載っていたわけでございますが、商店街の競争力を強化するため二〇〇〇年度から商店街競争力強化基金を中小企業総合事業団に創設するということで、各地域の実情に応じて自由度の高い資金を供給することで商店街の活性化を図る、こういうような記事が載っていたわけでございますが、この点について、そのとおりで進められようとしておられるのか、この辺について伺いたいと思います。
  254. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 御指摘の商店街競争力強化基金でございますが、最近のいろいろな地域間、集積間の競争の激化とかいうことの中におきまして、先ほど来御議論になっておりますタウンマネジメント、テナントミックスをどうするかというような事業、あるいは商店街トータルとして統一したイメージづくりというものをやること、あるいは中心市街地のときの場合のようなもろもろの計画を策定する事業といった広い意味でのソフトな事業というようなものの需要があるわけでございますが、これは一方におきまして、各商店街ごとに皆ニーズが違ってくるというようなことで、できる限り使い勝手のいい、状況の違う対応ができるような、個々の事情に柔軟に対応できるようなある種の基金のようなものが欲しいという御要望があったわけでございまして、来年度の創設に向けまして平成十二年度概算要求の中で要求を行っております。  現在、財政当局との間で調整を行っておりますが、要求の実現に向けまして努力をいたしたいと考えております。
  255. 山下善彦

    山下善彦君 先ほどの大臣答弁、また今当局からもお話が出ているんですが、このTMOが現在全国で設立をされてきておるわけでございますが、市町村の策定する従来の基本計画に比べてまだまだTMOの設立、これは日が短いということもあろうかと思いますが、非常に少ないような感じも現在いたすわけでございます。  実は、浜松では、このTMOの設立を目指して浜松市民、それから地元の商業者、学識経験者などで都心にぎわい市民会議、こういう名称で、これが十月七日に設立をされたわけでございますが、活動を始めております。  中心市街地活性化対策については、このTMOに対する支援も含めて、これから予算編成を行う平成十二年度施策ではどのような事業を考えておられるのか、この辺について伺いたいと思います。
  256. 細田博之

    政務次官細田博之君) これまでもこの中心市街地活性化対策はさまざまな面の施策を講じております。  それは、例えば商業・サービス業集積関連施設をどう整備していくか、あるいは都市型のファッションとか民芸品等の店舗も含めました新事業支援施設の整備、あるいは食品関係商業基盤施設、いろんな市場なんかの整備、あるいは駐車場、旅客・貨物輸送の円滑化、それから高齢者施設、住宅なども含めまして総合的な町づくりをやるべきだということで進めております。  そして、実は関係省庁が今役所で集まりまして、この中心市街地の対策室があるんです。そこへぜひ皆さん御相談いただきながら、今まで約百九十近い町づくりの基本計画が出されておりまして、それを要素別に皆リストにして、どの町ではどういう工夫をしていますよ、参考にしてくださいというような資料もつくっておりますので、ぜひ御参考いただきたいと思います。  御質問平成十二年度の施策としては、これまでの施策に加えまして、TMO構想作成事業予算拡充とか、そういった足らざるところをやっておりますが、この中心市街地活性化法は施行後新しいものですから、まだこれまでの予算を大いに消化していただくということを重点にしております。  それから、例えば浜松市のように五十万を超える巨大都市、地方都市としては巨大でございます、それから我々のような十五万ぐらいの松江市とか、いろんな状況が違いまして、松江市でさえ市街地を全部古いところから新しいところから発展させようと思っても無理でございますから、計画一つずつモザイク状に積み上げていった方がいいんですね。  東京都でも葛飾が出てきましたけれども、ほかの町は全部違うわけですから、したがいまして、まとまるところからまとめて、さらにそれを追加してどんどん全市に広げていくようなそういう工夫はぜひ必要であって、全体がまとまるまで待つというのはなかなか時間ばかりかかって大変だという気がいたします。
  257. 山下善彦

    山下善彦君 ぜひこのTMOの支援、よろしくお願いをしたいと思います。  中小小売商業問題につきましてはその辺で終わらせていただきまして、次に、小規模企業対策について数点伺っていきたいと思います。  小規模事業者に対する小企業等経営改善資金融資制度、いつも私どもはマル経制度と、こういうふうに言っているわけですが、このマル経制度のための予算を見てみますと、大体その融資規模は五千五百億円ですか、このくらいで推移をしてきております。特に、昨年四月の総合経済対策や中小企業等貸し渋り対策大綱に基づいて七千億円の貸付規模にはなっておりますけれども、このマル経資金は、資金の乏しい小規模企業にとっては非常に有効な金融対策として現実には機能をいたしております。今後もこの制度が充実強化されることを切に要望いたす次第でございます。  ところで、この制度は、貸付限度額は五百五十万でありますけれども、別枠として四百五十万の上乗せが可能になっております。しかし、この上乗せ制度そのものは来年の三月までということになっております。経済対策閣僚会議がこの十一月十一日に決定をした経済新生対策の中で、マル経融資制度の特別措置の延長がうたわれていると思いますが、いつまでこれが延長されるのか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。  それと、私としては、ここでお伺いして、できればというより、この際、せっかく中小企業国会として今回のこの国会が開かれているわけでございますから、この特別措置を恒久化をしていただきたい、こういう要望も入れながら質問をさせていただきたいと思います。
  258. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) この五百五十万のマル経を四百五十万円の別枠を設けることで限度額を一千万円にしたというわけでございまして、これをまず延長させろというのが今私たちの主張でございまして、とりあえず十二年度の予算にどうやって獲得するかということで、今全力を挙げているところであります。  何とか獲得するということで頑張りますと申し上げて、よし頑張れとおっしゃるのかと思ったら、これを恒久的にやれということですが、よく財政当局と相談したいと思います。
  259. 山下善彦

    山下善彦君 この辺は、私ももともと生まれが中小企業の生まれ育ちでございます。地元へ帰りますと、それこそ毎日生の声が入ってまいります。特にこのマル経融資の問題につきまして、せっかく中小企業国会だからおまえも頑張ってやれよと、こんなような激励の言葉もいただいておりますので、あえてこの場で要望をさせていただきたいと思います。  それから、小規模事業者の中でも従業員規模が十人以下の、先ほど加納委員とのやりとりの中で零細企業という言葉はという話が出ましたが、さてこの零細企業に当てはめる言葉は何と使っていいかなと、今質問の途中で悩んでおりましたが、あえてここではもう一度零細企業という言葉を使わせていただきますが、製造業の中で見てみますと、全事業所に占める割合は五三%ということで、半数以上を占めておるわけでございます。  この零細企業者の場合には、経営者であると同時に、直接現場へ入って、工場であれば旋盤を回しながら、電話がかかるとちゃっと飛んでいって事務所で電話をとるというような作業を一日繰り返しておるわけでございます。そんな意味で、金融機関などに融資の申し込み等に行く場合などはなかなかその手間がない、余裕がないというか、そういうような現実の姿でもあります。そういう意味で、組合に加入をして、組合でかわりにそういう金融問題を処理してもらうということが非常に多いわけでございます。  これまでの中小企業振興政策においても、業種ごとの組合等を通じまして設備の近代化を中心とした政策対応がなされてきております。しかし、このたびの審議会報告では、「経営革新は本来的には企業の自己責任と自助努力に基づき行われるものであることにかんがみ、支援対象については、これまでの業種別組合を中心とした制度から、個々の事業者を支援対象の中核と位置づけるべきである。」と、こういう表現の仕方に実はなっておるわけでございます。  このことは、支援対象を業種別組合から個々の事業者に移していくと読み取れるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、これまで組合を頼りにしてきた小規模事業者にとって、そのよりどころがなくなってしまうのではないか、そんな心配をいたしております。小規模事業者の場合にはすべてが自立できる専門中小企業とは言えないわけでございます。ベンチャー支援などの一方、これらの小規模企業に対する配慮も絶対に欠かすことができないと思うのであります。  今回改正をされました中小企業基本法では、その第八条「小規模企業への配慮」として、「小規模企業の経営の発達及び改善に努める」と規定をされておりますが、その規定が絵にかいたもちに終わらないように中小企業に対する施策のなお一層の充実を図っていただきたいと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  260. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 組織化政策についての御指摘でございますが、ただいまの先生からお読みいただきました部分と申しますのは、実は従来の組織化政策と申しますのが、業種ぐるみ、業界ぐるみ、業種全体として近代化を図るというような政策がまさに組織化政策の真ん中に座っておったわけでございますが、それが全く不必要になったということではもちろんないわけでございますけれども、むしろ異業種が連携をするというような形の組合活動というものが最近はふえているし、これからますます重要になるであろう。そういう意味で、組織化政策の力点といいましょうか幅というようなものがむしろ広がったというふうに御理解をいただければいいと思います。  したがいまして、特定の地域というよりは、もっと狭いエリアで事業協同組合というような形で小規模企業の方々がお仕事をされるということまでを否定しているものでは全然ございませんし、むしろ、最近では産業集積があるような地域で小規模企業の方々が組合をつくって、いろんな横の連携をとりながら新しい仕事をとるといったら失礼でございますが、要はそういう能力を身につけるというようなケースも出てきておりまして、そうした形のさまざまな組合の利用形態、あるいは組織化の目的の幅の拡大というようなことで、私どもこれからその答申を受けて対応していくという趣旨のものと理解をしているわけでございます。
  261. 山下善彦

    山下善彦君 説明を聞きまして理解をするわけですが、私が理解をするだけじゃこれは役にも立ちません。やはりこういう一つのものが出てきた場合には、直接中小企業者がわかるようなわかりやすい内容のパンフレット等を、明確にいろいろ例を出していただいて、そのPRに努めていただきたい。こんなこともつけ加えさせていただいて要望をしておきたいと思います。  それと、今申し上げました同じく第八条で、「経営資源の確保が特に困難であることが多い小規模企業者の事情を踏まえ、小規模企業の経営の発達及び改善に努めるとともに、金融、税制その他の事項について、小規模企業の経営の状況に応じ、必要な考慮を払うものとする。」となっておりますが、この文面でちょっと教えていただきたいんですが、ここで言う「経営資源の確保が特に困難である」、どのようにこれを理解していいのか御説明をいただきたいと思います。
  262. 細田博之

    政務次官細田博之君) 小規模企業におきましては、やはり多くが家族労働に依存しているということがございますし、小規模企業以外の中小企業と比較いたしましても、生産性等におきまして平均的には大きな格差が存在していることは事実でございます。  このため、信用力や担保の不足などから事業資金の調達が困難である、あるいは事業に必要な人材、技術、情報等を自前ですべて保有することが困難であるにもかかわらず、外部からの調達も困難である。特にこの大不況に入る前あたりは大変な人手不足で、いい人がなかなか採用できなかったというようなことは、中長期でいうと小規模企業の不利な面である。最近は非常に雇用環境が変わってまいりましたので、こういった機会に大いにそういった人たち雇用していただきたいのでございますけれども、それに対して今度は非常に経済が悪うございますから、そういう発展もなかなか難しい、大変制約があるというようなことを書いてあるというのがこの法の趣旨であるわけでございます。  そういったことを踏まえまして、各種の小規模企業対策を充実しようということでございまして、先ほど、近代化資金等助成法の改正小規模企業のかなり自由度の高い融資制度ができたということについてまだ余り認識がないというようなこともございましたけれども、これは非常に使い勝手のいい制度になると確信しております。  今までは、いわばただの金だということで、無利子の金でありますし、多額ですから、非常に制約が多くて難しい金でございましたけれども、今度はこれは非常に使い勝手のいいお金でございますので、大いに活用していただきたい。これは一つ政策の中心にもなるべき制度だと思っております。
  263. 山下善彦

    山下善彦君 次に、中小企業の連携に対する支援策について伺いたいと思います。  経営規模の小さい中小企業にとっては設備、技術、人材などの経営資源をすべて自分で保有するということは非常に困難であるために、中小企業組合制度を初めとした連携を活用して、経営資源を相互補完することにより事業の発展拡大を図っているのが現状でございます。  現在、全国で約四万九千にも上る組合が設立をされているということでございますが、特に最近では異業種の事業者が連携して新技術や新商品の開発に取り組んでいるケースが多く見られているということでございまして、実は私の地元の静岡県においても、お母さん方、主婦が自然化粧品を製造販売するために組合を設立して一生懸命お仕事をされている。また、会社を退職されたサラリーマンがおのおのの経験を生かしたコンサルタント事業を行うために組合を設立しているといったような例がございます。  これらの中小企業の連携に対する支援につきまして、今後ともさらに充実させていくべきであると考えますけれども、特に会社への組織変更を円滑化することにより組合制度を一層活性化し、中小企業創業や新事業展開を促進すべきであると考えますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  264. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 中小企業組合というのは、何よりも最低資本金の制限がない、株式会社をつくる場合には一千万とか、有限会社でもお金がかかるわけですが、中小企業企業組合というのはそういうのが要りません。そこで、企業をリタイアした人とかあるいは御婦人であるとか高齢者であるとか、そういう方々が簡易な何か仕事をやる、創業するために組合をおつくりになる、これはもう非常に活発になってきているというふうに私も聞いております。特に中小企業は異なる企業とか技術などを、あるいは人材といったような経営資源を持ち寄って、そして連携して研究開発を実施するということは大変結構なことだと私は思います。  ただ、そういう中小企業組合の中からやがて会社にして事業を本格的にしたいという声が非常にあるわけであります。現状でございますと、企業組合を解散して会社に移行するということになると、資本金は別としても、解散したときの費用のうちの四〇%が税金に持っていってしまわれるとか、あるいは手続が煩雑であるということから、なかなか株式会社等に移行できないという状態にありましたのを、今度はそれが簡単にといいましょうかやりやすくなる、そういう仕組みを新たにつくりました。  ですから、中小企業組合が続々と生まれてくる傾向にある、その中でさらに前進して株式会社になろうとする場合には、その行く道を比較的とりやすくセットをする、そういうことになりますと、両面でまさに創業の促進にもつながっていくし雇用にもつながっていくし、今申した高齢者、婦人、退職者、そういう人たちの道も開かれてくると思います。
  265. 山下善彦

    山下善彦君 ありがとうございました。  最後でございますけれども、数点伺ってみたいと思います。新規事業の創出についてでございます。  先ほど来、私の地元地元という話で恐縮ですが、これも地元のことで、浜松はかつてそれこそテクノポリス法の指定を受けまして、各大学の研究センター、工業技術センター等の研究開発機能を中核として、光技術産業や高度メカトロニクス、情報サービス産業など研究開発型中小企業が非常に数多く集積をしている地域であるわけでございます。この中に実は、アメリカのNASA、航空宇宙局の人工衛星に搭載をされているカメラがあるんですけれども、このカメラのレンズを製作した株式会社浜松ホトニクスという会社が立地をいたしております。  この浜松ホトニクスは、現在はもう大企業でございますが、資本金百二十一億円、従業員数も二千名近い方がこの企業で光関係の技術で働いているわけでございます。ちなみに、世界のシェアの四割を有している光技術関係では大変な世界的に有名な企業でありますが、東京へ来ると、浜松ホトニクスとはどこと、こういう話が出ますが、これがアメリカへ行くと、おお浜松ホトニクスと、こういうふうにわかるようになっています。  ただ、これだけ急速に発展した企業も、ついこの間と言うと会社に怒られるかもしれませんが、設立をした当時は、本田さんとかいろいろ話が出ますが、やはり町工場の域を出ない本当の小規模企業であったわけでございます。社長さんの話をよく伺うんです。放射線の測定装置に使用いたしますシンチレーターという蛍光体の一種の研究開発で大変お金に困っていた、そのときに政府の援助というか助成を受けられて、本当にそれがきっかけで今日の我々の会社があるんだよということをよく聞かされまして、おまえもそういう意味では一生懸命頑張ってくれ、これから続く企業に対して頑張ってくれと、こういうお話を聞くわけでございます。  このように小さな企業であっても政府が、やたらに援助ということはどうかという話も出るわけですが、やはりきちっとしたところに資金的に援助するということは非常に我が日本経済にとっても大変なプラスになるということでございまして、その点からいいますと、昨年成立しました新事業創出促進法で新たに導入された日本版SBIR制度、今後大変期待ができる制度であると私は思うわけですが、ただ平成十一年度のSBIRの支出目標が百十億円という金額が出ております。これはまだまだ少ないんじゃないかなと思うわけです。ちなみにアメリカと比較をいたしますと、アメリカでは九七年度で千四百億円、約五千件もの資金が中小・ベンチャー企業に供与されているということを考えますと、日本はそのわずか十分の一にすぎない、こういうふうに数字をとらえることができると思います。  そんな意味で、経済新生対策でも新しい知恵の時代の経済活動の主体となる創造的な中小・ベンチャー企業の振興を打ち出しているわけでございますから、もっともっとSBIRのために予算を拡充してはよいのではないかと思います。  この点は答弁者を指名させていただいて答弁をしていただきたい。アメリカ生活が大分長く、アメリカの経済界については十分承知をされている茂木政務次官に御答弁をお願いいたします。
  266. 茂木敏充

    政務次官(茂木敏充君) 御指名いただきまして、山下委員は浜松の御出身ということでありまして、技術力のすぐれた企業を大変多く輩出している、内外の技術開発の動向につきましては私以上によく御存じな上での御質問なんですが、御案内のとおり、アメリカのSBIRでありますけれども、七〇年代から八〇年代の初めにかけまして、アメリカの方でいわゆる製品開発力などで日本におくれをとる、こういう危機感を募らせていた時期があったわけであります。  例えば、エズラ・ボーゲルの「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が出されましたのが一九七九年。そして、UCバークレーのチャーマーズ・ジョンソンが「通産省と日本の奇跡」を書きましたのが八二年。同じように、ヒューレット・パッカードの会長でありましたジョン・ヤングを中心にヤング委員会がつくられまして、アメリカの産業競争力を抜本的にどう強化するか、こういうヤング委員会もその時期につくられたわけであります。  そういった中にありまして、一九八二年にSBIR、スモール・ビジネス・イノベーション・リサーチ法、これが制定をされまして、ハイテク中心ベンチャーによる技術革新及びその事業化を支援する制度が開始された。  御案内のとおり、政府におきまして、外部の研究開発予算を持っている省庁がその一定割合を中小企業に優先的に配分する、こういう制度でございまして、委員御指摘のとおり九七年の実績では一千四百億円、こういうことでありますが、この制度が設立されました当初には五千万ドル、日本円にしまして大体百億円、こういった形でありまして、アメリカにおいても小さく産んで大きく育てる、こういう形でスモール・ビジネス・イノベーション・リサーチ、これをやっております。  日本におきましても、委員御指摘のとおり、平成十一年度の目標額が百十億円ということでありまして、こちらもぜひ小さく産んで大きく育ててまいりたいと考えております。
  267. 山下善彦

    山下善彦君 ぜひ頑張ってやっていただきたいと思います。  それと、今小さく産んで大きく育てるというお答えをいただいたんですが、このSBIR制度、いわゆる研究開発の段階で支援をしていくということでございますが、後のフォローも若干やっぱりしていただきたいという観点で、実はアメリカの例ですけれども、SBIRで開発に成功した製品の多くを官庁や民間の大企業がどんどん買い上げていく、こういうような話を伺っているわけでございます。  日本では、実績が物を言う日本のいろいろのこういう世界でございますから、特に官公需におきまして、ベンチャー企業がいいものをせっかくつくっても、なかなか新規参入するためには、経営何とか表をよこしなさい、こうだよという大変膨大な資料で、例えば入札に入る場合も非常にいろんな規制があるわけでございますが、ぜひこの日本版SBIRでつくられたよい製品を実際に官公庁を主体としてどんどん買い上げていただく、こんなことを進めていくことが最終的にはこういう企業を育てることになるのではないかなと思うわけでございます。  この辺に対しての通産省のイニシアチブについてどのようにお考えですか、通産大臣にお伺いしたいと思います。
  268. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) SBIR制度等を活用してよい製品が生まれましたときに、それを買ってもらうということが一番大事なことでございます。今の委員の御指摘は、それを官公庁で買えばどうだという話でありますが、これは原則競争入札でありますから、そう簡単にはいきませんが、本年六月に、官公需法という法律に基づいて、平成十一年度中小企業者に関する国等の契約の方針という中に、「研究開発に意欲的な中小企業者の研究成果に関する情報の周知」等という措置を盛り込んでいるわけであります。  すなわち、通産省といたしましては、各省庁や公団等の発注機関がこれらの製品をより発注しやすい状況にするために、あらゆる角度から情報の提供とかあるいは技術、両面にわたるPRに協力するということは大事なことだと思っていまして、そういう意味ではしっかりやっていきたいというふうに考えます。  また、先ほど役人の答弁に関して、御自身はわかったが国民の皆さんはわからないという御意見で、PRについても強調されたんですが、全くそのとおりで、今回の中小企業国会での成果といいましょうか、具体的なこれからの仕事内容、つまり資金融資制度とかいろんなことについては、来年一月早々からほぼ三月間に分けて徹底したできる限りのPR作戦を展開しよう、そのように思っております。
  269. 山下善彦

    山下善彦君 終わります。
  270. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十一分散会