運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-11-24 第146回国会 参議院 中小企業対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月二十四日(水曜日)    午前十時十九分開会     ─────────────    委員異動  十一月二十二日     辞任         補欠選任      堀  利和君     朝日 俊弘君      入澤  肇君     渡辺 秀央君      島袋 宗康君     石井 一二君  十一月二十四日     辞任         補欠選任      釜本 邦茂君     久野 恒一君      久世 公堯君     佐藤 昭郎君      千葉 景子君     足立 良平君      木庭健太郎君     沢 たまき君      緒方 靖夫君     八田ひろ子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         陣内 孝雄君     理 事                 岩井 國臣君                 加藤 紀文君                 須藤良太郎君                 野間  赳君                 寺崎 昭久君                 円 より子君                 弘友 和夫君                 池田 幹幸君                 梶原 敬義君     委 員                 岩崎 純三君                 加納 時男君                 釜本 邦茂君                 北岡 秀二君                 久世 公堯君                 久野 恒一君                 小山 孝雄君                 佐藤 昭郎君                 斉藤 滋宣君                 仲道 俊哉君                 馳   浩君                 保坂 三蔵君                 森下 博之君                 森山  裕君                 山崎 正昭君                 山下 善彦君                 朝日 俊弘君                 足立 良平君                 今泉  昭君                 川橋 幸子君                 木俣 佳丈君                 高嶋 良充君                 羽田雄一郎君                 福山 哲郎君                 海野 義孝君                 木庭健太郎君                 沢 たまき君                 益田 洋介君                 山本  保君                 緒方 靖夫君                 西山登紀子君                 八田ひろ子君                 山下 芳生君                 三重野栄子君                 高橋 令則君                 渡辺 秀央君                 菅川 健二君                 水野 誠一君                 石井 一二君    国務大臣        通商産業大臣   深谷 隆司君    政務次官        大蔵政務次官   林  芳正君        文部政務次官   小此木八郎君        通商産業政務次        官        細田 博之君        通商産業政務次        官        茂木 敏充君        労働政務次官   長勢 甚遠君        自治政務次官   橘 康太郎君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      根來 泰周君    事務局側        常任委員会専門        員        塩入 武三君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   上杉 秋則君        金融再生委員会        事務局長     森  昭治君        金融監督庁長官  日野 正晴君        通商産業省産業        政策局長     村田 成二君        通商産業省環境        立地局長     中島 一郎君        資源エネルギー        庁長官      河野 博文君        中小企業庁長官  岩田 満泰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○中小企業基本法等の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから中小企業対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十二日、堀利和君、入澤肇君及び島袋宗康君が委員辞任され、その補欠として朝日俊弘君、渡辺秀央君及び石井一二君が選任されました。  また、本日、千葉景子君が委員辞任され、その補欠として足立良平君が選任されました。     ─────────────
  3. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  中小企業基本法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長上杉秋則君、金融再生委員会事務局長森昭治君、金融監督庁長官日野正晴君、通商産業省産業政策局長村田成二君、同環境立地局長中島一郎君、資源エネルギー庁長官河野博文君及び中小企業庁長官岩田満泰君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 中小企業基本法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 今泉昭

    今泉昭君 民主党・新緑風会の今泉でございます。おはようございます。  深谷通産大臣は、東京都の特に中小企業地盤とされて、後援会に多くの皆さん方を持っていらっしゃって、そういうところを地盤として活躍をされているというふうに聞いておりますので、まず最初に通産大臣に、中小企業が戦後我が国に果たしてきた役割というものを通産大臣としてどのように受けとめていらっしゃるか、その考え方をお聞きしたいと思います。
  7. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今泉委員の御質問にお答えいたします。  何よりも中小企業は、その企業数において九九%、今度新しいものを含めてですが、従業員数で三分の二、六六%を有するいわば日本経済を支える大きな企業でありますことは申し上げるまでもありません。  そして、その企業地域にまず根差している。そして営々と努力をして地域経済発展に寄与しておられる。またその中では、ベンチャー企業といったような成長分野での活躍を目指すそういう中小企業も存在して、それが我が国経済発展にも寄与しておられる。また、このような多様な中小企業雇用という面で相当の人たちを抱えて大きな役割を担っている。そして町づくり日本経済牽引力として今まで営々と努力をなさってきたそういう存在であり、そのような成果を我が国の今日までの間においてなし遂げた人々であるととらえています。
  8. 今泉昭

    今泉昭君 中小企業と我々一概に呼んでおりますけれども、一般的に中小企業を代表する業種別分野を分類してみますと、代表的に多い産業分野というのは、一つ製造業一つサービス産業、もう一つは卸・小売業とでも申しましょうか、そして建設業、大体この四つの業種というのが全産業の九九・七%を占める企業の中において恐らく八割以上を占めている産業分野ではないかと思うんです。  ところが、これらの産業分野というのは、それぞれ違った意味のやはり活動の舞台を持ってきたのではないだろうかというふうに私は思っております。例えば製造業でいうならば、我が国産業基盤として下をしっかり支えてきた。さらにまた、いわゆる産業先兵となって、海外に大活躍をしていく大企業兵たん基地としてその役割を果たしてきた。あるいはサプライヤーとしての役割を果たしてきた。そしてまた、地域経済の担い手という形の役割を果たしてきたということが言えるんじゃないかと思うんです。これはあくまでも製造業分野役割だっただろうと思うのであります。  例えば、サービス産業、卸・小売業というものは、同じような形の役割であったかどうかといいますと、これはまた違った意味での大きな役割を果たしてきているというふうに私は考えております。  例えばサービス産業でありますと、いわゆる我が国の生活の基盤を支えていく大きな役割を果たしてきたでありましょうし、地域の文化というものをある意味では造成をしてきた基盤であった、こういうふうにも考えます。  さらにまた、卸・小売業の場合はどうかというふうに考えてみますと、要するに我が国町づくり、どのような我が国都市づくりをしていくか、町づくりをしていくか、そういう役割をそれぞれ担ってきたというふうに私どもは考えているわけでありまして、そういう意味では、中小企業を十把一からげにとらえてこの問題に対処するというのは大変危険だろうというふうに考えているわけであります。  そういう意味で、今回の中小企業基本法の改正というものの中心課題が、今までの役割、今までの中小企業対策というのが二重構造になっていた中小企業役割というものを大幅に見直していこう、我が国の新しい経済活性化中心に据えていこうという大きな転換を実はしているような基本法なわけでございますけれども、そういう意味で、大臣の認識として考えていらっしゃるのは、今度の中小企業対策の中でどこを中心に、それぞれの分野においてどのような手を打っていく必要があるんだろうかというふうに考えていらっしゃるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  9. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今、委員指摘のように、中小企業と一口に申しましても、製造業あり、小売業あり、卸あり、サービスあり、いろいろでございます。それぞれの分野で果たしてきた役割がトータルとして日本経済を支え、雇用を支え、地域経済発展につながってきた。そういう意味では、それを委員の御指摘にように一つの画一的な見方で判断をするというのはおかしい。また同時に、今度は、企業の規模とか、あるいはベンチャーとか、小規模でなお大変なところとかいう、そういう見方というのもあるわけでありますが、いずれにしてもその多面性着目をする。その多面性着目をして、今まで画一的で単なる格差是正であったそういう考え方を変えて、そこにきめ細かい配慮をしていくというのが今度の基本法最大の目標でございます。  その中でどれに一番重点を置いてと言われますと、いずれもという答えしかございませんが、強いて言うならば、今までになかった創業といったような点にも十分な注目をしていると申し上げていいかもしれません。
  10. 今泉昭

    今泉昭君 我が国経済は、この九〇年代になりましてから実は長期の低迷を続けております。最も我々がこの低迷の中で注意をしなきゃならないのは、今どの企業も、どの企業関係者も、一体我が国が二十一世紀に向けてどういう方向に向かっていこうとしているのかという姿が一つも見えてこない、その方向性というものがないものですから、企業関係者も自信が持てないというものが一様に言えることではないかと思うわけであります。  ただ単に、中小企業が持つダイナミズム期待をするとか、創造性期待をするとかという言葉は実はこれはキャッチフレーズみたいなものでございまして、具体性が何もないものなのであります。例えば、これまでの中小企業が担ってきた役割ダイナミズムは一体何であろうかというふうに私は振り返って見てみますと、これから期待をするダイナミズムと大分違うんじゃないかと思うわけです。  例えば、中小企業は一般的によく言われますように、非常に小回りがきくわけであります。中小企業は大企業と違いまして大変、これは言い方が悪いかもしれませんけれども失敗にちゅうちょしない、失敗を恐れないで挑戦していくという性格を持っております。  大企業は、御存じのように大変多くの従業員を抱えている、大変大きな経済的な影響力をその地域に持っているものですから、行動というものは大変慎重であります。いろいろな問題を起こさないように、石橋をたたいても渡らないような行動をとるのが私は大企業行動パターンであろうと思うわけであります。それがある意味ではこの変化時代についていけなかった、あるいは変化がなし遂げられなかったという問題点があるかもしれないけれども、これまでの間の我が国の大企業役割、そういう行動形式というものに対しまして、中小企業は大企業がやらないものに食いつき、それに努力をし、冒険をし、一つの道筋をみずから見出して先兵役割をやってきたと思うわけであります。そして、その中小企業がやって成功をしそうになると、大企業がぼっと乗り出していく。御存じのように、大企業資本力も人材も豊富であります。すべての意味での有力なみずからの力を利用して、中小企業開発をした方向性に基づいてその方向に乗り出していって、そして成功を果たしてきたと。その陰の中に中小企業は大企業の力に負けて倒産をしていく。要するに、そういう形の繰り返しというものが我が国高度経済成長を支えてきた大きな実は循環ではなかったかというふうに私は考えるわけであります。  ところが、どうなんでしょう、これからの二十一世紀に向けまして、果たしてそういう形の中小企業ダイナミズムというものがあり得るのかどうか、そのダイナミズムというもの自体が基本的に今までと違ってきているんじゃないでしょうか。あるいは、今までのような大企業行動様式というのはもう通用しなくなってきています。大企業はどんどん分社化しております。中小企業のように小回りのできるようにしようとしてきている。そういう意味で、新しい時代に向けての通産行政としての我が国ダイナミズムというものをどのように考えていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  11. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 大変難しい、また大きなテーマを言われておると思います。日本経済の二十一世紀を展望した場合に一体どうなっていくのかというのは、いろんな考え方があろうと思います。  ただ、私が一つ、例えば大きく考えた場合、国内と国外と分類するとすれば、特に二十世紀の後半でありますけれども、ソビエトが崩壊して、そして今までにない共産圏市場というのがいい意味でも悪い意味でも拡大されてきた。それから、アジアの諸国がかつてはかなり日本に追いついていた、それが経済不況等で後退したんですけれども、昨今はさらに第二次の躍進の時代を迎えてきて、そういう中で日本企業が生きていくために一体どうしたらいいかという問題。もう一つは、国内にあっては高齢化少子化という時代になってまいりまして、これらに対する対応というのは容易ならざるものがあるのではないか。だから、今後の二十一世紀日本経済の動向を考えると、これらを乗り越えていくということが最大の眼目になっていくのではないかなと私は思います。  そういうときに、大企業が持てる力を発揮するということは、それは当然のことでありますけれども、今委員の言われた、例えば小回りがきくという中小企業の特性、機動性とか柔軟性とか創造性というものを大いに発揮してもらうということは、非常に大事な経済ダイナミズムにつながるのではないかなと私は思うんです。そういう中小企業を多面的にきめ細かく押し上げていくというのが、これからの特に私たちが考えていく大事なポイントではないだろうかなというふうに思います。  同時にまた、時代は大きく変わってまいりましたけれども、確かに言われるように大企業中小企業の開拓したものをすっと横取りするようなそんな傾向もなきにしもあらずでありますが、それでもなお中小企業エネルギーは消えていかずに機動性を発揮しながらさらに前進をしていく。  今、アメリカのシリコンバレーなんというのは世界の中でも最たる中小企業が新しい開発を行っているわけでありますが、聞いてみると、より細分化して、言葉は悪いけれども小規模化していくという傾向にもあるようであります。また、一方においてはイタリアその他、それぞれ独自の製品を開拓することによって、イタリアブランド物というのは日本女性たち圧倒的人気を持って、その発展ぶりというのは立派なものであります。  それらを考えてまいりますと、二十一世紀における中小企業も、私は、大きな期待を持って、それが日本経済の活力になっていただけるということは十分考えられるわけであって、それをどう協力して支援していくかということが私たちの役目ではないだろうかというふうに考えます。
  12. 今泉昭

    今泉昭君 今国会は、国会のいわゆる活性化を目指しまして、できるだけ大臣と議員との意見交換を活発に行っていこう、こういう趣旨でもっていろんな工夫がなされてきたと思います。そういう意味で、いましばらく大臣との意見交換をさせていただきたい、こういうふうに思っているわけです。  これまで予算委員会討議におきましても、あるいは各委員会討議におきましても、総理大臣を初め各大臣が申されることは、我が国の二十一世紀に向けての道というものは、いわゆる市場経済を軸とした、規制緩和を行った市場経済中心としたアメリカ型の方向づけと、それ万能主義ではないEU型のやり方だと。日本日本独特の第三の道があるんだということをよく言われるわけであります。  しかし、これまでの政府のいろいろな出されている法案、考え方を聞いてみますと、どうも私はアメリカの実はコピーをしているような気がしてならないわけであります。確かに、アメリカは八〇年代の不況を乗り越えまして、九〇年代におきましては世界ひとり勝ちと言われるぐらいに大成功していることは、これは事実であります。それも、その中心規制緩和中心としたいわゆる市場経済万能主義でもって成功してきたと言われているのは、これはだれもが承知していることだろうと思うわけであります。そういうものを参考にしながら、次から次へといろんな規制緩和なりアメリカ型の実はやり方が出てきているわけであります。  実は、私、こういう本をちょっと読ませていただいたんですが、大変興味ある本でございました。イギリス経済学者でジョン・グレイという方が「グローバリズムという妄想」という本を書かれているわけであります。この本の中に書かれている考え方というのはどういうことかというと、アメリカがやっている今の世界のトップとしてのリーダーシップというのは、十九世紀においてイギリスがやった、ちょうど大英帝国が最も輝いていた時期でございまして、例の自由主義経済を旗印にいたしまして、植民地支配を通じまして大英帝国がその富を集中したときのやり方に大変よく似ている、あのころの自由主義という啓蒙主義に基づいて世界を制覇していったというやり方を、アメリカは実は市場経済主義規制緩和を軸とした市場経済主義でもって、その啓蒙主義でもって世界を自分のいわゆる配下にしていこうというねらいが見え見えである、こういうことを書いている本でございまして、大変興味のある本でございました。  その中にいろいろな具体的な例が出ているわけでありますが、今、アメリカから出されているいろいろな指標の中にはいいところしか流れてこないわけであります。実はこの規制緩和を軸としたアメリカ型のやり方の中に大変多くの犠牲者がふえているということにつきましてはほとんど報じられていない。  例えば一つの例で申し上げますと、この八〇年代から九〇年代にかけまして起こりました最大変化というものは何かといいますと、アメリカにおけるところの犯罪者が激増したということであります。その犯罪者というのは要するに牢屋につながれている方々でありまして、八〇年代は百万人台であったものが何と平成十年には五百五十万人台になっているということであります。これは何を意味しているかといいますと、いわゆる弱肉強食の自由競争の中でその生存競争にあるいは企業競争に敗れた方々が法を犯してまでも生き延びていかなきゃならないという実態を実は示しているのではないかと思うんです。  我が国実態を見てみました。我が国は、幸いにいたしましてこの十年間、牢に入れられている法を犯した方の数は五万人台でございます。驚くなかれ、アメリカの例というのは、人口も多いことはありましょう、多民族国家であるということもありましょう、海外から、多くの国々から人が密入国をしてくるということもありましょう、そういうことを差し引いてもこれはえらい数でございます。笑い話じゃありませんけれども牢屋に入ってしまえば失業率からも除外されるわけでありまして、当然失業率が下がるのは当たり前のことなのであります。  そういうようなアメリカ型のいわゆる経済政策我が国がどんどん導入するということの局面が大変目立っていることに対しまして、我々は大変心配をするわけであります、弱い者の切り捨てという。  そういうのとあわせまして、実は我が国政府が出してくるいろんな指標の中で、二十一世紀はこういう方向に国を持っていくんだよというものが一つも見えないわけでございますけれども、これについて通産大臣、どういうふうに思っていらっしゃいますか、所感をお聞きしたいと思います。
  13. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) この十年の間にアメリカがいわば最悪の状態から脱して極めて好調であるという現実は、そのとおりであります。それが専ら規制緩和によるものだと私どもは認識しておりません。いろんな条件があったろうと思います。一つは、例えば創業率が高い、廃業率が低いということもそうでありましたし、その他もろもろの問題がそうです。  また、アメリカはすべて規制緩和でやっているとは思えませんで、例えば大店舗法の問題を取り上げるならば、国では確かにそのような保護政策をとっていないように一見見えるのでありますが、州や郡できっちりとした逆に保護主義をとっているという、そんな状況もございます。  また、犯罪件数が多いという話がありました。牢屋につながれた人が数多くなったから失業率が低くなったとは思っていませんけれども犯罪が多いことは確かですが、それは今お話のあるような大変な多種多様な民族が入りまじっているとかさまざまなことがあろうと思いますから一概に申し上げることはできませんが、しかしそういう中で、例えばニューヨークなんかは、新しい市長が本来治安当局の出身の方でありながら、環境を整備するということで大きく犯罪を減少させて、地下鉄も乗れなかった状況が今は完全に払拭されたというふうに言われています。  つまり、アメリカの持っているいいところ悪いところ、いろいろありますけれども、それらの中の役立つ部分を私たちは学んでいくということでございまして、何から何までアメリカに追随したり物まねを行うことが正しいことではないというふうに思っています。  また、アメリカ自由経済自由競争で一番理想的な国だというふうに言われがちでありますが、必ずしもそうではありませんで、アンチダンピング等に見られるような姿勢というのは明らかにアメリカ保護主義のありようでございますから、そういうものに対しては断固として対応していくということも私たちのとるべき役割だろうというふうに思います。  要は、アメリカ型の長所を学び短所は省いていくという、それが大事な姿勢ではないだろうかなと考えます。
  14. 今泉昭

    今泉昭君 大臣の基本的な考え方はわかりましたけれども、私が今申し上げた裏で申し上げたいことは実はこういうことでございます。  今の御答弁の中でも、実は二十一世紀に向けての我が国のあり方というものの具体的なものが見えないわけです。過去の我が国を振り返ってみますと、それぞれの年代におきまして一つ産業政策というんでしょうか、国家政策というものが一般の国民にある程度見えていたというふうに私は承知しております。  例えば、戦後の直近でありました昭和二十年代におきましてまず我が国政府がやったことは何か。まずエネルギーを確保しようといって石炭掘りに大変努力をされたでしょう。相当力を入れたはずであります。輸送を確保しようということで鉄道整備、輸送の整備に大変力を注がれた。さらにはまた、産業の米である鉄を自主生産していこうという、そういうところに力点を置いた産業政策というものが私はあったというふうに理解をしているわけです。各年代をとってみますと、それぞれ私はあったように思います。  三十年代になりますと、御存じのように、日本はもはや戦後ではないということで自立をしていった。輸出立国として我が国はこれから進まなきゃならないという意気込みのもとに、中小企業、特に繊維産業の育成であるとかあるいはまた造船その他の輸出産業を大変力を入れて育成するという方法をとられた。  四十年代においては、自由化の第一弾を受けて、例えば日本産業を重厚長大産業にするために自動車産業をどう育成するか。一時はいろいろ批判があったけれども、十一の自動車メーカーでは生きていけないから、こことここの自動車メーカーを合併させてこういうふうに何社ぐらいにするなんというような作業までをやった時代に私も実は生きてきた人間でございます。  五十年代になれば、石油ショックに基づいてもはや重厚長大の時代ではないということで、実は軽薄短小時代に向けての新しい電子機器産業をどう育成していくか、省エネルギー産業をどうしていくか、それぞれの時代において国が描いている一つ方向づけ、産業政策が明確に出ていたと思うのであります。  最近は、いろんな意味産業政策を余りやり過ぎると統制だ何だということで世界的にも批判が強いということで、余りこれは歓迎されないことであるかもしれないけれども、しかしこの激動の時代において、産業構造の変革と言われている、新しい時代だと言われている、そういう時代においてどういう形の産業構造をとるのか、どういうところに力点を置いていくのかということのやはり産業政策なるものが明確に国民にわかるようにこれは出されてしかるべきじゃないかと思うんです。そういうものを受けて、それを支えていく中小企業皆さん方もこれで頑張ろうという気になるわけであります。そういうものが今ないわけであります。  こういうことについて、大臣、どうお考えでしょうか。
  15. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 大きなことは後で大臣に御答弁願いますが、産業構造についての今後の通産省の考え方ということでございます。これは実は非常に検討がなされてきておりまして、平成九年にも「経済構造の変革と創造のための行動計画」というものが出されておるわけです。  日本の進むべきこれからの付加価値の高い産業の十五業種を挙げまして、細かくは言いませんが、医療・福祉だとか、情報通信だとか、あるいは流通・物流、環境関係、あるいはバイオ・ライフサイエンスインダストリーだとか、都市環境整備だとか、新エネ・省エネ産業だとか、住宅関係ということをずっとそういうふうに挙げまして、こういう産業がこれからの我が日本経済社会の担い手である。  戦後で見ますと、おっしゃったように繊維が頑張ってきた。それから先生、全金同盟の御経験がありますが、私も随分いろんな企業と話もしていますけれども、本当に日本のまさに昭和四十年代から今日まで支えてきたのはそういう方々ですね。そして、それが今、電子に変わりつつあって、しかも中小企業お一人お一人はやっぱり一生懸命対応をして、海外に子会社を持ったり新しい製品に変えたり変わっていったりということで、変わっております。  したがって、既存の方々がいろんな知恵を出して少しずつ今までの分野にありながら重点が新しい方に変わっていくということは、これが大宗でございます、五百万社もいる中小企業でございますから。それが大宗でございますが、これまで繊維から鉄鋼に変わり自動車に変わり電子に変わり今情報というふうに変わってきた中で、それではどういうふうに変わっていくかという大きな構造の問題については、先ほど申し上げましたような十五の分野がある。これはそれぞれについてまた検討が進んでおりますけれども、そういう方向に持っていかなければならないと、具体的プログラムもつくっておるような次第でございます。  そういった中で、もう一つおっしゃった大変大事な問題は規制緩和の問題がありまして、これはアメリカ型で、アメリカから言われるから規制緩和をすればいいということだけではなくて、このたびの加工工場の事故のように、生命、身体、安全に関係するのはもっと規制をきちっとやらなきゃならない分野はあります。しかし、経済的規制、つまりその中に安住して企業が競争を余り進めないために世界におくれるような分野も多々見受けられますし、また許認可の申請が非常に煩瑣で役所依存になるという弊害も見受けられますので、そういうものはどんどん規制を緩和していくことによってむしろ活性化する。  もちろん、経済全体でございますから一言では言いにくいのでございますけれども、そういうことを複合的に進めていく、その中にまた今日の中小企業基本法の改正も位置づけられておる、こういうふうにお考えいただけたらと思っておるわけでございます。
  16. 今泉昭

    今泉昭君 私はたまたま今製造業中心にしてお話をしています。中小企業にはたくさんあるということでございまして、本当はもっとたくさんほかの分野についても申し上げなきゃいけないと思うんですが、例えば卸・小売業などの問題を取り上げる際には、一体我が国のこれからの町づくりをどうしていくのか、こういう基本姿勢と密接に結びついてくる。これは卸・小売産業におけるところの活性化の問題だろうと思うのでありまして、私が言いたいのは、そういうものに対する基本的な大きな柱というものが実は見えてこないということを言いたかったわけですが、きょうは、時間の関係もございますから、製造業のことについて中心にいろいろと質問を続けさせていただきたいというふうに思います。  大臣、二十一世紀に向けて我が国の国のあり方を考える際に、製造業というものは二十一世紀においてどういうふうになるんでございましょうか、またどういうふうに国としては位置づけをされているんでしょうか、そのことについてちょっとお伺いしたい。
  17. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 大変難しい質問でございまして、製造業と一口に言われましても、これこそまたいろんな形があるわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、中小企業における製造業ということで考えてまいりますと、一番重要なのは、何を専門的に開発していくかという、そういう工夫が極めて大事であるということ、それから技術革新をどうするか、人材をどう確保するか、そこに資金面、税金面、いろんな形がございますから、製造業と一口に申しましてもいろんな種類がある、その方たちの対応をきめ細かくお手伝いしていくという、そういう私たち考え方でございます。
  18. 今泉昭

    今泉昭君 私は、もっと大きな骨太な答えをいただきたいと思ったんですが、それはまたここにおきまして。  それでは、実はことしの通常国会におきまして、三月にものづくり基本法というものが成立をいたしました。このものづくり基本法につきまして大臣はどのように受けとめていらっしゃるか、ちょっと感想をお聞かせ願いたいと思います。
  19. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) ものづくり基本法に関しまして、今泉委員が大変お骨折りになり、議員立法の際の事務局長をお務めになられたことなど、私どもよく承知しております。  ものづくり基盤技術というものについて、これは製造業を支える最も基幹としての重要性を持っている、これは私どもも全く同じ考え方でございます。これまでも、ものづくり基盤技術の高度化のための支援とか熟練技術者の確保とか育成のための施策を講じてまいったところでございます。  先般、通常国会において成立しました今申したものづくり基盤技術振興基本法につきましては、その基盤技術振興基本計画というのを今立てるべく関係省庁も含めて勉強しているところでございまして、一年以内に報告をあわせて行うということになっておりますので、そのような報告ができるように必死で今取り組んでいるところであります。  これからも、この法律の趣旨を踏まえて、ものづくり基盤技術の向上のために努力していきたいと思います。
  20. 今泉昭

    今泉昭君 実は、製造業を支えている、やっぱり中心になっているのは、物をつくるということであることはもう言をまたないわけでございますが、この物をつくる産業というものが戦後の我が国のいわゆる経済復興、経済発展の大きな原動力になってきたということも私は否定できないと思うわけです。私の信念といたしまして、我が国は、二十一世紀になろうと二十二世紀になろうと、我が国のこれまでの国づくりの経過を見ましても、諸外国との国づくりの違いから見ましても、製造業なしに我が国が生き延びていくということはまずあり得ないだろうという信念を私自身は持っているわけであります。  実は、物をつくるということは最低限三つの大きな要素があるわけであります。一つは、御存じのように、高度な技術を開発して高度な新しい製品を開発していくという先端の開発部門、こういうものがなければならないことは事実であります。しかし、これを具体的に物にしていくために必要なものは、それを支えて具体的にいろいろ小さいものから積み上げていくところの基盤技術というものが、これはどうしても避けることができないわけであります。これが第二の要素だろうと思うんです。  それから第三の要素として、産業としてこれが世界で比較優位性をいつまでも保っていくために必要なことは何か。これはエンジニアリングシステム技術だろうと思うわけであります。要するに、どんなに基盤技術を持っていても、どんなに高度な技術を持っていても、安いコストでいつも同じ製品をつくり、どの国にも負けないような生産システムでもってつくり上げていくというエンジニアリング技術、この三つはそろっていかなきゃならないわけであります。  中小企業が請け負う分野というのは一体この中でどれかといいますと、基盤技術の分野でございます。大企業はすべてこの分野を三つとも持っているわけでございます。ところが、この基盤技術の部分というのは、ハイテク部分もあります、ローテク部分もあります、ノーテク部分もあります。特に、この中のローテクとノーテクの部分に関しましては、大企業というのは収益性がないものですからどんどん外部に出していくわけであります。外に出していく。収益性の上がらないものを自分の企業の中でやっていく、それだけの犠牲を強いられるのは嫌だということであります。したがって、中小企業というものはこの分野にどうしても集中しがちなのであります。また、そういうものがなければ、物はつくれないということがあるわけであります。したがいまして、二重構造がかつて存在したのはこれは当然のことなのであります。これはどんなに構造変化が進んでも絶対変わらないことだろうと思うのであります。  我々は、これまでの経験の中から考えてみますと、円高の進展によりまして我が国の技術の空洞化、生産の空洞化が進んだと大騒ぎをしたことがございまして、今でもしております。確かに、御存じのように昭和四十年代は三百六十円だったものが一時期は七十九円台まで行ったのですから、それこそ三倍以上に値上がりしたコストの中でどのように対応するかということに一番苦労したのはこのローテク部分、ノーテク部分の中小企業の皆さんだったと思うのであります。それでも我が国基盤技術を支えている中小企業というのは壊滅的な打撃を受けないで今日でも生き延びているというこの現実、これを私は大変大切にしたいと思うわけであります。  したがいまして、基本法の改正によって、これまでの大臣の答弁の中においては、そういう点は見捨てているわけではない、当然のこととして十分にそれを抱えながらやっていくということの答弁があったというふうに私は確信しておりますが、この部分についての手当てというものは大変私は重要なことだと思うんです。  実はこれまでの空洞化というのは、この三つの分野の中でどこが空洞化していったかというと、エンジニアリングシステム部分なんです。ローテク部分の基盤技術というのは空洞化をしていなかったわけです。一部は空洞化いたしました。相対的に見るなら減ってまいりました。しかしながら、苦しみながらも存在をしてきているわけです。確かに、数からいいますと、こういう部分を構成するものというのは我が国はいわゆる産業集積地として全国に最盛期には四百五十から五百ぐらい存在していました。大田区のそれも一つであります。全国にそういう産業集積地が四百五十から五百もあったが、今は三百ぐらいしかありません。しかしながら、厳然として存在をしているわけです。これが我が国の依然として強いものづくりの基盤になっていることは言うまでもないわけであります。  ところが、あるときマレーシアのマハティールさんが日本に参りましてどういうことを言ったか。実は、大田区の集積工場団地をそっくり欲しいと言い始めた。なぜかということを我々は十分にこれは考えておかなければならないと思うんです。  例えば、我が国経済発展に次いで韓国、台湾あるいはシンガポールが第二のリトルタイガーとして大変な経済成長を遂げてきた。しかし、あの国々も次に追ってきたマレーシアであるとかあるいはタイであるとかという後追いの国々から大変な苦労をしてきた。今度はそのマレーシアも、インドであるとかインドネシアであるとか、そういうさらにもっと低賃金で産業開発していない国々からどんどん低賃金攻勢を受けて手を挙げなきゃならなくなってきた。  そのときにはたと気がついたのは何か。日本から優秀な機械とエンジニアリング技術をもらって、そして日本と同じようなテレビとか自動車をつくったけれども、さらに安い低賃金の国からやられたときに大変な苦境に陥っている。日本はそれでもまだ生き延びているんだけれども、その違いは何か。あの国々には基盤技術で言うところのローテクであるかもしれない、ノーテクであるかもしれない、そういう基盤技術の分野産業集積地というのが全くなかったということであります。したがって、日本から産業集積地がみんな欲しいというのは私は当然だろうと思うわけであります。それぐらい重要な産業集積地というのが今ぼんぼん崩れてきているわけです。  私は、先ほどから申し上げているのは、仮に我が国製造業がそれほど重要だというふうな位置づけを国がしていただけるならば、この産業集積地というもののあり方を根本的に見直して立て直すということが大変重要じゃないかと思うんです。そして、この産業集積地に集積するところの中小零細企業というものをどのように考えていくかということを具体的な指導でもってやっていかなきゃならないというふうに考えているところなのであります。  この産業集積地は、いろいろ見てみますと何も一つに限ったものではございません。大田区のように総合的な産業集積地、これは一つの種類としてあるでしょう。もう一つ産業集積地としてあるのは、例えば大企業中心として栄えた企業城下町の産業集積地、これは大企業がおかしくなるとその産業集積地も同じように崩れていくというのは前の委員会でも日産労組の一つの例として出されているわけであります。  それからもう一つあるのは、専門的な技術だけでもって栄えている産業集積地、例えばかつては川口はキューポラの町として栄えた鋳物の町でありました。今はもう都心の通勤地帯、住宅地という形で雲散霧消してしまいました。こういう、例えば燕の洋食器、あるいは岐阜の刃物の集積地であるとか、あるいはまた繊維で言うならば四国の引田の手袋の集積地であるとか、いろいろな集積地は日本にたくさんあるわけであります。  そういう集積地をどのように今後我が国は構成していくのか。これは産業政策の中において、一つはやはり政府が指導性を発揮していただくということと、もう一つは、地方自治体におけるところの集積地のあり方というものを根本的に見直していく必要があると思うんです。一時期我が国はテクノポリス構想というものがありまして、各地にテクノポリスができてまいりましたけれども、今やそれも閑古鳥が鳴いているような状態であります。  そういう意味製造業再生のあり方としての産業政策を考える余地はないか、お聞きしたいと思います。
  21. 茂木敏充

    政務次官(茂木敏充君) 今泉委員の方から大変大きな観点といいますか、企業経営で言いますとビジネスシステム全体を見通して、その上流にあります研究開発、技術開発から、そして大変重要である基盤技術、そこの中には部品等々も含んでまいります、そしてエンジニアリングシステム、さらに言いますと、下流にはマーケティングとか先の話もあるわけですが、そういった中で地域の地場産業等々がどうなっていくのか、こういう御指摘を受けたわけであります。  御案内のとおり、地域産業集積活性化法におきまして、現時点で部品、金型、試作品等を製造するものづくりの基盤となる基盤的技術産業集積地域として全国二十五地域、そしてもう一つ、地場産業などの地域中小企業集積である特定中小企業集積地域として全国の八十二地域、合計百七地域を承認しております。  そこの中で、承認地域におきまして、中小企業また組合等に対しまして技術開発、販路拡大、人材育成等に関する支援を行ってきたところでありますが、承認地域内においては補助金や融資を利用して新しい製品それから新しい技術を開発する等々一定の成果を今の段階でも見せている、このように考えております。  同時に、今後の中小企業にとりまして大変重要なことは、そういった一つの研究開発基盤技術、エンジニアリングシステムの中でも基盤技術が大切でありますけれども、同時に、中小企業そのものが研究開発からもう少し下流まで含めた一連のシステムを自分の中に取り込んでいく、こういったことが今後必要になってくると考えておりまして、これを大臣も再三にわたりまして、新しい法案でも経営基盤の強化、こういった観点でとらえまして、単に中小企業を大企業との格差の中でとらえるのではなくて、中小企業そのものが委員指摘のようなシステム全体を取り込める、そのための基盤強化に努めているところでございます。
  22. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 哲学論を簡単に申し上げたいと思いますが、私も唐津先生のものづくり国家の信奉者でございまして、まさに製造業日本の屋台骨を支えると。もちろん製造といってもだんだん変質しておりますから、コンピューターに関連する製造業もあれば情報産業あるいはソフトウエア業というふうにだんだん混然となってまいりますが、ものづくりが日本世界に冠たる産業であると。  それに加えて、強いて言えば商売、商売の産業、商社を中心とする商売、あるいは建設、農業というふうになっていくわけですが、一番弱いのは金融業、証券業、周辺サービス業、ヘッジファンドとかそういうところですね。そういうところでは、アメリカとこれからもやっていこうといったって、せいぜい並ぶところまで行こうというのは今努力しているわけでございますが、まあ大したことはない。  したがって、我が国がこれからやることは、二十一世紀製造業でやらなきゃいけない。これは通産省の政策としてもはっきりしていますし、今、茂木政務次官が言ったような地域産業集積活性化法その他を使ってそこを必死にやっておるということを申し添えたいと思います。  それから、今はたまたま非常に悪いですから、景気が戦後最大の危機に直面していますから、それを引き上げることによってかなりの部分は浮上してまいるというふうに確信しておりますから、いかにマクロ経済が必要かという段階で、そうなれば川口であれ大田区であれ非常な技術は持っているわけですから、そうして耐えながら今我慢している、その耐えているのをお手伝いするのが今の緊急対策で、去年一兆円ことし八千億円の中小企業対策費をつぎ込んでまずはお手伝いをして、そして景気が浮上したところでそれらの人たちがまた努力が花開くようにするというのが基本思想でございますので、申し上げました。
  23. 今泉昭

    今泉昭君 ものづくり基本法ができる二年前に科学技術基本法ができました。御存じのように、基盤技術だけではこれはどうしようもないわけでありますから、先端技術を開発していく、科学技術基本法に基づく我が国の先端技術をいかに開発していくか、これはもう重要なことであります。  実は、八〇年代のアメリカを見てみますと、アメリカ日本からの集中豪雨的な輸出だけではなくして、いわば全体的に産業の後退期でございまして大変な実は苦労を重ねた時期であっただろうと思うわけであります。この時期にアメリカの場合は、先端技術に関しては、軍事産業の先端技術を民営に転換をするという形で、相当な意味での先端技術におきましては我が国よりも大きなプラスのハンディを持っていたというふうに私ども思っているわけですが、アメリカが一番びっくりしたのは、何といっても例えばコンピューターというすばらしい一つの製品を開発しても、その中をあけてみたらほとんどその中に組み込まれているのは日本の部品ばかりであった。  要するに、どんなにすばらしい技術開発をしてどんなにすばらしい設計図をつくっても、物をつくれなきゃどうしようもないわけであります。その物をつくることによって生まれてくるサービス産業製造業が今持っている、製造業の中の二割から三割は製造業から生まれた実はサービス産業なわけでありまして、情報化時代とはいいながらも基盤にあるのはすべて物なのであります。製造業なしに情報通信社会なんというのはこれは生まれっこないわけなのであります。  そういう意味で、アメリカが最も危険視をしたのは、このものづくりというものがアメリカにおいてすっかり崩れてしまったというものに危険を抱きまして、一九八二年には大統領の特別諮問機関であるところの産業再生委員会というんでしょうか、クオモ委員会というんでしょうか、こういうものをつくってアメリカは国を挙げて日本のこの基盤技術に対抗するための実は努力をしているわけです。一九八五年には、マサチューセッツ工科大学ですか、ここの教授三十人を中心にいたしまして三十人委員会というものをつくって、なぜアメリカの製品がヨーロッパや日本に負けるんだということをテーマにして大変な研究をなさって、その後、有名なレポートになった「メード・イン・アメリカ」という本が出てきている。それぐらいにアメリカはこの八〇年代に苦労を重ねて、国を挙げて製造業の実は再生に努力をしてきているわけです。これは大変重要なことなんです。  我が国は、今この基盤技術を中心として製造業が全く元気がない。そういうものが元気を出すために国としてどうするかという、国を挙げての対策というのが見えないというのが私は寂しくてならないわけでありまして、そういうことを先ほどから特に強く産業政策として訴えているところでございます。  これは、もう時間がなくなりましたので譲るといたしまして、少し細かい問題について詰めさせていただきたいと思います。大きな問題ばかりで時間をとってしまいました。  実は、ものづくり協議会というものが基本法ができる前から準備をされていたようでございますが、ものづくり協議会というのを実は中小企業庁を中心として各地方自治体につくっていらっしゃる。ことしの場合は約二億円ぐらいの予算でしょうか、つけて各地方につくられているように聞いておりますが、これはどういう目的でどういう構想に基づいてやられているのかちょっとお聞きしたいと思います。
  24. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) ものづくり協議会について御説明を申し上げます。  平成九年五月に閣議決定をされました「経済構造の変革と創造のための行動計画」におきまして、「魅力ある事業環境の創出」のための施策の一つといたしまして、「ものづくりを支える地域産業や技能の集積等の維持・発展」というものが掲げられました。  中小企業庁といたしましては、本行動計画を踏まえまして、各自治体を中心として構成される地域ものづくり協議会が行う各種事業に対して平成十年度より支援を行っているところでございます。  具体的には、地域ものづくり協議会は今日までに二十二の都道府県市につくられておりまして、これらそれぞれの協議会におきまして、ものづくりに関係をいたしますものづくりの体験教室、工場見学会でございますとか、技術・技能の客観化、データベース化というような問題、あるいは各機関の間での連携協力、あるいはインターンシップのための問題あるいはインターンシップの受入機関と出す側とのマッチングというような事業をそれぞれのところで行われておりまして、それぞれのそうした事業に対して支援をさせていただいているところでございます。
  25. 今泉昭

    今泉昭君 私も、このものづくり協議会が地方にできてきているということを聞きまして、大変実はうれしく思ったわけでございますが、具体的にその中に入ってみますと、大変多くの問題を抱えているのであります。果たしてこんなことでものづくりの重要さというものが各地方自治体で受けとめられているのかという点であります。  それは、ものづくり協議会に参加をしている人たちの構成メンバーであります。どちらかというとそのメンバーに入れられている人は、町の有力者という意味合いでの投げかけ方が多かったのかもしれませんけれども考え方が実に古いのであります。新しい時代に向けて、このものづくり協議会というものを舞台にして、例えば地方の産業集積地を今後どのようにしていこうかという意気込みなんというのは全く考えられない。教育という面も重視したのでしょう、地方の学校の学校長なども入っていらっしゃる場合もある。ところが、また地方の学校長なんかの場合は、このものづくり教育というものに対する理解が大変薄いがためにとんちんかんな実は行動をされている。  こういう意味で、もう少し、このものづくり協議会を地方につくるならば、これは見直しをしていただく必要があるんじゃないだろうかと思うわけであります。そのメンバーの中に実は現場の第一線で働いている方々がいない。物をつくるというものの流れや重要性、つらさ、そういうものをやはり知っている人もその中に入れてやっていかないことには、このものづくり協議会の実効は上がらないと思うのでございますけれども、この点についてぜひこれは再検討していただきたい。  あわせまして、今二十二の地方自治体で出てきている話であります。話を聞きますと、例えば特別市というんでしょうか、横浜とか川崎とかという特別行政都市にもこれを設けている、県だけではなくてということでございますけれども、これはそれぞれの県におきましてものづくりというものを大変重要視していく地域、そしてその地区があるわけですから、そういう枠にとらわれないで少し育成をしていただきたいということを要望したいと思うんですが、これについていかがでしょう。
  26. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) ただいまの今泉委員の御提言は大変大事だと思います。  お話がありましたように、二十二の自治体で今ものづくり協議会というのをやっておりますが、これまでの構成員というのは、大学、高等専門学校の学校関係者、それから商工会議所の方あるいは商工会等々でございますが、これにコンピューター専門学校や技術支援機関、新技術を有する民間企業等、新たな事業活動を行うものも一応入っております。  ただ、自治体によって今御指摘のような問題もあるかもしれません。確かに技術者自身に参加していただくということも大変大事なことだと考えます。
  27. 今泉昭

    今泉昭君 ぜひひとつこの問題については検討をしていただきたいと思いますし、もう一つ要望しておきたいのは、初年度であったからかもしれませんけれども二億円程度の予算ではとても足らないわけでございまして、新年度の予算の中では引き続きこの点での強化をしていただけるものというふうに期待をしておきたいと思います。  それからもう一つ、同じような問題としてお聞きしたいんですけれども、ものづくり教育審議会というのが実は今回、労働省、文部省を含めてでき上がったということを聞いておりますが、このことについて、ちょっとどういう内容なのかお聞きしたいと思います。
  28. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) 労働省におきまして、文部省と共同で去る十月二十六日に、学識経験者などの参加を求めまして、ものづくり教育・学習に関する懇談会を発足させたところでございます。  この懇談会において、これからの世代を担う若い人たちにものづくりの楽しさ、すばらしさ等を認識してもらうための体験教育・学習等の効果的な施策を実行していこう、こういうことの実施に向けて検討しておるところでございます。  今後、両省で頑張ってまいりたいと思います。
  29. 今泉昭

    今泉昭君 与えられました時間が迫ってまいりましたので、最後にお聞きをしたいと思うのであります。  ものづくり基本法が三月にできまして早くも半年を経過いたしてまいりました。この基本法の中に、この基本法を受けて実は基本計画を策定するということが盛られているわけでございまして、この六カ月間の間にこの基本政策を策定する立場からどのような今、作業が進んでいるのか。  それぞれの各省庁、これも基本法におきましては、通産、労働、文部、それぞれの省庁にわたる問題でございますから、どういう形でそれぞれの各省庁が基本計画に向けて働きかけていらっしゃるのかお聞きをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  30. 茂木敏充

    政務次官(茂木敏充君) 委員から御指摘いただきました基本計画でございますが、御指摘のとおり、通産省、労働省、そして文部省の方で連絡会議をつくりまして、既に何度も会議を重ねておりまして、先ほど大臣の方からありましたように、施行がことしの六月ですから、一年以内に基本計画の策定をすると。  そういった中で、通産省におきましては、これまでもものづくり基盤技術振興策として、研究開発施設等の整備や中小企業者の技術開発及び新商品開発への助成、さらには販路拡大のための情報提供等の施策を講じてきたところであります。そしてこの中で、せっかくものづくり基本法というのをつくっていただいた、こういうことで、今まで進めてきた施策を一層進める契機としていきたい。こんなことから本基本計画におきましても、ものづくり事業者の研究開発の促進、そして関連の中小企業の育成等、そういった課題を主要な課題としてとらえて進めてまいりたいと考えております。
  31. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) 労働行政におきましては、技能労働力の確保あるいはそういう技能水準の維持向上ということが大きな課題でございますし、それ以上に、先生先ほどから御指摘のとおり、技能尊重機運というものを社会に向上させていくということが極めて大事だと思って、いろんな問題に取り組んでまいりました。  公共職業訓練はもちろんのこと、事業内職業訓練の体制整備、あるいは職業能力評価制度の確立、また技能尊重機運を確立するための技能大会等、あるいは高度熟練技能者の活用を図っていただく等々の事業をやってきておるわけでございますが、今回、この計画をつくることになっておりますので、三省共同して、今申し上げましたような点を重点にして、さらにその向上を図る、重点化を図るということで、今検討を進めているところでございます。
  32. 小此木八郎

    政務次官小此木八郎君) 文部省でございますが、文部省関連では、ものづくりに関する研究について、ものづくり事業者と大学との連携、あるいはものづくり基盤技術に関する学習の振興等についてこの基本法の中で施策を盛り込むということでありますが、生徒や学生たちに対して学校教育、社会教育の双方を通じて、ものづくりに関する能力を尊重する機運というものを醸成していく、高めていくということを中心にしてこの問題に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  33. 今泉昭

    今泉昭君 時間が参りましたので交代いたします。終わります。
  34. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 民主党の寺崎昭久でございます。  中小企業基本法改正案をめぐる審議も去る十一月十七日の本会議を皮切りにきょうで五日目になります。  しかしながら、この間の質疑を振り返ってみましても、中小企業というものが、一昨日、参考人として御出席いただいた黒瀬先生の表現をかりるならば、問題性と発展性を両方持っているというようなこと、また業種にしろ規模にしろ多岐にわたるというようなことから、審議は深まっても、これで尽きたというところにはなかなか行かないものだと感じている次第であります。  しかしながら、そうした事態を踏まえて、終局も近いように聞いておりますから、私はきょうは今後の課題とか執行体制のあり方等を中心に三つの観点から質疑を進めさせていただきたいと思います。  少し唐突なことになりますが、まず大臣にお尋ねいたします。  去る十九日に岡崎科学技術庁事務次官が辞表を提出したと伝えられております。きょうの閣議にかけられるとも伝わってきているわけでありますけれども、一般論で言うと、辞表の文言というのは、一身上の都合により云々というのが普通でございまして、動機とかその理由というのは関係者以外には伝わらないものだと思います。  マスコミの一部からは、東海村臨界事故やあるいはHⅡロケット打ち上げの失敗がその理由だというようなことも言われているわけでありますけれども、閣議で辞任の是非について決められる立場の通産大臣は、まず辞任の動機や理由をどう把握されているのか、それについてお伺いさせていただきたいと思います。
  35. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) まことに恐縮でございますが、他庁の事務次官の辞任の問題でございますから、私どもからその真価をただすとかコメントを申し上げるというのは適切でないと思いますが、過日の中曽根大臣の記者会見では、岡崎事務次官から辞任の申し出がありました。これは、東海村での臨界事故が起こり、ロケット打ち上げの失敗が重なったことを踏まえ、科学技術行政を抜本的に立て直す上からも新しい事務体制のもとでこれを行うことが適切と次官が考えたからと私は受けとめておりますと、こう科学技術庁長官が答えておりますから、恐らくそういう内容ではないかなと思います。
  36. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 人によっては、私がその職位にとどまることが責任を果たすことである、全うすることであるという主張をされる方もいる中で、もし中曽根長官が御紹介されたような内容であるとすれば、これは私は重く受けとめる必要があると思っております。  また、事務次官がそのようなお考えのもと辞意を表明されたということになりますと、それとの関係、兼ね合いというのでしょうか、政治家も一定の責任というのは感じなければいけない、そういう立場だと思っております。  出処進退というのは言うまでもなく本人にとって一大事、まして職位の高さから考えますと、この問題で科学技術庁に激震が走らなかったら、相当朽ち果てたというか鈍感な官庁で、存在意義すら問われかねないような状態なんだろうと思います。  他山の石という言葉がございますし、通産大臣エネルギー政策を通じてかかわりの深い官庁のことでございますので、そうした辞任について何か感ずることあるいは通産行政にとっていかがかという御見解がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  37. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 責任のとり方というのは、先生御指摘のようにその職を辞するという方法もあるでしょうし、またあるいは場合によっては事態の全面的な解決と再生のために一身を投げ出すという形の責任のとり方もあろうと思います。それはそれぞれの方の受けとめ方、御本人の生きざまでございますから、そのことについて私が論評を加えるのはおかしいとは思います。  しかし、東海村で事故が起きた、あるいはロケットの失敗があった等々、科学技術問題に関しての大いなる反省をしようという趣旨であるとするならば、それは政治家も全職員もきちっと受けとめてみずからの反省の材料にすべきであろうと思います。  エネルギーに関して申し上げれば、東海村の事故はまことに残念な遺憾な出来事でありました。しかし、起きた事故は事故でありますから、徹底した事故後の調査と、再発防止に向けて法律制定等さまざまな角度から対応を図るということは当然であり、その作業を進めているところでございます。  しかし、原子力発電所の内容と燃料加工工場の違いということも一方においてはあるわけでありまして、この点についての国民の不信を払拭していくという作業もまたこれらの事故に伴う反省の一つとして考えていくべきではないかと思います。  いずれにしても、政治家もまたそれにかかわる職員も、常に国家国民のことを考えながら、自分の責任を明確にしながら全力を挙げて生きるということが大事なことだと考えております。
  38. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 岡崎事務次官が辞表を提出された同じ十九日に、日本長期信用銀行の粉飾決算事件の初公判がございました。この中で元経営陣の大野木被告その他三人の方は、長銀破綻の経営責任は認める、しかし償却とか引き当てについては大蔵省の指導によって行われたものであり、その指導に従って決算処理をしたので、自分たちに責任はないということを主張されたと報道されております。  私はこれを見まして、膨らみ続けた不良債権をひた隠しにする保身の姿というんでしょうか、そういったものしか感じられないと思いましたし、そこからは、金融機関の公共性に対する認識あるいは金融システムの維持についての責任感、またその担い手としての自覚とか倫理観、ノーブレスオブリージというんでしょうか、そういったもののかけらも感じられない、実に残念な思いをしております。  端的に言えば、岡崎事務次官にしても、大野木被告にしても、本来だったらともにこの日本を指導するような立場にある人だったと思います。この陳述から感じられることは、また事務次官の辞任から感じられることは、民主主義の国にあってリーダーは大事である、しかしながらそのリーダーはしばしば過ちも犯すという事実であろうと思います。  また同時に、この国は今、司馬遼太郎風に言えば、道徳的緊張に欠ける状態にあるのではないか。このままでは二十一世紀日本は暗たんたる状態を迎えかねないという懸念もしているわけでございます。  それは、こうした長銀の粉飾決算事件などが個人の資質、器量という範囲で起きたわけではなくて、例えば最近の神奈川県警における犯人隠避事件、あるいはこの数年に起こった大蔵、防衛、厚生事務次官の引責辞任などを考えてみましても、我が国の各界でリーダーであるべき人が過ちを犯し、それも組織的にその犯罪が起こっている、事件が起こっているということに思いをいたさないわけにはいかないからでございます。  前置きが大変長くなって恐縮でございますけれども政府は今、中小企業基本法を制定されて以来三十六年ぶりにこれを抜本的に見直そうということを提案されているわけでありますけれども、この法案を改正するというからには、施策の実効性を上げるためにも、国、地方の体制の見直し、それと意識改革ということが伴わなければならないのではないかと思います。これが私がきょう申し上げたい第一点目でございます。  せっかく基本法を変えようということで臨まれるわけですから、法律を変えたというだけではなくて、担当するそれぞれのつかさつかさの部署にある人が意識改革を行い体制を見直すということをぜひやっていただきたいと思いますが、通産大臣の御所見を伺います。
  39. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 先生のお話は大変重要なことを意味していると思います。  やはり、立場立場に立つリーダーたちがより常に身が潔白であり、責任を常に感じて行動するということはとても大事なことで、私たちもそのような思いを常に持っていかなければならないというふうに考えます。  それから、中小企業基本法をこのたび変えました最大の理由は、昭和三十八年にできた時代と大きく経済環境が変わっている。あのころのような経済の、何回も申しましたが、二重構造の中での中小企業を画一的にとらえるのでなくて、もっと多様な多面的な中小企業着目して、そこにきめ細かい対策を講ずることによって、中小企業日本経済の担い手になるようになっていただこうという、そういう願いも含めてのことでございました。  施策の実施体制においてどのような見直しをするのかというお話でありました。例えば、中小企業の経営資源の充実を図る事業で申し上げれば、団体別に編成されている予算という形でありましたけれども、これからは具体的な目的に応じて再編させていこうというような考え方や、あるいは中小企業に対するコンサルティング、情報提供等の施策の実施に当たっては、民間にゆだねるものは民間にゆだねていこうとか、あるいはお話のありました国と地方公共団体の問題でいいますと、国は基本的なフレームワークを考えていくのであって、その必要な施策のメニューの確保等はできる限り地方にゆだねる、もちろんメニューの確保はこちらでやりますけれども、それに対する実情を踏まえたメニューというのは、これはもう地方自治体に考えていただく。そういう意味では、今までのような基本法にありました地方との関係を、縦の関係でなくて、パートナーとしての関係に位置づけるといったような、そのようないろいろな施策の遂行を考えております。
  40. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、基本法改正案の目指す方向については、中小企業が国民経済に果たすべき役割を積極的に評価するということでもあり、これについては賛成でございますが、これまでの議論の中で同僚議員もしばしば取り上げておりましたように、中小企業というのは日の当たる部分だけではなくてやはり影の部分というのがあるわけでございまして、これについてはぜひこれまで以上の目配り、気配りをしていただきたいものだと思います。  もちろん、中小企業政府の援助とか施策とか補助金とか、そういったものに頼り切って楽をすればいい、あるいは甘えていいというようなことを申し上げているわけではありませんけれども、勤労者の八割が中小企業で働いていると言われている今日でございますから、いろんな意味での社会的なコストも含めてぜひそこの点の御配慮をお願いしたいと思います。  今、体制の整備について大臣からお話がございましたけれども、例えば、今回ナショナル支援センター初め中小企業の支援体制の整備をするということになっておりますけれども、今考えられているのは具体的にはどのような内容を想定されているのか。これが果たして中小企業の経営者等のニーズ、要望に沿ったものなのか。それから、今までもこの種の施策というのはいろんな格好でやられてきたと思います。十分、不十分、ウエートの置き方というのは違っていたかもしれませんが、そういったものについての反省がどう生かされているのか。大臣からも一部御回答をいただきましたけれども、もう一度御説明いただけますか。
  41. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 中小企業がみずからの経営を改善しまた新たな分野に挑戦しようとするときに、いろんな人に相談をする、知恵をかりていく、こういうことは常に必要であるわけでございますが、こういったニーズにきめ細かく対応するために、このたび、ナショナル支援センターを国のレベルで、そして都道府県支援センターを都道府県、そして創業や既存中小企業の経営革新を支援する身近な三百の支援拠点を整備するという政策を打ち出しておるわけでございます。そして、資金や人材、技術といったソフト面の支援も一元的にしていくということなのでございます。  若干詳しく申しますと、ナショナル支援センターについては、ナショナルでございますから、これはかなり有力な中小企業、そして株式公開までも視野に入れたような企業に対して高度な専門家などのアドバイス、ソフト支援、そういったことをやっていく。したがいまして、法務とか財務、経営コンサルティング、あるいは常駐専門家を置きまして、そういった方々がこれから大いに支援していく、こういう体制でございまして、平成十一年九月に創設いたしまして、東京など全国八カ所に展開をする、こういうふうな考えでございます。  そのほか、若干簡単に申しますと、都道府県の支援センターがあってそれぞれの県の支援をするんですが、対象としては、地域で独自の強みを発揮する企業、したがって、誤解のないように申し上げておきますが、これは何もベンチャーとか先端的な企業だけを意味しているのじゃありません。自分の会社はこういうふうにやや経営を拡大したい、余りに下請依存度が高いから多角化して得意先を探してこういうものを売りたいとか、そういうような個別の要望に応じていくということでございます。  それから、ローカル支援センターは三百カ所置いて、創業も含めますけれども、やはり同じような経営革新を目指す小規模企業中心に考えていきたいと思います。  それでは、今の経営改善普及事業等、商工会議所、商工会、おっしゃいました既存のやり方とどういうふうに変わっていくのかということですが、これはなかなか難しい御質問でございますが、今までのやり方が記帳指導とかやや低レベルの指導にとどまっておりますので、より高レベルに上げるために民間の技術陣とかコンサルタントとか学校の先生とか、そういう人の知恵もいただきながらやっていきたいということでございます。
  42. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今、構想、お話がございましたような状況の中で、通産省は関係の都道府県とも今やり方のすり合わせをされていると伺っておりますけれども、その中の都道府県の一つからこんな意見が先日寄せられました。  中小企業における経営資質の充実について、これは大変結構なことだけれども、十二年度から指導事業のあり方や負担割合が変わる。これは大臣が今おっしゃられたことです。負担割合が変わると。県の財政が大変厳しい状態の中で、今の状態では、県とそれから県民、中小企業者ということですが、の負担がふえるのは大変困る。したがって、今構想されているような県レベルの支援センターの全面展開についてはちょっと待ってもらいたいとか、あるいは中核的支援機関による事業の実施は、職員の養成も必要だし、また事業者の登録だとか評価基準づくりだとかいろんな前段の整備が必要なので、おいそれとはいかない、この辺もぜひ配慮してもらいたいというようなことが寄せられております。  これからすり合わせをやるということではありましょうが、この際ぜひ少なくとも現場が混乱しないような十分な協議をしていただきたいと思いますし、またこれまでの反省に立って言うならば、その三百のセンターあるいは県の支援センターというのは、机に座っていて窓口指導するというイメージではなくて、ぜひ巡回サービスするような心構え、またその姿が見えるような方法も工夫していただきたいものだと思っておりますが、いかがなものでしょうか。
  43. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおり、構想を今まとめている段階でございまして、その間に都道府県ともいろいろな打ち合わせをさせていただいております。  先ほど大臣からも御答弁されましたように、予算的には目的別に再編をするというような方向性もございますので、したがいまして従来の形で使われていた予算をこのセンターというような形でお使いをいただくというようなことでございます。  あるいはまた、職員の教育訓練のようなお話もございましたですが、今お話を伺う限り、まだ少し私どもと県との間の、県に対する御説明と申しましょうか、十分でないところがあるようにもお聞きをいたしました。趣旨といたしまして、むしろ県の職員の方が、それは一人ぐらいあるいは二人ぐらいはお願いをすることがあるかもしれませんけれども、基本的には民間の方々の能力を活用させていただくし、それぞれの窓口における、俗に最近はやりのいわゆるコーディネーターという言葉がございますが、そうしたコーディネーターも民間の方々にやっていただくというようなことを考えておりまして、そういう専門的実務的な能力を活用させていただくということでございます。  お金の面につきまして、地方財政が厳しいことは承知をいたしておりますが、私ども、基本的な考え方として純増をさせてやっていくというような体系ではないような方向性で内容を検討いたしております。  ただ、いずれにせよ、地域中小企業発展のためでございますので、こういった分野での商工行政にも自治体にもぜひ深い御理解をいただきたいと思っております。そのためにも、引き続き、内容についてやや十分御説明ができていない点もあるように存じましたので、この面での調整をさせていただきたいと存じます。
  44. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 中央省庁の方はかくありたい、かくあるはずであるというところからどうしてもプランをつくりがちだと思いますが、それを展開する実施部署というのは、いろんな手当てをし、体制も整えなければならないという事情もあるんだと思います。ぜひ現場が混乱しないように打ち合わせをしながら推進していただきたいものだと思います。  それから、今細田政務次官からお話がございました地域プラットホームの件でございます。これは、テクノポリス法だとか頭脳立地法を取り込んで昨年の十二月に新事業創出促進法というのができたわけであります。後で一つずつ少しテクノポリス法がどういう効果を上げたのか、実績を上げたのか伺いたいと思いますけれども、こういう地域プラットホームをつくるに当たっては、やはりこれまでの反省というものが十分生かされていなければいけないのではないか、そんなふうに思います。  そこでお尋ねするわけでありますが、この地域プラットホームというのは、テクノポリス法や頭脳立地法に関してのどのような反省、総括の上に立って構想され、進められようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  45. 細田博之

    政務次官(細田博之君) なかなかこれは難しい御質問でございまして、まずテクノポリス法は、やはり地元における大学を中心として先端技術の粋を集めて、そこで高度化していくということで法律が実施されたわけでございます。テクノポリス二十六地域、この中身も一緒に申し上げてしまうと、昭和五十五年に九・五%の工業出荷額比率、テクノポリスの二十六地域の比率が、それが平成七年に一一%というふうに伸びたという報告がありますけれども、ここを中心に先端産業発展を見ることはできたと思っております。  それから、頭脳立地法につきましては、やはり同様に、ソフトとか映像等の三次産業を含んだ法律として行われたわけでございます。  このたびの新事業創出促進法に基づく地域プラットホーム施策は、これらの産業集積や研究集積を新事業創出のために最大限活用し、賃貸工場を新たに整備するなど、従来のテクノポリスそれから頭脳立地施策を充実強化するものであるということで、いわば統合かつ少しいろいろな要素を加えたということでございますので、現在の新事業創出促進法の地域というのは、中核的支援機関同意済み都道府県というものが今二十二県四市ございまして、今後希望しておるところが二十四県二市ということで、全部で五十二県市が希望してあるいは既に同意済みでございますけれども、これらはすべて今までの地域を包括し、なおかつ新たに加わっておるものでございます。  基本的な考え方といたしましてはいろいろございますけれども、新事業創出促進法の高度技術産業集積地域あるいは高度研究機能集積地区というものは、さまざまなこれまでの地域公団あるいは産業基盤整備基金あるいはその他の助成策を加味いたしまして、先ほど申しましたような産業集積に加えまして新事業を創出するという観点から拡充したものであると考えております。
  46. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今の御説明を聞いてすんなりと頭へ入って整理できるというのは、相当この問題を熟知している人であろうと思います。これを細かくやっていると時間がありませんからこの程度にしますけれども、それにしても、これまでテクノポリス法というのはどういう仕事ができたんだろうかというのをやはり振り返っておく必要があるのではないかと思います。  頭脳立地法についてもあるわけでありますけれども、テクノポリス開発機構というのが生まれておりますけれども、このテクノポリス開発機構というのは、債務保証と研修・指導、それから高度技術開発開発助成及び調査研究、この四つを法定事業として発足したものだと承知しております。  それで、この開発機構が発足して以来、こうした法定事業がどれだけ促進されたかということになると、私は甚だ不振をきわめたと言ってもいいのではないかと思います。ちなみに、この事業の中にある起業化助成による商品化、販売実績というのはどの程度だったのか、今日までの実績について、平均値も含めて御説明いただけますか。
  47. 中島一郎

    政府参考人中島一郎君) お答え申し上げます。  テクノポリス関連施策の利用の実績でございますけれども、今、先生がおっしゃいました中核機関としてつくられましたテクノポリス開発機構の債務保証は、昭和六十一年度から平成十年度までの間に三百六十七件の利用がございました。また、調査研究、研究開発開発助成を行っておりますが、それぞれ昭和五十八年から平成九年までの間で調査研究が五百五件なされております。研究開発につきましては七百四十九件、開発助成は千百九十件でございます。  テクノポリス開発機構と申しますのは、御承知のように、テクノポリス地域の振興の中核になる母体でございます。この母体が中心になりました活動をもとに、テクノポリス地域に新しく企業を誘致する、あるいはその地域の皆さんが新しい企業を起こしていくということを振興してまいったわけでございます。その一つの傍証データとしまして、テクノポリス地域に財政投融資を行っておるわけでございますが、これは昭和五十七年度、ちょっと前からでございますが、平成十年度までで約五千二百六十八億円の投下をしてございます。また、テクノポリス地域に新たに企業立地をされた場合の関連税制としまして特別償却をしているわけでございますが、これが昭和六十三年度から平成十年度までの間で約千五百五十三億円に達してございます。  そういった大変活発な企業立地がテクノポリス地域では行われまして、先ほど総括政務次官のお答えにございましたように、全国平均をはるかに上回る成長率を示した、地域における拠点としての役割を果たしたものと私ども考えてございます。
  48. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 出荷額が全国平均に比べて伸びたとか今いろんなお話がございましたけれども、お話の中にありましたように、例えば債務保証事業であるとか起業化推進事業などが五百件台とかいうことを考えてみますと、全国に二十六あったんですね、それで十年間ですよ。ということになりますと、実際のところは年に一つあるかないかというのが実態だったのではないかというような気がいたします。  私が調べたところでは、例えば保証業務がそれほど伸びなかったのは、保証基金が小規模であった、あるいは審査が大変厳しい、あるいは事務手続が煩雑であるとか、申し込みから許諾されるまでの期間が長いとか、いろんな事情、理由はあったと思います。私は、今さらそのことはけしからぬとか言うつもりはありませんが、ぜひこういった今までの反省の上に立っていろんな事業を展開していただきたいということでございます。  それからもう一つ、改めて伺っておきたいのは、人材の問題でございます。  開発機構の問題点一つに人員体制というのがあるように私は思います。例えば、専務理事さんとか女性職員がそれぞれいらっしゃるわけでありますけれども、それ以外の人は大方は県とか市役所からの出向者で占められております。なおかつ、二年とか三年で交代されるということになりますと、ノウハウの蓄積もできないわけです。人のつながりも、こんにちはと言ったら次の日はさようならというような状態で過ぎてしまうというようなことも大いに反省しなければいけないと思います。  この改正基本法に基づいて新しい枠組みをつくったり推進体制をつくられるに当たっては、そうした人材を適材適所に配置する、あるいは三年たったらいなくなるというような人ばかりではない、そういう継続性のある体制をぜひ組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  49. 中島一郎

    政府参考人中島一郎君) 人員の体制についてお答えを申し上げます。  テクノポリス開発機構におります常勤役職員、約四百名でございますが、そのうち出向者が多いという御指摘でございますけれども、二百四十名が出向でございます。うち、県あるいは関係市町村から出られている方が百六十名でございますが、出向者のうちの残り七十名は金融機関あるいはその関係企業あるいはその関係教育機関というところからの出向の方もいらっしゃいます。  これらは、地域状況に詳しいという自治体の方々、あるいは企業経営の経理あるいは技術に詳しい方々という方々が出向されているものと思います。また、約百名の方がプロパーとして永続的に働いておられまして、三百名の出向者の方々と百名の方々が協力してテクノポリス開発機構の業務に当たっておられるという状況でございます。  今後の新事業創出促進法に基づきます地域プラットホームは、テクノポリスがどちらかと申しますと新しく企業を誘致してまいりますということを重点にしておりましたけれども、新事業創出促進法は、そういう誘致された蓄積あるいはそのノウハウをもとにしまして、今度は地域から内発的に新しい事業あるいは企業を起こしていこう、そういうことが大きな趣旨になってございます。  そういう観点から、地域プラットホームにおきましては、ただいま御指摘をいただきましたような趣旨も踏まえておりまして、中核的支援機関に民間から専門的な知見あるいは経験を有する人材を積極的に登用してまいろう、あるいはこの方々に専任のコーディネーターあるいはマネジャーとして活躍してもらうということも視野に入れて、それを支援してまいるという計画になってございます。
  50. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 大いに期待したいものだと思っております。  ところで、大臣にお尋ねいたします。  また少し横道にそれるわけでありますけれども、この十一月四日に参議院の本会議場で、私は総理に対して原子炉等規制法の改正の際に次の二つの点を特に留意してほしいとお願いいたしました。  その第一点というのは、東海村で臨界事故が起こったときにアメリカから調査団がやってまいりまして、調査して帰国いたしました。帰国後に、日本では作業員は規則に従うものでルールを守れば事故は起きないとの立場だけれども、人はミスを犯すものである、ミスがあっても事故が防げるようなシステムづくりが必要であるということを指摘したと報道されております。それからもう一つ、私は、自分の経験等も踏まえまして、作業マニュアルはしばしば作業現場でつくられる、この作業現場でつくられるということにぜひ留意していただきたいということを申し上げました。  テストするような言い方になっては大変恐縮なんですけれども通産大臣だったらこういう私の提言に対してどう受けとめていただけるのかなというのが気になっておりました。  ちなみに、このとき総理は、「今回の事故にかんがみ、現在、原子炉等規制法の改正について検討を進めており、厳しい緊張感を持続するため、施設等のハード面の安全規制の強化のみならず、作業手順の遵守状況等、国が確認する制度の創設や従業員教育の義務化等、ソフト面の保安対策の強化についても検討いたしておるところであります。」と、こういう御答弁をいただきました。  いかがでございましょうか。
  51. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 東海村の事故からいろいろな国民の原子力エネルギーに対する不安が高まった。そこで、特に手順書なんかにしましても、勝手に変えたり、あるいは我々に示しているものを実践していないとか、そういう問題もあったわけであります。  私は、あの事故の後大臣になりましてから全国の電力会社の社長さんに集まっていただいて、徹底した緊張感を強調すると同時に、手順書の実際がどうなっているかということを調査しますというので、職員を全部派遣いたしまして、それの徹底も行ったのでございます。原子力発電所に関しましては、きちっとしたマニュアルどおりに進めているということを既に確認しています。  それから、燃料工場等においての東海村の場合の事故でございましたけれども、これはただいま委員指摘の原子炉等規制法という法律に足らざるところがたくさんございました。そういうところにまで手を伸ばして規制なりあるいは調査なり監督しなきゃいけないという点で、このたびの法律案の作成に当たってはそこに十分留意をさせております。
  52. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今、通産大臣がお述べいただいたことも、それからさきに総理からお答えいただいたことも大変重要な問題だと思っております。  ただ、この際私が申し上げたかったのは、いかに立派な作業手順書なりマニュアルをつくっても、それを使う現場の人が使いこなせる状態になっているのか、このマニュアルを出したときに、どういう行動を起こすのか、心理状態にあるのかということを頭に置いていただきたい、それから、現場の実態をよく把握していただきたい、この二点を申し上げたかったわけであります。  前段で意識改革と体制の見直しをお願いしましたけれども、実は申し上げたかった二点目というのが、現場をきちんと把握してくださいよということと、そういうマニュアルなり法律なり規則をつくる場合にはぜひ現場の人の心理状態、ここを押せばこういうふうになるというところまで読んでつくっていただきたい、きめの細かい指導が必要ではないでしょうかということを申し上げたかったわけでございます。  いかがでしょうか。
  53. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 大変大事な寺崎委員の御意見でございます。  実はこの間、福島の第二原子力発電所に参りまして現場を細かく視察いたしましたが、原子力発電所の中のふだんの訓練とかふだんの教育というのは相当徹底しているということをこの目で確かめてまいりました。そして、それらの教習あるいは教養課程を従業員人たちが正確に守っている、大変緊張感があったというふうに認識しています。  原子力発電所の方はそういうわけでかなり今日まで安全性は確認されておりますが、燃料工場等においてあのような事故が起きたということが今回の最も大きな問題でございまして、この人たちに対しましてもきちっとした従業員教育を徹底していかなければなりませんし、今お話しの従業員の側から、どこまで熟知できるのか、習得できるのかといったような、そういう面も深く配慮していかなければならない。御指摘のとおりで、そのような内容を整え、そのように指導してまいりたいと思います。
  54. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 ところで、中小企業指導法というのが昭和三十八年に成立いたしております。この省令を見ますと、当初はどうも都道府県等が中小企業診断指導のために必要な資格をつくろう、一定のレベリングを図ろうという目的でつくられたようでございまして、大変難しい試験をクリアして大勢の人が輩出しているわけであり、資格を取得しているわけでありますけれども、どうも結果から見ますと、果たしてこの資格制度というのが所期の目的どおり機能しているんだろうかという懸念、疑問がないではありません。つまり、資格が就職のてこになったり、そういうような使われ方が悪いとは言いませんけれども、一方では民間でいろんな資格ができてきているわけなので、この辺のことを考えますと、少し整理をする時期に来ているのではないかと思うわけであります。  そうした中では、官庁用の資格というよりは弁護士だとか公認会計士のような一般的に通用する資格で、それを役所としても使うというような発想の転換も必要なのかなという気がしているわけでありますけれども、この辺の例えば中小企業診断士についてどのように把握されているのか、お伺いしたいと思います。
  55. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 昭和三十八年に中小企業診断士制度というのが生まれたわけでありますが、そのときの基本的な考え方は、おっしゃるように、都道府県の職員等となっているんです。圧倒的に都道府県の職員に中小企業診断士になっていただくということを位置づけたのでございますが、実際の今日の構成を見ますと、今委員指摘のように、県職員の割合は非常に低下しております。いずれにしても、パーセンテージでまいりましても、前は五七%であったのが最近は一五%である、そういう状態ですが、一方では、民間に勤務している方々が非常にふえているという傾向になっておりまして、当初考えた都道府県職員等のむしろ等の方が広がっているという感じがするわけでございます。  ただ、それはこれからの民間能力を活用するという点ではむしろその方が方向としてはいいのではないかなという思いを今私自身は持っておりまして、そういう意味で、これから中小企業診断士のありようというのは委員指摘のように何らかの方向づけを改めて考えていく時期に来ているなというふうに思います。
  56. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 その方向づけに当たってもう一つ考えておいていただきたいのは、民間の資格制度とどう融合、統合する必要があるのかないのかという問題だと思います。  大臣は、例えば経営、経理、法律に関する民間の資格というのが幾つぐらいあるとお考えなのか。私自身は寡聞にしてよくわからないんです。ですが、ちょっと調べただけでも、例えば診断士という名前を使っているのが、経営総合診断士、経営診断士、経理診断士、管理士という言葉で言っているのが、経営管理士、産業管理士、財務管理士、総務管理士、情報管理士、原価管理士等々もうたくさんあるんですね。これがきちんと機能していれば私は大変結構なことだと思うんですが、こういうのにあやかって中には詐欺まがいとも言っていいような士制度を売り込む人もおります。  私のうちなんかにもたまに電話がかかってくるんです。この資格制度は間もなく法律ができるはずだから、今のうちに取っておくと有利です、今お金を十万円ぐらい振り込むと有利に取れますからどうですかというような話が電話で来たりダイレクトメールで来たりするんです。私は、この診断士というような公的な資格というのはそうたくさんあると承知しておりませんから、またはその法律をつくろうという動きがあるとも聞いておりませんから、また怪しげな話が来たなという程度で済ませられるんですが、結構これにひっかかる人もいるんですね。ひっかかるというのはまじめな人なんですよ。それだけに放置できないなと思っております。  今、大臣中小企業診断士について一定の方向を出さなければということをおっしゃいましたけれども、ぜひその際、この民間の資格制度というものとの関係をどうするのか。私は資格制度を何も役所に、官庁に独占してもらいたいなんということを申し上げているわけではないんです。ただ、詐欺もどきの資格みたいなものがまかり通ったり、せっかくお金を払ってもそれに値するような資格が得られないというのではぐあいが悪かろうと思っているわけであります。
  57. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 中小企業指導法に基づく通商産業大臣が登録をする中小企業診断士というのが唯一でございまして、これは本物なんですが、おっしゃるとおりいろんな名前を使うところがあって、それが一つの問題になっているという御指摘はそのとおりでございます。ただ、苦情案件として上がってくる件数は極めて少ないというのが現状であります。  同時に、この中小企業診断士は、名称について独占して使用する旨の規定がないわけでありまして、それをどうするかということがただいまの委員の御指摘であろうというふうに思います。  私どもといたしましては、もう少し中小企業診断士に類似する事実関係を調べてまいりまして、その際に必要と見きわめた場合には、ただいまのような法で定めるかどうかの判断をしていかなきゃならないかなと。現状ではまだ中小企業診断士そのものの格別な違法行為に当たるような苦情というのはそんなに出ていないのでありますが、しかしこれから先、それを商いとする新たな仕事もあるようでありますから、厳重に注意していって、必要ならば変えていかなきゃならないなと思います。
  58. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 先ほど来お話の中に民間能力を活用して中小企業の支援をしていくんだというお話がございまして、その方向については私も歓迎しているわけでありますけれども、この基本法をつくるに当たってもとになった中小企業政策審議会の答申を拝見しますと、行政は中小企業施策を指導事業としてみずから行うことの限界を認識するべきではないかと。それで、市場機能を発揮させる中でその政策目的を達成するように方向転換すべきであるという趣旨が述べられております。  私は、これもこの方向に今向いているんだろうと受けとめておりますけれども、となりますと、今後公的機関の関与のあり方というものを再構築、整理する必要があると思いますし、あわせて、中小企業施策は、経営ノウハウなど民間の専門能力を活用する観点から、先ほどもお話がございましたが、制度設計をする必要があると思っているわけであります。  そういう制度設計について、もう一度そこのところに限って御説明いただけますか。
  59. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) ただいま支援センターというような形で、新しい診断あるいは相談事業と申しましょうか、そうしたことでございますけれども、制度設計として基本的に民間の能力をまず活用するということでございますし、その担い手につきましても、目的別あるいは機能別に予算の使い方を再編成するというようなことでございます。  そのようなことの中で、利用者が施策の内容について評価できるような仕組みというものもあわせ考えまして、中小企業者の側、利用する側の立場に立ったサービスを提供するというような体制の整備に変えていきたい、このように考えておるわけでございます。
  60. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 大臣にお伺いします。  このたび基本法を改正する、それから中小企業診断士制度についても一定の方向づけをしたい、また先ほどは予算配分のやり方を機能別に変えるというようなお話を伺いました。そのことを総合しますと、相当方向づけがはっきりしてきているのかなという思いがするわけでありますけれども、それにしては少し法律の整備が間に合わない部分があるのかなという気もしております。  その一つというのが中小企業指導法の見直しということでございます。どこをどう見直せというのは、これからの施策を念頭に置いて変えなければいけないので、断定的なお話は伺えないのかもしれませんけれども、この見直しの必要性等についてどのように認識されているか、お伺いしたいと思います。
  61. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) まず、物の考え方そのものを、指導という形で一体いいのか、何か官が民にお教えするような、そういう姿勢そのものも問題としていかなければならないと思っています。若干のずれがありましても、当然見直していく必要があると思います。
  62. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 最後の質問になると思いますけれども大臣にお伺いします。  先日、きょうの質問に備えて、私も大田区でハイテク関連企業を経営している中小企業の経営者に会って話を聞きました。  その際に、一番やってほしいこと、それはもう景気回復だよと。それからもう一つは、何といっても貸し渋りの問題だ、とりわけ地元の信金であるとか、そういう身近にある金融機関の貸し渋りが何といってもつらいと。今のところは政府が信用保証協会等を含めてリスクテークしてくれているので何とか急場をしのいでいるけれども、これもやがては打ち切られるということになると、どうにもお手上げだと。  技術開発だとか販路の開拓というのは、自分たちの飯の種だから、だれのお世話にならなくたって、言われなくたって、これはしっかりやるよと。だけれども中小企業の資金繰りに追われている経営者にとって一番つらいのは、親身になって相談に乗ってくれる人がいないということであると。  本来だったら地元の金融機関にそれを期待したいわけだけれども、地元の金融機関というのは、例えば、あなた、事業計画を持っていらっしゃい、再建計画を持っていらっしゃい、丸投げでそういうことを要求して、要するに担保があるかないかというようなことを長年やってきたので、ノウハウまでもなくしてしまったのではないかと。その上、自分に飛んでくる火の粉は払わなければいけないというようなことがあって、とても親身に相談に乗ってくれるという状態ではない。商工ローンがやり玉に上がっているけれども、自分からすると、やり玉に上げてもらいたいのは地元の金融機関だなんということを言う人もいらっしゃいました。  そこで、今回の改正基本法の二十三条を見ますと金融支援について云々されているわけでありますけれども、その具体的なねらいとかどうするのか方法とか、あるいは金融支援に当たって地元の金融機関をどうやって支援の方に回らせようとしているのか、その辺の御見解を伺いたいと思います。
  63. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 中小企業基本法の第二十三条は、今まで間接融資に非常に依存している中小企業、そこへ直接融資の道を開いていこうということなどをかなり配慮しているというふうに考えておりまして、その多様化を考えています。  金融機関が担保主義に陥っているとの御指摘はそのとおりでございますが、債権保全の必要性というのを考えてやるのでありましょうが、もっとその企業の持つ将来性とか、あるいは経営者の持っている資質、意欲、そういうものに思いをいたした融資の形が必要ではないか。  もとはといえばそういうことだったわけでございますが、近年は、そんなことよりも担保があるかないか、その担保そのものも価格の変動で不安定になってきたという状況でございます。そういう意味では、金融機関の融資姿勢というものを変えていくように私たちは金融監督庁等関係当局に要請していきたいと思います。  また、地元の地域のきめ細かい融資に関しましては信用組合とか信用金庫が非常に頑張っているということがわかるわけでありますが、これは法律上、会員制であるとか組合員という地域中小企業に密着しているからでございます。これらがしっかり中小企業のニーズにこたえて対応していくということ、そして足らざるところを政府系金融機関で支えていくということで期待に沿うような努力をしていきたいと考えます。
  64. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 終わります。
  65. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      ─────・─────    午後一時二十一分開会
  66. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから中小企業対策特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、釜本邦茂君及び久世公堯君委員辞任され、その補欠として久野恒一君及び佐藤昭郎君が選任されました。     ─────────────
  67. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 休憩前に引き続き、中小企業基本法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  68. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。  基本法質疑に入る前に、今非常に問題になっております貸し渋りの問題、そのことに関して、銀行の融資問題について一言お聞きしたいと思います。  いわゆる大銀行の貸し渋り、そのことによって商工ローン問題等、大変な社会問題にまでなってきているわけなんですけれども、そういった商工ローンに融資をしておる銀行ということがまた問題になっております。  そこで、九月決算が今発表されましたけれども、この九月決算の公的資金注入銀行の中小企業向け融資の数字はどうなっているか、再生委員会に伺います。
  69. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  先生御承知のとおり、信用供与の円滑化、特に中小企業向け貸し出しの増加というのが非常に重要であるという観点に立ちまして、資本注入行に対しまして、その経営健全化計画の中で来年三月の中小企業向け貸し出しがことし三月に比べてどれくらいふやすのかという目標を定めているわけでございます。この九月期決算というのはそのちょうど中間に値するところでございまして、我が方といたしましてもヒアリングをしているところでございます。  数字自体は、確かに先生のおっしゃいますとおり中間決算発表の席上で発表され、それが報道されていることは我々もよく承知しているのでございますけれども、実は我々が報告徴求していますのは数字だけではございませんで、例えば、目標に比べての進捗度合いが悪かった場合は一体どういう理由で中小企業向け貸し出しが伸びていないのかとか、そういうことを一緒に記述しなさいということ、それからさらに、これから目標達成に向けてどういう手段を講じていくのか、そういうことも一緒にこちらに聞かせてほしい、そういうヒアリングをしておりまして、まだその数字及び向こうの対策等がまとまるのには時間がかかりますので、本席ではまだそれを申し上げられる段階ではないということを御理解いただきたいと思います。
  70. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私がお配りした資料はもう見ていただいたようですね。数字はそのとおりだということですね。  九月末の実績についてはそのとおりであるということだから、来年三月末の計画に比べてこれだけの貸出残がある、言ってみれば貸し渋りが生じておるというふうに見られるわけですが、そのことは認められた。  それにしても、いろいろやっているからこういう具体的な数字を出せないという姿勢は私は納得できないんです。というのは、私、六月にこの問題を取り上げたとき、前の再生委員長は、四月以降が私たちの出番なんだ、だからそれをずっと見て来年三月に向けてきちんと指導していくということを、きっちりウオッチしていくとおっしゃったんだけれども、全くそういった姿勢が見られないと私は思います。  ともかく、数字についてはそのとおりだということで話を進めたいと思うんですが、それで見ますと未達の銀行が目立ちますけれども、既にこの九月時点で来年三月時点の目標を達成した銀行もあるんです。ということは、やればできるということをこれは一つ示していることだというふうに私は思います。  そこで、ことしの三月末の実績すら下回っているところがあるんです。日本興業銀行、富士銀行、東海銀行、三菱信託ということになっております。富士は一兆二千六百二十七億円、東海が五千三百一億円、これだけ目標残が出ています。大和は四千五百二十九億円。こうなりますと、来年三月末までにこれだけの未達額、目標を達成する、健全化計画をやり遂げるというのは、こういった銀行については極めて危ういというふうに私は考えます。  この六月に、富士、東海を含む八行の未達問題を私がやったときに、私としては、これは直ちに是正せよと要求したわけですけれども、そのときに再生委員長はどう答えたかといいますと、「貸し出しの増加が期待できる環境でありながらそういうことをしていないという場合には、我々には我々のいろいろな手段がありますから、法令上の許された一番適切な手段を講じていく」というふうに答弁されたんです。そうしますと、この富士、東海、大和、こういったところに対してこの四カ月のうちにどういった法令上の手段を使うつもりなのか、再生委員会事務局長
  71. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  ちょっと先ほどの補足でございますけれども、我々としては中小企業向け貸し出しが世の中で非常に注目されていることを十分承知しておりまして、できるだけ早くヒアリングを終え、公表し、それによっていわばパブリックプレッシャーをかけるというようなやり方で銀行の自己規制を働かせまして、何とか各銀行に目標達成に向けて努力してもらいたいと思っております。  ただいま先生御指摘の金融再生委員長の御答弁にかかわる点でございますけれども、当方といたしましては、金融早期健全化法第二十条で経営健全化計画の履行が計画どおりになっていない場合は銀行法による措置を打つことができるという規定は確かにございます。ただ、前に金融再生委員長が答弁もあわせていたしましたとおり、これは、あえてこの中小企業向け貸し出しとの関連で申し上げれば、例えばある銀行がそこの経営方針として中小企業には……
  72. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 短くやってください。
  73. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) 済みません。  貸し渋るというような方針があるときには業務改善命令を出しますけれども、一生懸命努力した結果まだ未達成だというようなことがあった場合は、これは外部環境等の問題でございますので、そのような場合に業務改善命令を出すということにはならないと思います。
  74. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 大体、私が聞いたことを全然聞かずに言っているじゃないですか。再生委員長柳沢さんは何と言ったのかというと、「貸し出しの増加が期待できる環境でありながらそういうことをしていないという場合には」というふうに答弁しておられるんですよ、きっちりと。何だか知らぬけれども、そんなでたらめなことを言っちゃ困ります。  そこで、ウオッチしていくというやつについても一言言っておきたいんですが、パブリックプレッシャーって何ですか。公表したらいわゆる世論が沸くだろう、こういうことでしょう。そんなことだったら官庁要らない、金融監督庁要らないし再生委員会も要らないじゃないですか。法令上どういうことをやるのかということを私は聞いているんで、法二十条に従ってどういったことをやるかということを全く考えていないということの今の答弁としか思えないですね。  さて、ともかくも、六月に私が指摘したときにはそういうお答えだったわけですけれども、結局今の時点になっても、やっぱりそのときにすぐ是正措置をとらなければうまくこういう問題はいかない、そのことはこの時点で既に証明されたというふうに私は思うんです。  ともかく、先ほども言いましたように、商工ローンへの融資ということで大変な国民の怒りが出ているわけですけれども、この公的資金を注入する条件であったはずの健全化計画、このことに逆行することが今どう見たってこれ進んでいるわけでしょう。そういったところで、再生委員会が今言ったようにパブリックプレッシャーに頼みますとか、法令上の措置をきちんととらないということであれば、これは国民は納得しないですよ。何だ、商工ローンにこれだけ金出してと、それだったらもう公的資金返せという声すら国民の中にあるんですよ。それぐらい国民は怒っておるということを一つ申し上げておきたいと思うんです。  それで、今九月末の時点だけれども、三月末になって、あと四カ月たっても計画が未達だった場合、銀行の経営責任だけにとどまるものじゃないと私は考えます。もちろん銀行に責任ありますよ。再生委員会に責任があるし、そしてまた、今おっしゃった二十条、このことについては早期健全化法二十一条で金融監督庁長官に権限の委任がなされているわけです、再生委員会から。そういう点で、金融監督庁長官の責任も重大だと思うんですね。来年三月の時点で、解散でもあれば大臣は変わっているかもしれないけれども金融監督庁長官は変わっていないでしょう。そういう点で、どうやってこれ責任を全うするのか、これが達成できなかった場合、どういう責任をとるのか、監督庁長官、お答え願いたい。
  75. 日野正晴

    政府参考人日野正晴君) お答えいたします。  去る三月の末に公的資金が大手十五行に投入されまして、先ほど先生が御引用になりました健全化法の二十条あるいは二十一条の規定を履行するために、金融監督庁に、私の記憶ではたしか四月二十三日だったかと思いますが、経営健全化室を設置いたしました。もちろん専従の職員がいるわけではございませんで、金融監督庁の監督部内に併任という形で経営健全化室を置きまして、約二十名のスタッフでこれまでその経営健全化計画を果たして履行しているかどうかということを、今御指摘がございました中小企業に対する融資も含めて現在ウオッチしているところでございます。  さて、その計画と果たして実行との間の乖離があった場合にはどうするかという問題は、かねてから大変な御議論がございまして、先ほど金融再生委員会事務局長からも前の金融再生委員長のここでの御答弁を引用されたお話がございましたとおり、もともとその融資は民民の取引でございますので、行政官庁がこれを強制して融資をさせるということは命令としてはなかなか難しい問題がございます。要件としては、先ほど御引用になりましたような、いろいろできるのにもかかわらずあえてそれを無視してしないといったような大変厳しい要件が恐らく課せられるのではないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、その計画を着実に履行し、中小企業に対する融資が確実に行われるようにこれから十分ウオッチしてまいりたいと考えております。
  76. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 どうももう一つで、そんな甘い姿勢だとまたまた来年三月になると同じことが繰り返される。それで、悪いことをやった銀行、悪いことをやったと言ったらあれですけれども、未達の銀行はまたまたそのまま甘やかされて、国民の税金をこれだけ使いながら何だと、ますます大きな国民の怒りが沸き上がるだろうということを指摘しておきたいと思います。  それでは、本題、基本法の方に移らせていただきますが、まず基本法の理念の変更について伺います。  現行法では、この理念に属するところは前文と第一条「政策の目標」の中に書かれておるわけですが、改正案ではこれが第三条「基本理念」という形で書かれております。そこで、改正案では、現行法に掲げられております中小企業経済的社会的制約による不利の是正並びに生産性の諸格差の是正、こういった文言が削除されております。三十六年の歳月を経て、中小企業経済的社会的制約による不利も格差もなくなったというふうに認識しておられるのか、いや、なくなってはいないという答弁、いろいろありましたけれども、どうもそこのところがもう一つはっきりしない。明確に答弁願います。
  77. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 指標にあらわれる格差というのは厳然としてあると思っております。ただ、昭和三十八年にできたこの基本法のときの格差是正というその考え方の基本は、何回も申し上げておりますが、経済の二重構造ということで、大企業中小企業、近代的な企業対非近代的なという形で、中小企業とのそういう面での格差をなくそうというそんな理念でありました。  私は、そのような画一的な見方でかさ上げするという時代もあったかもしれませんが、今日の時代は、中小企業が多岐にわたって頑張っているそれぞれの実態を見ると、もっと変わった形で考えていくべきだと。つまり、その多面性着目して、それぞれにふさわしい御協力を申し上げるということが基本的な考え方でなければならない、そのように思いまして、このたびの改正につながったわけであります。
  78. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 もう一つの格差ではない不利の是正、これについてはお答えいただいていないと思いますが。
  79. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 不利の是正についても効果はあったというふうに今までも思っておりますけれども、今度の基本法でも、そういうような考え方を捨てるということではありませんで、経営基盤を強化するということの背景の中にそれらを含めて全体的に考えていきたいと思います。
  80. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 格差の問題について言えば、政府自身が格差の指標としておる三つの問題については、今大臣のおっしゃったとおり、厳然としてあるというよりも全く縮まっていないんですね、この指標で見る限りは。そういったところはあるというふうに思います。  私ここで非常に問題にしたいのは、格差の方ではなしに経済的社会的不利の是正という文言です。これが改正法には入っていないんです。入っていないんです、明確に。入れていないということには意味があるわけです。そのことについてお答え願いたいんです。
  81. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 文言についてはいろいろと変化はありますけれども、全体の思想の中で、そのような状態をなくしていこうという方向で全面的に中小企業に協力するという姿勢を示しております。
  82. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 大臣は、中小企業は社会的経済的不利、それを具体的にはどういうものだというふうにお考えになるんですか。
  83. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 例えば、人材あるいは技術、その他もろもろいろんな面であると思います。
  84. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そのことは後でもう一度問題にします。  格差に着目するんじゃなしに中小企業の多種多様性に着目するんだというお答えが今までもずっとありました。ただ、多種多様性という問題と、大企業中小企業との間に厳然とした格差があるということ、そしてまた、大企業本位といいますか寡占のもとで中小企業が非常に不利な状況に置かれているということ、こういったこととは別問題だと思うんです。  例えば、大企業との格差の大きい中小企業もあれば格差の小さい中小企業もある、あるいは下請中小企業の存在がある。こういったことまでまさか多種多様性には入っていないと思うんですが、いかがですか。
  85. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私どもは、指標において、例えば給料の差があるとか労働条件であるとかいろんな格差がある。これは中小企業の経営基盤を強化するというこれからの我々の協力によってだんだんになくしていくということでございます。また、今日の中小企業が多様で活力ある存在だということから、経営基盤の強化というのを施策の中で講じているわけでございます。  不利の是正ということに関しての考え方は、今申し上げた経営基盤の強化もその一つでありますし、セーフティーネットなどをきちっと構築してそれを支えていこうという考え方もございます。したがって、不利の是正ということに対して基本法における後退というのは私たちはないと思っております。
  86. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 基本法でわざわざ今まで書いていたやつを削除するということで削除しながら、今までと基本的には変わらないと今おっしゃったわけでしょう。そんな不思議な話はないんですよ。
  87. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 例えば、具体的に十五条では「経営資源の確保」、第二十条では「取引の適正化」、第二十一条では「国等からの受注機会の増大」等々、経営基盤の脆弱な中小企業の経営資源の補完であるとかあるいは事業環境の整備のための施策を講ずるというふうにしておりまして、そういう意味では考え方は変わっておりませんし、このような文言で対応しております。
  88. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今挙げられた表題については後で私も問題にしますが、それは一部そういったものが、従来の基本施策として入っていたものが今度の基本法の中にも入れられたということであって、基本理念として不利の是正、こういったことを削除したということの説明には私はなっていないと思うんです。  それじゃ伺いますけれども、この不利の是正ということについて削除したということは、やっぱり中小企業の今までずっと言われていた、大臣は全体を底上げするというふうなところはもうやめるんだ、多種多様性に着目してと言われましたね。そうしますと、結局、基本法でこういった不利の是正を削除したということは、中小企業の保護策、こういったものについては、従来やってきた保護策については縮小していくんだということを一つのきちんとした政策として進めることを前提として言っておられるとしか思えないわけですが、いかがですか。
  89. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 何回も私は国会の中でも答弁しているのでありますが、特に、不利な状況の中に置かれている例えば小規模企業等について、こういうようなところにはきめ細かい対応をいたしますと。具体的な例えば設備近代化資金のこのたびの変更、つまり小規模に限定して業種を限定しないといったような、あるいは三百のセーフティーネットなどを考慮に入れているというふうに説明しておりまして、これから先も、実際の対応において一歩も後退しないようにさせていくつもりでございます。
  90. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今すぐ小規模企業に対する施策を打ち切るとか何とか、そんなドラスチックなことは恐らくできないと思うんですが、基本法として今後やっていこうとすることがここに決められておるわけですね。  そうしますと、今言われたんだけれども、昨年の六月に成立した中央省庁等改革基本法、これの中で「経済産業省の編成方針」というのがあります。これの第二十一条第四号、ここでは、「中小企業政策について、中小企業の保護又はその団体の支援を行う行政を縮小し、地域役割を強化するとともに、新規産業の創出のための環境の整備への重点化を図ること。」。これは二〇〇一年に経済産業省が設置されるわけですから、その時点で深谷通産大臣経済産業大臣であられるかどうかわかりませんが、しかしこれは内閣として継続するわけです。そうですね。  そうしますと、今、基本法の中で、大臣そうおっしゃったけれども保護政策を縮小するんじゃないと言ったけれども、ここには明確に書いてあるんですよ、「中小企業の保護又はその団体の支援を行う行政を縮小し、」と。つまり、中小企業対策予算がどんどん大きく膨らむ、ふえる、増大する。それの中で、あるいは創業だとかあるいはベンチャーだとか、そういったところに重点化するというのであれば、相対的にそちらにふえても、小規模企業対策や下請対策があるいは中小企業保護政策が予算上減るということはないかもわからない。しかし、予算を大幅にふやすという方針はないんです、来年度予算を見ても。  それの中で、片一方で創業支援等々を重点化すると。これだけ書いてあるならまだしも、御丁寧に中小企業政策について、「中小企業の保護又はその団体の支援を行う行政を縮小し、」と書いてある。縮小し、かつ別の方向に重点化すると書いてあるわけですから、これはもうこの方針に従って中小企業基本法も同じ方向に並んでいるんではないか。書かれておることからすれば、明らかにそうとしか考えられないじゃありませんか。
  91. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) ここで言う「保護」というのは、今までに格別の、例えば団体に対する既得権益とか、そういう制度の中でございました保護を申し上げております。本来、一般的な中小企業に対応する対策というのは保護という観点から考えるべきではないということが私たちの基本でございます。そこのところを形を変えて議論をなさっておるのではないでしょうか。
  92. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今、団体のことをおっしゃったけれども、並列しているんでしょう、ここでは。「中小企業の保護又はその団体の支援を行う行政」、両方縮小するんですよ、両方。明確にこれ書いてあるじゃないですか。
  93. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 申し上げましたように、例えば中小企業、特に小規模企業等に対するセーフティーネットというのは変えないということを申し上げているわけです。もしあなたがそれを保護というふうにお考えにならないとすれば、私どもは保護という言葉を使いたくないから申し上げているんですけれども、従来以上の対応をしていこうと考えているわけであります。  私がただいま申し上げましたような保護的側面が多い団体支援的な行政というのは、それは変えていくということであります。
  94. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それでは、もう少し幾つかの側面からこの問題を見ていきたいと思うんです。ここだけではないんですよね。全体としてやはり私は中小企業、特に小規模企業、そういったところへの対策、下請の対策、これが減らされていく方向にならざるを得ないというふうにこの基本法を見て思うんです。何で私がここにこだわるかというのはそういうことなんですよ。  まず、我が国中小企業政策を振り返ってみますと、その原点は中小企業庁設置法と現行の中小企業基本法にあります。これは明らかに、大企業の支配から中小企業を保護するという側面と、同時に独占資本や大企業に対する対抗力としての中小企業の育成発展にあるというふうに考えます。これは法制定時から今日に至るまで、多くの学者も大体定説になっているところです。  先日の参考人、黒瀬教授もその点は明言されましたし、そして黒瀬参考人はこうも言っています。「基本法改正案には大企業体制と中小企業という視点が欠けているため、その中小企業像は一面的になってしまっている。」と。黒瀬さんは、片一方における創業支援等々、これは評価している方です。評価しつつも、こういったところが一面的になっているんだ、そういう参考人としての陳述をしておられる。  現行基本法では、前文で「中小企業経済的社会的使命が自由かつ公正な競争の原理を基調とする経済社会において、」云々と言っているんです。こういったことは、他方における独禁法の存在、これを前提としているというふうに私は思います。  そこで、現行法が中小企業の使命は「自由かつ公正な競争の原理を基調とする経済社会」、ここを前提とするというふうに言ったのに対して、今度の改正案、ここでは「自由かつ公正な」という文言が削られて、改正案の「基本理念」のところでは、「市場における競争を促進」する、こういうことになっているんです。結局、こういった観点が抜ければ、市場原理万能、弱肉強食、そういったところに追い込んでいかざるを得ないんではないか。  今、大臣、不利の是正も今以上に強めるんだとおっしゃったけれども、ここで言う、まさに最も大事な「自由かつ公正な競争」、これを前提とする条件をつくろうということ、その言葉、文言をなぜそれじゃ削ったんだと。もう一度お聞かせください。
  95. 細田博之

    政務次官(細田博之君) おっしゃる側面は、大不況に今ございます、やっと脱しようかどうかという段階にある経済のもとで、今の中小企業が本当に苦しんでいて、取引面やその他の面で大変である、それを支えていかなきゃならないし政策も講じていかなきゃならないという局面におきまして、当然我々は一生懸命セーフティーネットを張ってまいりますし、そういう思想が根底にあることは当然でございます。  ただ、この法律は、二十一世紀まであと何十年も基本法として通用していくようなものを目指しております。他方、昭和三十八年に決めたときには、保護にしても何にしても、中小企業のカルテルを認めて生産調整を行わせるだとか、特殊契約を認めるだとか、あるいは輸入に対しても割り当て制を継続するとか、関税を下げないとか、ありとあらゆる意味で保護ネットを張ってきたという歴史がありますから、そのときに比べれば、今は、今の不景気ということは別にすれば、海外にも雄飛しますし、付加価値も大きいですし、二重構造といっても中小企業がそれぞれ立派にやってきたということは確としておりますから、二十一世紀にはそういう企業方々に前向きの展望を持ってもらおう、夢を持ってもらおうという趣旨が入っているということは御理解いただきたいわけでございまして、昭和三十八年当時の思想とは違うんだということはどうしても言いたいわけでございます。
  96. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 大臣が立たれずに政務次官が立たれるのもいいんだけれども、私が伺ったのは、「自由かつ公正な競争の原理」、この「自由かつ公正な」というのを削っちゃったのには意味があるでしょうと、何で削ったんですかと聞いているんですよ。そんな一般的な話をどんどんされても困るんです、今この法案で審議しているんですから。  こういう方向に改正しようというんでしょう、私は改悪だと思うけれども。なぜ削ったのか。
  97. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 自由かつ公正な競争を維持することは、日本国憲法上当然のことでございますし、問題が生ずれば当然やってまいりますので、特に法律の文言を変えたことによってそれが後退するということはございません。
  98. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 変わらないのだったらなぜ法律を変えるんですか。法律を改正するというのは、変えるからでしょう。意味があるんでしょう。
  99. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 取引の公正化の問題については十八条で書いておりましたが、「取引の適正化」という文言で二十条に入っております。ですから、考え方に変わりはありません。
  100. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 その取引の適正化問題も重大な内容を含んでおって、私、後で問題にします。  今のは私はお答えになっていないと思うんです。要するに、「自由かつ公正な」というのは、先ほど申し上げましたように独禁法を前提としているんですよ、この法律は。それにもかかわらずこれを省いたということは、独禁法の規制緩和ということがあなた方のねらいの中にあるんじゃないか、そう考えざるを得ないんですよ。変えていないと言うんだったら、じゃ、この「自由かつ公正な」という文言をちゃんとつければいいじゃないですか、戻せばいいじゃないですか。
  101. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) さっきも私お答えしたのでありますが、従来の保護規定の中に団体カルテルとかいろいろあるわけでございまして、それはもう私たちはとらないという考え方に立っているわけであります。  つまり、例えば商工組合の特殊契約制度であるとかあるいは商工組合の合理化カルテル、安定化カルテル等は今回一括廃止の方向でありますから、そういう意味では、こういう従来からの問題のある保護という形はやめていこうということであります。しかし、中小企業がしっかり市場の中で頑張っていくためのあらゆる手だて、自助努力に対して四つに取り組んでいこうという姿勢はいささかも変わっておらないということを申し上げております。
  102. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 これは余りやりとりしてもこれ以上進まないと思いますが、今言われた合理化カルテルなんか、こんなのやめさせるのは当たり前の話ですよ。そのことと、独禁法を強化してまさに中小企業にとって不利な状態を是正していくということとは別問題で、保護だとかセーフティーネットの問題とは全く違います。  それから、一つちょっとひっかかったから一言だけ言っておきますけれども、保護だ何だと言うけれども、セーフティーネットの一つでしょう。いわゆる輸入制限問題の中でセーフガードのことも言われた。このセーフガードをいわゆる中小企業の保護だとか何だとか、そういうふうな形で小さく見ているというのは私は問題だと思います。もっと日本の将来全体を見越した問題として農業問題等考えなければいけない問題だということは一つ申し上げておきたいと思うんです。  さてそこで、今の「自由かつ公正な競争」のことについては一つだけ私指摘しておきたいと思います。  これは、今度の基本法改正案のもとになっております中小企業政策審議会の中でも、このことについてはこの基本法ほどひどくはないですよ。競争条件のところでは何と言っているかといいますと、「さらに、市場機能が十分働くためには、公正な競争条件が確保されていることが前提となるが、現実の市場では不当な取引制限や不公正な取引方法が散見され、取引上で劣位にある中小企業者の利益が不当に侵害されたり、被害が十分に救済されないケースが生じ得る。」と明確にこの点では書いてあります、全体的には私はこれは賛成できませんけれども。この点では、この基本法がここからもさらに私は後退したものだということを指摘したいと思います。  これ以上これをやっても進みませんので、次に進みたいと思います。  次に、下請中小企業問題、小規模企業問題について伺いたいんですが、これも基本理念で、「独立した中小企業者の自主的な努力が助長されることを旨」とするということを改正案では明記しています。これはそれでいいんですが、ただ問題は、「独立した中小企業者」の定義がこの法律では出ておりません。  そのことで確認したいんですけれども、この「独立した中小企業者」というのは、大企業の子会社とか関連会社、こういったものを除外した中小企業、それ以外はないというふうに解していいですか。
  103. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 中小企業政策における多くの施策で大企業の子会社というのは排除されておりますことは御承知のとおりであります。  例えば、中小公庫法、商工中金法などの金融支援に関しては、個別金融機関の内規等で大企業の子会社を対象としないということにしています。また、商工組合については、中小企業の利益を考えて大企業等の加入を認めるなど、大企業の子会社の存在を明示的に排除していない場合もありますけれども、今申し上げたように大企業の子会社等を対象として、子会社等はこの中小企業の枠の中から排除するということをそれぞれの場所で明示しているわけでございます。このため、基本法上で一律に大企業の子会社を排除する規定を設けるということではなくて、個別の施策の事情に応じて適切な対応をとるということにしております。
  104. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 では、くどいようですが確認したいんですけれども、要するに大企業から経営的に自立していない、大企業にかなり寄りかかっている中小企業とかあるいは下請企業、小規模企業、こういったところは経営上自立していないということで見るということはない、こういうのもすべて自立した中小企業とみなして施策をとるんだということでいいですね。  そのことを確認して次に進みたいと思うんですが、その自立した中小企業としての下請中小企業、小規模企業者ですね、ここに自主的な努力を求めていくとなっているわけですけれども、これは当然のことです。しかし、こういった下請中小企業、小規模企業者、これが経済的社会的不利な状態に置かれていることについては、これはもう今までの議論でそれはなくなっていないということはお認めになったとおりです。そうしますと、そこでの自主的な努力には限界があるわけです。不利な構造ができ上がっているわけですから、限界があります。当然そこには独占の支配からの保護というものが必要になってくると思うんです。  特に、私は下請中小企業を問題にしたいんですけれども製造業だけで見ても五二%を下請中小企業が占めているんです。そうすると、製造業における中小企業政策というのは下請中小企業対策と言っても過言でないというぐらいの重さがあるというふうに思います。  ですから、現在は基本法に基づいて下請中小企業振興法と下請代金支払遅延等防止法といった下請二法、これに基づいて施策が進められてきたわけなんですけれども、今の現行法が国の責務としている下請取引の適正化、現行法では下請取引の適正化を第三条と第十八条できちんと義務であるということを定めております。要するに、下請対策については必要な施策を講じなければならないという形にして定めております。  ところが、先ほど大臣が答弁なさったように、下請も含めて中小企業の取引に一般化しているんですね、今度の改正案は。ということは、とりたてて下請中小企業対策、従来重視してきたものを一般的な中小企業対策という形で、取引是正という形で解消するというふうにしか見れないんですが、いかがですか。
  105. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 下請企業がその親企業から不当な扱いを受けないように、また代金等の支払いにつきましても不利な状態にならないように、下請代金法の運用によって毎年度書面調査を行っているわけでございます。そして、違反の懸念がある事業所へは立入検査等を行って、違反の事実が確認された場合には改善のための指導を行うという適正かつ厳正なやり方をしているわけでありまして、これはこれからも一層努力しなければならぬと思います。
  106. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうであるならば、法案の中で、下請中小企業に対する取引の是正と取引条件の改善とわざわざ書いてあるやつを一般化することはなかったろうと一つ思うことと、それからもう一つは、現行法が下請に対する施策、これは国の責務としておるのに対して、改正法では中小企業に関する施策を講ずるものとするという形でかなり弱めておるということについても指摘しておきたいと思います。  さて、今私が伺おうと思ったことについて大臣が先にお話しになったのですが、通産省・中小企業庁として、この下請に対する調査のやり方について伺いました。この下請対策については、中小企業庁とそれから公正取引委員会と両方でやっております。  そこで、申しわけありません、中小企業庁と公正取引委員会においでいただいたんですけれども、数字を伺っておると時間がなくなりますので私の方でちょっと申し上げていきたいというふうに思うんですけれども、昨年度の検査の実施の状態があるわけですけれども、これを見ますと、中小企業庁もそれから公正取引委員会も検査の件数というのはここ十年来ずっと横並びなんです。ほぼ横並び。それから、検査の件数も横並びだし、その検査に基づいて措置をとりますその措置件数もほぼ同じなんです。  それから、今大臣がおっしゃったように、申告も受けるけれども、こっちの側からも積極的に検査に入るんだとおっしゃった。それを見ると、いわゆる下請企業者からの申告というのはほとんどゼロなんです。これは公正取引委員会中小企業庁も同じなんです。こういった状態があるんです。  例えば数字を申し上げたいと思いますけれども公正取引委員会の調査の件数ですけれども、これはやり方中小企業庁とは違いまして、書類でもって下請と親企業から両方とって、その書類を突き合わせながら検査をするというやり方公正取引委員会がするんです。公取の場合は検査した後で問題のあるところに入るということです。それから、中小企業庁の場合は、だっとアンケートを集めまして、全然考慮しないわけじゃありませんけれども、大体経験からこの辺は問題があるぞというところへ入っていく。もう先に入っちゃうという違いがあるんです。にもかかわらず、さっき言ったように同じような結果があらわれています。  中小企業庁のことに関して言えば、検査数が大体三千弱、九一年が二千八百十二、昨年が二千五百二十七、少し減っていますけれども、それほどのあれではない。それに対して、措置をとった件数が九一年千七百五十三、昨年では千六百二十二ということで、これも大体横並びなんです。  しかも、これは中小企業庁から伺ったんだけれども、入っていって違反を見つけます。指摘すると即時改善するというやつがそのうちの九八%を占めている。つまり、親企業指摘されればすぐに改善できるようなそういう違反行為を平気で行っているということなんです。ということをあらわしていると思うんです。私はそのように思いますけれども、どう思われますか。
  107. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 親企業が万事承知の上でやっていて、言われたらすぐ変えるということについて、一体それがどこまで本当かどうかというのは私のちょっと知る由もないことですが、私どもといたしましては、親企業に対しては全社の調査を行います。それから、下請企業については抽出で行っているわけでありますが、その調査の中で問題があると考えたら立入検査等を徹底して行う、その基本的な方針で今日までやってきましたし、これからもきちっとやっていきたいと思っております。
  108. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 やっておられることについて、私もそうだと思うんです。そのことを否定しているんじゃないんです。私が言うのは、検査はずっと大体この十年来数が同じなんです。違反も大体同じ、違反している企業が大体七割、これも大体同じ。  そうしますと、十数年前、私たち日本共産党の不破委員長が、下請代金検査官をもっとふやすべきじゃないかという提案をしたんです。そのときは非常に少なかった。そのときからすると倍近くふえています。ところが、ふえただけの数は、検査もふえるし違反の摘発もふえる。そのままだから、ずっと下請検査官六十三名、公取と中小企業庁と合わせて六十三名、この時代がずっと十年以上こういう状態が続いている。  ということは、今本当に、公正取引委員会の報告の中にもあるんですが、要するに下請事業者からの下請法違反被疑事実、これについての申告は期待できないと書いてあるんです。というのは、報復されるから、すぐわかっちゃうというので、だから申告してこない。ということは、もう出かけていって検査して摘発するしかないわけです。  とするならば、今最も効果を発揮するのは下請検査官。これを一気に大幅にふやしていくということが非常に大事な時期に来ているというふうに考えますけれども大臣、いかがですか。
  109. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今、委員が御指摘されましたが、下請検査員がふえても少しも変わらないじゃないかという一方で御指摘をされながら、今度ふやせば、もっと件数が上がるというのは理論的ではないなとは思いますが、下請検査員が全力を挙げてやっておりますけれども、これからより効果的な、効率のいいやり方というのも考えていかなきゃいかぬと思うんですね。  一方では、公務員を余りふやさないという方向にあるわけでありますから、そこらの工夫というのは私は必要であろうとは思いますが、しかし現状をよく踏まえて、必要ならその数をふやせと、当省としても考えていくべきだと思います。
  110. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ふやすということをやっていただきたいんですが、ただ、私がさっき申し上げたことをちょっと誤解しておられると思うんです。検査官の数が少ないときには摘発も少なかったし検査数も少なかった。ふえたらそれに従って、検査官の数がふえた率でふえているわけですよ、検査の数も摘発の数も。ということなんです。だから、ふやしていけばそれだけの効果があるということは今までの経験からはっきりしているじゃないかということを申し上げたんで、今ふやす方向だということをお答えいただいたんで、大いに頑張っていただきたいと思うんです。  さて、時間が短くなってしまいましたけれども、もう一つ、小規模企業への配慮の問題なんです。これも現行法では前文と二十三条で、小規模企業者の生活向上、その従事者が他の企業の従事者と均衡する生活を営むことができるように配慮することが明記されております。改正案では、「小規模企業への配慮」、第八条に書いてあります。ところが、現行法の小規模企業者の生活向上、このことを削除しております。  伺いますけれども、小規模企業者の生活は他の企業の従事者と均衡するまで向上したと認識してこの削除をなさったのか。それとも、生活はそこまで向上していないけれどももうこれに配慮することはやめるということでこれを削除されたのか、どっちですか。
  111. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 生活の向上というのは、昭和三十八年のころには非常に必要な経済状況であったと思いますけれども、今日の語感等から見ましても、これは一般法で論ずべきものであるというふうに考えてこうしたものだと考えております。
  112. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 何を答えられたのか。
  113. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 済みません。  「その従事者が他の企業の従事者と均衡する生活を営むことを期することができるように」との現行基本法の規定は削除しておりますけれども、これは小規模企業対策の充実に努めるといういわばその結果として出てくるものでございます。これを目的と規定することは、市場での競争を前提にしつつ中小企業者の自主的な努力を支援するという新基本法の理念と必ずしも一致しない。  したがって、私たちは、まずその目標を掲げて、その結果において出てくるものを出てこないように努力するというふうに考えているわけであります。
  114. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ということは、この基本法に基づいて小規模企業に配慮も行ってきたけれども、その実はそう上がってはいないと、完全には。しかし生活水準は全体的に、総体的に上がっていますから、それは当たり前ですよ。しかし、それだけの実は上がっていないと。他の事業者と均衡するまでに行っていないけれども、今後はそういう形に着目するんではなしに別にやりますと、こういうお話ですね。
  115. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 新基本法で、小規模企業について第八条で、国は、「小規模企業の経営の発達及び改善に努めるとともに、金融、税制その他の事項について、小規模企業の経営の状況に応じ、必要な考慮を払う」ことを明示的に規定しております。  また、このような小規模企業に対する格段の配慮を行う理由として、新基本法第八条で、現行では規定されていない、今の法律にありません新しい「経営資源の確保が特に困難であることが多い小規模企業者の事情を踏まえ、」という点で明示的に明らかにして、現行法の趣旨の一層の明確化を図ったというふうに思っております。
  116. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ここも全く同じなんですね、何度も何度ももう嫌になるぐらい言ってきたわけですけれども。  そこまで言うんだったら、全く書いてないということでしょう。従来よりもむしろ重視するんですというふうに聞こえるんですよ。だとすれば、なぜこの重要な文言を削除したのかと。  これは小規模企業者というのが大体中小企業の八八%でしょう、大変多いんですよ。そういったところに力を入れなければならぬ。幾ら創業支援だとかベンチャーだとかいっても、それは幾ら数が多くても全中小企業の一%か二%でしょう。八八%を占めている小規模企業従事者、これをどうするかということについては、従来の基本法は明らかに、経営というよりも生業といいますか、生きていくためのかつかつの生業という、そういう認識がここにあるわけですよ。そういった小規模企業者は幾ら努力しても生業の域から脱し切れない、これはあるわけです。そういった小規模企業者に対する配慮というのは、これはもう保護策だ何だと言ってこれを縮小するというようなことは絶対あってはならないというふうに思います。  ともかく、今度の、るるできましたけれども、独立した中小企業の概念とかあるいは自由かつ公正なというものの概念とかあるいは社会的経済的な不利の是正とか、こういった非常に重要なキーワードが欠けていっているということは、幾ら説明なさっても、これが何年かたつと、この法律が施行されていくと、立法者の意志、確かにあるでしょう、しかし何年か後にはこの法律に従って読んでいくんですよ。そうするとどうしても今度、生業も欠ければ、自由かつ公正な競争もない、そういうことでしょう。不利の是正もない。こういった基本法になってしまうんだということを指摘して、私は何としてもこういった基本法を認められないということを申し上げて、終わりたいと思います。
  117. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今まで私どもが御説明いたしましたように、例えば結果において出てくるものを目的の項目に入れずにむしろ逆に正規の形で載せたりしているという、そういう作業はございますけれども委員指摘のような全く後ろ向きでないということだけは重ねて強調しておきたいと思います。
  118. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 もう反論は時間ありませんからいたしませんが、ずっとるる言ってきましたので、終わります。     ─────────────
  119. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、緒方靖夫君及び木庭健太郎君が委員辞任され、その補欠として八田ひろ子君及び沢たまき君が選任されました。     ─────────────
  120. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 社会民主党の梶原です。  大臣に、二つの要望をし、二つのことをほかに質問していきたいと思っております。時間の関係で政務次官にはお聞きする予定がありませんから、どうぞ楽にしていただきたいと思います。  要望でありますが、二十二日に本委員会参考人を呼んで参考人の御意見を承りました。その中で、既に意見も本会議等で出ておりますが、一万六千の中堅企業、中堅企業と小企業と零細事業者、この三つぐらいに区分けをして、そしてきめ細かい行政指導をやってもらいたい、やるべきではないかという意見がありました。    〔委員長退席、理事須藤良太郎君着席〕  法改正というわけにはまいりませんで、私もやっぱりそう思いますが、中小企業庁の中には小規模企業部長というのがおりますね。ですから、その下にこの三つの区分けの担当者を置くぐらいの行政の配慮があっていいんではないか。これは要望でありますが、一つ申し上げたい。ぜひ大臣、検討してください。  それから、二番目の要望事項ですが、何といっても、この前、総理が来たときに申し上げましたが、最強最大中小企業対策というのは内需拡大、景気対策ですね。これなくして何をやってもこれはそう簡単にはいかない。ですから、これをきめ細かくやってもらいたいんですが、特に八百業種が関連しております住宅、これについては、税制やいろいろ新しい景気対策をやったことを、これを景気が今のような混沌としている状況の中で後退させないように、経済対策の直接の大臣でありますから、そのことをもう少し働きかけていただきたいと思います。  それから、通産省とすれば、通産省の中で今景気対策をやるとすれば一体何があるのかというのをもう一回洗い直して、この不況の中で後世にいい資産を残す、それを今通産省はこういう部面をやったんだというものをもう一回洗い直していただきたい。  この二つのことを要望したいと思います。答弁、何かありますか。
  121. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 梶原委員の御指摘の中に極めて重要な意味があると思っております。  住宅に関してもそうでありますが、経済を再生させるためにGDPの五%という大きな影響のある住宅建設は非常に重要でありまして、そういう意味では、住宅金融公庫等を駆使して少しでも建設件数をふやすように努力をいたしております。また、中小企業活性化というもろもろの施策を行うことによって、中小企業が景気の回復のための重要な役割を担っていただけるように一層努力していく必要があると思っております。
  122. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それでは、本法に関する質問をいたしますが、新基本法第十五条、中小企業の経営資源の確保の分野が特に重要と思う。政府は、この点に関して中小企業のソフト支援体制の整備という形で取り組みを始められたと聞いております。具体的な取り組み内容も聞きたいわけであります。  とりわけ、私はこれからの新しい中小企業対策に対して興味を持ったのは、三百カ所の地方の支援拠点センターをつくるということ。これはなかなかイメージがわかないんですけれども、国にはナショナル支援センターがあり、都道府県ごとの支援拠点があり、そして広域市町村圏の拠点を三百カ所につくる。これは一体どういうことに具体的になっていくのだろうかというのがなかなか想像できないんです。  もう一度、国と県と三百カ所の関係について、大臣がわいているイメージというものをお聞かせ願いたいと思います。
  123. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 例えば創業ベンチャー支援体制の整備を考えた場合に、まず国のナショナルセンターでは資金面の支援から技術開発、人材、データベースの設置等々の対応をいたしまして、また、民間ではベンチャーファンドなどの投資などを促進していくということをやります。都道府県の支援拠点では、技術開発あるいは人材支援、あるいはそれに伴う助成、助言ということであります。それから、全国に三百つくると考えております支援センターというのは、もっと身近なまさに小規模企業中心とした御相談事をここで受け付ける。  その場合に、例えば情報提供については、まさに今の三つの拠点を情報ネットワークで結んで、一部は専用回線で結んでいくオープンネットワークなんかも活用いたしまして、そこで一体化を図って情報の提供が速やかにかつ正確に行えるようにしていこうということでございます。  とりあえずは、三百のセンターのうち、来年度百のセンターを設置して進んでいこうというふうに思っております。
  124. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いずれも三段階の中で共通しているのは、技術の支援とかあるいは情報の提供とかあるいは人材の支援とかいうことは共通しているんですけれども、それは私、いろいろの経験があるんですが、松下幸之助さんとかあるいはソニーとか本田宗一郎さんとか京セラの稲盛さんとか、いろんな人がおりますね。地方は地方でとにかく経営のうまい人がいるんです。何というのか、県庁上がりとかあるいは役所上がりとかいう人が何々協会の会長でありますとかいっぱいおりまして、そういう人が、また雇われ重役の方もいろいろな経営をやっております。いろいろ新しいことをやるがなかなかうまくいかない。しかし、私が知っている人の何人かは、その人が行ったらもうつぶれる会社も立ち直っていくんですね。そういう人が全国にいっぱいいると思うんです。    〔理事須藤良太郎君退席、委員長着席〕  だから、私は、情報を提供したり技術開発したり、そういういろんなことはいいんだけれども、一番大事な診断というか、こういうように持っていったらいいんじゃないか、こういう努力をせいという、そういう本当の助言をする人を得ればこれは成功していくと思うんです。それが、サラリーマン上がりかなんかがそこにおって、囲碁でも将棋でも横から見ていまして下手なくせに横からいろいろ言うのと一緒で、だれもやっぱり一通りのことは言い切るわけですね。しかし、それは本当に力のある人あるいは先見性のある人、苦労した力のある人にやっぱり出会わないと、これはなかなか相談しても相談が結果的には悪い方向に行くような気がしてならぬ。  だから、これはどういうように県段階でそういうような人を持つというのか、三百カ所の中にそういう人を用意するというのか、どうもここのところが私はポイントになると思うんです。
  125. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) さっき申し上げましたが、その前に細田総括政務次官が午前中のときに三つのセンターについて比較的わかりいい感じで申し上げたことをもう一回繰り返しますと、例えばナショナルセンターでは株式公開まで視野に入れたようなこれから伸びていく企業、ここいらを中心に考えていく、それから都道府県支援センターでは地域で独自の強みを発揮する企業を考えていく、それからいわゆる三百の支援センターは小規模企業中心とした創業とか経営革新を目指す方々の相談の窓口を特に重視していく。これらの三つの拠点を、先ほど申したようにオンラインで、あるいは独自の回線で結んで、特に情報とかあるいは相談事に対応できるようなそういう形を持っていこうと。単に、そこに机を置いて人が何人か並んでいるということだけではないんだという新しい発想に立っています。  それからもう一つ、ただいまの御指摘で大変大事だと思いますのは、こういうセンターの機関、対応する人たちが、従来からありました団体のそのまた延長のような形でいるということは必ずしも正しいことではない。これらについても、もちろん当然のことでありますが、手を挙げていただいて工夫をしていただいた中からそれぞれの都道府県が選んでいくわけでありますけれども、単なる旧来からの身近な拠点である機関がそのまま委任するという形では必ずしもうまくいかないのではないかというふうに考えます。  同時に、最後に御指摘がありました民間の専門家を積極的に活用する、これは大変大事なことでございまして、まさにこのセンターにおいてそういう人材を得られるかどうかということが非常に大きな勝負になってくるだろうと私は思います。今リストラ等で力がありながら職を持たない人たちも含め、かなりの専門家がおられるわけでありまして、こういう人たちの中から積極的に都道府県が採用していくということになれば、私は両面からプラスになっていくのではないだろうかなと考えます。
  126. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は強くなったときの宮本武蔵に余り興味ないんです。やっぱり宮本武蔵が強くなる過程、苦労している過程に小説を読んでも非常に引かれるわけです。松下幸之助さんも奥さんと二人でソケットを畳の上でつくったり、あるいは本田宗一郎さんが苦労したり、そういう本当に苦労した、あるいは自立して戦ってきた人というのは全国にたくさんいると思うんです。  そういう人の失敗した例、あるいは成功した人のそういうものをもう少し通産省は整理をして、そういう偉くなる前の苦労した話を新しい、経営をしようかという人にずっと読めるようにしてあげて、情報を提供してやって、そして、本当に苦しいけれどもやりようによればこれは成功するかもしれないという覚悟の上でこれは勝負にかからないと、何か甘い判断で新しい会社をつくれつくれとつくらせて、恐らく百つくったら一つ残るかどうかぐらいでしょう。だから、それをもっとスタートの段階から厳しく立ち上がらせないと私はいけないんじゃないか。そこのところの配慮がずしんと通産省、行政の方からの配慮が伝わってこないというのが非常に残念に思うところであります。  ちょっとお尋ねしますが、国と地方自治体に三百カ所の支援センターをつくるのに二分の一ずつぐらい助成をするというような話でありますが、そういうことでいいんでしょうか。総枠等兼ねて。
  127. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) とりあえず十一年度の補正予算案に関しましては全額国で持とうと考えております。そして、来年につきましては、国と地方が協力してやっていくという観点から、予算については半々を考えておりますが、これはこれからの地方との協議等も含めていずれきちっとした答えを出していこうと思います。
  128. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 商工会議所とか商工会には国の助成で人を派遣しておりますが、そういうことの延長でこれを考えるのじゃなくて、本当に新たな幅広い観点から真剣に取り組む、これはこれからの中小企業対策一つ、新しいベンチャー成功させるかどうかというかぎになると思うんです。ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、エネルギーの問題でありますが、私はなぜあえてこの場で申し上げるかというと、通産省で今できる、この不況のときにやれる景気対策が幾つかあるうちの、風力や太陽光発電、予算をかけて、そして通産省挙げて旗を振れるというのは、大義名分からいってもこれは環境あるいはエネルギー。そういう観点からいっても今が時期だと思うんです。そういう点では、今やっておるが、さらにこれは倍あるいは三倍、倍々で対応していった方がいい。  なぜなら、私は国会に来てもう十七年になりますが、当初は石油資源というのは六十年だと、こう言われておりました。今は計算上は四十一年か四十二年。いや、まだなくならぬと言う人はおると思うんですけれども、私は世界を回りながら、東南アジアも回り、ヨーロッパ、ずっと各地を回ってみて、あの石油の消費状況から見たら有限の化石燃料というのは限界がある、石油には限界がある、これは近い将来にエネルギー危機が襲ってくるということが絶えず頭に浮かんできてしようがないんです。  そこで、日本は一体何をするか、石油のない国で。私は、だからそこで原子力原子力ということだけじゃなくて、前から言っておりますクリーンエネルギーを、この不況のときに日本政府は国を挙げて風力も太陽光もこんなに普及させた、世界にも貢献し子孫にもいいものを残した、こう言われるように取り組んでいただきたいので用意をさせたわけであります。  今、お手元に届いておると思いますが、「諸外国における新エネルギーの導入動向」ということで、太陽光発電と風力発電の導入の表を出させていただきました。  確かに、太陽光発電については米国の次に日本が九万一千キロワットで二番でありますが、日本は二〇一〇年までに政府が目標にしているのは五百万キロワットでありますから、それからしますと本当に微々たるもので、二〇一〇年に五百万キロワットに太陽光を持っていくには相当ペースを上げていかなきゃならない。これが一つ。この点についてどうお考えなのか。  それから、風力発電についてはとにかくドイツが進んでおります。ドイツ、デンマーク、そういうところもありますが、ずっとこの表を見ていただきますと、例えば中国においてさえ日本の約十倍、そういう状況であります。これについてもこういう状況で、もっとこれはペースを上げる必要がある、このように思うんですが、その二点についていかがでしょうか。
  129. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 梶原委員の御指摘のように、新エネルギー開発というのは大変重要なことだというふうに考えています。  太陽光の発電、風力発電など、これからの新エネルギー開発には、国も平成九年五月に閣議決定した経済構造の変革と創造のための行動計画において、今後成長が期待される産業の新規な分野一つとして位置づけているわけでございます。  ただ、現時点では、まだ既存のエネルギーに比べてコストが非常に高いであるとか、あるいは太陽光や風力について申しますと、気象条件にどうしても左右されるために出力が不安定であるといったような課題もございます。  そこで、こういう課題の解決を図るために、新エネルギー関係予算として、お話しのようにこれからふやしていかなければならぬというので、かなり従前から比べるとふやしてまいりました。すなわち、平成七年度においては四百三十億円でありましたのが、十一年度においては八百七十五億円、五年間で約二倍の拡充を図ってまいりました。平成十二年度の概算要求でも、前年度と比較いたしますと三十九億円増の九百十四億円を要求して、私どもとしては施策の強化を図っていきたいというふうに思っています。  いずれにしても、今後、引き続いて新エネルギー開発、導入にはできる限りの努力をしなければならぬと考えております。
  130. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 太陽光につきましては確かに予算がふえております。それから、風力の関係も少しふえておりますが、通産省の予算というのは何百億と億単位なんだね、しかし補正、公共事業とかなんとかいうと、実際に出ていくのは兆の単位ですね。  だから、私も長いこと商工委員やこの委員会におりまして、確かに通産省は宣伝はいいんです、うまい。あの二十兆の信用保証枠の拡大も、流れる真水は二千億なんです。十兆ふやした場合は一千億なんです。それで二十兆と言うから、みんな国民はおお二十兆も本当に出るのかと。本当に出るのは出るけれども、実際に国が一般会計から持ち出す真水は二千億なんですね、二十兆の。  これは、太陽光や風力に関しては確かにふえておるんですけれども、太陽光発電をやった場合は三分の一が国の補助、助成、あと三分の二は民間やあるいは個人が出すわけですから大きな事業になるわけですね、それでやった事業範囲というのは三倍に膨らむわけですから。そうしますと、数が出ますと設置費のコストも安くなりますから一挙両得でありまして、ぜひ太陽光についても、兆までいかなくても、思い切って発想を変えていただきたい。なかなか納得いきそうな顔ではないですが、それはそれでひとつ。  それで、風力発電の場合に、私、この前大変ショックだった。十月二十九日の新聞の「主張・解説」という欄で、「北海道電力、買い取り枠に上限」、「風力発電急伸に逆風」、「コスト低下、原発と競う」、こういうことで、もう本当に日本の風力発電というのはグラフにしてもマイナーで、先ほどの表にしてもですね。それで、北海道電力が電力の質がどうやこうや、採算がどうやこうや言っている。これは日本だけじゃないんです。先進諸国はほとんどもうそういう問題と直面しているんです。だから、全国の電力会社に余り言いたいことを言わせぬで、こういうエネルギーは何とか使えるような指導をしてもらって対応していただきたい。そういう対応を要請したいと思うんですが、いかがでございますか。
  131. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 新エネルギー開発に関して力を入れろ、もっと思い切って予算をふやせというのでありますが、通産省としては積極的に十二年度予算も要求しております。一挙にというのはなかなか容易ではありませんが、少なくともその考えに立って努力していきたいと思います。  なお、通産省は宣伝がうまいというお話でございましたが、私は、大臣になりましてから、役人の諸君に、宣伝が悪過ぎる、せっかくやっていることをもっと国民に正しく理解してもらうように頑張れと、こうハッパをかけているくらいでございます。  先ほどの二十兆、今度十兆円積み増しますけれども、二十兆の場合のリスクの分で二千億円真水だとおっしゃいましたが、現実に貸し出すのは二十兆でございますから、そういう意味では極めて効果的で、この点に関しては褒めていただいてもいいのではないかと思っております。
  132. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 終わります。
  133. 菅川健二

    ○菅川健二君 審議も大詰めを迎えまして、あとしばらくでございますが、よろしくお願いいたしたいと思います。  私、本委員会の審議に先立ちまして、地元の商工会議所とかあるいは商工会連合会、中小企業団体中央会とか、あるいは県や県の外郭団体でございます信用保証協会、産業振興公社等、各般の団体等から要望を聞いてまいったわけでございます。  主な要望としましては、既にかなりの部分が出ておるわけでございますが、中小企業予算の満額確保とか、それから事業承継税制の拡充等の税制改革、それから貸し渋り等の金融対策、新規創業の支援、町づくり対策等々各般にわたっておるわけでございます。既に論議が進んでおるものもかなりございますので、若干の懸案事項について質問いたしたいと思います。  通産大臣、お疲れでございますから若干御休憩いただきまして、自治省の政務次官の方に御質問をいたしたいと思います。  これからの中小企業政策というのは、先般来議論にございますように、従来の国が画一的に保護政策中心にしてやっておったのが、むしろこれからは中小企業の自助努力を支援するということからしますと、国と地方が車の両輪になって中小企業政策を進めるんだと。そういう面からしますと、地方団体の役割は非常に大きなものになるわけでございます。  現場でいろいろ聞いてみますと、現状におきますいろいろの中小企業予算におきましても、例えば小規模事業の補助事業、これは商工会等に出す事業でございますが、必ず大体地方負担が伴うわけでございまして、その負担すら十分確保されていないというような地方財政の緊迫した状況も伝わってくるわけでございます。  これから地方財政の役割と地方団体の役割が非常に重要になってくるということになりますと、それに伴います財政措置ということも大変重要であろうかと思うわけでございます。自治省の立場から、新たな中小企業基本法におきまして地方団体の責務というものが新たに加えられたわけでございます。それに対応する財政措置についてどうお考えか、お聞きいたしたいと思います。
  134. 橘康太郎

    政務次官(橘康太郎君) お答え申し上げます。  先生のおっしゃられておるとおりでございまして、今回の新中小企業基本法によりますれば、「地方公共団体は、基本理念にのつとり、中小企業に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」、こう新しく書き込んだわけでございまして、先生のおっしゃいますとおり、地方においては当然責任を持って中小企業に対応するということを法制化したわけでございまして、おっしゃるとおりやらなければならないと考えておるところでございます。  そこで、先生は今まで余り対応しなかったんではないかというふうなことでございますけれども、私どもの調べによりますと、参考までに申し上げますと、平成十一年度当初予算ベースにおきまして、全国で約百八十億円というものをこの対策費として充てて各地方団体に回しておるわけでございまして、例えば広島県で申し上げると、総額で約一億六千万円、うち広島県分が八千二百万円、広島県負担額が約八千二百万円、こういうことで対応をさせていただいておるところでございます。  そこで、先生おっしゃいましたように、このような法律が出てまいりましたので、自治省といたしましても、本改正案の趣旨が生かされるよう、今後とも関係省庁や地方公共団体の御意見などを十分に踏まえまして、地方団体の自主性が尊重され、創意工夫が発揮され、しかも実態に見合ったような適切な地方財政措置を行ってまいりたい、このように考えておるところでございます。  よろしくお願い申し上げます。
  135. 菅川健二

    ○菅川健二君 その場合に、これまでもいろいろ国と地方の財政の中で財政措置がされてきたわけでございますが、大半が起債による措置ということでございまして、やはりこれからの地方財政というものを力強くするためには独自の税財源措置というのが欠かせないと思うわけでございます。  ただ、心配になりますのは、法人事業税への外形標準課税の問題でございます。これは長年にわたる地方財政安定化の一つ考え方として唱えられてきたわけでございますが、御案内のように、中小企業の現状というものは今赤字企業が七割近くにも及んでおる。それから大変全般的に厳しい経営状況になっておるわけでございますので、新たな制度を設けるのにしては余りにも時期が悪過ぎるということで、この点につきましては時期尚早と考えるわけでございますが、自治省のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  136. 橘康太郎

    政務次官(橘康太郎君) 先生おっしゃいますとおり、地方財源が悪化しておりますことは、これはもう非常にはっきりしておるところでございまして、そのために、独自の財源といたしまして法人事業税の外形標準課税の導入など考えられておるところでございますけれども、先生おっしゃいますとおり、現在の我が国経済状況は大変悪いところにございます。赤字企業に対しまして、もうかっていようがもうかってなかろうが、赤字であろうが、こういう税金を課すということにつきましては、いろいろと問題点指摘されておるところでございまして、ついせんだっての政府税調におきましても、小委員会におきましてそのようなことが申し入れられておるところでございます。  この事業税の外形標準課税の導入ということにつきましては、今後、政府税調におきましてどのようにあるべきかということを慎重に御討議賜りまして、できるだけ地方財政がやっていけるようにしなければならないのが我々の務めでございます。早く景気をよくして、そしてその実施できる段階が一日も早からんことを、我々は経済活性化、つまり今度の中小企業法案によって二十兆円も金をかけて、そして経済を上向きにしていこうというこの努力を実らせて、そして一日も早い外形課税の実施というものが税調の方から指示が出されるように私ども期待したい、こう考えておるところでございます。  よろしくお願い申し上げます。
  137. 菅川健二

    ○菅川健二君 願わくば、中小企業の対策予算よりも中小企業から上がる税金の方がずっと余計上がってくる、それが地方財政を潤し、またそれが中小企業対策に還元していく、そういう好循環が早く来ることを念願いたしたいと思います。  自治次官、どうもありがとうございました。  次に、中小企業の経営を圧迫しております要因の一つに、政府系金融機関が既往の貸し出しをやっておる中で、大変な高金利のものがたくさん残っておるわけでございます。例えば、中小企業金融公庫の融資残高で見ますと、なお八%台という利率のものもあるわけでございまして、またこれを三%以上というものに限りますと、約七割が三%以上の高金利になっておるわけでございます。  現在、御案内のように、貸付利率が年五%を超えるものについては臨時的に一年ごとにずりずり特別の対策が講ぜられておるわけでございますが、制度的にそういったものをきちっと一律的に対応していただくということも重要でございますが、個別具体にわたりまして、やはり経営状況の判断によりましては、倒産させるよりもむしろ何とか生きさせる方がそれなりの資金も償還できるという状況もあるわけでございますので、ケース・バイ・ケースに金利減免措置をとるべきではないかと思うわけでございますが、これらについての実情及び対策につきまして通産大臣にお聞きいたしたいと思います。
  138. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 金利が高いときに契約を行って、後にそれを払い続けている場合に、五%を超えるというのはいかにも中小企業の経営を圧迫するのではないかというので、平成七年の十月に、向こう十年間に限り五%以上を軽減いたします、こういうことにいたしたわけであります。当時、私どもも自由民主党の一議員としてこの運動に奔走した記憶がございます。  しかし、当時から言われていることは、高い金利の時代に契約を設定して支払っていくという場合に、後に金利が安くなったから下げろというのは理屈に合わない、逆の場合にはどうするんだという、そういういろんな意見がありました。したがいまして、私どもとしては五%というのが一つの限界点かなというふうに考えてまいりました。  ただ、一年経過した後に、さらに延長してくれという声がございましたので、これは大勢の皆様の運動も功をあらわしまして、結局五年間、今日も続いてきているということであります。その間にその金利を減免した分の費用はどのぐらい出たかというと、千百九十二億円という巨額なものに達しているわけでございます。  こういうような状態を考えますと、五%以下に、さらに個々によって決めるということはなかなかできないことではないかというふうに私は思います。ただ、中小企業の実情に応じて、元本の返済を猶予するとかそういう対応というのは弾力的にやれということで指導しているところでございます。
  139. 菅川健二

    ○菅川健二君 ぜひ弾力的な対応をお願いいたしたいと思います。  中小企業公庫のみならず、他の、例えば住宅金融公庫とか政策投資銀行とか、いろいろなところにおきまして、金利が八%で大変高いのに苦しんでおるんだというような声を随所で聞くわけでございます。  そこで、私もいろいろ調べてみたんですが、財投対象の政府系金融機関、これは利差の補給をするところと、そうでない政策投資銀行のように自己回転するようなところもあるようでございますが、いろいろ種類によって違うようでございますが、例えば住宅金融公庫等におきます事業用資産、例えば一階が商店で二階以上にマンションをつくって賃貸をしておるようなところもあるわけでございますが、そういったところにおきまして、やはりかなり住宅金融公庫から高い金利で金を借りておる。ところが、御案内のように、今賃貸料自身がもう非常に激減してきておる、安くなってきておる。逆に、既往の金利が高い金利でもって経営を圧迫して破産状況になっておるというような悲惨な例も聞くわけでございます。  そこで、大蔵次官にお聞きいたしたいわけでございますが、財投対象の政府系金融機関につきまして、ある程度の一定の方針のもとに高金利のものについては特別の対策を講ずるとか、あるいは繰り上げ償還を弾力的に認めるとか、そういったことについて一定の方向性を持つべきではないかと思うわけでございますが、この点についていかがでしょうか。
  140. 林芳正

    政務次官(林芳正君) お答えを申し上げます。  今、菅川委員から、住宅金融公庫を例にとられましていろんなお話があったわけでございますが、一般論は先ほど通産大臣からも御答弁があったとおりでございますが、金利を決めたときに、それから金利が上がるか下がるか、こういう両方の場合を想定してこれをやっておる。特に、財投対象の金融機関の場合は、長期固定ということで安定的な資金の供給を受けるということを事業者側はメリットを享受しておるということが前提にあるというふうに考えておりまして、そういう意味では、特に中小企業を取り巻く大変に厳しい経営環境を踏まえますと、例えば政府系金融機関の方も金融機関でございますから、資産内容が悪化したり財務の健全性に影響が出ないということを条件にして、任意繰り上げ償還という制度をやったり金利の減免措置を講じてきているところでございます。これは委員の御承知のとおりであります。  その中で、この対象となっている今お問い合わせのあった件でございますが、国民公庫、中小公庫、商工中金、農林公庫といったところで、また今般の新生対策においてこれを延長したところでございますが、これはいずれも中小企業の大変に厳しい状況にかんがみてというところでございまして、そういった意味では、大企業たる親会社の資本系列にあるとか、それから中小公庫の貸付限度を超える場合に、例えば開銀が社会資本整備等の政策目的に対応して特別な融資制度をやった場合、こういう場合には、例えば旧開銀なんかも中小企業に貸しておったわけでございますが、政策目的が異なっておりますので、制度として一般的にやっていくというのは現段階では適当でないと考えております。  ただ、一般論で、個別でやられるのは、これは金融機関と債務者の関係でございますからそこまで否定するものではないということを申し添えさせていただきたいと思います。
  141. 菅川健二

    ○菅川健二君 いろいろケース・バイ・ケースということはわかるわけでございますが、しかしながら、中小企業対策として、中小企業そのもののそれを目的とした公庫で融資しておる場合と、そうでない同じような、同業に類するものだけれども別の公庫を利用しておるために必ずしもそれの恩典を受けないとか、そういった類似の制度とのバランスということが十分考えられてしかるべきだと思うわけでございますので、大蔵省の方でその辺、十分政策としての整合性を持つように、また高金利全体について、大変経営を圧迫しておるという実態がございますので、これにつきまして再検討をお願いいたしたいと思うわけでございます。  それから、一昨日も金融審議会等で議論になったようでございますけれども、ペイオフ解禁に伴います金融不安を解消するためのセーフティーネットがどうしても必要になるわけでございます。その際、やはり決済性の預金の保護がどうしても必要であるということが特に中小企業等で言われておるわけでございます。これに対する考え方。また、地方公共団体におきます公的資金について、これは税金でございますので、これがやはり毀損されるということは大変なことでございますので、これについてもやはりきちっと保護すべきではないかという意見が強いわけでございます。  こういった点、これからいろいろ議論は進められるんだろうと思うわけでございますが、現状と見通しにつきまして御意見をいただきたいと思います。
  142. 林芳正

    政務次官(林芳正君) お答えを申し上げます。  ペイオフを解禁することに伴いましてセーフティーネットを整備しなきゃいかぬ、その中で、今先生から、これは財政・金融委員会でも何度も議論してきたところだと思いますけれども、公金について、それから決済性預金について大変重要な論点について御提起がございました。  まず、決済性預金の方でございますが、これはもう言うまでもなく、こちらの払い戻しが停止されたり、また一部がカットされますと大変に企業や個人の決済に大きな影響を与えるということで、特例措置終了後の預金保険制度のあり方を検討するに当たって大変に大きな論点、課題であるというふうに我々も認識して取り組んでおるところでございまして、今御指摘あったように金融審議会で論議を進めております。  その中の御議論の一端を御紹介いたしますと、企業や個人の決済の問題が生じないように流動性預金を全額保護してはどうかという御意見が一方でございます。またその一方で、これをやりますと今度はモラルハザードがかなり増大し、またほかの預金とどうやって線を引くのか、これは決済性の預金ですといってそちらへどんどん預金がシフトするようなことはないのか、それから決済の問題はそもそも破綻処理の迅速化をしたり、それから民間による多様な決済のサービスを導入して、これは例えばアメリカでは、その日の営業日が終わりますと預金の方から投資信託へお金を全部移して投資信託の形で持っておるとこの破綻から除外される、こんなような商品もあるようでございますが、そういう商品を開発して提供することによってこれは防ぐべきではないかというような意見、さまざまな意見があるところでございます。  また、今お話のありました地方公共団体の方の預金につきましては、預金者が一般の少額の預金者ではない地方公共団体でございまして、一千万円まで保護しても実質的に余り意味がないのではないかという意見もございまして、今預金保険の対象にはなっておりませんが、これも企業と横並びで考えますと、預金保険としての取り扱いには差を設ける必要はないんではないかと。また、先ほど申し上げました流動性の預金の方に何らかの対応を行う場合には、これは地方自治体としても歳入の管理等に実質的なメリットが出てくるではないか、そういう意味で付保対象としてもよいのではないかと、こういうような議論がされておるところでございます。  いずれにしても、先生御指摘のように、今から金融審議会において、基本的考え方は既に出しておりますので、パブリックコメント等寄せられておりますから、最終答申に向けましてさらに議論を詰めまして、今御指摘のあった流動性預金の問題も含めまして、年内に結論を出すべく今鋭意検討しているところでございます。
  143. 菅川健二

    ○菅川健二君 二〇〇一年の四月というのは余りにも直前に迫っておるわけでございまして、それまでの間に金融不安がなくなるというような、金融体質を強化するということは非常に至難のわざの面もあるわけでございます。したがいまして、一応解禁は解禁するけれども、激変緩和的に数年間はある程度の、今申し上げた決済性資金あるいは公金については確実に保護するよと、そういった激変緩和的な考え方というのも一つじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  144. 林芳正

    政務次官(林芳正君) お答え申し上げます。  委員のお時間を余り食ってはと思いましてちょっと省きましたけれども、その点につきましても、いろんな条件をどういう条件にしてやるのか、委員の御指摘がありましたように、何年間か区切ってという議論も当然金融審議会の中で出ておりました。それ等も含めまして結論を出していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  145. 菅川健二

    ○菅川健二君 最後に、釈迦に説法でございますけれども通産大臣並びに通産省の関係者に若干申し上げたいと思うわけでございます。  午前中も寺崎理事さんの方からも話がございましたように、私も十数年前、二十年近く前になりますけれども、県で商工行政を三年余り担当しておりました。テクノポリスのちょうど指定の時期でございます。  その後、いろいろ側面から通産省のいわゆる地域経済対策、中小企業対策というものを見させていただきますと、余りにも猫の目のようにくるくる変わるわけですね。どうも通産省の課長さん方は大変勉強家、熱心で、課長が二年でかわるごとにその政策も変わってくるということで、地方団体は、二年たってやっと定着しようかなといったらもう次の政策に移ってくるということで、非常に戸惑いが出てくるわけでございます。  そういった中で、一貫した政策をきちっと打っていただくということと、やはり政策を打つ場合に、地域の、都道府県なり市町村なり実際の実施主体の意見あるいは商工関係団体の意見というものを十分吸い上げた上で、その地域に合ったような政策をぜひ有効に打っていただきたいと思うわけでございますが、最後に通産大臣の決意のほどをお聞きしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  146. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 菅川委員の御自身の経験を踏まえてのお話でありますから、ただいまのことは重く受けとめなければならないと思っておりますが、今日の段階では、通産省も挙げて中小企業問題には一貫した対応で臨むべきだということで、心を一つにして努力をいたす決意で、さまざまな改正を行おうとしているわけであります。そして、その際は、地方並びに関係団体の意向をよく伺った上で政策を展開していくということも大事だと思っておりまして、心得て臨みたいと思います。
  147. 菅川健二

    ○菅川健二君 どうもありがとうございました。
  148. 石井一二

    石井一二君 ラストバッターの二院クラブ・自由連合の石井一二でございます。大臣初め次官には大変お疲れと思いますが、ひとつ最後までよろしくお願いをいたします。  本委員会は本来三時十分に終わる予定で、今約十五分おくれておりますが、私は十分程度で質問を終えたいと思いますので、簡略な御答弁をお願いいたしたいと思います。  我々がここで質問する場合に、いい意見やまた提案が出た場合に、大臣が閣議でそれを発言してどんどんそれを取り上げていただく、あるいは少なくとも省議でそういったことについて論じていただく、ただ単に時間が消化できた、やれやれでは困ると思うわけであります。  そういった意味で、私が以前に外務政務次官環境政務次官をやっておりましたときに、同僚の大蔵政務次官が、我々は省議に出席できないのだ、制度上そうなっておるのだということを聞いたことがありますが、きょうは大蔵省を代表して林次官がお越しでございますが、昨今は政務次官は省議に出れるんですか、どうなっておりますか。
  149. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 先輩にお答えしたいと思いますが、私はこの十月五日から大蔵省に来ましたけれども、これまでにはまだ省議はないようでございますが、省議がある場合には出席をするというふうになっておるようでございまして、大分先輩の御努力のおかげで状況がよくなったというふうに考えておるところでございます。
  150. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 通産省の場合は毎月出ておりますから、御報告いたします。
  151. 石井一二

    石井一二君 聞く必要はありません、そんなことはわかっているんだから。聞いていないんだから。  安心しましたが、実際省議があったんだけれども通知を受けていなかったんではないかということも御確認を願いたいと思います。  さて、新聞等を見ておりますと、昨今、消費税の滞納ということが大きく取り上げられております。例えば、現在で七千二百四十九億円あるということで、国税庁は会計検査院よりおしかりを受けている、こういうことでございます。  先般、毎日新聞で、この滞納を防止するためにいい方法があるぞという社説が出ておりましたが、読んでみますと、東京都の場合には消費税の納税証明書をつけるんだというようなことでございましたが、国や都道府県に納入する資格のある業者なんというのは中小企業のごく一部で、私はこれは決め球になるとは思わない。大多数の中小企業者というものは消費税を運転資金に使っちゃっておるという苦しい実態があるように考えるわけでございまして、今後、こういった問題、税収を上げなければならないけれども、なおかつ中小企業の立場というものも考えて対処していただきたいと思うわけであります。  そこで、先般、十月八日の細田次官の記者会見ということが出ておりましたが、特別信用保証制度に関して、さらに三、四兆円これをふやしてやるんだというような見解を述べておられる。現実に二十兆円に及ぶこの制度が及ぼした中小企業救済効果というものは極めて高い、私はそのように考えておるわけでございます。  そこで、私は一つ提案をいたしたいわけでありますが、納税の滞納者、これに対しては二カ月までは七・三%、それを超えると延滞税として一四・六%という高いペナルティーをつけておるわけでございまして、これは払えない者がより苦しい立場になるという状態にあろうと思います。もしこれを、もちろん当事者から要望があれば、特別枠の融資対象としてお金を延滞分貸してあげて、その分を直接国税庁に納付してもらう。信用保証協会の保証のついた貸付金ですから極めてリスクも低いわけでございますので、あと、分納という格好で各企業努力をして返済してもらう。こういった国税庁、言うならば大蔵省と通産省の間で、もちろん信用保証協会関連ですから都道府県も含めて、連帯性を持った一つの決断というものがなされる可能性がないかどうかということを考えておるわけでありますが、これについて、通産大臣、お待ちかねでございましょうが、もし御所見があればひとつ承りたいと思います。細田次官でも結構でございます。
  152. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 先ほど、私が三、四兆円と申したという記事が載っていたということですが、これは年度内そのぐらいは必要だということで、御承知のように、全体で来年度にわたって総枠三十兆ということにしましたので、その点、申し添えさせていただきます。  今の滞納その他の問題は、今の規定上はちょっとまだ無理でございますが、大蔵省等ともよく相談をしてまいりたいと思います。貴重な御意見だと思います。
  153. 石井一二

    石井一二君 私、極めて不勉強ですが、今の規定というのはどの規定のどこを指されておっしゃっていますか。そういう規定はないと思いますよ。
  154. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 何か通達らしいんですが、事業資金というふうに書いてあって、そういうものは直接の事業に対する資金としては今までは読んでいないという運用だそうでございます。
  155. 石井一二

    石井一二君 私が先ほど申し上げたように、滞納分は運転資金として使っておると。すなわちそれは事業資金の前使いだと、そういう解釈があろうかと思いますので、ひとつ御一考を願いたいと思います。  以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  156. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  157. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、中小企業基本法等の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。  本改正案は、現行法を全面的抜本的に変えるものであり、二十一世紀日本経済方向を左右する中小企業政策のあり方をめぐる極めて重要な問題であります。にもかかわらず、我が党が再三要求した全国、地方の公聴会も開かれず、十分な審議もなされませんでした。全国の中小企業団体、中小企業者が期待した中小企業国会にはほど遠い審議のあり方はまことに遺憾であります。  本改正案に反対する第一の理由は、現行基本法が曲がりなりにも掲げてきた大企業中小企業格差是正中小企業経済的社会的制約による不利を是正するなど、積極的な理念の規定を削除しているからであります。  また、中小企業庁設置法が掲げている独占資本、大企業に対する対抗力としての中小企業の育成発展という視点を欠落させていることも重大です。  第二の反対理由は、ベンチャー企業や一部優良企業に支援を重点化し、中小企業全体の底上げをやめ、大多数の既存中小企業、零細企業を切り捨てることになるからであります。  そのことは、堺屋経済企画庁長官が非効率、非能率な企業は保護しない、中小企業の中から強者を育てると繰り返し発言していることでも明らかであります。また、現行基本法にあった事業活動の不利の是正策である過当競争の防止、事業活動の機会の適正確保、輸出振興や需要の増進、輸入制限などの条文や文言が削除されていることからも明白であります。  第三に、国と地方自治体の役割分担との方針で、必要十分な財政的手当てや体制のないまま小規模企業対策などの仕事を地方自治体に押しつけ、国の責任を放棄するものだからであります。既に、自助努力と受益者負担の名で懸命の努力を続ける産地や地域中小企業に対する予算や支援策を縮小していることにもあらわれています。  第四は、予算の手当てもないまま中小企業者の範囲を拡大しているため、既存の中小企業が支援の対象から除外されたり、既存施策が一層希薄になるおそれがあるからであります。  最後に、我が党は、日本経済の主役である中小企業にふさわしく本格的な対策を強化するため、一つ中小企業予算を抜本的に増額する、二つ、中小企業の経営に直接役立つ支援を行う、三つ、大企業、大銀行の横暴を抑え、中小企業の事業活動を守るルールを確立する、この三つを柱に、国と地方の経済産業政策を大企業中心から中小企業重視に根本的に切りかえるために引き続き奮闘する決意を表明し、政府中小企業基本法改正案に反対する討論を終わります。
  158. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  中小企業基本法等の一部を改正する法律案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  159. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  寺崎昭久君から発言を求められておりますので、これを許します。寺崎昭久君。
  160. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、ただいま可決されました中小企業基本法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党、参議院の会及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     中小企業基本法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、中小企業我が国経済活力の源泉であることを再確認の上、中小企業の多様で活力ある成長発展を図るために一層の努力を傾注するため、本法施行に当たり、次の諸点につき、適切な措置を講ずるべきである。  一 中小企業者の範囲の拡大に伴い、既存の中小企業者に対する施策が後退することとならないよう、特に小規模企業や個人事業者に対し十分な配慮を払い、これら企業を支援する施策の一層の充実に努めるとともに、本法に基づく各般の施策の実効を確保するため、必要な制度整備、予算等の確保に努めること。また、大企業系の企業中小企業に該当することとならないよう留意すること。  二 本法に係る中小企業者の範囲に係る常時使用する従業員についての解釈は、雇用実態等を勘案しつつ、原則として、二カ月を超えて使用される者であり、かつ、週当たりの所定労働時間が、当該企業の通常の従業員と概ね同等である者とすること。一方、パートタイム労働者に依存せざるを得ない中小企業者が多くなっている実情も踏まえ、経済情勢の変化等を迅速・的確に反映させるため、今後とも中小企業者の範囲に係る基準を含め、十年程度を目途に本法の見直しについて柔軟に対応すること。  三 中小企業者がものづくりの基盤技術の振興のために行う失業者・高齢者の受入れ、従業員の労働条件の向上のための努力、技能・技術の継承及び人材育成等の努力に対し、特段の支援措置を講ずること。  四 中小企業者に対する積極的な各種施策の周知徹底、中小企業施策情報に対するアクセスの容易化、本法施行に伴う中小企業関係法制・税制・予算措置の整理統合・合理化作業への早急な取組、各種申請手続等の簡素化・迅速化を行うこと。  五 中小企業の経営の革新及び創業の促進を図るため、創業の意義及び必要性に対する国民の関心及び理解の増進に努め、企業家精神の涵養のための教育分野における取組を強化するとともに、ベンチャー企業と投資家を適切に結びつける資本市場制度等の整備、資金の円滑な供給、十分な情報の提供など必要な施策を的確に実施し、中小企業者や創業者等の自立意欲を高めるよう努めること。  六 中小企業ベンチャー企業政策における税制の重要性の観点から、事業承継税制や各種ベンチャー税制等について、早急にその見直し・改善を図ること。  七 中小企業者に不当な不利益を与えるなどの不公正な取引を排除するため、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法及び建設業法を、元請下請関係の実態などに十分に留意しつつ、厳正・迅速に運用すること。  八 中小企業者以外の者の事業活動による中小企業者の利益の不当な侵害を防止するため、分野調整法等の調整制度を遵守し、中小企業の事業活動の機会の適正な確保に努めること。  九 地域経済における中小企業の重要性にかんがみ、地方公共団体が地域の特性に応じた柔軟な中小企業関連施策の実施が可能となるよう、使いやすい施策メニューを提示する等格段の工夫を図るほか、民間能力の活用も含め地方公共団体の対応能力の向上を促すように十分配慮すること。    特に、都道府県支援センター等地域における中小企業支援拠点を整備するに当たっては、地方公共団体の財政事情等も踏まえ、既存機関・施設の有効活用等に努めるとともに、適切な人材の配置や活用が図られるよう十分配慮すること。  十 新たな中小企業施策の実効を期するため、商工会議所、商工会等各種中小企業団体の組織及び人材の再活性化を図るよう、必要な措置を講ずること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  161. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいま寺崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  162. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 多数と認めます。よって、寺崎君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、深谷通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。深谷通商産業大臣
  163. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと思います。
  164. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十二分散会