運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-12-14 第146回国会 参議院 総務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十二月十四日(火曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  十一月十二日     辞任         補欠選任      久野 恒一君     中曽根弘文君  十一月十六日     辞任         補欠選任      阿部 幸代君     市田 忠義君  十一月十七日     辞任         補欠選任      市田 忠義君     阿部 幸代君  十一月二十二日     辞任         補欠選任      中曽根弘文君     岡野  裕君  十二月一日     辞任         補欠選任      森田 次夫君     阿部 正俊君  十二月二日     辞任         補欠選任      阿部 正俊君     森田 次夫君      山下 栄一君     沢 たまき君  十二月三日     辞任         補欠選任      沢 たまき君     山下 栄一君  十二月十日     辞任         補欠選任      森田 次夫君     青木 幹雄君  十二月十三日     辞任         補欠選任      青木 幹雄君     森田 次夫君      千葉 景子君     江田 五月君  十二月十四日     辞任         補欠選任      岡野  裕君     仲道 俊哉君      西田 吉宏君     山下 善彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小川 勝也君     理 事                 海老原義彦君                 国井 正幸君                 広中和歌子君                 月原 茂皓君                 椎名 素夫君     委 員                 石井 道子君                 鴻池 祥肇君                 仲道 俊哉君                 長峯  基君                 松谷蒼一郎君                 森田 次夫君                 山下 善彦君                 江田 五月君                 堀  利和君                 前川 忠夫君                 木庭健太郎君                 山下 栄一君                 阿部 幸代君                 吉川 春子君                 山本 正和君    国務大臣        国務大臣        (総務庁長官)  続  訓弘君    政務次官        労働政務次官   長勢 甚遠君        総務政務次官   持永 和見君    政府特別補佐人        人事院総裁    中島 忠能君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        人事院事務総局        任用局長     上村 直子君        人事院事務総局        給与局長     大村 厚至君        人事院事務総局        職員局長     佐藤  信君        総務庁人事局長  中川 良一君        文部大臣官房長  小野 元之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国と民間企業との間の人事交流に関する法律案  (第百四十五会国会内閣提出、第百四十六回国  会衆議院送付) ○男女共同参画社会基本法に基づく業者婦人に対  する施策の充実に関する請願(第一三号外二〇  件) ○人事院勧告改善部分早期実施、一時金の切  下げ反対に関する請願(第一一八号外一件) ○新たな個人情報保護法制定に関する請願(第  一八〇号外四件) ○戦争被害等に関する真相究明調査会設置法(仮  称)の早期制定に関する請願(第二二三号外三  三件) ○公務員天下り禁止等に関する請願(第六七五  号) ○継続調査要求に関する件     ─────────────
  2. 小川勝也

    委員長小川勝也君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月二十二日、中曽根弘文君が委員辞任され、その補欠として岡野裕君が選任されました。  また、昨日、千葉景子君が委員辞任され、その補欠として江田五月君が選任されました。     ─────────────
  3. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国と民間企業との間の人事交流に関する法律案の審査のため、本日の委員会人事院事務総局任用局長上村直子君、人事院事務総局給与局長大村厚至君、人事院事務総局職員局長佐藤信君、総務庁人事局長中川良一君及び文部大臣官房長小野元之君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 国と民間企業との間の人事交流に関する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。続総務庁長官
  6. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) ただいま議題となりました国と民間企業との間の人事交流に関する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、人事院国会及び内閣に対する平成九年三月六日付の意見の申し出にかんがみ、行政課題に柔軟かつ的確に対応するために必要な知識及び能力を有する人材の育成及び行政運営活性化を図るため、一般職職員期間を定めて民間企業業務に従事させること、及び民間企業に雇用されていた者を任期を定めて一般職職員に採用することについて定めるとともに、防衛庁職員について同様の措置を講ずることとするものであります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、一般職職員をその身分を保有させたまま民間企業従業員としてその業務に従事させることを通じて、効率的かつ機動的な業務遂行手法を体得させる交流派遣制度を設けることとし、制度実施のために必要な手続を定めるとともに、交流派遣職員に特別の服務義務を課するなど公務公正性信頼性等を確保するための措置を定めることといたしております。  この交流派遣期間は、原則として三年以内といたしております。  なお、交流派遣職員については、国家公務員共済組合法短期給付に関する規定を適用しないことなど国家公務員共済組合法等の特例を定めることといたしております。  第二に、民間企業における実務の経験を通じて効率的かつ機動的な業務遂行手法を体得している者を民間企業から一般職常勤職員として採用する交流採用制度を設けることとし、制度実施のために必要な手続を定めるとともに、交流採用職員に特別の服務義務を課すなど公務公正性信頼性等を確保するための措置を定めることといたしております。  この交流採用に係る任期は、原則として三年以内といたしております。  第三に、これらの制度の運用における透明性を確保するため、人事院は、毎年、国会及び内閣に対し、前年に実施された交流派遣及び交流採用について必要な事項を報告するものといたしております。  第四に、防衛庁職員について、以上の措置に関する規定を準用することといたしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。ただし、この法律施行のため必要な手続その他の行為は、この法律施行前においても行うことができることといたしております。  政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院におきまして、次のとおり修正が行われております。  第百四十五回国会において、国家公務員倫理法が成立し、同法違反の場合の懲戒処分に関する規定平成十二年四月一日から施行されることから、本法律案が成立し、平成十二年三月三十一日以前に施行される場合には、同年三月三十一日以前は国家公務員法及び本法律違反懲戒処分の対象となり、また、同年四月一日以降は国家公務員倫理法違反の場合にも懲戒処分が可能となるよう、所要の規定整理を行うこととされております。  なお、自衛隊員の場合についても、自衛隊員倫理法の成立に伴い、同様の整理を行うこととされております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  7. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 広中和歌子

    広中和歌子君 民主党・新緑風会の広中和歌子でございます。  総務委員会に属するのは今回初めてでございまして、しかも最初の質問でございますので、見当違い質問もあるかもしれませんけれども、どうかあらかじめ御容赦いただきたいと思います。  このたびの法案でございますが、官民交流法労働力流動化が起こり始めている我が国では非常にタイムリーな法案と思えるわけでございます。しかし、これがどのような職種でどのような規模でどのくらいの期間期間は三年以内というふうになっておりますけれども、どのような成果を期待していらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
  9. 上村直子

    政府参考人上村直子君) この官民人事交流法施行されました後にどのような規模で、人数で、そしてまたどのような職場人事交流実施されるかにつきましては、現時点では確たる見通しを申し上げることはできないのでございますけれども、この官民人事交流制度趣旨、目的に合った人事交流が活発に実施されることが望ましいというふうに思っておりまして、人事院といたしましては、そのために各省庁、それから民間企業制度の積極的な周知を図るとともに、適切な情報を提供するなどして環境の整備を図っていきたいというふうに考えております。
  10. 広中和歌子

    広中和歌子君 民間企業にPRをしながら広く公募していきたいということでございますけれども、厳しい雇用情勢の中で公務員の方に来ていただきたいという企業はどのくらいあるというふうに今の段階で想定していらっしゃいますでしょうか。  それからまた、民間企業から官庁に出向くという場合でございますけれども、どのようなメリットを提供できるというふうに官庁の側では考えていらっしゃるかお伺いいたします。
  11. 上村直子

    政府参考人上村直子君) 重ねての人数の御質問でございますけれども、今の段階では官から民へ、あるいは民間企業から官の方へどのくらいの人数の方がこの交流制度で来られるか、あるいは行くことになるか、ちょっと見通しといいますか、具体的な数字は申し上げかねるということでございます。  それからまた、民間企業の方から官に来ることにつきましてどういうメリットがあるのかということでございますけれども、やはり先ほど先生がおっしゃいましたように、こういういろいろなところで人が流動化をしていくということの中で、異なったバックグラウンドを持った人が来られるということによって、やはり相互に啓発し合うという効果があって、それは官のみならず民の方にも意味のあることではないかというふうに考えております。
  12. 広中和歌子

    広中和歌子君 数日前でしたか、テレビを見ておりましたらば、教職員の方、学校先生高等学校先生民間研修にいらっしゃる、三カ月とか半年とかということで。高校の先生なんですけれども、ホテルに研修に行く、あるいはデパートに研修に行くということで、そのメリットについて、いわゆるサービスを受ける立場の気持ちがわかったというようなことを言っていらして、私は大変結構なことだろう。  そういう結構なこともあるんじゃないかと思うわけですけれども、ですから、ぜひそういう官の立場で民の事情を知っていただきたいということは思うわけでございますけれども、逆ではどういうことなのかなと。何か民間の方がメリットを求めます場合に、それが癒着みたいな形につながらないかなということを心配するわけでございますが、総務庁長官、いかがでございますか。
  13. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 今、御懸念を示されましたけれども、私どもはその御懸念のないような制度を実は構築しております。したがいまして、いわれなき御心配といいますか、それはあってはなりません。  かつて、そういう傾向がないわけではありません。実際に、民間企業から現に数百名の方々常勤なり非常勤なりということで採用しておられます。その傾向を見ますと、例えば銀行あるいは生保だとか、そういう金融機関が大変多うございます。そういう意味では、今御心配のような点がないわけではないわけです。  したがって、今回の法律がちゃんと施行された暁においては、そういうことのないように配慮してまいります。
  14. 広中和歌子

    広中和歌子君 一生のうち一つ会社に勤め、あるいは一つ省庁に勤めて終わるという時代から、人生の中で幾つもの職業を体験するという時代に今入っているんじゃないかと思います。そういう仕事のフレキシビリティーということが求められている中で、この官民交流法というのは、趣旨としては大変結構なのでございますけれども、むしろ市場原理に任せて、数年間官吏として働く、今度は民間に移る、また逆のこともあり得る。そういうふうに、引き抜かれていくというんでしょうか、あるいは本人の希望によって職が得られるような、そのような流動性のある雇用形態というものの方向に移行していくことが望ましいんではないか、そのように思うわけでございますけれども、御意見総務庁長官、どのようにお考えかお伺いいたします。
  15. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 広中議員は、海外生活が長い、したがって他の事情もいろいろと実践をしておられます。そんな関係から今の御発言だと存じますけれども、これからの時代はまさにそういう時代かと存じます。したがいまして、御趣旨のような、時代にふさわしいような、そういう人事交流制度であってしかるべきだと存じます。
  16. 広中和歌子

    広中和歌子君 今、私が申し上げるまでもなく、グローバル経済、そして非常に円高である。そういう中で、日本賃金は国際的に非常に高くなっております。そのゆえに空洞化がどんどん進んでいる、また企業などでも激しいリストラを行わなければならないというのが現状ではなかろうかと思います。  そんな中で、例えば、例に出しては恐縮ですが、日産自動車、かつての優良企業でございますけれども、まさに激甚なリストラが行われている中で、月給が下がっても首になりたくない、むしろその会社に勤めていたいというような方も少なくないんではないかと思います。現在の終身雇用制年功序列というのが一昔前のものになる、そういう中で、人事院公務員給与とか給与体系をどのように考えていらっしゃるんでしょうか。人事院給与体系というのは民間参考にするということでございますけれども、今後どのような方向に動いていくのか、お考えがあったらお伺いいたします。
  17. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) これからの公務員給与体系あり方というのを考えるときに、二つポイントがあるだろうというふうに思います。  一つは、やはり今、先生がおっしゃいましたように、企業国際化といいますか、企業を取り巻く環境変化がかなり大きく動いているわけでございます。それに対応して、民間企業では、賃金年功序列的な要素というものを薄めて、職務あるいは能力実績というものを考慮する賃金体系に移行しつつございます。その動きというのは、公務員世界においてもよく見詰めて、そしてそれを参考にしなければならないだろうというふうに思います。それが一つございます。  もう一つは、やはり公務世界に課せられておる課題というのが非常に重い、また多い、そういうことで、今のライン的な職務執行体制、それだけでは対応できなくなりつつある。したがって、スタッフ的な組織、スタッフ的な職制というものも考えていかなきゃならない。そうしますと、それに対応する給与体系というものも考えていかなきゃならないだろうということで、この二つが今後の公務員給与体系を考えるときのポイントになるだろうというふうに考えております。
  18. 広中和歌子

    広中和歌子君 日本企業の特色として、ボーナス制度とそれから退職金制度というのがございます。これについてですけれども、これは報償なんでしょうか、それとも賃金の後払いという性格があるんでしょうか、それとも生活給なんでしょうか。お伺いしたいと思います。
  19. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 民間企業でいわゆるボーナスというのが支給されております。このボーナスというのは、三つの性格があるというふうに言われております。一つは、今、先生がおっしゃいましたように、生活給的な要素というものがあるだろう。そして第二番目は、功労報償的な性格があるだろう。そして、民間企業の場合には避けて通れないことでございますけれども、収益配分的な性格があるだろうというふうに言われております。  公務員の場合にはどうかといいますと、公務員の場合には三番目に申し上げました収益配分的な要素というのがございませんので、第一番目と第二番目の性格というもの、現在の期末勤勉手当公務員の場合にはボーナスに相当するものですが、今の公務員期末勤勉手当は今私が申し上げました第一と第二の性格を兼ね備えたものだろうというふうに御理解いただければいいんじゃないかというふうに思います。
  20. 中川良一

    政府参考人中川良一君) 退職手当につきまして、総務庁の方からお答え申し上げます。  国家公務員退職手当は、勤続報償的な性格、それから生活保障的な性格賃金後払い的な性格、これをそれぞれ持っておるというふうに一般には言われております。これらの要素がいわば不可分に混合していると考えられますけれども、私ども従来から御説明申し上げておりますのは、基本的には職員が長期間勤続して退職する場合の勤続報償としての要素が強いものであるというふうに考えておるところでございます。
  21. 広中和歌子

    広中和歌子君 戦後、人が足りなくて安い月給で若い人が入ってきてくだすって、しかし年功序列賃金で長く勤めていただければ給料は上がるよ、それから長期に勤務したということの報償金としての退職金もあるよと、そういうことで今の勤労者サラリーマンは働いてきたんだろうと思います。しかし、それが今時代に合わなくなってきている。少なくとも企業では早く退職してほしいと中高年に迫っている、そして中高年人たちの中に非常に不安が広がり始めている、そういう現状が一方であるわけでございます。  それに基づいて公務員給料ども今まで決められてきたわけでございますけれども、こういう流動性のある世の中でボーナス制度もそして退職金制度時代に合わなくなっているということの認識がございますか。あるとしたらば、どのように変わっていく方向で御検討になるのか、お伺いしたいと思います。
  22. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 退職手当制度については後ほど総務庁の方から御答弁いただくことにいたしまして、期末勤勉手当制度、いわゆる民間ボーナス制度でございますけれども、このあり方というのが基本的に大きく変わるということはちょっと今考えられないと思います。ただ、能力といいますか実績といいますか、そういうものを反映させるという要求は今より強くなってくるだろうというふうに思います。  したがいまして、そこらの変化というものをよく注意深く見ながら、いろいろな方の意見を聞きながら私たちは考えていかなきゃならないだろうというふうに思います。
  23. 中川良一

    政府参考人中川良一君) 私どもは、今、民間の有識者の方々にお集まりいただいて、今後の退職手当制度はいかにあるべきかということをいろいろ御議論いただいておるところでございます。去る四月に公務員制度改革の方針を政府として定めておりますが、その中でも国家公務員退職手当制度については、今後公務員制度改革方向及び民間企業退職金制度の見直しの動向等を踏まえて検討していくということにいたしております。  国家公務員制度改革方向と申しますと、ここはいろいろ考え方があるわけでございまして、先ほど先生御指摘のように今後はどんどん民間からの中途採用もふえていく、あるいは公務員についても比較的早期に転身していく人もふえていくというようなことも考えられる一方で、いわゆる天下り問題に関連いたしまして早期退職慣行の是正ということも一つ課題になっておりまして、そちらの側面からはどちらかというと公務をライフワークとできるような仕組みが必要なんではないかという議論もあるわけでございます。  そういったようなことも踏まえ、さらに民間企業におきましてもこの退職金制度はかなり大幅に動いておる状況もございますので、そういったような状況もにらみながら今後の制度あり方を検討してまいりたいというふうに考えております。
  24. 広中和歌子

    広中和歌子君 それから、ついでに雇用不安ということの中でお伺いしたいことがあるんです。  日本公務員制度におきましても、それから一般企業におきましても、どちらかというと満遍なくいろいろな部署を体験さすことによってゼネラリストをつくってきたということがあるのではないかと思います。ところが、今の時代というのは、むしろスペシャリストが求められている時代ではないか。  実を言うと、私はアメリカIBMという会社で、あるエンジニアの方にインタビューをしたことがあるんです。その方は、自分は何々をやるエンジニアであるというふうに自分を紹介していらっしゃいまして、決してIBM人間ですというふうにはおっしゃっていない。しかしながら、結果としてその方はずっとIBMに勤めていて、またやめる気もないというようなことでした。アメリカ終身雇用ではないんですけれども、結果として自分で選べるという、雇われる側にも自分が訴えるセールスバリューのある、市場価値のある技術を持っていて、それを売り込んでいく、そういうことでむしろイコールな関係にあるんじゃないか。企業労働者サラリーマンとの間に一つのバランスがあるんじゃないか。  ところが、日本では、ゼネラリストとして会社人間にされている、官庁人間にされているために、このようなリストラのあらしが吹き荒れるときに、自分のよって立つものは何かといったら会社の名前しかないわけですから、非常に社会不安、自殺者がふえるというようなことにつながっていくんじゃないかと思います。  それにかてて加えて、こういう求人のチラシがいろいろ配られてまいりますけれども年齢制限というのがございます。二十五歳までとか三十歳までとか、新しい職種になりますとコンピューターとか、そういう高給が得られそうな分野におきますと必ず年齢制限に引っかかってしまうということがあるわけでございますけれども、むしろこれからは個人能力がどのくらいあるかということ、そしてまた与えられた職をこなせるかどうかということにかかっているんであって、年齢ではないんじゃないかと思います。アメリカでこういうような広告を出せば、当然法律違反になるわけです。いわゆる公民権法年齢差別というのも禁じられているわけです。  何も、私は企業なり官庁なりが定年制をしくなと言っているわけではなくて、しかしながら一つ職場職業に対応できる人材であれば何歳でも構わない、チャンスを広げるということ、それが非常に大切なんじゃないかと思います。今、女子差別撤廃という中で、性差ということが求人の場合に禁じられております。男性を求む、女性を求むというのは禁じられておりますけれども年齢差別に関しても法律をおつくりになるおつもりがあるかどうか、お伺いいたします。
  25. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) よくわかります。先生がおっしゃいますように、今まで公務員の組織というのは、学校を卒業した人を採用して、そして組織の中で教育して、そして育てていく、行政需要に対応するような人材に育てていくということを柱にして対応してきたわけですけれども、非常に行政を取り巻く環境が変わっております。したがいまして、いろいろな能力の方が必要になってきております。そういう人を今までのような方式で育てた人間で対応するということが難しくなっておる。したがって、おっしゃいますようにスペシャリストというものを採用する必要があるだろうということはよくわかります。その場合に、中途で採用するわけですから、そういう方につきまして、原則として年齢制限というものを設けずに対応していくということがよかろうと思います。  しかし、仮に公務員の定年をオーバーしているような方の場合にはどういうような採用の仕方があるかということは、それはそれなりにまた考えていかなきゃならない問題だと思いますけれども原則としてそこに年齢制限というものを設けていくという考え方にはやはり賛成できないということでございます。  ただ、私たち学校を卒業した方を試験採用する、その試験採用の場合には、やはりⅠ種の試験、Ⅱ種の試験、Ⅲ種の試験、それぞれについて年齢制限を設けておかなければ、例えて言いますとⅢ種の試験というのは主として高校を卒業した方に入っていただくということで門戸を開いておるわけでございますけれども年齢制限を設けなかった場合にはほとんど大卒者が合格してしまうということがございますので、そういう場合には年齢制限がやはり必要じゃないかというのが今の実態でございます。
  26. 広中和歌子

    広中和歌子君 私、アメリカに長く住んでいて、三十代の半ばぐらいでしたけれども日本に戻るたびに求人情報というのを見ていたんです。子供もだんだん大きくなりましたから、私の第二の人生で何ができるかということでよく見ていたんですけれども、例えば学校先生になるのでも三十二歳が上限でございまして、そのほかのものでも、風俗営業はもちろんでございますけれども年齢差別の壁というのが非常にある、年齢の壁というのが非常にあるんだなと思って、そのことで問題意識を持ってきた人間でございますので、ぜひこの年齢差別の撤廃に向けて議員立法でもできればいいなと思っている次第でございまして、諸先生方の御協力も今後お願いしたいと思っております。  それから、TLO、技術移転機関ということで、大学等技術移転促進法に基づいて技術移転機関で働く大学の先生は兼務ができるというようなことで動き始めているということでございますけれども、どういう現状になっているのか、お伺いいたします。
  27. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 今おっしゃいますように、TLOの場合には大学の教官が兼業できるということを既に人事院としては発表いたしております。そして、その手続というものを現在整備しております。遅くとも来年の四月一日にはそれを制度としてスタートさせたいという準備段階でございます。
  28. 広中和歌子

    広中和歌子君 では、中谷先生、元一橋大学の教授で、ソニーに社外重役、普通の重役ではなくて社外重役として入られたいということになりましたときに御許可がなかったということでございますけれども、そことの兼ね合わせはどうなるんでしょうか。
  29. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 今おっしゃいます元一橋大学の中谷教授の場合には、私たちの方でいろいろ検討いたしました。検討いたしましたけれども、この問題を解決するときには三つのハードルがあるだろうというふうに考えております。  一つは、やはり国立大学の教官というのは一般職国家公務員でございます。したがいまして、憲法で規定されておりますように、全体の奉仕者としての性格を持っております。その全体の奉仕者と、企業の役員という営利企業で利益追求に従事するその立場との調和というものをどのように図っていくかという理論がどうしても必要でございます。  第二番目のハードルというのは、やはり国立大学の教官も、時々新聞で報道されますように汚職というものがございます。その汚職を防止するための承認基準をどのように定めるかというのがございます。  そして第三番目は、国立大学の教官の兼務でございまして、本務がございます。教育研究に従事していただくという本務がございますが、その本務というものをやはりしっかりやっていただく必要があるということで、どのような基準をつくればそこがうまく動いていくかという、この三つのハードルというものを考えなきゃならないだろうというふうに思います。  第二番目と第三番目のハードルにつきましては、これから文部省とかあるいは大学当局というものの御意見を聞き、また御指導をいただいてこれを基準化していかなきゃならないというふうに思いますが、第一番目の問題につきましては、私たちは、全体の奉仕者との調和ということで、これは法律問題でございますので、公法学者の意見をたびたび聞き、またそういう先生方と議論を交わし、御指導をいただいてつくった理論というものが先般新聞で発表された理論でございます。それは結局、大学の先生が開発された技術というものを民間企業に移転する、そして民間企業で事業化する、そのことに対して国としていろいろな支援措置を講じていくということによってそこの調和が図れるだろうということでございます。  したがいまして、そういう調和が図られたときには大学の教官が役員を兼業するという道が開けるんじゃないかというふうに考えたわけでございます。そういうことで、大体公法学者にも御納得いただいておる。一、二なかなか厳しい意見の方もまだいらっしゃいますけれども、大体いただいておるのではないかというふうに思います。  なお、もし先生に誤解がございましたらいけないので一言申し上げておきますと、社外取締役と一般の取締役は商法上その職務権限に差異はございません。したがいまして、社外取締役といっても一般の取締役と同じでございますので、一般の取締役として法律上は議論していかなければならないということでございます。
  30. 広中和歌子

    広中和歌子君 社外取締役というのは欧米などで使われている制度でございまして、多分日本ではそういうのがようやく最近入り出したので、いろいろまだルールづくりができていないんじゃないかなという気がいたします。  それで、アメリカの場合ですけれども、十分にお調べになったとは思いますけれども、例えば大学の先生が他の企業で働くといったような場合にはちゃんとしたルールがございます。一つはコンフリクト・オブ・インタレスト、つまり利害関係についてのルールです。それからコンフリクト・オブ・レスポンシビリティー、つまり責任でございます。責任と利害、そこのところをきっちりしておき、そして契約を結ぶ、そういう感じになるわけでございますけれども、まだ日本の場合にはそのルールができ上がっていないんじゃないかと思います。  例えば、週のうち五日あります。そのうち一日だけ働くのであるとしたならば、その先生は大学で五分の四の部分だけ給料をもらう、そして残りは自由に何をしてもいいというふうになっているわけでございまして、やはりこれはきちんとしたルールをぜひお考えいただかないとこれからの交流に対応できないんではないかと思います。  それから、TLOも含めまして、日本では技術に対しては非常に理解があるようでございますけれども、今は文化系も理科系も非常にミックスしているような状況が生まれております。例えば金融に関するテクノロジー、金融技術なんというものも理科系、文化系があるわけじゃございませんから、やはり幅広くこの分野でのルールづくりをしていただきたいと御要望申し上げまして、最後に一点、人事交流について質問をさせていただきたいと思います。  JETプログラムというのは皆さん御存じだろうと思います。外国の先生方、外国の人たちに来ていただいて学校で英語を教えてもらうという、そういうプログラムでございますけれども、それを逆にした逆JETというプログラムを西岡文部大臣のときに私お願いに行って通していただいたことがあるわけです。  その逆JETというのは、日本人の学校先生が海外に行って日本語を教える、そこで貢献していただくわけです。それから、同時にその先生に外国の事情を学んでいただく。そしてまた日本にお帰りになって再びもとの教師の座に戻られて、そこで日本の子供たちに接することによって日本の子供たちも何となく海外の風、恩恵というんでしょうか、そういうものを受けるという、言ってみれば一挙三得のプログラムだと思って大変自画自賛しているところでございますけれども、その現状はどうなっているのか。  これは、一年なり二年なり休職をして行っていただくというプログラムでございますけれども、ぜひこれは、これから日本文化を世界に広めていく、また日本語を学びたいという人の数もふえているわけですし、それからまた文部省、学校先生方も、本当に単に視察をするだけではなくて、海外で実際に生活してそしてまた日本学校先生になるといったような経験というのは日本にとってプラスにもなると思いますので、現状とそして今後の見通しについてお話しいただければと思います。
  31. 小野元之

    政府参考人小野元之君) お話しございました日本先生が外国におきまして日本語の学習事情にこたえて教員として働く、そしてまた日本に帰ってきて外国の事情を子供たちに教えるということで、学校自体の国際交流にもつながるわけでございます。  この事業は、御指摘ございましたように、平成二年度から開始をいたしまして、これまでに約十カ国に約二百名の教員を派遣いたしております。各国で日本語担当の授業あるいは日本文化の紹介ということで大変喜ばれておりますとともに、帰ってきた上で日本の中に外国の事情を紹介できるという幾つかのメリットを持っておるわけでございます。  文部省といたしましては、この事業につきましては、外国の地方公共団体の要請に応じるという必要がございますことと、それから派遣教員については日本語の教え方等についてきちんと研修をする必要がある。いろんな条件があるわけでございますけれども、こういったことをきちんとやりながら、御指摘ございましたように、この意義にかんがみまして、今後とも海外からの要望あるいは各県の事情を踏まえながら事業の一層の推進を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
  32. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。  終わります。
  33. 阿部幸代

    阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。  初めに、本法案の目的に関連して、法案人材育成及び行政運営活性化を図るためにいわば模範にしようとしている民間企業の効率的かつ機動的な業務遂行、このことについて質問したいと思うんです。  私は、このことは具体的に考えたいんです。それで、労働基準監督行政を通して見た民間企業公務行政関係、そういう形で見てみたいと思うんです。  「労働基準」一九九七年十一月号によりますと、全国約四百三十万事業場で約五千万労働者が働く中、九六年度は計画的な臨検監督指導十五万一千件、それから労働災害対応の臨検監督指導を約一万四千件実施したとあります。これらのうち、約八万九千件が法令違反につき改善指導をした。このうち約一万件は、例えば高所作業を行う場合に墜落防止のための措置が講じられていないなど危険な状況なので、作業の停止や立入禁止、危険な機械の使用停止等の行政処分をしたということです。労働基準法や労働安全衛生法等、違反を改善するように指導してもこれを改善しない場合、あるいは重大、悪質な法違反を行ったものについては司法事件として捜査し、九六年度は約一千四百件を検察庁に送検したとあります。事業場に直接赴く臨検監督の実施率というのはたったの四・三%で、こういう実態が浮き彫りになってくるんです。  これらに加えて、労働者みずから権利の救済を求めてくる申告件数は二万一千件、その約四分の三について監督を実施したところ、その約七割が法令違反で、最も多かったのが賃金不払い関係だったとありました。  利潤追求を目的とする民間企業業務遂行を効率的かつ機動的だといって一般的に美化したり万能視したりできないんではないか。つまり、公務における人材育成及び行政運営活性化を図るための模範には必ずしもならないこともあるのではないかと思うんですけれども、違うんでしょうか。
  34. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 今、阿部議員が具体的な事実関係を列挙してお話をされました。こういう事案については、私は率直に言って民間交流にはなじまないんじゃないのかなというふうな感じを持っております。なじむものとなじまないものがある。  この法律趣旨を先ほど御説明申し上げましたけれども、そしてまた条文の中にもございますけれども、いずれにしても、お互いが民の知恵、官の知恵、それらを出し合ってこれからの行政あるいは民間活性化をと、こういう法律趣旨でございますので、今のような事案には私は交流はなじまない、こんなふうに思います。
  35. 阿部幸代

    阿部幸代君 つまり、人材育成及び行政運営活性化を図るためということで民間企業を一律に効率的かつ機動的だということで美化できないし、模範視することはできないということですよね。
  36. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 先ほどお答え申し上げましたように、官民交流が目指すものは何かといえば、人事院一つの基準を設けられて公募して、そしてその公募から具体的にその省庁が相手方の企業を決める、あるいは相手方を受け入れる、こういうことでございます。その意味では、労働基準監督の今のような事案は恐らく出てこないと、私の印象は。したがって、専門家から場合によってはお答えさせていただきますけれども
  37. 阿部幸代

    阿部幸代君 私は、法律を読んでいまして、どうも目的のところにこだわったんですね。人材育成及び行政運営活性化を図るために民間企業の効率的かつ機動的な業務遂行、これを体得させるということですよね、今回の法律というのは、三年なり五年なり民間企業に派遣してということで。ここがすごく心配になるわけなんです。  ですから、基本的に民間企業のそういう業務遂行を一律に美化したり模範視したりするんじゃないということ、このことを確認したいんです。
  38. 中川良一

    政府参考人中川良一君) 今回の法案におきましては、行政やそれに従事しております国家公務員について、国と民間企業との交流によりまして柔軟な発想力とかコスト意識とか、あるいは機動的な対応能力というようなものを高めていくというのが目的になっておるわけでございます。  公務員の仕事ぶりについてはいろいろ御批判もあるところでございまして、典型的に言われるのが余りにもコスト意識がないじゃないかとか、それから柔軟性に欠けるのではないかというような御批判もいろいろあるわけでございまして、今回、民間企業すべてがすばらしいということまで申し上げるつもりはございませんが、ただ、公務部門に欠けておりますそういったようないろいろなノウハウを持っておる民間企業も大変あるわけでございますので、そういった先との交流を通じまして公務員についてそういった能力を高めていきたいということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  39. 阿部幸代

    阿部幸代君 効率性というのは、言いかえるとコスト意識というふうに言われますね。それは人事院のいろいろな文書の中にも出てくるんですけれども、最近、民間企業の中からもいわゆる効率化、コスト低減、そのこと一辺倒の業務遂行について警戒の声が上がっているわけです。  例えば、報道によりますと日経連の奥田硯会長は、ジェー・シー・オーの臨界事故、新幹線トンネルコンクリート剥落事故、HⅡロケット打ち上げ失敗などについて、物づくりの国の日本として非常に致命的な問題で危機感を感じる、ジェー・シー・オーのケースでも人員削減のしわ寄せがそういうものに来た、人員削減イコール効率化だ、それで企業利益が上がると単純に考えることは非常に危険だ、こうした事故が起こる原因にもなる、こういうことを言っているわけなんです。  これは記者会見で言っていることを私は新聞報道で知ったんですけれども、効率化、人員削減、労働時間の延長、安全性の軽視、コスト縮減、賃金の抑制、こういうのは皆民間企業の利潤追求に伴って起こってくる事柄です。これらを規制するのが法制度であり、公務、国の行政の役割だというふうに思うんです。つまり、幾らそう思っても奥田会長一人ではできないからこそ、法制度があり、公務、国の行政の働きがやっぱり必要なのだと思うんです。  つまり、具体的な例を出しましたが、こういう例でも明らかなように、民間企業に対して利潤追求最優先の活動を規制する法令等が必要であり、その法令等を守るように監督し、法令違反があれば是正させる、こういう役割が公務、国の行政の重要な役割の一つだと私は思うんですけれども、そうですね。
  40. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 先生の御指摘はよくわかります。民間企業の中でも、例えて言いますと、最近の例では談合事件で摘発されるとかあるいはまた公務員を相手に贈賄事件で有罪になるというようなところもございます。  したがいまして、今労働基準関係の話が主として出ましたけれども、いずれにしてもいろいろな法律違反、犯罪を犯しておる、そして有罪が確定しているというような企業は、やはり交流先としてはふさわしくないというような扱いをする方向で考えていきたいというふうに思います。
  41. 阿部幸代

    阿部幸代君 どうしてこういうことにこだわるかといいますと、薬害エイズを生んだ製薬会社と厚生省の薬事行政関係、あるいは乱脈経営で破綻した銀行などと金融検査行政、それから水増し請求を生んだ防衛産業と防衛庁の調達行政、こういう関係でも同じことが言えるんだと思うんです。  それで、いずれの場合も、利潤追求最優先の民間企業に対して公務、国の行政の本来的役割を果たさなかったことから起こった深刻な事例だと思うんです。ですから、民間企業の効率的かつ機動的な業務遂行なるものを一方的に美化すると、こういう過ちを繰り返しかねないと私は思うわけです。それで質問しました。  次の質問に入りたいと思うんですが、官民癒着の防止策についてです。  官民癒着の温床である高級官僚の天下りや民間企業社員の天上がりが厳しく批判されています。日本共産党は、行政改革の重要な柱としてこの問題を位置づけて、天下り禁止法案大綱を発表しています。原則として高級官僚の監督官庁から関連企業への天下りの永久禁止、こういうことを打ち出しています。  人事院国家公務員に関するモニターアンケートですが、ここでも幹部国家公務員民間企業への再就職について、出身の役所のあっせんによる再就職は行政の公正な執行の妨げになり押しつけ的になるので行うべきでないというのと、国家公務員だけが再就職のあっせんを受けるのは不公平であり行うべきでないというのが合わせて五九%、約六割を占めていますね。  法案に即して伺いたいんですが、まず厚生省と製薬企業、大蔵省や金融監督庁と金融機関、それから防衛庁と関連企業とのこの法令に基づく人事交流は禁止されるんでしょうか、それとも関係する部局でなければ交流はあり得るんでしょうか。
  42. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 包括的な質問でございますのでなかなか答えにくいんですが、民間企業との交流の目的というのはたびたび先生がお話しになりましたのでそれは省きますが、それ以外にも、この交流によりましてお互いにお互いの立場を理解するということがあるだろうというふうに思います。  したがいまして、私たちが交流をどのように規制していくかというときに考えなければならないのは、どうしても癒着というものを防止することを基本に考えなければなりませんが、また一方、交流によって公務員世界の閉鎖性というものも変えていきたい。また、公務員世界が今まで民間企業の実情をよく知らずにいろいろな施策というものを実施しておれば、それは民間企業から指摘され教えられて、それもまた直していかなきゃならないということもございます。  そういうようなことを考えますと、交流によってかなりのメリットがあるだろうというふうに思いますが、癒着を防止するためにどういうふうに考えるかというときに、やはり交流対象になっておる職員の現在担当している職務内容、そしてその職員がどういう職階にあってどういう責任を負っておるか、職階段階といいますか、そういうものを考えて、交流の制限、規制というものを議論していかなきゃならないだろうというふうに考えております。
  43. 阿部幸代

    阿部幸代君 具体的に厚生省と製薬企業などとの交流は禁止するということはなかったんですけれども法案の第五条第一項を見ると、人事交流が制限されるのは、今おっしゃいましたけれども、処分や行政指導等を直接行う部局と民間企業との人事交流で、部局が違えば監督官庁民間企業との人事交流はできることになっていますね。  それで、部局の数を見ますと、例えば厚生省には大臣官房のほかに九局四部あるんです、私の調べたところ。それで、例えば水道環境部の職員が製薬企業に派遣され、復帰後二年たてば医薬安全局の仕事につくこともあり得るということになりますね。
  44. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 製薬会社と交流して復帰した職員が、その製薬会社に対して許可とか認可とかの権限を行使する職場、あるいはまた契約をする職場、あるいはまた検査をする、そういう職場には復帰後一定期間やはりつけさせないということを考えていかなきゃならないということで、そういう制度になっております。
  45. 阿部幸代

    阿部幸代君 つまり、二年間たてば医薬安全局の仕事につくこともあり得るわけです。  それで、念のために第十三条第四項を見ますと、交流派遣職員は復帰してから二年間は派遣先企業と密接な関係にある官職につけないとあります、確かに。でも、これは逆に二年たてばどんな官職にでも、つまり、たとえ派遣先企業と密接な関係にある官職にでも自由につくことができるということになります。こうすると、結局官民癒着の歯どめにこの法律はならないんじゃないかと思うんですけれども、違いますか。
  46. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) この二年間というものが妥当かどうかということにつきましては、いろいろな先生立場によって考え方が違うだろうと思います。私たちが考えましたのは、やはり現行法の百三条というものをもとにして二年間という期間を設定したわけでございます。  共産党がお出しになっている法案では永久禁止ということだったと思いますけれども、五年間という方もいらっしゃいますし、現在のままでいいという方もいらっしゃいます。いろいろな方がいらっしゃいますけれども、私たち制度というものを考える場合に、現行法を基準に考えるというのがやはり基本的なスタンスじゃないかというふうに思います。
  47. 阿部幸代

    阿部幸代君 共産党の案についておっしゃっていましたが、日本共産党の場合は高級官僚について天下りは永久禁止ということで、一般職員については五年間というのを押さえているんです。  私は、これは歯どめにならないなと思うんですね、復帰後二年たてばどこにでも行けるということで。それでなくても官僚として働いている間はいろんな部局を異動するわけですから、たまたま民間に派遣されるときはAであっても、それ以前にB、C、Dといろいろ経験していますから、そのB、C、Dと関連のある企業に派遣されるということも起こり得るわけで、どうもこれは何か歯どめにならないというふうに思うんです。  私は、特に法案で問題なのは、防衛庁職員民間との人事交流についても行おうとしていることだと思うんですね。  防衛庁は、人事院の管轄外であるために防衛庁だけでこの制度を運用できるようになっています。防衛庁は防衛調達をめぐる汚職と証拠隠滅を起こして、当時の長官が辞任を余儀なくされたほど大問題を起こしたところですね。こういうところに人事院の関与すらない民間との人事交流を持ち込むというのは重大問題だと思うんですけれども、違いますか。
  48. 中川良一

    政府参考人中川良一君) 今回の法案におきましては、防衛庁職員につきましても一般職職員と同様民間企業との間の人事交流が有益ではないかということで、一般職規定を準用することにいたしております。  御指摘のように、特別職である防衛庁職員につきましては人事院の権限が及ばないということで一般職とは若干取り扱いを異にしておりますけれども一般職につきまして人事院規則で定めます交流基準に相当するものについては一般職の例に準じて政令で定めることにいたしております。また、人事院の個別の認定にかわるものとして自衛隊離職者再就職審査会という第三者機関が個別の認定業務を行うというような、公務公正性、信頼性の確保に資するような仕組みを一般職に準じて設けた上で実施しようということで御提案申し上げているところでございます。
  49. 阿部幸代

    阿部幸代君 一般職に準じるということですけれども人事院の関与はないということなんですよ、直接的な。人事院が関与しても何だか歯どめにならないような法律なんですけれども、その人事院の関与すらなくなってしまうわけですから、本当に防衛庁の問題はどうなるんだろう、癒着は本当に深刻な問題になるんではないかという危惧を大変強く持っています。  また、民間企業から社員を受け入れる交流採用の方ですけれども、これは天上がりのいわば本格化と言うべきものだと思うんですが、交流元企業にとっては、仕事は参考にならないが人間関係情報を得る面でのメリットは大きい、こういうことが今から言われているんですね。実際、民間企業と密接な関係のある仕事につけないといっても、出向時代に一緒に働いた官僚がいずれ重要な部署につく可能性というのはあるわけです。ですから、結局、官民癒着の新たな温床づくりにこれもなりかねないというふうに思うんです。  結局、本法案による官民交流の制度化は、どう見ても歯どめのかからない新たな官民癒着の温床づくりで、行政をゆがめ、国民の利益を損ねる危険性が極めて多大だというふうに指摘せざるを得ません。  このことを指摘して、終わります。     ─────────────
  50. 小川勝也

    委員長小川勝也君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、岡野裕君及び西田吉宏君が委員辞任され、その補欠として仲道俊哉君及び山下善彦君が選任されました。     ─────────────
  51. 山本正和

    ○山本正和君 今までの広中委員阿部委員の御質問の中にもあったんですが、私は総務庁長官にまず見解をお聞きしておきたいんですけれども、この法案の根っこにあるところをきちっとせぬことにはいろんな逆の意味のマイナスが生まれはせぬかということを心配するわけです。  長官も公務員として誇りを持って働いておられた経験がおありになるわけですから、私はここで言っておきたいんですけれども公務員というのは民間よりも本当は公益性を大事にし、国家国民のために一生懸命働いているんだという自覚と誇りを持たなきゃいけないと思う、であるべきなんです、本来。民間というのは、企業は利益を上げなきゃいけないわけですから、利益を上げるためには少々頭も下げておべんちゃらも使わなきゃいかぬという場合もたくさん出てくるんですよね。公務員はそうじゃないんだと。  それから、官民の交流という段階で一番大事なことは、公務員としての自覚とか責任とかいうことはきちっとして、その中へ民間が来た場合、民間にもそのことは十分わからせるよ、公務員がそういう自覚を持って民間に行く場合には、そのことを見ながら民間も勉強するんだよというその根っこのところがわかっていないと、官民交流は私はだめだろうというような気がしてならないんです。  これはちょっと違った話になりますが、正直言って国会議員というのは民間からでもだれからでもひゅっとなれるんですよ。例えば小説を書いておろうと芸能人であろうと何でも構わないですよね、国民が入れればいいわけですから。  ただ、行政官というのは、少なくとも高等学校なり大学を出て公務員試験を受けて非常に厳しい訓練を受けなきゃいけない。しかも公務に服さなきゃいけないんですよね、何かあったら汚職で摘発されるという厳しさがあるんです。しかも行政の大ベテランでなくちゃいけない。そのベテランであるから行政権というものが私はあると思うんです。  その行政権に対して、正直言って、ここからはちょっと言い過ぎになるかもしれませんけれども、きのう当選したばっかりの国会議員が、行政の全然経験がない人がぽんと政務次官に座ってできる。こういう妙な制度があるので、これはちょっと私はおかしいと思うんだけれども、それは別に置いて。  しかし、官民交流の話でいくと、私はですから、その辺のことを官側がしっかりと持って臨まぬことには大変な問題が起こりはせぬか、こう思うんですが、ちょっとこの辺について長官の御見解を伺っておきたい。
  52. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 山本委員は、みずからの御経験を踏まえながら、今、行政官としての心の持ちようといいますか、哲学をお示しになりました。  たまたま私は、官民交流法に関連して、実は今のお話と若干関連するかもしれませんけれども、経団連の専務理事に、我々はこういう法案を今回出そうと思っているけれども、あなたの個人的な見解、あるいは経団連、産業界としての見解はいかがですか、こういう質問を申し上げました。  それは、本来ならお邪魔して辞を低くして教えを請う必要があるけれども電話で大変恐縮です。いや結構です。実は遅きに失した感があります、私から言わせれば。我々経団連は十年ほど前から裁判官十人を実は企業にお世話しておりました。その裁判官自身も企業に三年間ですかな、研修させていただいて民間企業がどういう企業であるのかということを身をもって経験することができました。今度は受け入れる側も裁判官の姿勢、行政官の姿勢、司法官の姿勢について学ぶところが大変多うございました。そういう意味では双方とも大変有益であった。この制度を一日も早く定着させてほしいと願っておりました。今回こういう法律ができて私どもはもろ手を挙げて賛成です。こんなお話がございました。  一方、実はこの法律以前にも天上がりといいますか、民間から来ておられました。それは常勤、非常勤を合わせますと恐らく百人を超える方々だと存じます。しかし、今回こういう法律をつくることによって、ちゃんとしたルールに基づいて、官のいいところ、民のいいところをお互いが交流をして、そして今お話しのような姿勢を貫こうというのが今回の法律でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  53. 山本正和

    ○山本正和君 ですから、今から人事院がいろんなものをおつくりになる、また各省庁でいろんなものをおつくりにならなきゃいけないんですが、それと非常に絡んできますから、総務庁としての責任も重大だろうという意味で、ぜひ御努力いただきたい、こう思います。  そこで、ちょっと人事院総裁に私はお尋ねしておきたいんですが、私は実は、昭和二十四年、一九四九年に、公立学校高等学校の教員になった。そのときに三級に叙すという辞令をもらったんですよ、地方教官三級に叙すというやつでね。何か物すごく偉くなったような気がしまして、そうしたら月給が二千九百円だった。  私は、県立の水産学校というところに勤めたんです。そうしたら、一船漁をしに行って帰ってきたら五万円です、一船でね。生徒が実習に行って帰ってきたときに、本当は実習だから我々は渡さないんだけれども、それだけの同じ期間のものを高等学校出た子が船で行って帰ってきたら五万円もらえる。むちゃくちゃに公務員月給が安かったんです。しかし、それでもストライキもやらずにずっと辛抱しておった。  ところが、我慢できぬようになってストライキをやった。違法だということでたくさん処分を受けた。刑務所にもようけいほうり込まれた。そのときに、公務員の労働組合が一生懸命になって頑張ったけれども、最後はスト権はなしであきらめましょう、そのかわり人事院というものがありますと、公平機関として。この人事院は、公平中立に民間給与の問題もいろいろ検討しながらきちっと客観的な立場から公務員のあるべき賃金というものを出すんです、政治的判断は加えません、経営者的発想でもないんですよということが人事院の役目だったと思うんです。だから、それからは公務員賃金闘争でストライキをやらないでしょう。  だけれども、正直言って、例えばどうでしょう、四十歳ぐらいの一般職の人は、同じ大学を出て民間で働いている人と比べるとやっぱりまだ給与は低いですよ、大きな企業の場合はね。倒産もありますけどね。しかし、そうやって人事院という制度を信頼しているから日本公務員労働者は辛抱しているんです。  ところが、この前の人事院総裁の発言で私が非常に奇異に感じたのは、政治的判断を加える、国民感情を考慮しながら人事院が勧告しましたというふうに聞こえたから、これはとんでもない話だと思って聞いたんだけれども人事院総裁が、いや国民感情を考えているのは当然でありますというかのように聞こえたので、そういう立場で思われるんなら、これまたこの法律も大変なものになるんだけれども、その辺について人事院総裁ひとつ考え方を、恐らくこの前のは言い過ぎたんだろうと思うんだけれども、ちょっともし直せるなら直してください。
  54. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) この前に答弁申し上げたのは、今、先生おっしゃるほど激しくは申し上げていないというふうに思います。  人事院というのは、おっしゃるように労使双方から独立した中立機関でございますので、私たちは、公務員というのは労働基本権を制約されておる、その代償措置としての人事院勧告だという基本をしっかり認識しながら厳正に公務員給与あり方について勧告、報告していくというこの基本はしっかり守っていきたいというふうに考えております。
  55. 山本正和

    ○山本正和君 初めからそう言っていただければこの前のようなことにならなかった。  そこで、今度は人事院の方に質問ですが、私が心配するのは、先ほどもお話がありましたけれども、例えば私は薬剤師の第一回の国家試験に合格しておるんですよ。初めて国家試験制度になりましてね。そして、同僚の中にはいろいろ民間にも行った。ただし、私は免状を一遍も使ったことはないですよ、教員になってからそのまま公務員をずっと通しましたからね。  ところが、もしも厚生省の中で民間交流をやるとなって、例えば薬務局が交流するとなれば、薬務局は当然製薬会社との交流を検討せざるを得ませんよね、恐らくは。そういう場合に、私は率直に言うんですけれども民間企業に就職した者はその企業の利益を上げるために全力を挙げる義務があると私は思う、逆に言えば。重役は会社の利益を上げる義務があるんですよ。それをやらぬかったら背任です。そういう中での交流の場合に、本当にちゃんとやれるんだろうかという心配がしてならないんです、正直言いまして。  その辺のことについては、今から人事院あるいは、今の例は厚生省ですけれども、厚生省なら厚生省で十分な議論をされると、その辺のことは今のところ固まってきているのか、今から議論をして、改めてこの問題についてこういう形でいきますよということの提起をやるのか、この辺についてひとつ人事院総裁の見解を伺っておきたい。
  56. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 具体的にお話を出されましたので具体的にお答えいたしますと、厚生省の薬務局に在職する職員が製薬会社に一切交流派遣できないかということにつきましては、国会議員さんの間でも意見二つに分かれております。したがいまして、私たちはどちらの意見にくみするというようなことを今決めておりませんけれども、この法律案の中にも書いてございますように、学識経験を有する第三者で交流審査会というものをつくりまして、そこでそれぞれの意見の根拠というものをお示しして御判断していただく、そしてそれを参考人事院として最終的に決めるというふうに考えております。  せっかくでございますので、非常にざっくばらんな話を申し上げますと、例えて言いますと、国会議員さんの中には、大蔵省銀行局の例をお出しになりましたけれども、大蔵省銀行局の職員は都市銀行に一切交流派遣できないのかというときに、いやそうじゃない、交流派遣して銀行の実情を知るというのは大蔵省の銀行行政を推進する上でプラスになる。例えて言いますと、大蔵省で銀行局というのはいろいろな仕事をやっておるようでございますけれども、銀行の許認可の仕事を担当している職員もございますし、それとは別の銀行業務に関連する仕事をしておる者もおる。そこで、そういう許認可の仕事とかあるいは検査とかやっていない職員というものを銀行に派遣して、そして銀行の方でなぜ貸し渋りというのが生じておるのかということは、その銀行で貸し出しの仕事というものをやらせていただいて初めてわかるんじゃないか。したがって、そういう仕事を担当させてもらうことによって本当に銀行の貸し渋り解消に役に立つ銀行行政ができるんだから、そこは一概に道を閉ざすなという意見もかなり強く国会議員さんの中にはございます。  それはそれで私はよくわかります。片一方、そうすることによって汚職が生ずるじゃないか、汚職というものを生ずる可能性があるじゃないかという意見もよくわかります。  そういうことで、私たちはこの法案の中で業務の従事制限というものをしております。そして、その業務の従事制限を通じまして御心配の官民癒着というものを防いでいこうと。そしてまた、どういうような交流実態になっているかということも内閣国会の方に御報告して、また国会の方からいろいろな御意見というもの、御指摘というものをいただくようにしようじゃないか、そういう中でよりよい交流制度というものをつくっていこう、こういうふうに考えておるわけでございます。  今私が一つの例で申し上げましたけれども、いろいろな御意見がございますので、私たちの方ではそういう御意見というものをよく整理いたしまして、交流審査会の方で十分議論していただきたいというふうに考えております。
  57. 山本正和

    ○山本正和君 そこで、ぜひ一つ、最初に申し上げましたように、公務員というものの重要な役割という観点からその辺はしっかりと検討していただきたいと思います。  率直に私は言いますが、私どもよりも前の世代の人は、役人になって引退したら、普通の一般職でやめても二階建ての家ぐらいに住めて、盆栽もやれて、のんびり隠居できたんですよ。自分の生涯を大変誇りにしておった、役人をしておったということをね。  ところが、役人をしておったら惨めだと。しかも民間交流して民間のいいところを学ぶなんてばかな、私はもっと国というものに責任を持っている公務員としての誇りを失わないように、ひとつ民間交流を十分考えていただくように、これだけ要望しまして、終わります。
  58. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  59. 阿部幸代

    阿部幸代君 私は、日本共産党を代表して、国と民間企業との間の人事交流に関する法律案に対し、反対の討論を行います。  そもそも、民間企業業務遂行は利潤追求を目的とするものであり、その効率性や機動性は一方的に美化できないものです。一方、公務、国の行政は、法に基づいて監督指導することを重要な役割の一つとしています。今日、官民交流で公務人材育成と行政運営活性化を図るというのは、公務、国の行政の独自性を軽視するものと言わざるを得ません。  本法案は、大蔵省と銀行、証券会社の癒着、また厚生省、年金福祉事業団と銀行との癒着など、監督官庁関係企業の間の癒着の温床となっている天下り、天上がりに何らメスを入れないまま官民交流を進めようというものです。  法案では、人事交流に当たってさまざまな制約を設けています。しかし、その制約も、例えば二年を過ぎれば交流派遣した企業と密接な関係にある官職に自由につけるなど、官民癒着を防止することにはならないものであります。  また、防衛庁は、本法案の運用に当たって、他省庁の場合のような人事院の関与もなく、防衛庁内に設置される審査会で運用することとなっています。これでは、組織的な汚職・証拠隠滅事件で問題となった防衛庁に対し、官民交流の名のもとに官民の癒着関係を助長することになり、認めることはできません。  天上がりについても、大手銀行幹部が、企業利益のために情報収集がねらいと明言している以上、本法案で多少の制約を課しても、公務公正性、中立性を確保することができないのは明白です。  以上、反対の主な理由を述べ、討論を終わります。
  60. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  国と民間企業との間の人事交流に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  61. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  広中和歌子君から発言を求められておりますので、これを許します。広中和歌子君。
  62. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、ただいま可決されました国と民間企業との間の人事交流に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党、参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国と民間企業との間の人事交流に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府並びに人事院は、国と民間企業との間の人事交流実施に当たっては、全体の奉仕者としての公務員の基本的性格にかんがみ、次の事項の徹底を期すべきである。  一 交流派遣職員職務復帰後における派遣先企業との間において国民の疑惑や不信を招く事態を生じないようにすること。  一 交流採用職員の離職後における国家公務員法第百条第一項の守秘義務に関する規定趣旨の徹底を図ること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  63. 小川勝也

    委員長小川勝也君) ただいま広中君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  64. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 多数と認めます。よって、広中君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、続総務庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。続総務庁長官
  65. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨に沿い、努力してまいりたいと存じます。
  66. 小川勝也

    委員長小川勝也君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  68. 小川勝也

    委員長小川勝也君) これより請願の審査を行います。  第一三号男女共同参画社会基本法に基づく業者婦人に対する施策の充実に関する請願外六十二件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第一三号男女共同参画社会基本法に基づく業者婦人に対する施策の充実に関する請願外二十件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一一八号人事院勧告改善部分早期実施、一時金の切下げ反対に関する請願外四十一件は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  71. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十六分散会