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1999-11-11 第146回国会 参議院 総務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十一日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員の異動  十一月十一日     辞任         補欠選任      中曽根弘文君     久野 恒一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小川 勝也君     理 事                 海老原義彦君                 国井 正幸君                 広中和歌子君                 月原 茂皓君                 椎名 素夫君     委 員                 石井 道子君                 久野 恒一君                 鴻池 祥肇君                 長峯  基君                 西田 吉宏君                 松谷蒼一郎君                 森田 次夫君                 千葉 景子君                 堀  利和君                 前川 忠夫君                 木庭健太郎君                 山下 栄一君                 阿部 幸代君                 吉川 春子君                 山本 正和君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 青木 幹雄君        国務大臣        (総務庁長官)  続  訓弘君    内閣官房長官        内閣官房長官  松谷蒼一郎君    政務次官        総理府政務次官  長峯  基君        総務政務次官   持永 和見君    政府特別補佐人        人事院総裁    中島 忠能君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        内閣官房内閣外        政審議室長    登 誠一郎君        人事院事務総局        職員局長     佐藤  信君        総務庁人事局長  中川 良一君        総務庁行政管理        局長       瀧上 信光君        総務庁行政監察        局長       東田 親司君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (人事院勧告に対する政府の対応に関する件)  (軍人恩給改善に関する件)  (選択的夫婦別氏制問題に関する件)  (いわゆる従軍慰安婦問題に関する件)  (PKF本体業務凍結解除PKO参加五原  則に関する件)  (定員削減公務員の残業に関する件) ○一般職職員給与に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出) ○特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 小川勝也

    委員長小川勝也君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会内閣官房内閣外政審議室長登誠一郎君、人事院事務総局職員局長佐藤信君、総務庁人事局長中川良一君、総務庁行政管理局長瀧信光君及び総務庁行政監察局長東田親司君を政府参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 海老原義彦

    海老原義彦君 自由民主党の海老原義彦でございます。  本日、当委員会最初質疑者として立たせていただきます。  当委員会では、関係大臣お二方とも参議院議員という、もう内閣委員会時代を通じて、恐らく始まって以来の非常にうれしい状況になっておるわけでございますので、両大臣の御就任を心から歓迎いたしたいと思います。  まず、青木官房長官にお伺いいたします。  それから、その前に、副長官あるいは総理府総括政務次官、これも参議院議員ということで、いわば参議院だけでこの委員会が運営できるという、まことにめでたい事態に今なっております。お一人だけ衆議院議員がおられます。申しわけございません。本当に結構なことでございますので、その状況を十分生かしながら質疑を進めていきたいと思うわけでございます。  青木官房長官、本日は大変お忙しい中を無理してお出ましいただきましてありがとうございます。 いろいろ質問を考えておりまして、靖国神社問題であるとかなんとかいろいろ考えたんですけれども、とてもそれだけのことを伺う時間もございませんようでございますので、絞りまして一問だけ伺いたいと思います。  その一問というのは、実は私が一番大事にしておりますのは恩給制度の問題でございます。  軍人恩給につきましては、国家補償ということで歴代内閣、非常によくお考えいただきまして前向きに対処されてまいりました。本当に多くの旧軍人方々、感謝しております。私も代表して感謝申し上げたいと思います。  さて、この軍人恩給国家補償ということにつきましては、歴代官房長官がそれぞれ大変前向きの御見解を言明しておられて、当委員会で御発言いただいておりますけれども、新官房長官として、軍人恩給国家補償という問題について御見解を賜りたいと思います。
  6. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 海老原議員にお答えを申し上げます。  恩給受給者の多くは、さきの大戦においてみずからを犠牲にし国のために尽くしてこられた方々と、その御遺族等でございます。こういった方々に対する誠意ある処遇は国家として責務であるというふうに考えております。  恩給改善に当たっては、恩給国家補償的性格を有する等の特殊性を十分考慮しつつ、今後とも誠意を持って対処していきたいと考えております。
  7. 海老原義彦

    海老原義彦君 前向きの御見解、ありがとうございました。  今のお話にもありましたとおり、旧軍人は国の危急に当たってさきの戦争において本当に苦労いたしまして、ある者は傷つき、ある者は倒れ、倒れた方は遺族遺族恩給が出ておるわけでございます。また、生きて帰った方々といえども南溟北漠の地、寒冷あるいは暑熱の地におきまして、本当に物資もない中で苦労して国のために一生懸命戦ってきた、そういう方々でございます。  こういう方々、やはり国に対して責務を果たした方々に対してできるだけ手厚い補償をしていくというのが国の責務であると私も考えますので、ひとつ今後、恩給改善についても公正妥当な恩給水準になるようによろしく御配慮を賜りたいと思います。  官房長官お忙しい中おいでいただいて、後いろいろ詰まっておるようでございますので、本日は官房長官はもうここまでで結構でございます。ありがとうございました。  さて、次の質問に入ります。  総務庁長官に伺います。  人事院給与勧告、これは完全実施ということを行われてきてから既に長いわけでございます。この長い間には、多少、例えば昨年のように一部保留というような事態もございましたけれども、しかし基本的には完全実施が貫かれてきた。今回も完全実施でございます。これは、人事院勧告制度というのが労働基本権代償措置であるということから考えても、しっかりした労使関係あり方、正常な労使関係あり方に非常に役立っている、そう思うわけでございます。  今回も、人事院勧告どおり管理職以外の方々に対してはわずかではございますけれどもベアに踏み切ったことはまことに結構なことでございますが、私はこれは本当に大切なことで、やるべきだと思っておりますけれども、しかし私どもの党が聞いておる国民の声の中には、こういう不況のもとでベースアップ公務員だけ、民間企業ベースアップどころじゃない、殊に中小企業に至っては本当に生きるか死ぬかのことをやっておるので、こういう御時世にベースアップなどという甘いことはけしからぬじゃないかという声も国民の一部にあるようでございます。  続総務庁長官から、こういった声も踏まえて、給与勧告完全実施に踏み切ったということについての基本的な御見解を伺いたいと思います。
  8. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) まず初めに、海老原委員に感謝申し上げます。というのは、冒頭に私どもに対して細やかな配慮をいただきました。新しい制度のもとでこういう委員会が開かれる、その冒頭に力強い声援をいただきまして、幾らか気分が楽になりました。それらを踏まえながら誠実にお答え申し上げたいと存じます。  海老原委員は私ども総務庁先輩で、事務事業については隅から隅まで御存じの先輩であります。その先輩質問に対して大変答える方は難しいわけでございますけれども、せっかくの今の御質問に対して私自身の考え方を申し述べさせていただきます。  確かに、御質問の中にもございました。中小企業方々が塗炭の苦しみでやっておられる、そういう中で、わずかに〇・二八%であったとしてもという今の御質問がございました。そしてまた、御質問の中にも、人事院勧告制度というのはいわば労働基本権制約代償的措置でもある、そのことについて完全実施することはいいことだ、こんな御質問もございました。  私は、去る九日に中島人事院総裁給与勧告に至る経緯をここで拝聴しておりました。その中で、御質問の中にございましたように、今回は今までと違ったような手法を取り入れて、議論議論を重ねましたと。例えば、企業規模百人以上そしてまた五十人以上の事業所対象調査をしていたけれども客観状況等々非常に厳しい状況の中でそれを下回る企業調査もいたしました、そういう中で結論を出したのが今回の人事院勧告であります、ぜひ御理解を賜りたいというような趣旨お話もございました。  それらを受けながら、先ほど御質問の中にございましたように、政府として九月二十一日に完全実施を閣議決定したわけであります。  その結果、御案内と存じますけれども、率は〇・二八%でございますけれども期末手当を〇・三月分減額をしております。結果としては平均九・五万円の削減でございます。そして、全体としては千二百億、一般会計特別会計を含めまして千二百億円の減でございます。同時に、私どもは、民間がそういう厳しいリストラをやっておられることも踏まえながら二五%の公務員削減を目指しております。  そういう意味では、厳しい客観情勢を踏まえながら、なお労働基本権制約代償としての人事院勧告を完全に守るというのが今回の措置でございますので、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。
  9. 海老原義彦

    海老原義彦君 今お話しのとおり、〇・二八%のベースアップと同時に〇・三月分の期末手当減額ということもあって、今の厳しい経済事情のもとで民間の苦しんでおる方々に対しても十分釈明が立つ正当な人事院勧告であるという御判断、よくわかりました。  ただ、ここで私、常日ごろ疑問に思っていることを一つ質問したいと思うのですが、これは人事院勧告制度そのものの問題で、これはあるいは人事院の問題かもしれませんけれども、むしろ政府として大所高所に立っての御見解の方が伺うにふさわしいかなと思うのです。  人事院勧告では官民給与比較を非常に正確にやりまして、正確な結論を出して、今、公務員給与はこれだけ低いと民間給与比較するわけでございます。ということは、言いかえれば、給与をもらっていない民間の人は比較対象にならない。そういう人が今リストラが進み失業者がふえている状況の中でだんだんふえてきておる。三百万人と言われておりますね。こういう方々を反映せずに給与をもらっている人とだけ比較しているという、こういうやり方でよろしいのか。  しかし、私なりに、それでもそれが正当なのかもしらぬなと。いろいろな考え方あるわけでございますけれども、ここら辺についてひとつ明晰な分析と御見解総務庁長官に賜れればと思うのです。
  10. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) ただいまもお答え申し上げましたけれども人事院が、海老原委員の御趣旨を踏まえながら、実は検討をされました。その結果の結論でございます。したがいまして、その辺の国民の御理解は私はいただけるものじゃないのかな、ぜひいただきたい、こんなふうに思いますので、御理解を賜りたいと存じます。
  11. 海老原義彦

    海老原義彦君 それでは、引き続いて人事院総裁に伺いたいと思います。  今の総務庁長官お話にもありましたように、人事院としてはあらゆる角度から、こういった現在の非常に厳しい景況あるいは完全失業率高水準移行ということ、厳しいリストラが続いておる、こういう状況を踏まえながら勧告したということと思います。これは本当に御苦労があったことだと思います。  本年の勧告は、長官お話にもありましたとおり、実質的にはマイナス勧告である、千二百億予算をお返ししなきゃならぬというような減額修正をするような勧告である、こういうふうに、何と申しますか、厳しい民間情勢を受けとめて勧告に至った。人事院の御苦心というのはそれは大変なものであったろうと思います。この間の状況につきまして、人事院総裁から基本的な御説明を承りたいと思います。
  12. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) ことしは殊のほか勧告をめぐる情勢が厳しゅうございます。したがいまして、私たちはまず民間賃金状況がどうなっているかということをあらゆる角度から正確に把握する。及び、賃金をめぐるいろいろな情勢、例えて言いますと、今、先生お話しになりましたリストラ状況あるいは組織、総定員等合理化状況、そういうものも把握いたしまして、勧告をしたものかどうかということで随分悩みました。そして、勧告をするとした場合にどういう内容勧告をするんだろうかということで、二重の悩みというか二重の検討を延々と行いました。  その結果、今回のような勧告をしたわけですが、勧告をいたしました根拠というのを三つ申し上げますと、一つは、私たちが把握いたしました民間状況の中で、やはり六〇%近い企業というものが、非常にわずかでございます、わずかでございますがベースアップをしている。もちろん、そのベースアップ財源というものを生み出すために民間は必死になって合理化努力をしているという背景もございます。公務員の世界においてもそういう背景というものを考えてやはり精いっぱいの合理化努力をしなきゃならないと思いますが、そういうようなことで六〇%近い民間企業ベースアップをしている。もちろん三割を超える企業におきましては賃金カットとか定期昇給停止、そういう厳しい措置を行っておりますけれども、私が申し上げましたように、六〇%近い民間企業ベースアップをしているという事情一つ背景としてございました。  第二番目に、やはり同じ公務員であり同じ職場で働いておる四現業職員につきまして中央労働委員会から仲裁裁定がございまして、その仲裁裁定につきまして政府の方では、私たち勧告をするかしないかという決断をしておるときに、既に実施をするという決定をなさいました。したがいまして、同じ公務員の間で賃金改定状況について差が出るというのはできるだけ避けていきたいという気持ちが働いたわけでございます。  そして第三番目は、今、先生お話しになりましたように、ボーナスにつきまして〇・三月分の較差がはっきりこれは出てまいります。したがいまして、この〇・三月分の減額というものについて勧告しなければならない。そうしますと非常に大きなマイナス要因として働くわけですが、そのボーナスの〇・三月分の勧告のみをして、そして、わずかでございますけれども〇・二八というベースアップ勧告をしないという選択はかなり難しいというか、非常に厳しい選択になるだろう。そしてまた、〇・二八%という勧告をすることによる最初先生お話しになりました恩給等他制度に対する波及というものも考えますと、やはりこの際ベースアップ勧告をさせていただきたい、こういう判断をしたわけでございます。  何分、国家公務員給与というのは、その財源国民の税金でございますので、国民納得というのがどうしても必要でございますから、私たちは、東京を初め全国各地におきましていろいろな方の御意見を聞き、そしてそういう方と意見を交換いたしまして、国民の御納得がいただけるように最大限の努力をしたつもりでございます。何とぞ、その辺の事情というものを御理解いただきたいというふうに思います。
  13. 海老原義彦

    海老原義彦君 今回の勧告一つの特徴として、本省の課長クラス以上の職員の、管理職ベアを見送ったということがあるわけでございます。これは人事院勧告始まって以来のちょっと異例の措置ではないかなと思うわけでございます。  これからいろいろ重要課題行政では山積しております。行政改革も推進していかなきゃならない。そういったときに管理職士気高揚は不可欠でございますけれども、このような措置に踏み切った理由、これは今の総裁お話の中にもいろいろうかがい知れるところでもございますけれども、さらに詳細にこの理由について、またこのような措置給与体系のバランスに悪影響が出てこないかという心配もありますが、そこら辺の問題についてもお話しいただきたいと思います。
  14. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 先ほど御説明いたしましたように、勧告をする場合にどういう内容勧告をするかということの一つの非常に大きなポイントだというふうに思います。  私たち管理職について勧告を見送ったということの背景は、民間企業におきまして課長以上の管理職ベースアップ状況というのが大体一般職員よりも五%ほど低くて五三%ぐらいでございました。しかも、五三%ぐらいの管理職についてベースアップされておるわけですけれどもベースアップはするけれども管理職については賃金カットをする。ベースアップはするけれども賃金カットをする、あるいはまた昇給というものを停止するという、賃金について厳しい措置を講じておる企業がやはり五%ぐらいございまして、無傷でといいますか、そういうベースダウンとか賃金カットがなされずに、本当にベースアップだけの恩恵を受けた管理職というのがやはり五〇%を切っております。四八%ぐらいでございます。したがいまして、そういうような民間管理職状況というものをどうしても重く見ざるを得なかったということでございます。  しかも、そういうような管理職民間企業では、それぞれの企業合理化企業の立ち直りということについて中心的な役割を果たして頑張っておるということでございますので、本省庁の課長以上の職員についてもそれだけの覚悟を持ってこの際やっていただきたいというのが人事院お願いでございます。私たちは非常につらい決断をしたということでございますので、その点につきましても重ねてお願いを申し上げたいと思います。
  15. 海老原義彦

    海老原義彦君 今のお話を伺いながらよくわかりましたけれども、今や民間でも管理職ベースアップをとめる、あるいは引き下げるという流れがほうふつとして起こっておって、そういう流れに耐えながら民間管理職の諸君も頑張っているんだ、だから公務員管理職ベースアップなんかなくとも頑張っていただきたいという気持ちがひしひしとわかったわけでございますけれども、もう一つ私は、やや理論的な問題を考えておるわけでございますが、先ほども私申しましたように、人事院勧告というのは労働基本権制約代償措置であると。代償措置であるということと今回のようにマイナス勧告をするということと、どうも単純な論理では結びつかないような気もします。私は私なりにこれは結びつく話であろうと思いますけれども、私と人事院総裁とまた別の論理で結びつけているかもしれませんので、ひとつ総裁の御見解を伺いたいと思います。
  16. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 人事院勧告というのは長い歴史がございまして、その長い歴史というものを振り返ってみますと、常にといいますか、今までは必ずマイナスではなくしてプラス勧告というのを行ってきました。そのプラス勧告の長い歴史というのが、私たちの頭の中で人事院勧告というのはプラス勧告なんだというふうに結びついておるんだと思います。私の頭の中でもさようでございました。  しかし、ここでこの勧告制度基本というものを規定しておる国家公務員法というのをよくよく読んでみますと、国家公務員法の二十八条とか六十七条では、やはり制定当初から人事院勧告というのはマイナスがあるんだということが前提として書かれております。したがいまして、この制度をおつくりいただいた国家公務員法規定というものは、やはり制定当初からマイナス勧告というものを予想しておったんだというふうに読まざるを得ない。そして、この厳しい状況の中ではこういうような規定というものを改めて私たちは思い起こさなきゃならない。そういう状況に私たちが立たされておるんだと思います。  決して私たち自身公務員給与の切り下げとかあるいはマイナス勧告というものを喜んでしたわけではございませんで、やはり国民納得をいただくためには、民間状況というものを正確に把握して、それを正確に国会に御報告し、そして勧告を申し上げる、こういうような経緯であったということでございます。
  17. 海老原義彦

    海老原義彦君 お話の、制度的に国家公務員法上、例えば国家公務員法の二十八条、情勢適応の原則の中で、五%以上給与の増減を要するときという言葉もある。増だけでなくて減も予想されておるのだと。あるいは六十七条の給与準則の問題で、給与準則の改訂、給与額を引き上げ、または引き下げる必要がある場合。引き下げるということも予定されているのだという制度的な御説明がございましたけれども、私は、それだけではなくて、やはり労働基本権代償措置、つまり労働三権があって団体交渉をしていく、そういう状況にない国家公務員のための措置という面で考えますと、仮に労働基本権があったらどうなるのだろうかということを、労働三権がそろっておって団体交渉して協約を結ぶとなったら、やはりこういう不況のときには組合も納得してボーナス減額ボーナス闘争というのは下火になってボーナス減額に応ずるというのが普通の流れになっておる、そういったことも含むのが労働基本権代償措置のゆえんじゃないかなと思うわけでございまして、そういった面も含めてもちろん人事院もお考えになったのだろうと思います。  さて、もう少し細かい問題に入りますけれども民間給与実態調査、これは非常に緻密な調査でございましたが、ことしは例年にも増していろいろな角度から調査をやっておるというふうに伺っております。今回はどのような工夫をなさったかちょっと御説明いただけませんか。
  18. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 四月一日現在の民間賃金水準を把握するというのが今までの調査やり方でございます。もちろん、ことしもそれを正確に行いました。それにプラスいたしまして、それぞれの民間企業賃金カットとかあるいはまた定期昇給停止とかということで賃金をめぐって非常に厳しい措置を講じておるということがかねがね新聞で報道されておりましたので、その面についてまず正確に把握するようにいたしました。それから、組織とかあるいはまた人員の合理化というのも行っておりますので、そういう状況についても非常に詳細に調査をするように努めました。  それからもう一つは、私たち企業規模百人以上、事業所企業規模五十人以上というところを調査対象にしておりましたけれども、昨年の勧告実施をしていただく際にもう少し規模の小さいところも調査をしたらどうだという御意見もございましたので、小規模企業といいますか、それよりも小さな規模の企業調査もいたしました。  そういう状況というものも調査をし、それをいろいろ判断材料として今回の給与勧告に臨んだというふうに御理解いただきたいと思います。
  19. 海老原義彦

    海老原義彦君 今、最後のところで、規模百人未満の企業について特別に調査を行ったというお話がございました。  この調査はどういうふうに行ったか、どういう趣旨、目的でどういう内容で行ったかということをちょっとお示しいただけませんか。
  20. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 私たちは、国家公務員給与水準を決めるときの調査対象企業としては現在の調査対象規模が正しいというふうに考えております。  ただ、私たち勧告する給与表というのは地方団体等においてもこれを参考にされておる、準用されておるという実態がございまして、そういうような地域の人たちから、やはりもう少し小さな規模の企業というものも調査したらどうだというような話がございました。私たちのまた判断をするに当たりましてもそういう規模の小さな企業状況というものも重要な参考になるだろうという二重の意味において、今回調査をしたわけでございます。  調査をした結果というものの要点をかいつまんで申し上げますと、一つはやはり中途採用者が非常に多いということでございます。国家公務員の場合には、標準労働者といいますか、学校を卒業して国家公務員におなりになる、そして国家公務員として勤め続けておられるという方が非常に多いわけですけれども、小規模企業の場合には中途採用者が多い。したがいまして、賃金比較をいたします場合に年齢別の比較というのを行いますけれども、中途採用者の給与というのはどうしても水準がやや低うございますので、調査対象としてふさわしいかどうかというようなこともございます。  また、小規模企業の場合には役職段階というのが公務員の場合と違って非常に簡素化されております。したがいまして、公務員の係長というのがそういう規模の小さな企業のどういう役職段階の人と比較したらいいのかということで、判断が非常に難しいということもございます。また、賃金表のない企業というのがかなり多い。あるいはまた、賃金台帳というものに基づいて私たちはそれぞれの民間企業賃金状況調査しているわけですが、賃金台帳も十分備わっていない企業もあったと聞きます。  したがいまして、私たち調査をいたしました小規模企業というものの賃金状況というものは、私たち判断をするに当たってのおおむねの参考資料にはなり得ると思いますけれども、実際、私たち給与水準というものを検討するときの細かなベースに少しなりにくいという感じを持ってことしの調査を終わったということでございます。
  21. 海老原義彦

    海老原義彦君 百人未満の企業についても調査対象に含めたらどうかという声があるので調査してみたけれども、全体の流れを、例えばベースアップをしたかしないかとか、そういう流れを把握する上には大変参考になるとしても、人事院が行っている職種別民間給与実態調査を適用するような対象職種あるいは勤続年数などという面から見ると、ちょっと比較対象に持ってくるには無理がある、こういうお話でございまして、私も恐らくそれはそうだろうなと思っております。  さて、これからの給与の問題として、今回の勧告でもうたわれておりますけれども、何といいますか、早期立ち上がり型というんでしょうか、給与カーブを手直ししていって、今までよりも早い年齢層で上がっていくというように直していこう。これまで給与カーブの手直しで高年齢層を抑えていこうという流れ一つございましたが、もう一つ、今度は中堅層を早く上げていこうという流れが出てきた。これは非常に画期的なことだと思うんですが、そのあたりの御説明を伺いたいと思います。
  22. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 賃金体系といいますか賃金システムの改革というのは、官民そろって今いろいろな角度検討されております。やはり組織というものをできるだけ活性化させて効率のいい仕事をしていかなきゃならないというねらいが基本にあるんだと思います。  民間におきましても、厳しい競争に打ち勝つためにはどうしても職務あるいは実績、能力、そういうものを重視した賃金体系に変えていかなきゃならないという思いがあるんだと思います。それと同じ思いはやはり官の側においても持たなきゃならないということでございます。また、民間がそういう角度から賃金制度というものを見直すなら、これからの官民の間の人事交流のあり方というものを考えた場合に、民間のそういう動きというものも私たちは非常に重要な動きとしてこれは把握していかなきゃならないだろうというふうに思います。  そういうことで、やはり職務あるいはまた能力、実績というものを考慮するという面におきまして、早期立ち上がり型といいますか、公務員の世界では働き盛りと言われる三十歳代から四十歳にかけての職員というもの、その層というものにできるだけ厚い配分をしていこうということで、私たちは既に着手をしております。またこれからもそういう着手を、そういうことを続けていかなきゃならないということでございます。  そういう意味において、一つ賃金体系の改革の方向というものを示した、そしてまた、これからも続けていきたい、そういう問題意識でございます。
  23. 海老原義彦

    海老原義彦君 職務給など、能率給、そういったことを頭に置きながら早期立ち上がり型の給与体系にしていく、大変結構なことだと思いますが、だんだん生活給ということが言われなくなってきておりますけれども、実はこの早期立ち上がり型は生活給的に見ても非常に結構なことであろうなと思うんです。  三十歳代になって生計費が、そこら辺から結婚を機に子供が生まれる、子供がだんだんふえていくということで、生計費が急増する段階でございますので、今まで生活給的にはその辺がまことに恵まれていなかった、それを補うという、本来の意図と違う効果も出ておって、私はいろいろな意味から結構なことだろうなと思っております。  どうぞその方向の御検討をお進めいただくと同時に、もう一つ、やはり生涯雇用型の賃金体系というのを常に頭に置いていかなければならないので、高齢者の処遇をどうするかということもあわせて考えていかなければならないと思うわけでございます。  高齢者問題についてはもう少し後で聞こうかと思ったんですが、この際一緒に聞いてしまいますけれども、まず天下り問題との関連がどうしてもあると思うんですね。  やはり早期退職、高齢者を五十代の早期に退職させて民間に天下らせる、私はこれは甚だよくない慣行である、これをやめなきゃいかぬ。じゃどうすればいいんだというと、それは公務の部内にせっかく六十歳定年というのがあるのだから六十まで置くべきであろう。第Ⅰ種採用のいわゆるキャリアの方々それで本当にいいのかね、士気が低下するんじゃないか、上がだんだん詰まってくるぞという難しい問題もございますよ。ございますけれども、そういうことを克服して考えていかなきゃならない。なるべく在職期間を長期化して定年いっぱいまで持っていくことが天下り防止にも一番役に立つんじゃないか。そこら辺についての人事院の御見解を承りたいと思っております。
  24. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 幹部公務員というものの退職実態を見ますと、やはり少し退職する年齢が若過ぎるということを私たちは考えております。また、一般的にもそういうことがよく言われます。したがいまして、せっかく優秀な人材というものを採用して、そして公務組織の中で鍛えて役に立つように仕上げたわけですから、これをできるだけ公務組織の中で有効に使っていかなきゃならないというのが基本でございます。先生がおっしゃいましたように、早く退職させて民間企業に受け入れさせるという、そういう時代ではないだろう、民間企業にもそういうような余力はなくなってきておるだろうというのは一つございましょう。  もう一つは、やはり経済社会が非常に大きく速く変動しておりまして、この経済社会の変動というのが公務組織にいろいろな難しい課題というものをもたらしております。それに対して有効に対応していくためには、今までのようなライン的な組織、またライン的な職員だけでこういう課題に対応できるかというと難しくなってきておるというふうに思います。やはり腰を落ちつけてじっくり検討しなきゃならない課題も多くなっておりますので、そういうようなことを考えますと、早期に退職させるよりもそういう新しいスタッフ的な仕事というものを十分していただく、そして公務組織国民が寄せる期待というものにこたえていくような対応というものをしていかなきゃならない。  こういうことを考えますと、今、先生がおっしゃいましたように、六十歳定年というのがあるんだから、それを目指してとにかく公務組織の中でいろいろな関連する問題を解決しなさいということでございます。やはりそのためには、公務組織の中でどういうような組織体制というものをつくっていかなきゃならないかとか、また昇進テンポをどのようにしていかなきゃならないかとか、あるいはまた公務組織の中に既にあるポストというものをどういうふうに評価していかなきゃならないかという、関連するいろいろな問題が出てきますけれども、そういう問題につきましても、関係する省庁との間でよく意見を交換いたしまして、私たちは、六十歳定年に向けて、できるだけ長期に在職してそして国民のお役に立つ仕事というものをしていくように努めてまいりたいというふうに思います。
  25. 海老原義彦

    海老原義彦君 今のお話の中にもございましたけれども、やはり長期の在職と同時にいろいろな角度から弾力的な人事運用を検討していくということが大事であろうと思うわけでございます。  今のお話にない部分でさらに伺いたいと思いますのは、公務員では従来からⅠ種採用者とⅡ種、Ⅲ種採用者と大きな壁がある。これはやはりいろいろ問題があるんではないか。問題を含みながら今世紀はそれで過ごしてまいりましたけれども、二十一世紀までそれを持ち越すのかねと。もちろんそれはⅠ種採用者は優秀でございまして、幹部になっていく、それは当然のことでございますけれども、Ⅱ種、Ⅲ種採用者にも大変優秀な人もおられる。こういったことを、余りあれはⅡ種、Ⅲ種だからと硬直的に考えていくということはいかがなものか。  また、職種別と申しますか、事務官、技官の別と申しますか、文系、理系の別と申しますか、そういったことからどうも硬直的な人事が行われるという嫌いもあるわけでございます。そういったいろいろなことを弾力的に運用していくということを目指していかにゃならないと思うのでありますが、その辺の人事院総裁の御意見はいかがでございましょうか。
  26. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 日本の公務員制といいますか俗に言う官僚制ですが、その公務員制には幾つかの特徴といいますか幾つかの欠点があるだろうというふうに思います。一つはやはり特権性だというふうに言われております。そして第二番目に、公務員の世界が民間との関係で閉鎖的だ、あるいはまた他の省庁に対しても閉鎖的だというふうに、閉鎖性ということが言われております。そういうような特徴というものと今、先生がお挙げになりましたⅠ種、Ⅱ種職員の区別とか、あるいは技官、事務官の区別とか試験の採用種別によるそれぞれ独立した人事管理というものとは実は結びついておるという問題意識を持たなきゃならないというふうに思います。  私たちは、もう少し過ぎ去りつつありますけれども、不祥事のときにいろいろ国会でも議論していただきましたし、公務員の世界でも議論しましたけれども、やはりⅠ種、Ⅱ種の区別、Ⅲ種も含めてですが、そういう区別というものに基づく人事管理というものが、結局公務員の世界の特権性というものを強くしているんじゃないかという話がございました。  したがいまして、このⅠ種、Ⅱ種につきましても、能力のあるⅡ種、Ⅲ種の職員もたくさんいるわけだから、このⅡ種、Ⅲ種の職員というものを幹部公務員というものとして登用していく、そしてその能力を十分発揮していただくということで、各省の方と相談いたしまして、各省もそういう認識をお持ちいただきまして、現在人事院の方で各省から推薦していただきましたそういう職員人事院が預かりまして特別な研修というものを実施していこう、そしてⅡ種、Ⅲ種の職員の中でも優秀な職員というものを省庁の幹部職員として仕事をしていただくようにしていこうということを考えております。そして、そういう方向で進んでおります。  また、事務官、技官の区別もそうですけれども、事務官として採用されたから、あるいは技官として採用されたからこういうとにかく昇進ルートしかないんだという固定的な観念を持つべきではない。いろいろな人がいろいろな公務員組織に入ってきて、そしていろいろな価値観も持っておられる、また本当に事務官にはない能力を技官の方も持っておられますから、広い視野から公務員として基本的な素養を持っておる方は十分活用していくようにしていかなきゃならないという話もいたしております。各省とも大賛成でございます。  したがいまして、これから今、先生がお挙げになりましたような問題というものを克服しながら、日本の公務員制の悪いところと言われている、今申し上げました閉鎖性とか特権性とか割拠性とか、そういうものを直していく努力をしていかなきゃならないと思います。ただ、非常に大きな問題でございますので、関係各省の協力といいますか認識というものも非常に重要だろうというふうに思います。
  27. 海老原義彦

    海老原義彦君 適材適所の人事管理を進めていって弾力的に人事管理を見直していく、そのためのかぎの一番大事な一つが人事評価システムにあると思います。人事評価システムについても人事院で既に御検討を始められておるということを伺っておりますが、現在どういう問題意識でどんな検討を始めておるかという現状を御報告いただきたいと思います。
  28. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 公務員組織というものが効率よく能力を発揮して、そして国民の期待する行政サービスというものを提供していくためには、やはり適材適所でなければならないというふうに思います。そしてまた、これから公務組織に課せられる課題というのが非常に複雑、多様化してくるでしょうから、本当にどういう能力を持った人がどういうところにおるのかということをしっかり把握して、そしてそういう人たちが十分能力を発揮していただくようなポストというものに配置していかなきゃならないというふうに思います。  そしてまた、昇進させるときあるいは給与上の処遇をするときにも、能力主義というのが非常に重要でございますので、そういうことをあわせまして能力の評価というものを改めてやり直そうじゃないかということでございます。現在、勤務評定というのがございますけれども、やはりその透明性とかあるいは個々の職員にとっての納得性というものについてもいろいろな意見が出ておるようでございますから、そういうものを謙虚に聞いてまいりたいというふうに思います。  また、一つの評価で適材適所という課題また給与上の処遇とか昇進上のあり方というものについて満たすことができるかどうかということも、改めてこの研究会においては研究していただかなきゃならないと思います。民間における状況とかあるいは外国におけるその評価のあり方というものも勉強いたしまして、私たちは来年の夏ごろを目がけまして中間報告というものをいただければというふうに思っていますが、そういう方向で私たちの方も研究会とともに歩んでまいりたいというふうに思います。
  29. 海老原義彦

    海老原義彦君 人事院に伺いたいことはまだたくさんございますけれども、次の機会もございますと思いますので、最後にもう一問だけ伺いましょう。  それは、公務における女性の採用、登用の拡大という問題でございます。男女共同参画社会基本法というのは当委員会においてこの春扱った法案でございまして、修正議決の上、衆議院に戻して六月に衆議院で成立しております。  さて、この基本法ができまして、やはり男女共同参画社会の実現というものに向けてまず公務が範を示すべきではないか。実はこれは公務だけではない、もう日本国いろいろな組織において、会社においても団体においてもやっていかなきゃならぬことだろうと思っておりますけれども、まず公務が範を示すという意味で、公務についてはどういうようにやっていくか、人事院総裁の御決意を伺いたいと思います。
  30. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 非常に難しい問題だというふうに率直に思います。公務の世界におきましては、男女を平等に取り扱うための制度とか、あるいはまたその制度のもとの運用システムというのが既にでき上がっておりますので、結局、各任命権者の認識の問題じゃないかというふうに思います。  私たちはそういう意識に立ちまして、ことしの公務員の採用に当たりましては、女性をできるだけ採用してくださいということで、うちの幹部の職員が各省を回りましてお願いいたしました。かなりその効果が出てくるんじゃないかというふうに思っていますけれども、今聞きますと、まあ昨年よりは少しはいいのかなという感じはいたしますけれども、なかなかこの各それぞれの任命権者の意識の問題というのはそう簡単に直らないだろうというふうに思います。  ただ、一年努力してみてだめだからということであきらめるんじゃなくして、やはり少し時間をかけてといいますか、少し年数をかけて各任命権者の認識というものを改めていただくということがまず重要だろうというふうに思います。  もう一つは、やはり公務員の世界に多くの女性が志願してくれなきゃならないというふうに思います。そして、志願する女性というのは、実は公務員の世界をじっと見ておるんですね、今。見ておるというのは、私が公務員になったときにどのように扱ってくれるだろうかということを見ておるんじゃないかと思うんです。  したがいまして、現在女性を抱えておる、すべての省庁が女性をたくさん雇用しておりますけれども、その省庁において女性にどういうチャンスを与えていくかというその実績が重要じゃないかというふうに思います。したがいまして、できるだけ各省庁において現在配置されておる女性というものにいろいろなチャンスを与えてやっていただきたいということもお願いしてまいりたいというふうに思います。
  31. 海老原義彦

    海老原義彦君 今、人事院総裁からの御答弁を伺っていて、本当に情けないなと思うわけでございます。日本の社会の実情はそんな甘いことで済むような時代ではないだろうと思うわけですね。  私どもがこの男女共同参画社会基本法をつくりましたときには、各党それぞれの思想があってやっていったわけでございますが、我が党の思想といたしましては、他の党の思想についてはまたいずれ他の先生方からお話があると思いますので我が党の思想だけで申しますと、今、日本の社会が経済にしろ何にしろこのような沈滞、低迷をしておる、これはどこかでこの行き詰まりを打開していかなければならない、二十一世紀に向かって日本が新しく再生していくためには新しい力の社会への導入が必要であろう。明治維新という一大変革がかつて日本にはございました。あれより前には、社会、政治に参画したのは有力大名、将軍家、御家老初め上級武士に限定されておったわけでございますが、それが下級武士も町人も百姓も全部社会に参画していくようになった。これが明治維新の最大の功績だったろうと思うんです。  そういったことで、あの明治の困難な時期、日清、日露の戦争を切り抜けて、日本は植民地国家にならずにこうやって立派な国になってきた。あのとき新しい社会に参画する膨大な層があったわけでございますけれども、今、日本のこの停滞を打開していくためには、やはり新しい層の社会への参画を望まなきゃならない。それは何だろう。それは女性であります。女性の社会参画なくして二十一世紀の日本はだめだ、私どもはそういう観念からこの共同参画法を推進したわけでございます。  男女共同参画社会基本法ができまして、実は私はある組織の会長をやっております、軍恩連盟という組織の全国連合会の会長をやっておりますが、この問題意識は、日本国だけではない、小さくは我が軍恩連盟でも同じ問題意識を持っております。早速七月に軍恩連盟男女共同参画推進要綱というものをつくりまして、共同参画を進めておる。着々成果が上がっております。地方の会長さん、方々の地方で会長さんが女性にかわっていくというようなドラスチックなことさえあらわれ始めておるわけでございまして、これは当事者が本当に危機感を持って熱意を込めればできない話ではない。私はまだまだ人事院御当局においてもまた総務庁においても公務員にかかる熱意が足らないのではないか。  男女共同参画社会基本法は、これは総理府の所管でございますので、総理府の総括政務次官がおられますので、一言、今の私の発言に対する御感想をいただければと思います。
  32. 長峯基

    政務次官長峯基君) 男女共同参画社会基本法の成立に携わられた当委員会の皆様方に、心から敬意を表したいと思います。  私は、これはもう当たり前のことでありまして、こういうことが議論される日本の今の状況というのは大変おくれているんじゃないかというふうに感じます。  実は私は、大学は薬学部でございましたけれども、女性が大体七割ぐらいおられ全く男女同権の社会でございまして、就職のときも全く男女の差別はございません。そういう意味では、今こういうことが議論されるということはある意味では恥ずかしささえ覚えるわけでございますけれども、この男女共同参画社会基本法が成立いたしましたので、この趣旨を踏まえて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  また、公務員における女性の採用、登用については今、人事院総裁からお話がございました。全く同意見というわけにもいきませんけれども、私どものできる範囲内で先生の御趣旨を踏まえながら積極的に取り組んでまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
  33. 海老原義彦

    海老原義彦君 前向きの御答弁ありがとうございました。  最後に、総務庁長官に伺います。  先ほど官房長官にも伺いましたけれども軍人恩給というものは、やはり旧軍人、国のためにあの厳しい大戦、戦争中厳しい戦線にあって本当に青春をささげて尽くした、それに対して国として何とかお返ししなきゃならない、そういう精神が国家補償という言葉で出てきておると思うのでございますが、この国家補償の問題につきましては歴代総務庁長官、本当に前向きな御答弁をいただいております。ひとつ、新総務庁長官であられる続大臣にも前向きの御見解を賜りたいと思います。
  34. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 先ほども、またただいまもこの恩給に関して、さきの大戦で国に忠節を尽くされた、そして痛ましくも亡くなられた、あるいは傷つかれた、あるいはそれらの御家族に対して、海老原委員の深い思い、熱い思い、これをるる述べられました。  私も歴代長官と同じように、この問題は国家補償的な国の責任だ、そのように考えておりますし、これからもそういうつもりで対処してまいりたい、このように考えております。
  35. 海老原義彦

    海老原義彦君 前向きの御答弁ありがとうございました。  間もなく平成十二年の恩給改善予算の時期にもなりますので、ひとつよろしくお願いいたします。  質問を終わります。
  36. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  37. 小川勝也

    委員長小川勝也君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  38. 千葉景子

    ○千葉景子君 民主党の千葉景子でございます。  午前中の質疑の中でも、長官お二人参議院の御出身ということでもあり、また政務次官の皆さんも、大変衆議院御出身の先生申しわけございませんが、参議院が多くいらっしゃるということで、大変私も身近な感じがいたします。ぜひこれからこの委員会でたびたびいろいろ御議論をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをする次第でございます。  ただ、長官それぞれには大変私も身近な感じがしておるんですけれども、いよいよスタートいたしました自自公と言われる今回の政権につきましては、かなり多くの皆さん、国民の皆さんも違和感を感じていらっしゃるのではないかという気がいたします。  よく言われますように、数合わせではないだろうか、あるいはどうも理念、これまでのそれぞれのお考え方などを見ておりますといささか理念なき集まりかな、こういう感もしないではございませんし、少なくとも今は連立の時代と言われておりますので、そういう意味ではそれぞれこれまで別な活動をしていた政党がともに政権を組むということはあり得るだろう、しかし、それにしても当面の課題あるいは今いろいろと皆さんが心配しておられる重要課題などでもかなり御意見の相違などが見受けられる、少しそれが過ぎるのではないだろうか、そういう気もいたします。  少なくとも、基本的なこの政権でのやり得る課題についてはきちっとした意思一致がある、こういうことがやはり必要なのではないだろうかというふうに思いますけれども、どうもその辺が欠けておるような気がいたします。それゆえ、一体この政権はこの重要な新しい時代に向かうときにどっちへ進んでいくのか、どうもいま一つ見えてこない。私たちの、そして国民の生活などをこれからこの政権に任せて本当に大丈夫だろうか、こういう懸念なども大分出ておるようでもございます。  これからさまざまな議論をさせていただく中で、ぜひどうやってそこを乗り越えクリアされるのか、あるいは意見の違いというのが一体どういうところにあるのか、こんなこともぜひお聞かせをいただきたいものだというふうに考えているところでもございます。  特にこの委員会、両長官にお出ましをいただいているところでございますけれども、続長官、公明党の御出身ということもございまして、その代表バッターということもございます。そういう意味ではそれぞれのお考え方が一番よくわかる委員会ではないか、こういう気もいたしておりますので、ぜひ率直なお考え方をまたお述べいただきたいというふうに思います。  さて、その政権でございますけれども、スタートに当たりまして、大変私もショッキングでございましたし、非常にゆゆしき問題からスタートをいたしました。それはもう御承知のとおり、西村前防衛政務次官の週刊誌上の発言にかかわる問題でございます。中身は詳細に申し上げませんけれども、これについては、既に更迭をされ、そして総理も本会議で陳謝をされたということはございます。  そこで、お聞きをさせていただきますが、官房長官、この問題は、総理が本会議で一言陳謝をなさった、そして更迭があった、これで終わった、こう受けとめておられるのでしょうか。それとも、いや、そうではないんだというお考えでしょうか。
  39. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 千葉先生にお答えをいたします。  西村前防衛政務次官の女性軽視の発言でございますが、これは週刊誌の取材に応じて行われた発言でありまして、私どももよくいろんなことを説明する場合にいろんな例を出して説明することはよくあることでございますけれども、今度の場合、わかってもらうために使った例としては本当にこれはもう問題外の、いわゆる政府の一員としては全く不見識な、不適切な前政務次官の発言である、そういうふうに基本的に私も考えております。  しかも、本年六月に男女共同参画社会基本法が成立をいたしまして、政府が挙げて今、男女共同参画社会の実現に向けて新しい一歩を踏み出したときに行われた発言だけに、私は非常に遺憾に思っております。  経過につきまして簡単に御報告をいたしますと、私がこの記事について知ったのは十九日の午後三時過ぎでございました。
  40. 千葉景子

    ○千葉景子君 経過はいいです。
  41. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 経過はよろしゅうございますか。  それから、私どもとしては、今申し上げましたように、全くこれは政治家としても、また内閣の一員である政務次官としても、これは問題外の何とも言えない遺憾なことだ、そういうふうに考えております。そういう意味で、いわゆる責任者であります総理が本会議場という公の場で国民の皆さんにおわびをしたわけでございますが、おわびをしただけで済む問題だとは考えておりません。これからこういうことが絶対ないように、内閣としても、各政務次官初め内閣に列する者がすべてこれから注意をしながら対応していかなきゃいかぬ非常に大きな問題だ、そういうふうな認識をいたしております。
  42. 千葉景子

    ○千葉景子君 あれで終わった問題ではないという基本的な御認識はお聞きをいたしました。  あのようなことが、あの発言があり問題になりましてから、政府として、あるいは男女共同参画の担当大臣でいらっしゃいます官房長官政府内でどういうことをおやりになりましたか。何かそれに対して、政府内で改めてこの問題に対する認識を深める、あるいは今後の対応についてどういう具体的な策を講じられたのでしょうか。
  43. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) ただいま申し上げましたように、まことに異例のことでございますけれども、その日のうちに総理が全政務次官を集めまして、今度の政務次官の発言について非常に遺憾である、国民の皆さんに対しても、女性の皆さんに対しても非常にこれは大変な失礼な発言であったということを、総理自身も反省をし、全政務次官に対して、まことに異例の事態でございますが、今後こういうことが絶対ないように、それから参画社会の実現のために各政務次官それぞれの立場で全力を挙げてこれに取り組むことによって、今回の発言が国民の皆さんに本当に悪かったということを政府が反省していることを理解していただけるように行動するように総理から直接皆さんにお願いをしたところでございます。
  44. 千葉景子

    ○千葉景子君 大変抽象的なんですね。一体、この発言が遺憾である、あるいは国民に対しても非常に問題のある発言だったと。何が問題だったということは、具体的にどう受けとめておられますか。一体この発言が女性に対してどういう意味を持っていたか、どういう意味で問題だったのか。どう受けとめ、解釈をされておられますか。
  45. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 西村氏自身のやはり感覚、自覚の問題が一番大きな問題だったと考えておりますし、しかし、それは西村政務次官だけの問題じゃなくて、今後我々全体が考えていかなきゃいかぬ非常に重い問題だと、そういう認識を持って、今後内閣を挙げて対応していきたいというふうに考えております。
  46. 千葉景子

    ○千葉景子君 いや、そうじゃなくて、何が重いのかということなんですね。よく、女性の人権を侵害しているとか言葉では言われますけれども、一体どういう意味で、これだけ女性が非常に問題視し、当然のことながら男性も問題視しているわけですね。具体的に、一体何が問題だったんだというふうにお考えですか。
  47. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 先ほども申し上げましたように、政府を挙げて男女共同参画社会に向かって全力を挙げて努力していかなきゃいけない時期にこういう発言があったことが一番問題だと考えておりまして、今後、そのためには政府を挙げて男女共同参画社会の実現のために全力を挙げて努力をしなきゃいけないと考えております。
  48. 千葉景子

    ○千葉景子君 長官、こう申し上げると大変失礼かもしれませんけれども、いま一つ御認識というか御理解がやっぱりまだ十分じゃないんじゃないかという気がするんですね。  大変これは重大な内容でございまして、いわば女性に対する暴力、こういうものを基本的には是認する、当然そういうことは自然にあることなのだというような内容の発言なんです。暴力というのは犯罪です。それを許す、是認をする、こういう内容の発言であり、しかも女性が男性のいわば性的に下位にある、男性は女性の性に対して上位にある、こういうことを是認する、当然のことであるかのごとき発言であったわけですね。大変なことです、これは。  そういう点についてはきちっと御認識をされているんでしょうか。そして、そういう意味で、政務次官を集められて会議をなさったという際にもこういうことについてきちっと御説明などがなされているんでしょうか。お聞きしたいと思います。
  49. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 西村前政務次官の発言は、ただ単なる発言じゃなくて、女性に対する暴力を行使したと同じような問題である、そういうふうな認識は私もいたしております。  私自身は、そういう女性に対する、いわゆる先生が今おっしゃったような、そういうことは私自身一切考えておりませんので、私は女性も男性も一緒だという考えでおりますので、私の認識からしても、先生の認識と同じように、西村発言というものは女性に対する、今の参画法に反する非常に遺憾な行為だ、そういうふうに認識をいたしております。
  50. 千葉景子

    ○千葉景子君 やはりこの発言というのは、まだまだ私たちの社会の中に残されている大変女性べっ視の意識とかあるいはまた制度的な欠陥、こういうようなこともあらわしているのではないかというふうに私は思います。そういう意味では、長官おっしゃたように、決して終わった問題ではない、むしろこれからなんだということだと思うんですね。  具体的に今後長官としては、男女共同参画という大きな課題もともかくとして、このような発言が再発をしてはとんでもないことですけれども、あるいは男女共同参画社会に向けて政府が率先をして進めていかなければいけない、こういう中で、一体この発言などを契機、きっかけにして、どういう具体的な政府としての取り組みをされようとなさっているんでしょうか。
  51. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 政府としては、今後こういう問題が起きないように十分注意をすることは当然でありますが、女性に対する暴力のない社会を目指して一生懸命頑張っていきたい、そういうふうに考えております。
  52. 千葉景子

    ○千葉景子君 それはぜひ進めていかなければいけないことだというふうに思います。これについては法的な整備等も含めて必要な問題でもございます。  具体的には、ぜひそれを進めていただくと同時に、やはり総理を本部長にして、そして政府が一体となって男女共同参画社会を目指していこうという機構になっておるわけですね。そうであれば、例えば定期的に男女共同参画に向けたさまざまな諸施策、あるいはその意味合い、こういうものを政府全体でいわば勉強していただいたりあるいは課題について総合的に取り組んでいく、こういう何か仕組みをつくっていただかなければいけないのではないかと思いますが、それはいかがでしょうか。
  53. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) ただいま先生の言われたとおりだと考えておりまして、政府としても、今後具体的にこれに取り組んでいくのにどういう方法を考えるかということもあわせて十分政府部内で検討して頑張っていきたい、そういうふうに考えております。
  54. 千葉景子

    ○千葉景子君 続長官長官の御出身の公明党さんは大変男女共同参画という問題にも積極的にお取り組みをくださってきたことだというふうに私も受けとめておりますが、この西村問題、続長官はどうお考えでしょうか。政務次官としては辞職をされたということでもありますけれども、国会議員としての身分はそのままでもございますし、あるいはその後の御発言などもいろいろ取りざたをされております。こういう状況を見ながら、長官としてはどう受けとめておられますか。
  55. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 千葉景子委員冒頭におっしゃいました。きょうは忌憚のない意見を交換しようじゃないか、こんなお話がございました。私も率直に私の意見を申し述べさせていただきます。同時に、千葉議員の意見も私は伺わせていただければと思います。  まず、この問題につきましては、直ちに浜四津代表が実は公明党の立場で官邸に申し入れられましたことは千葉議員も御承知のとおりだと存じます。事ほどさように、今御指摘のように、人権問題あるいはこの女性べっ視の問題等については公明党としても従来にも増して実は関心を払ったわけであります。  そういう意味では、総理が、国会の冒頭にこんな発言がございました。「女性べっ視の発言に至りましては、女性の気持ちや人権を踏みにじるものであり、全く論外であります。任命権者として、国民の皆様に心からおわび申し上げます。」と。私は、まさにこの総理の発言のとおりだと私自身も思います。  したがって、青木官房長官からお話がございましたように、これはこれで終わった問題ではない、これから我々が真剣に取り組むべき課題だと、こんなふうに認識しております。
  56. 千葉景子

    ○千葉景子君 さて、この男女共同参画にかかわりましてお尋ねをするんですけれども、この男女共同参画社会を進めるに当たって一つ大きな懸案の問題になっておりますものに、選択的夫婦別姓などを含んだ民法の改正というものがございます。これはもう御承知のとおり、長きにわたりまして議論がなされてきた問題です。法制審から答申が出ましてからもう大分の時間が経過をいたしますが、残念ながら、政府の方からはこれに積極的にお取り組みになる、あるいは国会へ法案などを提案して議論の場に付する、こういう姿勢は一向に見受けられません。  長官、男女共同参画社会、これから一丸となって積極的に進めるというお話でもございました。これも、女性の自立あるいは女性の人格、こういうものを尊重するという意味では大変大きな問題ではないかというふうに思います。それについて、長官どうでしょう、積極的にお進めになろうという御決意はありますか。
  57. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 民法改正についてのお尋ねでございますが、選択的夫婦別制度の導入等につきましては、婚姻制度や家族のあり方とも関連する非常に重要な問題であると認識をいたしております。ただ、先生御承知のように、国民や各方面の意見が非常に分かれた問題でございますので、やはり国民各層の幅広い意見を聞き、各方面に議論をしていただきながら、政府としてはいずれ決定をしていかなきゃいかぬ問題であると考えております。  非常に国民の間に男女を問わず意見の分かれた問題でありますので、十分その議論を見守っていくべきであると政府としては考えております。
  58. 千葉景子

    ○千葉景子君 いつもそういうお答えを聞くような気がいたします。いずれ、いずれ、いつになったらいずれという時期が来るのでしょうか。  それと、人権という問題は決して世論で決める問題ではない。少数の意見をきちっと踏まえるということが、本当に人権の尊重であろうというふうに思います。  続長官、これは公明党さんも議員立法などで提案をされている経過もございます。一緒に私どもも進めさせていただいてきた、こういうお仲間でもあるわけです。今の官房長官の御意見を伺いますと、どうもやろうという気配がない。長官、御自身も進めてこられた立場からどうお考えですか。
  59. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 千葉景子議員の質問を受けながら、私も実はかつて同じ仲間として法案の準備をした経緯もございます。ただ、私は閣僚の立場になりましたものですから、かつてのように余り積極的に、はい、やります、というわけにもまいりません。  というのは、世論調査の結果を見ても、これは八年の世論調査でございますけれども、通称名を使用する、二二・五%、別姓の賛成は三二・五%、別姓の反対が三九・八%。こういう状況を見ますと、政府としては、今せっかくの御質問ではございますけれども、やはり国民世論の動向を見ながらあるべき方向に法案をまとめていくというのが必要ではなかろうかな、重要ではなかろうかなと、こんなふうに認識しております。お許しをいただきたいと思います。
  60. 千葉景子

    ○千葉景子君 私に許しを請うていただいても、そうですかというわけにはまいりません。  というのは、せっかく長官、公明党からも入閣をされまして、ある意味では、それによってこの政権もまた公明党の御意見ども含まれて新しい方向に行くはずでもあります。そうでなければ、なぜ連立政権が組まれたのかわからなくなってしまうわけです。その違いをどうやって調和させていくか、あるいは続長官自身がお考えになってこられたことをこの政権に生かされなければ、何だ結局は自民党さんにのみ込まれただけか、あるいはやっぱり何とか目当てかな、こういう言われ方しかされないのではないかという気がいたします。  長官も、閣僚になったら急に世論調査がというお話でございまして、どうですか、基本的にそのお考え方が変わったんですか。
  61. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) これとは直接関係ございませんけれども、例の企業献金の問題、私どもは党として徹底的に主張し続けてまいりました。法律どおりに一月一日からこれを実施してほしい、こういう要請をし続けてまいりました。どうでしょうか。きのうの総理の発言で決断をされました。これも、私は、先ほど御指摘のように、私どもが政権の中に入り、そして三党がスクラムを組んで一つ結論を出した、こんなふうに思います。  本件につきましても、やはり中に入りながら、私どもはこの問題についてお互いにスクラムを組みながらぜひ実現に向けてという主張を続けさせていただきたい、党としては、と思います。それを我々が受けて法案として御提案を申し上げ議論をしていただく、こんなふうに考えております。
  62. 千葉景子

    ○千葉景子君 それじゃだめですよ、長官、急に世論調査があれになりましたのでなどと言っては。それはちょっと話に矛盾があるんじゃないですか。それならば、やっぱり政府の中でぜひこれを実現するように長官がいろいろな形で御努力をされる、あるいは党の御意向あるいは国民の声、こういうものを体して積極的に進めていかれるということが必要なんじゃないですか。急に、世論調査ですから、閣僚になりましたら遠慮しますじゃ、何の意味かよくわからなくなります。  改めて御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  63. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 私は、先ほど前例を申し上げました。それは企業献金の問題であります。私は、記者会見のときにも堂々とそのことを主張しました。必ず理解が得られるであろう、また得られるように努力します、こう申し上げました。その結果、先ほど申し上げたような決着がついたと思います。  したがって、本件の問題につきましても、やはりそういう姿勢でこれからも臨みたい。今、国民世論の動向等を踏まえながら、私どもが千葉議員の御指摘のような動きをすれば必ず理解は得られる、こんなふうに思います。ただし、時間が若干かかるかもしれません。その辺はお許しをいただきたいと思います。
  64. 千葉景子

    ○千葉景子君 私どもも、この実現に向けて準備作業を進めさせていただいておりますし、立法として御提起もさせていただきたいという考え方でおります。  長官、議員立法で提出させていただきましたら、御賛成いただけますね。
  65. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 御趣旨のとおりにさせていただきます。
  66. 千葉景子

    ○千葉景子君 今の御発言は、私どもがもし議員立法で提案をしたら、続長官は賛成ということで御発言があったと受けとめさせていただきます。そして、政府内で積極的に賛同を得るために頑張っていただける、こういうものだと受けとめさせていただいておきたいと思います。
  67. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 私は閣僚の一人ですから。ただし、趣旨には賛成であったとしても、果たして投票行動ができるかどうかは、これは私の選択でやらせていただきます。
  68. 千葉景子

    ○千葉景子君 さて、次に官房長官にお尋ねをいたします。  官房長官というお立場でいろいろお感慨深いところもあろうかと思いますが、藤波元官房長官に対する判決がございまして、有罪が確定をいたしました。これによっていわば官房長官の職務権限というものもある意味では一つ明らかになったということも言えるのではないかというふうに思います。  この有罪判決などを踏まえて、当時藤波さんは官房長官だったということもございます、官房長官としてその職責を全うする上で、何か御決意あるいは御覚悟はございますでしょうか。
  69. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 藤波元長官の今度の問題については、私も個人的には非常に古い友人、先輩の一人であり、政治家として非常に残念なことだと考えております。  ただいま藤波元長官の例を挙げられて私の考え方をお尋ねなさいましたが、私も政治家の一人として、自分の職務権限がどういうものであるかということを常日ごろ自覚しながら、絶対にこういうことが今後起きないようにしっかりと私の職務を全うしていきたい、そういうふうに考えております。
  70. 千葉景子

    ○千葉景子君 有罪判決を受けまして、藤波氏は自民党を離党されたということでございます。  ただ、私はやはりそれで済む問題ではない、本来であれば、今の法制下であれば議員を失職すると言ってもよい、そういう事態でございます。しかし、残念ながらこういう状況には至っておりません。辞職をされておられない。そういう中で、私たちがこれにきちっとけじめをつけるのであるとすれば、やはり議員辞職を求めていくということではないかというふうに思っております。  その点について、確かに党は離党されたということがございますけれども、その罪の重さあるいは現在の法の建前ということから考えて、今の状況をどう考えられますか。やはり議員を辞職する、そういうことできちっとけじめをつけるべきではないかというふうに思いますが、その点についてはどうお考えでしょうか、官房長官
  71. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 藤波議員は今すぐ辞職をすべきじゃないかということでございますけれども、これはやはり本人の判断、自覚の問題だと思っておりまして、私がこれについてこの段階でコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思っております。  今後、こういうことがないようにするためにおたくの党からも法案が出されているように承知いたしておりまして、そういうことを通じて各党がいろんな意見を闘わす中で今後のそういう問題に対する姿勢は示していかなかきゃいかぬだろう、そういうふうに考えております。
  72. 千葉景子

    ○千葉景子君 続長官、これもやはり公明党にあられましてはこれまで政治倫理、こういうものには大変厳しく対処をされてこられた党であろうというふうに思っております。党のお名前そのものが本当に公明だということでもございます。そういう意味で、続長官のお考えとしてはどう考えておられますでしょうか。
  73. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 今、いみじくも公明党のお話をされました。  公明党の場合は、非常に厳しい倫理規程がございます。したがって、選挙の公認の問題等々に対して今お話しのような事案があれば、直ちに公認はされません。しかし、これは公明党以外の党であります。したがって、他党のことに対して私自身がとやかく申すことではありませんけれども、一般的な話として申し上げれば、やはり政治家の倫理というのは非常に重く受けとめるべきだ、このように思います。同時に、出処進退については御本人がお決めになるテーマだと私は思います。
  74. 千葉景子

    ○千葉景子君 ただ、この問題については、衆議院の方では議員の辞職を勧告する決議案が出されており、審議がされようとしているわけです。これについては、残念ながら本会議上程が見送られているということでもございます。それは、もう御承知のとおり、公明党さんも含めまして与党の皆さんの側でこの上程について反対をされておられるということでもございます。  続長官、やはりこういう国会の意思、これが論議をされるに当たって公明党さんがこの辞職勧告決議案について上程に反対をされているということは、大変私は残念なことであるし、それからこれまでの厳しい倫理をモットーとしてきた党としてこれは矛盾するのではないか、こう思いますが、長官はいかがお考えですか。
  75. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 本件につきましては、恐らく党の中でいろいろな議論をされて、そして今もお話しのような状況になったかと存じますけれども、これは党の話でございまして、私は実はその相談にあずかっておりませんので、ここで具体的なコメントができる状況にないことを御理解賜りたいと存じます。
  76. 千葉景子

    ○千葉景子君 相談にあずかっていないというお話でございますけれども、やはり党同士が連立を組んで合意をして、そしてその閣僚として長官がおいでになるわけです。全くあずかり知らない無縁なことだということには私はならないだろうというふうに思います。  しかも、先ほど長官も率直に大変倫理には厳しいんだというお話をされました。私はこの今の態度と、それから倫理に厳しいということとは矛盾をするとしか思えない。改めて長官、どうでしょう、やっぱりこういうことについて一つ政府、あるいは連立とはいえみずからの政治倫理、しかもそれぞれの議員の本当に基本にかかわるようなことでもございます。そういうことについて毅然として対応されるということをお考えになりませんか。
  77. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 先ほどの企業献金問題とも関連をいたしますけれども、私どもの党は、今、千葉委員がおっしゃいましたように、政治倫理の問題については大変関心を持ち続けております。したがって、党と党との話し合いの中で恐らくそういう真剣な議論が闘わされると思います。そういう中で三党がスクラムを組んで一定の正しい方向への結論を導き出される、こんな今汗をかいておられる最中だと私は認識しております。したがって、その協議を見守り続けさせていただきたい、こんなふうに思います。
  78. 千葉景子

    ○千葉景子君 どうも長官も閣僚になられますと何か大分トーンが弱まってこられまして、大丈夫かいな、そういう気がいたします。  そういう意味では、もう一つこれもお聞きをしたいんですけれども、いわゆるあっせん利得行為、これを処罰すべきではないかということで、これも国会に法案が提案をされております。実はこのあっせん利得罪、私も提案者の一人になっておりますけれども、提案をするに当たりましては公明党さんの御賛同もいただきまして、共同で提案をさせていただいているところでございます。  官房長官、先ほど法案が出ておるということにもお触れになられましたけれども、このあっせん利得、藤波元官房長官の問題もございますけれども、やはり厳しく、こういう法律を整備して、そして政治倫理そして国会議員の職務の倫理を確立するということが必要だと思いますが、どうでしょう官房長官、出されている法案にぜひ一緒に賛同をいただきまして成立させていくと、御同意をいただけませんでしょうか。
  79. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 民主党、公明党の皆さんからこういう法案が出されておるということは十分承知をいたしております。しかしながら、この問題はやはり各党間で十分議論をされるべき問題だと考えておりまして、私どもはその議論を踏まえながら対応していきたい、そういうふうに考えております。
  80. 千葉景子

    ○千葉景子君 続長官、いかがでしょうか。ついこの間まで御一緒しておりまして、そして賛成者にもなっていただいているのが長官でございました。ぜひこれを成立させるために引き続き一緒に頑張っていきたいというふうに思いますけれども長官、まさか閣僚になったので遠慮いたします、こういう御意思ではありませんでしょうね。
  81. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 千葉委員は自社さ政権の経験がございます。やはり党として、主張がその政権の期間中通った事例とそうでない事例があったかと存じます。しかし、お互いに真剣に議論を闘わされたと思います。  同じように、私ども本件の問題については、その政権の中で議論を闘わせ、そして今お話しのような方向にまとめたいと存じます。そのことは本会議の席上でも私は申し上げました。与党の枠組み、政党の枠組みが変わりました、しかし、変わったは変わったで、その中でせっかくの法案に対して理解、協力を求めていきます、こういうふうに申し上げました。今の姿勢で、与党三党の中で恐らく協議を懸命に続けられると思いますので、その協議の推移を見守らせていただきたい、このように思います。
  82. 千葉景子

    ○千葉景子君 懸命に協議がなされるというお話でございますが、官房長官、協議、一緒にしていただけますか。そして、このような意見に真摯に積極的に耳を傾けて一緒に頑張ろうという御決意はございませんか。
  83. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 先ほどお答えを申し上げたとおりでありまして、各党、皆さんの議論を十分見守って対応したい、そういうふうに考えております。
  84. 千葉景子

    ○千葉景子君 どうも話を伺っておりますと、協議を見守って、こういうお話ばかりしか伺えませんが、続長官お話も伺いますと、どうもせっかくここまでいろいろ積み重ねてこられたものをいま一つ生かしていこうという御姿勢あるいは意欲、こういうものがちょっと伝わってこない。確かに、協議をしてそして合意を形成していくということはわかりますけれども、やはりそれには、続長官も孤軍奮闘かもしれませんけれども、そのリーダーシップをとって、そして閣内あるいは政府内を大きく動かしていこうというくらいの覚悟あるいは迫力が必要なのではないかと思いますけれども、どうですか。どうもきょうのお答えはちょっと遠慮がちになっているようですけれども、それでよろしゅうございますか。
  85. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) せっかくのお言葉ではございますけれども、法案を通過させるには数が必要です。例えば、法案を提出するだけではこれは御案内のように実りません。せっかくいい法案であれば、その法案が実際に通る、そして国民の期待にこたえる、そういう私は法案でないとだめだと思います。その意味で、与党三党が汗をかき、そして御党も、そして大勢の党の皆さんの御理解もいただきながら、この法案が成立することを私は願うわけです。  そういう意味で、与党三党間で汗をかく、これが一番千葉景子議員がおっしゃるような趣旨にも沿う、このように私は確信しておりますので、そういう汗をかかせていただきたい。同時に、三党がこの汗をかかれます、それを見守らせていただきたい、こんなふうに申し上げているわけでございますので、そのことを御理解を賜りたいと存じます。
  86. 千葉景子

    ○千葉景子君 議論はまた今後もたび重ねてあろうかというふうに思いますので、引き続きやらせていただきたいというふうに思います。  時間があともうわずかなので、一点お聞きをして終わりたいというふうに思います。  情報公開法が成立をいたしまして、今さまざま政省令の整備などがなされておるところであろうかというふうに思います。実はこれにつきましては、パブリックコメントの手続をとられるというこれまでお話も伺っておりますが、その手続がまだとられておらないように思います。今後の手続の進み方、そしてパブリックコメント、やはり手続をとる以上はそれをきちっと生かしていく、こういうことが必要であろうというふうに思いますが、見通しについてお聞かせいただけませんでしょうか。
  87. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 本来の意味のパブリックコメントは、例の規制の問題だとか規制の改廃の問題だとか、そういうときにこのパブリックコメントをやるということになっておりますけれども、今御指摘のパブリックコメントは実はそれに準じて私どもが総務庁で実施しようとするものでございます。  確かに、報道機関の中では近々それが行われるであろう、こういう報道がなされておりましたけれども、私はせっかく総務庁がパブリックコメントに準じて、今の手数料の問題だとかそういうものを国民の皆様に訴えるとするならば、ちゃんとした成案を得て発表させていただきたい、こんなふうに思いまして、ただいま私のところでけんけんがくがくの議論をさせていただいております。  近々発表させていただきたいと存じますけれども、その発表にはいろんな工夫をして、なるほど政府はいいことをやったな、これがパブリックコメントだなと思われるようなパブリックコメントをやらせていただきたい、こんなふうに今準備中でございます。どうぞ御期待をしてお待ちいただきたいと存じます。
  88. 千葉景子

    ○千葉景子君 それだけ期待のできるものであれば大変結構だというふうに思いますので、それを裏切らないようなものにしていただきたい。そして、情報公開制度のそもそもの趣旨からいっても、やはり幅広くきちっとした国民意見をそれを通じて取り込んでいくということが大変重要なことであろうというふうに思いますので、その意見を十分盛り込んでいくということも含めて再度御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  89. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) せっかくの千葉景子議員の御提案も含めた御質問でございました。私も必ずそういう国民の期待にこたえられるような情報公開制度にしたい、こんなふうに思います。  したがいまして、いろんな案を出して、しかも一月ぐらい国民の皆様に我々が投げかける、そしていろんな多種多様の意見を吸い上げる、そして最終的に閣議にお諮りして決定していただく、そういうつもりでおります。  その準備は恐らく年内にできると思います。近々のうちにできると思いますけれども、せっかく私どもが各省に先駆けてやるパブリックコメントであるがゆえに今お話を申し上げたようにちゃんとしたものにしたい、そういう準備中でございます。御理解を賜ります。
  90. 千葉景子

    ○千葉景子君 終わります。
  91. 山下栄一

    ○山下栄一君 公明党の山下でございます。  私は、最初に総務庁の方に質問させていただいて、後から官房長官の方に質問させていただきたいと思うんですけれども最初行政評価制度につきまして質問させていただきたいというふうに思います。  昨年の中央省庁等改革基本法、そして先国会の総務省設置法等で行政評価制度の仕組みがスタートしたわけでございますけれども、ただ具体化はこれからではないかというふうに思うわけでございます。  特に、総務省設置法でも書いてございます「政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するための評価」、この観点から質問させていただきたいと思うわけでございます。また、政策評価に関する方針、これはことし四月二十七日の中央省庁等改革推進本部決定の中では、「総務省の政策評価」の中でございますけれども、第三者的評価を可能とする仕組みということでございます。これは、私は特に外部評価という観点から第三者的評価制度というのをやはり厳格にやるべきである、こういう観点から質問をさせていただきたいと思うわけです。  平成七年の春に、他の役所の話で申しわけございませんけれども、日本下水道事業団の入札談合事件というのがございまして、これは建設省の所管の特殊法人でございますけれども、最終的には建設省のところじゃない別の行政委員会ともいうべき組織、公正取引委員会が告発しまして、刑事事件になり裁判になっていったわけでございます。このときに私も、決算委員会で実は取り上げさせていただいたんですけれども、要するに下水道事業団の中にも内部監査の仕組みがある、さらに監督官庁である建設省にも監察官制度というのがあって監査する仕組みがあったわけです。  それだけじゃなくて、当時はたしか野坂建設大臣だったと思いますけれども、当時社会党だったと思いますが、要するに下水道事業団の総裁を呼んで、何度も入札談合のことがマスコミで取り上げられ、公正取引委員会も立入検査までやっておるぞ、しっかり調べなさい、こういうことを一回だけじゃなくて三回も四回も総裁を呼んで徹底して言ったわけです。結局、内部監査ともいうべき下水道事業団の談合事件は建設省内ではほとんど働かなかった、内部チェック機能が。公正取引委員会の告発を受け、刑事事件になっていったと。  僕は、行政の中の内部チェック体制といいますか、そういう仕組みは幾ら厳格につくったといってもなかなか機能しない、そういう習慣になっているというふうにそのときしみじみと思ったわけです。私は、行政に対する信頼は日本の国民の中には定着しないどころか不信にあふれている、こういうふうにも思うわけです。その意味で、私は総務庁の行政監察局なんかに非常に期待しており、行政監察のさまざまな報告も一生懸命読み、もっともっと応援したいな、もっと強化してほしいなという気持ちがずっとあったわけです。そういう意味で、この行政評価制度というのは非常に期待もし、国民の皆さんも非常に関心を持っている仕組みじゃないかなと。  具体化はこれからであるというふうに思いますので、この中央省庁等改革推進本部が決定したそこに書いてある第三者的評価を可能とする仕組み、この中身についてちょっと確認させていただきたいわけでございます。  ここで言う、仮称ですけれども、政策評価・独立行政法人評価委員会、これは民間有識者から構成される、こういうふうに書いてあるわけですけれども、総務省になってからだと思いますが、行政監察局が行政評価局というふうな名前になるんだと思うんですけれども、この行政評価局と第三者機関の評価委員会との関係はどうなっておるのか、どうとらえておられるのかということをまず確認させていただきたいというふうに思います。
  92. 東田親司

    政府参考人東田親司君) お答え申し上げます。  まず政策評価制度、今般新しく導入されますが、その中におけます総務省の位置づけは、先生御指摘のとおり、府省の枠を超えた立場から「政策評価の総合性及び厳格な客観性を担保するため」の評価を行うことが任務だというふうにされております。この総合性、厳格な客観性の担保のための評価といううちの「厳格な客観性を担保する」、ここをどのように実効あるものにするかということで、先般の「方針」におきまして総務省の中に民間有識者から構成されます政策評価・独立行政法人評価委員会を設けるということにいたしたところでございます。  現在、具体的な肉づけの検討作業をいたしておるところでございますが、今想定しておりますのは総務大臣の諮問に応じまして総務省が行います政策評価の計画、具体的にどのようなテーマを取り上げるかということでございます。それから実施状況、それから取りまとめが終わりました後の主要な勧告等について諮問に応じて答申をいただく、そのほか、諮問がなかった場合でも政策評価に関しまして意見を言うことができるというような任務にする方向で今検討しているところでございます。  私ども事務局であります行政監察局は、総務省移行後は行政評価局に移行するように予定してございますけれども、その際、私ども全国の出先もございますので、調査機能を活用いたしまして調査データを提供する、この委員会の事務局的な機能を果たすというふうにお考えいただければと思っております。
  93. 山下栄一

    ○山下栄一君 今もちょっと権限の中身みたいなものに触れられたんですけれども、その前に確認させていただきたいんですが、この第三者機関の政策評価委員会というのは具体的にこういうことをするんですよ、メンバーの構成はこうですよというようなことをどこかで決めるんだと思うんです。その法形式はどういう形になるんですか。
  94. 東田親司

    政府参考人東田親司君) この委員会の設置なり所掌事務等につきましては、政令で設置させていただくというふうに考えております。  今後、来年度予算の成立後、適切な時期に政令をお諮りしていくという形になろうと考えております。
  95. 山下栄一

    ○山下栄一君 今おっしゃった答申なり意見は、今度は総務大臣にお出しになるわけですよね、別に国会に出すわけでも何でもなくて。それで、これは諮問を受けた者でないと意見が言えないとか答申が出せないということなんでしょうか。
  96. 東田親司

    政府参考人東田親司君) 任務といたしましては二つのタイプがございまして、諮問に応じて答申するという任務と、もう一つは諮問の有無に関係なく政策評価に関して意見を言うことができる、この二つの任務を担うことを想定しております。
  97. 山下栄一

    ○山下栄一君 例えば、意見を言ったと、単なる意見でどの程度尊重されるのかということです。意見はあったけれども、それは聞きおくということだけじゃ余りにも使命が果たせないのではないかなとも思うんです。その意見の重みについてはどういうふうに考えておられるんですか。
  98. 東田親司

    政府参考人東田親司君) 先ほど申し上げましたが、この委員会の設置の趣旨が、総務省の行う政策評価の厳格な客観性を担保するために民間有識者の方々に御参集いただいて御審議いただくということでございますので、この趣旨にかんがみまして、この委員会から出される答申なり意見というのは、総務大臣が政策評価の計画の決定とか勧告を最終的に決定する際に当然十分に尊重されるべき性格のものであるというふうに考えております。
  99. 山下栄一

    ○山下栄一君 よくわかるんですけれども、私は、総務省の中の行政評価局というのが今の行政監察局をさらに強化したような役所だと思うんです。そこでやった仕事について意見を言うわけですから、ある意味じゃ総務省の仕事についても評価するみたいな形になっていくと思うんです。そんなことが果たして本当にできるのかなという疑問があるんですけれども。  これは、一般国民もそう思うんじゃないかなと思うんです。要するに、わかりやすく言えば、行政評価局のもとに審議会的評価委員会がつくられるような感じですから、そういう立場、位置づけで、行政評価局が行われた仕事をきちっと再チェックするみたいな仕事が本当にできるかということについては非常に疑問があるんですけれども、どうでしょうか。
  100. 東田親司

    政府参考人東田親司君) この委員会の具体的な役割についてのお尋ねかと思いますが、例えばどのような政策評価のテーマを選定するかという計画の段階で考えてみますと、例えば各省庁の評価の実施状況を見てみる、あるいは評価の結果を見てみて、この委員会の御判断で、ぜひこの分野は総務庁らしい政策評価をやるべきではないかというような御指摘が出る可能性があると思います。  また、私ども事務局が全国の出先を動員して調べた結果を見ても、例えばデータがもう少し足りない、こういう項目についてこういう視点からの調査も追加すべきではないかというような御指摘をいただくことも考えられます。また、評価結果につきましても、このような提言では不十分で、もっと強い提言をすべきではないかという御意見をいただくということも考えられると思います。
  101. 山下栄一

    ○山下栄一君 今もおっしゃったように、この政策評価委員会、第三者的機関の事務局は分析調査能力を持つ独自の組織はないわけで、今おっしゃったように総務省が事務局を預かるということですから、おのずから限界はあるような気がするんです。  私は、総務庁長官にちょっと御提案したいというか御意見を求めたいと思うんです。自公合意、また自自公三党合意の中でも、行政評価の客観的基準という言葉、またこの行政評価法という新しい法律形式で検討をやっていこうというふうな言葉もあるわけです。今のところ総務省の中にこの第三者的政策評価委員会がつくられることになっていますけれども、この仮称行政評価法の中に第三者的機関の権限なり構成メンバーをこうするとかというようなことも含めたことを法律規定でやることの方が国民納得を得やすいのではないか。  冒頭申し上げましたように、行政に対する不信感が何となく強い。また、先ほど申し上げたような事件に対する対応を見ても、ともすれば内部評価という観点の範囲内の、今もこの行政評価委員会あり方組織ですので、そういうことからも法律の中にそういう第三者的機関の権限等を規定するような仕組みの方が、スタイルの方が国民納得を得やすいのではないかというふうに考えるんですけれども長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  102. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 今、山下委員からいろんな提案を含めながら御質問がございました。  私は、まず今回の中央省庁改革のキーポイントは何か。一つは官から民へ、中央から地方へ。そしてそれは結果として、今一府二十二省あるそれを一府十二省に変える。なぜか。二十一世紀はまさに自由でかつ公平な社会をつくろう、そのためには隗より始めよ、こんな目的のために中央省庁の再編が行われる。その一環として、それでは今御指摘の政策評価をだれがやるんだ、どういう手法でやるのか、人事評価をだれがどうやるのかというそういう問題が提起されました。同時に、今御指摘がございましたように、与党三党から政策評価について、一番重要な問題だ、したがってちゃんとやれ、こんな協議が私どもに突きつけられたと認識しております。  したがって、それが法律でいいのか、あるいはそうでなくて、法律ではなくて済むのかという議論はあります。しかし、私ども法律でなくて今の枠組みの中で、政令の中できちんとした対応を考えております。その意味では、御趣旨を踏まえながらその対応を考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  103. 山下栄一

    ○山下栄一君 官房長官にちょっとお聞きいたしますけれども、今、青少年をどう育成していくか、私たちの後継者をどう育てていくかということはもう極めて深刻な問題で、なかなかうまくいかない。うまくいかないどころか非常に大人自身が自信がなくなってきているという状況が大変あるというふうに思うわけです。  それで、青少年問題審議会というのがございまして、ここで二年間かけて「「戦後」を超えて―青少年の自立と大人社会の責任」という題の答申が出ておるわけです、二年間かけて。これは、小渕首相の時代じゃございません。橋本総理の時代だったと思いますが、平成九年からことしの夏まで二年間かけて、幅広く意見をまとめて答申という形ででき上がったものなんですけれども、私はこれを見ながら感じることが多かったんです。  確かに形としては、これはぜひ官房長官、もうお読みだと思いますけれども、再度また読んでいただけたらと思うんですが、非常に骨太の提言がされているなというふうに思うんです。  ただ、僕が問題だと思うのは、あくまでもこれは、もちろん審議会ですから提言はどっちに向いているかというと役所に向いておるわけですね、内閣にこういう意見を御提言しますと。僕は、もっともっとそういう形よりも国民に、こういうふうに代表メンバーを集めて、このメンバーの方々もそうそうたる方々が各界、単に教育関係だけじゃなくて幅広く出られているわけですけれども、非常に提言としてすばらしいなと。それは国民の方に向いていないわけです。総理大臣から諮問を受けたからということで、どうしても形としては内閣への政策提言みたいな形になってしまっているわけです。  僕は、そういう形式はもう幾ら繰り返したところで国民的な議論に広がらないということを本当に痛感しております。青少年問題審議会以外にも、例えば中央教育審議会が文部省のもとにある、それから生涯学習審議会、また厚生省には中央児童福祉審議会、集まっている方々はいろんなところから集まっているんだけれども、せっかくいろいろ議論しても役所の方に向かって言っているから、こういうすばらしい提言が出されているということも、どこかで国民に知らせる道はあるのかもわからぬけれども、せっかくの提言が国民議論に広がっていかないというのは私は非常に残念なことだなというふうに思っておるわけです。  それで、与党の方でも教育改革国民会議というのが提案されているんですけれども、僕は、またこれ、政府に向かってこんなことをやったらどうですかみたいな提言をやっても、もう何遍も同じことを繰り返されている、場合によってはメンバーも重なっている場合もある。この青少年問題審議会の提言というのはすばらしいけれども、それをテーマに、家庭で、地域で、学校の中でも、こういう提言をされているけれども自分はこう思うとか、これは反対だとかというふうに広がっていったら意味があると。だから、内閣に向かっての政策提言じゃなくて国民へ発信する問題提起みたいなとらえ方が、教育改革国民会議という形をとるんでしたら、中央でもそういう議論をいろんな人が集まってやっている、それで国民に向かって発信すると。  ここで言っているのは、中央から下におろすんじゃなくて、地域が大事だ、地域コミュニティー、そこがポイントだ、そこから大人にいろいろ提言するんだ、現場は地域だというようなことを言っているわけです。だからそれは、僕は、別に地域でなかったらいかぬということはないと思う、中央でも議論をやったらいいと思う。いろんな人がそういう青少年問題に対していかに深刻な課題があるかということを共有する、悩みを。悩みを共有する中から知恵が出てくる。まとまった、かしこまった提言を幾ら何ぼ並べても、書物で終わってすぐ忘れられて、別の審議会ができてまた提言がされるというようなことが繰り返されていくんじゃないか。  だから、今度設置されようとしている教育改革国民会議というのは、まさに名前のとおり、会議の形で問題提起機関だ、政策提言に終わらせないと。そして、それを契機にして国民に発信して、それも一つの参考にしながら議論を日本列島全域に広げていくことによって大人自身の意識変革をやっていく。ここにも大人の意識変革が大事やと書いてあるけれども、大事やということを集まった人は認識したと思うけれども、集まった人と、あと役所だけで終わっているわけです。だから、そういう形じゃない形をとらないと、この青少年問題というのは深まっていかないし、何かお上から下におろされるみたいなことで終わってしまうというふうに感じまして、こういう審議会方式の仕組みを抜本的に見直すようなことが大事だと。  政治、行政主導型の青少年問題の解決というのは僕はあり得ないと思うわけでございますので、中央でやるのも勝手だけれども、いろんなところでやるというふうな癖をつけていかないと、何か予算を組んで、そして政策提言して、それを役所で検討してというようなことだけで終わっていたらかえって逆効果になってしまう。大人のすべての意識変革をやらないかぬ、こういうふうに書いてあるけれども、そんなことになっていかないというふうに感じておりまして、こういう審議会をつくってまとめて答申するみたいな形のあり方をもうやめる、教育問題とか青少年問題については。  これは問題提起なんだ、そしていろんなところでこれを材料にして議論してくださいという形の方が、教育改革国民会議をやるんでしたらその方がいいんじゃないかというふうに私は思いまして、教育改革国民会議でまとめたやつを役所で検討して法律をつくるとか、そんなやり方はもうかえって逆効果である、一つも意識変革になっていかないということを考えておるわけですけれども官房長官のお考えを、青少年問題担当大臣だと思いますので、お願いします。
  104. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) ただいまの先生の御意見は、私も全く同感でございます。  青少年問題審議会で出された答申は非常に立派なものであるので、十分これが生きるように政府としても真剣に取り組んでいけということが一点であろうと思います。  それからもう一点は、これからつくる、いわゆる三党協議によってでき上がることになっております審議会についても、幅広い人選をして、文部省の言うようにいわゆる教育関係者だけじゃなくて、幅広い層から委員を選んでしっかり検討するようにということだろうと考えておりまして、私どももそういう基本線に従って今後この委員を選任していきたい、そういうふうに考えておりまして、決して委員の選任については文部省の言いなりになる考えは一つもございません。
  105. 山下栄一

    ○山下栄一君 どうもありがとうございました。
  106. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。  私、十月二十六日の決算委員会官房長官質問通告をしておきながら時間の関係で質問ができないという大変失礼なことをしてしまいました。きょう改めて質問をしたいと思います。  辞任をした西村前防衛政務次官の雑誌誌上における暴言問題です。  西村氏の暴言というのは、「日本も核武装したほうがええかもわからんということも国会で検討せなアカンな。」、「核とは「抑止力」なんですよ。強姦してもなんにも罰せられんのやったら、オレらみんな強姦魔になってるやん。」とか、「集団的自衛権は「強姦されてる女を男が助ける」という原理ですわ。同じように言えば、征服とは「その国の男を排除し、征服した国の女を強姦し、自分の子供を生ませる」ということです。逆に、国防とは「我々の愛すべき大和撫子が他国の男に強姦されることを防ぐこと」」等々というものでした。  引用が長くなりましたが、非核三原則は日本の国是です。しかも、女性に対する暴力の根絶が人権問題として重要視されている今日、このような暴言を吐くなどというのは不見識も甚だしいと私は思います。  繰り返しになると思うんですけれども官房長官はどのようにお思いになりますか。
  107. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 阿部議員にお答えいたします。  阿部議員のただいまの質問は、先ほどの千葉議員の質問と同じような趣旨のお尋ねじゃないかと考えておりまして、私どもも今申されましたように、いろんなことを相手にわかってもらうためにいろんな例を引いて話をすることがございます。  しかし、今度の西村政務次官がそういう形の例を引かれたということは、私は、まことに不見識であり、政府の一員としてこれは許すべからざる発言であった、そういうふうに解釈をいたしておりまして、私どももそういうことが今後ないように、先ほど申し上げましたように、総理も本会議で国民の皆さんに反省をし、お断りをし、また政務次官会議を緊急に招集して厳重に今後こういうことがないようにやったような次第でございます。
  108. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 念のためにお聞きしたいんですけれども、直接西村前政務次官にお会いになっていると思うんです、報道によれば。注意もなさっているそうですが、この問題についても直接西村氏に注意なさいましたよね。
  109. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) ちょっと長くなりますが、私が知ったのが十九日の三時過ぎでございまして、私は直ちに西村前政務次官に連絡をとりました。彼は大阪の夜の会議に出席のため新幹線に乗っておりましたので、次の日の八時半に本人に会い、本人からこの週刊誌におけるインタビューの真偽についてただしました。  今、先生は注意をしたかどうかということをおっしゃいますが、私はもう注意をすべき問題を通り越した問題であって、本人の進退の問題である、そういうふうに考えておりました。
  110. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 注意をすることが前提で、もう進退を迫ったと、進退を迫るべき内容だということですね。
  111. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 注意で済むような軽い問題をもう通り越した問題であるということを申し上げています。
  112. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 はい、わかりました。  なぜこだわったかといいますと、私のところに男性から要望がありまして、女性をべっ視し、さらには女性と対等な関係をつくろうと努力している男性たちを冒涜するものだから追及してほしい、こういう要望があったものですから念のためにお伺いしました。  男女共同参画担当大臣として御存じのことと思いますが、男女共同参画審議会は五月に「女性に対する暴力のない社会を目指して」と題する答申を出して、また女性に対する暴力部会が調査と審議を進めています。また、参議院では共生社会に関する調査会が設置されて、女性に対する暴力を一つのテーマとして調査が進められています。  実は、これらの取り組みや関連施策が来年ニューヨークで開かれる女性二〇〇〇年会議を前に北京行動綱領実施状況に関する質問状への日本政府の回答の中に盛り込まれて、既に国連に提出もされているわけです。九五年、北京で開かれた第四回世界女性会議で採択された北京行動綱領の重大問題領域の一つとして、女性に対する暴力を挙げているからなんです。  防衛政務次官として一たん任命された西村氏の不見識は、そういう意味でも対外的にも本当に恥ずべきものであったと思います。官房長官には女性に対する暴力の根絶の問題を女性の人権問題として国際的な視野で見ていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  113. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 女性に対する暴力は、女性の人権を著しく侵害し、また男女共同参画社会の実現を阻害するものであって、決して許される問題ではないと認識をいたしております。  現行の政府の行動計画でございますが、男女共同参画二〇〇〇年プランにおいては、女性に対するあらゆる暴力の根絶を重点目標の一つに掲げて取り組んでおります。政府としても、従来からこの問題に真剣に取り組んでおりますが、今後とも一生懸命これには取り組んでいきたいと思っております。  また、今、先生おっしゃいましたような、本年五月には男女共同参画審議会から内閣総理大臣に対しまして、「女性に対する暴力のない社会を目指して」と題する答申が提出をされました。この提出を踏まえて、政府として男女間における暴力に関する実態調査や広報啓発活動に取り組んでいるところでございますが、今後とも女性に対する暴力の根絶に向けて政府全体として真剣に熱心に取り組んでいこうと考えております。
  114. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 国際的な視野で見るということについてはどうでしょうか。
  115. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 当然、国際的な視野でこれをとらまえていかなきゃいかぬ問題だと考えております。
  116. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 このことともかかわって、次に、いわゆる従軍慰安婦問題の解決について質問したいと思います。  私はこの問題に関連して、九七年、文教委員会において、九八年、本委員会において質問した経緯があります。政府自身が公表した資料やあるいは九三年の当時の官房長官談話、あるいは九五年の村山総理当時の国会答弁など、あるいは国連人権小委員会のマクドガル報告などを踏まえて質問いたしました。  日本政府は、慰安所政策が陸軍省や内務省など、いわば国家ぐるみで進められてきたということ、また本人の意思に反する痛ましい強制があったということ、これらを認め、国として道義的な責任を認めて一定の反省とおわびもし、一定の措置をとってきたというふうに私は思います。    〔委員長退席、理事広中和歌子君着席〕  そこで伺いたいんですけれども官房長官は日本政府の到達点を当然踏襲しておられると思うんですけれども、念のために従軍慰安婦問題にかかわる基本的な歴史認識について伺いたいと思います。
  117. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) いわゆる従軍慰安婦問題につきましては、平成五年八月四日の官房長官談話にあるとおりでありまして、当時の軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるというのが政府基本的な認識であり、その認識については現在も何ら変わってはおりません。
  118. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 報道によりますと、韓国、フィリピン、中国、オランダの元慰安婦の方に続いて、台湾の元慰安婦の方が九人、七月十四日、裁判を起こしています。また、十月一日には、宮城県在住の元慰安婦の方が東京地裁で請求棄却の判決を受けているようです、本委員会でも取り上げられたように思うんですけれども。  この問題、こうしていつまでも裁判任せ、あるいは国連など国際舞台任せにしておいてよいのでしょうか。
  119. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 決してそういう問題、人任せにしておるわけじゃありませんで、いわゆる従軍慰安婦の問題を含めてさきの大戦による賠償並びに財産及び請求権の問題につきましては、政府といたしましては、サンフランシスコ平和条約、二国間の平和条約及びその他関連する条約等に従って誠実に対応してきておりまして、これらの条約等の当事国の間においては法的にはすべて解決済みであるという基本線に立っております。
  120. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 その段階での日本政府の対応がまだまだ根本的な解決に至っていないというのが現状なんだと思うんです。  北京行動綱領実施状況に関する質問状への日本政府の回答では、このいわゆる従軍慰安婦問題は女性に対する暴力問題の七番目に盛り込まれていますが、ここではアジア女性基金事業の推進に最大限の努力を行っていると、こういう報告がされています。    〔理事広中和歌子君退席、委員長着席〕  この国民の善意に依拠した基金では納得理解が得られないからこそ最終的な解決に至っていないんだというふうに思うんですね。違うんでしょうか。  八月には国連の人権促進保護小委員会が従軍慰安婦を含む武力紛争下での女性に対する性的暴力を非難し、犯罪者の処罰と賠償を行うよう各国に呼びかける決議が採択されています。報道によりますと、マクドガル氏を初め何人もの方が日本政府に遺憾の意を表明したということです。事実認識に基づく反省とおわびを本当に道義あるものにするためにあと一歩の努力が求められているんだというふうに思うんです。  官房長官、本当に決断のときなのではないでしょうか。
  121. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 先ほど私が申し上げたのは、日本の基本的な姿勢を申し上げたわけでございます。しかしながら、政府としては、本問題が多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとの認識から、今、議員おっしゃいましたように、これまでもおわびと反省の気持ちをいろいろな形で表明してきております。  また、元慰安婦の方々国民的な償いをあらわす事業、すなわち女性の名誉と尊厳にかかわる事業等を行う女性のためのアジア平和国民基金に対して、最大限の協力を今日まで続けてきたところでございます。  また、本問題に係る我が国の対応については一部にいろいろな批判があることは十分承知をいたしておりますけれども、一九九八年の差別防止・少数者保護小委員会においては我が国の対応を本問題の解決に向けた前向きな対応と評価する決議が採択されるなど、アジアの女性基金を通じた我が国の取り組みへの理解が示されており、引き続き私たちも国際的な理解が十分得られるよう、これからも努力を続けていかなければならないと考えております。
  122. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 完全な解決に至っていないという認識で努力を続けられるということですね。
  123. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 先ほど来申し上げておりますように、法的には既に解決してございますけれども、それだけでは済まないいろんな問題がございますので、今後とも努力を続けていくということでございます。
  124. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私は、六月二日、来日したマクドガル氏のお話を直接聞く機会がありまして、大変感銘を受けました。このようなことをおっしゃっていたんです。  戦時下の性的奴隷や性暴力は一つの国、一つの紛争の中の出来事ではありません。悲しいことに歴史上女性の立場、女性の尊厳がじゅうりんされてきました。太平洋戦争のみでなく紛争につきものの歴史なのです。しかし、日本政府には世界に向かって一つの模範を示す巨大なチャンスがあるのですと。こういうことをおっしゃっていました。  私は、国際社会における名誉ある地位を得るために立法府に課せられた課題も大きいというふうにも思っています。ですから、国会での対応を遠からず実らせたいというふうにも思っています。それは私の決意なんですが、それを踏まえて次のまた質問に移ります。  今度は、韓国籍の旧日本軍軍属の補償問題についてですが、報道によりますと、旧日本軍軍属として徴用され、南太平洋で米軍の機銃掃射を受けて右手の指四本と右目の視力を失った方が日本国籍を離れたことを理由に戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づく障害年金が受けられないことで起こした裁判で、大阪高裁が、国籍で戦後補償を差別するのは憲法や国際人権規約に反する疑いがあるとする判決を出しています。  この問題では、既にことしの三月に、当時の野中官房長官が、二十世紀の残された問題を今世紀中に解決しなければならないという、こういう立場を示しておられました。具体的に何らかの指示があったのでしょうか。
  125. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 具体的な指示があったかどうかということでございますが、この問題は法的には既に解決しておる問題だと認識しております。しかし、それだけでは、これらの方々の置かれた現状を考え、私どもは、一つは従来の法制、制度の問題点がありはしなかったか、また二つには戦後処理の枠組みとの関係がどうであったか、三つ目には韓国における処理の状況、そういうふうなものを今後対処するに当たっていろいろな問題点につき現在検討を行っているところでございます。  そういうことを野中前官房長官は言われたのじゃないか、そういうふうに解釈をいたしておりまして、その問題については私も引き続き野中官房長官の意を受けて、ただいま申し上げましたような調査を続けながら、できるだけ解決に向けて努力をしていきたい、そういうふうに考えております。
  126. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 検討を続けておられるということですけれども、もう少し具体的に検討内容を教えていただけませんか。
  127. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 今申し上げましたように、検討内容は、一つには従来の法制、制度の問題点がどうであったか、二つには戦後処理の枠組みとの関係がどうであったか、三つ目には韓国における処理の状況がどうであったか、そういう点について鋭意調査を今続けているところでございます。
  128. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 要するに、国籍でもって戦後補償について差別をするのはおかしいと。ということは、現行法制度上は国籍条項があるわけですね、ですから、これを改正するのかどうかという問題や、あるいは戦後補償全体の枠組みで何とかならないかという問題や、等々ということですね。
  129. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) そういうことでございます。
  130. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 大阪高裁は異例の所見で、日本が国際社会において占める役割や地位をもう十分考慮の上として、是正措置を呼びかけたそうです。従軍慰安婦問題も韓国籍の旧日本軍軍人軍属の補償問題も、野中前官房長官がおっしゃったように、二十一世紀に持ち越すことなくぜひとも解決したい問題だというふうに私は思うんです。解決の方向で具体的な検討をするべきときだと思うんですけれども、解決の方向で具体的に、官房長官、それから総務庁長官見解を伺いたいと思います。
  131. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 今申し上げた観点からいろいろ鋭意検討をいたしておるところでございまして、議員の言われることも私も十分よくわかりますので、そういうことも含めて今後検討を続けていきたい、そういうふうに考えております。  できれば、二十一世紀を迎える前に、皆さんの納得いく解決ができたらと、そういうふうに考えております。
  132. 持永和見

    政務次官(持永和見君) 先生がおっしゃったことは、国籍条項の問題についてのどういうふうなことかということも含んでおられると思いますけれども、御案内のとおり、恩給法、それから遺家族援護法、これは国籍条項が残っております。これは実は、恩給は、国籍条項がありますのは恩給制度としての基本的な約束事であります。そういう沿革がございますし、それを裏打ちする形で援護法にも国籍条項がございますが、今の韓国人の問題は、韓国籍の元軍人軍属の問題は、官房長官お話しのとおり、内閣官房の方においていろんな観点から何とか処理ができないかということで検討をされております。私どもの方も、当然その検討の一環の中で御協力申し上げることは御協力申し上げたいということで、今取り組んでおるところでございます。
  133. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 次の質問に移りたいと思います。  国家公務員の介護休暇についてです。  この制度は一九九四年から始まっていますが、今日までどのくらいの人が利用しているのか、取得状況について、これは人事院に伺います。
  134. 佐藤信

    政府参考人佐藤信君) 私どもの方で行った調査で新しいのが平成八年度の一年間でございますけれども、それによりますと、延べで二百二十二名が取得をしております。
  135. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 一九九六年、平成八年度で二百二十二人。国家公務員全体ですと約五十万人ぐらいで、そうすると、単純に計算しますと〇・〇五%ぐらいになりますよね。
  136. 佐藤信

    政府参考人佐藤信君) この対象になる職員は今おっしゃられましたように非現業の国家公務員約五十万人ベースでございますけれども、そのうち介護休暇をとる必要のあるいわゆる介護の対象となる家族を抱えている職員というのがどのぐらいいるかということについては、私どもこのときの調査ではデータを取得することができませんでしたので、それについて言えば必要のあるうち何割がとっているというふうなことまでについての分析はできないわけであります。  休暇の取得は本人からの申請によるものでございまして、休暇を取得する必要のある職員につきましては適正に法律に従って承認がなされているものと、それによって休暇を取得しているものというふうに考えておりまして、少なくとも私どもの方で聞いている限りでは承認が行われなかったという者はないというふうに思っております。
  137. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 やっぱり私などは主婦感覚というか生活者の視点でこういう数字を見るものですから、今核家族の世の中ですから、お年寄りを抱えている家庭というのはいっぱいいると思うんです。それで、一万人に五人というのはこれはどうなんだろうと当然思うわけです。ぴんとくるわけなんです。  それで、この制度ができてから五年がたちますが、この制度をもっと利用しやすい実効性のあるものに改善してほしいという要望がやっぱり出されているんだと思うんです。例えば、介護休業の期間について、現在は三カ月となっているのを三百六十五日、一年に延長してほしい、また休業一週間前までの事前申請や二週間以上の要介護期間という制限をなくしてほしい、あるいは子供の短期間の病気にも適用できるようにしてほしい、さらに休業中の所得保障をしてほしいなどです。せっかく介護休暇の制度ができても、休暇を希望する者が安心して取得できる制度でなければ、制度というのは絵にかいたもちになってしまうわけです。  制度ができてから五年たっているわけですから、単に何人が取得したということではなくて、希望する人が本当に取得できるようになっているか、職場ではどんな要求があるのかなど、もっと実態を調べる必要があるんではないでしょうか。
  138. 佐藤信

    政府参考人佐藤信君) 現在の公務における介護休暇の期間でございますとか、お話のありました要件等につきましては、民間における介護休業制度基本的に同一な枠組みになっているわけであります。しかも、今お話がございましたように、公務員は平成六年九月から導入しているわけでありますけれども民間企業についてはことしの四月から義務化されたというわけでございまして、その限りにおきましては、私どもの方が五年近く先行して導入がなされているということでもあるわけでございます。  期間の一年間ということに関しては、もちろんそういう御要望もあろうかとは思いますが、民間状況もほとんどが三カ月以内ということのようでございます。基本的には、職員の勤務条件というものは、給与もそうでございますけれども民間企業との均衡も失しないようにするということが原則でもございますので、その辺も民間状況等からもバランスはとれているというふうに思います。  それから、取得のための一週間前に申請をするということについて言えば、民間は二週間前ということでございますから、ここの点についても公務の方がどちらかというと取得しやすい形になっているわけでございます。  さらに、同一対象家族についての取得回数につきましても、民間企業の従業員の場合には一回限りで再度の申し出をすることができないということに対しまして、公務では要介護状態が一つごとにとることができるというようなこと、あるいは時間単位の取得というのも民間ではございませんけれども、そういうのもとることができるというような形で、いろいろもちろん職員からの御要望はあろうかと思いますが、現時点では、その点についてもかなり配慮はいたしてきているつもりではございます。  ただ、お話がございましたように、ことしの四月から民間企業で義務化がなされたということで、民間の実情もその後いろいろと変わってきているということもあり得るかと思いますので、その辺については、民間状況をさらに私どもの方も的確に把握をさせていただき、公務においてさらに必要があるかどうか、その辺をよく勉強させていただきたいというふうに思っております。
  139. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私は、人事院は認識不足だと思うんですけれども民間ではことしの四月から、おっしゃるとおり介護休業が本格的に実施、施行になりました。その中には有給のところもあると聞いています。また、休業期間について言いますと、これは一九九六年度の労働省の調査で、一年とする事業所が五三・八%と最も多いんです。ことしの四月から民間では本格的に実施がされているわけですから、民間の実態を調べて見直す時期に来ているのではないかと思うんですけれども、どうですか。
  140. 佐藤信

    政府参考人佐藤信君) 私どもの方も民間の実情も調査をいたしておりますけれども、まだ義務化される前の段階の数字でございまして、今の話は。したがって、かなりいわば余裕があるといいますか、あるいは理解のある企業が行っておられるわけでございますから、有給のところも確かにございます。  しかし、私どもの方の調査では、そういう義務化される前に先導して行った企業というのは平成十年度でほぼ三割でございましたけれども、その三割の企業のうち有給の制度を持っているのはほぼ一割でございますから、三割掛ける一割というとさらに非常に少ない数字にもなると。そういうことからいうと、民間の実態と均衡を踏まえるというにはまだ少し時間があるのではないか。  あるいはまた、期間につきましても、確かに一年という企業もございますけれども、先ほど申し上げましたように、先導的にいわば何というんでしょうか、義務的じゃなくて自分のところの努力でなされたところについてそういう数字が見られる。義務化された今の段階では、ほとんどむしろ三カ月未満になっているというのがどうも実情だというふうに思います。  いずれにしろ、先生おっしゃられるように、民間の実情もよく把握する必要があると。私どもも、その努力をいたさないというつもりは全くございません。
  141. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私は、男女共同参画社会基本法の審議のときに、やはり男女共同参画のいわば模範を示すように公務分野で率先してできるものはしてほしいということで質問をして、そのとおりという答弁もいただいているんですが、事介護の問題についてはもっと重要視していただきたいと思うんです。  これは週刊誌の最新号なんですけれども、「「介護サラリーマン」の現実」、特集しているんです。本当に大変ですよ。来年四月から介護保険制度がスタートされようとしていますけれども、介護保険制度がスタートしたからといって即全面解決というふうにいかないんですね。介護基盤整備もおくれているという問題もありますけれども、やっぱり介護を必要とする家族を抱える、その働いている女性なり男性が何らかのつなぎの仕事が必要になるんです。例えば、デイサービスを受けるにしても、迎えに来るまでの時間いなければならない、夫か妻かどちらかがいなければならないという、こういうつなぎの仕事などがあるわけなんですね。  それで、私は介護保険制度のスタートと合わせて、この介護休暇、本当に見直しの時期に来ていると思います。先ほどおっしゃったように、民間の実態をちゃんと調査するということで調査を約束していただけますね。それを踏まえて公務の分野でも検討するということを約束していただけますね。
  142. 佐藤信

    政府参考人佐藤信君) 私ども従来から、毎年というわけにはまいらない場合もございますけれども、適宜民間状況調査をしているところでございますので、今後もその状況は把握してまいりたいというふうに思っております。
  143. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 ことしから民間でいわば全面実施、施行されるわけです、法がね。ですから、その段階で調査をするということを約束していただけますね。
  144. 佐藤信

    政府参考人佐藤信君) ですから、先ほどから申し上げておりますように、ことしの四月から実施をされたわけですから、その結果義務化されたことによってどういうふうに民間の方が動いていくかということを調査してみたいというふうに思っているということでございます。
  145. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 終わります。
  146. 山本正和

    ○山本正和君 午前の海老原委員質問に対して人事院総裁からいろいろとお話がございました。それを聞いておって気になるもので、ちょっとここで確かめておきたいんです。  本来、人事院というのは労使の間の完全な中立機関でなくちゃいけない。そして、本来いわゆる政治だとかあるいはいろんな世の中の動きというふうなものによって判断するものであってはならない。これは人事院設立以来の任務だろうと私は思っているんです。  私は、昭和二十年代、三十年代にかけて、公務員労働者が物すごく激しい闘いを組んで、ある者は刑務所に何人も入っていますよ、違法行為ということで罰せられてね。  そういう中で、随分激しい運動の中で、人事院制度が本当に定着したのは、これは池田さんのときに定着の問題が始まって、それからなお十数年かかった。その間に人事院のあるべき姿を随分議論したんですよね。  ところが、きょうちょっと総裁のを聞いておって、ひょっとしたらそういう真意じゃないだろうと思うんだが、気になるような表現があったから聞かせてほしいんだけれども国民感情をいろいろ考慮いたしまして云々というふうな言葉だとか、それから民間企業でいろいろ働いている人たちの感情云々というふうな言葉が出てきた。  人事院というのはきちっとした数字が必要ですよ。中小企業の実態を調べなきゃいけない。いろんなものを全部調べなきゃいけない。また、公務員給与の現実についてもきちっと持たなきゃいけない。しかし、感情だとか世論だとかいうのをやるのは国会の場なんだよ。国会でやるの、これはね。あなた方の権限外のものなんです。  そういうふうに聞こえたのでちょっと私は心配しておるんだけれども、よもやそういうつもりで言ったんじゃないと思うので、ちょっとここのところを、今度の勧告を出すについて人事院はどういう考えで出したのか、その点、明確に答えてください。
  147. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) どのように答弁したか正確にまた後で速記録を読んでみたいと思いますが、私たちが常々心がけておりますことは、公務員給与というのはその財源国民の税金である、したがって公務員給与について勧告をするその勧告の結果については国民納得してくれるものでなければならない、したがって国民の皆さん方の意見もいろいろ聞いて私たちは仕事をしておる、そういうことを申し上げたんだと思います。
  148. 山本正和

    ○山本正和君 そんな君、歴代総裁と違うことを言うやつがおるか。国民納得を得られるような勧告をするのが人事院の役割だなんて言った方は一人もいないよ。君、調べてごらん、ちょっとそれは。間違いなしに君、確信でもってそれを言うのか。どういうつもりだ。
  149. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 人事院勧告というのは、政府によって尊重していただくという前提でございますから、私たち勧告した内容というのはできるだけ国民納得してくださるものである必要があるというふうに考えております。
  150. 山本正和

    ○山本正和君 国民納得するかしないかを判断するのは国会なんだよ。君たちは、いいか、人事院というのは、きちっと資料を整理して、そしてこれが公平であるというものをつくって政府に提案するんですよ。閣議で決めて、なおかつそれを国会でやるんだよ。あらかじめ国民納得を得られるような勧告をしようと思って君たちは作業をするとしたら、とんでもない人事院だよ。要らぬじゃないか、それだったら、総務庁も要らぬ、内閣も要らぬよ。国民納得するようなものを勧告するんですという、その言葉で一体、それでいいのか。
  151. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 重ねて答弁申し上げるようでございますけれども、私たちはやはり、すべての行政官庁が最近そうでございますように、広報・広聴機能というのを非常に重要視しております。その一環として、私たち国民の意向というのも把握するように努めておるところでございます。
  152. 山本正和

    ○山本正和君 何だね、国民の意向を把握するというふうなことも君たちはやるの。国民の意向を把握するといったら大変な調査だよ。  それから、それよりも、君は今言葉を変えたけれども国民納得を得られるような勧告をする、こう言っているんだよ。そんな権限がいつどこにあるんだ。どこに書いてある、法律に。法律を超えたことを勝手に言うな。言いなさい、法律に書いてあるという条項を。
  153. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) もう少し正確にというか詳しく申し上げますと、官民の給与というものを正確に把握して、そしてそれを勧告内容というものにしていくということが国民納得を得られるというふうに通じていくんだというふうに思います。
  154. 山本正和

    ○山本正和君 国民納得を得られるような勧告をするという権限を君たちはもらっているのと聞いているんだよ。法律のどこに書いてある。官民較差を調べなさいと書いてある、ちゃんとこれは。さまざまな調査をするという権限はみんな書いてある、法律に。国民納得を得られるような勧告って、どこに書いてある。法律的根拠を示しなさい。できないんならやめよ、総裁を。
  155. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 行政官庁というのは、結果的にそういうことを考えて仕事をしておるというふうに私は思います。
  156. 山本正和

    ○山本正和君 人事院の、何でできているの、人事院が、それじゃ。行政官庁そのものじゃないんだよ、人事院は、いいかな。そんなこともわからぬことないよ。  どこに書いてある、だから、人事院行政官庁で全く一体のものだと、政府と一体のものだとどこに書いてある。その根拠を示せと、君はいいかげんなことを言わずに。法律のここにこう書いてあるんなら言えるよ。言いなさい、それを。
  157. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 民主制度のもとにおける一つ行政官庁でございますから、そういうことは当然要請されているというふうに思います。
  158. 山本正和

    ○山本正和君 何の法律のどこに書いてあると聞いているんだよ、法律の。それを言いなさいよ、法律のどこに書いてあるかを。
  159. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 具体的に法律の条文というのがどこにあるとかいうような話ではなくして、私は基本的にそういうふうに民主主義のもとにおける行政官庁というのはそういう使命を負っているというふうに思います。
  160. 山本正和

    ○山本正和君 何のために国会があるの。何のために三権分立しているの。行政機関というものはちゃんと一つここにあるんだよ。行政機関で働く職員がおるわけだよ。その職員給与を、いろんな問題をどうするかということについて、人事院はなぜつくられているの。あなたはつくったときの経過の法律史を読んだか。人事院がどうやって設置されたのか。  じゃ、いつできたか言いなさい、人事院ができたの。
  161. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 昨年創立五十周年を迎えたところでございますから、五十年を経過したということでございますが、重ね重ね申し上げますように、やはり民主主義のもとにおける一つ行政官庁でございますので、どうしても私たちは仕事をするに当たって、国民の御意向というのが那辺にあるかということは努めて把握するようにしていかなきゃならないというふうに思います。
  162. 山本正和

    ○山本正和君 国民の意向が那辺にあるかということを調査するということと、納得が得られるものを出すということは違うんだよ。納得が得られるかもしれないということは当然自分が仕事をする以上思うのは当たり前ですよ。  しかし、あなたたちの役割はそうじゃないの。人事院というのは全く公平機関として公務員制度の中でどういう措置をしなきゃいけないと、ちゃんと役割が決まっているんだよ。その決まっていることを、こういう今の世の中の情勢の中で果たして一体勧告をすることについて国民納得が得られるか得られないか、そんなことまであなた方は考えたというの。そういう権限はあなたにはない。  あるとしたら、だからどこの法律に。すべての行政機関は法律に基づいて動いているんだ。法律に基づかないで動いているとしたら大変なことなんだよ。各省庁すべて省庁設置法に基づいて権限が与えられて、それらが動いている。人事院もそうなんだよ。  それをあなたは、国民納得を得られるような勧告を私のところでするんですと。国民納得を得られる勧告をあなたがしたら、それなら政府も何も要らぬじゃないか。納得が得られるか得られぬかを議論するのは国会なんだよ。どうだ、そこのところは。
  163. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 国会というのは、私たちとは違ってより深くより広い立場から国民の意向というものを反映される機関だというふうに思います。
  164. 山本正和

    ○山本正和君 それじゃ君、閣議決定は何でだ。人事院勧告出すよ。政府人事院勧告をやるかやらぬかも全部判断するんだよ。まず政府がやる、第一義的に、内閣が。官房長官を中心とする給与関係閣僚会議できちんと議決をするんですよ。  それをあなたは、その辺の権限まで侵して、国会の権限までそれを平気な顔してのうのうとあなた、国民納得を得られるような勧告を私はいたしましたと、こう言うのかね。私どもとしては最善を尽くしていろんなデータの中でこういう数字を出しましたと、どうぞひとつ議論していただこう、こういうのがあなたたちの仕事なんだよ。それを国民納得を得られるような勧告をいたしましたと、こう言えるの、あなた。さっきそう言っただろう。何だよその態度は一体。
  165. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 国民納得してくださるようなものを私たちは出すように努めていますということでございます。  なお、国会というのが私たちが考えるよりもより広い立場、より深い立場で御判断いただくということだと思いますし、内閣におかれましては私たちとは違った角度から、財政問題等を含めまして国政全般の立場を考えながら結論を出していただくんだというふうに思います。
  166. 山本正和

    ○山本正和君 国民納得の得られるようなものを私は出しましたと言うんだね、あなたは。間違いないか、それで。もう一遍言いなさい、それ。
  167. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) そのように努めておりますということでございます。
  168. 山本正和

    ○山本正和君 朝のあなたの発言の中でどういうふうにあなたが言っているか、自分で記憶がないの、今。あなたの朝の発言は極めて無礼だよ、国会に対して。もっと謙虚になりなさいよ。  それから、人事院総裁というものの本来の本務をしっかり勉強しなさいよ。歴代人事院総裁が過去どんな苦労をしてきたか。人事院総裁はどんな苦労をしてきたか。本当にノイローゼになるまで苦労した人がたくさんおるよ。何で、のさばって、胸張って威張っておるの、そうやって。そんな偉そうな、こんな顔して、国会の質問の場で。あなた、小渕さんを見てみなさい、極めて謙虚ですよ。あなたみたいな傲慢なのはおらぬよ。どうなんだ、一体それ。  だから、あなた、けさほどの発言についてきちっと調べて、不適当なところがあったら取り消す用意があるかどうか、それだけ聞くよ。
  169. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 最初に御答弁申し上げましたように、午前中どのように申し上げたかということを正確に記憶しているわけではございません。速記録を読みまして、よくその辺は反省すべきところがないかどうか考えてみたいというふうに思います。
  170. 山本正和

    ○山本正和君 時間も二分しかありませんので、官房長官総務庁長官に、ちょっとこれはいろいろな質問を全部省略しまして申し上げておきたいんだけれども、私は、参議院からお二人が内閣に入っておられると、大変、参議院としては、参議院の実態を知る立場からありがたいと思うんです。  ただ、私が思っているのは、参議院というのは本来行政府をチェックするという機関でもありますが、衆議院の決定に対してこれをチェックするという役割があると思うんですね。そういう中でお二人が内閣に入られた。だけれども内閣に入られたらこれは行政府の責任者ですから、行政府の中で一生懸命働かなきゃいけない。しかし、そういう立場に立たれて初めて、そのときに、待てよ、この二院制度の中で参議院というのはどうなっているんだろうかとひょっとしたらお思いになったかもしれないと思うんです。だから、今ここで、参議院が果たさなきゃいけない役割というものについてどういうふうにお考えになっているか、このことを一言ずつお聞かせいただきたいと思います。
  171. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 今、先生がおっしゃったとおりでございまして、抑制、均衡、補完の役目を衆議院に対して果たしていくのが参議院の役目だと考えております。私ども行政には入りましたけれども、そのことは常に忘れずに対応していきたい、そういうふうに考えております。
  172. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 今、山本委員がるる御質問ございました。さすがは二十五年間もの長い間三重県で教職を奉ぜられ、その間十八年間の長きにわたって組合の委員長としての責任を果たされた山本委員であります。その意味では大変な傾聴すべきお話でありました。  同時に、今私に対する御質問がございました。青木長官からも御答弁申し上げましたように、私は参議院議員でございます、その参議院議員が常に心しなければならないことは、まさに御質問ございましたその趣旨だと存じます。私もその趣旨を体して一生懸命頑張りますので、御支援、御教導のほどをお願い申し上げます。
  173. 山本正和

    ○山本正和君 終わります。
  174. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 自由党の月原です。質問させてもらいます。  官房長官の所信あいさつ、その中に、我が国が国際社会への応分の貢献を行うべきことは当然であり、次からですが、PKF本体業務凍結解除を含む国連の平和活動への一層の協力について、国会はもとより国民各位の御理解をいただきつつ、積極的に進めてまいりたいと考えています、こういう言葉がありました。  そしてまた、自自公三党協議の中にも法的措置を講ずるということを約束しているわけであります。そして、小渕総理は、先日の本会議で質問に答えて、凍結解除を含む国連の平和活動への一層の協力についてと、積極的な意欲を示しているわけであります。これは当面の問題として、それが該当するかどうかは別といたしましても、東ティモールの問題、アナン国連事務総長がただいま日本の方にお見えになっておりますが、そういうところでも日本の態度というものが問われるときだと思っております。  そこで、このPKF解除に伴って、それと同じウエートで議論されなければならないのが、要するに五原則であります。  最近ちまたでよく言われていることですが、外国の部隊と一緒に駐屯しておるときにその部隊が攻撃を受けたときには日本は何もできない、逃げて帰れ、これではなかなか仕事ができませんよというようなこととか、武器の集積しているところを攻撃されても何もできない、そのようなことでは任務を果たすことができない、こういうふうな議論が非常に多いわけであります。政府あるいは我が国会は、そこに派遣される者たちがちゃんとした任務ができる、そういうふうな任務を付与して出すのが私は当然であると思います。  この前のカンボジアのときにどうだったかというと、選挙の投票所が非常に危険だといったときに、ある人が知恵を出して、もうとにかく車で方々回れといって、そこへ我々が行っておったら大丈夫だろうというふうにまでして、一線の人にそういう判断、そういう工夫をしてもらわなければいけないようなことではシビリアンコントロールがなってないと私は思います。  そういう観点から五原則のことについて、抽象的なことではなくて、目いっぱいそういうことができるような、そういう不安がないような状態に置くという検討をしていただきたいとともに、この五原則についてはどのように考えられておるか、その点をお伺いしたいと思います。
  175. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 月原議員の質問にお答えをいたします。  我が国が国際社会への応分の貢献を行うべきことは、これは当然のことであります。申し上げたとおりであります。PKF本体業務凍結解除を含む国連の平和活動への一層の協力について、国会はもとより、国民各位の御理解をいただきつつ、今後積極的に進めてまいりたいという基本的な考え方でございます。  また、武器の使用の原則を含むいわゆる五原則については、我が国が国連平和維持隊に参加するに当たって、憲法で禁じられております武力の行使とすることへの評価を受けることがないことを担保する意味で設定された国際平和協力法の重要な骨格でございますので、仮に凍結が解除をされたといたしましても、五原則を変更することは政府として少しも考えていないことも、以前と何ら変わりはありません。  ただ、今、先生が申されましたように、PKFを解除していったときに一体どうなるかという問題については、今後、各党各会派において十分な議論をしていくべき問題だと考えております。私どもも、その議論を十分踏まえて政府としても対応していきたい、そのように考えております。
  176. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今、官房長官、後半のところの答弁で私はお願いしたいと思います。  というのは、各会派はそれぞれの主張があると思いますが、行く自衛隊の部隊あるいはほかの隊員でもそうですが、そういう方々が胸を張ってちゃんとした仕事ができるようなことをすること、そして今、官房長官がおっしゃったように、武器の使用についても、それを細かく分析していけば解釈上十分のみ込める部分も出てくると、そういう検討お願いしたいと思います。  そして、法律ができて三年後に見直ししようとしていたのがこんなにもう時間がたってきておるわけですから、我が国としては国際的にも姿勢を示すためにも凍結解除を早くすること、そして私が今申し上げ、また官房長官もその旨の考えでおられることを速やかに検討していただきたい、このことをお願いしたいと思います。  次に、時間が非常に少ないのであれですが、防衛庁の省昇格の問題ですが、あえてお尋ねするのは、新しく官房長官になられて、官房長官としてはどういうふうに取り組まれたいと、もうその気持ちは十分おわかりだと思いますので、その点をお願いしたいと思います。
  177. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 国民が自分の国は自分で守るという気概を持って、国として適切な防衛体制をとることは国家存続の基本でありまして、その中心が防衛庁であることを私も十分承知いたしております。  ただ、この名称の変更につきましては、私どもも今後前向きに取り組んでいく問題であろう、そういうふうに解釈をいたしております。
  178. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 ちょっと難しいお尋ねになろうかと思いますが、今まで防衛庁長官になられた方にも、防衛庁長官としてはいろいろな立場があるだろう、しかし議員個人としてはどうか、こういってそれぞれ額賀大臣あるいは野呂田大臣にお聞きしたことがあるんですが、やっぱり心の中におれはもともと反対だと思う人がそこについたら推進はできない、世論を見るにしても。そういう意味では、官房長官、大変難しい質問ではありますが、いかがお考えでしょうか。
  179. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 内閣官房長官として、私は白紙の状態でこの問題には取り組んでいきたいと考えております。
  180. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 できるだけ色がつく方向に進むことを期待しておきます。  それでは、総務庁長官にお尋ねいたします。  今度の総務庁長官のごあいさつの中に、二ページですが、また、公務員制度改革、国家公務員定員削減、ここはいいんですが、規制改革、情報公開、そういうふうな諸問題にも積極的に取り組んでまいりたいと、こういうふうに書かれておる。実は、これは中央省庁改革、要するに内閣の機能を強化して、内閣総理大臣がリーダーシップを持って内閣を引っ張っていく、そして継続的に情報収集し、的確に長期的な計画も指示していくと、こういうような新しい体制ができたときに、それをより効率的に行うために私はこういうものが位置づけられているんじゃないかと思います。  総務庁長官、この単なる一つ一つの出来事ではなくて、一つ一つの事項ではなくて、大きな行政改革というか、新しい時代に向けてのそういうためにこれがどういう役割をそれぞれの個々のものが果たしていくのか。ばらばらではありませんよと、そういうふうに私は思うんですが、総務庁長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  181. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 月原委員とはかつて同じ改革の志を持った同志でありました。その中で、二十一世紀の我が国の将来を案じ、自由でかつ公平な社会をつくるにはどうすればいいのか、明治以来の大改革をやって行政改革を断行しよう。そのためのキーポイントは、先ほども申し上げましたけれども官から民へ、そして中央から地方へ、そういう流れの中で、今御指摘がございましたような情報公開の問題やあるいは規制改革の問題等々は避けて通れない問題、これはセットだと。  そこで、今御趣旨のような、いわばセットでこの行政改革を断行することによって二十一世紀の日本の進路は決まるんだという共通認識のもとにこれは始めた仕事であります。したがって、全く御趣旨と同感でございます。
  182. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 よくわかりました。また、その決意、私はありがたいことだと思っております。  最後に、私から総務庁長官お願いしておきたいんですが、要するに内閣の強化、この一連のものは、今お話しのようなものが進まなければ効率が上がらないんだ、効率というか効果が出てこないんだ。だから、ばらばらだからまず中央省庁の看板だけかえた、後はまたゆっくり行こうか、こんなことではこの全体が崩れてくる。長官もそういう御認識でありますので、より強力に進められんことを希望して、終わります。
  183. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 参議院の会の椎名でございます。  人事院総裁に伺うということにしておりましたけれども、けさの海老原議員あるいは先ほど山本議員からの御質問で、大体お聞きすることがなくなりましたから、結構でございます。お呼びしておいて失礼ですが、そういうことにしたいと思います。  ただ一つ、先ほどの山本委員の御指摘というのは非常に重要かと思いますので、よくお考えをいただきたい。  さて、きょうは総務庁長官官房長官、主に総務庁長官でしょうか、極めてレベルの低いお話でありますが、公務員の諸君の働き方について、どうもわからないところがありますので、お伺いをしたいと思います。  かつて、一時、通商産業省というのがありますが、あだ名が通常残業省と言われた。徹夜に近い、夜中過ぎなんというのは当たり前の話であって、朝一時、二時に帰ると、きょうは早かったといって奥さんたちが感激をするというような話だったようですが、この実情というのは余り変わっていないように思うんです。今、通商産業省のことを言いましたが、ほかの省、大蔵省から始まって、非常に皆さん超過勤務をしておられる。  公務員の問題については、給与の問題あるいは全体の日本の公務員の数が多過ぎるのか、あるいは足りないのかというような大づかみの話はよくありますけれども、その働き方というのを見ていると、例えば多過ぎるか少な過ぎるかというのは、やらなければいけない仕事に対してどれだけの労働量が注入されなければいけないかということで、頭数だけの問題じゃないと思うんです。ですから、一日十八時間みんな働くということになると、普通は何時間でしょうか、八時間だとすると半分で済むということになってしまう。大変非人間的な労働をどうもやっていらっしゃるように思うんですが、しかし、あれはむだなことをやっているんじゃないかと聞くと、いや全然むだなことなんかやっておりません、今や行政サービスの質が非常に多様化して、これだけやらないと時間が足りないからやっているんだということを皆さんおっしゃるわけです。  そうすると、よくわかりませんが、行政改革、省庁の合併とかその他は別にして、人間も減らそうという話です。十年間で二割五分減らすということになると、今本当に必要があることしかやっていない、余計なことはやっておりませんと皆さんおっしゃるんですが、余計なことをやっていないとすると、十年先に二割五分減らすと、一体それはどうなってしまうのか、そのつながりがどうも私には全然わからないので、総務庁長官、また官房長官からも、ちょっとどういうふうになっているのか教えていただきたい。
  184. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 椎名先生質問、非常に難しい質問でございますが、今仕事をしているのはこれ以上減らせない、今一生懸命やっているという前提で、十年後になぜ二五%減らせるかということだろうと思いますが、恐らくいろんな面での合理化も進むでしょうし、また仕事の量をどういうバランスをとって処理していくかということでの合理化もできるでしょうし、そういうことも含めて考えていかなければならない問題であろうと考えておりまして、ただ、仕事の量は減らない、一生懸命やっているということをすべて前提にしますと、二五%の削減ということが非常に難しいだろうということをおっしゃっているんじゃないかなというような感じで聞いておりました。
  185. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 椎名先生のせっかくの御質問ですから、私の経験を通じて御披露させていただきます。  私は、つい先ごろまで都庁におりました。美濃部知事時代の十二年間で十八万の人間が四万五千人ふえました。それで、今度は鈴木知事にかわりました。鈴木知事の十二年間で四万五千人減らしました。それでは、都民のサービスはどうか。都民のサービスは変わりません。それは、やはり創意工夫なんです。人がおれば仕事はふえます。しかし、今のお話のようにむだな仕事がたくさんあったわけです。したがって、都民が必要とするサービスはちゃんとその限りにおいてやれたと。  そういう意味で、私は皆さんにお願いをしたいと思います。官庁の仕事の中でやはり国会の仕事が実はたくさん大変なんです。今は予算編成も相当合理化されました。大体、予算編成のときには、大蔵省に民間の人たちも含めて残業をやらせるという仕組みがございました。しかし、それに対していろんな意見がございまして改善が図られております。しかし、改善が図られないのは国会の関係であります。できることならば、大変恐縮ですが、質問もちゃんと出していただきまして、ちゃんとしたルールに基づいた改善をお互いが心がけていけば超過勤務その他の問題も解決するのではなかろうかと、私はむしろお願いを申し上げまして、御答弁になったかどうかわかりませんけれども、よろしくお願い申し上げます。
  186. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 今までいろいろ政府の方とかお役人に聞いていると、先ほどおっしゃったように建前の話しかしないので、今の総務庁長官のお答えは大変率直で、実際の御経験も踏まえて本音を言っていただいたのは大変ありがたいと思うんです。  国会の問題はもちろんたくさんあります。ですから、今までも大臣方々は横着をして、ばっと紙が回ってきたらそれを読めばもうそれで済むんだというような話じゃなくそうというんですから、そっちの方の改善もたくさんありますが、今も例で出されましたが、十年のうちにだんだんに合理化するというのじゃなしに、今でもできることは随分あるだろうと思うんです。  予算の問題というのは、予算の時期だけじゃなしに一年じゅうやっていますね。そうすると、各省から予算が出ている、それにつながったまた機関がある、民間もあるということになると、大変に勤労精神に燃えた大蔵省の何人かが頑張って徹夜をすると、そのすそ野は物すごいんですよ、これは。思いついて何とか省に電話をして、おまえのところはこんなの出しているけれども、この点はどうだという話を聞こうと思って電話をしますね。そうすると、朝の二時にもう帰りましたと。そうすると怒るわけだ。おまえのところの予算のことでおれはここまで働いているのに帰っちまったのかというような話になるものだから、みんないるわけです。そうすると、今度はそれにつながった機関の人もみんないなきゃいけない。臨時のお弁当に備えて周りの弁当屋さんまでが徹夜みたいなことをやっているんです。これはまた女性の方が多いんです、そういうところは。ですから、一人頑張る人がいますと何百人、ひどい場合には千人ぐらいは全くむだに、寝ないで起きている。  ただ、それはもったいないという話だけじゃない。もちろん光熱費も使うし、もったいない話だし、あるところまでは、頭を切られるまでは残業代を出さなきゃいけないし、いろいろむだがありますけれども、それだけでなしに、家庭なんというものがなくなっちゃうんですね。子供も、よく父親の背中を見て育つなんと言うけれども、背中なんて見たことがない、帰らないんだから。これは重大なことだと思うんです。  男女共同参画社会と言うでしょう、女性の方も同じようにやろうと。そうすると、その悪い非人間的な頑張りに合わせるということが一体男女共同参画社会なのかといったら、そうじゃなくて、そういうところを人間らしい生活に戻すということは単に役所の問題だけでなしに日本全体で、役所へ入ったらもう人間だと自分で思うなと、ナポレオンじゃないけれども三時間寝たらそれで張り切ってやらなきゃいかぬというようなばかなことをやっていたら、これは単に十年間で二割五分削れるか削れないかというような問題ではない非常に大きな問題を私は抱えていると思うんです。これ何とかしましょうよ。  本当に私はああいう方々を見て、これこそ我が命というようなことで張り切っていらっしゃる方がおられるけれども、あれは間違いだと思うんです。やっぱりサマータイムにしようが何だろうが関係ないような生活をやっているし、ちょっと品が悪い話かもしれませんが、一体どうしていつ子供ができるんだろうと思うこともありますよ、本当に。これはみんなで直す。  そして、皆さん建前で必要なことだけやっておりますというようなことで済ましていますと、社会が本当に壊れちゃうと私は思うんです、家庭も壊れるし。ですから、政府なり国会なりでいろんな政策とかなんとか申しますけれども、もとにいるのはみんな人間なんですから。公というのはやはり一種の範たる生活をしなきゃいかぬ、模範になるような。  そういうことも考えて、建前で、いや、これだけは必要なんですなんていうことはないんだから、人間らしい時間に帰ってうちで飯を食えというようなことで今から直していくということに御努力を願いたいと思います。  御感想があればおっしゃっていただきまして、私の質問はこれで終わります。
  187. 青木幹雄

    国務大臣青木幹雄君) 十年間に二五%を削減するという原則を守りながら、先生がおっしゃるような社会を築いていかなきゃいけない、そのための努力を続けたいと思います。
  188. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) まさに同感でございます。本当に国会が隗より始めよ、そういう姿勢で臨んでいただくことを懇願申し上げます。
  189. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 ありがとうございました。
  190. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  191. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 次に、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。続総務庁長官
  192. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  まず、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  本年八月十一日、一般職職員給与の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、その内容検討した結果、勧告どおり実施することが適当であると認め、一般職職員給与に関する法律国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律等について所要の改正を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。  法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、一般職給与法の改正について申し上げます。  その改正の第一点は、人事院勧告どおり指定職及び本省庁課長職員を除く職員の俸給月額を改定することであります。また、福祉施設に勤務する指導員等を対象とする福祉職俸給表を新設することといたしております。  第二点は、期末手当及び期末特別手当について、支給割合をそれぞれ年間〇・三月分引き下げることであります。  第三点は、宿日直手当について、通常の宿日直勤務に係る支給額の限度額を勤務一回につき四千二百円に引き上げるなど、所要の改善を図ることであります。  第二に、国家公務員育児休業法の改正については、期末手当、勤勉手当または期末特別手当の基準日に育児休業をしている職員のうち、直前の基準日の翌日から基準日までの間に勤務した期間がある職員には、それぞれ期末手当、勤勉手当または期末特別手当を支給することといたしております。  第三に、任期付研究員法の改正については、任期付研究員に適用する俸給表のすべての俸給月額を改定することといたしております。  第四に、さきの通常国会において成立しました国家公務員法等の一部を改正する法律について、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上のほか、施行期日、適用日、この法律の施行に関し必要な経過措置等について規定することといたしております。  引き続きまして、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  本法律案は、特別職職員給与について、一般職職員給与改定にあわせて所要の改正を行おうとするものであります。  法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  秘書官の俸給月額を、一般職職員給与改定に準じて引き上げることといたしております。  以上のほか、施行期日、適用日等について規定することといたしております。  なお、内閣総理大臣国務大臣等の一般職における本省庁課長級に相当する職以上の特別職給与については据え置くこととしております。  以上がこれらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  193. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより両案に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  194. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 民主党・新緑風会の前川でございます。  ただいま議題となりました両案について、総務庁長官並びに人事院総裁にお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、この人事院勧告が閣議決定をされたのは九月二十一日というふうに承知をしておりますので、長官が就任をされる前でございますから、あるいは現段階でというふうにお聞きをした方がいいのかもしれませんが、今度の人事院勧告というのはある意味では初めて年間給与マイナス勧告になっているわけですね。ベースアップとしては〇・二八%、千五十四円。ボーナス、いわゆる期末手当としてはマイナス〇・三月ということですから、年間で平均で約九万円からのマイナスになるという今度の人事院勧告について、政府としてどういう評価なりあるいは今度の勧告の意義を感じておられるのか。  つまり、一昨日、人事院総裁の方からも勧告内容について御報告をいただきましたときにも、いわゆる民間企業における現状についてるる御説明がございました。確かに雇用問題等を含めて、民間企業がかなり厳しいリストラを含めて苦労しておられるということは、私ども十分承知をいたしております。そのことと今度の勧告とは恐らく密接不可分のものだろうという前提をもちろん置きつつも、政府としては今度の勧告についてどういう位置づけをされるのか。最初に申し上げましたように、年間の収入としては初めてのマイナス勧告ということを含めて、長官の御見解をまず最初にお聞きをしておきたいと思います。
  195. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) ただいま前川委員の御質問、確かにいろんな状況を踏まえての御質問でございます。民間においては御案内のように三百万人を超える失業者が出ている。さらにはリストラもやっておられるし、給与の引き下げもやっておられる。そういう状況下ではあるけれども、今回〇・二八%の改定をやり、かつ期末手当は〇・三月分引き下げると。結果として今お示しされましたように、平均で九万五千円の三角、初めての減額になる。  政府といたしましては、先ほど来人事院制度についての御質疑がございました。人事院制度は、御案内のようにやはり法の趣旨労働基本権制約の代償としてこの人事院制度があると。人事院制度は、人事院は客観的にいろんなデータを調査して、そして官民較差を政府に答申をされる。その答申を受けた政府は、今度はいろんな状況判断して実は結論を出す。その結論が、今いろんな状況はございましたけれども、これはこの際やはり尊重すべきだとの結論に達して、九月二十一日に閣議決定した、こういう経緯でございます。御理解を賜りたいと存じます。
  196. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 そこでお伺いをしたいんですが、けさの臨時閣議で緊急経済対策が決定をされたというふうにお伺いをいたしております。総額で十八兆円ですか、恐らくこの後第二次補正で出されるであろういわゆるこのうちの国費の部分が六兆五千億円というふうにお伺いをいたしておりますが、最近の景気の動きを見ておりますと景気もようやく底を打ったのではないかと。政府の見通しも今年度〇・五から〇・六に見直しをするということですから、国民の目から見てみますと少し景気がよくなったのかなという思いがある反面、実は私ども民主党も、今衆議院の方で審議が始まっております中小企業基本法の改正問題で中小企業関係の各団体の皆さん方から今ヒアリングを鋭意行いながら、法案についての議論をいたしておりますが、まだまだ地方の中小企業の中ではそう甘い見通しを持っておられるところは多くはございません。  きょうも財政・金融委員会の方で例の商工ローン問題についての参考人質疑が行われておりますけれども、こういう実態を見ておりますと、景気がよくなったというのはどこの世界のことなのかなという感じがする方も非常に多いと思うんですね。そういう中で今回の人事院勧告、なおかつこの法律では総額で約一千二百億円の実質的な支出減、国にとっては歳出が少なくて済むということであります。このことがようやく回復の兆しを見せ始めたという景気にどんな影響を与えるというふうに考えておられるのか、全く影響ないんだというふうにお考えなのか。この辺については法案の責任者である総務庁長官として、あるいは内閣の一員として御見解をまずお聞きをしておきたいと思います。
  197. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) ただいま、本日開かれました経済対策についてのお話がございました。その席上でも総理からこういうお話がございました。せっかく景気が上向いている、今お示しされましたように、従来は〇・五%の増、それがきょうの見通しでは〇・六%の増。しかし、これは油断をすると取り返しのつかないことになるぞと。ついては、腰砕けにならないようになお力を尽くすべきだというお話がございました。そういう中で、今お示しをされましたように、十七兆円あるいは十八兆円の経済対策が組まれるものと思います。  そんな中で、それでは公務員給与が千二百億減額をされる。それとこれとはどういう関係にあるんだ。むしろマイナスの影響が出てくるんじゃないかという御心配の御質問かと存じますけれども、確かにその点は私もあるかと存じます。しかし、今のような公務員給与をめぐるいろんな問題もございます。したがいまして、私は千二百億の減額が結果としてマイナスにならないような努力をしなければならない、それは総合経済対策等の中でそういうことをやる必要があるんではなかろうかと、こんなふうに感じております。
  198. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 多少お答えに無理があるのは十分承知の上で、私は政府のやっていることはやはりちぐはぐだと思うんですね。確かに、景気は何とかしたいという思いは恐らく国民の皆さん共通だと思うんですよ。しかし、それぞれの地方へ行ったりあるいは地場へ行っていろんな話をお聞きしますと、この春から実施をしました地域振興券、商品券と言いましたけれども、地域振興券でも景気は必ずしもよくならなかった。あるいは第一次の補正予算、これは中小企業関係を中心にしてやったわけですが、それでもまだまだ心配だと。今、長官からも御紹介がありましたように、きょうの閣議の中でも総理自身がまだ自信が必ずしも持てていないという状況の中で、マイナスのいわゆる給与改定をしなければならないということ。恐らく、これは後ほど人事院総裁にもお聞きをしたいと思っておりますが、民間との関係、民間がこれだけやっているんだからという意味での恐らく勧告であり、あるいは政府としての決定だろうというふうに考えるわけです。  したがって、そういう意味では私は景気を何とかしたい。特に、消費が今大変問題だと言われている中で、少なくとも公務員の皆さん方の所得が年間で九万円強少なくなるということが影響なしとはしないというふうに私は思います。そういう意味では、この議論は恐らく水かけ論に終わりますのでこれ以上は申し上げませんけれども政府自身が打っているあるいはこの国会の中で議論をしようとしていることの整合性という点から、極めて問題があるということだけこの際申し上げておきたいと思います。  そこで、少し具体的な話についてお聞かせをいただきたいと思うんですが、これは総務庁の方にお聞きをしたいと思いますが、新しい賃金、〇・二八%上げるわけですが、新しい賃金実施の時期と、それからこれは四月からでありますから、精算の時期についてはどのようなことを今お考えなのか。その点についてまず具体的な細かい問題ですが、お聞かせをいただきたいと思います。
  199. 持永和見

    政務次官(持永和見君) ベアは今回、課長相当職あるいは指定職を除いて〇・二八%のベアということでの改定が御審議をいただいておりますけれども、これについては、平成十一年四月一日にさかのぼって適用されるということになっております。それから、期末手当でございますが、これは〇・三カ月分カットする。これにつきましては、十二月期において〇・二五カ月分、それから三月期において〇・〇五カ月分をカットする、こういうことになっておるところでございます。
  200. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 今の勧告制度から考えて、ベースアップについて八月に勧告が出て、大体九月ごろの閣議決定、そして秋の臨時国会で法案として承認をするというこの仕組みですから、新しいベースアップが四月にさかのぼるとはいうものの、実際には十二月とかこういう時期にやられるというのは、これはやむを得ない制度だと思います。  今度の一時金の扱いですね、ボーナスの扱いについて、既に六月の分は従前どおりの月数で支払われているわけです。ところが、勧告は年間の分で〇・三月分引き下げますよということですから、その影響は十二月と三月にまともにかかってくるわけですね。私は、民間企業においても実は長い間交渉をやってきた立場からいきますと、この変動が余りにも大き過ぎますと、恐らく公務員の皆さん方もボーナスをある程度、例えばローンの返済に充てる等々のさまざまの工夫をしながらやっておられると思うんですね、生活というのを。いきなりことしの後半で年間の分の〇・三月分を下げてしまう、今度の場合には十二月に〇・二五、三月に〇・〇五ということですけれども、下げてしまうというようなやり方というのは、必ずしも私は適切なやり方ではないというふうに思います。そういう点では、この点は少し問題ありということを御指摘しておきたいと思います。  そこで、人事院の方にお尋ねをしたいと思うんですが、私は、今回のさまざまな環境の中で〇・二八%、あるいは福祉職の俸給表の新設等幾つかの改善を行ったということについては、一定の評価をさせていただきたいと思います。  そこで、これからの問題についてお聞かせをいただきたいと思うんですが、今度の勧告の中に賃金全体の評価、いわゆる職務評価等を含めて早期立ち上がり型の俸給制度をつくっていきたいという報告が行われています。恐らく民間企業でもいわゆる年功序列型の賃金が徐々に変化を始めている、終身雇用制を前提としたこういった仕組みはもうそろそろ変わりつつあるという点では、もう恐らくほとんどの皆さん共通だと思うんです。  実は、私も日経連の幹部の皆さん方とかつて激論を闘わしたことがあるんですが、日経連の皆さん方も、今の年功序列型の賃金というのは、若いころは企業がいわゆる従業員から借金をして、ある年齢を過ぎると今度はその借金を返していく、これが今の日本の賃金制度なんだ。つまり、仕事は一人前にできるんだけれども、前の年度に入った人あるいはキャリアの長い人との関係で賃金は低く抑えられる。しかし、ある程度年齢が高くなったらば、それは仕事以上のものを保障しているから、いわゆる人生トータルとしてはいいんだという発想ですね、どちらかといいますと。これを私たちはある程度仕事に応じた賃金を払えということですから、今人事院がお考えになっているように、若いときから仕事に応じてカーブを立ち上げていくというのは、私は正しいやり方だというふうに思います。  ただ、最近の民間におけるやり方で実に腹が立ってなりませんのは、賃金が高い中高年層をばさばさと切っていくというやり方は、これは長年の契約に基づく労使慣行を一切無視することになるんじゃないか。つまり、若いときには労働条件という形で企業が借金をしておきながら、それを返すべき時期になるとばっさり切っていくというやり方は私は許されないというふうに思うんです。  ですから、これから人事院が目指そうとしている新しい賃金あり方の問題をめぐりましても、少なくとも完全に新しい仕組みに変えていくためにはかなり長時間かかるという前提でお考えをいただかないといけないんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺についてのまずお考えがありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  201. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) おっしゃることはよくわかりますし、私たちもほぼ同様なことを考えております。賃金体系を変えるということは、若いときにどういう賃金を受けておったか、そして現在、中高年になってどういう賃金を受けておったということを考えながら体系を変えていかなきゃなりませんので、相当な期間をかけながらこの体系というものを考えていかなければ、結局、平たい言葉で言いますと、非常に待遇の悪いところだけを歩いて定年を迎えたということにもなりかねませんので、十分その点は留意しながら、賃金体系というのを年功序列型から職務給型といいますか能力給型といいますか、そういう方向に変えていきたいというふうに思います。
  202. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 特定の専門職として仕事を求めてつかれるという場合、これはある程度納得のいく上での賃金の仕組みの中に入っていくわけですからこれはいいんですけれども、例えば一般職の場合、本当にその人の求めているものに合致をしているのかどうかということと仕事に対する評価、あるいは能力の評価、こういうものは必ずしも一致をしないケースというのが非常に多いんです。  ですから、例えば早期立ち上がりというケースの場合には仕事の評価がきちっとされなければならない、しかも客観的にされなければならない、そのことと賃金との相関関係というのが当然出てまいります。  したがって、ただ単に仕組みだけを変えればいいのではなくて、仕事に対する評価を極めて客観的にあるいは合理的に行えるような仕組みがセットでなければならないというふうに考えていますが、その辺の仕事の評価の問題についてはどんなお考えをお持ちでしょうか。
  203. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) おっしゃることもよくわかりますし、私たちが最も留意しなければならない点だと思います。公務員の場合には民間とは違った角度から評価をしていくというようなことも必要でございますので、私たちは、まず民間でどういうような評価の仕方をしておられるか、そして公務員の世界ではそれにプラスしてどういう特殊性があるかということも考えながら評価制度というものを研究していかなきゃならないというふうに思います。  いずれにいたしましても、この評価というのは、適材適所という配置の問題を含みまして昇進あるいは給与上の処遇というものに関係してきますので、公務員納得というものも必要でございましょう。したがいまして、公務員の代表者の方の意見もよく聞いて、この評価制度というものの研究をしていくということを心がけたいというふうに思います。
  204. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 確かに、長い間の賃金の仕組みを変えるというのはそうドラスチックにはなかなかできないと思います。しかし、そういう流れにあるということは恐らく万民が認めるところだろうと思うんです。したがって、新しい制度を導入するに当たっては、十分に合理的なあるいは合意の得られるような仕組みを丁寧にやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  そこで、話がちょっと戻るようで大変恐縮なんですが、今回の勧告をめぐって午前中には海老原議員から、そして先ほどは山本議員からも人事院勧告あり方について指摘がございました。私も大変気になっていますのは、例えば今回の勧告では本省課長級の十級、十一級の改定が見送られました。これは、総裁説明は、民間企業においても管理職のいわゆる昇給停止だとかベアストップということが行われているということであります。  ある意味では、これは最終的な判断政府としてあるいは総務庁として勧告内容を点検した上で、これは民間との比較において、具体的な数字は例えば人事院が提供するにしても、最終的な判断は私は政府がやるべきことだと、つまりこれは政策判断の部類に属するのではないか。先ほど山本議員が指摘をしたのもそういうことだろうと私は私なりに解釈をしたわけです。  具体的な問題として、人事院に政治的な判断をする権限は与えられていない。少なくとも客観的な事実に基づく数字をもとにしたものでなければならない。それをもとにして政府勧告を行い、それを政府がさまざまな角度から議論をし、法律として国会に提起をして、国会の中で議論をしてそれを決めていくというのが私はあるべきルールだというふうに思います。  なぜ、ことし本省の課長級に相当する部分の改定を見送ったのか、見送った根拠は一体何なのか、お答えをいただきたいと思います。
  205. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 午前中にも答弁申し上げましたが、民間課長以上の管理職につきましては、ベースアップをしていただいた管理職というのが五三%ぐらいだったというふうに思います。その五三%の管理職というのは、ベアは受けましたけれども、それとは別に賃金カットとかあるいは昇給停止とかというのをされております。  したがいまして、純粋にといいますか、そういう賃金カット等をされずにベアのみを受けたというのは四七、八%だと思いますけれども、五〇%を切っておるというその事実というのを私たちは非常に重く受けとめまして、やはり五〇%を切っておるのならば公務員の世界においても同様のことを考えるべきではないかということで今回の勧告をしたわけでございますけれども、そういうような今重ねての御指摘でございますので、一つの重要な問題提起があったということで私たちは今後の検討の重要な参考資料にさせていただきたいというふうに思います。
  206. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 私は、先ほどの山本議員の指摘は大変もっともだと思うんです。  今、総裁のお答えはパーセントでお答えになりました。例えば、基礎になった〇・二八%のベースアップを、もともとの数字の積み重ねの過程の中では、民間企業においてもベアゼロのところもある、場合によっては切り下げられたところもある、上がったところもあります。最終的な平均をある程度とって数字を出されているはずなんです。例えば課長級といえども具体的な数字を上げて、これこれこういう、例えばストップをしたところもある、あるいは下げたところもあります、もちろん上がったところも当然あるはずですよね。そういうものを平均して、これこれしかじかだから据え置きました、あるいは下げましたと、これが私は合理的な理由だ、客観性だというんです。パーセントだけでは判断できないんです。  例えば、上げた五〇%のところが一万円上げました、下げたところは五千円でしたといった場合には、もしならしてみたら恐らく少し上がっていることだってあり得るんです。ただ、それは先ほど山本議員も指摘をしましたように、民間企業課長さんも我慢をしているんだからという極めて主観的な判断でしかないんです。  こういうやり方をやっていくと、私は人事院勧告の本来のあるべき姿というのが崩れてしまうという危険を感じてならないんです。ぜひその点はしっかりこれからの勧告に当たって留意をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  そこで、総務庁長官にお伺いをしたいと思うんですが、今申し上げましたように、人事院はさまざまなデータに基づいて、その時々の客観的な数字をもとにして出されるということでありますから、もちろんそれをもとにして国民納得のいただけるような最終的な勧告の受け入れをするかしないか。さまざま過去にはございました。大変激論になったこともあったと思います。  そういう歴史的な経過はあったにしても、これからも、先ほど私申し上げたような、人事院が客観的な事実に基づいて提起をしたものは政府としてもこれからは尊重していくということをこの席でぜひ明確にしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  207. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 政府の方針としては、人事院勧告を尊重するというのが基本姿勢でございます。
  208. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 最後に、先ほど椎名議員からも御指摘がございましたが、十年間で公務員二五%削減をするという話ですが、つい先ごろ、日産自動車が企業再生計画というのを発表しまして、国内外で二万人を超す大リストラをやるというので大変な問題になりました。もちろんまだ決着がついたわけではありません。  私は、その後の日産の計画、もちろん労働組合や働いている側からいろんな意見があることは承知をしていますが、例えば具体的にAという工場の生産はこれこれこういうふうにします、例えば減らします、その分をこうしますと具体的な内容が盛り込まれているんです。もちろんこれでよしとするわけではありません。自動車産業のようにすそ野の広い産業は大変な影響がありますから、これだけにはもちろんとどまりません。  しかし、政府が、あるいは自民党あるいは自由党を含めた政党間で議論をしている過程において、ただただ数字だけが先行するというのが最近多過ぎはしないか。例の衆議院の定数五十削減もそうであります。あるいは今申し上げた公務員削減問題についてもそうであります。  確かに、先ほど長官がおっしゃったように、むだな仕事がないと言ったらうそになるでしょう。民間でもそうです。しかし、あくまでそれは仕事の点検をしていった積み重ねの結果削減されるものでなければ本来ならないと私は思うんです。いや、それができないから目標をつくってそれでやるんだという言い方ももちろんあるでしょう。それはあくまでも公務員の皆さん方、ここでは公務員というふうに申し上げておきますが、意識がそこに向かっていないからなんだ。これはどういうことかといいますと、政治が勝手にそれを翻弄するからなんですよね。十分に職場の皆さん方とのきちっとした議論の積み重ねのないままに政治先行でこういうものが出てくるものだから、まあ勝手に決まったらやりましょうというふうにしかならないんじゃないかと思うんですね。  こういうやり方で本当の意味での行政改革、財政改革ができるのかどうかということになると、私は甚だ疑問でならないんです。結局どこかでつじつま合わせをやるしかない。場合によっては独立行政法人に移したり、さまざまな仕組みで何とか数だけ合わせるということにしかならない。これは国民の期待にこたえたことにはならないんじゃないか。  ぜひこの種の問題については、働いている皆さん方と、あるときは労働組合でもいいですし、あるときは職場の中でもいいですから、しっかりとした話し合いをして改革の努力をしていかないといけないというふうに思うんですけれども、そういう視点から長官の今現在のお考えとこれからの決意をお聞かせいただいて、終わりたいと思います。
  209. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 今、前川委員から示唆に富んだ提言を含めた御質問がございました。私も同じ考えであります。  ただ、四十四年の五月十五日に、実は当時の、今の委員会の前の参議院内閣委員会で関連をする決議がなされております。御案内のとおりだと存じますけれども。要するに、生首は切らない、そして同時に、公務員の出血整理は行わない、本人の意に反する配置転換は行わないことというのが附帯決議の趣旨であります。  私どもはそれを踏まえながら、今御指摘のように、直接労働組合とはいきませんけれども、各省庁ととことん議論をさせていただいて、そして合理化、先ほど御指摘がございましたように、これは国民にお約束した数字でございますので、その数字の積み重ねを行いたいと存じます。
  210. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 終わります。     ─────────────
  211. 小川勝也

    委員長小川勝也君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、中曽根弘文君が委員を辞任され、その補欠として久野恒一君が選任されました。     ─────────────
  212. 吉川春子

    ○吉川春子君 共産党の吉川春子です。  ことしの八月十一日に人事院は今年度の公務員給与勧告を行いました。我が党は人勧に対する閉会中審議を要求いたしましたが、委員会は開催されませんでした。人勧から三カ月を経て、参議院総務委員会は、一昨日、人事院総裁から報告を受けました。十一月八日、参議院に提出された給与法と一緒に、きょう初めて質問をすることになったわけですけれども、これは、国家公務員給与、勤務条件などの決定に責任を負う国会の責務、また先例に照らしても大変遺憾なことであると指摘せざるを得ません。今後こういうことを繰り返さないように私は注意を喚起したいと思います。  それでは私は、九九年人勧と給与法について質問に入りますが、私は官房長官質問通告をいたしました。しかし、この法案についての官房長官の御出席はない、認めないというのが与党の態度であったということですが、私は納得できません。内閣委員会あるいは総務委員会の理事、委員を私は長年務めましたけれども質問通告があるのに官房長官を呼ばないという先例を知りません。国会審議の充実、活性化に逆行するものと言わなくてはなりません。私はやむを得ず答弁者を変更して質問を行うことにいたしますので、政府はきちっと対応をしていただきたいというふうに思います。  ことしの人勧は、今さまざまな同僚委員からお話がありましたけれども、一般の職員は〇・二八%という極めて低いベア、加えてボーナスの〇・三カ月分の削減によって、職員の平均年間給与は戦後初めてマイナスということになりました。平均九・五万円、マイナス一・五%という厳しい内容です。  政府は、この人勧をそのまま給与法として提出をしてまいりました。九九年の人勧、給与法は、国家公務員とその家族のみならず、地方公務員、年金あるいは生活保護など多方面にマイナスの影響が及ぶことと思います。  戦後最悪の雇用情勢失業者の数、不景気の中で、この人勧の民間労働者の労働条件あるいは公務員の人材確保、あるいは国民生活に対してどういう影響が及ぶのか。大臣、どうお考えですか。
  213. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 先ほど来、この問題についてはいろんな議論がございます。確かに、今御指摘の面がないわけではないと先ほど前川委員にもお答えを申し上げました。しかし、厳しい客観状況のもとで私ども人事院勧告どおり九月二十一日の閣議決定に基づいて今回の法案の提出に踏み切ったわけでございます。  もろもろの御意見はございますけれども、やはり我々は、公務員給与というのはやはり国民の熱いまなざしがあるわけなんです。もう吉川議員は御存じだと存じますけれども、塗炭の苦しみを負っておられる企業もあるわけですね。そういう中で、やはり客観的な数値に基づいた勧告がある、政府はそれを勧告どおり尊重する、こういうことでございますので、今確かにいろんな問題があるかもしれませんけれども、我々の英断を是としていただきたいと思います。
  214. 吉川春子

    ○吉川春子君 塗炭の苦しみを味わっている国民、そしてこの不況に非常に大きな悪影響を与えるのではないか、そのように私は質問いたしました。  これまで人事院勧告政府によって値切られたり実施がおくれたりしましたけれども、最近は内容、時期とも完全実施がずっとされてきたと思います。ことしは人事院みずからがマイナス勧告を行うという初めての挙に出ました。  人事院総裁に伺いますが、労働基本権制約代償措置としての人勧の存在意義が問われてくると言わなくてはならないと思います。人事院総裁の当委員会で行った説明で、勧告労働基本権制約代償措置であり、仮に公務員基本権があればどのような結果となるかなどを念頭に検討することが要請されていると述べています。国家公務員が仮に労働基本権を剥奪されておらず、制約されておらず、これを行使した場合、労働組合みずからが給与減額を要求することがあると思いますか。
  215. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 国家公務員にもし労働三権があるならばどういう姿になっただろうか、どういう結論になっただろうかということを考えます場合に、やはり労働三権を持っておる民間企業賃金状況というのが平成十一年度はどういうことになったかということを重要な参考資料にせざるを得ないということだと思います。  したがいまして、私たちは、もし公務員労働三権があったならばどうなっただろうかということを考えるときには、やはり民間状況というものを正確に把握して、その正確な把握に基づく勧告というのが労働基本権制約代償措置としての勧告だろうというふうに思います。
  216. 吉川春子

    ○吉川春子君 民間準拠ということをもってことしの人勧のマイナス勧告というものを正当化できないと私は思うわけです。  人事院勧告という制度労働基本権制約されている公務員労働者の勤務条件を守る、そういうものだと思うんです。そうでしょう。  それで、「逐条国家公務員法」によりますと、公務員法二十八条「情勢適応の原則」というところにこう書いてあります。公務員は法令に基づき国民全体に奉仕する立場にある。民間の従業員の場合の利潤の配分ではなく、勤務条件は国民理解納得を得られる必要がある。また、それは公務員たる職員にとっても納得し得るものでなければならない。このようにしております。納得し得るものであるということ、それは最終的に公務員が完全に納得するかどうかということではなくて、納得し得るものでなくてはならないとコンメンタールに書いてあるのです。私もそう思うのですが、今回の人勧について、公務員組合、職員組合は納得していますか。納得を得るためのどういう努力をされましたか。
  217. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 今回の勧告に至るまでの過程におきまして、労働団体の方々とたびたびお会いいたしまして、よくその過程というものを説明し、こちらの考え方も御説明したわけでございます。  最終的に納得していただいたかどうかということにつきましては、それぞれ受け取り方が異なるでしょうし、あるいは今、先生がおっしゃるように納得していただけなかったかもわからない。しかし、今の厳しい状況というものを前提に、そして今回の民間給与状況というものを前提に考えますと、私たちといたしましては、公務員の方に納得していただけるようにやはりお願いをしなきゃならないというふうに思います。
  218. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、国公労連とか全教、日高教、自治労連、特殊法人労連、福祉保育労組、全労連、国公女性協あるいは連合公務員連絡会などの人勧に対する声明を拝見いたしました。大方は、極めて不満の強いものだ、公務員労働者の生活水準を切り下げる勧告に怒りを込めて不満の意を表明する、断じて許せないなどとしております。  それで、政府国家公務員の使用者でありますので、大臣にお伺いいたします。  多くの組合が強い不満を表明している中、人勧のとおりに給与法を提案した根拠は何でしょうか。これまで政府は人勧を下回ったりあるいは値切ることはあっても一貫して人勧を上回らない、こういう姿勢に終始してきましたけれども、人勧というのは公務員給与、労働条件の上限というふうに考えているんですか。その点お答えください。
  219. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 人事院制度については今るるお話がございました。  その人事院制度に基づいて私ども勧告を受けたわけで、勧告を尊重するのが政府基本的方針だと。その基本的方針に基づいて今回給与法案を提案している、こういうことに御理解を賜りたいと存じます。
  220. 吉川春子

    ○吉川春子君 尊重するということと拘束されるということは別でして、先ほど来論議の中で人事院勧告をする、それは、最後は政治的な決定というのは政府にあるんだと、まさにこういう議論があったわけでしょう。だから、本当にそういう意味で、私は、今のさまざまな社会情勢をかんがみた上で、政府がいかなるときも人勧のとおりに給与法を定めるということではないと思いますので、尊重するというのもそういう意味だと思いますので、そのことを指摘しておきたいと思います。  私は、公務員労働三権を与えない、制約しているということの矛盾が今回のようなときにあらわれてきていると思うんです。あくまで民間準拠ということで人事院総裁も言われましたけれども、それは公務員自身の意思ではないわけで、やっぱり公務員自身が使用者たる政府と交渉をして賃金なり労働条件なりを決めていく、これが原則だということを従来から私たちは指摘してまいりましたけれども、今回、まさに労働基本権を与えないということの矛盾がこういう形であらわれてきているのであり、労働基本権を与えるべきだと、これが憲法に沿う道だということを指摘して、次の質問に移りたいと思います。  この問題も先ほど出ましたけれども公務員定数二五%削減、これは国民生活に何をもたらすかという点をお伺いいたします。  まず、政府参考人で結構ですが、現在、公務を支えている人数について報告してください。
  221. 中川良一

    政府参考人中川良一君) 非現業の一般職国家公務員ということでお答えさせていただきますが、まず、一般職国家公務員の定員は平成十一年度末におきまして五十万六千八百六十七人ということでございます。このほかに一般職の非現業におきます非常勤の職員がおりまして、この非常勤職員の人数は平成十年七月一日現在で二十三万六千九百十五人でございますが、この非常勤職員の中には、例えば統計調査職員でありますとか、審議会等の委員、顧問、参与でありますとか、保護司でありますとか、そういった多様な職員が含まれております。
  222. 吉川春子

    ○吉川春子君 つまり、今公務を支えている数は政府の統計によると七十三万人余りということになります。そして、十年間でそのうちの二五%マイナスというのは常勤職員、定数のことだと思いますので、そういたしますと、七十三万の二五%じゃなくて、五十万六千の二五%削減ですから、そういたしますと、大幅に公務を支える職員の数は減るわけで、そういたしますと、非常に国民の立場からいえば、今まで受けていたサービス、あるいはサービスと言うと任意的なものに聞こえますが、憲法二十五条で健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障していますが、それにも亀裂が生ずる、こういうことになるのではないかと思いますが、こういう影響を与えずに定数の削減ができると、先ほど来の長官お話はそういうことでしたか、確認いたします。
  223. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 今、吉川委員から具体的なお話がございました。私が先ほど申し上げたのは、東京都の例を申し上げたわけです。結果として、最初十八万人いた、十八万人が美濃部都政のときには四万五千人ふえました、二十二万五千人。それで、今度は十二年間で同じように四万五千人減らされました。しかしサービスはちっとも落ちておりません。  要するに、東京都の場合はみずからの税金で、みずからの都民税で千二百万の都民の幸せを願う、そういう行政をやるというのが都政でありました。同じように、国も今御指摘のような五十万六千人の職員が一億二千五百万の国民のために行政をやっておられる、そのタックスペイヤーは、要するに国民公務員給与を負担しているわけですから、その国民が期待しているサービスをなるべく減らさないように、しかし同時にやはりぜい肉は落としてほしい、一定の収入しかない、その収入の中で公務員削減をしてほしいというのが私は納税者の気持ちであろうと存じます。  そういう意味で、我々はなるべく与えられた与件の中で、条件の中で厳しい選択を、人間の査定をしながら、期待にこたえていこうということを一生懸命やっているわけです。
  224. 吉川春子

    ○吉川春子君 東京都の問題はさておきますが、国家公務員、国の問題でお答えいただきたいんですが、十年間で二五%削減と非常に具体的な数字が出てきておりますので、これは何省が何%、そしてどういうふうにすれば二五%の削減が可能なのかというシミュレーションといいますか、積み上げがあると思います。その数字を具体的にお示しいただきたいと思います。  努力は、サービスを低下させないように努力しますと、それはもうわかりましたので結構です。どういう数字を根拠に二五%の公務員の数が削減可能なのか、国民のサービスを低下させないで可能なのかという具体的な数字で、恐らく各省ごとに違うと思いますので、数字をお示しいただきたいと思います。──私は大臣議論をしたいので。
  225. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 今の御質問にお答えしますけれども、実は平成十二年度の定数を今各省と詰めをしているわけです。その平成十二年度の定数が固まったその時点から、今お話しのように二五%の削減に向かって我々は積み上げていくわけです。したがって、今ここでじゃ具体的な各省別の数字を示せと言われても、これからの作業なんです、これから作業をいたします。要するに、十二年度の固まった時点から作業しますので、これを御理解ください。
  226. 吉川春子

    ○吉川春子君 それは順序が逆ですよ。各省でどれだけ合理化をし、いろんな努力をすれば何%削減できるかといって積み上げた数字が結果として二五%なのかと私は思っていました。そうじゃなくて最初に二五%削減ありき、こういうことですか。そこだけでいいです。説明は要りません。
  227. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 二五%を削減するということは国民に対する公約なんです。私ども公約を果たさなくちゃいかぬわけです。しかし同時に、今おっしゃるようにそのサービスが落ちないようにという積み上げを我々はこれから鋭意検討するわけです。  御理解をいただきたいと存じます。
  228. 吉川春子

    ○吉川春子君 そんな公約してほしくないんですけれども。  それは本当に行政のやる仕事じゃないですよ。行政というのは、さっき人勧の問題でもありましたけれども、私たちは百歩譲って、気に入らないんだけれども、全国的な調査をもうずっとやって、そして民間準拠という数値を出して、それでもう非常に綿密な作業をして出してきているわけでしょう。それが行政ですよ。最初に二五%削減ありきだと、じゃどこでどうやって削減するかはこれから検討なんて、そんな無責任な態度はそれはもうちょっと行政と呼ぶのに値しないというふうに思います。  この問題だけに私は時間をとれませんので、もう一つ聞きます。  在職死の数が非常に多くなっているんですけれども、この在職死の数、どれぐらいなのか報告してください。
  229. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 在職中に死亡したということですから、私たちの方は細かい分析を持っておりませんが、事故死の方あるいは私傷病で亡くなった方、そういうものを含めまして過去五年間で申し上げますと、おおむね九百五十人から千五十人の間に位置しているんじゃないかというふうに思います。
  230. 吉川春子

    ○吉川春子君 先ほど人間らしい生活ができていない、通常残業省というお話もありましたけれども、非常に公務員の長時間労働、残業、これが多くなっておりまして、それが在職死につながっていると思います。もちろんいろんな不慮の事故もありましょうけれども、こんなに多い数が亡くなっている、はるかに平均寿命を残して亡くなっているということを思うと本当に胸が痛むわけで、本人の無念さももちろんですけれども、家族の苦しみというのも大変なものだと思います。  私は、去年の当委員会での質問のときに、残業の調査人事院お願いいたしまして、そのときに、当時の太田長官は、人事院を初め関係諸機関の方と相談してこの調査を行いたいというふうにおっしゃっていただいたんですけれども、その調査の結果、公務員の残業時間の実態というのはどうなっているでしょうか、御報告いただきたいと思います。
  231. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 私たちの方で調査をいたしました。その細かい数字を今持っておりませんが、最も多い月の平均というところで申し上げますと、本省で月四十時間ぐらい、その他の機関で月二十七、八時間ぐらいというふうに記憶いたしております。
  232. 吉川春子

    ○吉川春子君 これはトータルの数字ですね。各省ごとではありませんね。そのトータルの数字を前提にお伺いいたしますけれども、この残業をもし減らすことができたら、さっき国会の対応が悪いんだというような話もありましたけれども、私は必ずしもそうは思わないんですけれども、国会は必要な仕事をしていますので、やっぱり人数が少ないというところに問題があるのではないかと思います。  このサービス残業の点は、今のは残業代を支払っている数だと思いますが、サービス残業もこれ以上にあるというふうに私は伺っているわけですけれども、そのサービス残業の実態はどうですか。
  233. 中川良一

    政府参考人中川良一君) 私どもの方では、各省庁ごとにいろいろと実態も違うものですから、実際に超過勤務の実態がどうなっているかというのを今まで調べたことはございませんで、先ほど総裁からお話がありましたように、人事院の方で給与実態調査等を通じてお調べになっている数値を私どもでも使わせていただいておるところでございます。  太田前長官が申し上げましたのは、超過勤務縮減の取り組みを今後さらに進めていくということで、その中でそういったようなものの実態も、どういうような調べ方をすれば把握できるかというようなことも含めて、関係機関と相談していくという趣旨でお答えしたものでございまして、今後さらにその努力を続けていきたいというふうに思っております。
  234. 吉川春子

    ○吉川春子君 国公労連の調査なんですけれども、この残業をある程度なくすこと、完全にではないんですけれども、かなりなくすことをすれば七千人もの雇用創出にもつながる、こういう試算もあるわけです。私は、今努力するという事務当局の御答弁ですので、どんぶりでつかむのではなくて各省庁別に残業の実態調査をやってもらいたい、サービス残業を含めてやってほしいと。大臣、答弁をお願いいたします。
  235. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 今、御質問は各省の残業の実態を調べろと、こういうことですか。
  236. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうです。
  237. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) それは私どもの所管なんですかね。
  238. 吉川春子

    ○吉川春子君 太田長官は去年答弁したんですよ、やりますと。
  239. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 人事院と相談をしながらそれではやらせていただきます。
  240. 吉川春子

    ○吉川春子君 去年、太田長官が約束してくださったことを実はやっていないわけです。余りきょう追及しませんけれども、それは。ですから、公明党の長官でもあるし、ぜひそういうことで具体的な調査お願いします。  最後に、時間がなくなりまして、私、一問だけ違った問題を質問いたします。  それは選択議定書のことなんですけれども、これは官房長官がいらっしゃらないのでほかの方で結構なんですけれども、今国連で女子差別撤廃条約を実効あるものにするための選択議定書の問題がテーマになっておりまして、女子差別撤廃委員会への個人通報制度を認める選択議定書がことしの十月の国連総会で採択されました。これは十カ国が批准することによって発効するということになっています。ぜひ日本がこの十カ国の中に入って、発効を促進してほしいというふうに思うんです。  先ほど来、何遍も官房長官が男女共同参画社会基本法ができてこれを積極的に進めますとおっしゃっていただきました。そういう点で、男女共同参画基本法のずっと出発点は女子差別撤廃条約なんですよ。この女子差別撤廃条約のこういう選択議定書の問題が具体化されておりますので、ぜひ政府は積極的に批准について対応をしていただきたい。いかがでしょうか。
  241. 長峯基

    政務次官長峯基君) お答えいたします。  御質問選択議定書は、先生御説のとおり、本年十月に国連総会で採択されました。個人通報制度については、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度であると考えております。ただ、司法権の独立を含め、我が国の司法制度との関連で問題が生じるおそれがあるとの指摘もあります。本選択議定書の締結については、関係省庁間において真剣かつ慎重に検討してまいりたいと思っております。  以上です。
  242. 吉川春子

    ○吉川春子君 司法権の独立云々というのはちょっと余り理屈にもならないような理屈でして、やっぱり十カ国で発効するわけだから、日本がいつもおくれて批准するのじゃなくて、今度はその先頭のグループに入ってもらいたい。どっちみちこれは遅かれ早かれ、政府は批准しなきゃ国際社会において名誉ある地位なんて占められないんですよ。だからそういう点で、続長官が今積極的に答弁に立ってくださる挙手をしていただきましたので、長官の方から最後にこの問題について御答弁をお願いします。
  243. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) いや、私は、先ほど官房長官が不在だったものですから私が御趣旨官房長官にお伝えしよう、しますと、こういう答弁をしようと思ったんです。今の趣旨をちゃんとお伝えします。  ただ、たまたま次官がおいでになるものですから。これはもう次官は次官ですから。
  244. 吉川春子

    ○吉川春子君 この選択議定書の問題は、とにかく日本がリーダーシップをとって、男女共同参画社会基本法が発効したこの年に日本政府も批准していただきたいということを強く要望して、質問を終わります。
  245. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより両案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  246. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、一般職及び特別職給与法に対し、反対の討論を行います。  ことしの一般職職員ベアは〇・二八%と著しく低く、さらに特別給〇・三月引き下げとあわせて、戦後初めて前年を下回る賃金水準です。今回の特別職給与法で改定される秘書官の給与も、特別職とはいえ大臣行政機関の長などの高過ぎる賃金水準とは異なり一般職同様の水準でありますが、これも同様に引き下げになります。  人事院勧告は、人事院勧告に準拠している約千三百万の労働者、さらには年金や恩給生活者、生活保護世帯等を含め多くの国民に甚大な影響を与えるものです。政府の失政による深刻な不況と雇用情勢の中で、この給与法は、公務員の生活はもとより国民生活に一層の経済的悪循環を引き起こし、国民の生活水準を引き下げるものです。同時に、これでは個人消費がますます落ち込み、不況打開の展望をさらに遠ざけるものであります。  第二に、人勧は公務員に対する労働基本権制約代償措置であり、公務員給与等の労働条件を守るための制度であります。人勧が年収にしてマイナスという不利益な勧告を行うなどというのは、人勧の役割そのものが問われかねないもので、到底認めることはできません。  私たちは、従来から公務員労働者に憲法二十八条の労働三権を与えるべきことを主張してまいりましたが、今回の不利益勧告はこのことの妥当性を一層明らかにしたものであり、給与法には反対であることを表明して、討論を終わります。
  247. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  248. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  249. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  広中和歌子君から発言を求められておりますので、これを許します。広中和歌子君。
  250. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、ただいま可決されました一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党、参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府並びに人事院は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。  一 人事院勧告制度労働基本権制約代償措置であることを踏まえ、政府人事院勧告制度を引き続き尊重するとともに、人事院官民給与の精確な比較等により公務員給与の適正な水準の維持・確保に努めること。  一 国民の公僕たる公務員は、国民から疑惑を招くことのないよう一層の綱紀の粛正に努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  251. 小川勝也

    委員長小川勝也君) ただいま広中君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  252. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 全会一致と認めます。よって、広中君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、続総務庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。続総務庁長官
  253. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨に沿い、努力してまいりたいと存じます。
  254. 小川勝也

    委員長小川勝也君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散会