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1999-11-25 第146回国会 参議院 国民福祉委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月二十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月二十四日     辞任         補欠選任      柳田  稔君     朝日 俊弘君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         狩野  安君     理 事                 田浦  直君                 水島  裕君                 勝木 健司君                 山本  保君                 小池  晃君     委 員                 尾辻 秀久君                 久野 恒一君                 常田 享詳君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 朝日 俊弘君                 今井  澄君                 佐藤 泰介君                 松崎 俊久君                 沢 たまき君                 井上 美代君                 清水 澄子君                 入澤  肇君                 堂本 暁子君                 西川きよし君    国務大臣        厚生大臣     丹羽 雄哉君    政務次官        大蔵政務次官   林  芳正君        厚生政務次官   大野由利子君        自治政務次官   橘 康太郎君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  津野  修君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君    政府参考人        総務庁恩給局長  大坪 正彦君        厚生大臣官房障        害保健福祉部長  今田 寛睦君        厚生省健康政策        局長       伊藤 雅治君        厚生省老人保健        福祉局長     大塚 義治君        厚生省児童家庭        局長       真野  章君        厚生省保険局長  近藤純五郎君        労働省職業安定        局次長      青木  功君     ─────────────   本日の会議に付した案件 〇政府参考人出席要求に関する件 ○社会保障等に関する調査  (介護保険法特別対策に関する件)  (社会保障制度総合的ビジョンの検討に関す  る件)  (待機児問題の解決等保育所整備に関する件)  (富士見産婦人科病院事件に関する件)  (医療保険制度抜本改革に関する件)  (リプロダクティヴヘルス・ライツに関する件  )  (少子化対策中心とする社会保障政策に関す  る件)     ─────────────
  2. 狩野安

    委員長狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十四日、柳田稔君が委員を辞任され、その補欠として朝日俊弘君が選任されました。     ─────────────
  3. 狩野安

    委員長狩野安君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障等に関する調査のため、本日の委員会総務庁恩給局長大坪正彦君、厚生省健康政策局長伊藤雅治君、厚生省老人保健福祉局長大塚義治君、厚生省児童家庭局長真野章君、厚生省保険局長近藤純五郎君及び労働省職業安定局次長青木功君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 狩野安

    委員長狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 狩野安

    委員長狩野安君) 社会保障等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 今井澄

    今井澄君 おはようございます。民主党・新緑風会の今井澄でございます。  前回介護集中審議で十分質疑できなかったこともありますので、そのことを含めて本日もまた質疑をさせていただきたいと思います。  最初に、厚生大臣、大丈夫でしょうか、何か大変痛々しい格好であらわれましたが。私どもは、一応政府委員制度の廃止という大きな今国会の意義を踏まえて、基本的には政治家同士の討論ということで大臣政務次官等にお願いしたいと思っているわけですが、やはりお互いに健康ということが第一、特にこの委員会でありますから、もしぐあいが悪いことがあったら言っていただければ、私の方もそれを配慮して質疑をさせていただきたいと思います。最初にそのことを申し上げておきたいと思います。  最初に、質疑通告にはなかったんですが、昨日、閣議後の記者会見厚生大臣の方から、小渕首相私的諮問機関として、真に豊かな老後のための国民会議とでもいうべきものをつくると言われたということを聞いて、私は大変喜ばしいことだと思っているわけです。  今、国民が不安に思っている非常に大きなことは、もちろん経済もありますし雇用の問題もありますけれども、やはり老後中心とした社会保障、安心できる社会が来るのか来ないのかということなんだろうと思います。その点で、いろいろな案が出されたり、法律が出されたり、提案がされてはおりますが、ばらばらだということが一番問題なんだと思うんです。あるいは自自公の合意、それから今度の介護保険見直しでも財源のあり方を含めて検討するということで、非常に宙ぶらりんなままで、とりあえず保険料を免除するとか、そういうことだけが先行して非常な混乱が起こっているんだと思います。そういう意味では、総合的な社会保障制度あり方ということをきちっと議論して早く国民の前に示す、これは非常に大事なことだろうと思います。  実は私どもも、今度ネクストキャビネットの体制をつくると同時に、私の隣におります朝日さんを会長にして社会保障制度調査会で半年以内に骨格だけでもきちっと示したいと思って取り組みを始めたところであります。  過日、新聞で見ますと、厚生大臣私的諮問機関と申しますか有識者懇談会をつくって、三月までにそこから報告を出してもらうということを見まして、これはいいことだなというふうに思いました。かつて細川内閣のときの大内厚生大臣のときにやはりそういう試みがありまして、二十一世紀福祉ビジョンというのが半年ぐらいでつくられたわけです。これもトータルなビジョンとはなかなか言いがたいものではあっても、一定方向を示したわけです。  さて、そこでお尋ねしたいのは、今度の国民会議というのは、社会保障の問題には当然税の問題も絡んでくるし、高齢者雇用の問題も絡んでくるから、厚生省守備範囲を超えた問題を含むということで首相私的諮問機関として位置づける、このことはこのことで納得できるわけであります。ただ、ここでは二〇〇五年ごろを視野に入れた中長期的な社会保障あり方について議論すると。これももちろん納得できることなんですけれども、一方、厚生大臣の方で就任早々おつくりになろうと思われた有識者懇談会はとりあえず三月までに何らかの形の方向を出したいということでやられたと思うんです。  この厚生大臣の意図された有識者懇談会というのはどうされるのか。国民会議の方にお任せになるとしても、そうすると一定方向が出るのはいつごろになるのか。やっぱりある程度早い時期に一定方向を中間的にでも出さなければならないと思うんですが、その辺、厚生大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  7. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 社会保障改革論議の中で、年金年金医療医療介護介護、こういうことで、どちらかというと一部で縦割り的に議論がされてきたのではないか、こういうような御指摘があったことは事実であります。  そこで、私といたしましては、社会保障の中でも特にお年寄りの皆さん方老後に対する不安というものを抱えていらっしゃる、そういう中において、この三つの問題を中心として、やはり整合性と申しますか、もっと一体的に議論をする必要があるんじゃないか、こういうような考えから、先日来、私は委員会で、こういうような有識者懇というのを設けて、そしてそういう中でできるだけ早く結論を出したいということを率直に申し上げました。  これに対しまして、昨日、小渕総理に御相談をいたしましたところ、大変これは結構なことであって、社会保障というのは二十一世紀における国政の最も重要な柱の一つであるから、これはひとつ政府挙げて取り組んでいこうではないか、こういうようなお言葉をいただきましたので、政府全体として取り組んでいただければそれは大変心強い限りでありがたいことでありますと、こういうことで、昨日、私と小渕総理との会談におきまして、仮称でございますが、真に豊かな老後のための国民会議、こういうような有識者懇を設置する方向で原則的に意見が一致したわけでございます。  したがいまして、私が当初申し上げました私の諮問機関は、当然のことながら、総理私的諮問機関でこのような会議が設けられるわけでございますので、これはあくまでも総理私的諮問機関一本で御議論をいただきたいと思っております。  具体的にいつごろかということでございますが、一厚生省だけの問題ではなく、もっと幅広く議論をするべきだ、こういうような総理考え方もあって、できるだけ早く結論を出さなければならないわけでございますが、ことしじゅうにはまず第一回の会合を開いて、大体来年の秋口ぐらいまでには一定方向性を示したい、このように考えております。
  8. 今井澄

    今井澄君 来年のいつごろですか。
  9. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 秋です。
  10. 今井澄

    今井澄君 趣旨はわかりますし、二重につくってもなんだとは思いますが、やっぱり政府全体のということになりますとかなり時間もかかるんだろうと思うんです。やはり厚生大臣としては、確かに財源問題、雇用問題、全政府的な取り組みの問題はあるわけですけれども、少なくとも厚生省守備範囲である例えば年金医療介護、こういう問題の統一的な方向というものについてはそれなりに責任を持って早い時期に位置づけをはっきりさせていただきたいと思うんです。  これはまた年金法審議の中で、私は年金を軸にして医療介護を組み合わせていくということが大事だと思うので、年金が一番大事というと変ですけれども、そういう組み立てをすべきだと思って議論をするつもりでおりますが、その辺、総理にお任せになったということだけではなく、頑張っていただきたいと思います。  さてそこで、前回十分深まりませんでした介護保険問題点についてですが、まず最初に法的な問題についてお尋ねをしたいと思います。前回法制局長官においでいただきましていろいろ御答弁いただきましたが、どうもはっきりしない点があったわけです。  私ども民主党衆議院議員であります山本孝史議員の方から政府に対して質問主意書を提出いたしました。その質問主意書に対して、けさ閣議答弁書閣議決定されたというふうに聞いておりますが、大臣、それでよろしいでしょうか。
  11. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) そういう事実はございません。
  12. 今井澄

    今井澄君 そういう事実はないんですね。質問主意書答弁書けさ閣議答弁書を確認されたんではないですか。
  13. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 訂正させていただきます。  きょうの閣議決定をいたしました。済みません。
  14. 今井澄

    今井澄君 大臣、この前のこの国民福祉委員会で私はこのことをかなりしつこく質問したんですよ。そのことが質問主意書で出たわけですから、いろいろお忙しいと思いますけれども、やっぱりそこは心の片隅にとめておいていただきたかったなというふうに思うわけであります。  さて、その中で申し上げていることは、法的な問題について三点あるわけです。  一点は、現在の介護保険法、それから介護保険法施行法、それに関連する政省令に照らして今回の政府見直し案、すなわち最初の半年間は保険料を凍結する、その保険料の穴埋めとしてお金を出す、臨時特例交付金を出す、このことは法に触れるのではないか、今の法のままではそれはできないんじゃないかということ。  それから二番目には、そういうふうにして措置する臨時特例交付金を、これもけさ閣議決定されたと思うんですが、今度の第二次補正予算案に盛るということ、これが財政法に違反するのではないかということ。  それからもう一つは、これは法的な問題と言うにはちょっと厳密性を欠くんですけれども、何かこの臨時特例交付金保険料をただにする、あるいはその後一年間半額にするところにだけお金を出してそれにしか使わせないと。逆に言うと、保険料を取ろうとするところに対しては非常なペナルティー的圧力になるという傾向がある、これは地方分権推進法趣旨からしておかしいのではないか、こういうことを前回私は申し上げたと思うんですが、そういうことがこの質問主意書には、それ以外のこともありますが、主に書いてあります。  それに対して、私が入手したところでは、特別徴収の場合は同法の施行後半年間に限ってはその実施市町村裁量にゆだねられていることから保険料徴収しないという取り扱いを行うことは法的に許されていると、こういう解釈だというのが答弁書にあるわけですね。前回もそんなようなことをいただいたと思います。  しかし、これは前回も申し上げましたように、この第一号被保険者からいただく保険料というのは、ある一定額年金をいただいている方からは年金から天引きする、これが特別徴収で、これはしなければならないんだと。特別徴収に漏れた人たちについては普通徴収だということ。そして、この普通徴収については、確かに四月一日に保険料は知らせるけれども徴収するのはその年度内にやればいいので、徴収の仕方は市町村に任せられている、こういうことだと思うのですが、特別徴収というのは年金を支給するごとにそこから徴収しなければならない、こういう仕組みになっていると。ただ、年度の後半は確定した額を徴収できるけれども年度前半は額を厳密に確定できないので、これを仮徴収といって前年度実績に基づいて徴収すると。ところが、制度が始まる来年の四月から、具体的には四月、六月、八月の年金からは、その徴収する額が前年度実績もない。したがって、これを施行法の第十六条の三項に規定して、これは別に政令省令とで定める額で「徴収することができる」と、こう書いてある。私はこういうふうに理解しているんです。そうしますと、こういう流れの中ですから、しなくていいということにはならないんじゃないだろうかと。  前回法制局長官はそのことに関して、本法の方の第百三十五条、そこのところに特別徴収を「するものとする」と。ただし、その後にただし書きがあると。「当該通知に係る第一号被保険者が少ないこと」、要するに年金をある一定額もらっている被保険者が少ないこと、「その他の特別な事情があることにより、特別徴収を行うことが適当でない」、つまり年金から天引きをしないで普通徴収を、普通に一人一人集めた方がいいと認められる市町村においては「特別徴収方法によらないことができる」ということ、こういう規定があるんだと。  これは来年の前半のことには関係ない規定なんだけれども、来年の前半規定である先ほど言いました十六条の三項、「徴収することができる」ということは、しなければならないと書いてあるわけでもないし、またその後にただし書きがついているわけでもないから、「できる」という表現の中に、ちょうどこの百三十五条の、徴収しなければならないけれども、ただししないこともできると、こういう意味が全部含まれているんだというお話でしたね。そういう解釈でよろしいですか。
  15. 津野修

    政府特別補佐人津野修君) お答えいたします。  先ほど先生がおっしゃった趣旨前回私が答弁をさせていただいた趣旨とほぼ同様でございますが、今回の介護保険法施行法十六条三項の規定ができる規定となっておりまして、それで市町村にそれをするかしないかの裁量を認めたものであるということを根拠にいたしまして、いろいろなことが考えられているわけでございます。  その根拠を少しお話しさせていただきますと、高齢者介護保険料特別徴収につきましては、介護保険法本則におきまして、一定額以上の老齢年金等受給者については「特別徴収方法によって徴収するものとする」というふうに、これは百三十五条第一項で規定されております。そして他方で、平成十二年度上半期経過措置を定めております介護保険法施行法におきましては、「特別徴収方法によって徴収することができる」というふうに規定されているところであります。経過措置規定におきまして、あえて「徴収するものとする」というような規定にしないで「徴収することができる」というふうに規定しておりますことにかんがみますと、介護保険法施行法のこの規定介護保険制度発足時の経過的な取り扱いとして弾力的な法の運用が可能となるように規定したものと考えているわけでございます。  したがいまして、介護保険法施行法第十六条三項の規定と申しますのは、平成十二年度上半期におきまして市町村高齢者介護保険料特別徴収方法により徴収するか否かにつきまして市町村裁量の余地を残す趣旨が含まれているものというふうに解されるわけであります。  以上でございます。
  16. 今井澄

    今井澄君 そこで、厚生大臣お尋ねしたいんですが、これは政治家としてどう考えるかということなんですけれども、誠実に考えた場合。  今、確かに法制局長官は、「するものとする」とか「できる」とかいう、こういう言葉の語尾をつかまえて、この違いのところからそういうことを言われたんですけれども、確かに「できる」というところだけ見るとその裁量性がありそうですが、文章はやっぱり全部読まなければいけないと思うんです。  この裁量というのは、先ほど説明しましたように、要するに保険者からデータをもらって、そしてそれで額を確定して徴収するものだと。だけれども年度前半は額を確定できないから前年度実績徴収するんだと。だけれども最初の年の前半だけは、繰り返し言いますけれども、前年度実績もないからその他の方法によらざるを得ないでしょうと。そのためにこの十六条三項はつくられたわけですね。それは立法の趣旨からして当然のことだと思うんです。  そのときに、ではどうやって額を確定するかということについて、政令で定めるところにより算定した額を厚生省令で定めるところにより特別徴収方法によって徴収できるというふうに読むのが素直ですよね。ということは、要するに「特別徴収方法によって徴収することができる」、できるということは普通徴収でもできる、こう読むんじゃなくて、この最初の半年に限っては政令で定めるところにより算定された額、これは恐らく全国平均という意味だと思いますが、それを厚生省令で定めるところによりと、具体的にはこの夏発表された額でいえば二千八百八十五円あるいは二千九百十五円、二千九百円ぐらいということになるんでしょう、を徴収することができる、こういうふうに読むのが素直だと思うんですが、大臣、いかがですか。
  17. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) この問題につきましては前回今井委員の御質問に対しまして繰り返し繰り返し申し上げておりまして、私の前回申し上げました見解に変更はございません。
  18. 今井澄

    今井澄君 これは法律解釈上どうこうという、そういうこともさることながら、本当にこの法律制度を何の目的のためにつくったか、それをどううまく動かすかということのためにつくった法律であるという読み方をすべきだと、これが国民を代表する政治家にとっても国民にとっても常識だということを申し上げまして、私はこれ以上はお尋ねしません。  さてそこで、そういうふうにして何とかして無料にするという話で進んでいるわけで、これも介護対策費として臨時特例交付金七千八百五十億円が補正予算に組まれて、それが決定されて、きょう午後の財政演説の中で行われるんだろうと思いますが、これは私は財政法違反ではないかというふうに思うんですね。  というのは、憲法八十六条の規定もありますが、財政法の中に、第十二条、「各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない。」ということが書いてあって、それから補正予算については、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要なつ経費支出」「を行なうため必要な予算追加を行なう場合」と、一部読みましたけれども、こういうことになるわけですね。保険料徴収というのは来年以降ですし、徴収しないのも来年以降ですし、事業も来年度以降です。そうすると、これは正式には平成十二年度予算に組めば十分間に合うことであって、ことしじゅうに補正で組んでことしじゅうに支出しなければならない理由はないと思うんですけれども、ちょっと大蔵政務次官、いかがでしょうか。大蔵省としては納得しているんですか。
  19. 林芳正

    政務次官林芳正君) 今井先生にお答えいたしたいと思います。  今、財政法の二十九条をお引きになりましてのお尋ねでございました。先ほど話題になりました山本先生質問主意書にも第十五項ということでそのお尋ねがございまして、先ほど大臣からお話がありましたように、その答弁書の中にも書いてあるとおりで、その内容とそれほど変わるところはないのでございますが、御説明をさせていただきたいと思います。  今御指摘があったように、二十九条には、補正予算を作成できる場合として、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要なつ経費支出」ということが第一号として挙げられておりまして、そのために必要な予算追加を行う場合等について補正予算を行う、こういうふうに書いてあるところは委員も御承知のとおりでございます。  そこで、今回補正予算に計上いたしましたこの介護円滑導入臨時特例交付金という名称でございますが、これがその緊要に当たるかということになるわけでございますけれども、この緊要性につきましては、平成十二年度及び十三年度において高齢者保険料負担軽減等を図るために必要な支援を行う、こういうふうになっておるわけでございます。これは、各市町村におきまして大体来年の二月から三月ぐらいに市町村議会を開催されまして、十二年度、十三年度における高齢者保険料負担軽減等のための支援策の全体像を踏まえながら保険料等決定を行う必要があるという事情に基づくものであります。  したがって、本交付金は、この十一年度中に各市町村制度の円滑な実施を図るための基金を造成していただいて、そして市町村において保険料決定等法施行の準備に万全を期していただくための必要な経費というふうに位置づけておりまして、そういう意味緊要性が高いものというふうに考えておりますのが私ども見解ということでございます。
  20. 今井澄

    今井澄君 緊要性は全く主観の問題でありまして、現実的には国庫補助を受けて行う市町村事業は幾らもあるわけですね。例えば厚生省管轄でも、国民健康保険とかその他いろいろあるわけです。それは、普通は例えば平成十二年度に行う事業を組む場合には、大体十二月に予算案ができる、それで一月には通常国会が開かれて予算案が提出されるわけですね。もちろんその時点では成立はしていないし、成立の保証がないといえばないわけですけれども、しかしそれをもとにして各市町村や都道府県は平成十二年度事業考え、それらを決め、そして予算を組む、これがごく当たり前じゃないでしょうかね。  どうですか。政務次官大臣、どちらか。
  21. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 今、大蔵政務次官からお話がございましたけれども、来年の二月から三月の議会におきまして平成十二年度からの三年間の保険料というものを条例によって決めるということは委員も御承知のことと思います。もしこれが決められない場合には、補正予算に計上しない場合には市町村はどうやって判断をするのか、これについて今井委員の御見解をお聞きしたい。もしその場合にはあくまでも想定して考えていくのか、財政的に穴があくんじゃないか、その辺のところについてどういうお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  22. 今井澄

    今井澄君 厚生大臣、それは先ほども申し上げましたように、国民健康保険の場合でもそれからその他のいろいろな事業、老人保健事業でも、そういうことは大体毎年そうなんじゃないですか。  要するに、年度予算に組めば済むことでしょう。そして、厚生省としては大体そういうふうにやっておられるんじゃないですか。全部、市町村あるいは都道府県が平成十二年度事業をやり、そのための予算を組むときに、例えば二月、三月議会市町村が議案を、条例を提出するときに、このお金が入ってくるはずだと、それが年度予算にあるからそれで組むんじゃないんですか。前もってお金が入ってないと組めないんですか。
  23. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) それは単年度主義の場合はそうかもしれませんけれども、三カ年の保険料額を一括して決定する、こういう場合はどうでしょうか。
  24. 今井澄

    今井澄君 大臣、そこはお間違えになっては困るので、三年度で組むということは確かにそうなんですよね、介護保険の場合には。それで、市町村長さんの要望を踏まえて、毎年毎年条例を改定して保険料を上げるのではたまらないから三年平均で決めさせるようにしてくれということで、法律はそういう構造になっています。しかし、あくまでもこれは単年度会計じゃないですか。三年度会計なんて聞いたことないですよ。介護保険も単年度会計だと思いますよ。
  25. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 保険料の猶予及び軽減については一年半を見込んでおります。それで、私があえて申し上げたいのは、今井委員は見込んでやるんだということですが、もし見込みが違った場合はどういうふうになるのか、その辺のところをちょっとお答え願います。
  26. 今井澄

    今井澄君 それでは、そういう見込みでやっていないんですか、毎年の各市町村の条例や事業計画は。大体、政府が組んだ予算を見て、市町村はそれを見込んでやるのがごく当たり前じゃないですか。そうでしょう。それ以外の方法でやっているんですか。
  27. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 介護保険というのは、御案内のように、今いろんなところで大変議論を呼んでおります。市町村長さんも心配をしておりますし、いわゆる高齢者、お年寄りの皆さん方もどの程度の保険料になるかということを大変危惧いたしております。それをいち早く国民に、要するに始まる前にきちんとお示しすることが我々の責務だと考えています。
  28. 今井澄

    今井澄君 だから、それは補正予算ではなくて、ちゃんと財政法に基づいて平成十二年度予算に組めば、ああ、やっぱり政府言葉だけではなくやる気なんだということでいいわけです。それに、大体今大変心配し混乱を与えているのは、政府がその混乱を与えたわけですから、そのことを反省もなしに何か客観的に言われては大変困るわけなんですけれども、それはそれとして。  要するに、端的に申し上げますと、本当は平成十二年度予算に組みたい、しかし大変多額な額で、なかなか財源を見つけて来年度予算を組んでいくのは難しい、そこで補正予算に組んでしまうということじゃないんですか、本心は。
  29. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 我々はあくまでも、世紀の大事業と言われますこの介護保険を円滑に進めるためには、市町村の御理解をいただかなければなりませんし、また現に保険料をいただくお年寄りの皆様方、こういったもろもろの準備を進めなければなりませんし、また半年後はいわゆる年金から天引きもいただかねばならない、こういうことを考えますと、いち早く国民皆さん方にきちんと担保することであって、見込みを持ってやってくださいということはいかにも不親切ではないか、こう考えています。
  30. 今井澄

    今井澄君 大臣は私の質問に全然お答えになっていないですね。ほかにそういう例があるじゃないか、ほとんどそうじゃないかというのに対して全然お答えにならない。  つまり、大変無理をするから、せっかく着々と準備が進んでいるのに、もちろんおくれているところもありますけれども、それを急にここで半年間ただにするとか無理なことをするから無理なお金が要るようになり、その無理なお金年度当初の予算で組めないものだからここで補正予算に無理やり組んでしまう、こういうことが生じているということをよく反省していただきたいと思うんです。  このことが国民の中に不信を広げているんですね、何でもありと。ルールとかそういうものを国民には守れ守れと言っておきながら、一部の政治家の思惑か何かでこういう一兆円に近いような大変無理なお金をここで急遽動かすというところに国民不信の根本があるということを申し上げて、次に移っていきたいと思います。  大蔵政務次官、どうも御苦労さまでした。  次に、自治政務次官お尋ねしたいんですけれども、今、臨時特例交付金をくれるならば、うちの市町村はもう住民と十分話し合って保険料をいただくということは納得してもらえている、だから保険料はいただくけれども保険料の穴埋めじゃなくほかのことにも使わせていただけないか、もっともっといいサービスをするために介護基盤の整備をしたいということもある、あるいは上乗せ・横出しサービスをしたい、こういうふうに考えているということなんですが、確かに国民お金ですからこれを何でも勝手に使っていいよというわけにはいかないと思うんですね。  しかし、介護保険制度が地方分権のかがみとも言われる制度であり、通常国会では地方分権推進法成立し、山本議員の質問に対して答弁書では介護保険は自治事務であるというふうにお考えになっているわけですから、これは国の考えたように、保険料をただにするとか半額にするとかしないところには一銭もやらない、あるいはこれは基金に振り込むんだけれども、この基金の中である程度一定の基準のもとで使うということはさせないということは、やはり地方自治あるいは分権推進の観点から考えておかしいのではないかと思うんですが、自治省としてはいかがお考えですか。
  31. 橘康太郎

    政務次官(橘康太郎君) 先生指摘のとおりでありまして、地方自治体におきましては大変そういう意見が強うございます。我々自治省といたしますれば、当然そういう声は、あらゆる方面でこういうことがありますよ、地方自治体はこう言っていますよということは言っております。  したがいまして、先生がおっしゃいますとおり、この問題に対する考え方は、御指摘のような介護サービス基盤の整備に係る経費等にも充てることができるよう使途を弾力化すべきだという意見と、もう一つは、今回政府考えておりますように、保険料の軽減のみに限定すべきという意見もあるわけでございます。二つあるわけでございますね。  したがいまして、いずれにしても交付金の具体的な取り扱いにつきましては、今、政府の中におきまして、厚生省さんがもちろん主管省庁でございますから厚生省さんがヘッドになりまして、もちろん官邸も含めましてこれを考えておるところでございます。自治省といたしますれば、今回の対策が現場の市町村の実情を踏まえて来年の四月からの介護保険制度の円滑な実施に資するよう努めてまいりたいというのが自治省としての態度でございます。
  32. 今井澄

    今井澄君 どうもありがとうございました。自治政務次官、どうぞ御退席いただいて結構でございます。  さて、確かにこの介護保険制度をめぐっては、大変おくれているというか困っている、保険料徴収するのが難しいという市町村ももちろんあるわけですが、大部分の市町村は、当初はいろいろありましたが、頑張って来年四月からやろうとやってきているわけですね。  特に、その中でも、これを機に福祉の町づくりをしたいという自治体の長が集まって福祉自治体ユニットというのができているのを御存じだと思います。任意団体ですが、全国百七十余りの市町村長たちが集まっております。これまでも活発な活動をして介護保険制度の円滑な実施のために頑張ってきたわけですが、昨日その第三回総会が砂防会館別館で開かれました。このプログラムを見ますと、開会あいさつの後に来賓あいさつ、厚生大臣丹羽雄哉殿と、こう書いてあるわけですが、大臣は昨日御出席、ごあいさつなさいましたでしょうか。
  33. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 出席しておりません。
  34. 今井澄

    今井澄君 いろいろ御事情があったんだろうと思います。私も実は出席したかったんですが、できなかったんです。かわりに秘書をやったりテープをとったりして、進めているところの苦労だとか、もう一つは自民党の介護保険問題突破議連の皆さん方が大分御参加になりまして、とにかく憤りを持っているとか、余りにも乱暴だとか、本当に法律を改正しないですぐ変えていいのか問題だとか、見直しを大きく変えることができるかといえば非力を感じているとか、大変こういう御発言がありました。  さて、実際に進んでいるところではこういう悩みが一つ出されたんです。ある市では横出しサービスをやりたいと。もちろん、これには国からの援助はつかないわけですね。そんなことをやると、上乗せ・横出しサービスをやるところに余計国費をつけるということで不公平だということでつけないということになっているわけで、これは自分たちの保険料市町村の負担でやりなさいと。  そこで、ある市は、厚生省の言う方式で計算した保険料のほかに、保険料を二、三百円上乗せしてサービスを充実させようとしてやってきているところがあるんですね。これは一つならずあるわけですよ。そうすると、今度、厚生省政府の方針で半年間ただにしなさいと言われてしまうと、隣がみんなただになったところで、そこがただにした場合は上乗せ分だけが飛び抜けて出てきて、これまでせっかく何年もかけて住民と議論して、うちの場合は厚生省の計算でいうと二千何百円になるけれども、さらに三百円ふやすかわりに例えばこういうサービスもやりますよとやってきたところが物すごい困っているわけですよ。  これに対して、厚生大臣、この政府見直し案の副作用にどういうふうに責任を感じておられ、どういう解決方法をお考えですか。
  35. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) いろいろな意見があります。私も、福祉ユニットですか、のメンバーの方とも意見を交わしました。それから、一般の方とも意見を交わしました。平均して大体二千九百円から三千円、四千円ぐらいまで分布があります。  問題は、お年寄りは今まで介護保険料というのをいただいていないんです。それを今度はいただくわけです。それで、生活保護の夫婦でいえば、実際問題として二分の一としたとしても四千円の場合は二千円取るんだと。要するに、八十歳、九十歳のお年寄りから四千円をいただいても文句のないところもあるかもしれない。しかし、問題は、なぜ我々から取るのかというところでいろんな議論がある。  ですから、いろいろマスコミの世論調査なんかについても、どちらかというと、非常に先進的なという言葉が適当かどうかわかりませんけれども、早くから取り組んでいるところの市町村長さんは、もっとほかに回すべきだ、ほかに回せばまたそれだけ当然のことながら保険料は上がると。その辺のところをどういうふうに考えていくのか。  私どもは、とにかく全体的に介護保険制度を来年の四月からスタートさせなければいけないんだ、そういうときに足並みが乱れて、そしてまた違った意味での混乱を起こすということが果たして賢明なのかどうか、こういうような観点から、私はかねてから、この保険料というものはあくまでも猶予であって、今までは措置制度だった、今度は措置制度から契約型に変わった、こういうような問題であるとか、それから申請などもまだおくれている、こういうようなことから、時間をかけてとにかく皆様に、今井委員にも御理解をいただきたいのは、若い方から取るんじゃないんです。お年寄りから取るんです。そういうことに私どもは十分な理解を得てやらなければいけないし、時間もかけてやらなくちゃいけない、こういう観点から進めたわけでございます。
  36. 今井澄

    今井澄君 私の質疑時間は実は四十一分までで、終わってしまったんですが、あと一、二分ください。  大臣、この期に及んでそういう後ろ向きなことを言われるのはやっぱり政治家としていかがかと思うんですね。  それに、一つだけ申し上げておきますが、生活保護の方から夫婦で四千円いただく、これは間違いではありませんね。だけれども、大事なことを言わないでそれだけ言ったらうそを言ったことになりますよ。これは介護保険料を払うお金が生活保護費に上乗せされてくるのじゃないですか。そういういいかげんなことを厚生大臣が、しかも介護保険を進める立場にある厚生大臣がそんないいかげんなことを言ってはいけないですよ。  それで、これはこの前の委員会でも大臣は言われたように、市町村によっては道路をつくったり公民館をつくったりする方が一生懸命な市町村もある、市町村によっては福祉を一生懸命やるところもある、言ってみればこういう競争の中でそれぞれの選択でやるんだということを言われたわけじゃないですか。介護保険法というのは、ある意味では地方分権の観点に立って地方自治体の間のいい意味の競争、それが目的にあったじゃないですか。それはこの前の国民福祉委員会質疑の中でも、私の挙げた目的に対して大臣は全部賛成だ、こう言われたわけじゃないですか。  確かにおくれているところもありますよ。そこに対する手当てを一生懸命考えられるのは大臣として政治家としてこれは確かに立派なことだと思います。だけれども、そのために一生懸命頑張って進んでこれからやっていこうとする、日本の未来を、地域の未来を切り開こうとするところの足を引っ張るのは、これは厚生大臣としていかがなものでしょうか。  私は、この前申し上げました一緒に夢を持って介護保険をつくってきた仲間としても、あるいは現に今介護保険制度を円滑に実施しなければならない責任ある立場にある厚生大臣としても、しかも半年徴収しなければそれでその間にうまくみんなにお年寄りが保険料を払うことを納得してもらうなんという保証も何にもない中で、ただ展望もなく、むしろ混乱を持ち込むことは、私は厚生大臣としては重大な責任だと思いますね。責任を感じていただきたいと思います。  以上で私の質疑は終わります。
  37. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 私が申し上げたいことは、要は来年の四月からこれだけお年寄りにコストをかけてやるということに対して、いかにして国民皆さん方から御理解をいただいてやるかということが私は厚生大臣としての責任だと。要するに、途中で挫折するようなことがあったら私は厚生大臣として責任がとれない、こういう観点で申し上げておるわけでございまして、広範なお年寄りの皆さん方から御理解をいただきながらやっていくということの認識の違いである、このように考えております。
  38. 今井澄

    今井澄君 終わります。
  39. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  同僚の今井議員の質問を受けまして、私もぜひ介護保険制度実施に向けての特別対策について、少し中身、幾つかポイントを挙げてお尋ねしたいと思います。  同僚の今井議員は、主として今回の特別対策の法制度上の問題点についてるる指摘をされました。それに対する大臣答弁はいささか無理があるというか、苦しい答弁だなというふうにお聞きをしました。  法制度上相当無理をしているだけではなくて、私は、基本的な問題点だけ先に指摘をしますと、今回の見直し案は、介護保険制度法律趣旨あるいは本来目的としたところ、何かそういうものをかなり本質的にゆがめる対策になっているのじゃないか、これは後で大変後悔するのではないかという思いがしてなりません。法律趣旨あるいは本来目的としたところをもっと素直に実施ルートに乗せられるように、そういう努力がスタートの時点では何よりも必要だったのではないかというふうに思います。しかも、かなり無理な対策を持ち込んだものですから、逆にそのことによって新たな矛盾といいますか、新たな不公平を生じさせかねない。ここはかえってこの制度そのものに対する不信感を強めかねないという気がしてなりません。  そういう思いで幾つか具体的にお尋ねをして、なぜそうなるのか、あるいはなぜそう考えておられるのか、お聞きしたいと思います。  まず第一点は、高齢者保険料を半年間徴収しないことができると。保険料徴収しない保険なんて聞いたことがないんですね。私は、百歩譲っても、例えば半額とか百円とか二百円とか非常に大胆な軽減措置はあり得るとしても、ゼロでよろしいというのはどうも介護保険のスタートとしては納得できない。  そこでお尋ねするんですが、多分来年の四月から介護保険の保険証というものを配られることになると思うんです。普通、保険証というのは保険料を払ってそれに見合っていただくというものだと思うんです。さて、来年四月から保険証をどなたに渡すのか渡さないのか。つまり、介護保険の加入者と未加入者あるいは非加入者をどこでどうけじめをつけて分けるのか。まず、そういう具体的な問題についてお尋ねをしたいと思います。
  40. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) ただいまの問題につきましては参考人の方から答弁させたいと思います。
  41. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ちょっと待って、大臣答えてください。
  42. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 極めて技術的、専門的な問題でありますので、理事会で諮ってください。
  43. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 私は、昨日通告の段階で、答弁は基本的には大臣、そして部分的なところでは政務次官答弁も結構です、それ以外はだめですというふうに申し上げているので、大臣もしくは政務次官からお答えいただきます。
  44. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) ただいまの質問につきましては、細目的、技術的な事項と考えておりますので、私としては政府委員から正確なお答えをしていただきたいと思います。(「政府委員なんていない」と呼ぶ者あり)
  45. 狩野安

    委員長狩野安君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  46. 狩野安

    委員長狩野安君) 速記を起こしてください。  それでは、丹羽厚生大臣、答えられる範囲で答弁をお願いしたいと思います。
  47. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) これは、まず率直に申し上げて極めて細目的な、技術的な問題でありまして、それぞれの市町村によって異なる問題だと思いますし、事前に朝日委員からそのような御通告を受けておりませんでしたので、答えろと言われれば答えますけれども。  その辺のところで私が申し上げたいことは、ちょっと脱線して恐縮でございますが、この活性化のための委員会というのは、もっと政策の大局的な分野から議論をするべきであって、数字的なものを私どもが一々一々こちらから参考人に聞いてやるというのは本来の筋じゃないんじゃないかと。こういうことで、私は別段答えることが決してやぶさかじゃないんですけれども、そういう筋じゃないんじゃないかと。もっと政策論を議員同士の言葉でやることが本来の姿であるのではと、そういうことがちょっと私は納得できないということであえて申し上げたい、こういうことです。
  48. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 私は、数字のことをお尋ねしているんじゃないんですよ。来年四月から介護保険制度がスタートするけれども、半年間は高齢者保険料徴収しないと。保険というのはそもそも保険料を支払って保険証をいただくものだというふうに私は理解している。ところが、高齢者に限っては来年四月から保険料徴収しないと。そうすると、一体介護保険制度の加入者と未加入者あるいは非加入者はどこでどう区別するんですか、保険証はどなたに渡してどなたには渡さないんですかという基本的考え方を聞いているんです。数字は聞いていません。  これは、そのこと自体をとらえて政策課題ではないとおっしゃる大臣考え方がおかしいと私は思います。基本的な考え方はどうお考えなんですか、聞かせてください。
  49. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) まず、今回の猶予及び半減の趣旨というのは、あくまでも現行の保険方式の中でスタートいたします。しかし、朝日委員御案内のように、世紀の大事業で、まだお年寄りの中には申請も終わっていない方もたくさんいらっしゃるし、それから措置制度から契約制度に変わって大変な混乱が起きる中において、初めてお年寄りの年金から徴収させていただくということがあって、国民皆さん方の御理解をいただきながら進めていくことがこの介護保険制度を成功させるという観点からこのような措置をとらせた、こういうことがまず大前提でございますので、当然のことながら六十五歳以上の被保険者に対しては保険証を交付いたします。
  50. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 そうすると、六十五歳以上の被保険者についてはすべて保険証を交付して介護サービスの利用ができるようにする、こういうふうに理解してよろしいですか。──わかりました。  そうすると、今度は半年たった時点で半額保険料をいただきましょうということになりますね。半年たったときに、その半額の保険料を払えない、あるいは払わないというふうにおっしゃった方からは保険証はどうしますか。
  51. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 保険証の問題と保険料を納めない問題とはまた別な次元の問題であります。我々はあくまでも保険料を払っていただくように努力いたします。
  52. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 努力するのは当然なんですけれども、要するに私が言っているのは、スタートするときには払わなくてよかったじゃないか、半年たって何で払わなきゃいけないのという話になりかねないんですよ。スタートするときに、たとえ百円でも半額でもいただきますというふうにできていれば話はそれで進むんですけれども最初はただだったんじゃないのという、ちょっと言葉はよくないけれども、そして半年たったらこれだけいただきますと。納得できないという方が出てくる可能性はあると思うんです。そういう場合はどうされますか、努力されることはもちろんとして。
  53. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 私どもは、期限をきちんと切って、半年間しかしませんということでやっておりますから、その点は十分に御理解いただけるものと確信しています。
  54. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 そうしたら何で四月からやらないの。私は、もし円滑なスタートをさせようと思えば、ゼロというのはどう考えても理屈に合わないと思っているんです。  さっきから何回も言っているように、たとえ百円でも二百円でも半額でもまずは保険料をいただいて、介護保険制度保険料を支払うことによってサービスを権利として得るというところが一番大事だと思っているんです。最初のところできちんとそれを説明して御理解いただけなくて、半年たったら説明をし理解が得られるという保証がありますか。
  55. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 先ほどから繰り返し御答弁をさせていただいておりますけれども、今回の介護保険制度につきましてはさまざまな議論がございますし、市町村間においての温度差、それからお年寄りの間において必ずしも十分にまだ御理解をいただいていない部分もあります。そういうような点から総合的に私ども考えなくてはいけないことは、とにかくこの介護保険制度というものを国民皆さん方に御理解いただきながら定着させていくということは大変なこれは難事業だと、このように考えておりまして、そういう点から、いわばソフトランディングということは必要なことでありまして、少しずつ国民皆さん方に御理解を進めていくためのあくまでも経過的な措置と考えております。  ちなみに、あるマスコミの、今回のいわゆる保険料の軽減あるいは猶予につきましては、これは市町村じゃありません、お年寄りを含めた一般の国民のお答えでございますけれども、過半数以上がそういう措置が必要だと、このように答えておることをつけ加えさせていただきます。
  56. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ちょっと最後につけ加えた中身がよくわからないんですが、もしありましたら後で資料をください。
  57. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) お持ちします。
  58. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 全然そこの認識が私は違うんですよ。市町村の現場の人たちの話を聞くと、むしろ理解をいただくことは大変難しい。だからこそこの一年、二年かけて一生懸命地区で集会をやって説明をして理解を求めて、ようやくそうかという話になりかけてきたやさきにこの話が持ち上がったので、また一から説明し直さなきゃいけない、半年たったらまた説明し直さなきゃいけない、一年半たったらまた説明しなきゃいけない。ソフトランディングじゃなくて、かえってランディングをむしろ困難にしているんです、今回の特別対策は。  だから、せっかく市町村がこの一年、二年かけて法律成立をし施行までの準備期間の間に一生懸命やってきたわけです。一生懸命理解を求める努力をしてきて、なおかつ新たに高齢者の方に保険料を負担いただくことが大変難しい面があるとお考えなら、軽減措置をぐっと強くすることは私はあっていいと思う。しかし、ゼロというのはどう考えても納得できない。もう一度お答えください。
  59. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 繰り返し申し上げて恐縮でございますが、それだけ残念ながら国民の皆様方に十分に行き渡っていないということを率直に厳粛に受けとめて、そういう反省の上に立って、私どもはこの介護保険制度国民皆さん方の間に御理解をいただいて定着させるための暫定的な措置と考えております。
  60. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 同じ答えばかり返ってくるのでもうこの問題はやめますが、考え方は私は全然理解できません。  今回のこの措置で、しかもそのスタートの段階で、先ほどのお話では六十五歳以上の高齢者の方すべてに保険証をお渡しする、もちろん公的介護保険制度だからすべての人に入ってくださいというのは当然なんだけれども、加入か未加入か、あるいは加入か非加入かということを、保険料をいただくかいただかないかというところできちっと区別しないままに六十五歳以上全員の方に介護保険証を配付するということは、本来の保険証とは違う性格になると思います。むしろ、介護サービスチケットみたいな中身でしかないんじゃないかというふうに私は指摘せざるを得ません。その点は大臣答弁では全然納得できないわけですが、この問題でずっとやっているわけにもいきませんから、継続して追及をしていきたいと思います。  その次にお伺いします。  来年四月から保険料徴収しない、その場合にその相当分を国が財政補てんする、こういう考え方が示されていますが、それでは国がそれぞれの市町村に財政支援するその金額はどのように計算されるのか。つまり、私の理解では、当然その市町村徴収すべき、あるいはすることができる保険料相当額が国の財政支援措置として交付されることになるのではないかというふうに思いますが、どのような考え方でそれぞれの市町村に国が財政支援をされるのか、考え方を聞かせてください。
  61. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 猶予の分でしょうか。
  62. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 半年間の分、それからあと一年間の半額の分と分けて。
  63. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) これは先ほどから私が御答弁申し上げておりますように、これまで介護保険料というのは、今まで特にお年寄りの皆様方に対しましては医療保険料も被扶養者の場合にはいただいておらないのが現実であります。  そういう中において、これは御理解をいただくことは大変難しいということで、できるだけ保険料というものを軽減するということでまず介護保険制度というものを国民の皆様方あるいはお年寄りの皆様方に御理解をいただいて定着する、あくまでも国の基準に沿った範囲の中において、半年間については国が全額猶予いたしましょう、それから残りの半分につきましては一年間に限って国がそういうものに対して保険料の軽減措置について財政補てんをしましょう、そういうことによって国民の皆様方あるいはお年寄りの皆様方に御理解をいただきたい、こういう趣旨のものでございます。
  64. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 もう少し詳しく伺いますが、問題は国の基準額をどういうふうに設定するかだと思うんですが、話を簡単にするために、とりあえず半年間の問題に限って考えましょう。  その場合に、既にこの夏の段階で明らかになったように、各市町村介護事業計画を立てて、介護サービスの総量がどれくらいになるだろうか、その結果保険料はどれくらいになるだろうかという一定の試算をしましたね。それを見ますと、例えば非常に安くて済むところは、それがいいかどうかは別にして、基準値が千四百円ぐらいだったというところがあった。一方、六千円ぐらいのところもあった。大体三千円前後におさまっていた。極端な場合をとれば、千五百円と六千円と四倍違うわけです。保険料を取ろうとすれば、それぞれの市町村に当然それだけ入ってきていた、千五百円のところと六千円のところと。それに対して国はどういう考え方で支援をするんですか。
  65. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) ですから、先ほどから申し上げておりますように、あくまでもこれは千五百円のところであろうとも六千円のところであろうとも、その保険料については半年間については全額国の方で補てんをする、それから一年間については二分の一補てんをする、こういう考え方であります。
  66. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 そうですか。そうすると、市町村によって随分と国から財政支援をする額が違ってきますね。  そこでお尋ねしますが、例えばある市町村保険料の基準額が六千円ぐらいになるというふうに試算されたところがあります。大臣は、市町村での保険料の基準額が高くなる場合の要因は何だとお考えですか。
  67. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 一概に申し上げるわけにいきませんけれども、一般的に言われておりますことは、療養型病床群がかなり多い地域においてはどうしても、仮単価でございますけれども四十三万円でございますし、在宅を中心にしたところは比較的保険料というのは少なくて済む、やはり療養型病床群を中心とするようなこういう施設が多いところは高い、こういうふうに考えています。
  68. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 その認識は全く同じです。  私が申し上げたいのは、ある市町村は一生懸命在宅サービスの基盤整備をやって、在宅サービス中心介護サービスをつくっていこう、そういう努力をされてきた。その結果として、施設に入る人あるいは療養型病床群に入る人が少なくて済んでいるので、保険料はそう高くならずに済んでいるという市町村があります。もう一方、余りというか、ほとんど在宅サービスの充実に努力をしてこなくて近くにある療養型病床群にどんどん入院させていた市町村は、結果として保険料は随分高くなっています。  たまたま今度の財政支援では、六千円の高い保険料になるところにたくさんお金が行って、少ない保険料のところには少ししか行かないということになりますね、結果として。
  69. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) そのような事実でございますが、あくまでも暫定的な激変緩和策でございます。
  70. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 今申し上げたような、たった二点の問題なんですが、特別対策をすることによってかえって新たな矛盾をつくったり新たな不公平を生じさせているのではないか、そのことがかえって介護保険制度そのものに対する理解を妨げているのではないか、逆に言うと誤解を生むのではないか、こんなふうに私は思えてなりません。ある人は介護保険のことを誤解保険というふうに呼んで皮肉っております。  介護保険という制度、新しい制度であるだけになかなか理解がしづらい。そこをこの一年、二年かけて市町村の皆さんが一生懸命理解を求めてきた。この間際になって急に新しい特別対策をしましょうということで降ってわいてきた。しかも、その決定のプロセスは、市町村からの意見を必ずしも十分に聞かない形で、だからついきのう、今井議員からもお話があった福祉自治体ユニットの総会で何で今ごろという意見が噴出した。しかも、残された期間が非常に短いので準備が大変だ、今までの準備を変更し、修正して、さらに例えばコンピューターのソフトについても新しくつくりかえなきゃいけないという作業も含めてとてもじゃないけれども大変だ、こういう声が噴出したと聞いています。  そこで、ちょっとこれは実務的な話で確認をしておきたいんですが、各自治体の皆さんに国がこういうふうにしますよという具体的なある程度の詳細も含めてきちっと公にお知らせをするのは、いつ、どこで、どんなようになさろうとしているのか、ちょっとお聞かせください。この部分に限っては政府参考人答弁でも結構です。
  71. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 各自治体に対しましては、私どもとしては随時御連絡をとるという体制で臨んできております。もちろん、できることならば会議を招集し、顔を突き合わせて論議をし、また私どもからの御案内をするという方法が望ましいわけですが、それはそう頻繁にできません。そのほかファクスなどを通じて御連絡をするという体制をとっておりますが、これからも引き続きその体制は続けたいと思っております。  とりあえずは、来週の月曜日を予定しておりますが、全国の都道府県の担当課長さん方にお集まりをいただきまして、現状の御報告と現時点における可能な御説明を申し上げたいと思っております。また、まずは補正予算の御審議、その後の予算編成などを通じまして、節目節目に必要な会議を招集し、あるいはそれにかわる代替手段で御連絡を申し上げるということを考えております。
  72. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 福祉自治体ユニットのみならず、あちこちの自治体の皆さんがとにかく今困っています。これは、冒頭お話があったように、制度として市町村保険者となって自治体が自治事務として引き受ける事業なわけだから、保険者でもあり自治事務を担う自治体の理解と協力が絶対必要なんです。それにもかかわらず、今回の決定プロセスといい、その決定時期といい、あるいは決定内容といい、自治体の皆さんのこれまでの努力を完全に無視する、あるいは逆なでするようなやり方になっているということをあえて私はここで指摘せざるを得ません。  したがって、この部分は要望ですが、大臣、ぜひ何としても可能な限り自治体の皆さんに十分な理解、そして協力が得られるような努力を最大限やっていただかないとはじけますよ。ぷっつんしちゃうところが出てくるかもしれません。ぜひそんなことがないようにお願いをしたいと思います。  さて次に、幾つかの課題の中で、家族介護の慰労金の問題についても再確認の意味を含めて御質問させていただきたいと思います。  そもそも私は家族介護に対して慰労金を給付するという考え方そのものについて反対なんですが、その基本論はともかく一たん棚上げをしまして、先日、衆議院の厚生委員会で大野政務次官が御答弁なさった記録を見ますと、家族介護の慰労金の給付対象になる人について極めてあいまいな説明をされているんです。私の理解が間違っていたら指摘をしていただきたいんですが、厚生委員会での答弁では、要介護認定のⅣからⅤに相当する人を考えている、しかし必ずしも介護認定をしていただかなくとも独自に判定していただくこともいいのではないかというようなことをおっしゃっているんですが、そうすると、例えば要介護認定以外に独自の判定基準みたいなものを用意されているんですか。要介護認定以外の判定基準などをつくる、あるいは用意しているということも含めての御意見なんですか、そこら辺はっきりしてほしいんです。改めて答弁を求めます。
  73. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 今回の家族介護慰労金は、一つ市町村が判断をしてそして支給すると決定した場合に国が支援をするという制度でございますが、今、委員が御指摘のように、要介護認定ⅣもしくはⅤに相当する人たちというのが対象になっているわけでございます。  それで、必ずしもその要介護認定を使わないで判断する場合もあるという、それは市町村の判断によるわけですが、しかしそれも全国でばらばらの認定になるといけませんので、国として一定考え方、現在検討中ではございますが、それは出す予定にしております。
  74. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 どうもまだよくわからぬ。要介護認定については一定の基準があるわけですね。最初は第一次コンピューターで判断をし、第二次はチームでいろんな意見を聞いて判断するという一定の仕組み、ルールがあるわけですね。それに基づいて判定をされた場合にⅣかⅤというならまだわかるんですけれども、それとは別のものを何か考えるんですか。同じものでないとおかしいじゃないですか。ちょっともう一遍。
  75. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 一番いいのは、ⅣかⅤの要介護認定を受けた本人が、役所じゃなくて本人が私はⅣもしくはⅤの認定を受けましたということで申請をするということが一番わかりやすくて段取りはいいのかな、こういうふうに思っております。  ただ、この事業介護保険事業そのものじゃない、別の事業でございますので、そういう意味では必ずしも要介護認定を受けた人でなきゃいけないという条件ではないわけでございますので、その要介護認定のⅣとⅤに相当するという、それとはぶれない形で、最小限こういう基準で判定をしていただきたいということは国としては市町村に参考のものは提示をする、こういうことでございます。
  76. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 まだやっぱりあいまいですよ。一方で介護認定があって、Ⅳ、Ⅴ相当というふうにおっしゃる、しかし必ずしも要介護認定を受けなくとも別途基準を定めてそれに従って判断をするということもありだと、ダブルスタンダードになりますよ。そしたら、どちらの方でやった方が有利かと考えますよ、仮にダブルスタンダードになったら。つまり、どちらが甘いかとかどちらがより認定やすいかとか、そういうモラルハザードが起こる危険性があります。それは、仮に要介護認定Ⅳ、Ⅴというふうに言ったとしても、そしたらⅢとⅣのところでモラルハザードが起こりますよ。その辺どう考えますか。
  77. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) それぞれの市で自分の市はこういう判定で決めるということを決めていただくわけでございますし、そういうモラルハザードは起こらない、こういうように思っております。
  78. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 どうして起こらないと断定できるんですか。そんな認識ですか。ちょっとあきれるんですけれども、もう一遍答弁してください。
  79. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) モラルハザードが起こらないように、全国でばらつきが起きないように国で一定の基準は示すということで今検討をしております。
  80. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 どうも話が詰まらないままにどんどん時間がたって申しわけないんですが、問題点だけ指摘しておきましょう。  つまり、国の基準がもう既にあるんですよ、要介護認定といって。さらに別途に基準をつくるようなことをおっしゃる。それはダブルスタンダードになりませんか。これはどちらが甘いとかどちらが辛いとかということになりかねませんよ、そういうことを申し上げているんです。  もう一つは、要介護認定のところで仮に絞ったとしても、ⅢとⅣのところでかなり微妙な問題が出てきます。認定のところで、何で私はⅢなの、何であの人はⅣなのという話になりますよ。そういう問題をちゃんと問題意識を持った上でこういう制度をやるならやるで考えていただかないと困ります、それは。認識が全然不足していますよ。
  81. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 家族介護慰労金は、委員御存じのように介護保険制度の中で実施する制度ではございませんで、今回、さまざまな事情介護保険を利用しなかった人に対して、家庭で肉親を介護された方を慰労するという制度でございまして、財源も介護保険の財源とは違うわけでございますし、委員の御指摘は当たらない、こういうように思います。
  82. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 全然すれ違いですね。あえてもうこれ以上答弁を求めませんが、これも一つの新たな対策を盛り込んだために生ずる矛盾というか問題点だと私は思います。そういうところに対する詰めというか、十分な検討がなされていないまま今のような答弁内容でこういう対策を是が非でもやりたいという姿勢については、私は到底理解できません。  もっとあえて言うなら、この制度自体、つまり家族介護に係る支援については基本的には市町村が独自の判断で行うものというふうにされているわけですから、いっそ今あちこちの市町村でやられているさまざまな手当なども含めて市町村の判断にすべてゆだねたらどうですか。ごちゃごちゃ国がダブルスタンダードをつくるとか、介護保険制度の要介護認定Ⅳ、Ⅴをやるとかということを言わないで、判定についても額についても対象範囲についても全部市町村に任せるというふうにしたらどうですか。
  83. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 先ほどから申し上げておりますが、確かに委員が御指摘のように各市町村で現在さまざまな事業実施しておりますし、そうしたことに関しましては市町村の判断にゆだねているところでございます。  それで、自治体でお見舞金を出したり、いろんな事業をやっていらっしゃるところがございます。それは自治体の独自の御判断で実施されてきたものでありますので、これと今回の家族介護慰労金とは別途のものでございます。  そういう意味では、自治体がやってこられた事業を継続するか、また廃止するかというふうなことも含めて、それぞれの市町村の御判断だと思いますし、一部この家族介護慰労金に振りかえるようなところも出てくるかもしれませんし、それはすべて自治体独自で御判断いただく性格のものだと、このように思っております。
  84. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 今の御答弁を聞いていて、もう一つ聞いておかなければいけません。  御承知のように、各自治体でさまざまな介護手当とかいわゆる現金を給付する制度実施されてきていました。しかし、私の理解するところでは、それぞれの自治体でそういう現金を給付する手当などについて見直そうじゃないか、むしろ廃止する方向で、そして給付するサービスの中身を充実する方向でいこうじゃないかというふうな動きになってきていると私は理解していますし、少なくとも厚生省もある時点までは、各自治体における現金を何とか手当という形で支給することについては必ずしも積極的に推奨する形ではなくて、むしろある意味では限られた財源をもっと必要なところに使ってほしいという意味での指導をされてきたように私は思えてなりません。  今回の新たに家族介護に対する慰労金を支給するという制度は、それぞれの市町村の独自の判断でとは言いつつ、その財源は国でちゃんと面倒を見ましょうというふうにおっしゃるわけですから、ある意味で今までのそういうばらまき的福祉の見直し方向を逆流させるかもしれませんが、その点についてはどう思いますか。
  85. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 委員が御指摘のように、今回の介護保険は家族介護の過重な負担を軽減するためにスタートする制度でございますし、この介護保険を積極的に活用していただく、これが本来の趣旨でございます。しかし、何分初めての世紀の大事業でもございますし、いろんな家庭の御事情があって結果として介護保険を使わなかった御家庭に対して慰労を申し上げる、こういう趣旨のものでございます。  また、大変御議論が多い制度でございますので、暫定的に二年間実施をして、その間十分な議論をして、その後このことをどういうふうにしていくかということはその後の課題、とりあえず二年間に限定した制度である、このように思っております。  また、委員指摘のように基盤整備の充実だとか、そういう意味での基盤整備におくれをとるようなことがあってはいけませんので、そういうことにおくれをとらないということで、市町村実施をすると決めた、そういうところに対して行う。また、基盤整備が非常に重要なことはもう申し上げるまでもございませんので、今回の補正予算におきましても事業規模で二千四百億円、国費で九百五十億円の予算措置を行うこととしております。
  86. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 理解できません。  最後に、大臣にお伺いして終わります。  今度の特別対策の中でも、いわゆる二号被保険者に対する対策として医療保険者への財政支援の問題が検討されております。そのことはそのことで大変問題が多いと思うんですが、その一方で、この介護保険制度の導入以前の問題として、医療保険制度全体の財政状況が極めて厳しい。私は、来年度予算編成の非常に大きな争点がこの医療費問題だろう、下手をすると診療側と支払い側とが激突をするという状況も十分考えられる。  大臣は、衆議院の厚生委員会で、医療保険制度抜本改革というのを来年の四月に実施するということは非常に難しい、鋭意検討しているけれども、率直に言って来年の四月から新しい医療保険制度をスタートするということは難しいということをおっしゃっている。  しかし、抜本改革は非常に難しい状況にはあるけれども、来年の四月段階での予算と診療報酬の改定をどうするかというのは一定の方針を持って臨まなきゃいけないと思います。何らかの対策が必要だと思います。これは介護保険の導入に伴う医療保険者対策とは別途に必要だというふうに私は理解をしているわけですが、この問題に対する大臣考え方をお聞きして、私の質問を終わります。
  87. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) まず、私が衆議院の厚生委員会で申し上げました医療改革の問題でございます。  医療改革は、先生も御承知のように、大きく分けまして医療の提供体制の問題、それから薬価制度の問題、診療報酬の問題、そして最後が高齢者医療制度の問題でございます。  私がお答えを申し上げましたのは、高齢者医療制度の問題につきまして、医療福祉審議会の中におきまして、独立型とそれからいわゆる突き抜け型という中で、その審議会の中ですら基本的な考え方といいますか集約がまとまっておらない。しかも、いわゆる高齢者医療制度というものは国保に与える影響が大きいであるとか、それからまた場合によってはお年寄りに御負担もお願いをしなければならない。こういうことを考えますと、来年の四月から介護保険制度がスタートする中において、同時にこれを実施することは現実的に大変難しいのではないかという私の認識を申し上げたわけでございます。  しかし、それはそれといたしまして、今私どもが検討しなければならない問題は、抜本改革の中で、例えばこれまで病院経営というのはどちらかというと薬価差益に頼る部分があったわけでございますが、こういうような薬価差益というものを解消して技術料の適正な評価というものを図っていかなければならない。それから、いわゆる診療報酬の分野におきましては出来高払いと定額払い、この問題もいろいろな議論があるわけでございますけれども、最善の組み合わせを考えていかなければならない。それから、いわゆる高額療養費の問題でございます。百万円かかっても二百万円かかっても一千万円かかっても、上限ということで六万三千六百円でございます。そういうことのためにある町においては、大変お気の毒なことではございますけれども、いわゆる特別な補正予算を組まざるを得なくなったとかいろんな問題がありますから、こういう問題を含めて総合的に抜本改革の中で一歩一歩進めていくという基本的な考え方には変わりはありません。  それから、診療報酬の問題でございますけれども、これはあくまでも中医協マターの話でございますが、御案内のように医療費が自然増をなしている中において、この医療費の増加とそれから自然増、こういうことを考えていきますと、実際問題として大変難しい状況下にあるという認識を持っておるわけでございますが、最終的にはいわゆる各関係団体からお集まりをいただいております中医協でお決めをいただくものでございまして、私の方から予見めいたことは差し控えさせていただきたい、このように考えています。
  88. 沢たまき

    ○沢たまき君 公明党の沢たまきでございます。  私は、いただいたお時間が十五分しかございませんので、簡単に質問をさせていただきます。  先般、我が党の坂口政審会長が丹羽厚生大臣に今後の社会保障体制の拡充について申し入れを行いました。第一点は、年金医療介護少子化対策について、ばらばらな議論ではなく二十一世紀のあるべき姿を総合的にビジョンを示すべきだということ、第二点は、年金改正法案については実効性のある少子化対策をセットで示すように申し入れをいたしましたが、厚生大臣の御見解を伺えればと存じます。
  89. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 総合的ビジョンの御提言を坂口政審会長からいただきました。これを受けまして、私も厚生委員会等で、これまでは年金年金医療医療介護介護というような分野で、どちらかというとばらばらに議論されていたという指摘があることは紛れもない事実でございます。  そこで、これまでのいわゆる縦割り的な議論ではなく横断的な議論が必要ではないか、こういうことで、私といたしましては、社会保障あり方について、真に豊かな老後を確保するという視点から幅広く議論をして、将来にわたって安定して運営できる制度にするということが何よりも肝要である、このように考えていたわけでございます。  そして、昨日、この考え方を私から小渕総理に御相談申し上げましたところ、大変これは大きな問題であるから、総理のもとで有識者に御参加をいただき、議論の場を設けることになったような次第でございます。当然私もこの中に入れさせていただくわけでございますが、私といたしましては、ことしじゅうに初会合を開きまして、来年の秋口ぐらいまでには一定方向性を打ち出したいと思っております。  それから、もう一点の少子化の問題でございますが、この問題につきましてもいろいろ御意見を承っておるわけでございます。公明党さんの一つ考え方といたしましては、税の扶養控除の問題と絡ませていくべきだという考え方と、それから、正式な話としてはお聞きしておらないわけでございますけれども、これはやはり年金の中で問題を解決していくべきだ、こういうような考え方があるようにお聞きをいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、ことしの年末に向けまして、与党間において児童手当を中心とする少子化対策の具体的な取り組みを始めたい、このように考えている次第でございます。
  90. 沢たまき

    ○沢たまき君 どうぞよろしくお願いをいたします。  とにかく、政府の少子化は、二〇五〇年に合計特殊出生率一・六一の達成を目標にしていらっしゃるのか、あるいは我が国の社会保障制度が安定するための数字として挙げられていらっしゃるのか、そこら辺を伺いたいと思っております。
  91. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) これは、現在、御案内のように出生率が一・三八でございますが、ピーク時の二〇五〇年ごろには一・六一ぐらいまで回復したい、こういうような願望といいますか、一つの目標として挙げておるわけであります。
  92. 沢たまき

    ○沢たまき君 一・六一あれば安定するということでなくて、ただ目標ですね。
  93. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) そうです。
  94. 沢たまき

    ○沢たまき君 はい、わかりました。  では、次の質問に移らせていただきます。  私は、介護保険見直しで、利用する方々の視点から質問をいたします。  今回、与党の合意を受けて、介護保険法は維持するとした上で、一号被保険者保険料を半年間徴収しない、その後一年間は二分の一軽減等の激変緩和措置を発表したということは、私は、それを利用する方の立場からすると当然だと思いますし、高く評価をしているものでございます。  措置方式から保険方式に変わるという転換は、それを利用する者にとってとてもわかりにくく、衝撃が大きいものですから、利用者において全く理解していないという方もいます。私のこの間ちょっと会った四十代の方は、えっ、私たちも取られるのと言ってびっくりしておりましたし、そういうことで大変なんだなという気がいたしました。そのことをみんながいまだによく理解していないというのが実態でございますので、そこのところをよくよくわかった上で実施をしていただきたいと思います。  それで、まず被保険者高齢者保険料の額は、御本人には一体いつごろ通知をされるのでしょうか。また、今度は一割負担は当分の間〇・三になるということでございますが、その施設サービスあるいは在宅サービスを受けた利用者は、医療保険みたいにサービスを受けた都度一割なり、軽減されたときは〇・三を負担するんですか。一々負担するのかどうか、そこら辺もちょっと伺いたいと思います。
  95. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) まず第一点目にお尋ねの、高齢者の方々が自分の保険料が幾らかという通知をいつ受けられるかという御質問でございます。  少しややこしい御説明になるかもしれませんが、各市町村でまず条例で保険料の枠組み、その市町村保険料の水準を決めますのは、年が明けた二月ないし三月の市町村議会ということになると思います。その水準を決めますと、個々の方々の収入あるいは税でございますけれども、前年度の税を把握して、それに基づきまして個々の方々の保険料決定する、こういう作業になります。  仮に平成十二年の後半から保険料をちょうだいするということになりますと、それぞれの個人の方に保険料の額の連絡が行きますのは、一つはお一人お一人の保険料の額が決定される日以降でなければなりませんし、一方、実際にお支払いをいただくことが始まる前でなければなりません。こういう条件のもとで、あとは市町村事情によると思いますが、そういう前提で考えますと、早ければ七月ごろから始まりまして、ぎりぎり遅くとも十月上旬までにはお手元に御連絡が行く、こういうことになろうかと思っております。  それから、二点目の利用料のいわゆる一割負担のケースでございますが、経過的な軽減措置もございますが、原則一割負担の御負担の方法ですけれども、原則的にはその都度お支払いをいただく、特に在宅サービスの場合はその都度お支払いいただくというのが原則でございます。  ただ、継続して利用されるという場合も当然考えられますから、これは当事者の間で月でまとめて支払ってもらうようなお約束をしていただく、これも可能でございますが、原則的には、在宅サービスのように一回一回サービスを受ける場合にはその都度、施設サービスのように入所される場合には月でまとめてということになろうかと思っております。
  96. 沢たまき

    ○沢たまき君 現行の措置方式から保険方式に大転換する中で、保険料の一割負担というのは利用する者にとっては大変大きな負担になるわけです。今でもホームヘルプサービスを受けている方の約八割は無料ですけれども、一割負担がそういう方たちにも生じます。  個々の事情があると思いますけれども、一割負担の利用料が支払えないときは、せっかく設定していただいた介護サービスを利用することができない、断らざるを得ないと思いますが、これはいかがでしょうか。あるいは、サービス業者とのトラブルという事態も起こると思うんですが、いかがでしょうか。
  97. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) おっしゃいますように、現状におきましてはホームヘルプサービスを利用されておられる方の約八割が低所得という理由によって利用者負担がほとんどない方々でございます。これが新しい制度に移行いたしますと一割の御負担をお願いする。  全体としては、いわゆる負担の限度を低所得者の方には低く定めておりますので、御負担をいただける範囲という仕組みになっておると思っておりますが、そうはいいましても急激な負担の変化がございますので、制度がスタートしますときに、ホームヘルプサービスを御利用されておられる低所得者の方々には激変緩和という観点から、本来一割負担、つまり一〇%負担ということになるわけでございますが、三%の負担をお願いし、平成十七年度、五年ほどたった時点で一〇%にさせていただく。その間、三年程度は三%、その後、段階的に引き上げて五年後には一〇%の御負担をお願いするという考え方を今回の特別対策に盛り込んでいるところでございます。
  98. 沢たまき

    ○沢たまき君 いずれにいたしましても、利用者にとって介護保険制度になっていかなるメリットとデメリットがあるのか、四月から実施してみなければ全くわからないわけです。したがって、今回の政府見直しは、利用者の側に立ったものとして私は高く評価をいたします。やってみないと自分が幾らでどのくらいの負担なんというのはわからないわけですから、その意味ではならし運転として私は評価しております。  その段階で混乱することを絶対に避けていただかなきゃいけませんし、私も町村会の意見書も拝見いたしました。特に、住民の方々と何回も何回も会合を持たれた市町村の方々の努力は本当に理解もできますし、評価もいたしております。しかし、ここは利用者の立場に立って、認定漏れ対策も含めて利用者に優しい介護保険制度、利用者側に徹した対応をお願いしたいと思いますが、大野政務次官厚生大臣に伺います。よろしくお願いします。
  99. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 委員が御指摘のとおり、私も全く同じ思いでございます。  昭和三十六年に施行されました国民年金国民皆保険制度に匹敵をいたします世紀の大事業でございますので、そういう意味では円滑な実施に向けて本当にさまざまな今御苦労をしていただいております。  準備の進んでいる市町村からはいろんな苦情も一部寄せられているのも事実でございますが、御指摘のとおり利用者側に立って本当に利用者の方に喜んでいただける、納得して使っていただける、こういう制度にしていく。利用者の側に立って市町村も一生懸命汗をかいていただくということもぜひお願いをしたいと思いますし、私どももまた、国民の皆様、また保険者であります市町村の皆様方にぜひ深い御理解をいただけるようにしっかり努力をしてまいりたい、このように思っております。
  100. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 私は、就任して間もなく愛知県の高浜というところに視察に行ってまいりました。ここは大変熱心にこの問題にかねてから取り組んでおりまして、ですから横出しもやれば上乗せもやると。要するに三千円でも四千円でも保険料を取られても、一部の住民の方ですが、結構ですと。隣の南知多町というところに行きましたら、そこは離島なんかを抱えておりまして、いや、我々は千円出すなんてもったいない、保険料を出さないんだと。  こういうことで、正直申し上げて、お年寄りの間でもあるいは市町村の間でもまだまだ率直に申し上げて認識に大きな隔たりがあるんだということを私どもは厳粛に受けとめた上でどういうような対策をするか、それがまさに今度の特別対策でありまして、これはいろいろ認識の違いによって、いろいろ先ほどから御指摘も受けておるわけでございますが、あくまでも私どもは実際に御利用をしていただく住民の立場に立って、どのぐらいの保険料ならば納得して御負担をいただけるのかということも十分にしんしゃくをしなければいけない。  いや、決まったことだからそれでばっと行けというようなことであったなら、せっかくのこの介護保険というものが挫折してしまうのではないか。私はそこの認識の隔たりが先ほどから今井委員なんかとお話をしてどうも埋まらないな、こういう感じが、申しわけありませんが、率直にいたしました。  私どもは、これはいろんな議論がありますけれども、西川委員からもこの間も御質問がありましたけれども、これだけ寝たきりのお年寄りの皆さん方を放置しておくわけにはいかないんだと。そういう面に立って社会全体で支えていくためにはどうしたらいいか。そのためには、お年寄りを初め国民の皆様方お一人お一人からも、みんなに理解されながらやっていかなければならないということでありまして、大変難しい問題でございます。  そういう中で、私どもは、あくまでもいわゆるソフトランディングを図りながら、また来年四月からスタートするわけでございますが、要するに正すべき点は正しながら進めていくというのが本来の姿ではないか、このように考えているような次第でございます。
  101. 沢たまき

    ○沢たまき君 ありがとうございました。  終わります。
  102. 狩野安

    委員長狩野安君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ─────・─────    午後二時八分開会
  103. 狩野安

    委員長狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  104. 井上美代

    ○井上美代君 私は、まず最初に、恩給問題について質問させていただきます。  旧軍人であった人で、戦後、国鉄に勤務し、退職して旧国鉄の共済年金、今は国鉄の民営化に伴って厚生年金をいただいている北海道亀田郡七飯町の増田太佐郎さんという方が軍人恩給も受給できるのではないかということです。また、軍人の期間を厚生年金に通算し、増額して受給できるのではないかということで、厚生省や恩給局に訴えている問題です。  私は、ことしの三月に、硫黄島で戦死されました人の遺品のばらばらになったはがきを遺族に返したいということで、この委員会質問させていただきました。厚生省の御尽力もあり、遺族の住所だとか氏名がわかりました。そして、遺品を北海道の遺族にお届けに上がりました。その折に、別の人から今度は恩給の問題で相談を受けました。戦後は今もなお終わっていないということを改めて痛感し、この質問になったわけであります。  この方は大正六年生まれの八十三歳です。昭和十四年に召集されました。恩給資格があるのではないかと申請をしました。  この問題というのは、私なりに調査をし、そして厚生省や恩給局にも相談をしながらやってまいりましたけれども、今、総務庁の恩給局で最終の調査が行われていることがわかりました。本人は既に八十三歳という御長齢でございます。そして、何しろ長く待てるという状態ではありません。一刻も早く結論を出していただきたい、これが私の質問趣旨でございます。  私としては、恩給受給資格があるのではないかと思っておりますので、恩給局長の御答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  105. 大坪正彦

    政府参考人大坪正彦君) 恩給制度は昭和三十年代に、旧三公社あるいは国家公務員、地方公務員、それぞれ順次、共済年金制度に移行していったわけでございます。  その移行に当たりましては、大きく言いまして二つのパターンでの移行形態になったわけでございます。一つは、旧軍人期間をそのまま共済年金期間に通算するということで、その方が御退職されましたときには共済年金制度として全期間を通ずる一本の年金として支給するというパターンでございます。もう一つは、移行当時に旧軍人の勤務期間といたしまして軍人の支給資格を満たしている場合にはその恩給の方を支給することとし、その後の共済勤務期間につきましては、共済としてのまた別途、期間に達していれば共済年金を支給する。その方の場合は御退職されたときには恩給と共済年金と二つをおもらいになる。こういうパターンでございまして、大きく言いましてその二つのパターンがあって移行形態が決まっているわけでございます。  ただいま先生の言われましたケースにつきましては、私どもがちょっと聞いた限りでは、旧軍人では恩給資格年限にどうも達しているようでございますが、その後の移行手続につきまして、法律に定められたとおりの移行手続がされているかどうかという部分につきまして、至急もっと調査したいというふうに思っております。その調査の結果に応じまして御回答申し上げたいというふうに考えております。
  106. 井上美代

    ○井上美代君 恩給局の質問はこれで終わりますので、どうぞよろしくお願いいたします。御退席いただいて結構でございます。  それでは、次の質問に移りますが、私は職業を求めている女性の問題で質問をいたします。  今、失業問題というのは本当に大変です。生きるために子供を抱えて職探しをしている人たちがたくさんおります。女性の失業率は、九八年、御存じのように四%と前年を大きく超えて百十一万人で、前年よりも十六万人も大幅にふえております。その七割が子育て世代だ。求職中の女性の問題は深刻な今日的な課題であるというふうに私は思っております。  職業安定所で、子供を連れてこないでと言われたという訴えがあります。職安でなぜだめなのかというふうに聞きますと、子供連れだとすぐに働ける状態にあるとは思えないからというのが答えです。その一方で、今度は職を求めて必死の女性に対して保育所入所を認めないというケースも多くあるわけなんです。この問題は、マスコミでもつれない職安、保育所という、そういう見出しで報道されております。また、子連れ禁止、ハローワークの壁などと取り上げられて問題になっております。  まず、職を求めている女性の保育所入所について厚生省見解を求めたいと思います。参考人の方、よろしくお願いいたします。
  107. 真野章

    政府参考人真野章君) 保育所の入所要件につきましては、現に保護者が就労している場合のほかに保護者が求職中の場合も含まれる、これはそういうふうに考えておりまして、私ども、求職中という理由で入所の申請を受け付けないというようなことが行われないように従来から市町村を指導いたしております。今後とも、いろんな機会をとらえて市町村を指導してまいりたいというふうに思っております。
  108. 井上美代

    ○井上美代君 この問題は、細かくは、新聞に載ったり、私はちょっと聞き取ったりしておりますけれども、何しろ厚生省一定の努力をされているのも私は知っております。  例えば、この間レクをしてもらいましたけれども、三市の選考基準の点数表というのがあるんです。これを見せていただきましたけれども、この中に求職中等が保育所に入れる点数表の中にあるんです。私はそれでちょっとほっといたしましたけれども、しかしながら大変点数が低いんです。だから、そういう点でもこの点数が二点とか、ほかのが十点近いんですけれども、二点とかというふうに非常に低いわけです。だから、やはり点数も上げてほしいということですので、自治体の仕事ではありますけれども、私は厚生省にぜひそこを強化していただきたいというふうに思っております。  今、通達も出したいということを御答弁くださいましたけれども、やはり現場ではなかなか大変になっているわけです。だから、厚生省は一歩前進されていると思いますけれども、現場では大変ですので、そういう点でぜひ御指導、御援助、通達、見えるもの、伝わるもの、そういうものでやっていただきたいというふうに思います。  それでは、同じ件でですけれども、労働省の方にお聞きしたいというふうに思います。今度は職安の方です。職を求めている子供連れの女性に対する職安の対応についてお聞きいたします。  一つは、まず職業紹介の際に子供を連れてきた女性に、子供はだれだれに預けるというメモを書かせているということです。このようなことがやられるのは私ども女性にとってはおかしいというふうに思うんです。当然これはおかしいことなんです。それからもう一つあります。それは雇用保険の認定日、月に一回ですけれども、職安へ来ます。子供を連れてきた女性が、職安には子供は連れてこない方がよい、こういうふうに言われたということです。子連れでは働く意思と能力がないと判断するのかということなんです。  職安でのこうした対応に対し、子連れだと煩雑になるので善意のアドバイスをしているというふうに言っている人がいます。また、企業の面接には子供連れで行かない、職安にもそれと同じ真剣さで来ていただきたい、このように言っておられますが、私はこれは働く女性を逆なでする内容だと思うんです。面接に行くときと、職安に本当に力になってほしい、だから相談に行く、これと同じに考えるなどと言っておられる。私は、これは間違っているというふうに思います。本当に真剣に仕事を探して、今、女性たちは必死なんです。だから、そういう意味でも私は労働省に力になってほしいというふうに思っております。こうした姿勢を改めてほしいというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。
  109. 青木功

    政府参考人青木功君) お答え申し上げます。  公共職業安定所の窓口におきましての御質問でございます。  職安に仕事を探しにおいでになる際に、お子様を御一緒される、あるいはお子様についてどなたが面倒を見られますかということをお聞きする場合があった、こういうことでございます。  職業安定所の方の窓口は、先生御案内のように、大変今錯綜いたしております。昨年に比べまして、新たに仕事を探しに来られた方、例えば平成九年は五百七十七万人でございましたが、昨年は六百五十四万人、ことしはまたさらにそれより多くの方々が職を求めに来ていらっしゃいます。  そういう中で、求人倍率が〇・四七ということで、お仕事を紹介した際に、通常の場合はその日のうちに求人者の方と御連絡をとって、そしてその日のうちに面接試験まで行っていただくというふうな取り扱いをいたしております。そうしませんと、翌日になる、そのまた翌日になるということになると、ますます大勢の方々がその求人に殺到されるわけでございます。したがって、御紹介をしたらできるだけ早くやっていただきたいのですが、その場合に、できればそういう気持ちを込めて、企業に面接に行かれるようなお気持ちでというようなことを申し上げたのではないだろうかと思います。  職業安定所そのものにつきましては、大変混雑していますけれども、お子様が御一緒だからといって御相談をしないとか、職業紹介をしないというようなことはいたさないようにしております。  それから、失業の認定の際でございますが、証明書をおとりする例もございましたが、これらにつきましても、基本的には職業紹介を受けた場合にそれに直ちに応じていただいて面接の方に向かっていただけるかどうかというふうなところを考えたところでございまして、お子様が御一緒であるからといって失業の認定をしないという取り扱いはいたしておらないところでございます。
  110. 井上美代

    ○井上美代君 何か非常に錯綜しているなどということを理由に持ってこられたということは心外です。今日、働きたいという女性たちがどんなに多いかということは、あなた御自身が一番よく知っていらっしゃると思います。それなのに、錯綜しているなどという理由を持ってこられたということは私は全然納得いたしません。しかも、そういうことは我々のところはいたさないようにしていますというふうにおっしゃいました。いたさないようにしているというよりも、いたしていらっしゃるということを私は申し上げたいんです。  私、今ここに雇用保険の、労働の意思と能力がどこにあるかということを見るそういう基準を手にしております。ここに書いてありますのは、まず「労働の意思」というところがあります。ここに、妊娠、出産、育児、老病者の看護、その他家事・家業手伝いのため退職した者、これが入っているんです。そして、その後のところに、肉体的、精神的には健全であっても、乳児を保育する女性でその者のほかには乳児を世話する者がなく、その乳児を他人に保育させることができないような場合、これが入っているんです。はっきりとこのように、ここには男性はないです、女性だけをこのような理由で雇用保険の認定のときに差別をしていらっしゃる、これは大きな怒りではありませんか。  私は、そのようなことがはっきりしているのに今のような答弁をされるということについて、そのことをこそ改めなければいけないんだと思うんです。男女共同参画の基本法も成立しているんです。社会は男女平等を迎えるということを言っているんです。そういうときに今のような答弁は許されないと思います。  厚生大臣、いかがでしょうか。大臣に御答弁願います。
  111. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 説明を受けた後、私がします。
  112. 井上美代

    ○井上美代君 いえ、説明よりも、先へ進まなきゃいけないし、どういうふうにお考えになるのか、厚生大臣、おっしゃってください、女性の問題ですから。大きな問題です、男女共同参画の問題とかかわっておりますので。雇用保険で男女差別のあれがあるんです。それを今申し上げたんです。
  113. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 労働大臣ではありませんけれども、御質問でございますので。  そういうような部分があれば、どういうような経緯があって男女の差別があるのかどうか、私から労働大臣の方に聞きただしてみたいと思っております。
  114. 井上美代

    ○井上美代君 それでは、大臣調査をしてくださるということでよろしいんですね。
  115. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) その辺のいきさつにつきまして労働大臣お話を聞いてみたいと思っています。
  116. 井上美代

    ○井上美代君 それでは、労働省の方にお聞きしますけれども、そういうことについて、これから私はこの基準は撤回してほしいと思っているんですけれども、いかがですか。撤回をしてほしいんです。
  117. 青木功

    政府参考人青木功君) ただいま失業の認定についての解釈先生の方から御提示がありました。そこで、この仕組みというのは、先生御案内のとおり、職業につけるかどうか、今職業紹介に応じられるかどうかという観点から決められております。したがいまして、さまざまなサポートがあれば仕事につける状態にだんだん行くわけでありますので、そういった社会全体の流れも見ながら検討してまいりたいと存じます。
  118. 井上美代

    ○井上美代君 言いわけよりも実行してみせてください。この世の中は変化しているんです。きょうも女性たちが傍聴席におりますけれども、本当にこうした問題を改めていくのが政治の力ではないでしょうか。  だから、そういう点で、私はこういう公の文書が出ているということ自体おかしいと思うんです。撤回していただく以外にはないと思うんです。撤回ということで御検討いただけるということでよろしいでしょうか。
  119. 青木功

    政府参考人青木功君) 雇用保険制度の仕組みの中で、先ほど申し上げましたように、さまざまな環境と照らし合わせながら検討をしてまいります。
  120. 井上美代

    ○井上美代君 それでは、これからも私は皆さんがどういうふうにやられるかをずっと追いかけますので、どこまでもどこまでも追いかけていきます。だから、ちゃんとしていただきたいというふうに思います。  時間がありませんので先へ進みます。  次に、保育所の問題に移っていきたいというふうに思います。今やはり一番重要なのは待機児童がたくさんいらっしゃるということだと思うんです。  厚生省調査されたのがあります。厚生省にどんな施策があれば理想の子供を持つかという質問があるんです。これにフルタイマーの働く女性たちが答えておりますが、トップが保育所の充実なんです。次いで、子育てに理解ある職場環境の整備、そして税負担の軽減だとか、教育費の軽減というふうに答えております。少子化対策考えるキーワードがここに私はあるというふうに思っております。  保育所の問題で最大の問題は、たくさん待機児童がいるということです。ことしの四月時点での待機児童数は、一年間で七千人減っているということで、三万二千人ということで発表しております。厚生省です。このテンポでいけば待機児童解消にあと五年以上はかかる。とても待ってはいられないという状態です。さらに、四月の数字というのは、新年度の入所が決まり、一番待機児童が少ないときです。昨年のを見ても、四月段階では四万人だったのが、待機児童が十月には五万八千人に膨れ上がっております。したがって、ことしも五万人前後の待機児童が緊急対策を待っているというふうに考えていいと思います。  さらに、女性の労働力人口が急速に増加し保育所のニーズが高まることや、それから国から一切の補助が受けられないでいる無認可保育所というのがありますが、ここでは二十二万人もの乳幼児を保育しております。このように、保育所の増設というのは大変待ったなしの課題であるということです。  それで、私は大臣にお聞きしたいのですが、一体何年かけて待機児童を解決しようとお考えになっているのか。保育所増設を軸にして二十一世紀に向けて新しい緊急保育計画策定が必要だというふうに私は思っておりますけれども、引き続き計画を立てる用意があるのではないかと思っておりますが、そのことにも触れていただきたいというふうに思います。
  121. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 保育所の入所待機児童でございますが、私ども調査では、先生指摘のように三万二千人でございます。この待機児童を抱える市町村におきまして、少子化対策臨時特例交付金によりまして、保育所の整備であるとか、あるいは地域の実情に応じたさまざまな事業が現になされております。  こういうことによりまして、私どもは相当数の待機児童が解消されるものと考えておりますが、その一方で、先生から御指摘がありましたように、年々働く女性の数もふえておるわけでございますので、三万二千人が私どもの調べではこれらの施策によって二万九千人ぐらいまで減少するのではないかと見ますが、その後のさまざまな今申し上げたような要因によりまして、待機児童が若干上昇傾向にあるわけでございます。  いずれにいたしましても、私どもは働く女性の皆様方のためにも保育所なり、あるいは保育所だけではなくて保育ママとかいろいろあるわけでございますけれども、そういう形をとりまして待機児童の解消に当たっていきたいと思いますが、一応めどといたしましては平成十五年をめどにいたしております。
  122. 井上美代

    ○井上美代君 十五年にゼロにするということです。これは絶対に守ってほしいというふうに思います。恐らく女性の要求はもっと強いと思いますので、これをゼロにするというのは相当努力が要るというふうに思います。  今日、待機児童を解消するために一五%だとか定員を膨らませて入れておりますね。ことしから二五%定員増で、いろんなものが変わらない中に押し込んでいるという状態で今やられているんです。だから、これもひとつ大きな問題ですが、きょうはちょっとそこはやれませんので、また次のときにあれしますけれども、やはり保育の条件もよくしながら、内容もよくしながら待機児童をなくしていく、解消していく、これに努力していただきたいと思います。  今、五万人というふうにいいますと、保育所の定員が大体六十人ぐらいですから、これで割りましたら八百三十三カ所なんですね、保育所をつくるというのが。そうしたら、これは今の政府のやっておられるテンポではとても大変だというふうに思って先ほどから言っているわけです。  保育所についても、営利の民間企業の参入なども出されてきておりますので、やはり人間の子供、命、我々の未来、こういう子供たちを市場原理にゆだねる、こういう安易な考え方というのは私はよく政府の方でも考えてほしいというふうに思います。だから、子供の生存権や、そしてまた子供が本当に豊かに育つような、そういう内容をつくってほしいというふうに思います。  介護保険のときも私は質問を出しておりますけれども、今、待機児童は都心部、人口の多いところに多いんですね。その問題で、やはり土地取得の問題、これが自治体からも要求として出てきているというふうに私は受けとめておりますけれども、そういう問題についても考慮をしてほしいというふうに思っております。  保育問題は非常にまだおくれておりまして、いろんな問題があるんですが、きょうは職員の配置基準についてお聞きしたいというふうに思います。  まず一つは、保育所の運営費の算入に大きな比重を占めている職員の配置基準。八〇年代、九〇年代、女性の就労状況、育児のあり方が大きく変わってきている中で、私は保育時間が大変長くなってきているという現状に注目をしております。現場では非常に保育状況が大変になってきているんです。  厚生省の基本認識というのを聞きたいんですけれども、一人の子供が平均して保育所にいる時間というのが長くなっているというふうに思っているんですけれども厚生省はそういうものを把握した調査というか、そういう実態を握っておられるでしょうか。答弁に立っていただく前に、労働省の方、お忙しいと思いますので、席を立っていただいて結構でございます。
  123. 真野章

    政府参考人真野章君) 保育所に入所されておられる児童一人一人が登園から退園まで実際にどの程度の時間を保育所で過ごしておられるかにつきましては、厚生省としては統一的には把握をいたしておりません。ただ、平成年度の厚生科学研究で、一部延長保育をやっている保育所につきましてそういう調査も研究者の中でやっていただいたこともございますが、全国的、統一的な把握というのは行っておりません。
  124. 井上美代

    ○井上美代君 今、厚生省としても細かいところまでは掌握しておられないわけなんですけれども、労働時間が八時間といった場合に通勤時間が入るんですね。そうしたら、今都会では大体一時間、一時間半の人もいますけれども、一時間として、やはり行き戻りがありますから十時間ぐらい。そして、十時間は十一時間になり、十二時間、十三時間と。厚生省から保育所ごとの統計をいただきまして、私、それまた別表でつくってみたんですけれども、十二、三時間というのがふえてきているんです。そういう点で、やっぱり保育時間が延びてきているという問題を私たちは考えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っているんです。  一九九一年の調査でちょっと古いんですけれども、東京都の私立保育園の保育園連盟の実態調査が私の手元にあります。ゼロ歳児、一歳児、二歳児には長時間保育が多いことが調査されております。ここにはっきりと出てきているんです。ゼロ歳児から二歳児では八時間が二六・六%、九時間が二九・七%、十時間以上が一六・六%というふうになっているんです。しかも、母親の労働時間の八時間と通勤時間などを考慮に入れれば十時間から十一時間の保育が求められております。  これだけ深刻になっている少子化問題を抱えながら、保育所の子供たちがどんな保育時間でやられているのかという調査がない、厚生省にもないということ、これはやっぱり問題だというふうに思うんです。これだけ保育所が、もう小学校ぐらいあるんですから、だからそういう点でもぜひ実態を握って調査をしていろんな施策をやってほしいと思っているんですが、いかがでしょうか。
  125. 真野章

    政府参考人真野章君) 全国的な調査、先ほどちょっと厚生科学研究で行ったということを申し上げましたが、これも延長保育をやっていただいております保育所に協力をいただいたわけですが、回収率がかなり低かったというようなことでここで御説明するほどの、いわば学問的にもそういうことがあって、今あえて数字は申し上げませんでした。  そういう意味でもなかなか難しい問題があろうかと思いますが、まさに先生指摘のとおり、まず実態を把握するというのが必要であろうと思います。どういう方法があるか、かなり工夫が必要であると思いますが、実態の把握にぜひ努めたいというふうに思っております。
  126. 井上美代

    ○井上美代君 把握をする、調査をするということを約束してくださいましたので実態もわかっていくというふうに思いますけれども、もう一つ問題があるというふうに思っております。  それは、児童福祉施設最低基準というのがあるんです。これに基づいてその最低基準が決まっているんです。その中には、三十四条のところに「保育所における保育時間は、一日につき八時間を原則とし、」というのがあるんです。保育時間は八時間というふうに書いてあります。これは厚生省の方にお聞きしますと、保育の時間が八時間だということだとおっしゃるんですけれども、もう一つ開所時間というのを言っていらっしゃるんです。開所というのは、保育園が開いているというんですかあいているという、その開所時間。その開所時間というのは今十一時間になっているわけなんです。  そういうふうに言っていらっしゃるんですけれども、現在、保育園に、かつては措置費というふうに言いましたけれども運営費、これは八時間を基準にして出されているというふうに受けとめてよろしいんでしょうか。
  127. 真野章

    政府参考人真野章君) 保育所運営費負担金でございますが、先生指摘の保育時間の最低基準は一日につき八時間を原則としてございますが、「その地方における乳児又は幼児の保護者の労働時間その他家庭の状況等を考慮して、保育所の長がこれを定める。」ということになっております。  私ども、保育所運営費負担金におきましては、先生からお話がございました開所時間というところにつきましては、通常の保育時間を大体午前七時から午後六時程度と、当初そういうふうに私ども通知でも示しておったわけですが、最近では、逆に言いますと、では七時から六時でいいのか、もっと地域の多様な需要があるというようなことで、時間の指定、午前七時から夕方六時ごろを想定しているという部分は除きまして、十一時間開所できるよう予算面で手当てをいたしております。
  128. 井上美代

    ○井上美代君 そうしたら、運営費はそれを基本に出しているということなんですね。八時間で出しているということなんです。そうしました場合に、十一時間保育園があいておりますと、子供はいろいろ時間がそれぞれあるんですけれども、だんだん今、乳児が一番ということを先ほどから調査で言いましたけれども、長時間やるようになってきているんです。そうした中で、八時間で計算されたものをいただいて、言ってみれば薄めて使っているということになるんです。  そういう点で、これまでは十時間三十一分ぐらい、十一時間に足りなくても補助金を出してもらっていたんですけれども、それも切られてしまって、今度は十一時間以上じゃないとお金も出てこないというふうになるんです。だから、そういう点で保育園の現場の状況というのが非常に大変になっているということを私は申し上げたいんです。  八時間保育の計算でやっているから、職員というのは朝と夕方、ここのところをローテーションを組んでやっているわけなんです。自治体ももう見ていられないし、加算をしてくれているところがあります。そして、それは父母や自治体の言ってみれば負担にはね返ってきているということがあるんです。だから、そういう意味で私は、この八時間原則というところももう長いこと、一九八一年から十一時間で来ているんですから、この法律のところを手直ししなきゃ、見直してみなければいけないということがあるんだろうというふうに思うんです。  これは一九九三年になりますけれども、日本共産党の児玉議員が質問したのがあるんです。このときは児童家庭局長答弁されておりますが、保育所が九時間以上を運営している事情も踏まえながら、どのように措置費、今で言う運営費の中で取り組んでいくことができるか検討をすると局長は約束をされているんです。これが一九九三年ですから六年たっているんですけれども、どういうふうにここのところを努力してこられたかということもお聞きしたいんですけれども、いかがでしょうか。
  129. 真野章

    政府参考人真野章君) 先生指摘の、平成五年五月の衆議院の厚生委員会におきまして、児玉先生からの御質問に対しまして当時の清水児童家庭局長がそういう答弁をいたしております。  ただ、大変恐縮でございますが、後段もございまして、「あるいは補助金の制度の中でバックアップできるか、そういうことについていろいろ検討してみたい、」と、そういうふうに答弁をいたしております。  措置費の中で取り組んでいくというのも例示で御答弁をいたしておりますが、補助金という方法も選択肢として挙げて、そして大変需要がふえてまいっております長時間の保育に対してどういう対応をしていくかということを当時申し上げたかと思います。  そういう面でまいりますと、私ども、その後、保育士の配置を充実するための補助制度を設けましてその支援を図っているところでございます。
  130. 井上美代

    ○井上美代君 その保育士の補助制度というのをもうちょっと具体的に言ってください。
  131. 真野章

    政府参考人真野章君) 平成七年には開所時間延長促進事業というものを創設いたしましたし、平成十年からは延長保育等促進基盤整備事業というものを行いまして、いわば長時間の保育に積極的に取り組んでいただいている保育所に対して助成を行っているわけでございます。
  132. 井上美代

    ○井上美代君 これらの事業をやってきたとおっしゃるけれども、今度の概算要求で一本にまとめてしまわれましたね。そして減額されましたね。そのことについてはいかがですか。
  133. 真野章

    政府参考人真野章君) 私ども今御説明いたしました補助制度、昨日も先生のところへ御説明に参ったかと思いますが、補助制度としても仕組みとしてなかなかぱっとわかりにくいといいますか、非常に複雑な仕組みになっている部分もございます。また、一時間以上延長保育をお願いしているというようなこともございまして、三十分程度の延長保育のところの保育所には補助が出ないというような指摘もございまして、我々としてはできる限り補助制度を統一して、延長保育に取り組んでいただく保育所がわかりやすい仕組みで補助ができるようにということで今概算要求をしているところでございます。
  134. 井上美代

    ○井上美代君 補助制度というのはなかなかそれで基本的なところまでよくするということはできませんので、私はぜひこの最低基準を改めてほしい、見直してほしいというふうに思っております。  もう時間も来ておりますので、もう一つ質問をして終わりにしたいと思います。  これは、この十月二十七日に中央児童福祉審議会の意見具申が出まして、今おろされているわけなんですけれども、来年の四月一日から施行するということが出ております。夜間保育だとか延長保育だとか、いろいろその中に加えてあるんですけれども、しかし条件整備については触れられていないという問題があります。保育所に求められる機能の拡充に見合う整備について新たな職員配置などを検討して、そしてこの改定指針を踏まえた運営費の抜本的な引き上げを検討すべきであるというふうに思っております。  そのことにぜひ答えてほしいのと、それから先ほど私は緊急保育計画策定の話を質問いたしましたけれども大臣はそれに答弁していただいておりませんので、ぜひそこを答弁していただきたいと思います。  質問はこれで終わります。
  135. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 職員配置の最低基準の問題でございますが、当然のことながら良質な保育サービスの効率的な提供を行う、こういうような立場に立って定めておるわけでございます。  予算面におきまして、延長保育などの特別保育事業に積極的に取り組むなど、保育所に対しまして最低基準を超えた改善が可能になるよう必要な手当てを行ってまいりたいと思っております。  先生御案内のように、今、三歳児で二十対一、それから四歳以上で三十人に対して一人、こういうことでございます。これは幼稚園とのバランスの問題であるとか、さまざまな点からこのような措置にさせていただいたような次第でございます。  それから、先ほど御質問がございました、いわゆる少子化対策に関連をいたしますエンゼルプラン的なものでございますけれども、ことしで切れるわけでございますので、新たに来年度から五カ年計画を策定させていただきたい、このように考えているような次第でございます。
  136. 井上美代

    ○井上美代君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  137. 清水澄子

    ○清水澄子君 まず最初に、富士見産婦人科病院事件に関連して質問をいたします。  御承知のように、この事件は十九年前に所沢市で発覚をいたしました。千百三十八名の女性が健康な子宮や卵巣をこの病院の営利目的のために摘出されたわけです。被害者たちが裁判運動をしておりましたが、去る六月三十日、東京地裁で判決が言い渡されました。ほぼ全面勝訴で、損害賠償が認められたわけであります。  その判決によりますと、はっきり判決文にこう書いてあります。富士見病院における乱診乱療とは、被告医師らが患者を資格を持たない北野早苗のME検査に回し、でたらめなME検査所見とコンサルによって、被告医師らの指示に基づかないで入院、手術を決定し、患者に対してでたらめな説明をして入院や手術を承諾させた。そして、北野早苗の妻北野千賀子とその他の勤務医の六人が北野早苗の決定のまま手術を敢行してしまうという行為であった。そのような診療は、単なる違法と言うにとどまらず、明らかに常軌を逸した集団的異常行為と言うべきであって、単なるもうけ主義とは全然別個の異質のものである。  しかも、この産婦人科の病院は適法に設置され、そして専門の医師が数名いた。埼玉県内でも有数の規模の産婦人科病院において、医師でないだけではなくて医学的知見もほとんどない者によるでたらめな診断に多くの医師が追随して、長期間にわたり正々堂々と、次から次へと何人もの正常な子宮、卵巣等を摘出するという手術を続け、それに見合う診療録、そして手術記録を整え続けるなどということは通常あり得ない異様な事態であると。一部ですけれども、まだ中を読みますと物すごいことが書かれておるわけです。  この判決内容を大臣はどのように感じられるか、それはその次のところでまとめて答えていただきたいと思います。  私ども女性は、この事件が起きたとき大変ショックを受けました。それは、私たちは医療という世界を頭から信じておったわけですので、なぜこういうことが起きるかということに本当に驚いたわけでございます。当然被害者たちはこれを我慢できない、だから裁判に訴えました。しかし十九年かかったわけです。  しかし、訴えられた当事者は元富士見病院の院長であるわけです。そして、病院の全管理責任を持っている人であるわけですが、今は病院の名前を変えて営業を続けているわけです。なぜ医者にはこのような特権が許されるのか、これはとても普通の人には考えられない。疑問を持つ人は非常に多いし、今もこのことはみんな忘れないで、これをどう教訓にするかという運動が続いているわけです。  厚生省は、十月二十五日の医道審議会にこれら判決の報告をされたわけでございますけれども審議会ではこの件についてどのような審議が行われているのか、そして今後どのように審議を進めようとされているのか、お答えいただきたいと思います。
  138. 伊藤雅治

    政府参考人伊藤雅治君) 富士見産婦人科事件につきましては、今、委員指摘のように、本年十月二十五日に開催されました医道審議会に報告を行いまして、そしてその際、本件に関与した医師の行政処分につきまして審議会の委員の間でいろいろ議論をしていただいたところでございます。  結論から申し上げますと、そのときの医道審議会では結論を得るまでに至らなかったわけでございますが、いろいろの経緯がございます。  まず、今回は民事訴訟の判決が出たわけでございまして、共同不法行為の成立を認めまして五億一千四百二十五万円の慰謝料の支払いを命じた判決が出たわけでございますが、経緯を若干申し上げますと、刑事事件といたしましては、昭和五十八年八月十九日までの間に浦和地検が不起訴処分としているということがございます。また、医師法、保健婦助産婦看護婦法関係につきましては、北野千賀子につきましては既に昭和五十五年十二月二十六日に浦和地検が保助看法違反で起訴しておりまして、最高裁の判決も出ております。この件につきましては、昭和五十六年二月二十六日に厚生大臣が医道審議会の意見に基づきまして医業停止の処分を既に行っているところでございます。  今回の民事訴訟の判決を受けまして、審議会の委員の間でいろいろ議論がありましたが、当該医師が医事に関し犯罪または不正な行為があった者であることをどのように認定し得るのかという点でございますとか、また当該医師のほとんどが民事事件の判決内容を不服といたしまして控訴している現状におきまして、控訴審判決が出される前に医道審議会としてその結論を出すことができるかという点など、いろいろの観点から議論が戦わされましたが、結論を得るに至らなかったということでございまして、今後引き続き医道審議会において適切な審議をするということになっているところでございます。
  139. 清水澄子

    ○清水澄子君 これは医療過誤事件じゃないんですね、今申し上げたように。過ちというのはある。だめだけれども、やっぱりあり得るんです、過ちは。しかし、この事件は医療過誤の問題ではないということをやっぱり考えていくべきだと思います。判決が認めた内容はまさに犯罪であるわけです。そして、医事そのものに関することなんです。  通常の刑法でいくならば、もし人の体をちょっとでもナイフで傷つけたらそれは傷害罪なんです。しかし、医者の行為は正当な業務ということでこれは許されるということ、それがむしろ逆に悪用されていくという問題があると思うんです。しかし、治療の目的が明確とか、医学上の法則に従っているとか、患者の完全な同意等が挙げられて初めて正当化の要件があると思うんですが、これには全部反しているわけです。同意も本当の意味の同意じゃないわけです。ですから、こういう問題がこれまでのように単なる民事だから難しいとか刑事罰でなければだめだとかという、従来のしきたりとか運営にとらわれているべきではないと思うんです。  特に、この賠償が五億円と出たんですが、北野さんというのは非常にずるいですから破産宣告をしていますね。ですから、何も賠償責任はないわけです。そして、実際は北野ファミリーという非常に大きな産院、病院を建てて現在も堂々と診療して営業を続けている。しかし、被害者は裁判に十九年目でやっと勝っても何も賠償は受けられない。そして、その結論も何か空手形をもらっているようなもので、これでは私は本当に、今日、はっきり医療法でも「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、」「医療を受ける者との信頼関係に基づき、」というふうに、きちんと良質な医療を提供するというふうなことは書いてあるわけでしょう、法律に。  ですから、それらについてきちんと医道審がやはり本当に今日の、従来は余り医療について意見を言う患者はいなかったわけですけれども、この事件は私は日本で初めて患者たちが黙っていなかったという一つの大きな医療を改革するスタートになったと思っているわけです。  医道審議会は、市民の医療に対する不信感をなくしていく意味でも、また医道審議会は従来のしきたりや運営にとらわれないで、そして、被害者はもとより多くの女性や市民だれしもが納得するようなそういう結論を出していただけるように、私は厚生省がそういう方向に努力をしていただく、問題提起をしていただくということを強く要望したいと思うわけです。それが医道審としての私は良識を今度は試されると思いますので、ぜひ厚生大臣のこの件についての御決意を伺いたいと思います。
  140. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 医療の信頼そのものを根底から覆す大変忌まわしい事件であると、私自身そう認識をいたしておるような次第であります。  ただいま健康政策局長からお話がございました。今、刑事裁判におきましては御案内のような結果になったわけでございますが、民事裁判の結果を踏まえまして、十人の委員から成ります医道審議会において事実認定の問題などについて御審議をいただいておるわけでございます。  医道審議会はあくまでも中立的な審議会でございまして、私からとやかく申し上げる立場にないわけでございますけれども、今後示されます医道審議会の結論を踏まえまして、私といたしましては適切な対応をとってまいりたい、このように考えているような次第でございます。
  141. 清水澄子

    ○清水澄子君 ぜひ公正な、そしてだれしもが納得する判断をお示しくださるように再度要望しておきます。  次に、ちょっと順番を変えますけれども、戦争で負傷した在日韓国人元軍属に内外人平等の原則に沿った補償をすべきであるということについて質問をいたします。  日本の戦争とこの植民地統治が残した問題の中には、二十世紀を終えようとしている今でも未解決のものが幾つもあるわけです。去る十月十五日に大阪高裁で判決がありました在日韓国人のいわゆる傷痍軍人ですね、戦傷軍属の補償問題もその一つでございます。こういう同じような訴訟が四件あるわけですけれども、いずれの判決の場合でも必ず付言で強く国に解決を促しておるわけです。  とりわけ今回の大阪高裁の判決は、日韓請求権によって日本と韓国のいずれからも補償が受けられなくなっているその時点から憲法十四条の平等条項に違反する疑いがあると。それからさらに、国際人権規約を批准して以降は差別的取り扱いを禁じた自由権規約二十六条に違反する疑いがあるということを指摘しています。そして、国会ではできるだけ速やかに在日韓国人である軍人軍属等に対する差別的取り扱いを憲法十四条あるいはB規約二十六条に適合するように是正することを要求しているわけです。そしてさらに、やはり国会が今後も何らの是正措置も行わないで、そしてその是正に必要な期間を経過したような場合は立法不作為が国家賠償法上の違法な行為と評価され得るという判断を示しているわけです。  その後、報道によりますと、自民党ではこの問題に関連して調査会が設置されて、一時金または見舞金として二百万円から八百万円の支給を検討されていると報道されているわけでございますけれども、この方々は一時金と見舞金で、この人たちの主張の本旨はそういうものではないわけです。自分たちは戦争中は日本人として戦争に駆り出された、そして日本人として軍務につかされた。戦後、補償となると今度は外国人として排除されて一円の補償も受けていないのであるということなんです。  ですから日本政府は、やはり判決のように、対象者の年齢は高うございますから、国際社会の理解が受けられるような内外人平等の原則に立ったそういう補償を早急に実施すべきであると私は特に強く訴えたいと思います。  この問題は内閣として取り組まれると思うんですけれども、援護法の担当大臣厚生大臣でございますので、ぜひ大臣の前向きの決意をお伺いしたいと思います。
  142. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 先生御案内のように、この問題は古くて新しい問題でございます。何回となく国会の場で提起されておるわけでございますが、在日韓国人の元軍属などに対する補償問題は、昭和四十年の日韓請求権・経済協力協定によって法的には既に最終的な解決済み、こういうことになっておるわけでございます。  したがいまして、援護法の国籍要件を見直して、これらの方々に対して要するに補償の援護法を適用するということは、それで障害年金などを支給するということは現実問題として不可能だ、まずこう考えておるような次第でございます。  しかしながら、在日韓国人の元軍属などに対する補償の問題につきましては、現在、内閣外政審議室におきましてさまざまな問題点について調査検討が行われていると承知いたしております。援護法そのものを改正することは考えておりませんけれども、この内閣外政審議室の結果を踏まえまして、厚生省といたしましてもそれに応じて必要な対策を講じたい、このように考えているような次第でございます。
  143. 清水澄子

    ○清水澄子君 ぜひ本当に、国際的に皆さんが評価をされるような内容にしていただくことをお願いいたします。  次に、ちょっと介護保険との関係でお伺いしたいんですが、せんだっても何かよくわからない答弁が多かったんですが、それはちょっと繰り返さないで、厚生省はこれまで介護保険の導入によって社会的入院とかがなくなるとか、それから高齢者介護医療保険で支給されていたものが介護保険の支給に変わることによって負担の構造が変わるんです、だから医療費は減少すると説明してこられました。  現時点で厚生省介護保険導入によって医療費はどの程度減少すると見込んでおられるのか、それぞれの保険制度別に御説明ください。
  144. 近藤純五郎

    政府参考人近藤純五郎君) 御指摘のとおり、介護保険実施によりまして老人拠出金が減少することになるわけでございます。この額でございますが、平成十二年度の概算要求ベースでございますけれども、政管健保で四・二パーミル、それから健保組合の平均ではございますが四・三パーミル、それから市町村の国保の平均では、月額でございますが四百円程度、こういうふうに見込んでおります。
  145. 清水澄子

    ○清水澄子君 そこで、今度国保には財政支援をされるわけですね。これが六百六十億円となっているわけですけれども、個々の市町村に、これは特に国保財政が悪化した市区町村に保険料収納率の低下などに応じて財政支援をすると言っていらっしゃるんですが、どのような基準でどのような配分をされるのか、具体的な方法、基準を明らかにしていただきたいと思います。
  146. 近藤純五郎

    政府参考人近藤純五郎君) 国保対策で特にこれまで市町村の方から御要望がございましたのは、介護保険料が上乗せになるわけでございまして、その上乗せによります国保の収納率が落ちるのではないか、こういうふうな懸念があったわけでございまして、その財政影響に対して支援してほしいというのが最大の要請事項であったわけでございます。  今回、補正予算で六百六十億を計上することになるわけでございますけれども、これは二カ年にわたって使いたいというふうに考えているわけでございます。この介護保険料の上乗せによります収納率の低下の関係でございますけれども介護保険の第二号被保険者が属します世帯の収納率がこの上乗せによりまして他の世帯に比べまして有意に低下する、差が出てくる、こういうときにはその低下した差の部分につきましての財政影響に着目いたしまして財政支援をいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。若干このほかにも余ると思いますので、そのほかは収納対策をやるというふうな形で考えているわけでございますけれども、これにつきましては財政力に応じまして交付をしたい、こういうふうに考えております。  詳細な交付基準につきましてはまだ現在検討中でございまして、補正予算成立いたしました後に、来年早々になろうかとは思いますけれども市町村に交付要綱をお示ししたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  147. 清水澄子

    ○清水澄子君 実際はもうできているんでしょう。そうしないと予算は立たないでしょう。実態はわからないけれども予算は立つんですか、予算というのは。その辺はどうなんですか。
  148. 近藤純五郎

    政府参考人近藤純五郎君) 今回の医療保険者の対策でございますけれども、これは高齢者に対しまして対策が行われるわけでございますが、今回の医療保険者の対策につきましては、被用者保険と国保を合わせまして介護保険の導入によりまして医療保険全体として増分になるものに着目をいたしまして、大枠という形で予算を組んでいるわけでございます。そのうちの半分以上を国保対策に充てる、こういうことで六百六十億の計上をいたしたい、こういうことに考えているわけでございます。
  149. 清水澄子

    ○清水澄子君 時間がありませんので、では次に政務次官にお伺いします。  家族介護に対する慰労金についてですけれども、この慰労金支給には三つの要件がありますね。この三つの要件というのは、要介護度ⅣないしⅤに相当する人、住民税非課税世帯、一年間介護保険のサービスを利用できなかった人、この三つの要件を満たすことが条件なんですね。この三つの要件を満たす人というのは大変ですよ。貧困者で住民税非課税世帯、そういう最も貧困な家庭に年間十万円で事足れりとなるというのは、介護保険制度から見ても私にはどうしても理解できない、これを評価されているというのは理解できないわけです。  例えば、要介護度ⅣないしⅤの方だったら介護保険料を払っているわけですね。払っていて、そのまま要介護度ⅣとかⅤであれば、介護保険のサービスを受ければ一カ月大体三十万円以上のサービスを受けられるわけでしょう。保険は払いながらサービスの大きいのを受けないで年間十万円でよろしいということを、それもいい政策であるということが言えますか。むしろ逆に、あなたは保険料を払っているんだからこれだけのサービスを受けられますよ、だからこれを受けることがあなたにとっても家族にとっても幸せですよということを説明していくのが本来の厚生行政ではないんですか。私はその点について非常に疑問を感じます。  それとあわせて、政務次官は、どうしても自分の家に他人を入れたくないという人もあるんだと。そういうふうな例だけではおかしい。そんなことを一人一人言っていたら、そういう人の対策まで考えるならば、さっきあくまで利用者の立場からと言っておられましたが、それだったら、ぜひホームヘルパーを利用したいと願っても整備されていない市町村もある、これは一年間介護保険のサービスを利用しなかった人になりますよね、整備されていないんだから。したくてもできない、そういう人も十万円支給の対象となるわけでしょう。  そうすると、十万円で事足りるならば、市町村介護基盤の整備をやらなくても何かそこで責任逃れができてしまうと、むしろ逆効果もここには含まれているというふうに私は非常に心配をするわけですが、その点についてどのようにお考えになりますか。
  150. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 清水委員が御指摘のように、この介護保険は、積極的に介護保険制度を利用していただく、それをまた積極的にPRしていくということがあくまで本筋であり、今回の介護保険制度施行されるようになった本来の趣旨であろう、このように思います。  しかし、全国の中にはさまざまな御事情があって結果として介護保険を利用しないような人も出てくるかもしれない。でも、それはまた委員も御指摘のようにごくごくわずかではなかろうか。そう多くあるとはとても思えないんですが、そのわずかな人たち、ヘルパーを家庭に入れたくないような人もいるというのは、あくまでそのさまざまな事情の中の一例として挙げただけでございますが、わずかな例、そういうのも皆無とは言えない、あった場合に、そういう人たちに対して一生懸命介護していただいた家庭への慰労として考えると。  こういうことでございまして、この制度によって基盤整備がおくれるようなことがもちろんあってはなりませんので、この介護保険の本来の趣旨、理念を損なうことなく、また基盤整備におくれを伴うようなことがない、そういうことで市町村がやろうと決めたところに対して国が支援をするということでございますので、市町村がやらないとなれば当然それは支援することもないわけでございます。
  151. 清水澄子

    ○清水澄子君 終わります。     ─────────────
  152. 狩野安

    委員長狩野安君) この際、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障等に関する調査のため、本日の委員会厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 狩野安

    委員長狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  154. 入澤肇

    ○入澤肇君 きょうは一般質疑でありますので、若干アトランダムでございますが、幾つかの御質問をさせていただきます。  まず、三十日からWTOの閣僚会議がシアトルで行われるということでございます。私ども、新聞を見ている限りにおいては厚生省所管の医療等の分野ではどんな議論が行われているのかさっぱりわかりませんので、実情をちょっと教えていただきたいと思います。
  155. 伊藤雅治

    政府参考人伊藤雅治君) 本年十一月三十日から十二月三日にかけまして、シアトルにおきましてWTOの第三回閣僚会議が開催される予定と聞いております。この会議におきまして、医療サービスを含むサービス分野につきまして二〇〇〇年一月からこのサービス分野の貿易自由化について交渉をするというふうに聞いておりますが、まだ私どもといたしましては、この中で具体的にどのような話し合いが行われるか、詳細については承知しておりません。しかしながら、今後、医療を所管する立場から、このWTOの閣僚会議について十分フォローしていきたいと考えているところでございます。
  156. 入澤肇

    ○入澤肇君 そんなのんきなことでいいのかと若干心配してしまうんですが、これは例えば営利参入否定というふうなことが原則的に打ち立てられますと、医療行政の根幹にかかわる問題につきまして相当な改定をしなくちゃいかぬということになります。ですから、政府として営利参入否定の原則を守るのであるということであれば、それなりの対応策を十分にやっておく必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  157. 伊藤雅治

    政府参考人伊藤雅治君) 病院経営への営利企業の参入につきましては、従来から厚生省といたしましては、医療サービスはすべての人に公平に保障される必要があり、継続的、安定的に供給されることが重要であり、営利企業は利潤追求を第一義的な目的とするため収益性の高い部分にのみ集中するおそれがあること、また、利潤動機を強く持つ営利企業の参入を認めますと、利益率の高い医療に集中して医療費の高騰を招きかねないというようなことがございまして、慎重な検討が必要であるということは従来から申し上げてきたところでございます。  したがいまして、WTOの閣僚会議におきますサービス分野の自由化交渉の動向につきましては、厚生省といたしましても全力を挙げて情報収集等対応に誤りのないようにしていきたいと考えているところでございます。
  158. 入澤肇

    ○入澤肇君 情報が入りましたら、その時々に何らかの形で教えていただきたいと思います。  それからもう一つ追加で申しわけなかったんですけれども障害者の雇用状況、これについて御説明願いたいんです。例えば、中村製作所の事件は大きく報道されました。それから、そのリストラの過程で六百人ぐらい障害者が職を失ったとかいう報道がございます。それから、予算委員会等でも障害者の共同作業所におきまして仕事がないという話でございましたので、省庁の移転に伴って、例えば看板、ネームプレート、そういうものの一括発注をやって仕事を与えたらどうかというふうなことも私は提案させてもらいました。  障害者の雇用状況と対策につきまして、若干の御説明をお願いしたいと思います。
  159. 今田寛睦

    政府参考人(今田寛睦君) 御指摘のように、大変厳しい経済状況にございまして、平成年度におきます障害者の解雇者の数が二千九百五十人ということになっておりまして、前年度に比べて九百人も増加をしている。さらに、障害者の就職率でありますけれども三二・七%、前年度に比べて約四ポイント低下をしている。このように障害者の雇用というのは大変厳しい状況にあるということと承知をいたしております。  それで、中村製作所の事件もそうでありますが、そういったところで倒産でありますとかあるいはリストラによって障害者が失業し、なおかつ再就職もままならない、こういうような事例が大変増大をしているところでございます。  これに対しましては、厚生省としては、失業いたしました障害者が改めて再就職するまでの間、せっかく身につけた就労の習慣でありますとか、あるいは就労意欲といったものを失わないようにということで、特別な措置といたしまして、現在の授産施設においてそういった人たちを定員を超えて受け入れてもいいという体制を整えたのが七月十六日でございまして、この件について各自治体に通知をいたしました。この特別措置によりまして、現在七十九名の障害者が緊急避難的に授産施設で引き続き訓練を行っている、こういう状況にございます。  また、以前にも御指摘いただきましたけれども、授産所の方にも仕事が来ない、こういうことについて、看板等という御指摘でございますが、いずれにいたしましても、小規模作業所あるいは授産施設で受注量が大変減ってしまっている、あるいは製品の価格が下落してしまっている、こういうことで授産施設そのものの経営、これが大変不安定になっているということもございます。  これに対しましては、八月三十一日付でありますけれども、都道府県それから地方公共団体に対しまして、授産施設の製品を積極的に購入するようにということで、そういった依頼の通知を発出したところであります。  さらには、中央省庁におきましても、各種大会あるいは記念品、印刷物、こういったものについて授産施設に積極的に発注していただけるようにということで、私どもの方とそれから総理府の障害者施策推進本部の連名によりまして、関係いたします中央省庁に協力依頼の通知を出させていただいたところでございます。
  160. 入澤肇

    ○入澤肇君 ありがとうございました。ぜひ積極的に対応していただきたいと思います。  次に、医療制度の改革につきましていろんな議論がなされているということを聞いております。特に、厚生省が案をつくるたびごとに、あるいは自民党が案を出すごとに医師会によってことごとく反対されてデッドロックに乗り上げているという報道がなされておりますけれども、現時点における医療制度の改革についての検討状況をお聞かせ願いたいと思います。
  161. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 医療改革につきましては、大変膨大な国民医療費が三十兆円を超えるという中において、いわゆる医療にむだがないかどうか、効率的かどうか、こういうような観点から医療改革というものを手がけておるわけでございます。  まず、医療改革の中で、全部で四本柱がございますけれども、一番大きな問題として今クローズアップされておりますのが、いわゆる薬価制度の問題でございます。  先生御案内のように、これまで薬価差益というものがございましたけれども、薬価差の解消を目指すとともに、薬剤価格を適正化する方向で検討を進めております。現在、中央社会保険医療議会、中医協に薬価専門部会を設置して御審議をいただいているような次第でございます。  この中では、いわゆるR幅方式の見直しであるとか、それから先発品、後発品の算定ルールであるとか、さらに画期的な新薬の算定ルール、こういったものなどを中心にして御議論をいただいておるわけでございますが、いずれにいたしましても年末の予算編成に向けて鋭意検討してまいりたい、このように考えているような次第でございます。  そのほか、カルテの情報開示の問題であるとか、あるいはお年寄りに対する負担のあり方であるとか、それからいわゆる高額医療に対する上限制度あり方、こういうものをまとめて来年度予算編成に間に合わせたい、このように考えているような次第であります。
  162. 入澤肇

    ○入澤肇君 次に、九五年の七月二十六日に設立されました日本医療機能評価機構、これも資料を読んでみますと若干の活動を行っているということでございますが、たくさんの病院を抱えている中で、認定を受けた病院は非常に少ないというふうにも聞いております。どのような成果を上げているか、現状を教えていただきたいと思います。
  163. 伊藤雅治

    政府参考人伊藤雅治君) 日本医療機能評価機構につきましては、医療の質の向上を図るために学術的な観点から第三者による客観的な立場で病院機能を評価し、病院機能の充実に向けた病院の自助努力を支援することを目的といたしまして平成七年七月に設立されまして、二年間の試行的事業を経まして、平成年度から本格的な病院機能評価事業を行っているところでございます。  事業実績につきましては、平成十一年十月十八日現在におきまして、一定の診療機能を満たしているものといたしまして二百六十の病院に認定書を発行し、病院名等が公表されているところでございます。  この事業の成果といたしましては、平成年度に機能評価を受けました百二十二病院を対象に同機構が行ったアンケート調査によりますと、八割の病院が評価が役立ったとしております。また、八割の病院が五年後の再評価を希望する結果となっておりまして、評価を受けた病院が病院機能の充実に向けて実際的な取り組みがなされつつあるものと認識をしているところでございます。
  164. 入澤肇

    ○入澤肇君 次に、地域医療計画による病床規制の問題でございますが、この規制が社会的なロスを生んでいるんじゃないかというふうな指摘が地域によってなされております。  要するに、医療計画によって既存の病床数が必要病床数を上回る病床過剰状態にある地域、こういうところでは意欲のある病院が新しい機械、施設を導入して新規参入をしようとしても、全体で過剰であるからといって医療機関の新設とか増床がなかなか認められないというふうなことが行われております。これはある意味ではやむを得ないと思うんですけれども、冒頭申しましたWTOの結論いかんによっては、この地域医療計画による病床規制そのものもおかしいじゃないかというふうなことを言われかねない。  そこで、この地域医療計画による病床規制についての基本的な考え方を確認しておきたいと思います。
  165. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) この病床規制の問題につきましては、先生のような大変識見のある先生がそのような一つ考え方をお持ちであるということは十分に承知をいたしております。  ただ、率直に申し上げまして非常に難しいところは、いわゆる一般の市場経済のもとでは当然のことながらこういうことではなくて、いわゆる消費者がみずからの判断等によってサービスを受ける、こういうことでございますけれども医療の分野におきましては、やはりまずその性格からして公益性ということが前面に押し出されておるわけでございます。そういう中で、いわゆる学校の、予防であるとかそういうことに対する御貢献をいただいておるわけでございますけれども、いわゆる市場主義だけにとらわれるわけにいかない、そういうことでこの制度というものができ上がったわけでございます。  要は、今、先生が申し上げたような、例えば青雲の志を持った医師が新しい病院ができないではないかとか、それから不足しているところはなかなか埋まらないんじゃないかとか、こういうような問題がございます。私どもは、この問題につきまして何回となく見直しを行いながら、そのような医療における活力が失われないような方向で努力をしていきたい、このように考えているような次第でございます。  いずれにいたしましても、きちんと整備計画を決めまして、そして病床の過剰地域におきましては増床を抑制するという性格を持ち、それから病床の少ないところにおいてはそちらの方へやっていって、国民がひとしく医療サービスを受けるような体制をつくるということが肝要である、このように考えているような次第でございます。
  166. 入澤肇

    ○入澤肇君 これで終わりますけれども、これはぜひWTOへの要求のときに念頭に置いて強く我が方の、今、大臣がおっしゃられたようなことを主張しないと、とんでもないことになってしまう可能性があります。これは農産物の世界で十分経験済みなんです。ぜひWTO対策について、冒頭申しましたように十分な関心を持ってフォローしていただきたいと思います。  以上です。
  167. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 介護保険についての質問がずっと続いていますけれども、私は医療保険制度の改革について伺いたいと思います。  医療制度改革の創設はおくれるんではないかというようなことも大臣は衆議院で発言されているようですけれども大臣の著書の中には、高齢者医療保険制度の創設は介護保険導入の三年後、二〇〇三年には発足させたいというふうに書いていらっしゃるんですね。介護保険が実際に二〇〇〇年の四月から実施された場合、細かいことはとにかくとして、お書きになっているとおり二〇〇三年までに医療保険の改革は実現できるかどうか、そこのところをぜひ御所見を伺いたいと思います。
  168. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 私の個人的な著書の中でそのような一つ考え方を示していることは事実でございます。この医療抜本改革につきましては、堂本委員とも長い間議論を交わさせていただいたわけでございます。特に、国民医療費が三十兆円のうち三分の一を占めるのがお年寄りの、いわゆる高齢者医療問題でありまして、この問題を放置しておくわけにはいかない、こういうような認識に立つわけでございます。  まず、この四月から介護保険制度がスタートして、先ほどから私、率直に申し上げて、お年寄りの皆様方に御負担もしていただかなければならない、それからさまざまなこれまでの措置制度から契約制度に変わる、こういう中において、今、医療制度を現実的に取り入れることは難しいというようなことと、それからもう一点は、いわゆる医療福祉審議会において将来の医療保険制度はどうあるべきかということについて十分な審議が必ずしも行われておらず、いわゆる独立型の高齢者医療保険制度になるのか、サラリーマン層を中心とする突き抜け方式であるのかということについて意見が真っ向から割れておる、こういうような状態でございますので、現実問題として私は来年の四月から、どちらにいたしましても、独立制度にいたしましても、あるいは突き抜け制度にいたしましても、実際に行っていくことは不可能だということを率直に申し上げておるような次第でございます。  しかし、このまま放置しておくわけにはいかないわけでございますし、介護保険医療保険が一緒に混同されても、せっかく長年の、寝たきりのお年寄りに対する国民皆さん方の御理解をいただきながらこれを定着させていかなければならないということでございまして、物事には順番があるわけでございますので、私としては、介護保険を御理解いただき、そして一日も早く高齢者医療保険制度というものを創設することが望ましい姿ではないか、このように考えているような次第でございます。
  169. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 大臣のおっしゃることはよくわかるんですけれども、だからこそ私は医療保険の改革を実行するために大変に二年前は努力されたのだと思うんですね、急ぐことを。一番私が危惧いたしますのは、最近の報道でもう健康保険組合の八割が赤字になってきている。こんな状況では、待っていたらばますます、介護保険も随分混乱をしているというのをきょうの審議を聞きながらつくづく思っておりますけれども介護保険だけではなくて、医療の現場もさらに介護が引き金になって混乱するんではないか。  介護医療を切り離して考えることはほとんど不可能だと思います。ですから、こういった状況の中で、今、大臣がおっしゃったような見通しと申しますかは、大変現実的には心配するところです。だからどうということがもう実は大変難しくて、今その突き抜け方式かどうか、これも一度決めたことです、当時は。ですから、それが介護保険と同じにまた白紙に戻っていくという形で、何度も何度も同じような議論をこの国として繰り返していくというのは大変効率の悪いことだと。  だれが主役かといえば、それは政治家国民のためにというふうにだれもが言うんですけれども、やはり一番私たちが考えなければならないのは、実際に病気になる一人一人のことであり、それから高齢者の病気を持った方たちだろうというふうに思います。そういうことを思いますと、そういった政治のからくりのために事が今おくれているようなことというのは大変に、一人一人の国民にとっては余り望ましい状況ではないというふうに思うので、今の状況をどうやったら打破できるのか、それは何としてでも大臣が相当英断を持ってやっていただかないことにはできないことではないかというふうに思います。特に財政的な問題で、これは大変な問題であるというふうに思っています。  細かいことで一つ伺いたいのは、薬剤費の別途負担というのが四月から廃止になります。それに伴う八千百億円の財源不足、こういったものについては、これは政府参考人からでも結構ですが、お答えください。
  170. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) ただいまお尋ね高齢者あるいは若人、高齢者以外の人たちの薬剤負担と一部負担の見直しの関連でございますけれども高齢者の一部負担につきましてどのような形で見直すかということにもよりますので確たることは申し上げられませんけれども高齢者の負担を大幅に変更しないということを念頭に置きまして考えますと、薬剤の一部負担を廃止し、一方で高齢者の一部負担を見直すという方法をとりましても、薬剤一部負担の廃止によって生ずる影響額をカバーすること、それ自体はなかなか難しいようでございます。したがいまして、どのような方法で全体の財政バランスをとるか、それは今後予算編成に向けて検討していくべき課題だと考えております。
  171. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 大臣、非常に今医療の問題、そして介護の問題が泥縄的になってきていると思うんです。今の薬剤費別途負担の問題にしても、財源がはっきりしないまま方針がどんどん出されている。こういうことでいいのかということが私はもう本当に心配です。こういうことを続けていると、どんどんやはり当の病人の方、私たち一人ずつがみんな不安になっていくというふうに思いますので、もう少しそういうところを信頼されるような形で決定していただかないと困るのではないかというふうに、これは感想ですけれども、思っています。  次に、介護保険のことで伺いたいんですが、この介護保険料徴収凍結ということで、前回そして今回も、これは会計年度の独立の原則に反するのではないかというような御質問が多々出ております。私が伺いたいのはこの基金の問題なんです。きょうも出ました質問の中で、基金設立のための条例をつくるということで、そうしますと、基金というのは、これを三月議会に出して可決して、そして初めてそこへ交付金が支払われるという段取りになると思うんですけれども、こういった一連の段取りが四月一日までにとられるのか。  それから、もう一つ明確に伺いたいことは、あくまでも保険料というのは自治事務のはずです。ところが、そういった基金の設立のための条例というのもこれは各市町村の自主的な決定によるべきことだと思いますが、その基金を設立することをしない限り、今度は交付金が受けられない。そうすると、地方自治法の二百四十一条によりますと、それを強制できるのは災害救助法の三十七条のときだけがこれは強制できる、それ以外のときは強制できないということを決めています。そういった中で、これは実質的な強制なのかどうかわかりませんが、実際には強制になってしまう。そういった場合に、やはり自治事務と言いながら、相当中央からのコントロールでそういった条例案を日本じゅうで議会に出させるというような実態になっていくわけですが、そのことについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
  172. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 先生指摘のように、介護保険というのはいわゆる地方分権の一つの象徴としてこのようなものをつくらせていただいたわけでございます。それをどうやって運営していくかということにつきましては、それぞれの市町村がお決めをいただくことでありますし、ですからそれぞれのいわゆる給付サービスによって保険料も異なる、こういうことでございます。  実際問題として、私は率直に申し上げておりますけれども、これまでこのようなお年寄りの皆様方に御負担をいただかなかったことを御負担いただくということで、果たしてどこまで国民、お年寄りの皆さん方がこのことについて御理解をしていただけるかということについて、率直に申し上げて一抹の不安があることは禁じ得ないわけでございます。  そういう中で、特別対策というものが設けられまして、すべての制度が、これまでのいわゆる福祉施策の問題を初めとするすべて、医療保険の分野もございますけれども、すべてが変わるということで、半年間につきましては保険料を猶予しましょう、そして一年間につきましては激変緩和で二分の一にいたしましょう、こういうことで、その受け皿としてこのようなものをおつくりいただきたい、こういうことでございまして、そのこと自体がいわゆる地方分権なり地方自治というものに反するとは思っておらないわけでございますし、あくまでもこれをどうするかということについては市町村の御判断にお任せする、こういうふうに考えております。
  173. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 これは政府参考人からお答えいただいても結構ですけれども、二十九日に説明会をなさるということなんですが、その説明会で条例について説明をなさるのか、そのことを一つ伺いたい。  それからもう一つ山本孝史議員質問主意書のお答えで「市町村が造成する基金の資金によって行われる措置の態様に応じて交付される」というふうなお答えが出ているんですが、この「措置の態様に応じて交付される」というのはどういう意味なのか。その二点をお聞かせいただきたい。
  174. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) これはあくまでもいわゆる保険料の猶予それから軽減に対する措置でございまして、これに応じて保険料を半年間については国の基準に沿って猶予する、それからあくまでも激変緩和として一年間は二分の一の措置をする、そういう性格のものと受け取っていただきたいと思います。
  175. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) お尋ねの来週月曜日、二十九日に予定しております会議で具体的な条例の準則までお示しするところまでは今回は至らないと思っておりますが、さまざまな御連絡をいたしたいと思っております。
  176. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 ありがとうございました。  余りにも私は泥縄だと思うんです。十二月の地方議会はもう無理ですから三月の議会で可決する、それで四月から実施というのは、本当に市町村は相当迷惑な話じゃないか、大変な負担がかかる、混乱のもとになるのではないか。これは感想です。実際にそれぞれの市町村がどうやってこれを運営するのか、大変危惧を抱いています。  次に移らせていただきますが、児童福祉施設に対しての第三者評価システムの導入について政府参考人に伺います。  保育所についてもちゃんと第三者評価システムを導入するのか、それからどういう第三者評価をするのか、それから施設サービスの基準といったものについて決めておられるのか。例えば、老人福祉施設の場合にはおむつを一日に何回かえたらというような、そういう基準がはっきり決まっているんですが、保育所についてはそういった評価基準の指針などを準備していらっしゃるかどうか、伺わせてください。
  177. 真野章

    政府参考人真野章君) 今般の社会福祉基礎構造改革におきまして御提案を申し上げ、そしてその中で第三者によるサービスの客観的評価、それから利用者の権利擁護、苦情解決のシステムというものが福祉施設について必要だということでお願いをいたしております。  私ども、児童福祉施設につきましても、基本的には社会福祉基礎構造改革の中で指摘をされております今申し上げましたようなことにつきましての取り扱いは一緒であるというふうに考えております。  また、今回、児童養護施設などにつきましては、いわゆる契約の仕組みに移行するのではなくて、措置の仕組みを残そうといたしております。これは、親の死亡や養育放棄など親権者が存在しない児童や、親から虐待された児童などを入所させる施設であるというようなことで、必ずしも契約の仕組みになじみにくい部分もあるということで現行制度を維持しようというふうに考えておりますが、措置制度を維持するからといって質の評価をする必要がないということではございません。  また、保育所につきましては、平成九年の児童福祉法の改正で、今のいわゆる保育所方式といいますか、今の市町村との契約という仕組みに移行いたしました。そういう中でも、質の評価というのは当然議論すべき問題でございます。  具体的に第三者評価の仕掛けをどういうふうにしていくか、そしてその中身、どういうチェック項目でだれが調査をするかというようなことにつきましては、今、社会局、私ども児童、障害福祉部あわせて議論をいたしておりまして、今後その中で具体的な対応を示していきたいというふうに思っております。
  178. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 大変問題だと思うんです。  私は、結構保育所のことをあちこち回ってやりましたし、それからベビーホテルなど今はふえているような状況にあります。そういった中で一番の問題は、やはり肝心な子供が育つときの、そういったきちんとした一定のレベルを保つことが物すごく大事だと思います。子供ははっきり言いませんけれども、それが心身の発達に非常に影響がある。  私は、今の御説明だと、これからすべてやるということであって、今何にもできていない、これは本当に遅きに失していると思うので、ずっとフォローさせていただきますが、もっと具体的なお答えが、これだけ措置から利用へと移行する段階でそういったことがこんなにおくれているというのは大変残念に思います。  次のことに移らせていただきますが、これまた局長に伺いますけれども、母体保護法について伺います。  私は、先日バンコクで開かれました、北京で開かれた世界女性会議のフォローアップ会議出席したんですが、そこで各国がいろいろ自分の国でやった成果を発表しました。厚生省が書いたんだと思いますが、日本のナショナルレポートでは、女性と健康のことについては、生涯を通じた女性の健康支援事業をするということだけが書かれているんです。  しかし、一番の問題は優生保護法が九六年に改正された母体保護法で、「本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。」というふうに言われています。このとき、私たち女性議員は大変大きな運動を展開したんですが全然入れられませんで、昭和二十三年のままの条文が何ら変化していません。  しかし、北京行動綱領によりますと、最終的には女性が自分の体、例えばもう離婚が決まっているのに妊娠しているというようなときには夫の同意なんて得られるはずがない。そういったときに、中絶ができるという最後の決断のときにこういうものがあるということは、非常に女性の基本的人権の侵害になると思います。  今、性的な暴力も大変ふえてきました。そういった中で、望まない妊娠をした女性が相手に同意を得られるような状況ではありません。そういった中で、日本が女性に関して非常におくれているというのは本当におかしい。そういう点については、何ら日本政府からの報告には触れられていない。  一方で、NGOの方の報告を読みますと「一九九六年の優生保護法の母体保護法への改正は、」というふうに書かれていて、「夫またはパートナーの了解を得なければならないとした部分の修正が行われなかったのみならず、女性のリプロダクティブ・ヘルス/ライツに基づく生涯にわたる女性の健康に関する政策の法制化は実現していない。」と。これは、五年たっても日本国はこの世界女性会議で日本も合意したものを実行していないということです。  きょう、もうぜひともきちっとお願いしておきたいのは、少なくとも日本が合意した文書に関しては、国内の法律もきちっと整合性を持たせる必要があるということ。  それからもう一つ大事なことは、中絶を迫られることのもう一つの状況は、障害者への差別ということがあります。優生思想が社会一般に非常に根強くまだ日本には残っていますから、そういった問題が今起こりつつあるように思いますけれども、そういった場合にも、きちっとした女性の健康に関する基本的な政策のもとで、母体保護法に関しては、女性の人権が阻害されたままの状況でさらに女性の人権が阻害される、あるいは健康が阻害されるような改正をするようなことは決してしていただきたくないと思うので、そのことについてお答えいただきたい。
  179. 真野章

    政府参考人真野章君) 先生指摘の母体保護法によります人工妊娠中絶の議論につきましては、先生これはもうよく御存じのとおり国民の間で議論が大きく分かれていると、私どもはそういうふうに考えております。この部分につきまして、現在、国民の間で意見が分かれている中で、国民のコンセンサスが得られている状況ではないのではないかというふうに思っております。  ただ、先生御案内のとおり、リプロダクティブヘルス・ライツの観点から、昨年から一年かけまして、生涯を通じた女性の健康施策に関する研究会というのを、児童家庭局で議論をしていただきました。その提言におきましても、望まない妊娠を防ぎ、子供を望んだときに妊娠できるようにするための提言がなされておりまして、その中で女性が主体的に避妊することを支援する必要性ということが指摘されておりまして、先日、低用量経口避妊薬ピルの使用ができるようになりました。そういうことで……
  180. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 そのことは伺っていませんので、結構です。  最後に一言。  今のは全然違ったお答えです。すれ違いでしかありません。意見が分かれている分かれていない、厚生省はこれを恐らく三十年は言っていますよ。世界が進歩している中で、バンコクへ行ったときに、今、途上国の方がはるかにそういう意味では進んでいます。日本国はこういうことに関しては先進国なんてこれっぽっちも言えないですね、そういうふうにおっしゃるのであれば。  途上国の方がどれだけ、エイズの問題にしろ、こういった女性の望まない妊娠が女性たちを苦しめているかということで、どんどん新しい政策をとっている。だから、私はとても恥ずかしいと思ったんです、日本がこういうことに関しておくれていることが。そして、十年一日のごとく、もう本当に何とかの一つ覚えで同じことをおっしゃる。これはおかしいです。少子化が進むのは、まさにそういうところにこそ原因がありますよ。本当にそういうところを、今のような答え方で言うのであればおかしい。  そして、意見が分かれているということではなくて、これだけ女性への暴力がふえている中で、男性の同意が得られないことがあるのに、そういったときに中絶の最終的な選択ができないということを法律で決めているこの制度がおかしいということを申し上げているので、それ以上のことを聞いているわけじゃありません。  ですから、もう時間が来たので私はやめますけれども、今度は局長にきちっともう一回またチャンスを見て伺いますけれども、今の御認識はまさに何回も何回ももう耳にたこができるほど私たち女性が聞いてきたのと同じせりふをお繰り返しになっただけでございます。そういったものはもう伺いたくありません。世界じゅうの女性たちが合意したことをなぜ日本国ができないのかということを伺っているので、そのことを改めて申し上げておきたいと思います。  ありがとうございました。
  181. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。  私は、自自公連立政権の社会保障政策に対する基本的な考えから、まず大臣政務次官にお伺いしたいと思います。  マスコミ等々でもいろいろ御批判はあるわけですけれども、しかしこれまで福祉の充実に本当に真剣に取り組んでこられた公明党が政権に参加をしたということは、私自身福祉で頑張ってきたわけですけれども、大変心強く思います。そこで、大臣政務次官にそれぞれ、その連立政権の中でそれぞれが果たす役割をまずお伺いしておきたいと思います。
  182. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 公明党さんは、立党以来、福祉ということを党の一つのバックボーンとして大変熱心に取り組んでこられた政党でございます。そのような取り組み方について、私も長い間、福祉政策に取り組んできた者の一人として心から敬意を表するものでございます。  これまで私も党の方で政調会長代理という職にありまして、自由党さんあるいは公明党さんとともどもいわゆる少子化対策などの問題について取り組んでまいりました。それで、お互いにいろいろなまだ隔たりはあるわけでございますけれども議論の中でお互いに信頼関係を築くことができた、このように考えているような次第でございます。いずれにいたしましても、連立政権のもとで社会保障の充実を進めていきたい、このように感じているような次第でございます。  特に大野総括政務次官には、横に置いて大変恐縮でございますが、常に私のエラーを拾っていただきまして、心から感謝をいたしております。これからも二人三脚で我が国の福祉の前進のために全面的に頑張っていく決意を新たにするような次第でございます。
  183. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 厚生行政は、二十一世紀を目前に控えまして、経済社会の活力を維持しながら一人一人が心豊かに安心して生活できるという、こういうセーフティーネットをきちっと整備していく、そういう役割があると思いますが、公明党は連立政権のもとで活力と安心の生活大国を目指し、また生活安全保障の確立というものを大きな基本的な政策、考え方として立てて、基軸にしているわけでございます。  三党の協議の中で主張すべきは主張し、譲るべきところは譲り、公明党の政策も大きく反映をしていただいていると思いますので、今後も三党協議で医療とか年金とか介護とか、こうした総合的な政策をしっかり協議しながら、この与党協議を踏まえて、政府も積極的に前向きにしっかり頑張ってまいりたい、このように思っております。
  184. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございます。  本当にいつも申し上げるように、いつでもどこでもだれでも、朝でも昼でも夜でも夜中でも、子供からお年寄りに至るまで、安心のできる二十一世紀に向かう福祉の方の充実をよろしくお願い申し上げたいと思うんです。  政務次官は閣内にお入りになったということで、与党三党におきましての政策合意、そういう中から社会保障の分野に関する合意内容と申しましょうか、そういう部分を政務次官としてはどういうふうに評価なさっているか、お伺いしたいと思います。
  185. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 今お答えした中にも含まれているわけでございますが、この三党協議の中で社会保障の合意、また介護の問題、それから児童手当及び奨学資金の拡充等々の少子化対策について三党でしっかり協議をしていく、こういう合意ができておりますので、この三党協議の中でしっかり頑張ってまいりたい、このように思っております。
  186. 西川きよし

    西川きよし君 私は特に細かいことばかりいつもお尋ねするんですけれども、そういう部分で政務次官には特に頑張っていただきたい、そんな気持ちで御質問をまたさせていただきたいと思います。  そこで、この連立政権が樹立された後、今まで政務次官質問をなさった会議録とか公明新聞等々、いろいろと勉強させていただいております。その項目の中でもこの少子化対策に特に重点を置いてお取り組みになっておられるわけですけれども、今後の少子高齢化におきまして、次世代を担う子供たちの役割というのは本当に大変大きいものがあると思います。  先ほどからもいろいろな視点から質問が出ておりますけれども、私がお伺いしたいのは、これまでの政権が取り組んできた少子化対策、そして公明党が新たに加わって少子化対策にはどういうふうにして取り組んで、どういう違いがあるのか。そしてまた、これまでの少子化対策についてはどのような評価をされておられるのか。公明党が参加をすることによりまして、少子化対策についてはこれまでの政権とはこういうところが違うというような違いがありましたら、理念等々も含めましてお伺いしたいと思います。
  187. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 少子化対策についての御質問でございますが、合計特殊出生率が一・三八という状況になりまして、この少子化が想像以上に社会、経済に大変重大な影響を及ぼすことを懸念しております。そして、今回公明党が連立政権に参加をするに当たって合意された三党連立政権の政策合意課題の中にも、この少子化対策の推進が合意をされているところでございますし、政府としても少子化対策推進関係閣僚会議で年末までに少子化対策の基本方針を決める、こういうふうになっております。  具体的なことを今お尋ねでございます。  少子化対策についてはさまざまな課題があろうと思います。女性が仕事と子育てが両立できるような雇用環境を整備していくということも大きな課題でしょうし、きょうも委員会でさまざま御質問が出ましたけれども、多様な多機能な保育サービスを充実させるということも大事でしょうし、子育てに夢が持てるような環境整備をすることも必要でしょう。また、今非常に子育てに経済的な負担が大きいというようなことも一つの少子化の大きな原因にもなっておりますので、児童手当の拡充というようなもの、また教育に非常にお金がかかるということも大きな課題になっておりますので、高校、大学生になれば親が心配しなくても奨学資金を受けて、自分でしっかり奨学資金をもとに学校へ行き、卒業したら自分で借りたお金を返すことができるというようなそういう奨学資金の拡充、こういうことも必要ではないか、このように思っております。
  188. 西川きよし

    西川きよし君 そこで、具体策ですけれども、今おっしゃいました児童手当制度の拡充ということですけれども、こちらに関しましては与党三党合意に当然盛り込まれているわけですけれども、そのあたりのお話をお伺いしたいと思います。
  189. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 児童手当につきましては、与党間でこれから十二年度予算編成にかけてしっかり検討をしていくということになっておりまして、所得課税のいろいろな控除がございますが、これとあわせて与党間でしっかり検討をしていく、こういうふうになっております。
  190. 西川きよし

    西川きよし君 そこで、この児童手当制度の拡充ですけれども、期待する声、ふやしていただくということを本当に喜ばれる方、たくさんそういうお声も聞きます。  また一方で、ばらまきの政策ではないかと、いろんな新聞等々も読ませていただきますといろいろ書いてあります。例えば、日経ですけれども、十月二十二日、東京のあるところでは、例えば九四年度から三人目には五十万円、四人目には七十万円の出産祝い金を支給するようになったと。継続的な手当ではないにしても同町の出生の数にはほとんど変化はなかった。このため五年間だけで実施は廃止した。ただお金を出せば子供を産むというような考え方は間違っているという一つの証明になるんではないかというようなことも新聞にも書いてあるわけです。このあたりが大変、先ほど堂本先生、そしてまた井上先生等々から御質問がございましたけれども、本当に難しい問題であると思います。  そこで、ことしに入ってから連立を組むまでの政府見解、検討はするものの、財源の問題を初めとして答弁ぶりが少し重苦しいというんですか、歯切れがよいというようには僕自身は感じなかったんですけれども、この連立政権によりますばらまきというような批判に対して、そしてまた所得制限を撤廃することについてということもあわせてお答えをいただけたらと思います。これは次官と、大臣にも一言ずついただけたらと思います。
  191. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 今、一部ばらまき等々の批判があるようでございますが、公明党の主張を私は代表してここでお話しする立場ではないと思うんですが、公明党の主張も、児童手当だけではなくて、さっきも言いました奨学金の問題もありますし、保育所の待機児童ゼロを初めとする規制緩和、それから多機能な保育サービスの計画的な推進など総合的な少子化対策の推進を提案し、一生懸命取り組んできた、こういうことが一つございます。  もう一つは児童手当ですが、これもいろいろ御意見はあろうかと思いますが、既にヨーロッパでは、イギリス、フランス、ドイツ、またスウェーデン等々、大体十六歳または十八歳までの児童手当、八千円から二万五千円ぐらいの月額でございますが児童手当を出している、こういうこともございます。  それから、いろいろなアンケートの中でも、子共を産みたいけれども産めないという、済みません、私、今ちょっと手元に持ってこなかったんですが、子育てに対するやはり経済的な負担が大きいということが子供を産むことをちゅうちょする理由の中にも、人口問題何とかというところで出した報告書の中にそういう報告もございました。  そういう意味で、昔は貧乏人の子だくさんなんという言葉もございましたけれども、今の若い方々が子供を産んで貧乏生活を余儀なくされるのであれば、とてもじゃないけれども子供を産もうという気持ちにはなれないというのもこれまた事実ではないか、このように思いますので、そういった意味での子育てに対する支援というものは当然必要ではないか、このように思います。
  192. 西川きよし

    西川きよし君 昨晩のNHKの「クローズアップ現代」ですか、僕は見せていただいたんですけれども、こういう政府委員制度というのを廃止して、でもやはりお役人さんが質問取りに歩いて、もう朝の六時ごろまで答弁書をつくってという細かいことの放送も見せていただきました。大臣もごらんになりましたか。  ですから、僕らが重箱の隅をつつくというようなことは、昨晩の放送でもありましたけれども、そうではなしに、僕が思うのは、本当に公明党に入っていただいたことで、僕らは、福祉をやる人間としては大変心強く思うわけです。細かいことを政府の方に御説明いただくんですが、本当に是々非々というんですか、いいところと悪いところと、これは政務次官が、そしてこれは大臣が決断するんだというところのそういう勇気の決断というんですか、責任ある発言みたいなものをここでいただけたら、我々も全国の皆さん方に本当に自信を持って、また責任を持って御説明をできるので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  そこで次に母子家庭施策、今申し上げました児童扶養手当制度ですけれども、昨年の八月にこの所得水準の見直しが行われたわけですけれども、この見直しによって一体どれぐらいの方が母子世帯の手当を打ち切られたんでしょうか。
  193. 真野章

    政府参考人真野章君) 平成十年十二月末日までに現況届を提出していただいた方のうち、平成十年八月に行いました所得制限の見直しによりまして児童扶養手当が支給停止となりました方の数は、受給者本人の所得制限と扶養義務者の所得制限、両方合わせまして約六万人というふうに見ております。
  194. 西川きよし

    西川きよし君 この基準の見直しにつきましては、母子家庭以外の所得の低い世帯との均衡も踏んまえた上での措置ということでございましたけれども、そうした中で、やはり打ち切りになった御家庭にとってみれば大変御苦労があると思うんです。  毎年二月十一日には、大阪では本当に大きい母子大会があるんですけれども、切実な声をたくさんお伺いしますし、今も届きます。もちろん大臣や、また政務次官の方にも届いていると思うんですけれども、この基準の見直しが行われた後の今の現状については、政務次官はどういうふうにお感じになっておられるんでしょうか。
  195. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 先ほどの児童手当と関連しての御質問かと思います。  確かに、子育て支援ということは大変重要な問題でございますが、今、同じ所得水準で母子家庭だけじゃない、そういう家庭がたくさんあるという、こういう現状もございまして、母子世帯のみ手当を支給するということは他の世帯との間で比較して不公平になるのではないかというような指摘があります。中央児童福祉審議会の提言等々にもこうした提言があるわけでございます。もう一つ、今、離婚世帯が大体この手当の受給者の九割を占めるようになってきたという中で、本来なら別れた夫が養育費を出さなければいけないのに児童扶養手当がその代替機能を果たしているということでいいのかどうかという、そういう指摘もあるわけです。  でも、西川委員が御指摘のように、大変母子家庭が子育てで苦労していらっしゃる、子供を育てながら仕事を、収入も低い中で大変御苦労していらっしゃるという、こういう実態はほっておくわけにいかない、こういう実態があることもこれもまた事実であろう、こういうふうに思いますので、私はこれを児童扶養手当で解決するというのはなかなか難しいのかなという気はいたしますが、例えば無利子の貸付制度等もあるんです、福祉貸付制度。意外とこれが知られていないようで、実際に借りている方が非常に少ないようなんです。  ですから、こういうのをもっとPRして積極的に使っていただくとか、それからこの福祉貸付制度、また生活資金の貸付制度とか、こういう問題がもっと拡充できないか、もっと利用しやすいものにできないかどうか、こういった観点で工夫できる余地はあるんじゃないか、もっと真剣に取り組んでいかなきゃいけないんじゃないか、私もしっかりこの辺勉強してまいりたいと思っております。
  196. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願い申し上げたいと思います。  離婚なさっても、夫の方からは短期間でもう送ってこなくなるというようなお話もたくさんお伺いしておりますけれども、そういう制度の中で、例えば離婚をして当面親元に帰って生活をするという方々もたくさんいらっしゃいます。都会でえらい目に遭ったからふるさとへ帰るんだというような方もたくさんいらっしゃいますし、都会の中でもそうですけれども、そういった場合に、両親、兄弟から金銭的な援助を受けている状況はあるわけですけれども、その親兄弟の所得が所得水準の対象となるということで、一方で世帯が別であれば、幾ら金銭的に援助を受けているにいたしましても親兄弟の収入が対象となることはない。  また、この制度の場合には前年の所得で判断をされるものですから、いわゆる現時点での生活状況は配慮されない、こういうことになっておるわけですけれども、こうした制度に対する疑問の声というのがたくさん届いてまいります。  政務次官に今後の児童扶養手当のあり方、そして一方、母子家庭の施策についてお答えをいただきたいと思います。
  197. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 確かに児童扶養手当が前年度の収入になっている、もっとリアルタイムに今年度の収入で、本人が失業なりしたときに即座にというような御要望かと思うんですが、ある面では雇用保険がこういう緊急事態に対しては対応する制度としてあるのだと思います。また、今年度の収入をもとに児童扶養手当を出すとなると、確かに事務的な問題とかいろいろ難しい面もあって、では仕事についたときにはすぐそれで打ち切るのかどうなのかとかというようなこと等々もございまして、児童扶養手当をすぐ今年度の収入をもとにというのはなかなか難しい面もあるものですから、さっきも言いましたけれども、福祉貸付というものがもっと柔軟に融通無碍に、緊急事態にこの雇用保険だけでは間に合わないようなときに、この福祉貸付金がもっと柔軟に活用できないかどうかということをしっかり研究してまいりたいと思います。
  198. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございます。  昨日も役所の方からいろいろ御説明いただいて、質問取りという時間のときにいろいろお伺いいたしまして、どういうふうにして前年度と今回とのという難しいカウントの話だとかいろいろ出たんですけれども政務次官にお伺いしておきたいなと思いまして御質問させていただきました。  今の福祉の貸し付けですけれども、そういうものでも皆さん方は、借りるのは簡単だけれども、きよしさん、それをまた働いて返さないかぬでしょうというような、もちろんお借りしたものは返さないといけないんですけれども、そういう部分をひとつよりよい方向にしていただきたいというようなことでお話をお伺いするわけです。ぜひ政務次官にはこういう手厚いところをひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  続いて、私は二十四分までですので、保育サービスにつきましてお伺いをしておきたいと思うんです。  前国会でやったと思うんですけれども政務次官がいろいろと質問をされておられました。そして、その議事録も小さい文字にいたしましてこちらにたくさん持ってまいりまして、目を通させていただきましたが、その際、大変大切な指摘をしておられると感じておりました。ゼロ歳児の待機児童、先ほどからも出ておりますが、自治体にはもともとゼロ歳児を扱っていないがためにゼロとしているところが多くあると。それは実態としては大きくかけ離れているのではないかと思うわけですけれども、このような指摘をされています。  先日、厚生省の発表では、先ほども平成十五年にはゼロに、全国の保育所の待機児童が解消されると。次官御自身が指摘された点につきまして、政府内に入ってから今後はどういうふうに対処されようと考えておられるのか、そしてまた今後の保育サービス、最後の質問になりますけれども、こういう点もひとつ御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。
  199. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 乳児保育を現在実施していない市町村につきましては、これから毎年待機児童数の調査を把握していく中でしっかり改善を厚生省として指導して、そして乳児保育のニーズがあるのに実施していないというようなことがないようにしっかり市町村に対して指導をしてまいりたい、このように思います。  そしてまた、緊急保育五カ年計画の後ですが、政府少子化対策会議を受けてポスト少子化計画というようなものもつくって、その中でしっかり対応してまいりたい、こういうふうに思います。
  200. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。
  201. 狩野安

    委員長狩野安君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十三分散会