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1999-11-18 第146回国会 参議院 国民福祉委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十八日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員の異動  十一月十一日     辞任         補欠選任      久野 恒一君     中曽根弘文君      入澤  肇君     星野 朋市君      堂本 暁子君     菅川 健二君  十一月十二日     辞任         補欠選任      中曽根弘文君     久野 恒一君      星野 朋市君     入澤  肇君      菅川 健二君     堂本 暁子君  十一月十五日     辞任         補欠選任      尾辻 秀久君     鈴木 正孝君  十一月十六日     辞任         補欠選任      鈴木 正孝君     吉村剛太郎君  十一月十七日     辞任         補欠選任      吉村剛太郎君     尾辻 秀久君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         狩野  安君     理 事                 田浦  直君                 水島  裕君                 勝木 健司君                 山本  保君                 小池  晃君     委 員                 尾辻 秀久君                 久野 恒一君                 常田 享詳君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 今井  澄君                 佐藤 泰介君                 松崎 俊久君                 柳田  稔君                 沢 たまき君                 井上 美代君                 清水 澄子君                 入澤  肇君                 堂本 暁子君                 西川きよし君    国務大臣        厚生大臣     丹羽 雄哉君    政務次官        厚生政務次官   大野由利子君        経済企画政務次        官        小池百合子君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  津野  修君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君    政府参考人        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        厚生省健康政策        局長       伊藤 雅治君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        厚生省老人保健        福祉局長     大塚 義治君        厚生省保険局長  近藤純五郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 〇政府参考人出席要求に関する件 ○社会保障等に関する調査  (介護保険に関する件)     ─────────────
  2. 狩野安

    委員長狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障等に関する調査のため、本日の委員会総務庁行政監察局長東田親司君、厚生省健康政策局長伊藤雅治君、厚生省社会援護局長炭谷茂君、厚生省老人保健福祉局長大塚義治君及び厚生省保険局長近藤純五郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 狩野安

    委員長狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 狩野安

    委員長狩野安君) 社会保障等に関する調査うち介護保険に関する件を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 久野恒一

    久野恒一君 自由民主党の久野恒一でございます。  介護保険を開始するに当たりましては、最近いろいろと問題も提起されているようでございます。そういう意味では、大変お忙しい中を行政側あるいは大臣には御苦労なさっている、そういうふうに思う次第でございます。いずれにいたしましても、スムーズなスタートを切らなければならないと私は思っております。しかし、スタートをする前に、私なりに幾つかの疑問点がございますので確認しておきたい、そういうふうに思うわけでございますので、よろしくお願い申し上げます。  介護保険理念についてでございますが、今までは一般病院長期入院していたいわゆる社会的入院を解消いたしまして、高齢者の要介護方々は最後は畳の上で、あるいは家族が面倒を見てと、そういうことでもってスタートしたと思うわけでございます。そういう意味では家族負担が大変かかる問題でございますので、地域ケアシステムなるものをつくって、地域でもってその患者さんを、あるいは要介護者を見るというのが原則であったと思います。そういうネットワークにいかに乗せるか、これがいろいろ県によってまちまちだとは思いますけれども、趣旨としてはそういうことだと思います。また、帰宅できない要介護高齢者長期療養型の療養に適した施設に移りまして、最適なサービスを受けるのが一つ目的であったと思うわけでございます。  介護保険導入の最大のメリットといたしましては、医療費の節減にもつながってくるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。最近、医療費の問題、保険改革ですね、それから診療報酬議論などいろいろ出ていると思います。介護保険が果たしてこのような理念どおりにいくのかどうか、非常に懸念しているわけでございます。  そこで、このような介護保険制度導入趣旨目的が今までどおり変わらない、そういうようなスタートが切れるかどうか、その最初の理念に基づいた御質問をさせていただきたい。大臣、ひとつよろしくお願い申し上げます。
  6. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 介護保険制度導入一つの要因となりましたのが、先生も十分に御承知のことと存じますけれども、医療保険制度のもとでいわゆる介護ニーズのあるお年寄りをある程度引き受けてまいりました。急性期病棟でそういうようなお年寄りを引き受けてくることが社会的入院という俗な言葉で言われておりますが、この人数につきましても七万人前後だと、こうよく言われておるわけでございますけれども、これをどういうふうにしていくかということが一つの大きな導入のきっかけになりました。これにつきましていろいろな議論がございましたけれども、医療介護区分して、それぞれのニーズに適切なサービスを提供することが、今、先生指摘制度目的一つでございます。  このような観点から、介護施設につきましては、従来のいわゆる福祉施設とそれから医療施設というものを再編成いたしまして、特別養護老人ホームあるいは老人保健施設、さらに療養型病床群、この三つ施設対象にしたわけでございます。  こうしたようないわゆる条件整備を図ることによりまして、医療費の効率的な使用といいますか、こういうことを目的にいたしているものでございまして、当初のこの理念といいますか目的は変わっておりません。
  7. 久野恒一

    久野恒一君 どうも御丁寧にありがとうございました。  今までは、一般病院に入院していた長期入院患者が、出来高払い制で、一人当たり入院費老人医療費としてかかっていたわけでございます。介護保険導入によって、介護保険適用施設に入りますと、これは定額制であろうと思います。したがいまして、そのコストは非常に安くなるわけでございます。  そこで、議論に入る前に基本的な考え方を一点確認しておきたいと思うわけでございますが、介護保険適用施設定額制とする、この考え方について、政府参考人の方に説明していただきたい。定額制にする理由を確認しておきたいと思います。
  8. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 高齢者方々医療につきましては、かなりのウエートで患者症状比較慢性的な疾患を有することが多いということから、医療の分野におきましても、いわゆる包括払いをし、定型的な医療になじむ支払い方式を幅広く導入してきたところでございます。  介護保険適用となります病院、具体的に申しますと療養型病床群ということになるわけでございますが、この施設におきましても、症状比較的安定し、介護などのサービスを必要とする長期療養患者方々対象となる、高齢者対象となるということにかんがみまして、基本的なサービス部分につきましては、できる限り包括した介護報酬という形でお支払いをするということを考えておるところでございます。
  9. 久野恒一

    久野恒一君 これをお聞きした理由と申しますのは、今お話しなされた療養型は今までも定額制でございまして、従来は介護力強化病院として位置づけられておったわけでございますけれども、これが療養型に変わる。  そうしますと、介護力強化病院を例にとりますと、ただいまお答えいただいたように、薬代が約一万六千円から二万円程度、内払いで入っているわけです。内枠に入っているわけですね。また、老人保健施設定額制でございまして、これも薬代内枠に入っているわけでございます。一方、三つ目施設として特別養護老人ホームがあるわけでございますが、これは医者が非常勤である。そういたしますと、どこかの医療機関にかかって薬をもらわなければならない。そうしますと、外枠であるということになろうかと思います。  特別養護老人ホームの場合は外枠となりますと、定価が過去、八月に出ておりますけれども、前二者は内枠特別養護老人ホームだけ外枠となりますと、ちょっとボリュームがアンバランスなのではないか、そういうふうに考えるわけでございます。しかも、療養型病床群あるいは老人保健施設は、これは医療法人立が圧倒的に多いわけでございまして、課税対象でもございます。特養社会福祉法人でございますので、非課税措置となっていると思います。  そういうことで、今の説明どおりだとしますと、医療法人立施設にはかなりのハンディがあるのではないか、私はそう思うわけでございます。その点を踏まえまして、もう変わることはないと思いますけれども、一応は頭の隅っこに入れておいてほしいと思います。  そこで、次の質問に移らせていただきますけれども、そもそも、介護保険スタートするその前提作業として、今まで病院全体について、急性期慢性期そして介護保険適用病院を明確にし、それぞれの必要な病床数がどの程度になるのかをあらかじめ決めておかないといけないと考えております。  そこでお伺いいたしますけれども、医療保険適用病院介護保険適用病院との区別の基本的な考え方、これを説明していただきたいと思います。
  10. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 介護保険制度スタートいたしますと、この介護保険施設の一種類に療養型病床群というものがなるわけでございます。先ほども御説明したのと重なりますけれども、病状あるいは状態が安定した長期療養患者方々対象とする療養型病床群の中でも、患者医学的管理必要度などに応じまして、原則として病棟単位を考えておりますけれども、医療保険適用部分介護保険適用部分区分して、介護保険制度対象医療保険制度対象とさせていただくことを考えております。  具体的に申しますと、医療保険適用療養型病床群におきましては、御専門のお立場から見ると、例が適当かどうかわかりませんけれども、例えば悪性腫瘍の末期の患者さんなど日常的に密度の高い医学的管理を必要とする方、あるいは積極的なリハビリテーションを必要とする方、こういった方々が主な対象として考えられるわけでございます。  一方、介護保険適用される療養型病床群につきましては、要介護認定介護が必要と判定された高齢者で、そのような密度の高い医学的管理は必ずしも必要がない、むしろ介護を中心とした比較密度のそう高くない医学的管理で足りる、いわば状態が安定した患者方々を主として対象とする、こんな考え方区分をしておるわけでございます。
  11. 久野恒一

    久野恒一君 悪性腫瘍とか要医療に近い患者さんは療養型病床群と。医師の定数看護婦定数からいってもそういう見方ができるのではないか。また、特別養護老人ホームも、軽い人と言ってはなんですけれども、ランクづけはありますけれども、そういうランクの中で見ていく、そういうことであろうかと思います。  そこで、次の質問に移らせていただきますけれども、私は介護保険適用病院区分するのは当然としても、一般病院についても介護保険制度導入までの間に、あと五カ月しかないわけでございますけれども、早急に、急性期病床慢性期病床考え方病床あり方診療報酬体系も含めて明確に両者の病床区分けしておく必要があるのではないかと思うわけでございます。  介護保険導入により、一般病院社会的入院していた患者介護保険適用病院施設に移ることになりますと、特に病床過剰地域におきましては一般病院にあきが出てくる。介護保険施設に移るわけですから、その分あきます。そうなりますと、急性期慢性期との区分けを明確にしておかないと、あいたままでもってそのまま放置してしまうとどうしても不都合が生じるのではないか、そういう意味でお聞きしているわけでございます。  このあいたところに今までどおりの看護体系でもって人を張りつけてしまうと、どうしても人件費は払わなくちゃならないので当然赤字になります。大体、その施設は、介護保険ができたからといって急に病人ができるわけではございません。介護保険の必要な人はそちら側に流れますけれども、一般病院に関してこの急性慢性とを明確に分けておかないと、そのままあいたままにしておきますと病院赤字経営になってしまいますので、そうなりますとどうしても不必要な患者さんが入院させられる。  例えば、夜中に救急で運ばれた。運ばれた患者さんが夜中になって痛むと困るからもう一晩様子を見ましょうよということでもって、日曜日とか土曜日とかそういうときに入ると、どうしても救急搬送されますと、そういうことは不必要な患者かもわかりませんけれども、痛くなった原因もあるだろう、月曜日になったらいろいろ検査しましょう、そういうことでもっていろんな検査もする。頭の先から足の先までと言うとオーバーな話になるかもわかりませんけれども、そういうこともあり得るということを私は考えるわけでございます。  したがいまして、現状介護保険スタートする前に急性期慢性期患者をはっきりと分けておく必要があるのではないか、そう思うわけでございます。  また、急性期なら急性期病棟にふさわしい張りつけ人数看護体系が二対一、二・五対一とかいろいろございますけれども、それから慢性期患者はより薄くしておけばその分だけ人件費がかかりませんから、そうするとそこでもって医療費を削減することもできる。マルメにしても結構でございます。そういう看護体系出来高払い制定額評価、いろいろ診療報酬体系の決め方もございましょうけれども、一般病院急性慢性患者が混在する今の状態では医療費にもむだが生じてくるのではないか、そう思うわけでございます。  そこで、各地域医療計画に基づいて、急性期慢性期病床のそれぞれの必要ベッド数、これを明確に算定するよう急性慢性の区切りの考え方を明確に示すとともに、診療報酬をどのように設定するかも含めて、一日も早く明確にすることが重要であると私は思うわけでございます。このようなことについて厚生省としてはどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
  12. 伊藤雅治

    政府参考人伊藤雅治君) ただいま先生指摘病床区分の問題につきましては、本年七月に医療審議会から中間的な報告をいただいておりまして、それによりますと「現行一般病床の在り方を見直し、主として急性期患者が入院する病床と主として慢性期患者が入院する病床区分し、その機能分化を図り、それぞれの病床において提供する医療サービスにふさわしい人員配置基準構造設備基準を設定することが必要である。」、このような意見書をいただいているわけでございます。  私どもといたしましては、この中間報告を踏まえまして、今後関係者の御意見もお伺いしながら具体的な検討を進める所存でございまして、平成十二年度からの実施に向けまして最大限の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  13. 近藤純五郎

    政府参考人近藤純五郎君) 診療報酬関係でございますが、現在、診療報酬体系の中長期的なあり方というものにつきまして中央社会保険医療協議会、いわゆる中医協審議が進められているところでございます。  その中で、医療法におきます病床区分、これは現行医療法でございますけれども、この医療法におきます病床区分基本といたしまして、急性期医療、それから慢性期医療等の疾病とか病状に応じました患者ニーズ、こういった視点から、保険医療機関機能分担、その連携、こういったものが図られるように診療報酬体系を見直す方向中医協の方で示されているところでございます。  今後は、仮にではございますけれども、御指摘のような病床区分というのが法制的に決められるということになりますと、そうした病床区分考え方に従いまして診療報酬体系も構築する、こういう考え方でございます。
  14. 久野恒一

    久野恒一君 今、そういう方向にあるということをお聞きしたわけでございますが、大体私は介護保険スタート前にやってほしいと言っているわけでございますが、その前になるのか後になるのか、ちょっとその辺のところを再度確認したいと思います。
  15. 伊藤雅治

    政府参考人伊藤雅治君) 現在、医療審議会におきまして、七月の中間報告を踏まえて具体的なことを検討しているわけでございまして、その結論を得まして対応を考えていきたいと考えているところでございます。  介護保険制度の四月の前か後かということにつきましては、必ずしも現状におきまして明確にお答えすることは難しいわけでございますが、平成十二年度からの実施に向けて努力をしていきたいというのが基本的な考え方でございます。
  16. 久野恒一

    久野恒一君 急遽この問題を出したからといって、損するところもあれば得するところもある、そういう利害関係もありまして、なかなか四月一日からの前にスタートはできない、そういうふうに私も御推察申し上げる次第でございます。  ちなみに、参考でございます。私のところには一般病院療養型病床群と老健がございます。これの一カ月の入院費、一人当たり入院費、これを一応は三カ月を区切ってデータをとらしてみたわけでございますけれども、三カ月以内の患者は、百九十九ベッドございますけれども、三カ月以内では平均して約八十八万円かかっております。三カ月を超えますと七十三万円でございます。その差は十五万円。看護体系は二・五対一でもってなっておりますけれども、平均在院日数は二十六・五日でございます。  うち病院には百九十九床のうち三十三名が入っておりますけれども、三カ月を超している人が三十三名いるわけでございますが、この長期入院患者というのは、大抵はMRSAに感染している患者、そういう患者が多いわけでございます。この価格というのは、うち病院は二・五対一に算定されておりますけれども、従来の計算の仕方ですと二対一、あるいは軽い人になると四対一の病棟、そういう病棟単位うち病院は半分に割って、二対一の看護体系、四対一の看護体系、足して二で割ると三対一の看護料金、それしかもらえないわけでございます。  そうなりますと、幾ら一生懸命こっちでやって、手がかからなくなったから多少手を抜いたといいますと、その平均値をとられて看護体系がとられているわけでございます。その差が三カ月を過ぎても十五万円ぐらいしか変わらない。  これは、看護料というものが決まっておりますから、施設によってもいろいろ差が出てくると思います。四対一の看護体系をとっているものと、二・五対一、二対一の看護体系、いろいろ看護料でベースが違いますから、うちの場合を言っていることでございまして、医学管理料は二週間置きに極端に下がってまいりますから、一カ月も過ぎたら本当に一〇%ぐらいになってしまいますから、そういう意味では、単価の比較というのは、急性期の点数の比較はちょっと一般的には難しいと思いますけれども、これを一律に、慢性だからといって、三カ月以上いるからといって、政府が決められた五段階の最高のところの四十三万円前後に抑えられたのでは、これはとても採算がとれるわけではございません。  医療費対応療養型病床群にするのであるのなら、介護保険療養型病床群と同じ看護体系にしてもらわないと、平均して足して二で割ってなんという考え方ではなくて、ちゃんと急性期病院急性期の張りつけ人員でもって請求できる、慢性期になったならばその張りつけ人員でもって請求できるというようにしていただかないと、なかなか病院経営は難しくなるというふうに私は考えているわけでございます。ちなみに、ここでそれを分けることによって、一人頭一カ月約三十万円浮いてくるわけでございます。これは参考意見として聞いていただきたいと思うわけでございます。  次の質問に移らせていただきますけれども、別の論点として、医薬分業の推進あるいは薬価制度改革により医療機関における薬価差を解消していく必要があると思います。しかしその一方で、薬価差に当たる部分を何かに置きかえる、技術料とかドクターフィーとかいろいろありますけれども、そういう振りかえる方針を明確に打ち出さないとならないと思うわけでございます。  この点について厚生省のお考えをお示しいただきたいと思います。
  17. 近藤純五郎

    政府参考人近藤純五郎君) 薬価差額につきましてでございますけれども、医療機関経営につきまして、薬価差に依存する経営から脱却をする、こういうことを目指す基本方針の中で医療技術評価をしよう、こういうふうな基本方針が既に出ておりまして、そのもとで具体的な方策を検討している、こういう段階でございます。  しかし、御承知のように、医療費自然増という形で大幅に伸びてございます。その一方で、保険料の収入というのが大変低迷をいたしているわけでございます。来年度の診療報酬改定につきましては、財政的には非常に厳しい状況に置かれているというのが一つあるわけでございます。  したがいまして、給付負担均衡を図る、こういう保険財政の枠組みの中で考える必要があるわけでございますけれども、しかしながら国民の良質かつ適切な医療を確保する、こういうのは大変大事であるわけでございますので、それを実現するための診療報酬改定におきましては、薬価見直し等医療費効率化というものを進めると同時に、そのあり方につきまして、医療技術評価というのをどうやってやったらいいかということにつきまして、具体的には現在中医協で、いろいろ各側がございますので議論を闘わせている、こういう段階でございます。
  18. 久野恒一

    久野恒一君 確かに、八五%近くの健保組合、あるいは国保を含めまして各組合赤字経営をしている、パンクしちゃっている、破綻している、老人拠出金のためにですね。そういう意味で、給付負担均衡をとるとおっしゃっても、しわ寄せが病院の方にどんどん来る。それはそれで結構なんです。理論どおりに、急性期患者はこれだけしか払わないけれども出来高ですよ、そのかわり在院日数はこれだけですよと言われれば、それである程度採算はとれるわけでございますから。だから慢性期のところは、慢性期急性期も今までごっちゃになって病院に入っていたわけでございます。こういうのは張りつけ人員によって十分採算のとれた経営というのができるんですよ。  そういう意味を含めまして、急性期慢性期をきちんと仕分けしていただきたいというのがこのねらいでございまして、十分に全部が急性期でもって張りつけ人員をびったりくっつけたら、とてもじゃないけれども不必要な入院患者まで入れてしまう、こういうことにもなりかねませんので、ぜひとも早い時期にそれを決めていただかないと混乱を招くのではないか、そういうことでお聞きしたわけでございます。  次に、介護保険導入後は、先ほど大臣がおっしゃったように、三つ施設の割合についてでございますけれども、介護保険対象となる入院あるいは入所施設として、療養型病床群老人保健施設特別養護老人ホーム三つの異なる施設がございます。これはそれぞれいろんな役割を持っておることも先ほどお伺いしたところでございます。  そのほかに、あながち療養型病床群にがんの末期の患者ばかりが入ったのではとてもじゃないけれどもやっていけない、そういう意味を含めまして、この三つ施設の役割というのは、医者の張りつけ人員も違う、看護婦の張りつけ人員も違う、療養型の方は医療に近く、そして特養の方は軽度の、軽度と言っても寝たきりの人もいますからある意味では重いんですけれども、そういう三つ施設がどのような役割を持って、どのような点が異なるのか、これを明確に御答弁願えればありがたいと思います。
  19. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) ただいま先生指摘ございましたように、介護保険制度における施設介護保険施設としては三つのものがございまして、療養型病床群老人保健施設特別養護老人ホームということになるわけです。いずれも施設に入所していただいて必要なサービスを提供するという意味では共通でございますけれども、それぞれまた役割も異なるということになるわけでございまして、そのポイントとなりますのは、主として要介護者の方に対する医療の必要の程度ということになろうかと思います。これもただいま御指摘があったとおりでございます。  ちなみに、療養型病床群は、病状の安定している長期療養患者の方で、しかし常時医学的管理を必要とするというような方が対象でございますし、老人保健施設につきましては、いわゆる病院への入院という形での入院治療の必要はございませんけれども、リハビリテーションや看護、介護を必要とする状況にある方、特別養護老人ホームは、さらに医療の必要の程度はそうなくて必要に応じて医学的な管理を求めれば足りる、しかし日常の介護を必要とする方々、こういうような区分になっておるわけでございます。  したがいまして、それぞれの機能に応じて人員も違いますし、また施設の基準も違います。さらには、それに応じて支払われる介護報酬というのも若干の違いが生じてくる、こんなことになっているわけでございます。
  20. 久野恒一

    久野恒一君 今、言葉の揚げ足をとるわけではございませんけれども、医療の必要な施設と申されました。医療の必要な施設であるならば病院の中に置いておいてもいいんじゃないか、要介護ではないんではないか、そういうふうに思うわけでございますが、その辺のところを、ちょっと引っかかったもので、もう一度説明をお願いします。
  21. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 端的に申し上げますと、療養型病床群のケースが一番その接点になるだろうと思いますので、療養型病床群の例で申し上げれば、もちろんある程度常時医学的管理という意味での医療は必要なわけでございますけれども、病状が安定しているということ、それから介護を必要とするということ、そして、繰り返しになりますが、常時医学的管理を必要とすること、こういった要素をお持ちの高齢者の方あるいは患者の方が療養型病床群に入られる。老人保健施設あるいは特別養護老人ホームにつきましては、先ほど申し上げましたように、その医療の必要の度合いに応じましてそれぞれ固有の機能を持っている、こういう考え方でございます。
  22. 久野恒一

    久野恒一君 大体わかりました。  療養型病床群は医者が三名、看護婦十七名、介護人が十七名と、看護婦介護人が半々いるわけでございます。そういう意味で、そこのお医者さんというのは一体何をやるのかな、そういうふうに感じておったわけでございますけれども、片方ではリハビリをやりながらどんどんよくしていかなくちゃならない、がんの末期ばかり入れていたのではとてもじゃないけれどもやり切れない、そういうふうに思ったわけでございます。  そういう意味で、この療養型病床群というのは非常に病院に近い介護施設であると。そこでもって医療に近いものを、例えばいろいろ点滴とかなんとかをやる必要も生じてくると思います。これもやはり包括の中に入ってしまうのかどうか、ちょっとそこのところだけ再確認させていただきたいと思います。
  23. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 介護報酬支払い方。介護報酬そのものにつきましては、先般、仮単価ということで一つの案をお示しいたしました。しかし、最終的にはこれから審議会で御議論をいただくということになるわけでございます。  基本的な医療サービスにつきましては、いわゆる包括の中でカウントをし、特殊、必要な場合におきましてさらに特別な個別の単価を請求することができるという組み合わせを考えておりますが、基本的には包括した形での介護報酬を考えているわけでございます。
  24. 久野恒一

    久野恒一君 今、仮単価の話が出ました。八月の下旬に公表をした平均利用額ですね。三つ施設うち療養型病床群が四十三万一千円、一人当たりですね。老人保健施設の場合は一人当たり月三十五万四千円ですか。それから、特別養護老人ホームの場合は三十二万五千円というような仮単価に決められたようでございます。  この額が公表されておりまして、療養型や老人保健施設については高いように受けとめられておりますけれども、老健施設の場合には医者が一人、看護婦が十名、介護人が二十四名というふうになっております。そういう点からいきますと、人件費の割合に相当するのかなというふうに思うわけでございますが、一番最初に申し上げたように、この二つの施設は薬の単価というものが内側に入っているということでございます。これは今さら云々するわけではございません、蒸し返すわけではございませんけれども、一応そういう仮単価の中にはいろんな要素が入っているということを確認しておきたいと思います。  これがいろんなところで療養型病床群は高いんじゃないかというような誤解を招いているようでございますけれども、そういう要素も入っているということを確認させていただきたいと思うわけでございます。つまり、療養型や老健施設につきましては、ただいま申し上げましたように、いろんな診療材料費、それもマルメの中に入っているわけでございまして、入所者一人当たりのトータルコストから見ると、資格者の人件費割合から換算して特養が一番コストが、外枠で薬、材料費が出ているわけでございますので、特養が一番有利なんではないかなと私は思うわけでございます。  これはちょっとうがった見方かもわかりませんけれども、こうした事実について厚生省としてはどのように認識しておられるのか、上記の平均利用額の算定根拠はどのようにして仮単価をつくられたのか、そこを明確にしていただきたいと思います。
  25. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) これから新しい制度のもとで動き出すわけでございますから、スタート時点でどのような手法でいわゆる単価を決めていくかというのはなかなか難しいわけでございますけれども、一方で現にそれぞれの施設が稼働しておるわけでございます。したがいまして、今回の仮単価の設定に当たりましては、基本的には平成十年度、最直近のデータを用いまして、特別養護老人ホームでございますれば措置費の単価、老人保健施設あるいは療養型病床群につきましては診療報酬単価を用いまして、その実績から施設類型ごとに平均的な費用を算出いたしまして仮単価としてお示しをしたということでございます。  当然、職員の配置基準も違いますし、先ほど来御議論がございますようにそれぞれの機能も違うわけでございますから、その単価に一定の差が出てくるのは当然とも言えるわけでございますけれども、その手法としましては、実績に基づく平均的なデータをもとに算定したということでございます。  それから、おっしゃいますように、療養型病床群でありますとか老人保健施設には、一定の医療的な行為と申しますか診療行為の経費が含まれるわけでございますし、他方、特別養護老人ホームにつきましては、原則的には、保健衛生費的なもの以外につきましては必要があれば外部の医療機関の診療を受けるという形になりますので、そういう意味での医療費に相当する部分は含まれておらないわけでございまして、その差があるのは御指摘のとおりでございます。  私どもが持ち合わせておりますデータによりますと、特別養護老人ホームなどの社会福祉施設に入所している方の医療費の請求額、平均をいたしますとそれほど高いものではございませんので、総コストという意味で例えば特別養護老人ホームが結果的に高くなっているとかいうことはないと思っておりまして、先ほど来申しておりますように、それぞれの実績を踏まえた、現状を踏まえた客観的な水準というふうに考えております。  ただ、最終的には、今実態調査もほぼ集計が出てきておりますので、そうした実態調査の結果なども踏まえまして、関係審議会などで御議論をいただき、正式に決めるという手順をとっていくことになるわけでございます。
  26. 久野恒一

    久野恒一君 いろいろと施設に関しまして質問させていただきました。  そこで、在宅サービスについてお尋ねしたいわけでございます。  介護保険では、在宅サービスとしてホームヘルパーあるいは訪問看護やデイサービス、老人訪問看護ステーション、そういうものが入っているわけでございまして、この福祉的なサービスと、もう一方、五年間特別養護老人ホームに入っている人はそのままでも結構ですよという経過措置期間がございます。その人たちが外へ出ないわけでございますので、これから五年間は病院から療養型、老健そして在宅と行く可能性もございます。片一方では、療養型病床群の方では訪問看護もやってよろしい、デイケアもやってよろしい、サービスじゃなくてデイケア。この医療側の在宅に対するサービスと福祉側のサービス、これが二本立てになっているわけでございまして、一般に報道されているのは福祉側のサービスのみであると思います。  そういたしますと、片一方では社会福祉法人でデイサービスとかホームヘルパーとか、いろんな要介護認定に沿ってそれがなされるわけでございますけれども、多少医療のかかった患者療養型病床群の方から落ちて在宅に行きますと、そっちの方は訪問看護でやってください、あるいはデイケアでもって入浴させてください、そしてホームヘルパーに等しい人はこれをちゃんとしっかり区分けしておかないと、病院の中の介護士さんをホームヘルパーのかわりに行かせて、それでもって料金を別に取るということもあろうかと思います。その療養型病床群あるいは病院に所属した継続看護、こういうものを両立して認めておくということは、片一方だけは宣伝されているけれども片一方は余り宣伝されていない、こういうことになろうかと思いますもので、私はここで二つの疑念を持っているわけでございます。  特に、今まで福祉サービスを利用した人があるとしますと、福祉分野のケアマネジャーが在宅サービスサービス料を決めるわけでございまして、医療的なサービスを決めるのもやはりそのケアマネジャーの方なのかどうか、非常にこれは疑問であろうかと思います。組み合わせによりましては、要医療患者が在宅に落ちていっちゃう、そういうところをケアマネジャーの人が本当に見切れるんだろうか、そういうふうに心配するわけでございます。したがって、もっとこのようなサービスの組み合わせも利用できるというPRをしていくべきだと私は思うわけでございます。それでないと、今現在絵にかいてある福祉サービスにばかり気をとられて、在宅医療のことは余り書かれていないもので、一応念を押して疑義としてお聞きするわけでございます。  二つ目の疑念といたしましては、医療サービスを受けようとしてもなかなか受けられないということが生じるのではないか。すなわち、一たん治療が必要となって病院に入院した患者さんが、病院側が訪問看護とかデイケアとかそういう機能を持っておりますので、なかなか開業医の先生のところに病診連携をしないで、自分のところで抱えてしまう可能性が十分にある。そうなりますと基本的な理念から外れてしまう、そういうふうに私は思うわけでございます。  そういう懸念もございますので、そこの部分を二つ並立させて置いておくということは、患者さんにとってはどっちからでもアプローチできるわけでございますけれども、なかなかそこの判定というのは難しくなると思いますので、病診連携ができないと地域ケアシステムの中に乗り切れない。そういう点を踏まえまして、厚生省としてはどういうふうにお考えになっておるのか、お聞きしたいと思います。
  27. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 冒頭のお尋ねにもございましたように、この介護保険制度のさまざまな目的うち一つ目的は、保健、医療、福祉といったものを総合的に、むしろ高齢者ニーズに応じて総合的に提供できるような仕組みという目的理念一つあるわけでございます。そうした観点から多種多様なサービスが準備されて、それぞれの御希望と状態に応じてサービスを選択できるというような形が望ましいわけでございますし、そうした方向に向かって我々も努力をしなければならないと考えておりますが、その際に大変大きな役割を果たしますのが、おっしゃいますようにケアマネジャーあるいはケアプランの作成という仕事だと思っております。  二つの面からの御指摘がございました。両方とも現実の運用の場では決して先生指摘のような御懸念がないとは限りませんけれども、まさにそこが今回の制度の、現場レベルでうまく運用していく、展開していくために極めて重要なポイントだという点については私ども全く同感でございます。  実際の作業はケアマネジャーの方々がやっていただくわけでございますから、身分的にもきちんとした事業者に属する形が必要でございますし、おっしゃいますように、メニューにつきましての我々行政側の情報提供あるいはPRといった努力も必要でございましょうけれども、やはりケアマネジャーの質の確保、それから中立性の確保、患者の立場に立ったケアプランの作成といったことを重点にした考え方と対策を我々もこれから講じてまいりたいと考えております。  これから具体的に動き出す制度でございますから、ある意味では実施しながら必要な改善を加えていくという部分も正直言ってあろうかと思いますけれども、おっしゃいますような観点で私どもも努力をいたしたいと考えております。
  28. 久野恒一

    久野恒一君 いずれにいたしましても、初めてできる介護保険制度でございます。試行錯誤しながら、失敗を繰り返しながらそれを是正していく、そういう柔軟な姿勢も必要なのではないか、私はそう思うわけでございます。  そこで、最後に大臣に御決意のほどをお聞きしたいんですけれども、今までの質疑を通じて、これはちょっと一番最初の基本理念から外れてしまう可能性もなきにしもあらず、私はそう思うわけでございます。そういうときに、やはり介護保険というものは将来の高齢の要介護者にとってより有利な方向に進んでいってほしい、そういうふうに私は思うわけでございます。  最後に、この介護保険実施に当たって、大臣のかたい決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  29. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 介護保険は、御案内のように、これまではどちらかというと一家庭の私的なものとして取り扱われてまいりました。しかも、女性の皆さん方のいわゆる過重な負担のもとに、犠牲のもとに行われていた嫌いがなきにしもあらずでございます。これを今後は社会全体で支え合っていこうではないかというのが介護保険構想のそもそもの基本的な考え方でございます。今回の特別対策は、こうした介護保険制度理念あるいは枠組みというものを変更するものでないということをまず先生に御理解いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、来年の四月から介護保険法はスタートするわけでございますけれども、国民の皆さん方の御理解をいただきながら、そして大変この問題に御熱心に取り組んでいらっしゃる市町村の皆さん方、そして何よりも大切なのは、現に今寝たきりのお年寄りの皆さん方、こういったさまざまな関係者の皆さん方の気持ちというものを十分にそんたくしながら、円滑な実施のために私も厚生大臣として先頭に立って頑張っていく決意でございますので、委員の諸先生方の御指導、御協力を心からお願い申し上げる次第でございます。
  30. 久野恒一

    久野恒一君 どうもありがとうございました。  終わります。
  31. 今井澄

    ○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。  厚生大臣には御就任おめでとうと申しますか、非常に大変な時期にむしろ大変御苦労さまなことだと思います。  きょうは介護保険の集中審議ということですが、この介護保険について見ますと、これは実施までにできるだけ準備の時間をとりたいということで、平成八年の通常国会に、当時の与党三党、連立の与党が通常国会に出そうと思って頑張ったわけです。ついに出せないで臨時国会になったわけですが、そのとき最後に与党三党でワーキングチームをつくったことを覚えておられると思います。大臣もメンバーのお一人、私もメンバーの一人、そういう立場で一生懸命つくってきたことを見ると、またこれ、今非常に難産をしている状況で厚生大臣をしておられるということは感無量ではないかと思うんです。一方、大臣の両側にお座りの両政務次官は、当時というかその後、国会でこの介護保険法に反対されてきたわけでありますし、一方こちらでは、堂本さんや私は当時の与党で介護保険をつくってきた方という非常に微妙な関係、複雑な関係になっております。  そこで、最初にまず大臣に、政治主導ということの大切さとまた危なさについてお尋ねをしたいと思います。  今臨時国会は日本の憲政史上でもある意味では歴史的な国会だと思います。というのは、政府委員制度が廃止されたということ、それからクエスチョンタイムが試行的ではあれ始まったということ、政治家がもうちょっと日本の政治に責任を持って政治家同士で議論をしながら日本の未来を切り開いていこう、こういう国会として歴史的に非常に大事な国会だと思います。  そういう意味では、私は政治主導というのは官僚主導に対しての言葉だと理解しておりますが、官僚の皆さんも大変優秀ですし、これまでの日本を相当なレベルまで持ち上げてこられた、それは官僚システムの一つの成果であったとは思いますけれども、今こういう変革のときにあって、変革をリードしていくのはやはり政治家しかいないんだということ。  それから、この間、金融行政を初め幾つもの間違いが明らかになっております。厚生省でもエイズその他いろいろな間違いが起こっておりますが、官僚システムというのはこの間違いに責任がとれないシステムなんですね。それに対して、やっぱり政治家というのはその責任もとっていく、要するに変革と責任、これが私は政治主導ということを言う場合のポイントであろうと思っております。  そういう意味でいけばいいんですが、この間、この介護保険をめぐっての政治主導は私は間違った政治主導じゃないかと思うんですよ。法が決まり、その法のもとでみんなが準備をしているときに、ある一党の政調会長が突然ブレーキをかけたり、とんでもない方向方向転換する、これは私は非常に問題だと思っています。  そこで、大変介護保険制度が今根本から危うくなってきているということが言われていると思います。しかも、それも政治主導でそうなっているというふうに批判されていると思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  32. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 私もかつて今井議員とこの問題を夜を徹して議論いたしましたことを今脳裏に思い浮かべまして、感慨無量のものがございます。  まず、政治主導とは何か、こういうような御質問ではないかと思いますけれども、私ども政治家というものはあくまでも国民の代表でございます。そして、国民の皆さん方がどのようなお気持ちでいらっしゃるか、あるいはどのような認識を持っていらっしゃるか、こういうものを要するに私どもが十分に酌み取って、そして国会の場で十分に議論するということが政治主導であって、そして必ずしも、これまでの積み重ねというものも大切でありますけれども、これまでの積み重ねだけで、いわゆる流れとか既成概念だけにとらわれるのではなくて、あるときには要するに思い切った政治判断をして決定していくということが私は政治主導ではないか、このように考えているような次第であります。  今回のいわゆる特別措置でございますけれども、さまざまな特別措置が講ぜられたわけでございますけれども、これはあくまでも基本的に市町村側の要望に基づいてこのような決定を行ったものでございますし、そして今回のいわゆる特別措置によりまして基本的な理念あるいは枠組みというものはいささかも揺るぎないものになっている、こう確信をいたしておるような次第でございます。  いずれにいたしましても、今後ともこの問題について十分にこの場を通じまして御議論をいただきまして、要は、一番大切なことは、来年の四月から世紀の大事業とも言えるこの介護保険制度スタートするわけでございますので、与党とか野党とかこういうような立場ではなくて、国会議員全員が、とにかく今二百八十万人の寝たきりのお年寄りがいるんだ、そして将来は五百二十万人までふえ続けていくだろうと、こういうことを踏まえて、長期的な視野でとにかく円滑にスタートするということが一番大切なことではないか、このように考えている次第でございます。
  33. 今井澄

    ○今井澄君 政治主導について、時には積み重ねだけではなく、それを大きく変える必要もある、私はそれは反対ではありません。しかし、問題は二つあると思うんですね。  今、大臣が言われた、一つ国民の代表である、選挙で選ばれてきた者がこの国会の場で頑張る、あるいはその中で内閣を構成して大臣政務次官のように政府で頑張られる、それぞれのお立場があると思います。いずれにしても国民の声を反映するんですが、ここで大事なことは、きょう後で議論しようと思うんですけれども、国民意見というのはもう百八十度あるいは三百六十度違うぐらいあるんですね、比率はともかく。その中でどう調整しながら、未来を切り開くために、ある意味でどこの国民の声を生かしながらどこの国民の声をそこに吸収していくか、この選択にあるんですよ。国民の声がこうだからというのを聞いていたら政治なんかできないですよ、百八十度、三百六十度違いますから。その中で取捨選択というか、自分はだれを代表しつつ未来を切り開くのか、この決断が大事なんですね。  そこで、大臣、うそを言ってはいけませんよ、政治家は。政治家はうそは言ってはいけないんです。きのう衆議院で参考質疑をやられたでしょう。それに大臣出席しておられなかったですね。でも、お話は聞かれているでしょう。例えば、全国町村会の会長の山本文男さんは、これまで二年間法制定以来準備を進めてきたんだ、住民の理解は得られている、それなのに保険料、認定、給付三つ基本を大幅に変更するのは不信を招くんだということで言っておられる。佐世保の市長さんも、大変困る、住民の不信を招いていると言っておられる。  市町村の要望で今度の政府の特別対策をやったなんというのはこれは大うそですよ。そういううそは政治家としては言うべきではないだろうと思うんですが、時間の関係もありますので、それでは大臣にお尋ねいたしますが、そもそもこの介護保険制度基本的な理念あるいは目的、そしてこの保険という枠組み、それについて簡潔に、できれば箇条書き的に述べていただければありがたいと思います。
  34. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) まず、私は決してうそを申し上げたことはないということを、今井先生でございますが、あえて申し上げさせていただきます。市町村からこういう要望がございまして、要するにその問題についてさまざまな議論があったということも十分承知をいたしております。  それで、介護保険理念目的でございますけれども、これは先ほど来私が申し上げておりますように、あくまでも家族の過重な介護負担の軽減を図る、こういうことでございます。そして、これまでどちらかというとこの問題というのは、先ほども申し上げましたけれども、余り表で議論されたことがなかったわけでございます。そういう意味におきまして、初めて歴史の表舞台に出てきた問題ではないか。これは大変大きな問題ではないかと思っております。  それから、先生がかねがね幾つかの、六つでございますか、介護保険の問題について認識をお持ちでございますが、その認識につきましては私も勉強させていただきましたし、先生からもかねがねお聞きをいたしておりますが、全く同じでございます。
  35. 今井澄

    ○今井澄君 今、大臣の方から非常に簡潔に六つということを言われましたが、私なりにまとめてみると、一つ家族介護から社会的介護へということ、それから二番目には社会的入院を解消し介護の方も施設介護から在宅介護へと、こういう理念があると思います。それから三番目には、とかく介護する方だけのことを、大変さだけを言われますが、実は介護されるお年寄りの人権、その自立を助ける、そして選択ができるようにする、そういうことも目的だと思いますし、もう一つ、これまではサービスを公的にだけ準備してきた。市町村あるいは社会福祉協議会、ホームへルパーさん、みんな公的に準備してきている。それをむしろ民間の力で民間の皆さんにそういうサービスはやっていただこう、むしろ保険制度はその民間の皆さんがサービスをやっていただいたことに対してお支払いをする、そういうシステムにしようということが一つあると思いますね。  それからもう一つ大きいのは、やっぱり今介護とごみは地方自治のかがみだ、模範だと言われるように、地方分権の時代に身近なサービスを身近でやるというだけではなく、その内容、方法、それにかかる費用の徴収方法、これも地方自治の中で市町村で決めていこう、こういう精神があると思うんです。  そういう意味では、保険制度としてやることは非常にそれにふさわしいということで一種の共助の仕組みで始まったと思うわけですが、そういう点からしますと、十月二十九日に行われました三党合意、与党三党の政策責任者による合意は合意になっていないんではないかと思います。  この文書を改めて見直してみましても、七項目ですけれども、そういう合意になっていないというふうに思います。これについては、なぜ合意になっていないかというと、例えば第一項は「介護については、平成十二年四月一日より新しい制度実施する。」と、こうなっているんです。四月一日から実施されようとしているのは介護保険制度なんですね。そうなんですよ。保険料を徴収するかしないかは別としまして、介護保険制度実施するはずなんですけれども、介護については四月一日から新しい制度実施するなんという、何を言っているのかわけのわからない文章になっているんです。そして一貫して、その二番目も「新しい介護制度の」というふうなことになっている。  これは、今、大臣がはっきり言われたように、介護保険制度として行っていく目的や枠組み、これとは余り関係のない抽象的な言葉でこういうものがつくられている。三党合意というのは実は合意ではなくて、俗に言われる玉虫色のとりあえずの取りまとめ文書だとしか思えないんですけれども、大臣、いかが思われますか。
  36. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 介護保険制度に関しまして、本年の十月二十九日に与党三党の政策責任者の皆さん方の間で七項目の合意を交わしたことでございます。私は、おのおのの政党が合意を交わしたことでございますので直接的なコメントは差し控えさせていただきますけれども、まず、その合意に当たりましては、法改正はしないんだ、こういうような前提でなされている、このように認識をいたしております。これを受けまして、政府といたしまして、いわゆる特別対策というものを決めていただきました。  先ほど、合意がなされていないではないか、こういうような御質問がございました。この政府が決めました特別対策につきましては、残念ながら今の時点におきましては自由党からは御了解はいただいていない、このように承知をいたしておりますが、介護保険法の円滑な実施を図るという観点から御理解をいただいて、そしてとにかく国民の皆さん方の期待にこたえるために、来年の四月からスタートができる、このように確信をいたしておるような次第でございます。
  37. 今井澄

    ○今井澄君 法改正はしないというのが前提で三党合意が行われたということですか。このこと自身がいろんな混乱を生み出す一つの原因になっていると思いますけれども。  そこで、大野政務次官にちょっとお尋ねしますが、この三党合意、本当の意味で合意が行われたのかどうかということをお聞きしたいんです。  実は、衆議院の厚生委員会を私もテレビで拝見させていただきました。そのときに大野政務次官は、療養型病床群老人保健施設などは今までどおり医療保険制度で、それから特養は今までのように税金、措置でやる、そして在宅は今度は保険でやったらどうかと、こういうのが公明党さんのお考えだということを言ってこられたと思いますし、いろいろ調べてみますと、七月の党大会の決定では、施設は税方式、そして在宅は保険方式というふうに何か報道されたのを私は見ているんですが、どうもそれと違ってこういうことだとすると、これは決して新しい制度ではないんですね、ほとんど新しい制度ではない。在宅だけはやるかもしれませんけれども、旧来の制度をそのまま、療養型病床群医療特養は措置ということになるわけですね。これは非常にやはりおかしいと思うんですよ。  実はこれ、丹羽厚生大臣、思い出されると思いますが、我々がかつて議論したときに、施設サービスと在宅サービスを一挙に始めるというのは無理があるんじゃないかと、保険料の面とかいろんな面で。ドイツは在宅を最初にやったから日本もどうだろう、施設を延ばしたらいいんじゃないか、こういう議論をしたことがあるんですね。  ところが、そのときに現場である市町村長の方から猛烈な反対があったんです。市長会の方から「在宅サービス施設サービスは、十分な準備期間をとって同時に施行すること。」ときつい要望が出されました。それは平成八年五月二十八日の文書ですが、それ以前から出されているんですね。  ということであって、新しい制度というのはこういうふうに施設や何かをばらばらにしてやることではないし、そういう意味ではこの三党合意というのは全く違ったことをただ合意しただけのように思うんですが、大野政務次官、いかがお考えですか。
  38. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 私は現在政府の一員でございますので、公明党を代表してコメントする立場ではございませんが、お尋ねでございますので。  公明党がかつて主張をしていた中に、今、今井委員がおっしゃいましたように、本来なら老人保健施設療養型は医療保険の分野で解決をするべき問題であり、そして特養は税で、そして在宅のみこの介護保険でやるのが筋ではないかという考え方を持っていたわけでございますが、来年四月から介護保険制度実施するということについては、これは公明党も変わりがない。何としても来年四月の実施はおくらすわけにはいかない。そういう状況の中で、既に老人保健施設だとか療養型病床群への認定業務も始まっているということもございますし、三党合意の中で、主張するものは主張しますけれども、もちろん譲るべきところは譲って、そして来年四月から介護保険制度実施しようということで今鋭意努力をしている、こういう状況でございます。
  39. 今井澄

    ○今井澄君 そうしますと、大野政務次官、来年四月からの介護保険制度というのは、在宅サービスだけ保険制度でやる介護保険制度という意味ですね。療養型は今までの医療でやるわけですし、特養はそのまま措置制度でやるんですから、そういう意味でおっしゃっているんですか。
  40. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 済みません、言葉足らずだったのかもしれませんが、そうじゃなくて、かつて公明党の考えとしてはそういう主張を持っていた時代がある。しかし、来年四月から介護保険法を実施する、そういうことでは合意をしているわけでございますので、そういう意味では公明党も譲るべきところは譲ってよりよい政策、制度を実現しようということで、そのかつての主張に今とらわれているわけじゃない、そういうことでございます。
  41. 今井澄

    ○今井澄君 どうもありがとうございます。  ただ、坂口政審会長さんは、つい最近のいろいろな新聞報道、記者会見等でもずっとそれを主張しておられますので、それでまだ変わらないのかなと思ったんですが、四月からのは考え方は変わらないけれどもそれでいい、そういうふうに理解をいたしました。  そこで、経済企画庁の小池総括政務次官、実はちょっと経済のことで後ほど質問させていただきますけれども、この際ということで大変失礼なんですが、自由党さんも、これ、新しい制度でというのはどういう意味で言われたんですか。税方式を主張しておられるんですね。そうすると、新しい制度というのは、税方式でやる限り、特養もホームヘルプサービスもこれまで税でやってきたわけですから何ら新しい制度じゃないんですが、そこは三党合意ができたとお考えですか。
  42. 小池百合子

    政務次官小池百合子君) 委員の方から御指摘がありましたように、私、この後、経済の影響についてどうかということで本日この委員会の方に出席をさせていただいているわけでございます。  しかし、介護のお尋ねでございますが、私は介護専門ということではなく、また今回の三党合意に至る経過につきましては、その微細に至るところまでにつきましては、そのニュアンスなど、このあたりについては政策責任者の当事者でないとなかなかわからない部分がございまして、私も党の関係者の方から間接的に伺ったところしかお答えできないということを御容赦いただきたいと思っております。  介護に関しましては、自由党は新進党の時代から、これは税方式で行うべきであるということを一貫して申し上げてきたところでございます。今回の三党合意につきましても、七項目の最後の項目に「介護にかかる財源及びそのあり方については、実施状況を見ながら三党で協議する。」ということを合意いたしているわけでございます。  これは合意になっていないんじゃないかという御指摘でございますけれども、私どもは、これは政策責任者の真摯な議論を積み重ねた結果この文が出てきているということで、今ここでお答えするならば、これ以下でもこれ以上でもないということになるかと思います。
  43. 今井澄

    ○今井澄君 確かに三党合意を見ますと、介護保険というのはどこにも書いていないんですね。介護とか介護制度とか新しい制度とか書いてありまして、こういう意味では、確かに自由党さんの主張が入れられたという意味で合意が一応図られたんではないかと思うんですが、ところが今度は政府の見直し案が十一月五日に出ました。そこにはもう介護保険という言葉がざあっと書いてあるんです。  したがって、この政府見直し案は三党合意とは違うんじゃないですか。大臣、どうですか。
  44. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 三党でそれぞれ御協議をいただきまして七項目の合意ができました。  それで、先ほどから大野総括政務次官あるいは小池経企庁総括政務次官からお話がございましたけれども、それぞれ政党が違いますからそれぞれの考え方を持っております。それを重く政府といたしましては受けとめて、今申し上げたような、要するにもう来年の四月からスタートするわけでございますので、とにかく混乱が起きないように、現行介護保険法のもとで法改正を行わずにスタートするということで特別措置を決めさせていただいたような次第でございます。
  45. 今井澄

    ○今井澄君 三党合意と政府の見直し案が矛盾しないかどうか、どうもお答えになっていないと思うんですが。  私は、この発表の前に、報道によりますと、自由党の藤井幹事長はここにお見えにならなかった、その中でこの政府の見直し案が出されたということから、これはやっぱり三党合意と政府の見直し案は違うんだというふうに思いますが、小池政務次官、済みませんが、その辺はどうお考えでしょうか。
  46. 小池百合子

    政務次官小池百合子君) 藤井幹事長が三党の場というか二党の場に出席しなかった、その経緯については私もよく承知はしていないところでございますが、しかしながら与党三党の申し入れでございますね、政府に対して、これについて、政府の責任において考え方をお取りまとめになったものというふうにとらえております。  先ほどからいろいろと出ておりますけれども、今井委員の方も自社さ政権のときにいろいろと御苦労があったことはずっと拝見をしてきたわけでございまして、連立政権の中でお互いにどの部分が譲れて、そして譲れないのかというところ、それから今この国にとって何が重要なのか。もちろん介護も一番重要な問題でございます。そういった中で、今後も与党協議を通じまして、また各党の責任者においてこの重要な新しい制度についての結論が出るものと期待をいたしております。
  47. 今井澄

    ○今井澄君 小池政務次官から大変ありがたい御示唆をいただきましたが、何が譲れて何が譲れないのか、実はここのところが大事だと思うんですね介護保険制度が重要政策であるかないか、それは言い方の問題だと思うんですね。  自由党さんは、これは非常に大事な政策で、介護保険制度保険制度での一兆円近いお金が補正予算に盛り込まれるならば反対して離脱するかもしれないとかつて言っておられたんですが、いや、介護制度は余り大事な問題じゃない、もっと大事な問題があるということで補正には賛成されるというような報道を最近聞いておりますので、その時々で重要政策もお変わりになるんだと思いますが、少なくとも与党で話し合い、あるいは政府と与党との間でやるときに、これは介護保険問題についてやっているんですよ。  介護保険制度が重要な問題かどうかはいいです。その党にとって重要な問題かどうかは別として、全国の自治体を巻き込んで、住民を巻き込んで来年四月の実施に向けて今汗水垂らして苦労しているんですよ、この介護保険制度は、たとえその党にとって大きな重要政策でなかったとしても。  その介護保険制度について与党三党が一致しなかったらこれは困るんです、あるいは与党と政府とが一致しなかったら困るんですよ。みんなどこを見ていいかわからないんですね。国民一人一人にかかわることでしょう、これは。お金を取る取らない、サービスを受けられる受けられない。市町村長さんたちもどう説明するか。そういう意味でいうと、三党が一致しているのかどうか、与党と政府が一致しているのかどうか、極めて大事なことなんです。一家だってそうでしょう。お父さんとお母さんとがある問題で一致しなければ子供は困るんですよ。  こんなのは小さな問題だと言われるのならいいですよ。いかがですか。大臣、どうでしょう、それは。
  48. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 先ほども申し上げましたけれども、来年の四月から介護保険制度スタートする、法改正をしない中でスタートするということについては与党三党あるいは政府とも一致しておる、こう考えております。
  49. 今井澄

    ○今井澄君 小池政務次官、いかがですか。
  50. 小池百合子

    政務次官小池百合子君) 私は今もこの介護制度が、介護の問題が小さな問題だなどということは一言も申しておりません。むしろ、国民生活にとりましては、お一人お一人にとりましては、これはもう極めて何よりも重要な問題ではないかというふうにとらえておりますので、今の御発言についてはそうだというふうには受け取れないというふうに思います。  それから、先ほど申し上げましたように、それだからこそ、また介護の問題はこれからの高齢化社会を考えますと、単にこの五年、十年、目先の制度ではなく、極めて長期にわたってこのシステムを動かしていかなければならないということでございますので、その中で、今確かに産みの苦しみはあると思います、そしてこれまでの政権の中で積み重ねてこられたいろんな知恵もあるかと思います。その中でよりベターなものを探していくという、その最終的な段階に入っているということでございまして、三党合意を踏まえ、そして政府とのやりとりを踏まえ、そして確立した制度をつくっていきたいということを申し上げておきたいと思います。
  51. 今井澄

    ○今井澄君 私は、先ほど申し上げたような意味で三党は不一致だし、与党の確認と政府とも不一致だと思いますが、これはそれぞれのお考えがあるでしょうから、私はそう考えるということを申し上げて次へ進ませていただきたいと思います。  先ほどからのお話の中で、四月一日から、中身はわからないけれどもそれぞれ新しい制度実施するんだと。それから、法改正はしないんだと。この法改正しないというのはなぜ前提に出てくるんですかね。必要だったら法改正すべきじゃないですか。私はそう思うんです。  それで、私は、法改正をしないというところに物すごい無理があるというふうに思っております。私もこの法案を随分何回も読み返してみました。だけれども、どう考えても、半年間保険料を徴収しないということは法律的に出てこないんです。  大臣、お伺いしますが、大臣も衆議院の厚生委員会でもその点を繰り返し質問されたので改めて勉強されたのではないかと思いますけれども、介護保険法というのがあって、その百二十九条には「市町村は、保険料を徴収しなければならない。」と書いてあるんです、「徴収しなければならない。」と書いてある。そして、徴収には、その後ごちゃごちゃ、これは難しい読みにくい法律ですけれども、特別徴収という、年金をもらっている人、月一万五千円以上もらっている人は年金から徴収するんだ、それも「しなければならない。」、こう書いてあるわけです。それ以外の人は普通徴収。この普通徴収の人は、四月一日時点で保険料は幾らですよと言っておいて、その年度内にいただけばいいんですね、極端に言えば。だから、年金から天引きする以外の人々は四月一日に保険料だけ通知しておいて、来年の三月三十一日にがっぽりいただいてもいいんですよ、半年間取らなくても全然法には触れないと。それは私もそう読みました。  ところが、年金からの特別徴収は二カ月ごとに払われるわけですね、四月、六月、八月と。これからは「徴収しなければならない。」と書いてあるんですよ。ところが、年度前半の四月、六月、八月は徴収する額を確定できないんです。確定できないからこれは仮徴収で前年度の額で徴収しなさいと、こう書いてあるんです。ところが、来年四月一日から始まるその最初の年度は前年度実績すらないんです。さあ困ったというわけで、そこで特別徴収をどうするかというので、介護保険法施行法の第十六条の三項に、その場合には「政令で定めるところにより算定した額を、厚生省令で定めるところにより、特別徴収の方法によって徴収することができる。」と、こう書いてあるわけです。だから、この制度が始まる最初の六カ月、半年に限ってはこういう方法でできると。  厚生省にいろいろ聞いてみますと、「政令で定めるところにより算定した額」とは何かといったら、これは全国平均の額なんだと。ことしの夏の発表では約二千九百円、そういうことですね。ところが、これにはまたもう一項附則というかついていまして、そうはいったって余りかけ離れているところは二千九百円という全国平均じゃなくてもいいですよということも政令に書いてありますね。  ところで、その次の「厚生省令で定めるところにより、」というのは、何か近々定めるようだったようですけれども、二千九百円という額は省令で定めると。政令では全国平均の額で取ることができるということを定める、こういう構造になっているというふうに私は聞いているし、きょうは法制局長官もおいでになっているから後でお聞きしますけれども、したがってこの「徴収することができる。」という表現は、徴収しないこともできるという、全くそういう意味じゃないんですよね。徴収しなければならない、ならないというずっと流れがある中で、だけれども制度が始まる当初は額の決めようもないからこういう方法で徴収することができるということで書いてある。  そうすると、普通徴収はいいですよ、だけれども六十五歳以上の住民の約八割は年金から徴収する特別徴収、これは半年間徴収しなかったら法律違反じゃないですか、大臣
  52. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) まず、今回のいわゆる三党合意あるいは政府が特別措置を決めるに当たりまして法改正をしないんだと。もう来年の四月でございますから五カ月であります。この間近に迫ったときに法改正をすると私はあらぬ混乱を与えることになるのであろうと思います。今井委員は法改正をすべきだという立場でございますが、またひとつその御見識を……
  53. 今井澄

    ○今井澄君 いやいや、法律ですから。
  54. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) さっきそうおっしゃったから、それをお聞きしたいと思っておりますけれども、先ほどから申し上げましたように、要するに法改正をせずに枠組みを変えるものでないという、まずこういう大前提に立っておるということであります。  それで、仮に保険料を徴収しないということにすれば、法律上、市町村は保険料を徴収することとされております、これは先ほど今井委員が申されましたような本則の百二十九条でございます。こういうことであります。  その一方で、これは年金の話でございますが、年金からの保険料の徴収は御案内のように上半期と下半期に分かれておりまして、先ほどから御指摘がございましたように、上半期は仮の額による仮徴収である、こうなっておるわけでございます。この仮徴収につきましては、要するに施行当初であるという特殊事情も踏まえまして徴収を行うか否かを選択することができるということが実は法律にも明記されているところでございます。  いずれにいたしましても、今回の特別対策は、このような法制度を踏まえまして半年間は保険料を取らないことができる、その分を国が負担することができる、こういうことでございまして、これはあくまでも法改正を伴わないものだと、このように御理解を賜りたいと思っています。
  55. 今井澄

    ○今井澄君 何かよくわからないんですが、法制局長官、どうでしょうか。この条文を見て、「徴収することができる。」というのは徴収しないこともできるというふうには解釈できないと思うんですが、いかがでしょうか。
  56. 津野修

    政府特別補佐人(津野修君) これは一般的にできるという規定の解釈になろうかと思いますが、特に今回の介護保険法施行法と、それから介護保険法のこれはたしか百三十五条だったと存じますけれども、百三十五条の第一項におきまして保険料の特別徴収という規定があります。この特別徴収の方は、御承知のとおり、ちょっと読んでみますと、「特別徴収の方法によって徴収するものとする。」というふうに義務づけているわけでございます。しかも、そこにただし書きが入っておりまして、ただし書きによりましてここでは義務づけを解除している規定になっているわけでございます。その場合には、「ただし、当該通知に係る第一号被保険者が少ないことその他の特別の事情があることにより、特別徴収を行うことが適当でないと認められる市町村においては、特別徴収の方法によらないことができる。」というふうに、逆に自由にそこで裁量として市町村も特別徴収の方法によらないでもいいですよというのがただし書きで書いてあるわけです。  ところが、介護保険法施行法の十六条に参りますとこのただし書きの規定はないわけでございます。したがって、市町村において介護保険法の保険料を特別徴収によって徴収するかどうかということにつきましては、先ほど言いましたただし書きと同じように、ただし書きの場合もその施行法の十六条にも当然入っているはずですから、したがいましてそこは市町村の選択にゆだねられているというふうに解して十分だろうと思います。
  57. 今井澄

    ○今井澄君 つまり、そこの十六条の条文をどう読むか、できるということではなくて、その前の、本法の方のただし書きで市町村が特別徴収の方法によらないこともできる、そういうことで可能だというふうに私は受け取りました。それでよろしいわけですね。
  58. 津野修

    政府特別補佐人(津野修君) 私が申しました趣旨は、そういったものも含めて選択ができる、含めてその他の場合においても市町村の選択に任せているというふうに理解すべきであるということでございます。
  59. 今井澄

    ○今井澄君 それは保険者である市町村の選択でできるということでありますね。国がどうこう指令するということじゃないですよね。
  60. 津野修

    政府特別補佐人(津野修君) そのとおりでございます。
  61. 今井澄

    ○今井澄君 そうすると、これは非常に複雑な形になるので、国がとにかく半年間保険料はただにすると、こういう言い方をしたわけですね。これは本来国が言うべきことじゃないんですね。保険料を徴収するのは市町村である、それを国が言ったことが一つの問題だと思いますが、それが法的に可能になるのは、市町村が年金をもらっている人からは年金の天引きをしなければならないとなっているんだけれども、市町村の判断によっては年金から天引きしなくてもいいと、そう市町村が判断して、そうすると普通徴収になるわけですね。普通徴収になると、四月一日の時点で保険料だけ住民に通知しておいて三月三十一日までに取ればいいんだから半年間取らなくてもいいと、こういう解釈だというわけですね。そういうことですね。
  62. 津野修

    政府特別補佐人(津野修君) この介護保険法施行法とそれから介護保険法との徴収の規定がかなり複雑でございまして、例えば特別徴収によらなければそれは一般的に普通徴収に行くわけでございます。ところが、介護保険法施行法の十六条の方の規定では上半期だけのことを規定しているわけでございます。したがいまして、後半におきましては百三十五条の規定、こちらの方が、上半期においては普通徴収の場合もありますけれども、後半期においては一号被保険者の年金をもらっているような方は天引きをしなさいという規定が百三十五条から百三十六条にかけてずっと規定されているわけでございまして、後半に至りますと、特別徴収の方法によって徴収をしていかなければいけないというような規定になっているわけでございます。
  63. 今井澄

    ○今井澄君 いや、さっき法制局長官は、なぜできるかということは、特別徴収をしないで普通徴収でやるかどうかは市町村が判断できるからできるんだと、そういうふうに言われたわけですね。厚生省もそういう考え方でいいですね。市町村の判断で年金を月一万五千円以上もらっている人については特別徴収をしろと書いてあるんだけれども、市町村の判断によっては特別徴収をしないで普通徴収にしてもいいんですね、大臣。  そうすると、今の法制局長官のあれでいくと、とにかく半年間免除すると。そうして、半年間は、年金を一万五千円以上月額もらっているけれども、それは普通徴収の形に切りかえて徴収しないでおいて、後半は今度は特別徴収ですよとやおら保険から天引きするなんて、こういうことはあり得ないですよね、これは年度ですから。やっぱり後半もいただくとすれば、普通徴収で、一人一人手でいただくということになりますね。
  64. 津野修

    政府特別補佐人(津野修君) 大変法律の規定が複雑で御理解が非常に難しいと思いますが、要するに施行法十六条は上半期だけの特別徴収のことを決めておる。その場合に、仮に上半期に納期が設定されているとすれば、普通徴収の方で納期が設定されているとすれば、その場合は普通徴収の方で納めなければいけない。ところが、上半期に納期が設定されていないということになりますと、下半期に納期が行ってしまいますと、それは百三十五条からずっと特別徴収の規定がございますけれども、施行法十六条の射程距離はあくまでも上半期だけでございますから、本則の百三十五条、六条、そこの特別措置の方へ、下半期は特別徴収の方へ移っていくというふうに理解するのがいいかと思います。
  65. 今井澄

    ○今井澄君 いや、これは極めて重大な問題なんですよ。私は、別に法律に違反したらそれでもうだめだとか何だとか、実は余り言うつもりはないんですよ、私もいろいろやってまいりましたから。だから、正しいと思うことは断固としてやるべきだと思うけれども、しかし今法改正しないでやるとか法をねじ曲げて解釈してお金をまけるとかということ、これはやっぱり制度を混乱させるんですよね。だから、私はこの法の解釈が大事だと思うんです。  今、法制局長官が言うのも間違っているんですよ。何が間違っているかというと、特別徴収の上半期のことは百三十何条のところに書いてあります。施行法の十六条に書いてあるのは、これは平成十二年の四月から八月までのことなんですよ。本法の方に書いてある上半期は平成十三年度の上半期からのことなんです。これは全然別なんですね。法制局長官がそういうことじゃ困るんですが。  大臣、どうですか。
  66. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 大変技術的でありますが、重要な問題でございます。  私なりに整理させていただきますならば、先ほど来の議論をお聞きいたしておりまして、要するに仮徴収の部分、いわゆる前期の部分についてはそれぞれの市町村の判断において徴収することもできるし徴収しなくても結構、そういう選択にゆだねられている。それで、後半の特別徴収については徴収しなければならない、このような整理の仕方をさせていただきます。
  67. 今井澄

    ○今井澄君 大臣、正確に言葉を使っていただきたいと思うんですけれども、年金から天引きをするのが特別徴収じゃないですか。その中で、年度の前半が仮徴収で後が本徴収なんですね。なぜ仮徴収かというと、正確な額を確定できないからということなんですよね。  法律の解釈、これは厳密にやってもらわなきゃ困るんですよ。法制局長官もその辺きちっと。これは法制局で審査したんですからね。これは、丹羽大臣、私は七人のワーキンググループで法案をそれこそ鉛筆なめなめ厚生省の皆さんと一緒に詰めたときに、一々厚生省の皆さんが法制局に走っては、これをこう変えているのは法制局がいいと言ったとか悪いと言ったとか、そういうことを一々聞きながら私たちも最後この法案をつくったんですから、そこはきちっとしてもらわなきゃ困るんです。  だけれども、私は審議時間が十二時までしかないものですから、この問題ばかりやっていると大変なので、本当にこれは私はどう考えてみても違法だと思います。これが違法でないということをはっきり後日しかるべき場で私は示してもらいたいと思っています。  そこで、もう時間がなくなったので、今度の介護保険法に関しては違法がもう次々と続くんですが、次の問題は、補正予算にこれを盛り込むというんですけれども、これは財政法違反じゃないですか。  これも、素直に財政法を読んでみますと、日本の予算はまず単年度主義になっているんです。第十二条、「各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない。」ということで、単年度主義。そして、その後、補正予算については、第二十九条、どういうときに補正予算が組めるかというと、「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、」、これは足りなくなった場合ですね、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」と。あと二号もありますが、二号は関係ないんです。  これは、政府がおっしゃっているのは、半年間は保険料を取らなくていいですよ、その後一年間は半額にまけてもいいですよと。というよりも、むしろ取るのをやめなさい、半額にまけなさいと命令口調のように私は聞こえるから気になるんですが、その分、市町村にお金を上げますよということなんですね、臨時特例交付金で。ということは、これは執行するのは来年以降でしょう。何もことしの補正で組む必要はないじゃないですか。財政法の言う緊要のという条件を満たさないと私は思っているんだけれども、この議論はもうしません。というのは、これは衆議院でもいろいろ答弁がありましたが、とにかくこれが必要ないことはもう明らかなわけで、これは時間がないので、済みません、言いたいことだけ言わせてもらって次に進ませていただきたいと思います。  ところで、国債を随分発行するようですが、小池政務次官、この質問のためにおいでいただいたわけでございますが、この国債の発行というのは私は大変心配なんですけれども、日本経済に悪い影響はないでしょうか。簡潔にお答え願いたい。
  68. 小池百合子

    政務次官小池百合子君) 国債の発行、増発によって、端的に申し上げれば長期金利の上昇が伴うのではないかという御質問ではないかと思いますけれども、現時点では大幅な需給ギャップが存在いたしまして企業の資金需要というのが残念ながら低調な状況にございますので、今回、この経済新生対策、今回の介護対策も含んで全体でございますけれども、これが長期金利を大きく上昇させる可能性は高くないというふうに申し上げたいと思います。  参考までに、経済というのは御承知のように情報を先取りいたしますので、今回、もう既に発表されて、かなり前の時点で市場は織り込んだといいましょうか、けさの時点で十年物の流通利回りでございますが、御参考までに、一・八五という数字となっております。
  69. 今井澄

    ○今井澄君 ありがとうございました。  赤字国債をどんどん発行しても長期金利が上がらない、経済に悪い影響はない、でもその原因は残念ながら民間の設備投資が全然出てきていないことにあるというのは、喜んでいいのか悲しんでいいのか、いずれにしても大変なことだと思います。  そこで、臨時特例交付金についてお尋ねしたいと思うんですけれども、きょう資料を配っていただけましたでしょうか。皆さんのお手元に行っていますか。  この資料を改めてあれするまでもないんですが、資料を二つ、これは厚生省のパンフレットですが、青い葉っぱのハートのマークになっている、これをあけないでそっくり裏返していただきたいんですが、この裏に「介護保険制度の仕組み」と実によく書いてあります。これは平成七年度時点でつくったわけですが、実によく書いてあるんですけれども、今では訂正しなければなりませんですね。一番右の下の青い括弧の中の平成七年度価格を、十一年度価格で、総事業費が約四・二を四・七と変えなければならないし、その左の青いところで保険料が約二千五百円というのは約二千九百円に変えなければならないと思いますし、また上の方のピンクの第一号被保険者の保険料を年金から天引きが約七割を八割に変え、したがってその上の三割の人が個別徴収を二割に変える。  そのほかに、本当はこの右側のグラフの上に自己負担分を上乗せしておかないと総事業費にならないのであれだと思うんですが、この右側のグラフにあるように、右側の紫、公費は半分、半分は保険料と、これは単に厚生省説明だけじゃなく、法でこうなっているんですね。法でこう決められておる。ところが、今度のこれではこの棒グラフの左の方の高齢者保険料一七%、緑のところを最初半年はそっくり公費で埋めちゃおうというわけですね。これは制度の枠組みを変えるわけです。  そこで、厚生大臣にお尋ねしますが、もう一つのパンフレットの裏を出していただきますと、一番下に介護保険の財政ということで今度は円グラフでお金の財源が書いてあります。左の上に六十五歳以上の方の保険料平均一七・〇%、その右に国から二五%出るんだけれども、国負担金が二〇%で調整交付金が平均五%と書いてあります。このグラフはこう書いてありますが、厚生省はこの前にもう一つうちょっと厚手のパンフレットをつくっているんですね。その中では、この扇形の五%の部分が出たり入ったりぎざぎざになっていて、このだいだい色の方にうんと食い込んでいるところ、だから市町村によってはたくさん国からお金のもらえるところと、むしろだいだいがこの黄緑の方に食い込んでいる、市町村によっては国から二五%までもらえないという、これはいろんな条件でそうなるのですが、そういうグラフが一時厚生省のパンフにあったんです。あれは正確だけれどもわかりにくいというのでこう戻したんだと思うんですが、本則はこういう二五%、これが介護保険法第百二十一条と百二十二条に書いてあるわけです。  そこで、市町村長さんからの根強い要望を厚生大臣政務次官も御承知だと思います。それは何かというと、調整交付金、市町村のいろんな状況によって、高齢化とか所得によって市町村に調整して交付金をくれるのはありがたい、だけれども、これは二五%の外出しにしてほしいと。というのは、市町村によっては、二〇%プラス二%で二二%ぐらいしかもらえないところもあって、これは最初に決めた二五%国費を入れるというのと約束が違うじゃないかという要望がずっと出てきて、最近もそれが出てきています、この前の十一日の市長会の要望にもそれは書いてある。  ところが、それに厚生省は何と答えてきたんですか、今まで。法律でもう全部二五%と決まっているんだと。調整交付金と合わせて二五と決まっているんだから、外出しにはできないと答えてきたでしょう。それを、今度はこの二五のほかに一七%のところをそっくり埋めるお金を出すんでしょう。厚生省は、今まで市町村長さんたちに二五%以上はもう法律で決まっていて出せないんですよと言ってきたことと、今度この分を出しますよと、どういうふうに説明するんですか。大臣、答えてください。
  70. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) まず、先ほどから申し上げておるわけでございますが、今回の特別対策に先立ちまして与党三党で協議をしていただきまして、七項目の合意を決定したところであります。その大前提が、とにかくもう五カ月を切った、こういう段階において法改正を行いますと現場にさらなる混乱を与える可能性があるからということでございまして、とにかく法改正はしない、こういう前提に立っておるわけでございます。  今の今井議員の御指摘は五%の分の調整交付金をいわゆる国の二五%のほかに五%外に出せと、こういうような御主張でございますが、これは明確に……
  71. 今井澄

    ○今井澄君 私の主張じゃなくて、市長会がそう言っているんです。
  72. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) では、今井先生はそうじゃないんですね。その辺はちょっと、いや、市長会のも聞いています。では、その辺のところはどちらでもよろしゅうございますが、市長会と今井先生はまた違う考え方かもしれませんが、要するにそういうような御要望があったことは私も十二分に承知をいたしておるような次第でございますけれども、これはあくまでも、先ほど申し上げましたように、この時期に参りまして法改正をしない、こういうような観点から、要するに五%の外枠につきましては残念ながら市町村会の御要望に沿いかねるということでございます。  ただ、御案内のように、さまざまないわゆる高齢者負担の軽減、これにつきましてはいろいろな議論もございますけれども、総体として九千億円を補正予算に計上させていただく決意でございますし、そのほかいわゆる基盤整備事業として一千億円に近いものを計上させていただく、こういうような観点から市町村長さん方の御要望には満足していただけるようなものである、このように確信をいたしておるような次第でございます。
  73. 今井澄

    ○今井澄君 いや、私がお聞きしたことはそういうことじゃなくて、厚生省はそういう市長会の要望に対して、法律でもうそれはできないんだと拒否してきているわけです。にもかかわらず、今度は厚生省は法にもないお金を入れるわけですよ、公費を、これに反することを。その矛盾をどうかとお聞きしたんですけれども、そういうことはお答えができないようでありますので、もう時間もありませんから、やはり私は厚生省は、厚生省はというより、今度の政府の見直し案というのはかなり法に触れる、すれすれの法解釈をぎりぎりやってもかなり難しいやり方をして国費を出している、一種の緊急避難的なことだと思うんです。  だから、それをやるんだったら、本当にお金を出すのなら、それで出すお金もどうも赤字国債でやっても日本経済に余り影響ないようですから、私は影響はあると思うんですが、出すのだとすれば、これは市町村長と住民の皆さんが話し合って本当に介護保険制度あるいは介護サービスがうまくいくように使ってもらうと。むしろ厚生省は市町村長さんたちの知恵、あるいは地域の住民の知恵、あるいは学識経験者の知恵を聞いてそのお金の使い方について十分相談すべきだと思うんですが、どうですか。
  74. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) これが率直に申し上げて最も悩ましい問題でございます。  大変御熱心な市町村の中には、幾ら保険料がかかってもいいから立派な給付サービスをしてほしい、こういう意見があることも事実です。しかしその一方で、ある市町村長さんから聞きましたら、我々のところは健康なお年寄りからとても多額の保険料を取ることはできないんだと、こういう意見も紛れもない事実であります。  そこで、私といたしましては、とにかく全体的に意見を集約して、そういう中においてどのような措置がとれるかということで今回の特別措置というものをつくらせていただいたと。要は、来年の四月から国民の皆さん方にこの介護保険制度に御理解をいただいて円滑な実施スタートすることがまず第一だと、こういう観点からこのような措置をとらせていただいたということでございます。
  75. 今井澄

    ○今井澄君 私、もうあと一分ぐらいしかなくなってきて、大分大臣は熱心にお答えですが、そこなんですよ、一番問題なのは。確かに困っておられる市町村長さんたちもおられます。だけれども、大部分の市町村長さんたちは介護保険制度をちゃんと保険料を徴収してやってくれなければ困ると言っているんです。先ほどのように、全国町村会長さんも全国市長会長さんも大部分そうなんです。そのことが大事だと思うんです。制度をうまくやるためにはどこかに若干の混乱が起こるかもしれないけれども、少なくとも一生懸命汗水垂らしてやっている市町村や、話し合いをやってお金を出すと言っている住民、この希望にこたえて制度スタートさせなきゃだめだと思うんです。  私もついこの前の日曜日に地元へ帰って、地元といっても全然知らない地元なんですけれども、私のことを知らない運転手さんが私の行き先を聞いて、介護保険ひどいですよね、私たちお金出しますよ、八割は出せるんですよと。六十五歳以上でしたが、そのタクシーの運転手さんは言いました。みんなそこへ来ている人が大部分なんです。  そう言っては悪いですけれども、一部の人たちの意見よりは大部分意見を聞いて、やはり保険料をちゃんと徴収してスタートすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  76. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) この新しい世紀の大事業とも言えます介護保険制度につきましては、国民の皆様方に祈るような気持ちで本当に定着していただきたい、こういう気持ちで私は答弁を申し上げておるわけでございます。  例えば、新しい制度のもとでは、先生御案内のように今要介護認定手続が行われております。横浜の市長さんから聞きました、八割ぐらいもうできましたと。ところが、残念ながら私のある町の市町村ではまだ二割しかできていない、これから間に合うのかと。実際問題、認定審査会の委員先生方も忙しくてやっていられないんだ、こんな苦情も聞きました。実は大変温度差があるわけでございます。  それから、要するにこれまでは御案内のように措置制度のもとで行われておりました。今度はいわゆる契約型の……
  77. 今井澄

    ○今井澄君 ちょっと、大臣、私の持ち時間もう過ぎているので。
  78. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) いや、簡単に終わりますから。
  79. 今井澄

    ○今井澄君 いや、よくないんですよ。こちらの持ち時間が、次の質問者の持ち時間がありますから。
  80. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) やめろということですか。
  81. 今井澄

    ○今井澄君 ええ。もうわかりました。
  82. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) ちょっと中途半端ですね。
  83. 今井澄

    ○今井澄君 私の時間はもう終わっちゃっているんですよ。
  84. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) もしお許しいただければ。もうすぐ終わりますから。
  85. 狩野安

    委員長狩野安君) どうぞお続けください。簡潔に。
  86. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) それで、要するに今までの措置制度から新しい利用型制度に変わるんだ、こういうことでありまして、いわばこれでは、ぜひともこの点だけは、今井先生、御理解いただきたいのは、あくまでも助走期間でありまして、これは半年後にはきちんと保険料を取るんだということで、その点は十分御理解をいただきたい。  そして、もう一点だけ。要するに、あくまでも来年の四月から保険料を取るかどうかということの判断についてはそれぞれの市町村の判断に任せる、このことであります。
  87. 今井澄

    ○今井澄君 私はこれまでが助走期間だと思うんですが、それはそれとして、どうも審議が深まらないので、介護の集中審議を今回で終わらせず引き続きまたやっていただきたいと思いますし、やはり三党合意の問題は大事なので、亀井政調会長ほか関係者にぜひ参考人でおいでいただきたいし、実際、市町村というのがどうなのか、参議院でも市町村の意見あるいは関係団体の意見というのをぜひ聞かせていただきたいので、参考人要求をいたします。
  88. 狩野安

    委員長狩野安君) 午前の質疑はこの程度とし、午後零時五十分まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後零時五十六分開会
  89. 狩野安

    委員長狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障等に関する調査うち介護保険に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  90. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 民主党・新緑風会の松崎でございます。  午前中の同僚の今井委員質問に引き続き、私は厚生大臣並びに政務次官に、家族介護慰労金問題並びにマンパワーの問題を中心に御質問申し上げます。  最初に、今回の介護保険対象となるいろいろな計算の基礎、予算の基礎にはそれがあると思いますが、対象人数並びにその基礎となる寝たきりになってきた原因になる病気のおおよその推定について、厚生大臣からお答え願いたいと思います。
  91. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 昨年度、各市町村において実施されました要介護者数等に関します調査結果を現行の要介護認定基準に換算して推計いたしましたところ、介護保険給付対象となる要介護者、要支援者は二百八十万人に達すると結論を得ております。  このうち介護が必要である六十五歳以上の在宅の高齢者につきましては、その原因となっている疾病に関する調査を行いました結果、脳卒中が三〇・三%で最も多く、次いで高齢による衰弱が一四・九%、痴呆が一二・二%でございます。
  92. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 介護保険の問題が世の中にいろいろ大きな波紋を投げかけておりますけれども、介護保険というのは、前国会のときに宮下厚生大臣にも申し上げましたが、しょせんはいわゆる弱られたお年寄りを中心として、とにかく介護を要する人々への、極端な表現をすれば後始末的な要素、お世話をするという要素があるわけであります。  問題は、二十一世紀を考えた場合に、介護保険の要対象者をいかに減らすかという政策が相伴いませんと、介護保険に要する費用はウナギ登りに上っていくだろう。そのことが日本経済に及ぼす影響は大変大きなものがあり、社会的な活力もそれによって失われていくと思われます。そういう意味で、厚生省は一応予防の面に関しては健康日本21を準備してあるというふうにおっしゃるのだろうと思いますが、健康日本21と介護保険は恐らく今後車の両輪のように相補わなければ健康な高齢社会というものを迎えることができません。  健康日本21で見られます、この間発表になっていた内容をちょっと拝見いたしますと、先ほど厚生大臣は三〇・三%が脳卒中に起因するとおっしゃっていました。その脳卒中を三七%減らせる方法として、十年間で、腫瘍がどうの、九千何百歩歩けの、喫煙率が半分になればいいとか、あるいはお酒が三合から一合になればいいというようなことで大幅に発症を減らし得るというふうな記事が出ておりました。私は、こういう議論は日本を画一化した単純な、地域の特殊性も何も考えない、いわば机上の空論でしかないと思っております。  私は、前の国会の委員会で申し上げましたが、人口サイズの違う四つの町を相手にいろいろな実験をしてまいりました。それは、健康日本21に該当する問題でもあり、あるいは介護保険の要介護の問題に該当する問題でもありますが、沖縄県平良市、新潟県上越市、香川県寒川町、福島県西会津町、この四つの町でずっと何年間か実験を続けてきたわけでありますが、厚生省の健康日本21に示されたような内容では恐らく一つも病気を大幅には減らせないだろうというふうにこの四つの町の実験を通じて実感しております。  例えば、西会津町などというのは福島県で最も悪い町でありました。脳卒中も一番多く、平均寿命も一番短いというような場所でありましたが、しかし七年間に国民健康保険の税金で一人当たり二万円の減税に成功しております。もちろん脳卒中は半減し、病気は大幅に減っております。  この住民運動の中で私はいろいろな教訓を学びました。その一つがマンパワーの養成という問題であります。それが健康日本21の実践運動であり、介護保険の準備につながると思いますが、この両者の関係をどのように厚生省は位置づけられているか、大臣にお答え願います。
  93. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) もう一回最後の位置づけのところを、恐縮ですが。
  94. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 健康日本21と介護保険の進行の関連をどのようにお考えになっているか、お答えいただきたいと思います。
  95. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 寝たきりの要介護状態にならずに健康で長生きをして、そしていつまでもお元気であるということは、だれしもが願っていることでございます。そういう中で、来年から二十一世紀における国民健康づくり運動、いわゆる健康日本21計画というものをスタートさせます。  これは、実は私もアメリカに行って話を聞いてきたわけでございますけれども、一九七八年にアメリカでヘルシーピープル二〇〇〇というのがスタートいたしまして、これを一つのモデルにいたしましてこのような健康日本21計画というものが策定されたわけでございます。これは、来年の一月から地方においてそれぞれの計画を策定して国民の皆さん方に普及啓発運動を行っていく。そういう中で、私もアメリカの方のあれは見たんですが、大変分厚いものでありまして、具体的に申しますと、例えばたばこの喫煙率が男子の場合日本は非常に高い、六〇%ぐらいある、これを欧米並みに三〇%から二〇%に下げようじゃないか、それによってがんであるとかいわゆる成人病の発生を抑えていこうじゃないか、こういうようなことでございます。  これはこれとして大変これから大切なことだと思います。と同時に、今、先生から御指摘ございましたいわゆる介護問題、お年寄りの問題、これは表裏一体の問題でございまして、私どもはとにかく元気で長生きするお年寄りを育てる。しかし、そうはいっても何かの原因によって寝たきりや痴呆症になったお年寄りを、これからはみんなで支え合っていこうじゃないか、社会全体で支え合っていこうではないか、これが介護保険構想でございます。  そういう意味におきまして、位置づけというものは大変難しい表現でございますけれども、いずれにいたしましても、私どもが願っておりますことは、お年寄りが自立して、お元気で、そしていわゆる健康寿命といいますか、こういうことを過ごせるような体制にもっともっと力を入れていくことではないか、こう思っておるような次第であります。ですから、介護保険というのは、そういう意味においてお気の毒なことに寝たきりになった方々に対するセーフティーネット的な役割を果たすのではないか、こう認識をいたしております。
  96. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 介護保険の場合には、ケアマネジャーを核としてホームヘルパーが最前線に配置されるというマンパワーの配置になるわけでありますが、その核となる職種を見てまいりますと、ケアマネジャーの中には医者がいたり、あるいは薬剤師がいたり保健婦がいたりというようなことでありますが、その中の職種別にひとつ検討してまいりたいと思います。  まず私は、自治体が準備する予防と介護の両面にまたがって活動できる中核をなす職種は、保健婦と栄養士だというふうに判断しています。これがしっかりしませんと、どちらもあいまいなものになってまいります。形の上ではケアマネジャーが何人できても、あるいはホームヘルパーが何人できても、中身が非常に弱いものになります。  前にも一回質問したことがございますが、その後、厚生省はこの両職種、保健婦と栄養士を各自治体でどのぐらい人数を調えなさいというような行政指導をなさっているのか。私は、先ほど申し上げた四つの町の実践活動を通じて、人口千人に一人の保健婦、人口三千人につき一人の栄養士というのが妥当であるという私なりの結論に到達しておりますが、実際これをもう実現した町も幾つかありますけれども、厚生省の行政指導の方向はどこら辺を数値としてお考えになっているか、政務次官にお答え願います。
  97. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 今、松崎委員から御指摘がありましたように、疾病予防対策とか要介護者の増加防止対策に保健婦などの確保が極めて重要であるということを認識しております。松崎委員がこのことに大変御熱心に取り組んでこられたことを承知しておりますし、また先生の御著書を拝見したこともございます。  厚生省といたしましては、今、保健婦、保健士につきましては、新ゴールドプランの推進や老人保健事業及び母子保健事業の円滑な実施を図るため、所要の地方財政措置を講じまして、平成十一年度までに全国の市町村において必要な約二万六千人を確保することとしております。都道府県を通じて市町村で人員配置をお願いしているところでもあり、今、充足率では約九割と、こういう状況でございます。
  98. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 今のお答えは九〇%だということですが、大変少ない目標値でありまして、これでは健康日本21が果たして有効に作用するか、あるいは介護保険の、ケアマネジャーなどの中核になる保健婦などが果たして活動できるか、非常に危ないなという感じを受けます。  私は、こういう専門的な職種以外にこの専門的な職種を取り巻く集団として住民運動の中から生まれる形、その代表が厚生省がかねがね長年にわたって育成、指導してこられた食生活改善推進員だと思います。と申しますのは、私はこれを三年間にある人口一万の町で百人を専門的に養成しましたところ、これが活動の中核体となって次々にホームヘルパーを生み出していった事実を見てつくづく感ずるわけでありますが、この食生活改善推進員の実際の人数厚生省で現在把握しておられたら、お答え願いたいと思います。
  99. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 食生活改善推進員は、平成十一年度時点で全国で二十二万人の方が活躍をされております。この方々はボランティアでございますが、これからはこうしたボランティアの方々のお力の果たす役割がますます大きいものである、このようにも思いますし、今後とも厚生省といたしましてもこれらの方々の活動を積極的に支援をしてまいりたいと思います。
  100. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 次に、大臣に御質問申し上げます。  今回の介護保険の中で問題になります点は、午前中、今井委員質問で出されましたのと並んで、いわゆる家族介護慰労金問題であろうというふうに思います。この問題が政府見直し案の中で原案とは違って突如として出てきた経過について、大臣に御質問いたします。
  101. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 与党三党の政策責任者の間でこの問題が出てきたように承知いたしております。
  102. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 経過という質問に対しまして、与党三党の間で出てきたという御回答でありますが、もうこれはだれが見てもわかりますように、与党の政調会長が名前に反して騒がれて、もう少し静かになさっていればいいものを、家族介護慰労金だけではなくて、とにかく保険料まで手をつけられて介護保険の根幹を崩すような発言をなさったために、それをきっかけに表に噴出してきたことは衆目の一致するところであります。確かに、一般の方に自分の家族介護してお金がもらえたらいいだろうと聞けば、それはいいと言うに決まっております、そういう心理につけ込んだのかどうか知りませんが。  この介護保険基本的な精神というのは、先ほど午前中に今井委員質問に答えて大臣が最後に言われましたように、家族に過重な負担のかかっている介護を社会化し、同時に女性にだけ負担のかかってきた現状をかんがみて、こういうものからも解放して、要するに主として家族によって負担されてきたものを社会が肩がわりして、社会全体で負担していこうという精神だというような意味のことをおっしゃったわけであります。  しかし、この家族介護慰労金という問題は、この方向とは全く正反対の方向をつくり出すものと思われます。中には、お金がもらえるということから、患者さんの入院を抑え込んだりする可能性すらある。そして、家族介護は美風であるなどと。衆議院の厚生委員会のとき厚生大臣の御答弁を伺っていましたら、私は美風という表現は使わないというお言葉を述べられていたようでありますが、その言葉の中に込められたいろいろ大臣の表情その他から見ていて、この美風というものが必ずしも政府全体がそういう感覚を持ってこの問題をとらえてはいないなということを感じたわけであります。  核家族化する中で、女性が過重な負担を受けているというこの現在の事実は隠すことができません。あえて介護家族に押しつけようとする、そして慰労金をもってそれでごまかすといいましょうか、そういうような態度というのは、前に成立しました男女共同参画社会基本法などにも明らかに反する行為であります。あの参議院の附帯決議並びに法律の条文の中にも「家族介護」という言葉がはっきり入っております。そして、家族が当該介護活動以外の活動を行うことができるように、要するに女性の解放の問題をここでうたっているわけであります。  厚生省がつくられている国民生活基礎調査を見ましても、一番新しい平成七年の介護の実態を拝見いたしますと、同居別居を問わず介護を担当している者の八割は女性であります。それが子供であろうと配偶者であろうと、あるいは子供の配偶者であろうとを問わず、八割前後が女性が負担しています。こういうような、女性を介護に縛りつける方向家族介護慰労金というものが明らかに結びついていることは、多くの自治体の長、町村長会あるいは市長会あるいは各種団体がこの介護保険家族慰労金反対という声を上げて叫んでいます。  このことに対して厚生大臣、どのように思われますか、御意見をいただきたいと思うんです。
  103. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 家族介護の問題でございますが、一政党の政策責任者のみならず三党の政策責任者の皆さん方が、どちらかというと私も、非公式でございますけれども、呼ばれた席におきましては前向きな姿勢を示しておりましたことをまずお伝えさせていただきます。  それで、問題は、家族介護への支援のあり方に関してでございますけれども、さまざまな議論を呼んでおるわけでございますけれども、私は率直に申し上げて松崎議員とは認識が異なっております。介護保険基本理念に反するものではない、また基盤整備のおくれを招かないような形で実施できるものだと思っております。  現に、枠組みが厳しい制約ができております。つまり、これは重度で低所得者、要するに保険料でいえばⅠ、Ⅱの方、それからいわゆる認定でいけばⅣ、Ⅴの方でございますので、対象は現時点では最大で七万六千人でございます。しかも、いわゆる家族の慰労金として年間十万円でございますので、これによって家族介護へのしわ寄せがいくとか、そういうような考え方というのは私は当てはまらないのではないか。あくまでも、要するに大変厳しい中で家族介護をしていらっしゃる家族方々に対して、せめて一週間ぐらいはショートステイに要介護者を預けてリフレッシュな旅行をしていただくとか、こういうようなことでございます。  ドイツなんかではいわゆる現金給付ということでありまして、要するに保険料を払って、そしてもらうということで、なかなか基盤整備が進まないんだ、こういうようなことでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、極めて限られている条件のもとでなされておるわけでございますので、これによって先ほど来申し上げておるような基盤整備のおくれを招くようなことは全くありませんし、それからあくまでもこれはそれぞれの市町村の独自の判断で行っていただくことでございまして、そういう意味において、それに対して国が支援をする、こういうことでございまして、私どもがかねてから言っておりました家族方々の過重な負担を軽減する、こういった趣旨からは何ら逸脱しているものではない、このように考えているような次第であります。
  104. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 今のお答えは、四月以後に必ず実証をされる問題でありますから、私の言ったのが正しいか、大臣が言われたのが正しかったかは四月の以後に判明するでありましょう。大臣がそれを自信を持って言われるならば、どんな婦人団体の前でもそれをはっきりおっしゃる勇気をお持ちになることであります。それをぜひ大臣に覚悟を決めていただきたいというふうに思います。  次に、ケアマネジャーの問題について質問をします。  政務次官に御質問しますが、ケアマネジャーの試験というものを今まで二回やられました。一回に九万人ぐらい合格したとかいう話を聞きますが、現在までに何人ケアマネジャーが資格試験に通ったのか、そしてその中で実際に就労する意思のある者を各県で今調査をしているようでありますが、それは厚生省でまとめられたかどうか、まとめられたらその数字を伺いたいと思います。
  105. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 平成十年度と十一年度の介護支援専門員の実務研修受講試験合格者は合計で十五万九千三百五十名となっております。また、そのうち就労希望者については、現在のところまだわかっておりません。
  106. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 大体十五万ということになりますと、一回に七万か八万合格しているわけであります。これを、今後とも毎年試験はおやりになるようでありますが、このままの状態でずっと一定のレベルで試験をやられて合格者を積み上げていくおつもりなのか、あるいはほかの医療の職種にあるように、人数を将来もう十分だから減らしていくというふうな方向をおとりになるつもりなのか、その点について政務次官、お答え願います。
  107. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 今のところ年に一回毎年試験を実施していく予定でございまして、ケアマネジャーはケアマネジャーのみの職種につくというのではなくて、受験者を見ましても、医師であったり、看護婦さんであったり、また介護福祉士であったりとかいうような方が兼務をされるという状況のようでもございますし、今後も年に一回資格試験をやっていく予定でございます。
  108. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 各県の合格者の中で本当に仕事につく意思があるかどうかという調査をしている幾つかの県のデータを拝見しましたが、資格だけは取っておいて就労するつもりはないという答えが、県によっては違っておりますが、かなりのパーセンテージを占めております。そういう人たちがこの際資格を取っておこうという意味で試験を受けられた。そして、何年か仕事につかないでいて、家庭の事情やら個人の事情やらで五年後とか六年後に仕事におつきになるような場合というものはかなりあるだろうというふうに想定されます。その場合、このケアマネジャーというのは介護保険の中でも核になる部分の職種でありまして、ここがいいかげんになってしまったら大変なことになります。  しかし、民間業者が何年も休んだケアマネジャーを採用するというような場合だって考えられるし、自治体だってそういうことをやりかねません。そういうような者に対してはきちんとした研修、いわゆる研修の義務というものをどこかでつくらなければいけないと思いますが、厚生省はそれを準備なさっているでしょうか。次官、お答え願います。
  109. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 研修の必要性は審議会におきましても指摘されてきたところでございまして、それぞれの事業者に指定居宅介護支援事業者の運営基準上もこうした研修の機会を確保することの義務を課しているところでございます。  また、国といたしましても、こうした再就職をするような介護支援専門員とか、現に業務に従事しているケアマネジャーを対象にいたしまして、研修事業を実施することを検討しているところでございます。また、それぞれ都道府県がこうした研修をやることに対しまして、補助を行うということも予定しております。
  110. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 大臣にちょっと伺いますが、このケアマネジャーのやる仕事の内容を見ますと、要介護者のいわゆる調査から始まってケアプランの作成に至るまで、いろんな業務にタッチすることになっております。自治体が、あるいは自治体の外郭団体になる社協などがケアマネジャーを雇っている場合は問題は少ないかと思いますが、民間の指定業者がケアマネジャーを抱えている場合、いわゆる介護者の囲い込みという、俗に言われるセールスに近い形にケアマネジャーが走らないとも限りません。  ケアマネジャーは、認定の資料を整える意味でも、あるいはプランを立てる意味でも非常に重要な職種であるがゆえに公正さが要求されます。したがって、認定調査の作業とケアプランの作成というところで真っ二つに分断しないと、公正なケアマネジャーの位置というものはつくられないと思いますが、この問題に関して大臣はいかがお考えでしょうか、お答え願います。
  111. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 利用者の希望に基づきまして適正なサービスの選択が行われるわけでございますが、認定調査に従事するケアマネジャーに先生が御懸念のような点がないかどうか、つまり調査の際に被保険者を特定の介護サービス事業者に勧誘するような行為があってはならない、まずこう考えているような次第でございます。そのため、ケアマネジャーについては、事業者を指定する際に守らなければならない指定基準において公正中立でなければならない、このように定めているわけでございます。  現実問題として分断をするべきだという考え方もございますけれども、ケアマネジャーの数が少ないんじゃないか、こういう意見もございますし、その辺のところはまず公正中立、このことをきちんと守らせることが先決ではないか、こう考えています。
  112. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 時間が来ましたのでこれで最後にしますが、ホームヘルパーについてお答え願います。  二〇〇〇年四月の時点でいわゆるホームヘルパーは十万人につき七百八十三・四になるかと思いますが、十七万何千人かを目標にされたと聞いております。既にその十七万はほぼ厚生省の目標どおり達成されつつあるように伺っております。しかし、これは、お金はいただくがサービス内容は北欧並みを目指すという厚生省の何人かの方々がかねがねおっしゃっている内容とは裏腹に、例えばデンマークのホームヘルパーの数から比べると、二〇〇〇年にデンマークが達成する数の五分の一の数であります。十七万という数は五分の一です、老人人口当たり。スウェーデンに関しては七分の一であります。こんな少ない人数のホームヘルパーの目標を立てられたこと自体がおかしいのであって、とにかく基盤整備ということの中でもホームヘルパーは第一線に立って活動する人たちであります。  しかも、これは一級、二級、三級に分かれています。それで、三級というのはいわば入門者であって、仕事に使えるようなレベルではありません。一、二級こそがいわゆるホームヘルパーと言える。そうすると、十七万人のうち一、二級は半分以下だということになっておりますから、これでは基盤整備の準備は不十分きわまりない。家族介護慰労金などにはさっさと手を打たれるそのすばしっこさに比べて、人的準備に関するまことにお粗末な基盤整備に不熱心なのは、私はこの問題をめぐる政府の態度を端的に象徴するものだと考えますが、ホームヘルパーの目標に関して、あるいはこの足りない分、足りないと想定されるものに対してどのように対策をお考えになっているのか、政務次官、お答え願います。
  113. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 今、委員の方からデンマーク、北欧と比較をしてのお話がございました。確かに数だけ比較しますとまだ日本は少ないわけでございますが、ただこの数だけの比較というにはいかない面もございまして、日本はまだ施設介護の比重、ウエートが大きいというようなことも要因としてあるのではないか、このように思います。いずれにいたしましても、委員が御指摘のように、現状のホームヘルパーではとても足らないということは事実でございます。  介護保険制度実施されるに当たりまして、要介護者の実態調査実施し、また将来の介護サービスの必要量を見込んで各自治体が介護保険事業計画を作成することになっておりますが、平成十一年度までの新ゴールドプランの後に新たなスーパーゴールドプランといいますか、そういうゴールドプランを平成十一年度じゅうに作成していきたい、その中でホームヘルプサービスの数についても検討をしていきたい、このように思っております。
  114. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 終わります。
  115. 山本保

    ○山本保君 公明党の山本保です。二年ぶりに国民福祉委員会に戻ってまいりました。よろしくお願いいたします。  最初に、ちょっと順番を変えさせていただきまして大野政務次官に、何か御都合があるようでございますので、最後にお聞きしようと思っていたことをお聞きします。ちょうど今、松崎先生の聞かれたことと非常に関連があるので、よかったなと思っております。  私も福祉の方をやってまいりまして、職業としての福祉サービスというものと、人間的な資質といいますか、ヒューマンスキルというような形での人間として持っていなければならない優しい心の発露としてのサービス、こういう二つがやはりベースになるものだとは思うわけですが、まず概念としてきちんと分けていく必要があるのかなという気もしておるんです。今回の家族慰労金につきましても、きょうはこれについて論じませんけれども、その辺の混乱が少しあるような気もいたします。  そこで、まず政務次官にお聞きしたいことは、職業としてというよりは、もうこれから日本は世界一の高齢者の国になるわけでありまして、日本人というのは、すべからくお年寄りやまた障害を持った方がおられれば、他の国の方よりもすっとその方の世話ができるような資質というものを身につけることが重要じゃないかという気がするわけなんです。  それで、本来これは文教委員会の方で文部大臣にお聞きしたいと思っておったんですけれども、政務次官、政治家として、別の分野の問題になるかもしれませんが、例えば全部を職業人としてのヘルパーとして育てるとか、こういう意味ではありませんで、ただその基礎にはなるであろう。難しく考えますと実習ができるかどうかとかなかなか難しくなりますけれども、まず最初にやるべきことは自分のおじいさん、おばあさん、身内、障害を持った方、こういうところから始めていけばよろしいわけですから、こういうことを例えば中学生ぐらいまでの学校教育の中できちんと位置づけるというようなアイデアがあるわけでございますが、どのようにお考えでございましょうか。
  116. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 今の山本委員の御指摘は大変重要な御指摘ではなかろうか、こういうように私も思います。  今、核家族化の中で子供がお年寄りと触れ合う機会が大変減っている、こういう現状でもございます。そういった意味で、お年寄りとの触れ合いの機会というものを持つということも大事だと思いますし、また介護の体験をしていくということも大変大事ではなかろうか。職業としてのヘルパーというのは、今もお話がありましたが、またちょっと違うかなという面も、必ずしもそうは言えないとは思いますが、それぞれ介護の体験みたいなものを経験していくということは非常に大事ではないか、こういうふうに思います。  最近では、デイサービスセンターなど高齢者施設に小学校、中学校とか、また保育所を複合整備する、こういうさまざまな試みも行われておりますが、学校教育の中でそういうことをどのように取り入れていくことができるかということは今後の大変大事な課題ではある、検討をしていく課題だと思います。
  117. 山本保

    ○山本保君 まさにこのことは、今度は職業人としてのヘルパーの専門性とは一体何なのかと。困っている方のお世話をすることだけなのか、それともその方が本来持っている人間としての生き方を応援し、そして自己実現、すばらしい人生をお送りすることを、御本人も家族も気がつかないが、しかし専門家であるがゆえにそのことについてより高い目標を設定してそれに向かって協力をしていく、お助けしていく、こういうものでなくちゃならぬと思うわけですけれども、なかなかこの辺がまだできていないのかなと。  きょう、私が後から少し議論する中で実はこれも関連することでありまして、今、ヘルパーさんの位置づけがそういう点では少しまだ混乱しているといいますか、まだまだ専門家としてのヘルパーというものと、いわば人間的な対応というものとがどうも混在しているのかなという気がしておりましたので、お聞きいたしました。  どうもありがとうございます。政務次官、結構でございます。  それで、ちょっと順序が逆になりましたけれども、今回、急に介護保険制度の見直しということに、見直しといいますか、制度自体は変わらないが、しかしその発足についてより円滑に、そして混乱の起きないようにしようというふうになったわけであります。私も三年前ですか、当時は平成会ということで、ここで一緒に議論をした先生方もおられるわけであります。あのとき、私どもも、手法としてはいろんなことを申し上げましたが、その手法を提案した根本は、まず保険料が高過ぎて困るんじゃなかろうかということであり、そしてサービス提供の基盤ができるのかどうか、この辺を先にすべきではないか、こういう発想でいろいろ申し上げ、抵抗したわけですが、全然認められなかったのが、突然、制度実施の直前になりましてがらっと変わる。政治の力というものはすごいものだな、与党に入れていただいてよかったなと本心思っているわけでございます。  それで、ただ一つ、最初に大臣にお聞きしたいんです。  この法律ができるときには、厚生省もまたマスコミもさまざまな議論をされまして、いわば今までの税金をもとにする措置制度を、保険といっても社会保険方式でありますから国もお金を出すわけですが、こういう方式にすることのメリットといいますか、または今しなければならない理由について一生懸命論じておったと思うんです。ところが、その当時は、私ども庶民、大衆というのはお金を出すときになりませんとなかなかそれが実感としてわかりませんで、今になりまして慌ててきた。お役所の方は、もうとうに法律が通っていますから、そんなことはもうみんな知っているでしょうという調子で説明をする。  私は、本来の介護保険というものの、特に地域が中心になる、市町村が主体となる、そういう保険制度のメリットというものの意味をもう一度考えなくてはならないんじゃないかと思うんですが、大臣、その辺についてお答えいただきます。
  118. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 山本議員御承知のように、医療にいたしましても年金にいたしましても、そしてこの四月にスタートをする介護保険にいたしましても、すべて保険方式によっているものでございます。  我が国の今後の少子高齢化社会を考えますと、介護のための費用というものも年々大変増大をしていくことも避けられないわけでございます。こういう中において、安定的に制度を運営していくためには、私は給付負担との関係が明確な社会保険方式で運営していくことが最も現実的ではないかと、このように考えているような次第でございます。  さらに、これも再三、先般来申し上げていることでございますけれども、介護保険考え方は、これまではいわゆる一家庭の問題として家庭の中で取り上げられてきた、しかもどちらかというと女性の皆さん方のいわゆる犠牲のもとでなされてきた、家族が重い介護負担というものを負ってきたことでございます。このような過重な負担を軽減するために、要介護になった方を社会全体で支え合っていこうではないか、こうした点からもリスクを分かち合うんだ、これが一つのいわゆる社会保険方式でございます。  ところが、税方式になりますと、これは要するに一律的なサービスになります。ですから、今度はそれぞれの市町村があくまでも地方分権の立場に立ちましてそれぞれの市町村において、例えば私の町はホームヘルプサービスを全国平均に比べて一回上乗せしますとか、それから配ぜん事業を行いますという横出しを行うとか、それぞれの住民の皆さん方のニーズに応じて柔軟にやっていく、まさに地方分権の象徴的なものが介護保険ではないか、こう考えているような次第でございます。  それとともに、先ほど来お話がございましたように、これまでどちらかというと、特に施設などでは、例えば特別養護老人ホームなどは措置制度ということであって、市においては市役所から、町村においては福祉事務所から申請していただいて入れられたところに入っていく、こういうことでございましたけれども、これからは利用者が希望して契約をして入っていく、こういうことでございます。  また、どちらかというと、これまでこういうようなところに入る方は身寄りのないお年寄りであるとか、こういうことにややもすると限定されがちなところがあったわけでございますが、寝たきりのお年寄りがふえてきている。中堅サラリーマン層の皆さん方なんかも今後、いわゆる寝たきりやお年寄りになった場合にはセーフティーネットとしてこういうようなところに入居していただく。そのかわり当然のことだけれどももちろん保険料も払っていく。  こういうようなことで、私は寝たきりのお年寄りの問題を初めとするこういうような老人介護の問題が初めて社会保険方式ということを取り入れることによって表舞台に出てきたのではないか、このように考えている次第でございます。
  119. 山本保

    ○山本保君 いろんな要素が絡まり合ったところを御説明していただいたわけでありまして、私なりに考えますと、今のお話を整理させていただければ、例えば施設から在宅へとか、また今までまさに税金で行われてきた、そしてそれは国が中心であった。これが民間型、市民がチェックをするというような形になってくるとか、またその主体も、より共助型といいますか、みんなで助け合おう、こういうものが出てくる、そういう効果があるというふうに私も思っております。  そこで、ちょっとあと細かいことなんですが、私の資料を、もう配ってございますか。  実は、私は小泉厚生大臣のころから一貫して言っておることなのでございます。これで三人目の大臣でございますけれども、今申し上げたような、例えば施設から在宅へとか、または公務員型から民間主導型になるとか、また国が全部行いますよというのから、民間がみんなでやりましょう、こういうような非常に重要な変化があります。この変化というのは、当然これまでの介護のイメージといいますか、もっと言えば介護費用全体についても大きな影響が出てくるはずだということを前から申し上げているんです。  といいますのは、四兆円とか四・二兆円、最初に計画が出たときから申し上げていたんですが、それは実は積み上げて立てたお金ではない。これはいまだに計数が出ないんですからないわけです。では、なぜ四兆円になったのか。それは、今まで払っていたお金、費用に対して、老人の増加率とそれからサービスの利用率が上がるでしょうということを掛け算しただけなんです。今までは公務員の給料が全部基本になっていたのが、民間の適正なサービス価格になるという一番大きな要素は全く入れていないんです。  ですから、四兆円とか四・二兆円というのは、まさに最初はそういう形があるかもしれない。しかし、実際にこの介護保険が運用されていけば、またこれから条件を申しますけれども、こういう条件をきちんと政策的にクリアしていけば、私はもっとお金が下がってくると。ほかの委員とは全部反対のことを言っておるようですけれども、私は介護保険というのは本質的にそういうものだと思っておるわけなんです。  ちょっと私の私案というのを一枚のペーパーで簡単にまとめました。急遽まとめましたので間違いが、文章もうまくないかもしれませんが、見ていただければと思います。委員長もよろしくお願いします。  例えば、最初の「施設から在宅へ」という動きをもっとこれは意識的につくるべきだ。なぜならば、施設というのは一生懸命やっておられますし、人間の生活環境としては頑張っておられることはわかりますけれども、しかしながら本来お年寄りというのは、その家族やまた育ってきた地域、友人、知り合いの中で育っていくように応援すべきだと思うわけです。大臣がさっきおっしゃったような形からいけば、これまでの大きな施設をつくって入れる方が効率的であった、これを変えていきましょうということです。  例えばということで、先般発表になりました、現在入っておられる方の要介護度を調査した結果だそうでございますが、それを見ますと、要介護度Ⅱ以下の方は今入っている方の大体四〇%である、こういうふうになっております。  私は、ここを頑張ってこの二年間に、例えば高齢者生活福祉センターでありますとかグループリビングというような新しい、いわゆる術語で言えばグループホームですが、こういうものを、今のところは痴呆型しか認めておりませんけれども、そうではなくてまさにグループで、地域の中で生活していくような施設といいますか今までの施設とは違う施設、在宅を支援する形の施設、こういうものをつくっていく。そうすれば、例えば当面の半分の二〇%ぐらいの方はより優しい、そして充実した生活の方に移っていただけるのではないかと思うんです。  こういうことをやりますと、今平均して三十万円ぐらい、三種類の施設ですから、大ざっぱに計算しますと大体三十万円ぐらい費用がかかると言われているのに対して、現在の金では大体五万円ぐらいかと思うんですが、私は今申し上げたような各サービスが十分だとは思いませんので、それを倍ぐらいにするとして十万円としましても大体三分の一にこの部分が減るのではないか。  二番目に、これが実は大きなところでありますが、皆さんも御存じのようにヘルパー単価というのがこの前発表になって、それが一時間四千円であると。これを私が地域でいろんな方にお話ししますと、皆さんもうびっくりされます。時給四千円。厚生省に言わせますと、いや、それは千円ぐらいの給料かもしれないが、いろんな管理費が要るんですと。そんなばかなことはない。そんなことをそういう専門でやっている会社に聞いても、そんな管理費を取るような会社はつぶれてしまいますと。  そんな説明じゃないんです。四千円というのは何か。八時間労働として二十日間掛け、そして十二カ月掛ければ七百万になる。公務員給料なんだと。それは歴史的に見ても当然でして、ヘルパーというのが新しくこの福祉の項目に入ったときに行われていたのは、公務員さんがそれをやり出した。今までの措置費なりの体系でいけば、その払っている方のお金がもとになってつくられていますから、保険法が動かない今でもやはりそれに近い値段になっていますし、この介護保険法では少し高く設定して四千円になっている。  しかし、これはそんなことで動くはずがない。やはり看護婦さんや例えば保母さん、保育士ですが、そういう方と比べて、さっきちょっと申し上げたのはそのことなんですが、まだヘルパーさんの専門性というのは決して看護婦さんほど高いとは思われていないのは仕方がない。学歴も要りませんし、難しい試験を受けて二年間、そして国家試験を受ける看護婦さんとヘルパーさんが同じである、またはヘルパーさんの方が給料が高いなんということはあり得ない、そんなことは。  つまり、このようなことが、本当に適正な市場の中での変化が行われていけばもっと私は下がると思うんですが、当初一年間ぐらいの間に例えば今厚生省が考えている今度の介護単価よりも二〇%ぐらいはまず下がるであろう。私はもっと下がると思っていますが、低目に見積もってそれぐらいではないか。  三番目に、国が今まで行ってきた措置費、税金で全部やっていたものに対して、これも前から申し上げていることですが、実はアメリカやイギリスなどの世界ではNPOというのがある。ホプキンス大学が五年ほど前に出された調査を見ますと、全世界の平均が、いろんな調査が出ていまして、日本のこの場合のNPOは社会福祉法人も学校法人も含んだ調査なんですが、そのうちの例えば福祉分野という分類で見たときに、その入ってくるお金の割合は日本は寄附金はゼロであります。アメリカは二八%、イギリスは四〇%であります。  また、もう一つ考えれば、日本でも収益事業ということが行われる。今の日本の仕組みでも、たしか二百万円まではまずみなし寄附金としてそれが出せるそうです、社会福祉法人の場合。もっと頑張ればもっとたくさん入ってくるでしょう。  私は、例えばこれをこれまでの全部税金、公金に、憲法八十九条にも公金使うべからずと書いてあるわけでして、公金に依存する体質からみんなの善意が集まるような体質に変わっていけば、社会福祉法人一万六千ですけれども、当然法人がふえる。法人規模を緩和してもっとふやす。ぎりぎり小さく見積もっても二万法人が例えば一年間にさっきのみなし寄附、収益事業で二百万以上、そして寄附金となれば一千万円ぐらいは集められるのではないか、こういうふうな計算をしてみました。  そうしますと、数字がここに書いてございまして、非常に粗っぽい数字でありますけれども、施設から在宅へということで四千億、在宅サービスの価格の適正化ということで三千億、そして法人に対する寄附金や収益事業を法人がしっかり頑張って集めるということで約二千億、不思議な数字ですが、合計九千億円というのが出てくるわけであります。私は、この一年半ぐらいの間にこれを一つの目標としてきちんと、もっと私は大きく進むと思うんですけれども、そうでなくとも九千億円、ちょうど今回の公費投入の額と偶然全く同じになってしまって私もびっくりしておるんです。  もしこうなれば、この一年半なり二年後に新たにもう一度戻しましょうというときに、今一番心配されているのは、今非常にかわいそうな困っている人のために出す、これはいいよと。だけれども、それは二年後か一年半たったらまたもとに戻すんでしょう、その間ただずらしただけじゃないかという批判があるわけでして、私はそうではないと。この間にこのような手を打てば、少なくともまず動き出したときと同じような状況で介護保険制度は動くのではないかというふうに思うわけです。  ちょっと細かい話を申し上げましたけれども、厚生省の実務の方で結構でございますが、今申し上げたことについてどのような感想をお持ちなのか、お答えいただきたいと思います。
  120. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) ただいま私も資料を拝見いたしました。計数に関する部分はただいまちょうだいをしたばかりですから私から論評するような立場でもございませんし、お時間もないわけでございます。  やや一般的な感想めいたことになって恐縮でございますけれども、介護保険制度におきましては、やはりさまざまな理念の中の大きな柱の一つ施設サービスよりも在宅を重視したい。それは、コストの面というよりも、やはり住みなれた地域、環境のもとで高齢者がお過ごしいただけるように、そういう観点からの理念とは思いますけれども、仮にそういう体制が整いますればここにお示しのようにコストの面でも一定程度の効果があり得る。その可能性は確かに秘めておると思います。ただし、一方では、それなりにそれだけの効果を生むための十分な在宅サービスの充実整備という面がないとそういうことも起きませんので、その辺の兼ね合いは計数上はなかなか難しい推計になるとは思いますが、方向としては、あるいはベクトルとしてはそういう可能性はあり得るものと思っております。  それから、より大事な点と私は個人的には思いますけれども、在宅サービスには今回さまざまな多様な主体の参加を求める。民間企業ももちろん含めてでございます。一つは、サービスを受ける高齢者の方から見てサービスの選択手段がふえる、また質の向上につながるということでございますけれども、これも一定程度の条件あるいは量が必要と思いますが、ある程度の整備が進みますとその間に競争が起きる。競争は量、質あるいはコストの面での競争になるわけですが、質を落とさないで価格の適正な競争が行われるということも大事な要素でございますし、私どもはまだそういう状況になるには少し時間がかかるかなという気がいたしておりますが、これまた方向としては十分考えられることですし、ある意味ではそういうことを望みたい。いい意味での競争、適正な意味での競争、それを通じてのコストの効率化というのは私どもとしても大変関心を持って考えているところでございます。
  121. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございます。  これまで三人の大臣にずっと申し上げて、なかなかいい答えがいただけなかったし、私もまだ抽象的な形でしか言えなかったんですが、今回、大分数字が出てきましたので私なりの計算をしてみました。  今回の問題といいますか、いろんなこの動きの中でも、政治家にしましても、介護というのはどんどんお金が要るんだという前提でみんな話をしておると思うんです。私は、そうではないという可能性が可能性としてあるんだ、まさにこのことが実は介護保険導入することの一つの大きな、全部だとは言いませんが、重要なモチベーションになったと、そういう気がするわけです。ですから、私は、ぜひこういうことはもっと今以上に言うべきではないか、そろそろ申し上げていいんじゃないかと思っているんです。  今、局長が言われたことについてそれを次にお聞きしようと思ったわけです。まさにそのためにいろんな条件が要る。いろんなものがありますけれども、一つは、例えば最初にいろんな民間の業者といいますか、そういう方がたくさん参入してこなければだめなんです。今までのように、この地域はこれだけのお年寄りが、寝たきりがいますからもうベッド数はこれで十分ですよとか、ヘルパーさんはこれで十分ですよなんということをやっておったのでは、保険になっても何ら変わらないわけです。財源が変わっただけでサービス体制なんか何も変わりがない。そうではないようにしなければならない。  ところが、私、自分の地元でちょっとテレビなどを見ていましたら、例えば私のところでも二百五十社ぐらいが参入したいと今言ってきているのに、どうも方針としては百五十ぐらいに絞るらしいといううわさがある。テレビでもなかなか大変な競争のようですと。つまり、この競争というのは、今、局長が言われたサービスの競争ではなくて、役所に御認可いただく競争だ、こういうイメージが、マスコミの方はそう思ってどうもやっておるようですね。  そんなことになったのでは何にもならないわけですけれども、この辺、こういうことにならないというふうに考えてよろしいというか、もっと民間の方が入れるように条件を、もちろんいいかげんなものをやらせろというわけではない。大丈夫かどうか、局長、どうでしょうか。
  122. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 少なくとも介護保険法上、在宅サービスに関するいわゆる各種の事業者となります場合には、それぞれ一定の人員でありますとか設備でありますとか、基準はございますけれども、その基準を満たしさえすれば指定を受けられるという仕組みでございます。  お尋ねのようなケースがあるかどうか、正直申しまして私どもそういうことを今の時点で耳にいたしておりませんけれども、もしさようなことがあるならば、法律の趣旨に反するものというふうに考えます。
  123. 山本保

    ○山本保君 これまで五十年こういう体制で、何しろお役所の御認可ということで決められた方だけがサービスを行うという体制があったわけですから、どうも見ていましてそんなイメージを感ずるんです。  今おっしゃったように、どんどん民間の方が入ってこられる。いろんな仕事の持ち方をされるわけですし、このヘルパーというようなお仕事も、最初に申し上げたように、まだ専門性というものもなかなか確立したとは言えないわけでございますから、さまざまの形があり得る。ボランティアの方もあり得るし、NPOの形でそれをもう少し専門的にやることもあり得る。いろんな形があるわけですから、それを全体の数はこれだけだからなんというふうに絶対にしないように御指導いただきたいと思っております。  それから、いわば資格ということでもう一つお聞きしたい。これも三回目か四回目でございますが、社会福祉法人というふうになりますと、先ほど申し上げたように、寄附にしましても税率にしましても、さまざまな点で一般の事業者とかまた個人でやられる方よりは非常に優遇されている。これは、私は憲法八十九条があるからだと思っております。憲法八十九条には、教育、慈善、博愛の事業には公金を支出してはならないという条文がある。公金を支出してはならないということは、まさに寄附金をもって行えということだと私は読んでおるわけでありまして、この条文を考えますと、社会福祉法人というのをもっとつくりやすくしなければならない。  ところが、今はどうもお聞きしますとまず最低一億円の基金がなければ、それ以外にももうこの地域では要りませんよという話があるようでございますけれども、しかしその前に基本条件として一億円の基金が要る。これを何とか、そうではなくしてもっと手軽に、もちろんそのサービスに応じてですけれどもつくられるように、そういう手を打つべきではないかということを申し上げてきたわけです。以前にも前向きに検討しているというお話を伺っておりますけれども、今どのような状況になっているでしょうか。
  124. 炭谷茂

    政府参考人炭谷茂君) 現在、私どもは、まず利用者本位の社会福祉制度の実現と時代の要請にこたえる福祉サービスの提供というような視点に立ちまして、社会福祉事業法等の改正について精力的に見直しを行っておるところでございます。この一環といたしまして、ただいま先生指摘されました社会福祉法人が設立しやすいようにするということもこの検討の重要な項目に入っております。  具体的に申しますと、一つは障害者の通所授産施設、主に小規模作業所でございますけれども、現在利用する人が二十人いなければ社会福祉法人になれない、これを半分の十人程度に引き下げてはどうだろうかというふうに第一点は思っております。  第二点といたしましては、現在、ただいま先生指摘されました在宅サービス経営する社会福祉法人については、御指摘のように資産要件一億円という大変高いハードルが設けられております。これを、現在のところまだ具体的な数字は詰め切っておりませんけれども、思い切って大幅に引き下げるということを考えております。  第三点といたしまして、通所施設の用に供する土地、建物について一定の範囲内での賃借を認めるというような条項を検討いたしまして、これによって地域におけるきめ細かい福祉活動の展開ができる社会福祉法人の設立が容易になるんじゃないかというふうに思っております。
  125. 山本保

    ○山本保君 まだほかにも、例えばさっきちょっと申し上げました地域の生活福祉センターでありますとかグループリビングというようなもののいわばハード、こういうものもそれほど今までの施設のように何億円も要るというものではないと思いますので、この辺についてももっと、当然先ほど申し上げたようなことになりますと数万人の方が施設から移るというふうに試算できますので、それについて施設整備をきちんとやっていただくというようなこともあるかと思っております。  これはそれだけ申し上げまして、次にもう少し細かいことについてお聞きいたします。  今回、これも前からよく聞いておりますのは、元気なお年寄りがもっと元気でおられるように、これはお金でつるわけじゃありませんけれども、しかし庶民感覚として、例えば自動車保険なんかが一番いい例でして、事故を一年間起こさないとだんだん保険料が安くなっていく。ですから、なるべく事故を起こさないように努力するわけでして、最初に大臣もお答えになったわけですけれども、これがみんなで支え合う保険というものの大きなメリットだと思うんですね。保険があるから安心して事故を起こそうなんという方はまずいないということであります。  この介護保険についても、私はまた見直すときにと思っておったんですが、どうも流れとしてそういう見直しも早目に手がつきそうでありますので、一年間ある一定以上のサービスを使わなかったような方には、例えば私どもが前から言っておりますバウチャーですね、切符方式のような形でその方にそのほかのところでも利用していただけるようなものをお渡しするというような形。これは保険で出すのはなかなか難しいかもしれませんけれども、しかし事実上といいますか、結果的には保険の必要な量が減るわけでありますから、こういう施策というのもぜひ必要ではないか、やっていただきたいなという気もするわけでありますけれども、専門家としてこれについてどうお考えでございましょうか。局長、お願いします。
  126. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) ただいまの介護保険制度の中で、これは制度を組み立てるときにもそういった議論がいろいろございました。もちろんこれからの議論にもございましょうけれども、スタートをしようとしております介護保険制度の中では、基本的にサービスの基盤を整備する、それが最優先される事項ということで現在のような仕組みになっておるわけでございます。  御質問趣旨に添って申しますと、やはりおっしゃるように、元気な高齢者をより多く、しかもより健康にというのは極めて重要な施策であるということは、当然私どももそのとおりに考えております。御案内のことだと存じますけれども、今年度の予算から生きがいあるいは介護予防という観点を中心にいたしました国費百億円の補助事業を、既に始まっているところでございますけれども、来年度の概算要求におきましてもそれを増額し、さらに今回の一連の特別対策の議論の中でも、それにつけ加えて年末までにさらに上乗せの予算要求をさせていただくというようなことになっております。  いずれも、一方では介護予防ということでもございますし、一方では生きがいを含めた生活支援対策、両面から私ども極めて重要な施策として取り組んでまいりたいと考えております。
  127. 山本保

    ○山本保君 大体私の質問は以上でございますけれども、最初に戻りますと、介護保険というものを地域で、みんなの市民の目でチェックをする。今まで公務員さんという形でやっていた方と、全然お金が安いのにボランティアで頑張っている方と、こういうものの実態が全くわからなかった。しかし、それがきちんとわかる。どれだけ市としてそういう方が出ないような、みんなが元気になるような手を打てば打つだけ市としてのまたお金が要らなくなってくる、それが介護保険料にもすぐはね返ってくる、本当によりよいサービスがあればそちらの方へどんどん移っていく、こういうことがこの保険の一番のメリットだと思います。  ぜひそういうことを、もう一度厚生省はよく国民の皆さんにわかるように説明するということをお願いしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  128. 小池晃

    小池晃君 日本共産党の小池晃です。  介護保険制度実施を目前に控えて、政府はようやく問題点に気づいたといいますか、見直し策を発表されました。しかし、国民からはこれを歓迎する声というのはほとんど出てきていないわけであります。きょうの議論もそうでした。  それは、保険料徴収延期などと言いますけれども、その間に一体基盤整備をどう進めるのか、あるいは低所得者対策をどうするのか、こういう具体策が全く見えないわけであります。そして、財源もすべて赤字国債で賄う。これはまさに新たな国民負担をふやして、矛盾の爆発を先送りするにすぎない。改めてその問題点を私は大臣質問していきたいというふうに思っております。  まず最初に在宅介護の問題、先ほどから議論になっていますが、この基盤整備の問題についてお伺いをします。  厚生省が発表された数字ですが、来年四月の時点でのホームヘルパーさんの訪問介護の供給率が八三%、供給率が五〇%未満の市町村が一三%、こういう数字を出されているんですが、これは大変な数字だと私は思うんです。こうした到達点があらかじめもうわかっているのに保険料徴収を始める、これは許されないんじゃないかと思うんです。  私は、いろんな地域を調べてみたら、例えば北海道では訪問介護の事業者は札幌市に四三%が集中をしている。ところが、訪問介護の事業者が一つもない支庁、北海道の支庁というのは大きいわけですが、そういう支庁が二つもある。あるいは、奈良県では四十七の市町村のうち二十五の市町村で訪問介護の事業者が空白なんですよ。こうしたことをそのままにしておいて保険料徴収をしていいのかという問題があると思うんです。  大臣、在宅サービスの供給率を直ちに一〇〇%に引き上げるために一体どうするおつもりか、お聞きしたいと思います。
  129. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) まず、基本的な考え方といたしまして、この介護保険制度というのは地方自治の原点に立つものでございます。ですから、率直に申し上げまして、それぞれの地方自治体によってかなりの開きがあるということは議員も御承知のことだと存じます。そこが私どもが大変頭を痛めているところでございます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、基盤整備がおくれている地域においてはその充実に取り組むように今督励をいたしておるところでございますし、基盤整備を急ピッチでこれから行っていこうという自治体に対しましては全力でお手伝いをさせていただきたい、そしてその格差というものを縮めていくことが何よりも肝要なことだと思っております。  それとともに、これから期待されますことは、まさに介護保険制度というのは、ある意味において在宅部門においては民間事業者の参入が期待されるわけでございます。そういう意味におきまして、いわゆるホームヘルパーなど、こういった分野においてこれまでの数字には見られないような民間事業者の参入というものを期待していきたいと思っております。しかし、私ども、決してそれだけで手をこまねいているわけではございません。  いずれにいたしましても、今回の補正におきましても基盤整備におよそ一千億円の計上を予定いたしておりますし、またいわゆる新ゴールドプランというものがことしで終わるわけでございますから、それから先の問題につきましてもまたおのおのの市町村の御要望というものを十分に酌み取りながら、とにかく基盤整備の充実に当たっていきたい、このような決意でございます。
  130. 小池晃

    小池晃君 補正予算の九百五十億円の基盤整備ですけれども、これは特養の前倒し的実施あるいは予防、生活支援、そういったものはあるんですけれども、これに居宅サービスは全くないんですよ。居宅サービスの基盤整備を進める予算というのは入っていないんです、九百五十億円の中に。  私が聞いているのは、一般的な決意を聞いているのではなくて、来年の四月の時点でもう八三%という数字が出ている。これをどうするのかと言っているんです。これはからくりがあって、要するに高いげたを履かせているわけですね。利用希望率というのはあるわけです。要介護認定を受けた人の四割しか利用しないという、そういう高いげたを履かせてクリアさせようとしたんだけれども、それでも結局一〇〇%行かずに八三%だというのが今の現状じゃないですか。これをどうするのかということを具体的に聞いているんです。八三%のまま四月を迎えていいんですか。来年の四月までにこの八三%を一〇〇%にする必要があるんじゃないですか。それを聞いているんです。答えてください。
  131. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 例えばホームヘルパーなどは、いわゆる新ゴールドプランの目標の数値としては十七万人だったと思いますが、実際にはもう既に十八万人を超えておる、こういうような状態でございますし、いわゆる在宅の三本柱と言われておりますホームヘルプそれからショートステイ、デイサービス、これはおおむね順調に進んでおります。  しかし、率直に申し上げて、これを私どもがまとめさせていただきました時点においておのおのの市町村が、いわゆるこういうような在宅サービスに対する認識が非常に熱心なところと温度差があって、そして今になって、今になってという言葉は適当かどうかわかりませんけれども、さまざまな要望が出てきておることも紛れもない事実であります。これを現実問題として、要請を満たしていくことが私どもの責任だ、このように考えているような次第でございます。
  132. 小池晃

    小池晃君 ですから、民間事業者の参入に任せておいては、特に辺地、僻地、そういったところでは在宅サービスの基盤整備が進まないというのが現状なんですよ。自治体は大変困っているわけであります。それに対してやはり国が何らかの、こういう事態なんですから、来年の四月で八三%、半分もそろわないところが一割以上あるという、こういう事態をこまねいていていいのかと。  例えば、国民保険制度をつくるその長い間に国保診療所なんというのをつくって、国が責任を持って医療機関をつくるということをやったわけですね。それに類するような基盤整備を、民間事業者任せではなくて、やはり国が責任を持って緊急にやらなきゃいけない事態なんじゃないか、そういう具体的な手段を考えていないのか、このままでいいのかというふうに私は聞いているんです。
  133. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) まず、ぜひとも御理解をいただきたいのは、この介護保険というのはあくまでもいわゆる地方分権のシンボル的なものでございまして、大変熱心な市町村と、いや、私どもはこの介護保険よりはむしろどちらかというと公民館をつくった方がいいんじゃないかとか、あるいは土地の基盤整備をやった方がいいんじゃないかとか、それぞれの地域の実情がございます。  私どもといたしましては、あくまでもこれはすべて国が行うというような発想ではなくて、要するにこれからの地方自治のあり方としてまさにこの介護保険構想というのを新しい社会システムのあり方としてとらえておるわけでございまして、まずその前提を先生に御理解賜りたいと思っております。  問題は、要するに例えば離島であるとか、それから基盤整備がおくれているところと、実際に私も幾つか見てまいりましたが、大変進んでいるところとあって、もう一つのところは島を抱えていて、極端なことを言えばヘルパーさんが一人もいらっしゃらない、こういうところも現実にあるわけでございますけれども、それでは来年の四月からすべておくらせていいかという話には私はくみさないわけでございまして、とにかく走りながら進めていくということが大事でございます。  すべてホームヘルパー、いわゆる公的なホームヘルパーではなくて、そこのねらいが小池議員と認識が違うわけでございますが、むしろもっともっと民間の方々に御活躍していただく場を広げていくのがまさに介護保険であります。これまではどちらかというと公的サービスの名のもとに一定のサービスがやられていた。これがまさに措置的な公的サービスであって、今度はそうじゃなくて、いわゆる介護保険という名のもとにそれぞれの地域に応じて住民のニーズに応じてこういうものをやっていこう、こういうことでございます。  私は、率直に申し上げて、すべての問題がこの介護保険だけで片づくとは思ってはおりません。つまり、離島や僻地においては住民の皆さん方のいわゆるボランティア活動などに期待をしなければなりませんし、またそういう地域においては私どもはホームヘルパーというものを養成するために助成するということを十分に考えているような次第でございます。
  134. 小池晃

    小池晃君 大分曲解されているようなんですが、私は国がすべてやれとは一言も言っていないんです。国がやるべき、例えば辺地であるとか僻地であるとか、民間事業者任せじゃ進まないという現状があるじゃないか、そして数字として既に来年四月、八割しかできませんよと厚生省が認めているじゃないですか、これに対して国がやっぱり責任を持つべきでないかというふうに言っているんです。  結局、今の議論を通じてはっきりしたと思うんですけれども、来年四月の時点で、訪問介護八三%、そして半分も準備できない自治体が一三%ある、この事実はもう動かしようがないんだということです。これに対して、これを引き上げる方策を持っていないということがはっきりしたと思うんです。私は、これは大変なことだと思うんです。  さらに、具体的に基盤整備に対して民間任せになっておくれている現状を私は指摘したい。  居宅介護支援事業者があります。いわゆるケアプランの作成事業です。これを調べてみたら、都道府県自体が事業者になっているところ、これは全国四十七都道府県のうち二つだけなんです。神奈川県と富山県だけです。これはどういうことかというと、これでは県当局というのは介護保険制度には不服審査以外はノータッチだということなんです。自治体はケアプランの作成に責任を持たないどころか、そのノウハウすら持たないということになる。  例えば、県立病院があったりする、あるいは保健所なんかも県立の施設があったりするわけです。そういったところは、一切ケアプランの作成をやりませんよということです。県職員でケアマネジャーの資格を持っていても、宝の持ち腐れになってしまうということなんですよ。こういう事態を放置していいのかと。厚生省に電話してこれを聞いたら、何が悪いんですかと言わんばかりの対応でした。一切の指導をしない、こういう実態を放置しておいていいのか、そのことについてちょっとお伺いをしたいと思うんです。
  135. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 介護保険制度におきましては、ケアマネジャーとして、市町村などの地方自治体はもとより、社会福祉法人医療法人、民間企業、さらにNPOなど、幅広い主体の参画が可能な仕組みになっておるわけでございます。  先生の御指摘は、もっとこの問題について要するに地方自治体が事業者としてやれと、こういう考え方でございますが、それも一つ考え方でございますけれども、私はできることならば民間活力の導入という観点から、もし何かそういうところにおいてさまざまな問題点があれば、私どもは十分に監督指導しなければならない立場でございますが、基本的には多様な事業主体の参入を認めることによってケアプラン事業の体制の整備が図られると、このように考えているような次第でございます。  いずれにいたしましても、それぞれの地域によって実情が異なる。それがまさに、先ほどからちょっと行き違いがあるわけでございますが、先生は国がやりなさい、私どもはこれはあくまでも地方自治体がどういうような住民のニーズに応じてやっていくかと、そこの違いということをぜひとも御理解いただきたいと思っています。
  136. 小池晃

    小池晃君 理解をされていないのは大臣の方だと思います。私は、何もすべて国でやれというふうに一言も言っていないんです、先ほどから。全体として民間業者に任せておいては参入されない分野があるでしょう。それは、例えば辺地であり離島であり山間僻地であると。そういう分野があるわけです。  例えば、居宅介護支援事業者に県がならなかった場合にどういう事態になるか。北海道なんかだったらば、地域に道立病院しかそういうのをやってくれそうな地域がない、あるいは保健所しかない、そういうところもあるんです。そういうところについても、都道府県で二つしかとっていないという実態の中で県が責任を果たしていないじゃないかと。だから、全体として介護保険のシステムの中で、民間参入はする仕組みになっている。私たちも意見はありますけれども、そのことはよく承知をしています。しかし、それだけに任せておいたらば、サービスが行き届かなくなる地域なり分野なりがあるではないか、その分野に対して国が責任を持たないのかと聞いているんです。そのことに一切答えていない。  さらにお聞きをしたいと思うんですが、民間事業者の参入を図るということで、介護報酬の問題で僻地については一五%加算というのがやられています。これをやることによって民間事業者が参入するんだ、そういう理屈だと思うんです。ところが、これが今、山間僻地、離島では大変な問題になっている。この一五%の介護報酬に対する加算というのが保険料や利用料にはね返ってくるわけです。これをどうするかという問題があるんです。  紹介したいんですけれども、奄美大島に名瀬市がございます。ここは在宅介護サービスの整備が非常に進んでいる市なんです。住友生命総研の調査では、全国の市ではナンバーワンだというふうに評価されている市であります。二十四時間ホームヘルプサービスが九五年からやられている、そういう市です。  ここのもう一つの特徴、どういう特徴があるかというと、これは離島とか僻地はみんなそうなんですけれども、低所得者が大変多いわけです。この名瀬市の一号保険料の第一段階、生保や老齢福祉年金、これが一二・二%いらっしゃる。全国平均は二%ですよ。そして、第二段階の住民税世帯非課税の方が七一・五%なんです。だから、いわゆる一号保険料の一段階と二段階で八五%近くになるという大変な市なわけであります。  私は、ここへ行ってきていろいろお話を聞いてきました。市の介護保険の担当者の方がおっしゃっていましたけれども、こういういわば大変貧しい島の中で、民間業者参入のためということで介護報酬が一五%加算されるんだ、そうしたら利用料だって上がるんだ、保険料だって上がるんだ、これを一体どうするんだ、大変これではサービスを受ける人が減ってしまうのではないかと。全国一位の在宅サービスを実現したけれども、それが崩れてしまうという心配をされているわけです。  これは、同様の問題が都市部についても言えるわけです。大都市部、例えば東京二十三区は介護報酬に九・六%大都市加算がされている。これも保険料、利用料にはね返ってくるわけです。  こうした民間企業、営利企業を参入させるためにつくられている介護報酬の仕組みというのが、結果として保険料や利用料という形で利用者の負担にはね返ってきている。この現実を一体どう解決しようとされているのか、この利用者負担負担増の問題をどう解決されようとしているか、ぜひお考えをお聞かせ願いたいと思うんです。
  137. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 利用者負担の話ですか。さっきからお話が、ちょっと認識がもう全然ここですれ違っていらっしゃるものですから、そこをきちっとしないと。  要するに、保険制度そのものを否定なさっていらっしゃる立場と、我々、保険制度でやるという立場で公的なサービスをしなさいと。その辺をきちんと整理していただかないと私も答弁ができない。
  138. 小池晃

    小池晃君 私は、保険制度を否定すると、きょうの議論の中で申しましたでしょうか。私たち、保険制度を否定したこと一度もございません、介護保険制度について。全く今のは曲解です。答弁拒否としか受け取れません。この問題は、私は大臣に聞くというふうに事前にお知らせしているはずです。まともに答えてください。  もう一回お尋ねします。介護報酬に対する加算が利用者負担にはね返ることをどう考えておられるのか。
  139. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 局長の方に何か通告してあるそうです、以前に。
  140. 小池晃

    小池晃君 いいえ、私は大臣に通告してありますよ、この問題。  とりあえず、では局長答えてください。その後で大臣にお聞きします。
  141. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) やや細部にわたる点もございますので、私からまず御報告を申し上げます。  離島あるいは山村などにつきましては介護報酬を一五%加算してはどうか、これは仮単価でございますから本格的な正式な論議はこれからでございますけれども、そういう御提案をしておるところでございます。  これは、事業者を参入させようということよりも、むしろ客観的に見まして、離島や山間僻地などにおきましては、当然効率的な事業運営というのは難しいわけでございます。いわば非効率な面が否定できない。例えば、家と家の間が離れているとかということで、どうしても非効率になる面が否めない。しかしながら、そういたしますと、単純にサービスの提供が行えないということから結果的に一五%程度の加算をしてはどうかということでございますが、そうなりますとおっしゃいますように保険料にはね返りはせぬかと。  これは、一つ考え方といたしましては、現実にサービスのコストがそれだけ高いのであれば保険制度としてはやむを得ないという一つの割り切り方もあろうかと思いますけれども、確かにそういう地域におきましては所得水準が低かったりするケースも大変多い、これも事実でございます。したがいまして、私どもは、今後の課題でございますけれども、保険料につきましては調整交付金の算定などの際にこれを配慮できるような措置がとれないかということにつきまして、現在検討をしているところでございます。  ただ一方、利用者負担につきましては、これは先ほど申しましたような趣旨からいたしまして一律にこれを軽減するような措置は非常に難しい。基本的には利用者負担原則としてお願いいたしますけれども、これも御案内のように、利用者の所得に応じた負担というものを既に法律上、制度上講じているところでございます。  さらに申し上げれば、その他の地域につきましてはまた離島、僻地などとは性格が異なりますので、これにつきましては、現在、特別私どもとしては措置を講ずることは考えてはおりません。
  142. 小池晃

    小池晃君 私は、調整交付金の問題は局長質問するかもしれませんというふうに通告していますけれども、その前段は大臣に聞くと言っているんです。  今、局長の答弁にありましたけれども、利用者負担にはね返るということをお認めになった。これはやむを得ないというふうに大臣はお考えになるのか、今、局長が言われたようにこれに対する何らかの措置をとるという方向で検討されるおつもりなのか、そのことについて大臣の御見解を伺いたいと思います。
  143. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 御質問趣旨をもう一度ちょっと私は小池議員にお尋ねしたいわけでございますが、離島であるがゆえに利用者負担を減らすべきだ、こういうような御趣旨でいらっしゃいますか。
  144. 小池晃

    小池晃君 ちょっと時間をとめてもらえませんか、質問を理解されていないみたいなので。
  145. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) いや、よくわかっているんですけれども。
  146. 小池晃

    小池晃君 離島については介護報酬に一五%加算する方向で検討されているんですよ、厚生省は。そうすれば、保険料も利用料も上がるでしょうと。  今、局長保険料の高騰分は調整交付金で充てることも考える、あるいは仕方がないという考え方もあるとおっしゃったんですけれども、大臣はどちらなんですか、大臣はそのままでいいとお考えなんですか、それとも何らかの措置が必要だとお考えなんですかと聞いているんです。
  147. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) ですから、先ほど来申し上げておりますように、国の負担の中の二五%のうちの五%は特別調整交付金ということで、そういう点を十分に配慮して配賦させていただく、こういうことでございます。
  148. 小池晃

    小池晃君 離島の分については特別調整交付金は五%じゃないですよ。五%は調整交付金、その中の一部が特別調整交付金。離島については、調整交付金で保険料の上昇分は対応する方向で検討するというふうに受けとめました。  そこで、ちょっと局長にここでお聞きしたいんですけれども、調整交付金の配分について非常に離島の人たちは困っているんです、本当に回ってくるのかと。調整交付金の交付事由は、まず後期高齢者の比率、それから一号被保険者の中の所得分布、これで分配するんだと。その後は災害の場合の保険料軽減というのが言われています。  しかし、その次に、今出てきているような離島や僻地に対する配分まで回るのか、そういうことについては大変心配の声が上がっているんですけれども、これはどういうふうに考えておられるんですか。そして、今言われたように、離島や山村などの保険料軽減に充てる方向でやるんだということをここで明確に御答弁いただけますか。
  149. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 調整交付金の配分方法につきましてはこれからの課題ということになりますけれども、ただいまおっしゃいましたように、原則的あるいは基本的には後期高齢者の数に非常に大きなアンバランスがある、あるいは所得水準にアンバランスがある、まずこれが保険料に最大の影響を与えますのでこの二つをならす、これに調整交付金を充当するというのをまず大原則にいたしたいと考えております。  その上で、可能であればさらに特別調整ということを考えるわけでございますが、災害による場合、これは私どもも当然考えておりますし、それと同様に市町村が離島等に存在する場合について特別調整の対象にできないか。できることならばそういう方向で考えたいと思っておりますが、引き続き検討をいたしたいと思っております。
  150. 小池晃

    小池晃君 そういう方向で考えているというけれども、約束はされないんですね。  営利企業、民間企業参入のための仕組みということで大都市についてはもうやらないというふうに先ほど御答弁ありましたし、利用料負担については軽減ということは考えないと。だから、離島、山村の保険料の軽減だけは検討するけれども、それから先は検討対象にしないということですから、こういう仕組み自体が負担をふやす、そういう問題にもなっているんだということを指摘したいんです。  それからもう一つ、在宅の基盤整備のおくれがどういう事態を生み出すかということについて、別の角度からちょっと議論をしたいと思います。  きょう配付をいたしました資料ですけれども、これは東京の特定医療法人健和会というところが調査をした結果であります。この調査全体がここにまとめられているんですけれども、ここは在宅医療に大変熱心に取り組んでいる医療法人なんです。この法人にある十二カ所の訪問看護ステーションで診ている患者さん全員について調査をした。対象は千二十名であります。  資料を見ていただくと、この千二十名のうち介護保険対象となるであろうと思われる九百五十九名について、厚生省の示した要介護度にその状態像で推定をして当てはめてみた。その結果、現在受けている在宅のサービス料を当てはめていくと、何と全体の二二・四%の人が区分支給限度額、一月にここまで使えるという額を厚生省はお示しになっていますけれども、これを超えてしまうんだということが結果で出ているんです。超過額の平均は十三万五百円という結果だそうであります。これは大変なことです。この超過した分というのは介護保険対象になりませんから、一〇〇%自己負担になってくるというわけです。こういう事態がある。  ところが、一方で、厚生省は十五日の医福審の合同部会で新しい方針を出されています。これはどういう方針かというと、法律には入っていたんですが、数字を示されたということだと思うんですが、経過的居宅支給限度額ということを出されて、要するに基盤整備のおくれた自治体は法定の限度額の五割まで限度額を引き下げていいという案を今提起しているわけです。つまり、例えば要支援であれば月六万四千円のところを三万二千円まで下げていい、要介護Ⅴなら月三十六万八千円のところを十八万円まで下げていいという方向をお示しになっております。介護保険で使える額を引き下げようということなんです。  ただでさえ、この調査にあるように、限度額を超える人の負担は一番大変なわけであります。そういう人はどういう人かというと、非常に熱心に訪問看護に取り組んでいる、在宅医療に取り組んでいるような人にこういうケースが多いわけです。限度額を引き下げれば一体どういうことが起こるのか。熱心に在宅介護をやっている人ほど困難になる。先ほどからも議論がありますけれども、在宅がおくれている、こういう現状にさらに拍車をかけるんじゃないか、一生懸命やろうと思っている人たちに一番冷や水を浴びせかけるような結果になるのではないかというふうに思うんです。  この経過的支給限度額を基盤整備がおくれていたら引き下げてもいい、これはやめるべきだと思うんですが、いかがですか。
  151. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) ただいま御質問の、議論はこれからということになっておりますが、去る十五日の審議会にお示しをいたしました件につきましては若干の誤解がありはしないかという気もしますので、若干御説明させていただきます。  現実問題として、介護サービス基盤は三千三百市町村でそれぞれ大きく違う実態がございます。もちろん、進んでいるところもあれば、さまざまな事情で十分な体制整備ができていないところもございます。特に、そういうサービス水準の体制整備のおくれている地域にとりましては、もちろん努力をいただきましても急激な体制整備というのができませんので、そういうところでいわばサービスのとり合いみたいなことになる可能性がございます。  それぞれの市町村の事情に応じまして国で示した限度額よりも低い限度額を定めることができるというのは、実はもう法律段階でそういう規定がございます。したがいまして、それは市町村の独自の判断にある程度ゆだねざるを得ない。  今回御相談をしておりますのは、そうはいっても幾ら何でもこれを下回ってくれては困るのではないかという水準をどの辺に置こうか、むしろ最低ラインを決めようという趣旨の御相談を審議会にいたしたわけでございます。私どもの案は、一応本来の水準の半分よりも下回ったような支給限度額を決めてもらうのはいかがかということで、それを最低限にしようという御相談をしたということでございます。
  152. 小池晃

    小池晃君 いや、私は全然誤解していないと思います。それを五割まで引き下げていいという方針を出したわけでしょう。これは大変なことだと言っているんです。やはり区分支給限度額を超える人にとって大変な負担増になるわけですから、在宅サービスを日本で進めていくインセンティブに非常に悪影響を与えると私は思うんです。  ですから、例えば区分支給限度額を超える部分については、介護保険外のサービスとして公費負担にするとかいろんな措置をつくらないと、全体としてはいいですけれども、超えている人にとっては大変なことになるんじゃないですか、そういうことは考えないんですか、そういったことも考えずに五割まで引き下げていいんですかというふうに聞いているんです。
  153. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) お示しをいただきました区分支給限度額を超えるケース、これは個別のケースごとに議論をさせていただきませんとわかりませんけれども、こういうケースは主として比較サービスの提供主体がいわばそろっておる、サービス基盤の整っておる地域に起き得るのではないか。  むしろ、十五日に審議会に御議論をいただくべくお願いをいたしましたのは、サービス水準の進んでいない地域に対する特殊な措置でございますけれども、それにしても通常の五〇%を下限にしてほしい、こういうお願いでございます。もちろん、その範囲の中で市町村がそれぞれの事情に応じて判断をする水準が、できるだけその水準に近いものになることが望ましいことは当然でございます。
  154. 小池晃

    小池晃君 大臣にお聞きしたいと思うので、よく聞いていていただきたいんです。  今まで在宅の基盤整備について議論をしてまいりました。大変おくれているんだと。この在宅の基盤整備のおくれに対して、来年の四月、八三%という到達に対して私は国がやっている唯一の対策というのはこれじゃないかと思うんです。低い基盤整備に合わせて支給限度額を引き下げる。要するに、足りないサービスを補うために、これを分け合うために自己負担を高くしてサービスを受けにくくするということですよ、これは。何ということかと思うんですね。こんな対策しか出せないというのは本当に恥ずかしい限りだというふうに私は思います。  こういったことをやるんじゃなくて、今やるべきことは、とにかく総力を挙げて来年の四月までに、今八三%と言っているのを一〇〇%にすべきじゃないか。そこまで引き上げるためにやはり国が責任を持ってやるべきことなんじゃないか。すべて国がやれと言っているんじゃないんです。非常に難しい地域はあるでしょう。辺地や離島とかは大体その半分しか整備をされていない。一三%というのはそういうところが多いわけであります。  そういったところに対して、来年の四月までにやはり手を打つべきではないか、そしてすべての自治体が来年の四月までに供給率少なくとも一〇〇%に近づくような、そういう特別な措置を国として講ずべきでないか。改めてお聞きしたいと思うんですけれども、いかがですか。
  155. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 先ほどから、基盤整備はかなり地域間において、あるいは市町村間において開きがあるんだということを申し上げておるわけでございます。私どもといたしましては、来年の四月から介護保険制度がいよいよスタートするわけでございますので、残された月日もわずかでございますけれども、急ピッチで行えるようお手伝いをさせていただきたい、このように考えているような次第でございます。  いずれにいたしましても、繰り返しで恐縮でございますが、今度の問題はあくまでも実施主体は市町村であって、市町村がどう考えているかという問題であって、私どもはまさに介護問題というのは市町村の熱意あるいは力量が問われる問題ではないか、こう思っております。しかし、やる気のある市町村に対して私どもが全面的な御支援を惜しまないことは言うまでもありません。
  156. 小池晃

    小池晃君 今のお話は市町村の方が聞いたら大変怒ると思います。市町村はできないで困っているんです。悲鳴を上げているんです。特に山間辺地、離島の人たちなんというのはそうなんです。それに対して、国が何もせずに、これは地方分権の精神でやるから、民間業者が入ってくるからいいんだ、そういうことでいいのかというふうに聞いているんです。全くそのことに対して誠実なお答えがされなかった。大変残念に思います。  私は、次に要介護認定の問題点について指摘をしたい。  準備要介護認定が開始されましたけれども、コンピューターの認定に対して疑問の声が上がっています。実例がここにあるんですが、一例目、七十八歳の女性です。この方は意思疎通は十分できるんです。問題行動もない。頭はいわばはっきりされている。ところが、右足、左足、右手、左手全部麻痺で、拘縮で固まっちゃっているわけです。動かないんです、関節が。完全な寝たきりの方で褥瘡、床ずれもあるわけです。この方は要介護のⅡなんです。  そして、もう一例紹介しましょう。これは七十五歳の女性です。この方は身の回りのことはほとんど何もできない人です。例えば、洗顔は全介助、ボタンのかけ外しは全介助、居室の掃除も金銭の管理も全介助、そしてひどい物忘れがあって、生年月日を言うことができず、今の季節を言うことができない。今が秋か冬か春か言えない。幻視、幻聴、不潔行為、そして食べてはいけないものを食べてしまう異食行為もあるんだ、こういう方です。訪問調査員の特記事項にはこう書いてありました。朝食を用意しておいてもそのままにしてあり、自分では食べない。下着が汚れてもそのままにしている。こう書いてある人です。これが要介護Ⅱなんです。五段階で真ん中より軽い方なんです。こういう事例が全国から報告をされております。  一次判定のコンピューターソフトの問題点、私はこの間ずっと国会でも取り上げてまいりましたけれども、依然としてこの問題点は解決していないんじゃないでしょうか。どうですか、大臣
  157. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 要介護認定でございますけれども、国民の皆さん方から不満が出ないように公平公正でなければならない、こう考えているような次第でございます。  ただいま議員からも御指摘がございましたように、要介護認定につきましては全国共通のコンピューターによりましす一次判定と、それを原案とするいわゆる二次判定、こういうふうに分かれておるわけであります。一次判定は、八十五項目でございますか、それぞれ心身の状況に、調査ごとに調査員が出向いていって決めるものでございますが、これはあくまでも物差しでございます。そして、今、先生からも御指摘がございましたように、いろいろな試行錯誤の上に今度は介護認定審査会ということで、一次判定とは別に主治医の意見であるとか、それからいわゆる調査員の特記事項、こういうものを踏まえて最終的な判断を行っていく、こういうことになっておるような次第でございます。  いずれにいたしましても、現時点においては、科学的なさまざまな分野から研究した最善の方法と考えているような次第であります。
  158. 小池晃

    小池晃君 これがとても最善の方法なんということは言えないと思うんです。  二次判定は認定審査会があるからいいと言うけれども、実態を見るとこれは三分、四分だという実態がある。あるいは、事前に資料を配るから大丈夫だと言われていながら、東北地方のある市ではペーパーレスということでコンピューターの画面でその場で判断しなくちゃいけない、そういう例もいろいろ聞いています。とても認定審査会で実質的な議論なんてできないんだと。そういう中で、一例に二十分かけたり三十分かけたり、あるいは一時間かけて頑張っている、そういう認定審査会もあるんです。そういう中で二割近い変更が出てきているじゃないですか。これはまさに一次判定のコンピューターソフトに大変問題がある、不備があるということを証明していることにほかならないと思うんです。  この一次判定ソフトの問題、その基礎データになったのは九四年の全国社会福祉協議会のサービス供給指標調査研究事業報告書ですね。この中に施設入所者のタイムスタディーがまとめてあるわけです。施設に入っている人たちの要介護時間がどうなっているかということを克明に調べた調査です。厚生省はこの調査をもとに一次判定のコンピューターソフトをつくられた、これはそうだと思うんです。  私は、これは施設に入っている人だけのデータなので、在宅の人の、おうちにいる人のタイムスタディーのデータがないと正確な判定ができないんじゃないかというふうにこの間何度も取り上げてきました。厚生省の御答弁は、前任の老人保健福祉局長は何と言われたかというと、在宅サービスのデータがあればそれが一番いいわけですけれども、適当なデータがありませんというふうに答弁されてきました。私もそうなのかなと思ってきたんです。  ところが、あるんですね、ちゃんと在宅のデータが。これは、やはり同じ全国社会福祉協議会が九五年に出している資料です。翌年ですね。全く同じメンバーの調査会でつくっているんです。これは厚生省の補助事業で行われている研究です。そして、在宅七百人のタイムスタディーをやっているんです。何でこれを使わないんですか。今問題になっているさまざまな問題が、これを入れたから、在宅の基礎データを加えたからすべて解決するとは私は思いませんけれども、ここに在宅の介護者のデータがあるんだから、少なくともこれを活用してコンピューターソフトを改善すべきじゃないですか、直ちに。どうですか。
  159. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) たびたび御指摘を受けておることも承知をいたしておりますし、むしろこのコンピューターソフトシステムをつくるときにさまざまな議論専門家の間でも闘わせていただいたところでございます。  そういう意味では、繰り返しになって恐縮でございますけれども、いわば共通の物差し、全国共通の評価基準をつくるわけでございますから、最もばらつきのない手法でというのが一つございました。  在宅につきましてはおっしゃるようなデータも、正直中身までは承知しておりませんが、あるわけでございますけれども、やはり在宅の場合には住環境も違い、地域性によっても大きく違い、非常にいわばばらつきの出るデータということで、それをちゃんとした基礎データにインプットするのにはまださまざまな技術的に困難があるというような判断で、施設介護のデータを基準にしたというふうに承知をいたしております。  もちろん、少しタイムスパンをとれば、常にこの基準そのものにつきましても見直すべきではございますし、関連の専門家の方々からも研究は進めるべきだということは当初から言われておるわけでございますから、今後ともデータを集積いたしまして、ある程度のスパンをもって見直すということについては基本的に心がけていきたいというふうに考えております。
  160. 小池晃

    小池晃君 中身を承知していないというのは大変なことですよ。これは厚生省の補助事業ですよ。それを知らないんですか。在宅の中身を見たけれどもこれが適当でないという答弁だったらわかりますけれども、中身を承知していないというのは全く責任放棄だと。重大な問題ですよ。  だって、私は何度も指摘してきたじゃないですか、これは施設入所者のデータだけでは不十分ではないかと。そういうときに、そういうのがあればいいけれども適切なのがないというふうに答弁されたんですよ。それを厚生省の補助事業の研究でちゃんとやっておきながら、その内容を承知していないというのは、これは大変な厚生省の怠慢ですよ。重大な責任ですよ、これは。ある程度のタイムスパンでの改善なんということでは全くお話にならない。今、大変な問題が現実に生じているんだから、そしてこういう立派なデータがあるんですから、直ちに改善しなさいよ。これはすぐにやるべきだと思います。  大臣、いかがですか。今までの議論をお聞きになって、この問題について直ちに改善すべきだと思いませんか。──大臣に聞いているんです。  ちょっと速記をとめてください。ちょっと運営がおかしいと思うんです。ちょっと理事会を招集してください。
  161. 狩野安

    委員長狩野安君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  162. 狩野安

    委員長狩野安君) 速記を起こしてください。  それでは、もう一度大塚老人保健福祉局長に論点をきちっと整理して答弁をお願いいたします。その後、大臣に答弁をお願いしたいと思います。
  163. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 恐縮でございます。  繰り返しになる点は簡略に申し上げますが……
  164. 小池晃

    小池晃君 繰り返しだったら意味がないですよ。
  165. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) これまでの要介護認定基準をつくる際に、基本的には施設介護データを用いております。在宅のデータにつきましては、お示しの資料も含めましてさまざまなデータがあるわけでございますけれども、介護の内容や量が地域あるいは多様な住宅環境によって異なるということで、直ちには使用できるデータではないという判断のもとに現在は施設関係のデータを使っております。  今後、さまざまな知見、知識が集積されまして必要な見直しができるところまでの研究が進みますれば、これは常に見直すという姿勢で今後も検討してまいりたいということでございます。
  166. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) これも繰り返しになりまして大変恐縮でございますけれども、もう既に先生御案内のように、先ほどの答弁の中で申し上げましたけれども、横浜市などはもう八割もスタートしておる、要するに全国で認定はスタートしておるわけでございます。現時点で現在使用しております一次判定用のソフトウエアの内容を変更いたしますことは、実際問題来年の四月から介護保険制度というものができなくなってしまうおそれがあるわけでございますので、これを見直す予定はございません。  ただ、先ほど来、政府参考人から答弁がなされておりますけれども、在宅においてはさまざまなその地域の事情、家庭の事情、そういうものがあって、タイムスタディーとしてきちっとしたものをなかなか把握できないということでございますけれども、なおいろいろな基礎的なデータを収集するとともに、要介護認定実施状況を踏まえまして検討し直していくことにはやぶさかではありません。
  167. 小池晃

    小池晃君 さらに指摘したいと思うんですが、資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、これは九八年の要介護認定のモデル事業の要介護度の分布と、それから二〇〇〇年度の概算請求の算定資料での要介護度の分布です。これを見ると全然違うんですね。これを見ると、非常に概算請求の要介護度分布というのは軽い要介護度に偏っているということが一目瞭然なわけであります。  そして、もう一枚めくっていただくと、資料の三ですが、これに基づいてもう一度在宅サービスの費用を計算し直すと、概算請求では一兆三千億円、十一カ月ベースでそうなんですが、モデル事業の比率を適用すると一兆七千億円になる。四千億円も変わってくるんです。これを見ると、要介護度認定によって要介護度の分布を低い方に意図的に誘導していって、そして結果的に介護サービスの総量、費用を抑制しようという意図が見えてくるんじゃないか、私はこういうふうに受け取った。何でこういうふうに違うのか、ぜひ説明をしていただきたい。
  168. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 二つの要介護度の分布をお示しいただいておりまして、私どももそれぞれここにお示しのような二つの分布を持っております。概算要求に使っておりますのは、おっしゃいますようにお示しの資料でいえば右の分布でございますし、左の分布は九八年度、平成十年度のモデル事業における要介護度の分布でございます。  この左側の方の平成十年度に私どもが試行的事業として行いました対象者は、そのときその時点で何らかの在宅サービスを既にお使いいただいている方でございます。その方々の要介護度の分布を私どもの新しいいわばソフトを使って判定をしてみたということになるわけでございます。  これを概算要求にいたしますと、いわば全国三千三百市町村でどのような分布になっておるかということでございますから、各市町村から、これも十年度のデータでございますけれども、十年度に全市町村からいわば障害を有するお年寄りの日常生活の自立度でありますとか、痴呆性老人の自立度というようなデータをとりまして、これを一種の一次判定と同様なソフトを使いまして換算をして比率を出した、これを用いて概算要求をしたという経緯でございます。
  169. 小池晃

    小池晃君 最後にお聞きをしたいと思うんですけれども、今説明あったように、では実態としては概算請求のデータよりもこの九八年のモデル事業のデータの方が実態を反映しているんだというふうにお考えだということなんですね。これは、私は大変問題が大きいと思うんです。ということは、概算請求のデータというのは非常に疑義があるということになりますよ。非常に低く押さえ込んだ数字で出しているということになるじゃないですか。  大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、この違いをどう考えられますか。これを見ると、私は要介護度の認定を通じて全体として介護総費用を抑制しようという意図が透けて見えるんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣はどのようにお考えになりますか。
  170. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) この資料を初めて今この場で私は見たわけでございまして、今この場ですぐに感想を述べろと申されましても、軽々に感想を申し上げるわけにいきません。  それで、できますことならば、要するに二日前に御質問いただければ私もそれなりに勉強してお答えいたします。昨晩、小池委員から私のところに来まして、夜中でございますし、その辺のところをきちんとひとつ理事会の方で協議いただいて、そうやっていただかないと、私もできるだけ誠心誠意お答えしたいと思いますが、いきなり持ってこられてどうのこうのと、非常に専門的な分野でありますのでわかりにくい面がありまして、今この時点で私はこの問題についてとやかく感想を申し上げることは差し控えたいと思います。
  171. 小池晃

    小池晃君 では、一言だけ言わせてください。  二日前に通告をするなんということはこの理事会では確認しておりません。この理事会では従来どおりのやり方でやるということを確認しているんです。それが一点です。  それから、きょうこの内容でお聞きする内容は伝えてあるんです。そうであるからちゃんとそのことについては事前に用意していただかないと大変無責任であるということは一言抗議をして、終わりたいと思います。
  172. 狩野安

    委員長狩野安君) ただいまより十分間休憩をいたします。午後三時十五分まで休憩いたします。    午後三時六分休憩      ─────・─────    午後三時十六分開会
  173. 狩野安

    委員長狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障等に関する調査うち介護保険に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  174. 清水澄子

    ○清水澄子君 大臣は、今回の特別対策は介護保険制度理念とか基本的な枠組みをいささかも揺るがすものではないと言明をされておるわけでございますが、厚生大臣が理解されている介護保険制度理念というものをもう一度簡潔に、しかもポイントをお答えいただきたいと思います。
  175. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) このことにつきましては先般来たびたび御答弁をさせていただいておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、寝たきりのお年寄りに対してどういうような対応策をとっていくかということに私は尽きるのではないかと思っております。  これまでは一家庭の問題として、いわゆる家族の皆さん方が重い負担を負ってきたわけでございますけれども、それではおのずと限界があるわけでございますので、今後は社会全体で支え合っていこうというのが基本的な考え方でございます。  そういう中で今回の特別対策というものを設けさせていただきましたのは、この介護保険制度理念基本的な枠組みというものは揺るがすものではなく、私としてはとにかく、来年の四月から介護保険法の円滑な実施に向けて現場で大変御努力をなさっていらっしゃる皆様方、そして現に寝たきりのお年寄りの皆様方、それを支えている御家族の皆様方のためにも全力で関係者の皆様方と手を携えて円滑な実施に向けて取り組んでいく決意でございます。
  176. 清水澄子

    ○清水澄子君 今、大臣がお話しになったのは、理念というより必要性の背景のようなお答えだと思います。  介護家族介護から社会全体が担う、これは非常に重要な基本的な考えでありますけれども、今回の介護保険制度の中で、先ほどからの皆さんの質問に対するお答えを聞いていて何か一つはっきりしていないと思いましたのは、高齢者自身が介護サービスを受ける主体であると同時に、みずからもまた介護保険制度の担い手になる主体である、ですから負担もするのだという、ここが非常に今までの高齢者福祉に関する法律とは変わってきたところだと思うわけです。そして、この実施主体はあくまでも住民に最も身近な自治体である市町村である、そのことが地方分権を推進していくという大きな一つスタートになるんだ、こういう考え方があったと思うわけですが、それはそういうふうに理解してよろしいですね。
  177. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) まさに先生指摘のとおりでございまして、例えば医療保険にいたしましても、いわゆる国保の頭割りという形でのお年寄り負担というのはあるわけでございますけれども、もし仮にお子さんがサラリーマンで所得があって働いて被扶養者になった場合には、高齢者保険料というのはないわけでございます。そういう意味において、独立して保険料をいただくということで、そこが大変私ども率直に申し上げて、いや、先ほどからすぐやれとおっしゃる方もいらっしゃるけれども、なかなか正直申し上げて三千円近い保険料を御負担していただけるかどうかというようなことの中で、いわゆる特別対策というものも設けられたわけでございまして、千差万別でございます。  率直に申し上げて、いろんな声はございますけれども、本当にまとまった意見というのはなかなかできにくい。しかし、私は担当大臣として、これだけ盛り上がってきている問題、そして放置しておくことができない問題をとにかく来年の四月からスタートしなければならない、そのためにはどう考えていくかという観点からこれまで取り組んできたような次第でございます。  先ほどから申し上げておりますように、さまざまな点で今までの仕組みと変わっております。今、先生が御指摘になった保険料の問題、それからこれまでは措置制度のもとでいわゆる公費によるサービスというのが行われておりました。これからは、先ほど来申し上げておりますけれども、利用者が契約をしていくんだ、こういうような問題もございますし、これまでのような福祉制度そのものを百八十度転換するものであり、そしてどちらかというと、いわゆる公費サービスの場合にはおのずと全国一律的になるわけでございますけれども、すべての市町村がそれぞれの創意工夫によって厚くすることもできれば薄くすることもできる。  それから、先ほども申し上げましたけれども、ホームヘルプの回数をふやすこともできるし、あるいは横出しといって国の基準には入っていないようなサービスを住民のニーズに応じて追加することもできるということで、まさに私は地方分権の象徴的なものがこの介護サービスであって、少子高齢化社会における社会保障のあり方の先取りをするのが介護保険ではないか、このように考えているような次第でございます。
  178. 清水澄子

    ○清水澄子君 それでは、政務次官、午前中の質問に対しまして、療養型病床群医療保険でとか、何かずっと前のお話だとおっしゃっているんですが、公明党は、在宅ケアは保険で、施設介護は税方式でと主張されていましたが、これはもう昔の話ですか。公明党はその点では現在はどのようなお考えをお持ちなのか、簡潔にお答え願います。
  179. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 委員指摘のように、公明党では介護保険料の負担軽減のために在宅介護のみを保険で、他は税でと、そういう主張を今していることは事実でございますが、しかし三党協議の中で、連立でございますのでそれぞれ意見が食い違う面もございますが、来年の四月から現在の介護保険制度を施行するということでは合意をしておりますし、私も政府の一員として政府の決定に従ってまいります。
  180. 清水澄子

    ○清水澄子君 それでは、大臣、今言われた公明党案、在宅ケアは保険で、そして施設介護は税方式でという場合にはどういう問題があるのか。それと同時に、自由党さんの税方式という場合にはどういうことが問題になるのかということをお答えください。
  181. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 午前中の今井委員の御質問の中で、かつて私が実はこの在宅を優先してやったらどうか、こういうことを申し上げた張本人でございます。  それはどういうことかと申しますと、今度四兆三千億でございます。それで、あの当時は、もう五、六年前になりますけれども、私はとにかく一番大事なことは要するにマンパワーの充実を図っていくべきだと。介護サービスの中で一番大切なことは、住みなれた自分の家で、もう体は自由に動かないかもしれないけれども、子供さんの声を聞いたり、あるいは自分が元気であったときに自分がこれまでいろいろ手がけてきた草花を見ながら人生の最後を過ごすということが私は最も望ましい姿ではないか。そういう中において、我が国のいわゆる在宅サービスというのが余りにもおくれているのではないかと。  それから、率直に申し上げて、特別養護老人ホームであるとか療養型病床群、さらに老人保健施設、さまざま似たようでいて違うわけですね。片一方は措置制度であり、片一方はいわゆる医療保険制度の中に入っている。こういうようなものを一元化することは当然のことで、避けて通れない問題でございますけれども、果たして国民の皆さん方にどこまで御負担の問題であるとか御利用の問題などで御理解がいただけるかということで、議論の過程で私がこういうことを申し上げたことは事実であります。  しかし、先ほど今井委員からもお話がございましたように、市町村からとにかく一緒にやっていってくれ、こういうような強い要望がございまして、最終的にいろいろな経過がありまして、たしか衆議院の選挙の前は、あのときの自社さ政権では在宅優先でいって様子を見て、そしてそれからやろうじゃないかということで一回決まったんですが、衆議院の選挙が終わりましてから、特に民主党の菅代表が中心となりまして、とにかく施設も一緒にやっていこうじゃないか、こういうような話になりました。  実際問題のところ、今一番保険料が高いと言われているのは療養型病床群を数多く抱えているところでありまして、その辺のところの問題についてさまざまな御意見があるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、小泉大臣のときでございますか、法律が可決成立をいたしまして今ここまで来ましたものですから、とにかく全力を挙げて取り組んでいくということであります。  私は、今申し上げたような考え方に全く未練を持っているわけでもありません。今やることは、とにかく来年の四月から、要するに施設サービスもあるいは在宅サービスもこぞって国民の皆さん方の御理解や御期待にこたえることが私どもの最大の責務である、このように考えているような次第であります。
  182. 清水澄子

    ○清水澄子君 質問したことに答えてください。  私は、自由党の税方式というのは何が問題になるのか、そして公明党さんの主張は何が問題になるのかということをお聞きしたんですが、それはもう今までも、前の宮下厚生大臣もはっきり言っておられます。  例えば、公明党案のようなものは、現行の措置制度保険制度と両方の事務を地方自治体が行うということは事務の混乱のおそれもあってそれは全然できませんと。それから、税財源で賄うということは、地域におけるサービス提供と負担との関係が不明確になりますと。サービス提供と負担との適切なバランスをとることが介護保険で非常に重要な視点であります。ですから、そういう制度はいささかも私どもは考えてもいないし、変更するつもりはありませんと。これはことしの七月十五日の予算委員会での宮下厚生大臣のお答えでございますから、多分そうであると思いますが、質問の時間が短いので次に参ります。  そうしますと、今回の特別対策のうち、この保険料を半年間凍結するというのはどういうお考えに基づくものなのでしょうか。ならし運転だとよくお答えになっているんですけれども、保険料負担なしに介護サービスを受けることにならしていくんでしょうか。そうすると、介護保険制度の先ほど申し上げたサービスを受ける主体であり、そして負担をできる人は負担をするというその介護保険制度理念と反すると思うんですが、そこは大臣いかがでしょう。
  183. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 今回の特別措置によりまして、当初の半年間は保険料を徴収しない、そしてその後さらに一年間について激変緩和のために保険料を二分の一にする、こういうことでございます。  先ほど来私が申し上げておりますように、とにかく、これまでのいわゆる福祉サービスとは全く異なった、給付サービスと全く異なったものが現実にこの四月から行われるわけでございます。そういう中において、お年寄りの中には、申請を忘れてしまうんじゃないかとか、あるいは新しい制度の仕組みがわからないんじゃないかとか、こういう方が現実にお年寄りの中にはいらっしゃることは紛れもない事実であります。そういうような方々に対して、一定の猶予を差し上げて、そして一番大切なことは、この介護保険制度というものを将来にわたって、長期にわたって定着させていく、そういうようなねらいもございます。  いきなり保険料が高いか低いかという話は別といたしまして、とにかく最初はそういうことから少しずつ国民の皆様方、特にお年寄りの皆様方にもなじんでいただいて御理解をいただく、こういうことで始めたものでありまして、保険方式を否定したものでは全くございません。
  184. 清水澄子

    ○清水澄子君 それは本当に後からつけられた、これまでの委員会で一年以上も討論してきた中身のあれと全く違っちゃうんですけれども、事情はまさに今の与党三党の合意が非常に難しくてこういうふうになったんだと思います。  そこで、それならばやはり保険料負担するということももう少しならし運転をすべきだと思うんですけれども、半年後は必ず保険料をきちんと徴収するということは確約されるのでしょうか。
  185. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) ちょっと御理解いただきたいのは、これはあくまでもそれぞれの市町村の自主的な判断でございますから、来年の四月から私どもの方は保険料を取らせていただきますというところはそれで結構なんです。それから、その後につきましても、それは当然のことながらそれぞれの市町村の判断に基づいて保険料を設定していただく、こういうことでございまして、これを全く否定しているものじゃないんだ、こういうことでございます。
  186. 清水澄子

    ○清水澄子君 今、市町村が四月一日から保険料を取ることは、当然これは法律上そうなっていますね、徴収することはいいと。しかし、徴収したときには調整交付金は上げませんと言うんでしょう。そうでしょう。それじゃ全然話が違うわけですね、そういう条件は本来法律上なかったわけですから。  そういうことじゃなくて、私がお伺いしているのは、四月一日から六カ月は凍結とおっしゃっている。その後から半額取られるわけですね、一号の皆さんに半額。それは実行なさいますかということを伺っている。最初はゼロでしょう、半年間。その半年後は実行されますか、保険料徴収を。
  187. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) まことに恐縮でございますが、要するに保険料の猶予あるいは軽減のためにそれぞれの市町村にいわゆる基金のようなものを設けます。これは、あくまでも保険料に対する猶予であり、軽減という性格を持ったものであるということでありまして、私が申し上げているのをそれにお使いいただきたい。しかし、いや、そうは言ったって私のところは実際問題要らないんです、こういうところはそれぞれの市町村の独自の判断で保険料を徴収することができます。それは軽減が二分の一になっても同じことであります。しかし、それぞれの市町村が独自の施策において上積みをするところもあるでしょう。例えば、先生御案内のように乳幼児医療のような問題、これはもう国としては、これはあくまでも市町村の問題でありますけれども、認めているところもあれば認めていないところもあるとか、こういうような問題ではないか、このように考えています。
  188. 清水澄子

    ○清水澄子君 それでは、今回の特別対策は、政府の方は六十五歳以上の高齢者すべてにわたって保険料の一律凍結というふうに言っておられるわけですね。その場合、高齢者にも高額所得者や高額資産をお持ちの方はおられるわけですね。私は、保険料負担を免除するのであれば、むしろ低所得者の対策を充実させるべきであるということと、基盤整備にむしろそういうお金を使うことが全国の市町村長さんも皆さん全部それを求めておられるし、国民も非常にそのことを求めていると思うわけです。  ですから、その点になぜお金が使えないかということと、このような高額所得者になぜ保険料負担してもらわないのか、その理念というのは介護保険制度理念とどういう関係になるでしょうか。
  189. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 高額所得者に要するに保険料負担……
  190. 清水澄子

    ○清水澄子君 年齢で一律にしちゃうでしょう。
  191. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 所得です。年齢じゃなくて所得です。
  192. 清水澄子

    ○清水澄子君 六十五歳以上。
  193. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 六十五歳以上の、要するに所得に応じまして五段階に分けて保険料率を決めております。
  194. 清水澄子

    ○清水澄子君 凍結でしょう。
  195. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) いやいや、それと別な話ですから。
  196. 清水澄子

    ○清水澄子君 今度凍結でしょう。
  197. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 保険料そのものはあくまでも所得に応じまして五段階に分けてやります。そして、それぞれの市町村において給付サービスは行ってください、それに対する財政的な裏づけは行いましょう、こういうことであります。
  198. 清水澄子

    ○清水澄子君 今回の特別対策というのは、一号被保険者は一律に凍結するんじゃないんですか、半年間。
  199. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) それではちょっとお聞きしますが、清水先生のお考え方は、要するに高所得者は取りなさい、低所得者は凍結しなさい、こういうような、何といいますか、ばらばらという言葉は適当かどうかわからないんですが、そういうお考え方に立つものでございますでしょうか。
  200. 清水澄子

    ○清水澄子君 今度政府が出された特別対策のあり方に問題があると思うんです。第一号被保険者の場合は高額所得者も含めて一律に保険料負担を凍結するわけでしょう。ですから、そういう凍結の仕方というのは、本来ならば高額所得者からもらうのが普通ですよね。それを今度はそこは一律になさる。それほどお金が余分にあるのであれば、そういうお金の使い方をするのであれば、むしろ逆にそれは基盤整備とか低所得者対策に重点を置くべきではないでしょうかということを言っているんです。
  201. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 要するに、低所得者に対しては凍結しなさい、高所得者に対しては凍結しなくてもいいじゃないか、そしてその余った分はほかに使いなさい、こういうことですか。
  202. 清水澄子

    ○清水澄子君 今度の特別対策の処置の仕方、一律負担凍結というのには非常に矛盾が多いという点で、この矛盾点をお伺いしているわけです。その点はお認めになるでしょう。
  203. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) ですから、凍結というものは、所得に応じて、所得に着目をして、保険料に着目をしてするべきものではないんだと。今、先生から御指摘のあった、例えばもっと基盤整備に使いなさいとか、これはこれとして一つの大変貴重な御意見として承っておるわけでございます。  私どもも、今度の補正予算において九百五十億でございますか基盤整備に計上する予定でございますし、今申し上げた意味は、この介護保険というような大変な、今全国的な議論を呼んでいる問題をとにかく国民の皆さん方に御理解をしていただくためにはどうするか、こういうような観点から、国民の皆様方にひとしく、特にお年寄りの皆様方に御理解をいただくような措置としてこのような特別措置というものをとらせていただいたんだ、こういうことでございまして、大部分のお年寄りの皆さん方は大変歓迎をいたしておることを私のところにもいろいろな形で伝えられていることをあえて申し上げさせていただきます。
  204. 清水澄子

    ○清水澄子君 非常に我田引水ですね。  こちらが質問していますのは、最初に理念をお伺いしましたね。理念はいささかも変わらない、枠組みも一切変わらない、しかし今回だけはこういう措置をとるとおっしゃったんだけれども、その措置の中でも特別の措置自身の中で内部矛盾がありますねという意味で、今この一律凍結というのも非常に内部には格差、差別があるということを言ったわけです。  それから、そこに続きまして、では四十歳から六十四歳までの第二号被保険者については、これは医療保険者対策ですね、今度これには千二百六十億円の財政支援が行われることになっているんですけれども、この場合も、国費を使うのに、大企業のサラリーマンが加入している健保組合に対しては六百億円を支援する、そして国保には六百六十億円を支援する、しかし中小企業の従業員で構成する政管健保には財政支援は行わない、こういうところにも非常に私は問題が多いと思います。  まず、なぜ中小企業の従業員で構成する政管健保には財政支援をしないのかというところでも、介護保険を理解していただくためにという政策にしては非常にこの中でも矛盾がある。特に、健保連の場合も、財政の健全化に努力してきた健保組合は財政支援の対象にならないという不公平が出てくるわけです。政管健保も赤字になってきています。  そういう意味で、こういう差別がどういう論理で行われるのか、この辺でも国のお金を使う面での公平性の面からも非常に私は問題が多いと思うんですが、大臣いかがお考えですか。
  205. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 今回の特別対策におきましては、四十歳から六十四歳までの現役の方々にも御負担をいただくことになっております。平成十二年度の試算によりますと、この介護保険料でございますが、組合健保が〇・八九%ぐらい、それから国保は千三百円程度、こう見込まれておるわけでございます。  それで、どうしてこういうようなことになったかということでございますけれども、あくまでも私どもは政管健保を基準としながら、健保組合においてさらにそれ以上に財政基盤が脆弱な健保組合に着目する、それから国保におきましては介護保険料というものを徴収することによりましてさらに収納率が場合によって落ちるのではないか、こういうような懸念をされるところについて着目してこのような支援策をとった、こういうことでございます。
  206. 清水澄子

    ○清水澄子君 私の時間がもう少ないんですが、健保組合保険料が九・五%を超えないようにしないと法律を改正しなきゃならなくなるわけです。ところが、今度は法を改正しないでやるわけですし、超えるということは、その半額を負担する財界等も非常にこれに反対しているわけです。ですから、そういう点でこういう措置をとられたのかなと思います。  この根本問題は、医療保険保険料が高くなっているのは医療保険制度改革がおくれているからであって、介護保険の地ならしの問題とは全然違うことをここで何か非常にうまくごまかしてしまっている。やはりそういう意味でこれは大変大きな問題だと思うんですが、厚生大臣としてはどのようにお考えになりますか。
  207. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) まさに医療保険改革というものは避けて通れない問題でございますし、清水議員ともこの問題について大変な長期間にわたりまして議論を交わしたところでございます。  確かに、医療保険財政が大変逼迫化している中においてさらに介護保険料をお願いするということでございまして、そういうことに対しまして、今私が申し上げましたようないわゆる支援策というものを講じて、結果的に医療保険財政が少しでも悪化しているところが改善されるようなことをねらいとしているところでございます。  それと同時に、今私どもは、医療保険改革につきましては、一つ医療提供体制の問題、それからもう一つは長年の大変大きな問題でございます薬価差の解消のいわゆる薬価制度の問題、それからもう一つ診療報酬、つまり出来高払いかあるいは定額払いか、こういった最善の組み合わせでございますけれども、こういう問題。それから一番大きな問題は、今、国民医療が三十兆円でございますが、そのうちいわゆる老人医療費が三分の一でございます。こういった高齢者医療制度の問題、率直に申し上げましてなかなか思うように進まない面もありますけれども、しかし一歩一歩国民の皆さん方の御理解をいただきながら進めていかなければならない、このように考えているような次第でございます。
  208. 清水澄子

    ○清水澄子君 終わります。
  209. 入澤肇

    入澤肇君 午前中から非常に熱心な、また建設的な議論がありました。私はほかの委員がされた質問をダブってやるのは嫌ですから、それについて一方的に幾つか申し上げますと、先ほど今井委員が、閣議決定されているわけじゃありませんけれども、新聞発表された今度の措置については財政法上問題があるんじゃないかということを言われました。市町村にあらかじめ、四月一日以降、保険料を払うための基金を補正予算で対応するということは、私は明らかに財政法上問題があると思います。四月一日以降やることであれば十二年度の当初予算でやればいいのであって、介護制度を円滑に実施するための何らかの工夫があってしかるべきじゃないかというふうに思っております。これは申し上げておきます。  そこで、十月一日から市町村で介護の各段階の認定が始まっております。現時点におきまして、認定の実施状況はどうなっているか、特に一号被保険関係者でどのくらいか、二号被保険関係者ではどのくらいかということについて、まず局長から御説明願いたいと思います。
  210. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) お尋ねの要介護認定実施状況でございますが、まさしくポイントとおっしゃられましたが、実は現時点では一号と二号とを区分してとっておりません。推計ですと、いわゆる二号被保険者のうち介護者となりますのは全体としては五%にも達しないというふうに見ておりますので、大部分は一号被保険者の中の要介護認定者、こうなると思います。  そういう前提で御報告をいたしますと、約一カ月、十月末日現在の状況でございますけれども、まず申請の状況でございますが、両者合計で申請受け付け件数が七十一万三千八百二十件、そのうち、認定をいたしまして認定結果を通知した件数が八万七千八百三件でございます。これは、全体の一を分母にいたしまして比率を出してみますと、六十五歳以上全人口を約二千二百万人というふうにいたしますと、申請件数で三%強、認定件数では大変小そうございまして〇・四%でございます。
  211. 入澤肇

    入澤肇君 最近の新聞は、政府がとられた措置あるいは与党三党の合意につきましても大変おかしい、もとの原案どおりやればいいじゃないかというふうな主張がありますけれども、この認定の状況を見ましても、やはりこの介護保険制度というのは大変難しい制度であるということがはっきりするんじゃないかと思うんです。  この申請者が対象の三%、認定者が〇・四%というのは一体どういう理由でこのような低い数字なのか、どのようにつかんでいるかということについて御説明願いたいと思います。
  212. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) あるいは不適切な数字を申し上げたかもしれませんが、現実に認定申請をされる方は、例えば非常にお健やかでお過ごしの方は当然申請してまいりませんので、何らかの身体状況を持っている方が申請をしてこられるということになります。  市町村側が申請受け付け見込み、全体としてこのくらい申請があるだろうというふうに一応見込んでおりますのは、先ほど要介護者は二百八十万人という数字を推計として大臣から申し上げましたが、それに近い二百七十万人ぐらいが申請をしてくるのではないかというのが各市町村が見ておりますものの積み上げでございます。  それに対して、比率を申しますと、既にちょうど四分の一の方が申請をされたということになっております。したがいまして、一カ月で見込み数の四分の一でございますから、むしろ私どもは申請件数としては順調と申しましょうか、非常に多くの方が申請をされたと。見込み数ではありますけれども、一カ月で見込み数の四分の一程度の方が申請をされたというのは、予想をやや上回るというのが率直なところでございます。
  213. 入澤肇

    入澤肇君 いかようにでも都合のいいように説明はできると思うんですけれども、私はこの非常に難しい制度を大変な御議論の後まとめ上げられたということに対しては、率直に申し上げて敬意を表するものであります。私も長い間難しい制度を自分でつくってきましたから、なかなかこのような制度をつくり上げるのは大変だということはよくわかるわけであります。ただ、保険という仕組みをつくったことに対して、若干というか大いなる疑念がある。保険という言葉と互助制度というのを何かごっちゃにしているんじゃないかという感じがしてしようがありません。  我々が保険制度ということで念頭に置くのは、一つは大数の法則が必ず成立する。それからもう一つは、保険集団全体において被保険者が保険者に支払う保険料総額と保険者から受け取る保険金総額が等しくなるという収支相等の原則もあります。それから三つ目には、被保険者が支払う保険料は将来受け取るであろう保険金の期待値に等しいという給付・反対給付均等の原則。この大数の法則、収支相等の原則、それから給付・反対給付均等の原則というのが保険にとってはもう大前提でありまして、この介護保険制度は被保険者のうち介護保険給付を受けられる人は全体の一割程度じゃないかというふうに推定する学者もいまして、私は言葉の真実の意味での保険制度には当たらないんじゃないかというふうに考えております。  それからさらに、この制度の問題点は、複雑過ぎて我々本当に法律を読むことになれている人間にとっても非常にわからない。  これは局長にちょっと聞きたいんですけれども、厚生省からもらった資料で保険料設定方法というのがあるんです。各市町村の保険料額、保険料として集める必要がある費用の額割る第一号被保険者数とあるんですけれども、保険料として集める必要がある費用の額の中には何と横出し給付・上乗せ給付まで入っているんです。ところが、国の二〇%の負担金を計算する場合にはこの横出し・上乗せに要する経費は除けと書いてある。そうすると、四兆三千億とかという数字、これは利用料が一割入っていますね。それは除きまして、その四兆三千億の数字の中には横出しの給付とか上乗せの給付というのは入っているんですか、局長
  214. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 私どもの算定する数字には入っておりません。いわゆる横出し・上乗せに相当する部分は入っておりません。
  215. 入澤肇

    入澤肇君 いや、そうするとこれは大変な矛盾をはらんでいるんです。先ほど大臣が繰り返し言われていますように、まさに各地方自治体の特色に応じて住民の意識に応じてやるんだということで、上乗せをしたかったら上乗せをするし、横出しをしたかったら横出しをするんだと。その上乗せ・横出しをやればやるほど経費がかかりますから保険料率が上がる、保険料を余り上げたくなければこれを抑制する以外にない、そういう意図があって私は保険料の算定の中にわざとこの上乗せ・横出しの経費を入れたんじゃないかと思うんですが、制度の中にはこういうことはまた別ですよと言っていながら、どうして保険料の算定基礎の中に入れるんですか。この矛盾はどうなんですか。
  216. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) いわば国のと申しますか、法律の定める基本的な給付、これは法律で定まります。それプラスそれぞれの市町村の事情に応じまして上乗せでありますとか横出しという形で給付をすることができますと。全国共通の部分は公費も含めまして公費プラス保険料で賄うわけでございますが、独自の上乗せ・横出し分は保険料でカバーをしてくださいと。  したがいまして、最終的に当該市町村の被保険者からちょうだいする保険料には、もし上乗せ・横出しがあれば、それも含めて徴収を市町村としてはされるわけでございますが、国の予算措置あるいは負担というような観点からいたしますと、それは公平の観点から共通部分対象となりますので、そういう計算をさせていただきますよということを御説明資料の中で申し上げているわけでございます。
  217. 入澤肇

    入澤肇君 私は、先ほどの今井委員議論にもございましたけれども、特別徴収と普通徴収のことにつきましても、法律を素直に読めば今井委員のおっしゃるとおりじゃないかと思っているんです。  介護保険制度につきましていろんな資料を読んでいるんですが、今言ったようなことはどこにも説明していない。保険料の額を設定する、しかもこの保険料額の総トータルが一号については全体の総経費の一七%、そして二号被保険者は三三%だと言っているわけだ。この一七%だってどこにも書いていない。引き算をして初めて出てくる数字でありまして、三三%というのは政令に出ています。これは法律には書いていないし、何にも出ていない。引き算をして初めて一七%という数字がはっきりするわけだ。しかも、この一七%が平均なんですね。そうすると、一号被保険者の一七%というのは、五%の調整交付金を加えると、マキシマムは二二%、ミニマムは一二%というふうに理解していいんですか。
  218. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) ただいま御指摘ございましたように、保険料の計算の基礎は、本人の御負担をいただく部分を除いた給付費につきまして、国が二〇%、都道府県及び市町村がそれぞれ一二・五%、現時点におきましてはいわゆる第二号被保険者の保険料分が三三%、残り二二%がまず計算として出てまいりまして、それに調整交付金が加わる、こういうことになります。したがいまして、調整交付金が全く行かない市町村があるといたしますと、そういう意味では二二%が一号保険料負担分ということになります。  逆に、調整交付金がどこまで来るか。極端なケース、理論上は相当程度の率になりますが、現実を申しますとそれほどございませんけれども、調整交付金が一〇%を超えるところもあるいは生ずるかもしれません。そういたしますと、第一号保険料が一二%を下回るような市町村も生じ得ると考えております。
  219. 入澤肇

    入澤肇君 まず、保険料の一七%というのはそういう意味があるということが一つ。先ほどの説明の中で、上乗せ・横出しの経費は四兆三千億の中に入っていないというふうに言われましたね。そうすると、その上乗せ・横出しの経費を前提にして保険料率をはじきます。その各市町村の保険料に六十五歳以上の人数を掛けて補正係数を掛けると、トータルとして一七%におさまりますか。
  220. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 上乗せ・横出し分は、その一七%あるいはただいまの御議論の中のさまざまなケースの計算の基礎とは別に、いわば最終的に国の法律の定めました枠内プラスそれぞれの市町村独自の判断で上乗せ・横出しをした分は保険料としてさらにオンをされると、こういうことになるわけでございます。
  221. 入澤肇

    入澤肇君 そうすると、厚生省としては、あなたのところは上乗せ・横出しを除きますと保険料率はこうなんですよということもあわせて指導する必要があるんじゃないでしょうか。  要するに、町村長さんたちもこれは選挙でやってますから、住民サービスが多ければ多いほどそうするのかもしれない。こびを売るかもしれない。そういうことじゃなくて、この制度は標準的な法律に基づく保険料率はこれだけなんだけれども、あなたのところはこれだけのサービスを受けているから高くなっているんですというふうな、二重の保険料率が実際あるんだよと、標準的な保険料率を各市町村に示す用意がございますか。
  222. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 既に上乗せ・横出しも法律上の制度ではございます。ただ、先ほど申しましたような国の負担関係でありますとか公費の入れ方とかいうのは基本的に共通の枠組みで、同じ法律に基づきますけれども独自の措置は講じられますよということは書いてございます。私ども、市町村とは都道府県を通じまして相当頻回にわたる打ち合わせをしておりますから、その辺も十分伝わっているとは思いますけれども、引き続き留意をしながら、念のためにそういう点も含めて今後の打ち合わせではきちんと認識をしていただくようには努力いたすつもりでございます。
  223. 入澤肇

    入澤肇君 今、一例を申し上げましたけれども、本当にこれは難しい制度です。私は、やはりこういう国民一般に理解してもらう制度は、仮に地方自治体の自主性に任せるんだといっても、簡素かつ公平かつ合理的なものでなくちゃいけない。我々自由党が言っているのは、完全捕捉が困難な所得を課税標準とするよりも、消費を課税標準とした方が低い行政コストで捕捉率が高く効率的で、それから経済力に対応して不正ができないという意味で、消費を課税標準とする消費税に財源を求めた方がいいんじゃないかと言っているわけです。  さらに、これについては、大きな政府になるんじゃないかなんという誤解があります。簡素かつ効率的ですから、むしろ小さな政府なんです。大きな政府というのは、人間をたくさん抱えている政府のことなんです。役人ばかりいる政府のことを言うのであって、予算額が大きいから大きいんじゃないんです。効率的であれば私は小さな政府であると思うんです。  そういう意味で、これは基本的に行政に対する考え方が異なるんでしょうけれども、三党連立の中でぜひこれはこれからも継続して協議をして合理的なものにしていただくようにお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  224. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 今回の与党合意におきましても、率直に申し上げましてこの点は大変最後の最後まで議論のあったところでございます。  いずれにいたしましても、合意事項の第七番目でございますか、三党間においていろいろ見直しをするという項目がございますので、とにかく来年の四月からは今の制度のままでスタートさせていただく、見直すべき点があれば見直していくということについてはやぶさかではありません。
  225. 入澤肇

    入澤肇君 私も非常にこういう難しい制度をつくり上げることに対しては繰り返し敬意を表しているものでございますから、直すべきところはこれからどんどん検討して直すという姿勢で臨んでいただきたいと思うのであります。  さらに、保険料を今度は据え置くか置かないかということで今も清水委員からお話がございましたけれども、第二号被保険者のうち政府管掌健保だけは対象外というふうな報道がなされていますけれども、要するに財政負担対象外だと言っているのは、それはどういう理由で、単に赤字じゃない、ほかの組合健保と国民健保は赤字だけれどもこの部分赤字じゃないから大丈夫なんだというふうに言うのか。しかし、私どもが持っている数字では、かなり政府管掌健保も財政難に陥っているところがございます。これはどういうふうに説明しますか。
  226. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 先ほどもこの第二号保険者の支援につきましては御説明をさせていただきました。私どもは、今回の介護保険料の上乗せに伴いまして、一つ健保組合の財政悪化というものを懸念いたしております。それからもう一つは、国保のいわゆる収納率というのが現在九九%でございますが、これによりまして低下するのではないか。このことに着目して支援をしていこうじゃないかと。  そこで、一つの目安として考えましたことは、今、国の方で一六・四%財政支援をしております政管健保を一つの目安にして、実際に政管健保の上乗せというのが〇・八三、組合健保が〇・八九、こういうことでありまして、それからあれが千三百円ということでありますけれども、上乗せした部分よりもさらに悪化しているところということでありまして、そういう部分にやろうじゃないかということで外させていただいた、こういうことでございます。
  227. 入澤肇

    入澤肇君 保険料の法定の上限が千分の九十五だということで、これを法律改正したくないからそういう措置を講ずるんじゃないかという意図があるんじゃないかと思うんですけれども、私はこういうところは堂々と法律改正を打ち出して、国民保険料についての認識あるいは医療保険全体についての認識を高めてもらうということの方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  228. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 先ほど来財政支援については申し上げたわけでございますが、ただいま入澤委員の御指摘は、要するに介護保険実施によって保険料率の上限について法改正が必要ではないか、こういうような御意見でございます。  確かに、現下の経済情勢であるとか医療費自然増のもとにおきましては、介護保険法の実施によりまして、老人拠出金の減少が見込まれる分に見合って保険料率を引き下げることが可能かどうかということは率直に申し上げて非常に難しいところでございますけれども、なおこの問題につきましては引き続き検討していきたい、こう考えています。
  229. 入澤肇

    入澤肇君 最後の質問になるかもしれませんけれども、今度の制度で私は非常に心配していますし、いろんな市町村を回って話を聞いているんですけれども、月額一万五千円以下の年金生活者からも市町村の職員が戸別訪問して保険金を徴収するというふうなことを言っていますが、現行国民健康保険料すらなかなか個別徴収できない。各市町村の水道料金担当、医療保険担当とか何かが競争して取り合っているというふうなことを聞きます。  今度のこの制度は、介護保険料を単に徴収できないだけじゃなくて、国民健康保険の場合、保険料滞納世帯が全国で三百万世帯あるとか言っていますね。これをさらに助長させる、ふやしていく、そういうおそれがあるんじゃないか。これに対する対応策はどうするのかということについて基本的な見解をお聞きして、質問を終わります。
  230. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 介護保険制度のもとで年金から天引きの対象にならないお年寄りでございます。全体の八割が大体年金の天引きになるので、二割の方だと思います。  先生が御指摘のように、国保と同じように、要するに市町村の窓口での徴収や口座振替、こういうような形によって行うことになっております。国保のいわゆる高齢者でございますけれども、高齢者の収納率というのは九九%という、先ほどもちょっと申し上げたんですが、極めて高いものでございます。先ほどから申し上げておりますように、介護保険を上乗せすることによってこれが落ちないように支援策をすると申し上げました。こういうことを通じまして徹底してお年寄りの皆さん方の御理解を得たい、このように考えている次第でございます。
  231. 入澤肇

    入澤肇君 終わります。
  232. 堂本暁子

    堂本暁子君 けさ今井委員も言われましたけれども、介護保険法は自民、社民、さきがけの連立の中で成立した法律で、私自身も大変長いことかかわってきた法律なので、新しい自自公の三党合意には今戸惑いを禁じ得ません。丹羽大臣もずっと御一緒に仕事をさせていただいたので、この局面で随分と御苦労も多いのではないかというふうに思っております。  ただ、けさ冒頭で大臣は、今まで介護は女性の犠牲のもとに行われてきた嫌いがなきにしもあらずとおっしゃいましたし、それを社会化することが介護保険目的だし、寝たきりの高齢者のために力を尽くしたいという御決意を述べられたということで、私は新しい三党合意の線で何とか具体化しよう、実施しようと必死になっていらっしゃるんだという、その意欲はお持ちなんだということを感じてはおります。  ただ、私自身は、今回の三党合意についてはやはり納得のいきかねることが多々ございます。特に、今、入澤委員がちょうど指摘されたことですけれども、この七番目の「介護にかかる財源及びそのあり方については、実施状況を見ながら三党で協議する。」という部分なんです。  大臣も、実際に運用をしながらそういった修正していくことにはやぶさかではない、まさに今答弁されたばかりなんですけれども、一方で、本来この介護保険が組み立てられた目的というのはやはり医療費の削減ということだったという、本当にそこに基本的なところがあったわけです。それから考えますと、今回の三党合意というのは非常に危機感を覚えるものです。そして、今、入澤委員もおっしゃったここの部分に関して言えば、はっきりはおっしゃいませんでしたけれども、自由党の場合は税金でということをるる主張していらっしゃる。  非常に心配することは、微調整と違って税でするのか保険という形式をとるのか、これは私たちもさんざん議論したことです。その結果、十年近い歳月の中でこういう方式をとろうということに決まって、そして法律に沿って今動き出している。そういった中で、財源が税金なのかあるいは保険なのか、それも四月からは徴収しないけれどもそれから先は多分徴収されるのだろうというようなことで、土台の部分に対して私は国民が非常に不安感と申しますか、そういうものを持っているんではないかというふうに思います。  このことは指摘させていただくにとどめたいと思います、もうけさからずっと御答弁していただいていますので。  ただ、もし税金でやるのであればもう根本的に違った骨組みでなければいけない、法律を全部土台から変えなければいけない、そんな三カ月や四カ月でできるような作業じゃないということは骨身にしみて私たちは痛感しているところです。四年、五年とかかわった中でそう思っております。  それで、けさこれも大臣指摘されたことですが、現在必要な人が二百八十万人、そして将来、これはいつのことをお指しになったのかちょっとわかりませんでしたが、恐らく五百二十万人にふえるというふうに指摘されました。もし税でやるのであれば間違いなく消費税、あるいは前の古い言葉を使えば福祉目的税のような考え方もあるのかもしれませんが、与党としては、五百二十万人にふえた場合には消費税なら幾ら値上げするんだ、そういったこともきちっと示していただかないと、いつまでもそういった国費から一兆円を赤字公債で出せるような状況にあるはずがないわけですから、その辺が一番国民の間で政治とか制度、あるいは事によったら法律に対しての不安とか不信が今増幅されているというふうに思えてなりません。  もう一つ、今井委員がちょうどいらっしゃらなくなりましたけれども、私が思いますのは、入澤委員指摘されましたが、余りにも法律が複雑になってきてしまった。入澤委員はそれの専門家で、その専門家すらもわからない。私は立法府にいてもわからない。一般の一人一人の国民はもっとわからない。やはりこういっただれもが関与する法律というのは単純明快であるべきだというふうに私は思います。  先日、ある人から日本は無法国家になったのですかという質問を受けました。そのような誤解を招くような法体系というのは非常にまずいんじゃないかというふうに思います。これは特に厚生省に申し上げておきたいということです。  それから二番目に、やはり違法性があるとしたらこれは大問題。法律違反があるとすれば財政法の問題であろうと、それから今の保険料徴収に関しての問題であろうと、そこに少しでもそういった疑わしいことがあるとしたら、それはもう大変に問題だろうというふうに思うんです。  これは答弁していただくようなことなのかどうかも私はよくわからないんですが、そういった空気が今起きてきているということについては非常に問題だろうというふうに思いますので、大臣政務次官にお答えをいただきたい。  特に政務次官には、けさの御答弁であったんですけれども、公明党としては施設については税金、在宅については保険というような思想を持っているけれども、今回は与党として政府方針に同意したというお返事でした。であるとすれば、こういった法律のあり方について政務次官はどう考えていらっしゃるのか。法律の今疑義を持ったということですね、疑問のある点、そういったことについて実際に、個人的な見解でも結構なんですが、今の財政法の指摘もございました。それから、保険の徴収のところに関しても違法なんではないかという指摘もけさございました。そういったことについてどうお考えか、伺いたいと思います。  大臣には、もう少し大局のところで伺えればと思います。
  233. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 堂本議員から介護保険制度に対する御懸念を表明していただきまして、まことに恐縮でございます。  まず、私から申し上げたいことは、この介護保険法というのは保険方式のもとで既に国会で成立をして来年四月からもうスタートするわけでございます。  三党間でさまざまな問題について協議なさって、そして一つの申し入れというものを私ども政府は受け入れましたけれども、これは三党間の問題でありまして、私どもといたしましては今後ともあくまでも社会保険方式のもとにおいてこの介護保険というものを、要するに介護保険制度というものに取り組んでいくんだ、このことをぜひとも御理解賜りたいと思っております。  それから、特別対策等について御懸念がございましたけれども、先ほど来私が申し上げておりますように、要するにこれまでのいわゆる仕組みであるとか、これまで行われてきたことと百八十度違う世紀の大事業であるということをぜひとも御理解いただきたい。  それから、私がたびたび申し上げていますことは、確かに最初から二千九百円をぽんと取れればいいんですが、八十歳のお年寄りの方あるいは七十五歳のお年寄りの方が果たしてそこまで御理解いただけるのかどうか。それが、私もさまざまな方から聞いて非常に温度差があります。健康な方で、何で取るのかと言う方もいらっしゃるし、あるいは私はもう寝たきりなんだから何でまた保険料を取るのか、自己負担だけでもいいんじゃないかということで、率直に申し上げて、非常にこの問題で国民の間でまだまだ認識の隔たりといいますか理解力といいますか、さまざまな考え方があって、そういう中で、担当大臣としては、とにかくいろんな問題はあるけれども、みんなで力を合わせて、今一番大きな問題は、要するに介護保険制度というものをスタートさせて、今二百八十万人、そしてピーク時の二〇二五年には五百二十万人になる、これをみんなで支え合っていこうじゃないか。  老老介護と言われて、そして夫婦でお互いにみずからの人生を終えるなんという、こんな寂しいことがあってはならないんだ、こういうことでさまざまな大変難しい問題も抱えておりますけれども、スタートさせて、その中において正すべき点は正していこうじゃないか、こういうような認識に立っておるわけでございます。  あくまでも基本的な理念は、繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、要するに家族介護では限界があるんだ、そういう中において社会全体で支え合っていこうじゃないか、こういうような基本理念というものはいささかも変わっておらない、こういうことでございます。
  234. 堂本暁子

    堂本暁子君 私が伺ったのは、財政法上違法性があったら非常に問題ではないかということと、それから保険料の徴収のところで少しでも問題が、これは法制局の問題かもしれませんが、これは今問題にするよりは、今後もう少し委員会の中で問題にしていくことかと思うので、そこのところは、無法治国家になるのかというような言い方をされるような懸念だけは払拭する必要があると思いますので、そこはきちっと対応していただきたいと思いますが、もう結構です、それは後で、また違うことで。  政務次官にぜひともそういった法律のことに関して、そういう声があることについてどういう感想をお持ちか、感想で結構ですが伺いたいと思います。
  235. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 世紀の大事業でございますので、さまざまな御意見もございますし、また三党間でもいろいろ意見が違いますが、いずれにいたしましても来年四月から施行するということで合意をしておりますので、この介護保険制度を少しでも利用しやすい、国民の皆さんに喜んでいただけるものにしていくために鋭意一生懸命努力してまいりたい、こういうふうに思っております。
  236. 堂本暁子

    堂本暁子君 全く答弁になっていませんね。  違法性についてどう思うかということを伺ったので、役所として一生懸命なさるのは当たり前で、それは職能というものです、政務次官の。そうではなくて、今指摘が今井さんからもあり、それから入澤さんからも、二つもこの法律に関して違法なところがあるのじゃないかと。これはもう一番の番人であられる政務次官にとっては大変なことなわけですよ。そのことについて今答弁してください。  私もお二人の質問を受けて今質問していますから、そういうことを通告もしていませんので、だからあえて感想と申し上げたんです。そういったことがあるのなら、これから政務次官という職能にいらっしゃる方としてはどういう気持ちで対応するかという感想にとどめさせていただいたんですが、一生懸命やるというようなことを伺ったわけではないので、そのことだけはちょっと明確にさせていただきたい。  次に移らせていただきますが、この三党合意が出て一番私がショックを受けましたのは、亀井政調会長が、余り十分に討議されていない、検討されていないという発言をされた。それは、もしかしたら政調会長はその任にいらっしゃらなかったからそうかもしれませんけれども、それこそ今井さん、尾辻先生もいらっしゃいましたし、それから清水澄子さん、みんな本当に週に一回ずつぐらい福祉プロジェクトの中で検討してきたし、もっとそのことにかかわってきたのは私は審議会だというふうに思っています。  ですから、ゴールドプランができた一九八九年からずっと審議会が、私たちは第一次村山内閣の一九九四年からですけれども、審議会自体は九一年からずっと審議をしてきた。そういった審議会がこれだけやってきたことをどういうふうに一体大臣は考えていらっしゃるのかなという、それは三党と行政の関係の問題ですけれども、やはり問題だというふうに私は思わざるを得ません。  例えば、この間開かれた第十九回の医療保険福祉審議会老人保健福祉部会・介護給付費部会の座長談話でも、大変に遺憾なことであるという御意見が多かった。具体的には、自治体の先生の野中一二三さんは、与党の先生たちと議論の場が欲しいとまでおっしゃっている。これは大臣の責任分野ではないかもしれないですけれども、保険料の軽減の問題とか、それから家族介護について自治体の方たちが審議会の中でそういう御意見をおっしゃっている。  こういった問題で私は思うんですけれども、これだけの人数の方たちがこれだけの長い歳月検討してきたこと、だからこれだけの不満というか、遺憾だと、非常に私も心配だと申し上げているのと同じような危惧の念を委員の皆様もお持ちなんだと思います。  それで、私は大臣に改めて、審議会を大臣は一体全体どういうふうに位置づけて考えていらっしゃるのかということを伺いたいというふうに思います。
  237. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 医療保険福祉審議会の方で座長談話が出されました。これにつきましては厳粛に、謙虚に受けとめなければならないと思っています。  まず、率直に申し上げて、三党間で市町村会の御要望なり御意見をどう交わしたかについては私の方から申し上げる立場でございませんけれども、最終的な政府決定におきましては、厚生省として十分に連絡調整をとりながら、最終的な決定は要するに私どもが決める段階において御連絡をとらせていただいたことは紛れもない事実でございます。  また、私自身も、名前を挙げるのは差し控えさせていただきますけれども、町村会の代表さんであるとか、さまざまな御意見を聞きまして、とにかく今大切なことは、しっかりとした特別な措置をとってほしい、そしてもうこれ以上ぐらぐらしないでくれ、こういうような要望を受けまして、私どもはこの基本方針に変わりはありませんということを何度も申し上げまして、そして力を合わせてとにかく来年の四月から介護保険制度スタートしようではないかということで認識の一致は見たような次第でございます。
  238. 堂本暁子

    堂本暁子君 もう一つ審議会のことですけれども、九月二十日に今回の特別対策の前にも審議会が開かれておりますけれども、その審議会の折にもいろいろな意見が出されています。特に、現金給付その他の問題については相当に批判的な意見が出ています。この審議会の議論をどれだけ三党合意に反映させるということの御努力があったんでしょうか。
  239. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 現金給付の問題につきましては、かつての医療保険審議会で、もう今は亡くなられましたが、茨城出身の成毛町長さんという方がいたんです。交通事故で亡くなった大変気の毒な方。この方は大変現金給付論者でありまして、私とちょっと立場は違うなという感じがあったんですけれども、審議会の中でもいろいろな御意見があったということは紛れもない事実ではないか、こう思っておるような次第であります。これはあくまでも私ども厚生省審議会でございますので、十分に意見というものをしんしゃくしながら、私どもが最終的な責任を持って判断を下すべき立場である、このように考えているような次第でございます。  ただ、先ほどから申し上げておりますように、今回のいわゆる介護慰労金というのは現金給付とは違うんです、現金給付というのはサービスを行わないかわりにお金を差し上げますということでございますが、むしろそうじゃなくて、要するにいろいろな事情があって、大変重度で、低所得者という厳しい条件、制約のもとで一生懸命おやりになっている方に対して、一週間ぐらいショートステイに要介護者を入れていただいて旅行に行ってください、こういうようなことを奨励するんだということであります。あくまでも私どもが必要なことは、給付サービスを中心にして、そしていわゆる家族介護といいますか、この負担を軽減することが最大のねらいであるということはいささかも変わっていない、こういうことでございます。
  240. 堂本暁子

    堂本暁子君 そのことは本当にいいと思うんです。でも、なおかつドイツの現金給付なんかはまさに家族に対しての労働報酬というような性格ですし、その問題もさんざん御一緒に御議論したところです。ですけれども、幾つか今回の慰労金みたいなものについては大変ネガティブな面もあるのじゃないかと思いますので、そのことは後に触れますけれども、市町村から要求があったということもきょう大臣はおっしゃいました。  私は、三番目に、準備をしてきた市町村で逆に混乱が起きるのではないかということについて御質問申し上げたい。  それは、先日、三党合意は認められない、これは六百二十六団体、経団連も入っていれば連合も入っている、市町村も入っている、農協も入っている、それから生協も入っている。本当にあらゆる団体が入っていましたけれども、そういった開かれたところに、私も全部じゃありませんが行きましたときに、秋田県の鷹巣の町長が地方分権推進法の二条を読んだんです。全部は読みませんが、「各般の行政を展開する上で国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本として行われるものとする。」ということを地方分権の推進に関する基本理念として地方分権推進法は挙げています。それから大臣も、きょうもう何度も、これは国が主役ではなくて市町村が主役ですということをるるおっしゃっています。  その町長が言ったのは、今回の三党合意というのはこの地方分権推進法に違反しているのではないか。けさも出ていましたけれども、その保険料を徴収しないかするか、この問題はまさに市町村に決定権があるわけです。にもかかわらず、国としての決定というのは地方分権推進法に違反するのではないかということをおっしゃいました。  私は、そのことがとても大事なことだと思いますのは、その中でいっぱい出た議論というのは、確かに今まで中央集権だったんです、日本はこの百年間、もう明治以来ずっと中央集権でした。しかし、高齢化という中で初めて本当に市町村がやろうという気を起こしたのが私はこの介護保険法だと思っています。確かにおっしゃるように準備のできていない市町村はあります、たくさんあるんだから。なれてもいません。でも、とにかく非常に多くの市町村は一生懸命やろうとした。小泉元厚生大臣と菅元厚生大臣のお二人の元厚生大臣が見えて、これははしごをかけて途中で揺らしているようなものだ、はしごの上に乗っている市町村はみんな困っているんだというようなお話をされた。ですから、自民党の中でも、それから民主党の菅元厚生大臣にしても、皆さんそれにかかわってきた大臣たちはそういう感覚を持っていらっしゃる。ということは、私はやはり市町村が非常に問題を抱えていると思います。  それから、全国知事会も、市町村と一緒になって一丸としてやってきたにもかかわらずこういう決定が出されたということは極めて遺憾だと思う、特別対策が決まった以上仕方がないけれども、やはり賛成しかねるというふうに言っていますし、こうやって見ますと、やはりもうありとあらゆる財界から、経団連の今井会長は、財源のめどがつかない見通しであるというふうにおっしゃっていらっしゃるし、経済同友会の小林陽太郎さんは極めて好ましくないプロセスだと考えると。それから、さっき申し上げました連合、農協、生協、それから福祉団体、そういったところがみんな反対をし始めている。  こういった中で、私は最初に危惧を申し上げましたけれども、一番最終的なしわ寄せを受けるのはやっぱり女性だというふうに思うんです。私もメンバーの一人ですけれども、高齢社会をよくする女性の会の中でも大きな反対の声があります。有名な樋口恵子さんは、こういうことをやるとますます老老介護がふえてしまうし、それから一人で何人もの介護をしなければならないと。  一番女性たちが今反発しておりますのが、これも新聞で私は読んだんですが、亀井政調会長発言で、子供が親の面倒を見るという美風を損なわないよう配慮が必要だ、家族のきずなとお年寄りの精神的な幸せを無視した機械的な対応は好ましくないと。でも、美風と言えたのは、これは私は本当に昭和で言えば二十年の恐らく戦争が終わるところまでだっただろうと。それ以後、日本の平均寿命が五十歳から八十歳に延びたこの三十年間のそのところにこそ焦点を当てなきゃいけないのであって、大変そこには問題があると思います。ですから、これは美風ではなくて、こういうことを言われてその上で慰労金が出されるということは、もう悪風であるというような言い方をされています。  慰労金の支給をしても、密室の中で介護が長引けば長引くほどやはりもうしまいには虐待すら出てくる、そして女性は自己嫌悪に陥って苦しむというようなことがるる言われていますけれども、それは女性だけではないんです。長野県で最近起きた介護でもっての無理心中と殺人事件、これに手を下したのはいずれも男性です。ですから、女性ばかりが介護を担っているわけではない。先に妻が病気になった場合、男性が介護します。そのときに実際殺人をせざるを得ないような境地に追い込まれた、それは全部男性なんです。これを見ても、いかにこれからやはり社会化が必要なのか。そんな子供が親の面倒を見る美風を損なうなんという次元じゃない。これはもう大臣はるるきょうずっとおっしゃっていることで、そうではないことがよくわかります。  しかし、実際に今この三党合意の中で慰労金というようなことになりまして、いろんな地方自治体に電話をかけて聞いてみました。そうしたら、その慰労金が欲しい一心でショートステイとかデイケアとかそういうのに行くのをやめようとしている御老人もいる。これはとても問題だと思うんです。  それから、地方自治体の中でのもっと問題は、例えばこれは東松山市の例ですけれども、もう既に市内の説明会を百四十カ所でやった、七千人を対象にしてずっとやってきた、これを四月、五月でもう一度やれと言うのかと。もう本当に皆さんやっぱりそういうことで一番問題にしていらっしゃいます。この間、佐世保の方も上京されて話をされましたけれども、市長もみずから何十回も説明に回った、そしてこれをまた説明しなきゃならないのかと。二年間かかってコンピューターに入れた保険料、これを全部やり直すのにその費用は一体どこが負担するのかというようなことが多々もう噴き出すように出ています。反対の意見ももちろんそれはあるのはよく知っていますけれども、それだけ地方自治体で今混乱が起きているという状況がある中で、一体こういう形で本当に施行していいのだろうか、せざるを得ないということなのでしょうけれども。  確かに、おっしゃったように政治の決断が変革のもとになることは事実です。それを私たちだって一生懸命やってきたし、今の新しい連立政権だってその志を持っていらっしゃるということは信じています。しかし、一度法律になって、そして各市町村が相当でこぼこはあるにしろもうやり出して、そうやって住民の意見を聞き、そして参加型の未来の民主的なやり方を初めて日本でやろうとしている、それに水を差すようなやり方というのはいかがなものかというのが私の感想です。  最後に、大臣はそれに対してどうお答えいただくのかわからないんですが、私の感想を申し上げて、そして大臣の御感想も伺いたいということで、終わります。
  241. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 介護保険をめぐる一連の動きなり発言の大変難しいところは、率直に申し上げて、余りにもそれぞれの市町村あるいはそれぞれの関係者、そしてお年寄りと開きがあり過ぎて、集約したものがなかなか一本化してこないというところが実は率直に言って私にとって大変悩ましいところでございます。  先生方の中にもあるいはごらんになった方もいらっしゃるかもしれませんが、先日、朝のニュースを見ておりましたら、保険料のいわゆる軽減分を国の財政で負担することについてどうかというようなのをやっておりました。私もある意味でちょっと予想外でございましたけれども、必要だというのが五二%、必要でないというのが三六%、それから慰労金などの支援措置の必要性については必要が五七%、必要でないが二九%。私はこの数字がどうのこうのということを申し上げるんじゃないんですが、これは一部の報道機関の、いわゆる一般の市町村ではなくて、一般の方々に対する調査でもこれだけ違うと。  一生懸命取り組んでいらっしゃるいわゆる福祉ユニット、私みんな知っております、鷹巣の町長さんも皆さん知っておりますけれども、大変御熱心に取り組んでいらっしゃる市町村長さんと、それからどちらかというと本当に介護保険をやるのかなと最近になって慌てている市町村長さんも実はおるんです。余りにも温度差があって、そして今の調査でも申し上げましたように、堂本先生考え方とまた全然違うと。それから、我々国会議員の中ででも、話を聞いておりますと、まだこの程度のことしか認識がないのかということで、余りにも開きがあり過ぎる。  これをどうやって、あと五カ月間でございますけれども、国民の心を一つにしてまとめていって、とにかく一番大切なことは、先ほどから申し上げておりますように、この介護問題を契機に、これを逃したら介護問題というものは一生葬り去られてしまうんだ、これを契機にいろいろな問題点はあるけれどもスタートさせて、そして直すべき点は直しながらスタートして、真の意味での豊かな社会をこれからつくっていこうではないか、こういうことで私どもの意見はすべて認識が一致しているんじゃないかと思っています。  それをどうやって、これから国民の皆様方、関係者の皆様方、そして何よりもお年寄りの皆様方の御理解をいただくということは大変な至難のわざでございますので、どうかひとつ先生方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げる次第であります。
  242. 堂本暁子

    堂本暁子君 終わります。
  243. 西川きよし

    西川きよし君 私が最後の質問者になります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  きょうは朝から特別委員会の方へも出席をさせていただきまして、通産省の方からのお話もいろいろ聞いてまいりました。この時期、ケアマネジャーの資格を持つ人のこと、そしてまたここへ来ていろんな御意見が出ていることもお伺いをしてまいりまして、ただいま諸先生方の質問を聞かせていただきました。  本当にいつもお話をさせていただくんですが、我が家にも八十一歳と八十六歳と、家内の母親はもう九十歳になるわけですけれども、まだ私も家内も五十三歳で、老老介護とまではいかないんですけれども、頭の中ではまだできる、やれるんだというふうに家内は思っております。そしてまた、肉体はなかなかついていかない、体はついていかないということで、もう家内一人負担ということで、病院から出たり入退院を繰り返しているような次第ですけれども、諸先生方の御質問をトータルいたしまして、僕の方からまたおさらいも含めましてお伺いをさせていただきたいと思います。  まず、介護認定作業が一カ月半ほど経過したところでございますけれども、大臣報告をただいままでお受けいたされまして、その印象なども含めて御意見をいただければと思います。
  244. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 要介護認定の申請受け付けにつきましては、十月の末までに、市町村における見込み数およそ二百七十五万件の約四分の一に当たる七十一万件の申請を受け付けた、このような報告を市町村からいただいております。来年の三月末までには、準備期間中の申請受け付けを実施することが十分にできるものと考えております。  また、要介護度の審査判定結果については、国に報告があった約七千件について見ますと、申請見込み数のごく一部であるため、これだけで全体について現時点で確たる評価を行うということは大変難しいものがあるわけでございますが、過去のモデル事業の結果等から判断する限り、おおむね予想どおりの内容になっているものと考えております。  それで、西川議員に申し上げますが、例えば先日横浜の市長さんがおいでいただいて、いろんなところで、認定審査会を何十カ所でやって、もう八割から九割も終わったというところもありますが、率直に申し上げて、私が地元に帰りますと市町村長さんが、医師会の先生方がこの認定審査会に参加してくれるのは夜の八時からだ、こう言うんです。夜の八時からせいぜいやって二時間か二時間半だ、とても進まないんだ、こういうような話も聞きます。やっぱりこれもいろいろな市町村においてそれぞれ悩みを持っているな、こういうような印象を持っているような次第でございます。
  245. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございます。  我が家も役所の方へ申請をしようかしまいかと。本当に毎日毎日三人が、きょうは元気であってもあしたはまた、あさってはまたというような日々の繰り返しなんですけれども、まだ申請には我が家は行っておりません。  認定業務を行う市町村も初めてのことですからいろいろ双方戸惑いはあるわけですけれども、それ以上の不安を感じながら認定を待つという皆さん方のお声も聞きます。  こういうお便りを実はいただいたんですけれども、いつもおはがきやらお手紙を御紹介させていただくんですけれども、たくさんの中からきょうはこれを大臣初め皆さん方にも聞いていただこうと思います。  来年四月から施行される介護保険制度のことで、いくつかお伺いしたいことがあり、ペンを執りました。   現在、私の祖母は八十八歳で、三年前から週に一度、デイサービスを利用しております。そのデイサービスセンターで、介護保険サービスが始まる前段階に、十月より「要介護認定」の為の個別訪問が行われるという説明会があり、出席しました。   その説明会では、介護認定の業務は、各市町村から委託を受けた業者が行うということでした。その業者も、訪問指導員も、この認定を行う為に急遽集められた人達です。そのような人達に、各家庭の生活状況や、家族関係、その本人の状態などを、訪問に来られた時にすべてをお話するというのは、余りにも危険であり、無防備すぎないかと思います。   例えば、女所帯で、世間には物騒なので男性がいるようにしている場合もあり、見知らぬ業者や訪問員に個人情報を知られたくないことも多々あるかと思います。もし、聞かれても話したくないことは、いくら尋ねられても、正直に答えなくてもいいのでしょうか。   また、その説明会で、「もし、悪徳な業者で被害に遭った場合はどうするのか。またその責任は誰が取るのか。」という質問が出ましたが、市役所の担当者は、「その業者を市の指定から外します。」と答えられただけで、根本的な問題については、「実施されてみないと現段階では何も答えられない」というのが実情ということでした。その質問の答えの中で、委託業者の中には、悪徳なことをしかねない場合もないとは言えないという説明もあり、それにどう対応していくかも分からないということを聞くと、どうしても不安にならざるを得ません。本当に親切に考慮して下さる業者もあるとは思いますが、中には個人情報を知り得たことで犯罪が起きたり、色々な情報を流されないとは限らないと考えると不安になってしまいます。全面的に信用をしていても、犯罪が起きてから、いくら市町村の指定から外すと言われても納得がいきません。 という、まだたくさんあるんですけれども、不安な部分だけを私は読ませていただいたわけですけれども、双方の信頼関係、これが本当に大切ではないかなというふうに思います。  いつもお年寄りの皆様方に声をかけていただいていろんなお話にも出向くんですけれども、詳しくいろいろなお話もさせていただくんですが、こういう不安は制度の定着に向けても本当に重要な問題ではないかと思いますが、大臣に御答弁をいただきたいと思います。
  246. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) この介護保険制度の定着のためには、やはりサービスの利用を受ける方と現にサービスの提供業者との間に信頼関係がなければ、これはもう成り立たないことは言うまでもありません。しかも、西川議員から御指摘がございましたようなプライバシーの配慮、こういうものも含めて、とにかくやはりこういうものがきちんとしない限り、要するにサービスを受ける方も安心してサービスを受けられないのではないか、こういうような御懸念を今のお手紙で私なりに感じ取ったような次第でございます。  いずれにいたしましても、認定調査員でございますけれども、これは法律上、公務員としての立場で調査を行わせる取り扱いにさせていただきたいと。とともに、都道府県におきます研修の受講を義務づけるなど、公平公正な認定調査が行われるような対策を講じていきたいと考えております。  また、利用者と事業者との間の信頼関係が確保されますように、懇切丁寧にサービス提供を行うということ、それから利用者またはその家族に対しましては、サービス提供方法などについて十分に御説明を申し上げて理解していただく、こういうようなことで、それぞれの事業者がサービスの質の向上に一層努力するように、私どもといたしましても努力をしていく次第でございます。
  247. 西川きよし

    西川きよし君 本当によろしくお願いを申し上げたいと思います。  この信頼関係を築くというのは、市町村が本当に住民に対して十分な説明を行う、あるいは情報の公開、ケアマネジャー等々の質の向上、よりよいサービスの提供、いろんな分野で努力を積み重ねていただきたい、こう思うわけであります。  そこで、具体的にお伺いしたいんですけれども、諸先生方からもたくさん質問が出ておりましたが、要介護認定用のソフトについてですけれども、新聞やテレビで最近は特に逆転現象という問題が指摘されているわけですけれども、具体的にどういった問題が、もう一度おさらいのつもりで政府参考人にお伺いしたいと思います。
  248. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) お話しの、いわゆる逆転現象というような言葉で呼ばれる一次判定用ソフトの判定に関する問題が指摘をされることがございます。  端的に申し上げますと、一般的には、より重い、重度の障害といいましょうか、心身の状況にあるのと、その結果の介護度、要介護度になるわけですが、介護度とのギャップ、これが逆に見えると。重い方が介護度が低く、軽く見える方が介護度が重くなるということが俗に逆転現象としてよく指摘されるわけでございます。  これの原因と申しましょうか要因は、簡単に言いますと、要介護度というのは介護に要する手間暇の度合いという考え方で組み立てられておるわけでございます。これは、先ほど来御議論がございましたけれども、施設サービスをベースにしたソフトになっておるわけでございますが、その症状に応じてどれほどの介護が必要かという物差しでございます。  一つの例で申し上げますと、例えば食べ物をのみ込む、嚥下することができるかできないかという判定をします場合に、できる、あるいは見守りが必要、そばで見ていてあげる、それからできない、こういう三段階評価するわけですが、通常は嚥下ができないという方が一番重いというふうに受けとめます。しかし、介護をする観点から申しますと、食べ物をのみ込めないということになりますと、経管栄養とか中心静脈栄養という形で処理せざるを得ません。しかし、ある程度のみ込める、そばで見ていてお手伝いをすればのみ込めるということになりますと、そこに介護、介助ということで、介護の度合いとしてはそちらの方が重くなる。しかし、症状といいましょうか、障害なりなんなりの程度、身体の状況としては嚥下することができない方が重い、これが俗に逆転現象と言われるような一つの例でございますけれども、私どもの一次判定ソフトあるいは要介護度の判定は、どれだけ介護が必要かという観点で組み立てられているということをぜひ御理解いただきたいと存じます。
  249. 西川きよし

    西川きよし君 その御理解を僕もさせていただく、そして皆さん方によくお尋ねされるので、できるだけわかりやすく説明もさせていただいておるんですけれども、どうしてもコンピューターで、機械でもって人間の体がどうして西川さん、わかるんだということでございまして、医療が十二、七十三、合わせて八十五項目という項目、本当に嚥下の話もそうですけれども、腕がどこまで上がるか、つめを自分で切れるか、顔を洗えるか、そして入れ歯を自分で外せるか、入れ歯が自分の力でもって手入れができるか等。  細かいことを言えばそれは本当に微に細にということですけれども、約三千四百人の方々のデータが入っている、そして一番似通った答えが出てくるというようなことがどうしてもおじいちゃんやおばあちゃんあるいは皆さん方にはもう一つ理解をしていただけない、抵抗感というものがある、そして今こうして報道される中で大変不安を感じていらっしゃるということでございます。コンピューターでというのはどうしてもお年寄りの皆さん方はわからないそうでございますので、できるだけ声をかけていただいたときには出かけてまいりまして御説明をさせていただいているんです。  そして、その委員の選び方ですね。この二次判定の委員の選び方に不信を抱く声のお便りもたくさんいただきます。そうした中で、このソフトの改良、まだまだ検討の余地もあるでしょうし、審査会のあり方についてもそうですけれども、今後この点についてどのような姿勢で対応していくお考えでしょうか。  そしてまた、つけ加えて、二号被保険者についてですけれども、この審査認定業務というのは大変に難しい場面が多発しているわけですけれども、また多発すると思いますけれども、今の段階でもいろんな声を聞きます。限られた時間の中でこれをいかに審査認定していくかというのは本当に重要な点だと思うんですけれども、御答弁いただきたいと思います。
  250. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) いわゆる一次判定用ソフトにつきましては、先ほど来御議論もございました。私どもも決して今のものがパーフェクト、完全無欠なものと考えているわけではございませんで、すぐにというのは難しゅうございますけれども、今後研究あるいはさまざまなデータを集積いたしまして、必要があれば適切に見直してまいりたいと考えております。  また、認定審査会につきましても、基本は保健、医療、福祉各分野の専門家の方々にバランスよく入っていただくということでございますが、何分それぞれの、逆に申しますと多種な分野の方々のお集まりということになりますから、共通の研修といったことも必要になってくるかと思っております。そういった面でも今後努力をしてまいりたいと思っております。  さらに、お尋ねの二号でございますが、特定の疾病が原因で介護が必要ということになるものですから、さらに専門的な要素も加わります。診断基準などを明らかにして利用していただくということも既に進めておりますけれども、これにつきましても、また特殊な分野につきましての研修といったことはさらに考えてまいりたいと考えております。
  251. 西川きよし

    西川きよし君 この審査委員の方ですけれども、この委員方々でも、歯医者さんが市町村によりますと八人もいたりして、精神科医が二人、産婦人科医が一人、そして皮膚科、眼科の医師はゼロと。どう考えても、高齢者患者を治療するとかその認定とか、不安がたくさん僕の方にも寄せられておるわけですけれども、そういうところもひとつ加味していただいて、よろしくこれからの御判断をしていただきたいと思います。  本当にここでこうして質問をさせていただいたり資料をいただいたり、お話の上だけでは実にスムーズに事は運ぶんですけれども、日々の生活で本当にお世話をすると、ちょっと体のぐあいが悪くなったときに病院へ行ったり、それはもう家の中では大変です。僕が今こうして質問をさせていただいている間でも、家内は一人で三人の世話をしてくれているということです。国会に来ているから、ともすれば何か都合よくいろんなところを紹介してもらえるんじゃないかなとか、横入りができるんではないかなとか、そういうことを言われるときもあるんです。  ですから、なるべくそう思われないように、そういうことをしないように、ちゃんと正しい制度や法律にのっとってやらせていただいているんですけれども、もう我が家もひょっとすると老老介護でパンクするんではないかな、それだけにしっかりここで御質問をさせていただいて、いい方向に進ませていただきたいと思います。  きょうは午前中にあちらの方の委員会にも出させていただいたときに、通産省の方からケアマネジャーさんの不安な部分も資料を見せていただきました。官庁速報ですけれども、これを読んだときに実に不安になったんです。ケアマネジャーの資格を持つ人には看護婦さん、介護福祉士さん、医師など既にどこかの組織に属しているケースが多い。しかも、横のネットワークが余りないから、民間事業者のサービスを把握し切れないし、利用者のニーズを十分吸い上げる状況が必ずしも整っているとは言えないと。緊急に検証するというようなことも読ませていただいて、日ごろ質問をさせていただくときよりも、きょうはこの不安な気持ちを自分自身も皆さん方の答弁で払拭させていただけたらというふうな気持ちで質問をさせていただいております。  次に、痴呆性のグループホームの指定基準についてぜひお伺いしたいと思います。  審議会におきまして、グループホームへの悪質な事業者の進出、これを防止するために指定基準を強化するための検討が行われているということを目にいたしました。この見直し、政府参考人よりお伺いしたいと思います。
  252. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 痴呆性のお年寄り方々が家庭的な環境のもとでお過ごしいただいて、精神的に安定した生活を通して痴呆の進行を緩和するというようなグループホームでございますが、いわば新しい在宅サービス施設でございますけれども、私どももこうした施設の拡充発展を考えておるわけでございます。  したがいまして、介護保険制度によりますサービス対象となるわけでございますが、既に一定の運営基準あるいは指定基準を設けておるわけでございますけれども、比較的最近になりましてこのグループホームに対しまして一種懸念が生じてまいりました。  一つには、都道府県などを通じまして、こうしたグループホームがいわば営利の目的のみのために、あるいはさらにはお年寄りに対して非常に御迷惑をかけるようなケースがあり得る、心配されるという声が二、三ございました。あるいは、審議会の中でもそうした御専門方々から、もう少しグループホームの基準について見直すべきだという御議論が出てまいりました。  と申しますのは、グループホームは基本的には小規模な施設でございます。いわば密室になりがちな施設でございます。家庭的と裏腹としてそういう問題もございます。したがいまして、問題がございますとなかなか外に出てこない、その間に処遇上大変大きな問題が生じるというような懸念が言われておるわけでございます。したがいまして、先般の審議会におきまして、私どもの問題意識に基づいて御議論いただいて、一応の御方針をちょうだいいたしました。  具体的には、人員に関しましては管理者につきましてはいわば専門知識を持つ者でなければならない、それから設備につきましても余りに狭いいわば詰め込みのような形になってはいけないということで、具体的には一定の面積、一居室当たり七・四三平米以上という基準でございますがそういったような基準、あるいは市町村がさまざまな調査を行う場合に当然施設側としては協力をするような義務、こんなような点を中心に基準を決めていただきまして、今後所要の省令改正、規則改正を行いまして、具体的な基準にいたしたいと考えております。  以上でございます。
  253. 西川きよし

    西川きよし君 六番目の御質問ですけれども、今も十二分な御答弁をいただきましたのでこれは割愛させていただきまして、次に訪問看護ステーションについてお伺いをいたしたいと思います。  今、局長さんの方から御答弁いただきましたが、大正大の橋本先生も、どうやらやくざの人がグループホームを始めようというようなうわさは本当なのかというようなお話も出ておりますので、そのあたりひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、新ゴールドプランの最終目標では、訪問看護ステーションは五千カ所となっておるわけですけれども、これまでの整備状況はことしの九月末で三千七百九十七カ所とちょっとおくれているのではないかなと思うわけですけれども、お年寄りの在宅介護、在宅の医療の面ではこの訪問看護が担う役割は本当に非常に大きいと思います。特に、ヘルパーなど介護職員が行えない業務は専門職の方々にお願いをしなければいけないわけですけれども、ある意味では在宅介護のかなめとも言えるわけです。  この点につきまして、今の規制緩和にも関連をしてきますが、例えば人員配置の基準、今後整備を推進していくためにどういった具体策をお持ちなのか、御答弁をいただきたいと思います。政務次官からお願いいたします。
  254. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 委員の御指摘のように、訪問看護ステーションは五千カ所の達成が今困難であるという状況ではございますが、これは訪問看護ステーションが平成四年と比較的新しくスタートした制度である、そういう影響があるのではないか。  しかし、今、年間大体約七百から八百程度順調に整備をされておりますので、一年おくれでおおむね目標の五千カ所は達成できるという状況でございます。  今後ですが、この介護保険の施行とともに訪問看護ステーションもさらに基盤整備が必要なわけでございます。具体的には、一つ平成十年度から営利法人も参画ができるというふうになりました。そしてまた、事業者の参入の目安となります介護報酬の仮単価を八月に発表していますが、今後も事業者が本格的に安定した経営ができるような診療報酬を設定してまいりたい、こう思っております。それからもう一つ、訪問看護の対象者が少ない地域におきまして、今常勤換算で二・五人以上の事務所というのが訪問看護ステーションの条件になっているわけでございますが、僻地とかそういうところでは、ここからさらに従たる事務所というものを利用者に応じた適当な配置ができるようにというようなことを考えております。
  255. 西川きよし

    西川きよし君 ぜひひとつ細やかな御指導よろしくお願い申し上げたいと思います。本当に大切な部分だと思います。  そこで、総務庁の政府参考人の方にお伺いをしたいんですけれども、この九月に、厚生大臣に対しまして要援護高齢者対策に関する行政監察結果に基づく勧告というのが行われているわけですけれども、その中でホームヘルパー業務の見直しについて勧告が行われておりますけれども、監察の結果、内容をあわせて御答弁いただきたいと思います。
  256. 東田親司

    政府参考人東田親司君) 本年九月に勧告いたしました事項の一つに、御指摘のホームヘルパー業務の見直しを指摘しております。これは、身体介護に付随して必要となる各種行為の中で、医療行為に該当するものについてはホームヘルパーさんができないことになっているわけでございます。  私どもが調査いたしましたホームヘルプサービス事業者におきましては、医療行為の範囲が不明確なこともございまして、家族等が日常行っているような行為が医療行為に該当するか否かについて、事業者により判断が区々となっているという状況が見られました。また、事業者の中には、状況によってはホームヘルパーが行わざるを得ないということで、傷口のガーゼ交換であるとか血圧・体温の測定、軟こうの塗布等の一部を既に実施しておりまして、これらの行為をホームヘルパーが正式に実施できるようにしてほしいという要望も見られたところでございます。  これらの行為は本来看護婦さん等が行うこととされているわけでございますけれども、実際には家族等が日常的に行っておりまして、今後ホームヘルパーさんが行っても利用者の身体に危害を及ぼすおそれのない行為が少なくないのではないかというふうに考えました。また、老人訪問看護ステーションが相当数整備されたといたしましても、これらの処置のみのために、必要の都度、看護婦さん等を派遣することは現実には困難と見られますし、看護婦さん等の人材の効率的な活用、サービスのコスト面からも合理的でないと認められました。  このような調査検討結果を踏まえまして、厚生省さんに対しまして、身体介護に伴って必要となる行為をできる限り幅広くホームヘルパーが取り扱えるよう、その業務を見直し、具体的に示すよう勧告を行ったところでございます。
  257. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございます。  次に、訪問看護サービスが充実して、必要な場合には必ずケアプランの中に組み込めるという状況にあればそれにこしたことはないというふうに思います。しかし、今の行政監察の勧告によりますと、家族負担面、またそのコストの面、業務の見直しが必要とされるわけですけれども、今御答弁をお伺いしておりましても本当に複雑な思いがいたします。  毎日の生活の中では大変難しいこともたくさんございますが、私どもにも同様の意見もたくさん届いているわけですけれども、こういう点につきまして、今後、厚生省といたしましてはどういうふうに対応されていきますのか、私は十五分までですので、最後に大臣の御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  258. 丹羽雄哉

    国務大臣丹羽雄哉君) 今回の行政監察結果に基づきます勧告でございます。西川議員御案内のように、医師法等の法律によりましてホームヘルパーは医療行為を行うことができない、こうなっておるわけでございます。しかしながら、現場ではホームヘルパーが現にサービスを提供する際に、その行為が医療行為に該当するのかどうか大変判断に迷うようなケースも少なくない、このように承っておるような次第であります。より円滑な給付サービスを図っていく上においてホームヘルパーの、いわゆるどこまでできるのかということ、要するに業務の位置づけ、こういうものを勧告ではきちんとしなさい、このようになされたものでないか、こう受けとめておるような次第でございます。  このため、今回の勧告の趣旨を踏まえまして、明確にすべき具体的な事例を現場から集めていくとともに、こうした事例のうちホームヘルパーの業務としてどこまでできるのか、こういうような一つの判断、マニュアル的な事例集というものをつくっていく必要があるのではないか、こう考えているような次第であります。
  259. 西川きよし

    西川きよし君 終わります。
  260. 狩野安

    委員長狩野安君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十五分散会