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参考人(
海老沢勝二君) 二〇〇二年の日韓共同主催によりますワールドカップサッカーの
放送権料の問題でありますが、まず日本の
状況を御
説明し、その後ABU関係のことを
説明させてもらいます。
御承知のように、日本はこれまで
NHKが独占的に
放送連合の一員として
放送してまいりました。今度の二〇〇二年は日韓共同主催ということで非常に民放各社も
放送したいという意向がありましたので、オリンピックと同じようにジャパン・プールといいますか、ジャパン・コンソーシアムということで、
NHKと民放五社、合わせて六者でそういうコンソーシアムをつくりました。窓口を日本は一本化して交渉に当たろうと。つまり、
放送権料の高騰を防ごうということでそういうプールをつくりました。
それに対して、
放送権利を取得しましたいわゆるスポーツマーケティングのISLというスイスに本社がある会社の方から、非公式ながら去年の十一月に、期待値といいますか、こういうことを期待しているという、全くこれは表に出さないといいますか、非公式ということで出ました金額が、二〇〇二年の大会と二〇〇六年の大会、合わせて二つの大会で一緒に
契約を結びたいと、その金額は、六億五千万スイス・フランといいますると、一スイス・フランが八十五円と換算しますと五百五十億ぐらいになります。それにサッカーの場合は源泉徴収税といいますか、税金が一割かかってまいります。そうしますと、六百億ということとしますと、今
先生がおっしゃられるように二〇〇二年だけで三百億という金額になるわけです。
御承知のように、来年オーストラリアのシドニーで開かれますオリンピック、これがジャパン・コンソーシアムが、我々が
契約したのが一億三千五百万ドルでございます。大体日本円にして、百十円として百五十億円になります。これの倍になるという金額であります。
ちなみに、去年のフランスでのワールドカップサッカーは、
NHKが支払ったのが日本円で五億五千万です。ですから、ざっと五十倍以上の値段ということでありますので、我々とてもそういう金額では話にならないという態度を示してきました。
これに対してISLの方は、それならばこの話はなかったこととする、今後日本のコンソーシアムとは交渉しないという態度を示して、その後交渉は一度も開かれておりません。その間、ISLの株主になっております電通の方から仲介の労をとるというような話がありましたけれ
ども、私
どもの方は今静観しているという態度でございます。
一方、今度の十一月の初めに開かれましたシドニーでのABU総会、いわゆるアジア・太平洋
放送連合、これは五十一の国と地域から百二の
放送機関が加盟しておる
放送連合であります。もう三十六回目になった歴史を持った団体でありますが、その中で、アジア各国、中近東を含めて、
放送権料はどうなっているんだという
質問がスポーツ
委員会あるいは番組
委員会、理事会、総会等でも相次いで出ました。
といいますのは、これまでABUが代表して
放送権をとっていたところが、今度の交渉ではISLの方、いわゆるマーケティング会社の方はABUとは交渉しないということで交渉を拒否しております。各
放送局ごとに交渉するんだ、個別交渉するんだという姿勢を示して、今それぞれの
放送機関にいろいろ打診をしているというのが現状であります。
それを見ますと、日本でもありましたように、これまでの
放送権料のやはり数十倍という値段を言っております。といいますのは、三年前の入札で四つのグループが競争入札してこのISLグループが取得したわけですが、それがこれまでの十倍の値段で落札しております。そういう関係で、やはり十倍以上の値を言ってきているというのが現状であります。
これに対してアジア各国の方では、非常に高い
放送権料ではそれは負担できない、いわゆる
放送できないというので、ABUが総体としてFIFA、国際サッカー連盟にいろいろ
異議を申し立ててほしい、何らかのアクションをしてもらいたいという
意見が出て、私、ABUの
会長でありますので、私の方からFIFAのブラッター
会長あてに書簡を送りました。
FIFAは、御承知のようにすべての国のあらゆる
人たちがサッカーが見られるようにというのがもう大前提でありますし、サッカーの
普及が憲章にもありますので、そういう面でブラッター
会長に対して私の名前で、アジアの多くの
人たちが軽い負担、安い負担で一般
放送、いわゆる有料
放送でないこれまでの
放送で見られるようにしてもらいたい、これはアジアで初めての大会でありますし、サッカーの
普及という
意味合いからもそれに御尽力を
お願いしたいという文章をおととい、十六日付でクアラルンプールにあります事務当局の方からブラッター
会長の方に
内容証明つきで郵送したということであります。
そういう中で、今ヨーロッパ、南米、いわゆるサッカーが非常に盛んな国では一、二交渉がまとまったということを聞いておりますけれ
ども、イギリス、フランス、ドイツ等についてはまだ話がまとまっていないということを聞いております。
我々としては、いずれにしてもこれは非常に
国民的な関心がある問題でありますし、我々もぜひ
放送したいわけでありますけれ
ども、そういうオリンピックよりも相当上回る金額ではとても応じられないということで、焦らず慌てず、じっくり構えて交渉しようと、そういう態度であります。
ちょっと長くなって失礼しました。