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1999-11-16 第146回国会 参議院 交通・情報通信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十六日(火曜日)    午前十時開会    ─────────────    委員異動  十一月十日     辞任         補欠選任      内藤 正光君     佐藤 雄平君  十一月十一日     辞任         補欠選任      佐藤 雄平君     内藤 正光君  十一月十五日     辞任         補欠選任      筆坂 秀世君     大沢 辰美君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         齋藤  勁君     理 事                 景山俊太郎君                 釜本 邦茂君                 簗瀬  進君                 弘友 和夫君                 渕上 貞雄君     委 員                 岩城 光英君                 加藤 紀文君                 鹿熊 安正君                 田中 直紀君                 野沢 太三君                 山内 俊夫君                 谷林 正昭君                 寺崎 昭久君                 内藤 正光君                 日笠 勝之君                 大沢 辰美君                 宮本 岳志君                 戸田 邦司君                 岩本 荘太君    国務大臣        運輸大臣     二階 俊博君        郵政大臣     八代 英太君    政務次官        運輸政務次官   中馬 弘毅君        郵政政務次官   小坂 憲次君        郵政政務次官   前田  正君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    政府参考人        運輸省運輸政策        局長       羽生 次郎君        運輸省鉄道局長  安富 正文君        運輸省自動車交        通局長      縄野 克彦君        運輸省海上技術        安全局長     谷野龍一郎君        運輸省航空局長  岩村  敬君        郵政大臣官房長  松井  浩君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査  (郵便局施設バリアフリー化推進に関する件  )  (接続料算定における長期増分費用方式の在り  方に関する件)  (高度情報通信社会構築への課題に関する件)  (郵政省障害者雇用策に関する件)  (地域情報化テレビ電話網整備に関する  件)  (運輸多目的衛星打ち上げ失敗と今後の対応に  関する件)  (乗合バス、タクシーの需給調整規制緩和の在  り方に関する件)  (自動車関係諸税グリーン化促進に関する件  )  (交通権確立に向けた施策推進に関する件)  (神戸空港建設の是非に関する件)     ─────────────
  2. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) ただいまから交通情報通信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十五日、筆坂秀世君が委員辞任され、その補欠として大沢辰美君が選任されました。     ─────────────
  3. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査のため、本日の委員会運輸省運輸政策局長羽生次郎君、同鉄道局長安富正文君、同自動車交通局長縄野克彦君、同海上技術安全局長谷野龍一郎君、同航空局長岩村敬君及び郵政大臣官房長松井浩君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 おはようございます。それでは、わずか二十分でありますけれども、質問をさせていただきます。  まず、福祉の面で郵便局が果たせる役割について質問をさせていただきます。  先般、大臣は、私の地元であります松江市を訪れられました。そのときに、身体障害者団体の会がございまして、路上からマイクでもって大きく呼びかけられました。そういたしましたら、本当に皆さん方室内から飛んで出られまして、走って出て、そして本当に大臣福祉に対するその気持ちをみんなが手をたたいて喜びました。そして、私はそのとき思いましたのは、大臣福祉に造詣が深いわけでありますので、今後福祉の水戸黄門として全国を歩いて、そして人と人との心、人間とは何か、こういうことを訴えていただければ、私は大臣の真骨頂じゃないかと思います。  そこで、就任後の記者会見において、去年出版された著書の中で、厚生省と労働省が一緒になるよりも厚生省郵政省一緒になった方がいいんじゃないか、こういうことを書いておられることを記憶いたしておりますけれども、まさにその郵政大臣におなりになりました。福祉の面で郵便局が果たすことができる役割大臣のいろんな思いも込めて、ごあいさつといいましょうか、御答弁をお願いしたいと思います。
  7. 八代英太

    国務大臣八代英太君) どうも、過分なお言葉をいただきました、ありがとうございます。小坂総括政務それから前田政務次官、まさに三人四脚でこれから一生懸命頑張らせていただきたいと思います。  全国にいずれにいたしましても郵便局は二万四千七百ございまして、まず一番大切なのは、ちょいと歩いていけばそこに郵便局がある、これは高齢者に限らず障害を持った人たちもそうなんですが、最も身近な向こう三軒両隣金融としての郵貯があり、あるいはまた暮らしの中に簡保というものもあり、また簡保施設全国にたくさんございます。  それからまた、郵便局配達をされる方々は、いろんな家を回りながら、この家は新聞がたまっているねとか、あるいは郵便物がたまっていると、何かあったんだろうかと、一番地域の中で身近に心配してくださるのは郵便配達をしてくださる皆さん方の視線だろうと、こんなふうに思っております。  そういう意味では、郵便局は言ってみれば私たち暮らしの中のかけがえのないネットワークの資産というとらえ方を通じますと、これからだんだん地方分権化になっていきますとまさに福祉というものは地域福祉が主導的な役割を果たしてまいりますので、そういう中における郵便局ネットワーク化とともに、福祉行政のお手伝いには格好の国民的財産である、そういう思いを持って、先般私はそんなふうなことを本に書いてまとめさせていただいたわけでございます。  そういうためにも、郵便局舎はおのずとバリアフリー化をしていくことが大切でしょうし、あるいは手話のできる局員養成も必要でしょうし、あるいは点字郵便等々も読めるというような人たちも大変昨今ふえてまいりまして、そういう意味では郵便局に働く皆さん方地域福祉拠点という思いを抱いていてくださることを大変うれしく思っているところでございます。  そんな思いを込めますと、これからますます高齢化時代を迎えていきますし、また、障害を持った人たちも人口の五%、日本においては六百万人ぐらいいるということを考えていきますと、これはすべての人がかかわり合いを持つ福祉という視点郵政行政の中でどのように組み込んでいくかということが大切なことだというふうに思っております。  いろんな加入者施設等々を見ましても、利用者は、やはり簡保なんかは六十歳以上の利用が四割を超えているし、あるいはまた障害者のちょっとした集まりも簡保施設利用させていただくということも、私もたびたび参加したことがございますが、そういう点でも野田大臣がこの簡保施設バリアフリー化をやっていこうよということで、私もちょっと知恵を出した経緯もあったりいたしますので、郵便局を初めとして、あるいはそうしたもろもろの郵政省の監督する施設等々もバリアフリー化を進めながら、地域町ぐるみ人ぐるみ福祉、こういうものに貢献する体制というものはつくっていきたいという思いを持っております。
  8. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 ただいまもお話にありましたけれども、また先般の大臣あいさつの中にもございましたが、高齢者障害者の方にも安心して利用いただけるよう郵便局施設バリアフリー化を一層推進したい、こういう話が今もございました。  そこで、郵便局施設バリアフリー化について少し伺いたいと思いますけれども、郵政省平成九年度から郵便局舎バリアフリー化充実に取り組まれておられます。国費で建設されたすべての郵便局につきましては本年度完了される予定と聞きましたが、これにより具体的にどのような設備がどのくらいの局で整備されたかを明らかにしていただきたいと思います。  また、今も簡保のことについてお話がありましたが、ことしから簡保加入者福祉施設バリアフリー化充実にも取り組んでおられるということであります。その進捗状況につきましてもお伺いしたいと思います。  また、今後、一般の郵便局施設バリアフリー化につきましてもどういうお考えがあるか、もし計画があればお話をいただきたいと思います。
  9. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 今御指摘のように、郵便局舎バリアフリー化も年々その充実はできてきておりまして、今ここに手持ちの資料で見ますと、平成十一年から十二年度におきましての取り組みでは、施設全面改築に伴うバリアフリー化というものも、既設の国有の郵便局舎においては今年度中にこれはすべてバリアフリー化を、ハートビル法の趣旨を踏まえてバリアフリー化を完成するという予定でございます。  しかし、これは全国二万四千七百すべてがそうではないだけに、私は二万四千七百すべてそういう状況になるという思いを持ってやっぱりこれからも積極的に取り組んでいきたいと、こんなふうに思っております。  また、簡保施設等々も、今、有識者による検討会を昨年つくりまして、それからその検討会には障害を持った当事者たちにも積極的に参加していただきながら、ハード面でのユニバーサルデザインの展開とか、あるいは介護の必要な方も家族と一緒に旅行を楽しめる客室をつくるとか、あるいは車いすの方も利用できる客室や大浴場をつくるとか、あるいは館内の表示や照明のスイッチ類にも配慮するとか、あるいはソフト面では心のバリアフリー化実現ということで、高齢者障害者充実したおもてなしのできる職員を育成するとか、あるいは地元福祉関係者高齢者障害者団体と連携して推進するとか、そんなふうなことをやっておりまして、これもこれから徐々にすべての簡保施設宿泊施設等々がバリアフリー化をする。  それから、いよいよ来年四月からは介護が始まってまいりますので、そういうところを地域に開放して、介護実践講座とか、あるいはいろんな医療機器等々の展示などをしながら、そこで介護のヘルパーの養成なんかも計画していただくのもいいと思いますし、あるいは実践的に宿泊をしながら介護の体験を踏んでいただくというようなことも、いろんな角度から呼びかけることも大切だというふうに思っております。  この部分は、野田大臣の要請を受けて私自身も検討会に参加した経緯もありますから、今後は大臣の立場として、この提言の実現、完成を目指して積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。  そういう全体を見てみますと、郵便局だけではありませんで、情報化時代でもございますから、情報通信行政でも、障害者等電気通信設備へのアクセシビリティーの指針を策定するとか、あるいは高齢者障害者利用可能な情報通信システム研究とか、こういうことも一方ではやっていきながら、とにかく、福祉に携わる人もそうですが、障害者、お年寄りが、わからなくなったら郵便局へ行けば何でもわかるよと、こういうものを目指したいというのが私の一つ気持ちの中にもございます。
  10. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 ひまわりサービスについて伺いますけれども、町ぐるみ人ぐるみ福祉が求められる時代でありますが、今おっしゃいましたように、郵便局地域情報・安心・交流の拠点として一層信頼され、活用されることが極めて重大だと思います。  ことしの六月末で百七十七市町村、二百三十郵便局ひまわりサービスが行われていると聞いておりますけれども、大臣、その現状地元での評価、今後の見通しについて聞かせていただきたいと思います。委員会としても、去年富山県に視察に行きまして、その現状を見まして、我々としては評価を非常に高くしたところでもございます。
  11. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 過疎地域におけるひまわりサービス、特におじいちゃんおばあちゃん、高齢者だけの世帯、あるいはひとり暮らしというふうな方々も年々ふえてまいりますので、例えばそういう七十歳以上のひとり暮らし高齢者等に対する励ましの声かけや、生活用品注文はがき注文を例えば何かに入れておいていただくと、そこにスーパーで何と何と何を買ってきてくださいとか、あるいは薬屋さんでどんな薬をお願いしますというようなことを含めまして全国的に展開していくことをこれからの目標としているわけでございますけれども、現在は、平成九年八月一日からこのサービスを提供してまいりましたけれども、その後、平成十年度百地域になってまいりまして、平成十一年度もさらに百地域追加という形になりまして、平成十二年度においてもさらに百地域追加していこうというわけで、だんだん、もっともっとテンポは速く、数も多くということを願っておりますが、全国で今百八十一市町村、二百四十郵便局で実際このひまわりサービスを実施いたしております。  今後とも、地方自治体や社会福祉協議会とかあるいは警察署協力店と連携を図りながらこのサービスというものの拡大を図ることがとても重要でございますし、山間地域あるいは離島、そういうところでひとり暮らしあるいは高齢者世帯の便に供するためにも、やはりこの郵便局員の心というものをしっかり地域に根差しながら高齢者のお手伝いをする。そのひまわりサービス、これはもう当然、障害を持った人たちにも同じようなサービスはこれから出ていくだろうと思います。  また、風水害等々が起きた場合にはいち早く、どこどこの橋が危ないよとか、がけ崩れがある、心配だよとかいうことを今度建設省にも、私たちひまわりではなくて地回りサービスもしていこうというような新たな着目点で、地域皆さんへのお手伝いとして、このひまわりサービスはこれからも積極的に推進していきたい、こんなふうに思っているところでございます。
  12. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 情報バリアフリー情報格差の解消について伺います。  今高度情報化社会と言われておりますけれども、アメリカで生まれましたインターネットはもう全世界に広がりまして、今や全世界で一億六千万人がインターネットを活用していると言われております。我が国でも、昨年度は利用者数が一千七百万人に達したという統計もございます。  しかし、こうしたインターネット移動体通信の普及に見られる急激な社会情報化の中で、高齢者障害者方々は、難解なパソコンテレビ等情報通信機器利用が困難なために情報化による利便を享受できないというような格差の問題が出てくるんじゃないかと思います。  これまでも政府におきまして、障害者高齢者方々が快適に暮らせる環境整備に向けまして、テレビ放送字幕化や、だれでも使いやすい情報通信機器開発促進等情報バリアフリー促進に向けたいろんな取り組みがなされてきておると聞いております。また、現地も視察もいたしました。例えば、昨年この委員会でも金沢市の情報バリアフリー・テレワークセンター施設整備事業を見に行きました。高齢者障害者方々に向けましてパソコン教室を開きましたり、仕事のあっせんを行っておりました。  しかし、このような施設はまだ全国で数が少なく、急激な情報化の速さの割にはバリアフリー化がまだ進んでいないように見受けられます。大臣もこの間の所信の中で、情報弱者と言われる方々が取り残されることがないようにと、こういうことも言っておられますが、今後どういうふうな施策大臣としておとりになろうかと、もしお考えがあればお聞かせを願いたいと思います。
  13. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 少子高齢化が急速に進む中で、高齢者障害者方々視点を当てた施策推進するのは当然のことだというふうに思いますし、それが人に優しい豊かな社会実現する上で最も重要だというふうに思っております。  情報通信ということは、何か雲の上の一つ社会のような、そんなところを高齢者とか障害者は率直に抱いているところもないわけではございません。そこの部分だけがどんどん進歩していく、技術革新がされていくということになっていって、私もこの職をいただきましたので、一生懸命インターネットとかパソコンとかということと毎日チャレンジしておりますが、六十を超えての手習いというのはなかなか難しいものがございます。そういう意味でも、障害を持った人や高齢者がそういう中でだんだん情報弱者とでも言いましょうか、格差が生ずるということはやっぱり社会的、経済的格差につながるおそれがございますので、郵政省では、こうした格差が生じないように、高齢者障害者を含めただれもが情報通信利便が享受できる情報バリアフリー環境整備に向けた施策を一生懸命進めております。  私も、近々そうした当事者皆さんやメーカーの皆さんや、あるいは学識経験者皆さんを呼んで、これは私の諮問的な一つ研究会のようなものをつくりながら、情報バリアフリーとでも申しますか、その格差が生じない、弱者のために何をなすべきかということを含めて一生懸命努力をしたいというふうに思っております。  例えば、通信放送機構が進めている次世代バリアフリーシステム研究開発においては、個々の利用者のさまざまな障害に対応した、音声読み上げや文字拡大などのパソコンインターネットを使いやすくする機能が自動的に提供されるシステム開発が行われております。現実にそれがもう市場にも出ているような状況になっておりますので、今後とも高齢者障害者を含めてだれもが簡単に情報通信利用できるような、そういう情報バリアフリー化を目指して私も一生懸命努力したいと思っております。  先般、島根県の例のメディアのお祭りがございましたけれども、そこにも多くの障害を持った皆さんが参加をされて、私もメッセージを送らせていただきましたが、そうしたときにやっぱりその格差ができないように、我々のことも一緒になってしっかりと情報時代の中に障害者にも利便の享受をいただきたいというような強い声も出ておりますので、こうした点を踏まえながら、これから一生懸命高齢者障害者のための情報バリアフリー化というものも郵政省の大きな責任だという思いに立って取り組んでいきたいと思いますし、今度の補正予算にも、その情報バリアフリー化部分におきましても、しっかりと大蔵省に予算をお願いいたしておるところでもございます。
  14. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 終わります。
  15. 内藤正光

    内藤正光君 おはようございます。民主党・新緑風会の内藤正光でございます。  本日、私は、主に長期増分費用方式、今議論されておりますが、それを中心に御質問をさせていただきたいと思います。何となれば、この相互料金あり方というのは、今後の二十一世紀の我が国情報通信産業の行方に大変大きな影響を及ぼすものでありますし、またその議論の中には、やはり対米交渉の縮図が見られると私は思っているからでございます。  では、まず長期増分費用方式導入議論背景だとか経過について御質問をさせていただきたいわけでございますが、その前に、長期増分費用方式とは何なのか。  これは、改めて大臣に伺うまでもないことでございますので私の方から簡単に申し上げさせていただきますと、まず、長距離事業者地域に、つまり足回りにアクセスするときに、それなりのアクセスチャージ相互接続料金を支払わなければならない。今まではどういう方法でそのアクセスチャージを決めていたかといえば、総括原価方式といって、実際に要したコストもとに、つまり実際に要した、支出したコストですからアクチュアルコストだとかあるいはヒストリカルコストだとか言われておりますが、こういったものをもと算定をしていた。しかし、この方式だとなかなか下がらないということでいろいろ要望があって、今新しい方式はないものかといって議論をされている、それが長期増分費用方式であると。  これはどういうものかといえば、現時点で利用可能な最も低廉かつ効率的な設備技術ネットワークを仮に構築したとした場合、その仮のコストを、あくまで仮想的なコストなんですが、それをもと接続料金算定しようというものでございます。ですから、仮想的なコスト、つまり将来を見据えたコストですからフォワードルッキングなコストというふうに言われているわけでございます。  そこで質問なんですが、まず、どういった背景があってこの長期増分費用方式導入論議が生まれてきたのでしょうか、御質問をさせていただきたいと思います。
  16. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 専門家内藤さんからいろいろきょうは勉強をすることもこの委員会でのまた楽しみでもございますけれども、接続料についての長期増分費用方式とはといういろいろなお話がございましたが、これは随分長い間の議論にはなってはきておりますけれども、アメリカを初めとしてそれぞれの国に、この接続料の問題がグローバル化されていく中でいろいろと意見も出てきたわけですが、その中におきまして、平成十二年度の接続ルールの見直し時期までに、何としても日本でも来年の三月ぐらいまでにはこの部分は法制化してやるという、これは一つ前倒しになってきてはいるんです。  全体の流れを振り返りますと、平成九年三月に長期増分費用モデル研究会が設置されまして、平成十年には規制緩和推進三カ年計画があって、このときに若干接続料の引き下げを促進するという一つ規制緩和に対する考え方がまとまってまいりまして、昨年の五月に規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアチブという会合がございまして、その中で、日本側も言うべきことは言いながら、またアメリカを初めいろいろな電気通信事業に対する考え方が述べられて、ことしの三月には規制緩和推進三カ年計画というものが出てまいりまして、何としても十二年春の通常国会に所要の法律案を提出しようということになってまいりまして、ことしの七月には長期増分費用モデル研究会というものが、コメントが発せられまして、ことしの九月にはその報告書が確定いたしまして、それから、平成十一年九月に接続料算定あり方について電気通信審議会に私どもも諮問をしながら、一体それがどうなっていくかという推移を見守りながら、いろいろな案が出て、これからその審議になっていくということでございます。  そういうことをいろいろ考えながらも、やっぱり私たちは国益ということも一方では考えていかなきゃなりませんので、その辺、アメリカにも出すべき注文は出しながら、またアメリカを初めEU等々からもいろいろ意見も出されておりますが、そういうものを受けとめながら、これから審議会十分議論をしていただいて、そして、若干前倒しにはなっておりますが、来年の三月までにはこの分だけはやはり解決していくことが、これは外国からのいろいろな意見というよりも、これからのインターネット、もろもろの情報通信時代を迎えていきますと、やっぱり日本国の中におきましてもいろんな意味でのこの問題に対する声が非常に多くなってきたというところが若干かいつまんだ経過だと私は承知いたしております。
  17. 内藤正光

    内藤正光君 当初、私の知るところでは、まず二〇〇〇年時点で決めると。導入はまだ約束していなかったかのように思いますが、今は二〇〇〇年中の導入というのが何かほとんど決定事項のようにいろいろ巷間言われておりますが、これはどういう経緯で、特に対米交渉の中で出てきたのかなと思うんですが、御説明していただけますでしょうか。
  18. 八代英太

    国務大臣八代英太君) これも、まさにインターネットを初めとした情報通信分野は時間との闘いでもありましょうし、そういう意味でも、私たち日本考え方に沿いましても、かなりアメリカからも強い声があるのも事実でございます。  そういう内外のもろもろの意見を踏まえた上で、私たちは、来年三月までにはこの一つの長期増分費用の問題については一応解決することがベターである、そのためには、一月までには審議会ではまとめをいただいて、そしてまた国会にお諮りをするというような流れを持っているということでございます。  いろんな世界からの声があったことも事実でありましょうし、その細かい経緯はむしろ内藤先生の方が知っているかもしれませんが、大体これも、いずれにしましても内外からの強い要請も一方ではある、決して外圧だけではない、私はそんなふうには思っております。
  19. 内藤正光

    内藤正光君 私は、これら一連の問題を整理させていただきますと、次の二点に絞られるのではないのかなと思います。  一つは、今議論をされております長期増分費用方式と言われるものが、果たして日本情報通信政策あるいは国益といったものに照らし合わせたとき妥当なのかどうか、これが一つ目の論点。そしてまた二つ目の論点といたしまして、大臣も再三おっしゃっておりますように、アメリカからの再三再四にわたるいろいろな要望、要求、あるいはまた圧力といったものがかいま見られるわけでございますが、果たして対米交渉に問題がないのか、これが二つ目の論点として挙げられるかと思います。  私は、この二つの論点に沿ってこれから質問をさせていただきたいと思います。  まず、本当にこれ基本的なことで恐縮でございますが、相互接続料金に関する現状を簡単に教えていただきたいんですが、例えばNCCの収益のうちどれぐらい相互接続料金として払っているのかだとか、あるいはまた、現在NTTの東と西が相互接続料金をいただいているわけなんですが、いかほど収益があるのか、あるいはまた、平成六年度に事業者用の相互接続料金というものが設定されたわけなんですが、平成六年度からこの間どんなふうに上がってきたのか下がってきたのか、そういったものも教えていただけますでしょうか。
  20. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) ありがとうございます。  内藤委員は本当に電気通信また情報に関しては私どもよりもむしろ御存じのわけでございまして、既に内藤委員御自身が十分に研究された上での御質問思いますので、私のお答えが十分に御満足いただけるかどうかと思うわけであります。  先ほど来、大臣の方からお答え申し上げましたように、この問題は平成八年の電気通信審議会の答申に基づいてスタートをいたしまして、その後、今お話しのように対米圧力によって変わったんではないか、早まったんではないかという御指摘もありました。  実際には、この電気通信審議会の答申に基づいて、国内におきましてももっとインターネットの使いやすい環境を整備する必要があるんではないか、あるいは対外国との接続料金を含めた電話料金全体の比率を見ると日本はまだまだ高いんではないかといった国内的な世論の高まりというものも一緒にあって、その中から、こういった長期増分費用方式によるモデルをつくって、そしてもう少しインターネット利用しやすい、あるいは電気通信分野における発展が確保できるような料金体系をつくっていくべきだ、こういうことになってまいりまして、またサミット等における議論等も踏まえる中から今日の体制になってきたというふうに私は了解をいたしております。  今、内藤委員の御質問にありましたNCCからの接続料金収入は一体どのくらいであるかということでございますが、NTTの接続料金収入、これは平成十年度でございますが、それによりますと六千七百六十八億円というものがNCCからの接続料金収入となっているわけでございます。これは逆に長距離系の三社、いわゆるKDD、DDI、あるいはJTといった会社の収入に占める接続料金の割合というものを同じ年度でとってみますと、収入の合計が四千八百七十九億円に対し、東西NTTに支払いました接続料金の合計は千八百八十九億円となっておりまして、その比率は三八・七%という比率になっているわけでございます。  また、さらに御質問いただいた点につきまして、ちょっとメモをとり忘れましたので、もしまだお答えしていない点ございましたら、恐縮でございますが。
  21. 内藤正光

    内藤正光君 NTTの経営努力でもって平成六年以降相互接続料金が下がってきたと私は思っておりますが、その辺の現状を教えていただけますでしょうか。
  22. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) ありがとうございます。  接続料金はどのような段階で下がってきたかという御質問でございます。  平成六年の時点で、電話の場合でございますけれども、東西NTTの接続料金は十九・七八円、三分間でございますけれども、でございました。これが平成六年度。その後、平成七年度に十九・七八から十六・四五円、十六円四十五銭というふうに下がってまいりまして、平成八年度が十四円四十八銭、そして平成九年度十二円九十三銭、そして平成十年度、私どもの持ち合わせております統計で去年まででございますが、十一円九十八銭ということでございまして、当初の平成六年の十九円七十八銭に対比いたしますと、十一円九十八銭でございますので約四割近く低減しているわけでございます。  また、この接続料金をいわゆる中継交換機接続の部分でとってみますと今のような形になるわけですが、一方、加入者交換機接続でとったらもっと安くなるんじゃないかという考え方もあるわけでございますが、その加入者交換機のところでとりますと、平成八年度からの統計しかございませんが、六円三十一銭、また平成九年は六円十九銭、平成十年が五円八十一銭という形で、若干でございますけれども、着実に低廉化してきている数字を持っておるわけでございます。
  23. 内藤正光

    内藤正光君 ありがとうございます。  お聞きすると、NTT側の経営努力で接続料金が着実に毎年大体一割ずつ、そしてこの四年間で合計四割下がったということが言えるのではないかなと思います。  そこで、そもそも論にさかのぼるわけなんですが、私は、相互接続料金を低減化するためには、原則的なことを言うならば、理想的なことを言うならば、やはり競争という枠組み、これが一番なんだろうと思います。競争する中でどんどんどんどん料金を下げていく。これは市場競争社会の中では当然といえば当然のことでございます。しかし、事情報通信世界、特に地域網の世界においては今まではすべてNTTによって独占されていた。そして、新規参入業者が地域網に入ろうとしても、インフラを一からつくり直すことなんというのはできっこない、これが当然視されていた。そこに政府が何らかの介入をする正当性なり合理性を見出していたわけなんです。前提は、NTT以外は地域インフラなんというのは構築できっこない、こういうことだったかと思います。  ところがどうでしょうか。今いろいろ見渡してみますと、無線だとかケーブルテレビ、あるいはまた電力系の地域網、TTNet等々実際にNTTとは全く違う地域インフラが構築されて、そしてNTTと競合し合っているわけでございます。つまり、新規参入業者が地域網にインフラでもって参入できないというのはもはや過去の話、もっと言うならばNTTの地域独占というのは過去の話になったわけなんでございます。  私は、そうなった現在、やはり原則論、理想論というんですか、そもそも論に戻るべきじゃないのか、やはりこれは政府の経営への介入は控えて、競争という枠組みの中で相互接続料金の低減化を進めるべきではないかと思いますが、そういったことに関して、大臣、ちょっと御所見を伺いたいんです。
  24. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 今委員おっしゃるように、日本情報通信の基幹的なインフラ整備は、NTTが中心であった時代から、民間のいろいろな競争原理が働いて、NTTだけではなくて他のいろんな接続に対するそれぞれの料金の新しい流れも出てきております。それに押されるようにといいますか、そういう時代の要請にこたえて、またNTTもかなり接続料に対する、今テストケースではありますけれども、低廉化に向けての定額方式等々も考えるような時代になってきております。  こういうことを照らし合わせながら考えていきますと、やっぱり基本的には、私たちは、今非常にインフラ整備というものの主流はどうしてもNTTが中心的にもなってきておりますし、そこにまたアメリカやヨーロッパからの声もあるのではないかというふうに思いますが、しかしやっぱりNTTが日本情報通信産業の基幹であることは間違いないと思っております。  そういうことを考えますと、やっぱりあまねく津々浦々に張りめぐらされていくそういうNTTの努力を国の情報通信の財産として考えていきますと、この部分はしっかりと育ってほしいというふうに思いますし、あるいはまたもろもろのそういう施策を取り入れながら、東西に分化したNTTの経営基盤が弱体化するということはまたユーザーにとっても不安を生じていきますから、この部分も一方では守ることも大切だというふうに思っています。だからといって、いろいろな定額制も含め低廉化というような声が内外からあるにしても、それによって東西のNTTがまた経営危機のような状況に陥ってもこれも大変だというふうに思っております。  そういう全体を見ながら、しかし内外の低廉化に対する声というものは非常に高まりがある、またそれは二十一世紀を展望したときに若干のコストはかかるかもしれないけれども、それは必ず見返ってくる大きな一つの投資でもあるだろうという思いでございますから、できる限りそうした声をみんなが傾け合いながら、今後の情報通信というもの、また接続料あり方、それから世界の中における日本情報通信あり方等々も私たちも真剣に議論をしていかなければならない、こんなふうに思っているところです。
  25. 内藤正光

    内藤正光君 今大臣のお答えになられた考え方で進めていきますと、私は、日本情報通信インフラという点で考えた場合、将来本当に大変大きな問題が生じるだろうと思いますが、これは後ほど議論をさせていただきたいと思います。  私は、情報通信世界というのは、言うまでもなく日進月歩どころか秒進分歩の時代、もうきのうまでの常識がきょうの非常識になっている時代、そういった世界なんだろうと思います。  一例を挙げるならば、NTT、いろいろ東西、長距離に分割されました。これは十何年前のアメリカのAT&T分割を見習ってやったことだろうと思いますが、もうあれは十年以上前のことであって、今日はアメリカ、ヨーロッパ等は情報通信世界は垂直統合、メガキャリアの時代を迎えている。そういった時代であるにもかかわらず、日本は十何年前のAT&T分割を持ち出して、それをNTTに当てはめようとした。私は、これは将来にとっては大変大きな禍根を残すことだろうと。  そしてまた、再三繰り返すことになりますが、今もう地域網においても競争の時代は始まろうとしている。そういった時代において何年も前の常識を持ち出して、これからまた同じようなこと、十年前の常識でもって情報通信政策を展開しようとしたら、これは取り返しのつかない大変なことになるだろうというふうなことを私は一言申し上げさせていただきたいと思います。  そこで御質問なんですが、今議論をされております長期増分費用方式、いろいろモデルはあろうかと思いますが、長期増分費用方式というもので結構です、このメリットを大臣はどんなふうにお考えになられていますでしょうか。
  26. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) 私の方からお答えを申し上げたいと存じます。  委員御指摘のように、従来、ラストワンマイルというのはボトルネックなんだ、ここを押さえている限りほかのものはこの業界に参入ができないんだと、こういうふうに言われてまいりましたが、御指摘のように今はケーブルテレビを利用した通信利用だとかあるいはソフトバンク等が入ってまいりまして無線によるインターネットアクセスを来年から構築しようとしているとか、あるいは電力系の通信利用が始まっているとか、おっしゃるように大変にボトルネックも多様化をしてまいりまして、今やボトルネックでなくなってきたではないか、こういう御指摘はそのとおりだと思うわけでございます。  また、委員が御指摘のように、きのうまでの正解は本日はもう間違いになりつつあるぐらいに本当に速い。ドッグイヤーとかキャッツイヤーとかいう言葉もあるようでございますが、人間の寿命を動物の寿命に例えるならばもう何倍ものスピードで進んでいるんだ、こういうような表現があるように本当に目覚ましい進歩でございます。  この点は、委員が御指摘になりました点もそのとおりでありますが、同時に、当時はAT&Tの分割をまねてやったけれども、それは間違いだったのではないかという御指摘でありますが、やはり今日では、おっしゃるように大変に情報通信分野における競争というのは激化をいたしておりますし、またこの通信業界における企業の合併というようなものも大変に国際的にも進んでまいっておるわけでございますが、当時はまだそこまで進んでいないわけでございまして、そういう中から今日の日本における競争のような状況をつくり出そうというのが当時の議論であったかと思うわけでございます。そういう意味では、今日このような激しい競争の中で切磋琢磨して、日本情報通信分野も世界におくれをとっておりました部分を回復しつつあるということは、ある意味でその方向性はよかったのではないかと思うわけであります。  しかし、委員が御指摘のように、ユニバーサルサービスへの影響を受けるようなことになれば、これは国益を阻害することになりますし、今日までNTTが努力をして構築してまいりました全国あまねく公平な、または公正な料金で通信を確保できるという体制、また至るところに公衆電話がありますように、そういった公衆分野に十分な意を持ってネットワークを構築してきた、こういった今日まで果たしてまいりました役割を、新たな外国の圧力があるとかあるいは時代の要請であるからということである日突然ルールを変えてしまってその経営が成り立たなくなるような、そういう方向をとることもこれは間違いであると思うわけでございまして、それをいかに整合性を持ってバランスをとっていくかということで今議論がされているところでございます。  今日の長期増分費用の具体的な導入につきましても、電気通信審議会におきましてはそういった点を十分に考慮しながら検討がなされているところでございまして、そのような方向の結論が出るものと期待をいたしているところでございます。
  27. 内藤正光

    内藤正光君 私は、大臣あるいは政務次官長期増分費用方式のメリットをどのようにとらえていらっしゃるかという質問をさせていただいたわけなんですが、これをまずお考えをお聞かせいただきたい。  あと、政務次官が、例えばNTTの分割に言及をされて、当時はそういう状況にはなかったとおっしゃったわけなんですが、実際に分割をしたのはことしの七月。はっきり言えば議論に余りにも時間をかけ過ぎていた。だから、途中で時代の流れが変わったならばそれに合わせて変えるべきであったということ、こういう姿勢が必要なんだろうなと私は思います。これについては特段お答えは要りませんが、メリットについてどうお考えになるのか、お考えを教えていただけますでしょうか。
  28. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) このメリットは、既に英国において長期増分費用による料金モデルというものが導入をされておりますし、また米国におきましても一部においてこの方式をとっております。また、各国はこの方式による算定モデルというものを使って通信料金の低廉化というものを促進しよう、こういうふうに考えているということが電気通信審議会におけるヒアリング等で明らかになってきておるところでございます。  この長期増分費用を導入するメリットでございますけれども、東西NTTの地域通信網に接続する事業者にとりましては、接続料金が低廉化すれば自己の通信料金を引き下げることが可能になるということからこれを下げてほしいということが常に言われるわけでございます。ただ、今のままの、従来の議論を続けておりますとこのようなことに対する理論的根拠というものは出てこないわけでございまして、そういう点から物の考え方を、じゃ一体今ある原価コストというものを別の見方をしたらどういうふうに見れるんだろうか。  それは、一つは、長期増分費用の説明を先ほど委員から御指摘をいただいたように、現在可能な技術、現在可能な最も安い機器等を組み合わせて新たにネットワークを構築するとしたら大体どのくらいの価格でそのネットワークというのはできるのかな、そのコスト算定するとどのようになるのかな、こういうことを一つのモデルとして計算の根拠にしていく。ですから、対比するその理論的根拠をここに求めるということにこのメリットがあると思うんです。  おっしゃるように、確かにバーチャルなものでございますから、じゃ実際に動くのか、それで実用に資するのか、こう言われたときには幾つかの問題点がございます。  例えば、実際に使っている機器の組み合わせでありますし、できる限り整合性を保とうとはしておりますけれども、実際に運用すれば需要はどんどんふえていくわけですから、将来に向けて予備的な施設を持たなきゃいけないというのは本来現実に運用する事業者のなすことでありますけれども、このモデルにおいては、現在の需要を賄うだけの供給体制が整うならばそれでよしとして計算を全部行っているとか、あるいはそれぞれの分野を幾つかのモジュールに分けて計算をいたしております。加入者線のモジュール、あるいはネットワークモジュール、ネットワーク全体のあり方ですね、それから局舎モジュール、今の機械を置いたりする局舎はどこに置くか。これはもう現在あるところをそのまま使ったらそれもそのまま現在の費用で必ず譲り受けられるという前提をつくってみたり、いろんな形で計算をしているわけでございます。  これに費用モジュールを加えて、それぞれのグループ分けした経費分担を、経費の要素、モジュールを組み合わせて計算しておりますので必ずしも現実とは一致しない部分もある。しかしながら、これが一つの論拠になるという点で、これをベースに議論を進めるという意味でこの導入のメリットがあるというふうに考えているところでございます。
  29. 内藤正光

    内藤正光君 政務次官の方からは、私が次に聞こうとしておりましたデメリットだとかあるいは問題点、二点ほどお答えしていただいたかと思います。一つは、バーチャルなもので本当に動くかどうか、あるいはまたアンバンドル化することの問題点。私はそのほかにもすごく大きな問題があると思っております。これは今から議論をしていきたいと思っております。  そこで、話をもっと具体的に進めるために、この長期増分費用方式の中にある枝分かれをする二つのモデルについて言及をさせていただきたい。一つはボトムアップモデル、一つはトップダウンモデル。両モデルとも定義は同じなんですね。現時点で最も安い、そして効率的な設備を使うと仮定しての仮想的なコストをはじき出すというものなんです。  この二つのモデルの違いなんですが、郵政省が主張するボトムアップモデルというのは、先ほど政務次官がおっしゃったように、あくまでもその仮定の前提が現在の需要見合いということと、豊臣秀吉の一夜城ではありませんが、何にもないところから一気に一晩にしてつくり上げた場合と仮定してのモデルなわけですね。一方、NTTが主張するトップダウンモデル、これはあくまで将来需要も見据えながら、そしてまた減価償却も考慮しながら、徐々に徐々に更改をしていくという前提に立ったモデルであろうかと思います。  ところで、政務次官にお伺いしますが、情報通信産業は装置産業と言われているわけなんですが、現実のそういった業界ではどのように設備投資をしていくのか教えていただけますでしょうか。
  30. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) どのように設備投資をしていくか、私も余り詳しくは存じませんけれども、知る限りのところで答弁をさせていただきたいと存じます。  トップダウンモデルというのは、今おっしゃいましたように、NTTを例にとって言いますと、NTTが現在使っておりますそれぞれの交換機を初めとするいろいろな機器について、これを現在NTTが調達しているそれぞれの機器の最新の調達価格で置きかえたならばどのような計算になるだろうかというのがいわゆるトップダウンモデルと言われておるわけでございまして、会計データに基づいてそれを最新の数値に置きかえたもの。中には古い調達機器もあってそれを減価償却している部分もあるし、また最近調達したのでテクノロジーの進化で安くなったりして、それはもう少し安く購入できていても、それぞれ持っている資産というのは、現実の会社でありますから、そういう会計のルールに従ってこれを計算されている。これを一気に今全部新しい調達価格でおしなべてやってみたら幾らになるだろうかというのがトップダウンモデルと言われるものの特徴だと思っているんです。それからまた、ボトムアップモデルと言われているのは、先ほど御説明のあったような長期増分費用のやり方でやってきたもの。  ですから、私の個人的見解でもありますが、ではこれをどっちの方向でやっていったらいいのか、現実にはどうやって会社をつくるときにやるんだろうか。私が会社をつくるとしたらどういうふうにこれを組み合わせていくか。  今委員の御質問も、現実にはどうやってやっていくのかというのは、私もそういう研究をしていたわけではないのである程度自分の私見を交えてお答えをするしかないわけでありますが、現実には、じゃまず局舎をどこに建てようか、どの地域サービスエリアにしようかというようなことで、大体そこに人口がどのくらいいるんだろうか、それに対しての供給はどのくらいの設備が必要だろうか、そしてこの通信事業というのはどのくらいの伸び率で伸びていくんだろうか、それを賄うためにはどのくらいの規模の設備前倒しして投資していくことが必要なんだろうか、そういったような要素を計算しながら実際には経営の数値というものを積み上げていくんだろうと思うんです。  そういう点で、トップダウンモデルに従って接続料の低廉化を図ろうとしても、これは実際にはNTTが現在までに構築してきたそのものを前提としておりますから、ですから、なかなかそれを中心に物を考えていますと、ほかの考え方をしたらというところが見えないわけですね。ですから、先ほど申し上げたような形で長期増分費用モデルみたいな新しいモデルの考え方をぶつけて、両方の意見をぶつけながら審議会においての議論を進めていくというのが現実的な方法なんだろうと思います。  委員の御質問における、どうやって実際の経営上組み立てていくのかという御質問の答えになっているかどうかわかりませんが、私の考えとはそのようなところでございます。
  31. 内藤正光

    内藤正光君 私はそんな難しいことを質問したつもりはないんです。つまり私が期待した答えは、実際に今設備が動いている、例えば交換機なりなんなりが一つの局舎の中にあると、これらを全部、例えば何台もある交換機を一気に取りかえて新しいものにするのか。そんなことはありっこないわけなんです。大体減価償却を迎えたものから、終えたものから順次こうやって、将来需要をも見据えながら順次順次更改を図っていく、時間をかけて。それが現実の設備投資のあり方だろうと思いますし、私はこれは世の中の常識なんだろうと思います。  そこで、私が質問させていただきたいのは、これが現実世界設備投資のあり方である一方、少なくともボトムアップ方式というのは全く一夜にしてすべて新しい機材に置きかえてしまうというものでして、現実とは余りにもかけ離れてはしませんかということをお伺いしたいんです。
  32. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) わかりました。  そうすると、委員の御質問の趣旨は、経営としては、今までやってきたものをある日競争に勝つためには全部変えなきゃいけないといってばさっと変えることはないだろう、徐々に徐々に投資をして施設設備を更新していくというのが普通のやり方じゃないか、それが常識じゃないかという御指摘なわけですね。  そういう考え方でいけば、NTTの経営におけるいろんな数値というのは実際にはなかなか公開されておりません。ですから、これを私どもの方から、これが正しい、この数値の計算がいいとか悪いとかというのはわかりませんが、実際の有価証券の報告書あるいは公開されているいろいろな経営データ等を見ますと、大体売上高に対しての設備更新等の投資の占める割合といいますか、例えば十年度のNTTの総売り上げは九兆七千五百八十六億ということになっておりますが、これに対して投資の方は二兆六千九百十九億ということで、この比率が二七・六%ということで、大体NTTにおいてこれが平成十年度総売り上げに占める投資の割合は二七・六%であるということで、先ほどの答えはむしろこちらだったのかもしれませんが、このぐらいの割合で設備投資をして更新していくものだ、こういう話でございます。  今御指摘をいただきました、現実にはいきなり更新しろといったって無理なんだ、じゃ具体的にどういうふうにやっていったらいいのかということでありますが、トップダウンモデルと言われるものも、実際に会計データを置きかえると言われても、私どもにとりまして、経営上の数値でありますからその情報が全部公開されておりませんので、それに対して具体的な指摘をしたり批評を加えるということはなかなか難しいわけでございます。  その点で、長期増分費用というまた別のモデルをそこに持ち込んで、NTTの方の御意見をまたさらに聞いていく、もう少しこの辺を変えることができないんだろうかという議論を起こしていくという形で物を推しはかっていくといいますか、NTTの考え方も譲っていただき、また同時に、最初に大臣の方からもお話がありましたように、我が国のユニバーサルサービスに支障を来さないか、東西NTTの利用者料金にはね返るようなことがないだろうか、あるいは経営に支障を来すようなことがないだろうか、こういう点は基本的に押さえなきゃいけないポイントとして、これを押さえながら検討を進めていく、こういうことを考えているところでございます。
  33. 内藤正光

    内藤正光君 私の質問の趣旨が十分伝え切ることができているのかどうかちょっと疑問ではございますが、私が申し上げたいのは、例えばコンピューターを例にとってお話をしたいと思います。  コンピューターは、だんだんもう一年、二年もたてば古くなる。そして、いろいろな部品を交換しなきゃいけない。毎年毎年交換していくと結局は高いものにつく。はっきり言ってしまえば、だんだん年を追ってコストパフォーマンスが上がる新しいものにそっくりそのまま取りかえちゃった方が結果的には安くなるし、いいものが手に入るわけなんです。同様なことが装置産業では言えるわけなんですね。つまり、新しく取りかえた方が断然安いお金で済むわけなんです。  つまり、こういったことから、いろいろな有識者からこのボトムアップ、特にボトムアップなんですが、問題点として指摘されているのは、実際に投下した資本を回収できないんじゃないかという可能性、おそれを指摘しているんですが、このおそれはすごくあるわけです。実際に投下する資本はこれだけあったと。ところが長期増分費用方式ではじき出された仮想的な架空的なコストはこんなものだったと。ここからはじき出されたら、当然投下資本を回収できなくなるわけですね。これに対してどう思われるのかということなんです。
  34. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) 御指摘のように、コンピューターの部品もいろいろな部品がありますね。確かに驚くほど安くなります。ハードディスクなんというのは特にその中の最たるものだと思うんですが、昔は一メガバイト一万円と言っておりましたが、今は二十七ギガバイトで五万円とか、べらぼうな低廉化が行われているわけであります。おっしゃるように、そういう意味でパーツだけをどんどんかえていくと、そっくりかえた方が安くなってしまう。確かにあることでございます。  また、そういう点で、そういうことだけを前提にして経営というものを考えていくと、実際には投資したものをどんどんどんどん、更新が速いものですから、十分な利益を確保しないうちにすべて安いものだけでやって安い料金でサービスをしていたら、これは経営が成り立たないんじゃないか、こういう御指摘は当然あると思うわけでございます。それが今委員が御指摘になった点であろうかと思います。  ただ同時に、これはグローバルな競争の中にさらされて、日本情報通信産業の発展ということをやはり確保しなきゃいけないという政策的な分野もあるわけでございまして、その点から考えると、やはりなかなか難しいけれども、利益を圧縮しながらそして最新の技術基準に合わせたサービスを提供してもらおうではないか、こういう要請も、消費者、利用者の側からの要請として当然あるわけでございます。  その辺のところを考えて、この長期増分費用とそしてトップダウンモデルと言われるこのモデルとの間の議論が進んでいくものと考えておるわけでありまして、私どもは、そういったことを電気通信審議会において委員の皆様を通じて十分な議論がなされることを期待しているところでございます。
  35. 内藤正光

    内藤正光君 政務次官、くしくも競争政策のために、あるいはまた最新設備を構築してもらうためにこの方式を採用するんだとおっしゃいましたが、私の主張は、まさにこの二点において今の郵政省が主張されているボトムアップ方式あるいはまた長期増分費用方式というのは大きな問題を抱えているということを申し上げたいわけなんです。  つまり、こういうことなんです。インフラ事業者は、実際に投下した資本を回収できない、回収が困難だという問題を抱えている。一方、新規参入業者は、みずからインフラを構築しなくてもすごく安いお金でアクセスできる、しかもアクセスが完全に保証されている。  そうなりますとどういう問題が起こるかといいますと、インフラを構築するインセンティブがなくなってしまう。もっと砕けた言い方をすれば、だれもインフラ構築なんかしなくなってしまう。だって、したところで資本が回収できないわけですから。それよりも、はっきり言えば他人のつくったインフラを使わせてもらった方が経営的にはペイできるわけです。その方が有利なわけなんです。  これをまとめて言いますと、今の長期増分費用方式の問題点というのは、見過ごしている点は、目先の接続料金の低廉化のみに目を奪われていて、今では十分可能になったはずのインフラベースの競争というものを抑制してしまっているということなんです。  結果的にどういうことが起こるかといいますと、冒頭申し上げました本来あるべきインフラベースの競争を通じた価格競争、低減化に向けた価格競争が抑制されてしまうことが一つ。そしてもう一つは、先ほど最新設備ということをおっしゃいましたが、だれもインフラ構築のインセンティブが働かないわけですから、ネットワークの高度化をも抑えてしまう、こんなような問題が私はあるんじゃないかと思います。  そこで、こういった長期増分費用方式、端的に言えばボトムアップ方式が抱えるこれらの欠点についてどのようにお考えになられているのか。日本のこれからの情報通信政策のあるべき姿は何なのかといった観点から、大臣あるいは政務次官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  36. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) さすが内藤委員は専門的によくおわかりでございますので、私もこの長期増分費用というものは、これは一つのモデルとしては成り立つものでありますが、これがすべてではないと思っております。  御指摘のように、理想的な形をつくって一つの基準をつくることは確かにあるわけですが、同時に、先ほど申し上げましたし、また御指摘をいただいたようなデメリットがある。実際に動くのかとか、これで経営が成り立つのかといった、今おっしゃったようなデメリットが当然そこにあるわけでございます。  ですから、このモデルというのは、このモデルに従って料金の計算ができるのでこれをそのまま受け入れてやりなさい、こういう性格のものではないと思っておるわけであります。これはあくまでもモデルでありまして、議論上の一つの資料として作成したもの。したがって、これもいろいろな数値がつくり得ると思うんですね。既にA案、B案というような提示もありますが、二案だけでなくて、これは考え方によってはその間に物すごい幅があると思うわけでございます。  それを議論の中でどの辺に収れんさせていくかという点で、先ほど申し上げたように我が国のユニバーサルサービスに悪影響を及ぼすことはないだろうか、あるいは東西NTTが特殊会社として今後とも全国あまねく公正公平な料金体系を維持していく上で支障が出てこないんだろうか、あるいは利用者に料金アップというような形ではね返るようなそういうデメリットが過重に行くようなことがないんだろうか、こういう点を検討しながら個々に議論を進めていっていただくということを私どもは期待をしているわけでございます。  郵政省の先ほど御指摘いただいたようなモデルの提示というのは、あくまでもそういった観点のモデルでありまして、これがすなわち解答であるというようなことではないというふうに了解をいたしておりますので、この審議の過程においてそういうものを十分検討されて反映するように私どもも期待をしているところでございます。
  37. 内藤正光

    内藤正光君 以上の議論を踏まえて改めてお伺いしたいんですが、新しい接続料金あり方を決定していくに際してこれだけは絶対守っていきたい、こういったものを具体的にお聞かせいただきたいんですが、理念的ではなくて、理念的に幾つか挙げてそれを具体的にどうやって守っていくんだという考え方をお聞かせいただけますでしょうか。
  38. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) 具体的に、例えばユニバーサルサービスを維持するにはどうしたらいいかというようなことでございましょうか。御質問いただいたものに対する回答が十分でないような印象を持たれていらっしゃると思うんで、具体的にどういう質問か、もう少し教えていただけますか、今おっしゃった内容を。
  39. 内藤正光

    内藤正光君 例えば、ユニバーサルサービスを守っていくというのは原則と考えてよろしいかと思うんですが、じゃ具体的にユニバーサルサービスといって唱えたところで別にそれが実現されるわけではない、具体的なそれを担保する施策が必要なんだと。例えばユニバーサルファンドを設置するんだとか、そんな話が以前生まれて、何か立ち消えになりそうな今の気配なんですが、これに対してどうなのかということをお伺いしたい。  また、バーミンガム・サミットでの約束事が私は一つの守るべきポイントだろうと思います。事業経営の壊滅的な打撃に対して配慮するだとか、あるいはまた利用者料金にも配慮するだとか、そういったことなんですが、例えば事業経営に配慮するとは、具体的に、例えば仮に長期増分費用方式が決定したとして、それを導入する際にどういう配慮の仕方があるのかとか、こういったことをお聞かせいただきたいんです。
  40. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) ユニバーサルサービスを維持するという点におきましては、確かに言っているだけでは実現しない、そのとおりでありますが、しかし、基本的にそういう考え方を持って物を見ていくということでございます。市場の価格というものは基本的に競争関係の中で培われるべきだというのが委員の御指摘にもありましたように、これは価格というのはマーケットの中で、競争原理の中でお互いに切磋琢磨して低廉化というのは実現されていくのが一番望ましい。だれかがこの値段にしなさいといって決めるものではない、こういう点でそのとおりだと思っております。また、その点におきましては、今後とももしユニバーサルサービスが維持できないというような事象が出てきたときにどう対応するかというのが私は大切なんだと思っております。  だから、単に言うだけではなくて、実際には東西NTTが基本的には同じ料金体系を維持していくということで分離の基本原則にしてきたわけでございます。しかし、分離された後は、それぞれのマーケットの需給関係、そういったもの、また競争関係によって料金というのは若干動いてくるのだと思います。しかし、その中にあって、もし改善すべき点がどちらかにあれば、それを指摘しながら料金が同一になっていくように誘導していくのがいわゆる私どもの役割だと思っておるわけでございまして、そういう姿勢で取り組んでいくというのが今の御質問に対する一つのお答えだと思うわけでございます。
  41. 内藤正光

    内藤正光君 例えば、ユニバーサルサービスでそういった問題が出てきたら対応するというんじゃ私は遅いのだろうと思います。特に、私が再三再四申し上げているように、今回長期増分費用方式が決定して導入されたと仮定したならば、これはもう資本を回収できない。どういう形態に落ちつくにせよ、十分本当の投下資本を回収できないおそれがある。そうなると、インフラインセンティブが働かなくなる、構築に向けたインセンティブが働かなくなる。そうなると、私はユニバーサルサービスに対して決定的な影響が出ることはもう今の時点で明らかなんだろうと思います。なぜならば、だれももうけがないようなところにインフラを構築しようなんてしないからなんですね。  だから私は、この問題を議論するときは、新しい接続料金あり方議論するときは、必ず大原則である三つのポイント、例えばユニバーサルサービスの確保の仕方、これは車の両輪のごとく、ともに同時に考えていくべきものだと思いますが、いかがでしょうか。
  42. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) 私が申し上げたのは、ユニバーサルサービスを基本的に維持するという基本姿勢を持って物を見るということでございまして、それがすなわち将来的にこれは格差が出るなという兆候が出てきたときにそれに対応するということにつながってくるわけであります。ですから、決定的な格差ができちゃってからこれを是正しようとして何か動くということではなくて、そういうユニバーサルサービスを維持していかなきゃいけない。どこかサービスがなくなってしまうような地域が出るとか、あるいは決定的な価格差が出るとか、そういうことにならないように常にその動向を眺めて指導していくということを先ほどは申し上げたつもりでございます。  そして、今御指摘をいただきました、これでは全く成り立たないんだというお話でございますが、実際に経営の数値というのを私ども全部持っているわけではないんですね。ですから、NTTの主張を聞いておりますと、確かに今の長期増分費用の一番厳しいパターンで計算すると四千億ぐらいの負担が急に発生してしまうことで実際には経営が成り立たない、こういう御意見もあるわけでありまして、確かにそういう面もあるのかもしれません。ですから、そういう点を実際に議論をしながら詰めていただくということで私どもは審議会の方にお願いをしているわけでございますので、この審議会においてNTTの方からもいろいろなより具体的な数字も提示されるのだろうと思いますし、あるいは長期増分費用の欠点という部分も、御指摘のように、こういう問題があるじゃないかという御指摘もいただくわけだと思います。  そういうものをぶつけ合いながら、落ちつくところは、先ほど申し上げたユニバーサルサービスに支障を来さない、あるいは東西NTTの経営が維持できる、そしてまた料金にはね返らない、こういった三つの点をあくまでも最重要課題といいますか、これを原則としてこの結論を期待するということに私どもは思っているわけでございます。
  43. 内藤正光

    内藤正光君 聞くところによれば、アメリカあたりはそういったバーミンガム・サミットでの取り決めを忘れたかのごとく、とにかく日本に導入せい導入せいとすごい威圧的に圧力をかけていると、七割削減しなければもうオーケーしないというようなことで来ているわけです。  改めてお伺いしますが、あくまで新しい接続料金あり方考え、そして実行する上ではバーミンガム・サミットでの約束事というか取り交わしですね、一つはユニバーサルサービスの確保、そしてもう一つ利用者料金への適切な配慮、そしてまた地域事業会社への適切な経営への配慮、これはもう大原則だというふうに考えてよろしゅうございますね。
  44. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 今おっしゃったように、いずれにいたしましてもこの問題は、来年は一つは閣議決定をいたしておりますから、一つの約束事になっているわけなんです。  しかしながら、具体的には接続料算定の基礎となるべき意見の中には、耐用年数をもっと長いものに見直せとか、あるいはまたリモートターミナルのコストを交換機に算入しないで端末回線コストにつけかえるべきだとか、いろんなものが出されているんですが、今委員おっしゃったように、我々としては日米共同、それぞれ事務方で意見の交換をしています。私たちアメリカ側にいろいろ言うべきことは言っていきながら、まず何よりも我が国のユニバーサルサービスへの影響、それから東西のNTTの利用者料金への影響、それから東西NTTの経営への影響、こういう三つをチェックポイントにいたしまして、これだけは十分に配慮して成案を得ていかなければならない、こんなふうに思っておりますし、東西のNTTの経営に大きな影響を与えたり、あるいはさらに津々浦々あまねくインフラ整備のために御苦労いただいたNTTが傾くようなことがあってはならない。  七割とかいろいろな今御意見もありましたけれども、大体その数字を七割とかなんとか言うのはアメリカも僣越であろうというような思いに立ちながら、私たちはやっぱり国益を重んじながら、この方式は、一つの閣議決定を踏まえて来年の一月ぐらいまでに電気通信審議会での御議論をしっかりお願いして、答申をいただいて、そして三月までにはその結果は報告をしたいと、こんなふうに思っているところでございます。
  45. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) 今大臣が答弁させていただきましたとおりでございますが、それに加えて、米国からの要求に対して私どももただ黙っているというわけではございませんで、ただいまの長期増分費用の方式につきましても、米国もこういうことを主張しているにもかかわらず、州際の、州と州の接続、またがるアクセスチャージ等についてはこの長期増分費用をまだ採用していないわけですね。  こういうものについて、そちらも同時にこれを推進してもらわなきゃ困るじゃないかとか、あるいはそちらが、米国側が言っている長期増分費用のモデルのその数値はどういうものを組み合わせたのか、もっと透明性を増してもらわなきゃ困るじゃないかとか、あるいはFCCの規則にあるような内容を引っ張り出して参入規制を行っているんではないかというような、アメリカ側の閉鎖性といいますか改善すべき点についても、私どもも、同時にこれをそちらが実施できないならば、我々だってただそちらの言うことばかり聞くわけにいかないということで、十分に向こう側にも対米要求をしているということもここでつけ加えさせていただいて、そういう中でバーミンガム・サミットの合意事項を、私どもはあくまでもそれを基本としてこの問題に取り組んでいるということをお答えさせていただきたいと思っております。
  46. 内藤正光

    内藤正光君 政務次官おっしゃったように、日本に対して導入せい導入せいと言っているアメリカ自体が、そもそも通信市場では大変、やれ認証が必要だとか、それも審査基準も不明朗なものがいっぱいある。そしてまた長期増分費用方式、さぞやもう全州的に採用されているかと思いきや、全トラフィック量で言えばたかだか数%でしか採用されていない。そして、なぜ県間通信で採用していないかといえば、もうFCCがみずからくしくも言っている。つまり、もし導入したら地域事業会社に対して打撃をこうむるようなそんな影響を及ぼす、これは日本政府じゃなくて当のアメリカ、FCCが言っていることなんです。  しかし、私はここで、アメリカがこう言っているからこういう接続料金交渉をやめろと言っているわけじゃございません。私は、日本日本として、日本情報通信政策の観点から、国益の観点からこれは粛々と慎重に進めるべきものだろうと思います。  しかし、ここで本当に肝に銘じていただきたいのは、アメリカがそういう態度で無責任なプレッシャーをかけて、そのプレッシャーにいつものように屈して拙速な結論を急がないでいただきたい。日本の国益という観点に立って十分に慎重な審議を重ねていただきたい。そして、もし長期増分費用方式というものが、考え考えた結果、余り日本の国益にとって好ましくないというものであれば、それはばっさり切って捨てるぐらいのそういった私は柔軟性があってしかるべきなんだろうと思います。  だから、その辺のことを一言申し上げ、そしてまたちょっと一点したかったんですが、時間もございませんので、それに対してちょっと大臣、一言最後決意をお聞かせいただいて、私の質問を終えます。
  47. 八代英太

    国務大臣八代英太君) いろいろと御提言をいただきながら大変勉強させていただきましたが、長期増分費用方式の導入につきましては、米国のみならず私たちの国の中にも求める声というものも世論として私はかなり高まりがあるというふうにも意識いたしておりますし、平成八年度の接続の基本的ルール策定時以来の政策課題とされているという長い時間も経過しております。しかし、先ほど来申し上げましたように、ユニバーサルサービスを含めた、あるいは経営も含めた、それがまた消費者にはね返らない形はどうすべきか等々を含めて、決して言われっ放しではなく、私たちの主張をしっかり申し上げながら、この解決策に向かっての努力は一生懸命続けていきたいと、このように思っております。
  48. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友でございます。  ただいま内藤先生の大変専門的な御質疑のやりとりがありましたけれども、私は平均的一国民、平均的というよりも、先ほど大臣の六十の手習いというお話がありましたけれども、今、ノートパソコンも先日購入したけれども、もうやめようかなというぐらいな気持ちでいる、平均以下になるんじゃないかなという、そういう立場で質問もさせていただきたいなと、このように思うんです。  好むと好まざるとにかかわらず、今、そうしたインターネットや携帯電話等の急速な普及、それによって我々の生活や文化または産業経済等、国民生活のあらゆる面にわたって私たちの生活のスタイル、また環境、そういうものが変化しているし、変化せざるを得ない、こういう状況がもう目前に来ているわけです。現実に来ているし、目前には二十一世紀高度情報社会というのがもう来ている。  だけれども、ではその高度情報社会というのが私たちの市民生活にとって果たしてどのような社会になっていくのか、またその情報化された社会においてはどのような社会インフラや法制度が必要となるのかという、そういった将来像を本当に国民にわかりやすく提示する、こういう必要があるんじゃないかなと、このように思っているわけでございます。  そういう意味で、内閣総理大臣を本部長とする高度情報通信社会推進本部というのがございまして、大臣は副本部長というお立場でございます。私は、今のこの高度情報通信社会推進本部というのは、これは長期的な面からやっておられるんだと思いますけれども、各省庁の縦割りのいろいろな部分を積み上げ方式によって提示されていると、そういうことで、何かやはり国民にとってどういう社会が来るのか、また中期的にも結論が先にあって、そういう積み上げ方式じゃなくて、例えばこの五年ぐらいの間にはこういう社会、こういう高度情報社会というのが来るんだ、またつくらなければいけないんだ、それに対してどういう戦略を立てていくかとか、そういうことが必要なんじゃないかと思います。  それで、私どもは今、情報通信立国推進プロジェクトというのを我が党内につくりまして、ここにおられる日笠議員、元郵政大臣委員長として近々この情報通信立国の提言というのをやらせていただこうということになっておりますけれども、その中にも、総理を本部長とする推進本部のもと学識経験者による諮問委員会というのを設置して、来年ぐらいに、二〇〇〇年度ぐらいに、官がリードするんじゃなくて民が主体となって、そういうあるべき姿の五年間ぐらいの中期計画というのをつくるべきじゃないかと、このように考えておりますけれども、高度情報通信社会推進本部の副本部長としての大臣の所見をお伺いしたい。
  49. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 高度情報通信社会推進本部では、近年インターネットや携帯電話等の爆発的な普及を踏まえまして、この本部に置かれた学識経験者及び経済界のすぐれた見識を有する方々から成る有識者会議の御意見もいただきまして、昨年十一月に基本方針というものが改定されたところでございます。  この基本方針におきましては、二十一世紀の発展基盤としての情報通信の高度化を図っていく上で特に重要性が高い四点、それは言ってみれば、情報通信というのは二十一世紀への夢の施策でもございますので、四点を当面の目標として定めまして各種施策を実施していくことにいたしておるところでございます。  その四点の一つ目は、電子商取引の本格的普及でございます。もう今やインターネットビジネスという時代になってきておりまして、まさに好むと好まざるとにかかわらずという表現が当てはまるかもしれませんけれども、日本はそういう意味でもだんだんインターネットビジネスに参入する希望も大変ふえておりますので、電子商取引の本格的普及というのは待ったなしの状況になってくるだろう、このように思います。  二つ目は、公共分野の情報化でございます。電子政府などという言葉も今ございますけれども、公共分野の中におきましても、新しい町づくりやあるいはそうした情報ネットワークというようなものも市町村からもいろんな御意見を寄せられておりますので、公共分野の情報化が二つ目でございます。  それから三つ目として、人材育成と情報リテラシーの向上、新たなる読み書きそろばんとでも申しましょうか、そういう思いでの国民すべての人たちが享受できるような体制をどうするかということもございます。  それから、先ほど来議論になっておりますけれども、高度の情報通信インフラの整備、この整備をしっかりしておかなければ花も咲いてまいりませんので、そういう思い。この四つを重点目標といたしまして、この実現のために具体的かつ明確な目標及びスケジュールを定めたアクションプランをことしの四月に策定しておりまして、関係省庁が一体となって取り組んでいるところでもございます。  そうした施策を展開しながら、情報通信立国、公明党さんが考えておられるそういう政策も絡み合わせながら、私たちは二十一世紀に夢のある政策として今後も取り組んでいきたいと思います。私も副本部長という立場でございますので、有識者の方々意見を踏まえながら、アクションプランに示された諸施策の着実な推進をやっていきたいと思っておりますし、またお力添えをいただければと、このように思っておるところでございます。
  50. 弘友和夫

    弘友和夫君 今大臣から電子商取引の分野のお話もございましたけれども、例えばアメリカ情報通信分野において世界でリーダーシップをとろうと、そのとるための戦略というのを明確にやはり立てている。今のアメリカの好景気というのは、今お話がありました電子商取引の拡大、これによってもたらされたと言っても過言でないぐらいの大きな情報化というのが経済再生の起爆剤となっている。  ところが、日本の場合は、電子商取引市場というのは例えばアメリカの十五分の一だと、現在では。それから、政府情報化予算というのは二分の一、こういうことで日米間の情報通信関連分野における格差というのは非常に大きな開きがあるのが現状であるということでございます。  大臣は先日の所信の中で、二十一世紀の諸課題に対応していく上での情報通信が目指すべき政策について、二十一世紀のかけ橋となる情報通信の新基本政策を取りまとめる、このように述べられましたけれども、日本情報通信戦略について今後どのような決意で取り組んでいかれるのか。  それから、今大臣から我が党の情報通信立国の提言の評価の御答弁もございましたけれども、せっかく両政務次官おいででございますので、情報通信立国のイメージというか、またそれを目指しての決意なりも一言述べていただければと思います。
  51. 八代英太

    国務大臣八代英太君) インターネットの人口普及率もアメリカは三〇%をもう超えている状況日本はまだ一三・四%ぐらいの状況、電子商取引も二兆五千八百億円というような大変なアメリカの市場、日本はまだ千六百億ちょっと、こういうふうな状況でございますし、いろんな意味でも、オンラインショッピングの利用者数日本の三十倍以上がアメリカ現状でもある。あるいはまた、インターネットの学校普及率なんかも日本の倍以上であるというようなことをもって見ますと、残念ながらかなりアメリカに一歩も二歩も、あるいはとらえ方によると三歩ぐらいリードされている状況でありますから、これからは時間との戦い、日本技術力、競争力というのは基本的には持っている国でございますので。そういうことを考えていきますと、まさに変化の激しい時代ではございますが、二十一世紀を見通した中長期的ないろいろな情報通信ビジョンというのは絶えずつくっていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。  アメリカとかヨーロッパなんかでも情報通信部門を国の重要戦略分野と位置づけておりますし、そういう意味でも国家戦略ビジョンが次々と発表されておりますので、これに負けてはいけませんから、私どもも一生懸命情報通信を基軸に据えた二十一世紀夢を奏でながらのビジョン、また国民的なコンセンサスも得たいものというふうな思いを持ちまして、二十一世紀のかけ橋となる情報通信ビジョンというものを今年度中、来年三月まででございますが、年度内に策定いたしまして、電気通信審議会の御意見も当然でございますが、広く各界各層の皆さんのインタビューやあるいはインターネットを通じて広く国民の皆様からも御意見を伺いながらそういう構築を目指したい、またビジョンを発表したい、こんなふうに思っているところでございます。
  52. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) 弘友委員、御質問を賜りましてありがとうございます。  私も、二十一世紀の高度情報通信社会というのはどういうものになるのかなというふうに考えますと、やはり高齢化、少子化が進む中で、だれでもがこういった恩恵をこうむれる社会でなきゃいかぬと思うわけです。そのためにいろいろな努力を郵政もしてきたと思っております。  例えば、ファクシミリが今はもうかなりの普及率になりましたが、つい数年前まではファクスで送りたいといっても相手が持っていないということが多かった。そういう中で郵政省はレタックスというものを導入して、発信する方は手書きのものを書いて、おじいちゃんがファクスを使えないから、孫に書きたいけれども肉筆のものがなかなか届かない、遠いけれどもすぐに届けたい、こういう場合に、直筆、肉筆のものを書いて郵便局へ持ってきていただければ、それがファクスで最寄りの郵便局へ行って、そしてそれが相手の手元へ届く。  また、最近ではハイブリッドめーるという形で、電子メールが最近はやってまいりましたけれども、電子メールを使おうと思ってもなかなか高齢化、あるいは消費者の中で若い人たちはかなり進んでまいりましたけれども、おじいちゃんはなかなか使えない、コンピューターに向かっても難しい、こういう場合に、郵便局が仲介をしてメールを印刷して届ける、こういうこともすぐに始まってまいります。  こういったことをして、だれにでもこの恩恵がこうむれるようないろいろな配慮をしてきているわけでございますが、今日まで米国がこのインターネットの分野におきましては先駆的な役割を果たして、その技術もほとんどが米国の技術で賄われてきております。オペレーションソフトも米国のもの、あるいはネットワークを構築しているいわゆる交換機にかわるルーターというようなものもほとんどが米国のものを使っている、こういうようなのが今日までの分野でございました。  しかし、それぞれの発展の分野において、もうかる分野また世界をリードする国というのは変わってくるわけであります。私どもが目指しているのは、今日までは確かに米国がその基盤を築き、そしてその利益を享受してきた。しかしこれからは、今大臣から答弁をしていただきましたように、学校インターネットの普及を初めとして情報リテラシーを普及させて、そして日本情報の基盤を整備していく、また接続のためのネットワーク整備も進める中で、これから情報家電というものが特に日本にとっては得意の分野ではないかと私どもも考えております。  日常生活で使ういろいろな、テレビ、電話あるいは冷蔵庫、洗濯機に至るまで毎日使っている電化製品、これをいわゆるインターネットネットワークを通じて相互に結合させて、そしてこれを使っていくことができるような技術、この分野は日本が大変にすぐれているわけでございまして、二十一世紀、情報化が進む中で日本の果たす役割というのは非常に大きいし、また日本の産業が伸びていくその力も十分に持っていると思うので、この分野を特に私どもとしては育成を図り、そして世界の中での標準となるような技術開発してこれに臨んでいきたい。  そういう意味で、今日私どもの果たす役割は大変大きいと思っているわけでございまして、弘友委員を初めとされました当委員会の先生方のまたお力をいただきながら間違いのない方針をつくっていきたい、このように考えているところでございます。
  53. 前田正

    政務次官前田正君) 弘友先生の今御質問の内容は私どもも全く同感でございまして、やはり日本の将来にとって情報通信は大変重要でございます。今月でございましたけれども、東京ビッグサイトというところでCOM一九九九という祭典が催されました。私も政務次官として祝辞を述べに行かせていただいたわけでありますが、日本における情報技術の最先端のそういったフェスティバルでございまして、大変な人がお越しでございましたし、またそれに展示される各企業のすばらしい新商品というものも目に当たって見せていただきました。  例えば、携帯電話のところにカメラ設備までとってありまして、そしてカメラを写すと同時に液晶できちっと電話のところにあらわれる、それを電話をかければ次の人のところにその写真が送れるという大変画期的なものでございましたけれども、こんなものもあるわけでございまして、私どもも、これからの日本の中心となる情報産業を中心とする基盤整備をしっかりやりながら、どう我々としてこの産業を育てていくかということにつき、八代大臣あるいは総括政務次官ともどもに積極的に取り組んでまいりたいと思っておりますので、よろしく御指導のほどをお願いいたします。
  54. 弘友和夫

    弘友和夫君 どうもありがとうございます。  今、大臣の御答弁の二十一世紀へのかけ橋となる情報通信の基本政策が我が党の考えている中期計画というものと合致するのかどうか、よくまだイメージがわかりませんので、今後ぜひすり合わせをさせていただいてやっていきたい。  今、情報家電のお話もございましたけれども、ぜひテレビだとかそれから電話並みに、情報弱者といいますか我々みたいなよく操作もわからないというのじゃなくて、本当にテレビ電話だとか電話並みに使いやすいものにしていただきたいなと。それともう一つは、基本政策においてそういう戦略的な部分というか、それもぜひきちっと明確にしていただきたいな、このように思います。  次に、そうした中で、先日の経済新生対策という中で、インターネット通信料金の定額制の導入ということと学校におけるインターネットの完全普及等の施策が盛り込まれまして、大変私は結構じゃないかと思うんですけれども、インターネット通信料金の定額制につきましては、NTTが十一月一日より月額八千円のインターネット常時接続サービスを開始した。これは先ほども論議がありましたけれども、利用者から日本通信料金は高過ぎるという強い要望を受けてこれは実現したわけでございますが、アメリカでは市内通話料金に月額二十ドル程度の定額制を導入している。この定額制がインターネットの普及につながった、このようにも言われております。  ただ、日本の場合は市内通話料が三分十円の従量制であるということで、通信費用が高いというこういう不満が出てきた。では、月額八千円といっても、この料金のほかにプロバイダーへの接続料金、先ほどの論議であったような費用が必要となって、実際は一万五、六千円必要じゃないか。やはりこれを一般家庭に普及させるには、五千円程度の常時接続サービスというのが必要というふうに考えるわけでございますけれども、インターネット通信料金引き下げに向けてどのような施策考えておられるのか。  またあわせて、通信料金の高さに加えてアクセス速度が遅いという不満も多いわけでございますが、超高速大容量通信が可能な次世代インターネット開発に取り組んでいる、その進捗状況もあわせてお伺いしたい。  それから、先ほどお話がございました、通信料金の引き下げを目指して、無線だとか衛星だとかケーブルテレビ、そうした技術利用しての定額常時接続サービスを提供しようというこういう試みも活発になっているわけでございますが、このような通信事業への新規参入というのはNTTさんの通信料金引き下げの大きなインセンティブとなると期待をされるわけでございます。  その三つについて御所見をお伺いしたいと思います。
  55. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) それでは、まず最初の二点についてお答えをさせていただきたいと存じます。  NTTは十一月から、東京、大阪の一部の地域におきまして月額八千円というインターネットの常時接続料金を導入するということにしておるわけでございます。一般家庭が支払える料金としてはまだ割高ではないかという御指摘でございます。そういった意見も強いわけでございまして、郵政省では、インターネット通信料金に関しまして本年六月に取りまとめられました次世代ネットワーク構想に関する懇談会の報告書におきまして、「二〇〇〇年頃までに、一般家庭が支払い可能な料金水準で」、「定額料金の実現が必要」、また低額という意味も含めての提言を受けておりまして、今後も一般家庭が支払い可能な料金水準の実現に向けて取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。  そういった意味で、NTTに対しましてもさらなる低廉化の努力をお願いしているところでございますし、また他の事業者もより低廉な料金で参入が可能になるように、多様なアクセス系ネットワークの導入促進など、環境の整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。  また、次世代インターネット開発進捗状況でございますけれども、インターネットのさらなる普及を図るためには、通信料金の引き下げに加えましてインフラとしてのインターネットそのものの機能を向上しまして、超高速で安全性、安定性の高い通信への需要が高まってくるものと考えておりまして、この需要に対応できる次世代インターネット開発が不可欠なものというふうに思っているところでございます。  米国におきましては、一九九八年から三年間、毎年一億ドル相当の投資を行いながら政府がこの開発推進しておりまして、NGI計画と呼んで、ネクスト・ジェネレーション・インターネット、こういったようなものにも取り組んでおるわけでございます。  我が国といたしましても、郵政省におきまして次世代インターネットに関する研究開発平成八年から推進中でございまして、現在のバックボーン回線、いわゆるインターネット皆さんの御家庭から接続してプロバイダーへ行ってプロバイダーの先の部分ですが、そのバックボーン回線の現在のものの一千倍以上の速度、数百ギガビットという単位でございますが、の回線を実現する超高速ルーターといいましょうか、交換機のようなものでございますが、この超高速ルーターの開発。あるいは、スピードが高まっても信頼性が出てこなきゃ困る。すなわち、アクセスしたホームページがこれは何か詐欺まがいのものではないかとかいろんな疑いが出てくると発展を阻害しますので、そういった成り済ましホームページからの被害を防止するための、ホームページが正しいか間違っているか、本物かにせものか、これを証明するような技術開発、こういったものも行い、また同時に、電子認証といったような形で、私は本物、本人でありますということを証明できるような電子上の印鑑証明のようなものですが、こういった技術開発等を行っているところでございます。  また、平成十二年度におきましては、こういった開発を総理のかけ声のもとに、ミレニアムプロジェクトの一環といたしまして約八十億円を要求いたしております。新たな研究開発項目を追加するなど内容を充実して、さらなる積極的な取り組みをしてまいりたいと考えております。  このような取り組みを通じまして、諸外国におくれることなく、超高速で安全、信頼性の高い次世代インターネットの早期実現を図ってまいりたいと考えますので、どうぞ委員にも御協力のほどお願いを申し上げる次第でございます。
  56. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 三点目は、いろいろな事業者の通信事業への新規参入はNTTの通信料金引き下げへのインセンティブになるため期待される、こういう御意見でございましたが、おっしゃるとおりだと思います。  今、CATV事業者が月額五千円から六千円程度の定額制をもう既に実施しておりまして、また、アクセス回線に無線やデジタル加入者線を活用することによって、今までよりも速いスピードのサービスをより安く提供することを計画している事業者も結構多いようでございます。  御指摘のとおり、多様なアクセス回線を用いた通信事業への新規参入はNTTの通信料金引き下げへのインセンティブになると期待しておりますし、郵政省としましても、NTT加入者回線のアンバンドル化など競争を促進する環境を整備することによりまして、何よりも安い定額料金の早期実現を目指してまいりたい、こんなふうに思っているところでございます。
  57. 弘友和夫

    弘友和夫君 後で長期増分方式のことをやろうと思っておりましたけれども、多分できないと思いますので、ここで一言述べさせていただきたいんです。  我々の立場、国民の立場からいったら、インターネット接続料金とか携帯電話等も要するに安くしてもらいたいという、安くなることによって普及が促進されるという部分もあるわけです。もう一つは、先ほど内藤先生が言われたような、では果たしてどんとそれを一気にNTTに押しつけて、それが立ち行かなくなったらこれは大変なことになるという、その兼ね合いがあると思うんですね。  ですから、そこら辺はやはり政府としてきちっとした考え方を持っていただいて、私は先日も携帯電話のいろいろ会社の意見も聞かせていただいたんですけれども、もう二年か三年か置きに何千億という投資をして、それが全部パアになって次の新しい投資をしないといけない、そういう競争をどんどん強いられる。それは何によってやっているのかというのは、着信音がメロディーになるとか、何かそういうことで全部かえないといけないとか、そんなことでせっかくの何千億の設備投資というのがだめになるような、そういう競争ではやっぱり枝葉末節じゃないかな、本質的な競争というのをぜひ促進するような形で持っていっていただきたいなということで、とにかく通話料金の引き下げということが即国民生活にとって大事なことでございますので、ぜひ努力していただきたい。  次に、学校インターネットの普及、先ほどの経済新生対策のもう一つの柱である学校インターネット、これは情報リテラシーの向上ということで学校の環境整備に取り組んでおられるということでございますけれども、米国は二〇〇〇年までにすべての学校、教室をインターネットで接続する計画だと。公立学校のインターネット普及率というのはもう八九%になっている。日本は三五・六%、これは二分の一以下の水準であるということですね。  ことしの九月から学校インターネット接続回線の高度化実験というのが開始されて、全国三十地域、千五十校の小中高等学校にインターネットが導入されているわけですけれども、それの実施状況、またその効果。私の印象では、こういう速度ではもう追いつかないんじゃないか、もっと積極的にやるべきじゃないかという部分がございますので、それに対する御所見。  それからまとめて、そうしたハード面整備だけではなくて、児童生徒に操作方法を教えるとか、またせっかく導入されても現実問題教師が指導できないという部分が非常にある、そういう教師のリテラシー向上というソフト面充実を図る必要があるんじゃないかということ。  それからもう一つは、今学校で、これは文部省とも関係がございますけれども、野田郵政大臣のときに六割引きといった料金を設定されている。ところが、アメリカでは最大九割まで補助をする制度がある。現実にいろいろ学校へ行って聞いてみましたら、その学校には電話が一本しかないのでというような現状もいっぱいあるわけですよ。ではどうしてそこからインターネットに接続するのかとかいう、ただ導入するだけじゃなくて、そういう周辺整備もしていかないとこれは普及しないわけですから、そういうものを含めて御答弁をお願いしたい。
  58. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 今御指摘のようにハード、ソフト、まさに車の両輪のようにやっていかなきゃいけないと思っているんですが、とにかく二十一世紀は、子供や孫たち時代のことを考えますと、世界の流れがまさにインターネット一色に情報通信はなっていくだろうということを考えますと、やっぱり教育の中で子供や孫たち時代におくれをとらせてはならないという思いの中から、コンピューターの校内LANあるいは通信回線等ハード面のみならず、教員の情報リテラシー、サポート体制、教育用コンテンツ等、ソフト面整備が必要だと思っております。  そういう意味でも、文部省、郵政省、通産省が共同で教育の情報化プロジェクトを予算の中におきましても提案をしたところでございますので、そういう思いに立ちながらハード、ソフト両面をこれから頑張っていきたいと思っております。  学校向けのインターネット通信料金の引き下げにつきましては、昨年九月に野田郵政大臣からNTTを初めとした関係事業者に要請した結果、NTTにおきましてことし九月から全国四万三千校を対象に学校向け特別割引料金が導入をされているところでございます。  しかし、御指摘のように、それでもなかなか地方自治体は大変だ、何とかもう少し低廉な方向はないかというような声もあるやに聞いておりますので、いろんな意味でのインターネットへの高速接続、今は全国千五十校でございますが、これらもさらにふやしていく中におきまして、単に一本二本というんじゃなくて、すべての学校で何回線ものインターネットが教育の中で取り計られていくように、またそのコストの問題もこれから文部省と私どもよく検討しながら、御期待に沿えるかどうかは別といたしましても、我々努力をするのは当然だと思っているところでございます。
  59. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) ただいま大臣が答弁させていただきましたことに加えまして、二〇〇五年を目安に全校を高速のインターネット回線で結ぶということを目標といたしております。  そのためには幾つか克服しなきゃいけない課題があるわけでございまして、現在、一・五メガビット・パー・セカンドというんですか、一秒間に一・五メガのスピードで接続する回線をやっておるわけですが、学校ですから教室で授業をやっておりますと、全員が一斉にエンターキーを押して同時にアクセスが起こるというようなことがあります。これは一般の家庭では余り起こらないことでございますので、この場合にどのようにしてそれをさばいていくかというような技術とか、それからいろんなアクセスが同時にふくそうしてきたときにそれをさばくためには、今学校に接続されている回線の種類、これは衛星回線を使ってみたりあるいはISDN回線を使ってみたりいろいろなものを今駆使しているわけですが、そういったものの相互間でうまく親和性がとれているかとか、いろんな実験を今やっております。  その意味で、今生徒さんには、主にホームページをつくってみたり、あるいはホームページにアクセスをしてみたり、あるいはEメールを発信してみたりということを基本的にやっているわけですが、これから教育の資料となるものを動画でやりとりするような技術もやはり早く開発をした方がいい、こういうようなこともありまして、そのために来年度の予算要求におきましては二十五地域におきまして六百校さらに追加して、こういった実験も重ね合わせて、現在の千五十校に加えて幅広い実験をして、高速アクセスが達成されたときには十分な教育環境が整うような、そういう方面で今努力を重ねているところでございます。  また、あとこれ以外にも、学校内のそれぞれのコンピューターをやはりLAN、ローカルのネットワークで結んでいく、こういうことも必要だと思っておりますので、そういった技術もあわせて研究をしながら十分な体制をとっていきたいと思っております。
  60. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  61. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) ただいまから交通情報通信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  62. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  まず、郵政三事業のあり方について大臣にお伺いをいたします。  大臣は、昨年出版いたしました「わが人生福祉論」の中で、情報化社会もとでの町の情報基点としての全国二万四千に上る郵便局ネットワークの存在の大きさについて触れておられます。同時に、その事業のあり方については、「存在だけの議論であったが、建設的な将来ビジョンも含めた議論とすべきであろう。」と述べるだけで、民営化攻撃に対する態度を明らかにされていないというふうに思うんです。  我が党は、国民共有の財産としての郵便局ネットワークを初め、国民のユニバーサルサービスを守り抜く立場から、郵政三事業の民営化には断固反対でございます。前郵政大臣にも、この委員会の場で何度も、民営化については検討の対象にしない、こういう答弁をいただいてまいりました。中央省庁等改革基本法第三十三条六号では、「民営化等の見直しは行わない」と明記されております。  大臣、この立場を引き継ぐかどうか、この点についてまずお伺いをいたします。
  63. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 割合一致しない点が多いんですが、その分野は本当に一致をしているところだと思います。郵政事業につきましては、昨年六月に成立した中央省庁等改革基本法におきまして、企画立案部門と実施部門を分離して、実施部門は郵政事業庁とした上で、さらにこれを、三事業一体を維持しつつ国営の新たな公社に移行することとされております。  一方、先生御指摘のとおり、「民営化等の見直しは行わない」とこれは明記されているところでございますから、将来的な見直しはしないものと、このように私も考えておりました。  いずれにいたしましても、郵政事業は国民の支持、信頼の上に立って初めて成り立つ事業でございますし、全国二万四千七百はまさに私たち暮らしにとっての大きな財産であり資本だ、こういう思いがいたしますので、良質なサービスの提供が何より重要であると思いますし、そういう意味でも、今後とも国営三事業一体の郵便局サービスの一層の改善、そしてまた向上等を通じて国民利用者の支持、理解を得るべく一生懸命努めてまいりたい、このように思っているところでございます。
  64. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ところが、八代大臣みずからこの郵政三事業、郵便局あり方が問われるような発言をされている。きょうはこのことを一つお伺いしたいと思うんです。  あなたは十一月十日の夜、東京都内で開かれた自民党衆議院議員の資金集めパーティーで来賓としてあいさつをされました。その中で、私は郵政大臣でございますから、などと切り出した上で、何たって二万四千七百の郵便局というものが自由民主党にとってかけがえのない後援団体でもございますので、これから選挙に向かっては郵政行政と相まって、ここでその議員名を挙げて、○○さんのために頑張らなければならない、こんな思いでございますと、こう述べられました。  全国郵便局を自民党のかけがえのない後援団体と言い切り、自民党議員のために郵政行政と相まって頑張らなければならないなどというのは、行政の私物化であり、郵政大臣としての地位利用そのものではないですか。
  65. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 原稿がなくていろんなところでいろんな発言をいたしますけれども、いずれにいたしましても郵政三事業というものをしっかり守っていく、これは当然のことでございますし、また、そこの全体の流れが、今御指摘をいただいたことに別に反論するわけじゃありませんけれども、一方その○○さんの今後のことを思えば、全面的に私自身も含めて御協力をするというのは、言ってみればそういう政治家の集まりのリップサービスの中では当然出てくる発言だろうと思いますし、脈絡がどういうふうになって、前後のところがよくわかりませんけれども、そういう思いでおるところでございます。決して私物化というような思いで発言したのではございません。
  66. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 リップサービスということではやっぱり困ると思うんですね。  郵政三事業というのは、民営化攻撃から本当にこれは守ると、それはやっぱり国民の支持があればこその話だと思います。郵便局を自民党の後援団体などといささかでも考えるならばこれは国民は支持しないということですから、どうかこの点を厳しく受けとめてぜひ職務に当たっていただきたい。  次に、NTT問題についてお伺いをいたします。  本年七月一日からNTTが持ち株会社と三社に分割をされました。私はこの問題を本年三月九日当委員会で取り上げて、前郵政大臣は、一つ、東西料金格差はつけない、二つ、現行のサービス水準は維持する、三つ、現行の職員の雇用は継承する、この三つのことを守る旨を答弁されました。これはNTTの社長も約束をしてきたことであります。  まず、基本的な立場をお伺いいたしますが、八代大臣も、堀之内元大臣野田大臣の立場を引き継ぐということでよろしいですね。
  67. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 私は、NTTの再編成を契機としまして、一方の地域会社において料金の値上げが行われるなど、料金水準が現在よりも悪化する形で東西格差が生じることや、サービス水準が全体として低下することがあってはならないと考えており、これは歴代の郵政大臣も同様のお考えだったと理解いたしております。  また、NTT社員の雇用及び労働条件につきましては、基本的にはNTTにおいて検討されるべき問題でございますけれども、今回の再編成に当たって、社員が持ち株会社または事業会社に所属して、事業会社への移行の際には営業譲渡という形で現行の労働条件が受け継がれたものと理解をいたしております。そんなふうな状況だと思います。
  68. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ところが、この約束に反する重大な事態が報道されてまいりました。  一つは、基本料金の値上げという問題であります。  九月二十日に電気通信審議会への郵政省長期増分費用モデル研究会報告、これが出されております。このNTT接続料の新しい算定方式によりますと、東西地域会社の市内回線接続料金を現行水準から最大四一・一%引き下げた場合、これはケースBの場合ですね、この場合に、接続費用の一部を加入者が支払っている基本料金に転嫁するために基本料金が月額約三百円引き上げになると。  これは、現行サービス水準は維持するとしたNTTや郵政省の約束をほごにするということではないですか。
  69. 八代英太

    国務大臣八代英太君) まず、NTTのいわゆる再編成実施計画との関係についてなんですが、NTTは、再編成実施計画におきまして、料金を含むサービス水準を全体として低下させないこととしているんですが、これは再編成時において現行のサービス水準を維持するとしたものだと私は思っております。  ところで、委員御指摘の長期増分費用モデルケース、これは巷間言われるBについてでありますが、このケースBによりますと、大幅な接続料金の引き下げが可能となる一方で、国民利用者の基本料金が、今三百円という数字が出ましたが、引き上げられるおそれも指摘されているところでございます。  このようなことから、郵政省としては、電気通信審議会に十分な検討をお願いして、国民利用者の立場に立って適切な判断をしていかなければならないということでございますので、そういう方向の審議がなされるだろう、このように期待しているところでございます。
  70. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 先ほども議論があったわけですが、この背景アメリカの圧力があるということは明瞭だと思います。  一九九九年十月六日付で出された「規制改革要望書 日本における規制撤廃、競争政策、透明性及びその他の政府慣行に関する日本政府への米国政府要望書」というのがここにございます。私は、こういうものが全国会議員に配られるということ自身に驚いたわけですけれども、この中身を見て一層驚きました。  この中には、十に分類した三十九分野、総数三百項目に及ぶ内政にかかわる具体的な要望が書き込まれております。そして、そのトップに来ているのが電気通信分野の規制緩和ということであります。  内容は、「電気通信問題に対する日本の規制上の取り組みに抜本的な変化が近々起こらない限りは、こうした外資系企業は、日本に投資したり、革新的な技術を導入したりする自らの力量に制限を受け続けることになるだろう。」、こういうことを言って、外資系企業、つまりアメリカ企業の日本進出のために日本通信ビッグバンに着手することを強く求めております。  そして、相互接続については、「二〇〇〇年四月一日をもって、郵政省は、すべての関係する経済原則を反映した長期増分費用モデルをもとにした料金設定を使って、NTTの相互接続料金を完全に競争的な市場での相互接続料金と同等レベルまでできるだけ下げるという第二回共同現状報告での約束を実行すべきである。」と。まことに高圧的なものであります。  九月二十日の新算定方式に対しても、さらにアメリカ政府意見書を提出しております。NTTの会計費用をもっと削減せよ、ユニバーサルサービスの費用は計算に入れるなと、本当にもう言いたい放題です。そして、これらの文書で繰り返し出てくるのが、九八年五月、規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアチブ、共同現状報告での誓約を守る気があるのかと、こういう殺し文句であります。  大臣、このような圧力、外圧に屈してユニバーサルサービスを切り捨てたり基本料金を値上げするなどということは、NTT等に関する法律第三条に定めたユニバーサルサービスの確保、あるいは電気通信事業法第一条の「目的」、利用者利益の擁護、国民の利便の確保、公共の福祉の増進、こういう精神に真っ向から反するのではないですか。
  71. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 私が小渕内閣郵政大臣を拝命しましたのが十月五日、十月六日に、就任早々でございましたが、アメリカ政府から日本政府に対して新たな規制改革要望書が提示されたんですね。  規制改革要望書というのはそのほかいろいろ羅列的にあるんですが、今おっしゃるように電気通信分野では、一つは支配的事業者に対する規制の強化、支配的事業者とは随分高圧的な言葉だなと思ったら、これがNTTを指しているということなんですね、これに対する規制の強化。二つ目が接続料の引き下げ。三つ目が線路敷設権の改善などが含まれているわけです。  これまでの継続案件が中心のようだということで、このことはキャッチボールで、こちらからもアメリカに言うべきことは言いながら、またアメリカからもそれに対する反論、またこちらからも反論という形で今事務レベルでは折衝をしているんですが、そうして米国の具体的要望を伺った上で今後は対応していくということが基本的になっているんです。  そこで、郵政省としては、こういう声も踏まえて、電気通信分野における規制改革ということでございますから、今もおっしゃったようなユニバーサル、また消費者への料金の転嫁とかいろいろなことを、また東西のNTTの経営の問題とかという基本的なキーポイントを押さえながら、今後審議会での御審議も踏まえて私たちはこれから、閣議決定されたという経過もございますので最終的にはそれを集約していかなければならないんですが、決してそういうものに屈したとかそれに言いなりになっているとかということではないことだけはぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  72. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 現行のサービス水準は守るという約束があるわけですから、ほごにすることは絶対許されないということを指摘しておきたいと思います。  二つ目は、NTT職員の二万人削減という問題であります。  さきの政府保有NTT株の第五次放出に伴ってNTTが作成した株式売出目論見書の訂正書類、これを見ますと、東西の地域通信、長距離、国際、携帯電話などグループ全体で現在約二十二万四千人に達する従業員を二〇〇三年三月には二十万人強まで削減する、実に二万人以上の人員削減計画を明らかにしています。  昨年十月一日の衆議院逓信委員会で、我が党の矢島委員が、分割再編によって社員の雇用というのは確保されると理解していいか、在籍出向の社員も含めて答えよとただしたのに対して、NTTは、「労働契約も承継しますし、労働条件も現行のものを引き継いでいきたい」とはっきり答えております。  今回の二万人の人員削減計画はこの約束をほごにするということではないのか。ましてや現在、雇用情勢は極めて厳しい深刻さを増しております。政府自身、雇用の確保に全力を挙げるということではなかったのか。  郵政省はこのような計画に対して変更を指導いたしましたか。
  73. 八代英太

    国務大臣八代英太君) NTTにおいて経営効率化のための計画を策定中であると聞いておりますけれども、今おっしゃったような二万人削減というような数字が報道ではなされているということでございますが、その具体的な内容については私のところはまだ承知いたしておりません。  なお、再編成後の社員の雇用につきましては、基本的には労使間において検討されるべき問題でございますし、労使間での話し合いの中でそういう問題は適切に対応されていくということを私は期待しているところでございます。
  74. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 全く放置しているということではないかと思うんです。それならば私、言わせていただきたい。  政府は、今回の二万人削減計画をゆゆしき事態と受けとめているのではなく、むしろ歓迎しているのではないか。今、企業が人減らし計画を発表いたしますとその企業の株が上がるという経済の異常な退廃現象が生まれております。  トヨタ会長の奥田日経連会長も、現在の我が国では従業員の首を切ることがもてはやされるおかしな風潮がある、リストラ、経営のダウンサイジングと称して従業員の首を切れば株価が上がる、しかもやめさせる社員の人数が多ければ多いほど株価も高くなるといった経済学の教科書にもないような奇妙な法則も唱えられると指摘をしております。  私が指摘したいのは、今回の発表が株式売出目論見書の訂正書類であったこと、そしてその売り出しというのは政府保有NTT株の第五次売却であったことです。この売却益の全額は、金融機関の破綻処理向けとして預金保険機構に交付した七兆円の交付国債の償還財源に充てられることになります。政府は一円でも高く売りたかったはずです。そして事実、売却価格は百六十六万円、前回の二倍という高値で売り出されている。銀行の不始末の穴埋めに注ぎ込む借金の返済をふやすためにNTT労働者二万人の首切りを容認しようというんですか。余りにもひどいじゃありませんか、いかがですか。
  75. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 奥深く想像を張りめぐらされての御意見だというふうにも思いますけれども、いずれにいたしましても、これはいろいろな意味におきまして労使間の話し合いを待つというのが基本的な考え方でございます。  NTTが経営改善のための計画を検討しておるということは承知しておりますし、それからまた、第五次NTT株の売却にかかわる株式売出の目論見書なんかに盛り込んだことも私もかいつまんで承知しているんですが、その詳細については私がどうこう、それが背景でどうあるとかいうことは全く承知はいたしておりません。また、NTTはこの計画につきまして労働組合と今後さらに議論をしていくといたしておりますし、具体的内容について私がコメントすべきではないというような思いがいたします。  一般論で言いますと、郵政省としては、インターネットや携帯電話の普及など、電気通信分野の大きな変化に伴ってNTTを取り巻く環境が厳しくなっている中で、NTTが適正かつ効率的な経営に計画的に取り組むということであるとするならば、それはまた時代の流れでもありましょうし、大変重要な課題であると私は考えております。
  76. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 幾ら否定をして、また私の方が深読みだとおっしゃっても、それは株式の売出目論見書でこういう形になってくれば、国民は、またNTTで働く者はそういうふうに感じますよ。これはやっぱり労働者の雇用というものを第一に守るという立場をしっかりと掲げていただきたいと思うんです。  同時に、先ほど指摘したアメリカ政府意見書、この中で実はこのことにも触れられているんです。 「NTTの会計費用には、高騰した人件費、設備費用、減価償却費が含まれています。(人件費のような)経常費用は市場に基づく費用を反映していませんが、これを競争事業者に押しつけるのではなく、削減するのがNTTの責任です。」と、つまりアメリカ筋からも、先ほども外圧ということを言いましたけれども、削減せよ削減せよという声が上がっている、このことも指摘をしておきたい。  こういう外圧に決して屈することのないように、しっかりと雇用労働条件を守っていただきたいというふうに、これはもう時間がありませんので、私の方から指摘をしておきます。  次に、あなた方の足元、郵政職員の問題についてお伺いをいたします。  郵政大臣は、ノーマライゼーションということを強調されてまいりました。そのことには適切な雇用の機会を保障するということも当然含まれているというふうに思います。公務である郵政三事業においてはその点でも民間経営以上に努力が求められるのは当然だし、法律上も民間以上の比率で障害者を雇用する義務を負っております。  そこで、政府参考人郵政省官房長に二つ確かめておきたいんですが、一つは、郵政省における障害者の法定雇用率と達成状況、二つは、あわせて実際に障害者を雇用するために現場でどのような努力をしているのか、また募集はどのような方法で行っているのか、お答えいただきたいと思います。
  77. 松井浩

    政府参考人松井浩君) 政府参考人に御指名いただきました郵政省官房長の松井でございます。よろしくお願いします。  早速先生の御質問にお答えしたいと思います。  郵政省障害者の雇用率は、平成十一年六月一日現在で二・一一%でございます。障害者の雇用の促進等に関する法律で定められております雇用率が二・一%でございますので、これを上回っております。  それから、郵政省の職員は国家公務員でございます。そのためにどのような努力かということでございますが、国家公務員でございますので、原則として国家公務員採用試験に合格していただく必要がございます。  そうは申しましても、障害者の雇用促進の観点からいろんな工夫をさせていただいております。  具体的に申し上げます。一つは、試験時の配慮でございます。それは、視覚障害者のために文字を大きくする工夫をしております。例えば、B5判の試験用紙をB4判にします。そうしますと二倍になります。そういう形で字が大きくなります。それから、試験の解答時間を二五%延ばすとか、そういう配慮もさせていただいております。  それから、採用時の身体検査時での配慮でございますが、試験合格者につきまして採用時の身体検査等で障害があることが判明した場合につきましても、勤務に支障のない職務への採用を配慮させていただいております。  それから、施設整備の関係でございます。例えば車いすを御使用の障害者が採用された場合には、車いす対応のトイレを設置するとか、それからスロープのバリアフリー化だとか、そういった必要に応じた施設整備をするように配意してございます。  それからもう一点が、採用担当者への指導、啓発でございます。私どものこの問題、人事関係に関します責任部局長は人事部長でございますが、全国障害者の積極的採用についての通達も流しておりますが、あわせて関係法令集の配付だとか、いろんな会議での指導、啓発もさせていただいております。
  78. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 大変結構だというふうに思います。  大臣も常々おっしゃられていることですけれども、障害者もいる社会が温かい社会ということであり、ハンディを負っている方でもその条件に合わせて働くことができる職場であるべきだというふうに私も思います。そのことが健常者も含めて人間らしく働ける職場を公務から民間にも広げていくことにつながると思います。そういう努力を大臣を先頭にぜひさらに強めていただきたいというふうに思います。  そこで、大臣にお伺いするんですが、現に郵政の職場で働く職員の方が何らかの理由で障害者となった場合、健常者並みに働けないからということで職場を失うというようなことは本来あってはならないことだと私は思うんですけれども、これは大臣もそうお考えになられると思うんです。政策ということではなくて、ひとつその理念として御答弁いただきたいと思います。
  79. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 委員御指摘のとおり、職員が在職中に障害者となった場合につきましては、従来から、本人の障害の程度等を考慮しながら引き続き就労可能となる適切な職務についていただけるよう当然配慮しなければなりませんし、このことは別に郵政省に限らずすべての公共機関でも同じように、またすべての事業者も同じ感覚を持ってもらうというのが障害者に関する雇用促進法の一つの精神だろうと、このように思っております。  そしてまた、たとえ途中で障害を持っても、障害を克服して、そしてまたタックスペイヤーになるという自覚を持って自立を目指していただく、頑張ってほしいという思いは全く同じでございます。  ちなみに、平成十年六月から平成十一年六月の一年間で新たに郵政省関係で途中で障害者になった、こういう人は三百六十八名いるということでございます。これは、雇用促進法に照らして新規採用の人は十九名でございますので、今までの職員がその中でも三百四十九名となっておりまして、その人が再び障害を克服して現場に復帰されているということと、今官房長が法定雇用率は二・一%だけれどもそれをはるかでもないが超えていると言うので、若干安堵したというところでございます。  引き続き雇用促進には力を入れていきたいと思っております。
  80. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 大変心強い御答弁をいただいたというふうに思います。  しかし、現実にはなかなか、私が今危惧したようなことが起こっているという事実をきょうはひとつ大臣に聞いていただきたい。  それは、外勤の職員が例えばけがをしたとか、そういう理由で集配の仕事をできなくなった場合、座って事務をとることはできても、内勤の職員とは任用の形態が違うということから休職をせざるを得ない、そして休職期間が経過すれば退職に追い込まれる、そういう事態が起きております。  そこで、再度官房長にお伺いするんですけれども、二つお伺いいたします。一つは、外勤職員が傷病等で外回りができない場合、内勤にかわるためにはどのような方法があるか。二つは、また現実にそういう希望がある場合にどう対応しているか。この二つについてお願いいたします。
  81. 松井浩

    政府参考人松井浩君) お答え申し上げます。  外勤職員の方は大体外務職として採用された方でありますが、郵政省の職員の場合に外務職と内務職で採用試験が異なっております。その問題は先ほど申しました試験の問題としてあるわけでございまして、ですから、部内でのいろんな各種の選抜試験だとか、あるいは平成十年度から全国的に実施しております職種変更試験、内務から外務へは試験が要らないんですが、外務から内務にということになりますと職種変更試験に合格する必要がございます。そういう方がその試験に合格されれば外務職から内務職への職種変更を行っております。  それから、先生御指摘の傷病等で外務作業が困難になった場合につきまして、御本人の障害の程度、それから内務職への適性等を勘案してやっているというわけでございまして、平成十年六月二日から十一年六月一日まで、一年間でございますが、傷病等により外務職から内務職に職種変更した人員は三十七名ございます。
  82. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 その変更試験というのはどれぐらいの頻度で行っていますか。
  83. 松井浩

    政府参考人松井浩君) 年間に一回程度というふうに聞いております。
  84. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ここに、ある郵便局の職員から労働組合の幹部のところへ届いた手紙をきょうは持ってまいりました。  新しい総務課長、局長は、先生の言うことを聞いて早く治して出てこいと言います。ただし内務にかわるには試験を受けるしかないと言い、今では試験があるかどうかも言ってくれません。  この職員は公務中の事故で歩けなくなった方です。郵便配達の途中、バイクをとめようとしたとき補助スタンドが突然もとに戻って、バイクの重量がオーバーしていたため足で支え切れずそのまま左足がバイクの下敷きになり、足置きが左太ももに刺さって全く身動きがとれなくなった。五分ぐらいしてようやく起きたが、局に帰ったときにはふくらはぎが二倍にも膨れていたそうです。  治療し、リハビリをしてもいつまでも痛みが続いて、医者にも内勤にかわった方がいいと言われた。しかし、郵便配達が無理なら保険か貯金に行くしかない、もし嫌ならやめるしかないなどと言われて、やむを得ずリハビリと並行しながら保険の外務員の仕事をすることになった。ところが、病院に行くのでさえノルマをこなしてからでないと休みを出してもらえないという中で、無理に無理を重ねながら勤務して、最初の事故から四年目の昨年に再度バイクが転倒し、現在休職中になっております。足のけがが治っていない者を無理にバイクに乗せるようなことをしなければ二度目の事故も起こらなかったのではないかというふうに思うんです。  それから、青森の例というのも私、持ってまいりました。  青森西局のSさん。昨年十二月、配達途中に乗用車と正面衝突。現場検証の結果は相手側が一〇〇%悪かったとのことです。九十五日の入院生活のうち五十日間は寝たきり。本人の努力とリハビリの結果、ことしの十月二十八日には、医師から、病状軽快し就労可能なことを認める、就労に際してはしばらく乗用車の使用が適するとの診断書が出されました。局に行き就労を求めたところ、集配営業課長は、Sさんだけを特定の勤務につけるわけにはいかない、一〇〇%仕事ができるようにならなければ働かせるわけにはいかない、年末でみんなが超勤しているのに自分だけ帰るわけにはいかないだろうなどと言って就労を拒否された、こういう話であります。  八代大臣、こういう職員の実態、どう思われますか。
  85. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 今先生から幾つかの例を御指摘いただいたわけですが、職員が在職中に障害者となった場合につきましては、先ほど申し上げましたように、本人の障害の程度等を考慮しながら必要に応じて、外務職でそのまま外務職としてやれるならそれにこしたことはありませんけれども、あるいは内務職へという希望があるとしたらば、今職種変更試験というお話がありましたけれども、そういうことも一方では勘案はするんだけれども、また別の意味での配慮もつけ加えながらやっぱり今後とも努力をしなきゃならぬというふうに思っております。  それと同時に、何ができないかではなくて、何ができるかという思いに立っていきますと、いろんな職種がまた郵政省の中にもあるわけですから、そういう意味では、別に障害があるとかないとかにかかわらず、その人が障害を持ちつつも、私はこういうことをやりたいということを積極的に申し入れていただいて、それにまた道をつけてあげるのも上司の役目だというふうに思っております。  公務中二度にわたるバイクの事故というのはまことにお気の毒だと思いますし、その方が一日も早くリハビリテーションを積み重ねてもらって職場復帰していただくことを私も祈っておりますし、また何かありましたら調査でも何でもいたしまして努力をしたいと思っております。  いずれにしましても、やはり郵便事業に対する愛情の発露からそういうまた事故を迎えたという思いを持ちますと、そういう方々の心を大切にすることが私のまた立場でもあるというふうに認識しております。
  86. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 大変心強い御答弁だったというふうに思います。  大臣は、一九八〇年一月三十日、参議院本会議での初の代表質問で次のように述べられました。   障害を受けることは、それ自体は必ずしも不幸ではありません。それよりも、障害を受けることによって、ともに学び、ともに働き、そしてともに地域社会に平等に参加することが妨げられている現状こそが不幸なのであります。それは、障害を受けた当の本人の不幸ばかりではありません。そうした社会全体の不幸であります。なぜなら、弱い人々を切り捨てる社会は、弱くもろい社会だからであります。 こうおっしゃられましたが、私もまさにそのとおりだと思います。  郵政省を弱くてもろい職場にしないためにも、ぜひ大臣の指導力を発揮していただいて、こういう職員に柔軟な対応をしていただきたいというふうに思います。ぜひ、そういう方向での御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  87. 八代英太

    国務大臣八代英太君) まさに私は、これからの二十一世紀は郵政省、特に三事業が私たちの身近な福祉拠点にならなければならないという思いになっておりますので、その拠点たるべく、郵便局を含めたネットワーク化の中で、そうした障害を持った人々も働きやすい職場環境をつくることは当然ですけれども、何よりも郵政省の職員がやはり心を心としてこれから取り組むことが最も大切だというふうに思います。一生懸命頑張りたいと思います。
  88. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ありがとうございました。
  89. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社会民主党の渕上でございます。  まずは、我が国における金融全体から見て郵便貯金のあり方の問題、それから二〇〇一年以降の自主運用にかかわる問題について御質問を申し上げます。  九〇年、九一年に発売をされました高金利の定額貯金が満期を迎えるわけでございまして、金融市場の混乱や長期金利の上昇などが懸念されておるわけでございまして、いわゆる郵貯二〇〇〇年問題への対応について、どういう郵政省としての考えを持ち、どういうふうにして対応しようとしておるのか、所見をお伺いいたします。
  90. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 平成十二年、すなわち二〇〇〇年度から、平成十三年、二〇〇一年度に満期となる定額貯金の元利合計金額は、十二年度については約五十八兆円になるんです。それから十三年度につきましては、仮に十二年度と同様の考え方で見込むといたしますと約四十八兆円になります。したがって、両年度合わせて約百六兆円という大きな数字になるわけでございます。  郵便局におきましては、御家庭への訪問等によりまして、お客様に満期貯金のお知らせと国債なども含めて各種商品を御案内する中で、市場金利等の環境変化も予想されることから、お客様のニーズに沿った商品で再び預け入れていただくという方向も模索しながら、お願いを申し上げながら、きめ細かく対応していきたいと考えているところでございます。  なお、このような努力をしても、ある程度の流出はこれはきっと避けられないだろうと思っております。その結果、一部に長期金利が上昇するのではないかという懸念の声もあるわけなんですが、一方では、流出によっても市場における資金の総量が変わらないことから、大きな影響を与えるものではないという、こういう見方も専門家などからも聞いております。  また、例えば払い戻された定額貯金が個人消費に向かっていただきますと、これは我が国の景気に大変いい影響を与えるわけでもございますし、期待できる面もあるんじゃないかというような考え方もございます。  私の母は八十六歳でございますけれども、最近それが満期になるのが楽しみで楽しみで、とにかく自分の居室をこの際思い切ってリフォームしたいということで、早くも設計図なんかに取り組んでいる。こういう形でそうしたものが経済に下支えになっていただくことを私どもは期待するわけです。  このように今後の動向についてはさまざまな見方が当然あると思うんですけれども、なかなか見通しがつきがたいところもあるわけでございますが、郵便貯金としては、金融市場の動向に最大限注意を払いつつ、これに大きな影響を与えないようにするためにも、長年郵便局を御利用いただいた利用者の皆様に極力再預入をお願いしていただけるよう一生懸命努力していきたい、このように思っているところでございます。
  91. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 郵貯の安定化のためにも、極力ひとつ努力してもらうことをお願い申し上げておきたいと思います。  次に、二〇〇〇年のコンピューター問題でございます。  郵貯の二〇〇〇年問題への対応もこれまた大変なことだと思いますけれども、もう残りあとわずかになってまいりました。六十日を切ることになりましたが、局での対応は万全なのかどうか、お伺いをいたします。  なお、郵政省が所管をいたします通信分野においてはとりわけトラブルの発生可能が高いと考えられますが、インターネットを初めとして情報通信ネットワークでの対応はどうなっておるのでございましょうか。また、利用者に被害が生じた場合、国の賠償といいましょうか責任といいましょうか、これらの見解についてお伺いしておきます。
  92. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) ただいまの郵貯の満期問題も大変重要な問題でございますが、同時に、委員御指摘のように、コンピューターの二〇〇〇年問題、いわゆるイヤー・ツー・サウザンド、略してY2Kというふうによく呼ばれておりますが、プログラム上、年数表記を九八、九九そして二〇〇〇年をゼロゼロとあらわしたときに、それが二〇〇〇年と理解されるのかあるいは一九〇〇年と理解されるのか、この辺にコンピューターが誤作動するのではないかという問題でございます。  この点につきまして、情報通信分野はいわゆるコンピューター二〇〇〇年問題におきましても民間の重要分野の一つであるというふうに認識をされておりまして、郵政省といたしましては、これまでに電気通信・放送事業者及び業界団体と一体となりましてこのコンピューター二〇〇〇年問題に取り組んでまいりました。  具体的には、電気通信・放送事業者に対しまして重要システムに関する模擬テスト、すなわちあたかも二〇〇〇年一月一日になったように日にちを模擬的に入れてしまうわけでございますが、これによってどのような作動をするかというテストを、これを早期から実施いたしまして、危機管理計画の策定をするように通信事業者、放送事業者に対しても要請をし、やってまいりました。その結果、十一月以降に設備を更改するというふうになっている、そういう計画のあるところもありますが、これらを除きますすべての分野におきまして対応を完了いたしております。  また、現在の課題であります年末年始の危機管理体制、そうはいってももし何か不都合が起こったときにどうするんだ、こういう意味の年末年始の危機管理体制の整備につきましては、本年七月に高度情報通信社会推進本部におきまして決定されました危機管理体制の強化方針に基づきまして進めているところでございます。  具体的な取り組みを申し上げますと、当省と電気通信・放送事業者との間で年末年始において万一の場合の情報連絡が迅速にとれるように、年末年始だからお休みだということじゃ困りますので、連絡体制を整備するとともに、それが円滑に機能することを確認するための情報連絡模擬訓練の実施などを行っているところであります。  またさらに、年末年始におきましては、郵政省におきましても、地方電気通信監理局等を含めまして延べ千数百名が出勤いたしまして万一の事態に的確に対応できる万全の体制をとっておるところでございます。
  93. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 先ほどの会計検査院の指摘内容のことについてお伺いをいたしますが、十一月七日の読売新聞の報道によりますと、郵政省の委託の郵便トラック輸送事業をめぐりまして、「同省OBの天下り先企業とそのグループの企業が、年間事業費約一千億円の約七割を随意契約で独占的に受注していることが六日までの会計検査院の調べで分かった。」とありますけれども、その詳細と、省の対応についてひとつお伺いをいたします。  それからさらに、十一月二日の読売新聞の夕刊では、アルバイト局員の健康保険料を支払っていなかったという報道がなされていますけれども、この詳細についても明らかにされ、省の対応をお伺いしたいと思います。  私は、去る三月十二日の本委員会におきまして、この問題について、郵政ファミリー問題について取り上げまして、そのときに、当時の野田郵政大臣から、疑念を招くようなことがないようにするとのお答えをいただきました。  しかし、今回また改めてこのようなことが指摘されて、疑念を持たれるような状況が発生をしているわけでございまして、非常に残念でなりません。大臣が幾らお答えをしても、まだ何かあるのではないかというふうに疑われても仕方がないというふうに思うわけでございまして、問題はやはり郵政省のOBの問題なのか、こういうことなのかというところをはっきり郵政省として見解を明らかにしていただきたいと思います。
  94. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) 郵便輸送会社の件でございますけれども、過日の新聞報道を引かれましたが、その新聞報道の中におきまして、「会計検査院調べ」というふうに書いてございます。  事実関係を正確に申し上げますと、現在、会計検査院が平成十年度決算の会計検査の一環として郵便物の運送委託のあり方について検査を行っていただいております。まだこの検査は行っております過程でございまして、その過程におきまして当省への照会がございました。  それは、会計検査院は、現在の随意契約による委託を適法とした上で、今後、トラックの運賃料金の規制が事後届け出制などに変更された場合には、郵便物の運送の安定的な運行の確保を最重点としつつも、現在の委託契約のあり方を見直すことが望まれるというふうにしておるわけでございまして、会計検査院のこうした考え方は当省の考え方と基本的には同じ方向でございますので、今後そうした方向で運賃料金制度の変更が実施された場合には、委託契約の見直しについて適切に対処してまいることとしているところでございます。  また次に、いわゆる天下りという御指摘でございますが、いわゆる再就職の問題につきましては、郵便物の運送には郵便に関する専門的な知識が必要とされることから、郵政省の職員であった者がその知識、経験を請われて、退職後郵便物の委託運送を行っている会社に再就職しているものと承知いたしておりまして、いずれも国家公務員法に沿って適正に処理されているものと考えております。  ただ、そうは申し上げましても、役所の出身者が再就職をしている会社との随意契約を担当するというようなことがあっては、やはりこれは一般的な常識からいたしますとあってはならないことでございますので、郵便物の運送の委託に当たりましても、関係者において、そうした厳しい目、御指摘があるという認識を持って職務の厳正なる執行に当たることが肝要と考えているところでございます。  残余の点につきましては、政務次官の方から答弁をさせていただきます。
  95. 前田正

    政務次官前田正君) 先生御指摘の、ゆうメイトの社会保険の加入手続が適正になされていないこと、この間、読売新聞に報道されたわけでございますが、これまで非常勤職員への社会保険の適用については適正に処理するように指導を実は重ねてまいりました。しかし、残念ながら一部の郵便局社会保険料の未納の事件が発生したこと、実は承知をいたしておるところでございます。  実は、雇用期間が二カ月以上のゆうメイトで、一日六時間以上、一カ月十六日以上勤務している者については社会保険に加入するよう指導してきたところでございますが、何せ郵便の量というものが日々いろいろと変わるわけでございまして、たまには残業を強いられることもございましたりして、なかなかその辺の指導が徹底されていなかったこと、大変申しわけなく思っております。  これからも私ども指導を徹底し、事実についてもこれを真摯に受けとめ、なお一層これからも努力してまいりたい、かように思っております。
  96. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 できる限りそういう事務的なことは指摘されないように、今後ひとつ注意してやっていただきたいと思います。  次に、テレビ電話の整備の問題でありますが、これは私は長年ずっと言っていることでございますので、今度新しくなりました八代郵政大臣、頑張ってこれは努力していただきたいと期待を込めて質問を申し上げておきたいと思うのであります。  テレビ電話の設置については改めてお伺いすることになるわけでございますけれども、まず初めに、政府が先日発表いたしました経済新生対策の中に地域情報化を挙げているわけでございまして、その具体的な施策の内容と目標についてまずはお尋ねをしておきたいと思います。  社民党といたしましては、当面六百万世帯に対する電話網の整備を進めるべきと何回も提言をしてきたところでありますが、高齢化社会に伴って、高齢者も容易にその操作ができるようなテレビ電話やケーブルテレビなどのネットワークを自治体内の各世帯で結んで各行政サービス利用できるようにしてはいかがかというふうに思っておるところでございます。  これらの構想につきましては、地域の過疎だけではなくて、福祉過疎といいましょうか、必ずしも過疎地帯だけがというふうに限定せず、福祉の過疎という視点からもひとつ考えていただいて、情報過疎を解消するためにひとつ努力をしていただきたいと思うのでございますけれども、大臣の御所見はいかがでございましょうか。
  97. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 以前からテレビ電話網整備というのは渕上先生初め御指摘をいただいておりまして、郵政省としましてもこれまでいろいろと努力はいたしてまいりました。  平成十一年におきましては、自治体ネットワーク施設整備事業等の地方公共団体に対する補助事業におきまして、公共機関に設置する双方向性の画像伝送装置を補助対象としております。実際に、センター施設及び公共機関のテレビ電話につきましては郵政省の補助事業で整備しているというのが現状でございまして、一般家庭のテレビ電話について、NTTから実験として貸与を受けて保健とかあるいは福祉情報提供・相談システムを中にはやっているところがございます。例えば、福島県の葛尾村では一昨年、自治体ネットワーク施設整備事業という形で御申請をいただいた経緯等々がございます。  一般家庭におけるテレビ電話の状況、配備ということに対しまして郵政省が支援することにつきましては、いろいろな実は問題点があると同時に、今もう日進月歩で携帯電話も画像化するというような研究が一方では進んでいるというような状況もこれあったりいたしまして、郵政省が支援可能な補助事業の一環として、今のところは公共機関への配備についてできる限り支援をしていく。例えば、老人ホームとかあるいは障害者施設とかといったところと社協を結ぶとか、あるいは自治体を結ぶとかというような、そういう個別のことの政策では一つの公共機関のテレビ電話の活用というやり方でありますが、今は分解写真のような状況でございますから余り鮮明に画像も出ていない。しかし、今はもう千倍、一万倍という新しい時代に入っていきますと、高速化されていきますと、全く鮮明にきれいにそれが映っていくという状況がもう目の前、二十一世紀の目の前に来ておるだけに、なかなかその辺の兼ね合いも含めて、御指摘に十分お答えできないことを申しわけなく思っている次第でございます。しかし、一生懸命努力はしていきたいと思っています。
  98. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) 今回の経済新生対策の中での郵政省の分野についての御質問がございましたが、経済新生対策は、経済を本格的な回復軌道につなげていくとともに、二十一世紀の新たな発展基盤を築く観点からいたしまして決定をされたものでございます。情報化推進はその中の主要な分野と認識をしておりまして、このために郵政省の所管である情報通信分野の記述につきまして対策の全般にわたって多数盛り込まれておりますので、これを推進してまいりたいと考えております。  例えば、基幹ネットワークインフラの整備情報通信ネットワークの高速・大容量化、また情報化の飛躍的推進、また教育の情報化地域情報化、今御指摘のありました地域情報化等もこの中に入っているわけでございまして、こういった経済新生対策の中での主要な分野を含みます郵政関係の推進に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  99. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後の質問にしますけれども、高齢者福祉定期貯金制度がございますね。これの期限が今年度で切れるのじゃないかというふうに、ちょっと私の記憶違いであれば訂正していただきたいんですが、これらの問題について、やめることなくなお継続をしてもらいたいと考えるのでありますが、いかがでございましょうか。
  100. 八代英太

    国務大臣八代英太君) おっしゃるとおり、平成四年八月から七回にわたり延長延長延長という形でまいりまして、来年、平成十二年、二〇〇〇年二月末まででこの取り扱いをまた決めなければならないということでございますが、これは今後の経済情勢や金利の動向を踏まえながら、来年の一月から二月の間ぐらいに取り扱いを決めなきゃならぬ、こんなふうに思っているんです。  このような預金者の方々には、低金利時代とはいえ何らかの形で対応が必要な状況は以前と変わっていないし、もう少しそこだけでも金利を高くという思いがないわけじゃありませんので、委員御指摘のとおり、存続に向けて私は努力をしていきたい、こんなふうに思っているところでございます。
  101. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 頑張ってください。よろしく頼みます。  終わります。
  102. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本でございます。私も高度情報化社会に関します質問を準備いたしましたのでさせていただきますが、朝からこの問題については将来どうなるかというようなことも含めて大分質問が出ております。私は、その中でちょっと切り口を私なりに変えさせていただきまして、地方の立場からということで質問をさせていただきたい。  と申しますのは、御存じのとおり地方分権、来年から具体的に動きますし、その中でいわゆる地方の位置づけというのは大変大きくなったことが一つございますし、私自身、地方行政に携わってきた時間が長かったものですから、地方という配慮からの切り口でひとつ質問をさせていただきたい、このような思いでございます。  高度情報化といいますか情報基盤の整備というのは、私なりに解釈いたしますと、いわゆる都会と地方といいますか、地域格差の是正に大きな働きをするというふうに思っておりますし、それを担当されます郵政省、これは大変真剣にやっていただきたいなと思うわけでございます。  といいますのは、いわゆる地域格差というのは、これを是正するには交通基盤の整備とかいろいろあるわけですが、交通基盤の整備というのは御存じのとおりお金が大変かかる。新幹線をまだ通っていないところに通すだけでも非常な議論が沸くところでございまして、これはお金があればいいんですが、ないと大変な問題でございます。お金が全然かからないというわけでもございませんけれども、そういう面で情報基盤の整備というのはそれよりも手軽にできるんじゃないか、それでいて格差が狭まるという面があるというふうに地方では理解しているところが大変多いわけでございまして、交通基盤に乗りおくれたところは、ぜひこの情報基盤に乗りおくれまいと、そんな気持ちがございます。  これは昨年、野田郵政大臣のときにも質問させていただいたんですが、そういう意味から、いわゆるこれから高度情報化社会ということでいろんな意味で機器も発達するでしょうし、ソフトについてもいろいろ発達するでしょうと思いますが、そうしますと、いわゆる地方と都市との関係が今までと全然変わっていくんじゃないか、役割分担も随分変わっていくんじゃないか。  そういうような中で、郵政行政を担当される大臣として、地方の姿というものにどういうイメージを持っておられるか、あるいは地方の位置づけといいますか、そういうものをどういうふうに思っておられるのか。  ある意味では、私の意見を申し上げると、いわゆる一極集中が地方分散されるという意味では、非常に日本の大きな国土を有効に使うという意味からでも大変いいものだと思うんですが、その辺は郵政行政を担当される大臣の心がけ一つにあるんじゃないかと思いますので、その辺をひとつお話を伺いたいと思っております。
  103. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 確かにおっしゃるとおり新幹線を敷く、これも大切な国土の言ってみれば資本だと思いますし、また道路網を整備するということも大切なんですけれども、しかし、その距離は変わらないんですよね。距離は変わらないし、時間のかかるぐあいというのはそう変わるものじゃない。しかし、これから高度情報通信社会推進ということにおきますと、まさにワンタッチで向こう三軒両隣になるというそういう特性があるものですから、そういう公共事業における国土形成ということも当然必要でありますけれども、そこを下支えするまさに情報通信というものにおける地域格差が生じないようなそういう均衡ある国土の発展、活力ある地域社会の形成というのが実現されることを私たちも願っております。  私、テレビコマーシャルでIBMだったか何だか、砂漠の中に経営者を連れてきて、そしてこんな人もいないところで商売ができるのかと専務がしかりつけたら、いや、ここに十億のお客がいるんです、これですと。ああ、インターネットだねと社長が言った、指さしたのが印象的でして、まさにあれがこれからの新しい時代地域格差を是正していく大きなポイントだろうというふうに私自身、幼稚ではありますがそんなふうに思っているんです。  そこで、このような問題意識のもとに、今後の地域情報化政策のあり方といたしますと、今年五月に次世代地域情報化ビジョン、ICAN21構想と題する答申を電気通信審議会から私どもいただきました。このビジョンでは、地方公共団体が主体的な役割を果たしてみずからの行政サービスの高度化、効率化を図り、高速、大容量、双方向の地域公共ネットワーク整備に取り組む、そしてまた住民サービス充実実現することが大切だという提言がなされているわけです。  郵政省といたしましては、こういうビジョンを踏まえて地域社会の高度化、地域格差の是正にやっぱり地域情報化施策というものを今後もさらにさらに推し進めていくことが大切だという、こういう認識は全く委員と同じ感覚を持っております。
  104. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。そのような認識でぜひ進めていただきたいんですが、それにはやはり具体的にそれに対応できる体制をつくらなきゃいけない。  その一つには、情報基盤そのものの整備、光ファイバー網のネットワークといいますか、そういうものの整備も地方だからといっておくれてはならないということが、都会と同じようにできなきゃいけないということがございます。もう一つ大きな問題で、通信料金の格差ですね、料金格差の解消というのがこれまた非常に大きい。いわゆる工場誘致なんかしたくても、こういう格差がありますとそこで全く差ができちゃって、なかなか地方に誘致できないというようなのが実情でございます。  そういう意味通信料金というのは、去年も質問いたしましたが、確かにNTTの電話料金にしても随分低くなっておりますし、朝から議論が出ておりますインターネットについても随分安くなっているような、あるいはそういう努力もされていると。また、所信表明の中でインターネットの定額化というようなことも言っておられて、これが地域格差の是正かどうかわからないんですが、そういうような努力はされているのはわかるんですが、もし地域格差を早くなくすのであれば、こういうことをひとつ早く具体化していただきたいと私は思うんですが、この辺の取り組みについてお答えをお願いいたします。
  105. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) 委員も大変見識がおありでございまして、おっしゃるとおり、これからの地域社会を担うのはこういう情報通信ネットワーク交通網に加えてそういう役割を果たしていくものだと思っております。  情報通信基盤の整備並びに通信料金のあり方につきましては、地域格差是正に大きな役割を果たすものと認識しております。とりわけ通信料金につきましては、昭和六十年の電気通信制度改革以来、競争事業者の活発な新規参入あるいは規制緩和の進展等によりまして、近距離通信と遠距離通信のいわゆる今おっしゃった料金格差につきましては、昭和六十年当時、大体日本の果てから果てまで、一番遠い部分でとりますと沖縄から北海道という感じになりますか、三分間で四百円ぐらいかかっておったんです。一番遠いところが四百円で近距離のものは三分十円でございますから、言ってみれば四十対一の料金格差があったわけですが、それが今日では、この一番遠いところから遠いところまでが九十円、そしてローカルが十円で変わっておりませんので、そういう意味では九対一に縮小しておりますし、また新たな新規事業者等によりますと、これが七対一に縮小いたしておるわけでございます。  今後におきましても、光ファイバー網の整備をする、あるいは無線を用いた高速の加入者回線の導入、こういったものも今どんどん進んでおりますので、一層の競争が促進されまして、いわゆる通信料金の地域格差も縮小していくことが期待をされるところでございます。  なお、今お話にも出ましたインターネットでございますが、インターネット向けのサービスにおきましても、距離に関係なく全国一律の料金が導入をされておりますし、また定額制、定まった料金ということで一カ月使い放題幾らというような料金体系も導入をされておりますので、ますますこの面が促進をされて地域格差是正に役を果たしていくことと思っております。
  106. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大変御丁寧な御答弁ありがとうございました。  ただ、今政務次官が言われました昭和六十年の四百円が九十円になったというのは、去年の今ごろの質問で御答弁いただいた数字と同じでございまして、そういう意味で一層御努力をしていただきたい。  それと、事業者の創意工夫に頼るというばかりでなく、やはりこういう面ではそういう地域格差というのは国家的な問題、それの解消というのは国家的な問題ですから、そういう意味郵政省の方も積極的にそういう問題に取り組んでいただきたいと思っている次第でございます。  それともう一つは、地方との通信関係で、自動車通信といいますか携帯電話といいますか、いわゆる移動電話、これの通信可能地域がいかに拡大されるかというのが一つの大きな要素だと思います。  都会ですと、これは私がこんなことを言っていいかどうかわかりませんが、いわゆる普通の電話と携帯電話と両方使えるんです。先日、私驚いたのは、公衆電話の前で携帯電話をかけていたというのがありまして、これ何のためにここにあるのかなと。田舎といいますか地方に行きますと携帯電話しか通じないようなところがあるので、非常にもう必需品になっているわけでございまして、したがってそういうところの電話の意味というのは大変大きい。ところが、そういうところはある意味では不採算地域なものですから、なかなか事業者が自主的につけるということがない。  そういうことで、郵政省、いろいろな補助をされていると思うんですが、この辺の現状をどんな認識をされているのか、あるいはこれからどんなようにされるのか、その辺をお話を伺えたらと思います。
  107. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) 今御指摘のように、経済原則にやはりのっとっていかなきゃいけない、しかしどこへ行っても携帯電話が使えるような環境整備もやはりやっていかにゃいかぬ、こんなことで平成三年度から平成十年度までに、過疎地域等におきまして二百三十七カ所でこういった過疎地域に対する対策が実施をされてきておるわけでございます。平成十年度末現在で、市町村の役場周辺、この地域整備をされている地域全国でどのくらいの割合になるかということで比率をとってみますと、もう現在整備率は約九八%に達しておるわけでございまして、二〇〇〇年までに九〇%という目標を立ててやってまいりましたことをかんがみますと、大変前倒しで進んでいるということになっているわけでございます。  郵政省では、携帯電話等の移動通信サービス利用可能な地域拡大するために、こういった過疎地域における移動通信用の鉄塔を整備するための助成事業をやっているところでございまして、平成十一年度、本年におきましては二十三億四千万円の予算を計上したところでございます。  また、今後の移動通信用鉄塔整備事業につきましては、平成十一年、本年五月の携帯・自動車電話サービス地域格差の是正の在り方に関する調査研究会報告書の提言を踏まえまして、従来の市町村役場周辺地域整備に加えまして、新たに市町村役場の支所のあるようなところ、こういった公共施設のあるそういった地域の周辺や、あるいは地場産業の集積地、また観光地等の産業経済上重要な地域、こういった地域もカバーできるように、それを対象として広げまして実施していくものとしております。  これらの新たな対象地域を踏まえて、市町村ベースでの整備率は、平成十年度末現在で、こういった広げた形でいいますと先ほどのものが薄まりますので八五%程度になってくるわけでございます。これを平成十五年度において九五%ぐらいまで上げることを目標としてさらなる努力を進めてまいりたいと存じます。  平成十二年度、来年度の予算要求におきましても、以上の方針のもとに、携帯電話等が利用可能な地域の早期拡大に向けて必要な予算の確保に努めてまいりますので、委員の御支援もお願いを申し上げるところでございます。
  108. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 昨年、私質問いたしましたときに、どうも役場の周辺しかやらないというような傾向がありまして、郵政省方々もそれを変えようということで、私も意見として、そうやって人が集まるようなところがいいんじゃないかということを申し上げて、今の御答弁でそれが反映していただけたのかなとありがたく思っている次第でございます。  それと同時に、どこまでも携帯電話でやれということは、これはおかしい。やはりある一定の限界があると思います。登山している最中に携帯電話で電話ができるのがいいのかどうか、これも一つ大きな問題であろう。私はすべてを望むわけでございません。  そこで、この高度情報化社会について、私はこれは期待している一人でございますが、と同時に、これも昨年御質問させていただいたんですが、一つ心配があるわけでございます。その心配、ある意味ではいわゆる影の部分とよく言われている不正アクセスの問題とかございますけれども、そういうもの以外に、いわゆる今の高度情報システムというのは大体視覚と聴覚に頼ったものではないかと。  情報を二つの感覚でやる、これはこれで悪いわけではないんですけれども、本来、人間が情報伝達をする場合、これは五覚全部使ってやるのが普通じゃないかと。さわって、かいで、味わうところまで行くかどうかわかりませんが、そんなことでやって本当の情報伝達ができるんじゃないかと。皆さん選挙で出られた方々ばっかりですけれども、言うこと話すこと以外に、やっぱり握手することによって本当の情報が伝わるというようなことが言える思うんです。  そういう意味で、高度情報化社会になった場合に、その二覚だけに頼ってほかの感覚が無視されるんじゃないかと。将来、こういうことで本当に人間社会としてきちっとした情報が伝わり、きちっとした方向に行くのかどうかという心配も私はしているのが正直なところでございまして、特に子供の時代からこういう二覚でいいということではなかなかいい人間性が育たないんじゃないかなというような気がいたすんです。  じゃ、これをどうしたらいいかということになりますと、これは郵政省だけの問題じゃない、教育の問題もいろいろあると思いますけれども、これだけ進んだ情報化社会ですから、あらゆる方がそういう認識を持って何らかの対応をしてもらう。卑近な話で言いますと、私などは、やっぱりそうやって二覚でやった以外に、場合によったら時々会って五覚全部を使ったつき合いができるようなそういうシステムをつくるべきじゃないかなというような感じもするんですが、そういう意味大臣、その辺について何か御感想なり御所感ありましたらお願いをいたします。
  109. 八代英太

    国務大臣八代英太君) 今現在の情報通信システムは、パソコン、電話等の機械を通じて、視覚それから聴覚に頼ったものになっているわけでございますが、今委員御指摘のように、五覚全部、触覚、臭覚、味覚なども、これからの技術開発技術力等々、二十一世紀に夢を託すとしたらそういう方向になっていくのかなという感じがいたします。  現実に、画面にさわりながら点字が画面で読めるというようなことも今真剣に研究されています。また、料理が出てきた、そのにおいが部屋の中に、花が咲いた、そのにおいがと。しかし、トイレが映った、部屋じゅうにおいが充満していたたまれなかったと。そういうその後そのにおいは次の画面で消えるのか消えないのかとか、いろいろ問題点はあるにしましても、私は、夢という意味での情報通信時代技術力ということを託していきますと、今委員がおっしゃったようなすべてにわたっていろんなことが考えられるだろうというふうにも思っております。  そういう意味でも、人と人との間のコミュニケーションの仕組みを解き明かして、将来の情報通信システムに応用するための研究とか、あるいはその前に高齢者とか障害者の問題というのがやっぱり大切な部分もあるわけでございますが、そういうものを乗り越えていきながら、これからは子供、高齢者を問わずだれもが情報通信システムを通じて自然にコミュニケーションできるような、そういう夢のある情報通信時代というために郵政省も真剣に取り組んでいきたい、このように思っているところでございます。
  110. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 夢のあるのも結構ですが、そういう開発というのも結構ですが、私の心配は目先のことで、今のままでいいのかというその辺の心配も一つしなくちゃいけないんじゃないのかな、機械が開発される前に何らかの対策が必要なんじゃないか、こう思っております。  あと一分ございますので、これ通告しておかなかったんですけれども、同じ質問政務次官お二人からもしお聞かせ願えたら、この辺の感覚についてお願いをいたします。
  111. 小坂憲次

    政務次官小坂憲次君) 岩本先生、大変にきめ細かく配慮をされて高度情報通信社会地域の問題を考えていらっしゃいますし、また人間と機械とのインターフェース、やりとりというものをよく考えていらっしゃいます。私も、確かに視覚と聴覚だけを使ってやっているのでは十分なコミュニケーションはできないと思います。  そういう意味で、高度情報通信社会におきましても、委員が御指摘のように、交通と相互に補完し合っていくことが必要だ、それがやはり五感を使うことになっていくと思うんです。高度情報通信社会だけで、高度情報通信の分野だけで五感を駆使するということではやはり無理だと思っております。やはり人と人が会って対面の、委員会も、私ども役所におりまして質問をテレビでやりとりする、これではどうもうまくいかないわけでございまして、やはり対面のコミュニケーションというのは必要だ、特に私ども政治家にとってはこれは重要な分野だと思っております。  そういう意味で、いろいろ幅広く考えながら、御指摘の点も踏まえて努力をいたしたいと存じます。よろしくお願いします。
  112. 前田正

    政務次官前田正君) 大変すばらしいお話を聞かせていただいて、私も、本当にこういう情報通信の中で触覚、臭覚、味覚が入ればこれにまさるものはないわけでありまして、ぜひそういうものができればいいなというふうには思っておるわけであります。しかしながら、今、小坂政務次官もおっしゃるように、人との対話というものの情報は御本人に直接会って聞くというのがやっぱり一番大事なことだというふうに思っておりまして、ただ機械だけですべてのものをし、何となく世の中が殺風景で本当に情けない世の中になっていく可能性もあるということからし、これは研究課題としてこれからもいろいろ努力をしてまいる必要があろうかと思っております。
  113. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもありがとうございました。
  114. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 答弁者が交代いたしますのでしばらくお待ちください。  質疑を続行いたします。
  115. 釜本邦茂

    ○釜本邦茂君 自由民主党の釜本邦茂でございます。このたびは、交通情報通信委員会におきましては初めての所属でありまして、初めての質問に立たせていただくことになりました。よろしくお願いいたします。  今回は運輸関係の質問をさせていただきますが、私は、一国民として関心を持っている事項について幾つかお聞きしたいと思っております。  まず、二階大臣政務次官におかれましては、ただいまのお気持ち、昨日打ち上げられたHⅡロケットが失敗に終わったということで大変残念であり無念であり、また当局関係者の皆様のお気持ちをお察しいたします。私自身も非常に残念と思っておるわけでございますが、このロケット八号機は、航空交通容量を増加させるための航空管制機能と、「ひまわり」の後継機としての気象観測機能を持つ運輸多目的衛星を搭載したロケットであると聞いております。失敗に至った経緯と、今後の運輸省の対応についてお聞かせ願いたいと思います。
  116. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 宇宙開発事業団のHⅡロケット八号機による運輸多目的衛星の打ち上げは、打ち上げ後三分五十九秒を経過したところで、まことに残念ながら、第一段エンジンの燃焼の異常停止により予定の飛行経路を外れ、失敗に終わった次第であります。  失敗の原因については、昨日直ちに宇宙開発事業団に設置された事故対策本部等におきまして徹底的な究明が行われることとなるわけでありますが、打ち上げ失敗によりMTSATを失ったことは、私たち運輸省としては非常に残念に思っております。  プロジェクトがスタートしてちょうど十年、そして具体的な政策に取りかかって四年の歳月が経過をいたしております。二百八十九億円の予算をかけて今日まで関係者一同懸命の努力をしてまいったわけでありますが、結果的にはあのような失敗に終わったわけであります。  ロケットで二回、衛星本体で一回が原因で計三回打ち上げを延期しておりますだけに、私も今度こそという思いを込めて、中曽根科学技術庁長官と昨日現地に赴きました。失敗の後、直ちに小渕総理に対し、中曽根長官とともに電話で経過を報告いたしました。総理からは、原因の徹底した究明を急ぐとともに、次回の成功を期すようにとの強い指示がございました。  運輸省としては、航空保安業務及び気象業務においてMTSATは必要不可欠であることから、代替機の調達を早急に開始し、可能な限り早期に、思いを新たにして再打ち上げを実施したいと考えているところであります。  運輸多目的衛星が成功した場合、運用開始後約二十年間の経済効果は七千億円に及ぶと言われております。これに加え、航空機の安全性を確保しながら、自由な飛行ルートの設定により、経済的、効率的な運航が可能となるわけでありまして、管制官等の説明を伺いますと、約三倍の飛行機を運航することができるということが期待されておったわけであります。  目下、既に経済効果についての調査は始めておりますが、できるだけ早い機会に経済効果の調査等も公表いたしまして、国民の皆さんの御理解を得ながら、また委員会の諸先生のお力添えをちょうだいしながら、この問題について改めてチャレンジをしてまいりたいと思っております。
  117. 釜本邦茂

    ○釜本邦茂君 ありがとうございます。一日も早くすばらしい準備をなされて打ち上げていただきたいというように思います。  次に、世間ではミレニアムと騒がれ、カウントダウンも始まったこの問題についてでございます。  一九九〇年もあとわずか五十日ほどとなり、世界的にコンピューター西暦二〇〇〇年問題に対する心配が高まっております。先ほど郵政政務次官小坂先生からもお話がございましたが、特に交通機関は安全確保のためにコンピューターに依存するところが大きいと考えられ、二〇〇〇年問題に適切に対応していかないと、事故等の発生で人命、身体に大きな問題が生じるのではないかと懸念されるところであります。年末年始は特に帰省や旅行等で交通機関を利用する国民も多いと思いますので、航空関係者は二〇〇〇年問題に対する対応をしっかり行っておく必要があると考えます。  そこでお尋ねしますが、コンピューター西暦二〇〇〇年問題に関し、交通機関の安全性に問題はないのでしょうか。
  118. 中馬弘毅

    政務次官(中馬弘毅君) 釜本委員御心配のとおり、千年に一度か百年に一度か知りませんが、コンピューターの一つシステムの中でゼロゼロが別の形に読みかえられることで非常に混乱が起こることを心配されております。  金融等の場合にはもちろん大変な経済混乱が起こりますが、しかし直接人命にかかわってくるのは運輸関係、交通関係でございますから、昨年の九月に政府の行動計画が決定して以来、我々運輸省としましては、少なくとも政府が監視をしておりますコンピューターのプログラムのすべての改修といいますか修正を行いまして、その実施の実験もやっております。それはすべて正常に稼働するということが証明されております。そのほか、運輸事業者、JR、航空会社等に対しましても強力にこれを指導してきておるところでございまして、そちらからも大丈夫だという報告をもらっております。  ただ、海外の方は、相手の国のことですから中まで入って調べることもできません。ですから、そういうことのために一応我々としましては、この年末年始、大抵のことは大丈夫だということの確信は得ておりますが、万が一のことを考えまして、大臣以下私どもも大みそかは泊まり込むつもりでございますから、何か差し入れでももらえたらありがたいと思っております。
  119. 釜本邦茂

    ○釜本邦茂君 安全ということに関して、本当に念には念を入れてやっていただきたいというように思います。  次に、鉄道の問題であります。  安全で安定した輸送サービスの提供というのは本当に鉄道の基本であるというぐあいに思います。特に、新幹線に対する国民の期待は極めて高く、その安全の確保を図っていくことは非常に重要なことと考えます。こうした中で、もう当委員会でもこの問題は出たというように思いますが、JR西日本の山陽新幹線においての福岡トンネルのコンクリート剥落事故、また、北九州トンネルのコンクリート剥落事故と続いて発生した事故は、非常に残念なことであります。また最近、窓ガラスのひび割れ事故が続出しているとも聞いておりますが、私は、鉄道、特に新幹線に対する国民の期待にこたえていくためにも、今回のような事故を二度と繰り返してはならないと確信しております。  大臣は、就任後の記者会見で、冒頭、安全がまず第一である旨御発言されており、安全問題に対する思いは特に強いものと思います。また、こうした考えから、就任後早速、運輸省に事故災害防止安全対策会議を設置されたとも伺っております。今回の事故はまさに鉄道の安全にかかわる問題でありますから、安全対策に熱意を持って取り組まれている大臣の決意をお伺いいたします。
  120. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 釜本議員仰せのとおり、私は就任の際に官邸で、交通分野においては安全が何よりも大切である、安全が第一である旨を申し述べてまいりました。私は、安全で安定した輸送サービスの提供は鉄道の基本的な使命である、同時に、輸送の大動脈である新幹線における安全の確保は何にも増して最優先の課題と認識しておるわけであります。  しかし、残念ながら、それにもかかわらず山陽新幹線等におきまして、さきの福岡トンネルのコンクリート片剥落事故に続きまして、今回の北九州トンネルのコンクリート片の剥落事故等が発生したことは、まことに遺憾に思っておる次第であります。トンネル安全問題検討会等を設けまして、今、委員、学者、専門家皆さんの御意見等を伺い、早急に原因の究明に努めておるところでございますが、早期に結論を出していただくべく、私は先般、各委員方々に書簡を差し上げて、トンネルの安全対策について適正な、そして早急な結論を出していただきたいという旨お願いをしたところでございます。  JRを初め鉄道事業者を厳正に指導監督することは当然のことでありますが、今JRその他のグループの皆さんも関係者が相協力して、延べ四万九千人の人員を総動員して、十一月八日から広島―博多間の一部列車の運転休止による点検作業時間を確保するなど、JR西日本挙げて安全総点検を実施しており、年末の繁忙期に備え、十二月十五日までには完了させるよう指示しておるところであります。  私としては、JR西日本は今回は従来にない総点検の実施を徹底して行っておるわけでありますが、山陽新幹線の安全輸送に対する国民の信頼の回復こそ喫緊の課題であり、私どもはJR各社とともに、運輸省も全力を挙げてこの安全の確立と国民の信頼の回復に努めてまいりたいと考えておるところであります。  さらに、釜本議員からお話がありましたとおり、私は就任後、官邸での会見で安全が一番だということを言っておくだけではなくて、直ちにその日のうちに運輸省の事務次官以下幹部に申し渡しまして、運輸安全戦略会議を設置し、運輸省の事務次官を議長として、マニュアルの遵守状況、法令の遵守体制の総点検、運輸省の事故対応体制の点検、確認を行い、三万七千名に及ぶ運輸省の全職員を総動員して安全の確保に努力をしてまいりたいと決意をいたしておるところであります。
  121. 釜本邦茂

    ○釜本邦茂君 それでは次に、整備新幹線の問題についてお聞きしたいと思います。  全国高速交通体系の根幹を形成し、収支採算性にすぐれ、国土の均衡ある発展と地域の振興を図る上で、整備新幹線は極めて重要な国家的プロジェクトであると思います。この整備新幹線の整備を進めていくに当たっては、公共事業関係費全体に占める割合が現状では一%にも満たない整備新幹線の公共事業関係費をもっと確保していかなければならないのではないかと思います。この公共事業関係費の確保の問題は、私としてはまさしく政治の責任において解決すべき問題であると考えております。  そこで、大臣には整備新幹線の推進に関してはどのような御意見をお持ちでしょうか、お聞きしたいと思います。
  122. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 整備新幹線の整備は、私は、国土の均衡ある発展、そして地域の活性化を図るという観点から、この問題については熱心に今日まで取り組んできた一人でございますが、先般、自自の間におきまして、新幹線問題を改めて取り上げ、三十年かかるか、いつの時代にでき上がるかわからないようなこういう状況ではなくて、もっと具体的にその成果が見えるような形で新幹線問題が進んでいくように、自自の間で努力しようというのが自自合意におけるお互いの誓いでございました。  整備新幹線に関する予算につきましては、当初、公共事業等予備費におきまして、国家的プロジェクトにこれを位置づけまして、委員も御承知のとおり五千億積んでございました。そのうち少なくとも二千億程度は新幹線にというのがお互いに関係者の間では内々の合意を得ておったわけでございますが、何せこれは三月三十一日までに消化をしなければならないという問題もありまして、結果的には六百三十億円の事業費を確保するとともに、補正予算におきましても所要の額を要求しておるところでございまして、既に着工している区間の建設促進に向けて最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。  委員各位におきましても、この新幹線問題につきましては、各党の御協力をいただきながらこの進捗に向けて運輸省としては努力をしてまいりたいと考えております。
  123. 釜本邦茂

    ○釜本邦茂君 余りもう時間はないわけでございますが、最後になりますが、空港問題についてお聞きしたいと思います。  羽田空港は国内の最大拠点空港であり、我が国の国内航空ネットワークのかなめでもあります。来年三月には新B滑走路の完成により発着枠の拡大が可能になると聞いておりますが、具体的にはどのような計画があるのか。二十一世紀の初頭には羽田空港の能力は限界に達するとも聞いておりますが、今後の対応について、羽田空港の再拡張を含めどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  124. 中馬弘毅

    政務次官(中馬弘毅君) 羽田はそれこそ日本の首都東京にあるわけですし、また都心から非常に近いということで、利用者も非常に利便性が高くて五千万人に達しておりますし、また入っていない航空会社からもどんどんと乗り入れたいという希望が殺到いたしております。そういうことを受けまして、沖合展開をやっておりましたけれども、今年度末、三月には新B滑走路が供用開始されるわけでございます。  事実関係だけ申し上げますと、そこの飛行機の離着陸にどれだけの所要時間がかかるか、あるいはまた管制上の問題、環境上の制約等を勘案いたしまして、羽田空港に離発着できる回数の見直しを行っておりますが、具体的には、現在三百二十便の定期便が離発着しておりますけれども、十二年七月から一日当たり三十一便増便できそうだ、そしてまた様子を見ながら二年後の平成十四年七月からは二十六便、合わせて五十七便ふやすことができるようでございます。合計三百七十七便飛べることになるわけでございますが、その後のことにつきましては方針にかかわることですから大臣の方から答弁していただきます。
  125. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 羽田空港の沖合展開が完成いたしましても、国内の航空需要の増加から、二十一世紀初頭には再びその能力の限界に達することが予測されております。したがいまして、首都圏における新たな拠点空港、いわゆる首都圏第三空港については、平成八年度から海上を中心に調査を進めておるわけでありますが、今後この調査の結果を待ってできるだけ早い機会に方針を固めたいというふうに考えております。今、首都圏空港の複数の候補地を選んでその優劣を、比較検討を目指して調査を進めておりますが、一層具体化をすべく調査促進してまいりたいと思っております。  ただ、調査をし、着工という段階に至っても、すぐ使える空港になるまでには相当の年数を必要とするわけでありますから、当分の間、周辺各県の空港等にも御協力をお願いしたいということで、それぞれの県との交渉も進めておるところでございます。  以上です。
  126. 釜本邦茂

    ○釜本邦茂君 ありがとうございました。
  127. 谷林正昭

    谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭と申します。  私もこの委員会に初めて所属させていただきました。富山県出身で、郷土の大先輩であります鹿熊先生もおいでになりますので非常に緊張しておりますし、午前中は自民党の委員さんが余りいなかったのですけれども今は全部そろっておられますので非常に緊張しております。少しお手やわらかにお願いしたいというふうに思います。  先ほどHⅡロケットの話が出まして、悲痛な面持ちできのう会見をされていた大臣のお姿をマスコミの方で拝見しまして、非常に心中察するところがございます。  そういう意味では、繰り返しはいたしませんけれども、二点だけ少し国民の皆さんに安心していただくといいますか気持ちを伝えていただくといいますか、そういうことでお願いしたいのは、MTSATが上がることによってよりきめ細かな気象観測、こういうものが約束をされていたわけでございますし、国民も今じゃもう天気予報というのは、あるいは気象観測というのは生活にはなくてはならないもの、そしてよりもっと正確なものを望んでいたわけでございますので、その気象観測の質が低下するのではないか、こういう心配が出てきているというふうに思います。そこらあたりの心配を払拭できるのか、あるいはこういうところは我慢してもらわなきゃならないというような状況になるのか、ぜひそこらあたりをひとつお聞かせいただきたいというふうに思いますし、先ほどお話がありましたように、航空管制機能への影響、これは今までどおりやればいいんだ、よりよくなるんだという話だったというふうに伺いました。したがってしばらくは我慢していく、こういうようなことになるのかどうか、そこらあたりのぜひ具体的な内容をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  128. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 運輸多目的衛星が成功した場合のことは先ほども釜本委員質問にお答えしたところでありますが、航空保安業務については、航空機の安全性を確保しながら自由な飛行ルートを設定することができる、航空機の効率的な運航が期待され、私も運輸省の事務当局からの説明だけではなくて、直接パイロット等の意見も聞いてみました。今後の飛行に対して、恐らく現行の三倍ぐらいの飛行機を飛ばすことができるということで、我が国の航空界のみならず国際的にも大変貢献することができるのではないかということで期待に胸を膨らませておったところでございます。  なお、油の節約等で二十年間で約七千億円の節約ができるということも言われておるわけでございますが、これらの問題につきましてさらにつぶさに検討して、何がゆえにこの運輸多目的衛星を打ち上げなくてはならないかということを国民の皆さんに御理解いただくように努力をしてまいりたいと思っております。  谷林委員からお話がございましたような気象観測の問題についてでありますが、私もけさほどの閣議におきましてMTSATの打ち上げに失敗したことに対しての御報告を申し上げると同時に、閣議後、特に中曽根科学技術庁長官とともに総理にお目にかかりまして、改めて昨日来の経過を御報告申し上げました。  特に私の方から、今委員御指摘のように、気象観測の問題についてはもう既に国民の皆さんの茶の間までこのことが入っておって、国民の皆さんの生活の中に組み込まれている問題でありまして、衛星の打ち上げに失敗したから今日のような気象観測の情報をお伝えすることができないんだということは、私たち運輸省としてもそういう説明は断じて許されないわけでありまして、私たちは今、現行の「ひまわり」が来年大体耐用年数に達するわけでございますが、幸いにして燃料等はまだ十分ございますので、この燃料を節約して使ってまいりますとあと三年ないし四年ぐらい「ひまわり」の寿命を延ばすことができるのではないかという思いも持っております。  これらにつきましては今後詳細なさらに検討が必要でございますが、いずれにしましても、運輸多目的衛星の打ち上げに失敗したこと、過去には二度にわたってロケットの方がふぐあいであったり、あるいはまた私どもの衛星の方がふぐあいであったというふうなことで、三回今までは失敗しておりましたので、今度こそという意気込みが私どもにあったことは事実でございます。  しかし、そうだからといって、厳しい深い反省の上に立ってこの問題に対処しなければならないことは当然でございますが、ぜひとも国民の皆さんの御理解やあるいは議員諸先生の御理解をちょうだいして我々は再打ち上げにチャレンジをしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  129. 谷林正昭

    谷林正昭君 どうもありがとうございました。  大臣あいさつの中にも、運輸多目的衛星といった新技術を活用した新たな交通体系の実現に向け努力をする、こういうふうに冒頭お聞かせもいただいておりますので、ぜひ関係者の協力のもとに再挑戦を強力に進めていただきたいなというふうに思っております。  そういう意味では、大臣のリーダーシップが今一番問われるというふうに私は思います。ところが、きのう、おとついあるいはこの一週間ぐらいの間に、自自公連立で今政治が進められている、こういうような状況でありますけれども、何か大臣が所属をされております自由党が連立を離脱するというような報道があちらこちらの新聞に実は出てまいっております。  そうなってきますと、今ほど決意も申されましたように、私たちにすれば、国民にすれば、新しい二十一世紀に向かってのそういう政治的リーダーシップが問われておるときに、政党間の話の中でその責任者である大臣が一体どうなるのかというようなことになってきたときに、やはり、朝日新聞の十一月十四日の報道でありますけれども、二階大臣の動向が焦点などというふうに新聞に報道される。そうなってきますと、非常に国民もあるいは運輸関係団体皆さんも、これは一体どうなるのか心配でたまらないというようなことになると思います。  そういうことを含めて、大臣の今のお気持ちを少し聞かせていただきたいなというふうに思います。
  130. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 大変友情を感ずるような御質問をいただきました。先ほど、衆議院の本会議においても同じような意味合いの御質問をちょうだいしてまいりました。  今、記者会見等に参りましても、あるいは訪ねておいでになるマスコミの関係者の皆さんにいたしましても、私は手ぐすねを引いて運輸省の、つまりJRの安全の問題、MTSATの問題等についてお話を申し上げようと思っておっても、お尋ねの趣旨は、ほとんど今おっしゃるような自自公連立の問題について大臣はどうするのかと。  先ほどの衆議院の本会議でも、同じ民主党からの御質問でございましたが、運輸大臣補正予算の閣議決定に当たっては署名しないこともあるのか、介護保険関連の予算が盛り込まれた補正予算案に反対するのか、こういう率直な御質問をちょうだいいたしました。  私は、これは今政府及び自自公の与党の間で合意を目指してそれぞれ努力をされているわけでありますから、必ず決着されるものというふうに信じてその成り行きを見守っておるところであります。補正予算については、今政府で調整をしておる最中でありますから、閣議決定の際にサインをするかしないかとかいうことを今は言及する段階にないものと考えております。  今御質問のポイントは、大臣の政治的スタンスはどうかということであろうと思いますが、私は、自自公連立政権、特に自自連立についても相当頑張って努力した一人でございます。自自公の政権についても少なからぬかかわり合いを持ってまいりました。その自自公連立政権の中における自由党の一国会議員であるということには間違いありません。さらに、同時に私は今日、小渕内閣の一員であります。したがいまして、いかなる事態に直面しようとも、私は政治家として責任ある判断をすることは当然のことだとみずからに言い聞かせております。  したがいまして、先ほどお話がありました運輸行政等について幾つかのことを申し上げておりますが、その責任を全うできるのかということだと思いますが、私は運輸大臣としての重責を果たすべく全力を傾ける決意であることを改めてここに表明しておきたいと思います。  以上です。
  131. 谷林正昭

    谷林正昭君 国民は安心すると思います。  そこで、いよいよ本題に入らせていただきます。  まず大臣の、先ほども釜本委員の方からも御指摘ありましたように、最初にテレビの場面を見まして感銘いたしたのは、安全をとにかく大事にしたい、こういうふうにおっしゃいました。  実は、私は運送会社に勤めております。一運転手兼事務員であります。私の父は長距離トラックの運転手でした。私が高校二年のときにトラックの荷台から転落をして死亡しました。その遺志を継ぎながら、運送会社というところはどういうところかな、こう思ってこれまで頑張ってきたわけでありますが、大臣の安全という言葉を聞いて、私が職場で思ってきたこと、それがいよいよ、こういう政治家という立場になって、気持ちを通じ合いながらそういうものを大事にしていきたいなというふうに実は思いながら今質問に立たせていただいております。  そういう中で、昨今、非常に安全問題について危惧することというよりも、予期せぬことがこの運輸交通関係に起こってきております。例えば、先ほどもありましたように新幹線のトンネルの剥落事故、あるいは全日空のハイジャック事件、不幸にして機長が自分の使命を全うするために命を賭して乗客の安全を守られた。あるいはマラッカ海峡での海賊に遭った事故、十八日間飲まず食わずで漂流をする。あるいは大型トレーラーが突然横転をする。あるいはタンクローリーが突然爆発をする。そういうような予期もせぬ事故がたくさん続いております。あるいは、先ほども御質問がありましたように二〇〇〇年には一体どうなるのかというような問題を含めまして、この安全問題というのは、まさに言うがやすし、しかしそれをきっちり担保するというのは、これまでも言われたことでありますけれども非常に困難というふうに私は思っております。  そういう意味では、ぜひ大臣この安全ということについて、私は安全の敵は惰性でありマンネリである、口では安全安全と言っても、やることが惰性であったりマンネリであったりしたらその危険性を見つけられない、それを見つけるのは人間であるというふうに私は思っております。そういう意味では、再度この安全という問題について、大変くどくなるかもわかりませんけれども、大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
  132. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御指摘の点は全く同感の思いでございます。今、御尊父のお話も引用されながら安全問題につきまして御質問がございましたが、私はそのことを深く心に刻んで今後の運輸行政の上において十分認識してまいりたいと思います。  特に、安全第一ということを私は申し上げました。運輸関係は御案内のように、先ほども申し述べましたが、三万七千人の職員がおられて、それに加えて関係の企業はタクシーの個人経営の皆さんも含めますと約二十万社に及びます。御承知のとおりでございます。そこに働く人々の数は三百五十万人に及ぶと言われております。私は、これらの方々の御協力を得て、ぜひとも安全の推進を図ってまいりたい。  交通事故にしましても、一万人を超える交通事故死亡者がおられてもだれも何も感じないような、不感症になってきているような、そういう感じが私はしてならないわけであります。したがいまして、まだ実現を見ることはできませんが、義務教育の教科書ぐらいには、少なくとも義務教育を終えた人たちは自動車の運転免許のうちの学科の面はそこで全員修了できるようにして、安全の問題に対してはもう一度再確認しようではないかということを私は議員の立場で何回か呼びかけてまいりましたが、力及ばず今日まだ実現に至っておりませんが、必ず実現したいというふうに思っております。  そこで、この安全の問題は、今、谷林議員が御指摘のとおり、私も初心に返って、お互いにプロの皆さんも熟練の皆さんももう一度初心に返ってもらいたい。同時に、責任感の欠如ということがやっぱりあるのではないか。私が第一声を申し上げたときの念頭には、東海村の事件を他山の石としてやっていこうではないかという私の思いがございました。  しかし、残念ながら他山の石どころか自分の中に大きな石が転げ込んできたようなことでございまして、JRの事故等は、関係者にとってみれば大変不本意なことであるかもしれませんが、これはやはり今日まで責任感という面においてお互いにどこか安易なところがあったのではないかという思いは私自身正直に持っております。  したがいまして、先般も、日程がございませんでしたので、日韓の閣僚懇談会から帰ってまいりましてその足で私は北九州へ飛行機で飛んでまいりました。そして、関係者の皆さんの御協力を得てトンネルの中を調査するとともに、朝もう一度、しつこいようでございましたが、確認車というのが三時四十五分発で出ます。さすがマスコミの人もみんな眠くてもうほとんどいなくなっておりましたが、三時四十五分の、一番列車の走る前の確認車に乗せていただきまして、私は確認をしてまいりました。  その際に私は関係者に申し上げたことは、この確認をする作業員の方々にばかり任せておくのではなくて、この中にJRの幹部がやはり一人乗るべきだ、一人は運輸省からも参加すべきだ。それは四六時中、三百六十五日そういうふうなことをしなさいとは言いませんが、今燃え盛っているこの問題について、この問題の解決を見出すためには私は当分それくらいの緊張感を持ってやってもいいのではないか。その緊張感、責任感の欠如が今日の問題を引き起こしたのではないかということを私は今日まで内心思っておりました。  今委員がそこまで御指摘がございましたので私は率直な気持ちを申し上げるわけでございますが、どうか委員各位の御協力をいただき、同時に私どもの中に設置しております運輸の安全戦略会議、これは普通何か事が起こったらすぐ対策会議だとか戦略会議だとかと開かれるんですが、私は、官邸で発言したその日のうちに運輸省に参りまして、このことの必要性とこのことを直ちに立ち上げるように要請をした次第でございます。  しかし、それが偶然こんなJRの事故と重なってしまいまして、JRの事故のために安全会議をつくったかのごとく受け取られがちですが、それはそれでも結構。しかし私たちは、一たん安全会議を設置した以上は、事務次官を先頭にして、今後運輸省の伝統としてこのことをしっかりとお互いに心に刻んで運輸行政に邁進していくようにしたいと決意しておるところでございます。
  133. 谷林正昭

    谷林正昭君 ありがとうございました。非常に熱意を感じさせていただきました。ぜひそういう方針を貫いていただきたいなというふうに思います。  やっぱり交通運輸、とりわけ公共交通というのは、利用をする側の方も安心して利用できる、そしてそれが信頼につながる、そしてそれが新たなニーズにつながりその産業が発展をする、そしてそれを行政がバックアップをきっちり行う、これが理想的な公共交通の体系ではないかなというふうに思います。  そういう意味で、今この交通分野においても規制緩和という問題が入ってきております。やはり自由に競争をしながら、一方ではお客さんのニーズをしっかりつかまえる、そういうような時代だということで、これまでの運輸行政を百八十度転換する、こういう決断もされて、それが徐々に進んでおります。  ところが、今いよいよその規制緩和の大詰めに参っておるわけでございますが、改めて原点に返りまして、交通運輸部門における規制緩和というのは、もう一度大臣の方から、各部門部門ということもあろうかと思いますけれども、総体的に交通運輸の百八十度政策を転換する、その規制緩和という位置づけをお聞かせいただきたいなというふうに思います。
  134. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 規制緩和の問題につきましては、前にも当委員会で申し上げたかと思いますが、運輸省が規制緩和に対して一番消極的だということで各方面から随分おしかりを受けておりましたが、最近は随分頑張りまして、今バス、タクシーの問題等を除いてほとんど規制緩和の実を上げておるところでございます。  いよいよバス、タクシーの問題を目前に控えまして、ただいま谷林委員からも御指摘のように、今この問題に対処するに当たって、再び規制緩和とは何かということを問いかけながら、関係者の皆さんの御理解、御協力を得られるように目下努力をしておる最中でございます。  バス、タクシーの経営者の方々等も大変深刻な様相を呈しておりますが、私は、そこにお勤めになる方々も含めて、バス、タクシーの関係の皆さんが今日まで果たされた役割の重要性を私どもも深く認識して、今後は地域の住民の日常生活を支える、あるいは通勤通学、通院、買い物等の日常生活を基本的に支える公共交通機関としての重要な役割に対して今後どうあるべきかということを関係者の皆さんともども真剣に考えてまいりたいと思っております。  特に、高齢化社会、環境問題等に対応するためにも乗り合いバスの持つ特性を十分発揮できるようにしていきたい。したがいまして、需給調整規制廃止後においても乗り合いバスの公共交通機関としての役割は私は依然として重要であると考えております。したがいまして、公共交通のためのいわゆる生活交通を支える立場から、バスの利用促進について今後も一層努力をしてまいりたいと考えております。
  135. 谷林正昭

    谷林正昭君 私の質問しようと思ったことを先に答弁していただきましたのでちょっとやりにくくなりましたけれども、実はこれから具体的にバスの実態を少しわかっていただきたいなということで、私の方からも少し御説明しながら、あるいは大臣気持ちを聞かせていただきたいなというふうに思っておったのですが、バスのという具体的な考え方が出てまいりました。  そこで改めて、恐縮でございますが、私は乗り合いバスについてまずお尋ねいたします。乗り合いバスというのは、私ども田舎育ちでありますが、やはりその町の文化であり、あるいはその町になくてはならないそういう交通機関だというふうに思っておりますし、小さいときに初めて乗るのが、おばあちゃんに連れられて乗るのがバス、そして子供も離れていく、そしてひとり老夫婦が過ごす、そういうときに利用するのがバス、一生の間で一番バスに頼るのが多いのじゃないかなというふうに私は思っておりました。  その乗り合いバスについて非常にお客さんが少なくなってきている。マイカーの普及だとかその他の普及で少なくなってきている。こういったときに、今後二十一世紀あるいは二〇一〇年、一五年というふうに長いスパンで見た乗り合いバスというのは果たして生活にどうかかわりが出てくるのか。あるいは、今入札制度でいろいろ各市町村も努力をしたり、あるいは各企業も努力をしているということも聞いておりますし、今後規制緩和になった場合に私が心配するのは、利用しやすい乗り合いバスに果たしてなっていくのかどうか。それよりも、体質といいますか、もうからぬからやめようと、ちょっと待ってくれと言っておじいちゃんやおばあちゃんが後から追いかけても会社は引き揚げてしまうという、そういうような環境にならないか実は心配をしております。  そういう意味で、大臣の方からいま一度乗り合いバスの位置づけというもの、あるいは今後のあり方というものを少し御説明いただきたいなと思います。
  136. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま谷林委員から、この乗り合いバスの地域での文化、そしてその地域社会においてなくてはならない存在であるということを思いを込めてお話がございました。私も過疎地をたくさん選挙区に抱えておる地域の出身でございますから、今のお話は手にとるようにわかる気がするわけであります。  特に、バス事業等につきましては、今日まで政府としては助成策を講じてまいりましたが、これからも私は、需給調整規制の問題とは別にこの過疎地域等のバスを維持していくという方向で今後とも努力をしてまいりたいと考えております。  特に、今地方でのバスの果たす役割について言及されましたが、バスが地域高齢者皆さんの生活のよりどころでありますし、特に病院等に通われる場合には、バスがとにかく一つの生活の中での重要な位置づけであると同時に、ある意味では命綱でもあるわけでございます。  そういう意味における地方のバス事業、もうからないから廃止する、もうかるところから順番に事業をやっていく。私は競争原理、競争社会というものの存在を決して軽く見たり否定したりするものではありませんが、しかしそうは言っても、ただ利益を追求するということのみに走って過疎地等におけるバス等には見向きもしないということは、私は経営者としては適切ではないというふうに思うわけでありますが、それらのことにつきましては、今後それぞれの地域協議会等を設けて、お地元のそれぞれの事情を十分勘案しながら住民の足を確保するという面で私どもは十分留意してまいりたいと思っております。
  137. 谷林正昭

    谷林正昭君 ありがとうございました。利用しやすいバスにぜひしていただきたいというふうにお願いをいたします。  いよいよそのバスの問題につきましても、今法案の作成に取りかかっておりますので、大臣のお気持ちを酌んでいただけるような法案づくり、あるいは大臣気持ちが込められた法案づくりを期待させていただきます。  そこで、この乗り合いバスについて、外国の状況がいろいろあると思います。今大臣が、過疎地を大切にしたい、あるいはそういうところに住んでいる人の足を大切にしたい、こうおっしゃいました。どこかの、日本以外の国をモデルにして今運輸省として法案づくりあるいはそういうプログラム、あるいは新しい制度を考えておいでになるのか。その国をもしありましたら聞かせていただきたいと思いますし、モデルの国の実態はじゃどうなっているのか、そういうことを少し聞かせていただけぬかなというふうに思います。
  138. 中馬弘毅

    政務次官(中馬弘毅君) 特に今回のこの規制緩和がどこかの国をモデルとしてやっているわけではありませんが、日本の二十一世紀を目指した大きな改革の中で、我々の国会のやり方も、それから金融のシステムも、そのほか株に対する自由参入の問題等々、いわゆるイギリスのビッグバン、大きな社会改革、これを若干手本にしていることは事実かと思います。  このバスの関係におきましても、あえてモデル国があるとするならばということでイギリスを引き合いに出しますならば、しかしちょっと違うんですね。イギリスの場合にはかなりが公共バスでございまして、これを民営化するのが今回のビッグバン等でやっていることです。しかしまた、日本の場合にはかなり、今お話がありましたように、それぞれの村でちょっと資産家がバスを経営している何とかバスというような民間が多うございまして、そしてそれが今需要が減ってきて、それが自治体と一緒になって協力して何とか地方の路線を維持しているというのが現実でございます。  ですから、どこかモデルとしてどちらがいいかという比較にはなりませんが、ただ一つ言えることは、イギリスの規制緩和評価の中で、不採算路線等ももちろんその地域との話し合いで廃止されたこともありますけれども、逆にまたバスの小型化が進んで民営化で効率が非常によくなった、補助金が減少したといった例もあるようでございますから、ひとつここはやってみる必要があるかなと私どもは思っております。  と同時に、今、大臣からもお話がありましたように、我々としては、その事業者が不採算だからぱっと切ってしまうというのではなくて、それぞれの地域、自治体と相談しながら、もう少し補助金を出す出さない、あるいはまたそれにかわる何か手段があるのかないのか、そういったことを協議しながら、地域の本当に過疎地の路線までも確保していく、それが私たちは公共交通の務めだと思っております。
  139. 谷林正昭

    谷林正昭君 ありがとうございました。  私も多分イギリスじゃないかなと思ったものですから、イギリスの交通政策白書というものを実は少し読ませていただきました。やはりイギリスでも完全にうまくいったというところばかりじゃないんですね。やはり料金が安くなると思ったけれども、高くすればお客が乗らなくなる、また高くしなきゃならぬというような実態も出てきているというふうに私の勉強した限りでは載っておりますので、イギリスのいいところはとっていただいて、あとは日本的なそういう政策をぜひ進めていただきたいというふうに思います。  それを進めるに当たって、やはり社会的責任といいますか社会的規制といいますか、そういうものをしっかり行政で管理できる、あるいは指導できる、そういうシステムは私は残すべきだというふうに思います。  例えば、運行管理の問題、あるいは過労運転の問題、あるいは環境問題、そういうものについてもぜひ行政が指導すべきだと思いますし、悪いところがあれば指摘するべきだ、あるいは強制的に退出をさせるというようなことも必要じゃないかなというふうに思います。  時間の都合もございますので最後に、新たな制度を取り入れるに当たりまして、今の計画では十三年度中に実施をするというふうなことも実は聞いております。  したがいまして、ぜひ新たな制度を取り入れるに当たっては、円滑に国民が、あるいはその地域利用する人たちが納得のできるようなことにしていただきたい。競争だけを先に取り入れてそういう弱い人たちが乗れないようなバスになったらというふうに思っておりますので、ぜひバスについて、一応これで締めくくりをさせていただきますけれども、ちょっと抽象的でございますがもう一度御決意をお願いしたいなというふうに思います。
  140. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) バスの公共交通機関としての役割等につきまして、議員の御指摘は極めてもっともだと思っております。したがいまして、今後いよいよ法案の作成等につきまして大いに参考にさせていただきたいというふうに思っております。  同時に、今バスの関係、タクシーの関係の皆さん等がそれぞれの県単位に御上京なさって、運輸省の自動車交通局等にいろいろと御要望や御相談があるようでございますが、私は、あくまでもバス、タクシーの経営者の皆さんやそこにお勤めをされる労働者の皆さんと運輸省が対立してこの問題をやるのではなくて、社会の要請に対して関係者の皆さんと運輸省は手を握ってこの問題の波を乗り越えていく、そういう決意で頑張っていこうということを業界に呼びかけております。どうぞそういう趣旨で委員も御協力をお願いいたしたいと思います。
  141. 谷林正昭

    谷林正昭君 ありがとうございました。  実は、きのうバスの運転手さんとタクシーの運転手さん千五百名ぐらいがこの国会周辺で集まりまして、これからの法案作成に向けて、自分たちの生活実態や職場環境、あるいは自分たちがこれまで営々と築いてきた、そういう産業に自分たちが立派にしてきたという、そういう気持ちを込めながら幾つかの請願も大臣にしておりますので、ぜひ機会をとらえてその請願も見ていただきたいな、そしてそれをぜひ法律に組み入れていただきたい、改めてお願いする次第でございます。  次に、具体的な内容で恐縮でございますが、タクシーの話に入らせていただきます。  今ほども言いましたように、タクシーの運転手さんがきのう、それこそ自分たちはもう死ぬか生きるか、こういうような気持ちで運転をしている、あるいは頑張っている、そういう気持ちをわかってもらいたいといって、今ほど言いましたように多くの方が集まりまして、そして市民の皆さんや多くの方々に、タクシーの横に、ボディーに自分たち気持ちをあらわしたものを張って一日行動をされました。あちらこちらでそういうものを私も見ました。  今のタクシーの状況はどういうことかといいますと、御承知のとおり町は空車であふれております。まさに需給バランスが崩れました。それまで、二年前までは需給調整ということをきっちり行政の方でやっていただいて、まさに需要者と供給する側が心の通い合ったようなやり方でタクシー産業というのは成り立っておりますし、新しい産業としてようやく国民に根差してきた、そして信頼されてきた。それは、ひとえに産業を頑張ってこられた、経営者の皆さんもございますが、そこで一人一台を持って頑張っておいでになる運転手さん、こういう方々がその産業の発展にどれだけ寄与してきたか、これは口で言えるような状況じゃないと私は思います。物すごい努力があったというふうに思っております。  ところが、最近はまさに規制緩和の前段であります需給調整の見直しということがありまして、今全国で、細かい数字は時間的にあれなものですから申し上げられませんけれども、三万台を超えるものが供給過剰になっている、実はこういうふうな統計も出ております。そういうことからいきましたら、今タクシーの状況は、町には空車があふれる、一方ではお客さんがふえない。これは不況ということもあります。  私は富山でございますので富山の実態を少し調べてみました。富山では、一九九一年、約十年前三万二千円の一日の売り上げがあったものが、今は二万九千円に下がっている。これは本来でしたら上がっていくというのが普通だと思いますが、それが下がってきている。そういうような状況。  そこに、それに伴って今のタクシーの運転手さんの賃金体系は、恐らく御存じないと思いますが、これは昭和三十年代の神風タクシーのときは需給バランスが逆だったんです。お客さんはたくさんいるけれども車がいない、こういうような状況で、ばんばんばんばん神風のようにあっち行ったりこっち行ったりしながらやる。そうしたときに、歩合給ということになっておりましたから、給料のバランスが崩れるということで、タクシー運転手には歩合は好ましくない、固定給にした方がいい、こういうような方針も政府の方で行政から出ております。  そういうことを考えたときに、今はその逆になりまして、需給バランスはその逆に崩れてしまって、運転手さんはオール歩合になってしまって、オール歩合の中で運賃収入が下がっているということでありますから、今四百万どころか三百六十万に一年間の収入がなってしまっている。私は国会議員という立場であって、月給百三十六万いただいております。年間でいきますと三千万近くなります。ところが、タクシーの運転手さんというのは一年間夜も寝ないで頑張って四百万いかない、こういう生活を今余儀なくされているというのが実態であります。  この後、規制緩和という問題がどんどんタクシーの産業にも入っていきます。これは競争という観点からはやむを得ないと思いますし、閣議決定もきっちりされておりますから政策としてはやむを得ないと思います。しかし、新しい法律をつくるに当たって、ぜひ、そういうタクシーというのは運転手一人に車一台なんです。大量生産だとかそんなことはできません。したがいまして、運転手さんがこれまでつくってきた産業、そういうものが規制緩和という名のもとにガラガラガラと音を立てて崩れ去ってしまうようなそういう産業にしてはいけないと私は思います。  そういう意味で、ぜひタクシーの話についてこれから少し大臣にわかっていただきたいというふうに思いますので、まず公共交通としてのタクシーの位置づけをお聞かせいただきたいなというふうに思います。
  142. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 公共交通機関としてのタクシーの位置づけでございますが、私はこれは極めてその位置は高いというふうに思っております。何となれば、年間約二十六億人ぐらいの国民の皆さんを運ぶわけでございますし、まさにドア・ツー・ドアの機動的な個別的な輸送のニーズに対応するために公共交通機関としては国民の生活に定着している、なくてはならない存在だというふうに思っております。  私は、今北海道開発庁長官も兼務をいたしております関係で北海道の交通事情、観光事情等も伺うことがあるんですが、北海道等に旅行する人たちは、タクシーの運転手さんに大変親切にされた、来年もこの人に頼もうということで、その人にホテルから観光コースからをすべてお願いして、また翌年その人を頼って訪ねていく。  私自身が経験したことでありますが、網走において観光会議というのがございました。伺いましたところ、黄色いタクシーが十台ぐらいずらずら並んでおるわけでございます。市長さんが私に説明するのには、黒塗りの車を並べることは私にもできたわけでありますがきょうはタクシーに乗っていただこうと思ってタクシーを並べました、このタクシーの運転手さんはこの地域の観光あるいはまた歴史、この地域の文化、何でも答えられるような人を十人並べました、したがいましてタクシーに乗ったら何でも質問してやってくださいと、こういうお話がございました。私は、そのときに大変感動を持ってそのもてなしといいますか御配慮に感謝をするとともに、運転手さんからもいろんなお話を伺ったことがございます。  したがいまして、これから大変難しい時代に入っていくわけでございますが、近年、高齢化社会の中で福祉輸送のサービス等におけるタクシーの機動性を生かした関連サービス、この間もテレビでこの模様をつぶさに放映しております姿を拝しまして、タクシーの新しい活躍の場面というのはこういうところにも出てくるのだなということを思ったわけでございます。  これからタクシー業界がまさに発展していき、同時に、タクシー会社にお勤めになる人々の生活が高まっていくように我々も配慮をしてまいりたいと思っております。
  143. 谷林正昭

    谷林正昭君 ありがとうございました。  産業の平均の賃金よりも二百万円低いということをぜひ御記憶いただきたいな、でも夜も寝ないで頑張っているということも御記憶願いたいなというふうに思います。  次に、タクシー問題でぜひ御認識いただきたい問題がございます。それは、自由競争になれば当然安い運賃でいいサービスが受けられる、そういうところにやっぱりお客さんは集中すると思います。それが本来の自由競争だというふうに思います。ところが残念ながら、タクシーというのは先ほど言いましたように一人で一台を動かしますから、安い料金ということになれば人件費を下げるしかないんです。人件費を下げるしかない。そこが問題なんです。  そうしたら、そこで今考えられている運賃というのは、これは行政で決められております。しかし、今度仮にそれが取っ払われるということになれば、枠がなくなるということになれば、そこで安売り競争が出てきてしまう。安売り競争が出れば、当然そこには大変苦しい状況が出てくるというのが現実になるというふうに思いますので、これは今一生懸命運輸省の方でも苦労されているというふうに思いますけれども、ぜひそういう安売り競争をあおるような運賃体系だけはつくっていただきたくない。低廉、安さだけを売り物にして、そしてサービスは、あとは知らないよというようなものと競争するということは今頑張ってこられた運転手さんはできません。ぜひそういうところをわかっていただいて、もし私に具体的な内容を言えと言われるならば、運賃の上限と下限をきっちり決めるべきだというふうに私は思います。ぜひ御参考にしていただきたい。  例えの例でいきますと、長野では安売り競争が始まって、お客さんはふえない、収入が二割も下がる、運転手さんの生活費が二割も下がる、賃金が二割も下がる、そういうような状況になってしまいました。そういうようなことなどをぜひ参考にしていただきたいなというふうに思います。  次の質問に入らせていただきますけれども、先ほども申しましたとおり、過剰車両の問題であります。  先ほど、三万台全国にあふれている、こういうふうに申し上げました。問題は、今新しい制度の中でそういう過剰車両あるいは市場の中でそういう過剰と認められるような状況になったときに、すぐ対処できるような権限をやっぱり私は行政として持つべきだというふうに思います。規制緩和をして競争をさせるということはいいですけれども、余りにも需給バランスが崩れたとき、余りにも社会的に空車が目立って駐車場が全部タクシーに占められるというようなこういうことになったときには、やはり事後的な需給調整、そういう措置ができるように新しい制度に行政の責任で組み入れるべきだというふうに私は考えますけれども、いかがでしょうか。
  144. 中馬弘毅

    政務次官(中馬弘毅君) 今我々も、運輸省としましても、この規制緩和につきまして少し具体的に検討しているところでございます。  今御心配の向きの需給調整、これにつきましては、やはり一つの方針ですから、従来どおり完全に運輸省の許認可というわけにはまいりません。その中で、先ほどから大臣もおっしゃっておりましたように、新規参入するものに対する一つの大きな条件を、安全管理の問題あるいはまた運転手の資質の問題、こういったことをかなり厳しくすることによって、だれでも素人がぱっとタクシー業に入ってこられるようなことにはさせない、こういう一つの方法論があろうかと思います。  それからもう一つ、価格競争、価格の自由化、私もいろんなお話も聞きながら、これだけは野放しにしましたら、ダンピングまがいといいましょうか、完全なダンピングで相手の会社のつぶし合いっこまでも始まる可能性もあります。そのときには、利用者の安全の問題も非常に危惧されますし、また同時に運転手さんたちの給料が極端に低くなっていくといったことの心配もあります。  ですから私は、価格の面につきましては非常に規制といいましょうか、御提言がありましたようなある程度上下ということも考えられますし、あるいは幾つかのパターンの料金体系を提示してどれを選んでもらうかを利用者に示す方法もありましょうし、またはっきり言って同一区域内では同一価格だと、そしてサービスの面で競争すればいいじゃないか、安全の面で競争すればいいじゃないか、こういう議論もありますから、私たち運輸省といたしましてもまだ結論は出しておりませんが、そういうことをひとつ慎重に検討してまいりたいと思っております。
  145. 谷林正昭

    谷林正昭君 ありがとうございました。  私は、タクシーのサービスは運転手によって違うというふうに思います。そういう意味では、いい運転手を産業として養成していく、そのためにはやはり生活をきっちり保障できるような体系を産業にとらせる行政の責任というものもあるのではないかということで、これを捨てたらだめだというふうに私は思います。次官も縦に首を振っていただきましたので安心しておりますけれども、これは議事録に載るのかどうかわかりませんが、縦に首を振ったと書いておいてください。  きょう実はタクシーの運転手さんが来ておいでになります。そういうことで、ぜひひとつ今後の、法案作成の間近になっておりますし、今やらなければならないということになっておりますので、御理解を賜りたいというふうに思っております。  次に、角度を変えまして、タクシー産業を圧迫しているといったら語弊かもわかりませんけれども、実はそのために物すごく飲酒運転が少なくなってきているというものがあります。それは運転代行の問題であります。繁華街、飲み屋街へ行けば、飲酒運転、これは絶対だめですから、何かいい方法はないかということで編み出されたのが、かわりに運転手をしてマイカーを持って帰っていく、こういう産業が今実はあちらこちらで出てきております。  問題は、その運転代行について法的な網が何もない、今のところ。そういうことを考えたときに、白タクまがいといいますか、急に雨が降ってタクシーがつかまらないというようなときにそれに乗ってしまって、タクシーまがいのことでもへっちゃらでやってしまう。あるいはお客さんもそういうものをやってもいいものだと思っている。そういうようなことなども含めて、非常にこれから運転代行というものについてはタクシー産業とのすみ分けというものも考えていかなければならないのではないか。  そういう意味では、法的な何か規制あるいは根拠、そういうものが必要になってくるんではないかなというふうに思いますので、私は、一つはそういう運転代行という職種がどれだけあるのか、運輸省としてそういう把握をされているのかどうかというようなことを少しお聞きしたい。  余り時間がございませんので続けて申し上げますけれども、タクシー類似行為、いわゆる白タク行為を取り締まる方法を運輸省として、警察と連携をとるのか、どこと連携をとるのか、自治体と連携をとるのか、それは知恵を絞らなきゃならないと思いますけれども、そういう法違反を厳正に取り締まるという体制を実はとっていただきたいというふうに思います。そこらあたりを少しお聞かせいただけぬかなというふうに思います。
  146. 中馬弘毅

    政務次官(中馬弘毅君) 運転代行業は、これは本当に酔っぱらってしまったときにといったようなことでの利用者利便性は非常に高いものでもあります。また、安全上も場合によっては必要かもしれません。しかし、それが事故を起こしたときのことだとかいろんなことが危惧されますし、そのことの法的な整備ができているわけではありません。  本年四月、運輸政策審議会の答申においても、その実態を行政において的確に把握して必要な指導を行える制度を検討するように求められておりますので、私たち、具体的な措置について今慎重に検討を始めたところでございます。その結論に従って、またちゃんとした業法をつくるなりなんなりの整備をしていきたいと思っています。
  147. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひよろしくお願いしたいなというふうに思います。  そこで、こういう話を大臣にしてもいいのかどうかわかりませんが、率直な気持ちをお聞かせいただきたいと思います。  それは、実は先般、十月十八日に京都地方裁判所の方で、元タクシー運転手が殺人事件を起こしました賠償責任民事裁判で、実は裁判官が、その元タクシー運転手ということよりもタクシー産業に働くという認識だと私は思います。判決文の中にこういうくだりがございます。「一般論でいえば、タクシー乗務員には雲助まがいの者や賭事等で借財を抱えた者がまま見受けられること」、そして丁寧に括弧して「(顕著な事実といってよいかと思われる。)」という部分が実は判決文にあります。  先ほど大臣がおっしゃいましたように、タクシー産業、そこに働く人たちというのは、寝ないで一生懸命公共交通を守る、そして少しでも産業の立場を高める、こういう気持ちで今頑張っておいでになる。まさにそれに冷や水をかけるような認識。裁判官の目から見たらタクシーの運転手というのは雲助まがいだ、こういうようなことが公式文書に載ってしまう。後ほど全国から抗議の電話やファクシミリが入りまして、地方裁判所長の方で口頭注意、口で注意をした、こういうことになりました。しかし、判決文は直されません。  こういう問題を、実は法務委員会では別の立場でまた司法という問題についてやっておりますけれども、タクシー産業を統括する運輸省、そしてそこの責任者である大臣のお気持ちをぜひお聞かせいただきたい。君たちはそうじゃないんだ、もっと頑張ってほしい、君たちは絶対雲助じゃないよと、四十万人のタクシー運転手にも激励をお願いしたいなというふうに思います。  最後にそれをお聞かせいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  148. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 各地で例えば何とか博覧会、何とか観光フェスティバルというようなことが相次いで行われておるわけでありますが、そこにおいでになる観光客は、その県の知事に会ったり、その県の観光課長と会ったり、その県の観光協会のリーダーと会って話をするというのはごくまれでございまして、ほとんどの人はその土地に参りまして最初に出くわすのがタクシーの運転手さんでございます。したがいまして、そのときの印象によってその県全体の印象にもつながるわけでございますから、私は、親しいタクシーの経営者やあるいはまたタクシーの運転手の皆さんにお会いするたびに、そのことを今までも申し上げてまいりました。  私の郷里のことで恐縮でございますが、熊野博覧会というのを熊野地方全体、紀州の南を中心にオープンリゾート型といいますか、入場料を取らないで町全体、地域全体が博覧会、こういうことでございまして、私はそのときにタクシーに乗りまして、運転手さん、いよいよ博覧会だねと。そうだと。どうするのと言うと、いや、私たちも困っておるんだと。博覧会のどこかへ行ってくれと言われたって、どこか会場があって、何とか記念館へ行ってくれとか、何とか博覧会の会場での行事をやっているところへ行ってくれと言われればいいんだけれども、どこか博覧会のどこでも行ってくれと言われたら本当に困りますねといってお話がございました。  私は、ですから、どうぞタクシーの運転手さんも経営者の皆さんも、おのおのの熊野博を胸に持って、そしてお客様に料金等の交渉、時間等の交渉をして、お客様が満足するような熊野の地域へ御案内をしてくださるようにということを老婆心ながらお願いを申し上げたことがございます。  あるときに、京都の有名な大学の歴史学の先生がお乗りになって、何でもその先生が知っておられる、まことにびっくりして、もう驚きましたと。もう料金は結構ですと言おうかと思ったくらいその方が詳しく、また親切に私に教えてくれたと。そういうことをやっぱりよく知って観光タクシーをやるとお客様もふえるし、料金もたくさん使ってもらえることになるんだろうなと思ったと、そのようにおっしゃっておられました。  いずれにしましても、タクシー産業に従事する皆さんがその地域の観光振興また地域の産業の振興に果たす役割というのは、先ほども申し上げましたように、常に二十六億人の人々の生活の手足となっていただいておるわけですから、極めて重要な意味合いを持つ産業だと私はかねてより評価をいたしております。  したがいまして、御指摘の判決における雲助まがい云々というこの表現は、一般タクシーの運転者に向けられたものであるとすれば、私はまことに遺憾だというふうに思っております。運輸省が裁判に対して云々する立場にはありませんが、一国民としても許しがたいことであるというふうに考えております。
  149. 谷林正昭

    谷林正昭君 ありがとうございました。
  150. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友でございます。  昨日のHⅡロケット打ち上げ失敗の件についてはお二方が触れられましたので割愛させていただきますけれども、私も十月の二十三日に種子島の宇宙センターに伺って、所長さんからいろいろ詳しく説明もお聞きし、この次はやりますよというようなお話でございまして、本当にまことに残念でなりませんけれども、原因の究明等を含めてさらに頑張っていただきたい、このように思っております。  私は、交通運輸のバリアフリー化あり方について何点かお伺いしたいと思うんですけれども、高齢化の進展に伴って、我が党としても従来から福祉を重視した社会の建設ということで、ますます我が国においてもこれは重要になってくる。特に高齢者障害者の積極的な社会参加が可能になるような環境づくりを進めるということが大変今の重要な課題である、このように考えております。  平成十年度版の運輸白書を見ますと、第三章に「交通運輸のバリアフリー化に向けて」と一章を設けて、各交通モードについていろいろな取り組みを取り上げるなど、それなりに運輸省として力を入れられているということは評価をしたいわけでございます。  また先日、二階運輸大臣が述べられました所感には、急速な社会の高齢化、障害者の自立と社会参加の要請に適切に対応するため、高齢者障害者などの移動制約者が公共交通機関を安全でかつ身体的負担の少ない方法で利用できるよう、鉄道駅におけるエレベーター、エスカレーターの設置など、公共機関のバリアフリー化、シームレス化を積極的に進めると、このようにございました。このような施策につきましては大いに推進をしていただきたい、こういうふうに考えるわけでございますが、このような施設が実際には高齢者障害者にとって本当に使い勝手がよいのかどうかという点もございまして、こういう問題について論議を深めていきたい、このように思います。  それで、まず、鉄道駅におけるエレベーター、エスカレーターの設置についてお伺いしたいわけでございますけれども、運輸省の整備指針によりますと、一日に乗降客五千人以上、高低差五メートル以上の駅を対象にされているようでございますけれども、具体的にはどのような数値目標を定められているのか。  それから次に、バリアフリー施設を補助対象として、その整備費用について国と自治体がそれぞれ三分の一ずつ負担をする現行の補助スキームについて、自治体、また事業者についても、これは三分の一であっても非常に負担が大きいということで、今の地方財政また景気の状況等を見まして大変な負担だと。こういう負担に耐えられるのかどうかということもございますので、このスキームについてどう考えられるか。  それから、全部一緒にやらせていただきますけれども、バリアフリー施設の設置を進めるということは、ある意味では事業者の資産形成につながるということを言われる方もいらっしゃるんです。金額が多くなると、そうした国費を充当することの是非というのを、私はそうは思わないんですけれども、指摘される方もおられるので、こういう点についてのお考えをお聞かせいただきたい、このように思います。
  151. 中馬弘毅

    政務次官(中馬弘毅君) 町のバリアフリー化、お年寄りや足の悪い方々が自由に往来できる形を何とかというお気持ちですが、私も今から三十年ほど前、まだ議員になる前でしたけれども、ずっとヨーロッパを公共交通機関だけで縦断したことがございます。ヘルシンキからずっとフィンランド、スウェーデン、デンマーク、そしてイタリアの方まで行ってまいりました。  そのときに感じましたのは、ヨーロッパ、特に北欧の国々で町の中に車いすの人が多いんですね。何か体の悪い人が多いのかなと若干誤解もしましたけれども、考えてみましたら、すべてのいろんな機関、交通機関もそれから町の横断歩道橋でも、橋脚のところのボタンを押せばぱっとドアがあいて、そこに車いすと何人かが入れるぐらいの油圧式のエレベーターがついている。そして、こちらに移って、またこちらでおりられる。ということは、ドア・ツー・ドアでまたよそに行ける。そういう交通機関だけではなくて、町のいろんな形態が車いすで往来できる形ができているわけですね。  そういうことを考えましたときに、何とか早くこういう形でありたいなと望んでおりましたけれども、なかなか日本では進展しなかったことは御承知のとおりです。  しかし、遅まきながらようやくこうしてその声が上がってまいりまして、運輸省としましてもこのことに積極的に取り組むことになりました。さきの生活空間倍増戦略プランにおきましても、御指摘ありましたように、段差が五メーター以上、そしてまた乗降客が五千人以上の駅、これは二千駅ぐらいありますけれども、ここには必ず設置するということを半ば義務づける形にもいたしております。  そして現在は、そういったところでの駅におけるエレベーター等の設置状況は、エレベーターが三二%、エスカレーターが五七%と、これは大体半分ぐらいですが、これを何とかほとんどのところにそういうことを整備する。二〇一〇年までの整備を我々に義務づけているようなことでございます。  そして、それを促進させるために今おっしゃいました補助制度を拡充いたしますが、これまでの十分の一、五分の一といったような状況から、今お話がありましたように三分の一ずつ、国と自治体とそれから事業者が三分の一ずつということに、今逆にこれだけにしたわけでございますから、ここはこれでひとつ評価していただきたいと思います。そして、その状況を何とか続けていくならば、目標年次までに、どうしても無理なところもありますが、ほぼ一〇〇%近い形で実現できるのではないかと思っております。  そういうことをひとつ御報告申し上げます。
  152. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま中馬総括政務次官から申し上げたとおりでございますが、平成十一年度の二次補正の要求額あるいは来年度の当初予算等につきましても、この際運輸省の決意を申し上げ、また各委員の皆様の御理解をいただきたいと思います。  高齢者や身障者が円滑に利用できるようにするという鉄道のバリアフリー化のためのエレベーター、エスカレーターの整備につきましては、平成十年度の補正で約八十億円、十一年度当初で約四億円の予算が認められたところでありますが、平成十一年度の二次補正の要望として十億円、来年度の当初予算としては八十一億円を要求いたしております。この額につきましては、満額確保すべく全力を尽くしてまいりたいと思いますが、今総括政務次官が申し上げたとおり、二〇一〇年までの目標を達成するために何としても頑張ってまいりたいというふうに思うわけでございます。  今までは、それぞれの市町村等におきまして、地域の要望の強い地域はほとんど町村の単独事業のような形でこれをやっておりました。そうしたことを行った市町村長からの声は、福祉はお金がかかりますねという長嘆息の声が聞こえてくるときに、私どもは何としても国庫補助等の制度の道筋をつけていかなくてはならないということを考えておりましたが、大方の皆様の御理解や御協力によりましてようやく今日のところまでたどり着いたわけでございます。今後一層、弘友委員御指摘のような点を踏まえて、運輸省としては全力を傾注してまいりたいと思っております。
  153. 弘友和夫

    弘友和夫君 二〇一〇年までに達成をするというお話で、確かに福祉はお金がかかる、だけれども私は、こういうエレベーター、エスカレーター等バリアフリー化された交通機関、またそういうものは当たり前であるという、そういう社会でなければならないんだと思うんです。これは特別の人のためにこういうものを設置しているんだというのではなくて、それがただ単なる障害者のためとかじゃなくて、本当に高齢化もしているわけだし、そういうものが当たり前であるという社会をぜひつくっていただきたいなと。  それで、超低床車、LRTというのが、これは熊本市が今回導入した車両というのは一編成二億三千万するわけです。通常の路面電車だったら一編成一億五千万ということで、大変にやはり先ほど言ったお金がかかるわけです。だけれども、こうしたことをやはり導入して、そういった電車にもまたシフトしていくというか、自動車だけではなくて、そういう部分も必要じゃないか。これの補助制度の拡充だとか新設等についてもお考えをお聞かせいただきたい。
  154. 中馬弘毅

    政務次官(中馬弘毅君) 低床式の車両、これが非常に便利だということは委員御指摘のとおりでございますし、先ほど私が申しましたようにヨーロッパでかなり採用されております。  しかし、これを新規にやっていくとなりますと、かなり高いことでございまして、これを今後どうそこで助成していくかということにつきましては、私たち運輸省としましても、平成十年度から中小鉄道の低床式車両の導入に対しまして近代化補助を活用し支援しているところであります。今後とも、財政事情の厳しい中、財政上の支援に努めてまいりたいと思っております。  それだけではなくてノンステップバスの方も、ノンステップバスの方はまだまだ導入しやすいかと思いますので、今回の第二次補正でもかなりの手当てをしたつもりでございますし、また引き続き平成十二年度の予算でも要求しておりますので、ひとつまた御理解、御支援のほどをよろしくお願いしておきます。
  155. 弘友和夫

    弘友和夫君 例えば、鉄道駅におけるエレベーターやエスカレーターの設置、これは二〇一〇年までにやるといっても、要するに乗降客が五千人以上、高低差五メートル以上の駅を二〇一〇年までにやるということだと思うんです。実際にそれが設置されているところでも、じゃ使い勝手がいいのかどうかという問題もあるわけです。  運輸白書に我が地元の小倉駅というのが載っているわけです。今回、駅の北口、南口、モノレール等を建設して、ペデストリアンデッキだとか、いろいろすごいモデル的な私は駅じゃないかとは思うんですけれども、実は先日お話を聞きましたら、新幹線に行くエレベーターにいつもかぎがかかっているというわけですね。新幹線に行くには障害者の方はエレベーターに乗らないと行けないわけです。  何でかぎがかかっておるんだと言ったら、管理上いろいろ問題がある、ホームレスの人が乗ったり業者の人が乗ったりするのでと、じゃ使用する方はどうするんだと言ったら、一々駅員さんに申し出をしてかぎをあけてもらって上がるんだと、こういう説明なんです。じゃそのエレベーターがあるのを知らない人はどうするんだと、いや、車いすに乗ってこられた方に対してこちらから声をかけてやりますよと、こういう説明なんです。  そうじゃない、通常だれが使ってもいいじゃないか。それは障害者のために設置した施設であったにしても、これはお年寄りからどんな方が使っても、いつも使っておられれば別に管理上問題はないんじゃないかなと。そういうエレベーターにかぎをかけたり、よく公園に設置したトイレにも身障者用のやつは常にかぎがかかっているとか、そういうのがしょっちゅうあるんですよね。  だから、こういう使い勝手をやはりよくしていかなければ、せっかく整備していっても余り意味がないんじゃないかなと、このように思いますけれども、一言。
  156. 中馬弘毅

    政務次官(中馬弘毅君) その駅の運用がどうなっているか私もちょっとつまびらかじゃございませんが、本当に気軽にちょっと駅員さんに言えば、すぐそこへ案内してそれに乗せてくれるといった形を我々も指導していきたいと思っています。  ただ、今おっしゃったように、健常者がどんどん乗ってしまうとか、あるいはまたそこが少し陰のようなところにあるケースが多うございます、大阪なんかでも。そこの中に、自由にしておくと怪しい人が入って何か爆弾を置くかもしらぬといったこともこの間駅長が言っておりました。そういうこともございますので、おっしゃるような形で運用させるようにしていきたいと思っております。
  157. 弘友和夫

    弘友和夫君 時間がありませんので、次に福祉タクシーの拡充についてお尋ねします。  これは私の地元の福岡県で、先ほど大臣の方からテレビでやっておられたという、多分それだと思うんです。介護タクシーというのがあります。これは従業員百人程度のタクシー会社なんですけれども、運転手さんにホームヘルパーの二級の資格を取ってもらって、何でも世話をする運転手、ケアドライバーということで指定してやっておられる。高齢者障害者の通院、買い物、旅行に同行するなど、いろいろな需要にこたえようと。今大変評判になっておりまして、全国からそういう業者の方が視察に来たり、県のタクシー協会もことしからヘルパー研修を全面支援するというふうにお聞きしております。  ただ、この問題点は、介護タクシーの普及についてはさまざまな課題がやはりあるわけです、現実にやってみて。この事業に使うタクシーというのが、通常のタクシーよりも、当然改造しますので高価になる。それから、ケアドライバーの研修費、その担い手の育成にかかる費用と時間の問題等、また移動制約者にとっては、やはりそのケアの部分がオンされますから高額な運賃料金といったことになるといういろいろな問題がございます。  このタクシー会社を例にとりますと、二十六人と言われるケアドライバーを養成するのに百三十時間の講義、実技、実習が必要、二級ヘルパーを取るわけですから。それにこの会社は、送迎介護を徹底するために、加えて百時間の専門研修を設けた。徹底してやられているわけですけれども、やはり国としてもこれに対して何らかの補助制度等が要なんじゃないかというふうに思います。  全国福祉タクシーのいろいろそういう補助制度があるわけですけれども、ぜひ早急にもっと拡充、拡大していただきたい、こういうふうに思うわけですけれども、お答えをいただきたい。
  158. 中馬弘毅

    政務次官(中馬弘毅君) お話しの介護タクシー、大変評判になっております。平成十年八月、福岡県のタクシー事業者がサービスを開始したのが最初であると聞いておりますが、各地でそのようなボランティア精神、人道精神にあふれた方がかなり始められておりまして、それが評価されております。運輸省としましても、高齢化社会等に対応したタクシー関連サービスとして今後何か位置づけていきたい、このように思っているところでございます。  しかし、お話しのように、料金体系をどうするかとか、そういったこともございます。いろんな意味で、悪い意味での事業になってしまって奉仕精神が失われるようなことになりますと、これは大変ですから、そういったところもあわせて私たちは慎重に一つシステム化、制度化を考えていかなければいけない、このように思っております。  ただ、これを始められる方々に対しましての、リフトつき車両の導入に当たっての法人税の特別償却制度とか、あるいは自動車取得税の軽減措置、こういったものを講じているところであります。さらに、十一年度の補正予算においては、地方公共団体と連携協力して先駆的な福祉輸送車両の導入の支援を緊急に行うこととして、現在予算要望しているところであります。  今後とも、福祉タクシーサービス充実のためには、地域、これは自治体だとか地域のボランティアの団体等もございましょう、こういった地域福祉行政と協力連携を行いながらやっていくことが必要であると、このように認識いたしております。
  159. 弘友和夫

    弘友和夫君 先ほどのお話じゃございませんけれども、やはり今後タクシー業界におきましてもこういった分野に積極的に取り組んでいただいて、介護だけじゃなくていろいろな分野、買い物もしてあげましょうとか現実にいろいろ出てきておりますけれども、そういう分野も必要なんじゃないか。  これに、ちょっと矛盾するようでありますけれども、反対に、いろいろ福祉団体、ボランティア等が、今度四月一日から介護が始まる、そういう方がいろいろ希望によってどこか見学に行きたいとか、買い物に行きたいとか、そういう要望があってその方を連れていく。常時それを連れていったりなんかしていたら、これは道路運送法違反になる。無償旅客自動車運送事業として運輸大臣に届けなければならなくなる。そこでタクシーの方とのトラブルも起こりかねないという部分もあるわけです。  だから、どういうものがよくてどういうものが悪いのかとか、いろいろそういう整理を今していかなければいけない時期に来ているんじゃないかなと。だから、道路運送法などの法改正等も視野に入れつつ、両方からそこら辺を本当に高齢社会に向けて取り組んでいかないといけないと思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。
  160. 中馬弘毅

    政務次官(中馬弘毅君) 先ほどのお話の続きのようにもなりますが、ボランティアの方々が常時そういうことを献身的におやりになる、こういったことは必要かと思いますが、先ほど言いましたように、その方が事故を起こされるといったようなことになりましたときの責任問題等が発生してまいります。そういうことから、これはボランティアということの前提であるにしましても、やはりそういった何らかの要件を満たしているという条件でそれを認めるという形が必要かと思います。そういうようなことから、輸送の安全の確保や利用者の保護をどのように図っていくべきか、今後その取り扱いについて運輸省としましても検討していく所存でございます。
  161. 弘友和夫

    弘友和夫君 時間がありませんので次々行かせていただきますけれども、次に、自動車関係諸税のグリーン化、それからテクノスーパーライナーの実用化につきまして、先日の大臣の所信の中で「深刻化している地球温暖化問題に対応して、運輸部門における二酸化炭素の排出削減を実現させる観点から、特に自動車関係諸税のグリーン化やテクノスーパーライナーの実用化を」「実現してまいりたい」と、このようにお述べになっていらっしゃいます。  自動車関係諸税のグリーン化につきましては、自動車税、軽自動車税、自動車重量税の保有関係の自動車諸税を、燃費のよい自動車については軽減税制を、燃費の悪い自動車については重課税を行う、こういうことでありますけれども、ことしの十二年度予算要求に向けて関係省庁、また政府・与党との調整というのが非常に大きな課題になる、このように思いますけれども、大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  162. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 答弁に先立ちまして、先ほど弘友議員からの御質問の中に、私が述べました町村長が福祉にはお金がかかるということ、それはお金がかかるという認識じゃなくて、これが普通だということでなければならないというお話がございました。ごもっともなことでございますが、私が引用した町長は、福祉に大変熱心に、単独で数千万円の予算をかけてスロープをつけてそういうことをやった、その後の感想として、国からの補助金、県の助成等をいただきたい、いただきたかった、そういう思いを込めて言われたわけでございます。それから今日このような状況で、三分の一、三分の一、三分の一ということになって一歩進んでまいりましたのでその熱心な町長の話を引用したわけでございまして、恐らく誤解はなされていないと思いますが、あってはいけませんので訂正をさせていただきます。  ただいまの自動車関係諸税のグリーン化に向けての関係省庁との調整はいかんということでございますが、去る十一月五日に終了しましたCOP5において、我が国から清水環境庁長官を首席代表として代表団をボンに送ったわけでございますが、我が国に六%の温室効果ガス排出削減を義務づけたいわゆる京都議定書を二〇〇二年までに発効させることの必要性が各国代表の閣僚レベルで確認されたところであります。これは当然御承知のことでございますが、このために運輸部門の排出の約九割を占める自動車からの排出抑制が必要であり、中でも低燃費自動車の普及促進が最重要課題と考えております。  先ほども当委員会出席の前に、お昼休みの時間に、運輸省と環境庁が共同主催をいたしまして低燃費の自動車のデモンストレーションを運輸省の中庭でやってまいりまして、私もそれに参加をしてまいりました。  つまり、機会あるごとに、低燃費の自動車の普及等を含めて、先ほど申し上げました京都議定書の実現に向けて我が国としての果たすべき役割ということから考えますと、どうしてもここで自動車関係諸税のグリーン化を環境庁とともに行いたいという決意を持って平成十二年度の税制改正要望にお願いをしておるところでございますが、本税制を実現するためには関係省庁の調整が何よりも大事でございまして、目下精力的に各省庁と協議をいたしております。やがてそれぞれの政党にも御相談、御理解をお願いしたいと思いますが、この年末にかけまして十二年度の税制改正におきまして私たちの願いが実現できますように全力を傾けたいと思っております。
  163. 弘友和夫

    弘友和夫君 私、運輸省と環境庁が手を結んでやられるというのは今まで余り考えられなかったぐらいすばらしいことじゃないかなと、このように思うんですけれども、今のお話のように運輸省、環境庁の「自動車関係諸税のグリーン化」という非常にすばらしいパンフレットがあるわけですね。これを見ましたら、「二〇〇〇年四月」と、こう大きく書いてある。二〇〇〇年四月に購入される新車からこういうふうに実施されますよと、どんと入っているわけです。ただ、小さい字で「以下は要望内容であり、決定されたものではありません。」という部分が一行入っていますけれども、あとは、グリーン化というのはこういうものだということです。だから、これを見ましたら、関係省庁の調整は確かにあるかもしれないけれども、絶対これは実行できるような感じで、また運輸大臣も非常に力を入れておられると。  私も、地球環境というのを考えれば、このグリーン化というのは賛成なわけですけれども、ただ、自動車税だったら都道府県ですか、軽自動車税は市町村、そういう地方自治体の今の財政はどういうふうに補てんしていくのかとか、さまざまな問題、通産省との問題等もあると思いますけれども、そこら辺のネックになるという障害はどれぐらい高いのか、大臣、見通しをひとつ。
  164. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 大変御配慮のある質問をいただきましたが、私ども自動車関係諸税のグリーン化を進めるに際しまして、それぞれの省庁の既得権益のようなものがございますから、それとの調整等にまず苦心をいたしております。  しかし、いずれの省庁におきましても、先ほど申し上げましたようなCOP5における決定、そして確認、さらに二〇一〇年までに達成をしなければいけないという目標値について、そこに上り詰めていくためにいろんな方策、方途があろうと思いますが、私どもが主張する自動車関係諸税のグリーン化以外に他に方法はございましょうかということも私は常に呼びかけてまいりたいと思っております。私たち考えていることが何もかもすべてを満たしておるとは思っておりません。他にもしいい案があれば、私はどうぞ御提案くださいということを各省庁にもお願いするつもりでございます。  しかし、今のところはそれぞれの省庁は非常に御理解を示していただいておりますので、粘り強く御賛成、御協力を得られるよう一層頑張ってまいりたいと思いますので、委員におかれましてもどうぞ御支援をいただきますようにお願いをする次第であります。
  165. 弘友和夫

    弘友和夫君 この中に、乗用自動車は乗車定員が十人以下、貨物自動車は車両総重量二・五トン以下と。  一般的なバスだとかトラックだとか、そういうのは対象になっているんですか。
  166. 羽生次郎

    政府参考人羽生次郎君) ただいまの御質問でございますが、二・五トン以下のバス、トラック等は対象になっております。二・五トン以上のものにつきましては、現在この燃費をはかる方法というものを開発中でございまして、これを二〇〇〇年中に得る予定でございます。それができれば、またこの新たな方法を導入する予定でございます。
  167. 弘友和夫

    弘友和夫君 それはちょっと、燃費をはかるものがないと。今大臣は、非常にすばらしい理想というか、地球温暖化のそういうことのためにこれをやるんだと、いろいろあるけれどもやるんだと。運輸省の関係のバスだとかトラックだとか、そういうものだけはちょっと外しておきますよ、はかるものはまだ開発されておりません、これではやっぱり説得力が弱いわけでありまして、それは全部やっぱりやっていかないとだめじゃないかなと、このように思いますが、どうですか。
  168. 羽生次郎

    政府参考人羽生次郎君) 私どもの所管ということではございませんで、この燃費基準についてどういうぐあいにつくっていくかを見ますと、ガソリン車の場合で、一九九三年にできまして、それから徐々に拡大していっております。ガソリン車、ディーゼル車、そして二・五トン以下のトラックというのもつい最近できまして、二・五トン以上のものにつきましても、これを急いで二〇〇〇年ということでやっております。  そういった燃費基準の測定の方法ができた場合において、これをまたグリーン化するということは当然検討しなければならないし、その方向を考えなければならないと思います。我々は、決してその基準をつくるのが遅いというわけではございませんで、台数の多いものから始め、九三年から始めております。そして、徐々に大きく拡大していって、その燃費基準の測定方法を開発しているところでございます。
  169. 弘友和夫

    弘友和夫君 一応納得をさせていただきますけれども、ぜひまた後で事情が違ったらまたやりたいと。ロケットみたいに途中で火が消えるようなことのないようにぜひ頑張っていただきたいと要望しまして、まだいろいろございますけれども、時間が参りましたので終わりたいと思います。  以上です。
  170. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上です。  新しく二十一世紀を迎えるに当たって大きな課題があると思うんですが、一つはやはり二十一世紀は熱核戦争をやめさせなきゃならない。それから食糧問題、人口問題、環境問題ありますが、我が国においては、毎年一万人近くが亡くなっているという交通事故をどうやってなくすかというのは、これは運輸省の最大の目的でなきゃならないと私は思います。  そこで、事故調査検討委員会を常設のものとしてやはり立ち上げていくべきではないか。昨今の鉄道事故を見ましたときに、鉄道に対する信頼というのが大変失われてきている。それをどう回復していくかということを考えると、事故調査検討委員会を常設のものとして立ち上げていくことが必要ではないか。    〔委員長退席、理事簗瀬進君着席〕  一つの重大事故の背景には二十九の小さな被害があり、その被害を伴わないものは背景として三百あるというふうに言われています。したがって、こういう潜在的な事故につながる可能性を持った無数のインシデントの存在というのがありまして、やはりハインリッヒの法則というものを重く受けとめていくべきではないかというふうに思っているところでございまして、私は、やはりこういう事故の分析等を含めて考えていくそういう常設の事故調査検討委員会というのを設置する、行く行くはアメリカのNTSBのような交通運輸全体を網羅しました事故調査委員会というのを設置していくべきではないかと考えておりますが、大臣の見解はいかがでございましょうか。
  171. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御専門の渕上委員からの御指摘でございますが、私どもも鉄道の事故調査の分析については、列車衝突事故など特大事故、特異な事故が発生した場合には、直ちに鉄道局長もとに各方面の専門家学識経験者で構成される事故調査検討会を立ち上げ、当該事故に対する原因の究明及び再発防止の対策を検討できるように今年六月に体制を整備したところであります。  一方、事故調査検討会と同一メンバーにより構成される事故分析小委員会を運輸技術審議会もとに常設的に設置し、ただいま渕上委員御指摘の鉄道施設の故障や輸送障害など事故の予兆となるもの、いわゆるインシデントについては詳細に分析を行い、その結果を事故防止に反映させていくことにしておるわけであります。  鉄道の事故やインシデントについては、航空事故や海難事故に比べ原因究明の根拠となるものが多く残されている場合が多くありますので、現在のところこのような体制で事故調査の対応は可能であると考えておるものであります。  また、交通運輸全体を網羅した事故調査委員会については、本年三月、既に渕上委員からの御指摘を受け、運輸省としては効果的に事故調査を実施する体制はいかにあるべきかという観点で、運輸省内においてすべての輸送モードにわたる技術担当の課長による検討会を設け検討したところであります。その検討の結果、事故の形態は各輸送モードごとに大きく異なること、実際の事故調査に当たっては各輸送モードごとにより深い専門的知識が必要とされることなどから、事故調査機関は現行の輸送モードごとに独立した形態が望ましいという意見が大勢を占めたところであります。  しかし最近、特に人的要因に起因する事故が発生している状況は先ほどからの御指摘のとおりでございまして、学識経験者意見を聞くなどにより、いま一度さらに新たな観点から検討を進めることにし、私が再々申し上げております運輸省の中に設置しました安全戦略会議等におきましても、今委員御指摘のようなことを十分に踏まえて万全を期するように心がけてまいりたいと思います。
  172. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 運輸省の基本的な政策として十年に一度の運輸行政基本方針を策定していく、それから二〇〇一年には国土交通交通運輸行政の基本方針というふうに、十年に一度ずつ基本方針を策定しておりますが、私はやはりここで交通憲章を策定してはいかがかと。今日の近代的な新しい生活を考えていく場合に、衣食住プラス交通というものは人間が生きていく生存権の最も基本的な問題ではないかというふうに思います。  そこで、憲法の第十三条、憲法の二十二条、憲法の二十五条という人間の基本的な権利を定めていることからしても、やはり十年に一度そういう基本方針を策定するのではなしに、運輸政策として二十年これからの交通あり方という理念を策定していくべきではないかというふうに思います。  フランスでは既に社会権の一つとして交通権を明確にしておりますし、アメリカでは障害を持つアメリカ人法というのがありますし、我が国においては福祉の町づくり条例というものが各地でできています。    〔理事簗瀬進君退席、委員長着席〕  そういうことを考えると、やはり先行して運輸省が交通憲章というものを策定していくべきだと考えますが、大臣いかがでございましょうか。
  173. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 交通は、今日の社会生活を送る上で欠くことのできない重要な生活機能であると考えております。  お尋ねの交通憲章に関しましては、フランスのような包括的な基本法を定めるという手法もありますが、我が国では、道路運送法を初めとする個々の事業法において目的として公共の福祉の増進を掲げており、また交通弱者については、障害者基本法、高齢社会対策基本法において所要の規定が設けられているところであることは御承知のとおりでございます。  運輸省としては、これらの規定の考え方に基づいて引き続き都市交通整備バリアフリー化、さらに乗り継ぎ利便の向上、つまりシームレス化等の具体的な施策を今後とも推進してまいりたいと思いますが、交通憲章の問題については、ただいまフランスの例等を詳しくお述べいただいたわけでありますが、運輸省としては今後検討してまいりたいと思います。
  174. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 やはり国民には夢を持たせないかぬと思いますので、運輸省として国民に夢を持たせるようなそういう理念を、大臣今言われましたけれども、どうぞ十分に御検討いただきたいと思います。  そういうのを御検討いただくと同時に、交通基本法の制定をしてはいかがかというふうに思っているわけでございます。やはり交通の持つ公共性ということを考えますと、これをどのように具体的に保障していくのかというのは国の政策として大変重要なことでございますから、公共交通を保障する場合の国の責務の問題と義務、役割というのをやはり明確にしていくべきではないかというふうに思っているところでございまして、これは交通の移動の自由をどう具体的に国が保障していくのかということもあわせ考えていかなくてはならないと思います。  したがって、新しい概念として、基本的人権の権利として社会権というようなことを考え交通の問題を考えていくというのが、これから先の新しい二十一世紀の交通考える場合の基本的な法になるようにしていかなくてはならない、こういうふうに思うわけでございまして、交通憲章とあわせて交通基本法の制定をすべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
  175. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御質問交通権に関しては、御指摘のような交通基本法の制定という手法もあろうかと存じます。  現在でも、道路運送法を初めとする、先ほども申し上げましたが、個々の事業法において目的として公共の福祉の増進が掲げられておりますが、具体的には国と地方公共団体等が相協力して交通問題に対しての対応も考えてまいらなくてはなりませんが、社民党がかつて国、自治体の補助等により、地域交通確保という意味から地域交通整備法案等を議員立法として御提出もされておりますので、そうしたことも十分念頭に入れて、きょう交通権の問題において改めて御指摘いただいたことを十分念頭に置いてまいりたいと思います。
  176. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 いわゆる交通というのは安全で安心して信頼されるというのが原則でございますから、大臣も何回もこの場でも言われておりますから、そのことなどを考えますと、こういうものもあわせて大変必要なことではないかと思っておりますので、運輸省として御努力いただきたいと思います。  次に、先ほど同僚議員も需給調整撤廃後の問題について質問がございましたが、少し違った角度から御質問申し上げておきたいと思います。  需給調整規制撤廃後の乗り合いバス、タクシーのあり方でございますけれども、運輸省は現在撤廃後の乗り合いバス、タクシーのあり方について運輸省として検討されていると思いますが、それぞれの進捗状況と基本的な考え方についてお示しいただきたい。  特にタクシー関係についてお伺いをいたしますけれども、需給調整規制撤廃後、供給過剰となり、とりわけ労働条件が大幅に低下をしていく問題、先ほども指摘があっておりました。それから、逆に言うと、労働条件の低下に伴う、以前ありました神風タクシーのような、とにかく走ればいいというようなタクシーになってしまうようなことをもう一度再現してはならないと思います。  同時にあわせて、そこのところが問題になるのが安全輸送の問題でございますので、私は、先ほど三万台とか言われておりましたけれども、ここのところをやはり個々具体的に地域別に検討しなければならない問題であろうと思います。減車が可能な緊急調整措置制度をやはり設けるべきではないか。一回許可してしまうと、やはり業者はそれにしがみついてと言ってはなんでございますけれども、自分のところは一台も多く、他の会社は一台でも少なくという心理が働いて、増車そのままということになってまいりますので、ここら辺の大臣のお考えをお伺いしたいと思います。  それから、先ほどもお話ありましたが、いわゆる幅運賃としての問題で、下限と上限を決めるべきだというところについてちょっと聞き漏らしましたが、私はきちっとやはり下限は決めるべきじゃないか。逆に言うと、上限はそのままでもいいじゃないかと。  先ほど言ったような非常に優秀なタクシーで、これならお客さんが金何ぼ払ってもいいというようなタクシーがあるなら、それは上限を設ける必要はないんじゃないでしょうか、そういうものをお金があれば選択するわけでありますから。しかし、私どもとして最低のところをきちっと押さえていくということは、逆に言うとタクシーに対する安全信頼性につながる問題でありますから、上限よりも下限のところをきちっと決めていくべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  177. 中馬弘毅

    政務次官(中馬弘毅君) さきに答弁したことと関連しますので、料金の規定問題でございますけれども、これにつきましてまだ結論は出しておりません。  ただ、私としましては、いろんなところの声があるということで、上限、下限の幅を決めるだとか、あるいは上限何%だとか、いろいろ案があるということを御紹介しただけでございます。ただ、下限につきましても、下限を決めたら下限に張りついてしまうじゃないかというお声もまたあることも一つ申し添えておきます。
  178. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま乗り合いバス、タクシーについて、事業間の競争を促進し、より利便性の高い輸送サービスの供給を図ることを可能とするために需給調整規制を廃止することといたしましたが、需給調整規制廃止後においても輸送の安全及び利用者利便の確保を図るために必要な規制を行うこととして万全を期してまいりたいと考えておるものであります。  タクシー事業においては、運賃の値下げ競争が運転者の労働条件の低下につながり、輸送の安全の確保を困難にする可能性があることなどよく承知をいたしております。ダンピング競争を防止するための規制は必要であると認識をいたしております。また、タクシーの供給過剰は都市において交通渋滞を引き起こすほか、輸送の安全確保を脅かすものと指摘されており、著しい供給過剰状態になった際に、委員御指摘のとおり、何らかの緊急措置を検討することが必要ではないかという認識を持っております。  今後、タクシーの特性を踏まえて、具体的な措置について十二月いっぱいぐらいに結論を目指して、今後懸命に努力をしてまいりたいと思っております。  今ここに参りまして、特にタクシー業界、バス業界等から、また先ほども御指摘がありました労働組合の方からもさまざまな意見が寄せられております。いよいよ業界の皆さんも、あるいはそこに従事される運転者の皆さんも含めて、運輸省も含めて、規制緩和の問題について真剣な取り組みがなされるような状況、条件が整ってまいりました。  ここにおいて、私たち運輸省としましては、関係の皆様と十分意見を交換して、先ほども述べましたようにこれは対立して物事を考えるものではなくて、お互いに協力、協調して成果を上げる。同時に、国民の皆さんに対しては、高齢者社会の到来等も控えて我々は交通利便を国民の皆さんにどう供給するか、それをどう保障するかということが、運輸省としても重大な責任を担っているという認識を持っております。
  179. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 大臣、ありがとうございました。  私も、最近タクシーに乗りまして、最近タクシーの中で人間の声が聞こえるようになってきた。なぜかというと、お客さんどちらに行きますか、どちらでしょうか、どの道を通りましょうか、ありがとうございました。今までは余り聞こえなかったです。だけど、これが聞こえるようになってきたというのは、やっぱりタクシー運転手さんは運転手さんで努力していると思うんですよ。ですから、それはなぜかといえば、規制緩和後というよりも今の不況でタクシー利用のお客さんが大変減ってきた。減ってくること自体、みずからの生活条件を下げなきゃならない。賃金が減る、運収が減れば賃金が減るようになってきているわけです。  先ほど中馬政務次官考えていると言うんだったら、最低のところは守るというふうに考えてくださいよ。私はやはり本当に自由競争をして、これから先本当に信頼されるタクシーをつくり、サービスのよいタクシーをつくったら何ぼでも金が取れるといった方が業者もいいと思うし働いている人もいいと思います。ですから、そういうふうにぜひよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  先ほど何人かの同僚議員からもお話がございましたロケット打ち上げの失敗のことでございますけれども、二回失敗をして一回が延期して、合計三回の失敗をされている。我が国のこれから先のロケット開発行政考えてみた場合に、本当にこれから先我が国がロケット開発をやった方がいいかどうなのか。含めて先ほど二百八十一億の運輸省の予算というのがぼんと爆破したわけですから、空中でなくなりました。  そうすると、やはりこのまま我が国におけるロケットを使用した方がいいのかどうなのか、さまざまな問題があるし、やはりこれから先成功率を高めていくためにはもう少しきちっとした事故原因の調査も含めてやらなきゃならないと思います。あわせて、必ずしも国産でなきゃならないのかどうか、外国のロケットにその装置を積み込むことはできないのかどうか、考えていいことではないかと思います。一方で国際化、グローバル化と言うならば、そういうロケットも含めて考えていくということはいかがでございましょうか。また失敗してどんと来て、三回目済みませんでしたという話をするよりも一回検討していい処置ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  180. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私も昨日現場に赴きまして、結果的には敗戦処理をするような立場に立たされたわけでございますが、やはり運輸省としては、この件に関しては期待が大きく膨らんでおりましただけに、残念だという思いもひとしおのものがございます。  今、渕上委員御指摘のように、私は原因の究明を徹底的に、しかも速やかに行って、打ち上げの成功による経済効果ももちろん多大なものがございますが、同時に、どうすれば予算を節約し効果を多く上げるか、いわゆる費用対効果の問題もこの際私どもも十分念頭に入れて対応してまいりたいと思いますし、為替レートの問題等も考えてやってまいらなくてはなりません。  今、渕上委員御指摘の国産でなければならないのかという御主張に対しましても、我々はそうしたことも十分念頭に入れて、私はでき得れば科学技術の振興等を考えれば国産でやりたい、国産でやってもらいたいという思いはございます。これはいずれの御指摘をいただいた議員の皆様も同じような思いであろうと思いますが、国産で再々失敗を重ねておっていいのかという厳しい御指摘も、これも私たちは十分受けとめなくてはならないと思っております。しかし、昨日起こった事件でございますから、軽々に私が判断を申し述べるのにはいま少し時間をいただきたい、こう思っております。  先ほども総理とも十分この問題について話し合いをいたしましたが、しばらくはフリーハンドを与えていただいて私にお任せを願いたいということを総理にも率直に申し上げました。そして、あらゆるデータを準備して内閣としての方針も決めて対応しなくてはならないと思いますが、委員御指摘の点につきましても十分念頭に入れてまいりたい。  私も先ほど本会議に臨んでおりましたら、各党の皆さんからいろんなお話を伺いました。私は、その都度運輸省に伝えて、そして科学技術庁にも伝えて、専門家が私たち専門家だというそのプライドは結構でございますが、そういう専門家が陥りやすい盲点、それについても謙虚に反省をしていただいて、ともどもに、日本の国の国威発揚とともに、このことに関しての受益者というのは各般にわたって、早く言えばすべての国民ということを申し上げても過言ではないくらいの大きな役割を持っておるわけでございますから、今後懸命に原因究明に取り組むとともに、今後の対応について早急に結論を出し、関係各位の御理解や御協力を得られる努力を、運輸省としては一から出直すぐらいの気持ちを持って対応してまいりたいと思っております。
  181. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 海上保安庁に質問通告しておりましたけれども時間の関係でできませんので、並びに大臣、了解いただきたいと思います。  終わります。
  182. 大沢辰美

    大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  まず、交通バリアフリーについて質問をしたいと思います。  先ほども質問がありましたけれども、障害者の方や高齢者の方、そういう人たちは、やはり交通手段は社会参加をしていく上で本当に大事です。日常生活においても絶対切り離せない、これはもう当然のことです。だから、障害者を大切にしない社会は私はおくれた社会であると、こういうふうに思っております。だから、あらゆる交通施設等の阻害要因、バリアを取り除くことは、運輸行政として最優先課題として私は取り組んでいただきたいと願っています。  ところが、実態は極めて不十分な状況もあると指摘をしたいと思うんです。例えば先ほども出ておりましたが、駅のエスカレーター、エレベーター一つとってみても、JR、私鉄、地下鉄、約九千七百駅あるわけですけれども、エスカレーターでは今千二百駅ですか、それからエレベーターは約七百駅設置されているという報告を聞いておりますが、これは全体からしたら設置率二〇%になりますね。設置条件がいろいろとつけられておりますけれども、やはり必要なところにはつけていくということが大切だと思います。  こうしたことから、今から六年前になるんですけれども、参議院の運輸委員会日本共産党の高崎裕子という議員が、障害者対策のためにもエスカレーターやエレベーター、法的にこれを促進する必要がある、そのための交通施設の改善、整備に関する法律を早く制定すべきだという提案をした経緯がございますが、これに対して運輸省は、検討する、もう少し時間をいただきたいという約束をされています。それから六年たったわけですけれども、検討内容はいかがでしょうか。
  183. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 高齢化社会の到来、障害者社会参加の要請の高まる今日の社会情勢の中で、高齢者障害者等が安全かつ身体的に負担の少ない方法で移動できるようにすることは委員御指摘のとおりでありまして、私は運輸省の最重要課題の一つであると認識をいたしております。  このため運輸省では、公共交通機関のバリアフリー化を進めるための法案を次期通常国会に提出すべく目下検討を進めておるところであります。
  184. 大沢辰美

    大沢辰美君 六年間、長い期間の検討があってようやく法案づくりに着手が始まったということで、大変恐らく障害者皆さん高齢者皆さんもこういう話を聞いたら喜ばれると思うんですけれども、問題はその法律の中身で、内容について私たちも提案をさせていただきたいと思うんです。  第一は、法律の基本的精神としてはすべての障害者高齢者を対象にするのは当然ですけれども、妊婦さんなどもやはり本当に大変なんですよ。子供を二人抱えて自分はおなかが大きくて階段を上っている姿を私もよく見るんですけれども、本当にそういう人たちも含めた私は社会活動、日常生活というのはバリアを取り除く上では重要だと思うんですね。そのことも明確にしていただきたいという点が一つ。  それから、法の主体は交通施設、いわゆるハード面にどうしてもなるわけですけれども、ハード面以外の問題として運賃割引の課題もあります。現在、運賃割引制度も存在していますけれども、今後も私、対象の範囲の拡大も含めて法的にきちっと位置づけるべきじゃないかなという提案をしたいと思うんです。車いすで移動をするときには、駅などに人員的に駅員さんがいらっしゃればいいんですが最近少ないですから、そういうやはり配置、ハード面じゃなくてこういうソフト面での措置は私は位置づけていただきたい。  第三に、自治体の役割も出てくると思うんですけれども、先ほども指摘がありましたが、地方財政もとても状況が厳しい中にあります。だから、負担が過重とならないようにしなければならない。  特に指摘しておきたいのはJRなんです。エスカレーター、エレベーターなどの整備で自治体に五〇%、七〇%負担を求めているところがあります。支援をしなければ設置をしませんよと、そういう状況になってきているんですよね。ひどいときには、自分のところのJRの敷地を出すんだから設置費は全額自治体で持ちなさいと、そういう事態も生まれてきているんです。これでは余りにも無責任な状況だと思いますから、大手事業者はやっぱり本来みずから進んで実施すべきだと思います。  同時に、中小零細事業者には国としての支援を強化するという位置づけ、そしてそういう大手事業者の責務、この辺を私は明らかにした法案づくりも一部ですけれども提案をさせていただきたいと思うんですが、大臣いかがですか。
  185. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま妊婦等も含めるべきではないかというような御指摘がございました。私どもは、一々これから検討してまいりたいと思います。  このごろ列車の中でも赤ちゃんをトイレなんかでもちゃんと保護できるような、そういう施設がだんだんと出てまいりましたが、まだまだ緒についたという段階かと思います。そして、これらのせっかく施設ができておりましても、先ほど弘友委員からのお話のようにかぎがかかっておって使えないとか、あるいは今、大沢委員の御指摘のようにそういうことのお手伝いができるような駅員が十分配置されていないとかというもろもろの問題があろうと思います。  いずれにしましても、各関係者の皆さんから十年以上にわたってのいろいろな御主張、御意見がありまして、その中からようやく今日を迎えるに至ったわけでございます。  私どもは、法案における対象者の範囲、交通事業者の責務のあり方等を含めて、法案の内容については目下検討中でありますが、引き続き関係者の御意見等をいただきながら、ただいまの議員御指摘の点につきましても検討の材料とさせていただいて今後真剣に取り組んでまいりたいと、このように思っております。
  186. 大沢辰美

    大沢辰美君 ぜひいいものをつくっていただきたいということを要請しながら、どういう法律になるのか、そしてこの法律が今回検討されて通常国会に出されるかもしれないという状況の中で、いわゆる障害者皆さんがこのことを余り知らないという実態もあるようです。  ですから、私は、法律作成に当たって、これらの障害者の個人、団体から、全部は聞けないけれども、要望をやはりもう一度大臣として聞いていただいて、そしてこれは運輸省が先頭になってつくっていただくわけですけれども、交通分野を対象にしているわけですから、道路交通や町づくりも同様のバリアを抱えていますから、そういう人たちの話を聞くと同時に、運輸省が中心になって、やはり道路交通ですから、建設省そして自治省、警察にかかわることもたくさん出てくるわけですね。  ですから、大臣、各省の大臣に働きかけていただいて、政府としてこうした点を検討していくんだという、そういう中心的役割を果たしていただきたい。そして、今最初に申し上げました障害者皆さん意見ももう一度聞いていただきたいということをお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
  187. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 高齢者障害者等の移動制約者の御意見等については、やさしさ指標検討委員会、そのような場におきまして既に十分伺っておりますが、それらの御意見を参考にして法案の検討を行っておる最中でございます。  しかしながら、委員御指摘のように、関係者からさらに十分な御意見を賜るようにということでございますが、私はさらに多くの関係者の皆さんから御意見をちょうだいしながらすばらしい法案に仕上げていきたいというふうに思っておりますので、御意見は十分承っておきたいと思います。
  188. 大沢辰美

    大沢辰美君 さまざまな障害があるからこそ聞いていただきたいと重ねてお願いを申し上げまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。  空港整備に関する質問でございますけれども、今、国と地方の借金は約六百兆円、国民一人当たり五百万円という途方もない規模に膨れ上がっています。財政は完全に破綻しているけれども、その主な要因は、やっぱり私は公共事業の大盤振る舞いがあると思うんですね。そういう中の一つである空港整備についてお聞きしたいと思います。  第六次空整で名前が載って、そして第七次空整で着手を決められた神戸空港についてお尋ねしたいと思います。  この神戸空港をめぐっては、さまざまな階層そして団体から多くの批判、私はこれほど出ているそういう事態は本当に真剣に受けとめていただきたいと思うんです。神戸市は、神戸空港が必要という根拠として、伊丹、関西空港では神戸市の中心部から時間がかかる、二つ目は、市の人口は今百四十八万人いるけれども、空港利用の需要があって、そのサービスを受け入れる人が多くなると述べているんですが、そういうことでしょうか。まず、お聞きしたいと思います。
  189. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 神戸空港の必要性等についてお尋ねがございましたが、神戸空港は、神戸都市圏の航空需要に対応するとともに、近畿圏における三つの空港、すなわち大阪国際空港、関西国際空港、神戸空港でそれぞれ機能を分担し、近畿圏における旺盛な航空需要に対応することといたしております。  具体的には、関西国際空港につきましては国際線及び国内線の基幹空港としての役割、大阪国際空港については国内線の基幹空港としての役割を担っていただく、三番目の神戸空港につきましては神戸市及びその周辺の国内航空需要に対応した空港として、それぞれ三空港、機能を分担するものと考えております。  また、近畿圏は御承知のように人口が二千万人であります。全国の一六%を占めております。また、地域内の総生産は約八十一兆円で全国の一七%を占める大きな圏域であります。これらを背景とした旺盛な航空需要に対応するためには、神戸空港の整備は神戸市等からもかねてより大変強い御要望がございましたが、私は、この空港は必要だという判断をいたしております。  ちなみに、欧米諸国と比較をしてみましても、都市圏人口一千八百万人、神戸市と神戸市周辺の人口と同じような人口を想定いたしますと、一千八百万人は、最もわかりやすい例としてはニューヨーク、主要三空港で九本の滑走路を持っております。八百五十万人のパリの都市圏におきましては主要二空港で六本の滑走路を持っております。七百万人のロンドン都市圏では主要三空港で五本の滑走路を有しております。近畿圏と同等以上の能力を持っておるわけでありますが、神戸は関西空港二期を含めてようやく五本ということになるわけでありますが、国際的な各都市の発展の状況等を見ましても、私はこの際神戸空港の必要性ということは十分理解ができるところであります。
  190. 大沢辰美

    大沢辰美君 国際的な部分と比較されたわけですけれども、そう言うならば、本当に神戸空港の第三種じゃなくて第一種、第二種というそういうことの考え方がそこに何かあらわれているような気がするんですけれども、そういたしますと、国は第三種として認めたわけですから何か矛盾しているような感じを私は今思ったわけですが、その点は指摘だけをしておきたいと思います。  今私は、いわゆる関西での神戸、伊丹そして関空という状況の中で、一つ具体的にこの狭い地域でどうなのかという点をお聞きしたいんですが、神戸から伊丹空港へ行く場合と神戸空港に行く場合に、時間と費用は一体どれくらい違うのか、簡単にお答えくださいますか。
  191. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 済みません、もう一度。
  192. 大沢辰美

    大沢辰美君 神戸から伊丹空港へ行く場合と神戸空港に神戸の人が行く場合に時間と費用はどれくらい違うのか、簡単にお答えください。もしあれでしたら政府参考人の方で結構です。
  193. 岩村敬

    政府参考人岩村敬君) 御説明申し上げます。  神戸の都市圏からの空港利用者は、現状では鉄道、バス等により大阪国際空港あるいは関西国際空港へ向かっておるわけでございますが、神戸空港の供用によりまして、一つは空港の選択の幅が広がる、さらに今御指摘のように短時間かつ安い費用で空港までアクセスすることが可能になるというふうに考えております。  ちなみに、神戸の中心部、三宮から新しくできる神戸空港までは所要時間約十五分と見ております。また、現在の伊丹空港に行く場合にはリムジンバスで約四十分かかるということでございますので、約三十分程度の時間短縮ができる。また、費用の面でも、現在伊丹空港に向かうにはリムジンバスで八百三十円の費用がかかりますが、神戸空港が新しくできれば三百円弱で行けるというふうに想定をしておるわけでございまして、半分程度の費用でアクセスすることができる、そのように考えておるところでございます。
  194. 大沢辰美

    大沢辰美君 ここに神戸市が作成しました需要予測の調査があるんですね。ここに必要性と需要見通しの根拠が載っています。  例えば、神戸市内を五つのゾーンに分けて、今局長が言われました三宮、中心から十五分で行ける、伊丹には四十分かかるということが書かれているわけですが、五つに分けていますから、一番遠いところだったら五十四分だとかいろいろ書いてあるわけですが、それぞれの五つのゾーンの中心地から伊丹空港に行く場合より神戸空港に行く場合の方が五つのゾーンのいずれも、これは三宮だけでなくて、いずれも二十五分早く着いている。そして、いずれも五百六十円運賃が安いということになっているんですね。  随分都合のいい調査が出ているんだなと思うんですが、このことが神戸空港を利用する需要根拠となっているんです。だから神戸が必要だということも言っているんですけれども、私はこの論拠を見て本当に唖然としたんですけれども、こんなことで空港が必要だと言い出したら、私は切りがないと思うんですね。  それは、同じく伊丹空港を利用している京都市だったらどうなのか。京都市中心部から伊丹までは五十五分かかります。京都東部の人たちは一時間五分かかるように書いてあります。ちなみに、神戸から伊丹空港まで最低、先ほども言いました四十分で行きます。京都より近いんですね。あとも京都と同じ時間の五十五分だとか五十九分で行くことになります。神戸市の論法でいけば京都にも空港が必要だということになりますね。  こんないいかげんな根拠で空港が必要だと言ったならば、私は全国各地空港だらけにならざるを得ない、このように思いますが、大臣、こうした神戸の論拠についてきちっと検証をされましたでしょうか。もし確かめていませんでしたら調査をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  195. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 三田の御出身の大沢委員からいろいろ詳しい道路事情等についてお話がございました。  私は、阪神・淡路のあの大震災のときに新進党の現地対策本部長ということを命じられまして、初日にもう神戸に入り、その後もずっと神戸に滞在していろんな救援活動のお手伝いの一端をさせていただいたことを記憶いたしております。その際、もし神戸に空港がありせばもっとこの災害の関係者の避難、あるいは何日も何日もおふろに入れないというふうな状況のことが相続いた際に、飛行機でこれを運んででも何とかみんながおふろにぐらい入れるようになってもらいたいなと思ったことがございますが、私はやはり国際都市神戸というこの地域に空港が必要だということに対して理解を示してきた一人でございます。  先般、ようやく空港の着工がなされまして、航空局長が現地に参りましてお祝いを申し述べると同時に、運輸省としての決意を述べてきたわけでございますが、今委員御指摘のようなことで再調査をするとか、あるいは財政的な問題について運輸省が立ち入って云々するという立場にもございませんので、現在のところこの空港の建設、一日も早く供用開始に向けて運輸省としては取り組んでいきたいというふうに考えております。
  196. 大沢辰美

    大沢辰美君 阪神・淡路大震災の本当に御協力いただいたことには感謝を申し上げたいと思います。でも、仮定の問題で空港があったらということをおっしゃいましたので、一言そのことについて。  あの場所にもし空港があったら、だけれどもあれは島で、そこへ通じる橋も、そしてモノレールも壊れたんですよね。ですから、もしあっても人間がそこに行くことができなかったという実態ですから、これはちょっと仮定になるのはおかしい論拠じゃないかなと思うんです。  そして、国際都市神戸ということを言っていただいて、やはりそのとおりだと思うんですけれども、私は、もし国際都市神戸と言うならば、先ほども申し上げました空港整備法にうたわれている第一種、第二種、第三種の第三種の空港でなく第一種、第二種になるのではないかと思うわけです。そういう点では、第一種、第二種を認めなかった国は空港を神戸に認めなかったということに私は匹敵するんじゃないか、そういう思いをしながらお聞きをさせていただきました。  一点その点を指摘しながら、私はもう一点、この神戸市の根拠の前提が極めてずさんなものであるという点をもう一度お聞きしたいんですけれども、伊丹空港への交通は、すべてバスを使用した場合の時間と運賃になっています、今。ところが、運輸省の航空旅客動態調査、これをきのういただきましたけれども、これを見せていただきますと、伊丹空港へのアクセスは、バスは三三・五%にすぎません。そして、タクシーと自家用車を利用する人は二七%います。こうなると、時間も費用も全く違ってくるし、根拠が崩れてくることになると思うんです。ですから、本当に必要性の論拠にすることは、先に何か空港ありきということであるように思えてなりません。  さらに私はお聞きしたいんですけれども、航空三社では、大阪―東京間で新幹線との競争に勝つために三十分から一時間間隔のシャトル便を飛ばそうとしていますね。これは午前七時から午後八時の時間帯で予約なしで利用できると。三社のどの航空機も空席があればすぐ上京できる、搭乗できると。現在運航している十五便から三十便に増便、そのための発着枠の確保を今しなければならないという構想をお聞きしていますが、間違いないでしょうか。これも簡単に政府参考人の方からお願いします。
  197. 岩村敬

    政府参考人岩村敬君) 今御指摘の航空のシャトル便化でございますが、これも御指摘のとおり、航空会社が運航ダイヤにおきます出発間隔を一定間隔とする、それによって利用者利便性を高めようとする構想でございます。  ただ、今御指摘の羽田―伊丹についてのシャトル便化につきましては、航空会社が検討を行っているという話は聞きましたが、具体的な内容について運輸省としては全く承知していないところでございます。一方、羽田―関空線については、伊丹線に比べて現在の運航ダイヤが非常に不便でございます。利用者から運航ダイヤの改善について多くの要望が寄せられておるところでございます。  したがいまして、運輸省としては、航空会社から本件について、すなわち関空と羽田の間のシャトル便といいますかダイヤの調整について話を聞くとともに、利用者からの要望をよく航空会社に伝えていきたい、そのように考えておるところでございます。
  198. 大沢辰美

    大沢辰美君 引き続いて、需要の問題でお聞きしたいと思うんですが、なぜ神戸空港は必要なのかにかかわって、需要が三百四十万人あるという指摘、これが開港時ですね、その五年後は、二〇一〇年になるわけですが四百二十万に上ると言っています。本当にそんなに需要があるのかという、運輸省はチェックしたはずであるけれども、間違いなくこれだけの需要があると言い切れるかということを私はもう一度聞きたいと思うんです。  私が調べた内容で、神戸空港を利用する地域として、神戸市全市もですし、姫路市も含めた地域から伊丹空港は利用しているわけですが、果たして何人いるんだろうということを調べましたら、これも航空旅客動態調査に出ておりました。伊丹空港で出発者が一日およそ千三百五十人、到着者は一日およそ千四百二十五人、合計二千七百七十五人です。ですから、年間にいたしますと約百一万なんですね。だけれども、神戸市の見通しは開港時の二〇〇五年で三百四十万人の利用者があるとしています。つまり、運輸省の出された調査の三倍も需要を多く見込んでいるわけです。  だから、私はやっぱり過大な予測と言わなければならない、需要について本当にチェックをされていないと。私は運輸省に対して、大臣に対して、この点についてはやはり調査をしていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  199. 岩村敬

    政府参考人岩村敬君) 需要予測につきましては、当然のことながら神戸空港の設置について許可をする前に十分チェックをしておるところでございまして、先ほどの御指摘のアクセスの点についても、当然のことながら乗用車とか等々ございますが、一番安い機関を選好するということで需要予測をしていくわけでございますが、そういう意味でリムジンバスを取り上げるなど、いろいろ工夫をしております。  また、航空の旅客者についても、それぞれ各地域からの旅客動態、それから航空利用による利便性の増大、そういったことをいろいろ相関式を使いまして予測を立てているわけでございまして、一々数字についてちょっと御説明できませんが、すべてチェックをした上での結果でございます。
  200. 大沢辰美

    大沢辰美君 需要調査についてもチェックしているとおっしゃいますが、今言いましたように、運輸省が調査をした実態は年間百一万が伊丹空港を使っている。だけれども、予測は、神戸市は約三百二十万、開設時と、本当に三倍の予測をしているわけです。だから、一万や二万だったら私も認めますけれども、こんなひどい予測をして、そして、いや、もう自治体がやっているんだからチェックをしているということで済まされないと思うんです。やはり大臣、私は改めて調査をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  時間がありませんので、最後に安全の問題で指摘をさせていただきたいと思います。  関空の二期工事が進められて着陸回数は二十三万回となると、伊丹空港そして神戸空港と極めて狭い範囲に航空機がひしめき合うことになると思うんです。運輸省は空域調査をやったということでお聞きしました。その結果の概要をいただいたんですけれども、神戸空港は垂直間隔、水平間隔、時間差を調整しなければならないとしています。私は、本当にこの高度制限の付加、こういうことがあったら大変危険な問題だと思います。神戸市の二万回を前提としていますけれども、私は開港後やはりこれはふえるんじゃないか、開港後五年には増便となっていますから、どうなるかとても心配です。  もう一つ、これは専門家のパイロットの航空関係の方が言っているんですが、出発時に高度千フィートで五・六マイルを飛行するのは大変危険だ、こんなところは那覇空港だけだと。これは、嘉手納を利用する米軍機が優先的に使用されていることから不当な制約を受けていることで、国会でも何度も大きな問題になっているという内容なんです。だから、パイロット、航空関係者は航空機の安全、運航上の観点から空港建設の立地条件としてこの場所は不適当である、こういうふうに指摘しているんです。特に、積乱雲などが発生した場合どうするんだと、こういうふうにも言っています。安全性がきちっと検証されていない、もともと狭隘なところに三大空港をつくること自体が私は乱暴なことだと思います。  時間がありませんので、これは質問したかったんですけれども、指摘をしたいと思いますので、ぜひこの点についても検証をもう一度やっていただきたいということを大臣に申し上げておきたいと思います。  大臣は、先ほど阪神・淡路大震災直後のことをお話しされました。九五年一月二十日の本会議の議事録を見せていただきました。被災者への支援を求めました大臣の発言です。その中で、「住宅ローンの支払いの最中に家屋が倒壊した人たちが崩れ落ちた家の前に茫然と立ち尽くしている姿を思うとき、」「新たな住居を求めるに際し、国は被災者の立場に立っての適切な対応をなすべきであります。ローンの支払い減免、支払い延期を含め、住宅再建に積極的に力をかすべきであります。」と指摘されています。そのとおりです。  私も被災者支援に必死に取り組みました。しかし大臣、震災後五年になろうとしていますが、国の住宅支援はありません。住宅を新築したけれども、二重ローンで今払い切れずに困っています。また、中小零細の業者の再建も進まず、神戸を代表するケミカルの生産額は地震前の五割にも達していません。  だから、神戸市民は今空港でなく、生活、住宅、営業の再建をまず望んでいます。ことし二月末に朝日新聞が行った世論調査では、賛成が二二%、空港反対が六二%、四月の神戸新聞の調査では賛成が二二%、凍結・中止が五六%でした。  被災者の生活再建を最優先にして、空港建設は中止すべきです。この点を指摘して、質問を終わります。
  201. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。  朝からほぼ七時間ですか続いておりますが、最後の質問の時間をいただきました。よろしくお願いいたします。  私は、先ほどの郵政省でもそうだったんですが、長く地方に関係しておったものですから、地方の立場からということで、軸足をそこに置いて質問させていただきます。それは言うなれば、今地方分権を進めていく上で、権限だけじゃなくていろんなものを、財源、人材等云々言われているわけですけれども、なかなかそういうところまで手が回らないというのが実態でございます。とすれば、いろんな面から地方分権に対して支援を送らなきゃいけないのじゃないのかなというようなことで、そんな視点から質問させていただきますが、大臣あいさつといいますか所信表明をいただきましたことに関して二点だけお伺いをいたしたい。地方の立場からということでお伺いをいたしたいと思っております。  一点は、私は地方の行政をやっておりまして、運輸行政が非常に地方の経済基盤にしろ生活基盤にしろ大きな役割を果たしているな、こういう認識は実は持っております。それは、例えば都市交通なんかにしても最近渋滞が非常に進んでおりますし、そういうものに対してどういう対策が必要か。これも建設省ばかりでない、運輸省のいろんな所管の事項と関係しておりますし、地方空港あるいは港湾、こういうものが地方の活性化に非常に大きな役割を果たしている、こういう認識でございます。そういう意味から、地方に対してもぜひ目を向けていただきたいという立場で質問させていただくわけでございます。  運輸省も地方ばかりでない、国際プロジェクトについてのいろんな計画もされておられます。これはこれで必要なんでしょうけれども、心配いたしますのは、いわゆるよく言われる経済効率だけで考えますと、地方と都市とを比べまして、これは経済効率、人口だけでははかれないかもしれませんが、明らかに人口が多い方が効率がいいのじゃないかというような思いがあるわけでございまして、そういう面からいきますと、地方というのはどうしても置き去りにされていきかねない。そんなことで、置き去りにされることがそれはそれでいいという人もあるかもしれませんが、それはやはり国土の均衡ある発展という意味からであれば当然望ましいことではない、こういうふうに思っているわけでございます。  たしか前の川崎大臣のときだったですか、ことしの予算なんかも地方に対する投資と都市に対する投資が、何か都市の方が私の記憶では五八%から六〇%に上がったと、ちょっと都市に傾いているようなお話もございまして、お金だけで判断できるものでもないと思いますけれども、その辺でいろんな配慮の仕方があるかと思いますが、地方に対する運輸行政上、いわゆる都市交通、運輸対策等を含めて地方に対する配慮はいかがなものか、大臣にぜひお伺いさせていただきたいと思います。
  202. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま、岩本委員は県の副知事等も御経験をされまして、地方の立場からの大変示唆に富んだ御意見をちょうだいいたしました。  御指摘のように、まさに国土の均衡ある発展を図るためには、都市とともに地方に対する公共投資が果たす役割というものは極めて重要であると認識をいたしております。運輸省としては、この観点から、従来より都市部における都市鉄道や中枢港湾等の整備とともに、地方における地方港湾やあるいは新幹線等の整備も図ってきたところでありますが、特に新幹線等の建設が今後ともほとんど期待ができないような地域に対しましては、可変式ゲージ、いわゆるフリーゲージトレーンを導入するなどの対策等も考慮しながら、今後、都市と地方の均衡ある発展に努力を傾けてまいりたいと思っております。  特に、私は自由民主党の時代にもあるいは新進党の時代にも、さらに自由党の時代にも過疎対策の責任者を務めてまいりました。その観点から申し上げますと、国土のほとんど半分の面積を有しておる過疎地域、人口はわずかに六・五%程度でございます。市町村の数にしまして千二百ぐらい市町村過疎地域という指定を受けておるわけでございますが、今申し上げましたような状況でございます。恐縮ですが、私の県の例を申し上げますと、私たちの県は衆議院の選挙区で三つの選挙区に分かれております。私の選挙区は和歌山県の七五%の面積を占めてございます。市町村の数では六六%を占めてございます。  そういうことからいたしますと、今私は岩本委員のお説まことにそのとおりだという感じでございますが、一方、都市の人口あるいはまた都市の活性化を図っていくという面からの運輸交通の側からの支援策も、これまた極めて重要な役割を担うわけでございまして、今後都市と地方とのバランスを十分に配慮しながら、地方に対する公共投資の確保にも十分努めてまいりたいと考えております。
  203. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。大変勉強になるお言葉をいただきまして、ありがたく思っております。  特に過疎を大臣、いろいろと御心配いただいておりますが、私も過疎地域の問題についてはいろいろ悩まされた経験がございまして、今大臣が言われました人口六・五%というお話でございますけれども、私なりに解釈しますと、過疎地域の対策というのは六・五%の人口のためにやるのでなくて、いわゆる過疎地域が国土として保全されることは、結局川下その他の九十何%の都会の人のためになるんだと。したがって、日本国全体のものだというような認識で私はおりますので、その辺もよろしくお酌み取りいただきたい、こう思っております。  それともう一つ、きょう規制緩和についても随分出ておりましたけれども、これも地方の立場からの質問をちょっとさせていただきますと、規制緩和、これは新しい経済の発展を築くという意味で大切なことだと思いますし、また世の中の進みぐあい、世の中の進展からいって、私なりに理解しますと、今まで国が強制的に法律とか何かで規制していたものが、今度は民意を反映した合意といいますか、そういうものに変わってきたのじゃないのかなというような気がいたしまして、そういう意味でこの規制緩和というのは私なりには評価しておるわけです。  運輸省関係、いろいろ先ほど来の議論でいろんな規制緩和をされております。バス、タクシー等、これからだというお話でございますが、それでずっと規制緩和についていろいろ配慮されると思うんですけれども、規制緩和された後、運輸省の立場としては手を放したということにもしなるとすれば、ちょっとその辺が私心配なのでございます。  例えば交通機関の存続等、いわゆる事業者とあるいはその地域との間の合意とかそういうものだけに任される場合、特に地方自治体なんかは、そういう一つ交通機関以外にすべて地域のことを考えていろいろやろうとしているわけでございますから、そういうときに事業者が自分のものだけで物事を判断して、それを地方自治体に押しつけられる、あるいはそういう状況にしてしまうということは非常に地方としては困るわけでございまして、その辺がやはりお互いの調整といいますか、規制はしていただく必要はないんですけれども、調整といいますか、行司役といいますか、仲介役といいますか、そういう意味役割を果たしていただくのが大事じゃないのかなという気がいたします。  実は、この規制緩和で前の大臣に、規制緩和するんだから、これは人を減らしてもいいじゃないかと、規制緩和するということは仕事が少なくなるんだから、これは人を減らしていいんじゃないかというような御質問をさせていただいたときに、いやそれは調整機能があるんだから人が減るわけはないというような御答弁をいただいたこともあるので、運輸省御自身もそういうことをやるつもりがあるのかもしれませんけれども、その辺のいわゆる地方自治体といいますか、住民と事業者との間の行司役というか、規制ということでなくて、そういう調整役ということの役割をぜひ果たしていただきたいと思うんですが、その辺について大臣の御所見をいただけたらと思っております。
  204. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 運輸省といたしましては、生活交通の維持は極めて重要な視点であるという認識を持っております。しかしながら、生活交通の維持は規制という手段で維持できるとは限らず、これからは市場原理を活用することにより、より効率的な維持を図ることが重要だという基本的認識を持っております。  御指摘の離島や過疎地域などにおいて、国と地方公共団体とが分担、協力しながら、財政上、税制上の公的支援措置等により維持することが必要だということも考えております。  また、御指摘の調整機能については、廃止等によりサービスの供給が行われなくなるという地域に与える影響は極めて大きいわけでありますから、退出に当たっては一定の猶予期間を設けることや、地元関係者による協議の仕組みなどを適切に組み合わせて対応することが適当であると考えております。地元の関係者との協議の場も、今後法律の上でどういう取り扱いにするか今頭を悩ませているところでございますが、できる限りただいま岩本委員御指摘のような趣旨が生かされる方向で検討をしてまいりたいと思っております。  そして、先ほど地方の問題についても、当時、谷本知事あるいはまた岩本副知事等から能登空港の問題や美川駅の改築等の問題についてお話を承ったことを思い起こすわけでございますが、当時は私は運輸政務次官等をさせていただいておりましたが、地方の空港や鉄道等についても運輸省は十分配慮して今後とも努力をしてまいりたいと思っておりますので、一層の御協力をお願い申し上げておきたいと思います。
  205. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもありがとうございます。  きょうは基本的なことということで、大臣からも大変ありがたいお言葉をいただきまして、ぜひともその方向でやっていただきたい。個々の問題につきましては、またその時期時期で質問をさせていただきたいと思います。  その二点が基本的な私の質問なんですが、もう一点、これは些細な問題といえば些細な問題なんですが、ちょっと紙を配らせていただきまして、これはちょっと考えようによってはまた大きな問題ではないかなという気がするんです。  実は、先日九日に大臣のごあいさつをお聞きしました。お聞きしまして、どうも片仮名が多いなという印象を私は受けまして、お話になっている内容が、私の能力不足かわかりませんけれども、すんなり入ってこなかった。部屋に帰りまして秘書に、どうだ、これはよくわかるかと言ったら、秘書が、読んでいてわからないところを運輸省の大臣官房に問い合わせて、大臣官房が翻訳を書いてきてくれてファクスで送っていただいたのがこれでございまして、その証拠が一番上に「運輸省大臣官房文書課」で、「十一月十日十二時二十六分」、こう書いてあるわけでございます。私の部屋の者がすべて常識人だということは言いませんけれども、どうもこれ見ておりまして、やはりちょっと片仮名というか横文字というか、それが多いんじゃないのかなと、中には日本でできた横文字もあるんだそうでございますけれども。  それにしても、どうも専門的な例えば学会とかそういうところで議論する場合ならいいんでしょうけれども、やはり大臣がここでごあいさつされるということは、我々ばかりでない、日本国民全体にやられるわけでございますから、そういう方々がすんなりと入るような、そういうことでお話をいただけたらよかったんじゃないかなと思う次第でございまして、恐らく原稿は事務方がお書きになったのを、大臣はやはり優しい御性分からまあまあということでこのままやられたのかもしれませんし、あるいは大臣はもうこんな当たり前のことだと思っておられるかもしれませんけれども、そういう意味で、変な言い方をしますと、国民を煙に巻いて運輸行政がなされると見られかねないわけです。  そういう意味で、余りくどくどは言いたくないんですが、この辺について私はもう少し日本語らしい表現をしていただきたい、こういう気持ちでおるわけですけれども、大臣の御所見をひとつお願いいたします。
  206. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) みずからに反省を期する意味を込めまして、ただいまの岩本委員の御指摘ごもっともだというふうに思っております。  私も、運輸省に着任をして以来、またかつて運輸省でお世話になった時代もありますので、そのときからも強く指摘をしておきましたことは、例えば港湾局が文書をつくってまいります。港湾局には文学部出身の者はいないのか、だれか一人ぐらい文学部出身も港湾局に入れるぐらいのことを考えなきゃ、こんな文書は世の中に通用しないということを話をしたこともございます。  今御指摘の点につきましては、私もこの間ここでごあいさつを申し上げた後に、その場で、こういうことで何だかひとりよがりに運輸省がなっているような感じにとられかねないと。そういうことからいたしますと、片仮名の専門用語は可能な限り避けることが適当と、私自身もそう思っております。  したがいまして、専門用語を用いざるを得ない場合には、その前後に修飾の言葉をつけて、その意味合いがだれにでもわかるような、そういう平易な言葉を今後使用してまいりますように指導してまいりたいと思いますし、私自身もそう努めてまいりたいと思います。  例えば今度の白書に際しまして、白書を制作している担当者が私のところに参りましたので、役所によっては、どこの役所とは申しませんが、これは岩本委員も御経験のあるとおりでございますが、中央官庁の幹部職員でもなかなか白書に目を通す間のないような人もおりますが、私は、白書こそその役所が国民の皆さんに送るメッセージとして最も大事なものの一つだというふうに考えております。  したがいまして、できるだけ平易に書くこと、ただいま岩本委員から御指摘の外国語を使う場合には、その説明をきっちりそこに書くこと、その気持ちをもってすれば、自然に外国語を多用するというようなことは抑制されるわけでありますから、今後、白書においてもそのことが実現できるであろうというふうに私は信じております。どうぞ今度出る運輸省の白書に御期待をいただいて、そのことが岩本委員の御指摘を忠実に運輸省が実行に移した、このように御理解をいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  207. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうも一つ一つ大変前向きな御答弁ありがとうございます。  ちょうど時間でございますので、以上で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  208. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  次回は来る十一月十八日午後一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十九分散会