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1999-11-17 第146回国会 衆議院 労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十七日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 赤松 広隆君    理事 谷畑  孝君 理事 能勢 和子君    理事 穂積 良行君 理事 森  英介君    理事 鍵田 節哉君 理事 城島 正光君    理事 西川 知雄君 理事 青山  丘君       大村 秀章君    木村  勉君       小林 多門君    白川 勝彦君       田中 昭一君    棚橋 泰文君       長勢 甚遠君    福永 信彦君       松本 和那君    村岡 兼造君       渡辺 具能君    石橋 大吉君       中桐 伸五君    松本 惟子君       河上 覃雄君    西村 章三君       大森  猛君    寺前  巖君       畠山健治郎君    土屋 品子君     …………………………………    労働大臣         牧野 隆守君    通商産業政務次官     茂木 敏充君    労働政務次官       長勢 甚遠君    政府参考人    (科学技術庁原子力安全局    長)           間宮  馨君    政府参考人    (大蔵省金融企画局東京証    券取引所監理官)     新原 芳明君    政府参考人    (労働省労働基準局長)  野寺 康幸君    政府参考人    (労働省職業安定局長)  渡邊  信君    政府参考人    (労働省職業能力開発局長    )            日比  徹君    労働委員会専門員     渡辺 貞好君     ————————————— 十一月十七日  じん肺を根絶するための対策に関する請願(大森猛紹介)(第二四号)  同(金子満広紹介)(第二五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  労働関係基本施策に関する件  労働関係基本施策に関する件(東海村ウラン加工施設事故に係る報告)     午前十時二分開議      ————◇—————
  2. 赤松広隆

    赤松委員長 これより会議を開きます。  労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りをいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として科学技術庁原子力安全局長間宮馨君、大蔵省金融企画局東京証券取引所監理官原芳明君、労働省労働基準局長野寺康幸君、労働省職業安定局長渡邊信君、労働省職業能力開発局長日比徹君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤松広隆

    赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  4. 赤松広隆

    赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村秀章君。
  5. 大村秀章

    大村委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の大村秀章でございます。  本日は、この臨時国会最初労働委員会質疑ということで、産業政策を初め、自民党きっての政策通牧野大臣と、そして労働政策につきましてはまさしくこの一両年の雇用対策相当部分をみずからおつくりいただいた長勢総括政務次官、これは、雇用政策といいますか労働政策では最強のコンビではないかなと私は思うわけでありますけれども、そのお二人の大臣政務次官に御質問をさせていただきたいというふうに思っております。どうか、短い時間でありますけれども、明快な御答弁をお願い申し上げる次第でございます。  私ども政府与党小渕内閣は、ことしの年頭に当たりまして、とにかく経済再生、ことしこそは過去二カ年間続いてまいりましたマイナス成長から脱却をしてプラス成長に持っていこう、経済再生と、そしてその裏腹の関係といいますか同じ関係にある雇用の安心、これを確保するということを国政の最大の課題ということで位置づけてきた。そのためにありとあらゆる政策を発動してきたというふうに思っております。  そして、その政策効果があらわれたということだと思いますけれども、ことしの前半は、一—三月でプラスの二%、そして四—六月期でプラスの〇・二%、修正値では〇・一ということだったと思いますけれども、プラスプラスということで来たわけでございます。あとは、これからの年度後半が大変心配といいますか、さらにここを乗り切って、来年からまたぐっと浮上していくような、そんなことを今我々はやっていかなければいけないということだろうと思います。  そういう意味で、今回、先週の木曜日、十一月十一日に、政府与党におきまして経済新生対策というのを作成いたしたところでございます。これは、ようやく経済に明るい兆しが出てきた、株価も何とか一万八千円をキープしているということでもありますけれども、残念ながら実体経済はまだまだ力強い状況ではない。特に、設備投資を初めとした民間需要がまだちょっと弱いかな。あわせて、失業率も大変高い水準でございますし、有効求人倍率もまだまだ十分でない。そういう中で、やはり雇用対策というのが今回の経済新生対策の大きな一つの柱だと思います。  そういう意味で、きょうはその点について重点的に少しお伺いをさせていただきたいと思うわけでありますけれども、まず、その前提といたしまして、九月の完全失業率は少し、〇・一ポイント低くなって四・六%ということでございますし、また有効求人倍率も少し上がって〇・四七ということでありますけれども、依然として大変厳しい水準が続いております。  これにつきまして、この状況をどう認識するか、大臣認識をまずお伺いしたいと思います。
  6. 牧野隆守

    牧野国務大臣 ただいま御指摘完全失業率、あるいは有効求人倍率についてお触れになりましたけれども、約三百二十万人、完全失業率四・六%というのは非常に高い数字でございまして、ことしの二月から四%後半の高台でずっと推移いたしております。片方、求人倍率の方も過去最低の〇・四六倍ということで続いていたわけであります。  実は、私、毎朝起きてまず見ますのは経済紙で、今度はどこの企業リストラ発表したかな、その内容は何かと毎朝非常に気にいたしておりまして、ここだけを中心にして目を通しているわけでありますが、御承知のとおり、リストラ計画、二年ないし二年半、長いところで三年ぐらいで、当該企業雇用人員の一割から、ひどいところになりますと二割まで、リストラ対象ということを発表いたしております。最近では、これじゃだめだ、このリストラ計画を早めようというような企業の動きもございます。したがって、こういう情勢を見ますと、相当リストラは進んでいくな、三百二十万人、四・六%というこの辺を動かないな、実は私はそのような感じを持っております。  これらの数字を見ますと、一番心配しておりますのは、四十五歳から六十歳までの非自発的失業者、三百二十万人のうち大体百万人で前後いたしているわけでありますが、これはひょっとしたらふえるのではないかな。他方、雇用人員を削減し、あるいはふやさないということでありますから、新規採用を非常に手控えする、こういう傾向が実は出てきているわけであります。  したがって、産業政策全般として、景気を回復するために政府関係各省を挙げて全力を挙げておりますが、私ども雇用行政を担当するところとしては、雇用面確保、安定という点からいろいろな施策を進めていかなければならないな、こう思っているわけです。  先生、これからこれら両方を通じていろいろ御質問があろうかと思いますが、私自身は現在の雇用情勢に対して基本的にそのような認識を持っております。
  7. 大村秀章

    大村委員 大臣今言われましたように、中高年者雇用の問題も含め、また企業リストラ、正直言って雇用情勢が明るくなるという感じはまだまだないのが今の状況だと思うのですね。もちろん、それに至るまで、この一年以上、先ほど申し上げましたように、政府与党としてはありとあらゆる経済対策の中で雇用対策中心的に進めてきたわけであります。昨年十一月には雇用活性化総合プランで、一兆円規模で百万人の雇用をつくろう、そして、ことしの六月の第一次補正予算では、三千三百億円の予算規模で七十万人を超える雇用確保しようということを打ち出されたわけでございます。  こういった施策は少しずつ効果があらわれてきていると私も思っておりますけれども、これまでの実績とか進捗状況というところを、要は労働省としての自己採点ということも含めて政府参考人の方から少しお話しいただければと思います。
  8. 渡邊信

    渡邊政府参考人 今御質問にありましたように、昨年十一月には雇用活性化総合プランを作成いたしました。  主なものについて実績を述べさせていただきますと、まず、中小企業労働力確保法を改正していただきまして、新規事業を起こして労働者を雇うというときの賃金助成制度を始めましたが、これは、本年の一月からこの十月までで雇い入れ労働者予定数は約四万九千人というふうになっております。来年の三月までで約五万人というふうに初め想定をしていましたので、これは予想を上回る勢いで助成が出ているかというふうに考えております。  次の、中高年労働者失業を経ないで、仮に離職するという場合でも、事業主が次の就職先をあっせんするというふうな形で労働者が次の事業主に採用されたというときに賃金助成を行いますが、これは、この七月までで計画を受理したものが約一千五百件ということになっております。これは、失業を経ない労働移動というのがまだまだ我が国では非常に厳しい状況ということで、まだ件数の出方は少ないかというふうに思います。  それから、企業雇用の安定、維持のための取り組み支援いたします雇用調整助成金制度ですが、これは、本年九月時点では約二十万人の方がこの支給対象になっております。  それから、障害者高齢者等就職困難者を雇い入れた事業主賃金助成をいたします特定求職者雇用開発助成金制度についてですが、これは、昨年の六月に五十五歳以上という年齢要件を四十五歳まで引き下げたというふうなことでもありますが、昨年の六月から本年の九月までで約四十七万人の方が支給対象となるということで、この制度中高年の再就職支援に大変大きい役割を果たしているというふうに考えております。  次に、本年六月の緊急雇用対策実績ですけれども、まず、地方公共団体交付金を配付いたします二千億円の事業でございますが、これにつきましては、九月末までにすべての都道府県に配付を行ったところでありまして、二千億のうち交付決定額が約一千七百八十億円、各都道府県、市町村からの雇用創出見込み数の累計が約二十七万人というふうになっております。この事業は約三十万人の雇用創出ということを念頭に置いておりますが、現在時点では二十七万人。ただ、この事業は始まったばかりでありまして、これから具体的な契約に入るというところですが、例えば一番早く着手いたしました青森県におきましては既に一千名くらいの雇用が生まれたというふうに聞いております。  それから、新規成長十五分野で前倒しして雇用をお願いするという九百億の基金でございます。これもまだ始まったばかりでありますが、十一月五日現在で相談件数は七千七百件というふうに聞いておりまして、これからこの具体的な雇用数字が出てくるかというふうに考えております。  それから、先ほどの中高年失業なき労働移動につきまして、この緊急雇用対策では、年齢要件を取り払いまして若年者もこの助成対象にするということにいたしました。これも始まったばかりですが、七月の末から九月末までで計画届が約六百七十件あります。これによる支給対象見込み労働者は約千六百人というふうなところでございます。  以上のように、かなり成果を上げている制度もありますし、これから本格的に着手をするということで、これからの件数の伸びに期待しているところもあるというところでございます。
  9. 大村秀章

    大村委員 ありがとうございました。  特に六月にやった緊急地域雇用特別交付金、各都道府県地域ごと対策でありますけれども、これはたしか、ようやく、各都道府県は九月議会で多分予算を組んで今つくっているところだと思いますが、これは資金的にもまた内容的にも相当いろいろな自由度があると思いますので、これから実行に移していく段階が重要だと思いますので、これもぜひ労働省の方でも十分フォローしていただきたいと思います。そのことを申し上げておきたいと思います。  そして、こういった流れの中で、先ほど申し上げましたように、今回経済新生対策が策定をされたわけでございます。  ポイントは、これは全部で事業規模が十八兆円ということでありまして、対策の中身を二つのステップに分けて、まず、今までの公共投資公共事業中心に下支えをしてきたのを民間需要に何とかバトンタッチをしたい、そのことによって経済回復軌道を本格的なものに乗せていくというのが一つステップであって、その上で日本経済構造を変えていこう、構造改革をしていこうということが第二のステップ。そのために、中小企業支援でありますとかベンチャー支援、こういったものも盛り込んでおるわけであります。  その最初の、まず第一のステップとして、本格的な回復軌道に乗せていくという上において、この雇用対策というのが本当に大きな中核になるのかなと思うわけでございます。そういう意味で、雇用の不安を払拭しながら、公共需要から民間需要にシフトしていく、バトンタッチをしていって初めて経済が回転していくと思います。  そういう意味で、今回のこの経済新生対策における一つの柱である雇用対策の基本的な考え方といいますかそのポイント大臣の方からぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  10. 牧野隆守

    牧野国務大臣 今般の経済新生対策は、雇用不安を払拭しつつ我が国経済を早急に本格的回復軌道に乗せること等の契機をつくろうとするものであります。  私といたしましては、国民雇用不安を払拭するとともに、労働の価値、大切さが尊重され、労働を通じて一人一人が二十一世紀に向けて期待と確信を持てるような社会基盤づくりをすることが重要と考えております。  こういう見地から、経済新生対策における雇用対策としまして、第一は、国民雇用不安を払拭するため、大規模リストラ実施により大きな影響を受ける地域における雇用創出を図るための施策就職環境の厳しい新卒者を初めとした若年者障害者就職支援。第二番目に、二十一世紀の新たな基盤の確立のため、地域特性等を生かした先導的な中小企業への支援等による雇用機会創出中小企業発展を担う人材育成等中小企業基盤強化による雇用機会の拡大と安定、さらに二十一世紀に向けた必要な人材戦略的育成、これらの措置を盛り込んでおるわけでございます。  では、それを具体的にどうするんだということにつきましては、一つは、地域モデルとなる先導的中小企業を、一応約四千社程度念頭に置きまして選び、中小企業地域雇用創出特別奨励金、こういうことで約五百十億円をお願いしたい。二番目は、大規模リストラ実施により大きな影響を受ける地域における雇用創出のため、特定地域下請企業離職者雇用創出奨励金ということで約三百二十億円をお願いしたい。さらに、中小企業の具体的なニーズに応じた、専修学校等を活用した人材育成のために百三十八億円。その他、雇用保険給付等不足額、今いろいろ問題が出てきておるものですから、これらの不足額確保するための経費などを含めまして、第二次補正で二千七百億円強。これを含め、今後十五カ月にわたる雇用創出安定対策全体の事業規模としまして約一兆円程度事業実施することといたしたい、このように考えております。  労働省としては、補正予算成立後、経済新生対策に盛り込まれた雇用対策を迅速かつ着実に実施することとしており、これにより雇用創出、安定に努めてまいる覚悟でございます。
  11. 大村秀章

    大村委員 ありがとうございました。  その中で、特に、今回この国会もある意味中小企業国会とも言われておりますが、活力ある中小企業皆さんがぜひどんどん事業を広げていただきたいと思います。また、そういった新しい起業、業を起こすこともやっていく中で雇用確保するということがこれからの大きなポイントじゃないかな。ましてや、上場企業の大企業リストラ策をどんどん発表していく中では、雇用の受け皿としては、まさしくそういった点をどんどん伸ばしていくということが求められているんだろうと思うのであります。  そういう意味で、地域に根差した中小企業皆さんとかベンチャー企業皆さん、こういった方に対する雇用対策の中での位置づけといいますか考え方、今回の対策にもしっかり盛り込まれていると思いますが、その点につきまして、ぜひ長勢総括政務次官の方からもお答えいただければと思います。
  12. 長勢甚遠

    長勢政務次官 今大臣からもこれからの方策について申し上げたとおりでございますが、その中で、特に今先生指摘のとおり、中小企業の活力、特性を生かして雇用創出を図っていきたい、このことを重点に置いてこれからも考えていきたいと思っております。  特に、成長分野地場産業企業など地域発展に先導的な役割を担う中小企業、こういうところは地域雇用への波及効果も大変大きいわけでございますので、こういうところにひとつ元気を出していただきたいということで、大臣からもお話をいたしましたが、中小企業地域雇用創出特別奨励金というものを創設して地域の良好な雇用機会創出に取り組んでいただく、これを支援していきたい、このように思っております。  具体的には、中小企業労働力確保法に基づく改善計画認定企業のうちで、特に地域発展に先導的な役割を担う中小企業において、四人以上の労働者を新たに雇い入れ、そして人材開発のための高度な機材の購入など人材開発労務管理に係る先導的な取り組みを行う場合に、モデル企業として選定をして、従来、こういう新たに雇い入れいただいた場合には賃金助成をしておりますが、それに加えて、雇い入れ数に応じて七百五十万から千五百万円の奨励金を支給する。こういうことによって良好な雇用機会を積極的に創出をしていきたい、このように思っております。  このために、今度の補正予算において約四千社、予算額としても五百十億円を要求し確保していきたい、このように思っておるところでございます。
  13. 大村秀章

    大村委員 それで、先ほど大臣からもお話をいただきました中の、今回の対策の中で先導的な中小企業皆さんにどんどん雇用確保していただくということとあわせて、大規模リストラを行ったいわゆる企業城下町特定地域等々で雇用面で大変深刻な状況になるということも十分想定をされるわけでございます。  具体的には、今般、日産自動車が大きなリストラ計画発表されました。もちろんそれだけじゃなくて、ことし一年、年明けからずっと各企業の大規模リストラ計画がそれこそ毎週のように発表されるわけでございます。一つは、例えば富士銀行とか、住友、さくら、そういったそれぞれの大手銀行メガ統合によるリストラ計画とか、自動車関係では三菱でありますとか、流通関係ではダイエーとか、また東芝、NECとかいったハイテク関係の大きな企業も、これからの経営をにらめば大規模リストラを図っていこうということを発表されておるわけでございます。  もちろんこれ自身は、それぞれの企業の御判断、それからまた労使も十分これは考えていかなければいけないことであるわけでありますけれども、ちなみに、そういったリストラ計画発表について、日経連の奥田会長なんかは、企業リストラをやるのは、追求するのはそれぞれの企業判断であるわけでありますけれども、そこで人員削減雇用面に手をつけるのはやはり経営者としては最後最後じゃないのか、とにかく自分の企業にあるいろいろな資源、特に人的な資源をどういうふうに活用するかというのはまさしく経営責任の一番最たるものであって、それが十分できないんだったらまず経営者責任をとれということも言われておるわけであります。  私自身、まさしくそのとおりだなと思うわけでありまして、そういう中で、今回、特に日産自動車リバイバルプランで、人員削減につきましても二万一千人、それからまた特定地域主力工場も幾つか閉鎖をするということも発表されました。そういったところの対策というのも、地域雇用に与える影響を緩和して、そしてまた新しい雇用に結びつけていくということを、労働省としてもぜひしっかり後押ししていただきたいと思うわけでございます。  その点についての大臣の見解といいますか、これについての決意というのをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  14. 牧野隆守

    牧野国務大臣 ちょうど私この仕事に就任いたしましてすぐだったのですが、御承知のとおり日産自動車の大リストラ発表がございました。直ちに日産自動車首脳部を招致いたしまして、企業社会的責任というものを十二分に認識して諸般の措置をとってほしい、まずそれは雇用維持をどうするか、いろいろなことでお考えになるのでしょうけれども、就職あっせんにしても、あるいは技術の研修にしても、まず企業として雇用の安定にベストを尽くしてほしいと。  しかしながら、これは約六百社近い日産自動車村山工場の周辺の下請企業者、これに当然の影響を与えるわけです。そして、単に下請だけでなくて、あそこに生活していらっしゃる幾多の下請とは関係ない中小企業の方々がおられるわけです。いわゆる城下町の特別の事情でございます。  こういうことを配慮いたしまして、まず武蔵村山市で関係者協議会をつくってほしい、日産はどうするんだ、中小企業下請関係はそれをどう受けとめるのか、商工会議所商工会等々みんな集まって、どうやって地域を安定化させるかという協議会をつくってほしいと。それに対して我が労働省として、では、下請あるいは地域産業に対してどのような制度、システムでこれを力づけることができるか、こういうことでございまして、協議会でこの制度を十二分に利用して万全を期したい、こう考えているわけです。  現在の制度でも、例えば休業するという下請業者がございましたら、それでは雇用調整助成金ということで給与の三分の二手当を出していいですよとか、あるいは、他の事業者がそういう企業から出向だとか再就職あっせんによって労働者を受け入れた場合には、中小企業については賃金の三分の一に相当する奨励金を渡しますよ、あるいは、下請とは関係ないところの、町が疲弊したから困るというほかの中小企業、これについては、地域を指定して、この地域影響を受ける中小企業全体の皆さんに対してはこういう助成をいたしますよと、あらゆる現在の制度を総合して、この協議会を通じて皆さんにわかってもらって対処しよう、こういうことで現在進めているわけです。  今度の経済新生対策におきましては、さらに追加をさせていただきました。先ほどお話ししましたとおり、そういう離職を余儀なくされた離職者を一カ月以上の期間雇用する、また常用雇用する事業主に対して賃金助成を、これは期間を限って一人月十万円、六十万円助成しますよ、そしてこれから継続的に常用できるように企業基盤を固めてください、こういう制度を今度経済新生対策の中に一項目加えさせていただきまして、こういう大規模リストラに対処しよう、こういうように考えているわけであります。
  15. 大村秀章

    大村委員 ぜひ、そういった特定のところ、企業城下町対策というのもしっかりとやっていただきたいと思います。  そしてまた、自動車大変すそ野が広いわけでありまして、実は私の地元愛知県も、日産、トヨタ、三菱、本田、その関係企業がたくさんありまして、そういう意味で、日産一つにとどまらずに、自動車のほかのいわゆる部品をつくっているところ全般にやはり非常に影響が出てくると思いますので、どうか、そういった面でも労働省として十分ウオッチしてフォローしていただきたい、そのことをぜひお願いしたいと思います。  ほかにも、高齢者の失業対策でありますとか障害者雇用対策についてもお聞きをしたかった。これも今回の経済新生対策の中にも含まれておりますが、ぜひこれも重点的にお取り組みをいただきたいと思います。  また、先週でございますけれども、ある新聞報道で、雇用対策をやってもなかなか中小企業皆さんに認知度が低い、十分知られていないというような報道がございました。労働省及び労働省の出先機関も含めて、それからあと県とか市町村を通じてもぜひPRをしっかりやっていただいて、全体として、雇用対策雇用の安心というのをぜひ確保できるように頑張っていただきますことをお願い申し上げて、きょうの質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  16. 赤松広隆

    赤松委員長 西川知雄君。
  17. 西川知雄

    ○西川(知)委員 西川知雄でございます。  本日は、雇用保険の問題、それから今話が出ました日産自動車の問題、解雇の基準の問題、緊急地域雇用特別交付金の使途の問題、高齢者対策の問題、若年者就職支援の問題等についてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、雇用保険の問題でございます。二つお尋ねをしたいと思います。  現在、失業対策の重要な一環として、失業をされた人は、雇用保険失業給付、これがいつまで続くかということを非常に関心を持って見守っておられます。連合も、一時、この期間を九十日間延長してほしいというような要望を出したというふうに理解をしております。また、経済同友会も、基本的に二倍にする、最長の場合は三百日を六百日にしてほしい、そういうふうな要望が出ていたようでございます。この要望等について、現在どのような状況にあるのか、そしてこれに対する労働省の見解いかんということで、これについてまず大臣にお尋ねをしたいと思います。
  18. 牧野隆守

    牧野国務大臣 今おっしゃったとおり、関係の連合等を初め、こういう状況でありますからなかなか就職が難しい、支給期間を延長してほしいという声が出てきていることは承知いたしております。  御承知のとおり、現在、失業された方は、勤務年限等によって九十日から三百日失業保険の給付を受けておられます。しかし、例外がございまして、場合によっては延長していいよということで、個々の人を見て、ではどの程度延長をするか、では失業中に訓練する場合は何か考えていいのじゃないか等々、四つの給付期間を延長する制度があるわけです。  例えば、個人的に受けるというのは、先ほど申しましたとおり、不況業種に属しているとか、特定地域で非常に失業が多くて混乱をきわめているというような方には六十日間さらに延期をする。あるいは、期間中に勉強したい、研修したい、腕に力をつけたいという方についてはその研修期間は延ばしてさしあげますよ等々のことが行われておるわけで、私どもとしては、失業保険給付のセーフティーネットというのは一応機構としてはでき上がっている。  したがって、今のような御要望に対してさらにどうするかという点については、雇用保険それ自身の現在の仕組み、実は、保険料は一兆七千億円ぐらい入ってきておるんですが、支払いは二兆七千億円ということで、一年間に一兆円余計出さなきゃいけないわけです。それは、今までストックがありますからストックの中から追加して出す。そうすると、もう来年にはなくなってしまう。  では雇用保険制度をどうするかという問題もございまして、これらも含めまして、実は安定審議会で今いろいろ御相談させていただいている。私どもとしては、経営陣と働いている方々、それに政府、三者一緒になってお金を出しているわけなので、ここはひとつ安定審議会で皆さんの意見をまとめて、腹八分目までいくかどうかわかりませんが、ここならやらなきゃいけないな、ここまではしようがないな、こういう安定審議会の御意向を賜って政府としては決めさせていただきたい、こう考えております。
  19. 西川知雄

    ○西川(知)委員 そういう今御説明いただいたような財政状況でございますので、延長給付の適用要件の緩和等による九十日間の延長給付要求について、連合の方も、約九千億円の支出増となるというようなこと、また今申しました雇用保険財政の実情が明確になったことから、この要求を緊急雇用安定地域失業者に対する給付要件緩和要求に切りかえるということで、延長というものは財政支出を伴う、莫大な費用がかかるということで、これを御理解いただいたものというふうに私も理解をしております。  ところで、次に、ちょっと政務次官の方にお尋ねをいたしたいと思いますが、共産党の方から緊急提案というのが十一月八日付で出ておりまして、そこで雇用保険のことについて触れられております。  表題は「失業者へのセーフティーネットと仕事を」と書いてございまして、前置きの部分ははしょりますが、ここで、「ところが、小渕自自公内閣は、責任ある対策をとらないばかりか、」次でございますが、「雇用保険失業手当の国庫負担は、法律では支給額の二五%と定められているのに、一四・六%まで削り込んでいます。」こういうふうに御説明をされているわけです。  これだけを見ますと、法律で支給額の二五%と国庫負担が決められているのに、法律の条項に違反して一四・六%になっているというふうに読めるのですけれども、この辺の事実関係をちょっと御説明願えればと思います。
  20. 長勢甚遠

    長勢政務次官 雇用保険失業給付につきましては、雇用保険法で一定の国庫負担というものが決められております。特に、失業給付の中核であります一般求職者給付については、本則で給付費の二五%、四分の一ということになっておるわけでございますが、現在は、雇用保険法の附則で暫定措置が設けられておりまして、この本則の百分の五十六ということで、したがいまして、実質、給付費の一四%ということになるわけでございます。現行法では、この暫定措置が適用されておるという状況でございます。
  21. 西川知雄

    ○西川(知)委員 そうすると、この一四・六%というのは、法律の規定違反ではなくて、法律の附則にその旨が書いてある、こういうふうに理解をいたしました。  次でございますが、日産自動車のことについてお尋ねをいたします。  私は、日産自動車の再建計画による工場閉鎖、この具体的な内容、そしてそれに対する労働省側の対応についてお尋ねするわけではございません。これは一応、ここに働いていらっしゃる方また下請の方がいろいろと影響を受けられる、そういう意味で、雇用確保をする必要がある。したがって、そういう雇用確保するに際して、いろいろな公的資金を使って援助をしていく必要がある、こういう趣旨であるというふうに理解をしております。  そこで、これを金融破綻をした銀行への公的資金の導入ということとちょっと兼ね合わせて大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。  金融機関が破綻をする、その場合に、預金者保護とかまた健全な債務者の保護とか、そういう目的がございました。しかし、そのほかに、金融機関が倒産をいたします、また破綻をいたしますと、いろいろな取引先の企業影響を及ぼす。そして、そういう企業が連鎖倒産をしていく。そうすると、そこに働いていらっしゃる従業員の方、またその家族が大変な被害を受けるということで、その従業員の雇用対策としてもやはり金融機関に公的資金を導入して、そして雇用対策の面も考慮に入れて制度をつくっていこう、そういうことだったと思います。  私は、大臣にお尋ねしたいのですけれども、そういう雇用対策の面から見て、公的資金を導入するという、今回の日産等の工場閉鎖等に伴う雇用調整助成金等の各種の助成金のシステム、公的資金によって失業防止を行う、こういうことでございますが、これと、先ほど申しましたさきの国会で金融破綻した銀行への公的資金の注入が、破綻した銀行の影響による関連企業等の連鎖倒産等を防止して労働者雇用の安定を図るためであった、趣旨が同じであったと私は考えるわけでございますが、簡単に大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
  22. 牧野隆守

    牧野国務大臣 金融界に対する公的助成と比較して、ここがよくてここが悪いということは非常に難しい御質問で、なかなか私、的確に御返事できませんが、今回の私どもの雇用政策は、金融界であれだけのリストラをおやりになるのですから、彼らのいわゆる就職あっせんだとかあるいは研修、訓練というのは同じように取り扱っているわけです。  今御質問日産の件で言いますと、下請企業関係企業がいるわけですが、実は御承知のとおり、今度の経済新生対策で、中小企業庁は、保証協会の保証という形で、今までの二十兆円に対してさらに十兆円上積みしている。ですから、単に雇用という関係からだけではなくて、いわゆる企業全体に対する産業政策、そういう形で私どもは対処をさせていただきたい。それぞれ持ち分のところ、持ち分のところでベストを尽くす。  それで、私どもに与えられた仕事は、今具体的に離職される方に対してどのような方策があるか、あるいはそういう方々をお雇いになった企業主に対して何とか助成して、ちゃんと離職者を雇っていただきたい。その制度もあるわけですから、それに対して、賃金の二分の一なら二分の一の助成をさせていただくとか、そういう措置で、今私どもが持っていますすべての政策を、今度の日産なら日産の問題に集中して、下請の人が相談に来たら、あなた、この場合にはこういう制度、この制度、この制度がありますから、ダブらない限り全部フルに利用していただいて対処していただきたい。こういうことで実は考えているわけでございます。
  23. 西川知雄

    ○西川(知)委員 私が申し上げたかったことは、労働者雇用の安定を図るという意味で公的資金を導入する、こういうことについては、それが日産であれ金融機関であれ、それに対して公的資金を導入するということは共通した趣旨ではないかと私は理解しておるわけです。  金融機関に対する公的資金を導入するときに、私もそれに随分関与をいたしましたが、非常に反対をされていた党もございます。しかし、そういう党も、日産自動車が縮小するということで、労働者雇用が脅かされるから公的資金を導入しろ、もっと国のお金を使って援助しろ、こういうことをおっしゃるわけで、その辺ちょっと論理的な一貫性がないんじゃないかということを私はちょっと指摘したかったわけでございます。  次に、緊急地域雇用特別交付金について、現状と、また、先ほどの共産党からいただいたところには、それがうまく動いていないんじゃないかということで、お尋ねをいたしたいと思います。  私がいただいたペーパーでは、実際はこういうことが起こっているというふうにおっしゃっているわけです。「実際には、労働者派遣会社にコンピューター入力業務を発注するなどが中心になり、失業者への「つなぎの職」を提供するようにはなっていません。」どうもこういう制限があるということで、「こうした制限をとりはらい、各自治体が「つなぎ就労」の場を失業者の実情に見合って提供できるように抜本的に改善します。」こういうことを共産党の提案としていただいております。  私の理解しているところでは、この特別交付金というのは交付金を活用し事業委託をするということで、それも、コンピューター入力業務等だけに限ってはいけない、教育の面とか環境、リサイクルとか、そういうことも含めてもっと幅広くやって雇用創出を図らなかったらいけないということに理解をしていたわけでございます。したがって、この今の共産党さんの指摘と大分私の理解しているところは違うのでございます。  労働省でいろいろと統計等をとっていらっしゃると思うんですが、実際のところはどういうふうな結果になっているのか、これをちょっと大臣の方から御説明を願いたいと思います。
  24. 長勢甚遠

    長勢政務次官 緊急地域雇用特別交付金の趣旨は、今の大変厳しい雇用情勢にかんがみまして、交付金を各市町村、地方公共団体に交付して、そこで地域の実情に合った有効な雇用の場を開発してもらいたい、知恵を出してもらいたい、こういう趣旨で設けたものでございます。  したがいまして、その事業は、学校のパソコン研修等も当然ありますけれども、それ以外にも、環境ですとかリサイクルですとか、あるいは行政関係分野等々、多岐にわたる事業が予定されておるわけでございますし、現実に、今、各地方から計画が上がって千七百八十億円の交付決定をしたところでありますけれども、その計画は多岐にわたっておるのが実情でございます。  したがって、委託先も多岐にわたっておるわけでございまして、今先生指摘の、一部の文書にあるという派遣事業会社も、一部にはあるとは聞いてはおりますけれども、性格上、事業計画の中で人材派遣会社に委託をされるというケースは大変少ないんじゃなかろうかと思っております。また、派遣会社に委託する場合にありましても、その委託を受けた人材派遣会社は、その事業をやるために新たに人を雇い入れるという形で事業実施するということがこの制度の当然の性格であると承知をしております。
  25. 西川知雄

    ○西川(知)委員 私の理解しているところでは、今の計画では、例えば情報教育とか語学教育、生活指導の配置という、教育に関するそういう計画が約二一・三%。また、環境とかリサイクルが二七・八%。そして、行政関係の仕事が、コンピューター入力とかほかのことも含めて一六・五%というような数字でございますので、「労働者派遣会社にコンピューター入力業務を発注するなどが中心になり、」というのは間違いであるということがはっきりしたと思います。  まだいろいろと質問をしたいんですけれども、今、新卒者は、高等学校、短大、また大学でありましても、就職をするのが非常に難しい、超氷河期であるということで、リクルートスーツ等を着て朝早くから会社訪問をするけれども、ほとんどの会社からノーと言われたというような人もたくさんいると聞いております。  そこで、そういう人たちに対する就職支援について、第二次補正予算についてはまだ今練っていらっしゃるところだと思うんですけれども、もうすぐ提出されるということで、この第二次補正予算で盛り込まれている対策、これはどんなものがあるか、簡単に御説明をお願いしたいと思います。
  26. 長勢甚遠

    長勢政務次官 雇用失業情勢は御案内のとおり大変厳しいわけでございますが、そういう中でも、大学、高校新卒の方々の内定状況というものも過去最低という大変厳しい状況であることは御案内のとおりでございます。  こういう状況を、何とかして御心配をかけないようにしなければならないということで、労働大臣みずからも、十二日には日経連の会長に御要請をする、さらに主要経済団体の長に対しましても、採用枠を拡大していただきたいという強い要請を行ってまいったところでございますし、また団体側もこの要請にこたえて、日経連においては早速その趣旨を地方団体の長にお伝えをしていただいておるという状況でございます。  この厳しい状況に対応するために、これからの第二次補正予算において、新規学卒者の就職支援のために、我々としても最大限の努力をしたいと思っております。  一つは、大学、高校新卒者の未内定者に対する求人開拓、就職面接会の開催を、従来以上、倍以上の回数を、ぜひ予算を獲得して実施していきたい、そういう場をつくっていきたいと思っております。  また、若い方々は、職業人としての意識なり、未熟さというものが指摘をされておりますので、放課後に学校施設等を利用してパソコン講習等をする等、就職準備のためのスキルアップのお手伝いをしていきたい、このように思っております。  また、未就職卒業者や早期離転職者の就職促進のための職業相談、職業紹介を行うための若年早期離転職者相談コーナーというものも、今現在七カ所やっておりますが、十二カ所に増設をしたい、こういうことを中心にして補正予算を獲得したいと思っております。
  27. 西川知雄

    ○西川(知)委員 今おっしゃったように、若年者の就職状況ということに対しては非常に厳しいものがあるので、ほっておいたり、強い政策を打ち出さないと、これは社会問題にもなると思います。我々としても、今政務次官がおっしゃったような補正予算に対して、社会問題にならないようにバックアップをしていきたいというふうに思っております。  そこで、今ちょっとリストラ等の話が出ましたので、解雇の話をしたいと思います。  これから合併とか分割とか企業の営業譲渡、こういうものがたくさん起こってくる、こういうリストラの時代になります。そしてまた、なりつつあります。  そこで、整理解雇、これについて、実は前々から判例がございまして、最高裁の判例はないんですが、東京高裁の昭和五十一年(ネ)第一〇二八号、昭和五十四年の十月二十九日に判決が行われているわけでございますが、それで、整理解雇の四条件というのが例示をされております。最高裁の判例ではございませんが、一応これが基準になるんじゃないかというようなことで、人員削減の必要性、人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性、解雇対象者の選定の妥当性、解雇手続の妥当性、これが必要であるとされたということでございます。  これに関連いたしまして、私の理解しているところでは、連合も、こういう企業組織変更に伴う労働者保護法をつくったらどうか、また共産党も、同じような趣旨の法律をつくってはどうか、こういうようなことが提案をされております。これに対しては、さきの国会で、十一年の七月十三日衆議院で総理大臣が、「解雇規制法案に関しまして、解雇についての判例を踏まえ労使間で十分に話し合われるべきものであり、一律に規制することは適切でないと考えます。」こういうふうに答弁をされております。  私もこの両案を読ませていただきました。そこで、私の考えとしては、当然のことながら、もしそれが判例で書いてあるというようなことを法律にするということであれば、それはもちろん当然の解釈でございますから、それをわざわざ法律にする必要はない。また逆に、そういう四条件があった場合には解雇してはいけないというふうに書いてあると、それをまた反対解釈をいたしますと、ではそのほかの場合にはオーケーなのかというようなことも出てまいります。  したがって、一律に解釈して規制することは適当でないというのは、法律論としても正しいと私は思うんですが、しかし、ルールをある程度決めておかないとその時々の状況によって解雇になったり解雇にならなかったりするということで、私は、それは労使間の雇用関係が安定しないというようなことも考えられると思うんです。それについて、行政指導等としてある程度の基準が私は必要であると思うんですが、これに対して大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
  28. 牧野隆守

    牧野国務大臣 今御意見のありましたとおり、高等裁判所で、整理解雇する場合の要件といいますか一つ考え方がはっきり明示されております。例えば、人員削減の必要性があるのか。この場合に、例えば特定事業部門の閉鎖が絶対必要であるかどうか、それぞれの企業の実態に応じて個々に判断しなければならないような要件でございます。例えば、人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性。配置転換などをする余地があるのかないのか、全部個々の企業の実情に応じて具体的に、こういう考え方判断をしなきゃならないのが実情でございます。  そういう意味におきまして、私どもとしては、先ほど総理の御答弁に触れられましたけれども、そういう実情ですから、やはりまず労使間でしっかり話し合っていただくのが一番大切なのではないか。こういう基準を念頭に置きながら十二分に話し合っていただく。一律の基準をきちっと設けることが適当かどうかという点につきましては、まだそこまで踏み切っていいというようには私どもは判断いたしておりません。  したがって、ではどうするのか。私どもとしましては、各地にある労働基準監督署において、こういう裁判例がありましたよ、それぞれ各企業経営者はそこを十分考えてくださいよということをまず周知徹底させていただきたい。そして、もし整理解雇にかかわる労働者と使用者との間の個別紛争という形に、どうしてもそこに行ってしまった場合には、当事者からの申し出を受けまして、都道府県労働基準局長が適切な助言または指導を行わせていただこう。こういうように考えております。
  29. 西川知雄

    ○西川(知)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、そのほか高齢者対策、これは現在労働省が行っている助成金で、継続雇用定着促進助成金とか特定求職者雇用開発助成金とかございます。また、そのほかにもいろいろな施策を充実していく必要がこれから高齢化時代を迎えてあると思いますので、時間が来ましたのでこれらの効果とか実績については労働省の方にお尋ねはいたしませんが、その辺の対策についてもこれからの時代を考えて十二分に充実をしていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  30. 赤松広隆

    赤松委員長 青山丘君。     〔委員長退席、鍵田委員長代理着席〕
  31. 青山丘

    ○青山(丘)委員 先ほど来の大村委員、西川委員の、今の厳しい雇用失業情勢の中でまことに当を得た質問大臣の御答弁は、よく精通しておられて、理解しておられて、頼もしく、私はうれしく聞いておりました。ぜひ何としても、現下の雇用失業情勢は厳しくて、その改善のためにお互いに共通の認識を持ち、しっかり成果を上げていきたいと私も願っております。  実は、きのう経済企画庁長官がおもしろい例えを取り上げて、月例経済報告の記者会見であったと私は新聞で読みましたが、景気回復の三番バッターは消費ではなくて代打の輸出であった、一番打者は公共投資、二番打者が住宅、この一番バッター、二番バッターを憤死させてはならないので、第三の手として第二次補正でしっかり手当てをしていきたい、こんな表現をしておられましたが、まだ個人消費が余り伸びてはおらない状況で、十分に底を脱し切っていないというような表現をしておられました。  けれども、各種の政策効果が相当浸透してきておる、そのせいで緩やかな回復が続いているということは、国民から見ても、これは頼もしいことで、大切な段階だ、重要な段階だというふうに理解しておられると私は思います。一方、そういう成果もあってだと思いますが、あれほど厳しかった雇用失業情勢も、例えば有効求人倍率〇・四七倍、前月に比べて〇・〇一ポイント上昇してきておる。失業率もたしか四・六%、幾らか改善してきておるのかなという気が私はいたします。  ただ、新聞あたりを読みますと、そういう生易しい状況ではないのではないか。大企業リストラ計画をどんどん打ち出したり合併や統合が伝えられたりしてきておりますと、相当な人員削減雇用調整がこれからどんどんと出てくるのかなという不安が私にはありまして、実は容易ならざる状況だと私は思っています。  一たび失業の立場に立ちますと、その人及び家族の人たちの塗炭の苦しみというのは容易な状況ではない。  しかし、政府は相当な手はかなり制度としてやってきておる。どこまで効果が上げられるか、重要なことなんですが、そういう意味で、今、雇用失業情勢の改善ということが政治課題としては最も重要な課題だと私は思います。そういう意味で、六月から進められてきた、雇用創出の柱を立てられた緊急雇用対策、これが円滑に実施されているのではないかと私は思っておりまして、その成果がやはりじわじわと出てきておるという一面もあると思います。  大臣の立場で、今、雇用失業情勢をどういうふうに見ておられるのか、これからの雇用情勢をどういうふうな見通しを持っておられるのか、今後雇用改善のためにどういう方向でみずから進めていこうとしておられるのか、私からも少し聞いておきたいと思います。     〔鍵田委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 牧野隆守

    牧野国務大臣 御出席の委員の先生方は、皆さん、一人でも失業者をなくすように政府も頑張らなければならないし、皆さんからも貴重な御意見を賜りますから、それらも踏まえて全力を挙げて雇用政策を推進しろというお気持ちだろうと思います。  先ほども御返事申しましたが、構造改革という面で、製造業だとかあるいは卸、小売業だとかあるいは交通業等からほかの産業に、例えば建設業界、サービス業あるいは情報通信産業の方に非常に大きく雇用情勢が変化していく、実はこの情勢の変化というものを私どもは的確に把握しなければなりません。  それから、もう一つ気になりますのは、今ちょっと雇用数がふえたといいましても、実はサービス部門でパートタイマーの方々のウエートが非常に大きくなってきている。では、こういう形がどうなんだろうか。派遣事業という形で一つの新しい雇用形態が形成されてきている。これも、私ども雇用政策を考える場合に十二分に念頭に置かなければならない。  こういうことを考えますと、先ほどから申し上げております、いわゆるリストラ対象となっております四十歳—四十五歳以上の中高年齢の方々に対する対策、これはいろいろな助成措置があるのですが、これを総動員してやらせていただきたい。  それから、もう一つは職業訓練。これは若い方々に仕事ができるように、いわゆる需要と供給の間のアンバランスといいますかミスマッチと申しますか、これをどういう形でなくしていったらいいかという、職業訓練それから紹介のあり方等々に片方で全力を挙げて、本当に、でき得るものであれば失業率が、まあ何%がいいのかわかりませんが、皆さん御不満のない正常な状態、働くところに行って働くことができるというような、そんな雰囲気が安心して皆さんに持っていただけるように努力をいたしたい、こう考えております。
  33. 青山丘

    ○青山(丘)委員 三年くらい前でしたかあるいは四年くらい前になるかもしれませんが、失業率が三・四%、三・五%、三・六%。実は、このころ私は、これは大変な事態になったと非常に心配をしておりました。  ところが、三・七%、三・九%、四・〇%、四・一%、四・三、四・五、四・六、四・九まで実は先々々月はいきまして、その段階は、たしかアメリカでは四・三%くらいの失業率でして、ああ、いよいよことしに入って日本はアメリカの失業率を超えたのかと。我々子供のころは、何としてもアメリカに追いつき追い越したかったのですが、ようやくここまで来た、これは大きな成果だというわけにはいかない。これは大変なことだと実はまじめに憂慮しまして、本当に雇用失業情勢の改善というのを大きな政治課題として我々が取り組んでいかないといけない段階に来たという気が、率直にいたしました。  今の数字の推移を見ても、ようやく四・七、四・六と、現在では相当な雇用対策がそれなりにじわりときいてきておるというふうに思います。けれども、産業構造の変化はこれからもなお相当なものがあるのではないか。  例えば、先ほどもちょっと話題に出ておりましたが、富士銀行や日本興業銀行や第一勧業銀行の合併で五年間で六千人のリストラがなされる、人員削減がなされると新聞に出ておりました。東海銀行、あさひ銀行の統合で四千人、住友銀行、さくら銀行の合併で九千三百人、三井海上、日本火災、興亜火災で三千人、日産自動車雇用調整で二万一千人。  こういう見通しをこれからの判断の中に入れていきますと、なかなかこれは容易なことではないので、労働大臣も、こういうときに大変な大臣を引き受けたものだと思わないで、日本が一番大きな経済変化の中で、景気の問題もありますが、労働者のいわゆるミスマッチの大きく起きた時代、実は労働大臣をやることができて成果を上げてよかったと思っていただけるように、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。  そこで、先ほどもちょっと出ましたのでどうしようかと思っておったのですが、例えば大企業雇用調整をする場合ですと、今まででしたら、採用の抑制をして雇用調整を進めていくとか、あるいは関連会社へ出向してもらって雇用調整を進めていくとかというようないろいろなやり方がありました。希望退職者を募って進めていく。今までは整理解雇というようなことは余りなかった。  ところが、経済がこういう状況ですからやむを得ないといえばそうですが、この段階でどうしても、先ほどの議論のように、関連下請会社が相当な打撃を受けてきておる。大企業ですから、企業城下町というような地域は、地域経済そのものに直接的な打撃を与えてきておる。新規学卒者にも採用の問題で深刻な影響が出てきておる。  そうなってきておる状況ですので、大企業リストラ対策について、先ほどもちょっと大臣が触れられましたけれども、政府としても誠意を持ってこういう形で取り組んでいきますので、国民皆さんに、心配な状況ですからなおさら、心配をされなくてもいいですよというような姿勢、気持ちをひとつあらわしていただきたいと思うんですが、大臣としてのこれからの取り組みについて、そうした大企業リストラに対してどう対応していこうとしておられるのか、ぜひ聞かせていただきたいと思います。
  34. 牧野隆守

    牧野国務大臣 先ほども触れましたけれども、例えば日産だとかああいう問題の対処としましては、休業する場合の給与の補償金、あるいは、出向するあるいはそういう離職した人を新たに雇おうとする企業皆さんにつきましては、臨時的にそれぞれ給与の一部を補てんさせていただいて、ぜひ雇用維持していただきたい、頑張っていただきたいというのが、まず当面、きちっと皆さんにわかっていただいて利用するところは利用していただかなきゃならない、これが第一です。  それから第二は、これは私の基本的な考え方ですが、産業政策雇用政策というのは裏表ですから、一緒になってやらないと、ばらばらにやったのでは話にならぬ。したがって、今度も、中小企業庁が、単に規模が小さくて弱いという中小企業じゃなくて、創意工夫を持って、よしやってやろうという中小企業、こういう方々に積極的に融資保証その他をやって頑張ってくださいと。それでは労働省として何ができるか。こういう方々が人を雇うのをヘジテートする、では、労働省はこういう制度をつくりましたから、新規に入れていこう、そういう工夫を中心に頑張っている中小企業皆さんには、労働省としてはこういう支えを考えておりますよ、例えば四人以上雇っていただいたらこうさせていただきますよ、こういうことを今度経済新生対策として決めさせていただいて、さらに追加してやろう、こういうことを今考えているわけです。  ですから、先ほども御説明いたしましたとおり、六人までであれば給与の二分の一を補てんしますよと言いましたら、何と一万件以上申請が出てきたわけです。それだけ中小企業皆さんの、よし、私は頑張ってやろうという気概が、こういう政策によってはっきり芽が出てきたということで、片方で新たな事業を創生するということで我々としては頑張っていきたい。  かつ、もう一つは、国全体の景気がよくならなければどうしても雇用面にしわ寄せが来るわけですから、全体がよくなっていただかなきゃなりません。そういう意味において、今申しました産業政策雇用政策をマッチさせるほかに、今建設省にお願いしていますのは、あれだけ公共事業に投資されるわけですから、しかも安定して雇用確保できるわけですから、同じ事業でも雇用がふえる分野予算を配分して使っていただけませんか、こういうことを実はお願いいたしております。  それから、運輸省は、観光関係で、きちっともう少し情報が全部流れるようなことで研修機構をつくりたい、こう言っておられまして、ぜひやってください、あらゆる手段を講じて雇用を惹起する手段を関係各省もぜひ考えてください、こういうことで、全体の景気の浮揚という点で労働省の立場からもお願いをいたしております。
  35. 青山丘

    ○青山(丘)委員 今大臣がおっしゃられるとおり、実は失業問題の解決については、私も二つあると思っております。一つは、やはり経済回復させて、そして需要不足失業をまず解消していくということが非常に重要なことであろうと思います。  景気が悪くて失業者がふえているというのは一般の人たちが通常考えられることなんですが、現下の四・六%の失業率の中で、需要不足失業というのは一・五%ぐらいではないかと私は見ておるのです。そうすると百万人くらいですね。百万人以上ですが、しかし、三百万人を超える失業者の中の二百万人以上はそうではなくて、例えば職場はあるかもしれない、けれども、自分の職業能力と新しい職場へ移行できるために必要な職業能力とぴたっと合っていない、そこにミスマッチが起きてきている。もしこのミスマッチを解消することができれば、二百万人の失業者に対して大きな力、支えになっていくことになって、新しい職場を見つけて、家族も安心して職場へお父さんを送ることができる、お母さんを送ることができる。  この二つの問題をきちっと解決していかなければならないのではないかと実は私も考えております。需要不足失業が百万人以上、ミスマッチによるところの構造的な失業、摩擦的な失業が二百万人を超えていると見るべきでございますので、そうなってくると、もちろん景気回復政府全体で力を尽くしていただくことになりますし、我々もそのためにしっかり取り組まなければなりませんが、同時に、働く人々の職業能力をどう高めていくか、こういう取り組みが今非常に必要になってきていると私は思います。  そういう意味で、公共的な職業能力開発のための施設がたくさんありますが、これはもちろんですけれども、民間の専修学校みたいなところをもっと積極的に活用して、新しい職業能力を必要としておられる人々に教育訓練の機会を提供していく、こういうことが必要だと思いますが、労働省としてどのような取り組み状況になっておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  36. 長勢甚遠

    長勢政務次官 現在、大変厳しい雇用失業情勢の中で、今先生おっしゃられるように、需要不足失業のみならず、いわゆるミスマッチといいますか、こういう部分も相当大きい、これを解消することが大変大事なことである、そのためにも人材ニーズに合った能力開発体制を整備するということが極めて肝要な問題であるということはお説のとおりだと思いますし、我々もその方向で鋭意努力をしておるつもりでございます。  公共職業能力開発施設につきましても、例えば特に失業情勢が厳しいのはホワイトカラーでございますので、そういう方々の能力開発体制を充実するとか、また離職者の訓練の枠についても拡充を図るという努力をしておりますが、それだけでは足りない。やはりより社会のニーズに合った施設を持っているのが専修学校等でございますので、これらを活用した能力開発体制を充実していきたいということで、今年度につきましても、抜本的に委託訓練というものの拡充を図っております。  枠といたしましても、前年度が三万人程度の枠でございましたが、今年度は九万人の枠でやっていこう、また、中身につきましても、OAシステム科ですとかあるいは介護サービス科、流通マネジメント科、CAD製図科等々、できる限り就職に結びつくような科目に展開をする、委託訓練を図っていく、こういうことで努力をしておるとこでございます。  今度策定をいたしました経済新生対策におきましても、中小企業の個々の具体的な人材ニーズに応じて、その発展を担う人材育成専修学校等も活用しながらやっていこうという姿勢を明確にいたしておるところでございまして、今後とも専修学校等の活用を図って能力開発に努めてまいりたい、こういうことでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  37. 青山丘

    ○青山(丘)委員 実は私は、日本は資源の乏しい国だと子供のころから言われてきておりましたが、しかし、働く人々の能力というのが非常に高い国で、人的資源に恵まれた国だと思っておるのです。しかし、ミスマッチという問題がやはり相当深刻に今起きておりまして、これがもし解決をしていくということになれば、日本の雇用失業情勢は非常に改善されてくることになりますし、働く人々の能力が高まってきたときに、実は世界の国よりもむしろうらやましいようなすばらしい国に日本はなっていくのではないかということで、私は、前向きに考えて、日本にまだ十分期待できる、失業率がアメリカより高いからと悲観する必要は少しもない、そういう意味で、職業能力の開発というものが日本の国家的な大きな課題だという受けとめ方をお互いにしっかりしてこれから取り組んでいけば、相当な展望が開けてくるのではないかという気がいたします。  特に、今総括政務次官おっしゃられたように、人材ニーズに応じて人材の育成を行っていくことが非常に重要だ、とりわけ介護等の福祉や情報通信の成長が期待される分野に必要な人材を育てていく、そして供給していく、こういう段階であろうと私は思っておりますが、これが今の雇用失業情勢の改善にも直接的に関係してきます。しかし、この考え方は中長期的にも非常に重要なことだという受けとめ方をして進めていただきたいと思います。  そこで問題は、中高年のホワイトカラー労働者失業が増加しておりまして、このホワイトカラーの能力開発というのは一時的な問題ではなくて、やはり構造的な問題であると私は受けとめておりますが、ホワイトカラー労働者の職業能力について、いわゆる技能労働者と比べて、その能力を開発して育てていく、向上させていく、そういう手法というものがまだ日本は確立しておらないのではないかという気がいたします。  しかし、既に労働省ではアビリティガーデンなどを設置して先導的な取り組みがなされておるわけでございまして、こうした先導的な教育訓練コースというものをもっと普及させていく、そしてホワイトカラー労働者の能力開発についてしっかり下支えをしていくことができる、あるいはそのシステムを築き上げることができるというようなことになってくれば、今の雇用失業情勢に対して非常に大きな成果が上げられるのではないかという気がいたしますが、いかがでしょうか。
  38. 牧野隆守

    牧野国務大臣 御指摘のとおりでございまして、小渕内閣におきましても中高年対策が非常に重要な柱になっておりまして、ただいま私ども全力を挙げてこの政策を確立しようと努力をいたしているところでございます。  私、政府の研究機関も着任以来視察に参りましたけれども、確かに新しいニーズに応じていろいろな研究コースが実はでき上がっております。しかし、人数その他が、やはり一コースだけで三十人なら三十人という程度で、今おっしゃるようなホワイトカラーの皆さんに関心を持って相当数来ていただくというような体制はまだでき上がっておりません。  そこで、この間からお願いをしておるんですが、日経連の会長と連合の会長が御相談なさって、雇用安定宣言というものを出していただいたんです。両方が一生懸命やって、国民皆さん、私どもはベストを尽くしますよと。それで、さらにお願いをいたしまして、皆さんの方からも、会社関係ではどういう人を必要とされますかということを中心にしてどんどん注文を出してくださいと。わかりました、近いうちに私どものサイドからそういう職業訓練についてのあり方、お願い、希望というものをきちっと出しましょう、こう言っていただいておりますので、そういう声もお伺いして、それに必要なお金は今の雇用事業のお金があるわけですから、必ず御期待に沿うようにできるだろうな、こう考えております。
  39. 青山丘

    ○青山(丘)委員 私は、教育訓練給付で相当な成果を上げておりますので、その点を初めまだ時間があったら質問しようと思っておりましたが、時間が来ましたので、これで終わります。また改めてお願いしたいと思います。
  40. 赤松広隆

  41. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 民主党の鍵田でございます。一年ぶりに労働委員会に帰ってまいりましたので、またよろしくお願いを申し上げます。  牧野労働大臣には、先ほどからいろいろお話出ておりましたように、大変雇用環境の厳しい中、課題の多い、そういうときに労働大臣をお受けになられたわけでございまして、御苦労が多いんだなというふうに私も思っておるところでございます。特に、九月の完全失業率が、〇・一ポイントほど改善をしたといいますけれども、それでも四・六%台ということでございまして、平成十年の四月から連続十八カ月も四%台を維持しておる、こういうふうな状況の中での御就任でございます。  牧野労働大臣は、もともと通産畑で、通産行政のことには大変御造詣が深いということもお聞きしておりますし、中小企業対策なりまた行政改革の問題などにも熱心に取り組まれてきたということで、大変実績を評価されておるというふうにお聞きをしておるわけでございますけれども、通産行政と労働行政も不可分の関係にあるということを先ほどもおっしゃられました、確かにそのとおりでございますけれども、場合によりますと、必ずしも通産行政と労働行政が同じ方向で、同じ利害関係で成立するとは限らない場面もしばしば出てくるわけでございます。そういう意味で、労働委員会などに所属をされたという実績もお持ちではないようでございますし、また、いろいろな公約などを見させていただいておりましても、余り労働問題について触れられたことがないようにうかがえるわけでございます。  ただ、御就任に際しまして、所信表明的ごあいさつをいただきました。大変意気込みを感じられたわけではございますけれども、今回の組閣における人事配置というものが御自分にとりまして適切な配置であったのかどうかというふうなことについてどのように評価をされておるのか、また、本来ならもっと違うポストでの御就任を希望なさっておったんじゃなかろうかというふうなことも考えられるわけでございますが、その辺はいかがでございましょうか。
  42. 牧野隆守

    牧野国務大臣 私自身、生き方につきまして個人的に信条を一つ持っております。それは、随処に主となるという碧巌録の一言でありますが、与えられた場所でベストを尽くす、それでいいんだ、こういうことで今日まで政治生活も続けさせていただいております。今回の任務も、御承知のような景気、経済情勢雇用情勢でございまして、拝命いたしましたときは緊張そのものでございました、もし失敗したらどうなるだろうか、させてはならないしと。  したがって、単に労働行政という見地からの発言ではなくて、政府がとります財政、金融、経済政策につきましても、雇用という面からお願いできるものがあればお願いをさせていただきたい、こういうことで、現在のポストを責任を持って果たさせていただきたい、こういう心情でございますので、まずよろしくお願いをいたしたいと思います。
  43. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 ぜひとも頑張っていただきたいというふうに思います。  さて、この国会から政務次官制度ということが非常に重視される、そういうことになってきておるわけでございまして、そういう意味では、長勢政務次官には総括総務次官というふうなことで、労働省でのキャリアも、それからいろいろな履歴を見させていただきましても、プロフェッショナルであるというふうに私も評価をさせていただいておるわけでございますし、これからのいろいろな法整備に際しましても大変御活躍をいただけるというふうに期待をしておるわけでございます。  ただ、ちょっと残念ながら、きのう、あるところからファクスが入ってまいりました。それは、例えば公益法人などのあり方、それと政治なり政党なり政治家がどのようにかかわっていったらいいのかというふうな問題につきまして、いろいろ今後のあり方について影響のあるような、私はそういうふうに受け取っておるような情報が若干入ってまいりました。きのうも遅かったわけでございますし、御本人のことでもございますので質問の通告はしておらないんですけれども、少し事実関係などを教えていただければなというふうに思っております。  そこで、大臣または政務次官からでも結構でございますけれども、一般論として、大臣なり政務次官が政治資金パーティーのようなものをその御就任中にされるというふうなことについては政府としてどういうふうな見解を持っておられるのか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  44. 牧野隆守

    牧野国務大臣 現在、各方面におきまして、また党の内部におきましていろいろな論議が行われております。衆知を集めての結論を私どもは待っているわけでありまして、出た結論に従っていこう、こう考えております。
  45. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 といいますと、今現在はどういうふうになっているんでしょうか。
  46. 牧野隆守

    牧野国務大臣 私は政治家として最小限のお金で送らせていただいておりますので、特別こうだということは、今までと同じような政治生活を送らせていただければいいなと私は自分で納得しておりますから、そういうことでと思っております。
  47. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 政府の公式な見解としてはいかがでしょうか。資金パーティーなどを自粛するとかしないとかというふうなことについては特に申し合わせとか、そういうものは何もございませんか。
  48. 牧野隆守

    牧野国務大臣 私は東京でも今までそういうパーティーを実は全然やっておりませんので、今までどおりでいいんだな、こう思っております。
  49. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 大臣の御姿勢につきましてはよくわかりました。  問題は、政府としての、閣僚としてのそういう問題についての申し合わせがどうなっているかということをお聞きしたかったんです。それはちょっと御存じないということでございますか。
  50. 牧野隆守

    牧野国務大臣 いろいろな考え方の方がいらっしゃるわけですから、党としてきちっと論議して決めていただければそれに従わせていただきたい、こう思っています。
  51. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 ちょっと私の質問の趣旨とは違うわけであれなんですが、ここで堂々めぐりをしておってもなんですから、内閣としてそういうふうな公式の見解がありましたらまた明らかにしていただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。  そこで、労働省所管の公益法人で国際労務管理財団というものがございますが、これの性格とか目的とかということを、大臣、御存じでしょうか。
  52. 牧野隆守

    牧野国務大臣 私はまだ、詳細にどういう仕事をしているのかということは存じ上げておりません。必要とあれば調べなければなりませんが。
  53. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 実は、海外に進出しておる企業労務管理でございますとか技術移転、こういうふうなものについていろいろサポートをしていく、また海外の皆さんに対しての技術教育とか、そういうふうなこともなさっておられる労働省所管の公益法人であるということがわかってきておりまして、実は私もこの存在は全く知らなかったわけでございますけれども、その財団の名誉会長を長勢次官はなさっておるというふうにお聞きしておるんですが、それは事実でしょうか。
  54. 長勢甚遠

    長勢政務次官 御案内の団体につきましては、私は承知をしております。労働省の先輩からの御紹介で相当前に、相談に乗ってやってくれということもありまして、理事長とも、個人的には知っております。  ただ、私が名誉会長的に彼は理解をしておるかもしれませんけれども、そういう職についておるかどうか、私は正確にはわかりません。
  55. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 この財団が、理事長さんの名前で、長勢先生労働省総括政務次官御就任お祝いの会の御案内ということで、会員に配付をされております。日にちが十一月二十九日の月曜日ということで、千代田区の方で二万円の会費で開催される、こういうふうになっておりまして、出欠につきましては財団まで御連絡を下さいとなっておりまして、そのメッセージの中に、弊団の名誉会長長勢甚遠先生ということになっておりますから、この団体としてはそのように認識をされておるというふうに私は理解をするわけでございますけれども、このパーティーのことについてはよく御存じですか。
  56. 長勢甚遠

    長勢政務次官 相当前にその理事長から、お祝いをしたい、こういう申し出がありまして、時間がとれないかということでありましたから、その夜はあいているよと言ったことはありますので、私の日程にも、その夜は何かお祝いをしてくれるんだろうと思っておることは事実であります。  ただ、どういう形のお祝いをしてくれるのか、詳細は何も聞いておりませんので、今お話しのような文書を配っておるのかどうか、またどこへ配っておるのかも承知をしておりませんので、そこで名誉会長ということが文言として使われていることも、今先生から御指摘いただくまで承知をいたしておりませんでした。
  57. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 この案内状などによりますと、二万円の会費で、括弧して、記念品代等含む、こうなっておるのですけれども、この記念品というのは、参加者は二万円持ってこられるわけですからその参加者に対する記念品なのか、お祝いをする長勢次官に対する記念品なのか、そういうことに対して、事実関係をひとつ明らかにしていただきたいというふうに思いますし……(発言する者あり)
  58. 赤松広隆

    赤松委員長 不規則発言は慎んでください。
  59. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 これは公益法人のあり方でございまして、実は私もたくさんの公益法人を知っております。しかし、公益法人というのは、特定の政党なり特定の政治家とかかわることはやはりいろいろ問題がある。もちろん私も、政治家がこういう公益法人に対していろいろお役に立つとかその役員をするとかいうことを否定するものではございませんが、公益法人というのはやはり国からいろいろ便宜を供与されておる団体でございますから、その団体が特定の政治家や特定の政党に対して、利益を受けられるということは、これは問題があるわけですから、そういうことのあり方について明確にしていくことは当然のことでありまして、そんなことで変なことを言われる筋合いはないというふうに私は思いますから、このことについてひとつ明確にしてほしい。  それから、この会場は公的な会場のようでございまして、ホテルなどでやられることから考えますとかなり残余金も出るんじゃないかというふうに思います。どのぐらいの人数が集まられるかということにもよりますから、どういう財政状態になるのかわかりませんけれども、それらの関係について、残余金などをどう処理されるのか、そういうことも含めて、事実関係を明らかにしながら我々に情報を公開していただきたいというふうに思っておりますが、大臣としてのお考えをひとつお聞かせいただきたい。
  60. 長勢甚遠

    長勢政務次官 先ほどお答えいたしましたように、私よりも先生の方が実情に詳しいような感じがするくらいでございまして、どこに案内したのか、どういう形でやったのか、どういうふうに考えておるのか、私自身は今まで承知をしておりませんでしたので、理事長に確認をさせていただきます。二十九日だったですか、ちょっと私も正確に覚えていないくらいでございますので、どういうことを考えておるのか、私から聞いてみたいと思います。
  61. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 では、その結果はまた教えていただけますね。ひとつその辺はよろしく。こういうことで時間をとる気持ちは毛頭ございませんので、事実関係だけを明らかにしていただきたい。それによりまして、やはり今後、公益法人のあり方、これは労働省だけではございません、いろいろな団体、公益法人があるわけでございますから、それらのあり方にもかかわってくる問題でございますから、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは、雇用問題、先ほどからもう三人の方がいろいろ質問をされておりますので、重複する部分もあろうかというふうに思います。  第二次の補正予算経済新生対策というふうなことで出されておるわけでございます、まだ上程をされておらないわけでございますけれども。この雇用対策が一兆円規模ということでございますけれども、この予算がぜひともばらまきにならないで、実効力のあるものにしていただきたい、そういうふうな観点からも幾つかお聞きをしたいというふうに思います。  特に、若者の就職支援ということが大変重要でございますので、そういうことが入っておるということでは評価をいたします。また、内定しておる人たちが非常に少ない、こういうふうな状況がございますので、ぜひとも、若者が、一日も早く内定が決まり、そして就職ができるような、そういう環境づくりのために頑張っていただきたい。  しかし、特に高卒などの内定率が非常に低いというふうな実態もあるわけでございますし、また、三年以内に離職をされるという人も非常に多いようでございますので、それらにつきましての対策もぜひともやっていただきたいというふうに思います。  それらにつきまして、どういう施策をしたときに、それがどういう効果を生んでどんな実績を上げたかというようなことにつきまして、やはり常にチェックをしながら明らかにしていくということが大事なのではないか、そういう検証も必要なのではないかというふうに思いますし、中小企業などでは、若者が欲しいと思ってもなかなか実は来てくれないというふうな実態もあるわけでございまして、私も、この三年ほど、物づくりの大切さ、こういうことで、ものづくり振興の法案づくりで努力をしてきた一人といたしましても、そういうミスマッチが起こらないような対策も必要なのではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。  特に、若者につきましては、中高年者と違って即戦力にならないというふうな一面もございますので、そういう面では、特に職業訓練などを徹底して行っていただく。ドイツでもデュアルシステムというふうな制度があるというふうに聞いておりますけれども、日本におきましても、そういう職業能力開発を徹底的に行っていただきたいというふうに考えておる次第でございます。  今回の経済新生対策雇用に対する効果、こういうものについてどのようにお考えになっておられるのか、大臣にお聞きをしたいと思います。
  62. 牧野隆守

    牧野国務大臣 先生のおっしゃるような、特に新卒、若い離職者の方々の就職戦線への復帰、これについては、あらゆる手段を講じて今ベストを尽くさせていただいている次第です。  そこで、私が非常に注目いたしておりますのは、実は専修学校の存在です。約三千五百校、学校の研修に来られる方が七十万人を超すと聞いておるわけでありますが、あの存在が、若い方々が自分で何らかのノウハウ、何らかの技術を持って会社へ勤めよう、働こうという意欲、片方で、特に中小企業の方々を中心にして、一定の勉強した方が欲しい、そういう需給関係を、専修学校、特殊学校の今の状態がそのような需給関係を実は反映している、こういうように考えております。  例えば、ミスマッチをなくすために積極的に、今後新たに雇用関係需要が出てきます介護関係だとか、あるいは従来からどんどん伸びておりますエレクトロニクス関係、コンピューター、パソコン関係、こういうコースを多くして、そこへ行って勉強していただこう、研修していただこう、こういうことも今後道が開ける一つの大きい分野でございまして、今、一つの例を申し上げたわけでありますが、若い人の雇用対策として全面的に推し進めていきたい、こう考えております。
  63. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 ぜひとも、効果のある施策を今年度の補正予算措置におきましても行われますように期待を申し上げたいと思います。  過去にいろいろな雇用対策が進められてきております。  昨年の四月には緊急雇用開発プログラムということで四百九十八億円、それから十一月には、緊急経済対策として二十三兆円ほど予算を組まれた中で一兆円ほどが雇用活性化総合プラン、さらにはことしの六月に緊急雇用対策及び産業競争力強化対策ということで五千二百億ということで、その中の緊急雇用対策が三千二百九十九億円。また、この六月の緊急雇用対策につきましては、七十万人の雇用の増大ということを試算をされておったわけでございますけれども、十五分野の十五万人ですか、それから緊急雇用創出特別基金の活用で二十万人とか、人材移動特別助成金で七万人というふうな目標を設けて、いろいろな施策が行われておったわけでございますけれども、これの進捗状況なり、当初の予想効果、こういうものが実際にこの期間内に実現できるのかどうかという見通しにつきましてお答えをいただきたい。
  64. 長勢甚遠

    長勢政務次官 今お話しのとおり、昨年四月以来三度にわたって総合的な雇用対策を取りまとめまして、この厳しい雇用情勢に対応すべく努力をしてまいったところでございます。具体的な活用実績はどうであったかという御質問でございますので、かいつまんで御報告を申し上げたいと思います。  一つは、改正中小企業労働力確保法に基づきまして、創業あるいは異業種進出を行う中小企業に対する雇い入れ助成、こういう制度を本年一月から実施をしておりますが、これによる雇い入れ予定としては約四万九千人を見込んでおります。  また、企業雇用維持に対する取り組み助成するためのいわゆる雇用調整助成金制度については、その支給見込み労働者数は、本年九月に約二十万人という状況でございます。  また、特定求職者雇用開発助成金制度、これは高齢者等また障害者も含めまして就職困難な方々の雇い入れ助成制度でございますが、昨年六月から本年九月まででこの対象になり得る方々は約四十七万人という実績を上げておるところでございます。  ことしの六月の緊急雇用対策で、いわゆる地方公共団体における臨時応急の雇用就業機会を設けるために緊急地域雇用特別交付金制度を設けたところでございます。九月末に交付決定額は約千七百八十億円に上っておるわけでございまして、これが徐々に具体的な雇用創出につながっていくわけでありますが、これで約二十七万人の雇用創出を見込んでおります。  ただ、七月の補正で考えておりました、いわゆる成長産業における前倒し雇用をぜひやっていきたいということでございますが、これについては、大変周知徹底に努めておりますけれども、なおいま少しというところが実感でございまして、さらに成果が上がるように努力してまいりたいと思っております。
  65. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 実績が上がった施策もあるけれども、なかなか上がっておらない施策もあるというふうなことも聞いておりますので、その具体的な施策一つ一つでいろいろな検証をしていく、これが効果がなかったらまた新しい効果のある施策実施するというふうなことで、できるだけ短期間に検証を繰り返しながら、新しい施策へのチャレンジをぜひともしていただきたいというふうに思っております。  次に、中高年雇用対策、これもずっと先ほどから質問が出ておるわけでございますけれども、特にことしの六月に発表のありました数字でいきましても、自殺者が非常に急増しておるということでございまして、一昨年に比べましても三五%も自殺者がふえておるというふうな数字がマスコミでも報道されておるわけでございます。その中で、特に中高年者の自殺が急増しておるというふうな数字がございます。  これは政府発表された数字からのことでございますので余り細かい数字は申し上げませんけれども、これはやはり、リストラなり、厳しい経済環境の中で企業が倒産するとか、そういうふうなことで自殺者がふえてきておるというふうに思うわけでございますけれども、これらにつきましても、やはり政府が、平成九年以降、消費税の引き上げなり特別減税の廃止なり健保の負担なりというふうなことで、せっかく民間産業は努力して景気が立ち直りかけてきたところに急ブレーキをかけてしまった、その結果がこういう不況を招いておるわけでございますし、実際はもう政策不況だというふうに、これは我々が単に野党として言うだけじゃなしに、もう一般的にそういう考え方が定着しておると思いますし、また、それと同時に金融ビッグバンも起こってきておるというふうなこともあると思います。  そういう面で見ますと、やはり政府責任というのは大変重い。これだけの自殺者が出ておるというような実態をつくっておるわけでありますから、そういう面では大変責任が重いというふうにも思います。  また、大阪を中心としてホームレスの人が大変ふえてきておる。昨年の調査でも、八千五百人ぐらい大阪などでもおるというふうに言われておったのですが、今では一万人を優に超しておるというふうに言われておるわけでございます。  実際にこういう人たちの面接調査などをいたしましても、ほとんどの人は、もう仕事がない、いろいろ就職活動をしたけれども全く仕事がない、こういうふうなことからホームレスにならざるを得なかったという人たちが多いわけでございます。というのは、一年以上失業している人が七十一万人もおるというふうな数字もあるわけでございまして、そういう人たちは、もう就職先を探す努力を放棄してしまってホームレスになっておる。  大臣、実際に大阪の実情などを見ていただきましたら、スーツを着たままでホームレスになっておるという人がたくさんいるんです。普通、ホームレスといいますと、ぼろぼろの、服とは言えないような布きれをまとっておるだけの人が多かったわけでございますけれども、最近では、スーツを着たままでホームレスになっておる。それもほとんどが中高年の人、中には若い人も見かけるわけでございますけれども、そういう人たちがホームレスになる原因の一番目は、仕事がないということのようでございます。  それから、JILの研究や調査数字を見てまいりましても、仕事を探す上において一番問題になるのは、年齢によって募集とか採用で窓口が狭められておる、こういうふうな実態があるということもあるようでございます。そういうふうな実態を考えましたときに、やはり今までの施策とは違った、発想の転換をした、そういう中高年対策をやらなくてはならないのではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。  特に、ホームレス問題連絡会議などが今内閣でも行われておるわけでございますが、大阪のメンバーの人に私なんかは言っておるわけでありますが、失対事業などで失敗をしたという経験があるので、ああいうことは二度とやりたくないんだというふうに言っておるわけでありますが、その気持ちも全くわからないわけではございませんけれども、単なる昔の失対事業ということではなしに、中高年者でこの長期の不況の中で仕事がない、こういう人たちに対して仕事を与えるためには、やはり都市近郊の森林の緊急整備でありますとか、また公共の施設、河川とか公園とかそういうものの維持管理、こういうふうなものについても、できるだけ仕事をつくるといいますか、そういうふうなことをやりながらでも雇用の機会をつくっていく、そういうことができないのかどうか。  その辺のお考えについて、今までの経済政策責任について、大臣としてどのようにお考えになり、そしてそれらについて今後どのように、この中高年皆さんの大変な落胆といいますか、長年会社のために、また団体のために努力をしてきて、そしてもう間もなく定年を迎えるというふうなところに来てからリストラに遭う、それによって自分の人生観まで変わってしまうというふうな事態に立たされた、そういうふうなことにつきまして、一体どのように考えて、具体的にどのような中高年対策を考えておられるのか、ひとつお答えをいただきたいというふうに思います。
  66. 牧野隆守

    牧野国務大臣 今御質問になったホームレスと自殺に関しては、総括政務次官から御返事させていただくことにします。  中高年対策の基本に関しまして、先ほども御説明いたしましたとおり、まず経営者、特に大企業の方々は、大学を出ましてやっとこの会社に勤めることができた、親御さんその他はこれで安心したわけですが、今まで二十年、三十年一生懸命与えられた部署で働いたらリストラだ、これでは雇用というものについての大企業責任というものを十二分に果たされていないのではないかというのが私の第一の疑問です。  したがいまして、当該企業責任者は、ほかの部署がないか、まず第一にこれに全力を挙げていただきたい。二番目は、その企業の中で、いろいろな方法が会社の中ではあるわけですから、長年働いた人について少しでも長く勤務していただく、これに経営者としてまず全力を尽くしていただきたい。  こういうことで、日経連の会長と連合の会長に実はお願いをいたしたわけです。  私どもは受け皿を設けまして、そこを出られた方については技能研修も、それからいろいろな奨励金だとか給付金という形で新たに雇っていただく方に対して一定の補助体制をとりますが、まず大企業できちっとしていただいてくれませんか、それをはっきり言ってください、こうお願いして、先ほども申しましたとおり、両方のリーダー、会長が雇用安定宣言というのを、今までこういうことをやったことはないのですよ、初めてのことなんです、それだけ危機意識も両会長は持っておられて、それは労働大臣やりましょうということで、あれをお出しいただき、さあ、これからどうしますかという具体的案を実は私どもにお示しいただける。私どもは、それによって受け皿を直すべきところは直し、新設すべきものは新設しておこたえできる。  こういう姿勢でやっておりまして、日本じゅう、国会の各先生方の御意見はもちろんのこと、全知全能を挙げて雇用対策に努めよう、こういうことでございまして、必ず効果は上がる、こう確信をいたしております。
  67. 長勢甚遠

    長勢政務次官 自殺の問題あるいはホームレスの問題、状況先生指摘のとおりでございます。  雇用情勢が大変厳しいということも一つの大きな要因であろうかというふうに思っているわけでございまして、今大臣お話しのとおり、高齢者を中心に、特に非自発の方々を中心に万般の政策をさらに強化をしていかなければならない、このように思っておる次第でございます。  ただ、先生指摘の公的な就労事業といいますか、そういう問題につきまして、私どもの考えを報告させていただきたいと思います。  民間が活力を出していただく、産業が振興するということが雇用対策の基本でございますけれども、そこに行くまで少し時間がかかるだろう、その間、やはり国、公共団体としても直接雇用創出に力を出していく状況ではないかということが七月の補正予算の基本的な考え方でございました。  そういうことで、交付金事業によりまして、各地方公共団体に知恵を出していただいて、地方公共団体みずから雇用の場を具体的につくってもらうということでございましたが、当然そのときに議論になりましたのは、過去のいわゆる失業対策事業の経験を生かすべきであるという考え方一つでございますのと、もう一つは、今一生懸命産業再生に向けて、経済再生に向けて頑張っておるわけでございますから、国、地方公共団体が直接かかわるのはその成果を待つ間のつなぎの雇用をやる、その間に産業に頑張っていただくという道筋を開くということが基本でありますので、そういう意味で、公的就労事業の範囲というものも、我々としては、今実施しておりますところが一つの妥当なあり方ではないかと思っておりますので、御理解いただきたいと思います。  なお、ホームレスの問題につきましては、政府全体で今その早期自立支援について取り組んでおるわけでございまして、先般の関係省庁の連絡会議によりまして当面の対策を取りまとめ、労働省としてもいわゆる職業相談等に全力を挙げているということでございますので、ひとつ御理解と御支援を賜りたいと思います。
  68. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 もちろんそれぞれの地方、そういうホームレスなんかがおられるところの地方の人が努力することはもちろんでありますけれども、国が管理されている公共施設といいますか、そういうものに対しても、やはりそれだけの雇用の機会を提供していくというふうなことは大切なのじゃなかろうか。また、公的な施設の環境整備とかいうふうなものにつきましては、海外の実態なんかを見ていましても大変きれいに整備されているのですが、日本の場合には雑草が生い茂っておるというような実態もたくさんあるわけでして、そういうものを、日本が国際都市として誇れるような状況をつくっていくためには、やはり発想の転換をしてやらざるを得ないのじゃないかというふうなことを申し上げて、今後考え直していただきたいというふうに思います。  残された時間の中でできるだけ効率的にあと三問ほど質問をしたいと思いますので、答えを簡潔にひとつよろしくお願いしたいと思います。  私は、昨年の国会で、実は、年齢差別禁止法というようなこともぼつぼつ考えていったらどうかということで質問させていただいたわけでございますが、実際に就職情報誌などを見ましても、大変年齢制限がある、九〇%以上年齢制限があるわけでございまして、それが雇用の機会を少なくしている、中高年齢者を締め出しておる原因になっております。また、前国会では城島議員もそのことをお尋ねしたわけでございますけれども、年齢制限があっても、そこへ行って、いやいや、年はいっていても能力はあるんだから雇ってくれと言って努力をしてくださいと前大臣はおっしゃったようでありますけれども、そんな次元の問題じゃなかろうというように思います。  そこで、いろいろ今の労働条件の体系とか何かもありますから一挙には難しいと思いますが、募集とか採用とかという入り口で雇用の差別をするということのないようにするということは、やはり一つの方法ではないかというふうに思います。  前大臣も、ことしの四月でしたか、関係団体にそういう申し入れをされておるという実態もあるわけでございまして、そういう面からしましても、そろそろ関係団体、これは労働組合もそれなりの理解をしてもらわなきゃいかぬのじゃないかと私も思っておりますので、議論のときにはそういうこともやっておりますので、ぜひとも法律の整備といいますか、そういうことも考えていかなくちゃならぬ時期じゃないだろうかというふうに思いますので、一言お考えをお願いしたいと思います。
  69. 牧野隆守

    牧野国務大臣 先生がおっしゃる年齢差別という言葉で言いますと、その観点からいいますと、やはり制限するというのはよくないな。しかし、だから法律をつくっていいかというと、客観的な世の中の実情というものはまだそこまでなじむような形にはなっていないというのが実情でございます。  今までもいろいろな形で雇用が行われているわけでありますが、我々としては、制限の広告だとかについては、事業主に対して職業紹介所から、そこまではっきり書かれるのはいかがか、こういう方もおりますよ、ですから明らかに年齢差別という形で差別してやるということが強調されることがないような、そのようなことは事業主の方々に実はお願いさせていただこうかな、そして、いろいろな問題点がありますから、情勢の変化に応じてそれらの問題点から検討をされていただければな、こう思います。
  70. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 ただ、それで実効が上がるのかどうか。ことしも前大臣がそういう申し入れをされておりますので、なかなか難しいのじゃなかろうか。やはり、強制ということじゃなくて、募集とか採用のときの年齢制限をなくする、そういうふうなことで一つはお願いできないかな。また次の機会に議論をさせていただきたいと思います。  今中央職業安定審議会で雇用保険問題が議論されておるわけでございますけれども、この雇用保険問題につきましては労使の共済制度みたいなところがあるわけですから、そういう面では十分労使で合意をした上で法制化されるということが大事だと思います。ぜひとも、そういう面では十分な審議をして、意見が分かれておるけれどもそのまま法制化されるというふうな、今までの労基法だとかの轍を踏まないようにひとつお願いをしたいというふうに思っております。  それから、深夜業につきましても、何か今ガイドラインをつくるということがなかなか前へ進んでおらないように聞いておるわけでございますが、これにつきましても一日も早く全体的なガイドラインをつくっていく必要もあるわけでございますから、目標にしていた六業種もまだ三業種しか進んでおらないというふうな実態もあるようでございます、それらにつきましても何かお考えがあれば。  さらには、ILO条約の関係で、日本のILO条約の批准の数が非常に少ないという実態があるわけでございますが、これらを進めていくためのプロジェクトをつくったり、さらには、昨年労基法の審議の中で児童労働の問題で最低年齢の問題がクリアされたはずでありますから、そういう面ではこの条約の批准も十分可能な環境ができたと思いますが、それらのことを一括して一言ずつお答えいただければと思います。
  71. 牧野隆守

    牧野国務大臣 雇用保険については、問題点は先生よく御承知のとおりでございまして、年内に安定審議会できちっとした結論を出していただきたい、このようにお願いをいたしておりまして、その結論を待っております。  それから、ILO関連につきましては、一応国内的には解消されたわけでありますから、早急に関係省庁と協議して批准できるように努力をいたしたいと思います。  残りの点については政務次官から。
  72. 長勢甚遠

    長勢政務次官 深夜業の自主的ガイドラインの作成作業の状況先生御案内のとおりでございます。今三業種しか進んでいないというのはそのとおりでございますが、我々としても相当積極的に労使の各方面にも働きかけておりますし、合意形成が進んでいる向きもございますので、至急予定どおりの方向で進めるように頑張ってまいる所存であります。
  73. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  74. 赤松広隆

    赤松委員長 城島正光君。
  75. 城島正光

    ○城島委員 民主党の城島でございます。  先ほどからずっと論議になっておりますけれども、やはり今、日本全体にとって最大のテーマは、何といっても雇用。もちろんそれを改善していくための基本的なベースでいけば、どうやって経済を活性化していくか、景気を回復していくかということがベースになると思いますが、何はともあれ、とにかく今社会的にも、この雇用情勢をどう改善していくのかということが最大の関心事であるし、またテーマであるというふうに思います。  そういう点からすると、今、最重要大臣がまさしく牧野労働大臣ということが言えるんだろうというふうに思います。そういう点でぜひ頑張っていただきたいと思いますし、国民大臣の言動に対する注目というのでしょうか、関心というのは最大のものがあるというふうに思いますので、そういう点からもぜひ御努力をいただきたいというふうに思います。  時間が限られておりますので、ポイントについて、まず御質問したいのですが、そういう中で、今出ました中央公論十二月号に、与党の、特に自民党の政策責任者であります亀井政調会長が論文を、談話だと思いますが、出されておりまして、その中でも、労働行政あるいは現下の雇用情勢について御自分の見解をかなり広範囲にわたって述べられております。まず、この論文について、大臣お読みになっているのでしょうか、そこからお尋ねしたいと思います。
  76. 牧野隆守

    牧野国務大臣 事務局から説明を受けて、抜粋のところを読ませていただきました。
  77. 城島正光

    ○城島委員 いろいろな点でちょっとどうかなと思ったり、あるいはこれは正しいなと思うところもあるのですが、一点、大臣の見解をお尋ねしたいのです。お読みになったということなんでポイントのところだけ言いますけれども、リストラに関してずっと述べられておりまして、その最後の方で、「リストラとなったらもう「そこ退け、そこ退け」で罷り通っているけれど、要は横文字でいっただけのクビ切りじゃないか。」こういうふうにおっしゃっております。「わたしは連合の幹部も叱ったんです。「なにをしている。組合員の職を守るのがあんたたちの仕事だろう。それなのに最近はついぞ、人がクビ切りになっても団体交渉をやってスト権を確立したなんて話、聞かないぞ」と。頭を垂れていましたがね。労働省にも厳しく言った。「いったい、経営者側が勝手に」」ここがポイントだと思います、「勝手にどんどん従業員のクビを切っていることをどう考えているんだ」こういう発言がありますが、大臣、この発言についてどういう御感想と御見解をお持ちかをお尋ねしたいと思います。
  78. 牧野隆守

    牧野国務大臣 厳しい雇用情勢の中で、労使が話し合いを通じて雇用を守っていくことは基本的な大切なことでございます。労働組合に対して御指摘のような批判があることも時折耳にいたしておりますが、それは労働者雇用を守っていく上での労働組合に対する期待のあらわれではないか、こうも考えられるわけであります。  また、経済社会が大きく転換する中で、企業の存続を図るためにリストラを余儀なくされる場合においても、雇用の安定に最大限努力すること、また雇用調整を行わざるを得ない場合でも、安易な人員削減によるのではなく、雇用確保を最優先に、これまでの経営資源を活用した新分野での事業展開や従業員の能力開発、残業の削減などの対応策を講ずることが経営者企業社会的責務だ、こう考えております。  こういう観点から、私は、労使に雇用の安定に向けての協力を、先ほども申しましたとおり求めてまいりました。これにこたえていただき、共同で雇用安定宣言を出すなど積極的な取り組みを具体的な行動として現在進めていただいております。今後も政労使、一致協力した取り組みを推進していきたい、私はこう考えております。  以上が、今先生が御質問になったことについての私の答弁でございます。
  79. 城島正光

    ○城島委員 それは、ある面でいうと、この亀井政調会長の見解に対する大臣としての見解といえばよくわかるのですが、今こういうふうに政策責任者が認識をしているということについて、現状認識等については大臣と同じなのかどうかということをちょっとお尋ねしたいのです。
  80. 牧野隆守

    牧野国務大臣 きょう先生からそういう御質問があるというのがわかっておりましたら、あらかじめ政調会長に会って、私と同じ考えでしょうねということで実は念を押させていただいたかもしれません。あれこれじゃなくて、今申しましたとおり、きちっと雇用政策皆さん一生懸命心配してのお言葉ですから、そういうように私は考えております。
  81. 城島正光

    ○城島委員 いや、もし本当に亀井政調会長がおっしゃるようなことが一般的に広がっているのであれば、これは大問題ですね。そのことがないことはないというふうには私も思いますが、ここにあるように、経営者が勝手にどんどん従業員の首を切っている、にもかかわらずストライキもやらないじゃないかというところは、はっきり申し上げてかなり表面的な短絡した見方じゃないかなというふうに思っているわけですよ、私は。  実は、今いろいろな面でリストラがされている。現実面、亀井政調会長がおっしゃるような、簡単に首を切っているようなところというのは確かにいっぱいある。そこにおいては、労働組合は、例えば最近の事例でも、現実問題として、経営者を告訴したり、大変な闘いをやっているわけですね、そういうことについては。しかし、恐らくこれは、私は直接政調会長と話をしていないのでわかりませんが、この前後の文面からすると、例えば最近の日産リストラ政策とか、あるいはここに日本鋼管とか川崎製鉄ということが現に出てきますが、そういうことをとらえられた話ではないかなというふうに思うのですね。  そうしますと、現実問題は、そういうリストラ計画に対して、実は物すごく懸命な、しかも粘り強い事前の労使の協議というのが、まさしくアヒルの水かきじゃありませんが、現実に行われてきている。そういうものがあるから、いろいろな人員削減計画等についても、ここで亀井さんは何か首切りになってもということだけれども、首切りじゃなくて、人員削減ということでできるだけ合理化しながら、採用も控えながらというようなことで、労使の懸命なる判断の中で計画が立てられていっているのが一般的だから、ここにあるような堂々とスト権を確立した話なんか聞かないぞというのは当たり前なことだと思うのです。いかがでしょうか。
  82. 牧野隆守

    牧野国務大臣 先ほどお返事いたしましたとおり、労働省といたしましては、基本的に大手企業リストラに対する考え方ははっきりいたしておりまして、会社内部できちっとまずやっていただくこと、ベストを尽くしていただくこと。そして、周辺下請企業あるいはその地域に迷惑がかかる場合には、今まで私どもがとってきた政策、また新たに取り上げる政策影響を最小限にとどめるということでベストを尽くさせていただく、こういうことで御了承を賜りたいと思います。
  83. 城島正光

    ○城島委員 もちろんそういう点でやっていただきたいのですけれども、こういう政策責任者は、僕に言わせると、基本的な実態をもっときちっと把握した上で発言していただかないと、大変大きな逆の混乱が出てくる場合もあるということを強く申し上げておきたいと思うんです。  そこで、もちろん、今申し上げましたようにかなり、ここの亀井政調会長の発言をかりれば、経営者が勝手にどんどん従業員の首を切っている事例ももちろんあるんですよ。特に中小、そしてまた組合のないようなところではふえていることも事実だと思うんです。したがって、後半で政調会長おっしゃっている、労働行政をさらに強化するなどして雇用関係のあり方を根本から見直し、健全なものにしていかなければ、ひいては社会全体がなし崩しになってしまう、この指摘はある部分当たっている。  したがって、さっき西川知雄議員の方からもありましたけれども、僕は、ここはきょうは論議をしませんが、やはりこういう面では、労働行政の強化というようなことは、これは全体から見ると、今申し上げましたように、中小、零細、さらには労働組合がないところで働く従業員がいっぱいいるわけですから、こういったところに対する——大臣おっしゃったような姿勢でない経営者もいっぱいいるわけです。全体の雇用情勢からいうと、ここに指摘されているような労働行政を強化するということは正しいことだと私は思っております。ぜひその点は、大臣においても今後も心していただきたいと思うし、また別の機会にこの点については私も論議をさせていただきたいというふうに思います。  それで、実は、先ほど申し上げたように、現実こういった人員削減が行われる。しかし、大臣おっしゃるような、極力というか最後の段階まで現実的な首切りということは避ける、そういうことで特に労使の中では懸命な事前の協議というのがなされてきているのが一般的ですね。  これは、やはりこの二十年あるいは三十年来、労使関係が改善をしてきて、こういういろいろな状況の中でも混乱することなく、比較的スムーズな職場の転換あるいは人員削減計画というのがされてきていることが、ある面では日本の労使関係の特徴とも言われましたし、またこれは日本の財産でもあるし、このことは少なくともきちっと守っていかなきゃいかぬ、この財産は。こういった企業環境あるいは経済環境になればなるほど、この財産というのは、ある面では使いこなしていきながら発展させていかなきゃいかぬなというふうに思っています。そのキーポイントを握るのは、先ほど申し上げましたように、労使の、特にこういう雇用とか労働条件に極めて大きく影響を与える部分についての事前の労使協議制にあるというふうに思っております。  この点について、大臣の御見解を承りたいと思います。
  84. 牧野隆守

    牧野国務大臣 皆さんもそうだろうと思いますが、やはり基本は労使関係でございます。きちっと事前に十二分の協議を行った上で、企業としてのリストラの態度を明白にしていただきたい。  御承知のとおり、そういう雇用調整のやり方を見ていますと、第一段階は、会社の中で、例えば休日をふやそうかとか、あるいは残業を少なくしようとか、あるいは次に、大きい問題ですが配置転換をするとか、あるいは採用の削減、停止をするとかということで、まず内部で一生懸命やって何ができるかということを労使間できちっと詰めていただく、これが第一段階ですね。これでどうしてもいけないというときに初めて、これは私どもも引き受けなきゃいけないんですが、一時休業をする、では給与をどうするのか、あるいは系列内外の会社へ出向で出ていっていただけないか、これが第二段階。それから最後が、いわゆる希望退職者の募集とか、あるいは一番あってほしくない解雇という状況になる。見ていますと、こういうステップを現実に行われているわけで、ここには、常に労働組合と経営者サイドとの話し合いというものが前提になっている。おっしゃるように、まず労働組合のそういう話し合いをきちっとしていただくということを私どもは前提といたしております。
  85. 城島正光

    ○城島委員 では、先ほどの論議の中でも、小渕総理の、十分労使の話し合いをされることが重要じゃないかという前の国会答弁の話もあったように、労使の話し合いが重要だということ、そしてそのことがこういった問題についても極めて有効に、労使の変な意味での対立、あえてスト権を確立してストライキもやらなくて済むようなことになっている極めて大きなポイントはそこにある。  ところが、問題は、実は最近、こういった極めて重要な、事前の労使の重要なテーマについての話し合いというのがいわゆるインサイダー取引にひっかかるというか、インサイダー取引の問題もあってということで、経営側が事前の労使間の協議を拒否するケースがふえてきているというふうに私は把握しているんですが、これは労働省としてはどういうふうに把握されているのか、お尋ねしたいと思います。
  86. 長勢甚遠

    長勢政務次官 労使協議制は、労使間の単なる対立、対決ではなくて、労使協調をしていこうという日本独自のというか、日本で培われてきた立派な制度だと私どもは評価をしております。そして、こういう危機的な状況においてこそその役割が果たせることを期待したいものだと思っております。  さて、御指摘の、インサイダー取引にかかわって拒否されるケースがふえているんじゃないかということについてでございますが、労働省として、こういうものについて情報はございません。ただ、社会経済生産性本部の調査によれば、大企業において経営や生産に関する機密情報の労働組合への提供が大幅に後退してきており、これは、インサイダー取引回避などの株式市場への配慮を優先する経営者の考えによるものという指摘をしておるということは承知をしておりますけれども、我々として、具体的にこういう事例があるのかないのかということは把握ができません。
  87. 城島正光

    ○城島委員 インサイダー取引というのは、当然、何か早く重要な経営の情報を仕入れて、そのことによって株を売買するということで利益を得るということがあって初めてインサイダー取引ということにひっかかると思うんですね。したがって、インサイダー取引のおそれがあるかどうかだけを理由に事前の労使協議を拒否するというのは、極めて妥当性がないというふうに思うんですが、インサイダー取引の法の趣旨そのものは、大蔵省、どういう見解を持っているんでしょうか。
  88. 新原芳明

    ○新原政府参考人 お答え申し上げます。  証券取引法におきましては、上場会社などの役員、従業員などの会社関係者、またはこの会社関係者から上場会社などの業務に関する重要事実の伝達を受けた者が、その重要事実を知りながら、これが公表される前に当該上場会社などの株券等の売買などを行うこと、すなわちインサイダー取引を違法な取引として禁止をしております。  このインサイダー取引規制の趣旨は、先生おっしゃいましたように、上場会社等の会社関係者などが、会社の内部者としての地位、立場に基づき、当該上場会社等の業務などに関する未公表の重要事実を知った場合に、その者が、その未公表の重要事実に基づく投資判断により当該上場会社などの株券等の売買などを行えば、そのような事実をそれが公表されるまでは知り得ないほかの一般投資者と比較いたしまして著しく有利となる、これは極めて不公平となりますから、このような取引を禁止して証券市場の公正性と透明性を確保し、もって証券市場に対する投資者の信頼を確保しようとするものでございます。  以上でございます。
  89. 城島正光

    ○城島委員 ということであれば、さっきから論議をしている、重要なものについて事前に労使で話をしていくということをこの法の趣旨そのものは何ら拒否する理由にはならないというふうに思うんですが、それこそいかがでしょうか。
  90. 新原芳明

    ○新原政府参考人 お答え申し上げます。  上場会社などにおいて、労使協議におきまして会社側から組合員に対してその会社などの業務などに関する重要事実について情報提供がなされた場合、会社側から重要事実を伝達された組合員などの方がその事実が公表される前に株券等の売買を行えば、これはインサイダー取引になると考えられますけれども、その情報が提供されたということのみをもってインサイダー取引規制の構成要件に該当するということではございません。
  91. 城島正光

    ○城島委員 全くそうだと思うんですね。ですから、百歩譲って、仮にそういうことをやることによってそれを悪用した人がいれば、その段階で処罰されるわけですから、しかも、そのときに初めてインサイダー取引ということでひっかかるわけなので、事前に提供すること、あるいは重要なことは労使協議で話し合うということをそのことによって拒否するということはやはり理由にならない、そういうふうに解釈していいと思うんですけれども、大臣、この件につきましてはどうですか。
  92. 牧野隆守

    牧野国務大臣 株を買わなければインサイダー取引とは言えないんです。だから、これは、情報を提供した場合に相手方がそれを利用するかしないか。公表してしまえば関係ないわけですね。だけれども、前の段階においては、御本人がするなら別として、それをだれかに伝えて、やったという場合にどうするんだろうか。しかし、労使協議の際に、これを理由として拒否することは不適切であると私は思います。
  93. 城島正光

    ○城島委員 全く私も同感なので、その辺は、最初に申し上げたように、最初大臣の見解にもありましたけれども、こういった極めて重要な経営判断というものをせざるを得ない企業が、ましてこれからどんどん関連の中小零細企業においてふえてくると思うんです。その中においても、社会的な混乱ができるだけ少なくなるためにも、労使協議制というのは極めて重要なポイントだというふうに思っていますので、健全な労使関係の中においては、今の大臣の答弁の認識を広げていく努力を、労働組合側もするでしょうけれども、行政側も必要とあらばそういうことをぜひ徹底を図っていただきたいというふうに思います。  次に移らせていただきますが、失業対策ということにおいてもう一つ極めて重要なのが労働力のスムーズな移動あるいは流動化を図ることだというふうに私は思うんです。そのためにも、実は前々から我々も提起はしているんですが、日本の場合は、どうしても能力評価にしても人事制度にしても企業内ということが中心になっていた、これは今論議になりました労使関係もそうでありますけれども、その点はそれで非常によかったわけでありますが、これだけ大きく労働力が流動化せざるを得ない、あるいはしつつあるという状況の中でいいますと、職業能力の評価といったようなことについても横断的でしかも社会的なものが必要ではないかというふうに思うんですね。  かなり進んでいるイギリスにおいても、イギリスだけじゃありませんが高い失業率、そして雇用をどうやって埋めていくかということの長い間の積み重ねの中で、職業能力の評価制度というのが、NVQというものですけれども、基本的にかなりしっかりしているなというのを実は先々月調査に行ってまいりまして実感をしたわけであります。やはりこういった同じような制度というのがどうしてもこれから、今申し上げましたような労働力の移動、流動化という面において、日本にとっても必要だというふうに思いますが、この辺についての御見解を承りたいと思います。
  94. 長勢甚遠

    長勢政務次官 労働移動がこれからも必要になってくる時代を迎えましたし、また厳しい雇用情勢の中で、ミスマッチを少なくする上でも、おっしゃるように職業能力評価、資格制度といったようなものが統一的に整備されることが望ましいというふうに私どもも思っております。  イギリスの制度については、御案内のとおりでございまして、民間団体等における職業能力評価が乱立する、そういう中で、一九八六年に全国統一の公的職業資格制度としてNVQというものが創設をされました。昨年六月現在で、十一分野六百三十七の職業資格について、基礎技能から高度専門的能力、管理能力まで五段階のレベルが設定をされておる。教育・雇用省の所管下にある職業資格協会がこの枠組みを策定しておるわけでございまして、産業別の労使の代表によって構成される職業能力基準作成機関によってこの基準が策定をされておるわけでございます。  我が国は、御案内のとおり、労働慣行あるいはいろいろな事情、文化の差異もございまして、労働省でも技能検定制度等いろいろ仕組みもございますが、正直言いまして、各業界あるいは各社あるいは各省庁ごとにいろいろな評価もあるわけで、そういう意味では、これから今先生指摘の方向で調整をしていくということも、大変難しい問題がありますけれども、ぜひそういう方向で全省庁そろって努力をしていくものと考えております。
  95. 城島正光

    ○城島委員 これは、もう一方の観点からちょっと労働省労働大臣にも頭の中に入れておいていただきたいなと思うんですけれども、私がイギリスへ行って調査した限りにおいて言いますと、結論だけ言うと、実は、どうもこういった資格制度もグローバルスタンダードにしようという戦略が見え隠れするということなんですよ。  今世界的な基準になりましたISOにしても、やはりスタートは、イギリスとしてEUからスタートしていったわけですけれども、この問題についても、今、イギリスで調べましたら、かなり国際的な企業が、まず世界横断的にこのイギリスのNVQをベースとした資格制度を導入しつつありますね。フォードとかBMWとかブリティッシュ・エアロスペースだとかいうところは既に企業内でも使い始めているし、イギリス連邦自身が、カナダとかオーストラリアというところを含めて統一した基準を導入しようとしている。行く行くはこれをEU全体の中で一本化しようという動きをしようとしている。こういう分野までもこれまたグローバルスタンダードをつくられる、たまらないなという気持ちが率直にしたわけです。  ですから、少なくとも、日本の場合は国内におけるこういう統一的なものもほとんどまだこれからという段階ですから、こういったことを念頭に入れて、ぜひこのまま急ピッチで検討を、これこそ労働省が率先してこういう流れをつくっていくということを、そういう面からもやらなきゃいかぬのじゃないかというふうに思っていますので、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。もし御見解があれば承りたいと思います。
  96. 牧野隆守

    牧野国務大臣 産業労働移動の問題、それからミスマッチの問題等考えますと、一つの大きな柱としてこのような制度はぜひ必要だ、こう私は考えております。  では、具体的にどういうやり方がいいかということになりますと、今いっぱい資格制度があるわけですが、これらも全部検討いたしまして、共通のものは何か出てくるのだろうかということをあわせて検討して、どういう形で日本国内で持っていった方がいいか。もちろん、この場合に、先ほどおっしゃったとおり、英国はEUにおいてこういう制度をと。これがインターナショナルスタンダードという形になってきますと、我が国においても当然そういうことは将来考えなきゃならない、そういうことも含めてあるべき姿というものを検討したい、こう思います。
  97. 城島正光

    ○城島委員 ぜひこれは力を入れて検討、そしてまた取り組んでいただきたいというふうに思います。  最後質問に移らせていただきますが、これは先ほどから何人かの皆さん指摘をされていますが、特に今雇用情勢、いろいろな点で問題ですよね、中高年層の問題ですけれども。  先日発表された来年それぞれの学校を出る人たちの就職内定率、これは大変ショッキングなデータだったと思います。労働省としてもすぐいろいろな取り組みをされているのは、大臣のいろいろなところへの申し入れですとかあるいは早急な対応というのがニュース等でも流れていますし、わかるわけでありますが、この大学、短大、専門学校あるいは高校出の皆さんの来春の内定率の悪さ、しかもこれは地域によってかなりばらつきがあって、北海道なんか高卒の人たちは五人に一人しかまだ内定していないということも含めて、大変大きな問題だというふうに思うのですね。  先ほど、いろいろな取り組みをやっているし、やるというふうにおっしゃっています。したがって、ダブった答弁はもう結構ですけれども、やはりそれだけでは——ぜひ今やられていることももっと力を入れてやってほしいと思うのですね。  だけれども、どうもこの数字だけ見ると、特に地域においては、全国統一じゃないにしても、物すごく就職内定率が極端に悪いようなところについては、とりあえず自治体あたりが何らかの形で要するに就職できない未就業の若い人をつくり出さないような積極的な努力というものを、公共団体含めて採用するなり、あるいは今までは手がつかないようなところについての採用をする。  例えば、連合なんかもそうですけれども、民主党もいろいろ検討した中の一つが、森林の整備ですとかあるいは河川の整備なんかについて、かなり多くの実は需要がある。しかし、なかなか手がつけられていないというようなことをあわせて考えるみたいな施策もやらないと、ちょっとこれはなかなか内定率が半分、五割以上いくということは難しいような地域があるのじゃないでしょうか。そういう点はいかがでしょうか。
  98. 牧野隆守

    牧野国務大臣 若年労働者、新卒の学生の採用というのは、これはミスマッチするところが非常に多うございまして、例えば、私の選挙区の福井で考えますと非常に単純でわかりやすいのです。商工会議所で、傘下の企業に対して、あなたのところはどういう人が欲しいですかと言って、それをベースにして、福井なら福井で、東京に来ている人がUターンしてこの会社に行こうか、自分はどういう能力を持ってどうだということをすぐ向こう側に、福井という非常にスケールの小さいところですから、こういう場合はミスマッチじゃなくてどっぷりかち合うことができるわけですね。これが東京とか大阪とか大きいところになりますと、さあどういう組織で、どこで情報をまとめてどこでドッキングするかということになると、政府の安定所が一つの拠点になっていますが、それ以外のところでもいろいろな形で行われている。  しかし、ミスマッチをいかになくするか。そのミスマッチというのは、求める企業サイドが、どこの大学を出た、そんなことじゃなくて、こういう人が欲しいということをもっと明白にすべきじゃないか。そうすれば、こういうリストラ状況でも、こういう人間に来てもらえれば自分の会社はリストラするかわりにもうちょっと拡張できるよ、こういうことが可能になるわけなんです。私は、ミスマッチをいかになくするか、その場合に、両方の要請というものをもうちょっと的確に把握してまとめる必要があるのではないかなと。そうすれば、ベーシックに新規採用というものはきちっと安定して行われる、このような見通しを持つことができる。また、そうできるような、今申しましたようなミスマッチをなくする組織をぜひ先生方の御意向も賜って確立していきたいな、こう念願しております。
  99. 城島正光

    ○城島委員 特に若い世代というか、いよいよ希望を持ってこれから社会に出ようと思った途端に社会から阻害されるわけですね。ノーと言われる。これは精神的にも大変なことだと思うのですよ。さっきのイギリスじゃないですけれども、イギリスもそういうことでずっと悩んできて、イギリスでは、失われた若い世代ということが一般的に言われるほど、職につけない若い世代がいわゆる非行に走ったりという、社会から阻害された青少年の問題というのは極めて大きな社会問題になっているんです。今でもそれは基本的には解決していないので、そこに対する対応というのが、ある面では政治においても一番テーマになっている。下手するとそういうことになりかねない要素になりつつあるんじゃないかという感じがするんですね、これだけの内定率ですと。  ですから、希望を持ってこれからさあ働こう、社会に出ようとするところに対する、ある面では拒否反応をしていることと同じですから、これはやはり政治においても、単に民間企業を含めて企業にお願いをするということも大事ですし、今おっしゃったようなことも極めて大事です、それは否定はしませんが、社会的な問題としてこれをどうとらえていくか。そしてそこに自治体、それぞれの公共団体も含めて、全体が社会問題として考えていく、そして何らかの行動をとるということが必要なぐらいの数字ではないかというふうに思います。  場合によっては、これだけの状況だとすれば、イギリスの例を見るまでもなく、下手すればそういう非行に走る青少年の予備軍をつくるようなものですね。そこに対して、もっと社会全体として温かい配慮をしていく、取り組みをしていくということがぜひ必要だというふうに思いますので、この点についてはかなり強い決意を持って大臣取り組みを期待したいというふうに思います。  改めてコメントを求めて、終わりにしたいというふうに思います。
  100. 牧野隆守

    牧野国務大臣 私どもとしても、人材確保について、今プロジェクトをつくって、基本的にそういう社会的要請に応ずるような体制をつくりたいということで、今一部でありますが、今度の補正予算も要求し、計画を立てております。  今先生がおっしゃったような、社会全体として、そのかわり企業サイドも、自分のところはこういう人が欲しい、こういう人が欲しい、意欲のある人は大いにどんどんいらっしゃいというような、そういう気概を持ってくれなきゃ困るのではないかな。それに新しい卒業生が片方から応募していく、応対していく、そういうことを、ぜひ今の先生の御意向も基本の一部にさせていただきながら、社会全体としてどう対処していくかという見地、それを私ども労働対策雇用対策の面から確立させていただきたいな、こう思います。
  101. 城島正光

    ○城島委員 よろしくお願いします。  以上で終わります。
  102. 赤松広隆

    赤松委員長 午後二時五十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十分休憩      ————◇—————     午後二時五十六分開議
  103. 赤松広隆

    赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。寺前巖君。
  104. 寺前巖

    ○寺前委員 所信に対するところの質問を日本共産党の寺前巖がやらせていただきます。  最近、こういうことが発表されていました。十一月の十二日のことです。労働省は、来春の大学、高校卒業予定者の就職内定率を発表されました。それを見ると、大卒六三%、高卒四一%、未内定者二十八万人という大変な事態が発表されています。統計がとられて以来、異常、最悪という就職難と言えます。社会に飛び立っていく第一歩で、学生生徒がこのような異常な社会に出ていくということになると極めて重大な問題です。  政府は特別な知恵を持ってこれに対処しようとしておられるのか、大臣の御所見を聞きたいと思います。
  105. 牧野隆守

    牧野国務大臣 今寺前先生指摘のとおり、昨年と比べまして高卒の採用予定率が非常に低いということを私どもも大変気にいたしているところでございます。何とかいい方法がないか。企業にとっては将来を担う若い貴重な人材ですから、なぜ企業サイドにそういう気持ちが起こらないのか。  今私どもができますことは、まず第一は、経営者団体である日経連あるいは日本商工会議所あるいは経団連のトップの皆さんに、次の後継者だからもうちょっと考えてもらえないかということでお願いすることであります。  既に十二日に日経連の会長にお願いをいたしまして、特に日経連の会長には、今度の大リストラに関連いたしまして、ぜひ社会的責任を意識して何らかの措置をとってほしいということで雇用安定宣言というものを出していただいたわけでありまして、経営責任者としてはもちろん考えておられるのでしょう、今度の新卒の採用につきましても非常に御心配になって、傘下のメンバーに強くお願いしましょう、こういう御返事をいただいて、地方団体の長に対しまして、私からの要請の趣旨をきちっとお伝えいただきました。  その次にできること、現在やっていることは、安定所、ハローワークに対しまして、学校と連携し、未内定者について、積極的な求人開拓、就職面接会の開催など、新規学卒者の就職決定に向けての支援に一層取り組むよう、今週中にも私から重ねて指示することに決めております。各省庁全力を挙げて、学校当局と相談してほしい。  さらに、十二月一日には、大学等新卒者対象に、全国的なネットワークを組んで、広範な求人情報の提供や専門的なカウンセリングを行う学生職業総合支援センターというのを東京の港区六本木に設置いたしまして、積極的に活動を開始することにいたしております。  そして、今度の第二次補正予算において、新規学卒者の就職支援のために、大学、高校等新卒者の未内定者の就職希望内容に即した求人開拓、就職面接会の開催、今まで百六回毎年やっておったわけですが、ことしは三百五十九回に回を重ねまして、さらに努力をいたそうといたしております。それから、職業人としての未熟さが指摘されている高校新卒者に対する、放課後に学校施設を利用したパソコン講習等就職準備のためのスキルアップ講習の実施、安定所一カ所あたり三十人ぐらいの規模でやらせていただきたいな。このための所要の経費、大きくはございませんが、五億円に近いお金を実は用意させていただこう、こういうように考えております。  以上であります。
  106. 寺前巖

    ○寺前委員 いろいろお聞かせいただきまして、しかし、正直言って、このリストラ、この不況下において積極的に世間に出ていく諸君たちを雇用するという事態をつくり上げる路線だなということは、私には感じられませんでした。  次の質問に移ります。  産業再生法は、リストラ促進を条件に、既に十月から施行されています。日産では二万一千人の労働者減らしを計画しております。その他、十月に入ってからの広がりは異常なものです。労働省調査によりますと、大企業の人減らしは二〇一一年までに四十一社十四万人と言っております。こういうときに、産業界の大もとのリストラに対して、政府労働者保護ルール、解雇規制を法律化し、個々の労働者の権利を守ることを積極的に行っていかなければ、その関係者のみならず、若い諸君たちをこの分野に吸収することにも、発展させることにもなりません。政府責任雇用を守るルールを早急に確立することだ。  そこで、本会議で私どもの党の代表は、解雇規制法など労働者保護立法の制定問題を提起しました。これに対して、総理は、一律に解雇を規制することは適当ではないと人ごとのようなことを言っています。私は、残念な姿だなと思わざるを得ないわけです。  労働省が行っている職安へ行ってみると「厳しい経済情勢下での労務管理の留意点」というのが配られておりました。これを見ると、ちゃんと賃金を確実に払えとか、退職金がどうのこうのとか書いてあります。「解雇の禁止について」ということを見ると、傷病した場合はどうだとか、産前産後休業期間中はどうだとか、そういう解雇の規制の条項について幾つか触れておりますけれども、結局大きく書かれているのは裁判例が書かれているだけだ。  整理解雇の四要件というのが東京高裁で出ていますよ。あるいはまた、最高裁で、雇いどめについて解雇と同様に判断するとされた例がありますよ。裁判所でこうやっているんだから、あなたたちも一人一人こういうことを知った上で自分の権利を守られたらどうですかという指導だけだ。これでは日本に労働者保護のルールありと人に語ることはできないなと私は思った次第です。これはもう本会議で総理の答弁がありましたから、これは考え直していただきたいということをここでは提起をしておくだけです。  きょう聞きたいのは、それだけではありません、さらに、今日、例えば大阪でこういう問題が起こっています。不動信用金庫が十七億円の債務超過を理由に府内十二の店舗を九つの信金に分割譲渡、その際不良債権を除くすべての業務を譲り渡す。ところが、雇用のみは事業譲渡から外しているわけです。十月二十九日には全員を解雇するという予告をやっているのです。  こんなことが許されるのだろうか。ヨーロッパでは既に、この種の問題が大問題になって、EU既得権指令というのが確立しております。そして、それぞれのEU参加の国々は国内法をつくって、事業移転の際、労働者の権利が保護されることをつくり上げてきています。日本ではそれがあるんだろうか。野放しじゃありませんか。だから、労働組合の連合でも全労連でも、企業組織変更に伴う労働者保護法の制定を要求するというふうな問題を提起しているのじゃありませんか。  政府は、日本でもそういうものを考えなければ大変な事態だというふうな認識があるのか、あるいは研究を今やっている最中です、そういう方向を考えていますということをおっしゃるのか、大臣にお聞きしたいと思います。
  107. 牧野隆守

    牧野国務大臣 一番最初日産等を中心として大リストラについて言及されました。日産問題の処理につきましては、私自身は、解決する一つモデルケースというような気持ちを持ちまして、現在の手段のすべてを投入して本件について解決をさせていただきたい、こう考えております。  次に、二番目の整理解雇の問題でありますが、けさも申し上げましたとおり、朝起きて新聞の記事を拝見いたしました。これは確かにほかよりやり方がちょっと厳しいなという実は印象を受けましたので、直ちに情勢について調査をさせていただきたいと思っております。  安定所は、高裁の判決を例にとって、こういうことを気をつけてくださいよということで関係企業に注意を喚起いたしているわけでありますが、これも御承知のとおり、この四条件というのは、それぞれ企業の立場で判断しなければ、簡単に法律等で書けるものではございません。たとえ法律で書いても、同じように事態の解決を待つというだけでございまして、直ちに法制化するということはできませんが、直ちに実情を調査いたしまして、現在の諸制度等で労働省として本件にいかなる方法をもって解決に当たることができるかということを早急に検討させていただきたいと思います。
  108. 寺前巖

    ○寺前委員 ヨーロッパで行われている企業組織変更に伴う労働者の保護政策について、きっぱりと日本でも研究するというふうにおっしゃるわけですか。
  109. 牧野隆守

    牧野国務大臣 現在、リストラのやり方につきましては、経営者労働組合の間でいろいろ協議をいたしております。例えば、合併する場合に、合併したときのそれぞれの企業雇用条件等はどうなるか、あるいは分社したときにどうなるか、譲渡をいたしたときどうなるか、これは経営者労働組合の間における一番大切な協議事項でございます。  そういう点で、これも御承知のとおり、それぞれの解決策を実は進めておりまして、今委員がおっしゃるように、直ちに法制化の方向で検討を始めるかどうかということは、はっきり私の信念として申し上げることはできません。しかし、いろいろなケースを研究だけはさせていただきたい、こう考えます。
  110. 寺前巖

    ○寺前委員 時間の都合がありますので先に行きます。  通常国会で、緊急地域雇用特別交付金予算二千億というのが組まれました。きょうは、労働省出身の政務次官がお見えですので、ちょっと一言聞いてみたいと思います。  この二千億を見ると、三十万人の雇用目標と言ったり、あるいは二十七万人の雇用創出ということが言われています。これだけの人数を明確に失業者から新たに雇用する、そういう数字になるのですか、これは。政務次官
  111. 長勢甚遠

    長勢政務次官 この事業は、二千億円の予算を組んで、これを地方公共団体交付金として交付をし、各地方公共団体で具体的に雇用を図っていただく、こういう制度でございますので、この二千億円で三十万人の雇用は確実に現実のものとして確保される、こういう仕組みで考えております。  現在、千七百八十億円の交付決定を行っておりますので、この予算が消費される中で二十七万人の雇用が具体的に確保される、このように思っております。
  112. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、私いろいろなことを疑問に感ずるんです。例えば大臣の出身の福井県、聞いてみると、ホームヘルパーの研修事業予算化されている。中身は何かというと、会場費とかあるいは先生の講師料とか書いてある。それで何人の雇用が出されるんだと言うと、七十人だと。そうすると、その七十人に対して、一人当たり何ぼの予算を組んで、何カ月、どうやっていくのか、こう聞いてみたら、それは予算関係ないんです、会場費と先生予算で、それで習いに来た人は全部吸収したんだと。どう考えても、それを新しい失業者の雇用の人数として計算するというと、何となしに腑に落ちない気持ちに私はならざるを得ないんですよ。  同じような問題はいっぱいあるんです。この特別交付金を見ると、地方に委託事業としておやりになっているのがたくさんある。そうすると、委託事業をやらすというときに失業者を新たに何人雇用するんですか、こう聞いてみたら、口頭で、一人は雇ってくださいね、こういう言い方になっている。雇用に対して、何人を責任持ってやるんだという話には戻ってこない。  私は、こういうやり方で、今日の失業の中において、それ二十七万だ、それ三十万だと言われたって、絵にかいたもちじゃないか、絵にもならないじゃないかと言わざるを得ないと思う。本当にやるということになるならば、ちゃんと公的事業として保障するという道を明らかにしたときに初めて、数字は計算の上に出てくるでしょう。これは基本的にどうも考え直さなければいけないと思うんですが、政務次官、どんな御見解ですか。
  113. 長勢甚遠

    長勢政務次官 各地方公共団体から事業計画を提出していただいて、それを適正に判断して交付決定をいたしております。それを積み上げたものが二十七万人でございます。当然、そのとおり実行されるように指導といいますか報告をいただくということになりますけれども、今福井県の例がお話にございましたが、具体的につまびらかにいたしておりませんけれども、少し事情が違うのではないかなという印象で聞いておりました、調べてみますけれども。仕組みとして、雇用確保するという計画で上がったものを認定して、交付決定をしておるということでございます。
  114. 寺前巖

    ○寺前委員 だから、私は、それが現実の問題として行われているということ、もう今ずうっと予算化されてこれから執行する中でやっているこの事業数字は言うけれども、中身をよくお知りにならなかったならば、責任ある行政があるというふうに言えないと思うんです。  大臣に聞きます。今日の異常な不況のもとにおいて、私は、大きく雇用をどうするかという問題、創出問題について考えていかなけりゃならないと思うんです。本会議でも問題にしましたけれども、社会経済生産性本部が発表した試算によると、違法なサービス残業を根絶すると九十万人の雇用が拡大できるとか、残業をゼロにすれば百七十万人、合わせて二百六十万人の雇用を拡大する効果があるということが発表されています。とすると、違法が起こっているんだから、違法を、だれかが言いに来なかったら摘発しないんじゃなくして、これだけの雇用が生まれてくるという計算が出ているんだから、それに対して立ち向かっていくという仕事を労働省がおやりにならなかったら、積極的に雇用創出へ取り組んでいるということは言えないと思う。私は、そのために集中的に、五カ年とか十カ年とかちゃんと日程を組んで、法律をつくってでも、違法なんだから、違法を取り締まって雇用創出していくんだ、そういう積極策をお考えになる必要があるんじゃないだろうか。サービス残業に絞ってお聞きしたいと思うんです。大臣、いかがですか。
  115. 牧野隆守

    牧野国務大臣 緊急地域雇用特別交付金の交付のあり方について、まず、基本的な私の考え方を御説明いたしたいと思います。  実は、失業対策で、この産業が不況状態にありますよ、だからここを助ける手段をやりますよ、あるいは今度の日産問題みたいに、地域下請だとか、あるいは関連がなくてもその地域企業が不況状態になる場合にはどうするか、こういう形で政府は手を打つことができるわけですが、これだけ日本じゅうに蔓延してしまいますと、どこの地区がどのような状態であって、この状態を具体的にどう解決するかといったら、いわゆる都道府県、市町村がその辺のことはよくわかりますから、あなたのところで何か仕事をつくることができますか、そのためにお金はこういうふうに用意しますよと。  私自身、私の選挙区の内部を聞きますと、ある町長が、牧野さん、私のところはやりたいと思ったこれをやるんですと。何だと言ったら、間伐材。私のところは、今一番やりたいのは、非常に杉の木のすばらしい山村であって、どうしてもそのお金が出てこないと。だから、ありがとう、政府はいいことをやってくれた、私のところはこれをやりますと。  私は聞くんですから、今度こういうお金を出したんだけれども、あなたの町村では何をやるのかと。あるところは、地域の文化のあれということで遺跡をきちっと整理いたしたい、そのお金は全く出てまいりません、私のところでは、町民に対して、伝統ある文化を守るために、ないお金を出していただけるのであればこれをやりましょう、こう言う。何人雇えるんだと、十五人雇えますと私にちゃんと返事するんですから。そのお金の使い方は各地区にお任せして、そしてどれくらい雇っていただけますかということを集計しています。  ですから、例えば派遣企業を使うという場合も、それはどういう使い方をするのか知りませんよ、各小学校にコンピューターの専門家を渡しますよ、そうすると派遣会社は、それでは今各工場で経験を持っている人を集めてそれをやりましょうと。その派遣会社が仕事をするわけじゃないんですよ。それにお金を出しますよと。だから、寺前先生おっしゃる、これはむだじゃないか、ああだこうだとおっしゃる前に、今やり始めているときですから、そういうことで了解してください。
  116. 寺前巖

    ○寺前委員 ちょっと私の言うていることが理解されていないようで。一つこういうことをやりたいという事業がある、それは一般事業だよ。失業者をどう吸収するか計算できますかと。失業者に向かって、ここで新しくこれだけの雇用、これをやります、それは何人入れますと。こういうやり方をしなければ、現実は違いますよということを私は提起しているので、やるんだったらそうやらなきゃいかぬ、二千億の話について言うと。  それから、サービス残業でこれだけの人が吸収できると生産性本部が言うているんだったら、それを現実化させるために積極的に乗り出していくというぐらいの姿勢がなかったらあかんやないか。私は、一言でいい、そうだとおっしゃるのかノーとおっしゃるのか、そこのところを聞かせてほしい。私の提起した問題について、二つの点で明確にしてください。
  117. 牧野隆守

    牧野国務大臣 私は今、先生の御提案に対してイエスともノーとも申し上げません。要するに、各地域に対して、あなたの地元で地域を一番わかっているのはあなた方だから、そこで新たな雇用確保してください、そういうことでございます。
  118. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは失業者を吸収するということにならぬじゃないかということの回答にはならない。それが一つ。再検討してください。  それから、大量の違法なサービス残業が存在している、これで何万人の雇用ができると言われているのに、それについてイエスと言えないようなことで、労働省ありと私は感ずることはできません。  それなら、次に行きます。もう時間が来ますから。  日本の国際公約になっている年間千八百時間の労働時間の問題、これについて、これで貫いていくならば二百万人を超えるところの雇用拡大の効果がある、外国を見ると、ドイツ並みに千五百時間にするならば六百万人の雇用拡大の効果があるよということが広く労働界で言われています。最近フランスでは、週三十五時間という制度化をやるということで、これでまた十二万人の雇用創出をしようとしている。ドイツでは、年金の支給開始年齢を引き下げて雇用拡大に使おう、こういう動きが出てきている。雇用創出のために積極策に打って出る。そういうときに日本で起こっている問題は何かというと、日産などにあらわれている姿でしょう。  その日産の十月十八日の会社側の説明を聞いておって、労働組合がそれに対するところの見解を言っていますよ。それを読むと、会社は生産工場集約後も百六十五万台の生産能力を有すると言う、それでは組合で試算してみると、組合員一人当たり年間総労働時間が二千二百時間から二千三百時間になる、この水準では、これまで労使はもちろん国レベルでも取り組んできた年間総労働時間千八百時間台という目標を大きく上回ることになると批判をしています。そうすると、労働大臣、日本の国際公約を踏みにじるようなことをやられてはたまらぬということで、これは調査しなきゃいかぬと私は思うんです。  さらに言うならば、関経連の会長などはこう言っていますよ。十一月の一日です。日産リストラ計画について、もしもこれを進めていくということになったら、隣の家を壊してまでも自分の家の火を消そうというやり方は受け入れられない、企業は、社会的責任の中で、企業を守るためのリストラは必要だが、従業員や地域社会と話し合う必要があるというふうに批判をしています。  フランスだったらこんな労働時間でやられるというようなことは提案できないでしょう。それが、そのフランスからあのルノーのゴーンという人がやってきたら途端にこういうことを提案してくるんだから、これはだれだっておかしいぞと言わざるを得ないと思うんです。  私は、日本の労働者にこんなことがこれを皮切りにして進められないようにするために、千八百時間を超えるような労働時間を、それを昂然と言うようなことは日本では通用させないよと言うぐらいの労働大臣の気迫がなかったら、大臣、さすがだねとだれが言うことができるか。その決意を聞かせていただきたい。
  119. 牧野隆守

    牧野国務大臣 最後のいわゆる千八百時間という問題、これは非常に大きい問題で、私どもも、適正な雇用の一形態として、そういう時間というのはぜひ守るという方向では私は最大の努力をいたしたいと思っています。
  120. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来ましたので、終わります。
  121. 赤松広隆

  122. 畠山健治郎

    ○畠山委員 労働大臣の所信に関して、特に雇用問題並びにジェー・シー・オー東海事業所の臨界事故等々についてお尋ねを申し上げたいというふうに思います。持ち時間十五分、極めて限られておりますので、できるだけ端的にお答えをいただきたいというふうに思っています。  今回の経済新生対策とあわせて改定された経済見通しなどで、失業率は、〇・一%低下したとはいえ、依然四・六四%という高原状態にあることは変わりありません。しかも、問題は、世帯主の失業者八十二万人、全体で四〇%を占めておるという、ここに問題があるのかと思う。そしてまた、これから先も、労働省調査によれば四十二社十四万人もリストラが見込まれておるというふうな深刻な状況が続いておるわけであります。  こういう厳しいときの大臣の就任だけに、それこそかなりの大きな決意が込められておることだろうというふうに思っていますので、その辺のところをまずお聞かせいただきたいというふうに思います。
  123. 牧野隆守

    牧野国務大臣 現在の失業の状態は先生指摘のとおりでございます。リストラの今後の方向も、前倒しがありこそすれ、現状と同じようで、緩和するというようなことは、私は見通しとして持っておりません。  そこで、やはりこの問題は労働省だけで解決できる問題ではないわけなんです。一つは、いわゆる当事者である労働組合と経営者お互いに、自分が雇っている人をどうするかということですから、労使間で真剣に考えてほしい、でき得るならば一人でも少なく、戦線離脱することがないように労使双方できちっと話をしてほしい、これが一つ。  それからもう一つは、人を雇うのは嫌だという人に無理やり雇ってくださいと言っても雇っていただけないんですから、これは、どうしても景気を支えるより方法がないわけなんですね。その景気を支える手段の中で雇用を一人でもふやしていただけませんかということは、私の立場から、農林大臣、建設大臣、運輸大臣、通産大臣に、そういう点も配慮してぜひやっていただきたいと。そのためには、産業政策雇用政策は表裏一体だ。これは最初からの気持ちであり、実は私がドイツに駐在いたしたときからの気持ちなんですよ。今度そういう考え方が実現できるかどうか、情勢は変わっておりますから何とも言えませんが、気持ちだけはそのような気持ちで今度この仕事につかせていただいた次第です。  それに加えて、もう一つ心配なのは、一番皆さんが御心配いただいている若年者の就職問題です。今皆さんに私が申し上げておりますのは、今でもこういう制度があり、こういうところで講習会を開きますよ、こう申し上げておりますが、これで本当にうまくいくのかどうなのかということになりますと、実は内心じくじたるものを感ずるわけであります。何かいい方法はないか、来年の三月には就職できるかできないかということですから、あと三カ月程度の時間があるわけですが、さらに私自身は考えさせていただきたいと思います。
  124. 畠山健治郎

    ○畠山委員 端的に申し上げたら、労使でちゃんと雇用問題を考えてくださいということ、大臣おっしゃることはよくわかりますけれども、今、国際競争力に勝つためにはどうすればいいのか、生き残りをかけるためにはどうすればいいのかといったらお互いに労使の関係の話は終わっちゃうんですね。だから困るというわけですから。もうそんなことを言っている時間はございません。  いずれにしても、新規学卒者の就職難の問題、あるいは三百十七万人もの完全失業者がおるという姿、そしてまたこれからのリストラ等々を考えると、本当に先々思いやられてならない、こう言わざるを得ないというふうに思っております。  それにつけても、今地域緊急雇用対策云々ということでいろいろなことを期待しながらやっていただいておるわけでありますけれども、確かに、当面失業者をどうするというようなことの議論もそれはあってしかるべきだというふうに思いますが、労働省とすれば、今の失業率を短時間でどうするかというようなことだけが後追いみたいな形で今やられておるわけでありますが、本来労働省の仕事としては、やはり安定雇用という場所をつくってもらうというのが本来の仕事だというふうに思うんですね。ここらの点について矛盾を感じていらっしゃいませんか。
  125. 長勢甚遠

    長勢政務次官 雇用の安定という意味で、先生おっしゃるとおりでございます。当然、産業振興を図り、新たな雇用の場を確保して、今おられます失業者の方の安定的な雇用につないでいく、これが雇用対策の基本であります。そのために、政府としても、新産業を起こす、ベンチャーを起こす、いろいろな産業新生政策を各般の場面でやっておるわけであります。また、その暁にそこに労働者がスムーズに移動できるように、能力開発等々の労働政策も万全を期して今進めておるわけでございます。  ただ、現下の失業情勢を見ますと、そこまで行くまでに若干の時間がかかる、この間のつなぎをやはり確保しなければその最終的な目標を達成できませんので、民間企業だけではなくて、ここのつなぎの部分について国みずからあるいは地方公共団体雇用創出、みずから雇用の場をつくるという事業を今行っておるわけでございまして、ぜひその点も御理解をいただきたいと思います。
  126. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ジェー・シー・オー東海事業所の臨界事故に関してのお尋ねでございますが、労働省も、核燃料物質取扱事業所に対する総点検をなされたそうでありまして、その結果として、十七事業所のうち九事業所が法律違反をしており、その件数は二十五件とされております。約半数の事業所が違反しておるわけであります。  これについて労働省は、他の事業所の違反と大差はない、こういうお話でございました。とんでもないというふうに私は考えます。どうしてかといったら、この種の事業所は限りなくゼロでなければいけないと思うんですね。それを、他の事業所と大した変わりのない数字だ、こういうとらえ方をなさっておるということ自体にこの種の事故が起こってしまったというふうに言っていいと思うんです。この点、どうお考えですか。
  127. 牧野隆守

    牧野国務大臣 今度の事故発生に関しまして、私は福井県出身で、あそこに原子力発電所が十五サイトあるわけですから、これはまたえらい事件になったなということで、非常に心配いたしたわけです。そして労働省は、これら発電所並びに関連のところに、労働安全衛生上どういう措置をとっているかということを実は直ちに聴取いたしたわけです。  今回十七事業場で点検した結果、おっしゃるとおり二十五件出てきた。実は、これは目に見えない事故ですから大変だなと。そういう企業企業名を発表することによって注意が十二分に喚起されるんじゃないか、聞いただけで周辺の人はびっくりするわけですから、そこまでの必要があるかということを確認いたしましたところ、重大な法違反とは言いがたい、あるいは災害発生の間接的な要因にもなりかねない、実はこういう内容でございます。それでは発表してまで必要以上に周囲に不安感を与える必要はないな、それなら公表ということをしなくていい、注意だけしておきなさい、こう申し上げた次第であります。
  128. 畠山健治郎

    ○畠山委員 点検結果に基づく違法事業所について、今大臣は公表しませんとおっしゃっておるわけでありますが、事が事だけに、原子力行政における問題だけに、ほかのものと一緒に扱うわけにいかぬという危険性を持っているわけであります。そういう意味からすると、確かに原子力安全白書を見てみますと、この種の事業所がこれこれであるというふうなことは出ていますけれども、では、本当に国民がその白書をちゃんと見ておるかというと、そんなこと見ていないですね。だとすれば、行政は、この種のものがこうこうあるというようなことを常に点検をし、報告して、知らせておかなければいけないと思うんです。  そういうことを含めて、この種のことについて原子力安全委員会としてどう受けとめ、これから先どうやっていこうとしているのか、お聞かせいただきたいと思うんです。
  129. 間宮馨

    間宮政府参考人 いろいろな施設がどこにあるかということに関しましては、まず、今先生がおっしゃいましたように、白書にございます。ただ、白書にあるだけでは不十分ではないか、そのとおりだと思います。  したがいまして、住民への周知につきましては、原子力事業者がその活動等につきまして周辺住民によく広報し、周知を図ることが基本であるというふうに考えておりまして、今回の事故を踏まえまして、原子力事業者をさらに指導してまいりたいと考えております。  国といたしましても、原子力施設の所在地、事業の種類等の情報につきまして、先ほどの白書のみならず、いろいろな申請書の公開等によりまして公表してきておりまして、かつ今回の事故を契機に、類似の施設について総点検をいたしましたが、その結果につきましては、企業名も含めて、すべて公開してございます。
  130. 畠山健治郎

    ○畠山委員 今回の臨界事故によって明らかとなりましたことは、通産省や科学技術庁による原子力規制法に対する考え方は、原発等の運転推進であり、そこに働く労働者の安全衛生は視野外、こう言ってもいいと思うのです。また、労働省に至っても、そうしたことは通産あるいは科学技術庁の問題と認識していたことではないだろうかと思わざるを得ません。このことは、ジェー・シー・オー東海事業所に対する労働基準局の立入調査が三年に一回であったこと、さらには、労働安全衛生法六十七条に基づく健康管理手帳交付の対象業務外になっているのですね。  そこで問題なことは、この種の問題でありますから、がんその他の重度の健康障害を引き起こすことも十分考えられる中身であります。こういうことからすれば、今度の経験を経ながら、言ってみれば、健康管理手帳を交付するというようなことが前提でなきゃいけないと思うのです。大臣、どうお考えでしょうか。
  131. 牧野隆守

    牧野国務大臣 委員御指摘のとおり、安全衛生規則に基づいて、労働基準局は別の立場から実は監督指導をいたしております。それが、私が聞きましたら年一回だと。だめじゃないか、一四半期に一回ぐらいは専門官がちゃんと見るべきではないか、これも決めさせていただきました。  さらに、監督官は随時立入検査ができる、そうすることによって現場に緊張感をもたらすわけですから、やはり大事にしなきゃいかぬな。ちょっとした気の緩みから事故が発生するわけですから、少なくともそうならないように、労働省の監督指導を具体的に強化させていただきます。  何とか事故が起きないように私どもも全身全霊を挙げて、いろいろな不備なところは穴埋めしながら対処したいということで、差し当たりそういう措置を決定させていただきました。
  132. 畠山健治郎

    ○畠山委員 いや、健康管理手帳の問題ですが、これは新たな問題が起こったわけで、手帳を交付しなければいけないという業務十二種の中に入っていないのですね。こんな大事なことが業務の中から外れておるということ自体に問題があると思うので、この点についてもう一遍。
  133. 牧野隆守

    牧野国務大臣 それも論議いたしまして、実は、放射能ですから目に見えないわけで、一人一人の体の影響の受け方が個人差があるかもしれない。それを、発行するように、そうお金はたくさんかかるわけじゃないのですから、安心感のために前向きに検討することを指示させていただきました。
  134. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ぜひひとつその方向で煮詰めていただきますように重ねてお願いを申し上げまして、時間になりました、終わります。ありがとうございました。     —————————————
  135. 赤松広隆

    赤松委員長 この際、東海村ウラン加工施設事故に係る報告を政府から聴取いたします。労働省労働基準局長野寺康幸君。
  136. 野寺康幸

    ○野寺政府参考人 お手元に資料が配付されているかと存じますけれども、お時間もないでしょうから、ごく簡単に要点だけ御報告申し上げたいと思います。  東海村ウラン加工施設におきます事故でございますが、平成十一年九月三十日、午前十時三十五分ごろに発生したわけでございます。本件災害でございますが、作業者三名が、当該事業所の転換試験棟内で、濃縮ウラン溶液の濃度を均一にするため、ウラン溶液を、作業手順書で指定された、臨界が起きないように設計された貯塔という施設を使わずに、沈殿槽という間口の広いものに入れたわけでございます。それによりまして臨界事故が発生し、そこで作業しておりました三名が、いわゆる核分裂による大量の放射線に被曝したという状況でございました。  そういう状況でございまして、その被曝の状況が、下の方に表にしてございます。今申しました三名の方は、被曝量二・五から十八グレイ、こういう大量の放射線量でございました。その他の従業者につきましては、六十六名の事故発生時に被曝した方が六十四ミリシーベルト以内、緊急作業、硼酸水の注入とか水溶液の排せつとかなさった方が二十七名おりますけれども、これが百二十ミリシーベルト以下、こういう状況でございました。  続きまして、次のページに、労働省としてこれまでとってまいった対応及び今後の方向づけ等を書いてございます。  まず、事故が発生しましてすぐ現地茨城労働基準局に災害対策本部を置きまして、ここにおきまして、いろいろな法違反等の調査等々を現在まで展開しているわけでございます。  御案内のとおり、事故当時、東海事業所内にいたすべての労働者に緊急の健康診断を行うように、これは安全衛生法に基づきまして指示をいたしました。これによりまして大部分の方が受診をされたわけでございます。その結果は、基本的には再検査を行った者が六名ございましたが、今までのところ問題は起こっておりません。  それから、先ほどの御質問にもございましたが、その後十月一日から二十二日の間、このような全国に散らばっております十六施設十三事業場につきまして、同様の核燃料物質を取り扱っているわけでございますので、同様の、安全衛生法等々の違反等の観点から総点検を実施いたしまして、その結果は、今の御質問の中でも明らかにされたとおりでございます。  それから、労災の関係でございますが、先ほど来申し上げております直接被曝をされた三名の作業員につきましては労災の申請がございました。認定基準に照らしまして、明らかに業務上であるというふうに考えまして、十月二十六日にこれを認定いたしております。  今後でございますけれども、今後、安全衛生法上の何条に違反するか、どういった問題点があるかということを引き続き調査して、必要な措置をしたいというふうに考えております。  それから、労働者の健康状態につきましては、今後とも健康管理上の指導を含めながらフォローしてまいるように、事業主等と連携をとってやってまいりたいと思っております。  さらに、原子力施設等に関しましては、先ほど大臣の方からも御答弁申し上げましたが、従来、一年に一回やっておりましたのを、四半期ごとに点検、指導を行い、この際は予告なしに事業場に立ち入るという形で厳密に法違反等をチェックしてまいりたいというふうに思っております。  それから、従来、この核燃料施設が安全衛生法上に言う危険有害業務というものに該当しておりませんでしたので、特別な従業員教育というものが法令上義務づけられておりませんでしたが、これもやはり今後は特別教育の対象ということで法令を改正いたしまして、厳しい安全衛生教育が義務づけられる形にいたしたいというふうに思っております。  以上でございます。
  137. 赤松広隆

    赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十八分散会