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1999-12-07 第146回国会 衆議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十二月七日(火曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 久間 章生君 理事 自見庄三郎君    理事 高橋 一郎君 理事 萩山 教嚴君    理事 町村 信孝君 理事 池田 元久君    理事 海江田万里君 理事 太田 昭宏君    理事 中井  洽君       甘利  明君    伊藤 公介君       石川 要三君    稲垣 実男君       小澤  潔君    小野寺五典君       大原 一三君    亀井 善之君       木村 隆秀君    栗原 博久君       杉浦 正健君    高鳥  修君       津島 雄二君    中川 昭一君       中川 秀直君    葉梨 信行君       萩野 浩基君    船田  元君       村田 吉隆君    村山 達雄君       森山 眞弓君    山口 俊一君       岩國 哲人君    生方 幸夫君       古賀 一成君    五島 正規君       原口 一博君    日野 市朗君       肥田美代子君    横路 孝弘君       近江巳記夫君    佐藤 茂樹君       西川 知雄君    桝屋 敬悟君       加藤 六月君    鈴木 淑夫君       西田  猛君    木島日出夫君       佐々木憲昭君    佐々木陸海君       春名 直章君    平賀 高成君       北沢 清功君    濱田 健一君     …………………………………    内閣総理大臣       小渕 恵三君    法務大臣         臼井日出男君    外務大臣         河野 洋平君    大蔵大臣         宮澤 喜一君    文部大臣    国務大臣    (科学技術庁長官)    中曽根弘文君    厚生大臣         丹羽 雄哉君    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    通商産業大臣       深谷 隆司君    運輸大臣    国務大臣    (北海道開発庁長官)   二階 俊博君    郵政大臣         八代 英太君    労働大臣         牧野 隆守君    建設大臣    国務大臣    (国土庁長官)      中山 正暉君    自治大臣    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 保利 耕輔君    国務大臣    (内閣官房長官)    (沖縄開発庁長官)    青木 幹雄君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 越智 通雄君    国務大臣    (総務庁長官)      続  訓弘君    国務大臣    (防衛庁長官)      瓦   力君    国務大臣    (経済企画庁長官)    堺屋 太一君    国務大臣    (環境庁長官)      清水嘉与子君    金融再生政務次官     村井  仁君    総務政務次官       持永 和見君    防衛政務次官       依田 智治君    防衛政務次官       西川太一郎君    経済企画政務次官     小池百合子君    環境政務次官       柳本 卓治君    沖縄開発政務次官     白保 台一君    外務政務次官       東  祥三君    大蔵政務次官       大野 功統君    文部政務次官       小此木八郎君    厚生政務次官       大野由利子君    農林水産政務次官     谷津 義男君    農林水産政務次官     金田 勝年君    通商産業政務次官     細田 博之君    郵政政務次官       小坂 憲次君    労働政務次官       長勢 甚遠君    建設政務次官       岸田 文雄君    自治政務次官       平林 鴻三君    政府特別補佐人    (内閣法制局長官)    津野  修君    政府特別補佐人    (公正取引委員会委員長) 根來 泰周君    政府参考人    (公正取引委員会事務総局    経済取引局取引部長)   上杉 秋則君    政府参考人    (金融再生委員会事務局長    )            森  昭治君    政府参考人    (総務庁統計局長)    井上 達夫君    政府参考人    (大蔵大臣官房総務審議官    )            原口 恒和君    政府参考人    (文部省初等中等教育局長    )            御手洗 康君    政府参考人    (厚生省生活衛生局水道環    境部長)         岡澤 和好君    政府参考人    (中小企業庁長官)    岩田 満泰君    政府参考人    (労働大臣官房政策調査部    長)           松崎  朗君    政府参考人    (労働省職業安定局長)  渡邊  信君    政府参考人    (建設省建設経済局長)  風岡 典之君    参考人    (日本銀行情報サービス局    長)           大西 義久君    予算委員会専門員     大西  勉君     ————————————— 委員の異動 十二月七日  辞任         補欠選任   大原 一三君     木村 隆秀君   村山 達雄君     小野寺五典君   志位 和夫君     平賀 高成君   不破 哲三君     佐々木陸海君 同日  辞任         補欠選任   小野寺五典君     村山 達雄君   木村 隆秀君     大原 一三君   佐々木陸海君     不破 哲三君   平賀 高成君     佐々木憲昭君 同日  辞任         補欠選任   佐々木憲昭君     春名 直章君 同日  辞任         補欠選任   春名 直章君     志位 和夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  平成十一年度一般会計補正予算(第2号)  平成十一年度特別会計補正予算(特第2号)  平成十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  平成十一年度一般会計補正予算(第2号)、平成十一年度特別会計補正予算(特第2号)、平成十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  三案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長上杉秋則君、金融再生委員会事務局長森昭治君、総務庁統計局長井上達夫君、大蔵大臣官房総務審議官原口恒和君、文部省初等中等教育局長御手洗康君、厚生省生活衛生局水道環境部長岡澤和好君、中小企業庁長官岩田満泰君、労働大臣官房政策調査部長松崎朗君、労働省職業安定局長渡邊信君及び建設省建設経済局長風岡典之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島村宜伸

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 島村宜伸

    島村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君。
  5. 原口一博

    原口委員 おはようございます。民主党原口でございます。  今回、諸般の問題について、その予算関係で御質問を各大臣にさせていただきたいと思います。  まず、民主主義を守り、はぐくむための諸課題についてお尋ねを申し上げます。  私は、委員長のお許しをいただいて資料をお配りさせていただきたいのですが、この国会、その前提となるもの、それは役所がちゃんとした情報与党であろうが野党であろうが、きっちり出して、その情報に基づいて、あるいは私たちが正しい調査に基づいて正しい判断をする、これが一番大事だというふうに思います。この資料の一、先日、菅政調会長の方も指摘をいたしましたが、今回の住民基本台帳改正案の十三情報はこれです。私たちには、あの審議のときには四情報としか伝わっていなかった。マスコミ皆さんにも四情報と、あるいはこれは与党皆さんにもそうではなかったか。私たち、随分議論をしました。  こういう情報コンピューター管理をすれば、必ずコンピューターから外に出てしまう、そのときにどんな被害が起こるのか。二年前に個人情報保護法案を出させていただきましたが、そういうものについては一顧だにもせずに、どうしてこういうことをやるのか。そして、事もあろうに私たち国会に対して、本当は十三情報が流れるにもかかわらず、この中には本当に知られたくないような情報もたくさんありますよ。そして、外に出てしまえば大変なことになる。私は、こういう行政のあり方について、まず強い警鐘を鳴らしておきたいというふうに思います。  そして、民主主義が正しく機能するためには、国会運営についても私たち一定のルールにのっとってやらなければならない。きょう、ここにビデオを持ってまいりました。皆さんごらんになった方がおありになるかと思いますが、これは先日の厚生常任委員会採決、あえて強行採決と申しますが、そのときの絵でございます。大変な混乱でございました。短い時間で国民生活にかかわる問題を採決する、これは議長裁定が出ましたから、その中身について私が申し上げるつもりはきょうはございません。  しかし、官房長官お尋ねをしたいのは、この中に何が映っているかということです。本来は中立であるべき委員部職員国会議員の前に出て、そして、立ってください、座ってください、こういうことをやっているじゃありませんか。これは、国会が始まって以来のことですよ。こんなことが許されていいんでしょうか。例えてみるならば、この方は、この方々かもわからないが、この方は厚生委員会委員部職員じゃないじゃないですか。私は、個人の攻撃をしているんじゃありません。そうではなくて、これが組織ぐるみで行われているとすると絶対に許せないということであります。  私は、官房長官、これは例えてみれば、パ・リーグにいる審判がセ・リーグに来て一塁を守っていたようなものなんです。そしてここには与党の代議士の皆さんが、その方のコンダクションに合わせて、指示に合わせて立ったり座ったりしている。恐らく、この人が座る、そうするとみんなが座る、立つ。(発言する者あり)  あなた、そんなことをおっしゃっていますが、これをごらんになりましたか。国会が本当に機能するためには、私はこのことについて官房長官が、政府を預かるお立場としてどのようにお考えなのか、まず御所見をお伺いしたい。
  6. 青木幹雄

    青木国務大臣 お答えをいたします。  厚生委員会採決の際に御指摘のような事実があったかどうか、私は現場にいたわけでございませんのでコメントすることは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、委員部においては、国家公務員として公正中立事務運営を行うことが当然のことだ、そういうふうに認識をいたしております。
  7. 原口一博

    原口委員 本来こういうことはこの予算委員会で、あるいは国会の中の法律に想定されていないことなんですよ。想定されていることだったら想定する委員会で言いますよ。しかし、全くあってはならないようなことが起こっている。  今おっしゃったように衆議院事務局事務分掌規程、この中にもきっちり書いてありますし、それからもう一つ国会職員法第十七条、「国会職員は、国会事務に従事するに当り、公正不偏、誠実にその職務を尽し、以て国民全体に奉仕することを本分とする。」当たり前のことが書いてある。  私は、ぜひ、これがその方だけでやっているんだったらここで問題にしませんよ、事務総長に問いただせばいいわけだから。しかし、与党ぐるみで、巨大な与党皆さんが一緒になってなさっているのか、そうでないのか、これはちゃんと明らかにしなければならないと私は思っております。  官房長官、もし、もし与党の方から委員部の方にこういうお願いがあって、そしてこういうことが起こったとすれば、それはどういう責任をおとりになるんでしょうか、そんなことは絶対にないとおっしゃるんでしょうか、お尋ねいたします。
  8. 青木幹雄

    青木国務大臣 仮定の問題についてお答えする必要はないと考えておりますが、私は、そのようなことは絶対ないと信じております。
  9. 原口一博

    原口委員 絶対ないということでございましたが、私の調査ではそうではございません。ないと信じているということですか。絶対ないということですか。私は、これは調査をすべきだと思います。  民主主義基本であるこの国会すべての委員会運営が、審判が加わってくれば、もうこれでは運営にならない、採決にもならないわけです。  私は、委員長お願いをします。これは与党でも野党でもないんです。国会全体の権威の問題でございますから、速やかにこの問題について調査をして……(発言する者あり)委員長、済みませんが、少し静かに。
  10. 島村宜伸

    島村委員長 御静粛に願います。
  11. 原口一博

    原口委員 この問題について調査を速やかにして、そしてこれは予算審議前提になるというふうに思いますので、理事会で御協議を願いたい。二十四時間以内にあるいは速やかに私たちにこのきっちりとした答えをいただきたいと思うのですが、委員長、いかがでしょうか。
  12. 島村宜伸

    島村委員長 ただいまの件につきましては、委員会運営全般にかかわることでありますので、私から議院運営委員長に伝えておくことといたしたいと存じますが、よろしゅうございますか。
  13. 原口一博

    原口委員 ぜひ、今非常に公正な御判断をいただきました。このビデオをその席でごらんになってください。そうしたら、私が言っていることの重大さがおわかりいただけるというふうに思います。  私は、あくまで申し上げます。個人を攻撃しているんじゃないんです。しかし、巨大な圧力に対して国会が果たしてきっちり機能しているか、あるいは民主的に運営されているか、これは憲法の九十九条、憲法尊重擁護義務からしても当然のことであるというふうに思います。  次の質問に移らせていただきますが、今、政治資金規正法、この議論をずっとやってまいりました。私たちは、多くの国民の皆様の負託を受けて、そして民意に即した政治をやらなければいけない。そこで、政治資金透明性、そしてその説明責任、これはすべての政治家にあるものだというふうに思います。  八代郵政大臣にお伺いをいたしたいと思います。  八代郵政大臣は、これは逓信委員会でも御議論がございましたけれども、宗教団体から献金を受けておられるということが明らかになっておりますが、これはどういう内容なのか、お尋ねを申し上げます。
  14. 八代英太

    八代国務大臣 先般も、民主党逓信委員から、小沢さんから同じような質問をいただいたわけでございます。そのときもはっきり申し上げたんですが、受けておられたのではなくて、それは一回だけの、今お話をこれからさせていただきますが、継続的なものではございません。  そこで、宗教法人出雲大社相模分祠からの献金の問題なんですが、その分祠長からは、個人的なおつき合いの中での献金認識しておりましたが、実は十万円、昨年、個人として福祉活動協力をしたいということでいただいたんですが、そこが、いわば宗教法人出雲大社としてなったものを、事務の者が、これは出雲大社という形で報告書に載せたわけですね。それがちょっとマスコミ指摘がございました、大臣に就任いたしましてから。それで、これはやはり政教分離の観点から誤解を招くと。個人ではなくて、宗教法人からという形でいただいたものですから、そのとおり事務の者が処理をしたという経緯の中で、これは誤解を招くという思いを持ちまして、先月、早速これは返金させていただきまして、処理をしたところでございます。  今後、宗教法人政治献金の問題には十分留意して、誤解を招くことのないようにはしたいと思っております。ということでよろしゅうございましょうか。
  15. 原口一博

    原口委員 一つ献金のことを取り上げて申し上げて、本当に心苦しいわけでございますが、これは、逓信委員会では、個人としてもらったんだという御認識であったと。ところが、収支報告には宗教法人出雲大社という形になっていますね。これが宗教法人出雲大社からの献金ではなかった、つまり、この方個人からの献金であったということを今おっしゃったわけですか。
  16. 八代英太

    八代国務大臣 実は、その分祠長さんが私の活動大変共鳴をしていただいて、あるプロジェクトを考えたときに、協力をさせてくれ、こういう個人の申し入れがあったんですね。  しかし、いずれにいたしましても、何人といえども、私は、すべて政治資金という形で処理をするのが政治家として誤解を招かないという思いから、そのようにやっておりました。そして、振り込まれたのが宗教法人として振り込まれた、このことをそのまま事務の者が宗教法人として計上いたしました。それによって、私は個人献金という思いで、私自身は思っていたんですが、事務のミスによりまして宗教法人という形でそのことが出ましたので、これは誤解を招くので、私も、その指摘を受けて、それは誤解を招く、それはお返しするべきだ、宗教法人という形ではこれは誤解を招く、こういう思いで、すぐ返金を指示したという経緯でございます。
  17. 原口一博

    原口委員 早い対応、それは多とするものでありますが、つまり、これは宗教法人として載っているけれども、実は宗教法人としての献金ではないということですね。要するに、個人としての献金を、間違って事務の方が宗教法人として届けたということですか。
  18. 八代英太

    八代国務大臣 繰り返し申しますが、例えば、私のポケットマネーでと分祠長さんはおっしゃったんですね。私は、それはそれで、そういう思いでいたんですが、ただ、振り込んだのが宗教法人出雲大社相模分祠という形で振り込まれて、それを事務の者がそのまま政治資金収支報告書に載せたものですから、これは誤解を招くという思いで、それは返金を命じまして、返金をしたということでございます。昨年一回、昨年それからことしとございますが、ことしも含めてお返しをした、昨年十万円、そういう御協力をいただいたという経緯誤解を招く発端であった、こう思っております。
  19. 原口一博

    原口委員 つまり、こういう宗教法人からの政治献金というのは好ましくないということで、お返しをなさった、要するに、もうないことにしたということですね。  自治大臣にお伺いしますが、宗教法人からの政治献金、このことについての規制、これはございますでしょうか。
  20. 保利耕輔

    保利国務大臣 お答えを申し上げます。  現在の政治資金規正法第二十一条におきまして、会社、労働組合、それから職員団体、その他の団体は、このその他の団体宗教法人が当たると思いますが、政党及び政治資金団体及び資金管理団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならないと規定されております。  したがいまして、これを逆読みにいたしますと、その他の団体寄附をすることは許されるというふうに解釈できますので、宗教法人寄附をすることは、この法律の規定からいえば寄附が許されると解釈されます。
  21. 原口一博

    原口委員 保利自治大臣お話しいただいたように、何ら問題はない、今の条文上は。ただ、宗教法人は、いわゆる宗教活動に得た利益が税の優遇措置がございますから、そこから無際限に政治団体に流れるとすれば、それはいかがなものかという議論は一方であると思いますが、八代大臣献金そのものについては、今の保利大臣の御回答がすべてだというふうに思います。  そこで、大蔵大臣にお伺いしますが、宗教法人活動に税の特例を設けているのは、どういうわけですか。
  22. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 宗教法人は、民法の上で、財団法人社団法人学校法人などと同じように、公益に関する団体として位置づけられております。したがって、法人税法におきましても、それらの団体と同じように扱っておるわけですが、問題は、宗教法人の場合でも、いわゆる営利に関する活動があり得るわけであって、営利法人と競合するような活動は、それは収益事業と考えまして、それに対する所得を限定して課税いたしております。しかし、宗教活動から生ずるものについては、それは公益法人でございますので、課税いたしておりません。
  23. 原口一博

    原口委員 私は、ここでやはり議論を深めていかなければいけないのは、今大蔵大臣お話しになりましたように、なぜ宗教法人にそういうものがあるか、そこからすると、やはり一定の枠は、政治献金について当然議論されてしかるべきだというふうに思います。  資料三をごらんいただきたいと思います。これは、八代大臣の、平成八年、今回の私たちが選ばれてきた衆議院選挙選挙公報でございます。この一番後ろを見ますと、「自由社会を“守る”」。ちょっと読み上げます。ちっちゃな字で恐縮ですが、「いまオウム真理教が裁かれていますが、政党を作った宗教団体は、オウムと創価学会です。信教の自由は守らなければなりませんが、「王仏冥合」の立教精神のもと、宗教政党として、権力を握るための野望から、自由社会を守らなければなりません。」というふうに書いてあります。  これは……(発言する者あり)とんでもないというお話がございましたけれども、私は、選挙のたびに支持団体までこういうことを言う、こういうことはやはりやめるべきだと思うんです。お互い自分たち支持をしてもらう、そういう人たちがいる。  私は、この真意は何なのか。これだと、オウム真理教創価学会というのは何か同列に扱われているような気がする。そして、王仏冥合というこの言葉、非常に難しい言葉でございますが、立教精神、こういう言葉を使っているのはある団体しかない。そして、事もあろうに、権力を握るための野望から自由社会を守らなければならない。今、ではその皆さんとはどうされているんですか。この公約はどう守られたのか、この公約真意お尋ねしたいと思います。
  24. 八代英太

    八代国務大臣 平成八年の総選挙でございましたが、私は東京第十二選挙区というところでございます。委員は佐賀県の第一区だったと思いますが、あのときの選挙は、初めての小選挙区ということで大変激しい選挙でございました。  私の選挙公約におきまして、政治宗教について厳しく分離されなければならないということは主張もいたしました。公明党について、創価学会との関係で、この点が不明確ではないかということは考えたことも事実でございます。当時は、厳しい選挙戦を戦っていたこともありまして、表現に行き過ぎがあったことは否めませんけれども、そういう思いであったことは私も覚えております。当時、相手は新進党の方でございましたが、そういう思いでございました。  しかしながら、その後の公明党主張行動等を拝見して、私自身も理解するにつれて、その考え方を改めざるを得ないという思いになってまいりました。  それで、実は私は、ことし、組織犯罪三法をやってまいりまして、そのときに、公明党皆さん、それから自由党の皆さん、そして私と、通信傍受を含めた法律の中で、本当に寝食を忘れて、国のため、国民一人一人の安全のためにやる姿を見て、その八年のことを振り返りながら、私も誤解をしていたな、こういう思いを持って、あれからもう三年、月日は流れましたが、自自公という本当に信頼し合う、お互いにこの国政の中にあって、今がっちりチームワークを組んでいるという思いでございますので、今はそういう気持ちでおるところでございます。
  25. 原口一博

    原口委員 三年で言葉が変わる、私は、今の大臣の御発言を聞いた方がどこまで納得されているだろうかと思います。そして、これは選挙公報ですからね。選挙公報ということで、すべての人にこれは配られているわけです。そして、多くの人たちの思想、信条の自由、あるいはこれで傷ついた人は結構いるんじゃないですか。  私は、この中には公明党の一言も出ていないので、これは多分、新進党のことだろうと思っていましたが、今公明党というお話をされました。  さあ、公明党から入閣をされている続大臣、大変公正なお仕事をなさっています。後で政策評価と、それから、御一緒に新進党の時代にお願いをしていた特殊法人の情報公開についてお伺いしよう、そのためにきょうお見えいただいているんですが、今、公明党という名前が出ましたものですから、続大臣から、この文言についてどのように思われるか、御所見をいただきたいというふうに思います。
  26. 続訓弘

    ○続国務大臣 原口議員は、私どもと一緒に、志を同じくして、新進党時代にお互いに戦った仲間でもございます。したがいまして、公明党のことについては、よく心底から御理解をいただいていると私は思います。  そういう中で、今せっかくのお尋ねでございますけれども、私どもは、国のため、本当にこの日本のありようを真剣に考える、この政党公明党であります。そのことも御理解を賜っていると思います。信教の自由は憲法上保障されております。そのことも御理解を賜っていると思います。  したがいまして、この御質問、せっかくの御質問ではございますけれども、もう原口議員が篤と御存じのことでございますので、あえて申し上げる必要はないと存じます。
  27. 原口一博

    原口委員 それは、今までの信頼関係で、それぞれの人は知っていますよ。しかし、ここに書いてあることはどういうことなのかということを申し上げている。  私は、自分のところの選挙を言う気はありません。佐賀の参議院補欠選挙、本当にすごかった。そして、応援をする人まで大変傷つける、そういう選挙をやめましょうということで、私は今ここで申し上げているわけです。  支持団体まで巻き込んで、そして権力宗教を弾圧するときにどういうことが起こるのか。これはこんなふうに書いてあるのですよ。「権力を握るための野望」と書いているのですよ。野望ですよ。権力を握るための野望のために公明党と御一緒になったのですか、大臣
  28. 八代英太

    八代国務大臣 選挙公約もいろいろな表現の仕方があろうかと思いますけれども、先ほど来答弁したとおりでございまして、三年前、私自身も激しい戦いを経験させていただきました。また、いろいろな戦略をそれぞれの方々がつくるわけでございますけれども、若干行き過ぎがあったということは否めないということで、先ほど申し上げたとおりでございます。  今、自自公は、しっかりお互い協力し合って、国のため、二十一世紀のために頑張っているところでございます。そういう意味で、いろいろ御意見もあろうかと思いますが、もしまた原口さんの考え方をお聞かせいただければ、それをまた私も拝聴したい、このように思っております。
  29. 原口一博

    原口委員 今、私が聞いているわけで、続総務庁長官はこのことについてはお話しになりませんでした。今まで知っているからわかっているだろうということでありますが、私は、官房長官、任命権者として、こういう公約をしている人を閣内に入れるべきかどうか、選挙のときの公約ですから。  公明党さんがいい政策をお持ちで、頑張ってこられた、それは私も、続大臣がおっしゃったように知っていますよ。しかし、そう書いてないわけだから。そして、多くの人たちは、この公約を見て、八代大臣は、まさにオウムと同じような、そういう宗教団体を絶対阻止する人なんだと思って一票入れていますよ。これは反対じゃないですか、投票行動が。投票行動に背くことじゃないですか。もしこういうことになるのであれば、書くべきじゃないんですよ。  私は、任命をした内閣のかなめとして、本来だったら総理にお伺いしなければならないが、官房長官、こういうことについてどうお思いなのか。逃げずに、あなた、わかっているだろうなんという答えでは、こういうのは納得できないのです。  自自公政権が何で起きたのか。公明党皆さんは、私は自民党さんがばい菌だとは思わないが、ばい菌をきれいにするために一緒になったんだと言う人もいる。何のために一緒になっているのか。選挙のときの公約と全く違うことをやれば、国民は何を信頼していいかわからないのです。お答えをいただきたい。
  30. 青木幹雄

    青木国務大臣 お答えをいたします。  私は、今この資料は初めて拝見いたしましたので、過去にどのような経緯があったか一切存じておりませんが、大臣に任命するからには、立派な人だと思って私どもは任命をいたしております。
  31. 原口一博

    原口委員 今のは耳を疑いますよ。日本の国を動かし、しかもこんな国難の時代に、選挙公約もチェックせずに任命しているんですか。選挙基本でしょう。そのときに何を言ってきたのか、その人が何を目指したか、これを見れば一目瞭然ですよ。これを見れば、絶対、政権に入れちゃだめですよ。いや、自自公でなければいい。自自だったらいいでしょう。  今大事なことをおっしゃいましたからね、官房長官公約もチェックせずに入れたということで議事録に残りますが、よろしいですか。
  32. 青木幹雄

    青木国務大臣 私がお答えいたしましたのは、公約をチェックしないで閣僚を選任したということは申し上げておりません。今の資料は、私は初めて見ましたので、その内容については、今本人がいろいろお話しなさったような経過があった、そういうふうに解釈をいたしております。
  33. 原口一博

    原口委員 つまり、この資料ごらんにならなかったということで、ただ、公約は御存じだったということで理解していいですね。  私は、やはりこれだけ大きな政権をつくる、そしてそれが何をやるかというのは、国民に明らかにしなければいけない。これは本当に国民との、大変これはいい文章ですよ、ここ以外は。ここは非常に、何というか、王仏冥合という言葉もよくわからなければ、オウムとイメージ的にオーバーラッピングするやり方は、非常にアンフェアじゃないですか。  続大臣、前回の総選挙のときの印象でも結構です、この言葉に直接、本当は答えてほしいんです。どう思われますか。こういう選挙を今からもやるんですか。続総務庁長官、この言葉についてぜひコメントをいただきたい。
  34. 続訓弘

    ○続国務大臣 今、せっかくのお言葉ですけれども、そのお言葉を私、存じ上げません。  いずれにしても、私ども自自公が政権を共有するということになった理由につきましては、もう既に何回も明らかにしているところであります。この国のありようをともに真剣に考えよう……(発言する者あり)あなたは何を言っているんですか。こっちに答えているんですよ。とんでもない。私は……(発言する者あり)こっちが質問しているんじゃないですか。
  35. 島村宜伸

    島村委員長 御静粛に願います。
  36. 続訓弘

    ○続国務大臣 私は、真剣にこの国のありようを考えて、自自公連立政権を組んだわけであります。その限りにおいては、自民党も公明党も自由党も同じ志を持って、この国の将来を案じているわけですから、そういう意味で御理解を賜りたいと存じます。
  37. 原口一博

    原口委員 先ほど、こんなものは優しい方だという不規則発言がございましたけれども、もっとすごかったです。  だから、私は、続大臣に申し上げているのは、こういう選挙のやり方はもうあってはならない、民主主義の国で、例えば建設業であれば建設業、何々業であれば何々業、そういう人たちを恫喝や、あるいは宗教の良心を踏みにじるような形で選挙をやること、こういうことはいかぬということを一言言っていただければ結構なんですよ。  自自公が同じ志を持っているとおっしゃいましたけれども、選挙のときはまるで違う志なんです。皆さんと一緒にもう一つ政党をつくらないと、チェックがきかなくなるから、歯を食いしばって、何々党、何々党が悪いと言っているんじゃないんですよ、一つ政党しかなければ腐ってしまうから、もう一つ政党をつくろうということでやってきた、それが志ですよ。しかし、それと違う政権ができたのであれば、では、この選挙についても総括をする必要があるんじゃないですかということを申し上げているんです。  こういう選挙について、どういうふうに思われるのか、再度お尋ねを申し上げます。
  38. 続訓弘

    ○続国務大臣 選挙は、それぞれの党が命をかけて戦うわけですから、それぞれ、公明党公明党、自民党は自民党、自由党は自由党の立場で戦う、これが選挙であると私は思います。
  39. 原口一博

    原口委員 全くお答えにならないつもりで、民主主義基本ということは、私はきょう随分皆さんに申し上げたつもりでございます。そして、続大臣がお胸にあることと違うことを言っているんじゃないんですよ。それは、ここで言えないことがもしあるとすれば、やはりもっとオープンにお話をしていただきたい。  そして、八代大臣は、次はこういう公約はされないわけですね。反省の弁が聞かれますでしょうか。
  40. 八代英太

    八代国務大臣 選挙というのは、お互いの生死にかかわる激しい戦いになります。若干行き過ぎもあるかもしれません。そして、私自身も、いつまでも三年前の考え方を持続するということから、いろいろ御指摘もいただくのですが、私は、今、自由民主党公明党、そして自由党、この三つの政党は、一致結束して、この難局を乗り切るために御努力をいただいている。  したがって、選挙の結果は結果として、民主主義でございますから、その結果を尊重いただくということと同時に、その間におけるいろいろな時の変化、また考え方の変化というものは若干あるというのも、これは人間としてあってしかるべきだと思います。そういう意味で、そのときはかなり、私も厳しい戦いでございましたから、若干の行き過ぎがあり、今それは反省も込めて、次の選挙ではそのようなことは書かないし、また考えも持っておらないというところでございます。
  41. 原口一博

    原口委員 反省の弁があったというふうにとらえていいのでしょうか。  選挙が厳しいから何をやってもいいというものじゃないんですね。やはり、民主主義国家であれば、ここから先は乗り越えてはいけないというものがあるはずなんです。そのルールが破られるから、さっきのこういうビデオみたいな話になるわけです。それがすべてに蔓延をしてしまっている。私は、きょう八代大臣だけとお話をする時間はもうございませんが、後でゆっくり個人的なお話を……。  もう一つ、この資料の七をごらんいただきたい。これは大蔵省からいただいた公債残高の累積でございます。もうとうの昔にいわゆる発展途上国すべての不良債務、それを抜いている。そして、今や私たちは約三百三十五兆、こういう公債残高を持っている。  去年も大蔵大臣にお伺いをいたしましたが、財政の中期見通し、おととしの財政構造改革のときの中期見通し、弾性値を一・一に置いて、一・七五の名目成長率のときと三・五の名目成長率のときとどうなるんですかということで、数字を出していただきました。  しかし、もう完璧に財政規律が破綻してしまっている。私たちは、ストップ・アンド・ゴーの政策をこの十年続けてきて、この三年間、思い切ってブレーキを踏めばかえって財政赤字は大きくなります、目の前の一兆円をとりにいって十兆円を損するんですということを、ここでも何回も申し上げてきました。この無残な結果がこの資料七に如実にあらわれていると思います。  平成九年、十年、この伸びは、その前の伸びに比べてどれほど大きいものなのか。この財政に対する基本的な考え方、今回の予算である程度の真水を用意された、このことについては私は多とするものであります。しかし、その真水について、果たして使い方がこれでいいのだろうか、今回の予算の中で新規事業がどれぐらいあるのか、あるいは、本当に必要とされている雇用の不安についてどれぐらいの予算が組まれているのか、一人の人間がリストラで職を失えば、どれほど多くの社会不安が生まれるというのか。  私たち民主党は、雇用の対策、そこにこそ多くの財政資金をつぎ込むべきであるというふうに思います。しかし、それがそういうふうになっていない。  銀行の処理の仕方についても、私は、本来あるべき処理はこういうふうだったと思います。大先輩の大蔵大臣や金融再生委員長お話をする資料では、資料五に示させていただいています。  問題銀行を認定して、そして経営権を掌握して、経営責任を追及した上で徹底的なリストラをやって、それでも足りなければ公的な資金を導入する、国民皆さんに頭を下げて税金を入れる、そういう決断をするのが本当であります。こういう処理は、もっと早くやらなければいけなかった、そして、公平にやらなければいけなかった、あっという間に終わらなければいけなかった、終わらせなければいけなかった。それが、ここに書いていますように、申請主義をとった。  長銀が破綻する三カ月前に、金融当局は何とおっしゃっていましたか。自己資本比率は一〇%だとおっしゃっていましたよ。私は、不良債権の額、それも問題でしょう、しかし、もっと問題なのは、政府やあるいは金融機関から出てくる数字が信じられないということだというふうに思います。  そのあげくに、今回も長銀には三・六兆プラスアルファ。二十三兆あったあの長銀の資産、そしてそこを食い逃げしたような人たち、その人たちは今何をやっているのか。刑事責任の追及も、時効の壁をもってその先には追及できない。民事については今幾つか出てきている。行政責任については、だれがどのようにとったのでしょうか。  私は、このことを考えるときに、国会がこの金融処理についてしっかりと総括をする、そういう専門の委員会が必要である。参議院で我が党の寺澤委員が、当時の橋本総理に指摘をさせていただいていますが、私は、国会にペコラ委員会のようなものを置いて、そしてしっかりと、民事と刑事、これで追及できない行政の責任政治責任についても総括をすべきだというふうに思います。  大蔵大臣は、ずっとこれまでこの仕組みをおつくりになられました。大蔵大臣あるいは金融再生委員長、お二人の御所見を伺いたいと思います。
  42. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 どの部分につきましてお答えをいたすべきかと思いますが、このような金融の非正常になりました根本の原因の一つに、大蔵省による金融行政が適当でなかったということは、毎々申し上げておりますとおり、明らかでございます。  他方で、その間、いわゆるセーフティーネットという仕組みを持たないまま行政をいたしましたから、故意や悪意ではありませんでしょうが、その行政はどうも的を外れておって、所期の目的を達することもできなかったということも事実でございます。  昨年、国会におきまして、こういう状況処理のための立法をしていただきまして、それによりまして幾つかの銀行の処理が行われつつございます。結果としては、大銀行が破綻をしたというようなことになりまして、その及ぼすところも非常に大きい。過去を顧みますと、まことに行政として及ばないことが多かったし、また、もう一つ申しますならば、そういう行政の中で、金融機関がいわゆる安住をしておったということも事実であったろうと思います。  まことに大きな国民経済の負担になりますけれども、今後、こういうセーフティーネットを初め、ようやくでき上がりました処理の機構のもとに、まずこういうことが再発しないことを、それから、既に生じた、その傷ついた機関、機構の現状について、回復させるものは回復をさせる、仕方がないものは仕方がないわけでございますけれども、そういうことで、システミックリスクや、あるいは国民の持っておられる貯金等々について迷惑を及ぼさないような処理をするとともに、やがて世界金融市場における我が国の金融機関の信用をも回復いたしたいと考えているところであります。
  43. 越智通雄

    ○越智国務大臣 そうした問題についての所見をという御質問でございますので、私の頭の中にあることを多少申し上げさせていただきます。  従来の銀行行政は、仮に破綻に瀕した、または破綻になるおそれのある銀行が生じましたときには、多くの場合に合併で救済いたしておりました。それができなくなりましたのは、一つには、危険な銀行がリーディングの銀行の中から出てきたということでございます。従来のように、第二地銀とかあるいは信金、信組の場合でございますと、お互い同士の合併、または上位金融機関との合併によって救済が可能でございましたが、その点が違います。  それからまた、上位の金融機関、例えばリーディングフィフティーンなどと言われておりますが、そういうところで起こりますと、やはり一番怖いのはシステミックリスクでございまして、システミックリスクが起こると決済機能が麻痺するという点で、実はそうした問題についての法制的な整備が十分でなかったということで、昨年の金融国会であれだけの議論がございまして、現在、再生法と健全化法、こういうのができているわけでございます。  健全化法は、まだ今申し上げましたような思想が多少残っておりますので、危なくなったときには、ともかくヘッドをかえているわけです。金融整理管財人を送り込みまして、経営陣をかえて、それにやらせる。(発言する者あり)いいえ。再生法の方は、経営陣もかえますけれども、同時に資産の査定を、全部、中を検査するのを役所がやっちゃだめだというので、再生委員会を、民主党の御提案の法案に自民党が乗りまして、当時つくっていただきました。  ですから、私は委員長でございますが、ほかの四人の委員は全部民間の方でございまして、その者たちで、特別公的管理になった銀行の資産などは債務者ごとに一本ずつ計算しておりますが、これはどちらかというと、一遍、ある時点で一種の清算手続みたいな格好になりまして、それから次へ、引き受ける人に譲り渡すというのでしょうか、お任せする、こういう作業になっておりますので、今はその両方の作業でやっておりますけれども、その点の両方の使い分けが非常に今難しいな、こういうふうに思いながらさせていただいている、こういうことでございます。  なお、余談かもしれませんが、再生委員会の方は銀行だけでございますので、その他の金融機関は入っておりませんから、どうぞよろしくお願いします。
  44. 原口一博

    原口委員 今総論的なお話をされました。金融再生法、御一緒につくらせていただいたわけだけれども、私はこの法律そのものに問題があるとは思っていません。むしろ、運用そして総括の部分にやはり甘さがある。そういう中で、ペコラ委員会については、しっかりとここで再度主張をしておきますが、国会国民皆さんに多額な税金の使途について明らかにする意味でも設けるべきだということを再度主張しておきたい。  ただ、今のようなシステミックリスク、あるいは、さまざまな法的なセーフティーネットということをおっしゃいますが、私は、この資料の二、これは住専七社の、もう住専という言葉も随分昔の言葉だなと思いますが、第一住宅金融というものの大口貸出先、これをリストにしたものであります。  私たちがなぜ金融再生委員会を独立の機関にしているのか。それは、やはり公平で公正な運用が担保されるためであるというふうに思います。今まで大蔵省の中でお調べになったもの、そういったものについても、果たしてどれほどの信頼を国民ができただろうか。  そういう中で、私は、もう一つ献金問題について触れなければならない。  大蔵委員会で、越智委員長は御自身の借り入れについてるる御答弁をなさっておられますが、この実態について委員長の方から、これは政治資金収支報告に載っている資金管理団体への借り入れでございますが、利率は大蔵委員会では三・五というふうに書かれていますが、どういう借り入れをされているのか、お尋ねを申し上げたいと思います。
  45. 越智通雄

    ○越智国務大臣 本件についてお答えする前に、一言、ただいまの答弁に関して訂正させていただきます。言い方が不正確でございました。  再生法に基づく中に、特別公的管理と、それから金融整理管財人の派遣がございまして、健全化法の方は、まずは資本注入でございますので……(発言する者あり)そういうことでございます。  それから、ただいまの借り入れでございますが、私の資金管理団体におきましては、現状では一億弱の借り入れを五つの金融機関、三つの銀行と二つの信用金庫からいたしておりますが、これは、いろいろ長年の政治生活の中で、資金団体の資金繰りが悪化して借入金に頼らざるを得なかった。団体で借りたものを私が個人で保証いたしておりまして、これは、私の個人的な資産並びに収入をいわば担保としてというか、それらの銀行が貸してくれているわけでございます。  金利につきましては、それぞれ違いますけれども、大体短プラプラス一%ないし一・五、六%乗っておりますので、今短プラが下がっておりますので三・五ぐらいじゃないかと申しましたが、かつてはもっともっと高い金利できちんと二十年間、未払いになったこともなければ、不義理をしたことはございません。  なお、借りたものは、実はそれぞれ十二本ぐらいの証書とか手形になっておりますものですから、それぞれ返済の約束がありますので、何カ月に幾らとかいうものですから、金額は毎年動いておりまして、現状においては今申し上げたような姿になっております。
  46. 原口一博

    原口委員 短プラプラス一・五ということでございますが、私、金融機関へ行ってきました。そして、金融機関の方から融資の原則、三原則というのを教えていただきました。そんなことを金融機関から教わらなくても結構なんですが、融資には三つの原則があるんですと。何の目的か、融資の目的。それからもう一つは、返済計画あるいは返済能力。そして担保物件、個人保証。  政治資金管理団体の長は、大臣自身ですね。そして、それに御自身個人保証をされている。今、御自身の資産を担保にということでございましたが、それは違いますね。担保はとっていないわけでしょう。御自身の、要するにお金持ちである、そういう個人の信用、それだけを信用してということでしょう。担保はたしか入っていないはずですが、いかがですか。
  47. 越智通雄

    ○越智国務大臣 私の資産と収入を担保にと申しましたが、それは見合いでということでございまして、あなたのおっしゃっているのは、不動産を抵当権をつけているかということかもしれませんが、それはございません。  それから、団体は私の団体で、私が個人保証しておりますが、団体だけの借り入れでは、私の資産に対してもし不履行があったときには請求できませんから、私が保証しているということは、団体が払えなくなったときには私が個人で払うという意味で、人的保証というのは大変大きい意味を持っております。  それで、私の資産はちゃんと、大体目安で一つの物件が置いてあります、何億かにする物件でございますが。ただ、手形を切っておりますものですから、それぞれの手形に対しての不動産をつけるということは大変厄介でございます、手形というのは大体一年未満でございますから。そういう意味で、その部分はいわばほかの抵当には入れずにそのまま置いてあるという点が信用されているんだ、こういう意味で申し上げました。
  48. 原口一博

    原口委員 今、詳しく御説明いただきました。  予算委員長のときの越智委員長の公平な、公正なあれからすると、私は、こういう質問を本来しようかどうか迷いました。しかし、やはり多くの人たちが、目玉を売れだの内臓を売れだの、四〇・〇〇四という高金利でお借りになって、そしてその返済に苦しんでおられる。一方で、金融再生委員長は短プラプラスの一・五、まあ三・五。そして、土地などの担保物件、そういうものの入れはしていない。これで本当に国民が納得をするんだろうかと思って質問をしたわけです。  つまり、金利の分の差が、本当はこれは政治献金になる。これも政治献金の抜け穴になり得る。本来だったら、市中金利が例えば一〇だとする、それでその人に五で貸せば、その分は政治献金と同じことになる。  自治大臣政治献金の項目、ぜひお尋ねをしたいんですが、一般的な金利、その差の部分についても、やはりこれは寄附としてみなすんではないでしょうか。いかがでしょうか。
  49. 保利耕輔

    保利国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま議員から御指摘がございました新経済研究会に対する問題でございますけれども、一般的に申しますと、金銭消費貸借契約の借入金につきましては寄附に該当しないということが考えられるわけでございます。したがいまして、自治省に御報告をいただいております数字も、かなり詳細に表をつくって私の手元に来ておりますけれども、これはあくまでも金銭消費貸借である、寄附という範疇での仕分けはしていないということであります。  なお、自治省はそういう御報告をいただいて整理をすることはいたしますが、それから先の突っ込んだ実質調査権というのを自治省は持っておりませんものですから、そこのところの解釈等については、自治省としてはコメントを差し控えさせていただきたいと存じます。
  50. 越智通雄

    ○越智国務大臣 原口委員に再度よく御理解いただきたいと思って、お願いに立ちました。  商工ローンの四〇%、今度いろいろな改革案では二九・幾つという数字になっておりますが、あれは日歩の社会でございまして、一日幾らという金利の社会でございまして、大変高いことは事実でございますが、およそこの世の中で借金している方がみんなあれで借りている、なのに越智だけがという話ではございませんで、私と同じぐらいの金利で借りている人はもうたくさんいらっしゃるわけでございますので、私は、そういう意味で、銀行さんあるいは金庫さんに、おっしゃったとおりの金利を二十年間、間違いなく払っている、そこが信用のもとだと思いますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  51. 原口一博

    原口委員 越智大臣ともあろう方が、私は、四〇・〇〇四で借りておられる方もおられるというふうに言ったんで、みんながそうだと言っているわけじゃございません。  また、保利自治大臣は今、自治省としてコメントは差し控えるということでございますが、その金利の分も、実際に実務者と話をすれば、通常の金利を大幅に下がった金利でもって貸せば、それは政治献金になるんですよ。そして、資金管理団体の一年間の企業・団体からの上限は五十万円なんです。それは自治大臣、私が言っていることは間違いじゃないと思いますが、うなずいていただくだけで結構です。
  52. 保利耕輔

    保利国務大臣 そこのところは、私も原口議員のおっしゃっている意味はわかるのでありますが、個別具体の問題について、ここで自治省として、自治大臣として御答弁することは、きょうは差し控えさせていただきたいと存じます。
  53. 原口一博

    原口委員 大臣も、一区と三区で、同じ県の出身ですから余りやりたくはないんだけれども、今言っているのは、越智大臣の個別事例を言っているんじゃなくて、法律がこういうふうに書いてありますねということを言っているのであって、越智大臣のことについてコメントしてくださいなんて一言も言っていませんから、そこは誤解のないようお願いいたします。  私は、李下に冠を正さずと申しますが、やはり大蔵官僚だから、やはり大きな権力を持つ人だからこの人は特別なんだな、この人は本当に一般の人たちとは別のルールでいろいろな特典があるのだろうな、そういうえこひいきの政治、そういう政治をやはり正さなければいかぬというふうに思っています。  先ほど大臣は、資産の件をお話しになりました。この資産の件についてもお尋ねを申し上げます。  大臣が取得をされている東京都目黒区の御資産でございますが、この登記を見てみると、とても不思議なと申しますか、昭和五十年三月三日、このときの権利者は株式会社豊栄土地開発でございます。資料二の住専の貸出先です。そして、これは、平成四年十一月六日、東京都目黒都税事務所の滞納処分による差し押さえということで、差し押さえされている物件であります。そして同年の十一月二十日に、東京地方裁判所から破産宣告がこの会社に対して行われ、そして平成五年の、約一年後の十二月九日には、越智大臣がその所有権移転をされておられます。  それで、この豊栄土地開発がその破産に至る経緯も、この登記書にきっちり書かれています。豊栄土地開発が、極度額金一億五千万円の根抵当、これを株式会社太陽神戸三井銀行にしている。それを、つぶれる直前、約一年前、平成三年の二月二十八日には、これの子会社で、ノンバンクである三井ファイナンスサービスに抵当権をつけかえている。これは、もうそろそろ危なくなってきたから、あのころの議論思い返してみると、住専がどこも厳しくて、住専に対して公的な資金をどうするんだ、けしからぬ、そういう話があっている中で、しっかりとノンバンクに抵当権をつけかえている。これは大体十三億ぐらいの、極度額、根抵当だけを足すと十三億ぐらいの土地を取得されておられます。  私は、この経緯については、これは大臣の御責任じゃありませんが、とても不審なものを感じるわけでございます。こういったことについて、金融監督庁としてはどのように御所見をお持ちなのか。いや、根抵当は子会社に移してそれで結構だ、こうやってみんなが逃げていったんじゃありませんか。こうやってみんなが自分の銀行にあるものをノンバンクに移し、そして、そのお金がどこへ行ったかわからないままに公的な資金、公的な資金じゃない、これは税金です、税金がつぎ込まれていったんじゃないですか。このことについて御所見を伺いたい。
  54. 越智通雄

    ○越智国務大臣 私のかねてからの自宅が目黒区東が丘にございまして、その土地の隣が、実は、随分前でございます、昭和五十年代の初めのころ、それを持っていらした会社が、社員寮のかなり大きいのを建てる、そして近所の方々から、それも困る、私の家も全くの日陰になってしまう。そうしましたら、この豊栄土地の方がそれを買い取りまして、そして豊栄土地のお持ちになっているマンション、既にでき上がっている世田谷区内、他の地区のマンションと交換をされまして、取得されました。それで、私が隣、隣地でございますので使わせていただきたいということで、それ以来ずっと、地代、家賃を払ってお借りいたしておりました。  豊栄土地がそれをどのような担保に入れ、どのようなお金を借りたかは、その後存じませんが、今お話がございましたように、平成四年でございましたが、ともかく倒産いたしまして、その後、社長も亡くなりました。亡くなったのと倒産したのとほぼ同じような時期であったように記憶いたしますが。  そして、実は隣の土地が競売の前提みたいな格好で売りに出されまして、さる方がそれを買い取るということになったらしいのでございますが、そこら辺で私どもが情報をいただきましたものですから、隣地でございますので、また私どもが使わせていただいたそれまでの間、十何年ございましたものですから、それをどけと言われてもなかなか難しいというお話を申し上げましたところ、しからば買い取れという話がありました。裁判所の関与した中で、そのお手を挙げた方のおっしゃったお値段、坪約三百万でございましたが、買えと言われまして、どうしようもないものですから、登記簿にもございますが、さるところから二億円の借金をしてそれを買い取った、こういう事情でございます。  なお、一般論として、あのころ、平成三年、四年のころに借りている方々がいろいろ借入先を回したと申しますか、つけかえたというのは、恐らく金融筋からの、いわばそうしないと続けてもらえないという事情でそういうことになったんだろうと推測いたしますが、本件についての当時の事情は全く聞かされておりませんでしたものですから、その程度しかわからないということでございます。
  55. 原口一博

    原口委員 私は、それを、今お話しいただいたのをそのまま受け取るわけにいかない。こういう物件にはたくさんの不良債権がついていたり、そして競売についても——これは競売になったんですか。違いますね。管財人から、お話によってお引き受けになったわけですね、裁判所からですね。  もう時間がなくなってきましたけれども、根抵当のつけかえをやっているこういった問題について、本来であれば、今のお立場でいうと、こういうものを厳しく、何でなんだということをやらなければいけない、あるいは、銀行についても厳しくチェックをしなければいけない、そういうお立場の皆さんが、その職権にある方が、やはり疑われるようなことがあってはならない。この問題で疑っているわけじゃありません。しかし、この根抵当のつけかえについては、私はこれは調べなければいけない問題だと思っていますし、競売されたことがどうのこうのと言っているんじゃありませんので、そこはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。  事ほどさように、なぜこういう処理ができなかったのか、迅速にできなかったのか。それは、多くの皆さんが義理やつながりをお持ちだからじゃないんですか。私たちは、このことに国民が怒っている、後で生方議員の方からやっていただくと思いますが、今度の長銀の問題についても、なぜリップルウッドなのか、あるいはリップルウッドを中心としたグループなのか、そしてなぜ持参金までお渡しするのか、このことについてもしっかりと国会議論をする場を持たなければ、これだけの莫大な財政赤字に対しての国民に対する説明はつかないというふうに思います。  これは、農業の構造改善事業もそうであります。一月九日に前の中川農水大臣が異例な訓令を出されて、調査を命じられました。そして二月に中間報告が出ている。しかし、中間報告が出た後にも同じようなことがたくさん表に出てきている。農業の構造改善事業、農家は今、御自身のそれこそ蓄えを費やして経営をされている。  そういう中で、どういう状況になっているかというと、これもグラフをつくってまいりましたが、農林水産省が、公益法人それからそのもとのコンサルタント業者に丸投げをして、そして農水省の役人が接待攻めになっている。私は、この実態を多くの国民が知れば、農水省は何のためにあるのか、農水省は本当に農業のためにあるのか、あるいは農家のためにあるのか、国民のためにあるのか、それが問われている事案だというふうに思います。  大臣は再調査をお命じになったそうでありますが、いつまでにその結論をお出しになるのか。私は、この国会中、もう一年たっています、そして、新たな予算を審議している中で、農業、農村に対する信頼を取り戻すためにも、いついつまでにどのようにして報告を出すのか、また、今どのような調査をしているのか、ここで御明言をいただきたいというふうに思います。
  56. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 一月に発足しました調査委員会におきましては、現在、構造改善事業及び山村振興事業に関係するポストに在籍した職員を対象に、網羅的な調査を精力的に行っているとの報告を受けております。しかしながら、調査対象者が百名程度であること、事実確認が必要であることから、取りまとめにはまだ日数が必要であると聞いております。  いずれにしましても、調査報告書を早急に取りまとめて公表し、処分すべき者は厳正に処分するとともに、改善すべき点はさらに徹底を図るよう指示しているところであります。
  57. 原口一博

    原口委員 やはり期日を明記すべきなんですよ。そして、それこそ農水省が、これは役所ぐるみでやっているんですか。神奈川県警とほとんど同じじゃないですか。あの二月に出してきた報告、あれの内容だって本当にびっくりするような内容です。その内容だけではとどまらずに、さらに出てきている。次の予算、今の予算を審議している間にしっかりと、これこれこういう構造改善事業は正しいところに使われています、正しく予算が使われていますということを証明する義務があるんじゃないですか。  私は、続長官にもお願いを強く要請しておきたいのは、やはりこういう公益法人のディスクロージャーもちゃんとやらなければいけない、あるいは財団法人情報公開、そして政策評価。政策評価が何にもされない。そして、同じ人が一つのところに五年も十年もいる。そこにうみがたまるんじゃないでしょうか。今の御答弁では私は納得できない。
  58. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 調査委員会は、みずからを正しくして国民のために奉仕する、こういう趣旨でみずからを厳しく調査をしまして、今それをやって、事実が出た場合におきましては処分もする、改善もする、こういう考えでやっておるわけでございますので、その点を御理解いただきたいと思います。  全部が全部やっているというような御趣旨でありましたが、全部が全部やっているわけではないわけでありまして、ただ、我々が知らない事実もあるかもしれませんので、そこは明確に調査をしまして、そして公表する、こういう形にしていきたいと考えております。
  59. 原口一博

    原口委員 今まで明らかになったことを大臣は御報告を受けていますね、中川農水大臣だって中間報告を受けておられるわけだから。どこに問題があったと思われますか。  そして、農水大臣、今これは省内の人でやっているわけでしょう。農水省の中の人でやっているわけですよ。あの神奈川県警で問題になったことと同じじゃないですか。責任の所在はどこにあるのか。そしてだれが調べているのか。同じ自分の身内でもって甘くやる、これで本当に調査になるんですか。お答えください。
  60. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 いみじくも委員が言われましたように、極めて珍しいことである、つまり、大臣が直接、調査委員会をみずから指令してつくるということは珍しいことである、異例のことであると言われましたが、そういう異例なことをやるということは、みずからの姿勢を厳しく正しくする、前大臣のそういう決意があらわれている、私はそのように受けていますし、同時に、中間報告を聞いたかということでありますが、私も大臣に就任するに当たりまして、その経過は聞いております。したがいまして、是正すべきところはその中間報告において是正している、このように伺っております。
  61. 原口一博

    原口委員 是正すべき点は何ですかということを伺っているわけです。そうじゃなきゃ、次の年度の予算、今の予算、できないじゃないですか。構造改善の予算、この今皆さんがお出しになった予算の中にありませんか。たくさんあるんですよ。問題は何なんですか。そのためにこの予算委員会があるわけですよ。  例示で結構です。どんなことをやっているんですか。それさえなくて、ただで審議しろなんてことはできませんよ、委員長
  62. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 明確になったところは処分をいたしております。事実が明らかになって、倫理規程に違反したような事実があった場合は、それに従って処分をしているはずであります。
  63. 原口一博

    原口委員 一体、どういう人を処分したんですか。そして、どこに問題があったんですか。私は、だれかが処分されたということを今まで聞いたことはございません。今の答弁は本当ですか。
  64. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 二月に取りまとめた中間報告を踏まえ、三月から四月にかけて、地区認定等の基準の明確化や、第三者委員会の設置等による適正かつ円滑な事業の実施、倫理規程の遵守についての職員への注意喚起、他の専門分野との大幅な人事交流を逐次実施しており、改善すべき点は改善してきております。  現在調査中の事項につきましても、十分な調査を行った上、処分すべき者は厳正に処分するとともに、改善すべき点はさらに徹底を図るよう指示しているところであります。
  65. 原口一博

    原口委員 国会がなぜこのように変わったか。ノーペーパーでやっていますよ。ペーパーをお読み上げになるのはやめてください、こんな大事な問題で。  今、処分をしたとおっしゃったから、だれを何人処分したんですかということを聞いているわけです。どうぞ。
  66. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 討論であればノンペーパーでやります。しかし、あなたが質問しているのは、事実関係質問しているわけでしょう。事実関係を明確にしゃべるためには、ペーパーを持ってしゃべることは何が悪いんですか。
  67. 原口一博

    原口委員 質問に答えていただきたいんです。(玉沢国務大臣「そう言えばいいじゃない」と呼ぶ)だから、質問に答えてくださいと言っているじゃないですか。
  68. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 ペーパーについての見解を申されたから、ペーパーについての見解を申し上げたんです。  だから、事実について申し上げるというんであれば、要するに、改善すべき点は改善して、倫理規程の遵守についての職員への注意喚起、他の専門分野との大幅な人事交流等を逐次行った、こういうことを言っているわけです。
  69. 原口一博

    原口委員 処分はされていないわけですね。
  70. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 だから、人事交流を行ったり、人事交流の……(発言する者あり)
  71. 島村宜伸

    島村委員長 御静粛に願います。
  72. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 静かに聞いてください。私は何もどなっているわけではありません、声が大きいだけですから。  職員への口頭注意も処分の一つです。それから、人事交流も行ったということを言ったわけですから、改善すべき点について申し上げたわけです。
  73. 原口一博

    原口委員 私は、人事交流が処分になるとはとても思えません。そして、口頭の注意をされたということでありますが、何人注意をされたのか、そして、それはどのような注意であったのか。どこに問題があるかこれでは全くわからない。明らかにしてください。
  74. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 注意を喚起した五名のうち四名は、昼食及び会食時に経費は本人負担したが、職員倫理規程上の会食等の届け出を提出していなかったので、倫理規程第六条第四項の人事管理上の必要な措置として、上司から注意を喚起したところであります。また、早期退庁した残りの一名及び会食をし昼食時間をオーバーした上記のうち二名については、人事院規則に定める休暇の請求がなされていなかったものであります。いずれも短時間ではありましたが、今後このようなことのないよう、上司から注意をしたところであります。
  75. 原口一博

    原口委員 そんな程度で、大事なこの国の予算を丸投げし、そして農業、農村にこれは負担もあるわけですから、しっかりその辺は調べていただきたい。きょうその明確な答弁がなかったことについては、後でまた別の機会でお尋ねをしたい。  そして、最後に、外務大臣防衛庁長官に、沖縄の十五年の期限の問題について、後の質問者の御理解をいただいてお伺いしますが、私は、この十五年の期限については、政府がどう思うのか、しっかりと明確に答弁をすべきだというふうに思います。  資料の六番目に、アメリカの国防総省が一九九七年に出しました普天間のファイナルドラフト、これは前の橋本さんの提言に沿ったものですが、それが書かれています。ここには明確に、稲嶺知事がお話しになっているのと違うことが書かれている。  そして、ベースについてはいついつまでに除去をする、いついつまでになくなる、そういうベースは、ベースの論理矛盾だというふうに思います。これは、外交、安全保障の問題について、日米間の信頼についても極めて重要な影響を与える問題だというふうに思いますので、防衛庁長官そして外務大臣の明確な答弁をお願いしたいというふうに思います。
  76. 河野洋平

    ○河野国務大臣 しばしば申し上げておることでございますが、このたびの沖縄県知事によります県内移設についての御提言は、まさに、知事もおっしゃっておられますように、苦渋の決断でございましょう。我々は、そうした知事の苦渋の決断によって提言された幾つかの案、その中には普天間基地の移転候補地まで挙げておられるわけでありますが、それらにつきましても、まだ地元でのお話し合いが進んでいるわけでございますから、その地元でのさまざまなお話し合いもよくお伺いをする必要があるというふうに私は思います。  苦渋の決断に対して、アメリカが何年前にこう言っておるではないかというだけのことで、この苦渋の決断について我々が物を言うということは、今はするべき場面ではないということを私は申し上げているわけでございます。
  77. 瓦力

    ○瓦国務大臣 原口委員お答えいたしますが、今外務大臣からお答えになったことは、現在の進行の状況でございます。県内問題として知事はいろいろ市長とお話し合いでございますし、やがて政府に答えが返ってくるものと思うわけでございます。  なお、日米安保条約の関係等々、また現地の要請等々があります。これらについての問題につきましては、内閣として一体になって取り組んでまいるということを申し上げておるわけでございまして、私ども、現地の苦渋というものを承知しながら、しっかりと検討してまいらなければならぬことだというぐあいに考えております。  以上でございます。
  78. 原口一博

    原口委員 これで質問を終わりますが、私は、常に沖縄に、基地が賛成か反対か、そういう選択をし続けること、それは、白保政務次官がおられますが、沖縄の心、沖縄はもともと武器の全くなかったところであります、そのために空手が発達をした、そういう沖縄の今までの成り立ちからすると、政府責任ある対応を早急にこの問題についても出すことを強く求めまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  79. 河野洋平

    ○河野国務大臣 沖縄から提言をいただいております私どもといたしましては、官房長官を初めとして、政府側として、基本的に、沖縄の皆様方のお考えというものをあくまでも大事に考えたいということを、繰り返しこれまでも述べてきたところでございます。沖縄の皆様方がこの問題でどれだけつらい思いをしてこられたかという気持ちは、でき得る限り理解をし、尊重をしていく必要があるというふうに私自身は考えております。  いずれにいたしましても、この問題解決までには、まだやらなければならない、あるいは地元でのお話し合いもございましょう、政府部内の話もございましょう、それらを踏まえて処理をしていかなければならないというふうに考えております。
  80. 原口一博

    原口委員 終わります。
  81. 島村宜伸

    島村委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。  次に、生方幸夫君。
  82. 生方幸夫

    ○生方委員 おはようございます。民主党の生方幸夫でございます。  まず、宮澤大蔵大臣にお伺いしたいのですが、私は先日、十一月の二十日に近くの小学校で父兄を招いて授業をするということがございまして、一時間半ほど、小学校六年生に国会議員の仕事とはという形でお話をさせていただきました。これは、衆議院はどういうところであるとか、予算委員会はどういうことをやっているのかとか、子供たちにもわかるようにできるだけ平易に話す。この試みは、私だけではなくて、父兄の、お父さんである例えばお医者さんとか、それから市場に勤めている方とか、そういう方を二カ月に一度程度招いて、父兄の方から話をするということをやっておられて、私は非常にいい試みだというふうに思っております。これがいいかどうかというのはまた文部大臣に聞かなければいけないのですが、そういう試みがあることはあるわけでございます。  私がその中で一時間半ほどお話をしましたら、きのうの夜、実はこういう形でその授業を受けた子供たちから感想文が来たわけでございます。これを読みましたら、私は、さっき申し上げましたように、国会議員の仕事とはということでお話をした中で、税金のお話もちょっとさせていただいて、実は国と地方を合わせて六百兆円借金があるのだというお話をほんのちょっとしたのですね。余りしても、どうせ財政赤字の話になったらわかりっこないと思いましたので、ほんのちょっとしたら、この感想文の中に、実に半分ぐらいが、六百兆円も借金があるというのは初めて知ったという感想が来ているわけです。子供たちはその六百兆という額ももちろんわかりませんし、国と地方を合わせた借金という言葉の意味も多分ほとんどよくはわからないと思うんですけれども、直観的にこの六百兆というのは大変なことなんだぞと、ひょっとしたら自分たちにかかわりがあることじゃないかということを直観的にわかっているのじゃないかというふうに私は思うわけですね。  今年度予算を見ましても、既に国債の発行残高が三十八兆円、今度の補正を加えればいってしまうというような状態で、来年の年度末になりますと、約六百七兆円ぐらいになるんですか、発行残高がふえてしまうということがあって、これはもちろん、去年も三次にわたって補正予算がつくられた、ことしも二次にわたってつくられて、景気をよくしなければいけない、そのためには国債を発行するのも私はやむを得ないというふうには思うんですけれども、無制限に発行していていいということにはならないと思うんですね。  私は、この六年生の子供たちのためにも、今は緊急の事態であるから赤字国債を出すのもやむを得ないというようなことがあったとしても、将来的には必ずこうなって、きちっと返しますよというビジョンを国民の側にやはり大蔵大臣として示す必要があるのではないか。今はその時期じゃないというふうにおっしゃるかもしれませんが、こういうふうになったらこういうふうにやりますよ、だから皆さん方は安心していいのですよということがないと、後でちょっと経企庁長官にも伺いますが、なかなか個人消費がふえないということになるのじゃないでしょうか。まず、その財政の、どうやったら、大蔵大臣として長期的にこうやって立て直していくのだということをお話しいただきたいと思います。
  83. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 我が国の経済は、プラザ合意以後ほぼ十五年の間にブームがあり、バストがあり、大きな経済でございますので、この経済を立て直すということはまことに容易なことでございません。今六百兆というお話がありましたが、これだけの大きな経済を本当にまず心配ないまでに立て直すということは、大変に大きな努力が要ることであります。そのために六百兆というような大きな借金をしていることになっておるわけでございますから、この借金を簡単にすぐ返せるといったようなふうに私は国民の皆様に申し上げるわけにはいかない、これが第一でございます。  しかし、同時に、我が国のこれだけの力をもってすれば、これだけの借金にそう揺るがないだけの将来計画をつくることはそう難しいことではない、国民が努力をしてくださるならばということも実は思っておるわけでございまして、生方委員のおっしゃいますように、それを具体的な計画にいたしますのには、やはり我が国の経済がある程度の成長を、ポジティブな成長のサイクルに入る、その中から借金を返していくという、どうしてもそういうことが必要でございます。経済がマイナス成長をしておるのに借金を返すという方法は残念ながらないわけでございますから、そういうものにしなければならない。その時期は、今申しましたように、我が国の成長がある程度、何%かのサイクルをもってしていくということが大事だというふうに、まずそれが第一でございます。その仕事は容易ではないけれども、しかし、発行している国債がきちんとした、国民から信頼されるあるいは国際的に信頼される価格を維持している限りは、これは不可能なことではない。  次に、ちょっとこれは短期的なことでございますけれども、ずっと国の国税収入は低下をいたしてまいりました。ただいまの国税収入の水準は昭和六十二年ぐらいでございますので、十何年低下をし続けました。しかし、せんだっても本会議で簡単に申し上げましたが、来年度を展望いたしますと、いろいろな要因がふくそうしておりますけれども、国税収入というのは多少増加に転じる、そういう可能性の方が私は高いと見ております。  いろいろ事情がありますので詳しくは申し上げませんが、低下し続けた国税収入は、多少ではあるが増加に転換をしていくだろうと見ておりまして、これはもう私としては、毎年毎年税収を国会にお示し申し上げて、結果としては減収になる、歳入欠陥になるのを甚だ申しわけなく思っておる人間として、少しでも税収が増に転ずるということは、ここでやはり長年やってきた、赤字体質には違いありませんけれども、とめどもないという国民が持っておられるそういう受け取り方をここでやはり転換をしなければならない、できるのではないかと思っておるわけで、それは決して大きな額とは申し上げません。  御承知のように、仮に経済成長が、仮に名目で二%成長して、そして税制の弾性値を一・一といたしますと二・二でございますから、四十五兆の二・二というのは幾らでもございません。そのぐらいずつしかなかなか回復はしないものではありますけれども、そういう道にやや税収の動向が見えてきた。それは、経済がもう一遍かつてのようなことがないことを前提にしてのことではありますけれども、そういう兆しは見えてきた。これは、しかし長い道への第一歩と申し上げるしかありませんが、それをつけ加えさせていただきます。
  84. 生方幸夫

    ○生方委員 来年税収がふえるという今お見通しをおっしゃったわけですけれども、そうなれば本当にいいとは思うのですが、なかなか今の景気状況では、後ほど堺屋長官にもお伺いしますが、そう簡単に景気が一気によくなるというふうには私は見ておりません。今度のそのまま行きますと、来年度の国債の発行残高は、借換債を入れると百兆円を超えるというようなことも言われておりますが、来年度の国債の発行見通しというのは幾らぐらいになるのでございましょうか。
  85. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのような税収見込みが正しければというか、そういうことをベースにしまして、これから実はどれだけの公債発行を考えるかということに、予算編成作業に入るわけですが、お答えとしては、一般歳出はほぼ見当がついてまいっておりますので、御承知のような金融関連のいろいろな、セーフティーネットあるいはシステミックリスクの対応等々、かなり多くの政府資金を予算に用意しておりますが、それをさらにどの程度まで拡充しておくべきか。  正直を申しまして、やがてこういう異常な金融状態あるいは政府のそれに対する対応というものを、二〇〇一年にはペイオフもひとつ正常にしようかというようなこともありまして、ここらで制度としてはほぼ打ちどめというか完備をしておきたいという気持ちもありますもので、その分を来年度の予算にどのぐらい見込むべきか。  これは、すぐ金が出るわけではありませんけれども、しかしいつでも現金化できるだけの準備はしておかなければなりませんので、どれだけのものを加えておいたらいいかということで、これは国債を充てることになりますので、交付国債でございますから市中ですぐ金になるわけではございませんが、そういうものを含めますと、ちょっと今まだ十分お答えの準備がございません。
  86. 生方幸夫

    ○生方委員 財政構造改革法が廃案というか凍結になってから、やはり私は国の財政のあり方というのが大分変わってしまったのではないかというふうに思っております。  橋本前総理のときには、やはり国民皆さん方に増税という形で負担をしていただくという、まだ節操があったと思うのですね。小渕総理になってからは、もう増税なんということは一切せずに、全部国債でいいのだ、赤字国債を発行すればいいのだというふうにどうしてもなってしまっているのじゃないかと思われて仕方がないわけですね。こうなりますと、景気がよくなって税収がふえれば、それは国債の発行残高も、借金も返せるでしょうけれども、そうならない限りは借金は無限に膨らんでいってしまうという構造になってしまったのではないか。  だから、ここをやはりだれかがしっかり、財政規律を守るのだというところを内閣の中にきちっと言う人がいないと、これは借金はいつかは返さなければいかぬわけで、でも直近には返さなくていいわけで、また来年総選挙なんということになると、どうしても目先だけを見てばらまき型の予算編成になってしまうおそれがあるのではないか。そこをやはり宮澤大蔵大臣が、きっちりと財政規律を守っていくことも、景気回復ももちろん大事だけれども、同じように大事だということを内閣の中でやはり私は主張するべきだと思うのですよ。  これは、増税であれば国民皆さん方は、自分に直接かかわってくることですから身近な問題として掌握をいたしますが、赤字国債というのは後からきいてくるボディーブローのようなものですから、とりあえずはいいという形で過ごしておけば、本当にこの子供たちが大人になったとき、私は大変なことになってしまうのではないか。だから宮澤大蔵大臣に、いろいろな条件があって、すぐにこうなれば借金が返せるということじゃないよというようなことをおっしゃいましたが、でも、こういう長いスパンでこういうふうにやっていけばこうなるのだという大きな考え方だけでも示していただければ、それが内閣の無制限な赤字発行に歯どめをかけることになるのではないか。  ちょっと重ねてお伺いいたします。
  87. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、今の国税は昭和六十二年のときまで後退していると申し上げまして、そこから落ち始めたのではなくて、その後にブームがあるわけでございますから、ピークが平成一、二年に来まして、それから後落ち続けた。ちょっと言葉の拍子でそこを省略いたしまして間違い、失礼いたしました。  それで、私が今申そうとしておりますことは、何とか国税収入が少しでも増加に転じる、この部分が非常に大事でございまして、そして経済成長がポジティブになりましたらさて将来の財政改革、それはもうどうしても税制を巻き込むことは不可避と私は思っておりますけれども、歳出と歳入と地方財政、これを含めまして将来に向かっての税財政改革をいたさなければならない、これはもう不可避と思います。  そのときに、もちろんおっしゃいますように将来の国債増発の勢いを抑えていくわけでございますから、どれだけ経済が順調に動き始めましても、弾性値というものが経験的にそう高くなるわけにはいきませんから、やはり税制の構造改革の中で将来の増収というものをどう考えるかということを避けておりましては財政改革のプランはできないと考えざるを得ませんから、直接税、間接税を含めまして。他方で、歳出の方にはいろいろ社会保障の大変な財政需要がございます。これも避けて通ることができない。そういう現実のもとでどのような財政を考えるかという、これはもう国民皆さんにも理解をしていただきませんと、余りに安易に考えるわけにはいかない。それだけ、今おっしゃいました六百兆という借金をしている体制というのは、やはり非常に大きな経済の痛みであり、財政の痛みである、そういうふうには考えております。
  88. 生方幸夫

    ○生方委員 今歳出のこともおっしゃいましたけれども、今度の補正予算なんかを見ても、経済新生対策と称して言葉はいろいろ使われてはおるのですけれども、中身は私も精査をさせていただきましたが、やはり中心は公共事業なんですね。それも旧来型の公共事業がほとんどであって、新しい名前がついている部分の施策というのも幾つかあるのですが、それに割かれている額というのは非常に少ない。  したがって、私は、歳出構造を見直すにはやはり公共事業そのものを大きく見直す必要があるのではないか。今度の予算でも相変わらず各省庁の配分比例というのはほとんど変わっていないということを見ても、やはりこの配分比例から含めて公共事業を抜本的に見直すということが歳出構造を本当に変えるということに私はつながるのじゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  89. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それにつきましては、余りお時間をとってはならないと思いますけれども、このたびの補正予算をごらんいただきますと、いわゆる公共事業というものが随分変わってまいっておりまして、社会資本整備費三兆五千億の中身、これはもう御存じでございますから申し上げませんが、言わせていただければ、はあそんなものがあるのかねというものが随分実はございます。これは一度だけ言わせていただきたいと思っておりましたが。  しかし同時に、私は、これは地方から御出身の議員各位には多分御理解いただけるのですが、従来型の公共事業はもう要らない、そういう物の考え方が何となく東京にございますときに、地方から来る町村長の陳情は、やはり大体従来型の公共事業が十分でないということを示しておりますものですから、そのこともやはり考えておいてやらないとならぬ。これは選挙の話ではございません、我が国全体のインフラストラクチャーという意味でございますが。そういう部分もございますので、公共事業というものがもっと効率的に行われなければならない、おっしゃいますことはそのとおりだと思っております。
  90. 生方幸夫

    ○生方委員 地方からの陳情で公共事業が多いというのは、これは私もよく承知をしております。公共事業がなければ地方の経済が悪くなるであろうということも、これも承知をしております。  しかし、だからといって公共事業をずっと与え続ければ地方の経済構造は変わらないのじゃないですかというのは私たちが言っているのであって、それをどこかで切らないと、いつまでも自立をしないで、つくらなくてもいい道路をつくってみたり、改修しなくてもいい河川を改修したりということにつながってしまうんじゃないか。それを私は言っているわけで、卵が先か鶏が先か知りませんけれども、どちらかを切ることから経済構造を変えるという、その政策の転換をしない限り、これはやはり自立はできないわけですから、公共事業が与えられるということになれば、それは公共事業をする土建業者というのは必ずいなければいかぬ。それがいるという構造にずっとなってきたから、公共事業費をまた出さなければいけないという構造になってきてしまったので、そのこと自体私はもう変える時期に来ているのではないか。  公共事業の対GDP比ですが、今度の補正予算を組んだ後どれぐらいになったのか、それもお伺いしたいのですが、いずれにせよ日本は六から七ぐらい。多分補正を組んだ後の公共事業費は八から九ぐらいになると思うのですけれども、この数字は、ちょっとこれは古い数字なんですけれども、九六年の数字でいいますと、イギリスの一・四、アメリカの一・七、ドイツの二・二、フランスの三・一%に比べると倍以上になっているわけですね。まだ日本の社会資本が整備が私は十分であるとは決して思っておりません。だけれども、先進諸国に比べれば、やはりこの公共事業依存というのが異様に高過ぎるのではないかというふうに私は思うのですが、いかがでございましょうか。
  91. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる先進国サミットが始まりましたときでございますから、今から二十何年前でございますが、当時のドイツのシュミット首相が、石油危機後の不況でございますが、どうするんだと言うので、私は、日本は公共事業をやると申しました。シュミットは、ドイツには公共事業をやるものがもうない、おまえのところは幸せだと、半分皮肉でありますけれども、そう言ったのは二十何年前でございますので、実際まだ我が国は公共事業をしなければならないことがたくさんある。これは自慢のような、残念なような、私はそういう現実はあると思います。ですから、なかなか彼らの水準まで公共事業を落としていくことができない。  今どのくらいの割合かとおっしゃいましたが、補正後ベースの予算総額に占めます公共事業関係の比率は一三・八五%……(生方委員「そんなに」と呼ぶ)高うございます。
  92. 生方幸夫

    ○生方委員 対GDP比が一三・八五%ということですか。
  93. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 予算総額の中の、予算総額に占める……(生方委員「いやいや、対GDP比に対して幾らになっているのか」と呼ぶ)
  94. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 IG、政府公共投資というもので見るのですが、締めてみないとわからないのですけれども、大体四十二兆ぐらいになると思います。したがいまして、八%強というような形になると思います。
  95. 生方幸夫

    ○生方委員 社会資本がまだ整備されていないということでございますが、大蔵大臣、重ねてお伺いしますが、今の公共事業費はそう多くないというお考えなのでございますか。
  96. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今、GDP比、これは九七年度では公共投資が六%になっておりますが、おっしゃいますように、ドイツは二・二、フランスは三・一、アメリカは一・七。公共事業はこれは多過ぎないか、そう思うか思わないかとおっしゃいますが、予算編成をやっております実感からいいますと、公共事業の予算要求、それも、ちゃんとした予算要求と申し上げますけれども、それを抑えることはなかなかやはりまだ苦労がございます、実感から申しますと。  それは、例えて申しますと、新幹線というような問題がございます。これについてはもういろいろ御議論があるし、東京的感覚からいうと、どうもこれは余り支持者がいない。しかし、ナショナルベースで申しますと、やはり新幹線というものは大事だと言っておられる方もいろいろあって、したがって、一定の財源のもとでしかお金は出せません、随分長くかかりますがというようなことを申し上げておるのですから、潜在的な需要というものは私はなかなか弱くないなという、実感はそう思っております。
  97. 生方幸夫

    ○生方委員 私は、新幹線は必要な方だというふうに、東京に住んでおりますけれども思っております。  ただ、例えば道路なんか、私も千葉県に住んでおるのですけれども、道路の予算なんかはむしろ早く執行して、道路はつなげて何ぼのもので、つなげれば経済効果があらわれるのに、つなげないがゆえに経済効果がなかなかあらわれないで、十年後に道路が通ったときは町並みが全部変わってしまったなんてことになっているわけですね。  だから、公共事業のやり方というのも抜本的に変えないと、毎年予算が決まっているからこれだけだというふうになると、十年通して何兆何百億円も投下したのに、その経済効果は十年後にはもうほとんどなくなってしまっているというようなことがあるわけで、その辺を見直すということがまさに歳出構造を本格的に変える。そうであれば、例えば十年かかってできる道路を、これは土地の買収やなんかいろいろございますからそう簡単にできる問題ではないでしょうけれども、できる限り早くして、二年ないし三年でつないでくれれば経済効果も非常に大きくなって、それならば国民皆さん方も納得すると思うので、そういう目に見える改革をやっていただければ、私は景気もおのずから伸びてくるのだと思うのですが、いかがでございましょうか。
  98. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、残念ながらおっしゃるとおりでございます。実際、駅だけのあるいはトンネルだけの新幹線といったようなものは、国民経済的にはまことに説明の難しいもので、私企業でございましたらつぶれてしまうようなことでございますから、そこは政治の難しいところだと思いますが、やはり将来としてはプライベートなキャピタルで仕事をしてもらって、それを政府がやがて供用に取り上げるといったようなことでもいたしていきませんと、まことにどうも、私企業でありましたら倒産してしまうような、一部にはそういうことも現実にございますので、ここは本当に根本から考え直しませんとならぬ部分があると思います。
  99. 生方幸夫

    ○生方委員 今また、この補正が終われば来年度予算の編成というのが始まるわけで、今度は二〇〇〇年の予算でございますから、やはり思い切った変化、目に見える変化というのをメッセージとして出すような予算をつくっていただきたいということを御要望しておきます。  次に、堺屋経済企画庁長官にお伺いしたいのですが、昨日、七—九の数字が出ました。前期比マイナス一%。きのう長官がテレビで発言しているので、今回は送りバントをしたみたいなもので、二、三塁になったんだというような言い方をしていたようでございますが、私はやはりこの一・〇%マイナスというのはかなり大きな数字だと思うのですよ。これは年率に直せば三・八%というマイナスになるわけでございますから。  前二期の数字がよかったわけですから、政府としては政府見通しの経済成長率は達成できるかもしれません。しかし、今までおっしゃってきたように、景気に明るさが見えてきたという言葉の割には、私もこの場で、実感はそうではありませんよというようなことを何回も言わせていただきました。これは、私なんかもタクシーに乗ったり地元で中小企業の経営者の方のお話を聞いても、いや、全然そんなことはない、景気はよくなっていないんだ。これはいい業種と悪い業種が非常に大きく分かれていて、私が聞いたのはたまたま悪い業種だったのかもしれませんが、でも、国民の実感としては、そう景気がよくなったと、前の数字を見てもそのとおりだと言う人よりは、いや、おかしいよと言う人の方が多かったわけで、今度のマイナス一が実感にほぼ近い数字だと思うのですよ。  かつても、やはり経済企画庁の長官になるとみんな楽観的な景気見通しを述べるわけで、桜の花が咲くころとかいろいろな言い方をされたのですが、ずっと桜は咲いていないでここまで十年も来てしまって、今度は送りバントになってしまって、送りバントでも二、三塁から点が入らないということはいっぱいあるわけでございまして、この数値、本当にこれでも大丈夫であるというふうに思っているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  100. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 御指摘のように、昨日発表いたしました七—九月期のQE、GDPはマイナス一・〇%でありました。  この前提となっておりますのは、季節修正を十年度の実態を加味して修正いたしまして、その結果、その前の時期が非常に高くなりました。一—三月が二・〇%と言っていたのが一・五%に落ちて、そして四—六月が〇・一%と言っていたのが一・〇%に上がりました。それに比べてマイナス一・〇%ということでございますので、それほど大きな落ち込みではないと考えております。  民間の需要がなかなかよくなっていない、回復力が弱いというのは事実でございまして、最終消費あるいは住宅投資、企業の設備投資、合わせてこのところマイナス〇・七でございました。寄与率でマイナス〇・七でございます。それから、公的資本形成、今議論していただいたところでございますが、これも三期連続高い伸びを示しておりまして、その後落ちました。これがマイナス〇・八でございます。そして、外需の方、輸出の方が〇・四伸びました。ちょっと四捨五入の関係で合わないのでございますけれども、結果としてマイナス一・〇になったということでございます。  こういった前期からの動きを考えてみますと、上半期、四—九月で見ますと、前期に比べて一・二%の伸びということになっています。そういうことを含めて考えますと、全体として経済は緩やかな回復過程にあるということは言えると思います。そして、今年度の見通しとして〇・五%以上の成長は見込めると考えております。
  101. 生方幸夫

    ○生方委員 外需が非常にいいということでございますが、今の円の水準で、このまま円が百円ちょっとぐらいで推移しても、外需はこのまま伸びるというふうに予想なさっておるのですか。
  102. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 円の為替レートとの関係は非常に微妙でございます。現在円相場が上がっているのは、日本経済の将来に対して外国の投資家が評価していただいている結果だろうと思います。  この円が上がることと、それからアジア経済の市場状況がよくなること、あるいはアメリカの好況が続くこと、そういう相手方のことと円の問題とがございますし、また、日本経済の状況が、一時と違いましてかなり部品の輸入等がございまして、円高によるプラス面もかなり出てきております。  そういうところがどういう関係になるのか、向こう側の市場、日本側のマーケット、そして日本の輸出品と輸入品の構造等をよく見きわめなければいけないのでございますけれども、現在のところは、この円高が、企業経営的には一部の企業にかなり打撃はあると思いますが、マクロ経済的に見ますとそれほど、ないとは言いませんけれども、それほど甚大な影響があるものとは認識しておりません。
  103. 生方幸夫

    ○生方委員 円の動向については、これが仮に百円を切るというようなことになればもっと大きな影響が出てくるというふうに私は考えておるのですけれども、それはこれから先のことでございますので、結構でございます。  今度の七—九が落ち込んだ原因の中で一番大きいのが、公共投資がマイナス八・五%になったのだ。これは、裏返しますと、宮澤大蔵大臣にも申し上げたのですが、やはり公共投資頼みで景気が底支えされているという状況が相変わらず変わっていない証拠だと思うのですね。  さっきも申し上げて、繰り返しになりますが、公共投資を無限にふやすというわけにはいかないわけで、いつかこれはやめなければいけない。そうなると、まさにカンフル剤みたいなもので、カンフル剤を打って元気になっている経済が、そのままずっと続いていけばいいのですが、いつかそのカンフル剤が切れてしまったら景気がよくならないという公共投資頼みの経済構造に逆になってしまうのじゃないか、私はそういう懸念を非常に持っているのですよ。  経済新生対策というふうに言っていて、宮澤大蔵大臣も、あっと驚くような施策が盛り込まれているというようなことをおっしゃっていましたけれども、余りあっと驚くようなものはないわけで、中身は旧態依然たる公共投資ということで、その公共投資がなくなっちゃうと途端にマイナス成長になるという構造になっていることをまさに直すために、我々もいろいろ経済構造を変えなければいかぬということを言っているわけです。そういう面から見ると、今度の第二次補正予算はなかなか経済構造改革というふうにはならないと私は思うのですが、いかがでございましょうか。
  104. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 御指摘のように、今度の新生対策では、一つは景気を下支えして本格的な回復軌道に乗せる、もう一つは構造改革、この二つの目的を持っております。やはり一定の規模がないと景気の振興にはなりませんので、それだけのものを現在の状況で直ちに実行できるとなりますと、いわゆる従来型と言われるものが結構入ってくることもあるのです。  その反面で、かなり新しいこともやりました。先生御指摘になりましたように、いつまでもゆっくりやっておるから経済効果が出ないのだというので、今度の新生対策では、全国百カ所、来年度中に公共事業のネックになっておるところを完成してくれ。あるいは、二〇〇一年の間に全部の学校のインターネットをつないでくれ、二〇〇五年までに日本の光ファイバーを全国に通そう、そして二〇〇一年には新世紀を祝うミレニアムフェスティバルをやりまして、一挙に情報条件を変えようというようなことが出ております。  これらは、金額的に見ますと、まず最初でございますから、確かにそれほど大きくないとおっしゃるのは御指摘のとおりでございますが、やがてこういったものが大きくなって日本の経済構造の転換に役立つものと思っております。
  105. 生方幸夫

    ○生方委員 情報化のことが今出ましたけれども、私も情報化についてはいろいろ考えておる人間なんですが、やはり、日本の場合は情報産業ということと情報化というのを一緒くたにとらえているのではないか。情報産業というのはあくまでも情報社会の中でのリーディング産業ではあっても、情報産業がうまくいけば情報化がうまくいくということではないと私は思うんですね。  総理がいれば総理に、総理が考えている情報社会というのは一体どういうものかという御質問をしたかったんですが、きょう総理がおりませんからできないですが、情報社会に向けてどういうことをやるんだということがあれば、これに向けて、例えば、学校を光ファイバーでつないでいるのはこういうことの第一歩なんだなということがわかるんです。今やっているのは、まずファイバーでつないじゃうんだ、ファイバーでつないでインターネットをやりましょうといって、では、子供たちが学校でインターネットを使って何をやるんですか。  何をやるのか、目的がないうちにつなぐというのも、これが大事だということもよくわかっていますけれども、もっと大きなものは、財政再建と同じように、国がやはりある程度示さないと、そこに向かって、ではこういうふうにしよう、こういうふうにしようというふうにはなかなかなってこないと思うんですよ。そういうものがないからどうしても場当たり的な、目の前、目の前しか追っていないから、国民も目の前、目の前しか追わないようになってしまっているんではないかというおそれが私は非常にしておるんですけれども。
  106. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 目の前ばかり追っているわけではございませんで、一定の計画を立てております。  それはどういうことかといいますと、日本の情報環境は、現在は天地二枚の情報網でつくられております。天というのはマスコミでございまして、地上波に代表される一定の規格のものを全国民に一方的に降らしてくる情報であります。地というのは電話、携帯電話、一般電話でございまして、これは知り合い同士、口コミでございます。マスコミと口コミの二枚なんでございますが、これを、間にあらゆる種類の情報を詰めて、立方体を詰めたいと考えています。  それで、まず、マスコミの次に衛星放送のようなより選別性の高いものがあり、そして地域のCATVがある。そして、インターネットですべての人々が情報を発信する。受信すると同時に発信する能力をつける。そのためには二つございまして、一つは、インターネットに載せるコンテンツがおもしろくなきゃいけない。みんなが見てくれるものでなきゃいけない。もう一つは、それを使う技術が皆さんに普及しなきゃいけない。その技術の普及の方を学校、あるいは、一般の方々にも郵便局等で講習会をして広げていこう。そして、それが広がってまいりますと、使い方の簡単なものも出てまいります。物は必ず資本財から始まって消費財になったときに値段も安くなりますし、使い方も簡単になります。そういうような使い方をしなきゃいけない。  そして、その一方で、コンテンツを広めるために、二〇〇一年に全部の都道府県に参加していただきまして、地域の空間を超えた情報発信をする、そういうようなさまざまな知恵を実現するフェスティバルをやりたい、こう思っております。これができますと、大体二〇〇二年ぐらいには学校が全部つながりますし、二〇〇五年には、今十四万数千あります饋線点が全部光ファイバーでつながります。そうなると、日本も最もすぐれた情報環境が持てるんじゃないか。  そういうぐあいに、公共事業といいますか、IGの内容も少しずつ変わっていくと思っております。
  107. 生方幸夫

    ○生方委員 いついつまでにどうのこうのということよりも、私は、もっと大事なことは、情報化が進むことによって、ライフスタイルとかワークスタイルとか都市のあり方とか、そういうものが変わっていくという方がやはり大きいと思うんです。  今の不況というのは、やはり基本的には私は供給過剰だと思うんです。供給の力が多過ぎて需要がないわけですから、需要をもっと大きくするためには、やはり変化がなければ需要は大きくならないですよね。その変化というものが情報化によってもたらされるのである。その変化を先取りした形で需要をつくり出していって、そこへ供給するような格好になっていけば、社会構造が本当に変わっていくんだというふうにならないといけないと思うんですね。  今堺屋長官がおっしゃったことはそのとおりだと思うんですけれども、今堺屋長官がおっしゃったようなことを聞いても、国民皆さん方はよくわからないわけですね、それがどういう意味を持っているのか。それよりも、むしろ、情報化が進んでいけば毎日満員電車に乗らなくていいよということになれば、では一生懸命情報化に取り組まにゃいかぬということになってくるし、セカンドハウスもきちんと本当に持てるようになりますよ、そこで半分働いてもいいですよというふうになる。そういうビジョンをこそまさに国が提出するべきだと思うんですよ。  ファイバーが来るのはいいですよ。来たって、それだけじゃ余り意味がないわけで、そこでおもしろいコンテンツがあるというのは、それはそれだけの話にとどまってしまうのであって、その次をやはり私は出すべきだと思うんですが、いかがでございましょうか。
  108. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 大変うれしい質問をしていただきまして、ありがとうございます。  実は、この情報と同時に、町づくりの問題についても今度の新生対策では出しておりまして、歩いて暮らせる街づくりという発想を出しております。こういうように、昔、規格大量生産の時代につくられた日本の構造、これは町づくりも産業づくりも、そして人生観にまでかかわる問題でございますけれども、これを変えていこうというので、幾つかの芽を出しております。  ただ、現在の官僚の組織もございますれば、いろいろな法律もございますれば、習慣もございまして、一遍に何もかも変えるというわけにいきません。したがって、歩いて暮らせる街づくり、まずモデル十地域を開いて、そしてできるだけ各世代が一緒に暮らせるような、長い通勤をしないでいけるような世の中に変えていきたい、そういうような哲学を今度は出させていただいているつもりでございます。
  109. 生方幸夫

    ○生方委員 またその話は後ほどゆっくり、次の予算のときにでもさせていただきたいと思います。  次に移りまして、長銀の問題を質問させていただきたいと思います。  ここに覚書がございまして、これは長銀を買うことになったニュー・LTCB・パートナーズというところと預金保険機構が交わした覚書でございます。この中に、代表者として、クリストファー・フラワーズさんという方のお名前が載っております。一人は八城さんという方で、これはシティーコープ・ジャパンの会長さんであったということと、コリンズさんというのは、もちろんこの母体であるリップルウッドのCEOであるということはよくわかっておるんですけれども、このクリストファー・フラワーズさんという方はどういう方なんでございましょうか。
  110. 越智通雄

    ○越智国務大臣 クリストファー・フラワーズさんというのは、今おっしゃいましたように、覚書に、リップルウッド・ホールディングス・カンパニーというよりは、むしろ、ニュー・LTCB・パートナーズというオランダにつくられました会社の役員として、ほかのコリンズさん、八城さんと一緒にサインされた方でございますが、その前は、アメリカの投資銀行会社というか、そういうところにお勤めになっていた方だと存じております。
  111. 生方幸夫

    ○生方委員 いつからこのニュー・LTCB・パートナーズの役員になられたんですか。
  112. 越智通雄

    ○越智国務大臣 このニュー・LTCB・パートナーズという会社そのものがつくられましたのは、今度のいわば優先交渉先に決まる直前だったと思っておりますので、九月の二十八日が覚書の日付になっておりますが、それの幾ばくもない前だったかと思っております。
  113. 生方幸夫

    ○生方委員 この長銀の買収は大体四兆円ぐらいの公費が投入されるということでございますよね。これは後ほど質問いたしますが、かなり買い手側に有利な交渉であったように私は思えてならないわけでございます。  私も調べたんですが、このフラワーズさんという方はゴールドマン・サックスのパートナーだった方ですよね。長銀のフィナンシャルアドバイザーにゴールドマン・サックスがなっておられますよね。ゴールドマン・サックスがフィナンシャルアドバイザーになっていながら、そのパートナーの方が今度は買収側の代表者になるという結果だけ見ますと、もともと、LTCBに売るためにゴールドマン・サックスがフィナンシャルアドバイザーになったのではないかというふうに勘ぐられても仕方がないような気がするのですが、いかがでございましょうか。
  114. 越智通雄

    ○越智国務大臣 フィナンシャルアドバイザーの契約を長銀がいたしましたのは本年の二月一日でございますが、その時点ではかなり数多くのいわば候補者があったんじゃないか、こう思っております。フラワーズさんはその時点では既にゴールドマン・サックスを離れていたものと思っておりますが、先生よく御存じのように、向こうではかなり会社から会社へと人が移り動くものでございますので、その点についてはいたし方ないことではないか、このように思っております。
  115. 生方幸夫

    ○生方委員 長銀の関係者から聞いたところによりますと、昨年、長銀が自分たちの資産を調査したときに大口の債権を調べたところ、本当は第三分類に分類しなきゃいけないような債権も、これは救済しなきゃいけないということで、第二分類にしたというようなことをちょっと聞いたことがございます。  そういうことをフィナンシャルアドバイザーというのは当然全部知っているわけでございますよね。かなり有利な条件でアメリカが、アメリカというか、長銀を買ったということになりますと、もともとこういう情報を知っているからゆえに有利な条件が引き出せたのではないかというような感じも持たざるを得ないのですが、いかがでございましょうか。
  116. 越智通雄

    ○越智国務大臣 生方先生は何らかの情報というか見方を聞いてそうおっしゃっているのかと思いますが、長銀の資産そのものは、特別公的管理になりましたのは昨年十二月でございまして、そこから二月半ばにかけて約二カ月間で、私の聞いておりますところでは金融再生委員会が十六回開かれまして、債務者ごとに一本ずつ、これを適資産、要するに引き継いでもらうのにいい資産か、不適資産、引き継ぐのはよろしくないかとか、本当に慎重に、深刻に、先ほど来申し上げておりますように、役人ではない民間の委員が四人入っておりますその委員会できっちりと決めたということでございますので、ゴールドマン・サックスの意向がそこに入っているというふうには私どもは全く考えておりません。
  117. 生方幸夫

    ○生方委員 ゴールドマン・サックスの意向はともかくとして、アメリカが長銀を買いたがっていたというのはこれは事実でございますよね。  例えば、小渕総理が昨年の五月にホワイトハウスに行ったときにリップルウッドのコリンズさんと会ったということとか、九月に柳沢前金融再生委員長が訪米したときにもサマーズ財務長官と会って、やはり長銀の問題を熱心に聞かれたというようなことがある。それから、パートナーズのシニアアドバイザーにボルカー前連邦準備委員会議長がついているということを見ても、アメリカ側がある程度国を挙げて長銀を買おうとしたという事実があったというふうに思うのですが、これはいかがでございますか。
  118. 越智通雄

    ○越智国務大臣 先ほどの答弁で私は十二月と申しましたが、十二月から二月まで再生委員会をやったことは事実でございますが、再生委員会ができ上がったのは十二月だったものですから、それで公的管理に入りましたのは十月の二十三日でございますので、ちょっと日付が違いました。訂正しておきます。  それから、今おっしゃいましたように、アメリカが、日本の長期信用銀行が初めてのケースとして、言葉は適当でないかもしれませんが、いわば売りに出された、これに対しましては大変な関心を持たれたというのは事実だろうと思っております。しかし、そのことと今の、最終的にリップルウッド・ホールディングス・カンパニー、正確に言えばニュー・LTCB・パートナーズに決まるまでにはいろいろな紆余曲折があったのだろうと思いますので、最終的なときには、絞り上げましたときには、これと日本のあるグループとが最後に絞り込みに残った、そして、いろいろな諸条件から見て、このグループ、ニュー・LTCB・パートナーズに売ることが最も適正であるという判断をされた、このように聞いております。
  119. 生方幸夫

    ○生方委員 リップルウッドグループというのは四年前に設立されたものですね、大臣。それで、プライベート・エクイティー・ファンドを運営する会社で、規模は四億三千万ドル程度。実際には金融分野の実績がなくて、本当は投資対象は自動車のディーラーや建設機械であった。金融機関の実績がないのに、長銀のような大きな銀行を買い取ってうまくやっていけるというふうに判断したのは、何を根拠にそれを判断されたわけですか。
  120. 越智通雄

    ○越智国務大臣 先生、お調べになっての上のことだと思いますが、リップルウッド・ホールディングス・カンパニーはコリンズさんという人がやっておりますが、アメリカの中西部の御出身の方でございまして、比較的若いというか、ですから、たしか数件ぐらいのこういう買収の実績をお持ちでございますが、自動車関係それから建設関係が多いというのも私どもは聞いております。  ただ、では銀行をやった人じゃなきゃできないかということですが、この会社自身は、いわば仲間を集める、コンソーシアムをつくるための呼びかけ人でございますので、実際に彼らが集めてきたのはドイチェバンク、メロンバンク、その他銀行がそれぞれ入りまして、私の理解では十二のパートナーズが集まって、会社の名前のとおりパートナーズが集まって、新しいニュー・LTCB・パートナーズをつくられた。その中には銀行経験のあるパートナーもおりますし、また、先ほどお話の出ましたボルカーさんという方はこの会社のシニアアドバイザーになられまして、その他、その後の交渉だと思いますが、前財務長官ルービンさん、あるいはデービッド・ロックフェラー、日米協会長というのでしょうか、をおやりになった方々も全部役員に入られる。役員の数はたしか十五名でございますが、半分日本人、半分、アメリカ人だけじゃないかと思いますが、外人になります。もちろん、社長は八城さんで日本人ということは既に決まっております。
  121. 生方幸夫

    ○生方委員 私がこういう質問をしているのは、公的資金が投入されるから質問しているわけでございまして、一体長銀の処理に幾らぐらいの公的資金が全部で投入されることになるのか、お伺いしたいと思います。
  122. 越智通雄

    ○越智国務大臣 実は、どなたさまにお売りするにしても、旧長銀のバランスシートの穴は埋めておかなきゃいけないわけでございまして、それが二兆八千億という話になるわけでございまして、先日も仙谷さんから大蔵委員会で御質問がありましたが、わかりやすくアバウトに言いますと、二十三兆ぐらい負債があるわけですね。ところが、資産が二十兆しかないのです。銀行ですから金融債とか預金で集めた金を人に貸した、そうしたら約三兆、正確には二兆八千億穴があいているわけでございます。本当は資本勘定でそれを埋めればいいのですけれども、資本勘定の七千億は、実はずっと繰り越してきた欠損金で飛んでおります。ゼロでございますから、その二兆八千億をまず国が埋めないと、金融債が払い戻せないとか預金が返せないという状態になりますので、どちらさまに売るにしてもそのお金は要ったわけでございます。  なお、その後において、貸出債権の中で早目に処理した方が有利というか都合がいいというのは、預金保険機構が約三兆円処理いたしました。三兆円処理しまして、それを預金保険機構に五千億で買ってもらったので、二兆五千いわば足が出るわけですが、引当金がもともと積んでございますから、一兆七千の引当金を取り崩します。要するに、両側で、貸し方、借り方でオフバランスするわけですから、それで約八千億のロスが出ましたので、二兆八千億プラス八千億、三兆六千億が目下のところ赤字になっております。  これは埋めた上で、あと、では新しい長銀をつくるのに幾ら資本を出しますかという話が、優先交渉先との今交渉になっているところでございます。
  123. 生方幸夫

    ○生方委員 きのうも質問に出たのですけれども、政府保有の長銀普通株二十四億株をパートナーズが十億円で買うわけですよね。これは、どこからその十億円という根拠が出てくるのですか。
  124. 越智通雄

    ○越智国務大臣 これは一株で割れば四十銭という話もございますけれども、そういう話ではなくて、しかしのれん代というわけでもありませんが、大体こういう買収をするときには、いわば銀行の営業の基盤というか権利といいますか、そういう意味で引き継ぐわけですから、丸い数字が使われているようでございまして、十億……(発言する者あり)いえ、とんでもございません。十億円で出しまして、この二十四億株は彼らが今後も保有するわけで、そのほかに彼らに千二百億円出してもらう。これは四百円の計算をいたしますからそういうことになります。政府の方も、二千四百億新生長銀にお出ししまして、これが四百円計算でいきますけれども。  いずれにいたしましても、そういうことで、結果的にでき上がる新生長銀の資本勘定を六千億から六千数百億に持っていかないと、貸し出している貸出金との資本比率が十分なものにならない。今の計算どおりならば、一二、三%になろうかと私どもは考えております。
  125. 生方幸夫

    ○生方委員 何で十億円なのかというお答えには多分なっていなかったと思います。  これは、要するに、資本勘定に繰り入れる額の方から算定してという形になるわけですね。これはゼロでもよかったわけですね。
  126. 越智通雄

    ○越智国務大臣 実は、日長銀が破綻の宣告をいたしました折に、これは株価算定委員というのを、これまた五人でいらっしゃいますか、国会の承認人事としてお決めいただいた経理とか法律の専門家が算定いたしまして、何しろかなり多額な債務超過の銀行でございますものですから、株価はゼロというあれをしまして、その公告をしました途端に、再生法の条文上は株券が無効になっている。こういう状態でございますが、そのうちの二十四億株を預金保険機構が引き取って新しい方々にお渡しする。それを、今ゼロでもよかったかと言われるんですけれども、せっかく十億で買ってもらったというか、売り渡したということでございます。
  127. 生方幸夫

    ○生方委員 九月二十八日の時点で長銀が持っている株式の含み益は大体二千五百億から二千七百五十億円あったというふうに言われておるんですが、その後、株価が上がりましたので、現在長銀が持っている含み益というのは大体どのぐらいになるのでございましょうか。
  128. 越智通雄

    ○越智国務大臣 率直に申しまして、優先交渉先と決めるとき、九月二十八日に決めたわけですが、そのときに、この問題についてはいろいろもめたようであります。もめたというか、いろいろ交渉事があったようでございます。  そして、ともかくこれをいきなり売って利益を実現しちゃうという手もあるのかもしれませんが、むしろそのお金を、将来新しい銀行ができたときに売却益を実現してそれを資本勘定に入れる。その場合の、資本勘定に入れる額のいわばミニマムといいますか、そういうものを幾らにするかということで幅をとったので、二千五百と、それの一割増しが二千七百五十ですから、そういうことでございます。  現状で売ればと言われましても、ちょっと今の相場で、銘柄別のものを見なきゃいけないものですから、よくわかりません。単純にダウ・ジョーンズの比率だけ伸ばしていいものかどうかわかりませんが、最終契約書というのをつくります。今つくろうとしているのは基本合意書ですが、最終合意書というのを、恐らく来年に入りましてから基本合意書の上にまたつくるわけです。その時点で全部時価計算をして、お互いに株券も渡す、現金も払い込んでもらう。こういう状態のときに、その差額、評価益を実現いたしますが、そのときに、向こう側に残すお金、新しい銀行の資本勘定に残すお金の額もまだ固まっておりません。今の、二千五百から二千七百五十のフレームワークの中でいろいろと議論がされているようでございまして、正直なところ、実は今週が山場で、今事務方と一生懸命、十一月三十日までが交渉期限だったのを一月延ばしましたが、別にずっと先に持っていくんじゃなくて、今週、せっかく向こうから日本に来てもらいましたから、今やらせているところでございます。
  129. 生方幸夫

    ○生方委員 株の含み益のことを聞いたのは、本来は、これは国が管理しているわけですから、債務の返済に充ててもいいところですね。本来なら返済に充てないかぬところですね。それをいわばリップルウッド側にプレゼントするような格好になるのではないか。これは、株価が仮に、一〇%ぐらい上がりましたね、すると三千億円近い額。さっきおっしゃった三兆から比べればとんでもなく小さい額ではあるけれども、国民感情としては、やはりこれは債務の返済に充てられるべき性格のお金ではないかと思うのです。  交渉事ですから、それは相手があるのですから、こちらだけというわけにはいかないですけれども、国民感情としては、やはりこれは債務の返済に充てられるべき性格のお金だと思いますが、いかがでございましょうか。
  130. 越智通雄

    ○越智国務大臣 先ほど来申し上げましたように、この差額を別に米側に引き渡したわけじゃなくて、新生長銀、新しい銀行の資本勘定に残す。新しい銀行は、あくまでもこれは米国の銀行ではございませんで日本の銀行でございますから……(発言する者あり)いいえ、その中で資本がしっかりする。同時に、私どもの方も、旧長銀の株式のうち一部を、九百五十四億円に相当する分だったと思いますが、まだ預保を通じて保有いたしておりますので、今後、向こう二、三年のうちにこの新しい長銀がいい営業成績を上げられれば、それらの株価を売却して、全くの腹づもりというか仮の計算でございますが、その程度のものはその売却の際に戻せるのじゃないか。こういう計算もございまして、いろいろな条件との絡み合いの中でそのように決めて、今基本合意書の方に向かって作業させている、こういう状況でございます。
  131. 生方幸夫

    ○生方委員 新長銀は三年間は主要取引先へ融資を続けるということが条件になっているということでございますね。今もちょっと不規則発言がございましたけれども、リップルウッドというのは、会社を再建して売ってしまうというのがそもそも本来の業務であるということを考えますと、三年を過ぎるとこの会社が長銀をばらばらに売ってしまうんじゃないかという懸念があるんですが、その辺は、歯どめというのはかけておられるんですか。
  132. 越智通雄

    ○越智国務大臣 これは私どもの方で一番、気持ちとして確認しておかなきゃいけないものですから、私は実は、八城さん、フラワーズさん、コリンズさん、それぞれ、着任後一月ぐらいのところで別々にお呼びいたしまして、アメリカからも来てもらいまして、確認の会談をいたしまして、決して銀行転がしというようなものではないと。それから、今の日長銀は人も業容もかなり小さくなっております、これはむしろ拡大していきたい。その場合に、やはり目はアジアに向いているというふうに聞きましたし、また同時に、私どもの方から強く要請いたしまして、日本の銀行界の中で参考になるような、模範になるような、近代的な、ああ、銀行経営というのはこうやるんだなということでやっていくんじゃないかと。  先生が先ほど来すばらしいお話をされておりましたITの関係ですね。金融業界というのは一番、インフォメーションテクノロジーに親しみやすいというか、取り入れやすい状況でございます。恐らく新しい銀行はIT関係でかなり先端的なことを、実験的にといいますか、模範的にといいますか、やるようなものになるんじゃないか。重役陣は全部入れかわるわけでございますから、どうぞそのように御理解いただきたいと思います。
  133. 生方幸夫

    ○生方委員 もう一度確認をいたしますが、三年以降に売却をしないとかという条項はとりたてては入らないけれども、信義上ではそういうことがないということの約束ということで理解してよろしいんですか。
  134. 越智通雄

    ○越智国務大臣 そうお考えいただいて結構だと思いますが、三年という数字が入っているのは、実は貸出先について三年間融資を引き揚げないという意味で書いてございまして、これはある意味ではちょっと、逆に言うと大変厳しい条件でございまして、三年の間に、借りている方々がその後の審査にたえられるだけのきちんとしたものになるかどうか、こういうことでございまして、そういう意味でございます。
  135. 生方幸夫

    ○生方委員 買収後に二次損失が発生した場合の条件というものもつけられておりますよね。民法の瑕疵担保責任という制度というのを取り入れるということになっておりますが、これは、新聞等をよく読みますと、当時、当初の柳沢前委員長は、将来の公的資金の投入を約束するのは、現在の法律の枠内でするのは難しいというふうに言っていたんじゃないでしょうか。また、再生委員の中でも、瑕疵担保責任を持ち出すというのは民法の拡大解釈で反対だ、本来これは引き受け側が負うべきリスクであるというような意見もあったというふうに聞きます。  この瑕疵担保責任と、二次損失が発生した場合の面倒を、二割以上損失が発生した場合ということに限られるようですけれども、これをつけたのはどういうことになるのでございましょうか。
  136. 越智通雄

    ○越智国務大臣 これは、柳沢大臣が御答弁なすったのは、いわゆる二次ロスのロスシェアリングをしないということをおっしゃったと思うんです。ロスシェアリングというのは、買い取りからある時点までの、前後を問わず、出てきた原因によってロスが生じた場合を意味しているのが通常でございますが、私どもの瑕疵担保責任というのは、お譲りする前に原因があった場合、逆に言えば、昨年の十二月からことしの二月にかけて再生委員会がこれは適資産だといった判断をした債権について見誤った点があった、見立て違いがあった。ですから、譲渡以前の原因に伴うものが私どもの言っている瑕疵担保責任でございまして、これは、民法六百九十何条か今見ようと思ったんですが、御存じかと思いますが、売り主の瑕疵担保の責任問題があります。あれそのものではございませんが、その法理を引いて今のように申し上げたわけです。  殊に、その根本になっているのは、旧日長銀の債権を買い手の方が全部、デューデリジェンスと申しますが、もう一遍評価したい。極端に言えば、向こうのCPAをたくさん連れてきてわんわんやらせろというのに対して、それはできない、そのかわりに、自分たちの見立てに間違いがあったときには責任を負いますよというのが瑕疵担保でございますので、その点で御理解をいただきたいと思います。
  137. 生方幸夫

    ○生方委員 時間がないので最後に一点だけなんですが、その瑕疵担保責任があったかどうかというのは、だれが判断するのでございますか。
  138. 越智通雄

    ○越智国務大臣 当然、新しい新長銀の方で、そういうふうに認識した場合には、向こう側の公認会計士がそれを、売り主というものは預金保険機構が売るわけでございますので、覚書にサインしております、恐らく最終合意書もサインする方向でございますので、これに向かって申し立てをする。そして、預金保険機構と新生長銀の間で話し合いが終わって、どうしても決着がつかないときは、これはやはり裁判だと思っております。
  139. 生方幸夫

    ○生方委員 今交渉の真っ盛りということでございますので、言えない部分もいろいろあるんじゃないかというふうには思うんですが、いずれにせよ、金融再生法というのは、国民負担の最小化を図るというのと金融システムの安定化を図る、この二つの目的があるわけで、国民の側とすれば、できるだけ少なく引き継いでもらって、安全な銀行にしてもらって、金融システムの安定化に資するということが大事でございますので、そこを踏んまえて交渉していただきたいというふうに思います。  深谷大臣には、お呼びいたしまして質問できなくて、総務庁長官も、まことに失礼いたしました。また次の機会にということで、失礼いたしました。
  140. 島村宜伸

    島村委員長 これにて生方君の質疑は終了いたしました。  次に、古賀一成君。
  141. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 補正予算の審議も二日目を迎えましてと言いたいところでございますが、きょうで終わりということで、きょうは総理大臣出席をされないという取り計らいになりまして……(発言する者あり)約束でありますけれども、世界で最大の借金を抱えた中に、さらにがけっ縁を越える赤字公債、そしてまた地方にも負担が行くわけであります。こういう中で総理大臣がおられないということについては、今後やはりしっかり考えていただきたいと思うわけでございます。  それで、個別の各事案あるいは予算に絡みます、いろいろな不祥事等について質問がございましたけれども、私は三十分しかございません。したがいまして、今のこの補正予算編成あるいは来年の予算編成も絡みます、そしてこれまでの政治運営といいますか、そこで共通に流れる本質の問題をひとつ私はしっかりと御指摘申し上げたい、かように思います。  一つは、最近、各委員会あるいは政府処理あるいは与野党のやりとり、三党合意等々いろいろな動きがありますけれども、見た中で、私は、何か政策決定システムというのが極めて今の政府の中で弱体化しているんじゃないかという気がしてなりません。本当にこれは詰めたのか、あるいは各省間の本当の調整を終わったのか、政治的問題について政治がしっかりとその方針を示したのか、そういうことを疑わざるを得ない法案あるいは予算、そういうものが私は最近特に目につくと思っておりまして、そういう面で大変憂えております。  もう一点は、責任の所在が最近はっきりしないと思うんです。そういう面で、私は幾つかの予算関連の事例を挙げながら、ちょっと政府をただしたいと思うわけでございます。  まず第一問でございますが、これは官房長官に、総論でございますので冒頭に質問いたしますけれども、最近起こっております日本の現象というのは、まず最初に、土地神話というのが崩れたと言われました。そして日本の官僚機構は世界に冠たるものだという神話も、私は崩れつつあるように思うし、実際官僚の皆さん方も、最近の我々官僚組織は元気がないとおっしゃいます。そういう官僚、最強の官僚集団という一つの神話というのも揺らいでおります。  後ほど申し上げますけれども、日本の教育水準は世界一と言わんばかりの自負がありましたけれども、英語教育、特に英会話能力では北朝鮮と同じ、アジアでびりという報告がこの前出たばかりでございます。技術立国日本、こう言っておりました。ロケットが二回続いて落ちました。これは、単にロケット燃えちゃった、残念でしたで済まないんですね。あの技術水準の高い日本という、そのいわば神話が最近は揺らいでおるということをみずから発したに等しい。これは大変な日本にとってのマイナスであろうと私は思うんです。  こういうことが起こり続けておるのでありますけれども、実はだれも責任をとった形跡がないんですね。私は、これは非常に、日本で今、いろいろな事件が起こっております、学校の教育現場もある、街角でもある、犯罪も起こる。もちろん警察でも、後ほど申し上げますが、あったんです。やはりそれは、政治というものがこれだけ大きい問題についてだれも責任をとっていないというところに今のその混迷があるし、せっかく予算をつけても、結局それがプラスになるどころかマイナスで結果として終わっている、こういうことになるんじゃないかと思うんです。  そこで、私は、最近におけるいろいろな社会現象、それに政治というものが影響しておるのではないか、そして政治責任があるのじゃないか、政治責任を本当にとっていると自負できるのかという点を、本来であれば総理にお聞きしたかったんですけれども、きょうは御欠席でございますので、官房長官に御所見をお尋ねいたしたいと思います。
  142. 青木幹雄

    青木国務大臣 今先生が御指摘をいただきました最近起こったいろいろな問題について、一切の責任政治が負うべきことは私も当然であると考えております。そういう観点から、これまでの教訓を踏まえて、国民支持が得られるよう、よりよき政治を行うことによってその責任を今後とも果たしていかなければいけないと感じております。
  143. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 総論といいますか、一般論としてのお答えをいただきましたけれども、例えば、今度の補正予算でのやはり最大の問題というのは、いわゆるGDP比一二〇%を超えた、世界に例がない。あるいは、この長期債務の増嵩ぶりはかつて地球史上にも例がないようないわゆるスピードだと思うんですよね。これについて、大蔵大臣及び総理のこれまでの一貫した答弁というものは、景気が回復することが先だ、それで景気が回復すればそのときに財政再建を行う、こういう御答弁でございました。  これは、例え話をしますと、家庭に置きかえますと、いわゆる収入がない、そのおやじさんが、いわば毎日、これまでのこの経費、毎日酒を飲むことはむだじゃないか、そういうことを問われながらも今までどおりのやり方を続けて、サラ金から金を借りて、競馬、競輪で大穴を当てたらそのときに借金を返す、そのときは競輪、競馬をやめると言うに私は等しいと思うんですよ。競輪、競馬だって、大穴を当てた人がそれを機に借金を返してやめるということはないんです。  恐らく、この一番厳しいときにこそ、要するに、今こういう仕組みを新しくつくった、こういう努力を新しく始めた、家庭に置きかえれば、リストラに遭ってお父さんは今コンピューターを一生懸命勉強している、そういうあかしをやって初めて再建というのはできるわけで、いや、景気が回復したら、もっと経済状況がよくなったら財政再建をするというのは、ますます競輪、競馬と一緒で、そのときはもう一山当てようとなるに決まっている、私はかように思います。  これは今の質問は、ちょっと政府側の御都合で次の委員会とかち合っている面があるので、次の質問にとりあえず移りますが、その一環として、警察不祥事と盗聴法の関係でございます。  法務大臣お急ぎのようでございますから、まず、国家公安委員長の前に法務大臣にお聞きしますけれども、警察の不祥事は、もう詳しくは申しませんけれども、全国で相次いでおります。前国会で盗聴法の強行採決がございました。これは戦中戦前の特高にも法的にオーソライズされておらなかった一つの権限を与えたわけですね。  その大前提というものは、警察というものが、これだけのプライバシー侵害の危険性がある手段を与えるわけですから、警察ではそういう犯罪に、警察官が脅迫に情報を使うとか証拠物を使うということは絶対あり得ないという前提で、私はこの法律は通ったんだと思うんですね。私はそう思いますよ。  私もかつて警察に出向しておったことがあります。人間社会、どこでも悪さ坊主はおるものでございまして、ひがみっぽい人もおるんですね。そういう前提でこそ初めて、私は国会が盗聴法を通したということがオーソライズされると思うんでありますが、神奈川県警を中心に起こったことは、いわゆる証拠物件を警察そのものが、警察官そのものがいわば犯罪に使う、それをトップまでが隠ぺいをしたということでございまして、私は、盗聴法が成立した前提が壊れたという判断政府自身がすべきだろうと思うんですね。  私は、この際、盗聴法の廃止法案というものを、この問題を深刻に受けとめて、政府みずから出すべきだと思いますが、御所見をお願い申し上げます。
  144. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 今、委員指摘をいただきました組織的犯罪対策三法は、組織的な犯罪をめぐる現下の国内外の状況にかんがみまして、この種の犯罪に適切に対処するために必要不可欠な法整備を図るものでございまして、組織的な犯罪と戦う上で極めて重要なものであることを御認識いただきたい、このように思います。  この通信傍受法は、そうした意味から、制度的適正確認のための幾つかの方策というものを施しております。例えば、極めて重要な要件のもとでもって施行する。裁判官の発する令状に基づいて行う。傍受の実施中、常に第三者が立ち会う。傍受した通信はすべて記録されて封印をされて裁判官が保管する。関係者に不服申し立て等が認められております上に、傍受を行う捜査官が故意に違法な行為を行った場合には三年以下の懲役に処せられる等々の組織的な、制度的な適正のための措置がとられているわけでございます。  また、傍受を適正に実施するための方法その他の事項を国家公安委員会規則で定めておりますほか、警察庁におきましても、都道府県警察に対しまして必要な指導を行う予定であると承知をいたしております。  したがいまして、警察において、当然、法律の定める要件と手続を厳守した適正な運用を行うものと考えておりまして、通信傍受法を廃止する必要はないと考えております。
  145. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 大臣のいわゆる捜査側といいますか、からの必要性ということはわかります。それはもうそうおっしゃるでしょう。  しかし、民主主義の歴史というのは、いわゆる権力側に乱用される、そういう手段というものを極力抑制してチェックするシステムをずうっと構築してきた歴史が、民主主義形成の歴史だと私は思うんです。それを、今歯どめはあるとおっしゃった。しかし、それが守られる、チェックする、絶対阻止できるという保証は実はないんですね。だからこそ、いわゆる罰則まで設けておる。  一方、警察官にけん銃を与えているじゃないかという話があります。けん銃を与えているわけですね。けん銃という場合は、弾の管理、もちろん撃てば音を発する。権力に、重大なる殺傷機器を警察官に与えているんですけれども、これは極めて管理をしやすいんです。もし起こったときは、はっきりとだれのけん銃をだれが撃ったというのがわかるんでありますけれども、この通信傍受に関しては、実態がどこで行われて、今大臣がおっしゃった条件が守られているという保証をチェックするシステムが極めて難しいわけでありまして、私は、今夏のこの警察不祥事から見れば、これだけの重大なる権限を与えることについては、依然、政府みずから、私は謙虚に見直すべき事柄だと思います。  そこで、今後、いわゆる通信傍受の権限が与えられるわけでありますが、もしこれを乱用する事案、事件が発覚した場合どういう責任をとられるか、国家公安委員長にお伺いをいたしたいと思います。
  146. 保利耕輔

    保利国務大臣 最近の犯罪の状況を見てみますというと、麻薬でありますとかあるいは外国からの密入国者とか、そういうような組織犯罪が背景にあると思われるものが非常に多うございますので、そうしたものに対して通信傍受法を設定して状況を把握するということは、捜査上非常に重要なことでありますが、今、委員仰せのとおり、非常に大きな力を警察に与えることになります。したがいまして、この運用については十二分に配慮をして、不正があるようなことがあってはならぬということを私も感じております。  そこで、今、法務大臣からお話がありましたとおり、この法律そのものにおいて大変厳しい条件をつけて運用をするようにいたしておりますし、国家公安委員会としては、規則を設けまして、運用上の責任の所在がどこにいくのかというようなことについても明確にしていくつもりでございます。  それから、非常に強い権限でありますので厳しい制約条件がついております。一々詳しく申し上げるのはいかがかと思いますが、対象犯罪を四罪種に限定しているということとか、あるいは、犯罪が高度である、そういうときにしか使わないとか、それから、補充性の要件と言っておりますが、手を尽くした上でこれを使うとか、あるいは、傍受については地方裁判所裁判官が発令する令状に基づいて行うとか、こんな面倒くさいことをずっとやっていてこれは使えるんだろうかと思うぐらい厳しい条件をつけておるわけでございます。  それで、これに対して報告が出ました場合には、県の公安委員会には、これは捜査上の問題があって、委員も御存じのとおりでありますから、捜査の途中ではこのことについての報告はできないと思いますが、捜査が終わりましたときは、こういうことをしたということは公安委員会に報告がされるものと私は思っております。  そういうようなことを通じまして通信傍受法の適正な運用に努めてまいりますが、いざ問題が起こったときはどうするかということについては、これはそのときそのときのケースに応じまして厳正に対処していく、それが私ども国家公安委員会としての責任でもあると思っております。
  147. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 私は、この質問は終わりますが、そういう法的な手だて、手順を用意されているのは結構でありますが、現実として本部長がそういう組織ぐるみの隠ぺいをしたという事実がこの前あったわけで、今の話も、隠ぺいされれば何にもならないというのはこの前の事件が教えておるわけであります。私は、役所の中での説明はそうかもしれませんが、国民に対しては、今のでは説明になっていないと思います。しかしながら、不満ではありますが、次の質問に移りたいと思います。  大蔵大臣にお伺いをしたいわけであります。二千円札の発行問題についてお伺いします。  五百円玉の問題もこの委員会で出ておりましたけれども、まず、これは総理みずからの御発案、十月五日ですか、総理みずからの御指示があったというふうに承っております。それで、本当は総理に聞きたかったんですが、この二千円札を発行するその目的。行革の論議のさなかでございます、大体どのくらいかかるんだろうかということ。  それともう一点は、デザイン決定について私はちょっと疑義がございまして、なぜ紫式部、そして沖縄の守礼門がデザインとして選ばれたかという、そのデザイン決定の経緯といいますか、そこら辺をちょっと、大変瑣末なことを大臣に恐縮でございますが、お答えをいただければと思います。
  148. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 二千円札を発行するということ自身は小渕総理大臣の発案であったと、私は了解をいたしております。そういうことをしたいということを御自身が言われました。その趣旨とされたところは、沖縄でミレニアムの年にサミットが開かれる、それを記念したらどうだろうか、そしてそのときに、総理としては、それと一緒に守礼門のデザインを入れたらどうだろうかということをお考えでありました。  それで、紙幣発行者の側から申しますと、日本銀行の銀行券が発行されました最も最近の例は、一万円札でございますが、それは昭和三十三年でございますので、随分昔でございます。しかも、各国に二十という額面の紙幣がかなりございまして、便利だと一般に言われております。でございますから、十万円という話は過去何度もございましたが、結局実現しておりませんし、そうだとすれば、二千円というのは紙幣政策上も一つの考えであると専門家は思っておったわけでございます。そういうことから発行を検討し始めたわけです。  その点から専門家の検討を始めましたが、もし守礼門であれば、これは建造物でございますから、その対応するものは、何か日本の古典的なものに関係する、このごろは人の肖像そのものはもう偽造防止とかの観点が余りございませんので、それにこだわらずにと考えました結果、ちょうど源氏物語が書かれましたのが一〇〇〇年ころでございます、ちょうど以前のミレニアムでございますから、そういうことと、それであれば紫式部というものも考えながら、源氏絵巻の中からふさわしい場面がないかというふうに専門家がいろいろ探しました。私のところにもいろいろ持ってこられましたので、結局、絵巻からあの場面と、そして、紫式部のポートレートがちょっと欲しいということもありましたので、別の絵巻から紫式部のポートレートを添えました。  それが大体の経緯でございますが、その後になりまして、守礼門というのは沖縄にとっては実は屈辱の歴史のドキュメントであるという、中国との関連だと思いますが、朝貢の象徴である、そういう御意見がありまして、これも私のところへもう一遍持ってきました。  守礼門は昭和八年に国宝になっておりましたが、焼けまして、そして戦後、沖縄県の県令によりまして文化財になっておるわけでございます。ですから、沖縄県民が何も守礼門に対して不快感を持っておるとは思いませんでしたが、そういう歴史があるということについて、私としましては、古典であるとかあるいは文化財であるとかいうものは、その時代時代の意味は確かに持っておるでありましょうけれども、古典になりあるいは文化財になることによって、そういう恩讐を超えてというより、もう少し、歴史になったということの値打ち、そのものに値打ちがあると考えてもいいのではないかということを私は思いました。  大変極端なこともちょっと申しましたのですが、俗に卑弥呼の金印と言われるものがございます。これは、我が国にとっては漢倭奴国王ということは誇るべき歴史ではないかもしれないが、今、それをそう思う人は恐らくいないだろう、そのような受け取り方をする人はいないだろう、これはやはり大事な文化財だと考えてもいいのではないかといったようなこともあるのではないか、こう思いまして、そういう一部の御意見のあったことは知っておりましたが、私はこれでいいという判断をいたしたわけでございます。
  149. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 私は、今の大臣の御答弁でおわかりいただけたかと思うのですが、いわゆるこの守礼門というのは、室町時代、明の冊封使というお使いが、国王がかわるために赴きまして、そのときに琉球国の国王が城外に出てその守礼門というところでひざまずいて、明に、おまえを国王として認めるよという儀式をやる場所であったのですね。だから、それはそれで、今文化財として評価できる云々の話がありました。  でも、私が聞きたかったのは、そういう歴史をしっかり踏まえて大蔵省なりあるいは印刷局の中でしっかりとした論議を本当にしたのかと先ほど言いました。もう思いつきで物事がぽんぽん通っていく。役所も今、どちらかというと相互の各省間の協議でチェックするというような機能も落ちているように思う。いわゆる肝心なところを押さえずに、何か当面の話で予算も法律も、こういう事柄も動いていくような気がしてしようがないのですね。それでひとつ、本当にこれはどういう論議を経たのですかということを言いたかったのです。  これは、価値観の問題はあります。私はまだちょっと心にわだかまる面もございますけれども、大臣は割り切られた、こうおっしゃいますけれども、そういうところを私は指摘したかったわけであります。  私は、これに関連して、もう時間がないのですが、この二千円札発行の話があったときに、あれと思ったのですね。一つは、いわゆるデノミ論も、自自合意で、デノミをやろうじゃないかという一つの方向性の合意もあるように思います。二千円札は二十円札になるんでありましょう。  ところが、再来年の一月六日から大蔵省はなくなる。来年の七月に一億枚刷ると言われているこの新札は、大蔵省印刷局と恐らく印刷するのでしょう、あと半年でなくなる役所の印刷局を。そういう論点であります。  あと、最後に一問だけ申し上げたいことがございます。  もう一つのそういう事例で取り上げたかったのは、英語の塾に対する補助金を出すという話が朝日新聞にかつて載ったことがあります。  結論から言えば、中学校、高校、大学における正規の教育の場における英語教育のあり方そのものが問われておる話なんですが、これに対して、今度いわゆる公民館とか塾に補助金をやるというのは、私は問題のはぐらかしではないんだろうかと。この点についてひとつ、どういうお考えでこういう構想になったのか、最後にお聞きして質問を終わりたいと思います。
  150. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 二十一世紀の日本を担う少年たち、子供たちが外国語で直接外国人と交流できるということは大変に大事なことで、私どももそういう能力がどんどん伸びていくような環境整備をしなければいけないと思っております。学校の中での語学教育はもちろんでありますけれども、学校の外におきましても、小学校段階から子供たちの外国語の学習の環境の整備を行うということは大きな課題だ、そういうふうに思っております。  そこで、今お話がありましたけれども、学校の外におきましても、地域に住んでおられます留学生とか海外駐在経験のある方、そういう地域の人材の方々の御協力をいただきながら、子供たちの語学学習の環境を整備するということが大事だ、そういうふうに思っておりまして、現在、新たな調査研究を検討しているところでございます。  委員指摘のような、学習塾に対して補助金とか財政支援をする、そういうことは考えておりません。  以上でございます。
  151. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 終わります。
  152. 島村宜伸

    島村委員長 これにて古賀君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  153. 島村宜伸

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐々木憲昭君。
  154. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  初めに、景気の現状と政府の対応についてお聞きをしたいと思います。  昨日、七—九月期の実質GDP成長率が発表されました。それが前期比マイナス一%、年率でマイナス三・八%ということであります。景気の自律的回復のかぎというのは、個人消費と設備投資、これがかぎでありますが、両方ともマイナスになりました。好調なのはアジア経済の回復に支えられた輸出だけ、まさに内需が総崩れという状況になっておりまして、極めて深刻だと思います。  最初に、大蔵大臣にお聞きします。この点をどのように見ておられるか、見解をお聞きしたいと思います。
  155. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 きのう申し上げましたように、昨日発表になりました七—九の統計は、四—六の統計が非常に大幅に修正されまして、〇・一%の成長といったものが一%成長になりました。これは四半期ベースでございますから、年率ベースにしますと相当大きな違いでございました。したがって、前期が修正で高くなりましたために、七—九が、そこそこのことでありましたのですが、余計悪く見えたということになりました。  統計上のことでございますので、ちょうど私、そのときここで申し上げましたが、実際のGDPで比べますと、一—三のGDPは四百八十二兆、七—九のGDPも四百八十二兆でございますので、その間に一つ山があった、こういうこと。したがって、七—九というのはまあこんなものだろう。  どうしても消費が悪うございます。これは所得の伸びが下がっておるからでございまして、それはリストラの関係、いろいろあると思います。こう消費が悪くては、しょせん七—九がそんなにいい数字が出るはずはございません。押しなべてその他のアイテムもどうも振るいませんで、全体でこういうことになった。私自身は、まあまあそんなことであろう、ただ、一%という大きさは、これは前が修正になった結果であろうというふうに思っております。  したがいまして、この補正予算を御説明申し上げましたときに申し上げましたように、やはり民需というものは弱い。消費も悪うございますし、設備投資も、減り方は少し減っているようですが、プラスになる兆しは今のところ見えません。したがいまして、財政として、この補正と来年度ともう最後の、最後と申しますか、これでもうという気持ちがいたしますが、極力、後押しをしなければならない、こういうふうに判断いたしております。
  156. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 この補正予算がその下支えになるかどうかという点については、後でまたお聞きをしたいと思います。  今、消費が悪いということをおっしゃいました。確かに、GDPに占める個人消費の比率は約六割、これが上向くかどうかというのが決定的だと思います。  それで、総務庁統計局長にお伺いします。  家計調査では、既に十月まで発表されておりますが、十カ月の勤労世帯の、前年同月比でプラスになった月は何月あるか、マイナスになった月数は何カ月か。さらに、十カ月間の合計で対前年比の伸び率、これを示していただきたい。
  157. 井上達夫

    井上政府参考人 家計調査の結果についての御質問でございますが、本年一月から十月までの全国勤労者世帯の消費支出の対前年同月の比較でございますが、実質で増加となった月数が三月、実質減少となった月数が七月でございます。  また、一月から十月までの勤労者世帯の消費支出の平均が、ことしの一月から十月までが三十四万一千四百一円でございまして、前年の同期間に比べますと一・四%の減ということになっております。
  158. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今数字を確認したわけですけれども、十月まででマイナス一・四%。これは十一月、十二月ということで考えますと、プラスになるというのはほとんど不可能だと思うんですね。したがって、この個人消費、まさにこれは大黒柱でありますが、これが落ち込んだままで果たして景気回復というのがうまくいくんだろうかというのが多くの国民の疑問でもあります。  そこで、この個人消費の問題についてさらにお聞きをしたいんですが、労働者の賃金について確認をしたい。  労働省政策調査部長にお聞きしますけれども、賃金が上がらないと当然消費がふえていかないと思うんですね。そこで、統計上は昨年の数字しかないと思いますけれども、一九九八年の賃金の対前年の伸び率、最近の一人平均現金給与総額の伸び率、それぞれお答えいただきたい。
  159. 松崎朗

    松崎政府参考人 まず、私どもの賃金構造基本統計調査によりますと、昨年、平成十年六月の所定内給与の平均額は二十九万九千百円ということでございまして、その前年、九年に比べまして〇・一%の増になっております。ただ、〇・一%ということで、この調査開始以来、最低の伸びということになっております。  また、最近の動向でございますけれども、これは毎月勤労統計ということで、毎月とっております調査がございます。これによりますと、ことしの十月分の速報でございますけれども、これは五人以上の事業所でございますけれども、現金給与総額は二十八万六千五百二十二円ということで、前年同月に比べまして〇・一%の減少ということになっております。
  160. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の数字でも明らかなように、賃金は調査開始以来、最低の伸びであります。また、十月もマイナス〇・一%。こういう極めて深刻な賃上げの抑制、賃金の抑制というのが行われている。  もう一つは、消費を決める要因として、労働者の数。これが減りますと、全体として、総枠として消費の量は減るというのは、これは当たり前だと思うんです。  そこで、雇用の絶対数が減っているのではないかと思いますが、もう一度、雇用の絶対数について最近の動向を示していただきたい。
  161. 松崎朗

    松崎政府参考人 雇用労働者の数でございますけれども、平成十年につきましては今年度の労働白書において分析を行ったわけでございますけれども、平成十年の数で申し上げますと、年平均で初めて前年を下回り、二十三万人減少という状況でございます。  また、最近の雇用情勢につきましては、雇用者数は、確かに減少幅は縮小しておりますけれども、依然として厳しい状況にあるということでございます。また、産業別には、建設業が若干減少から増加に転じましたけれども、製造業を初め、相変わらず減少が続いているというところでございます。
  162. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今のでも明らかなように、労働白書でも、今回の減少は非常に大きなショックであったというふうに書かれているわけですね。これは非常に重大なことで、消費を冷え込ませる非常に大きな要因になっております。  総務庁にお聞きしますが、八月末に実施した労働力特別調査、この中で、失業者のうち解雇、人員整理による失業者は何人いるか、それは全体の何%に当たるか、総務庁の統計局長、答えていただきたい。
  163. 井上達夫

    井上政府参考人 総務庁で本年八月に実施しました労働力調査特別調査の結果でお答えいたしたいと思いますけれども、そのときに完全失業者が三百二十万人ございました。このうち、前職をやめた理由が解雇、人員整理となっている者が四十万人おりまして、この占める率は、完全失業者全体のうちの一二・五%でございました。
  164. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 四十万人で、全体の一二・五%を占めている。  その調査では、三十五歳から五十四歳、いわば働き盛りの方々でありますが、その離職理由の一番多い理由、これは何でしょうか。
  165. 井上達夫

    井上政府参考人 同じ調査で、御指摘の三十五歳から五十四歳バンドの中の完全失業者のうち、前職をやめた具体的な理由として最も多く挙げられていますのは、解雇、人員整理で十七万人、全体の一八・五%という数字でございます。
  166. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 結局、企業がリストラ、合理化を徹底してやって、その結果労働者の賃金も抑制される、あるいは労働力そのものも全体として縮小する、そういう中で消費が低迷している、こういう状況が明らかになると思うんです。  そこで、総務庁長官にお伺いします。  これまでの総務庁の家計調査あるいは今の労働力の調査でも明らかなように、解雇、人員整理、このことによって家計消費の落ち込みというのは非常に深刻になっていると思いますけれども、その点について、総務庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  167. 続訓弘

    ○続国務大臣 経済政策に大変明るい佐々木憲昭議員には釈迦に説法かもしれません。今お話しのように、雇用情勢が大変厳しい状況というのは私ども十分承知しております。しかしながら、今回打ち出しております経済新生対策、その中で雇用対策の面に対しても大変な力を用いております。それらが両々相まって、私は、今御懸念のような問題は解消するんではないか、それを解消すべく全力を挙げて内閣として取り組むべきと存じます。
  168. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 雇用対策がこの新生対策の中にどの程度入っているのか、そしてまたそれが効果があるのか、この点について後でもう一度確認をしたいと思います。私は効果はないと思っておりますが。  それで、具体的に企業がどういう方法でリストラを行っているかということが問題になるわけであります。  日銀にお聞きしたい。生活意識アンケート調査、九月に実施されておりますけれども、暮らし向きが苦しくなっているという回答がふえておりますね。その理由として企業のリストラというのが挙げられておりますが、その回答で合理化、リストラの具体的な内容、多い順に三つ挙げていただきたい。日銀の情報サービス局長、お願いします。
  169. 大西義久

    大西参考人 お答え申し上げます。  私ども日本銀行が本年九月に実施いたしました生活意識に関するアンケート調査の結果によりますと、給与や人員の抑制、削減といった合理化、リストラがここ一年くらいの間に行われた、ないしは今後行われる予定があると答えられた方は全体の四三・三%おられましたが、その方々を対象に、合理化、リストラの具体的な内容を、複数回答を認める形で伺いましたところ、お答えの多かった上位三つは、給与カットや賃金制度の見直しが五八・三%、時間外労働の削減が四一・五%、出向や早期退職勧奨などによる人員の削減が三二・七%となっております。
  170. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 このアンケートでも明らかなように、既に働いている労働者、特に中高年の場合、賃金のカットあるいは人員の削減、こういうわけで大変深刻な事態に陥っているわけであります。問題は、こういうように一方でどんどん中高年の人減らしが行われていながら、他方で新規の採用がふえているのかどうかというのが問題になるわけであります。  新規の採用も大変厳しい、削減されているというのが実態ではないかと思いますが、確認をしたい。文部省と労働省が調査した大学生、短大生、高校生の内定率、これがどうなっているか。まだ就職が決まっていない学生は推定で何万人いるか、それは九〇年代のほかの年と比較してどうか。職業安定局長、それから初等中等教育局長、それぞれお答えいただきたい。
  171. 渡邊信

    渡邊政府参考人 来年の春の大卒者等の就職の内定率等でございますが、本年の十月一日現在の数字でございます。大学生で内定率が六三・六%、未内定者が十四万一千人でございまして、短大生では三六・五%、九万一千人というふうになっております。  この大卒者等の就職内定状況につきましては、平成八年度から文部省と労働省で共同調査を行っておりますが、十月一日現在の就職内定率で申しますと、大学、短大とも、来年春卒業予定者が、調査開始以来、最低というふうになっております。  また、十月一日現在の未内定者数の方でございますが、大卒では来年卒業者が、それから短大生では平成九年の三月卒業予定者が、この四年間で最多というふうになっております。
  172. 御手洗康

    御手洗政府参考人 お答え申し上げます。  文部省の今年度の高等学校の内定状況、十月末の取りまとめということで、現在まだ調査結果が集まっておりませんが、平成十年度の卒業者につきましては、この時期、就職希望者のうち、内定率は六二・七%ということでございました。  就職決定者について見ますと、平成二年度の卒業者が、希望者のうち、就職決定率、三月の卒業時点でございますけれども、九八・三%でございましたけれども、その後順次下がってまいりまして、この春の十年度の卒業者につきましては、希望者のうちの就職決定率は八九・九%という状況でございます。
  173. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の数字でも明らかなように、新規の採用、この部分もどんどん縮小している。つまり、企業の雇用者数全体として大幅な減少にあるということであります。今のリストラというのは極めて深刻でありまして、中高年の生活を狂わせるだけじゃない、青年の希望も奪っているんじゃないか。そういう中で、大きな企業ほど雇用についての責任は大きいと思います。  労働省にお聞きしたいわけですが、新規採用は大企業が熱心なのか、それとも中小企業が熱心なのかという点でありますが、数字を確認したい。前年比の新規求人数を企業規模別に見るとどうなっているか。千人以上で何%の増減率、三百人から四百九十九人、この二つについてお答えいただきたい。
  174. 渡邊信

    渡邊政府参考人 この十月に公共職業安定所へ求人が出された企業についてでございますが、一千人以上規模からの求人は四千四百四十五人で、前年同月比二一・七%の減となっております。また、三百人以上五百人未満規模事業所につきましては一万二千三百二十一人で、前年同月比二〇・二%増という状況でございます。
  175. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の数字でも明らかなように、中小企業の場合は、いわば必死になって雇用を維持しようとしている。ところが、大企業になればなるほど雇用についての社会的責任を果たしていない、こういう状況であります。  労働省が、千人以上のリストラを実施したかどうかということで、それを予定している四十一社について調査をしたことがありますが、これらの大企業グループで削減される人数は十四万二百人、全従業員の一二・二%に当たっております。大企業は雇用についての社会的な責任というのを全く果たしていないんじゃないかと言わざるを得ない。  リストラのやり過ぎについては、財界の中からも批判の声が出ておりまして、例えばトヨタ自動車の会長、日経連の会長でもある奥田氏は、文芸春秋十月号でこういうことを述べております。「現在の我が国では従業員のクビを切ることがもてはやされるおかしな風潮がある。リストラ、経営のダウンサイジングと称して、従業員のクビを切れば株価が上がる。」こう述べて、「簡単に解雇に踏み切る企業は、働く人の信頼をなくすに違いない。」「優秀な人材を引き止めておけず、競争力を失うことになる。」こう述べております。  そこで、労働大臣にお伺いをしますけれども、大企業のリストラが消費の低迷、景気の回復に与える影響、この点について労働大臣としてどのような認識をお持ちか、お聞かせいただきたい。
  176. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 雇用の現状につきましては、ただいま、先生の御質疑に応じまして、政府参考人から説明申し上げたとおりであります。非常に厳しい状況にある、こういうように考えております。  特に、大企業が発表いたしますリストラにつきましては非常に大変な事態であるということで、私から、日経連の会長と連合の会長にお話をさせていただきまして、企業の社会的責任というものを十二分に認識してほしいと。  この際、私としましては、では、企業の社会的責任というのは何かと。第一に、雇用をしっかり安定して確保するということではないでしょうか。二番目は、下請等関連企業に与える影響を十二分に考慮してほしい。第三点は、今回の日産の件にもありますように、地域経済に非常に大きな影響を与える、当然のことながらこれを考慮してほしい。最後は、皆さんも御承知のとおり、文化、社会活動に対する大手企業の貢献であります。  これを強く要請いたしましたところ、特に日経連の奥田会長は、いや、自分もそう思っているんだ、こういうことで、連合の会長と御相談いただきまして、雇用安定宣言というものを出していただきました。そこで私は、非常にすばらしい宣言、初めてのことでございまして、非常に結構なことでございますと。それでは具体的に、皆さんとして、これらについてどういうお考えでしょうか、皆さんの立場から具体的な提案をしていただきたい、こういうことで提案を私どもちょうだいいたしたわけであります。  御指摘のとおり、消費は今のところ足踏み状態にありますが、これも、勤労者の収入面あるいは消費マインドの停滞ということから消費を抑制する影響を与えているもの、こう考えております。  したがって、私どもとしましては、従来の雇用促進のためのいろいろな諸施策、これにあわせまして、今回補正予算でお願いいたしております経済新生対策、これを通じまして、雇用の創出、安定に全力で取り組む覚悟でございまして、国民皆さんの雇用不安の払拭に最大限努力をいたしたい、こう考えております。
  177. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 宮澤大蔵大臣は、財政演説の中でも、所得が低迷し、殊に企業のリストラが雇用に与える影響等を考えると、消費が持続的に回復する状況には至っておらないというふうに述べておられましたし、先ほどもそのような御答弁がありました。  そうしますと、今労働大臣が、社会的責任を企業に果たしてほしい、そのような要請もされたとおっしゃいましたけれども、その場合、重要なことは、現にリストラがどんどん進められております。日産も進めておりますし、三菱自動車も万単位の規模で人減らしを計画し、推進しております。そういうリストラそのものを野放しにしていいのかどうかという問題があると思うんですね。  雇用の問題で大いに全力を挙げるというふうにおっしゃいましたが、それでは、この経済新生対策の中に、現に行われているリストラに対してそれを規制する政策というのが入っているんでしょうか。そのことをお伺いしたいと思います。
  178. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 大企業を中心といたしますリストラの計画が発表されておりますが、これらは国際競争力、国際競争にどう対処するか、こういう観点から、もう一つは、産業構造変革にどう対処していくか、こういう点を中心にしてそれぞれ計画し、発表されているところであります。したがって、これは大きな、世界を含めての流れでございますから、これはだめだというようなことはなかなか申し上げることは難しいのではないか、こう考えております。  しかしながら、先ほど申しましたとおり、特に雇用の安定、関連企業との関係あるいは地域に対する影響等を考えて、これらの諸施策を十二分に実施することによってその影響を最小限にさせていただきたい、こういう観点から、今回の補正予算につきましてもお願いいたしましたし、今まで、昨年来やっております諸施策の拡充強化を実は図っているという実情であります。
  179. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 結局、リストラに対しては直接規制する、そういう内容がないということを今、事実上おっしゃったわけです。  大企業が国際競争力のためにやっているんだ、あるいは産業構造への対応だ、結局、そういうことになりますと、企業がやっていることを事実上認める、政府は多少その周辺で何らかの安定策を考える、その程度のことだということが今までの議論で明確になったと思います。  どんどん企業の側は自己の目先の利益のために人を減らす、しかし、それに対して具体的に規制する政策というものが一切盛り込まれていない、だから、安心して大企業の側は人減らしをやる、政府は、それによって消費がどんどん冷え込んでも、具体的にそれに対応する対応策も出せないということになると、全く景気対策にならぬじゃありませんか。  この国会に提案された補正予算というのも、民間の自律的回復につなげるための、それまでの景気を支える措置を盛り込んだと言われておりますけれども、この補正予算で、それでは宮澤大蔵大臣、落ち込んでいる個人消費そのものに直接当たるといいますか、直接刺激をする、そういう予算は、金額で幾らぐらい盛り込まれているんでしょうか。
  180. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 小渕内閣が発足以来、不況打開に全力を挙げてまいりましたが、同時に、二十一世紀を展望した場合、企業のリストラクチャリングというものは避けて通れないという認識を持ってまいりました。  そのゆえに、昨年の予算におきましても既に雇用のための一兆円対策といったようなものも出しましたし、また今年度の本予算、今の補正予算、そのとおりでございます。殊に、ことしは金融機関のための公的資金の導入があると同時に、大企業のリストラクチャーのための法律お願いしようと考えまして、これは既にことし初めに成立をいたしました。  そこで、その次には、今度の補正、臨時国会では中小企業のリストラクチャリングをお願いしよう、及びそのための財政上、金融上の対策をお願いしよう、こういうふうに政府は考えてきたわけでございますので、委員のおっしゃいますように、リストラクチャリングということを政府は政策として悪だとは考えておりません。  リストラクチャリングというのは、大企業にとっても中小企業にとっても、二十一世紀に生きていくためにはやむを得ないことだ、日本だけの経済ではございませんから、それはやむを得ないと考えるべきである。それは、しかし同時に、おっしゃいますように、雇用には悪い影響を及ぼしますし、消費にも悪い影響を及ぼす。それは、先ほどから佐々木委員がおっしゃっていらっしゃるとおりでございます。  それは私ども承知をいたしておりますから、ここに来ましてリストラクチャリングがだんだん雇用にも所得にも影響する、収入にも影響する、でありますからこそ、政府としては、この補正と来年度の本予算と、もう一遍財政が後押しをしなければならない、こういうふうな道筋で考えておりますことは、恐らく佐々木委員はとうに御存じでいらっしゃいます。  御存じでいらっしゃいますが、リストラクチャリングというのがいかにも大切なことであるかのように考えるのは、少しヒューマンでないではないかというお気持ちでいらっしゃるのでしょうが、しかし、日本経済が、あるいは日本の経済社会が次の世紀に生きていくためには、どうしても、大も中もリストラクチャリングが要るのでございますから、それに財政が対応しなければならないと考えておるわけでございます。  ですから、今おっしゃいました最後のお尋ねは、消費を推進するために特にどういう政策を考えておるかということは、基本的には、まさに雇用が大きくなり、給与が大きくなることが基本でありますけれども、それに加えまして、例えば住宅の優遇策であるとか、そういったような少しずつのものが、あるいはむしろそう申し上げるよりは、経済政策全体がいい家計をつくり出す、それによってやがて生活がよくなり、雇用もふえていく。全体の効果と申し上げる方がむしろ正直なお答えかもしれません。
  181. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 個人消費を直接刺激するというのはほんのわずかだ、しかし全体としてはとおっしゃいましたが、その全体も、この間おっしゃいましたように、銀行支援六十兆の枠をつくった、今度七十兆にふやすなどという、とんでもない話もあるけれども。  またゼネコンも、どんどん公共事業拡大で、ゼネコン中心の予算は組んだけれども、しかし実際には、企業がリストラをやり、個人消費がどんどん冷え込んでいる。そういう実態に対応した政策というのが出ていないわけですよ。そこに私は問題があると思うのですね。国民の期待と政府が実際にやっていることが非常に大きくずれているというふうに言わざるを得ないと思うのです。  日銀にお聞きしますけれども、生活意識に関するアンケート調査の中で、どの項目が実現すれば支出をふやすと思いますかという問いに対して一番回答の多かったもの、二番目に多かったものを示していただきたい。
  182. 大西義久

    大西参考人 先ほど御紹介申し上げました生活意識に関するアンケート調査でございますが、この調査におきまして、どの項目が実現すれば支出をふやすと思うかという設問があるわけですけれども、八つの選択肢から複数回答を認める形で質問しておりますけれども、この設問の回答上位二つは、消費税率の引き下げが四九・五%、雇用や収入の不安の解消が四五・二%となっております。
  183. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 このアンケートにも明らかなように、まさに消費税の税率の引き下げ、あるいは企業のリストラに対して雇用を確保してほしい、あるいは収入をふやしてほしい、そういう声が一番多いわけですね。ですから、政治というのは、こういう国民の声にどうこたえるか、これをまさに優先順位として考えなければならぬはずでありますが、この声にこたえるという姿勢は大蔵大臣、おとりになりませんか。
  184. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは先ほども申し上げたとおりでございますが、未曾有の不況に入っておるわけでございますから、我々が、お互い国民としてあるいは国としてこの危機を乗り切って、そして二十一世紀においてよりよい生活をし、より多い貢献を世界のためにしようというためには、苦労をしなければこの苦境というものは正直を申して乗り切れない。そういう深刻な状況にあるというふうに政府は思っておりますから、したがいましてリストラもやむを得ないことである、失業がその結果出ることもこれも避けられないだろう。  しかし、それに対してはできるだけ対応はいたします。消費税も、下げればそれは楽になるには違いありませんけれども、それでは国全体がやっていけないということから国民に御苦労をお願いしているわけであって、今のお尋ねは、消費税を下げて、リストラを楽にすれば国民は楽になると思わぬかとおっしゃれば、それは、いっときそうであろうと思いますが、それは我が国の将来のためにとるべき策でないというふうに政府は考えているわけであります。
  185. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 我が国の将来のために私は提案をしているわけでありまして、消費税の税率を引き下げるということが、どの世論調査をとりましても、景気対策の一番最初に上がってきます。国民多数の要望にどうこたえるかが政治の役割だと思います。残念ながら、政府は、そういう声には一切耳をかさないという態度だと言わざるを得ないと思います。  さらに、大企業のリストラについても、先ほど、避けては通れないとおっしゃいました。しかし、リストラによって所得が落ち込み、消費が冷え込んでいるという現状はお認めになっているわけですね。そうしますと、リストラそのものはどんどんおやりください、こういう態度でありますれば、必ず消費は停滞していくわけです。したがって、国民の購買力、国民の生活の安定、将来不安の解消、こういう方向に向けて景気を回復させていくというのが日本経済の当面の対策で必要だし、同時にまた、日本経済全体の再建の基本方向だというふうに私は指摘をしておきたいと思います。  次に、景気回復のかぎは設備投資、これを盛り上げることだというふうに思いますが、大蔵省にお聞きをしたいわけですが、最近の設備投資の動向、これはどのようになっておりますか。
  186. 原口恒和

    原口政府参考人 お答えをいたします。  大蔵省において設備投資の動向を把握し得る調査としては、法人企業統計及び景気予測調査を行っております。  まず、最近の法人企業統計季報を見ますと、十一年の四月から六月期の設備投資、これは全産業で前年比一三・四%と六期連続のマイナスが続いております。  また業種別に見ますと、製造業において大幅に減少しておりまして、前年比マイナス二四・六%と、四期連続でマイナスが続いております。非製造業では、前年比では三角六・六%でございますが、六期連続マイナスでございます。  規模別に見ますと、大企業、中堅企業の減少幅が拡大している一方、中小企業の減少幅はやや縮小しております。  一方、景気予測調査、これは八月の調査でございますが、十一年度の中小企業の全産業の設備投資計画額、土地購入費を含む場合で前年比三角二〇・六%、除く場合で前年比三角一五・一%の見通しでございまして、前回調査時と同様、前年比で見ると減少が見込まれております。
  187. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の実態でも明らかなように、設備投資の実績もまた計画もどんどん下がりっ放しなんですよ。これは底を打っていないんです。企業の冷え込みというのは非常に深刻でありまして、とりわけ、その中で中小企業をどう活性化するかということがやはりかぎになると思うんですね。  そこで、具体的に下請問題についてお聞きをしたい。  日産のリストラでも、極めて大規模な下請の削減、一千百四十五社ある下請取引企業を六百社以下に半減する、三年間で二〇%のコストダウンを図る、こういう非常に深刻なプランを発表しております。これは、先ほど四十一社で十四万人減らすということを私は申し上げましたけれども、労働省の調査でもそういう調査がありますが、その後に発表されたものでありまして、NTTも二万人以上、三菱自動車も一万人と、次々とこういう計画が発表されております。  リストラで実際に取引を停止される、あるいは切り捨てられる、こういう下請は非常に大変であります。同時に、残る下請の場合も、大幅なコストダウンを要求されまして、大変な経営難に陥っております。  そこで、日本の下請中小企業の問題の議論前提として、製造業、流通、サービス、情報通信、それぞれについて下請企業と言われるものの数、これを中小企業庁長官にお伺いしたいと思います。
  188. 岩田満泰

    岩田政府参考人 お答えを申し上げます。  通産省では、平成八年に中小企業庁として、下請取引等実態調査を行いました。これによりますと、中小製造業に占めます下請中小企業比率は五一・六%でございます。また、同年に実施されました事業所・企業統計調査、総務庁で実施されたものでございますが、製造業を営む中小企業は約六十六万社でございます。このことから、平成八年における下請中小企業数は約三十四万社であると推計をいたしております。  なお、御指摘の流通業、サービス業などにつきましては、下請の定義に当てはまらないということで、そのような統計をとっておらない状況にございます。
  189. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 製造業だけでも三十四万社。ところが、流通、サービス、情報通信、それぞれ下請がありますね。あるのですが、現在の定義に当てはまらないということで、下請に入れていないんですね、数に。私はここに重大な問題があると思います。製造業の場合も、例えば流通関係あるいはソフト関係、こういう面に下請を出しております。ですから、私は、この点での下請の数さえ把握できないような、現在のこの把握から漏れるような仕組み、これ自体極めて重大だと思います。ぜひそれは把握していただきたい。  次に、建設業の下請数ですね、これは何社ありますか。
  190. 風岡典之

    風岡政府参考人 建設業の多くは元請としての施工実績もあり、また下請としての施工実績もあるということでございますので、一概に下請業者数何社ということについては申し上げにくいわけでございますが、私どもが実施しております建設業構造基本調査、これによりまして、建設業者のうち何らかの下請としての施工実績を有する業者の割合、これは八一・二%ということになっております。それをもとにして下請としての施工実績を有する業者の数を推計いたしますと、平成九年度で約二十四万社、このように承知をしております。
  191. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 把握しているので二十四万社ということであります。下請企業は、製造業と建設業だけでも数十万、大変な規模に上っているわけです。ところが、この下請中小企業は、大企業、親企業との関係で極めて弱い立場に置かれております。  ことし九月二十二日の中小企業政策審議会の答申でもこう書かれております。「近年、下請代金の問題以外にも、大規模小売業者による優越的地位の濫用など、中小企業に係る取引について問題となる事例が増大している。このような事例においては、下請代金問題同様、事業者は今後の取引への影響を考慮し、問題提起をためらわざるを得ず、問題の適切な解決が図られていないとの指摘もなされている。」こういうふうに、非常に中小企業は、下請業者の場合、特に大企業、親企業との関係で弱い立場に置かれている、声もなかなか上げられない。  通産大臣にお聞きしますけれども、下請企業が置かれているこういう現状についてどのような認識をお持ちか、お答えいただきたい。
  192. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 大きな企業が事業再構築のために、その持っている最も得意な分野にすべての力を注ぐという集中であるとか、あるいは分散ということは、やがて中長期的に見たらその経営を安定させて、経済にもプラス作用になるだろうと思うんですが、そういう場合に、リストラとか、下請にそのまましわ寄せが行くということは決して許されないことだ、このように考えております。  通産省といたしましては、例えば過般の日産の問題が起きましたときには、通産省として、リストラをできる限り抑え、下請企業に対してはできる限りの対応をするようにということを申し入れ、それらに対する答えは、例えばリストラの場合でありますれば、直接首を切るといったようなことでなしに、いわゆる新規採用を抑えるとか、あるいは次の就職を探すという勧奨退職を促すといったような、いろいろな工夫もしてくれているようでございます。  下請企業に関しまして、一般論で申し上げれば、私は、健全な、公正な、自由な取引環境というのがなければならないと思っておりまして、そういう意味では、親企業による一方的な代金の引き下げだとか、支払い期日の延期だとか、買いたたきだとか、そういうことに対しては厳正に対応しなければならないと考えております。そのために、下請代金支払遅延等防止法を十分に駆使して対応してまいっているつもりでありますし、これからも一層努力をする覚悟でございます。
  193. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 下代法などの対応で十分にやっていきたい、こういうふうにお答えになりました。  それでは、現実に下請業者が大変な事態に陥っておりまして、例えば、見積もりを出して仕事にかかってから二割下げなさいと言われた、あるいは、単価は事実上指し値になっている、それでできなければほかに回す、こういうふうに言われた。マスコミでも、「貧すれば鈍するというのだろうか。電気・電子機器メーカーなどの下請けいじめが目に余るようになってきた。」最近の事例をそのように告発しているわけであります。  そこで、具体的に聞きたいんですが、法律違反、こういうことに対して、具体的にそれを是正させるためには実態の把握が大事だと思うんですね。実態を把握しそれを是正させる、こういうことが大事だと思います。  そこで、公正取引委員会にお伺いしますけれども、専任の下請検査官、現在何人いるのか、それを全国どのように配置しているか、お聞きをしたいと思います。
  194. 上杉秋則

    上杉政府参考人 お答えいたします。  平成十一年度の数字でございますけれども、下請法の違反を摘発する等の下請法の運用に当たっております、それを専門に担当いたしております職員数は、全国で二十九名でございます。関東甲信越を担当しております本局に十四名、それから、その余、地方事務所を七カ所に置いてございますけれども、その合計十五名、合わせて二十九名でございます。
  195. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 では、通産省にお聞きしたい。専任の下請検査官は何人いるか。それを全国にどのように配置していますか。
  196. 岩田満泰

    岩田政府参考人 お答えをいたします。  現在、下請代金検査官の数は、中小企業庁では、本省と地方通産局を合わせまして四十五名となっておりますが、うち三十四名が代金検査官としての本務発令を受けております。本務発令を受けております三十四名のうち六名が本庁におりまして、二十八名が全国の地方通産局に配置されております。
  197. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これでも明らかなように、全国数十万社ある下請に対して、違法を調査し摘発する専任の調査官というのが、公取で二十九名、通産省三十四名。全国的にも、都道府県にも配置できないような数であります。しかも通産省の場合は、先ほど言いましたように、製造業だけが対象であります。それ以外の業種は対象になっておりません。  それでは建設省に伺いますが、下請不払い問題の相談を受ける窓口、現在何人で対応していますか。
  198. 風岡典之

    風岡政府参考人 建設業の下請問題全般につきましては、建設本省、それから各都道府県の建設担当部局で対応しているところであります。  下請問題全般に対する体制として、建設省では、必ずしも専任というわけではございませんけれども、二課四係十名で対応しております。このうち、特に下請代金不払い問題ということになりますと、直接の担当は一係ということで限られておりますが、相談案件の状況に応じまして、部内の他の係から人員を投入するというようなことを含めて、極力適切な対応に努めているところであります。
  199. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 十名ということでありますが、直接担当しているところは、建設業課調査指導担当というのがありますね。これは何名いますか。
  200. 風岡典之

    風岡政府参考人 御指摘調査指導係につきましては、係長と係員という体制になっておりますけれども、この問題につきましては、専門官その他の応援も含めて対応しているというのが実情でございます。
  201. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 直接担当は二名しかいない、係長と係員。これで、先ほどの何十万という建設業、そういう下請賃金の支払い問題に関連する訴えを聞くというわけですから、これでは全然対応できないと思うんですね。  それでは建設大臣、この下請賃金支払い問題に関して、建設業法四十一条に基づいて勧告を出したことは今までにありますか。
  202. 中山正暉

    ○中山国務大臣 結論から申し上げますと、今までには勧告を行った例はございません。  これは、元請業者からすれば、その立てかえ払いが、既に支払った下請代金の二重払いという側面を持つために、勧告等の行政権限の発動によるよりも、まず当事者間で十分話し合ってもらうということが大切でございまして、元請業者が納得した上で円満に解決が図られていくことが望ましいということになっております。  このような認識のもとで、建設省では、業者団体に対する指導等を通じて不払い問題の発生の未然防止を図るとともに、不払いに対する個別の相談に対しましては、当事者双方の事情をそれぞれ聞きながら、その解決に努力をしているということでございまして、不払いの問題解決のために、その未然防止と当事者間の円滑化に努めてまいるということでございますが、今までには百八十件ぐらいの調査指導係に対する問題の持ち込みがございました。  これは、今もお話がございましたように、局長から御答弁申し上げましたように、ほかのところからも人手を借りまして、五、六人から十名ぐらいで対応しておりますが、解決をしたということで感謝の連絡もありましたり、問題解決いたしましたということで。  都道府県関係の業者も大変多いものでございますから、これは現場を担当しております都道府県の知事のもとでの指導ということに私どもは重点を置いておりまして、建設省、直接の関係というのは非常に少ないものでございますので、その辺の御理解もいただきたいと思います。
  203. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 勧告を出したことは一度もない。  私ども、いろいろ聞いておりますけれども、相談に行っても、実際になかなか解決しないのですよ。ですから、当事者間の話し合いにという話もありましたが、親企業と下請企業の関係を当事者同士で話し合えと言ったら、力の強い方が当然発言力は大きくなるわけですよ。そういう関係をよく見て、下請の立場に立ってどう対応するのか、このことをやらなければならないというふうに思うわけです。  ですから、私は、今の体制は、公取も通産省も建設省も、下請そのものに対してまともな相談を受ける体制になっていない。そればかりか、下請の要望もまともに受け付けるような体制になっていないと言わざるを得ません。  公取自身も、下請取引の問題で、九八年の公取白書で、「下請事業者からの下請法違反被疑事実についての申告が期待できない」。親企業を告発するようなやり方はなかなかできないのだと。実際、下請法違反が申告によって明らかとなった件数は二十二件しかない。こういう状況で全国数十万の下請の利益を守るということは、私はできないと思います。  この際、下請検査官の人員を抜本的に増強すべきだ、この点について、まず通産大臣、具体的に増員ということをぜひ考えていただきたい。
  204. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 佐々木委員が下請企業を守ろうとするお気持ちはよくわかります。そして、下請企業に対する問題が起こったことに対してほとんど何もこたえていないというその言葉は、行き過ぎではないかなと私どもは思っています。  私どもは、毎年六万四千四百の企業に対しまして、まず書類の調査を行います。その場合に、親事業所はすべてでございます。下請事業所はサンプルで、二万七千ぐらいでございます。そういう中で問題があると考えたときには立入検査を行いまして、最近の実績でございますと、二千五百カ所の立入検査を行いました。そして、確かに問題があるという場合には厳しく改善指導いたしますが、その件数は千六百二十二件でございました。そういう意味では、これからも一層強化していく必要があると考えて、そこはあなたと同じ意見でございます。  それから、サービス業について、私、聞かれたわけではないのですが、立ったついでに申し上げて恐縮でありますが、ただいまその実態の把握と分析を進めています。  といいますのは、製造業の場合には、大企業と中小企業という、上と下の関係はかなりはっきりしているのでありますが、サービス業でございますと、例えばソフト、コマーシャルなどをつくった会社は、小さい会社から大きい企業に、逆に上に出すわけでありますから、どっちが下請かという判断がなかなかつきにくい面もあります。だから、そういう実態をしっかり把握した上で対応していくことが必要ではないだろうかと思います。  それから、下請代金検査官の人数につきましては、基本的にはふやしてもらいたいという思いを持っておりますけれども、ただいま行政改革の観点から、全省庁挙げて職員を減らせという状況でございまして、なかなか難しい面がありますが、必要に応じてふやすように私としては努力をするつもりでございます。  そして、ただ人員を増加せよというだけではありませんで、これらの情報技術を、これから例えばコンピューターその他もろもろ使いまして、さらに効率化していくということも大事なことでありまして、それらを踏まえて努力をしていきたいと思っております。
  205. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 建設大臣、下請の相談窓口の人数をふやすという決意を聞かせていただきたい。
  206. 島村宜伸

    島村委員長 時間が到来しておりますので、短目にお願いします。  中山建設大臣
  207. 中山正暉

    ○中山国務大臣 簡単に答弁を申し上げたいと思います。  傾向としては、建設業の場合、一社がつぶれると二社、三社と新しい建設会社ができていくというようなことで、五十八万六千ばかりの社種があるわけでございますが、大体九八・二%の五十七万五千二百三十が知事の所管、都道府県の所管でございまして、大臣認可というのは一万八百十五社しかございません。一・八%でございます。  そういう意味で、これから、下請代金にかかわる実態調査、それから指導等に関する関係省庁との連絡、中小企業庁などと協力体制を確保いたしましたり、それからまた、相談業務の状況等に応じて部内における機動的な応援体制を整備いたしましたり、先ほど申しました都道府県に対して相談窓口の開設等による助言それから指導体制、これを徹底してまいりたいと思います。  亀井大臣のときに、全国のいわゆる専門工事業者のそういう、経済局に対する窓口みたいなものをつくるということを始めたのでございますが、そういう意味で、専門工事業者その他の下請関係人たち情報をこれからも収集してまいりたい、かように考えております。
  208. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 終わります。
  209. 島村宜伸

    島村委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。  次に、北沢清功君。
  210. 北沢清功

    ○北沢委員 社民党の北沢でございます。  玉沢農水大臣、先ごろのシアトルにおけるウルグアイ・ラウンド交渉につきまして、大変御苦労さまでした。私は、国会では数少ない実は農家出身の議員でございまして、日ごろ大臣の非常に御熱意ある農業問題に取り組んでいるお姿を見て、心の中で尊敬をしております。  今回のWTOは、いわゆる反ダンピング措置などをめぐって各国の意見対立が解消できず、実は事実上決裂したわけでありますが、せっかく、私ども待っておりまして、きのうも首相だけであれでございますので、農水大臣としての会議に臨んだ経過はどうだったのか、簡潔にお願いしたいと思います。  それから、もう少しまとめて申し上げますが、農業分野は、前回のウルグアイ・ラウンドの合意に従って、二〇〇〇年から再交渉がスタートすることになりました。社民党は、これからのWTOの農業交渉では、農業、農村の持つ多面的な機能を重視し、自国の食糧を自国で生産することを基本とした新たな農産物貿易ルールをつくる必要があるというふうに考えております。  特に、二十一世紀は人口爆発の世紀、飢餓の世紀だとも言われますが、農産物の自給率が低く、食糧を他国に依存している国にとっては、このまま自給率が低下をし続けることは国家の死活問題につながるのではないか。したがって、日本の農業の崩壊につながる農産物の自由化は絶対に認めない立場を堅持すべきだと考えるわけでありますが、政府は今後どのような方針で交渉に臨むのか。  また、新たな農業基本法が先ごろ制定をされたわけでありますが、その中の、私ども、議会の法案の修正といいますかは、自給率の向上でありますから、農業基本法そのものも米が過剰になればその存在意義がなくなるわけでありますから、その点についても農水大臣に簡潔に御答弁をお願いいたしたいと思います。
  211. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 委員の御主張のとおりでございますが、今回のWTOの閣僚会議にどのような姿勢で臨んだかという点から申し上げたいと思います。  我が国は、貿易立国でありますがゆえに、貿易全体を否定するということはできないと思います。しかしながら、農産物貿易はWTOの体制の中におきまして五年前に初めて協定が出されたわけでございまして、その協定の中の第二十条におきましては、あくまでも、農業貿易に関しましては、いろいろな点について、例えば非貿易的関心事項とかあるいは食糧の安全保障とか、そういうところに配慮しながら協定を結ぶべきことと、こう書いてあるわけでございます。  したがいまして、最初から鉱工業品と同じような農産物の貿易をしよう、こういう提案がケアンズ・グループと言われる国々からまずなされました。それに対しましては、私どもはあくまでも、次期交渉におきましては、農業協定二十条に基づいて行われるべきことでありますから、鉱工業品と農産物貿易を同一のルールに置くべきではない、これを主張しまして、ほぼこの点については各国の理解を得られたと考えております。  同時に、農業が持つ多面的機能でございますけれども、この多面的機能という言葉を文言の中に入れてより明確にすべきであるという主張に対しましては、残念ながら、多面的機能という言葉は、最後の閣僚宣言案の中においてもなかなか言葉そのものを受け入れるというところまではいかない状況でございました。  そういうことで、最終日の三日におきまして、朝の六時半から十三時半まで議論したのでありますが、結論がつきませんで休憩に入ったわけでございますけれども、休憩後におきまして、EUの代表が出席できずに、これは、特に輸出補助金の撤廃、この撤廃という言葉をとるべきかどうかということについてEUは反対しておったわけでございますので、そういう点において意見が一致しなかったかと思いますが、加盟国の同意が得られないままに休憩後の会合に出席しない、こういうことになりまして、ほかの分科会も意見が合わないうちに結局凍結の宣言がなされた、こういう趣旨でございます。  したがいまして、私は、特に強調いたしましたことは、今回の会議における成功のかぎは、各国の農業が共存共栄をできること、先進国も開発途上国も同じように繁栄ができるという体制がとられることが大事である、特に農業はそれぞれの国々の特質を持っておるわけでございますので、その特質を理解するようにしていくべきではないか。  それは、特に日本の場合におきましても、食糧の安全保障、食糧の自給率の向上、こういう点、それからまた、日本の持っておる自然的な特質の中に、条件の中に農業というものが営まれておる、したがって、主要な食糧といいますものはみずからの手によって確保すべきである、こういう観点を忘れずに貿易ルールの中に入れるべきこと、これを主張してまいりましたし、今後もそれを主張してまいらなければならぬと思っておるわけであります。  今回、凍結という形で終了したわけでありますが、協定におきましては、農業とサービス部門は来年から交渉をすることが決められておりますけれども、しかし、その他の部門との包括的な問題と一緒にやるかどうかということもございまして、期間につきましては、いつやるかという点におきましてはまだ不透明であるということを申し上げたいと思います。  以上です。
  212. 北沢清功

    ○北沢委員 ぜひひとつ頑張って今後も取り組んでいただきたいということを要請いたしたいと思います。  今国会は中小企業国会と言われておりますので、これの対策についてお伺いをしたいと思います。  第二次補正予算の焦点の一つ、中小企業等金融対策は、民需主導の景気回復を軌道に乗せるためには中小企業が中心的な役割を果たす必要があるという認識に立ったと考えるわけですが、実は、中小企業基本法の改正が先ごろされたわけで、政府は、既存企業の支援からベンチャー等促進へと転換を鮮明にされました。  これは私は、今の新生中小企業のあり方としては支持できるわけでありますが、日本経済が国際大競争に生き抜くために、依然として、経済的弱者であるいわゆる既存の中小企業を見捨てるのではないかという意見が、実は私ども末端に帰ると、そういう意見が非常に私どもに寄せられております。このことは、昨日のトップバッターである自民党の自見委員の御発言の中にも、いみじくもそのような意見が非常にあるということを実は指摘されております。  そういう意味で、議会の中で、私は実は商工委員をしておりまして、本会議での首相の答弁がなくて、提案に対する答弁、やりとりがなく、また私ども商工委員会にも御出席お願いしたのでありますが、それもなし。それから、今までの論議も余り見るべき首相の答弁がありません。これをもって国会の最大の、中小企業対策国会であると言うことは、私は非常に不満であります。でありますから、やはり首相の熱意というものが国民に伝わるような、中小企業者の厳しい今の状況に伝わるような姿勢というものは首相は持つべきではないか、そういうふうに御忠告を申し上げたい。  中小企業が持たざるを得ない不利を是正して、生産性や取引条件の向上を図ること、また、単なる融資、投資支援だけではない、人的な、人材育成、人づくりを行うべきと考えますが、通産大臣、いかがでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  213. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 北沢委員が熱心に中小企業問題に取り組んでおられること、よく存じ上げております。  今国会、中小企業国会と名づけたわけでありますが、衆議院の本会議に総理が出なかったということで批判もありましたが、これは専ら議運で決めていただいたことでありますから、決して総理はそのような意欲がないということでないということを、私からも申し上げさせていただきたいというふうに思います。  中小企業に活力を持っていただくためにはどうしたらいいかということで、中小企業基本法についての見直しからスタートいたしました。野党も含めて大変賛同していただきまして、感謝をいたしておりますが、昭和三十八年につくった基本法の時代は、いわば大企業と中小企業を二重構造の形でとらえて、その格差をなくすことが専らの仕事でありました。しかし、現実はそうではございませんで、それはそれなりの時代の効果はあったのですが、今はむしろ中小企業の多面性に着目をして、それぞれにふさわしい政策的な対応をしていくことが中小企業全体が活力を持つゆえんではないか、こう考えたわけでございます。  そこで、例えばベンチャー企業の問題、創業の問題等入れましたけれども、これは御案内のように、創業率が近ごろ大変低くなって廃業率が高い、そこに日本の経済の活性できない背景がある、こう考えて、中小企業にそのような分野に新たに目覚めていただく、そこに新しい道を見つけていただく、最もふさわしいのは逆に言えば中小企業だという観点からこれらの方針を立てたわけでありますが、それは、従来からある小規模企業や零細企業と言われるそういうところを見捨てるということとは全く違いまして、多面的に考えるというその一面であるというふうにぜひ御理解をしていただきたいと思うのであります。  今回の基本法の改正及び関連法律案、いろいろございますけれども、中小企業を総合的に支援するためには、まず三つの観点から、私は、政策の基本理念として裏づけています。  一つは、多様な中小企業に対する経営基盤の強化。この中には、例えば小規模企業に対して無利子の設備資金の貸し付けを新たに行う。全体の事業規模で一千億円程度に及ぶような、そのような準備をしよう。  第二は、セーフティーネットの整備でございまして、中小企業を囲む経済的、社会的環境が変化する場合、その変化を緩和し、環境変化の適応の円滑化を図るという観点に立っております。  第三は、中小企業者が新商品を開発するなど新しい事業活動を行う場合の経営の革新、創業の促進など、事業活動に着目した、例えば資金であるとかノウハウの支援であるとか、さまざまな政策を掲げております。  これからの中小企業施策の立案や実施において、多様な中小企業のニーズにどうこたえるか、我々はきめ細かな政策展開を行ってまいりたいと思います。そのためには、人づくり、物づくり、いずれも重要と受けとめております。
  214. 北沢清功

    ○北沢委員 企業をやる者は、やはりやる気と人間だと思います。そういう意味で、人材養成については今後もっと積極的に考えていただきたいと思いますし、私は、二十年来の政府の中小企業予算というのをずっと見てまいりまして、非常に低いのですね。それで、ほとんど伸びていない。そういうことを見て、果たして中小企業が国の商工業の一つの中心だろうかということになると、有利な大企業には大きな金を出すけれども、中小企業には非常に少ない施策しかない、そういうふうに言われると私は思います。  これは私の資料でありますから、今回の、いわゆる我々を見捨てるのじゃないかということは、ベンチャー予算というものがずっと出てきて、何か非常に、既存の五、六百万の企業の数と、いわゆるベンチャー企業は今十四万ですか、これを十万伸ばすということになると二十四万ですね。そういう面で、大方の今厳しい状況にある中小企業の皆さんの願いというものがもっと予算面で、施策で反映をしてこなければならない。そこに見捨てるのではないかという言葉があるのではないかというふうに私は考えますので、この点については、今後における通常国会の予算の取り組みにおいてもぜひ生かしていただいて、とにかく厳しい中小企業、雇用も含めて大変な状況でございますので、その活性化を図っていただくようにお願いをいたしたいと思います。  中小企業の雇用は、七割を支えている地域経済の重要な基盤でございます。景気が低迷し、規制緩和が進む中で、中小企業を取り巻く環境により厳しくなっているなど、公正取引委員会は、中小企業の利益を害するような行為については、先ほども問題になりましたけれども、独禁法、下請法などをもって厳正に対処をすべきではないかと考えますが、この点についても御答弁をいただきたい。  もう一点、まとめますが、厚生大臣には、社会保険料の支払いが、非常に滞納が多くて困難でございます。これは深刻な、消費税の滞納と含めて、大変な状況でございますが、中小企業に対する支払いの猶予等の措置を延長する考えはないかどうか、この点についてもあわせてお答えをいただきたいと思います。
  215. 根來泰周

    根來政府特別補佐人 いわゆる独占禁止法は、公正にして自由な競争を確保するということを理念にしております。そういうことで、公正を欠落したというような競争については厳正に対処するつもりでありますし、これまでも、不公正な取引方法ということ、それから先ほど来御議論のありました下請法等を活用いたしまして、厳正に対処しているところでございますが、なお不十分なところがございますので、最近では民間の方々の御助力をお願いして、商工会議所とか商工会とか、あるいは独占禁止法政策委員お願いして、いろいろ情報を把握し、その情報に基づいて対処しているところでございます。よろしくお願いします。
  216. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 今日の経済情勢のもとで、企業にとりまして社会保険料というものの負担が大変厳しくなっているということは、十分に承知いたしております。しかしながら、健康保険、厚生年金制度は、被保険者と事業主が負担する保険料によって成り立っておるわけでございますし、制度を安定的に運営していくためには、保険料を確実に払っていただかなければならないわけでございます。  したがいまして、経済情勢に左右されるものではありませんで、かつて、阪神大震災のように、事業所が壊滅をして、そして給与の支払いもままならない、こういうようなごく特殊の場合を除きましては、保険料は必ず納付していただく、こういうような仕組みになっておるわけでございますので、御理解を賜りたいと思っておるような次第でございます。
  217. 北沢清功

    ○北沢委員 持っている中身というのが非常に厳しいということだけは、私から伝えておきたいと思います。  私は、大手銀行の貸し出しに触れてですが、後で大蔵関係の御質問にもする面もございますが、今回十兆円の追加が決まった貸し渋り特別保証は、補正予算に四千五十億円が計上されております。しかし、民間金融機関、とりわけ公的資金を投入したいわゆる——きょうのニュースを私はさっき見ていまして、九月末の貸し渋りの現況に触れて、いわゆる銀行の目標値の四〇%しか実績がない、そういうことが実は報道をされておりました。これは、資金の貸し出しと同時に、非常に実情にないような資金の回収という面も含めて、大手銀行の横暴といいますか、貸し出しぶりは、目に余るものがある、そのことがきょうのニュースで指摘されたわけであります。  今回の対策で貸し渋りがどの程度解消する考えであるのか、通産省は十分対策できると思っているのか。また、こうした大手銀行の不誠実な対策や政策の不十分さについて、金融再生委員会としてどう認識をされておられるか、金融機関への厳正なる対処は必要ないのかどうか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  218. 村井仁

    ○村井政務次官 ただいま北沢委員からお尋ねのございました件でございますが、中小企業向け貸し出しにつきまして、本年三月に資本増強を行いました十五行の平成十一年九月末の中小企業向け貸出残高というのは約百十四兆円でございまして、この半年間で七千億円ほど増加しております。  この計画におきましては、四月から一年間の増加目標を約三兆円、このようにしているわけでございますが、半年を経過した時点での増加額が七千億円ということで、確かにまだまだ少ない。これは、委員指摘のとおりでございます。  私どもといたしましては、貸出実績をよくまた吟味をいたしまして、これからの年末、年度末の資金需要期に向けまして、中小企業向けの貸し出し増加のための新たな施策をさらに銀行に求めていくなど、引き続き当初の計画達成に向けた努力を促してまいりたい、そのような決意で今後とも頑張ってまいりますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
  219. 北沢清功

    ○北沢委員 店頭公開を目指す企業、特定分野に強みを発揮する企業、つまり政府はベンチャーを定義し、補正予算が四千億円近く計上されております。しかし、生活者としての視点や発想を生かした商品やサービスには、実は地域で高いニーズがあるというふうに思っております。地域に暮らす女性であるとか、中高年齢者であるとか、障害者の方々がいわゆる生活基盤型の創業や経営に対する支援について今求められているというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  220. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 先ほどもお話が出ましたが、新しい事業を起こす、とりわけベンチャー企業を育成していくということは、これからの日本の経済の活性化に大変大事なことであります。  その場合に、中小企業がその分野を開拓するという点では、技術その他極めて小回りがきくという点でも効果を上げると思っておりますが、御指摘のように、ベンチャー企業に対しての役割の中で、女性であるとか高齢者であるとか身障者といった方々も意欲を持っておられるようでありまして、こういう方々の意欲を生かすということは大変大事なことだというふうに考えています。  このため、本年度から、女性や高齢者の起業家の方々のための低利貸付制度を中小企業金融公庫及び国民生活金融公庫に創設をしたところでございまして、これらを大いに活用して前進していただければありがたいと思っています。
  221. 北沢清功

    ○北沢委員 次に私は、商工ローンの問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、大手銀行に対する甘い指導と政府系金融機関の柔軟性を欠く対応によって小規模企業者を商工ローンに向かわせた大きな実は一つの要因があると私は思います。  商工ローン、消費者金融問題が社会問題化している最大の原因は、罰則適用金利が四〇・〇〇四%と非常に高い、企業的に成り立たないような、もう完全に破産をするという金利にあるというふうに思います。  今回の与党の改正案をお伺いいたしますと、現行の出資法を改正して、罰則金利を二九・二%にするというものでありますが、業界は既に三〇%前後で貸し付けを行っております。この程度の引き下げでは何ら解決にならぬではないか。罰則金利は、最低でも利息制限法の金利まで引き下げるべきだという意見もございますが、預金金利は現行〇・一%であります。利息制限法の金利でも預金金利の二百倍という金利になる。与党案では預金金利の三百倍でございます。  今、銀行の商工ローンへの融資が問題になっておりますが、銀行の業界への貸出金利は一・八八%、長期金利では二・二九%であります。それが三〇%、四〇%の金利で中小企業や消費者に融資をされて、貸し出しされている。このことの異常さを思えば、常識的には利息制限法よりもさらに引き下げる必要があるではないかという見解もあるわけでありますから、ここら辺を含めて今後の取り組みについて、日栄問題が重要な焦点になっておりますから、それらについて速やかな対応をしていただけるようにお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  222. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題につきましては、本国会におきまして両院の関係委員会で、ただいまお話しのような報道をされております事件を中心に、非常に時間をかけ周到な御検討をしていらっしゃいまして、ただいまの情勢は、両方の関係委員会あるいは各党の方々の間で、議員立法で現状を改めなければならないだろうというお考えに傾いておられるようでございます。  これにつきましては、実はその経緯がございまして、昭和五十八年に同じような問題があり、そして、同じように両院の委員会が関与をせられました。そのときの問題はサラ金の問題であったわけでございます。今度の問題とは違いましてサラ金の問題であったわけですが、基本的には、大変に高い金利、不当ではないかということに対して、いや、それでも借りなければならない人があるというような現実がやはりございまして、一〇九%という金利を結局、何段階かを経て現在の四〇%まで下げられました。それが今日の姿で、それが高過ぎるというふうに今回また問題になったわけでございます。  今度問題になりましたのは、そのことのほかに、取り立ての方法がいかにも常識を逸しておること、あるいはほかの取引には余り聞きません根保証という慣習がありまして、しかも、その根保証の保証者が自分の保証義務について十分な認識を持っていないというような、まことに両院の委員の方々も意外に思われるような事態でありましたので、それらの問題を含めまして、前回の対処が議員立法においてなされましたので、今回もそういうことが適当ではないかということで、かなりお話は煮詰まっておるようでございます。  政府といたしましては、五十八年のそういう経緯もございましたし、このたび両方の委員会が積極的に関与をされましたので、お手伝いをすることはもちろん何でもお手伝いをいたしておりますけれども、結局、両院を通じてのこの国会における立法という形で問題が解決される、関係業界においても自粛等々いろいろなことは確かにあるようでございますけれども、結局は立法によることになるものというふうに考えておりますし、政府もその方向に対して賛成をいたしております。
  223. 北沢清功

    ○北沢委員 必要悪だという表現もございますが、私はやはり、四〇%以上の金利を払うということは大変なことで、低金利というよりはもう金利のないような状態の預金者を含めて不満が高ずることはもちろんですし、また、大銀行が貸し渋りの中でもうかる方へ回すということもおかしな話である。  したがって、その辺については議員立法も考えておられると思いますが、私は、二年前にこのことに取り組んだことがございまして、当時は大蔵省と法務省だと思いますが、お呼びをしてやりました。そのときは途中で立ち消えになりまして、私は、バブルのときのノンバンクの舞台裏をよく知っているんです。そのときはやはり、議員の皆さんも何か支援をするというか、そういう業界を支援する力が強くて、なかなか変えられなかったということもございますから、ぜひ議員立法についてはひとつ適正な金利にするように、特にこの席からお願いを申し上げたいと思います。  それから次に、同郷の先輩であります村井次官さんから先ほど御答弁をいただいたわけでございますが、私ども、バブル後における不良資産というもの、不良債権といいますか、これは、アメリカなんかではもっと早い時間にバブルが生じて、相当厳しい、しかも短期間に処理をした。日本の歴代の政府がこれを先送りにしたことが今日の不況の大きな原因である、日本が経済的に立ち上がれない原因である、そういうふうに言われておりますし、また、消費の低迷もその一つの大きな問題になるわけであります。  だから、公的資金を導入したりしていろいろ努力をされていると思いますが、我々は、今後の経済動向を知る上において、今日の不良債権とか資産とか、または企業の持っている不良資産について、なかなか見方によって金額が違うんですが、政府がつかんでおられる不良資産または企業の持っている資産について、この際お教えをいただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  224. 村井仁

    ○村井政務次官 現在、これはいろいろな形で整理をしてお答えしなければならないわけでございますが、まず、預金取扱金融機関につきましては、十一年三月末、ことしの三月末におけるリスク管理債権の額でございますが、これは、一部の金融機関でその対象を広げたというようなこともございまして、合計しまして三十八・七兆円ということでございまして、ちょうど一年前、十年三月末の三十八兆円ちょうどと比較しまして微増しております。わずかふえております。  それからさらに、これはちょっと半年前のことでございますから、主要十七行だけ、決算の短信等で公表している十一年九月末のリスク管理債権は十八・六兆円となっておりまして、こちらの方は十一年三月期末より一・六兆円の減少、こういうことになっております。  それで、不良債権の処理状況について見ますと、金融監督庁の集中検査の結果やあるいは金融再生委員会が資本増強の審査に当たって定めました償却引き当て基準等も踏まえまして、抜本的な償却引き当てに取り組んだ結果、合計で約十兆四千億円の不良債権処理を十一年三月末までに行ったところでございまして、私どもの認識といたしましては、過去の不良債権の処理につきましては、基本的には本年三月期をもって終わっている、このように見ております。  それから、保険会社についてでございますけれども、十一年三月末におけるリスク管理債権は、直接償却等を積極的に行いました結果、生命保険会社につきましては、十年三月末に比べて約一・三兆円と、約〇・四兆円減少しておる。それから、損害保険会社につきましては、約〇・四兆円、十年三月末に比べまして微減、こういう状態でございます。  今後とも、景気やあるいは地価の動向、それから個別の債務者の業況等に応じまして、不良債権が随時これから出ていくことは考えられますけれども、各金融機関とも引き続き適切な償却引き当てを行っていくものと私どもは理解しております。  以上、お答えさせていただきました。
  225. 北沢清功

    ○北沢委員 不良資産について、旧債についてはほぼ返したんではないかというふうに言われておりますが、新たなということと、ビッグバンに対応して、いわゆる金融の自由化というものは、日本ではアメリカと違って保険まで実は業務を広げてあります、金融・保険という形で。それで、やはり今保険業界も、最近また東邦生命やいろいろなところで問題になっておりまして、私は、日本の大銀行、保険会社、また大会社もそうですが、ほとんど外国の大企業と結んで、いわゆる無国籍な企業になりつつあるのではないかというふうに実は心配をしているわけであります。  これはこれとして、経済のグローバル化ということでやむを得ないことかもしれぬが、日本の持っている、蓄積をされた余剰資金といいますか、それがやはり大きなねらいどころになっていますから、それをどういうような形で守っていくか。または外国へ流出する方が有利であるかどうかということについても、よくこれから論議を深めていかなきゃいけないのじゃないかというふうに私は思いますので、不良資産については、今まで少なかったけれども最後に来たらまた多かった、金融機関もそうですね、そういうことを含めて、速やかにひとつ不良資産を解消して、少なくとも金融の軌道に乗せていただくように特に御要請をいたしたいと思います。  最後に、地球の温暖化対策と環境税の導入についてですが、これは九七年のCOP3の京都会議で、私も参りました、我が国の目標として目標値を決めてございます。やはり自動車からの排出が非常に大きいウエートを占めているのですが、環境庁も、自動車関係諸税の見直しをしたり、環境税の導入を検討すべきだというふうに思いますが、もはや温暖化対策が進まないことは、この間の業界の取り組みを見ても実は明らかだと思いますね。環境税の導入は不可欠だと思いますが、大蔵省、環境庁の御答弁をいただきたい。  それから、時間がございませんのでもう一問だけ申し上げますが、環境社会法について、実はきのうの環境庁の審議会で一定の答申があったようでございます。とにかく、産業廃棄物やダイオキシンや化学物質による汚染が発生をして、処理施設や処理業者に対する国民の不信というものは、新しい立地が困難なぐらい実は高まっております。リサイクルの推進がまさに緊急を要する、焦眉の急でありましたが、政府の打ち出した今回の対策では、やはりその実効性が余り期待できない。政府の計画目標は、あくまで努力目標であって、何ら法的な根拠があるわけではなくて、産業界や国民に義務を課するものではないからでありますが、実効を確保する施策として、厚生省または環境庁はどのように考えておるか。  それから、廃棄物の容器包装、家電リサイクル法等の実施等の実効性を上げるものとして、法律では、発生抑制とか再使用という視点が実は欠けております。リサイクル品の利用普及を促進する施策が伴っていないなど、実は大きな問題がありますので、我が党は、深刻なごみ問題を処理する立場から、この点についても循環社会法というものをつくるべきである、早急に制定が必要だということでありますから、この面についてもひとつ御答弁をいただきたいと思っております。  以上です。
  226. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 たくさんの御指摘をちょうだいいたしましたけれども、まず、環境税について申し上げたいと思います。  環境税を初めといたします経済的手法の導入、これは、いわゆる規制的措置になじまない不特定多数の排出源からの環境負荷を効率よく抑制することが可能な政策手段であると心得ております。このため、先生御指摘のように、地球温暖化対策として非常に有効な手段だというふうに認識しておりまして、大きな関心を持っております。  温暖化対策を進める際の主要な経済的手法といたしましては、この環境税のほかにも、先ほど御指摘いただきました京都議定書にも盛り込まれた排出量取引制度等もあるわけでございます。さらに、現在環境庁が要望しておりますいわゆる自動車税制のグリーン化もその一例でございまして、関係者の皆様方に御理解いただけるように全力で取り組んでいるところでございます。  また、環境庁といたしましては、検討会の場におきまして、今経済的手法の導入につきまして研究をしているところでございます。経済界の方、有識者の方々からヒアリングをちょうだいしているところでございます。今後とも、その適切な導入に向けまして、経済的な状況あるいは国際的な連携に配慮しつつ、国民の皆様方に御理解と御協力をちょうだいしながら検討を進めてまいりたいというふうに思っております。  さらに、ごみの少量化のことにお触れいただきました。  いろいろな問題があろうかと思いますけれども、自民党、自由党、公明党の連立政権をめぐる政権協議におきまして、来年度を循環型社会元年と位置づけまして、基本的枠組みとしての法制定を図ることが合意されたことを踏まえまして、循環型社会の構築に関する基本的枠組みとなります法を具体的に検討することで作業を今進めているところでございます。  今後とも、これらの取り組みを通じまして、関係省庁とも連絡、協調しつつごみの減量化をぜひ進めていきたいと思いますし、従来のように大量につくって大量に捨てていたような時代を、やはりライフスタイルをぐっと変えていくということにもぜひ努力していきたいと思っておりますので、ぜひ御協力をちょうだいしたいと思います。  ありがとうございました。
  227. 島村宜伸

    島村委員長 これにて北沢君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして平成十一年度補正予算三案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  228. 島村宜伸

    島村委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。五島正規君。
  229. 五島正規

    ○五島委員 私は、民主党を代表して、今回の第二次補正案に対し、強く反対する立場から討論を行います。  まず、今回の補正予算案に対して我が民主党が到底容認し得ない第一の要目は、この予算案は、経済対策に名をかりた既得権益へのばらまきであるということであります。すなわち、我々は、今回の補正予算案の問題は、その規模ではなく、その質にあると考えています。  ところで、総理も御承知のように、昨日七—九月期の実質経済成長が前期比マイナス一・〇%ということが発表されました。政府は、経済新生対策にも「公需から民需へ」と美辞麗句を連ねておりますが、民間企業の設備需要や個人消費は、いまだ回復するに至っていません。それもこれも、公共部門への投資が民間部門の需要を喚起するに至っておらず、公共投資先が、政権与党の既得権益に左右され、投資効果の薄い場所に集中するためであると言えます。一方では、公債依存度は四三・三%。国と地方を合わせた長期累積債務残高は六百兆円という財政赤字は危機的なレベルに達しています。  我々は、経済対策を否定するものではありませんが、経済対策という名の何ら中身のない、単なるばらまきには絶対にくみすることはできません。  第二点は、自自公政権そのものの談合体質であります。  今回の臨時国会は、自自公政権が初めての審議の場でございましたが、年金改正法案のように、十分審議が尽くされたとは言えないのが現状であります。巨大与党の数を頼み、国民生活に欠くことのできない年金問題を与党の密談だけで通そうとする、その傲慢さこそ自自公政権の正体と言えます。  また、スタート目前にして介護保険を見直すなど、選挙目的のばらまき体質につかった野合政治そのものだと言わざるを得ません。これでは介護保険準備に取り組んできた自治体に水を浴びせかけるようなものであり、今回のどたばた劇で、我が国の介護の社会化は大きく立ちおくれたと言わなければなりません。このような重要な問題もすべて自自公による密室の中だけで決めるという、この状況に発しているのであります。  そして第三に、景気回復最大の障害はこの政権の統治能力の欠如にあるということであります。  東海村の臨界事故への対応にも見られたとおり、総理の指導力、内閣の危機管理能力には全く信用が置けません。特に、多くの方が被曝し、恐怖に震えているその間、この政権最大の関心事は、嘆かわしいことに内閣改造であり、水面下の猟官運動、ポストの取引でありました。  以上、私ども民主党は、第一に、今回の補正予算は単なる景気回復なきばらまきであると同時に、第二に自自公政権の談合体質、第三に、政権の統治能力の欠如こそ日本経済再生への最大の障害であるというこの三点から、今回の第二次補正予算案に対し、断固反対を主張して、討論を終わります。(拍手)
  230. 島村宜伸

    島村委員長 次に、春名直章君。
  231. 春名直章

    春名委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました一九九九年度補正予算三案に対して、反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、本補正予算案がまさにゼネコン、大銀行への大盤振る舞い予算になっていて、肝心かなめの不況打開に役立たないからであります。  消費不況と財政危機という日本経済の二重の危機を打開するためには、財政の浪費的な支出を徹底的に切り詰めると同時に、国民本位の不況打開策に転換することが必要であります。ところが、本補正予算案は、浪費的な支出を改めるどころか、空港、港湾、高速道路、整備新幹線などゼネコン型の公共事業を大幅に積み増しするものであり、これでは深刻となる不況打開に役立たず、財政危機が一層加速することになるのであります。  また、ずさんな経営が明らかになった長銀、日債銀などの破綻処理の穴埋めに、赤字国債に加えて九八年度の剰余金、NTT株式売却益までも充当し、合計一兆九千億円もの償還財源が充てられることになるのであります。これによって七兆円の枠すべてを使い切ることになり、今後さらに交付国債枠が拡大され、とめどない銀行支援の税金投入を一層推進するものになりかねません。  第二は、本補正予算案は、介護対策、中小企業対策、雇用対策など、国民生活に深くかかわるどの問題についても、国民的立場から打開するものとなっていないことであります。  政府の介護保険見直し対策は、保険料の徴収凍結期間に行おうとする基盤整備は極めて不十分なものであり、高齢者、低所得者への保険料、利用料引き下げや減免制度、認定制度の根本的な改善策もありません。しかも、財源は赤字国債で賄うものであり、一層国民の将来不安をあおるものと言わざるを得ません。  また、中小企業対策も、中小企業、ベンチャー支援の融資、債務保証が中心で、中小企業全体を底上げするものとはなっていないのであります。  さらに、雇用対策は、目玉とされている中小企業雇用創出特別奨励金は、現在の厳しい雇用情勢を変えるものとは言えず、特定地域・下請企業離職者雇用創出奨励金も、大企業のリストラに対する応急的な受け皿づくりにすぎません。  第三は、本補正予算案が最悪の借金依存型予算だということであります。  政府は、九二年のバブル崩壊以降、八回にわたり景気対策と称して総額約百七兆円も支出し、そのうち六十四兆円をゼネコン中心の公共事業の積み増しに充ててきました。ところがその結果は、景気回復どころか、財政危機を年々悪化させてきたことは否定できない事実であります。本補正予算案は、そのことを一顧だにせず、新たに七・五兆円もの国債を増発し、国、地方合わせた借金を六百八兆円にまで膨らませるものであります。財政再建の展望もなく、待っているものは消費税の増税を初めとした国民への大増税しかありません。  このような予算案は断じて認めることはできません。財政の浪費構造にメスを入れ、社会保障中心の予算、財政に切りかえることこそ、国民の暮らしと営業、社会保障を守り、同時に財政再建も進められる道であります。このことを厳しく指摘をし、反対討論を終わります。(拍手)
  232. 島村宜伸

    島村委員長 次に、濱田健一君。
  233. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、政府が提案している本補正予算案に対し、反対討論を行います。  反対の第一の理由は、六兆八千億円弱に上る予算規模にもかかわらず、国民の期待する方向とは大きくかけ離れているからであります。  小渕総理は、所信表明演説の中で、新規性、期待性、訴求性の三点を重視した、はっとする経済対策としたいということを強調しておられました。しかし、対策の多くは、名前が変わっただけの従来型公共事業の継続や、相も変わらぬビッグプロジェクトの重視などの、ワンパターンとも言える手法に終わってしまっております。  第二の理由は、その一として、介護保険制度のあり方自体を否定する特別対策費が盛り込まれたからです。  政府が今回提案した特別対策は、高齢者の保険料徴収を半年間凍結し、家族介護へ慰労金を支給するなど、介護保険制度を根底から覆すものと言わざるを得ません。保険料凍結は、保険料を払わずにサービスが受給できることになり、社会保険の意義を放棄するものです。また、慰労金は家族の美風に金品を与えればいいという余りにも前時代的な発想であり、介護の社会化という制度の本旨に真っ向から対立する内容であり、容認しがたいと言わざるを得ません。  その二として、基礎年金の国庫負担二分の一への引き上げが見送られたことも大問題です。  政府の年金改正法案は、次期改正までに国庫負担の引き上げを図ればよいとするなど、課題の先送り手法に終始しています。しかし、今年度実施することは、前回の改正法附則、そして自民党も賛成した全会一致の附帯決議にも明記された国会の意思、つまりは約束事なのです。だからこそ、最後の履行チャンスとも言える国庫負担増は、今回の補正予算に計上される必要があったのです。これを怠った政府責任は重大、かつ、政治に対する信頼は著しく傷つけられてしまったと指弾せざるを得ないのであります。  第三の理由は、依然として好転の見込みが希薄な雇用情勢等に関する対策が不十分なものに終わったことです。  雇用対策の面で政府が講じようとする施策は、いずれも地域などの制約がある点的対応にとまってしまったことから、生活の安定につながるような大きな効果は期待できないと言わざるを得ないのであります。  第四の理由は、中小企業対策に関し、強者の育成の論理があらわになったことです。  それは、いとも簡単に既存企業の支援からベンチャー促進への転換を鮮明にしたことからも明らかです。日本経済がメガコンペティションを生き抜くためにはやむを得ない選択だと言いたいのでしょうが、いかに時代が移ろうと、中小企業が経済的な弱者であることに変わりはありません。  以上、社会民主党・市民連合は、弱い立場に置かれている者をいたわりながらの総ぐるみの景気回復路線が望まれていたにもかかわらず、富める者、強者の育成を優先した新生を目指そうとする予算案を承認するわけにはいかないのであります。よって、政府補正予算案に反対であることを明らかにし、私の反対討論を終わります。(拍手)
  234. 島村宜伸

    島村委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  235. 島村宜伸

    島村委員長 これより採決に入ります。  平成十一年度一般会計補正予算(第2号)、平成十一年度特別会計補正予算(特第2号)、平成十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  236. 島村宜伸

    島村委員長 起立多数。よって、平成十一年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました平成十一年度補正予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  237. 島村宜伸

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  238. 島村宜伸

    島村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二分散会