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1999-12-10 第146回国会 衆議院 法務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十二月十日(金曜日)     午前十時十分開議  出席委員    委員長 武部  勤君    理事 笹川  堯君 理事 杉浦 正健君    理事 与謝野 馨君 理事 横内 正明君    理事 北村 哲男君 理事 日野 市朗君    理事 上田  勇君 理事 西村 眞悟君       太田 誠一君    奥野 誠亮君       鯨岡 兵輔君    熊谷 市雄君       熊代 昭彦君    左藤  恵君       菅  義偉君    高市 早苗君       藤井 孝男君    宮腰 光寛君       保岡 興治君    山本 有二君       渡辺 喜美君    枝野 幸男君       坂上 富男君    福岡 宗也君       漆原 良夫君    安倍 基雄君       権藤 恒夫君    木島日出夫君       保坂 展人君    園田 博之君     …………………………………    法務大臣         臼井日出男君    法務政務次官       山本 有二君    最高裁判所事務総局民事局    長    兼最高裁判所事務総局行政    局長           千葉 勝美君    政府参考人    (法務省民事局長)    細川  清君    政府参考人    (法務省刑事局長)    松尾 邦弘君    法務委員会専門員     井上 隆久君     ————————————— 委員の異動 十二月十日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     宮腰 光寛君   鯨岡 兵輔君     熊代 昭彦君 同日  辞任         補欠選任   熊代 昭彦君     鯨岡 兵輔君   宮腰 光寛君     加藤 紘一君     ————————————— 十二月九日  鹿児島地方法務局栗野出張所の存続に関する請願倉田栄喜紹介)(第一二五七号)  同(濱田健一紹介)(第一二五八号)  人権教育啓発推進のための法律制定に関する請願権藤恒夫紹介)(第一二五九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  小委員会における政府参考人出頭要求に関する件  電気通信回線による登記情報提供に関する法律案内閣提出、第百四十五回国会閣法第五九号)     午前十時十分開議      ————◇—————
  2. 武部勤

    武部委員長 これより会議を開きます。  第百四十五回国会内閣提出電気通信回線による登記情報提供に関する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長細川清君、法務省刑事局長松尾邦弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 武部勤

    武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 武部勤

    武部委員長 次に、お諮りいたします。  本日、最高裁判所千葉民事局長から出席説明要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 武部勤

    武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 武部勤

    武部委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
  7. 日野市朗

    日野委員 電気通信回線による登記情報提供に関する法律案審議に入るわけでありますが、私は、現在の社会全体がコンピューター化していくこういった高度情報社会においては、こういうシステムというものはぜひ必要だというふうに思います。そして、これをさらに充実をして、登記関係でもコンピューターによるいろいろな仕事ができる、そういう形にやがて進んでいくんだろう、こういうふうに思っているわけです。このシステムをつくろうというこの法律案審議するわけですが、これでこれをどんどん進めていこうという非常に大きな目標を設定してこの法律案が出されていると思います。  そこで、ちょっと伺いたいのですが、このように法律案も用意をして、これから仕事に取りかかるわけでありますけれども、それでは、現在の登記を取り扱う官署、これはもちろん法務局があって、それから地方法務局があって、そしてさらに支所、出張所という形でずっと系列があるわけですね。さて、このうちどの程度コンピューター化されているものなんでしょうか、ちょっと説明してください。
  8. 山本有二

    山本(有)政務次官 平成十一年十二月一日現在、全国登記所は八百七十二庁であり、そのうちコンピューター化がされている登記所は二百九十五庁であります。
  9. 日野市朗

    日野委員 登記事務というのはいろいろあるのですが、八百七十二庁あって、そのうちコンピューター化されているのが二百九十五庁。伺うところによると、不動産登記ではパーセンテージに直して約三〇%、それから商業登記では約二〇%、こういう数字が出ておりますが、これは間違いありませんか。概括の数字です。
  10. 山本有二

    山本(有)政務次官 不動産登記につきまして、コンピューター処理している全登記所二百九十五庁のうち十八庁におきましては、商業登記につきましても同処理を行っております。先生指摘のとおり、コンピューター化の割合は、登記所数では約三四%、登記種類別では、不動産登記については三九%が、商業登記につきましては約二四%がそれぞれ移行を完了しております。
  11. 日野市朗

    日野委員 ちょっと私は思うのですが、コンピューター化されたパーセンテージが今のとおりだ、それから庁数で見てもまだ八百七十二庁のうち二百九十五庁しかコンピューター化が進んでいない、それでこの法律を出されているわけなんですが、何でこんなにおくれちゃっているところがあるのですか。ちょっと説明してください。  本当だったら、これは全国一律コンピューター化ができ上がったところでこの法律が出るのが筋道だと私は思っているのですよ。そうでなければ、行政サービスがえらく偏る、行政サービスのメリットが、地域によってはえらくデメリットをこうむるというようなことがあると思いますので、そこのところをちょっと、何でこんなにおくれちゃっているのか教えてください。
  12. 山本有二

    山本(有)政務次官 コンピューター化状況につきましては、平成元年で一庁でございまして、それから順次その数をふやしておりまして、平成五年では五十五庁、そして平成十年では二百七庁、そして現在二百四十七、不動産登記ででき上がっておるわけでございまして、そういうことから考えていきますと、努力をしつつ完成に持っていっているという経過と御理解いただきたいわけでございます。なお今後、登記コンピューター化は、要員、資金、施設等の人的、物的諸条件の整備を図りつつ、平成十六年度までに、需要の多い都市部等を中心に、全国の主要な登記所移行作業を完了させるべく努力をいたしたいと存じております。  そして、御指摘の、今回の登記事務処理につきましての計らいは、本法案は、まさにそういう手続の経過にあわせまして、将来、先生の御指摘のとおりの万全の体制をつくるべき時期に当たっておりまして、その意味で今回法案を提出させていただきました。そう御理解賜れば幸いでございます。
  13. 日野市朗

    日野委員 私は、この法律案をまだ全部整っていないから、施設が整っていないからだめだと言うつもりは全くないのですよね。ないのだが、やはりこれは、ユニバーサルサービスのレベルまで持っていかなくちゃいかぬと思う。ですから、私は、全国津々浦々まで登記関係官署コンピューター化することを急いでもらいたいと思っているのですよね。  ところが、コンピューター化に要する経費も、ではその財源はどこから出てくるかというと、登記特別会計法によって、登記手数料や何かから支出をするということになっているのじゃありませんか。そうすると、これはえらい時間のかかる話だ。私は、そんなことで、登記手数料でこれを賄うというやり方をやっていったら、平成十六年までこれはちょっとできるとは思えないのだが、ここのところを根本的に変えていく必要があると思いますよ。やはりこれは、登記特別会計から出てくる財源だけを当て込んでいたのではできないと思う。いかがお考えになりますか。
  14. 山本有二

    山本(有)政務次官 登記特別会計独立採算ができることがいわば理想的な特別会計の思想かとも存じますけれども、かといいまして、それだけで賄い切れない場合には一般会計からも当然投入等考えていくべきことでございます。その意味におきまして、省内で検討し、かつまた大蔵当局にも御理解を賜りたいというようにも思いますが、あくまで理想の中でコンピューター化の実現を努力させていただきたいという所存でございますので、よろしく御指導をお願いしたいと思います。
  15. 日野市朗

    日野委員 よろしく御指導もいいのですが、現実は非常に厳しい状況に今ぶち当たっていると私は思います。どうも司法関係というとみんな気が弱いんだな。最高裁もそうだ。法務省もそうだ。特に、こういった実務関係をなおざりにする傾向が日本の国家一つの大きな欠点としてあるだろう、私はこう思っているのですね。  ですから、これは大臣、こういう特別会計に依存していたってこれは知れたものなのだから、現に現在までの実績がそうでしょう。私は知れたものだというふうに思いますので、では手数料を上げようなんて言われると困っちゃうんだけれども、そうじゃなしに、大臣、ひとつここは、特別会計という枠、これは乗り越える努力が必要だと思いますので、そこいらはどうですか。これは政治家として、法務省内部裁判所内部、それから登記事務がどのように運ばれているか、そういうことはもう御存じだと思うので、そこのところをひとつ大臣の判断で、ここで、もうそこのところは頑張るんだと、それは特別会計の中で頑張るのじゃなく、よそからも財源を得るために頑張るという姿勢をひとつ私は示してもらいたい、こう思いますが、いかがでしょう。
  16. 臼井日出男

    臼井国務大臣 ただいま総括政務次官からお答えをいたしたとおりでございますが、こうした登記情報管理事務に対する経費というものは、財源受益者負担考え方に基づいて登記関係手数料で賄うということにいたしております。  いずれにいたしましても、平成元年コンピューター化が進みましてから今日まで努力をいたしてきておりますが、先ほどお話をいたしましたとおり、いまだ二百九十五庁であるということで、世のコンピューター化流れに比較をいたしまして、今大変厳しい環境の中でもってコンピューター化を進めているという状況でございます。できるだけそうした世の要請にこたえ得るように、これからも努力をいたしてまいりたいと思います。
  17. 日野市朗

    日野委員 非常に不満ですけれどもね。もうちょっとやはりこれは、受益者負担という考え方一つあっていいんです。私もそれは、受益者負担考え方は確かに一つ考え方ではあるけれども、これはもっと国家が、財産関係、それから不動産商業登記、こういうものをきちんと備えておくことによって、国の経済活動、それから一般人の社会生活、こういったものをきちんと整理をしていくための貴重な社会的なインフラなんですよ。インフラストラクチャーなんですな。これをきちんと整備をし、使いやすいものにしていくこと、これは国の責務なんですな。そう思いませんか。私はそうだと思うから、大臣に対して、これは登記特別会計だけで賄えるものではありませんぞと、もっと国としてはきちんとした積極的な位置づけを与えてこれを利用していく、そういうことが必要だと思うんですな。だから私は今申し上げているのです。  そういう観点からも、今の答弁を聞いていると特別会計の中で頑張るみたいな話にも聞こえるので、さらに一歩踏み出して、努力をしてみるということが必要じゃないか、こう思いますので、もう一度そのお考えを聞かせてください。
  18. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほどお答えをいたしましたとおり、こうした実務に関するものにつきましては、受益者負担というものが基本であるということで進んでおります。  いずれにいたしましても、このコンピューター化につきましては、世の趨勢におくれないように努力をするということは当然のことでございまして、引き続き、できるだけ早く全コンピューターが完成いたしますように、私どもの目標といたしましては平成十六年度中、こういうことになっておるわけでございますが、そのように努力をいたさせていただきたいと思います。
  19. 日野市朗

    日野委員 ここで押し問答していたってしようがないから、その点はそのくらいにしますが、私の言ったことはひとつ胸にとどめておいていただきたい、こんなふうに思います。  それからもう一つ、私がちょっと気になるのは、このコンピューター化が進むことによって、特に出張所なんかの統廃合統廃合といったって、結局廃止なんですよね、そういった統廃合がなされるのではないか。統廃合一つの理由づけにされるのではないかというような心配を実は持ちます。法務省としては、これはできるだけ統廃合したいというのは、今までの沿革から見てそういう方向だろうというのはわかるが、一方また、地方市町村長はやはり出張所なんかは置いておいてくれという要望も非常に強い。でありますから、これは相当の抵抗があるんだろうというふうに思います。この点についてはどんなふうにお考えですか。
  20. 山本有二

    山本(有)政務次官 登記所整理統合は、全国的に小規模かつ多数分散している登記所の適正な配置を行い、もって、全体として登記事務を適正、迅速に処理し、能率的な行政サービス提供することを目的としているものでございます。今後も、行政改革の一環といたしまして、閣議決定及び民事行政審議会の答申に基づきまして、登記所整理統合を一層推進していきたいと考えております。  他方、本制度は、登記情報をより簡易、迅速に利用することができるよう、登記所まで出向くことなく、自宅等において登記情報を入手することができるようにしようとする制度でございまして、利用者に対するサービス向上を図るために行おうとするものでございます。したがいまして、本制度実施登記所統廃合とは、必ずしも直接結びつくものではございません。したがいまして、どうかひとつ、本制度実施、これはサービス向上ということを御理解賜りたくお願い申し上げます。
  21. 日野市朗

    日野委員 では、この問題はこの程度にいたしましょう。  それで、ちょっと実務的なことについての質問をいたします。  コンピューター入力をして登記事務を進めるというコンピューター化、これがもう既に行われて、何年かたっているわけです。数年をけみしているわけでありますが、実際、ではどのように行われているのかという点について伺いますね。——まあ、ちょっと待ってください。時間も余りないことだから、こっちからどんどん質問を出していきますから。  まず、登記申請、これは必ず、現在では登記所に行って申請をしなくてはいけませんね。そうすると、その書類を受け付けます。受け付ける前に、それを受け付けの窓口で、受け付けの部署で一応見るわけですな。形式的な審査をずっとやりますね。そして、それが通ってから、調査の部分に移っていきますね。そこで調査をする。そして、その調査を通って、それから、今度は登記官がそれをさらにチェックをして、これでよしとなれば登記になる、こういう流れになりますな。  さて、コンピューターに対する入力、これは、どの段階で、だれが行いますか。
  22. 細川清

    細川政府参考人 大変技術的な話でございますので、参考人から答弁をさせていただきたいと思います。  これは、その受け付け情報コンピューターでの受け付け帳記入されまして、それから、調査が済みまして記入係記入します、これはコンピューターの操作で記入しますが。そして、最終的にはそれを、部内では校合と言っておりますが、登記の権限を有する登記官が、登記官カードとID、要するにパスワードを入れまして、そこで最終的に校合する。そして、そこでは要するに登記官判こを押したと同じ状態になる、こういうことでございます。
  23. 日野市朗

    日野委員 そうすると、受け付け調査、この段階ではコンピューターに対する入力は行われないわけですね。  そして、では次に、記入段階ですが、ここで記入をするのはだれになりますか。
  24. 細川清

    細川政府参考人 これは、通常登記所の職員でございまして、多くの場合には登記調査官とか、そういう事務官が担当しているわけでございます。
  25. 日野市朗

    日野委員 では、これが登記官のところに上がる、それまでに、一応コンピューターディスプレーの上にはもう表示されているわけですね。どうでしょう。
  26. 細川清

    細川政府参考人 御指摘のとおりでございます。  ただ、それは校合前の登記官が確認していない情報ですから、いわば仮のファイルに入っているということでございます。
  27. 日野市朗

    日野委員 それで、その仮のファイルに入って、そして登記官はこれをさらにコンピューターディスプレーの上でだけチェックするのか、それとも、打ち出して今までのように、鉛筆でちょんちょんチェックしたところに印をつけていくわけですな、今までの登記事務は。あれは合理的なやり方だなと私は思っているんですが、そういう形をとるのかディスプレーの上だけで見るのか、どうですか。
  28. 細川清

    細川政府参考人 システム的には両方できますが、画面に出ているものを打ち出しまして、そこで日野先生が今言われたようにチェックしていくのが通常やり方でございます。
  29. 日野市朗

    日野委員 そこで、さらに誤記それから問題点等あればそこでチェックをして、そのチェックを通ったところで今度はコンピューターへの入力ということになるわけですね。その入力エンターキー、それは結局だれが押すことになりますか。その押すについて、どういう手順を踏んで押すことになるのか。そして、その際非常に大事なことは登記番号、これは非常に大事なものですね、これはだれが付することになるのか。
  30. 細川清

    細川政府参考人 最終的な、確定的な登記をするためには、登記官がそれぞれ持っている登記官カードというのがございまして、それを機械に通らせないとそこは作動しないことになっておりまして、かつ登記官番号が当然入ります。その上で、最終的な審査をしてエンターキーを押しますと、それが登記簿になるわけです。  そこで、登記簿にはだれがこの記入をしたか、エンターキーを押したかというのはそこで記録されているわけです。ですから、登記官カードが通りますので、どの登記官がいつ登記したかというものはすべて記録されているということになっているわけでございます。
  31. 日野市朗

    日野委員 これはちょっと不安だから聞きますが、その登記官カードはどのように保管されているんでしょうか。
  32. 細川清

    細川政府参考人 役所内の施錠のされている場所に、金庫等に保管されているわけでございます。
  33. 日野市朗

    日野委員 従来の登記官判こと同じような扱いになりますかな。
  34. 細川清

    細川政府参考人 理念的には同じでございますが、カードの方が厳格にやっているはずでございます。
  35. 日野市朗

    日野委員 では、今度はそれから先の話に入っていきますが、エンターキーを押して、そしてコンピューター入力されるわけですね。その入力をするわけですが、これはどのコンピューター入力をされていくことになるんでしょう。
  36. 細川清

    細川政府参考人 現在採用しておりますのは三階層分散処理でございますので、各登記所コンピューターが置かれております。ですから、最初の登記はそこの登記簿に入るわけですが、その情報は各県単位に置かれていますバックアップセンターにも送られ、さらに法務省民事局に置かれています登記情報センターにも送られているということで、結局三カ所で記録されているということになります。
  37. 日野市朗

    日野委員 今局長さんは、バックアップセンター、こうおっしゃった。そのバックアップシステムですが、バックアップシステムはどことどこに置かれることになりますか。  今、三階層説明がありました。つまり、支局なら支局にしましょう、支局にも一つコンピューターはありますよ、そこにはちゃんと入ります。そうすると、そのエンターキーを押すと同時に地方法務局コンピューターにも入力をされる、それから法務省登記情報センターにも入力をされる、こういうことになりますな。よろしいですか、それで。
  38. 細川清

    細川政府参考人 御指摘のとおりでございますが、一つだけ申し上げますことは、小さい登記所では、そこ自体にはコンピューターはなくて、隣の登記所コンピューターを共同で使っている場合がありますが、それを除けばすべて御指摘のとおりでございます。
  39. 日野市朗

    日野委員 それで、エンターキーを押して入力をされます、それを送るラインは、一般インターネットですか、それとも専用線ですか。
  40. 細川清

    細川政府参考人 これは専用回線でございます。
  41. 日野市朗

    日野委員 そうすると、支局出張所等でも、コンピューター化されているところには全部専用線が引いてあるということですね。外部からは入り込むことはできない。(細川政府参考人「はい」と呼ぶ)  では、念のために伺っておきましょう。登記情報センターコンピューター、これは船橋市に置いてある、こういうことですな。
  42. 細川清

    細川政府参考人 御指摘のとおり、千葉船橋市海神町というところに置かれております。
  43. 日野市朗

    日野委員 それで、一般の人がこの登記情報にアプローチをするというときは、一般に、インターネット回線を使って、そして指定法人にこれこれを送ってくれということをやるわけですな。そこのシステムも聞こうかと思ったけれども、これは通告しなかったからやめておきます。指定法人に行くわけですが、この一つ流れ請求者、つまり一般お客さんですが、お客さんの方から指定法人に対してこの請求をする、指定法人専用線を使って登記情報システムの方から登記情報をもらって送り返す、この流れは間違いないですね。
  44. 細川清

    細川政府参考人 御指摘のとおりでございまして、一般利用者指定法人まではインターネット回線により、指定法人から登記所との間は専用回線でございます。
  45. 日野市朗

    日野委員 そうすると、もし登記情報に対する何らかの加工、登記情報を変更するということがあれば、それができる可能性のあるところは、まず指定法人のところですね。それから後、それからまた戻ってきた一般の顧客、お客さんの方がそれをどのように加工したり変更したりするかというのは、これはもう法務省は関知しないところでしょうけれども、この指定法人が持つ役割というのは非常に大きいというふうに私は考えております。  それで、この指定法人のところはまた後で聞きます。今大体のシステムを聞きました。裁判所もおいでになるので、その先にちょっと一つ別質問を入れます。  ここで出てきた登記情報、これに記載されているのは、現在の登記簿上記載してあるもの。ただ、登記簿という場合、抹消された登記も非常に重要なんですな、裁判の証拠なんかに使う場合は。抹消されたものというのは非常に大事なんですが、現在のものだけ、現在登記にはこのような記載がありますよということだけを送るわけですね。そういうことになりますね。
  46. 細川清

    細川政府参考人 現在あるコンピューター登記簿に入っている情報は、すべてこのシステムで閲覧することができます。言いかえますと、現在ある登記簿抹消事項が載っているものは、抹消事項も見られます。この抹消事項過多になりますと、ソフト、ハードの機能の速度が遅くなりますので、それが過多の場合にはこれを磁気ディスクに吸い出したりすることができることになっておりますので、そうした場合には過去のものは、抹消事項が見られなくなるということになるわけでございます。
  47. 日野市朗

    日野委員 ちょっと言い方が悪かったですか。そうすると、この登記システムが開始した後は、抹消や何かがあってもそれは全部出る、そういうことになるわけですな。
  48. 細川清

    細川政府参考人 基本的にはそういうことなんですが、コンピューター化した登記簿でも、抹消事項が非常に大きくなりますと、これは処理のスピードが落ちますので、そこは吸い出すことがあるというのは、不動産登記法で認めておるところでございます。
  49. 日野市朗

    日野委員 そこで、送られてきた登記情報には認証印はないんですな。認証はされない、ただ単にこういう記載があるということだけが価値判断を含めずに送られる、こういうことになりますね。  その場合、さらにこれを謄本として認証文をつけてもらいたいというような場合はどのような取り扱いになりますか。
  50. 細川清

    細川政府参考人 インターネットで閲覧したものは各利用者のお持ちのパソコンで印刷することは可能ですが、これは認証文は付しておりません。要するに、認証文を付しますと、非常に改ざんのおそれというものが、可能ですし、発見が困難になりますので、していないことになるわけです。  ですから、認証文があるものを必要な場合には、改めて登記所から登記事項証明書を請求していただくということになるわけでございます。
  51. 日野市朗

    日野委員 さて、ところで、この登記情報、送られてきた情報をプリントいたしますね。そうすると、それにはいろいろな登記情報が載っているわけだ。それがそのまま証拠として使えることになるんでしょうか。今までは、認証文がついていたものを証拠として提出するという取り扱いであって、登記簿にこれこれの事情がありますなんというのを裁判所に出すと、ではちゃんと謄本をとってきなさいというようなことになったわけですな。ところが、今度、登記情報インターネットでとるということが非常に容易にできるということになって、特に、保全の場合の疎明なんかにはその登記情報をプリントしたもの、それだけを出してくるなどというケースもふえるんじゃないかと思います。そんな場合も出てくるんじゃないかと思いますが、裁判所の方ではどのようにこれを扱いますか。
  52. 千葉勝美

    千葉最高裁判所長官代理者 民事訴訟の訴えの提起、それから保全命令の申し立てに当たりまして、法令上、登記簿謄本の添付が求められている場合がございますが、そういう場合につきましては、この法律が施行された後も、従前どおり登記簿謄本を添付する、こういう運用が行われることになると思われます。
  53. 日野市朗

    日野委員 疎明なんかに使われるということも考えられると思うんですが、従来は、ちゃんと謄本をとって、それを疎明資料に出していた、こういう疎明なんかの場合どうなりますか。それから、裁判所に甲号書または乙号書として出される場合の扱いはどうなりますか。
  54. 千葉勝美

    千葉最高裁判所長官代理者 法令で謄本ということが要求されていない場合につきましては、証拠資料の一つとしてそういう認証のないものが出てくるという可能性はあろうかと思います。そうなりますと、その証拠価値をどういうふうに判断するかということになろうと思いますが、これはやはりそれぞれの裁判体の事案に応じての判断ということになろうかと思います。ただ、電子情報化された登記情報、それが認証のないまま印刷したものである、そういうことを前提にしまして、各裁判体がその証拠価値について判断をしていく、こういうことになろうかと思います。
  55. 日野市朗

    日野委員 そこのところは、従来、認証文のない登記情報というものを提出する機会というのはまず非常にまれであったわけですね。まれであったというのは、大体、謄本をとってしまって、そしてそれを出すというのが一つのほぼ確立した慣行であったように私は思うんです。そういうふうに、これは自由心証主義ですから、どこまで徹底できるかというのは問題だけれども、法曹三者間でのいろいろな協議会なんかもありますが、そういうところでは、やはりそういった認証文がきちんとついたものを出すような一つのルールというようなものはぜひともつくってもらいたいなと私は思っているんですね。いかがでしょう。
  56. 千葉勝美

    千葉最高裁判所長官代理者 証拠価値をどう判断するかという問題でございますので、これはやはり個々の裁判体の判断ということになります。統一的な取り扱いをするのになじまないものと考えておりますけれども、本来は、認証文のついたものというのが証拠資料としてはやはり価値が高いものでございますので、そういうようなものを要求していくという運用になっていくものというふうに考えております。
  57. 日野市朗

    日野委員 では、裁判所はあとは結構でございます。  それでは、今度は経費の問題になります。  現在は、謄本を請求すると千円、登記簿謄本は千円となっているわけです。抄本はたしか五百円だったかな。抄本も千円でしたか、それぞれ千円ですか。  それで、指定法人から法務省の方に払うのは値段がはっきり見えるわけですね。幾らというのは大体決まるわけです。その余の経費、これはどのように算定していくことになるんでしょうか。
  58. 細川清

    細川政府参考人 その指定法人が、場所を借り、あるいはクレジットの手数料を払うというようなことがございますし、職員の人件費等がございますので、これらの経費を合算し、通常登記手数料の算出と同じように、三年間の総経費を算出し、三年間の総利用件数を推定してそれで除して、出てきた答えが手数料になるということでございます。
  59. 日野市朗

    日野委員 それを決めるのは、結局は指定法人が決めるわけですな。指定法人法務省に払う金以外は指定法人の方で決める、こういうことになるわけですね。
  60. 細川清

    細川政府参考人 指定法人の業務規程で決められますが、それは法務大臣の認可にかかっておりますので、それが適当であるかどうかは法務大臣が御判断になるわけでございます。
  61. 日野市朗

    日野委員 さて、ここで大臣に伺います。  料金というのは安いにこしたことはないわけですね。そこで、今のお話だと、かかった指定法人経費手数料が高くなるか安くなるかというのはそれにかかるわけだ。  ところで、指定法人としては、どのような指定法人を予定しておられますか。仄聞するところ、民事法務協会という声がしきりと聞こえてくるし、まあ今までのやり方から見ればこの辺におさまるのが妥当かなとも思うんですが、いかがでございますか。
  62. 臼井日出男

    臼井国務大臣 委員指摘のとおり、現在、私どもといたしましては、民事法務協会を予定いたしておるところであります。
  63. 日野市朗

    日野委員 ところで、私は、料金は安い方がいい、つまり、指定法人としては運営経費や何かで余りお金をかけないでやることが望ましい、そう思うのです。  私は、民事法務協会の役員のリストを見せていただいた。随分理事さんがおいでになりますな。常勤はお二人で、あとは非常勤ですけれども、十数名ずらっと並んでいるのです。それも、昔法務省または裁判所なんかのお偉方だった人たちで、公証人なんかやっておられる方がかなり多いのですが、これは指定法人内部のことでございますと言われても困るのですね、やはり料金に反映するというシステムになっておりますから。ここいらを安くしていくために、法務省としてはしかるべき指導をしないといけないと思うのですが、どうなっていますか、民事法務協会の理事さんに対する報酬の方は。
  64. 臼井日出男

    臼井国務大臣 確かに、委員指摘のとおり、民事法務協会というものは、理事が十九名、監事が二名おるわけでございますが、会長、副会長の二名の常勤を除きましてはすべて非常勤でございまして、非常勤理事は無報酬でございます。
  65. 日野市朗

    日野委員 立ち入ったことを伺って恐縮ですが、その常勤の理事さんには幾らお払いになっていますか。それから、人件費がここではどのくらいかかっていますか。これは局長さん、やってください。こんなことを大臣に伺うのじゃ気の毒だ。
  66. 細川清

    細川政府参考人 記憶で申し上げますが、会長は月百万、それで副会長は八十万、そのほかの理事は無報酬でございます。  人件費でございますが、実は、民事法務協会は二千人以上の職員がおりますが、大部分は、委託による謄抄本の作成作業、あるいはコンピューター化された登記所における登記事項証明書のオペレーティング作業をしておられる、ほとんど女性の方でございますが、こういった方の人件費が大部分でございます。
  67. 日野市朗

    日野委員 できるだけここは経費を削減して、そして手数料を安くしませんとぐあい悪いなと私は思います。それから、さっきもお話ししました登記特別会計、これは手数料の上がりで細々とやるわけでございますから、そこいらは十分考慮をしてもらいたいというふうに思います。  それで、これからはちょっと大臣お答えをいただきたいのでございますが、法文の第三条、法務大臣は、次に掲げる要件を備える者を、その同意を得て、全国に一を限って指定をする、こうありますな。何でこれは一なんですか。二であっては何でいけないのですか。
  68. 臼井日出男

    臼井国務大臣 委員指摘の条文でございますが、指定法人の数を全国で一に限る、こういうふうにいたしておりますのは、登記情報システムの安全性、いわゆるセキュリティーを確保する上で、登記情報システムに接続することができる指定法人の数はできる限り少なくする必要があると考えております。  他方、指定法人全国一つとしても、利用者にとって特に不利益が生ずることはございません。  また、指定法人は、利用者の利用料金の支払いにおける利便性を確保するために登記所の事務を代行する機関として設置されるものでございまして、登記所における登記簿の閲覧の手数料全国一律であるのと同様に、指定法人に支払うべき利用料金も全国一律にすべきであります。  さらに、指定法人は、登記所コンピューターに記録されている登記情報をそのまま送信することを業務とするものでございまして、これに加工等をすることは許されておりませんので、複数の法人を指定し、競争させることによって利用者に利益が生ずることもございません。  なお、指定法人の利用料金は、登記情報提供に要する実費用を利用見込み件数で除して算出されるということになっているわけでありますけれども、複数の法人を指定する場合には、各法人につき登記情報提供経費を要する上に、各法人の利用見込み件数は一つの法人を指定する場合よりも少なくなるわけでございまして、かえって利用料金が高くなる。利用者の利便性の確保の要請にも反する結果になるということでございます。
  69. 日野市朗

    日野委員 では、ここでちょっと伺っておきますが、今お話を伺うと、民事法務協会の常勤の理事さんはしかるべき報酬を得ておられる。もし同じような指定法人で、うちは常勤理事は一人でございまして、うちは五十万でやっておりますよということになりますと、それだけ登記情報をずっと安く提供できるということになってくるわけですな。そうすると、そこに競争原理が働くのですよ、やはり。どうですか、私は、競争させるということは必要だろうと思っているのですが。
  70. 臼井日出男

    臼井国務大臣 今私がお答え申し上げましたとおり、複数で競合させることによってかえって料金が高くなるということもございます。現在、民事法務協会というものは、登記、戸籍、供託等の民事法務制度に関しまして現に作業をいたしておるわけでございまして、そういったことからして、極めて私どもに対しては信頼性が高い、こういうことでございまして、そうしたことを勘案して民事法務協会というふうにいたしているのでございます。
  71. 日野市朗

    日野委員 私も、この民事法務協会、つゆ疑っているわけではないのです。ただ、これからどんどん情報化が進んでいきますよね。そうすると、いろいろな問題というのが出てくるのだろうというふうに思います。今コンピューター、ハードもどんどん安くなっているし、ソフトだってどんどん安くなっていく。それから回線の利用料、こういうものだって安くなっていく。そうすると、料金の設定ということは、やはり指定法人が複数あった方がそこに弾力性が出てくる。だから、あなたの言っているこれは全く私はうなずけないのだな。かえって料金が高くなるかもしれないなんというのは全くうなずけない所論でございますけれども、それはそれにしておきましょう。  別の、全国に一に限るという問題で、もしこの指定法人が第十三条なんかで指定の取り消しなんかを受けたらどうするのですか。
  72. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、指定法人全国で一とするということにいたしているわけでございまして、万一これが取り消されるというふうな事態になりますと、当然のことながら本制度による登記情報提供業務が行われないということになります。したがいまして、指定法人の指定に当たっては、そのような事態というものが起こらないように、十分信頼の置ける法人というものを指定するようにしなければならない、こういうふうに考えております。  また、そのような事態にならないようにするために、本法案に規定しております法務大臣の監督権限を行使いたしまして、指定法人による業務遂行を十分に監督指導していく所存でございます。仮にそのような事態が生じたといたしましても、早急に新たな指定法人を指定することにいたしたいと考えております。
  73. 日野市朗

    日野委員 信頼の置ける者を指定する、結構でございます、それは当然のこと。それから、監督も十分にやってまいります、これも当然のことですね。  ところが、事故というのは起きるのですよ。特に私は、このシステム全般を通して見て、指定法人のところがポイントでございますよと。しかも、登記なんというのは国民として絶対の信頼を置かなければならないことです。もしも間違った情報がここから流れる、また、これはコンピューターのことですから専用線を使ったってできるのですが、間違った事項を登記に書き込む、これだってできます。コンピューターに十分なれた人物であって、それだけの技能を持っている者だったらこれはできるのです。そして、ポイントというのはこの指定法人のところにある。ですから、私はこの指定法人というのは非常に大事なんだと思うのです。  だから、そういう重大な指定法人、これはもちろんそんなことをやったら当然取り消しをしなくてはいけません。ただ、新しい法人を指定するまでこれはかなりの時間的なラグがあるわけです。時間差があります。その間をどうするのですかということですね。  もし、二千X年、この指定法人によって誤った登記情報が流されている、それから誤った記載がコンピューター入力されたというようなことが新聞でどんと流れた、こうなったら登記に対する信頼というのは全く覆るのですよ。これはもう大変な事態だ。取引の安全、それから国民の一人一人の生活の安定、こういったものが一挙に覆るのですからね。  ですから私は、そんなことを十分に想定をしなければならぬと思う。今までそんなことなかったのだから大丈夫じゃないかというようなことは許されません。このような事態を想定したら、やはりこれは、一つを限ることの危険性の方がむしろ私は大きいと思いますよ。それよりは、競い合っているんだ、競い合っていて、そうすれば料金の面でも、それから業務内容の適正ということからいっても、私は一つに限ることは危険ではないかと思う。  何よりも、もしそういう事態が起きてこの指定法人が指定の取り消しを受けた場合、その間に時間的なラグがあるでしょう。これをどういうふうに処理するのですか。
  74. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、登録者というものは数が決まっておりますから、複数にすることによって割高になるということは御理解をいただける、こういうふうに思っている次第でございます。  また、先ほど委員指摘のような、万が一にも取り消しになるような事態というものは起きてはならない、こういうふうに考えております。  そこで、私どもが全国一に限るという業者に対して民事法務協会というものを指定することを予定しておりますのは、既に先ほど申し上げましたとおり、登記、戸籍、供託等の民事法務制度に関しまして、知識の普及、あるいはその発展のための円滑な運用に寄与することを目的としてつくられたこの法人は、現在、登記簿謄本の作成業務や登記事務コンピューター化のための移行作業など、国の業務の一部というものを既に代行いたしておりまして、私どももこの民事法務協会に対しまして信頼を置いているわけでございます。  今後とも、これからのことでございますので、そうした指定がなされた場合には、万が一にも取り消しというような事態にならないように、しっかりと指導してまいりたいと思います。
  75. 日野市朗

    日野委員 あなたはそう言うけれども、トラブルというのはそんなことでは十分な危機管理にはならぬのです。例えばジェー・シー・オー、臨界事故を起こした、あれなんか起きるはずないのですよ。あんな事故が起きるはずない。しかし起きたんだ、現に。それから、今二万カ所の山陽新幹線のトンネルに異常が見つかった。あるはずがないんだ、あんなものは。あなたが今言ったのは私は甘いと思う。ここを何とするのです。  例えば、指定法人が不幸にして指定の取り消しを受けてしまった。そうすると、その間どうするんです。これは、そういうことは従来どおり法務局に行って謄本とってくればいいじゃないですか、閲覧してきたらいいじゃないですか、こうおっしゃるけれども、この制度が動き出すことによってそういうものはだんだん忘れ去られていくのですよ、そういう事務の処理の仕方というのは。例えば、沖縄からコンピューターで閲覧できたものが、今度は行って見てきなさい、または手紙で謄本をとりなさい、それではもう現実の事務処理に間に合わないという事態は何ぼでも出てくるだろう。さあどうするんです。もう一つここに指定法人があれば、じゃそっちを選ぼう、こういうことになりましょう。さあ、ここのところをどう答えます。
  76. 臼井日出男

    臼井国務大臣 委員の御指摘、十分私どもも心にとめて実施をしていかなければならないと思うわけでございますが、こうした業務について全国一に限るというふうにいたしておりますのは今回が初めてではございませんで、例えば塩業法あるいは放送法、あるいは廃棄物処理等に関するもの、あるいは精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等々で、それらの取り扱いに関して一に限る、このような形でもって円滑に行っているものもございます。したがいまして、繰り返しになるようでございますが、今後万が一にもそうした事態にならないようにしっかりと指導していくということに最も大切な要点があろうかと思います。
  77. 日野市朗

    日野委員 同じことを言っているね。さっきと同じことを言っています。  では、今臨界事故の問題やらトンネルの問題やら挙げましたけれども、事故というものは、予想できないところ、そして監督を十分しているつもりであるところで起きるのですよ。それをバックアップする何かのシステムが必要だと私は思っています。それは、もう一つ指定法人、これを置いてそこで競い合わせること、それから、一つが機能が不全になった場合はそっちのルートも使うこと、こういうことだと私は思っているが、この点はどう思いますか。  一を限るというのは、そういう点で、ほかにもいろいろあるのは私も知っています。しかし、それにはそれなりの理由があって一を限ることになっている。どうも私は、ここでこの指定法人にある組織を組み込む、そのために一を限るというふうに思えてならないのだが、どうですか。また同じ答えになりますか。同じ答えになるなら、ここでちょっと理事間で協議してもらわなくてはいかぬ。
  78. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、こうした指定法人を活用いたしますのはセキュリティーの問題がございます。そうした意味で、この指定法人は、登記官以外にはコンピューター入力できないという仕組みになっているわけでございまして、したがいまして、指定法人が虚偽の情報記入するということはない、したがって、そうした事故に対しても配慮がなされているものと考えております。
  79. 日野市朗

    日野委員 それは、最初に入れるときはそうでしょう、さっき局長さん言われたように、ちゃんとカードを持って、そしてやっているわけですから。しかし、その後に生じるいろいろな問題のことを今論じているのですよ。そして、一つ指定の取り消しがあった場合、そこで時間的なラグが出るでしょう。それをどうやって埋めるのかという問題を話しているのですから、その前の段階でちゃんと注意をしているのでございますというのは回答にならない。私の言っていることは不合理なことですか。どうお考えになりますか。
  80. 臼井日出男

    臼井国務大臣 万が一にもそういう事態があってはならないと思うわけでございますが、万一そういう事態になった場合には、速やかに後の者を指定する、こういうことになるのでございます。
  81. 日野市朗

    日野委員 だから、同じことを言っているんだというのですよ。その間に時間的なラグができるでしょう、その間をどうするのですかということを私は聞いているのです。どうするのですか、その間。
  82. 臼井日出男

    臼井国務大臣 たびたびのお尋ねでございますけれども、したがいまして、私どもは、その指定団体に、私どもが最も信頼の置ける団体を指定しよう、こういうことでございまして、万が一にもそういうことにならないようにこれから努力をする、こういうふうに私どもは申し上げているのでございます。
  83. 日野市朗

    日野委員 同じことを言っているのですよ。だから、ラグをどう埋めるのですか、それを聞いているのです、私は。トラブったときのラグをどうするのですか。その前のことを聞いているのじゃありません。
  84. 武部勤

    武部委員長 ちょっと政府側の方でしっかり整理して答弁してください。(日野委員「では、その間、時計をとめてください」と呼ぶ)  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  85. 武部勤

    武部委員長 速記を起こしてください。  臼井法務大臣
  86. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほどから委員、指定取り消しということをしきりとお話しでございますが、万一そうした改ざん等のことを働いた者がおるとしたならば、その者を免職にするということでございまして、指定取り消しという事態には至らない、私はこのように思います。
  87. 日野市朗

    日野委員 この指定取り消しの要件、書いてありますな。「この法律の規定又は当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。」そうすると、この当該規定という言葉は何。これは局長でもいいよ。十三条一項二号。
  88. 細川清

    細川政府参考人 十三条第一項第二号の「この法律の規定又は当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。」の意味でございますが、例えば、業務規程が不適当であるからそれを改善するように、法務大臣がこういう命令をした場合に、それに従わないというような希有な例が生じましたらば、それは取り消すことができる、こういう意味でございます。
  89. 日野市朗

    日野委員 それは矛盾している。あなたが今言った意味は、これは第三号に書いてあるのですよ。「第五条第一項の規定により認可を受けた業務規程によらないで」というふうに、「業務規程」と書いてある。これは「当該規定」と書いてある。では、その当該規定とは何だと。
  90. 細川清

    細川政府参考人 「この法律の規定」の次に「又は当該規定」でございますから、この言っている当該規定というのは、この法律の規定という意味でございます。
  91. 日野市朗

    日野委員 もう一度あなたの言ったことを私の理解で言ってみますよ。「この法律の規定又は当該規定」、そうすると、ここでダブってしまっているの、規定が。
  92. 細川清

    細川政府参考人 ですから、この規定の法律に基づく規定に違反したとき、あるいはこの法律の規定に基づく命令もしくは処分に違反したとき、このようにお読みいただきたいと思います。
  93. 日野市朗

    日野委員 だから、それは第三号でしょう、こう言っているのです。
  94. 細川清

    細川政府参考人 第三号は「業務規程によらないで登記情報提供業務を行ったとき。」ですから、業務規程によらない場合の法律に、その問題と別の法律に違反した場合、このような意味でございます。
  95. 日野市朗

    日野委員 では、この「当該規定に基づく」、「この法律の規定又は当該規定」、この当該というのは何。当該と言うからには前提になる表示が何か、記載がなくてはいかぬわけでしょう。この法律のどこにその規定が。
  96. 細川清

    細川政府参考人 当該という言葉は、一般に直前にあることを指しておりますので、直前にある規定を指しております。ですから、この法律の規定ということを再度書くかわりに、この当該規定というふうに規定したわけでございます。
  97. 武部勤

    武部委員長 質問時間を超えておりますので、よろしくその辺のことをどうぞ。
  98. 日野市朗

    日野委員 ちょっと、これは納得できないのですよ。いかがですか。きょうの採決には私はこれはなじまないと思います。いかがでしょうか。  ここで質問を、ちょうど山場に差しかかっておるようなところで、今やめるというのもちょっといかがなものかと思うのですが。
  99. 武部勤

    武部委員長 日野君の気持ちはよくわかりますが、ちょっと……(日野委員「ちょっと理事さんで御協議いただけませんか」と呼ぶ)  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時十七分休憩      ————◇—————     午前十一時二十三分開議
  100. 武部勤

    武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  日野市朗君の質疑につきましては、最後に五分間、留保するということにいたしまして、質疑を続行いたします。  木島日出夫君。
  101. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  登記情報のオンライン化そのものには、国民の利便性が向上する等、大変有益でありますので、私どもはこの法案には基本的に賛成であります。  三つの問題を指摘して質問したいと思うんです。一つは、やはり安全性、セキュリティーの問題、二つ目は料金の問題、そして三つ目は、このオンライン化の導入によって現在の法務局登記行政、特に閲覧行政にどういう影響が出て、そして、そこで働く職員の皆さんにどう影響が出てくるのかという問題であります。  そこで、最初に、安全性、セキュリティーの問題についてお伺いしたいと思うんです。  実は、この情報のオンライン化問題は、さきの通常国会で、地方行政委員会等で住民基本台帳法改正法案審議で最大の問題になった論点だと思うんです。そこでは参考人等から、セキュリティーの問題では三つ問題がある、一つは技術上のセキュリティーの問題、二つは使途、運用におけるセキュリティーの問題、そして三つは、法の仕組みそのものの観点からのセキュリティーの問題と指摘されたそうであります。  そのとおりだと思うので、私まず、本法で登記情報がオンラインで国民と直接に結びつけられるということで、最初に、技術上のセキュリティーの問題についてお伺いしたいと思うんです。  端的に言いまして、法務局指定法人の間をつないでいる専用回線、そしてまた、指定法人と委託者といいますか、そこを結びつけている回線、これはID、パスワードで特定されるようでありますが、そういうところに第三者が侵入してこないかどうか、そういう根本問題だと思うんですが、それについて法務省はどう考えているのか。侵入のおそれを本当に回避できるのか。まず、その問題についての答弁を願います。
  102. 細川清

    細川政府参考人 御指摘のとおり、登記情報は国民の権利の保全のために不可欠なものでございますので、登記情報が改ざんされたり消去されるなどということがあってはならないことは言うまでもございません。  一般利用者に直接、登記所コンピューターシステムへのアクセスを認めますと、ハッカーによりウイルスを植えつけられるなどの危険が生ずることになりますので、本法案においては、登記所利用者の間に指定法人を介在させ、登記所コンピューターシステムにアクセスすることができる者を指定法人のみに限定することとしております。また、登記所コンピューターシステムに直接アクセスすることができる者の数が多くなるほどハッカーに侵入される危険性が比例的に高まることになりますので、指定法人の数も全国に一を限ることとしております。  さらに、本制度実施に当たっては、指定法人コンピューターの中に厳重なファイアウオールというシステムを設けさせるとともに、指定法人コンピューター室についても、コンピューター化された登記所と同様の厳重な入退室管理のできる設備を設けさせることによって、部外者の侵入を防止し、登記情報の安全性の確保に万全を期することといたしたいと考えております。
  103. 木島日出夫

    ○木島委員 同僚委員からも、その指定法人一つがいいのか複数の方がいいのか、どちらの方が安全性、セキュリティーが高まるのかという根本問題を指摘されておりましたが、今答弁のように、法務局指定法人の間をつなぐ専用線、これへのハッカーの侵入を防ぐには一つの方がいいという答弁ですね。二つあるとそれだけハッカーの侵入のおそれが高まるということだと思うんです。  私が指摘したいのは、根本問題で、今のコンピューター技術からいくと、専用線そのものへもハッカーが入り込む、そのおそれは、完全には食いとめることは技術上できない、そういう技術上の水準に置かれているということは法務省はお認めになるんでしょうか。
  104. 細川清

    細川政府参考人 私どものシステムにおきましては、そういうシステムの中に侵入されることのないように万全の措置を、現在考えられる万全の措置をとっているつもりでございますが、技術は日進月歩でございますから、それは思わぬところにあるかもしれないということは、可能性としては全く否定することはできないというふうに考えております。
  105. 木島日出夫

    ○木島委員 そこで、法務大臣にお聞きしておきたいと思うんですが、そういう技術水準にあるということです。これから法務省もこういう形でコンピューターシステムを具体的に導入するわけですが、そういう専用線等へのハッカーの侵入を防ぐための技術的な、防止するための技術的な研究ですね、そういうのをどう図っていこうとするのか、そのことだけ答弁願いたいと思うんです。
  106. 臼井日出男

    臼井国務大臣 今委員指摘のとおり、万全の体制をしいても、技術的には日進月歩でございますので、そうした可能性が全くないと言うことはできないと思います。  そこで、私どもは、そうしたハッカーの侵入を許さないような万全の措置を講ずる考え方でございますが、万一ハッカーが侵入いたしましても、登記情報の改ざんや破壊を行った場合でも、登記情報システムにおきましては、登記所、各地方法務局バックアップセンター及び法務省民事局登記情報センターの三階層において、それぞれバックアップデータを保存いたしておりますので、このバックアップデータを用いることによって登記情報を速やかに回復できる、こういうふうな措置を講じているところでございます。
  107. 木島日出夫

    ○木島委員 もう一つ、セキュリティーの問題で、指定法人と委託者、利用者の問題についてお聞きしたいんですが、これは法案によりますと、一般国民、市民は指定法人に登録をする。そうすると、IDやパスワードが、指定法人からその委託者に渡される。それがセキュリティーの基本になっているということだと思うんですが、世上、こういうIDやパスワードは他人からかなり安易に侵入できる、あるいは利用されるということを聞いておるわけであります。  そうしますと、指定法人と委託者、利用者との間でいろいろなトラブルも起きてくるんじゃないかと思うんですよね。その辺の安全性をどう守るのか。あるいは、そういうトラブルが起きたときに、法務省としてはどういう態度をとられるのか。それは指定法人と委託者との内部問題だといって知らぬ顔をするのか、そういう問題について法務省として一定の責任を負う立場にあるのか。その辺をどう考えているのか、答弁願いたい。
  108. 細川清

    細川政府参考人 IDナンバーは指定法人が御利用者にお送りするものでございますが、パスワードは御自身がお決めになるものでございます。  まず、問題が起きないように厳重に指導監督していくことが非常に大切なことであろうと思いますが、そういう中で問題が起きたときにも、適切な解決ができるように十分指導してまいりたいと考えております。
  109. 木島日出夫

    ○木島委員 そのぐらいにしておきます。  二つ目の安全性の問題では、使途とその運用の問題であります。  これは、指定法人になりますと、日本の法務省が持っている登記情報と全部専用線でつながるわけですから、指定法人の業務が適正に行われるというのは、この法が的確に運用されてくる前提問題だと思うんですね。  そこで、この法案を読みますと、第九条で、「指定法人の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、登記情報提供業務に関して得られた情報を、登記情報提供業務の用に供する目的以外に使用してはならない。」目的外使用の禁止という条文が入っています。  当然だと思うんですが、改めてお聞きします。指定法人を一に限って指定するということですが、今考えているのは民事法務協会ということでよろしいですか。
  110. 細川清

    細川政府参考人 最終的な決定は本法案が成立した後になされるわけですが、現在のところ、これを念頭に置いているところでございます。
  111. 木島日出夫

    ○木島委員 民事法務協会というのは民法上の公益法人ですね。そうすると、そこの役職員の法律上の身分、地位というのはどういう状況にあるんですか。
  112. 細川清

    細川政府参考人 これは民法で規定されているものでございまして、地位としては純粋の民間の方ということになるわけでございます。
  113. 木島日出夫

    ○木島委員 民間人ということですね、公務員ではない。  そうすると、この指定法人の役職員がこの職にあって、いろいろなコンピューターでつながれることによってたくさんの情報を手にして、それを目的外に流用してしまった場合にはこの法案の九条違反になると思うんですが、違反行為を犯したときにはどういう制裁があるんでしょうか。
  114. 細川清

    細川政府参考人 違反行為がないように、まず指定の段階で、役職員による情報の適正な維持管理という点についても、十分信頼の置ける法人を指定法人として指定することになりますが、万一そのような事態が生じた場合には、法務大臣は、指定法人に対して必要な報告を求めるほか、検査をさせ、その結果に基づき、必要な監督命令を発し、是正措置を講ずることが可能であります。また、悪質な場合には、法務大臣は関係役員の解任を命ずることもできるわけでございます。  このように、業務に関して得られた情報の目的外の使用に対しては、法務大臣のさまざまな監督権限の行使によって適切な対応をすることが可能だと考えておるわけでございます。
  115. 木島日出夫

    ○木島委員 そういう規定はあるのですが、当該目的外使用禁止に反して情報を不当に第三者に流してしまうとか、そういう違反行為をしたときには、これは罰則規定もないのですよね。それで大丈夫なんですか。
  116. 細川清

    細川政府参考人 民間の企業でも、さまざまな顧客の情報等が備えられている場合があります。それが目的外に使用されたという場合と同じことでございまして、民間の組織について、一般に罰則を設けるかどうかというのは、十分今後とも検討しなければならない問題だと考えております。  それで、本法案と同様に、業務に関して、得られた情報の目的外使用の禁止規定を置いている宅地建物取引業法においても、その違反に対して、建設大臣による監督権限の行使のみを規定して、罰則を置いていないという例があるわけでございます。
  117. 木島日出夫

    ○木島委員 これは法務大臣に聞きたいのですが、これは根本的に違うんですよ、不動産業なんかとは。日本の法務省が持っている、法務局が持っている情報が、まだ今コンピューター化しているのは約三分の一ですけれども、将来は全部の不動産謄本と商業謄本がコンピューター化されたら、全部のデータが一の指定法人である民法上の公益法人とつながるわけでしょう。  それで、そこの内部の役職員はその情報に一番近いところにいる。それを目的外使用を禁止しなければならぬというので第九条を置いたと思うのですが、公務員ではありませんからね、役職員は。公務員法上の守秘義務、罰則もない。この条文も違反したときに罰則もない。これで大丈夫かなと本当に思うのですよ。  国民の財産の根幹にかかわる登記情報でしょう。語弊はあるけれども、指定法人は、それを一手に全部手にすることができる状況に置かれるわけでしょう。それで目的外使用禁止条項を入れたけれども、その担保がない。これはどういうことですか、法務大臣。大丈夫ですか、こんなので。
  118. 臼井日出男

    臼井国務大臣 委員指摘のとおり、この登記情報、極めて大切な役目を指定法人が担うということになるわけでございます。したがいまして、役職員等の問題につきましては、先ほど参考人からお話をしたとおりでございまして、私ども、法務大臣としての監督権限というものをしっかり行使をいたしまして対処いたしてまいりたい、このように考えております。  また、こうしたものにつきましては特に罰則規定を設けておりませんが、捜査機関に対しての告発をするよう命令するということによりまして、しっかりと対処していきたいと思います。
  119. 木島日出夫

    ○木島委員 いや、告発するといったって、目的外流用した役職員は何か刑事罰に該当するのでしょうか。
  120. 細川清

    細川政府参考人 通常は、いろいろな情報を、例えば顧客の情報コンピューターから打ち出して持っていきますと、これは窃盗罪、情報がついた紙を窃盗したということで現在の刑法では対処されているわけでございます。
  121. 木島日出夫

    ○木島委員 窃盗、紙の窃盗罪で告発するんですか。本当にこれは、国民の大事な登記情報を漏らしちゃいかぬ、こういう法律をつくろうというのですから、それを破った場合に紙の窃盗罪で告発するというのでは全然説得力がないと思うのですね。  私の考えは、指定法人制度じゃなくて、そこまでは法務省が責任を持ってやるべきじゃないか。民法上の公益法人にゆだねるのじゃなくて、専用回線で結ぶのはいいですよ、そこまで何で法務省が、法務当局が責任を持たないのか、なぜここに一枚、指定法人というのを間にかませたのか。そこの根本問題を問いたいのですが、大臣
  122. 臼井日出男

    臼井国務大臣 一般利用者登記所コンピューターシステムへの直接アクセスというものを認めますとハッカーによりウイルスを植えつけられたりする、そうした危険性があることになりますので、登記所利用者の間に指定法人を介在させまして、登記所コンピューターシステムにアクセスすることができる者を指定法人のみに限定するということにしたものでございます。  現行の会計法規上では、クレジット払いや銀行口座からの引き落とし等の簡便な納付方法は許されておりませんので、登記所が直接、利用者に対して電気通信回線を通じて登記情報提供するということになっております。こうした登記印紙により手数料を前納する必要が国の場合あるわけでございまして、これでは登記簿の閲覧に要する時間と手間を圧縮するという本制度創設の趣旨が達成されないということになるわけでございます。  そこで、利用者の料金の支払いを、民間のインターネットによる情報提供の場合と同様に、クレジット払いや銀行口座から引き落としをするという簡便な方法によることができるようにするために、登記所利用者の間に指定法人を介在させるということにしたものでございます。  また、電気通信回線による登記情報提供制度実施に当たりましては、相当量の事務が新たに発生するということになるわけでございますが、行政の簡素合理化の観点から、これらの事務を指定法人にアウトソーシングするということにいたしたものでございます。
  123. 木島日出夫

    ○木島委員 現在の登記行政の閲覧について言えば、料金の支払い方法は印紙。昔は現金だったと思うのですね。しかし、もしこの体系が入ると、今答弁がありましたように、クレジット払いか銀行口座引き落とし。そうすると、国が直接そういう業務をやるのはなじまないという答弁だと思うのですが、これは禁止されているのですか、今の日本の行政法体系の中で。そういうことなのですか。それでやむなく、指定法人を間にかませなきゃいかぬということになったのですか。では、そこは民事局長
  124. 細川清

    細川政府参考人 ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおり、現行の会計法規上は、クレジット払いあるいは口座引き落としという方法はとることはできません。したがいまして、例えば特許の特例に関する手続ではコンピューターによるアクセスを認めておりますが、ここでは特許印紙をあらかじめ予納しておくという形をとっております。  こういうことをいたしますと多くの利用者が、特許の場合には利用者が限られておりますからよろしいのですが、本法の場合には大変不便なものになると思いまして、こういった指定法人を介在させることといたしたわけでございます。
  125. 木島日出夫

    ○木島委員 私は、安全性の問題は全然関係ないと思うのですね、指定法人を間にかませたかどうかによって。かませなくても、ここまで法務省が責任を持ってやって、ファイアウオールを設けて、専用回線を一本だけにしてやることは、そんなシステムをつくることは可能だと思うのですよ。  しかし、今、会計法上、直接国がクレジット払いや銀行引き落としというわけにはいかぬということが理由になって、指定法人を間にかませるというのであれば、この指定法人というのは大変な公的な業務をやるわけですから、そして、国民のすべての登記関係情報を一手に握れる地位に置かれるわけですから、逆に私は、単に民法上の公益法人なんというよりも、もっと公的な地位にここの役職員を置くことが必要じゃないかと思うのです。  なぜこんなことを言うかというと、今でも民事法務協会の皆さん方は、閲覧業務等の仕事を現に担っています。しかし、実際は公務員じゃないということで、同じような仕事をそこで法務局の職員はやっているわけですが、同じような職務をしていても、民事法務協会の一職員だということで、賃金とか退職金とか、さまざまなことで差がついているのですよ。それは法務大臣、御承知のとおりだと思うのですね。そういうことで、民間人だということで、公と同じ仕事をやりながら地位は抑えられている。  しかし、こんな重要な、国民の財産の基本にかかわる業務をやるということですから、むしろ地位を引き上げてやるか、あるいは、そこまで法務省が責任を持つということの方が妥当ではないかなと思っておりますので、私の考えとしてきょうは聞いておいていただきたいと思います。  もう一つ、安全性の問題で、実は、東京司法書士政治連盟というところの要望の中に、「オンラインによる登記情報の公開については守秘義務規範のある専門職能に限定すること。」という要望が入っているのですね。  要するに、だれでもかれでもオンラインでつなげることができるようにしてしまうと、さっき言った、ハッカーが侵入してきていろいろな情報が漏れていく、それを阻止するという意味をも込めて、オンラインでつなげることのできるのは、守秘義務を法律上規定されている司法書士等の専門職能に限ったらどうか、こういう提起もあるのですが、こういう考えに対して本法はそうじゃないわけですね。だれでもつなぐことができるのですね。どうしてそういう仕組みをとったのか、答弁願いたいと思います。
  126. 細川清

    細川政府参考人 本来、登記簿に記載されている事項は何人でも閲覧し、謄本を得ることができるわけでございます。その意味で、登記簿に記載されている事項は公開情報でございますので、請求される方もどなたでも請求できるという現行登記法の制度を踏襲するのが適当であるという考え方に基づくものでございます。
  127. 木島日出夫

    ○木島委員 わかりましたが、セキュリティーの問題というのはそれだけ大事だということで、これからもしっかりその辺は監視していただきたいと思うのです。  二つ目に、重要な問題として料金の問題についてお聞きします。  この法体系によりますと、二つの体系になるわけですね。契約者が指定法人に支払う料金、これは法務大臣認可ですから、認可料金です。それから指定法人が国に納める手数料、これは政令事項になっているようです。こういう二段階になっています。  そこで最初に、契約者が指定法人に支払う認可料金の問題についてお聞きしますが、まず体系について聞きますが、考えられることとして、登録するときに登録料というのをまず取るのかどうなのか。その次に、登録した者には、利用しようとしまいと一定の月決めの基本料金というのを取る予定なのかどうなのか。そして三つ目に、ここにアクセスしたときの、件数ごとの料金になると思うのですが、それを幾らぐらいにしようと考えているのか。その点についてお聞きしたいと思います。
  128. 細川清

    細川政府参考人 指定法人利用者から徴収する料金でございますが、これは、指定法人登記所に支払う登記手数料の額に、指定法人登記情報提供業務を行うのに必要な経費、すなわち人件費、事務所の賃料、当該料金の徴収に関する銀行、クレジット会社に対する手数料などを利用見込み件数で除して得た金額を加算して算出することになるわけでございます。それで総額が決まるわけでございます。  あと、新規登録のときに登録料を取るか、あるいは一月利用しなくても取るか、あるいは個々の利用件数ごとに取るかということでございますが、最後のところが一番の基本だ、一件ごとに料金をいただくというのが一番基本だと思っていますが、それから先は指定法人が決めまして、それを法務省と協議して、最終的に認可できるものを決めるということになるわけでございます。  したがいまして、どういう方法によるかも、委員会での御審議の内容を当然考慮して決定するということになろうかと思っております。
  129. 木島日出夫

    ○木島委員 そうすると、確認しますが、登録料というのは取る予定はない、あるいは使わない場合の、いわゆる電話料金のような基本料金というのは取る予定はない、こう確認していいですか。
  130. 細川清

    細川政府参考人 これは、指定法人が当初のイニシアチブがある問題ですから、確定的なことは申し上げられないのですが、とにかく、使わないのに一月間必ず料金を取るというのは合理的でないというふうに思います。  あと、当初登録料を取れば、後の方の一件ごとの利用料金が当然安くなるという関係ですから、徴収の時期がずれているということになろうと思います。いただく額は総体としては同じものにならざるを得ないわけです。そういう関係でありますので、登録料が適当であるかどうかは相当慎重に考えなければならないというふうに考えております。
  131. 木島日出夫

    ○木島委員 はっきり答弁しませんが、では一件ごとの料金について聞きます。  現行の閲覧は一件五百円です。コンピューターが入っているところは、本による閲覧じゃなくて、それにかえて登記事項要約書というのが発行されるわけですが、それももちろん五百円ですね。そして、法務局の証明がつく登記事項証明書や登記簿謄抄本は千円ですね。ですから、私は、これは五百円を超えたらちょっと現行より高くなってしまうと思うのですが、幾らぐらいにすることを想定しているのですか。
  132. 細川清

    細川政府参考人 これは、最終的には、先ほど申し上げましたような方法、要するに、実費を計算し、利用見込み件数を出して、それで除した数値が基本となるものでございます。  これは財政当局とも協議しなければなりませんし、予算の最終的な姿にも影響いたしますので、現段階では確定的なことは申し上げられませんが、なるべく利用しやすい額にいたしたい、少なくとも千円を超えないようにいたしたいと考えているわけでございます。
  133. 木島日出夫

    ○木島委員 少なくとも千円を超えないようにしたい、財政当局と今協議をしておるということですが、今五百円ですね。倍になるというのはどうですか、高過ぎてしまっていかぬのじゃないですか。
  134. 細川清

    細川政府参考人 やはりインターネットを通じて閲覧ということになりますと、そこの部分にそれなりに経費がかかるわけでございます。また、従来の謄抄本あるいは登記事項証明書は千円でございますが、記載されている内容は、今度の閲覧でも全く同じ内容が見られることになります。他方、登記事項要約書では一部が省略されている形になっておりますので、そういうことをもろもろ考えますと、やはり五百円よりは高くならざるを得ないということでございます。
  135. 木島日出夫

    ○木島委員 もう時間が来ましたので、このシステムが現場にどう影響を与えるのか、労働条件にどう影響を与えるのか、聞く時間がなくなってしまいましたからやめますが、現行体系でも登記事項要約書は五百円なんですよ、同じものである登記事項証明書は千円なんですよ。要するに、その差額の五百円というのは法務省が証明するからなんです、証明料なんですよ。  そういうことを考えますと、今回のこれは、証明はしないわけですから、証明力がないわけですから、閲覧だけなんですから、千円にするととても高過ぎてしまっていかぬということだけを強調して、私の質問は終わります。
  136. 武部勤

  137. 保坂展人

    ○保坂委員 法務大臣に伺いますが、今、木島委員からの質問にもあった値段の問題なんですけれども、銀行の手続を窓口に並んでする場合、そして実際にオンライン化された機械を通してやる場合、やはりそちらの方が安いということがあります。インターネット時代で、当然サービスは、どんな分野でもどんどん料金は下がっているわけです。ですから、今回のこの法案で当然そういう料金は下がるというふうに、それはもう当たり前のこととして判断していたのですが、そこのあたりはどういうふうにお考えですか。かえって高くなってしまうなんということはあり得ないと思うのですが。
  138. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほど来答弁をさせていただいておりますとおり、基本的に料金というものは、費用を利用人数で割らせていただいて計算をするということになっておりまして、でき得る限り安くすべきであるという考え方委員と同様でございますが、これからそうしたことも考えながら、料金設定をしていかなければならないと思います。
  139. 保坂展人

    ○保坂委員 先ほど民事局長が、千円は超えないぐらいに努力したいと。現行でいけば五百円。これは、千円を超えないように努力したいということであれば、五百円は当然超えている、千円ぐらいの幅におさめたい、こういう趣旨だと思いますけれども、これはやはり高過ぎるのじゃないでしょうか。高過ぎる料金が生まれる背景には、競争の欠落ということがあるのじゃないかと思うのですね。  そこで、先ほど同僚委員からの質問にもありましたけれども、セキュリティーの問題で一の法人に限るんだ、こうおっしゃっていましたね。いわゆる指定法人全国一つにする。この根拠として、セキュリティーの問題だというふうに言われていましたけれども、逆に私は、セキュリティーの問題を考えればこそ、二つ以上というふうに改めるべきじゃないかと質疑を聞きながら、強く思ったのです。  なぜなら、一つシステムがダウンしてしまう、あるいは地震や火事、その他予想し得ない事故でデータが全部つぶれてしまう、利用できなくなる。しかし、もう一つあれば、競争しながらやっていれば、これは確保できるわけです。  お考えはどうでしょうか。
  140. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほどもちょっと御答弁させていただきましたけれども、データというものが安全に確保されなければならないというのは大変重要な点でございまして、先ほどお話をいたしましたとおり、三カ所にそのデータというものが保存されるということでございますので、データが消失してしまうということは避けられるというふうに考えておりまして、委員指摘のようなこともよく考えながら進めさせていただきたいと思います。
  141. 保坂展人

    ○保坂委員 それでは、サービス競争という面からはどうでしょうか。  一つの公益法人だけが高い倫理性を保って、二つつくると、二つ目はだめになるということはありませんよ。二つやらせて競争させて、価格を安く、国民の利便性を図る、これは理屈が通った話だと思うのですが。
  142. 臼井日出男

    臼井国務大臣 委員お話しのことはよくわかるわけでございますが、こうした新しいシステムというものを使う業者ということになりますと、当然のことながら、ある程度制限をされてくるだろう。その制限をされた方々が極めて簡易に、しかし安い料金でもって利用するとするならば、やはり一に限って行う方が結果的に料金は安く済むのではないか、このように考えております。
  143. 保坂展人

    ○保坂委員 これは大臣、どの社会だって、独占している一社しかなければ、その一社が決めればもう料金は決まるんですよ。二つも三つもやっていれば、A社では千円だけれどもうちでは七百円ですよといったら、七百円に引きずられて安くなっていくんですよ。それが原則じゃないですか。何で一つだと安いんですか。
  144. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほど来お話し申し上げておりますとおり、指定法人の利用料金というものは登記情報提供に要する実費を利用見込み件数で除して算出される、こういうことになっているわけでございまして、複数の法人を指定する場合には、各法人につき登記情報提供経費を要するわけでありまして、その法人の利用見込み件数は一つの法人を指定する場合より少なくなるため、かえって料金が高くなるということになるわけでございまして、利用者の利便性の確保の要請に反する結果になる、このように思います。
  145. 保坂展人

    ○保坂委員 では、大臣、そうすると、この指定法人の設立、サービスを立ち上げる段階の予算、あるいはランニングコストというのは大体幾らくらいの予算規模を考えていらっしゃるのでしょうか。局長でもいいです。
  146. 細川清

    細川政府参考人 指定法人の初期投資経費は、新規に事務所をあけるための経費、その整備経費等でございまして、私たちの見込みでは、五千万とか六千万とか、そういう程度ではなかろうかと思っております。  それから、指定法人情報提供業務を行うための経費は、人件費、運用経費でございまして、これは年間に三億円程度ではないかというふうに見込んでおるところでございます。
  147. 保坂展人

    ○保坂委員 そうすると、大臣、今の説明だと多大な初期投資を必要とするシステムじゃないようですよね。当然、信頼性の高い民間会社、あるいは公益法人でもいいですけれども、一社だけじゃなくて二社、三社そういったサービス機関がある、秘密については守られている、守った上で競争する、こういうことにどうしてできないんですか。
  148. 臼井日出男

    臼井国務大臣 こうした極めて個人の秘密に関することを取り扱う、こういうことを考えますと、当然のことながら信頼の置ける業者を指定しなければならない。その業者が複数よりも一つの方がそうした秘密というものは守られ得ると私どもは考えておるのでございます。
  149. 保坂展人

    ○保坂委員 そうすると、法務大臣は、民事法務協会を除いてこの日本国にこういう情報を扱える機関はない、こういうふうに判断されているということですか。
  150. 細川清

    細川政府参考人 先ほど来申し上げておりますことは、指定法人の中に職員がおりますので、そこはコンピューターにアクセスできるわけですから、指定法人が二つ、三つできてきますとその人数が二倍、三倍になるわけですから、そこで何か不心得者がセキュリティー上の問題を起こす可能性が高くなる、だから一つの方がいいんだということを先ほど来申し上げているわけです。  ですから、ほかにできるところがあるのではないかという御指摘でございますが、それはそれで、ないことはないだろうというふうには思っていますが、ただ、これは法務大臣が全面的に監督するものでございますので、法務省の所管の公益法人でなければならないということになりますので、そういたしますと候補はおのずから絞られてくるということでございます。
  151. 保坂展人

    ○保坂委員 それでは、きょうは、ことしの総集編的な意味も込めて刑事局長にもおいでいただいたんですね。公務員、わけても秘密の厳守が守られなければならない警察官の不祥事が相次いだんですね。警察不祥事一般にしますと事例を列挙するだけで時間がなくなるので、今の問題の情報に限りたいと思います、情報。  公益を守る、そして絶対表に出てはならないという例えば捜査情報、そういうものを持ち出して女性をおどかすやからが出てくる。あるいは犯歴データ、これも絶対出ちゃいけないはずのものが出ちゃう。それから、にせの捜査照会書でNTTからどんどん通話記録をとる、それで興信所に売っちゃう。こういう例が私の知るところでも三、四あるように思うんですが、実態はどうでしょうか。非常に目立ってきたと思うんですが、刑事局長、どうですか。
  152. 松尾邦弘

    松尾政府参考人 事件の性質上、今御指摘のようないろいろな問題が起きておりますので、刑事局としても、そういった事件の情報については入手するように努めております。  我々が承知している範囲では、確かに委員指摘のとおり、例えば奈良県における御指摘のような事案がございました。そのほか最近の事例では、例えば、大阪府の警部補が知人からある人物の戸籍謄本等の入手を依頼されまして、今委員が問題にされたような捜査関係事項照会書をもってこれを照会して、入手した個人情報を知人に漏らした事例がございます。  そのほかに当局で承知しているものとしては愛知県警の事件がございまして、愛知県のやはり警部補でございますが、知人の会社役員からある人物の身辺調査を依頼されまして、携帯電話の会社に契約者の照会をいたしました。これに、交番備えつけの連絡票等をコピーしまして、犯歴照会をするなどして、その入手した情報を依頼された知人に漏らした事件があります。  それから、警視庁の巡査部長の事件もございまして、これは今御指摘の、NTTに対して捜査関係事項照会書をもって、加入者の電話設置場所、個人名あるいは住所等、個人情報を入手しまして経営者に漏らした事件等がございますが、これはまだ未送致でございます。
  153. 保坂展人

    ○保坂委員 警察官の中に一人二人そういう方がいるというだけじゃなくて、病巣が広がっているという気がするんですけれども、また、NTT自体の中からも顧客データを興信所に売るなどの事例が続いています。  これについては、時間がありませんのでもう一問だけ刑事局長に伺いますが、これは何を教訓として我々は押さえなければならないのかという点なんですが、つまり、同一組織の中において自浄機能を求めることがいかに難しいかということが、神奈川県警の事例でも明らかなんじゃないか。  つまり、捜査機関という中に、検察もこの間いろいろ国民の声がありながらも結局は動かなかったわけですけれども、こういう不祥事が続々生まれてきて、今私が絞ったのは、今回の法案と非常に共通性のあるデータ、それがどんどん漏れていってしまう。やはり競争相手や外部からのチェックを受けない組織は腐敗する、こういう教訓がこれらの事例で生まれているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  154. 松尾邦弘

    松尾政府参考人 個人情報を中心としました情報に関して、そのセキュリティーをどうするか、あるいはその保護をどうするかという問題、今、現代社会はいろいろ通信情報手段が発達してまいりましたので、大変重要な問題になってきていると思います。  既に委員、十分御承知かと思いますが、こうした問題についてどう対処するかというのは、それぞれの情報の種類、性質に応じてさまざまな規定がされております。  例えば刑法でいいますと、第十三章に「秘密を侵す罪」というのがございまして、例えば医師等の特定の職種につきましては、個人情報、大変機微にわたるもの、秘匿性の高いものの情報が入ります。こういったものについては、刑法という一般法でもって、その秘密を侵す罪についてはかなり重い罪を定めているところでございます。  そのほか、国家公務員、地方公務員につきましては、その職務上知り得た秘密を漏らしてはならないという形での諸規定がございます。それから、今委員指摘の例えばNTT等の、非常に特殊な公益性のある業務を行っているところ、これもまた個人情報が業務上集積されるということでございますので、その秘密を侵す罪ということについては罰則をもって担保している。  それから、さきの国会で成立しました通信傍受法案につきましても、こうした秘密の保持ということにつきまして大変重きを置きまして、罰則を強化したということでございます。  そうした情報というのは、例えばプライバシーの保護ということから考えるべき情報とか、あるいは財産的価値に着目してその保護を図るべき点からいろいろな諸規定を置くべきものとか、いろいろございます。したがって、それらにつきましては、それぞれ特別に個々の法律でその保護を手当てしているということでございます。  また、では組織としてそうした問題についてどうするかということにつきましては、それぞれの組織が、先生指摘内部監査の体制とか、あるいは内部的な決裁とか指示というようなルートを整備すること等によりまして、いろいろな工夫を凝らしながらそうした保護に努めているということでございまして、必要であれば第三者機関のチェックということも考えることも確かに重要事項かと思いますが、現在、そうした秘密の保護につきましては、さまざまな体制がとられていると承知しているところでございます。
  155. 保坂展人

    ○保坂委員 では、どうぞお帰りいただいて結構です。  民事局長に伺いますけれども、今のお話は、ここ最近の国会審議の中でも、こういう重大な情報の漏えいについては、今までの規定ではだめですよ、より強い罰則もたがはめも必要なんだ、こういう議論だったんですね。私からも伺いたいのですけれども、そういう観点に照らすと、第九条の目的外使用、ここのところに罰則がないというのは、やはりそういった議論を踏まえない立法だったのじゃないかとしか思えないのですね。しかも、内容が流出してしまった場合の影響の大きさ、これを考えますと大変重いと思います。  例えば、具体的に一点挙げてみたいと思いますけれども、この公益法人にだれがどのようにアクセスをしてきたのか。つまり、どこの工務店やどこの司法書士から、いろいろな記録が残りますよね。それで料金を請求していくわけです。そのデータが一年分、全部出てしまいましたよといったら、これは大ごとになりますよね。こういう途方もない大きな情報を握った機関が目的外使用に対して罰則がない、これはいかにも時代おくれの立法ではないですか。
  156. 細川清

    細川政府参考人 この点につきましては、ただいま御指摘のような点を踏まえまして、今後、個人情報保護法の制定等、全体の問題がございますので、こういった点にかんがみまして、見直すべきものは見直してまいりたいというふうに考えております。
  157. 保坂展人

    ○保坂委員 それでは、民事局長、第七条のところ、指定法人が業務の休廃止をする際、大臣が許可をする場合というのは、一体どういうケースを想定されているのでしょうか。
  158. 細川清

    細川政府参考人 一部を休止するというのは、機械等のリプレースで、どうしても一たんとめなければならないというような場合を想定しているわけです。  廃止をするというのは、許可を得なければ廃止をしてはならないということなので、一般的にはほとんど起こらないことですが、例えばその点は、何らかの事情でこの業務を続けることは難しいということでありまして、他に指定法人となるものがあるということであれば、その段階で、新しい指定法人を指定した上で廃止の許可をするということになろうかと思います。
  159. 保坂展人

    ○保坂委員 では、法務大臣に伺いますが、先ほどあえて警察の事例を伺ったのも、これはやはりコンピューター時代特有の犯罪なのですね。犯歴データもそうです。NTTの顧客データもそうです。こういうものが、やはりある立場になると一手に手に入ってしまう。それが個人にとって大変なプライバシー侵害である。  この公益法人の中で、万が一、先ほど私が示したような情報の流出行為などが認められた場合、この指定法人のいわば業務を廃止させるということも当然あっていいと考えますが、いかがでしょうか。
  160. 臼井日出男

    臼井国務大臣 今委員指摘のとおり、こうしたコンピューターシステムの発達、そうした過程の中で、ハッカー等が入ってきたり、あるいは資料の外部流出、こういうものはあってはならないわけでございますが、そうしたことについても常に心していかなければならないと思います。もしそうした事由が起こったとするならば、当然廃止をすべきだと思います。
  161. 保坂展人

    ○保坂委員 廃止したときにはどうなってしまうのですか。空白期間が生まれると思うのですが、そのときにはどうするのですか。
  162. 臼井日出男

    臼井国務大臣 こうした問題が起きた場合には、そのレベルによって罰則というものも設けております。したがいまして、第十一条でお示しをいたしておりますとおり、これらの業務の適切な実施を確保するために必要があると認められるときには、指定法人に対し、当該業務に関し監督上必要な法務大臣としての処置をすることができる、こういうふうに規定をいたしておりまして、廃止に至らないように、絶えずしっかりと監督をしていく必要があると思います。
  163. 保坂展人

    ○保坂委員 大臣、今、廃止もあり得ると言ったのですね。では逆に、そういうものはないのですか。何をやっても廃止されないのですか。
  164. 臼井日出男

    臼井国務大臣 法律で定めておりますとおり、当然、そういうことに対する法的な配慮というものはいたしているところでございます。
  165. 保坂展人

    ○保坂委員 廃止があり得るのだったら、廃止されたときの空白期間はどうするのですか。だったら、二つ以上あって、お互いが相互にチェックし、価格競争もしてやっていた方がいいのではないですか。いかがですか。
  166. 細川清

    細川政府参考人 一に限る理由は先ほど来御説明申し上げたとおりでございますが、まず、廃止する場合には、いろいろな、役員の解任命令あるいは是正命令等ができますので、どうしても許可を取り消さなければならないという場合には、至急、代替の指定法人の候補を探し、そこを任命する開始の準備ができた段階でこれを取り消すというのが最も穏当ではないかというふうに考えているところでございます。
  167. 保坂展人

    ○保坂委員 法務大臣、極端なことを聞いているように聞こえるかもしれませんが、私、いろいろ公益法人の問題を調べていると、公益性の高い公共のお金を、株の投機で損失を出して、とんでもないことになっている公益法人はあるわけですね。今回つくられるものがそうなるとは思いませんけれども、しかし、見込み違いということは起き得るのですね。例えば価格設定によって、入ってくるはずのお金が入ってこなくなった。大幅な損失を出して、この公益法人は破綻するということが絶対ないとは言えないわけですね。  そういうときに、一体、では法務大臣としては、この公益法人に対して、存続をあくまでもできるように支えていくのですか。経営上の破綻というようなことは全く想定外というふうには言えないと思うのですね。
  168. 細川清

    細川政府参考人 指定法人の料金でございますが、これは、この制度の運用に必要な実費を利用見込み件数で除した数字が基礎になるわけでございます。ですから、利用件数が減れば基本的には料金は高くなる、利用件数が非常に多くなれば料金は安くなっていくという関係にあるわけでございます。  ですから、そこの点の料金を適正に設定すれば、まず破綻ということは起こらないであろうと思いますし、また、日ごろから、業務の適正を図るためにこういうものは十分監査、監督していかなければならないわけだと思っております。ですから、そういうことが起こらないようにきちんとしていきたいというふうに思っております。
  169. 保坂展人

    ○保坂委員 最初から最後まで同じテーマになりましたけれども、やはり競争があってこそ、お互い相手がおかしなことをやっているよというのは、相互にチェックし合う体制ができるわけです。価格面のサービス上昇にもつながるという点で、一つに限るというのは、いかにも電子情報社会にふさわしくない、旧態依然たる発想がとても残念だということを、それでも一応賛成という立場なんですが、指摘しておきたいと思います。  終わります。
  170. 武部勤

  171. 日野市朗

    日野委員 中断前に引き続いて質疑を続行させてください。  先ほど、十三条一項二号の解釈をめぐってちょっと紛糾をいたしました。それで、これは指定の取り消しということでありますから、その要件を定めますから、第一号でかなり包括的に決めてありますが、第二号、これはやはりちゃんとしておく必要があるというふうに思います。ひとつここを整理した見解を述べていただきたいと思います。
  172. 細川清

    細川政府参考人 先ほどは、私の答弁が不十分で大変申しわけございませんでした。  それでは、改めて御説明申し上げます。  十三条第一項第二号は、三つのことを言っております。まず、この法律の規定に違反したときというのが一つございます。二つ目が、この法律の規定に基づく命令に違反した場合がございます。三つ目として、この法律の規定に基づく処分に違反した場合。この三つがここで規定されているわけでございます。  そして、初めの、この法律の規定に違反した場合とは、五条から九条までの規定に違反した場合でございます。それから二番目の、この法律の規定に基づく命令に違反した場合とは、第十一条の監督命令に違反した場合でございます。それから三番目の、この法律の規定に基づく処分に違反した場合とは、第十条の解任を命ずる処分または第十三条の業務停止を命ずる処分に違反した場合でございます。  以上、三つの場合でございます。
  173. 日野市朗

    日野委員 先ほど、この要件の解釈をめぐっての議論は、実は、その根っこは、一つに限るということが適当なのかどうかということについての問題からそっちに問題が入っていったわけですが、やはり私は、一つに限るというのはよろしくないのじゃないか、あらゆる観点から考えて。  先ほどからいろいろ議論ありましたが、かみ合わない議論を結局やっておりました。私は残念だと思う。一つに限らずに、やはりこれは複数あった方がいい、こんなふうに今でも私は思っております。私は、この法案でやろうとしていることは正しいと思いまして、これに賛成したいと思っているんです。  しかし、やはり、より適正にこのようなシステムを運用していくとすれば二つの方がいいな、私はこう思っているんですが、もしどうしても今これを修正して二つにするというのは無理だということであれば、その間、いずれは二つにしてもらいたい、私はこう思っていますが、その運用に遺憾なきを期さなければならない。もちろん、指定法人の監督も必要、指導も必要なんだと思いますが、私はやはり、二つにした方がいいんではないかな、こう思っています。  もう一度、大臣の方から、この考え方についてのお考えを聞かせていただきたい。
  174. 臼井日出男

    臼井国務大臣 この指定法人の数を幾つにするかということにつきましては、登記情報の安全性の確保の問題、国民に対するサービスの向上の問題、料金の問題等々、総合的に検討しなければならない多くの問題を含んでおりまして、今後の技術の進歩や経済情勢の推移等を踏まえながら、十分勉強させていただきたいと思います。
  175. 日野市朗

    日野委員 それでは、終わります。
  176. 武部勤

    武部委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  177. 武部勤

    武部委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出電気通信回線による登記情報提供に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  178. 武部勤

    武部委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  179. 武部勤

    武部委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、横内正明君外六名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合、さきがけの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。横内正明君。
  180. 横内正明

    ○横内委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。     電気通信回線による登記情報提供に関する法律案に対する附帯決議(案)   この法律の施行に伴い、関係者は、次の事項について格段の配慮をされたい。  一 電気通信回線による登記情報提供制度の管理・運営に当たっては、その信頼性及び安全性について万全を期するとともに、国民のプライバシーの侵害をもたらさないよう十分に配慮すること。  二 登記情報提供業務に関する料金等について、国民に過度の負担とならないよう配慮すること。  三 現在推進中の登記事務のコンピュータ化を可及的速やかに行い、国民の利便に資するよう努めること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  181. 武部勤

    武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  横内正明君外六名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  182. 武部勤

    武部委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。臼井法務大臣
  183. 臼井日出男

    臼井国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。     —————————————
  184. 武部勤

    武部委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 武部勤

    武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  186. 武部勤

    武部委員長 この際、お諮りいたします。  司法制度改革審議会に関する小委員会において、政府参考人出席を求める必要が生じた場合には、その出席を求めることとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 武部勤

    武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る十四日火曜日午後一時五十分理事会、午後二時司法制度改革審議会に関する小委員会、午後三時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十八分散会