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1999-11-24 第146回国会 衆議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月二十四日(水曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 鈴木 恒夫君    理事 飯島 忠義君 理事 小川  元君    理事 奥山 茂彦君 理事 栗原 裕康君    理事 肥田美代子君 理事 藤村  修君    理事 富田 茂之君 理事 松浪健四郎君       岩下 栄一君    岩永 峯一君       小此木八郎君    河村 建夫君       倉成 正和君    小島 敏男君       下村 博文君    平沢 勝栄君       柳沢 伯夫君    渡辺 博道君       松沢 成文君    山元  勉君       谷口 隆義君    西  博義君       笹山 登生君    石井 郁子君       山原健二郎君    濱田 健一君       粟屋 敏信君     …………………………………    文部大臣         中曽根弘文君    文部政務次官       河村 建夫君    文部政務次官       小此木八郎君    政府参考人    (文部大臣官房総務審議官    )            本間 政雄君    政府参考人    (文部省高等教育局私学部    長)           石川  明君    文教委員会専門員     岡村  豊君     ————————————— 委員の異動 十一月二十四日  辞任         補欠選任   池坊 保子君     谷口 隆義君 同日  辞任         補欠選任   谷口 隆義君     池坊 保子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律案内閣提出、第百四十五回国会閣法第一二二号)     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  第百四十五回国会内閣提出私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として、文部大臣官房総務審議官本間政雄君及び文部省高等教育局私学部長石川明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原裕康君。
  5. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 おはようございます。ただいま提案されました私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律案について、大臣並びに総括政務次官に対して御質問させていただきます。  御案内のように、今国会から、なるべく従来の政府委員と言われている人たち答弁を廃して政治家同士議論を深めていこう、そういう国会活性化制度ができましたので、きょうは、三十分という時間でございますけれども、与党の議員として、大臣政務次官の、いわゆる議員としての御見解、御見識というものについて議論が深められればというふうに思って質問させていただきます。  御案内のように、この法律年金制度の改革ということで、ほかの委員会横並びでやっております。年金制度というのは、申すまでもなく、私ども老後が安心して生活できる、幾ら長生きをしても貯金の底がつくということを心配しないで済むような、そういう制度なわけでございます。ところが、御案内のように、少子高齢化がどんどん進んでまいりまして、言ってみれば、働ける人、働く人がどんどん減っていく、働かない人、働けない人がどんどんふえていくということでございますので、この年金制度も今のままのシステムを維持していくと将来とてももたない、こういうことで今回の改正になったというふうに理解をしております。  そこで、議題になっております私立学校教職員共済というのを見てまいりますと、私の今持っております資料は、厚生省年金局の「二十一世紀の年金を「構築」する」、こういう資料でございますが、この私立学校教職員共済組合のいわゆる財政状況というものを見ますと、抜群にいいんですね。抜群にいい内容なんです。  例えば成熟度、ここに数字がございますけれども、これは、今現に年金をもらっている人たちを働いている人たちがどのぐらい支えているかという成熟度を見ますと、これはもちろん数字が少なければ少ないほど、少ない人を大勢で支えているということになりますのでいいわけですが、私立学校教職員共済組合の場合一四・二%。例えば国家公務員共済組合は五一・四%ですから、随分内容としては成熟していない。成熟していないというのは、この場合はいいわけですね。つまり、支える人が多いということですから、いいわけです。  それから、積み立て度合いというのがございます。積み立て度合いというのは、これは当該年度支出合計に対する前年度末の積立金の倍率、要するにどのぐらいストックがあるかということの指標でございますが、これも、私立学校の場合は一一。例えば国家公務員共済組合を見ますと四・五、こういうふうになっていますね。ですから、これも非常にいい。  そして保険料率も、例えば農林漁業団体職員共済組合の場合には、平成十一年四月現在で一九・四九%の保険料率をとっておりますけれども私立学校教職員共済組合は一三・三%で済んでいるんですね。  つまり、今議題になっております、私ども文教委員会審議をいたします私立学校教職員共済組合というのは、これは私立学校先生あるいは専修学校先生、あるいは予備校でも、学校法人職員の人はみんな入っているわけです。ですから、退職した人に比べて現役の人が非常に多いので、非常に内容がよくなっているということでございます。  ですから、ここで御質問申し上げたいと思いますけれども、こんなにいい内容組合と、それから、先ほど申しましたように少子高齢化によって成熟度が非常に高くなって五〇%ぐらいというような、国家公務員共済組合やあるいは厚生年金、いろいろなものがございますけれども、そういう言ってみれば内容がはるかに劣る、何とか改革しないととてもやっていけないというものと、何で横並びで今回一斉に改正する必要があるのか、こういうことをまず最初に御質問させていただきたいと思います。
  6. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員がおっしゃいますように、年金制度老後の安心のため大変重要な制度でございます。  お尋ねの、なぜ今回横並び法改正を行う必要があるのかということでございますけれども私学共済年金給付水準につきましては国公立学校教職員と同程度のものとする、そういう趣旨から、給付関係規定につきましては国家公務員共済組合法を準用しているわけでございます。また、公的年金制度の一環として、各共済年金給付あり方につきましては、厚生年金との整合性を図ることを重要な視点といたしまして、厚生年金に倣った措置を講じているところでございます。  御指摘のとおり、現在の私学共済年金財政そのものは非常に健全、良好でございます。委員指摘のとおり、成熟度におきましても、また積み立て度合いにいたしましても、あるいは保険料率にいたしましても、今御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、制度間の公平性、それから整合性を確保する観点から、横並び改正を行うことが必要である、そういうふうに考えております。
  7. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 大臣の御答弁ですと、制度間の公平ということですね。つまり、年金ですから、社会全体で支えていくという観点、例えばここの組合がたまたま非常に今内容がよくてこちらの組合が非常に内容が悪いといっても、それはもちろんその組合努力もあるかもしれませんけれども一つは、やはり社会の流れによってその時代には非常によかったものが廃れていくとすると、OBが非常に多くなって現役が少なくなるわけですから、それはむしろ、その組合とかあるいはその年金責任じゃない。だから、そういう意味では、社会の動きに合わせて社会全体で公平性を確保しようということで、たまたま今は私立学校教職員共済組合が非常にいいけれども、それはやはりたまたまだけであって、もっとほかの悪い、時代変化によって非常に悪くなっているところとなるべく公平にしよう、こういうことで今回横並び改正をしたということだというふうに理解させていただきます。  そうであるならば、やはりひとつ、年金制度の根本についてどう評価しているかということについてまずお聞かせをいただきたいと思うわけでございますが、今の大臣の御答弁でもわかりますように、社会全体の公平性というものを非常に大事にしている。つまり、世の中の変化が非常に激しい、そして少子高齢化が進んでいく、そんな中で、みんなが安心できるようにしましょうということだと思うのですね。  しかし同時に、ちょっと考えますと、この公的年金というのは戦後の仕組みでございまして、戦前はそういうものはなかったわけです。戦前はどうしていたかというと、やはり自分の親は自分で面倒を見る、あるいは自分のことは自分で面倒を見るというような観点から、ある意味では自立した考え方というものがあったと思うのですね。つまり、自分のことは自分で始末しましょうと。それが戦後、公的年金というものが出てまいりまして、社会全体として支えていこう、こういうことになってきたわけです。  物事には両面がございます。確かに自立というのは大事なんです。しかし、それではとてもできないだろうということで、みんなで支え合おうということになったと思うのです。だから、それを考えてみるとある程度の進歩かなとも思うのでございますが、同時に、自立していく心というものが何か少し失われていくような、そんな危惧も持つわけでございます。  そういうことも含めて、今の年金制度全般現状というものについて大臣がどのように評価していらっしゃるのか、その見解をまずお聞かせ願いたいと思います。
  8. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほど答弁申し上げましたとおり、この年金制度、つまり福祉制度はできるだけ国民が公平であるべきだ、そういうふうな観点から、このたび、横並びといいますか改正を行うわけであります。特に教職員の場合は、国公立学校教職員ということも配慮しなければなりません。そういうことで改正させていただく次第でございます。  今委員から、他人に頼らず自分のことは自分で面倒を見る、そういう自立精神が重要だというお話がございました。私もまさにそのとおりだと思っておりまして、国民一人一人が、他人に頼らずに自立精神を持つことが大切なことと認識をしております。しかし、少子化長寿化の急速な進行、それから経済の低迷、低成長化などによりまして、子供による親の扶養、また個人貯蓄に頼って安定した老後生活を送っていく、そういうことが非常に難しい状態になってまいりました。  したがいまして、公的年金制度を今後とも健全かつ安定的に運営していくことが重要でありまして、そのためには、委員指摘のとおり、まず自助努力が必要、それから世代間の扶養、これも必要、そして公的負担、この三つの要素を適切に組み合わせていくことが重要なものと考えておる次第でございます。
  9. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 大臣の御答弁で、自立が大事である、しかし自分努力ではどうしても限界があるというときには助け合いでいくということでございますけれども、この年金制度について、実はどのぐらい日本国民がよく理解をしているかというと、私はなかなか疑問なところがあると思うのですね。  特に年金制度というのは、共済も同じでございますけれども共済という名前にしてみたり、それから厚生年金、それから、例えば共済の場合は退職共済なんという言葉を使うのですね。非常にわかりにくい。だから、国民からすると年金制度というのが基本的に非常にわかりにくいし、同じ意味なのに違った言葉を使っているというようなこともありますね。そういうことで、何かよく理解をしていらっしゃらないという方が私は結構多いと思うのです。  そこで次の質問でございますが、今大臣がおっしゃったように、自立が大事である、しかし同時に、自立だけではとても限界があるのでみんなで助け合うということは、まさに我々日本人にとって大事なことでございまして、それは翻って言えば、教育問題になるわけです。  そこで、先ほどお示ししました年金資料によりますと、私も自分の出身の県でありながら知らなかったのでございますが、静岡県の健康福祉部年金指導課というところが、中学高校年金指導に行っているのですね。まず最初は、中学高校学校先生年金というものをわかっていただく。それから今度は、生徒さんに対して年金教室というのを開いてやっているのです。  これを見ますと、静岡県の場合は、全国に先駆けて年金教育推進県に指定されたので、平成六年度から、まず公立の中学校高校社会科家庭科先生たちを対象とする年金セミナーをした。平成九年から、中学生高校生生徒に直接教える年金教室も始まっている。その受講者は二年間で五千名を超えた。二年間で五千名という数字は正直言って少ないですね。  それで、生徒さんたちがどういう反応を示したかというと、例えば中学生男の子は、「僕は初めて年金のことについて話を聞いた。将来必ず国民年金加入しようと思った。」なんて書いてあるのですね。それから中学の女の子、「今働いて納めている保険料年金になって高齢者生活を支えていると初めて知った」ということなんですね。つまり、例えば年金の一番基本である世代間の助け合いということについて中学生は知らなかったのです、この教室を開くまでは。それから、高校生の男子、「公的年金への加入が完全に国民義務だと知ってちょっと驚きました。」と書いてあります。今、日本国民年金ですね。それも高校生男の子は知らない。「まじでためになったぜ」なんて、そういうあれもありますね。  そういうことでございまして、案外、今の教育年金仕組みというものを教えることによって助け合いの精神というものを実地に教えられるような、そんな印象で私はこの文章を読んだのです。  これは静岡県の例でございますが、文部省として、年金制度あり方あるいは年金制度ということについて教育の現場でどういう指導をなさっているのか、そのことについて伺いたいと思います。
  10. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 高齢化社会が進展する中で、学校教育におきまして年金などの社会保障も含めた福祉について理解を深めるということは、大変意義もあり重要なことであると思っております。今、先生静岡県での状況をお聞きいたしました。年金セミナー年金教室を開催されておられるということですが、大変に効果が上がっておる、そういうふうに私は受けとめさせていただきました。  学校教育におきましては、従来から、社会科などにおきまして社会保障制度基本的な内容福祉重要性につきまして理解させるとともに、また同時に、思いやりの心とか公共のために尽くす、そういう心を育てることなどについても指導しているところでございます。さらに、新しい学習指導要領におきましては、少子高齢化社会に対応するという観点から、福祉に関する指導内容充実を図ったところでございます。  今後一層、小中高等学校を通じましてボランティア活動などの社会体験、それから障害のある幼児、児童生徒高齢者などとの交流を推進してまいりたいと考えております。  また、高等学校家庭科におきましても、必修科目一つであります家庭総合の中で、指導内容として、高齢者日常生活の介助を新たに取り上げるとともに、専門教科福祉、これを新設いたしまして、福祉関連業務に従事する者に必要な知識また技術等教育充実を図ることとしたところでございます。  今後とも年金を含めた福祉に関する教育充実に努めていきたい、そういうふうに考えております。
  11. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 わかりました。中学社会科あるいは高校家庭科福祉のことについて教えていく。その中で、ある意味では実地教育というのも大事だと思うのですね。大事だと思うのです、確かに。けれども、私に言わせれば、もうちょっと基本のところ、お互いに助け合うんだというその基本のところを、よく、思いやりのある教育とか豊かな心をはぐくむ教育なんて言っていますけれども、この年金なんというのは一番いい例じゃないですか。一番いい例だと思うのですね。  そういう意味で、大臣の御答弁ではもちろん今後とも充実させていくということがございますけれども、もうちょっと踏み込んでというか、年金についてもっときちっとその精神というものを教えていただくように私はぜひお願いしたいと思います。  なぜそういうことを申し上げるかというと、例えば国民年金、もちろんこれは国民全部が、強制といいますか、入る義務があるわけでございますが、やはりこの同じ資料で、国民年金の未加入未納というのが実は多いのですね。未加入者が百五十八万人、未納者が百七十二万人、大体全体の四、五%だそうです。しかも、若い人たちが多いのですね、未加入未納というのは。もちろん、その細かいデータは出ておりませんけれども。  なぜ払わないんだというと、一つは、年金というものについて理解をしていないという部分はあるでしょう。それからもう一つは、年金というものについて全然信頼していない。つまり、幾らかけたって、どうせかけたって、老後にはもらえないんだろうという年金制度に対する不信感もあるかもしれません。しかし大部分は、年をとって困ったらば、いいや、何とかだれかが、国が面倒見てくれるんじゃないかという甘えが実はあると僕は思うのです。ですから、教育が大切だということを申し上げたかったわけでございます。  そういうことを考えますと、実は、福祉ということについて私どもが考えなければいけないのは、今言いましたように、どうしても甘えを助長しちゃう。福祉と言うと何となくにしきの御旗のように、特に、我々政治家は選挙のときに有権者の審判を仰ぐわけですから、有権者に対してサービスといいますか、なるべく有権者が喜ぶようなことを言わなきゃいかぬということになると、福祉充実させますと言うと、大体みんなよしと、こうなるのですね。  しかし、物事には光と影が必ずございます。例えば、これもまた怒られるかもしれませんけれども戦前の、俗に言う軍国主義華やかなりしころのことについては、今の教科書では徹底的に反省をしております。しかし同時に、あの軍国主義ですら、個人の勇気とかあるいは仕事に対する責任感とか、そういうものについては非常にいい面があったわけですね。しかし、それは光の部分であって、もう一つ影部分はもちろん、戦争、侵略という人間の非常に暗黒面が出てくる。そこを教科書の方では影の部分だけ一生懸命強調しているわけですね、今の教科書はどちらかというと。  福祉については、実は光の部分だけ、善意とか助け合いとかいう部分だけ世間では一生懸命喧伝される。学校でも、福祉というのは助け合うことだよ、善意だよ、いいことですよと一生懸命教えようとする。しかし同時に、影の部分があると思うのです。それはつまり、他人に頼ってしまう。今言いましたように、国民年金に入らなくてもいいじゃないか、どうせ後で国が面倒見てくれるんじゃないかという、甘えといいますか、影の部分があると思うのですね。  もっと言うと、アリとキリギリスでいえば、別にキリギリスでいたって構わない。今の日本社会の中で、路頭に迷って、ホームレスというのはありますけれども、あれだって、糖尿病になるぐらいですから、そんなに飢えてはいない。あるいは、もっと言うと、あれはボランティアホームレスをやっている。本当に困っている人というのは、もちろんいるかもしれませんけれども、非常に少ない。  ということになると、先ほどの質問とちょっと逆のようではございますけれども、要するに私が申し上げたいのは、福祉教育というのは大事ですけれども、その光の部分だけじゃなくて、福祉を余りにも進めると、お互いに助け合うということを通り越して、とにかく人に頼ればいいんだ、自分は遊んで暮らしても最後はだれかが面倒を見てくれるという、甘え気持ちというものを助長するおそれがあるんじゃないかというふうに思うのです。  そこのところは、実はきちっと教えなければいけないと思うのでございますが、そういうところの現状はどうなっているのか、そして大臣のお気持ちを、どういうふうに思われるのかを伺いたいと思います。
  12. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今委員から、年金のことにつきましての三つ問題点といいますか、御指摘がございました。一つは、理解を非常にしていないんじゃないか、それからもう一つは、年金は将来もらえないんではないかという不信感がある、それから三点目は、国やだれかが面倒見てくれるという甘えがあるのではないかという御指摘でございまして、私も、これらは非常に大きな問題点だ、そういうふうに認識をしております。  学校教育におきましては、義務を果たして責任を重んずる態度、それから自立心を養う、こういうことが非常に重要であるわけでございまして、学校教育で従来から、道徳教育を通じて、自分の役割を自覚して責任を果たすことや義務を確実に履行すること、それから、自分でできることは自分でやる、また、勤勉や努力が大切である、そういうことなどを指導してきているところでございます。先生おっしゃいますように、大切なことは自助努力であり、自立心であろう、そういうふうに思っております。  今後一層、御指摘責任感とか自立心、こういうものが高められるような指導充実に努めていきたい、そういうふうに思っております。
  13. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 総括政務次官もおいででございますので、総括政務次官にもひとつ御見解をお願いしたいと思うのでございます。  今申しましたように、年金制度というものは社会全体の助け合いである、したがって、社会全体としては自助努力、要するに自分の力だけで生きていかなければいけない社会に比べれば、みんなが助け合っていくというのはやはりある意味では一つ進歩だと私は思います。  思うのですけれども、同時に、今言いましたように、福祉というものを余りにも強調いたしますと、一番根っこにある自助努力というのを忘れてしまって、人様に頼ってしまうという甘えが出てくるというおそれがあるわけですね。だから、その辺は教育問題としては非常に難しいと思いますけれども総括政務次官、そして自民党で数々の文教政策を立案なさってきた河村先生の御見解、そういうものについて最後お尋ねをしたいと思います。
  14. 河村建夫

    河村政務次官 栗原委員指摘のとおりでありまして、今の若い人たちには、何とかなるんではないかという思いが非常に高まっておると思います。助け合いの精神といいますか、自分がちゃんとしなかったら人にどんなに迷惑をかけるかということが意識されていません。やはりそういうことは実際の教育で、机上だけではなかなか身につかないことで、しっかりいろいろなところで体験をさせていくしかないんじゃないかというふうに私は感じております。  心の内側に、内面的に理解をさせるような方法をこれからとっていくべきだろうというふうに思いますね。親が何とかしてくれるという思い、これは福祉じゃございませんが、例えば奨学金なんかも、これは希望する人には皆差し上げましょう、そのかわり自分できちっと返しなさい、自分責任でやりなさいという方向へ今奨学金制度も行こうとしております。そういうような形で進んでいかなきゃいかぬと思います。  しかし、さっき御指摘のように、そうはいっても、福祉とは何なのかということは、基本的なことはやはりしっかりまず理解をしておかなければいかぬと思いますね。したがって、私もかねてから、福祉教育あるいはボランティア教育というのはもう日常の教育の中にしっかり根差したものにしていく必要がある、まだ正課になっておりませんが、私はそういう方向で検討していく必要があるのではないかと。  それから一方、教える教師の側ですね。今度は介護体験等もしなければ先生の免許を上げないという法律もつくりましたが、教師の側もそういう意識をしっかり持っていただきませんと日常の教育ができない、そうなっていきますので、栗原委員の御指摘というのは非常に貴重なものだと思っております。もう一度、今の教育の中でどの程度実際に実行に移されているか私の方も調査もし、私は、もっと深いところで私自身理解を深めておかなきゃいかぬことだ、こういうふうに思います。
  15. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 新しい学習指導要領の中では、各学校独自のカリキュラムというものも充実できるということになっておりますので、文部省が余りそういうことについてとやかく言うのもどうかなと思いますけれども、今の大臣政務次官答弁のように、福祉というものについて、光と影の部分も含めてぜひきちっと教えていく。そして、実際に体験も結構でございますけれども、一番基本は、世代間の助け合いみたいなものについて余り子供たち理解をしていないという点でございます。奨学金のことも大事だと思いますし、ぜひそういった基礎的なことの教育充実していただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  16. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、肥田美代子さん。
  17. 肥田美代子

    ○肥田委員 公的年金は、申し上げるまでもなく、国民の生涯の生活設計にかかわる重大問題であるかと思います。そこで、年金改革関連法案の日程を与党だけで決定されたことにつきまして、私は心から遺憾の意を表明しておきたいと思います。  さて、その後、与党の中で基礎年金給付水準にかかわる法案修正の動きが出ておりますが、大臣、与党の一員として情報を仕入れていらっしゃいますか。
  18. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 年金関連法案の修正につきましては、修正の有無それから内容等は、与野党間で御協議いただき、また決定されるべきことでありまして、今私は、そこら辺につきましてお答えすべき立場ではないのではないかと思っております。
  19. 肥田美代子

    ○肥田委員 そうしますと、与党が決めれば政府はそのとおりやりますというふうでよろしいのですね。
  20. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今申し上げましたように、与党三党で協議されて決定されたものが政府の決定ということになるわけでございます。
  21. 肥田美代子

    ○肥田委員 そうしますと、与党がもし修正の結論を出せば、この法案はもう一回審議される必要が出てまいりますか。
  22. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 修正の結論が出るかどうか、詳細は私存じ上げませんが、そのときの政府の対応に私どもも従っていきたいと思っております。
  23. 肥田美代子

    ○肥田委員 これまでの年金額は、毎年の物価上昇率と五年ごとの賃金の伸びを反映して決めてまいりました。今回の改正案では、六十五歳以降の年金額につきましては賃金スライドを停止するということになっております。これによって、年金額は現行制度による支給額に比べて低く抑えられることになりますが、どの程度の減額を予想されていらっしゃいますか。
  24. 河村建夫

    河村政務次官 今回の六十五歳以上の年金額の改定方式の見直しによる影響をお尋ねいただいたと思います。  これは例えばの例示でございますが、試算をしたものを申し上げますと、年金額が二百五十万円の人について、厚生年金の将来見通しにおける毎年の賃金上昇率、二・三%でございます、それから物価の上昇率が一・五%、これを基礎として十年後を推計いたしますと、現行法、今のままでいきますと三百十四万で、賃金スライドを停止するという改正案ベースでやりますと二百九十万円となるわけでございまして、差額は二十四万円。現行法ベースと今度の考えでは、八%の減少が生じる、こういう計算になるわけでございます。
  25. 肥田美代子

    ○肥田委員 今回の改正案では、年をとればとるほど年金水準が低くなるという計算になります。そこで、賃金スライドをした場合としない場合の格差が大きくなれば賃金スライドを再開するということになっておりますが、どの程度の格差が出たら賃金スライドを再開するお考えですか。
  26. 河村建夫

    河村政務次官 将来、改正案によりますと、六十五歳以降は物価スライドのみで改定した年金額と、現行どおり六十五歳以降も賃金スライドを行った場合の年金額との乖離が過大とならない、今後過大になった場合には賃金スライドを再開するということは、御指摘のとおりでございます。  この目安でございますが、現在では、二割に格差がいった場合を賃金スライドの再開ということで考えております。
  27. 肥田美代子

    ○肥田委員 私学共済年金成熟度は、平成十年三月末現在で一四・二%、国家公務員共済組合の場合は五一%、地方公務員共済組合の場合は三九・八%と、先ほど御議論もありましたけれども、これらに比べて随分若い数値なのですね。この私学共済成熟度を前提にしても、なお将来的に私学共済年金財源は安定性を欠くとお考えでしょうか。年金財源の将来見通しについてお尋ねいたしたいと思います。
  28. 河村建夫

    河村政務次官 年金財政への影響がこの改正に伴いましてどうなるであろうかということなのでございますが、私学共済の場合は、次期の財政再計算期は来年四月でありまして、今現時点で、改正措置を踏まえた再計算の準備をしているところでございますので、この段階で明確な将来見通しがまだ出ておりません。  前回、平成六年に、財政再計算、将来見通しを行っております。その場合での計算では、加入者が一定であるという前提がございますが、五年ごとに一・七%ずつ掛金率を上げていきますと、平成五十七年には二八・七%を頂点といたしまして安定的な財政運営ができる、こういうふうな見込みになっておるということでございます。
  29. 肥田美代子

    ○肥田委員 次に参ります。  現在、育児休業期間中の共済年金保険料は、加入者負担分だけが免除されております。今回の改正で事業主負担分も免除されるわけですが、免除措置の恩恵を受けている加入者数を教えてください。
  30. 河村建夫

    河村政務次官 現時点で、平成十年度において育児休業をして掛金免除の適用を受けている方が、大学の千三百二十人を初めといたしまして、高校が四百七十七人等々、二千六百五十人いらっしゃいます。
  31. 肥田美代子

    ○肥田委員 それでは、免除されている保険料はどのくらいですか。
  32. 河村建夫

    河村政務次官 保険料は二億五千二百万円、一人当たり平均九万五千円でございます。
  33. 肥田美代子

    ○肥田委員 保険料免除措置の導入前と比べて、育児休業の取得効果は上がっていると認識されますか。
  34. 河村建夫

    河村政務次官 私は上がっておると思っておりますが、育児休暇をとっていただくことはもっと奨励していいことだと思いますし、この育児休暇というのは男性もとっていいことになっておりまして、この中に六名いらっしゃるということでございます。
  35. 肥田美代子

    ○肥田委員 平成十年度の学校教職員統計調査の中間報告によれば、私立幼稚園の三十歳未満の教職員の離職者数は九千四百五十五人です。国公私立幼稚園全体の全離職者数は一万二千三百五十四人。ですから、この中で大半を占めているのが私立幼稚園の離職者数なのですね。しかも、これはまさに若い人たちに集中しているわけです。退職者の退職理由は、病気とか転職は少なくて、七千百八十九人が「その他」となっているのですが、この「その他」というのは何を指しているとお考えですか。
  36. 河村建夫

    河村政務次官 「その他」という欄は、自己都合、結婚、出産ということになっておるようでございますので、その部分だろうと思いますが、若い方ということになると、結婚、出産というケースもあるのかなと。  ただ、残念ながら、これを特定した統計がまだとれていない。非常に個人的なことでもありますので、特定ができていないということでございますが、想像いたしますのに、結婚、出産が多いのじゃないか、このように思います。
  37. 肥田美代子

    ○肥田委員 今、政務次官がおっしゃいましたように、結婚、出産が多いということになりますと、育児休業制度はその真価を発揮していないと見なければいけないと思うのです。育児休業をとりにくい職場環境にあるのじゃないか、そういうことも考えられるわけですが、若い教員たちが結婚しても出産しても気安く育児休暇がとれるように、代替教員の確保とか育児休業期間中の給与の一部の支給など、総合的な対策がまだまだ必要ではないかと思うのですけれども政務次官、どうお考えになりますか。
  38. 河村建夫

    河村政務次官 女子教職員が出産する場合、代替教員を採用する等の施策を講ずる、これは義務教育段階の国公立学校においては完全に定着しているところです。  幼稚園についても、国公立については、女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律というのがございまして、この第三条でもって、女子教職員の産前産後の休業期間についても補助教職員を臨時的に任用すると義務づけられておりますが、私立の幼稚園においては、これは私学の経営上の自主的な判断であるから、同法の五条において、努力義務、こうなっております。この格差がこのような大きな乖離になって出ておるとすれば、これはやはりもうちょっと考える必要があるのではないかというふうな思いをいたしております。  ただ、これは予算面等々でもこういうことを前提とした予算措置はいたしておるのでありますが、これはまだ十分でないということであれば、もっと考える必要があるというふうに感じております。
  39. 肥田美代子

    ○肥田委員 今政務次官がおっしゃってくださったこと、まさにそうだと思うのですね。努力義務だけでは恐らく育児休業制度の真の価値が発揮できないと思うのですが、政務次官のお答えを聞いていらして、大臣、いかがお感じになりますか。
  40. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今政務次官が御答弁いたしましたように、私立学校に関しましては各私立学校がそれぞれの状況に応じて自主的に判断すべきもの、私もそういうふうに思っておりまして、努力義務を今は規定するにとどめているところでございます。  臨時的に採用される教職員も含めまして、私立の幼稚園の教職員人件費につきましては経常費補助を行っているところでございます。そこは十分かどうかという御議論はあろうかと思いますが、そういう点も十分に検討しなければならないと思っております。
  41. 肥田美代子

    ○肥田委員 大臣に伺いますと少しトーンが下がったような感じがいたしますけれども、ぜひこの点、よろしくお願いします。といいますのは、大半の人々がやはり結婚、出産でおやめになるという、これはやはりこの制度が生きていないという大きな証左だと思いますので、ぜひ大臣、よろしくお願い申し上げたいと思います。  それから、今回の年金制度改正は、将来人口の中位推計をしたものに基づいていると聞いておりますけれども少子社会はまさに人口が減少する社会であります。私学共済加入者が総人口と同率で減少するとした場合、保険料の将来見通しはどうなりますでしょうか。
  42. 河村建夫

    河村政務次官 先ほどちょっと申し上げたわけでございますが、これは平成六年の財政再計算時のもので、現時点の試算はまだできておりませんけれども、今御指摘のように、人口減と同様に下がっていくのだと。先ほどはある程度一定の水準の加入者があるということでしたが、これを機械的に加入者が減少していく、加入者数最大減少モデルによる将来見通しの試算も行っております。  これによりますと、加入者数は将来、平成七十二年には現在の半数になるという極端なモデルであるわけでございます。日本の人口は百年後半分になるということも言われていますが、それに近い数。でありますと、これにおきましても、五年ごとに二・七%ずつ掛金率を引き上げることによりますれば、平成四十七年度の掛金率はその場合三四・三%、先ほどのペースの場合二八・七%。これは少し高くなります。なりますが、これをピークといたしまして、制度の維持は可能であるという試算になっております。
  43. 肥田美代子

    ○肥田委員 平成八年三月八日の閣議決定で、「財政単位の拡大及び共通部分についての費用負担の平準化を図ること」を基本とするとしておられます。これは各制度に共通している部分は一緒になってやっていったらどうかということだと思うのですが、将来的な公的年金制度は、公務員系統とか民間系統とかに整理されることもあり得るわけですね。年金制度の一元化に当たって、私学共済はどのような立場をとられるおつもりですか。
  44. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほどから御議論ありますように、私学共済は、他の年金制度に比べまして成熟度が非常に低い、大変健全な形になっております。しかし、今後、他の年金制度と同様に、年金受給者が増加するとともに児童生徒数が減少するということによりまして、私学の教職員数への影響もありまして、徐々に成熟度が高くなっていくもの、そういうふうに思われております。  したがいまして、文部省といたしましては、成熟度財政状況などにつきまして、財政再計算時ごとにそれらの将来見通しを分析して、年金制度としての安定性を検証しながら、公的年金制度の再編成という大きな課題に適切に対処していきたい、そういうふうに考えております。
  45. 肥田美代子

    ○肥田委員 要するに、公務員系統とか民間系統とかに分かれる場合には、もちろん——今ちょっと具体的にどうなるかという道筋がつかめなかったのですが、まだそこまではお答えいただけないでしょうね。
  46. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今申し上げましたように、公的年金制度の再編成という大きな流れがあるわけでございまして、そういう中で、その時点で適切に対応していきたいということでございます。
  47. 肥田美代子

    ○肥田委員 社会保障制度審議会の答申は、「将来にわたる年金財政の分析及びそれを踏まえた財政状況に関する幅広い情報公開を強く求めたい。」と述べていますが、この情報公開の要請をどのように受けとめていらっしゃいますか。
  48. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 年金財政の情報公開につきましては、国民の皆さんの理解を得るという意味におきまして、大変重要でございます。  私学共済につきましては、基本的には日本私立学校振興・共済事業団法に基づきまして、財務諸表を官報に公告するとともに、財務諸表等を事務所に備え置いて、一般の閲覧に供しているというところでございます。また、事業団の広報誌等におきましても、毎年度の決算における収支状況等や、それから年金財政の再計算時における将来見通し等につきまして、全ての加入者また学校法人に対しまして周知を行っているところでございまして、今後も積極的に情報公開に努めてまいりたい、そういうふうに思っております。
  49. 肥田美代子

    ○肥田委員 我が国の教育は、幼稚園も含めまして、私立に依存する率が大変高いわけです。私学助成金とか地方交付税措置が減少すれば、教育システムに重大な影響が出てまいります。現在、私立幼稚園に対して、経常費助成として、三歳児就園促進助成、それから預かり保育補助があります。しかしなお、公立幼稚園と私立幼稚園では保護者の負担に二倍以上の開きがあるとされております。幼稚園就園奨励費につきまして、もっと手厚い補助をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  50. 河村建夫

    河村政務次官 肥田委員指摘のとおりではございまして、現実に八割を超える園児を私立幼稚園が預かっておりますので、この格差をできるだけ是正していくということは私も必要なことだというふうに思っております。そういう観点から、入園料と保育料の一部を助成する幼稚園の就園奨励費の制度を進めてきておるところでございます。  平成十一年度予算においても、私立幼稚園に係る減免、いわゆる給付、これを引き上げて、また平成十二年度におきましても、それの増額をお願い申し上げている、こういう状況でございまして、これからも幼稚園就園奨励費の補助金の充実には努めていかなければいかぬ、このように思っております。
  51. 肥田美代子

    ○肥田委員 これはお母さん方のかなり切実なる願いでありまして、大臣、ぜひここのところを重点的に私は少し研究してほしいと思うのですけれども、いかがでございますか。
  52. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私立幼稚園の就園奨励費につきましては、今政務次官から答弁したとおりでありますけれども、私自身も非常に大事なことと思っておりまして、この制度につきましてはさらに充実するように努力をしていくべきだ、そういうふうに思っております。
  53. 肥田美代子

    ○肥田委員 次に、退職みなし措置と一部支給停止の効果について伺いたいと思います。  現在、退職みなし措置は六十五歳から適用されておりますけれども、私学共済の退職みなし措置を受けている加入者はどのくらいの人数ですか。
  54. 河村建夫

    河村政務次官 現時点、平成十年度末現在でありますが、六十五歳以上の私学共済加入者は約二万六千人おられます。
  55. 肥田美代子

    ○肥田委員 今回の改正で退職みなし措置は七十歳から適用されることになりますが、この措置でどのくらいの規模の年金支給額が抑制されると推定されておりますか。
  56. 河村建夫

    河村政務次官 これによりますと、七十歳からということになります。平成十年度ベースでまいりまして、年間約四十億円の給付額が減少するという見込みであります。
  57. 肥田美代子

    ○肥田委員 その四十億円という推定金額は、私学共済年金財源全体に大きな影響を与えるほどのものだとお考えですか。
  58. 河村建夫

    河村政務次官 全体の数字からいって、大きな影響ということにはならないと思います。しかし、これが将来の年金形成の上では意味がある、こう思っております。  これは、厚生年金全体の流れの中でこの制度を導入したものでございまして、このことによって将来は年金の留保ができるという意味では大きいというふうに思っております。
  59. 肥田美代子

    ○肥田委員 六十五歳以上七十歳未満の加入者に支給する年金額の一部支給停止措置というものがございます。この措置は、現在、標準給与月額の四十四万円以上の場合に適用されておりますが、この措置によって抑制される年金額は、私学共済年金財源全体に比べてどのぐらいの割合になりますか。
  60. 河村建夫

    河村政務次官 今おっしゃったことは個人ベースの話でしょうか、私学共済個人の。——全体はちょっと集計がございませんので、ちょっと個人ベースで申し上げてみたいと思います。  今、例えば厚生年金相当部分年金月額が十五万円、それから標準給与月額が五十万円という方について、基礎年金も含めた月収総額で見ますと、現行ベースは七十一万一千円、それから改正案ベースでは六十五歳以上七十歳未満の間は五十七万七千円ですから、十三万四千円の減少ということになるわけでありまして、これが個人ベース。全体の数字は持っておりませんので、申しわけございません。
  61. 肥田美代子

    ○肥田委員 今政務次官がおっしゃってくださったのは、四十四万円以上の場合の停止措置ですね。  では次に、三十七万円以上に変更した場合にはどのぐらいになりますか。
  62. 河村建夫

    河村政務次官 失礼しました。今御指摘あった、四十四万を三十七万円にした場合の数字を申し上げたわけです。
  63. 肥田美代子

    ○肥田委員 先ほど同僚の栗原議員からもございましたけれども、やはりこれは、子供の時代から年金制度につきましてはきちんと教えていく必要があると思うのです。先ほど大臣も、積極的にというふうにお答えをなさっていらっしゃいましたけれども、もう一つちょっと提案したいと思うのです。  これは、またかと思われるかもしれませんが、学校図書館の充実です。子供たちは絵で見る本が好きなんですね。ですから、学校図書館を充実して、例えば、年金でありますとかそれから介護の制度の問題でありますとか、それを絵で見るような本をどんどん入れていって、子供たちが自然に手にとるようにすることも一つの方法かと思うのですけれども政務次官、どうお考えですか。
  64. 河村建夫

    河村政務次官 大変有意義な御指摘だと思います。小さいときからそういうことを視覚の中で覚えていく、頭の中に入れていくということは大事だろうと思いますので、今後、子ども図書館等の充実等の中でそういう絵本もつくっていただく。みんなで助け合っていくという形、そういうものを本の中で視覚に訴えるような措置というものはぜひ取り上げていきたいというふうに思います。ありがとうございます。
  65. 肥田美代子

    ○肥田委員 そうおっしゃっていただきますと、今度は購入する本代が必要なんですね。ですから、ぜひ、交付税で百六億も文部省は要求してくださっているんですから、百六億がそういう子供たちの本に行くようにお願い申し上げたいと思います。いかがですか。
  66. 河村建夫

    河村政務次官 前にも一度そのことで委員に御答弁申し上げたと思います。その百億円余りのお金が本当にうまくそういうことにきちっと使われているかという点、どうも若干、各地方自治体等の受け入れ等にも問題があるような指摘もございますので、そのことも再調査して、そういうことがきちっとなされるようにしていかなきゃいかぬ、こういうふうに感じております。
  67. 肥田美代子

    ○肥田委員 大臣、それから政務次官の御答弁を聞いておりますと、やはり今回の年金の問題は雇用と年金の接続が不十分だなという実感がございますし、年金の支給開始年齢を引き上げることは、やはり国民の将来不安を高めるのじゃないかというふうに感じます。  それで、やはり少子化対策それから高齢者の雇用の環境整備、これが同時進行的に、かなり大きなウエートを占めて必要だと思うのですけれども最後大臣にお伺いします。  私は、賃金スライドを維持すべきだと思っておりますし、基礎年金は税方式へ転換すべきだと考えております。まあ、これを申し上げても、大臣は今の段階で、そうですねとおっしゃるはずはないんですが、大臣個人としては、近い将来おもらいになるわけですけれども、こういう年金制度審議の仕方というか進め方で本当に不安がないと思われますか。
  68. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私も自分のこととして真剣に考えなければいけない、そういうふうに思っております。  少子化対策、それから高齢者の雇用対策等いろいろやるべきことはあろうかと思いますが、やはり、長寿社会になりましても働く場所がある、そして、昔に比べて皆さんお元気なんですから、そういう方々がまた生きがいを持って働けるような、そういう対策にも力を入れていくべきではないか、そういうふうに思っております。
  69. 肥田美代子

    ○肥田委員 ありがとうございます。  終わります。
  70. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、山元勉君。
  71. 山元勉

    ○山元委員 民主党の山元でございます。  今も大臣のお話を伺っていましたけれども年金問題について少し注文申し上げておきたいんです。今、与党の一部から修正案が出ていることについて、三党で話し合って、こういう御答弁でした。私学の教職員の皆さんが聞いたら、何だ、頼りないな、しっかりと我々の生活責任を持ってもらいたいと。私も、けさその修正案について聞きましたけれども、やはり私学を主管する文部大臣として、これから私学の皆さんが安心できるようなものをしっかりと出していただきたいなというふうに、お願いを最初に申し上げておきたいと思います。  年金については同僚の肥田議員が今申し上げましたから、私は、そういう私学、私立学校で働く皆さんの今の状況について文部省の考えを聞かせていただきたいというふうに思っています。  私立学校日本教育で占めている役割というのは大変大きい、これも共通の認識です。例えば、大学も幼稚園も生徒数の八割を占めている。高等学校で三割ですけれども、幼稚園で八割、大学で八割というと、日本教育に果たしている私学の役割というのは大変大きいというふうに思うのです。今、国際化だとかあるいは少子化、情報化、さらには教育改革が進められている。そういう中で、私学をどう考えるか、どういうふうに発展させていくかということは、日本の将来を左右する、こういうふうに思います。  まず、その私学が果たしている役割について、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  72. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私立学校は、それぞれの学校におきまして、独自の建学の精神に基づいて非常に個性豊かな教育研究活動を展開していただいております。そういう意味からも、我が国の学校教育の発展に非常に大きな貢献をされている、そういうふうに思っているところでございます。  最近、児童生徒数が減少してきておるわけでございますけれども、そういうことから、私学を取り巻く環境も厳しい状況になっていると思います。私立学校は、そういうような環境の中でなお一層改善をしていく、あるいは経営基盤の強化を図っていく、そういうことを行いながら社会のニーズに適切に対応していくことが求められております。  今後も、私どもとしては、私立学校がその特色を生かしながら個性的な教育研究がどんどんできるように、私学振興につきましていろいろな諸施策を講じていきたい、そういうふうに思っております。
  73. 山元勉

    ○山元委員 政務次官は。
  74. 河村建夫

    河村政務次官 今大臣がお答えになりましたことでほとんど尽きておるというふうに私も感じておりますけれども、これからの少子化社会を迎えて私学は本当にやっていけるのか、実はこういう指摘もあるわけでございます。  現実に、大学あたりはまだ新設の要請も出ておりますから、相当個性を持ったといいますか、それぞれ私学は知恵を出し合って教育をやっていただく必要が出てくる。今までと同じような考え方ではなかなか学生も集まらないだろうと思いますし、また、いわゆる専修学校とかそういう実学へかなり向かう傾向もございます。そういうものともうまくタイアップをしながら私学を経営していくということが、特に高等教育になるほど重要になってくるのではないか、このように感じております。
  75. 山元勉

    ○山元委員 私は、河村次官が次官となられたときに、思い出して、本棚から河村先生の本を引っ張り出してきました。考えてみますと、大臣も次官も慶応、委員長は早稲田、まさに私立の雄が並んでいらっしゃるわけですけれども、この河村先生の本の中にも、「慶應義塾は私学中の私学ということで、建学の精神がいまも息づいている学校だと我々卒業生も胸を張っていえます。」こう冒頭に出てきているわけです。  私は、この本をずっとまた改めて読み返してみまして、高い見識をさすがお持ちだというふうに思いました。しかし、この建学の精神というのは、慶応だけではなしに、すべての私学がお持ちだというふうに思います。物をつくるときに肇国の精神という言葉がありますけれども学校経営というのはついでにやってやろうかということでできるようなことではないと思うのです。  ですから、それぞれの建学の精神があり、立派な工夫を今しているわけですけれども、そういう中で今、私学は、さっき大臣も少し、少子化の中で厳しい状況、環境がある、こうおっしゃいました。今、行政として、政治として、私学について持たなければならない課題意識、とりわけて言うとどういうことなんだというふうに文部省はお考えでしょうか、大臣
  76. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたけれども少子化社会に向かう中で学校経営は非常に厳しくなる、そういうふうにも思っております。経営基盤をしっかりとするということが一つであろうと思いますし、それから、学校それぞれが今まで以上に学校の特色を出していくということも大事なことではないか、そういうふうに思っております。
  77. 山元勉

    ○山元委員 政務次官、どうぞ。
  78. 河村建夫

    河村政務次官 御案内のように国立大学においても独立行政法人化の方向というのを打ち出されて、これから、私学そして公立、こういうものが競争関係に入っていく、こう言われておりますし、またそういう方向の流れになっていくだろうというふうに私は思っております。  そこで、国として、文部省として私学をどのように充実させていくかということ、これは、御案内のように私学振興助成法も用いまして私学助成については国もやれるだけのことはやるという方向で今進んでおるわけでございますが、それが果たして今の時点で十分であるかという議論が、私はあると思います。私学振興助成法の精神が今の政策の中で本当に生かされておるかどうか、これは私は今後検討していく必要があるだろうというふうに思いますし、特に私学へ子供をやっておられる父兄の負担の問題等々も、当然それは出てくるわけでございます。この格差をどうするかというような問題も、文部省側としては常に頭に置いておかなければいけない課題であるというふうに認識をいたしております。  ただ、それによって私学がこれまでやってきたことが、余りいろいろ文部省側の助成によって、まさに護送船団方式といいますか、そういう形になっては建学のよさが失われるという点もありますので、その辺の線引きをこれからどういうふうに考えていくかということも踏まえて、さはさりながら、私学振興の基本的な認識というのは私学振興助成法にある、私はこう思っておりますので、その精神をこれからも文部省としては貫いていく、こういうことになるだろうと思います。     〔委員長退席、栗原(裕)委員長代理着席〕
  79. 山元勉

    ○山元委員 幾つかの課題がありますけれども、今も重ねて出てきました少子化の問題、もう緊急に政策の中にきちっと位置づけて対応していかなきゃならぬ問題だというふうに思います。  ことしの大学志望者、私立では三十一万人減っている。去年から比べると、九・一%ですか、九%私立大学志望者が減っているというのですね。これは、学校教育環境あるいは経営条件ということでいうと大変な問題だと思うのです。例えが余りよくありませんけれども、物、商店でいえば売り上げが九・一%減る、これは大変なことだ、これは年間を通じてです。  ですから、国立の方も減る。けれども私立の方がなお激しくて三十一万人、九・一%減る。このことについてはやはりきっちりと対応しなきゃならぬと思いますし、私は、逆手にとって、今が教育条件をよくするチャンスだというふうにとらえるべきだと思うのです。後で申し上げますけれども、長い間、学級規模がどうしても縮小できないという状況の中にあります。例えばそういうことで、この教育条件をセーブするチャンスととらえて積極的な対応をしていただきたいというふうに思います。  それから、今の景気の状況からいって、今お話にはありませんでしたけれども、授業料が払えない子供がふえてきている。ことしでいうと、授業料が払えないからここで退学せざるを得ないという子供が二千人を優に超している、こういうふうに聞いています。この子供たちの将来のことを考えると、あるいは日々の暮らしのことを考えると、本当に暗たんたる思いがするわけですね。今度予算を要求していらっしゃるようですけれども、ぜひこれは急いで対応しなければ、子供の教育なり子供の成長というのは、ちょっと待っとけ、あるいはねじを巻き戻そうということにはならないものですからね。  高校で中退をする二千人の子供、おととしですか、文部省の集計でも千六百人、二百人ずつどんどんふえていっている。昨今の状況から見ると、二千人は優に超しているという状況だと思うのですね。そのことについては、やはり課題意識をしっかりとお持ちいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、課題意識として持っていただきたいのは校舎です。  例えば私の出身は、さっきの私立と違って、国立ですけれども、気がついたら、ずっと長い間プレハブの大学教室が四つもあって、今度文部省にやいやい言ってお願いをしているんですけれども、国立においてもそういうことです。私学がどういうふうに耐えているかということはよく言われることですけれども、これはやはりしっかりとした課題意識を持っていただきたいというふうに思うのです。  私は、少子化の問題と授業料が納められない子供と、あるいは老朽屋と言ってもいいのでしょうか、そういう校舎の実態というのは、文部省として今急いでいただかなきゃならぬ具体的な課題の例だというふうに思うのですが、いかがですか。
  80. 河村建夫

    河村政務次官 今日の経済情勢の中で、授業料が払えない、授業料のために学校をやめなきゃいけないという生徒がいらっしゃるという状況、これは非常に重要な問題だと考えております。やはりこれは、臨時の特別給付金制度等で対応をいたしておりますし、さらに、経常費補助の中の私学助成の充実の中でこのことについては増額分をもって今要求をしておるということでございます。  それから、老朽化の問題は御指摘のとおりでありまして、国立大学の校舎等の老朽化、特に教室内部等の整備、これは大きな問題で、まだ学校全体の四割が老朽化という問題がございます。  今回の補正予算にもそれをかなり織り込んでやっておるわけでございますが、年次計画を立ててこの老朽化対策には取り組んでいきませんと、今、世界競争の中で大学の間の世界競争という話もあります。これが世界に冠たる日本の大学かと言われたときに恥ずかしい現状があることは、文部省としても承知をいたしておりまして、これは急がなきゃいかぬ、このように思っております。
  81. 山元勉

    ○山元委員 しかし、これは水を差すようですけれども、この国会最初に小渕総理が所信表明演説をしまして、私もずっと聞かせていただいていたのですけれども教育の問題に触れられました。「国家の基本は人であります。教育は国家百年の計の礎を築くものであり、新しい世紀の到来を前に、取り組むべき最重要課題として対応してまいります。」と。最重要課題の一つとは言わないで、最重要課題であります、こうトップに置いてあるんです。けれども、考えてみたら、今読んだのは十五秒ですよ。七十字ないんです。最重要課題、教育とふっと思ったら終わってしまって、十五秒で終わってしまう。これは私は全然期待ができぬという感じがしたのですよ。  具体的に今政務次官がおっしゃったように、子供が不況の中で、少子化の中でどういう状況にあるかということ、あるいは先進諸国に比べてこうだということを、もう十秒でも二十秒でも言ってくれたら具体的に期待ができたけれども、最重要課題でありますということだけで終わってしまって、後が心配なわけです。  ですから、少し具体的に申し上げますけれども、ことしの概算要求、あすから審議に入るようですけれども文部省としては、目玉と言うのはおかしいけれども、力を入れてこれだけはというのはどういうものなのか。その中に私学の何が入っているのか。にわかな質問で申しわけないですけれども、どういうものをお考えになっていますか。     〔栗原(裕)委員長代理退席、委員長着席〕
  82. 河村建夫

    河村政務次官 今、概算要求とおっしゃいましたが、むしろ当面今急いでおりますのは二次補正ではないかと思うのですね。  二次補正全体で、文部省としては四千億を要求したわけでございますが、三千億近い二千七百八十九億円、これは我々、予想以上の結果といいますか、大体内示的なものをいただいております。  その中で、やはりこれからの先端的かつ創造的な学術研究といいますか、先を見た研究をやっていかなきゃいかぬだろうということで、このことに一千八百五十一億円という、半分以上を占めております。  その中に、先ほどちょっと御指摘がありましたが、国立大学の拠点整備というのも入っておりまして、バイオ、生命科学等々、そうしたもの、あるいはまた私学等においても、先端的な学術をやっている私学についてはその事業を助成するというような形、それから、科研費についても思い切った助成をするということをこの中に織り込めております。  それからさらに、文部省としては教育の情報化を進めなきゃならぬということでございまして、これは郵政省との協力で、一体となりまして、いわゆる公立小中学校のコンピューター教室をさらに整備をして、二〇〇五年までにはアメリカに追いつくという方向を今打ち立てておりますから、それに向けて急がなきゃなりません。  それから少子化対策でございますが、特に奨学金充実ということで、これは特に、先ほど御指摘ございました家計急変ですね、この方々に対しては緊急の奨学金を差し上げるということで、五十一億円用意をさせていただいております。  そういうことが、特に今回の補正予算の目玉として進めておるところでございます。
  83. 山元勉

    ○山元委員 その関連で、私立学校振興助成法の問題についてお尋ねをしたいのですが、この助成法は四条で、経常的経費の補助は二分の一を限度とする、こう書いてあるわけですね。今大学と高校以下とで実はどれくらいになっていますか。
  84. 河村建夫

    河村政務次官 実は、法律ができた当時は、全体の大学の経営費というのも低かったわけでありますが、助成金は一時三〇%近くまで伸びたわけであります。その後、伸びがとまりまして、現在一一%ぐらいに落ちている。そして高等学校については、もちろん国の直接の補助金というのは八%ぐらいでありますが、交付税が入っておりまして、そうすると、全体で高等学校は三〇%になっております。  ただ五〇%にしなければいけないということではなくて、それを目指してということでありますが、しかしまあ、かなり格差がある。このことは、私もかねて党の方の文教政策責任者の一人としても強く訴えてきたところで、私学振興助成法の精神からかなり乖離している現状がある、こういうふうに訴えております。  ただ、これが、五〇%というのは、それを超えるということになると、私学の自主性といいますか、そういうものが損なわれるのではないかということもございますから、それが目標になると私は思いますが、現実には確かに、山元委員も憂えておられるとおり、その精神がかなり形骸化しているというふうな自覚を私も持っております。
  85. 山元勉

    ○山元委員 大臣政務次官に族議員になれというようなことは言いませんけれども、法は、昭和五十年、一九七五年に、二分の一とすると論議をして、その後も改正のたびにこのことについては論議をされてきた。そして、それは、今二分の一を目標とおっしゃいましたけれども、多い方がいいという、あるいはそういうことを考えなければ私学というのは成り立っていかないという認識もみんなにあって、もう一つは、公立と私立との格差を埋めていかなければいけないという思いもあって、そして、だがしかし、上限は五〇%だよ、こういうことだと思うのです。  ですから、一二%というのは、この法の精神からいって、憲法と比べていろいろ言う人もありますけれども、やはり今の日本私立学校が果たしている役割を考える、あるいは大きな転換期といいますか、設備も必要になっているときに、この五〇%というのは単なる目標、あるいは超えてはいけない線、単なる線ということではなしに、やはり多くという要求もあるし、必要もあるということについてきちっと認識をして、文部省として努力をしていただきたいというふうに思います。そうでないと、今のいろいろな条件からいって、私学というのは経営的にも、あるいは教育条件的にも大変しんどいことになっているということで、御努力をいただきたいと思います。  そして、高校以下は三〇%、それで国からは八%だと。都道府県がそれぞれ努力をしていてくれるわけですね。その努力の中で、交付税の算定基準が今は生徒数割りになっているわけですが、そうすると、少子化になってくる、希望者が、学生が少なくなってくると補助金はどんどん減ってしまう。そうしたら校舎をちょっとずつ削ったらいいのかといったら、そうはならないわけですから。  あるいは、先ほども言いましたように、今は私学を充実するチャンスと見るべきだということであれば、単なる頭数で、生徒数割りで交付税を交付するということについては、やはり問題がある時期に来ていると思うんですね。  ですから、そこのところはぜひ工夫をしていただきたい。これは一人当たり二十万円とか、そういう大きい金ですから大変ですけれども、ぜひ工夫をしていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
  86. 河村建夫

    河村政務次官 御指摘のとおり、生徒が減ってまいりましたら、当然そうした交付金、補助金が減っていくということに、単純に考えればなるわけでございます。  ただ、各高等学校等々は定員というものを持っておるわけでございまして、やはりこれが基準になるわけなんですね。だから、定員割れというようなことになってくるとそういう問題も出てくると思いますが、私学が、それぞれユニークな学校経営をされて、公立に負けないだけの整備をされて、定数を確保されておれば、そういう問題は起きないわけでございます。  そういう問題もこれから出てくるだろう、御指摘のような問題は当然頭の中に入れておかなければいかぬというふうに思います。
  87. 山元勉

    ○山元委員 だから、そこが問題なんですよ。  例えば、私学が、今までうちは四十五人だったけれども四十人にしよう、四十人だったけれども三十五人にしようという努力をすると、補助金が減ってくるわけでしょう。ですから、そこのところは、単価のアップと、例えば学校の頭割りのものがどれだけとか、そういう工夫ができないと、そういう努力をすると、あるいは少子化が進んでくると、あるいは定員割れをすると、補助金が減ってしまって学校の維持が大変難しくなる。こういう点について着目をして、御努力を、工夫をお願いしたいというふうに思います。  そして、そういう意味でいうと、大きな役割を果たしていただかなければならぬのは、去年統合いたしました私立学校振興・共済事業団ですね。あの特殊法人が大きな役割を果たしているのだろうと思います。国から出たものをどういうふうに割り振ろうかという仕事をしていてくれるのだというふうに、単純に思っているんですけれども。そのときに、やはり一番現場の痛切な声を直接的にまず聞くのは、もっとちょうだいと言われるのはこの事業団だろうというふうに思うんですね。ですから、ここのところは、公正でなければいかぬことはもちろんですけれども、効率的でなければいけないし、そういう現場の声をきちっと政策に、あるいは予算等に反映していくような役割を果たしてほしい、これは期待だけ申し上げておきたいと思います。  時間が余りありませんので、今の点については文部省所管としてぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。  次に、最後は学級編制基準の問題です。焦点を私立高等学校に当てますと、現状高等学校の学級編制基準という実態はどうなっているんでしょうか。
  88. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 高等学校の設置基準では、第七条で「一学級の生徒数は、四十人以下とする。但し、特別の事由があるときは、この数をこえることができる。」としておりまして、この規定は私立学校にも適用されるわけでございます。  このただし書きの特別の事由といたしましては、私立学校の場合には、平成元年度までの生徒急増期におきまして、公私協調の立場から多数の生徒私立学校が受け入れましたけれども、その後も経営上の問題等から引き続き入学者が過大となっている、そういうような場合。それからもう一点は、入試におきまして、合格者数のうち、どの程度入学するかの予測に見誤りがあった場合、そういうことが考えられるわけでございます。  このように、私立学校等につきまして四十人を超える特別の事由が生じ得ることを考慮して、現在の高等学校設置基準の規定が定められておるわけでございます。
  89. 山元勉

    ○山元委員 聞くと、今私立高校で四十人以下学級というのはおよそ五六%、あとの三四%は四十人を超しているというんですね。こういう状況というのは、日本教育としてはやはり大変しんどい部分だというふうに思うんですね。  ですから、この設置基準は昭和二十三年文部省令第一号、途中で改正はされましたけれども、この四十人学級というのをしっかりと見直す。今度、去年ですか、文部省教職員の配置等に関する協力者会議ができました。私はここで、私学にもしっかりと焦点を当てて、古い、四十人以下とする、特別な場合はこうしても構わないというようなことについては、きっちりとすべきだというふうに思うんです。  大学は世界に比べて負けないようにと言うけれども、その前の段階、高校で四十人以上の学級がごろごろあるというような状況というのは、文部省はどうお考えになっていますか。
  90. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私立高等学校におきます一学級当たりの平均生徒数は、委員案内のとおり、平成十年度で三十九人、全学級のうち、四十人以下の学級の割合は五二・二%となっております。文部省では、これまで所管庁であります各都道府県に対しまして、私立高校の四十人学級編制の推進を要請するとともに、平成七年度より三カ年計画で、四十人学級編制推進に係る助成措置を実施する都道府県に対しまして、経常費助成の中で補助を行ってきたところでございます。  今後とも、私立高校における四十人学級編制の推進がなされるように、所管庁であります都道府県に対して要請をしてまいりたい、そういうふうに思っております。
  91. 山元勉

    ○山元委員 もう一昨年になるんですか、河村政務次官も一緒に、ヨーロッパ五カ国を回って、それぞれ教育事情を訪ねて回りました。四十人というような法律を持っているところは、どこにもなかったですね。  中教審答申も、九六年のときも、去年九八年のときも、これは改善をすべきだという答申を出しています。特に私学の現状というのは、思い切って改善をするという英断が必要なのだろうというふうに思うんです。具体的に言えば、この標準基準を改正することだというふうに思います。  私ども民主党は、参議院に現在、三十人以下学級という議員立法を出しています。三十人以下学級というのは時代の要請でもあるし、流れだというふうに思います。  イギリスでブレア政権が、九七年にできたときに、ブレアが小学校の低学年は三十人以下にするという大演説をした。クリントンは去年の年頭教書演説で、十八人学級を実現したい、百二十億ドルの財政措置を講ずるということを提案した。新任教員十万人採用と、思い切ったことをやっているわけです。十八人だとかあるいは三十人だとかいうことをどんどんと先進国は挙げているわけですから、私は、日本の場合も、こういう状況を何としても改善をするために、今、皆さんが大きな英断をして出していただきたいなというふうに思うんです。  有馬文部大臣のときに、この協力者会議というのはできたんです。そのときに、今ここにいらっしゃらない人についてとやかく言うつもりはありませんけれども、それをつくったときに、有馬さんは、私の前の質問にも答えられたのですが、先生一人当たりの子供の数でいうたらヨーロッパに負けへんのや、こうおっしゃった。違う。学校の設置の仕方が違うわけですから。ですから一面で、やはり三十人以下学級にするのだというふうにしなければいけない状況になっているのだろうと思うんですね。  時間が来ましたから何ですけれども、もう一つだけ言いますと、この間、都道府県で弾力的に運用してよろしい、こういうものを出されました。私学はやりようがないじゃないですか。  私はいつも言っているんですけれども一つの市の中で、この学校は規模が適正で安定している、ここは非常に荒れている、だから来年はここのところは三十五人にするけれども、ここは四十五人で我慢をしてくれと教育長が言ったら、校長や職員が皆、わかった、うちは四十五人で頑張ろう、あそこは三十五人に教員を配置せいという、弾力運用はありです。  私学はできぬじゃないですか。私学は個々の学校ですから、隣の学校と弾力運営をしようというようなことはできぬわけですから。学校の中で、一年生はどうだから、二年生はどうだからというのはできるかもしれませんけれども、そうでないわけですから。  私は、私学だけにこだわりません。私たちは、全部の日本学校というのは三十人以下だ、そして行き届いた教育をしようと。金融安定のために銀行に何兆円という金をどかっと出す力がある日本です。ですから、今の時代に三十人学級、高校の皆さんはせめて三十五人ということを叫んでいらっしゃいますけれども、そういうことができる力があるし、しなきゃならぬだろうと私は思う。そういう認識大臣と次官に立っていただいて、努力をしてほしい、頑張っていただきたいのですが、決意を聞かせていただきたいと思います。
  92. 河村建夫

    河村政務次官 大臣最後にお答えになると思いますので。  御指摘の点は、私もかねてそういう主張もしてきたところでございますし、その現実に近づけていく努力は続けなきゃいかぬというふうに思っております。  低学年それから高学年にいくに従って、教室の体系もそれぞれ変わってくるだろうと思うのですね。特に義務教育段階では、やはり先生一人が目の行き届く中でやっていく方向、それから高学年になっていきますと、そういうこともあるし、習熟度別というようなことももうちょっと考えて編成をしていただく必要があるのじゃないか、こう思います。  私学は、私学それぞれの法人が独立して、独立採算の中で頑張っておられるわけでありますから、それができるだけうまく機能するようにということは当然文部省としても目配りをしていかなければいかぬことだと思います。理想に向かって文部省としても努力していかなければならぬ、こういうふうに感じております。
  93. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 学級編制につきましては、昨年九月の中央教育審議会答申におきまして、今委員からいろいろ御指摘がございましたけれども、教員一人当たりの児童生徒数を欧米並みの水準に近づけること、それからもう一点は、弾力的な学級編制ができるよう必要な法的整備を図ること、さらに、学校の実態に応じた指導が可能となるよう、教職員配置をより弾力的に運用できるようにすること、そういうような学級編制のあり方、また教職員配置につきまして幅広く御提言をいただいたところでございます。  これを踏まえまして、文部省といたしましては、今後の教職員配置のあり方やあるいは学級編制のあり方等について検討いただくために、昨年の十月に、学識経験者の皆さんから構成されております教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議を発足させたところでございます。  この会議におきましては、中教審の提言内容基本といたしまして、また諸外国の実態も参考といたしまして、新しい教育課程と指導方法の多様化など、学校教育上の諸課題に対応する教職員配置と定数のあり方、また学級規模及び学習集団のあり方について議論を重ねているところでございます。  この協力者会議の報告を踏まえまして、平成十三年度から新たな施策に着手したい、そういうふうに考えておりまして、報告につきましてもそれに間に合うようにお示しいただければと、今そういうふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  94. 山元勉

    ○山元委員 ありがとうございました。  どうぞ、その協力者会議文部省の積極的な思いが伝わるように努力をしていただきたい。今の決意というのは少し声が小さかったような感じがするわけで、ぜひ頑張っていただきたい。お願いをして、終わります。  ありがとうございました。
  95. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、石井郁子さん。
  96. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。  今回の年金制度改定は、退職年金の支給開始年齢を六十五歳に引き上げる、六十五歳以降の年金について賃金スライドを凍結するなど、高齢者生活保障への国の責務を大きく後退させるものです。今、若い世代からさえも、老後の不安を感ずるという声をたくさん聞くわけでありまして、これでは、国民の将来への不安が一層募り、消費の冷え込みによる深刻な不況をさらに悪化させかねません。  私どもは、こうした年金制度改悪には反対であります。このことを初めに表明いたしまして、一点、具体的にお聞きをしたいと思います。  退職年金の支給開始年齢の引き上げでございますけれども、二〇一三年度から段階的に退職共済年金の支給開始年齢を引き上げる、二〇二五年度には六十五歳にするという内容となっているわけですけれども、私学の定年の実態について、手短にちょっとお知らせください。
  97. 本間政雄

    本間政府参考人 ただいま、私立学校教職員の定年の実情についてのお尋ねでございます。  若干資料的には古うございますけれども平成四年にアンケート調査を行っておりまして、平成三年十二月末現在における状況につきまして回答を得ております。  これによりますと、平均の定年年齢でございますが、大学におきましては六十四・二歳、短期大学におきましては六十四・七歳、高等学校におきましては六十二・一歳といったような状況になっております。  ただ、これは教職員の全体の平均でございまして、定年年齢の設定で最も多い定年年齢を見てみますと、大学におきましては六十五歳、短期大学におきましては六十五歳、高等学校六十歳、幼稚園六十歳といったような状況になっております。
  98. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 最初の、平均の定年の実態ということではなぜか幼稚園を外されたのですけれども、幼稚園というのは五十七・四歳なんですね。専修学校でも六十・七歳ということになって、今お話しの最多定年年齢ということになりますと、大学では六十五歳ということですが、高校、幼稚園では六十歳です。  ということになりますと、私学の多くの教職員については、定年と年金の支給開始年齢との間には空白期間が生じるということですね。私は、この空白期間という問題がやはり重要なんだというふうに思うのですが、このことについてはいかがでしょうか。これは政務次官の方へ。
  99. 河村建夫

    河村政務次官 御指摘いただきましたように、まずはともかく、これだけの高齢化社会に入ってまいりましたから、年をとっても働ける、高齢者が安心と生きがいを持って暮らせる社会をつくっていく、これが大前提になるわけであります。高齢者雇用の促進ということが大前提になっていくわけでございます。  雇用政策において、六十歳定年基盤ということ、そして働くことを希望される方は高齢者全員が六十五歳まで続けて働くことができるシステムをつくっていく、こういうことをこれからの目標として進めておられるわけでございます。年金制度も、このような雇用政策との連携のもとで進めていくわけでございまして、それぞれの役割分担に留意をしながら見直しをしていかなければいかぬと、その必要性を感じております。  今回、年金支給開始年齢の段階的引き上げについては、委員御承知のとおり、将来世代保険料負担の増大を抑えるという観点と、さらに、このような高齢化の進展を踏まえた、六十五歳現役社会への移行を念頭に置いて制度を設計していかなければいかぬということで今回進めようとしているわけでございますので、まずこの点を御理解いただきたい、こう思うわけでございます。  なお、今回の制度改正では、年金支給開始年齢を六十五歳へ段階的に引き上げるとともに、六十歳代前半の者にも考慮して、本人が選択をされれば、本来の支給年齢時の年金を減額した上で早期に受給できる繰り上げ支給制度も創設をいたしまして、このギャップを埋めるといいますか、対応しようといたしておるところでございます。
  100. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 六十五歳まで現役で仕事ができるような社会をというお話もちょっとされたかと思うのですけれども、では、その点に関連してお伺いします。  労働省の方は民間企業に対して、定年を六十五歳までにしていこうということでの呼びかけ、また調査検討を進めているかというふうに思うのですが、では、私学の場合、文部省としてはどうなのかということになるわけでございます。  私学の場合はいろいろ、少子化、あるいは今その大変な影響の中で生き残りをかけているという私学の経営状況等々があるかというふうに思うのですけれども、では、こういう私学の運営あるいはその長期的な見通しという問題を立てた上で、今回のこの制度改定ということに踏み切っているのかどうかという点はいかがでしょうか。
  101. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 言うまでもありませんけれども私立学校に勤務する教職員の皆さんは、一般の民間企業に勤務する方々と同様に、労働基準法等の法律、関係法令の適用をひとしく受けるものでございます。  これらの労働者の定年につきましては、現在、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律におきまして、六十歳を下回ることはできないとされておりまして、私立学校教職員の定年につきましても、こうした法令の規定に従って各私立学校において決定をする、私学独自の判断で決定をする、そういうことになっております。  なお、現在、労働省の中央職業安定審議会におきまして、活力ある高齢化の実現に向けた高齢者雇用対策の確立について、そういうことで検討が行われておりまして、そのテーマとして、六十五歳までの雇用の確保や多様な就業機会の確保等が挙げられていると聞いているところであります。  これらの動きを踏まえながら、今後、定年のあり方等につきまして、各私立学校においても適切な対応が行われるものと考えております。
  102. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 今のお話を伺いますと、それぞれの私学でいろいろ努力をするというようなことを強調されているかと思いますけれども、この重大問題で、文部省として、私学の今後についての長期的な見通し、とりわけ雇用状況についてどうなるのかということの検討を真剣になされていないというふうに私は受け取らざるを得ません。そういうもとで年金の受給開始だけを六十から六十五歳にするという点では、到底これは認めるわけにいかないというふうに思うわけです。ですから、私学としての経営と雇用状況について、ぜひ文部省なりの真剣な検討をしていただきたいということをまず強く申し上げておきたいというふうに思います。  きょうは、次に、私学共済への加入資格の問題でお聞きをしたいと思っています。  私立学校には、申し上げるまでもなく、大変多くの非常勤講師の方がいらっしゃるわけですよね。この非常勤講師の私学共済への加入条件なんですけれども、現在どのようになっているでしょうか。ちょっと御説明ください。
  103. 本間政雄

    本間政府参考人 非常勤講師等の扱いでございますが、こうした勤務が不定期な方あるいは短時間勤務の方につきましては、当該教職員等の実際の労働日数あるいは勤務形態、さらには職務内容等を総合的に勘案いたしまして判断をする、こういうふうになっております。  この場合でございますが、一日または一週当たりの所定労働時間及び一月の所定労働日数が、当該学校法人等におきまして同種の業務に従事をいたします常勤の教職員等のおおむね四分の三以上である者につきましては加入者として取り扱っている、こういう状況になっております。  今申し上げました基準でございますが、念のために申し添えますと、厚生年金及び健康保険の取り扱いに倣ったものでございます。
  104. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 本当に知らないで伺っていると、ああ、そういう基準かなで終わってしまうのですけれども、あなた方はもう一つの要件を、故意にというのか、外していらっしゃるんじゃないんですか。これは、平成七年の私学共済組合の資格課長から学校法人代表者あての「組合員資格について」という文書がございますけれども、ここには三点あるんですよね。どうなんですか。  今申し上げた一つの要件、おおむね所定労働時間、労働日数が四分の三以上である教職員等というのがありますけれども、これは「原則として組合員として取り扱う」というのがありますが、三点目に、「二に該当する者以外の者であっても、一の趣旨に従い、組合員として取り扱うことが適当な場合があると考えられるので、その認定に当たっては、当該教職員等の就労の形態等個々具体的事例に即して判断すべきであること。」ということがちゃんとあるんじゃありませんか。これをきちんと言ってください。
  105. 本間政雄

    本間政府参考人 ただいま石井先生の方から御指摘の事柄でございますが、これは私学共済、私学振興・共済事業団が各学校法人に配付いたしております関係の事務の手引の中に、加入者となる者ということで細部にわたりまして説明をしておりますマニュアル的なものから引用された取り扱いであると思います。  ただいま私の方で申し上げましたように、当該教職員等の労働日数、勤務形態、職務内容等を総合的に学校法人において判断をするということでございますので、ただいま時間の関係もございましてこの細部につきましては読み上げをいたしませんでしたが、学校法人におきまして総合的に勘案する際に、個々の教職員等の就労の形態等につきまして、個々具体的事例に即して判断をするということは当然の事柄であるというふうに考えております。
  106. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 この取り扱いについてわざわざこういうふうにコメントがありまして、「一日のうち何時間以上勤務しなければならないという画一的な要件はもうけられていませんので、個々の教職員ごとに、」云々というふうにあるわけでしょう。私は、これは大変大事だと思うのですよ。そうですね。  四分の三にしても、「概ね」ということがついている。そして、個々の条件を勘案しなければいけないということがあるわけです。やはりきちんとそういうことを徹底しなければいけないというふうに思うのですね。  と申しますのは、やはり実際にこの取り扱いが徹底されていない、そう考えざるを得ない私学が大変多くあるわけでしょう。  これは、講師問題の現状がどうなっているかということを全国私立学校教職員組合連合会が調査をされています。この一覧表、これはもう公のものですから、皆さんもぜひごらんいただきたいと思いますけれども、本当に驚くような実態になっているわけですね。  これは岩手県のある学校学校名はちょっと伏せますけれども、非常勤講師が二十五人いる。このうち、多い人では週十七時間持っていらっしゃる。それでも、私学共済加入はだめというふうになっているのです。  それから、私のところは大阪ですから、私学がいかに多いかという、ひしめいているところでありますけれども、ここでは要件を決めてしまう。週五日以上とか、週五日十三時間以上というふうに決めてしまうわけです。それであって共済加入ができる。つまり、それ以下では加入できないということですよね。こういう要件を一律に決めてしまうというところも非常に多くあるわけです。  この例で見ますと、本当に常勤者並みの講師日数、時間を持っていらっしゃるわけです。例えば東京でも、その要件として三年以上勤務しなければだめですというようなこともあるわけですね。  だから、こう見てみますと、やはりこの非常勤講師の共済加入の取り扱いというのが、資格課長の文書から見ても非常に外れているのじゃないかというふうに言わざるを得ません。こういう点は、画一的に要件を課している学校法人に対してやはりきちんと指導すべきではないのかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  107. 本間政雄

    本間政府参考人 繰り返しになろうかと思いますけれども、先ほど申し上げました三つの条件につきまして、個々の学校法人におきまして具体的事例に即して判断をしていただくということでお示しをいたしておりますので、必ずしも画一的な取り扱いをしろ、そういうことではないということでございます。  具体的事例を申し上げます。  非常勤職員が私学共済加入者となっている事例につきましては、必ずしも全般を把握しているわけではございませんが、一例を挙げますと、ある私立学校でございますが、美術担当の教員の勤務時間が週に二十時間で常勤職員として取り扱われている、したがいまして加入者となっているということでございますれば、当該学校の非常勤の美術担当教員につきましても、おおむね四分の三以上ということでございますので、十五時間以上の勤務時間があれば加入者資格を取得する、それは法人におきまして判断をしていただければいい、こんなふうな取り扱いになっております。
  108. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 ですから、本人は加入を希望するわけですよ。しかし、法人の側が、基準に合っていないという形で認めない、申請しない。法人が申請しなければいけないわけでしょう、共済の場合は。だから、そこの問題なんですね。  やはり事柄は、教職員生活と権利にかかわる問題でしょう。しかも、共済の資格が取れるという十分な条件を満たしながら法人が申請しない、これではもう到底納得することはできないわけで、ぜひその点の指導をきちんとすべきだということです。  その際に、私が大阪でのアンケートを見まして大変気になったのは、共済加入について知らないという非常勤の方が三割もいらっしゃるのですよ。だから、講師はもうできないものだというか、あるいはこういう条件でできますよということを知らされていないわけです。そういうことにもちょっと驚くのですよね。  ですから、やはり本人が希望されている、これはもう明らかでありまして、その希望を尊重するという形で法人を強く指導していただきたいということがございます。  このアンケート調査を見てみましても、これまで共済加入が認められていたのに持ち時間が減ったために脱退をさせられるだとか、こういうことまで起きているという少なくない例があるわけですね。それから、講師の方は一年更新だということもあるわけで、非常に不利な状況にあるわけです。そういう中で、非常勤講師の方が、私学共済に入れないために老後がどうなるのか、想像するだけで不安になりますという声がございます。全くそうだと思うのですね。  こういう不安定な状態、そして、みずからの健康、御家族のことも考えなければいけないという状況のことを考えますと、私は、本人が主たる収入を得ている学校共済加入を希望すれば、その学校法人は原則として共済加入の手続をとるという方向でぜひ検討をというか、指導を強めていただきたいというふうに思います。  これはぜひ次官の御答弁をお願いします。
  109. 河村建夫

    河村政務次官 各学校において、非常勤の講師の先生が意欲を持って生徒指導に当たっていただける、そういう環境というのは大事だというふうに私は思います。  委員指摘のように、本人がその希望をされて強く望まれた場合にどうするかという問題でありますが、複数の学校でそれぞれ非常勤講師をおやりになっている方については、どこを主にしてどうするかというのは、給与の多いところが申告をするということになっております。  また、この制度の運営を円滑にやっていこうということからすれば、御本人とその私学本体とでお話し合いをいただいて、一定の基準に達しておる、今委員が言ったように、資格がありながら加入できないということは、もう当然許されることではありません。資格をお持ちの方にはきちっとやっていただく、改めて御指摘いただきました実態に対して、文部省としても、そういうことが起きてはなりませんので。  ただ、非常勤講師をおやりになっている方々は大抵、若い方でそういう方もいらっしゃいますが、年輩の方は、どこかの学校でそういう経験をお積みになって、そして今度は非常勤でお勤めになっている方も相当おありになるように聞いておるわけでございます。非常勤講師だけがすべてだと言われる方については、その点は十分配慮しなけりゃいかぬ問題だというふうに思います。  しかし、やはり基準はどこかで設けませんとこの制度が運営できませんので、そのことについてはやはりしっかり御理解をいただき、また、そのことは採用のとき等には本人にはっきり、知らなかったということはないようにしていかなきゃならぬ問題だ、このように感じます。
  110. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 大臣政務次官には、こういう調査をごらんになったことがないというか、届いていないでしょうか。——では、また河村先生のところにお届けいたしますので、ぜひごらんください。  次に、きょうは、私学の経理公開の問題で一点御質問いたします。  私立学校が公教育の担い手として発展していくためには、民主的な運営が求められている。実際に公教育の中での大変な役割を担っているわけですけれども、経理公開というのは、学費を初めとする事業収入、国や地方自治体による助成金等がどのように運用されているかを示すものですし、私学の公共性、公益性という観点からも非常に重要だというふうに私は考えています。  まず、私学の経理公開の現状についてですけれども、それからまた、文部省がこの私学の経理公開について基本的にどのようにお考えになっていらっしゃるのか、そのことをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  111. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員指摘のとおり、学校の経理状況、管理等の状況を公開するということは意義のあることだと思っております。  学校法人の経理状況、財務状況の公開につきましては、各法人の自主的な判断にゆだねられているところでございますけれども文部省といたしましては、私立学校の有する公共性、また適正な管理運営を行うという姿勢を対外的に示す必要性、そういうような観点から、従前より、文部大臣所管の学校法人に対しまして財務状況の公開の促進について通知を発出いたしまして、また同時に、各種会議の場等におきましても、財務状況を関係者に明示するよう指導をしているところでございます。  また、都道府県に対しましても同趣旨の通知を発出いたしまして、都道府県の私立学校担当者を集めた会議の場などを活用して、所轄の学校法人に対する財務状況の一層の公開を促しているところでございます。
  112. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 これは昭和五十八年の次官通達でございますね。確かに文部省として、それ以降、公開についていろいろ努力しているかというふうに思いますが、しかし現状は、これもまた非常に、遅々として進まずというか、そういう状況があるのじゃないでしょうか。  これは大学、高校の併設のある学校で、ですから、文部省の直接監督対象となる学校法人だと思いますけれども、労働組合の経理公開の求めに対してはもう一切拒否、しかも、今後この態度を変えるつもりはないというところがあるのですね。  ちょっと私、ある学校というのもなんですから、これは裁判にもなっておりますので、名前を挙げたいと思うのですが、救済命令取消請求事件ということで、帝京学園上申書というのがあります。  これは裁判所に出した文書なんですけれども、ここでは、経理公開というのは経営方針、経営戦略の根幹を明かすことに通じるということで、「対立当事者の関係にある組合に対しそのような開示をすることはできない。」ということを堂々と述べていらっしゃるわけです。  私は、文部省の五十八年通達からしても、こういうことは反するのではないかと思うのですけれども、こういう法人があるということに対して個別に指導するというお考えはございませんか。
  113. 石川明

    石川政府参考人 先ほど大臣の方からも御答弁申し上げましたように、基本的には、私立学校の方でそれぞれの学校法人において判断し、自主的に取り組んでいただくべき事柄でもございます。私どもとしては、広く財務状況の公開についてはこれからも呼びかけてまいりたいというふうには思っております。
  114. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私は、そういう態度ではとても生ぬるいというか、それでは指導にも監督にも全然ならないというふうに言わざるを得ません。  実際、総務庁の行政監察局が、平成七年には私学の経理公開問題でも行政監察の結果報告書を出しているでしょう。そこでははっきりと、「文部省は、次の措置を講ずる必要がある。」ということで、「学生の保護者等を含めた関係者に対し財務関係の書類を積極的に公開するよう学校法人指導すること。」というふうにあるじゃありませんか。  五十八年通達からというと、もう十三年たっているわけです。あの通達が出されたときというのは、私学にさまざまな経理上の問題があって、大きな不祥事等々で社会問題になって通達が出されたという背景があったかと思うのですけれども、今、事態は一層、情報公開法などの成立を見てもわかるように、公開の方向に向かっているわけですね。そういう点でいいますと、文部省としてもそういう姿勢にとどまっているというのは大変問題だと思います。  実は、都道府県レベルで見ても非常にばらつきがあるのですね。条例に基づいて一定の公開が進んでいるところと、もう一切拒否をしている、こういう都道府県もございます。これはもう驚くような話です。そういう点も文部省は本当につかんでいるのかどうかという点でいうと、どうも把握していらっしゃらないのじゃないかというふうに思うのです。ぜひ、都道府県に対しても、ちゃんと実態を把握される、そしてこの公開を大いに進めるように、監督指導を強めていかれるように強く求めたいというふうに思うのです。  もう時間が参りましたので、最後大臣の御決意を伺いまして、終わりたいと思います。
  115. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、学校法人学校の公共性等を自覚して経理状況、財務状況を公開するということは意義があると、私、重ねて申し上げます。そういうふうに思っております。  委員指摘のとおり、私立大学あるいは短期大学での公開の状況、数値を御存じと思いますけれども、私自身、個人的には必ずしもいい成績とは思っておりません。したがいまして、今後も都道府県やあるいは、先ほど委員指摘のように五十八年に通知を出して指導しておるわけでございますけれども、公開が促進されるように我々としても努力をしていきたいと思っております。
  116. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 どうもありがとうございました。終わります。
  117. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、濱田健一君。
  118. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 社会民主党の濱田健一でございます。  きょうの論議の中でも、私学の我が国における重要性というものが随所で各委員から述べられてきたわけでございます。文部省予算の編成を毎年年末にやるときにも、義務教育国庫負担制度と私学助成という二つの大きな柱が最後まで論議の中心になるということもまた、私学の重要性を象徴していることのように私自身感じているところでございます。  今、石井委員から私学の経理公開のお話もございました。そういう重要な役割を担っている私学なんですけれども、やはり経営者の経営のやり方というものについて、どうもおかしなやり方があるのではないかというような点を私たちはしっかりチェックすべきではないかと思う節がございます。  実は、我が党の中西績介衆議院議員を団長として、九月、ある高等学校の解雇問題で調査に入りました。去年の十一月に、その私学の先生方十九名が解雇という形になったそうでございます。理由は、財政的に厳しいというようなことです。組合の方は、解雇される人数に当たる人件費を、総体の人件費、自分たちがもらう賃金からお互いがカットすることによって解雇を出さない提案などもやっているようですけれども、財政的に厳しいということで解雇されたということでございます。  一方で、そこの理事長さんの一年間の手当というのが、聞くところによりますと五千万ぐらいもらっておられる。周囲の高等学校理事長さんが五百万とか六百万という一般のサラリーマン並みの賃金でやっていらっしゃるのにという話も出てきておりますし、学園の方がその理事長さんの土地を、財政難といいながら買い上げるというような実態等々、働く者にとっては非常に働きづらいといいますか、なぜ私たちがやめさせられなければならないのというような実態等がございました。  私がまずお聞きしたいことは、私学助成という形で大きく国が補助をしているそういう私立学校の、一部分ですけれども、本当に少ない数だと思うのですが、こういう放漫な経営、その指導と私学助成のあり方について、基本的に中曽根大臣は、こういう部分にまで国が金を投入しなければならないのかということを含めて、どういうお考えをお持ちか、お聞かせいただきたいというふうに思います。
  119. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、私学の学校法人の公共性、社会性等につきましては、非常に意義のあるものであり、また、そういうところから、私学自身が十分に自覚をして健全な経営をやっていかなければならないのは言うまでもないことでございます。  そういうところから、文部省といたしましては、学識経験者等から成る学校法人運営調査委員制度を設けまして、学校法人の運営の実態を実地に調査をし、必要な指導助言を行うなど、私立学校の経営の健全化を図っているところでございます。  また、私学助成をする上におきましても、各学校教育条件の整備状況等に応じた傾斜配分を行っておりまして、さらには、委員が御指摘になられましたような、放漫経営等によりまして財政状況が健全でない場合やあるいは管理運営が適正を欠く場合には、私立学校振興助成法に基づきまして、補助金を減額または不交付としておるところでございます。今後とも、私立学校の経営の健全化に努めていきたいと思っております。
  120. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 時間がありませんから、この件はまたの機会にということにしておきたいと思いますが、やはりチェックするということは私学の今後の成長にとっても非常に大事ではないかというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  今回の私学共済の見直しの中で、先ほども出ましたけれども、みなし退職の仕組みを現行の六十五歳から七十歳に引き上げていくということが出ております。先ほど河村政務次官の方からも、そのことによって年間四十億円程度支出が抑制されていくというような御見解も出されたわけでございます。  やはり生涯現役であり続ける、働き続けていただきたい、これは私学の教職員だけではなくて、ほかの職場でも、そういう形で年金の支給ができるだけ後になった方が現役世代に対するプラス効果が生み出されるという主張は、それはそれでわかるわけでございますけれども、この六十五歳から七十歳に引き上げていくということによって、生涯現職という考え方がちょっとずれてしまって、早くやめてしまおうというようなことにならないのか。その点はいかがでしょうか。
  121. 河村建夫

    河村政務次官 濱田委員指摘のように、この制度改正によって、生涯現役で頑張ろうという人たちが勤労意欲をなくしてしまいはしないかという御懸念だと思います。  この制度については、六十五歳から七十歳に引き上げていくわけでございます。そして、新たな年金の支給調整措置を導入しなければいかぬということになっておりまして、これは厚生年金との均衡を維持する観点から、厚生年金改正措置に準じた見直しを行うことになったわけでございます。  ただ、この見直しは、賃金と年金と合わせて世帯の所得の月収が約五十万円を超えない場合は支給停止はしないということになっております。また、五十万円を超えた場合でも、賃金が二の割合で増額すれば、そのうちの五〇%、一を減額するということで、暫定的に少しカーブが低くなるということも考えておりまして、就労して賃金を得れば必ず総所得は増加することが考えてあるわけです。  特に、七十歳になれば加入期間が五年間分の増額された満額の年金支給をということから考えますと、確かに今までとは、少し抑えるということにはなりましたが、高齢者の就労を阻害するところ、そこまでの効果は極力抑えられておるというふうに考えておるところであります。
  122. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 その辺の点検といいますか、先ほど、私学の皆さん方が、例えば幼稚園だと五十八歳、一般の高等学校あたりでも六十歳というような形が平均的だというお話もございました。少しきちっとした数字を点検しなければならない、時間もございませんので、それだけきょうは申し上げておきたいと思います。  三点目は、共済年金の在職中の障害年金給付の問題です、支出を抑制しようというときに、濱田の言っていることは逆の方を主張するではないかと言われるかもわかりませんが。  民間の労働者が加入されている厚生年金でございますが、障害年金の要件を満たせば、所得、収入に関係なく障害年金が現職中でも出されるということになっているわけでございます。共済年金、これは全般のことでございますが、幾ら障害の要件を満たしていても、所得や収入に厳しい制限がある。これは、年金相互の持っている利点というものから考えると、共済年金加入者にとってはマイナス面であるとしか言いようがないわけでございます。その辺、私学共済だけじゃなくて共済年金全体を含めてと言ったら答えにくいと思いますので、私学共済、これだけでも、厚生年金並みに収入や所得の枠というものを撤廃する方向性というのは見出せないのか。いかがでしょうか。
  123. 本間政雄

    本間政府参考人 共済年金でございますが、これは国家公務員とか地方公務員とか、あるいは本件の場合のように私学教職員といったように、特定職域ごとに設けられました年金制度でございます。そして、その職域を離れた後の所得保障を適切に行うということが共済年金の原則でございます。  在職中の年金受給権者につきましては、現に仕事を持って就労をして給与収入を得ているということから、一定の支給制限を行うということが基本的な考え方になっております。このことにつきましては、障害共済年金受給者についても同様でございます。  御案内のとおり、障害者となった時点で、障害共済年金は就労中であっても支給はされるわけでございますが、この年金額につきまして一定の支給制限を課しております。これは、繰り返しになりますけれども、現に働きながら給与収入を得ているということでございまして、公平性観点からやむを得ないのではないかというふうに考えております。  なお、現在、私学共済年金受給権者が六十五歳未満の私学教職員である場合でございますが、標準給与と年金月額の合計額が二十二万円以下の場合には年金の八割相当を支給する、また、六十五歳以上の私学教職員でございますと、標準給与が四十四万円未満の場合は満額の年金を支給するというふうなことで、障害者を含めまして、給与の低い方には共済年金として一定の配慮を行っているところでございます。  なお、なぜ共済年金だから厚生年金と違っていいということなのか、厚生年金に合わせるべきではないかというお尋ねでございますが、私学共済は、教育という特定の職域を対象としておりまして、その構成員も比較的、比較の問題でございますけれども、学歴が高い方が大部分であるということもございます。また、教育という職務の特性上、障害になったということに伴いまして、民間のサラリーマンでございますと、職場が急に変わる、職種が変わるというふうなことも、また、そういうことに伴いまして急激に給与が下がるというようなことも考えられるわけでございますが、教育の場合には、必ずしも即そういうことにはならないのではないかということでございまして、一般のサラリーマン全体を対象といたします厚生年金とは違った仕組み、国家公務員共済年金等と横並びの、同一の仕組みをとることは妥当ではないかというふうに考えております。
  124. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 納得させられそうな、何かおかしいんじゃないかというような、そういう聞き方になるわけでございますけれども、これも、年金相互の間の一つ問題点としてはしっかり頭に入れておいていただきたいと思います。  時間がございません。最後に、年金とは関係ないんですが、スポーツ振興投票法、通称サッカーくじでございますけれども、二〇〇一年のJリーグ第一ステージからの実施という方向性が進められて、来年の秋にも地域を限定してテスト販売が予定されているというふうにお聞きするわけでございます。  その販売の提案の概要といいますか、委託金融機関から出された中身を見てみますと、この法律が通るときに、「十九歳未満の者に対する購入等の禁止が徹底されるよう」ということがうたわれているわけでございますが、その十九歳未満の者への販売禁止の担保措置、これがどのように論議をされ、どのような方向性になっていこうとするのか。  聞くところによりますと、チケットショップチェーンとかレンタルビデオ店チェーン、携帯電話販売店チェーンなど、青少年が幾らでも出入りして、幾らでもいろいろなものに手の出せるところも販売の対象になっているようでございますが、その辺、いかがでしょうか。
  125. 河村建夫

    河村政務次官 このスポーツ振興投票法の導入、いわゆるサッカーくじ導入のときにいろいろ議論があった中で、十九歳未満の青少年にそのために非行が増発するんじゃないかとか、あるいは、巨額な金を勤労をせずに得ることはどうであろうかというような影響から、十九歳未満には販売しない、また賞金ももちろん受け取らない、こういう方向が打ち出されたわけでございます。  そこで、御案内のとおり、委託金融機関、大和銀行になっておるわけでございますが、十九歳未満の購入禁止を担保する措置をとるようにということで、特に今、方法として、IDカード、身分証明書を提案されております。これは、実施主体であります日本体育・学校健康センターでは選定委員会を設けておりまして、その中で、十九歳以上である方にも過剰な証明をというようなこともあってはどうであろうかとか、いろいろな議論がありまして、さらに工夫をするようにという指摘がされているやに聞いております。  今御指摘の青少年の立ち寄りが多いような場所等々については問題があるという御指摘もありますから、そのことも含めて選定委員会の方でいろいろ議論を進めて、実行に当たっては、できるだけ皆さんの御懸念がなきようにするという前提に立って今進めておるというふうに伺っておりますし、文部省としても、特に十九歳以上の確認という問題も含めて、このセンターを指導していっておるところでございます。
  126. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございました。
  127. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十七分散会