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1999-11-09 第146回国会 衆議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月九日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 鈴木 恒夫君    理事 飯島 忠義君 理事 小川  元君    理事 奥山 茂彦君 理事 栗原 裕康君    理事 肥田美代子君 理事 藤村  修君    理事 富田 茂之君 理事 松浪健四郎君       岩下 栄一君    岩永 峯一君       小此木八郎君    河村 建夫君       倉成 正和君    小島 敏男君       下村 博文君    平沢 勝栄君       松永  光君    柳沢 伯夫君       渡辺 博道君    田中  甲君       松沢 成文君    山元  勉君       池坊 保子君    西  博義君       武山百合子君    石井 郁子君       山原健二郎君    畠山健治郎君       濱田 健一君    粟屋 敏信君     …………………………………    文部大臣         中曽根弘文君    総務政務次官       持永 和見君    文部政務次官       河村 建夫君    文部政務次官       小此木八郎君    政府参考人    (文部大臣官房長)    小野 元之君    政府参考人    (文部省生涯学習局長)  富岡 賢治君    政府参考人    (文部省初等中等教育局長    )            御手洗 康君    政府参考人    (文部省教育助成局長)  矢野 重典君    政府参考人    (文部省高等教育局長)  佐々木正峰君    政府参考人    (文部省高等教育局私学部    長)           石川  明君    政府参考人    (文部省学術国際局長)  工藤 智規君    政府参考人    (文部省体育局長)    遠藤 昭雄君    文教委員会専門員     岡村  豊君     ————————————— 委員の異動 十一月九日  辞任         補欠選任   笹山 登生君     武山百合子君   濱田 健一君     畠山健治郎君 同日  辞任         補欠選任   武山百合子君     笹山 登生君   畠山健治郎君     濱田 健一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  文教行政基本施策に関する件     午前十時開議      ————◇—————
  2. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  冒頭、委員長から一言申し上げたいことがございます。  いわゆる国会活性化法が施行されまして、文教委員会は本日が初めての質疑でございます。初回の一般質疑でございますので、いわゆる政府参考人への質疑なども含めまして、多少、初めてのことでございますから問題点が出てくるかもしれません。要は、国会審議活性化を図るという法の目的に照らしまして委員長は進行を図ってまいりますけれども、問題点が出てまいりました場合は、理事会等の場でまた御協議をいただく、そういう心づもりで審議を、質疑を始めさせていただくことだけ御了解いただきたいと思います。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りをいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として文部大臣官房長小野元之君、文部省生涯学習局長富岡賢治君、初等中等教育局長御手洗康君、教育助成局長矢野重典君、高等教育局長佐々木正峰君、高等教育局私学部長石川明君、学術国際局長工藤智規君及び体育局長遠藤昭雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥山茂彦君。
  5. 奥山茂彦

    奥山委員 おはようございます。  国会活性化法が初めて適用される中におきまして、文教委員会の初の質問をさせていただきますし、さらにまた、小渕改造内閣が新たに誕生いたしまして、中曽根文部大臣がこのたび要職につかれたわけでありますので、その初めての質問をさせていただけるということで大変光栄に存じております。そしてまた、河村政務次官小此木政務次官にも、またいろいろ違った角度からも御答弁をお願い申し上げたいと思います。さらに、政府参考人にも計数的な問題はまたいろいろ教えていただきたい、このように思っております。  教育は本来、その成果はすぐに出るものではないわけでありまして、二十年、三十年あるいはまた五十年の単位で教育施策というものは進めていかなければならないわけであります。  そこで、文部大臣も所信の中で述べておられるわけでありますが、二十一世紀において我が国を活力ある国家として発展させるためには、科学技術の創造と文化立国を目指していくための教育が重要であると述べておられるわけで、そのための社会的なシステムとして、二十一世紀日本を形づくるものとしての教育の不断の改革が必要である、このように述べていただいているわけであります。  そこで、新たに中曽根文部大臣が入閣されまして、この後教育改革に取り組んでいただかなければならないわけであります。この問題は、歴代の内閣がずっと取り組んでこられ、そして中教審で具体的な改革は示されたりしておるわけでありますが、まだまだ必ずしも十分な成果は上がっておらず、逆に、昨今の傾向として、不登校が昨年で十二万人余り出ているということで、しかもこれが年々増加を見ているわけであります。  さらにまた、学校登校している生徒におきましても、教室に入らずに、保健室登校という、そんな現象がかなりたくさん出ておるわけでありまして、こういったものも、やはりある意味で言うと学校の不適応児ということになるのではないかと思います。  こういった点で、文部省調査をされているそうであります。特に、学級崩壊学校崩壊と言われるような言葉が学校の内外で広く使われているわけでありますけれども、この基準はあいまいで、また一方において年々深刻さが増しているとも言えるわけであります。  我々も含めて教育関係者は、このような不適応児というものの、学校からはみ出した、現在の教育からはみ出したというか、置いてきぼりを食っておるようなそういう子供たちに対して、現在の教育は十分な教育の場を与えておらないんじゃないかということが言えるかと思います。  私は、このような広い意味での学校の不適応児と呼べるような生徒は、現在、小中学校で全生徒の大体四分の一か五分の一ぐらいはこの状況にあるのではないか、そんな思いを持っているわけであります。  私も、地元の小学校中学校を回ってまいりました。そして、先生方が、出席日数の足らない子供無理やり家庭から学校へ連れ戻して何とか出席日数のつじつまを合わせているとか、あるいは、授業がわからずに、通知簿もほとんど1のような子供たちにも無理やりに補習を受けさせて、担任先生は何とか卒業をさせているというのが現状でなかろうかと思います。  教育現場では、今日までこのような生徒に対して具体的な対策が十分打たれておらないままに、ところてん式というのですか、無理やりに卒業させているような現状があるかと思います。生徒はまさに学校にとってのお荷物にもなっているような状態であるわけであります。  一つは、現在の教育制度が、子供を落第させるということは教師にとっては不名誉だというような解釈がなされておるわけでありますし、一般の父兄も、落第をさせるような学校はというようなことを言うわけでありますので、実際は余り落第させるということも今の日本ではできない制度であります。  こういったもろもろの問題を含めまして、中教審でもこのような生徒に対して具体的に対策は、先ほど申し上げましたように、十分打ち出しておらない現状であります。このような生徒フリースクールというところが何とか受け皿になっているとか、もちろん公的なフリースクール体制も設備もあるわけでありますけれども、民間のいろいろな教育関係者においてフリースクールをつくってそういった不登校生徒受け皿になっているとか、こういうケースもあるわけでありますが、アメリカでは、いろいろなケースを想定して、チャータースクール制度というものが今かなり広範囲で実施されているわけであります。  こういう問題ももろもろ含めまして、文部省は、こういう生徒、あるいはまたそれぞれの個性能力に応じた学級制度というものをこれからどんどん進めていかなければならないわけでありますが、どういう対応をされていかれるのか、まず文部大臣、それからまた河村政務次官、また小此木政務次官からも、いろいろな方面から御答弁いただければありがたいかと思います。
  6. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 きょうは文教委員会の初めての質疑ということで、私、また河村総括政務次官、そして小此木政務次官と、そろって出席をさせていただきました。これからこの委員会先生方の御指導を、まずもってお願い申し上げる次第でございます。  今奥山先生お話にもございましたように、今の日本教育の掲げる課題というのは大変多岐にわたっておりまして、大変深刻な問題だと思います。戦後の教育、これはいろいろ意見はありますけれども、日本教育水準は世界的なレベルにまで達しまして、それなり成果が上がったことと思っておりますが、同時に、今お話ありましたような、不登校とかいわゆる学級崩壊とか、現場での深刻な問題も多発をしているわけでありまして、私ども文部省はもちろんでありますけれども、これから先生方また国民の皆さんとともにこういう問題の解決に努力をしていきたい、そういうふうに思っているところでございます。  今、日本版チャータースクール構想についての御質問がございました。  このチャータースクール構想研究開発学校につきましては、教員が独自に編成できるカリキュラムについて文部省が一定のガイドラインを示すわけでありますけれども、現在の検討状況についてちょっと申し上げますと、教育委員会等設置者の主体的な課題設定によりまして、新しいタイプ研究開発学校というものが開かれるようになってまいりました。これを来年度から導入できるように、現在、まず関係の経費について概算要求をしているところでございます。  そして、研究開発学校の指定の基準につきましては、研究課題は従来文部省において設定をしておりましたけれども、あわせて、各学校設置者判断によってこれを定めることができる方式を導入するものといたします。それから、学習指導要領に定める各学校段階の目標を達成するものであること、さらに児童生徒教育上適切な配慮がなされていることなどを基本にしながら、今後具体的な検討を進めてまいりたい、そういうふうに思っております。
  7. 河村建夫

    河村政務次官 今奥山委員指摘ありましたように、最近の、特に義務教育段階小中学校段階で、学校適応児といいますか、学校が楽しくない、学校へ行くことが苦痛だ、そういう子供たちも非常にふえておりまして、既にそういうことで、フリースクールのような形でそういう子供たちを受け入れている方々もいらっしゃる。そういうものを今度国の方もひとつ制度化して、アメリカにもああいうチャータースクールというものもございますので、そういうものの研究をしながらやっていこうということで、新しいタイプ研究開発学校制度を設けようとしておるところでございます。  これまでも奥山委員には、自民党においてそうした勉強会にもお出いただいて、発言いただいておるところでございますが、特色あるとはいいながらも、やはりきちっと、日本人として義務教育段階として教えるべきことはそこでもやはりちゃんとやっていただかなければなりません。ただ、なかなか今までの学校ではやれなかった、その子供能力習熟度に合わせたようなものを、グループ別に、きめ細やかにやっていくということが、このチャータースクール、いわゆるフリースクール日本型のチャータースクールといいますか、そういうものではできるであろうということです。  これから具体的にどういう形で取り組んでいったらいいかというのはもっと研究する余地がありますが、そういうことに意欲を持っておられる先生方あるいは地域、そういうところで研究会をつくっていただいて、そこで取り組みをしていただきたいというふうに思っております。  ただ、アメリカのように、各州が非常に分権をされておりまして、それぞれ教育水準が違っていて、レベルが非常に違う、そして非常に学力が落ちてきて、そしてそれを救済するために、むしろ学力を上げるためにということでアメリカあたりチャータースクールが非常に設けられていて、今どんどんそれが広がっておるんです。だから、日本も同じようなことを考えて、それが逆に、今の受験戦争をあおるような、そこへ行ったら成績がよくなって受験戦争に有利になるというようなものは、私は日本ではなじまないというふうに考えております。  今奥山委員が特に指摘されましたように、学校に行きたくないのを無理やり形だけ整えて、養護室とかなんとかでも行って、登校日にして卒業させるとかというのじゃなくて、やはり一人一人、きめ細かな教育習熟度に合わせた教育ができるという特質を、このチャータースクール制度日本型チャータースクール制度の中で取り入れていただきたい、このように考えております。
  8. 小此木八郎

    小此木政務次官 今委員が御指摘になりましたような不登校の問題や学級崩壊、こういった問題に触れられましたけれども、今全般的に大臣総括政務次官がお答えになりましたけれども、私がいろいろ地域方々にこの学級崩壊や不登校の問題について語るときに、やはり学校側、つまり先生は何か親の責任にしてはいないか、あるいは家庭側学校先生責任にしてはいないか、お互いに何か自分自身のことを考える余裕を持っていないのかなということを私は思うのです。  その実態はどうなっているかということも含めて、基礎、基本教育内容について、もっとゆとりを持って、わからせる授業を行う、楽しい授業というものを行わせるようなことですね。授業だけにこだわらずに、やはり家庭の中でもそういったしつけがどうなっているかということを、実態を調べていくという努力がこれから大切になるというふうに思っております。
  9. 奥山茂彦

    奥山委員 今、大臣並びに政務次官から御丁寧な答弁をいただいたわけでありますけれども、文部省も、二〇〇二年に指導要領の改正を行いまして大幅な現場創意工夫というものを取り入れていこう、このようにされておられるわけであります。  いわゆる文部省が進める開発実験校というもの、これをさらに進めて、日本版チャータースクールというものをもし実施するということになってまいりますと、一つ教職員の、特にそういった新しい手法に意欲的に取り組めるような人材は、これは逆に言うと、向こうからこういうものをやりたいということで出てくるわけでありますから、私は、まずそういう人材をおのずから引き出せることができるのであろうかと思います。そういう中において、制度というものはいろいろ改善をいたしましてもしょせんやはり限界がありまして、やはり教育に従事する教職員の熱意の問題と情熱の問題が一番の課題であろうかと思います。  そういう意味では、現場創意工夫をできるということになりますと、学校間でそれぞれの特色を出そうとするわけでありますから、当然学校間で、一生懸命にやらなければよその学校子供をとられてしまうというようなこと、例えば通学校区を弾力化いたしますとどこの学校にも行けるということになりますから、そういう現象が生じてくるわけでありまして、学校現場で、ある意味で、よい意味で、競争というものが行われることになるのでなかろうかと思います。  しかし、ちょっと心配なのは、教職員組合関係は、余りそういうものを現場に持ち込んでもらったら困るということ、アメリカにおきましても、チャータースクールの実施の段階ではかなり抵抗が出たということもいろいろ聞いているわけでありますけれども、こういった教育関係者をいかにしてチャータースクールに従事してもらうかというガイドライン、先ほど少しばかり河村政務次官からも示していただきましたけれども、そういったきちっとしたガイドラインがやはりこの際必要でなかろうかと思いますので、その辺はきちっとしておいていただきたいと思いますし、もしまた御答弁があればいただきたいと思います。  それから、さっきの不登校児、私は昨年の段階の不登校児現状は計数としてはいただきましたけれども、最近文部省学級崩壊学校崩壊調査を具体的にされたわけであります。これは政府参考人からでも結構ですから、少しその現状を教えていただきたいと思います。
  10. 御手洗康

    御手洗政府参考人 お答えいたします。  不登校児童生徒は、およそ十二万八千人ほどでございます。  学級崩壊につきましては、文部省といたしまして、学級崩壊をどのようにきちっと定義づけるかというような問題点もございまして、まだ全国的な状況調査いたしておりません。ただ、さまざまな形での現場での報告等がございますので、国立教育研究所中心とします専門家方々事例研究をしていただきまして、この八月に中間報告という形で出させていただきました。  主としてその要因分析をしたということが中心でございますけれども、教師担任指導力によるもの、あるいは家庭や、学校に上がってくる前の教育環境等によるもの、あるいは学校全体の体制地域体制等によるもの、さまざまな要因一つ学級崩壊と言われるケースの中に複合的にかかわっているという状況でございまして、もう少しこれを、中学校も含めまして、さらにこの専門家グループの中で御検討をいただきますとともに、当面、来年度あるいは今年度の緊急雇用対策等におきます非常勤講師手当等で、各都道府県におきまして、いわゆるチームティーチングに当たっていただくような講師方々を手当てするというような緊急の措置も行おうとしているところでございます。
  11. 奥山茂彦

    奥山委員 そこで、この試みをもし推進していただくということになり、また、文部省も今進めている開発実験校を進めてもらうということになりますと、一つは、通学区域が今のままですと、これは何ぼ新しい、特色のある学校をつくろうと思いましても、しょせんは限定されたものになるわけでありますし、もう一つは、これはいろいろ問題はあろうかと思いますが、年齢別学級編制あり方ももう一度見直しをして、例えば習熟度別学級編制をするとか、そういう方法を講じていかなければ、今のままの体制でこういうやり方というのは非常に難しいということが一つあります。  それと、やはり教職員自覚の問題があって、現場教職員それなり自覚を持って取り組んで、それを公教育がカバーしていくという形のものが必要であろうかと思います。  それから、現在進めてもらっている研究開発校も、いわゆる不適応児だけの問題ではなくして、文化芸術地域歴史、環境問題、英会話とか、いろいろな方面特色を出すということもできるわけでありますから、そういう試みも積極的にやっていただく必要があろうかと思うんですが、そういう取り組みはいかがでしょうか。
  12. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 研究開発学校通学区域についての御質問もございましたので、私からこの件についてお答えさせていただきます。  公立の小中学校に通う児童生徒が就学すべき学校通学区域は、現在は、各市町村教育委員会の権限と責任においてまず定められているわけでございます。文部省では、この通学区域制度の運用に当たりましては、市町村教育委員会が、地域の実情とかあるいは保護者の意向に即してより多様な工夫が促進されるよう指導しているところであります。  今後さらに充実した取り組みがなされるよう期待しておるわけでありますが、研究開発学校につきましては、従来の、文部省研究課題を定める方式に加えまして、市町村教育委員会等判断により課題設定する方式を導入することによりまして、地域創意を生かした特色ある教育について実践的な研究を行うことができるよう検討しているところでございます。  したがいまして、今お話ございました通学区域等あり方につきましても、設置者であります教育委員会判断によりまして、各研究開発学校目的や特性に応じて、通学区域については適切に設定されるもの、そういうふうに考えておるところでございます。
  13. 河村建夫

    河村政務次官 奥山委員指摘の、日本版チャータースクールではもっと幅広くいろいろな課題について取り組むべきだと。特に、芸術関係もやれ、あるいは地域歴史というようなこともできるでしょうし、もちろん環境教育の問題等々もやれるというふうに思いますね。当然、私は、これからの学校教育の中では、特に日本版チャータースクールではそういうことに主眼を置いた教育が自由にやれるという特色があると思いますので、それは進めてもらいたい。また、そのことを、日本型のフリースクールをやったときの評価の対象にすべきであろうというふうに思うんです。  それから、年齢別にもう少し弾力性を持たせてやるということも、今、日本では複式まで認められておりますね、一年、二年が一緒ということがあり得る。そこではそういうことがあり得るのです。その地域歴史を学ぶとかあるいは環境教育というようなものは、その学年だけじゃなくて、例えば一年、二年、三年生共通の課題としてできないことはありません。  そういう意味では、日本型チャータースクールではそういうことが可能になってくるであろうというふうに思いますので、もちろん研究課題でございますし、この日本版チャータースクールというのは一体どういう名前にしたらいいかというふうなこともこれからの研究課題だろうと思いますけれども、二十一世紀子供たちが伸び伸びと教育を受けられ、学校が楽しいところだと思わせるためにも、この新しい研究開発校に大いに我々も期待しておるし、積極的に取り組んでいく一分野である、こういうふうに思っております。
  14. 奥山茂彦

    奥山委員 もう余り時間がありませんので、現在の公教育小学校また中学校、ここはこれまで、文部省が定めたいわゆる指導要領にのっとって、みんなが同じ教育を受けて同じように卒業していくということで、平等ということをかなり重視されてきたわけであります。これは、ある意味でいうと戦後のマスプロ教育と言われるようなものになってしまったわけでありまして、教育活性化というのは、これからは、それぞれの個性能力というものがもっともっと評価されるような教育システムに変えていかなければなりません。  そういう意味では、学校現場で、いろいろ言われるのですけれども、例えば三十人学級という話が言われるのです。ただ、これは単純に三十にしたからよいクラスができ上がるというものではないわけであって、やはり生徒のそれぞれの習熟度別能力に合わせた教育をこれからしていくことによって、それから一つは、理科の教育でいいますと実験とかいろいろな、体験型の授業というのですか、そういうものをもっともっと取り入れていくことによって授業がおもしろくなってくるというものでなければならないわけであります。そういった意味では、今の教育一つ制度というものを一たんある程度緩めて、思い切った改革をする必要があるかとは私は思います。その点で、ひとつ十分心して取り組んでいただきたいと思います。これはもう結構です。  それから、私、もう一つだけお聞きしたかったのですけれども、実は、現在の中教審中間答申の中で大学の入試問題が取り上げられなかったわけです。これは、後の委員会に任されておるわけでありますけれども、現在の受験あり方が、受験テクニックにたけた生徒暗記力の強い生徒、これが今どんどん大学へ入ってきて、しかも受験科目が非常に少なくなって、この間の立花隆さんの話ではないのですけれども、東大で分数がわからない生徒がおったとか、医学部に入ってきた生徒で生物を全然やったことがない生徒がおるとか、こんな実情が今生じているだけに、我々は今の入試制度あり方に大変問題があると思いますので、その辺、どういうふうに取り組んでいただけるか、一言だけ最後にお尋ねをしたいのです。
  15. 小此木八郎

    小此木政務次官 私でよろしゅうございましょうか。——大学において、教養教育を重視するとともに、あるいは専門教育においても、いろいろな関連諸科学との関係を教えることですとか、あるいは学問と人生、あるいは学問と社会、こういったことの関係を教えるということは大変に大事なことであって、まさにその中で、学生自身がみずから課題を探求していろいろな問題に取り組んでいく、積極的にみずからの意識を出して取り組んでいくということは大変に必要だというふうに思っております。  委員が言われましたように、受験テクニックばかりを身につけるということは、私は教育本来の目的ではないというふうに思っておりますので、いわゆる読み書きそろばん、道徳あるいはスポーツを通じて、大学というよりは、そういったものを特に初等教育時にきちっと身につけさせるということは大変に私は必要なことであるというふうに思っております。  そのために、やはり今度は教える側、先生側の成績の評価の仕方ですとか、あるいは事前学習といいますか、予習、復習を徹底させるというようなことをきちっと教える、つまり教員の教育者たる自覚というものを高めるための、まさに我々文部省としてのやり方が重要になってくるというふうに思っております。
  16. 奥山茂彦

    奥山委員 終わります。
  17. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、飯島忠義君。
  18. 飯島忠義

    ○飯島委員 引き続いて、自由民主党の飯島忠義でございますが、質問をさせていただきます。  今、私どものこの日本ですけれども、何となく閉塞感が漂って、何に心のよりどころを持っていいのか、そんな感じを多くの国民が抱いている。私は、一九九九年、まさに二十世紀の総括、そしてまた希望に満ちた二十一世紀をつくるために、政治にあるいは政治家に課せられた課題というものは大変大きい、こういう理解の中に今立っております。  私自身いろいろな本を読む中で、「大国の興亡」という書物があります。これは大臣もよく御存じだと思いますけれども、エール大学のポール・ケネディ教授が書かれたものでございますけれども、こんな現状認識をしているのですね、日本に対して。  十年前に比べれば、確かに日本は、問題を抱え混乱状況にあると。しかしながら、競争力の高い産業も多く、教育程度の高い何千万という国民がいます、最高とは言えないもののインフラも充実しています、投資資本も豊かで国際収支も黒字ですと。市民社会が安定しているなど世界からうらやましがられる長所が日本にはまだまだたくさんあります、そうした長所を生かすために日本は現在抱える課題にどのように取り組めばよいのでしょうかと問いかけられているのですね。  まさに今政治家として、飯島君、何が課題かいと問われれば、私は、今国会での中小企業対策中心とした経済対策、あるいは少子・高齢社会の到来の中での福祉施策、とりわけ来年四月導入の介護保険について、国民の理解を求めてそして制度の定着を図る、こういったことが大変大事だなと思っております。しかし、長期的に見て何がと言われれば、それはまさに財政改革教育改革、これに尽きると言ってもいいと思うのですね。  さてそこで、十一月の五日の中曽根大臣からの所見でございますけれども、これについても、今国会の総理の所信表明を受けて、教育は国家百年の計の礎を築くものであり、新しい世紀の到来を前に、取り組むべき最重要課題として対応してまいりますと、力強く述べておられました。また大臣も、教育改革の推進に最大限の努力を払うとの決意を表明されました。私も全く同じ認識に立っております。  つきましては、大臣、また河村総括政務次官、また失礼ながら時間が許されれば小此木政務次官にも、各般にわたって質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、中曽根大臣にお尋ねします。  大臣のあいさつの中で、子供たちを取り巻く状況は深刻な状況になっていると述べられております。この対策として、ここにも、全国子どもプラン、地域子供を育てようということで努力はされているわけでございますけれども、家庭教育の充実強化をし、心の教育の推進を図ると述べられておりますけれども、その辺について大臣のお考えをお願いしたいと思います。
  19. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今飯島委員からもお話がございましたように、現在の日本にはいろいろな課題がありますけれども、その中でも教育の問題というのは最大の課題である、私はそういうふうに認識をいたしております。総理も、御案内のとおり、今委員からもお話ありましたように、教育は国家百年の計である、そういうことも申されております。この内閣で全力で取り組んでいく所存でございます。  家庭教育についてのお話がございましたけれども、家庭教育は、自立心とか自制心とか、あるいは豊かな情操をはぐくむ、あるいは他人に対する思いやり、また礼儀とか、それから善悪の判断とか、そういう大変基本的な倫理観や社会マナー、そういうものの基礎を育成する大変大事なものだ、そういうふうに認識しております。心の教育を進める上で、家庭の果たす役割というのは、そういう意味で大変に大きな役割でございます。  このため、文部省では、家庭教育につきましては、御案内のとおり、全国のお父さん、お母さんに考えてもらうための家庭教育手帳等を作成いたしまして、そして広く頒布をいたしております。またさらに、家庭教育に関する学習機会の充実、また相談体制の整備などを通じまして、家庭教育への支援を推進しているところでございますが、今後とも心の教育の重要性を踏まえつつ、家庭教育への支援施策の充実にさらに努めていきたいと思っておりますし、またこの問題は国民の皆様とともに考えていかなければならないと思っております。  お父さん、お母さん、それから我々、また社会全体、一人一人が自分のこととしてこの問題に真剣に取り組むことが必要であろう、そういうふうに思っております。
  20. 飯島忠義

    ○飯島委員 先ほど奥山委員質問に、御手洗初等中等教育局長から、多分中間まとめだと思うのですけれども、学級経営研究会学級経営をめぐる問題の現状とその対応」、学級崩壊についての調査でございますけれども、私は、文部省中心に相当きちっとこの問題については対応しなければいけない、そんな意味で憂慮をしております。  そこで、教育の地方分権、当然のように中央が各教育庁を通じて、あるいは教育委員会を通じてという考え方ではなしに、地方分権推進法の成立とともに地方に相当ゆだねていく、こういった改革というものも今進められているわけでございますけれども、具体的にこの内容、大臣としてどのようにお考えを持っておられるか、お示しをいただきたいと思います。
  21. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 教育改革の実現のためには、各学校地域特色を生かして創意工夫ある教育活動が展開できるように、学校の自主性、自立性を確立するとともに、教育委員会地域の実情に応じて主体的また積極的な教育行政を展開していくことが必要でございます。また、教育委員会の機能の充実も図っていくということが大変大事だろう、そういうふうに思っております。  このため、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律、いわゆる地方分権一括法、これの平成十二年四月の施行に向けまして必要な準備を進めるとともに、昨年九月の中央教育審議会答申を踏まえまして、まず学校の裁量権限の拡大、それから校長の任用資格の見直し、さらに職員会議等の学校運営組織の見直し、また学校評議員制度の導入など、学校の自主性や自律性の確立に向けた取り組みを積極的に進めていきたい、そういうふうに考えております。
  22. 飯島忠義

    ○飯島委員 この地方分権、その中における各地方公共団体を中心とした教育取り組み、しかし、やはり大筋、大綱というかそういったものを示すのは文部省をおいてほかにないわけでございますから、実は、一昨日ですか、私も約四十名ぐらいの先生方とお会いをしました。同じ会議だったんですけれども、非常に先生方からも悩みの声が寄せられました。  それはどういったことを言われたかといいますと、いろいろあるわけですけれども、例えば学級崩壊について言えば、学級崩壊、その言葉はなじまないと言うんですね。それは何かといったら、崩壊というのは何か形があってそれが崩れていくんだと。  私自身が担当するクラスに、たった一人の問題を持った子供が入ってきた。そうしたら、その子を取り巻く数人が、クラス運営をするについて大変に支障を来すような状況になった。しかし、もっともっとかみ砕いて周りをよく見てみれば、その外に、クラスの外に、卒業した生徒たちがいた。また、その卒業した生徒たちの周りを見てみれば、暴走行為を繰り返す仲間の中に暴力団がいた。非常に、学校教育だけで整理がつかない、つまり社会も家庭も挙げて取り組まなければならない、そういう痛みを披露されていました。  一方また、何ゆえに戦後教育はここまでの平等主義を貫いてしまったのか、飯島さんはどういうふうに考えられるんですか、こういう指摘もありました。  例えば、運動会で一番をとる。地域によっては、当たり前ですけれども、大変な評価をいただく。また、芸術の分野でいえば、それも評価をいただく。しかし、一生懸命にひたむきに勉強した子供、そういう子供たちに対して社会はどういう目を向けているかといえば、あそこの何々ちゃんは勉強ばっかりしてと。何か勉強することが悪、そういう評価すら社会の中に漂っている、こういう現状について代議士はどういうふうに考えますかという指摘もいただきました。  私も大変に、この戦後教育の中における平等主義、一面でいうと大きな成果をもたらしましたけれども、しかし、何となく、そうしたまじめに努力する子供や、そして、まじめに勉強をし、これからの日本の、科学創造立国であるとか、あるいは資源小国の日本が経済的によって立つところの大きな部分である技術者としての道を模索する、そんな取り組みをしている子供たちに対してのもっともっと大きな評価基準というものを持つべきだと思うんですね。  この辺について、まあきょうは質問時間が短いので私は提言ということで、あえて質問は申し上げませんけれども、ひとつ文部省を挙げて御努力をいただきたいと思っております。  次に、それらを含めてですけれども、まず、教育現場の中で教職員の質というもの、これは当たり前のことですけれども、大変に大事でございます。  私ども自由民主党が中心となりまして、昭和四十九年の二月、いわゆる人材確保法、正式には学校教育水準の維持向上のための義務教育学校教育職員の人材確保に関する特別措置法、これが公布されて二十五年を経ました。それなりに立法の趣旨が生かされてきたと理解をしておりますけれども、一方で、現在の教員の状況を見ますと、本当に毎日驚くような、新聞紙上にわいせつ行為などの違反行為というか、まさにそういう教員や、指導力が不足している教員などの問題教員がかなりおり、必ずしも優秀な教員が確保されているとは言えない状況であろうと思っています。  教育に使命感を持つ優秀な教員を確保するためには、つまり人確法の持つ意味、それは給与面での待遇改善だったと思うんですね。それだけではなかなかのところ、立法の趣旨にのっとった先生方が得られていないという状況にあろうと思っています。  そこで、教員の資質向上のために今後どのような方策を講じていかれるのか、大臣に伺っておきます。
  23. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員おっしゃいますように、教員の資質というのは教育上大変重要でございます。学校教育の直接の担い手となる教員の資質、これは、さらにいい先生方になって、その先生方子供を教えていただきたいというのが親たちの願いでもありまして、私どもも資質の向上には努力をしているところでございますが、まず教員の養成、それから採用、それから研修の各段階を通じて対応をとらなければならない、そういうふうに思っております。  まず採用についてでありますけれども、これは各都道府県、指定都市教育委員会に対しまして、人物重視の方向で一層の改善を図るとともに、また、さまざまな社会体験をした方など、そういう多様な人材の確保に配慮するよう、そういうふうにまず奨励をいたしております。それから研修につきましても、生徒指導教育相談等に関する研修の充実を図っているほか、幅広い視野を持って、そして対人間関係能力を高めることができるように、民間企業等における社会体験研修というんでしょうか、そういう研修にも努めているところでございます。  私も先日まで参議院の政審会長を務めていたわけでありますけれども、政審の中に教育に関する委員会を設けまして、教員の資質の向上についていろいろ議論をいたしました。  また、我々なりの提案もさせていただいて、その中の一つに、今申し上げましたような教員の民間企業での長期社会体験研修、例えば半年とか一年、デパートとかいろいろな企業で苦労をしていただく、自分が教える子供の親たちが世間でどういう苦労をしているか等々勉強してもらって、幅の広い、視野の広い、バランス感覚のとれた先生になってもらいたいということで、そういう議論もやってきたところでございます。ぜひこういう制度もさらに充実をして資質の向上に努めていきたい、そういうふうに思っているところでございます。
  24. 飯島忠義

    ○飯島委員 ちょっと質問の順序が逆になりますけれども、大臣からそういう答弁をいただきましたので、関連して引き続き大臣に御答弁をお願いしたいんです。  教員の長期社会体験研修、この概要を私も資料としていただきました。平成七年、八年、十年と実践的調査研究を終了、十年の六月には最終報告書の提出、こうなっておりまして、しかし、いかにもやはり、実験でありますからいたし方ないんでしょうけれども、十年までの総数を見ましても、例えば十年で三十六県、総数で七百二十名と。本当に、教職員の数から見れば微々たる数字と言ったら大変失礼かもしれませんけれども、これは実験ですからいたし方ないんですけれども。  さてそこで、教員の資質向上のために、せっかくそういう制度実験的に導入された。私は、さらにこれを拡大すべきだというふうに考えています。昨年の中教審の答申、平成十年九月ですか、及び教育職員養成審議会答申、平成十年十月では、国内外の大学院における学修やボランティア活動など、教員が幅広い活動を通じて自発的に自己の向上を図ることができるよう研修休業制度を創設することが提言されていますが、この具体化について大臣はどのようにお考えか、いい機会ですから、伺っておきたいと思います。
  25. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほど御答弁申し上げました長期社会体験でございますが、委員おっしゃいますようにまだ人数が非常に少ない、私もそういうふうに痛感しておりまして、これをどんどん拡充、充実できるようにという考えでございまして、文部省としてもその方向で今後も努力はしていきたい、そういうふうに思っております。  それから、今お話ありました昨年九月の中央教育審議会の答申、また昨年十月の教育職員養成審議会答申において提言されました、国内外の大学院や研究機関等で一定期間研修等を行うことができるように、そういうことを可能とするような新たな休業制度についてでございますけれども、現在、これら審議会の提言の実現に向けまして、文部省としては関係省庁と協議を進めているところでございます。教員が任命権者の許可を得て大学院等に在学をして、そして、その期間中は給与は支給しないことになりますけれども、より多くの教員が研修に参加できるような、そういう観点から、今関係各省庁とこの件について協議中でございます。  さらに、協議が調い次第、速やかに関係法律を国会に提出したいと考えているところでございます。
  26. 飯島忠義

    ○飯島委員 大変大事な答弁がありました。戦後の教職員の待遇の中でもかつてない、無給で、年数的なものも含めてこれから論議があるんでしょうけれども、そういう大臣答弁でございましたけれども、具体的には年数的にどの程度のことを考えておるのか。無給ではあるけれども、要するに身分は保障するということですね。
  27. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 まだ具体的なところの詰めは行っておりませんが、一年から三年ぐらいが適当ではないかと考えております。
  28. 飯島忠義

    ○飯島委員 大変結構なことだと思うので、この社会への参加、教員の長期社会体験研修、これは実験ですからこれでいたし方ないんですけれども、ある程度多くの数の教員が、地域の中における例えば特別養護老人ホームのヘルパーに自分自身が身を置いて勉強してみるとか、そんなことも含め、あるいは大学院に行くとかあるいは海外に研修に行くとか含めて、大きな枠組みをつくっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  順序が逆になりましたけれども、河村総括政務次官、私自身の勉強不足かちょっとわかりませんけれども、仄聞するところ、先ほどの人確法、これに基づくところの主任手当、全国で十九万人ぐらいが今主任手当の支給を受けているそうでございます。これは平成八年度ベースですね。月に大体五千円見当ですから、年額六万円程度の主任手当が十九万人から二十万人の人に支給されている。  ところがどうも、聞く話では、ある県では、一たん本人が受給したものを、判こを押しましてから、拠出するというんですかね、拠金する。お金に色はついていませんから、私自身もそのお金が確かにそのお金なのかということはわかりませんけれども、どうも自分で受け取れないような、そういう相互監視の雰囲気というものが色濃くある県がまだ二十県ぐらいあると聞いているんですよ。  ついては、やはり立法の趣旨というのはあるわけでございますから、そういうものの是正指導を、総括政務次官として、文部省挙げてですけれども、どういうふうに考えておられるのか、お願いしたいと思います。
  29. 河村建夫

    河村政務次官 御案内のように主任制度、主任制というのは、学校運営の中で、やはり調和のとれた運営をしていかなきゃいかぬ、そういうようなことで校務分掌、それぞれ仕事を分担しながら学校運営をしていこうということです。特にまた、生徒指導、教務に責任を持った指導をしていただくというようなことでこの制度が昭和五十一年から導入された、御指摘のとおりであります。  ただ、この主任制導入に当たっては、御案内のように教職員団体等の強い反対運動もありまして、その影をまだ引いておる県があるということでございまして、今御指摘のように、二十県とはいいませんが、手当の拠出が行われている県が七県程度あるというふうに聞いております。特に北海道、広島県等というふうに伺っておるわけでありますが、これは、人確法の精神等々からいってもやはりきちっとした運営をしていただくというのは、大方の県は大体もうやっていただいておるわけでありますから、それに従っていただくというのが人確法の趣旨からいって当然のことだというふうに思うんですね。  今後とも、全体の教育の向上、また先生方の質の向上、いろいろな問題も含めて、この手当を受け取っていただいて前向きに教育に取り組んでいただく、そのことはこれからも粘り強く話し合いの中で進めてまいりたいというふうに思います。
  30. 飯島忠義

    ○飯島委員 ありがとうございます。  ぜひその御努力というか、もう当たり前です。二十五年もたっているんですよ、この法律ができてから。本来、御苦労をいただく先生に、教務主任であるとか、あるいは校外の指導主任であるとか含めてあるわけですから、立法の趣旨にのっとった支給、そして受給がなされるように御努力をいただくことをお願いしたいと思います。  実はきょう、大変うれしい会合が一つ、午前だか午後だか、予定されているようでございます。それは、新聞紙上で私は見たんですけれども、いわゆる大学改革の一環として、一橋大学、東工大、東京外語大学、東京医科歯科大学、東京芸術大学が、単位互換制度の導入などを柱とする五大学連合の実現を目指すとされておりまして、きょうは、その五大学の学長さんと文部省方々が会って、会合を持つように聞いています。  これは、大学間競争の観点などから、すばらしい構想だと思っています。今後推進すべきと私自身は考えておりますけれども、大臣としていかがお考えか、伺っておきたいと思います。
  31. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 一部で報道されましたけれども、五大学の連携、連合というのでしょうか、連携の構想につきましては、各大学の学長がそのような方向で検討されていると仄聞をいたしております。具体的な内容等については、詳細は承知はしておりません。  いずれにしましても、今後各大学の学内で十分な議論が必要なことと考えておりますけれども、一般論といたしましては、各大学が教育研究活動の充実等の観点から、今委員おっしゃいました単位互換制度の活用等によりまして連携を深めることは、人材の養成のみならず、各大学における教育研究の広がり、また豊富化につながるもの、そういうふうに考えておりまして、方向としては望ましい方向ではないか、そういうふうに思っております。
  32. 飯島忠義

    ○飯島委員 あと二、三問質問を予定していたんですけれども、時間がございませんので、私の地元で今回政務次官に就任をされた小此木政務次官にも質問をと用意しておりましたけれども、時間の関係一つだけ、得意の分野で御答弁をお願いしたいと思うんです。  私自身も大変スポーツが好きでございます。一昨々晩は、あのイタリアとオール・ジャパンのバレー、あるいはまたサッカーも国民の間で非常に高い関心を持たれて、私も、どきどきしながら、はらはらしながら夜のスポーツ番組でこれを見たわけでございます。  これらを含めてですけれども、スポーツ振興、どうも日本のナショナルチーム、これは形の上では企業の抱える選手をくくって大会に臨むというのですか、そんな色彩が強いわけでございますね。ついては、これらナショナルチーム、国威発揚じゃありませんけれども、オリンピックで日本の選手が勝つ、これは大変に国民的にうれしいことでもありますし、また、一億二千数百万の国民がまとまる大きなゆえんでもあるわけです。  ついては、スポーツ少年で、なおかつスポーツをこよなく愛して今日まで来られました小此木政務次官がこの問題についてどういう認識を持っておられるかお尋ねして、私の質問を終えさせていただきたいと思います。
  33. 小此木八郎

    小此木政務次官 スポーツというものは大変にすばらしいものでありまして、今の小学生の体力低下なんという実情を見ますと大変残念と思いますけれども、まさにスポーツというのは、やればやるほど体力がつくということだけではなくて、その中で、精神力ですとかあるいは礼儀といったものまで身につけるすばらしいものだというふうに思っております。  そして、競技スポーツというのは、自己の可能性の追求や極限への挑戦を目的とするものであり、その選手の姿は国民に夢や感動を与える。オリンピックですとかワールドカップですとか、そういったことが行われると、やはり国民は盛り上がるわけですね。そういったものに関する我々文部省としてのさらなる努力といいますか、私どもも責任を持って、この点に関してさらに、いろいろなスポーツが日本にはありますよ、世界にはありますよと、特に小さな子供たちにも広めていきたいというふうに思っています。
  34. 飯島忠義

    ○飯島委員 時間が参りましたので、最後に要望というか私の考えをまとめて申し上げて、質問を終えたいと思います。  冒頭にも申し上げましたけれども、日本は大変に閉塞感の中にあるわけでございますけれども、他国の例を見て、他国は日本以上にもっと厳しい局面に立っていた、また立っている国もある。ですから、我々は希望を持って、やはり二十一世紀を担う人材の育成に努めれば、必ず活路は見出せる。そういう面での文部省の、また文部大臣以下皆さん方の御活躍を期待いたしまして、質問を終えさせていただきます。  ありがとうございました。
  35. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、富田茂之君。
  36. 富田茂之

    ○富田委員 公明党・改革クラブの富田茂之でございます。  与党として初の質問ですので、どうぞよろしくお願いいたします。  システムが変わりまして、二日前のお昼までに質問通告しろということで、金曜日のお昼までに質問通告させていただきました。  最初に、九月二十一日に発生した台湾大地震、これで全壊しました台中にあります日本学校の再建支援についてお尋ねしたいということで質問通告をいたしました。そうしましたら、金曜日の夜、大臣が閣議後の記者会見で、台中日本学校の再建について文部省として積極的に取り組んでいくという発言をされていたというのを夕刊で見まして、これを見てからまた質問通告すればよかったなというふうに思ったのですが、それも含めまして、台中日本学校の再建支援についてまず質問をさせていただきたいと思います。  私は実は、九月の二十九日から十月二日まで、同僚議員三名と一緒に台湾に行ってまいりました。私どもの党と、支援していただく皆さんが街頭募金をいたしまして、その街頭募金と、また、今回の台湾の大震災というのは都市型ではなくて、田舎の方の家がかなりつぶれて夜中の電気がないということで、懐中電灯を五百本ほど持って現地の対策本部に行ってまいりました。一番被害がひどかった南投県にも入りまして、被害状況をつぶさに見てまいりました。  台中の日本学校現場も見てまいりました。本当にもうすごくて、全部つぶれていました。グラウンドの真ん中にも亀裂が入っていまして、もうこれは使えないな、ちょっとこれではここで再建というのは不可能だなという状況も見てまいりました。  江原さんという校長先生とも、二時間ほど、今後どうするかということについていろいろお話し合いをさせていただきました。日本に戻ったら、必ず政府に要望して、子供たちが一刻も早く安心して日本学校教育を受けられるように全面的にバックアップしますよということを江原校長に約束してまいりました。  日本に戻ってまいりまして、十月四日の日、大臣が翌日の改造で内閣に入られる前の日ですが、小渕総理が会ってくれまして、総理に申し入れをいたしました。大きく分けて三点ほど申し入れをいたしました。  台湾の方では仮設住宅が大変不足している、日本政府はもう早速千戸の仮設住宅を送ることを決めていただいていましたが、多分これでは足りなくなるだろうということで、その後の支援もお願いしたい。  もう一つ、阪神・淡路の大震災の経験を踏まえて、復興にかかわる法的措置あるいは技術的な支援をお願いしたい。特に、被災児の、児童の心のケアについて日本政府としてもできる限りの支援をしていただきたいということを第二点目にお願いいたしました。  三点目として、日本学校の再建がなかなか現地の皆さんでは困難だ、現地に行っていらっしゃるいろいろな会社の皆さんがお金を出し合っていろいろやられるようですが、何億円もかかるのじゃないかというようなお話もありまして、日本政府として、正式な国交はありませんけれども、できる限りの配慮をお願いしたいということを申し上げました。  小渕総理の方も、これまで縁故のある国だからできる限りの配慮をしたいということで、積極的に取り組んでいただくというような御答弁をいただきました。  できる限り早くこの再建ができたらいいなというふうに希望していたのですが、文部省、また外務省の方で、この後現地にそれぞれ課長さん、課長補佐さんを派遣していただきまして、いろいろ調査していただいた。十月四日に要望したら、もう翌週には行くというような感じで、非常にスピーディーな対応をしていただきました。  文部省の方でも現場を見てこられたと思うのですけれども、現地の調査状況、また今後の支援に当たってどのような観点から文部省として支援に取り組んでいくのか、お聞かせ願いたいと思います。これは政府参考人の方で結構です。
  37. 矢野重典

    矢野政府参考人 それでは、私の方から改めて状況を御報告申し上げたいと思います。  台湾には、御案内のように三校の日本学校があるわけでございますけれども、震源地に近い台中日本学校では、先ほど先生からお話がございましたように、校舎の倒壊や、運動場に多数亀裂が入るなど、極めて大きな被害を受けたところでございます。幸いにも児童生徒及び教職員についての人的被害はございませんでしたが、校舎が使用不能となりまして、その直後から臨時休校となったわけであります。  その後、再建に向けての現地学校運営委員会を初めとする関係者の御努力がございまして、十月十一日から、近くの幼稚園の校舎を仮校舎にして授業を再開したところでございます。現在、同学校を設置いたします学校運営委員会が、新たな校舎の再建に向けまして、必要な土地の取得あるいは資金の確保等について御努力をいたしているところでございます。  文部省といたしましては、今回の事態に際しまして、地震発生直後から現地と密接に連絡をとりまして、教職員児童生徒の安否の確認を行いますとともに、担当課長を現地に派遣いたしまして現地の実情調査を行ったところでございまして、その後も、現地や関係機関と連絡をとり合いながら、引き続き現状把握に努めているところでございます。  そこで、文部省としての具体的な支援策でございますが、文部省といたしましては、旧校舎におきまして破損し、使用不能となりました教材がございます。そうした教材のうち、仮校舎、さらには建設予定のプレハブ校舎で使用いたします教材の整備に係ります経費につきまして、補助をいたすことといたしているところでございます。
  38. 富田茂之

    ○富田委員 教材等の補助はぜひ積極的にやっていただきたいのですが、先ほどもお話ししましたように、被災児童の心のケアということが、現地に行ったときも大分問題になりました。  子供さんだけでなくて、台湾の皆さんは、日中ビルの中にいるのが怖い。仕事でどうしてもビルの中にいなきゃならないからやっているけれども、夜になると公園にテントを張ってテントの中で寝ているというような状況が、私たちが行ったときにもまだ続いていました。特に、子供さんたちはそういう怖さを初めて感じてしまいましたので、夜、家でなかなか寝られない、そういうふうなお話を江原校長からも伺いました。また、そういった子供さんたちの訴えに対して、お父さんやお母さん、また学校先生たちがどういうふうに接すればいいのか、なかなか経験もないのでわからないというような御訴えもございました。  文部省の方にもいろいろお話を聞かせていただきましたら、カウンセラーの方とか、阪神・淡路で、教育復興担当教員ですか、阪神・淡路大震災の後に児童の心のケアを担当された、そういう経験者の方を台中の日本学校に派遣する、そういうようなことも考えているというふうに伺いました。現に今行っていらっしゃるんじゃないかと思うのですが、こういった方たちの派遣も含めて、やはり心のケアということを、阪神・淡路の経験がありますので、ぜひ文部省の方からも専門的な方たちを派遣するとともに、また財政的な支援もできる限りやっていただきたいと思うのですが、ここの点、河村総括政務次官、どのようにお考えでしょうか。
  39. 河村建夫

    河村政務次官 今回の台湾の大地震に対しまして、富田委員もいち早く現場に赴かれて、いろいろな支援活動等々をされてきたということに敬意を表したいと思います。  今御指摘のように、やはり児童生徒、また保護者もそうでありますが、心のケアが非常に重要だというふうに考えますし、幸か不幸か、日本も大変な経験をしております。今御指摘のように経験者もおられるわけでございますので、既に御指摘のように派遣をいたしておりまして、カウンセリング等行っているわけであります。道都大学の小澤先生、臨床心理士、カウンセラーでございます、既に出向いて、もうお帰りになったと思います。それからさらに、芦屋で体験をされました伊藤先生、芦屋の潮見小学校先生でありますが、そういう実際の体験をされた方にも行っていただいて、向こうで研修会等をやっていただいて、何回かに分けまして皆様お集まりをいただいて、いろいろな話し合いの中で御相談に乗ったりしてやってきたわけでございます。  さらに、一応十二日で終わっておるわけでありますが、現場との事務の打ち合わせの中で、さらに必要であるという要請があれば、直ちに派遣できるような態勢を今とっておるところでございます。  そういうことで、この問題について積極的に、日本学校の皆さんが不安なきようにするというのは当然のことでありますので、最大の努力を払いたい、こういうふうに思っております。
  40. 富田茂之

    ○富田委員 ぜひ心のケアの点について、今総括政務次官おっしゃられたように、今後のフォローもぜひやっていただきたい。  江原校長は本当に一人で獅子奮迅の闘いをされておりました。子供さんたちのことを考え、また学校の再建を考え、現地のいろいろな方にお願いし、李登輝総統まで日本学校を視察されて、用地を提供するというふうに申し入れてくださったそうです。そういう方たちのバックアップをぜひ日本からも行っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。  次に、この臨時国会審議が予定されております平成十一年度の第二次の補正予算、これに関して、公明党・改革クラブでも自民党並びに政府に対しまして、特に文教関係について、このような点を重視すべきじゃないかということで何点か申し入れをさせていただきました。  今の台中日本学校の再建についても一つそうですが、そのほかに留学生の受け入れ支援策についてもっと充実させるべきではないか。またもう一つ、奨学金制度についても、この二月からずっと自民党の皆さんと検討会を持たせていただきまして、四月一日付で大幅な拡充をしていただきましたけれども、その点についてもさらなる拡充をするべきじゃないかということで、第二次補正予算に向けての要望をさせていただいております。  それに対して文部省の方でもいろいろ今御検討されているようで、大臣の五日の閣議後の会見でも、トルコと台湾の地震の被害を受けた留学生たちに対して特別の手当を出そうということで、それは文部省が特に考えてくれてそういった点をやられるということで、大変すばらしいと思うのです。  今回、補正予算の関係で、文部省として、二十一世紀を担う人材の育成という大きな項目を掲げられて、三百二十億円というような金額が出ております。その中に、世界へのかけ橋を築く留学環境の充実ということで、留学生の支援に対して二百六億円規模で支援をしていこうというふうに今考えておられるようですが、この具体的な中身はどうなっているのか、教えていただきたいと思います。これは政府参考人で結構です。
  41. 工藤智規

    工藤政府参考人 留学生交流の充実の重要性については今さら申すまでもないわけでございますが、先生おっしゃいましたように、来年度の当初要求に当たりまして、留学生受け入れの充実の施策も予定しているわけでございますが、今度の第二次補正予算に向けましては、今財政当局と折衝中でございますけれども、留学生関係で特に、今五万一千人ほどの留学生が日本においでになってございますけれども、その九割がアジア地域からでございます。  御案内のとおり、現下のアジア地域の諸国における経済情勢あるいは我が国における経済情勢等から、おいでいただいてもなかなか経済的に苦しい留学生が多いわけでございます。そのために、この補正予算に当たりましては、新規にアジア諸国等からおいでになる私費の留学生に対しまして、一定の、立ち上がりといいましょうか、おいでになってからしばらくの間の生活支援をさしあげたいということで、内容的には、約三万人の留学生に対しまして、一時金を十五万円ほど支給するべくまとめているのが一つでございます。  それからもう一つは、留学生がおいでになりましても、日本の宿舎事情が必ずしも芳しくございませんで、約七割の留学生が民間のアパートあるいはマンションなどにお住まいでございますので、留学生宿舎の整備のために、今のところは、約千二百戸ほどの留学生を含む国際交流関係の居住施設を整備したいということを内容としてございます。
  42. 富田茂之

    ○富田委員 留学生が本当にきちんと勉強できるような環境をつくるというのが本当に大事だと思うのですね。  今局長言われたように、九割がアジアの地域からだと。今アジア経済は大変な状況だということで考えますと、ちょっと個人的な名前を出して申しわけないのですが、中国大使館に今いらっしゃる程永華公使は、二十年前に日本学校に留学されております。先日お会いしましたら、そのときのお話をされておりまして、日本の大学に留学して本当に日本人の真心を知った、その思いが今の自分の活動の基盤になっているというようなお話もされておりました。  中国でもやはり今日本に来て勉強するというのは物すごく大変だと思うのですね。私は実は八月に、中国の陜西省の彬県というところに学校を贈りまして、竣工式に呼ばれて行ってまいりました。五百万円で物すごい小学校ができています。  ところが、中国から日本に留学しようとすると、就学生の段階で今、三百万から五百万ぐらい資金を持っているということを証明しないと日本に留学できない、そういうような状況にあります。その資金全部を補てんするということはできませんけれども、今局長答弁されたように、こちらで居住する立ち上がり資金を準備してあげるとか、学習奨励費という形で奨学金等も出ていますけれども、そういった点について文部省ももっと積極的に取り組んでいっていただきたいなというふうに思います。  次に、育英奨学事業の点についてちょっと確認をしておきたいのですが、今回の補正予算の中で、育英奨学事業についても文部省の方として予算要望していただいているというふうに伺っております。五十億円を超える規模だということで、大変頑張っていただいているなと思うのです。この四月から、有利子の奨学金を十万人から二十五万人に一挙に拡大していただきました。本当に学生の皆さんに喜んでいただいて、大勢の方に応募していただきました。  ただ、緊急の奨学金の方がなかなか、私たちもいろいろなところで聞かれて、家計が急変した場合に、一般の申し込みじゃなくて緊急奨学金制度というのも一万人規模で拡充されているよというのをいろいろお話しするのですが、なかなか応募の仕方がわからないとかいうことで、うまくいっていないのじゃないかなというような懸念もございます。  今回、五十億規模というものは緊急奨学金制度の方の財政的な裏づけとしてやっていただけるというふうにお話を伺っております。現在の奨学金の応募状況等、また緊急奨学金制度がどんなふうに今運用されているのか、ぜひ実情をお聞かせ願いたいと思います。これも政府参考人で結構です。
  43. 佐々木正峰

    ○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。  育英奨学事業につきましては、今年度予算において有利子奨学金の抜本的な拡充と制度改善を行ったわけでございまして、今回の補正予算も含めると、無利子、有利子合わせて約六十六万人の学生生徒に対して奨学金の貸与を行うことといたしておりまして、奨学金を必要とする学生の希望にほぼすべてこたえられるような状況となっておるところでございます。  他方、今年度創設いたしました緊急採用奨学金制度でございますけれども、これにつきましては一万人を予定しておるわけでございまして、緊急に奨学金を必要とする学生生徒に対して、随時無利子奨学金の貸与を行うことといたしておるわけでございます。この十月末現在の採用状況でございますが、千八百九十二人となってございます。  現在の採用状況から見て、予定しました一万人に達するかどうかについては必ずしも定かでないところがございますけれども、補正予算においては、必要な額を確保するという観点から、所要の措置を行うことといたしておりまして、保護者の失職等の事態が生じた場合に、学生生徒に対して十分な対応ができるよう、万全の措置を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  44. 富田茂之

    ○富田委員 六十六万人規模の奨学金制度になったということで、もうそれは大変ありがたいと思うんですが、緊急奨学金で今一千八百九十二人というふうに伺いました、まだ枠があると。  そういう状況の中で、十一月五日付の日経新聞に「私立高生 学費滞納、一校に十四人」というような記事が載っておりました。これは全国私立学校教職員組合連合の調べで、この組合の皆さんは毎年こういう調査をして報告してくれていますが、私学の奨学金の充実についても、この調査をもとに、やはりいろいろやるべきだというような話をしました。  いまだに一校に十四人も学費滞納者がいるということを考えると、八千人近く枠があるわけですから、もっとこの制度を広めていただいて、学費滞納なんかならないように、奨学金で救済できる部分についてはぜひ救済していっていただきたいと思います。  大臣、留学生支援また奨学金事業の拡充ということについて、本当に二十一世紀を担う人材の育成が大事だというふうに大臣もいろいろ言われていますが、今こういう事態において、大臣が、二十一世紀、どういった人材育成に向けて文部省として取り組んでいくんだという、その御所見をぜひ伺いたいと思います。
  45. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 これからの社会は、非常に国際化が急速に進んでいくと思います。また、世界各国の中で、いわゆる大競争の時代に突入をしていくわけでありますけれども、そういう中で、世界各国と共生をしつつ、日本の発展、繁栄を期していくためには、まず、日本人としての自覚をきちっと持った人材、あるいは国際感覚を持った人材、そういうそれぞれの資質、能力を生かして、また積極的に活躍できる行動的な人材、そういう人材を育成していくことが私は非常に重要ではないか、そういうふうに思っております。  今後も、そのため、育英奨学事業の充実あるいは留学生の人的交流、こういうものの充実にも努めていきたい、そういうふうに考えております。
  46. 富田茂之

    ○富田委員 ぜひお願いいたします。  最後に、幼稚園教育における預かり保育についてお尋ねをしたいと思います。  平成十一年度の第一次の補正予算で、二千三億円の緊急少子化対策の特例交付金事業が認められました。この特例交付金事業について、全国の市町村で、保育所の充実とか幼稚園の充実ということに向けて、いろいろなメニューをそれぞれの市町村が考えて、厚生省、文部省の方に出してきていると思います。  第一次の募集の際に、幼稚園の預かり保育に関して、三百五十一の市町村で五十七億円規模の申請があったというふうに聞いております。また、十一月五日で第二次の申請が締め切られたというふうに聞いているんですが、この預かり保育に関しての、少子化対策臨時特例交付金事業の中での各市町村からの申し出状況について、文部省はどのように把握されているのか。  また、これまでずっといろいろな地域で、幼稚園の預かり保育というのは半分ぐらいの幼稚園がやっているというふうに伺っていますが、その点に対して文部省としてどのように状況認識をされてどういった援助をされているのか、お聞かせ願いたいと思います。これも政府参考人の方で結構です。
  47. 御手洗康

    御手洗政府参考人 第一次補正予算の緊急少子化対策特例交付金、厚生省の方が窓口になって交付をしているわけでございますけれども、第一回の交付申請におきましては、全体といたしまして、四十七都道府県二千五百九十四市町村、全市町村の八割程度になりますけれども、申請がございました。  少子化対策臨時特例交付金といたしまして、第一回の申請が、千五百十億円の申請がございまして、このうち、幼稚園関連施設につきましては、先ほど委員が御指摘になりました預かり保育に限定した環境整備等五十七億円を含めまして、全体として、幼稚園関連三百億円、施設整備費等を中心に申請がされているところでございます。  今後、残りの五百億円余につきましては、十一月五日に第二回目の締め切りをしているところでございますけれども、私どもとしては、そこの状況につきましてはまだ把握はいたしておりません。後ほどまたお答えをさせていただきたいと思っております。  それから、預かり保育につきましては、現在、全国でおよそ四千の幼稚園、平成九年現在、ちょっと古うございますけれども、およそ三割の市町村がやっておるという状況でございます。特に、私立幼稚園について見ますと四六%ということで、半分近くが、既に二年前の時点で預かり保育を実施しているという状況でございます。  文部省といたしましても、現在、これをできるだけ推進したいという観点から、全国三十三の地域で先導的な調査研究というお願いをいたしておりまして、本年度は、そのための諸経費、人件費等に充てることもできるわけでございますけれども、一億六百万円を予定いたしております。  また、私立の幼稚園につきましては、私立高等学校等の経常費助成費、特別補助の中で、預かり保育推進分ということで、預かり保育の運営のための経常費補助を追加して特別補助をするということをいたしておりまして、本年度予算は三億一千二百万円を計上いたしているところでございます。
  48. 富田茂之

    ○富田委員 預かり保育に関しては、毎年ほぼ倍額で補助金を含めていろいろ出てきているということで、大変いいことだと思うんですが、待機児童の解消ということを考えた場合に、保育所予算を充実させるだけではなくて、今局長の答弁にあったように、私立の幼稚園で半分ぐらいがもう預かり保育を実際に実施しているということを考えると、ここに予算を投入した方が実際の待機児童の解消にはなるんじゃないかというふうに思います。  私の地元の八千代市も、文部省の方に指定していただいてモデル事業でやっているようですが、厚生省の待機児童数でいくと、たった二人なんですね。ところが、私立幼稚園連盟の皆さんが預かり保育をやっている児童の数は二百九十人もいる。このギャップをきちんと埋めていかないと実際の待機児童の解消にはなかなかならないんじゃないか、厚生省予算だけでは本当の待機児童の解消につながらないんではないかなというふうに思います。ぜひ文部省の方でも、この点の充実に向けてさらに取り組んでいただきたいと思います。  実は、十月五日に、世田谷にありますさくら幼稚園というところを、私どもの党の文教部会と厚生部会で一緒に視察してきました。ここの幼稚園はゼロ歳から九歳までの一貫施設というのをうたい文句にしています。乳幼児の保育も行い、通常の幼稚園教育も行い、そして預かり保育もやり、小学校に入って学童保育もやる。この四つの形態で、地域の子育て支援センターとしてもう絶大なる信頼を受けていまして、施設も物すごく立派で、園庭なんかはやはりちょっと、都会ですから狭いんですけれども、子供たちは生き生きとして活動しておりました。  ただ、残念ながら、園舎をつくるときに東京都の方は全然予算措置をしてくれなかったそうです。世田谷区は、待機児童の解消のために一生懸命頑張ってバックアップをしてくれた。園長さんともお会いしましたけれども、国の制度の中でもっといろいろな形で援助していただければ、親御さんの負担が本当に少なくて、子供たちを安心して育てていけるんだということを言われていましたので、ぜひ、この預かり保育の充実に向けて文部省としても取り組んでいただきたいと思うんです。最後に河村総括政務次官に、この預かり保育、また子育て支援策ということについて文部省としてどう取り組まれるかお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  49. 河村建夫

    河村政務次官 少子化対策の面から、また幼児教育の面からいってもすばらしい指摘をいただいたと思います。  最近は幼保園という名前もあるそうでありますが、保育所が幼稚園化し、幼稚園が保育所化する、こう言われております。本来、幼児教育の根幹は幼稚園がこれまでやってきたわけでありますから、その幼稚園が預かり保育も本格的に取り組むということは、これからの教育の観点からいっても望ましい形だ、こう思っておりまして、既に預かり保育実施率が私立で四六%、全体の三割の幼稚園がやっておられるというこの現状を踏まえて、文部省としてもこれは積極的に支援していきたい、このように思います。
  50. 富田茂之

    ○富田委員 どうもありがとうございました。終わります。
  51. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、武山百合子君。
  52. 武山百合子

    ○武山委員 自由党の武山百合子でございます。  実はもう六年近く前になるんですけれども、文教委員会で何度か質問したことがあるんですけれども、それ以来ということで、何年ぶりかの文教委員会質問に入ります。  このたび文部大臣が、新しい世紀の到来を前に、取り組むべき最重要課題として教育改革という形で、ばんと国民に所信表明の中で言われたわけですけれども、文部大臣としまして、どんな日本人を想定して、どういう子供たちを育てたいのか、ちょっと青写真をぜひお聞かせいただきたいと思います。
  53. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員からもお話ありましたように、私も、教育が現下の国民的最重要課題だ、そういうふうに認識をしております。小渕内閣におきましても、この問題を重要課題としてとらえて、今後も内閣一丸となって取り組んでいく所存でございますので、また先生の御指導もお願いしたい、そういうふうに思う次第でございます。  先ほどもちょっと申し上げましたけれども、これからの社会は大変な競争時代に入っていくのではないか、そういうふうに思っておりますし、また同時に、世界が共生の時代にも入っていく、そういうふうに考えております。そういう中で、二十一世紀日本を担う人材につきましては、国際的な感覚を持った、そして積極的な、行動力のある、また自律性、自主性のある、また日本人としてのしっかりとした基盤、バックボーンを持った人材を育成していくことが重要ではないか、私はそういうふうに思っている次第でございます。
  54. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございます。私もそのように考えておりますので、今後いろいろと議論をしてそういう日本社会に、日本の二十一世紀という意味で一緒につくっていきたいと思います。  まず、そうしますと、グローバルな動きに対応して、例えば学期のサイクルなど、九月入学、六月卒業なんというのも、ちょうど世紀が変わるときですので、変えるのも一つの方法かなと思いますけれども、文部大臣はどう思っていらっしゃいますでしょうか。
  55. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今の九月入学の話でありますが、小中学校は四月入学ということで行っておりますが、大学等につきましては、最近は弾力的にもなってまいりまして、九月入学というようなところも出てきています。  私といたしましては、いろいろな形の、といいましてもある程度の制約はありますけれども、学期制があってもいいのではないか、そういうふうにも思っております。
  56. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、大学は青写真としまして九月入学というような形という理解でよろしいんでしょうか。そしてまた、小中高は今までどおり四月という、そんな青写真でございましょうか。
  57. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 非常に海外での活動も活発になりまして、帰国子女等も随分ふえてきております。そういう意味で、大学等においては九月からの入学も、これは今の社会情勢からいってよろしいのではないか、そういうふうに思っているところでございます。
  58. 武山百合子

    ○武山委員 多種多様なニーズにこたえる教育改革ということも一つの視点だと思います。大学生のお姉さん、お兄さんたちが九月から六月というわけですけれども、子供たちに対しては、例えば四月—三月というわけですけれども、夏休みを有効に使ったりするという意味で、ぜひ小中高にも同じ尺度で——夏休みに日本の場合は大変宿題があったり制約が多いんですよね。ですから、世界的に先進諸国を見ていますと大体九月—六月という形で、夏休みは十分体力をつけたり家族で旅行したりというのが大体先進諸国の一般的な夏休みの過ごし方、また小さいお子さんはキャンプに入れたりとかという形なんですよね。日本は相変わらず、まだまだ夏休みに登校日があったり宿題がある程度あったり、結構学校がコントロールしているわけなんですね。自由な時間が大変少ないという意味では、どうでしょうか。
  59. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員の御指摘のような問題点もあろうかと思います。  私といたしましては、委員のおっしゃいましたように、夏休みはいろいろな体験をするとか旅行するとか、そういうふうに充実した夏休みを過ごしてもらうということが非常に大事ではないかと思っております。勉強するときには一生懸命勉強する、遊ぶときにはまた思いっ切り遊ぶ、そういうような形での夏休みになればと、そういうふうに思っております。
  60. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひそういう意味でも議論をしたいと思います。  今回、四つの柱を立てているわけです。まず心の教育、そして二つ目に学校教育改革、そして三つ目に大学改革と学術研究の振興、そして四つ目に文化とスポーツの振興ということですけれども、もうちょっと詳しくこの心の教育、確かに心の教育は幅広いと思うんですよね。具体的にどういう青写真を描いているのか。ここで全国子どもプランということで書いてありますけれども、例えば「基本家庭であり、各家庭での子育てのあり方をもう一度見詰め直すことが特に重要ではないか。」。  今、少子化対策でいろいろ議論されておりますけれども、現実問題として、若いお母さんたちは社会に出よう出ようという、もうそういう流れなんですよね。そういう中で、結婚して子供を産みながらも、社会で働きながらずっと生活していこう。そうしますと、各家庭での子育てのあり方なんというのはもう大分違ってくるんじゃないかと思うんですよ。私自身は、やはり子供家庭で、小学校に上がるまでは見るのが一番ベストだと思っている一人ですけれども、ところが社会の流れの中では、お母さんたちは、どこかに預けて、そしてずっと、子供が生まれてすぐから社会で働きたい。一たんやめてしまうと、雇用環境がもう全然受け入れ態勢が整ってないということで、これは労働省関係とも連携をしてやっていかなきゃいけないかと思うんですけれども、この辺はどういうふうに整理されておりますでしょうか。
  61. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 次代を担う子供たちが本当に健やかに成長していくためには、学校教育の改善とともに、委員も御指摘のように、地域における子供たち教育といいますか、それが重要だ、そういうふうに思っております。また当然、家庭教育が重要であることは言うまでもございません。そういうことで、家庭教育を支援するなど、心の教育を推進していくことが極めて重要であると私どもは考えております。  文部省におきましては、既に、地域子供を育てる環境を整備して親と子供たちの活動を振興する体制を整備することを目指した全国子どもプランを策定いたしまして、関係省庁の協力を得ながら、今、緊急かつ計画的に施策を推進しているところでございます。また、家庭教育を支援するためには、一人一人の父親、母親が御自分の家庭を見詰め直して、そしてまた自信を持って子育てに取り組んでいただけるように、家庭教育手帳それから家庭教育ノートを作成して、乳幼児や小中学生を持つ親に配付をいたしております。また、子育てやしつけに悩みや不安を抱くお父さん、お母さんの、二十四時間いつでも家庭教育に関する電話相談に応じることのできる体制の整備等の施策を今進めているところでございます。  今、お母さん方がどんどん外に出られる、そういうお話でありますけれども、そういうような社会の、時代の変化に対応できるような体制づくりにまた努力をしていかなければならないと思っておりますし、今、最初に申し上げましたように、心の教育の推進にも全力で取り組んでいきたいと思っております。
  62. 武山百合子

    ○武山委員 心の教育というのは本当に一概には、ぱっと心の教育と言いますけれども、今のお話ですと、お父さん、お母さん教育が非常に大事だと思うんですよね。その辺、お父さん、お母さん教育をどういうふうに具体的にしようと思っていらっしゃるのか、もう一度お答えいただきたいと思います。
  63. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 教育の問題は非常に、国家百年の計ということもありますが、時間のかかる問題だと思います。  委員まさにおっしゃいますように、二十一世紀を担う本当に健全な子供たちを育成していく、また人材を育成していくためには、私は、これは二十年、三十年かかるんではないかと思っております。つまり、お父さん、お母さん、それから先生教育からしていかなければならないんではないか、そういうふうに思っているところでございます。  具体的にお父さん、お母さんの教育をどうするかということでありますが、一つは、やはり私は、国民的な運動みたいなものが起こればいいなと思っていますし、そういうような運動を、私などがやはり旗振り役としてしていかなくてはいけないのかな、そういうふうに思っております。父親、母親が、お一人お一人が、自覚を持ってまず自分の家庭を見詰め直す。自分の足元を見詰め直して、親の務めをきちっと果たしているかというような点を謙虚に見詰め直していただくということしかない。これが教育の原点だと思っております。  そういう意味で、お父さん、お母さんに対する働きかけ、いろいろな方法があろうかと思いますが、これから研究もしながら努力をしていきたいと思っております。
  64. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、やはりこれは、今いろいろな社会問題が教育を起点にして多く起こっているという視点からの対症療法というか、対策のようなものだと思うんですよね。そうしますと、国家百年の計ということで、やはりもっと理念、哲学が、日本の国をどうするのかという理念、哲学、これがやはり必要だと思うんですよ。そういう意味で、ここではちょっとパンチが弱いと思うんですよね、今の掲げている四つのこの政策だけでは。  そうしますと、最終的には、行き着くところはやはり教育基本法の見直しだと思うんですけれども、教育基本法の見直しに対してどういうお考えを持っていらっしゃいますでしょうか。
  65. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 教育基本法についていろいろな御議論があることは私も承知しておりますし、また、自民党の中においてもそういう研究が行われております。  今、憲法の問題につきましても国会調査会を、衆議院、参議院で議論がされるということでもありますし、戦後五十数年たって中小企業基本法の見直しもこれから行われる、あるいは農業基本法も見直しをされたということでありまして、教育基本法につきましてもタブー視することなく幅広い議論をされるということがよろしいんではないか、そういうふうに思っております。
  66. 武山百合子

    ○武山委員 そうしましたら、教育基本法の議論はオーケーだという意味ですね。教育基本法に対する幅広い議論はオーケーですという意味ですね。
  67. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 そのとおりでございます。
  68. 武山百合子

    ○武山委員 そうしましたら、例えば、私は長いこと海外で住んでいたものですから、日本子供たちを体験入学させるつもりで帰ってまいりましたら、諸外国では六月の半ばぐらいで学校が終わるものですから、帰ってきて、日本学校へぜひ体験入学をさせていただきたいと話しましたら、私の生まれふるさとの教育委員会では、月の初めに入ってください、こういうことなんですね。月の初めに入る、それはもう決まりであるからということなんですね。  ところが、たまたま六月の半ばで帰ってきまして、日本学校は七月の半ばで終わるわけですよね。そうしますと、一カ月体験入学の期間はあるんですけれども、月の初めといいますと、例えば七月の初めに入らなきゃいけないんですよね、そういう話になりますと。そうすると、たったの三週間しか体験入学ができないんですよ。そういう意味で、教育基本法は、もちろん基本法をもとに今の学校教育というのはつくられているわけですけれども、非常に硬直的なんですね。  諸外国を例に見ますと、子供教育というのはその国の財産だ、将来の国家を担う大人になる子供たちだということで、その場で入れてくれて、その場で、別に何も教材、道具がなくても入れてくれるというのが大体先進諸国の社会なんですよね。  そういう意味で、日本は相変わらず教育行政に対しても規制があるわけなんですね。例えばその辺、これからはどう変わりますでしょうか。細かい部分ですけれども。
  69. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 体験入学というのが、私はちょっと正確に理解ができていないんですが、義務教育であれば、また小中学生の場合は、いつでも学校に入れることだ、そういうふうに思っております。ということで、お答えになるでしょうか。
  70. 河村建夫

    河村政務次官 今、教育基本法に絡めてその話をなさいましたけれども、これは私は、教育基本法というよりも学校教育法、学校現場教育委員会設置者がどう受けとめるかということで、今おっしゃった国際化の中で、日本教育もそれに応じたような形に変えたらそういうことが、海外においての体験もできやすいというお話だろうと思います。  それは私は臨機応変に、おくれて帰ってきてもそれを受け入れる素地は日本側にございますから、そのことをおっしゃっていただいて、おくれて入るということは義務教育段階では私は猶予はあると思うんですね。  そういうことでありまして、ただ、教育基本法においてもっと、生涯学習であるとかそういう観点がこれにはございません。広い視野で教育基本的な問題はここに触れてありますし、人格等であるとか、平和国家日本の社会の構成者の一員としての役割とか、立派なことがあるんでありますが、さっき武山先生お触れになったような、日本人としてどう生きていくかとか、そういうことも踏まえながら教育基本法についてはさらに論議を進めるべきであろうというふうに考えておりますし、国際的な視野を持った人間を育てるというようなことも必要でありましょう。  それから、私、先ほど武山委員お話を聞いておりまして、特に体験学習といいますか、そういうものの必要性、子ども緊急プランをつくるときの統計によりましても、そういういろいろな体験をした子供ほど道徳心とかそういうものの受容度が高いというような統計も出ておりますので、教育の規制緩和ということじゃありませんが、そういうことが積極的にできるような仕組みというものはこれからも国際的な視野も頭に入れながらやっていくべきであろう、このように感じております。
  71. 武山百合子

    ○武山委員 初めに所信で述べられましたように、新しい世紀の到来を前にという、もちろん国民全員がそう思っているわけですので、ぜひスピーディーにやはり見直しというのは必要であろうと思います。  今ちょっとお話の中で、例えば学校教育改革という形になるかと思いますけれども、今私は埼玉県なものですから、埼玉県で教員を採用する場合は県の教育委員会が採用するわけですね。地方公共団体、市町村ではまだ採用は行われていないわけですね。今後、地方分権の中で、市町村が採用するという形に進めていくべきだと私は思うんですね。埼玉はもう六百万以上の人口なものですから、本当に地域によって大変特色が違うわけですね。  そういう中で、地方分権の中で、教員もその地域教育委員会が採用できるような方向に将来はやはりなるべきだと思っている一人なんですけれども、各地方公共団体での取り組みということで、地方分権の中で進めるものというのは例えばどんなものなんでしょうか。「地方教育行政制度改革」と出ていますよね。
  72. 河村建夫

    河村政務次官 今御指摘がありましたように、地方分権のことからいえば、できるだけ地方の自主性に任せるべきであろう、こういうお話であります。私は、方向としてはその方向だと思っておるわけでありますが、地域子供実態に応じて創意工夫を生かした教育をしていこうとすれば、当然、地域の自主性というものが重んじられるだろうと思います。  中央教育審議会の去年の十月の答申では、学校の裁量権の権限を拡大しよう、特色ある学校づくりには必要であるという指摘もございますし、また特に、学校運営の責任者である校長の権限をもっともっと広くして、そして、校長の責任のもとに教職員が一致協力できる体制をつくろうということでありますし、それから、あわせて学校の評議員制度学校地域が支えていくという形をもっととるべきであろうということであります。  ただ、教員の採用について、例えば学校が単独で先生を採用したらどうか、こういうお話もあるわけであります。私は、今の日本教育制度からいえば、県の中で採用して、そして実質的な、どのぐらいの先生がどうなるかということについてはそれぞれの教育委員会にかなり権限を移譲していくやり方という形をとって、今の現状を考えましたときに、採用試験のこと等を考えましたときに、私は、その方が日本の今の教育制度あり方としては、地方分権の形がそこまでいくということになりますと、教員の質の問題等々、相当ばらつきが出るのではないかということも懸念をしておるのでありますが、今の現状を維持しながら、できるだけ現場の校長先生等々の意見が尊重される姿というのはもっともっと強めていく必要があろう、こういうふうに考えております。
  73. 武山百合子

    ○武山委員 学校経営者側から見ますと、管理する校長先生、教頭先生から見ると、自分の学校にこういう先生が欲しいというのは、個々ばらつきますけれども、あると思うんですよね。そういうとき、なかなか今の日本の採用条件のもとでは、何というんですか、私たちが秘書を募集するときもそうなんですけれども、会ったぐらいじゃわからないわけなんですね。企業でも一緒だと思うんですよ。  ですから、例えば模擬授業学校先生になりたいという人には模擬授業をやってもらうとか、それから、社会から、今こそ幅広く採用できる時期じゃないかと思うんですよ。  例えば、アメリカなんか、私びっくりしたんですけれども、ベトナム戦争で兵役に行った、そういう経験のある人も小学校に来ているし、また、マンハッタンでミュージカルを実際につくってそこで上演している方が実際に小学校の音楽の先生になったりして、ミュージカルをつくる側から音楽の先生になっているわけですね。ですから、幅広い多様な先生を、やはりこれからは地域がぜひこういう先生、ああいう先生と希望が膨らむと思うんですよね。  そういう場合に、やはり時間もかかることですけれども、地域が選べるような、県が持っている権限というんですか、それを地方に移譲する。それで、今教育長になる方は、私の町で見ますと、大体校長先生になった人がなっているんです。校長先生になった人というのは、みんなよく知っているわけですから、採用するときに、首切りたい人もなかなか切れないし、かといって、うんと引っ張りたい人も引っ張れないという弊害が今出ているのが現状なんですよね。まあ弊害だらけじゃないところもありますけれども、かなり積極的にいろいろ発言なんというのは、教育長はしていないですね、現実的に。  ですから、ちょっと昔みたいに、昔は、校長先生から教育長になった人じゃなくて、その地域でよく皆さんからあの人と言われる人がなっていますよね。そういうこともちょっと振り返ってみる。校長先生ばかりが教育長になるというような今土壌なんですよね、地域を見てみますと。  ですから、そういうことも、例えば立候補制でなるとか、自分が教育をこういうふうにしたいという、教育長になるのに選挙で選ぶとか、そんなことも一つの選択肢じゃないかなと思っておりますけれども、そういう意味で、たくさん見直ししたり議論したりするところというのはあると思うんですよね。そういうことに対してどう思っていらっしゃいますでしょうか。
  74. 河村建夫

    河村政務次官 多様な先生をということで、特別非常勤講師制度というものも新たにできたわけでありますので、そういう社会体験の豊かな人たちに教育現場に入っていただくということは、今道は開かれておるわけであります。  しかし、実際にいわゆる教諭として採用するということになりますと、先生レベルの問題、一定のレベルの問題等々もあって今の制度を維持しているわけでありますが、今の御指摘一つの方法だし、今アメリカなんかで行われているチャータースクール制度、きょうも先ほど議論がございましたが、そういうものもやはりそういうものの一つの具現化の方法であろう。特別研究開発校というものも今考えておりますが、そういう方向に今進んでおると思います。  それから、校長先生の採用についても、何も教育畑だけでなくても、一般からもという声もございます。これも今後の教育現場活性化一つ課題でありましょうし、あわせて、教育委員会活性化という問題も含めて課題として研究していかなければいけない御提案だというふうに思います。
  75. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございます。  もう一つ、中高一貫教育制度ということで、今、高校の進学率、ほとんどもう一〇〇%に近いところが多いんだと思います。これこそ地方分権の中で、私は高校まで義務教育にしたらいいんじゃないかと思っておる一人なんですけれども、一人一人の個性を生かす教育の充実ということですけれども、中高一貫制度といいますと、やはり今ぱっと思いつく中高一貫制度というと、私立になりますよね。中学校、高校と、私立になる。それが各市町村でもできるということを、ある程度の人口、あるいは人口の少ないところでは広域事業でやる、そうなりますと、高校もやはり義務教育のような形になっていくかなと思いますけれども、その辺はどうでしょうか。  それからもう一つ、一人一人の個性を生かすということになりますと、今の学校教育の中の一クラスの人数は多過ぎると思うのですね。三十人学級とかも言っておりますけれども、本当に個々の個性を伸ばすといいますと、もっと少ない方がいいと思うのですよ。しかし、もう少子化で自然とそういう流れになっちゃうかと思いますけれども、その辺の議論はどの程度進んでますでしょうか。
  76. 河村建夫

    河村政務次官 中高一貫教育制度の問題は、今からということでありまして、今進められておりますのは、大体高等学校の通学地域が五百ぐらいあるそうでありますが、そこには一校ずつまず置くという方向を基本に考えて、今各県がこの問題に真剣に取り組んでおられまして、これから来年、再来年にかけていろいろ出てくるであろうというふうに思います。  現実に中高がつながるということになりますと、おっしゃるとおりほとんど一〇〇%に近い状況が生まれてくる、今でも九七%ですから。これは、義務教育をそこまでという考え方は今の教育基本のところに係る問題でもございますが、私は、流れとしてはそういう方向に進んでいくであろうな、こう感じております。  それから、もう一点の、一クラスの問題、三十人学級の問題でありますが、私は、学級が何人であればその学級運営上一番適当か、これは先生に聞いてみても、私は四十人でもちゃんとやれると言う先生もいらっしゃるし、二十人がやはり理想ではないかとおっしゃる、それはその教科とか教育指導の方法のあり方によって違ってくるのではないか。例えばスポーツなんかはある程度たくさん集めた方がいいわけでありますから、そこのところはもうちょっと弾力的に、臨機応変に、またその学校学校長初め教育者の皆さん方が臨機応変におやりになる。しかし、流れとしては、チームティーチング等で、それが必要とするクラスには複数の先生で対応していただく、当面そういうことで対応していただくということであります。  今までの四十人学級のように、四十一人になりますと二十、二十一という割り方を、今後三十人学級でやりますと、相当先生をふやしていかなきゃいけないという現状もございます。金で片がつくことならという議論もありましょうが、今の日本の全体の予算等からして相当難しい問題も含んでおりまして、一律に三十人学級をベストだという方向で進むことはいかがかと思いますが、方向としては、できるだけ先生子供たちに目が届くような教室の形成をしていくという流れというものはつくっていかなきゃいかぬ、こういうふうに考えております。
  77. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございました。  最後にちょっと一つだけ。  そうしますと、中学、高校、大学となるわけですけれども、日本の大学は入りにくく出やすいという大学になっているわけですけれども、今後、入りやすく出にくい大学になっていくだろうと思うのですね。それで大学でしっかり勉強する、そういう方向できっと流れは進んでいくであろうと思いますけれども、その辺もこの教育改革の中で視野に入れてますでしょうか。
  78. 河村建夫

    河村政務次官 これは当然、少子化時代を迎えて、さきの中教審中間報告によりましてもそういう方向が私は出ておるというふうに思っておりまして、ただ単なる選抜というのじゃなくて、学生側も大学を選択する、大学側もこういう学生に来てもらいたいというような形になっていきます。  これは、今、私のこの気持ちは武山委員とも同じだろうと思いますが、入りやすく、出るときの、もっと何を学んできたかということがしっかり問えるような形、例えば学士あたりも資格にしてしまうとか、そういうような方向づけというのはこれからやっていくべきであろう、またそういう時代が来ておるというふうに認識をいたしております。
  79. 武山百合子

    ○武山委員 もう時間になってしまいましたが、そうなりますと、やはり国家百年の計で、教育というのは本当に日本の国家の基礎だと思います。これにやはり国が予算をたくさんつぎ込まないと、人材教育というのはお金がかかるし時間もかかるものですから、これは大いに予算をつけて大改革をしなければいけないということに尽きると思います。ぜひ議論させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  80. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  81. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松沢成文君。
  82. 松沢成文

    ○松沢委員 民主党の松沢成文でございます。  私は、民主党の教育担当ということになりましたので、こうした一般質問では必ずトップで質問させていただいて、大臣政務次官といわゆるディベートをさせていただきたいというふうに思っています。よろしくお願いいたします。  教育の行政のトップにある者、当然道徳観、倫理観にすぐれた方がそういうポジションにつくものだと私は信じております。ところが、昨今の政府・与党の多くの政治家の方を見ますと、果たして国民を指導できるような倫理観、道徳観があるのかなと思うような言動が余りにも多いということで、私は大変心配をしておりまして、きょうはそういう観点からまず質問を始めたいと思います。  中曽根大臣、ここに家庭教育手帳というのがあります。そしてもう一つ家庭教育ノートというのがあるのですね。これは大臣御存じだと思いますが、平成十年から十一年にかけて十三億近い予算を割いて、子供を持つ親たち、特に幼児を持つ親たちの、しつけや教育のいい意味で手引にしてほしいということで文部省がつくったのですね。今、この家庭教育手帳の方は五百八十万部、家庭教育ノートの方は千四百四十万部発行して、多くの親たちに配っている。中身を見ますと、なるほどなと私も改めて勉強するところはあるのです。  まず大臣、この家庭教育手帳、家庭教育ノートの存在を知っていたか、そして読んだことがあるか、それをまずお聞かせください。
  83. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 家庭教育手帳、家庭教育ノートは私も読みました。
  84. 松沢成文

    ○松沢委員 大臣も読んであるということなんで、そこでちょっとクオートしたいと思うのですね。  この二番目の章の「しつけ」というところに、ルールを守るということがある。「家庭のルールには、あいさつ、家に帰る時間、寝る時間などの生活上のルールもあれば、他人に迷惑をかけない、うそをつかないなどといった道徳上のルールもあります。」「子どもとともに親もそれを守りましょう。また、子どもの意見を聞いて一緒にルールをつくるという姿勢も大切です。」こう書いてある。  大臣、約束を守る、ルールを守るということは、社会生活上、そして教育上最も大切な道徳観、倫理の一つであるということをお認めになりますね。
  85. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私も委員と同様に、ルールを守るということは社会生活上最も重要な点の一つだと考えております。
  86. 松沢成文

    ○松沢委員 さてそこで、私たち国会議員は、五年前、さまざまな政治改革の議論の中で政治資金規正法というのを改正した。その附則で、政治家個人の企業・団体献金は五年後に禁止しますということをうたったのですね。それで、大臣も含めてこの法律を通したわけであります。これは、国民に対して、五年後には政治献金は政治家個人にはきちっと禁止しますよと約束をしたのです。  その約束を守るのがルールだと思うのですね。これは国民との約束じゃないのですか。大臣、お願いします。
  87. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 法律でそのように決められております。
  88. 松沢成文

    ○松沢委員 そうであれば、大臣の所属する自由民主党は、政治改革本部という会議があるのですか、そこで、これはこれとして、でもやはり今はやめようと、一度国民との約束をほごにした。そうすると、今度は、国民の方からも大分反発がありそうで、選挙も近くてやばいなということになって、やはりほごにするのをというか、やめるのをやめようということになったのですね、今度は。  こうやって、国民に対する約束を一回破る方向で決めて、またその反発が強いとやはりやりますというようになるような予定のように聞いておりますけれども、全く国民をばかにした話で、国民との約束を守るという道徳観、倫理観が欠如しているのではないでしょうか。いかがでしょうか。
  89. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 この件につきましては、いろいろな御議論があるところでございますが、現在、自民党の内部におきまして協議が行われておるところでありますし、さらに与党の内部でも調整が行われることと思っております。
  90. 松沢成文

    ○松沢委員 私は、中曽根弘文参議院議員という政治家の今の考えをお聞かせいただきたいと思うのですけれども、それでは、今党内でさまざま議論があって協議しているということでありますが、中曽根大臣は、一政治家として、企業・団体献金禁止、これは約束であると言った、この約束をきちっと守るべきと考えておるのですか。それとも、党の方針にゆだねるから、ほごにするならほごにしていい、あるいは守るんなら守ってもいいと。どういうふうにお考えなのでしょうか、一政治家としてお聞かせください。
  91. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私といたしましては、党が決定をし、政府が決定をしたことに従いたいと思います。
  92. 松沢成文

    ○松沢委員 私たち民主党は、国民の皆さんとの約束、法律できちっと決めたことは絶対に守らなければいけないということで、この国会にもそういう方向の法案を出しております。そしてまた、多くの野党の皆さんもそうしなければいけないということで、共同提案で出し直すかもしれません。こういうところであります。  これは、約束を守るとしたらことしじゅうに、要するに来年の一月一日はもう五年たつわけですから、ことしじゅうに企業・団体献金を禁止する、これをしなければいけないわけですね。大臣は、文部大臣でもあります。約束を守るのは大切だというのであれば、ことしじゅうに企業・団体献金は禁止の措置をとる、そうすべきだとお考えじゃないですか。
  93. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今申し上げましたように、私は、政府の決定に従っていきたいと思っております。
  94. 松沢成文

    ○松沢委員 政府の決定に従う、そう言えばすべて済むような簡単なことじゃないと思うのです。私は文教委員会であるからこそやっているのです。約束を守る、ルールを守るというのは、教育上最高に重要な道徳観であり、倫理観であります。それが、政治家が全くできないのであれば、政治家は国民のリーダーになれないですよ。  さて次に、もう一つ、介護保険について伺いたいと思います。  介護保険も、これは一昨年成立を図ったのですね。そして来年の四月に開始をするということで法律が決まっているわけであります。まず大臣は、参議院議員として、この介護保険法には賛成しましたか。今のは質問です。
  95. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私は賛成をいたしました。
  96. 松沢成文

    ○松沢委員 その法律のとおり施行するのが、私は、法律をつくった国会議員としては、国民との約束だと思うのですね。それがここに来て、与党内あるいは与党と政府の調整によって、制度の根幹にかかわる部分まで大分変更があった。  保険を始めるなら、保険料を取るのが当たり前であります。それが、半年間取らない、あるいはその後も一年間は半分にする、あるいは家族介護については、さまざまな議論があった上で決まったことを、また給付金という形で払うようにする。かなり制度の根幹の部分に対する変更で、これも、国民の皆さんに対してこういうことをやりますと言ったのを政治家の勝手な都合ですべて動かしていく。国民に対して約束を守ったことにならないと私は思うのですが、大臣はいかがでしょうか。
  97. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 介護保険制度につきましては、私、文部大臣としては所管外の事柄でありますのでお答えすることは差し控えたいと思います。  いずれにせよ、与党・政府の決定に従いたいと思います。
  98. 松沢成文

    ○松沢委員 私は、介護保険の中身についてここでどうこう議論するつもりはありません。ただ、介護保険という法律を一昨年、自民党は全員賛成だったと思います、通してつくった法律、これを来年の四月から施行する。それはやはり国民との約束ですよ、法律を通したわけですから。その約束と違うことをやろうとしている、ここに私は、倫理観がない、道徳観がない、約束を平気でほごにする、こういう政治家の態度が問題だと言っていて、そういう行為に対してどう思うかと聞いているのです。介護保険の中身について聞いているのじゃありません。それは、政治家として、文部大臣として答えていただきたい。
  99. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 よりよいものにしていこうというあらわれだと思いますし、また、当時と今とでは連立内閣の性格も変わってまいりました。いずれにせよ、根幹はきちっと守っていかなければならないと思っております。
  100. 松沢成文

    ○松沢委員 もう一つ論を進めます。  衆議院議員の定数削減の問題、これも、昨年の十二月の自自連立合意の中で、衆議院の議員定数については五十名を削減し、次期通常国会、すなわちもう八月に終わってしまった国会ですが、この国会の中で実現をするというのが、自自連立合意の国民との約束であります。これはどうなったのですか。大臣、守られなかったのじゃないですか。国民のリーダー、政治家で構成する政党が、その約束を簡単に事情によってほごにする。政党同士の約束というのは国民が見ているわけであります。それを、約束をほごにする、これはルールを曲げているのじゃないですか。  皆さん、政治家の皆さんは、では、政党同士の合意だからそんなことはどうなってもいい、勝手に自分たちが都合で決めているんだからと、そういうことになっちゃいますよ。(発言する者あり)枠組みは関係ありません、その後公明党が入っただけであります。  これは、自自連立合意で、次の通常国会で実現するとうたっているのです。実現できなかったじゃないですか。そうであれば、約束を破って済みませんでした、私たちがだめでしたといって、政治家であれば国民に謝罪すべきですね。では、連立合意なんというのは何にも、こんなのやってもやらなくても関係なくなっちゃう。  約束を守るということは、教育の一番の倫理です。それが政治家ができないというのであれば、大臣、自自連立合意の中にあった定数削減、五十名削減、これは通常国会の中でできなかった、それについては国民の皆さんとの約束が守れなかったということじゃないのですか。そこをお聞かせください。
  101. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 国民から選ばれた、国民を代表する政党と政党の間で話し合われた結果でございます。  私自身は、定数の問題につきましては、地方議会における議員定数の削減の努力とか、あるいは行政改革における公務員の皆さんの血のにじむような、これまた削減の努力とか、そういうことが行われているということにかんがみまして、国会としても削減に努力すべきだ、私はそういうふうに思っております。
  102. 松沢成文

    ○松沢委員 努力すべきだというのは、それはそういうふうに約束したら当然であって、約束というのは、結果が守れなかったことに対しては、政治は結果責任ですから、そこはきちっと政治家として謝罪すべきじゃないですか。その後公明党と一緒になって、今度は三十ですか、随分何か議論が変わってきちゃったみたいですけれども。  やはり私はここで、連立合意の約束は守られなかったということは大臣として認めるのか認めないのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。約束が守られたか守られなかったか。次の通常国会の中で実現をすると自自連立合意はうたっていました。それは守られなかったんですね。いかがですか。
  103. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 政治ですから、そのときの状況の変化、あるいは党と党の話し合い、あるいは国民の皆さんのいろいろな御意見等によってまた判断も変わってくることもあろうかと思います。
  104. 松沢成文

    ○松沢委員 今のお答えを聞いていますと、連立政権を組むときはさまざまな政策合意もある、でも政治だからそれはいろいろ状況で変わる、そんなの守られないことだって当然あるんだよと。そうでしょう。(発言する者あり)全然それは違う議論だね。  今回の自自連立合意の中で、通常国会までに実現をするといった国民との約束が守れなかった、それは認めてくださるのですね。守られたのですか。守られたのですか。そこをお聞かせください。守っていないじゃないですか。どうですか、大臣
  105. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私の考えは、先ほど申し上げたとおりです。
  106. 松沢成文

    ○松沢委員 連立合意の政策というのは政治の状況によって変わるのだから、それは守られないこともあるということですね、先ほどのは。  そうしますと……(発言する者あり)この「しつけ」のところ、こういうのもありますね。「「自分さえ良ければいい」、「ルールを守らない」という人は、人から信頼されず、キラわれますよね。子どもがそういうことをしたとき、ちゃんと正さないと、それでいいのだと勘違いした困った人に育ってしまうかも。」いいこと書いてありますよね。自分さえよければいい。ルールを守らない。まさしく今、政党同士がきちっと約束しても、状況が変わればそれは仕方ないじゃないか、それが政治だから、こうやってルールを無視する。約束破りも平気だ。こういう政治家の態度が、広くは子供たちへも悪い影響を与えているのですよ。  やはり国のリーダーである政治家が、きちっと国民との約束は守る、そういう態度をとっていたら、あるいはそういう態度を求めて必死に努力をしているのが見えれば、私は、国民の教育上にもプラスはあると思いますよ。ただ、政治家が言ったことを全然守らない、それも、法律で決めていたこともああだ、こうだといってほごにしてしまう、こういう今の政府・与党のやり方が教育にとって物すごい悪影響を与えている。そこを大臣はどう考えますか。委員長大臣答弁をお願いします。
  107. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 政治家にとりまして、また政治にとって、倫理というのは最も重要なことだと思っております。もちろん、国民の皆さんに約束したことは守らなければなりません。  ただ、政治はある意味では、生き物という言葉がいいかどうかわかりませんが、刻々と変化もしているでありましょうし、周囲の環境の変化に応じてまた対応をとっていかなければならないこともあろうかと思っております。いずれにしましても、最もよい方法を求めて各党が努力をしているものでありまして、私はそういうふうに認識をしております。
  108. 松沢成文

    ○松沢委員 いや、本当に、聞きようによっては何でもありなんですよ。政党の政策、これはやはり国民の皆さんに公表して訴えるわけですから、そうであれば、こういう方向で努力をするというふうになっていれば、今の大臣の弁でもいいと思うのです。  ただ、皆さんが行っていた約束は、期限を明記しているのが多いのですよ。五年後にやめます、あるいは今通常国会内に実現します、そこまで明記してうたっておいて、それができないのは約束を破ったことになりませんか。期限まで切っているんですよ、外野の方が皆さん答えてくれていますけれども。(発言する者あり)いや、五十削減の問題も破っていますよ。  では、大臣質問を変えましょう。  そうしたらば、今回の企業・団体献金禁止の問題、これは大臣は政治家として、国民の皆さんの前に期限を切ってあるのだから、その期限内に実現するということを目指す、それは明言できますか。約束を守ることは大切ですよ。
  109. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、自民党の中で協議が行われておると認識しておりますし、またそれを受けて与党が調整をするということでございます。私としては、先ほど申し上げましたように、その状況を見守っていきたいと思っております。
  110. 松沢成文

    ○松沢委員 自分の政治家としてのポリシーというのが全く感じられないので、本当にちょっとがっかりします。  それでは……
  111. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 松沢さん、ちょっとお待ちください。中曽根文部大臣から発言がございます。
  112. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 基本的な考えは先ほど申し上げたとおりであります。  それで、私自身の企業・団体献金禁止についての考えを少し述べさせていただきますが、私は、個人献金の方向に進むべきだ、そういうふうに考えております。ただ、現状では十分な環境がまだ整っていないのではないかという気もいたします。個人献金をしていただくには、国民の皆さんのそれなりの御理解とか税制面での配慮とか、そういうものも必要だと思っております。
  113. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 ちょっと松沢さん、お待ちください。  質問者並びに答弁者にお願いを申し上げます。  今回の活性化法の趣旨は活発な議論を行うということで、私は、今行われております議論は熱のこもったいい議論だと思いますけれども、願わくば、質問者並びに答弁者にお願いがございますのは、建設的な議論にしていただきたい。しかも、繰り返しが少し多うございますので、あえて一言申し上げておきます。
  114. 松沢成文

    ○松沢委員 ちょっと今の委員長の発言には聞き捨てならないものがある。では、私の今の議論は建設的じゃないとおっしゃるんですか。ちょっと委員長、待ってください。  私は、教育のリーダーたる者、社会通念上の倫理観、道徳観をきちっとわきまえている人がなるべきだ、こういう信念を持っているのです。でも、今の連立与党や政府の相次ぐ約束破りは、私は、とてもとても倫理観がある人とは思えない。ですから、そこを追及しているのであって、それを建設的でないと言われることは絶対ないです。これは撤回を求めます、今の発言は。
  115. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 松沢君に申し上げますが、私は、願わくば建設的であっていただきたいと申し上げたのであります。しかも、あなたを非難したのではありません。質問者並びに答弁者、両方にお願いをしたわけでありますから、あなたの発言は、少し的確性を欠いているように思います。違いますか。
  116. 松沢成文

    ○松沢委員 では、質問者、答弁者ともにということでありまして、私は、こういう議論は建設的でないとは全然思っていません。しっかりやらなければ……
  117. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 だから、願わくばと申し上げたじゃないですか。
  118. 松沢成文

    ○松沢委員 はい。ですから、こういう形の議論が少し続くかもしれませんが……
  119. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 議事整理権を行使したのですから、素直にお聞き取りください。願わくば建設的な議論に終始していただきたい、これが委員長の気持ちであります。
  120. 松沢成文

    ○松沢委員 それが、だから委員長の御趣旨ですね。はい、わかりました。私は私の考えがございますので、質問権がありますから質問させていただきます。  そこで、この家庭教育手帳、まだいいことがたくさん書いてあります。「子どもを不幸にしたいなら、何でも買ってあげればいい。」今の親たちは子供を甘やかして何でも買ってあげちゃう。高価なものでもどんどん買い与えちゃう。シックスポケッツなんという言い方があります。両親のお財布と母方のじいちゃん、ばあちゃんのお財布と父方のじいちゃん、ばあちゃんのお財布、六つのポケットから一人っ子に何でも買い与えちゃうから、子供が非常に欲張りになってしまうし、教育上よくない、こういう例えの言葉なんですね。私も、今の子供が一人っ子が多い、そういう中で、親が余りにもかわいさ余っていろいろなものを買い与えてしまう、これは逆効果の方が大きいな、教育上非常に問題があるなというふうに思っています。  さて、そこで、私も新聞を見ているといろいろなものを発見してしまうのですね。私は人のあら探しをするのは好きではありませんが、やはり看過できないものが幾つも出てきている。  中曽根大臣、閣僚の資産公開が先日あった。その中で、中曽根大臣の長男の高校生の方、静岡県のゴルフ場の会員権を持っているのですね。五百万円。普通、高校生が五百万円のゴルフ会員権を持っているというのは私は聞いたことがありませんし、こうして教育のリーダーに立つ大臣が、まあ、自分は例外だよ、自分のうちは裕福だし、いろいろ資産もあるんだから子供にも与えて当然だ、こういう意見なのかもしれませんが、五百万円のゴルフ会員権を長男の方が持っている、これは事実ですか。新聞報道なので、よくわからない。
  121. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 事実であります。そして、その経緯は記者さんにも説明をいたしましたけれども、今は高校生もゴルフをやる時代で、国民体育大会も、ゴルフも競技スポーツの種目に入っております。  このゴルフ会員権は、私の家内がゴルフをしなくなりましたので名義を書きかえたということでありまして、新たに子供のために購入をしたというものではありません。やらないから、では息子にということで書きかえて、その経費は私が支払い、贈与税はきちっと税理士の指導のもと税務署に払っているものです。  以上でございます。
  122. 松沢成文

    ○松沢委員 本当に恵まれていてうらやましいですけれども、高校生も最近、ゴルフ部があって、ゴルフをやる方はいます。ただ、本当に日本の子弟の教育を考えるのであれば、高校のゴルフ部に行っているのかもしれませんが、当然、パブリックコースで練習せい、メンバーコースで練習させてもらう場合も、アルバイトをしながら、キャディーのアルバイトをしながら、普通の高校のゴルフ部の皆さんはそうやって一生懸命頑張っているのですよ。  それを、自分のところはたくさんあるから、贈与もちゃんとしたよ、息子にゴルフ会員権があって何が悪いんだ、こうなっちゃいますが、一般常識から見て、やはり政治家というのは特殊だな、こういう見方になっちゃうのじゃないですか。むしろ、息子さんがゴルフ部に行っているのであれば、逆に、大人になってから自分の稼いだ金で会員権を、幾つも入っていいですよ。私は、そういう教育のリーダーとしての資質をやはり問わなければいけないと思うのですね。  どうでしょうか。
  123. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 議員のおっしゃりたいことはよくわかります。私も親ですから、親といいますか、大人として、そういう点は一番気をつけているつもりです。それで、ことしの夏も、息子には栃木県のゴルフ場で一カ月近くキャディーのアルバイトをさせました。そういうことで、私自身も気をつけながらやっているつもりでございます。  ゴルフ会員権が高いか安いか、車を買ったら高いのか安いのか。高校二年とはいいますが、年は間もなく十八歳になりますけれども、私は一人前の大人として息子を扱っていきたいと思っておりますし、そういう形で、私の判断でやっていることであります。
  124. 松沢成文

    ○松沢委員 でも、この手帳に書いてあるこの倫理観に見ると、やはり首をかしげざるを得ない行為だと思いますね。  この新聞にはほかのことも書いてあって、中曽根大臣子供さんにおばあちゃんが年間六十万円ぐらいの贈与をした分もあるということで、長男の方は、高校生ですね、七百七十九万円の定期預金、長女の方は五百十三万円のやはり定期預金を持っている。中学生です。  中学生、高校生が、今の時代は五百万、八百万の定期預金を持っているのは普通なんでしょうか。私の周りにはそういう子は少ないです。うちの娘は小学生ですけれども、やはり預金は一万とか二万です、お年玉ためて。  だから、おばあちゃんが年間六十万円も子供たちに贈与しちゃう、これはやはり子供たちの倫理観が少し狂ってきませんか。そうやって、親が裕福だとどんどん子供に贈与をしちゃう、分け与えちゃう。ここに書いてあるように、「子どもを不幸にしたいなら、何でも買ってあげればいい。」何でも与えてあげればいい。それを大臣みずから実践しちゃっているのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  125. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今の贈与の話は新聞に多少の間違いがあります。私どもの事務所の説明が間違いがあったのかもしれませんが、一つは、元首相夫人とありますのは、そうではありません。おばあさんは二人おります。それから、すべてが贈与というか、祖母からのものではありません。いろいろ入学祝いやあるいは卒業祝いにいただいたものをためておいて、それを積み立てただけのことであります。  これ以上は、個人のことに関しますので、この委員会での御議論に本当にふさわしいのかどうか、私は疑問に思います。
  126. 松沢成文

    ○松沢委員 もう本当に私は、この家庭教育手帳の中を見ますと、やはり今の大臣政務次官の、政務次官はわかりませんが、大臣の、そこはどうしても理解できない。ぶち当たっちゃう、まじめに考えれば考えるほど。だから、国民のレベルから見ると、みんな、これを見てなるほどなと思っている人たちから見ると、おかしいのですよ。だから、私はそれを指摘したまでなんです。
  127. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 いろいろお話しでありますけれども、私は、基本的なことをきちっと押さえていればいい、そういうふうに思っております。御理解いただきたいと思います。
  128. 松沢成文

    ○松沢委員 基本的なことをきちっと押さえているということでありますから、次に進みます。  いろいろな報道があって、私は新聞をうのみにするつもりはありませんから、ここで確認しながらちょっとお聞かせいただきたいのです。  十月二十九日の金曜日、夕刊フジに、小此木文部政務次官が十月十八日月曜日、横浜市内にある横浜カントリークラブで平日ゴルフを楽しんでいたことがわかったと。これは、ゴルフ場にいた方が、小此木さんがプレーをされるのを見たのでしょう、夕刊フジに通報しているのですね。  まず、小此木次官、この平日ゴルフは事実ですか。それをお聞かせいただきたい。
  129. 小此木八郎

    小此木政務次官 国会の始まる前、十月十八日に、私は、委員のおっしゃる場所、日時にゴルフを行いました。
  130. 松沢成文

    ○松沢委員 この目撃者が非常に的をついたことを言っているのです。「休み明けの月曜日。政務次官の小此木議員がゴルフをしているのを見て驚きました。政務次官といえば特別職国家公務員。中小企業がいつ倒産するか薄氷を踏む戦いを強いられているのに、平日の昼間からのんびりゴルフをしている場合なのか。公僕としての自覚に欠けるのでは?」これに対して、小此木事務所さんもこう答えているのですね。「当日は国会も閉会中であり、また、政務次官としての公務も予定されていなかったので、次官就任前から約束していた行事に参加した。今後とも政務次官としての職務に精励して参りたい」こういうことですね。  私が指摘をしたいのは、この通報した方の一言なんです。政務次官は、議員がなっていますが、今、小此木さんは国家公務員でいう政務次官ですね、特別職公務員の。ですから、ここで言う、国会が閉会中であったからいいじゃないかというのは、ちょっと私は議論として成り立たないと思う。  国会議員だったら、国会が開いているときにはこれは公務があるということですね。逆に言えば、国会が閉じているとき、閉会中はいろいろ、選挙区のこととか、いろいろな自分でやらなきゃいけない仕事ができると思います。平日ゴルフも、私はその意味では、世間がどうとるかは別として、いいんだと思いますよ。  ただ、皆さん、政務次官なんです。国会が始まっていなくても、もう政務次官の辞令を受けて、小此木さんは政務次官だったのですね。政務次官、政府の高官が平日ゴルフを楽しんでいるというのを見ると、国民からしてみれば、おい、待てよ、ほかにやってもらいたいことがたくさんあるじゃないかと。どうでしょうか、小此木さん、この意見については。
  131. 小此木八郎

    小此木政務次官 松沢委員、どうやらゴルフというもの、スポーツなんですが、これを、その記事ですとか松沢委員がおっしゃるには、何か遊びに行った、あるいは楽しみに行ったというふうな御認識がおありでしょうが、松沢委員も政治家でいらっしゃる。私もそうであります。私は政務次官として、また、政治家よりは特別な地位についたことも事実でありましょう。  しかし、その役所の、文部省の公務が当日なかった、そういうこととすれば、やはりそれは資料整理から、広く国民の意見を自分の耳に入れたいという意味からも、これは冗談ということではなくて、いろいろなところに顔を出して一人でも多くの皆さんのいろいろな意見を聞くということは、私は大切な話だと思うのです。  そこで、世間一般から、ゴルフというと、やはりその新聞記事のように、遊びに行ったんじゃないか、楽しみに行ったんじゃないか、骨休めに行ったんじゃないかというような意味で書かれているのですけれども、私は、政治家として、この数年、丸一日休んだという経験がございませんし、そこの中では、一つのゴルフの中でも、私個人といたしまして申し上げれば、それはいろいろなことが学べる、ゴルフをしていても、教育の問題は少しかもしれませんが、一緒にプレーした人の中から出てくるのも事実であります。事実であります。そういったことの中で、私は遊びに行く感覚で行ったのではないということは御理解をいただきたいと思います。
  132. 松沢成文

    ○松沢委員 議員と政務次官というのは立場が異なるのですね。現に小此木さんのところにも、普通、政務次官に民間人がなると政務次官の給料というのは決まっているのですが、これは政府の特別職国家公務員として出る給与です。ただ、小此木さんは代議士でありますから、代議士の分でまず払って、それで余る部分は国庫から政務次官として、私も調べさせていただきましたが、十六万円ぐらい調整費というのをもらっているのですね。ですから、特別職国家公務員、政府の高官なのです。  中曽根大臣、ではちょっとお聞かせいただきたいのですが、大臣もゴルフをやるんだと思います。大臣も特別職国家公務員、文部大臣であります。公務がない、ですから、ではゴルフの約束が昔からあったから、文部大臣だけれども公務がないからちょっとゴルフに行こうかなと。ゴルフに行かれますか。
  133. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 まだ大臣になって一カ月でありまして、そういうような予定もありませんし、そういう話も、機会もありません。  ただ、今の小此木次官のゴルフにつきましては、閉会中であり、かつ公務も予定されていなかった、そしてこの行事には前から参加ということで話がされていたということで、私自身、このこと自体問題ないと思います。  ただし、政務次官大臣というものは、やはり今おっしゃったように、そういう身分というものを考えたら、より以上の節度といいますか、そういうものは持たなければならないとは思っております。  ただ、先生のお考えは、ゴルフは遊びだというふうに今受け取れるのですね。ゴルフは文部省でも、スポーツの一環でありまして、先ほど申し上げましたように、国体の中のスポーツにことしからなりました。ですから、ではゴルフはだめでマラソンはいいのかとか、ジョギングはいいのか、映画はいいのか、そういうお話にもなってくるのじゃないかと思うのですね。ここでそういう議論をしていくと切りがありません、本来の文教の議論をさせていただきたいと思いますが、今お話を伺っていて、文部省責任者として、スポーツというものについて、また逆に、委員がどういうふうにお考えなのかお聞かせいただければという気持ちにもなってまいりました。
  134. 松沢成文

    ○松沢委員 私もゴルフをやりますし、大好きですよ。私はラクビーもやりますし、スポーツ大好きです。ゴルフがいい、サッカーが悪いとか、そういう議論をしているのじゃないのです。  いいですか、ちょっとクオートしますけれども、細川隆一郎さん、政治評論家で直言居士で有名ですよ。この人はやっぱりある意味で国民の感覚を代表している部分がありますね。こう言っているのです。  小中学校の荒廃には目を覆うものがあり、義務教育をどう改革していくのかは国家危急の大仕事、それを真剣に考える立場の政務次官が、国民や学校関係者が汗水流して働いている平日に、幾ら公務がないといってゴルフに行くなどけしからぬ話だ、世界各国の教育制度を調べるとか、国会資料を読むとか、仕事は自分で見つけられる、ゴルフが趣味なら土日にやればいい、小此木氏はけじめをつけるために政務次官を辞職すべきだ、正々堂々とこう言っている。  私は、ゴルフがいいとか野球が悪いとか、そんな議論じゃないのです。この教育荒廃、学級崩壊が言われているこの大事な時期、政務次官という政府の高官をいただいたわけですね。後援会のゴルフも、それはコミュニケーションの場としては、あるいは意見収集の場としては意義があると思いますよ。議員だったらいいと思いますよ。  ただ、あなたは政務次官、特に小渕内閣は今回、政務次官を重要視する、そして政務次官にももっともっと責任を持ってもらって政府の高官として仕事をしてもらうんだ、こうやって組閣をしたのですね。そうであれば、本当に今荒れてどうしようもない学校を見に行ったらいいじゃないですか。国会図書館で資料を調べるというのも一つのあれかもしれません、細川さんのように。問題があるところを、今公務がないのであればどんどん視察に行くべきである。それが私は政務次官の任務であると思うのですね。  だから、私は、政務次官は国家公務員である、教育の問題を担当する大変重要なポジションをいただいているんだ、そういう認識があったのか、なかったからこういうことになったんじゃないかと、これを言いたいのです。いかがでしょうか。
  135. 小此木八郎

    小此木政務次官 先ほど申し上げましたように、これはへ理屈を言うわけではありませんけれども、私も、ゴルフをやっていた四時間から五時間の間、その四時間から五時間の間すべてを一緒にプレーしていた方々からいろんな意見を聴取していたということは申し上げません。申しません。  しかしながら、やはり公務がなかった、そのときにいろんなところに、私は、今政務次官であるからこそ、あるいは議員でないから、こういうことで地元に帰らないだとか人に会わないだとか、そういう意識は持っておりません。しかし、世間一般にそういう誤解があるのであれば、これはその誤解を正す努力はしていかなければならないというふうに思っています。
  136. 松沢成文

    ○松沢委員 だから、誤解を正す努力というのは、ではどうやってするのですか。今回はやっぱり間違いだったからこれからは二度といたしません、こういうことですか。
  137. 小此木八郎

    小此木政務次官 間違いという感覚は私にはございません。
  138. 松沢成文

    ○松沢委員 では、今後政務次官の任期の間に大切なゴルフであれば平日でもやりますよ、こういうことですか、間違いじゃないということは。
  139. 小此木八郎

    小此木政務次官 そういう意味での誤解を正す意味では努力はしたいというふうに思います。
  140. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 いろいろな考え方があろうかと思います。先ほど申し上げましたけれども、政務次官とか大臣とか、こういう立場になった者は通常以上のそういう自覚を持たなければならないということは、私は一番大事なことだと思っております。  小此木政務次官には政務次官就任以来、大変精力的に政務次官としての仕事もやっていただいております。委員おっしゃるように、これからもどんどん視察等にも行っていただきたいと思いますし、また、スポーツもし、ストレスも解消して、また国のために活躍していただきたい、そういうふうにも思っております。ぜひ御理解いただきたいと思います。
  141. 松沢成文

    ○松沢委員 この議論はこの辺でやめますけれども、ぜひとも小此木次官にはいろいろ問題のある学校とか教育現場をどんどん回っていただいて、政府の教育行政の高官として積極的な行動、提言をしていただきたいというふうに思います。  さて、少し政策論に入っていきたいと思うのですが、我が日本国の基本法であります日本国憲法、日本国憲法について、中曽根大臣がどんな考えを持っておるか、私も非常に関心があるところで、大臣のまず憲法観をお聞かせいただきたいというふうに思うのです。  よくこういう議論になると、憲法の第九十九条に憲法擁護義務がある、国会議員や大臣は憲法を擁護しなきゃいけないと規定してあるので、その擁護する立場の人間が憲法のあり方をどうこう言うのは好ましくないというような見方がこれまでの日本にはあったと私は思うのです。  ただ、私は、行政マン、大臣は行政執行をする上で憲法をきちっと守っていかなければいけない。これは憲法九十九条の憲法擁護義務ですね。ただ、政治家として憲法のあり方を議論する、あるいは憲法のあり方についての意見を言うということは、これはまた憲法で保障されている言論の自由として、表現の自由として私は認められるべきだと思うのです。そういう意味で、大臣に、忌憚のない大臣の憲法観をお聞かせいただきたいと思います。  まず、端的に言って、日本国憲法の問題点というか、今の憲法観ですね。日本国憲法を、すばらしい憲法だからこれは永久に守っていった方がいい、そう考えておられるのか、あるいは、憲法もできて五十三年がたちます、戦後の社会も大きく変貌を遂げた、憲法ができたときと現状では大きく状況も変わっていて、現実と条文の乖離が目立つ、やはり憲法はきちっと政治家が議論して、国民に諮って、見直すべきは見直していくんだ、こういう憲法改正に向けての議論もありますね。大臣はどちらの考えに近いのか、大臣の憲法観をまずお聞かせいただきたいと思います。
  142. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 まず、現在の憲法の基本理念であります民主主義、平和主義、それから基本的人権の尊重というのは、憲法が制定されてから今日まで一貫して国民から広く支持されてきたものでありまして、私は、将来においてもこれが堅持されることは当然のことと、まずそういうふうに思っております。  また、憲法に関する問題につきましては、いろいろな方々からの御意見もあります。さきの通常国会で衆参両院に憲法調査会が設置されるということが決まりました。私は大いに結構なことだと思います。制定されてから五十年余たちました。時代も大きく変わっておりますので、国会で幅広く議論をされるということは好ましいことだと私は思っております。
  143. 松沢成文

    ○松沢委員 憲法調査会もできて、国会で憲法をきちっと国会議員が議論するという方向で、それはふさわしいことだということだと思います。  そこで、憲法の中で、教育関係するさまざまな論争があるのですね。教育行政の最高リーダーとして、そのあたりの見解を伺っていきたいというふうに思います。  まず、第三章の国民の権利と義務について、十条から四十条まで、国民の権利と義務について憲法は一番ページを割いてうたっているのですね。  ただ、こういう批判というか意見もあるのです。基本的人権の尊重、これは憲法の三大理念の一つですから、日本国憲法は権利については非常にきちっと明記がしてある。生命、自由あるいは幸福追求権、あるいは公務員の選定、罷免権、あるいは思想、信条、集会、結社、学問の自由権、あるいは財産権、あるいは裁判権、国民としての権利をきちっとうたってある。  しかし、私も読んでみて気づくのですが、国民の義務というのは、納税と勤労と教育の三つのみなんですね。  私も今の社会の風潮を見ていると、だれもが権利の要求は強い。自分はこうしたい、自分はこうであるべきだと、強い。しかし、社会全体に、汗して社会全体のために何か自分の犠牲的精神を払おう、ボランティアで何か社会に貢献しよう、こういう意識が日本人の中に失われてしまったという危機感を持っているのです。  そこで、大臣はこの権利と義務の関係日本国憲法の中で規定をされておりますが、私の今申し上げたような観点から、どのように考えているか、お聞かせいただきたいと思います。
  144. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 基本的人権や国民としての権利と表裏一体となってそれに伴う義務が存在することは当然でありまして、私の立場といたしましては、国民としてのこの権利と義務について学校教育を通じて指導することが重要である、そういうふうに思っておるところでございます。
  145. 松沢成文

    ○松沢委員 学校教育で教えていくことが重要、それはもちろんなんですけれども、では、もう少し突っ込んでお聞きします。  例えば、人権についても、最近、ここ十年、二十年の中で、新しい人権概念というものができてきた。終戦直後のああいう非常に厳しい時代には想像もできなかったような新しい人権観、その代表格として言われるのが、一つは環境権であります。よりよき環境を享受できるような権利。あるいは、情報公開法のときも言われましたけれども、国民の知る権利あるいはプライバシー保護の権利。  憲法ができて五十三年たちますけれども、時代が大きく流れて、こういう新しい人権観、概念が生まれてきた。しかし、日本国憲法は五十三年前に書かれていますから、こうした新しい人権観については触れられていないんですね。強いて言えば、幸福追求権でそれを読み取るような解釈をしているのです。  さて、大臣、この新しい人権観を憲法の中にきちっと書いていく、私は望ましい方向だと思いますが、大臣はいかがでしょうか。
  146. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員が、ことしの二月でしたか、民主党の党首選挙に立候補されました際の公約を拝見させていただきました。そこでは、国家の根本を定める憲法について再検討し、自衛権、国際貢献の義務、首相公選制、環境権のあり方等を検討する、そういうふうに述べておられます。  環境権という言葉が出てまいりますが、人権観とか、あるいは、私の思いますところでは国会制度等とか、いろいろ御議論していただくべきところがあるんではないかと思っておりまして、先ほど申し上げましたような衆参の調査会で幅広く議論していただければ、そういうふうに思っております。
  147. 松沢成文

    ○松沢委員 もう少し具体的なお話をいただきたいので、論を進めます。  私の問題意識は、確かに新しい人権概念が生まれてきた、憲法には書かれていない、それではやはりきちっと書いていった方が国民にもわかりやすいしということだと思うのです。ただ、前段で言いました、私は、やはり国民としての義務というのも大変重要だと思うのです。それで、権利を加えるのであれば、当然その権利には義務が伴うわけですね。やはり、どんな権利、自由も義務や責任を必ず内包していると思うのです。例えば表現の自由といっても、他人の名誉を傷つけたりすごく性的秩序を侵すような表現の自由が果たしていいことなのか。  そういう意味で、大臣、環境権をきちっと表現した方がいいともし考えているのならば、私は同時に、環境保護の義務というのも明記をしていかないと、国民に、何でも権利が先に立ってしまって、やはり社会のために自分も何か貢献しようという心が薄れてしまうんじゃないかなというふうに憲法の条文を見ていて思うのです。  私は、環境権と環境保護の義務という具体的な例を出しましたけれども、大臣、いかがでしょうか。
  148. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、今委員がおっしゃったような点も御議論の中に出てくるのではないかとも思いますし、幅広く議論していただければと思います。
  149. 松沢成文

    ○松沢委員 聞いても、すべて、これから幅広く議論していただければいいんじゃないかと思いますになってしまうので、もう少し政治家としての見解をいただきたいのです。  ではもう一点、私学助成の問題、これも長年議論されてきたことなんですね。憲法八十九条「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」「若しくは」とか「又は」とかが多くて大変読みにくい。一回じゃ全然わからない条文なんですが、こういう条文がある中で、要するに、公の支配に属しない教育、ここがポイントだと思うのです。ただ、現状を見てみますと、私立学校には一般的にはさまざまな助成金が今行われています。例えば、私立大学の経常経費に対する助成金も、一九九八年は二千九百五十億円、一九九九年は三千六億円、これだけの膨大な公金、私たちの税金から払っているんですね。  大臣、これは日本の今後の教育を考えるにも大変大きな議論で、私は、この私学助成の問題で、合憲論、違憲論、ずっと続くということは好ましくないと思うのです。私学の助成が必要であれば、それをきちっとできるようにしていく。そうであれば、憲法の見直しも必要だと思います。  私学に対する助成が今行われている。それで、憲法では、これが合憲か違憲か、さまざま議論がある。大臣の見解はいかがでしょうか。
  150. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員御承知かとも思いますけれども、我が国の私立学校は、大学生の約八割、高校生の約三割、それから幼稚園の約八割と、大変大きな比重を占めておりまして、それぞれの建学の精神にのっとって特色ある教育研究を展開しております。また、日本学校教育の普及、発展に大変大きな役割を果たしているわけであります。  これらの私立学校につきましては、学校教育法や私立学校法、または私立学校振興助成法等によりまして学校法人の解散命令などの各種の監督規定が設けられていることから、憲法第八十九条に言う公の支配に属しているものでありまして、現行の私立学校に対する助成措置は憲法上は問題ないもの、そういうふうに理解をしております。
  151. 松沢成文

    ○松沢委員 今の見解では、公の支配に属しているというふうに私立学校を見て、助成は問題ないということですが、これは、そうではないという意見もあります。例えば今の大臣の見解のように、公の支配というものを緩やかに解釈してしまうと、公の支配に服しない私立学校はほとんどなくなってしまう。私立学校というのはほとんど、何らか、少しでも国が関与していれば公の支配だということになっちゃうと、それでは何のためにこれを憲法の条文に入れているか、その意味がわからなくなっちゃいます。  私は、いろいろ議論はあるけれども、今後の憲法の見直しの中で、やはり八十九条は何らかの形で改正をして、私学に支援が必要であればきちっとそれができるように、憲法でも読み取れる体制にしなければならないというふうに考える一人なんです。大臣、どうでしょうか。
  152. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、今の憲法でも、公の支配に属する、そういう解釈でございます。政府の解釈でございます。
  153. 松沢成文

    ○松沢委員 次に、少しまた趣を変えて質問いたします。英語教育について伺いたいんです。  最近、英語教育についてさまざまな提言が出てくるようになりました。私は、これまた先日、非常にショッキングなニュースを新聞で読んだんですね。  大臣、TOEFLという、テスティング・オブ・イングリッシュ・アズ・ア・フォーリン・ランゲージなのかな、この略は。アメリカやカナダの英語圏の大学が留学生に義務づけているいわゆる英語能力試験なんですね。これは、日本受験英語のように、単語を覚えたり文法ができるかということだけではなくて、語法、文法、読解力、ヒアリング能力、すべて英語の理解力をテストする、日本ではない仕組みになっているテストなんです。  大臣、このTOEFLというのは受けたことがございますか。それとも、この存在は知っていましたか。
  154. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 存在は知っております。受けてはおりません。
  155. 松沢成文

    ○松沢委員 そのニュースによりますと、世界二百八カ国でこのTOEFLを受けている学生たち、若人がいるらしいんですね。そのうち、日本は何とことし二百二位になっちゃった。アジア二十五カ国・地域の中で、北朝鮮と並んで最下位であります。日本受験者の平均点は四百九十八点、アメリカの大学では普通五百五十点以上要求されるんですね。平均点では大きく下回っているのです。  ちなみに、シンガポール、ここは英語を公用語化していますからちょっと違うかもしれませんが、六百三点。中国五百六十点。韓国五百二十二点。これまで日本は、北朝鮮、モンゴルとどんじり争いをしていたのですが、いよいよ北朝鮮と並んで最下位になっちゃった。  私も、何か日本の英語教育の失敗を見事に物語っているこのニュースに、愕然としたのですね。  さあ大臣、もちろんこのTOEFLの点数が日本人の英語能力あるいは英語教育のすべての成果だとは言いません。さまざま、それを諸外国と比べる、あるいは指標になるものはほかにもあるとは思うんですね。ただ、これは全世界で行われている、ある意味で共通テストということで、他国との比較では一番わかりやすい重要な資料の一つだと思うんですね。それを見ると日本はアジアで最低だ。  よく、日本の言語というのはアルファベットじゃないから英語はなかなかできないのは当然だと言うんだけれども、アジアの、英語圏でない、まあ英語圏、フィリピンみたくありますけれども、英語圏でない国々の中でももう最低だということであります。これは私は、残念ながら日本の英語教育の失敗を物語る一つの有力な資料だと思っているんですね。  さあ大臣、今の日本の英語教育問題点、さまざまあると思いますけれども、どういうところに問題があってどう改善をすべきと考えているか、大臣の見解をいただきたいと思います。
  156. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員おっしゃいますように、TOEFLの成績から見ましても、日本の学生の英語力、あるいは英語力というものは大変に心配されているところでございます。  原因はどういうところにあるかということでございますけれども、その理由、幾つか考えられると思いますが、一つは、日本語と英語の言語的な違いが非常に大きい……(松沢委員「何的な違いですか」と呼ぶ)言語的です、文法とかいろいろな言葉の。そういうことが一つは大きな理由ではないかと思いますし、それから、日常生活において英語を使う必要性に迫られることがほとんどありません。それからもう一つは、勉強の仕方でありますけれども、明治以来いわゆる訳読中心教育に重点が置かれてきた、こういうことがあるのではないかと思います。  しかし、これからの二十一世紀に向けての将来ということを考えますと、英語力を強化するということは大変重要なことでありまして、今、今後の英語教育をどうしたらいいかということを本当に真剣に考えなければならない、私自身そういうふうに思っております。
  157. 松沢成文

    ○松沢委員 今大臣おっしゃいましたように、やはり訳読が中心であったとか、ボキャブラリー、単語を覚えるとか、あるいは文法を理解するとか、こういう問題が中心であり過ぎて、英語を理解するもう一つの目標であるいわゆるコミュニケーション能力、会話をしたり人と意思疎通を図る、そういう意味での教育上の訓練が少し足りなかったんじゃないか、こんなふうに私なりに理解をするんですけれども、そうであれば、今の受験英語の体制を変えていかないとそこは変わらないんですね。やはり受験英語は点数で指標化できるのが、これは学校側にとっても一番わかりやすいですから。  ですから、どれだけ単語を覚えているかとか、どれだけ文法が理解できているかとか、こういうところがほとんど中心になってしまって、どれだけ英語を理解し、コミュニケーションがとれるかとか、こういうことがほとんどはかられないんですね。ですから、みんな中学校になって英語を始めますけれども、どれだけ単語を覚えたか、どれだけ文法を覚えたか、ここにばかり力点が行っちゃうんです。  大臣、そこで大臣お話、自由民主党の加藤紘一さんという方がこの前総裁選挙に出られました。その中で、私も、いいこと言っとると思って感心したのがあるんです。  受験英語から脱皮するために、TOEFLという、先ほど申し上げました、コミュニケーションも含めてすべて英語の理解力を示す、国際標準にもなっているこのテストを、逆に日本の大学の受験にもっと使っていったならば、このTOEFLでいい点をとらないと日本の大学にも行けないわけですから、コミュニケーションも含めて、単語とか文法だけではなくて幅広く英語を理解しているという意味で、大学の受験に使えれば、私は、英語教育も変わってくると思うし、日本人の中学、高校とやる英語が、もっとより身について生きたものになるというふうに思っているんですよ。私は大賛成なんですね。やはり大学の受験にTOEFLを導入したらどうでしょうか。大臣の見解をいただきたいと思います。
  158. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先般出されました中央教育審議会の中間報告におきましては、高等学校の外国語教育において実践的なコミュニケーションの能力の育成が重視されていることなどを踏まえまして、大学入試センター試験におけるリスニングテスト、これの実施に向けて検討することが必要である、そういう提言もございました。  一方、大学入試センター試験は六十万人近い受験生が受験されると聞いておりますが、全国一斉に同一時間帯に例えばヒアリングの試験を実施する、同じ条件でやらなければなりませんから、仮に大学入試センター試験においてリスニングテストをやるということになりますと、試験の公平性といいますか、そういう点も非常に大きな課題にもなってくるのではないかと思います。  お考えそのものは一つの、英語教育の普及発展のために私は結構な考えだと思いますが、現実問題、どういうふうに実施していくかというのは大きな検討課題だと私は思っております。
  159. 松沢成文

    ○松沢委員 今の大臣の二つ挙げた問題点に、このTOEFLというのは解決策を持っているのですよ。  というのは、TOEFLというのは、逆に、いろいろなところで受けられるのですね。ですから、大学の入試センター試験でみんなが集まってやらなきゃいけないから物理的に大変だという御指摘でしたが、TOEFLというのはいろいろなところで少人数でも受けられるのです。ですから、TOEFLのとった点、例えば大学入試の半年間の間にとったTOEFLの点を持って大学入試試験に行けば、もうそれで、自分の英語能力がどこまであるかを、学校側というか大学入試センター側に見てもらえるのですね。  それと同時に、TOEFLのすぐれた点は、世界基準だということなんですよ。これから日本は国際人をつくっていかなきゃいけない。やはり世界の中でコミュニケーションを持って自分の意思を伝え、いろいろな活動ができる、活躍ができる日本人を育てていかなきゃいけない。それが、今の私の点数は世界基準から見てこれだけまだ低いんだなというのが一目瞭然でわかるんですよ。  その二つの意味で、私は、TOEFLを大学受験に使うというのは大変すぐれていると思うのですね。ぜひとも大臣、これは、大臣文部省、いろいろ御意見あると思いますが、今までの英語試験の長い歴史とか経緯があると思いますが、ここの辺のところを突っ込んで改革をしていただき、新しい提案をしていただきたいと思うのですが、大臣の、今いろいろ耳打ちされていますけれども、決意をいただければと思います。
  160. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 TOEFLにつきましては、大学入試の関係では既に参考にしている大学もあると伺っておりますし、これからもこのような形で参考にしていく学校もふえてくるのではないか、そういうふうに思っております。
  161. 松沢成文

    ○松沢委員 ぜひとも前向きな検討をお願いしたいと思います。  そこで、一つまた提案があるんですね。大臣の認識はいかがでしょうか。  英語というのは単なる一外国語じゃないんですね。今、英語をしゃべらないノンイングリッシュスピーカーの皆さんは——ほとんどの方が英語を勉強している、世界じゅうで。ですから、英語というのは世界語になっちゃっている。そして、ある意味で、以前国連が提唱してできなかったような、エスペラント語のような、それにかわるものになっちゃっている。これは、好むと好まざるとにかかわらず、実態として、英語は今世界語になっています。  例えば、ヨーロッパのEUの会議でもほとんど共通語は英語なんですね。これは、もちろん、EUの公用語というのは、英語、フランス語、イタリア語、スペイン語、すべて入っていますが、会議で使われる言葉はほとんど英語なんです。そして、皆さん、アジアのASEANの会合でも英語がほぼ公用語です。政治のリーダーの方も、例えば、中国でやるから中国語の通訳が必要だとか、あるいはタイでやるからタイ語の通訳は外務省にいるかなんて、こういうことを考えなくてもいい。英語ができればアジアのリーダーとはコミュニケーションができるんですね。  いろいろな指摘がありますが、私も偉そうなことは言えませんが、日本のリーダーがASEANの会議に行って、あるいは国際会議に出て、ほとんどしゃべれない、また通訳を通じないとしゃべれないという状況もあるんですね。それでまた、情報を世界に伝えるマスコミ、要するに記者さんたちも、ほとんど外国の記者さんは英語が理解できる。残念ながら、政治家だけではない、記者さんも、英語が理解できない記者さんがくっついていきますから、そこで英語で記者会見があっても、後で訳してもらわないとわからないわけですね。  世界の国際会議はみんな英語になってきているんですね。ですから、そういう意味では、英語を学ぶということは、第二外国語を学ぶのじゃなくて、世界じゅうとコミュニケーションをとる道具を自分たちは取得できるかどうかということなんです。私は、一第二外国語を学ぶという観点じゃなくて、英語というのを自分の世界じゅうとつき合うツールにする、習得をする。これが私は、今後、グローバリゼーションあるいは国際化の中で、日本人が世界で活躍できるかどうか、ここの分かれ目になってくると思うんですね。  さてそこで、ここからは過激な提案でまたおしかりをいただくかもしれませんが、英語を日本の第二公用語にしよう。私は大賛成なんですよ。  いろいろ意見があると思います。これは例えば、国語が大事だと。日本語、国語が理解できない人間が英語を幾らやったっておかしくなっちゃうというのですね。国語は大事なんです。国語は日本の公用語であります。国語が理解できるように、日本語が理解できるようにしっかり教育していただく。  ただ、日本がこれから、世界で日本人が活躍していくには、コミュニケーションの手段として英語を習得しておくことは大変重要です。それが日本の発展のかぎになると思うんです。  例えば、今、インターネットが普及してきましたけれども、インターネットの情報量の八割は英語なんですよ。ですから、英語が理解できないと、幾らインターネットの画面を引き出して、アメリカの情報、世界の情報が入っても、それをだれかが一回訳して、それを見ない限り、要するに二次情報になって、時間もおくれてしまうし、正確性も失われていくのです。インターネットの時代、英語ができるということは、日本人がこれからいろいろな活躍ができるという方向になっていきます。  そうであれば、私は、政治がリーダーシップをとって、十年後に英語を第二公用語にしていきます、そのために国民みんなで準備をしていこうじゃないですか。学校教育でも英語をどんどん入れていきます。そして、社会の中でも、例えば英語のテレビ番組、ラジオ番組、あるいは英字紙が日本のキヨスクでもっと売られたっていいじゃないですか。そうやって社会全体で、国際コミュニケーションの手段である英語というのをみんなで習得しようという目標を置くのです。この目標に向かって日本人は頑張って、十年後に英語を第二公用語にする、こういう目標を立てれば、日本の将来に向かって大きな夢になるし、目標になるし、私は政治がそういう決断をしてもいい時期じゃないかなというふうに思っているのです。  大臣、ぜひとも、大臣がどれぐらい英語をやられるか、私知りません。私よりうまいのかもしれませんが、恐らく大臣は、お父様の海外視察なんかでも秘書官で相当ついて回って、国際社会の中でコミュニケーションのツールとして英語の大切さというのは重々認識をしていると思うのです。日本の二十一世紀、本当に国際国家にするために、英語を第二公用語化、ぜひとも大臣として取り組んでいただきたいというふうに私は思います。  大臣のこの問題に対する御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  162. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 英語の重要性等につきましては、私は委員と全く同じ意見でございます。同じ考えでございます。  先日、ユネスコの総会に日本政府代表で出席させていただきました。海外に行くたびに自分の語学力の弱さを痛感しておりまして、特に政治の世界も国際的になってまいりましたから、政治家も英語をもっともっと勉強しなければと自分自身反省しているところでございます。  今の、第二公用語とするということについてでございますけれども、直接私の所管事項ではないとは思います。私といたしましては、第二公用語化、十年という今期間をおっしゃいましたけれども、なかなか国民の皆さんの御理解をいただくのも難しいのではないか。それから、お話にありましたけれども、最近日本語自体が乱れておりますし、きちっとした正しい日本語を話すということを、ここでまた軌道修正しておかなければならないとも思っております。  そして、英語につきましては、インターネットのお話がありましたけれども、英語力なしでは海外と直接コミュニケーションできないような時代になってまいりました。先ほど申し上げましたように、今ここで日本の英語教育をどうしたらいいかということは、もう一度考えなければならないと思います。そして、その成果が出てきて、国民の大多数の方が英語が話せるようになる、ネーティブほどとは言いませんけれども、なったら、その時点でそういう問題は議論されればいいんじゃないか、そういうふうに思います。
  163. 松沢成文

    ○松沢委員 時間ですので、ちょっと最後に一言。  世界を回ってみて、本当にバイリンガルの国というのはあるんですね。かなり、言い方は悪いですけれども、高等教育を受けていない方でも英語が町中で理解できて、聞いて話せる。それがヨーロッパでいうとスウェーデンとかオランダなんですね。アジアでいうとシンガポールとか香港なんです。マレーシアも最近だんだんそうなってきました。そういう国は、政治がかなりのリーダーシップをとって英語習得に向けて、第二公用語化にしているところもありますし、目標をつくっているのですね。  ですから、国民全体の英語のレベルが上がって、それを成熟するのを待つと言ったら、今の日本の英語教育の中で、TOEFLの点を見ても、国民の英語の理解度、能力というのは下がる一方になっちゃう。やはり、そこに大きな起爆剤を与えるためにも、国民の目標としてそれを掲げて、政治がリーダーシップをとって、日本を将来バイリンガルの国にする、世界じゅうとコミュニケーションをとれる国にする、そういうような目標を政治家が提起して引っ張っていくということが私は非常に大切だと思っていまして、ぜひとも今後の御検討をお願いしたいと思います。  以上です。ありがとうございました。
  164. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、肥田美代子君。
  165. 肥田美代子

    ○肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。  中曽根文部大臣、御就任おめでとうございます。きょうは初めて質問させていただきます。  まず、学校改革についてお尋ねを始めたいと思います。  これまでの学校は、教師子供に教える場所でした。教師を軸に一つ学級王国ができまして、外からの干渉を嫌うという傾向にございました。しかし、それでは、今学校で起きているいろいろな問題を解決することができなくなってきた。これからは、やはり学校地域社会の重要な構成員の一つとして位置づけ、学校の情報が地域に発信され、そして同時に、地域の情報も学校に発信されるという双方向の関係がなくてはいけないと思うわけですが、そうしますと、学校の閉鎖的な人間関係を変えることができると思います。  学校は、子供が学ぶだけでなく、教師にとっても、やはり子供地域からの学びの場所であると思います。既に各地で、学校の行事や授業を通じて保護者や市民、それから教育行政の担当者がお互いに学び合う、学びの共同体としての学校づくりが始まっています。こうした営みで、本来の学校の三つの要素であります、地域文化を継承し、民主主義の価値を伝え、地域住民のよりどころであるというこの三つが十分に満たされる、そういう学校の復権を我々は今求めているわけでございます。  こうした営みが行える学校、これが新しい学校の、二十一世紀学校の姿ではないかと私は思うのですが、大臣はどうお考えになりますか。
  166. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員おっしゃいますように、学校地域に開かれたものにしていくということは大変大事なことだ、そういうふうに思っております。学校家庭地域の連携協力を深めて、地域全体で子供の健やかな成長というものを支えていくためには、いろいろな努力、それから工夫をしていかなければなりません。学校保護者地域住民の意向を把握して、また反映できるような、そういう仕組みを設けることも私は大事だと思っております。  そういうことから、中央教育審議会の答申でも、学校評議員制度、こういうものの導入についての提言もございました。私は、この提言を踏まえまして、関係者の意見を聞きながら、この答申の具体化、具現化について必要な措置を講じていきたいと思っておりますが、またいろいろ御意見も聞かせていただければと、そういうふうにも思います。     〔委員長退席、小川委員長代理着席〕
  167. 肥田美代子

    ○肥田委員 ぜひ風通しのいい学校をつくってまいりたいと私も考えます。  今の御答弁と関連しまして、統合教育について少しお尋ねしたいと思います。  障害を持つ子供たちは、その障害の種類や程度によって盲・聾・養護学校に就学しております。  実は、先日ですが、「アイ・ラヴ・ユー」という映画がつくられました。これは、聾者と聴者、要するに耳が聞こえない人と耳が聞こえる人、その人たちが協力して映画をつくり上げるわけですね。それの主人公でありますヒロインの女性がこういうことを言っているのです。その方は耳が聞こえないのですね。一番不安になったことは、要するに、耳が聞こえるたくさんの人の中に自分がほうり出されたときだと。聾学校では安心でしたとおっしゃるのですね。これは私、大変大事な発言だと思って実はそのテレビを見ておりました。  これはやはり、学校を卒業して突然社会に出てくると、聾学校に分離されていた自分たちを迎え入れてくれる余地が社会にないように感ずるというわけですね、たくさんの人がみんな耳が聞こえるものですから。ですから、大変危険に満ちた世界であるように見えるらしいのです。幼いときから通常、普通の学校で学んだり健常児とともに育っていれば、そうしたことは余り危険と感じないし不安も感じられないだろう、そう思うわけです。  要するに、教育分野でバリアフリーがおくれているのじゃないかと私は思うのです。省庁によっては今バリアフリーに取り組んでいらっしゃるところはたくさんございますけれども、文部省の障害児と健常児の分離教育はやはり時代の流れに沿わないのじゃないかというふうに私は思います。障害も個性だ、そういう考え方に立つならば、やはり今文部省が決断をされるときじゃないかと思うのですけれども、大臣、いかがでしょう。
  168. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 統合教育についての御質問でありますけれども、欧米を中心として行われておりますいわゆる統合教育は、障害のある子供について、可能な限り通常の学校教育を受けることができるようにすると同時に、児童生徒の障害の状況に応じて、特別な学校学級における指導も行うこととしておるものでございます。  我が国におきましても、障害のある子供が障害のない子供と一緒になって、運動会やあるいは文化祭、またはクラブ活動等を実施することなどによりまして、さまざまな交流活動の充実に努めているところでございます。  また、今回改訂いたしました盲・聾・養護学校やそれから小中学校等の新学習指導要領におきましても、交流教育というものについて充実を図ったところでございまして、今後とも交流教育の推進に努めていきたい、そういうふうに思っております。
  169. 肥田美代子

    ○肥田委員 もう交流教育と言っている場合じゃないような気がするのです。  実は、健常児にとっても、障害を持つ子たちの痛みなんかを本当に日常的に感じる、その日々の繰り返しが私は大事だと思うのですけれども、大臣、個人的に今どう思っていらっしゃるのでしょうね。
  170. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 障害のある子供さんが、障害の種類とか程度とかそういうものにかかわらずに、障害のないといいますか、通常の学級で障害のない子供さんたちと勉強するということ、つまり統合教育でございますけれども、これは、障害のある子供さんが適切な教育を受けて社会参加、自立に必要な力を養うことを困難にする可能性があるのではないか、必ずしも適切な教育効果が上がるとは考えられないと思っております。
  171. 肥田美代子

    ○肥田委員 私は全く反対の立場をとりたいと思います。というのは、先ほどの「アイ・ラヴ・ユー」のヒロインの女性がおっしゃっていたように、自立していくための教育とおっしゃいましたけれども、やはりそれが困難なのですね、聾学校に隔離されてしまうと。  ですから、やはり行政的に区分するのではなくて、子供たちの選択に任せるというところまで踏み込んだらどうかと思うのですけれども、いかがでしょう。
  172. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 障害のある児童生徒能力を最大限に伸ばして可能な限り積極的に社会に参加する人間に育てるよう教育を行うために、就学すべき学校の決定に当たりましては、その障害の種類と程度、これを十分に考慮する必要があると思います。このため、学校教育法施行令に規定されております教育措置基準に基づいて、障害の程度の重い児童生徒は盲・聾・養護学校で、それから、障害の程度が軽い児童生徒小中学校の特殊学級等で適切な教育を行うこととされております。  教育委員会におきましては、この教育措置基準に基づく就学指導を適切に行うことが必要でありますけれども、就学指導を行うに当たりましては、一方的に教育措置を行うのではなくて、保護者の皆さん方の不安や悩みにもこたえて、そして、理解と協力を得る教育相談や就学相談が十分に行われることが大切であると考えております。  なお、今後、各教育委員会におきます就学指導等の実情をよく踏まえながら、障害児本人または保護者の意向に十分配慮した就学指導あり方について検討していきたい、そういうふうに思っております。
  173. 肥田美代子

    ○肥田委員 文部省が第一歩を踏み出されるときはそう遠くないように私は思っておりますので、ぜひ私の意見をこれからも述べさせていただきたいと思います。  それでは、学習障害児の教育についてもう一つお尋ねします。  学習障害児、LD児ですね、その調査研究協力者会議が、この七月に文部省に「学習障害児に対する指導について」という報告を出しました。この報告では、やはり専門家不足、要するに学習障害というのは一種の機能不全なのですね。ところが、その子供が怠け者であるとか、勉強に身が入らないとか、集中力がないとか、その子供にとっては適切でない評価がされているわけです。ですから、このLD児につきましてはやはりもっと積極的に、調査協力校をたくさんつくっていくとか、それから専門家をもっともっと配置していくとか、何かもう少し早い対策が必要じゃないかと思うのですが、大臣、いかがですか。
  174. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今委員おっしゃいましたとおり、ことしの七月には学習障害児に対する指導についての報告書がまとめられました。  そこで、学習障害の定義、それから学習障害児であるかどうかの判断基準、さらに学習障害児に対する指導方法の基本的なあり方などに関する報告が示されたところでございます。  文部省といたしましては、この報告を受けて、学習障害児に対する指導方法のあり方についてさらに調査研究を行うとともに、各学校における指導体制を整備することによりまして学習障害児に対する指導の充実に努めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  175. 肥田美代子

    ○肥田委員 くれぐれもお願いしておきますけれども、今度もまた障害児を一カ所に集めてほかから隔離するというようなことのないようにお願いしたいと思います。
  176. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 十分先生の御意見を参考にさせていただきたいと思います。
  177. 肥田美代子

    ○肥田委員 次に移ります。  文部省の高校入試改革一つとして中高一貫教育の選択的導入が行われておりますが、現在の進捗状況は、大臣にお伺いしていいですか。
  178. 河村建夫

    河村政務次官 かなり技術的なことのようでありますから……。  中高一貫教育、宮崎県でまず第一号を初めてやりました。法律を通しまして本格的に取り組んでいただいておりますが、現状では、平成十一年度ではまだ四校、それから平成十二年度では予定されている学校は十四校ということでありますから、まだまだ我々期待したように一遍に出てまいりませんが、今各県真剣にこの問題に取り組んでおられますので、ここ数年のうちに相当設置されることになるであろう、こういうふうに思っております。  一応基準としては、高等学校の通学区が大体五百ございます、高等学校一つの通学区が。その程度はまず一つ基準として考えておるところであります。五百校くらいは全国に、というふうに考えております。     〔小川委員長代理退席、委員長着席〕
  179. 肥田美代子

    ○肥田委員 今、高校が約五千校ありますね。それから中学校が一万校ですね。一万五千校の中で、十一年が四校、十二年が十四校となりますと、今河村政務次官がおっしゃってくださいました五百校に至るには、何年ぐらいかかると想像されますか。
  180. 河村建夫

    河村政務次官 これは私も何年とは言えませんが、各県が十校つくれば大体五百校近くなるわけですが、これは今、この五、六年で大体各県が四、五校まず出してくるだろう、こういうふうに思います。それで半分いくわけですね。だから、十年ぐらいになります。それはもっと私は加速すると思いますけれども。  それは、新しい学校をつくる予算の問題とか、それから周辺の整備の問題とかいろいろあるようでございますが、せっかくこういうふうな形をとりましたから、今後の状況を見ながら、督励すべきところは督励していかなければいかぬ、こういうふうに思います。
  181. 肥田美代子

    ○肥田委員 現在、学校で起きております学級崩壊、それからいじめ、不登校教師への暴力などを見ておりますと、どうも中学校に多いようですね。やはり高校入試と深く関係があるという気がいたします。  それで、高校進学率が九六%を超える時代になっておりますから、もう高校の入試は要らないと思うのですけれども、もし違う御意見がございましたらおっしゃってください。
  182. 河村建夫

    河村政務次官 御指摘のように、九六から九七%いっておりますから、現実にそうなっております。ただ、やはり高校には高校の知識をということもございますし、中高一貫教育を進める中で、中高一貫教育に進む方はゆとりある教育を求めてそちらへ行かれる方もあっていいし、大学もそういう傾向でありますが、高校もやはりみずから試験を受けて入ろうという選択肢もあっていいし、そして、自分はもう中高一貫教育の中で入試を受けないでいこうという選択肢もあっていいのではないか。  一般的に、十五の春を泣かせるなということで全廃という空気がございますが、現時点では、入試制度を考えたときに、学力低下という指摘のこともございますので、その辺も踏まえて考えていかなきゃいけない問題だというふうに理解しております。
  183. 肥田美代子

    ○肥田委員 そうしますと、重ねて伺いますが、高校の無試験入学は、踏み切れないのか、踏み切らないのか、どっちなんでしょう。
  184. 河村建夫

    河村政務次官 現時点では踏み切れないという考え方に私は立っておりますがね。これは、大学入試のあり方等々も連動してくる問題ではないかなというふうに考えております。
  185. 肥田美代子

    ○肥田委員 では、次の質問に移らせていただきます。  来年五月五日に超党派の議員連盟の皆さんのお力で国際子ども図書館が開館する、その年を記念いたしまして二〇〇〇年を子ども読書年とするという国会決議をしていただきました。小渕総理も、子ども読書年の振興を図ることが肝要であると所信表明されました。  子ども議連はこれを受けまして、実はシンボルマークと標語を全国の子供たちから募集いたしました。ちょっと御紹介したいと思います。これです。(パネルを示す)「読む人も読まれる本もうれしいね」というのは小学校三年生の子供の作品です。この下のシンボルマークの方は高校三年生の作品なんですけれども、大変いい作品であったと、これは皆さんの審査を経てこれが優秀賞に輝きまして、実は総理大臣賞をちょうだいすることになっております。ありがたいことだと思います。  それで、ぜひ二〇〇〇年子ども読書年を実効あらしめるために、これからが私ども大人の責任だと思うのです。まず、この二〇〇〇年子ども読書年にどういうことをしようと考えてくださっているか、そのことについて御披露いただきたいと思います。
  186. 河村建夫

    河村政務次官 肥田議員を初め読書議連の皆さんの大変な御努力によりまして、二〇〇〇年を子ども読書年として国会決議を、肥田議員も決議文をお読みをいただいたわけでございまして、大変意義のあることだというふうに喜んでおります。  この子ども読書年の決議をしていただいたことを受けまして、文部省としても、この意義ある年がまさにこれからの子供にとって有意義になるようにということで、子供の読書活動をさらに振興していくという方向で考えておるわけでございます。  これが普及活動、あるいは市民グループの皆さん、こういうことを積極的に進めておられる皆さんもいらっしゃいまして、そういう方々が子ども読書年の推進会議というのを持っておられます。そういうところからもいろいろな提案も出ておりますので、そういうことを取り上げていくわけでございますが、今御指摘のように、まず国会図書館の予算におきまして国際子ども図書館が五月五日にオープンをするわけであります。それに二十億余りの予算が投じられておるわけでございます。  また、この啓発運動で、今郵政省と交渉中でありますが、記念切手を出していただくということも、これはほぼ、文部省としては一番に出しておりますから、記念切手の実現もするであろう、こう思っております。  また、厚生省が児童福祉週間、来年五月五日、毎年あるのでありますが、そのときに今のロゴマークを使わせていただいて啓発運動に使いたい、こういうことを言っておりますので、読書年であるということがこれによって周知徹底をしていきますし、これを契機にしてプランを立てて、私は、五カ年計画等いろいろありますが、そういう形で、単発的なものじゃなくて、これを機会に、子供に読書の喜び、また読書から得る大きなもの、情操教育、いろいろなものがございます、肥田先生も童話作家としての立場でよく心得ておられますが、日ごろ唱えておられますそういうことを、もっともっと国民の皆さんに周知徹底する絶好の機会である、こういうふうに考えて、とらえてまいりたいというふうに思います。
  187. 肥田美代子

    ○肥田委員 今河村政務次官がおっしゃっていただいたのは、要するに、二〇〇〇年でお祭りを終わらせないで、二〇〇〇年を初年度として長期的にやっていこうという御意見と承っていいですか。
  188. 河村建夫

    河村政務次官 そういうことであります。
  189. 肥田美代子

    ○肥田委員 確かに一年ぐらいで読書の習慣が、私どもにも、そして子供たちにもつくとは思えませんので、ぜひそのように進めていただきたいと思います。  今、朝の十分間読書というのが各地で行われておりまして、今およそ二千校ですか、八十万人ぐらいの子供たちがそれを実施しているようでございます。たった十分間なんですが、これをやり始めてから、学級崩壊がなくなる、いじめがなくなったという報告がかなりなされております。私は、この朝の十分間読書というのは、できるならば文部省が推薦していただいて、もっともっと奨励していただいて、もうちょっと言うならば、カリキュラムにでも入れていただいて進めてくださるようなものじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  190. 河村建夫

    河村政務次官 朝の読書十分運動、十分間は読書をしようということで、今御指摘のように、この十一月現在で二千二百校余りが実行をしております。これは大変有意義なことでありますので、文部省としても、いろいろな会議先生方会議等々でもPRをして、これが効果的である、これをひとつ進めるようにということはしておるわけでございますし、これからもそういうことで進めてまいりたいというふうに思います。
  191. 肥田美代子

    ○肥田委員 カリキュラムに踏み込むところまではまだ無理だろうと思いますけれども、読書は心の教育ということを文部大臣の所信ではお触れになっていないし、その具体的な方策も示されておりませんね、家庭教育についてお話しになっているけれども。では、何をしたら心の教育の手段になるかというその手段が示されていない。読書は、その中の一つの大きな手段になると思うのですけれども、文部大臣、いかがでしょう。
  192. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員おっしゃいますように、読書というのは、子供のいろいろな想像力、また情操等でも大変意義のあるものと私は思っておりまして、今お話ありました朝の読書活動がもっともっとふえるように、そういうふうにも願っておるところでございます。  御質問の、心の教育の中での読書ということでありますけれども、私は心の教育という意味で読書の意義というものは大変に大きいものと思っておりますので、そういう観点からも、先生は読書について大変熱心に活動していただいておりますけれども、我々もさらにこの運動を展開していかなければと、そういうふうにも思っております。
  193. 肥田美代子

    ○肥田委員 世間では、読書というのは生活のほんの一部のように考えられてもおりますけれども、実は、この間の美智子皇后様のIBBYでの基調講演を拝聴しておりますと、読書経験というのは、やはり人生の大きな背骨になるのですね。ですから、文部省もぜひ来年を初年度にしてしっかり頑張っていただきたいと思います。重ねて思います。  あともう一つですが、河村政務次官にお尋ねしたいのです。「葉っぱのフレディ」という絵本をごらんになったことはございますか。
  194. 河村建夫

    河村政務次官 はい、読みました。
  195. 肥田美代子

    ○肥田委員 たかが絵本と言いますけれども、絵本は本当に哲学的な中身があるし、私は、絵本をこれから家庭の中でどんどん読んでいく、お父様が子供をひざの上に乗っけてもいい、お母さんが添い寝してもいい、読み語り、読み聞かせをしていく、そういう習慣も、やはり家庭教育を進められる文部省ならば、具体的な例として提示してほしいと思うのですけれども、いかがでしょう。
  196. 河村建夫

    河村政務次官 家庭教育手帳等々を読むことも大変結構ですけれども、私は、やはり「葉っぱのフレディ」のような、人生観の深い、生きていくことのとうとさ、そういうものを本当に実感させるような、子供が読んでも大人が読んでも感動するような、そういうものをひざの上で子供に読み聞かせるというのは、心の教育の原点としてすばらしいことだというふうに思います。そういうことをもっともっとこれからの家庭教育の中等々でも推奨していくことは有意義なことだというふうに思います。
  197. 肥田美代子

    ○肥田委員 あと、読書といいますと、今度は学校図書館のことがいろいろ問題になってくるわけでございますが、学校図書館法が改正されまして、すべての学校に司書教諭が、充て職ではありますけれども配置されるということになりまして、今、文部省努力してくださっていると思います。  それで、専任化をするには、毎年一千億円というお金が要ります。しかし、学校図書館が本当に教育の中で重大な、重要な場所だと思われるならば、そして、総合学習を始めてみずから学ぶ力を子供たちに本当につけようと思うならば、そして、子供たちの知恵を、知識よりも知恵を伸ばそうと思うならば、学校図書館というのは学校の中で本当に、はっきり言えば一番大事な場所だと思うのですけれども、政務次官はどうお考えになりますか。
  198. 河村建夫

    河村政務次官 全く同感でありまして、もっと学校図書館をみんなが集まりやすいようなものにしていかなければいけません。その整備ももっと進めさせていかなきゃならぬ。子供たちがコンビニなんかにたまると言われておりますが、その子供たち学校図書館にたまるようになったら、日本の国は大変なすばらしい国になるのではないか、こんな思いもいたしております。
  199. 肥田美代子

    ○肥田委員 ぜひ、学校図書館の大切さを先生方にももっともっと啓蒙していただきたいし、それから、実は自治体の皆様に対してしていただきたいのですね。  というのは、文部省努力してくださって、自治省にお願いしてくださいまして、この数年間、学校図書館図書整備費というのを毎年百億ばかり計上してくださっているのですね。ところが、自治体の思いがなかなかそれに至らないものですから、道路になったりビルになったりしてしまっているわけです。ですから、これを何とか食いとめて子供の本にしたいわけですが、どういう努力をしたらいいでしょう。
  200. 河村建夫

    河村政務次官 せっかくこれまで五年間、平成九年まで五カ年で五百億、さらに十一年、また十二年も要望しておりまして、これは実現をしたい、こう思っておりますが、せっかくの百億の金が有意義に使われているかどうか、これはやはり文部省としても実態調査をする必要があるのではないかというふうに思っております。現実に市町村でそれだけの図書費がきちっと使われて、図書館が整備されているかどうか、本がふえているかどうか、やはりある程度実態調査というのは必要ではないか。それを踏まえて、それではさらにどこにもっと有意義に使う方法があるのかということも研究してみる必要があろうというふうに思います。  確かに予算はついているのだけれども、もう一つ地方自治体側、受ける側が本当に活用しているかということについては若干心配な点がございます。確かにおっしゃるとおりであります。
  201. 肥田美代子

    ○肥田委員 毎年、聞いたり調査はしていただいている団体もあるようなんですが、どうしても本に行かないで道路になるんですよね。それを、文部省がきちっとした形で物を言う場所はありますか。
  202. 河村建夫

    河村政務次官 この百億は地方交付税でございますから、結論からいうと、地方交付税はそれぞれの自治体がどういうふうに使うかということは自治体の主体性に任せてあることではございますけれども、しかし、趣旨はそういう趣旨でありますから、やはり文部省がそういう趣旨でお願いをし獲得したものだからそれを有効に使ってもらいたいということは、当然文部省として責任を持ってやるべきことだ、自治省とも話すし、それから地方自治体に対してもそのような指導をしなきゃいかぬことだ、こういうふうに思います。
  203. 肥田美代子

    ○肥田委員 それからもう一つ学校図書館情報化・活性化推進モデル事業というのをしてくださっておりまして、学校図書館にコンピューターが一台とか二台とかモデル校に入って、今また公共図書館と連携しながら、大変活気を帯びてきているのですね。コンピューターが一台、二台入ってそれがどうだというような御意見もあるようですが、実は、ああそうか、学校図書館というのはそれほど大事だったのかという地方公共団体の皆さんの認識が新しく生まれてまいりました。それで、ぜひこれはモデル事業をどんどん続けていただき、さらに広げていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  204. 河村建夫

    河村政務次官 今モデル事業は、肥田委員御承知と思いますが、平成十年度現在、七十二地域九百二十五校やっておるわけですね。これを今後さらに拡大するか、また新しい方向へ持っていくか、検討しなきゃいかぬ問題でありますが、いずれにしても、学校図書館等をコンピューター化していかなきゃいかぬ。学校現場の情報化、これはもう、二〇〇五年にはアメリカ並みに進めるという大きいミレニアムプロジェクトがございますから、それの中にも組み込んでいきながら、この学校図書館の情報化・活性化推進モデル事業、あるいはそれに類するものをもっともっと進めていかなければいかぬ、こういうふうに思います。
  205. 肥田美代子

    ○肥田委員 それから、もう一つ気になっていることがあります。それは、公立図書館なんですが、この公立図書館の中の児童室が消えていっているのです。これは質問通告というか、お願いをいたしておりませんので、お答えいただかなくても結構ですが、政務次官個人の御意見をちょっと伺いたいと思うのです。  というのは、近畿でも、奈良それから京都、公立図書館の中に、県立、府立の図書館ですが、そこに子供室をつくらないという。どうしてつくらないかというと、もうコンピューターで、要するに電子図書館化を目指している。ですから、子供たちが来るのは市町村の図書館でいいという考えが自治体の方にあるらしいのですが、私は、これは大きな間違いだと思います。  どうして間違いかというと、国際子ども図書館が国立で上野にできます。では、その図書館は電子化の図書館でいいかというと、議員連盟の皆様が大反対をされて、子供たちが来る図書館にしなければ、子供たちの様子を見なければ、本当の本の選択もできない。そして、子供の本が、どんなものが子供にとって一番いいのかという理解もできない。ですから、子供の姿を見てこそ子供の図書館だというふうに言われたのですが、府立、県立の図書館は、その子供たちを排除しようとしている。これについて個人的な御意見でも結構ですから、どうぞ。
  206. 河村建夫

    河村政務次官 これは、なぜそういう現象が起きたかということを私も聞いたのでありますが、市町村が身近な子供たちの児童館的な、図書館的なものについて引き受ける。公立の、県立とかそういうものは、また別の機能を果たせよというところから、若干数字が、統計を見ると県のものが減ってきたというような現象が起きておるようであります。  ただ、地域によっては、県立がそういう役目をこれまで果たしてきたのだからという住民の強い声もあるようでありますから、そういうものはやはり無視できないというふうに思います。  それから、「公共図書館の設置及び運営に関する基準について」という報告が、これまで生涯学習の審議会の中にも報告がされておりまして、その中にも、特に児童・青少年に対するサービスとかそうしたものの充実に努めなきゃいかぬとか、それから「児童・青少年、障害者、高齢者等へのサービス」ということでは、「児童・青少年サービスの充実に資するため、児童室等必要なスペースの確保、」こういうこともうたってございますので、これに逆行しては相ならぬ、こういうふうに思っております。  平成十年四月現在の児童室、児童コーナーを設けている公立図書館は、全体の八七・四%、二千百八十四館、こうなっておりまして、平成七年度から見ると少しはふえているという報告もなされておりますが、さらに、今御指摘のような問題点も出てきたようでありますから、それを文部省としても後退させないように、むしろこういう時代でありますから、少子化対策子供教育をどうするかという大事な時期でありますから、前向きに取り組んでいかなきゃいかぬ、そういうふうに私も考えます。
  207. 肥田美代子

    ○肥田委員 これはやはり文部省がきちっとおっしゃってくださった方がいいと思います。自治体はまだまだその気にはなっておりません。しかし、今政務次官がおっしゃったように、二〇〇〇年は子ども読書年でありますから、これにかんがみましても、ぜひ強く通達をしていただきたいと思います。  最後に、文部大臣にお尋ねします。  大臣は、国際子ども図書館議員連盟に当初からお入りくださいまして、大きなお力をいただいております。それで、今回文部をつかさどる立場で、ぜひ国際的に大きな読書運動を広げていただきたいと思うのです。四月にはG8の教育サミットもございます。それからユネスコの方も、松浦事務局長が着任された。こういうチャンスですから、ぜひ日本がリーダーシップをとって子供の読書推進運動を国際的に広めていく、そういう旗振りになっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  208. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 お話のように、来年の四月には東京でG8の教育大臣会合が開かれます。  これは、去る六月に開催されましたケルン・サミットで初めて教育問題が議題となったわけでありますけれども、そのときのコミュニケにおいて教育問題に係るフォローアップの実施が合意されたことを踏まえて、東京で開催されるものであります。  この会合では、現時点ではテーマ等はまだ協議中でございますけれども、変容する社会における教育、こういうようなテーマのもとに、参加国が抱えるさまざまな教育の問題について議論をすることになろうかと思います。具体的な議題につきましては、今後さらに関係各国と意見交換をしながら検討してまいりたいと思っております。  この会合では、大臣会合の日程もわずか一日半ということで限られておりまして、その中でさまざまな教育の問題を議論するということでございますが、御提案の点が可能かどうか、そういう点については、各国の御意見等も踏まえながら今後さらに検討していきたい、そういうふうに思っております。  また、ユネスコではかねてから「万人のための読書」事業、これは一九九六年から実施しているわけでありますけれども、昨今では識字教育など基礎教育の普及等がここでは課題となっておりますことから、これも、今後の新たな国際的運動については、コンセンサスづくりも含めましてさらに検討が必要、そういうふうに認識をしております。しかし、先生のおっしゃる趣旨というのはよく理解しておりますので、いろいろな国際会合の場においてこの運動が展開されるように私どもも注意をしながらやっていきたい、そういうふうに思っております。  それから、先ほどから子ども図書館初めいろいろ御議論いただいております。来年は、そういうことで子ども読書年ということにもなりましたし、いろいろな行事も行われますし、私どもとしては記念切手も発行できれば、そういうふうにも考えておるわけでございます。  先生おっしゃいましたけれども、私も、数年前にヨーロッパの各国の子供図書館を調査、視察してまいりました。そういう意味でも、子ども図書館あるいは子供の読書ということの重要性は深く認識しているつもりでございますので、これからも一生懸命やっていきたいと思います。
  209. 肥田美代子

    ○肥田委員 終わります。  ありがとうございます。
  210. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、山原健二郎君。
  211. 山原健二郎

    ○山原委員 石井議員の時間を冒頭いただきまして、質問いたします。  今日の不況の進行に当たりまして、私立学校の学費の滞納者がふえておることが報告をされております。先日、全国私立学校教職員組合連合が行った九九年八月末の学費滞納状況調査結果が出ておりますが、それによりますと、調査対象の私立の中学生、高校生三十一万六千五百四十七名のうち、学費滞納者が三千九百六十九名に上っております。経済的理由による九九年度内の退学者は百十四名に達しております。  このことについて質問をいたしたいのですが、学費滞納者の家庭状況の記載の中で一番多いのが、自営業不振、倒産、借金の保証人でありまして、リストラ、失業、賃金カットも多数に上り、倒産、リストラによる家計の急変者がふえておることがわかります。  就学保障のために、文部省として、こうした家計急変による学費滞納者に対して何らかの措置をとらなければならないが、来年度概算要求でどのように対応しようとしているかということをまずお伺いしたいのです。
  212. 河村建夫

    河村政務次官 山原先生指摘のように、今回のこうした経済状況の中で非常に気の毒な家庭がふえておるわけでありまして、学費滞納、中途退学者の増加の数字はおっしゃるとおりでございます。  これまでも私学の助成ということはやってきたわけでございますが、特に私立高校に通う生徒に対する授業料の減免補助等々は、これまで各都道府県が実施をしてきておったわけであります。しかし、今回のこのような家計の急変に対応するということで、文部省としてもこれはほっておけないということで、今回新規に県とタイアップいたしまして、県が二分の一に対して国もそれだけ、一緒に減免措置をやりましょうということで、授業料減免事業臨時特別経費ということで、これは私立高等学校等の経費助成の中で臨時的な措置として三億円を今計上いたしておるところでございます。  それから、あわせて奨学金を、奨学金というのは年度初めなんですが、これを、緊急に奨学金を必要とする学生には緊急採用奨学金ということで一万人分、十七億円を一般会計で要求をしておるわけでございます。これは、無利子貸与と同等の月額を出すものでございまして、このような形で、生徒が就学する上で支援をしていく重要性を当然文部省としては重く受けとめていかなければなりません。  そういうことで、さらに国としては、厳しい財政状況でありますが、今おっしゃったようなことについては、緊急措置としてもきちっと対応していくという方向で進めておるところでございます。
  213. 山原健二郎

    ○山原委員 大臣にお伺いしますが、今、急激的とも言えるような雇用の危機が拡大をしております。最近でも、銀行の統合に基づく一万五千人の削減、日産が二万千人削減、NTTの場合は二万人、こういうふうに次から次へすごいリストラですね。だから、こういう発表を聞きまして、政府としてこれらの乱暴とも言えるリストラの横行を抑える方向で臨むべきでありますが、文部省としては、リストラの影響から子供たちを守らなければならないという任務があると思います。経済的理由で就学断念などという事態は絶対に避けなければなりません。就学保障のために来年度概算要求に盛り込まれたお話がありましたら、授業料減免事業臨時特別経費及び日本育英会の緊急採用奨学金制度など、概算要求どおり満額獲得に努力するとともに、私学助成の大幅な拡充を図るべきだと思いますが、その点について、大臣も特に断固たる姿勢を示していただきたいと思います。  ある県では、ことしの奨学金申請者の理由に、失業、倒産、転職、無収入などという、今の厳しい不況の情勢が示される内容になっておりまして、修学旅行をキャンセルして学費を払うというような家庭もふえているわけでございますが、不況から子供を守るということが大変大事な時期に来ておると思います。これについて、大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  214. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 文部省では、従来より、保護者の経済的な負担の軽減などに資するために、経常費補助を中心とした私学助成の充実に努めております。  平成十二年度概算要求におきましては、私立高等学校等の経常費助成につきましては、対前年度七十億円増額の八百七十四億五千万円を要求しております。  今後とも、生徒等の就学に対する支援の重要性というものにかんがみまして、厳しい財政事情のもとではありますけれども、お話しの日本育英会の奨学金、また授業料減免事業臨時特別経費を含めた私学助成の充実に努力してまいりたい、そういうふうに思っております。
  215. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  216. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、石井郁子君。
  217. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。  初めに、私からも私学の授業料、また私学助成の拡充について一言触れさせていただきます。  山原議員の質問の中で、全国私立学校教職員組合連合の調査のことが引用されましたけれども、倒産、リストラ等による家計急変者がいるかどうかという項目での質問は、今回が初めてだったというんですね。まだ必ずしもこれは本当に全部の数じゃないと思うんですが、わかった数で、今全国で百六十七人中、大阪では四十一人だったと。これは比率でいいますと二四・五%も占めるわけでして、今大阪がいかに厳しいかということがここにも示されているというふうに思います。  だから、今お話しの授業料補助や緊急採用奨学金制度などはぜひ実現を求めたいというふうに思いますし、私はもう一つ、やはり大学への補助、私立大学への補助、ようやく来年度の概算で三千億円台に乗ったんでしょうか、しかし、経常費の全体に占める比率でいいますと一二%でありまして、本当に過去最低の線にとどまっているわけですね。ですから、やはり高等教育の重要な役割を担っている私立大学への助成についても、大臣のまず格段のというか強い御決意を、先ほどの授業料補助とあわせて、私からも伺っておきたいというふうに思います。
  218. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 我が国の私立大学等は、先ほども申し上げましたけれども、学生数の約八割を占めております。それで、それぞれの建学の精神にのっとりまして特色ある教育研究を展開し、我が国の高等教育の普及、促進に大きな役割を果たしております。  文部省といたしましては、このような私立大学等の役割の重要性にかんがみまして、私立大学等経常費補助金を中心に、従来から私学助成の充実に努めてきたところであり、来年度概算要求におきましても、大学院を中心とした教育研究機能の高度化や大学改革の推進等のため、私立大学等経常費補助金につきましては対前年比八十億円増の三千八十六億五千万円を要求しているところでございます。  今後とも、私立大学が特色ある教育研究が展開できますように、経常費補助金を初めとする私学助成の充実に努めてまいりたい、そういうふうに思っております。
  219. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 きょう私は、国立大学の独立行政法人化問題について主として質問させていただきたいのでございます。  国立大学の独立行政法人化問題につきましては、文部省がこの秋、九月二十日、国立大学長の会議で、これまでの反対という態度から転じて、国立大学の独立行政法人化の検討の方向という見解を出されました。これは、実質的に国立大学制度の廃止の方向を打ち出したというものだと私どもは受けとめているわけですけれども、その後、新聞報道等々も見ておりますと、多くの大学関係者から、強いというか、真剣な危惧の念が寄せられているわけですね。  私、一つ御紹介したいのは、これは十月の二十七日、日本学術会議が会長談話という形で発表されました。そこでは、「研究教育等の文化の創造に関わる活動は、通常の行政活動と異質なものであるから、行政改革・国営事業効率化の視点のみから拙速にこの問題に対する結論を出すならば、我が国の将来の高等教育研究に取り返しのつかない禍根を残すおそれがある。」云々等とあるわけでございます。  高等教育機関のあり方、その発展というのは、言うまでもなく二十一世紀日本社会の命運を左右するという重大問題でありますので、その立場できょうは幾つかたださせていただきます。  まず、さきの国会で、政府は独立行政法人の通則法を成立させました。この制度はいろいろな特徴がありますけれども、行政における企画立案機能と実施機能を分離する、主として本省が前者を受け持ち、外局や独立行政法人が後者を担当するということかと思うんですね。それぞれの機能の効率化を図る。効率化というのはキーワードになっているわけですが、あわせて、三年から五年の中期目標を設定するという話がございますね。  こういう構想というのはもともと大学にはなじまないということで文部省もこれまでは反対の立場を表明してきたというふうに思うんですが、これまでの文部省の見解、反対の立場を表明してきたということについて最初に確認をさせていただきたいわけです。これは大臣文部省政府参考人から御答弁いただければと思います。
  220. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 国立大学の独立行政法人化につきましては、本年四月の閣議決定において「平成十五年までに結論を得る。」こととされておりまして、今後、文部省といたしましては、平成十五年までの間に制度の詳細な点も含めれば、相当時間をかけて検討する必要がある、そういうふうに考えております。  ただし、今後こうした検討を進めていくためには、まず独立行政法人通則法との関係における特例の内容等について早い段階関係者の理解を得て、基本的な方向を決定する必要があります。また、文部省といたしましては、こうした法令上の基本的な方向が決まれば、現行制度と独立行政法人制度のいずれを選択するかという基本的な方針も同じ段階でおのずと定まるものと考えております。  このような観点から、文部省では、有識者から御意見をいただきながら検討を進め、九月二十日に国立大学の独立行政法人化の検討を行う際の基本的な方向を明らかにしたところでございます。
  221. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 大臣からはもう、ちょっと先の方の御回答をいただいたんですが、これまで文部省は、やはりこの独立行政法人に対しては国立大学はなじまないという態度で臨んできたのではなかったかということをお聞きしているわけでして、それはいかがでしょうか。
  222. 佐々木正峰

    ○佐々木政府参考人 独立行政法人制度というものが制度として提言された際には、そういった現在の制度については、国立大学の教育研究という観点からいってなじまないものがあると、反対を表明したところでございます。
  223. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 ですから、昨年中央省庁等改革基本法が通りましたが、そこでは一たん、国立大学はまだ対象にはしないということできたというふうに思うんですね。それが、この秋というか、この夏からは急速に動きが変わりまして、今の大臣の御答弁のように、今、特例を検討するということに至っているかというふうに思うんですが、わずかの期間で、つまり、この四月段階では閣議決定で「平成十五年までに結論を得る。」とされていたわけですけれども、急に特例措置という形で検討を始めたというのは、何があったのか、どういう理由なのかということを御説明いただきたいと思います。これはぜひ、政務次官からでも結構でございます。
  224. 河村建夫

    河村政務次官 行革の方針が打ち出されまして、定数削減の問題も出てきたわけでございまして、最初の一〇%が二五%だ、国家公務員削減という問題も大きく出てまいりました。そういうことも踏まえて、あらゆる角度から検討を大学側としてもいただいたと思っています。  また、文部省としても、今後大学というもののあり方というものを考えていったときに、また国立大学というものが一つの法人格を持って、そして機能的な運営をしていく、そういうことが、これからの我が国の科学技術創造立国ということを考えて、まさに世界の大競争時代に入っていく中で、日本の国立大学が果たし得る、力を発揮する姿というものを求めていったときに、こうした観点から国立大学を活性化していくということを考えたら、もちろん教育研究の自主性とか大学の自治であるとか、そういうことは十分配慮しなければなりませんが、大学教育というものを活性化していくという方向で前向きにとらえていくということになれば、この独立行政法人という形で取り組んでいくというのが、これからの大学のあり方として望まれる姿ではないかというふうに、私自身もそう思っております。  この方向で、これから、それならばどういう形になっていくかということは、二〇〇五年までゆっくり検討すればいいのじゃなくて、早い時期にそれを打ち出して、そして早急にその方向づけについて検討していくことが必要であろう、こういうことで早く、さきに有馬文部大臣のときに、方向が打ち出されたというふうに私は思っております。
  225. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 総括政務次官から冒頭お話にありましたように、やはり急に検討を始めなければいけないということの理由に、国家公務員の定数削減問題が出てきたというお話かというふうに思うんですが、そのことで少し確かめたいんです。  確かに閣議決定の中には定員問題というのがあったかというふうに思うんですが、今、とにかく大学人というか現場の方からは、要するに、国家公務員、大学も含めて一〇%から二五%削減なんだ、これは今次官の方からもおっしゃったと思うんですが、そういう話で、込めてこの話をされていいのかどうかという問題があるんですね。ですから、一体決まっているのは何なのか、そして、独立行政法人化との関係でいうとどういうことはまだ決まっていないのか、そこを明らかにしていただきたいんです。  この定削でいいますと、平成十三年から十年かけて一〇%削減という、これは今のままの形態で残ったらあるだろうということかと思うんですが、この辺は、有馬文部大臣の九月二十日のごあいさつの中にも同じように書かれているんですよね。一〇%削減を行うとともに、独立行政法人化等により二五%削減も行う、この内容をちょっと説明いただけませんか。  これは、大学の方は、要するに独立行政法人化しなければこれから国立大学に二五%かかるんだという話さえふれ回っているんですよ。そういう理解では違うんでしょうという話なんです、お聞きしたいのは。政務次官からでもいいし、文部省からでもいいかと思いますが。
  226. 佐々木正峰

    ○佐々木政府参考人 国の行政機関の職員の定員につきましては、本年四月の閣議決定において、平成十三年から十年間で少なくとも十分の一の削減を行うための新たな計画を策定する、そういった定員削減を進めつつ、独立行政法人への移行等によりさらに一層の削減を図って、やはり十年間で二五%削減をするとされたというふうに承知をいたしております。
  227. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 そのことは国立大学にはどういうふうにかかわってくるんですかというふうに聞いています。
  228. 佐々木正峰

    ○佐々木政府参考人 少なくとも一〇%の削減計画というものはまだ策定はされていないわけでございますが、従来からの定員削減計画というものを見た場合、国立大学は国の行政組織の一部でございますので、そういった定員削減計画の対象とされてきたところでございます。  したがいまして、今回の定員削減計画について、国立大学が対象となるかどうかということはまだ決まっていないわけでございますけれども、従来の経緯から見て、削減の対象となるというふうに考えた場合には、少なくとも一割削減というふうな大規模な削減計画となるわけでございます。したがいまして、削減計画の内容によりましては国立大学の教育研究に重大な影響を与えるおそれがあるというふうに考えているところでございます。  ただ、国立大学の独立行政法人化の問題は、国立大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討をする、これも同様に閣議決定をされているところでございますので、この問題につきましてはあくまでも大学改革の一環として検討をすべきものであるというふうに考えておりまして、定員削減計画の問題とは別の問題であるというふうに認識をいたしておるところでございます。
  229. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 だから、確認しますと、政府の決定で公務員の削減という中で、一〇%というのはこのままではかかると。それはやはり避けたいことだというふうには思うのですね。実際、大学にはもうたび重なる定数削減がありましたから、本当にこれ以上はもう出せないというか、これ以上は削られたら困るというような今実態にあるかというふうに思うのです。  この定数削減の一〇%そのものも、もちろん私どもは反対ですけれども、しかし何か、独立行政法人化になるとその一〇%は避けられるという話が一つあると、それでは、その独立行政法人化の方がまだましかという選択肢が入ってきちゃうということが一つ。それから、それよりも、そうしなければ二五%削減さえかかるんだという話もあるのですね。二五%という数字はあり得ないでしょう、直に大学にかかるという形では。それはいかがですか。
  230. 佐々木正峰

    ○佐々木政府参考人 先ほど申し上げたところでございますが、十年間で少なくとも十分の一の削減を行うための新たな計画による定員削減を進めつつ、独立行政法人への移行等により、さらに一層の削減を図って、十年間で二五%削減をするというふうにされておるところでございます。  したがいまして、具体的な削減計画について今後どのように定めるかということは、今後の課題となっておるわけでございまして、現時点で国立大学についてどのような削減となるのかということについて、現在申し上げるような段階にはございませんことを御理解いただきたいと思います。
  231. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 こだわりましたけれども、要するに、何か独立行政法人化にしなければ一〇%から二五%の定削がかかるんだ、だからここで早く決めなければいけないんだという形で、どうも一部には文部省から話がされているんじゃないでしょうかということを私どもも聞いておりますので、そういうことはやはり正確な話として出してほしいということが一つですよね。  それからさらに、大学の中では一部に、これは文部省から言われたという話で伝わっているのですけれども、国の機関として残る場合はもう二五%では済まない、さらに懲罰的な削減も予想されると。こういうことにもなると、やはりこれは独法化へ移行かという話で、何かそこをやはり道をつくっているんじゃないかというふうにさえ言わざるを得ませんので、まず、その二五%以上懲罰的削減などということは、そんな話はあり得ませんよね。これも確認させていただきます。
  232. 佐々木正峰

    ○佐々木政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、これから削減計画を定めるという段階でございますので、したがって、国立大学についてどうこうということについて、現段階で申し上げることはできないというふうに考えております。
  233. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 それで、ここで大臣にぜひ御答弁いただきたいのですけれども、政務次官からもお話ございましたけれども、少なくとも定削と絡めて独立行政法人化の問題を議論すると、やはり正しくないんじゃないかということですよね。完全に切り離すことはできないということはあるにしても、やはり本当に日本の大学がどうなるのかという問題ですから、そういうことをひとつはっきりさせていただきたいのと、独法化になったら二五%の削減が避けられるかのような、こういうことが大学に伝わるということは、少なくともごまかしですから、こういうごまかしでの誘導というのか、説得というか、そういうことはもう本当にやめてもらいたいという点でも、大臣の御見解をちょっと伺いたいと思います。
  234. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 我が国が科学技術創造立国を目指す上で、国立大学の果たす役割は大変重要であるわけであります。要は、どうすれば我が国の国立大学が世界の大学に伍して世界的な教育研究を推進できるか、そういう観点から検討を進めることが重要ではないか、そういうふうに思っております。
  235. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 次に、特例措置で検討されていることについて若干伺いたいと思います。  この特例措置というのも、主務大臣が中期目標の指示を出す、そして計画についても認可をする等々、主務大臣の権限が非常に大きいわけですけれども、これはやはり大学が学問研究教育を自主的に行うということからすると、国の関与を一層強めることになるのではないかというふうに私どもは考えているわけですね。ですから、今考えられている特例措置、残念ながらきょう十分内容を伺えませんけれども、この措置というのは、やはり通則法の範囲で考えられているのか、それともその通則法を超えるような中身をもって考えられているのか、そのことだけ簡単に文部省大臣からでも結構ですが、お願いします。
  236. 佐々木正峰

    ○佐々木政府参考人 文部省といたしましては、国立大学の教育研究の特性を踏まえて、大学の自主性、自律性が適切に確保される必要があると考えておるところでございまして、独立行政法人制度基本的な枠組みを前提としつつ国立大学の特性に配慮した仕組みとなるよう、独立行政法人通則法との調整を図るために必要な特例措置の検討を現在進めているところでございます。
  237. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 お待たせしました。きょうは総務庁から持永政務次官にお越しいただきましたので、行革推進本部として、これは一般論としてお尋ねするのですけれども、通則法が決められている、では、その通則法と、こういう特例措置という特例法みたいなことがどういうふうに認められるのかという御見解、いかがでしょうか。
  238. 持永和見

    ○持永政務次官 大学の関係の独立法人問題につきましては、先ほど来文部省の方からお話がありますように、文部省関係の大学関係者などと鋭意検討を進められております。その状況を見ながら、その結果を待ちながら、私どもとしてはこの独立法人化が適切かどうかというのは考えていかなければならないと思います。  文部省関係の大学は、先ほど来お話がありますように、いわば事業としての特殊性がありますから、その特性の中で、いろいろな御検討をいただいている中身の中で、通則法の原則の範囲を超えるものかどうかということにつきましては、この中身の検討を待ってから私どもとして十分御相談し、そしてまた対処していきたいというふうに考えておりまして、今のところで、これが全部独立法人になれるんですよ、あるいはなれませんよということを申し上げる段階ではちょっとまだないと思います。その文部省の御検討の結果を待っているところでございます。
  239. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 ありがとうございました。  もう一点伺いたいのですけれども、その結果、通則法をまとめられて、そして行革本部との折衝になるかと思うのですが、その場合に、しかしこれでは認められませんとか、そういう場合もあり得るわけですね。  それから、独立行政法人というのは、通則法以外の独立行政法人というのは考えていらっしゃるのでしょうか。
  240. 持永和見

    ○持永政務次官 今のところは、現在考えておりますのは八十九の関係の独立法人というのを考えて、今度の国会にもその関係の個別法案をお出ししておるところでありますけれども、この中には、先ほど来お話がありますとおり、国立大学の関係は入っておりません。国立大学はそれなりの特性がありますから、そういったことで、果たして独立法人の範疇として入れるかどうかということは、これからの検討であります。  そういうことでありますけれども、ただ、もし大学として一般の行政機関とは別な形での何か機関をおつくりになるということであれば、その場合にはそれとして特別の設置法なりなんなりということがあるいはあるかもしれませんが、今のところは、先ほど来申し上げているとおり、文部省あるいは大学関係者との協議の結果を待っておるところであります。独立法人の中でも、先ほどお話がありました、例えば任免の問題だとかあるいは評価の問題だとか中期目標の問題だとか、いろいろな問題について通則法との関係を今検討されているところでありますから、そういった状況を今私どもとしては鋭意見守っている、こういうところであります。
  241. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 どうもありがとうございました。退席されて結構でございます。  文部省が考えている特例措置の中で、私は、最後に一点だけですが、やはり学費問題を伺っておきたいというふうに思います。  それは、通則法でもそうですけれども、法人ですから、その法人としての採算というふうになっていくわけで、その収入いかんによってということになりますと、それがやはり授業料にはね返ってくるのじゃないか。そういう意味での各法人の収入に直結する問題。  それから、大学ごとに金額を設定するということになるわけですね、法人ですから。そうなると、いろいろ大学のばらつきが出てくるということで、大学間格差あるいは学部間格差ということに道を開くのではないかというふうに考えられるわけですが、その辺はいかがでしょうか。
  242. 河村建夫

    河村政務次官 これはちょっと厳しい言い方になるかもしれませんけれども、やはり大学教育も、教育にも競争原理をというのが入ってきておりますし、それから、よく言われますいわゆる護送船団方式で、もう横並びでみんな一斉にというわけにはいかないという考え方も、今後の大学のあり方を見たらそういう考え方も基本にあってしかるべきだというふうに私は感じてはおります。  だからといって、大学の場合には、そこはやはりいわゆる企業なんかと違うところで、教育をやらなきゃいけない。しかも、教育の機会均等という、進学機会を守っていく、そういう大きな役目を果たしておりますから、そういうことから考えますと、安易に——それぞれ独立行政法人は、今までのように国庫に入れるのじゃなくて自分たちの法人会計に入れてまいりますから、それは多いにこしたことはないかもしれませんが、そうはいかない。そこのところはこれから十分ひとつ慎重に、どの範囲まで認めるのかというようなことは、今後の独立行政法人のあり方にもかかわる問題でありまして、通則法にのっとらないで特別法でやっていかなければいかぬというのも、私はそこにあるというふうに思っております。  一般に、こうなると大学によってある程度、そういうことの大学運営陣の知恵とか努力とか、そういうものが大学の評価とかなんかにつながっていくことはあり得ると思いますけれども、そうかといって、安易に今度は授業料がどんどん上がるということは考えられません。そういうことはまた、その大学の評価にもつながる問題でありますから、そう安易にそういうことは起きない。ただ、微妙な差というものは、許容範囲にするかどうかも含めて、特例法なりそういうものの中で考えていかなきゃいかぬ問題だ、このように考えております。
  243. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 本当にいろいろ議論したいことはたくさんございますし、大学関係者の間から、先ほど冒頭申し上げましたようにたくさんいろんな御意見が出ているところです。  それで、これは河村先生のところの、山口大学の学長の広中先生も、これは九月十八日付の中国新聞では、法人化に反対だ、世の中にとってすぐに役立つ研究が優遇されるのなら、私のような数学者はどうなるのだろうと、じっくり時間をかけて議論してほしいという御意見もありますし、今、地方大学、地方の文化、産業、人間育成を担っている地方大学にとっては、本当に真剣な議論がされていると思います。  ですから、ぜひこれは大臣にお願いしたいのですけれども、この問題は拙速を避けるべきだ、時間をかけて大学の内外で本当に慎重な、徹底した討論を保障すべきだというふうに思うのですが、いかがでしょうか。これは大臣に。一言で結構です。
  244. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 御趣旨を踏まえて十分慎重に検討していきたいと思っております。
  245. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 これで終わるべきでもあるのですけれども、ぜひ御紹介したいのは、これは山口二郎さんという北大の先生が、今の核燃料問題と絡めて、本当に臨界寸前の日本を象徴するという論考の中で、この大学の独立行政法人のためにもこういうふうにおっしゃっているのですね。  何のためにという問いを封印して、内心じくじたるものを感じながら百年に一度の制度変更に取り組むという態度は、生産効率を上げるために裏マニュアルをつくった核燃料工場の技術者と同じだと。こう言うと厳しい言い方かもしれませんが、やはり将来に禍根を残すことのないよう徹底した議論が必要だというふうに言われているところであります。  私ども日本共産党としては、やはり二十一世紀日本の学術研究文化の存亡にかかわる問題だというふうにとらえていまして、そういう立場から今後も引き続き追及をしていきたいというふうに思っています。  それで、ちょうど時間になってしまったのですが、実は、日の丸・君が代問題で、法制化以降各地で起こっている問題について一言触れたかったのですが、ちょっと二分ぐらいよろしいでしょうか。——というのは、もう本当にたくさんありますけれども、新聞でもいろいろ皆さんも御存じと思うのですが、歴史教育者協議会という団体が「日の丸・君が代」という本を出しているのですね、八月に。これは中学校、高校の先生でございます。裏にはちゃんと学校名も書いてあるのですが、こういうところに脅迫文が届いている。二十一人の著者のうち、十四人まで届いている。もう学校をやめろという、そういう脅迫が学校に来るという問題。  それから、広島では教員の採用試験の面接に、日の丸・君が代についてどう思うかという質問があったということは、新聞報道で皆さん御案内のとおりであります。  国民の中でやはり二分した問題であり、もっと徹底して議論をすべきだという声もあったり、地方自治体では、東京の多摩市などでは、日の丸・君が代の強制反対の陳情が採択されるというようなこともあって、引き続き大きな国民的関心になっているわけですね。  私はきょう、一点だけですが、広島県の教員採用の面接で、君が代・日の丸をどう思うかというのがあったと。これはもう明らかに憲法の保障している内心の自由に違反する質問ではないかというふうに思うのですが、大臣、いかがでございましょうか。
  246. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 広島県の教員採用面接での御質問でございますけれども、広島県の教育委員会からは、御指摘の教員採用試験の面接試験におきまして、学校における国旗・国歌の教育指導にかかわる内容の質問はあったと。つまり、どういう指導をするのですか、そういうような質問はありましたけれども、国旗・国歌に対する個人としての思想、信条に立ち入るような、そういう質問はなかった、そういう報告を受けております。  学校における国旗・国歌の教育指導にかかわる質問は、あくまでも学習指導要領に基づく教育指導上の観点に立ってなされたものでありまして、受験生の内心の自由を侵すことにはならないものと考えております。今後受験生が教員として採用された場合には、教員である以上は、学校において、国旗・国歌について学習指導要領にのっとって適切に指導していくことを期待しております。
  247. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 以上で終わります。
  248. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、濱田健一君。
  249. 濱田健一

    濱田(健)委員 社会民主党の濱田健一でございます。  大臣、御就任おめでとうございます。  河村先生には、私が国会に参りましてから、文教行政全般にわたっていろいろとこの六年間も御指導いただきまして、今回は総括政務次官として大臣を支えられるということで、本当に頑張っていただきたいというふうに思います。  二十五分というわずかな時間でございますので、今私が子供たちの様子や先生方状況等を見聞きしている問題の中で、基本的なことを大臣にお尋ねをして、率直な御感想や御意見をいただきたいというふうに思います。  これは質問には出していないのですが、大臣、子育てをされてき、まだ現在もされておられる父親という立場から、文部大臣に御就任をされて、非常にマクロ的なお尋ねの仕方になるかとは思うのですが、今の日本子供たち、小学生、中学生、高校生の姿をごらんになって、こういうところはやはり伸ばしていくべきではないかなとか、こういうところは自分が大臣の間に一定の方向で変えてみたいなとかいうような、御就任いただいてわずか一カ月でございますけれども、何かそういう、大臣になられて見られる子供たちの姿の中で御感想がございましたら、一つ二つ御披露いただければ幸いでございます。
  250. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今の子供たちをどう見ておるかという御質問でございますけれども、私は、今の子供たちは非常に伸び伸びと生きている、それからまた個性的でもあるし、感性も豊かである、そういうふうに感じております。  一方で、物事のよしあしの判断がなかなかつかない子供も多い、あるいは我慢ができない子供もある、また思いやり不足の子供たちもいる、それから正義感、そういうものに欠ける子供たちもいるのではないか、そういうふうにも感じております。  私自身も父親として反省をしているんですけれども、非常に忙しい世の中になって、また家庭でも、核家族になり、おじいちゃん、おばあちゃんとは一緒に住まないような家庭が都会ではふえてまいりましたし、また、両親とも働きに出ているとか、そういうように子供を取り巻く環境が大きく変わってきておりまして、そういう中からいわゆる学級崩壊とか不登校とか、こういう問題ができてきているのではないか、そういうふうに感じております。  私自身、御質問からまたそれますけれども、大切なことは、やはり父親、母親が自分の家庭を、足元をもう一回よく見詰め直して、そして原点から再スタートする、自分の子供のしつけをしっかりとやる、そういうところにかなりというか、すべてかかっているのではないか、そういうふうに認識しておりまして、今後そういうような訴えをしていきたい、そういうふうに思っております。
  251. 濱田健一

    濱田(健)委員 子供たちの姿を見たときに、学校が悪いとか家庭が悪いとか、いろいろなところに責任を転嫁する傾向が今まであったわけですし、まだ今もあるかもしれないんですが、今大臣がおっしゃる、いろいろな角度からの子供たちへのアプローチといいますか、大人の姿が子供の姿だとも言われておりますし、マクロ的ですけれども、今の大臣の御答弁は、私自身、的確な見方だというふうに申し上げさせていただきたいなと思うところでございます。  さて、今もお言葉にございましたとおりに、学級崩壊という言葉が、何か今の学校の中で、さも非常にポピュラーに蔓延をしているように聞くのでございます。私の鹿児島で、国会が閉じている間、私自身、学校をたくさん回らせていただきました。校長さんや一般先生ともお話をしますが、直接学級の姿そのものを見る時間は余りないんですけれども、鹿児島ではまだ、まだという表現はおかしいんですが、学級崩壊という現象は少ないように感じました。  ただ、先週の木曜日から鹿児島でありました教育研究集会に行ったときに、新しく転勤して二年生を持たれたある女性の先生が、転勤して行った途端に、まだ子供たちの姿も見ない前に、その町の、農村部なんですけれども、教育長さんから、先生、すごいところに来ましたね、ここの町の子供たちはめちゃくちゃ荒れていますよと言われた。初めて来て、まだクラスの子供の顔も見ないのに、何で教育長さんがそんなことを言うんだろうというふうにびっくりされた。実際クラスに入ってみると、まだ授業を始める前から、正直言って言われたとおりの状況だったという話を、いじめ、不登校問題のジャンルの会でされました。  直接自分の目で見ていませんので全部を信じがたいわけでございますけれども、そういう話を聞くと、やはり鹿児島でもあるところにはあるんだなというふうに感じたところでございます。  子供たちのこの姿というものを見たときに、ある精神科医の先生調査を見てみますと、「私は自分がどんな人間なのかわからなくて困ることがある」というのが調査対象の三五・七%、これは中学生と高校生なんですけれども、答えています。「何か決めるのは私には難しい」ちょっとよく意味がわからないのですけれども、三二・五%。「私はときどき心がばらばらになる」というのが二九・六%。つまり、子供そのものが、子供らしい、学生らしい感性で主体的に生きにくくなっているのかなと、この設問肢の中で答えている中身というものを考えたときに、私はそういうふうに感じて、生まれて、小学校に入ってくる、小学校の生活を通して中学校に行く過程の中で、学ぶとか参加をするという主体性というものを失った子供がふえているんじゃないのかなというふうに思うんですね。  そして、これもちょっと独善的な言い方かもしれないんですが、私も、おやじが中学校一年生のときに死にましたので、片親でそれからずっと育ってきたわけです。これはちょっと変な言い方になってしまうんですけれども、結婚されて、子供が生まれて、うまくいかなくて、そしてそのまま別れてしまわれて田舎に帰ってこられるという方が非常に多いんですね。これは、片親だからどうこうということを僕は申し上げているつもりじゃないんですけれども、そういう状況を世の中がつくり出している状態の中で、子供と親との関係というものも、非常にある面いびつになっているということが私は言えそうな気がいたします。  ここで、大臣にお聞きしたいというか、先生方がまだ教育的な指導をしない前から学級の崩壊というのが起きている。そして、それを保育園や幼稚園で見ると、その姿はなかなか見えない。三月で卒園した子供たちが、わずか、小学校に入ってきた途端に学級の中でまとまっていけないという現象が何なのか、僕にもよくわからない。  ただ、途中で、学級崩壊というのが起きている起因というのは多分にいじめの問題から、そのことがそのクラスのリーダー格の子供たちへのいじめに発展をして、その後教師のいじめということにエスカレートしていきながら全体が崩れてしまうというパターンをよく見聞きするわけなんです。  申しわけございません、本当に抽象的な問いかけなんですが、学級崩壊というのは、答えはないと思うんです、いろいろな要因があると思うんですが、どういうところから起きてきているのだろうか。大臣なりの、また総括政務次官なりの、今お考えになっているところをお聞かせいただければ幸いです。
  252. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今の子供たちの気持ちというのは、我々の尺度ではかるというか、心の中まで読み取ることが非常に難しくなっているのではないか、そういうふうにまず思っておりまして、どうしたら子供たちの心の中が読めるかということに我々は少し努力をして、また工夫をしなければならない、まずそういうふうに思っております。  先ほどのお話の中で、学ぶとか参加する、そういうことが少なくなってきている、主体性もなくなってきているというお話もありましたけれども、私たちもそういう点は非常に心配をしておりまして、学校教育のプログラムの中で自律、自主の精神というものを養えるようにということも力を入れておりますし、また、総合学習の時間というようなものも設けまして、体験学習とか自然との触れ合いとかそういうような形で、今失われつつあるものを少しでも補おう、そしてまた、将来伸びる可能性のある子供たちを、そういう芽を摘まないようにというような努力をしているところでございます。  どうして学級崩壊が起こるのかというお話でございますけれども、先ほども申し上げましたように、もちろん一言では説明できないような難しい環境でありますが、就学前の教育との連携協力というものが一つは不足しているようなケースがあるのではないかと思いますし、それから、必要な教育、しつけというものを家庭で十分に受けていないまま就学をしてしまう、そういうような例もあると思います。また、学校に入ってからでありますけれども、授業の内容等に不満を持つ子供がいる、あるいはお話ありましたように、いじめなど、そういうようなことへ対する、問題行動への適切な対応がなかなかできない、そういうこともあろうかと思います。  お答えになっていなくて大変申しわけないんですけれども、今回、教育改革を掲げておりますけれども、二十一世紀日本教育をどうするかということと同時に、またそれ以上に、現在の学級崩壊とか不登校の問題とかいじめの問題、そういう問題をあらゆる角度から議論し検討していく、そして子供たちを救っていくということが今私たちに与えられた大きな課題ではないか、そういうふうに思っております。
  253. 濱田健一

    濱田(健)委員 大臣、ありがとうございます。原因というか、内容的には本当にこれだというふうには絶対言えないという答えが正解だと私も思います。  そういう中で、少なくとも、義務制の学校といいますか、子供たちが幼稚園、保育園を出て小学校に上がってくる、中学校に進学するという状況の中では、私もこれだとよく言えないんですけれども、やはり人間関係の希薄さというのが、どうしても一人一人の子供たちの、人間に対する感性の高まりとか、先生や親たちと一緒に何かをやっていこうという学びの積極さとか、いろいろなものへの参加の積極さというものを失わしめているところがあるんじゃないか。非常に科学的ではないんですけれども、そんな気がするんです。  そこで、一つ取り組みとして、やはり私は、子どもの権利条約の中に意見表明権というのが明示されているわけですが、子供たち子供たちの考えを幾らでも表明させると取りとめがないというようなことを言われる方もいるんですが、そこは一つ一つのけじめをつけるということも必要だと思うんですけれども、とにかく、子供たちに、小学生、中学生に話を聞いたときに、自分というものの思いを発露する場所というのが学校家庭にあるのかと。きちんと親に伝える、先生に伝える、そういう交流がなされているのか。私はこう思うんだがと言われても、それがきちんと伝わっていかないという戸惑いもいっぱいあると思うんです。  そういう中で、この意見表明権という、権利ということを私は強く声高に申し上げるつもりはないんですが、例えば、家庭の中でも学校教育の中でも、学校子供が主役だというのであれば、いろいろな活動の中に子供たちの意見、子供たちの考えというものがどんどん入っていくということを保障する。  あいつはまた嫌なことを言うなと思われるかもしれませんが、入学式とか卒業式、こういう学校行事も、ある意味では、子供たちが参加し、意見を表明し、一緒につくっていくというような流れというのが、やはり学校を取り巻いていく環境の中で大事じゃないのかなと。先生たちが主体的になって、こうしろと言う部分も確かにあるとは思うんですけれども、やはりいろいろなものを子供たちが、生徒たちが中心になってつくり上げていく、そういう学校像であったり家庭あり方というものを私は今後とも模索したいなと思うんですが、その辺、大臣、私の考え、どうでしょう。
  254. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 児童がみずからの意見を表明する権利を保障するとともに、またその意見につきましては、その児童の年齢とかあるいは成熟度に応じて相応に考慮されるべきである、そういう児童の権利に関する条約でありますけれども、私は本当に大変重要なことである、そういうふうに思っております。  子供たちが意見を表明する場があるのか、そういうお尋ねでありますけれども、昨今の、先ほどの話にもまた戻ってしまうかもしれませんけれども、核家族化とかあるいは兄弟が少ないとか、そういうような家庭環境を見ますと、子供たちが本当に自分たちの悩みとか相談事を打ち明けたりする場も少なくなってきているのではないか、そういうふうにも思っているわけであります。  学校などの場におきましては、生徒会活動とかクラブ活動とかいろいろな場も考えられると思いますけれども、先ほど申し上げましたように、子供たちが何を考えているのか、何を悩んでいるのかというようなことについて私たちがもっと注意を払っていかなければならない、そういうところから子供たちの気持ちを引き出していくということが重要ではないか、そういうふうに思っております。
  255. 濱田健一

    濱田(健)委員 私は、この子どもの権利条約のそれぞれの条項というものを、大人というか、人生の先輩としてきちっと保障していくという方向性をより日本の社会の中で高めていくということが、文部行政の中でも大きな柱にならなくてはならないというふうに思いますし、大臣の積極的なお取り組みをお願いしたいと思っているところでございます。  時間がなくなりました。  教育職員養成審議会、教養審の七月の総会の中で、新たな答申に向けての方向性が大体決まったようでございます。教員養成という大事な仕組みをどうしていくのかということでございますけれども、子供たちの今の実態を含めて、先生方実態というものも、教員の先輩というか、先に教員になった者としてやはり心配するところはいっぱいあります。  それは、大臣含めて文部省の皆さん方も一緒だろうというふうに思うわけですが、試験をして成績のいい学生を採るというのはどの世界でも一緒だとは思うんですけれども、果たしてそれだけでいい先生になれる資格なり素質を持った人を採用できるのかという問題が、やはり私たちの頭の中に絶えずのしかかってくるわけです。  例えば、県の教育委員会の教員経験者であったりまたは知事部局等々から出てこられる皆さん方が面接されたりいろいろして、最終的に採用があるわけですが、私はやはり多角的な観点から、心理学の素養を持っていらっしゃる先生とか、先ほどどなたか言っておられましたけれども、芸術的な観点から人間を見られる先生だとか、そういう幅広い採用の中で候補者を見るということが必要ではないかということが一点です。  それと、初任者研修制度がスタートしてもう何年になるんでしょうか。僕らが教員になったころは、現職教育という形で、現場先生たちから学校の中でいろいろなことを教えてもらって、一人前というか半人前というか、少しずつ成長してきたわけですが、今は、国の制度として初任者研修制度があって、靴の並べ方から手とり足とり一年間教えておられるようでございます。  新聞報道等では、この教養審の総会で出された中身、いろいろ出ておりますが、初任者に学級担任をさせないというようなところだけが何かクローズアップされているようでございまして、これは間違いだろうと私は思っているのです。初任者には学級担任をさせないということであれば、逆に言うと、今まで文部省がやってきた初任者研修制度というのは何だったのかというふうに私は思うし、やはり先生たちというのは、学校子供と一緒に生活をすることによって、先生の卵から本当の先生になっていくと私は思っているわけでございます。  質問の中身は、このことに限定しているわけではなくて、教養審なりがどういうふうな形で今後文部省に対して、国民に対して、教員養成のあり方というものを答申するのか、そのことに大臣としてはどういうことを期待されるのか。  教員養成というプロセスと教員の採用ないし採用された後の研修というものが、もし初任者研修制度というものが実質、金をかけた割に担任もさせられない状況の中で進んできているのであれば、もっと別な形をとるべきではないかという、新たな行政上の、私はあえて失敗とは申し上げませんけれども、方向転換も必要ではないのかというようなことを含めて、大臣に、御感想というか、御見解をお伺いしたいと思います。
  256. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 お話にありました教育職員養成審議会におきましては、教員の養成、採用、それから研修の連携方策等について審議をいただいているところであります。  学校教育の直接の担い手となる教員の資質、能力の向上というのは大変重要な課題でありまして、教員としてふさわしい資質、能力を有する多様な教員の確保、これがまず第一であろう、そういうふうに思っております。  教員になりましてからの初任者研修制度を初めとして、各種研修制度がありますけれども、私自身は、やはり教員にもう少し社会を知ってもらうことも必要ではないかと。ある意味では、失礼な言い方になるかもしれませんけれども、先生は、小学校から大学を卒業するまで十六年間学校の中で勉強をしてきて、そして、学校を卒業してからはまた学校の中で、今度は教わる立場から教える立場になって仕事をするということであります。御近所とか親戚とか友人とか、そういう意味での社会はもちろん御存じと思いますけれども、いわゆる一般社会、会社勤めとかそういうような社会については余り経験がないというのが一般的でありまして、私は先生方には、視野の広い、またバランス感覚のある先生子供を教えてほしい、そういう気持ちを持っております。  そういう意味で、初任者研修、もちろんいろいろ充実してきておりますけれども、一度教員になった後の長期社会体験研修というんでしょうか、民間企業等へも行っていただいて、それも、できることなら半年から一年ぐらい行っていただいて、私もサラリーマン生活を十五年ほど経験いたしましたけれども、お得意さんに行って代金回収の苦労をしたり、頭を下げたり、どういう仕事でもいいんですけれども、社会の経験を積んでいただくということが、先生そのものの資質の向上につながる。そういうことによって、自然とまた先生子供に対する接し方、あるいは子供先生を見る目も変わってくるんではないかというふうにも思っておりまして、個人的な話で恐縮でございますが、もう大分前から、議員立法でこういうような制度をぜひ成立させたいというような運動もしてきたところでございます。  文部省でも、そのような長期社会体験研修といいますか、そういうような制度も実施しておりますので、これを広げていただければいいとは思っておりますけれども、そういうようないろいろな各種の研修をやって先生の資質を高めていくということが重要ではないかと思っております。  この審議会の審議結果等も十分踏まえつつ、今後もこの資質、能力の向上のために必要な措置をとっていきたい、そういうふうに思っております。
  257. 濱田健一

    濱田(健)委員 時間が来ましたので終わります。  研修のあり方等々については、大臣のお考えとはまた若干違う私なりの主張もございますけれども、できなかった質問を含めて、また後日させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  258. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 御苦労さまでございました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時六分散会