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1999-11-10 第146回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成十一年十月二十九日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    委員長 穂積 良行君    理事 赤城 徳彦君 理事 松岡 利勝君    理事 小平 忠正君 理事 木幡 弘道君    理事 宮地 正介君 理事 一川 保夫君       稲葉 大和君    今村 雅弘君       小野寺五典君    金田 英行君       河井 克行君    木部 佳昭君       岸本 光造君    北村 直人君       熊谷 市雄君    栗原 博久君       塩谷  立君    園田 修光君       野呂田芳成君    藤本 孝雄君       二田 孝治君    松下 忠洋君       御法川英文君    宮本 一三君       矢上 雅義君    谷津 義男君       安住  淳君    石橋 大吉君       佐藤謙一郎君    鉢呂 吉雄君       上田  勇君    漆原 良夫君       木村 太郎君    井上 喜一君       佐々木洋平君    菅原喜重郎君       中林よし子君    藤田 スミ君       前島 秀行君     ————————————— 十月二十九日  穂積良行委員長辞任につき、その補欠として松岡利勝君が議院において、委員長に選任された。     ————————————— 平成十一年十一月十日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 松岡 利勝君    理事 赤城 徳彦君 理事 金田 英行君    理事 松下 忠洋君 理事 宮本 一三君    理事 小平 忠正君 理事 鉢呂 吉雄君    理事 宮地 正介君 理事 一川 保夫君       今村 雅弘君    江渡 聡徳君       衛藤征士郎君    小野寺五典君       河井 克行君    木部 佳昭君       北村 直人君    熊谷 市雄君       栗原 博久君    塩谷  立君      田野瀬良太郎君    野呂田芳成君       藤本 孝雄君    二田 孝治君       御法川英文君    宮島 大典君       矢上 雅義君    安住  淳君       石橋 大吉君    佐藤謙一郎君       上田  勇君    漆原 良夫君       木村 太郎君    井上 喜一君       佐々木洋平君    菅原喜重郎君       中林よし子君    藤田 スミ君       前島 秀行君     —————————————    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    農林水産政務次官     金田 勝年君    政府参考人    (農林水産省経済局長)  石原  葵君    政府参考人    (食糧庁長官)      高木  賢君    政府参考人    (水産庁長官)      中須 勇雄君    農林水産委員会専門員   外山 文雄君     ————————————— 委員異動 十月二十九日  辞任         補欠選任   穂積 良行君     衛藤征士郎君 十一月十日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君    田野瀬良太郎君   園田 修光君     江渡 聡徳君   二田 孝治君     宮島 大典君 同日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     園田 修光君  田野瀬良太郎君     稲葉 大和君   宮島 大典君     二田 孝治君 同日  理事増田敏男君十月五日委員辞任につき、その補欠として岸本光造君が理事に当選した。 同日  理事横内正明君十月二十八日委員辞任につき、その補欠として金田英行君が理事に当選した。 同日  理事松岡利勝君十月二十九日委員長就任につき、その補欠として宮本一三君が理事に当選した。 同日  理事赤城徳彦君及び木幡弘道君同日理事辞任につき、その補欠として松下忠洋君及び鉢呂吉雄君が理事に当選した。     ————————————— 十月二十九日  農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案内閣提出、第百四十五回国会閣法第一二三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件     午前十時一分開議      ————◇—————
  2. 松岡利勝

    松岡委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  このたび、農林水産委員長の重責を担うことになりました松岡利勝でございます。  申すまでもなく、農林水産業は、食料安定供給確保のほか、国土自然環境保全など、各般にわたり大変重要な役割を担っております。しかしながら、今日、我が国農林水産業を取り巻く内外の諸情勢は極めて厳しく、その維持と発展が強く望まれております。  このような情勢の中、本委員会に課せられた使命はまことに重大であり、改めてその責務の重さを痛感いたしております。  甚だ微力ではございますが、委員各位の御協力と御鞭撻を賜りまして、公正かつ円滑な委員会運営に努めてまいりたいと存じます。  何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  3. 松岡利勝

    松岡委員長 理事辞任の件についてお諮りをいたします。  理事赤城徳彦君及び木幡弘道君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任による欠員のほか、委員異動による欠員二名並びに私の委員長就任に伴います欠員一名、計五名の理事が現在欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事に       金田 英行君    岸本 光造君       松下 忠洋君    宮本 一三君    及び 鉢呂 吉雄君 を指名いたします。      ————◇—————
  6. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業の実情を調査し、その振興を図るため  農林水産業振興に関する事項  農林水産物に関する事項  農林水産業団体に関する事項  農林水産金融に関する事項 及び  農林漁業災害補償制度に関する事項 について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  8. 松岡利勝

    松岡委員長 この際、玉沢農林水産大臣及び金田農林水産政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。農林水産大臣玉沢徳一郎君。
  9. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 このたび、農林水産大臣を拝命いたしました玉沢徳一郎でございます。  松岡委員長を初め委員の諸先生におかれましては、日ごろから農林水産行政推進に格段の御理解と御支援をいただき、この機会に厚く御礼を申し上げます。  また、この夏以来、各地で相次いだ豪雨、台風災害により被害を受けられた多くの方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。  農林水産委員会の開催に当たりまして、私の所信一端を申し上げます。  我が国農林水産業農山漁村は、食料安定供給はもとより、国土環境保全、良好な景観の形成、文化の伝承等、多面的な機能を有しております。その中でも、一億三千万人の国民に良質で安全な食料を安定的に供給することは、国家存立の基盤であり、国が果たすべき基本的な責務であります。また、地域における重要な産業であります農林水産業及び関連産業振興を図ることは、地域経済社会活性化観点から、極めて重要となっております。  こうした役割を担う農林水産業農山漁村について、消費者との共生という考えのもとにその健全な発展を図ることは、我が国が真に豊かな国となるために不可欠なことであると確信しております。  このため、二十一世紀における我が国農林水産業農山漁村が、魅力にあふれ、活力に満ちたものとなるよう、当面する以下の課題全力で取り組む決意であります。  第一に、食料農業農村基本法に基づく新たな農政推進であります。  去る七月十六日に公布、施行された食料農業農村基本法は、二十一世紀に向けた食料農業農村政策基本指針となるものであり、今後、この新基本法に即した施策具体化を着実に推進をしていく考えであります。  とりわけ、食料農業農村基本計画は、新基本法に基づく施策具体化計画という重要な位置づけを有するものであります。この中で、食料自給率の目標のほか、食料安全性確保と品質の改善、遺伝子組み換え食品を含めた表示の適正化など、消費者の視点を重視した施策を定めます。あわせて、優良農地確保と効率的かつ安定的な農業経営の育成を通じた農業持続的発展のための施策農村の総合的な振興のための施策などを定めることとしております。今後、食料農業農村政策審議会の御意見を踏まえながらその検討を急ぎ、今年度中に策定する考えであります。  第二に、土地利用型農業活性化についてであります。  水田農業の再構築を図るとともに、食料自給率向上に資するため、先月末に水田中心とした土地利用型農業活性化対策大綱を取りまとめたところであり、今後、これに基づき、需要に応じた米の計画的生産の徹底と水田における麦、大豆飼料作物等本格的生産を二本柱とする総合的施策を講じてまいります。  第三に、来年初めから始まりますWTO次期交渉への取り組みについてであります。  WTO次期交渉において、農林水産物については、いずれの国にとっても公平で公正な貿易ルール確立を図ることが基本であります。この意味で、農業分野については、農業環境地域社会等に果たす多面的機能食料安全保障に配慮すること、輸出入国間の不公平を是正すること、また、林野水産分野につきましては、森林水産資源のような再生可能な有限天然資源持続的利用に貢献する国際規律とすることが重要であると認識しております。  今後、このような我が国主張理解が得られますよう最大限努めるとともに、我が国と同様な立場に立っている国々との協調も深めながら、次期交渉に万全の体制で臨む所存であります。  第四に、森林林業木材産業基本政策の見直しについてであります。  木材需要、価格の低迷、林業労働力の減少、高齢化等により林業生産活動が停滞し、森林の整備、管理が十分行われにくくなる一方、森林の多様な機能の発揮に対する国民の要請は多様化、高度化しています。このため、本年七月に森林林業木材産業基本政策検討会で取りまとめられた基本的課題について、当面、基本法制あり方を含む具体的な対応方向手順の取りまとめを急ぐ考えであります。  第五に、今後の水産政策についてであります。  我が国水産業については、本格的な二百海里時代を迎えたところであり、新たな海洋秩序にふさわしい基本政策確立が必要となっております。このため、去る八月三十一日に取りまとめられた水産基本政策検討会の報告に示された方向に沿って、基本政策具体的内容実施プログラムを取りまとめるとともに、漁業基本法を初め必要な水産基本法制確立に向け、その内容手順の詰めを急ぐ考えであります。  また、中国との間では、新しい日中漁業協定について早期の発効に向け努力してまいります。韓国との漁業交渉につきましては、暫定水域における資源管理措置等について早期合意を得るよう引き続き努力してまいります。  第六に、技術開発推進についてであります。  農林水産業及び食品産業生産性向上、安全で安心な農林水産物供給、さらには地球規模食料環境資源問題に対処していく上で、農林水産関係研究開発が果たす役割は極めて重要であります。  このため、現場に直結した技術バイオテクノロジー等革新的技術開発を積極的に進め、生産性向上を図るほか、化学肥料、農薬の使用低減等による環境に優しい生産推進消費者ニーズに対応した安全、良質な食品供給等を図っていく考えであります。  なお、今後の農林水産省組織あり方につきましては、昨年六月に成立しました中央省庁等改革基本法に基づき、農林水産省組織改革試験研究機関等独立行政法人化等を着実に実施してまいる所存であります。  以上、私の所信一端を申し上げました。  農林水産行政は、国民生活に密着したものであります。生産に携わる方々がみずからの職業に誇りと希望を持つことができるよう、また、国民が安心して豊かに暮らしていけるよう、施策推進に当たりましては、現場方々の声を最大限尊重するとともに、国民から信頼される政策構築全力を尽くしてまいります。  委員各位におかれましては、農林水産行政推進のため、今後とも一層の御支援、御協力を賜りますよう、切にお願い申し上げる次第であります。(拍手
  10. 松岡利勝

  11. 金田勝年

    金田政務次官 このたび農林水産政務次官を拝命いたしました金田勝年でございます。  玉沢大臣指導をいただきながら、谷津総括政務次官と力を合わせまして、農林水産行政の遂行に全力を尽くしてまいる所存であります。  委員長を初め委員の皆様の御支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  12. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省経済局長石原葵君、食糧庁長官高木賢君及び水産庁長官中須勇雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  14. 松岡利勝

    松岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金田英行君。
  15. 金田英行

    金田(英)委員 北海道の金田英行であります。  このたび政府委員制度が廃止されて、新しい国会運営というようなことになりました。党の農林行政をしっかりと担ってまいりました松岡委員長が誕生されました。まさにこれから委員長の手腕が問われるところでございますし、新しい委員会運営について期待するところ大でありますので、よろしくお願い申し上げます。  そしてまた、冒頭の質問の栄誉を与えられました金田英行、興奮しておりますけれども、どうかよろしくお願い申し上げます。  このたびの内閣改造におきまして、玉沢徳一郎農林水産大臣をお迎えすることができました。玉沢大臣におかれましては、防衛庁長官、そして自由民主党の総合農政調査会長を歴任されまして、混迷のまさに重大な農林行政転機を迎えているこのときに玉沢農林水産大臣をお迎えできて、これから我々と一緒に農政を展開できますことを本当に心から頼もしく思っておるところでございます。  谷津総括につきましては、今スペインやフィンランドを回っておりまして、きょうの委員会に間に合っておりませんけれども、まさにWTO、今月末からの次期シアトルのスタートに当たって、もう既に各先生方躍起になってその対策に取り組んでいるところでございます。  また、農林水産大臣におかれましては、今月十三日から十六日に向けて、ローマのFAO、それからオーストリアのEUのフィッシュラー農林漁業委員との下打ち合わせ、交渉等に臨むということでございますので、本当に就任早々、大変な御活躍というふうに聞いているわけでございます。  とにかく、このWTO、まさに大変な日本農業、のるか反るかの大切な交渉だというふうに金田も思っているわけでございます。日本主張農業の持つ多面的な機能をしっかりと諸外国に認識させるということが大切であります。また、二点目は、食料安全保障という面に思いをいたした締結内容にならなければなりません。そして三つ目には、輸出国論理だけがまかり通る、そういう交渉であってはならないわけでありまして、輸入国論理、そういったものもしっかりとはめ込まれた交渉内容にしていかなければだめだというふうに思っているところでございます。  瑞穂の国、日本農業、米でございますが、何とか関税化に切りかえておりまして、キロ三百四十一円の高関税を課すことができているわけであります。三百四十一円と申しますと、一俵当たり二万円からの関税であります。どうしてもこの関税を何とか維持していかなければ、日本の米、農業は大変な事態になるということでございます。そういった意味で、このWTO交渉において日本主張を貫徹することがぜひとも必要だ、食料の、日本農業の存廃がかかっているというふうに思っておるわけでございます。  そういうことで、先ほどの大臣所信表明にもございましたけれども、本当に、防衛庁長官も歴任された、まさにうってつけの農林水産大臣が、これから、破壊力発言力のまさに絶大な玉沢農林水産大臣に期待するところ大でありますので、WTOに向けての大臣の御決意日本農業をおれが守るんだといった意気込みをぜひとも聞かせていただきたいと思っております。
  16. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 次期WTO交渉に向けまして、日本主張を貫徹し、しっかり頑張れ、こういう委員の御意見を十分体しまして、万全を期して交渉に臨んでまいりたい、こう考えております。  まず、交渉に向かいましては、一番大事なことは、シアトル閣僚会議閣僚宣言をどのような形にするかというところで今それぞれ各国意見が分かれておるところでありまして、我が国としましては、あくまでも農業の持つ多面的機能等、非貿易的関心事項に対する配慮、これを強力に主張し、農産物貿易鉱工業製品と同じように扱うべきだ、こう主張しておりますケアンズ・グループ国々と真っ向から対立をいたしておるわけであります。また、林野水産分野につきましては、地球的規模環境問題や資源保存管理等観点から、他の非農産品とは別の交渉グループで取り扱うことが必要である、こういう観点から主張しておるわけであります。  こうして、各国意見は大きな隔たりがありますけれども、我が国としましては、今後ともシアトル閣僚会議までの準備プロセスに積極的に参加しまして、閣僚宣言にまず我が国考え方が反映されますように最大限の努力を払っていく、こういう決意で臨んでまいりたいと存じます。
  17. 金田英行

    金田(英)委員 ありがとうございます。  百三十四カ国、WTO加盟国があるわけでございますけれども、何しろこの百三十四カ国に日本主張に対する耳を傾けていただく、なるほどなということで大向こうをうならす、そういった主張がぜひとも必要だろうと思うわけであります。日本主張は、何も筋道が違っているわけでもございませんし、他の国々の賛同を得られやすいものだというふうに思っているわけでありますが、ケアンズ・グループの猛攻の中でなかなか主張が通りづらいという状況がまた一方あるんだろうというふうに思います。  私、考えますに、百三十四カ国のうちの日本主張というのはどういうものなのか、日本主張は単なる百三十四分の一なのかどうかということであります。百三十四カ国のたった百三十四分の一という主張ではないはずであります。まさに、日本は最大の食料輸入国でもあります。そして、水産物等々につきましては世界貿易量の四割を日本が担っているわけでありまして、単なる数、百三十四分の一じゃなくて、日本がこう主張したよということが大きな影響力を持ってしかるべきでありますし、日本主張には耳を傾けなきゃならないんだというような状況に果たしてなっているのかどうか、また、そうさせなければならないという意気込みが必要でありますけれども、どうしても、WTOの場における日本主張、とにかく、日本がだだをこねたらと申しますか、日本が首を縦に振らないとWTO交渉内容交渉結果そのものが宙に浮いてしまうんだというような位置を日本は占めているはずでありますので、そういったことについてもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  また、百三十四カ国各国日本主張になるほどというふうに是認していただくがために、国会議員外交もこれから必要になってまいると思いますので、委員長の御指導も必要でございますので、加盟各国に対する日本主張をしっかりと守って主張していかなきゃならないというふうに思っております。  とにかく細川政権下においてのウルグアイ・ラウンドの失敗を二度と繰り返してはならないわけでありますので、あのときの取り組みとはさま変わり取り組みがこれからぜひとも必要でございますので、その点についてもよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。  また、これは単に百三十四カ国ということではなくて、自然を守らなきゃならない、農業の多面的な機能も守らなきゃならない、世界森林資源も守り、そして海の漁業資源、そういったものも守ることは、まさに環境問題でもございます。そういった意味で、各国だけでなくて、世界各地NGO活動も大きな働きをなすであろうというふうに思われるわけでありますので、NGO等々への働きかけについても、多面的に交渉を盛り上げるために、日本主張を貫徹するために、ぜひともやっていただきたいと思っております。その点についてもよろしくお願い申し上げたいと思います。  今の意見につきまして、何かちょっと違うぞ金田というところがあったら、大臣の御答弁を賜りたいと思います。
  18. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 WTO次期交渉におきましては、我が国主張を強力に展開し、我が国考え方が十分反映された合意内容を獲得するためには、まずもって幅広く国論を統一していくことが大事である、このように考えます。また、今お話がありましたように、今回の交渉におきましては、地球的規模での環境問題や食品安全性等観点から、世界市民グループが強い関心を寄せておりまして、シアトル閣僚会議にも我が国を初め各国から多数のNGOがオブザーバーとして参加することになっておると伺っております。  こうした状況考えれば、これまでの交渉以上に、農林水産関係者のみならず、消費者経済団体を含めた国民的合意形成が重要と考えております。その点についてよろしく御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
  19. 金田英行

    金田(英)委員 ありがとうございます。WTOについて心強い大臣の御発言を賜りました。一生懸命我々ともども頑張ってまいりたいと思いますので、御指導のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、農政問題は大きな転機を迎えております。新農業基本法をさきの国会で通過させていただきました。そういったことで、今までの農政、米にやたらに傾斜していた農政、各分野において農政の大転換をなし遂げることができております。農業基本法において食料自給率向上を宣言し、そして、米中心あり方から、麦、大豆飼料作物等々への政策の大転換であります。今までとかく米中心になっていたのを、自給率向上させるためには、麦、大豆生産を奨励する必要があるというような政策転換をなし遂げたわけであります。新たな土地利用型農業活性化対策大綱も決めることができました。  まさにこれからでありますが、こういった大きな農政転換をなし遂げるためには、さらに現場での実態、この大綱に沿って農家の皆さん方が本当に大豆や麦や飼料作物を本格的に混作として取り組むような状況になったのか。確かにいろいろな制度、大綱の中では一反歩当たり七万円とか、いろいろな形で、麦をつくる、そういった意欲が農家の皆さん方に出てくるような改革をやっているわけでございます。そしてまた、従来になかった中山間地等の直接支払いというような大きな制度改革もなし遂げることができました。中山間地等直接支払いという形の中で、相当のまだら模様があることも実態であります。  こういった大きな改革の中で、農家の皆さん方にこの改革のしわ寄せが、農民の方々にのみしわ寄せされるということであってはならないと思うわけであります。改革期に伴う負担が農民にしわ寄せになって、農家の負担だけがふえるということであってはならない。そういった配慮もこの大綱の中では相当やっておるわけでありますので、農家への負担がしわ寄せになるということのないように、特に注意していかなければならないというふうに思うわけでありますが、農林水産大臣の御所見を賜りたいと思います。
  20. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 食料農業農村政策は、農業者だけでなく、加工、流通を担う食品産業の事業者や消費者など、国民全体による主体的な取り組みがあって初めて実現されるものであると考えます。  新基本法は、このような考え方に立って、国民全体が農業農村に期待する役割基本理念として掲げますとともに、その実現に向け、農業者の努力とあわせて、国、地方公共団体の責務食品産業の事業者の努力、消費者役割を明確に規定しております。  こうした基本法考えに沿って、今後、農業者、食品産業の事業者、消費者等、現場方々の声を最大限尊重し、農家の皆様が犠牲にならないように万全を期して、農政推進に邁進をしてまいる考えであります。
  21. 金田英行

    金田(英)委員 ありがとうございます。  松岡委員長は、農業の大改革の基本は一体何なんだということについて、常日ごろこう言われるわけであります。生産はこれからつくる基本計画でしっかりと立ち上げていくんだ、価格については市場原理を導入する中で決めていくんだ、そして農家の所得については政策で守っていくんだと。生産、価格、所得というような体系について、こういった形でこれからの農政を進めていくんだということでよく言われる。まさに名言だというふうに金田は感ずるところでございます。  そういった形の中で、これから我々は基本計画をつくっていかなければなりません。そしてまた、不足払い制度の乳価についても、制度の見直しを進めていかなければならないわけであります。これからの農政政策転換については、まさに山積した問題を抱えているわけであります。そういった中で、農林水産大臣と一緒に本当に実効ある農政転換を進めてまいりたいと思っておりますので、しっかりと御指導を賜りたいというふうに思うわけであります。  それで、専業農家を育成していかなきゃなりません。専業農家、特に、ここずっと農家人口は減少の一途であります。千三百万人いた農家人口が十年間で二百万人ぐらい減って、今は一千百万人ぐらいの農家人口であります。何ぼ農業を守る、農業をしっかりと確保していくんだ、自給率向上していくんだというようなことであっても、農家がどんどん離農していくという状況を何としても阻止しなければなりませんし、農家人口、新しい担い手をつくっていかなければならないというふうに思っているところでございます。  特に、日本農業は二種兼業農家が相当部分を占めているわけであります。三ちゃん農業になりかねない、そして、ほかにサラリーマン所得を得ながら、土曜、日曜だけ田んぼに出ていくというような農業形態、二種兼業農家が相当の主流を占めてきておるわけでございますので、何としても日本農業を守るためには専業農家の育成支援がぜひとも必要だというふうに思っているわけであります。  そういったことについて、今度は、総括みたいな偉い政務次官でございますので、金田政務次官に御答弁を賜りたいと思います。
  22. 金田勝年

    金田政務次官 二十一世紀に向けて活力ある農業農村確立するためには、今申されました専業的な担い手農家に代表されますような効率的、安定的な農業経営生産の相当部分を担う農業構造を確立していくということが極めて重要だと思います。  このために、農地の利用集積、スーパーL資金等の低利資金の融通等の各般にわたる分野において、認定農業者等の意欲ある担い手の育成に重点を置いてきたところでございます。認定農業者数も現在十四万人に上り、各地域農業において中核的な役割を果たしつつあります。  また、稲作経営安定対策において、担い手への配慮措置として、十二年産から、稲作を主とする認定農業者を対象に補てん割合を現行の八割から九割に引き上げる措置を講じることとしておる次第であります。  一方で、地域における効率的な農業生産確保する見地からは、地域の実情に応じまして、専業農家、兼業農家等が補完し合いながら農業生産活動を支えるという集落営農等の活動を促進することも重要でありまして、農作業受託に必要な機械施設の整備等の施策をあわせて講じているところでございます。
  23. 金田英行

    金田(英)委員 まさに力強い農政を進展していくために、専業農家にしっかりと焦点を当てた農政の展開がこれからますます重要になっていくというふうに考えているところでございます。  それで、恐縮ですが、私の北海道のお話をちょっとさせていただきたいわけであります。  北海道は、まだ開道してわずか百二十年ぐらいしかたっていない。まさに後進地域と申しますか、開発の手が入ってからまだ百二、三十年というような地域でございます。その地域に今、五百七十万人の人口を抱えている。わずか百二十年でこれぐらいの開発の成果を上げ得たわけでございます。  まさに北海道は食料基地として発展を遂げてきているわけでありますが、この五百七十万人の人口はどうやってできたかと申しますと、屯田兵の制度によって本州からたくさんの人方を入植させました。そして戦後は、日本の領土が半分になってしまったということで、食料増産、人口吸収というようなことで、戦後、多くの入植者を北海道に招き入れたわけであります。これを第一次、そして第二次入植計画と呼べば、その後農家はどんどん離農してきていて、大規模化してきているわけでありますが、今、大変な離農状態でございます。  そういった中で、第三次入植計画なるものが今、北海道の農業のためにぜひ必要だというようなことで、第三次入植計画をやろうという形で、私自身も率先してやらせていただいているところでございます。今、日本状況は、三百五十万人の失業者を抱えております。そして、各企業はリストラ、リストラというようなことで、合理化を一生懸命推進して、産業の構造改革をやっているさなかであります。そういった中で、本州の、都市のサラリーマンの皆さん方は、自分の人生について果たしてこれでいいのかというようないろいろな悩みを抱えているところでございます。  そういった悩みを抱えている人方に、もっと新しい生き方、もっと生きがいのある生き方をしてみませんかということで、都会の皆さん方に声をかけてみました。新宿、渋谷、池袋の街頭に行きましてチラシをまきまして、北海道で農業をやってみませんか、もっと生きがいのある人生にチャレンジしてみませんかという呼びかけをしたわけであります。呼びかけは大変な反響を呼びまして、北海道への就農説明会に、ほんのちょっとしたPRをしただけで百二十人からの、おれは北海道で農業をやってみたい、そういった申し込みが出てきたわけであります。  まさに農業を新しい職業としてあこがれている人たち、単なるあこがれでは困るのでございますが、そういった人たちが相当数いる。そして、失業者をしっかりと、新しい職業として受け入れることが可能だということであります。過疎地帯、耕作放棄地が北海道でも大分出てきている状況の中で、新しく農業をやってみたい、大自然の中で自分の生きがいを見つけてみたいというような人たちが相当いる。北海道の担い手センターにも応募の申し込み、照会がたくさんある状況の中で、この担い手をしっかりと育てることがぜひとも必要だというふうに考えているわけであります。  それに伴ういろいろな政策が必要であります。農林省も一生懸命取り組んでいただいておりますので、これからも新しい担い手を育成する方途について取り組んでいっていただきたい。具体的にいろいろなことを要求しておりますので、新しい担い手の育成についての政策の強力な進展をお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  24. 松岡利勝

    松岡委員長 それでは次に、佐藤謙一郎君。
  25. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 民主党の佐藤謙一郎でございます。  今回の国会で民主党はネクスト・キャビネットを創設いたしまして、私自身が農水、環境の責任者を引き受けることになりました。未熟ではございますけれども、玉沢大臣との議論を通じて、少しでも実のある成果が得られれば、そう考えておりますので、よろしくお願いいたします。  きょう私は公共事業と環境をテーマに御質問を申し上げるところでありますが、その前に、政治家玉沢徳一郎として、過去の玉沢大臣の御発言の中で一言お伺いをしておかなければいけないことがございますので、冒頭質問をさせていただきます。  平成十年といいますから、玉沢大臣が自民党の組織本部長のころだと思います。創価学会の政界支配に危機感を持った四月会という会合が行われて、ちょうど、自由新報の、ある訴訟に対する記事に創価学会からの抗議を受けて、その抗議に対して謝罪をした、その直後の総会で玉沢大臣は当時の自民党組織本部長としてどういう御発言をされたか、御記憶おありでしょうか。
  26. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 これは我が党の機関紙であります自由新報に掲載された記事でありますけれども、裁判の係争中の問題でありまして、私としましては、その記事における裁判の結果がまだ出ないうちに一方的に謝罪をするということはいかがなものであるか。私は我が党の友好団体との関係を受け持っております組織本部長でありますから、そういう謝罪をするというような場合におきましては、当然組織本部長に相談があった上でやるべきではなかったかということが第一点であります。  それから同時に、裁判の結果が出ないうちに一方的に謝罪するというのはどうか、こういう点を問題にしたということです。
  27. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 確かにそうした御発言があったことは新聞にも書いてございます。「極めて性急であったと反省するものである」、そういうお話がありますが、その後に、「一部マスコミには自公連立とか、連携といったことが報じられているが、将来にわたって我が党において、絶対にそのようなことはないと断言を申し上げたい」というような発言があるわけですが、そうした発言が御記憶におありでしょうか。
  28. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 そういうような発言もしたと思います。
  29. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 それは、その後に、今自自公政権が成立をして、その政権の中で内閣の一翼を担っておられる。断固として自公連立政権がないということをここで断言をされた方が、今現実にそうした自自公連立政権の中に入っておられることに私は疑義を感じ、政治家としてそういうことがあっていいのかという不信の念を持たざるを得ない。  私自身も、実は、自民党と健全な緊張関係を持つことによっていい政党をつくろうということでさきがけをつくったわけでありますけれども、村山政権ができると同時に私自身はその党を辞しました。  政治家にとって言葉というのは大切なんだろうと思います。命だと思います。私が生涯大切にしている言葉に、綸言汗のごとしという言葉があります。君主に例えた中国の故事でありますけれども、一たび君主が言葉にしたものは、ちょうど体内から出る汗のように再び体内に戻すべきものではない。  そういうふうに考えて私は政治をやっておりましたが、私も玉沢大臣にはいろいろな意味で御指導をいただいた人間の一人として、信念ある政治家と今まで感得しておりましたので、なぜその後、自自公連立政権の中での大臣を引き受けられたのか、その辺についてお聞かせください。
  30. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 まず、私の言ったことの中でもう一つ大事なことがありますが、これは裁判の結果がどのようなものであったかということ、つまり、最初考えられておったような結果ではなかったということが一つあります。  それから同時に、自自公の問題でありますけれども、今日の日本の現状を考えた場合に、山積する課題に対して安定した政治運営が大事である。そういう観点から、これらの課題を解決して前進をしていくためには、やはり国会におきまして意見を同じくする政党と協議をしまして、そして、そのもとで共通の目的に向かって推進をしていくということが極めて大事であるという小渕総裁の考え方に基づきまして、私自身もこれを、党内の手続を十分果たした上でならばそのような方向に進むもやむを得ない、こういうふうに考えまして今日までの態度を決定した、こういうことでございます。
  31. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 政治の安定、政権の安定というのは、あるいは大事なことの一つかもしれませんけれども、ならば、創価学会の政界支配というものに危機感を持っていた、まさにそれが政治に対する不安定の最たるものだという認識をお持ちであったというふうに私は聞いているわけでありますけれども、今大臣は、公明党と創価学会が政教一致なのか、分離なのか、その御認識についてお聞かせください。
  32. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 政教分離の考え方でありますけれども、憲法第二十条の精神からまいりますと、信教の自由が保障される社会、これを実現し維持していくということが大事である、こういうふうに考えるわけであります。  そういう観点からいいますならば、今日我が国におきまして、私ども自由民主党は常に信教の自由というものを守るための努力をしてきた、こういうふうに考えておるわけでありますし、今御指摘をされました政界支配というような話でありますけれども、その場合に、政治権力を通じて、一つの宗教のみをもって他の宗教を弾圧するようなことがあれば、これは私は、憲法第二十条に照らして違反である、こういうふうに考えるわけでありますが、まだそういう事態にはなっていないというふうに私は判断しております。
  33. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 今の信教の自由は、まさに憲法二十条の一項の前段なんですね、「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」例えばキリシタン弾圧をしたような、そういうことを排除するためのまさに信教の自由の大原則だけれども、それだけではなくて、一歩踏み込んで、信教の自由を実質的に保障するためには政教分離の原則というものを定めるべきだということで、憲法にも一項の後段があるわけであります。紛れもなく、玉沢大臣は憲法二十条ではそうした発言をされているわけであります。  例えば四月会で、その後こういうことを言われている。憲法二十条において、いかなる宗教団体も、政治上の権力を行使せず、行使してはならないとある。特定の宗教団体が政党を組織して、権力を掌握し、権力を用いて信仰を強制するようなことがあれば、自由と民主主義を守るため、我が党は断固戦うことを表明するというふうに言っておられますが、一体どういうふうに戦っておられるのですか。
  34. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 そうした事態が生じないようにするということが大事だと思います。  以上です。
  35. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 そうしないようにするというのは、具体的にどういうことをなさるおつもりですか。
  36. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 要するに、宗教弾圧がなされるようなことがないような状態ですね。
  37. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 それはさっき言ったじゃないですか。宗教弾圧をするようなことをしてはいけないというのは、憲法二十条の一項前段で、「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」これは大原則ですよ。それだけでは、我々は進められない……(発言する者あり)いや、政治の信義の話です。国会議員がうそをついたら、信義も何もないじゃないですか。それは、あらゆるテーマの全体にかかわる問題であります。  ですから、憲法二十条の一項後段をどうお考えですか、明確にお答えください。
  38. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 後段の部分は、要するに、信教の自由というものを保障するための処置だ、こういうふうに考えております。
  39. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 この憲法二十条の後段では、権力と特定の宗教や宗教団体が癒着することを禁止しているわけであります。そして、特定の宗教や宗教団体が優越的な地位につくことをも禁じている。ある宗教団体が実質的に支配する政党が立法権を行使すること、そういうこと、そこまで憲法というものは考えてつくられているわけであります。  最後にもう一度お伺いしますが、公明党が創価学会に実質的に支配されている政党だ、そうお考えか、それとも政教分離か。私は今まで玉沢大臣の近くにいてそうした発言を伺ったこともあったように聞いておりますけれども、大臣の御見解をお聞かせください。
  40. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 我が自由民主党は、信教の自由及び自由と民主主義を守るために、それを党是としている政党であります。その政党に対して、政策協力その他、論議をいたしまして、協力をしていただく、こういうことでありますから、この点については十分クリアしているもの、こういうふうに考えております。
  41. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 個人としてはいかがですか。
  42. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 個人としても同じことです。
  43. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 もう何をか言わんやというか、私自身は信念を曲げない政治家として尊敬を申し上げておりましたけれども、今の御発言を聞くと、とにかくきのう言ったことをきょう平気で覆す、まさに今の政治というものの不信の原点はそこにあるんだろうと思います。政治家がとにかく言葉というものを大切にするということがいかに今大切な時代なのかということを、大臣、よく思い起こしていただきたいと思います。介護保険やあるいは企業献金の問題、きのうこう言って、すぐまたこう言う、そこに私は今の政治不信の根があるだろう、そう考えております。  きょうは私自身もいろいろな質問を用意しておりましたので、非常に不本意でありますけれども、この問題はとりあえずこの程度にさせていただいて、これからも玉沢大臣の信念ある行動を私は信じて、見守っていかせていただきたいと思っております。  それでは、玉沢大臣、三年前に大阪でAPECが行われましたが、そのときにFEEEPという概念が初めて各国で認識されました。FEEEPというキーワードを御存じありませんか。これは、ちょっと私もまくらでお話をするつもりですが、FEEEPというのは、通産省がよく、三つのE政策、そういう言い方があります。エネルギー政策環境政策と経済成長、この三つに食料問題と人口問題をリンクさせて、これからのアジアを中心とした将来を見据えていこう、そうした考え方であります。私自身もそうした発想の中で、農政環境問題というのは非常に、特に食料問題と環境問題というのは非常に密接不可分なものだというふうに考えております。  そこで、手短に一つずつ御質問をいたしますが、さきの百四十五国会で商工委員会で成立したPRTR法というのがあります。PRTR法というのは、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案、そういう長ったらしい法律でありますけれども、環境の中に排出される有害な化学物質を国民の前にすべて明らかにして、どのようにして有害な化学物質を低減させていくか、そうした法律であるわけですけれども、全世界でもこうした有害化学物質の中で農薬が果たした位置というのは非常に大きなものがあります。今回のPRTR法で、業所管官庁として、農水省としてどのような成立後の対応をされておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  44. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 最近の化学物質の管理についての国際的な動向を踏まえ、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律、いわゆるPRTR法がさきの国会で成立をしまして、現在、環境庁及び通商産業省を中心としてその具体的な運用のための準備が進められていると聞いております。  この法律のうち、化学物質の環境への排出量等の届け出制の内容につきましては、事業者が対象となる化学物質の環境への排出量等について把握し、都道府県知事を経由して事業所管大臣に届け出を行うとともに、届け出を受けた事業所管大臣は、環境庁長官及び通商産業大臣に通知し、環境庁及び通商産業省において集計、公表されるとともに、事業所管大臣においても公表する、こういうことになっておると承知しております。
  45. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 その事業所管官庁として、農水省が果たさなければいけない役割というのは非常に重いと思います。  ボパール事件というのは御存じですか。これは、まさにPRTR法ができたきっかけになったわけですけれども、一九八四年にインドのボパールというところで農薬の工場から農薬の原料が漏出して二千人の人が死んだ。まさにそれがPRTR法の原点なわけです。化学物質は商工委員会で扱われていますけれども、農水省の果たさなければいけない役割というのは非常に大きいと思いますが、点源、非点源について、それぞれどういう形で農薬等の特定化学物質を集計し、どういうタイムスケジュールになっているかについてお答えをいただきたいと思います。
  46. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農薬につきましては、農薬取締法の規定に基づき、農薬を販売するに当たり、農薬の容器、包装にその使用方法や取り扱い上の注意事項等を表示するよう義務づけられておりまして、農薬の使用者に対して十分な情報の提供が図られております。  また、農薬の安全な使用を確保するためには、必要に応じ農薬の種類ごとにその使用時期、使用方法、使用回数等について、農薬を使用する者が遵守することが望ましい基準を定め、広く一般に公表しているところであります。  さらに、国民の農薬に対する不安等をできるだけ解消するため、従来より農林水産省では、農薬メーカーに対し、農薬の毒性に関するデータの公開を指導しております。  また、例えば最近のダイオキシン問題等を踏まえ、現在、農薬中に毒性のあるダイオキシン類が含まれているか否かについて再確認を行っているところであり、その結果についても四半期ごとにこれまで広く公表しているところであります。  今後とも、農薬に関する情報の公開に努めてまいる所存であります。
  47. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 それは別の質問の御答弁のような気がしてしようがないんですが、私が申し上げたのは、業所管官庁としての農水省が、一体どういうタイムスケジュールで点源、非点源、つまり、そうした非点源、点源の排出量や製造量とか流通量とかいった統計データを国が持っているわけですから、そういうものでどういうふうに推計をして、それをいつコンクリートしていくかということを聞きたかったんですが、時間がないので、しかもまた同じ答弁をいただいても困りますので、先に進みたいと思います。後ほど正確なお答えを書面でいただければと思います。  横浜国立大学の益永教授の研究で、一九五五年から九五年まで、PCPとCNP、御承知だと思います、水田除草剤。ダイオキシン類環境排出量が、このPCPとCNPで日本全体の七五%と推計された時代があった。実に、都市ごみや産廃の焼却の五倍に当たる量がこの水田除草剤によるものだというふうに推測されていた時期があったわけですが、先ほどお話がありました農薬取締法による登録を受けていて、一九九四年にダイオキシンが含まれていたということで、水田に散布することを農水省が原則使用中止したということになりました。  製造会社が自主的に生産も中止し、回収をしたということになっておりますけれども、我々市民あるいはいろいろと専門家が調べるところ、この回収が中途半端で、現実に今も農家の納屋あたりには在庫品が山積みされている。そういうようなことで、CNPの毒性、特に胆のうがんのまさに原因ではないか、水道水を通じた胆のうがんの原因だということがほぼ推測されている、こうした毒性の高いものが今、野放しになっている。  それに対して農水省は、原則使用中止というあいまいなやり方で今日まで来ているわけでありますけれども、そうした中途半端な、CNPが今どこに行っているのか。現実には、農水省を中心として、あちこちに埋めているというふうに私は聞いているわけでありますけれども、今、安全が問われている時代に、そうした有害なものがどこに埋めてあるのかということを、ここでぜひとも明らかにしていただきたいと思います。
  48. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 このCNP剤は水田除草剤ですね。これは平成六年に製造、販売が中止され、その回収及び保管、管理の徹底を直ちに指示したところであります。  その後、最近のダイオキシンをめぐるさまざまな議論や学術的な報告がなされたこともあり、本年改めて再確認の指示をしましたところ、本年七月に、製造メーカーが保管していたCNP剤に毒性のあるダイオキシン類が含まれていることが確認されたことから、製造メーカーにCNP剤の回収の徹底を改めて指示したところであります。  したがいまして、埋蔵したという委員意見でございますが、私は埋蔵しているというふうには承知しておりません。ただ、製造メーカーである三井化学の大牟田工場内の屋内貯蔵施設に厳重に保管されているということは確認をいたしております。
  49. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 このCNPは、昭和四十九年のピーク時に五万四千トン、そして平成五年でも八千トンが製造されていて、その原則使用中止になった年に一万二千トンがそのまま野放しにされていた。回収を半分としてもまだ半分がどこかに行ってしまっているということであります。  まず一点は、埋め立てたという事実は、今大臣、ないというふうに言われましたが、ないということでよろしいんですね。それから、回収した企業がちゃんと管理しているかという確認をどういう形で農水省としてされているか、その二点についてお答えください。
  50. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 まず、埋蔵しているということはないことは、そのとおりです。  製造メーカーである三井化学の大牟田工場内の屋内貯蔵施設に厳重に保管されているということは、先ほど申し上げたわけであります。  それから、製造メーカーにCNP剤の回収の徹底を改めて指示したわけでありますから、今後それがさらに徹底するようにやってまいりたい、こういうことです。
  51. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 毒性の非常に高いものでありますから、これは大臣、ひとつしっかりと監督をしていただきたいと思います。  それでは、次に移りたいと思います。  公共事業の問題でありますけれども、今農政といいますか、私も東京生まれの横浜育ちですけれども、家はもとをたどると会津若松で、農村というものに大変な愛着を持っております。昨今、例えば新潟の安塚町に雪エネルギーの視察に行ったり、上船倉の棚田を見たり、農村というものを我々も理解をしていかなければいけないということを痛切に感じておりますけれども、残念ながら、今は都市が農村を見ている。しかし、農村の今のありようを都市住民、市民社会が本当に理解しているのか。  例えば、これからデカップリングの問題も出てきます。中山間地の直接支払いのような問題が出てくるときに、本当に都市住民に対してきっちりとした説明がついているんだろうか。そうした説明をきっちりとすることによってやはり農政というのは一歩も二歩も進んでいくものだろうというふうに考えておりますが、都市住民と農村とが対立することほど悲しいことはないと思うんですね。  この間、私ども地元の横浜で、小田小学校の生徒百二十人が農村体験ということで、民宿ではなくて、それこそ一人一人が農家に泊まって稲刈りをやり、ヨモギもちをつくり、そうした体験をして、大変すばらしい二泊三日だったということを校長先生から聞きました。やはり都市が見ていて、そして都市が農政というものをこれからどこまで理解をするかにかかってきているんだろうと私は思うんです。     〔委員長退席、松下委員長代理着席〕  そんなときに、私にとって非常につらかったのは、諫早の干拓です。百四十四の鉄板が一斉に閉まって、ショッキングな諫早干拓のあの現実を目の当たりにして、多くの市民は、農水省は一体何ということをやるんだ。それは、いろいろな事実を知らない人たちはたくさんいます。優良な農地をつくらなければいけない、そうした現実を知らない。現実にほとんど知らせることがないままに、地域地域でそうした干拓事業や公共事業が進められている。  特に公共事業について、これから本当に一つ一つ何が一番大事なのかということを、必要性、有用性というものをきっちりと把握していかないと、それこそ大変なことになる。国債費で二十兆円、そして、いろいろな形で交付金で十七兆円、あるいは国家公務員の給料で十一兆円、固定的なそういう費用を除いていくと、政策的な費用で大きいのは社会保障費と公共事業費の二つしかないんですね。そのどっちをとっていくかというときに、都市住民は、このまま何の努力もしないで説明もしなければ、社会保障費に大きなウエートをかけていくべきだという結論を出していくんだろうと思います。  そんな中で、ちょうど諫早が大きな転機に来ているので、諫早の干拓についての質問をさせていただきたいと思います。  私は藤前干潟の環境保全でもずっとかかわってまいりました。恐らくこの諫早の干拓も失敗に終わるだろう。二〇〇〇年に完成するといって進められていたこの事業、二千三百七十億円がさらに今回百二十億円積み増しされました。もとをたどれば千三百五十億円からスタートしたこの公共事業が、国民の知らない間にどんどん増額をして、自然破壊をし、一体何が必要なのかという中で二〇〇六年への先送りがさきに決められたわけでありますけれども、まず第一点、干拓事業というのは本当に今の日本に必要なんでしょうか。
  52. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 まず、委員の言われました都市と農村との交流、これは極めて大事なことだと思います。やはり農業に対して国民全体の皆さんの理解が深まることが今後の農業政策を進めていく上でも大きな意味を持つもの、こういうふうに考えますので、この点については全く意見が同じであります。  さて、諫早湾干拓が必要であるかどうかという委員の御質問でありますけれども、必要である、こういうように私はお答えを申し上げたいと存じます。
  53. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 その理由をお願いします。
  54. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 私も大臣に就任をいたしましてから、まず第一に諫早湾の干拓を見に行ってまいりました。ここは地形的に見まして、非常にヘドロが集中して集まるような形になっていますね。つまり、三方を山に囲まれたところから土砂がどんどん流れてくる。それから同時に、潮の関係で大変な干満の差がありまして、海の方からさらに砂が盛り上がってくる。こういうふうな状況の中にありまして、諫早地域方々は長い間、災害と戦いながらヘドロの部分を三百年間にわたりまして干拓をしながらやってきた、こういうことですね。  したがって、現在の諫早湾干拓も、三百年間の地域の皆さんの努力を助長して、防災対策と同時に干拓、そういうことを進めているものだというふうに私は考えますので、これが大変な間違ったことをしているというような考えには全く立たないわけです。
  55. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 いや、今歴史を勉強させていただいたわけでありますけれども、教科書どおりの御答弁なんですが、私が聞きたかったのは、そういう三百年の干拓の歴史とかそんなことではなくて、今言われたことというのは幾らでも干拓以外に方法があるわけですよ。例えば、今ヘドロがどうのこうのと言うけれども、あの周辺は下水道普及率二〇%です。当たり前ですよね、そこを締め切って汚水がどんどん流れ込んでくれば、あの辺の環境がさらに悪化することはもう目に見えているわけであります。最近、干潟に対するプラスイメージといいますか、有用性というものが多くの人たちの理解を得ることになって、ようやく、今まであの汚い干潟というところから、干潟と共生しよう、そういう世論が大変強くなってきて、圧倒的になってきたと思います。  こんな議論をいつまでもしてもしようがないので、一つ一つ質問をさせていただきます。  これはいきなり六年おくれたということですが、だれがその六年間の延長を決めたのか、そして、何を根拠に六年間という数字が出てきたのか、その辺の根拠をお知らせください。     〔松下委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 もう一つ申し上げたいと思いますけれども、あそこの堤防をしっかりつくって干拓を進めていくということにおきまして、現実に地域では、この前の台風とかそういう場合がありましても、満潮のときには六メーターもせり上がってくるわけですから、そのときに、あらしが来る、それを防ぐ堤防がないと、もろに市街地に入っていって、山の方からおりてくる激流とぶつかり合いますと大変な被害になって、何回も多くの人々が犠牲になってきたでしょう。そういうことを考えたときに、今回でも防災としての役割は十分果たしたということをまず認識していただきたい。  それから同時に、今環境の面で、例えば下水道の普及が二〇%だと。それは確かに生活雑排水の面が来るかもしれませんが、環境をよくするという観点からいえば、今進めておる下水道の普及率を高めていけば当然こうした環境の問題はかなり改善されると思いますので、私は、それはそれで進めていくべきだ、こう考えるわけです。  したがって、六年間工期がおくれた原因は何かと言いましたが、やはり防災の機能を十分果たすという上と、それから干拓を進めていくという上におきまして、要するに、最初計画した工事以外に、軟弱な地盤であったり基礎が十分じゃなかったり、いろいろな点がありまして、そういう面において、完成するまでにはまだもう少し時間が必要である、こういう判断のもとに六年間の延長を決めた、こういうことです。
  57. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 だれが決めたんですか。
  58. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農林水産大臣が決めた、私が就任前だと思いますけれども。
  59. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 地盤が軟弱だなんというのは、とっくにこれは専門家や市民グループが指摘していたわけですね。内部堤防の地盤が本当に軟弱なんだということは、もう何年も前から言われていたことですね。それを聞かないで、現実に工事にぶつかって六年おくれる、そんなことってありますか。一体どういうコンサルタントがそうした設計をしたのか、一体この責任はだれがとるつもりなんですか。六年間もおくれるということは、だれがとるつもりなんですか。
  60. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 工期がおくれるということはよくあることでございますですね、いろいろな要素が重なるわけでありますから。環境とかそういう面にも配慮したということもあるでしょうし、思わぬやわらかい地盤に遭遇しましてそれを補修しなきゃいかぬ、いろいろな要素があった、こういうふうに承知しています。
  61. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 このまま言っていても平行線だと思いますが……。  つまり、工期がおくれることというのは、間々ありますよ。一年、二年おくれてもそれはいいけれども、六年間もおくれる。しかも、軟弱な地盤だということはもう最初からわかっていて、それがおくれて、工期が間々おくれることがある、そういう答弁では私は納得できませんね。  もう一つ疑問な点があるのは、と同時に、二〇〇六年までかかると言っておきながら、二〇〇一年に見直しをするというふうに今回農水省は言っておられます。二〇〇六年に完成をすると言っておきながら、一方で二〇〇一年に見直すというのは一体どういうことなのか。これはおかしい、矛盾だと思いませんか。
  62. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 見直しの評価は五年ごとに行うということがこの前決められたわけでありますから、それに基づいて見直しをする。何もこれは諫早湾ばかりではないんですからね、公共事業全体についての見直しをするということでございますから。
  63. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 五年ごとに見直すというのは私もよく知っているわけですけれども、何もここで、二〇〇六年というふうに工期が延びている中で、見直しの前倒しということは公共事業では現実によくやられているわけですよ。現実に、この間とまった山形県の大規模林道の小国—朝日ルート、あそこは、五年に一度というところを、いろいろな状況の変化があるから前倒しして再評価委員会というのが行われているんですね。こうしたことというのは、工期のおくれとあわせて、今すぐにでも時のアセスにかけるべきだと私は思いますが、いかがですか。
  64. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 朝日岳の林道については、私も行ってみましたよ。これは、薪炭林の地域で、新しく産業を起こす必要があるということから大規模林道の考え方が出てきたわけですね。ところが、朝日岳近くの林道は、もともと集落がないところに林道をつくるということですから、大体にして目的がちょっと違うんですね。そういう点での見直しだと思いまして、諫早湾の干拓とはもともと違うものである、こういうふうに思う。
  65. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 それは全然認識が違って、これは、五年に一度ずつ、大規模林道の林野庁の再評価委員会というのがあって、そこで八路線とか十路線をきっちりと評価をしているわけで、その中に前倒しをしたということにすぎないわけですから、現実にそういう例というのは幾らかあるわけですよね。  ですから、私がお願いしたいのは、今回の諫早もこうしたターニングポイントにぜひとも再評価、見直しを今すぐにでもするべきじゃないかということが一点。それから、再評価委員会は二〇〇一年から二〇〇二年の八月まで調査をするというふうに言っておりますけれども、それをぜひとも公開をしてただきたいのと、今まで、ともすると御用学者と、私は思いませんけれども、そうよそで評価をされてしまわれかねないそういう方々ばかりじゃなくて、市民グループですとか広範な人たちをそうした再評価の委員会の中に入れるべきで、第三者性をさらに強くしていくべきであろうと思いますけれども、いかがでしょうか。
  66. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 まず、前倒しをすべきではないかという意見でありますが、私は前倒しをする必要はないと思います。  といいますのは、やはりこの事業は目的を達しております。つまり、防災対策ということにつきましては、明確なる防災機能を果たしました。これがもし機能を果たしていないというのであれば見直しも必要かもしれませんが、十分なる機能を果たしておりますから、私は、整々と五年ごとの見直しをやるべきだ、こういうふうに考えます。  それから、委員会の話が出ましたけれども、会議そのものは非公開としておるところでありますけれども、再評価の透明性の確保観点から、第三者委員会終了後、速やかに議事内容を公表しており、委員会の資料についても公表しているところであります。
  67. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 ぜひとも市民グループを含めた広範な方々の参加をお願いしたいというふうに思いますし、情報公開もよろしくお願いいたします。  先ほどから大臣が防災、防災とそればかり言われて、防災というのは後で取ってつけた理屈なんですね。優良な農地というのはとうとう一言も出てこないので、ああなるほど、優良な農地をつくることがまさに干拓事業の本旨だということをもうすっかり大臣はお忘れになったのかなと思いながら聞いておりました。  この諫早の六年延期というのが、もう一つ私どもの大変な関心事であります島根県の中海の本庄工区に影響があるんでしょうか。
  68. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 中海の問題でございますが、これは今検討している、こういうことです。
  69. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 いやいや、検討してなかったらもう本当にどうしてくれるかというところですが……。  本庄工区の検討委員会が今設けられているわけですけれども、これは結論を大体いつごろ出すつもりなのか。それから、この検討委員会での結論が農水省の最終的な結論になるのか。その辺を明確にお答えいただきたいと思います。
  70. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 本庄工区の扱いにつきましては、さまざまな意見があることから、平成九年度より二年間の調査を行い、この調査結果を踏まえて、現在、中国四国農政局に設置した本庄工区検討委員会において、本庄工区の利用に係る検討がなされているところであります。  委員会では、議論を尽くし、結論を出していただくこととしており、結論の公表時期は委員会検討状況に応じて決まることとなります。  以上です。
  71. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 それでは、応じてということは、早まるということもあるわけですね。
  72. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 委員会の結論を得た後、農林水産省としましては、本委員会意見を尊重して、島根県等と協議の上、事業の扱いを判断することといたしております。
  73. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 最近、地元紙までもが、この本庄工区、もう無理だ、費用対効果からいってなかなか厳しいぞという世論がまた支配的になりつつあるわけでありますけれども、この費用対効果という点で大臣はどういう御所見をお持ちでしょうか。
  74. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 これは、どういうようにこの地域を使ったらいいかということで意見がいろいろあるところであります。これは決してむだなことではございませんで、できるだけ国土を有効に利用していく、こういう観点からさまざまな意見があるわけですから、その意見を十分今聞いておるところでございますので、そうした経過を通じて決定していく、こういうことです。
  75. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 これは農水省がやろうとする事業ですから、やはり何かしら理由はあると思うのですね。今費用対効果と言っているわけですから、国民の大事な税金、例えば諫早もそうでした。七〇%は国民の税金。二千四百九十億円の七〇%、一部が、三分の二ですけれども、国民の税金なわけですから、地域方々の意思を尊重するということは尊重するとして、やはり費用対効果という点で本当にそれがたえられるものなのかということを、きっちりと我々は一つ一つ精査していかなければいけない時代に来ているんだろうというふうに思うわけですね。  公共事業のむだ遣いというのをあちこちで最近聞くんですけれども、大臣は、今まで農水省が行ってきた公共事業でむだ遣いがあったな、これはもうどうしようもないむだ遣いだというふうにお考えの具体例があったらお示しください。
  76. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 ただいまの御質問は想定しておりませんでしたので、特に私としましてむだ遣いがあったかなと今思い出すとか、考えはちょっとありません。
  77. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 農水大臣ですよ、農水大臣として、しかも恐らく日本の政治家の中で最も農政をしっかりと把握されている玉沢大臣が、まさにそうした玉沢さんが、本当に公共事業のむだがあったかどうか今はわからないというのは、私はちょっとびっくりしているんです。  例えば木曽岬干拓、あれは大臣、どうお考えですか。
  78. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 愛知県と三重の地域と伺っておるわけでありますが、どう評価するかということはもうちょっと検討させていただきます。
  79. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 いや、これは……(発言する者あり)通告していますよ。四百四十四ヘクタールの木曽岬干拓というのは、私も実は、藤前干潟を何とか守りたいということで、あの辺を走り回って、四百四十四ヘクタールですよ、膨大な土地に、草ぼうぼう、木ぼうぼう、よくぞこれ何年も、十年も二十年もそのままにしたな、そんなところが野ざらしにされていて、今これは転用されようとしているわけですけれども、こんなのはまさにむだだった例とお考えになりませんか。  検討されているということですけれども、どういうふうに検討されているんですか。
  80. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 干拓及び農地を造成するということは、私は、日本の今日の現状からいいますならば今後とも必要なものである、こういうふうに考えます。  なぜかといいますと、食料自給率向上せしめるという上におきましては、農地を造成するという努力なしには食料自給率向上せしめるという基本的な問題をクリアすることはできない、こう考えるからです。
  81. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 それは当然のことですよ。だから、農地になっていれば私は何も言わない。むだじゃないわけですよ。農地になって、それこそいい野菜がそこででき、それが都市に運ばれて消費者の口に入る、すばらしいことじゃないですか。そうじゃなくて、二十年も野ざらしになって草ぼうぼうになってミニジャングルになっているんですよ。だから、それがむだじゃないかというふうに僕は言っているんですが、いかがですか。
  82. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 我々としましては農地を造成するという目的を持ってやったわけですけれども、両県の方でいろいろと利用のあり方についての考え方があるということで、意見が十分ここで合わない面もありまして、残念ながら今日まで来たというのが現状だとは思います。
  83. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 両県で合わないというのはもう最初からわかっている話ですね、それは境界線の問題やなんかで。  現実に、私は今回初めて、転用だけじゃなくて他転という言葉も聞きました。干拓事業、公共事業を事業中にほかの目的に変えてしまうのを他転というんだそうですね。今まで百八十三地区の干拓事業のうち五十二地区が、これは一九八〇年という非常に古いデータで恐縮ですけれども、他転地区が十七、転用地区が十三、そのほか休止ですとか未配分だとか廃止十一、そんな数字が出ているわけですね。百八十三地区のうち五十二が、つくろうとして干拓事業を始めたけれども、あれがだめだ、これがだめだといって優良な農地とは全く似て非なるところに使われてしまっているという現実を大臣はどういうふうにお考えですか。
  84. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 新しく造成したところがどういうように使われるかという今までの例もあるわけですが、農業以外のところに使われましても、それは土地として提供されるわけですから、その土地は土地の代金その他回収できるわけですから、かかった費用はむだ遣いじゃなくして十分回収されている、こういう点も委員よく御承知の上で質問しているかと思いますけれども、全部が全部これは使いっ放しというわけじゃないんですから。
  85. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 もう農水大臣の御答弁とは思えないお答えで、私は実はびっくりしたんです。つまり、目的があってつくろう、そして、それが別に使われて、それは結果として使われればむだじゃないんだ、そういう言い方が、農水大臣として、国民の税金を農業予算として使って、農業振興ですとかそういう形で使うことを国民と契約をして使っているのに、ほかに有用であれば文句を言われる筋合いじゃない、そういうお考えですか。
  86. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農業に使われていくというのが一番大事なことでございますね。しかしながら、社会経済状況がいろいろ変化しておる、こういう状況の中におきまして、やはり、国民全体として有用に使われて、国民の税金がそういう形で使われたものに対してまた戻ってくるということであれば、私は、第一目的は達することはできなくても、第二目的、公用的な目的は達しておる、こういうふうに考えます。
  87. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 むだの例というのを探せばもう嫌というほどありまして、農道空港なんてもう聞きたくもないとお考えでしょうけれども、例えば農道空港の失敗というのはもう決定的に都市住民には頭にこびりついているわけであります。  例えば飛騨の農道空港、これは農業振興と関係ないスポーツ、レジャーに使おうというふうに今運輸省との間で話し合いが進められているということですが、今の大臣のお考えでは、ほかに使われても有用に使われればいいんだ、どんどん前向きに考えようということでよろしいんですね。
  88. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農道空港としてつくられたものも、いろいろな形で国民の皆様の要望に応じて使われるということであるならば、それはそれでいい、こう思います。
  89. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 意外な答弁なのでちょっと私も戸惑ってしまいますが、まさに、そうであれば、玉沢大臣は農水大臣じゃなくて総理大臣をぜひ目指していただきたいな、そういうふうに私は考えます。国民をこれほど無視し、軽視した御発言は僕はないというふうに考えております。本当にびっくりしました。  時間があと五分になってしまいましたので、ひとつWTOの話を最後にさせていただきたいと思うんです。  WTO次期農業交渉について、今御当局大変御苦労されていることを私どもも聞いております。この三十日からシアトル閣僚会議が開催されますけれども、現在までの予備交渉の経過と今後の見通しについて、これはひとつ、私もきょうは代表バッターとしてぜひとも聞いておかなければいけないことでありますので、お聞かせいただきたい。あわせて、農業分野の対立点と日本政府の立場、そうしたことも頭の中に入れて御答弁いただきたいと思います。
  90. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農業分野につきましては、委員も御承知だと思いますけれども、見解がかなり隔たっております。  WTO次期交渉については、基本としましては、WTO農業協定の第二十条を通じて行う、こういうことになっておるわけでありますけれども、これに対して、シアトルの閣僚の宣言案をどうするかということで意見の対立がございます。  ケアンズ・グループ及びアメリカは、端的に言いますならば、農業貿易を鉱工業品と同じようなベースで、つまりルールをつくるべきだ、こういう考えですね。しかし、我々の考え方は、農業協定二十条にありますように、非貿易的関心事項を考慮する、ここが、農業の持っておる多面的機能とか食料安全保障、こういう観点から、ただ自由化する、あるいは関税を引き下げるということだけで事足りるものではないという観点からの意見が対立して今平行しておる、こういう状況である。
  91. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 もう一点につきましてはまた再びお願いをしたいんですが、最後に、共同歩調をとっているかのようなEUですけれども、日本主張している農業多面的機能という概念がEUと微妙に違っていると思うんですね。我々日本主張する多面的機能というのはどこまで世界各国に評価をされ、理解をされているんだろうか。特に、安全保障というレベルになると、また違った受けとめ方があろうかと思いますけれども、その辺、日本がどこまできっちりとそうした理解に対する努力をしているのか。  それから、食料の自国による安定供給など、日本主張をより明確にしていって、賛同国をふやすための連携の努力をしていただきたいと思いますが、その一点について御答弁をいただきたいと思います。
  92. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 この交渉に当たりましては、やはり日本主張する立場、我々の主張する考え方、これと同じような立場に立っている国々と相連携していくということが一番大事だ。  それで、EUからこの前、ラミー貿易担当委員が参りましていろいろと議論したわけでございますけれども、やはりEUもケアンズ・グループに対しまして若干の妥協を試みるような提案もしたようであります。しかしながら、ケアンズ・グループは一切これを無視した、こういうことでございまして、ラミー委員も、私との話し合いの中におきまして、非貿易的関心事項というのは、やはり政治的にいえば農業多面的機能ということを認めることになるのではないかという点と、それから農業は鉱工業品と同じように扱うというのは間違いである、こういう認識を示されました。  これから、今週から来週にかけましてFAOの、世界食糧機構の会議がローマで開かれますので、私もそれに出席しまして、各国農業大臣ともお会いしまして、できるだけ多くの支持及び連携をとっていくように努力していきたい、こう思います。
  93. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員 質疑時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  94. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、宮地正介君。
  95. 宮地正介

    宮地委員 きょうは大臣所信表明に対する質疑ということですから、限られた三十分間という時間でございますので、重要な当面する課題について何点か大臣基本的な考えについてお伺いをしてまいりたいと思います。  まず最初に、日中漁業協定の問題についての協議が、八日、九日と二日間、東京で長官レベルで行われました。きょうは、政府参考人ということで、まず中須水産庁長官から、交渉当事者として、どのようなことが協議されたのか、この点について報告をいただきたいと思います。
  96. 中須勇雄

    中須政府参考人 ただいま御指摘のとおり、昨日、一昨日と二日間にわたりまして、東京において長官、局長級での実務者交渉を行いました。新しい日中漁業協定、署名をされてからほぼ二年を迎えつつあります。早期に発効を目指すということで、発効後の相互の操業条件等をどういう形で実現していくか、そのあたりを話し合っているわけであります。  今回の協議に当たりましても、相当突っ込んだ議論は行ったわけでありますが、残念ながら操業条件等について合意には至りませんでした。さらに、中国側の方でデータ等を整理した上で協議を続けたいということでございましたので、また外交ルートで次回は日程等を協議することとして、ひとまず別れた、こういう状況でございます。
  97. 宮地正介

    宮地委員 やはり最大の一つの協議の課題が、北緯三十度四十分以北のいわゆる線引きの問題ではなかろうか、こう考えておりますが、この問題についても突っ込んだ協議が行われたのか、この点について今後打開の見通しをどういうふうに政府として考えているのか、この点について報告いただきたい。
  98. 中須勇雄

    中須政府参考人 ただいま御指摘のとおり、話し合いの中では、北緯三十度四十分以北の水域での操業条件等ということが一つの大きな問題になっております。この水域におきましては、日本と中国の間、いわゆる排他的経済水域の線引きは画定しておりません。そういう水域においてどういう条件を実現するかということをめぐって議論をしている、こういうことは事実でございまして、それがまた一つの焦点になっている、そういう状況であります。
  99. 宮地正介

    宮地委員 大臣、二年前の十一月に、この日中漁業協定が締結をされ、二年たってもいまだに発効されない、こういうことで、長官レベルで今いろいろ協議をしております。  特に、排他的経済水域の操業の問題、資源管理時代という新しい二百海里時代に入って、ここは日中も日韓も、やはり大乗的な見地に立って、地球環境保全、特に海洋資源管理、こういう点については、長官に相当今までも御苦労いただいております、事務方レベルで。もう二年もたっていまだに発効できない、まだ合意ができない、こういう状況考えたとき、やはり政府として、もう一歩格上げして、大臣レベルの協議をやる段階に来ているのではないか。また、内閣を挙げて、これは農林水産省マターだけでなくて、小渕内閣挙げてこの問題に積極的に取り組んでいくべきではないか、こう考えておりますが、大臣としてはどういう考え方を持っているか、まず見解を伺いたいと思います。
  100. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 日中漁業協定が二年たってもまだ発効していないということは極めて遺憾なことだ、こう思います。当然、内閣を挙げて中国といろいろと交渉しなければならない、そういう時期に来ていると思います。  したがいまして、小渕総理が七月に中国を訪問した際に、これを早期に発効することが重要である、こういう発言をしまして、中国側もこれに同意しているわけです。それに基づいて、今鋭意水産庁長官が昨日まで交渉してきたわけです。  それで、今後のことでございますけれども、大体両方の主張が、どこがポイントかというところまで来たわけですから、必要とあらば閣僚級の会談も、私も望んでいるところでございますし、いつでもこちらは応じるつもりがありますので、委員の仰せのとおり頑張りたい、こう思っております。
  101. 宮地正介

    宮地委員 既に漁民の不安はもう天をつくような状況にあることは、大臣も御存じのとおりです。全漁連の皆さんも、十一月四日の大会においても、また十月の大会においても、ここまで協議が合意できないのであれば廃棄通告やむなし、こういう決議まで来ている。  そういうことを考えると、漁民の不安を解消するためには、それは長官も長い間非常に御苦労しているのは私も承知しています。大臣のバイタリティーを生かして、大臣が北京に乗り込んでいく、それで、中国政府の大臣レベルと折衝する、また、当然総理は総理で向こうのトップともやはり機会あるごとにお話し合いをする、私は、もうその時期に来ているんじゃないか、こう思うのです。ですから、そこの決意を、大臣が実行するのかしないのか、まず確認したい。
  102. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 決意は、断固として解決に向かって最大限全力を挙げて頑張る、こういう決意であります。
  103. 宮地正介

    宮地委員 日本と中国の漁獲のとり合いの問題でなくして、日本海を中心とした資源日本も中国も韓国もこれを管理して、後世にまできちっと守り育てていく、こういう大きな立場でこの二百海里問題というのを見通していかなきゃいけない。自分の国だけごそっととればいいんだとか、そういう時代じゃないわけですね。とる時代からつくり育てる時代、こういうふうに流れは変わってきているわけですから、ぜひこの点について、大臣のこれからの強いリーダーシップによりまして、中国に対してもそうした角度から、お互いの将来の国のためにも、国民のためにもなるんだ、ここをしっかりと基本的な理念を持って、相互の話し合いをしていく、ここが大事ではないかと私は考えております。  日本は既に自主規制もしております。操業に対しても、資源管理をするため、漁民に対してのそうした指導もしているわけです。ところが、中国や韓国はそこの点についてはまだまだ非常に日本よりも弱いわけですから、ここはやはり大義に立ち、大乗的な見地に立って、大臣がきちっと乗り込んでいく。  日韓問題についても同じです、暫定水域内における操業の問題についても。この日中、日韓問題については、水産庁長官が汗をかくのは当然でありますが、新大臣として、この問題について積極的に取り組んでいくんだという姿勢を、ぜひ全国の漁民に対して、また国民に対してお訴えをしていただきたいと思います。
  104. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 海洋法の精神は、やはり持続的に資源を大切にしながら今後とも漁業を進めていく、こういう考えでございます。したがいまして、日中、日韓ともどもに、隣国でありますから、例えば条約を破棄してやるという方法もありますけれども、しかし、できるだけ話し合いを通じまして、両者が共存共栄を図ることができる、そして、両方で資源を大切にしながら漁業を進めていくということが一番私は理想だと思うのです。  ですから、いろいろな御意見等がありますけれども、私としましては、韓国との間におきましては、この前、日韓閣僚懇談会で韓国側の水産庁長官、農林部の長官とも話し合いをして、鋭意解決をするという方向を確認してきたところでございます。中国につきましては、お互いのポイントが明確になってまいったわけでございますので、できるだけ、私としましても、閣僚クラスの話し合いを通じて問題の解決を図るために一生懸命努力していきたい、こう考えております。
  105. 宮地正介

    宮地委員 今後の大臣のリーダーシップと、また早期に発効できるための御努力を期待したいと思いますし、我々も国会においても全力支援をしていきたい、こう思いますので、頑張っていただきたいと思います。  それから、先ほど来から出ておりますWTO農業交渉の問題でございますが、この二十条の精神をどう世界理解をしていただくか、私はこれが大変大事な問題であろうと思うわけであります。  そこで、時間がありませんから、一つは、多面的機能の発揮というのは、私は、世界の最近の温暖化現象とか異常気象を見たときに、地球環境保全するんだ、そのために農作物の生産というものがそこに通じた生産になっていくべきである。それからもう一つは、やはり世界食料安全保障という視点をもっと明確に、我が国においてもきちっと言い切っていくべきではないか。  何か、食料安全保障という、言葉は非常にきれいでありますが、日本の国の需要供給、この需給関係の安全保障だけを考えているのではないか、こういう誤解があってはならない。これからは、人口六十億が二十一世紀半ばには百億になろう、こういう予測も出ておる。また、異常気象、温暖化現象によって、大変に世界各地において農作物が不作の状況が続いておる。また、地域紛争が起きて、非常に難民等が出て、大変な食料危機に悩んでいる国もたくさん出てきている。二十一世紀は、そうしたことを考えたときに、食料の危機という問題に対して、日本がどういうふうに世界食料安全保障に貢献するんだ、ここのところの意思表示と具体的な施策を持って臨めば、このWTO交渉についてもおのずから理解が求められてくるんではないか。  この二十条の精神をもう少し具体的に、そしてもう少し理念的に明確にして、この交渉に当たることが必要な状況に今あるのではないか、私はこう考えておりますが、大臣の見解を伺っておきたいと思います。
  106. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農業協定の前文の中には、「食糧安全保障環境保護の必要その他の非貿易的関心事項に配慮しつつ、」と明確に書いてあるわけでございます。また、第二十条の(a)におきましては、「削減に関する約束の実施によってその時点までに得られた経験」、こうしたことを考慮に入れて交渉する、こういうことが言われておるわけであります。  当然、将来、人口がどんどんふえてくる、そういう中におきまして、気候の変動その他があって、必ずしも全世界的に食料が完全に供給できるというようなことが見通せない。そういう状況の中に今日あると思いますけれども、そういう観点からいいますならば、食料安全保障といいますのは、やはりどういう事態になっても自分の国の農業、漁業、主要食料品は自分の国で確保するということを念頭に入れつつ、政策を展開していかなければならないと思うわけでございます。  また同時に、農業協定の中に明確に環境保護とか非貿易的関心事項、そうしたものに配慮しつつ、こう書いてあるわけでありますから、当然、農業が貿易的観点からだけの利益を追求していくということになりますと、大農経営をやっている国々、それから家族経営をしている国の農業、これは全く競争できないわけですね。  そういうようなことを十分我々としましても主張して、日本と同じように、農業が今日までその国で自然的な地理条件のもとにつくられてきたという経験、それからまた歴史及び文化というものが形成されてきているんだということを考えながら、やはり多面的な機能、こうしたものを十分配慮して、ただただ貿易の自由化だけをもって農業貿易を律するという考え方というものには賛同できないということを力強く発言をし、各国理解を求めていかなければならない、このように考えております。
  107. 宮地正介

    宮地委員 大臣が言っていることは、私ももう十分理解しているわけです。さらにそれをもう一歩進める、この具体策が今日本に必要ではないか。  日本は確かに輸入大国であります。しかし、日本は非常に、農業の構造改善事業だとかそういうものの努力の中で生産性も上がってきている。しかし自給率は四一%に落ち込んでしまった、これをさらに今後十年で五〇%ぐらいまでしようじゃないかと。内閣を挙げて自給率向上に取り組むと小渕総理はここで答弁を私に対してして、確認をしておる。そういう状況の中で、やはり日本はこれから生産性を上げていけばまだまだ農作物というものはつくれるわけです。今後、世界食料危機に対して、日本食料の国際貢献もやっていく用意がきちっとあるのだ、そういうものをしっかり示していくべきではないか。  具体的に申し上げましょう。例えば米の問題にいたしましても、食管会計とか十万トンの、補助金三十億円を出すということで新たに食糧援助のそうした一つの方式ができ上がりました。しかし、今ODAの予算というのは約一兆円と言われている。そういう中に切り込んで、国際貢献のための食糧援助というものはもっと積極的にやっていくんだ、物や金の問題ではないんだ、世界の民が食料の危機で大変に苦労されているということに、先進国として積極的にそこに貢献していくんだと。  ここの風穴をあけなければ、単なる食料安全保障だとか多面的機能環境保全と言っても、言葉の遊びになってしまう。もっと腰を据えて、我が国はこれからの世界食料安全保障に対する貢献をしていくんだ、具体策はこうして、ODA予算の中でもこうやって考えていくんだ、あるいは地球環境保全のためにも我々は貢献していくんだと。  例えば稲にいたしましても、大臣は専門ですから釈迦に説法ですが、一ヘクタール当たり稲をつくれば十五トンのCO2を吸収する、大変温暖化現象にも貢献できるのです、稲作という水田は。そういうことをもっともっと積極的に世界に訴えていく、また、それを実行していく具体策をつくり上げていく、そういうときが来ているのではないか。まさに二十一世紀の新しい農林水産業の再生は、新しい農業基本法はそこに魂を入れて、今回修正をしたと私は理解しているのです。大臣、もう一度伺います、この点についての考え方を。
  108. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 委員考え方と全く同じです。  ですから、食糧の援助についても、世界の飢餓の人口が八億人ですから、それに対して積極的な援助その他をやっていくということについては、かねてから我々も主張してきたところでありますし、今後もこれは主張していかなければいかぬ。国際小麦協定等についても日本は積極的に参加しまして、開発途上国その他の食料に困っているところに援助しているわけですから、そうしたものをやはり今後とも強調していかなければならないと思います。  また、世界環境が変化していることに対して、日本としましても、世界国々、同じような考え方を持っている国々もあわせて、環境の維持のために、農林水産業というものを大事にしながら環境を維持していく、こういうことについても積極的に提唱していかなければならない、このように思います。
  109. 宮地正介

    宮地委員 大臣、これから来年度の当初予算の、今査定に入っていますが、この年内に恐らく閣議決定の方向でいくと思います。そういう中で、やはりODA予算の中に食糧援助の予算を積極的に計上していく、この点について、大臣も積極的に発言をしていくべきであろう。また、河野外務大臣ともそういう点について積極的に話し合いをしていくべきであろう。今の食糧援助の予算というのは、食管会計と先ほど申し上げた三十億の一般会計の補助金、本当に世界の先進国である日本としては、非常にまだまだ弱々しい。本格的には、やはり国際貢献という以上は、ODA予算に切り込んでいかなくては本来の日本役割はできないであろう、私はこう思いますので、大臣は積極的にそうした発言なり対応をしていく用意があるのかどうか、それが一つ、時間がありませんから。  それからもう一つ大事なことは、備蓄政策の見直しです。やはり今の日本の米の備蓄についても、百五十万トンプラス五十万トン、マイナス五十万トンで対応しようという。この量的な問題と、それから深川にある、大臣は行かれたかと思いますが、あの政府倉庫というのは、大変立派な世界トップレベルの倉庫です。ああいうような政府の備蓄倉庫というものを私は全国にもっともっとつくって、そして国際貢献をしていく、あるいは国内の国民の災害、もし輸入が不測の事態で入らなかったときの対応、そのためにもやはり、政府倉庫としてあのようなすばらしい世界トップレベルの政府米倉庫があるわけですから、全国に、北海道とか九州とか、本州にもあと二カ所ぐらい、せいぜい全国に五カ所ぐらいつくるぐらいの腹があっていいのではないか。  きょうのところは、そのODA予算への切り込みに対する決意、それから備蓄問題についての見直しをやる考えがあるかどうか、この二点について確認したいと思います。
  110. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 まず、ODAの問題につきましては、どのような農林水産政策の援助が行われるべきかという効果的な問題について、外務省に申し入れをして協議をしていく、もちろん予算も当然確保するように私の方からも努力をしていきたい、こう思います。  また、備蓄の問題については、回転備蓄にするか、あるいは二年三年の備蓄にするかという点については、意見が非常に分かれるところでございます。要するに、スイスのように第一次世界大戦、第二次世界大戦の大変な食料自給で苦しんだ国、そういうところの経験では、国民が大体二年ないし三年貯蔵された小麦粉を食べておる。そういうような国民的なコンセンサスが得られれば、これは可能になってくると思いますが、今のように、日本の場合におきましては、どうしても備蓄を大幅にやるということになってまいりますと、自主流通米の価格等にも大きな影響がありまして、なおかつ処理の問題等におきましては、大変な今までも財政的な負担が多かったわけでありますので、この点については、二年ないし三年の備蓄をやれという委員意見には、必ずしも賛同しかねるところであります。
  111. 宮地正介

    宮地委員 時間が参りましたから、また次の機会に議論したいと思いますが、やはり備蓄政策についても、単なる国内的な発想でなくて、世界食料安全保障という視点に立った中での備蓄政策の見直しを私は言っているわけでございます。今申し上げたような世界食料安全保障あるいは地球の環境保全、こうしたところに日本が積極的に貢献をしていくという意思と具体策を持っていけば、おのずから二十条の精神が生かされて、むしろ世界国々から、日本の言うことは理解できる、こういう方向になり、WTO交渉においても大変に有利になるんではないか。特にアメリカのような市場経済、開放経済、そういう戦略的な対応に対しても、我々のきちっとした理念、哲学に立った中での発想というもの、提案、提言というものが今後の交渉の中に大変生きていくんではないか。  私のそうした提案について、大臣の方で御参考にしていただいて、ぜひこれからのWTO交渉、本格的に来年から始まるわけですが、もう既に前哨戦は始まっておりますが、どうか頑張っていただきたいことを念願し、質問を終わりたいと思います。
  112. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、一川保夫君。
  113. 一川保夫

    一川委員 自由党の一川でございます。  玉沢農林水産大臣におかれましては、世紀末の大変重要な課題を抱えた農政をしっかりとリードしていただけるように御活躍をまずお祈り申し上げたい、そのように思います。  私も、質問時間が限られておりますので、特に関心のあるところに絞ってお尋ねしたいというふうに思います。  さきの通常国会で、御案内のとおり、新しい農業基本法が成立いたしました。いよいよ基本法の趣旨に基づいての具体的な施策がこれから展開されることになるわけでございますし、また、全国の農業関係者並びに生産者、そしてまた消費者皆さん方も含めて、今後の農政の成り行きを見守っているというのが今の現状ではなかろうかというふうに思っております。  そういう点で、まず一つ確認しておきたいのは、大臣の先ほどの所信の中でも、食料農業農村基本法に基づくもろもろの所信の中で、第十五条にうたわれておりますけれども、まず、食料農業農村基本計画というものを年度内に策定していきたいという所信が述べられました。年度内ということでは、来年の三月まで年度内なんですけれども、基本計画のもう少し具体性を持った目標が、もし今ある程度描かれているのであれば御説明願いたいと思います。  また、そういうものに基づいての農水省が今現在抱えている法律、相当の数があろうと思います。いろいろな制度の見直し等も相当の数があるだろうというふうに推測するわけでございますけれども、当然ながら、こういった基本計画の策定と並行して、もろもろの制度なり法律等の検討がなされるというふうに思いますが、そういった見通しなり、今現在どういう範囲のものを重点的に検討されているのか、そのあたり、大臣の方から御説明をお願いしたいと思います。
  114. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 新基本法施策具体化に向けての法制度の見直しはどうか、こういう御趣旨であると思います。まず第一に、一つは、経営意欲のある農業者の経営展開を支援し、望ましい農業構造を確立する観点から、農業生産法人の活性化等を図るための農地法の一部改正。また、担い手の確保、育成と農地等の経営資源の円滑な継承を図るための農業者年金基金法の一部改正。さらにまた、市場評価を反映した価格形成とこれに伴う農業者の経営安定を図るため、大豆なたね交付金暫定措置法の一部改正、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部改正、砂糖の価格安定等に関する法律等の一部改正等について、次期通常国会への提出に向けまして、検討を進めておるところであります。  また、平成十二年度農業予算につきましては、新基本法の理念に即した施策が十分展開できますよう予算の重点化等を図り、現在、概算要求をしておるところでございます。
  115. 一川保夫

    一川委員 そこで、大臣にちょっと確認をしておきたいのですけれども、今ほどの説明の最後の方でおっしゃいましたように、十二年度の予算の概算要求をされまして、今いろいろな折衝事を大蔵省とやっておられると思います。十二年度から新しい基本法に基づいての具体的な予算化が一部スタートするのだろうというふうに思いますけれども、当然そういった予算のいろいろな編成作業と並行して、先ほどちょっと私が冒頭言いましたけれども、この法律に基づく基本計画を年度内に策定するというふうにおっしゃいましたが、そういうものとは当然整合性を保ちながら、確実にこの年度内に基本計画を策定される、もう一回、決意をお話し願いたいのです。
  116. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 新基本法に基づきます基本計画につきましては、当然のことながら、来年度から実施していくわけですから、本年度中にこれを確立しまして、強力に推進をしていくという体制をとってまいりたい、このように考えます。
  117. 一川保夫

    一川委員 ぜひ基本計画を年度内に、できるだけ早期に策定されますようにお願いしておきたい、そのように思います。  さて、これからの我が国農業を展開する上で、当然ながら、最も基礎的ないろいろな条件がそろう必要があるわけですけれども、従来から農業には土地と水と人がつきものだというふうにも言われております。  そういう中にあって、私は、特に農地をどのように確保していくかというところが非常に気になるわけでございます。従来から、優良農地確保するというような言い方でいろいろな説明があるわけでございますけれども、特に水田面積等、最近のいろいろなデータを調べてみましても、昭和四十五年当時から今日まで、約三十年間で水田の面積が約百万ヘクタールぐらい減少しておるというふうなデータもございます。これは、この間のいろいろな我が国の経済成長なり、社会情勢の変化等々での結果であろうというふうに思いますけれども、こういうような状況をただ傍観していいものでは当然ないわけでございまして、これからの我が国農業をしっかりと構築していく。  先ほど宮地委員からのお話にありましたように、我が国自給率向上させていくという最も基礎的な部分が優良農地確保していくということだろうというふうに思うわけでございますけれども、農地の確保というこれからの農政について、農林省の基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  118. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 国民食料安定供給のためには、農地を良好な状態で確保していくことが重要であります。この新基本法におきましても、国内の農業生産に必要な農地の確保と、その有効利用を図ることを明確に位置づけておるところであります。  先ほど来意見がいろいろありましたが、私も委員と同じように、自給率というものを確保するということからいいますならば、優良農地をいかに確保するか、これと同意義である、こういうふうに考えるわけでございまして、全く意見が同じであります。  必要とする農地面積につきましては、食料自給率の目標と関連し、品目ごとの作付面積の積み上げ等を通じて基本計画の中で明らかにしていく考えでありまして、現在、食料農業農村政策審議会で御審議をいただいているところであります。  このうち、集団的な農地や基盤整備が実施された農地など優良な農地の面積につきましては、農業振興地域の整備に関する法律に基づく基本指針の中で示すこととしており、これにつきましても、政策審議会の場で御審議をいただいているところでありまして、優良農地をいかに確保し、これを整備し、そして食料生産していくか、一番大事なことであると考えております。
  119. 一川保夫

    一川委員 農地の絶対量をしっかりと守っていくということは非常に大事なことだと思いますけれども、ただ農地があるだけでもまた困るわけでございまして、しっかりとそれを整備しておくということが、また一方で大変大事なわけでございます。  自分の地元地域は俗に言う中山間地域に属する地域がたくさんあるわけでございますけれども、そういったところの最近のいろいろな動向を見ておりましても、農地はありますけれども、山間部からの渓流水を取り入れたような取り入れ堰とかいろいろな水路あるいはため池というような、農地の機能を発揮させるためのかんがい排水施設等が非常に不備だということもございますし、今日の農政のいろいろな流れに即して米以外の農作物を作付しようとしても、非常に難しい地域がたくさんあるわけでございまして、そういった農地を確保する一方では、農地に対するかんがい排水施設等の生産施設をしっかりとこれから整備していくということも、相当に急いでやる必要があるというふうに私は思うのですけれども、そのあたり、大臣の御所見をお伺いしたい、そのように思います。
  120. 金田勝年

    金田政務次官 委員ただいま御指摘されましたとおり、米以外の作物の定着を考えた場合、麦、大豆等の水田における定着、そういったもののためには、やはり排水改良等の基盤整備による水田の汎用化というものを着実に推進していかなければいけない、こういうことが重要なわけでございます。  委員おっしゃいますように、今後のかんがい排水施設等の生産施設を整備していくという観点に立って、第四次土地改良長期計画に即して、平成十八年度におきます水田整備率を七五%まで引き上げることを目標としながら、例えば、未整備地域における圃場整備や、おおむね区画形状の整った地域におきますきめ細かい排水対策の実施といったような、地域の実情に応じました水田の汎用化を推進していきたい、このように考えておるわけであります。  また、水田の基盤整備そのものにつきましては、国家的プロジェクトであるウルグアイ・ラウンド対策の中核的な事業として位置づけてまいりまして、補正予算等も活用しながら重点的に実施してきたところでございますし、今後ともその加速的な推進に努めてまいる所存であります。
  121. 一川保夫

    一川委員 次に、森林関係、林業関係について大臣のお考えを伺いたいのです。  これも所信の中で、森林林業木材産業基本政策の見直しを積極的に進めてまいりたいという御所見がございました。全く同感でございますけれども、今日、森林林業を取り巻く情勢はまことに厳しいのは大臣も御承知のとおりでございます。  今、農林水産省も、そういった基本法制あり方も含めて鋭意検討を進めているというお話でございます。特に、大臣としては、これからの森林林業あるいは木材産業等につきまして、どのあたりに一番力点を置いて、焦点を当てて検討を進めたいというふうにお考えなのか。また、そういった今後の法制化のスケジュール等も含めて大臣のお考えを説明願いたい、そのように思います。
  122. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 森林林業木材産業政策基本的な考え方を、木材生産を主体としたものから、将来にわたり森林の多様な機能を持続的に発揮させるための森林管理、経営を重視したものに転換するという方向で、今検討をいたしておるわけでございます。  一番大事なことは、戦後植林した面積が一千万町歩あるわけですが、そのうちの四百万町歩がいまだ若齢林である。しかも、早急に除間伐を行わなければ資源として維持できないというものが百五十万町歩ある。したがって、来年度の予算要求におきましては、間伐面積を二十万町歩から三十万町歩に伸ばして、予算も確保しながら、まず、森林資源を維持、涵養するというところから一歩歩を進めてまいりたい、このように考えています。
  123. 一川保夫

    一川委員 時間が参りましたので、私はこれで質問を終わりたいと思います。若干、通告した質問ができなかったわけでございますけれども、今ほどの、特に森林林業というのは国土面積の七割近いものをカバーしている、そういうものでございまして、そういう面では、非常に多面的な機能というのは、最近いろいろな形で話題にのるようになりましたけれども、大変大事な部分でもございますので、ぜひ農林水産省施策の中で重点的に取り上げていただきたいということを御要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  124. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、中林よし子君。
  125. 中林よし子

    ○中林委員 日本共産党の中林よし子でございます。  大臣にまずお伺いしますけれども、今、農村を歩けばどなたも感じていらっしゃると思いますけれども、減反をしなければ米が輸入されるということで、減反に応じる。それから、そういうことをやっても、さらなる減反をしなければ今度は米の値段が下がるということで、農家の人たちは泣く泣くそういう政府の方針に従ってまいりました。  ミニマムアクセス米輸入から今日まで、一俵当たり大体五千円ぐらい下がっている、これ以上米の値段が下がったのではとても稲作を続けていくわけにはいかないという、悲鳴に似た声が農家から聞こえてまいりました。  そこに追い打ちをかけるように、今度は、豊作が喜べない状況を実は提示してまいりました。豊作部分は飼料用に処分していくんだということでは、ただ同然じゃないか、本当に農業をやっていく意欲も何にもなくなるというような状況になっております。  それだけに私は、次期WTO農業交渉の問題では、米問題をどうするかということが非常に重要な問題になるというふうに思います。米価の問題についてはあす集中的に議論をさせていただきますので、米価についてはお聞きしませんけれども、こういう農家の人たちの声あるいは生産者たちの悲痛な思いというものを背景にして、次期WTO農業交渉、これも米問題が中心課題だというふうに思いますので、その点についてお伺いしたいというふうに思います。  ことし、全国の米生産者の大きな反対にもかかわらず、三月末に政府は関税化に踏み切りました。この関税化をめぐってですけれども、日本共産党は、関税化すれば、必ず次期交渉においてアメリカとかオーストラリアとかそういうところから関税率の大幅引き下げが要求されて、日本の米は守れない、こういう立場から反対をいたしました。一年前の当委員会におきまして、当時の大臣ですけれども、日本共産党の、高関税を維持できるのか、こういう質問に対しまして、何らかの見通しを申し上げるのは困難だ、こういう答弁がありまして、実はそのときも高関税が維持できる見通しは指し示し得なかったわけです。  そこで、大臣にお伺いするわけですけれども、次期交渉に際しまして、高関税、本当に維持できる見通しがあるのか、維持できるのか、日本の米生産農家が守られるのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
  126. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 まず第一に、本年四月の米関税措置への切りかえに当たりましては、WTO農業協定の規定に忠実に従って算定した関税率を設定しているところでありまして、この点については何ら私は問題はないと思います。  今後交渉をどうするかということが今まさに問われておるわけでございまして、交渉の枠組みを決めるのがこのシアトル閣僚会議でありますから、そこから始まってまいりまして、今後三年間ぐらいの交渉期間を設定しておるわけでございますが、当然、現在の関税措置、これを守るという観点から交渉していくということは申すまでもありません。
  127. 中林よし子

    ○中林委員 守るという観点からやるということなんですけれども、維持できる、こういう確かな見通しはありますか。
  128. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 維持する、維持できる、そういう観点から交渉していくのは当然のことです。
  129. 中林よし子

    ○中林委員 私はそんなに甘いものではないというふうに思います。  といいますのは、クリントン・アメリカ大統領が、WTO閣僚会議を議長国として主催するわけなんですが、十月十三日にWTOの新ラウンドに対する交渉方針に関して初めて公式に演説をいたしました。その中で、農業問題を米国人すべてにかかわる大問題と強調して、日本の米が含まれる農産物の関税引き下げが課題であることを明らかにしております。  要するに、アメリカとしては、農業を最重要課題として、日本の米関税引き下げを焦点の一つにして行おうとしているわけですけれども、この点について、大臣はどう受けとめておられますか。
  130. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 アメリカはそう言っているでしょう。我々は別なことを言っているわけです。アメリカが言ったからといって、それが実現するというわけではないですからね。  したがって、我々は、農業協定第二十条に従いまして非貿易的関心事項に考慮するというところを十分主張しまして交渉に臨んでまいる、そういう考えです。
  131. 中林よし子

    ○中林委員 アメリカはそう言っているけれどもということで、アメリカの発言を無視してやられるつもりですか。
  132. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 物事は交渉しないで決まるということはないわけですから、最初から悲観もあり得ないし、楽観もあり得ない。
  133. 中林よし子

    ○中林委員 交渉事ではありますけれども、アメリカの態度は明確だというふうに思います。大統領の公式演説でもそのように言っておりますし、さらに、アメリカの通商代表部のバシェフスキー代表、これが十月二十日に、アメリカ下院農業委員会で新ラウンドのアメリカの農業分野に対する方針について証言をいたしました。関税の一律引き下げを行うフォーミュラ方式は採用せず、不均衡是正、すなわち大幅に関税引き下げが必要な重要分野を決める必要がある、こういうことを明らかにいたしました。まさに日本の米をねらい撃ちする構えである、このことをはっきり言ったわけですね。関税の一律引き下げどころではなくて、高関税を真っ先に大幅に引き下げろ、それまでアメリカの関税は引き下げないという、日本にとっては最悪のシナリオをアメリカの議会で証言しているわけです。これについてどのように大臣はお考えでしょうか。
  134. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 各国がそれぞれの主張をする、これが民主主義的なやり方だと思いますよ。ですから、アメリカがそういうことを言っているからといって、それが全部決まるわけじゃないことは委員もよく御承知のとおりだと思います。
  135. 中林よし子

    ○中林委員 アメリカが勝手に騒いでいるだけだというような認識であるように見えますけれども、しかし、もうシアトル閣僚会議以前に事務レベルでのさまざまな会議が行われておりますが、そこで既に衝突をしております。そういう中で、あえてアメリカの議会でこういう強硬な証言がなされているということに対して、ただ高関税を維持する気持ちだとか、あるいはそれは交渉事だというふうな姿勢で臨むというのは、相手に足元を見られているにすぎない、私はこのように思わざるを得ません。  そこで、少し立ち入って大臣にお話を聞きたいというふうに思います。  それは、この証言の中で、バシェフスキー代表が、これまで大臣もおっしゃっておりますけれども、日本主張しようとしている農業多面的機能についてさえも、それは議論する価値がない、こう決めつけて、日本の提案さえ無視する証言を行っております。日本が米を関税化して、アメリカやケアンズ・グループと同じ土俵に乗ったことが、結局、どんなに日本の米と農業を危機に追い込んでいくかということはこの証言でも明らかではないのでしょうか。
  136. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 再三にわたってここで申し上げてきたことを委員も御承知かと思いますが、やはりシアトル閣僚会議に向けまして、閣僚会議の宣言案をめぐっていろいろな考え方があるわけですが、我々としましても、足元を見られると今委員が言われましたが、ただぼやっとして足元を見られるだけのようなことばかりしているわけじゃないのです。我々としましても、EUの国々と何回もお話をしたり、一次提案が出されたのに対しましては、八カ国の国々と、要するにこれを修正する提案をしておるわけでございますし、我々の考え方と立場を同じくする国々と相連携しながら、アメリカ及びケアンズ・グループ考え方に対抗していこう、こういうことです。
  137. 中林よし子

    ○中林委員 一次案から二次案というふうに変わりました。確かに、そこには日本やEUなどの提案が盛り込まれたのは知っております。しかし、やはり私は日本政府の基本的なスタンスを、本当に日本の今の農家の、特に米生産の悲痛な思いをしっかりと受けとめてやっていただかなかったら、とんでもないことになりかねないということだから、あえて私は大臣の姿勢を求めているわけです。  さらに、このバシェフスキー代表の議会での証言は、ミニマムアクセス米の問題にも言及しているわけです。バシェフスキー代表は、ミニマムアクセスを実は拡大するんだ、こういうことまで言っているわけです。  関税化に踏み切ったときに、ミニマムアクセス米を少なくすることができる、これが農家に対する農水省の説明だったはずです。それを、関税化したことによって、今度はミニマムアクセス米そのものの拡大を日本に対して迫っていくんだ、いわば農家に対する、ぎりぎりの関税化に対する皆さん方の説明だったと思いますけれども、それさえも今度は崩していこうとする方向がアメリカの議会で出ているわけですから、それについてはいかがでしょうか。
  138. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 どうですかと言われましても、今まで言ってきたことがすべてでございまして、まだ交渉には入っておりません。  しかし、主宰している国は、シアトルはアメリカですから、アメリカは少なくともこのシアトル閣僚会議を成功せしめる責任があると思いますよ。ですから、そういう観点からも、意見が隔たっているものをどうやってそれぞれの国々意見を入れてまとめるか、こういう点について、もう少しアメリカは各国主張に耳を傾けていくべきではないか、私はそう思います。
  139. 中林よし子

    ○中林委員 アメリカが議長国で、本当に公正な立場でやるなんというような見通しをもし大臣がお持ちならばとんでもないし、それは是正させていくとおっしゃるんだけれども、しかし、アメリカの議会で、日本の米、農業政策に対してこれだけ、いわば内政干渉にも等しいような強力な圧力の証言がされている。もう敢然とそれははねのけるんだ、こういう立場を表明していただかないと、とても日本の農家はやっておられぬというふうに思うので、私がしつこくしつこく言っているのはその点なんです。
  140. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 バシェフスキーさんが、さんとあえて言いますけれども、通商代表ですね、多面的機能については定義が明らかにされていない、保護主義の正当化を許すことはできないと言ったことに対して、私は直ちに反論をして、記者会見において、交渉する立場の人がこういうような発言をするのは間違いである、我々はあくまでも多面的機能というものは非貿易的関心事項の中に入って交渉のテーマになる、こういうことを申し上げたところであります。
  141. 中林よし子

    ○中林委員 記者会見で抗議の会見をされたことも知っておりますけれども、ミニマムアクセス米の拡大をはねのける、このように決意をされますか。
  142. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 これは、決意としてはそのように受けとめていただいても結構でございますが、とにかく全力を挙げて取り組んでいく、こういう決意を知っていただければおわかりいただけると思います。
  143. 中林よし子

    ○中林委員 ミニマムアクセス米の拡大なんて断じて受け入れられないと、本来ならば大臣の強い決意がこの委員会で述べられるべきだというふうに私は思いますよ。それは、前回のWTO農業交渉の自民党側のいわば決意とは、やはり姿勢が数段弱腰になっているというのを感じざるを得ないから言っているわけです。もう一度、どうですか。
  144. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 しっかりと頑張る決意です。
  145. 中林よし子

    ○中林委員 あえて、ミニマムアクセス米拡大を拒否するとか、そういう言葉が出ないということが非常に弱腰だということを私は指摘したいと思うんです。  それで、本当に日本政府の態度が大切だということを私はこれから申し上げたいというふうに思います。  それは、この委員会で私がこれまで明らかにしてまいりましたけれども、本来ミニマムアクセスというのは、最低輸入機会の提供、これがWTO農業協定上のちゃんとした決まりです。したがって、輸入義務量ではありません。  日本政府は、米について、輸入義務としてアクセス数量をそのまま輸入しております。これは日本政府の統一見解でございますということで、日本政府の解釈としてやっております。アメリカ政府も、実はWTO農業協定そのものが国際的に通用していることはよく知っているわけですから、日本政府がそう言うのならば、ミニマムアクセス拡大ということになれば、日本政府は確実にその分輸入するだろう、そういう計算をして議会での証言に至ったというふうに背景を思います。  そこで、これは多分食糧庁長官だと思いますけれども、確認いたします。  今、資料をお配りしておりますが、日本と同じようにミニマムアクセス米を輸入している韓国は、その韓国の通関統計を見れば、明らかに、アクセス数量をそのまま輸入しているわけではありません。自国の都合に合わせて輸入しているわけですけれども、この通関統計、今お配りしているものは間違いありませんね。確認の意味で、食糧庁長官、いかがですか。
  146. 高木賢

    高木政府参考人 韓国の輸入量でございますが、韓国の公式見解たるWTOへの通報の数量につきまして、現物の輸入の若干のおくれはありますけれども、通報のとおり輸入されているというふうに思います。  お配りになっておられる資料は韓国関税研究所発行の資料かと思いますが、それによりましても、月別の貿易統計を見ますと、少しずれております。九五年には翌年の一月、二月に現物が入っている。あるいは、九七年には一月から三月までの間に一部入っているということはございますが、通報どおりの輸入が行われているものと認識しております。
  147. 中林よし子

    ○中林委員 政府は、WTOに韓国が通報したものによって、これで輸入されているなどといってごまかそうとしております。WTOには、韓国はミニマムアクセスの一応譲許に示された量そのものを毎年通告しているのは当然のことです。当たり前のことですよ。  そうじゃなくて、実質どうなっているのか。だからこの資料を出したんです。大臣、見てくださいね。日本も、実質輸入と、それから、いわばアクセス量ということで譲許に示されている数量、これとの比較をちゃんとしているわけですよ。日本と韓国の差は歴然じゃないですか。  それで、それぞれの国情によって、実は月をまたがったり、あるいは年をまたがったりということを今食糧庁長官はおっしゃいましたけれども、例えば韓国を見てください。九六年、十二万トンというのが、アクセス数量よりも多いものが入っております。このとき韓国は不作でございます。そして、九七年、九八年は韓国も豊作です。だから、それぞれの国情に応じてこれはできるんじゃありませんか。これについて、大臣、いかがですか。
  148. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 韓国がWTO通報で示しておりますように、韓国も約束どおりミニマムアクセス米を輸入しているものと私は承知しております。
  149. 中林よし子

    ○中林委員 これは紛れもない事実です。だから下に全部資料をつけたんですよ。通関統計でそれぞれ私たちは合計してみました。通関統計は、そこを通らないと国に入らないんです、これが一番動かしがたい事実でしょう。WTOに通報するのは、これだけ入っていなくても通報はできるわけですよ。韓国がこういうことをやっていても、WTOの方から韓国に異議なんか出ていませんよ。  だから、比較するものが、日本も同じように、実際に輸入されている量、これは精米と玄米があるので、下の実輸入量というのは玄米なんでしょう、だから多少多くなっているんだけれども、ほぼ匹敵しますよね。全量ですよ。韓国は、今おっしゃったように、この間のトータルをしてみても、実は七万六千三百トン足らないんです。アクセス数量、いわば譲許されている量から比べると、この四年間でも入っていないですよ。それなのにWTOに通報しているのだけで、これでオーケーだというのじゃなくて、これを見てくださいよ、ちゃんと出ているんですから。それについて、大臣、いかがですか。
  150. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 数字がそれぞれのものがあるわけでありますが、これらの輸入数量を精米換算すれば、それぞれの約束数量と同量の水準となり、韓国においてはミニマムアクセス枠の全量が輸入されていると認識しております。  もし関連して説明が必要であれば、食糧庁長官が答えます。
  151. 中林よし子

    ○中林委員 長官、答えてくださいよ。
  152. 高木賢

    高木政府参考人 お手元の資料で、九五年のところで実輸入量が〇・〇七というのが出ております。その九五年分の約束数量は、九六年の一月と二月に輸入されておりまして、それを足しますと九五年の約束数量は果たされているということでございます。  九六年が、六万トンのミニマムアクセス量に対して十二万トンとなっておりますが、これは、九六年分が、その数量と九五年のずれ込み分とを足せば、これは、おおむね九五年、九六年というのはまず実行されている。  九七年の七万七千に対して二万四千ということで足りませんが、これは、九八年の六万トンというのが大体九八年の一月から三月に輸入されておりまして、これがいわば九七年分として実行されているということでございます。  九八年の分はまだWTOへの通報は行われておりません。我が国もまだしておりません。
  153. 中林よし子

    ○中林委員 あなた方はこれを見ながら非常に都合のいい説明をされたけれども、韓国から説明されているわけではありません。私たちが事実関係を見たときに、通関統計が一番正しいというふうに思ってこれをあえて提出をいたしました。  それで、韓国は、少なくとも国内事情をよく考えて量を減らしたりふやしたりということをやっているんです。その間、その間できっちり全量を輸入しなければならないということは、実はWTO農業協定上どこにも書かれておりません。義務輸入量って書かれていないでしょう、大臣。どうですか、WTO農業協定上の問題。
  154. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 しかし、ミニマムアクセスの点については我が国は忠実にやっておる、こういうことです。
  155. 中林よし子

    ○中林委員 私が聞いたのはそんなことを、忠実にやっているからけしからぬと言っているんですよ。ちゃんと、韓国の事情のように豊作になれば少なくすると。このミニマムアクセス米が日本の農家の米を圧迫しているわけですよ。農家の暮らしをこれによって犠牲にしているというのは、もう歴然とした事実ですよ。だからこそ、ミニマムアクセス米の量が減るよなんて言って、農家に大宣伝をして関税化に踏み切ったわけでしょう。そういうことが前提にもかかわらず、何か、全量輸入していることがいかにも威張って言えるような状況に聞こえるわけです。  そうじゃなくて、WTO農業協定に全量輸入しなければならない規定はどこに書いてありますか、大臣
  156. 松岡利勝

    松岡委員長 大臣、質問に対して明確に答えてください。
  157. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 ないと、確かに。  しかし我が国は、委員がおっしゃるように、明確に平成六年五月の二十七日の衆議院の予算委員会において政府統一見解を示しております。それは、我が国が負う法的義務の内容は、国内消費量の一定割合の数量について輸入機会を提供することである、ただし、国が輸入を行う立場にあることから、通常の場合には、当該数量の輸入を行うべきものである、しかし、輸出国に輸出余力がない等客観的に輸入が困難な場合には、輸入量がミニマムアクセス量に満たなくても法的義務違反が生ずるものでないというものであります。  その法的性格は、関税措置へ切りかえた現在においても変わってはおりません。したがって、これまでの政府統一見解を変更する考えはありません。
  158. 中林よし子

    ○中林委員 だから、日本の政府の今度の次期WTO農業交渉にかかわる姿勢の問題として言っているんですよ。本当に高関税を保つなどということががたがたと崩れるその前提は、関税化に踏み切ったからですよ。米は主食だ、だからこそこれは例外措置になったんだというこのいきさつの中から、しかも、ミニマムアクセス米というのは、今おっしゃったように、全量輸入義務ではないということは明確なんですから、それを、日本の政府が政府見解ということで全量輸入ということを解釈として決めたんです。日本政府の勝手な解釈なんですよ。  しかも、私はことしの予算委員会の中で資料を求め、そのときに、ミニマムアクセス米じゃないですけれども、ミニマムアクセスで実は各国がどういう輸入の状況になっているかという資料をとったんです。アメリカ、これは例えば牛肉です。初年度が六十七万トンぐらい輸入のアクセス数量というのがあるんですけれども、実際にやっているのは四十四万トンなんですよ。それからアイスクリームなどに至っては、三百二十八リットルに対してわずか一・七リットルしか入っていない。単位を間違えました、万リットルです。もうまさにこのアクセス数量からけた違いに少なくしか入れていない。これがアメリカの実態。EUの実態も実は予算委員会の資料で私提出して、やりましたよ。そういうことが国際的な本当にルールですよ。自国の農業をしっかり守ろうと思うと、これは輸入機会を最低提供しただけであって、全量輸入するなどということがあってはならないというふうに思います。  私は、質問時間が終わりますので、WTO農業協定の次期交渉の問題では続いて質疑をさせていただきますので、あえて言いませんけれども、もう関税化は本当に撤回すべきだというふうに思いますし、ましてや、次期WTO農業協定に向かう政府の姿勢としては、食料自給率がこれだけ下がったんだから、もう米は絶対に守る、穀物の自給率は今後上げていくんだ、こういう姿勢で臨まないと、本当の意味で成功しない、農民の声を反映することにはならないということで、議論は次回に引き続きやらせていただくということを述べまして、質問を終わります。
  159. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、前島秀行君。
  160. 前島秀行

    前島委員 WTOのことはまた後日ということでありますので、ちょっとWTOの質問をしますけれども、若干順序を変えて、基本法具体化の問題を最初に聞きたいと思っています。  我々、さきの国会基本法を長い間時間をかけて議論をしてきましたので、その議論の経過あるいはそこで修正した点というものはちゃんと玉沢農林水産大臣の中で引き継がれ、今後の展開の中で生かしてもらいたい、こういうことであります。  そこで最初に、基本法の中で、議論している中で、基本計画というのが一番重要だろうなと。これの策定過程でどういう議論がされるのか、そのことが非常に重要なんですが、これは十年をめどにしてということでありますね。したがって、今、総理の諮問機関の中で、審議会の方で作業をしているというふうに聞いていますが、先ほど、年度内には確実に出す、こういうことでありますからそれはそれでいいんですが、その中身の問題として私たちが議論した中で、必ず品目別に生産目標というのを出す、それから、当然自給率というものもその基本計画の中に提示されるものであるというふうに、私たちは確認をしているところでありますが、年度内に出てくる基本計画は、当然そういう具体的な品目別の生産目標、自給率というものが提示されてくる、こういうふうに見てよろしゅうございますか。
  161. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 主要な農産物について、品目ごとの品質、コスト面における課題を明確にした上で、課題が解決された場合に到達可能な水準として生産努力目標を明らかにしつつ、食料自給率目標を定めることとしておりますが、食料自給率につきましては、各品目の自給の割合を示す重量ベースの品目別自給率、基礎的な食料である穀物の自給の割合を示す重量ベースの穀物自給率食料全体の総合的な自給の割合を示すカロリーベースの供給熱量自給率などがあり、今後品目別自給率を含めた目標の示し方などにつきましても、審議会の中で十分御検討をいただく、こういうことになっております。
  162. 前島秀行

    前島委員 そこで問題になるのが出てくる自給率の中身の問題で、聞くところによると、金額自給率という新しい言葉がちらちら聞こえてくるし報道であるんですが、恐らく野菜とかは、エネルギー等々でやると非常に少ないけれども、金額で換算するとかなりの比重を占めるんで、その金額自給率を使うと自給率の目標が数字として上がってくるなという意味で、新しい自給率方式を導入しようとしているんだな、こういうふうに、これはだれでもそう思いますよ。大臣、お互いに、数字のごまかしと言っては言葉が悪いかもしれませんけれども、数字をいじってどうのこうのするということはやめようじゃありませんか。  私たちが基本法を議論するときも、松岡さんが与党の筆頭理事で、時間はかけよう、大いにやろうじゃないかと言ってみんなでやってきたんですよ、お互いに農業を何とかしようという目標であったから。だから修正の問題も、野党から出して、与党がそれを受けて、満場一致でぎりぎりお互いに確認できるところをやったんですよ。  そういう中で、自給率を高めような、国内の農業を位置づけような、こういうことを確認して、お互いに修正したんですよ。だから、これからの大きな観点というのは、具体的に品目別に生産目標を出して、それが、自給率をどれだけ確保するかということが私たちは非常に重要だと思う。与野党一致で修正したんですよ、この項目を。  一%の自給率を上げることは大変だということは、お互いにわかっているんですよ。目標五〇だなと言いつつも、そう簡単にいかないということはお互いにわかっていますよ、みんな、議論した仲だから。そのときに、数字でごまかして、金額自給率なんという新たな概念を持ってきてやるよりか、私は、今までやってきた穀物自給率、エネルギー自給率を通じてやった方がいいと思うんです。  先ほどの大臣の答弁の中にも、何か新たな自給率の概念を今やっています、それを審議会で議論していますよと予告するようなことはぜひやめるべきで、比較になるわけですが、これだけ努力したなとか、これだけ足りなかったなとお互いに議論してやればいいのでありますから、ちゃんと今までどおりの穀物自給率、エネルギーを中心とした自給率でこの基本計画の中で目標を出していただきたい。約束してください。
  163. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今、ごまかすという言葉がありましたが、ごまかすんじゃなくして、委員が今おっしゃられた趣旨を十分込めて、自給率の設定に当たりましては、いろいろな意見を今伺いながら検討をしておるということでございますので、決してごまかすなどということはございません。
  164. 前島秀行

    前島委員 ごまかすという言葉が悪いとするならば、国民に、消費者に混乱を与えるような新たな概念は持ち込まないでください。国際的にも通用する自給率をぜひやっていただきたい、そのことをお願いしておきます。  それと、基本法の取り扱いの問題、基本法の位置づけをどう認識しているか。先ほど来の議論の中で、民主党の佐藤さんが、都市の住民からの農業に対する理解がまだまだ足りないという御意見がありました。私もそうだなという感じがします。これからこの基本法に基づいての農業を展開していくときにやはり必要なものは、私は、国民的な理解国民的な合意だろうと思いますね。そして、この基本法を展開する上の柱である基本計画を、どれだけ国民理解国民合意でつくり上げていくのか、それを実行していくのかということが、私はこれからの農業の、ある意味での決め手として考えなくちゃいかぬ重要な、大切なところだろう、こういうふうに思います。  だから、我々は基本法の議論のときに、基本計画は必ず国会で議論しようということを言ったし、当時の農林水産大臣も、大いに議論をしてもらいたい、こういうことを言ったんですね。私たちは、それを議決を得なきゃいかぬとか了承を得なきゃなどということを言っているんじゃないんですよ。やはり国民理解国民的合意、そしてお互いに、消費者生産者も理解し合って新しい農業を展開していくという意味では、基本計画を国会に提出して議論をするということは絶対的に必要な条件だろうと思います。  中川農林水産大臣も、そこのところは非常に微妙な表現はしたけれども、議論をすることまでは否定しなかったと私は思うので、ここは農林大臣、大いに議論しよう、そして、できた計画書は出すから、何日でも何時間とってもいろいろ議論しようではないか、場合によっては、私はこの委員会が地方の公聴会等々もやって、その基本計画についてさまざまな意見を反映し合うということもまた必要だろう、こういうふうに思います。  答弁することは大体私はわかるのです。それは国会の中で、各党でやってくれというようなことを言うだろうと私は思いますよ。そんなことを必ず言うんですから。そこを政府の決意として、政府の推進する上でそういったことは必要なんだ、やってもらいたいんだ、そうしないと、理解を得ないとできないんだという認識を持つか持たないかなんですよ。そこのところを、政治家として本音を言ってくださいよ。
  165. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 基本計画の国会に対する報告は、衆議院における修正により設けられた仕組みであり、基本計画を国会として重視するという意思を示すものとして重く受けとめておるわけでございます。  基本計画を国会に御報告した際に、国会基本計画に関する議論を行うべきかどうかについて、私の立場から見解を申し上げる立場にはございませんが、基本計画に関して国会で御議論が行われた場合には、基本計画に基づく施策推進に当たって、当然その議論の内容を十分に踏まえていくということだけは明確にしておきたい、このように思います。
  166. 前島秀行

    前島委員 それから先は松岡委員長のあれかなというふうには思いますけれども、やはり私は、できた基本計画は大いに国会で、我々この場で、あるいは本会議等々、関係機関のところで、あるいは合同で討論をして決めていくということを、ぜひ行政の方としても、大臣の方としてもお願いをしたいし、委員会運営としても松岡委員長にお願いをしておきたい、こういうふうに思います。
  167. 松岡利勝

    松岡委員長 今の点については、当然、各党間、理事会等で協議しながら、適切に対処していきたいと思います。
  168. 前島秀行

    前島委員 それで、時間もありません、WTOのことについて、ちょっと認識といいますか、基本的な心構えを聞きたいなと思っています。  今の中林さんの御議論でもあったように、私は、五年前のウルグアイ・ラウンド交渉の経過、あそこで学ぶべきこと、それを教訓として今後の、本回、これからの交渉に生かすことというのはたくさんあるだろうな、こういうふうに思いますね。そのうちの一つが先ほど議論になっていた関税化の問題です。  我々は、関税化、例の米の特別措置が非常に重たかった、あれがあったがためにと、米が、とげが刺さってという意見をよく聞きました。だからこそ、途中で今回関税化に踏み切ったという経過であろう、こう思いますが、そのよしあしはいろいろあると思います。しかし、関税化に踏み切ったことがプラスになるのか、マイナスになるのかということは、私は、これから大事な観点だろうな、こういうふうに思っているわけであります。  そこで、まず大臣、この閣僚会議閣僚宣言というのが枠組みを決めるし、大体今後の交渉事の中身の骨組みを意味するんだろうと思いますので、五年前の経験から、直前に関税化に踏み切った経過から見ると、そんな簡単に妥協できないぞということになってくるだろう。ましてや関税化が、先ほどのように、マイナスになってはね返ってきたら何のためだったということになって、大変な事態になることは間違いない。  そこで、入り口で重要な位置づけとなるこの閣僚宣言の中身で、我が日本は最低どういうことを入れ込みたい、逆な表現をすると、こういうものとこういうものとこういう中身が入っていなければ妥協できないよ、こういうふうに認識されているのか。その辺の基本的な項目といいましょうか理念、非貿易的関心事項なんというのはもう既に二十条で入っているのですから、これを今さら取り戻したってだめなので、それを具体的にどう進めていくのかという意味で、この閣僚宣言の中に絶対に入れなくてはいかぬ中身、項目をどう考えているか、お聞かせください。
  169. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 委員おっしゃるとおり、次期農業交渉農業協定第二十条をベースとすべきものであり、その際には農業多面的機能食料安全保障等の非貿易的関心事項に配慮することが交渉全体のバランスを図る上で不可欠である、こういう主張を行っておるわけでありますから、やはりこれが一番大事なことである、閣僚宣言の中にこうした非貿易的関心事項に配慮することが盛り込まれるということが大事である、これを強調しておるわけであります。大体そんなところであります。
  170. 前島秀行

    前島委員 大臣、それは既に九四年のときの農業協定の中の二十条の中で、改革の継続の中で今後もそういう観点をやっていきましょうねと既に入っているのですよ。それで、ある意味だったら、このことが入ったので安堵したな、救われたなというのも正直に前回の交渉の結果だったと思いますね。だから、今回はこの二十条に入っている非貿易的関心事項をどう具体化するのかというところがあるだろうと思うのです。その中身は具体的にどう表現するのですか、単なる非貿易的関心事項だけでは前回と同じなんですから、だめなのであって、それが一つ。  それから、先ほどの関税化に伴う云々というのは、やはりマイナスに作用するのは率を攻められるぞということですよ。率を攻められるぞというところに来たわけですね。ここを、先ほどの中林さんの議論のように、その率は絶対に落とさないんだ、関税率はあれなんだというところに頑張らないと、関税化したことのマイナスがもろに来てしまったというふうになる。だとするなら、そこが当然予測されるんだから、宣言のときに歯どめとなる項目云々を入れておかなければいかぬな、こういうことだろうと私は思います。  だから二番目は、輸出国の一方的な自由化というものは認めないぞ、簡単にさせないぞというものを何らかの形で表現をしていく、入れさせなければだめだろうなというのが二つ目のことだろう。これが入らなければ、関税化がマイナスに働いたということに結果として言われたってしようがないと私は思いますよ。  三つ目は、要するに、それぞれの国の特色を生かした農業というのを展開していこうじゃないかというところが、私は最大の焦点だろうと思いますね。  主食というのは自国で賄うものである、同時に歴史的な経過だとかそれぞれの国の特色を生かして、特色のある農業が展開できるような貿易ルールをつくろうじゃないか。これは何をするのかというと、私は、新基本法を具体的に展開していく中で、例えば直接支払い等々の政策をやっていく上に絶対に国際的に認めさせなければいけない項目、中身なのかな、こういうふうな感じがするのですよ。  そういう面で、単に非貿易的関心事項という項目が入ったって、従来から何も変わるものではないので、そういう意味を含めて、これからの日本農業基本法を展開していく上に、この宣言の中では、こういう理念とこういう項目を絶対に入れたい、それを入れるまでは妥協できないという中身を、余り細かく言うといろいろ交渉事ですからありますけれども、私が言った項目的なことぐらいは、決意として、中身として大臣言われても、私は問題ないんじゃないかなというふうに思います。
  171. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 シアトル閣僚会議の宣言案について、ムチョモWTO理事会の議長が案を出しました。それは非常に一方に偏っているものである、こういう共通の認識のもとに、EU初めこれはノルウェー、スイス、韓国、トルコ、スロベニア、サイプラスの八カ国共同提案ですね、出しております。修正案を出しておるわけです。あえて申し上げますと、これはほとんど、文書を見れば委員のおっしゃることが全部入っているわけです。  例えば、「WTO加盟国は、農業協定第二十条及び前文に基づき、農業の改革プロセスの継続について交渉することを合意する。 一九九四年に合意した削減約束の実施の経験とその影響を考慮に入れ、交渉の成果は、食料輸入国輸出国、また先進国と開発途上国のいずれにとっても、公平でバランスのとれたルールを確保するものでなければならず、各国の多様な農業形態の共存に資するものでなければならない。」こういうことをちゃんと入れておるわけです。この八カ国提案がやはり我々の交渉のベースになる、こういうことを明確に申し上げておきたいと思います。
  172. 前島秀行

    前島委員 特に私が恐れるのは、やはり関税化に踏み切ったという、今後の交渉関税率の争いになるということですから、ここの歯どめになるものをこの宣言案の中にしておかないと、交渉事で大変になるということだけは言っておきます。結局それが最後に入った、ああよかったなとなると、五年前の、二十条が入ったことでよかったということの繰り返しにならないように、ぜひそこはお願いをしたいと思います。  それからもう一つ、交渉に当たっての基本的な問題として、前回、五年前に日本が孤立してしまったなという声をよく聞いたのですね。そこで私は、これからの交渉の中で、今八カ国の共同提案という点がありましたから、そこは五年前よりかなり現時点では進んでいるなということを私は評価をいたします。  ただ、問題はEUかなという感じですね。二年前ですか、我々農水委員会でヨーロッパへ行きました。そのとき、私たち、EUの何カ国かを歩いても、EUの中でも違う国があるなということを感じました。それで、最近のEUの動向としては、CAPの改正等々でやはり財政負担というものが相当あるというふうにも聞いているので、生産も落ちていると、そうなってくると、片っ方で農業の多面性ということは、環境を重視するヨーロッパでありますから、そこまでは間違いなくいいけれども、それから先のことになってくると、さてさてというところが私は率直に感じます。  そういう面で、ただ単純に八カ国だとかEUとというだけではなくして、かなり細かな連帯といいましょうか共闘、そういうものを細かくやらないと、同時にまた、ある意味ではしたたかなといいましょうか対応をしないと、この前のようにどんでん返しで、EUを期待していたら最後はやられてしまったというふうになるような危険性があるということですので、ぜひその辺のEUを含めた連携の問題の基本的な認識と対応、考え方について聞かせていただいて、私の質問を終わります。
  173. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 シアトル会議があと二週間後に開かれるわけですが、その前にFAOの、世界食糧機構の会合がローマで開かれます。私は、東ヨーロッパの国々の支持を得るということも一番大事だと思いますので、この会議に出かけまして、フィッシュラー・EUの農業委員を初めとしまして、オーストリアの農業大臣あるいはハンガリーの農林大臣と今から約束をしまして、一国でも多くの国々の支持を取りつけてシアトル閣僚会議に乗り込んでいく、こういうことを考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  174. 前島秀行

    前島委員 終わります。
  175. 松岡利勝

    松岡委員長 本日の質疑は終了いたしました。  次回は、明十一日木曜日午前九時四十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十分散会