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1999-11-24 第146回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月二十四日(水曜日)     午後一時一分開議  出席委員    委員長 前田 武志君    理事 浅野 勝人君 理事 荒井 広幸君    理事 遠藤 利明君 理事 佐藤 剛男君    理事 伊藤 忠治君 理事 中沢 健次君    理事 福留 泰蔵君 理事 西村 章三君       石崎  岳君    今村 雅弘君       江渡 聡徳君    大石 秀政君       大野 松茂君    河井 克行君       小坂 憲次君    佐藤  勉君       坂井 隆憲君    菅  義偉君       園田 修光君    水野 賢一君       山口 俊一君   吉田六左エ門君       岩田 順介君    小沢 鋭仁君       石垣 一夫君    前田  正君       西田  猛君    矢島 恒夫君       横光 克彦君    中田  宏君     …………………………………    郵政大臣         八代 英太君    郵政政務次官       小坂 憲次君    郵政政務次官       前田  正君    会計検査院事務総局第四局    長            増田 裕夫君    参考人    (日本放送協会会長)   海老沢勝二君    参考人    (日本放送協会専務理事・    技師長)         長谷川豊明君    参考人    (日本放送協会専務理事) 松尾  武君    参考人    (日本放送協会理事)   芳賀  譲君    参考人    (日本放送協会理事)   板谷 駿一君    参考人    (日本放送協会理事)   笠井 鉄夫君    参考人    (日本放送協会理事)   山田 勝美君    参考人    (日本放送協会総合企画室    (経営計画局長)    三枝  武君    参考人    (日本放送協会経理局長) 加藤 陽三君    逓信委員会専門員     大久保 晄君     ————————————— 委員の異動 十一月二十四日  辞任         補欠選任   虎島 和夫君     大野 松茂君   中尾 栄一君     水野 賢一君   野中 広務君     河井 克行君   山口 俊一君     菅  義偉君   遠藤 和良君     石垣 一夫君 同日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     虎島 和夫君   河井 克行君     野中 広務君   菅  義偉君     山口 俊一君   水野 賢一君     中尾 栄一君   石垣 一夫君     遠藤 和良君     ————————————— 本日の会議に付した案件  会計検査院当局者出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書     午後一時一分開議      ————◇—————
  2. 前田武志

    前田委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の両件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件審査のため、本日、参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田武志

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、お諮りいたします。  両件審査のため、本日、会計検査院事務総局第四局長増田裕夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前田武志

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 前田武志

  6. 八代英太

    八代国務大臣 こんにちは。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま議題とされました日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事意見書について、その概略を御説明申し上げます。  本資料は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  平成年度貸借対照表一般勘定につきましては、平成九年三月三十一日現在、資産合計は六千六十一億七千九百万円、負債合計は二千五百五十億五千二百万円、資本合計は三千五百十一億二千七百万円となっております。  資産内容は、流動資産一千六百二億六千六百万円、固定資産四千二百七十五億五千九百万円、特定資産百八十三億五千二百万円であり、負債内容は、流動負債一千六百二十五億二千七百万円、固定負債九百二十五億二千五百万円となっております。  また、資本内容は、資本二千九百七十四億三千六百万円、積立金五百十四億五千二百万円、当期事業収支差金二十二億三千八百万円となっております。  また、受託業務等勘定につきましては、資産合計負債合計とも、二百万円となっております。  損益計算書一般勘定につきましては、経常事業収入は五千九百六十一億九千二百万円、経常事業支出は五千八百八十九億百万円となっており、経常事業収支差金は七十二億九千万円となっております。これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は二十二億三千八百万円となっております。  また、受託業務等勘定については、経常事業収入は三億一千万円、経常事業支出は二億五千五百万円となっており、経常事業収支差金は五千五百万円となります。これに経常事業外収支差金八百万円の欠損を加えた当期事業収支差金は、四千六百万円となっております。  以上につきまして、監事意見書においては、監査の結果、財務諸表は、日本放送協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認められております。  引き続きまして、日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事意見書について、その概略を御説明申し上げます。  本資料は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  平成年度貸借対照表一般勘定については、平成十年三月三十一日現在、資産合計は六千百五十一億三千六百万円、負債合計は二千五百四十六億五千七百万円、資本合計は三千六百四億七千九百万円となっております。  資産内容は、流動資産一千六百十九億三千三百万円、固定資産四千三百二十六億四千百万円、特定資産二百五億六千万円であり、負債内容は、流動負債一千六百三十億三千八百万円、固定負債九百十六億一千八百万円となっております。  また、資本内容は、資本三千六十五億七千六百万円、積立金四百四十五億五千万円、当期事業収支差金九十三億五千百万円となっております。  また、受託業務等勘定については、資産合計負債合計とも、九百万円となっております。  損益計算書一般勘定につきましては、経常事業収入は六千二百十七億九千六百万円、経常事業支出は六千二十一億一千万円となっており、経常事業収支差金は百九十六億八千六百万円となっております。これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は九十三億五千百万円となっております。  また、受託業務等勘定については、経常事業収入は三億九千九百万円、経常事業支出は三億二千百万円となっており、経常事業収支差金は七千七百万円となります。これに経常事業外収支差金一千八百万円の欠損を加えた当期事業収支差金は、五千八百万円となっております。  以上につきまして、監事意見書においては、監査の結果、財務諸表は、日本放送協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認められております。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  7. 前田武志

    前田委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長海老沢勝二君。
  8. 海老沢勝二

    海老沢参考人 ただいま議題となっております日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並び監事意見書概要につきまして御説明申し上げます。  まず、一般勘定当年度末の資産総額財産目録貸借対照表で見ますと六千六十一億七千九百万円で、この内訳は、流動資産一千六百二億六千六百万円、固定資産四千二百七十五億五千九百万円、特定資産百八十三億五千二百万円、このうち固定資産内容は、建物一千二百四億三千六百万円、土地二百八十五億四千六百万円、機械及び装置一千二百六十八億六千六百万円、放送衛星八十九億八千五百万円、その他の固定資産一千四百二十七億二千五百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、百三十億三千万円の増加となっておりますが、これは建設計画に基づく衛星放送設備番組制作設備整備等によるものでございます。  一方、これに対する負債総額は、二千五百五十億五千二百万円で、この内訳は、流動負債一千六百二十五億二千七百万円、固定負債九百二十五億二千五百万円、このうち固定負債内容は、放送債券三百四十八億八千万円、長期借入金二百五十五億四千五百万円、退職手当引当金三百二十一億円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、百七億九千百万円の増加となっておりますが、これは長期借入金増加等によるものでございます。  また、資本総額は、三千五百十一億二千七百万円で、この内訳は、資本二千九百七十四億三千六百万円、積立金五百十四億五千二百万円、当期事業収支差金二十二億三千八百万円でございます。  この資本総額は前年度末と比較し、二十二億三千八百万円の増加となっております。  次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額は、それぞれ二百万円でございます。  次に、損益計算書について申し上げます。  まず、一般勘定経常事業収支について見ますと、受信料等経常事業収入は五千九百六十一億九千二百万円で、前年度と比較し、百七十八億八百万円の増加となりました。  これは主として、受信契約維持増加に努めた結果によるものでございます。  なお、有料受信契約件数は、四十一万件増加し、当年度末には三千四百七十九万件となりました。  次に、経常事業支出は五千八百八十九億百万円で、この内訳は、国内放送費二千三百六十三億六千二百万円、国際放送費六十四億八千万円、契約収納費五百五十九億九千九百万円、受信対策費十九億六千四百万円、広報費二十八億五千九百万円、調査研究費七十八億八千八百万円、給与一千四百六十五億八千百万円、退職手当厚生費四百八十九億四千四百万円、一般管理費百三十八億九千二百万円、減価償却費五百十四億七百万円、未収受信料欠損償却費百六十五億二千二百万円となっております。  これは前年度と比較し、百六十二億六千三百万円の増加となりましたが、主として、放送番組充実に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は七十二億九千万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は二十二億三千八百万円となりました。  なお、当期事業収支差金については、全額事業収支剰余金として翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。  次に、受託業務等勘定経常事業収入は三億一千万円で、経常事業支出は二億五千五百万円となりました。  その結果、経常事業収支差金は五千五百万円となり、これに経常事業外収支差金八百万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は四千六百万円となりました。この当期事業収支差金につきましては、一般勘定経常事業収入へ繰り入れております。  なお、監事意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  引き続きまして、平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並び監事意見書概要につきまして御説明申し上げます。  まず、一般勘定当年度末の資産総額財産目録貸借対照表で見ますと六千百五十一億三千六百万円で、この内訳は、流動資産一千六百十九億三千三百万円、固定資産四千三百二十六億四千百万円、特定資産二百五億六千万円、このうち固定資産内容は、建物一千二百四十億六千五百万円、土地二百八十六億六千三百万円、機械及び装置一千四百二億六千四百万円、放送衛星八十九億八千五百万円、その他の固定資産一千三百六億六千二百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、八十九億五千六百万円の増加となっておりますが、これは建設計画に基づく新放送施設整備番組制作設備整備等によるものでございます。  一方、これに対する負債総額は二千五百四十六億五千七百万円で、この内訳は、流動負債一千六百三十億三千八百万円、固定負債九百十六億一千八百万円、このうち固定負債内容は、放送債券三百三十六億円、長期借入金二百六十四億二千八百万円、退職手当引当金二百七十一億九千万円、その他の固定負債四十四億円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、三億九千五百万円の減少となっておりますが、これは未払い金減少等によるものでございます。  また、資本総額は三千六百四億七千九百万円で、この内訳は、資本三千六十五億七千六百万円、積立金四百四十五億五千万円、当期事業収支差金九十三億五千百万円でございます。この資本総額は前年度末と比較し、九十三億五千百万円の増加となっております。  次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額は、それぞれ九百万円でございます。  次に、損益計算書について申し上げます。  まず、一般勘定経常事業収支について見ますと、受信料等経常事業収入は六千二百十七億九千六百万円で、前年度と比較し、二百五十六億四百万円の増加となりました。  これは主として、受信契約維持増加に努めた結果によるものでございます。  なお、有料受信契約件数は、四十五万件増加し、当年度末には三千五百二十四万件となりました。  次に、経常事業支出は六千二十一億一千万円で、この内訳は、国内放送費二千四百三十二億八百万円、国際放送費六十七億五千六百万円、契約収納費五百六十九億一千六百万円、受信対策費二十億一千二百万円、広報費二十八億八千四百万円、調査研究費八十億二百万円、給与一千四百七十一億一千三百万円、退職手当厚生費四百九十四億七千五百万円、一般管理費百四十二億七千万円、減価償却費五百四十四億四百万円、未収受信料欠損償却費百七十億六千六百万円となっております。  これは前年度と比較し、百三十二億八百万円の増加となりましたが、主として、放送番組充実に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は百九十六億八千六百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は九十三億五千百万円となりました。  なお、当期事業収支差金については、全額事業収支剰余金として翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。  次に、受託業務等勘定経常事業収入は三億九千九百万円で、経常事業支出は三億二千百万円となりました。  その結果、経常事業収支差金は七千七百万円となり、これに経常事業外収支差金一千八百万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は五千八百万円となりました。この当期事業収支差金につきましては、一般勘定経常事業収入へ繰り入れております。  なお、監事意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  これをもちまして、概要説明を終わらせていただきますが、今後の協会経営に当たりましては、公共放送としての使命と責務を深く認識し、放送事業の一層の発展に努力してまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  9. 前田武志

    前田委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院増田第四局長
  10. 増田裕夫

    増田会計検査院当局者 日本放送協会平成年度及び九年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。  まず、日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、平成九年六月十九日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて同年十二月五日内閣に回付いたしました。  次に、同協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、平成十年六月十二日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて同年十二月四日内閣に回付いたしました。  同協会の両年度決算につきまして検査いたしました結果、特に法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  11. 前田武志

    前田委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  12. 前田武志

    前田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石崎岳君。
  13. 石崎岳

    石崎委員 自由民主党の石崎岳です。  NHK年度、九年度決算について御質問を申し上げます。  NHK公共放送という位置づけでありますが、この決算についてはNHK本体決算というものが主になっておりますが、いわゆるNHKグループ、聞くところによりますと、関連団体二十七団体があるというふうにお聞きをしております。株式会社が二十、公益法人が七ということであります。株式会社公益法人、一くくりにはできないというふうに思いますが、いずれにしても、関連団体への出資というのは受信料原資になっていると思います。公共放送という性格上、受信料原資として出資をしている。  そうすると、NHK本体のみならず、関連団体を含めたグループ全体についての財務というものの透明性公開性というものが非常に大事ではないかというふうに思います。特に昨今、連結決算連結財務という考え方がもう趨勢でありますので、この委員会において、国会において、やはり全体をチェックするという機能をどうしても果たすべきだというふうに思います。  現状の形態を見ておりますと、コーポレートガバナンスという言葉が今はやっておりますけれども、本体だけじゃなくて、関連団体あるいはその子会社にまで公共放送として国民のガバナンスが働いているという形にはなっていないというふうに考えております。  そこでまず、会長に御質問させていただきますが、NHK公共性にかんがみて、本体のみならず関連団体全体の公共性というものを考えた場合の全体のグループあり方について、肥大化という批判が絶えずここ数十年NHKに対しては向けられておりますけれども、関連団体あり方、そういうものについて、事業拡大というものを目指すのか、あるいは経費節減、リストラという方向を目指すのか、その点からまずお聞かせいただきたいのですが。
  14. 海老沢勝二

    海老沢参考人 私ども、NHK本体関連団体二十七ありますけれども、これを、できるだけ国民ニーズにこたえながら、一方ではまた効率的な運営をしながら、バランスよく事業運営をするのが我々の使命だろうと思っております。そういう中で、一時、NHK巨大化商業化に走るんじゃないかという時期がありましたけれども、私ども、やはり公共放送使命、責任という意味から、節度を持って業務を展開しようというのが基本的な姿勢であります。そういう面で、放送法にありますように、NHK民放とのいわゆる競争的共存体制維持しながら、お互いにそれぞれの分野をしっかりやっていこう、そういう姿勢で今業務に取りかかっております。  ちなみに、関連二十七団体ありますけれども、平成年度決算を見ますと、売り上げが二千四百二十億で、対前年比二十億の減収になっております。これは、ここ数年の日本全体の不況といいますか、そういう中で売り上げが伸び悩んでいる。そういう中で、一方では、経費節減と効率的な仕事をしようということで、二億程度の増益といいますか増収を得たわけであります。  そういう面で、私ども、民放等仕事ぶりも見ながらやっておるわけでありますけれども、今御承知のように、民放さんとは、お互いの分をわきまえて、我々が民放仕事の領域を侵すとか、そういうトラブルは一件も起こっていないというふうに我々は認識しております。  そういう中で、今後とも、NHK業務を支援するという形で、これからも節度を持った事業運営に心がけていきたいと思っているところでございます。
  15. 石崎岳

    石崎委員 情報開示あり方として、本体決算を提出する。この決算書では関連団体については「関連団体概要」という開示にとどまっておりますけれども、本体関連団体を合わせて全面的に国会決算を提出するというような情報開示のお考えはありませんか。
  16. 海老沢勝二

    海老沢参考人 一般企業では、先生御案内のように、平成十一年度、今年度決算から連結決算ということで一般に公表するということになっております。  私ども、放送法に基づく特殊法人で、いわゆる利益を追求する企業体ではありませんので、そういう面で連結決算は義務づけられておりませんが、いずれにしても、株式会社二十社を抱えておりますので、NHKとしてどこまで連結決算をできるのか、そのほかの財団法人福祉法人、学校法人等ありますので、その辺の兼ね合いを見ながら、各方面の意見を聞きながら、できるだけ視聴者ニーズといいますか要望にこたえるような方法で前向きに検討していきたいということで、いろいろな角度から検討しているということであります。  今年度からやるかどうかについては、もう少し検討の結果を見た上で決断したいと思っております。
  17. 石崎岳

    石崎委員 そこで、本体売り上げが六千億ぐらいですか、関連は二千四百億、かなりのボリュームであります。そうすると、グループ全体の財務状況を把握するという意味では連結財務諸表というものも非常に必要ではないかというふうに思います。  本体関連会社との取引子会社との取引というのがもちろん頻繁に行われているでしょうけれども、そこで本当に取引価格料金設定というものが適正に行われているかどうかというのは、外部の人間にはなかなかわからない。競争力というものが働いていないでしょうから、それが適正なのかどうかというのがなかなかわからない。そうすると、仕入れ価格子会社関連団体との取引料金設定というものにモラルハザードが起きていないのかどうかというのが外部からはよくわからないという面があると思います。そういう意味でも、連結財務諸表の作成、開示というようなお考えはありますか。
  18. 海老沢勝二

    海老沢参考人 平成年度決算によりますと、この二千四百億のうち一千百億程度NHK関連会社との取引というふうになっております。ですから、関連会社独自の業務というのは一千二百億から一千三百億の間というふうに私見ております。そういう中で、できるだけ我々受信料で賄っていく気持ちがありますから、公正な競争という中で適正な番組制作あるいは業務委託というものに心がけております。  そういう意味で、今、要員の方も、NHK本体では、今年度百九十人ほど純減をいたします。この五年間を見ますると、私ども六百人ほど要員を削減しております。一方、関連会社の方は、いろいろ業務展開をしておりますので、逆に五百人ほどこの五年間でふえております。だから、NHK総体としては都合百人ほどの削減というふうに見ております。そういう面で、できるだけ要員をふやさないで、また、質の高い番組をどうつくるかということで、いろいろな面で今改革を進めているわけであります。  そういう中で、今先生御指摘のように、できるだけNHK全体の仕事ぶりがわかるような財務開示といいますか、そういうことをしたらどうだ、こういう趣旨でありますけれども、その辺を含めて、できるだけ、NHK、ガラス張りといいますか、透明度を増すための方策を今真剣に検討しております。できるだけ視聴者ニーズにこたえるような方向で前向きに取り組んでいきたいと思っております。
  19. 石崎岳

    石崎委員 この機会にNHKと情報公開の関係についてもお聞きしたいのですが、本年、情報公開法が成立をし、施行をされておりますけれども、その中で除外をされました特殊法人については、公布後二年を目途に法制上その他必要な措置を講ずるということになっております。  現在、行政改革推進本部で特殊法人情報公開検討委員会が設けられて、いろいろ検討作業が進められていると聞いております。本日、何か検討委員会NHKのヒアリングを行うというふうに聞いておりますけれども、この委員会としても、情報公開の中におけるNHK、どういうふうな考えを持っていらっしゃるか、どういう姿勢なのかをお聞きしたいのですけれども。
  20. 山田勝美

    ○山田参考人 お答えします。  御存じのように、NHKは言論報道機関であります。NHKとしては、国の出資がないこと、放送という仕事は国の事務を代行するものではないこと、さらに組織的にも財政的にも国からの独立性が高いということから、ほかの特殊法人とはNHKはその沿革や基本的性格を異にしております。したがいまして、設立行為にかかわる共通性だけでほかの特殊法人と一律に取り扱われるのは適当ではないというふうに考えております。  ただ、NHK財源受信料としてひとしく直接国民の負担に求めている以上、重い説明責任があると認識しております。このため、公開と参加を重要な経営理念としまして、情報の提供、情報の開示に積極的に取り組んでおるつもりであります。  例えば、放送法で決められた業務報告書や決算書の放送センターへの備え置き、そのほかにも、さまざまな情報を放送、出版、インターネットなど多くの手段で提供しております。特に、このような国権の最高機関であります国会での予算、決算審議の場で情報提供あるいは情報開示に努めているのも、NHKにとってみますれば重要な情報公開の仕組みというふうに考えております。個別に予算や決算を御審議いただいている特殊法人はほかにはないというふうに承知しております。  情報公開の法的な対象になりますと、NHKがいかにも行政機関の一部と受けとめられるおそれがあります。そのことはNHK国民視聴者の関係の根幹にかかわるというふうに考えております。  情報公開につきましても、NHKの自主性を尊重していただきまして、法的措置の対象外としていただきたい、このことを、きょう午前の特殊法人情報公開検討委員会のヒアリングでも述べたところでございます。どうかひとつ、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。  以上です。
  21. 石崎岳

    石崎委員 この点についてはこれからまたいろいろ議論が出てくると思いますが、郵政省は何か見解はございませんでしょうか。
  22. 八代英太

    八代国務大臣 NHK公共性、それからまた受信料で成り立っているということ等を考え、また世の中全体が情報公開ということを考えますと、その基本的な考え方というものは、今の委員の御指摘と同じような考えを私も持っております。  しかし、NHKの、特殊法人のそうした今御説明のことも、一方では理解を示しつつも、今後の中で検討すべきことだというふうに思っております。
  23. 石崎岳

    石崎委員 ちょっと質問の趣旨が変わりますが、この委員会では、地上波のデジタル化のことについて私もたびたび質問をさせていただいております。いろいろな論点が出ております。そして、郵政省、民放NHK、共同でいろいろな議論が今されているさなかでありますけれども、私も地上波の出身としていろいろ重大な関心を持たせていただいております。  特に、伝送系といいますか、電波を送信するための投資に莫大な経費がかかるということについて、地上波、特に地方局の経営の根幹を揺さぶるのではないかという心配を私もしておりますし、民放各社も現時点でもそのように感じております。これはNHKとしても例外ではないというふうに思います。  そこで、デジタル放送の場合は、シングルフリークエンスといいますか、そういう性質で、同じ周波数でというような技術的な問題もいろいろありますけれども、この伝送系の伝送設備というものの莫大な投資を少しでも一社当たり軽減するための事業に共同で取り組む、あるいはNHK民放も共同でというようなお考えNHKにはありますでしょうか。
  24. 長谷川豊明

    ○長谷川参考人 お答えいたします。  NHKとして、デジタル設備をつくるに当たっては、できるだけ視聴者の負担を少なくするという意味で、民放さんと共同で建設するというのを基本的な考え方にしております。  具体的に申し上げますと、先生お尋ねの地上デジタル放送については、今チャンネルプランをやっておりますけれども、それが決まった後、各地域ごとに各民放さんと御相談をすることになります。その場合に、当然、今あるアナログの設備も有効に使うということと、それから、各地域ごとの民放さんと共同で建設するという作業になることと思います。  また、衛星放送の方も来年の十二月に放送開始をしようとしておりますけれども、その衛星につきましては民放さんと共同で調達することにしておりますし、これに伴う地上設備も民放さんと共同で整備するということで、先生がお尋ねのように、NHKとしては、基本的には民放さんと共同で整備するという考え方で進めることにしております。
  25. 石崎岳

    石崎委員 そこで、向こう十年間ぐらい、日本の放送、テレビというものは大変さま変わりしてくるだろうと考えております。BSも地上波もデジタル化をするという趨勢でありますけれども、一方で、通信の方もインターネットテレビ等が最近いろいろ脚光を浴びておりまして、そうすると、将来の放送の形態というものが一体どういうふうになってくるのかな、最近ちょっと、非常に難しい状況になるのではないかと。  通信と放送の融合という議論は最近大変盛んに行われておりますけれども、放送をどういう形態で見るかというものが、十年後、二十年後、さま変わりしてくるのじゃないか。そうすると、インターネットテレビ等が普及してきますと、今までのような地上波の、たくさんあちこちに置局をして電波を送信するという形態で電波を送るのか、あるいは光ファイバーケーブル、そういうものの通信のインフラを使って各家庭に送るのかといった将来の、将来といっても近未来でありますけれども、放送形態というのが随分変わるのじゃないか。  そういうことを考えますと、今ここで莫大な伝送系の設備を地上波デジタルで行おうということが将来的に本当にペイするのかどうか、見合うのかどうかという議論を、大変な疑問点としてずっと私は考えているのですけれども、この点、つまり、通信と放送の将来に向けて、今経済が厳しい中で伝送系に多額の投資をすることが本当に妥当なことなのかどうかというのを、郵政省は大方針としてその前提の考えをしっかりと持つべきだと思いますが、この機会に大臣の御見解をお聞かせ願います。
  26. 八代英太

    八代国務大臣 石崎委員も放送の出身でございますので、いろいろこの問題には関心は高くお持ちだろうというふうに思っておりますが、放送ネットワークというのは、また通信とは違う分野も多々ございますし、何よりも、気軽に地域の問題の情報が伝達できる。そしてまた、いろいろな意味で、災害時等におきましても、あらゆる番組を中断して、すぐ臨機応変の対応ができる。しかも、映像ともども音声も含めてそれができる。それからまた、トラフィック量におきましても伝送路の制約がないということと、あるいは視聴者が簡便な受信機で受信ができるという、いろいろな意味でのメリットも含めた一つの使い方、特性もあろうかと思います。  現在のところは、通信ネットワークではこのような特性を持つことはなかなか難しいだろうと思います。技術的にも困難だというふうに思っておりますので、放送ネットワークが今後とも有効に機能するように、しかし、そうはいいましても、これから、マルチメディア、いろいろな形で放送と通信との融合化が議論され、また図られていくことは事実でございます。  しかし、そこの特性というものは、おのずと通信と放送は違うものであろうと思いますし、その辺も含めた多様なネットワーク化がどんどん進んでまいりますと、それぞれがその特性を生かしながらこれから放送と通信というものを育てていくことが大切であろう。  時としては融合する部分がありましても、基本的な考え方とすれば、放送と通信は別な形で有効に利用されるのがいいのではないかということで、私たちもそういう方向の政策を推進していきたい、こんなふうに思っております。
  27. 石崎岳

    石崎委員 この点については、海老沢会長、ちょっと簡単に御見解をお聞かせ願えますか。
  28. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今郵政大臣のお話がありましたように、これからますます、放送と通信の融合といいますか、垣根が低くなる、そういう時代だろうと思っております。そういう面で、私どももこれにどう対応するか。いろいろ今地上デジタル、衛星は来年からやりますけれども、それに向かっていろいろな計画をし、いろいろな準備をしている最中でございます。  問題は、やはり放送というものは、視聴者国民全体にかかわるものでありますので、そういう面で、問題はやはり放送のコンテンツといいますか、内容が非常に問題だろうと思っております。そういう面で、衛星なりCATVなり、あるいは無線中継システムなり、いろいろな伝送を使って放送するわけでありますけれども、いろいろ変わっても、根本は、ソフト、番組の内容というものは、やはり質の高いものをつくらなければいかぬ、そういう面では、私は、どういう時代が来ようとも、内容充実強化というものが最も大事だろうというふうに思っております。  ただ、そういう面で技術革新が非常に早いものですから、それに今ソフトが追いつかないという面もありますけれども、私どもはやはり、この放送の特性、あるいは通信の特性、新聞の特性、インターネットの特性、それぞれがありますので、その辺をうまく活用するといいますか、それを融合させながら、いろいろな番組を開発、研究していかなければならぬだろうと思っております。  いずれにしても、こういう世界的なデジタル技術の時代でありますから、それにおくれをとらないよう、また我々は、公共放送として先導的役割をしなければならぬという決意を今新たにしております。新しい技術を取り入れながら、いろいろなサービスをしていかないといけない立場でありますから、そういう中で、我々はソフトを常に考えなければならぬというふうに今思っているところであります。
  29. 石崎岳

    石崎委員 最後にもう一点。受信料の免除措置というのがあります。学校、生活保護世帯、社会福祉法人等々、受信料免除措置というのが行われていますけれども、学校の免除措置の解除について、本年度は、学校の校長室、職員室は有料にするというような措置がとられたというふうに聞いております。  私の北海道のある学校では、学校側とNHKの職員とでトラブルになって、NHKに対してテレビを持っていってもいいぞというようなことを学校側の職員が言ったということが話題になっておりましたけれども、私はそこでは民放を見ればいいのではないかというふうに思いますけれども、そういうような細かいトラブルが現場であった。それを、さらに教室にまで拡大をしたいというようなことを考えていらっしゃるというふうに聞いておりますけれども、その後の受信料免除措置についての検討状況をちょっとお聞かせください。
  30. 芳賀譲

    ○芳賀参考人 お答えいたします。  先生御承知のように、施設を対象にしました免除措置につきましては、もう放送の普及という所期の目的が達成されたということで、国会の附帯決議等も何回かいただきまして、受信料の公平負担の徹底を期すという観点から、関係機関の御理解を得て段階的に廃止してきておりまして、先生御発言ありました十一年度につきましても、小中学校、幼稚園あるいは盲学校等の校長室、教員室の受信機の受信料免除は除外をさせていただいてきております。現在、自治体、学校等の御理解を得ながら、先生御指摘のようなことがないように努めながら、進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、十二年度以降につきましても、関係機関の御理解を得ながら、学校あるいは社会福祉法人の施設に対する免除措置は段階的に廃止したいというふうには考えています。  ただ、御指摘のように、学校の普通教室に設置されたテレビにつきましては、小中学校は義務教育でございます、それから、直接児童生徒が授業で使われています、こういうことでありますから、その財源がないと、撤去等のことをお考えのところが出るやもしれません。したがいまして、私どもとしましては、免除廃止に当たっては、国による財源措置を基本に考えていただきたいというふうに考えておりまして、関係省庁にお願いをしているところであります。  ただ、状況は大変厳しいものがありまして、十二年度について実施できるかどうかというのは大変厳しいなというふうに認識しています。いずれにせよ、関係省庁あるいは関係者の方々の御意見を承りながら、慎重に対処してまいりたいというふうに考えております。  また、生活保護世帯等の個人免除につきましては、今後とも継続をしてまいります。  以上であります。
  31. 石崎岳

    石崎委員 いずれにしても、学校については財源の裏づけがあって行うという方向でぜひ御検討をいただきたいと思います。  終わります。
  32. 前田武志

    前田委員長 次に、中沢健次君。
  33. 中沢健次

    ○中沢委員 民主党の北海道出身の中沢でございます。  逓信委員会の質問は初めてでございます。  最初に、八代郵政大臣、お二人の政務次官、大変な大役、御苦労さまでございます。郵政の三事業の問題もそうでありますけれども、特に情報通信、二十一世紀の我が国のリーディング産業、このように言われておりますが、いずれにしても、大臣以下それぞれ職責を全うされまして、御精進をされますように、心から期待を申し上げたいと思います。  さて、きょうは四十分というわずかな時間でありますから、私はどちらかというと、逓信委員会の専門的な分野は余りよく承知をしておりません。しかし、テレビを見たり、携帯電話を使ったり、日常ふだんにいろいろな場面でそういうところとも接触をしておりますから、ある意味国民の目線で、今大事な問題を私なりに幾つか、この機会でありますので、質問させていただきたいと思います。  まず最初に、NHKの海老沢会長にお尋ねをいたします。  昨年の八月に私が逓信委員長に就任をした折に、早速お訪ねをしてごあいさつをいたしました。その折に、実は北海道を舞台にした来年四月からのテレビの番組を予定している、北海道は大変ですけれども、ひとつ先生も頑張ってください、こういう激励を受けた。非常に鮮烈な印象が残っているわけです。  既にこの番組は九月で終わりました。「すずらん」という全国的にも大変な高い視聴率、視聴率が高ければいいということではないのでしょうけれども、しかしそれにしても、もう大変全国的にも好評を博しまして、特に北海道では、本当に各地に行きましても絶賛のすばらしいNHKの番組である。私は北海道の出身だから自画自賛するわけではありませんが、そういう大変な評価を得て、NHKとしても専門的に、番組が終わってからいわゆる総括という文書にしたものも出しているようでございます。  もともとあそこは、私は今比例区で頑張っておりますが、かつての中選挙区のときの私の選挙区、北海道の沼田町、これがいわゆる屋外ロケの舞台として、私の出身の夕張も炭鉱事故のロケ現場として御利用いただいたわけであります。  やはりNHKという公共放送、そういう性格。もっと言うと、NHKの持っているプロ集団の総結集として、この番組にやや象徴されておりますような、文化的なあるいは社会的な、そういう側面から、かなりいろいろな意味での、直接的な経済効果もそうでありますけれども、いろいろな波及効果を私は与えたのではないかと思いますが、その辺につきまして、会長として、具体的にどういうことを把握されていらっしゃるか。まず、そのことをお尋ね申し上げたいと思います。
  34. 海老沢勝二

    海老沢参考人 私どもNHK公共放送といたしましては、いずれにしても、国民の信頼の上に成り立っている放送機関であります。そういう面で、常に視聴者国民の要望といいますか、ニーズにお答えしなければならない立場であります。  そういう面で、今度の朝の連続テレビ小説につきましては、この数年北海道が非常に不況に見舞われ、銀行の倒産、いろいろな問題がありました。そういう中で北海道の方々から、北海道が元気が出るようなドラマをひとつつくってほしいという要望が私どもに寄せられました。  私ども、大河ドラマを初め朝の連続テレビもそうでありますけれども、そのほかの「のど自慢」、いろいろ番組やっております。そういう中で、国民全体とともに、また地域の経済の活性化あるいは地域文化の振興、育成というのにも我々は大きな力を入れるべきだ、そういう姿勢で番組をつくっております。そういう中で、北海道を舞台にしてひとつテレビ小説ができないかということでああいう企画が持ち上がったわけであります。  そういう面で、「すずらん」につきましては、非常に厳しい環境の中から育ち、そして最後は、御承知のように福祉関係の仕事をやるというような非常にドラマチックといいますか、人生そのものを描いたもので、多くの視聴者に感動を与えた番組だったということで、各方面から絶賛の声が寄せられました。  そういうことで、私どもは今後とも、各地のいろいろな要望にこたえながらやっていくつもりでおりますし、二十一世紀、今、朝のテレビ小説は奈良、京都を舞台にしておりますけれども、二〇〇一年には沖縄を取り上げてみようかということで今リサーチをしているところでございます。そういう面で、できるだけ各地を回って、それぞれの生活、文化、歴史というものを御紹介していきたい、そう思っておるところでございます。
  35. 中沢健次

    ○中沢委員 具体的な波及効果のお答えはなかったのでありますが、私は地元の町長とも友人でもありますし、いろいろな話を聞いています。  例えば、SLの列車が走りました。すずらん号。JR北海道の正式発表ではありませんが、恐らく一億八千万売り上げがふえた。  私の出身の夕張は少しくメロンで有名でありますが、その沼田町というのはほとんど、観光地らしいものが一切ない。この番組を契機にして、実に四十万人のびっくりするような新しい、いわゆる全国的な観光客が訪れる。  私はそういう数字的な経済効果はもちろんでありますが、これは郵政大臣に事前にちょっと資料をお届けしておりますが、私もテレビを見てびっくりしたのでありますけれども、いわゆる点描画の作者が沼田にいらっしゃいまして、難病の多発性筋炎、農業をやめて、日ごとに筋肉が衰える、大変な思いをされていたようでありますけれども、たまたまこの方がこの「すずらん」という番組を見て、SLをかいたり、あるいは沼田町のいろいろなことをかいて、それをある意味NHKもJRもお手伝いをしてポストカードにしたり、あるいは版画にしたりして、かなりインパクトといいましょうか、感銘を与えているわけですね。  私は、これはやはり、この番組が持っていた、文化面でいうと非常に潜在的な、また、それほどみんなが全体的には注目をしておりませんけれども、難病患者のこの方が点描画をかく、そのことだけでもこの番組の一つの効果があったんではないか。  もっと言うと、どこでもそうですけれども、町づくりというのは大体行政が主導するんですよ。いい悪いの議論は別にして。しかし、沼田に年間四十万も人が来るということは、行政は完全にお手上げですよね。そうしますと、あそこに恵比島という地区なんですが、明日萌という駅の現場なんですけれども、あそこの住民だけではなくて、沼田の町民、場合によっては近隣の深川から留萌も含めて、ある意味で、行政主導の町おこしじゃなくて、住民みずからが意識を変えて住民主導の町づくり、そういう意識の変革につながっている。  僕は、この話を聞いて、やはりNHKというのはいい番組をつくる。そういう意味でいうと、文化的な、社会的な、地域の活性化を含めてすばらしい効果があるんだなと本当に実感いたしました。  そこで、北海道のことだけ言って申しわけないのでありますが、依然として北海道は余り調子よくないんですよ。銀行があんな状態で、雇用も悪い。知事を先頭に頑張っていますけれども、なかなか思うように全国のレベルまで行かない。  ついこの間、退任あいさつに行った折に、会長がおっしゃっておりました。例えば「すずらん」を今度は本格的に映画にするんだという話、あるいは来年は高田屋嘉兵衛の番組を北海道も舞台にしてやるんだというお話がありましたけれども、今の御答弁では、例えば、二十一世紀、今度は沖縄を舞台にしてやると。私は、これはすばらしい企画にぜひしていただきたい。  そんな思いも込めて、北海道だけでなくて結構ですけれども、やはり私は田舎という言葉は、別にべっ視の意味じゃなくて、私は田舎が大好きですから、沼田のような片田舎にああいう番組をつくることによって大変な波及効果が全面的に広がる。やはり観光地で有名なところでやっても、中身は別にして、余りそういう意味での広がりはあるいはないかもしれません。  ぜひひとつ、NHKとしては、そういう地域に密着をして、ある意味で片田舎で結構でありますから、そういうところにスポットを当てて、その種の番組をこれから積極的に取り組んでいくべきではないか。私はそういう人材もかなり豊富にそろっているんじゃないかと思います。その辺は、会長としてどういう見解をお持ちでしょうか。
  36. 海老沢勝二

    海老沢参考人 私どもは、NHKという性格上、一つの地域に偏らず全地域を対象に考えております。  そういう中で、今先生御指摘の北海道につきましては、きのう二十三日、勤労感謝の日に、夜九時から十時半まで、いわゆる襟裳岬から宗谷岬、五百五十五キロの一週間にわたるマラソンを毎年やっているようでありますが、それをドラマ化して「天使のマラソンシューズ」というタイトルで放送いたしました。これも北海道を縦断するわけでありますので、北海道の雄大な自然なりあるいは文化なり、そういうものがあの番組で視聴者の人たちも大分わかっていただいたんじゃないかと思っております。  それと、ことしの正月の番組に、「いい旅いい夢いい女」という、いわゆる北海道の観光地を三人の女性が旅していくというドラマですけれども、これも非常に好評をいただきました。その番組を来年の正月番組として、九州編ということで九州を今撮影しております。  そういうことで、そういう番組で各地を紹介する、あるいは、そのほかいろいろ私ども番組をつくっておりますので、いろいろな地方に行って、これまで余り取り上げなかった地域にも目を向けながら新しい番組を開発していきたいというふうに今思っております。  そういう中で、この数年間、先生御承知のように、私ども、記録事業ということで、日本の各地にはそれぞれすぐれた文化、歴史があります。そういう面で、伝承といいますか、各地域に伝わっておりますお祭りとか、あるいは風俗といいますか、慣習といいますか、そういういろいろな行事、そういうものを記録にとどめるということで、「民間伝承と日本の心」というようなタイトルでかなりの番組をつくり、再編集して、また新たにつくり直してみようと思っております。  それから二十世紀の映像といいますか、日本の百年間の歴史というものを映像によってひとつ記録にとどめておこうということで、各県ごとの映像の世紀ということで今番組化し、基本的構想をしております。  それから、それぞれお国言葉をひとつこれから二十一世紀に残していこう、二十一世紀に残す日本の言葉ということで、各地のいろいろな方言といいますかお国言葉を収集し、それを番組化し、そして我々の子孫に残していこう、そういう記録事業も今展開しております。  それで、「すずらん」につきましては、今先生御指摘のように非常に反響がいいものですから、映画会社とタイアップして映画としてつくってみようということで、これから撮影に入りまして、来年六月ごろ一般に公開しようと今関連会社の方で準備をやっております。  それから、「おしん」という番組がありましたけれども、この連続テレビ小説「おしん」は、これまでに五十四カ国で見られました。我々、これを提供し、そして各国との友好親善に貢献できたと思っております。そういう面で、この「すずらん」も、「おしん」に負けないように外国にいろいろ紹介して、これをひとつ世界の多くの人たちに見てもらおう、そういうことを今考えております。  いずれにしても、私ども、全国規模でいろいろなところに光を当てながら番組をつくっていくことは変わりませんし、今後も力を入れていきたいと思っております。
  37. 中沢健次

    ○中沢委員 いずれにしても、NHKの持っている公共放送使命、それから、やはりいい番組は大変なインパクトを国民に与える、専門家でありますから釈迦に説法だと思いますが、そのことを十分ひとつわきまえまして、ぜひこれからも世界に十分通用するようなすばらしい番組をつくっていただくように、決算審査でありますけれども、そのことをあえて申し上げておきたいと思います。  さて、これからはデジタル放送を中心にNHK会長郵政大臣にお尋ねをしたいと思うのです。  私も、NHKの技術研究所、今まで二回御案内をしていただきまして、いろいろ、実際にデジタルになったらこうなります、そういう実験といいましょうかさまざまなことについて勉強する機会をいただきました。  十月の末に別な用件でイギリスに行きました折に、BBCの本社に行きまして、たしかあのときは技術の専門家だったと思いますが、郵政大臣もお見えになっている、あるいはNHKの皆さんもお見えになっている、こういうことで、御承知のようにあそこはもうデジタル放送が始まっておりますから、テレビにしてもチューナーにしてもサーバーにしても、僕らはよくこれはリモコンでいたずらなんかするんですけれども、すべてそういうものを実際に見聞きをしてまいりました。  そこで、まずNHK会長にお尋ねをいたします。  言われておりますように、来年の十二月からいよいよBSのデジタル放送が本放送になる、技研で見せていただいたものがいよいよ本物として日本にも登場するんだな、こういう思いなんですよ。ただ、国民一般から見ると、かつて白黒からカラーテレビに変わったときと、アナログがデジタルに変わることがどういうふうに、いろいろな意味で本当にすばらしい、これでは早くカラーテレビを買いかえようというあの当時の一種のインパクトが一体再来するんだろうか、こんな印象なんですよ。  しかし、少なくともさきの国会放送法は既に議了しました。我が国の国家目標として、BSもそうだけれども、地上放送も含めて十年という長期スパンで、あるいは二〇〇三年という中期的な目標に向かって国家目標でやる、こういうことでありますから、NHKとしては、それをある意味で先取りをしながらもBSで来年の十二月から始める、こういう準備をしていると思うのですね。しかし、技術的な問題は仮にクリアしたにしても、その種の技術者の養成という人材の問題から、あるいはこの財源をどうするかという問題も含めて、もっというと衛星のロケットを上げればいいということですけれども、ついこの間、日本のHIIは大失敗ですよ。  そういうことも含めて、準備がどの程度まで進んで、来年の十二月の本放送に向かって万々間違いがない、こういう状態なのか、あるいはどういう問題がまだ課題として残っているのか、ひとつ率直にお聞かせをいただきたいと思います。
  38. 海老沢勝二

    海老沢参考人 テレビのデジタル化の問題、BSと地上を分けてちょっと説明させてもらいます。  BSデジタル放送、来年の十二月一日から放送をすべく今準備を着々と進めております。先日もアリアンロケットの会長とお目にかかって、アリアンロケットは間違いなく我々は打ち上げますという決意を表明していましたけれども、来年の十月にアリアンロケットで打ち上げて、我々はそれを利用して十二月一日から放送するということであります。今のところソフト、いわゆる番組をどうするかということでその準備を進めております。  一つは、BSデジタルの大きなあれは、HDTV、ハイビジョンでやるということとデータ放送、これが車の両輪としてうまく進みませんと普及いたしませんので、このHDTV化とデータ放送を順調に立ち上げるということであります。今私どもの計画では、来年の十二月に一遍にすべてハイビジョンでやるというのは、非常に至難のわざといいますか、特にニュース部門が今すべてハイビジョン化しようということでやっておりますけれども、立ち上げの時期は五〇%か六〇%で、あとの四割、五割はあと一、二年かかるのじゃないかと思っております。そのほかの、ドラマとか中継物とかいうものはかなりハイビジョンで放送できる体制が整ってまいりました。  それから、データ放送も、NHK公共放送としてふさわしい、いわゆるオン・ディマンドといいますか、いつでもニュースが見られるあるいは天気予報がわかる、そういうものも今準備を進めていて、これは一遍に理想的にはできませんけれども、国民ニーズにこたえるようなものは放送できるだろうと思っております。  そういう面で、BSデジタルの方は、私はこれまで試験放送から十五年、本放送十年の衛星放送の実績がありますので、それを土台にやれば国民ニーズにこたえることができるだろうと思っております。  一方、地上デジタルの方は、もう先生御承知のように、問題は周波数の確保、いわゆるチャンネルプランをどうつくるかという、これは、日本がアメリカ、イギリスと違って非常に電波が込み合っている、そのためにアナ・アナ変換とかいろいろな問題が出てきて、私どもNHK民放、それに郵政省、三者が共同して今このチャンネルプランの作成のための作業を進めております。これが来年の四月ごろお互いに共通意識を持とうということで今やっております。それがきちっとできれば、私は、そのほかの設備については、これまでの経験を生かしながらやれば順調に進んでいくだろうと見ております。  それで、問題は資金をどうするかということであります。私ども、これまでカメラとかビデオとかのいわゆる番組制作の設備については、すべてやりますと三千億ほどかかりますけれども、千五百億円ほど使っております。  そのほか、これから始まる送出設備あるいは送信設備が三千億から三千五百億円かかる、そういう状態でありますので、これを一遍にやるということは不可能でありますし、段階を経ながら、年次計画を立てながらやっていかざるを得ないだろう。  当然、これは放送事業者の自己負担でやるのが原則だと思いますけれども、しかし、国策として、できるだけ早く情報に格差がなく辺地までやるとなりますと、我々放送事業者ではとても手に負えないといいますか、我々の財源では難しいという状態であります。  そういう面で、今後、具体化するに従って公的資金の導入なり、また新しい知恵を出すとか、そういう施策が必要だろうと思っております。
  39. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、質問はそれにつながってくると思うのですけれども、BSの方は大体百億程度の資金的な用意をするとかなりの問題がクリアできる。しかも、NHK全体の今の決算や予算なんかを見ますと大体六千億ぐらいの規模ですから、私は、それは十分クリアは可能だと。それはぜひ予定どおりやってもらいたい。  問題は、やはり地上波のデジタルだと思いますね。後で郵政大臣にもお尋ねしますが、これは今のお答えにもありましたし、今までの議論の中でも、NHK単独だけでも約五千億ぐらいかかるのではないか、民放を入れると一兆円を超えるという話なんですよ。仮に、NHKだけで地上波のデジタルを、二〇〇三年から関東、近畿で始まるということで取り組むんでしょうけれども、例えば技術的にあるいは人的にクリアしても、この財源問題というのは僕はやはり非常に頭が痛い。  素人が考えましても、今、単年度の予算で六千億ですよ、ある日突然六千億を使うという意味じゃないけれども、何年間かに集中して地上波のデジタルをやる場合は約五千億もかかる。だれが考えたって、受信料を大幅に上げるか、あるいは国民が平等の税負担で公的資金を持ってくるしか、もう処方せんとしては、そんな難しいことは考えなくたっていいと私は思うんですよ。  しかし、受信料を上げるといったって、これは受益者負担とはいいながら、限界はもちろん出てきますよね。そうしますと、勢い、今会長おっしゃったように、これは専門家ですからよく考えてお答えいただいたと思うんですけれども、そうはいってもやはり公的資金の導入ということも視野に入れざるを得ない、私はそうだと思いますよ。  そこで郵政大臣、先ほど「すずらん」のところでちょっと申し上げました。資料を渡しておりますから、ああいう人もやはり全国的に頑張っている、ぜひひとつそれはしっかり受けとめていただきたいと思うんです。  今の質問について、そういう議論でいうと、恐らくまだこれから国会でもあるいは郵政省という責任あるポジションでも相当真剣に考えていかなきゃいけないと思いますが、仮に予定どおり地上波のデジタルをやると優に一兆円を超える、一兆一千億という数字も聞いています。これはやはり大変な金額で、もともとは放送事業者が、NHKも含めて民放が自己責任でやれ、それは当たり前といえば当たり前なんです。しかし、現実的にそんな状態ではない。  そうすると、いい悪いの議論はこれからしなければいけませんが、きょうあす決断をしろとは私は言いませんけれども、少なくとも郵政大臣が大臣として在任中に、この問題でいえば、少しくレールを引くといいましょうか線路を引いて、公的資金導入は、とにかく入り口からシャットアウトするんじゃなくて、そういうこともしっかり視野に入れて、これは国会でも徹底的に議論をしなければならないし、あるいは政府の間でも、関係省庁があるし大蔵省があるわけですから議論をしなければならないと思います。  私の言うそういう公的資金導入ということも視野に入れて、郵政省としてはこれから前向きに、国家目標で定めた以上はやるべきだと思うものですから、その辺についての基本的な、大臣としての、政治家としての見解、ぜひわかりやすくシンプルにお答えをいただきたいと思います。
  40. 八代英太

    八代国務大臣 大臣に就任してすぐまた前委員長に激励においでいただきまして、ありがとうございました。  また、先般は「すずらん」のポストカードを初めすばらしいポスター等々もお届けいただきました。NHK公共放送としての役割の中にそうした地域おこし等々も踏まえながら、いろいろな番組の編成もされていることでしょうし、「すずらん」も大変高視聴率のもとに終了したということ、大変私自身もうれしく思っているところでございます。  こういう高視聴率の番組というのは、朝の小説だけじゃなくて昼間も放送しますし、あるいは大河ドラマも、日曜日の八時からだけではなくて、BSでもその日に放送して、さらにその週の土曜日にはまた翌日の日曜日の心をかき立てるように再放送をする、こういう丁寧な放送番組の編成等々も功を奏しているのではないかというふうに思っております。  こういうことを踏まえると、これから待ったなしにデジタル放送時代がやってくるわけでございますし、これはNHKも取り組みはしっかりしてもらわなきゃなりません。郵政省もそのまた先導役をしっかりしていかなきゃならない。  そしてまた、民放もあわせて一緒にテーブルで議論をしていくべきことだということで、先般、その会合に私も出席をさせていただきました。いよいよ、郵政省、NHK民放が同じテーブルに着いて、この二〇〇三年東阪名、それから二〇〇六年、そして二〇一〇年の、いわば国家目標と言えるかどうかは別といたしましても、そういう目標を目指して、それぞれ放送事業者が取り組みをこれからやっていくだろう、このように思っております。  もとより、例えばラジオが五千万人の視聴者を集めるのには三十八年かかった。あるいは、テレビがそれから一般家庭の中に普及していくには、これも十三年ぐらいかかった。しかし、インターネットは四年であった。  最近、いろいろな意味でテンポが速く来ておりますから、恐らく今度は、こういうものができるとなりますと、家電メーカーも必死になってその方向の受像機の生産に取り組むでありましょう。ましてや家族も、新しいそういうメディアの時代なりマルチメディアというようなことになっていきますと、いろいろな意味で新しい受像機にまたかえていくというようなことを考えますが、その辺がどのくらいの形でどんなふうに浸透していくかというのはまだ予測ができないところでもございます。  そしてまた、キー局はキー局の強さがありますけれども、今度は、ローカルネットワークのローカル局、地方局におきましてはもう既に悩みのような声も私ども伺っておるだけに、まずはこの三者の検討委員会の推移をしっかり踏まえながら、郵政省として何をすべきか、我々がどうこのデジタル化に向けて支援をすべきかというのは、その結果を踏まえながら検討していかなければならないことだ、こんなふうに思っているところでございます。
  41. 中沢健次

    ○中沢委員 あと一歩という感じを率直に持っておりますが、これから大いにこの委員会を中心に、大事なテーマでありますから、国家目標とは何ぞや、いろいろ意見があると思いますけれども、少なくとも今までの逓信委員会のメンバーはそのぐらいの意気込みで、こちらの席からもあるいは答弁する側からも熱意がありましたので、ぜひそのこともまた受けとめていただきたいと思います。  そこで、先ほど質問に立ちました石崎さんは、私と同じ北海道。彼はもともと放送界の出身でありますから、専門家です。ただ、今大臣おっしゃったように、北海道のローカル局というのは三つありまして、私は、逓信委員長のときもそうでありますが、今でも比較的、個人的にもそのローカル局の社長と親しいものですから、キー局は比較をするとそれなりに企業の体力がある、ローカル局というのはそれから見たらこんなに小さい。地上波のデジタルを本当にやるとしたら、結論からいうと、企業は倒産するしかない、自前でやれといったって無理だ、こういう話が非常に切々と訴えられていますよ。恐らく、きょうこちらの方に座っている国会議員の皆さんも、やはりローカル局からは同じようなラブコールみたいなものがかけられているのではないでしょうか。  ですから、私は、キー局はいいとは言いませんが、特にローカル局のそういう体力のことなんか考えますと、ぜひひとつこれから、それを大事にしませんと、結果的に国民が情報の格差に埋没していってしまう。ローカル局がなくなったら、ローカル番組はない。場合によっては、アンテナがなくなって、鉄塔がなくなって、そういう放送も聞けない、こういうことになりかねませんので、その辺はひとつ大臣、よく押さえていただきたいと思います。  そこで、時間が来ておりますから最後の質問にしたいと思いますが、今、大臣おっしゃいました。いわゆる放送の分野と通信の分野、これからどうなるか、十分見ながらやるというお話、私もそうだと思うんです。  BSは来年の十二月からNHKが始まる。地上波は早くて二〇〇三年から、十年間でやる。問題はその間、僕はパソコンを自分で操作できませんが、操作する人だとかインターネットを大いに利用している人といろいろ話をしますと、そっちの世界というのは物すごいスピードで技術が革新をされ、そして機械が新しくなって、だんだん使い勝手がよくなって、テレビよりもインターネットを使うという方向に行くんではないか、こういう話があります。私自身はよくわかりません。  そこで、大臣、これは非常に大事な問題だと思いますが、確かに、国家目標としての地上波のデジタル放送という大方針を立てました。私は、それはそれで結構だと思うんですよ。ただ、そうはいっても、技術的にインターネットのいわゆる技術革命と言ってもいいぐらいの技術革新で、そっちの分野がどこまで広がるか。  僕からいえば、デジタル放送という一つの、機械でいえばアクセルを踏む場合もあるでしょうし、もっとやれと。公的資金の問題も含めて。あるいは、もっとここのところはそちらの方との見合いで慎重にやったらどうだというブレーキを踏む場合もあるかもしれませんね。これを踏み違えると、別に橋本前総理の悪口を言うわけじゃありませんが、僕は野党ですからあえて言いますが、経済政策でも大混乱したと思うんです。しかし、大事な大事な放送と通信の分野でその種のアクセルとブレーキを踏み違えたら大混乱になると思いますね。  ですから、そこのところは郵政大臣、御本人ももちろん放送界の出身ですからあれでしょうけれども、周辺にいろいろな専門家がおりますから、郵政省という立派なプロ集団があり、NHKという立派なプロ集団がいるわけでありますから、民放も含めて、あるいは通信の分野も含めて、しっかりとかじ取りを間違いなくやっていくべきではないか。  僕の質問は、やや自己矛盾しているんですよ。デジタル放送を国家目標としてどんどんやりなさい、公的資金の導入も大胆に決断をする時期があればやりなさいと言っている一方で、そうはいっても、もう一方では通信の分野はどうなるか、その辺をよく見きわめていただいて、間違いのない、郵政省としてのいい意味での政策誘導といいましょうか、政策の決断をぜひ間違いなくやっていただきたい。これは、期待を込めて申し上げておきたいと思います。いかがでしょう。
  42. 八代英太

    八代国務大臣 大変適切な御指導をいただきまして、ありがとうございます。  まさにこれから二十一世紀は情報通信の時代であろうと思います。それとあわせて、また放送分野におけるマルチメディア化等々、あるいはまた通信と放送との融合、現実にCATV等々は、インターネットを既にテレビ画面にドッキングをしながら、片方ではインターネット、またあるときは放送を、そしてそれも多チャンネル、こういう時代に入ってきておりますので、そういう意味では、私たちもこれからメディアのもろもろの活力を生んでいくという方向性にもしっかりビジョンを打ち立てなければなりませんし、あるいは情報通信という分野におきましても、今度のWTOなんかでも日本の情報通信のこともいろいろ話が出るでありましょう。あるいは接続料の問題、定額制の導入等々いろいろなまた、外圧と言っていいかどうかわかりませんが、そういうものもあるかもしれません。  いろいろなものを我々もしっかりとらえながら、基本は、日本の国益にとって何がいいのか、そしてまた、国民一人一人が何を求めているのか、そういうことをしっかりと把握しながら、そして、情報通信時代のリーディング産業になることは間違いございませんので、そういう意味での一つの方向性、そしてまた、多様化するメディアの欲求に対して、デジタル放送化への一つの転換、こういう両極をしっかり見きわめながら、NHK等々の専門家の御意見等も踏まえながら、また先生の御指導もいただきながら、一生懸命努力をしていきたい、このように思っているところでございます。
  43. 中沢健次

    ○中沢委員 終わります。ありがとうございました。
  44. 前田武志

    前田委員長 次に、石垣一夫君。
  45. 石垣一夫

    石垣委員 公明党の石垣一夫でございます。  日本放送協会、すなわちNHK平成八、九年度決算審査に当たって、NHKの予算の大宗を占める受信料の問題については当然関心が集まってまいります。  受信料の滞納数、また、いわゆる契約拒否者、この現状を見ますと、ここ数年滞納数としては大体百万件で推移をしている、もう一点の契約拒否者、これは約四十万で推移している、こういう数字が出ているんですけれども、いわゆる負担の公平という立場でいけば、これの解消は当然の責務だと私は思います。当該責任者は大変に苦労なさっていると私は思うんです。  そういう中で、当委員会でも今日までしばしば論議を重ねてきましたいわゆる在日米軍の受信料の不払いの問題であります。これは、いわゆる日米地位協定の十三条あるいはまたこれに対抗する放送法三十二条の論争の中で、当委員会の結論としては、米軍は当然支払い義務がある、こういう確認が今日までなされたと思うんですけれども、これはどうですか。
  46. 芳賀譲

    ○芳賀参考人 お答えいたします。  先生御指摘のように、在日米軍の基地内の軍そのもののお使いになる受信機については契約の対象でございませんが、基地の内外を問わず、そこに居住をされる世帯の方々については受信料の対象であるということで今までも働きかけをさせていただいてきました。アメリカ大使館あるいは米軍、外務省、郵政省そしてNHKということで話し合いをやってきています。ただ、なかなか進みません。  それで、去年、平成十年の三月からも、さらに現実的なアプローチをしたいということで、私どもとしては、基地内の住民の方々と直接お話をさせていただけないか、あるいはパンフレットを配付させていただけないか、そのための基地内の立ち入りを認めてほしい、それから、手紙を直接家族の方々に送らせてほしい、そのための名前等も教えてほしいというようなことを提案しましてお話し合いをさせていただいています。  しかし、結果的には、受信料は税金に類するものだ、この考えは変わっていません。それから、基地内の立ち入り、あるいは手紙を出すためのお名前を教えていただく、そういうものについての協力はできない、こういうことでございます。  しかしながら、三回文書を出した結果、余り期待はできない、むだだと思うけれども、会合をするなら会ってもいいよというところまでは進んでまいりました。それで、郵政省、外務省を通じて、会合開催に向けてさらに具体的に働きかけをしているところでございます。
  47. 石垣一夫

    石垣委員 鋭意努力は多とするんですけれども、本来、放送法からいって当然米軍はその対象になる。その対象数はどのぐらいありますか。そして、その受信料は一体どうなりますか。
  48. 芳賀譲

    ○芳賀参考人 これは、防衛施設庁の資料によりますと、基地内の世帯数はおよそ一万五千世帯あるのではないかというふうに思っています。そして、私どもの以前実施しました調査によりまして、そのうち、日本のテレビ、NHKのテレビを受信できる対象受信機の数は約七〇%かな、こういうふうに推計をしております。それによりますと、年度で約一億六千万の受信料をいただかなきゃならない、こういうことになります。
  49. 石垣一夫

    石垣委員 相手がいわゆる日米協定の法を盾にとって対抗してくるわけですから、これは外交問題でもあるわけですね。郵政省としてNHKの今日までの努力に対してかなりバックアップされていると思うんです。外務省も交えて鋭意交渉されてきたんですけれども、今NHKから話がございましたけれども、これに対する御見解はどうですか。
  50. 小坂憲次

    小坂政務次官 ただいまNHKの方からお答え申し上げましたように、それぞれ御相談にあずかりまして、最善の努力をいたしております。これは、取れる権利があるから取るとか、支払う義務があるから払えとかということで解決する問題ではないものでございますから、今後とも、米軍と密接な連絡をとる中で理解を得るような努力を私どもとしても支援をしてまいりたい、このように考えております。
  51. 石垣一夫

    石垣委員 費用の公平、負担の公平、こういう原則からいっても、大変ですけれども、ぜひこの方向で郵政省としても最大限の御尽力をいただきたいということを要望しておきます。  次に、NHK財団法人の新日本ITU協会との関係についてお伺いしたいと思うんですけれども、NHKがこの財団法人の新日本ITU協会に法人会費として支払っている過去五年間の年度別の拠出金はどうなっていますか。
  52. 山田勝美

    ○山田参考人 お答え申し上げます。  新日本ITU協会の法人会費につきましては、過去五年間いずれも同額で、年間八百七十二万円、これを年二回に分けて支払っております。
  53. 石垣一夫

    石垣委員 そこで、NHKは、一九九四年、ITU京都会議開催の際、この財団法人の新日本ITU協会及びITU全権委員会議実施連絡協議会から、ITU全権委員会議開催に対する支援のお願いということで、いわゆる寄附金の要請があったと思うんですけれども、その目的と金額について教えてください。
  54. 山田勝美

    ○山田参考人 お答えします。  このITU全権委員会議実施連絡協議会からNHKに対しまして、会議開催のために必要な経費会議経費、報告書作成費などについて支援を求める要請がございました。  NHKとしましては、この会議が放送・通信の条約、規約改正にかかわる重要な会議であること、それから、日本で初めての全権委員会議の開催ということで、我が国の国際的立場の向上に資する、また、衛星放送の使用周波数の安定的な確保、さらにハイビジョンの技術基準の作成、あるいは短波放送の周波数確保などの観点から、これに積極的に協力することといたしました。  要請のあった経費の分担につきましては、NHKが他社に比べて突出したものではないということ、また民放連と同等ということで、一億五百万円を支出することにいたしました。
  55. 石垣一夫

    石垣委員 今、他社と比べて突出はしておらないということでるる説明があったんですけれども、その積算根拠はどうなんですか。
  56. 山田勝美

    ○山田参考人 会議に必要とされます経費につきましては、平成二年五月に設置されたITU全権委員会議実施協議会などで検討されたということで、NHKとしても、この協議会に参加しているということもありまして、全体の積算根拠につきましてはそれなりに把握する立場にありました。  具体的には、会議経費、ファクス設備、OA設備など事務関係設備費、さらにパンフレット作成費、広告費、報告書作成費、事前調査費などに必要な経費であると承知しております。
  57. 石垣一夫

    石垣委員 今、るるその積算の根拠を読まれたんですけれども、では、郵政省にお伺いしたいと思うんですけれども、このNHKが寄附いたしました一億五百万、これは当然、その原資受信料であります。したがって、こういう多額の寄附金をNHKが寄附したということについて、どのように考えられますか。
  58. 八代英太

    八代国務大臣 ITUの京都全権委員会議拠出につきましては、放送法上の、「放送及びその受信の進歩発達に必要な調査研究」というのが法律の第九条第一項第三号に附帯する形で出ておりまして、寄附としてこれは支出したものと承知はいたしております。  いずれにいたしましても、一九九四年でしたが京都会議がありまして、これはもう言ってみれば、日本の情報通信を含めた世界戦略の一環として何としても成功しなければならないという思い、国からも、若干のこの会議の費用につきまして、あるいはいろいろなPR費等々も含めまして協力もお願いしたんですが、自主的に民間各団体が協力し合いまして、その会議の成功のためにいろいろ努力をしたという経過は伺っているところでございます。
  59. 石垣一夫

    石垣委員 そこで、私の調べたところによりますと、NTTが二億五千万、KDDが一億六千五百万、NHKが一億五百万、民放連が一億五百万、NECが八千万、富士通が六千万、こういうふうになっております。  その中で、国の拠出金として、これは郵政省だと思うんですけれども、一億六千九百万を支出しておると思うんですけれども、これに相違ありませんか。
  60. 小坂憲次

    小坂政務次官 御指摘のとおり、一九九四年、国際電気通信連合、ITUでございますが、京都全権委員会議の開催費用といたしましては、六千九百三十五万七千円予算計上しております。
  61. 石垣一夫

    石垣委員 そこで、民間の実施連絡協議会、それから財団の新日本ITU協会、この両者が会議のいわゆる寄附金を集める主催者として呼びかけたんですけれども、ITU協会は、郵政省から毎年九千万近い補助金が出されておりますね。これは当然会計検査院の対象事業だと思うんですけれども、平成年度財団法人日本ITU協会決算書によりますと、補助金として受託収入が九千三百二十万、助成金収入百十万、合計九千四百三十万、これは平成年度です。平成年度は同様に、総額九千四百十万、それから平成年度は九千三百五十八万、平成年度において九千四百万、こういう国からの補助を受けているわけです。  こういう会議の開催に向かって、その当時集めた金額は十三億と言われております。この新日本ITU協会本体年度収支決算書には、収支決算が報告されていないんですね。事業が行われたにもかかわらず、収支決算報告書にはこの内訳が報告されていない。少なくとも別紙でもってこういう報告の義務がある、私はこう思うんですけれども、これについてどう思われますか。
  62. 小坂憲次

    小坂政務次官 委員御質問の点を再度確認させていただきたいのでございますが、助成金に対する収支という御指摘でございましょうか。あるいは、当時、ITU全権委員会議実施連絡協議会というところが寄附金を集めております、先ほど御指摘の十三億円に対する収支という点でございましょうか。もう一度教えていただければ。
  63. 石垣一夫

    石垣委員 だから、一民間の団体が寄附を集めて何に使おうが報告義務はありませんわな、民民のことですから。このITUには、先ほど申し上げたように、ずっと国の補助金が大体九千万以上入っているわけです。当然、この事業報告は必要なんです。郵政省として、補助金を渡した団体が事業の収支報告を出さない、これはおかしいんじゃないですか。
  64. 小坂憲次

    小坂政務次官 委員の質問取りをさせていただいた中に、どうも詳細を私どもとして把握しておりませんで、明快なお答えができない点、おわびを申し上げなきゃいけないところもあるかもしれませんが、私の知る限りにおきましては、この新日本ITU協会の収支報告書の中には、年間の、先ほど申された平成九年助成金九千四百万円については収支報告がなされているというふうに了解をいたしております。
  65. 石垣一夫

    石垣委員 いやいや、報告をされていないんですよ。こちらから要求したわけです、資料要求を。出てこない。それはそれでいいです、今は。  ところが、郵政省のいわゆる拠出金も含めて、その当時、民間の十三億も含めて大体十五億集めているわけですね。その中で、結果として三億二千万余ったんですね、会議の総費用から引いて。この三億二千万がITUの全権委員会議基金としてプールされているわけです。平成十年十月に開催されたITUミネアポリス全権委員会議における国際電気通信連合事務総局長、内海善雄氏の選挙活動資金に使われたのではないか、こういうふうな指摘があるんですけれども、これはいかがですか。
  66. 小坂憲次

    小坂政務次官 ただいまの委員の御質問をよく聞いておりますと、ちょっと誤解があるのではないかと思う点がございます。  一つは、財団法人日本ITU協会に対する助成金の問題と、それから、先ほど申し上げましたITU全権委員会議実施連絡協議会という任意団体の経理の問題との間にどうも委員混同されるというか、私の理解不足であれば御勘弁いただきたいのでございますが、その辺に若干の混同があるように思いますので、若干整理させていただきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、財団法人日本ITU協会に対する国の助成金の使途ということにつきましては、京都会議に対する助成金という形では明確には報告されておりませんが、年間の助成金の枠については明確に報告がなされております。また、京都会議の際に予算措置されたものに対する内訳、京都会議に幾らという形では、今までの報告には、差し上げた資料の中にはないと思うわけでございます。  ただ、今委員の御指摘のポイントを私なりに理解をさせていただきますと、ITU全権委員会議実施連絡協議会が集めました十三億一千万円の寄附金に対して、これが三億円余ったではないか、こういう御指摘のように思うわけであります。  御指摘のように、この会議に向けまして民間に要請をいたしました寄附金の総額は十三億一千万円でございますが、このうち、会議に直接支出されましたものは九億九千万円でございます。このうち、いわゆる指定寄附金と申し上げたらよろしいのでしょうか、大蔵省の認定を受けました指定寄附金は七億三千万円でございまして、この分はこの九億九千万円の中で全額消化をされております。  この後に、会議が終わりまして残りました三億二千万円につきまして、この使途を今後どうするかという点につきましては、ITU全権委員会議実施連絡協議会という任意団体の中で、みんなから集まった寄附金の使途について、発起人を中心といたしまして、会議の中で財政委員会という組織がございますが、この財政委員会において検討を行いました。その結果、これは基金として残して、今後のITUを中心とする活動に使えるような基金として設置すべきだ、こういう結論を得て、この三億二千万円は基金に振りかえられているところでございます。
  67. 石垣一夫

    石垣委員 ITUの平成年度の事業報告書によりますと、平成十年十月に開催されるミネアポリス全権委員会議における選挙活動と支援のため、ITU京都全権委員会議基金の一部を取り崩し対応することになり、その運用管理を行うことになった、こうはっきり書いておるわけです。選挙に使ったと書いておるわけです。したがって、今おっしゃった三億二千三百万の基金、これの一部がこの選挙活動に使われたのではないか、こう言われているわけです。  内海氏の行動をいろいろ調べていきますと、この方は、平成九年七月から平成十年九月までの間に各国を物すごいエネルギーで回っておられますね。その費用が、その当時、内海前官房審議官の出張旅費として、平成年度で千百九万八千円、それから平成年度で四百十四万九千円、この二年間で合計千五百二十四万七千円、こういう出張旅費を使って猛烈な運動をやっておるわけです。これは、ここの費用の支出が裏づけております。  したがって、先ほど申し上げたように、この基金の三億二千三百万のその中の一億七千四十九万三千円、これがこの運動資金に使われたんじゃないか。この報告を見ますと、事務局関係費、パンフレット作成費等ということになっておりますけれども、基金がこういうことに使われることがおかしいのではないか。これは本来の本体の中からこっちへ持ってこなければいかぬお金ですね。それを基金から一億七千万円流用すること自体が、私は、そういう疑いを持たれても仕方ないんじゃないんですか。
  68. 小坂憲次

    小坂政務次官 委員の御指摘の趣旨はよくわかるのでございますが、この一九九四年の京都会議に向けて集められたお金、これが、平成六年当時の指定期間内に集まったお金は指定寄附金として、これは収支報告が明快になされ、大蔵省のその後の検査もいただいて認定をされておる。  残った三億二千万円は、これは今後のITU関連活動に使おうということで、これが基金となりまして、その運用につきましては、新日本ITU協会の方に委託をして、事務局を持っていただいておりますが、基金そのものはあくまでもこのITU全権委員会議実施連絡協議会から発生をいたしましたものが、言ってみれば任意団体に寄附されたものが、一たん任意団体財産になりますね。財産として京都会議に支出したもの、また残ったもの、これは指定寄附金外のものでございますが、その残った三億二千万円、これを基金として今後のITU活動に使おう。  このITU活動はどういう活動をしているかといいますと、平成十年十月十二日から十一月六日までの間、ITUミネアポリス全権委員会議というのが開かれたわけでございます。この会議の主要な議題は人事でございまして、事務総局長の選挙でございます。この選挙のために使おうということで、それも含めた議題。ですから人事は一つの議題でございます。  ほかにも当然議題はあるわけでございますが、主要議題としては人事でございました。このミネアポリス会議に使おうということで、この運営委員会から基金の運営委員会というものに今度は変わっておりますが、その基金の運営委員会で承認を得てそれを支出したものでございます。  したがって、選挙活動に使ったではないかというお言葉でございますが、この選挙活動というのは、ある意味で、基金の中で、日本としてのITU活動に参加する上で必要な活動の中に規定されたものとも考えられるわけでございますね。ですから、その活動自身は決して悪いことでもないと思いますし、そのためにパンフレットをつくる必要があればパンフレットをつくったということで私はいいんではないかと思っておるんでございます。その点につきまして、委員の御質問の点、もし私の方で取り違えておりましたら、もう一度御指導いただきたいと思います。
  69. 石垣一夫

    石垣委員 総会のいわゆる費用として一億七千四十九万ですね。これが現実に選挙費用にすりかわったんじゃないか、こう言われておるわけです。  今政務次官が、当然この選挙というものは、いわゆるITUの活動の一環として認知されているんだ、こういうふうな答弁なんですね。  NHKは、寄附金がこういう形で使われるということを知っていましたか。
  70. 小坂憲次

    小坂政務次官 私が申し上げましたのは、選挙費用に一億七千万使ったと申し上げたわけではございませんで、このミネアポリスの会議議題はそういう内容であって、そのための一億七千万支出があった、その中には選挙活動もあったので、それにも使っていると申し上げたわけでございます。  したがって、このミネアポリス会議には日本から多数の出席者がございます。約百名の出席者もございますので、そういった方々の活動支援にかなりの部分が支出されている。その中でこの選挙の部分にも使われている。それはすなわち、明確にどの辺だと言われれば、一番明確なのは内海氏のプロフィールを紹介するようなパンフレットであるかとも思いますが、そういった内容に支出をされたということでございます。
  71. 石垣一夫

    石垣委員 そうすると、郵政省はこの選挙活動そのものを認知しているわけですね。  そうしたら、その選挙活動に使われた明細を出してくださいよ、後で結構ですから。この一億七千四十九万、いただいた資料によりますと、事務局の関係費とかパンフレット作成と書いてあるわけです。政務次官の発言からいけば、この中に選挙活動の費用が入っているんだ、こういう発言だと思うんですけれども、これについて明細を後ほど下さい。
  72. 前田武志

    前田委員長 ただいまの委員の指摘の点については、後刻理事会で協議をいたします。
  73. 小坂憲次

    小坂政務次官 私が申し上げたのは、そういう費用にも使われているということで、私が知る限り、パンフレットなんかはそういうものではないかな、こういうことを申し上げたわけでございますが、その明細ということになりますと、これは私どもで明細を持っているわけではございません。  また、この基金そのものは民間の基金でございますので、私どもがその詳細について管理をいたしているわけでもございませんので、そういう面で、その内容について詳細を報告せよと言われても、私どもの方には資料はないということを申し上げたいと思います。
  74. 石垣一夫

    石垣委員 NHKは、こういう実態を御存じですか。
  75. 山田勝美

    ○山田参考人 新日本ITU協会の基金運営委員会の中にNHK運営委員として参加しております。したがいまして、この基金運営委員会でITU事務総局長選挙関連への支出についての審議が行われ、ITU活動に寄与するという基金の主要目的に合致するということでその支出が承認されましたことは、NHKとしても承知をしております。
  76. 前田武志

    前田委員長 石垣一夫君、時間がそろそろ過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
  77. 石垣一夫

    石垣委員 はい、わかりました。  やはり、こういう基金の活用、これは理事会で承認を得たということなんですけれども、発想は、私はおかしいと思うんですね。例えばユネスコの事務局長に松浦氏が今回なられましたけれども、これはやはり、総理もPRし、国を挙げて取り組んだわけですね。私はやはり、こういうフェアな選挙活動をすべきだ、こう思うんです。たまたま集まった基金を流用してやったということについては、私は本来の目的から逸脱していると思う。  それは理事会で了解を得たという、それなら別ですけれども、私はやはり、NHK受信料の趣旨からいけば好ましくない使われ方だ、このように指摘をしておきます。  終わります。
  78. 前田武志

    前田委員長 次に、西田猛君。
  79. 西田猛

    ○西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  大臣、政務次官におかれては、大変お疲れさまでございます。また、きょうは日本放送協会からの参考人の皆様方、お疲れさまでございます。  早速でございますけれども、平成年度及び平成年度日本放送協会財産目録貸借対照表及び損益計算書等について御質疑を申し上げたいと思います。  私は、日本放送協会というものの存在は放送事業者の中でも非常に特殊なものである、これは、設立を許された法律の立て方からしてもそうであるというふうに考えております。電波というのは有限な公共財でございますから、それの割り当てを受けて放送を行う放送事業者は、どのような放送事業者であってもある程度の法の規制はかかっておりますし、報道、表現の自由を有する一方、それらの法規に従っていかなければなりません。NHKにおいては、さらに他の放送事業者とは異なった放送法における規定の適用も受けるのでございます。  そこで、NHK会長にお伺いしたいのでございますけれども、私ども、ふだんテレビを見ておりまして、NHKの放送を見ていまして、他の局と、他の放送事業者の方の番組とほとんど変わることのない番組がほとんどではないかなというふうに私は個人的に思うんであります。それはどういうことかと申し上げますと、広告料を取る一般放送事業者の方とは違って、あるいは視聴率ということを非常に気にしなければいけない他の放送事業者の方と異なって、やはりNHKはより公共的と申しますか、より広い立場に立った放送番組の編成、放送に努めていただきたいなというふうに私は思っているのですけれども、このことについての会長の御意見をお聞かせいただけますでしょうか。
  80. 海老沢勝二

    海老沢参考人 私ども公共放送というのは、視聴者国民全体の福祉の向上といいますか、文化の向上に役立つというのが主な目的であります。私ども、今、地上波では総合テレビと教育テレビの二波を持っております。衛星波はハイビジョンを入れますと三波、これは民放と共同でありますが、そのほか、ラジオ第一、第二、FM、あるいは国際放送、いろいろな波を持って、総体としていろいろな事業を今展開しております。  今先生御指摘の問題は、総合テレビのことだろうと私は察します。総合テレビは、御承知のように報道、教育、教養、娯楽という四つの分野をバランスよく、総合的に編成して放送しなさいというのが放送法の中にあります。そういう面で、日本全体あまねく、どなたでもどこでもひとしく情報が行き渡る、見られるというのが我々の目的であります。そういう面で、娯楽番組も当然やっております。そういう中で、我々は単なる興味本位ではなく、また視聴率にとらわれることなく、質の高い番組、つまり子供からお年寄りまで一緒に見ても恥ずかしくないような番組を提供していくつもりであります。  そういう中で、歌の番組、ドラマ、いろいろやっておりますが、我々は常に質の向上といいますか、質の高い番組、視聴者の生活に役立ち、そしてまた心豊かになるような番組づくりを心がけ、今、私どものそういう番組づくりとしては高い仕事をしているというふうに自負しております。
  81. 西田猛

    ○西田(猛)委員 さらにお尋ねしたいと思うのですけれども、今日本放送協会会長がおっしゃった、教養番組、教育番組それから報道番組、娯楽番組の調和のとれた放送ということですけれども、そのことは、これはもう皆さんもよく御存じだと思いますが、放送法の第三条の二で規定されていることでありまして、これは他の一般放送事業者の方も当然かかっていることでございます。  私お尋ねしておるのは、NHK日本放送協会という特殊な立場上、他の一般放送事業者の方と同じように、娯楽などの番組がやはり調和をとれていなければいけないというのはそれは大前提ですけれども、しかし、さらに協会としての特殊事情、言うならば時の国会の動き、時の内閣、行政の動きなどなど、あるいは世の中の動きなどについて、リアルタイムで、出来事、ニュースを国民の皆様にいち早く知らしめていただくというのが、先ほどおっしゃいました、私区分分けした方がいいのでしょうが、特に総合テレビジョンの役割ではないかなというふうに思うのですけれども、そこらあたりについていかがでしょうか。
  82. 海老沢勝二

    海老沢参考人 私ども、やはり国民生活に役立ち、また国民の生命財産を守るという立場から、いわゆる災害等における緊急報道、これに力を入れるということはもう当然であります。そういう面で、この前の東海村での臨界事故等につきましても長時間にわたって放送しておりますし、また台風等、災害等につきましては、普通の番組を休止してまで長時間放送しております。  特に、国会の、国政の重要問題につきましては、先生御承知のように、今、年間五十回前後、週に一遍程度の生中継をしております。これほど中継しているのは世界に例がないほど私ども中継しているわけであります。それと同時に、この前の自民党の総裁選挙あるいは民主党の代表の選挙等についても長時間にわたってこの論争を中継するとか、そういう面では、国民の関心のある政治経済の問題については長時間にわたって放送している、遜色ないものをやっているというふうに私は自信を持っております。
  83. 西田猛

    ○西田(猛)委員 自信を持っていただいて大変結構ですし、今後もそのように努めていただきたいと思うのですが、私が申し上げたいことも御理解いただけると思うのであります。  日本放送協会というお立場上、私は娯楽がいけないと言っているのでは当然ございません、大切なことですし、私自身、自分自身の存在が娯楽みたいなものですけれども、そのような中で、やはり日本放送協会という、契約者の皆さんからの受信料だけで運営されているということを協会自身力説しておられるわけですから、そういうことに重きを置いた番組編集にこれからも努めていただけるのでしょうねということをお聞かせいただきたいと私は思っているのですが。
  84. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今先生の御指摘がありましたように、私ども、やはり視聴者国民あっての公共放送NHKであります。国民のそういうニーズにこたえなければならない我々は使命を持っております。そういう面で、今後とも国家的な出来事なり、あるいは災害あるいはいろいろな緊急事態については、いち早く正確にやるのはもう当然であります。  そのほか、娯楽番組にしても教養番組にしても、NHKでなければできないと言うとちょっと口幅ったいのでありますけれども、我々はやはり日本の文化の向上、福祉の向上に寄与するという使命を持っているわけでありますから、そういう面で、先生の御指摘のように、我々は常に心を新たにしながら、一本でも、質の高い番組をつくって視聴者に寄与するというのが私どもの使命だということを改めて肝に銘じて、いい仕事をしたいと思っております。  どうもありがとうございました。
  85. 西田猛

    ○西田(猛)委員 大臣にお聞きいたしたいと思うのです。  きょうはNHKの八年度、九年度分の決算諸表等について審議をしておるわけですが、今協会会長からもお話しいただきましたように、御存じであります放送法の第三条の二という、不偏不党ですとか、それから今もおっしゃった娯楽、教養、報道、それから教育の調和がとれていなければいけないということは、これはあまねく一般放送事業者も皆かかっていることなんですね。ただ、他方、NHKについては、同じ放送法の第四十四条などでさらに上乗せした規定がかかっていたりしております。  したがって、NHKがほかの放送事業者と同じような番組をつくっていると、それは法の趣旨にかなうものではないと私は考えておりますので、大臣も、個人的にテレビをごらんになっている御感想でも結構ですから、NHKに対するこれからの期待の意味を少しお聞かせいただければと思うのです。
  86. 八代英太

    八代国務大臣 NHK公共性を最も重んじつつ、また日本の放送界におきましても一番の歴史を持っているところでもございますし、そういう意味では、また民間放送のような、視聴率競争の波の中にもまれるという形ではない、公共性を重んじながら、やはり日本の文化、歴史等々もしっかり考えながら、まさに全国津々浦々に、あまねくその放送が行き渡るように、それはスポーツであり娯楽でもあり教養番組でもありドラマであり、いろいろなもののメニューがNHKの中にあるわけであります。  といって、では朝から晩まで政治の問題、朝から晩まで教養番組だけでいいのかというと、受信料をいただいている手前もありますから、これは個人的な見解ですが、こんなにつまらない番組なら何で受信料を払わなければならないんだ、こういうことも心に出てくるかもしれません。今私はNHK全体の放送等々を見ておりましても、まさに臨機応変にいろいろな角度から、あまねく番組を網羅しているような感もいたしますし、そういう意味での公共性は、法律にのっとっても、いろいろな意味におきましても、かなりそれは果たしているな、私は率直にそう思っているところであります。  そういう意味では、NHKはその公共放送の今の精神を持続しつつよい番組を、そして津々浦々の国民の皆様に、そしてまた日本の歴史、文化をしっかり守りながら、そういう意味での放送のパイオニアとしての指導的役割を果たしてほしい、こんなふうにも思っております。
  87. 西田猛

    ○西田(猛)委員 大臣、ありがとうございました。  少し技術的なことをお聞きしたいと思うのですけれども、最近NHKのニュースを見ておりますと、よく画面の上と下が若干切れて、左下にハイビジョン撮影という字幕の入った画面に出くわすことがございまして、これはどういう画面の放送なのでございましょうか。
  88. 松尾武

    ○松尾参考人 お答えいたします。  ハイビジョン撮影というのは、要するに高音質、高画質、将来も含めて考えれば最高の映像技術でございます。この技術を持ったカメラで撮った映像がハイビジョン映像ということになります。  それで、将来デジタル化というものを有効活用していく、またはそういうものを長期的に保存するためには、最新技術で保存をしていかないと将来使えないということが起こります。したがって、現在、ニュース等も含めて一一二五という高音質、高画質のカメラで撮影をしています。その撮影をしたのはやや横長サイズになります、五二五のサイズと多少異なりますので、そのサイズで収録をしたよということをお知らせしているということでございます。  これは新しくデジタル化の、来年度以降ハイビジョンの、NHKとしての正式なチャンネルができて、将来とも含めてハイビジョンということになった暁には、すべてがハイビジョンサイズの受像機になっておるわけですから、きちっとマッチングをするということになります。今は、そういう先端技術をひとつ視聴者の方にも知っていただきたいということも含めて、現在の古い形で、古いと言っては語弊があるのですが、今の形で撮るやり方との差別化、区別化をしておるということでございます。
  89. 西田猛

    ○西田(猛)委員 その点に関してもう一つお聞きしたいのですが、先般、友人が、ハイビジョンがあまねく行き渡ると、自分の家のテレビでは常に上、下が切れてしまうのではないかという御心配を持っている方がいらっしゃって、あるいは早く横長のテレビを買えという、これは嫌みではないかというふうに言っているような人もいたのですね。  したがって、今言われたように、デジタル放送はハイビジョンでしょうから、デジタル化されるとすっぽりおさまるということ、これは間違いありませんし、そのことの確認もいただきたいのですが、今のテレビの中でも、アナログの中でも、ハイビジョン放送だよといってお示しいただくのは結構なんですが、上、下切れないでハイビジョン放送ですよということを言っていただいてもいいんじゃないかと思うのです。このあたり、いかがでしょうか。
  90. 松尾武

    ○松尾参考人 委員の御指摘のとおりで、例えば、来年の正月から始めます大河ドラマについては、ハイビジョンで撮影をしておりますけれども、五二五、普通の受像機をお持ちの方は普通のサイズで、上、下切れないサイズで放送いたします。したがって、NHKは、全体編成の中で、ハイビジョンでは撮るけれども、要するに、上、下を合わせると両サイドが切れてしまうのですけれども、両サイドが多少切れることも事前のカメラワークの中に入れ込みながら、切れたサイズで放送しているものもたくさんあります。  ですから、将来の素材確保のためにハイビジョンで撮っているという意味合いのものもあります。特に大河ドラマについては、ハイビジョン用と五二五用と二台カメラを据えて同時に収録をしていくという大変入り組んだことをして、現在の地上波の五二五のお客様にこたえたいということでやっております。  時間がかかりますのと、一時期、やはりこういう新しいメディアの展開の中で過渡期的な一つの現象というふうにとらえていただければありがたいのではないかなというふうに思っております。  以上でございます。
  91. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ぜひ、視聴者の皆さんが不安を感じたりいら立ちを感じないような放送をしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  それから、今度はまた会長にお伺いしたいと思うのです。  先ほど会長の御説明の中で、有料受信契約件数当年度末、九年度末のことだと思いますけれども、三千五百二十四万件になったというお話がございました。三千五百二十四万件と言えば、これはもう膨大な数でございます。その膨大な数の皆様方、御家庭の住所ですとか氏名ですとかいうものを、要するにNHKは契約のときに情報として持つことになります。これは大変重要な個人情報であり、膨大な数に上るわけでございます。  昨今の準公共的な機関からの住民情報あるいは個人情報の漏えいというふうな事実にもかんがみまして、NHKにおいてはこのような国民の個人情報の保護についてどのように万全を期していただいているか、そこをお聞かせいただけますでしょうか。
  92. 芳賀譲

    ○芳賀参考人 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、今現在、世帯契約あるいは事業所契約のところも含めますとおよそ五千万件に上る受信契約者の情報を、コンピューターによる電子情報として保管しております。  管理に当たりましては、情報の収集制限でありますとか、あるいは適正な管理、安全確保を主要なポイントとして、私どもで自主的なガイドラインをつくっております。営業におけるコンピュータ処理に係わる個人情報保護のための取扱指針、これは昭和六十二年度につくったものですが、平成年度のところでもさらに改定をしております。  それから、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律がございます。この趣旨を踏まえて厳正な取り扱いに努めているところであります。  具体的に申し上げますと、まず職員でございますが、これは就業規則におきまして守秘義務を規定しております。また、実際営業現場で契約あるいは集金を取り扱っていただく委託取次収納員につきましては、委託契約書の中で業務以外の目的での使用を禁止しておりますし、また、業務上知り得た個人情報についての秘密保持も義務づけて、厳正な取り扱いをしてございます。  それから、情報としてはコンピューターによる電子情報ですが、現場で実際に使うときは紙ベース、リストになったりあるいは領収書という形で使われておりますが、この授受管理は適正に行いまして、使用後は速やかに回収をいたしまして、使用目的を失ったものについては一括して焼却をする、あるいは溶解をするという形で厳正に処理をしてきております。  今後とも公共放送としての責任と自覚を明確にしながら、細心の注意を払って視聴者の信頼にはこたえてまいりたい、こういうふうに思っています。  以上です。
  93. 西田猛

    ○西田(猛)委員 大切な国民の皆様の個人情報でございますから、その保護管理には万全を期していただいて、ゆめゆめNHKからそういうことが漏れることのないようにしていただきたいと思います。これは、それに携わっておられる会長以下皆々様の、一人一人の職員の方の意識の問題だと思いますので、そのことをぜひ徹底していただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  94. 前田武志

    前田委員長 次に、矢島恒夫君。
  95. 矢島恒夫

    ○矢島委員 質問に入る前に、実はきょう傍聴の方に聴覚障害者の方々が来ていらっしゃいます。そして、筆記によりまして通訳している。  実は、先ほどの理事会の中で、パソコンの持ち込みとか手話通訳、傍聴席ではどうかと論議されました。もちろん、院全体の問題ですから、理事会だけで決めるわけにいきませんので、議運等にその問題を提起していこうということになりました。ぜひひとつ大臣も、これは院の問題ですから我々が決めていくことですけれども、バリアフリーという立場の中で活動していらっしゃるので、ぜひ傍聴に、聴覚障害者の場合に、パソコンで要約した画面を見るとか、あるいは手話通訳が入るとか、こういうことが実現するように御尽力いただきたいということを申し上げて、質問に入りたいと思います。  通告しておきました質問順序をちょっと変えまして、と申しますのは、今申しましたような、私が何回となくこの字幕放送の問題を取り上げてきたわけですが、最初にそちらをやらせていただいて、後で決算の方の問題についてお聞きしたいと思います。  聴覚の障害者の方それからお年寄りのために難聴の方々は六百数十万と言われております。この人たちの権利の問題として、私は今までも毎回取り上げてきたわけです。そうした中、NHKはニュースに字幕をつけるために、音声認識技術の開発、こういうことを行っていらっしゃると聞いております。  音声認識で認識率一〇〇%というのは大変なことであることは私もわかります。誤りの部分を後で修正する、そして正確な字幕を提供することはできるわけですが、一方、認識に余り時間がかかりますと、今度は画面とのずれが出てきてしまいます。  そういう点などを踏まえた上で、NHKとしては、大体、認識率が何%、それから認識おくれが何秒以内ならば実用化は可能だと今考えていらっしゃるのか、その点についてお伺いします。
  96. 長谷川豊明

    ○長谷川参考人 お答えいたします。  認識率がどのぐらいかということでは、私どもの目標としては九五%以上、正しく文字が出る。それから、アナウンサーが読んですぐ文字が出るのを、コンピューター上は二秒以内を目標にしております。というのは、それから修正が入りますので、実際話したこととおくれの差が、皆さんにアンケートをとりますと、四、五秒以内なら余り違和感がない。したがって、また二、三秒の中で修正すれば、全体的には四、五秒の中で文字を出せるということで申し上げますと、九五%、それからコンピューター上では二秒以内に文字が出る、そういうのを目標にしております。
  97. 矢島恒夫

    ○矢島委員 これは、三月二十五日、放送技研の「技研だより」から取り上げた本としてNHKが出したわけですが、「わかりやすい放送技術の動向」、その中に、ニュースの字幕化の問題、いろいろ書かれているわけですが、こんな文章もあるわけです。「音声認識では、認識率一〇〇%を達成することは大変難しい。とはいえ、誤った字幕情報を提供することはできない。そこで、何らかの確認・修正作業が必要となる。」  以下、こういう予備実験の問題が出ております。予備実験の結果、誤りが五%以内におさまれば何とか修正できることがわかったというような記述があるわけであります。先ほどお話にもありましたとおり、遅くとも五秒以内に字幕を出すためには、許される音声認識おくれというのは最大でも二秒である、その後三秒以内にいろいろ修正したりなんかする。  そこで、一年前の到達点をお聞きしましたら、多分委員会でも御答弁ありましたが、当時は、認識率は八四%、認識おくれは二十秒というお答えがあったかと思います。現在どのくらいまで到達しているか伺います。
  98. 長谷川豊明

    ○長谷川参考人 お答えいたします。  現在の認識率は平均的には八五%、それから修正時間は十秒というのが現状の技術でございます。  この認識率八五%というのは、いろいろなニュースがございまして、一番認識率が高いのは、アナウンサーが原稿を読んでいる、こういうものは九五%近くいっております。一番難しいのは、背景に雑音が入っている中で、例えばニュースセンターというスタジオじゃないところで記者がレポートいたしますけれども、そういうときには周辺の雑音がございます。そういうものが多いところでは現在では六八%ということで、もう一度申し上げますと、全体的には、平均的には八五%、こういうのが現状の技術でございます。
  99. 矢島恒夫

    ○矢島委員 お話の中にありましたニュース原稿の場合、あるいはメーンのアナウンサーがしゃべるのは非常に認識率が高くなっているということをお聞きしました。  といいますのは、今月の二十日に早稲田大学の国際会議場で、通信・放送機構の視聴覚障害者向け放送ソフト制作技術研究開発プロジェクトチームが主催いたしまして、聴覚障害者のためのテレビ用字幕制作に関する国際ワークショップという国際的なシンポジウムが行われました。  これはワークショップの全部の記録ですけれども、この国際ワークショップの中で、NHK技研の方の仕事をしていらっしゃる安藤さんという方が発表をされているわけなんですね。  その発表の中を見ますと、メーンアナウンサーの場合には相当よくなった、九六・七%から最高は九七・二%の認識率になったということ。それから時間のおくれですけれども、メーンアナウンサーが発声した声を認識するのにおくれ時間三秒程度、こういう研究発表がその会場でなされたわけです。ということは、最高で九七・二%、そして認識のおくれは三秒以内になった、こういうことだろうと思うんです。  そうしますと、メーンアナウンサーが報道をするニュースについてはという限定されたことではありますけれども、この部分に関しては、一応技術的に文字放送は可能なのではないかなと私は思うわけなんです。  NHKは、この発表をされた数値、それから現在の状況の中での字幕放送の可能性とのかかわり合いで、どういうふうに認識していらっしゃるか。
  100. 海老沢勝二

    海老沢参考人 今、長谷川技師長説明しましたけれども、かなりのスピードで認識率が高まってきております。ただ、この技術の方は、やはり百点主義といいますか完璧主義をねらって、非常に正確度を期そう、そういう立場でいろいろやっております。  今先生御指摘のように、九五から九七にいきますと、もうこれを実用に供することができるだろうと私個人は今思っております。ただ、これはやはりニュースですから誤りをしてはいけませんので、できるだけ正確にということでやっていかなきゃなりません。そういう面で、記者レポートとかあるいは外からの中継等についてはまだまだ勉強しなきゃならぬと思いますが、今御指摘のように、メーンアナウンサーのニュースについては、来年度からひとつできるものからやってみようというのが今の私の基本的な考えであります。  現場の方はもう少し慎重を期したいという意見がありますけれども、いつまでもこれを待っているわけにいきませんし、視聴者ニーズも非常に高いわけでありますから、できるところから進めていきたい。そういう意味で、もう少し現場の方を、いろいろ努力するように今しているところであります。
  101. 矢島恒夫

    ○矢島委員 なかなか積極的な御答弁をいただきました。  確かに、国際シンポジウムの中でも、「このシステムを用いると、」というのはいわゆる音声認識装置ですが、「ニュース番組中の特にメインアナウンサーが単独で発声している部分については、字幕放送実現の可能性があることが分かった。」そこまで結論づけられております。  そこで、今会長が言われたように、いよいよ技術は、全部のニュースをというわけにはいかないし、あるいはインタビューが入ったときにそれをどうするかといういろいろな問題はあるけれども、一応基本的にメーンアナウンサーがしゃべることについては相当程度実用性があるということで、ぜひ来年あたり積極的な方向でやっていただきたいと思います。  と申しますのは、私は、メーンアナウンサーがどれくらいニュースの中で報道しているかということをちょっと調べてみたわけなんです。そうしましたら、今月の二十一日からずっと調べていったわけですが、一部分インタビューがあります。それも、外国人のインタビューですと、これは二十一日の放送ですが、ロシア人にインタビューをしておりました。十二時のニュースです。そのときには、下へ字幕が出ます。ですから、これはテロップ方式でやられているわけですね。  日本人のインタビューがもう一つあったのですね。これは衛星第一放送のニュースでした。正午のニュースです。それで、ロシア人のインタビューはそのようにオープンキャプションで出たのですが、日本人のインタビューに対してはなかなか字幕にならないで、そのまま、耳が聞こえる人のためには必要ないということで流されたわけです。  それから、二十二日月曜日については、実は、ニュースは八時半から八時三十五分、これはずっと一人のアナウンサーでやりました。メーンアナウンサーだけですね。十一時から十一時五分、これもアナウンサー一人ですね。少しインタビューが入るけれども、十二時から十二時二十分、これも十三分間はメーンのアナウンサーですから、その部分については恐らくきちんとできるし、あと四分は地方のアナウンサーですから、二十分のうち十七分間は一応アナウンサーの報道で、あとインタビューが三分ぐらい入る、こういう状況でした。  とりわけ、実は自衛隊のジェット練習機が落ちました。落ちた後、ニュース速報、テロップ、ずっと見てまいりました。大変いろいろな形でNHKは報道されていました。通常の番組を変更してもやっていらっしゃいました。そして、私はずっと、二時二十分から二時二十五分までの間のニュースは、これはメーンアナウンサー一人でずっと五分間。それから、二時三十分から二時四十分、これは通常番組を変更したわけですけれども、これも一人のアナウンサーで十分間。ずっと見ていきますと、非常に、九回の番組についてはメーンのアナウンサーなんですよ。  ということは、できるだけ早くこういうものについては字幕ニュースとして流すことは可能だというように私は考えました。とりわけ、そういういろいろなアクシデントが起こる、そういう中で、聴覚障害者の方やあるいは難聴のお年寄りがニュースを見たときに、なるほど今こういうことが起きたんだなということを知ることができる。恐らくそういう場合にはメーンのアナウンサーがほとんどですから、ひとつそういう面でもぜひ足を踏み出していただくということが必要だと思います。  会長、メーンのアナウンサーがこのくらいニュースの中ではしゃべっているということですので、ひとつその部分だけでも積極的な御発言をお願いしたいと思います。
  102. 海老沢勝二

    海老沢参考人 先ほどもお答えいたしましたけれども、私としてはできるだけ早く、来年度にもメーンのアナウンサーのものについてはそういうことで一歩前へ踏み出してみたい。そういう中で、いろいろ検証しながらさらに拡大していく。そういう方向で、段階を経ながら進めていきたいと思っております。
  103. 矢島恒夫

    ○矢島委員 この間、通信・放送機構だとかNHKの技研だとかさまざまな企業や研究者が、聴覚障害者団体の方々も、速記入力だとかあるいは要約筆記入力という研究会など大きな努力をされた結果、このリアルタイムに字幕をするという方向が非常に前進してきて、新しいステップに入ったと思うのです。  そういう中で、先ほど会長も東海村の事故のときの状況をちょっと触れられましたが、私もあの事故現場へは当日行ったわけです。私たち聞こえる者にとっては、相当NHKのニュースというのは参考になりましたし、夜遅くまでいろいろと報道をしていました。もちろん、L字型の字幕をつくって入れるというような、画面にスペースをつくりまして、それで文字情報を流すという工夫もされていらっしゃいました。ただ、聴覚障害者の方にとっては、まだまだこれで十分だというふうな状況になっていない部分もあるわけです。いろいろな御意見を聞きました。  いよいよ二〇〇〇年問題というのがあります。こういう状況の中で、またいつ何どき、どこで地震が起こるか、災害が起こるかわかりません。そういう中で、緊急事態のときの情報弱者に対する情報提供、これをひとつNHKは積極的に研究していただきたい。このことはいかがでしょうか。
  104. 松尾武

    ○松尾参考人 先生御指摘のように、緊急時における障害者の差別というものはあってはなりません。それで、現在、緊急時においてはできるだけ文字化する、スーパー化するということで作業を進めておりますが、一方、障害者の方々にNHKは文字放送というのをやっております。これは字幕の裏側としてやっているわけですが、この中で、井げたの九〇一から九〇三まではニュースでございます。先日の東海村においても、地上波とほぼ同時間に、文字放送ニュースはもう既にニュースでお伝えをしております。  したがって、そういうものとリンクをしながらお伝えしていきたいということで、今まで私どもの反省としてありますのは、そういうことを文字放送でやっているよというスーパーを流していなかったので、今後はそういうスーパーを災害時には必ず流して、逆に文字放送の方を至急見ていただくという注意喚起もあわせてやっていきたいというふうに思っております。
  105. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひそういう点でも努力していただくということで、もう一つの問題として、例えば短いインタビュー、これを録画してあって、その部分がニュースの中に挟まるというようなものもあるわけですが、こういうときに、木村常務理事は、こんな発言もされているわけですね。いろいろなシステムを活用して素早く字幕を事前制作し、生の入力方式と組み合わせるハイブリッドなシステムを構築すれば、何とか字幕ニュースを放送できると思いますと。  つまり、速記を活用した字幕入力方式だとか、あるいは要約筆記グループによってのリアルタイムの字幕、こういうものもどんどん精度は向上していく。だから、そういうものも組み合わせれば、さらに正確さを増していくであろう。あるいは、字幕もどんどんできるだろう。短いニュースならほとんど字幕が可能ではないか。  そこで、やはりこれはマンパワーが必要なんですね、そのためには。入力オペレーターが必要です。ぜひそういうオペレーターの養成にも取り組んでいただきたいと思うのですけれども、その辺の取り組みはいかがでしょうか。
  106. 松尾武

    ○松尾参考人 現在、ワープロのそれぞれの団体が養成を行っております。ただし、高速ワープロというのは、それからもう一つ要約というのは、ワープロの中で大変難しい技術でございます。手話が手話協会で一定の認定をしているがごとく、これはNHK独自でということではなくて、やはり社会全体がそういう高速ワープロに対する理解を深めて、養成をしていくという方向の中でNHKの役割というのがおのずと出てくるのではないかというふうに考えております。
  107. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひ先ほどの、いろいろな面での工夫をされながら、研究されながら、来年にはひとつニュース番組に字幕が出るというような形をお願いしたいんです。  最後に、郵政大臣、今ずっとNHKとやりとりしていたんですが、物すごく最初の予定よりは技術的にいろいろな面で進歩しました。もっと遅くなるんじゃないかなというような、二〇〇七年に一〇〇%かなというような状況から比べてみれば、現状は大分変わってきているんです。  そういう意味から、私がお願いしたいのは、九七年に字幕放送についてのガイドラインを策定いたしました。その中で、字幕付与可能な放送番組という想定を行いました。ニュースというのは技術的に字幕を付すことができない放送番組の方に入っちゃっているんです。  そういう意味から、今まさに、来年からは、部分的だけれども、ニュースのメーンアナウンサーの部分にはできそうな方向もあるわけですし、NHKは実験的にも放送を始めたいと言っているんですから、このガイドラインの中で、現在のところ、ニュースとかスポーツ中継なんかが入っているわけですが、こういうものは字幕をつけることができないものに入っちゃっているんです。入っていないで、ここで見直して、ぜひこういうものは字幕可能な番組に含める方向で考えてもらいたいと思うんですが、いかがでしょう。
  108. 八代英太

    八代国務大臣 今それぞれやりとりを伺っておりまして、日本の字幕放送の技術も、NHKも取り組みがしっかりしておりますし、私たちも情報バリアフリー化という思いに立っていろいろな技術開発をいたして、また民間でも大変な努力、また全日本聾唖連盟等々も含めて各障害者団体も積極的な活動をしながら、みずから当事者の知恵というものを出し合って、例えば音声識別装置とか、そういうようなものもかなり高度なものになってきております。  不便さを便利に変えていくのが科学技術でありますから、そういう意味でも、日本の技術をもってすれば、こういうことは非常に日進月歩、大変な努力でいい成果もおさめられると思います。今、もうアダプターをつけさえすれば実際の識別に際して音声が出てくるというような声もございますので、そういう御提言も踏まえて、その一つの御信用の中で、ひとつこれからも積極的に取り組んでいきたい、こんなように思っております。
  109. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私が質問したのは、ガイドラインの中のその部分をもうこっちへ含めるべきじゃないか、それだけ……(八代国務大臣「どうぞ、また委員会でいろいろ御意見をいただければと思います」と呼ぶ)  最後に、今度は決算の問題なんですが、これは私だけの懸念ではないと思うんですが、実は、九七年ですから平成九年ですね、NHK決算を見ますと、これまで額と比率ともずっと伸びてきた国内放送費というのが、九七年度になって初めてその比率が前年度を下回っております。もちろん、その点を直ちにここで問題にするつもりは私はありません。  実は、海老沢会長は、「ネットワーク」という、これは四月号ですか、加賀美アナウンサーのインタビューに答えていらっしゃるんですが、「これまでの成果は、平成十・十一年度の二年間の予算を見ても分かると思いますが、十年度が百二十四億円、十一年度が八十七億円という大幅な経費削減を行い、新しい仕事や質の良い番組制作、デジタル放送時代に向けた設備投資などに重点的に配分することで、」という御発言があります。  もちろん、海老沢会長は九七年度の予算の執行にも、途中からですけれども最高責任を負われたと思われます。会長業務改革あるいは内部経費の削減、こういう方針の中で、私が危惧するのは、放送の質の低下があってはならない。つまり、経費削減によってくれぐれも放送内容の質の低下がないようにお願いしたい。これについて。
  110. 海老沢勝二

    海老沢参考人 私どもNHKの番組の質が低下すれば、NHK国民から信頼をなくすわけであって、それであってはならないことであります。そういう面で、我々は常に、番組の質の向上ということが最大の眼目であります。そういう面で、番組の予算については、平成年度は、率としては若干減りましたけれども、金額的には対前年比五十五億ふやしております。  そういう中で、これまでの番組のつくり方、やり方じゃなくて、もっと今の時代に合った番組づくりをひとつ考えてみよう、いわゆるマンネリ化を打破して、いかに効率よく仕事をし、新しい番組を開発するなり、また、新しい番組を開発するための余裕を持たなきゃいかぬ、そういう面で、今そういう経費節減を図っているわけです。番組の質の低下を来さないように最善を尽くすことは、もう当然であります。
  111. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  112. 前田武志

    前田委員長 次に、横光克彦君。
  113. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  きょうは、海老沢会長初めNHK参考人の皆様、大変御苦労さまでございます。  八年と九年の決算報告でございますが、効率化を図って、繰越金も両年にわたってふやしておられる、健全経営に努力されているということをまず評価いたしたいと思います。  また、きのう、「メッセージ機能を活用したデジタル放送の受信確認について」という資料をいただいたんですが、受信料の徴収確保という営業の面では大変御努力されているとは思いますが、それでもなお受信料不払い者がまだまだ減ってはいないという現実でもあろうと思うのですね。さらに、これから、デジタル化時代においては世帯を確認するのがだんだん難しくなってくる。いろいろな技術革新でアンテナ等も小さくなりますし、また室内ということも考えられるわけで、非常に厳しい状況になってくる。そういったこと。  あるいはまた、受信料支払いというのは国民の公平負担、こういった観点からも、来年度の十二月から始まるデジタル放送開始に合わせて、デジタル技術を使ったこういった受信世帯数を確認するという手法に取り組まれるということでございます。大変な効果を期待いたしております。  また、ちょっと質問がダブってしまいますが、先般の東海村の臨界事故、ここで、こういった不測の緊急事態のときに一番国民がある意味では頼りにするのが情報なんですね。その中でもNHKにかける期待は恐らく非常に大きいのではなかろうか、このように思っております。  そこで、NHKがあのときに、避難勧告が出たときに、いち早くそれを通知した、知らせたということを聞いております。これは、行政で避難勧告というのが出されても、地域住民全般にこれを通知するにはいろいろな時間的経過がかかると思うんですね。そういった意味では、情報がやはり一番早い。このことで随分地域住民はそれなりに対応ができたんではなかろうか、私はこのように思うわけです。  しかし、今同僚議員からお話がございましたように、まだまだ、ああいった事態のときには非常に忘れられがちになる視聴者もいるということです。いわゆる聴覚障害者の皆様方は、アナウンサーが一生懸命しゃべっている、あるいは臨界という文字が出る、しかし、この臨界ということが、今どういうことが起きているのか、そしてまた、臨界ということがどれだけ危険なことなのかということがわからないというような状況があったらしいんですね。そして、大変な不安に陥ったということを聞いております。  今、議員のお話で、これに対応するためのいわゆる字幕スーパーから一歩進んだ音声認識技術、このお話がございました。やはり緊急時になりますと、どうしてもまだまだ字幕放送では対応できないわけですね、現実には。この問題を解消するには、音声認識技術、これは話を聞いていますと、今相当進められている、努力されている。来年にでもメーンのアナウンサーの部分では実用化ということに努力するという話を聞いて非常に私も喜んでいるわけです。  参考までに、番組に字幕をつける現在の作業の仕組み、いわゆる作業にどれぐらい日時がかかるのか、あるいはどの程度の費用や手間がかかるのか、ちょっと具体的に御説明いただけますでしょうか。
  114. 松尾武

    ○松尾参考人 字幕をつけているのは、現在は生の番組ではございません。VTRであらかじめ撮った収録番組でございます。  この収録番組がどういう手順でスーパー、字幕までいくかというと、まず聞き取りというのを行います。これは、コピーしたVTRテープを何回も何回も戻しながら、我々がやるのと同じですが、要するに書き込むわけです。というのは、生でやっていたりする番組がVTRになっている場合がありますので、必ずしも全部台本があるわけじゃありません。ドラマでも、委員御承知のようにアドリブが出てまいりますから、そういうものは必ずしも台本どおりではありません。したがって、それを全部まずチェックする作業があります。これは原稿づくりと申します。  この原稿を次のステップで今度は二行十五文字に要約していくわけでございます。せりふ等々を分けながら、原則二行十五文字、三行になる場合もありますが、二行十五文字に分ける作業がございます。この分けた作業を今度はパソコンで入力いたしまして、それでやります。等々をやっていきますと、実際にオーダーを出してから放送していいよという状態になるまでに中六日間かかります。  今これをさらに短くするべく努力して、直接、原稿を手書きにしないで、パソコンを使ってそういう要約ができる人たち、我々でいうとNHKのOBとかそういう方にうまく仕事をしていただいて、その要約の時間をできるだけ短くするということで鋭意努力はしております。  以上でございます。
  115. 横光克彦

    ○横光委員 今の字幕スーパーですが、本当に緊急時の場合、いかに正しい情報、そしてまたいかにそれを早く伝えるかということは、ある意味では生死を分けるような大変な問題だと思います。聴覚障害者を初め心身あるいは知的、いろいろな障害者、とりわけこれから高齢者がふえるわけで、難聴という方もふえるわけで、こういったいわゆる災害弱者といいますか、こういった対応にNHKはこれまで以上に積極的に取り組んでいただきたい、このようにお願いいたします。  次に、いよいよデジタル化時代が始まりますと、いわゆるより質の高いソフトの重要性あるいはこの確保、これがある意味では大変重要になってくると思うんですね。NHKは、そういった意味ではこれまで相当の量のソフトを蓄積していると思うのです。これはいわゆる歴史を物語る貴重な財産でもありますし、もっと言えば、これは受信料で支えてきた国民共有の財産と言ってもいいと思うんです。  先般、「新日本紀行」という二十五年前に放送したものを、復刻して、修復して放送されたと聞いております。すごいことができるんだなと私思ったんですが、実は私は、二十五年前ぐらいに、朝のテレビ小説で「北の家族」というのがあったんですが、これに三カ月ぐらい出演させてもらったことがあるんです。このビデオがあるかと聞いたら、最初の十五分と最後の十五分と途中まとめた三十分、この三つしかない、あとはほとんど消えているわけですね。当時は、いわゆるビデオというのは非常に大きくて高かった。ですから何回も何回も使用したわけですね。ですから使い捨ての時代だった。それが今はやはりそういう時代でなくなってきて、いかにそういったものを保存していくかということがこれからのデジタル化時代に対する対応策であろうと私は思っております。  これは著作権とか肖像権、いろいろな難しい問題もございます。しかし、こういった過去の映像を復刻したりあるいは再放送するためにこれからNHKはどのような戦略を考えておられるのか、御説明いただきたいと思います。
  116. 松尾武

    ○松尾参考人 お答えいたします。  現在NHKには地方局も入れて約一万五千本のソフトがございます。委員御指摘のように、以前はテープ代が高かったのでほとんど消えておるという状態でございますが、一部フィルム作品が残っております。この一部フィルム作品をデジタルの中でコンピューターに取り込みまして、そしてワンカットごと、一こまずつ、要するに、傷がついているものを修正し、見えにくくなっているところは違うところからそれを引っ張り出して持ってくるという合成技術を駆使しましてこの前の映像ができ上がっているということで、大変に時間と手間がかかるということでございます。  この百五十万本ある、また日々刻々素材はふえてまいりますので、先ほども申し上げましたように、デジタル技術で将来にも使える最先端の保存方法というものを考えながら、二〇〇三年に川口にアーカイブスというのをつくる計画にしておりますので、そこにターゲットを合わせつつ鋭意作業をしているところでございます。  全体には、残っている映像そのものの再生ということが主目的になるのと同時に、その仕分けをして結局取り出しやすいように、検索しやすいように持っていくということも大変な作業でございまして、そういうだれもが見やすい状態に保っておくためのデジタル技術の導入というのも一方の視野に入れてあるということでございます。  以上でございます。
  117. 横光克彦

    ○横光委員 今詳しく説明がございました。  このようにNHKがこれまで蓄積してきた膨大な映像資産、これを貴重なソフトとして、放送だけに活用するのでなく、これからはやはり広く一般にいろいろな形で公開して活用していくということも求められるんではないかと思うんですね。川口のアーカイブセンター、ここにはこれまでのNHKの映像をすべて集めると思うんですが、現在はビデオテープそのものを保存するしか手がないんですか、それとも、いわゆる音をCDという形で蓄積するといったことはまだまだ不可能なんですね。
  118. 松尾武

    ○松尾参考人 失礼しました。先ほど一万五千本と私申し上げたようで、百五十万本でございますので、百五十万本が正しい数字でございます。  川口については、民間の方々、一般視聴者の方々にもアーカイブスが、訪問された場合に利用できる設備も含めて、川口市と一緒になって総合的な情報センターという形で現在進行しているということでございます。
  119. 横光克彦

    ○横光委員 個人的に一たん放送したものを見たいと思っても、なかなか現在は難しい。再放送を待つしかない。しかし、そうしょっちゅう再放送があるわけではない。そうしますと、そういったセンターができますと、いろいろな形で、より映像に対する親近感が増してくるものと思っております。  次に、二〇〇二年、いよいよ日韓のワールドカップが行われるわけですが、この放送権料ですか、非常に高い、とても向こうの言う値段には対応できないというような状況と聞いております。また、ABUの方でもこれに反対する決議をしていると聞いておりますが、この交渉の打開のめどは果たしてあるのかどうか、会長にお聞きしたいと思うのです。
  120. 海老沢勝二

    海老沢参考人 ただいま先生から御指摘のように、非常に我々にとっては、かなり高い放送権といいますか、今非常に厳しい交渉を強いられております。といいますのは、これまでは世界の放送機関の連合が放送連合として放送権を獲得していたわけでありますけれども、今度は、いわゆる競争時代に入って、スポーツのエージェントといいますか、マネジメントの会社が落札したということで、いわゆるオリンピックと同じように商業主義の方向へ踏み出してきたということであります。  そういう面で、去年のワールドカップサッカーのNHKが支払った放送権料が日本円で五億五千万でした。去年の十一月に、この代理店であります、ISLというのが窓口でありますが、私ども、オリンピックと同じように、NHK民放五社と一緒になってジャパン・コンソーシアム、ジャパン・プールといいますけれども、これをつくって、NHK民放が一緒になって放送権の交渉に当たろうという次第です。  これの、我々に対してISL側が、同じテーブルについておりません、非公式な形で、期待値として示してきたものが、二〇〇二年と二〇〇六年の二つの大会合わせて六億五千万スイス・フラン。一スイス・フランを八十五円に計算して、五百五十億です。ですから、それに源泉徴収一割が加わりますので、大体六百億円ですね。これを二つに分けますと三百億円ということで、我々のこれまでの放送権の五十倍を超す値段になってしまう。とてもこれでは話にならないということで、まず我々は二〇〇二年の分だけで交渉しましょうということを申し上げましたところ、ISL側は、日本のジャパン・コンソーシアムとは交渉しないということで、交渉拒否の態度を示しております。その後、交渉はしておりません。  そういう中で、十一月初めのABU、アジア・太平洋放送連合、私、会長を務めておりますが、これはアジアの五十一の国、地域から百二の放送機関が加盟している一大組織であります。このABUも、日本、韓国、オーストラリアを除いて、中国、インド、インドネシア、パキスタン等二十五カ国がABUとして今契約をしております。そういう中で、この二〇〇二年のアジアで初めて開かれるワールドカップサッカーも、ABUとして交渉してほしいという要望がかなり出ました。これに対してISL側は、放送連合であるABUとは一切交渉しないということで、交渉に応じません。  各放送機関ごとに交渉するというのがISL側の態度でありまして、それでは、FIFA、国際サッカー連盟の憲章にありますように、サッカーの普及ということから大きく逸脱して、有料、いわゆるペイテレビとかペイ・パー・ビューとかという、金を払わないと見ることができないしかできなくては困るというのは、いわゆる一般放送、これまでの国営、公共、商業であるコマーシャル、一般放送で見られるように、そしてまた、できるだけ安い負担でだれでもが見られるようにしてほしいというようなことが出ました。  そういうことで、そういう決議をいたしまして、この十六日に私の名前で、国際サッカー連盟、FIFAのブラッター会長に、FIFAとして憲章に基づいて、アジアのすべての人が安い負担で、軽い負担で一般放送で見られるようにしてほしいという要請文を出したところであります。そういう面で、これからが、どういう返事が来ますか、どういう態度で来ますか、今見守っているところであります。  いずれにしても、これは世界各国で問題になっておりますので、我々も慌てず焦らず、じっくり腰を据えて、世界各国の動きを見ながら対応していきたい、そう思っております。
  121. 横光克彦

    ○横光委員 今のお話を聞くと、余りにも要求されている値段と前回の値段の差が開き過ぎて、交渉をしないとか、いろいろな強気な形で来ているというお話で、ちょっと心配になって、二〇〇二年、果たしてワールドカップが放映されるのかどうか、これから民放の皆様方と一緒に御努力されると思います。  こういう事態、いわゆるオリンピックにしてもワールドカップにしても、どんどんどんどん商業ベース化しておるんですね。そういったことが今回のような考えられないような値段になってきている。そういったことを解消するために、イギリスでは、いわゆる特別指定行事という制度があるんですね。これから日本はワールドカップがありますが、その後またオリンピックだっていつかあると思いますし、行政もそういったときを考えて、イギリスが現在行っております特別指定行事、このことについて郵政省はどのように今考えて、また取り組もうとしているか、お聞かせください。
  122. 八代英太

    八代国務大臣 いずれにいたしましても、これからこの放送権料の問題は海老沢会長にひとつ期待をして、しかし、二〇〇二年、もう間近でございます。サッカー見たい、オリンピックも見たい、されど、小坂政務次官に聞きましたら、長野の冬季オリンピックは四十八億円ぐらい、その十倍以上の金を、吹っかけてきたかどうかわかりませんが、いずれにしても、どうも商業ベースにはまり込み過ぎているような気がいたします。  今お尋ねのように、有料放送事業者による独占を防止して、公衆が無料で視聴することを保障する制度というようなものがEC指令などにはあるんですけれども、なかなかその辺、日本におきましては一応そういう入札制度の中での絡み合いになってまいりますので、今回のワールドカップの放送権、これはなかなか高騰しているわけですが、これは事業者間、NHKを含む民放五社等々の協議の中で粘り強くやっていただくというような、行く行くは欧州でとられているような、そういうものが必要かどうかは、相手のあることですからなかなか難しい問題があろうかと思いますが、私も委員と全く考え方は同じでございます。
  123. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。どうもありがとうございました。
  124. 前田武志

    前田委員長 次に、中田宏君。
  125. 中田宏

    ○中田委員 中田宏でございます。  八代新大臣、並びに小坂前田両新政務次官、よろしくお願い申し上げます。また、議会におきましては、各党の理事の皆さん、今後とも郵政行政にとって建設的な意見を発してまいりたいと思いますので、委員長を初め皆さん、よろしくお願い申し上げたいと思います。  さて、私、早速質疑に入らせていただきますが、いわゆる二〇〇〇年問題、このことについてNHKの取り組みをお聞きしたいというふうに思います。  NHKにおいては既に対応をしてきたと思いますけれども、まず、今決算平成八年並びに九年の決算をやっているわけでありますけれども、その中において、NHKの予算規模の取り組み並びに具体的な取り組み、これを簡単にちょっとお答えをいただければと思います。
  126. 山田勝美

    ○山田参考人 お答えします。  NHKでは、編成から番組送出までを情報化した放送系システム、受信料等に関する営業系のシステム、それから経理、職員などの業務管理に関する業務系システム、三つの系統の基幹システムを初めとしまして、全国の各放送局にも数多くのコンピューターを運用しております。  こうしたことから、二〇〇〇年問題の重要性というのは早くから十分認識をしておりまして、平成年度から計画的に対応を進めてまいりました。平成年度から今年度、十一年度までの経費の総額は八億六千万円でございます。主な内容は、西暦の下二けたを四けたに変更するなどのプログラム改修というのが中心であります。  以上であります。
  127. 中田宏

    ○中田委員 今のは局内における対応ということだと思うんですね。  私、この二〇〇〇年問題というのは極めて難しい問題でありまして、単に不安心理をあおる結果になってしまっては、これは当然いけないわけだし、そういう意味ではこの議論を国会で行うこと自体もちろん注意深くやらなければいけないとは思っています。しかし一方では、本当に対応をしっかりやっていかなければいけない。  そこで、NHKさんにお聞きをしたい。  なぜならば、ライフラインがとまってしまうかもしれないという議論も出ていますね。ライフラインが仮にとまってしまったりした場合、国民は物すごくいろいろな不安をかき立てられるわけであり、それに対する対応はもちろん政府にも求められるので、このことは逓信委員会じゃなくてもっと別の場でやらなければいけない。ただ、仮にそういう事態が起こったときに何よりも重要なのは、正確な情報がしっかりと発せられること、そして不安心理が出ないようにきちっと対応していくことだと思います。そういう意味では、NHKさんというのは、恐らくはそういう事態において一番重要な役割を果たしていくところですね、民放よりも。  このことについて、NHKさんとして、今お聞きをしたのは局内における対応だけれども、果たしてその報道体制だとかというのはどうなっているのか、ここについてぜひお答えをいただきたいと思います。
  128. 松尾武

    ○松尾参考人 お答えいたします。  正月、Y2K問題を含めて、今現在国内で起こり得べきさまざまな問題点の洗い出しをしております。この洗い出しというのが大変重要なことなんであります。その洗い出しの結果、どこにどういう人を張りつけていくのか、その情報が信頼できるのかできないのかということも含めて、今報道局を中心に特別プロジェクトで議論をしております。したがって、全体の体制というのは今のところまだ明確に出ておりません。  ただし、NHKは、ライフライン確保を含めてのさまざまな問題を国際的にもきちっと伝えていかなければならないということで、特にことしに関しては、生番組の枠を大変ふやしております。それから、毎正時を含めて「テント二〇〇〇」という特別番組を用意してございます。  何もない場合は、普通の一般的な年末年始の情報を生でお伝えしていきます。日の出とか、各国の風景とか。何か事が起これば、すぐにニュースセンターに切りかえてさまざまな情報を出していくという体制をとっております。これは支局、海外支局を含めてそういう体制になっております。
  129. 中田宏

    ○中田委員 何もなければそれでよしということだと思うんですね。ただ、本当に何か起こった場合に正確な情報が出るということが国民にとって極めて重要でありまして、その点におけるNHKの責任というか責務をぜひ本当にお考えをいただきたいというふうに思うんです。  電気、ガス、水道、こういうライフラインだけじゃなくて、例えば自動車であるとかあるいは銀行のATMだとか、これは正月三が日は、でも正月三が日だって十分ATMがということはあり得るわけだし、そういう意味ではいろいろなことが想定されます。  この議論の中では幾つかのレベルが想定されていたりして、レベル五とかレベル十とか、そんな分け方もあったりして、どのレベルにはこんな対応をするというようなことが専門的な議論の中で行われていますが、そういうレベル分けとか、それに対する報道体制だとかということはNHKさんは既に検討されていますか。
  130. 松尾武

    ○松尾参考人 テーマの洗い出しというのは当然レベルを含んでおりまして、最終的には総動員体制というのが出てくるということで、そのレベル分けも含めて今構築をしている最中でございます。
  131. 中田宏

    ○中田委員 具体的には、例えば年末からお正月三が日の報道体制、例えば局員の配置とか、こういったものは例年に比べてどんなぐあいになっていますか。
  132. 松尾武

    ○松尾参考人 地方局はほとんど出局状態だと思います。東京は、報道を中心に他の番組も生がございますので、私の勘では通常の二倍ぐらいか二倍半ぐらいの要員が待機をしている、待機をしているというか直接いろいろな作業に当たっているという状態になるのではないかと思っております。
  133. 中田宏

    ○中田委員 海老沢会長、私先ほども申し上げたように、何もなければそれでよしなんですね。ですから、私の議論も含めて、決して国民に対して無用の不安心理をかき立てる必要は何もない。ただ、何か起こったときに一番信頼できる情報はNHKから発せられていますよということを、私はNHKの方にぜひ、こういう場も通してしっかりと国民の皆さんに、ある意味ではもう既に言っておいてもらいたいと思うんですね。  阪神大震災の場合は阪神地方だけでした。東京はしっかりしていた。しかし、今回の場合は、もしかしたら日本全国でどこかが狂い始めるかもしれない。あるいは、下手したらという場合は世界でいろいろなことが起こり得るかもしれないということになれば、その情報というのが、繰り返すようですが、本当に正確に伝わるということにおいて、会長、ひとつ御見解をお聞かせいただきたい。
  134. 海老沢勝二

    海老沢参考人 阪神・淡路大震災でもわかりますように、情報というのは、電気、ガス、水道と同じように今ライフラインになっております。そういう面で、正確な情報を流す、そしてそれも、速くわかりやすくというのが基本であります。そういう面で、いたずらに不安をかき立ててはいけませんけれども、今何が起こるかわからない世の中でありますし、また、この二〇〇〇年問題というのも予想されない初めての経験でありますし、どういう事態にも我々対応できるように、今全職員がそれぞれの部門でその専門性を発揮して、遺漏ないように体制が整いつつあります。  そういう面で、こういう緊急事態には十分対応できるように、二十四時間体制できちっとした体制のもとに正確な情報をお渡しするように、今改めて再構築していきたいと思っております。
  135. 中田宏

    ○中田委員 大きなパニック的なことばかり私言っているんじゃなくて、例えば、一部のエリアにおいて電気がとまったなんということも、これは何なんだということになってみんな大騒ぎになったりとか、あるいは、これがいわゆる二〇〇〇年問題かということで、それが伝播をしていくなんということ。伝播というのは、どんどん喧伝されていっちゃうという可能性もないわけじゃないわけで、そこにも、ある意味では、一部エリアの停電なんというのは、本来緊急ニュースで流す必要はないかもしれないけれども、今回はそういう対応をしなければいけないということも例えばあり得ると思うんですね。ですから、そういう意味では、本当にぜひ万全の対応を整えていただきたい。  それから、郵政大臣、ひとつお伺いをできればと思いますが、もちろん大臣は御就任されたばかりでありますから、それ以前の話になりますが、郵政省として、こういった二〇〇〇年問題の対応について、NHKさんに対して、あるいはNHK以外も含めたりしてその対応をしっかりとやるべきだということについて、指導やあるいは指示というものを放送業界に出した、こういう経緯はあったりしていますか。
  136. 八代英太

    八代国務大臣 この二〇〇〇年問題には、総理が先頭に立ちまして絶えず議論もしてまいりましたし、また、郵政省といたしましては、NHKを初めとして民放各社におきましても、既にすべて模擬テスト等も終わりまして、万全を期しているところでございます。  そういう意味では、まず光は東方からですから、日本が最初に二〇〇〇年を迎えるわけでありますので、日本がよければ世界がすべてよいということでは、やはり日本の責任も多いんで、我々も、郵政省だけでも千数百人体制で、まあ何もないという前提に立ちながらも、万万万万万が一という思いに立って、対応はしっかり万全を期しているところでございます。
  137. 中田宏

    ○中田委員 何もなければそれでよしなんです。ですから、ある意味では、政府発表にもありましたように、本当に何か起こった場合にはこれの経験というものが生かされるでしょうし、ぜひ、今大臣がおっしゃられたとおり、万万万万万が一、万の数は違うかもしれませんけれども、そのための準備というものをぜひお願いしたい、そのことを申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  138. 前田武志

    前田委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  139. 前田武志

    前田委員長 これより両件について討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  140. 前田武志

    前田委員長 起立総員。よって、本件は異議がないものと決しました。  次に、日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  141. 前田武志

    前田委員長 起立総員。よって、本件は異議がないものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 前田武志

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  143. 前田武志

    前田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十一分散会