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1999-12-03 第146回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十二月三日(金曜日)     午前十時十分開議  出席委員    委員長 金子 一義君    理事 衛藤征士郎君 理事 鴨下 一郎君    理事 根本  匠君 理事 渡辺 喜美君    理事 上田 清司君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君       小野寺五典君    大石 秀政君       大野 功統君    河井 克行君       桜井  新君    桜田 義孝君       塩谷  立君    下村 博文君       砂田 圭佑君    園田 修光君       高市 早苗君    西川 公也君       林  幹雄君    宮本 一三君       村井  仁君    村上誠一郎君       渡辺 博道君    岩國 哲人君       岡田 克也君    河村たかし君       末松 義規君    仙谷 由人君       中川 正春君    大口 善徳君       谷口 隆義君    並木 正芳君       若松 謙維君    安倍 基雄君       一川 保夫君    佐々木憲昭君       矢島 恒夫君    横光 克彦君     …………………………………    大蔵大臣         宮澤 喜一君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 越智 通雄君    金融再生政務次官     村井  仁君    法務政務次官       山本 有二君    大蔵政務次官       大野 功統君    文部政務次官       河村 建夫君    厚生政務次官       大野由利子君    政府特別補佐人    (内閣法制局長官)    津野  修君    政府参考人    (金融再生委員会事務局長    )            森  昭治君    政府参考人    (大蔵省国際局長)    溝口善兵衛君    政府参考人    (厚生省年金局長)    矢野 朝水君    参考人    (日本銀行総裁)     速水  優君    参考人    (年金福祉事業団理事長) 森  仁美君    大蔵委員会専門員     田頭 基典君     ————————————— 委員の異動 十二月三日  辞任         補欠選任   石原 伸晃君     小野寺五典君   宮本 一三君     園田 修光君 同日  辞任         補欠選任   小野寺五典君     石原 伸晃君   園田 修光君     宮本 一三君     ————————————— 十二月三日  中小自営業者婦人自家労賃税制に関する請願佐々木秀典紹介)(第三九〇号)  消費税増税反対消費税率三%への減税に関する請願大森猛紹介)(第四〇九号)  同(志位和夫紹介)(第四一〇号)  不況打開消費税廃止商工ローンなどの規制強化に関する請願矢島恒夫紹介)(第四一一号)  同(児玉健次紹介)(第五三三号)  消費税率を三%に戻すことに関する請願松本善明紹介)(第四一二号)  同(辻第一君紹介)(第五三四号)  中小自営業者婦人自家労賃税制等に関する請願中村鋭一紹介)(第四六六号)  同(土井たか子紹介)(第五三一号)  同(松本善明紹介)(第五三二号)  消費税即時廃止に関する請願松本善明紹介)(第五二九号)  納税者権利憲章制定に関する請願木島日出夫紹介)(第五三〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  国の会計税制及び金融に関する件     午前十時十分開議      ————◇—————
  2. 金子一義

    金子委員長 これより会議を開きます。  国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  この際、越智金融再生委員会委員長から発言を求められておりますので、これを許します。金融再生委員会委員長越智通雄君。
  3. 越智通雄

    越智国務大臣 私は、十一月二十日から二十四日まで米国を訪問し、サマーズ財務長官グリーンスパン連邦準備制度理事会議長を初めとする金融問題の専門家たち会談を行いました。今回の訪米は、直接的には、サマーズ長官から私に対し書簡により個人的に会いたいとの申し出があったことを受けて行ったものでありますが、この機会に米国の各方面の要人等と率直な意見交換を行うことができたことは、大変意義深いものであったと考えています。  サマーズ財務長官との会談においては、日米金融及び経済情勢に関し積極的な意見交換を行いました。  私からは、我が国金融安定化に向けたこれまでの取り組みや、先般発表された主要行中間決算計数等を示しつつ、我が国金融状況は昨年や一昨年に比べ大分落ちついてきたこと、また、今後とも金融再生法及び早期健全化法に基づき金融改革を進めていくこと等を説明しました。これに対し、同長官より、我が国金融安定化の進展に対する歓迎の意が表明されるとともに、今後数カ月にとられる政策が我が国金融システム構造改革、ひいては我が国経済再生にとって極めて重要との点で意見が一致しました。  また、サマーズ長官からは、先般成立した金融サービス近代化法に代表される最近の米国における金融制度改革取り組みと今後の見通しについて説明があり、こうした米国取り組みは、世界金融経済効率化を促進することにより、米国のみならず世界経済全体によい影響をもたらすものとの点で意見が一致しました。  このほか、金融機関に劣後債の発行を義務づけ、その流通利回り健全性の尺度の一つとして活用するという新しい監督手法検討状況について、私の質問答えサマーズ長官から検討を開始した段階である旨の説明がありました。  また、グリーンスパン議長との会談においても、日米及び世界金融経済情勢について積極的に意見交換を行いましたが、こうした一連の会談を通じて率直な意見交換を行い、緊密な人間関係を築くことができたことは、今後の金融の安定のためにも大変有意義であったと考えております。  以上でございます。     —————————————
  4. 金子一義

    金子委員長 この際、お諮りいたします。  各件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君、年金福祉事業団理事長森仁美君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として厚生省年金局長矢野朝水君、金融再生委員会事務局長森昭治君、大蔵省国際局長溝口善兵衛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 金子一義

    金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。
  7. 仙谷由人

    仙谷委員 まず最初に、越智長官にお伺いするわけですが、この委員会でも、この段階長官アメリカに行かれてサマーズさんに会う意味がどうもよくわからない。一説には、前長官改革派越智さんが守旧派である、こういう評価がアメリカのマスコミ等々で出ておる、これを払拭するために行くのではないかという話もございました。  そこで、今度の長官サマーズさんの会談、これは、アメリカの例えばウォールストリート・ジャーナルあるいはイギリスのフィナンシャル・タイムズ、この辺にはどういうふうに報道されたのでしょうか。
  8. 越智通雄

    越智国務大臣 外国新聞記事そのものは、私は直接見ておりません。  私が参りまして向こうサマーズさんにお会いいたしましたのは、今申し上げたような経緯でございまして、一番大事なことは、日本が前よりは経済がよくなってきた、そのことの認識を申し上げることと、私と柳沢君がかわったからといって、今までにある法律に基づいて行政は執行されているわけでありますから、金融改革の路線に変わりはないということを申し上げることでございました。  その会談後に、私とサマーズさんとのミーティングについては英語コミュニケが出されました。そのコミュニケもとにして記者団に話をいたしました。その場合には、私は日本語で記者会見をしておりますので、英語でどういうふうにどこへ載ったかというのは、申しわけありません、ここに今持っておりません。
  9. 仙谷由人

    仙谷委員 私が確認する限りでは、この会談は、アメリカ金融経済専門紙といいましょうか、あるいはごく通常の新聞金融経済欄では全く無視された、ほとんど歯牙にもかけられなかったということのようであります。  私は、今報告されたような会談であれば、これは国会中無理を押して出かけられるような話ではないと思うのですよ。国会が終わってからゆっくり行かれたらいいような話ではないか。なぜあの時期に、あんなにまで無理押しをして頑張って、我が北橋筆頭理事が何のために行くんだということをお尋ねしても確たるお答えがないまま行かれた。それでその話では、私どもは、これは今後ともこの種の話には相当厳格に対応しなければならないというふうに考えました。  その点は、しようがありません、ひとまずおくとして、サマーズさんとの話し合いで、長銀リップルウッド譲渡について話が出ましたでしょうか、出なかったでしょうか。
  10. 越智通雄

    越智国務大臣 サマーズさんに日本経済情勢お話をした後、金融の今までの関連をずっと申し上げました。私自身英語でしゃべらせていただきましたが、当然のこととして、日長銀の問題は、今優先交渉相手を絞って十一月末までということで交渉をしているということは申し上げました。向こうからは何の御返事というかメンションはありませんでした。
  11. 仙谷由人

    仙谷委員 そこで、今度の長銀譲渡について、全くわからないものですからお伺いするわけでありますが、私は、念のために申し上げておきますけれども、ごく一部にある青い目や茶色い髪の資本が入ってくることがよくない、こういう立場でこれから質問するわけではないのです。  つまり、もっと言いますと、あるときにイギリスに、例えば日本の日産であるとかトヨタであるとか、どんどん直接投資をして現地に工場をつくりました。私はイギリスの人にこういうふうに聞きました。あの誇り高いユニオンジャックイギリスがよく日本ごときのメーカーに立地を許したな、これは何なんだというふうに聞きました。そうしますと、いや、イギリスはもうせっぱ詰まっているんだ、したがって、どこの資本であろうと働く場所さえできればいいんだ、そこまで割り切らざるを得ないところまでイギリスは追い込まれてこういうふうになったんだ、こういう話でした。  一方、一九七〇年に始まった日本資本自由化の中で、日本企業、あるいは大蔵省もそうだったかもわかりません、通産省もそうだったかもわかりません、外国資本日本に直接投資することについてはできる限り防止しようと。要するに、日本外資植民地のようになってはだめだという、今から考えると何かわけがわからない、そういう恐怖感もと株式の持ち合いが始まったと私は見ております。  日本に対する外資の直接投資というのが現時点でも非常に小さい金額であって、日本企業社会構造といいますか、あるいは証券市場そのものもいびつなことになっている。そのことが、今我々がツケを払わなければならない、改革をしなければならない相当大きいテーマだということを、私自身もそういうふうに認識しておりますし、これからの課題だと思っております。  したがいまして、外資一般が、長銀であろうと日債銀であろうと、これを買う、つまり外資に売ることについて別に抵抗があるわけではない、そのことをまず申し上げておいた上で、にもかかわらず、今回、このリップルウッド売買交渉の第一優先順位にして、そこで行われていることが我々には見えない。金融再生委員会が見せない。そして、揣摩憶測を呼ぶ原因になっていると私は思うのですね。  そこで、まず、お伺いするのですが、ここに平成十一年三月三十一日現在の貸借対照表がございます。三月三十一日から十一月三十日でもいいですし、あるいはリップルウッド譲渡する直前、その時点における修正バランスシートというのはどういうものになるのですか。つまり、もっと言えば、資産のうちあなた方が引き継ぐのが適当ではないとおっしゃる債権資産幾ら減って、負債のうちどの勘定項目がどのように減るあるいはふえて、こういう姿の長銀リップルウッドに売られるんだ、その姿は、長官、あなたはわかっているのですか。まずそのことを。
  12. 越智通雄

    越智国務大臣 私の理解しているところでは、三月三十一日は日長銀自身決算でございまして、それに基づきまして、これを厳格に検査して、数字をもう一遍見直している、そしてその結果をもとにして最後の買い手と申しますか、それとの調整が行われている、こう思います。そしてさらに、実際に最後数字を詰めるときには、再生委員会そのもの査定といいますか、それも何回も会議をして行った結果でやっております。さらに、それを向こう側がどういうふうに判断するかで、最優先交渉先との話し合いが今続けられている、このように見ております。
  13. 仙谷由人

    仙谷委員 いいですか、長官。大まかで結構です、数字を言ってください。資産が約二十三兆なんですよ、三月末。この資産のうち、四兆七千か四兆八千の不適債権不適資産があるというふうに仕分けが済んだわけですよ。資産の中から、この二十三兆のうち四兆七千か四兆八千は少なくなった資産の、バランスシート上そうなった長銀が売りに出されるのか、あるいはもっともっと資産が減少しているのか、あるいは株式含み益益出しが行われて全然別の形でそれが、例えば現金とか、そういう格好資産がふえているのか、減っているのか。まず、この二十三兆がどうなっているのか、このことをお答えください。
  14. 越智通雄

    越智国務大臣 専門的と申しますか、具体的な点は後から事務局長の森君に補足説明させていただきたいと思っておりますが、先生今おっしゃいましたように、長銀の本年三月末の決算における債務超過額は二兆八千億でございましたが、ことしの八月、夏にいろいろ検査をした結果、預金保険機構による不適資産の第一次買い取りが八千億行われましたものですから、これを加えた現在の債務超過相当額が三兆六千と認識いたしております。  今後、預金保険機構による不適資産の第二次買い取りが行われますが、現段階では追加損失はさほど生じない見込みであると聞いております。また、新生長銀に引き継がれる適資産引当金について、金融検査マニュアル導入等により追加引き当てがある程度想定されますが、その額は現在のところ明らかでございません。  そのような変動要因が存在することから、長銀譲渡の際の所要公的資金につきましては三兆六千億プラスアルファと申しているところでございまして、その額について現在の時点で確たる、決定的な見通しというか、数字を申し上げることはできないのを御理解いただきたいと思っております。
  15. 仙谷由人

    仙谷委員 長官、私の質問答えていない。それはもう二、三問後の質問に対する答えですわ。僕は今、資産の話をしているんです。資産を減少させるについて、預金保険機構なりRCCへの譲渡というのが行われて、そこから国民税金がどうやって長銀に払われたかということを次に質問しようと思っていたんだけれども。そして、今の負債の話はその次の話だ。勝手に質問関係ないことを読んだってだめですよ。  次の質問をしますが、不適資産四兆七千億というのを仕分けしましたよね。これは、預金保険機構あるいはRCC買い取りを求めて、五千億で買い取ってもらったという新聞報道があるんですが、対価との関係ではどうなっているんですか。
  16. 森昭治

    森政府参考人 お答え申し上げます。  八月に不適資産の第一次買い取りを預保がしたわけでございますけれども、そのときの買い取り代金は四千九百三十九億円でございました。
  17. 仙谷由人

    仙谷委員 そうすると、約一〇%強で買い取ってもらったという話になるわけですよね、長官。今の話だと、資産の減少でいうと約四兆二千億ぐらいそこでは資産に穴があいたという計算になるわけですよね。そうですよね。  では、話を続けますけれども、結局、今まで長銀幾らつぎ込んだんですか。国有長銀幾らつぎ込んでいるんですか。どうですか、長官。わからないんだったら、もう、わからないでいいですよ。
  18. 森昭治

    森政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど四千九百三十九億円と申しましたときの買い取り資産簿価は、二兆九千五十八億円でございます。それを四千九百三十九億円で買い取ったわけでございますから、ロスとしては二兆四千億程度でございますけれども、ことしの三月期に既に引き当てをしてございまして、その引き当てをしたよりか上回る額が、先ほど金融再生委員長が申し上げました八千億という数字でございます。  一方、三月期の未収益で立てました特別公的管理勘定、これは二・八兆円でございますので、したがって、引き当て追加八千億を加えますと三・六兆円でございます。しかし、この三・六兆円はまだ未収益ロスのままで資産勘定で立っておりまして、まだ一般勘定なり特例業務勘定から埋めてあるということではございません。そういう面では、まだ支払いが済んでおりません。  支払いはいつするのかといえば、譲渡時にもう一度資産についての査定引き当てをいたしまして、適切な引き当てをもう一度よくチェックいたしまして、その額を加えたところで最終的なロス額といいますか、一般勘定及び特例業務勘定から払い込まれる額が決まるわけでございます。
  19. 仙谷由人

    仙谷委員 いや、もう森さんは答えないでいいからね。  長官、いいですか、結局、譲渡の前にこの国有長銀譲渡される長銀の姿というのは、国会なり国民の前に見せるのですか、見せないのですか。そして、そのときに当然のことながら、幾ら国民税金をつぎ込んだのか、公的資金をつぎ込んだのか、それは明らかにされるのですか。
  20. 越智通雄

    越智国務大臣 今お答え申し上げましたように、まだ優先交渉先となにしておりまして、全部額が決まるのは最後のおっしゃるように譲渡のときでございまして、これはまだある程度先の時点でございます。そのときには、幾らつぎ込んだということは当然のこととして明らかにいたします。
  21. 仙谷由人

    仙谷委員 私が言っているのは、契約締結前に国民に示すのかということを聞いているのですよ。約束できますか。それならば、十一月三十日までに基本契約を結ぶとおっしゃっていた。一カ月延びた。ことしじゅうに売却対象国有長銀の姿を国民に見せる、つぎ込まれた公的資金の額を示す、これは約束してくれるのですね。
  22. 越智通雄

    越智国務大臣 私の説明を違っておとりになっていると思いますが、基本契約の次に最後最終契約があるわけですから、今言っているのは、相手先優先で決めて、そこと細かく今詰めているわけですね。そして、できた基本契約に基づいてもう一度最後の詰めが行われて、最終契約書ができるのは年を越しますということを申し上げているので、最終契約をしたときに向こう側に株も渡す、そして向こう側が払うべきものも払う、こちらがどれだけのものをつぎ込むかも決める。そこで初めて申し上げますから、今何か十二月三十一日とおっしゃいましたが、その時点では出しません。
  23. 仙谷由人

    仙谷委員 極めて遺憾な話だと思うのですね。これは、九月決算がいつ発表されるのかよくわからない、中間決算が。やらないのですか。ほかの銀行はもう全部やっていますよ。  さらに加えて、国民税金をこれからまだまだどこまでつぎ込むのかわからない。そこで、国民に伏せたまま交渉して、それで契約締結というところまでいこうとしている。私はそういうふうにしか見えないのですよ、これは。  もう一度別の観点から聞きますが、売却する長銀の正味の自己資本というのは幾らにするおつもりなのですか。
  24. 越智通雄

    越智国務大臣 ちょっとなんでございますが、でき上がる新生長銀資本幾らかというお話ではなくて、資本勘定、売るときに幾らかと言われれば、ずっと債務超過でございますから債務超過のままでございます。
  25. 仙谷由人

    仙谷委員 どのぐらいの債務超過国有長銀譲渡するのですか。今、債務超過長銀譲渡するとおっしゃった。幾ら金額債務超過ですか。
  26. 越智通雄

    越智国務大臣 先ほどそれを申し上げたつもりでございますが、二・八兆円が八千億足されて、さらに変動要素が二つ三つありますので、三・六兆円プラスアルファと申し上げているわけです。
  27. 仙谷由人

    仙谷委員 さっきはそれは、つぎ込むべき公的資金の額とおっしゃったんじゃないの。それが債務超過額そのものなのですか。そういう理解でいいのですか。
  28. 越智通雄

    越智国務大臣 それだけの穴があいていますから、それを埋め合わせるという意味で同じ額になるわけであります。
  29. 仙谷由人

    仙谷委員 そこで、そういうふうに理解して、では次の質問に移ります。  これは、我々法律を多少かじってきた者の理解としまして、「ニューLTCBパートナーズ長銀買収に係る買収条件概要」、こういう書面が、優先買い取り権を与えた覚書附属文書としてついているのですね。見ていらっしゃいますよね。これはどういう位置づけなのですか。つまり、再生委員会方針ということなのですか。それとも、ここまでは煮詰まっているというものなのですか。これはいかがですか。
  30. 越智通雄

    越智国務大臣 直接、交渉のときにおりませんでしたものですから、私が後から書類で理解しているところでは、そもそもこの「概要」という言葉覚書の第一条の二行目に書いてございまして、「「ニューLTCBパートナーズ長銀買収に係る買収条件概要」に定める取引」云々と書いていますから、(別紙)にはなっておりますが、覚書一体のものと理解いたしております。
  31. 仙谷由人

    仙谷委員 そういういいかげんな答えを聞いているのではなくて、法律的に合意されているのですか。それとも、この方向で行くという方針を決めただけのものなのですか。どうなんですか。合意がこれで成立しているのですか。
  32. 越智通雄

    越智国務大臣 覚書には、八城代表者とコリンズ、フラワーズ両代表者向こう側三人、こちら側が預金保険機構松田理事長日長銀の現在の代表取締役安齋さん、五人のサインでございまして、その意味では五者で合意をされているものと理解いたしております。
  33. 仙谷由人

    仙谷委員 ちょっとそれを後でもう一遍聞きますが、中身にちょっと入らせてもらいます。  瑕疵担保という言葉が出てきますね。そうしますと、瑕疵担保特約が存在するというふうに今のお答えから理解いたしますと、この特約はだれとだれの約束なんですか。
  34. 越智通雄

    越智国務大臣 お手持ちの中に、「貸出関連資産瑕疵担保」というのが別紙の二ページ目についていると思いますが、そこに記載されております。
  35. 仙谷由人

    仙谷委員 全然答えになっていない。  いいですか、これは瑕疵担保特約をだれとだれが結んでいるんですか。つまり、国有長銀LTCBパートナーズが結んだのか、政府LTCBパートナーズが結んだのか、あるいは、もっと言えば、政府国有長銀が結んだ約束なのか。何なんですか、これは。
  36. 越智通雄

    越智国務大臣 先ほど来お答えしておりますように、覚書一体書面でございまして、覚書は、先ほど申し上げた五者、こちら側でいえば預金保険機構日長銀が判をついているわけであります。政府ではございません。
  37. 仙谷由人

    仙谷委員 そうしますと、これは売買対象になる国有長銀契約当事者になっているんですね。そういう格好になるんですね。売買対象ですよ、長銀というのは。
  38. 越智通雄

    越智国務大臣 もっと厳密に言えば、こちら側の売り主は預金保険機構そのものでございます。
  39. 仙谷由人

    仙谷委員 実は、最終的に私が言いたいのは、なぜ新生長銀政府がお金を払うような法律構成なのか、全くわからないのですよ。つまり、契約当事者でも何でもないんじゃないですか。そうでしょう。要するに、政府が持っている株をニューLTCBパートナーズに売るというMアンドA契約をしたわけでありますから、これは後々問題になってくる。何で新生長銀瑕疵担保責任を負うのかという、この法理論がさっぱりわからない。そこがまず一つ。これは大問題だと思います。  それから次に、これは、瑕疵担保とおっしゃるんだけれども、何を、どういう事態を瑕疵担保だ、担保される瑕疵だとおっしゃるんですか。どういう事態を予測しているんですか。  つまり、いいですか、国有長銀資産査定の過程で、この資産はこのぐらい回収見込みがあるということは厳しくやっているはずなんですよ。そうしないと、再生法にのっとって、国有長銀をある種の内部整理をしながら優良な、健康な事業体に仕上げて、それを売るということにならないからですよ。そこまで精査した債権が、どうしてきずものが出てくるんですか。それも、瑕疵担保の理論というのは、御承知のように、隠れたる瑕疵ですよ。見えている瑕疵は担保される瑕疵じゃないですよ、言っておきますけれども。これは何を想定しているんですか。
  40. 越智通雄

    越智国務大臣 私も、その当面のときにはおりませんでしたものですからあれですが、たしか柳沢大臣から既に御説明があったんじゃないかと思いますが、二次ロス問題というのがございまして、この場合に、買い取る方からしてみると、瑕疵担保というのは何か、物の傷とは違いまして債権の問題でございますから、評価の仕方によってよくわからない。したがって、二次ロスが出たときどうするかというのが当時の交渉相手として手の挙がっていたところからいろいろ出たわけですね。そして、二次ロスは認めないということで御報告していると思います。  そうじゃなくて、向こう側が言っているのは、その債権が、先生がおっしゃるとおり再生委員会を通じて預金保険機構がきちんと評価した、評価したけれども、やはりそこに、当時としては、何と言えばいいのでしょうか……(仙谷委員「当時じゃない、今だよ」と呼ぶ)いいえ、当時として見立て違いがあったということになると、二次ロスが出るのじゃないかというのが先方の言い分で、二次ロスは認めないけれども、その見立てが全然狂っていたというか、何か大変重大な間違いがあった、そのために二割以上の差が出たというときには考えましょうということで、民法の何条でございましたか、瑕疵担保の条文を引いてそこに対応した、こういうふうに当時のいきさつを聞いております。  詳しくは事務局長から御説明いたしますが、何かいけないそうでございますので、その程度で御理解をいただきたいと思います。
  41. 仙谷由人

    仙谷委員 何か民法の条項がどうのこうのとおっしゃったけれども、民法の条項にそんなもの一切ないですよ、単なる二次ロスみたいな話は。いいですか、民法の瑕疵担保の理論というのは、隠れたる瑕疵を担保するんですよ、権利であろうと物であろうと。こんな単なる二次ロスなんかが何で瑕疵担保になるんですか。  何条を引いてきてそんな民法の解釈が出てくるんですか。私、民法を持ってきているんですよ。民法五百六十条から五百七十二条までが瑕疵担保の規定です。これとどう共通するんですか。あるいは、どこを引っ張ってきたらそんな妙ちきりんな法解釈が出てくるんですか。あるいは、民法とは全く関係ない新たな瑕疵担保理論というのを金融再生委員会がつくり上げるということなんですか。どうなんですか。
  42. 越智通雄

    越智国務大臣 正確に申し上げれば、瑕疵担保責任の法理に従った特約を結んだわけでございまして、先生がおっしゃいますように、民法五百六十九条には債権の売り主の担保責任というのがございますが、そこの条文の法理をいただいてこういうことで処理をさせていただいた、このように伝えられております。
  43. 仙谷由人

    仙谷委員 あなた、売却を決断する再生委員会委員長が、伝えられておりますなんて、そんないいかげんな話はないでしょう。国民税金が、私の試算によるとまだまだ、三兆円も四兆円も出ていく可能性があるじゃないですか、こんな瑕疵担保契約なんかをすると。長官はそのことについての緊張感が全然ないですよ。国民の、五兆円でも大変なお金ですよ。六千八百五十億円のときにわあわあ騒いで、あなた、国会が何日とまったんですか。  今おっしゃった五百六十九条というのを読みましょうか。これはあなた方が言っているのと似て非なる話ですよ。「債権ノ売主カ債務者ノ資力ヲ担保シタルトキハ契約ノ当時ニ於ケル資力ヲ担保シタルモノト推定ス」  そうすると、適債権になっている債務者の資力を、我が政府預金保険機構が担保するんですか。適債権の中に、私がにらんだところによると、当時から危ない、危ないと言われている、社名は出さないけれども、ゼネコンとか流通とかノンバンクとか、いっぱいまだ残してあるんでしょう。あなた方が不適にすれば、その会社はもう整理が始まっていますよ。不適にしていないということは適にしてある。その会社の資力を政府が何で担保しなきゃいかぬのですか。  こんな五百六十九条を引いて債務者の資力を政府が担保するなんといったら、とんでもないことになるじゃないですか。そんな大胆なことをおっしゃったら間違いだよ、それは。撤回してください。
  44. 越智通雄

    越智国務大臣 私どもといたしましては、今回の瑕疵担保責任というのは、買収後において買い手の責めに帰すべき資産劣化は対象外に考えておりますから、その評定をするまでの間に何か、まさに隠れたるというか、そういうものがあった場合に、瑕疵担保の責任の法理を引いて、これで話をまとめるしかないということでそのようになった、こう聞いております。
  45. 仙谷由人

    仙谷委員 これは本当に大変なことです。国民の負担において、将来負担なのか現在の我々の税負担なのかわかりませんけれども、債務者の担保を無条件に保証することにつながりますよ。二〇%という一つの基準が出ていますね。  これと、読み方の問題でありますが、二〇%を超えるロスが出た場合には無条件なんですか。それとも、金融再生委員会が適当と判断した根拠について変更が生じたとき、これは何か要件がほかにあるんですか、二割以外に。
  46. 越智通雄

    越智国務大臣 先生お手持ちの資料だと思いますが、新生長銀が、買収しましてから三年以内にまず限られております。  そして、当該資産に瑕疵があり、瑕疵というのはその契約をする前に発生している瑕疵であります、そして二割以上の減価が認められたとき、そのときに、新生長銀は当該資産、貸付金の譲り受けを受けることを解除する、こういう約束になっているわけであります。
  47. 仙谷由人

    仙谷委員 三年なんか自慢しないでください。普通の瑕疵担保責任は一年です。商人間の取引はもっと短い。なぜならば、商人であればちゃんと買う方も検査をして、見きわめてから買う、あるいはリスクをとって買う。これが商人間の取引だということは常識じゃないですか。それを三年間つけたなんて、全然自慢にならない。何をやっているんだという話になりますよ、商売人の間では。全くリップルウッドにリスクをとらせない契約じゃないですか。どうするんですか、簿価を買い戻すなんて。  私が計算した範囲で、先ほど申し上げた、業種ごとに計算しますと三兆から四兆ありますよ。二割減価をするなんというのは、いつの時点でのどのような評定から二割なのか。これもお答えいただきたいし、二割減価したら自動的に瑕疵があったことになるんじゃないですか。  もう一つ聞きますけれども、不動産価格が三年間の間に下落して、つまり債権を担保する不動産価格が下落をして、要するに二割以上の資産が劣化した場合には、瑕疵があることになるんですか、ならないんですか。どうなんですか、これは。
  48. 越智通雄

    越智国務大臣 今、最後におっしゃった点は、全くそういうことは考えられないことでございまして、私どもは、売り渡し前の瑕疵の話をしているので、三年間に不動産価格が落ちたなんて、それは私どもは全然関係ございません。  それから、その二割というのは、売り渡したときのなにと、それ以前にあった瑕疵のために、評価し直してみたら二割以上違った場合のことを言っているわけでありまして、売り渡し後の事情変更は、一切今回の特約には関係ございません。  なお、これはあくまでも瑕疵担保責任の法理に基づく特約でございますので、三年というふうにさせていただきました。
  49. 仙谷由人

    仙谷委員 例えば、こういうのは瑕疵になりますか。  長銀と共同のメーンバンクであったとか、あるいはメーンバンクじゃなかったけれども次の融資先であった。銀行が、例えば太陽神戸でも、太陽神戸というのはもうないか、住友でも三井でもどこでもいいですよ、そういう銀行が、事業を継続するんだったら支援するというある種の念書を入れている。ところが、売り渡した後、もうやめました、勘弁してくださいということになったら、これは瑕疵に入るんですか、入らないんですか。
  50. 越智通雄

    越智国務大臣 大変具体的な、本当は専門的に答えてもらった方がいい話だと思いますけれども、Z産業に対する日長銀の貸し出しがある、それに対してA、B両銀行も、ともに貸し出しをしている。これだけならば問題ないと思いますが、それが、ずっと貸し出しますという念書を入れていて、それを破棄されたときには問題があるかと思います。
  51. 仙谷由人

    仙谷委員 ちゃんとお答えにならない。私は、こんなものが何で瑕疵になるのかわからない。  そうすると、債権の瑕疵ではなくて、債務者のそのものの資力の瑕疵じゃないですか。瑕疵というか、資力がもともとなかったというだけの話じゃないですか。そんなことは今だってわかるじゃないですか。メーンバンクが方針を変えたというだけじゃないですか。  それで、今のあなたの問題があるというお話は、瑕疵なのか瑕疵でないのかということにはお答えになっていない。どっちなんですか。こんなものを瑕疵なんということを言い出したら、すべて瑕疵になりますよ。こじつけじゃないですか。法律上の瑕疵なんということは、そんなことは言わない。きずでも何でもない。どうですか。
  52. 越智通雄

    越智国務大臣 再生委員会が、何回も何回も委員会を開いて、日長銀からの貸し出しの一本ずつを債務者ごとに判定をしていますから、その債務者の後ろ側にどういう仕組みがついているかということが、やはり判定の前提になっていますので、それがさかのぼって崩れるようなことになりますと、再生委員会の判定に瑕疵があったということになりかねないと思って申し上げたわけであります。
  53. 仙谷由人

    仙谷委員 さかのぼってじゃないでしょう。遡及して保証が取り消されるなんということはあり得ないじゃないですか。取り消した以降の取引に、メーンバンクか、ほかの銀行が協力しないというだけの話じゃないですか。何でそれが瑕疵になるんですか。もともとあった瑕疵でも何でもないじゃないですか。そんなことで何兆円もの金をつぎ込むことになったら、国民は目も当てられないですよ。だれが責任とるんですか、このロスシェアリングか瑕疵担保か、何かわけのわからぬ条項をつけて。  これは、最終的な金額LTCBに払うわけでも何でもない。LTCB契約の当事者であるにもかかわらず、瑕疵担保の、担保を徴求するというか、担保を要求する相手方になっていないという非常に珍妙な契約から始まっているからこうなるんですよ。そうでしょう。十億円でだったら買う人が、何で債権簿価の買い戻しができるんですか。論理的に言ってもそうですよ。  にもかかわらず、新生長銀につぎ込む、どんどん簿価をつぎ込んでいく、資産が二割以上の減価をしたら新生長銀につぎ込んでいく。こういう無理な、むちゃくちゃな法律構成をするから、そういう大矛盾が出てくるんですよ。何で長銀をちゃんと資産査定しないのか、そこが最大の問題なんですよ。  政治的な意図のもとに、この会社は生かしておかなきゃいかぬ、この会社も生かしておかなきゃいかぬ、これがあるからリップルウッドにつけ込まれるんじゃないですか。こんなむちゃくちゃな特約を結ばされるんじゃないですか。いかがですか。この瑕疵担保という特約をやめるおつもりはありませんか。
  54. 越智通雄

    越智国務大臣 ございません。
  55. 仙谷由人

    仙谷委員 リップルから聞こえてくる声で、リップルは、外資系の出資者に、将来発生する損失はすべて日本政府がギャランティーしてくれているんだ、こう説明してお金を集めているようですよ。すべて日本政府がギャランティーしたんですか、将来発生する損失について。
  56. 越智通雄

    越智国務大臣 そのようなことはございません。
  57. 仙谷由人

    仙谷委員 だけれども、あなたがおっしゃる瑕疵担保で担保するということは、そういう意味じゃないのですか。だって、どういうものを瑕疵と言うのかということについて、メーンバンクがメーンバンクとしての協力を外したときというのが一つ出てきましたが、そのほかにどんなことがあるのですか。考えられないのですよ、こういう場合の債権の瑕疵というのは。  さっきの五百六十九条というのは、もともとの債務者が無資力なのに、債権者が、無資力であろうと何であろうとおれが保証すると言って債権を売る場合ですよ、五百六十九条というのは。だから、今の日本政府の立場、預金保険機構の立場に置きかえれば、預金保険機構国有長銀の貸し付けの相手先、さっき言ったゼネコンとかノンバンクとか流通大手とかいろいろなうわさが出ている会社の資力を保証するということになるのですよ。そんなことでいいのですか。もう一遍お答えください。
  58. 越智通雄

    越智国務大臣 今先生のお話の中に、何か将来発生する損失を日本政府がギャランティーしているということかとお話がございましたから、もともと瑕疵担保のときでも、将来売却後に生ずる損失については何にも保証するつもりはございません。  ただ、瑕疵担保は、あくまでも譲渡以前に生じた瑕疵について、私どもはそれを一定の限定のもとに見ざるを得ないということを申し上げているわけでございますから、御心配の向きはいろいろあるのかもしれませんが、私どもとしては、この線で今きっちりと基本契約に向かって努力をさせていただいているわけでございます。
  59. 仙谷由人

    仙谷委員 もう一つ聞きましょう。  今おっしゃったようなことは全く具体的じゃないからわからない。それで、さっき申し上げた民法の条文とも関係があるのかないのかもわからない。わからないから判例がない。具体例がイメージできない、少なくとも私には。これは、瑕疵があるかないかだれが判定するのですか。瑕疵の判定、だれが判定するのですか。LTCBパートナーズなんですか、新生長銀なんですか、再生委員会なんですか、裁判所なんですか。これはだれが判定するのですか。
  60. 越智通雄

    越智国務大臣 私もそこを具体的にまだ詰めておりませんけれども、当然のこととして、瑕疵の判定は、まず第一義的には当然具体的に新生長銀の公認会計士の方から申し出があると思っております。
  61. 仙谷由人

    仙谷委員 いやいや、だからだめだと言っているのですよ、こんな特約結んだら。永遠の紛争になりますよ、言っておくけれども。  つまり、民法の条項と関係もなければ、したがって、判例の集積とも全く関係のない瑕疵担保特約なんかを結んで、だれが判定するのかというのはわからないじゃないですか。公認会計士が言ってくる話なんて、それはちょっと話が違うのではないですか。そんな非法律的なやり方で法律概念に該当するかどうか当てはめようとする、それは無理がありますよ。それで国民税金が使われるのではたまらない。
  62. 越智通雄

    越智国務大臣 今申し上げましたのは、当然、新生長銀の公認会計士から申し出があるだろうと。申し出がある先は預金保険機構でございますので、当然、預金保険機構契約者でもございますし、協議をして決定していくもので、先生がおっしゃるように、だれか一定のところで最後の断定をするということじゃなくて、当然協議が行われるものと思っておりますが、そうした点も含めまして基本契約できちんと整理をしていかなきゃならないと思っております。
  63. 仙谷由人

    仙谷委員 では、協議で、談合で、瑕疵があるかないか決めるのですか。どうして国民税金を、簿価を払うときに、言っておきますけれども、簿価というのは大きいのですよ、談合で決めることができるのですか、瑕疵があったかなかったか。判例も何もないのですよ、このケースについては。全く新しいケースなんですよ。冗談じゃないですよ。  では、もうちょっと、さらに敷衍して聞きましょうか。  これは、債務者が争う場合はどうなんですか。いや、うちの債権は瑕疵はない、私は資力はある、何で瑕疵があると言うんだ、こう言われたらどうするのですか。これはやはり瑕疵ありですか。預金保険機構が独断で決めることができるのですか。それともLTCBパートナーズとの協議が要るのですか。それとも新生長銀との協議が必要なのですか。合意が成立しない限り、瑕疵とは認めないのですか。この諸点についてお答えください。
  64. 越智通雄

    越智国務大臣 債務者がどうお考えになるかということは、この契約の当事者ではございませんので、私どもの方では交渉の場に出てくるお話ではないと思っておりますので、当然、新生長銀預金保険機構が、そういう話を耳にするかもしれませんが、協議は両者の間で行われるもの、このように思っております。
  65. 仙谷由人

    仙谷委員 だって、債権というのは人と人との関係で、法人と法人と言ってもいい。債権者と債務者が結んだ関係もともと瑕疵があったかなかったかという話は、債務者の方だって言い分があるのではないですか。では、その点は難しい法律論争に入るからやめましょう。  預保が簿価瑕疵担保債権、担保された債権を買い取る場合に、これは一々国民に公開するのですか、これは買い取ったと。あるいは、これはもうやみからやみに行ってしまうのですか。買い取った債権は預保からどこへ行くのですか。RCCへ行くのですか。
  66. 越智通雄

    越智国務大臣 それを一々発表するかどうかということはまだ詰めておりませんが、ちょっと発表しにくいのではないでしょうか。それぞれの特定の債権債務について一々申し上げるというのではなくて、当然、それぞれの機構がやった活動をある程度の期間をまとめて発表する中には入ってくるのでございましょうけれども、そのたびに発表するという話ではないだろうと思っておりますが、そこももちろん詰めていかなきゃならぬと思っております。  なお、返ってきた場合には、これは譲渡の解除でございますので、解除された場合にはRCCの方に戻っていくわけでございまして、預金保険機構が買い取って、またそれを抱いておるという格好ではないと思っております。
  67. 仙谷由人

    仙谷委員 譲渡の解除とおっしゃいましたけれども、そうすると、個別債権譲渡するのですね。つまり、株式LTCBパートナーズ譲渡をして、会社はそのまま譲渡してしまうのだけれども、会社という有機体の中にある資産は個別に新生長銀譲渡するという構成になっておるのですか。そういう構成をとるのですか。
  68. 越智通雄

    越智国務大臣 この契約にもございますように、今の日長銀の適正なる資産は新しい新生長銀に承継されていくわけでございまして、その承継されていって問題なしとされた債権の中で、いや、昔にこういうことがあった、譲渡以前にこういう瑕疵があったのだというのがわかったときには、その承継された契約が解除されると外されて、そしてそれがRCCに行ってしまうという構造だと私どもは思っております。
  69. 仙谷由人

    仙谷委員 越智さんも昔は優秀な学生だったと思いますけれども、法律は全部忘れていらっしゃるね。契約株式譲渡契約でしょうと言っているんです。会社の譲渡契約でしょう。そのほかに改めて新生長銀資産を別途譲渡する契約なんということをするんですか。もしそれをするんだったら、譲渡の対価は幾らですかとかいろいろ複雑な問題が出てきますよ。無理無理の契約の条項をつくるからこうなるんですよ。  ちょっと話を進めますが、どのぐらい買い戻しに必要な原資がかかるというふうに予測を立てているんですか。つまり追い銭ですね。今、三兆六千億、こうおっしゃった。追い銭はどのぐらいですか。私は二、三兆かかると思っているんだ、こんな契約を結ぶと。大変危ない。  リップルウッドにほとんどリスクを背負わさないで、そして引当金も積まないで、あるいは相当程度しか積めませんよね、適債権にしたら。七五%引当金を積んでその債権を持っていくなんということはできない。そんな格好悪いことは、あるいは論理矛盾することはできない。せいぜい積んでも一五%ですから。ところが、この債権が劣化して二割を切ったときに簿価で買い戻さなきゃいかぬ。二、三兆かかるんじゃないですか。いかがですか。
  70. 越智通雄

    越智国務大臣 まず数字がどうかということは、私どもは今、全く見当つかないというか、考えておりません。そういうことのないようにこの問題の決着をつけていかなきゃならない。  なお、先生が大変、昔の私だけ優秀なように言っていただきましたのですが、今もそうぼけてはいないつもりでございますので。株式の方は、先生は今手元にお持ちなんですよ、その資料を。お読みいただければわかるように、「既存長銀株式のうち普通株式の全株を十億円で預金保険機構より取得する。」ということになっておりまして、LTCBパートナーズが買うことになっている。それとはまた別に、長銀の買収時、これから行われる最終契約書ができた時点において、預金保険機構は「新生長銀貸出関連資産を売却・譲渡したものとみなす。」ということになっておりますから、そこで動いているのを解除するんだということをさっきから申し上げているわけなんです。
  71. 仙谷由人

    仙谷委員 だから、最初から申し上げておるように、売買対象物を当事者にしないとこんな瑕疵担保責任みたいなものがくっつけられないから、そうみなしているだけの話じゃないですか。どこの国に、会社を売るときに株式譲渡契約があって、今度は中身の資産を個別に、買われた会社そのものが当事者になって売り買いする、みなすなんという契約をする必要があるんですか。  普通は、会社そのものを買うときには、その中には不良債権もあれば優良債権もあるし、優良得意先もあればいろいろなものがありますよ、不動産も。それをリスクをとって買うのがMアンドAじゃないですか。どこの国に、個別にばらけさせて、みなすとかなんとかという契約を結ぶところがあるんですか。これは、主として瑕疵担保特約をくっつけんがための法律構成なんですよ。無理があると言っているんだよ、僕は。そもそもよこしまな意図から出ているんじゃないかと私は思っているんですよ。  そして、話を進めますが、今幾らになるのかわからないとおっしゃった。こんなことが費用最小の原則から見て許されるんですか。幾らになるのかわからない。長銀処理は、譲渡をしてもその後幾らかかるかわからない。こんなことが許されるんですか、本当に。国民のためにやめてくださいよ。  これは、長銀は逮捕者二、三人だったかな、出しましたけれども、少なくとも大蔵省と行政当局で長銀の問題で謝った人はほとんどいませんよ、言っておきますけれども。謝った人はいませんよと言っている、長銀がこうなったことで。小渕さんだってほとんど謝っていないじゃないですか、去年、債務超過じゃない、債務超過じゃないと言い続けた小渕さんがですよ。  何と、今の段階で三兆六千億でしょう。さらに、かてて加えて幾らつぎ込むんですか。そんなことはわからない、瑕疵担保特約を結んであるから、そのときはそのときだ、そんなええかげんなことが国民に対して許されるのかということを聞いているんですよ。やめてくださいよ、こんな幾らかかるかわからぬような譲渡だったら。
  72. 越智通雄

    越智国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、厳格に査定をいたしまして、瑕疵担保責任が生じないように最大限の努力はしているわけでございまして、その先に金額を挙げてどうだと言われましたら、金額がわかるぐらいならばそれは訂正していかなきゃいけない話でございまして、しかし、この話を最後に絞り込まれてきた何社かあったようでございますが、その中で一番条件がいいという判断でこの話をまとめられた、このように聞いておりますものですから、先生の方でそうおっしゃられても、この話をなしにしろ、やめろと言われても、私どもはむしろ、この話をそういう危惧がより少なくなるように努力をしながらまとめていかざるを得ないと思っております。
  73. 仙谷由人

    仙谷委員 これはますます重大な話になってきました。とんでもないことが行われるんじゃないか、兆円の台で。これは本当にだれが責任をとるのか、長官、よく考えられた方がいいですよ、契約の判を押すときに。国民に腹を切っておわびしても済まないですよ、これ。この財政危機の折にですよ。  もう一つお土産をつけますね、二千五百億円の含み益。この二千五百億円の含み益とは、今どのぐらいの含み益になっているんですか。  つまり、九九年三月末のバランスシートの、これは評価額でいいますと、バランスシートの上での価格でいいますと、一兆五千八百三十六億、時価が一兆六千七百七億というふうに三月末の決算書では書かれておりますね。八百七十一億の含み益、プラスだというふうに書面上は出ております。これは現時点、物すごく株価は上がっている。三月末から、私がざっと記憶で言うだけでも約二〇%上がっています。  含み益が二千五百億、これをプレゼントするんだと書いてあります。何でプレゼントするのかは後で聞きますけれども、今はどのぐらいになっているんですか、この含み益。
  74. 越智通雄

    越智国務大臣 大変専門的なことでございますから事務局長の答弁をお許しいただければ結構なんですが、私の理解では、この覚書等に出ております二千五百億よりは多いだろう、こう思っております。
  75. 仙谷由人

    仙谷委員 これ、後で十一月末現在の含み益の価格をこの委員会に出してくれますか。お約束いただけますか。
  76. 越智通雄

    越智国務大臣 実は、FA、ファイナンシャルアドバイザー、そういういわば仲人を中に立てて両者で交渉している真っ最中でございますものですから、ちょっと、できますかどうかは少し事務的な検討をさせていただかないと、今ここで私が、はい、いたしますと答えるにはちょっといろいろ難しい点があると思っております。
  77. 仙谷由人

    仙谷委員 だって、三月末はディスクローズしているんですよ。何でそんなことを隠さなきゃいかぬのですか。そういう隠ぺい主義みたいな話をなさるから、みんなが疑惑を持つんじゃないですか。出されたらどうですか。
  78. 越智通雄

    越智国務大臣 実は、こういう特殊なケースなものですから、九月末のいわゆる中間決算もまだ数字が私どものところへ上がってきておりません。そういうものが固まった上でそのまた二月先の話についての作業をしなきゃならないだろうな、こう思っていますが、その上で発表できるものであれば発表させていただきたいと思いますが、まだちょっと判断がつきかねている点がございます。
  79. 仙谷由人

    仙谷委員 ところで、含み益がある、含み益を実現させて今の長銀債務超過分をちょっとでも減らすということをやらないで、含み益があるのをわかりながらお土産としてつけて新生長銀に一たん持っていかせて、これをまた預金保険機構が二千五百億の現金を出して買い取る。何なんですか、これは。何で、現時点で含み益があるんだったら、実現して長銀債務超過状態をちょっとでも減少させないんですか。
  80. 越智通雄

    越智国務大臣 先生おわかりの上でその用語を使われていると思いますが、お土産と言うと、何か外人がそのお金を持って帰っちゃうみたいに思われますけれども、これはあくまでも、含み益があった場合には、最終合意書による譲渡の行われた後に実現した場合にはそれは当然資本勘定へ入れてもらうわけでありまして、新生長銀というのは日本の銀行でございまして、そこの資本をより充実するという格好で使ってもらいたいと私どもは考えております。
  81. 仙谷由人

    仙谷委員 いやいや、充実するのはいいですよ。充実するのはいいけれども、国民税金はなるべく少なくしようと思ったら、今から充実に向けた方策をなぜやらないのかと言っているんですよ。そうじゃないですか。だってあなた、だからさっき、正味自己資本幾らのときに売却するのかと言ったんですよ。あなた方の計算だと、これが実現すれば自己資本二千五百億円立つじゃないですか。そんなもの簡単な話じゃないですか。三兆六千億突っ込んだら、公的資金投入すれば正味自己資本がゼロになるという計算なんでしょう、今。それだったら、二千五百億円あらかじめ実現させておけば、三兆六千億マイナス二千五百億ですよ。二千五百億分だけは少なくなるじゃないですか。何で国民の金をそうどんどんつぎ込もう、つぎ込もうと、そんな弛緩した話がどこにあるんですか。できるだけ少なくするという方向で作業するのが当然じゃないですか。そのことを聞いているんですよ。
  82. 越智通雄

    越智国務大臣 何と申しますか、私の胸の中にあるものと先生のお考えになっているのとちょっと違うので、もう一円でも高く売るかという話じゃなくて、これは、せっかく日本法律に基づく日本の銀行でございますので、そうした外人の助けといいますか参加は求めますけれども、我が国において今後立派にやっていってもらいたい、こういう思いがありますから、その資本勘定をきちんと直していくと。  それで、この前のときにもここでお答えいたしましたけれども、実は九百億以上私どもは新生長銀株式を引き受けるわけでございますので、それが、新生長銀の株価がきちんともとへ戻ってまいりますれば、引き受けた株式がある程度の値段まで上がれば、よくわかりません、今は株価算定委員会もと長銀は株価がゼロと査定されておりますが、新生長銀の株価が何百円というある程度まで行けば、二千五百億ぐらいの利益を生みまして、そうした有価証券の含み益を今いただいてしまうか、それとも将来に戻してもらおうかという点は生かしながら運営していくという意味で、私は一つの判断であったんじゃないかと、このように思っております。
  83. 仙谷由人

    仙谷委員 私は許されないと思いますよ、こういうやり方は、それは幾らきれい事言っても。だれだって、新生長銀日本国内においてあるいは海外取引において立派な銀行として再生してもらいたいと思っていますよ。だけれども、だからといって幾らでも国民税金を突っ込んでいいなんという話にはならない、そんなことは。  おわかりになっているかどうかわからぬけれども、先ほど長銀株式取得をするとおっしゃったけれども、いいですか、これは他社の株なんですよ。長銀が保有している取引先の株なんですよ、ほとんど。そうでしょうが。市場が荒れると言うんだったら、ほかの方法で、時価を基準にして公正な価格で買い取らせばいいじゃないですか、どこかに。そして、含み益を実現してできるだけ債務超過を少なくする。当たり前じゃないですか。どうしてこんな大甘なことをするのかわからないんですよ。この点もこの契約の非常に不透明な、いかがわしさがにおうところなんですよ。こんなことが世間に通ると思いますか。どうですか。
  84. 越智通雄

    越智国務大臣 最終的な合意書ができました折には、国民の皆様によく理解していただけるように最大限努力をさせていただきたいと思っております。
  85. 仙谷由人

    仙谷委員 まだまだある。優先株一億株、佐々波委員会のときに一千三百億円突っ込んで、ただ同然になっている。それで、これを何か二七%分消却するというふうになっている。何でこれ二七%分なんですか、消却するのが。わからないといったって、あなた責任者じゃないですか。つらいことを言わないでくださいよ。国民の金を使ってこの売買を決断する責任者なんですよ。わからないなんて言われたら困りますよ。  何でこれ二七%分なんですか、そもそも。我々はわからないから聞いているんじゃないですか。
  86. 越智通雄

    越智国務大臣 これはやはり交渉の過程において出てきた数字でございまして、双方のいろいろな主張の妥結点ということでなっておりますものですから、なぜに二七という算式が出てきたかと言われましても、それは当事をやりました者からぜひここだけは御説明させていただきたいと思っております。お願いいたします。
  87. 仙谷由人

    仙谷委員 本当にわからない。  これは、日本政府がつぎ込むお金が、まず佐々波委員会で一千三百億つぎ込んだ、その次、あなた方の先ほどからの答弁を前提にしても、三兆六千億を債務超過の穴埋めとして突っ込む、二千五百億円の含み益をプレゼントとしてつける、さらに新生長銀株式を二千四百億円で引き受ける、さらに、先ほどから申し上げておる瑕疵担保分で何兆円出ていくかわからない、これが今の姿ですよ。  ところが、たった十億円で売る。そこはまあいいとしましょうか。十億円で売るんだけれども、LTCBが千二百億円出資する。この千二百億円と先ほどの我が国政府が投入した公的資金の上に二千四百億円の新株引き受けをする。LTCBの負担分は、資本勘定だけからいっても二〇%、千二百億ですよ。だから、八〇%は公費が資本勘定にもつぎ込まれることにもなるわけですよ。ところが、持ち株比率は三三対六七にするんでしょう。何で八対二が三対七になるんですか、端的に言うと。どうしてこういう持ち株比率にするんですか。  お答えいただけますか。
  88. 越智通雄

    越智国務大臣 そこのところを、まさに交渉の結果、両者の言い分でそうなったわけでございますから、具体的な数字でございましたら政府参考人も専門的なことについては回答できる国会運営だと思いますので、ぜひ回答をお認めいただきたいと思います。
  89. 仙谷由人

    仙谷委員 長官、私が聞きたいのはむしろこういうことなんですよ。こういう政治判断でいいのかどうなのか、政治家としてどうですかということをさっきからお伺いしているんです。だから、こういう理由があるからこれでいいんだというお答えが出ると思っているわけです。いかがですか。
  90. 越智通雄

    越智国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、今せっかくの最優先交渉先が決まっておりますので、両者の話を詰めて、この話をきちんとまとめることが今我々に任されている大事な仕事じゃないか、このように理解いたしております。
  91. 仙谷由人

    仙谷委員 私は、先ほどから指摘してきた諸点から見ると、これはゆゆしい事態だと思っておるのですよ。  さらに加えて、こういう話があるのですね。  アトキンソンさんという人がおりますね。ニューLTCBパートナーズのまさにパートナー、株主であり経営者、ユージン・アトキンソンさんという人がおりますね。マネージングパートナーという名刺を持って日本国じゅうでいろいろな営業活動をしていますよ。御存じですか。
  92. 越智通雄

    越智国務大臣 申しわけありません。アトキンソンさんと今おっしゃいましたが、私には思い当たる方はございません。
  93. 仙谷由人

    仙谷委員 いらっしゃるのですよ。この人が、要するに金融界の中では実質のこの問題の仕切り役だと。  この人は実は、九九年の五月にリップルウッドに入社というか、パートナーになっているわけです。リップルウッドというのは個別にいろいろプロジェクトをやっているから、そういうことができるのだと思う。ところがこの人は、九九年の四月までゴールドマンサックスのパートナーじゃないですか。九九年の二月でしょう、皆さん方がゴールドマンサックスとアドバイザー契約を結んだのは。ゴールドマンサックスの人間が、そのパートナーが、今度は長銀の買い受けのリップルウッドのパートナーになって、仲間になる。  こんなことをしたら、これは双方代理か利害相反行為になるのじゃないですか。リップルウッドの中に、ゴールドマンサックスにいらっしゃった方がまだ数人おるじゃないですか。こんなことを知らないで契約を進めているのかどうか、そのことだけ聞きます。
  94. 越智通雄

    越智国務大臣 残念ながら、アトキンソンという方は私どもは知りません。  そして私は、この職につきましたものですから、この覚書に名前の書かれている方々、八城さん、コリンズさん、フラワーズさん、松田さん、安齋さん、それぞれ別個にお会いして、交渉事はいたしません、FAが中へ入っている話でございますから、ただ、一生懸命それぞれの方々に、引き受ける以上はこの銀行を立派な銀行にしてくれと。買収の問題のときに一つの原則になっておりましたのは、こうした新生長銀をつくることによって、日本金融界がより進歩するように、それがよりよき刺激になるようにということがうたわれているわけでありますから、立派な模範になるような銀行にしてもらいたい。今幾らということよりも、将来にわたって長く、すぐ銀行転がしみたいなことじゃなくて、長く日本金融界において模範となるような、端的に言えば、一番近代的な銀行経営というのはこういうふうにやるんだよというのだったら、それを見せてほしいということを申し上げました。  お会いした責任者と思われる方の中に、アトキンソンですか、そのようなお名前の方はいらっしゃいません。
  95. 仙谷由人

    仙谷委員 では、もう一度聞きます。  クリストファー・フラワーズ、今話しましたね、お会いしたと。この人も、九八年十一月までゴールドマンサックスに在籍している人じゃないですか。  あなたは、交渉をFAに任せてある、アドバイザーに任せてあると言いましたね。何のことはない、ゴールドマンサックスの手のうちで全部やられているんじゃないですか。これはそうと見えるじゃないですか。あなたは、知らない、知らないと言うけれども、アトキンソンが実権を持っているというのは有名な話なんですよ、このニューLTCBパートナーズの中では。それを知らないでこの話を進めるなんというのはとんでもない話だ。
  96. 越智通雄

    越智国務大臣 FAであるゴールドマンサックスに任せてあるという意味を、失礼でございますがお取り違えいただくと困るのですが、私ども預金保険機構並びにそれをバックアップしております再生委員会の者とゴールドマンサックスの代表者とが交渉し、そしてゴールドマンサックスの代表者とこのパートナーズ社の方が交渉する、こういう二つの関係でやっておりまして、FAが全部決めている、全部丸投げで頼んでいるという話では全くありませんで、私どもからきつく、いろいろな条件、交渉事をFAを通じて先方に渡している、こういうことでございます。  なお、ゴールドマンサックスの中でどのような権威というか実力がある方か存じませんが、私どもとしましては、それとは違うお名前の方が、一応ゴールドマンサックスの責任者、窓口として私どもの交渉にこの二カ月間といいますか、当たっておりまして、その方が十分なる権限を持っているものと信じて交渉いたしております。
  97. 仙谷由人

    仙谷委員 いやいや、利益相反の疑いまである、弁護士が双方の話を聞いて、公正にやったらいいのかと。弁護士だってそうなんですよ、こんなことをやったらすぐ刑務所に行かなきゃいけない。疑わしさを持たせるような交渉形態であってはいけないということを申し上げたのです。  私は、この問題、大変重要だと。本当に再考してください。これは国民のお金を使う、その緊張感をもっと持ってください。人ごとみたいに言わない。  では、きょうは速水総裁にお願いをして来ていただきましたので、一言ぐらいはお伺いしないといけませんので、長銀問題はちょっとここで一段落させていただきます。今後も私は聞きますから、そのことを当委員会でも留意をしていただきたいと思います。  そこで、一問ずつ、宮澤大蔵大臣速水日銀総裁にお伺いをいたします。  「日本の財政諸元」というのをつくってみました。要するに、税収がどのぐらいふえているか、減っているか。それから地方交付税交付金がそれに伴ってふえているか、減っているか。地方交付税特別会計借入金がどのぐらい増加しているか。国債発行額、発行総額、つまり借換債を含む発行総額、単年度の新規財源債がどのぐらい出ているか。ずっと並べてみました。  私は、絶望的にならざるを得ない。去年も宮澤大蔵大臣、これは最後だみたいなお話をされましたね。強力な景気対策としての財政赤字のもとでの大量投入、大魔神を一回から投げさす、これをやりました。今回もまた補正予算であります。来年からは、ここからが日銀の問題にもなるわけですが、この表で見ていただきますと、資金運用部引受残高九十四兆六千億、これについて、二年間にわたって、郵便貯金の二〇〇〇年問題と言われる郵便貯金の償還が始まる。少なくとも一千万を超える分については、四十九兆円ぐらいはもう一遍郵便貯金に入らないだろう。資金運用部がどうやってお金を捻出するのかという話まで出てきております。  宮澤大蔵大臣、この財政をごらんになって、そして、せんだっての記者会見では、まあしかし来年は五十兆ぐらいまで税収がふえるのじゃないかとおっしゃいました。しかし、こんなことはもう大蔵大臣にとっては初歩中の初歩でわかっている話としては、基幹三税で何と何が賄えるのか、これをごらんいただくとわかりますが、考えてみますと、基幹三税で、実質、国債費と地方交付税交付金、どうもこれしか賄えないのですね。これは地方交付税特別会計の中で隠れ借金しているから、地方交付税交付金の方が当然税収減とともに減っているだけの話で、地方はやっていけないから特別会計の借金がこれだけどんどんふえる。そして、国家公務員の給与だけで十一兆円と言われているのですね。これは、去年決算ベースでいっても、それだけで四十八兆円なんですよ。税収だけだと、国債費と地方交付税交付金を除いたら、あとは公務員の給与だけしか払えない財政になっている。そうすると、八十兆円台の予算を組もうとすると、毎年毎年三十数兆円の国債発行しなきゃいかぬ、景気対策をやろうとすれば四十兆円になる、地方分があるから毎年六十兆円から七十兆円の国債発行が新たにふえる、こういう計算になる財政になっているのですよ。大蔵大臣はどうされようとしているのですか。もう一年は続けるのですか、どうですか。
  98. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 もともと我が国のような市場経済の国家で、国の成長の非常に大きな部分を財政が負担するということは、本来、正常な状態ではありません。成長の主力というのは、やはり民需でなければならない。それも、個人消費と設備投資、この二つが主力にならなければならないというのは、これは申し上げるまでもなく原則であります。  しかし、今の状態は、残念ながらそうなっておりません。多少景気が上向いたといっても、せんだっても申し上げましたとおり、個人消費と設備投資は極めて弱いわけでございます。したがいまして、御審議をいただいております補正予算と来年度の予算、もう一遍は財政が国債を出しましてもその後押しをせざるを得ないというふうに、残念でありますが考えておりますし、そのような国の財政の状況は、実は地方においてもそれと同じぐらい悪い状況でございますから、国と地方あわせてそういう状況であります。  私がここでいわば祈念をいたしておりますのは、この補正予算と来年度の通常予算、これはもうやむを得ない、国が全力を挙げて景気の押し上げをいたします。その結果として、個人消費、少なくともリストラがある程度落ちついていきましたときの個人消費が少しずつプラスになること、設備投資の方は十分自信がありませんが、大分沈んでおりますから、いずれかは上がってくるかもしれない。そういうところの中で、この補正と来年度予算をお願いしました後の日本経済が、仮に来年の今ごろになりますと民需によって主として動き出すような、そういう運営にぜひなってほしい。また、そういう兆候も見えないわけではない。経済ですから、先のことはわからないといえばわからないけれども、見えないわけではありませんから、もう一度国民には御辛抱いただいて、ここで財政での下押しをお願いいたしたい。  逆に、お尋ねがありましたように、国債の側からいいましても、いつまでもこんなに国債を出し続け、それがふえ続けるということはやっていられるわけがございませんから、そこから考えましても、今のような経済運営をいたしまして、何ともできるだけ早く民需に成長の原動力をつなぎたい、こう思っております。
  99. 仙谷由人

    仙谷委員 甚だ頼りない話で、私は、この財政経済政策の破綻が来ると思います。多分、自民党政権はそのときと同時に倒れる、こんなことをやっていて、もつはずがないと思いますね。  ただ、ここからのもう一つの問題は、政権をもたせるためにどうするのか、あとは日銀にしりを押しつける、これしかないわけですね。  つまり、ことしの二月から始まりました日銀の国債引き受け論議、財政法五条によってやってはならないとされていること、買い切りオペの拡大あるいは現先の拡大、ついに短期国債の買い切りというのが十月に決められて、十一月から行われる。来年は、先ほど申し上げました郵貯二〇〇〇年問題に絡んで、資金運用部が保有している九十六兆円の国債のうちのどこまで現先と称して買い取る合意が日銀と資金運用部の間にできたのか、全く不透明でありますけれども、これが始められる。  速水さん、これはどのくらいの範囲で、金額あるいは年数、どのくらいやるんですか。つまり、ロールオーバーをして、手形のジャンプみたいなことをして、二十兆、三十兆のオーダーで日銀が資金運用部の国債を引き受けることになる、これは大変なことになるんじゃないでしょうか。私は日銀に、今まで以上に自律性を持って、こういう無謀な、国債を通貨のように扱うやり方はやめていただきたい、こう思っているのです。いかがですか。
  100. 速水優

    速水参考人 お答えいたします。  郵貯の問題につきましては、今に始まったことでなくて、もう十年も前、バブルの盛んなときに六%以上で郵便貯金を持たせたのが、ちょうどこれから二年間の間に百兆を超えるような期日が来るということは前からわかっていて、既に起こっていたことの処理なんですね。  それに対して、大蔵省からも御相談がございましたし、これはほっておけば何が起こるかわからない。どれくらいロールオーバーできるのかも見当がつかない状態ですけれども、ここで決めましたことは、まずこの二年について、資金運用部が原則としては手持ちの国債を用いて市場から資金調達することを原則としながら、日本銀行はそれを補完する形で一時的に流動性を供給することはやります。これも、限られた期間で売り現先ということでございますから、二年終わればこれは終わるものだというふうにお考えいただきたいと思います。そうしないと、これは、やはりある程度、いつ、どの段階で市場に波乱が起こるかという懸念もございます。  それから、短期国債につきましては、先般買いオペを決めたわけでございますけれども、今までに十一月から三回で約九千億円くらい買っております。これはしかし、いずれも短期のものでございますから、年越しのY2K対策として、一月、二月に皆期日が来て、落ちていくと思います。それ以外の、長期国債を買い増したり、まして引き受けをやるというようなことは全く考えておりません。こういうことをやれば、国債自体のランクも落ちますし、信認も落ちますし、ひいてはインフレの種をまいていくということになりますから、これは私ども日本銀行の守らなければならないかたい原則だというふうに考えております。
  101. 仙谷由人

    仙谷委員 時間を超過して失礼をいたしました。  これで終わりますが、ただ、大蔵大臣にも速水総裁にもぜひお願いしたいのは、マーケットのシグナルを抑えつけるとか、これを効かないようにするための政策というのはこの時代は無理だということをぜひ銘記していただきたい。つまり、長期金利が上がるからこれを対症的に抑えつけようなどという政策をしてもだめなんだということだけはひとつ銘記をしていただきたいと思います。  以上で終わります。
  102. 金子一義

    金子委員長 次に、上田清司君。
  103. 上田清司

    ○上田(清)委員 日銀総裁、ちょっと時間がなくなったみたいですので、また機会を設けさせていただきたいと思いますので、どうぞお帰りいただいて結構でございます。  委員長、先ほど金融担当大臣と我が民主党の仙谷議員との間で、議論がどうしてもかみ合わなかったというよりも明らかにできなかった部分がございます。  瑕疵担保特約金額がどのぐらい推定されるのか。これはやはり国民負担がどうなるのかという大変重要な問題でございますので、推定金額、仮定計算なりを大蔵委員会に資料としてきちんと提出して、公表していただきたいということを委員長に望みます。
  104. 金子一義

    金子委員長 委員長は、今の御発言をお預かりさせていただきます。
  105. 上田清司

    ○上田(清)委員 どういう意味でしょうか。理事会協議という意味ですか。
  106. 金子一義

    金子委員長 お預かりさせていただきます。
  107. 上田清司

    ○上田(清)委員 お預かりの意味がよくわからないのですが。
  108. 金子一義

    金子委員長 先ほどの越智委員長からの御答弁もありましたので、現実的にどういう状況かということも先ほどのお答えでは必ずしもはっきりわからなかったという現状を踏まえて、お預かりさせていただきますということを申し上げました。
  109. 上田清司

    ○上田(清)委員 委員長を信じます。  それでは、大蔵大臣にお伺いします。  既に資料を渡しておりますが、産経新聞の十一月三日の記事に、元通産省の課長であります八幡さんという方からの一種の投稿みたいな形で、新しい二千円札のいわば表紙が、外交上あるいは日本の歴史を踏まえると問題があるのではないかというような問題提起がございます。  私も、この歴史的背景や文化のルーツもろもろについて詳しく知る者ではございません。当然、当局においても相当御研究をなされた上でこのお札のデザインが出たものだというふうに思っておりますが、何の問題もないのかどうか。この点について御答弁をお願いしたいと思います。
  110. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 資料をいただきまして、新聞に載りました意見につきましては私も読ませていただきました。  こういうお立場の主張もあろうと思いますけれども、結論といたしまして、私は、別段支障はないと考えております。
  111. 上田清司

    ○上田(清)委員 何を理由にもって問題がないのでしょうか。
  112. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 むしろ、何の理由をもって問題があるかという、そういうことを伺いたいような気がいたします。
  113. 上田清司

    ○上田(清)委員 資料をお読みになったということでございますから、私は、そのことを理解された上で御答弁されているというふうに思ったのですけれども、そういう御答弁であれば申し上げます。  この「クロニック・戦国時代」、講談社の発行や、あるいは「琉球史」、これは琉球新報が出している本、「琉球の歴史」、これは吉川弘文堂の本でありますが、これらの論点によれば、守礼之邦の扁額を掲げることは、当時の歴史の中では、琉球が明に対して忠信をあらわす、もちろん当時の琉球は薩摩の島津に対しても一種の従属関係をあらわしたりしておりますが、こういう関係をあらわすものの象徴として守礼之邦の扁額があった、そういう歴史的な記録が残っておる。  このことについていかがなものかという議論がなされたのかどうか、なされたということであれば、当然、何が問題でないのかをお答えする義務があるじゃないですか。
  114. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この投書に言っておられることは、この守礼門というものが、歴史の上から、琉球と中国との関係において決して琉球にとって名誉なものではなかった、簡単に申しますとこういう趣旨のこのお方の御意見であります。  それは私どもよく知っております。ここのところは私は意見の分かれるところだろうと思いますので、必ずしも上田委員はこうとおっしゃったわけではありませんのですけれども、この守礼の門というものは、かつて昭和の初めに、我が国がいろいろ過去のことも調査いたしました上で国宝にいたしたものであります。昭和八年に国宝になりましたが、それは十八世紀に再建されたそのものが残っておった、それが戦火に焼けまして三十三年に復元され、県の文化財に現在なっておる、こういうことでございます。  私ども、国の文化財あるいは古典というものをこういう札等々の公の場合に使いますときに、おっしゃいますように、それらの建造物なり古典なりが当時どういう意味合いを持っておったかということはもとより極めて大事でございますけれども、長い時間が過ぎて古典になりあるいは文化財になった後において、それがどういう当時的な意義を持っておったかということにどれほど我々はこだわらなければならないかということは、これは人によって考え方が分かれるだろうと思います。  確かに守礼の門にはそういう歴史があったでありましょうけれども、しかし、土地の人々が国宝とし、また戦後、焼失後に県の文化財にしておるということは、それなりに土地の人々の今日的な文化財に対する愛着があるのであろう。過去のそのものの持っておった意義を超えて、文化財とか古典というものはそういうものではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。  それで、端的な例を申し上げますけれども、かつて九州の沖の海でいわゆる金印が発見されたことがあります。これは現在、御承知のように、漢委奴国王印と言われておるものでございますが、このことの歴史的背景をいろいろ詰めていきますれば、それは我が国にとって必ずしも名誉だとすべき歴史でないかもしれない。しかし、それはもう既に遠い昔のことであって、そういう意味合いがあったにせよなかったにせよ、今この金印というものは、私は、やはり国民的な財産として我々が大事にし、また大事にしなければならないものであろう。適切な例であるかどうかは存じませんが、そういうふうに考えますと、文化財とか古典とかいうものは、長い年月を越えて今日的な我々の愛着の対象になっているというふうに考えていいのだろう。  したがいまして、このような投書の趣旨は、これも一つの考え方だろうとは申し上げましたけれども、政府として、これをお札に採用いたしましたことは別段誤りではない、こう考えております。
  115. 上田清司

    ○上田(清)委員 歴史に対する考え方、そして文化財としての考え方、これは差異があると思いますので、ここで論争するつもりはありません。  また、倭奴国王の金印は、余り適切でないような気がいたします。そういうことであれば、今度はいろいろな文化財をお札のデザインにするときにいろいろな論争が巻き起こってまいりますので、そういう意味で、わざわざこういう問題があるようなことについてお札のデザインにする必要はないのではないかというふうに私は思います。  それでは、年福の理事長にお伺いいたします。  一昨日いろいろ議論をさせていただきまして、受託金融機関収益率あるいは手数料等を年度別に早速資料をつくっていただきましたことは、これは敬意を表し、ありがたく思いますが、これを見てまいりますと、例えば、受託の総額が多い三井、三菱、住友信託銀行、あるいは第一勧業富士、こういうところが、特に平成元年度から平成五年ぐらいの平均、いわゆる資金確保事業の中での平均の収益率が、四・四九%にはるかに劣る収益率しか上げていない。また、年金財源強化事業における平均の通期における収益率から見ても、はるかに収益率を上げていない。例えばドイチェ銀行などは、極めて高い収益率を上げております。  こういう平成元年度から平成五年度までの極めて低い収益率が行われていたときに、なぜ、引き続き三井、三菱あるいは第一勧銀といったところに多数の運用を任せてきたのか。私は、そういう問題点が、実は、金融関係会社の年福事業団における出向の問題、あるいはまた、実質的にそういう運用を判断する、アドバイスをする研究センターの方における出向の研究員の問題等も指摘しましたが、まさにそういう出向されているところほど必ずしも成績はよくなく、しかし運用の金額は多く、そして当然、手数料も多くなっている。こういう実態について理事長はどのように判断をされてこられたのか、答弁をお願いしたいと思います。
  116. 森仁美

    ○森参考人 私ども、運用機関に運用をお任せし、その成果をかなりの頻度でチェックをいたしてまいりました。  ただいまお話しの、パフォーマンスが悪いところになぜそのまま置いておくのかということでございます。単年度だけの評価でもなかなか難しいということは、委員よく御存じのとおりでございます。私どもは、それを平成七年以降はかなり厳密な形で管理を開始いたしました。逆に申し上げますと、七年度と六年度以前では若干の対応の差というものがあろうかと思います。これは、平成七年度から、近代的な運用理論と申しましょうか、基本ポートフォリオをつくりまして、それに基づいて厳密な管理ということを徹底してまいったわけでございます。  今お話しのように、なぜそのまま放置したのかということでございます。これは決して放置したということではないと私は思っております。当時の運用責任者が一生懸命に考え、最もいい効率的な運用ができるようにということでやってまいったものと思っております。
  117. 上田清司

    ○上田(清)委員 今のは答弁になっていないじゃないですか。平成元年から五年までのパフォーマンスは全然悪いじゃないですか、三井、三菱、第一勧銀。何で減らさないんですか、こんな実態の悪いところを。全然減らしていないじゃないですか。だから、全然過去の教訓を踏まえた形でできていないということを言っているんですよ。きょうはもう時間がありませんから、また改めてやりますけれども、だめじゃないですか、こんなことをやっていたら。  そして、選考基準にしても、きちっと明確なものを出せと、内部文書的なものを取りまとめていただきましたけれども、まさにこの文書がそのまま生かされてこの収益の実態になったとするんだったら、こういう選定基準で三井や三菱や第一勧銀は出てきませんよ。例えばドイチェなんかがどーんと上がるはずですよ。そういうことが全然できていないじゃないかということを私は強力に指摘して、きょうはもう時間がありませんけれども、理事長、今の答弁はおかしいですよ、撤回してください。     〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
  118. 森仁美

    ○森参考人 私は、ただいまお答えしたことでよろしいと思っておりますが、ただいま御指摘でございます、これからの運用に十分に考慮をいたしたいと考えております。
  119. 上田清司

    ○上田(清)委員 まだわかっておられない。平成元年から五年ぐらいまでの運用のパフォーマンスが極端に悪いところを、それ以降の問題についてなぜ重要視しているのかということ、そういう実績があるからこそこれからも心配だということを一昨日以来言っているわけです。  大野政務次官、そういう資料をよく見てください。こんなことじゃ任されませんよ。悪いところにたくさんやらせて、いいところに少ししかやらせていない。これじゃ収益が上がるわけないじゃないですか。そのことを強く申し上げて、どっちにしてもきょうは時間がありませんので、改めてこの問題について厳しく御指摘をさせていただきますが、これは大変重要な資料をいただきました。これは重要な問題だと思います。きちんとやってきたなんてとんでもない、えこひいきがあるということを強力に申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  120. 根本匠

    ○根本委員長代理 次に、末松義規君。
  121. 末松義規

    ○末松委員 民主党の末松義規でございます。  きょうは、まず、ちょっと大蔵大臣の方にお伺いしたいんでございますが、最近、オウムの問題とかあるいはライフスペースといった問題、あるいは法の華ということで、いろいろと新聞紙上をにぎわわせております。それで、いろいろな方が被害に遭われたというようなことで、これを逆に言えば、いかに社会が病んでいるか、あるいは心が病んでいるか、それの魂の救済を求めているのかということにもつながることと思います。  一般の社会通念とかけ離れて、例えば法の華なんか、強制捜査に踏み切って、そして被害に遭ったと言われる方々が、総額五十数億円とかそういった被害届、あるいは提訴しているというような訴えがあるという話も聞いておりますが、こういった教団に対して、会計処理面とかあるいは課税面で適正なことを行っているのかどうか、大蔵大臣としてどう御認識されているか、まずお伺いしたいと思います。
  122. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この問題は、以前から、いろいろな宗教法人につきましても大変何度も何度も問題になる課税上の問題でありまして、しかも態様が非常に異なっておったり、また、宗教活動であるか宗教活動でないかといったようなことの判定も具体的になさらなければならないという種類の話でございますから、私からは一般的な物差しだけを申し上げますけれども、原則的には、宗教法人は、もし収益事業がある場合には、収益事業から生じた所得については法人税を課税したい。宗教活動そのものが課税の対象になることはない。収益事業があって、そこから生じた所得が法人課税の対象になる。  それで、収益事業は何かということもまた難しい問題でございますので、一応、法人税法の施行令に、収益事業、国税として課税の対象になる事業とはどういうものかというようなことを述べておりまして、一般論といたしましては、もちろん宗教活動、研修とか講演とかいうものは収益事業では一般としてはないであろう。ただ、技芸の類に入りますと、洋裁とか和裁とか編み物とか、けいこごとというあたりが難しいところですが、それらは物によってやはり収益事業に入ると考えるべきではないか、一般の人がやっているようなことでございますね、そういうことで従来、課税、非課税を律しておるということ、一般論でございますが、そういうことだと思います。
  123. 末松義規

    ○末松委員 報道なんかを見てみますと、自己啓発セミナーとかなんとかで、やれ二百五十万円だとか五百万円だとか、ちょっと考えられないようなそういったお金も取っているということで、その辺について、やはりちょっと社会常識、通念とかけ離れているということについては、やや問題視されておられるかなと思ったんですが、その辺については全然問題はないとお思いですか。
  124. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 正確には実態について実務者がお答えを申し上げなければなりませんけれども、ただいまおっしゃいましたようなことは、実態によっては私は問題になると思います。そんなことが問題にならないでいいかな、いや、それは実は思うんですが、これは事実について申し上げませんといけませんので、もう少し事実関係が明らかになりまして、これについての方針を決めたいと思っています。
  125. 末松義規

    ○末松委員 これについてはさまざまな機微の問題もあるでしょうから、ここの点についてはまた後でお聞きをすることになるかと思います。  次に、ちょっと越智大臣にお伺いしたいのでございますが、今の関係で、この前、岡田委員も御質問されましたけれども、政教分離問題で、越智大臣が石田総務庁長官に公明党と創価学会の問題、これは政教分離で懸念があるのじゃないかということを質問されました。これで、この前の岡田委員質問のやりとりとの関係で考えてみますと、ちょっと私、越智大臣がどういうふうな認識を持たれているか、必ずしもわからなかったのですが、その辺について再度御説明をいただきたいと思います。  越智大臣が今小渕内閣の閣僚として入られて、それで全然懸念はないのだというお立場なのかどうなのかということをクリアにしていただきたいということです。もちろん、自民党は九六年の総選挙で、対新進党ということで、例えば新進党は創価学会党だとか、あるいは日本が創価学会に乗っ取られるぞとか、そういった形で叫んでおられたことは私もいろいろと知ってはおりますけれども、その辺の立場からどういう立場に変わられたのか、越智大臣の政治姿勢についてお伺いしたいと思います。
  126. 越智通雄

    越智国務大臣 先日の、十一月の十日でございましたか、ここで、岡田議員から予告なし、突然にお話を伺ったものですから、私の記憶のある限りお答えさせていただきましたが、今の御質問とちょっと違っておりますのは、当時平成五年の予算委員会で私が野党としての筆頭理事でございまして、そのときに、石田総務長官に聞いたのは、政教分離の定義を聞いたのじゃございませんで、政教分離という問題もあるけれども、ともかく宗教団体の建物を選挙のときにお使いになっていると、宗教団体は、例えばある種の非課税とかその他の特典もあるのだけれども、我々の選挙活動がいろいろな意味で厳しく、何カ所とか幾らとか決まっている中で、これは問題じゃないのでしょうかということを石田さんにお伺いしました。  当時の石田さんのお答えも、政教分離の議論ではなくて、専ら、そういうところに行っても、自分たちは、幕間というお言葉を使ったように記憶しているんですが、ちょっとごあいさつをするだけで、別に選挙活動そのものにそういう施設が全面的に使われているわけではないという御答弁をされて、それっきりになっているわけでございます。  そのようなことを、この間、岡田さんにお話し申し上げましたところ、岡田議員が政教分離というのは一方通行か両方通行かという式の格好で御質問なさいましたから、私の政治的な、原則的な考え方としては、政治と宗教はともに、お互いに影響しない方がいいと私自身は思っておりますと。そうしましたら、それは憲法の解釈と違うのじゃないかと言うから、憲法に書いてある二十条の解釈を聞くとおっしゃるならば、それは今まで内閣がきちんと申し上げておりますように、政治が宗教に、いろいろな意味で圧力を加えないというんでしょうか、介入しないというんでしょうか、そういうことを禁止している、こういう解釈で来ているわけでございますから、それはそれで私としてはきちんとした見解だ、このように思っているということを申し上げました。  現状において、公明党の方が同じ内閣で私どもとお仕事をされておりますが、公明党出身の閣僚は、私のこの二カ月間の触れ合いと申しますか、お見かけしているところでは、そうした宗教的なお話など、そういう雰囲気は全然ございませんで、大変生まじめに政務に精励されている方だと私は認識いたしております。
  127. 末松義規

    ○末松委員 今そういう話を大臣からお伺いしましたけれども、例えばこの政教分離というお話の中で、最近冬柴さんが、公明党のホームページにですけれども、その中で新たな解釈だろうかなと私は思うんですけれども、政教は別に一体でも構わない、つまり政党と宗教団体が一体でも構わないのだ、そして政党と宗教団体の組織の分離ということで、創価学会とそれから公明党はそういう認識で考えているのだ、だから政教分離は国家と宗教との分離であって、政党と宗教が必ずしもそういったことで分離をする必要はないというようなことをこのホームページで書かれているんですけれども、ちょうど内閣法制局長官がおられますから、この見解についてコメントを求めたいと思います。
  128. 津野修

    ○津野政府特別補佐人 お答えいたします。  これはそもそも政教分離の原則の趣旨から少し御説明した方がよろしいかと存じますので、その点から少し御説明をさせていただきますと、憲法は、第二十条第一項後段におきまして、宗教団体が、特権を受け、または政治上の権力を行使することを禁止するとともに、同条第三項で、国及びその機関が、宗教的活動を行うことを禁止しております。第八十九条におきまして、宗教団体への公金の支出等も禁止しておりまして、これらの規定がいわゆる政教分離の規定であるというふうに言われているわけでございます。  これらの政教分離の規定と申しますのは、憲法第二十条第一項前段に規定しております信教の自由の保障を実質的なものにするために、国及びその機関が国権行使の場面におきまして宗教に介入しまたは関与するということを排除する趣旨であるというふうに解されておりまして、それを超えて、宗教団体が政治活動をすることをも排除している趣旨ではないというふうに考えられるわけでございます。  ところで、その憲法第二十条の第一項後段を含めてでありますが、二十条の規定は、宗教団体と政党との関係を規律している規定ではございませんので、今言いました趣旨から考えまして、宗教団体と政党との関係について、特段、憲法上問題を生ずるようなことはなかろうというふうに考えております。
  129. 末松義規

    ○末松委員 そうしますと、これは過去の法制局の答弁なんかにもあらわれておりますが、例えばいわゆる政教一致、宗教団体が政党をつくって、それがほとんど極めて密接な関係を持っている、一体のものというふうな、その政党のメンバーが日本の国家権力の頂点と言われる内閣に入るということについて、何ら問題はないという位置づけでございますか。
  130. 津野修

    ○津野政府特別補佐人 先ほど御答弁申し上げました政教分離の原則の趣旨を前提といたしまして、前提としてもう一つありますのは、憲法第二十条第一項後段の規定でございますけれども、いかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならないと定めているわけでありますが、ここに言う政治上の権力と申しますのは、一般的には、国あるいは地方公共団体に独占されております統治的権力を言うというふうに考えられているわけでございます。したがいまして、宗教団体が国または地方公共団体から統治的権力の一部を授けられてこれを行使することを禁止している趣旨でございます。  この政教分離の原則とこの二十条第一項後段の政治上の権力の解釈からいたしますと、宗教団体と一体の政党といいますか非常に密接な関係にある政党、そのような政党に属する公職の候補者がその宗教団体の推薦、支持を受けまして公職に就任しまして、国政を担当するに至る場合でも、その宗教団体と国政を担当する者とは法律的には別個の存在であります。  したがいまして、宗教団体が政治上の権力を行使しているということにはならないわけでありますので、従来から申し上げている政府見解に照らしまして、憲法第二十条第一項後段との関係で問題を生ずることはないというふうに考えております。
  131. 末松義規

    ○末松委員 ということであれば、そこは内閣法制局の判断では何ら問題ないという話なのですが、そうすると、では内閣に入った宗教団体と密接不可分な関係にある政党のメンバーが、例えば宗教的な儀式とかあるいは自分のところの教義、これを実施するために国家権力あるいはいろいろな自治体の権力を使うということについては、憲法は禁止しているということを過去言われていますが、それに相違はないですか。
  132. 津野修

    ○津野政府特別補佐人 先ほど申しましたように、国政を担当することとなった者といいますのは憲法尊重擁護の義務を負っておりまして、その者が、国権行使の場面におきまして、当該宗教団体の教義に基づく宗教的活動を行うなど宗教に介入したりあるいは関与することは、憲法が厳格に禁止しているところでございますので、そういった意味で、閣僚に就任するというような状態が生じたからといって、そのことによって直ちに憲法が定める政教分離の原則にもとる事態が生ずるものではないと考えます。  先ほどの御質問の趣旨がちょっとよくわかりませんが、現実にその宗教に介入するとか、そういうようなことをしたらという趣旨でございますか。(末松委員「そうです」と呼ぶ)そういうような場合に、現実にどういう形態で介入したり関与したりするかということは、具体的には何ともわかりませんけれども、もしそういうことが仮にあるとすれば、それは厳に禁止されているところであるというふうに考えております。
  133. 末松義規

    ○末松委員 私が問いたいのは、どこまで憲法がそれを精神として持っているかということなのですが、先ほど、国家が宗教に介入してはいけないという趣旨は極めてよくわかるのですが、実際にだれが介入しているかどうか、例えば内閣にそのメンバーが入っていて、この方がどういう形でどういうふうな状況で、例えば自分の教義を実施するという話にはストレートに言わなくて、例えば公務員の任免権とかそういうものを通じて、そこで介入をするといったことをもし仮にやったとしたら、だれがそれを判断するのですか。それを答えてください。
  134. 津野修

    ○津野政府特別補佐人 先ほど申しましたように、国政を担当する者につきましては当然憲法尊重擁護義務がありますから、いやしくも憲法に抵触するようなことがないように最善の努力をしなければいけないことは当然でございます。  その上で、だれが政教分離の規定が遵守されているかというようなことを判断するのかということでございますけれども、これはさまざまなケースがあり得ると思いますが、 一つは、国及びその機関の国権の行使によりまして、これは裁判所法の第三条第一項に定めております法律上の争訟というような紛争が生じたといたしますと、これは訴訟を通じまして裁判所において解決されることになりますし、最終的には違憲立法審査権を有する最高裁判所によって判断されることがあるということになります。  なお、御承知だと思いますけれども、地方公共団体の場合は、違法な公金の支出につきましては住民訴訟というようなものが認められておりますので、それによって争われるというようなことがあるのは御承知のとおりかと存じます。  それからまた、内閣といたしましては、憲法の六十六条第三項におきまして、行政権の行使につきまして国会に対して連帯して責任を負うということにされているわけでございます。さらに、憲法第六十二条におきまして両議院の国政調査権が定められておりまして、したがいまして、内閣は、行政権の行使に際しましては、政教分離の規定を含め憲法を遵守することについての責任を国会に対して連帯して責任を負うということになりますので、そのことについては国政調査権の対象にもなるということでございます。  さらに、これは問題点が若干限局されるケースが多いかと思いますけれども、会計検査院法第二十九条第三号には、日本国憲法第九十条により作成する検査報告には、検査の結果、法律、政令または予算に違反し、または不当と認めた事項の有無を掲記しなければならないというふうに規定されているところでございまして、これに該当する場合があるとすれば、会計検査院によって判断されるケースもあるのではないかというふうに考えております。(発言する者あり)     〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
  135. 末松義規

    ○末松委員 私は、そこを明らかにしたいものですからやらせていただいているわけです。  まさしく最高裁の判断というのは確かに一つ出てくるのだと思うのですが、国政調査権になった場合に、これはどういう形で判断をされるということになるのですか。それは委員長か何かがそこで判断をするということなんですか。
  136. 津野修

    ○津野政府特別補佐人 国政調査権の行使の方法、あるいは国政調査権に関してそれがどういうふうな結果をもたらすかということは、一つは国会の方でお考えいただく問題であろうと思いますけれども、あえて申しますれば、国会におきまして、いろいろな問題について、内閣の方あるいは行政権を担当している者から説明をいたしました結果いろいろその内容が判明するわけでございますので、そういうことで、何といいますか、いろいろな問題点が明らかになるというふうに考えております。(発言する者あり)
  137. 末松義規

    ○末松委員 これで私が申し上げたいのは、大蔵省というものが、いろいろな団体の会計あるいは課税、そういったところで、どこまでどういう形で信教の自由を守るという中でやっていくのか、私はそれのフレームワークの話をまずやっているわけでありまして、そこら辺を淡々と続けさせていただきたいと思います。  実は、これは内閣法制局長官に再度お伺いしますが、自民党の白川さんの論文をお渡ししましたけれども、これについて、あなたの目から見て、白川論文についてのあなたのコメントをいただきたいと思います。(発言する者あり)
  138. 金子一義

    金子委員長 末松義規君、質疑を続けてください。
  139. 末松義規

    ○末松委員 質問答えてください。
  140. 津野修

    ○津野政府特別補佐人 白川先生の論文といいますか、書かれている内容でございますけれども、これは非常に多岐にわたっておりまして、具体的なところを、どこを問題にしてお答えしていいのか必ずしもはっきりいたしませんけれども、先ほど申しましたように、憲法二十条を初めとする、八十九条を含めまして、政教分離の規定と申しますのは、憲法第二十条第一項前段に規定する信教の自由の保障を実質的なものにするために、国とその機関が国権行使の場面において宗教に介入しまたは関与することを排除する趣旨であると解されているわけであります。  それを超えて宗教団体が政治活動をすることをも排除している趣旨のものではないというふうに考えておりまして、他方、憲法二十一条では政治活動の自由というものも保障されているわけでありますので、そういった意味で、政府が従来から考えております見解に誤りはないというふうに考えております。
  141. 末松義規

    ○末松委員 もう一つだけちょっと具体的にいいですか。  白川論文はそちらの見解では反するということでしたが、例えばアメリカで聖書に手を置いて大統領の宣誓をしますね。これを日本で、例えば総理大臣の宣誓という話になったら、これは政教分離に反するという形になりますか。ちょっと具体的ですけれども、言ってください。
  142. 津野修

    ○津野政府特別補佐人 これは政教分離の原則と国家の行為との関係になると思いますけれども、これは津地鎮祭事件の判決という最高裁判決がございます。その津地鎮祭判決によりますと、その行為が宗教的意義を有し、その効果が宗教に対する干渉とか介入とかあるいは促進とか助長とかいうようなものをすることは禁止、そういう効果を持つものを禁止しているというふうに津地鎮祭判決で言っているわけでございます。  これはいわゆる目的効果基準というふうに一般的には言われているわけでありますけれども、そういった基準に照らしまして具体的に判断すべき問題であろうと思いますけれども、先ほど言われました問題につきましては、非常に特殊、具体的な問題でございますので、一般的には今言いましたような判決の趣旨に照らして考えるべき問題であるというふうに考えます。
  143. 末松義規

    ○末松委員 実は、私自身外交官のときに、命令されましてアラビア語研修を行って、中東地域を知るということで、イスラム教とかあるいはキリスト教とかユダヤ教を多少かじって、そして日本の仏教も多少かじったということで、世界宗教に対しては私自身一定の勉強をやっているわけですけれども、その中で非常に、先ほども言いましたけれども、極めて心の問題がこれから大きくなるということで、信教の自由、これは極めて重要になるのだろうと。  いろいろ報道等で言われておる変な、変なと言うのは語弊があるかもしれません、報道で言われている宗教団体が、今度また非常に過度に規制を受けることになるというふうな、行き過ぎということもありますから、ここでやはり課税問題あるいは会計処理上の問題、ここはきちんとしておかなきゃいけないと思います。  最後に、ちょっと私、これは言わせていただきますけれども、私は全然介入する気はないのですが、例えば聖教新聞とか公明新聞あるいは創価新報などいろいろと新聞を見ていると、九八年の竹入さんの発言以来、竹入さんに対して、例えば新聞で、最低のインチキ男だとか虚飾男だとか泥棒やろうとか、いろいろと厳しいこういった言葉があるわけです。これはちょっと、私も別に何ら竹入さんの方の立場に立つわけではないけれども、ただし、これは人権侵害というようなことになるのじゃないかと思うのですが、法務省の政務次官と、あとそれから宗教法人を管轄する文部省の政務次官の方に対して、これはどういうふうに考えるのか、一言コメントをいただきたいと思います。(発言する者あり)
  144. 金子一義

    金子委員長 理事の皆さん方、お集まりください。  理事間で協議していただきましたけれども、末松義規君には、税制、財政関係の問題に方向を決めて質問していただきますように理事間で今御要望が出ましたので、お伝えをいたします。  先ほどの質問だけに対してお答えを求めます。山本政務次官。
  145. 山本有二

    ○山本(有)政務次官 委員御指摘のような事案は、被害者本人の人格的利益にかかわるものであり、また、記事のどの部分を名誉毀損に当たるとするのか等の事実関係に関する問題もありますので、被害を受けたとされる方からの具体的事実を踏まえた被害の親告が、人権侵犯事件として調査をする上で重要であると考えております。  したがいまして、委員御指摘の件につきましても、そのような親告がなされれば、法務当局が人権侵犯に当たるかどうかにつき事件として調査をするなど、人権擁護機関として適切に対応するものと承知しております。
  146. 河村建夫

    河村政務次官 本件に関して、今文部省の見解をお尋ねになりましたが、文部省としては、本件については詳細に承知をしておりませんで、答弁は差し控えさせていただきたいと存じますが、一般的に言えば、宗教法人法は、憲法の信教の自由、政教分離の原則にのっとって制定されておりまして、宗教法人の所管庁には、民法法人に対するような一般的な監督権限はないというふうに考えております。  ただし、宗教法人が、宗教法人法や当該宗教法人の規則に違反するような行為を行っていることが明らかな場合には、所管庁としてはこれを是正するように指導することができる、このように解しております。  なお、仮に刑法上の名誉毀損罪の問題等があるのであれば、当該法令に基づき、ただいま法務政務次官がお答えになりましたが、法務省等において適切に対処されるもの、このように考えております。
  147. 金子一義

    金子委員長 末松義規君、財政、金融の質疑をお願いいたします。
  148. 末松義規

    ○末松委員 今までのこの話を踏まえまして、そこで、私自身またいろいろと課税それから会計処理上の問題について勉強させていただきまして、これで質問を、とりあえずきょうのところは終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  149. 金子一義

    金子委員長 午後一時四十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十分休憩      ————◇—————     午後一時四十五分開議
  150. 金子一義

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河井克行君。
  151. 河井克行

    ○河井委員 紹介いただきました自由民主党の河井克行です。緊張感を持って質問をさせていただきたいと存じますので、どうかよろしくお願いいたします。時間は二十分と限られておりますので、いろいろなことをきょうはお聞きをしたいというふうに思っておりますが、そのあたりも御協力をいただければ幸いでございます。  実は、本来でありますならば、一週間前のちょうどきょう質問をする予定でありました。一週間いろいろなことがあってきょうになったわけですけれども、本当にこの一週間だけをとらまえましても、きょう質問をさせていただく金融世界、さまざまな出来事が発生をいたしました。まさに、ある先輩に以前教えていただいたのですが、十年一昔と言わず、今ではもう一週間一昔ぐらいじゃないかな、そんな感じすら抱いております。小渕総理がよく使われる言葉に、スピーディーに、果敢にという単語を使っていらっしゃいます。まさにそのような姿勢が将来の日本金融についても必要なんではなかろうかな、若輩でございますがそんなふうに感じさせていただいた次第であります。  そしてまた、こうしてきょう答弁席にお座りの先生方の顔をずらり拝見いたしますと、日本の戦後史上最強のスタッフが今、日本金融、財政をしっかりと管轄していただいている。私は、一国民としましても、まさに本当に心から頼もしい気持ちでいっぱいでありまして、宮澤大蔵大臣越智金融再生委員長、そして大野大蔵政務次官、あるいは村井先生にもお越しをいただいておりますけれども、ぜひ、総力を結集していただきまして、日本発の世界恐慌、ちょうど昨年の今ごろはそんな状況一歩手前だったかもしれませんが、そんなことが絶対に起こらないように、引き続き頑張っていただきたいと思います。  それでは、まず、余り帰国早々でもないのですけれども、少し時間がたちましたけれども、越智委員長にお尋ねをいたします。  今回、サマーズさんと会談をされたわけでありますけれども、その中で、例えば日債銀の受け皿銀行の問題等についてはどのような会話が交わされたのでしょうか。お答えいただければ幸いです。
  152. 越智通雄

    越智国務大臣 私から日本金融政策の現状について御説明いたしました折に、日長銀について、先ほどお話ししましたように、優先交渉相手が絞られて、今最後の基本合意書に向かっての詰めをしているということを申し上げ、同時に日債銀については、それに応募をされる方がほぼ顔ぶれが決まってきて、十一月の十一、十二日に四つの候補者がお手を挙げていらっしゃいます、これについては日長銀よりも、そう差はなく、何カ月かおくれながら絞り込んでまいります、こういう説明は私がいたしましたが、特にそれについての向こうからのメンションはございませんでした。
  153. 河井克行

    ○河井委員 これはもう全く一国民としての率直な国民感情だと思うのですが、前回長銀の際、最終的にはリップルウッド・ホールディングスLLCがその買収ということでほぼ決定をいたしたわけでありますけれども、あれだけ大勢の優良なスタッフ、そしてまた、すばらしい、若干いろいろな問題が最後にはございましたけれども、優良な取引先を持っていて、日本全国にいろいろなネットワークを持っている銀行が、たったの十億円で買収されたのか、新株引き受けを含めても千二百十億円ということで、随分安い買い物を外資がしたなというのは、これはもう日本人、当然金融再生委員会としては粛々と事務的に作業をお進めになられたことと存じますけれども、やはりそういう感じは否めない部分もあると思います。ぜひ次の日債銀の問題につきましても、今回、何か向こうからその点について、ここにしろとか、そんな話はなかったのでしょうか。教えてください。
  154. 越智通雄

    越智国務大臣 アメリカサイドから日債銀の買い主についての注文というかコメントというのは、一切ございませんでした。
  155. 河井克行

    ○河井委員 今のお答えを聞いて安心をさせていただきました。大体いつごろ決定するかということを、この問題の最後ですけれども、教えていただきたいと思います。
  156. 越智通雄

    越智国務大臣 十月の末に、いわば応募の要領を欲しい人はとりに来なさい、何か選挙でいうと立候補予定者が選管に説明を聞きに行くような状態の作業が一つございました。さらば、応募される方はお手をお挙げくださいという作業が、今申し上げた十一月十一日、十二日でございました。  今までの例で申しますと、これから優先交渉先を絞り込むのにやはり相当時間がかかると思いまして、今申し込まれた中には、株式幾らで買いますとか、新しい銀行にどれだけの資本を入れますとか、だれと組みますとかいうのがどんどん出てきておりますけれども、必ずしも四候補者ともに十分なるデータが出ておりませんものですから、それを今急がせております。  次の段階優先交渉先の絞り込みでございますが、年内にできますか、年越しになりますか、多少これは作業のこともございまして、日長銀がちょっと一月ずれたものですから、そういう影響もある程度作業の日程としては受けるんじゃないか、こんなふうに見ております。
  157. 河井克行

    ○河井委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。  東邦生命の破綻処理の現状、そしてまた今後の生命保険契約者保護機構の財源等に関して質問をいたします。この問題につきましては、実は昨日の自由民主党の金融問題調査会でも活発な議論が繰り広げられました。  生命保険といいますのは銀行の預金とは違うということは、重々承知をいたしております。銀行の預金は決済性でありますから、そういう面で公的資金の導入というものが最終的に決断されたわけでありまして、それとは違うという世界ではありますが、逆に言えば、それこそ、きょう、あす、あさってではなくて、五年、十年、二十年、数十年先の契約した方の人生設計自体が今回の処理いかんによっては左右されかねないということであります。私は、決済預金と同じぐらい、この生命保険の問題は政治もしっかりと考えていかなければならないと同時に、考える時間はもう過ぎて、即さま、一日でも早く新しい方策をつくっていただきたいな、そんなふうに願っております。  いろいろな数字がありまして、全部で四千六百億円、これが機構が持っている上限でありますけれども、東邦生命保険の破綻処理費が三千五百億円前後に達するのではないかという報道があります。そのあたりにつきましての一つは確認を申し上げますことと、今後のこの財源につきまして政府としてどのようにお考えなのか、教えてください。
  158. 越智通雄

    越智国務大臣 お時間のないところ恐縮ですが、ちょっと歴史から申し上げさせていただきますと、日産生命が破綻いたしました。約二兆円の規模の生命保険でございましたが、結果的には約二千億つぎ込むことになりました。  先生御指摘のとおり、決済機能はございませんが、保険会社というものは、契約がそこで途切れては相ならないので、必ず保険契約をだれかが引き継いでいかなきゃならない。昔の保険業法には大蔵大臣が移管命令を出す手がございましたが、それを外してありますものですから、もし引き取り手がなければ、現在は保護機構が引き取るという格好で処理させていただいております。  現在の保護機構をつくりましたその当時、例えて言えば、日産生命程度のが二個つぶれても大丈夫だという計算で各業者の負担を頼み、そして政府の方としては、日銀の特融を新たに道を開いたのと政府保証をつけるのをやっただけでございまして、公的資金を入れるところまで踏ん切っておりませんでした。  東邦生命は、もう一年ほど前に実は本体がまずくなりましたものですから、新規契約の分等はGEキャピタルに分社いたしまして、今問題になっている東邦生命は、既存契約の分の管理が、一年やってみたらやはりうまくいかなかったということで問題になっております。  これに、今先生三千億以上のお金を申されましたけれども、ちょっとこれも、その数字は今の段階ではまだはっきり出せません。そして、しかし、四千六百億の中で相当程度引かれれば、もし万が一、次が来たら困るというのがセーフティーネットをつくらなきゃならないという今の議論でございます。その場合に、業界にさらに負担を求めることは大変業界がつらいというか、御存じかと思いますが、生命保険会社は、大きいところと小さいところの格差が何十倍と非常に大きいものですから、それのどういう負担に持っていくかもありまして、結局、公的資金も、「も」ということで今議論は出ておりますが、自民党の方もたしかプロジェクトチームが発足したということでございますので、今しばらくそこらの作業を見きわめさせていただきたいと思っております。
  159. 河井克行

    ○河井委員 その財源の問題ですけれども、一つは、破綻した契約者の負担の問題がありますけれども、これは責準一〇%カットをやっておりますから、もうこれ以上やはり一般の契約者の方々にさらに御負担をお願いするのはなかなか難しいのではないのかな。  ちなみに、きのうの金問調では、これからは保険を掛けるという言葉がひょっとしたら死語になるかもしれないなどという発言も飛び出して、保険に保険を掛けなくちゃいけないというぐらいのことが起こってはいけませんので、これは余りこれ以上求められないと思います。  業界の負担につきましても、先ほど委員長がおっしゃったとおり、なかなか厳しい状況があろうかと思いますので、やはり政府保証の継続等を含めて、公的な支援というものが必要不可欠だろうと考えております。これはもう時間が余り残されていない問題でありますので、さらに踏み込んだ御答弁をいただければ幸いであります。
  160. 越智通雄

    越智国務大臣 実は、金融再生委員会というのは対象は銀行でございまして、保険会社の最後のところは宮澤大臣の御決断にかかわるところなのでございますが、今申し上げましたようなことで、まだこの段階ではなかなか結論が出せない点をお許しいただきたいと思います。
  161. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御承知のように、銀行、信用金庫、いわゆるそういう金融機関につきましては、いろいろ仕組みもできましたし、そしてやがて二〇〇一年には、今のペイオフ、現在の制度もやめようというようなことで着々とやっておりますし、受け入れ機関の体制も随分整備されてきたと思いますが、保険会社の場合にはちょっと対応が中途半端になっておりまして、四千六百億円という限度は設けられている、他方で、東邦生命の問題が進んでいる。これは最終的にどうするんだということをやはり決めなきゃならぬのだろうなとかねて思いながら、しかし、今越智大臣の言われましたように、保険会社は大と小との格差が相当また大きいというようなこともありまして、絶対人の世話になる必要はないと考えている会社も当然ございますししますから、それらを全部巻き込んで何かのことを業界でもこれ以上に考えてもらう。しかし、政府もそれに対応してというようなことがうまくできるものかできないものかという問題がございます。  おっしゃいますように、今自民党内でもそういう議論もしておられるわけですが、他方で、業界そのものもまた大小で考え方が一緒でないかもしれないということがありますので、そこらを見きわめました上で、最終的に公的な負担、何かができるだろうかどうだろうかという、今そのところにおります。  おっしゃいますように、時間的に限られているかもしれないとおっしゃいますことは、そうなりますと予算編成に関係もいたしますものですから、したがいまして、ここでできるだけ早く考え方を、党の方の御意見もあろうし、越智大臣の御意見もありましょうから、みんなでまとめていかなきゃならぬのかな、そんなふうに率直に、そのままの状態を今申し上げたわけでございます。
  162. 河井克行

    ○河井委員 次の質問に移らせていただきます。  十一月二十六日付の日経新聞に、イトーヨーカ堂が決済専門銀行を個人向けに来年にも設立したいという記事が掲載をされました。  確認申し上げたいのは、この二十五日に金融監督庁を訪れて説明したというふうに報じられておりますが、これが事実かどうかという点。それと、その後また再び訪問するというふうにも書いてございます。監督庁としての現状につきましてお答えをいただければ幸いです。
  163. 越智通雄

    越智国務大臣 報道されましたときに私も急いでチェックいたしましたところ、ヨーカ堂のしかるべき方、要するにトップじゃなくて担当の役員さんかと思われますが、監督庁の銀行監督課の方をお訪ねくださいまして、企画書みたいなものを置いていかれました。そのときには直接の御説明とか相談というか、そういう状態じゃなかったようでございますが、それから日もたっておりますので多少のことは伺っておるかと思いますが、ちょっと大変ユニークな構想なものですから、よほどいろいろな方面から、法律的な面とか実行上の面とかいろいろ慎重に検討させていただきたいなと思っております。
  164. 河井克行

    ○河井委員 外国では、事業会社が金融機関を営むということについてかなり厳しい制限を設けている事例もあります。あるいは、こういったことが要するにばっと全国のコンビニでやられちゃったら、地銀、第二地銀、信金、信組、それでなくても経営が余りよくないところがみんなそこへお客さんに行かれたら、果たしてどうなるのかなという心配もございます。委員長、今慎重にというふうにおっしゃったわけですが、何かそのあたり含めてお考えございますでしょうか。
  165. 越智通雄

    越智国務大臣 先生御指摘のとおり、私の知る限り、アメリカでは、もともと事業会社が金融業に入るのは制限的でございましたが、この間大統領が署名されましたファイナンシャル・サービス・モダニゼーション・アクトではさらに禁止になりまして、行われておりません。  なお、よくわかりませんが、伝え聞くところでは、コンビニエンスストアというんでしょうか、末端店舗が約七、八千ございますそうですが、そこにATMを置くということで、一部銀行の協力のもとにやっているところもあるんですが、それを自前の銀行でおやりになるというのが構想のようでございますので、今おっしゃいましたように、いろいろな意味で社会的な影響というか波紋というか、あり得ることだろうなとは思っております。
  166. 河井克行

    ○河井委員 では、時間もありませんので、次の質問に移らせていただきます。  信用組合問題なんですけれども、東京都信組協会そして全信組連のいわゆる二次ロスの問題につきまして、きょうの新聞に、村井総括政務次官が昨日東京都を訪れられたということが報道されておりまして、どうも東京都の方はかたくなな姿勢だというふうに報じられております。これがもし事実だとしましたら、これは一東京都の協会だけの問題ではなくて、全信組連に万一のことがあれば、全国の信組の連鎖破綻あるいは中小零細企業の倒産など、もっと大きな事態に発展しかねない一大事だというふうに思いますけれども、そのあたりの事実と、それから、今後これは一体どうされるんでしょうか。教えてください。
  167. 村井仁

    村井政務次官 昨日でございますけれども、ただいま御指摘の東京都信用組合協会の抱えます過去の東京都の破綻信用組合の不良債権の問題、これをどういうふうに解決したらよろしいか。実は、私どもとしましても、破綻信用組合の監督当局である東京都、それからまた全信組連の監督当局でございます金融監督庁、それから、こういった企画立案を担当いたします大蔵省、これが一体になって取り組んでいく必要があるだろうということで、これまでいろいろやってまいったわけでございますが、東京都の方からは、ともかくこれはもう国でやってほしい、都議会のいろいろな御議論もございまして、そういうような御要請がかつてあった。  それに対しまして、私どもとしましては、地域に密着した信用組合の機能を確実なものにしていくために、ひとつここは前向きに御協力をいただけないだろうかということで、大蔵省の林政務次官と私と参上いたしまして、福永、青山両副知事にお目にかかってお願いをした次第でございます。両副知事からは、私どもの信用組合の重要性というものを認識し、将来の信用組合の組織全体の維持のためにという趣旨はよく石原知事にお伝えくださる、このようなことでございました。  この程度のことはお答えさせていただきますが、それ以上の反応というのは、ちょっと現段階ではお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。  いずれにいたしましても、私ども関係者、努力をいたしまして、全体として中小企業金融に支障のないように仕組んでまいらなければいけない、その責任を痛感している次第でございます。
  168. 河井克行

    ○河井委員 本当はまだまだ、あと三つ四つぐらい質問する項目をつくってまいりましたが、時間が参りましたので終わらせていただきたいと存じますが、最後に済みません、ちょっと一言だけ宮澤大蔵大臣にお尋ねをしたいんです。多分もう次の選挙までこの大蔵委員会質問に立つことが、委員の先生方多いものですから、恐らくないと存じますので、質問させていただきたいと思います。  冒頭にも申し上げましたように、まさに日本初の恐慌が起こらなかったのは宮澤大臣がその席にお座りをいただいたからでありまして、また、アジア諸国からも、新宮澤構想ということで大変高い評価を本当にいただいていらっしゃいます。まさに世界の宮澤ということで、これはもう広島だけでなく日本じゅうから、ぜひ頑張っていただきたいというお声が頻々と私の耳にも入ってくるわけでございますが、来年は二〇〇〇年、そして二十一世紀がすぐそこにやってきております。ぜひとも大臣におかれましては引き続きしっかりと頑張っていただきたいというふうに思いますが、大臣のお気持ちを最後にお聞かせをいただければ幸いでございます。失礼いたします。
  169. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 過分のお言葉をいただきまして、それにしても選挙が余り早くないことを祈っております。
  170. 金子一義

    金子委員長 次に、谷口隆義君。
  171. 谷口隆義

    ○谷口委員 まず冒頭、委員長に申し上げたいわけでございますが、午前中の末松議員の発言につきまして、我が党にかかわる部分がかなりございました。会議録を精査し対応を考えたいというふうに思いますが、いずれにいたしましても、四十分間ずっと我が委員会のこととは関係のないことをおっしゃっておったわけでございますので、ぜひこのことについて理事会で御協議をお願い申し上げたいと、まず冒頭お願いをいたします。
  172. 金子一義

    金子委員長 理事会協議とさせていただきます。
  173. 谷口隆義

    ○谷口委員 それで、本筋の質問に入るわけでございますが、本日は、二十分ばかりの質問でございますので、御答弁の方も的確な簡潔な御答弁をお願い申し上げたいというようにまず冒頭お願いいたします。  それで、本日、速水日銀総裁に来ていただいておりますので、まず初めに、金融状況についてお伺いをいたしたいというように思います。  御存じのとおり、十一月二十六日でございましたか、ニューヨークの外為市場におきまして、急激にまた円高になりました。百一円台ということで、本日も、見ておりますと百二円台を推移いたしております。我が国の輸出企業の採算レートが百十五円程度だというようなことをお聞きいたしております。急激な円高は、国全体といたしましても大変困るわけでございます。  その状況の中で、十一月二十九日に為替の介入をされたということを聞いております。約五千億程度というような報道がございました。二営業日後にそれが決済されるということで、十二月の一日に決済されたわけでございますが、時期を合わせまして日銀総裁談話がなされたわけでございます。その話の内容でございますが、円売り・ドル買いの介入資金を市場に大量に残す調節を実施したというようなお話の部分がございまして、市場において今まで日銀がやっておられなかった非不胎化介入を容認したのかというような一部市場関係者の声が上がったわけでございます。  まず冒頭、この日銀総裁談話の御趣旨と、私が今申し上げました非不胎化介入を容認かというような、この疑問に対する御見解をお願い申し上げたいというように思います。
  174. 速水優

    速水参考人 お答えいたします。  十二月一日、先ほど御指摘のとおり、二日前に介入をいたしまして、十二月の一日が決済日といいますか、デリバリーの日になるわけでございますが、その日に、二日前の介入で市場に出しました円資金がどうなるのか、それを日本銀行はどういうふうに扱ってその日の金融調節をするのかというので、毎朝九時二十分ごろに、きょうはこれぐらい必要な預金よりも余るとかいう数字を発表しておるわけですけれども、ずっと一兆円がここのところ続いているわけですね。それが動くということになると、方針が変わったのかというふうにとられる可能性があるわけでございますが、私どもとしては、ゼロ金利を目指して市場に潤沢な資金を供給するということをもう前々から申しておりまして、介入で出た資金がどうなろうと、いずれにしても十分な資金を供給するということで、一兆円ということで発表したわけでございます。  そのときに、みんなが内外で注目しておりますだけに、日本銀行の考え方をもう一度はっきりさせておいた方がいいという判断を持ちまして、短い総裁談話でございましたけれども、大蔵省の介入、これは一円以上動きましたからやはり乱高下と言っていいと思うのですが、それに対してスムージングなオペレーションをやるのはこれまた当然だと思いますし、これでばらまきました円資金は市場の中に流れておるわけで、日本銀行としては、介入資金をも利用して豊富で弾力的な資金供給を行っているんだ、本日もこの方法によって大量の資金を市場に残す調節を実施したんだということをはっきり説明したわけでございます。
  175. 谷口隆義

    ○谷口委員 要するに、結論的に申しますと、非不胎化政策を容認したということではないということでございますね。
  176. 速水優

    速水参考人 不胎化か非不胎化かというのをゼロ金利政策のときに議論をすることに余り意味はないと思うんですが、とにかく潤沢な資金を出していくということでございます。
  177. 谷口隆義

    ○谷口委員 先日のG7の前に大蔵大臣と日銀総裁がお会いになって、これは報道から見ますと、より一層の金融緩和をというように大蔵大臣が日銀総裁におっしゃった。それに対して、どうもそごがあったようでございまして、その後、G7で我が国の中央銀行の総裁に、かなりいろいろ御批判があったようでございます。これは報道からでございますが。そのあたりは、今回の総裁談話を見ておりますと、今般の大蔵省の行動を支持しというようにおっしゃって、一応一体感をアピールされておられるわけでございます。  それで、お聞きしたいのは、十月二十七日の金融政策決定会合で、インフレターゲティングについて議論があったというようにお聞きいたしております。最終的にこのインフレターゲティング論は採択されなかったようでございますが、そういうことについて、インフレターゲティング論と申しますか、別の言い方をしますと調整インフレ論というようなこともあるわけでございますが、宮澤大蔵大臣の御見解と日銀総裁の御見解をお聞きいたしたいというように思います。
  178. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いわゆるインフレ化論というのは、外国でも言っている人がありますし、国内にもおられるのですが、私はどう読んでみても、言っていらっしゃることはわかっているのですが、どのようにしてそういう状態をつくり出すのかということがどうも私にははっきりいたしませんし、また、正直言うと、やったことの結果のメリットが私には十分のみ込めない思いがいたしておりまして、一言で申しますと、何と申しますか、余り気が向いていないということでございます。
  179. 速水優

    速水参考人 最近、調整インフレとそれからインフレターゲティングという二つのことをインフレ論争といって、新聞、雑誌等に盛んに書いておられるわけですけれども、調整インフレの問題につきましては、私どもは、インフレ期待をするというのは間違っていると思いますし、インフレになってしまえば、また結局、財政の赤字にしても金利が高くなっていくのであれば変わっていかないわけでございますし、こちらの方は問題の解決にはならないと思います。  インフレターゲティングにつきましては、これは、中長期的に物価安定に対する強い姿勢を示すという点について言えば、意義のある方法の一つであるというふうに思います。  ただ、物価の安定という概念が、一つの物価指標の特定の数値目標で示すことができるのかということになりますと、これは非常に難しい問題で、外部的なショックによる物価変動などをどういうふうに位置づけていくのかという、検討課題はいろいろあると思うのですね。実際、アメリカでも、それからECB、ヨーロッパ中央銀行でもこの手法は採用しておりません。採用しておらない中央銀行が多いのです。  日本銀行は、今、私どもの目標を、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまでゼロ金利政策を続けるというふうに表明しております。これは、ある意味では一つのターゲットとお考えいただいていいかと思うのです。どうやって判断するのかという御質問もあるかと思いますけれども、いろいろな数字を見ておりますと、やはりこの判断は必ず出てくるというふうに考えております。  そういう意味で、インフレターゲティングという考え方のメリットを生かす仕組みを使わせていただいているという意味では、私どもは既に使っているというふうにお考えいただいてもいいと思うのですが、数字でいろいろ出すというようなことは、今のところやるつもりはございません。
  180. 谷口隆義

    ○谷口委員 先ほどの急激な円高のことにも戻るわけでございますが、十一月二十六日、急激に円高になった原因の一つに欧州の景気の低迷、ユーロから我が国に資金が流れ込んできた、このように言われております。どうも、きょうも聞いておりますと、ユーロは発足以来一七%程度引き下がっておるようでございまして、そういうふうなことがあるのだろうと思いますが、一方でアメリカの景気の低迷、これは先日の経済企画庁の世界経済白書で、よくここまで書いたなというふうに私は思うわけでございますが、アメリカ株式市場の現在の状況について触れられておりまして、理論的に見ますと、二〇%から五五%ぐらい割高になっているということでございます。  今、また一万一千台程度になっておるわけでございますが、二〇%と考えますと一万一千で八千八百ドルですか。五五%と考えますとこの半分以下になってしまうわけで、そういう危機があるということで、これはもう従来から、先日もFRBのグリーンスパン議長が警告を発するというようなこともございましたり、大変憂慮すべき事態になっている。また一方でインフレ懸念もあるようでございまして、このあたりも世界経済白書の中にも触れられておるわけでございます。  そういう状況の中で、またこれは一時的な介入でこの円高が抑えられるのかということになるわけでございますが、我が国経済も一時の大変厳しい状況から若干明るさを取り戻してきた状況の中で、欧州並びにアメリカの景気の状況はピークを過ぎて大変危惧すべき状況になっておる。そうすると、これから、中期的には経済のファンダメンタルズがやはり基準になるのでございましょうから、円高基調は避けられないというようなことでございます。  ですから、今回も一応協調介入をそういうことでやられたようでございますが、先日も単独介入で五千億程度の介入ということのようでございます。これから、このような円高基調に対してどのような対策を講じてこれを抑えられようと考えておられるのか、御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  181. 速水優

    速水参考人 今、協調介入とおっしゃいましたけれども、御承知のように、アメリカサイドは今国内景気は非常によろしいわけでございますが、経常収支は非常に大きな赤字になっているのですね。GDPの四%に近い赤字。これはやはり円売り・ドル買いなどをやってドルが強くなればますます経常収支は赤字がふえていくことになります。そういうものにはなかなかアメリカはなりにくいのではないかと考えます。  一方で、ユーロの方は、国内、確かにこの間金利を上げまして少し早目にインフレ傾向を抑えたのだと思いますけれども、かなり国によって違いますが、フランスやイタリー、その他景気のいいところがありますし、例のミレニアムというのはこれから始まりますので、そういった意味でのお祭り景気というものも必ずプラスになって入ってくるのだろうと思います。  そういうこともありまして、今、ユーロサイドでカレンシー、ユーロの値下がりを余り気にしておられないのではないかなというふうに考えております。むしろ、輸出がそうやって伸びていくことはプラスになっていくのだろうと思います。  それから、アジア諸国が、むしろ彼らは円高といいますか円売り・ドル買いの介入などをやられると、彼らには非常に大きな障害になるわけですね。そういう意味で、円がかなり比較的強いということは、今、輸出主導で回復を、再生を図っておりますアジアの諸国にとっては、これは大変ありがたい恵まれた環境だというふうに感謝されておるわけでございます。そういう意味では、海外では円の強いことに対してそんなに気にしていないというふうに考えるべきかと思います。  国内では、やはり輸出はプラスになっていますけれども、余り円が強くなってくると収益に影響することは確かでございますし、こうやって私どもがゼロ金利、それから財政の、今度の補正予算その他で早く民間の需要が目覚めて自律的な回復をしてくるということを待ち望んでおるわけでございます。それまでこのままでうまくいけばいいが、株もかなり強いままで残っておりますし、相場の方もこれぐらいのところであれば何とかいくのではないかという感じでおります。
  182. 谷口隆義

    ○谷口委員 アメリカも、二〇〇〇年問題を間近に控えて、資金的にある程度潤沢にしておく必要があるというような状況のようでございます。そういう状況の中でどんどん円高が進んでまいりますと、今総裁がおっしゃったように、このような円高がしばらく続くことによる我が国の景気の悪化の懸念、これはやはり心配されるわけでございます。何回かの介入も、もしこれが続くとするならば行われるだろうと思いますが、いずれにいたしましても、世界で流れておる資金量というのは一日一兆ドルというのですか、そんな状況の中で五千億円ですから、この程度で一時的にやったところでその大きな流れをとめるわけにはいかない。  そういう状況の中で、また若干景気がよくなった今の我が国経済状況が大変危惧されるわけでございますから、そのところ、金融政策をぜひ対応をしっかりやっていただきたいというように思うわけでございます。  先ほどのアメリカ株式市場の暴落の懸念について、私は従来から申し上げていたのですが、目詰まりを起こす、金融政策全体で、仮にアメリカの株価が経済企画庁の世界経済白書のように最悪五〇%程度下落するといった場合に、我が国経済に多大な影響を及ぼすわけでございます。それに対して我が国経済としてどのような対策を講じられておるのか。当然ながら、危機管理体制と申しますか、そういうようなことが考えられていらっしゃるのだろうというふうに思うわけでございますが、宮澤大蔵大臣、このような観点で今考えていらっしゃることがございましたらおっしゃっていただきたいというように思います。
  183. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 多くの皆さんが、ウォールストリートにいつかそういうことがあるのではないかということを御心配、それは日米ともに同じことですし、また、随分その時間も長くなりますが、一向にどうも相場の腰が強いというようなことがきょうに及んでおります。  このごろのことでございますから、今谷口委員のおっしゃいましたようなかつての、七十年前のようなことがああいう姿で起ころうとは思いませんし、またアメリカ自身、そういうことについては、もちろんいろいろ対応する方法もございますしいたしますから、そういう意味で大変にドラマチックな対応の仕方がある、あるいは、入り用だと思いますよりは、むしろ、それに対応するやはり対応の仕方がおのずからあるだろうと思っているというふうに申し上げた方が正直であると思います。  我が国経済そのものは、こういうやや回復基調になりますし、人も設備も物も余りぎみという状況でございますから、大変なインフレというものが起こるというふうには思いにくい、むしろあるとすればデフレが起こりやすいだろうと思いますので、これは日本銀行ともよく御連絡をしながら、そういう場合に、ある日、事がドラスチックに起こって、短期に何かをしなければならないということではなくて、そういう状況が起こり始めて、かなりそれがじくじく長く続くということの方がありやすいと思いますので、そういうつもりであれこれ考えている、そういうことというふうに申し上げたいと思います。
  184. 谷口隆義

    ○谷口委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
  185. 金子一義

    金子委員長 次に、一川保夫君。
  186. 一川保夫

    ○一川委員 私、自由党の一川保夫と申します。  大蔵委員会質問するのは初めてかもしれませんけれども、私は、最近地元へ帰ったり、また一般の皆さん方とお会いして話をすると、必ず経済の問題が話題にのりますし、今の景気はどうなるんだということに話題が集中するケースが非常に多いわけです。こういうことに対して端的に答えられる能力もまだありませんけれども、そういうことに関連して、常日ごろから日本経済、財政にいろいろな意味で精通されていて、また将来に対する洞察力が非常に鋭い、私は大蔵大臣をそういうふうに思っておりますけれども、そういう観点でちょっと大蔵大臣にお聞きしたいというふうに思っております。  先般、平成十一年度の補正予算に関連しまして財政演説がございました。その中で大臣は、これは経済企画庁等の調査に基づいての御見解かとも思いますけれども、一応大蔵大臣の財政演説という中で触れられておりますので、大蔵大臣としての所見を伺いたいというふうに思いますけれども、最近の経済情勢という中で、我が国経済の現状につきまして、結論から申しますと、緩やかながら改善が続いてきている、景気は最悪期を脱しているというような見解を述べられました。  私たち地方にいる者としましては、まだそういった実感を肌で感じないところがあるわけでございますけれども、大蔵大臣がこういうふうに日本経済の現状を申し述べられたわけですけれども、もうちょっと具体的に、そのあたりをかみ砕いて御説明していただければ非常にありがたいというふうに思います。
  187. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御承知のように、我が国経済が不調になりましてから一年半、御承知のようにこのごろは四半期ごとに成長率を計測しておりますので、一年半にわたりまして四半期経済は滑り続けたわけでございます。下降を続けました。  一年半というのは非常に長い期間でございまして、下降を続けておりまして、いつ下降がとまるだろうかという見当がつかずにおったところでございますが、ことしの一—三という四半期に初めて、一年半ぶりに経済がプラスの成長をした。それは、実は長いこと滑り続けた後であったせいかもしれませんが、かなり大きな反転をしたものですから、それがどのくらい真実であろうかということを私自身もいぶかっておりまして、次の四—六月期に果たしてそのトレンドが続くのか、あるいは、また下がり始めるのかという何がしかの疑問を持っておりましたが、四—六はとにかくも、わずかではあったがプラスでありました。  したがいまして、二四半期プラスが続いたということが統計上出てまいりましたので、まあここで長い間の滑落状況は終わった、これからどれだけ早くV字型に回復するかは別として、とにかく下がるトレンドだけは終わったという判断をいたすようになりました。これは、国内でもかなりの方、また海外では大方がそういうふうに判断をしたようでございまして、今我々は、七—九月期、第三・四半期、これは来週の月曜日には恐らく明らかになると思いますが、第三・四半期がどうなるであろうか。説は分かれておるようでございますが、いずれにしても、どっちの説をとりましても、余り大きく上下にいくということはないというのが大数のようでございますから、長い間の下落はまあまあ終わったという認識は覆らないように思います。  ただ、今申しました七—九という既に過ぎました期でも、はっきり言えますことは、一つは国民の消費の回復は非常にはかばかしくないということでございます。御承知のように、消費がGDPの六十何%を占めますので、これがプラスになりませんとなかなか全体をプラスに引っ張っていくことは難しゅうございます。月によって違いましたが、消費が不振なゆえんは、主として所得が伸びていないということでございます。所得が伸びませんと消費だけが伸びるということは非常に難しゅうございまして、所得が伸びません一番の原因は、恐らくリストラが進行していて、そして常用雇用の人がパートに切りかわったり、そういったようなことが手伝いまして、まあ失業もございますけれども、所得は伸びておりません。  それから、設備投資は年によりまして、昔は二〇%もGDPのシェアを持っておりましたが、それほどでなくても、やはり市場経済の一番中心でございますので、これはもうずっと下がりっきりで、多少在庫が減ってはおりますものの、設備投資が大いに躍進をし始める気配はございません。これは少し長いこと、なかなか回復しないかもしれないと私は思います。それが今の状況であると思っております。  したがいまして、来年度を展望いたしますと、やはりこの二つの民需に頼ることが今からはできませんので、やはりこの補正予算と来年度の本予算で財政がしり押しをしなければならない。もうそこらで、財政の事情もありますから、民需に移ってくれないかと、それは来年の夏から今ごろでございますが、思ってはおりますが、今はそのような状況でございます。
  188. 一川保夫

    ○一川委員 今のお話を聞いておりまして、おおよそのことが見当つくわけでございますけれども、基本的には、個人消費なり設備投資といったものが着実に伸展しないと日本経済は自律したものとして回復していかないという御見解が、大臣から最近特におっしゃっていただいておるわけです。先ほど私がちょっと触れましたけれども、最悪の状態は脱しているというような見解が政府筋にあるわけですけれども、これは日本経済構造改革をすべきだということを常に言ってきているわけです。そういう構造改革という観点から見たときに、若干改革が進んでいるというふうに判断してよろしいのかどうか、そのあたりいかがでしょうか。
  189. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 実はまさにそのことは一番大切な問題だと思いますのは、とにかくこの不況は乗り切れたとしましても、日本経済なり社会経済が二十一世紀に本当に打ちかてるような体制になっていくかどうかということは、もう一つ別の問題だと思います。  幸いと申しますか、不幸と申しますか、こういう大変な不況で、お互いが苦しみましてリストラをやっているときに、今までのままではいけないという意識はかなり全部に行き渡ってまいりましたので、殊に企業などはかなりはっきりそういう意識で変革をしております。ですから、それはある意味で不幸中の幸いになる可能性がございます。  同時にしかし、それはすぐにリストラに結びつきますものですから、まことに申しわけないわけですけれども、かなりのリストラクチャリングが雇用に影響を及ぼすということは覚悟しなければなりませんで、昨年の予算からこのたびの補正もそういうことをいろいろ準備をいたしましてやっておるわけで、どうも多少希望的でありますが、この苦しい時代を乗り切りましたら我が国経済全体が二十一世紀に向かってかなり構造改善をし終わっていくんではないかというふうに、多少希望的でございますが、私は考えております。
  190. 一川保夫

    ○一川委員 そうしますと、我が国経済がそういった自律的な回復軌道に完全にまだ乗り切っていないということでございますので、そういうものがしっかりと定着するまでの間はこういった公的な財政支出でもってのサポートがまだしばらくは必要だろうというふうに私は理解するわけですけれども、それでよろしいですか。
  191. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ちょっと不十分でございましたかもしれません。こんな大きなことは、もうこの補正と来年度の予算でもう何とかそこらで民需が出てくるはずだと、しかし、だからといって急にさよならというわけにもいかない部分はいろいろにあろうとは思っております。
  192. 一川保夫

    ○一川委員 では、ちょっと観点を変えて御質問したいと思いますけれども、最近の我が国の政策課題の中に、行政改革とか、あるいはそういった一環としての地方分権ということも今日的な大きな課題でございまして、関連するいろいろな施策が一部実行されつつあるわけでございますけれども、こういった行政改革なり地方分権といったようなことは、我が国の戦後のいろいろな制度なり仕組みを基本的に見直していこうということでございます。当然ながら、よく言われるように、大きな政府から小さな政府へ持っていこうという議論とか、あるいは、地方が中央から自立をして地方がみずから自分で判断をしそれを実行していくような時代に移行するだろうというふうに言われております。  そこで、こういった行政改革とか地方分権という流れを着実にこれから前進させていった場合、我が国のこういった財政運営というものはどういうふうにあるべきだというふうに大蔵大臣はお考えですか。そのあたり何か御見解があったらお聞かせ願いたいと思いますけれども。
  193. 大野功統

    大野(功)政務次官 大蔵省というのは、伝統的にもこれからも、むだは省いて必要なところへ財政資金を使う、こういう精神でやっておりますが、一川先生のお尋ねは、そういう財政の方針と行政改革、地方分権との絡みをどう考えるかと。  まず行政改革でございますが、一番は、行政改革の中に組織の問題とそれからコストを削減する、この両方の問題があると思います。組織の問題でいいますと、既に独立行政法人の問題、それから省庁再編の問題、この二つの問題はもう処理済みになっておりまして、やがてスタートする問題でございます。それから、コストの削減の問題になりますと、例えば、このコンピューター時代ですから、行政を電子化していく、あるいは納税背番号制度をどう考えていくのか、こういうことでございますが、これは今からの取り組みであると思います。それからもう一つ、一番大事なことでありますけれども、情報をきちっと公開して、そして行政評価をしていく、これによってむだを省いていく、こういうことが一番大事なことではなかろうかと思います。それが行政改革につながる問題でございます。  それから次に、地方分権との絡みでございますけれども、これは二つばかり大きな問題があるんじゃないか。一つは、やはり地方と国の役割をきちっと分けていかなきゃいけない、補助金行政というのをどう考えていくんだろうか、こういう問題を仕分けていく、これが今からの課題であります。それからもう一つは、やはり地方分権といった場合、今は交付税措置でならしておりますけれども、そうじゃなくて、一つの地域は一つの地域でおおよそ独立採算をしていくのかどうか、こういう二つの問題、これは大変長期的な問題だと思いますけれども、取り組んでいかなきゃいけない問題だと思います。そうでなければ地方分権における財政問題というのは論じられないんじゃないか、このように思っております。  いずれにいたしましても、大蔵省としましては、今申し上げましたような趣旨を踏まえて、経済財政運営に当たりましては、来るべき二十一世紀を展望して貴重な財源の効率的、効果的な活用に努めてまいりたい、このように思っておるところでございます。
  194. 一川保夫

    ○一川委員 この行政改革にしろ地方分権にしましても、これは、本当に今我々政治の場面でも取り組むべき緊急の課題であるということは間違いないわけでございまして、基本的に、やはり今地方分権という中では、地方の皆さん方が権限の移譲とあわせましてそういった財源の移譲という問題も含めて強い関心を持っている時代でもございます。そういう面では、特に大蔵省につきましては、そのあたりの各地方におけるいろいろな皆さん方の気持ちを十分また勘案していただきましてこれからの対応をお願いを申し上げたい、そのように思っております。  特に、行政改革ということになった場合には、行政サービスそのものを低下させては何も意味がないわけでございまして、サービスを維持向上させつつできるだけコストを削減していく、また効率をよくしていくということだろうと思いますけれども、そういう面でも私はやはり財政という問題が常に改革の問題には絡んできているというふうに思いますので、そういう観点での行政指導をよろしくお願いをいたしたいと思っております。  では、ちょっと最後になりますけれども、平成十二年度の予算編成作業も今大変大詰めに来ているというふうに思いますけれども、そういうものにも関連しますけれども、今回の補正予算にも当然関係しますが、俗に言う公共事業という問題が、最近こういった予算に関連してよく話題に出る問題です。それで、公共事業そのものは、私は個人的には、社会資本というものを我が国で計画的に整備していくという観点から見れば、この公共事業の果たす役割というものは大変大きいものがあるというふうに思っております。  ただ、それの実際の仕事、実施の仕方なり透明性なり公平性といったようなところにいろいろな問題が指摘されていると思いますけれども、そういったところをしっかりとクリアしながらこの公共事業というものがそれなりの役割をしっかりと果たしていくということが一方では大変大事なことであろうというふうに思っておりますし、また、地方においてはまだまだそういう社会資本の整備に対する期待感というのが非常に強いところもございますし、また、いろいろな面で利便性の立ちおくれているところ、あるいは生活環境の立ちおくれているところがたくさんあるわけでございますので、そういう面で、特に大蔵省としましてこの公共事業の今日的な役割というものについて今どのように考えておられるのか、そこをもう一回見解を述べていただきたいというのと、それから、これからのそういった社会資本を計画的に整備していくという観点からした場合に、この公共事業の位置づけというものをどのようにお考えなのか、そのあたり、大蔵省としての御見解をお聞かせ願いたいと思っております。
  195. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 このたびの補正予算でもごらんいただいておりますとおり、特に意を用いまして社会資本整備につきまして六つの項目に分けまして、従来にとらわれない、将来に向かっての物流でありますとか生活基盤でありますとか通信でありますとかをいたしております。そのことは将来に向かって極めて大事なことで、そのためには、別の特別の枠を設けましたり、あるいは総理大臣の枠をつくりましたりして、今までに拘泥しない新しい前向きのものを各省からお考えいただいておるわけで、そのことは今後も必ず続けていたしますが、同時にしかし、ときどきマスコミやあるいは経済界にあらわれます、在来型の公共事業はもう要らないんだという考え方は私は必ずしも実は賛成しておりません。  地方から町村長が上京されますと、必ずお話は道路であり河川であり、下水道なんというのは最近の方ですけれども、そういう一種のインフラ、地域における道路とか通信とか治山治水というようなものは大変に要望が強い。それは充足していないからという、もう極めて端的な理由によるものであります。多少経済効果が低くても、生活に必要なそういう意味でのインフラというのは、我が国は決してもう充足したとは言いにくい。  それは、恐らく国会の皆さん方は比較的すぐそう思っていただけるのですが、意外に、経済界であるとかマスコミとかが、やや都会中心主義の思考になっておるんだと思います。それは、しかし、今後も実態はちゃんと見きわめてやってもらわないとならないということは、特に注意をいたしております。
  196. 一川保夫

    ○一川委員 終わります。ありがとうございました。
  197. 金子一義

    金子委員長 次に、佐々木憲昭君。
  198. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。まず、越智大臣の訪米についてお聞きをしたいと思います。  何のためにアメリカに行ったのか、どうも腑に落ちないわけでありまして、大臣は、当委員会の答弁で、何かあったときにスムーズに話ができる関係をつくるために行った、サマーズから手紙が来たと。その程度のことで、なぜこの大事な国会開会中に行かなければならないのかという疑問が、どうしてもぬぐえないわけであります。この大事な国会審議を放棄して、一体どのような切迫した事情があったのか、この国会開会中になぜ行かなければならなかったのか。何か事情があったんではないですか、具体的にお答えいただきたい。
  199. 越智通雄

    越智国務大臣 先般来申し上げましたとおり、両国の金融のいわば責任者としてお互いに話し合いをし、お互いに率直に意見の交換がその後においてもできるようにしておくということは、私は大変大事なことだと思っておりますから、そして、向こうからもぜひ会いたいと言ってきたし、私の方も、では私からそちらへ伺いましょうというので、飛び石連休のところを使わせていただいたわけでございまして、確かに国会開会中ではございましたが、皆さんに心からその点の御理解をお願いしたところで、特段に何か特定の目的があったわけではございません。  しかし、大事なことは、日本経済の運営について向こうにちゃんと理解をしてもらうことであるし、殊に金融政策が、担当大臣がかわったからといっても変わるものではないということをよく理解していただき、また同時に、向こうが政策が変わっているわけでありますから、その変わってきた政策についてしっかりとした理解を私どもは伺ってきたわけで、先ほど来の報告にもちょっと挙げましたけれども、劣後債の保有を義務づけ化するなんというのは、ある意味では大変影響の出る話でございますが、まだフェデラル・リザーブでも決めていない、検討を始めたところであるということがはっきりわかったことも私は大変よかった、このように思っているところでございます。
  200. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 特定の目的なく行ったということ自体、私は国会の軽視だと思います。  サマーズ財務長官やグリーンスパン連銀議長との会談で、米側から日本に対してどのような要望が出されましたでしょうか。
  201. 越智通雄

    越智国務大臣 何か御想像になっているような特定の事項についての特定の要望は全くございません。両者の意見の中で非常にはっきりしておりましたことは、日本を含めてアジアの通貨危機以来の回復が著しいというか、かなり目覚ましいけれども、大事なことは、その中で、通貨危機のときに露呈した各国の金融秩序、金融仕組みの中の弱点みたいなものをきちんと直して、金融改革を、経済成長に目を奪われることなくと申しましょうか、その中に忘れ去られることなく金融の方をしっかりやることが大事だ、このことは両方とも同じ認識を持っておりました。
  202. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 冒頭での越智委員長の発言の中で、今後数カ月にとられる政策が、我が国金融システム構造改革、ひいては我が国経済再生にとって極めて重要、このように発言をされました。会談後に明らかにされた英文のペーパーでも、今後数カ月の政策的措置が、金融システム再生、さらに広く言えば、日本経済の回復に極めて重要になるとの認識を共有した、こういう表現があります。  今後数カ月の間にとられる政策とわざわざ書いているわけですけれども、これは、我が国はどういう政策的措置をとるということを念頭に置いて書かれているのか。冒頭発言も同じようなことをおっしゃいましたので、今後数カ月にとられる政策の内容について、具体的に述べていただきたい。
  203. 越智通雄

    越智国務大臣 私どもの問題意識といたしましては、今大変多くの問題が山積いたしておりまして、先ほど来御議論のございました日長銀の決着も、次の数カ月の間につけなきゃなるまいと思っておりますし、日債銀の問題も、そうした中で方向づけは当然つけなきゃならないと思いますし、また、ペイオフの問題についての法案の提出も、次の通常国会には出さなきゃならないわけでありますし、その手前で今度の平成十二年度予算に絡んで先ほど来御質問のございます保険のセーフティーネットの話、あるいは信用組合のセーフティーネットの話、そのような大事な話が全部出ておりまして、それらの方向づけを持っていく。  片や、世界的に見ますれば、ユーロが出ましてから約一年、そしてアメリカの方もそういう金融の体制を切りかえてこれから始まるわけですから、私は、二〇〇〇年という年は世界にとっても新世紀を迎える大変大事な年だ、こう思っておりますので、それが、英語は何となっていましたかしかと覚えていませんが、ア・フュー・マンスかもしれませが、来年が大事な年だ、その前半という意味でア・フュー・マンスというふうな言い方をしたかもしれませんが、大変大事な問題を含んでいるという点はそのとおりだと私は思っております。     〔委員長退席、渡辺(喜)委員長代理着席〕
  204. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日債銀、日長銀の問題についてもこの政策の中に入っている。ということは、それが議題になったというか、話のテーマになったということで理解してよろしいですか。
  205. 越智通雄

    越智国務大臣 それはちょっと違うと思いますが、私が今日日本政府がとっております金融政策の報告を申し上げたときに、先ほど来申し上げましたように、日長銀優先交渉相手の期間がもうじき終わろうとしているので今詰めておりますということと、日債銀については応募者の締め切りと申しますか、そういうことで四社出ておりますということは触れましたけれども、向こうからそれをどうこうというコメントも、メンションとか質問も、何にもございませんでした。
  206. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 記者配付のペーパーには、越智委員長が銀行に関する残る重要課題について説明したというふうにあります。今の時点で銀行に関する残る重要課題とは、具体的に言うとどういうことでしょうか。
  207. 越智通雄

    越智国務大臣 残る重要課題という日本語の書類が出たとは思っておりませんが、コミュニケ英語で出したのが正文でございますので、ちょっと心当たりはありませんが、しかし、私どもが今持っている問題意識は今申し上げたとおりでございまして、その一つ一つについてどうこう議論をしたとか注文がついたという話ではないというのは、繰り返し申し上げているとおりであります。
  208. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 極めて抽象的な表現なんですけれども、では具体的にお伺いしますけれども、越智大臣は、記者会見で、日本金融改革の速度を落とさず一段と進めていく、こういう考えを米側に伝え、日本金融機関再編を後押しする姿勢を表明したと報道されております。  これは、従来、越智大臣が言われていたような、公的資金をてこにして無理に再編を進めるような立場はとらないんだ、そういう姿勢を変えたというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  209. 越智通雄

    越智国務大臣 それもちょっと、どちらかというと、マスコミに惑わされた御理解じゃないかと思います。  私は、就任以来、再生法と健全化法の二つの法律があるわけでございますから、その法の執行という意味では、忠実にそれをやっていくという金融政策の推進については、全く前任者と変わらないところでございまして、たまたま、一県二行にするとか国内基準行も八%にするというようなルーマーがありましたものですから、私は、これをきっぱりと否定をいたしまして、一県二行という数でそれを制限する考えはない、それから、国内基準行と国際基準行は明らかに違ってスタートしているわけでございますから、それを、国内基準行も八%の資本比率を切ったときには直ちにどうこうするという考え方はないということを申し上げました。  そのことと、今の金融改革の路線を法律の命ずるままにきちっと進めてまいりますということとは、変更でも何でもないと私は思っております。
  210. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 越智大臣は、金融再編について、「大きい銀行は片がついてきたと思うが、今後は中小の金融機関が焦点だ」、これは毎日新聞の十一月二十四日付ですが、こう報道されています。  十一月二十九日号のエコノミストのインタビューで、越智大臣は、「いま地銀は六四行、つまり一県につき一・五行くらいあるが、それを無理に減らそうという気は毛頭ない。第二地銀の方はまだ問題がある。第二地銀で自己資本比率八%を超えているのは、五九行のうち四分の一くらいだろう。」こういうふうに認識を示しておられます。  十月七日付の日経では、「六月に再生委員会が決めた基準には「自己資本比率は八%必要」とは明記されていなかったのに、いつの間にか(健全性の目安が)四%から八%に上がったとの指摘もある。もしそうなら関係業界にきちんと説明しないと駄目だ。四・一%とか低空飛行すれすれでは困るが、私は(八%の必要性について)柔軟に考えたい」、このようにおっしゃっていますよね。私は、これは一定の評価をしておるわけです。  こういう考え方は、先ほどおっしゃいましたように、アメリカに行ってこのことを説明されたのか、それともアメリカから何か言われて、これに対して若干修正されるおつもりがあるのか、その辺の基本的な考えについてお聞きをしたいと思います。
  211. 越智通雄

    越智国務大臣 私とサマーズさんの話の中で、そういう話は出ておりません。先生がお読みいただいたように、私は自分の信ずるところをこちらのマスコミにも言っておりますけれども、サマーズさんとのところでは、率直に申しまして、約四十分でございましたし、通訳を入れると半分になっちゃいますものですから、通訳を省きまして一生懸命やりましたので、今先生がおっしゃったようなポイントまでは、到底、細かいところまでいきませんでした。また、いく必要もないと私は思っておりまして、ましてそのことについて向こうから注文がついたということは、全くありません。
  212. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 越智大臣は、同じこのエコノミストのインタビューの中で、「これから問題なのは、生保より信金・信組だ。信金・信組が貸している先、つまり小規模な企業がいま一番危ない。しかも、これらの貸し出しは長期資本を入れているようなもので、すぐ返せと言ったらその瞬間にアウトになる。理屈通りの自己資本比率を要求したりしたら、大変なことになる。」こう述べておられますね。  私もそうだと思うのです。信金、信組に対しては、画一的に自己資本比率やあるいは引き当て基準で割り切ってしまうと、これはもう本当に大変なことになると思います。  そういう認識のもとで、今、信金、信組の実態に見合ったものに対応するというのは非常に大事だと思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
  213. 越智通雄

    越智国務大臣 これは私が最も今心を痛めているところでございます。  信用金庫の検査はある程度進んでおりますが、来年の六月いっぱいまでに何とか全部完了できるかと思っております。金融監督庁によります検査でございます。しかし、信用金庫は、かなり私はしっかりやっていただいているとは思いますが、まだまだ怖いところがございまして、現に、例えばこの間、宮崎で日南信用金庫がかなり上席の職員の持ち逃げと申しますか、使い込みと申しますか、二十数億で小さな信用金庫としては破綻に至ったわけでありまして、これは直ちに南郷信用金庫の方に引き取るようにいろいろな手配をいたしましたけれども、そうした問題が起こりかねません。  信用組合の方はかなりここのところで数が減ってまいりまして、金融再生委員会ではかなり多くの信用組合を他の健全な信用組合に救済合併してもらったりしながら整理してまいりましたけれども、実は、御存じのとおり、来年の三月三十一日までは都道府県の監督下にありますものですから、四月の一日に引き取った途端にばあっと三百からのものを私どもが目を通すわけにはいかないだろう。ここらは、早く言うと、貸出総額で多くて五、六百億のところでございますけれども、かなり無理に店舗展開したところもありますし、もともとが協同組合組織という論理でやっておりますものですから、株式会社とはちょっと違いまして、いろいろな点で、下手をすると、ワンマンの方が牛耳っていらっしゃるようなところが出たりしておりますと、なかなかはっきり出てまいりません。  今様で申し上げましたらトランスペアレンシーがない状態なものですから、それをどう処理していくかは、来年の金融政策としては、私は監督庁の検査も含めましてどういうふうに持っていくか、今一番心を痛めているところでありまして、そこらからお貸ししている貸出先を、今先生お読みいただきましたように、銀行から借りたら金利さえ払っていれば当分貸してもらえているんだという認識で、借りちゃったままのところもあるものですから、銀行の都合で資本比率をきつくしますと、貸し出しの制限という格好の、逆にはね返りますから、それを心配して物を申し上げている、こういう状態でございます。
  214. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 やはり大事なのは、借り手、中小企業をどう守るかということでありまして、そういう角度からぜひ対応していただきたいと思います。  次に、円高問題についてお聞きをしたいと思いますが、まず、宮澤大蔵大臣に基本的な認識をお聞きしたいわけです。  この急速な円高の経済的な背景はいろいろあると思いますが、かなり大規模な短期資本の国際的な移動というのがその背後にあると思うのですね。そういう要因というものをどのように我々は認識し対応するかが大事だと思いますが、その点について宮澤大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。
  215. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 短期資本の移動とおっしゃいましたことで最近で非常に大きな現象でありましたのは、東南アジアの為替危機が一昨年の夏に始まりました、その端緒になりました短期資金の大きな移動、それは昨年の夏にはアメリカでヘッジファンドが破産するというような事態にまで及びまして、短期資本についてのそういうスペキュラティブな動きに警戒するための措置は、IMF等々でもかなり具体的に議論をせられるようになりました。それは、特別な委員会ができまして、どういうふうに殊にヘッジファンド等に対応するかということは具体的にかなり話が検討されているものでございますから、それもありましてか、ここのところこの一、二年のような動きを聞いておりません。  したがいまして、それほどのスケールのことではないと思いますけれども、しかし、最近の為替の動きの中には、当然、短期資本の動きがございますわけですから、そういう意味での動きというのはやはり警戒しなければならないと思います。  このごろの為替、殊に我が国の円について申しますならば、我が国の景気回復がどうやら本格的なものがあるというふうに、殊に海外では多少過大に見ておるということが一つあると思いますし、もう一つは、ウォールストリートの株式がかなり高いところに行きましたので、勢い、日本の株が割安であるということから、日本株式に転ずるための円需要、いわゆる外人買いと言われるものはかなり大きくなっておりますので、そういうことも重なっておると思います。それがここへ来まして、またかなり円の上昇になっておるということと思います。  他方で、ユーロは、本日あたりほとんどドルとパーになるような状況で、連日落ちておりますけれども、これはしかし、先ほど日本銀行総裁が言われましたように、ユーロ当局はユーロが安くなるということは余り気にしていない、むしろ物価の安定が大事であるというふうなことで、したがって、この円の動きをユーロが多少、どういうふうに関係いたしますのか、ちょっと余り一緒に考えるわけにはいかないような感じでございます。  ざっと申しまして、そんなことが今の円の動きでございまして、私どもとしては、一日に円の動き幅が余り大きいというときには、これは明白に為替市場の円滑な、スムーズな動きということに反しますので、市場攪乱的と考えます場合には、その都度必要があれば介入をいたして、今日に及んでおります。  ことしの二月ごろにはかなり円は安いところにおりましたので、今百円がらみということになりますと、企業としてはかなり急激な円の上昇ということになりまして、それは企業経営にもいろいろ影響があると考えますので、余り急激な動きについては常に警戒を怠らないでおります。     〔渡辺(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
  216. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日銀総裁にお伺いしたいと思います。  この円の急騰に対して一定の介入をした後、一昨日の総裁談話で、「大量の資金を市場に残す調節を実施した。」ということを述べておられます。これは非不胎化政策をとるということを意味しているというふうに思うわけですけれども、九月二十一日の日銀の金融政策決定会合では「当面の金融政策運営に関する考え方」というものを発表されていまして、わざわざこう書いているんですね。「介入資金を放置してはどうか(いわゆる非不胎化)という議論があります。しかし、」として、既に「豊富で弾力的な資金供給を行っています。」というふうに述べておられまして、非不胎化政策は否定されていたわけですね。  マネーサプライがこれ以上拡大すると事実上インフレにつながる危険があるというのがその背後にあると思うんですが、ところが、この総裁談話では、その方針を転換するということを明確に宣言した内容になっております。日銀に問い合わせをいたしますと、非不胎化を容認するものではないというようなことも言われておるんです。どうもよくわからないわけですけれども、この方針は転換したのかしないのか、九月のこの決定を変えたのか変えていないのか、そのところを明確に答弁していただきたい。
  217. 速水優

    速水参考人 お答えいたします。  方針としては九月のときから変わっておりません。弾力的に適時適切に必要な対応をして今のゼロ金利を維持していくということを、潤沢な資金供給を続けていくということを申しております。  今おっしゃいましたところで、十二月一日の総裁談話は、「日本銀行は、介入資金も利用して豊富で弾力的な資金供給を行っており、本日も、この方法により大量の資金を市場に残す調節を実施した。」と申しました。  九月二十一日の「当面の金融政策運営に関する考え方」の中でその点はもう少し詳しく、  金融市場には、介入資金だけでなく、財政収支や銀行券需要など様々な要因を反映した資金の流れが存在しています。中央銀行は、そうした資金の流れを利用しつつ、オペレーションにより市場全体の資金量を調節しています。これは先進国の中央銀行で、ほぼ共通の枠組みです。したがって重要なことは、すべての資金の流れを勘案したうえで、金融市場に全体としてどれだけ潤沢な資金が供給されているか、ということです。この点で、日本銀行は、上述したとおり、豊富で弾力的な資金供給を行っています。こうした資金供給姿勢は、現在の政府の為替政策とも整合的なものと考えています。 これは変わっておりません。少し九月のものが詳し過ぎたのかもしれませんけれども、十二月一日に申しました最後の二行がわかりやすいかもしれません。それは変わっておりません。  ゼロ金利政策をとっている中で、不胎化か非不胎化かというようなことは議論しても何の意味もないことだと思います。要するに、潤沢な資金を毎日どうやって供給していくかということでございますので、介入で市場に入った円資金も、これは資金の流れの中の一つとして考えておるわけでございます。それを何と呼ぼうと、これは学者が勝手にお決めになることでございますので、私どもとしては特に不胎化とか非不胎化とかいうような言葉は使いたくないと申し上げた方がいいと思います。
  218. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 九月二十一日から変わっていないということでありますが、介入資金を市場に放置するということになりますと、九月二十一日で言っていたこととは少し流れが違うんじゃないか。そういう意味では、変わっていないといいながら、事実上何か基準が、歯どめが少し外れていくという感じがしますので、変わっていないというなら明確に答弁されるというふうにしていただきたいと思うんですね。  それで具体的にお伺いしますけれども、九月末にG7がありまして、速水総裁も出席されましたが、このときに、量的金融緩和の具体的な方策として、この非不胎化政策ということをアメリカから具体的な要請として出されていなかったかどうか。その点をお聞きしたいと思います。
  219. 速水優

    速水参考人 G7の会議でどこの国のだれがどう言ったかということは申し上げるわけにいきませんけれども、今おっしゃったような不胎化というようなことが議論の対象には必ずしもなっていなかったように思います。  公表されておりますコミュニケをちょっと読ませていただきます。ここに一番はっきり書いてあるように思うんですが。  日本経済は、民間需要の継続的な回復の見通しは依然として不確実であるものの、プラスの成長の兆しを示している。こうした状況の下、円高に鑑みて、日本当局は、内需主導の成長が確実なものとなるまで景気刺激策を実施し、ゼロ金利政策との関連では、デフレ懸念が払拭されるまで十分な流動性を供給する意図を改めて表明した。不良資産の償却を含めた銀行システム強化策、及び構造改革が引き続き重要である。 ということを、日本についてコミュニケに書かれたわけでございます。これを全員が合意したわけです。  それから、為替相場の方につきましては、 我々は、日本経済及び世界経済に対する円高の潜在的な影響についての日本の懸念を共有した。我々は、この潜在的な影響を考慮しつつ政策が適切に運営されるという日本当局によるインディケーションを歓迎した。我々は引き続き為替市場の動向を注視し、適切に協力していく。 ということになっております。  通貨の介入の協力という場合には、同時に為替は動くわけですから、この点はやはり相手国のそのときの状況によって協調することもあるでしょうし、できないということも十分あり得るというふうにお考えいただいて間違いないと思います。  今回の場合はちょっと、十一月二十六日、日本の金曜日の日ですが、百四円台で終わったわけですけれども、アメリカが四連休の谷間だったりして、非常に取引が少ない中で若干の思惑が出た、それで百一円台まで落ちていったというようなことがございまして、月曜日になって介入が行われたんだというふうに御理解いただければいいと思います。
  220. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 十月十三日の会合で短期国債の買い切りオペの導入を決めて、十一月から実施されたというんですけれども、何か原則がありながら、なし崩し的にそれを転換していくというようなことはやっていってはならないと思うんですね。ですから、そこのところは非常に厳しく我々注目をし、かつ発言をさせていただきたいと思うんです。  それで、宮澤大蔵大臣にお伺いしますけれども、円高・ドル安是正、こういうことであれば、日本の場合の介入、あるいは日本の側のさまざまな措置というのがあると思うんですが、同時に、アメリカ当局にも具体的な対応、長期的にはドル価値の安定という点を要求すべきだと思うんですけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  221. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そこは、世界的に通貨が大きく変わりますことは、我が国にとってもアメリカにとってもユーロにとっても共通の利害でございますから、そういう場合にはもとより話し合いまして、いろいろ共同動作をとるということはG7のたびに合意をしていることでございます。  ただ、その時々で、例えば円が、あるいはユーロが、あるいはドルがというような場合に、何も大げさにお互いが協調介入に合意をしなければならないことはない。殊にアメリカの立場でいいますと、貿易赤字が非常に大きいわけでございますから、このことはいつまでも本当は続けていくわけにはいかない。ことしももう三千億ドルになると言われておるわけでございますから、そういう意味では、自分の国の通貨というものについては非常に神経質で、ドルが安くなることは決してアメリカにとっての利益でないと考えていることは、そこまでは原則として確かですけれども、しかし、幸か不幸か、アメリカの景気が非常に好調を続けておりますから、多少の貿易赤字の増大というものは、国内の景気の維持ということからも、いわば長い目で見ればよくないことだが、短い期間でいえば好景気を維持させておるという要因ではあるものですから、なかなか原理的に動けないことがある。また、選挙になるということがございまして、ですから、理屈で言えば常に協調という合意ができそうなものですけれども、なかなかそうばかりもいかない。  ですから、余り大きくない介入はこちらの責任、こちらの考え方でやることも場合によってやむを得ないというぐらいに私としては考えていまして、もっとも、もとより全体の大きな変動に転換しそうなときには時を移さず共同動作をとることは、基本的には合意いたしております。
  222. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 次に、国際的な投機活動の問題についてお聞きをしたい。  一昨年のアジア通貨危機の問題では、先ほどもお触れになりましたが、大変大きな影響を国際的に及ぼしました。その後、ロシア、中南米に波及して、昨年の九月には、アメリカのヘッジファンド、LTCMの破綻に至ったわけであります。短期資本の移動というのが大変大きなリスクをもたらすということが、これによって証明されたわけです。  途上国だけではなくて、これは先進国にとっても非常に重要な問題であります。まず、その前提として指摘しなければならないのは、基軸通貨国であるアメリカが戦後進めてきたドルの国際的ないわばばらまきといいますか、言葉は悪いですけれども、そういう政策によって世界じゅうにドル資産の莫大な累積が進んでいく。このことによって、ドルがいわば有利な取引先を求めて世界を徘回するといいますか、そういう状況を生み出しているのではないか。まさに世界的なある意味では過剰流動性、その発生が根本的な背後にあるのではないかと思います。  さらに、その上に金融の自由化あるいは規制緩和というのが加わりまして、この短期資本の移動というのは非常に大規模なものになった。また、非常に素早くなった。貿易量の約四十倍というような為替取引が行われている、通貨取引が行われている、こういうことが各国の実体経済に攪乱を起こす。経済のファンダメンタルズに大きな変化がなくても、国際的な短期資本の移動によって経済全体に大きなマイナスをもたらす、こういう状況になっているのではないか。  宮澤大蔵大臣にお聞きしたいわけですけれども、このような短期資本の大量な移動、こういうものが発生した原因、そしてまたそれがもたらすリスク、どのようにこれを認識されているのか、お伺いしたいと思います。
  223. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは私程度では十分お答えし切れない問題であるのですが、少なくとも実際に起こりましたことについて言えば、一昨年の夏、東南アジアに起こりました為替変動、これは幾つかの国を非常に経済的な苦境に陥れた結果になったわけですが、そのことが少なくとも短期資本の過剰な動きによって火をつけられたということはほとんど常識的な解釈になりました結果として、IMFはこれについてはかなりはっきり反応をいたしました。  その結果として、今まで決まり行われ始めましたことは、ヘッジファンドそのものを禁止するということにはなかなかなってまいりませんが、ヘッジファンドに対して金融機関が金を貸すことについてはかなり厳しく報告を求め、そうして、場合によってはそれについて再考を促すという、その金融機関のところまで影響を及ぼすということは合意ができまして、行われるようになりました。したがいましてかどうか、その結果も多少はあるとは少なくとも思いますが、その後、昨年のような大きなヘッジファンドの動きはございません。  本当は、もう少し進んで、ヘッジファンドそのものにメスを入れられないかと考えている人はかなりございますけれども、ヘッジファンドそのものが、いわばある意味で国境のないと申しますか、コアのない種類のクラブみたいな動きであるものですから、それに対して法律的な制限を課することがなかなかできないという問題にぶつかっておりまして、ヘッジファンドに対して外から金融をする、あるいは銀行が一緒に動くというようなことは、ともかくかなり抑えられるようになった。なお、これからもっと有効な策があるかどうかを委員会をつくって検討しているというのが現在であると思います。  したがいまして、御質問にはなかなか上手に答えられません。もし短期資本の移動というものを、何か大きくブレーキをかけますと、恐らくそれはメリットとデメリットの間の関係はなかなか簡単に論じられないだろう。少なくとも長期資本の移動というものはなるべく自由にした方がいいということにはコンセンサスがありますから、その短期と長期の分かれのところで、すぐに問題は難しいところへぶつかってしまうと思いますので、なかなか短期資本の移動そのものを制限しようという動きにはなっていない。ヘッジファンドのところまでは行きました。その辺のところに今我々はおるわけでして、ドルの優勢というのは今後もしばらく続くでございましょう。そうして、金を持っている人は金でもうけるというのはやはり当たり前でございましょうから、それが現に、ある学者の申しますように、一国の死命を制する、そういうような動きをすることにだまっているわけにはいかないではないかといったような、片っ方ではそういう議論がかなり優勢になってきているということから、ある程度の自粛が行われるというぐらいのところではないかと。それだけでもしかし、かなり変わってきたというふうに私は思っております。
  224. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 この後でいろいろ議論しようと思ったことを大分前倒しでお答えになったのですけれども、では、具体的にお聞きをしていきます。  一昨年のアジア通貨危機の際は、五月のタイ・バーツに対する投機的な売り浴びせがあって、七月にはフィリピン、マレーシア、インドネシアに波及して、十月下旬には台湾、香港、十一月に韓国と、本当にアジアを席巻するような極めて重大な事態になったわけであります。その結果、アジア諸国は為替レートが大幅に引き下げられる。主要国で採用されてきた米ドルとのペッグ制が崩壊をする。この通貨危機はアジア経済の実体経済に大変大きな影響を与えました。大幅な経済成長のマイナスを記録し、かつ失業者が大変ふえました。振り返ってみますと、これらのアジアの国々、それぞれの経済力というのは非常にまだ小さいわけですけれども、その国の資本の自由化の進め方、自由化のあり方がどうだったかということも改めて問われると思うんです。  九〇年代に入って、これらの国々に対して大量の過剰ドルが流入する。経済構造にももちろん弱点があると思うんです、それぞれの国には。そういうところに集中して入り込みました。韓国、タイ、インドネシアなどが、九三年からこの流入が非常に急増する。結果としてその後大量の流出が始まるという形で、通貨・経済危機が非常に大きな規模に広がったわけですね。  このアジア通貨危機の教訓の一つは、国内の体制、国内の金融システム、これが十分整っていないのに資本の自由化をどんどんどんどん進めるということによって混乱がもたらされたのではないか、こういうふうに思うわけですが、経済力の弱い途上国の資本の自由化の進め方について、大蔵大臣はどのような見解をお持ちでしょうか。
  225. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 確かに、今おっしゃいましたようなことが現実に起こりました。バンコックの町で、もう自動車が動けないほど繁栄して、アパートメントがたくさん立ち並びましたことをお互い過去のこととしてよく記憶しておりますが、あれは海外から入った金が不動産投資に向けられた、入った金が短期の金であったにもかかわらず、それが長期の投資に向けられた、そこに問題があったわけで、したがいまして、引き揚げるとなると、もう全くああいう倒産が続いてしまったということでございますから、そこで考えられることは、短期の金はやはり短期に運用されなければならない、長期のものは長期に運用してよろしい、その間の金の仕分けが全く行われていなかった。その間に銀行が入っていなかったとおっしゃるのも本当だと思うんですが、金が入ることが悪いということは、これは簡単に言えないことですから、短期のものは短期、長期のものは長期というふうにはっきり分けて運用されて、しかもそのことを政府当局が知っている、少なくとも知っていなければならないということではないか。インドネシアの場合には、知らなかった、金額すらわからなかった、民間へ入っちゃった、こうなりますと、後の処理がつきませんから。  それで、これらの国の、今度の出来事の後の反省は、先進国側でスペキュラティブなヘッジファンドのようなことについての反省があることを申し上げましたが、受け入れ側の反省は、少なくとも出し入れについて当局がそれを見ていること、そうして長短が混乱しないこと、もう一つは、国によって違いますが、そういう金が入りましたのは、為替が変動しない、入った金が為替損を受けずに外へ出られるということでありましたのですから、そういう制度は、恐らく、例えばバーツをドルだけにペッグをしておったというところで、ドルが変わればバーツは落ちる、それを複数の通貨にペッグをしておけば、そういう問題は解決できたのではないか。  もう一遍申しますと、金が入るということはこれは悪いとは言えない、しかし、それについて政府当局がはっきり見ていること、長短が分けられること、及びペッグの方法について将来考えることがあるのではないか、大体そのぐらいに分けられるのではないかと思います。
  226. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 金が入ることは悪くないと。ただ、その際に、宮澤大臣の昨年の十二月十五日、日本外国特派員協会でのスピーチを読ませていただきました。  「新しい国際金融システムに向けて」、この中で「自由化が強固な金融セクターや高い能力を有する監督システム等の一定の適切な条件が存在する場合に実施されるということが必要不可欠であります。」こうお述べになって、「更に、資本自由化はよく順序だった方法で進めるべきです。」つまり、金の入る際の入り方、この点でのルールというのが大変重要だというふうにおっしゃっています。私もこれは大変重要な指摘だと思います。  そこで、もう少し視野を広げて、短期資本全体の移動をどのようにモニタリングするかということが大変大切だと思うわけであります。資本自由化が進みますと、どうしても、資本取引に関するデータというのはなかなか収集しにくくなる。この点をどう打開するかということが重要だと思うわけですね。この点は大臣はどのように打開すべきというふうにお考えでしょうか。
  227. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 少なくとも、そういう動きを、金をキャッチし、集計し、そしてタブレーションすることは、今のこういう技術が進みますと、わけないことでございますから、問題は各国にそういうオーソリティーがいて、それが中央銀行でも政府でもいいのですが、それがそういうチェックをして、常に現状を知っておるということは、そのつもりであればできるわけでございますから、今度は行政がみんなそういう方に向かい出したということから、少なくともトランスパレントになると申しますか、具体的なデータはわかっている状況をつくり出すことが大事ではないかと思うんです。
  228. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 そういう点で、金融機関及び企業のいずれについても報告義務というものを必要に応じて強化するということが大事だと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  229. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そのとおりと思いますし、しかもそれを各国が公表するということが大事と思います。
  230. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 アジア通貨危機の教訓から、途上国にとっては手に負えないような短期大量の資本の流出、流入、これを何とかコントロールしたいというふうに考えるのは、これは当然だと思うのですね。途上国が一国の経済を攪乱されるような大量のそういう資本流入、流出を規制する、こういう制度をつくること、このことは正当化されるべきだというふうに思いますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。
  231. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、ヘッジファンドの規制につきましては、先進国側にも反省があることを申し上げました。しかし、長期的な資本につきましては、これは、個人によるものであれ国によるものであれ、これはお互いに相談ずくでいくことでございますから、やはり発展途上国の方に長期資本が流れていくことは、基本的には私は望ましいことだと思います。短期資本にしましても、はっきりわかったものが、しかも政府がその実態を知っている形で入ることは、私なんかの気持ちで申しますと、やはりそれは大事なことだ。行き過ぎますと、おっしゃいますような事態を一昨年のように招きますから、その辺についての用心は必要ですけれども、やはり発展途上国として、金が入ってこないようではやはりなかなか栄えないと思うのでございますね。  ですから、そうなってしまったのではこれまた何にもなりませんので、やはり金は入っていく、そういう道はつくってやらないと、また、金が入っていくようにしてやるということは、またその国の繁栄のために基本的に私は大事だというふうに思います。
  232. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 入っていく道を我々はふさぐということを言っているわけじゃありません。問題は、攪乱的な資本流入ですね。これを防ぐために、一定の市場調和的な規制といいますか、そういうことを維持するということは、これは正当化されるのじゃないか、このことをお聞きしているわけですが、いかがでしょうか。
  233. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そのことは、直接の統制によるのではなくて、各国が自分の姿を、為替関連の姿をトランスパレントにしておくということを義務づける、そういう意味での配慮が入り用なのではないかと思います。
  234. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 この短期的な資本移動の中で大変重要な、先ほどから御指摘のあるヘッジファンドの問題でありますが、このヘッジファンドというのは、監督機関から規制を受けない、あるいはBISの自己資本比率規制などの適用も受けない、そのために大変巨額の資金を大量に運用するということが可能になって、一度損失が生まれると大量の損失がもちろん出るという大変危険なものでありますけれども、大蔵省の「ファイナンス」の七月号に国際局国際機構課長が「ヘッジファンドと国際金融市場」という論文を書かれておりまして、これはなかなか興味深く読ませていただきました。  溝口国際局長にお聞きしたいのですけれども、大蔵省の担当者として、このヘッジファンドというものをどういう特徴を持ったものとして把握されているのか、その点、まずお聞きしたいと思います。
  235. 溝口善兵衛

    ○溝口政府参考人 ヘッジファンドにつきましては、米国政府あるいはバーゼルの銀行監督委員会等が、実態を調べたり、どういう規制が必要かというような報告書を出しておりまして、そういう中で特徴づけがなされているわけでございます。  例えば、ことしの一月に出されましたバーゼル銀行監督委員会の報告によりますと、大体三つぐらいございまして、一つは、ヘッジファンドの場合は規制、監督が限定的なものにとどまっている。その理由は、ヘッジファンドの設立の形態がリミテッドパートナーシップというようなことで、投資家は機関投資家でありますとかあるいは非常に専門的な知識を持った個人であるということで、ヘッジファンドが発行する証券も私募というような形で行われているということが影響しておると言われております。これが第一でございます。  第二は、ディスクロージャーがそういうことで一般的に義務づけられておらないわけでございます。また、ヘッジファンドの多くはオフショアで設立をされていたりしまして、そのことからもディスクロージャーがないとか、あるいは格付もない。これは、一般の大衆を相手にした投資基金じゃないものでございますから、そういうことになっているわけでございます。  それから三番目は、資本投資家から集めまして、その資本を何倍にもして運用するということでございます。そういう意味でレバレッジが高いと言っておりますけれども、これが三番目の特徴でございます。
  236. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今、三つの特徴を挙げられました。これは、バーゼルの監督委員会の指摘でもそのとおりであります。  そこで、ヘッジファンドの数それから規模、これはどの程度のものなのか。それから、急速にこれが大きくなってきているのじゃないかと思いますが、その拡大のテンポ、これはどの程度なのか、示していただきたい。
  237. 溝口善兵衛

    ○溝口政府参考人 これも情報がいろいろあるわけでございまして、定義がはっきりしないということでございますので、幾つかございます。  一つは、リー・サックスさんという方が推計をされた一九九七年末の数字でございますが、それによりますと、ヘッジファンドの数が世界で約三千五百、それから資金が、運用資産、アセットでございますが、大体二千億から三千億ドル、こう言われております。それから、最近発表されたものにバン・ヘッジファンド・アドバイザー・インターナショナルという調査機関がございますが、それによりますと、九八年末で五千八百三十機関、約三千百十億ドルというようなことでございます。  どのようにふえてきたかということでございますが、バン・ヘッジファンド・アドバイザー社の調査によりますと、一九九〇年に数は千九百七十七でございますが、これが一九九八年末には五千八百三十になっております。資産の規模につきましては、一九九〇年末に六百七十億ドルでございましたものが、九八年末には先ほど申し上げましたように三千百十億ドルというふうに推計されているわけでございます。
  238. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 急速にこれが巨大化しているということであります。しかも、国際金融情報センターのファイナンシャルレビューという雑誌を見ますと、世界のヘッジファンドの五二%、半分以上がLTCM、タイガー・ファンド、ソロス・ファンドのたった三社で占められているというように指摘をされておりまして、大変独占的な集中度が高い。  溝口国際局長にお聞きしますけれども、大体こういう集中度を持っているかどうか。
  239. 溝口善兵衛

    ○溝口政府参考人 各ヘッジファンドが公式に公表しているわけでございませんで、いろいろな雑誌だとか調査会社などが推計しているものが出ているわけでございまして、そういう意味で正確な数字かどうかはわかりませんが、一つには、浜田和幸さんという方が、文春文庫で、ごく最近でございますけれども、「ヘッジファンド」という本を出しておられます。  それによりますと、最も大きいのがジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンド等でございまして、これが百七十億ドルと書かれております。二番目がジュリアン・ロバートソン氏のファンドでございまして、これはタイガー・ファンドとかいろいろあるようでございますが、合わせて百五十億ドルぐらい。それから、ルイス・ベーコンさんという方の、ムーア・キャピタル・マネジメントと言われているようですが、そのファンドが八十億ドルぐらい。合わせて四百億ドルぐらいでございます。  先ほど、全体が三千億ドル強と申し上げましたので、その一割を超える額ではないかというふうに見られておる、推計をされているということでございます。私どもの方でこれが正しいかどうか確認する手だてはちょっとございません。
  240. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 ヘッジファンドは、活動の中身が非常にわかりにくい。つまり、情報が公開されておりませんので、直接このディスクロージャーを求めるということも非常に重要だと思うんですね。  それで、最後に宮澤大蔵大臣にお聞きしますけれども、これに対する規制、ヘッジファンドと取引、融資関係を持っている銀行の、いわばリスク管理の徹底ですとか、あるいは情報の公開、こういう点が一定のところまで進んでいるけれども、同時に、直接的アプローチというんですか、ヘッジファンド自体に対して、設立、運用の実態、それから、そういう意味でのディスクローズ、これを求めていくということが必要だと思いますけれども、その点は具体的に今後、どういう場でどのように議論され実行に移されていくのか、その見通しについてお伺いしたいと思います。
  241. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 銀行には法人格もございますし、業務の届け出もございますから、銀行に対してどのヘッジファンドに幾ら金を貸したというようなことをディスクローズさせることは、これは国の権力の範囲のことでございます。それについては、決心をすればできるということで、そこまでは話はほぼ進んだと思いますが、ヘッジファンドは、今の溝口政府参考人説明のように、そういう幾つかの親分衆があるんですが、しかし、本質的には、例えば十人ぐらいの金持ちが、一人千万ドルぐらいずつ出し合って、そして一緒にやろうと言えばいつでもそういうクラブ類似のものができるわけでございますから、言ってみればそのものに法人格がない。個人個人の、恐らく個人の所得税とかなんとかいうものは利得があればつかまえられると思いますけれども、経済活動には法人格がありませんから、だれに対して何を命令するのかということすら実はできない。  ある意味で、市場経済の一番いいと申しますか、悪いと申しますか、一番自由な形のものでありますだけに、それをとらえる方法が難しいというところで、それをよしとする人とよからずとする人いろいろありましょうが、方法論がうまくつかまえられてこないというのが私は今のことだろうと思います。  ですから、その中には、いや、そういうものはほっておいた方がいいと言う人もいるかもしれないんですが、何かしようとしてもうまくつかまえられない、ちょっともう一工夫ないと、なかなか話は先に進みそうもないような様子でございます。
  242. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
  243. 金子一義

    金子委員長 次回は、来る七日金曜日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会し、日銀報告・質疑の後、厚生委員会を確認し、国家公務員共済組合法改正案の採決を行い、本会議へ緊急上程を申し出ることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十三分散会