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戸井田委員 働いてきて、そして定年になってということですから、
貯蓄が多くて当たり前だと思うんですね。しかし、
自分たちは幾つまで生きていくのか、だれもわからない。ある人は百歳までいくかもわからない、またある人はもっと長生きしたかったと思っても途中で逝かれることもあるだろう。そういうことを
考えて、やはりみんな
老後のために
貯蓄をしている。さらに、よく笑い話のようにして言われるわけですけれども、きんさんぎんさんが、
出演料をもらったらどうしますかと聞かれたら、
老後のために
貯蓄をしておく。百歳を超えた人でもそういうふうに思うわけであります。そうすると、いつまでたっても、
お金があるのかというと、ない、限られた中でもってそれをどううまく使っていくかという
意識は、当然年配の人の中には働いていくんだろうと思うわけですね。
しかし、そういったものを払拭するものがまさに
年金であって、生きている限り間違いなしに
自分たちが
生活していくだけの
年金がもらえるということであれば、それほど安心なことはないんじゃないかなと。
そして、皆
年金から丸々四十年を過ぎたこれからというのは、まさにその
年金制度が充実していくんだ。そして一番心配なのは、それを支えるだけの
制度になり得るかどうかということを
考えると、
少子化の問題が一番の大きな問題だ。その
少子化も、どういうふうにしたら
子供を産みやすい
状態になっていくのか、そういうことをまさに国家を挙げて真剣に
考えている時期なのかなと。
しかし、いろいろな話によりますと、
子供を産みやすい
システムというのは何なんだろうか。
実際に
子供を持つ親の立場として
考えていったときに、
子供が産まれたら、やはり今の
時代、
大学までしっかり出してやりたいというのが親の
気持ちだろうというふうに思うわけですね。しかし、その
大学を出すのに、
一説には二千六百万円、
小学校時代から
教育費にかかってくる。二人産むということになると五千二百万円という
数字が上がってくる。普通の人であれば、その
数字を
考えたときに、三人以上の
子供が
自分に育てられるだろうか、三人以上
大学まで出すことができるだろうか、そういうふうに思うと思うんですね。
現実に、
大学に
進学、それも四年制の
大学に
進学するのがどれくらいあるかというと、三三%というものを聞いております。そして短大以上で四八%だ。さらに
専門学校を含めると、
高校を卒業してまだ勉強しようという人が七割、八割ということを聞くわけですね。
そういうことを
考えてみると、
教育費というのはばかにならないのではないかな、将来
子供を産んでも安心して育てられるというか、
子供をある一定の年限まで育てたら、そこから先は
子供自身が
社会の
制度を利用しながら
自分で
自分の
人生を切り開いていける、そういう
制度をつくっていくことがある
意味でこの
年金制度を支えていくために一番重要なポイントではないかな、私はそういうふうに思うわけであります。
そして、その中でもって、では
子供を産みやすい
システムというのはどういうことなんだということは、要するに
子供をいかに早く
自立させるかということだろうと思うわけであります。
戦前は、
子供が
自立ということはどういうことかというと、たくさん
子供を産んで、そして全員がすぐ食べさせられるかといったらそうじゃない。
小学校を出たらそのままどこかへ
でっち奉公に行かせたり、徒弟に入ったり、そういうことをさせていた。そこで別に
給料を得るわけではない。飯を食わせてもらう、そして手に職をつけさせてもらう。そういうことが、言ってみれば
戦前の
日本の
社会の
自立だったように思うわけであります。
ところが、戦後はどういうふうになっているかというと、
高校の
進学率が九七、八%ということが言われている。そしてさらに、この間の東京都の
調査によると、
高校を卒業して働く
人間というのはどれだけいるかといったら、一割いるかいないかだというようなデータも出ている。そういうことを
考えていくと、まさに
高齢化の中でもって
子供を
自立させるということは大変なことなんだなと。
一方で、できるだけ
子供には
大学まで
進学させたいという
気持ちがあるわけですから、それぞれが一生懸命働いて、さっき言った一千二百兆だか一千三百兆だかの
預貯金のうち六割が六十五歳以上であれば、それ以下の
人たちの中でもって何を
目的に
貯金しているのだということをアンケートをとっていくと、およそ半分近くの
人たちが
子供の
教育費ということを挙げるわけですね。
そうすると、その
教育費が親の
手元から全部出ていくんだということを
考えると、この親の
手元から出ていく
教育費を
子供の
長期ローンに置きかえてやることによって親の
生活は一気に楽になってくるし、同時に
老後のための準備もしやすくなってくる。
一番
お金がかかるのはまさに
大学時代だということを
考えていくと、その
大学進学にかかる
お金というものを、もう十八歳を超えるわけですから、
子供自身が国の
制度からそういう
お金を都合してきて、
自分が働き始めてから将来
長期ローンで返済していく。そういう
システムをつくり上げる、準備することによって、
子供も親も
自立できるのではないか。
子供が
自立すれば親が
自立できる、親が
自立できればそのまた親も
自立できる。そうすると、生涯
自立システムというのが基本的にでき上がってくるような気がするわけですね。
そうすると、
年金の
積立金を使えということを前回申し上げましたら、
大臣はそれは難しいということを言われました。しかし、
年金の
お金のうち、グリーンピアであるとか、ああいうものに今まで使ってきた経緯があるわけであります。そうした建物に使えるのであれば、その
お金も聞くところによりますと一千億を超えるような
規模の金額だった、そういうものを毎年
奨学金の方に回すことも可能なのではないかなというふうに思うのですね。
昨年、文部省の方にきぼう21という
育英財団の
奨学金制度の中でもって財投の
お金を回す
制度があるわけですけれども、その枠が一千億ふえました。それでたしか十万人の
奨学金受給者をふやすことができたと思うのですね。そうすると、一千億の
規模の
お金というのはそういう
意味で大変大きな力があるんじゃないかなと。そして、毎年毎年そういうものを上乗せしていけるようであれば、まさにその
制度に近づいていくんじゃないかなと私は思うわけであります。
一人で長いことしゃべって、もう時間もなくなってきたわけですけれども、
政務次官に、今私が申し上げた話というものに対して、御感想で結構であります、どう思うか、一言お聞かせいただきたい。