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1999-11-26 第146回国会 衆議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月二十六日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 井奥 貞雄君    理事 伊藤 公介君 理事 河野 太郎君    理事 鈴木 宗男君 理事 森山 眞弓君    理事 玄葉光一郎君 理事 藤田 幸久君    理事 赤松 正雄君 理事 西田  猛君       飯島 忠義君    小川  元君       嘉数 知賢君    川崎 二郎君       木村  勉君    阪上 善秀君       櫻内 義雄君    戸井田 徹君       山口 泰明君    上原 康助君       坂口  力君    山中あき子君       東  祥三君    井上 一成君       古堅 実吉君    松本 善明君       伊藤  茂君     …………………………………    外務大臣         河野 洋平君    外務政務次官       東  祥三君    農林水産政務次官     金田 勝年君    政府参考人    (外務大臣官房審議官)  小松 一郎君    外務委員会専門員     黒川 祐次君     ————————————— 十一月二十四日  千九百九十九年の食糧援助規約締結について承認を求めるの件(条約第一号)(参議院送付)  千九百九十九年七月二十一日に国際コーヒー理事会決議によって承認された千九百九十四年の国際コーヒー協定有効期間延長受諾について承認を求めるの件(条約第二号)(参議院送付) 同月二十六日  核兵器完全禁止核廃絶国際条約締結に関する請願(中西績介紹介)(第一八一号)  同(畠山健治郎紹介)(第一八二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  千九百九十九年の食糧援助規約締結について承認を求めるの件(条約第一号)(参議院送付)  千九百九十九年七月二十一日に国際コーヒー理事会決議によって承認された千九百九十四年の国際コーヒー協定有効期間延長受諾について承認を求めるの件(条約第二号)(参議院送付)     午前十時開議      ————◇—————
  2. 井奥貞雄

    井奥委員長 これより会議を開きます。  千九百九十九年の食糧援助規約締結について承認を求めるの件及び千九百九十九年七月二十一日に国際コーヒー理事会決議によって承認された千九百九十四年の国際コーヒー協定有効期間延長受諾について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  政府から順次提案理由説明を聴取いたします。外務大臣河野洋平君。     —————————————  千九百九十九年の食糧援助規約締結について承認を求めるの件  千九百九十九年七月二十一日に国際コーヒー理事会決議によって承認された千九百九十四年の国際コーヒー協定有効期間延長受諾について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 河野洋平

    河野国務大臣 ただいま議題となりました千九百九十九年の食糧援助規約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この規約は、本年六月三十日に失効いたしました千九百九十五年の食糧援助規約にかわるものとして、本年四月にロンドンで開催された国際会議において作成されたものであります。  この規約は、世界食糧安全保障に貢献すること及び開発途上国食糧上の必要性に対応するための国際社会の能力を改善することを目的とするものであります。  我が国は、食糧援助規約を従来から締結してきており、我が国がこの規約締結することは、開発途上国における食糧不足を緩和するための国際協力に貢献するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この規約締結について御承認を求める次第であります。  次に、千九百九十九年七月二十一日に国際コーヒー理事会決議によって承認された千九百九十四年の国際コーヒー協定有効期間延長受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この延長は、本年七月二十一日にロンドンで開催された国際コーヒー理事会において決議されたものであります。  この延長は、コーヒーに関する国際協力を継続するとともに、国際コーヒー理事会における新たな協定の交渉のために時間的余裕を与えることを主たる目的とするものであります。  我が国がこの延長受諾することは、コーヒー安定的輸入の確保に資すること、開発途上にあるコーヒー生産国経済発展に引き続き協力すること等の見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この延長受諾について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
  4. 井奥貞雄

    井奥委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 井奥貞雄

    井奥委員長 この際、お諮りをいたします。  両件審査のため、本日、政府参考人として、委員川内博史君の質疑に際し、外務大臣官房審議官小松一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 井奥貞雄

    井奥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 井奥貞雄

    井奥委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玄葉光一郎君。
  8. 玄葉光一郎

    玄葉委員 御指名をいただきました民主党の玄葉光一郎です。食糧援助規約コーヒー協定について質問をさせていただきます。特に、日本政府米が適正な備蓄を超える中での日本食糧援助のあり方ということについてお尋ねをしたい、そう思っております。  我々、選挙区あるいは選挙区外であっても、特に農家方々中心にこういう疑問が時々寄せられます。つまり世界では多くの人たちが飢えている、また栄養不足に悩んでいる人たちが多い、一方我が国ではお米が余っているではないか、余っているのならそのお米を送ってあげればよいではないか、そういう素朴な疑問を耳にすることが多々ございます。  きょうは、食糧援助規約でありますから、まさに直接この問題に関連をいたしますので、この問いを発することで、またこの場で、若干ではあるかもしれませんけれども議論をすることでその問いに答えていければ、そう考えております。  まず、今私が疑問の声を聞くと申し上げた点、つまり、確かに世界には栄養不足で悩む人たちが約八億人ぐらいいるというふうに言われております。一方で、今我が国の適正な食糧備蓄、米の備蓄というのは百五十万トンだというふうに言われています。しかし、現在約三百五十万トンあるというふうに言われているわけであります。つまり、二百万トンは過剰である。  そういう状況の中で、日本の米、政府米国産米ミニマムアクセス米を問わず、それを援助対象品目にして送ってあげたらどうか、そういう声があるわけでありますが、その声に対して、わかりやすいお答え、説明をぜひいただきたいと思います。
  9. 河野洋平

    河野国務大臣 玄葉議員お話しのように、この地球上には食糧不足で悩む人たちが大変多くいる。その数八億人とも言われているわけですが、その八億人の人たちがいる状況の中で、一方には余剰米を抱えている国もあるではないかという御質問でございます。  どういうふうに申し上げていいか、ちょっと言い方に悩むのでございますが、食糧生産してその食糧を売ることによってその国の財政を支えているという国も一方あるということもまた考えなければならないと思います。  具体的な例示は避けたいと思いますけれども、例えば、米をたくさんつくることによってその米を輸出する、米を売ることによってその国の財政を賄っているという国があるといたします。一方で、余剰米があるので、米が足らないと言っている国に余剰米を無料で差し上げてしまえばいいという理屈があるとして、ただで米をそこへ差し上げるということになると、米をつくって売ることによって財政を賄っている国は、その分だけ顧客を失うということにもなりかねないわけですね。  もちろん、買う金もない、本当に貧困な状況の中で食糧を求めているという状況であればまた話は別だと思いますけれども、一般的に言いまして、食糧マーケットというものが、例えば米を例にとりますと、米のマーケットは必ずしも大きなマーケットではない。その大きなマーケットでないところに、ある国からどっと米が無償でどこかの国に援助されるということになると、そのマーケット価格は相当下がってしまうということもあり得ると思うんですね。そうなると、米の生産によって財政を支えている国は見込みが大変狂ってしまうという状況もあるということなどもありまして、国際社会食糧援助規約というルールをつくって、そのルールの中で食糧援助をしていくべきだということを考えたわけでございます。  我が国といたしましても、その食糧援助規約に基づいて食糧援助はするということが行われてきているということを御理解いただきたいと思います。
  10. 玄葉光一郎

    玄葉委員 例えば、この食糧援助規約中身考えてみますと、大体我が国は、小麦換算で三十万トンの穀物またはその買い付けのための資金を供与するということになっているわけであります。その中身を、先ほどの農家方々の声を代弁する形であえて申し上げれば、だったら、食糧援助規約で我々が援助をしなければならないと定められている三十万トンの食糧については、日本のお米あるいはミニマムアクセス米を使ったらどうか、そういう声になるんだろう、そう思うわけでありますが、この点についてはいかがお考えになられますか。
  11. 河野洋平

    河野国務大臣 私、一般論といいますか、まず基本的な考え方を申し上げたわけでございまして、具体的に申し上げれば、今玄葉議員が御指摘のとおり、我が国には食糧援助規約によりまして三十万トンの食糧援助というルールが適用されているわけでございますが、年間三十万トン以上の食糧援助を行ってきている我が国は、その中で約十五万トンを政府米を使うという状況になっております。  また、これは異例なことでございますけれども、大規模、かつ国際機関による緊急アピールというものがなされたときには、そのほかに相当数食糧支援を行うという例がございます。昨年、インドネシアに対しまして七十万トンの食糧支援を行ったというケースがございます。これは、政府米の貸し付けによります緊急食糧支援という仕組みを使って行ったというふうに承知をしております。
  12. 玄葉光一郎

    玄葉委員 そうすると、最初の話にある意味で戻るわけでありますけれども、例えば、今三十万トンの小麦換算食糧援助する、その中で、今の答弁だと十五万トンはお米にしているんだ。仮に、あえて議論のために申し上げれば、それを全部お米にしていく、三十万トンを日本国産米かあるいはミニマムアクセス米にしていくということについてはどんなふうにお考えになられますか。そのときの問題点というのは、最初の話に戻りますけれども、いや、米の輸出国の立場がある、したがって余り米を出すことはいかがなものかということだけで、そういうことが問題なのかどうなのか。  いや、私、今のお話だけでは、例えば、最初に申し上げた農家人たち中心にこういう問題に関心がある方々が、だったら、米は余っているんだから、米を援助したらどうだ、わざわざ資金を供与してどこかから小麦を買い付けるとかトウモロコシを買い付けるとかというんじゃなくて、日本のお米を買ってもらったらどうだ、あるいはミニマムアクセス米を買ってもらったらどうだということに対して、なかなか説得力のある説明ができないんですね。それをどういうふうに説明されるかということであります。
  13. 河野洋平

    河野国務大臣 考え方でございますけれども、食糧を求めている世界の幾つかの国に対して、日本は米が余っているんだから米を出したらいいじゃないかというのは、非常に素朴なお考えとして理解できます。  しかし、食糧を求めている国の人たちも、米を主食としている国であるかどうかということはまた別なんですね。食糧援助対象になっている国の中で、私の記憶が正確であれば、八五%は小麦とかトウモロコシとか他の穀類を援助するということになっていて、米を援助しているケースというのは、たしかその残りの、つまり一五%程度の数字だったと私記憶しておりますが、必ずしも、つまり米が余っているから米をやればいいではないかというほど単純なものではない。やはり、食糧を求めておられる方々主食といいますか、食べておられるものは一体どういうものを求めておられるのかということを考えれば、必ずしも、米が余っているから米を出せばそれでいいんだというほど簡単ではない。  したがって、相手によって米を出すこともありますし、相手によって資金を出すことによってその資金小麦を買い入れてそこへ持っていくというケースもあるということになっておると御理解をいただきたい。
  14. 玄葉光一郎

    玄葉委員 今の点は一つの大事な要因だと思うんですね。つまり受益国相手国が何を食べるのか、米じゃなかったらどうするんだ、そういうことは一つ説明なんだろうというふうに思います。  もう一つは、恐らく財政負担の問題というのが出てくるんだろうと思います。よく食糧庁なんかと議論をすると、私は一期目のときに農林水産委員会にいたんでありますけれども、食管の赤字がふえていくんだ、内外価格差があるものだから、そういうことであります。しかし、よくよく考えると、保管料なんというのは大変ばかにならない額に実はなっています。何年も売れ残ったり、あるいは結果として売れ残って、売れなくて飼料用にその米が売買されるということになると、金額的にどっちが得か、そういう議論になってしまうぐらいのばかにならない経費が実はあるということも見逃せない事実なのかな、そう思っています。  もう一つだけお尋ねをしたいと思いますが、例えば、今回のこの食糧援助規約で定められているような援助を行う。去年は、先ほどから申し上げておりますように、三十万トンの小麦換算ということで、結果として、十五万トンの政府米、そして小麦十八万トン、トウモロコシ四万トンを買っていただいたということになっているわけでありますけれども、その政府米十五万トンのうち、国産米ミニマムアクセス米かというのは、これは一つの論点だと実は思います。  つまりミニマムアクセス米は、残念ながら、国内の競争にまさにさらさなければいけないんでありますが、さらしている結果売れないという事態になっている。とすれば、ある程度それをさばいていくということにならざるを得ないわけでありますけれども、そういう意味では、ミニマムアクセス米割合というのを援助対象にふやしていくという考え方もあると思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  15. 河野洋平

    河野国務大臣 議員が御指摘になりました昨年の我が国からの援助十五万トンの内訳を申しますと、国産米が十五万トンのうちの四万トンでございます。ミニマムアクセス米が十五万トン中十一万トンということになっておりまして、議員の御意見に近いシェアになっているのではないかというふうに思います。
  16. 玄葉光一郎

    玄葉委員 私が大体今の割合が適当と思っているかどうかは申し上げていたわけではありませんけれども、もう少しミニマムアクセス米というのをふやしていく。  これは議論のためにあえてまた申し上げれば、例えば、恐らく、来年度も政府米について十五万トンぐらい多分援助することになるんだろう。向こうにお金を提供して、日本政府米を十五万トン買ってもらうことに恐らくなるんだろう。  議論のために言えば、例えばその十五万トンの日本政府米をすべてミニマムアクセス米にした、これはいけませんか。どういう問題が起きますか。国産米じゃなくて、ミニマムアクセス米がもう売れ残ってしようがない、さあ、ではこれを全部MA米ミニマムアクセス米にしてしまおう、そういうことを考えたとしたら、どういう問題が起きますか。
  17. 河野洋平

    河野国務大臣 基本的には、理論的には問題はないと思います。ただし、気持ちの問題として、私はいろいろな考え方があっていいのではないかという気持ちはいたします。  議員がおっしゃるようにミニマムアクセス米を使えというのは、一つの非常に重要な意見だということを私は同意いたします。それは、日本国産米嗜好外国人に好まれる嗜好であるかどうかということは、必ずしも自信を持って言えない部分はきっとあるんだろうと思うのですね。それは裏返して言うと、つまりミニマムアクセス米日本国内で余り好まれない。これはほかにもいろいろ要因はあるわけですけれども、長い米と短いのとあるよとか、いろいろ好みがあるということでございますから、日本の我々がうまいと思っている米が必ずしも世界じゅうどこへ行っても一番おいしいと言われるかどうかという問題はあると思います。  しかし、それは、腹が減っているんだ、栄養が足らないんだからというときにはそんなぜいたくも言えないじゃないかと言われれば、それはそうかもしれませんが、やはりできることなら、援助をしてさしあげる以上は嗜好に近いものの方がいいわけでございますから、そういう意味では議員の御意見というのは一つの御意見だと思います。  それは、ミニマムアクセス米についてミニマムアクセス米ルールがあって、内国民待遇をしなければいけないとか、今議員がおっしゃったように一定期間さらさなければいけないというようなことがございますから、そういうルールを全部クリアすれば、私はそれは一つ考え方であるというふうに思います。  ただ、考え方によって、本来ならば資金を出して、その資金経済的に厳しい国の製品を買ってあげて、それをさらに食糧不足人たちに渡すということになれば、それはそれで相当お金は生きて使われるということにもなるわけでございまして、いや、そんなことを考えるほど日本には余裕があるかと言われれば、それはそう思いますけれども、その辺は、したがって、いろいろな意見があると申し上げたゆえんのものでございます。
  18. 玄葉光一郎

    玄葉委員 まさに私も一つ考え方というか、国際社会ルールを無視しなければ、ミニマムアクセス米を、その割合をさらにふやしていくということはあってもよいのだろうと思います。  特に財政負担考えたときに、ミニマムアクセス米のときの売買差額というのは、当然ですけれども、国産米援助したときの売買差額よりも極めて小さいということもこれありということでありますので、そういう意味ではミニマムアクセス米を、その割合をふやしていくということを考えていくということがあってもよいのではないだろうか、そう思います。  次に、コーヒー協定についてお伺いをいたします。  一言で申し上げますと、コーヒー協定については、私はその意義幾ら政府が出した資料を読んでもまだわからない。このコーヒー協定意義が私にはわからないわけでございます。改めてわかりやすく意義をお伝えいただきたい、そう思っています。東政務次官
  19. 東祥三

    東政務次官 我が国がこの国際コーヒー協定に参加している意義は何かという御下問だと思います。  玄葉委員案内のとおり、日本世界第三位のコーヒー消費国であります。また、その一〇〇%を輸入に依存している。そういう側面から考えましても、コーヒー価格が長期的な安定供給を可能とする水準に安定することが望ましいと考えております。  他方、御案内のとおり、世界には、全輸出額に占めるコーヒー割合相当程度高い国々がたくさんございます。そういう意味からしても、それらの国々経済の安定という側面も当然考える必要があるのではないのか。御案内のとおり、世界のまだ五十数カ国はコーヒー生産し輸出している国であり、そういった発展途上国経済発展の重要な基盤をなしている産品がコーヒーであるということも一つの重要なことなんだろうと思うんです。  そういう視点から考えてみても、国際コーヒー協定というのは、コーヒー需給関係全般、あるいはまたコーヒー生産事情等についての的確な統計及び情報を得る上で非常に有用だ。また、輸入国視点から考えますと、我が国の利益をコーヒー貿易に適切に反映させるためにも、国際コーヒー機関に参加することは有意義であると考えています。  そういった観点から申し上げれば、これまで日本は累次の国際コーヒー協定締結しているということなんだろうと思います。
  20. 玄葉光一郎

    玄葉委員 今の説明を聞いても、結局、この協定で設置をされている機関が行っている仕事というのは、情報交換、今の説明だとさらに統計をとる、そういう仕事なわけであります。  もともと価格安定化措置のようなものが内蔵されていたけれども、途中で破綻した、そう聞いています。つまり、本来の持つべき役割というのが既に終わっているわけでありまして、情報交換だけでこういう機関を存続させておくということが本当によいのかどうか。  さっき東次官は、非常に有用だ、そうおっしゃったわけでありますが、本気で心の底からそう思っていらっしゃるのかどうか、私は甚だ疑問であります。もう一度御答弁をいただきたい、そう思っています。
  21. 東祥三

    東政務次官 おっしゃられるとおり、九四年の協定には価格安定メカニズムというものは含まれていません。そういう意味におきましては、まさに委員がおっしゃられるとおり、この国際商品協定によりまして、ダイレクトな形でもって、目に見える形でもってどのような有意性があるのかという御指摘はそれなりに理解することができます。  私は、非常にというふうに言いましたけれども、非常にという意味は、本来言葉の持っているそういう非常にということではなくて、有用性があるという意味でございます。  ただ、ただ単に情報交換だけではないかというふうにおっしゃいますけれども、コーヒーに関する経済的及び技術的な情報の収集、交換及び公表を行うことによって、コーヒー経済透明性を高めることによって、供給の安定及び価格の安定というのはより促進されていくのではないのかというふうに考えます。
  22. 玄葉光一郎

    玄葉委員 コーヒーの最大の消費国は、御想像のとおりアメリカであります。そのアメリカもこの協定を脱退しています。最近、これは私、この勉強をして初めてわかったのでありますが、国際天然ゴム協定なんというのがあったんだけれども、それも協定終了したということのようであります。つまり国際商品協定とは一体何なんだということを一たん立ちどまって考えてみる必要があるんだろう。  また、我々は外務委員会でかなり多くの本数の条約あるいは協定通常国会などでは審議をするわけであります。本当にこれは大事な条約なのか、本当にこれは大事な協定なのかというふうに思われる協定も中にはあるのかなというのが私の素直な感想であります。つまり条約とか協定にもスクラップ・アンド・ビルドというのが必要ですね。もうそろそろスクラップした方がいいなというような条約とか協定がやはり出てきているんだろう。そういうものについては、やはり外務省でそろそろ立ちどまってよく精査をしてみる必要があるのではないかというふうに思います。  大変失礼なうがった見方かもしれませんけれども、このコーヒー協定も、あえてある人と言いますが、ある人に言わせれば、結果としてこの協定で設置される機関の職員の雇用の問題じゃないかということを言う人さえ、ある人から聞いた話でありますが、いるわけでありまして、スクラップ・アンド・ビルド、国内行革、国連も行革の時代でありますから、やはりスクラップしていくものはスクラップしていく、これは一般論であっていいわけでありますけれども、そういうことを考えてみる必要があるんだろう、そう思いますけれども、いかがでありましょう。
  23. 河野洋平

    河野国務大臣 東政務次官が詳細御答弁申し上げておりますので、私からつけ加えることはないのでございますが、今議員からお話がございましたことを伺っておりますと、我が国にとって有用か有用でないかということを主としてお考えのように思いますが、こうした協定は、例えば原産地のことを考えますと、一次産品でございますから、原産地はどちらかといえばそう豊かでない国が多うございます。  例えばグアテマラでございますとかその他、経済的に非常に余力がある地域でない地域からコーヒー輸入をしているということを考えると、こうした協定は、我が国にとって有用か有用でないかということは、もちろん我が国にとって極めて有用でございますけれども、そればかりではなくて、もし我が国が、これはもう日本意味がないのでこれから脱退するということになってこの協定自体が大変なことになるといたしますと、原産地の国々は非常に混乱が起きる可能性があるのではないか。  これは、輸入国は、御案内のとおりアメリカ協定に入っておりませんけれども、アメリカを初めとして、コーヒー消費国は欧米の豊かな国、そしてコーヒーの原産地、産出国はそうした消費国に比べればなかなか厳しい経済状況の中にあるということになると、やはりこうした機関があって、生産量その他というものが十分にお互いにわかり合えるということがないと安心して生産に従事できない、あるいは輸出が安心してできないということになることもあるのではないかというふうにも思うわけでございます。  私は、こうした条約がいかにもたくさんある、毎国会大変たくさんの条約を処理するというふうにおっしゃられて、私どももこの条約の数には正直大変な数だなと思うことは実感としてございますけれども、その一つ一つ条約がやはり我が国において、そしてまたその条約に参加する多くの国にそれぞれ意味のあるものであれば、これはひとつ委員の皆様方には御理解をいただいて御支持をいただきたい、御賛同をいただきたいと思うわけでございます。  原産地国あるいは輸出国いずれも、単独になってしまっては、一つ一つになってしまってはいろいろとなかなか難しい状況も出てくるのではないかということを考えますと、こうした機構といいますか、機関といいますか、そうしたことの意味というものはやはりまだ十分あるというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。
  24. 玄葉光一郎

    玄葉委員 意義が十分あるということでありますけれども、このコーヒー協定については余り議論するつもりはありませんけれども、私は、我が国にとってということもさることながら、必ずしも我が国にとってと申し上げているわけではなくて、世界全体にとって、あるいは生産国と消費国全体のバランスの中で、本当に非常に意義があったり非常に有用であったりということが言えるのかなというのが率直な疑問としてはありますよ。ただ、なかなかそれは、我が国の立場として、生産国からやめてもいいのだという答えがないとなかなかこちらから言いにくい、そういう程度のものなのだろうなと正直思っています。  一般論として、やはりこれからこのぐらいのものは、そろそろ場合によってはスクラップしていくことも、こちらも働きかけていくことも考えていくべきだろうということを最後に申し上げて、二十分の予定を三十五分質問をさせていただきました。なぜならば、川内委員が来ておりませんので、あえて急遽十五分延ばさせていただいて、次の方にバトンタッチしたいというふうに思います。どうもありがとうございました。
  25. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、松本善明君。
  26. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣に伺います。  食糧援助の問題というのは私は大変大事な問題で、前にこの委員会で、日本が本当に世界から敬愛される国にならなければならぬ、それが日本の安全保障にもつながるという御答弁外務大臣からもありました。私は、やはり食糧援助の問題というのは、そういう観点からも非常に重視をして取り組む必要があろうかと思います。  最初にまずお聞きしたいのは、世界の飢餓人口は、九七年の国連開発計画によりますと、推定で八億三千万人というふうになっておりますが、現在の世界の飢餓状況の特徴について、簡単で結構ですが、数字なども含めて政府はどういうふうに把握をしているか、伺いたいと思います。
  27. 河野洋平

    河野国務大臣 松本議員が御指摘になりましたように、最近の国連食糧農業機関、いわゆるFAOの資料によりますと、開発途上国の慢性的な栄養不足人口は、一九九四年から九六年までの三カ年の平均で約八億二千八百万人と算定をされておりまして、これは、世界人口に占める栄養不足人口、こういう言い方があるのかどうかよくわかりませんが、世界人口に占める栄養不足人口の割合が一九%ということになっております。  我が国は、開発途上国中心に多くの人々が慢性的な栄養不良に直面している現状は、議員指摘のとおり、人道的見地から看過し得ない問題というふうに認識しておりまして、食糧援助がまさに必要であるというふうに思います。このため、これまでも食糧不足国に対しまして、米、小麦などの輸入に必要な資金の無償供与、これは平成十年度に約百四十五億円でございますが、それから二つ目に、世界食糧計画、WFPでございますが、世界食糧計画への拠出は平成十年度約二十一億円、これらを通じまして食糧支援を行っておるのが実情でございます。  今後とも、途上国からの要請を踏まえまして、ODA予算及び既存のスキームを活用いたしまして、国際ルールにのっとりつつ途上国の食糧問題への協力に努力をしてまいらなければいかぬ、こう考えております。
  28. 松本善明

    ○松本(善)委員 一九九六年に開かれました世界食料サミットでは、我が国も農水大臣が参加しましたが、栄養不良人口、二〇一五年までに約四億人まで半減させるという目標を設けました。しかし、世界の飢餓人口は、全体として幾らかは減少したものの、この目標の達成にとって決して楽観できない状態にあると言えます。  ことしのFAOの資料によりますと、九〇年から九二年の時点から比較をして飢餓人口はトータルで四千万人減少しておりますが、これを詳しく見ますと、限られた三十七の国で一億人減少したものの、それ以外の特に途上国では逆に六千万人増加をしております。これらの国ではいわば飢餓状況が悪化しているということだと思います。  この報告書では、栄養不良人口の減少が今のペース、年八百万人ぐらいの減少のペースにとどまるならば、二〇一五年の段階で食料サミットの目標である半減は達成されず、依然として六億人が飢餓状態に苦しむことになるという見通しを示しております。食料サミットの目標達成のためには、少なくとも平均で年二千万人の減少率を維持しなければならないと指摘をしております。  外務大臣、この食料サミットの目標達成と照らして、現時点までの世界の飢餓状況の推移、このままでいいと考えているかどうか、政府の見解を聞きたいと思います。
  29. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、先ほど申し上げましたように、人道的見地から見て、こうした数字が示されている以上、我々の努力はもっと強い努力が必要であろうというふうに考えております。  問題は、食糧不足に悩む人たちが自力で調達できる部分がどのくらいあるのか。ただ単に食糧援助というだけで毎年危機的状況をしのいでいくということになると、これはなかなか解決にはならない部分もあると思うんです。もちろん、直ちに云々ということには当然なりませんから、食糧援助が必要だということはもう議員言われるとおりだと思いますけれども、構造的にこうした危機的状況を少しずつでも解決していく、そういう方途を考える必要も一方であるのだろうというふうに思っております。
  30. 松本善明

    ○松本(善)委員 もちろん、食糧援助は供与と増産支援と両方必要だというのはそのとおりでありますけれども、果たして今の供与量で十分かということが問題なんだと思います。それで、私どもは、特に途上国での飢餓、貧困からの救済、そういう緊急課題に照らしてこの食糧援助規約に賛成ですけれども、しかし、やはりこの目標のために規約の内容にはまだまだ不十分な点があるというふうにも思っております。  千九百九十九年の食糧援助規約は、九六年の世界食料サミットやWTOにおける合意を踏まえたものになっておりまして、その内容を見ますと、日本アメリカ、EUなどの食糧援助国が総量四百八十九万五千トンを最小限拠出することを約束し、特に五十カ国余りの最貧国への無償援助を明記しております。しかし、九五年の規約では食糧援助達成目的規定として一千万トンと明記していたものが、今回の規約ではこの具体的な数字が消えて、適当な水準の援助というふうになりました。  まず、この一千万トンでありますが、これは飢餓状態の解消に必要な援助量だと考えますが、現在の飢餓状態の解消のためにはどのぐらいの量の援助が必要になると考えているのか。外務省はどういうふうに考えているんでしょう。
  31. 河野洋平

    河野国務大臣 九九年規約は、加盟国は、世界食糧安全保障に貢献し、及び開発途上国食糧上のニーズに対応するための国際社会の能力を改善するため、国際協調のもと、小麦換算で年間少なくとも約五百万トンの食糧開発途上国に対し供与するということといたしております。また、九九年規約においては、単に開発途上国に対して一定量以上の食糧援助を供与するのみならず、特に最も弱い人々の、これは妊婦とか乳幼児などを指しているようですが、貧困及び飢餓を緩和することを目的として食糧援助を供与するよう加盟国に対し奨励をしているということが書かれております。  このような九九年規約のもとでの加盟国の努力が世界食糧不足をどの程度緩和させるかについて具体的に予測することは困難でありますが、一九九六年にローマで開催された世界食料サミットの宣言においてうたわれているすべての人にとっての食糧安全保障を達成すること及びすべての国における飢餓を撲滅するための努力の一環としてこの数字は極めて有意義だ、こういう評価をいたしております。
  32. 松本善明

    ○松本(善)委員 この一千万トンより減るということはないでしょうね。
  33. 河野洋平

    河野国務大臣 議員が御指摘の、今回の食糧援助規約目的の中から毎年一千万トン以上という目標値が落ちているわけでございますが、このことが結果として食糧援助の規模が縮小するかどうかということを御心配になっておられると思います。  九五年の規約におきましては、累次の食糧援助規約にならって、毎年一千万トン以上の食糧援助するという七四年の世界食糧会議の目標の達成を確保することがずっと目的とされていたわけでございますが、九九年規約の作成に当たりましては、九六年の世界食料サミットの宣言などを踏まえまして、食糧援助の量のみならず、その効果及び質の改善などにも十分考慮を払うべきとの意見が大宗を占めております。その結果、世界食糧安全保障に貢献することが新たな規約目的となったわけでございます。  このような変更点はありますけれども、九九年規約においても、食糧援助の量を維持すべく、加盟国全体として九五年規約とほぼ同水準の年間最小拠出量が設定をされているわけでございまして、九九年規約においても、毎年一千万トン以上との目標値が規定されなかったということによって食糧援助の規模が縮小することはないものと私は考えております。
  34. 松本善明

    ○松本(善)委員 そう期待をしたいのでありますが、先ほどお示ししましたFAOの報告書のように、食料サミットの目標達成についての厳しい見通しがあるわけです。そういうときに援助国の達成目的規定について具体的な数字をなくすということは、食糧援助必要性ということについてむしろ後退ということになりはせぬだろうか。それよりは下がらないだろうということを言われるのですけれども、削除をしたのが妥当なのかどうか、なぜ削除しなければならなかったのか、それから、協定からは削除をされたけれども日本政府としてはどこを目標にしているのか、その点についてお答えをいただきたい。
  35. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、目的とすべき数値を削除いたしましたのは、食糧援助は、量だけではなくて質の問題もあるし、それからその効果についても十分気を配らなければならぬという意見が大宗を占めたわけでございまして、質、効果等を考えまして今後のこうした食糧の危機的な状況を克服する努力をしなければならぬというふうに思っております。  今議員指摘の、我が国としてどういう心づもりを持つかという、御質問意味がそういう意味であるとすれば、私は、我が国としては少なくとも従来を下回らない努力をするべきである、これはいろいろな条件、環境があると思いますけれども、下回らない努力をするべきだというふうに考えております。
  36. 松本善明

    ○松本(善)委員 今、大臣は効果と質の問題を言われましたが、この規約の八条の(a)では、食糧援助は、最も効果的かつ適当な支援の手段となる場合にのみ供与されるべきだという規定がありまして、私は危惧をしているのです。  これは、最も効果的かつ適当な手段かどうかを援助国の側が判断することになる。この規定が仮に乱用されますと、飢餓に瀕している途上国が食糧援助を受けるためには援助国の顔色を見なければならないというような状況になるんじゃないか。本来、食糧援助は人道的な見地からのものであるということは外務大臣も再々述べられた。そういう援助国の顔色を見なければならぬというようなことがあってはならないというふうに思うのです。  今、外務大臣がそれに近いことを言われたのではないかということでちょっと心配をしているのですけれども、この規定を根拠に援助が減少するというようなことはないだろうか、この点について伺いたいと思います。
  37. 河野洋平

    河野国務大臣 御指摘のとおり、食糧援助は、本来受益国食糧上のニーズに対応すべきものだと思います。例えば、開発途上国食糧問題が途上国自身の食糧増産努力によって解決されることが望ましいということもあるわけでございますし、そういう場合には、安易に食糧供給するというよりも、肥料とかあるいは農業機械とかそういうものを供与することが途上国の自助努力というものを励ます意味でも効果的だと思います。このことは、先ほど申し上げましたように、構造的に毎年援助をもらうということではなくて、援助をもらいながらもやがては自立していくという努力をサポートするという意味で非常に意味があると思っているわけでございます。  いずれにいたしましても、今議員が御指摘のように、第八条の(a)という部分は、援助国側の一方的都合ではなくて、受益国の立場を十分考慮した上で、食糧援助が、途上国に対する最も効果的かつ適当な支援の手段、そういう場合にのみ供与されるということを確認したものであって、受益国援助国の顔色を見るといいますか、そういったことがこれによって起こるということがあってはならないというふうに私は思います。
  38. 松本善明

    ○松本(善)委員 大臣の御答弁で、そういうような運営をされたいと思います。  アメリカの農務省の調査では、二〇〇七年の開発途上国における食糧供給量と国民の栄養所要量との差を埋めるためには二千四百万トンの食糧が必要だ、現行の消費水準を維持するだけでも千八百万トンが必要になるという指摘をしております。  今回の規約で、日本の最小限の食糧援助の拠出量は三十万トンとなっておりますが、これは前回と同じ数字にとどまっている。今日の深刻な状況考えますと、日本は拠出量をふやす必要があるのではないでしょうか。政府のお考えをお聞きしたいと思います。
  39. 東祥三

    東政務次官 我が国の約束量三十万トンは少な過ぎるのではないのか、あるいはまたふやすべきではないのかというのが委員の御下問だと思いますが、日本としては、米国等とは異なって、食糧、とりわけ援助需要の大きい小麦だとかトウモロコシの主要輸出国ではないこと、また、食糧問題というのは、本来途上国自身の食糧増産努力によって解決されることが望ましい、そういった観点から、食糧援助以外に、御高承だと思いますが、肥料等を供与する食糧増産援助等各種のスキームを組み合わせた経済協力を実施してきているところでございます。こういうところを考慮すれば、従来からその三十万トンの約束量を維持し、またこれに基づいてやっていく上でいいのではないのかというふうに思っております。  以上です。
  40. 松本善明

    ○松本(善)委員 被援助国の食糧増産に協力する、これは当然なんですよ、先ほど来言っていますけれども。しかし、大丈夫か、日本はそれでいいのかということになると、数字がやはりそうではないという結果を示しているのですね。供与量がどうかということについて、日本のODA政策については、食糧援助を含む緊急援助に非常にウエートが少ない、私はそこが根本問題ではないかというふうに思うのです。  九六年の日本のODAの二国間援助の分野別の内訳を見ますと、食糧援助を含む緊急援助のシェアはわずか〇・四%になります。DAC諸国平均は五・一%、アメリカの一〇%と比べますと相当の大きな見劣りというふうに言わなければならぬだろう。  この数字は、やはり日本のODAの中で緊急援助の位置づけが非常に弱いということだと思います。例えば、これを一%に引き上げるだけでも、現状と比較するとかなりのことができます。DAC平均の五%まで高めれば、全体の援助額からいってこの分野では相当の前進になる。供与も増産への援助も両方やるという姿勢でありますが、やはりここは考えなければいかぬのじゃないか。  先ほども同僚委員質疑の中で、日本ミニマムアクセス米のことや、それから日本国産米の問題等々が議論になりました。確かに、被援助国の需要の問題もありますけれども、外務大臣御自身がお話しになりましたように、飢餓に瀕しているという状態で、それはいろいろな形のやり方が、食糧では調理の仕方その他工夫すれば、飢餓をなくすということが可能なのではないか。そういう点でいうと、私は、この食糧援助政策を抜本的に大きく前進させるということをこの機会に考えるべきではないか。  外務大臣、いかがでしょうか。このままでいいんだろうか。
  41. 河野洋平

    河野国務大臣 食糧援助は、幾つかの種類があると思うんですね。例えば、地震とか水害とか、そうした災害時における食糧援助というのも一つございます。それから、今ずっとお話をしてまいりました構造的な食糧不足に悩む国々に対する援助というケースもあると思うんです。  地震とか水害とか、そういう災害時における援助ということになりますと、食糧をどういうふうに本当に飢餓に悩むところまで持っていくかという配分のシステムが壊れているわけですから、そこはなかなか難しいところもあって、例えば、我が国に非常に近いところでそういう状況が出るということになればこれはまた別でございますけれども、距離の遠いところに食糧援助のために運ぶということが緊急時にどういう効果があるかということも考えなければならない、そういう部分もあると思うんですね。  ですから、食糧援助については、何万トンあったか、どこの国は非常に多かったか、どこの国は非常に少なかったかという数字が、年間を通して締めると出てくる場合もありますけれども、それは、非常に効果的に食糧援助が行えるか行えないかという状況もあると思うんです。  私は、しかし、議員が主張なさるように、飢餓をとにかく地球上からなくす、そういうための努力は、これはやはり思い切ってしなければいけないという点については全く御意見をシェアいたします。さはさりながら、そのために日本がどれだけ拠出すればいいかということは、言葉は悪いんですけれども、そう単純ではないということもあわせて申し上げなければならぬと思います。  先ほどから繰り返し申し上げておりますように、構造的な飢餓をどうやって救っていくかということになりますと、ただ単なる食糧援助食糧を持っていけばいいということではないと思います。つまり、技術援助も必要でございましょう、あるいは肥料とか機械を援助するというケースも当然あると思います。そうしたことまで考えなければならないということではないかと私は考えております。
  42. 松本善明

    ○松本(善)委員 外務大臣と入り口からちょっと入ったぐらいのところまで一致したのかなという感じもいたしますが。  数字だけではなくて、前国会で、当委員会でもODAのあり方についての自由討議をやりました。東政務次官も積極的な発言をしていらっしゃいましたけれども、果たして要るのかどうかというようなことまで問題になった。もちろん私は必要だと思うし、強化しなければならない。  ただ、中身ですね。例えば、看護婦さんを送るとか介護の人を送るとか、海外協力援助隊でそういうことも、それは結構だと思うし、場合によっては、利権に絡んで被援助国で汚職を発生させているような援助もあります、そういうのと比べますと、食糧援助というのは直接的で、これは汚職の起こりようがないから、私はやはりもっともっと重視をすべきではないか、少なくも、重視をするという方向の決意ぐらいはここで答弁されてもいいんじゃないかな。それは、数量をどうするかというようなところまでこの場ですぐというわけにはいかなかろうということは私も思います。しかし、外務大臣が、それはそういう方向で私も考えてみる、努力しようという決意ぐらいは言ってもいいんじゃないですか。
  43. 東祥三

    東政務次官 外務大臣にお答えしていただく前に、補足でございますが、先ほど約束量のことに関連して、三十万トンというふうに申し上げましたが、約束量というのは年間の最小拠出量でございますから、日本の実績としては、約束量である三十万トン、これをできるだけ、これ以上実施していこうということでやっておりまして、約束量は三十万トンですけれども、実施ベースにおいては小麦換算で約四十八万トンになっていることを御報告しておきたいと思います。
  44. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、人道的支援というものは、我々は決して目をそらしてはいけないものだというふうに思っております。  ただ、その人道的支援の中には、議員おっしゃいますけれども、やはり医療にかかわる支援、これもまた非常に重要だと思います。もちろん食糧もございますけれども、そうした医療もまた決して軽視できないものでございまして、看護婦さんが行ってくださるということも私は非常に重要だと思います。現に、例の国境のない医師団でございますか、ああした人たちの活躍というものは、やはり人道的な支援に欠かせない、今や重要な役割を担っておるというふうに思います。  食糧に絞ってのお尋ねでございますから食糧について申し上げますが、三十万トン云々ということをおっしゃって、今、東政務次官から、ミニマム三十万トン、我が国としても、その三十万トンという数字を超えて四十数万トンまで援助した例もあるということを申し上げたわけでございますが、これは、ただ単に食糧援助規約によって食糧援助するだけではなくて、それ以外にもさまざまな、無償援助でございますとか、ほかの方法、手段をとって食糧の支援をするというケースもあるわけでございますから、私どもとして、でき得る限りさまざまなやり方を使って、とにかく人道的な支援には力を入れてまいりたいというふうに考えておることを御理解いただきたいと思います。
  45. 松本善明

    ○松本(善)委員 もちろん、医療とか介護その他は必要なんですけれども、先ほど言いましたように、数字が、食糧を含むものが〇・四%は低過ぎやせぬか、そこを変えた方がいいんじゃないかという意味です。  ミニマムアクセス米援助にというお話、先ほどもございました。これも、私も大々的にやはりそうすべきだというふうに思うんですが、外務大臣、先ほど、基本的にミニマムアクセス米援助に使っていくということについては問題がないという御答弁でございました。これは確認できますか。もう一度。
  46. 河野洋平

    河野国務大臣 WTO協定の主要関連規定との関係で見ますというと、いわゆる内国民待遇というものがございますが、この内国民待遇視点から見ますというと、ミニマムアクセス米のみを援助に利用する場合にはミニマムアクセス米国産米と差別しているという指摘を受ける、すなわち内国民待遇に反するという指摘を受ける可能性があるということ。つまり、あらかじめミニマムアクセス米のみをこれに使うということにすると、今申し上げたような指摘を受ける可能性があるわけでございまして、その点は十分注意しなければならないと思います。  先ほどお尋ねがございましたときに申し上げましたように、一定のルールにのっとって、内国民待遇、あるいはさらにはアクセスその他について十分な規定をクリアするという努力が必要であって、それから国産米ミニマムアクセス米と、初めからミニマムアクセス米だからこうするというふうに決めてしまえば、恐らくこうした指摘を受けることになるだろう。同じように扱って、結果としてそういうことになるということでなければならないのではないかというふうに思います。
  47. 松本善明

    ○松本(善)委員 これはちょっと立ち入って農水省の方に聞きたいと思う。時間も余りありませんので、まとめて聞きます。  ミニマムアクセス米は規定上機会の供与ということになって、それが今外務大臣が言われたことの一側面だと思いますけれども、これを、実際には加工業者は国産米を使いたい、しょうゆだとかなんかに、加工用に。それはもうテレビでみんな言っているわけですよ、それを農水省に押しつけられているんだと。これを国産米を使うということなら、基本的にミニマムアクセス米は、機会の供与だけですから、需要がなければ入れなくてもいいわけです。このミニマムアクセス米が入るために日本農家は物すごく苦労をしているわけですよ。ここをまず、クリアと言われましたけれども、農水省が押しつけなければ、大体みんな加工用でも国産米を加工業者は使いますよ。そういうことをどうか。  それを含めて、やはり日本で需要がなければ、外国の需要との関係もありますが、飢餓をなくすという観点からこれを大々的に使うということに、外務大臣も基本的に問題がない、クリアすればという多少の条件をつけていらっしゃいますけれども、そういう方向に農水省も転換すべきじゃないかと思うけれども、どうですか。
  48. 金田勝年

    ○金田政務次官 委員のただいまの御指摘に対しましてお答え申し上げます。  ミニマムアクセス米の販売については無理にそれを行っているんではないかという御指摘でございますが、ミニマムアクセス米につきましては、国内の需要者の購入申し込みによる販売を行っておるところでありまして、決して、食糧庁あるいは私どもがミニマムアクセス米の販売を押しつけているといったようなものではないわけでございます。
  49. 松本善明

    ○松本(善)委員 それはテレビでも盛んにやっているんですよ。他用途米をつくらせないから、その分をつくらせないから、それでミニマムアクセス米をやむを得ず使っているんですよ。  真っ正面から言われれば農水省の政務次官が言われるようなことになるでしょうけれども、しかし、今、農政上、日本の農業は本当に危機的状況にありますよ。私は、食糧援助の重要性と同時に、やはり、日本の農業という観点からもこれをうんと重視すべきだ。外務大臣も基本的に問題ないと言われる。農水省も、やはり検討をし直すべきだというふうに思います。  時間もありませんので、コーヒー協定に行きます。これはまとめて聞きます。  私どもは、先ほど質問がありましたが、これは非常に大事だと思っています。コーヒー協定については、ほとんどの生産国がこれに加盟しておって、その大半が後発開発途上国で、これらの国にとってコーヒーが最大の外貨獲得のための輸出品目になっていること、また、前回の協定では、次の協定へ向けて価格安定メカニズムを含めて検討すること、生産国と消費国の協議の場として新たな協定を策定したことなどを評価して賛成をしてまいりました。今回の有効期間延長の措置は、コーヒー取引に関する国際協力を継続し、新たな協定作成交渉のための時間的余裕を与えるものとして必要な措置と見られます。  問題は、大臣先ほど言われました、途上国のことも考えなくちゃいかぬ。私は、日本の立場から見ても、そういう姿勢をうんと強く持っていることが日本の外交で非常に大事だと思いますが、一つ聞きたいことは、しかし、市場原理に基づく自由取引を主張する消費国側に押されて価格調整機能を失ってくるというものが少なくない。一次産品に外貨獲得の手段を頼る途上国にとっては、こうした流れは経済的に弱い立場にある途上国を一層弱い立場にする。途上国の経済発展への寄与という見地から、この価格調整機能など重要な機能を持つものなので、この価格の暴落が起きれば一次産品に糧を求める途上国の経済に破滅的な影響を及ぼすんです。それは世界経済にも影響するわけで、やはりそういうふうに市場原理任せにはできないものではないか。これが一つです。  それからもう一つ、今の問題としてお聞きしたいのは、今超党派の議員がキューバへ行っております。キューバではイベロアメリカ首脳会議も閉幕して、アメリカのキューバ制裁法を非難する決議ができています。先ほどの一般的な問題とともに、キューバからのコーヒー輸入、キューバもコーヒーが非常に大きな貿易の対象ですが、キューバとの外交関係の改善についてどのようにお考えになっておるか、お答えをいただきたいというふうに思います。
  50. 東祥三

    東政務次官 第一問目は、九四年協定には価格安定メカニズムが含まれていない、その理由は何なのかという質問に要約することができると思うのです。  御指摘のとおり、九四年協定の前に有効でありました八三年協定までの累次の国際コーヒー協定には、価格安定メカニズムとして輸出割り当て制度が導入されておりました。しかし、輸出割り当て制度の対象となります加盟国の市場とその対象とならない非加盟国の市場との間に価格差が生じたこと、そしてまた、コーヒーの種類による輸出割り当て数量の配分割合について加盟国間の合意が得られなかった等の問題が生じました。こうしたことから、輸出割り当て制度の運用は一九八九年に停止されて、九四年協定には採用されなかった、そういう経過があることを御承知願いたいと思います。  第二番目の質問でございますが、我が国としてキューバとのコーヒー貿易をふやすつもりがあるのかどうなのかという御指摘だと思います。  我が国のキューバからのコーヒー輸入量は、九八年統計ですけれども、約二千三百五十六トン、約十三億七千万円となっております。二国間貿易は基本的には民間レベルの問題でありますけれども、日本政府としてもキューバを含む各国との貿易関係がさらに発展することを希望いたしている次第です。
  51. 松本善明

    ○松本(善)委員 これで終わります。
  52. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、伊藤茂君。
  53. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 ラストクエスチョンが私の番になっておりまして、いつもルールでそうなんですが、質疑の最後の締めは社民党ぐらいの気持ちで勉強はしたのですが、玄葉さんを初め野党間相談をいたしまして、議事進行について、委員長に、また委員の皆様にお願いをさせていただきたいと思います。  厚生委員会は年金問題で緊迫した状況になっておりまして、予定された本日の他の全委員会も開会されていないというふうな状況のようでございます。  外務委員会外務委員会の責任があるんですが、やはり国会全体、国民の皆様に、大きな責任にかかわるという事態でそういうことになっていると思いますし、朝の理事会でも、四海波静かならば採決まで予定どおりということなんですが、津波は来ておりませんが、何か大きなうねり、不穏なうねりが広がっているというふうな状況にもなっているということでございます。  そんなことで、残念なことではございますが、ここで私の質問は留保させていただきまして、委員会を休憩して理事間で御相談をお願いさせていただきたい。早期に正常な処理がなされることも願いながら、委員長においてお取り計らいいただくようにお願いを申し上げます。
  54. 井奥貞雄

    井奥委員長 この際、暫時休憩をいたします。     午前十一時二十一分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕