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1999-11-19 第146回国会 衆議院 科学技術委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十九日(金曜日)     午前九時三十四分開議  出席委員    委員長 北側 一雄君    理事 稲葉 大和君 理事 小野 晋也君    理事 河本 三郎君 理事 山口 俊一君    理事 辻  一彦君 理事 平野 博文君    理事 西  博義君 理事 菅原喜重郎君       飯島 忠義君    江渡 聡徳君       木村 隆秀君    菅  義偉君       谷垣 禎一君    能勢 和子君       萩野 浩基君    古屋 圭司君      三ツ林弥太郎君    望月 義夫君       大畠 章宏君    川内 博史君       近藤 昭一君    吉田  治君       斉藤 鉄夫君    西野  陽君       吉井 英勝君    辻元 清美君       中村喜四郎君     …………………………………    国務大臣    (科学技術庁長官)    中曽根弘文君    防衛政務次官       依田 智治君    科学技術政務次官     斉藤 鉄夫君    厚生政務次官       大野由利子君    通商産業政務次官     茂木 敏充君    自治政務次官       平林 鴻三君    政府参考人    (警察庁警備局長)    金重 凱之君    政府参考人    (科学技術庁原子力局長) 興  直孝君    政府参考人    (科学技術庁原子力安全局    長)           間宮  馨君    政府参考人    (文部省初等中等教育局長    )            御手洗 康君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君    政府参考人    (消防庁長官)      鈴木 正明君    参考人    (原子力安全委員会委員長    )            佐藤 一男君    参考人    (核燃料サイクル開発機構    理事)          岸本洋一郎君    科学技術委員会専門員   宮武 太郎君     ————————————— 委員の異動 十一月十九日  辞任         補欠選任   岩下 栄一君     飯島 忠義君   岡部 英男君     菅  義偉君   吉田  治君     大畠 章宏君   中西 啓介君     西野  陽君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     萩野 浩基君   菅  義偉君     能勢 和子君   大畠 章宏君     吉田  治君   西野  陽君     中西 啓介君 同日  辞任         補欠選任   能勢 和子君     岡部 英男君   萩野 浩基君     岩下 栄一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  原子力災害対策特別措置法案内閣提出第七〇号)  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第七一号)     午前九時三十四分開議      ————◇—————
  2. 北側一雄

    北側委員長 これより会議を開きます。  内閣提出原子力災害対策特別措置法案及び内閣提出核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、政府参考人として科学技術庁原子力局長興直孝君、科学技術庁原子力安全局長間宮馨君、警察庁警備局長金重凱之君文部省初等中等教育局長御手洗康君、資源エネルギー庁長官河野博文君及び消防庁長官鈴木正明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北側一雄

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長佐藤一男君及び核燃料サイクル開発機構理事岸本洋一郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北側一雄

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 北側一雄

    北側委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江渡聡徳君。
  6. 江渡聡徳

    江渡委員 自由民主党の江渡聡徳でございます。  まずもって、中曽根長官、そして斉藤総括政務次官、御就任まことにおめでとうございます。おめでたいところなわけでございますけれども、就任早々東海村の原子力事故処理について、あるいはまた、過日のロケット打ち上げの失敗等々、さまざまなトラブル続きの中において、今一生懸命御努力されていることに対しまして、まずもって敬意を表させていただきたいと思います。  時間の関係もありますので、早速質問等に移らせていただきたいと思うわけでございます。  今般の東海村の災害ジェー・シー・オー東海事業所臨界事故ということが起こったわけでございますけれども、この事故によりまして、原子力防災対策ということにつきまして、国民の不安というのは今まで以上に、かなり大きくなったのではないのかなと思っております。しかし、そういいながらも現在、日本の電力の約三分の一以上が原子力発電所に頼っております。また、特に都市部におきましては、電力需要のうちの四割方が原子力発電所における電力需要になっております。  このような状況を踏まえまして、まず最初にお聞きしたいんですけれども、政府の方としては、今後原子力発電所を十六基ないしは二十基ほどつくることを目標とされているわけですけれども、今般のこの事故によって、そうしたエネルギーに関する基本的な政策というのは変わるのでしょうか。それとも、そうではなくて、今後とも原子力発電というものを重要と考えて進まれていくのかということを、まずお聞かせいただきたいと思います。
  7. 河野博文

    河野政府参考人 エネルギー政策を預からせていただいております通産省の立場からお答えをさせていただきます。  今回の事故は、原子力に対する国民皆さん信頼を揺るがしかねない、御指摘のような大変残念な事故であると認識しておりまして、まことに遺憾に思っているところでございます。ただ、我が国エネルギー政策基本目標は、エネルギー安定供給確保経済成長及び環境保全同時達成を図ることでございまして、特に地球温暖化問題の対応のためにも原子力政策を着実に推進していくことが必要、この基本的な考え方には変わりないのでございます。  申し上げるまでもありませんけれども、原子力安全確保が大前提でございまして、実は、先日も通産大臣が、十一月の六日でございますけれども、福島第二原子力発電所を視察されまして、原子力発電所において、常に緊張感を持って、慎重の上にも慎重を期して、原子力発電所安全性確保するために非常に多くの皆さんが多大な努力を払っているということを、私もお供をして確認させていただきました。  しかしながら、同時に、今回の事故から学ぶべきものは学び、反省すべきものは反省するという姿勢で、この事故から得た安全対策の教訓を踏まえた原子炉等規制法の改正、そして、原子力防災に係る立法措置など抜本的な対策をお願いしているところでございます。こうしたことで、一層の安全確保の徹底に努めてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、このような抜本的対策を講じていただくことによりまして、国民皆様原子力に対する信頼を何とか回復をして、地元の御理解を得ながら、COP3のCO2排出削減目標達成に必要な、御指摘のような原子力発電所の新増設のためにも引き続き最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  8. 江渡聡徳

    江渡委員 今お答えをいただいたわけですけれども、私自身も、エネルギー政策におきましてはエネルギーベストミックスということが一番大切なことだろうと思っています。しかし、さはさりとて、安全対策というものをおろそかにされては困ります。  そのことに対しまして、今回の法案におけるいろいろな審議がなされているわけでございますけれども、特に今後のエネルギー政策というものを考えた場合、どうしても避けて通れない問題といたしましては、原子力規制推進という部分が一番大事なのではないのかなと思っております。ですからこそ、特に原子力安全委員会あり方というものをもう一度見直し、もう一度真剣に議論するべきときに来ていると私は考えておるわけでございます。この原子力安全委員会の中における安全審査の指針、あるいは人員体制というのを、今までのとおりでいいのか、それとも見直していろいろな方向性を見出していこうとお考えなのか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
  9. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員御発言のとおり、原子力安全規制体制整備を図ることは大変重要でございます。我が国では、原子力規制推進機能を効果的に分離しつつ、科学技術庁及び通商産業省が法令に基づく安全審査等を行い、さらに原子力安全委員会が独自の立場からダブルチェックを行う仕組みになっておりまして、安全審査等に厳正に臨んできたところでございます。  しかしながら、今回の事故を重く受けとめまして、安全確保抜本的強化を図ることとしております。特に原子力安全委員会につきましては、核燃料加工施設安全審査あり方見直し、また、すべての原子力施設について建設運転段階を含めた一次行政庁安全規制あり方をチェックする機能強化等を図るとともに、こうした安全委員会機能が一層発揮できるよう、より強力な事務局体制整備を図ることといたしております。
  10. 江渡聡徳

    江渡委員 大臣の今のお答えなわけでございますけれども、実際そのような形でこれからとり行ったとしても、そのことがしっかりとした形として打ち出していけるかどうかということがやはり大切になってくるわけでございますので、大臣のよりよい御指導、御助言ということもお願いしたいと思っています。そして、それ以上に、原子力安全委員会の行動の中におきまして、特に国民にとって、そして国際的にとりましても、わかりやすい形、あるいは透明度をどれだけ高めていくかということも私は大切なことだと思っておりますので、御検討のほどよろしくお願いしたいと思います。この辺のところは、また次の機会にもう少し詳しくお聞かせいただきたいと思っております。  さて、これからの原子力行政推進していくということを考えた場合には、今までのいろいろな事故等が続いてきたということも考えてみるならば、どうしても最終的にはやはり国の責任明確化というものをしっかりとしていかなければならないと私は考えております。その上で、安全性というものを最優先した防災対策が必要と考えております。  特に原子力災害というのは、人間が覚知できない、本当にわかることができない、目に見えない放射線による特殊災害であります。ですからこそ、防災対策におきましては、専門的な知識を有している方々の配置というものはもちろん大切ですし、それ以上にそれらのことをしっかりと把握するための資機材等というものが大切になろうと思っております。また、一般災害とは違いまして、自治体原子力災害に対して独自の判断をしようとするのがなかなか難しいという点もあると私は思っております。ですからこそ、国が主体となりまして防災活動実施するということが本当に大切であると思っております。  そこで、お聞かせいただきたいわけでございますけれども、今般の原子力防災につきまして、国、自治体事業者責任を明確にするということは本当に大切だと思っていますけれども、法的にどのように規定されているのか、政務次官にお聞かせいただきたいと思います。
  11. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 江渡委員指摘のとおり、原子力防災上、国、地方自治体そして事業者、この三者がその責務を明確にし、その上で連携を図っていくことが非常に重要だと考えております。  まず国の責務についてですが、これは第四条で明確になっておりまして、緊急事態応急対策実施に関し、原子力災害対策本部設置地方公共団体への指示などを行うほか、予防対策及び事後対策実施に必要な措置を講ずる責務を規定して、地方公共団体及び原子力事業者に対しても助言等の適切な措置をとることとしております。国の責務を四条で明確にしております。  次に、地方公共団体責務についてですが、第五条で、予防対策それから緊急事態応急対策そして事後対策実施のために必要な措置を講ずることによって、地域防災に関する責務を遂行することにしております。  それから、最後に原子力事業者責務についてですが、これは第三条で規定しておりまして、原子力災害の発生の防止に関し万全の措置を講ずるとともに、災害拡大防止、復旧に関し誠意を持って必要な措置を講ずる責務を課しているところでございます。具体的には、事業者防災業務計画の作成、防災組織設置放射線測定設備等資機材整備、異常な事象の通報等義務をこの原子力事業者に課しているところでございます。
  12. 江渡聡徳

    江渡委員 今お答えいただいたわけですけれども、しかし、そのような形で行われたとしても、いざというとき、特に実際にいろいろな災害が起こったときの総合調整というのはやはり大切だろうと思っています。法にも十八条にそのことが書かれてはあるわけですけれども、やはり総合調整がスムーズにあるいは速やかに行われるような体制づくりということのためにも、政務次官の御努力を期待しているところでございます。  続きまして御質問させていただきたいと思うわけでございます。  今もお答えの中にもありましたけれども、原子力防災計画を含めまして、防災体制づくりを進めていくためにはやはり国、自治体事業者の連絡、連携というのが大切だというのは、これはもう言うまでもないことでありますし、まただれもが認識していることだと思っておるわけでございます。原子力に関する防災計画策定するに当たりまして、災害想定、これが一番難しい部分であるかもしれませんけれども、この災害想定のところ、そしてそれと同時に災害予防、そして三つ目においては災害応急対策、つまり災害対策指揮命令のこと、あるいは退避避難措置のこと、また緊急時におけるモニタリングをどうするかということ、あるいは緊急時の医療措置、ここは今回も問題になった部分であると思っておるわけですけれども、これらについてもしっかりと明確化を図るべきだと私は考えておりますけれども、そこの点につきまして見解をお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  13. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 原子力に関する防災計画をより具体的にかつ実践的に立てるということは非常に重要であると考えております。  まず、国におきましては、災害対策基本法に基づき、原子力災害に関する防災基本計画策定しております。この防災基本計画ですが、本法案により、総理本部長とする災害対策本部設置、それから指揮命令系統等に関し変更することとなりますけれども、その際に、従前の部分も含め内容充実、先ほど江渡委員おっしゃったような意味も含めて内容充実を図ることとしております。  また、地方自治体におきましても、災害対策基本法に基づく地域防災計画策定しておりまして、避難場所モニタリング体制医療体制等を定めております。今後、地域防災計画策定に当たっては、放射性物質放出を仮想した具体的な避難場所避難経路等の指定などの検討が重要と考えておりまして、こうした地域防災計画策定に際して、本法案に基づいて、国としても地方自治体に対して専門的知見の提供や技術的支援を行っていかなければならない、このように考えております。
  14. 江渡聡徳

    江渡委員 この防災計画を定めるに当たりましては防災範囲ということも大切になってくると私は思うわけでございますけれども、青森県の六ケ所村には皆様方御承知のとおり核燃サイクル施設がございます。この核燃サイクル施設防災範囲についてお伺いをさせていただきたいと思うわけでございます。  去る十一月の十七日に、青森県において原子燃料サイクル施設環境放射線等監視評価会議監視委員会が開かれました。この監視委員会の三回目の会合があったわけでございますけれども、ここの場において、特に今回の東海村の事故のことも踏まえながら、中身のことを議論されたわけです。  そこにおいて、現在の青森県の防災計画というのは、住民避難交通規制、食物の摂取制限などの防災対策が必要な範囲というものが核燃施設から五キロとした国の原子力安全委員会の回答を参考に、対象範囲六ケ所内と定めたというふうになっております。しかし、今般の事故におきまして、臨界事故現場から半径十キロ以内の住民に対して屋内退避の要請が出されたということの報告もあったわけでございます。それで、この委員会の各委員方々から、果たしてこの五キロでいいのか、安全なのかどうなのかということでの議論がなされたところでございます。  しかし、このことに関しまして科技庁側からは、臨界事故を想定しても、理論的には五キロ以上にする必然性がないというふうに答えられているというふうに新聞報道でなされています。しかし、先ほども言ったように、やはり十キロまで実際に臨界事故のときなされたということを踏まえますと、地域周辺住民の不安にこたえるためにも、この辺のところの見直しというのは大切になってくると私は思っています。  また、私自身、この六ケ所村の核燃サイクルを抱えているところの選挙区にも住んでおりまして、この地域、偏西風でありますやませというものが吹き荒れる地域でございます。特にこのやませの影響を受ける野辺地町あるいは横浜町等の周辺の町村の方々は、果たして本当に安全なのかということで、不安がかなり増しております。ですから、この辺のことも考えながら、防災範囲というものももう一度見直していただきたいと思っておるわけでございます。  ですから、お聞きしたいところは、五キロとした根拠は何だったのか、そしてまた、今回の事故を踏まえてこれから見直していく予定があるのかどうなのか、見直すべきであると私は思っていますけれども、そこのところについてお答えいただきたいと思うわけです。
  15. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 六ケ所村に建設中の核燃料処理施設防災対策で重点的に実施すべき範囲として、原子力安全委員会から、施設を中心として半径五キロメートル程度の範囲目安として示されているところでございます。  この範囲につきましては、臨界事故も含めて検討が行われておりまして、技術的見地からは起きるとは考えられないレベルとして想定されている最悪事故でありましても、この範囲の外側において防災対策を必要とするような影響は与えない、こういうふうに考えられますので、この目安は十分妥当なものと考えております。現在、この目安の変更を要するような知見は見出されておりません。  なお、今回の臨界事故屋内退避範囲については、東海村の事故の場合ですけれども、当時、周辺の幾つかのモニタリングポストガンマ線線量率が上昇、下降する傾向が続いていたこと、また、転換試験棟臨界が継続しており事態が収束していなかったこと、政府として住民安全確保に念には念を入れるという方針が定められたこと等から、茨城県が国の助言を得て、念のための措置として十キロメートル圏内を屋内退避とすることが適当と判断したものでございます。
  16. 江渡聡徳

    江渡委員 今の政務次官お答え原子力関係のプロとしてのお答えだと思うわけでございますけれども、しかし、地域に実際に住んでいる住民の不安というものをどのように解消していくか、そして、どのようにその方々理解してもらうかということがやはり大切になってくると思うわけでございます。いろいろな事故事故においての対応の仕方というのは異なってくると思うわけでございますけれども、実際に東海におきまして十キロという形で出されたということ、そして、現在青森県の六ケ所においては五キロだ。では、そこの違いは何なのかということで今お答えがあったわけでございますけれども、しかし、その辺のところは、地域住民方々、なかなか理解がしづらいところが多いと思います。  ですからこそ、そこに対してのPA活動とかさまざまなものをこれからもっともっとやっていただきたいと思いますし、技術的な部分において一切問題がないんだということもまた確実にさせていただきたいと思っておるわけです。というのも、今回の事故、起こり得るはずがないといいながら起こってしまったわけです。ですからこそ、最悪最悪最悪、それでもかというぐらいのことを考えてやっていただきたいというのが私の要望でございます。  質問通告をしていなかったんですけれども、このことに関連して、一点だけ御質問させていただきたいと思うわけでございます。  この評価会議監視委員会の中におきまして、実際、もし、いざという場合に、青森県の医師が果たしてどれだけの対応ができるだろうかということの議論もなされたわけです。そのときに青森県の方からは、現在、青森県内医師には、緊急時における放射線医療にかかわった専門医というものが一人もいない、こういう答えが返ってまいりました。  このことは、逆に言えば、青森県のみならず、原子力関係施設を立地している各自治体にとりましては非常に不安に陥る点だと思っております。特に、先生の御出身の広島の方におきましては、長い間、原子爆弾という悲劇を受けながら、放射線医療というものに携わってきたわけです。ですから、その方々の持っている知識あるいは技術というものを、この原子力関係施設の立地している同県に対しまして活用できるような形をとっていただきたいと思うわけでございます。  これはあくまでも要望としてお願いしておきたいと思うわけでございますけれども、中曽根長官文部大臣も兼務でございますので、文部省等々ともお話し合いしながら、できるだけ国民の不安を払拭する、あるいはいざというときの体制をしっかりした形で確立していくというために御努力をお願いしたいと思うわけでございます。よろしくお願いしたいと思います。  では、引き続き質問をさせていただきたいと思うわけでございますけれども、今般のジェー・シー・オー事故におきまして明らかになりましたけれども、災害時におきまして、自治体における初期対応というのは本当に大切だなというふうに私は思ったわけでございます。  今回のこの法案におきまして、事業者異常事態通報義務を課しておりますし、また内閣総理大臣を長とした原子力災害対策本部設置することによって初期動作迅速化を図ろうとしているわけであります。そこの点について、これもまた青森県の方に関係してくる点も多々あるわけでございますけれども、国の緊急時の応急体制、どのような形でとろうとされているのかということをお聞かせいただきたいということが第一点でございます。  そして、第二点目におきまして、今までも何度も何度も青森県と科技庁さんと話し合いがされていると思うわけでございますけれども、青森県から原子力レスキュー隊設置していただきたいということで要望が出ているわけでございますけれども、本法案においてどのような形で位置づけがなされるのであろうかという点をお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  17. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 今回提出させていただいた法案では、異常な水準の放射線量放出などがあった場合、総理大臣が直ちに原子力緊急事態宣言をすることになっております。  この原子力緊急事態宣言後、国は、原子力災害対策本部設置するとともに、現地にも現地災害対策本部設置することとしておりまして、関係省庁地方公共団体、それから原子力関係等の機関、それから原子力事業者等がオフサイトセンターに集まって、原子力災害現地対策本部長現場における実質的な責任者として関係者調整指示を行うことによりまして、原子力事業者原子力防災組織、それから原子力防災専門官、原子力専門家、自衛隊、消防、警察、医療チーム等が連携をとりつつ、総力を挙げて応急対策実施することとなっております。また、特別の措置として、原子力災害対策本部長は、これは総理ですけれども、防衛庁長官に対して自衛隊の派遣要請を行えることとしております。  このため、自衛隊、消防、警察、医療機関などは、原子力災害対応するために必要な装備等の充実を図って、共同して防災訓練の実施をすることによって、緊急事態応急対策への対応機能の強化を図ることとしております。  核燃料サイクル施設の運転、建設が進む青森県からの原子力レスキュー隊に関する要望については、以上のような対応を進めることによって、実効性のある応急対策体制を実現すべく努力してまいりたいと思っております。そのような形で実質的なレスキュー機能を設けたい、このように考えております。
  18. 江渡聡徳

    江渡委員 その青森県から言われているレスキュー隊の実質的な機能、これらをきちんとした形にさせようとした場合、どうしても青森県内にある自衛隊あるいは消防等におきましてしっかりとした形のものをつくらざるを得ないと思うわけでございます。そのときにおいては、原子力関係に対しましての教育訓練というものをどこまでしていけばいいかということをもう一度、各省庁におきまして考えながら取りまとめていくと思うわけでございますけれども、この点に対しまして、科技庁さんの方で主体的になって調整していただきながら、青森県が要望しているこのレスキュー隊の機能がしっかりととれるような体制づくりを何としてもお願いしたいというのが私の思いでございます。  やはりこの辺のところが一番大切なところになってくると思うのです。特に青森県内においては、陸海空の自衛隊も実際あるわけでございます。そのほかに、三沢の方におきましては米軍の基地もあるということで、この辺のところの連携体制というのもきちんととれるようにしていただきたいなと思うわけでございます。局長から、できれば多少細かい点まで、その辺のところいかがお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  19. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  さきに青森県知事と内閣官房長官を初めとします核燃料サイクルの協議会の場におきまして、本件についても審議が行われたところでございます。科学技術庁といたしまして、その場の審議の結果を踏まえまして、誠意を持って対応してまいりたいと思ってございます。
  20. 江渡聡徳

    江渡委員 できるだけよろしくお願いしたいと思います。  時間の関係もありますから、この辺のところの最後の質問になるかもしれませんけれども、昨日、同じ青森県の議員でありますけれども、改革クラブに所属しております木村議員が衆議院の災害対策特別委員会におきまして、この六ケ所核燃サイクル等に対して、いざ災害に遭った場合ということで質問に立っているわけでございますけれども、この質問に答えまして、斉藤総括政務次官が、特にこの法案の中においても明記されております原子力防災専門官の配置のことについてお答えをなされております。  六ケ所部分におきましては、この記事のことを読ませていただきたいと思いますけれども、斉藤総括政務次官は、六ケ所村にはいろいろな原子力施設が集まっており、十人程度の原子力防災専門官が配置されると考えていると。これは総括政務次官のお考えだとは思うわけでございますけれども、今回のこの原子力防災法において一番の重要な地位を占めるのは、やはり私は各地域に配置されるであろう原子力防災専門官であると思っているわけでございます。  ですからこそ、この防災官がどれだけの仕事ができるか、またどれだけ細かく実効性のある対応がとれるかということになりますと、どうしても施設の規模とか数とかあるいは内容等によって、各地域設置される数というものは決まってくると思うのです、おのずと。しかし、そういいながらでも、施設においては、多重防護がしっかりなされている原子力発電所もあれば、今回のように、今まで原子力安全委員会の中においてもそれほど審議されなくてもよかった加工燃料施設のようなところもあるとか、いろいろあると思うのです。  その中での今回の見直し法案でありまして、ですからこそ、この専門官を設置する上において、その地域の規模とかさまざまなものに合った配置基準というのを今どのような形で検討されているのかというところをお聞かせいただきたいと思います。十人程度になるかどうか、これはまたこれからの議論によってさまざま変わってくると思いますし、また専門官が持ち得るであろう権限の中身によっても私は変わってくると思っていますけれども、一応今の段階のところをお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  21. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 江渡委員おっしゃるとおり、きのう災害特でそのような答弁をさせていただきましたが、これは、あくまでも六ケ所村で予定されているさまざまな原子力関連施設がすべて稼働をし始めたときの目安としてお話をさせていただきました。おっしゃるとおり、いろいろな原子力関連施設の運転の状況等によってこの専門官の数字は変わってくるかと思われます。  御質問ですけれども、どういう基準でこの防災専門官を配置していくかということでございますが、防災専門官の任務は、平常時におきましては、原子力事業者に対していろいろな指導をする、また、地方自治体に対しても情報交換をする。また、緊急時においては、緊急事態宣言が発せられるまでは中核的な役割を担っているということで、原子力防災対策上大変重要な役割を持っております。今後、その具体的な職務については、政令、省令等できちんと定めてまいりますけれども、その職務に応じまして、また、各地域原子力施設の状況に応じまして、ある一定基準のもとにこの人数を割り出していくという作業をすることになると思います。
  22. 江渡聡徳

    江渡委員 時間が参りましたので、ここで質問をやめさせていただきたいと思うわけですけれども、まだまだ本当はあと四問か五問ぐらい質問したかったのですけれども、とにかく今般の事故も踏まえまして、国民が安心できる原子力行政というものをしっかりとやっていただきたい。そして、そのためには、やはり情報の開示も含めながら、国民にとって透明性のあるもので御努力していただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  23. 北側一雄

  24. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 前回の質問では、原子力災害対策特別措置法について、原子力災害に際して、自衛隊の派遣など、国はもっと前面に立つべきではないかという立場から幾つかの基本的な点について伺いました。きょうは、引き続き原子力災害特別措置法と原子炉等規制法の一部改正について、何点かお伺いいたします。  まず、原子炉等規制法の改正についてお聞きするわけですが、今回の法改正によって、単に規制を強化するだけではなく、現場における安全文化を醸成することが何よりも大切なことであり、同時に、行政においても適切なチェックを行うことにより、業者等とともに安全文化を築き上げていく責務を有している。こういうことは当然なことであり、今までの法においてもこういう責任は持っていたわけでございますが、国は、この加工施設について、保安規定遵守状況調査を最近行ってこなかったということでありますが、その点の理由について、まずお伺いしたいと思います。
  25. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 加工施設に対しましては、ジェー・シー・オー東海事業所を含め、平成五年度以降、保安規定遵守状況調査はほとんど実施しておりませんでした。このジェー・シー・オー東海事業所につきましては、原子炉等規制法に基づく施設検査、また、平成十年四月に設置した運転管理専門官による巡視等を活用して、可能な限り施設の状況等について把握に努めてきたところでございます。  これまで、保安規定遵守状況調査は、法令に規定されていない任意の調査であることから、法令上の位置づけを有する審査、検査等の案件が多い場合は、種々の制約から、毎年度必ず実施できるとは限らなかったわけでございます。  実際、民間事業者による青森六ケ所村の濃縮、再処理等の事業の許可、指定が行われたことに伴いまして、平成五年度以降は関連の許認可及び検査にかかわる業務が急増いたしましたために、これらの施設に対する法令上必須の検査が優先されまして、任意事項である加工施設の保安規定遵守状況調査等が実施しにくくなったという事情がございます。  しかしながら、今回の事故が発生したことにかんがみまして、原子力保安検査官の新規配置等によりまして検査体制を強化するとともに、御審議をお願いしております原子炉等規制法の改正によりまして、保安規定の遵守状況についての検査を定期的に実施することとしているところでございまして、運転管理の状況の適切な把握と厳正な指導を行い、一層の安全確保に努めていきたいと考えております。
  26. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 一昨日、私は大臣に対しても、原子力行政のこれまでの安全神話といいますか、マニュアルどおりに行っていけば事故は起こり得ない、こういうことから事故が起きているわけなんですが、そういう点で、人間の扱う技術というのはやはり失敗があるんだという観点で今回の法も見直されているかという質問を私はしたわけです。  しかし、私の本来のその質問の目的といいますか趣旨は、やはり文化の根底にはなくてはならない倫理性の問題、これのいわゆる弛緩、欠如ということが、実はこのHIIロケットにせよ「もんじゅ」にせよ、その他ひいては我が国の科学技術そのものを脅かす問題を起こしているし、これからも起こしていくのではないか、こういう不安から、実はこの倫理面で強調したい、そういう意味でこの質問をしていたわけでございます。  実際、本当に今回のこの原子力災害対策特別措置法等の施行のために千三百億円近い予算が要求される。安全を保障する、確保する金というのは、技術的な事故を起こされますと、どのようにたくさんな金がかかっていくものやら全く予想がつかないようなものでございます。そして、その原因には、やはり精神的な弛緩、欠如ということがどうしてもある、こういうことを私は今も確信を持って信じているわけでございます。  そういう意味で、今回単に規制をするだけではなく、安全文化を醸成するという意味において、今回の原子炉等規制法の改正に、保安規定に盛り込むべき事項として保安教育が明示されたことは大きな意義を有するものと考えているわけでございます。この立場から、実は、保安規定中に保安教育が含まれていることの意義について、大臣あるいは当局の認識をまずお聞きしたいと思います。
  27. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 菅原委員指摘のとおりだと、私も全く同様の問題意識でございます。  そして、十一月五日に公表されました吉川先生が委員長をされております事故調査委員会の中間報告におきましても、今回の事故を起こした作業員は臨界についての理解が不十分であった可能性があると指摘しております。保安対策の基本中の基本は、この倫理を含めた従業員教育であると今回改めて我々認識をした次第でございます。  この認識に基づきまして、今回の原子炉等規制法の改正におきまして、従業者への保安教育を事業者などの義務として明確に位置づけることとしております。より充実した保安教育が行われるよう、我々としても十分その点を見守っていきたい、このように考えております。
  28. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 そういう保安教育は、これはもう年をとっても、また若い者にも常に意識してもらわなければならない要点だと私は思いますので、特にこういう点に留意してこの法の運用をしていっていただきたい、こう思うわけでございます。  それでまた、こういうことに関連して、文部大臣としての中曽根大臣、後は文部省にお聞きするわけですが、近年、理系離れということが言われております。また、大学生の理科や数学のレベルが著しく低下しているとも聞いております。これまでの我が国の繁栄を築き上げてきたのは、すぐれた教育によって、若者たちが高い理想と使命感を持って科学、技術を学んできたからであるとも思っているわけです。  現に私は、「ここがヘンだよ日本人」という、アフリカの青年ばかりじゃなくして、何人かの向こうから来ている青年とつき合っているのですが、彼らの倫理観というもの、そして礼儀の正しいのには本当に驚いております。そして、何とかして祖国を発展させたいんだという強い意識で、みずからも資金を集めて、それを本国に送って学校をつくろうじゃないかなんて言っているわけなんです。  私は、やはりああいうハングリー精神で、この青年たちが、飯を食わないで水だけで一日過ごしてきて、私が食事に誘ったときなんか、全然おくびにも、いわゆる武士は食わねど高ようじという私たちの小さいときの精神にみなぎっておりましたね。  ですから、近年、ゆとりの教育という風潮の中で、どうも日本の若者が技術能力や専門能力が著しく低下しているということも、このゆとりの教育そのものに、私の今言いましたような使命感的なもの、倫理観的なものがないと、単なる自分の立身出世、個人の利害のみを中心とするいわゆるエコノミックアニマル的な思想では、こういう技術能力、専門能力への研修も低下しているのではないか。そして、そういう現在の日本の科学者が事故を起こしている原因にもなっているのではないかと思うのであります。  そこで、ゆとりの教育に関連して、しっかりとした技術者、科学者を育てるための教育を、これは先ほど言いましたように、小さいときも大きくなってからも常に失ってはならないと思う、そういう立場でお聞きするのですが、大臣あるいは文部省の所管として、具体的にどのようにお考えであり、また取り組んでいるか、お聞きしたいと思います。
  29. 御手洗康

    御手洗政府参考人 お答え申し上げます。  ゆとりの教育の趣旨は、ゆとりを持って、まず基本的な事項、基礎的な事項を学校教育の中で徹底して繰り返していく、そのための時間的なゆとり、精神的なゆとりというものを持っていくということが一つでございます。  と同時に、単なる知識の教え込みということではなくて、その知識を自分で使って考えて課題を解決していく、こういったことを重視していこうという意味で、現在、ゆとりの教育と生きる力の育成という観点から学校教育を推進しているわけでございます。  ちなみに、我が国の初等中等教育におきます理科、数学の教育レベルにつきましては、国際理科教育調査、四十五年から過去三回ほど行われているわけでございますけれども、基礎的な知識という点につきましては世界でもトップクラスにございまして、決して引けはとらないわけではございますけれども、理科が好きであるというような子供たち、あるいは将来に生かしていきたい、こういった意欲を持っている子供たちが諸外国に比べて極めて少ないというような問題点が指摘されているわけでございます。  そういった意味でも、自分で考えて問題を解決していく、そのためには、小学校段階から、実際に実験、観察を通じて事柄を科学的に身につけていくというような教育を重視しているわけでございまして、教員の指導等につきましても、理科教育担当教員の観察、実験等に関する指導力の向上を図るための研修会、文部省で直接行っておりますし、また各都道府県の教育センター等で年間を通じて継続的に行っているところでございます。  今後とも、御指摘のような科学に対する、倫理性というようなことも含め、あるいは人間としての、生命やあるいは環境や自然に対する倫理観を養っていくという点につきましても、道徳教育も含めまして、さらに充実に努めてまいりたいと考えております。
  30. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私は、こういう技術教育とか専門教育は、単に自分の趣味、嗜好、性格に合っているというような観点から選択させていっては、人間の趣味、嗜好なんというのはそのときその環境によって変わっていく性格を持っているんですから、やはり、その前に、社会のため、国家のためとか人類のために自分は何が尽くせるのかというようなところから選択させるような教育に持っていかないとだめじゃないかな、こう思っております。  それでは、こういう論議をしていたのでは時間がなくなりますので、保安規定の遵守状況は具体的にどのような手段により確認されるのかという質問をすることにしていたのです。  そもそも私は、今申し上げましたように、他人に保安規定の遵守状況をチェックされたり他人に安全確保を強制されたりする前に、個人個人がみずからの倫理観と責任感を持って仕事を全うし、安全を守っていくということが安全文化の基本であると思っております。これにはやはり、宗教的観点からいいますと、私なんかはむしろ個人的には人を許す傾向のある人間なんですが、組織を守るということには、そしてまたその組織の責任を全うしていこうとする立場に立つと、どうしても、責任を全うできなかった者に対しては厳罰をもって臨むべきだ、そうしないとやはり組織というものは運営できないんだ、崩壊するんだ、こう思っております。  そこで、こういうような観点から、今回の原子炉等規制法の改正で罰則が引き上げられてはおりますが、実際に法律に違反した者に対して厳しい罰則を規定して、抜かずの宝刀にするのは、これは刑法問題の整備なんですが、これは科学技術庁の方に話してもらちの明かないことなんですが、やはり実際には罰則を積極的に適用すべきじゃないかと思っておりますので、この点についての科学技術庁の考えをお伺いいたします。
  31. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 原子炉規制法におきましては、従来から、化学兵器禁止法、それから対人地雷禁止法等の他の危険物に関する規制法と同程度の罰則規定をもって、核燃料物質等について適切な取り扱いがなされるよう担保措置を講じてきたところでございます。  今回の法改正におきましても、保安の確保に係る事業者責務を一段と明確にするとともに、新設される制度を実効的に運用するために、電気事業法、ガス事業法といった厳格な刑罰を定めた事業法と同程度に罰金刑を引き上げることとしております。  こういう罰則規定のほかにも、原子炉規制法におきましては、いわゆる許可の取り消し、事業停止命令を含む行政処分の対象としております。  このようなことによりまして厳格な運用を図っていきたいと考えております。
  32. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 おとといの審議においても、国が前面に立った対応を行うためには、今回の法案において、原子力災害対策本部長が直接自衛隊の派遣要請をできることとした条文は重要であると申し上げたところであり、また、防衛政務次官には前向きな答弁もいただきました。  しかし、幾ら法律に規定されたといたしましても、実際に原子力災害が起こったときにきちんとした対応ができないと意味がございません。また、今回のように情報がはっきりしない、あるいははっきりしても丸裸のままに放射線の危険地域内に社員を入れないと対応ができなかったようなこともありますので、やはりこういうことの対応のためには、自衛隊を初め消防、警察、事業者などが有機的に連携をとって事前に十分な対応ができるように準備すべきだと思います。  そこで、平素からこういう災害に関する知識をしっかりと教育し、訓練を重ねることが重要であるわけなんですが、従来は、地域によって、政治的な理由などから、自衛隊が防災訓練に参加できない場合もあるわけなんです。やはり国家、社会の責任体制、それは国家安全保障につながる。これは国民が、国家安全保障の問題は総力で事に当たらなければならない、そういう体制を築いていかないといかぬし、意識をつくらぬといかぬわけですので、今回の第十三条に規定されている防災訓練に自衛隊は、私の今言いましたような意味で参加するのかどうか、このことをお聞きいたします。
  33. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 防災訓練を実効あるものにするためには、実際に原子力災害応急活動を実施する者が参加することが非常に重要だと思っております。  したがいまして、具体的な参加方法等については今後検討していくことになりますけれども、自衛隊も参加する訓練がされる、このように考えております。
  34. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 まだまだ質問通告しておりましたが、今回は一応、時間、三十分になりましたので、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  35. 北側一雄

    北側委員長 平野博文君。
  36. 平野博文

    ○平野委員 民主党の平野博文でございます。持ち時間の中で質問をさせていただきたいと思います。大臣、急いで帰っていただきましてありがとうございます。帰られるまで待とうかなと思っておったんですが、始めさせていただきたいと思います。  先回も、十二日でございましたか、質問をさせていただきましたところを少し補足ということも含めて質問をさせていただきたいと思います。  これは、科学技術庁長官という、所管との関係があるわけでありますが、文部大臣も兼任をしておられる、そういう中で、私は、さきの質問の時間で、原子力の学校教育における現状ということで、臨界という言葉について大臣御存じですか、よく知っている、こういうことをいただいたわけであります。  私は、そのときにも申し上げましたけれども、日本の国民に、原子力の今利用している現状と、原子力はどういう原理で成っているか、また安全性についてはどういう状態に置かないと安全性が担保できないか、こんなことをきちっと学校教育の中でも教えていかなきゃならない。そのことが、ひいていえば国民の多くの方々原子力の問題の真実を訴えていくことにもなるでしょうし、広く国民皆さん方に理解を、危険性もはらんでいる、けれども、こういうふうにこの原理を理解すれば安全性が担保できるということを知らしめていくことが大変必要であろうというふうに思ったわけであります。  そういう中で、文部省の方から実は詳しい資料をいただいたわけであります。それを見てみますと、原子力発電所の有無と臨界の記述のある教科書のシェアについてということで、大臣から御報告いただきましたが、物理IB、物理IIということで、二十二点中四点にそういう記載があります。したがって、物理全般に記載がない。そういう物理の教科書を使っている全国平均を、それぞれ立地県並びに他の県の平均をとってみていただきました。そうすると、平均の数値では、立地県並びにその他の県の平均をとってみますと四%として、そんなに違いはないわけであります。  しかし、これを採用してやっておるかどうかということを都道府県別に見ましたところ、特に原子力施設の立地の多い石川県とか福井県というところは、高校物理IBにおいては全く採用されていない、非常に偏った状況に実はなっておったというのが数字上判明をいたしたわけであります。茨城においても全国シェアよりも低い、こういう数字が実は出ているわけであります。  これは、本来のあれからいきますと、特に立地県の学校教育の中にあっては、より多く、原子力の原理、さらには安全性、危険性も含めて知らしめる教育をしていく、さらに日本全体にそういうことを本来教育課程の中で教え込んでいかなければならないと思うのでありますが、現実、こういうアンバランスな数字が出てまいったわけであります。  この前の質疑でも私申し上げましたけれども、何か偏った、あるいは寝た子を起こすようなことをしないように、クローズな仕組みの中で原子力政策を遂行しようとしている、このようにも私、この数字の、シェアの出方から見まして感じたわけであります。  この点について、大臣に改めて、この数字が出ましたので、これについて大臣の所見を伺いたいと思います。——同一人物でありますから、所管なんてそういう縦割り的なことを、ルールを破るつもりはございませんから、科学技術庁長官でも結構ですが、実は科学技術庁長官で申し上げますならば、文部の政務次官を呼んでいただきたいということも事前に申し上げました。ところが、大臣お答えしますという内諾を得ましたから、結構でございます、こういうことで終わっておりますから、どうぞ、立場も含めて。
  37. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 科学技術庁長官として本委員会出席させていただいておりますが、お尋ねの件も大変重要なことでもございますし、文部省から受けている報告をもとに私から答弁をさせていただきます。  臨界関係でございますけれども、臨界は、高等学校の必修の内容として扱うには、その程度から見て困難な点もありますために、今、学習指導要領上は必ず指導しなければならないこととはしておりません。したがいまして、臨界について記述がない教科書を使用しているからということで、原子力発電安全性確保の重要性等について適切な指導が行われていないというものではございません。もとより、原子力発電の意義やその安全性確保の重要性については、小学校、中学校、高等学校を通じて社会科や理科等を中心に学校教育において適切に指導しているところでございます。  委員から、臨界を記述している教科書の採択が県ごとでばらばらでもあり、また石川県、福井県においては高校物理IBはないではないか、そういうような御質問もございました。  教科書の採択は、教科書の内容の綿密な調査研究の結果をもとに、生徒の実態や地域の特性等を踏まえて、採択権者の権限と責任において行われているものでございます。御指摘の教科書の採択も、それぞれの教科書の全体の内容等を総合的に判断して、各採択権者、つまり石川県や福井県の教科書の採択権者において適切に行われた結果である、そういうふうに考えております。  ちなみに、今物理IBのことをおっしゃいましたが、高校物理IIの方は、石川県はシェアは七九・五%、福井県は八七・一%ということで、福井県は、これらの臨界の記述のある教科書を使用している県の中では二番目に高いシェアとなっていることを報告させていただきます。
  38. 平野博文

    ○平野委員 大臣言われたところは数字上はそのとおりであります。ただ、物理IIを高校生という学生の世代に本当にこれは必修科目として採用されておるのか。選択になっているんじゃないでしょうか。物理IBというのは大体一般的に教科書として習うレベルの部分だと私は思いますし、私の記憶では、物理IIというのは、理科系に進もうとする方についてのより高度な教科書だと思っております。  そういう意味で、ここでこのことを議論するつもりはありませんが、学習指導要綱にも、今回の事故がこういうことで起こっているわけでありますし、さらにやはり、採択はそれぞれの都道府県だということであれば、幾ら国が言っても、指導要綱になければ、採択する権限は向こうにあるんだということでいきますと、国が必ず必須的にやってもらいたい。  私、これは臨界ということにこだわったのは、臨界という言葉を余りにも皆さん知らないから臨界ということにこだわったのであって、本質論は、原子力の行政を進めていく上において、原子力とは何ぞや、原子力の必要性、安全性、危険性というのはこれは表裏一体でありますから、そのことをきちっと国民に知らせていくというこのことを文部省立場でもやってくださいよ、科学技術庁立場でもやってくださいよと、一つの土俵として申し上げたわけでございますので、ぜひとも今回の事故を踏まえて、文部省大臣でもあるわけでありますから、文部省からの報告を受けてということでありますから、そういう委員会の質疑の報告を受けて、文部省にきちっと充実するように、国民により理解をしてもらうように要望を強くしておきたい。この件についてはそう思います。何か御意見ありますか。
  39. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今委員おっしゃいますように、きちっと教えるということは大変重要だと思います。  それで、ちょっと御説明させていただきますが、学習指導要領におきましては、小学校では、社会科において我が国の工業生産とその原料など、それから中学校では、社会科において資源やエネルギーの開発利用、理科において水力、火力、原子力などのエネルギーの重要性とその性質についての基礎的な事項など、高等学校では、地理、現代社会、物理等を中心に、資源エネルギー問題や原子力、それから放射線の特性や利用などを指導することとしております。
  40. 平野博文

    ○平野委員 今大臣言われたことに対しては少し反論があります。社会科で教えたらいいということを言っているのではありません。これからの科学技術を考えていきますと、より専門性の高い領域での、やはり物理の、社会科で教えているからいいじゃないか、こういうことの議論には私少し反論があります。  といいますのは、先ほどの同僚議員のお話にもありましたが、原子力の学術研究をしようとする学生が非常に少なくなっている。大学の研究室の名前も、原子力という名前がどんどん消えていっている。この現状を考えますと、原子力をやったって、研究したって将来何の役にも立たないわということで、ますますこの分野が疲弊してくるんじゃないか、こう思っています。  一例を申し上げます。昔よく結核という病気がありました。ところが、結核菌の撲滅ということで、病理学的にそこを一生懸命やろうという人がほとんどいなくなった。ところが、近年、若年結核ということで非常にふえてきた。それを退治しようとする医者が、ほとんどそういうことに触れていないものですから敏速に対応できない。こういう現象が起こっているんですよ。これはもう事実ですよ。  私は、この原子力も、後で時間があれば質問したいと思いますが、ロケットの事故が起こりました。こういうことで抑制をしていきますと、宇宙開発に対する技術屋さんもますます少なくなってくるんじゃないか。非常に大事な指摘だと私は思っております。このことをぜひ、行政官庁の長官、文部大臣立場にあるわけですから、そういう視点のことも含めて、これからのあるべき研究機関云々等をよく考えていただきたいな。充実をしていくということは、より安全性というところに対する技術も特化されてくる、こういうふうに私は思っておりますので、御答弁要りませんから、強く要望をしておきたい、このように思います。  そこで本論に入ります。  今回の法律案の第一条の目的では、特に「原子力災害の特殊性にかんがみ、」ということを明確にうたっておられます。原子力災害の特殊性とは何なのか、こういうことであるわけでありますが、平成十一年の四月の二十八日に原子力安全委員会原子力発電所周辺防災対策専門部会というところから「原子力防災対策の実効性向上を目指して」という提言書が実は出てございます。原子力の特殊性ということをそこに書かれているわけであります。  火災や海洋汚染のような他の災害と比較した原子力災害の特殊性は、放射線を直接五感で感知することができないんですよ、こういう特殊性もひもといておられます。その結果、適切な行動を行うことが困難となるおそれがありますということも言われております。そのために一般の人には原子力災害に対する不安が大きいという、原子力委員会の専門部会からの提言書が実は出ております。これが一つは特殊性ということを端的にあらわしている提言書の中身だと私は思っておりまして、私自身もそのとおりだと思っております。  まず、ここで改めて大臣に確認をしておきたいのでありますが、今回の東海村で原子力臨界事故が起きたことでありますが、この今回の法案の「特殊性にかんがみ、」こういう言葉に対峙して、この法律事故の反省を踏まえる中で、事故は起こり得るんだ、起こらないという神話は崩れたのでありますから、起こり得るという発想に立って策定されたものであるか、確認をしておきたいと思います。イエス、ノーで結構でございます。
  41. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今委員から特殊性についての話がありました。委員も御説明ございましたけれども、原子力災害は自然災害と比較しまして、放射線及び放射性物質放出は五感に感じられない、そういうことであるので迅速かつ広域的対応を講じることが必要であること、それから、災害対応を実効的に行うためには、特別な訓練や装備が必要となるほか、専門的知見が必要となるということ、そして、災害防止のためには事故の原因者であり、また事故が発生した施設について熟知する事業者責任ある対応が必要であることという特殊性があるわけでございます。  このため、この法案ではこれらの特殊性に対応するための特別な措置を規定しているところでございます。  事故の反省を踏まえてつくられたものなのかということでもございますが、今回のジェー・シー・オーにおける臨界事故への対応におきまして顕在化した課題としては、的確な情報把握に基づく迅速な初期動作と、国、都道府県、市町村の連携強化の必要性、それから、原子力災害の特殊性に応じた国の緊急時対応体制の強化の必要性、さらに、原子力事業者防災対策上の責務明確化の必要性が挙げられます。  本法案は、事故の反省を踏まえまして、これらの課題が解決されるよう措置を講じているところでございます。
  42. 平野博文

    ○平野委員 一つ御答弁の中で抜けておりますが、事故は起こり得るという前提に立っていますか。事故の反省を踏まえたということはわかりましたが、事故は起こり得るという反省に立った法案になっておりますか。なっているということであればいいんですよ。なっていないとは言いがたいと思いますが。
  43. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 この法案をつくりましたのは事故があるということも想定してつくっているわけでございますから、起こり得るということでございます。私、御質問をはっきり……
  44. 平野博文

    ○平野委員 私の質問が端的じゃないかもわかりませんが、いいですよ、意味はわかりましたから。  要は、私が言いたかったことは、今回事故の起こった反省を踏まえてつくられていますねということと、今までは起こらないんだということをベースにやっておったけれども、どこで次に起こるかもわからない、したがって事故は起こり得るものだ、幾ら安全だと言っても起こり得るものだ、そういう前提に立ってつくられていますかということですから、イエスと言っていただいたら結構なんです。イエスと言われたんですね、今。
  45. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 起こらないような方策をとりますが、万々が一起こることもあることを想定して対策を練っております。
  46. 平野博文

    ○平野委員 非常に丁寧なお答えでありますが、私は起こり得ることを前提につくられた法案だと理解をいたしました。  そこで、特殊性にかんがみて、原子力災害に対する対策の強化を図り、原子力災害から国民の生命、身体、財産を保護することを目的としているのが今回の法案でございます。つまり、原子力災害は特殊の対応が必要なのだ、そのための対策を講じなければならない。万が一放射線が漏れ災害が発生した場合、放射線は五感で感ずることができないので、放射線測定装置の放射線量をもとに、その情報のもとで迅速かつ適切な行動をとるように国民指示をしなければならない。原子力の特殊性の中で一番大事なのは、放射線が五感に感じられない、こういうことだと私は思っておるわけであります。五感に感じられないということは、逆に言いますと、おのずと、災害が起こったときにはすぐにその情報を住民に知らせる中で避難等の措置を迅速にとることが肝要だ、このように私は思っておるわけであります。  したがって、今回の事故の一番大事な反省点というのは、原子力の特殊性にかんがみてということをよりこの法案の中に明記され、それの対策を講じるところが第一義のポイントだと私は思っております。  ここで質問でございます。  そういう中で、先ほど、提言書というのが四月の二十八日に出ておりますが、今回の法案策定の指針になったのかどうか、御参考にされたのかどうか、このことを含めて改めて確認をしておきたいと思います。イエス、ノーで結構でございます。     〔委員長退席、西委員長代理着席〕
  47. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 今回の法案作成において、この提言を大いに参考にしております。
  48. 平野博文

    ○平野委員 そこで、この提言書では、特殊性のところで、前日も述べさせていただきましたが、このように書かれています。  放射線放射性物質は微量でも計測できるという特徴があります。確かに線量計を使えば適切に計測できるわけであります。それに対して的確な防護対策を講じて健康への影響を極力小さくすることができます。また、一般的に、施設の多重防護や事業者の応急措置により、事故の発生から災害対応を要する事態に至るまでにある程度の時間経過があるものと考えられる。  つまり、この提言書には、防災対策は、放射線が外部に漏れる場合、施設の多重防護や事業者の応急措置によって時間が稼げるという前提に立った提言書になっています。  そこで、この時点では、多分、原子炉等の周辺ということで、原子炉を中心に、加工施設ということの発想がこの提言書にはなかったのではないかと私は思っているわけですが、今回の法案の大いに参考にいたしましたということでありますが、特殊性というところの定義は、きちっとさえやれば時間が稼げるのだ、多重防護があるということを前提にした防災あり方を軸に置いているのではないかなと私は思えてなりません。  したがって、今回の事故の反省を踏まえるならば、実際に加工施設臨界事故が起き、多重防護もない、事業者の応急措置もない、事故発生と同時に外部に放射線が漏れている、中性子線の測定もできていない、このような事故が起こり得る。今までは起こらないということでこういう提言書が出ているのですよ。ところが起こったのですよ。ここが非常にポイントだと僕は思っています。今までは、そういう加工施設なんて起こらないのだから原子炉等の関係機関だけの原子炉防護対策の提言書をまとめればいいのだ、こういうことで来たのですが、起こった。したがって、先ほど大臣に申し上げましたように、今回の事故の反省を踏まえておられますか、こういうことを聞いたわけであります。十分に踏まえて提出しましたと。  この提言書では、時間が稼げるという考え方に立った対応では今回の事故の対処というのはだめであります。最悪の場合、今回の臨界事故、外部に放射線が漏れるといった状況を想定していかに初動体制を確立しなければならないかというところに重きを置かなければならないと思いますが、いかがなものでしょうか。
  49. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員のお話のとおり、原子力発電所周辺防災対策専門部会のレポートが出た時点はことしの四月でございまして、確かに、おっしゃいますとおり、災害対応を要する事態に進展するまでにはある程度の時間経緯があるものと考えられるということで、今回この点を大いに反省しているわけでありますが、ジェー・シー・オーにおける臨界事故への対応において顕在化した反省点のうち特に重要と認識しておりますものは、やはり何といっても的確な情報把握に基づく迅速な初動体制の確立である、そういうふうに今回の事故対応から感じているところでございます。
  50. 平野博文

    ○平野委員 そのとおりであります。  そこで、少し中身の質問に入ってまいりたいと思います。  今回の特別措置法は、現行の災害対策基本法をベースに特化させたものだと私は思っております。  そこで、六十条でありますが、災害が発生し、または発生するおそれがある場合には、人の生命または財産、その他災害の拡大を防止するために特に必要があるときには、市町村長は、必要と認める地域の居住者、滞在者に対して、避難の立ち退き勧告をし、また、急を要するときには立ち退きのための指示をすることができると基本法の六十条ではうたわれています。  今回の政府案では、この条項に、総理大臣が発令する原子力緊急事態宣言があった場合に、立ち退きに加えて屋内への退避の勧告、指示ができると新たに追加をされました。これについてはよろしゅうございますか。
  51. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 そのとおりでございます。
  52. 平野博文

    ○平野委員 原子力の特殊性にかんがみれば、この屋内への退避ということが追加されたことは当然だと私は思います。そこで、なぜこの条項が原子力の緊急事態宣言があった場合ということに限定をしたのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  53. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 仮に万一緊急事態が起こった場合は、極力簡明な判断がなされることが望ましく、かつ、住民にとって安全側であることが求められることから、立ち退きによる避難が適当であるという場合には、立ち退きの避難ということが市町村長によってこの緊急事態発現前でもできるということになっております。
  54. 平野博文

    ○平野委員 いや、今政務次官が言われたことは、少しこのあれで見ると違うのですね。私の法文の解釈、見方がおかしければ指摘をしていただきたいのですが、今は基本法では屋内への退避ということについてはできるのですか。
  55. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 今回の事故におきましても、東海村村長及び茨城県知事が避難、屋内退避のための措置を講じたように、住民の生命身体保護のために屋内退避の勧告または指示をすることは、これまでの運用からもできますし、今後もできると考えております。
  56. 平野博文

    ○平野委員 それは法律に担保されてできるのでありますか。緊急時だということで、超法規的にされたのではないのでしょうか。
  57. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 今回の法律には入っておりません。(平野委員「今回の法律といいますと」と呼ぶ)災害対策基本法にはそれは入っておりません。
  58. 平野博文

    ○平野委員 私は、先ほど大臣からの御答弁もいただきました。いかに初動体制が大事なんだ、こういうことでありますね。これは共通認識に立てたと私は思っています。  そこで、原子力の特殊性、初動体制の重要性ということは大臣政務次官もお認めいただけると思いますが、緊急宣言が、言葉を正しく申し上げますと、内閣総理大臣の緊急事態宣言がなくても、屋内退避、避難、このことが勧告、指示できるようにしなければならないと思いますが、いかがなものですか。
  59. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 今回の場合でも同様でございますけれども、そういう事態が起こった場合は、災害対策基本法にのっとって市町村長が、地方自治体の長が住民の安全等を考えて実質的に屋内退避等を勧告できるということでございまして、それで対応できると考えております。
  60. 平野博文

    ○平野委員 そこは政務次官、そういうことであれば、今回の村長さんが判断としてやられたのは、屋内退避を要請をした、こういう言葉で報告を受けておりますが、言葉のあやを言っておるのではなくて、今回改めて解釈の書き方で書いているのですね。原子力の緊急事態宣言があったら、原子力の緊急事態宣言解除の宣言があるまでの間に、災害対策基本法の次の条文についてこれらを付加するものとして、今までは立ち退きしかなかった。これに加えて屋内への退避という言葉が、緊急事態宣言が始まって終了するまでに、解釈として読んでください、こういうことになっている。  今回、何回も言っておりますが、本来基本法をベースにやっているんだ、これがないときには基本法が遵守されるんだ、こういうことでありますが、こういう定義を入れてしまいますと、これが起こっていない、緊急事態宣言がないときに、基本法を適用したときに、屋内退避ということが市町村長でできるのですか。
  61. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 今回の、原子力緊急事態宣言が発出された以降は、国が責任を持って行う判断に基づくものとして、よりきめ細かな対応明確化するために法的に位置づけているものでございます。
  62. 平野博文

    ○平野委員 それはちょっと納得できない。グレーゾーンの発言だね。  では、なぜ改めてここにそういう言葉を、屋内退避ということを入れたのか。緊急宣言が始まって、緊急宣言終了までの間はできるというふうに読みかえましょうという言葉を入れた。入れなければ、僕は素直に受けとめた。宣言が発令されるまでに初動体制に時間がかかった、そのときに村長さんは法律的には担保されないまま現場の実態に合わせてやってよろしいということを暗に言わんとすることになるのではないでしょうか。
  63. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 同じ答弁になってしまいますけれども、今回のこの読みかえ規定は、緊急事態宣言が発出された後の国が責任を持って行う判断に基づくものとして、その国が行うべきことをよりきめ細かな対応を明確にしたということでございます。発出前におきまして、国はそういうことができないわけでございます。そういう中においては、地方自治体の長が災害対策基本法においてそういう措置はとれる、このように読める、このように考えております。
  64. 平野博文

    ○平野委員 余りここでとまっちゃいますといけませんが、今政務次官責任を持って、読める、やれるということは政治家として御発言されたわけですね。国土庁、大丈夫ですね。
  65. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 ここで発言したことは、政治家として発言したことでございます。
  66. 平野博文

    ○平野委員 わかりました。  余りそれ以上——私、これは物すごく詰めたいのであります。私が本当に法律に、本当に熟読しておったらもっとやるのですが。私が見るだけでも、おかしい、解釈もしづらい、こういうふうに思っておりますので、これは後の議論に任せたいと思いますが、そういう指摘はしておきたいものですから。  私が言いたいことは、緊急宣言する前でも屋内退避ができるんですねと、そうしたら、できる、こういうふうにお答えをいただいた、こう理解してよろしいですね。
  67. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今総括政務次官から御答弁申し上げましたけれども、私からも重ねてもう一度発言させていただきます。重複いたしますが、お許しいただきたいと思います。  仮に万が一、国の原子力緊急事態宣言発出の前に地元市町村長が住民に対する避難の判断を下さなければならないほど急変する事態が起こった場合には、極力簡明に判断がなされることが望ましく、かつ住民にとって安全側であることが求められることから、立ち退きによる避難ということになるべきものと考えておりますということでございますから、それで御理解いただきたいと思います。
  68. 平野博文

    ○平野委員 またそう言われると、これはだめなんだな。  要は、言いたいことは、今大臣おっしゃるように、緊急事態が宣言される前に現場が非常におかしくなっている、そういうときには市町村長にあらゆる部分指示、勧告、あるいは屋内への退避ということも含めてできるんだということを言っていただけますか。
  69. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 災害対策基本法では直接的には屋内退避はできませんけれども、今回の事故におきましても、東海村の村長及び茨城県知事が避難、屋内退避のための措置を講じましたように、住民の生命身体の保護のために屋内退避の勧告または指示をすることは、これまでの運用と同様に可能であると考えております。
  70. 平野博文

    ○平野委員 今大臣おっしゃった、基本法ではできないけれども、できないけれどもできるという、運用の妙でやってしまうという、ここは私なかなか理解できない。したがって、今回の特別措置法で、初動が大事なんだ、それは、事故発生と同時に緊急宣言が同時刻で発せられるのだったらいいわけですが、ある意味で、大臣だって、次の次官なり局長に、本当にこの事故は大丈夫かという確認をしていくのが今の組織のならわしであります。そうすれば時間がかかってくる。そうすると、現場ではもう待っていられないということで、超法規でやってしまう。市町村長の本来の責務住民の生命を守ることだという定義のもとに、法律で担保されていないことでもやれるというふうにとるのじゃないかと思うんですね。  したがって、今回の特殊性ということにかんがみて、初動体制にはより現場に権限を渡していくべきものだ。緊急宣言がない場合には基本法ではできない、屋内退避はできないと今大臣言いましたよ。そんなものだったら、できるようにしてあげてくださいよ。これが今回の事故の初動に重要性——なぜ退避という言葉が入ったか。屋外に出ると放射能を浴びるということもあるから、屋内への退避という、特殊性にかんがみて出てきた文言でありますよ。それは基本法ではできない、宣言しないことにはだめだ、これでは納得できませんね。どうですか。
  71. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 繰り返しになりまして恐縮でございますが、災害対策基本法では直接的には屋内退避はできませんが、今回の事故におきましても、東海村村長また茨城県知事が避難、屋内退避のための措置を講じましたように、住民の生命身体の保護のために屋内退避の勧告または指示をすることは、これまでの運用と同様に可能であると考えておりますということでございます。
  72. 平野博文

    ○平野委員 運用というのは、ある基本に照らし合わせて運用というのがあるので、運用があって、それから法律があるのではありません。法律があって、その中で担保される行動の範囲として許されるものであります。  今回の村長さんがとった行動は間違いではないと僕は思っていますよ。これは正しかったなと思っているのですが、正しいことをするために法律でちゃんと担保してあげてくださいよ、明確に書いてあげてくださいよ。大臣も初動は大事なんだとおっしゃっているわけですから、そこをきちっと担保します、市町村長にそういう権限がありますと言ってもらえたら、すっと終わるのですがね。ちょっとひっかかっておりまして、初動体制の重要性を言っておられる割には担保できていないことに対して、私は非常に残念であります。どうですか、できると一言言っていただいたら、政務次官は政治家としてはできると言っていただきましたが、行政庁としてどうですか、大臣として。——質問時間がなくなるものですから、ぜひ次の機会に、大臣、次の機会にします。もっとたくさん質問したいことがあるものですから。
  73. 西博義

    ○西委員長代理 では、平野君、続行してください。
  74. 平野博文

    ○平野委員 でも、私はこれだけは言っておきますよ。そういうことも含めて、事は運用でできるのだとかそんなことを言わずに、特殊性にかんがみるならば、初動体制は大事なんだということであれば、市町村長にその権限があるということをこの法案に書いていただきたいな。これぐらいの重要なことなんだということで、また御議論の結果は、次の委員会がまだありますから、ぜひ質問したいと思いますし、結論を次の機会に延ばしておきます。  したがって、現場対応の重要性を改めて私は指摘したかったわけでございます。特に、この前の委員会議論でも、住田委員長代理は、実際に現場に行っていろいろわかったことがある、こういうことで私の質問にも答えられましたし、十月十九日の委員会でも、我が党の松沢委員質問に対しても、間宮原子力安全局長は、中性子線の測定の判断についてはこのように述べています。「先ほどの中性子線のことで一言だけですが、我々今回非常に重視いたしましたのは、やはり東京にいて地元をコントロールするのは非常に難しいということでございます。」というのが、安全局長が発せられた言葉でございます。「したがって、あらゆる能力を現地に集めるということをいたしました。」というのが安全局長のお言葉として、私はすばらしい言葉だ、そのとおりだと思っております。したがって、現場対応の重要性を改めて指摘をし、次の質問に移ってまいりたいと思います。  私は、事故発生時の初動体制充実現場での事故対応の重要性にかんがみ、事故対策本部は、幾つも幾つもつくっていくということではなくて、都道府県、より現場に近いところに一元管理体制をしく事故対策本部をつくるべきだという考え方を、先ほど言いましたように初動が大事だ、こういうことから考えておるわけであります。  政府案では、原子力災害が発生した場合、内閣総理大臣が、先ほど言いました緊急事態宣言を示し、閣議にかけて総理府に原子力対策本部を設置する、国が前面に出る形になっているわけであります。政府が東京で前面に立っても、先ほどるる申し上げましたように、現地の実態が反映できない、いわゆるパフォーマンスにすぎないのではないか、このように私は思うわけであります。また、閣議等、それは持ち回り閣議とかいろいろあるのでしょうけれども、緊急時ということにかんがみますと、時間の遅延にもつながってまいる、このように私は思っております。  したがって、対策本部を幾つも幾つもつくっていく、こういうことにしますと、指示命令権限が複雑になる、また時間もかかる。自分が責任を持とうと思いますと、実態を把握するために、自分の判断能力をより高めていくために、時間をかけてそこを調べる、次にまた対策本部が調べていく、こういうことになるわけであります。今の政府案でありますといっぱい対策本部ができ上がってくるわけでありますが、今で考えますと対策本部が約六つぐらいできるのですか、複数でき上がります。そうすると、それぞれの対策本部の役割と責務はどういうふうになるのでしょうか。そんなにたくさんできて、おれが政府対策本部長だ、おれは地域対策本部長だ、おれは都道府県の対策本部長だなんて言い出したら、本当に一元管理体制が図れないと思いますし、それぞれの対策本部がどんな役割を担うのか、簡単で結構でございます、少し御説明をいただきたいと思います。     〔西委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 議員御指摘のとおり、異常な事態が発生いたしました場合には、まず、現地においての情報を収集し、事態を把握し、そして判断することが極めて重要であると考えております。原子力災害合同対策協議会を直ちに組織することによりまして、国や都道府県、市町村が相互に連携を強化し、現地において一体的な対応を図ることとしております。  法案の第二十条第八項によりまして、現地対策本部長に対しましては、原子力災害対策本部長である総理大臣から、国の地方行政機関の長や地方公共団体の長、日本原子力研究所等の指定公共機関、また原子力事業者等指示する権限等の大部分が委任をされます。これにより、原子力災害が発生した場合には、大きな権限を委任された原子力災害現地対策本部長が、現地における実質的な指揮権者として、関係機関の調整指示に当たることとなると考えております。
  76. 平野博文

    ○平野委員 合同対策本部ということを設置して情報協力を図ろう、こういうことですな。ところが、政府の今の案でいきますと、有事に対して合同対策協議会でしたか、つくってやりましょう、こういうことであります。ここでまた基本法との関係になるのです。私は、やはり平時に関係機関と常に定期的にそういう協議会的なものをつくっておかないと、有事というときには機能しないのではないか、こう考えておるわけであります。  加えて、情報の一元化、こういう観点を考えますと、目に見えないものですから、測定データというのが非常に大事であります。その測定されたデータを一元的に管理をしていく、こういうことが大事でございまして、今それぞれ政府案でも、各施設周辺施設内にもセンサーを置いて、システムアップして、その情報を防災センターなら防災センターに一元化しよう、こういう話にも書かれております。  そこで、今科学技術庁にあるのでしょうか、SPEEDIとかいうコンピューターがございますね。これは地元で測定されたデータによって解析をして、それぞれにすぐ大型コンピューターで測定値を出していこう、どういう状態なのか出していこうとしておりますが、今のSPEEDIは、測定をしていこうという中ではガンマ線だけではありませんか。
  77. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 SPEEDIにおきましては基本的にガンマ線だけです。
  78. 平野博文

    ○平野委員 これは専門的ですから、政務次官で結構ですよ、御答弁は。  そうすると、中性子線の測定データを直接SPEEDIに送ってあれをするというのは今のシステム上とれますか。
  79. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 今後、その中性子計測のモニタリングポストをふやしていく、それとネットワークを組んでそのデータをSPEEDIの中に入れていくということは技術的に可能だと思います。
  80. 平野博文

    ○平野委員 そのことを含めて、専門的に言えばバージョンアップというのでしょうか、よくわかりませんが、システムを変えるために財源的にも担保した。要は、今のままずっといきますと、SPEEDIがあるから大丈夫じゃないかということをよく言われるわけですよね。ところが、よく見ますと、あれはガンマ線じゃないかな。中性子線の測定の部分について、もちろんセンサーもまだないですから、センサーを設置しながら、SPEEDIのシステムに中性子線も乗れるようにぜひやってもらわないことには、情報が一元化し云々とはいいながらも、そこについての具体的考え方というのはいつまでにどうされます。事故がいつ起こるかわからない、こういうことですから、今あるお考えで結構でございますから。
  81. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 この時点で、いつまでにということはお答えできませんけれども、今回の補正予算でもこの中性子計測等について措置されたところでございますし、そういうデータがそういう解析システムに乗るように努力をしていきたいと思っております。
  82. 平野博文

    ○平野委員 ぜひ政務次官、私は、今後も臨界事故を想定するということであれば、やはり中性子の計測システムを既存のシステムに早々に乗せていただくように御要望をしておきます。特に、ちょっと気になったのは、SPEEDIは結果的には主にガンマ線の検出対象をベースにしておりますから、中性子線も乗れるようなシステムアップをしてもらいたい、このように要望しておきたいと思います。  時間がどんどんたってくるわけでありますが、三十条に、科学技術庁及び通産省に原子力専門官、こういうことになっておりますが、オフサイトセンターを、私どもは防災センターと言っておりますが、設置する、こういうことでございます。この専門官は、通常はどこにおられるのか確認をしたいと思います。
  83. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 この原子力防災専門官は、平時におきましても、緊急時におきましても、当たり前でございますが、原子力事業所の所在する地域に常駐し、原子力事業者に対して、原子力事業者防災業務計画の作成や原子力防災組織に関することなどの予防措置に関する指導助言を行いますし、また自治体との情報交換等も行ってまいります。ですから、地域に常駐するということでございます。
  84. 平野博文

    ○平野委員 地域に常駐するという言葉は、非常に不適切、不明確であります。どこに任命されるのですか。何々県に、例えば、平野博文防災官、長官から、福井県に任命する、福井県という地域にあなた行きなさい。どこに行くのですか、福井県の。防災センターですか。
  85. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 オフサイトセンターということもあり得ます。これは地域地域の実情に応じまして、個別具体的に決めていくことになると思います。
  86. 平野博文

    ○平野委員 ぜひとも、これはオフサイトセンターと政府案は言っておりますが、我々は防災センターと呼んでいますが、やはり地域設置をいただく、常設をいただく、このことを基本に置き、そこに防災専門官が配置をされる。こういうふうに理解しますが、よろしいですか。
  87. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 先ほど申し上げましたように、このオフサイトセンター、前線拠点に配置されるということも多々あるかと思いますし、個々の地域の実情に応じて、そうではない場合もあるかと思います。
  88. 平野博文

    ○平野委員 非常にどうでもとれるお答えですが、やはり私は、原子力防災センターが設置される、そうしたら主たる防災専門官はここに任命をされる、そこに赴任をする。その中で都道府県とか事業所とかあちこち行動されるのはいいのですが、主たる拠点はオフサイトセンター。でないと、オフサイトセンターというのは、形、ハウスだけを指定して、その中は何もないというふうに私思うのですね。本来、政府の言っているオフサイトセンターも、我々の言う防災センターというのは、オンラインであらゆる情報がそこに集約されている、そういうやかただと私は思っておりますから、そこを主たる勤務地として、その活動をより有効にせしめるために、都道府県へ行ったり、現地へ行ったり、これは結構でありますが、そこに私は任命、配置すべきだと考えますが、どうでしょうか。
  89. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 実態的にはこのオフサイトセンターが原子力防災専門官の拠点として活用されることが一番多いかと思いますけれども、いろいろな、小規模施設等がある地域もございます。独立したオフサイトセンター、施設建設されない場合もございまして、そういう場合も一律にこの防災専門官はすべてオフサイトセンターに置くということは言えませんけれども、基本的には平野委員おっしゃるような実態になると思います。
  90. 平野博文

    ○平野委員 確かに、経済的効果とか実態に即さなきゃだめだと思っておりますが、基本的には防災センターを設置する、こういう法律ですよ。空のハウスを指定するんじゃないんですね。防災センターができるということは、各モニタリングポストから上がってくる情報もそこに一元化し、防災官が常に見ているんだと。朝から晩までそこで机に座っていなきゃならない、こんなことを言っておるんじゃないですよ。  第一義は、やはりそこに防災専門官を配置して、関係機関とよりスムーズな情報交換なり有事のための事前準備をしておく役割だと思っておりますから、加工施設が一カ所しかないところに防災センターをつくれ、こんなことを言っておるわけではありません。基本的には防災センターをつくってください、その中に防災官を配置してください。しかし、ここは一カ所しかない、小規模だ、そこには、それにかわるところに人がいればいい、こういうふうに機能を持たせればいい、ここまで私は思っています。全部つくりなさいと言っておりません。しかし、事業所のあるところには防災センターをつくり、防災官を配置するという基本的考え方は担保されているものだ、こういうふうに私は理解をいたしました。  質疑時間が終わりましたのでこれで終えたいと思いますが、最後に、私は、今回の事故の反省、事故が起こり得る、原子力の特殊性にかんがみると、より現地に一元化をしてそこに権限を与える、対策本部ができるまでは市町村長の権限を、くまなく市町村長が動きやすいようにしてやることが、ぜひとも法律的に担保してやることが大事だ、運用でできるなんて言わずに、担保してやることが非常に大事だ、このように思っております。  今の政府案は、書かれているんだろうとは思いますが、非常にわかりにくい。法律というのはやはり国民にわかるように書かなきゃ。つくった人だけがわかっていたらいいというものではないと思うんですね、社会的規範ですから。国民が読んでわかるようにしなきゃだめなんですよ。今回の村長さんも英断でああいうことをされましたけれども、わけもわからずやったんではないでしょうか。後で、よくやった、結果が悪かったら、あんた何でしたんだということを追及できる穴をこしらえておいたらだめですよ。責任を持ってやりなさいと。  加えて、今、日本は地方分権時代を実現させようとスタートしております。国が関与するということよりも、現状のシステムだったら国がやってくれということを言うかもしれませんが、地方がやれる、周辺環境整備を担保してやって、現場が一番権限を持って指揮できる体制を心より望みまして、私の質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
  91. 北側一雄

    北側委員長 吉田治君。
  92. 吉田治

    吉田(治)委員 原子力災害対策特別措置法ということで、私まず、多分今までの委員会の中でおいでいただいてお話しされたかもしれませんけれども、災害が起こった場合に、地域住民、また現場において一番最初に直面される方々に、ぜひともこの対策法に対してのお考えなり意見なり要望等があればこの委員会の場で、時間はできるだけ簡潔にお願いしたいんですけれども、一言ずつコメントをちょうだいしたいと思います。  まず最初に、今回の事故においても、被曝の定義というのがはっきりできないんですけれども、被曝された救急隊員、まさに消防、救急というのが一番最初、事故が起こったときに一一〇番よりも一一九番されるという中で、本日は自治政務次官、おいででございます。消防の立場から、救急の立場からどう見られるのか。そして警察、これは交通規制等を含めて、警察の果たすべき役割も大変多い。そして、最後は安全委員会、今回の法によって、安全委員会の緊急助言機構としての立場明確化をされていく。それぞれ担当の方おいででございますので、私時間が短いので、できる限り短くコメントのほどをお願い申し上げたいと思います。
  93. 平林鴻三

    ○平林政務次官 このたび東海村で発生しました具体的な事故が、いわばこれからの対策を講ずる上での基本的なものになると思いますので、それに関連しながら申し上げたいと思いますが、原子力災害が発生したときにおきまして、少なくともその原子力施設内の救護等の応急対策は、一義的には事業者対応すべき責務がある、さように考えておりますし、このたびの法案におきましても、さようなことをいわば意識して法案ができておるものと思っております。  そこで、消防機関といたしましては、このような事業者責任を前提にしながら、安全を確保しながら、他の防災関係機関との協力のもとに必要な役割を果たしていく、さようなことが基本であろうと思っております。原子力災害の発生したときの消防機関の活動につきましては、今後、関係機関や専門家の意見を徴しながら、マニュアルを見直すということを行おうとしておるところでございます。まだ、すぐさま取りかかって結論が出ておるというわけではございませんが、さような作業に取りかかろうとしておるわけであります。また、現在の防護資機材は、ガンマ線や中性子線に対する防護をほとんど期待ができません。したがって、高度な資機材に関する調査研究をこれからやろうというところでございます。  原子力災害の発生いたしました際における消防機関の具体的な対応あり方、これは、今申し上げましたようなことを踏まえながら検討して、適切に対処いたしたいと思っております。
  94. 金重凱之

    金重政府参考人 先生の方から、今回の法案に関連しての、警察としての原子力災害への取り組み、こういうことであろうと思っております。  それで、私どもの方は、この法案が成立した場合には、警察としまして、この法律によりまして、国の方のレベルでは原子力災害対策本部とか原子力災害現地対策本部等が設置されるわけでありますから、これに国家公安委員長、警察庁長官その他の警察庁の職員が参画するということがございます。  それから、都道府県の方では、必要に応じてということでございますけれども、避難のための立ち退きとかあるいは屋内への退避指示というようなこと、あるいは警戒区域への立ち入りの制限、禁止、それから警戒区域からの退去の命令、工作物の使用、収容、除去、それから都道府県公安委員会による車両通行の禁止、制限、こういったことの措置をとることになります。  それで、さらにこの法案による各種措置を的確に実施していくために、警察の方で現在やっておりますことは、原子力関連施設の実態についての調査を行っております。それから、あわせまして、原子力緊急事態への対応という観点から、警察の体制を含めました防災業務計画等の各種警備計画を見直すということを行っております。それから、さらにはこの各種の警察措置、ただいま御答弁申し上げたような措置、これを訓練しなきゃいかぬということで、関係機関、自治体とも連携してそれを実施する、そういったことを推進することにしております。それからまた、防護服だとか防護マスク等の装備資機材整備充実ということも努めていく必要があるということでございますので、今国会におきましても必要な予算措置をお願いすることにいたしておるところでございます。  以上です。
  95. 佐藤一男

    佐藤参考人 お答え申し上げます。  今回の事故におきまして、私どもの委員会のもとにあります緊急技術助言組織、いろいろ今になって考えますと、至らなかったなという反省もございますけれども、専門家を現地に派遣するなり一定の役割は果たせたのではないかと考えているところでございます。  ただ、これまで実はこの緊急技術助言組織というのは安全委員会の中の全く内部の組織でございまして、例えばそこから助言が出たとしても、その助言の位置づけと申しますか、そういうものは実は余り明確になっていなかったところがございます。今度の新しい法律におきましては、もちろんそういう専門家の方々に緊急にお集まりいただきましていろいろ御意見をちょうだいするわけでありますが、原子力安全委員会が必要な助言をするということが法律でもはっきりうたわれることになりまして、そういう意味での位置づけと申しますか、そういうものが極めて明確になったのではないかというふうに考えております。
  96. 吉田治

    吉田(治)委員 今までもずっと御答弁いただきました。全部これからこれから、すべてこれからということで。  この事故というふうなものが、不幸なことですけれども、今後の安全対策に非常に重要であるという中で、警備局長、部署は違うかもしれませんが、ジェー・シー・オーの調査が今入られていますよね。私どもからすると、あすにでもジェー・シー・オーの社長なり所長なり、また親会社なりの担当者が逮捕になるのかどうなるのかというふうな話を聞かされておるんですけれども、担当部署は違いますけれども、その辺どういう状況か、知り得る限りお答えいただけますでしょうか。
  97. 金重凱之

    金重政府参考人 先生おっしゃられるとおりで担当部門が違いますので、私の方から正確にお答えすることができるかどうかなんですけれども、今回の東海村の臨界事故について捜査本部を茨城県警が設置いたしまして、今捜査を推進しておるという状況にあります。十月の三日に刑事部長を長とする捜査本部を設置しておりまして、業務上過失傷害それから原子炉等規制法違反、こういう疑いで関係箇所の捜索等も行っておるという状況でございますけれども、今は引き続き関係者からの事情聴取を進めておるという段階でございまして、鋭意捜査を推進しておるということで御理解賜りたいというふうに思います。
  98. 吉田治

    吉田(治)委員 原因究明の中で重要なことですので、これは原子力安全委員会の中に設置されております事故調査委員会も重要ですけれども、刑事事件という部分でも大変重要でございますのでぜひともお願いしたい。  同時に、安全委員会委員長さん、こういう議論の中で、安全委員会を、今八条機関、これを三条機関にするという提言等が、これは古くは昭和五十年代から出ておりますけれども、今度省庁再編というふうな中でダブルチェック機能というものも含めていったときに、安全委員会委員長さんとして、三条機関云々ということについてのお考えというのですか、そういう意見についてどういうふうにお考えなのか、お答えをちょうだいしたいのが一点。  済みません。自治政務次官と警察の方、お帰りいただいて結構です。  そして、二点目。私、十月十九日の閉会中審査の質疑の中で、間宮原子力安全局長のお答えがあるんですけれども、佐藤委員長にもここでお答えがあるんですけれども、原子力関係施設が立地しているところの首長さん、知事さんそれから市町村長さん、安全教育といったら大変語弊があるかもしれません、知識ですね。安全委員長でも結構です、総括政務次官でも結構です。今後、この法案が成立することによって、その人たちに、教育といったら語弊があるかもしれない、研修といっても語弊があるかもしれない。そういう意識を高めてもらうために、科技庁なり安全委員会なりが直接首長さんに、原子力とはこうで原子力災害というのはこういうことでというふうなことをされる予定があるのかないのか。十月十九日の委員会の中では、間宮原子力安全局長はそんなことはしたことない、佐藤委員長はしたいなというふうに書かれておりますけれども、いかがでしょうか。
  99. 佐藤一男

    佐藤参考人 まず、三条機関か八条機関かというお話でございます。  これは、原子力安全委員会として公式に議論することかどうかというのはちょっと問題があろうかと思います。と申しますのは、原子力安全委員会は、既に今回の行政改革において従前の機能を継続するというふうに法律で明示されておりますので、したがって、私これから申し上げますのは、決して委員会の公式な見解ということでなくお受け取りをいただければと思うところでございます。  私、思いますのに、三条か八条かというのは、片や行政の執行機関であり、片や行政に対して意見を述べる機関でございますので、基本的に性格が異なるものだというふうに理解してございます。したがいまして、これを例えば三条機関にするということになりますと、単に安全委員会の看板をかけかえるだけではございませんで、その下の規制行政の組織もかなり大幅な変更を必要とするのではないかというふうに考えております。そうだとすれば、これはかなり抜本的に幅広い検討をしないと、単に安全委員会の準拠条項が変わったというだけでは済むことではないだろうというふうに考えております。  ただ、一言申し上げますと、どんな制度でもそれぞれ長所もあればもちろん短所もあろうかと思うところでございます。現在の安全委員会の重要な任務の一つとして、行政と一線を画して言うなればこれを監視すると申しますか、チェックする、そういう機能を負わされているわけでございます。安全委員会みずから三条機関になりますと、今度は少なくとももう一つその上に委員会でもつくらない限りはそういう機能はなくなるということでございます。その辺の、いいところ、悪いところをどういうふうに判断するかという問題で、私自身も、どちらがいいかということを今申し上げられる段階にはまだなっておりません。  それから、間違っていたら御勘弁願いますが、たしか教育その他、地方自治体等の問題に関する御質問であったかと記憶しておりますが、これにつきましては、確かに私、具体的にどういう方法でやるかは別といたしまして、そういう実際に事に当たる方々に少なくとも基礎的な知識というものはお持ちいただくのが望ましいことは、これは当然のことではないかと考えます。ただ、それではどういう方法でそういう基礎的な知識を植えつけていくかということになりますと、これはいろいろと行政的な判断等もあるのではないかというふうに考えております。
  100. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 科学技術庁として、地方公共団体もしくはその首長さんに原子力に対する基礎知識を指導するとか教育するとか、そういうことは当然できないわけでございますが、基本的には、情報交換の場をふやしていって、できるだけ同じ認識に立つように努力していきたいと思っております。  また、原子力防災専門官という制度もできます。この原子力防災専門官、地方自治体との情報交流、また情報の共有化ということも一つの任務でございますので、そういう形でやっていきたいと思っております。
  101. 吉田治

    吉田(治)委員 まさにそこの部分が大事なんですね。この法律に基づいて、また災害基本法においても、やはり地方自治体の首長さんが持たれる権限、最後の、これでという決断の部分を誤りなきようにするためには、今政務次官言われたように、日常的に交流する、情報交換というよりも、もっとトップレベルの、首長さんと科技庁の局長であるとか担当官であるとかがもっと意見交換をして、今言われたように、認識度とか理解度を一緒にしていただくということが私は大事だと思います。  続きまして、炉規制法の中、六十六条の問題なんですけれども、これは、主務大臣に対する申告というふうな言い方の中で、きょうは参議院の特別委員会でばんばん質問されてお答えが大変だと言われております通産政務次官にわざわざこの委員会においでいただいておりますけれども、通産省としてまた通産政務次官として、この申告制度についてどうなのか。  私どもの資料によりますと、平成七年の百三十二国会及び本年の百四十五国会において、保安規制について、国の直接的関与を必要最小限にし重点化するとともに、電気工作物の設置自身による自主保安を基本とした規制体系とする合理化を含めた電気事業法の改正がなされている。それを所轄されているわけですね。この背景には、安全水準の維持向上は、極力、国による直接関与ではなく、民間サイドにおける自主的な取り組みの充実により達成させていくことが望ましいという理念が基本になっている。これは私、理解しておりますし、それぞれの国会における委員会の質疑、答弁等にもこれは明記をされております。  しかるに、こういうふうなことで、保安規制の改革において原子力は別扱いになっていながら、今般、この原子力施設に対して国の関与というふうなものが、通産政務次官、そこまで必要なのか。この法律案の提案理由を読まれたと思いますけれども、「核燃料物質の取扱い等について万全を期するため、」それだけなんですね。取り扱いに万全を期するためなのに申告制度でと。この条文の必要性というのは具体的には明示されていない。  まず、通産政務次官、このことについてどういうふうにお感じになられ、どう運用上注意すべきか、気をつけなければいけないと考えられるのか、お答えください。
  102. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 吉田委員より御指摘をいただきました安全確保改善提案制度でございますが、基本的には各事業者ごとの安全の管理、これが基本になってくるわけであります。  この申告制度、決して従業者間の相互の監視を行ったり密告をさせるとか、国がそれぞれについて大きな関与を行っていくということよりも、あくまでも事業者等による法令違反の事実を対象としておりまして、従業者が安全確保のために主務大臣に自由に提案等を行う環境を整えていきたい、こういう趣旨でございまして、むしろ、組織内の風通しをよくしたり安全意識の醸成を図っていく、こういう目的でございます。しかし、委員指摘のような懸念が生じないように、運用上十分配慮してまいりたいと考えております。
  103. 吉田治

    吉田(治)委員 特に大臣所轄の原子力発電所においては、もう既に労働組合、安全推進協議会というような組織が、設置者の従業員のみならず、下請と呼ばれる方々からの安全性などに関する改善提案、要望というものを投書で受け付け、改善を図るということが広く行われているんですね。  しかしながら、あえて、今政務次官お答えの中にもあった相互の監視、密告。それは、そういう気持ちがあるからそういう言葉が出るんじゃないですか、そういう懸念があるから。そういうふうなものを国の法律の中、例えばほかに労働基準法ですとか鉱山法とかさまざまには入っておりますけれども、政務次官また大臣にも後ほどお答えいただきたいんですけれども、まさに原子力というのはイデオロギーもかかわって、神学論争的な部分もある。そういうものにこういうふうな条文を入れるのはいかがか、削除すべきだと強く私は思うんですけれども、政務次官、どう思われるのか。  それから、大臣は、文部大臣も共管され、文教政策に明るいと言われております。この書き方は、こういうふうなことが入ってくるというのは、イデオロギー的な対立がある施策の中において、まさに密告であるとか相互の監視、例えはよくないかもしれないけれども、東ドイツのシュタージのように秘密警察みたいな感じで、入ったら何でも言うんだというふうな形をとってしまうんじゃないか。密告奨励制度、果たしてこういうふうな法律があっていいのか、これが子供たちにどういう影響を及ぼすのか、まあそこまでは申し上げませんけれども、あるのではないかなというふうな感じがしております。その辺についてどうお考えなのか。  そしてもう一点、大臣。これによって申告されたことが虚偽だ、報告を受けますね、それっきりということはないでしょう、調査をされます、虚偽の報告だといった場合にどうなるのか。例えば、ここの第二項において、申告したことを理由として不利益な取り扱いをしてはいけないと。ということは、うそでも何でもいいからばんばん申告しても、それは不問に付されるということなのか、申告したことが虚偽であったとかまた過小であった、過大であったといった場合においてどういうふうな対応が、これは省庁としてなされるのか、それともそこの企業、事業者に対してそれはしていいよというふうになるのか。大臣答弁まで時間がありますので、ちょっと政務次官どうぞ。
  104. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 先ほど吉田委員の方から安全確保改善提案制度につきまして御質問をいただきまして、その背景として、例えばこれが密告であったりとか相互監視につながるのではないか、そういう御疑念をもしかしますと委員がお持ちの上での御質問かと思いましてあくまでそういう答えをさせていただきました。  この制度は、先ほど申し上げましたように、あくまで組織の風通しをよくしたり、そういう中で個々の従業員の人に今まで以上に安全意識を持ってもらう、これは必要なことだと思っております。そういうために活用できればと考えております。
  105. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今回の事故は、法令等に違反した危険な作業が組織的に行われまして、そのことが、通常想定しがたい重大な事故を引き起こしたものでございます。  今回のこの法律の改正案は、このような組織的な違法行為を防止するために、従業者から主務大臣に対し申告することができる制度を設けるものであり、委員御承知のとおりでありますが、同制度の導入により、組織内に一層の安全文化が醸成されることが期待をされております。  また、これと同種の制度につきましては、従来から、労働基準法や労働安全衛生法等の労働関係法、それから鉱山保安法等の個別法において導入され、各法律の円滑な施行のため活用されてきているところでございます。  今委員からは、虚偽であった場合あるいは過小、過大な申告であった場合どうするかというお尋ねでございますけれども、国といたしましては、申告を受けました場合には、事業者等の関係者から報告徴収等の手段により必要な情報を収集いたしまして調査をいたしまして、内容の真偽を確認した上でしかるべき対応検討することになるわけでございます。
  106. 吉田治

    吉田(治)委員 今の大臣の答弁を聞いておりますと、私はもう一遍、二点について聞きたい。  ほかの法律というのは、そういう法律の中にイデオロギー的なものはない。しかしながら、この原子力については本当に、原発推進、反原発という言葉があるように、非常にシビアな対立軸がある。そういうものにこういうふうな制度を入れることに対する大臣としてのちゅうちょはないのか、また、先ほど申しました現場レベルの背景や実態をどういうふうに認識しているのかということを一点。  それから二点目。では、その徴収した結果が虚偽の場合にはどうするのか。そして、同じ人かもしれない、同じ人でないかもしれない、そういう人たちが何度も同じような申告をする、すべて虚偽だ、そういったときに、どう役所として対応し、事業者としては、それでもその人間を不問に付さなければいけないのか。それは今後どういうふうに対応していくのか。いかがですか。
  107. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 密告という言葉は適当でないかもしれません。しかし、今回もあのような大変な事故が起きたわけでありまして、こういうような事故を今後はもう二度と起こさないような再発防止の一つの手段として、このような申告制度を今回盛り込んだところでございます。ぜひ御理解いただきたいと思います。  今回の法改正は、今申し上げましたように、従業者が事業者による報復の威嚇なしに原子力施設の安全面に関する問題点を国に伝える自由を確保するため申告制度を新設するものでございまして、こうした法改正の目的にかんがみれば、申告制度につきましては、広く国と従業者間の情報の流通を確保することが必要でございます。  虚偽の申告を罰則の対象とするならば、従業者が、主観的には真実であると信じて、客観的には虚偽の申告を行ってしまったような場合までをも処罰の対象とすることとなりますが、この場合、真実の申告までもが抑制されることとなりかねず、適当でございません。  なお、従業者が事業者等に不利益を与える目的で意図的に虚偽の申告をした場合には、刑法第百七十二条の虚偽告訴罪もしくは第二百三十三条の偽計業務妨害罪等の対象となるものと考えられ、いずれにせよ、原子炉等規制法上に虚偽の申告に関する罰則を置く必要はないものと思っております。
  108. 吉田治

    吉田(治)委員 では、今告訴というお言葉も出てまいりましたけれども、虚偽が出てきた場合には、最終的にその法律によってどうするわけですか。事業者が訴えるわけですか。科技庁が訴えるわけですか。それで、これは親告罪なんですか。それとも、刑事罰として、強盗だとか殺人と同じように警察が踏み込める話なんですか。その辺はどうなんですか。
  109. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 ちょっと、すぐ調べたいと思いますので、お時間下さい。——後ほど御報告させていただくので、よろしゅうございましょうか。
  110. 吉田治

    吉田(治)委員 やはり、これは大事なことですから、議事録に載せてもらいたいのですよ。こんな制度が入ってきて、密告かもしれないとか、それから相互監視かもしれない。現場レベルにおいてはおちおち仕事もできない。  それについて、私はきのう、担当者が来られたとき、このことと先ほどのことしか質問しないよと。だって、虚偽の申告があった場合には、そこまで調べておくのが提案する省庁の役目じゃないんですか。もしもそうなったときに、詰められて詰められて詰められていったときに、ではどうなのと言われて、わかりませんという形でこの委員会質問をするということは、理事さん、委員長さん、私の質問時間、あと五分でおいておいてください、どこかで。できませんか、そういうこと。そうでないと、これはしっかりと載せていただかない限りは、私は質問をさせていただいて、答弁をいただいていないことになりますので。
  111. 北側一雄

    北側委員長 それでは、午後の冒頭に吉田委員からの御質問を、残余の時間残して、午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  112. 北側一雄

    北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉田治君。
  113. 吉田治

    吉田(治)委員 午前中の質疑の中で答弁がまだできていないということで、虚偽報告を突き詰めていくと、最終的にそれはだれが告発できるというのですか、その辺のことについてお答えをいただきたいと思います。
  114. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 午前は大変失礼いたしました。  先ほど、従業者が事業者等に不利益を与える目的で意図的に虚偽の申告をした場合には、刑法百七十二条の虚偽告訴罪もしくは第二百三十三条の偽計業務妨害罪等の対象となると申し上げました。この百七十二条及び二百三十三条ともに、これは被害者の告訴がなければ加害者を処罰できないいわゆる親告罪ではございません。したがいまして、一般的には、法令違反がある、そういうふうにされた事業者が告発することが通例であろうと思いますが、何人も検察官または司法警察員に対して告発をすることができるようになっております。
  115. 吉田治

    吉田(治)委員 まさにそういうことが重要でありまして、単に六十六条がひとり歩きするのではなくして、その結果として虚偽というふうなものが行われたらというふうなことも重要だと思います。しかしながら、大臣の答弁の中で、この法令を入れたのは、法令違反が組織的に行われた、まさに今回のジェー・シー・オーのバケツに象徴されます、ああいうことが組織的にされていてもだれも何も言わなかったということの反省ではないかと考えるのです。  十月十九日の閉会中審査、これは自民党の田中委員質問に対して、監督官庁としての重大な責任は明らかで、国側の関係者の厳正な処分はいつ、どうするのか、伺っておきますということに対して、大臣は答弁の中で「国側の関係者の厳正な処分ということでございましたけれども、適切に対処をしていきたいと考えております。」というふうに、十月十九日のこの科学技術委員会会議録においては書かれております。つまり、今回の事故調査委員会の調査結果の中で何かが明らかになって処分をするということですけれども、本日早朝ですか、科学技術庁の事務次官が大臣に辞表を提出した。  なぜ辞表を提出したのか。もう一つは、辞表を提出した中にこの臨界事故のことが含まれているのか。そしてもう一点は、それが科学技術庁として、また国としての責任のとり方なのか。ということになると、処分をこれからするということに対しては、処分はもうこれで終わりということなのか。大臣、その辺、いかがなのでしょうか。
  116. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員お話しのとおり、けさ岡崎科学技術庁事務次官から辞任の申し出がございました。東海村での事故を含む現在の科学技術庁を取り巻く諸情勢、そういうものを考慮され、またロケット打ち上げの失敗ということもありまして、科学技術行政を抜本的に立て直す上では新しい事務体制で行うことが適切、そういうふうに事務次官もお考えになられて辞表を提出されたと私は受けとめております。そういうことで、この事故辞任の一つの理由としてお考えの中に入っているわけでございます。
  117. 吉田治

    吉田(治)委員 それでありましたら、今後の調査結果による処分というふうなものは、大臣がこの十月十九日の閉会中審査で言われた、それはそのとおり守るということの確認が一点。  二点目は、事務方のトップがそういう形で責任をとったというのであれば、政治家として、大臣政務次官、今後の事故調査の結果いかんによってはどういうふうに対応なさるのか、その辺の御決意、その辺の思いというものを述べていただきたいと思います。
  118. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今の、事務次官の申し出に対しまして、私もそのようにすることが適当と考えたわけでございます。今後は次官人事の手続にのっとりましてこれを進めていきたい、そういうふうに私は思っております。
  119. 吉田治

    吉田(治)委員 答えになっていないじゃないですか、大臣、あなたほどのお方が。  私がお聞きしたのは、十月十九日に大臣が答弁なさったように、今後事故調査の結果によっては処分というものが必要ならば処分はなさるのかということと、二点目は、事務方のトップは責任をとった、私は、これは大臣にとっては非常に不幸な出来事だと思います。あのときに内閣改造がなければ状況は変わっていたかもしれない。しかしながら、結果として、内閣改造が行われて大臣が担当の責任大臣になられた。これはある意味で不幸なことかもしれないが、やはりそこは政治家としての判断というもの、決断というものをしなければならない。この二点。政治家としての決断は、大臣及び政務次官にもお聞きをしたいと思います。
  120. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私としましては、現在私が何をすべきかということは、二度とこのような事故が起こらないように、全庁挙げて全力でこの問題の処理、また事後対策等に取り組む、それの先頭に立って取り組むことだ、私はそういうふうに思っております。
  121. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 私も、大臣と同様に考えております。
  122. 吉田治

    吉田(治)委員 事故対策に進むというのは、それは何度も言われている。それで、私どもは何度も、責任についてはどうだと。結果として、事務次官がやめられた。しかしながら、私の一点目の質問、何で答えてくれないのですか。あなたは十月十九日の閉会中審査でちゃんと厳正な処分をすると言っているじゃないですか。それは、ではほごにするということですか。あのとき自民党の委員さんに言われたことに対して、御自身は、もうそういうことは過去のことで記憶にないから知らない、ここの会議録に書いてあってもそういうことは知らないというふうに言われるのですか。どちらなのですか。
  123. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私、自分自身の当日の発言、正確には、今ちょっと議事録もありませんし、記憶も定かでないわけでありますが、私といたしましては、二度とこのような事故の起こることのないように、御指摘の点も踏まえて適切に対処してまいりたいとお答えしたのではないかと思っております。
  124. 吉田治

    吉田(治)委員 では読み上げましょうか、この議事録。後で全部読んでくださいよ。議事録の四ページ目、第二段目後半、「また、先ほど申し上げましたけれども、今回の事故が起きまして、今後の対策について庁を挙げて懸命に取り組んでいるところでありますけれども、委員会での厳しい審査を踏まえまして、お尋ねの、国側の関係者の厳正な処分ということでございましたけれども、適切に対処をしていきたいと考えております。」  ちゃんと処分をするという、それをあなた言っていないじゃないですか、今。
  125. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今私申し上げましたが、厳正に処分すると私は申しておらないということが今委員の御発言でわかったと思います。
  126. 吉田治

    吉田(治)委員 ということは、厳正にはしない、適切に対処するということは、厳正なことはもうこれで科学事務次官がやめたから終わりだ、適切なことは、それは一歩下がってまあ適当にというふうなことになる、そうとらえられるじゃないですか。
  127. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私は、あの時点で、お尋ねがありましたから、御指摘の点も含めて適切に対処してまいりたいと申したのでありまして、今回の次官の申し出といいますか辞任に関して、あるいはその後のことに関して申し上げたわけじゃありません。
  128. 吉田治

    吉田(治)委員 では、適切に対処と適切に処分するのはどう違うのですか。(発言する者あり)今、大臣の答弁の中で、適切に処分すると言っているじゃないですか。後で速記上げたらわかりますよ。
  129. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 ちょっと待ってください。今吉田委員が議事録をお読みになって、私が聞いたのは、処分という言葉はなかったのではないかと思います。私が間違いでしたら、もう一回御指摘ください。
  130. 吉田治

    吉田(治)委員 今私が、厳正な処分については、適切に対処すると言われたと、ここへ書いてあるとおり申し上げましたよ。大臣は、いや、そうじゃなくて、適切に処分すると言われたのですよ、今この場で。(発言する者あり)だから、適切な対処と処分はどう違うのですかと聞いているのです。対処と処分はどう違うのですか。大臣としての概念の中で、処分と対処はどう違うのですか。そして、政治家としてあなたはどう対応するのですか、責任を。それをさっきから私はお聞きしているのですけれども、大臣政務次官も、お答え事故対策、再発防止にはするけれども、その後の責任に対しては一切答えていない。それはちゃんとお答えいただきたい。
  131. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 辞書にどう書いてあるかわかりませんが、処分は処分、対処は対処で、違いは委員が御存じと思います。
  132. 吉田治

    吉田(治)委員 ちょっとその辺は整理してくださいよ。ちょっと理事、出てください、理事
  133. 北側一雄

    北側委員長 議事録では適切に対処するとなっているのですね。
  134. 吉田治

    吉田(治)委員 いや、この議事録ではです。でも、今答弁の中で、私は、適切に処分すると聞こえたのです。だから、違っているんだったらそれは……。
  135. 北側一雄

    北側委員長 それでは吉田君、もう一度質問してください。
  136. 吉田治

    吉田(治)委員 それでは、会議を紛糾させるつもりもございませんし、こういうことで言うことはございません。  ただ、言葉じりで、言葉遊びだというふうなことは私は絶対したくない。だから大臣に、大臣として、私は何度もお聞きしているのです。同じことばかり山ほど聞いているのですよ。でも、答えは同じなんですよ。それが文章になったときに、果たして皆さんが見られてそれでいいのか、そういうことなんですよ、大臣。  大臣ともあろうお方が、きょう朝、事務次官が辞表を出されたということに対して、まあそれはそれでええと。自分としては、ではそれを受けてどう考えるのか。やめろとかそんなことは私は一切言っていないのですよ。ただ、これから後のことについて、処分だ、対処だとかいう言葉、そういう言葉遊びになっちゃう、それは嫌なんです。  ですから、大臣として、そこの部分は、事故調査の結果ができたら、それについて処分も含めた適切な対処をすると。それには処分が入るのかどうかなんですよ。どうなんですか、そこは。
  137. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 十月の繰り返しになるかもしれませんし、先ほど申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんけれども、原因究明が行われ、また再発防止対策についての検討が進められている、その結果も踏まえて、二度とこのような事故の起こることのないよう、御指摘の点も含め、適切に対処してまいりたいと申し上げまして、今もその気持ちであります。今も事故原因は究明中ですし、また対策も、今防災対策もやっている最中でございます。
  138. 吉田治

    吉田(治)委員 これ以上やってもお互いのすれ違いばかりですので、これで終わらせてもらいますけれども、ただ、私は大臣政務次官にお願いしたいのは、本日事務次官がやめられたということは重く受けとめてもらいたい。単に事務局のトップがやめて、ロケットが落ちたから、その二つがあってそれでやめて、やはりあの事務次官、あれほどの方がやめられたことの思いというものは、私は、単に一議員としてではなく、政治家としてしっかりと大臣政務次官に受けとめてもらわなければ、やめられた方に対しては大変失礼だ、それだけ申し上げて、終わります。
  139. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 ちょっと吉田委員、聞いてください。  私は非常に重く受けとめております、一緒に仕事をやってきた間柄でございますから。そして、次官は大変有能で、また省の内外からも大変な信頼を得ている、役所にとっては欠くことのできない人材だ、そういうふうに思っておりまして、私は大変重く受けとめております。  以上です。
  140. 吉田治

    吉田(治)委員 もう終わりますと言っているし、大臣、ではなぜ私が事務次官の辞任のことを言ったときにその言葉が出なかったんですか。(発言する者あり)処分の前に言ったじゃないですか、事務次官がやめたことについて。  もうやめです。終わり。
  141. 北側一雄

  142. 大畠章宏

    大畠委員 民主党の大畠でございます。吉田委員に続いて質問をさせていただきたいと思います。  質問に入る前に、実は、地元の方でさまざまな市民の方がこの事故を契機にいろいろな心配事をしています。その一つの市民の方々の集まりの政策フォーラム茨城というのがあるのですが、ここから次のような九点にわたる要望を今手元にいただきました。最初に、質問に入る前に、まずこれを申し上げたいと思います。  一、国は、被曝した作業員を含め住民に対する最善の救済処置を実施し継続すべきである。  二、国は、再発防止策として、第三者機関としてのアメリカのNRCのような原子力安全規制委員会を早急に創設すべきである。  三、国は、その責任明確化とともに地方自治体の首長が住民の安全のための処置が出来るように必要な権限を委譲すべきである。  四、国は、臨界事故による実被害及び風評被害に対する経済的な損害に対し早急な賠償の措置を講ずべきである。  五、国の安全基準は、IAEAの学術的評価も加え、総点検を行い実施すべきである。  六、国は、原子力施設で予測されるコンピュータプログラム西暦二〇〇〇年問題の危機回避のため、万全の処置を講ずるべきである。  七、国や県は、住民に対し原子力施設の名称、場所、業務内容等の情報を周知徹底すべきである。  八、国や県は、住民に対し正確で迅速な情報伝達網を構築するために県域テレビ局の開局をはじめ、各種の情報伝達設備等の整備に対して財政支援をすべきである。  九、国は、住民救済を目的とした原子力災害に関わる法整備を急ぎ立法化すべきである。 という要請書をいただきました。  これは改めてまた科学技術庁長官にも御要請申し上げたいと思うのですが、こういう地域方々のさまざまな声を私自身もあの事故以来伺っているわけであります。  そこで、前回の質問のときにも申し上げましたけれども、最初に、どうしてもわからないのが、いろいろ御質問等で少しずつ明らかになってきたわけでありますが、なぜあのような製造装置が言ってみれば放置されていたのかというところをもう一度確認をさせていただきたいと思うのです。  要するに、だれの責任であのような装置が認可されたのか。それから、濃縮濃度一八・八%のウラン溶液を扱うにはあのような形でよかったんだろうか。それから、本会議場で吉井委員からも質問が出ておりましたけれども、臨界安全に関する項目で指針十とか指針十二というものがありますが、これに反していたのではないかという意見。  こういう問題について、先ほど責任問題という話が出ましたけれども、結局、私は処分というのも大変重要な重い課題だと思います。先ほどもおっしゃいましたように、私自身も個人的に存じ上げていますが、非常に有能な方だったと私も思います。この一人の方にすべての責任を負わせればいいということでもないと私は思うんです。  一体、今回の事故が起こった原因でありますああいう装置をだれの責任で認可したのか。そして、今いろいろ法改正を検討していますが、今度の法改正が実施されればあのような装置というものは認可されないというふうに見ていいのか、そこら辺を、これは大臣お答えになるのか政務次官お答えになるのかわかりませんが、科学技術庁としての統一した御見解をいただきたいと思います。
  143. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今回事故を起こした装置について、だれが認可したのかというお尋ねがございました。今回事故を起こした沈殿槽は、原子炉等規制法に基づき、昭和五十八年の事業者からの加工事業の変更許可申請に対して当局が許可をし、その後、設計及び工事の方法を認可したものでございます。  沈殿槽は、原料ウランから酸化ウラン粉末を精製するために使用するものとしてジェー・シー・オーから申請がなされ、そのような使用方法を前提とした種々の臨界防止策が講じられていることから、臨界事故が発生するおそれはないとして認めていたものであり、今回のように、精製ウランから硝酸ウラニルをつくるときに用いることを認めたものではございません。  しかしながら、今回のような事故が実際に発生をしてしまいました。原子力安全委員会設置された事故調査委員会での今後の審議等を踏まえまして、所要の再発防止対策を講じてまいりたい、そういうふうに考えております。
  144. 大畠章宏

    大畠委員 当初はそういうものに使用するということで認可したのじゃないという話でありますが、実際にああいう形に使用されたのですね。あそこは「常陽」の燃料を加工するための試験棟的な役割であって、通常のBWR用の燃料の加工施設はまた別にありましたから、そちらの方は通常のラインとして動いていたわけですね。あそこだけ特異な存在であったと思います。しかし、それは通常そういうふうに使うことを前提として認可したのじゃないと言うのですが、現実問題、そういうふうに使われていたのですね。  それで、NRCとかさまざまなお話を伺っていると、本来、人間が間違えて使ったとしても安全なような形にすべきだったということでありますが、一八・八%のウランの濃縮濃度の物質を扱うということは想定されていたのですか。
  145. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 濃縮度一八・八%については、一八・八という数字そのものが想定されていたかはわかりませんけれども、二〇%以下の高濃度のウラン溶液を扱うということで、原子力安全委員会が定めた核燃料施設安全審査基本指針に基づいて安全審査が行われました。  また答弁の繰り返しになりますけれども、一バッチ当たり二・四キログラムウランという質量管理が行われていること、そして溶解前に溶解量を秤量し、形状管理された設備へと送られるということ、それから、この二・四キログラムウランを過って二回装荷したとしても臨界には達しないという、三重のバリアを考慮されているということでこれを認可したものでございます。
  146. 大畠章宏

    大畠委員 この問題は次の質問にもかかわりますので申し上げているのですが、沈殿槽ののぞき窓がありましたね、あそこののぞき窓をとってそこにじょうろを入れて流し込んだ。確かにのぞくことも必要なのかもしれませんが、ああいうふうに使われる構造というのは、ほかのところでも同じような沈殿槽なんでしょうか。
  147. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 ジェー・シー・オーから聞くところによりますと、この沈殿槽はもともと原料の酸化ウラン粉末を精製するときに使用されるものであり、この場合、ウラン濃度、濃縮率ではありません、ウランそのものの溶液濃度、このウラン濃度の低い溶液を一バッチの五十三リットルが処理できるように設計されたものだそうでございます。  安全審査におきましては、一バッチ当たりのウラン取扱量を臨界質量の二・三分の一以下に制限することを確認しておりまして、容量が百リットルであるから、酸化ウラン粉末作製に使用される限り、仮に二重に入れようとしても大丈夫だ、臨界になることはない、こういうふうに判断をしたものでございます。  今回の事故は、沈殿槽を、精製ウラン製造という本来の用途ではなく、精製された酸化ウランから濃度の高い硝酸ウラニル溶液を作製するという用途に用いたために発生したものでございます。
  148. 大畠章宏

    大畠委員 そうすると、今回事故が起こったときに使うということでは、科学技術庁としては認識していなかったわけですね。今回事故が起こりましたね、ああいう形で、いわゆる一八・八%のウラン溶液を扱うということでは認可していなかったわけですね。
  149. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 そういう用途で使う目的であの溶解槽は認可しておりませんでした。
  150. 大畠章宏

    大畠委員 村民からすると、結局そこら辺がわからないところなんですよ。科学技術庁は、きちっと安全規制をかけています、こういうルートできちんとやれば大丈夫だということで認可しましたよと。しかしながら、別な形のもので、何年前かわかりませんがやっているわけですね。赤信号はとまりなさい、青信号は走りなさいとルールを決めたとしても、そんなものは、警察官がいないときは無視して歩行者をはねちゃったという例とはまた別かもしれませんけれども、ルールが決められても守らなくてもいいというようなルールだったら意味がないし、ルールをつくったらきちっと守らせるというのは当たり前ですよ。  なぜこの質問から入ったかといいますと、今回は防災法というものの質疑でありますが、村民の注目は、事故が起こってからきちっとしてくださいよというのは、今までなかったから当然なんですが、この防災法を政府の方でいろいろ議論をされてこういうふうにつくられたことは非常に評価できるところが多いと私は思うんです。しかし、私が今質問しようとしているのは、事故の再発防止をどうしたらいいか、そこを村民は非常に注目しているのですよ。また起こった場合には、こういうふうな法律をつくりましたから今度は大丈夫ですよ、そんなことを住民に説明しても、今度は安心して生活できますとはならないのですね。ですから、なぜ起こったのか、起こってからの問題も非常に重要ですが、二度と起こらないためにはどうしたらいいかということに村民は非常に注目をしているわけですよ。それで今お伺いしたわけですね。今のお話を伺っていますと、今までの安全規制では不十分だったということが明らかになりました。  そこで、私はお伺いしたいのですけれども、いずれにしても、そのものが法律違反であったということは明らかですね。そして、科学技術庁が認可した用途以外のものに使っていたということも事実になりました。これはこれでまた、ではだれの責任なんだというのは科学技術庁としても明らかにしてもらいたいと思いますし、政府としても明らかにしていただきたい。  よく、だれが責任者なんだ、責任者出てこいというとき、日本はなかなか出てこない社会だということも言われていますね。ですから、私が責任者ですということが明らかになると、規律といいますか、体制が非常に整うのですね。今回は事務次官がおやめになったという話を先ほどお伺いしましたけれども、事務次官だけの責任ではないし、長官、御就任されて早々で恐縮でありますけれども、これは科学技術庁責任なんですね。科学技術庁というのは、事務次官じゃないのですよ、そのトップですよ、その長官であるし、政務次官であるし。お役人というか、事務方のトップが今度はやめたというのですが、それだけでは、科学技術庁としてそれでよしとはならないと私は思うのです。  住民の方から見ても、何か事務方のトップが、ロケットの問題とかこの問題でおやめになったというのだけれども、そうすると、政治家の責任というのはどうなんだ。大臣政務次官というのは、たまたま斉藤政務次官はこの問題に非常に精通されておられますが、いずれにしてもこれは政治家の責任はどうなんだろうかということが焦点になってくると思うんですよ。この問題についてちょっとお伺いしたいと思います。
  151. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私どもも今回の事故につきましては本当に厳しく認識をしておりまして、これも繰り返しになりますけれども、一日も早く事故原因を究明し、また、万全の体制がとれるようにこの再発防止策をとるということがまず第一の務めだ、現在の最大の務めだ、そういうふうに思っております。
  152. 大畠章宏

    大畠委員 私は、大臣おやめなさいということを、大臣がおやめになれば済むということじゃないのです。ただ、責任はどこなんだということを村民は求めているのですよ。決して個人の責任にしようとは思いません。ただ、何となく割り切れないのです、何となく。  だから、そこら辺をきょうこの委員会で詰めても即答はできないと思うのですが、これは原子力政策にも大きな影響を与えていることは事実のとおりであります。ですから、一人の政治家が重大な決断をして云々すれば済むということではないかもしれないけれども、やはり日本という国が、責任の所在があいまいなところに私はさまざまな問題が起こっているのだと思うのですね。政治家の責任もあるでしょう。あるいは、官僚の皆さん責任の問題もあるでしょう。それから、民間の企業の責任もあるでしょう。やはり、責任というのは明らかにしておかないと、全体の組織の運営というのはあいまいになってきて、結局事故が続くわけですよ。  したがって、大臣におかれましても、この問題の再発を防止するためにはどうしたらいいのか、そしてこういう問題についてはあなたが責任者ですよ、こういう問題については私が責任者ですよ、そういう責任の所在をぜひ明らかにしていただきたい。これはぜひ大臣要望をしておきたいと思います。  それから、今回のウランの関連施設の重大事故発生は、まさに先ほどお話がありましたように、法律違反であることは明らかになりました。再発防止でありますが、査察して違反行為を中止させることが私は重要だと思うのです。  そこで、現在の原子力安全委員会を中心とした規制機関では不十分という声が地元に強いわけですね。私自身も、非常に残念ながらそう思わざるを得ません。今の日本の原子力安全に関する規制機関というのは非常に不十分であるということは、この事故が物語っているわけですよ。そして、先ほど斉藤政務次官がおっしゃったように、あの装置が、「もんじゅ」の一八・八%のああいう形の処理には意識して認可したわけではないと言うのですが、実際に使われちゃったのですね。  では、なぜあれを査察等で是正することができなかったのか。非常に私自身も残念でありますが、先ほど住民方々からの意見の中にも出ていましたけれども、安全規制というものをしっかりしてもらいたい、ルールを決めたらきちっと守らせるという体制を築いてもらいたいというのは、これは絶対条件になってきているのですよ。  そこでお伺いするわけですが、一つとして、規制機関と推進機関、これもいろいろ課題になっていますね。推進機関と規制機関が同居していいんだろうか、やはり明確に分けるべきではないかという話が出ておりますけれども、科学技術庁として、原子力推進機関と原子力規制機関というものは明確に分けるべきだと思うのですが、この件についての御見解をお伺いしたいと思います。
  153. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 我が国では、原子力規制推進機能を効果的に分離しつつ、科学技術庁及び通商産業省が法令に基づく安全審査等を行い、さらに原子力安全委員会が独自の立場からダブルチェックを行う仕組みになっており、安全審査等に厳正に臨んできたところでございます。しかしながら、今回の事故を重く受けとめまして、安全確保抜本的強化を図ることとしているところでございます。
  154. 大畠章宏

    大畠委員 確かに、私も安全規制の抜本改革というような資料をいただいておるのですが、結局大臣、この委員会の中で、ではいいかという話がもしもできたとしても、今必要なのは原子力発電所とか原子力施設がある住民の方が納得するかどうかなんですね。その方々理解できないような対策では、これから、原子力政策といいますか、プラント建設をいろいろ計画しているところもありますが、住民の方の理解なしに首長さんも県知事さんも認可できませんよ、これは。  したがって、私は、今そういうお話がございましたが、いずれにしても、原子力安全規制の独立機関というのは日本に必要だろう。決して原子力安全委員会方々が不十分な仕事であったと思いませんが、ただ結果としては、現在の機構では不十分だというのがわかったわけですね。私は、この際、アメリカのNRCは原子力発電所設置の許認可権まで全部持っていて非常に権限が強いのですが、そこまでの機関をつくれとは申しません。しかし、ルールを決めたらきちっと守らせる、そういう厳格な査察権を持つ日本版のNRCといいますか、原子力安全規制委員会というものの構築が、どうしても地元住民にとっては原子力施設と共存するための最低条件だと思うのですよ。  この件についてちょっとお伺いしたいと思うのですけれども、今回の政府案では、いろいろ原子力安全委員会機能強化ということをうたっておりますが、正直言って、これまでもやろうと思えばできたのです。しかし、その権限は使っていませんでした。今度はきちっと使いますからと言ったって、それは村民にはなかなか通じませんよ。  明らかに原子力安全委員会というものを組織変更して、原子力安全規制委員会という、名は体をあらわすと言いますが、どんな細かな説明よりも、今度は規制を入れた委員会をつくったのですよ、従来の委員会と違うんですということを住民に私は説明したいのですよ、代議士として。住民方々がどうやったら理解してくれるだろうかと私は思っているのですよ。  農家の方、あるいは商店街の方、あるいはスーパーマーケットで働くおばさんとか、そういう方々に、大畠さん、本当に大丈夫なんですか、いや、今度は原子力安全規制委員会というのができてきちっとルールは守らせますから、ああいう施設のところに抜き打ち的に入って、あなたのこれは従来の認可と違うじゃないですか、これは使用禁止ですと、赤紙を張るか何かわかりませんが、そういうことをきちっとやるんですよ、そんな機関ができたんですと私は言いたいのですが、今のところ言えないのですよ。この問題についてどういうふうにお考えか、お伺いしたいと思うのです。
  155. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 原子力安全委員会は、委員も十分御承知のとおり、国家行政法第八条の機関でございまして、いわゆる審議会等でございます。安全規制を執行する行政機関ではありません。また、安全規制に関すること以外にも、原子力の安全文化の醸成など、安全確保に係る幅広い活動を行っておるところでございます。規制安全確保の一つの手段であることから、名称につきましては、私は現在の名称で適切ではないかと思っております。  そして、今後の安全審査の際の考え方といたしましては、建設段階や運転段階にも的確に審査を行えるようにいたしております。さらに、中央省庁再編後は、安全委員会の位置づけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、従来の国家行政法の第八条の審議会等という枠から、今回は内閣府設置法の三十七条に基づく委員会ということになりまして、さらに事務局も強化をいたし、また専門家も集めまして審査体制を強化する、そういうことになっております。
  156. 大畠章宏

    大畠委員 今大臣の御答弁の中に、規制を執行する機関ではないとおっしゃいましたね。規制を執行する機関でなければ困るのですよ。そうしたらまた、私は安全規制を執行してもらいたい、そんな機関がないからこういう形のものが残っちゃったのですよ。ですから私はこだわっているのです。住民を説得するのには、規制を執行する機関でなければ納得しませんよ。規制を執行する機関じゃなくて、今度はルールを守らせますということを言えるのですか。
  157. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 原子力安全規制は、あくまでも行政機関が規制行政として行います。原子力安全委員会は、その規制行政が正しく行われているかどうかダブルチェックをする、そのダブルチェック、諮問機関として存在いたします。ある意味では、一つの物事を二重に別な角度から見ているということで、私は非常に日本の制度に合った高い安全を確保する仕組みというふうに考えております。
  158. 大畠章宏

    大畠委員 今の話に矛盾があるんですよ。そうすると、原子力安全委員会というのは、これは何ですか、勧告をするところですか、規制を執行するところは行政ですと言いましたね、行政というのは科学技術庁ですか。
  159. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 科学技術庁、運輸省、通産省等ございます。
  160. 大畠章宏

    大畠委員 そこら辺がいわゆる推進機関と規制機関のあいまいさなんですよ。ひょっとしたら、その事務当局はほぼ同じようなところによるんじゃないですか。
  161. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 原子力安全委員会の事務局は確かに科学技術庁原子力安全局が担当しておりますけれども、これはあくまでも事務方でございまして、原子力安全委員会は、五人の委員と、またその背後に二百人に及ぶ専門家が控えておりまして、規制行政庁に附属しているというものではございません。ただ、省庁再編後は、その独立性をなお一層明確にするために内閣府に置き、また事務局も完全に独立したものとするということになっております。
  162. 大畠章宏

    大畠委員 今、二〇〇一年からですか、行政改革が行われたときの話に言及されましたけれども、それではお伺いしますけれども、今回の省庁再編が行われた後は、規制機関と推進機関というのは完全に分離されるというふうに理解してよろしいんですか。
  163. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 そのように理解をしております。
  164. 大畠章宏

    大畠委員 それで、もう一歩踏み込んで、私は原子力安全委員会というもの——ちょっと、よく聞いてください。耳打ちをするのだったら、耳打ちをするなり、どうぞ相談してください。相談するんですか。こっちが質問しているのに、それで事務方が耳打ちをしているんじゃ、こっちも質問のあれがないですよ。それは、政治家同士のディスカッションなんだからね。もしも何か打ち合わせするのだったら、ちゃんと、打ち合わせをすると言ってくださいよ。いいんですか。  では、質問を続けますが、要するに、斉藤政務次官も頭の中ではいろいろ、本当はそうした方がいいんだろうなと思っていらっしゃるかもしれませんが、明確に分けるんだったら、原子力委員会を改革して規制を執行できるところまで高めないと、住民理解は得られません、正直言って。これは省庁再編の前の方だったらわかりますよ。これは、九月三十日以降であれば、当然きちっとした安全規制の執行機関まで含めて安全委員会ができましたという話にならないと、これはとてもじゃないけれども住民理解は得られませんよ、私はそう思いますね。
  165. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 確かに、これまでは原子力安全委員会は、設計段階でチェックをして、その結果を行政側に答申するという形でございましたが、この原子力安全委員会機能強化の一環として、施工段階、運転段階につきましてもその事業者の中に入ってそれをチェック、立入検査できるというふうに機能強化を図っております。  しかし、あくまでもこれは、原子力安全委員会は八条諮問委員会でございますので、直接的な規制行政は行政庁が行う。しかし、安全委員会の勧告なり審査結果というものは行政庁も尊重しなくてはいけないということになっておりますので、私は、今委員おっしゃった理由で、日本の規制行政が大変甘いということは言えないと思います。
  166. 大畠章宏

    大畠委員 これは私が言っているんじゃなくて、住民が言っているんですよ。正直言って、後ほど申し上げようかと思いましたが、風評被害の問題もそうだし、住民方々もいろいろな疑念が生じ始めているんですね。結局、その方々の心配というのは非常に複雑ですよ。これからどうなんだろうか、さまざまな不安が広がっているんですよ。  今斉藤政務次官はそういうことをおっしゃいますが、それじゃ、それで言ってきてくださいよ。東海村の村民に、今度は大丈夫です、こういうことをやりますから、執行機関はありませんが行政がやります。行政に対する不信があるんですよ。もしも執行しているんだったら、あんな事故は起こらなかったじゃないですか。だから、現状に対する不信感がある。だから、原子力安全委員会という行政からも独立した規制の執行機関がなければ、東海村の村民の方、あるいは原子力発電所があるところの地域方々が、それでいいですよということにならないんじゃないですか。
  167. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 アメリカのNRCの場合は、これは行政機関でございます。しかし、このNRCだけでチェックをしている、ある意味ではシングルチェックでございます。日本の場合は、行政の規制にプラスして、行政とは独立した、ある意味では学識経験者を中心とする独立性の高い機関がダブルチェックをする。これはなかなか御理解いただけないかもしれませんけれども、確かに今までは、現実にこういう事故が起きたという意味で不備があった、そういう意味におきましては、今回原子炉規制法の改正をお願いしているわけでございまして、その原子炉規制法の改正と相まって、この原子力安全委員会の独立性と機能を強化するということで、私は、国民皆様理解していただける、また、そのように努力していかなければならない、このように思っています。
  168. 大畠章宏

    大畠委員 ちょっと具体的にお伺いしますが、それでは、原子力安全委員会のスタッフの強化とか、あるいは中立化というものを考えているという話とか、あるいは原子力安全規制充実強化を図るため、要員の確保を図る必要があるというような声もあるんですが、ここら辺は具体的にどういうふうに今考えておられるのか、お伺いしたいと思うんです。
  169. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 具体的には、原子力安全委員会において、事務局体制充実と学識経験者、専門家等の積極的な活用、また行政庁におきましては、原子力関係法制の整備に伴い法定される原子力保安検査官、原子力防災専門官の確保等によりまして安全規制体制の強化を図っていきたいと思っております。
  170. 大畠章宏

    大畠委員 私ども民主党は、今の政府のそのような対策では不十分じゃないかと、改めて党の方でも今検討していますが、査察と執行をきちっとできるような原子力安全規制委員会をつくるべきであるという考えを今まとめているところであります。私は、今斉藤政務次官からいろいろ説明をお伺いしましたが、どうもそれでは住民を説得といいますか、理解してもらうには余りにもまだ隔たりがあるんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。  それから、その次の質問に行きますが、オフサイトセンターと呼ぶのですね。それで、これがこの間科技庁長官にも申し上げたときにあったかもしれないけれども、このオフサイトセンターというのが、これまたよくわからないんですね。なぜオフサイトセンターみたいに片仮名文字を使うのか。原子力防災センターと言えばいいんじゃないですか。JCOもそうなんですね、何となくわからない。それで、このオフサイトセンターなんかも、略称すればOSCかもしれないけれども、なるべく住民にわかるような用語で理解を進めるのが当たり前なのに、この法律案の中にはオフサイトセンターというのは出てきていませんが、説明資料の中にいつもオフサイトセンターが出てくるんですよ。なぜ原子力防災センターと言わないでオフサイトセンターと政府の方ではおっしゃっているのか、理由を教えてください。
  171. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 本法案検討に際しまして地方自治体方々の御意見をお伺いしてきた中で、オフサイトセンターとの呼び方がなじんでいるものと考えられましたために、各種の説明の際にいわゆるオフサイトセンターとの言い方をしてきたものでございます。  本法案における名称といたしましては、現地対策本部や原子力災害合同対策協議会が置かれ、緊急事態応急対策の拠点となることにかんがみまして、その性格をあらわすものとして、今委員指摘のいわゆるオフサイトセンターは緊急事態応急対策拠点施設と十二条で規定しているところでございます。
  172. 大畠章宏

    大畠委員 ぜひこういうところも、大臣、どうせいろいろ説明するのであれば、農家の皆さんとかあるいは町を歩いているお母さんとかおじいちゃんとかおばあちゃんにわかるような名前をつけてくれませんか。オフサイトセンターというのをどのくらいわかっているかですよ。銀座通りでもどこでも言ってくださいよ、オフサイトセンターというのは何だかわかりますかと、わからないじゃないですか。私は、そういうところに原子力政策の盲点が出てくるんだと思いますよ。住民の方にできるだけわかりやすくしようというのがPA、パブリックアクセプタンスというものの始まりだったじゃないですか。住民方々に受け入れられるように努力しようというのに、こういう用語一つでも、やはり今後わかりやすい言葉を使うということを実行すべきだと私は思いますよ。
  173. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員指摘のように、特にこのような施設はだれもがわかる名称にするということは大変大事だと思っております。  今申し上げましたように、このオフサイトセンターという呼び方は、地方自治体方々の御意見をお伺いしてきた中で、こういう呼び方がなじんでいるものと考えられたためこういうような言い方をしておるわけでありまして、法律用語では逆に今度はかなりかた苦しく、緊急事態応急対策拠点施設、そういうふうになっているわけであります。  ぜひ委員におかれましては、地元の皆さん方といろいろ接触し、御説明される中で、今度はオフサイトセンターというのができて、そしてそこがそういう中心的な機能を果たすんだよと御説明していただければありがたく思います。
  174. 大畠章宏

    大畠委員 オフサイトセンターというのは原子力防災センターと理解してよろしいのですね。
  175. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 言葉からはオフサイトセンターそのものが原子力防災センターということにはならないと思いますが、原子力防災対策対応をとる中で、整備をする中で、オフサイトセンターという言葉を、今委員もおっしゃいましたような防災の中心のセンターという位置づけにさせていただいているところでございます。
  176. 大畠章宏

    大畠委員 とにかくわかりやすい用語を使ってくださいよ。オフサイトセンターといったって、それは若い人はなじみがあるかもしれないけれどもね。今、日本語はみんな片仮名になっちゃったんだ、日本語にできるものも片仮名にしているんですよ。それは格好いいのかもしれないけれども、共通認識というものを理解する、言葉というのは文化ですよ。オフサイトセンターと言ってどんなイメージをするかというのは、みんなさまざまかもしれない。でも、原子力防災センターと言ったら大体イメージが一致しますよ、どんな説明しなくても。オフサイトセンターと言ったら必ず説明が必要ですよね。  大臣、これは余りこだわらないで、事務方は絶対そういうふうに答えちゃ困りますというので書いているかもしれないけれども、政治家同士ですから、事務方を抜いて、私たち政治家が主導権をとった形で方向性を決めていくという意味では、住民にわかりやすい言葉を使ってくれというのに、大臣、なぜオフサイトセンターにこだわるんですか。
  177. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 住民にわかりやすい言葉が大切だということは私も委員と同様に考えております。  ことしの十月二十二日に原子力発電関係の団体協議会、いわゆる原発の立地道府県の集まりの協議会でございますが、そこよりいただきました要望書の附属資料等においてもオフサイトセンターという言葉を何回も用いられておりまして、そういう言葉がこういうような施設関係者の中ではかなり一般的に使われているのではないか、そういうふうにも判断しているところでございます。
  178. 大畠章宏

    大畠委員 政府の方がそういうふうな言葉を使うからそういう要望書とか何かにそれを使い始めているんだと思いますね。一般の住民の方はほとんどやはりわからないですよ。  それで、次の質問をさせていただきますが、住民の健康対策問題であります。  先ほどお話し申し上げましたように、重度の被曝をした従業員の治療に最善の努力を尽くしてもらいたいというのは当然でありますが、家族の方に対する支援策もいろいろ講じていただきたい。  それから、住民方々で被曝をされた方、あるいは不安を感じている住民の健康管理や健康不安に対する適切な処置をしてもらいたい。あるいは、被曝した住民をしばらく追跡して健康管理したいという報道がされましたけれども、この問題、人権上の差別が発生しないような配慮を持ちながらやらなければならないと私は思っておるんですが、この住民の健康管理対策についてお伺いしたいと思います。
  179. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 科学技術庁といたしましては、事故翌日の十月一日から、東海村役場内に科学技術庁の相談窓口を設けまして、健康相談を含め、住民の種々の相談に対応させていただいてきたところでございます。また、東海村からの要請により、住民の健康不安にこたえるため、放射線医学総合研究所、いわゆる放医研の医師を派遣し、放射線の健康影響に関する説明会を十月十八日に開催いたしました。十月十九日からは、週に二日、放医研の医師東海村役場に派遣し、個別に健康相談に応じているところでございます。また、十一月十三日及び十四日には、東海村及び那珂町の住民の方を対象として、線量評価結果と今後の取り組み、放射線による健康影響などについて説明会、相談会を開催したところでございます。  長期的な健康管理につきましては、原子力安全委員会に健康管理検討委員会設置いたしまして、先日発表いたしました推定被曝線量に基づいた健康管理のあり方について検討しているところでございます。当庁といたしましては、健康管理検討委員会検討結果を踏まえ、関係機関と協力の上、人権への配慮を含め、周辺住民の健康管理を適切に行ってまいりたいと思っております。  私も、広島出身でございまして、放射線と人権ということにつきましてはあるセンスを持っているつもりでございますので、それを生かしながら対応していきたいと思っております。
  180. 大畠章宏

    大畠委員 その点はぜひ、今御答弁がありましたことを実行していただきたいと思います。  それから、あと住民の精神的不安対策でありますが、十一月の六日、一般紙にトップニュースとして被曝線量に関する報道がされました。これは、各紙とも一面トップを飾りましたけれども、どちらかというと非常にセンセーショナルな書き方でございまして、こういう形で住民が情報を受け取ると不安が増すんですね。不十分なところもあります。あるところは虫眼鏡で拡大した表現がありますし、重要なところが抜け落ちているところもありますし。  政府の方がこういうものを発表するとき、科学技術庁も発表されたと思うんですが、どういう形で住民に正確な情報を伝えようとしているのか。要するに、マスコミに発表すれば住民に伝わりますが、それでよしとしてはちょっと困るんですよ。拡大したり小さくしたりしないで、そのまま正確な情報を住民に伝えるための努力といいますか、工夫が必要だと思うんですよ。  例えば、四大紙か五大紙かわかりませんが、一月六日の紙面の一面広告を買って、科学技術庁としての公式なレターを新聞の全面広告を使って出すとか、あるいは印刷物を新聞の折り込みに出すとか、そうしないと、何となく不安感があって、十分に理解しないまま不安感が膨らんじゃうんですよ。あの事態事態としながらも、今後、科学技術庁としてどういう形で住民に正確な情報を伝えようとされているのか、お伺いしたいと思うんです。
  181. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 今回のあの推定被曝量の発表に際しましては、大畠委員指摘のいろいろな心配を住民の方にかけることになったところもありまして、反省をしているところもあるわけでございます。  今回の臨界事故による周辺環境への影響については、周辺環境に達した中性子線及びガンマ線の線量を時間、場所ごとに推定した基礎資料を暫定的に取りまとめまして、十一月四日の原子力安全委員会に報告するとともに、原子力安全局長が茨城県、東海村及び那珂町に説明を行い、また報道関係者に対しても説明を行いました。さらに、先ほど申し上げましたが、十一月十三日及び十四日に東海村、那珂町におきまして説明会を開催し、今回の線量評価結果と今後の取り組み、放射線による健康影響について説明するとともに、説明会終了後、希望する住民方々に対する個別相談を行ったところでございます。  また、本日から敷地周辺方々の行動調査を行い、今回取りまとめた基礎資料をもとに各個人の線量を推定することとしておりまして、その結果がまとまれば、わかりやすい形で速やかに御本人にお知らせすることとしたいと思っております。  御指摘の点につきましては、今後、どう余分な不安を持っていただかない形で広報できるか、検討をしてまいります。
  182. 大畠章宏

    大畠委員 この件は情報伝達が大変重要なんですね。情報の伝達の仕方で不安も広がるし安心感も広がるんです。どちらかなんですね。ぜひ、生の情報を、事実をよりわかりやすいように、誤解を生まないような形で、工夫してやっていただきたいと思います。  それから、風評被害問題についてお伺いしたいと思うんですが、今起こっているのは、おたくのところはそういうところの地域だから、とにかくそんな高値で買えないんだと言って安く買いたたいて、それで市場に行くと普通の値段で売っている、言ってみれば、そういうあこぎなやからがいるわけですよ。それからあと、何か、旅行に行った、あなたのところはそういうことではうちへは泊めませんなんという、そういうところもあるんだというので、私もびっくりしたんですよ。そんな旅館があるのですかと言ったら、いや、断られてしまったこともあるんだと。  私は、こういうところはぜひ明らかにしていただいて、それは公表してもらいたいと思いますよ。こういうのがいわゆる風評被害をどんどん拡大しているし、悪乗りしているんですよ。こういうところはぜひ、これは科学技術庁かどうかわからないんですが、やはり責任官庁として関係部署にきちっと言って、取り締まってもらいたいと私は思います。  それから、もう一つは、仕出し弁当屋さんとか食堂を経営している方から、前も言ったかもしれませんが、客が半減して商売が成り立たないというような話もありますし、農作物の風評被害でいろいろ苦労されている方がおられるんですが、この補償は、いつ、どのような形で行われるのか。少なくとも年内には出してほしいという声があるんですが、この二つについてお伺いしたいと思います。
  183. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私ども、この事故後の対策を行うに当たりましては、先ほど総括政務次官からも御報告いたしましたように、住民皆様方の健康の問題、それから風評対策、これが大変重要と考えて、誠意を持ってまた当たっているところでございます。  御指摘の風評対策につきましては、事故影響に関する正確な情報の把握を行うことがまず一番重要と認識しておりまして、当庁といたしましては、東海村に設置をいたしました相談窓口、ジェー・シー・オーや農林水産省等に寄せられる風評被害に関する情報の把握に努めているところでございます。  昨日も、東海村の村長、それから農家の皆さんあるいは商工会の皆さん等、科学技術庁の私の大臣室にもお越しくださいまして、現場皆さんの大変な御苦労のお話、被害の話等、私、十分にお聞きいたしました。  実は先ほど、お昼前も一つ会合がございまして、全国の原子力関係等の企業の幹部の皆さんにお集まりいただいて、私から、再発防止あるいは現在の管理状況等を再点検していただきたいとお願いしたんですが、ジェー・シー・オーの社長さんもお見えでございましたので、昨日村長がお見えになったことも受けまして、私から、けさほどジェー・シー・オーの社長さんに対しましても、損害賠償等につきまして、できるだけ早くこれを行うように努力をしてほしい、そういうお願いもしたところでございます。  ジェー・シー・オーに対しまして、村の方々から損害の状況等の報告といいますか申し出も随分あるようでございますので、今、年内というお話がありましたけれども、私の方も、早くやっていただきたい。ただし、この賠償を行うにつきましては、やはり公平にやらなきゃいけない、先に申し込んだ人だけいただけて、後の方が心配するんじゃ困りますから、全体をきちっと把握して、どういうふうにやっていくのかをきちっとやってください、そういうお願いも社長にしたところでございます。  いずれにせよ、広報の問題が大事でございますので、私ども、例えばニュースレターを発行するとか、それから、茨城県が行う観光PR等の風評対策に対して協力を行うとか、そういう準備も進めているところでありますし、農林水産省を初めとして、関係省庁あるいは県、市町村と連携をとりまして、風評被害を防止するための対策に、先生の御指導をいただきながらやっていきたいと思っております。
  184. 大畠章宏

    大畠委員 時間が来たのであと一問で終わりますが、原子力施設に対してISOの認定取得をさせるべきじゃないかという指摘があるんですね。これは、従来の法律を全く変えずしてきちっとした査察といいますか、それができる方法なんですが、この原子力施設すべてにISOの認定取得をさせるべきではないかという意見に対してはどういうふうに考えておられるのかお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  185. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 第一義的には、事業者がその責務を果たすことによってISOの認定取得をするべきだ、このように考えております。  科学技術庁といたしましては、昨年の使用済み核燃料輸送容器データ改ざんの問題の調査検討委員会の提言を受けまして、事業者に対して、輸送容器の製造に当たって、ISO9000等の品質管理システムの確立を指導しているところでございます。  また、今回のジェー・シー・オー事故発生を受けて、原子力安全委員会事故調査委員会が緊急提言していただきましたけれども、その中間報告においても「企業内部における有効な監査体制の確立や、ISO9000シリーズ取得等の社外の制度を通じた安全確保を徹底すること」というふうに盛り込まれているところでございまして、この中間報告を徹底していきたい、このように考えております。
  186. 大畠章宏

    大畠委員 これで質問を終わりますが、先ほどからいろいろ御回答をいただきましたけれども、やはり原子力安全規制委員会という、住民方々理解していただけるような規制の査察機関等々をぜひしっかりつくっていただきたいということと、それから、責任を明らかにするというのは組織上やはり大変重要だと思います。その二つを最後に要請しまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  187. 北側一雄

    北側委員長 辻一彦君。
  188. 辻一彦

    ○辻(一)委員 前回に引き続いて、原子力災害対策特別措置法についてしばらく質問したいと思います。  今度の防災法の提案を見て非常に感慨深い思いがします。  というのは、平成九年の三月、東海で再処理工場の火災爆発事故があって、その後、私たち民主党の方で調査団を編成して団長で行きまして、現場をずっと見た後、当時の東海の村長さんに役場でお目にかかって、議会と前の村長さんと一時間ほど懇談をしました。そのときに、こういう実感あるお話を聞いたんです。  それは、火災爆発事故の最中に周辺の市町村長から、五感に感じない放射能被害なので自分たちはどうしていいかさっぱりわからぬ、東海の村長ぐらいはどうしていいかわかるだろうから話を聞かせてほしい、こういう電話が来たが、自分たちもどうしていいかわからずに過ぎたというんですね。台風ならば家が倒れる、木が倒れる、それから、洪水ならば水かさが上がる、そういう状況がわかって、体験があるから対応できるけれども、放射能災害の場合には、五感に感ぜずという特殊性から、どう対応していいか全くわからない、そこで非常に不安を持ったと。  だから、初期対応が非常に大事で、そのためには防災の専門者、そのときに初めて防災専門官という意味の論議をしたと思いますが、ぜひ防災専門官を現地に張りつけて、そして初期対応がきちっとできるようにやってほしい、こういうことを聞いたのが平成九年の三月だったと思うんですね。  あれから二年半ほどたちましたが、今回も、今の村上村長、新しい村長さんが具体的にこの初期対応の困難さということを非常に体験されたわけです。原子力災害は、まずは初期対応をどう対処するかに出発すると思いますが、初期対応の重要性について、大臣、どういうふうに認識をしていらっしゃるか、まずお伺いしたい。
  189. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員のおっしゃいますとおり、初期対応がまず大変重要でございます。  本法案におきましては、施設の敷地境界における放射線レベルの上昇等一定の異常な事態が発生しました場合には、まず原子力事業者から主務大臣等に通報がなされます。そして、それを受けて、主務大臣は、職員の派遣やあるいは原子炉等規制法に基づく措置等の初期対応を開始いたします。そしてその後、事態の推移によりまして、あらかじめ定めた状況となりますと、内閣総理大臣に報告がなされます。そして、直ちに内閣総理大臣原子力緊急事態宣言を発し、政府原子力災害対策本部設置される、こういう初期の段階での対応は規定になっております。  また、原子力事業者による通報は、同時に自治体にも通報されることとなっておりまして、国による対応を待つまでもなく、自治体みずからの判断によりまして初期の所要の措置を講ずることも可能でございます。  この場合におきまして、委員お話にございましたように、平常時より原子力事業所の存在する地域に駐在をしております原子力防災専門官が直ちに情報収集を行い、そして自治体への専門的アドバイスを含めて、対策の円滑な実施に向けた業務を行うこととしております。  さらに、主務大臣は、通報を受けた自治体より要請がある場合には、自治体への追加的な支援として、専門的知識を有する職員を派遣することといたしております。
  190. 辻一彦

    ○辻(一)委員 初期対応の、原子力災害が発生して初めのイメージがある程度今述べられたわけですが、原子力災害は、私が思うのに、例えば平成九年の三月に起きた東海村の再処理工場火災爆発事件のように、一遍アスファルトの火を水をかけて消して、消火が非常に不十分だったために十時間たってまたそれが火災を起こして、それからさらに相当な長い時間がたってガスが充満して爆発した。だから、この事故はかなり長い間ずっと続いておるわけですね。そういうふうなときにおいては、順番に手順を踏んでやっていけば対応はできると思うのですよ。そういう場面もあるでしょう。原子炉が、発電所等が事故を起こした場合には、こういうケースがかなりあると思うのですね。  もう一つは、今回のいわゆる東海臨界事故のように、初めの二十五分間で飛散する中性子の四八%、半分はもう飛んでしまった。だから、その初めの二、三時間が、あるいはもっと、一時間が勝負どころになって、そのときに対応できなければ実効性がないという、この二つがあると思うのですね。  そこで、新法によって手順を踏んで、ずっと事業者通報から順次進んでいくのでしょうが、かなり早い時期にさっきの後者のような対応が迫られる場合に、政府のいわゆる非常事態宣言、それから原子力災害対策本部が出発して現地にそういう体制が整うまでには相当な時間がかかると思うのですね。前回を見ると、現地対策本部が設けられたのが四時間半、東京に対策本部が設けられたのが十時間ぐらいになっている。相当な時間がかかるのですね。  そこで、そういう体制が整うまで、言うならば原子力緊急事態の宣言、あるいは原子力防災対策本部が設置をされるまでに、地元の事故災害地の市町村長さんは、具体的にどう対応しなくてはならないかという判断が迫られる場合があるのですね。そのときの、体制ができるまでの判断は地方自治体の長たる市町村長さんが責任を持たざるを得ないのですが、そうしますと、権限や移転で、首長の皆さんは不安を随分と持っていらっしゃると私は思うのですが、それに対して、まさにその初期の初期の一番最初の対応をどうすべきとお考えになられるか、お伺いしたい。
  191. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 総理大臣によります緊急事態宣言が発せられるまででございますけれども、地元には、いわゆる国から派遣をしておりました原子力防災専門官が常駐をしております。この原子力防災専門官が、ある意味ではその地方自治体の首長さんのアドバイザーとなって初期対応を行う。また、地方自治体は、国に対して適切な専門家の派遣を要請できることになっております。その原子力防災専門官、また国からすぐ派遣される専門家、これらの人たちのアドバイス、助言を受けながら、自治体の首長さんが災害対策基本法に基づいていろいろな処置をしていただく、これがいわゆる緊急事態宣言発出前の対応になるかと思います。  いずれにいたしましても、日ごろから緊急時の対応について十分打ち合わせをしておくことが大事だと思っております。
  192. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その初期対応の場合、我々も当初から、防災専門官はそういう初期対応の相談相手になる、そういう意味で、現地に張りつけるべきだという考えを持っておったのですが、それは一面であると思うのですね。  しかし、東京本部から相当な水準の専門者を派遣して助言をしようとする場合には、その自治体が要請をする、それにこたえて、その人がたとえヘリコプターに乗って飛んできても、二時間とか一定の時間がどうしても要るわけですね。しかし、その前に対応しなくてはならない問題がある。  それは、午前中も論議がありましたが、災害対策基本法の六十条に基づいて、市町村長が、生命身体を守るために避難について勧告や指示をすることができるとありますね。これを適用していると言われるのでしょうが、この間、例えば東海で行われた屋内退避という問題、先ほども午前中論議がありましたが、屋内退避災害対策基本法六十条に規定されていないのですが、それは一体どう考えているか、お尋ねしたい。
  193. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 本法案では、災害対策基本法六十条の措置に加えまして、原子力緊急事態宣言内閣総理大臣が発出したとき以降におきましては、屋内退避による避難を住民に対して勧告、指示することができることとしているところでございます。  万が一、国の原子力緊急事態宣言発出の前に地元市町村長が住民に対する避難の判断を下さねばならないほど急変する事態が起きました場合には、午前中も申し上げましたけれども、極力簡明に判断がなされることが望ましく、また、住民にとりまして安全側であることが求められることから、立ち退きによる避難ということになるべきものと考えております。
  194. 辻一彦

    ○辻(一)委員 避難は、退去するとか場所をずっと変えるのですね。屋内退避というのは、家の中におるわけですから、意味が違うのですね。ところが、屋内退避災害対策基本法六十条の中に規定されていないのですが、それをどういうように解釈しているか、伺いたい。
  195. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員おっしゃいますように、災害対策法では、直接的には屋内退避はできないわけでありますが、今回の事故におきましても、東海村村長及び茨城県知事が避難それから屋内退避のための措置を講じましたように、住民の生命身体の保護のためには、屋内退避の勧告または指示をすることはこれまでの運用と同様に可能であると考えております。
  196. 辻一彦

    ○辻(一)委員 いや、それは、村長さんはあらゆることを努力をする必要があるからやられたので、それはいいとして、災害対策基本法の六十条を読むと、避難というのはあるけれども、屋内退避という言葉は出ていないですね。その出ていないのをやれるじゃないかと言われるのはちょっと理解しがたいのですが、それはどうなんでしょうか。
  197. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 屋内退避というのは原子力災害に特有の一つの方法でございます。普通の災害ですと避難ということになるかと思いますが、原子力災害の場合は、飛び交う放射線ということから、屋内にいればその放射線被曝量が少なくなる。原子力災害に特別な一つの避難の方法でございます。したがいまして、この原子力災害に特別な避難の方法をいわゆる国が地方自治体指示できるのは、緊急事態が宣言された後でないとこれはできないわけでございます。法制上、そうなります。  では、その緊急事態が宣言される前はどうなるのか。これは基本的に国の指示が及ばない、この法制が及ばない範囲でございますので、災害対策基本法がベースになるわけですが、その災害対策基本法、また地方自治法とも相まって、その首長さんが、地域住民の方の生命財産を守るのにどうしたらいいのか、これを勘案して最善の方法をとる。原子力災害という特殊性から屋内退避という方法が最善であると首長さんが判断した場合は、そういう措置がこの緊急事態宣言前でもとれる、このように解釈をしております。
  198. 辻一彦

    ○辻(一)委員 災害対策基本法六十条には、避難はあるけれども、退避という言葉は載っていないのですね。まさにそれは原子力災害の特徴だと私は思うのです。さきに災害基本法が制定されたときには、放射能のこういう形は余り予想していないのです。それはなぜかというと、まず洪水があるでしょう。水かさが上がる、大水が出る。それから台風があるのですね。そういうときに屋内に退避してじっとしていると危なくてしようがないので、そんなことは考えられない。  それから、特別措置法があるのですね。それの対象である大地震の可能性がある、そのときにも屋内に退避するというようなことは考えられないのですよ。それから、火山が噴火するときに、それの対応も、家の中に退避するということは普通は考えられない、それはかえって危ない話だから。やはり避難なんですね。  ところが、放射能の場合には、建物の中に入ることによって放射能を防ぐことができるという意味で、これは原子力災害の特殊性だと思うのですね。ならば、災害基本法にも規定されていない、だから災害基本法を改正して屋内退避という項目を入れるのか、それは特別措置法であるから、災害基本法を踏まえて特措法で載せているのなら、その特別措置の中に原子力災害の特殊性を含めて屋内退避云々を入れる必要があると思うのです。  いずれも非常事態宣言が宣言された後は新法によって動くと思うんだけれども、それまでのことを、初期の対応は非常に重要だから、そのときの対応いかんということを私は聞いておるのです。それは、災害基本法を変えるか、でなければ、今回の新法の中に、原子力の特殊性にかんがみて屋内退避の項目を何らかの形で表現してうたわない限り、法的な根拠というものは非常に乏しいと思うのですけれども、それはどうですか。
  199. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 総括政務次官からも御説明いたしましたけれども、委員おっしゃいますとおり、災害対策基本法では、この屋内退避のことは六十条には書いてありません。  そして、御案内のとおり、平成九年六月にできました防災基本計画の中の原子力災害対策編の第三節に「屋内退避、避難収容等の防護活動」という項目がございまして、そこでは、「国は、人命の安全を第一に、原子力安全委員会が定めた指針を踏まえ、屋内退避、避難誘導等の防護活動の実施地方公共団体に指導・助言する。」また「地方公共団体は、国の指導・助言に基づき、周辺住民等の屋内退避、避難誘導等の防護活動を行うものとする。」そういうふうに規定をしております。  さらに、原子力安全委員会防災指針の中に、線量が上昇するというような予測がされる場合には屋内退避を独自に発動することができる、そういうことになっていると思います。
  200. 辻一彦

    ○辻(一)委員 防災計画、それは法律に基づいてつくられる計画であって、法律にないことを防災計画で書き上げているからそれでいいんだというわけにはいかないと私は思うのです。また、安全委員会の指針にしても、これはやはり根拠の法律が明確にされていなければいかぬのです。後で、原子力のそういう特殊性を考えて、法律以外の防災計画やあるいは安全指針の中に取り入れたということは、それは時代の中で変化しているんだからいいとして、そういうものは法の中に規定されなければいかぬのです。  それを見ると、災害基本法の中にも出ていない。だから、災害基本法の中に屋内退避というものを原子力の特殊性にかんがみて追加して改正するか、そうでなければ、この特別措置法の中に、原子力災害の特殊性から屋内退避を何らかの形で表現をするか、どちらかをやらなければそれは一貫性がない、整合性がないと思うのです。どうなんですか。
  201. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 先ほど申し上げましたように、この屋内退避という原子力災害に特有な一つの避難の方法については、緊急事態が発出をされたその後において規定をするしかないわけでございます。  この緊急事態発出前の屋内退避については、地方自治法の規定に基づきまして、地域住民の生命を守るために、地域における事務として、地方自治体の権限として、地方自治体の判断に基づき行使し得る、このように考えております。このことによって、災害対策基本法と今回の特別措置法の整合性をとるように考えております。
  202. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは納得できないですね。少なくとも、地方自治法を踏まえて、災害対策基本法というのは非常に基本的な、膨大な法体系をなしておるのですね。だから、その十分検討して出した中に、避難はあっても屋内退避はないのですよ。だから、災害基本法の中にそれを入れるか、そうでなかったら特別措置法の、今の新法の中にどこかにうたい込む、そういうことによって法的な裏づけを与えるということが必要じゃないかと思うのですけれども、どうなんですか。
  203. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 多少繰り返しになるかと思いますが、先ほど私が説明いたしましたことをもう少し詳しく説明させていただきますと、原子力安全委員会の「原子力発電所周辺防災対策について」というところで、「屋内退避及び避難等に関する指標」がございます。その中で、予測線量当量、これが一定の線量になる場合には、災害対策本部でこの当量を算定するわけでありますが、これに基づく周辺住民の防護対策措置についての指示とあわせて防災業務関係者から周辺住民に連絡をされることになっております。  どういう連絡かと申しますと、住民は「自宅等の屋内へ退避すること。その際窓等を閉め気密性に配慮すること。」これは外部全身の被曝の予測当量でございますが、十から五十ミリシーベルトの場合。それから五十以上の場合には、住民は「指示に従いコンクリート建屋の屋内に退避するか、又は避難すること。」となっておりまして、つまり、こういうことをきちっと地方公共団体あるいは現地関係者が日ごろから把握をし、そしてこれらを速やかに、そういう状態になった場合には発動するということであろうと思います。
  204. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは、読み上げられたのは後でつくられたわけだけれども、災害対策基本法ができた当時、原子力災害のこういう形は余り予想していなかったと私は思うのですね。それが一つ。  だけれども、今度は原子力災害が非常に重要な問題になってきたとするならば、災害基本法の一番基本にそれを追加するか、加えるか、そうでないならば、今つくっている新法の、特別措置法ですから、災害基本法を踏まえて、その災害基本法で足りないところを、言うならば原子力の特殊性を生かしたところを今書き上げて特別措置法をつくっているんだから、その中のどこかに根拠を与えるべきではないか、そういうことを私は申し上げておるんですね。  それは、原子力緊急事態宣言が宣言される前に必要な対応をしなくてはならない、そのときの法的な根拠というものをきちっとつくって、そして首長に安心をして取り組んでもらうということが大事じゃないか、このことを申し上げておるんです。どうなんですか。     〔委員長退席、西委員長代理着席〕
  205. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 今回の法制定に当たりまして、私どもは、緊急事態宣言発出前におきましては、地方自治体の規定に基づいて、屋内退避という原子力に特有の避難方法について、地方自治体の判断に基づき、地方自治体の首長がその自治体の権限としてこれを行使し得る、このように判断をしたものでございます。
  206. 辻一彦

    ○辻(一)委員 論議は堂々めぐりをしています。  原子力緊急事態宣言までに自治体対応するには、法的な根拠がいろいろ要るわけですね。基本法には、避難は明確に規定しているんです。その当時は原子力災害というようなことは考えていなかったから、屋内退避というのは、かえって、自然災害やその他、屋内に退避したら危なくてしようがないものだから、考えていなかったわけですね。  ところが、原子力災害という新しい問題が出てきて、なれば、屋内退避は、放射線を防護するために重要な中身になるわけですから、それは基本法の中でうたい込んで追加をするか、それでなかったら、今原子力災害の特別なところを取り上げて、それで特別措置法をつくって法の裏づけを与えているんだから、その中でやるべきじゃないかと思う。両方ともなしにやるというのはおかしいじゃないか。  屋内退避をやるということは結構ですよ。それは何も否定していないけれども、今、市町村長さんは、国が出るまでに緊急対応を初期にしなきゃならぬときに、自分たちのやったことにいかなる法的な裏づけとかそういうものがあるのか、そういうことによって、きちっと確信を持ってやれる場合と、いや、これはやっていいんかな、悪いんかなと思いながらやるのと、随分違うわけですよ。そういう点の安心感というか裏づけを、やはり地方の首長は現実の体験の中からかなり強く求めていると思うんですね。  そういう意味で、今言った基本法のもとを追加して直すか、あるいは特別措置法の中に今の問題を組み込むか、いずれかをやるべきじゃないか、こういうことを申し上げておるんです。
  207. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員のおっしゃりたいことも十分理解しております。  私が先ほど申し上げましたように、安全委員会の方の規定の中でそのような対応ができるという規定もございまして、そういう意味では、今国会、法案が成立いたしました後には、原子力施設あるいは関連施設のある地方公共団体関係の団体の皆さんにお集まりいただいて、そういう点もよく勉強していただき、また、日ごろから緊急時の対応についてお打ち合わせをしていただければ、このような屋内退避等の対応も迅速にできるのではないか、そういうふうに思っております。
  208. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これだけやっていると全部時間がいっちゃいそうで、切り上げますが、安全委員会の指針とかそういうのはみんな後につくっておるんですよね、状況が変わってくる中で。だから、一番基本は災害対策基本法の中にうたい込むか、それでないなら、特別措置法を今つくっているんだから、新法の中に裏づけを与えるべきで、いや、それは安全委員会の指針にありますとか、それは理由にはならない。だから、この問題は、私としては納得のいかない問題点であるということを指摘して、次に入りたいと思います。  それから、ちょっと具体的な問題に入りますが、原子力防災計画ですね。国と県とそれから市町村という三つの段階がある。それをそれぞれつくるのか、基準を示して、それに基づいてやっていくようにするのか。ごく要点で結構ですから、ちょっとそれを伺いたい。
  209. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 原子力防災計画につきましては、災害対策基本法に基づいて、国、県、市町村、それぞれの立場、役割に応じて今作成しております。  今回新しい法律をつくるということで、原子力災害対策編、災害対策基本法に基づく防災計画、つくり直すことが必要になるわけですけれども、この変更に際しまして、従前の部分を含めて充実を図りたいと考えております。  地方自治体策定する地域防災計画につきましては、地域地域によって事情が異なります。その地域施設の特性を踏まえてつくることになるわけですけれども、これに対して、国も十分な技術的な支援、専門的な知見等の提供等の支援を行っていきたいと考えております。
  210. 辻一彦

    ○辻(一)委員 実態として、原子力の発電所が一つの場合もあるけれども、あるいは二つ、福井あたりは一つのサイト、基地の中に四つぐらいありますね。一番大きなのは、大飯の百十万が四つですから、四百五十万ぐらい一つのサイトで持っているんですが、高浜もあるし、それから美浜もあるし敦賀もあるというように、サイトは幾つかあるんだけれども、サイトごとに防災計画をきちっとつくるのか。それは一体どこがつくるのか。国がつくるのか都道府県がつくるのか市町村がつくるのか、それをちょっと簡潔に伺いたい。
  211. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 各サイトの特徴がございます。サイトごとに各事業者が、県、国と協力しながらつくっていくということでございます。
  212. 辻一彦

    ○辻(一)委員 その場合に、事故想定をきちっとやらなければ、想定のないところに放射能拡散の可能性、計算もできないし、放射能がどれぐらい拡散するかということが明確でなければ、避難訓練も組めないわけですね。そうなると、少なくとも事故想定、例えば今まで科技庁安全委員会等でいろいろ検討しておった仮想事故の十倍ぐらいを想定して、そしてそれでもって想定事故とするのか。そうすればSPEEDIを動かして計算をすれば、全方位、十六等分をして各方面に計算しておったようですが、SPEEDIを動かせば全部、こういう場合には放射能がどこまで拡散するかということがわかるわけですね。現実に国と事業者以外はこういうデータを持っていないわけですから、そこまでは少なくとも国がきちっとやって、想定事故と放射能拡散の範囲というか量というか、そういうものを明確にデータとして出さなければこれはできないと思うんです。  国は当然それはやると私は思います。そのことの確認と、それから、それに基づいて、では一体具体的な防災計画、サイトごとにどうするのか。これだけ放射能が拡散するならばこれだけの範囲住民は避難しなくてはならぬということは全部出てくる。その想定なしに架空の訓練をやったってしようがないんだけれども、それは国がやるのか。そこまでの想定をして、そしてそれから具体的なサイトごとの防災訓練、避難訓練をやるのは、県なのか市町村なのか。それはどうなんですか。
  213. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 防災計画策定に当たって、個別の災害想定が必要になる、これは委員指摘のとおりでございます。この場合、自治体が中心になって検討し、国がこれに協力する形になるものと考えております。  想定される事故についてのもろもろのデータ等については、これは国が、研究機関も持っておりますし、一番持っているわけですので、国がこれに協力をするという形になります。  その際には、国が参考となる基本的な考え方を示すなど、一定の役割を果たした上で、複数の市町村を包含する県が中心となって策定することが有効ではないかと考えております。
  214. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そのときの事故想定と、それから放射能拡散、そのデータは業者と国以外には持っていないわけですが、それは国の責任において明確に示す考えなのかどうか、端的に聞きたい。
  215. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 ことしの四月に、原子力安全委員会防災専門部会におきまして、原子力防災対策の実効性向上について報告書が取りまとめられまして、具体的に事故から災害に至る想定を一般的な形で示すことは困難であるとしております。しかしながら、この報告書の中では、地域防災計画策定等のためには各原子力施設ごとに災害の及ぶ範囲等について何らかの災害想定が必要であるとしておりまして、このような個別の災害想定が必要とされる場合には、地域施設の特性を踏まえ、何らかの仮定を置いて、地方自治体、国、事業者連携して地域防災計画検討を行うべきだ、このように提言をしております。  この中で、国、事業者連携してということが盛り込まれておりますので、本報告書の提言、今回の事故の経験を踏まえて、一層の原子力防災体制充実強化に取り組んでまいりたいと思っております。
  216. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは地方の方では、変に事故を想定すると、何でそんな事故が起こるんだ、それから、これぐらい放射能が拡散するというと、どうしてそこまでで終わるかと、それを問い詰められるとなかなか県の段階で説明が難しいんですよ。だから、事故想定と、それから被害想定というか、放射能拡散は国がきちっと責任を持ってデータで示して、少なくともそこまでやらないと具体的な防災計画は、住民避難を含めて取り組めないということですから、三者がそれぞれ協力してやるということは結構ですが、この点をきちっと国は責任を持って果たしてもらうということを、これはうなずいていらっしゃるから確認できると思いますが、しっかりやってほしいと思います。  それからレスキュー隊の問題です。  青森県の知事さんが、我々も随分と地方を回って防災要綱の特別措置法の試案なんかを示して、青森県からも意見を随分聞いたことがありますが、このレスキュー隊は何としてもつくれという強い御要望なんですね。  今回の場合、レスキュー隊は、言葉で見る限り余り出ていないし、先ほどの説明を聞くと、自衛隊あるいは警察それから消防、そういうものが総合的に努力をしてレスキュー的役割を果たすというような答弁と見たんですが、原子力災害が現実に起きたときを考えると、場合によれば防護服を用意をし、装備をして中へ入って様子を見ないけない。自衛隊ならば偵察行為となっているけれども、状況を見る必要がある。それから、救助を必要とする人があるわけですね。例えばチェルノブイリは、これはチェルノブイリの例を引くのはどうかとは思うけれども、現実に私も二回ほど見てきたけれども、三十二名の消防士は消防ホースを持って中へ入って、放射能の実態ということは知らないから、被曝して三十人から亡くなっておるんですね。  こういう状況を見ると、防護の服装、それから放射能の中に入っていくには相当な厳しい訓練が日常なされにゃいかぬと思うんですが、こういう訓練を一体自衛隊以外にどこでやれる可能性があるのか、どういうふうにこれを見ているのか、お伺いをしたい。
  217. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 今回提出中の法案では、原子力緊急事態宣言後、関係省庁地方公共団体、原研等関係機関、また原子力事業者は、緊急事態応急対策拠点施設、いわゆるオフサイトセンターでございますが、ここに集まって、現場における実質的な責任者となる原子力災害現地対策本部長調整指示のもとに、原子力事業者原子力防災組織それから原子力防災専門官また原研等原子力専門家、自衛隊、消防、警察、医療チーム等が連携をとりつつ、総力を挙げて応急対策実施することとしております。  このため、自衛隊、消防、警察、医療機関等は、原子力災害対応するために必要な装備等の充実を図り、共同して防災訓練を実施することによって、緊急事態応急対策への対応機能の強化を図ることとしております。  さらに、本法案における特別の措置として、原子力災害対策本部長となります総理大臣は、防衛庁長官に対して自衛隊の派遣要請を行えることとしております。  一義的には、事故を収束させるための作業は、まずその事故を起こした責任を有する原子力事業者が行うべきでございまして、救助活動につきましても可能な限りの役割を果たすべきだ、そういうふうに思っております。実際には、そのときの具体的状況に応じまして、必要な装備や要員等を勘案して、自衛隊も含めた関係機関が事業者に協力して、適切な被曝管理のもと、総力を挙げて対応に当たることになると考えております。
  218. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私も、原因者責任というか、これは、原子力災害は、外国から放射能が出てくるというのは、グローバルになれば別として、普通は国内での事故は、事業者が何かの原因によって事故が起きてそれが拡散するというわけですから、第一義的に事業者責任がある。したがって、我々の試案にもそうあるし、政府の新法の中にも、今回は事業者責任が、みずからの自衛災害組織、そういうものをつくり、責任者を決めて、その分担というか責任を非常に重く見て課しているというので、これは私はいいことだと思うんですね。  救助に行った部隊が、その事態を収束さすためにというよりも、例えばこの間臨界事故のときに三人の方が中にああやって倒れておったわけですね。だから、状況を見るということと救助ということが非常に大きな中身になると思うんですが、そういうものを、さっき申し上げたのは、消防や警察やあるいは科学技術庁とかいろいろあるでしょう、自衛隊もあるでしょうが、どこでそれ相応な装備を持ち、そしてちゃんとした日常訓練ができるのか、そういうところが自衛隊以外に考えられるのかどうか、それを伺っているんです。いかがですか。
  219. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 個々の原子力施設によって異なってくるかと思いますけれども、基本的には、先ほど大臣が答弁申し上げましたように、自衛隊、警察、地方自治体事業者、消防、また関連原子力機関等が平素から防災訓練をするわけですけれども、その中で、防災計画の中で決めていくべきものだと考えております。これは自衛隊しかないのではないかと初めから決めるわけにはいかないのではないでしょうか。
  220. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は運輸の委員長なんかやった時代があって、海上保安庁のレスキュー隊、ヘリコプターから水の中へ飛び込んで、そして水死しかかっている人を助けるというその訓練も見たことがあるけれども、これはなかなか厳しい訓練をやっておるんです。だけれども、放射能で汚染された中へ入ってその内容を調べたりそれから救助するのはさらに厳しさがあるので、どこでもそう簡単にそういう訓練や、装備を持ってやれるというようには思えないんですが、警察、消防、自治体あるいは役所の中にそういうことが現実にできる可能性はありますか。
  221. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員もおっしゃいましたように、基本的には、第一義的には事業者がやることが当然だと思います。事業者は、御自分のところの施設でありますからその中の状況もよく把握していると思いますし、日ごろからまた訓練も行っておるわけですから、事業者がかなりの対応をとらなければならない。事業者の手に負えないところは、今次官が申し上げましたような諸機関がそれぞれの得意の分野といいますか機能を果たす、それもできる範囲内で最善を尽くすということではないかと私は思っております。
  222. 辻一彦

    ○辻(一)委員 防衛政務次官にちょっとお尋ねしますが、自衛隊の災害出動に原子力災害を加えたとき、今度は自衛隊法も改正して加えることになっておりますが、必要な装備とか訓練を日常的に行い、しかもそれを維持することは自衛隊において可能であるかどうかですね。  この間、茨城の臨界のときにも出動したわけですが、化学防護部隊が出ていますが、中性子に対する防護装置というものはほとんどないわけです。だから水戸に駐屯して、現場の中には入る状況にはならなかったというように聞いておりますが、これからの原子力災害対応し得る可能性、これはやってもらわなければならぬだろうと思うのだけれども、それは防衛庁の方からちょっとお伺いしたい。
  223. 依田智治

    ○依田政務次官 お答えします。  自衛隊の場合、通常、国防の中でも、核兵器等が使用された場合にそれに対応するという能力がないと大変ですので、全国の師団等に、十五ですね、化学防護部隊とか小隊、それには化学防護車、除染車、さらに放射能測定の器材とか化学防護衣とかそういうものを一応備えております。  したがって、そういうものを駆使して、いざ災害、特に原子力災害が発生したというような場合には、今度内閣総理大臣の要請もありますし、また自衛隊法、災害対策基本法では、知事、さらに市町村長から要請して、そしてどうしても近傍で何か起こっているときは自発的に出るというようなシステムもございます。  先生今御指摘の点で、今度の臨界事故みたいなのが起こって新たに発見しましたのは、やはり中性子に対する防護、中性子線に対する検知器材とか防護器材は持っていない。これは米軍等もないようでございまして、そういうような点を踏まえて、今後、化学防護車に中性子線検知器を整備したり、化学防護車に中性子線の防護機能を付加するとか、それからガンマ線でも前面ガラスは通るとか、そういうところも強化して、できるだけ、発生したときはまず情報収集を手伝うということですから、もし汚染度が、だけれども生身では行けないというときには、やはりそういう防護した化学防護車等を出してそれで測定し、今のうちなら避難できるということなら、すぐ通常の自衛隊部隊を出してどんどんと住民の避難も手伝うとか、そういうようなことを考える必要があるんじゃないか。  それと、何より訓練というものが大変重要だと思っていまして、今度の法律でも、先ほど大臣の方からお話ございましたように、訓練を徹底するということがありますので、私どももぜひ参加させていただいて、自衛隊の持てる力をフルに発揮して迅速な対応ができるように努力したい、このように考えておる次第でございます。
  224. 辻一彦

    ○辻(一)委員 原子力災害対策本部長、これは総理大臣がなるわけですが、それが自衛隊に出動を要請するのは、それは、人手やそんなものでなしに、化学防護部隊というものがそういうときの救助行為、あるいは中身を偵察する、そういうことに期待をしてのことであろうと思いますから、それにひとつこたえ得る自衛隊の化学防護部隊の中身を、しっかり訓練と装備において力を尽くしてほしいなと思います。  時間があれば詳しく伺いたいのですが、この問題はそれで切り上げます。  それから、防災専門官の問題で、これは冒頭に申し上げたように、我々もかねがね、専門官を配置してくれということがようやく具体化してきたということで、前進であろうとは思いますが、どうも国会答弁を本会議それから委員会等で聞いていると、防災専門官は安全運転専門官と兼務もあり得るというようなことが示唆されたと思うんですが、これは私は非常に問題がある。  なぜならば、原子力発電所等における事故を仮に想定した場合ですと、当初は安全運転専門官は、原子炉が暴走したりあるいは事故が拡大するとかそういうものを抑えるために原子炉の制御に走り回る時期だと思うんですね。それが、敷地の外に放射能が漏れたら、一体その地域防災をどういうふうにするかという、そんなことを考えている余裕はない時期があると私は思う。安全運転専門官が片方では原子炉の制御に走り回っている、もうとても頭が回らないというそのときに、兼務をしてそういうことをやっておったんでは、私は、いざというときに十分な役割を果たせない。防災専門官はあくまで専属にして、そして、いざというときに防災専門官として、情報の収集や判断や、あるいは市町村長の相談役になるとか、大事なことが初期対応でいっぱいあるわけですから、それに専念すべきだ。しかるがゆえに兼務はすべきでないと思うんですが、その点いかがですか。
  225. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 原子力防災専門官は、平常時におきましては、その施設の中を見回ったり情報を収集するということも一つの大きな仕事ではないかと思います。施設の安全管理についても運転についても熟知をしている、これがいざというときの防災専門官の働きに生きてくると考えております。  したがいまして、平常時におきましては、この防災専門官とそれから運転管理専門官、これを兼任するということも一つの方法ではないかと思っております。  また、いざ、一たん事が起きたときには、ある意味で、あらかじめ決められた役割に従って、例えばある運転管理専門官はその運転の方に専念をする、また、ある兼務になっていた防災専門官はその防災業務に専念をする。これはあらかじめ緊急時の役割を決めておけばいいことでございまして、そういう意味では、兼務も一つのやり方ではないかと思っております。
  226. 辻一彦

    ○辻(一)委員 国会答弁でも、さきに長官の答弁もあったけれども、それは安全運転に熟知することも大事だという答弁がありましたね。  私は、防災専門官が、安全運転とか原子炉がどう動いているとか原子力施設がどうなっているか、そんなことを知らずに防災はあり得ないわけだから、日常は安全運転専門官と同じように発電所内、原子力施設内を巡回し、一緒に勉強して状況を知っておくということ、これは非常に大事なことだと思うんですよ。  しかし、いざというときに、一番大事なときに、片方は原子炉の制御、暴走を抑える制御にかかる、片方は地域防災に、敷地外に出た場合にどうするかを市町村と一緒になって取り組まなければならぬときに、それは兼務という形では責任がはっきりしないから、その点は明確にしておく必要がある。こういうことを申し上げたので、日常いろいろな勉強をしてもらうということは、これは私は当然必要だと思うんですね。これはちょっとあとの時間がありますから、それ以上の答弁はまたの機会にします。  それから、今度の新法を見ると、この中に事業者は、放射線量等々の数値を観測し、これを公表しなきゃならない、こうなっているんだが、原子力施設周辺の放射能、それから排水口、水から出るところの放射能、それからもう一つは煙突から出る放射能、大体施設からこの三カ所以外には、どこからでも放射能が出るわけではないんですから、中性子の問題がありまして、これはちょっとケースが違いますが、これらの問題はリアルタイムで自動的に全部県を経由して市町村の窓口に知らされて、市町村長は、防災専門官が一緒にそれを見ておれば、平常ならばずっと変化なしにデータで出てくる、安心しておられる。しかしまた、異常があったときにはすぐ状況がわかるわけだから、早く知ることができる。異常があって、なお通報がなければ立入検査に入る。こういうように、事態を刻々と自動的にリアルタイムで知ることが安心のためには非常に大事だと思うんです。  その点は、この規定を見ると、いろいろなものを全部含むから全部には適用できないというような考えがあるようですが、これでは規制できない、どうするのかということ。いかがですか。     〔西委員長代理退席、委員長着席〕
  227. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 辻委員指摘のように、本法案第十一条第七項で、放射線測定設備による測定結果、放射線量の検出結果については、記録し公表することとなっております。ただし、その方法については省令で規定することとなっております。  委員指摘のような放射線の観測データをリアルタイムに市町村に伝達する仕組みというのは非常に重要だと思いますので、公表方法を定める省令の制定段階におきまして、例えば原子力発電所等の大きな事業所についてはこのようにリアルタイムで行うというふうなことも含めて、事業者に応じた対応ができるようにしていきたいと思っております。
  228. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは確認しておきますから、政令もしくは省令のときにきちっと対応できますね。  それからもう一つ、厚生政務次官においでをいただいておるので、ちょっとお尋ねしたいのですが、私の福井県は十五の原子力発電所があるのです。そして、容量は約千二百万キロワットですから、世界で一番原子力発電基地の集中している立地になっていると思うのですね。だから、千二百万というのは非常に大きな、関西圏の電力の半分をこの十五の発電所から送っているわけですから、これはかなり大きな容量なのですね。  そこで、今国立病院が二つあるのです、敦賀国立病院とそれから三方国立病院。いずれも景勝地等にありますので景色のいいところなのです、三方五湖等を控えた。ところが、これが今統合の対象になっておるのですね。統合も今のこの時代ですから大事だと私は思うのですが、十五も原子力発電所があり、千二百万キロワットの、関西の電力の半分を賄っているそれだけの電力生産地に、緊急の場合、医療のセンターであるとかそういうものが一つぐらいあってもいいのじゃないか。  病院の統合という問題はあるわけですが、三方の国立病院を統合しようというわけですから、せめてあの地域に一つぐらい、国立病院をそういう役割に切りかえて、緊急の場合その他のときにおける放射線に係る医療センターをつくっておく必要があるのじゃないかと思うのですが、これはなかなか所管が非常に難しい問題があるのですが、それについてちょっとお尋ねしたい。
  229. 大野由利子

    ○大野(由)政務次官 委員の御指摘のとおり、原子力災害医療の問題、大変重要な課題だと思います。国立病院また療養所が再編成を続けていることもこれまた御存じだと思うのです。  それで、今回確かに敦賀病院と三方病院が統合することになっておりますが、そういう意味では、三方病院の方は廃止される予定ではあったわけですが、地元から要望があった場合には、地域医療の確保の観点から、地元自治体等と調整し、移譲する場合があるというのが一点。二つ目は、これから三方病院廃止後の後利用として、原子力安全の観点から、地方自治体等が原子力災害の医療センターとして活用される計画を立てられる場合は、厚生省として御相談に乗り、必要な支援をしてまいりたい。三点目でございますが、今回厚生省といたしましては、全国原子力関係施設がある都道府県で、地域で完結した被曝医療が行えるような拠点施設をそれぞれに一カ所ずつ整備をする方向で、今回の補正予算で、九カ所で六十八億円、国立病院でそのほかに七カ所で四十八億円、予算要望をする予定になっております。  ですから、福井でいいますと、一カ所大体施設整備で五億円、そして、それ以外の機械整備、設備整備で一カ所当たり二億一千二百七十万、平均値でございますが、これだけの予算要望をして、福井県でいろいろなことができるようにというような方向でやっております。  三方病院がそのままというのじゃなくて、今後、地域皆さんと御検討していただいて、そういう拠点をどこにつくるかも含めて地元で検討していただくといいのではないか、このように思っております。
  230. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大体時間なくなりましたので、最後にお伺いしたいのですが、今の問題について、病院関係は厚生省ですが、科学技術庁としても、あれだけの、千二百万キロワットからの発電をしている地域にそういう性格の病院が一つあってもいいと私は思うので、これは厚生省の考えもあるわけですが、ぜひ科技庁としてもそれに対する支援をすべきでないかと思いますが、それについてどうかというのが一点。  もう一点は、さっきの防災センター、オフサイトセンターとは別に、日本の東、西の拠点にいざというときに専門家を集結する支援センターの構想があるということを聞いておりますが、これについての考え方というものを伺って終わりにしたいと思います。その二点、よろしく。
  231. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 最初の御質問でございますが、委員御存じのように、第一次緊急医療施設、第二次緊急医療施設、第三次緊急医療施設があるのはもう御存じかと思います。福井県におきましては、この第二次医療機関として既に七機関が位置づけられているところでございます。  いずれにしても、国としては、原子力災害時の緊急時医療の重要性にかんがみ、緊急時医療体制については地方自治体に対し必要な支援を行ってまいる所存でございます。  それから、福井県におきましては、核燃料サイクル開発機構の敦賀本部が所在し、また、関西電力、日本原子力発電などの原子力発電所等が所在することから、さまざまな異なった原子炉について専門家が多数存しており、敦賀地区の核燃料サイクル開発機構職員等との連携及び西日本地区への効果的な支援のため、原子力支援・研修センターの支所を核燃料サイクル開発機構が、福井県に設置することを今考えております。
  232. 辻一彦

    ○辻(一)委員 では、以上で終わります。ありがとうございました。
  233. 北側一雄

    北側委員長 吉井英勝君。
  234. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。私は、先日に引き続きまして、原子力防災二法について幾つかの角度から質問をしていきたいと思います。  最初に政府参考人の方に一、二、確認的に伺っておきたいと思うのですが、それは、旧動燃、現在の核燃料サイクル機構の再処理事業についてです。  原子炉規制法第五章では、再処理の事業に関する規制について定めておりますが、原子炉規制法四十四条の四の第三項で、核燃料サイクル開発機構、旧動燃は、「第四十四条第二項第二号から第四号まで又は第六号に掲げる事項を変更しようとするときは、」「内閣総理大臣の承認を受けなければならない。」として、再処理の事業所の名称、使用済み燃料の種類並びに再処理の方法、使用済み燃料から分離された核燃料物質処理の方法などについて変更するときは総理大臣の承認を要する、こういうことにしているのではありませんか。これは参考人の方から伺っておきます。
  235. 間宮馨

    間宮政府参考人 変更のときは許可を受けなければいけないということでございます。
  236. 吉井英勝

    ○吉井委員 これは、法律に書いてあることを素直に聞いただけの話ですから。政府の方でつくった法律をどう執行していくか、こういう角度でお聞きしておりますので。  次に、同第四十六条、ここでは、使用前検査を受けて、これに合格をした後でなければ再処理工場を使用してはならないというふうにしていると思うのですが、これも政府参考人の方から伺っておきたいと思います。
  237. 間宮馨

    間宮政府参考人 そのとおりでございます。
  238. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、サイクル機構の方です。  核燃料サイクル機構において、大体一九八〇年ごろからことし五月までの十九年間に、設置変更の許可の承認を得ないで、その変更部についての使用前検査も合格しないまま運転してきたという事案は何件ありますか。
  239. 岸本洋一郎

    ○岸本参考人 お答えいたします。  許可を得ないで運転したというようなものはないと思いますが、サイクル機構の現施設、特に再処理施設、たくさんの施設がございますけれども、基本的には、当然ですが、許認可の手続を行って、また必要な変更申請も行って運用しているという状況でございます。
  240. 吉井英勝

    ○吉井委員 「安全性総点検に係る設置変更の申請案件」というのを出していらっしゃいますね。これはもともと、既に一九八〇年ごろからずっと使用してきたのだけれども、しかしきちっとした手続はやっていなかったということでもって、例えば剪断片の採取方法についての申請書上の不整合、つまり採取方法ですね、マニュアルに当たるもの、こういうものを、変更許可を出してきちっと承認を受けてとか合格をしてとか、そういう手続を経ないでやってきたということで設置変更の申請をされた、こういうことだと思うのですが、それは何件ほどあるのか、そこを伺いたいのです。
  241. 岸本洋一郎

    ○岸本参考人 御指摘のように、安全性総点検というものを、アスファルト事故その他の一連の不祥事の後、閉鎖性のある組織の体質を改革する、安全意識を高めるということで、意識改革の一環としてやってまいりました。  御指摘のように、過去に申請をして、手続が二段階ございますが、設置変更承認の場合と、基本設計を受けた設計・工事法の認可変更というものがそれぞれございますが、その運用の途中で、設計上の軽微な変更だというようなことで、安全性上は問題ないけれども運用上変えてきたといったものがあって、そういったこともすべて洗い出そうということで洗い出しました。全体的に安全総点検の中でそういうことを洗い出しまして、再処理だけではございませんが、全施設について行って、約三百件ぐらい許認可上の手続のそごといいますか、そういうものがございました。
  242. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、安全総点検に係る設置変更の申請案件について三百件ほどで、ことし一月に、これは年度を置いてやっていらっしゃると思うから、トータルすれば三百件余りですか。ことしに入ってからは四十八件ということですか。トータルと年度別の分、あわせてちょっと答えてください。
  243. 岸本洋一郎

    ○岸本参考人 最も最近の時点で平成十一年一月に変更申請をしてございますが、それに関しては四十八件ございましたということでよろしいですか。(吉井委員「その前の年度など、今わかりますか」と呼ぶ)特に年度ごとに今手持ちございません。
  244. 吉井英勝

    ○吉井委員 はい、わかりました。  それで、今もおっしゃったのだけれども、届け出どおりでなかったとしても、それでやっておって特に問題なかったものだ。それは、この間のジェー・シー・オーも、いわば裏マニュアル違反なんですよ、実際に事故をやったものは。裏マニュアルどおりやっておれば、一応事故をやらずに来ておったわけですよ、数年間というもの。  私は、やはりそこに原子力の安全というものに対する、事業者の方にも監督者の方にも非常に甘い扱い方があったのではないかということが、今回のジェー・シー・オー問題を通じて特に浮き彫りになってきたんじゃないかと思っているのです。  そこで、これは政府参考人の方にもう一度聞いておきますが、なぜこれを厳格に実施しなければいけないかということは、たとえ簡単そうに見えたことでも、例えば採取方法の変更だ、いわば裏マニュアルで変更をやっていこうと。それは、なるほどふだんはどうもないかもしれないのです。かなりどうもないものも多分あるのでしょう。しかし、それじゃ安全は守れないということで、規制法七十八条五の二では、再処理工場の届け出事項を変更しようとするときは内閣総理大臣の許可を必要とすること、そしてサイクル機構が同様の事項を変更しようとするときは内閣総理大臣の承認を受けなければならない、この許可または承認を受けずに変更した者は、一年以下の懲役もしくは五十万以下の罰金に処し、またはこれを併科する。やはり安全を守るためにきちっとしなければいけないんだということを法律上は定めているのではありませんか。
  245. 間宮馨

    間宮政府参考人 御趣旨はそのとおりだと思います。
  246. 吉井英勝

    ○吉井委員 そこで、サイクル機構の方にもう一言お聞きしておきたいのですけれども、サイクル機構の側に、実際「もんじゅ」あり、再処理工場あり、それからまた低レベルの放射性廃棄物の貯蔵、ドラム缶が破けてと、本当にさまざまなことがありました。それから、いわば公金の使い方の処理の問題とか、本当にいろいろあったのです。  要するに、法律と違うことを、きちっと届け出て、きちっと変更して、私は単なる手続上、書類上の問題だけじゃないと思うのですが、やはりそれをやらなかったときには、事故につながったときには大変なんだ、だからこそ懲役や罰金も科せられるぐらいの問題だという、その自覚を持っていらっしゃったのかどうか。そのこともサイクル機構から聞いておきたいと思います。
  247. 岸本洋一郎

    ○岸本参考人 そうした規則に違反するとか許可と違うということにおいてそういった罰則があるというのは、当然承知しております。  むしろ、私どもの問題認識は、現場レベルでの判断でこれで安全というようなところを、そうでなしに、内部でオープンにして、内部で問題を議論し、お互いに批判し、改善していくというところに改めようというところが最大の我々の意識改革のポイントでございます。
  248. 吉井英勝

    ○吉井委員 いろいろ問題があって改めるようになった、それは一歩前進だと思うんです。  ただ、そうすると、政府参考人に伺っておきたいのですけれども、ジェー・シー・オーの裏マニュアルが問題になったのだけれども、動燃再処理工場においては、今のお話では三百件ぐらい、設置工事の変更許可申請が提出されないまま、総理大臣の承認を得ることもなく十九年間操業が続いてきた。中には採取方法の問題なんかもありますが、採取方法といえば結局マニュアルに属するものですよね、採取の施設となればこれはまた施設の方ですけれども。ですから、そういう点では、裏マニュアルやいわば裏施設というべきもので操業されていたということになるのですが、ジェー・シー・オーやこの動燃の例を見ていると、日本のすべての原子力施設でこういうことは常態化しているのじゃないか、やはり徹底した解明は行われていないのじゃないかということを私は思うんですが、現状はどうなっているのですか。
  249. 間宮馨

    間宮政府参考人 御説明いたします。  今御指摘の動燃の件でございますが、これは一連の事故を契機に動燃がみずからまさに総点検を実施したということで、当時の理事長が、責任は問わないからというくらいのことを言って徹底的に洗ったというふうに伺っておりまして、それはその後の改善につながったというふうに考えております。  ほかの施設に関しましては、今回のジェー・シー・オー事故を契機といたしまして総点検をいたしまして、既に公開はいたしておりますけれども、基本的な安全のところ、特に臨界絡みのところは問題はないと。ただ、やはり教育であるとかマニュアルの記述の方法であるとかあるいは濃密さであるとかというところにおいて、若干の改善の余地があるというところについては既に指導したところでございます。  今回の一連の事故契機の総点検も含めまして、我々としては、検査体制は必ずしも十分ではなかったという反省をいたしておりまして、その反省に立ちまして、今回の法律の御提案、あるいは委員会における一次行政庁の審査のダブルチェック、こういうことをやっていかなきゃいけないというふうに考えているところでございます。
  250. 吉井英勝

    ○吉井委員 動燃の場合は、事故等が続いて、みずから内部でよく検討された。しかし、今の話ですと、これは内部で検討されて、いわば自主申告で出てきてわかったというお話ですね。そうすると、科学技術庁の方としては全然わからないわけですか。つまり、科学技術庁としては、日本のすべての原子力施設で、こういうふうな、ジェー・シー・オーとかあるいは動燃で見られたような、原子炉規制法に基づく設置工事許可申請を出して、その承認も受けていない、あるいは使用前検査も通っていないのだけれども現実には使われておったというものは全くないと、これは全部調査をされてその結果がわかっているのですか。
  251. 間宮馨

    間宮政府参考人 いわゆる核燃料サイクル、当時動燃でございますけれども、施設に関しましては、炉規法に基づきまして、施設建設段階、使用前検査、施設検査は厳正に実施はしてきておりました。  また、運転段階におきましても、行政指導の一環として、当庁が認可した保安規定の遵守状況について任意の調査を実施してきていたところでございまして、その中でいろいろ事故が起きたということで、動燃の方でももう一度もとのところに返って総点検をしたところ、いろいろ出てきたということでございます。  我が方としても、その時点その時点で反省をいたしまして、運転管理専門官の導入等検査体制整備したところでございまして、これまでのところ、動燃に関しては、それ以上の問題を我々としては見出してはおりません。しかしながら、今度は別のところで見つかったということでございますので、さらに一段と検査体制を厳しくしていきたいと考えているところでございます。
  252. 吉井英勝

    ○吉井委員 今回のジェー・シー・オー事故の後、全国調査をされましたね。実は私も、ほぼ同じようなところを見に回ってまいりました。  ある企業について、これはフィジカルプロテクション、PPの問題がありますから固有名詞は挙げませんけれども、しかし、実際に科学技術庁が調査に回られたのは申請図書と施設が合っているかどうかだけなんですよ。だけれども、そのラインを私自身見て回りまして、そこで企業の方に質問しますと、例えばウランのペレット四十キログラムで、もちろん条件がいろいろありますからそう簡単じゃありませんが、臨界質量四十キロで、ウランの場合非常に密度の高いものですから、実際には片手では重過ぎてこうなりますからうまくいきませんが、手のひらの上に乗るぐらいの量なんですよ、それを実際に手でつまみ出すことのできる工程があるのです。それをある一定量の水槽に入れれば臨界に達しますということを、企業の方も認めていらっしゃるのです。  だから私は、この前も、指針の十二の「誤操作等」、「等」となっているのですけれども、故意の事故によっても臨界に達しないということを、本当はそのときに施設の改善を求めるぐらいのことをなさるべきじゃなかったかというふうに思っているのですよ。実は、これはアメリカの原発なんですけれども、ある失恋した兵士が原子炉の上の方を登っていって故意に制御棒を引っこ抜いて自殺行為に走った、そういう事例があった。だから、故意の事故であっても臨界事故にならないようにする、そういうことをきちっとやっていくというのが本来監督官庁の役割じゃないかと私は思うんですよ。  それが、申請図書と比べてみても、八〇年以降十九年間も、約三百件ほど、設置変更の申請もなければ承認も受けずにやっておった。そういうことが常態化している。これは本当に、サイクル機構は厳しく反省されて今前進を目指していらっしゃるにしても、ほかの全国の原子力施設はどうなっているんだ、やはり同じようなことじゃないか。これは国民皆さんの目からして、今の監督のあり方というものが厳しく正されていかない限り、簡単に国民皆さん信頼を得られるようなことにならないと私は思いますよ。そこはどうなんですか、もう一遍参考人の方に聞いておきましょうか。
  253. 間宮馨

    間宮政府参考人 これまでの検査体制につきまして、事故等を契機に累次強化はいたしてきております。しかし、いまだ十分でないという反省のもとに今回法案を提出させていただいて、一段と法規制を強化いたしたい。それと同時に、国の側の規制を一方的にきつくするということだけですべての問題が解決するわけではないという中では、今度の原子力安全委員会事故調査委員会におきましても中間報告で御指摘いただいておりますように、企業のサイドにおきましても、外部監査の導入であるとか、あるいはある種の資格制度を持ってちゃんと能力を確認しながら操作に当たってもらうとか、いろいろあろうかと思います。  国の側で、チェックだけではなくて審査のあり方につきましても今回見直すようにという御指示をいただいておりまして、既に原子力安全委員会はその方向で動き始めておりますので、どういう形のものを目指して、どういう形の審査、検査あるいは企業の側の教育であるとか資格であるとかが組み合わされれば再発防止できるかということを、事故調査委員会を中心に真剣になって考えてまいりたいと思っておりまして、その結果を踏まえまして、安全の確保に万全を期してまいりたいと思っております。
  254. 吉井英勝

    ○吉井委員 話はこれからの話ということになるのですが、しかし私は、そこへ行く前に、やはりこれまでの問題について、きちっとした総括といいますか、きちっと踏まえるべきところは踏まえておかないと、本当の意味での前進にはなかなかつながらないじゃないかということを非常に心配しているのですよ。  最後にもう一言、先ほど示しました動燃の例について伺っておきたいのですが、政府参考人に伺いますが、これは原子炉規制法違反ということにはならないのですか。もし動燃が違反じゃない、オーケーだということになれば、ジェー・シー・オーの裏マニュアルもオーケーだ。裏マニュアルのそのまた違反は別として、動燃のやってきたことが別に炉規制法違反でないならば、ジェー・シー・オーの裏マニュアルも違反ということは私は言えなくなってしまうというふうに思うのですが、ここは科学技術庁の方はどういうふうに判断していらっしゃるのですか。
  255. 間宮馨

    間宮政府参考人 御説明いたします。  いわゆる安全性総点検で摘出された事項には、原子炉等規制法に基づく変更、認可等の手続を行わずに設備が変更された事例が含まれておりまして、法令に照らしまして適切であったとは言えずに、極めて遺憾であると考えております。  当庁におきましては、動燃が一連の事故等の反省に立って安全性総点検を自主的に実施することとしたこと、また当該設備の使用停止等の措置がとられているため、直ちに周辺環境に影響を及ぼすような状態ではないということを認識しております。当庁といたしましては、すべての摘出事項について内容を聴取し、必要に応じ詳細な説明聴取、現地調査を実施して、摘出事項に対する対処方法の妥当性を確認してきたところでございます。  当庁といたしましては、これら摘出事項に対する改善措置が早急に実施されることを指導監督していくことが重要と認識しておりまして、今回の安全性総点検で摘出された事項については、個別に法令違反の有無のチェックは行ってはおりませんが、今後とも適切に改善措置が講じられるようサイクル機構を指導してまいりたいと考えております。
  256. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、今長いことお話しいただいたんだけれども、一番大事なところは、この問題を通じて問われているのは、監督官庁の姿勢だと思うのですよ。科学技術庁の方が、たった一言でいいのです、これは原子炉規制法違反という見方をしていらっしゃるのか、それとも、遺憾だとはおっしゃったんだけれども、法律違反ではないというふうに見ていらっしゃるのか。つまり、調べてみたら動燃の全部が違反ではなかった、三百ほどおっしゃったんだけれども、そのうちの一割が違反だったとなるかもしれない。私は数を問題にしているのじゃないのです。違反なら違反ということを見ておかないと、こっちが違反かどうかもたもたしているものだから、ジェー・シー・オーの裏マニュアルについても、私はそれでは炉規制法違反ということは言えなくなると思いますよ。  だからそこを、たった一言でいいのです、動燃のこの事案については原子炉規制法違反に当たるものであったということであれば、その一言でいいのです。そうじゃないというのだったら、そうじゃないでいいですよ。
  257. 間宮馨

    間宮政府参考人 御説明いたします。  先ほど申し上げましたように、今回の件に関しましては、あくまでもサイクル機構の方で自主的に実施されたということでございまして、いわゆる安全の措置につきましても遺漏なきが期されておりますし、我々としても、そこら辺はすべて確認をし、いわゆる運転に関しましても問題のあるところはすべてとめております。そういう意味におきまして、サイクル機構がいわば再出発のためにすべてを洗い出して、これからいわば一から出直そうという意気を何とか阻害することなく全うさせたいということもございますし、我々としては、今回については改善事項が適切に講じられるということ、今後再発がないようにということでサイクル機構を指導してまいりたいと考えております。
  258. 吉井英勝

    ○吉井委員 指導とかそんなことはようわかっているのですよ。しかし、動燃自体に、「もんじゅ」であれ、再処理工場であれ、事故もやれば、ビデオの改ざんだとか、事故隠しだとか、いろいろなことがあったわけですよ。  しかし、そういうことを経てようやく今みずから申請してこられたというのはよくわかっているんですけれども、それにしても、その事実というのは、申請してこられたものは今までは原子炉規制法違反であったのだろと、違反であったから改めて手続をとりに来たのでしょうということを言っているのですよ。私は、これからどうしますという話じゃなくて、そこをきちっとしなかったら、本当に原子力行政について、科学技術庁に対する信頼が得られないものになると思いますよ。  大臣、お聞きいただいて妙だなと思われたと思うのですよ。そこのところは大臣の方から、やはり大臣、私は、違反しているものは違反だと、それは率直に指摘した上でこれからどうするかということにならなかったら、新法の方を私聞こうと思っているのですけれども、その議論以前でとまっちゃうのじゃないですか、これは。
  259. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 厳正に対処していくことが大切と思っております。
  260. 吉井英勝

    ○吉井委員 結局大臣も、厳正に対処というのは当たり前の話なんですよ。しかし、この法律に合わないことがあるから、だから十九年間の事態を正そうということで、設置工事許可申請書を出してきて、総理の承認を受けてやっていこうということに今なっているわけですよ。つまり、それ以前の状態は、これは法律に反していたから申請し直すわけですからね。大臣が直接、ちょっと政治責任にもかかわるから答えにくいというのだったら、私は、これぐらいのことは局長の方でちゃんと、政府参考人の方で、違反は違反だと、それで大臣が言われたように、違反なものについては厳正に対処するんだということで、けじめをつけられないとおかしいのじゃないですか。
  261. 間宮馨

    間宮政府参考人 繰り返しのようで申しわけございませんが、当時の状況下におきまして、動燃が必死の思いで、理事長みずからそれこそ責任は問わないからという切々たる訴えの中で行われたことでございまして、今の時点でどうこうということじゃなくて、当時の時点に照らしまして、やはりそれはそれなりに非常に意味のあった行為であろうと思っておりまして、我々として、再生といいましょうか、自発的にそういうことをしたということも勘案いたしまして、かつその事実は公知の事実ということで世間には発表してあるわけでございまして、いわゆる外に出さずに何かをしたということでは全くございませんで、すべて明らかにした上で物事を行われておりまして、そこら辺に関しましては、我々としては、いわば気持ちを酌むと申しましょうか、その行動の意味を考えるといいましょうか、その中においていわゆる改善措置をしっかりとるということの方がより重要であろうということで考えてまいりました。そういう意味で御理解賜れればと思っております。
  262. 吉井英勝

    ○吉井委員 私が問題にしていますのは、動燃のことじゃないのですよ。監督官庁の姿勢が問われるということを言っているのですよ。法律違反があっても科学技術庁が目こぼしをしてしまう。あるいは、見つけることもようしなかった。見つけることができなかったということは、本当は恥ずかしいことなんでしょう。その自覚をお持ちなのかどうか不思議なんですよ。  今度の原子力防災法案の第三十条で原子力防災専門官、第三十一条報告の徴収、第三十二条立入検査を定めているのですが、これまでと今のような対応で、大臣、どこがどのように変わっていくのですか。つまり、これまでのような目こぼしというものはなくなるのですか。目こぼしなくなりますか、今の対応で。
  263. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 科学技術庁といたしましては、これまで法令により定められた施設検査等に加えて、任意の調査点検として、事業者の保安規定遵守状況調査や運転管理専門官による巡視を行い、施設の運転状況等の把握に努めてきたところでございますが、結果としてこのような事故が発生をいたしました。  いろいろな教訓、反省もございます。改善の必要性もございますので、今後、そういうような点、整備をしていきたい、そういうふうに思っております。
  264. 吉井英勝

    ○吉井委員 四十八件の設置変更の申請が十九年ぶりに出されて、しかしそれはこれまで目こぼししてきたわけなんです。監督官庁がよう見つけなかったんですよ。新法をつくったとしても、これからも、検査、監視に当たる人がこれを目こぼししておったのじゃ全然だめなんですよ。ジェー・シー・オーの裏マニュアルであれ、サイクル機構の問題であれ、やはり、これまでの問題についてもけじめをつけないし、ではこれから本当にどう変わっていくかということがもう一つ見えてこないという、これでは私は、こういう事実は簡単にはなくならないなと。だから、本当に、せっかくこの新しい法律をつくって臨もうとするからには、ここをこうして目こぼしなんかはなくすんだと、やはりそういうところを大臣としてきちっと、せめて決意のほどでも語っておいてもらった方がいいんじゃないかと私は思うんですがね。大臣、どうですか。
  265. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員指摘の点も十分に考慮をしながら、今後、適正な検査、審査を行っていきたいと思っております。
  266. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、ジェー・シー・オー事故をいま一度見ておきたいと思うんですが、十一月十日の科学技術委員会で私取り上げまして、やはり書類審査をした原子力安全委員会も問題だし、そこへああいう状況の書類を上げてしまった原子力安全室、そこの責任もやはり問われると。でも、皆さん皆やめちゃったものだから、審議官の方には来てもらいましたけれども。しかし、そのときの、私が指摘しました一番安全室で責任を持っていらっしゃった方が、きょう事務次官をおやめになったということですが、私、やはり、ジェー・シー・オー事故のプラントについても、だから本当によく見ておかなきゃいけないなということを思っているんです。  二〇%濃縮ウランの硝酸ウラニルの臨界体積は十六・五リッターだということはこの間伺いました。溶解槽が四十二リッターですが、これは形状管理をしている。抽出塔は四十リッターで、これも形状管理をしている。ここでのワンバッチは二十四リッターで、ただし、これは仮焼工程等を経てまた使いますから、繰り返し使用をやっていると臨界体積以上にもなってくるわけです。それから、貯塔の方は八十リッターで、形状管理をやっている。ワンバッチが四十リッター。これも繰り返し使用による問題は同様。それで、沈殿槽は百リッターなんですが、これは形状制限なしだと。書類等で沈殿槽だけは形状制限がなかったということですが、政府参考人の方から確認しておきますが、これは間違いありませんね。
  267. 間宮馨

    間宮政府参考人 沈殿槽に関しましては、質量管理が行われていたということでございまして、いわゆる形状管理ではございません。
  268. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、この沈殿槽は容積が百リットルで、もしここへそのまま硝酸ウラニルを、臨界体積が十六・五リッターなんですから、流せばもともと臨界事故を起こして当たり前という装置であったことは、今の御答弁でも明らかだと思うんです。  あわせて聞いておきたいんですけれども、この沈殿槽を最終製品の均質化のために使うということについて、これも承認をしていらっしゃったんじゃないんですか。
  269. 間宮馨

    間宮政府参考人 いたしておりません。
  270. 吉井英勝

    ○吉井委員 最終の均質化させる工程は、ワンバッチじゃなくて、六から七バッチ分を沈殿槽に入れて攪拌して製品の均質化を図っておったというのが実際起こった問題なんですが、ずっとワンバッチ、ワンバッチということで来ているんですが、実は、最終工程についてはワンバッチじゃなくてワンロットじゃないんですか。
  271. 間宮馨

    間宮政府参考人 御説明申し上げます。  濃縮度一八・八%のウランにつきましては二・四キログラム以下をワンバッチといたしておりまして、溶解塔から沈殿槽までの加水分解、溶媒抽出、沈殿の一連の工程をワンバッチ処理とするということで許可したものでございます。したがって、溶解塔及び貯塔を使用する工程でもワンバッチで処理することが許可の前提条件でございます。
  272. 吉井英勝

    ○吉井委員 そうすると、この正規のマニュアルでいっても、仮焼炉を経由して、仮焼工程の後、最後に貯塔へ行くわけですね。この貯塔は、これはもともとの貯塔を使うということになりますと、本来、製品化されてくるものはワンバッチだけでいったら六・五リットルなんですから、仮に正規マニュアルの途中で、この貯塔のところはワンバッチ当たり四十リットルということで、しかし、ここの貯塔の体積がそれぞれ八十リットルと。つまり、一本の貯塔についてはツーバッチ分、二バッチ分までは可能な設計になっているんですね。ただ、形状管理ということになっておりますが。  では、八十リットルのところへワンバッチ、六・五リットルのもので済むものを入れるとすれば、これはもう当然、この貯塔にしたって、体積については臨界体積をはるかに超えるぐらい入るということになるわけで、ですから、本来ならば、最終製品を仮に貯塔へ入れるとするときには全く違う貯塔をつくって使いなさい、これを指示するのが当たり前だったんじゃないんですか。
  273. 間宮馨

    間宮政府参考人 御説明いたします。  いずれにいたしましても、科学技術庁及び安全委員会で審査をしておりますのは、いわゆる事業者から申請がございます案件に関しまして、それで例えば臨界が起きないという状況が確保できるかどうかという審査をいたすわけでございまして、そういう意味におきましては、いわゆる臨界安全が保てないというような形状であるとかそういうものにつきましては当然却下をするわけでございますが、いわゆる形状管理のみならず質量管理、そういうものを多重に設けた上で臨界安全が保たれるということに関しましては、審査上はそれは許可されるという構造になってございますので、ある形でなければいけないという、一つしかないというようなやり方ではございませんので、可能な限り臨界安全を確保するということでは、その理想の条件に近づくように努力はしておりますが、やはり申請というのが一つあった上での、それに対する審査ということでございますので、そこは必ずしもこれでなければということにはなってございません。
  274. 吉井英勝

    ○吉井委員 そうすると、大体お話を聞いておってよくわかったんですが、製品としては、ワンバッチ、つまり、バッチごとにばらつきがあったらうまくないわけですよ、大体似たようなものであっても。ですから六バッチ、七バッチをワンロットとして均質化するということが最終工程になるわけですね。その最終工程を貯塔を使ってやるのか、沈殿槽を使ってやるのか、これが最終工程の一番の肝心なところだと思うのです。製品を均質化しないと製品としてはだめですから、バッチごとにばらばらの製品じゃだめなんですから。だから、やはりこの最終工程についての審査ということが問題になってくると思うんですが、最終工程の審査は結局していないんじゃないですか。
  275. 間宮馨

    間宮政府参考人 先ほど申し上げましたように、臨界安全の確保ということが至上命題でございますので、その点に関しまして、先ほど申し上げましたが、溶解塔から沈殿槽までの加水分解、溶媒抽出、沈殿の一連の工程をワンバッチ処理とすべきということで許可をしたものでございまして、ワンバッチで処理するということが許可の前提条件でございます。
  276. 吉井英勝

    ○吉井委員 今のお話で言外に答弁をしていらっしゃるんだけれども、今の答弁の中には、要するに最終工程というのは入っていないんです。最終工程というのは、製品が最終的に今おっしゃったところから、抽出塔経由で出てくるわけですね。その抽出塔から出てきたものを貯塔でブレンドするのか、ワンバッチだけじゃ、幾つもバッチがあればばらつきがありますからブレンドするのか、そこまでちゃんと審査をされたのか、それともブレンド工程前のところで審査が終わっていたのか、そこのところを聞いているんですよ。はっきり答えてください。
  277. 間宮馨

    間宮政府参考人 いわゆる沈殿槽に関しましても、沈殿工程ではワンバッチということがこの申請書添付書類にございますように、そこまでのところをしっかり見て判断されたというふうに理解しております。
  278. 吉井英勝

    ○吉井委員 そんなこと、みんなわかっています。沈殿槽は途中であって、そこから出てきたものを、重ウラン酸アンモニウムをまた仮焼炉へ持っていくんですね。それから、それをさらに溶解塔へ持っていき、抽出塔へ持っていき、それで貯塔へ移して、これが製品溶液ということになるわけです。しかし、それがワンバッチ分だけだったらばらつきがあるものだから、だからブレンドするというのが貯塔のところでやった最終工程じゃないですかということを言っているんです。沈殿槽というのは最終部分じゃないですからね。
  279. 間宮馨

    間宮政府参考人 いわゆる貯塔が最終工程であるというふうにおっしゃっておるのではないかと思いますが、正規の手続としてはそういうことで許可を与えたものでございます。
  280. 吉井英勝

    ○吉井委員 結局そこで問題ははっきりしたと思うんですよ。要するに、一応製品は出てくるんだが、バッチごとの製品なんです。しかし、これは工場でお勤めになっていらっしゃった経験があればわかりますが、製品というのはワンロットごとなんですよね。ですから、ブレンドしてワンロットとして均質化した製品を出すわけです。  そのワンロットの製品をつくるために貯塔へ、これを使うとすると、最初の貯塔のときと違って、これは同じ二〇%あるいは一八・八%濃縮ウランであっても溶液濃度が違いますから、うんとこれは溶液濃度の高いものなんです。臨界になりやすいんだから、同じ貯塔を使っちゃだめなんですよ。だから、違う貯塔を設けさせるというふうにしなかったら、これは安全審査をやったことにならないんですよ。だから、正規のマニュアルでいっておったとしても、これはやはり問題ありなんですよ。まして、沈殿槽に臨界体積をはるかに超える容量のものを使ったら論外なんですけれども、そういう点で、やはりこの安全審査の中できちんと見ていくことができなかったという問題があると私は思うんですが、これはやったというふうに今でもお思いですか。
  281. 間宮馨

    間宮政府参考人 そのように理解しております。
  282. 吉井英勝

    ○吉井委員 本当に私はあきれました。  この間審議官の方も答弁されたけれども、私は、当時の原子力安全委員会がこれを見逃したということは重大な責任があると思っているんです。そこへそのまま書類を上げちゃった当時の原子力安全調査室も責任があると思いますよ。しかし、今の方たちも、こういう問題があっても目こぼししてしまう。これぐらいの水準といったら大変失礼だけれども、もちろんそれを上回る審査をちゃんと安全委員会でやってもらわないと困るんだけれども、これでは同じことをまたやっちゃうじゃないですか。形状管理だ何だと言うんだけれども、ブレンドするところでもう一遍この貯塔を使えばもともと臨界体積をはるかに超えちゃうんですよ。そういう使い方をしておったんですよ。その最終工程についてきちっと審査していないんだから、私は本当にこれはひどい話だと思います。  そこで、私は大臣に、これは技術的な話じゃなくて伺っておきたいんだけれども、役所も安全委員会も人が次々かわるわけですね。だれも責任をとらない。さっきもお話ありましたが、だれも責任をとらないだけでなくて、余り責任をお感じの様子もないんですね。会社の方は事業を全部、事業取り消し処分とか企業解散とか、これは原電工事だって解散になっていますよ。一応のけじめはつくんですね。問題の審査に当たった安全委員とかそこへ書類を上げた事務局の役人さんは、みんな責任を感じることもなくいつの日か去っていく。こういうあり方では国民皆さん信頼が得られるようなことにならないと私は思うんですよ。  こういうジェー・シー・オー事故に直面したときに、どこに問題があったかもっと厳しく見詰めて、技術的な話はいいですから、大臣、私は姿勢が問題だと思うんですよ。やはりそこを科学技術庁として正すということをやられなかったならば、幾ら今度の法律原子力防災専門官をつくろうが何をつくろうが、個々の人の責任じゃないんです。本庁といつも連絡をとりながら、本庁からの指示で動くんですから、そこがしっかりしていなかったら、とてもじゃないが防災の仕事なんかできないと思いますよ。ジェー・シー・オーの今回の問題にしても、やはり大臣責任でこの点はきちっとさせるということを、大臣、それはそういう立場で臨む必要があるんじゃないですか。
  283. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員指摘のとおり、姿勢を正すということは大変重要なことだと私も思っております。たびたび申し上げておりますとおり、現在原因究明と再発防止策についての検討が進められているわけでありますが、また安全規制あり方についても厳しい審議が今なされておるわけでございますけれども、そういう結果を踏まえまして、御指摘の点についても適切に対処してまいりたいと思っております。
  284. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、具体的な話に移りたいと思うんですが、資源エネルギー庁の方に伺っておきたいと思います。  原子炉立地審査指針に基づいて、当然一つ一つの原発について保安距離というのを考えていく必要があると思うんですが、百万キロないし百三十五万キロワット級の巨大原発がふえている時代ですが、非居住区域というのは要するに原発から何メートルとるのか。それから、低人口地帯というのは人口密度幾らのところを考えて、あるいは人口何人ぐらいの町や村を想定して、そこまでの距離を何メートルとるのか。あるいはまた、人口密集地帯はどれぐらいの人口密度を考えて、ないしは人口規模がどれぐらいの都市を考えて、そこまでの原発からの距離を幾らとしてとるのか。これは立地審査指針に基づいて具体的な数字としてどういうふうに考えていらっしゃるか、これを最初に伺っておきたいと思います。
  285. 河野博文

    河野政府参考人 お答え申し上げます。  まず、立地指針の件でございますけれども、これは、安全防護施設との関連で公衆との離隔が十分であることを確認するということでございますが、先生御承知のとおりでございます。  具体的には、重大事故あるいは技術的見地からは起こるとは考えられない仮想事故をも想定した場合でも、公衆に対して著しい放射線障害を与えないようにするために周囲に非居住区域、低人口地域が設けられていること、そして、原子炉敷地が人口密集地帯から離れていることを、指針に定められております目安線量、これも先生御承知の数値と思いますけれども、これとの比較で判断をするということでございます。具体的には、非居住区域を判断する重大事故時の被曝線量、低人口地帯を判断する仮想事故時の被曝線量、これはいずれも立地指針に定める線量を下回っているということは当然でございます。  したがいまして、非居住区域それから低人口地帯であるべき範囲はいずれも、実際上の原子力発電所について申しますと、敷地境界内に包含されているということでございます。  それから、人口密集地帯からの距離を判断する全身線量の積算値につきましても、原子炉からすべての方位につきまして、めったに起こらない厳しい気象条件をも仮定いたしまして、この立地指針に定める目安線量を下回っていることを確認いたしております。  そういう意味で、非居住区域あるいは低人口地帯、これは具体的には原子力発電所の敷地内でございますので、具体的な居住者がおらないという状況でございます。また、人口密集地帯については、先ほども申しましたように、いろいろな角度に向かいまして距離を問わず分析をするという実態でございます。
  286. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、全国の原発立地自治体皆さんの一番求めていらっしゃることは、要するに、うちの原発から、ここで過酷事故が起こったときに放射能の雲、クラウドが、風向、風速によって変わるんですが、どういうふうに広がったときには、どこだったらどれだけの被害が生じるのかと。だから、何メーターのところ、何キロのところではどうなのかということを一番わかりやすい形で示さないことには防災計画も具体的に立てられないんですね。一般的なものにすぎないんです。  そういうのを、ではきょうはいいから、次回までに資源エネルギー庁として、全国の原発ごとに、放射線量、何キロのところでは幾ら、もちろん条件によって変わるわけですけれども、そういう想定した資料、当然あると思うんだけれども、お出しになるかどうかだけ、これだけ聞いておきたいと思います。
  287. 河野博文

    河野政府参考人 御指摘の点は、申請書において記載されている事項になっているように思いますし、それは公開されておりますので、御報告申し上げられると思います。
  288. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、この間、ジェー・シー・オー事故では一ミリシーベルトというのが一つの目安になって、四百二十メートルのところで二十時間で一ミリシーベルトというのがありましたが、やはり原発の場合も一ミリシーベルトというのは一つの目安ということで、その一ミリシーベルトの外へ逃げるようにとか、そういうふうな発想というのは一応お考えなんですか。
  289. 河野博文

    河野政府参考人 先ほども申し上げましたように、現在の立地指針によりますと、非居住区域あるいは低人口区域、これが敷地内に包摂されているという状況の中で指針に照らした審査を行っておりますので、そういう意味で、この指針を満足している限り、避難という事態が想定されているわけではないのでございます。
  290. 吉井英勝

    ○吉井委員 そこで、伺っておきたいのは、志賀原発の場合、十キロから二十キロのところが平均線量が一ミリシーベルトなんですね、仮想事故で、全身線量の積算値で。ということは、ジェー・シー・オー事故のときにはやはり一ミリシーベルトというのが一つの目安になりまして、一年間の一般人の許容線量ですから、だからやはり一メートルでも遠くへと避難することを考えたわけなんですが、現実の原発の場合も、一ミリシーベルトのところであればやはり避難をするようにお勧めする、こういうことはきちっとするんですか。
  291. 河野博文

    河野政府参考人 今御指摘の一ミリシーベルト、志賀の原子力発電所の例でおっしゃっているのは、非居住区域あるいは低人口地帯で最大でそういう数値が計算されているということだと思いますので、そういう意味では、そこは敷地内に包摂されているということを申し上げた次第でございます。
  292. 吉井英勝

    ○吉井委員 距離が十キロから二十キロのところにある主な町で平均線量が約一・〇ミリシーベルトということですから、十キロから二十キロ圏であれば、やはり仮想事故のときには——今までは八キロから十キロだったんですよ。しかし志賀原発で、これはエネ庁の方がお持ちの資料なんですが、それでいくと、やはりここもこれからは避難をする地域として考えなきゃいけない、こういうことになってくると思うんですね。この点だけ一言、もう一度聞いておきたいと思います。
  293. 河野博文

    河野政府参考人 具体的な事故をこれから想定して防災計画をさらに立案してまいるわけでございますけれども、ただ、今先生もおっしゃいました、私どもも資料としてお出ししている数字というのは、事故の継続期間中、全く同じ自然条件が継続して起こるような場合を想定した最悪のケースということでございますので、実際にそういった事故が起こりましたときにどういうふうに対処するかというのは、具体的にまた変わってくるということではなかろうかと思います。
  294. 吉井英勝

    ○吉井委員 私、なぜそれを取り上げたかといいますと、実はきょう、消防庁の方にも来ていただいているので最後に一言だけ伺っておきたいと思いますけれども、除染施設というのがあるんですね。実際に消防の皆さん方が活動に行かれたときに、火を消しながら放射能を浴びる、浴びたものを洗い流さなければいけない除染施設。しかし、この除染施設は、今、八キロから十キロというこれまでの避難する距離の時代においても、原発から四キロのところとか、実は、もっと遠くへ逃げなさいといいながら除染施設はもっと中の方にあるとか、矛盾があるんですね。十キロから二十キロでこういう問題が出てきますと、二十キロ圏外への避難を考えなきゃいけない。そのときに、二十キロ圏外に逃げた人の除染をどうするのかとか、やはり具体的な防災対策を考えていかなきゃいけないと思うんです。  消防さんからお聞きしたところでは、除染施設のある消防というのは、島根原発のところに組み立て式一基だけで、全くないということですから、消防活動をやってきた方たちの安全を本当にどうして守るかという点でも、これは非常に大きな問題があると私は思うんです。それから、放射線測定器については、福井では敦賀市、美浜町で一機、大飯、高浜の消防組合で一機とか、浜岡で一機とか玄海町で一機とか、本当に、放射線測定の基礎的なものさえない。時間があれば消防庁の方からもうちょっと詳しいデータをお話しいただいた方がよかったかと思うんですが、防護服とか、呼吸保護具も十人分しかないようなところの佐賀とか川内とかあるんですよ。放射線測定器も足りない。  これでは、災害が起こったときに一番真っ先に出動して頑張っていただく消防の皆さんの安全が守れないということになりますから、私は、この点では、大臣としても、きめ細かな基準を設けて、整備のために全力を尽くすということをやはりやっていただく必要があると思うんですが、この点だけ最後に大臣質問して、終わりにしたいと思います。
  295. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 非常事態に備えて、今委員おっしゃいましたようなきめ細かな点まできちっと決めておく、そしてまた訓練等を行うということは最も重要なことであろうと思います。  また、防護服や呼吸保護具及び放射線測定器の整備状況につきましては、本年四月の段階において、防護服が十二消防本部において合計八百四十五着、呼吸保護具については当該全消防本部において合計千七十一個、及び放射線測定器については十二消防本部において合計五十七個が整備されているところでございますが、こういうものにつきましても、地域地域で十分間に合うような体制をとることが大切、そういうふうに思っております。
  296. 吉井英勝

    ○吉井委員 質問を終わります。どうも自治省の人に悪かったけれども。
  297. 北側一雄

    北側委員長 辻元清美君。
  298. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党、社民党の辻元清美です。  私は、先日から審議されております原子力災害対策特別措置法案などにつきまして、きょうも引き続き質疑をさせていただきたいのです。  まず最初に、前回、二日前に私の方から指摘させていただきましたこと、特に責任の所在ということについて、そしてもう一つは、地方自治体との関係ということを時間の許す限り質問していきたいと思います。  まず、たった今やっと速記録が上がってきたのですが、前回私は、今回のジェー・シー・オー事故において、原子炉等規制法の七十六条の二の罰則規定が適用されないのかということを質問させていただきました。その御答弁で、斉藤政務次官が、第七十六条の二に「みだり」という文章がございまして、今回の事故は故意にということではありませんので、この七十六条の二は適用されないということでございますという答弁であります。要するに、今回の事態は故意に招いた事態でないという御認識でいらっしゃるのでしょうか。そこから確認したいのですが。
  299. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 故意に起こした事故ではないというふうに認識しております。
  300. 辻元清美

    辻元委員 さて、そういう中で、今回の事故の審議で、これは私の質疑ですが、十月十九日の質疑で、安全審査との関係ということを質問させていただきました。今ここに議事録があります。その中で、今回の事故、これはどういう事故であるかというまずそこをしっかり認識しないと、事故の性質、対応責任の所在がはっきりしないので、安全審査のことについて質問した折に、間宮説明員がこういうことをおっしゃっています。「過失というものの概念でございますけれども、先ほど申し上げましたように、例えば一回一つの単位を入れます、二・四キロ。入れたことを忘れてもう一回入れるというようなたぐいの過失は当然想定されておりますが、」安全審査の折にです、「意図的にある考えを持って非常に大量のものを入れるというようなものは過失ということではとらえられておりません。」というような御発言をされています。  また、同じ日の質疑の中で、他の委員質問に対しまして間宮説明員は、「誤操作を想定してということはそのとおりでございますが、故意までは考えられないということでございます。」と御答弁されています。  そしてさらに、これは同じ日の別の方へのお答えで、同じく間宮説明員が、「今回のように故意にルールを破るというような事態においては極めて、そこまで安全審査の前提があったかということに関しましては、現行の安全審査は必ずしもそうではなかったということでございます。」こちらでは故意とおっしゃっているわけです。  そして、前回の内閣総理大臣の、代表質問に対する答えの中で、今回の事故は、認められた条件を著しく逸脱した操作が行われたことが直接な原因でということで、安全審査の折には、これは故意だから、過失じゃないので、そこまで安全審査でカバーし切れないという御答弁でした。  ところが、この事故を起こした結果について、この責任の所在を問うたときには、二日前に斉藤政務次官、今も私確認させていただきましたが、今回は故意ということではありません、過失ですとお答えになっています。  ということで、お聞きしたいのですが、ここで大臣、ここはもう大臣に聞くしかないですね。政務次官と説明員の言うことが違います。さて、今回の事故は故意ですか、過失ですか。どちらでしょうか。(発言する者あり)委員が答えを教えて大臣が答えるという委員会は、一体どういうことになっているのですか。委員長、今のは問題です。だって、今私は大臣お答えを求めて、委員がそれについて答えるということはやめていただきたいと思うのです。大臣お答えいただきたいと思います。
  301. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 許可されたとおりにやらないで別のマニュアルで作業したことは、故意にやっていたということだと思います。ただ、事故は過失で起きたのではないかと思います。
  302. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、決められたマニュアルで操作をしなかったことは故意、そして起きた事故は過失と。この関連性が、私、もう少し詳しく説明していただかないと、故意というのは、広辞苑で見ますと、持ってまいりましたけれども、故意と過失というのは法律用語では対立する概念というふうに広辞苑にも書いてあります。故意というのは、「自己の行為が一定の結果を生じることを認識して或る行為をした場合」ということになっています。これに対する反対の意味で、過失というのが出ています。それで過失は、「注意を欠いて結果の発生を予見しないこと。」  そうすると、今回の事故は、裏マニュアルをつくったり、マニュアルそのものを故意に破ったことが原因で結果が生じているわけですよね。それは間違いないですね。
  303. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 故意についてもう一度ちょっと御説明いただけますか、そちらの手持ちの資料で。
  304. 辻元清美

    辻元委員 これは、「自己の行為が一定の結果を生じることを認識して或る行為をした場合」というふうになっています。  さてそこで、もう一度言います、質問部分なのですが、故意にマニュアルから逸脱したことをした、その結果、事故が生じたわけですね。ということは、原因は故意である、結果は過失である、そういうことは成り立つのでしょうか。
  305. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 私が先ほど申し上げたのは、裏マニュアルをつくったことは故意である、故意に裏マニュアルをつくったと。自然にできちゃったんじゃないんだという意味で使わせていただいたのです。そして、事故の方は過失であろうというふうに申し上げたわけです。
  306. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、この裏マニュアルをも逸脱した行為をしていますね、今回の場合は、作業員が。これは故意ですか。
  307. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 臨界反応を起こして放射線を発生させようと思ってやった行為ではないので、故意ではありません。
  308. 辻元清美

    辻元委員 そうすると、裏マニュアルをつくったことは故意であるという御答弁でしたね。先ほど、裏マニュアルをつくったことは、大臣は、故意であるとおっしゃいました。それで、政務次官は、放射線をまき散らそうと思って作業したわけではないから、その作業員の行為は故意でないとおっしゃったわけですね。  そうすると、裏マニュアルをつくった人は故意である、裏マニュアルをつくった行為は故意である、それはお認めになるわけですか。
  309. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 申しわけありませんが、故意という言葉の正確な意味が、私いま一つはっきり認識しておりませんが、故意に裏マニュアルをつくったということは、一般的にもそういう言い方をされるのではないでしょうか。
  310. 辻元清美

    辻元委員 そして、その結果、事故が起こったわけですね。関連性があるわけですよね。裏マニュアルがつくられて、それは故意であると。そして、さらに作業員の行為については故意ではないとおっしゃるわけですか。
  311. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 事故が起きたことは故意ではないと思います。起こしたことは故意ではないと思います。
  312. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、今回の事故は、結果そのものは過失であるというようにきのうも答弁いただいているのですが、安全審査の場合はこの過失にも対応すると、ここに、この前のときも、核燃料物質加工事業変更許可申請書、前回もお示しさせていただいたものですけれども、「変更後における加工施設の操作上の過失、機械又は装置の故障、浸水、地震、火災等があった場合に発生すると想定される加工施設事故の種類、程度、影響等に関する説明書」ここに過失というのはもとからちゃんと入っています。過失の場合も対応できますよというふうになっています。  そしてさらに、この前も指摘させていただきましたが、その中の項目として、「臨界による事故の程度、影響」というところに、過失、機械または装置の故障とか浸水とか云々かんぬんの、いかなる場合においても安全であるような設計がなされているということで安全審査がなされているわけですよ。  そうすると、これはいかがですか。先ほどから、今回の事故は過失であるとおっしゃっているわけですね。だけれども、これは過失にも対応できるように安全審査されるというふうになっているわけです。この関係はどうなるのでしょうか。
  313. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員に大変申しわけないのですが、質問通告といいますか具体的な通告、それをいただいていなかったのでは……(辻元委員「きょうしました。午前中にする約束だったんです」と呼ぶ)ああ、そうですか。その資料、お持ちのものは何でしょうか。私ども何もないので、もし教えていただければ、また後ほどお答えをさせていただきたいと思いますけれども。
  314. 辻元清美

    辻元委員 私はきょう速記録が上がる時間を待ってということで、速記録は結局上がらなかったのですが、きょうの午前中の十一時ごろまでに、前回に引き続き、安全審査責任関係について質問をさせていただきたいということは申し上げておりました。  それで、ただいま速記録が上がりましたので、細かくさせていただいているのですが、今の御答弁のここの部分は、今回の事故をどう見るかというところの根幹だと私は思うのですね。  なぜかといいますと、過失なのか故意なのか。事故は過失であると。そうすると、過失にも対応できるように安全審査しましたというふうになっています。これは、斉藤政務次官は前のときにお答えいただいていますので、点検されていると思うのです。ところが、間に故意が挟まっておる、間にと言ったら変ですけれども。  そうすると、あたかも今の御答弁ですと、安全審査のときは、今回のような事態は要するに過失ではなくて故意ですと言っている。これは作業員そのものの行為を指しているように私は思います。  これは間宮さんの御答弁ですけれども、過失というのは、要するに、一回一つの単位を入れますと、それを忘れてもう一回入れるぐらいまでは過失だけれども、意図的にある考えを持って非常に大量のものを入れるというのは過失ということではとらえられませんとおっしゃっているわけですよ。そうすると、今回の作業員の行為は、間宮さん、過失ですか。こういうふうにお答えになっています。
  315. 間宮馨

    間宮政府参考人 プロセスは複雑でございまして、一つの事象だけで起こったわけではございませんで、まず、いわゆる我々が許可をしたある状況がございまして、その状況を意図的に破るようなプロセスがまず生み出されておりまして、その生み出された工程の中で、さらに今回の場合はいわゆる過失的なものが重なったということでございますので、一つの言葉では言いあらわせない複合的なプロセスであるというふうに我々は認識しております。
  316. 辻元清美

    辻元委員 そうすると、今の御答弁の、意図的なことも含む過程もあったという中で、もう一度確認させていただきたいのですが、この作業員が行った行為は意図的なプロセスに入るわけですか。どちらでしょうか。
  317. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 ちょっと話を整理させていただきたいと思いますけれども、故意、過失という言葉が今使われておりますが、原子炉規制法において罰則が設けられております。その罰則は、特定核燃料物質をみだりに取り扱い、故意に人の生命等に危険を生じさせた者について重い罰則を設けている。ですから、ここで使われている故意というのは、故意に人の生命に危険を生じさせようと思った者についてでございます。そういう意味で故意が使われております。  そして、今辻元委員議論になられているのは、裏マニュアルをつくった、それは故意か過失かという議論をされておりますが、その場合の故意と過失とは本質的に意味が違うということで、ここは立て分けて議論をしなくてはいけないのではないでしょうか。
  318. 辻元清美

    辻元委員 本質的に意味が違うと。ところが、今回のような事故が起こっていますね。私が新しい罰則規定を設けたらどうかと言うのはそこなんですよ。  今まで設けられた罰則規定というのがありましたけれども、今回のような事態を引き起こしてしまったわけです。ですから、こういう事態がもう二度と起こらないとは言えないと思うのですね。過失と故意、非常にややこしい事態に至っています。  ということで、今までの業務上過失致死、それから今言われております炉規法の中の罰則について、当てはまらない事態が生じているのではないかということをずっと指摘してきたわけです。今回初めてです、こういう事故は。それを防ぐために、新しい概念で安全性を担保するための罰則なり、それからそれに準ずることを入れなければいけないということをこの前からずっと私は主張させていただいていたのです。  さて、それはちょっとこっちへ置いておきます、もうちょっとやりたいのですけれども。後でもう一回やります。  この御答弁を拝見しておりますと、安全審査の折は、あれは故意だから、そこまで、審査と言われても、はっきり申し上げれば、困ると。審査はちゃんとやったけれども、あれは故意だからと。ところが、結果については、これは過失ということで、故意というのは適用しないと。  私は何だか、これを見ていますと、安全審査についてとその結果、そしてこの作業員なりが行った今回の事故安全審査部分については私たちは正しかったんだ、あれは故意で、あんな事態まで想定していないじゃないか。これは言い逃れのように聞こえるし、そして、では結果について、あんな事態は想定していなくて、とんでもない行為だと言っておきながら、このとんでもない行為をどのように判断し、どのように罰していくのか、もしくはどのように認識しているのかというところを使い分けているようにしか、私はこの答弁をかなり細かく読んだのですけれども思えないわけですよ。  ですから、今回の事態は過失であると言うならば、安全審査のときに今回のような事態は想定できなかった、これはやはり間違っていたというか非常に大きなミスを犯したぐらいのところまで認識、結果からいくならばですよ。そして、安全審査のところの故意からいくならば、今回は非常に厳しい対応をとらないと、これももうストップできるとは言えないと思うのです。  その際に、新しいこういう事故の教訓から、私たちは法律も審議していますけれども、こういう事態が起こったときの責任者に対する対応ということをずっと言っていました。これで今回は、作業員、そしてジェー・シー・オー、そして科学技術庁、この三つの責任のとり方があると思うのですね。この間、作業員については、多分刑法の方でというような話がありました。ジェー・シー・オーもそうなるかもしれません。  さて、そういう中で、そういうあいまいな状況をつくり出している安全審査、先ほどからほかの委員からも指摘があった安全審査に対する責任をどうとるのかということと、科学技術庁として、今のような対応をどういうふうにごらんになっているのか。本当に今のような状況だとこんな事故がまた起こるかもしれませんよ。今、こっちとこっちは違うという説明では私は納得できないのですが、政務次官、いかがですか。
  319. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 今こっちとこっちは違うというふうに申し上げましたのは、故意という言葉について議論をしている、そこには二つの意味が存在しているので、それは立て分けて議論しなくてはいけないのではないか、整理しなきゃいけないのではないかという意味で申し上げました。  また、過失だから罪は問われないということはございません。過失によっても、人に一定線量以上の放射線を浴びさせて何らかの被害を生じさせた場合は、これは過失致死傷罪が成立するわけでございます。  そういうことも含めて、従業員、事業者、そして安全審査をした者についても、今いろいろな調査が行われているところというふうに考えております。
  320. 辻元清美

    辻元委員 今のは、因果関係がスムーズに流れていくとするならば、安全審査のときに責任があった、問題があったというところからスタートしていれば、これはスムーズに流れていくわけなんです。そこのところでの対応が、今科学技術庁の見解があいまいなもので、だからややこしくなっていると私は思います。  やはり、今回、安全審査科学技術庁としては責任があるというところを認めるところからスタートしないと、いや、そこは、あんなことをされて、あそこまで安全審査と言われてもというところから始まるから、これだけ大きな結果を起こしているにもかかわらず、つじつまが合わない、国民も納得しないという状況になっていますから、この際、勇気を持って、それはそのときの事情はわかりますよ。こういう事態は想定していなかったでしょう。しかし、やはり安全審査の段階でこれは責任が生じているということを認めるべきだと思います。そうしたら、その後スムーズに解決策をどうしていくかと運ぶと思うんですが、いかがですか。
  321. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 安全審査そのものは、ある一定の指針に基づいて行われております。安全審査をしたときは、形状管理、質量管理、そして間違って二バッチを入れたとしてもそれは臨界質量に達しない、こういう三重のバリアがある、こういう考え方で、その指針にのっとって安全審査をした。そのこと自体は、私は、その時点である基準にのっとって行われた行為として責めるわけにはいかないと思います。  ただし、現実問題として、その三重のバリアがきかず、事故を起こしたということに対して、不備があったことを認めて今回この法改正を行っているわけでございますけれども、そういうことに対して、科学技術庁が、何ら我々は関知しないという態度をとるものではございません。
  322. 辻元清美

    辻元委員 今の御発言の中でも二バッチという言葉がありまして、この間の間宮さんの話の中にもありまして、そこまでぐらいは過失だろうということになっているわけですね。そうすると、今回の行為は何だったのかということになりますね。  その際に、私はやはり科学技術庁が、同じようなことを言っているんだけれども、どうしても単語として責任という言葉を避けて、その周りをぐるぐる回っているように思うんですね。ここはしっかり、私は、責任という言葉はとても大事だと思います、これから原子力行政、どうなっていくかに当たって。  ですから、ここは勇気を持って、この法律をつくるに当たってうみを出さなきゃいけないし、痛みを分かち合わなきゃいけないということで、責任があった、それは痛感しているんだ、そして前へ進むんだというふうにこの際認めていただかないと、それを言わないものだから、いや、あんなところまで関知しないとか言って、ぐるぐるほかの議論も回っているように思うんですね。私はそう思います。ここまで来て、大詰めですよ、今回のことは。大臣、いかがですか。
  323. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 常によりよい審査体制、よりよい制度をつくっていくということは当然だと思いまして、そういう観点から今回いろいろな面で総合的に反省をし、見直した結果、この安全体制規制体制また検査体制法案の審議をお願いしているところでございます。
  324. 辻元清美

    辻元委員 先ほど申し上げましたように、今も一つの言葉の周りを動いている、そういうことは認識しているんですね。  さてそこで、きょうは事務次官が辞表を出されたということで、どういうお気持ちで出されたのかなと私は思います。先ほど他の委員もこの件について質問していますけれども、私も、事務次官はどういう理由でおやめになったのか、これは本日の話ですので、ここで改めて質問させていただきたいと思います。
  325. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 けさほど事務次官から事務次官を辞職したい旨の申し出がございまして、また、辞職願も提出されました。  事務次官は、東海村の事故及び一連の事故を踏まえて、科学技術行政の抜本的な立て直しを図る、そういう上から、新しい事務体制のもとで行うことが適切だ、そういうようなお考えで決意をされたことだと思います。
  326. 辻元清美

    辻元委員 よく言われる、責任をとってやめたということなんでしょうか。
  327. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 御本人からそういう言葉があったわけではありませんが、そういうようなことも一つの理由ではないかと私は推測いたします。
  328. 辻元清美

    辻元委員 さてそこで、きょうはたまたまそういう日に当たりましたので、事務次官は新しい体制でと、前へ進めていくためにとおっしゃいましたけれども、お一人がおやめになっても変わらないですね。やはり全体の体制とか体質とかを変えていかなきゃいけない。  私は、責任問題にこだわっていますのは、何回も申し上げておりますが、「もんじゅ」それから動燃の事故のときと、ずっと同じような質問ばかり繰り返しているんですが、最終的にその言葉が出ないというところに、科学技術庁の体質があると言わざるを得ないんじゃないかと思うんです。私は、過ちがあったら過ちがあったことをはっきり認めて、だれに責任があるからこういうふうにとらせてもらいたいというようなことが、新しい体制で進んでいくということの一番の基本になるんじゃないかと思います。  きょうは各委員、かなり真剣に、いろいろな点、議論しております。二十四日にも、総理にも来ていただくわけですけれども、皆真剣に取り組んでいるわけですね。ところが、どの委員が聞いても、科学技術庁にも責任があったという一言が出ないというのは、一体何を恐れているのかなというように私は強く思うんです。まさか責任がないというふうにおっしゃっているとは全然思いませんよ。ただやはり、その発言をしっかりするというところからじゃないと前に進まないと思います。  斉藤政務次官も、前回のときも、動燃のときもかなり鋭く、私、議事録をまた読ませていただいてもいいんですが、責任があるでしょうと追及されていた。私は、斉藤政務次官がそちらにお座りになって、その勇気ある対応を非常に望んでいる一人なんですが、いかがでしょうか。
  329. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員が今御発言の中で、一人がやめても変わらない、そういう言葉がありました。私は、この次官の辞任ということは大変大きなことでありまして、大変意味のあることだと思っております。  事務次官として、科学技術庁の科学技術行政の先頭に立って、原子力や宇宙やそのほかの行政について長い間御苦労いただいて、これからもまた活躍をしていただけるそういう方が、ここで辞任を決意されるということは大変大きなことで、一人がやめても変わらないとおっしゃった、私は大変遺憾に思います。では何人やめればいいんですかという話になってくるわけです。  ただ私たち、もちろん反省しております。一人一人、心の中で反省し、再発防止のために全力でやっているわけです。次官がやめるということによって、科学技術庁の全職員がどれだけまた姿勢を正し、気持ちを新たにしているか。私は大変な御決断だ、そういうふうに思っておるところでございます。
  330. 辻元清美

    辻元委員 私は一人がやめても変わらないと申し上げましたのは、それは、責任という言葉、だれからも出ずにやめられたということを申し上げているんです。やはりそれ以前に、自分たちは責任があって、こういうふうに責任をとるためにやめますとはっきりおっしゃるならよろしいんですけれども。おやめになって、本当にそれを非常に深く受けとめていらっしゃるというのはよくわかります。ただ、では、なぜ責任とってやめましたというそこのところが認められないかというのが、今までの質疑を聞いていても非常に、私はそれこそ反対に遺憾に思う点なんです。  さて、質疑時間が終了しましたので、きょうは半分以上私は自分の思いも言わせていただいておりますが、あと地方自治体との連携の問題や情報開示の問題などについては、最終日もありますので、きょうの質疑をまた踏まえさせていただきまして、引き続き議論を深めさせていただきたいと思います。  以上です。
  331. 北側一雄

    北側委員長 次回は、来る二十四日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分公聴会を開会いたします。  なお、委員会は公聴会散会後の午後一時から開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十分散会