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1999-11-18 第146回国会 衆議院 安全保障委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十八日(木曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 二見 伸明君    理事 下地 幹郎君 理事 中谷  元君    理事 浜田 靖一君 理事 船田  元君    理事 上原 康助君 理事 島   聡君    理事 佐藤 茂樹君 理事 達増 拓也君       安倍 晋三君    麻生 太郎君       伊藤 達也君    池田 行彦君       石破  茂君    嘉数 知賢君       高村 正彦君    佐藤  勉君       阪上 善秀君    中山 利生君       西川 公也君    萩山 教嚴君       福田 康夫君    藤井 孝男君       宮下 創平君    宮島 大典君       森  英介君    山口 泰明君       山崎  拓君    吉川 貴盛君       伊藤 英成君    桑原  豊君       中野 寛成君    中山 義活君       河合 正智君    冨沢 篤紘君       冬柴 鐵三君    西川太一郎君       佐々木陸海君    東中 光雄君       辻元 清美君     …………………………………    国務大臣    (防衛庁長官)      瓦   力君    防衛政務次官       依田 智治君    防衛政務次官       西川太一郎君    外務政務次官       東  祥三君    会計検査院事務総局第二局    長            諸田 敏朗君    安全保障委員会専門員   田中 達郎君     ————————————— 委員の異動 十一月十八日  辞任         補欠選任   浅野 勝人君     森  英介君   高村 正彦君     藤井 孝男君   佐藤  勉君     山口 泰明君 同日  辞任         補欠選任   藤井 孝男君     高村 正彦君   森  英介君     浅野 勝人君   山口 泰明君     佐藤  勉君     ————————————— 十一月十七日  AWACSの廃棄、空中給油機導入中止に関する請願(保坂展人君紹介)(第一一六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  会計検査院当局者出頭要求に関する件  防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第六七号)(参議院送付)     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 二見伸明

    二見委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、会計検査院事務総局第二局長諸田敏朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 二見伸明

    二見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 二見伸明

    二見委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冨沢篤紘君。
  5. 冨沢篤紘

    冨沢委員 公明党・改革クラブ冨沢篤紘でございます。  きょうは、職員給与の件、二つ目神奈川県の米軍基地問題の件、二件について質問をいたしますので、御答弁お願いします。  まず第一点、一般職職員給与制度と比較して防衛庁職員給与制度の特色としてはどんなものがあるんですか、お示しください。
  6. 瓦力

    瓦国務大臣 冨沢委員お答えをいたします。  防衛庁職員給与の特性についてということでございますので、若干他の給与とは異なる面がございますので、お答えをさせていただきたいと思います。  防衛庁職員給与制度は、基本的には一般職職員給与制度に準じているところでございますが、一般職職員と比較して職務特殊性があるものにつきましては、防衛庁独自の制度を設けているところでございます。  すなわち、俸給について申し上げますと、自衛官のように職務特殊性を有する職員は、職務の類似する一般職公安職等俸給基準として、その特殊性を考慮して、超過勤務手当等相当額本俸への繰り入れ等を行った自衛官俸給表を適用することといたしております。  また、内局の参事官等につきましても、自衛官とあわせて一元的に管理する必要がありますことから、超過勤務の概念を除くことが適当であるとの考え方によりまして、一般職行政職(一)の俸給基準として超過勤務手当等相当額本俸への繰り入れを行った参事官等俸給表を適用することといたしております。  なお、事務官等一般職給与法に定める行政職俸給表等をそのまま適用しているものでございます。  次に、諸手当につきましては、扶養手当期末手当等一般職職員とおおむね同様の体系によっておりますが、自衛官職務特殊性に応じた特別の手当、例えば航空手当乗組手当、落下さん隊員手当等も設けられておるわけであります。  なお、自衛官につきましては、これらに加えて、いわゆる現物給与として食事の支給、被服の支給または貸与、療養の給付等が行われている、こういう仕組みになっておるわけでございます。
  7. 冨沢篤紘

    冨沢委員 本年度の人事院の勧告は、一般職指定職及び本省庁課長級職員にかかわる俸給改定を見送ることとしているほか、期末手当等年間〇・三カ月分引き下げるという内容になっております。一般職職員にとっては大変厳しい勧告となっていますが、防衛庁職員給与改定はどうなるんでしょうか。
  8. 瓦力

    瓦国務大臣 お答えをいたします。  防衛庁職員給与は、他の特別職職員と同様でございまして、従来から一般職職員と相互に均衡がとれることを基本として定められております。例年の給与改定一般職改定に準じて行われておるわけでございます。  今回の防衛庁職員給与改定は、公務員の給与改定にかかわる取り扱いについての閣議決定において、特別職職員についておおむね一般職給与改定に準じて改定を行うこととされたことから、この閣議決定に基づき、一般職給与改定に準じて行うこととなったわけでございます。  まず、参事官等及び自衛官俸給については、その職務特殊性から、それぞれ参事官等俸給表及び自衛官俸給表による特別の俸給としておりますが、いずれも一般職における類似官職俸給基準としておりまして、その基準とする俸給改定の例に準じて改定を行うこととなるわけでございます。また、事務官等俸給につきましては、一般職俸給表をそのまま適用しているもので、一般職の場合と全く同様の改定となります。したがって、防衛庁指定職及び本省庁課長級参事官等四級以上、自衛官一佐(二)以上、事務官等行政職(一)十級以上の職員は、一般職と同様にその俸給改定を見送ることといたしております。  次に、期末手当につきましては、一般職と同様に年間〇・三カ月分引き下がる改定防衛庁職員においても行われることとなりますことから、一般職職員と同様に、防衛庁職員平均年間給与は、昨今の経済情勢と合わせて給与を考慮するものでございますから、減少することになるわけでございます。
  9. 冨沢篤紘

    冨沢委員 ありがとうございました。  次に、神奈川県の米軍基地問題についてお尋ねいたします。  米海軍艦載機NLP施設の問題でありますが、アメリカの航空母艦キティーホーク横須賀母港としている。キティーホークに乗っている艦載機八十機は、厚木基地母港と言っていいのですか、厚木基地へ飛来します。このNLP騒音軽減対策として硫黄島に暫定訓練施設建設した、そしてNLP訓練の大部分は硫黄島で実施されている。しかしながら、国の方針、本格的な厚木代替施設候補地三宅島承知をしておりますが、この点間違いございませんね。長官から御答弁ください。
  10. 瓦力

    瓦国務大臣 お答えをいたします。  艦載機着陸訓練を円滑に実施いたしますことは、日米安保体制効果的運用にとりまして極めて重要でございます。  私も、十一年前に防衛庁長官を務めておりました。そのころにこの問題にも出会いまして、当時、硫黄島の方への移転を含めて検討した経緯がございます。  当庁といたしましては、厚木飛行場周辺航空機騒音を軽減するための代替訓練場建設につきまして、三宅島が適地であると判断いたしておりますが、同島におきましては、依然、住民理解が得られていない状況にあります。かかる情勢から、三宅島代替訓練場を設置するといたしましても、なお長期間を要する見込みでありますので、暫定的に硫黄島において訓練が実施できるよう所要の施設整備を行ったところでございます。  現在、同島においてできるだけ多くの艦載機着陸訓練を実施しているところでございますが、いずれにいたしましても、当庁といたしまして、三宅島代替訓練場を設置する方針に変わりはございません。今後とも、地元皆さん理解が得られるように引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
  11. 冨沢篤紘

    冨沢委員 三宅島代替訓練施設候補地であるという御答弁をいただきました。  昭和六十年の初めごろ、私は神奈川県会議員をやっておりまして、当時はNLP訓練厚木基地だけで行われていた。この騒音が大変ひどい。住民自治体も困っておりまして、私ども防衛庁におだてられて三宅島訓練場お願いツアー大和市民百名と一緒に三宅島まで乗り込んだ、そんな経験があるわけでございます。候補地三宅島であった。決定以来もう十年以上経過しておるのですが、三宅島への代替訓練施設建設計画進捗状況を明確にお答えいただきたい。
  12. 瓦力

    瓦国務大臣 今委員から御指摘のように、この騒音の問題で、厚木飛行場周辺皆さんからの御陳情が大変多く寄せられたのは十年近く前でございます。当庁といたしましても、先ほど申し上げましたように、三宅島代替訓練場を設置する方針には変わりはございませんが、今後とも、引き続き地元理解が得られるように努力をしていかなければならぬと思っております。  硫黄島でも、同訓練場が設置されるまでの間、できるだけ多くの艦載機着陸訓練が行われておるわけでございまして、この見通しにつきましては、それらのことと相まって、当庁としては取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  13. 冨沢篤紘

    冨沢委員 三宅島阿古地区と、具体的に地区まで方針決定しているようですが、具体的にどんな進捗状況にあるのですか。
  14. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいま答弁をいたしましたところが現在の状況でございまして、三宅島における方々理解、協力が得られませんとこの話が進展しないわけでございますが、鋭意、私どもはそういう理解を得たいという努力を重ねてまいりたいと考えておるところでございます。
  15. 冨沢篤紘

    冨沢委員 建設計画が全く現地で進捗していない、こういう御答弁であります。  空母横須賀へ入る、艦載機厚木基地に飛来をする、この基本構図は十年間ちっとも変わっておりません。このNLP騒音を何とかしようということで、住民自治体も大変悩んでいる、困っているわけでございますが、今回、厚木基地進入表面下騒音補償金制度を新しくスタートをさせていただいた。平成十二年度当初予算に一億一千六百万円の予算要求をしていただいている。新しい制度導入、この御配慮には心から御礼を申し上げるところでございますが、あわせて、本格訓練場候補地三宅島に一向に先が見えない、さらに、空母横須賀艦載機厚木という構図も変わっていない、こういうことで、地元市長からは、硫黄島に直接艦載機をおろしてくれいと硫黄直結方式提案をしております。キティーホーク横須賀に入る前に八十機の艦載機を全部硫黄島におろしてしまえば、厚木基地周辺百五十万人の方が騒音から解放されるわけなのです。  この硫黄直結方式防衛庁はどうお考えですか。
  16. 瓦力

    瓦国務大臣 今委員から御提案のありました直結方式でございますが、米軍は、多数の艦載機空母入港期間硫黄島に置くことといたしますと、多くのパイロット地上要員同島に配置する、こういった必要性がございます。また、同島厚木飛行場から千二百キロメートルの遠距離にございますので、空母航空団の作戦上及び訓練上の即応態勢を著しく低下させる、こういった問題もございます。さらに、パイロット等家族の居住でございますが、これは別居期間をさらに長期化させることになりまして、その士気に悪影響を与えることになる、かような理由によりましてなかなか難しいと考えておるわけでございます。  米側判断は、在日米軍運用上の諸問題も総合的に勘案した結果のものとして判断するわけでございますので、これ以上米側に要請することはこの問題は困難である、こう考えられるわけでございますが、防衛庁といたしまして、粘り強く交渉をする努力を重ねてまいりたいと考えております。
  17. 冨沢篤紘

    冨沢委員 直結方式は困難である、こういうお考えですね。  一方、神奈川県知事もこれは困ってしまっているのですよ。それで、建設省や造船業界横須賀浮体施設の実験をされているのは御承知のとおりでございます。これに神奈川県知事は興味を示されている。浮体施設によるNLP訓練、この実現性、どうお考えになっておられますか。  また、実現性ありとすれば、どこへ場所を求めたらいいのか、この辺まで御答弁をいただきたい。
  18. 瓦力

    瓦国務大臣 今委員からお話がございました横須賀沖メガフロートでございますか、これは一千メートルに六十メートル、一部百二十メートルという研究開発は、民間空港物流基地等社会資本整備を図る目的でこの研究開発が行われておるわけでございますが、総合的に信頼性評価に対する各種データを得るものと承知をいたしております。  そこで、厚木飛行場における艦載機着陸訓練代替訓練場につきまして、五十八年、既設及び新設飛行場について調査検討し、あわせて浮体飛行場についての関係資料の収集を行ったところでございますが、昭和六十二年当時、浮体飛行場につきましては、米側は希望していないほか、世界的に実例がございませんで、実用性を十分評価し得る技術的実証がまだなされていないことなどによりまして、採用することは尚早であり、できないと判断をいたしております。  したがって、我々といたしましては、三宅島代替訓練場建設することが最良、こう考えておるところでございます。
  19. 冨沢篤紘

    冨沢委員 地元神奈川県の提案浮体もこれはだめ、基地を抱える大和市長提案直結方式もだめ。とすると、当初の三宅島候補地しかないという結論になるわけでございます。  しかしながら、先ほど御答弁いただいたように、三宅島の先が全く見えない。地元は、キティーホーク横須賀艦載機厚木、この構図を何とか変えようということで、苦しみながら直結方式あるいは浮体研究をしている。防衛庁は一向に本格訓練場三宅島を手をつけようとしない。国が地元住民自治体を困らせている構図が浮かび上がっておりますが、これは、長官、どうお考えになりますか。
  20. 瓦力

    瓦国務大臣 お答えをいたしますが、先ほど、私も十年前にこの問題に出会いまして、硫黄移転の問題とあわせて厚木地域方々の苦難を除去したいということで取り組みが始まったころでございました。その後、艦載機訓練は多分に硫黄島の方にも移転したわけでございますが、厚木におきましてはまだその状況が続いておるわけですが、大半につきましては硫黄島の方に移転した経緯もございます。  今、三宅島等説得努力をいたしまして、できるだけこの解消に努めたいと思っておるわけでございますが、経緯からいたしまして、なかなか困難であることもぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  21. 冨沢篤紘

    冨沢委員 長官の御答弁ですと、大半硫黄島で訓練をされているんだからこれで我慢せい、こんなふうにも聞こえるわけでございますが、それはお考えを改めてもらわにゃいけませんよ。  基本的に国の方針三宅島と決まっているのですから、ここへの努力をしていただかなけりゃ困るわけで、十年前も、地元の御理解を得る努力をする。今日の御答弁も全く同じじゃありませんか。十年間何もやっていないということを申し上げざるを得ない。この点を指摘して、もう一件の上瀬谷通信施設の問題に移ります。  横浜市の瀬谷区に上瀬谷通信施設が、泉区に深谷通信所がございます。上瀬谷の方は受信業務を、深谷の方は送信業務をやっている、こう我々は教えられておりました。平成五年の秋ごろから上瀬谷の方のアンテナが消えてしまったのであります。これは、アンテナがなくなるということは、通信施設として実質不用施設になった、こういうふうに素人は考えるのです。最近また深谷の方も、十月一日付で深谷従業員横須賀厚木配属がえがされた、地元神奈川新聞記事に出ておったところでございますが、従業員配属、これはもう七年前の上瀬谷で行われたことなんですが、既に米軍は、上瀬谷深谷通信施設として不用になっていると思われますが、この点確認できておりますか。
  22. 瓦力

    瓦国務大臣 上瀬谷通信施設でございますが、現在も通信施設として使用されているものと承知をいたしております。  なお、一般論でございますが、地位協定第二条三項におきまして、米軍は、必要でなくなった施設はいつでも我が国に返還しなければならないわけでございまして、施設必要性を絶えず検討することになっているわけでございます。かようなことを踏まえまして、この施設はなお使用されているという冒頭の私のお答えで御理解を賜りたいと思います。
  23. 冨沢篤紘

    冨沢委員 十月神奈川新聞、十一月十二日朝日新聞、それぞれ上瀬谷通信施設不要論に立った上で、十一月の八日に、横須賀米海軍ドナルドワイス司令官横浜市長逗子市長を訪問された、この時期、交代でもないし、年末のあいさつでもない、何で司令官が来るのかな、お目にかかったら、ワイスさん、実は住宅不足で困っているんでという話で、この問題は政府レベルの話で、横浜市長逗子市長も聞く立場にないということでお引き取りを願った、こういう記事が出ておりました。  どうも米軍の方は、上瀬谷のあの広い土地を半分返すかわりに、残りの半分に思いやり予算米軍住宅を建ててくれい、こんな瀬踏み、打診、そんな意図で訪問をされたと思われるわけなんですが、日米合同委員会に上がる前の事務ベースお話として、こんな話が具体的に出ておるのですか。
  24. 瓦力

    瓦国務大臣 今委員からお尋ねのように、まずはこれらの報道につきまして私ども承知をしておるわけでございますが、これは、今おっしゃるようなことで、本来私ども首肯しかねる経緯、手続であるな、かように考えたりいたしております。  いわゆる米海軍家族住宅が不足しているといたしまして建設要望があり、これは事務レベル意見交換過程におきまして米軍から一つ考え方が示されたことは事実ではございますが、この考え方は、あくまでも事務レベル意見交換過程で示された米軍としての一つのアイデアにすぎないことでございますので、具体的内容につきましてお答えすることは差し控えさせていただきたい、かように存じます。
  25. 冨沢篤紘

    冨沢委員 事務ベースでこういう、半分返すかわりに半分米軍住宅を建ててくれいという話が来ている、この確認はいただいたところなんですが、不用施設は、その目的のために基地として提供したわけですから、不用になった場合は当然日本に返ってくる、これが筋でございますので、まず、上瀬谷深谷通信所米軍不用かどうか、この御確認お願いしたい。  時間がございませんので終わりますが、御承知のように、神奈川県は沖縄に次ぐ第二の基地県でございまして、最初三宅島訓練場建設、これに一向防衛庁が熱心でない、計画も全く進んでない。そのために神奈川の知事、地元市長が大変苦しんでいる。国が不作為のために地元の首長さんがお困りになっている。しっかりもっと仕事をしてほしい。三宅島候補地が決まっているのならば、もっとしっかりここに建設をする、腰を据えて建設計画を前に進めていく、この御決意を伺いたいのです。いかがですか、長官
  26. 瓦力

    瓦国務大臣 お答えします。  三宅島の問題につきましては経緯を若干述べさせていただきましたが、私どもとすれば、厚木周辺方々の苦痛といいますか、御苦労もよく承知をして、ぜひ三宅島でその理解を得たい。その間、硫黄島の方でも訓練をするようにということで、米軍硫黄島の方での訓練を要請したりしまして努力はしておるわけでございますが、今委員から御指摘のように、さらにさような努力をしろ、こういうことは従来にも増しての強い御要請と受けとめまして努力をしなければいかぬ、そういう努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、上瀬谷通信施設等につきましても、今後とも日米双方意見交換はしていかなければいかぬ、かように私は考えております。
  27. 冨沢篤紘

    冨沢委員 ありがとうございました。  終わります。
  28. 二見伸明

    二見委員長 次に、島聡君。
  29. 島聡

    島委員 民主党の島聡でございます。  政府委員廃止されまして、新たな政務次官と、もちろん大臣防衛庁長官でもありますが、防衛庁長官政務次官と、政治家同士議論があるというときに、きょうは西川防衛政務次官東外務総括政務次官においでいただいております。  お二人とも同じ党でございまして、私は当選後すぐ外務委員会商工委員会に所属させていただきました。私の一番最初質問のときに私を励ましてくださったのは西川防衛政務次官でございました。そして、外務委員会で私の質問に対していろいろ御指導をいただいておりましたのが東総括政務次官であります。その意味で、東政務次官質問は横でしっかりそのとき聞いておりましたものですから、それを踏まえた上で、今後それをどのような形で、政府に参画されて、その抱負経綸を実現されていくかという観点からも、きょうは質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず最初給与法、そしてその後いろいろな議論をさせていただきますが、まず給与法についてでございます。  給与法関係で、まず防衛庁長官お尋ねを申し上げます。  今回の給与改定で、手当が一体どれだけの改定がされて、どれだけの増加があって、期末手当等の減少でどれだけのマイナスがあって、そして差し引き一体どういうような結果になるわけでありますか。
  30. 瓦力

    瓦国務大臣 詳細な資料は手元にはございませんが、約二百二十億ぐらいの金額に上ろうかと思います。
  31. 島聡

    島委員 ありがとうございました。  今、なぜこのような質問から申し上げたかといいますと、いわゆる技術的な問題は政府委員にというような話になっております。  私は、実はこの五月に、議院運営委員会で、政府委員廃止、副大臣制導入に関しまして、イギリスへ視察に行かせていただきました。そのときにちょうど向こう防衛政務次官とお会いしたのです。その防衛政務次官にお会いしまして、ちょうどコソボの問題、コソボイギリス軍がどうなるかという時期でありましたので、防衛政務次官自身向こう防衛大臣ですね、防衛大臣が極めて広範に、きちんと数字まで把握しておられました。  日本の今申し上げたのが、手当改定で五十八億円プラスで、期末手当が大体マイナス二百八十億で、合計二百二十億程度というのは間違いないわけでありますが、こういうことが今までは、政治家が答えるのか答えないのかという話でいけば、いわゆる今回の政府委員廃止政務次官、副大臣大臣と討論するという話になると、これぐらいのことは普通社長とか民間企業経営者であれば当然知っている、そういう分類に入るだろうということで、最初に御質問申し上げたわけでございます。もちろん、見事に防衛庁長官は、当然御存じだったわけでありますが、そういうことで今後進めていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  給与法の第三十条に、自衛隊法七十六条に基づく防衛出動等を命ぜられた防衛庁職員に対する出動手当の措置について、別に法律で定めるとされています。私は六月三日の安全保障委員会で同じ質問をしました。これができたのは最初昭和二十七年の保安庁の時代でありますから、それからちっとも議論をされていないと。それで、当時の野呂田国務大臣が、大変痛い御指摘でございますが、いわゆる有事給与につきましては別に法律で定めることとされているということはおっしゃるとおりでございます。私どもとしましては、今この法律に盛り込むべき内容としては、支給すべき手当の種類とか支給基準とか支給対象者とか等々、いろいろなことを考えて、引き続きこの検討を行っているところでございますと答えられました。  引き続き検討を行っておられて、これが平成十一年六月三日であるわけでございますが、その後どのように進んでおられるか、お伺いを申し上げます。
  32. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいまの島委員からの御質問でございますが、野呂田前防衛庁長官は本年六月三日に当委員会におきまして、引き続きこの検討を行っている、かような答弁をいたしております。  御承知のように、いわゆる有事給与につきましては、防衛庁職員給与等に関する法律、第三十条におきまして、「出動を命ぜられた職員に対する出動手当支給、災害補償その他給与に関し必要な特別の措置については、別に法律で定める。」、かようにされているわけでございます。  しかしながら、現在、法律が未制定でありますことから、防衛庁における有事法制の研究の一環として研究を続けているところでございます。  この法律に盛り込むべき内容につきましては、支給すべき手当の種類、支給基準支給対象者、災害補償の種類等が考えられるわけでございますが、具体的には出動の規模、態様等がいろいろ考えられるわけでございまして、勤務の内容や公務災害の態様についてもさまざまな場合が考えられますことから、引き続き必要な検討を今行っているところでございます。
  33. 島聡

    島委員 引き続き検討を進めている、ということは、何が変わったのですか。どこまで検討が進んだのですか。
  34. 瓦力

    瓦国務大臣 これは別の法律で定める、かようなたぐいでありますから、今、盛り込むべき内容につきまして申し上げさせていただきましたが、これらの手当の種類でありますとか、また具体的には出動の規模、態様等がいろいろ考えられるわけでございまして、これらについてさらに研究をする、検討をするということとして、今その作業を引き続いて行っておるということでございます。
  35. 島聡

    島委員 何にも進んでないような気がするのですが、それは有事法制の研究と絡んでいるからなかなか進まない、そういうことですか。
  36. 瓦力

    瓦国務大臣 お答えします。  さようなことで御了承いただければと思います。
  37. 島聡

    島委員 東政務次官にお聞きしたいと思うのですが、今有事法制の関係でなかなか進んでいないというようなお話理解をいただきたいというお話でありますが、これは、平成十一年の三月四日の産経新聞で東政務次官が、自自合意では、ガイドライン関連法案成立の後に国連平和活動協力法案をつくることになっている。しかし、国内有事の立法は具体的には書かれていなくて、後回しにされている、当然煮詰めていかないといけない問題だというふうにおっしゃっています。及び、今回の三党合意でも、我が国の緊急事態への対応で、政府の進めてきた有事法制研究を踏まえ、第一分類、第二分類のうち、早急に整備するものとしては、これは立法化を図っていく。それから第三分類についても、今後、所要の法整備を行うことを前提に検討を進める、そういう字句があります。もうこれは一月ぐらいの自自合意からそういう話になっていると思います。  全く進んでいないわけですね。このままいきますと、現在の自自公連立政権というのは、これは過大規模連立政権といいます。過大規模。つまり、過半数を占めるぎりぎりじゃなくて、もっと、多過ぎるぐらいの連立政権だから、こういう政権では、どうしても、一番小さい政党の意向は常に無視されがちであるというのが政治学の常識であります。このままでいくと、私は、東政務次官がおっしゃっている、後回しにされている、本当にそのままだと思うのです。  政務次官として内閣に入られたわけですから、今後、有事法制についてどのように東政務次官としては主張をし、実現されていくかについてお聞きしたいと思います。
  38. 東祥三

    東政務次官 今までいろいろな場で島委員ともこの問題について間接的に議論してきたのかもしれませんし、また、いろいろなところで私はこの問題について言ってまいりました。  ただ、十月五日に第二次小渕内閣で外務総括政務次官というふうになりましたから、政府の一員になったわけでございます。その視点から当然述べさせていただきたいと思います。  今、島委員がおっしゃられたとおり、有事法制の重要性は極めて大きなものがありまして、有事法制を整備していくことは極めて重要な問題と認識しておりますし、先ほど防衛庁長官からお話がありましたとおり、三党間の合意を踏まえるとともに、国会における御審議、国民世論の動向等を注視しながら、適切に対処していきたい。  島委員がそのようにおっしゃられるわけですから、島委員が、一生懸命この有事法制のことについてさらなる議論をしていただいて国民の皆さん方の理解を得られると同時に、国民を代表する国会議員の皆様方の大勢を得られるように、ぜひ頑張っていただきたい、このように思います。
  39. 島聡

    島委員 その意味では、今おっしゃったとおりで、頑張っていきたいと思いますが、これはちょっと次の質問に入らせていただきます。  瓦防衛庁長官、今何か、検討しますとまたおっしゃっただけでございます。こういうような、検討、検討で常に進んでいて、ここではやりますと言って、結局、六月から十一月で五カ月ぐらい、何もやっていない。  前回のこの委員会で、私ども伊藤ネクストキャビネット大臣の方から、西村防衛政務次官についての質問がございました。そのときに瓦防衛庁長官は、今後、いわゆる栄誉礼問題についてどのような形にすればいいか研究するということを繰り返し申し上げておるわけでございますと言いました。確かに、私も繰り返し聞きました。  繰り返し聞いたわけですから、この一週間でどのような指示をされ、どのような対応をされようとしているのかをお尋ねしたいと思います。
  40. 瓦力

    瓦国務大臣 島委員質問のように、さきの委員会におきまして、伊藤議員からたび重ねて栄誉礼につきまして質問を受け、私もそれにお答えをさせていただき、なお、伊藤議員から、栄誉礼について、あるべき形、姿というものを、私もこれは研究してまいりたい、かようにお答えをいたしました。  実は、事務方におきまして、その検討もいたさせておるわけでございますが、いわゆる栄誉礼につきまして、その実施について、本人の応諾といいますか、判断を求めるのか、また、求める場合にはどのように求めるのか、栄誉礼実施に至る具体的な手順をどうするか、こういったことを勉強するといいますか、研究してみろということで、今事務方に研究をいたさせておるわけでございまして、結論をこれから得ますれば、さようにも取り組みを申し上げたいと思うわけでございますが、目下のところ、その研究をいたさせておるところでございます。
  41. 島聡

    島委員 ちょっと防衛庁長官にお聞きしますが、指示をされた。普通、指示をするときは、いつまでにやれとかそういう指示はされないのですか。
  42. 瓦力

    瓦国務大臣 また島委員とそのようなやりとりになりますと、時間を使ってもいかがかと思いますが、私といたしましては、結論を得べく努力はしなきゃならぬ、いろいろのケースを考えていかなきゃならぬと思いますが、速やかにそれは当然結論を得たいという気持ちで検討をいたさせておるわけであります。
  43. 島聡

    島委員 今申し上げますのは、時間を使っていいと思うのですよ。  国会審議の場で検討しますと言った。検討して、それを防衛庁長官が事務方に指示をした。そうしたら、それをいつまでにきちんとやっていくかということは、これは非常に極めて重要な話だと思うのです。何か言って、さっきも検討する検討すると言って、そのまま延びてしまう。今度も、やりますと言って、検討だけで終わらせてしまう。これでは本当に意味がないし、防衛庁内が本当に長官の言うことを聞いているのかという話になる。国会で私ども質問に対して防衛庁長官が検討しますと言ったら、それはいつまでにやるか、それがないというのは私はおかしな話だと思います。防衛庁の中が本当に長官の指示をきちんと聞き、かつ支えているのか非常に疑問に思うのですが、もう一つ疑問を申し上げます。  この前のところで、西村政務次官に、栄誉礼についての御質問でございますが、事前には私は承知をいたしておりませんというお話でございました。この問題につきまして、情報管理という観点からお尋ねをするわけでありますが、例えば、一体情報が防衛庁長官にどのように上がるようにできているのか、なっているのか。防衛庁長官に当然何でもかんでも情報を上げるわけにはいきません。きちんとした重要な情報ということで防衛庁長官に上げるものだと思います。そのときに、例えば国会で取り上げられるかもしれない、マスコミで取り上げるかどうかというのは長官によって変わると思いますが、国会でも取り上げられるかもしれないという問題に対して、長官が事前に知らなかったということは、防衛庁長官に上げる情報のシステムにおいてどこか問題があるのじゃないですか。長官、どうですか。
  44. 瓦力

    瓦国務大臣 この栄誉礼につきましては、その際にもお答えをさせていただきましたが、いわゆる自衛官が、自衛官であることの深い認識のもとに、自衛隊の規律を維持し、親和協同の実を上げる必要な儀礼として行っておるわけでございまして、栄誉礼受礼資格者が自衛隊を公式に訪問されるとか、もしくは視察する場合等に、栄誉礼受礼資格者に敬意を表するために行う。言ってみますれば、これらの儀礼は自衛隊法施行規則に記されておるわけでございまして、今まで整々とそれらの儀礼を行ってきたわけでございます。私は、これは大切な行事だ、かように考えておりますが、先般の御質問をうけまして、さような事例に対してどうするかということでございましたから、私は、さまざまな問題もあろうが、いろいろ研究をしてみなきゃならぬということで指示をし、そして、その指示について今検討をしておるということでございます。従来はこれらにつきまして整々と行ってきたし、それなりの功績がある、評価すべきものがある、私はかように理解をしておるところでございます。  なお検討いたしましてから、しかるべき時期にお知らせをしたいと思います。
  45. 島聡

    島委員 今申し上げましたのは、情報がどうして防衛庁長官のところにきちんと上がらなかったか。危機管理のニード・ツー・ノーの原則もありますし、東政務次官、今政務次官になられたわけでありますが、平成十年三月十八日の外務委員会で情報収集の問題についてお話をされております。このときはテロ事件の関係の問題でありますが、情報の整理の問題がある、その問題の原因の一つには、まさに省庁間の縦割り行政によって生じてくる問題があると思うというように話をされています。今、政務次官に就任されて、それは痛感されておられますか。
  46. 東祥三

    東政務次官 外交また安全保障という問題を扱うに当たっては、今島委員が言われている情報収集の重要性というのは極めてキーポイントになります。そういう意味におきまして、当然、完璧な情報収集体制というのはどこの国も確立されていないんだろうというふうに僕は思うんです。日本においても同じでありまして、常にそういう問題を踏まえた上で、さらに努力して情報収集能力を高めていかなくちゃいけない。また、個々にわたりましては、今御指摘がありましたとおり、外務省だけですべての情報というのは収集できないわけですから、その関係省庁の方々の御努力によって得られる情報がスムーズに重要な政策を決定する段階に集められるようにさらにその精度を磨いていかなくちゃいけない、こういうふうに思っております。
  47. 島聡

    島委員 今度政務次官になられたわけですから、いろいろな意味でぜひ改革をしていっていただきたいと思うわけでありますが、西川政務次官にお聞きします。  今度、政務次官の役割も随分変わってきたと言われております。西村前防衛政務次官がある雑誌でこのように話をしておられます。例えばまず、政務次官なのだから政府答弁を超える発言をしてはいかぬという指摘がありました、どうもこれは誤解があるようなので反論しておきたい、次の国会は政府委員答弁を廃して政治家同士の討論の場になります、これは単に政府委員たる官僚が国会に出てはいけないというだけの意味ではありません、官僚のかわり政務次官政府委員の役割を果たすというのでは、全く制度改革というふうにはならない。私もそれは本当に全く一致した意見でありました。  ではどういうことなのかというと、政府委員制度廃止というのは、政治家たる政務次官は、政府見解を前提としてそこから議論を始めるということだ、議論というのは政府見解を述べるだけではない、政治家として自分の意見を述べることができなければなりません。  これについては私もなるほどと思うわけでありますが、西川政務次官はどう思われますか。
  48. 西川太一郎

    西川政務次官 島委員お答えをいたしますが、ただいまの御指摘は大いに共感を得るところでございます。しかしながら、個人的見解の表明の仕方というものに若干の知恵を使う必要があるんじゃないか。それは、例えばこのたびの国会の活性化に基づく法律案の中では、「政務次官は、その機関の長たる大臣を助け、政策及び企画に参画し、」というところがございます。こういうプロセスにおいて自分自身の意見を明確に述べるということを行いながら、幾重かのフィルターにかけてこうした公式の場で御答弁を申し上げることが至当ではないかと思いますので、先生のその思いも私と一致するところがかなりありますので、しかし、のりを越えないように気をつけてやっていきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  49. 島聡

    島委員 のりを越えろとは申しませんが、やはり国会活性化のためにいつものような形でやっていただきたい、そう思う次第でございます。  そういう意味で、ちょっと東政務次官お尋ねをいたします。  医療活動について質問をするという質問通告をさせていただきました。これは私自身の主張をまず申し上げるわけでありますが、例えば、今回の西ティモールへの避難民救援国際平和協力業務の実施で、今回は航空自衛隊を派遣されて、いわゆる輸送業務だけをやられるというお話でありますが、この場合は、人的貢献というのは医療業務ぐらいはきちんとやった方がいいんじゃないかという思いを私は持っております。それは私の主張でございます。  この医療業務に関しまして、東政務次官がこういうことをおっしゃっておりまして、そのときも私は共感を覚えたんですが、平成十年の予算委員会でございますが、日本国憲法と同じ理念を掲げる国連憲章に基づく国連という普遍的な組織の一員として、国際社会全体が侵略国に対して立ち向かうとき、決して利己主義と孤立主義の殻に閉じこもってはならない、戦場での医療活動が今までの憲法解釈によれば違憲なのはおかしいとおっしゃっているわけです。平和主義と国際協調主義に従って積極的に行動することこそ憲法の求めるところではないかというふうに述べておられるわけですが、それに関しましては今も変わられませんね。
  50. 東祥三

    東政務次官 そのとおりであります。
  51. 島聡

    島委員 極めて明快に御答弁いただきまして、ありがとうございました。この答弁をもとに、これからしっかりと本委員会でたびたびやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  PKFの問題でありますが、連立政権樹立に向けて、自民、公明両党の政策協議の合意内容に、いわゆる国連平和維持隊の本体業務参加への凍結解除が盛り込まれています。これから日本が積極的に国際貢献を果たす上である意味でいい方向に進んでいるというふうに私どもも思っておる次第でございます。  東政務次官は非常にこの問題にお詳しいわけでございますが、基本的に、いわゆる本体業務を含めたPKFへの全面参加は国際社会では常識だと私は思っておりますが、そういう認識でよろしいですね。
  52. 東祥三

    東政務次官 島先生に申し上げますけれども、本当に議論をしたいということであるならば、私が島委員からこういう質問をさせていただくというものとは違う質問に今なってきているんですけれども。そういう問題についてちゃんとした議論をしていく、それがまさに今回の政府委員制度廃止の意味があるんだろうと思うんですけれども、それについて今ここで議論するのがいいのかどうなのか、よくわからないんですけれども、もう一度、本来ここの場で島委員からこういう質問をしたいと言われていることとは違う質問をされているんですけれども委員長、この点についてどういうふうに処理したらよろしいんでしょうか。
  53. 島聡

    島委員 私は、質問通告のときに、西ティモールへの自衛隊派遣の問題についてということで質問通告をしているはずであります。これは関連質問という形で申し上げているわけですから、決してそれは通告していないというふうにとらえておりませんが。ですから、お答えください。
  54. 東祥三

    東政務次官 そうしますと、西ティモールのいわゆる避難民、約二十数万人いるわけですけれども、そこで今後十数万人の方々が残られるという見通しがあるんですけれども、それに対して日本政府としてどのような活動をしていくかという問題ではなくて、それに関連して、今、島委員がおっしゃっているPKF云々ということは、どういうかかわり合いがあるんでしょうか。
  55. 島聡

    島委員 多分、今のこの議論は、平たく言えば、質問通告が明快でなかったから答えない、そういう言い方と考えていいですか。
  56. 東祥三

    東政務次官 いや、今、島委員が関連質問だと言いますから。  西ティモールにおいては、PKO活動というのは展開されていないわけです。だから、そことPKF、今、島委員が御下問になっているPKFとのかかわり合いというのはどういうかかわりなんですか、質問の趣旨がよくわからないということを申し上げているんです。
  57. 島聡

    島委員 まず、委員長、どういうことですかと先ほど言われました。委員長にもきちんと申し上げます。  これは、その質問の仕方については、今各理事会で議論をするという話になっています、どういう進め方をするかに関しまして。関連質問と申し上げましたのは、例えば私が視察させていただいたイギリスの議会におきましては、関連質問というのはかなり広がっていってもいいという話なわけであります。  今おっしゃった御趣旨は、逆に私にはよくわかりませんが、私が申し上げたのは、この東ティモールの問題、西ティモールの問題から言っていくといずれ例えばこういう論理展開を——では、きちんと申し上げますと、西ティモールへ派遣しました、いずれ今後日本というのはこういうふうになっていくだろう。例えば、暫定統治機構とどうかかわっていくか、そしてPKFへの参加をどういうふうに考えていくか、そういうふうに発展をしていく。そういうことを考えて、今議論をしているんです。  これは、たしか外務委員会で、前、同じ党のとき、あったはずです。例えば、仮定の質問というのは答えたくないという話があったときに、ちょうど東政務次官もおられたと思いますが、どんどん発展していく場合には、それは仮定の質問であっても、外務というのはプリペア・フォー・ザ・ワースト、ネバー・セイ・ネバーだから、そのときに応じて話をしていくんだという話を私は申し上げたんです。そういう意味で関連質問と申し上げた。
  58. 二見伸明

    二見委員長 東さんからの話もありますので、ちょっと整理しますと、西ティモールの問題とPKFとは、西ティモールではPKO活動じゃありませんからね。ですから、これとは別にPKFについてどう思いますかというふうに整理していいわけですか、あなたの質問は。(島委員「もう一度言ってください」と呼ぶ)  西ティモールの問題は西ティモールの問題として、PKFの解除の問題は、西ティモールの問題から派生して——一般論としてですか。(島委員「問題から派生して、今後として可能性があるだろうと」と呼ぶ)西ティモールでPKFの解除ということですか。(島委員「西ティモールは関係ないです」と呼ぶ)関係ないでしょう。  西ティモールと関係なく、PKFの問題だというふうに整理したいと思います。
  59. 東祥三

    東政務次官 問題の設定はわかりました。その上で、もう一度質問していただけますか。
  60. 島聡

    島委員 なかなか、新しい形にふさわしい討論をさせていただいてありがたいと思いますが、今申し上げましたのは、今後この問題において予想されていく形において、いわゆる国連平和維持部隊、PKFの本体業務への参加凍結解除も考えられることがあるだろう、対応していく必要があるだろうと。  それで、PKFへの全面参加、つまり本体業務への全面参加は、国際社会ではいわゆる常識的なものととらえられていると考えてよろしいでしょうかという質問でありました。
  61. 東祥三

    東政務次官 それは、島委員、また僕は頭が余りよくないですから頭がこんがらかるわけですが、今度は東ティモールの問題において、今UNTAET、国連東ティモール暫定統治機構というのが設立されたわけですけれども、その絡みの中で、いわゆる日本のPKO本体業務、この解除の問題を含めた上での質問をされているんですか。それとも、東ティモール問題とは別に、PKO活動全体の中で、もう既に三党合意あるいはまたこれまでの数年間における議論を踏まえた上でのPKO本体業務の凍結解除、この問題を言われているんですか。それがよくわからないんです。もう一度質問を明確にしていただきたいと思います。
  62. 島聡

    島委員 今の質問は、明確にしてくださいという、逆に言えばどんどん、私はきちんと申し上げているつもりですよ。きちんと申し上げているつもりなのに対して、明確に明確にと、それは逆の話じゃないですか。  私が申し上げているのは、何度も言うように、PKFへのいわゆる本体業務に参加するというようなことに対しては、いわゆる普通の常識的な行為と考えてよろしいですねというふうに申し上げている。それは特別のものなのか、一般的なものなのかという話でいけば、一般的なものですというふうにお答え——お答えください。
  63. 東祥三

    東政務次官 現在、御案内のとおり、日本の場合はいわゆるPKOの本体業務、日本ではPKF本体業務というふうに言われていますが、これが凍結されているわけですから、まず具体的なそういう活動に入れるか入れないかを論じる前に、このPKFを凍結解除するのかどうなのか、これが先になってくるんだと思うんです。  その点に関しては、既に三党合意でもあり、また、さきの委員会においてもいろいろと議論されているとおり、過去十数回における日本のPKO活動参加を通して国民の約八割の方々が、日本のPKO活動に対して積極的な参加の意思、また、参加すべきであるという表明をされております。そういう意味においては、PKO活動全般に対しての国民の理解というのは一層高まってきているんではないのか。  そういう意味で、いわゆるPKF本体業務の凍結解除、これをぜひとも政党間において議論していただいて、またそれに基づいて政府としても検討させていただきたい、このように思っているわけです。
  64. 島聡

    島委員 時間が来てしまったようなんですが、今私は、まず最初一般論を聞いて、どんどん具体論に入っていくという仕方をしようと思ったんですよ。こうですね、こうですね、こうですねと。そのときに、一般論で、先ほどわからないとおっしゃったけれども、本当にわからなかったのかどうか。これはきちんと後で議事録、精査しますけれども、私はわかる形で言っていたと思う。それを、わからない、わからない、わからないと。これが反論権だとすると非常に問題があると私は思う。私は、そこを聞いてだんだん具体論に入っていって、いろいろな形にしていこうと。  二つあった。関連質問とは違うから、はっきりと事前通告と違うとなっていたら、それは質問通告というものの概念をどうとらえるか。これはこれから議論をしていくという話になっていますよ。御存じのように、イギリスのクエスチョンタイムだったら、きょうの日程は何ですかというだけであります。それだけでいいのか、それとももっときちんとするのかといったら、これから議論をするという話だったわけであります。  だから、私は試行的にやってみた。そうしたら、それではおかしいという話になった。そこから始まって、私が一般論からだんだん具体論、個別論に入っていこうとした段階で、わからない、わからないと。私はともかくきちんと議事録を後で精査しますけれども、私の言っていることはわからないのか。  そしてまた、今、頭が悪いからというふうに御謙遜で言われましたけれども、それでは外務総括政務次官、そういう謙虚だけでは務まりませんから、日本の外交をやっていただくわけですから。人が言ったことをできるだけ理解してもらわないと困るわけですよ。そうでしょう。また、それは謙虚なことかもしれないけれども、だれがだれにって私わかりませんから、頭が悪いからと謙虚で言われても、ぼんやりしたものからその人の意図をつかみ取って、それで話をしていくというのが外交の一つの要諦であると思いますから、その辺をきちんと気をつけていただきまして、きょうの議事録をきちんとやった後でやらせていただきたいと思います。
  65. 東祥三

    東政務次官 島委員は、一番初めに私に質問したいと言ったのは、西ティモールの件でした。当然、それに関連するものとしてPKOの活動に発展していくということであるならば、それはいいわけです。したがって、私は、その質問の趣旨がどこにあるのかということをお尋ねさせていただいたわけです。  西ティモールへの日本の人道支援活動とPKO活動そのものとは関係ないわけです。したがって、全く関係ないとは言いませんけれども、先ほど島委員質問されたその西ティモールへの支援活動から、即一般論としてのPKO活動、とりわけ今御下問のPKF本体業務にどういうふうにかかわっていくのかなと、それを私の頭では理解できないということを申し上げたのであって、まさに今島委員が言われるとおり、質問の趣旨または質問の本旨を理解した上でちゃんと答えたいし、また議論したい、そういう意味で先ほど述べました。  もし私の言葉で感情を害するようなことがあるとするならば、私の本意ではありませんから、そういう意味でございます。
  66. 島聡

    島委員 これからもこのような有効な議論ができることを期待しまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  67. 二見伸明

    二見委員長 次に、桑原豊君。
  68. 桑原豊

    ○桑原委員 民主党の桑原でございます。瓦長官は同郷の尊敬する大先輩でございまして、質問をさせていただくことで大変気持ちが引き締まった思いがいたしております。  そこで、まずお伺いをしたいんですが、このたび出されております自衛隊員の皆さん方の給与、待遇、そういったものの改善については、私は、任務の困難さ、そういうものも考慮しながら適正な改善である、そういうふうに認識をいたしております。  そこで、そういった問題とも関連をいたしますけれども、まず自衛隊の定員の問題ですね。中期防におきましては、年々計画的にかつ段階的に削減をしていくと。定数だけではなしに、実定員についてもそういった形で取り組まれておられるわけでございますけれども、昨今、先般成立をいたしました周辺事態法、あるいは自衛隊の皆さんに対する、災害での対応ですね、あるいは国際協力の問題、今出ておりましたけれども、自衛隊の皆さんに対するいろいろな期待も含めた、そういう要望も含めて強いものがあると思うんですね。  そういったことの中で、これから定員問題をどういうふうにしていくのか。来年ですか、中期防も一応見直しをして新しいものに、この定員の問題も含めて変わっていくわけですけれども、今後の定員の展望、そういうものをどう考えておられるのか、まずお聞きをしたいと思います。
  69. 瓦力

    瓦国務大臣 桑原委員お答えをいたします。  自衛隊の定員について今後いかに変更していくか、考え方を求められたわけでございますが、我が国の個々の防衛力のあり方につきましては、防衛大綱に従いまして、我が国の防衛のみならず、今委員からも御指摘のように、大規模災害でありますとかあるいはPKOとか、また多方面から自衛隊に対する期待が寄せられておるわけでありますし、多様な事態に対し有効に対応し得る自衛隊を目指して必要な各種機能の充実と質の向上を図るということが今求められておるもの、かように考えます。  また、冷戦終結等の国際情勢の変化等も踏まえますと、その規模につきましては、合理化、効率化、コンパクト化を図ることといたしておるわけでございまして、このような考えのもと、陸上自衛隊の常備自衛官につきましては、従来の十八万人から十四万五千人にすることにいたしております。現在その移行過程にございまして、実員につきましても定員を踏まえて削減を行っているところでございます。  また、海空自衛隊につきましては、防衛大綱上自衛官定数の将来目標は定められていないわけでございますが、今後とも、艦艇、航空機等の維持、運用等に必要最小限の定員及び実員を保持していく考え方でございます。
  70. 桑原豊

    ○桑原委員 御丁寧にお答えをいただきましてありがとうございました。  次に、先月の十二日に公開をされましたアメリカ大統領国務長官特別補佐官ペリー氏の報告についてお伺いをしたいと思います。  このペリー報告は、新しい情勢のもとでアメリカが北朝鮮政策を見直していく、どういう方向で臨むのかということを明らかにした、日本の東アジアにおける今後の安全保障政策にとっても大変重要な影響を及ぼす、そういうものだというふうに私は受けとめております。  一九九四年、北朝鮮の核開発に関連をしてまさに一触即発の状態が起きた。その危機を回避するために、KEDOの枠組みにつながる合意された枠組みというものがつくられた。そして、金日成主席が亡くなられて金正日体制にその後かわった。また、弾道ミサイルの、いわゆるテポドンとかノドンとかというような問題が新たに生じてきた。また、クムチャンニの再びにわたる核疑惑の問題が出てきた。そして、そういう中にあって、韓国は包容政策を基本にして対応していく、アメリカもそれを支持する、日本も当然のことながらそれを支持するという形で来たわけでございますけれども、そういった新しい情勢のもとでどう見直しをしていくのか。その見直しも、単に米朝関係の改善ということだけではなしに、アメリカは、東アジア全体の平和と安定、そういったものを一つの目標にしながらこの政策をつくっていく、見直していく、そういう考え方で、この報告の作成過程では日本政府考え方もある意味では十分聞いて、連絡をとりながらつくってこられた、こういうふうに思うわけです。  この報告を私も一読させていただきましたけれども、かなりの部分が非公開になっております。ですから、読むことはできませんけれども、公開された部分を見る限りでは、対話というものを極めて重視している、北朝鮮との対話。これを発展させて東アジアの冷戦を終結させたい、そういう思いがにじんでおるわけですけれども、しかし一方では、北朝鮮の対応次第では抑止というものもちゃんと備えておくんだよ、このことも強調されております。ただし、その抑止は、本当に戦争を遂行するというようなことではなしに、そういう抑止を持つことによって対話の道に北朝鮮を引き戻すんだ、こういう目的が述べられているというふうに私は思うわけでございます。  一九九四年のあのときにもし大変なことになっておれば、もう取り返しのつかない大きな犠牲を払うような大変なことになったという深刻な反省が私はあるというふうに思うんですけれども、そういったことも踏まえながら、韓国のとる包容政策を支持しながら進めていこうという、米議会の中では一部融和主義だというふうに批判をする向きもありますけれども、東アジアの人たちの思いをしっかり受けとめた、ある意味ではアメリカの大変柔軟な、かつ現実的なそういう考え方だな、こういうふうに私は見ておるわけです。  こうした姿勢というものは、日本の安全保障にも大きな影響を与えていく、あるいは日本もそのことに対していろいろな思いを持つということになると私は思うんですけれども、その点について、瓦長官、率直な評価、それをひとつお聞きしたいと思います。
  71. 瓦力

    瓦国務大臣 桑原委員からの御質問でございますが、冒頭ありましたように、桑原委員と私は同郷でございまして、いわゆる日本海に面したところで生をうけたわけでございます。日本海への思いや、また近隣の朝鮮半島、シベリア、ロシア、これらの状況につきましては、ある面では深い関心をお持ちになることも私もよく理解できるわけでございまして、今、北朝鮮問題につきまして、ペリー調整官の報告書も踏まえて、御意見と御質問があったわけでございます。  私から率直に申し上げまして、ペリー調整官の御苦労、アメリカにとりましては、大変な忍耐と辛抱によりまして、北朝鮮をいわゆる話し合いのテーブルに乗せよう、東アジアの安定を図ろうという、私は、アメリカの外交におきまして随分と腰を落ちつけた仕事をしていただいておると思うわけでございます。よって、振り返ってみて、幾つかの危機感を持って私どもは対処しなければならない問題に出くわしたわけですが、それらを乗り越えることができましたし、また、日本海におきましての不審船事案とか、いろいろまだ不安、危機が存しておるわけでございますが、一日も早くこの米朝協議がうまくいくように、今肯定的な方向に動いておりますが、私は、望ましい方向にあるとはいいながら、その成果を上げることを期待しておるものであります。  とりあえず、委員からの質問は、率直にどう考えるかということでございますので、率直なところ、さように御答弁をさせていただくわけでございますが、述べられましたペリー報告書の問題について触れますと、第一の道は、包括的かつ統合されたアプローチによる北朝鮮との交渉でございまして、第二の道は、北朝鮮が第一の道を拒否した場合に脅威を封じ込めるたの措置、北朝鮮を第一の道に回帰させる措置であるということで、抑止の方向づけも持ちながら、ペリー調整官の報告書は盛られておるわけであります。  我々にとりましては、さらに朝鮮半島及び我が国を含む東アジアの安全保障にとって肯定的な結果がもたらされているということを期待しつつ、なおしっかり見守っていかなければいかぬと考えております。
  72. 桑原豊

    ○桑原委員 長官の率直な、肯定的な評価、そしてペリー長官の忍耐あるいは対話重視の路線というものに対する率直な考え方、私も同感でございます。  ただ、公表されていない部分がございまして、それがどうなのかというのがもちろんわかりませんので、全体的な評価ということにはならぬわけですけれども、私は、この公表されていない部分というのは、全体の文脈から見ますと、どうもいわゆる第二の道の抑止の部分がそれに入っているのではないか、こういうふうに思うのです。推測をするわけですけれども。  瓦長官は恐らく公表されていない部分もごらんになっているのかなと思うのですが、その中で、これは知っていても、公表されないわけですから、それを述べることはできないと思いますけれども、私は、日本の軍事力に対してアメリカが何らかの新しい要求をするとか協力を期待するとか、そういうようなことがこの中に含まれているのかどうか、それはウイかノンか、そういうような程度の答えでも結構なのですけれどもお答えできるようでしたらその点お聞きしたいと思います。
  73. 瓦力

    瓦国務大臣 桑原委員から、さぞ瓦は非公開部分にしても承知をしておるであろうという推測を交えての御質問でございますが、防衛庁といたしましても、私といたしましても、実は非公開部分につきましては承知をしておりませんで、御質問お答えするということは困難でございます。  ただ、委員から御質問のように、日米安保体制を維持することによりまして、日米の運用面の効果的な協力体制の構築に努めることによりまして、我が国の平和と安全を確保するとともに、朝鮮半島を含む東アジア太平洋地域、いろいろ不安定要因もございますが、平和と安定のため最大限私どもは協力をし、安定に尽くしていくことが大切なことである、かような認識を持って職務に当たっておるわけでございます。
  74. 桑原豊

    ○桑原委員 この報告の中で、私は一つ気になるところといいますか、私の思いともとる、違うところがございます。それは、提案される戦略の長所ということの中で、こういうくだりがございます。安全を、安定を脅かしているのは北朝鮮の核兵器及び長射程ミサイル関連活動である、同様に、政策見直しにより勧告されたアプローチは、米国の戦域ミサイル防衛、TMD計画を制約するものではなく、また韓国及び日本がこの計画に参画する機会を制約するものではない、対北朝鮮政策見直しチームはそのような連関は一切なされるべきではない旨明示的に勧告をした。こういうくだりがございます。  私は、TMDというものが本当にこのペリーさんが報告をされているような第一の道、あるいは第二の道も含めて、TMDを北朝鮮政策の一つの対応策として出していくということが本当に必要なのかどうなのか。私は逆に、このことを通じてさらに、北朝鮮だけではなしに中国なども含めた非常な警戒感を呼び起こすのではないか、そして、さらにそれを超えるような軍拡競争、そういうものにつながっていくのではないかということで、私はこのTMDについては非常に効果を疑わしく思っているわけですけれども日本政府は開発研究についてアメリカと共同で踏み切るということにいたしました。この点について、瓦長官もそういう線で走られるわけでしょうけれども、私は、ぜひこの点についてはいま一度立ちどまって見直しというものを考えていただきたいと思うのですけれども、TMDというものに対する評価と対応というものをちょっとお聞きしたいと思います。
  75. 依田智治

    ○依田政務次官 TMDについてお尋ねでございます。  今世界的にはまさにミサイルが拡散している状況でございまして、北朝鮮の問題ももちろんでございますが、私どもとしては、この弾道ミサイル防衛は、我が国が弾道ミサイルによる攻撃を受けた場合にこれを迎撃するという純粋に防御的なシステムというように考えておりまして、それ自体が他国に軍事的脅威を与えるというものではございませんし、したがって、本来的に軍拡競争を引き起こしたり、地域の平和と安定に悪影響を及ぼすというようなものではないというように考えております。したがいまして、BMDにつきましては、現在行っている日米共同研究というものを再検討するという必要はないというように考えております。  なお、この点については近隣諸国等でいろいろ御意見もございますので、私どもは、この防御的性格というものをよく理解いただくように説明に努力しているところでございまして、今後ともこの透明性の確保という面で努力していきたいというように考えている次第でございます。
  76. 桑原豊

    ○桑原委員 研究に着手をすることは開発に直接つながるものではない、こういうような理由づけもあって、我々も認めてきたという経緯がございますけれども研究段階とはいえ、やはり私は、そのことを通じた近隣諸国の反応というものを常に見きわめながら慎重に対応していく、そういう考慮が必要だというふうに思います。ぜひそういった方向で対応していただくようにお願いもしておきたいと思います。  瓦長官、次に有事法制の問題についてお伺いをしたいと思うんですが、長官は、就任に当たりまして、マスコミのインタビューに答えられて、有事法制については、昔は議論することすらなかなか難しかったけれども、今はそういったことをある意味ではちゃんと議論をしていく、そんな状況にある、こういうふうな認識をお示しになったと思いますし、さらに、ぜひ法制化という方向性を持ってこの問題には取り組んでいきたいというような趣旨で御発言をされたように伺っております。  そこで、お伺いしたいのですけれども、有事法制というのはどういう事態に対して対応するための法制なのか、いわゆる有事というのはどういうふうに認識をされているのか。これは各般のいろいろな議論があって、いろいろな意義づけがなされておりますけれども長官として、どういうふうな事態を有事と考えておられるのか、そして、法制化に取り組みたい、その方向性を打ち出されましたけれども、一体いつの時点からそういったことで国会論議を始めていこうとされているのか、そのことも含めてお伺いをしたいと思います。
  77. 瓦力

    瓦国務大臣 お答えいたします。  有事という言葉は法令上の用語ではございませんで、その意味は必ずしも一義的であるわけではございませんが、有事法制研究という有事につきましては、同研究は、自衛隊法第七十六条によりまして防衛出動命令が下令されました時点以降における自衛隊の円滑な任務遂行に係る法制上の問題点の整理を目的としておりまして、その意味で、ここで言う有事といいますのは、防衛出動命令下令事態ということになるわけでございます。  また、この有事法制研究は憲法の範囲内で行うものでございますので、旧憲法下の戒厳令でありますとか徴兵制のような制度考えるというようなことはあり得ないわけでございますし、加えて、言論統制のような措置も検討の対象としていないということは、これはまた繰り返し申し述べてきておるところでございます。  本研究につきましては、いわゆる国民の広くが理解していただけるように私ども努力をしていかなければならない問題も存しておるというぐあいに考えております。  ところで、これからどういうタイムスケジュールで考えていくのかというようなことも加えての御質問でございますが、今まで、有事法制につきましては、自衛隊法等の防衛庁所管の法令、いわゆる第一分類につきましては、現行法令に基づきまして、法令の未制定の問題等や、また他省庁所管の法令、これは第二分類と言われるものでございますが、道路法、建築基準法等の幾つかの法令に係る特例措置の必要性等が指摘をされておるわけでございます。現行法制上、なお不備な事項が残されていることは事実でございまして、これらの研究を進めなきゃならぬ。また、研究にとどまることなく、その成果につきまして法制が整備されることは望ましいと考えておりますということは従来から申し上げておるところでございます。現実に法制化を図るというためには、高度の政治判断にかかわる問題でもございますし、先般の三党合意を踏まえるとともに、国会における議論や国民世論の動向などをよく見ながら、適切に対処してまいりたいと思っておるわけであります。  重ねて申し上げますが、これらの問題を整備しておくということは、私は平時において取り組む大事なことというぐあいに理解をいたしております。国民に広く理解が得られるよう、最大限の努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  78. 桑原豊

    ○桑原委員 このことに関連をして、自民党の亀井政調会長が、十月の三十一日に松江市で開かれた島根県連のパーティーでごあいさつをしまして、その中で、ガイドライン関連法に基づく対米支援について、新聞報道では、米軍に協力した場合、相手国は日本を敵性国家とみなし宣戦布告する、周辺事態はそのままで推移することはなく、直ちに有事に展開せざるを得ない、こういうような発言をされたと報道されております。  私は現場で聞いたわけでございませんので、新聞報道から類推をするしかございませんけれども、亀井会長の発言は、周辺事態での対応が有事を惹起する、そして相手国は敵性国家だというふうに認めて日本を攻撃してくる可能性がある、こういうふうに、周辺事態が有事に直結する展開をおっしゃっておるようなんですけれども、私の認識では、周辺事態というのは、いろいろ議論をやりましたけれども基本的にはアメリカのそういう武力活動、米軍の武力活動と一体化するものではない、そして、そのことによって諸外国から日本が直接攻撃をされるような、そんな事態ではないんだ、むしろ法の建前としては周辺事態に対応することによって有事というものを起こさないようにする方策なんだ、こんなふうな理解をしておるわけでして、亀井会長の、まあ新聞ですからあれですけれども、伝えられるような展開になりますと、まさに周辺事態は有事につながる、こういうことで、それに対する認識が法の前提と全く違うのではないか、私はこういうふうに思うんです。ずれている、こういうふうに言わざるを得ないわけですけれども、この点について、長官は了知されているとは思いますけれども、どんなふうにお考えかということをお聞きしたいと思います。
  79. 依田智治

    ○依田政務次官 依田でございます。  周辺事態法に関する認識、これは全く同感でございます。日米安保体制により、より有効な運用を確保し、そのことを通じて、我が国に対する武力攻撃の発生を抑止する、すなわち我が国が有事を招かないためにまさにあるという認識に立っておりまして、それは先生と同様でございます。  ただ、亀井先生の発言は、後ほど、これは当日、官房長官が記者会見で正式にコメントしていますが、亀井さんの本意は、そういう問題について十分議論しなきゃいかないということでおっしゃったというように理解しておりますということでございまして、私どもも、亀井政調会長の発言につきましては、防衛出動を命じられるという事態における自衛隊の行動にかかわる有事法制の問題についてはこれから十分議論しなきゃいけないという趣旨で述べたんだというように理解しておる次第でございます。
  80. 桑原豊

    ○桑原委員 いたずらに、短絡的な発想で危機感をあおるような影響を与えると私は思います。そういう意味では、そんな環境の中で有事立法を議論するということにはならないと私はやはり思うんですよ。有事立法の問題というのは、そんなこととは切り離して、具体的にこんなことを考えているんだということなどもちゃんと出して、きちっと冷静に、ある意味では慎重に議論をすべきことでして、私は、周辺事態法をつくることによって、有事立法を議論する、そういう環境というのはむしろ遠のいたというくらいに思っているんでして、そういう意味では、亀井発言というのが、真意のほどは今おっしゃられたとおりかもしれませんけれども、大変な間違った方向での議論につながっていく可能性もございますから、私は、ぜひ慎重にそこは考えていただかなければならないということで、まだもっと議論をいたしたいわけですけれども後ほどにして、私の質問はこれで終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  81. 二見伸明

    二見委員長 次に、佐々木陸海君。
  82. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海です。  在日米軍は、横浜市瀬谷区の米海軍上瀬谷通信施設の一部など、同市内の複数の米軍基地施設約百八十ヘクタールを返還する、その見返りとして米軍人軍属の住宅を日本の思いやり予算建設してほしいということを日本側に申し出ているということが報道をされました。先ほどの質疑の中でも、事務レベルの話としてそういうことが出てきているということを防衛庁長官もお認めになったようであります。  在日米軍が使用しなくなった施設は、直ちに無条件で全面返還するのが当然であります。それにもかかわらず、施設の一部返還を条件にして新たな米軍基地建設を持ち出すなどというのは、極めて重大な問題であります。  そこで、まずお伺いしますけれども米側が返還できると言っている施設は、伝えられるところによりますと、上瀬谷通信施設横須賀海軍施設、池子住宅地区・海軍補助施設、根岸住宅地区の一部、約百八十ヘクタールとも二百ヘクタールとも言われております。それぞれの施設のどこを返還する、できると言っているのか。それからまた、返還の条件として米軍基地を建ててほしいという要求が出されたというけれども、どんな内容なのか。事務レベルとはいえ、具体的なものが示されているはずだと思いますので、それについて報告をお願いしたいと思います。外務省でも防衛庁長官でも結構ですが。
  83. 瓦力

    瓦国務大臣 佐々木委員からの御質問でございますが、神奈川県内におきましての米海軍家族住宅が不足しているといたしまして、家族住宅建設要望があり、事務レベル意見交換過程において米軍から一つ考え方が示されたことは事実である、実は、佐々木委員の前にもさような質問がございましたので、そうお答えをし、また、それを踏まえて佐々木委員から再質問のような形でございました。  あくまでも事務レベル意見交換過程で示されました米軍としての一つのアイデアでございまして、具体的内容につきましてお答えするのは差し控えさせていただきたいと思っております。
  84. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 この上瀬谷通信施設の一部などがもう使われなくなってしまっているということは、もうかなり前からはっきりしていたことでありまして、現地の横浜市なども、早く返せという要求をしてきたところであります。  私たちも、当委員会でも、九六年の十二月の五日の委員会でしたが、中路委員が、この米軍の海軍の文書、「カミセヤ・ランド・ユース・プラン・スタディー」、九四年の三月の十一日につくられた文書、こういうものまで示して、これでは、どこの基地のどの部分が要らなくなる、そこにどれだけ住宅が建てられるというようなことを計画し、そして、九四年の二月二十八日から三月三十一日には、米側が、ハワイから当局者が来て、現地の視察までやって打ち合わせをしているということまでこの米軍の文書に書かれている、そういうことまで当委員会で明らかにしているわけであります。  だから、何か今突然出てきた話だったらいろいろまだあるでしょうけれども、使っていない基地の部分があるということはずっと前からはっきりしていると思うんですよ。それについて、防衛施設庁も外務省も、詰める作業は何もやってきていないんでしょうか。
  85. 瓦力

    瓦国務大臣 お答えいたします。  現在、米軍に提供している施設・区域につきましては、提供目的に従いまして使用されているものと承知をいたしておりますが、今、委員からのお尋ねは、不足しておる住宅問題、米側といつごろから意見交換をしているか、かような質問でよろしゅうございますか。今、いつごろからその不足問題について……(佐々木(陸)委員基地不用になっているという話はもう前から出ているんです」と呼ぶ)不用になっている、使っているかどうかというその問題ですか。  それで、いわゆる米軍に提供している施設・区域につきましては、提供目的がありまして、それに従って使用しているわけでございますので、流布される中でそういう御意見があるといたしましても、私どもといたしましては、提供目的に従いましてそれぞれ使用をされている、かように承知をいたしておるわけでございます。
  86. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、長官、端的にお聞きしますけれども米側から返すと言ってこない限り、米側必要性を持って使っているというふうに解釈するということですね。  つまり、もう使っていないというようなことがかなり明確になっていても、日本側から、これは使ってないんじゃないのというふうにアメリカにきちんと問いただすというようなことは一切しないということですか。
  87. 瓦力

    瓦国務大臣 これは一般論としてでございますが、地位協定の第二条三項におきまして、米軍は必要でなくなった施設はいつでも日本国に返還しなければなりません、また施設必要性を絶えず検討することといたしておるわけでございまして、この協定の意味からも、米軍としては使っている、使用しているということ、そしてまた、必要でなくなった施設日本国に返還しなければならないという取り決めに従って日米間で話し合っていくべきもの、私はかように考えているわけでございます。
  88. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 地位協定の二条三項の問題は、それは結構なんです。  要するに、先ほど防衛庁長官も認められていましたように、事務レベルの話ではあるけれども米軍は一定の基地を返せます、それで住宅を建ててくださいというアイデアを示しているという話なんでしょう。返せる基地があるということなんでしょう。  だから、そこは向こうの交換条件とは切り離して、返せるものは早く返すというのがこの地位協定の規定なんですから、交換条件をつけるなんという規定になってはいないんですから、そこはそこできちんと日本政府として詰めなきゃおかしいじゃないですか。
  89. 瓦力

    瓦国務大臣 委員おっしゃるとおりでございまして、今、一つのアイデアといいますか、事務レベルにおいていろいろな協議がなされておる、一つ考え方としてそこに出ておるということは事実でございます、こう申し上げたわけでございますが、基本的には、不用のもの、不必要なものはそれらの協議によって返してくることは当然でございます。
  90. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 実は、この九月七日に、我が党の中路雅弘議員が、外務省を通じて在日米軍の承諾も得た上で、上瀬谷通信基地の現地調査を行いました。対応者は在日米軍上瀬谷支援施設司令官デビット・P・スミス氏でありました。そして、この司令官の案内で基地内を見て、そして、司令官室で懇談をいたしました。  司令官は、上瀬谷基地の地図を使って説明し、現在使用している面積は百八エーカー、基地内のフェンスで囲まれた部分である、これは全基地面積五百八十七エーカーの一八%であるということを証言し、八〇%以上は遊休地になっているんだということを明確に中路議員に言いました。そこで、中路議員が、地位協定では、提供施設や区域の目的が終了したときはいつでも日本に返還しなければならない、こういう規定になっているじゃないかという点を話したら、司令官は、周辺住民横浜市から返還の要望が出ていることは承知しているが、この問題は日米の政府間の話し合いの問題であるというふうに答えたという事実があるわけであります。これは実は外務省にも中路委員の方から報告をしているはずであります。  そして、上瀬谷通信施設というのは、通信施設として使用するということで使用してきたわけでありまして、それが通信施設として使用していないというのであるならば、もう日本側に直ちに返還するのが地位協定上、米側の義務でありまして、この基地基地使用協定によって通信施設となっているはずですから、そういうことで提供しているはずなんですから、そうでないということを現地の司令官まではっきり言っている以上、これを早く返せと求めるのは当然でありまして、そこは防衛庁長官政治家としてきちんとプッシュしていただきたい。いかがでしょうか。
  91. 瓦力

    瓦国務大臣 中路議員の上瀬谷通信基地の視察について、我が方といたしまして、同行しておりませんで、同議員と米軍現地司令官との間でどのようなやりとりが行われたかということは承知いたしておりません。  中路議員より我々に対しまして要請が行われた際に、同議員より米軍現地司令官の発言に関しての御質問がありましたので、我が方の担当者より、一般論として米軍は我が国の国会議員に誠実に対応していると承知している旨回答したことはありますが、御指摘のような米軍司令官の発言の内容確認した事実はございません、こういうことでございます。
  92. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 ですから、今私がこういうふうに中路議員が聞いた話をお伝えするわけですから、防衛庁長官、少し米側にプッシュして、あいているんだろう、早く返しなさいということをやってくださいよ。
  93. 瓦力

    瓦国務大臣 いずれにいたしましても、日米間におきまして、このようなかかわりのある問題も適宜話し合いをいたしておるわけでございますから、また、提供目的に沿わないというようなことになりますれば、それはそれとして適宜適切に取り上げ、協議をしていくということを、さらに話をしておきたいと思います。
  94. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 通信施設として使わなくなっているということになって、そこに住宅を建ててほしいというのは、地位協定のこの規定とも全然違いますよね。だから、これからいろいろやっていかれるというのは結構ですけれども、大いに努力してもらいたいと思いますけれども、しかし、思いやり予算での住宅建設と引きかえに基地の返還というようなことは、これはもう認めたらまずいと思うんですよ。  そこは、防衛庁長官政治家として、別個の問題ですからそういうことは認められないと、はっきりしていただきたいと思います。
  95. 瓦力

    瓦国務大臣 さらに繰り返しになりますから、私は、これ以上のことを申し上げる必要は、賢明なる佐々木委員には不必要と思うわけでございますが、必要でなくなった施設はいつでも日本国に返還しなければなりませんし、また施設必要性を絶えず検討してまいるということになっておるわけであります。よって、既に遊休地化しているといったような施設を返還するというようなことはあり得ないと思うわけでございまして、それぞれに目的に沿った使用の仕方を現在いたしておる、かように思うものでございます。  いずれにいたしましても、これらの問題につきましては、委員指摘のことも踏まえ、考慮をしてまいらなきゃいかぬと思っております。
  96. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 少しあいまいな感じもいたしますけれども努力をしてまいるという答弁を承っておきたいと思います。  いずれにいたしましても、地位協定のどこを読んでも、要らなくなった基地の一部を返還するから、かわりに住宅を建ててほしいなんということをアメリカが要求できる根拠は全くないわけでありまして、そんなことを許してはならないということをはっきりと申し上げておきたいと思いますし、財政危機のもとで、在日米軍の駐留経費についての日本側の負担というのは年々増加して、九八年度で六千六百十九億円に達しているわけであります。在日米軍が負担しているのは約三千百五十億円でありまして、実に、在日米軍駐留経費全体、九千八百億円ですが、もう一兆円にも達しようという額のうち六八%は日本側が負担しているということにまでなってきているわけであります。米側米軍人の給与等を負担しているだけで、あとの駐留に係る費用はすべて日本側が負担している、こういうことになるわけであります。  この上さらに、上瀬谷通信施設など使わなくなったところを返すことと引きかえに思いやり予算米軍住宅を建てるなんということは、本当にとんでもないことだということを私ははっきり申し上げて、そういうことを許してはならないということを確認した上で、次の問題に移りたいと思います。  先ほどもちょっと議論になりましたTMDの問題です。  きょうの新聞報道でも、言ってみればTMDのアメリカ全国版、NMDというものを今アメリカはやっております。外国から飛んでくるミサイルを大気圏外で撃ち落とす、そういう計画ですが、これについてアメリカでも、このNMDの展開、配備の決定は急ぐべきでないという諮問委員会勧告がなされた。そして、その中では、大気圏外の直撃破壊技術の難しさを過小評価する傾向があるということを戒めているということが報道されております。  私、五月十三日に当委員会でこのTMD問題について質問いたしました。当時野呂田防衛庁長官は、この研究ということで五年から六年の間に二百億から三百億程度のお金を使うことになるというふうにおっしゃいました。私は、それだけ使って、しかもその後、ではそれ以上はもうやらないということになったとしたら、それがむだになるんじゃないかというふうに質問いたしましたら、技術的基盤はあるんだ、だから研究した上でさらにそれが発展していくであろうという趣旨の答弁もありました。  この程度の研究にこの程度のお金を使い、さらにそれを量産し配備するということになると、開発段階で一千億から二千億円、実戦配備では一兆円かかるというようなことも報道されているわけであります。これだけ国の財政が逼迫し、国民がさまざまな負担増を求められているときに、とても国民が納得できる問題ではないと思うんです。  先ほどの質問もありましたが、防衛庁長官、これは、水増し請求の問題だとか談合の問題なんかも出てきているわけでありますけれども、あくまでこの金食い虫的な計画を進めていくおつもりなんでしょうか。
  97. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいま、弾道ミサイル防衛、BMDについてお尋ねでございますが、委員も御案内のとおり、御承知と思いますが、弾道ミサイル等は、移転、拡散が進展する状況や我が国防衛政策上の重要な危惧すべき課題であると認識しておるわけであります。かかる認識のもと、昨年十二月二十五日の安全保障会議の了承を得て、平成十一年度から海上配備型上層システム、NTWDを対象とした日米共同技術研究に着手したところであります。  今私が申し上げるのは、委員からお尋ねの弾道ミサイル防衛については、弾道ミサイル等の移転、拡散が進展している状況、我が国防衛政策上重要な課題であるという認識から、このBMD研究につきまして、安全保障会議の了承を得ながら、日米で今着手しておるところでございます。こうした中で、日米間におきましては、ミサイルの四つの主要構成品に関する設計及び赤外線シーカーの試作を対象とした共同技術研究を開始したところでもございます。  私は、我が国にとりましての安全を確保する意味で、やはりこうした研究は必要なもの、こう理解をいたしております。
  98. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 研究をした上で、開発、量産、配備、そういう方向も、防衛庁長官、展望しておられるということですね。
  99. 瓦力

    瓦国務大臣 それらはそれぞれの段階においてまた検討をし決定をするものでございますから、現在、今私が申し上げたように、将来を見通せば、こういう環境であることを心配し、また配慮をし、日米間で共同技術研究を始めましたということでございます。これらにつきましては、それぞれの進展の度合いによりましてまた検討をされるもの、このように考えております。
  100. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それぞれの段階で検討をし、取りやめになったら、それまでにつぎ込んだお金は全部防衛産業へのプレゼントになってしまう、むだ遣いになるということを言わなきゃならぬと思うんです。  しかも、そもそもこのTMD構想を進めることが日本にとって有益かどうかという根本問題があると思うんです。  政府は、このTMD、今長官はBMDというふうにおっしゃっていますが、これは実体的には同じものですが、純粋に防衛的なもの、地域の平和と安定に悪影響を与えるものではないと再三説明をされてはおります。  しかし、例えば中国外務省の軍備管理軍縮局長が、つい最近も、世界の戦略バランスを崩し、核軍縮、核拡散の防止に不利益をもたらす、こういうことをコメントしています。そういう意味からいえば、現に軍事的緊張を、これを研究するということだけでも高めるという方向にこれが作用している、そういう現実があるんじゃありませんか。その点はどう御認識になっているんでしょうか。
  101. 瓦力

    瓦国務大臣 重ねて申し上げますが、弾道ミサイル防衛、BMDは、我が国国民の生命財産を守るための純粋な防御的かつ他に代替手段のない唯一の手段であるということを踏まえまして、我が国が国防政策上重要な課題と認識して取り組んでおるわけでございます。  なお、周辺諸国を初めそれぞれにおきましては、これらの問題について理解を得べく数次にわたって説明をしておるわけでございまして、私は必ずや理解が得られるものと考えております。
  102. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 純粋に防衛的といっても、これが本当に効果的なものになれば、相手側の、言ってみれば抑止力を減ずるわけでありますから、より強いその防御網を突破するような新しいものをつくらなきゃいけないということに駆り立てられるわけでありまして、それ自体が防衛的だから、近隣諸国の理解も得られて、軍拡競争を招くようなことはないとおっしゃっても、それは通用しないんですよ。そんなの常識です。  軍事情勢の客観的な評価を目的としている研究所の「ミリタリー・バランス」、つい最近の号でも「たとえ限定的なミサイル防衛能力であっても、これに打ち勝つことを確実にするために、中国は戦略兵器を増強し、対抗措置(多弾頭の使用を含む)を向上させるよう財源を費やさなければならなくなるであろう」という分析をしているわけであります。  それからまた、アメリカの、あのペリー報告を出したペリー政策調整官も先日来日したときに、TMDについて、日本にはお勧めしない、中国との軍拡競争を引き起こす可能性がある、こういうことを言っているわけであります。  私は、これは当然の方向だろうと思います。こういう、本当に実際に効果があるかどうかもアメリカでも疑われて、なかなかはっきりしない、そんな問題に多額の金を費やして、しかも隣近所との緊張を高めていくような、こんな計画は即刻取りやめるべきだということをはっきりと申し上げておきたいと思います。  次に、まだ若干時間がありますので、PKFの凍結解除の問題について質問をしておきたいと思います。(発言する者あり)通告はきちんとしてあります。  与党三党は、連立政権発足に当たって、PKOのうちPKF本体業務の凍結を解除するための法的措置を早急に講ずるというふうに合意をしております。  私たちは、こういう凍結解除の問題には反対であります。もともとPKO協力法そのものが、戦後初めて海外に武装した自衛隊を派遣して軍事活動に参加させるというものであり、憲法をじゅうりんし、しかも一九五四年六月参議院本会議の「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」にも反しており、我々はこのPKO協力法に反対をしてまいりました。そして、国民の懸念を受けて本体業務なるものが凍結されたわけでありますけれども、当然、本体業務なるものへの参加には反対であります。  三党合意は、このPKO協力法の、いわゆるPKF本体業務の凍結を解除して、国連の平和維持軍に自衛隊の歩兵部隊を参加させて、対立する紛争当事国あるいは紛争当事者の間に分け入って、戦闘再発の防止や兵力の引き離し、武装解除、停戦監視などの軍事活動をさせるというものであります。  防衛庁長官にお伺いしますが、政府はPKF本体業務の凍結解除をするというお考えなんでしょうか。いつやろうとするお考えなんでしょうか。
  103. 瓦力

    瓦国務大臣 我が国が国際社会への応分の貢献を行うべきということは、委員も御理解をいただけると思うわけであります。したがって、そのうちPKF本体業務の凍結解除を含む国連の平和活動への一層の協力につきまして、国会はもとより国民各位の御理解をいただきつつ、積極的に進めてまいりたいと考えております。  なお、佐々木委員からさきにBMDに対するお考えが述べられましたが、私は、我が国は、その文化といい歴史といい、推しはかることのできない非常に有為な財産を国民が持っておる、貴重な生命のみならずその財産も我が国は有しておると思うわけであります。この価値あるものを我々はどうやって守ろうかということがBMDでありまして、それを破壊しようとすることが問題なのであって、我々は、軍拡を期待してこういうことを考えるのではなくて、周辺にこうした脅威があるとすれば放置できない問題であるという意味に立ってBMDの研究を行うということでありますから、御理解をいただきたいと思います。
  104. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 何か私が日本の価値ある文化を破壊する側に立っているかのようなおっしゃり方ですが、もちろん、BMD、TMDというようなものの開発、展開というようなことが、一体それを進めることが、本当に日本にミサイルが撃ち込まれるようなことを防ぐ上での一番有効な手段なのかという問題は、いろいろ検討していくべき問題があるわけであります。そして、これが軍拡競争を招く要因になることは否定のしようのない事実なのであります。  また、応分の国際貢献ということもおっしゃいましたが、国際貢献というものもいろいろな範囲、いろいろな分野があるわけでありまして、何も自衛隊が出ていかなきゃならぬということだけが国際貢献ではないということもはっきりさせておきたいと思います。  PKFの問題ですが、国連の平和維持軍、PKFについてはいろいろな原則がありますけれども、しかし、過去において、コンゴの国連軍だとかキプロスの国連平和維持軍だとか、あるいはレバノンの国連暫定軍だとか、こういったものが紛争に巻き込まれ、武力行使を余儀なくされていることは厳然たる事実であります。コンゴの国連軍の場合には、大砲や戦闘機による爆撃まで行われて多数の死傷者が出ております。国連平和維持軍というのは、任務の性格上、常にこうした危険性があるということは明白であります。  だから、国連は、平和維持軍と紛争当事者との直接の武力衝突を避けるために武力行使に制限を加えてはおりますけれども、しかし、任務の遂行上、このように戦闘に巻き込まれる可能性があるので、そうなった場合の自衛権の範囲や武力行使の原則を定めているわけであります。  そして、それを端的に言えば、決して武力行使のイニシアチブをとってはならないけれども、武力による攻撃に対しては実力で応戦をすることができる、武力行使をもって反撃することができるということを明確に原則として定めているわけであります。  PKOの訓練マニュアルやガイドライン、SOPの文書でも、国連要員の生命に対する直接攻撃または脅威に対する自衛のため、また、国連の安全が全体として脅かされている場合、その他に、任務の遂行を実力行使で阻止、妨害する企てに対しても武力行使ができるということを定めているわけであります。  この国連の定めているPKFの武力行使の原則と、自衛隊が参加する場合、PKO法で出ていく場合の武力行使の原則とは違っているということは、防衛庁長官、御存じでしょうね。
  105. 瓦力

    瓦国務大臣 国連におきましては、平和維持隊の任務遂行を実力で妨害する企てに対して抵抗するための武器の使用も認められているわけでございます。しかしながら、このような武器使用は、状況によっては国際的な武力紛争の一環として戦闘行為を行うことになり、憲法で禁止された武力の行使に当たることになるおそれがあり得るわけでございます。  このため、国際平和協力法の策定に当たりましては、要員の生命等の防衛のための武器の使用のみを規定するものとしたものでございまして、今委員から御指摘の、双方の違い、問題につきましては、御理解をいただいておると同じでございます。
  106. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 時間になりましたので、続きはまた次の機会に譲ることにいたします。終わります。
  107. 二見伸明

    二見委員長 次に、辻元清美君。
  108. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党、社民党の辻元清美です。  さて、本日は、防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案について審議することになっておりますが、昨年はこれを十月六日に、同じこの法案について審議をいたしました。そのときの議事録をちょっとひっくり返してみたんです。ちょっと読ませていただきます。  これは私の質問なんですが、  防衛庁職員給与を審議しているわけなのですが、これに当たりまして、実際に今この委員会でも今回の背任事件についてさまざまな委員の方が指摘されております。こういう問題を抱えて、額はともあれ、やはり国民感情としましては、給与について云々するのかという国民感情がないとは言えないと思うのです。 という指摘に対しまして、当時は額賀防衛庁長官でしたが、こういう御答弁をいただきました。   今の辻元委員の御指摘については大変、肝に銘じさせていただきたいと思いますけれども、確かに今、経済状況は史上最低、最悪でございます。失業率も最悪の状況を来しておるわけであります。そういう中で自衛隊員の給与改定の御議論をいただいているわけでありますけれども、私といたしましては、確かに、一連の背任事件あるいはいわゆる証拠隠滅問題等々によりまして国民の皆さん方に不信を与えたことについて、大変申しわけないというふうに思っております。   しかし、この問題につきましては、かねて主張しておりますように、みずからの力で自浄能力を発揮して事実関係を明らかにするとともに、こうしたことが再び起こることがないように、防衛庁の調達システム、それから防衛庁の行政のあり方等々について万全の体制をしいて、そして、言ってみれば、中興の改革的な防衛庁の立て直しを図らなければならない、 と額賀防衛庁長官がちょうど一年ぐらい前に、同じ法案を審議中に発言なさっています。  さて、そこで、その後この「中興の改革的な防衛庁の立て直し」ができたのかどうか、二、三お伺いしたいと思うんです。  といいますのは、この間、十月十二日には、東京地裁で、防衛庁調達実施本部長であった諸冨被告が行った職務行為が背任行為に当たるとして、有罪判決が出ました。そして、さらに、このところこの委員会でも、燃料納入をめぐる談合事件とか海上自衛隊の艦船修理の指名競争入札問題が発覚している。  この一年間、一年前にこういう御答弁をいただきましたけれども、また次から次に問題が出てきているという状況であることを否めないと思うんです。こういうような状況で、防衛庁に対する信頼というのは、またかまたかと、何回も、メスを入れる入れると言いながら、また出てきたのかということで、加速度的に信頼が落ちていくと思います。  さて、そういう状況を受けまして、長官は、長官におなりになって、今、特にこの判決が出た問題について、防衛庁としてはどういう内部調査なりどういう取り組みが残っているというようにお考えでしょうか。
  109. 瓦力

    瓦国務大臣 辻元委員お答えをいたします。  今いろいろ辻元委員から指摘を受けましたが、大きな問題、課題をしょいまして、我々は努力をしていこうということで取り組んでおるわけでございまして、またかまたかというお話を伺いますと、全力を挙げて取り組んでまいりますということを申し上げなければならぬと思うわけであります。まだ若干時間をおかしいただきたいと思います。  さて、十月十二日に東京地裁で諸冨元調本長の有罪が下されたことにつきましてでございますが、当然厳粛に受けとめております。  また、この背任事件に関しまして、その背景として、装備品調達における透明性でありますとか、あるいはチェック体制が十分に担保されていない、そういう問題点があった、こう認識をいたしておるわけでございまして、再びこのような事態が起きないよう、本年四月二日に調達改革の具体的措置を取りまとめまして、現在、企業側提出資料の信頼性確保等の制度改革でございますとか、調本の廃止等の機構改革の着実な実施に向けまして全力で取り組んでおるところでございます。  何としてもこれらの事案につきましての深い反省をもちまして、信頼を得られるべく努力をしてまいりたいと考えております。
  110. 辻元清美

    辻元委員 若干時間が欲しいという御発言がありまして、私は前回のこの委員会、先週開かれた折に佐々木委員質問された中で、特にこのNECの返還請求額がまだ算定されていないということに愕然といたしました。  この事件の発端は、一九九四年の東通の水増し請求発覚というところから五年たっています。この間、大臣が何人かわったか。私がこの件を取り扱っただけでも、久間さん、額賀さん、野呂田さん、瓦さんと、ちょっと変わった名前の大臣ばかりが続くわけですが、ずうっとやっているのですよ。それでまだNECの問題の請求の金額が出ていないというのは、これはどういうことでしょうか。
  111. 瓦力

    瓦国務大臣 どうも変わった名前で申しわけありません。  調査対象契約は、実を申し上げまして直接契約でも七千件以上ございます。また、データ収集作業はほぼ終了しておるわけでございますが、算定作業に移るなど作業は進展しておりますけれども、算定に当たりまして関係方面と調整もあり、若干時間を要しておるわけでございまして、これらのことを御理解をいただきたいと思いますが、私どもは全力を挙げて取り組んでおりますことを重ねて申し上げさせていただきたいと存じます。
  112. 辻元清美

    辻元委員 それでは、この燃料納入をめぐる談合事件と海上自衛隊の艦船修理の指名競争入札問題で会計検査院の方にお伺いしたいのですが、今の検査院の見解をお聞かせいただけますでしょうか。
  113. 諸田敏朗

    諸田会計検査院当局者 御答弁いたします。  航空燃料JP4の調達に関する件でございますけれども、会計検査院といたしましては、平成九年度決算検査報告にこの件を掲記いたしました。若干その事態の概要を申し上げます。  調達実施本部では、指名競争契約によりまして航空タービン燃料JP4を調達しておりますが、この調達に当たりまして当初の指名競争入札が不調となり、その後の商議の中で、予定価格より高い価格をもとにすべての石油会社が同じ価格となるよう下げ幅を示した後に、最終の商議価格と同額を再予定価格として再度の指名競争入札を実施し、その結果、一回目の入札で落札するという一連の調達手続が慣例化しておりました。そして、このことによりまして、指名を受けたすべての会社が再予定価格を推定し得るという結果を招いていたものであり、また、石油各社のシェアは毎年ほぼ同じ割合となっていたものであります。  このような事態は、競争が十分に行われておらず、指名競争入札における会社間の競争が阻害され適切でないと認められたものでございます。
  114. 辻元清美

    辻元委員 今検査院の方からこの二件についても指摘があって、大きな問題になっているわけですけれども、今、先ほどの長官の御答弁の中に、原因はこのような一連の不祥事に対するチェック体制が十分担保されていなかったというようにおっしゃったのですが、私はそれだけではないと思うのです。  さて、この十月十二日の判決の中で特に指摘された部分、これは勤務実態の伴わない再就職についてです。これは金銭的な利益に当たる、犯罪の構成要件となるというような趣旨があります。これはずっと問題にされてきて、特に防衛庁職員の再就職の問題をどう取り扱うかということは議論が多々ありました。  さて、出た判決の中で、よく言われる天下りの問題ですが、天下りの要請についても、勤務実態を伴わない場合は、背任罪の構成要件である図利目的、自己または第三者の利益を図る目的に当たると事実上認定した、また勤務実態がないため、職務上の対価ではなくわいろだったと認められたということになっています。  さて、先ほどチェック体制が担保されなかったということだけを御発言なさったのですが、このような指摘について、長官はどのようにお考えでしょうか。
  115. 瓦力

    瓦国務大臣 信用回復のために、チェック機関における問題についても、委員指摘のとおり、それのみならず、各般にわたる問題につきまして、私ども努力をしていかなければならぬ課題があると承知をしております。  また、委員から御指摘のような、過去十年間に離職した方々の再就職問題でございますが、それについても御指摘をいただいておりますが、これらについても、企業に在籍している者につきましては離職後二年を経過している者もおり、必ずしもその地位についてすべてを把握しているわけではございませんが、ほとんどの者は引き続き再就職した際の顧問や嘱託という地位についているものと考えられるわけでございまして、これらの問題につきましても、私どもはよく見ていかなければならぬと思っております。  現在、関係企業に在籍している者につきましては、ただいま離職後二年経過したということを申し上げましたが、すべてを把握しているわけではございませんが、再就職手続の法令にのっとりまして適切に実施をしてまいらなければならないということで、それぞれの問題につきましても、強く関心を持ちながら対処してまいりたいと考えております。
  116. 辻元清美

    辻元委員 私は、強い関心を持ちながらというのは、何かとても第三者的の発言で、これも問題であったということをまず認めざるを得ない、そこからでないと始まらないと思います。  さて、今指摘させていただきましたのは今回の十月十二日の東京地裁の判決についての案件ですけれども、そうしましたら、今また新しく浮上してきました、この燃料納入をめぐる問題、それから海上自衛隊の艦船修理の問題。  それではお聞きしたいのですが、この関連会社の再就職状況が一体今どうなっているのか、報告していただけますでしょうか。
  117. 西川太一郎

    西川政務次官 関連会社につきましては、防衛庁全体として、ただいま大臣が御答弁を申し上げました適法に関連企業に再就職をされている方々は、平成十一年八月一日現在で当庁が把握しております者が二百八名ございましたが、その後現在もこの企業に在籍している者は百五十八名でございます。  必要ならば細かく申し上げてもよろしいと思いますが、委員に当庁から資料を差し上げていると存じておりますので、時間の関係で、大枠だけを申し上げておきたいと思います。
  118. 辻元清美

    辻元委員 私も資料を取り寄せましたところ、例えば、石川島播磨重工業に四十名、三菱重工業に五十八名、川崎重工業に四十八名、三井造船に十八名、日立造船に十四名、住友重機械工業に二十二名、日本鋼管に六名、函館どっくに一名、佐世保重工業に一名、これが二百八名の内訳かと思うのですね。  この再就職問題、今回問題になっているところの、これは十年間のいろいろな推移のものもいただきましたけれども、一体、五年前に東通事案が出てからどう変わったのかというところがはっきり見えません。そして、去年、おととし議論してから、確かに再就職について今まではどなたも大体顧問というのにつかれて、今問題になっている上野さんの場合ですと、あっちこっちの顧問にたくさんついて、それで二千万円以上の年収を得られるような役職の配属の仕方とかというのも去年の審議で明らかになってきているわけですね。  ですから、長官、客観的にどう思うかというよりも、そこにどういうふうにメスを入れていって規律をもっていくのかというところをしっかり考えない限り、防衛庁の信頼は本当に回復することは難しいと思います。  さて、そこで幾つかお聞きしたいのですが、今回、十一月十一日、数日前、またこういう問題が浮上してきました。これは、自衛隊の五つの基地のボイラー管理について天下り会社が独占という、これは先ほど私見たのですけれども防衛庁基準の二割高で随意契約、航空自衛隊が経費削減のため全国五基地内にあるボイラーの運転管理業務を外注していた、経費削減で。なのに実際は、同僚のOBの天下り先企業、日立湘南電子に随意契約で独占的に委託していたことが会計検査院の十日までの調べでわかった。昨年度は総額約二億七千万円が支出されたが、防衛庁の内規による積算より二割以上高いというような問題がまた出てきています。そして、この案件に対して防衛庁では、これは数日前の話ですがまた出てきた、どういうふうに取り組んでいく、もしくは内部調査していく、どうしていくおつもりなのでしょうか。
  119. 瓦力

    瓦国務大臣 お答えをいたしますが、現在、平成十年度決算検査に関しまして会計検査院と防衛庁の間でいろいろなやりとりが行われておるわけでございますが、これは決算検査の一過程における政府部内のやりとりでありますので、その内容を含めまして言及することは差し控えさせていただきたいと存じます。  なお、委員からさきに再就職問題についての御意見もございましたが、再就職手続を見直しまして、適正な手続を経させることで不正を防止して、多くの隊員の再就職につきましては、いわれなき批判等を払拭するよう努めてまいらなければならない、かようにも考えるものでございますので、その点、さきの御意見に対しまして述べさせていただきます。
  120. 辻元清美

    辻元委員 今のボイラー管理の会社の問題ですけれども、こういうような実態です。  この会社には、ボイラー業務を請け負い始めた九二年から二十数人の自衛官らが天下っている。その多くが在任時基地内でボイラー業務を専門的にしており、入社後も同じ業務を担当している。そして結局、退職後も、身分が同社社員になっただけで同じ基地で同じ仕事をしているというような実態が明らかになってきているわけです。そして、このボイラー関係の運転管理業務を請け負える会社は全国に数百社あると言われています。ところが、ずっと一社だったわけです。  長官、真剣に受けとめると歴代の長官お答えになってきているけれども、数日前にまたこういうような問題が指摘されているわけです。ですから、私は非常に事態は深刻であると思います。  今国民の関心事は、官僚に対して非常に厳しいということと同時に、税金の使い道については物すごくチェックが厳しくなってきているのは御承知のとおりです。ところが、防衛庁自体がこういうようなあり方、これを具体的に変えていただきたい。  そこで一つお伺いしたいのですが、防衛庁は、このOBの方々に対して関係機関に自由に出入りできるパスというのは発行されているのでしょうか。私は、これは関係者の方から伺ったのですが、長官が御存じなければお答えできる方で結構なのですけれども、いかがでしょうか。  そして、確かに先輩方に敬意を表するということはいいのですけれども、私、こういう細かいことが積み重なって今のような事態を引き起こしているのではないか。前は再就職状況のリストみたいなものが回っていたということを一年前に指摘させていただきました。だれがどこに行って、だれが退職したからここはポストがあいているから次行けますよというようなリストが毎年毎年繰り返し作成されていたわけです。今度はこのようなパスの問題、いかがですか。
  121. 瓦力

    瓦国務大臣 私も今委員から初めて伺ったわけでございますが、どういう意味でのパスかちょっと私は納得いかないところもありますが、防衛庁というのは、一般的には外来に対しても、諸般の問題もあるところでございますから、やはりしっかり、秘匿性とかいろいろ持ちますから、出入りにつきましては正確にチェックをしておかなきゃならぬというところでございますので、あるいはどういう目的かで、なしとはしないと思うのですが、あるということは私はわかりませんから、今また帰りまして、どういうたぐいのものであるかというようなことを含めまして調べてみたいと思います。
  122. 辻元清美

    辻元委員 それでは、それをしっかり調べていただいて、どういうものか教えていただけますか。  昨年も、リスト問題について指摘させていただきまして、具体的に改めていただいているようですので、細かい話のようなのですが、私は、防衛庁の信頼が失墜しているというような状況で、細かいことをきっちり片づけていくということは非常に大事だと思うから申し上げておりました。この間、もう蒸し返しませんが、前防衛政務次官の話に至り、そしてこの談合事件など、何だか国民の目から見たら防衛を論ずる資格があるのかと言われるような状況であるぐらい私は深刻に受けとめていただきたいと思います。  最後に、あと一分ありますので、先ほどから、私は歴代の四名の長官にわたってこの防衛庁の内部の不祥事の問題を質疑させていただきましたが、瓦長官のところでこれにピリオドを打っていただく。昨年は十月六日にこの法案を審議して同じような質問をして、また来年の同じ時期に、その間に選挙があるかもしれませんからいるかどうかわかりませんが、同じ時期にまた同じようなことが片づいていないという事態は自分のときでやめるとはっきり言い切っていただけますか。
  123. 西川太一郎

    西川政務次官 先ほど辻元先生からボイラーの件についての御質疑がございましたけれども、実は、価格の面につきましてはもちろん厳正に対処してまいりますが、若干その事情を御説明させていただきますと、ボイラーの作業を必要としております該当地は極めてへんぴな地区でございまして、なかなか恒常的なボイラーマンのサービスが受けにくいということもございまして、やめた人間をそのまま使うということにならざるを得ないという当庁の事情もございますこともひとつ、一方的にいいかげんな契約をしたということではないということで、特に価格の面につきましては御指摘のとおりだろうと思いますので、その客観的な事情につきまして一言申し上げさせていただきます。どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  124. 瓦力

    瓦国務大臣 私は、大変大きな変化の時代、転機を迎えておりますので、いろいろ改革の手は緩めずにやろうと思います。やっていかなきゃいかぬことだと思います。  それから、いろいろな不祥事に対しましても、それは、これまでもさることながら、これからどうあるべきかという姿をつくらなきゃなりませんので、勇気を持って取り組まなきゃならぬということを常々申し伝えておるわけでございます。  それで、おまえの時代にこれはぴりっとけじめをつけろという委員の激励でございますので、私も、やはり防衛に対する国民の信頼が一日も早く回復するためにも、一層の努力をしなければならぬ。私の代で終わりにするよということは、政治家であります私とすれば、言えば格好いいわけでございますが、そういう決意で、だけれども、いつ果てるともないようなことをやっておっては組織も国民の信頼を得られませんから、そのことを、ただいま委員の言わんとするところを踏まえて、最善を尽くしたいと思っております。  以上、私の決意を申し上げて、了としていただきたいと思います。
  125. 辻元清美

    辻元委員 質問を終わります。
  126. 二見伸明

    二見委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  127. 二見伸明

    二見委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。佐々木陸海君。
  128. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私は、日本共産党を代表して、防衛庁職員給与法改正案について、反対の討論を行います。  この法案は、九九年度人事院勧告に基づく一般職給与法等の改定に準じて、特別職である防衛庁職員給与改定を行うものであります。この人事院勧告は、期末手当年間〇・三カ月分の引き下げなどによって、制度発足以来初めて給与水準の切り下げを求めたものであります。  これを受けた一般職給与法等の改定とその特別職への準用の結果、すべての国家公務員の年収が切り下げられます。これは、戦後初めての極めて異例な、許しがたい事態であります。  人事院勧告制度は、公務員の労働基本権を制約することへの代償措置として、給与、勤務条件の改善のために設けられているものであり、民間準拠を口実にした切り下げ勧告などは、制度の本来の趣旨に反するものであります。  こういう異常、異例な、許しがたい措置の一環をなす本法案には反対であることを表明し、討論を終わります。
  129. 二見伸明

    二見委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  130. 二見伸明

    二見委員長 これより採決に入ります。  内閣提出参議院送付防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  131. 二見伸明

    二見委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 二見伸明

    二見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  133. 二見伸明

    二見委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十三分散会